厚生委員会 第6号
- 発言数
- 271 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2000/10/25
会議録
○遠藤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として文部大臣官房審議官清水潔君、厚生大臣官房総務審議官宮島彰君、厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省保険局長近藤純五郎君、労働大臣官房審議官鈴木直和君、以上の方々の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○遠藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○遠藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。釘宮磐君。
○釘宮委員 民主党の釘宮磐でございます。 健康保険法等の一部改正案並びに医療法の一部改正案について質問をいたします。 質問に入ります前に、私は、三年前に実は参議院の厚生委員会においてこの改正論議を行った一人であります。今、何か三年前にタイムスリップしたような、そんな思いを持つものであります。衆参の場が変わったこと、大臣が小泉さんから津島さんにかわっても、このままでは保険財政が破綻してしまうというこの前提は同じであります。 私は、当時橋本総理や小泉大臣が、薬価制度あるいは診療報酬体系の見直し、そして老人医療制度そのものの根本的な見直し等について、何が何でも政治決断をもってこれを実現するんだ、こう繰り返し答弁をされたことを思い起こすわけであります。 その際の政府の説明は、このままでは保険財政が破綻してしまう、したがって、保険財政をまず立て直して、その後に抜本改革を行うというものでした。そうした議論を踏まえて、実は私は、保険財政を破綻させてはいけない、そういう思いもあって、政府を信じて、この改正案に野党でありながら賛成をしたのであります。今、こうして抜本改革が置き去りにされたまま衆議院の委員会において同じ議論をしなければならないということは、極めて遺憾であり、そして不信感を覚えるものであります。 今回の保険法の改正案は、医療保険制度の抜本改革を先送りしたまま患者自己負担をふやすという三年前の改正と同じやり方の繰り返しであると断ぜざるを得ません。民主党は政府案に反対であり、審議をすれば年金法案と同じ道をたどり、国民世論の猛反発を招くことは必至であると申し上げておきたいと思います。 さらに、さきの総理所信において、森総理は二十一世紀の社会保障制度について国民の不安を解消するためには社会保障制度を再構築していくんだと述べておられますが、言葉とは裏腹に、国民の目からは、国民の反発を恐れ、問題の先送りをし続けてきた政治家、そして、政治にすくみ、あえて選択肢さえ示せなかった官僚、無責任な指導体制の中で、今や、この国は構造改革どころか迷走を始め、国民は不安におののいているのではありませんか。 そこで、まず厚生大臣にお伺いしたいと思うのですが、さきの年金法改正、そして今回の医療法、健康保険法改正、さらに介護保険の導入は、本来、少子高齢化が進む中、従来の社会保障制度ではこれはもたない、したがって、二十一世紀に通用するものへとつくり直していこうということが目的だったはずであります。 一体、社会保障の構造改革というものを本気でやる気があるのか、そして、いつごろまでに政府はこの構造改革、将来ビジョンというものを国民に提示するつもりなのか、その点についてまずお聞かせをいただきたいと思います。
○津島国務大臣 社会保障制度は、申すまでもなく国民生活のセーフティーネットとして極めて重要な機能を持っておりまして、国民に信頼され、将来にわたって安定的、効率的な制度として運営をされなければならないわけであります。 そういう立場から申しますと、今委員御指摘のとおり、昔にタイムスリップしたという認識は私も共有しております。ちょうど十年前、同じ職責をいただいたわけでありますけれども、当時議論された基本的な問題の多くは、なお解決を得るに至っていない。 それから、三年前の健保法等の改正におきましては、私は与党の筆頭理事をしておりました。委員は参議院におられましたが、あのときに当時の野党の一部の皆様方と共同で改正案をつくって、そして、これは第一歩ですよというふうに進めさせていただいたことも今思い出しておるところであります。 そのように基本的な問題は残っておりますけれども、手をこまねいていたわけではございません。年金制度の改正や介護保険制度の導入に取り組んでまいりましたし、また医療制度の改革についてもこのままにしてはおけないわけで、抜本改革の第一歩として今度の健康保険法等の改正案を提出し、御審議をお願いしておるわけでございます。 それでは、将来に向けて社会保障制度を持続可能な制度としてどのように築くかという根本問題でございますけれども、私は、そういう基本問題について支えになるのは国民の理解と支持だと思うのです。今委員が御指摘のように、抜本改革、抜本改革と言っても、先送りされてなかなか抜本的なことができないよとおっしゃったのはそのとおりでありまして、どのようにして負担を分かち合うのか、社会保障を維持するために助け合うのか、その負担をどうするのか、そういうことについて本当に国民的な議論を行って、結論を出していただくことが先決だと思います。これは政治家だけが先に走るわけにはいかないことは、政治家として委員もおわかりのとおりだと思います。 このような認識のもとに、総理のもと、社会保障構造の在り方について考える有識者会議が行われまして、おおむねその考え方がまとめられ、一両日中に総理に報告書が提出をされると承っております。 この報告書におきまして、高齢者医療の問題を初め、年金、少子化対策など、幅広い社会保障の論点について貴重な御提言が含まれていると承っております。また、政府の方も、実効ある体制を整備し、社会保障制度について、これを支える財政、税制など関連する諸制度の検討を含めて、総合的、包括的に取り組むべきことが指摘されることになろうと思います。そのような話になれば、当然国民的な議論の中で国民の合意を得る必要がある、これからそれを国会が議論をし、やっていかなければならない。そのために私ども政府・与党も努力をいたしますが、野党の皆さん方も積極的に御参加をいただきたいと私は願っておるものでございます。 こうして、今後、社会保障改革の全体像を明らかにし、平成十四年までには社会保障の総合的、包括的な体制整備について具体的に示せるよう努力をいたしたいと思っております。
○釘宮委員 今、津島厚生大臣の答弁を聞きながら、私は非常に残念な思いがするわけです。政治家だけが先走ってはいけないとか、また第一歩だということを強調されていましたけれども、何年たっても第一歩から踏み出さないでは、これはもう、やる価値もなければ、国民自身が政治をほとんど信用していない、政治家を信用していないと言われてもやむを得ない、そういう状況じゃないかと私は思うんです。 特に、国民合意という問題をあえて今言われましたから、私申し上げますが、少なくとも国民合意というものを取りつけるための踏み込んだ提案をいわゆる政治がしたかどうか。実は昨日、小渕首相が鳴り物入りでつくった社会保障構造の在り方について考える有識者会議、今大臣触れられましたけれども、その報告書が出されました。正直言って、内容は、今までのところから若干出たのかなということはありますが、国民が知りたい部分については何にも答えていない。私は、こういうことの繰り返しが、今や国民をして不安のるつぼに陥れている、そう言わざるを得ないと思うんですよ。 私は、そういう意味では大臣のリーダーシップが問われていると思います。これから、きょうは一日野党の質問があります。私、総論的な部分で質問をさせていただきたいと思いますが、大臣にはやはり社会保障制度の主管大臣として、この国民の不安を払拭する、根本的な、思い切った、踏み込んだ答弁をお願いしたい、私はそのことをまず申し上げておきたいと思います。それと、時間が余りありませんので、答弁はできるだけ簡潔にお願いをしたいと思います。 私は、今回の改正案は通常国会で提案されたものと基本的に同一である、そして何よりも、通常国会で審議しようとすれば審議ができたはずだというふうに思うんです。ここのところをぜひ私は申し上げたい。常に政治家が選挙を意識して、国民の不評を買う、いわば厳しい政策を言い出さなければならないこの社会保障政策について、改正案を常に先送りしてきて、そして、さきの薬剤費一部負担の廃止に伴う予算措置に窮して議員立法によって予備費を充てるというような、ある意味では場当たり的な対応に終始したこと、このことも与党は大いに反省していただかなきゃならない、私はこのように思うんです。 そういう意味で、政治の信頼回復という観点から、これまで与党、また政府のやってきたことについて大臣はどういうふうに弁明をされるおつもりなのか、その点について聞かせてください。
○津島国務大臣 委員が御指摘のとおり、社会保障制度について場当たり的な姿勢ではいかぬ、そのとおりであります。そして、選挙を前にして政治家が選挙目当ての言動にとどまるならば国民の不信を買う、そのとおりであります。私は、与党ばかりでなくて、野党の皆さん方にも同じ気持ちを共有していただきたいと申し上げたいのであります。 例えば、委員が御指摘になる抜本改革の第一歩になるべき老人医療費の負担の問題についても、私が前回、委員会の一員として参加いたしましたときに、野党の間でも意見の一致が見られなかったのです。そして、率直に申しますと、私ども、そうだ、それならば一緒にやろうというような御提案にはまだ十分接していないというのが私の率直な気持ちでございますから、これはまず申し上げておかざるを得ないと思います。 そこで、今度の法案は抜本改革への第一歩として真剣に御議論をいただきまして速やかに結論を出し、さらに平成十四年度へ向けて抜本改革に一緒に取り組んでまいろうとお訴えをいたしまして、私の答弁といたします。
○釘宮委員 今の大臣の答弁を私は承服できません。野党が云々という問題がどうして今回この場で出てくるのか、私は全く本末転倒だというふうに思います。 今回、国会がある意味では冒頭からもめた一番大きな原因は何だったんですか。いわゆる与党のごり押しだったんでしょう。ごり押しによって国会がこれだけ紛糾をした。そのときに、それなら野党の皆さん、何か意見を出してくださいという話は何もなかった。とにかく強引に国会運営を進めていった。自分たちの都合がいいときだけは、野党にそこのけそこのけでどんどん進めていく。自分たちが指弾されると、それに対しては、野党もばらばらだ、野党にも責任がある。こういう開き直った態度というのは私はよくないと。改めて……(発言する者あり)黙って聞きなさい。私は、そういうふうな態度は、今国民がこの議論を真剣になって注目しているときに所管大臣がそういう発言をするというのは極めて遺憾である、このことを申し上げておきたいと思います。 国民の八割を超す人が将来に不安を持つ。こういう各種世論調査の結果。私は、今国民は、政治にも頼れない、国にも頼れない、自分の将来は自分で守るしかないという思いになっていると思うんです。そして、若者は、公的年金にもはや期待できない、医療保険も介護保険もそのうち空洞化してくるのではないか、そういう状況になっているというふうに思うんです。今の大臣のような発言が結果的に国民が政府を信用しなくなってきているということにつながっていくと思うんです。それについて答えてください。
○津島国務大臣 私が申し上げているのは、与野党で議論をして、国民が参加できるような社会保障制度への議論の積み重ねをしようではないかとお訴えをしたわけであります。 そういう立場から、先ほど委員がお触れになりました今回の有識者会議の報告でございますけれども、明日正式に提出になると承っておりますけれども、私は、今度の報告の中で、恐らく、我が国の社会保障制度は、必要な改革を積み重ねていけば、高齢化の一番のピークのときになっても一部の先進工業国のような高い国民負担を求めずしても維持できるという考え方が示されているのではないであろうかと。問題は、これから高齢化が進んでいくときに必要になるコストをだれがどのように負担をするかということについて真剣に議論をして方向性を見出してほしい、こういうことであろうと思います。 その目的に沿うべく恐らく公費の一層の投入が必要になってくると思いますけれども、その公費を賄う財源についてどうするかという問題は当然税制の議論にもつながっていく、これからそういう議論を、まず第一歩になるこの法律を成立させてから与野党で展開をしていっていただきたいと私の気持ちを申し上げたわけでありまして、これは国民の期待に沿うものだ、かように思っております。
○釘宮委員 それでは、私はもう一つ聞きますけれども、今景気の回復が遅々として進まない、これは社会保障制度の将来不安だという指摘があります。国民は、もはや頼れるのは自分だけで、お金だけ蓄えておけば、そういう思いが大きくなっていると思うんです。したがって、GDPの六割を占める個人消費が手控えられている。その結果、個人消費が伸びないわけですから景気がよくならない。こういう議論はもう随分長い間されている、私はそういうふうに思うんですね。 そんな中で、与党だけの質問の中で、大臣はこういうふうにお答えになっておりますね。高齢者の改革案はまだまだ構想段階、国民的議論の上、平成十四年度をめどに改革のための措置を取りまとめたい、将来に向けた公費のあり方を従来の発想にとらわれずに考えていきたい。こんな悠長なことを言っていて国民は本当に安心できるんですかね。 トップである大臣が、今から二年間かけてゆっくりやろうと。実はもう三年前に、このままじゃだめだ、とにかく一日も早くやるんだ、あのときの小泉さんの気持ちは本当だったと私は思うんですよ。これからまた二年延びた。その五年間国民は本当に不安になっているわけでしょう。与党は責任政党でしょう、責任政党が何でそれを示さないんですか。そこに問題点があると私は言っているんです。与党が示したものについて我々が議論をしていく、それは野党の責任だと思うんです。しかし、与党が何も示さない、ただ場当たり的なことばかりやっているから、今私はこういう質問をしているんでしょう。それについてどうですか。
○津島国務大臣 社会保障制度は国民生活のセーフティーネットでありますから、それがしっかりしないという声が多いときに国民が不安になり、それが消費活動の停滞を生むという御指摘、そのとおりだと思います。 そこで、今、平成十四年度には改革に着手できるようにと言ったのを、悠長にとおっしゃいましたけれども、委員も既に参議院に籍を置いておられたからおわかりのとおり、必要な立法を済ませて十四年実施というのは、これは、今もう待ったなしになっておるよということを私は申し上げているわけでございまして、来年中には結論を出さなきゃいかぬ。待ったなしになっている。 そして、その待ったなしになっている中で、私が先ほど申し上げましたように、恐らく相当の財源を工夫しなければならないということになるんでしょう。その財源について、今仮に御党はどうなさいますかと聞かれた場合に、それはやはりこれから議論しなきゃならないでしょう。それは政府・与党においても同じでございます。だから、私が申し上げているのは、小泉前大臣と負けないくらいの危機感を私は持ってお答えをしているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
○釘宮委員 民主党のことまで心配していただかなくても結構ですよ。これから私やりますけれども、要するに、政府として財源問題をどういうふうに考えていかれるのか、それこそ大臣がきちっと答えていただきたい。 きょうは厚生省の方から、大臣は一日大変なので、少し政府委員の方にも質問を回してくれというふうに言われましたから、この辺で大臣にはお休みいただきますが、私は、国民が今一番知りたいのは、将来の医療を初めとする社会保障負担がどれくらいになるかということだと思うんですね。先ほどから私申し上げておりますように、将来が不安だ、子供にも頼れない、そういうふうに思うと、一体どれぐらい自分が準備しておけばいいかという思いは率直にあると思うんです。私は二年間浪人していましたから、とりわけそういう声を強くいただきましたから、あえて厚生省にお伺いしたいと思うんです。 経団連がまとめた「経済・財政等のグランドデザイン策定と当面の財政運営について」と題するレポートの中の試算を見ますと、社会保障制度と歳出構造の改革をしなければ、要するに今のままでいけば消費税は二五%以上、たとえ改革が実現しても現在の倍になる、こういうふうに指摘をしております。厚生省としてはどういう認識を持っているのか、聞かせてください。
○宮島政府参考人 社会保障の給付と負担の見通しについてでございますが、厚生省が今回新しく推計いたしましたものによりますと、二〇二五年度におきます社会保障に係る負担の対国民所得比は三一%になると見込まれます。二〇〇〇年度が二〇%でございますので、約一・五倍に増大するということでございます。仮に、社会保障以外の支出に係る公費負担の対国民所得比が、現在の水準は約二割程度でございますが、これが変化しないものといたしますと、この両者を合わせましたいわゆる国民負担率は約五一%になるものと見込まれます。 なお、御指摘の経団連の推計でございますが、これは社会保障以外の支出も含めました財政全体の推計を行っておりますし、その前提や推計方法は厚生省と違ったものを使っておるということでございます。
○釘宮委員 今の説明では全くわかりません。 要するに、これから社会保険方式にするのか税方式にするのか、いろいろな議論を詰めていかなきゃならない。それすらまだ全く出ていない。昨日の有識者会議の報告書では、社会保険方式でいくということを政府はお決めになったようでありますけれども、このことについても後ほどお聞かせいただきたいと思うんです。要するに、国民にとって、それぞれの制度がどういうふうな構造で自分たちはどういう負担をすればいいのか、ここを早く示していくべきだというふうに私は思うんですね。それがないから、国民は不安なんですよ。 大臣、ここは私は与野党とかそういう対立の場じゃないと思うのですね。どうすれば国民が安心できるかということ。そして、何か特定の人たちだけが守られて、そうでない人たちが不利益をこうむっているとするならば、それを是正していくのが政治の役割だ、私はこういうふうに思うのですね。ですから、そういう観点でこれからの議論をぜひ進めさせていただきたいというふうに思います。 そこで、医療制度の抜本改革について、これは先ほどからの議論の中にもありましたが、従来型の医療制度ではもはや二十一世紀は乗り切れない、だから抜本改革をやろうというのが、政治側から出た、また政府から出た一つの取り組みだと思うのですね。 改めて聞きますが、なぜ抜本改革が必要なのか、それについてお聞かせください。
○津島国務大臣 今の委員のお話でようやく議論がかみ合ってきたなという感じがいたします。 将来の負担がどうなるか、それをどういう形で賄うかということは、これから真剣に御議論をする中から国民的な認識の統一ができてくると思うのであります。 先ほど総務審議官からお答えいたしました、五〇ちょっとぐらいまでは覚悟しなければいかぬという場合に、私、一つあの答弁に付言しておきますが、あの姿でございますと、社会保険の方が三〇なんですね。そして、恐らく税の方は二〇ぐらいの姿を描いていると思うのですが、果たしてこれはどういうものなんだろうか。社会保険の方にロードがかかり過ぎているのじゃないか、これをまず私の第一感として、私の印象として申し上げたい。 これを申し上げた上で、それでは医療制度の抜本改革で何が一番必要かといえば、言うまでもなく高齢者医療制度なんですね。高齢者医療制度をどのように持続可能なものとして構築するか、これが、今回のこの法律が通った後、最初に取り組むべき問題だと思いますけれども、これを安定的に運営していくためにはやはり相当の公費の投入も必要になるのではないだろうか。それでは、その公費の投入のための財源をどうするかという次の問題は、またこれから真剣に議論をさせていただきたいと思っております。
○釘宮委員 これからの議論をさせていただきたいではなくて、そこが早く進めていかなければならないところだと私は思うのです。そこが進まないから、結局抜本改革ができないわけですね。 では、もう一回聞きますが、二〇〇〇年に抜本改革はいわば政府の至上命題だったと私は思うのです。三年前の法案の附則には、施行後三年をめどに必要な措置を講ずる、こういうふうに明記されております。また、一九九八年の国民健康保険法の一部改正では、二〇〇〇年度までのできるだけ早い時期に医療保険制度についての抜本的な改革を行う、そのための検討を行って、その結果に基づいて必要な措置を講ずる、こういうふうに明記をされております。 では、なぜ抜本改革ができなかったのか。ここを大臣としてはどういうふうにお考えになっておられるのか、聞かせてください。
○津島国務大臣 抜本改革がやや先に延びておるということは残念でありますが、私は、やはり一番大きかったのは、日本の経済が大変な低迷状態になったことだと。前回の医療保険制度改正のときは、金融機関の破綻のような問題が表面化する直前でございました。その後、日本の経済が大変に難しい状態になりまして、その結果として、実は社会保障制度にも大きな負担がかかった。つまり、標準報酬が伸びないということから負担がかかったのでありますけれども、その食い違いを埋めていくには相当大きな議論が必要になった、こういうふうに受けとめさせていただいております。
○釘宮委員 大臣の認識と少し違うのは、やや遅くなったと。やや遅くなったという言葉そのものが、先ほど私が悠長だという言葉を言わざるを得なかった。私はその点について指摘させていただきたいと思います。 それでは、本案については、極めて異例なことだとは思われますけれども、医療保険福祉審議会から、医療保険制度の抜本改革を二〇〇〇年度に実施することとされてきたにもかかわらず、医療保険制度改革の全体像は不透明なままである、そのため、急速な高齢化の進展に伴う医療費の高騰に対する有効な対応がなされておらず、今回の諮問案は当面の財政対策に終わっている、こういうふうに指摘をされております。 本案が医療保険制度の抜本改革の第一歩というふうに、これは総理も主張されておりますし、また大臣も主張されておるようでありますが、何をもって抜本改革の第一歩とされるのか、また、抜本改革の第一歩であるならば、本案と二〇〇二年に先送りされた抜本改革との関係が明らかでなければならない、こういうふうに思いますが、その関係についてお聞かせください。
○福島政務次官 医療保険制度の抜本改革の大きな柱は、高齢者医療制度の見直しということだと思います。そして、高齢者医療制度の見直しの柱となるのが、老人の医療費の伸びをどのように適正化していくのかというのが一つ。二つ目の柱は、高齢者と若年者の間の負担のバランスをどういうふうにしていくのか。そして三つ目は、各保険者間の負担のあり方をどういうふうに調整していくのか。 今回の健康保険法の改正案につきます最大の特徴は、高齢者の一部負担について、月額上限を設けておりますけれども定率の一割負担というものを導入したわけでございます。これは、戦後の日本の医療保険制度の中でも今までになかった大きな一歩だろうというふうに私は思っております。そして、このことは、前段申しましたように、高齢者と若年者の間の負担のバランスをどう変えていくのかということについて第一歩を踏み出した、これが抜本改革につながるところだろうと思います。
○釘宮委員 私は、多分そういう答弁が返ってくるだろうというふうに思ったのですけれども、それでは、三年前に一割負担の導入というのは議論されたではないですか。そのときには何でやれなかったのですか。
○津島国務大臣 三年前、私はこちらに座っておりました立場からお答えをいたしますが、確かに、一割負担について、若年世代の負担との均衡やコスト意識の喚起といった観点から、定率負担とすべきであるという有力な御意見があったことは承知をしております。九年の改正の際に随分この問題は議論をいたしました。 例えば、あのとき導入した制度はとても厄介な制度でございましたから議論がございましたが、その一方で、受診の抑制につながるということをどう考えるかとか、受診の際にあらかじめ支払う額がわからないのではないかというような反対意見もありまして、意見の一致を見ることができず、結果として、定額制のもとで負担額の引き上げを提案させていただいたわけであります。
○釘宮委員 議論の一致を見なかったから前回は見送った。今回は議論の一致を見たというよりは、もうにっちもさっちもいかなくなった、そういう認識ではないのですか。 ですから、私が先ほどから言っているように、政治の主導、政治のリーダーシップというのはそこにあるのですよ。ある意味では、国民からそれはちょっときついではないかというふうなおしかりを覚悟してもやらなければならないし、それをやることだと私は思うのですね。三年前の議論でも当然そういう議論はあったわけですよ。ですから、やろうと思ったらやれた。だから、常に後から言いわけめいたことを言っている。今回の議論がすべてそういう中でやっているわけですから、先ほどから厚生大臣が議論がかみ合わないと言うけれども、かみ合わないはずですよ。その点について私はあえて指摘をさせていただきたいと思います。 時間がなくなりましたので、先に移ります。 次に、本案をまとめる際に場当たり的な朝令暮改を繰り返している、私はそう指摘せざるを得ないと思う。その一例が一九九七年改正で導入された薬剤費の一部負担の廃止であり、保険料率の上限設定の見直しであります。この薬剤費の一部負担は今回廃止されるようになったわけですけれども、その効果、問題点、その辺の見きわめもなされないまま、日本医師会の働きかけを契機として、老人を先行させて今回は廃止されることになったわけであります。 そこで、あえてお聞きします。この一九九七年の薬剤費一部負担導入の必然性、そして今回廃止するとしたこととの整合性はどこにあるのか、その点について聞かせてください。
○近藤政府参考人 平成九年に薬剤の一部負担が導入されましたときの理由といたしましては、一つは薬剤使用の適正化を図る、それから保険財政の安定、こういう二点から導入されたわけでございます。これは導入当時から御議論があったわけでございまして、制度が複雑であるとか、二重負担ではないのか、こういった御批判があったわけでございます。 今般の老人一部負担の見直しにおきましては、この薬剤の一部負担を廃止するということと、定率負担制の若年者とのバランスを考慮いたしまして、負担を分かち合っていただく、コスト意識も持っていただくというふうなことで、薬剤に係ります費用も含めましてかかった医療費に応じまして御負担いただく定率一割負担制を導入したわけでございます。 しからば、その薬の適正化というのはどうなのかということになるわけでございますけれども、薬の問題につきましては、薬価差益があるということで薬剤の使用量が非常にふえる、こういう問題がつとに指摘されたわけでございますが、薬価差の解消につきましては、今回の改正によりましてR幅を二%に落とす、こういうふうなことで薬価差を大幅に縮小いたしました。 それから、今後の課題でございますけれども、先発と後発との間に公平な競争条件をつける、こういったような改定ルールに向けまして取り組みを進めているところでございます。また、医薬分業もかなり進んでおります。そういう意味で、かつて言われたほどのものは出てこなかった、こういうふうに考えております。
○釘宮委員 私が質問をしたことの趣旨と答弁が全くずれているのですが。当時厚生省は、コスト意識を喚起するんだ、したがって、これをやることによって医療費の抑制効果が出てくると。実際に、この法案が通って以降、抑制効果がきいた、したがって、医療費、国民医療費そのもの、特に老人医療費の伸び率が低下したということを胸を張っておっしゃっていましたね。 当時から二重取りだという批判があった、それを押し切ってやったわけでしょう。それを押し切ってまでやったものを何で今回廃止するのか。それをまさに朝令暮改というのじゃないですか。大臣、どうですか。
○津島国務大臣 今国が薬剤費を肩がわりしている問題は、その根拠となった法律にはっきり明記されておりますように、抜本改革と申しますか医療費の自己負担の問題についてきちっとした結論が出るまで、すなわち、今御審議いただいているこの法律が成立するまでの措置であるというふうに私は受けとめております。
○釘宮委員 どうも答弁も行き当たりばったりという感じがしますね。 それでは、薬剤の一部負担によるいわゆる効果があったとされる抑制策、これは厚生省としてはそういう意図でやったのではないということですか。 それとあわせて、今回、薬剤費の一部負担が廃止されました。これによって、また多剤投与という、当時厚生省がそこがあるからこれをやるんだと言ったこの影響、そこのところはどういうふうに考えておられるのですか。
○近藤政府参考人 薬剤一部負担の効果というのは、御指摘のとおり、あったと思っております。したがいまして、今度の定率一割というのはコスト意識の喚起も含めてという形で私どもは考えております。 それから、薬剤を多種類使っているということでございますけれども、これは前々からそういう傾向はあったわけでございますけれども、この関係も徐々に顕著になっておりまして、一種類とか二種類とか三種類とか四種類というのがふえて、七とか八とかいったものはどんどん減ってきております。 それで、薬剤適正化のために、ことしの診療報酬の措置といたしまして、薬剤の一〇%逓減というのは、これまで八種類以上でやってきたわけでございますけれども、今回は七種類以上という形で徐々に厳しくしてきているわけでございまして、多剤投与の関係も徐々に減ってきている、こういうふうに認識しております。
○釘宮委員 大臣、私が二年間浪人しているときに、いろいろな国民の方、有権者の方と随分お話ししました。その際に、これはお年寄りから出た話ですよ、薬代を取ったりやめたり、一体どうなっているんだ、その都度ころころ変わる、これだけ出してくれ、これだけ出さなかったら国はやっていけないんだ、医療も年金も介護もやっていけないんだ、そのことが我々に納得できれば幾らでも払いますよと。これは老人の気持ちなんですよ。それを、いつも選挙を意識して、選挙の前になると今まで取ったものが廃止されたり、選挙が終わったら今度は出てきたり、こういうことの繰り返しが今一番問題だというふうに私は思うのです。 これはもう答弁は要りません、先ほどから同じことの繰り返しになっていますから。私は、その点はぜひ政治家として考えていくべきだというふうに思います。 あわせて、朝令暮改と言われる保険料率の上限設定についてであります。 政府は、介護保険の導入によって医療保険から社会的入院が介護保険に移行する、したがって、医療、介護、両保険の料率を合わせても上限以内におさまり、介護保険料率の上昇を抑えるためにも上限枠が必要である、そういうふうに説明してきましたね。 今回、保険料率のみを対象とする改正は、まさに場当たり的というそしりを免れないと思うのですが、なぜそうなったのか、その点について聞かせてください。
○福島政務次官 介護保険法案を提出しました際には、介護保険制度の導入によりまして老人の医療費は減少する、そしてまた、当時の経済状況というものを考えれば、医療と介護を合わせた保険料率は上限におさまる見込みであるということを申し上げたのだと思います。 しかしながら、先ほど大臣からも御指摘ありましたように、その後の経済の低迷、これは標準報酬が低下をするとか加入者数が減るとか、非常に大きな変化があったと私は思っておりますし、にもかかわらず医療費の増大ということが続いているわけでございます。こうして、介護保険制度の導入によっても医療の保険料率というものが十分に下がらない状況に立ち至って、現在の仕組みの中では、介護保険にかかわる保険料の収入というものは制限されて、健康保険、医療保険そのものの制度運営にも支障を来すような状況に立ち至っている、そういうことではないかというふうに私は思っております。 このような現状を踏まえれば、医療保険、介護保険それぞれを円滑に運営するためには、保険料率を別建てとするという対応はやむを得ざるものではないかと思っております。 当時の介護保険法案の審議の際にも、この点につきましての御指摘もございました。私どもとしましては、上限の改定が必要となるのではないかというような議論もその当時いたしておるというふうに承知をいたしております。
○釘宮委員 私は、そもそも景気対策の失敗ですよ、経済の低迷ですよ、だからこうなったんだ。要するに、政府の政策の失敗を国民に押しつけていく、これが今国民にとって不信感を増幅させている一番の源だと私は思うのですね。 要するに、政治が結果責任を負わない、ここが一番問題だというふうに思うのです。同じ政権の中でやられてきた政策がつじつまが合わなくなっても、だれも責任をとらない、これが最近の政治ですよ。私どもが目指したのは、だからこそ政権交代を可能にしなきゃいけないということを言ってきたわけでありまして、当時は経済の状況を予測できなかった、それならば、それは現政府の責任だと私は指摘せざるを得ないというふうに思います。 次に、今回の保険料率の上限を一般保険料率のみを対象としたことによって、介護保険の歯どめがきかなくなってきている。二号被保険者に係る納付金はある意味では青天井になるわけですね。この問題についてはどういうふうにお考えになっていますか。
○福島政務次官 先生もよく御存じかと思いますが、介護保険の仕組みそのものが幾つかの特徴がございます。一つは、介護の必要度というものを客観的に認識するための要介護認定という仕組みが導入されている。二つ目は、要介護度に応じた支給限度額というものが設けられている。そして三つ目には、施設の整備枠というものも介護保険事業支援計画において定められておりますし、介護報酬につきましても包括的な評価によることを原則としているという、さまざまな観点から医療保険と介護保険というのは仕組みが相当に違う形になっているわけでございます。 したがって、介護納付金の増加に歯どめがかからないというような事態が起こるとは予想いたしておりません。
○釘宮委員 それでは、時間が余りありません、最後の項目になろうかと思いますが、先ほどから申し上げてまいりました社会保障の財源について少し議論をしてみたいと思うのです。 二〇〇二年の抜本改革実現に向けて、高齢者医療の抜本改革の基本的な考え方が今の段階で明らかになっていなければ間に合わない、私はそういうふうに思うのです。 我が党の岡田克也議員の総理所信に対する質疑の際に、総理は社会保障の費用負担について自己責任の原則による社会保険方式に基づくべきとの答弁をしておられます。抜本改革の最大課題である高齢者医療についてもそのように考えておられるのか、その点についてまず聞かせてください。
○津島国務大臣 老人保健制度など現在の医療保険制度は、給付と負担が結びついており、国民の理解を得やすい保険料を中心として運営をされておりますが、御承知のとおり、これに公費を組み合わせる、つまり税を組み合わせているわけでございます。 社会保険方式が負担と給付のつながりをわかりやすくするという意味では非常に大事であり、今後とも基幹的な役割を果たしていくと思いますけれども、高齢者がどんどんふえていく、高齢化する中で、高齢者医療制度を今までのような形で運営できるかについては議論があるところであり、私は、やはり高齢化が一番激しく進む時期においてはもう少し公費の投入を考えるべきであると。そういう意味では委員の御指摘に理解できるところはあるなというふうに思っておりますが、問題は、相当大きな財源が要るわけでありますから、それをどうするかということについて、今の私の立場で発言するにはやはり一定の抑制がある、こういうことでございます。
○釘宮委員 ですから、そこのところが知りたいのですよ。そこのところの議論が欠落したままこの医療保険法の改正案の議論はできないというのが、私が当初から指摘をしてきたところです。 それでは、大臣、もう一つ突っ込んで聞きますが、今回、高齢者の一割負担を導入しましたね。これが抜本改革の大きな第一歩なんだというふうにおっしゃった、時期が早いか遅いかはいいとして。この高齢者の一割負担、今回は上限枠が決まっていますね。これを今後どういうふうにしていくのか。それとあわせて、高齢者からも保険料をこれから徴収するのか。その辺はどうなんですか。
○津島国務大臣 私は、基本的には、今の高齢者医療制度は、それから介護保険制度は、今の形で着実に定着を図っていけばいいと思っておりますが、ただ、高齢者医療制度については、保険料だけで賄うのには余りにも若い世代に負担がかかり過ぎるのではないか、こういうことを先ほど申し上げたわけであります。 当然、社会保障の財源でありますから、安定財源でなければいけない。その安定財源としてはどのようなものが考えられるか。私ども政府の考え方としては、一両日中に有識者会議の報告書を総理にいただいた後、できるだけ早くそういう問題についても統一して議論ができる場を設けて政府・与党一体となって取り組んでまいりたい、かように思っております。
○釘宮委員 時間が参りました。今の答弁、正直言って私は不服であります。もう少し誠意を持って答えていただきたいと思いますし、これでは、とにかくこの法案だけ通してくれ、あとはこれからゆっくり考えていくという従来のところから一向に出ていないのですよ。 例えばこれを税方式でやるのか保険方式でやるのかも含めて、我々がここで議論をしていかなきゃだめだと思うのです。そして、この議論を国民に見ていただくのですよ。その上で国民に判断してもらうのですよ。それが国民合意なんですよ。それを全くやらないじゃないですか。こんな議論をやったって、ある意味では無意味である、このように私は思いますよ。これから私も厚生委員会の質疑に立たせていただきますけれども、ぜひそういう意味での今後の真摯な討議ができますようにお願いをして、私の質問を終わります。
○遠藤委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 よろしくお願いいたします。 医療法の改正について、精神科特例などの精神医療に絞って質問をさせていただきます。 その理由は、今回の医療法の改正は日本の医療の貧困さを何とか二十一世紀に向かってよりよいものにしていこうという方向性なわけですけれども、長期の入院を初めとして、最も日本の医療の貧困な部分が取り残されているのがこの精神医療の分野であると思います。 まず冒頭に、ある患者さんの御家族からいただいた手紙を少し読ませていただきます。 私の息子は精神障害者です。そのことで私はここ十年ほどいろいろなところへ行き、何とか息子が社会に出られないものかと東奔西走しましたが、結局は精神病院しかなく、しかも、急性期には独房のような個室に薬漬けで入院をさせるしかないというお粗末な状況でした。しかも、良心的と言われるこの精神病院も、喫煙室さえない始末。もうもうと煙が漂っている部屋で薬漬けになっている息子を見ると、涙が出て仕方がありませんでした。息子はいつも言っています、僕の行くところは病院しかないのか。それを聞くといつも涙が出ます。二十一世紀になろうとしているのに、日本の現状は相変わらず臭い物にはふたをするという時代と変わらないのかと。母親はそれに絶望し、何度も死のうとしました。ほかの精神障害者の家族も同じような気持ちだと思います。だから、グループホームのような地域の住居で生活できるところが実現したら、障害者の人が社会化し、自己実現できる第一歩になると思います。 また、昨日、私は精神障害者のある集会に行きました。その中での横式多美子さんという方の発言なんですが、この方は当事者であり、過去八回精神病院に入院経験を持って、今自宅で暮らしておられます。その方が言うには、現在の精神病院は治療の場ではなく、収容の場になっています。私たちは病人なのだからちゃんとした医療を行ってください、普通の病気と同様に扱ってください、精神科特例など早くなくしてください。私たちは精神病院の劣悪な環境の中で、一日も早く退院したいというのが心の底からの願いです。私は、一週間から十日ぐらいの入院を中心に、三カ月くらいで退院させるべきだと思います。すっかりよくなって二度と再発しないようにしっかり治そうねと言って、十年も入院させるのには、ぞっとして足が震えます。このように言っておられました。 このような現状を、私も先週末から四カ所の精神病院を訪問して、その中の閉鎖病棟にも滞在させてもらって、現場の声も聞いてまいりました。 きょう、この写真と資料をお配りいたしました。冒頭にございますように、全体では二百十七万人、入院患者の方は三十四万人。そして、この下のグラフにありますように、半数の約十六万人の方が五年以上入院している。これは後ほど述べますが、国際的には考えられないぐらいの、入院というよりは精神病院に住んでいるという現状になってしまっております。 まず第一に、津島厚生大臣にお伺いしたいと思います、失礼な質問かもしれませんが、このような精神病院に行かれたことはありますでしょうか。閉鎖病棟に入ったことはありますでしょうか。また、特にこの写真にありますような保護室というところに、見られたこと、入られたことはございますでしょうか。 〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
○津島国務大臣 私も政治家であり、また、地元におきましては精神障害者あるいは障害者を家族に抱えておられる方々と大変に親しく会話をさせていただいております。そして、幾つかの地元の精神病院を訪ねさせていただいておりますし、今言われたようなだんだんと監視の厳しくなるいろいろな施設の状況についても、私はつぶさに知っておるつもりでございます。
○山井委員 そのことについて、率直なところ、精神病院を訪問されて、ほかの病院と比べてどのような御感想をお持ちでしょうか。
○津島国務大臣 個人的感想として、できるだけ患者さんをいい状態で治療して、早く社会復帰をさせてあげたいなという素直な気持ちを持ったことを申し上げる次第であります。 ただ、構造的に日本の医療体制に問題があるということも感じまして、つまり、委員御指摘のとおり、ほかの先進国に比べると何でこういう状態なのか、病床が極めて多くて、しかも長く入院をされるのか、これはやはり制度の問題もあるなというふうに感じております。
○山井委員 この二ページ目に、いわゆる精神科特例というものについての資料をつけさせていただきました。 ここでは、御存じのように、精神病院では医師は一般病院の三分の一、看護婦は三分の二という規定となっております。これらについて、一九九一年の国連決議、精神障害者の保護及び精神保健ケアの改善のための原則、その八、ケアの基準にうたわれている、「すべての患者は、みずからの健康上の適した医療的、社会的ケアを受ける権利を持ち、また、他の疾病を持つ者と同一の基準に則してケア及び治療を受ける権利を持つ」という原則がありますが、このような少ない人員配置でよいという精神科特例は精神障害者差別のシンボルだと私は思いますが、今の日本の現状はこのような国連の決議に反してはいませんでしょうか。
○福島政務次官 精神科特例につきまして、歴史的な背景をまず申し上げたいと思います。 この基準が策定されました当時は、今日ほど薬物療法等が進歩しておりませんで、精神障害者への医療サービスの内容が限られていた。また、医療スタッフも十分でなかった。こういう状況の中で、多くの精神障害者の方にできるだけ治療的環境を確保するためには、このような基準を設ける必要があった、そして、それに基づいて精神病床の整備を急がなければならない状況であった、そのように私は理解をいたしております。 その後、精神医療の世界も、治療法につきましても、大変大きな変化が起こってまいりましたし、さまざまな形での社会的復帰ということに対しての取り組みも進んできたというふうに思います。 こうした流れに対応する観点から、本年の一月、公衆衛生審議会におきまして、この精神病床の人員配置等の基準について、精神疾患の特性に十分配慮しつつ、一般の病床とできるだけ格差のないものとすべきであるというような指摘がなされておりまして、それを踏まえて、現在、専門委員会におきまして、具体的な基準について検討を進めているところでございます。
○山井委員 先ほど大臣が答弁してくださった国際的に見ても日本は非常に入院日数が長いということ、これは三ページの資料を見ていただけますでしょうか、私はこれは不思議だと思いますのは、日本の人口千人当たりの病床数が二・九床、イギリスは一・五床、ドイツ一・六床、アメリカ〇・六床に比べて、二倍から四倍も多いわけです。素朴な疑問ですが、これが多いということは、日本には欧米よりも精神障害者が多いということなんでしょうか。 そして、このグラフにもありますように、欧米で精神病床が減っていった六〇年代から八〇年ぐらいにかけて、逆に日本は急速にふえているわけですね。このグラフで見る限り、日本の精神病院のあり方というのは隔離収容型、逆に欧米では地域で暮らすノーマライゼーション型と言えると思います。 また、次のページを見ていただきますと、平均在院日数は、今日本では平均三百三十日ということで約一年入院しているわけで、半数近くの方が五年以上入院しているわけです。このような状況、日本の精神障害者は地域に暮らせる権利はないのかというふうにも思うわけですが、なぜこのような格差が出てきているのでしょうか、それが放置されているのでしょうか。
○福島政務次官 先生御指摘いただきましたように、欧米諸国におきましては、一九七〇年代から大幅に精神病床の数を減らしまして、長期療養が必要な患者さんに対しましてはナーシングホーム等の受け皿づくりを進め、精神障害者の方を地域において処遇していく体制というものを進めてきた、このように理解をいたしております。 これに対して我が国の状況はどうであったかということでございますけれども、欧米諸国に比べますと長期療養患者の地域での受け皿づくりがおくれ、そのような患者さんも含めて精神病床で処遇してきたため、欧米諸国に比べて病床数が多い状況が続いている、そのように理解をいたしております。 したがって、平均在院日数につきましても、長期に療養する精神障害者の方を処遇する機能をあわせ持っているという観点で、欧米諸国の平均在院日数に比べると長くなっているという現象も生じていると思います。
○山井委員 まさに、今の答弁の中に、欧米ではナーシングホームで対応しているということがございました、その分日本は病院でと。 皆さんもおわかりのように、ナーシングホームと病院は根本的に違います。居住環境も大きく違います。昔ナイチンゲールがその著書「看護覚え書」で言ったように、病院に二カ月以上いると、いることによって逆に体調が悪化してしまうんだ。そこを、今の答弁では欧米ではナーシングホームでとおっしゃったわけですけれども、なぜ日本は同じことができなかったのか。五年ぐらい入院している方にとってはナーシングホームの方がいいに決まっているわけであります。 そこでこの写真をもう一度見ていただきたいんですけれども、保護室というのがあります。いろいろ手がかかる状態のときにこういうところに無理やり入れられたりします。この写真で見てもらったらわかりますように、鉄格子があったり、あるいは中から出られないような状態になっています。そして、食堂兼デイルーム。そして、ここには写真で四人部屋ということですけれども、基準は今六人部屋でありまして、十人部屋、二十人部屋はまだまだあるわけであります。このようなことは狭いだけではなくプライバシーの問題もあると思います。構造設備基準については、精神科特例廃止の議論の中でも、広さを現行の四・三平米から六・四平米に広げることが議論されておりますけれども、このことについてお伺いしたい。 もう一つ、このようなプライバシーのない環境に長くいると、人間性が失われやすいと考えられますが、この写真の中の後ろ姿で写っている方も、二十年この病院に入院されているわけですね。大臣にお伺いしたいんですが、率直に言ってこのような環境で二十年、四人部屋でプライバシーのないところにいて元気になるとお感じになられますでしょうか。
○津島国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、自分がその立場になったらなかなか大変なことだな、精神的にも打撃を受けるだろうな、こういうのが私の率直な印象です。
○山井委員 まさにそこなんですね。心の病で苦しんでいる方に入院してもらう、ところが、そこに行ったら精神的な打撃を受けてしまうということになれば、何のことやわからないわけですね。 心の病に苦しんでいる方がそこの病院に入って、心の負担、ストレスから解消されたら治るわけですよね。ところが、そこに行って余計に精神的打撃を受ける、悪化して入院が長期化する。そこに何年もいて、半数ぐらいの方が五年以上いると、帰る家もなくなる、歩くことも不十分になってしまって、社交性もなくなるから、五年いたらそれこそ六年目に地域に帰ってもらうということが余計に難しくなってしまう。こういう悪循環があると思います。 それで、お手元にお配りした資料の中に幾つかの社会的入院の資料がございます。この五番目、まさに先ほど福島政務次官も、欧米ではナーシングホームで対応できている方が日本では病院に入っているのが平均在院日数の長い原因であるということですけれども、そこで根本的なデータとして私はお伺いしたいんですけれども、そもそも地域で支えるナーシングホームやグループホーム、援護寮、訪問看護、デイケア、いろいろなメニューがあれば、在宅や施設、つまり、精神病院でなくて暮らせるという患者さんは、日本の入院患者さん三十四万人の中で大体どれぐらいあると厚生省は考えておられるのでしょうか。
○福島政務次官 平成七年に障害者プランを策定いたしましたけれども、私ども、この策定に当たりまして、社会復帰施設などの受け皿が整備された場合、入院している精神障害者約三十三万人のうち、二万人から三万人の入院患者さんが社会復帰できると想定をいたしております。 現在、この障害者プランに基づいて社会復帰のための環境の整備を進めてきておるところでございます。
○山井委員 二、三万人ということですけれども、それではさっきの福島政務次官の話と違うように思います。 というのは、先ほどの三ページにもありましたように、欧米に比べて二倍以上病院のベッド数が多い。その大きな部分が、向こうではナーシングホームで見ているんじゃないか。そのことからいうと、それこそ、きのうも私、精神障害者の当事者の会に行ってきましたけれども、少なく見ても三十三万人のうち十万人ぐらいは地域で暮らせるはずだという発言がありまして、私も実感的にそう思います。 ここは根本的な数字だと思います。厚生省さんは、三十三万人のうち二万人から三万人しか地域で暮らせない、裏返せば、三十万、三十一万人は精神病院でしか暮らせないと本当にお考えになっているんでしょうか。
○福島政務次官 私が申し上げましたのは、決してそういう意味ではございません。 この障害者プランを策定する際に、授産等の対象となって社会復帰できると想定した数値が二万人から三万人ということでございまして、このとらえ方にはさまざまな幅があると思います。社会復帰は可能であるという定義の仕方が一つあると思うんですね。私どもの出した数値が唯一のものであるということは決してございませんで、そのとらえ方を幅広く考えるということは十分あり得ることだと私は思います。 〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
○山井委員 いや、幅広くという、そこが問題なんですね。障害者プランで二、三万人しか施設も含めて地域に帰れないと考えるという前提に立てば、そういう計画しか当然立てないですよね。ところが、実態は全然違うわけです。 繰り返しになりますけれども、日本は欧米の倍以上ベッドが多いわけですね。ですから、厚生省さんは、この医療法の改正を経て、二十一世紀も二、三万人しか地域に帰れないという前提で精神医療行政を進めていかれるとしたら——これは根本的なことです、今のこの構造、日本の多くの精神障害者の方は、ほとんどは今のまま病院でしか暮らせないというような現状認識に立っておられるんですか。
○福島政務次官 決してそのようなことではございませんで、先生が御指摘されたような方向性というのは私どもも極めて大切だと思っております。 一つは、現在の精神医療の世界では、在院日数が新規の患者さんにつきましては短くなってきておると思います。早期に集中的に薬物療法も含めて適切な治療を進めることによって在院日数を短縮することは可能になってきている、私は医者としてそのように認識をいたしております。そうした短期の在院によりまして、社会復帰をしていく患者さんの支援というものを一方でしっかりしていく必要がある。 一方では、先生御指摘がありましたように、非常に長期にわたって入院しておられる方の対応というものをどうしていくのか、こういう流れがある。この二つの柱があるんだろうというふうに私は思っています。 そして、この二万人から三万人という数値は決して絶対的なものではありませんというふうに申し上げましたのは、これは、平成七年に十四年までの計画で障害者プランというものを策定しまして、その中で一定の仮定を置きましてつくった数字であるということでございまして、これは七年間かけて厚生省として現実問題としましてどこまでやれるか、それも、単に今までのトレンドでやるということではなくて、これは上積みしてより進めていかなければいけないという観点でつくった一つの数字だというふうに私は伺っております。 ですから、十四年の後にどうするのかという話があります。これは新しい引き続きの障害者プランをつくっていかなきゃいけないと思いますけれども、さらにその障害者プランをつくっていく中で、先生が御指摘された視点を十分踏まえてその数字を考えていかなきゃいけない、そのように私は思っております。
○山井委員 まさに問題となるのは、では、何人ぐらい地域で暮らせるのかということなのですが、それは今後調査をされるわけですか。 というのは、その目標がなかったら、今ちらっとおっしゃいましたけれども、厚生省としてこれぐらいだったらやれるのじゃないかということで考えたということなのですけれども、冒頭に読ませていただいたように、実際病院に長期入院されている本人や御家族の思いとしたら、もうちょっとグループホームや援護寮やいろいろなサポートがあったら帰れるのに、いつになったら帰れるのだ、おれの人生どうなるのだ、私の人生どうなるのだという思いが、一日千秋の思いであると思うのですね。三十三万人中何万人ぐらいだったら十分な施設やサポートがあったら暮らせるかということは、そもそもきっちりと調査をしないと、調査なくして計画なしだと思うのですが、そのあたりはどのように考えておられますか。
○福島政務次官 まさに先生は調査に基づいての政策提言ということで、老人福祉におきましても、また、本日は精神医療ということで、みずからの足で幾つかの施設を先生が拝見してこられたということを伺いまして、大変すばらしい取り組みだと私も共感をいたしております。 そして、この三十三万人、なかなか難しい点といいますか検討しなければならない点がある。というのは、その御家族の状況も恐らくさまざまであろう、入院期間もいろいろなケースがあるだろう。ですから、かなりミクロにきちっと見ていきませんと、なかなか適切な判断が下せないのではないかというふうに私は思っております。 いずれにしましても、先生の御指摘を踏まえて、厚生省としても前向きに検討させていただきたいと思っております。
○山井委員 まさにそこなのです。今回の医療法の改正の中で精神科特例の廃止——廃止といっても、ほかの一般医療と切り離されてこのまま低い水準に据え置かれるのではないかという危機感が非常に患者さんや御家族の中にあります。その方々の一番大きな不安は、この先どうしてくれるのかが医療法の改正においても見えないということなのですね。その精神医療、日本の医療の中でも一番貧困で、国際的にも非難を浴びているそこに対して、ビジョンなくして医療法の改正をしていくということなのです。私は問題だと思うのです。 重ねてお聞きしたいのですが、このページ三にあります精神病床の多さ、在院日数の長さ、先ほど私は十万人という数字を言いましたけれども、何万人ぐらいなら地域で対応していこう、いけるという意味合いじゃなくて、いくべきだという厚生省としてのビジョンがないと二十一世紀を迎えられないと思うのですけれども、そのあたりのビジョンについてどういうふうに考えていかれるのでしょうか。あるいは、もし今そのビジョンを検討中と言うならば、二十一世紀の精神医療は入院隔離中心というよりも地域で展開していくというようなビジョンをいつまでに出してもらえるのでしょうか。
○福島政務次官 今回の医療法の改正の中では、精神病床をどうするのかということにつきまして十分な視点が盛り込まれておらないではないかという御指摘が一つあったと思います。 先ほども申しましたように、本年の一月に、公衆衛生審議会で「精神病床の新たな機能区分の設定について」ということで、幾つかの指摘を私どもはちょうだいをいたしております。 一つは、先ほども言いました精神科特例についてどうするのか。これは、人員配置ということもございますし、先ほども委員から御指摘がありましたように施設整備基準ということで、病床面積の問題につきましてもこの中で御指摘をいただいております。この点につきまして、関係団体ともよく協議をしながら検討を進めていく必要があることは確かなことだと私は思っております。その検討を踏まえて、二十一世紀において日本の精神医療がいかにあるべきかということついて一つの方向をきちっと示していく必要がある、私はそのように思います。
○山井委員 繰り返しになるのでこれ以上は申し上げませんが、患者さんや御家族が一番心配されているのはそこなのですね。ずるずるずるずる先延ばしになって、今回の医療法の改正の中でもっと精神科医療というものが本当にレベルアップするのではないかという大きな期待を持っておられたけれども、非常に裏切られた気持ちを持っておられる。今回きっちりとそういうものが出ないのだったら、次いつどのような形で出るのかということを非常に不安に思っておられます。 それで、先ほど御家族の状況などもあってなかなか退院が難しい面もあるというお話がございましたが、私が思いますのは、やはり医師の数が少ない、看護婦の数が少ない、だから、たくさんの患者さんが来ても十分に対応できない。本来だったら、短期間、もっと多くのお医者さんや看護婦さんが集中的にタッチして、早期にある意味で地域に帰していく、そのような形の方が理想だと思うのです。 そこでお聞きしたいと思います。現在の精神病院の医師の基準である患者四十八人に医師一人を満たしていない精神病院は何%で、何ベッドぐらいあるのか、また、精神病院の看護婦の基準である患者六対看護婦一を満たしていない精神病院は何%で、何床ぐらいあるのでしょうか。
○遠藤委員長 山井君に申し上げますが、発言のときは挙手または声をかけてから。タイミングが合いませんから。 福島総括政務次官。
○福島政務次官 平成十年度の医療監視結果によりますと、精神病院千百九十三病院のうち、医師については約二九%に当たる三百四十六病院、そして、看護婦については約四%に当たる五十三病院が基準を満たしていないという結果が得られております。
○山井委員 精神病院ではいろいろな問題も出ておりますけれども、このような基準を満たしていないところは保険指定を取り消すことはできないのでしょうか。今回の医療法改正の中でも、著しく不十分であり、適正な医療の提供に著しい支障が生じる場合には、人員の増員命令や業務停止を命ずることができるという規定が設けられていますが、処分に至る前に、指導で改善が見られない病院名や、その病院に対する指導情報をまず利用者のために公開する必要があるのではないかと思います。 その理由は、もし劣悪な病院であることを知らずに患者さんが運悪く入ってしまって、ああ、運が悪かった、十年間退院できなかったよというようになったら、これはとんでもないことですよね。いい病院に入ったら三カ月できっちり治療してもらえて地域に戻れた。ところが、人員配置基準も満たしていない病院に、一般の方にとってはわからないですよね、運悪く入ってしまって十年間あるいは二十年間帰ってこられなかった。この写真の中にも二十年間退院できていない方がいらっしゃるわけです。そうなったら、患者さんにとっては本当に死活問題であると思います。もちろん、病院の立場からいえば、公表をしてもらったら困るというのはあるとは思いますけれども。 そこで、厚生省にとりましては、都道府県に任せるというよりも、こういうことは公開する義務がある。逆に言えば、患者さんは少なくとも人員基準を満たしていない病院の情報を知る権利があると思うのですが、その情報公開、その延長線上の保険の取り消しということに関していかがでしょうか。
○福島政務次官 今回の医療法の改正案では、長期にわたって人員の配置が著しく不十分であり、かつ、適正な医療の提供に著しく支障を生じる場合には、増員命令や業務の全部または一部の停止命令ができるという制度を設けました。これは非常に大きな前進だったというふうに私は思います、成立をすればでございますが。御協力いただきたいと思いますが、この制度をいかに適切に運営をしていくのかということが大事だと思います。 私も、この厚生委員会で土肥委員が安田病院の問題を長らく追及してこられたことも委員としてずっとお聞きをしてまいりましたし、都道府県における適正な監視というものが行われる必要があると認識している一人でございます。 情報公開ということにつきましては、情報公開条例がさまざまな地方公共団体で制定をされているわけでございますが、そういうものを通じて医療監視の調査結果というものが公開されるような事例があるというふうに私は承知をいたしております。
○山井委員 それで、結局情報公開をするかしないかということに関してはいかがなんでしょうか。今の、そういう人員基準を満たしていない病院名を公表するかどうかということはいかがでしょうか。
○福島政務次官 基本的には、地方公共団体、都道府県の事務であるということがございます。私どもとしましては、適正な監視を行うことについて指導を行うということを進めてまいりたいというふうに考えております。
○山井委員 いや、それでは地方自治体は勝手にして、公開しなくてもいいということですから。先ほど言いましたように、患者さんにとっては死活問題にかかわる点でありまして、また、知る権利があると思います。もしそういうところで何か大きな問題が起こったときに、いや、実は都道府県は情報を知っていましたけれども、患者さんは知らなかったのですかでは済まないと思うのですね。私は、所轄の厚生省として都道府県に対してこういうものは公開しなさいと言わないと、都道府県に任せたら公開はされないと思います。そのあたりはいかがでしょうか。
○福島政務次官 任せると、しないということは必ずしも言えないと私は思います。
○山井委員 今の、任せるとしないということではなくて、患者さんの知る権利があるとは思われませんか。権利があると認めるならば、都道府県に対して情報公開を義務づけるなりすることが必要だと思います。もし知らなくてもいいのですよという立場になれば、都道府県が判断するでしょうということになると思います。そこをお答えください。
○福島政務次官 適切な情報につきましての開示ということは必要であろうというふうに私は思います。そういう観点から、日本の行政におきましても、さまざまな形で情報公開条例の制定が進められているところでございます。これは、地方分権を踏まえた上での地方自治体の行政としての判断を厚生省は尊重すべきだというふうに思っております。
○山井委員 そこのところは、ぜひとも患者さんが知らなくて本当に悪い病院に入ってしまったということがないようにしていただきたいと思います。 私も、この四日間幾つかの精神病院に行かせていただきましたが、多くの方がおっしゃっておられるのは、いい病院と悪い病院と、正直言って非常にピンからキリまである。しかし、それに対して、どこの病院が悪いからやめろというのはだれも言うことができない。そういうことをきっちりと取り締まることができるのは、はっきり言って厚生省しかないと私は思います。そういう意味では、経営されている側の意見、当事者の方の意見をしっかり聞いていただきたいと思います。 このように当事者の人権を守るためには、当事者の政策決定への参加が不可欠だと考えます。公衆衛生審議会精神病床の設備構造等の基準の専門委員、十三人の委員を見ましても、当事者、つまり、精神障害者本人が入っておられません。私たち民主党は、介護保険の中でも市民参加、当事者参加ということを訴えてきて、そのことを盛り込ませてもらったわけですが、今後、省庁再編の後も、同じような専門委員会あるいは分科会というものが精神医療に関してつくられると思いますが、その際に当事者を入れるべきだと思います。御意見はいかがでしょうか。
○福島政務次官 政策決定のプロセスの中で患者さんの意見というものも十分に受けとめられる必要がある、その点につきましては、先生の御指摘はそのとおりだと私は思います。 現在、どういう状況かと申しますと、精神医療のあり方を検討する公衆衛生審議会精神保健福祉部会の委員に関しましては、医師、看護婦、精神障害者の家族の代表の方、そして弁護士等の方々に務めていただいておりまして、それぞれの学識や精神障害者の方と接してこられた経験というものを生かして審議をしていただいております。また、同部会のもとに設置されております専門委員会におきましては、精神障害者の方々を参考人としてお招きいたしまして、その意見を伺いながら、精神病床の人員配置についても検討をいたしておるところでございます。 直接に委員になるべきではないかという御指摘だと思いますが、さまざまな意見を持っておられる複数の団体がございます。また、こうした団体に加入をしておらない精神障害者の方もおられます。どの方が精神障害者を代表できるのか、その点についての判断はなかなか一概には言いにくい、難しい点があるのではないか、そのように私は思っております。 いずれにしましても、先生が御指摘いただきました、精神障害者の方の御意見というものを受けとめながら政策決定を進めていくことは極めて大切でありますし、私どももその姿勢で今後とも取り組んでまいりたいと思っております。
○山井委員 今までから参考人として当事者の方の声を聞いていただいていたと思いますが、私は、参考人と委員では全然意味合いが違うと思います。そして、この当事者の声を入れないとだめだということに関しては、公衆衛生審議会でも当事者を委員に入れるべきという意見が多数で承認されたにもかかわらず、実際は残念ながら今も無視されたままになっております。 それで、今当事者の方はいろいろな団体があるという話でしたが、そんなことを言い出したら、業界団体もいろいろなものがあるわけです。もし二つあるならば、二つ入れたらいい。それは本質的な問題ではなくて、当事者の代表を入れねばならないという原則を打ち立てたならば、だれかを選ぶことは不可能なことではないと思います。ですから、今の難しいというのは理由にならないと思うのです。改めてお聞きしたいと思います。 これはやはり譲れないところであります。なぜかといいますと、どうしても経営する方々——その方々の声も半分は聞くのは重要ですけれども、最初から大臣、政務次官のお話をお聞きしていても、今の現状がおかしいことは百もわかっている。でも、一歩一歩なんだと。家族のこと、現場のことがある。しかし、その中で一番欠けているのは、一歩一歩と言っているときに、精神病院で半数以上の方が平均五年入院させられている、その方々の声はどこに届くのか。患者さんの声が厚生行政の原点であると思います。そういう意味では、厚生行政を患者さん本位のものにするためにも、当事者の参加は私は絶対必要だと思います。改めてその点についていかがでしょうか。
○福島政務次官 現在、参考人ということでお招きをしてお聞きしていることが必ずしも反映をされないということにはならないと私は思います。また、その政策決定の中で十分に精神障害者の方の意見が反映をされておらないではないかという御指摘があるとしますれば、私どもも、その政策決定に当たりまして、より注意深い配慮、御意見の尊重というものを踏まえて今後とも取り組んでまいりたいと思います。
○山井委員 私もよく理解できないのですが、一番大きな理由は、団体が一本化されていないということでありますか。それとも、ほかの団体は代表を出すべきだけれども、当事者は参考人ぐらいでいい、委員として入れる必要がないと考えておられるのですか。その最大の入れられない理由をもう一度お願いします。
○福島政務次官 私どもは、先ほどからの御答弁の繰り返しになりますけれども、現在まで、公衆衛生審議会精神保健福祉部会、また、そのもとにおきます専門委員会を運営してまいりました。その中で、精神障害者の方々の御意見を十分反映させながら今後とも進めてまいりたいということでございます。
○山井委員 いや、委員と参考人では根本的に違います。そんなことを言い出したら、全員参考人にして、委員会はなくてもいいじゃないかということにもなりかねないわけです。 私が繰り返し聞いているのは、なぜ当事者は参考人にとどまって、委員では入れないのか。私は、その当事者こそが主人公であると。なぜ当事者は参考人どまりで、委員としてはだめなのか、そのことをお伺いしたいと思います。
○福島政務次官 ただいま委員から重ねての御質疑がございましたけれども、今まで精神保健福祉部会の進め方そのものにつきまして、精神障害者の方の意見が全く反映をされてこなかったではないかというようなことではなかろうと私は思っております。
○山井委員 いや、私は全く反映されていないとは言っていないですけれども、十分に反映されてないわけですね。繰り返しになりますけれども、なぜ委員ではだめなんですか。 福島先生もお医者さんですから、いかに患者さん本人の気持ち、意見が医療をよくするために大切で、必要不可欠だということはおわかりになっておられると思います。 私も、今回、精神医療の現場を回らせてもらって患者さん本人の声を聞いた。一日も早く退院したい、世間、地域の偏見がある、家族との関係が難しい、いろいろな生の声を聞いた。一番切実に言われたのは、私たちは待てないんです、五年も十年も待てないんです、私の人生はどうなるんですかという悲痛な叫びがあるわけです。もちろん、それだけを聞いて政策決定ができるわけでもありませんが、それを問題解決の原点と踏まえて、こういう困っておられる現状をどうしたらいいのかというところから議論はスタートしないとだめだと思います。 にもかかわらず、委員の中でそういう声を聞いてきっちり議論しておかないと、現状が難しいから、受け皿といいますか地域のサービスが足りないからもうちょっと我慢してもらおうかと、結局はこの先延ばし先延ばしのツケはすべて当事者の方に行ってしまうわけです。 私がこういうふうにこだわる理由は、こういう先延ばしのやり方、例えば先ほど申し上げました三十四万人のうち二、三万しか地域に帰れないというようなことは、当事者の方が委員としてその場にいらっしゃったら、冗談じゃないわよ、一回現場を見に来てよと言われると思うのですね。残念ながら、そういう甘い政策になってしまう理由は当事者が入ってないからだと思うのですが、しつこくて申しわけないのですが、そこのところ、津島厚生大臣、お願いします。
○津島国務大臣 委員御指摘のとおり、精神障害者の方々の声が公衆衛生審議会や関連の部会で反映されることは必要でございます。今御指摘のように、委員として当事者に患者さんを加えるかどうかにつきましては、今の制度がいいかどうか、いろいろ研究をさせていただきたいと思います。
○山井委員 研究……。とにかく、そのことについては必須条件として、今度また新たな委員会がなされるときに実現をしていただきたいと思います。そういうことをきっちりと厚生行政の中の一つの基本にする、当事者の声を中心に考えるということをこれからきっちりとやっていただきたいと思います。 きのう集会で聞きました横式さんの話の中にも、こうおっしゃっています。私たちの周りには月に一回しか回診がない精神病院もたくさんあります、月に一回の回診で退院を決めると、当然入院日数も長くなりますと。今の日本で入院日数が長いこと、その根本的な問題は、やはりお医者さんの数、看護婦さんの数が少なくてきっちりと対応できない。欧米に比べて半分以下の人員配置であります。このような現状では、早期退院、社会復帰ということも難しいと思います。 今回の医療法の改正で、昭和三十三年に定められた精神科特例が廃止されます。この改正の中で、精神、結核、感染症以外の病床は一般病床と療養型病床の二区分にされ、一般病床の看護基準は四対一から三対一に引き上げられるという案が今検討されているわけですが、精神病床においても人員基準の引き上げが必須だと私は思いますが、医師、看護婦、そしてコメディカルの方々の人員基準の引き上げについていかがでしょうか。
○福島政務次官 実は私、きのう国立精神・神経センターに行ってまいりまして、本日、山井委員から二十一世紀の日本の精神医療はいかにあるべきかと御質問をいただくとは思っておらなかったのですけれども、どういう精神医療であるべきかということにつきましてその場でいろいろと考えて、帰ってまいりました。 現在の日本の精神医療の状況をどうしていくのか、人員配置基準にしましても、設備基準にしましても、これは公衆衛生審議会での検討というものを着実に進めていく必要がある、そのように私は思います。
○山井委員 いや、具体的に冒頭申し上げましたように、精神科特例、医師は一般病棟の三分の一、看護婦さんは三分の二、これを引き上げないと、今の状況では——私も訪問しました精神病院でも、現場のお医者さんが、十年前よりもいろいろなことに対する告知義務がふえてデスクワークもふえた、入退院の書類もたくさんある、外来も以前に比べるとどんどんふえてきている、にもかかわらず医師の人員基準がふえていない、このままでは二週間に一遍あるいは一週間に一遍しか診ないような形で、責任を持って退院とかそういう対応もとりにくいということをおっしゃっておられます。ですから、この人員配置基準を上げるべきだということに関してどう思われますでしょうか。
○福島政務次官 公衆衛生審議会から意見が出されましたのが本年に入りましてからのことでございますけれども、いずれの基準にしましても一般病床との格差を改善していく、前向きな方向で進めていく必要がある。ただ、具体的な基準、これは既存の施設をどうするのかという観点も当然ございますので、いろいろな議論が必要だと思いますので、審議会の場できちっと議論をしていただいて、前向きに検討を進めていただくことが必要だ、そういう意味で申し上げたわけでございます。
○山井委員 何か本当に行く末が見えてこないわけです。 例えば、精神病棟に関しても一般の病棟と同じように一般病床と療養型病床に機能分化をして、そして、精神病院の中の一般病棟に関しては一般病院並みに人員基準を引き上げるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○福島政務次官 今直ちにかくかくしかじかの基準であるべきだということを申し上げる段階ではまだないというふうに私は思っておりまして、むしろこの審議会での議論というものを、先ほども先生から御指摘ございましたけれども、精神障害者の皆様の御意見というものも踏まえながら着実に進めていくことが必要だと思います。
○山井委員 そこがこの医療法改正の問題の大きな問題点だと私は思います。 先ほども申し上げましたように、精神障害者の方々あるいはその御家族は、今回の医療法の改正で、精神科特例を廃止することを通じて一般の治療と同レベルの治療が受けられるんだという期待を持って今回の医療法の改正を待っておられたわけです。 にもかかわらず、今の答弁にありますように、医療法の改正は通したいけれども、精神医療については貧困で、三、四十年大問題になってきて、国際的にも批判されている人員配置基準をどうするかまだ決まってもいない、これから議論をする、それで患者さんや御家族が納得されるんでしょうか。まさに先ほど言った、当事者の方が入っていないから先延ばしになってしまうのではないでしょうか。この人員配置基準の引き上げなどについて、大体いつまでに決まるんでしょうか。
○福島政務次官 繰り返しになりまして大変恐縮でございますけれども、関係団体等も含めて議論を進める必要がございます。いついつまでということを申し上げるのではなくて、着実に、先生おっしゃられました御指摘も踏まえた検討を進めてまいりたいと思っております。 また、付言をいたしますと、今般の医療法の改正で一般病床、療養病床という区分が導入されましたし、人員配置基準の是正ということにつきまして、より法的な根拠にのっとった対応ができるような形になったわけでございます。 一つ一つの改革というものは抜本改革につながる非常に大切な性格を持つものだと思っておりまして、精神科特例の課題というものを認識はしておりますけれども、医療法の改正は改正として御尊重いただければと私は思います。
○山井委員 本当に、答弁を聞いておりますと、精神医療に関しては、先ほどのデータにあったように、欧米と比べて極めて長くて、津島大臣も最初におっしゃったように、十分とは言えない環境の中に置かれている状況が残念ながら二十一世紀にもこのまま積み残されてしまうような気がいたします。 次の質問に移らせていただきますが、このように障害者の方々はさまざまな差別にさらされているわけですが、精神障害者は危険な存在だというメッセージを与えかねないような規定、具体的に言いますと、医療法施行規則第十条の三や十六条の一の六や、身体合併症を持っている患者さんが一般病床に入院できないかのような誤解を与える差別的な規定がまだ残っていること。また、保護室を——この保護室というのは独房のことでありまして、トイレもこの中でやることになるのですが、これを一般の病床、居室として取り扱ってよいという、精神障害者を人間として扱っていないような行政の文書があるなら、この際見直した方がよいのではないでしょうか。障害者の欠陥条項の見直しも内閣を挙げて取り組んでおられるのですから、そのことについての見直しもすべきではないでしょうか。 以上のような点について、引き続き公衆衛生審議会でも御検討いただきたいと思います。いかがでしょうか。 〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
○福島政務次官 精神障害を持つ方に対しましての偏見というものは社会の中から取り除いていく必要があると私は思っておりますし、そのための取り組みというものを今後もしっかりとやらなきゃいかぬ、そのように認識をいたしております。 今先生から御指摘のありました保護室の問題でございますけれども、これは精神疾患に特有の症状を踏まえつつ、人権に配慮した適正な医療と保護を確保できる療養環境が必要であるということから設けられているものでございます。また、保護室のあり方といいますか、そういうものも最近変わりつつあるというふうに私は思っております。 そしてまた、一般の病院に精神障害者の方が入院できないというような規定では全くありませんで、さまざまな合併症が当然生じることがございますし、私も内科の医師をしておりましたけれども、そういった場合には入院をして治療させていただいた経験もございますし、そういうことが妨げられているようなことは全くないと理解をしております。 社会における偏見の除去ということにつきましては、さまざまな取り組みを進めていく必要があるという観点から、精神保健福祉全国大会の開催ですとか障害者の社会参加を促進する事業の実施ですとか、これは療養環境ということもございますけれども、鉄格子を撤去する等の療養環境向上のための補助というような事業を厚生省としては進めております。
○山井委員 今私の聞き間違いでなかったら、この保護室というのは適切な療養環境とおっしゃったようにお聞きしたんですけれども、(写真を示す)こういう鉄格子がついていて、トイレも外からしているのがガラス越しに見える。そういう環境にいると、人間というのは心のストレスがとれて元気になるのでしょうか。本当にこういう保護室を二十一世紀日本に残していっていいのか。こういう保護室の療養環境について、それこそお医者さんの立場から福島次官はいかがお考えですか。
○福島政務次官 先ほど申しましたのは、精神疾患には特有の症状というものがあります。急性期の症状に対してどう対応するのか。その場合に、人権に配慮するということが極めて大切なことであることは、先生の御指摘のとおりでございます。人権に配慮しつつ、適正な医療というものを施す必要がある、保護を確保する必要がある、そういう観点からこの保護室というものが設けられているというふうに私は理解をいたしております。 しかしながら、今先生御指摘ありましたように、鉄格子がはめられているような環境の中で、いかにも閉じ込められているような印象を患者さんが持たれる環境は着実に改めていく必要があると私は理解をいたしております。 ですから、先ほども申しましたように、鉄格子を撤去する等療養環境向上のための補助というようなものも、そういう趣旨から生まれてきた事業でございます。こうした事業を着実に進めていくことによりまして、保護室の存在に対してさまざまな御意見が現在もあるわけでございますけれども、対応してまいりたいと思っております。
○山井委員 人権に配慮しつつということがありましたので、述べますと、人権に配慮すると言うのであれば、少なくとも外から用を足している姿が見えないというのが最低限の人権への配慮でもあると思います。私もここに一日入ってみますかと言われたんですけれども、正直言って、人前で用を足して、それを見られて精神的に持ちこたえられるとは思いませんので、この保護室の改善、安易な利用をなくすようにしていただきたいと思います。先進国の文化のレベルは、その国の精神病院の保護室を見ればわかるという言葉もあります。 最後の質問になりますが、厚生白書で述べられているノーマライゼーションの定義の中に、「地域で共に生活するために」「社会的自立を促進するために」「生活の質の向上を目指して」「心のバリアを取り除くために」というようなリハビリテーションとノーマライゼーションの理念が障害者プランで書かれておりますが、残念ながら今の精神障害者福祉の現状には余りにもほど遠いと思います。 東京帝大教授の呉秀三さんは、大正七年の報告書の中で次のように書いておられます。「我が国何十万人の精神病者は実にこの病を受けたる不幸のほかに、この国に生まれたる不幸を重ぬるものと言うべし」。この国に生まれたる不幸、このような言葉があります。これこそが地域で暮らせない、病院に多くが入院しなければならない今の日本の現実です。この国に生まれたる不幸というのは、二十一世紀にはどうしていくのか、その二十一世紀のビジョンを改めてお聞きしたいと思います。 そして、今まで聞いていると、非常にマイルドな改革——改革とも言えないような本当に遅々として遅い歩み、これはある意味ではマイルドかもしれませんが、当事者の方々にとっては非常にハードで耐えがたい遅さなんだということを強調したいと思います。二〇〇二年に障害者プランが一応のけじめがつきますが、その後、根本的にどう変えていくのか、そのビジョンをお話しください。
○津島国務大臣 障害者に対するノーマライゼーションのビジョンに基づいてそれぞれの分野で最大限の努力をすべきである、全く同感でございます。 問題は、今議論になっております精神病院における入院環境等の問題でございます。 まず入院環境については、本年一月二十五日の公衆衛生審議会の報告の中で、入院患者に快適な環境で医療サービスが提供されるよう国民の生活水準にふさわしい療養環境を整備しつつ、多様なニーズに応じたきめ細かな医療サービスを提供することによってできるだけ早期に社会復帰につなげていくことがこれからの精神医療に求められると指摘をされております。今の委員のもろもろの問題点の御指摘は、もしこのような趣旨に基づいて進んでいけば少しずつでも改善はされると思っております。 一方、今度の医療法の改正後の人員配置の基準につきましては、先ほど総括政務次官からもお答えをいたしましたけれども、公衆衛生審議会から、精神疾患の特性に十分配慮しつつ、一般の病床とできるだけ格差のないようにすべきである、これもはっきりと言っているわけでございますから、方向性ははっきりしております。具体的にどのように進められるかは、今専門委員会において検討を進めておるところでございます。趣旨は、私は理解をしているつもりでございます。
○山井委員 ありがとうございました。 先ほど政務次官の発言の中にも、関係団体といろいろこれから詰めていきたいということでありますけれども、その団体は当事者以外の業界団体ではなくて、先ほども言いましたようにしっかりと当事者の方を委員に入れて、当事者の声を最優先する。そして、いろいろな反対があろうと、本当に豊かな社会というのはそういう心の病で苦しんでいる方々を温かく支えていく社会、それを先頭に立って取り組んでいくのが厚生省なんだ、そういう責任感と使命感を持って頑張っていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○坂井委員長代理 次に、土肥隆一君。
○土肥委員 ただいま山井委員の方から相当集中して精神医療を取り上げたわけでございますけれども、私も、私の角度から議論をさせていただきたいというふうに思っております。 まず、今回の医療法の改正で、入院医療を提供する体制の整備ということで病床区分ということをうたっておりまして、しかし、その前提に、結核病床、精神病床、感染症病床を除いた病床を療養病床と一般病床に区分するんだと、私、この分け方から気に入りません。 大臣に御答弁いただきたいんですが、結核と感染症の間に、これは順序はどっちでもいいんですけれども、精神病床をそこへ並べて、これは別扱いなんだ、今回の医療法にもきっちりうたわないんだというふうな区分の仕方ということから、既に精神病床、あるいは精神病を患っていらっしゃる方への、差別とは言わなくても、区別といいましょうか、役所自体が初めから精神保健を一つ低いとか、もう一つ別枠で考えているんじゃないかと思うのですが、その辺はどうですか。
○津島国務大臣 今の、精神病床、結核病床を特記して別枠にしていることはどうなのかというお話でありますが、私は、一般的に言えば、疾病の特性に応じてそういうことになっておるんだと思いますけれども、しかし、医療の質において格差をつけるということであってはならないというふうに考えております。
○土肥委員 まさにそのとおりでありまして、今回も、感染症の問題は私調べておりませんけれども、なぜ精神病床だけを区分して考えなきゃいけないのか。こういう厚生省文化といいましょうか、そういうものもやはり改めていただかなきゃいけない。初めから医療法にはっきりとうたわないということは、では、精神病院というのは何の病院なのか、どんな病院なのか、何か特別な感染症的な病院なのかというふうに、意地悪く考えれば考えられるわけでございまして、その点の厚生省の考え方はどうですか。
○今田政府参考人 精神病床を医療法の病床区分の一つとして今までは特例として扱ってまいりましたものを、精神病床としての独立した規定として今回併記をさせていただいております。 そのためには、今度は、精神病床を持つにふさわしいあるいは精神病床の療養にふさわしい環境、人的基準というものを別途これによって定めることになります。その定め方について、先ほど御議論がございましたように、従来特例という形で格差のついていたものについて、やはり疾病の特性に合わせて精神病床の独自の基準というものをできるだけ格差のない方向に今から定めていこうではないか、私どもはこういう状況にありますし、その考え方に沿って体制を整えていく必要があろうかというふうに思っております。
○土肥委員 私は、精神医療をどうするかということは、まさに日本の医療をどうするか、そして医療に関する抜本改革の重大な課題だというふうに思っておりまして、後で抜本改革についてもお聞きいたしますけれども、精神医療を普通の医療のように考えて精神病の患者さんに当たるということが大事でありまして、これからはこういう区別はなさらないようにお願いしたいと思うのであります。 しかし、私も長年厚生委員会におりまして、何度も精神医療の問題について取り上げてまいりました。先ほど山井さんがおっしゃるには、精神病の患者さんが絶望していますと。実は、言葉はちょっと不適切かもわかりませんけれども、私も絶望しているんです。 日本の精神医療は、長い歴史がありますけれども、隔離型で、忌まわしい病気、治らない病気、そして隔離しておけばいい、そういうふうな精神医療の文化を生んだんですね。そして、巨大な病院体系ができまして、これも私は厚生省の医療政策の誤りだと思うのでありますけれども、地域医療計画などの駆け込みもあったかに聞いておりますけれども、いわば完全に収容型でやってきた。同時に、これを民間の医療法人に任せた。そして、今日、三十四万人体制ができ上がってしまった。これをどうするかということについては、ほとんど今までの精神医療行政はこの三十四万人体制を維持するんだということに尽きるわけであります。 そのことから考えると、社会復帰ができそうだあるいは家庭に戻れそうだとかいうふうな患者さんがいても、先ほどから二万人だ、三万人だという話でありますけれども、言ってみれば三十四万人体制をどう維持するかということに帰結がありまして、したがいまして、病床区分あるいは施設基準などを考えますときにも、この三十四万人の入院患者さんをあるいは精神病院を維持するという視点からいつも逃れられないんじゃないかというふうに考えておりますが、どうでしょうか。 〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕
○今田政府参考人 御指摘のように、精神病床そのものが、終戦後の非常に劣悪な状況の後にどうしても整備をしなくちゃならない。そういう中で、国が直接整備していく部分もありましょうが、ともかく緊急を要するということで、民間病院にぜひそういった医療環境を提供してくれということで今日に来た、このように思います。 問題は、今の三十四万床という入院患者さんの今後をどう考えていくかということにつきましては——例えば先ほども政務次官の御答弁にありましたけれども、現在の入院患者さんの半数は非常に長期間入院されて、もう本当に身寄りもだんだんいなくなってきていらっしゃる。症状も比較的安定していらっしゃる方が多い。しかし、それでも地域に出ていくにはなかなか困難がある。一方で、新規入院されている方の平均入院期間がどんどん縮まってきている。そういう観点からいたしますと、私ども、これからの三十四万床をどう考えるかというときに、長期に入院をし、しかもそんなに重症な症状をお持ちでない方に対しても、適切な療養環境、あるいはもしかしたら生活環境と言った方がいいのかもしれませんが、そういった慢性患者に対する施設のあり方というものを検討して、地域にいかに帰していくかということを最大限努力する必要があろうかと思います。 と同時に、急性期あるいは非常に初期のケアについてはその質を充実させるという考え方でやるつもりであります。決して三十四万床をそのまま維持するという観点でこういった施策を進めることにはならないように、私どもそういう認識でやっていきたいと思っております。
○土肥委員 それはそう言わざるを得ないと思いますけれども、この三十四万床を維持するための精神科特例、四十八対一なんというとんでもない数字を挙げる。それから、定員を満たしていない病院が何%もある。あるいは診療報酬上も相当な区別があって、急性期医療、急性期にある患者さんの治療はかなりの点数がつきますけれども、長期入院になると非常に診療報酬が低い。言ってみれば、治療費は安く、人員も少なくて、そしてどうぞ頑張ってくださいと民間病院に言えば、五百床を超えるような病院が続々とできておるわけでありまして、あるいは非常に郊外の人里離れた寂しいところに大体精神病院はあるものであります。 こういうことを考えていきますと、一体どこから手をつけていいのか。健康保険だけでなくて、まさに医療の抜本改正から着手しないと、先ほどの山井さんの統計上の数値は相変わらず続くのではなかろうかと思っております。 あるいは、施設基準にいたしましても、全く一般病院とは似ても似つかぬようなスタイルになっておりまして、社会復帰を早くしようと思えば、いい設備にして、なるべく復帰が早まるような——ノーマルな生活環境を提供しないで、そのまま治るまでとか、五年、十年、三十年と入院を強いるような設備で患者さんがよくなるはずがないです。 そういう意味では、人員配置も十分な手当てをしなきゃいけませんけれども、施設基準、設備基準にいたしましても、精神病院で日常的な生活がなるべく行われて、退院したらそのまますっと日常生活に帰る。例えば料理室、自分で料理をしてみる。洗濯はほとんど病院一括でやっていると思いますけれども、自分で料理をしてみる。あるいは自然の生活の中での面会ですね。面会者が、面談室だけではなくて、病室に入っていって、中を見回して、ああ、うちの子は大分よくなっているなとか、もうそろそろ復帰できるんじゃないだろうかとかいうふうな、それは親、親戚のみならず、友人が訪ねていってもいいわけでありまして、精神病院は施設基準から基本的に変えなきゃいけない、こういうふうに思うんですが、局長のお考えはどうですか。
○今田政府参考人 施設基準で一番大きな影響の強い規定は、病床の広さが構造に影響する一番大きな項目でありますが、これが四・三平米という今の実態の中で、今後これをどう変えていくかということになりますと、これについては御指摘のように環境そのものの改善、医療サービスがスムーズに提供できるような環境を整備するという点から、公衆衛生審議会の方でも適切な環境整備について精神医療にこれを求めていくべきだという御意見をいただいております。 今、精神病床につきまして、人的基準もさることながら、施設基準においてもどのような構造がいいのかということで御議論をいただいております。例えば精神科療養病棟というようなくくりも現在ございますけれども、そういったものの中に従来の四・三平米よりも広い環境を提供していくというような考え方もあるわけでありますので、できるだけそういった意味での環境整備は充実させていきたいということで、今後審議会の御意見をいただいて進めていきたいと思っております。
○土肥委員 結局、施設基準といったときに、個人当たり何平米かという議論に終わっちゃうわけです。これは、学校から福祉施設からすべてそうなんですね。補助金の出る公共的な施設は全部そうなんです。その中で適当に設計しなさいというのが今日までの施設基準の考え方ですね。 ですから、内容を、例えば福祉施設であれば台所、厨房はどうだこうだと言いますけれども、精神病院の施設基準というのは特別であっていいと僕は思うんですね。そういう配慮がない限り患者さんは絶えず不満を持ちます。そして、閉じ込められている、不当な虐待を受けている、こういうふうに考える。 ですから、そう考えないで済むよう、社会福祉施設などをもっと充実して、そちらへ通ってもらっていろいろなことを経験するということもありましょうけれども、精神病院の中の設備というのは最も配慮された、壁の色にしましてもあるいは動線にいたしましても、どういうふうなところを通っていくかとか、喫茶ルームがあるとか、普通の生活の中になるべく置いておくことが非常に大事だというふうに私は考えております。 さて、三十四万床を考えるときに、私は、数年前に経験しましたあの大阪の大和川病院、これは五百床を超えておりましたけれども、その精神病院の問題をこの厚生委員会でも取り上げたことがあるのであります。私は穏やかにもう少し患者さんを大事にしてほしいということを言っただけなんですけれども、その病院から威力業務妨害罪で今訴えられているんですけれども、あの病院がなくなったのでどうなるのかと思って、まだ弁護士に確かめておりませんけれども、大阪地検に訴えられておりまして、地検での調べも受けました。 そのときに、精神病院のおごり、自分たちは社会的な優位性のもとに意味ある病院をやっているんだと言うわけです。土、日、祭日は面会を許しません、平日に来なさい、そういうことを言うわけですね。それから、指定医がたった一人。診察なんか受けたことない。そこの病院を経験した患者さんに聞きますと、土肥先生、あの病院だけは入れないでくださいと言うんですね。 福島先生もよく御存じだと思いますけれども、専ら私はそれを何度も厚生省にも言い、厚生省は大阪府に指導の方をお願いしていたわけでありますけれども、国会で取り上げました三年後に、北錦会という医療法人等三つ病院を持っておりましたけれども、いきなり全部廃院にするという措置をとったのであります。その後、委員会では、なぜそういう措置をとったのか、このときに五百床一挙に精神病床が減ったわけでありますから、これは病床削減の貢献策であったのかどうか、その辺のいきさつをまだ正式に聞いておりませんので、これはイレギュラー質問でございますが、御答弁いただきたい、このように思う次第です。
○伊藤政府参考人 安田病院事件でございますが、本件につきましては、大和川病院を含めまして三病院に対しまして一体として処分を行ったわけでございます。 その理由は、安田病院、医療法人北錦会大和川病院及び大阪円生病院、この三病院それぞれが組織的に偽装工作を行いまして、医療従事者数を水増し報告し、巨額の診療報酬を不正に詐取した事件でございます。 本件に対しまして、大阪府等の立入調査の結果、大和川病院等三病院におきまして医療従事者に係る極めて悪質な虚偽報告があり、医療従事者数が著しく不足していたことや、医療法人北錦会におきましてこれらの問題を放置するなど開設者として適正な管理監督義務を怠った事実があったこと等が判明したため、平成九年十月に、大阪府におきまして、医療法に基づきまして大和川病院を初めとする三病院の開設許可の取り消し処分及び医療法人北錦会の設立許可の取り消し処分を行ったものでございます。 あわせまして、精神保健福祉法関係で申しますと、平成九年十月七日に、大和川病院の精神保健指定医の指定の取り消し処分、またあわせまして、健康保険法、生活保護法の関係につきまして、三病院の保険医療機関及び生活保護法による指定医療機関の指定の取り消し処分及び診療報酬の返還の処分を行ったところでございます。
○土肥委員 この大和川病院とて、こういう処分を受けるまでは、堂々と、私たちはどんな患者さんでも引き受けるのです、いざとなったらお迎えにも行きますというふうな病院でございまして、三病院同時に廃止したということについて、厚生省もえらい荒っぽいことをするんだなと思ったのが正直な感想でございます。 だけれども、大和川病院をつぶしたけれども、本当にいい精神病院をつくろうじゃないかというふうなところは全く見えてこないわけですね。確かに三十四万人から五百名は減った、病床数は減っただろうというふうに考えておりますが、しかしほぼほかの病院に入院しましたからほとんど減っていないと思うわけでございます。 言ってみれば、そこから出てくる結論は、なぜ患者さんがこんなにも苦しめられ、行政の手がなかなか伸びないで、大阪府の指導にもなかなか言うことを聞かない、国会で質問しましてから三年ぐらいかかってやっとこういう措置がとられたわけでありますけれども、そういう問題が出たら、それを今度はプラスに転換していくんだというような姿勢は医療行政からは出てこない。私は非常に残念に思っている次第でございます。 今回、この改正案によって病床の区分や人員配置あるいは設備構造の基準を考え直す、大変結構でありますけれども、これは精神科病床は外されているわけでありますが、審議会もございまして、これから省令でやるんだということでございますが、その省令の方向性をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○今田政府参考人 今御指摘のように、医療法で精神病床という並列的に独立した規定を設けることによりまして、当然この法律の施行に合わせて人的あるいは構造設備上の基準というものを定めなければならない。そのために今審議会にお願いをして議論いただいておりますが、その詳細については、なお、その部会の下につくっております小委員会で今具体的な原案について議論がなされております。そういったものを踏まえて、審議会の御意見を賜った上で、この法律の施行に合わせて政省令を出すよう今準備方努力をしているところであります。
○土肥委員 いい答申が出て、いい方針が出ることを期待しますけれども、何といったって、一般病院と精神科の医師の数が、精神科の場合は三分の一、看護婦あるいはコメディカルの人たちでも三分の二しか充足していない。そうすると、病院を三分の一にするか、医療費あるいは診療報酬や施設基準、人員配置も一般病床並みにするか。この中では物すごい開きがあるわけですね。今精神病院に三分の一しかお医者さんがいないとなれば、三倍医者をふやさなきゃいけない、あるいは看護婦さんやコメディカルの皆さんもそうでございまして、そうなりますと、大変難しい課題だなというふうに思うのですね。どういうふうな審議会の答申と政省令が出るのか楽しみにしておりますので、いい結果を出していただきたい。 そのときに、施設基準についても、単に平米数を少し広げたよとかいうことではなくて、精神病院におけるアメニティーとは何なのか、精神病患者さんがそこにいるということは何なのかということも考えていただきたい。 ある精神科ドクターに言わせれば、二十世紀は精神病の時代であったと言うわけですね。思春期精神病、あるいは、今度高齢者の痴呆もそうでございますけれども、ますますふえるわけでございまして、そういう増加する患者さんをどのように扱うか。そして、なるべく長期入院をしてもらわないで社会に復帰できるような、そういうふうにしない限りこの精神病院の問題はなかなか解決しない、そういうふうに思う次第でございます。 ですから、日本の社会保障制度をどうするかというときに、医療の問題をどうするかということと相まって、精神病院をあるいは精神保健施策をどうするかということが最大のキーポイントではなかろうかということを申し上げておきたいというふうに思います。 私がちょっと申し上げたいのは、一般病床並みにできるとすれば、急性期治療病棟の扱い、あるいは強制入院、措置入院の病棟はどうするか、あるいは児童・思春期専門病棟、あるいは薬物依存治療病棟と、それぞれ治療目的を決めまして、それぞれに合った人的配置と施設基準を詰めていくべきだということを提案したいと思います。 次に進みますけれども、精神科医の養成は今どうなっているんだろうかということです。今大学の医学部で精神科医の養成が行われているわけでありますけれども、非常に精神科コースをとる人が少ないとか、あるいは精神科を専門とする医師になることにちゅうちょがあるとかいうふうなことも聞いておりますが、今実態はどうなっているんでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○今田政府参考人 現状の方から申し上げますが、「医師・歯科医師・薬剤師調査」によりまして精神科医師数を見てみますと、平成八年が一万九十三人、平成十年が一万五百八十六人、今のところ年二百人ずつふえている状況であります。 御承知のように、医学部を卒業した後で自分は何科をやるか、つまり、国家試験に合格をした後で自分は何科に行くかというのは、そこでそれぞれの方がお決めになるということでありますので、そういった意味では、卒前教育の問題もさることながら、卒後教育においても精神科的な研修といいますかそういったものも組み合わせていかなければよりよい精神科医の確保は難しいのかなと思っております。
○土肥委員 具体的な数字でいきますと、精神科に直接携わっている精神科医は減っているんですね。学生は少しふえているというような話でございますけれども。しかも、指定医がそのうちの半分ぐらいで、常勤医は三千九百名ぐらいしかいない、常勤で指定医の資格を持って精神病院にいるという人は極めて少ないというふうに私は考えております。 こうした精神科の先生が生まれてこないことには、たくさん生まれてきてほしいわけでありまして、例えば人的配置をどうこうするといったって、精神科医がいなければ人的配置なんかできっこないわけであります。そういう意味では、指定医制度をどうするかということと同時に、精神科の先生をこの社会にあって大事なものとしてもっと尊敬するような、待遇についてもそれなりに一般のお医者さん並みにきっちりと保障しなきゃならないというふうに思うのであります。 これも一種の日本の精神病文化みたいなものを反映しているんじゃないかと私は考えているわけでございまして、精神病という病気あるいは精神病院などというマイナスイメージを何とか払拭しない限り、人的配置を豊かにしなさいといったって、医者がいなければどうしようもないわけであります。 その辺は、私は大学を文部省が管轄することに異論がございまして、医科系の大学は全部厚生省がやるべきだ、そして、意図的に、精神科コースを選ぶ人には奨学金を渡すとか、何かインセンティブをかけないといけないんじゃないかというふうに思っております。これは答弁なさらないで結構でございます。 そういうふうな状況で、先ほど申しましたように、人的配置、施設基準にいたしましても、これから審議会の答申が出て省令が出るということでございますので将来に期待しますが、ぜひとも全家連を中心とする全国の親御さんたち、患者さんたちに、何しろ二百万人からの在宅で精神病を病む患者さんがいるわけでございまして、少しでも希望の持てるような、そして、もっと精神病院が普通の病院と同じようににこやかに通って帰ってこられるような、訪問も楽しくできるような、門構えや玄関から何から、いいソファーを置いて、何か寂しく患者と向き合ってうつむきになってやるようなところじゃなくて、楽しい、だれでも行けるんだというふうな精神病院にしなきゃならない、このように思っている次第でございます。 いろいろ飛びますが、私がどうしても一つ取り上げたいのは、臨床研修のことであります。今度の制度改正でも臨床研修が取り上げられてはおりますけれども、資質の向上というわけでございますが、これがまたなかなか難題だというふうに私は思うんですね。 では、今のお医者さんは資質がないのかというと、それはとんでもない話でございまして、なお一層勉強し、資質を向上していただきたいと思うのでありますが、私はそもそも資質の向上などということが話題になること自体がおかしいと思うのであります。そこは研修制度にある。そして、これは国家試験を受けてからの話でもあり、同時にお医者さんは生涯勉強してもらわなきゃいけないわけでありまして、十分社会的な資源として研修ができるような制度をつくらない限り、この資質の問題は解決しないというふうに思うのであります。 厚生省の調査によりますと、医師では八七%ほど研修をしてもらっている、それでも十数%の人は研修を受けていないということになるわけでありますし、歯科医師に至っては五〇%以下だというふうにございますが、これはどうしてこういうことになっているのか、御答弁いただきたいと思います。
○伊藤政府参考人 歯科医師の臨床研修の現状につきまして御説明させていただきます。 この歯科医師の臨床研修制度は、平成八年の歯科医師法の改正によりまして平成九年四月から努力義務として実施しているものでございまして、平成九年の実施率は五一・四%、平成十年が五八・七%、平成十一年が六一・一%と、年々実施率が向上しております。 しかしながら、医師と比較いたしまして臨床研修を実施する率が低いというのは御指摘のとおりでございます。医師につきましては、昭和二十三年の医師法の制定と同時に、一年間のいわゆるインターン制度があったわけでございます。その後、昭和四十三年に医師法を改正いたしまして、現在の制度になっているわけでございますが、今回、医師法、歯科医師法を改正いたしまして、それぞれ全人的な診療能力を有する医師、歯科医師として診療に従事していただくという観点から、臨床研修の必修化を行うこととしたわけでございます。 そのように、医師と比較いたしまして今までの経緯がかなり違うということから、歯科医師の臨床研修の実態につきましては五〇%をようやく上回っている現状ではございますが、年々改善しているところでございまして、私どもといたしましては、この臨床研修の実施体制につきまして適切に実施していくことができるよう、大学附属病院及び診療所等とも組み合わせた研修方式を検討するなどしてこの実施体制の拡充に努めてまいりたいと考えているところでございます。 なお、今後とも、歯科医師の臨床研修の実施率の向上に努めながら、必修化後の体制につきまして十分検討してまいりたいと考えているところでございます。
○土肥委員 数年前の医療法の改正のときにインフォームド・コンセントというのを入れました。これも私は不十分だというふうに思っておりますが、医学部にいてほぼペーパーによる勉強というか国家試験に受かるための勉強をしているわけでございまして、合格率を上げるために学校も何かそういう態勢で、毎年、何々大学は五〇%だの九〇%だのと出るわけでございますから、ペーパーテストにあくせくしているわけですね。そういう中で、実技がまさに重要な課題でございまして、お医者さんが素人の患者さんを診察して、どういうことが問題でこういう病気になって、今後はこういうことになりますからこういう治療をしたいと思うがあなたはどうですかと、いわゆるインフォームド・コンセントの全くできないお医者さんがいるんです。 何か聞くと、怒るんですね。私は幸い余り怒られたことはないのですけれども。私、予約していて、そのときに行かなかっただけでひどく怒られて、すごい先生だなと思って——尊敬しておりますから怒られてもいいのでありますけれども。説明ができないようなお医者さんは困るのですね。 これは、実際上、医療の、治療の現場に行かないと。大学病院も問題だと思いますよ。むしろ民間病院あるいは開業医のところに行って、どういうふうに開業医が患者さんと接しているかとかいうようなことも考えないと。基本的に人間としてどうかなと思われるようなお医者さんがいらっしゃるわけですね。 ここでお医者さんは副大臣だけだと思いますけれども、そういうことからいうと、福祉なんかでいう現任訓練というのがありますけれども、研修をもっと豊かにして、社会人としてこれから医師免許を持って患者に向かっていくわけでありまして、そういうふうな研修というのは、パーセントでは追えない、これもまた中身の問題として取り上げなきゃならない、そのように思います。 医師免許を取ったらこれで私はもう立派な医者なんだと思っている医師がいるとすれば、とんでもない話でございまして、そういう人が外科医だなんということになれば、恐怖でございます。そして、文句を言わせないように事前の承諾書をとって、早う書け早う書けと言って、それを書かせたら何をやってもいいんだみたいなことになるわけでございまして、患者さんが、この薬は何ですか、何に効くのですか、余っているから次は要りませんとかと言うと、何だ、この患者はというような話になるわけであります。どうか研修制度もそれこそぜひとも抜本的に改定していただきたいというふうに思うのであります。 そのときに、先ほど私が言いましたように、文部省管轄の大学病院で、大学教育で、医局だとか学閥だとかというのが横行しているわけでありまして、これを認めている限りは日本の医療はよくならない、こういうふうに思うわけであります。 アメリカの資料を若干とりましたら、医師免許は民間の試験で渡すのですね。そして、民間がステップワン、ステップツー、ステップスリーと決めまして、内科医は卒業後三年間は勉強しなさい。なぜか産婦人科が四年なんですね、私はよくわかりませんけれども。外科医になると、五年、六年となっているわけです。長くやればいいというものじゃございませんけれども、アメリカという国はおもしろい国で、民間が評価する。私は、医療の分野にもっと民間の視点を入れたらどうか。単にエージェンシー化して自分でやれと言うのではなくて、民間の知恵、そして、大学の学閥や医局を超えた連携による研修制度をずっとやるべきだというふうに思っております。 医者になると、一人理事長であったり、一人院長であったりするわけでございまして、自分の技術がほかに漏れるのが嫌だとか、これはカルテの開示ともつながってまいりますけれども、自分の判断が衆目の置くところになりますとちゅうちょするというのはわかるのですね。ですから、インターネットなどを使って絶えず最新の情報を、英語じゃないですよ、日本語で医療情報がとれて、そして、これからは画像も送ってきますから、そこで見ながら——それでも不安だったら、ある一般的なあるいは民間のでもいいですけれども、医療情報あるいは医療指導ができるような機関が若干できつつあると思いますけれども、自分の病院に閉じこもりがちな医者が他の情報にアクセスできるような、そういう方針も考えたらどうかと思うのですが、もし将来厚生省が考えておられる構想などありましたら、御答弁ください。
○伊藤政府参考人 医療の提供体制におきまして、医療関係者の資質の向上というのは最も重要な一要素だと考えております。とりわけ医師、歯科医師等の資質の向上はその根幹をなすものでございまして、私どもといたしましては、そのためには大学における医学部、歯学部の教育、国家試験制度のあり方、卒業後の必修化される前期の臨床研修のあり方及びそれに続く後期の研修及び生涯続く研修の体系を総合的に検討していかなくてはいけないとも考えているところでございます。 そのような観点から、国家試験制度につきましても現在改革に乗り出しておりまして、特に医師、歯科医師等におきましては、患者さんとのコミュニケーション能力を重視していく、インフォームド・コンセントのあり方等につきましても国家試験などで評価できないかという観点からいろいろな検討を行っているわけでございます。これらの一部につきましては、来年春の国家試験から実施に移していきたいと考えているところでございます。 あわせまして、今回、臨床研修の必修化につきましては、それぞれ準備期間を置きまして、特に今先生御指摘の患者さんとのコミュニケーション能力というものをいかに二年間なり一年間の研修の中で備えていただくか、いきなり専門の診療科に入るのではなくて、臨床医として必要最低限の知識なり技能というものをいかに獲得していただくか。そういうことになってまいりますと、臨床医として必要最低限に到達するレベルはどこかということが問題になってきますので、そのレベルに到達できるような研修プログラムのあり方と臨床研修の場の設定ということが重要になってくるわけでございます。そうなってまいりますと、大学病院なり大病院だけではなくて、診療所なり老人施設なり、そういう施設も含めて教育をしていくということが重要ではないかと考えております。 以上申し上げたような観点から、今後の臨床研修のあり方について十分検討してまいりたいと考えているところでございます。
○土肥委員 メニューはたくさん出していただきましたから、あとはこれを実現して、少しでもいい研修制度、医師、歯科医師の資質の向上などに努めていただきたいと思います。 さて、今度は大臣にいろいろお聞きしたいのでありますけれども、医療保険制度で繰り返し抜本改革と言われていますね。私も厚生委員会に十年近くおりますけれども、抜本改革と聞くと、ああ、何かいい改革がなされるのだな、すばらしい医療保険制度が出るのだなと思うわけですね。出てくるのは、薬の二重取りであるとか、あっという間に診療報酬が〇・二%上がるとか。何か小手先で、抜本改革が出て、後またごちゃごちゃやって抜本改革が出るんですね。 今回の法案は抜本改革に向けてと趣旨説明はなっておりますね、一体抜本改革というのは何を目指して抜本改革と言うのですか。この抜本改革の定義と意味合いをお答えいただきたいと思います。
○津島国務大臣 今、三年前の医療保険法改正のときに土肥委員と論戦をしたことを思い出しておりますけれども、当時から抜本改革ということを言ってきながら的確な答えが出ていないではないかという御叱責、けさからございました。私は、確かにその点は内心じくじたるものがございます。 なぜこうなったかと申しますと、医療保険制度を安定的なものにするために、薬価制度、診療報酬体系、高齢者医療制度、それから医療提供体制、四つの課題を中心に議論してまいりまして、例えば薬価制度についてはそれなりの対応をした。それから、診療報酬の改革もいたしました。また、医療費に対するコスト意識を喚起するために、一部負担を含むところの今度の法律を出しております。 そうすると、抜本改革のために残された一番大きい問題は何かといえば、申し上げたとおり高齢者医療制度をどうするかという、しかもここが一番これからお金のかかるところであり、高齢化の影響をもろに受けるところでございます。この点について、厚生省としましても高齢者医療制度等改革推進本部を設けて、平成十四年度までにはきっちりと世に問えるようなものをまとめていきたいということで精力的に検討を進めております。また、総理のもとに有識者会議を設置いたしまして御議論をいただき、明日報告書が出ると承っております。 そこで、委員の御質問は、一体その抜本改革とは何か。私は、二十一世紀の超高齢社会においても持続可能な、そしてまた国民が受け入れられるようなコストの範囲内で運営のできる制度を目指すことだ、こういうふうに受けとめております。
○土肥委員 抜本改革というのは四つのテーマがあって、それのあるべき姿を提示するんだ、そして、それはこの社会保障制度が持続可能なものになるように、国民の理解が得られるようにと。だから、ちゃんとそれを言ってくださいよ。抜本改革とはこういうことですよ、何を目指しているのかというのは、こういうテーマですよ、そして将来的にこういうことを考えていると。 例えば、今度老人医療費の一割をお願いするわけですけれども、一割で済むんでしょうかね。平成二十五年の統計も出ましたけれども、五一%ぐらいの負担率になるというときに老人の医療費が一割で済むのか。こういうことも、何か政治的にちょっと出してちょっと出してと。私は、小出しにしながら所期の目的を達するようなそういう方法はもう通じないと思うんですね。薬価で二重負担をお願いしておきながら、今度はぽっと引っ込めて一割を出すような、カードを切りかえるようなやり方はもう通じないと思うんですよ。それはやはり政権の運命をかけるぐらいの、抜本改革はこういう方向でやると。それがまだはっきりしないなら、抜本改革という使い方はやめていただきたいと思うんです。そうしないと、抜本改革が出るたびに、ああ、また出たのか、何もできやしないよというのが私の率直な感想ですね。 ですから、今度も抜本改革と言っておりますが、その見通しが立たないうちは一歩一歩改良していくんですというようなことで、抜本改革というのはもうおやめになったらいいんじゃないかと思うんですが、大臣、どうですか。
○津島国務大臣 私としても大変厳しく受けとめざるを得ない御叱責でありますけれども、持続可能な二十一世紀の例えば医療制度、医療保険制度をつくるといって、これまでの手法の延長線で一つ一つやっていったらどうだという御意見もございます。その一方で、例えば抜本的に税方式を入れて財源のあり方を考えたらどうかというような御意見もございます。そういう中で、私どもとして実現可能な、国民から見てそれであればもつな、それから、願わくば、それであれば我々もそんなに負担を感ぜずに明るく過ごせる時代だなと言えるものを求めていかなければならないわけでありますが、そのためにこれから努力をしなければならない。 しかし、今までと同じではないかとおっしゃることに対してお答えいたしますけれども、もう待ったなしになっています。老人医療費等も今度はこういう改革をさせていただきますけれども、今の国民健康保険であるとか政管健保であるとかあるいは組合健保であるとかいう状態を見ますと、それはもう待ったなしのところへ来ているという認識を私どもは持っておりますので、真剣に取り組んでまいりたいと思っております。
○土肥委員 今回、平成十二年度で抜本改革が実現するはずであったものが延期されたわけですね。しかし、法案の説明によると、「また、医療保険制度の改革については、平成十二年度の改正に引き続き、この法律の施行後における医療費の動向、医療保険の財政状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、抜本的な改革を行うために検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずる」のだと趣旨説明しておられますね。これは抜本改革とちゃんと書いてある、平成十四年、二年後に達成するとは書いていないわけですね。これは公式な政府の発言として、二年後に抜本改革が完結するのでしょうか。
○津島国務大臣 私は、これまで委員会の質疑等で、平成十四年度に抜本改革に着手をしたい、かように申し上げているところであります。 なぜなかなか出せないか、御党の側で無責任ではないかとおっしゃる方がありますけれども、それは、政治家としておわかりのとおり、老人医療制度をきちっと安定させるためには相当の財源が要ります。この財源を求めに行かなきゃいかぬと私は思っております。しかし、その財源を何で賄うかについて国民的なコンセンサスができていない。それをつくる作業があるんです。ですから、それを一緒にやろうではありませんかと今お訴えをしているところであります。
○土肥委員 では、十四年というのは公式見解として記録に残していいわけですね。
○津島国務大臣 毎度申し上げておりますように、十四年から取りかかれるようにいたします。
○土肥委員 最後に、私のいらいらしている一つでございますけれども、介護保険と医療保険を一緒にしまして、釘宮委員も質問しておられましたけれども、いわゆる上限の見直しをやるというわけです。私は、介護保険は始まったばかりなのにもう見直しするのか、何を経験則に見直しをするのかと驚くばかりでございます。 介護保険法を二年もかけて議論したときに、私の理解によれば、介護保険を導入することによって医療費を削減することはできるんだ、ですから、プラスマイナスになるんだから当然上限幅に入る、そういうふうに理解して、ああ、それはいいことだねと。いつも言われている年金五で医療が四で福祉が一という五対四対一を、なるべく五対三対二にしたいというように思っているわけですよ。そういう中で、早速、保険料率が計算が合わないから、つまり、介護が入って低くならないからここで切り離します、これはちょっと私はいただけないんですよ。そう簡単な議論をしたはずじゃないし、政府の見通しが全く誤ったとか景気が悪いからとかなんとかいろいろおっしゃられると思いますけれども、そんなことよりも設計自体が誤っていたんじゃないかと思うのですが、大臣、どうですか。
○近藤政府参考人 経過を申し上げますと、介護保険法案を提出した際には、介護保険を導入することによりまして介護保険料率が九パーミル程度上乗せになるということでございましたが、老人医療費がその分減少することで医療の保険料率が四パーミルぐらい下がる、こういうことで五パーミル程度の増加になる、こういう見通しであったわけでございます。したがいまして、その当時の見通しでは、政管健保におきましてもこの法定上限に達しないだろう、こういうふうな見通しを持ったわけでございます。そういうことで、当時の経済状況を踏まえて、政管以外のほとんどの保険者においても上限の枠内におさまるのではないか、こういう見通しを持ったわけでございます。 ただ、当時の議論からしましても、上限を上回る場合もあり得る、こういう議論がなされた経緯はあったわけでございます。 それで、先生御指摘のとおり、まさに経済が低迷したわけでございまして、当時は保険料率を据え置いても保険料収入はふえるだろうという見通しを持っていたわけでございますけれども、ごく最近では、まさに一人頭でマイナスになるという事態になりまして、残念ながら医療の保険料率を引き下げるということができない状況に立ち至ったわけでございます。 したがいまして、現行の仕組みでは、保険料収入が入らない、この分は保険者の方にいって、医療の分を介護に回さなきゃいかぬというふうな事態になって、医療保険の財政面そのものが非常に厳しくなった、こういうふうなことでございまして、まさに、現実問題、今の仕組みのままでは介護保険も医療保険制度も成り立たないのではないか、こういうことで御提案をさせていただいたということでございます。
○土肥委員 現実問題とおっしゃるけれども、現実はそうかもしれない。だけれども、これは介護保険を導入しようというときに重大な中身だったのです。介護保険をやはり成立させようよ、医療費が削減されて介護に移る、同時にプラスマイナス保険料は上限率以下でやれるという期待があってやったわけです。 だったら、初めから、今回の介護保険を出したときから、事情が変わりましたと。僕に言わせれば、ごめんなさい、今度は医療と介護と分けてやりますと。介護は介護で、これはうまくできておりまして、調整ができるようになっておりますから。医療のこの上限率はこれからも変わっていくわけでして、勝手に超えることは十分あるわけですね。そうすると、医療費を削減するか上限率を上げるかしかないわけでありまして、そうならば、一体医療の全体のあり方はどうするのか、なぜ削減できないのか。年寄りがふえました、当たり前ですよ。だけれども、医療政策としてこの介護保険をはねのけるほど問題があるということでありますから、今後どうするのですか。大臣、どうぞ。
○津島国務大臣 かつて介護保険を審議したときも、委員と御一緒に論戦をいたしました。私は、そのときを振り返って、これははっきり見通しを誤ったと申し上げた方がいい。 あのときの状況は、もう御承知のとおり、銀行が次々と倒産をするような状態の前でございました。ですから、その後いかに我々が苦しみを味わったかということを背景にすれば、こういうことになったことにつき幾らか御理解がいただけると思うのでありますが、介護保険の方はああいう仕組みでございますから、それぞれの地域で給付とサービスを保険者である市町村中心にきちっとやっていただければ、私はうまく運営できると思います。 御叱責の点は重く受けとめて、これからもやっていきたいと思います。
○土肥委員 終わります。
○遠藤委員長 午後零時四十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時四分休憩 ————◇————— 午後零時四十六分開議
○遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。荒井聰君。
○荒井(聰)委員 民主党の荒井聰でございます。 約四年ぶりの厚生委員会であり、四年ぶりの質問で、当時介護保険制度の創設に携わったのですけれども、あのときにした議論が今現状で随分変わってきているな、そんな思いも持っております。 ところで、年金、介護、医療とか、社会福祉全体の抜本的な改革が必要だというのは、午前中土肥委員から話があって、私もそのとおりだと思うのですけれども、しょっちゅう抜本改革、抜本改革と言っているのですけれども、なぜ抜本改革をせざるを得ないのか。それは、私なりの考えでいくと、少子化という現象が非常に大きいと思うのです。社会福祉というのは、働く世代が高齢者を支えていくという側面を強く持っておりますから、その構成比が変わってきてしまった、そのためにさまざまな今まで制度設計していたものの抜本改革が必要になってきたということではないかと思うのですね。 社会福祉関係では高齢化の問題がよく取り上げられるのですけれども、私は、それ以上に大きいのは少子化の問題ではないかと。なぜ少子化という現象が極めて顕著になってしまったのか、またその対策がおくれてしまったのか。 これは、私自身は国会議員の中に女性の議員が非常に少ないということも一つ大きいと思うのですけれども、それ以上に、出生率の算定の仕方、これは厚生省の所管なんですけれども、出生率の算定の仕方がいつでも間違えている。毎年毎年下がっているのに、いつか上がる、いつか上がる、そういう淡い期待を持ちながら、本当に必要な少子化対策に力を入れてこなかったのではないか、そんな気がするのですね。 それからもう一点は、少子化対策の場合には、働く女性の環境を整えてやる、あるいは子供を持った女性のテークケアをしてやるということが非常に大切なんですけれども、これは確かに厚生省だけではできない仕事ですね。政府全体でやらなければならない仕事であります。 最近の政府を見ていますと、今回の行政改革で内閣府をつくって内閣機能を強化する、それは一つの反省から出たものだと思うのですけれども、各省庁が縦割りで仕事をしていて、本当に重要なんだけれども、これはどこどこがやるものだ、あそこがやるものだという、いわば押しつけ合いみたいな形で、本当に重要な政策が総合的になされていない。 これは各省庁でもそうでございまして、例えば厚生省の中でも、福祉関係を総合的に見なければならない、そういう視点が非常に大事なのにもかかわらず、年金局でありますとか保険局でありますとか、それぞれの局が縦割りにやっているために——サービスを受ける個人としては省庁の局単位とは関係ないのですね。同じだけの保険料をそれぞれのところから一遍に取られているわけですから。そういう観点が非常に今政府の中で抜け落ちている。 この問題に関してもさまざまな議論の発端があるのですけれども、大臣は少子化という問題に対してどうお考えなのか、そして少子化対策をどのように、今度労働省と一緒になりますので、さまざまな具体的な施策を打つ環境が整ってくると思うのですけれども、大臣はどのようにお考えなのか、まずお聞きしたいと思います。
○津島国務大臣 少子化の現象が、将来の我が国の社会、ひいては社会保障制度に大きな影を落としていることは御指摘のとおりであります。 ちょうど私が十年前にやっておりましたときに、合計特殊出生率が一・五七だった。これは、それまでに極端に低かったひのえうまの一・五八を下回ったということで、かなり皆さん方の注目を集めたわけですが、そのころの専門家の議論も、委員御指摘のとおり、いずれは戻ってくる、人口問題関係の方はそういうお考えでございました。ところが、戻ってくるどころか、ずっと下がりに下がって一・三のレベルまで来てしまった。これは本当に大きな問題でございますが、ただ、社会保障制度に与える影響は私はこれから出てくるのだろうというふうに思っております。 そういう意味で、例えば二十一世紀の最初の五十年間を考える場合に、これは真剣に取り組まなければならない。そういう認識から、私どもは新エンゼルプランを策定いたしました。先ほど省庁別の壁があるとおっしゃっておりましたけれども、これは厚生省ばかりでなくて大蔵、文部、労働、建設、自治、各大臣と合意した上でつくったものであります。また、来年から労働省と一体となるということで、雇用の場面と一体的に少子化対策を進めていく上で、今までよりもいい環境が生まれると思っております。 現実に、十三年度予算の中で、ファミリー・サポート・センターをつくるとか、女性のライフコースの多様化、子育て支援策のあり方を調査研究するとか、地域における高齢者の多様な社会参加を推進するための総合的な事業等、いろいろございますけれども、子育て支援機能の強化と女性のライフコースの多様化というものについては力を入れて予算要求をやっているところでございます。 ただ、一年度の予算でこれは対応できるわけではございませんで、息の長い対応が必要であると思っております。
○荒井(聰)委員 子供を持っておられない女性にアンケート調査をして、どうして子供を持たないのか、つくらないのか、そういう話を聞きますと、あるいはどんな手当てが一番自分たちに必要なのかというような話をしますと、一番多いのはやはり雇用環境。子供が産まれたら、結婚したら会社をやめてくださいよというような会社がまだまだ中小企業を中心に多いと。そういう雇用環境を、子供を持っていてもちゃんと勤められるような環境につくりかえてほしいというのが圧倒的に一番多いのです。これは労働省の仕事なんでしょう。あるいは通産省の仕事かもしれません。今度、厚生省は労働省と一緒になりますから、この環境を整えるということは極めて大事だと思います。 二番目は、厚生省の所管事業であります保育園の要望です。保育園に対する要望も大変強いです。特に、今、保育園というのは保育園事業で何人以上の保育者がどうのこうのという非常に縛りがありますけれども、マンションの中に働く女性と子育てをしている女性がいて、働く女性が外へ行って働いたときに、子供を預かってくれるところがそのマンションの中にあったらいいんですよね。わざわざ保育園まで連れていかなくて、そのマンションの中で子供を一生懸命育てているお母さんのところにそのお子さんを預けておく。そういうようなことで十分保育園の代替になると私は思うのです。そういうような施策が必要な時代に来たんだろうし、また、それを物すごく強く求めておるというふうに思うのです。 最後に、あったらいいなというのが児童手当ですよ。あるいは児童年金等も何か与党の一部で議論しているみたいですけれども、そういうばらまきのものではなくて、本当に実のなる、彼女たちが一番欲しいものの施策が薄れているような気がいたします。 これは答弁は要らないですから、そういう点で、厚生省もあるいは厚生大臣もぜひ前向きに取り組んでいただければと思います。 ところで、私は、四年前に介護保険制度の創設に携わりました。大変な議論を重ねながら、当時、官房長官が梶山静六さんで、梶山静六さんはこの制度に大反対でありました、あるいは、この制度を税方式で取り入れるべきであって、まだ議論は早過ぎるというような、そういう環境の中で介護保険制度をつくり上げていったわけであります。 午前中の土肥委員の中でも議論がございましたけれども、介護保険制度を導入するときの私たちの大きな説得材料の一つが、高齢者医療を削減できる、特に社会的入院を削減することができて、それゆえに医療保険の赤字の解消ができるんだ、したがって、医療保険の率を上げることはないんだということだったのです。 私は、地域に帰って、介護保険制度をこういう形で導入するんだということを一生懸命説得したときに、なぜ介護保険料を今さら新しく取る必要があるんだという説明のときに、いつも、医療保険を削減することができるから我慢してくれという形で地元で一生懸命説得をしたつもりでおります。 午前中の大臣の答弁では、社会経済情勢が悪化したからという御指摘がありましたけれども、それだけではないのではないでしょうか。高齢者を社会的入院といったような高額の医療制度から介護保険制度へシフトさせるという、その目的あるいは意図というものが十分まだ生かされていないのではないでしょうか。その点どうでしょうか。
○津島国務大臣 介護保険の創設時におきまして、従来、老人保健制度においてカバーされてきた要介護者に対する療養型病床群や老人保健施設等に係る給付が、今度は介護保険によってカバーされることになるのも一つの大きなポイントだと申し上げたのは事実であります。 これは、いろいろなねらいはあったと思うのですけれども、委員先刻御承知のとおり、人の一生を考えてみますと、ほぼ五〇%の方が何らかの時期に要介護状態になる。ということは、夫婦とか家族単位で考えますと、すべての国民にとって今の高齢化社会では避けて通れない課題である。こういう認識でお互いに助け合って介護をしていこうということでできたわけでありますけれども、その結果として、今まで医療機関であわせて介護をやっていたとか、主として介護をやっていたというようなケースがあれば、それは介護保険の世界で賄われることになったわけであります。ですから、構造的に医療保険の保険者の財政状態が好転する要素があることは、今でもそのとおりであります。 しからば、当時言われていたように、なぜ医療費の増大に歯どめがかかったり医療保険の赤字が解消しないのかということについては、この制度を導入したときの経済状況とその後の経済状況と、想像以上に厳しいものがあった、これは否定することができないわけでございます。 今後とも、介護保険制度の安定を図りつつも、医療保険財政が引き続き厳しい財政状況を余儀なくされるということを踏まえて、やはり必要な改革はしていかなければならない、かように私どもは受けとめておるところであります。
○荒井(聰)委員 働く女性がなかなか子供を産まなくなったというのは、社会や政治に対する不信あるいは不安というものも大きな要因です。その不信とか不安とかというのは一体どこから出てくるかというと、政治や政府の言っていることがころころ変わる、あるいは、何年かしてそのときの説明が全く違ってきている、きちっとした説明もないままに変わってきてしまっている、それが大きな不信あるいは不安の材料だと思うのです。 一体、介護保険制度を導入して、社会的入院と言われている状況は改善したのですか、しないのですか。これは厚生省の方から聞かせてください。
○大塚政府参考人 介護保険制度導入の一つの目的に、さまざまな目的がございますけれども、いわゆる社会的入院の解消あるいは減少ということがございました。 当時、社会的入院と言われておりましたのは、介護を主たる要因としながら一般病床に入院をされている方が相当数おられる。その後、御案内のように、療養型病床群という制度が定着をしてまいりましたし、介護保険制度ができました。介護保険制度の中では、介護型の療養型病床群にお引き受けをする。さらには、当然のことではございますけれども、特別養護老人ホームや従来の福祉施設、在宅サービス、こうした点も強化を図られてきておりますので、全体として見ますと、いわゆる社会的入院というふうに指摘をされておりました状況が大きく好転しているというのが私どもの認識でございます。
○荒井(聰)委員 本当に大きく好転しているのですか。私は、大きく好転しているならば、老人医療費はもっと下がってしかるべきだと思うのですけれども、どうでしょうか。
○大塚政府参考人 介護保険制度がスタートいたしまして半年でございます。スタート当初のいわば混乱もございましたので実績はまだ完全に把握しておりませんけれども、大体わかってまいりましたのが約三カ月程度ですね、四、五、六のあたりがようやくわかってまいりました。もうちょっとたちますと整理ができると思っております。そういう時点でございますので、例えば年間を通して見るには少しまだ時間が要りますけれども、当然のことながら、従来の医療保険の方から介護保険の方に移った相当数の経費があるわけでございます。 ただ、私どもが当初見込んでおりましたものとちょっとギャップがございますのは、介護型の療養型病床群の数が当初想定しておりましたよりもかなり少ない、この点が一つございます。それ以外の点は、ただいま申しましたように、施行当初のわずかな期間でございますので、それをもってして全般を判断するには少し時間が早過ぎますけれども、大体の予測に近い形で動いているというのが私どもの認識でございます。
○荒井(聰)委員 局長さん、実際の現場をもう少しお調べになって、本当に社会的入院といったような状況が、あの当時考えていたほど改善しているのかどうか、本当に介護保険に移行しているのかどうか。移行していないならば、それを進めるような対策をぜひとってほしいと思うのですよ。 介護保険制度そのものがスタートして六カ月で、まだまだ知られていない。何で自分たちが保険料を取られるのですかと言ってくるような状況がたくさんあるということで、介護保険制度そのものの認知がされていないところもあるのだと思うのですけれども、しかし、このねらいが何だったのかということを広く市民の皆さんあるいはお医者さんに知ってもらって、そして、医療保険制度を守っていくその一助の介護保険制度をぜひ活用してほしいんだということを、ぜひ強く市町村や関係団体あるいは患者さんの方々に知ってもらうべきだというふうに思うのです。 ところで、介護保険制度を議論したときに、そのほかに福祉関係の産業というか企業というものが介護保険制度によって相当育成されるはずだというふうな見通しを持ちました。このマーケットが全体として数兆円のマーケットになるであろう、その中で民間企業がかなり育ってくるに違いない、そういう見通しを持ちました。 今、経済政策、経済対策で公共事業が極めて大きなウエートを占めていますけれども、その当時、たしか、公共事業を実施するよりもこういう福祉政策、福祉対策をやる方が、直接人件費になる率が高いから景気の回復に即つながる確率が高いというような議論もした覚えがあります。 しかし、実際はどうなのかというと、どうも、ホームヘルパーの賃金が安いのでしょうか、あるいは需要が少ないのでしょうか、幾つかの訪問看護ステーションが倒産したとか倒産の憂き目に今遭っているとか、あるいはケアマネジャーさえも過酷な労働だということでやめたいといったような、つまり、民間企業が育つのと全然逆の方向へ走っているのではないか、そんな思いがするのですけれども、いかがでしょうか。
○大塚政府参考人 地域によりましてさまざまなケースはあろうかと思います。私どもが把握をしておりますのはどうしてもマクロのケースになりますので、その点は御容赦をいただきたいのでございますが、介護保険制度による給付の規模、本人負担も含めまして四兆円程度というのが当面の大体の規模でございますから、爆発的にこれが大きくなる性格のものではないと思っておりますけれども、従来のサービスの状況からいたしますと、在宅サービスでございますが、施行当初で既に二割ぐらいの規模の拡大というようなことが大体見込まれておりまして、実績もそうなっておるわけでございます。 いろいろなケースがございますので、地元から民間企業が撤退したあるいは事業を縮小したというような報道もございますけれども、これも私どもが把握をしておりますデータによりますと、民間事業者の参入は制度施行後も順調にふえておりまして、少なくとも事業者の数という点から見ますと、さらにその増大が進んでいるというような状況でございます。 当然、制度の定着、利用者のなれ、いろいろな問題がございましょうから、直ちに爆発的にということはないにしても、今のところの状況で把握をいたしますと、着実な動きというふうに私どもは判断をしておるわけでございます。
○荒井(聰)委員 大分認識が違うように思うのですね。 私は、厚生省という役所は大変重要な仕事を一生懸命やっていると思うのですけれども、産業政策という観点の視点が非常に抜け落ちているような感じがするのです。 それで、大臣にお伺いしたいのですけれども、一九七〇年代から八〇年代にかけて、アメリカという国は未曾有の不況になりました。ベトナム戦争にも負けて、アメリカは自信を失った時代でもあります。そのとき、アメリカ国内で大きな議論になったのは、日本に負けた産業、鉄鋼でありますとか自動車でありますとか家電ですとか、そういうものをもう一回復活させるか、日本に勝つべく補助金でも注ぎ込んでもう一回復活させようか、それとも、日本がまだ気がついていない新しい産業、バイオテクノロジーとか電気通信でありますとか、そういうところにシフトしようかどうしようか、大変な議論をするんですね。その結果、日本の気がついていない新しい産業をやろうということにシフトしたんです。 しかし、そのときに、伝統的な産業である自動車でありますとか鉄鋼からブルーカラーの人がたくさん出てくる。その人たちの雇用の受け皿がない。さて、どうしようかと考えたときに、そこで出てきた産業論が、福祉政策を産業的な位置づけをしよう。そして、シルバー産業とベビー産業という産業をアメリカの国内の産業政策として位置づけていったんです。 私は、この介護保険制度はそういう意味合いが非常にあると思うんですね。非常にたくさんの、しかも、女性労働者を吸収できるという意味では大変大きな雇用創出効果がある。そういう産業論の観点が厚生省に極めて薄い感じがいたしますので、このあたり、津島厚生大臣はどのようにお考えでしょうか。
○津島国務大臣 アメリカの例をお挙げになりましたが、私も、七〇年から八〇年、主として国際通貨問題に絡んでかなり綿密にアメリカの経済を見てまいりました。 確かに、経済が立ち直るに当たって物すごくサービス部門の雇用がふえている、これは否定できない事実です。そのサービス部門の雇用の中で福祉とか医療がそれなりの役割を果たしたことも否定できないと思います。ですから、私どもが今ミレニアム事業等をやっております中で、高齢者対策を中心として経済対策をしているというのは同じような考え方に立っておるし、それからまた、町づくりにおいても、高齢者が活発に活動できる町づくりをやろうではないかということも言っておるわけであります。 しかし、基本的に、アメリカの経済の回復というのは、福祉、医療の方に雇用がたくさん行ったからだけではない、むしろ、IT技術を活用した新しい産業が出てまいりまして、労働が極めて流動的にこれに対応していったということであろうと思います。 なお、もう一つつけ加えますと、今やアメリカの財政まで黒字になった。黒字どころではなくて、過去の債務を何年かかって全部返すかという段階に来ている。これを分析してみますと、実はあれだけ高い成長になってくるとそういう話になってくるわけでありまして、これは多少我田引水と言われるかもしれないけれども、日本の経済の立て直しを犠牲にしてでも構造改善をやるべしという考え方は、私はアメリカの例に徴しても当たらないものと考えております。
○荒井(聰)委員 私が話しましたのは、当時のアメリカの先端産業である自動車でありますとか鉄鋼でありますとか、そういうものを構造改革すれば、確かに知的な部分、インテリのホワイトカラーの部分は、IT産業でありますとかバイオテクノロジーでありますとかそういうところへ移行できるんです。しかし、ブルーカラーの部分がITのところには移行できないんですね。受け皿にならないんです、なりにくいんです。そういう受け皿になり得る部分が福祉の面ではたくさんありますよという点を指摘したのであって、アメリカの経済論を言っているわけではございません。 ところで、人間の一生において、在宅介護を中心とする介護保険制度というのは、あるいは治療を受けるということについても、病院で治療を受けるよりも在宅で治療を受ける方が、あるいは人間の最終段階も、病院で最終段階を迎えるよりは自宅で、その方がはるかに人間にとっては幸せなのではないか、人間性が生かされるのではないか。そういうことから、在宅介護というものを中心に据えるような、もちろんそれだけでは十分じゃないですから施設介護というものを大々的に取り入れていかなければならないんですけれども、しかし、在宅介護の位置づけというものを極めて高くしていった経緯があったと私は思っています。 しかし、今度の医療保険制度の改正でも、在宅介護と非常に密接な関係のある在宅医療ということに中心を据えよう、そこにシフトさせよう、あるいはそこに重点を置こうといったような点がほとんど見られない、私はそんなふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。 特に、この四月に、在宅総合というものと在宅療養指導というものを今まで併算をしていたらしいのですけれども、それを禁止した。これは在宅医療を一生懸命やっているお医者さんたちにとっては非常にディプレスだ、そういう声が現場から上がっています。非常に専門的で恐縮なんですけれども、在宅医療を一生懸命やるお医者さんたちが在宅介護を先導的に導いてきたという実績があるんだと私は思うのですね。 また、在宅医療というものは人間にとって極めて大事なものだというふうにも私は思いますけれども、しかし、それはお医者さん一人一人の努力によるところが大変大きいのですよ。大量生産といったらおかしいですけれども、病院でたくさんの人を治療していくのとは全然違う意味合いがある。その意味からも、私は、在宅医療をもう少し丁寧にというか大切に扱っていく姿勢が厚生省に必要なような気がします。これによってまた医療費の削減につながっていくのではないかというふうにも私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
○近藤政府参考人 在宅医療の推進ということについては、厚生省も在宅医療を進める方針で取り組んでいることは事実でございますし、今回の診療報酬の改定でも、その大きな柱の一つに在宅医療の推進を掲げているところでございます。 御指摘の寝たきり老人の在宅総合診療料、いわゆる在総診と言われているものでございますけれども、この在総診といいますのは、いわゆる在宅の寝たきり老人にかかりつけ医をつくろうというふうな趣旨で、月二回以上訪問いたしまして総合的な医学管理をするところに一人の老人につき月に一回だけ算定できる、こういうふうなことで創設されたわけでございます。この中には、検査とか投薬とか老人慢性疾患の生活指導といったようなこと、あるいは寝たきり老人の訪問指導管理の費用をいわゆる包括化しているわけでございます。 もう一方の在宅療養指導管理料でございますけれども、これはどちらかといえば積み上げということで、在宅指導をしたときに出てくるということで、包括されていないわけでございます。これは在宅老人の指導管理という面でまさに重複しているわけでございまして、その重複したものについて二重に支給するのはいかがかということで、これまで既にそういう状態はあったわけですが、県によって区々であったようでございます。それをはっきりさせるということで、今回の改正の中でそういう明確な通知を出した、こういう次第でございます。
○荒井(聰)委員 この併算の算入というのは、この三月まで各県ほとんど行われていたというのです。それは、どういうような形で厚生省が指導されていて併算というものが認められたのかわかりませんけれども、突然こういうふうになってくると、在宅医療を行っているお医者さんにとっては、突然出てきた大変なディプレッションだというふうに言わざるを得ないと思うのです。 これだけではなくて、在宅医療とか在宅介護というのは、人が行うというか、そういう気持ちを持っている人たちが行っていく、その人のところが一番大事なんですよ。そういう担い手というものをしっかりつくっていく、あるいはそういう担い手の人に希望を持って前向きに取り組んでもらうということが一番大事なので、在宅医療のお医者さんたち、それ以外にもホームヘルパーさんあるいはケアマネジャー、今ケアマネジャーはケアプランをつくるのに四苦八苦していますよ。こんな安い給料で、これだけ自分の時間を割いてケアプランをつくらなければならないのか、できるならばやめたいと言っているケアマネジャーはたくさんいますよ。 これは、この制度を担っていく人たちに対して厚生省は冷たいというか、そういう配慮がない。そこの配慮がないと、この制度は、幾ら器をつくってもつぶれてしまいますよ。特にケアマネジャーの過重労働というのは大変なものがあるというふうに言われていますけれども、そのあたり、どうお考えですか。
○大塚政府参考人 介護保険制度を運営していく上で、ケアマネジャーという方々が極めて大きなウエートを占める大事な方々であるということについては、私ども全くそのとおりだと思っております。 どういう報酬をお支払いすべきか。これは、もちろんさまざまな角度からの検討が必要でございますが、御案内とは存じますけれども、制度スタート時点におきましては在宅介護支援センターが類似の業務を行っていたということで、その実績を参考に策定をしたわけでございます。要介護三以上であれば、お一人一月一ケースで八千四百円お支払いするというようなことに決めたわけでございますが、特に制度のスタート時点におきましては、ケアマネジャーの方々に大変な御苦労をおかけした。それこそ、日曜祭日もない、連日徹夜というような状況があったというふうに聞いておりまして、この点についての御苦労は、私ども大変評価もいたしますし敬意を表するわけでございますが、おかげさまで業務が少しずつ平準化をしてきておりますので、現場でも随分落ちついたというようなことも聞いております。 一方、ケアマネジャーの抱えるさまざまな悩みあるいは問題意識というものもございましょうから、私ども、そういった方々にお集まり賜って、いろいろ御意見を聞くような機会をつくりました。もちろんその中に報酬という面もございますけれども、かなりのケアマネジャーの方々が異口同音におっしゃいましたのは、新しい業務だから、一人で責任を持ってやるけれども、いろいろ相談をしたりお互いに意見交換をしたり、場合によっては指導を受けたりというようなことがしたいんだけれども、そういう体制ができていない、これが非常に大きな問題であり悩みだというようなことをおっしゃられました。 そういう点も勘案いたしまして、市町村を初めとする公共団体とも連携をとりまして、バックアップ体制をつくろうということで支援会議というようなものも立ち上げました。いろいろな形で、ケアマネジャーが働きやすいようにという努力は私どもも引き続きしてまいりたいと思っております。 ただ、報酬の点につきましては、そういったことで業務がまだまだ落ちついた段階ではございませんので、その推移をしばらく見させていただきたいというふうに考えております。
○荒井(聰)委員 この制度を支えているさまざまな人たちが希望を持って働いて、この制度をよりよくしていく、そういう役割を担っていただけるようなバックアップ体制というのをぜひ充実してもらいたいというふうに思います。 ところで、文部省、来ていますか。最近、大学病院での医療事故が大変多くなっております。大学病院の持っているさまざまな構造的な問題がこの中にあるのではないかというふうに思うわけなんですけれども、これは文部省に聞くよりも、むしろ厚生大臣、聞かせてください。
○福島政務次官 医療事故の問題につきましては、近年非常に頻発をしているわけでございますけれども、必ずしも大学病院だけで頻発をしているわけではないと私どもは思っております。 しかしながら、大学病院は特定機能病院としての指定も同時に受けているわけでございまして、機能の高い病院として、ある意味で日本の医療の到達水準を示すような医療を提供していただく必要があると思っております。 したがって、こうした事故に関して、それを防ぐ体制というものを築き上げていく必要がございますので、特定機能病院の病院長会議を先般も開催いたしまして、安全管理体制の強化等を大臣から直接に要請させていただいたところでございます。
○荒井(聰)委員 私の知り合いで大学病院に入院したいという人がいまして、それで、大学病院のドクターに、私の知り合いでこういう病気なんだけれども、大学病院に入院したいと言うのでぜひあっせんしてくれという話をしましたら、そこのドクターですから、いつでもいいよと。しかし、おれなら大学病院に入院しない、大学病院は危なくて仕方ないんだ、そうおっしゃった。私の大変親しい方で、信頼する方です。 よく考えたらそうなんですよ。いいですか、病院というのは治療行為をしているところですね。ところが、大学病院というのは研究と治療と教育と三つやっているのですよ。一人のドクターが三人分やっているのです。さらにもっと言えば、大学のマネジメントまでやっているのです。そんなスーパーマンはいないですよ。違いますか。だから医療事故が起きるのですよ。もっと大学病院の機能を純化させるべきなんじゃないですか。 私は、大学病院は必要ないんじゃないかと。研修病院なら研修をする病院、研究する施設なら国立大学に附属する研究施設、そういう形に純化する方がはるかにいい大学病院——そうなるともう大学病院と言わないでしょう、大学の研究施設。 これは、私が海外の大使館に駐在をしておりましたとき、一千床の病院を海外で無償援助でつくることになりました。そのとき、慶応大学の産婦人科のある大変高名な先生が来られて、日本から産婦人科医としての技術を移転しようとなさったわけです。海外というのはスリランカという国なんですけれども、その国の医療技術水準を見せてほしいということで各病院を見ていただきました。そうしましたら、その先生がびっくりしまして、自分たちが教える一般的な技術はない、はるかに日本より高い、そうおっしゃったんです。それは当然なんですね。スリランカという国ではお医者さんが非常に少ないですから、一人の医師が一日に何十人もお産を取り上げているのです。 医療技術というのは経験則が大変大きな技術的な裁量を占めると思うのですけれども、その人たちの方がはるかに高い技術を持っているんです、たくさん取り扱っている人の方が。ところが、大学病院は技術的に大変難しい人ばかり診ているわけですよ。そういう難しい治療を教えたって、そんなものは初歩の初歩の人はわからないですよ。それよりも、研修をするならば町医者に行ったり、あるいは僕は海外で研修するのもいいと思うのですよ。それが本来の研修機関であるのではないか。私は、大学というのはもう研究センターに衣がえするべきではないかというぐらいの気持ちを持っていますけれども、文部省、いかがですか。 〔委員長退席、坂井委員長代理着席〕
○清水政府参考人 お答え申し上げます。 大学病院のあり方についてのお尋ねかと思いますけれども、大学の場合には、さまざまな形で、先生御指摘のように教育と同時に研究という部分で、まさに学生に実際上の臨床のさまざまな事例あるいはそういうものから選び取られた知見というものをあわせながら教育を施していく。そういう意味で、基本的に教育と研究と診療の三つを一体として担いながら、我が国の例えば高度医療の中核的な役割を果たしてきたということについても御理解を賜れればと思います。
○荒井(聰)委員 理解していないから質問したんだよね。この話は奥が深いですね。 私は、今の日本の医療制度というのは、実は大学病院の文部省と厚生省とに分かれていて、しかも、根っこのところというか入り口のところ、つまりお医者さんを供給するところ、あるいは薬をつくるところでも医療技術を開発するところでも、厚生省が直接タッチできない、文部省所管になっているところ、先ほど縦割り行政の弊害の話をしましたけれども、そういうところにも大きな要因があるのではないかと。 私がエイズ問題を担当したときに、当時の安部帝京大学副学長さんが、自分の助教授から、先生、これはこういうふうにした方がいいんじゃないですかというサジェスチョンを受けたときに、何を言うか、おれの言うことを聞けないようだったらこの世界で食べさせないようにすると言った有名な話があるんですけれども、そのぐらい大学病院を中心とする人事で縛っていく、あるいは徒弟制度的な古い体質が大学病院を中心にして存在している。そこに今の医療制度の、突っ込んでいくとどうしてもそこに行き当たっていく大きな問題があるような気がしてならないんです。この問題はまたいずれ別の委員会でも、あるいはこの委員会でも結構なんですけれども、議論をしていきたいなというふうに思っております。 ところで、今回の医療法改正でも、情報開示ということが極めて重要になってきていると思います。私は、医療というのはやはり技術だと思うんです。技術でありますから、高い技術をお持ちの方と、そうではない、普通の技術といいますか、普通の治療をするのに特色のあるお医者さんとか、お医者さんの中にはたくさんのいろいろな特殊性があるんだと思うんです。そういうものをもっと情報開示していく、あるいはそれを訴えていく、そういうことが医療レベルを上げていったり医療の多様化ということに対応していける、そんなふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○津島国務大臣 おっしゃるところはそのとおりだと思います。 医療制度を考える場合に、保険のあり方とかいわゆる病診関係、病院、診療所の関係ばかりではなくて、全体をどういうふうにしていくのが日本の国民の健康と医療を守っていく上で一番いいかという議論をしていただかなきゃならない。その議論が、私の率直な感じを言いますと、まだ必ずしも十分に熟していないというふうに思っております。 療養型病床群と一般病床とを分けるという議論のときにもいろいろな賛否両論がございました。それから、アメリカの例を委員はお触れになりましたけれども、アメリカは逆に、昔は病院における専門医ばかり養成して行き過ぎたものだから、今度は保険者と一緒になってかかりつけ医中心の制度にした。今度はそっちでぎくしゃくしている。しかも、保険者がかかりつけの医者をかえれば、そっちへ行かなければならぬというようなことがございます。 いろいろ申し上げましたけれども、医療制度全体がどういうふうにすれば一番よく機能するか、これは医療の現場の皆さん方ともやはり心を合わせて改革をしていかなきゃならないというふうに思っております。
○荒井(聰)委員 行政のスタイルというのは、物が不足していることに対応するようなシステムにつくるか、物が余っていることに対応するようなシステムにつくるかという二つ大きな性格があるんですね。 私は農林水産省に勤務してございましたので、米価がその典型なんですけれども、米価政策というのは、物が足りないので米の価格を上げて少しでもたくさんつくってもらおうということで価格政策をやっていたんですけれども、物が余ってきますと、米価政策の存在していること自体がかえってマイナスの要因になってくるんです。 確かに、戦後五十年間あるいは四十年間、私たちの国の中ではお医者さんは足りなかったんだと思うんですね。少なかったんだと思うんです。今でも辺境の地はそうかもしれません。したがって、お医者さんをたくさんつくっていく、あるいはそのお医者さんたちにいい環境で働いてもらうという政策、対策をずっとやってきたんだろうと思うんです。しかし、その政策、対策が、今お医者さんあるいは病院が過剰なような状況の中でもそのままその路線でいけるのかどうか、いくのかどうか。 米価政策でも、米が余りながら随分それをやりました、ずっと。しかし、結果的には食管制度という制度は廃止せざるを得なくなりました。物が余ったとき、この余ったときの制度というのは大変難しいです。そこに今医療という面も来ているのではないだろうか。医療資源が今過大になった、そういう認識を持つべきなのではないだろうかというふうに思うんですけれども、これは私の見方の間違いでしょうか、どうでしょうか。
○津島国務大臣 そこまでおっしゃると、私もやはりもう少し申し上げなきゃいかぬなと言うのもあれですけれども。 私は、疾病の質が変わってきたから、要る部分とそうでない部分、つまり変化に対応したシステムになっているかどうか、そういうふうに受けとめております。ですから、ある意味からいうと、もう充足している部分もあるでしょうし、あるいは例えば介護のような形で対応した方がいいというのもあるでしょう。しかし、急性期の対応は日進月歩の医療技術を生かして積極的に治療をする。それからまた、遺伝子技術が発達してまいりますと、我々が今想像できないくらいの医療が行われるんじゃないか、一人一人の人を見たカスタムメードの医療になるかもしれないなと言う方がいる。ですから、委員の御指摘に対して、私は、やはり変化をきちっと受けとめて、それに対応できる制度を構築していくために柔軟に対応しなきゃいけない、こういうふうに考えております。
○荒井(聰)委員 今の大臣の御答弁なんですけれども、また時間がありましたらゆっくり議論をしたいなというふうに思うんです。 医療機関の情報開示ということがさまざまな形でキーワードになってくるんじゃないか。実際に、特色ある病院や優秀な病院は自分たちでホームページをつくったりしてどんどん進めていますよ。そういう病院がはやっているし、はやっていると言ったらおかしいですけれども、患者に対して非常に高い満足度を与えている病院ではないだろうか。そういう努力をしている。片一方で広告だとかそういうものを幾ら禁じても、今や、森総理も言っておられますけれども、IT革命といったようなキーワードでどんどん事態は先行しているんですね。 〔坂井委員長代理退席、委員長着席〕 そちらの方を見ながら、例えば、私の大変親しい方がアトピーで悩んでおりました。どこの病院へ行ってもなかなか治らないと悩んでおりましたら、ホームページでアトピーのところを開くんですね。そうすると、アトピーの研究会みたいなところに行き着いて、そこが幾つかの病院を紹介している、この病院はこういう特色があると。そういうことをやったら恐らくこれは医事法違反でしょう。それを、そのアトピーの子供さんを持っているお母さんは大変いい情報を得たと言って、その病院に行くんですね。そのぐらいに事態は進んでいるんです。私は、厚生省はそういうものをむしろ前に進めてやる、そのぐらいの気持ちが必要なのではないだろうか。 だんだん時間がなくなりましたので、そのほかに私が申し上げたいのは、医療制度というのは、医療を供給する医師会、お医者さん、そして、対価を払っているのはだれかというと保険者、保険組合なんですね。ところが、医療制度改革のときには保険組合というのはどこにも顔が出てこない。どこでどうしているんだろうか、ただお金だけ払っている。これは普通の世界では余り見られないですよ。 サービスを受けている代表者で構成されているものはそれに対して主体的にさまざまな形で意見を言うのが、医療制度改革でいつも議論になるのは医師会と厚生省ですね。どうして厚生省なのかわからないんですけれども、医師会と厚生省が議論をして制度を決めている。私は、いわば生産者と消費者に対応するものが議論をしてよりよいものにしていくという形が本来あるべき姿なのではないか。その場合に、保険者の顔が全然見えてこない。 しかし、保険者は自分たちの持っているデータをどんどん公表していく、例えばこの病院ではこういう事故があった、この病院の平均入院日数はこのぐらいだ、あるいはこの病院は薬の支払いが平均単価はこのぐらいだというような情報をどんどん出せば、組合員はその中からよりよい病院を選ぶことができます。あるいは適正な病院は何なのかということが世に広く組合員の中に知れ渡っていく。そういう努力をすることが大切なんじゃないでしょうか。そういうふうにすることが、病院の多様性、お医者さんの多様性でありますとか高い医療技術でありますとか、そういうものをつくっていくことになるんじゃないでしょうか。 どちらでも結構でございます。
○津島国務大臣 後の方を私から御答弁させていただきます。 保険者機能の強化につきましては、各方面からいろいろな御意見が示されておりますが、基本的には、医療保険制度の安定的な運営を図るとともに、被保険者に良質な医療サービスが確保できるようにするにはどうしたらいいかという検討をすべきであろうと思います。 これまで厚生省が出てきている、健保組合より前に出ているというのは、例の政管健保のこともあったものですから、どうしても当事者にならざるを得ないんですね。 これまでも関係審議会等において、保険者機能の強化の具体的な方向として良質な医療サービスの提供のため相談窓口の設置や被保険者、患者への医療情報の提供などが提言されているところであり、今後も、今の御意見も踏まえながら、保険者機能の強化について検討してまいりたいと思います。さっき私が御答弁しましたアメリカの例は、逆に行き過ぎているんですね。その点もやはりどこか頭に置いておかなきゃいけない、かように思っております。 あとの情報公開の方は政務次官からお答えいたします。
○福島政務次官 実際に患者さんが医療機関についてさまざまな情報を得ることができるということは大切なことだと思います。したがって、医療法の改正の中で広告できる事項について一定の規制の緩和を行いまして、その細目につきましては今後の検討で定めることになっておりますけれども、患者さんの医療機関の選択の役に立てるような情報の提供をしてまいりたいと思っております。 一方で大切なことは、客観的な評価をどう行うのかということが非常に大切でして、この点については日本医療機能評価機構というものがございますけれども、この取り組みを推し進めていくということが非常に大切だと思っています。 アトピーの患者さんのお話がございました。 アトピービジネスというような言葉がありますように、今でもさまざまな情報が、マスコミ、週刊誌等もございますけれども、飛び交っておる。その中で何が正しいのかよくわからないというようなことはあるんだろうというふうに私は思っております。この点については、アレルギー疾患対策ということで公立病院を中心としましてネットワークをつくりまして、そういった医療に関しても適切な情報提供というものがなされるように取り組みを進めているところでございます。
○荒井(聰)委員 ITというのは、森総理も大変重点化いたしまして、随分積極的に進めようとされているわけです。私は、これからの世の中は、確かにITによって大きく変わってくる、医療の世界もあるいは介護の世界も大きく変わっていく一つの大きな要素だと思っています。あとは、これを上手に使えるのかどうか、それは私たちの知恵の出しどころなわけでして、あるいは行政がどういうふうにそれを指導していくのかということが大きな要因だというふうに思います。 きょうは、介護保険制度について、それから情報の開示ということについて、あるいは大学病院のあり方について、さまざまな形で御議論させていただきました。また機会がありましたら議論を深めさせていただきたいと思います。きょうはどうもありがとうございます。
○遠藤委員長 次に、樋高剛君。
○樋高委員 自由党の樋高剛でございます。 きょうは発言の機会を賜りまして、まことにありがとうございました。委員の皆様方、そして関係各位の皆様方に心から感謝を申し上げる次第でございます。 そもそも、考えてみますれば、厚生委員会の役割というものは大変に重いものがある、重要なものではないかと考える次第であります。けさからずっと議論を聞いておりまして、厚生行政と申しますれば、医療、介護、年金から始まって、福祉、社会保障、少子化対策、高齢化対策、食料品、医薬品、飲食店など、まだまだ数え上げれば切りがないのでありますけれども、すべて我々の生活に密着したテーマについて議論いたしますこの委員会が、社会において、日本国家にとって、本当に重要な委員会であるということを改めて私はきょう痛感をした次第であります。 そういった中で、厚生行政の最高執行責任者であります津島厚生大臣、そして福島総括政務次官、そして委員長におかれましては、大変な御苦労がおありだと思いますけれども、どうか——けさ方から改革、改革ということで、大臣の答弁の中にも、本音の部分では本当は改革をしなくてはならないことはわかっているんだけれども、内心じくじたるものがあると。その気持ちもよくわかります。 しかし、与党、野党云々という話ではなくて、現実の中で我々生活者が、国民が、市民が本当に困っているわけでありますから、我々は本当に真剣になって、政治がリーダーシップをとって厚生行政を何とかリードして、ひいては厚生省が本当に国民からの信頼を得るに足るぐらい我々政治がリードしていかなくてはいけないんじゃないか、大変生意気でございますけれども、そう思った次第であります。 それでは、きょうは医療保険制度改革関連法案ということで、議題に入らせていただきます。 まず、経済戦略会議、政府のもとで昨年来議論なさってきたやに伺っております。全部で二百三十四項目あるそうでございまして、そのうちの三十五項目が社会保障制度について書かれているというふうに伺っております。このことにつきまして、経済戦略会議の答申があったと思いますけれども、政府部内で、各省庁さんで分かれていろいろ議論なさったと伺っております。特にこの三十五項目は厚生行政に関係する社会保障が中心でありますけれども、これについて政府内での検討状況はいかがになりましたでしょうか、お答え願います。よろしくお願いします。
○福島政務次官 ただいま先生から御指摘のありました経済戦略会議の答申のことでございますけれども、これは昨年の二月に答申が取りまとめられましたが、その後各省庁と政策対話というものを行いまして、それを踏まえた見解が昨年の十二月に示されたところでございます。 その際、社会保障分野の制度改革、これは基礎年金の税方式化移行とか報酬比例年金の民営化とかさまざまな項目がございますけれども、経済戦略会議と政府の間の意見の隔たりが大きく、国民的な議論の場を設ける必要があるというふうに指摘をされております。 こうした経緯を踏まえて、社会保障につきましては、昨日おおむね議論の取りまとめに至った、社会保障構造の在り方について考える有識者会議というものが設置をされ、本年の一月以来、幅広い議論が行われたところでございます。 社会保障の改革の方向性また基本理念についてはさまざまな意見がございました。国民的な議論が必要でございますけれども、この有識者会議の議論というものを踏まえ、できる限り国民に骨太の選択肢というものをお示しし、そして選択をしていただきながら、今後の社会保障制度の改革を進めていかなければならない、そのように考えております。
○樋高委員 今私の手元に資料がございまして、全部で二百三十四項目、それぞれA、B、Cでランク分けをなさったそうであります。平成十一年六月四日付の「各種提言に対する政府の検討結果」ということで出ております。そのうちの三十五項目、社会保障制度を見ますと、A、B、Cのランク分けにつきまして、Aは「実現する方向で検討するもの」、Bは「内容について、よく検討した上で結論を出すもの」、Cは「実現のためには、乗り越える問題が多いと考えているもの」ということでありまして、ざっと見ましても、特に社会保障関係、厚生行政関係につきましてはCが大変多いと私考えるわけであります。 けさの新聞によりますれば、有識者会議の結論も出た、そして一両日中に答申があるという話も伺っておりますけれども、どんなに議論を尽くしてもそれが取り入れられないのであれば意味がないのじゃないかと私は思うわけであります。経済戦略会議につきましても、本当にさまざまな委員の先生方が大変な労力を割いて提案をまとめられた。そして、今回もきっと有識者会議では皆様方からの御意見を集めて、英知を結集した結果であると思うのですけれども、それがきちっと取り入れられないのであれば意味がないのじゃないか。 うがった見方をしますれば、そもそも先に結論があって、その結論の中で理屈として合うものだけ残す。そもそも自分の考えに合うものだけを取り入れて、そうでないものを、ここにありますようにCにランク分けをしてしまって、結局、実現困難な状況にしてしまう。そういうことがあったのでは、いつまでたっても議論が行われていて、本当に生かされないということになってしまうのではないかと思うのでありますが、いかがお考えでしょうか。
○津島国務大臣 樋高委員の御指摘は共感できるものが多いと思います。 経済戦略会議の場合、これはどういう経緯でそうなったかわかりませんけれども、結果としては、ほとんど全部が実現不可能というようなことになりました。そういうことを繰り返していると、御指摘のとおり、これは何かの隠れみのでないかなんて言われたりする。 今回、社会保障構造の在り方について考える有識者会議を改めて総理のもとに招集して御議論いただいた結果、一両日中に出ますが、最終版をまだ見ておりませんけれども、私は、随分と画期的なものがあるというふうに考えております。 その一つは、これから高齢化がどんどん進んでいく中で、社会保険制度を柱にした社会保障制度は大事であるけれども、高齢化のスピードが余りに速いときに保険だけで対応するのは難しいであろう、その場合には公費の投入を考えなければならないということが示唆されておるのではないか。その次に、しかし、そうであるとすれば、どのような財源によってこれを賄うかの国民的な合意が必要ですよ、その合意を目指すためには税制も含めて広範な議論をしてもらいたい、こういうふうに私は受けとめております。 この報告がいただけた場合に、私どもは、政府と与党の間でこれをどのようにフォローアップするか検討する舞台をつくって、真剣にそのフォローをしてまいりたい。そして、毎度申し上げておりますように、とにかく平成十四年には医療については抜本改革と言われるに値するものを世に問いたい、かように思っておるところであります。
○樋高委員 あすにでも有識者会議の結論が出てくるということでありますけれども、要は、それを今後どういったスケジュールで、例えばそれを具体的に精査して、いつごろ、例えば来春までにどこまで詰める、具体的な法律の条文にする等々考えていらっしゃるのか、具体的なお話を伺わせていただけませんか。
○津島国務大臣 今の答弁で既に申し上げましたけれども、報告書が出てからでありますけれども、これをしっかりとフォローする。政府と与党両方一緒にやるか別にやるかはこれから議論してみますけれども、そういう舞台を設け、平成十四年度には抜本改革と言われるに値するものを世に問いたい、かように思っております。
○樋高委員 平成十四年の話はわかっていたのです、それまでの段取りについて具体的にちょっとお聞きしたかったのですが、結構でございます。 けさからも議論していますとおり、医療改革の基本的姿勢につきましては、そもそも平成九年の前回改正のときに、サラリーマン本人の患者負担を一割から二割に倍額いたしました。そして、外来患者の薬剤費負担、いわゆる薬の負担を創設いたしまして負担増を行いました。そして、御案内のとおり、けさから議論になっておりますけれども、平成十二年、本年、抜本改革をする約束をいたしていたわけであります。 今回の改革が、言葉では改革と言われておりますけれども、本格的な抜本改革でないことは附則で明言しております。そういう理解でよろしゅうございますでしょうか。
○津島国務大臣 抜本改革の第一歩となるべきものであるということであります。
○樋高委員 第一歩ということであればまことに結構なことではないかと思っておりますけれども、第一歩で終わってはいけないわけでありまして、それが連動して、お互いの相乗効果をもって、第二歩、第三歩といかなくてはいけないのではないかと思っております。 けさ方、釘宮先生からもお話がありましたけれども、繰り返しになりますけれども、ここに平成十二年二月三日、医療保険福祉審議会の答申書があります。この中には、「かねてより医療保険制度の抜本改革を平成十二年度に実施することとされてきたにもかかわらず、」云々と書かれてあります。 そもそも、三年前の一九九七年から二〇〇〇年の間の三年間、一体何を議論してきたのか。今さら蒸し返してもしようがないという話もありますけれども、やはり反省の上に立って今後改革のビジョンを具体的に示していかなくてはいけないわけであります。今まで三年間何をやっていたのか、旧来の発想による問題先送りが行われてきたのであれば大変な問題であると思うわけであります。 そもそもどういう問題意識を持って、診療報酬、医療供給体制、薬価制度のあり方、そして高齢者医療のあり方などについてどのような議論を尽くしてきたのか、具体的にお聞かせ願えれば幸いです。
○福島政務次官 抜本改革には四つの柱があるわけでございます。一つは薬価制度、二つ目は医療提供体制、三つ目が診療報酬のあり方、そして四つ目が高齢者の医療制度だと思います。 まず、薬価制度につきましては、本年の診療報酬の改定におきましてR幅を二%にするということで、これは、流通コスト、在庫の管理とかのコストもございますけれども、ほとんど薬価差を解消するという目的が実現をするレベルになったというふうに私は思っております。 さらに、新薬等の薬価をどうやって決めるのか、先発品、後発品をどう決めるのか、このあたりはまだなかなか難しいところがございますけれども、それにつきましても、この十月には新たな薬価の算定の仕組みをつくるための組織が設置をされました。検討は着実に進んでおります。十四年から、新しい制度といいますか仕組みのもとで運営されることになっている。 医療提供体制につきましては、この国会に提出をさせていただきました医療法等の改正の中で、病床の区分というものが大きく変わったわけでございます。一般病床、療養病床ということでございますけれども、もちろん、これに対応した形での診療報酬における見直しということもございます。これは大変大きな変化であったというふうに思いますし、活用されていない、利用されていない病床についての行政からの働きかけにつきましても、一定の法的な権限というものが与えられるに至っている。 そしてさらに、医師の臨床研修、これが法律で定められるようになったというのは、これは戦後五十年の中で初めてのことでございます。これも大変大きな前進だというふうに私は思っております。 診療報酬に関しましては、包括化、定額化というようなことがさまざまな形で指摘をされていたわけでございますけれども、ここにつきましても、本年の診療報酬の改定の中で包括化が大きく前進をしているというふうに考えております。 そして、高齢者の医療につきましては、先ほども大臣からお話ございましたが、抜本改革の第一歩であると。それは、定率負担というものが新たに盛り込まれたわけでございまして、これもさまざまな議論がございましたけれども、ここにたどり着いている。 一つ一つを取り上げてみますと、かつて抜本改革ということで御提言をいただきました項目について、一〇〇%ではないかもしれません、しかしながら、それぞれ大変大きな前進をしているということは間違いがないと私は思っております。
○樋高委員 では、抜本的な改革を行うための検討を行い、結果に基づき所要の措置が講ぜられるスケジュールについて、平成十四年度に改革を先延ばしすることをなぜ附則に明記をしないのかというのが疑問なのでありますが、いかがでしょうか。
○福島政務次官 附則の書きぶりが十分でないという御指摘かなというふうに私は思いますけれども、いずれにしましても、高齢者医療制度をどうするのかということが大変大きな課題でございます。 それは、先ほどから大臣が御答弁を申し上げておりますように、十四年度から実施できるように取り組んでいる。これは有識者会議で、社会保障制度の骨格は社会保険でこれを維持していく、しかしながら、社会保険で維持していく場合に、二十一世紀に高齢化がさらに進んでいく中では一定の公費というものが必要になる、そしてまた、高齢者の方にも若年世代との比較で公平な負担が必要である、それが一つの柱だと思います。 そういうものを踏まえた上でどういう制度にしていくかということは、先ほどから大臣が御説明いたしておりますけれども、政府のみでいくか、また政府と与党と一緒でいくか、これはいろいろな考え方があろうと思いますけれども、一定の検討をする機関を設けて検討を進めていくということは間違いがないわけでございます。 スケジュールとしては、十四年という目標を示しておりますので、それほど先送りすることはできない日程であろうと思いますし、私どもも全力で取り組んでまいる決意でございます。
○樋高委員 十二年度に、本年抜本改革をすると附則に、あれは参議院の修正で最後に入ったやに伺っておりますけれども、そもそも附則で明記されていても改革が先送りになるという状況でありますから、今回、やる、やると言って、もちろん信じておりますけれども、文言で書かないということ自体が——やると言うのであれば、堂々と追加修正をして文言を入れればいいんじゃないかと思うわけなんですが、いかがでしょうか。
○津島国務大臣 これは立法の話でございますから、立法府としてどのように考えられるかということが基本でありますが、私どもは、私の責任において、先ほどから平成十四年度に抜本改革に値するものを示すことを明確に申し上げている。それは、政府の責任者として私は申し上げておるわけでありますから、あとは立法府でどういうふうに御判断になるか、これはまた立法府の御判断があってしかるべきだと思います。
○樋高委員 待ったなしである、必ずやる、それはもう言葉では聞き飽きたわけでありまして、本当にやるのかどうか、私は信じられないわけであります。 そもそも十二年度でやると書いてあるにもかかわらずやっていない。今回書かないということは、当然、本音の部分で本当にやる気がないんじゃないかと思うわけであります。本気でやる気があるのならば十四年度という文言をきちっと書くべきじゃないか、追加修正すべきじゃないかと思うわけですが、大臣、もう一度御答弁を、お考えをお願いします。 〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
○津島国務大臣 委員はこれまでの当院における御議論をどのぐらいの期間フォローしてこられたか私は子細にはわかりませんが、私は十年間ほとんどこのことにかかり切りでやっておりました。ですから、皆様方の御質問に対して、十二年というその約束を守れない結果になったことはまことに内心じくじたるものがあるとまで素直に申し上げておるわけであります。 そして、このことの重み、難しさというのは、皆さん方政治家としておわかりだと思うんですね。膨大な財源が要るときに、それをどうするかという国民的な合意がなければそれはできないわけであります。だから、我々はこれから国民合意の形成に向けて努力をすることが先決である、こういうふうに申し上げておるわけであります。
○樋高委員 冒頭申し上げましたとおり、政治がリーダーシップをとって本当に国民の信頼を得る、この基本的な大前提を忘れては政治家として存在意義がないんじゃないかと私は思うわけであります。 いつまでたってもこのままでは、ただでさえ、今厚生行政については本当に不信感がますます増大の一途をたどっているわけでありますけれども、国民の意図する方向と全く逆方向に進んでしまっている、国民のための厚生行政ではなくて、厚生行政のための国民になってしまっているような気がしてならないわけであります。 ここで、もう時間もございませんので、お時間をちょっとちょうだいいたしまして、私なりの考え方をお話しさせていただきます。 そもそも基礎的社会保障を確固たるものにすることは、二十一世紀の日本社会を構築する基礎であると考えているわけであります。現在、歴史上かつてない速さで少子高齢化、人口構造の変化が進んでおります。そればかりでなく、現在の社会保障制度を支えていた雇用、経済構造も激変している中で、社会保障の基盤が危機に瀕していることはだれの目から見ても明らかであります。 国民年金における未納者、滞納者、免除者は増加し、介護保険においては、今月からはお年寄りからの保険料徴収が、皆様方御案内のとおり開始されております。ここにおいて大きな混乱や苦情が発生しておりまして、自治体によっては保険料を一部免除する動きがございます。 したがいまして、ある自治体によりますと、おじいちゃんとおばあちゃんがそれぞれ道路一本隔てて近所づき合いをしている中で、道路の反対側は免除されているけれども道路の反対側はしっかりと徴収されている、そういう現状が今全国各地で起こっておりまして、大変な混乱を来していると伺っております。 今回の半額徴収開始においてさえ国民からの苦情が殺到している姿を見ておりますと、今からちょうど一年後、今の倍額を徴収されるということについて、果たしてどのぐらい国民の皆様方が理解をなさっていらっしゃるのか。私が選挙区を歩いて支援者の方々とお話をしておりますと、ほとんどの方が存じ上げないということが現状であります。 政府は、現行の社会保障制度の維持のみに主眼を置いて、見直しのたびに給付水準を引き下げ、負担を引き上げる手法しかとろうとしていない。一体いつまでこの場当たり的な継ぎはぎが繰り返されるのか。このままでは給付は限りなく抑制されまして、負担のみが増大していかざるを得ないと思うわけであります。制度はどんどん複雑になります。まさに社会保険あって社会保障なしであります。 現在、社会を支えている世代の人々は人口構造の急激な変化に対して戸惑い、保険料の負担が増加する一方、それに見合った給付が将来受けられないのではないかと危惧をいたしていると思うわけであります。一方、現在給付を受けている方は、その水準を引き下げられるのではないか、いざとなったときに質の高い医療を今後も受けることが本当にできるのかどうか、不安の中で過ごしているわけであります。このような社会保障制度への不信が人生の将来設計を直撃しております。先行き不安、消費低迷の大きな原因となっていると認識をいたしております。 大切なことは、社会保障のビジョンを明確に示して、社会を担う現役世代の人々の保険料負担が累増する懸念を払拭することであり、加えて、お年寄りの給付水準引き下げへの心配を取り除くことにより、国民全体の安心と安定を確保して、人生設計を描きやすくすることではないかと思う次第であります。 しかしながら、また繰り返しになりますけれども、政府は、抜本的改革に向けて腰を上げようとしているのか、それとも、その場しのぎのみを考えて見て見ぬふりをして腰を据えたままでいるつもりなのか、今日まで全く見えてこないわけであります。本気でやるならやる、本音の話で、できないならできないと、国民にはっきりと説明すべきだ。本気で改革するつもりがないならば、ありませんと言った方がむしろ信頼されるのではないかと私は思うわけであります。政府みずからが社会保障の体系と将来ビジョンを明確に提示して、リーダーシップを持って改革を引っ張っていくべきであると考える次第であります。 社会保障の改革のあり方について、前回の質問でもお伺いをいたしましたけれども、改めてお伺いをいたします。現時点で課題になっております社会保障全般につきまして、そもそも何が課題となっているとお考えか、そしていかなる抜本改革策を考えていらっしゃるか、改めてお伺いをさせていただきます。
○津島国務大臣 長い文章の中で、委員の思いのたけは拝聴いたしました。 委員は恐らく御理解いただいていると思うのですけれども、これから高齢化社会になってまいりまして、例えば二十年、二十五年先まで耐えられる制度を構築するのに恐らく大変な財源が要る。そして、私どもに対して、公費をもっと入れることによって保険を守っていくべきだという有力な御意見もあるわけであります。私は、こういう話をちゃんとやりたいのです。約束する、しないではない。 その立場から申しますと、御党は、必要になる社会保障の財源を税方式とおっしゃっている。税方式でやった場合にどうなるか、一遍計算してみてください。恐らく世界に類例を見ない消費税が必要になるでしょう。私の答弁であります。
○樋高委員 前回質問をさせていただきましたときの繰り返しになりますけれども、高齢者医療、介護、基礎年金の全額をいわゆる福祉目的税で賄うということではなくて、そこの判断は、全体の現行の消費税を考えた中で、実態としてどうしたらいいかということを考えているだけでございます。 いずれにいたしましても、時間でございますので、先ほどの話になりますけれども、もう一度大臣にお伺いしますが、十四年度で抜本改革をする、十四年度という文言を追加修正するお気持ちは全くございませんでしょうか。
○津島国務大臣 男に二言はございません。そして、先ほど最後に委員が言われたようなお話ならば、十分かみ合った議論ができるなと私は思わせていただきました。
○樋高委員 恐れ入ります。どうもありがとうございます。 最後の質問にさせていただきます。 そもそも、あらゆる改革、この医療保険制度の改革も含めてでありますけれども、改革をするには本当に信念と強い意思が必要なのではないかと思う次第であります。真の二十一世紀の社会づくりを目指して、この医療保険制度だけではなくて、ほかにもさまざまな構造改革をやらなくてはいけない。特にこの社会保障制度改革は、前回の質問にもありましたとおり、経済構造改革、もしくは教育の部分ですとかさまざまリンクをさせて、お互いに相乗効果をし、効果的な構造改革をしていかなくてはならないというふうに考えておりますけれども、構造改革そのものにつきまして、社会保障制度が中心になりますけれども、大臣の御意思をお聞きいたしまして、質問を終わらせていただきます。
○津島国務大臣 構造改革は全般にわたって取り組まなければなりませんが、わけても、医療制度におきましては高齢者医療制度、年金におきましては基礎年金をどうするか、この辺のところから私どもは真剣な議論をしていかなければならない。そうすることによって将来の全体像が開けていくのではないか、かように私は思っております。
○樋高委員 どうもありがとうございました。
○鈴木(俊)委員長代理 次に、黄川田徹君。
○黄川田委員 自由党の黄川田徹であります。 新人議員でありますので、国民にわかりやすく、簡潔明瞭な御答弁をよろしくお願い申し上げます。そしてまた、各委員と重複するところがあれば、私の質問ということで御理解をいただきたいと思います。 私の地元の岩手県は、高齢化が進み、平成十年度の数字でありますが、六十五歳以上の人口比率は、全国平均一六・三%に比べ二〇・一%と高くなっております。岩手に限らず、地方の悩みを十二分に理解されておられる厚生大臣も御承知のとおり、全国で高齢化が進んでおり、高齢者に対する保健、医療、福祉、介護の連携が重要になってきております。医療分野につきましては、今回の健康保険法の改正において、老人について月額上限つきの定率一割負担制が導入されるなど、介護保険との調整が図られようとしております。 また一方、介護保険制度は、導入後間もないこともありますが、多くの問題が生じており、心配どおり準備不足の感が否めない現状にあります。また、利用料の一割負担がもったいないなど、認定どおりの介護を拒む要介護者が多数出ていると言われております。さらには、最近の東京都の調査によりますと、在宅サービスの平均利用率が五〇%にすぎないとのことであります。今まで福祉で無料でサービスを受けられていたものが、介護保険になってからなぜ保険料を取られた上に一割の利用料を負担せねばならぬのかと、高齢者の方々は疑問を持ち始めております。 我が自由党は、年金、医療、介護など基本的な社会システムの確立を最重点課題としてとらえ、消費税を社会保障の基礎的分野にのみ当てはめることにより安定した社会保障制度を確立し、高齢者も生きがいを持って生活できる社会を築くことを目指しております。 そこで、厚生大臣にお伺いいたします。 銀行や企業の救済に多額の税金を投入することより、国民的課題である高齢者対策に国費を投じることが景気対策に貢献することにならないでしょうか。国民は老後が不安で消費を抑制せざるを得ないのであります。また、スタート直後とはいえ、市町村が直接保険料を徴収する普通徴収について、多くの自治体が徴収不足の不安を持っていると報道されているなど、さまざまな問題点が露出しており、現行制度が長続きしないのはこれまた自明の理であります。 そこで、税方式で均等かつ迅速に徴収し、介護保険で認定されたら、その支給額は全額現金給付を行うよう見直すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○福島政務次官 ただいま先生からさまざまな御指摘がございました。介護保険制度がスタートいたしましてから、まだ半年でございます。これからこの制度の定着に向けて私どもはさまざまな対応を着実に行っていく必要があると思っております。 先生御指摘の税方式にしてはどうかということ、そしてまた要介護認定を受けた場合に現金給付をしてはどうか、この二つが御提案の柱であると私は思います。 税方式に関しましては、これは介護保険法案の審議におきましてもさまざまな議論が行われました。その中で、将来的に介護給付が伸びていった場合に、これは高齢者の数がふえますので必ず増加していく、そのときに、税方式にするということは、直ちにその財源を確保するための対策を講じなければいけない。それが十分に国民に御理解いただけるのか、そして国会においてお認めいただけるのか、お認めいただけない場合には給付水準そのものを下げざるを得ないというようなことが生じるのではないか、そのような議論もございました。 そしてまた、現金給付というものはどうかということでございますけれども、現金給付というものは、現状の日本の社会におきまして、まだまだ現物給付としての介護サービスの提供体制が十分ではないのではないか、そのような中で現金を給付するということは、かえって介護サービスを拡充するためにはマイナスの影響があるのではないか、そのような議論もあったわけでございます。 いずれにしましても、この制度がスタートいたしまして、保険という制度を堅持していく、そしてそれによって適切な介護サービスの水準というものが保障される、そういう制度として私どもは今後とも育てていく必要があるというふうに考えております。
○黄川田委員 これまでの制度では超高齢社会を支え切れないと私は思うわけであります。 次に、少子高齢化が進む中、社会保障制度において社会保険方式あるいは税方式のいずれを採用しても、制度改革は給付の削減と負担の増加という国民の痛みを伴うことは避けられないと思います。特に、税方式の採用は消費税の増税のイメージが強く、保険料引き上げに比べれば国民の目先の反発は大きいかもしれません。しかしながら、今求められているのは、国民の目先の不興を恐れず問題を先送りしない骨太の政策であります。 社会保障のあり方については、政府の社会保障有識者会議でも議論され報告書も提出されたところでありますが、長期的な視野からの具体案を練り上げ、国民に提示することにより、給付の削減と負担の増加に国民の納得が得られるものと思います。長い時間軸に沿ったしっかりとした政策提案がなされれば、国民は家計の長期的な見通しを立てることができ、安心して消費をふやすことは間違いないはずであります。 また、健康保険法、医療法等は過去何回も細かい改正がなされ、全体像を国民一人一人が容易に理解しにくくなっており、もっとわかりやすい提示が求められると私は思っております。 そこで、以上について厚生大臣の所見をお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○津島国務大臣 社会保障が国民生活のセーフティーネットとして非常に重要なものである、したがって、これが国民に信頼され将来にわたって安定的、効率的に運営されるかどうか、それが国民の安心につながるものだ、それはお説のとおりだと思います。 しからば、問題はどのようにしてそれを達成するかということなんですが、毎度申し上げて申しわけないんだが、委員は税方式と一言で申し上げますが、これは私からお伺いしていいでしょうか、その税というのは国税なんでしょうか、地方税なんでしょうか。そして、その場合に、その税収と介護なり医療のサービスとどのようにつながるんでしょうか。それを伺ってから御答弁させていただきます。
○黄川田委員 私は地方行政にいた者でありまして、税に関しては国が三分の二持っていき、仕事は地方が三分の二やる、そういうふうな仕組みに現在なっておるようであります。そして、今、保険、医療、福祉の税について国税なのか地方税なのかという話でありますが、正直申し上げまして、私は、それを地方税にするかあるいは国税にするか、具体をどうするかというところはまだ勉強中であります。しかしながら、私自身からいえば、ちょっとこの話から離れるかもしれませんが、地方分権の流れの中で、国税と地方税の関係、そして保険、医療、福祉、この最先端でやるものがどこなのか、そういう部分も少しく議論したいと私は思っております。
○津島国務大臣 大変率直に、これからさらに詰めていきたいというお話でありますから、委員とのこれからの議論を楽しみにしておきたいと思います。 委員御指摘のとおり、やはり国民にわかりやすい選択を求める必要がある。その場合に、給付を国民の希望のそれこそ一二〇%にした場合にどうなるかという姿、それから、今程度以上の負担は抵抗が強いから、その程度でいくとすれば将来の高齢社会で給付はこうなるでしょうという姿、まずその二つは我々は最小限頭に置いておかなきゃいかぬと思うのですね。その中で、制度を改革しながらできるだけ効率的で国民に喜ばれる姿にしながらも、その財源を社会保険と税とで分かち合っていくべきだ。今後の委員との議論の出発点として、きょうはそれだけ申し上げておきたいと思います。
○黄川田委員 医療保険制度の抜本改革は、薬価制度の見直しにせよ、診療報酬体系の見直しにせよ、新しい高齢者医療制度の創設にせよ、多くの国民のために行われるべきであります。そこで、平成十四年度に抜本改革ができなければ、健保の崩壊は確実で、支払い不能も起きると私は心配しているものであります。 改めて、厚生大臣に抜本改革の覚悟についてお尋ねいたします。
○津島国務大臣 高齢化が急速に進展するに伴いまして、老人医療費は急増してまいります。政管健保あるいは組合健保、それぞれ医療保険者の財政状態は大変厳しいものとなっております。それから、委員は国保がどういうことになっているかもよく御存じだろうと思います。 このような中で、今後とも国民皆保険を維持し、国民が安心して良質な医療が受けられるよう医療保険制度を抜本的に見直すということは、私はもう待ったなしになっていると思います。そのような意味で、十四年度に抜本改革を本当にやる決意があるのかという御質問でございますが、先ほどから毎度お答えしているとおり、やらなければならないというふうに考えております。
○黄川田委員 国民に痛みを分かち合っていただくわけでありますので、強い信念を持ってお取り組みいただきたいと思います。 それでは次に、健康保険にせよ、介護保険にせよ、制度が改正される都度、地方行政の最前線の方々は大変な苦労を強いられております。特に最前線の指揮官である首長はなおさらであります。 このような地方行政への配慮を望みつつ、ここで少し話題を変えまして、僻地を含む地域医療行政に関してどのような基本認識をお持ちか、政務次官にお尋ねいたします。
○福島政務次官 地域における医療提供体制の充実というものは、住民が安心して生活できるためには大変重要なファクターでございます。厚生省としましては、地域の実情に応じて、その充実に努力している都道府県または市町村に対し、僻地医療、救急医療など政策的に充実を図るべき医療につきまして支援を今まで行ってきております。 僻地における医療の確保につきましては、昭和三十一年度以来八次にわたりまして、僻地保健医療計画の策定とこれに基づく各種施策の実施などによりまして、僻地で暮らす人々が適切な医療を受けることができるよう、医師等の確保、医療施設の充実などを推進してきたところでございます。 まだまだであるという先生の御指摘があろうかと私は思っております。今後とも、僻地医療、救急医療を初めとして、地域医療の充実に努めてまいりたいと思っております。
○黄川田委員 これまでの僻地保健医療計画にあっては、医師のない地区に医師を供給する施策を中心とした上で、僻地中核病院に加えて、僻地医療支援病院が創設されてきたところでありますが、しかしながら、整備された支援病院の数は少なく、代診する医師の派遣数も伸び悩んでおります。このことは二次医療圏単位の僻地医療体制の限界を示すもので、より広域的な都道府県単位の僻地医療対策が必要になっていると私は考えております。 我が岩手県も、医師の過疎化が進み、人口十万人当たりの医師数は百五十九・七人と、全国平均の百八十七・三人を大きく下回っております。しかも、盛岡市を主とする中央部に集中しており、山間部あるいは沿岸部は極度に不足しております。それが現状であります。全国的に見れば医師は過剰との統計数字が出てくるわけでありますが、医師は偏在しておるのであります。このように岩手県の例に見るごとく、過疎地において医師の不足によって保健医療行政はいろいろな支障を来しております。 そこで、これから地域医療行政の根幹をなす僻地医療問題を幾つかお尋ねいたしたいと思います。 それではまず、基本的問題について健康政策局長にお尋ねいたします。 僻地中核病院、僻地診療所、僻地医療支援病院などは、相互にどのように連携し、おのおのの役割はうまく機能してきているのでしょうか。特に平成十二年度に終わる第八次僻地保健医療計画までに達成された成果、そしてまた未達成の課題はどのようなものか、お伺いいたします。
○伊藤政府参考人 僻地医療につきましては、昭和三十一年から五カ年ごとに、これまで八次にわたる計画を推進してきたところでございます。 そこで、これまでの施策につきまして申し上げますと、まず、二次医療圏を単位といたしまして、地理的要因などにより住民が医療機関を容易に利用できない無医地区などの解消を目的としてやってきたわけでございまして、一つは、施設整備や運営費に対する財政支援を通じまして僻地診療所の整備を行ってまいりました。二点目といたしまして、僻地診療所に対する支援として、医師等の派遣、診療所の未整備地域に対して巡回診療等を実施する僻地中核病院の整備を行ってまいりました。それから三点目といたしまして、僻地中核病院を補完する担い手といたしまして、僻地診療所の医師の出張等による空白期間を解消するための代替医師等の派遣を行う僻地医療支援病院の整備等を行ってきたところでございます。 平成十年度末の状況を申し上げますと、僻地診療所につきましては千百十一カ所、僻地中核病院につきましては百五十カ所、僻地医療支援病院につきましては三十二カ所整備してございまして、こうした諸施策の推進によりまして、昭和四十一年の第一回調査時に二千九百二十カ所の無医地区があったわけでございますが、平成十一年におきましては、現在精査中ではございますが、約九百カ所程度に減少してきているものと考えております。 しかしながら、従来の二次医療圏を単位といたしましたこれらの対策では、二次医療圏内の医療過疎地域の需要には対応できない地域もあることから、必ずしも従来の支援体制が効率的に機能していないのではないかという認識もしておりまして、今回、僻地医療検討会の報告を受けまして、平成十三年度からの新たな第九次僻地保健医療計画の策定に当たりましては、これらの問題点を踏まえて対処してまいりたいと考えておるところでございます。
○黄川田委員 地方の自治体病院の経営は本当に厳しいものがありますので、さらに、来年度から始まる第九次計画についてお伺いいたします。 御案内のとおり、介護保険も開始され、また、医療技術もますます進歩し、高度化、専門化してきております。また一方、ITの進展、普及に見るごとく、医療情報も最近では非常に高度化されてきております。 そこで、健康政策局長にお尋ねいたします。 今申し上げた高度医療、介護保険、医療情報などの関連性をどのように第九次計画でとらえ、かつ、それらを踏まえ第八次計画までの方針を今後どのように転換されていかれるのでしょうか。
○伊藤政府参考人 平成十三年度から開始されます第九次僻地保健医療計画につきましては、その策定に関しまして、平成十一年四月より、僻地保健医療のあり方に関する検討会において御議論をしていただいたわけでございますが、本年六月に報告書が取りまとめられたところでございます。 この報告書におきましては、僻地医療に対する基本的な考え方といたしまして、まず僻地に従事する医療従事者の確保、二点目といたしまして僻地医療支援を行う医療機関の再編成、三点目といたしまして僻地医療を支援する組織体制づくり、四点目といたしまして情報通信ネットワークによる僻地医療支援体制、そして、五番目といたしまして介護保険の導入に伴う保健、医療、福祉の連携体制の整備が挙げられているわけでございます。 これまでの僻地医療対策につきましては、他の医療提供体制と同様に二次医療圏単位で整備を図ってきたわけでございますが、二次医療圏単独では圏内の医療過疎地域の医療需要に対応できない地域もあるということから、厚生省におきましては、この報告書を踏まえまして、僻地医療対策の各種事業を円滑かつ効率的に実施するため、高度医療の提供や関係医療機関との連携も念頭に置いた、より広域的な対応を進めることとしております。 具体的に申し上げますと、第一点といたしまして、各都道府県に僻地医療支援機構を構築し、より広域的な都道府県単位の僻地医療体制の整備へと転換を図ることとしております。 また、僻地医療に関します情報ネットワークを活用いたしまして、地域における介護分野との連携や、関係者間での情報の共有化等を推進することとしております。 さらに、高度医療につきましては、中核的な病院などと僻地診療所等を結ぶ遠隔医療補助事業によりまして、僻地においても質の高い医療を享受できるよう、平成十三年度の概算要求を行っているところでございます。
○黄川田委員 岩手県に限らず、離島など同様の過疎化が激しい地域においては、まず求められているのは、医師、看護婦等の医療スタッフの充足であることは論をまちません。 そこで、再び健康政策局長に、医師、医療スタッフ等の医療従事者についてお聞きいたします。 先ほどお話がありましたとおり、第九次計画では僻地医療支援機構の設置が計画されていますが、その機構の目的、役割は何か。また、それが僻地の医師不足にどう貢献すると期待されるのか、お尋ねいたします。
○伊藤政府参考人 第九次計画におきまして検討しております僻地医療支援機構の役割でございますが、まず、従来の二次医療圏単位での医療支援から、都道府県全域に係る広域的な医療支援への転換を行いまして、より効率的な僻地医療支援体制の構築を図るということを基本的な目的としております。例えば県立中央病院などを念頭に置きまして、医師を専任担当者として置きまして、医療支援を行う病院、地域医師会、歯科医師会、市町村等の代表者の協力により、より広域的な僻地医療支援の調整を行うものとして位置づけているわけでございます。 具体的な役割といたしましては、例えば、医師やコメディカル等の人材プールの指導、調整を行うとともに、支援を行う病院に対しまして医師等の派遣要請を行う、また、僻地診療所の勤務医に対します研修計画の策定などの診療支援事業の企画、調整などを予定しているところでございます。 僻地におきます医師確保の問題につきましては、地域によりさまざまな難しい事情があり、必ずしも容易なこととは考えておりませんが、これらの二次医療圏の圏域を超えた広域的な僻地医療支援体制の構築によりまして、従来以上に僻地における医師などの確保に資するものと考えているところでございます。
○黄川田委員 改めて、第九次計画ができる時期はいつでしょうか。提言は六月ということなんですけれども。
○伊藤政府参考人 第九次計画については、来年度、平成十三年度からスタートしたいと考えております。
○黄川田委員 その計画書ができたといいますか、計画書がいただけるのはいつごろなんでしょうか。
○伊藤政府参考人 現在お願いしております平成十三年度の概算要求の成立に合わせまして、計画書を公表したいと考えているところでございます。
○黄川田委員 さまざま健康政策局長からお伺いしましたけれども、地域の広域化を図り、その地域の医療の高度化を図り、医師不足を結果として解消する、そういうことでありますが、高度医療は重要でありますが、あくまで無医地区をなくすことが基本であると私は思っております。 私は、結局あなた任せの医療ではだめで、国民一人一人が自主性を持って強く改革を迫り、政治は勇断を持って保健、医療、福祉の抜本改革に取り組むようになれば、我が国の医療の本質も変わってくると確信しております。 御答弁ありがとうございました。以上で終わります。
○鈴木(俊)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 午後二時四十五分休憩 ————◇————— 午後三時五十七分開議
○遠藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。瀬古由起子さん。
○瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。 最初に、質問に先立ちまして、私は、今回の公職選挙法という選挙制度の根本を変えるような問題を一方的に提出して、ごり押しするために横暴なやり方を強行してきた与党の皆さんに、抗議と強く反省を求めるものでございます。 その上で、まず初めに、きょうは健康保険法等の改正案について質問をいたします。 十月から高齢者の介護保険料の徴収が始まりました。これまで一割負担を払えないために今まで受けていたサービスも断る高齢者が続出するような利用料の負担に加えて、この介護保険料の徴収、さらに医療費負担と、高齢者にトリプルパンチを強いるのが今回の改正案だと思います。 皆さんのお手元に配付いたしました全国保険医団体連合会の資料なんですけれども、ここには二つの表が載せてございます。一つは高齢者の平均医療費負担の試算、二つ目は高齢者の疾患別負担額の試算でございます。 入院の場合、平均日数二十一・〇日で、改定前と比較しますと大体一・五倍という数値が出てまいります。外来の場合でも二・九日の平均日数で一・五倍、歯科の場合でも一・三倍から一・五倍という数字が出てまいります。 疾患別の負担額の試算を見てみますと、胃がんの場合平均日数十八日で一・七倍。白内障では平均日数八日で三・九倍になります。これは入院ですけれども、外来では、パーキンソン病で三日で一・八倍。腎不全で、これは二百床以上と二百床未満に分かれますけれども、八日で二・四倍と一・四倍です。歯科の場合は、歯の補綴では平均三日で一・六倍。こういうような数字が出ております。 これを見てみますと、入院では、入院期間の短い疾患の引き上げ率が高いということがわかります。外来では、慢性疾患の場合に負担が大きいこともわかります。この資料の指摘は間違いありませんでしょうか。まず、厚生省に確認いたします。
○近藤政府参考人 この表を見せていただきますと、今回の改正によりまして増額するものだけ掲げられているように思うわけでございますし、特に定額負担制のもとで高い医療費について患者負担が低いケースが多いというふうに考えられるわけでございまして、こういう表に示されたようなケースも生ずるものとは考えておりますけれども、入院の場合で考えてみますと、低所得者の場合には、平均はこれより下がるわけでございますし、外来でもこれより下がるケースもございますし、外来には恐らく薬剤一部負担が入っていないのではないか、こういうふうに存じております。
○瀬古委員 もちろん、これよりも低くなる場合もあるでしょう。しかし、平均しますと、入院でも外来でも一・五倍の負担増になる。あるときには二倍にも三倍にもなる、こういう数字が平均日数などをとってみても出てまいります。 それで、九月二十七日の参議院の本会議で、森首相が我が党の阿部議員に対して、今回の定率負担は高齢者に無理のない範囲で現行制度とほぼ同じ水準の負担である、このように答弁をされています。平均一・五倍の負担増になり、ケースによっては二倍になり三倍以上にもなるのに、なぜ現行制度と同じ水準の負担だと言えるのでしょうか。お答えいただけますでしょうか。
○近藤政府参考人 今般の高齢者の一部負担について定率一割負担制を導入したわけでございますけれども、定額の月額上限を設けているわけでございます。それで薬剤の一部負担を含みます現行制度とほぼ同水準というふうに考えております。
○瀬古委員 実は、九七年に薬剤二重負担が実施されて、昨年七月に廃止されているわけですね。そして、今局長が言われたように三年前と比べて余り変わらないということがあるかもしれないけれども、それも若干変わっていますよ。しかし、高齢者が今度の医療の改定でどれだけ負担になるのだろうかと思うときに、少なくとも今負担している金額からどうなるのか普通は心配なわけですね。三年前にどうだったかなんて、そんなこと考えないわけですよ。今負担している金額からどれだけ負担になるのか。 そうしてみますと、医療費における実際の負担率、現在と比べて外来の実効負担率はどのように変化するでしょうか。
○近藤政府参考人 薬剤の一部負担でございますけれども、まだ廃止はされておりません。確かに、昨年の七月から臨時特例措置は講じておりますけれども、これは制度で負担してもらうものを国で肩がわりする、こういうことになっているわけでございます。 それで、外来ということでございますけれども、若干申し上げますと、医療費全体では薬剤一部負担を含めまして七・七%、これが今回の改正によりまして七・九になります。それから、外来の関係では、一部負担を含めますと現行制度で七・一%でございますが、特例措置で負担がないという前提に立ちますと四・六%の負担になりますが、今回の改正によりまして七・二%になる、こういうことでございます。
○瀬古委員 なぜ国が肩がわりの負担をしたのかというのは後でまた議論いたしますけれども、今、事情がいろいろあって国が肩がわりをせざるを得なくなった。そして、この二重負担については一たん払わなくてよくなった。ところが、今回また引き上げになるわけです。 今言われたように、少なくとも今度の実効負担率、実際にどれだけ負担がふえるのかといいますと、外来は四・六から七・二にうんとふえるわけです。そうしますと、差し引き二・六%は負担がふえるということになります。高齢者は今の制度の改定で現在と比べて高くなるなというふうに当然思うわけなんですけれども、今回の改定で国庫の負担はどれだけ減るのでしょうか。
○近藤政府参考人 今回の改正によりまして、制度改正分と薬剤負担の免除措置の廃止を含めまして一月当たりで約二百二十億円程度と見込んでおります。
○瀬古委員 二百二十億円。これは月額ですね。ですから、満年度で言いますと、約二千六百億円ぐらいの国庫負担の減になる、国が減らすことになるわけです。 そこで、今度の制度改正について、国民の負担分はどうなるかお聞きしたいと思うのです。給付のベースでいって、老人患者の負担の見直し、入院時の食事負担、高額療養費の見直し、標準報酬の下限見直しによってそれぞれどれほどの影響額となるのでしょうか。厚生省、お願いします。
○近藤政府参考人 月額で申し上げますと、老人の患者負担の見直しで約二百億円でございます。入院時の食事負担で五億円でございます。高額療養費の見直しで五十億円、それから標準報酬の下限の見直しで二億円、月額ベースでこういう数字になるわけでございます。総計では、先ほどの薬剤の一部負担の廃止等も含めますと、月額のベースで約七十億円程度の影響額ということでございます。
○瀬古委員 これは一割負担分も含めてですか。
○近藤政府参考人 一割負担分を含めております。
○瀬古委員 これは厚生省の資料ですが、満年度ベースで、一割負担分で二千四百四十億円、入院時の食事代で六十億円、高額療養費で六百五十億円、標準報酬の見直しで二十億円、つまり合計で三千億円の影響額、このように厚生省の資料でいただいているわけです。これは、老人の薬剤一部負担を廃止するかわりに、お年寄りの定率一割負担を押しつける、高額療養費や入院時の食事負担など患者負担を押しつける、これが今回の改正の本質だと思うのです。 一方では国の負担を大幅に減らす、一方では国民に負担をかぶせる。これは、先ほど総理の答弁などにもありましたように、ほぼ同じ水準の負担などではない、明らかに負担を国民にかぶせるものだということははっきりしていると思うんですね。 そこで大臣にお聞きしたいと思うんですけれども、高齢者の薬剤費の二重負担を廃止する臨時特例措置が提案された昨年一月の衆議院の予算委員会で、当時の小渕首相は、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、臨時の特例措置を実施することを明らかにしております。現下の厳しい経済情勢にかんがみとなっているんですね。今回、高齢者の大幅な負担増の提案に当たって、そのときと違って経済情勢が好転したという御判断で今回の負担増になさっているんでしょうか、その点お聞きいたします。
○津島国務大臣 薬剤臨時特例措置は、本来高齢者が支払うべき薬剤負担を臨時特例的に国が肩がわりして払っている制度です。これは、昨年は七月から予算でいたしました。その後、さきの通常国会においては、提案をいたしました健康保険法改正法案が残念ながら廃案となることによりまして、このままでは困るということで、つまり昔の制度にそのまま返っただけになってしまうということで、議員立法により薬剤臨時特例措置を延長することとされ、そのときは御党も賛成をしていただきました。 この法律においては、薬剤臨時特例措置は薬剤一部負担を含む老人の患者一部負担が見直されるまでの間の措置として規定上もはっきりその性格が明記されておるところであります。 今般は、薬剤一部負担を廃止するとともに、定率負担制である若年者とのバランスも考慮し、高齢者にも負担を分かち合っていただくという観点から、薬剤に係る費用も含め、かかった医療費に応じて御負担をいただく定率一割負担制を導入することとしたわけであります。これに伴い、さきの議員立法による薬剤臨時特例措置は廃止することとしたものであります。
○瀬古委員 正確にお答えいただきたいと思うんですね。 私は小渕総理の言葉を御紹介したわけですけれども、現下の厳しい経済情勢にかんがみ、医療機関にかかる機会の多い高齢者に対し、その薬剤費負担を軽減するために応急的な措置として臨時特例的に実施するものでございましてと、明確に述べておられるわけです。確かに、いろいろ議員立法で提案されている内容ですし、厚生省としてはある意味では見直しまでの臨時的な措置だというお考えもあるでしょう。 しかし同時に、当時の厳しい経済情勢にかんがみとはっきり小渕総理は述べておられるわけですね。これは単なるまくら言葉だったんでしょうか。私はそうだと思わないんです。その当時、お年寄りの皆さんの負担が大変だなということで、今は亡き小渕総理がそう言われた。この厳しい経済状況は今回変わりましたんでしょうか、こういうように私はお聞きしたので、もっと正確にお答えくださいませ。
○津島国務大臣 昨年の一月に小渕前総理がそのようにお答えになったとおりであり、これは単なるまくら言葉ではございません。 その後の事態の推移というものを私は申し上げたわけでありまして、経済状態は厳しいという面はあれでございますが、同時に医療保険法というものが廃案になったという新しい事態がございました。そのときに、それこそこれは議員立法でございますから、当立法府でいろいろ御相談になって、健保法が改正されるまでの間の措置としてそういう臨時特例を導入されたと私も正確に答えております。
○瀬古委員 その当時、いろいろ医療保険法が廃案になったという経過はございますが、同時に、その経済情勢、お年寄りは経済的には状態が大変だ、そういう措置の一つとしても、まくら言葉でないこの臨時的な措置を設けられたわけです。 今回、お年寄りが一割負担になり、これから後で議論しますけれども、高齢者に負担がかぶっていくわけですね。その場合に、厚生大臣はちらりとでも、今のお年寄りの状態が大変だな——現下の厳しい経済状況は、続いているどころかもっと深刻な事態に今はなっているわけです。今、介護保険が実施されて、利用料の負担もかかる、十月から保険料も取られるようになる、大変だという中で、また皆さんこれから負担していただきますよみたいなやり方だったら、心にそういうお年寄りの状況がちらりと頭の中に浮かべば、やはり経済情勢が厳しいな、もうちょっと考えようじゃないかというお気持ちが少しは動いたんじゃないかと思うんですが、全然動かなかったんでしょうか、いかがでしょうか。
○津島国務大臣 所得の低い高齢者の方に対する配慮は絶対に必要でございますから、今度お年寄りの方について定率負担を導入し、かかった医療費の一割を御負担いただくことといたしましたが、その際、過度な負担とならないよう定額の月額上限を設けるとともに、低所得者世帯の方については、現行の月額上限三万五千四百円を二万四千六百円に引き下げるということまでいたしました。ですから、これはケースによっては現行制度よりも下がるケースもあり得るわけであります。 それから、瀬古委員はわかって言っておられるんだと思いますが、高齢者にもいろいろございまして、私も幸か不幸か高齢者にようやくなりそうでありますが、私の友人なんかは、例えば月にこれだけの医療サービスをいただくのであれば、少しは払えるから払いたいという方もある。そういうお互いの助け合いの気持ちがなければ、社会はよくなりません。 そういうことで、何%ふえた減ったという一般論ではなくて、今度御提案を申し上げている額が果たしてバランスがとれたものかどうかというふうな立場からの評価をしていただきたいと思います。
○瀬古委員 低所得者の世帯については一定月額上限額を減らした、例えば上限三万五千四百円を二万四千六百円に下げられたということはいいと思うんですけれども、この場合だって、月額上限ですから、月をまたぎますと倍取られることだってあるわけですね。もともと入院の日額は千二百円ですから、三十日入院すれば一カ月大体三万六千円ということになりますね。そうすると、低所得者の最高の月額上限の三万五千四百円そのものがもともと高いわけですよ。それを下げたからといって、もちろん下げたことは評価しますけれども、もともと高いという問題もあるわけですね。この点は指摘しておきたいと思うんです。 そして同時に、今大臣が言われたように、確かに高齢者の中には収入が高い方もいらっしゃる。しかし、高齢者全体の状況はどうなのかということはやはり考えていただかないと、それこそ厚生大臣の所得水準の方もいらっしゃるでしょう。しかし、高齢者全体が今どんな事態になっているかということについてもお考えいただきたいと思うんです。 これは、今お話ありましたけれども、森首相も今回の提案がお年寄りにとっても無理のない範囲だと述べておられるわけですね。しかし、私が先ほど表で御説明しましたように、入院も外来も平均で一・五倍にふえる、ケースによっては二倍、三倍以上にもなる。そういう場合に、無理のない範囲だと厚生大臣もお考えなんでしょうか。いかがでしょう。
○津島国務大臣 いずれにいたしましても、高齢者の方々の状況に応じてきめ細かな配慮を行った上で御提案を申し上げておるわけであります。それからもう一つ、率直に申し上げますと、もしお払いにならない場合にはだれかが負担していますね。国が負担しているといったって、国というのは、その原資を税金かなんかの形で一般庶民からいただいて払っているわけでありますから、そういう全体のバランスを考えた場合に、私は、これは十分に御検討いただける案であると思っております。 仮に低所得者等の方々について諸般の事情から実際に負担するのが非常に困難な場合には、患者負担について無利子貸し付けも受けられる生活福祉資金貸付制度もございますし、そのほか福祉についていろいろな最後のセーフティーネットがあるということは当然御存じのことであろうと思います。
○瀬古委員 財源をだれが負担するのかという問題については、また後で私はお話ししたいと思うんですけれども、先ほど言いましたように、少なくとも国は今回の改定で二千六百億円ぐらい国庫負担を減らすわけですよね。そして、その分を大きく上回って患者さんに、国民にかけていくわけですね。 それで、本当に今高齢者の皆さんがそれだけの負担にたえ得るのかという問題なんです。先ほど大臣は、貸付制度がある、セーフティーネットがあると言うんだけれども、大体、病気の方で、お年寄りで後で返せる状況に今なっているのかどうか。 例えば、世帯別に見ますと、お年寄りの世帯の四割が年収二百万円以下でございます。そして、高齢者の加入が多い国保の低所得世帯に対する軽減措置の世帯は、この五年間で百十万世帯もふえている。市町村の国保料の収納率は二・五%も減っている。これは大臣もよく御存じだと思うんです。高齢者の七六%は住民税非課税で、四割強の高齢者の年金は月四万円台ですよ。これでも無理のない範囲で大体の方は払っていただけるというふうに大臣はお思いでしょうか。
○津島国務大臣 高齢者の所得と資産の状況はどういうことかというのは、これは最近までにいろいろな機関、また厚生省も詳細に検討してきたところでございますが、総じて申しますと、今委員が御指摘になったような所得の非常に低い方々のグループがあります。これは特に奥様方ですね。家庭の専業主婦で来られたような方です。その一方で、公的年金等が随分普及をしてまいりましたから、相当数の方は生涯給与に対してそれほど大きなロスなしに、それは減りますが、半分以下に減ってしまうというようなこともなしに生活をしておられる方もある。さらには、なお元気でその上に所得を得ておられる方もある。 それからもう一つ、我が国の非常に大きな特徴でございますけれども、高齢者の方が非常に資産を持っておられる。これは私はいい面ばかりとは思わないんです。というのは、地価が高かったものですから、資産の評価をやってみますと、不動産の方は意外に数字がたくさん出たりする。それはいい面ではありませんけれども、金融貯蓄だけとりましても、優にアメリカの高齢者の十倍の金融資産を持っておられるという統計もございます。 ですから、こういうことの全体を考えましたときに、やはりバランスのとれた負担をしていただくことによって初めてその国の社会は機能していくということを重ねて申し上げさせていただきます。
○瀬古委員 確かに、高齢者全体というふうにとりますと、それを平均すると、一定、若い人と変わらないじゃないかみたいなところはありますよね。しかし、先ほど資産の評価の問題でも、高齢者の方が苦労して家をつくって、幾ら土地や家の評価が上がったってそれを売り払えるわけじゃないですよね。そういう問題も考えなきゃいけないと思うんです。 それから同時に、みんなごちゃまぜにして、大体高齢者も一定の水準になっているぞと言うんじゃなくて——例えば厚生省の調査で所得再分配調査というのがあるんです。これを見ますと、所得の分配の不平等、どのように不平等が進んでいるかということをジニ係数というもので明らかにしております。その特徴は、これは大臣も御存じだと思うんですけれども、不平等度がどんどん高まっている。今アメリカの例も出されましたけれども、短期間のうちにこれほど高まっている国は世界で探してもないんですね。 要するに、所得のうんと高い人と所得が少ない人の差がどんどん広がっている。それも急速だ。これは厚生省の調査の中にもあるわけです。高齢者の多くで貧困化というのも一方では進んでいる。このこともきちっと見ていかなきゃならないんじゃないかと思うんですね。そこに社会保障の制度というものが必要だというふうに思うんです。 それから、総務庁が実施した全国消費実態調査がございます。これは、高齢者の無職の単身世帯で男性も女性も消費支出が可処分所得を上回って、この不足分は貯蓄などを取り崩して賄っていることが総務庁の調査の中でも明らかになっている。どんどん取り崩しているわけですね。 このように、個人所得で見ればやはりお年寄りは所得が低いということもはっきりしてまいっております。 ですから、社会保険というのは、民間の保険とは違うわけですよ、加入するかどうか、自分でこの給付内容がいいかどうかといって選んで入るわけじゃなくて、強制的ですから選択することができない。若い人も大変、高齢者も大変という場合には、国が財政的に負担をふやして高齢者や若い人たちの負担にならないように頑張らなきゃならない、これが社会保障の原則だと私は思うんですよね。 そういうときに、何だか病気になることが悪いことみたいに、そして重ければ重いほど負担になっていくようなこういうやり方は、私は社会保障の制度としては無縁の発想だと思うんです。 介護保険の問題をとってみましても、この十月から高齢者の保険料の徴収が始まりましたでしょう。全国から苦情の電話が殺到しているわけですよ。そういう場合に、介護の問題でも高齢者の低所得者対策をいろいろ言ってみえたんだけれども、完全に介護保険は失敗しております。だから、あの亀井さんも何とかこの対策の法案を出さなきゃいかぬなというふうに最近は言い出しておられる。この介護での失敗をまた医療の分野でやろうとしているんじゃないかと私は思うんです。 その点では高齢者の実態をよく見て、平均でやったら何とかいけるぞというんじゃなくて、一つ一つの今の高齢者の所得分布の状態、そしていろいろな負担が一気に押し寄せている問題なども含めて考えてみれば、これは無理のない範囲でございますなんということを言っておれるのかという点で、大臣、いかがでしょうか。
○津島国務大臣 瀬古委員のお言葉をかりますと、今、本当に頑張らなきゃいけないときです。しかし、その頑張るということが、想像以上に頑張らなきゃいけない。つまり、今度御提案しております案を含めて、医療制度、医療保険制度についてきちっと改革を進めていく。その上で、必要な公費を国民の理解を得て投入していくということをやらなければ、この制度自身が安定をしない。 委員おっしゃるとおり負担がふえてかわいそうな方がある、そのこと自体は多かれ少なかれ私は理解できるのですけれども、しかし、制度そのものがおかしくなったら、本当にみんなかわいそうになっちゃうわけですから、そこはひとつ御理解をお願いしたいと思います。
○瀬古委員 制度がだめにならないためにも、このときに国の負担を減らすなんということは考えられないわけですよ。ここは踏ん張って、国の負担を何とかふやして持ちこたえなければいかぬ。財源の問題は、私たちは政策を持っております。しかし、この時期にさらに負担をかぶせるというのは、また介護保険と同じ全く失敗の道を歩んでいる。 そこで局長にお聞きしたいのですけれども、九七年九月の健保法の改定のときに、無理がある負担は当然深刻な受診抑制を起こしたというふうに思うわけです。その点は、九七年、九八年度は医療費の伸びが史上最低となりました。老人の外来の一件当たりの日数で見ましても、九七年十月の二・九九をピークに下がり続けて、ことし四月には二・六四まで低下している。今日でも、後遺症が、あの三年前の改悪によって深刻な事態が続いている。深刻な受診抑制が起こったということはお認めになりますでしょうか。
○近藤政府参考人 平成九年の健保法の改正では、被用者保険では確かに受診率が低下しております。ただ、老人保健では受診率の低下は見られておりません。一件当たりの日数の低下ということで、つまり、通院回数が減少している、こういう状態が起きております。
○瀬古委員 特に二割負担の若い層の皆さんの受診率の低下というのは深刻だと思うのですね。 確かに、今言われたように、高齢者は、病気になったら行かざるを得ないけれども、診察回数を減らすとかなるべくお金がかからないようにする工夫というか苦労もしているわけですね。そういう点では一定の影響が出てきているわけです。 特に私が考えますのは、緊急性の薄い科目から受診抑制が生じるという点がございます。特に歯の治療ですね、歯科医療についての影響力が大変顕著になっております。虫歯や歯周病の治療では早期発見、早期治療が決定的なんですけれども、若い人たちが病院に我慢して行かない。そうすると、結局、歯を抜いてしまって重症化してしまう。結局、今厚生省が進めている、八十歳で二十本の歯を残す八〇二〇運動の精神にも、こういう受診抑制の結果が将来出てくる可能性も十分あるんじゃないかと思うのですけれども、その点での御心配は全くないのでしょうか。いかがでしょうか。
○近藤政府参考人 確かに、歯科の受診率というのは制度改正によって落ちております。ただ、八〇二〇運動といいますのは、いろいろ広報等を通じましてやっておりまして、これは着実に成果を上げてきておりまして、八〇二〇ですから八十歳で二十本ですけれども、まだそこまでは到達していませんけれども、着実に残っている本数はふえてきております。
○瀬古委員 しかし、この受診抑制の打撃が後々大きな影響を持つことにならないようにきちっと厚生省は考えるべきだというふうに私は思います。 そこで、高齢者にとって、介護保険の保険料や利用料の上にこういう負担増がさらに重なる。そうすると、高齢者にとっては受診抑制というものが強まってくるのではないかと思うのですね。結局、手おくれになる、治療中断をして重病になって悲劇を生み出す、こういうことになるんじゃないか。そういう点では、お年寄りは適切な医療を受ける機会は制限されてもいい、今の状態ではやむを得ない、このように大臣はお考えでしょうか。
○津島国務大臣 今回の定率一割負担は、医療費についてみんなが少しずつでも分かち合うということであり、また、その結果としてどのくらい自分の体に医療サービスが提供されたかということがわかる、こういうことを目標としたものであります。また、低所得者に対しては毎度申し上げているような特別な措置がございます。 今委員がおっしゃったように、この負担があるから受診の必要な人も抑制をするというのはあってはならないことだ。ましてや医療を提供する側の方は、やはり患者さんにとって必要な措置はきちっとやっていただきたい、これは基本だろうというふうに思っております。
○瀬古委員 今までは定額負担ですから、外来へ行くときに五百三十円持っていけば、きょうはこれだけで済むということになりますよね。ところが、定率負担ということになりますと、もちろん大きい病院で五千円が最高ですけれども、ひょっとしてきょう五千円要るかもわからない。定率一割負担というのは、幾らかかるかわからないという不安がいつもつきまとうわけですね。これが、完全に定額のときと定率のときの違いなんですよね。そして、自分は調子悪いな、ひょっとして重い病気じゃないかと思ったら、重ければ重いほど負担がかぶる仕組みになるわけですね。これでは、結局、行くな行くな、我慢せよ我慢せよというように言うことになるんじゃないだろうか、患者の立場からいうと。 私、病院にも行ってみました。そうしましたら、今までだったら五百三十円で、この検査もやらなあかん、あの検査もやらなあかんといって検査されるわけですね。ところが、これだけかかるということになりますと、この人はどれだけ持っているんだろうなと。先生、きょうこれだけしか持っていないんですけれどもと言われると、お医者さんは、今までそんなことを考えないで必要な医療、検査はやらなきゃならぬと言っていたのに、ああ、きょうは二千円しか持っていないか、その範囲内で治療をやらなきゃいかぬなみたいになって、やりたくないけれどもやらざるを得ない。 そうすると、受ける方の患者さんに受診抑制が起き、診察するお医者さんの方も、本来なら患者さんの体のぐあいを見なきゃいかぬのに懐ぐあいで考えなきゃいかぬ。そうすると、医療そのものが荒廃していっちゃうんじゃないか、そういう率直な不安を私は病院に行って聞きました。 その点は患者さんの立場と医療機関の側からいかがでしょうか。こんなことないなんて言い切れますか。
○近藤政府参考人 先ほど来申し上げているように、上限月額があるわけでございます。そういう意味で、当然、医療行為でございますから診療費が必要だということになりますので、それを考えないでやること自体が問題だというふうに思っておりますし、コストを意識した上で必要なものは出していただく。こういうことでございますから、当然必要な医療は提供していただく、それで必要な財源については確保していくということでございますので、この程度の負担で医療機関が必要な医療まで行わないということはあり得ない、こういうふうに考えております。
○瀬古委員 大体、厚生省のこの程度の負担という、この発想が今の国民の感覚に合っていないですね。この程度の負担なら大丈夫だという。そんなのだったら、それこそ今の受診抑制や、病院に行くのをやめようかとか外来を一日減らそうかなんということになりませんよ。そして、先生の側から言ったら、先生、これだけしかきょうはお金がないと言われれば、そんなことを考えずに、必要なんだから金を出せと無理やりに言えないわけですね。そこの事情も厚生省は十分つかんで、この制度についてどうなのかということを考えないと……。病気のことだからこの程度この程度なんて言っていたら、結局、さっきも私が言いましたように、この程度というのは医療だけで、年金も減らされ、介護保険の利用料も保険料も、あらゆるものが不安で不安でたまらない中で病院に行くわけですから、この点、厚生省としては余り自覚がないんじゃないかなと思います。 そこで、今回の改定について聞きたいんですけれども、今回はいろいろややこしい仕組みになっております。同じ病気でも、病院を選ぶか診療所を選ぶかによって支払いの金額が違ってくる。それから、病院が二百床以上かそれ未満かによって違う。病院が院内投薬か院外処方かによって違う。診療所の場合は、その診療所が定率負担を選ぶか定額負担を選んでいるか、これによって患者負担が全然違ってくる。同じ病気でも七種類も負担額が違うんですね。こういう仕組みなんでしょうか。
○福島政務次官 今回の定率一割負担制の導入におきまして、上限は三千円、五千円の二段階ということが入っているわけでございますけれども、そもそも、こうした仕組みにしたのは、医療機関の機能的な分化ということを前提としているわけでございまして、かかりつけ医機能を有する医療機関と、より規模が大きく、比較的高次の機能を持っている医療機関との機能分担というものを踏まえて、患者の医療機関への受診の流れというものを適正なものに変えていくという観点からそのようなことを導入したわけでございます。 そしてまた、診療所の外来につきましては、その事務処理能力の実態から見まして、定率制の導入に伴う窓口等における事務処理に直ちに対応できないところもあるという点に配慮して、各診療所がそれぞれの事務処理等の実態に応じて定額制を選択することもできるようにしたものでございます。これは、あくまで現実的な医療機関の対応ということを前提として認めたということでございます。 その際には、定率一割負担、月額上限三千円の場合と、一日八百円、月四回までの場合で、負担総額が全体としてほぼ等しくなるようにするという考え方に立ちまして、どちらを選択したとしても、全体として見ればほぼ同様の負担水準となる。 こうした改正の趣旨や具体的な内容をお年寄りの方に適切に理解をしていただくということは大変重要だと思っておりますし、複雑で理解ができないということがないように私どもは全力で努力をしていかなきゃいけない、そのようには思っております。関係団体とも十分相談をいたしまして、地方自治体や老人クラブの方にも御協力をいただいて周知をしてまいりたいと思います。 総体とすれば、同じ水準の負担をしていただく、医療機関の機能分化ということを進めていく、そういう二つの観点に立ってこのような制度としたということでございます。
○瀬古委員 私、ちょっと事例を聞いてきたんですよ。 例えば糖尿病の場合に、自分でインシュリンの注射の薬剤を一カ月分一括にしてもらってくるケースがあるんですね。そうしますと、診療所は行けば一回で八百円で済むんですが、病院に行きますと五千円かかることがある。そういう場合に、今次官はいろいろ周知したりいろいろな病院の状況や流れをつくると言われたんだけれども、実際には、お年寄りの人は、あの人は八百円なのに私は五千円だ、この差をどうやって厚生省は説明してくれるんだと。お年寄りは、ここは五千円のところかな、ここは八百円のところかななんて思って……。周知するといったってしようがないわけですよ。行ってみて、窓口で払ったら五千円だったとか八百円だということがわかるわけですね。かかる前に、あなたはこれだけかかりますよなんて、そんなこと一人一人にやれるはずがないですよ。そういう点では説明のしようがないと思うんですけれども、こういうお年寄りにはどうやって周知されるんですか。
○福島政務次官 ただいま先生が御指摘ございましたインシュリンの投与を行っている糖尿病の患者さんの場合でございますけれども、御指摘のように、一回のみの通院のケースでは、診療所でありまして定額の場合には八百円ということで、病院にかかりましたときよりも負担が非常に軽くなるという事例が生じることは事実でございます。こうしたケースは、全体として見れば例外的な事例でございます。 インシュリンの自己注射を受けておられる患者さんのケースですと、一回の利用費が五万円ぐらいと非常に高くなることから、このような診療を受ける機関における差というものが生まれてくる。これは外来診療全体のほぼ五%から六%ではないかというふうに考えられております。しかしながら、それを是とするか否とするかということについては考え方があると思います。 一つは、今回私どもが御提案をしておりますことは、先ほどから申しておりますように医療機関の機能分化を進めようということで、病院にしましても五千円と三千円という上限を定めたということでございます。これは、考え方としては非常に適切な対応ではないかと私は思っております。そして、その中で、診療所の場合には窓口の事務の煩瑣化を避けるという観点から定額も認めることにした。 負担が軽くなるケースがあるということをもって、この制度がけしからぬというようなことには全くならないと私は思っております。
○瀬古委員 しかし、実際には病院の窓口は大変ですよ。同じ病気でも八百円と五千円と差があるなんというのは、あなたたちはこれはほんの一部だと言われたけれども、ともかく七種類金額が違うわけですから、そういう点では本当に混乱するのは私は明らかだと思うんです。これについても、お年寄り一人一人に周知するというのは本当に難しいと思うんです。 次の質問に入りたいと思うのですけれども、今回の改正案は、高齢者以外の一般の高額療養費についても見直しを提案しております。現在、六万三千六百円が負担限度額で、それ以上の患者負担はないわけですね。ところが、今度の改正案では、高額療養費の負担限度額に加えて、かかった医療費に応じた額の一%を加算する仕組みを提案しております。これは大変なことだと思うんですね。医療費がふえれば、ふえた分に応じて患者負担が無制限に増加する、歯どめなき負担増になっていくということではありませんでしょうか。いかがですか。
○近藤政府参考人 現在の高額療養費制度でございますけれども、医療費が百万円かかっても一千万円かかりましても、低所得者を除きますと一律の六万三千六百円という打ちどめになっているわけでございます。 こういうことから、国民皆保険をこれからも堅持していくということで、自己負担額を負担能力でございますとかかかった費用を踏まえて設定すべきであるという議論は前々からあったわけでございます。 そういうことで、上位所得者、所得段階五分位の一番高い層の方には応分の御負担をお願いすると同時に、給付を受ける方と受けない方との公平を図るということやコスト意識を喚起するということで、高額医療費の関係ではもうほとんどコスト意識がないのではないかというふうな言われ方もいたしているわけでございまして、医療費に応じました負担を一%をお願いしたい、こういうものでございます。 百万円を超えるようなケースというのは非常に少のうございます。全体の〇・一%と極めてまれでございまして、もちろん一千万円というのはほとんどないわけでございますが、百万円のときでこの月額がふえますのが約七千円でございます。 ただ、こうした一%の負担と申しますのは、過度な負担になってはいけないということで、低所得者の方あるいは高額の自己負担が四回以上続いているような方につきましては一%の負担を求めないことにいたしているわけでございます。 こういうことで、疾病があっても生活の安定を図るという医療保険制度の理念には反しないのではないか、こういうふうに考えております。
○瀬古委員 大体、一千万かかる場合だって、本人が好き勝手で一千万かかっているわけじゃないわけですよ。その人にコスト意識を持ってもらいたい、あなたは一千万も医療費がかかったのだ、反省してもらいたいなんて、そんな、ある意味ではペナルティーをかけるようなものですよ。これはまことに乱暴な制度の内容だと私は思うのですね。 これは日本医師会の糸氏副会長が言ってみえるのだけれども、要した医療費にかかる一%の負担部分については、物品売買と医療は根本的に性格が異なるにもかかわらず、ぜいたく税のような考え方を導入する手法には怒りを感じる。本当に私はそうだと思うのですね。自分の責任でこれが欲しい、あれが欲しいと買うならいいですけれども、病気になって、それも重い病気になったらけしからぬと言われるような負担のやり方、こんなひどい制度のあり方があるでしょうか。私は許せないと思います。 時間がございませんので、次に行きます。 医療制度の抜本改革について聞きたいと思うのですけれども、今回の改正案が医療制度の抜本改革に向けた第一歩だ、このように言われているわけですけれども、まだ抜本改革の内容は合意がされていない、国民的な合意も得られていないというお話も先ほど来出ておりました。にもかかわらず、はっきりまだ抜本改革はこうですよと言えないのに第一歩と言えるというのは、これは何が第一歩なんでしょうか。お教えください。
○津島国務大臣 先ほど申し上げておりますように、患者さんと保険料を払っている方、それから一般国民、その間の負担のバランスを図っていくということの一環として上限を設けながら患者さんに一%をお願いする、こういうことを申し上げたわけであります。 先ほどから、委員から負担がふえた場合には受診の抑制になるという話は、それこそ私もこの委員会にずっとおりますから、十年以上の長い間にわたって聞かされてまいりましたけれども、そういう声がある一方で、払わない場合にはだれかが払うんだよ、しかも、高齢者は確かに弱い立場にあるけれども、もし若い働いている方に専らそれがかかる結果になっているとしたらどうだ、これも私どもにとっては無視できない議論であります。 それから、高額医療費についていろいろおっしゃいましたけれども、私が一番心配しているのはそこのところであります。どうしても高額な、高度な医療をしなければいけないような場合に負担になってはいけないなということを感じておりますが、その一方で、我が国においては、これは終末医療のあり方とも関係するのでありますけれども、高額の医療というものが外国と非常に違う状況にあるよという議論も私どもは無視することができない。 そういうもろもろの要素を考えまして、一定の上限を設け、所得の低い方については配慮をしながらこういう御提案をさせていただいておりますので、全体として御評価をお願いしたいと思います。
○瀬古委員 抜本改革という場合に、ともかく、どうやってお年寄りに負担をかぶせるか、そういう像があって、それが今回まず第一歩だという、あなたたちの持っている抜本改革の方向があるでしょう。しかし、ある意味では、今こんなにお年寄りや国民が大変な生活状態のときに、国が本当に責任を果たさなければならないという場合に国庫負担なんか減らしている場合かという、本当の意味の医療改革の道もあると私は思うのですね。 例えば健康保険の財政悪化の問題について聞きたいと思うのですけれども、健保財政がなぜ悪化したのかというのは、一つは大企業のリストラ、人員減だとか賃金低下による保険料の減収という問題があります。もう一つの原因は、私は国庫負担の削減にあると思っております。 国保は、八四年に四五%から三八・五%に削減された。政管健保は、九二年に一六・四%から一三%に削減されて、九三年から赤字に転落した。九二年三月の厚生委員会で、政管健保の国庫負担の引き下げに当たって、当時の山下大臣や局長は、万一財政状況が悪化した場合の措置については、その事態に応じまして、必要に応じまして国庫負担の復元について検討させていただく、このように明言されているわけですね。改正法には附則がつけられて、施行後必要があると認めるときは所要の措置を講ずるものとすると、国庫負担を戻す条項を明示しているわけですね。 まず、国庫負担をもとに戻すことが大事じゃないかと思うのです。財源の問題でいえば、今もまた公共事業のあり方だって問題になっているわけですよ。そういう全体像を、公共事業に五十兆円、社会保障にはわずか二十兆円しか使っていない、そういう税金の使い道の問題もあわせて——少なくとも大臣がちゃんとこの委員会でも約束し、法律にもちゃんと書いてある。大変になったときは国庫負担の復元をしなければあかんということを約束されているわけです。それをやらないで、ともかく抜本改革の方向でお年寄りに負担をどうかぶせるか、国民に負担をどうかぶせるか、こんな方向は本当に国民の願いから反するというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○津島国務大臣 お年寄りに負担をかけるために私どもはやっているものではありません。 委員が御指摘のとおり、今、健保組合も政管健保も老齢者医療費のための負担で四割も取り上げられてしまう。これではもたないなというのはみんなの総意になっているわけです。ですから、一つは、老齢者医療費は若い人が払っているわけですから、若い人に対しても納得のいくような、老齢者にコストの幾らかの負担をやっていただいた上、私どもは、高齢者医療制度を安定させるために近い将来公費の投入が必要だと思っております。 問題はその公費の財源でございまして、私の方からお聞きしたいと思うのですが、瀬古先生の方では、その財源は何でされるおつもりでしょうか。質問させていただきます。
○遠藤委員長 瀬古委員に申し上げますが、お約束の時間が過ぎておりますので、結論をお急ぎください。
○瀬古委員 質問がありましたので、お答えをいたします。 少なくとも私たちは、この財源問題については、高過ぎる薬価の問題や医療機器の構造にメスを入れなさいということを言ってまいりました。そのことについても厚生省は一定のお約束をされていたわけですね。そして、今私が問題にいたしましたように社会保障の予算配分が外国と比べて本当に低い、この点をやはり改善すべきだというふうに考えています。 そして、今言われたように、国庫負担の削減は、八〇年に三〇・四%、ところが九七年には二四・四%で、ともかく、今の金額で換算すると、一兆七千億円もあなたたちは減らしてきているわけです。そのうち、老人医療費の国庫負担は一兆一千五百億円も減らしているんです。 ですから、こんなお年寄りや国民に負担をかぶせるような抜本改革は認められないし、本当に、憲法二十五条、老人福祉法の精神に立ち返って、国民の医療を守るという立場で制度をちゃんと目指すべきだ、私はこのことを述べて、質問を終わります。ありがとうございました。
○遠藤委員長 時間オーバーですから、今後お気をつけください。 次に、阿部知子さん。
○阿部委員 社会民主党、阿部知子、最後になりましたが、質問をさせていただきます。 きょうは、厚生大臣初め御出席の皆さん、長時間の質疑でお疲れと思います。また、なるべくこれまでの各委員の方の御質問と重複のないよう、かつ、実りあるような御答弁をいただければ私も幸いと存じます。 まず一点目、お伺いいたします。 先ほどの瀬古委員もずっと問題にしておられましたけれども、今回の医療保険法、特に御高齢者の一割負担ということは大変に問題が多い、私もその点は認識を一にするものです。御高齢者がふえてまいりますと医療費が高くなる、高くなって困る困るということがこの間ずっと我が国でもよく聞かれる論調でございますが、津島厚生大臣にお尋ね申し上げます。 確かに、日本の医療費は、一九九七年度で二十九兆円、九八年度で三十兆円と、一兆円近く高騰というか上昇いたしましたが、果たしてこの真の原因が高齢化にありや。あるいはまた、高齢化と一口に平板に言わないで——高齢化というのは年寄りであるから病気が多いから医療費がふえるということですが、実は日本の高齢者医療は他国に比べて非常に高くついております。 どういうことかと申しますと、同じ年齢で若者と高齢者を比べた場合、日本では若者の五倍、アメリカでは四倍、ドイツ、フランス等々では二倍。なぜ日本では年をとると医療費がかかるのか、なぜ日本の年寄りはこの国に生まれると医療費が高騰要因になるのか。その点について津島厚生大臣の認識をまず一点伺います。 〔委員長退席、鈴木(俊)委員長代理着席〕
○津島国務大臣 医療費の増加要因につきましては、もう私から申し上げるまでもなく、人口の高齢化、人口の増加、診療報酬や薬価基準の改定、またその他のいわゆる自然増が挙げられるわけであります。 このうち、人口の高齢化による増加につきましては、高齢者は若齢者に比べて医療機関を利用する頻度が高いといった要因は当然ございますし、それから、病気になると長期の治療が必要になることが多い、そういうことで医療費が相対的に高くなるわけであります。 いわゆる自然増につきましては、御指摘のように医療費の増加の比較的大きな要因となっておりますが、この内訳を定量的に示すことはなかなか容易ではありませんが、その原因として指摘されているのは、医学の進歩による医療内容の高度化、新薬等の開発による薬剤費の増加、病床数等の医療供給体制の整備、こういうことであろうと思います。 いずれの点についても私どもは絶えず改善に努めていかなきゃならぬと思いますが、一つだけ、阿部委員は例えばアメリカに比べて非常に高くついているとおっしゃったのですけれども、これは水かけ論になるかもしれませんけれども、高齢比率と比べた場合に、日本の一人当たりの医療費はまだアメリカよりは安い、それだけは申し上げさせていただきます。
○阿部委員 ただいまの津島厚生大臣の御答弁は、私の質問の趣旨を曲解しておられます。 私が申し上げたのは、若い人にかかる医療費と高齢者にかかる医療費の比率が日本はやけに高いのです。例えば若年層と比べて高齢者は日本では五倍かかっております。そして、ドイツ、フランスでは三倍いきません。なぜかということを、もう少し緻密に日本の医療構造に立ち至って分析していただきたいということです。実像を見ずしてよい解決はございません。 私が見ますところ、なぜ日本の高齢期医療が高騰するか。先ほど津島厚生大臣のお話にもございましたが、そもそも根本的には、日本においては予防医学の普及にほとんど予算の措置がつけられておりません。翻って考えるに、我が国が世界一低い乳幼児死亡率を到達いたしました裏には、戦後の、保健婦さんたちの必死な予防保健、地域を回り綿密に子供たちをチェックした、そういうことの成果もございます。やはり医学の基本は予防であるということが第一点。 しかしながら、我が国の高齢社会にあっては、そうした地域での予防医学実践の予算は極めて少なく論議にも上らないという点を指摘した上で、先ほどの津島厚生大臣の御答弁とあわせて考えるならば、御指摘のようにまず薬剤費の問題がございます。 ただし、こうした場でいつも審議される場合に、薬剤費は薬価差益の問題としてしか問題にされませんが、実は日本の薬剤構造は大変に新薬の占める比率が高い、ドイツに比べましても、発売後九年以内の新薬の比率は七倍にも上っております。どういうことか。同じような薬をちょっとだけ変えて新薬として高く売る。このことによって、日本とドイツを人口換算いたしましても、日本の薬剤費は七兆、ドイツでは四兆、人口を同じに比較した場合です。 やはりメスを入れるべきは、なぜ日本の薬事行政の中で、あるいはこれだけたくさんの新薬が次々開発されて売られているか、この構造がまず第一で、この多く発売される新薬を制限するだけでも二兆の余剰が出ると言われております。 そして第二点目、医療材料費が大変お高うございます。どういうことか。ペースメーカー、この中にも入れておられる方がおられるやもしれませんが、アメリカで六十万のものが、日本では百六十万近くとなっております。あるいはまた、心臓のカテーテル検査のカテーテル、これもかなりの差額がございます。バルーンカテといいまして、心臓の血管のどこかが詰まったときに膨らますような機能を持ったカテーテルは、アメリカでは七万から八万円、日本にやってくるとなぜか三十万円。そして、この心臓の血管の詰まりを本当に広げるために入れるコイル、ステントと申しますが、これに至っては、アメリカが二十万円、日本が三十五万円。このことから、すべて日本は医療材料費がばか高い。そして、それを一言言えば、アメリカの言いなりに輸入しております。だれが利潤をとっているかは明らかな構図ですが、この薬価の問題、医療材料費の問題にもやはり大きくメスを入れるべきです。 そして第三には、医療機器がまた非常にお高うございます。MRI等々の高度な機能を持ちました検査機器もアメリカの一・五倍以上の値段、億の単位で取引されております。おまけに、一人の患者さんに反復して同じような検査がなされる比率が高い。なぜか。検査でもうかる構造がきちんと医療の中に根づいております。 逆に言えば、このことを軽減するには、医療の情報開示、患者さん自身がカルテをお持ちになるようになれば随分よくはなると思いますが、私が医療実践している中で気がつくだけでも、薬の問題、医療材料の問題、多い検査の問題等々ございます。そうしたことにメスを入れずして、ひたすら高齢化と高齢者負担に血路を求めた今回の医療保険の改悪でございます。このことは、非常に国民の不信を買うばかりか、日本の厚生省行政の汚点となると思います。 私は、津島厚生大臣が長年この件に本当に習熟されて、よい国民の医療像を求めておられることを理解した上で、やはり順番に正していただきたい。 そして、あわせて申しませば、六十五歳以上の御高齢者の疾患でふえてまいりますのが、先ほどの心臓疾患のほかに整形外科疾患でございます。この医療材料も非常に高いから、ふえる疾患の材料費が高ければ高齢者医療は高騰します。 厚生省はもう少し緻密な分析をもって、ただ高齢化という理由で、高齢者だから医療費が上がるんだと安易な逃れをおっしゃらないで、この点に関しての厚生省の御意見、御見解を伺いたいと思います。
○福島政務次官 先生御指摘いただきましたように、いかに疾病を予防していくのかということは大変大切な課題でございまして、二十一世紀の高齢社会がさらに進行する中で高齢者の医療費の問題をどう考えるのかというときに、まず考えなければならないのは、いかにして健やかに高齢期を過ごしていただけるような社会をつくるのか、そういう課題ではないかと私も思っております。 ですから、健康長寿社会というものをつくっていかなきゃいけない。そのための取り組みというのは、本年度から始めました健康日本21ということもございます。これは、具体的な数値目標を定めて健康水準を改善していこうというものでございますし、そしてまた、医療の分野だけではなくて、介護予防事業もさまざま行われておりますけれども、これもそういう意味では非常に大切な課題ではないかというふうに私は思っております。 そして、先ほど先生から、一つは薬価差の問題、新薬シフトの問題、医療材料が高いという問題、医療機器が高いという問題、検査の回数が多いのではないか、いろいろ御指摘ございました。先生から御指摘いただきました課題は、私も厚生委員会に所属しまして七年目になりますけれども、今までさまざまな委員から取り上げられてきた課題であるというふうに認識をいたしております。厚生省としましても、こうした課題について取り組みを進めてまいりました。 まず一つは、薬価につきましては、本年の診療報酬の改定に合わせまして、薬価におけるR幅というものを二%にするという、今までよりもさらに踏み込んだ対応をいたしました。 そしてまた、新薬シフトというものがあるじゃないかという御指摘も今まで繰り返しございました。その新薬の薬価をどのように定めるのかということも大変大切な課題でございまして、これにつきましては、この十月に専門家から成る薬価算定組織を設置しまして、専門的見地からの検討を進め、新しい薬価算定手続をつくるという方向に進んでおります。 医療材料につきましても、カテーテル、ペースメーカーといったものは繰り返し取り上げられてきたことでございまして、これにつきましても、専門家から成る保険医療材料専門組織というものを設置いたしまして、新たな医療材料等の価格算定に当たって検討を行い、医療材料価格算定手続を透明化するという方向で対応いたしております。 検査にしましても、これは実際の市場実勢価格というものを踏まえて適正化を図るということが必要だという観点から、診療報酬の中で対応いたしておりますし、複数回の検査というものがあるのではないかということにつきましては、包括的に評価をした診療報酬を設定してきたところでございます。 まだまだ足りないという御指摘があるかもしれません。引き続き、私どもはこうした課題に対して取り組んでまいりたいと考えております。
○阿部委員 福島政務次官からのお答えは、確かに、国民の求めるものは、そういうことをやってむだを省いて、その後に、国民の皆さん、困っちゃった、もう立ち行かないんだよと言われれば、まだ先ほど来の厚生大臣の財源をどこから持ってきますかという自由党、共産党の皆さんに対する御質問の論議が成り立つと思います。 しかしながら、何度も申し上げますが、まず指し示すべきは、今、福島政務次官がおっしゃったようなことによって一体医療費はどれくらい削減できるのかということを、厚生省みずから国民に提示すべきであります。やっております、やっておりますでは解決にはなりませんし、国民も納得しません。何事も納得なくして税収をふんだくるは民主国家とは申せません。その点を一点指摘いたしまして、次の質問に参らせていただきます。 これも先ほど来何人かの委員の方の御質問にございましたが、今回、介護保険料と医療保険料を両方足して合わせると上限を上回るということで、とりあえず医療保険料のみに限定した上限設定が設けられております。このことは、他の委員も御指摘のように、そもそも介護保険を導入いたします折に、医療の抜本改革をするから医療については高騰要因が少し少なくなって、介護保険と医療保険が両方合わさっても上限を出ませんよというお話でした。そして、その目標が二〇〇〇年度でした。であるならば、介護保険は導入してみました、だけれども、医療費も高騰しております、このことの理由、原因は一体何だと思われますか。政務次官でも厚生大臣でも結構です。
○福島政務次官 先ほどからも御説明していることの繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、介護保険法案の審議に際しまして、介護保険制度を導入することによって老人医療費が減少する、当時の経済状況を踏まえれば、医療と介護を合わせた保険料率も上限におさまると見込まれたことから、これに上限を適用するということにしたわけでございます。 しかしながら、その後、医療費の増大、経済の低迷ということがございました。これは、標準報酬月額が減少する、加入者も減る、こういう経済の大変な冷え込みということがあったわけでございます。医療保険の財政というものは、この経済の大きな変化の波をもろにかぶったと言っても過言ではないというふうに私は思います。 そしてまた、介護保険の導入によって、老人の医療費が下がらなかったわけではありません。下がらなかったわけではありませんけれども、この経済の影響があって予想していたように上限におさまるような形にはならなかったということであろうというふうに私は理解をいたしております。 したがって、今回法案を提出させていただきましたように、現状の上限のままで置くということは、医療保険にしましても介護保険にしましても、その制度の運営に支障を来すということから、今回の改正というものを提案させていただいたわけでございまして、何とぞ御理解をいただきたいと思います。
○阿部委員 福島政務次官もようく考えてくだされば、今の御答弁は、単純に言えば、世の中が不景気になったから高齢者医療費が思ったほど下がらない、むしろ高騰した。こんな、風が吹けばおけ屋がもうかるみたいな論法では、やはり国民は納得できません。 結論的に申しませば、医療の構造改革に踏み込まないから、いつまでたっても医療費の高騰要因はそのまま据え置かれるわけです。そして、その結果を国民負担に持ってくるなということが、先ほど来私どもの何人かが同じような質問をしていた理由です。 この点は、どちらが先かという論議は大変重要でございます。さきの自社さ連立政権時代にも合意されました医療の構造改革は、踏み込んでやるべきだ。そのめどは二〇〇〇年でありましたが、先ほどから平成十四年にずれたようではありますが、その中では決して本質的な解決ができませんし、国民の納得する解決ができません。 あわせて、重ねて申し上げますが、医療の構造改革をまず先んじて、青写真、国民へのお約束を出すべきです。政治家は約束を出してこそ国民に信頼されます。また、それが万が一うまくいかなかった場合は、きちんと自分たちの反省点を出してこそ前に進みます。あいまい、うやむやにしたままで重ねて国民負担をこのように強いる今の厚生省行政は、何度も申しますが、これは失望、絶望以外のものではございません。私は、日本の国が、戦後これまでとやかく言われながらも世界一の長寿国、そして、乳幼児死亡率が低い状態に導き得た厚生省行政を評価しております。その点からいっても、今回のことは再度御勘案をお願いしたいと思います。 引き続いてもう一点。実は、先ほど来の論点の一つに、高齢者にも負担してもらおう、なぜならば、御高齢者も今どきは貧しくないのだよ、若者と比べても遜色のない収入があるじゃないか。大変平易な言葉で言わせていただきますが、これが厚生白書等々でも指摘されております。また、昨日報告の出ました有識者会議の報告でも、変な英語が使われておりましたが、フローとストックがあって、ともに若年層と変わらないのだよという分析でございました。 この厚生白書にはいろいろな統計操作上のうそがございます。どういうことか。まず、高齢者世帯とその他の世帯の比較をいたします場合に、実はその他の世帯にも高齢者が含まれているのです。高齢者だけの世帯と、高齢者を含んだその他の世帯を比較したり、あるいは五人家族で一千万円の収入、この五人の中には赤ん坊が入って、赤ん坊が二人、大人が三人、そうすると、一人の所得は二百万。高齢者も二百万。だから、若い層と高齢者は変わらない。ゼロ歳、一歳、二歳の子まで入れて平均すればそうなるでしょう。やはりここも実相を見ていただきたい。 とりわけて、私は二十六年間医療現場におりまして、医療にかかられる高齢者の実相は、この白書ではとても及びもつかない現状でございます。ここでなすべきは、あえて言えば、医療高齢者白書というのをつくってください。厚生省がつくっている今の厚生白書では、医療にかかっておられる御高齢者の実態、どれくらいの現金収入がおありか、ストックの部分はどれくらいか、そして御自由にできるお金がどれくらいおありか。このことは随分認識が違ってまいります。 そして、その点は先ほどの瀬古委員の御質問ともオーバーラップいたしますので、厚生大臣に私のきょうのお願いでございますが、医療にかかられている御高齢者のプロフィールをきちんと分けてつくっていただきたいと思います。それなくしては、老人が金を持っている、持っていないという論議の一般論にすりかえてしまったら——実は医療弱者である御高齢者、大体六十歳以上で一生の医療費の六二%を使うわけです。圧倒的に出が多いわけです。頻度も多いです。また、高齢者世帯は、一番多い層が世帯収入で二百万前後。その次の層でも、実に五七%が三百万円以下の世帯収入で暮らしておられます。ぎりぎりの低所得者層にはならずとも、そのすぐ上にたくさんの層がいて、そこが医療に来やすいシステムにしておかないと、逆に言うと、これは国民に非常に大きな意味の貧しさを生みます。 あわせて、今の厚生行政で示すべきは、厚生省としてとるべき理念だと思います。このことが国民に見えないから、例えばこの国で老いるとはどういうことか、自分たちをどう扱ってくれるのか、そのことがきちんと伝わらないと、やはり大きな不幸のもとになると思います。 医療高齢者白書について、津島厚生大臣の御見解を伺います。
○津島国務大臣 医療現場の経験を踏まえてさっそうと国会に登場された阿部委員が、今までの御経験を踏まえて、たくさんの、かなり迫力のある御指摘でございました。 私はいろいろ感銘を受けて伺っておりましたけれども、一つ申し上げますけれども、私たちも高齢者になりつつあるし、高齢な両親をみとったり、病院に入れた経験はみんな持っている。ですから、医療の問題というのは、医療現場の問題ばかりでなくて国民共通の問題であるということをまず阿部先生にも御理解をいただきたいと思うのであります。 それで、例えば日本の老人医療費が高いというお話がございましたけれども、それでは外国の場合はどうだろう。アメリカの高齢者、民間保険に入れない人はどうなっているか、あるいは、民間保険に入ったけれども、その保険会社のいろいろな指図で、ここのかかりつけへ行け、ここのかかりつけへ行けと言われるような状態と比べてどうか。日本はこの公的医療制度というものを守ってきたからここまで来たわけでございます。そして、毎度その議論をしておりますときによく指摘されたのは、医療の現場でこれこれの問題があるから、それを解決してから国民に抜本改革の訴えをすべきだ。それは、お気持ちはわかりますよ。お気持ちはわかりますけれども、それだけではいつまでたっても前進しない。 それで、私どもがとっているマクロの手法というのは、お医者さんである阿部先生と違って、マクロ統計を利用しまして、医療費のこれからの伸びをぐっと低いところに、とにかく今言われたようないろいろな改革を加味して抑えていって二〇二五年にどうなるか、こういう分析をやっているわけであります。そういうことの中から、これではなかなかもたないなということも申し上げ、それで、もたなければどうしたらいいか。こういうことをみんなで議論しましょうと申し上げているわけですから、医療現場におけるむだやあれはそのままにしてという気持ちは毛頭ないわけであります。 それから、高齢者の今の統計の話でございますが、悉皆調査ではなくてサンプル調査であります。ですから、サンプル調査でありますから、私は、今阿部委員の御指摘された点は当たらないのではないかと思っておりますが、手元に資料がございませんから、きょうは深く立ち入りませんけれども、この高齢者の状況がどうかということも、それは、委員におかれても、ひとつよくいろいろな資料や実態を見た上でまた議論をしていただきたい。 私どもは、高齢者でもあり、また高齢の両親もみとって、医療機関にも入れた立場でございます。我々にも言い分はございます。
○阿部委員 私は、やはり日本の戦後の厚生行政を評価した上でございます。どういうことかというと、国民皆保険制度。確かに我が国は、アメリカもまねしたいような国民皆保険制度をクリントンは導入できませんでしたから、このことにおいて評価されるべきだと思います。それであるがゆえに、先ほど来瀬古委員の御質問にもございましたけれども、現在特に高齢者に一割負担を求めるような形でしか国民皆保険制度が果たして維持できないのかどうかを問うている質問でございます。 そしてまた、私の第二の指摘は、別に私が医者であるから偏っているのではなくて、病院に来る方がどのような経済背景を持っておられるかをもっときっちりと厚生省に認識していただきたいからにほかなりません。 厚生省の出す白書とは絶対に実態において異なる御高齢者像です。このことを、私が重ねて医療高齢者白書、これは社民党版をつくれと言われれば、私どもも頑張りますので、よろしく厚生大臣にお願い申し上げます。 引き続いて、私も定率負担の導入ということが大変に医療保険の危機と思っております。特に高齢者への導入ということについて、二点にわたって総括をしていただきたいです。 第一点目は、三年前の患者本人二割負担になりましたときの受診率の抑制はいまだ解除されていない。このことについては先ほど他の委員から御指摘がございましたので、私もそう思います。患者御本人を二割負担にしたとき、先ほどの御答弁では、中堅の働く層と高齢者層の両方をまぜこぜにしたお返事がございましたが、実は、二割負担になった層の受診はいまだに抑制されております。しかし、ここは水かけ論になりますので、あえて触れません。 もっと近々のデータでもう一つ、介護保険の導入以降どのように利用抑制が起こったかということについて、私の手持ちのデータと厚生省のデータを比較していただきたいと思います。 私が参考にいたしますデータは、三月まで、介護保険導入前まで無料あるいは非常に低額のサービスを受けていた低所得者の方々が、平均一割のサービス抑制を行っているというデータです。低所得で今までは無料で受けられた方が、介護保険で有料になったために、数値であらわしても一割。例えば、全国老人クラブ連合会での集計では一三・三%。今まではただないし安く受けておられた方に、今度介護保険を利用していますかと聞いた集計です。茨城県の日立市でも一〇・五%、愛媛県においても九・二%、いずれも低所得者層で平均一割の利用抑制が起きている。 そして、もう一つ、これも厚生省に出していただきたいデータですが、実は首都圏においても介護保険の利用率は五割に満たない。これが長野、新潟等々に参りますと三割になる。この首都圏と長野、新潟の差は何か。実は、所得水準が違います。 ここで厚生省にお願いしたいのは、所得水準と介護保険の利用率をきちんとチェックしていただきたいです。どういうことか。所得水準の低い県ほど、低い市町村ほど介護保険の利用度が少ないのであれば、それは介護保険窓口における一割負担が利用抑制の大きな原因であるということに帰結いたします。介護保険は始まってまだ六カ月、そして十月からは保険料の徴収も加わってまいりますが、このままいったら、この介護保険はよろけて、こけて、つぶれてしまう状態でございます。それほどに思ったほど利用が伸びていないという現状を認識した上で、まずその背景をきちんと分析することが、医療費における定率一割負担を導入する前になすべきことだと思います。 そして、医療と介護の大きな違いは、と申しますか、医療の方がより命に切迫しているということで、利用制限がより生存権にかかわりやすい。どちらも大切ですけれども、その差もございますので、せめて今なすべきことは、介護保険導入以降、どのような利用制限がどのような階層に起きているかということを厚生省として責任を持って明らかにしていただきたいということでございます。 そして、この十月から始まります介護保険の保険料の徴収に当たって、各市町村が、既にわかっただけでも六十数カ所で減免措置をとるということを発表いたしました。私はこれは地方自治の当然の権利だと思いますが、このことに関しても、厚生省が保険制度を揺るがすから望ましくないというような御意見を述べておられるのは極めて遺憾であります。 地方自治ということをどう考えるか、あるいはまた、自分たちがしいた介護保険行政一割負担が市町村にどのような負担をかけたかをきちんと点検せずして、厚生省から通告だけを出すとしたら、それは余りにも血も涙もない厚生省行政になってしまいます。私は、何せ厚生省応援団ですから、ここの点を重ねて、きちんといい行政をしていただくためのデータ整備をしていただきたいと存じます。
○津島国務大臣 阿部委員に応援をしていただいている後の方の話についてお答えをいたします。 先日、米子に地震がございましたときに、介護サミットというのがございました。介護の問題に非常に熱心な全国の首長さん方、市町村長がたくさんお集まりになりました。その後、そのときに採択をされた決議を私のところへ持って来られました。その中身は、これは私の言葉じゃございませんよ、介護保険制度はみんなで負担を分かち合う制度であるから、その制度の趣旨に沿って特例措置は極力とらないようにしてください、こういうことでございました。そのことだけ申し上げて、現場における状況がどうなっているかについて、委員も委員なりにあちこちお調べをいただきたいと思います。私もやってまいりましたが、これからもやります。
○大塚政府参考人 利用実態に関する御質問がございましたので、私の方から御答弁申し上げます。幾つかございましたので、もし長くなるようでしたら、おとめいただいて結構でございます。 まず、利用者のうち、利用を控えているケースが相当あるではないかというお尋ねでございました。 全国老人クラブ連合会の調査などを引用されましたけれども、同じ調査でも別のところでは、大部分の方、過半の方はむしろ利用がふえたというデータが出ております。これは御案内のとおりでございます。もちろん、制度の仕組みが変わりますから、従来に比べまして負担の変化がございます。負担がふえるという方もないではございませんが、私どもの承知しておる範囲では、その率はそう高くはございませんし、一方では、御案内のようにさまざまな低所得者対策も講じておりますので、そうした制度の活用もお願いをいたしたいと考えております。 それから、支給限度額に対する利用率の御指摘がございました。 都市部で五割程度、その他の地域ではもっと低い。数字は恐らく大体そんなものでございます。これについての私どもの認識をぜひお聞きとめいただきたいわけでございますが、この支給限度額と申しますのは、これも御案内かと思いますけれども、介護保険制度がスタートする際に、言ってみれば一人の方の支給される限度をどの程度に設定するかということを議論いたしまして、率直に申しまして、在宅介護の重視というような基本理念に立って、現在のサービス水準からいたしますと相当程度の高い水準に設定をいたしました。 したがいまして、私ども、平成十二年度の予算ないしは見通しをつくりますときに、実際にどうかということを想定いたしましたが、現実には、例えば要介護認定を受けておられる方の中でもすぐにはサービスを使われないという方も多うございます。つまり、希望率がございます。それから、一方では、直ちにサービスの基盤が一挙にふえるわけではございませんから、サービスの基盤整備率という問題も出てまいります。これらを掛け合わせたものが現実の利用状況ということになるわけでございますが、当時、全国の市町村にそれぞれアンケート調査などをしていただきまして、そのデータをもとにはじいたものが、実は利用割合三三%という数字でございました。これを予算上に見込んでおるわけでございます。 ただ、この三三%といいますのは、全然利用されない方も含めての三三%でございますから、利用される方というふうに整理をいたしますと、ざっと四割程度。そういう意味では、現在、全国的に、これも悉皆調査ではございませんけれども、速報的に見ますと四割強の利用率でございますから、私どもの見込みにほぼ近い、もしくは若干それを上回るというような数字になっております。 今後、もちろん、介護サービス基盤の整備などに合わせましてこの率が上がってまいると思いますし、私どもの基本的な施策の王道とでも言うんでしょうか、基本方針はやはり介護サービス基盤を向上させる、その厚みを増すというところにあるだろうというふうに考えております。 それから三点目、それとも関連をいたしまして、地域における所得水準と利用率との関係を調査するようにという御指摘でございました。 これは市町村からの詳細なデータが積み上がってまいりませんと整理できませんけれども、そういう意味で、少し時間はかかりますが、ぜひそうしたデータも整理をいたしまして、いずれ取りまとめる機会がありましたら、取りまとめて分析をしてみたいというふうに考えております。 以上でございます。
○阿部委員 私が最初に申しました低所得者における一割減ということをちゃんと聞いていただきたいと思います。そうでないと、いろいろなデータがございますから、やや所得の上の層では利用は確かに高まりました。私が申し上げたのは、低所得者層が一割というバリアがあるために届かないということを一点目は申し上げました。 それから、きょう御確約いただきましたので、所得水準と介護保険の利用率について、いずれ厚生省がデータをお出しくださる日を楽しみにしております。と申しますのは、これがまた先ほどの高齢者がリッチか貧しいかというところにもかかわってまいりますが、やはり窓口負担というのは大変にアクセスを遠くいたします。介護保険制度を本当に我が国に定着させたいと思うのであれば、またこれも介護保険制度の論議のところできっちりいたしますが、私は、この窓口負担一割を変えていかなくては、幾ら介護基盤が充実してもとても目的は達成されないという認識に立っております。 引き続いて、医療法の改正に移らせていただきます。 今回の医療法の改正は、昭和二十三年以来初めて看護要員の患者対比率を見直す大きな改革点であるというふうには述べられておりますが、さはさりながら、実は、患者三対看護婦一という基準は、諸外国に比べても極めて少ない看護基準でございます。 そして、今厚生省にあっては、一般病床を急性期と慢性期に区分して、一般病床の中で急性期を扱う病床群については平均在院日数をより短縮していこうというお考えにあると思います。そうであれば、私は、きょうお手元にお配りいたしました資料にございますように、平均在院日数の短縮には、実は医療従事者、職員数の増加をもって同時並行的に行わないと、非常に手落ち、ミスの多い医療になります。 どういうことかというと、例えば下のグラフ、アメリカでは一病床当たりの職員数は三・五人。これは看護婦だけではございません。そして、平均在院日数は、上を見ていただきますとわかるように、七・八日。翻って我が国は、グラフがどこに飛んでいるのかわからない、左上の方にございますが、一病床当たり職員数は〇・五から一までもいかない。看護婦さんだけで見てみれば、一病床当たり〇・五もいきません。こうした大きな格差、とりわけこれからの厚生省の在院日数短縮に向けた努力の中で、一方の看護要員あるいはパラメディカルスタッフ、そうした医療従事者の増員ということをどの程度本気に強く決意しておられるかという点について、これも見通しをお聞きしたいです。 今、少なくとも在院日数の方だけは各病院にも短縮せよせよと。そうでないと、なかなか利潤が上がらない構造が現実にございます。しかしながら、看護要員については、今のいろいろな体系の中で増員することが大変に難しい現状でございます。国が一つの方向性を持って在院日数の短縮を言うのであれば、看護並びに医療要員の増員はどのような計画にあるのか、この点について担当の方のお考えを伺います。
○伊藤政府参考人 今回の医療法改正におきまして、病床区分の見直しの議論というのは、そもそも基本的な我が国の医療提供体制についての認識といたしまして、非常に病床が多い中で一病床当たりの職員数が薄まきになっていて、平均在院日数が長い、こういう基本的な構造をどのように将来考えていくのかということが医療審議会における議論の出発点であったわけでございます。 そこで、今議員も御指摘のように、この医療法は昭和二十三年に定められた法律で、そこで看護婦の人員配置基準なり構造設備基準というのが決められたわけでございまして、そういう中で、今回、その他の病床につきまして一般病床と療養病床に分けまして、そして、看護婦の配置基準を一般病床については三対一、療養病床については六対一、そういう区分をいたしまして、患者の実態に合わせて人員配置基準をふさわしいものにしていこうということが基本であったわけでございます。 ただ、五十年にわたる日本の医療法を変えるわけでございますから一気にはいかないわけでございまして、看護婦の地域偏在に対する慎重な配慮が必要であるというふうな点も考慮いたしまして、今回、人員配置基準なり構造設備基準の御提案をさせていただいているわけでございます。 そういうことを前提にいたしまして、今回、病床区分が進みますと、一般病床におきましては、現在、平均在院日数が療養型病床群の制度化以来減少傾向にありますけれども、さらに看護婦の配置基準の最低基準を変えることによって平均在院日数がさらに短くなっていくことが期待できるわけでございます。 また一方、看護婦の需給見通しにつきましても、平成三年の需給見通し策定以後、これは今年度で終わることになっております。したがいまして、現在、平成十三年以降の看護婦の需給見通しにつきまして作業をしておりまして、その新しい需給見通しの中には今回の医療法改正の要素を織り込みまして作業をしているところでございまして、新しい需給見通しの策定、さらに地域的に看護婦の確保が困難な地域に対するいろいろな支援策とあわせまして、看護婦の配置基準等を満たす病院をふやすことによって、引き続き平均在院日数の短縮に向けて条件整備をしていきたいというのが現在の考え方でございます。
○阿部委員 新たな見直し、見通しについての御検討があるということを伺いましたが、そもそも平成三年の需給見通しはどこまで達成されたのか、もしお時間があれば、そのこともお願いいたします。 それとあわせて、日本では看護婦さん、今女性がほとんどですけれども、看護士さんもおられますけれども、働き続けにくい状況があると思います。ですから、需給見通しの中には、看護婦さんたちの労働実態を厚生省の側できちんと把握して、現実に女性たちが夜勤もある医療という大変な分野で働き続けられるための諸施策もあわせてお考えいただければと思います。 需給見通しについての平成十三年の答えが出ましたら、今の点は再度確認したいと思います。
○伊藤政府参考人 今年度で終わります現行の看護職員の需給見通しについて、大まかに申し上げますと、順調に推移しておると言えると思います。そして、平成十二年末に全体として見れば需給が均衡するというふうに考えているところでございます。しかしながら、県別、地域別に見ました場合にかなり格差がございますので、そういう点についての配慮が必要ではないかというのが現在の考え方でございます。
○阿部委員 大まか充足しておるという認識は、やはり医療現場ないしは国民の実感からは遠いと思います。 今、病院に入院されても、卑近な話ですが、例えばおしっこをしたおむつをかえてほしい、その場合に、看護婦さんを呼ぶにも、走り回っている看護婦さんの姿を見て、とても呼べないと感じていらっしゃる患者さんは多うございます。ですから、もしも厚生省が立てられた需給見通しがほぼ目標を達成したと認識しておられるのであれば、まだまだ医療現場は看護婦数は足りておりませんし、補助婦さんも足りておりません。その点の認識をよろしくお願いいたします。 あわせて、今回の患者三対看護婦一は、最低限の初めの一歩だ、逆に最低基準を決めただけであるという点は私も認識しております。しかしながら、本当に必要なことは、なされた行為、配置された人員についてきちんとした診療報酬体系上の評価がなされることであります。 どういうことかというと、介護保険を例に引かせていただきますが、要介護認定五度、寝たきりの方をお預かりすると三十六万円。そして、要介護認定三度といたしましょう、少し何らかの寝返りができたり、座位、座れる方は二十七万円。医療機関ないしは介護保険施設にとりまして、この両方の状態を比べたときに、寝たきりの方をちょっとだけ起き上がらせるようにしてしまうと現金収入が減ります。なされた行為、努力について支払われないような診療報酬体系をとれば、患者の寝かせきりは延々と広がります。どういうことかというと、ここにリハビリスタッフを入れ、言語療法士を入れ、自分で飲める訓練、座れる訓練、寝返り訓練、人件費はかかりますが、そうやって軽くしたら収入は少なくなる。 すべからく、今の日本の医療現場も介護現場もこのような矛盾を抱えております。例えば、リハスタッフを充実する、あるいはメディカルソーシャルワーカー等々を入れる。入れても、入れてよくした努力が報われない。感染予防対策を一生懸命しても診療報酬上は反映されない。そうした現状ですから、これは、今後厚生省が診療報酬体系を見直されるときに、私は、下の基準を決めるよりもむしろ努力目標、こういうちゃんとした配置をすればこういう報酬が出ますということによって日本の医療の質を引き上げていただきたいと思います。このことについては、時間の関係で私からの要望とさせていただきます。 そして、私はこのほかに実は若手医師の研修問題も俎上に上らせたいと思いますが、きょうは時間の関係で触れられるもののみを多少お伺いいたします。これは厚生大臣にお願いしますが、二点ございます。 実は若手医師の研修問題においては、昭和四十三年に現在の医師法の改正、すなわち、それまでは大学を卒業して一年間はインターンをやって、その後に医師免許が出るようなシステムでございましたが、それを、卒業時点に医師免許を出し、なおかつその後の研修については個々人に任せた経緯がございます。津島厚生大臣からごらんになって、特に我が国は若年医師の不安定身分をめぐるインターン闘争、大学を揺るがせ、もしかしたら大きな社会的損失であったかもしれない一連の各地の大学闘争、ないしは紛争と呼ばれる方もおられますが、こういうことの結果として提案された昭和四十三年の医師法改正についてのお考えをまず伺います。総括でございます。
○津島国務大臣 昭和四十三年の医師法の改正でインターン制度が変わったことは御指摘のとおりで、あるいは阿部委員はそのころ学校におられたのではないかな、どうしておられたかななどと想像しながら今伺っておりますけれども、このときはいわゆるインターン制度とか医局制度をめぐって大変な議論がございました。 それで問題は、実地修練生は、医師法上、医師でも学生でもなくその地位が不明確であり、病院における地位や処遇が不安定である、これも事実でございましたし、実地修練病院の一部では研修体制が不備であるということが問題として指摘されているわけでございます。 そのために、昭和四十三年の医師法改正において、医師免許取得後に、大学医学部附属病院または厚生大臣の指定する病院等において、医師の努力義務として二年以上臨床研修を行うという現行の制度が創設されたのでございますが、今回はこの枠組みを尊重しながらその必修化をするということでございます。
○阿部委員 津島厚生大臣は、本当のというか飾らないお言葉で、今回の医師法の改正で何を一番期待しておられるか。 私は、インターン闘争のころはまだ入学したてでございましたから、その中身についてはよく存じませんが、この十数年、大学で文部教官助手といたしまして若手の医師の教育に当たりました。私が見渡すだけでも、この十数年、医師の素質も変わっておりますが、今回の医師法並びに歯科医師法改正で研修を義務化するに当たって、本当に厚生大臣の望まれるものは何か、医師法改正に臨む理念と哲学は何か、若い人たちにどうなってほしくてこの制度改正をなさるのか、これの忌憚なきところをお聞かせください。
○津島国務大臣 私は専門家でございませんが、国民の一人として忌憚なく申し上げると、この研修を必修化する等によりまして、医師が全人的に医療をやれる、本当に患者さんの立場に立って医療に従事できるようにすることが一つの大事なポイントではないかというふうに思っておりますけれども、こちらに専門家の政務次官がおりますので、もしよろしければ専門家から答弁をしてもらいます。
○福島政務次官 私自身、臨床研修をきちっとするということは、医者としてさまざまな能力を身につける極めて大切なことだというふうに思います。そしてまた、ただいまも大臣からお話がございましたように、全人的な能力、これは患者さんとのコミュニケーションということも当然ありますけれども、そういう面も含めて医者としてトレーニングを受けるべきだ。 私は、医者になりましてからよくアメリカの医師のトレーニングのシステムと比較される話を聞きまして、それはまだまだ日本では、私自身が経験することができなかったわけですけれども、今回の法改正によりまして少しでもそういう制度に近づけばというふうに思っております。
○阿部委員 もう残り時間が少なくなりまして、実はきょう文部省の方にもおいでいただいておりますが、ちょっとごめんなさいかもしれません。許してください。 先ほど津島厚生大臣がおっしゃいましたが、私は玄人でも素人でもなくただ一人の人間として、これから日本の中でどんな医療があるいは自分が受けたらいいか、受けたいかということが、実はこの若年医師の研修に強く反映されることが先ほど来の医療法とか健康保険法以上に大切なことだと思っております。未来は間違いなく若者によって担われますから、その若い医師たちをどう育てたいかという理念を内容にまで立ち至ってもっともっと厚生省は語るべきであると私は思います。そして、若いお医者さんたちにしてみれば、理念だけ、期待だけされても、極めて不安定な身分に置かれるのではとても期待にこたえ切れません。 次回、私は、時間がございましたら、特に今回の医師法改正においては何らの賃金的な保障が提示されていない研修の義務化の大きな問題点について、それはかつてのインターン闘争と同じものになりかねない、インターンと言われる人たちが無給で置かれたような状態、今度の医師法の改正には実はこの一人一人の若年医師に払うと考えられる予算措置が全くございません、このことを次回の一時間で質問いたしたいと思います。教育には金がかかります、このことについて厚生省のお考えを取りまとめておいていただければと思います。あわせて、ごめんなさい、文部省にも次回お願いします。 終わります。 —————————————
○鈴木(俊)委員長代理 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 両案審査のため、来る三十一日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鈴木(俊)委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、来る二十七日金曜日午前九時四十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十九分散会