決算行政監視委員会 第1号
- 発言数
- 125 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2000/11/09
会議録
○衛藤委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 すなわち、決算の適正を期し、行政監視の機能を果たすため 一、歳入歳出の実況に関する事項 二、国有財産の増減及び現況に関する事項 三、政府関係機関の経理に関する事項 四、国が資本金を出資している法人の会計に関する事項 五、国が直接又は間接に補助金、奨励金、助成金等を交付し又は貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する事項 六、行政監視に関する事項 以上の各事項につきまして、関係各方面からの説明聴取、小委員会の設置及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めてまいりたいと存じます。 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。 ————◇—————
○衛藤委員長 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 本件調査のため、本日、参考人として、宇宙開発事業団副理事長石井敏弘君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。 引き続き、お諮りいたします。 本件調査のため、本日、政府参考人として、公正取引委員会事務総局審査局長上杉秋則君、防衛施設庁施設部長河尻融君、科学技術庁研究開発局長結城章夫君、科学技術庁原子力局長中澤佐市君、環境庁大気保全局長廣瀬省君、大蔵省主計局次長丹呉泰健君、文化庁次長伊勢呂裕史君、厚生大臣官房審議官吉武民樹君、厚生省保健医療局国立病院部長河村博江君、厚生省生活衛生局水道環境部長岡澤和好君、社会保険庁次長高尾佳巳君、運輸省港湾局長川島毅君、運輸省航空局長深谷憲一君、運輸省航空局飛行場部長馬場耕一君、建設大臣官房技術審議官佐藤信秋君、建設省道路局次長倉林公夫君、自治大臣官房審議官伊藤祐一郎君、自治省財政局長嶋津昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○衛藤委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決定いたしました。 —————————————
○衛藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中本太衛君。
○中本委員 おはようございます。自由民主党の中本太衛でございます。 この名誉ある決算行政監視委員会にて、私の議員生活での初めての質問ができますことを大変光栄に思います。 本日、歳出歳入の実況に関する件及び行政監視に関する件という議題におきまして、このたび、十月十日に大蔵省より公表されました国の貸借対照表、すなわち国のバランスシートについて質問させていただきます。 試案という形ではありますが、国際会計基準及び企業会計の理念を取り入れたバランスシートが初めて公表されたということは、説明責任の向上という面から見ても、国として大きな前進であり、評価に値するものと認識しております。 今まで、国の予算は単年度ごとに編成するために、大蔵省は各年度の歳出と歳入のお金のやりくりしか示すことができませんでした。 私は現在三十五歳でございます。私ども若い世代にとりまして、先送りされました国民負担の大きさや増発された国債に見合った資産は一体どのぐらいあるのだろうかといった判断材料がなかったために、大きな不安を感じておりました。もちろん、次世代へのツケを過剰に主張する一部のマスコミの報道によって、一層若い世代の不公平感を増大させていったと思います。 今回のバランスシートの公表は、内容や結果はともかく、財政の現状を検証する上で一つ大きな意味があったと思いますが、バランスシートを作成し、そして公表することになった経緯及び目的をお聞かせ願えないでしょうか。
○宮澤国務大臣 今後ともよろしく御交誼をお願いいたします。 国の貸借対照表の問題につきましては、国会におきましても従来からしばしば御議論がございました。また、平成十年に総理大臣直属の機関として設置されましたいわゆる経済戦略会議などでもそういう御意見がございました。実は大蔵省の内部でも、これはもう十分前から、やはり国の貸借対照表のようなものはつくれないかという議論はございました。 ただ、議論をしておりますと、企業との相違点のようなことがすぐに出てまいりますし、それから、例えば、国が原始取得しております川とか山とかいうようなものは一体どういう目になるのかといったような議論、その違う点の議論がどうしても展開をしてしまいまして、意味はあるんだが、果たしてどういうものができるんだろうかというようなことで、長いこと議論がございましたけれども、そういう国会での御議論等々を踏まえまして、とにかくできる限りのことをやってみようではないかということになりまして、一年余り前でございますけれども、勉強会を設けまして、外部の学者の方、あるいは有識者等々から基本的な考え方について意見を伺いました。そして、その後に一年間いろいろな検討作業を、これは各省庁全部お願いをしまして、いわば衆知を集める形で試案をつくったわけでございます。 試案の作成そのものは、一般会計とほかの特別会計を対象といたしまして、いわば資産と負債をストックとして把握するということ、あるいは、国の持っておる資産の中で、償却資産は償却後の評価を計上する、あるいは退職給与引当金等々の、国のいわば債務でございますが、そういうものについては企業会計の手法がかなり利用できると考えまして、そういうことから資産、負債を国の財政事情に関する情報として計上をする、検討をする、計上をするということになったわけでございます。 したがいまして、こういう資料が国の財政事情についての国民に対する御説明として何か役に立つ、説明責任を果たし、また国の財政の透明性というものにある程度の御説明の寄与になるであろうと考えたわけでございます。 そこで一つ申し上げておきたいことは、そういう背景のもとに、いわば試算として御検討をお願いするということで、国会にもごらんをいただいておるわけでございますが、もともと国というものは企業と違うという基本的ないろいろな問題がございますので、ごらんいただいておりますものもまだまだ、いろいろ御批判をいただいた上で、そして使えるもの、使い勝手のいいもの、あるいは説明のできるものに今後仕上げてまいりたい。そういう意味で、ただいまごらん願っておりますのは、いわば私どもの試作品のようなものだ、こういうふうに御理解いただきまして、御批判を賜れますれば幸せだと思っております。
○中本委員 ありがとうございます。 作成に当たって、大蔵大臣、また大蔵省の皆様方の大変な御尽力には敬意を表したいと思います。大変な作業だったと思います。 しかしながら、今回の作成の結果として、端的に申し上げまして、マイナス百三十二兆円から七百七十六兆円という資産と負債の差額が存在したわけでございます。「国債・年金、次世代に重し」、そのような表現が新聞に書かれておりますと、国債の大量発行や公的年金制度の維持が将来世代に大きなツケを回していることが浮き彫りにされたような感じがいたします。 私ども若い世代ももちろんですが、大蔵大臣には、これからも何十年も頑張っていただかなければいけないと思います。大臣は、昨日、無利子国債は出すつもりはないとおっしゃいましたが、大臣には、世代間の格差、次世代への負担というものを強く感じていただきたいと思います。 このような資産と負債の差額が大きなマイナスになっている状況を見ますと、財政は一体破綻しないだろうかという心配を抱きますが、どのようにお考えでしょうか。
○宮澤国務大臣 ただいま、貸借対照表の中で国の持っております負債、年金等々につきましてお話がございまして、これも三つの考え方があるということで、三種類のかなり違いました数字を示しておるわけでございますが、このこと自身が国民に、ああ、そういうことかと問題意識を持っていただけるということに役立つのではないかと思います。 しかし、いずれの小さい数字も大きな数字も到底なかなか、今、将来国の債務として簡単に問題ありませんといったような我が国の財政の現状ではございませんので、したがいまして、この数字をごらんになられまして、将来国の債務が間違いなく履行できる、そのためには今何をしなければならないかということを御議論いただけるためのよすがにはなるであろう。 おっしゃいますように、この問題一つとりましてもおわかりいただけますように、財政そのものは非常な危機状況にございますので、我が国の経済が毎年確実な歳入を、年ごとに少しでも多く得られるような経済状況になりましたらば、そういう見通しがつきましたらば、この問題を含めまして、直ちにも財政再建、と申しますのは、こういうものを含めた全体が財政再建になるわけでございますので、それは財政だけでなく、税制も社会保障も中央、地方の関連も全部そうなると思いますが、そういうものとして、財政再建に整合的な、いわゆる負担と給付ということを整合的に答えを出してまいらなければ将来非常に問題が残る、こういうふうに考えております。
○中本委員 お話を聞いて多少は安心いたしました。日本の将来のために、これからも御指導、よろしくお願いいたします。 ところで、我が国以外にも、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどが既に国のバランスシートを公表しております。一九九八年から公表しているアメリカは、九九年九月末の時点で負債が資産を約六兆ドル超過しております。しかしながら、バランスシートの作成方法は各国で異なっていると考えられるため、例えば、資産と負債の差額の水準を日米で単純に比較することはできないのではないかと思います。 そこで、日本のバランスシートと米国のバランスシートとの相違点を具体的にお聞かせいただければと思います。
○丹呉政府参考人 お答えいたします。 今回公表されました我が国の貸借対照表の試案は、資産と負債を網羅的に把握することにより、国のストックの財政事情の全体像を示すこととしたところでございます。このため、例えば、防衛用資産あるいは公園などの公共用財産も資産に計上するとともに、年金債務につきましては、ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、債務として計上することとし、三つの案を示したところでございます。 他方、米国の連邦政府の貸借対照表でございますが、今先生が御説明されましたように、最も新しいものが一九九九年九月三十日現在のものでございますが、全体として、資産・負債差額はマイナス六兆ドルとなっております。 この貸借対照表におきましては、例えば、国防用資産につきましては、生産価値に必ずしも結びつかないということで計上されておりません。また、国立公園、国有林等につきましても、直接行政サービスの提供には当たらないということでアメリカでは計上されておりませんで、資産の計上の範囲を限定的に取り扱っておられます。また、負債につきまして、公的年金に係る債務について、アメリカの連邦貸借対照表では計上されておりません。 以上が、日米の貸借対照表の主な相違点でございます。
○中本委員 ありがとうございます。 国際会計基準の流れに従って、我が国においても、平成十二年度三月期決算から連結財務諸表の導入が義務づけられたことと思いますが、国としても連結ベースにのっとった情報開示をすることが望ましいと思います。 その点から考えますと、今回公表されましたバランスシートに関して、特殊法人、地方自治体などを連結させていない点が問題かと思います。もちろん、特殊法人はおのおのバランスシートを作成しておりますが、国の財政制度の全体像を示すには、特殊法人と地方自治体のバランスシートを組み合わせた公表をすべきなのではないでしょうか。国が出資している九十の特殊法人などのうち、六法人が既に債務超過になっており、債務超過を解消するために政府が負担しなければならなくなるという事態があっては、納税者である国民の理解は得られないと思います。 反対に、地方自治体に関しては、バランスシートを作成している自治体がまだ少ないためにデータは少しではありますが、国が補助金を出して建設された施設が自治体の資産として計上されたりするために、財政が厳しい自治体でもほとんどが債務超過になっておりません。我が町の相模原市におきましても、一人当たりの資産が百三万円になっております。 そのため、連結式バランスシートを作成しなければ、特殊法人や自治体運営の問題点が浮き彫りにされないと思います。そういった大規模な連結式バランスシートの作成は、本当に意味があるのかどうか。また、地方自治体も含めたバランスシートの作成ともなりますと、相当のコストと期間がかかることが簡単に想像されますが、そのような連結式バランスシートの作成が可能であるかということも含めて、大蔵省、どうでしょうか。
○丹呉政府参考人 お答えいたします。 国の貸借対照表の連結対象に特殊法人を含めるべきではないかという点につきまして、例えば、特殊法人の中には、株式会社化されたNTTあるいはJR等がございます。したがいまして、どの範囲までの特殊法人が国と一体として会計上の責任を果たす対象となるかなどにつきまして、今後十分な検討が必要だと考えております。 なお、特殊法人の会計処理につきましては、特殊法人等の経営実態に係る透明性の向上という観点から、独立行政法人と同様の財務諸表を企業会計原則に従って作成することにつきまして、大蔵省の財政制度審議会におきまして検討を開始したところでございます。 それから第二点目の、国の貸借対照表の連結範囲に地方公共団体も含めるべきかという点でございますが、地方公共団体は、国とともに公経済の主体の両輪として独立した立場でサービスを提供しております。したがいまして、企業会計におきます連結は支配従属関係を前提とするということでございますので、企業会計的な意味での連結というのは適当ではないと考えております。 ただ、しかしながら、地方公共団体の財政運営の円滑化のために補助金を交付するなど、国と地方公共団体が財政的に密接に関係しております。また、先生御指摘のように、国の補助金等によって建設された公共財産等は地方公共団体の資産となっておりますので、両公経済主体の貸借対照表を結合するということは意味があると考えておりまして、今後の検討課題の一つと考えております。 ただ、その場合、国と地方公共団体を結合した貸借対照表を作成する場合には、三千三百ございます地方公共団体の貸借対照表が共通の手法により作成されていることが必要でございますので、その取り組みを行うことにつきましては慎重な検討が必要であると考えております。
○中本委員 私は、実績を上げられない特殊法人やコスト認識を持たない地方自治体はどんどん公表すべきだと思っております。 さて、負債ばかり問題になりますが、資産計上されない公共事業の恩恵というのも忘れてはいけないと思います。経済を活性化させる点はもちろん、例えば、道路ができたおかげでどれだけの経済効果があったのか、ダムができたおかげでどれだけ日本に安全で安い水が供給できたのか。私どもに利便性と生活に潤いを与えていただいた部分、さらには国際社会の上で、外交として諸外国への経済援助をした資金の存在も含めて、大蔵省は資産にあらわれないようなものについてもっと強調すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○村田政務次官 委員がただいま御指摘になりましたことでございますけれども、六月の選挙で、例えば公共事業の是非についても選挙の間にいろいろな議論が起こりました。 ところで、公共事業の目的でございますけれども、国民の安全で豊かな暮らしや活力ある経済発展を支えるための社会資本を整備することでございまして、御指摘のとおり、公共事業は、我が国の戦後復興期、高度成長期、その後の安定成長期にかけまして、国土保全や交通基盤、生活基盤の整備等を通じまして、生活の向上や経済の発展に大きな役割を果たしてきたものと私どもは認識しております。 このような結果、現在では、部門間、地域間の格差はありますけれども、全体としてはかなり高水準の社会資本の整備が実現されている一方で、少子高齢化の進展、経済のサービス化、高度情報通信社会の到来など、社会経済情勢の変化によりまして国民のニーズが大きく変化してきておりまして、私どもとしても、時代に応じた社会資本整備の進め方を追求していく必要がある、こういうふうに考えております。 公共事業につきましては、近年、効果の乏しいむだな事業が行われているのではないかとか、一度決定した事業は経済社会情勢が変化しても絶対に中止されないとか、そういう批判あるいは御指摘がなされるところでありまして、厳しい財政事情の中で、公共事業に対する国民の理解を得るためにも、公共事業の効率性あるいは透明性の一層の向上を図ることが必要である、こういうふうに考えております。 このため、財政当局といたしましても、公共事業の実施に当たって、引き続き、事業の各段階ごとに費用対効果分析を活用した事業評価を厳格に適用するなど、公共事業の一層の効率化、透明化の確保に努めてまいりたいというふうに考えております。 それから、経済援助のことについても御指摘がありましたが、我が国が戦後復興から経済発展を遂げる段階で、我が国自体が外国からいろいろな意味での御支援をいただいて成長してきたという過去の経緯、あるいは日本が世界でも有数の経済大国である、そういう意味での責任を果たしていかなければいけないという観点から、経済援助の効率化を進めなければいけないということは公共事業と同様でございますが、我が国の責任に体しまして経済援助も続けていかなければいけない、こういうふうに考えている次第でございます。
○中本委員 私も、先生が言われたとおり、すべての公共事業がいいとは思いませんし、また、むだ遣いと呼ばれる公共事業が存在するということも強く認識していただきたいと思います。 さて、私は、このバランスシートを見て、行政のコスト認識をさらに高めなければいけないと強く思いました。 現在の財政法によりまして、単年度主義の原則によって、あらかじめ国会の議決を得た明許繰り越し、また避けがたい事故のために年度内に支出を終わらなかった事故繰り越し以外の予算は、年度内に全額使用するか不用を立てることとなっております。毎年、年度末になりますと、日本のあちこちで交通渋滞を引き起こす道路工事が始まるのは、この制度の弊害の一つだと指摘する声もあります。 このような状況になったのは政治家にも大きな責任があると思います。議員は、予算獲得には熱心ではございますが、一度予算が決まってしまえば使い道に余り関心を示さなくなってしまいがちですが、非効率な予算の執行がないようにしていくことがやはり政治家の役目だと思います。 今後、バランスシートが公表され続ければ決算の重要性が高まると思いますが、予算についても、単年度主義、会計年度独立の原則に対して、余った予算のむだ遣いという弊害を防ぐためにも何らかの工夫が必要だと思います。法的措置も含めてどのようにお考えか、お答え願えますでしょうか。
○宮澤国務大臣 まさに今御指摘の点は、実務をやっております者も痛切に感じているところでございますが、片方で、憲法八十六条で単年度主義、それで国会の国に対する予算のコントロールが保障されておる、それは財政民主主義ということから出ておることでございますが、同時に、今委員の言われましたように、その中で繰越明許のようなことも認められております。 ただ、そのほかにも、例えば、よく例になりますのは艦船の建造でございますが、当然何年かかかる仕事であるというときに、国庫債務の負担行為を国会で認めていただくとか、あるいは継続費として国会で認めていただく、これは国会の御承認があってできることでございますけれども、どうしてもそういうものが現実に必要になってまいっております。 それからまた、便宜の問題といたしまして、これは全く便宜の問題と申し上げた方がいいと思いますが、各省庁が多年度計画を持っております。例えば道路であるとか河川であるとかいったようなものについての多年度計画を、事実上、その年度年度の予算編成のときの一つの目安にしているということはございます。これはしかし、法律的には拘束力というものはちょっと違うことになりますけれども、そういう便宜はやっております。 でございますから、単年度主義が基本ではあるけれども、これからますます将来を展望してのいろいろな計画、歳出というものが必要であろうという御指摘は、私はそのとおりだと思いますので、現在も、国会の御承認を得て、繰越明許はもとよりでございますが、そういう国庫債務負担行為とか継続費とかいうものもやらせていただいておりますし、そういう形で、財政民主主義の枠の中でそういうことができるように国会にもお考えいただいておりますし、私どもまたお願いをしてまいりたいと思っております。
○中本委員 時間がございませんので、話を変えさせていただきます。 今回のバランスシートにおいてこれから一番論議される点は、やはり公的年金関連債務の部分だと思います。公的年金の扱いによって三つの試案を示されましたが、一と三の間には六百四十四兆円もの差があります。一体、三通りの試案のうち、どれが現実を最も反映しているのでしょうか。 我が国の年金は、五年に一度、財政再計算でバランスをとっており、一つの制度として完結している以上、また今後の制度の変更も考慮いたしましても、発生主義会計に基づくとはいえ、バランスシート上に載せるのはいたずらに国民の不安を駆り立てるような危険性もあるのではないか、そのような指摘もございます。 また、先ほど説明がございましたアメリカのバランスシートにおきましても、公的年金は負債として計上されておりません。しかしながら、一方、私自身は、このバランスシートの公表が説明責任という大前提に立つのであれば、発生している債務はすべて計上し、それが現実の負担であるとして考えていくのが妥当だと思います。 この件につきましては、重要課題でもありますし、どちらにしても、公的年金をどうしていくべきかという大きな問題に対して明確な答えを出さなければならない大きなきっかけになったと思います。 公的年金は国民生活に密着した項目であるからこそ明確な位置づけが要されると思いますが、このバランスシートが公表されたことも踏まえて、公的年金制度はどのようにすべきか、御見解をお聞かせください。
○吉武政府参考人 委員お尋ねの、年金につきまして三通りの負債計上を行っておりますが、第一案は、端的に申し上げますと、アメリカと非常に近い案でございまして、特別会計で積立金を保有いたしておりますので、その積立金につきまして預かり金として負債計上をしているという案でございます。 それから第二案、第三案は、国庫負担、それから将来の保険料で賄う部分につきまして、いわゆるこれまでの保険料拠出によってほぼ給付が確定をしております部分がございますので、それを全部お示しをしておるというものでございます。 ただ、最大の問題は、御案内のとおり、我が国の公的年金の場合で申しますと、企業年金と違いまして完全積立方式という方式をとってございません。賦課方式という方式をとっておりますので、将来、段階的に保険料を引き上げていくということを前提にして財政運営を行っております。 このバランスシート上は、将来の保険料による収入については表示ができないという点がございますので、そういう点から考えまして、現段階で三つの案を提示させていただいているところでございます。これは、これからもいろいろな御意見を伺いながら、よりよい案ということで考えていきたいと思っております。 それから、もう一点でございますが、私どもは昨年の年金改正のときに、こういうバランスシートとは別に、将来の保険料の収入も含めました財政計画、あるいは将来の保険料負担水準も含めまして、給付と負担につきまして、国会で年金改正について御審議をいただきましたので、私どもは私どもとしまして、年金行政サイドで、今申し上げました将来の給付についての責任、それから将来の収入につきまして、できるだけ御理解をいただくように詳しく説明をしてまいりたいというふうに思っています。 それから、年金制度の改正でございますが、これは、先般の国会で御審議をいただきまして、ことし三月に成立しました年金改正法によりまして、将来最も負担が重くなる時点におきましても保険料を年収の二割程度に抑える、こういう形によりまして将来世代の過重な負担を防ぐ。 それから、給付につきましても、これは段階的にでございますが、少し抑制をさせていただいておりますので、その結果によりましても、将来の年金受給世代、サラリーマンの厚生年金で申し上げますと、現役世代の手取り年収のおおむね六割程度を確保するということでございまして、二割の負担で現役の六割程度の年金給付を確保するという今の考えに立っております。 この点につきましては、今後とも、五年に一回財政再計算を実施してまいりますので、今後の社会経済の動向でございますとかこういうことを踏まえまして、年金制度の安定化には全力を注いでまいりたいというふうに考えております。
○中本委員 ありがとうございました。 これで質問を終わりにさせていただきますが、私は松下政経塾の出身で、経営の神様でございます松下幸之助さんの、政治とは国家を経営することであるという理念に基づいて勉強してまいりました。 松下幸之助さんは、三十年以上も前に無税国家の構想を発表されました。毎年の予算の一部を預金し、その預金が十分にたまったときにその金利で国家を運営していくという考えでございますが、当時は、政治家の方、官僚の方に随分笑われたそうでございます。 確かに、今の低金利の時代、現実性の薄い考えだとは思いますが、経営者の感覚からいえば大変すばらしい発想だと思います。これからの政治は、やはりコスト認識というものを大切にしていかなければならないなと思います。そういった意味で、これからバランスシートを作成する意義が大変高まると思います。どうもありがとうございました。
○衛藤委員長 次に、谷口隆義君。
○谷口委員 公明党の谷口でございます。 本日は、まず初めに先日の、考古学における戦後の最大のスキャンダルと言われております遺跡発掘捏造事件についてお伺いをいたしたいというように思うわけでございます。 今回のこの事件、どうもマスコミの報道を見ておりますと、大変初歩的なやり方で捏造された、また、この結果、大変大きな衝撃が我が国の国内に走っている、このように思うわけでございます。 今回のこの問題は、東北旧石器文化研究所の元副理事長が遺跡発掘を捏造しておったということが発覚をいたしたわけでございます。個人的な問題とはいえ、この問題が我が国の考古学そのものに対する信頼性と権威を揺るがせて、また、教科書の記述の見直しまで必要な状況にあるというような大変な衝撃が走っております。国内にいらっしゃいます考古学の研究者、六千人余りいらっしゃるようでございますが、その人たちにも大変な衝撃を与え、また、これから考古学を勉強したい、こういう人たちにも大変大きな影響を与えている。状況を聞いておりますと、大変初歩的なやり方で捏造しておるというような状況のようでございます。 いろいろあるようでございますけれども、聞くところによりますと、ゴッドハンドというんですか、神の手と言われるような言い方をされておられたようで、行くところ行くところ奇跡に近いようなことが連続して起こった。九七年には、約三十キロ離れた遺跡で発掘した二つの石器の断面がぴったりと接合したというようなこともあったようでございます。山形県尾花沢市の袖原3遺跡と宮城県色麻町の中島山遺跡で、ともにこの元副理事長が発見したものであった。これはどう考えても、三十キロの間のこの二つの遺跡がぴたっと接合する、これで何の不思議も感じないというようなことが私は実は不可解で、本当に不思議に感じたわけでございます。 このような捏造事件に対しまして、どのような結果こんなことが起こったと考えていらっしゃるのか、文部省の御見解をお聞きいたしたいというふうに思います。
○鈴木(恒)政務次官 お答えを申し上げます。 毎日新聞がこの特だねをスクープいたしまして、私も毎日新聞の記者をしておりましたので、特別この紙面からショックを受けた一人でございますけれども、どうしてこういうことが起きるのか、学術の世界にまで退廃の波が及んだかと、そういう意味で非常に私は衝撃を受けた次第でございます。 いろいろ聞いてみますと、この藤村という人が掘ると不思議に石器が見つかる。最近は少し、ちょっとおかしいぞという声も出ていたと聞いておりますけれども、いずれにしても、そうしたことの積み重ねから当人の心の中に、まあよく言えば期待に対する何かこたえなきゃいけないという気分、もっと言えば名誉欲であるとか功名心であるとか、そういうものが次第次第に芽生えてきてこれだけのことをしでかしてしまったのではないか、これは推測でございますけれども、そう判断をいたしております。
○谷口委員 今おっしゃったわけでございますけれども、これはそれだけでは済まないわけで、早急に対策を講じなければならない。先日も、テレビを見ておりますと、ある考古学者の方が怒り万感でおっしゃっていたわけでございますが、我が国全体の考古学が根底から信頼性を失った、一刻も早くこのようなことに対する対応を考えていかなきゃならぬと。 また、この元副理事長が発掘にかかわったところが、どうも本人が言っておるのは、上高森遺跡と総進不動坂遺跡の二つは捏造したということを言っておるようでございますが、その他、かかわっておるところが百五十カ所以上に上るというようなことでございます。 このようなことを再度調査するというようなことを考えていらっしゃるんでしょうか。
○伊勢呂政府参考人 これまで前副理事長が関与いたしました旧石器時代の遺跡の数につきましては、百八十カ所あるいは百五十カ所といったような報道がございますけれども、この数値には、単に遺跡の所在を確認した程度のかかわり、要するに踏査をしたというものも含まれているのではないかと考えておりまして、実際に発掘をしたというものの数はそれほど多くはないのではないかと考えております。 文化庁におきましては、現在、東北旧石器文化研究所と各地方公共団体におきます埋蔵文化財行政とのかかわり、あるいは発掘調査の経緯、体制につきまして、各都道府県教育委員会を通じまして調査をしているところでございます。
○鈴木(恒)政務次官 事の重大性を考えまして、私どもでは、七日付で、全国の都道府県の教育委員会に対しまして、この藤村氏を中心とする東北旧石器文化研究所が実際に調査あるいは踏査にかかわったかどうかということを、事実関係の調査を、文書をもって報告していただくようにお願いしたところでございます。きょうが締め切りとしてございますので、来週中にも大まかな、ベーシックな調査を終えたいと思っております。
○谷口委員 教科書の記述も問題になっているわけですね。見直しをしなきゃいかぬのじゃないかというようなことのようでございますが、これについてはどのようにお考えでございましょうか。
○鈴木(恒)政務次官 藤村氏当人がやったのは上高森遺跡と総進不動坂、しかもそれは、ことしになって、九月、十月の段階だというふうに説明をされておるようでございます。 本人が現在言っておりますことが正しいのであれば、直ちに教科書の記述訂正が必要であるかどうかは判断が非常にしにくいところでございますが、学会における学術上の、これはもう非常に専門的なごく限られた知識を持っている方々にお願いしなければならぬわけでございますけれども、改めるべき内容があれば改めねばならないと考えているところでございます。 いずれにしても、教科書会社がその学術上の検討を踏まえて内容の改訂を申請してくる、これを待ちたいと考えております。
○谷口委員 私、冒頭申し上げたように、九七年に二つの石器が、三十キロも離れた石器がぴたっと接合したなんてどうも信じられないわけで、どうもこの二つだけでおさまるようには考えられない。 先ほど、冒頭お話をさせていただいたように、一刻も早く我が国の考古学の信頼性を取り戻すためにも、その状況をゆっくり聞いておるというよりも、むしろ当局の方でも積極的に、今のこの状況にかかわることをどのように回復していくのか、やっていただきたいというようにも思うわけでございます。 それで、この遺跡発掘にかかわるやり方をいろいろ検討されておるんだろうと思うんです。私は思うのですけれども、例えば独立した機関がチェックを行うとか研究者同士でお互いにチェックをし合うとか、今後、このような発掘の捏造が起こらないような対応について、今どのように御検討されていらっしゃるんでしょうか。
○鈴木(恒)政務次官 これまでの調査の場合でございますと、各遺跡のある箇所を持っております都道府県の教育委員会が調査指導委員会というようなものを設けて、特別に学術的な知識を持っていらっしゃる方に入っていただいて、そういうチェック機能を持っていたと聞いておりますが、今度の研究所の場合は極めて個人的な組織で調査を進めるケースが多かったものでございますから、そうしたチェック体制が各都道府県教育委員会になかったケースが多いようでございます。 今後、そうした委員会の活用なども含めて、国民の不信感あるいは学術上の混乱を解消するための手だてとして、文化庁といたしまして、あるいは文部省といたしまして具体的な措置を十分考えていきたい、これから練っていきたいと考えている段階でございます。
○谷口委員 今お聞きしますと、具体的な対応のその詳細まではどうも詰めていらっしゃらないようでございますが、この問題は、我が国の祖先はどの程度までさかのぼれるのか、大変重要な問題が包含されておりますし、冒頭お話をさせていただきましたように、考古学全体に対する動揺が、大変大きな衝撃が走っているわけでございますから、丹念な調査をしていただかなきゃいかぬ一方で、処理のスピードも速めていただいて、考古学に対する信頼性を一刻も早く取り戻していただくよう、検討をしていただくようお願い申し上げまして、この問題の質問をこれで終わりたいと思います。 次に、先ほどのバランスシートの問題でございます。 先ほどの議員もバランスシートの質問をされたわけでございますけれども、国のバランスシートも企業のバランスシートも、バランスシートというのは、ある一定時点の資産、負債、正味財産と申しますか、資産・負債差額というような表現をされておりますけれども、この状況を網羅的に一覧表形式であらわすものというように表現できるんだろうと思うわけでございます。その際にやはり重要なのは、一つの基準があるということなんだろうと思うんですね。 アメリカにおいてバランスシートをつくった折に、一九九〇年ぐらいからこのバランスシートに取りかかって、九八年にどうも発表したようでございますけれども、九〇年の時点で、連邦政府機関に適用される会計基準を監督する組織として連邦会計基準諮問委員会が設立され、この設立主体の会計検査院、行政管理予算局、財務省の代表者のほか実務家、学者のメンバーから構成されて、財務諸表と申しますか貸借対照表の財務報告の作成基準を定めるというような手続に入られたようでございまして、この作成基準というのはやはり極めて重要なわけでございます。 なぜ重要かと申しますと、先ほどから議論が出ておりますように、公的年金の考え方が今回三案ございました。三案ございまして、それぞれの数字が異なるものですから、最終の資産・負債差額が異なってくるわけでございます。 ですから、そもそも決算書類と申しますか財務諸表というのは、絶対的真実性のもとに置かれた数字ではない。前提が変わりますと数字が変わるわけでございますから、その前提を、しっかりした基準がないと、一つは、ある期間の貸借対照表があって、翌年の貸借対照表との比較の問題もあるんだろうと思うんですね。また、一つの貸借対照表のベースになる、そのときの数字におきましても、一つの作成基準がないと大変数字が変わってくるわけでございます。 先ほど申し上げましたように、今回におきましても、新聞で見ますと、平成十一年三月三十一日現在の国の貸借対照表でぱっと見たときに、資産・負債差額が百三十二兆円なのかと、こういうように国民が判断すると思うわけですね。ところが、そのときに考え方が三つ書いてありまして、この第二案でいきますと二百六十九兆円、第三案は七百七十六兆円ということで、考え方が変わりますと債務超過の金額が変わってくるわけでございますから。 また、先ほど出ておりましたように、公共用財産の問題もございますね。国家財産のところに除外されておるような道路だとか河川だとか、こういうような評価についても、今回はこのように評価するというような前提のもとでの貸借対照表でございます。 そういう意味において、私は、順序でまいりますと、公会計と申しますか、国の会計の基準を定めることがまず大事ではないかというように思うわけでございますが、大蔵大臣、どのようにお考えでございましょうか。
○宮澤国務大臣 このたび、この試算をいたしますに至りました経緯は先ほど中本委員に申し上げましたが、実は国会の御審議において、殊に谷口委員からは御専門の立場から何度もお話を聞かせていただきまして、私ども大変示唆をいただきました。また今後も改善につきましていろいろ御忠告をちょうだいしたいと思っております。 大蔵省の中でも長いこと、御存じでございましょうが、議論がありましたが、国というものは企業ではないとか、あるいは始原的に取得した山とか川とか、川なら堤防部分については投資がなされて、その部分は評価ができるかと思いますけれども、始原的に、原始的にあったもの自身は評価もできないといったような、違うところばかりが議論になりまして、私ども問題を、何となくちょっと腰が重い、少し後送りにしていた感じがございます。 しかし国会でいろいろ、殊に谷口委員からもお話があって、今おっしゃいましたような問題を、勉強会の中で基本的な考え方について意見をいただいて、そして一年ほど、各省庁から資料をいただき、御協力もいただいてこういうものをつくりましたのですが、今おっしゃいましたような問題が直ちに目立ってまいった問題でございます。 したがって、それを、目立ったまま、そのまま今回説明をつけていたしておりますけれども、本当は、どれをとるのかということでなければならないのだろうと思います。しかし、いずれもある種の真実であって、国としてそれをどういうふうに選ぶかということができませんまま並立をしたということでございます。 あえて試論と申し上げましたのも、ただいまおっしゃいましたような問題が実は目立っておるわけでございますので、これから改善をしていくときに、三つただ並べておけば、殊に一般の国民からいうと、答えはどうなんだということにならざるを得ませんので、いろいろ集約してまいらなければならないのではないか。いろいろ勉強も要ることでございます。私どももいたしますが、関係省庁もいたしますが、また御教示もお願いしたいと思います。
○谷口委員 今回の国のバランスシートにつきましては、先ほど大臣の方からもおっしゃっておられましたように、一年余りで作成まで来たわけでございます。大蔵省当局の大変な御努力に対しまして敬意を表する次第でございますが、一方で、でき上がった試算のバランスシートを見て、国民が、国の説明責任と申しますか、そういう意味においてもこのバランスシートは非常に重要なわけでございますけれども、これがミスリードされるものであってはならないというように思うわけでございます。 ですから、さっき申し上げました、例えば公的年金の考え方によって債務超過の金額が変わってくるとか、また公共用財産の評価の仕方によって債務超過の金額が変わってくるとか、また、例えば減価償却の方法も、やり方によってこれは変わってまいりますから、それぞれがやはり変わるという意味において、先ほど申し上げました相対的真実性のもとにある決算書類でございますから、これが相対的に真実性を保持できるその前提は、一つは基準があり、またその基準が継続されることでございます。 この基準がころころと変わりますと、企業の粉飾決算と言われるような事態になるわけでございますから、一つのベースのところの基準を作成していただきまして、この基準を継続して適用されることによって、出てきておる数字が相対的真実性のもとで確保されると申しますか、数字として正しい、正確な数字だ、このように言われるわけでございますから、ぜひそういう観点でやっていただきたいというように思う次第でございます。 バランスシートは、先ほどおっしゃっておりましたように、単独だけではやはり不十分である、連結をしていく必要がある。今回のバランスシートは、一般会計と特別会計は連結されたわけでございますけれども、独立行政法人の問題もさっきおっしゃっておりましたし、特殊法人でございますね、特殊法人の問題は、やはりこれを連結した上でやっていかないと、国全体の財政の状況が把握できないというようなことがあるんだろうと思うんです。 ですから、そのあたりがどうも中途半端になりますと、逆に国の財政に、国民にミスリードを生じさせるということになるわけでございますから、ぜひそういう意味において、もっと言いますと、地方公共団体に地方交付金であるとか補助金を出しておるわけでございますから、そのあたりも包含した形での決算書をつくるべきだというように思うわけでございますが、これはステップ・バイ・ステップで、順序が要ることなんだろうと思います。ですから、まずは特殊法人を連結の範囲内に含めていただくようなことを考えていただく必要がある。 そういう意味におきまして、公会計基準というのを、今何かこれから勉強会をされるようでございますけれども、その公会計基準を特殊法人にも適用していただくようなことにして、いつ連結をやろうといった場合でも連結ができるという状況をつくりだしていく必要があるんじゃないかというように思っておりますので、国の方でこの公会計基準を勉強していただいて、つくり上げていただいた後に、このような基準を特殊法人にも適用してもらい、また地方公共団体にもそのような基準でやっていただきますと、これは、あとは事務的に連結が組めるわけでございますから、ぜひそのようにやっていただければ私はありがたいなというように思うわけでございます。 大蔵大臣、御所見をお願いいたします。
○宮澤国務大臣 そういうことも実は議論になっておりまして、いろいろ難しい問題があるようでございますけれども、やはり将来に向かって改善をする方向としては、どうしてもそういう問題がなかなか避けられないのではないかという認識を持っております。
○谷口委員 このバランスシート、今回バランスシートだけでございますが、収支計算書と申しますか、出入りの状況ですね、歳入と歳出の状況が一覧表で出てくるような計算書類も含めて、ぜひ国の財政の透明性という観点から、諸外国から見ますとより一歩進んだ形での財務諸表をつくっていただくようお願い申し上げまして、この質問を終わりたいと思います。 あと若干時間が残っておりますので、関空の二期工事の問題について若干お聞きいたしたいというように思います。 御存じのとおり、関空は国家的プロジェクトということで、一期工事が終わって今運営されておるわけでございます。二期工事が、これから予算要求をされる状況になっておるわけでございますが、先日、宮澤大蔵大臣また大蔵省の事務次官も、今回の二期工事の見直しについての御発言があったということをお聞きいたしておるわけでございまして、その御発言の本意についてお伺いいたしたいというように思います。
○宮澤国務大臣 せんだって貨幣大試験がございましたときに大阪に参りまして、財界の方、知事さん等とお話をいたしましたときにこの問題が出まして、これは私が運輸大臣と御相談したことでもございませんし、ただいま申し上げることもそういうことで御了解をいただきたいと思いますが。 要するに関空、いろいろ問題が難しくなったので、ここで仕事を休んだらどうだという社説が大新聞に何度か出ました。私は、仕方がなければそうかもしれないが、しかし、いきなりそんなことを言うのは知恵のないことであって、あれだけの大きな仕事ですから、関係者がやはり一遍ここで将来を見据えて、もう一遍どうやるかということを相談すべきではないかという動機から申しました。 大きな仕事でございますし、ああいう経営形態にもいろいろ問題が、御苦労があろうと思うんです。土地の皆様も会社も苦労していらっしゃるだろうし、そして、ここ、東南アジア等も含めて不況が続きましたので、発着回数がどうも思うほど伸びないとか、あるいは工事の地盤沈下の問題もあったかもしれません。会社は非常に苦労をされながら、まだ当期赤字が続いております。 いろいろ、しばらくすると改善するという考えを御苦労していらっしゃるようですけれども、しかし、その上で一兆何千億という新しい工事をやっていってどうなるかということの経営の展望まではなかなか難しい。もとより、長いことを見渡す、計算することは難しゅうございますけれども、ということから考えまして、私は、そういう大きな仕事は、利子を払った金でやっていくことはなかなか難しいのではないか、利子のない金を、全部とは申しませんが、主体に考えなければ、将来なかなか展望が開けないのではないかということを思いましたものですから、地元財界あるいは大阪府におかれても、と申します意味は、国もということでございますけれども、利子のない金をこれから長期にわたってつくって、それで工事をやるということでないと、将来に向かっての採算というものはなかなか計算できずに、累積赤字がたまっていくばかりではないか。 将来のことですから不確定なことが多うございますが、韓国を初め周辺にたくさん空港ができていく状況でもございますから、どれだけの利用度数があるかということはかなりかた目に考えておく方がいいのではないかという気持ちもありまして、気持ちといたしましては、ここで仕事を休んでしまおうということではなくて、そういう決心をする前にもう一遍みんなで相談することはあるんじゃないか。 財界も大変だと思いますし、大阪府も不交付団体ではありません。国もこういう財政状態ですが、しかし、あれだけの仕事を始めた以上は、やはり立派なものにしていくのが本来あるべきことであって、そのためには国もいろいろ努力しなければならないな、こういう気持ちで申し上げました。
○谷口委員 ありがとうございます。 やはり国家プロジェクトとしてスタートいたしたわけでございますし、我が国に数少ない国際ハブ空港として関空の立場がますます重要になってくるわけでございますから、ぜひそういう観点でこれからのあり方を議論していく必要がある、このように申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。
○衛藤委員長 次に、石井紘基君。
○石井(紘)委員 先ほどからバランスシートの問題が出ておりますので、その問題から入らせていただきたいと思います。 バランスシート等国の貸借対照表というものをつくることが意味があるんだというお二方の観点だったと思いますが、私は全く違う考えでございますので、大蔵省の考えを伺いたいと思います。 大体、この出されたバランスシートを見てみましても、例えば道路だとか公園だとか、あるいは立ち木、林、そうした売れないものを資産に換算することができない、こういうようなものも資産の中に含まれるわけですね。あるいはまた、三十九兆という「投資等」という項目が資産に計上されておりますが、こうしたものの大部分は、特殊法人等に対する出資金とか資本金、こういうものでありまして、一方では、特殊法人等についてはバランスシートに載せられないという事情がありながら、こういうところにつぎ込んだものは資産であるというふうに計上している。特殊法人では、こういったものは多くの場合もう消えちゃっているわけですね。資産としては存在していない。しかし、貸方の方には残っておるというような関係になっているんだと思います。 そこで、大蔵省はそもそも、国の経営というのは行政でありますから、行政が、投資をして利益を得る、そして経営をしていく、こういう企業の手法をそのまま持ってきてやろうといっても、これは無理なんだというふうにお考えになりませんでしょうか。
○丹呉政府参考人 お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、国は利潤の獲得を目的として運営されておりませんで、そういう意味では、企業のような倒産処理手続等によって財産を清算する等々予定されていないわけでございますので、国と民間の活動が本質的に異なるのではないかというのは、御指摘のとおりでございます。 しかしながら、今回の貸借対照表の作成の目的は、一般会計と特別会計を対象といたしまして、資産と負債を網羅的に把握する、それによりまして国のストックの財政事情全体を示す、あるいは、企業的な手法を用いまして国の財政事情に関する新たな情報を提供するということで、国民に対する財政の説明責任を果たすとともに、透明性の向上のために作成したものでございます。 ただ、その場合には、私どもといたしましても、企業とは違うわけでございますので、例えば、資産・負債差額を資本と同様な意味づけにしないというようなことに留意いたしまして作成したところでございます。
○石井(紘)委員 私の聞いたことに答えてくださいよ。余計なことは、もう再三繰り返されていることはいいですから。こういうバランスシートなんというものはそもそも無理ではないかと聞いたのだから、一言、無理か無理じゃないということを答えればいいんですよ。いいですか。 今、一般会計と特別会計についてと言ったけれども、特別会計の中から財投機関に流れているわけじゃないですか。その財投機関はやっていないわけでしょう。それはできないわけでしょう。 さっき言ったような理由で、こうしたバランスシートというようなものは、さっきも宮澤大蔵大臣が言われたように、意味があるならどういうところにあるのか、意味があるのかないのかということも含めていろいろ問題意識を持っているのだと言っているわけですから、これはまだ、これが意味があるかないかということだって、はっきり大蔵省は言っていないわけですよ。どうなんですか。はっきり言ってください、イエスかノーか。
○宮澤国務大臣 それは先ほども申し上げましたとおり、国会でもいろいろ御議論があり、また経済戦略会議でも肯定的な提言があったわけですが、大蔵省自身は、長いこと、このことにつきましては、いろいろ議論をしながら、正直言って踏み切れないでおった中には、今石井委員の言われましたような本質論が実はありまして、国家は企業ではないというところ、あるいは始原的にある山や川は、資産であったとしてもどういうふうに評価するのかといったようなこと、そういうことの議論の方が、始めますとどうも勝ってしまいまして、今まで手をつけなかったのです。 しかし、そうはいっても、先ほどの公的負担のように、あるいは事業会計の中にそうであるように、非常に企業会計的な性格を持っているものは現実にございます。それも少なからずあるわけですから、そういうことを承知の上で、何とか企業会計的な手法で、アプロクシメーションというのでしょうか、事態に、ある程度解明するような接近はできないだろうかということにも十分理由のある御主張であるから、各省庁と一緒にそれをやってみようということで始めました。 したがいまして、石井委員の言われますことをもともと私どもも承知の上で、しかし、それでもある程度の接近をしてみることが国民に情報を差し上げるゆえんではないかと考えたわけですが、たびたび申しますように、本質的にいろいろ難しいことがございますから、それで試算として申し上げましたので、そういう本質を知りながら、しかし、もっともっと接近ができるような試算を、内容を向上させ改善することができないだろうか、そういう立場でいたしております。
○石井(紘)委員 宮澤大蔵大臣の苦悩は、大変私はよくわかるわけであります。 企業会計をしなければならないような、いわばビジネスの部分が余りにも膨らみ過ぎている。さっきも特別会計の話が出たけれども、一般会計は八十三兆か四兆なのに、特別会計は三百兆というような、これは基本的に事業予算、こういうような、行政のビジネスというものが膨れ上がっちゃってどうしようもなくなってしまっている。そこを、外見的、表面的だけをとらえて、これをすべて、国を丸ごと企業会計でやろうと。こうしたら、この国の運営をビジネスの会計でやるということに引きずり込まれていくわけですよ。 ですから、大蔵大臣はぜひそこを、政治家であるがゆえに、何かそこのところの間をとって、できるだけ国民に透明性を高めていきたいという気持ちはわかるのですけれども、しかし、そこにはまり込んでしまいますと、これがビジネスの世界になる、利権の世界になるということを十分御認識をいただきたい。 余りにもこれが肥大化しているから、それがあたかも自然かのごとく既定の事実の上に立って、そこからの発想がこの企業会計を取り入れようということなんですから、むしろ、企業会計をしなければならないような部分は行政からきっぱり切り離す、そして行政というものは、収入が幾らで支出が幾らだということがきちっと数字で出るようにしなければいけないわけですよ。それが行政の役割であって、決して、投資をした、外債を買った、あるいは株を買った、そうしたものが幾らになるかわからない、そんなところまで国の会計で出るわけがないのです。 あるいは、いろいろな特殊法人が宿泊施設をつくったり、その他の、道路建設をやったり、住宅建設をやったり、不動産取引をやったり、そうやってばんばんビジネスをやる、そういうものをとらえるのが国の会計じゃないはずなんです。ですから、そういったものは切り離して、民間のやることは民間にやらせる、これが経済。経済がやることは経済にやらせるということでなければいけないわけです。 ですから、こういうバランスシートなどというものは、負債がどのくらいあるかということは、それはそれで別途明らかにする必要があるのです。特殊法人がどんなに破綻の状況が深刻になっているかということは、それはそれで別途に明らかにする必要があるのです。ですから、国をそうした営利企業のような、そういうような方向に持っていかないということを厳にひとつ御認識をいただきたい。答弁は結構でございますので、申し上げておきたいと思います。 そこで、宮澤大蔵大臣は、宮澤元総理は広島県が選挙区で、御郷里であられるわけでありますが、私はこの前、大蔵大臣の御地元の福山の鞆の浦というところに行ってまいりました。非常にすばらしいところですね。鞆の浦港というのはきれいな大変美しい湾なんですけれども、そこに大変たくさんの遺跡がある。 例えば、港でいいますと、まず湾の入り口のところに波止という、これは二百年ぐらい前に、江戸時代にできたのでしょう、石づくりのいわば堤防なんですけれども、手づくりのものですね。 そしてそれをちょっと進みますと、今度は雁木という、あそこは非常に潮の満ち干が激しい、一日に何メーターというふうに満ちたり干たりするところでございまして、階段のように、幅の広い階段のように石が積まれておりまして、そしてそこに、満ちたときは上の方、干たときは下の方というふうに船が泊まれる。こういうものを我が国の祖先は、江戸時代の初めのころですか、初期ぐらいですか、そうしたものをつくった。 それをさらに回りますと、常夜燈という、今でいうと灯台なんですけれども、石のすばらしいきれいな灯台がある。 さらにはまた、その手前の方には船番所という、上から潮を監視する、あるいは港を監視する、見おろす、本当に当時の情緒をとどめたすばらしいものがございますね。 それから、さらにはまた、奥の方へ行きますと、焚場といいまして、何かというと、昔は船に貝や何かがつくわけですね、あるいはまた海藻などがつく、そしてフナムシなんかが入り込んでくる、そうしたものをきれいに除去する、あるいはいぶしてフナムシをなくす、こういうような、今でいえばいわばドックですね、そういうようなものがそのまま全部残っておりますね。 問題は、何を言おうかとすると、そこに道路の橋をだあっと横断させよう、こういう計画があることが問題なんです。 さらに、鞆の浦という町のことを申し上げますと、この町には、そういう昔からの交易の拠点でありましたために、外国からも国内からも、貿易のためのたくさんの船が出入りをしていたところでありますね。そのために、例えば坂本竜馬だとか、これは幕末ですが、あるいはもっとさかのぼれば豊臣秀吉だとか、あるいは外国からはシーボルトだとか、そういうさまざまな歴史的な人物がそこに行き来をして、そうしたものが一連の文化財となって残されておる。 国の指定文化財は全部で、史跡や名勝を含めて九つも、小さな町、人口が六千人か七千人ぐらいのそんなところにある。あるいはまた県の重要文化財、これが八つ。市の重要文化財を含めると全部で三十六もこうした遺跡群というものがあって、そして今福山市では、重要建造物群保存地区に指定をしようということで、もう条例の案もできておる。これを文化庁に上げて、市で指定するとともに国でもそういうふうな指定に持っていきたい、こういうことになっているわけですね。 ところが、その鞆の浦というのは、もう福山のずっと一番奥の方ですから、半島の先の方ですから、道路をつくっても、私に言わせれば、それはほんの部分的に、あるいは道路はいろいろな人がもっと広く利用するかもしれませんが、しかし、奥の方ではある、半島の先の方ではある。 そういうところに橋をかけて道路をつくってしまいますと、先ほど言った常夜灯も隠れてしまうし、あるいはまた雁木というようなものも一部埋め立てなきゃならないし、あるいは焚場というようなものも埋めてしまわなきゃならぬというようなこともこれあり、それよりも何よりも、あのすばらしい景色、江戸時代に、将軍がかわるたびに朝鮮から朝鮮通信使というのが日本に来る。そうすると、あそこに来て休憩をとった。その遺跡もありまして、そこには、朝鮮通信使が常にそこに泊まったという、お寺の中に対潮楼という建物がございまして、すばらしい風格のあるものですね。そこから眺めますと、それはもう——その対潮楼に朝鮮通信使が字を書いてあるんですが、「日東第一形勝」、日本で一番きれいなすばらしい景色だ、「日東第一形勝」というふうに書かれてある。それほどそこからの眺めはすばらしいものですね。 これは、湾と港と町と一体となった、日本でも唯一無二と言ってもいい、すばらしい、歴史的な、文化的な大きな遺産だと私は思うんです。そこに道路をかけることによって、橋をかけることによって、そうした遺跡の価値というものが決定的に破壊をされるのではないかということで、地元の皆さんも大変心配をしていらっしゃる方が多い。 長くなりますが、もう少し申し上げさせていただきますと、宮澤元総理の郷里であられます広島県出身の、まさにこの鞆の浦にもゆかりのある、東大の名誉教授の、建築史の御専攻であられます太田博太郎さん、この方も、大変心配であることをるる述べておられますね。これは歴史的港湾としてぜひ保存しなければならないものだというふうに思うと。このような古い歴史を持ち、昔の形態をそのまま残した港はほかになく、運輸省でも歴史的港湾ということに選んでいるんだということを太田先生も御紹介をしている。 港はそもそも実用的なものであるから、鞆が海運の中心として今後も栄えていくのであれば、時代の要請に応じて変容していくことはやむを得ない。しかし自動車交通が発達し、本四架橋が実現した現在、連絡船の発着港としての機能も、わずかに走島との連絡を残すだけとなり、この方面での発展は望めなくなった。港に近代化を求める必要がなくなった今、むしろ歴史的港湾としての姿を保存し、観光資源として活用することが大切であると。ここに橋をかけると、観光資源としての価値も、あるいは歴史的、文化的な価値も失われるんだということをとくとくと述べておられるわけですね。そして、架橋について再検討されることを切に望むと。 そして、これはこの先生の主張が書かれた朝日新聞の記事でございますけれども、「繰り返していう。架橋は鞆の観光資源を損なうだけのもので、これによって、鞆の交通問題が解決するものではなく、また過疎が解消するものでもないことを銘記すべきである。」こういうふうに述べておられます。 あるいはまた、有名な平山郁夫画伯も、同じような立場から、歴史の一端を担った港に橋を架けたら、世界遺産に残るわけがない、今これを世界遺産として登録をしたい、そういう声が盛り上がって、その運動が進められているところなんですが、橋がかけられたら、そんなことは到底望むべくもなくなってしまうんだということを平山画伯も心配をされておられるわけであります。 まだまだ、たくさんいろいろな文化人の方々がいろいろな意見を述べておられます。稲垣栄三さん、これも東大の名誉教授、あるいはまた前野嶢先生その他。 そこで、まず宮澤元総理にお伺いをしたいと思うんですが、先生は、郷里の御出身の太田博太郎博士とか平山郁夫画伯とか、こういう方々とごじっこんで、こうしたお話をされたことがおありかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○宮澤国務大臣 大変詳しいお話をいただきまして、実は私はこの町で育ちましたので、今石井委員の言われましたとおりが事実でございます。 何十年、もう何十年でございますが、この問題をどうするかということは多数の人々で長いこと議論になっておりまして、ただ、私が、どうか私だけはその中に入れないでくれということを頼みまして、それにインバルブされずに、そのかわり、皆さんの決まったことはできるだけ力添えするからといったようなことで実は今日に及んでおります。 太田さんはもとより存じ上げていまして、もう大変な高齢ですが、しかし朱雀門も建てられまして、実は、太田さん御自身の家がここにあって文化財ということになっております。 一言で申しますと、まさにおっしゃいますように万葉以来の港であり、いろいろなものが残っておる、そのとおりでございますが、同時に、おっしゃいますように、数千の人がその港を中心に全く火事を出さないように苦労してきたものですから、言ってみれば、大変小さな家に住んでいて、その人たちに言わせると、毎日そういう景色を眺めておるわけですからかもしれません、やはり自分たちの生活を考えてください、学者の方あるいは旅の方はこういうところはいいところだと言ってくださるそうでございますが、それだけでは自分たちは生活ができないという、簡単に申しますと、そういう議論が何十年続いていまして、現在その検討委員会もございます。何度もこういうことをやりました。 それで、案もいろいろ縮小して、これじゃどうだと。そこで、町民を代表するのは町内会長たち、それから漁港でもございますから、漁業組合もようやく、それじゃわかったというところまで来たようでございますが、しかし、いざとなれば大変反対が、やはり最終的にはそう簡単にはあきらめないという状況でございます。 それがすべてでございまして、国会でそれほど詳しく御議論になるということは、実は夢にも私思いませんでしたが、御関心を国会が持っていただくということは非常にありがたいことだと思います。 県当局、港湾管理者でございますから、何とか結論を出したいと思っておるのではないかと思いますが、私はそういう立場でございますので、きょうこういう御審議がありましたことは関係者が直ちに知るところとなりますので、また新しい発展があればと期待をいたしておりますけれども、私自身はこの議論の中には今日まで入らずにおいてもらったというのが事実でございます。
○石井(紘)委員 私が今申し上げていることは、いわば公共事業と文化財というようなことになろうかと思うわけでございます。 ここで、先ほど来るる申し上げたようなこうしたこの鞆の文化的な、歴史的な、あるいは伝統的な価値というものは、これは文化庁にちょっと伺うんですが、文化財の指定もたくさんございますね、そもそも文化財というようなものはどういう意義があるのか。ただ何となく保存するのか、あるいは国の財産として重要な価値があるから、あるいは日本の国というものの内容を構成する、日本のアイデンティティーの一部だというような意味があるのか。その辺についてちょっと、文化庁の角度の高い、文化財についての見解を伺いたい。
○伊勢呂政府参考人 文化財保護法の規定によりますと、文化財とは「わが国の歴史、文化等の正しい理解のため欠くことのできないものであり、且つ、将来の文化の向上発展の基礎をなす」貴重な国民的財産というふうに規定されておりまして、建造物、絵画、彫刻などの有形文化財、あるいは演劇、音楽、工芸技術及び民俗文化財、貝塚、古墳などの記念物、それから伝統的建造物群というふうな五つの種類に分かれておるものでございます。
○石井(紘)委員 国の非常に重要な財産である、それはイエスですか、ノーですか。
○伊勢呂政府参考人 保護法によりますと、「貴重な国民的財産」というふうに規定されております。
○石井(紘)委員 大蔵大臣、ひとつ、そういうことでございますので、その議論の外にいるというのではなくて、やはり国家的な立場、御見地から、元総理というお立場で、ぜひひとつ……。 道路、生活のためにいろいろ不都合もあります、あそこでは。しかし、その道路はまた知恵を絞って別の、道路ですから、これからつくろうというんだったら、道路を回すスペースはほかにもあるわけでございますし、ぜひこれは、観光的な意味からいいましても、この歴史的な価値を減殺してしまいますと観光的な価値もなくなってしまいますから、地元の皆さんの将来を考えると、先ほど生活のことをおっしゃいましたけれども、そういう意味でも、そういう生活の上からいいましても、やはりこれはそのままきちっと保存しておくということが大切だろうと思うわけであります。 そこで、ちょっと簡単に答弁をお願いしたいのですが、建設省と運輸省にこれについての同じ質問をいたします。 以前から、恐らく両省とも、地元の合意というものが形成されなければこの事業は着工するわけにはいかないだろうというふうに言われておると思うのですが、そのとおりでございますか、違いますか。一言ずつ、では運輸省からお答えいただきたいと思います。時間がないので、一言で結構です。
○川島政府参考人 公共事業の実施に当たりまして、私ども、地元の合意形成の状況、これはその事業の緊急性、重要性あるいは諸手続の進捗状況等をあわせて勘案して決定すべきことだというふうに考えております。(石井(紘)委員「地元の合意は」と呼ぶ)地元の合意形成の状況等でございます。(石井(紘)委員「状況、何。ちょっとよくわからない、そんな状況等なんというんじゃ」と呼ぶ)地元の合意形成の状況等を見きわめて適切に対応していきたいというふうに考えております。
○倉林政府参考人 事業の実施に当たりましては、許認可等の所要の手続が完了していることや、地元における合意形成がなされていることが重要であると考えております。
○石井(紘)委員 では、建設省に伺いますが、建設省では、公共事業の見直し、再評価について、再評価要領というものをお出しになっておりますけれども、これは都道府県等地方公共団体にも周知されておるのでしょうか。
○佐藤政府参考人 建設省では平成十年度に、建設省所管の公共事業の再評価実施要領というものを策定いたしまして、都道府県にも通知しております。 内容としましては、直轄事業や補助事業、こういうものを実行する場合に、実行する過程の中でしかるべき状況であれば再評価してください、こういう内容でございます。
○石井(紘)委員 そうしますと、この中に盛り込まれております、予算をつけてから五年間経過したものについては再評価、見直しの対象になって、第三者の機関を設けて学識経験者等の意見を聞いて、そして再評価する、そのほかにもありますけれども、そういうようなことが述べられておりますが、こうしたことは地方公共団体においても準用されるというふうに考えてよろしいでしょうかということを伺います。
○佐藤政府参考人 ただいま申し上げました再評価の実施要領につきましては、都道府県の事業であります場合には、補助事業として採択させていただいた事業について、例えば、補助事業としての採択後に五年間未着工であれば再評価という形でやっていく、こういう内容でございますので、単独事業という場合には該当はしていないということではございます。
○石井(紘)委員 ちょっと、事前に聞いているのと全然違うんだけれども。 都道府県の事業であっても、国の補助金を得る補助事業ですね。都道府県あるいは地方公共団体が事業主体になる事業、そうしたものも、国がそういう基準でもって公共事業をやるわけですから、都道府県等がやる場合にも国と同じマニュアルといいますか、基準でやるんですよというふうに言われていると思うし、そしてこの場合には、既に平成五年から地元の県が予算をつけてやって、もう七年たっているわけです。 後段については答弁は結構ですが、最初のところをもう一回きちっと確認してください。都道府県の場合も国と同じですよということです。
○佐藤政府参考人 道路事業の場合には、県の地方単独事業で調査しながら、ある程度の調査設計等がまとまりましたら、特に規模の大きなものとかいうようなものについて補助事業の申請をお出しになってこられる、こういう形でございますので、今の当該事業の場合のように、県の単独事業として調査を実施しておられる、こういう場合について、私どもが平成十年に出しました実施要領を適用してくださいという要請には、厳密に申し上げればなっておりません。 地方の単独事業でおやりになっているものではなくて、国の補助事業として採択したものにつきまして、五年間未着工というような場合に適用してください、こういうことでございます。
○石井(紘)委員 ちょっと答弁がおかしいので。 補助事業というのは、県が申請して後で補助事業になるものなんですよね。だから、それを進めている段階では、まだ正式には補助事業として採択されないのは当たり前なんですよ。道路だとかそういう大きな公共事業の場合は、例えば道路だったら二分の一とか、港だったら三分の一とか、国の補助というものを後で申請してくるんですよ。それまでの間は、調査とかいろいろなことの設計とかそういうことは、県が事業主体のものですから、県が進めているわけですよ。 ですから、補助事業になればとか、そういう言い方じゃなくて、当然後でなるものについて言えばいいんですよ。もう一回、ちょっとはっきり言ってください。
○佐藤政府参考人 大変恐縮でございますが、例えば道路事業を例にとりますと、地方が単独で調査もし、事業の実施をし、完成するという事業も、県道の事業や市町村道の事業にはたくさんございます。したがいまして、補助事業を申請されてきて、当該年度、申請されてきた翌年度、採択するかどうか、こういう御議論があった段階で補助事業としての適格性というのは判断させていただく、こういうことになっておりますので、単独事業で調査しておられる状態の中で、いかがなものかという形で国として何らかの関与をする、こういう形にはなっておりませんということを申し上げておるわけでございます。
○石井(紘)委員 私は、建設省に抗議しておきますよ。あなた、国で公共事業はこういうふうにやるんだと言っておいて、都道府県は全く知りませんよと、地方でやることは見直しも再評価も関係ありませんよと、そういうような無責任な言い方でいいのか。 私は、抗議して終わります。
○衛藤委員長 次に、山田敏雅君。
○山田(敏)委員 山田敏雅でございます。 私は、本日、決算行政監視委員会におきまして、国の行政の、特に建設行政の基本的な物の考え方、進め方を質問させていただきたいと思います。 私が本日質問させていただきますのは河口堰の問題でございます。河口堰は、高度成長期に工業用水を確保する等の目的で全国で進められております。私は、きょうはここで、広島県の芦田川の問題を取り扱いたいと思います。 私の生まれ故郷でございまして、宮澤大蔵大臣の故郷でございますが、この芦田川は全国でも有名な、一級河川でございますが、二十七年連続水質ワーストワンという、非常に珍しい、二十七年連続中国地方で一番水質が悪い一級河川ということでございます。水質が悪いのは下水道ができていないからでございますが、その芦田川に河口堰が昭和五十一年に完成いたしました。その汚い水を河口堰でためるものですから、非常に環境面で大きな問題になっております。非常に異臭が発生する、アオコが異常発生する、それからユスリカという小さな虫なんですが、これがまた異常発生する。それができないからと、近所に住んでいらっしゃる方には、非常に苦情の多い問題になっております。 この河口堰ができたときには、十七万トンの工業用水が必要であるという予測が立てられました。そして今日、この河口堰から取水しているのは、七万トンから八万トンでございます。 さらに平成九年に、上流に八田原ダムという巨大なダムができました。六千万トンというダムができました。それによって、河口堰のもう一つの目的である、異常渇水のときにそれを補うという目的も、この大きなダムができることによって既にその用がなくなったということでございます。現実には、本年、非常な少雨期、雨が少ない時期になりまして、平成六年の大渇水、この河口堰がからっぽになるぐらいの大渇水がございましたが、そのときと同じような雨の状況だったんですが、本年は、この八田原ダムのおかげで全く渇水、水には問題なかったという状況になります。 すなわち、この二つの点で、工業用水の需要の減退、それから渇水期の対策と、既に河口堰の役目は終わっているわけでございます。 皆さん御存じのとおり、河口堰というのは、自然環境、生態系を大きく破壊してしまいます。実際、私は子供のころ、この川で遊んでおったわけですが、シジミとかアユとかウナギとかたくさんとれました。非常に市民の憩いの場所でございましたが、現地の淡水漁協の組合長さんの話にもございますが、これらの生物は全くいなくなった、死滅しましたということでございます。さらに、渡り鳥の数が約十分の一に減ってしまいましたというような、自然環境、生態系が大きく変わってしまいました。 ここで、建設省にお伺いしたいのでございます。 このような河口堰は、高度成長期に水が足りない、緊急避難的に自然環境を壊し、そして川と海を隔てるわけですから、生き物は、ウナギなんかは海で卵を産んで川に上っていく、アユもそうなんですが、そういうものを全部遮断してしまって、人間の工業用水を確保するためにつくる。このような河口堰は、ある意味では仕方のない、言ってみれば必要悪なわけですが、今日、時代が二十五年たって、国民の感情として、自然環境を大切にしよう、自然の環境を守っていく公共事業というのが大きく国民のニーズとして、また私も地元を回ってみて、市民の方の大きな期待であると思います。そこで、この河口堰を取り除くことについて、若干建設行政の方にお伺いいたします。 また、外国でも、ダムやこういう河口堰、自然を大きく変えてしまうような建造物については撤去していく運動が大きく広がっております。我が国ではまだ一件もございません。これを我が国の建設行政の一つの大きなターニングポイントにしていただきたいと思っております。 この点について、もしよろしければ、宮澤大蔵大臣、ずっと地元でいらっしゃいますので、何かコメントがございましたら、一言でもお願いしたいと思います。
○植竹政務次官 これは建設行政の関係なもので、私からお答え申し上げます。 まず初めに、委員が御指摘のように、自然環境を優先する近年の建設行政に絡めまして、河口堰の撤廃ということを検討してはというお話がございました。 この芦田川河口堰は昭和五十一年につくられましたが、実際に建設省が管理することになりましたのは昭和五十六年からでありまして、この目的は、潮どめの堰ということで始まったわけでございます。 この河口堰の建設によりまして、堰の上流にある草戸堰を撤去した結果、河道のしゅんせつが可能になってまいりまして、河道の流下能力というものは、河口堰建設前と比較して非常に拡大してきまして、この治水上の効果は極めて大きかったことでございます。 また、河口堰は、福山臨海工業地帯の工業用水といたしまして日量約十万立方メートルの供給をしておりまして、地域の産業に大きく貢献し、重要な施設でございました。 また、芦田川本川の水質は、流入支川であります高屋川の水質が支配しておりますので、この高屋川の水質改善というものが急務であると認識しております。建設省では、平成四年度から十二年度までに約六十四億円を投じまして河川浄化施設を建設して、平成十三年度から稼働の予定でございます。 今後とも、河川環境に配慮しながら河口堰の管理をしてまいりたいと考えております。 また、諸外国においては、自然環境の問題につきまして、これを優先し、河口堰の撤廃が行われているというお話がございました。 この点について、撤廃か、あるいはこれを検討してはというお話がございましたけれども、河川管理というのは、それぞれの国によって地形あるいは気象、自然環境等が異なるために、外国との比較によって一律に我が国の河川管理を議論するということはなかなか困難であると考えるところでございます。 また、河口堰を撤廃するということにつきましては、我が国におきましては、河口堰は治水、利水のための潮どめ対策として設置されたものでございます。そして、全国百九カ所の一級水系中四十水系にこの潮どめの河口堰として設置しております。これは、我が国では、河口付近におきましても飲み水や稲作対策のための水利用として行われておりまして、我が国のこういう地理的条件下におきましては、河口堰は塩害防止のために必要欠くべからざる施設でございます。 例えば、そのほか、塩害の問題、塩の問題につきまして、飲み水の件でございますが、東京都の水源は行徳にあります可動堰、あるいは大阪は、水源となっておりますのは淀川の大堰によって確保されております。 今後の河川行政におきましては、良好な自然環境を求めます国民の皆様の意識の高まりを踏まえまして、自然環境の保全に最大限配慮した河川行政を進めてまいることが大変重要であると認識しております。このために、魚道の設置や、生物が生息しやすい水質管理など努力してまいりたいと思います。
○衛藤委員長 政務次官、質問時間が短いので。大臣の方はもうよろしいでしょう。 山田敏雅君。
○山田(敏)委員 植竹政務次官、大変勉強なさっていないので、とんでもないことを言われたので、私はもう非常に憤慨しておりますが。 ここに工業用水の使用量、使用契約とございまして、平成十一年には七万三千トン、平成十年には六万八千トンと書いてある。今おっしゃったように十万トンではありませんから。 その点と、その上流に中津原という取水道があるんですが、これは河口堰ができる前から取水をしているわけですから、この河口堰の目的は潮どめではないのは明らかな点でございます。 そして、福山には、宮澤大蔵大臣御存じのとおり、日本鋼管という大きな製鉄所ができたわけですから、その工業用水のためにこの河口堰をつくったというのは、私もずっとヒアリングをやって、潮どめが目的でこれをつくったということは一度も聞いたことはございません。その事実をはっきり勉強されてから答弁されるようにお願い申し上げます。 次に、後で答弁いただきたいのですが、もう一つは下水道でございますが、上流の下水道普及率が極めて低い。例えば神辺町ですと、流域下水道普及率は一〇%でございます。御存じのように、地方自治体の財政が破綻あるいは硬直化しておりますので、下水道を進めるということは非常におくれております。遅々として進みません。 例えば神辺町ですと、一年間の予算が一億五千万円、事業費で四億円ですから、一〇%しか下水道ができていないのに、一年間に四百メートルしかできない。ほとんど進まないという状況でございますので、ひとつ下水道について、今まで国の公共事業は道路や港湾や空港や高速道路に目が向けられておりましたけれども、このような、二十七年連続水質ワーストワンという川は、下水道が全く進まないから。そして、地方自治体は、自分の負担する分が出せないから下水道はできませんということでございますが、この際、国の下水道の見直しを進められたらいかがでしょうかということを御提案申し上げますが、御答弁をお願いいたします。
○植竹政務次官 今山田先生お尋ねのとおり、下水道整備についてでございますが、この芦田川流域につきましては、生活環境の改善や水質の保全を図るために、昭和四十九年度に流域下水道事業に着手をいたしまして、昭和五十九年十月に供用を開始いたしております。 流域公共下水道の促進を強力に推進しておりますが、今、公共下水道事業につきましては、財政力が弱い中小市町村の普及促進に重点を置いた管渠の補助対象範囲の改善を逐次行っておるところでございます。 なお、芦田川流域においては、特に下水道普及がおくれております市町があることは認識しております。例えば府中市、それから神辺町、新市町、そういう市町村は特に普及がおくれておりますし、その点、委員お尋ねのとおり、例えば非常に普及率が神辺町などは低い、一〇%ということでございます。全国普及率、下水道が約六〇%、その中で広島県は五五%でございまして、さらに、五万人以下の市町村におきましては二四%という平均でございます。 それから比べますと大変低い御指摘でございますが、しかし、下水道以外に、農村地帯でございますので、合併浄化槽も非常に普及しております。したがいまして、汚水処理の施設全体といたしましては、福山市の場合は六七・九%、それから府中市は二九・三%、あるいは新市町におきましては二九・五、また神辺町におきましては三八・一%でございまして、いずれも広島県の市町村は落ちているということでございますので、こういう下水道普及率につきましては、今後とも促進してまいることを検討してまいりたいと思っております。
○衛藤委員長 山田君、質疑時間が終了していますので、簡単に最後に。 山田敏雅君。
○山田(敏)委員 私の質問は、このような財政が硬直化した自治体では下水道が全く進みませんから、建設省として、下水道の補助のやり方を抜本的に見直す用意がございますか、ありませんかということを御質問いたしましたので、お答えいただけますでしょうか。
○植竹政務次官 この点は、事業費などを今後ともつけて促進してまいりたいと思います。 下水道の普及を上げていくことは、我々、社会資本の充実のためにも必要だと思っております。そういう意味では、よく検討いたしまして前向きに推進してまいりたいと思います。
○衛藤委員長 次に、金子善次郎君。
○金子(善)委員 民主党の金子善次郎でございます。私にとりましても初質問でございますので、よろしくお願いいたします。 実は、昨年の十一月十五日でございますが、国産の大型ロケットHIIロケット八号機による、いわゆる多目的衛星でMTSATと呼んでいるようでございますけれども、打ち上げに失敗したということに関連する記事が読売新聞の十月十五日の新聞にこういうような見出しで載っているわけです。「費用の残り三十五億円支払って」、宇宙開発事業団が運輸省を相手取って民事の調停を求めるというような記事が出たわけでございます。 私は、国と特殊法人の間で司法に判断を求めるというようなことは余りないのではないかと思いまして非常に奇妙に感じたので、参考までに国会図書館の方に、国と特殊法人というようなところで司法に行っているようなケースというのはあるのかどうかということを調べてもらったのです。 財団法人で日本財団というものがございますけれども、これが評議員の人事問題で一九九七年の一月二十一日に、これも運輸大臣を相手取りまして東京地裁に処分取り消しを求めた提訴のケースがあるというようなことで、ほとんどないということなんですね。ですから、これだけが一応見つかったというような報告をもらったわけなんです。 そういう中で、御質問をこれから順次していきたいと思うのです。 平成七年十一月二十一日付でございますけれども、運輸省の航空局長、気象庁の総務部長、それから宇宙開発事業団の契約担当理事の間で運輸多目的衛星打上げ役務請負契約というものが結ばれている。その第二十四条におきまして、「この契約に関し、甲乙間に紛争を生じた場合で両者の協議により解決しないときは、甲又は乙から東京地方裁判所に調停の申立てをするものとする。」契約の中にこういうような条文があるわけです。 そこで、結果といたしまして二十四条が、発動されたというとちょっと大げさな表現でございますけれども、発動されたわけですから、当然のこととして両者の協議が、すなわち気象庁を含めた運輸省と事業団の間で協議が調わなかったということを明らかに証明しているわけです。それで、第三者たる司法の判断を求める、こういう流れとなっているわけです。 実は、同じ契約書の中でこういうことが言われている。乙は、つまり事業団でございますけれども、事業団は、この契約書及び別添仕様書の定めるところに従い、頭書きの契約金百億円をもって履行期限までに衛星をトランスファー軌道に投入する業務を行うものとする、こうなっているわけなんです。 そこで御質問いたしますが、まず運輸省として、この打ち上げ失敗に関する内容を契約内容に照らしましてどう基本的に考えておられるのか。 それにあわせまして、今度の調停の申し立てというのは、残り三十五億円、本来であれば十一年度に支払いが予定されている三十五億円のようでございますが、既に支払った六十五億円とどういう差があると考えておられるのか。百億円全体が問題なのか、三十五億円だけなのか。 その辺をまず運輸省、それから開発事業団、そして事業団の監督官庁でございます科学技術庁の基本的な考え方をまずもってお伺いしたいと思います。
○深谷政府参考人 お答えを申し上げます。 先生御指摘のとおりの経過がございますけれども、昨年の十一月十五日にHIIロケット八号機の第一エンジンのふぐあいによりまして運輸多目的衛星の打ち上げに失敗をしたわけでございますが、それに伴いまして、その打ち上げ費用の取り扱いにつきまして、運輸省といいますか、航空局、気象庁と、それから宇宙開発事業団との間で協議を行ってきたところでございます。しかしながら、両者の間で契約の解釈に相違が生じておりまして、平成十一年度分の三十五億円の支払い、これはまだ未払いだったわけですが、これにつきましては留保させていただいております。 運輸省といたしましては、先生今御指摘のとおり、請負契約書の中で、衛星をトランスファー軌道に投入する業務を行っていただくというふうになっておったことで、この契約の基本的な性格は請負契約だということで、衛星を軌道に投入するという事業団の債務が最終的に履行されていないというふうに考えまして、そう考えました以上、私どもといたしましては、打ち上げ費用は契約上支払う必要はないのではないかというふうに考えたわけでございます。 ただ、今回の調停につきましては、先ほど先生が御指摘のとおり、契約書に基づきまして宇宙開発事業団が、紛争を生じた場合で両者の協議により解決しないときは、東京地方裁判所に調停を申し立てるものとするという規定がございます。この規定に従いまして申し立てをされたわけでございます。 運輸省といたしましても、運輸多目的衛星にかかります費用の航空局の負担分につきましては、管制保安施設等のユーザーでございます航空会社が支払っている航行援助施設利用料で賄われているという点や、予算の適正な執行という観点での、会計検査もございます、そういったことを想定した場合、その支出が適正であったかという点についても配慮しなければならないということから、公平な第三者による判断が適当かな、必要であるというふうに考えたところでございます。
○石井参考人 昨年の十一月十五日のHIIロケット八号機によります運輸多目的衛星の打ち上げの失敗によりまして、関係者を初めといたしまして国民の皆様に大変大きな御迷惑をおかけいたしましたことをまず深くおわび申し上げます。 御質問の件についてでございますが、宇宙開発事業団といたしましては、結果的に衛星を軌道に投入することはできなかったわけでございますが、先ほど先生御指摘のとおり、運輸省との間の運輸多目的衛星打上げ役務請負契約に基づきまして打ち上げに必要な業務をすべて行ったということで、契約上の債務はすべて履行したということで、その対価として代金全額を支払っていただきたいと、かように考えておるところでございます。 ロケットの打ち上げにつきましては、世界的に見ましても、一〇〇%確実な成功を期待できるというほど宇宙の技術は成熟しておらないというのが現状でございます。また、商慣行といたしましても、国際慣行に照らしましても、打ち上げが失敗したからといって打ち上げ代金を支払わないといったような事例は見当たりません。 宇宙開発事業団といたしましても、このようなロケット分野の慣行に従いまして、軌道投入の成功まで契約上保証することはできない、こういう考えのもとに、契約書上、契約名称も単なる請負契約ではなく役務請負契約ということにしていただきました。また、事業団の債務の範囲につきましても、あくまで打ち上げに必要な役務を提供することに限られる、こういう趣旨を明確にするために、衛星をトランスファー軌道に投入する業務を行う、かように規定されておるところでございます。 結果といたしまして打ち上げに失敗いたしまして、運輸省に大変御迷惑をおかけいたし、まことに申しわけなく思っておりますが、打ち上げに必要な業務はすべて行ったということで、事業団の契約上の債務は履行されておりますので、打ち上げ代金の全額を支払っていただけるものと、かように思っておるところでございます。 なお、契約金額全体は百億円でございますが、六十五億円については、既に出来高部分という形で、契約書に基づきまして、出来高ができたときは運輸省に報告いたしまして、その承認を受けた後これを請求するということで、既に平成七年度から十年度にわたりまして六十五億円の支払いをいただいております。これについては特段今のところ何らのことを言われているわけではございませんで、三十五億円を支払わない、かような状況でございますので、私たち、契約書の条項に従いまして調停ということに至ったわけでございますが、この間、私どもといたしましては、失敗後、運輸省当局とも十分な協議を進めてきたわけでございます。 その過程におきましては、問題の解決につきまして、監督官庁の立場を有しております科学技術庁及び運輸省の当該部局も交えまして協議を進めてきたところでございます。しかしながら、先ほど運輸省様の答弁にもございましたように、両者の間に契約の解釈に相違が生じておりますので、運輸省の意向も踏まえつつ、事業団といたしましては、役務請負契約の条項に基づきまして、東京地裁に調停を申し立てさせていただいた次第でございます。
○衛藤委員長 次に、渡海科学技術政務次官。(「委員長」と呼ぶ者あり) 当委員会は、答弁者は原則として大臣及び政務次官ですから、特に質疑者の方から要請がありましたらお願いいたします。 渡海科学技術政務次官。
○渡海政務次官 あらかじめ何かそういう話と聞いておりましたので、失礼をいたしました。 今、関係当局がお話しになりましたように、あくまでこれは契約に基づいて行われたことでございます。そして、その契約内容についてお互いの意見の違いというものがありました。その中で、最終的には、この主張が平行線でございますから、我々がNASDAを指導してどうのこうのしたということよりも、この契約に忠実に物事を進めさせていただいた結果、運輸省そして科学技術庁とも、要は、この契約書に基づいて調停という形に今回するのがいいだろうということで意見がこの場合は一致したわけでございます。そういう中で今回の調停という形になったということを御理解いただきたいというふうに思っております。
○金子(善)委員 時間の関係もありますので、最初考えていたシナリオとちょっと違った質問をしていきたいと思います。 事業団の収入実績なんですが、これは事前に資料をもらっておりますので。例えば平成十一年度でいきますと、事業団の主な収入というのは、出資金それから補助金というようなことが並んでくるわけですが、その中で提供事業収入、これはいわゆる自主的な収益事業に近い事業だというふうなことで承知をしているわけでございますが、十一年度で見ますと約六千万円というような金額で決算の数字が出ているようでございますが、これは私の理解で間違いないということでよろしいでしょうか。それだけちょっとお答えいただきたいと思います、一言で結構ですから。
○石井参考人 お答えいたします。 先生御指摘のとおり、十一年度の提供事業収入は六千万円でございます。
○金子(善)委員 実は、冒頭で申し上げましたが、読売新聞の記事を見ましてちょっと奇妙な話だなというふうに思ったと同時に、今では、ヨーロッパあるいはアメリカでは民間のロケット会社がそれなりの活動をしていると申しますか、いわば収益事業として、会社として成り立っているというような状況にもあるということで、日本の宇宙開発事業団も、現在の収益事業としてある程度の、調停の結果、仮に事業団に不利な結果が出ても、まあ収益事業として収益がある、あるいは極めて近い将来においてそういうようなかなりの収入を上げることが予測されているというようなこともあるのかなというふうに実は想像したわけなんです。 ただ、今お答えいただきましたように、自主的な事業と申しますか、収益事業については約六千万円程度が平成十一年度の数字であり、また、いただいた資料によりますと、十二年度のそれに相当する予算というのは四千万円程度となっているというようなわけなんです。 そうしますと、今申し上げましたように、仮に東京地裁の調停で事業団に非常に厳しい判断が出た場合、百億じゃなくて三十五億ということで、もうそれは結構なんですけれども、では、一体どのような財源でそれを穴埋めするのかというようなことが、どの資金を持ってきて穴埋めするのかということでございますけれども、これは実際のところ、大変厳しい問題が生じると思います。 そうしますと、そもそもロケットの打ち上げということでございますから、何があるかわからないというのが実際のところだと思います。私も、これまで、科学技術庁を通じていただいた資料を見ましても、国際的にもやはりロケットの打ち上げ失敗というケースは、そう多いというわけではございませんけれども、間々あるわけでございまして、日本でも不幸にして二回続けて失敗したということで、大変残念ではございますけれども、そういう失敗ということはあり得る。そういう前提において、本来であれば何らかの別途の契約というものが結ばれていてしかるべきだったのではないかというふうに思うわけでございます。 その辺のところでございますけれども、運輸省とそれから事業団の方のその点についての考え方、これについて、反省されているかどうかということです、簡単に申し上げますと。その辺のところをちょっと御質問させていただきたいと思います。
○実川政務次官 先ほど航空局長からもいろいろ説明があったと思います。契約を結んだ当時の運輸省といたしましても、初の実用の打ち上げでありまして、その当時におきましては、HIIロケットの打ち上げがすべて成功していたことから、HIIロケット八号機での指令破壊というような事態を想定していなかったために、結果としては双方の解釈に相違が生じたものと考えております。 今後の契約におきましては、今回の経験を踏まえまして、契約内容の規定の仕方につきましては十分に考えていきたい、このように考えております。
○石井参考人 本件につきましては、現在、早期解決を図るべく調停を申し立てて調停が行われているところでございますが、現時点でその調停の結果を予断をもって申し述べるということは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、この調停によって合理的解決を図っていきたい、かように考えておるところでございます。 なお、収入との絡み等につきましては、財務上、私ども、回収できない金額につきましては、予定していた収入の欠陥を生じるということになりまして、この対応につきましては、主務官庁とも今後十分相談して、そのような事態が発生したときは対応してまいる、かように考えておるところでございます。 なお、今回このような事態になったことを踏まえまして、今後、当事業団が他機関と提携する打ち上げ契約につきましては、より明確な契約条件となるように十分配慮して対応してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○金子(善)委員 今後、この宇宙開発事業というのは、恐らく国民にとりましても大きな期待を抱いている分野であろうと思います。いやしくも、この事業に関係する省庁が意思の疎通を欠く、あるいは、たとえ失敗があった場合でも、お互いの立場で反省をして次の打ち上げに備える、そういう点は大変必要だと思います。少なくとも、調停とはいえ、我が国の制度では広い意味での裁判等司法の世界でございますから、そういうところに直ちに判断を仰いでいく、いかにも、国民に対して、いがみ合いの、チームワークが崩れているような印象を与えるのは決して好ましいことではない。 いずれにしましても、ロケットのこれからの成功を私個人といたしましても切に祈っている次第でございます。 時間が大変なくなりまして、実は、この問題ともう一つのことをさせていただきたいと思っていたのですが、答弁の時間とかいろいろ長くなりまして、別の問題につきましては簡単に質問をさせていただきたいと思います。したがいまして、きょう答弁者としてここへの御出席をお願いしていた方々につきまして、答弁をお願いできないこともあるかもしれませんので、あらかじめ御了承賜りたい、よろしくお願いいたします。 実は、これは、私は広い意味での行政改革だと思っているんですが、行政改革というのは永遠の国民的な課題であるというふうに認識をしているわけでございます。その中で、いわゆる行政という場合に、公共が提供している施設、例えば病院でございますとかいろいろな会議場、あるいは場合によってはホテル的なものもいろいろございます。そういうものを住民に提供する場合に、単に行政は効率化を目指すということだけではなくて、住民あるいは利用者の利便というものをよく考えた行政というものをやっていかなきゃならない、このように考えているわけでございます。 そうした中で、実は、一つの例として、わかりやすい例だと思いますので申し上げたいのでございますけれども、例えば病院がございますが、これも、地方自治体の病院あるいは国、さまざまな公共施設がございますが、売店が土日に閉まっているというようなケースがあるということで、実は、住民の間で、土日開いていないというようなことで、パジャマ姿で町に出る入院患者さんがいたり、あるいは場合によっては見舞いのお客も買い物ができないというようなことで、土日開いてもらいたいものだなというような施設も結構あるわけなんです。 こういう一つの例でございますので、公共が提供する施設はさまざまございますけれども、広い意味での行政改革という場合に、そうしたところまできめ細かな配慮をした行政サイドの対応というものが必要なのではないかというふうに思っているわけでございます。 もちろん、こういう場合には、民間の業者の方々にその場所を提供して入ってもらっているというようなことはあると思うんですが、ただ任せっ放しにしない、常に住民あるいは利用者の意向というものを聞いた上で対応するということを心がけていただきたいということで、きょうはたまたまそういう観点で、厚生省それから自治省の方に出席をお願いしておりますが、一言だけ答弁いただければありがたいと思います。
○衛藤委員長 時間が参っておりますので、恐縮ですが、代表いたしまして海老原総務政務次官にお願いいたします。
○海老原政務次官 お答えいたします。 先生御指摘の具体的な案件につきましては厚生省あたりから答弁すべきだと思いますので、私は一般論で申し上げます。 行政改革を推進するに当たりまして、私ども当初から考えております四本の柱がございます。 一つは、新時代に対応できる簡素で効率的な行政の実現、まさに先生のおっしゃった行政のスリム化、効率化のことでございます。それから、ほかの三つをざっと申し上げますと、国民の主体性を尊重する行政の実現、国民に開かれた信頼される行政の実現、国民に対する質の高い行政サービスの実現、この最後に申し上げました質の高い行政サービスの実現ということ、まさに先生の御指摘の問題につながることだろうと思います。私どもとしましては、各省庁と連携しながら、この質の高い行政サービスの実現に向かって努力してまいりたいと思っております。 直接私どもが今やっておりますのは、いわゆるIT化でございます。役所まで足を運んで申請手続をするということをなくして、全部コンピューターの中で申請できるというような、大変便利になるということを、平成十五年度までにもうほとんど、九六%の申請事項について実現しようというようなことまで考えておるわけでございます。 以上です。
○衛藤委員長 先ほどの石井紘基君の質疑につきまして、政府から補足答弁の申し出がありますので、これを許します。建設大臣官房技術審議官佐藤信秋君。
○佐藤政府参考人 再評価に当たりましては、平成十年度に建設省所管公共事業の再評価実施要領を策定し実施しており、この実施要領については、都道府県その他には、政令市、地方建設局、関係公団等に送付しているところであります。
○衛藤委員長 次に、菅原喜重郎君。
○菅原委員 私は、大気環境問題、特に厚木海軍飛行場内の米軍家族住宅地区のいわゆる神環保問題について質問をしたいと思います。 一応、環境庁、防衛庁、厚生省から参考人を呼んでいるわけでございますが、この問題は、平成四年、日米合同委員会の下部機関である環境分科委員会において、米側は、厚木海軍飛行場内の米軍住宅地域に隣接する産業廃棄物処理業者、株式会社神環保、現在の社名は株式会社エンバイロテックの焼却炉からの排ガスが、同飛行場内に居住する米軍人及び家族等の健康を脅かしているとして取り上げ、その後も継続して同委員会を初め種々の機会に事態の改善方を強く要請されてきた事案であります。このことに関して、平成十年九月十八日には、同地区の大気環境を保全するため必要な措置を講ずることとする閣議了解もなされました。 そこで、関係省庁である防衛施設庁、環境庁、厚生省、外務省が対応を協議した結果、日米共同モニタリング調査をすること、二に、これは知事の勧告によると思うんですが、バグフィルターの設置を求める勧告をエンバイロテックに出すこと、次に、百メートルの煙突を建設するため所要の工事費約十一億円を平成十二年度予算に計上という、この三点に取り組むことを確認したわけです。現在、この点についてどのようになっているのかお聞きしようとしたのですが、時間がありませんので、問題の提起をしていきたいと思います。 第一点は、株式会社エンバイロテック社の焼却炉はかなり古いもので、それを改善しないままバグフィルターを設置しても十分の効果は期待できず、長期使用にも耐えられないという点と、百メートルの煙突をつけても、老朽化している焼却炉に対して根本的解決にはならず公害を拡散するだけだという点。 第二点としましては、株式会社エンバイロテック社の元会長である村田哲郎氏は、一九九四年から四年間で、法人税約八億一千七百万円を脱税した法人税法違反の罪に問われ、現在保釈中と聞いております。 この公判での供述ではっきりしてきたわけなんですが、これは五月十九日読売新聞の「廃棄物ドミノ」という社会欄の記事です。いわゆる指定暴力団稲川会の元幹部にごみ処理場使用料名目で月三千万円から、さらにこの稲川会最高幹部ら三人にペーパーカンパニーからの給与名目で月計二百七十万円の資金供与が、このエンバイロテックの元会長村田哲郎被告の供述調書によってはっきりした、目をむくような数字が並んでいて、やみの利益の行き先である、こういう記事もあるわけなのであります。 さらに、この人物は同業者からも数千万の搾取をしている、そういう事件を起こしている人物でございます。そして、十年以上も暴力団と関係が続いてきている、こういう証拠もあるわけです。こういう違法行為の経歴を持つ産業廃棄物処理業者に事業許可を与え、かつ、施設改善のためといって国税を充当する行為は適当ではないと私は思います。 そこで、前国会で成立した産業廃棄物処理業についての法律で、都道府県知事は、暴力団が関係する事業者には許可をしてはならないという項目があります。 その十四条の中の三項なんですが、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者」、さらに進んで、項目が変わりまして、「法人でその役員又は政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの」「法人で暴力団員等がその事業活動を支配するもの」「個人で政令で定める使用人のうちにイ又はロのいずれかに該当する者のあるもの」、こういう者には許可を与えてはならない、こういう法律が出ておりますので、私は営業停止の方向でこういう調査もすべきではないかと思っているわけですが、この点についてどうか。 さらに、この会社は廃棄物の不法処理をしているという情報もあります。そこで、こういう情報があった場合、それは警察の管轄だと言わないで、その証拠固めに協力することができるかどうか。この点について、最初に厚生省、環境庁、防衛庁の順にお伺いいたします。
○岡澤政府参考人 まず、バグフィルターの設置に関するお尋ねでございますけれども、今先生御指摘のとおり、昨年、神奈川県の勧告によりまして、エンバイロテック社がバグフィルターを設置いたしました。その結果、バグフィルターの設置に伴いまして、排ガス中のダイオキシン類濃度は大幅に低減されたということが確認されております。 このバグフィルターを設置するだけではなくて、当然、焼却炉の運転管理というのは適正に行われることがダイオキシンの排出を抑えるという意味で必要なわけでございまして、このために、現在、神奈川県の環境調査とともに、日米共同モニタリング、後ほど環境庁の方から御説明があると思いますけれども、それが継続されておりまして、大気環境の監視が行われているところでございます。 また……(菅原委員「ちょっと、それは一応カットして進めておりますから、その報告については、説明はよろしゅうございます」と呼ぶ) はい。それで、施設の維持管理でございますけれども、焼却炉の維持管理については、維持管理基準というものを定めて、これに基づいて維持管理しなければならないということになっておるわけでございます。神奈川県の方も、基準を遵守するべく必要な指導監督を行っておりますけれども、昨年十月にバグフィルターを設置させて以来、現在のところ、追加的な指導の措置をとるというふうな状況には今至っていないということでございます。 しかし、今後、構造の基準とか維持管理の基準というものに適合しない状況があれば、エンバイロテックに指導して、そうした施設の改善をさせてまいります。(菅原委員「指導じゃなくして、営業停止の方向で調査をすることが……」と呼ぶ)
○衛藤委員長 菅原君、委員長の許可を得て発言してください。 菅原喜重郎君。
○菅原委員 はい。今の説明では、どうも不十分です。 私の質問の要点は、営業停止の方向で調査をすべきかどうかということと、こういう、廃棄物の不法処理をしている情報があったとき、そういう情報提供者に対する証拠固めに協力できるかどうかということ。時間がありませんから、この二点だけについて。
○衛藤委員長 菅原君の持ち時間はもう五分しかありませんから、簡潔に答弁してください。
○岡澤政府参考人 はい。 暴力団の排除につきましては、ことしの法律の改正によりまして、暴力団排除規定を設けるとともに、欠格要件に追加したわけでございます。 欠格要件に該当するかどうかについては、各所轄の警察本部長等がその調べをしまして、それに該当するという状況があるときには都道府県知事に対して適切な措置をとるように意見を述べることができるということがあって、その警察本部長の意見を受けて、県知事が不許可なり取り消しなりの処分をするということになっております。 現在のところ、警察の方からそうした最終的な連絡が来ておりませんので、そうした連絡が来れば、適切に法律に基づいて対処してまいりたいというふうに思っております。
○廣瀬政府参考人 環境庁といたしまして、具体的に、三月の三十一日から日米共同でモニタリングをしておりまして、現在、この結果をまとめてまいります。毎日きちっと炉が動いているかどうかということで追跡を続けているということになっております。 それで、公表がおくれていますのは、日米と合同で発表するということになっていますので、具体的に、日米と合同の調査の結果を今審議しているところでございまして、それがまとまり次第早急に発表してまいりたい。その結果に基づいて関係省庁と対処してまいりたいというふうに考えております。
○河尻政府参考人 お答えを申し上げます。高煙突化の件でございます。 高煙突化につきましては、バグフィルター設置が完了した後におきましても、現地におきます高低差等によりまして、焼却炉からの排煙が、風向きによりましては米軍家族住宅に直接吹きつけるという類例のない事態があり得るところから、平成十二年度予算に高煙突化に必要な経費約十一億円を計上しているものでございます。 これまで、株式会社エンバイロテックとの間で、外務、厚生、環境各省庁の御協力をいただきまして、三回の直接交渉を行っております。政府一体となって可能な限り早期に高煙突化が完了するよう取り組んでいるところでございます。
○菅原委員 情報を提供していって、その情報の証拠固めに皆さんたちの協力をすべきだと言っても、いわゆる警察の管轄だと言ってどうもすぐ逃げているんですよ。いわゆる証拠を突きつけないと警察は動かぬのに、その証拠をとるのに協力してくれということなんですよ。そのことを常に今まで逃げてきているんですから。こういう答弁じゃいかぬですよ。 もうちょっと積極的に、こんな悪徳業者に対する断固とした態度をとるのに、それに十一億もの金をこんな古い老朽化した施設につけようとしているんですよ、国民の税金を。そのことについてもう一度お願いします。
○岡澤政府参考人 不法投棄対策等につきましても、県の行政当局と警察とは非常に連携をとってやっているわけでございます。 暴力団排除に関しましても、情報としては、都道府県行政当局の方から県警に対して十分な情報提供をしておりまして、あと県警の方がそれに対して欠格要件に該当するかどうか判断するという仕組みになっております。 これは、言われるまでもなく十分県の行政当局と警察本部との連携をとってやっておりますし、また、それについても今後さらに緊密な連携をとるように指導していきたいと思っております。
○菅原委員 推移によってはまた質問することにいたしまして、これで一応私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
○衛藤委員長 次に、小沢和秋君。
○小沢(和)委員 日本共産党の小沢でございます。 本日は、質問時間の関係で、熊本県の川辺川ダム問題に絞ってお聞きしたいと思います。 川辺川ダムは、計画が持ち上がってから既に三十四年たちますが、いまだに本体の着工ができず、工事費だけは当初の三百五十億円から二千六百五十億円へと、七・五倍にも膨れ上がっております。 そこで、まずお尋ねしたいのは、建設省がこういう状態に焦り、長年にわたって地元の反対運動を、工事の発注などを利用して切り崩しに必死になってきたのではないかということであります。 私は、ここに分厚い資料を持ってまいりました。これは、ことしの三月十六日に衆議院調査局から提出されたもので、公共事業の個別事業内容・実施状況等に関する予備的調査という報告書であります。当時、これは全議員に配付されているものであります。 それから、委員の皆さん方に、今こういう資料も配付しておりますが、これは、この調査局の報告書を、地元人吉市の大山次郎氏が企業別、年次別にまとめた地元企業上位十社の受注状況の一覧表であります。 この一覧表を見ますと、奇怪なことに、ここ十一年間、川辺川ダム工事事務所が発注した工事では、推進派の地元企業が毎年上位を独占しております。ほかにも多くの建設業者がいるのに、なぜ推進派が毎年上位を独占できるのか。公平な入札が行われていればこんなことは起こり得ないはずだと思いますが、公正取引委員会はどうお考えでしょうか。
○上杉政府参考人 お答えいたします。 入札談合というのは、申し上げるまでもなく、入札者間の競争を通じて落札者を決めるというようなシステムそのものを否定するものでございますし、独禁法上も最も悪質なる違反ということで、私どもといたしましては、入札談合、従来から重点課題と認識して、厳正に対応しているところでございます。 私どもとしては、入札談合等のこういった行為に係る具体的な情報の入手に日々努めているところでございます。きょう御指摘のような点も踏まえて、入札談合に対する情報収集に引き続き努めてまいりたいと考えております。
○小沢(和)委員 一覧表のもとになっておりますこの報告書は、毎年の工事ごとの入札状況を数百件全部記載をしております。その落札した金額と最下位の入札額を比較してみましても、ほとんど一%も差がありません。これは工事事務所と業者ぐるみの談合が行われていることを歴然と示していると思うのです。 重ねてお尋ねしますけれども、今公取委としては、一般的な意味で関心を持っているというふうな感じの御答弁だったのですが、これについて調査、メスを入れるべきではないかという点はいかがですか。
○上杉政府参考人 先ほど答弁いたしましたとおりでございますけれども、私ども、こういった落札価格と最高入札価格の乖離、あるいはそのばらつきの状況というものが極めて不自然であるというような情報というのはいろいろ接するわけでございますが、こういった情報だけで直ちに独占禁止法上の不当な取引制限といった疑いが得られるかということにつきましては、なかなか難しい面がございます。 私どもとしては、独占禁止法違反の疑いに係る具体的な情報、こういうものに接した場合には、先ほど申し上げましたとおり我々の重点課題でございますので、厳正に対応したいと考えております。
○小沢(和)委員 さっきも言いましたように、何百件、十一年間の落札状況が全部一覧表で載っているわけですよ。それが、ほとんど上位と下位の差が一%もない。これだけ事実関係がはっきりしておったら、私は不十分さはないと思うのですね。ぜひメスを入れていただきたい。 では、ここから建設省にお尋ねをいたします。 この表を見ていただきますと、落札総額でほとんど毎年トップを独占し続けているのが、大乗建設という会社であります。調べてみましたところ、この社長は、八代市から五木村に移ってきた従業員数人のごく小さな業者でした。それが毎年二、三億円ずつ受注しておる。この社長は、いわゆるよそ者であるのに、間もなく村会議員に当選し、やがて議長になり、ついに村議会のダム反対決議をひっくり返した中心人物であります。第二位の技建日本の社長の兄さんは、先日、ダム反対派の理事を排除して補償交渉に踏み切った球磨川漁協で、推進派の中心になって動いている人であります。第三位の味岡建設は、熊本県建設業協議会の副会長。第四位の丸昭建設は、自民党県会議員の息子さんが経営しております。第五位の今村建設は、県建設業協会の会長。私は五番まで申しましたけれども、こういうような状況なんですね。 建設省は、私がこれだけの事実を指摘しても、談合は一切なかった、推進派育成のための作為は一切なかったというふうに言われるのかどうか、お答えをいただきたい。
○植竹政務次官 今小沢先生のお話がございましたが、建設省といたしましては、どんな工事であっても談合の不正行為はあってはならないということが鉄則でございます。 この川辺川ダム工事に関する発注は、平成二年度から十二年度までに、平成十一年度に二件の談合情報が入ってまいりました。そして、情報があった場合の取り扱いである談合情報対応マニュアルに従って、この入札を一時延期した上で、指名業者全員から事情聴取を行ってまいりました。その結果、談合の事実は全く認められなかったために、全員から独占禁止法等に抵触する行為を行っていない旨の誓約書を提出させた後、入札を執行いたしました。同時に、談合情報があった旨を私どもは公正取引委員会に通知、報告いたしました。 したがいまして、建設省といたしましては、これまで川辺川ダム工事に関する入札・契約手続につきましては適正に処理いたしておりまして、談合の事実は全くなかったものと考えておるところでございます。 以上でございます。
○小沢(和)委員 さっきも言いましたように、衆議院に提出されたこの報告書を見ますと、過去十一年間の、川辺川ダム工事事務所が発注するに当たっての入札の実績が全部出ているんですよ、何百件と。私が調べた範囲では、ほとんどどれもが、十社ぐらい出しておっても、上下一%の範囲にその十社ぐらいが入札しているんですよ。それが何百件もある。それが一切疑惑がない、私はこれは到底信じられない。今後、そういうようなことについて、建設省が自主的に調査もし、厳正に対処することを改めて要求しておきます。 ところで、去る六日に、球磨川漁協と建設省の第一回目の補償交渉が行われております。新聞報道では、年度内の本体着工を目指す建設省に対応して漁協も交渉を急ぐ姿勢と報じられておりますが、建設省は、これで今年度内に着工できるというめどが立ったと思っておられるのかどうか、判断を伺いたい。 それでもう一つ、私が不思議に思うのは、建設省の長年の念願であった漁協との補償交渉がこうしてようやく始まったというのに、同時に、強制収用のための手続である土地収用法の事業認定を申請したことであります。なぜ今わざわざ強制収用の手続を始める必要があるのか。これでは、あいくちを突きつけながら交渉するということではありませんか。さすがに漁協も腹に据えかねたと見えて、九地建と現地工事事務所の両方に抗議に来たというふうに聞いておりますが、事実ですか。
○植竹政務次官 お答えいたします。 まず初めの問題でございますが、川辺川ダムの事業認定についてお尋ねがありましたが、事業に必要な土地取得面積のうち、およそ九四%が既に取得の同意を得ているところでございます。ただ、中には、相続人不存在等の理由によりまして話し合いが困難な、そういう案件が残っておるところであります。 私ども、任意協議による取得が困難であるこれらの案件で、工事工程上支障が生じると見込まれますものにつきましては、法的措置をとり、そして解決を図ることができますようにするために、土地収用法に基づき事業認定の申請を行ったものであります。 ただ、今年度云々ということでございますが、この点につきましては、球磨川漁協との問題は、十月二十四日、漁業補償交渉委員会が設置されまして、十一月六日には第一回の漁業補償交渉を行ったところでございまして、私どもといたしましては、その推移を見ているところでございます。
○小沢(和)委員 抗議に来たでしょうと聞いているんですよ。
○植竹政務次官 いろいろとそういう話は聞いております。
○小沢(和)委員 この強制収用の手続は、今のお話では、相続などで土地の所有権が不明になっているところが幾つかあるためという御説明でしたが、それなら、漁業権の強制収用は念頭にない、絶対に行わないということをここで明言できますか。 それから、私は、この強制収用の申請は、漁協の今後の動きに対する建設省の不安を示したものではないかと思うんです。 球磨川漁協では、九月一日の臨時総代会で反対派理事が排除されましたが、十一月二日には、逆に、組合員四百八十七名の署名で、その総代会決議の取り消し、補償交渉の拒否などの議題で臨時総会を開催するよう要求が提出されております。 もともと、漁協組合員全員のアンケートでは、ダム賛成四百二十名に対し反対六百十一名と、反対の方が圧倒的に多い。だから建設省は、漁協の中がどうなっても着工に持ち込めるように漁業権の強制収用の手続を始めたのではないか。この点、お尋ねします。
○植竹政務次官 今のお話の点につきましては、私どもとしては、収用権が云々じゃなくて、ただただこの補償問題の推移を見守っている、そういう状態でございます。したがいまして、収用権があるとかないとか、そういうことじゃなくて、まずこの補償の問題の推移が最も重要な点でありますので、それを見守っておるところでございます。
○衛藤委員長 小沢君、時間が参りましたので簡潔にお願いします。 小沢和秋君。
○小沢(和)委員 では最後に、建設省は、今や川辺川ダムについて、治水、利水、発電、どちらの面からも必要性を立証できずに、むだな公共事業の全国での筆頭だということで苦境に追い込まれております。 川辺川は、一昨年、環境庁から水質日本一の清流と折り紙をつけられて、流量も非常に豊富です。ここでは、アユが三十センチメートルを超える大きさに育ち、その味と香りのよさから、東京市場にまで出荷され、常に高値で取引されております。この川辺川のすばらしい自然は、一部の関係者に金銭で補償すれば破壊してもよいというようなものでは断じてないと思うんです。流域住民はもとより、国民全体の財産として永久に守っていかなければならない性質のものだと思います。 この際、建設省は、これ以上のごり押しをやめ、強制収用の手続を取り下げて、ダム建設中止を決断すべきではないか、この点をお尋ねして終わります。
○植竹政務次官 今先生からるるお話を伺いました。 建設省といたしましては、このダム設置というものは必要だと考えておりますので、その観点から土地の取得面積の九四%も同意を得たということでございます。そのために、今現在はその漁業補償の交渉経緯を見ておるわけでございまして、私どもはそういう意思でもってこれに対処しているところでございます。
○衛藤委員長 次に、山口わか子君。
○山口(わ)委員 社会民主党・市民連合の山口わか子でございます。 大変おなかがすいてまいりまして、本会議も近づいてまいりまして、きっと気もそぞろだと思いますが、もうちょっとの辛抱です。よろしくお願いいたします。 現在策定中の原子力長期計画案について御質問をさせていただきます。 原子力長期計画は、御承知のとおり、我が国の原子力政策そのものでございます。現行のものは九四年に改定されていますから、六年ぶりの改定となります。 この六年間に、「もんじゅ」のナトリウム火災事故、動燃の東海再処理工場の炎上爆発事故、敦賀原発での一次冷却水じゃじゃ漏れ事故、そして昨年のジェー・シー・オー臨界事故、原子力史上を揺るがす大事故が続きました。こうした事故以外にも、核燃料輸送容器のデータ改ざん問題、関西電力が使用するMOX燃料のデータ改ざん問題など、モラルと安全性にかかわるさまざまな問題が生じています。 こうしたことからも、これまでの原子力行政のあり方が根底から問い直される事態に至っている事実は疑いようのないことでございます。 折しも、ドイツを初めヨーロッパ各国では脱原発へのかじ取りが進み、アジアでも、台湾において建設中の第四原発を閉鎖する決定が行政当局によって行われ、国民の多くも自然エネルギー志向が強まっております。 このような状況の中での長期計画の策定作業であるだけに、出てきた結果には大変驚いております。全体的に柔軟性がキーワードとなりまして、これまでのような具体的な数値目標がほとんど消えてしまった中で、「もんじゅ」の早期運転再開が突出してうたわれています。しかも、なぜ早期なのか、説得ある根拠が示されておりません。 御承知のとおり、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスなど日本に先行した各国は、みんな国策として開発を断念しました。いずれの国も実用化までこぎつけた国はなく、開発途中で断念しております。これらの国々では、今や高速増殖炉開発に国の予算がおりていないと聞いております。 その各国も、詳細な炉型は異なるものの、燃料にセラミック状のプルトニウム・ウラン混合燃料を用い、冷却材に液体ナトリウムを用いる点では共通しております。開発初期のさまざまな試行錯誤の後、コスト面を考えてこの方式に落ちついたと理解しておりますが、「もんじゅ」もこの方式に属すると思います。 したがって、我が国でも、このまま高速増殖炉開発を続けることに将来性があるのか、その意味を厳しく問わなければなりません。ところが、策定案では、高速増殖炉開発を、技術的選択肢の中でも潜在的に可能性が最も大きいものの一つとして、これまでどおりあくまでも進める姿勢を堅持しています。 こうした計画案について、科学技術庁としてどう受けとめられていらっしゃいますでしょうか。本当にこの計画案でよいと思っておられるのか。専門家のお話としてではなく、常識的な判断としてお伺いしたいと思います。
○渡海政務次官 世界の国々が、原子力発電というものに対してさまざまな、現在いろいろな意見がある、またいろいろな動きがあるということは、我々もこれはしっかりと受けとめなきゃいけないというふうに思っております。しかし、それぞれの国にはそれぞれの国の抱えている事情といいますか、要素というものがあります。 先生御案内のとおり、日本は非常にエネルギーというものを持たない国であります。そういったエネルギーを持たない国で原子力というものを利用していく、これはあくまで平和利用でありますが、ということがやはりエネルギーの国策の中心であるという考え方は、基本的に私どももしていかなければいけないだろう。 しかし、その前提は、やはり国民の皆さんの理解と、そして安全性に対する、あくまでも安全であるという、このことをしっかりとやっていかなければいけない。先生がお話しになりましたさまざまな事故等で、確かに今国民の原子力に対する、このエネルギーに対する不安というものが広がっているということは、我々も憂慮しておるところでございます。 そういう中において、さまざまな安全対策をとっていくと同時に、これがお答えになるわけでありますが、長計は先生よく御存じだと思います。今回、「もんじゅ」の位置づけというのは、高速増殖炉、このサイクルのプルトニウムの平和利用ということで、中核に位置づけているというのが今の長計の中間報告でございます。 現在、パブリックアドレスをかけておりますから、いろいろな意見も国民から吸収をして最終的な答申が出されるというふうに承知をいたしておりますが、その中で、やはり少資源の我が国がしっかりとエネルギーというものを有効利用していくということが大事であろうというふうに考えておりまして、ナトリウムをコントロールする、この技術をしっかりとこれまでの延長線上で確立はしておかなければいけない。 その後のさまざまな対応等については、これは実は多様性がございます。燃料の問題も、現在のMOX燃料だけではなくて、さまざまな選択肢もございますし、また冷却材の問題、再処理の問題等も多様性がございます。ですから、現時点での判断だけで物を決めつけるわけにはいかないであろう。あくまでも我々は、やはり地元の皆さんの御理解をいただきながら、安全性に十分配慮をしながらこの政策を進めていきたい。そういう意味では、現在の長計の基本的な方向はこのようでいいのじゃないかというふうに考えておるところでございます。
○山口(わ)委員 先ほども申し上げましたように、非常に国民は不安を抱えています。安全性についても本当にこれでいいのかどうか、やはり何といっても自然エネルギーへ転換していくべきではないかということを考えている国民は非常に多いと思いますので、やはりこの辺は、多くの意見を入れて策定をしていただけるようにお願いしたいというふうに思います。 続きまして、総務庁の財務評価によりますと、高速増殖炉開発に既に一兆円を超える税金が投入されております。核燃サイクル機構の累積債務は、九八年三月現在で一兆八千億円近くに膨れ上がっています。しかも、「もんじゅ」は、とまっているだけで年間百億円を浪費しています。総務庁も、研究開発に要する費用とその成果を明らかにし、その妥当性を議論していくことが必要とくぎを刺しています。この長期計画案の中に、こうした財政上の問題がどこにも見当たりません。 さらに、先ほども申し上げましたが、現在の長期計画には数値目標がありましたけれども、今回出された案には見当たらないのです。なぜこうなったのか。これはどういうことなのでしょうか。その原因と根拠についてお伺いをいたします。
○渡海政務次官 先生御指摘ございましたように、今回の報告というのは、時期とか数量、数値目標というものをかなりマイルドにしてあります。余りはっきり出しておりません。これは一つの大きな特徴であろうと思います。 それは、私はこんなふうに考えているのです。要は、大変技術等の進歩が著しいわけでございます。そういった中で、先ほどもお答えを申し上げましたが、さまざまな選択肢がある。そして社会の状況も変わる。ですから、どちらかというと、個別の計画につきましては、政策上の位置づけなり重要性を国民の皆さんにわかりやすく説明をさせていただくといったような観点からおつくりになった、これは原子力委員会がやっているわけでありますから、そういうことでつくられておるというふうに承知をいたしておるところでございます。 なお、重複になりますが、特に高速増殖炉につきましては、先ほど言いましたように、燃料の問題にしましても、冷却材の問題にしましても、再処理の問題にしましても、実はいろいろな選択肢があるわけでございまして、そういったことも考えれば、技術の進歩、もう一つは選択肢の中でのさまざまなこれからの計画の進捗状況を考えますと、具体的に今どの時期にどうのこうのということを明示することが技術的にもある部分難しい部分がございますし、またかえってそれで足を縛るというのもよくないというふうに考えておるところでございます。
○山口(わ)委員 それでは続きまして、今の、技術的に難しいという問題を踏まえて御質問させていただきますが、「もんじゅ」にかかわる今後の予算はどのくらい見込んでいるのか科学技術庁に資料をお願いしましたところ、資料をいただきました。これ全部読むと時間がなくなってしまいますので。実は、この必要な設計検討を実施している段階で、かかる総経費を正確に算出することは困難ですというお答えをいただきました。 この中でやはり大きな問題は、改修費すらも算出が困難ということがわかったわけですけれども、こうした現状を見ても、今後どのくらいの期間に幾ら公的資金をつぎ込むのか、「もんじゅ」の再開に踏み切って、運転維持費は幾らかかるのか、その結果、研究開発成果が上がるまでにどれほど費用がかかると見込んでおられるのか。これはやはり、費用対効果を踏まえずにどんどん税金をつぎ込むということは私はおかしいと思っておりますので、その辺の御見解をお願いいたします。
○中澤政府参考人 ただいま「もんじゅ」についての経費の御質問でございます。 まず、「もんじゅ」につきましては、建設費といたしまして、これまで十一年度までの二十年間で約四千五百億円、また運転費として約千六百二十億円を政府として支出しております。 今後の運転再開のための費用、先ほど先生から御指摘ございましたように、安全対策等々のための改修がこれから予定されているわけでございまして、その設計検討も一部やっている部分もございますし、また、それがまとまった後で安全審査というものを規制当局から受けるということから、現在正確にその経費を算出することはなかなか難しいということでございます。 しかしながら、この「もんじゅ」の研究開発というのは、適宜、先ほど政務次官からもありましたように、いろいろな多様性の中での実用化に向けての研究というのはやられるわけでございまして、そういう研究開発の進め方とか到達度について随時チェック・アンド・レビューを行うというふうに今回の長計案にも書かれております。 したがいまして、そのような評価、その研究開発過程で得られます成果等について十分評価した上で合理的で適切な計画のもとに研究開発を進めていくというふうに原子力委員会の方からも今の案で言われておりますし、我々もそのような形で研究開発を進めてまいるつもりでございます。
○山口(わ)委員 私は素人ですけれども、現在、改修をこれからしなければいけない、めどが立たない、そして、とにかく維持するだけでも百億もかかるなんていいますともうびっくりしちゃいまして、それでも後どうなるのかまだ具体的な計画がないというのは、なかなか素人には信じがたいものでございます。その辺はやはり国民にわかるように情報公開をきちっとしていくべきではないかというふうに思っております。これは要望でございます。 そして最後にですが、厳しい財政事情を考えますと、これ以上費用をつぎ込むことは到底国民的理解を得ることはできないのではないかというふうに思っております。「もんじゅ」の抱えている命をも脅かす危険性を考えても、「もんじゅ」の開発を断念するお考えはあるのでしょうか。先ほどから、進めていくというお話でしたけれども、最後に、長期計画を根本から見直すことが必要だと考えておりますが、やはりここは勇気ある決断をされたらどうかと思います。最後に一言お答えをお願いします。
○渡海政務次官 先ほどから考え全般についてお話を申し上げたわけでございます。先生のお考えも選択肢の一つではあると思います、正直申し上げますが。 しかし、我が国は大変エネルギーに乏しい国でありますし、先ほど高速増殖炉というのは各国がやめているとおっしゃいましたが、必ずしもそうではありませんで、フランスはフェニックスを動かすと言っております。私自身も、実はスーパーフェニックスの炉心にまで入ったことがございます。 そういった意味で、やはり限られたエネルギーを有効利用していくという意味で、日本がこの技術をしっかりと確立できれば、私は、かなり大きな地球資源の活用という新たな展開すら生まれかねないというふうに、これは個人的な意見でございますが、思っております。 そういう意味で、やはりこの安全性ということについては絶対にゆるがせにできないわけでありますから、そういった国民の皆さんの理解をいただくということを我々も努力をしながらこの政策を現在は続けていきたい、全体の方向を変えるというふうには今は考えていないということを申し上げたいというふうに思います。
○山口(わ)委員 どうもありがとうございました。 いずれにしても、計画策定までに多数の御意見を聞くと思いますので、とにかく安全だけは絶対に守っていただきたいし、やはり原子力を自然エネルギーに変えていただきたいと最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○衛藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十六分散会