法務委員会 第17号
- 発言数
- 87 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2000/05/25
会議録
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十四日、橋本敦君、福島瑞穂君及び角田義一君が委員を辞任され、その補欠として畑野君枝君、日下部禧代子君及び千葉景子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(風間昶君) 民法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○北岡秀二君 私ども自由民主党におきましては、御承知のとおり、このたびの民法改正につきまして、私の推測ではありますが、多分反対意見の方が多い現状だろうと思うわけであります。そういうふうに推測するわけでございまして、党内事情から申し上げますと、いまだにその結論が出ていないというような状況であります。 そういう状況の中で、本来でありますればこの議論に参画できる立場にはない状況なんですが、委員会の今までの運営の関係上、私はあくまで個人的な立場で、そしてまた、なおかつ反対の立場から本日の質問をさせていただきたいと思うわけでございます。 最近の社会風潮ということを考えてみますときに、個人の人権あるいは権利をより確立しよう、より自由に開放しようという側面があるわけでございます。現代の社会を築いていく大きな価値観になっておる。確かに、その風潮の中で住みよい社会が実現をされ、そしてまた、なおかつ開放的な社会が実現をされておるということも私は十分に認めますし、そしてまた、なおかつその重要性も理解をしておるつもりではあります。 しかし、その反面、人間は社会を形成する動物でございますから、そういう社会を形成する以上、当然のことながら社会性の部分、伝統を守るとかあるいは文化を守る、さらには規則とか義務とか責任とかあるいはお互いの協調性や、時と場合によりますれば必要悪としてのむだや、あるいは無理なことや、あるいはいろんな面での妥協等々も必要であろうかと思うわけでございます。この部分をないがしろにするわけにはいかない部分もあるだろう。要は、私が前段に申し上げた部分と後段に申し上げました部分とのバランス、その時代時代に合ったバランスをいかに図っていくかということが大事なことではなかろうかなというふうに感じておるわけでございます。 しかしながら、最近の世相で、特に子供を中心とした事件、事故、あるいはいろんな部分での世の中のすさみ、荒れている部分というのを考えてみましたときに、これも私の主観かもわかりませんが、権利や自由を主張するがゆえに自分のことしか考えない人間がどんどんふえているんじゃなかろうか、そういうような気がしてならないわけであります。社会性を無視した個人の都合によってどんどん社会が病んでいるような気がしてならないのは私一人ではないと思うわけでございます。 私は、このたびの夫婦別姓にしても、姓を変えることの不利益から、人権あるいは権利や自由ということで考えての発想もあろうかと思うわけでありますが、大人の都合で、子供を育てる場という一つの大きな機能もあります家庭、家族のきずなを、私はこれは弱めることにつながるだろうということを推測するわけでございますが、果たして弱めていいものであるかどうかということを大いに疑問に感じるわけでございます。 さらに、夫婦別姓の議論の中で外国の情勢がどうのこうのという話がございます。外国では夫婦別姓は主流であるというようなお話もあるわけでございます。 確かに、私もそれなりに分析をしてみますと、一九六〇年代から七〇年代にかけまして、女性の権利の拡張の流れで伝統的な家族は時代おくれとされ、個人の多様な選択が是とされた。そういう流れの中で、確かに多様な家族、同性カップルであったり、あるいは俗に言うシングルマザーであったり、混合家族、多様な家族が生まれたという現実もあります。 しかし、最近のアメリカのあるジャーナリストの表現によりますと、その結果は、家族の最後の形態であろうとも思われた核家族の崩壊であった。さらに、どのような生き方をするかについて各個人の選択の範囲が拡大したことは人々をより幸福にしたとは言えないというような発言をされるジャーナリストもあるようでございますし、御記憶に新しいだろうと思うんですが、一九九六年にはアメリカのクリントン大統領が一月二十三日の一般教書演説の中で、我々の第一の挑戦は子供たちを大切にし、アメリカの家族を強化することである。家族はアメリカ人の生活の基盤である。より強い家庭を持てば、より強いアメリカを持つことになると、家族のきずなの強化を訴えておるわけでございます。 私なりに分析をさせていただくと、欧米社会の中にも家族の復権に乗り出しておる時代が到来しておるんじゃなかろうかということも推測をするわけでございます。 また、現行法を考えてみましても、男女同権に反するという一つの思いもある。そういうような状況の中で現行の民法も、特に夫婦別姓という領域だけにスポットを当ててみましても、男性の氏を称しなければならないとはなっておらず、「夫又は妻の氏を称する。」ということですから、これはファミリーネームを重視した上で立派な男女同権を実現しておる状況にある。 私は、そういう状況の中で夫婦別姓の趣旨を叫ばれておられる中の大きな原因というのは、社会のシステム上の問題であって、法律上の問題ではないというふうに認識をしておるわけでございます。 今もろもろ申し上げましたが、そういうような状況の中で、特に一点、二点、発議者の皆様方にお伺いしたいのは、今申し上げました、近年家族のきずなが弱まり、家庭崩壊の現象が起こる中、社会的にはそれに関連していろんな問題提起がなされておる。そういうような状況の中で選択的夫婦別氏制度の導入は、さらに家庭崩壊に拍車をかけると私は思うわけでございますが、そのあたりについてどういうふうにお考えになられておるのか。 そしてまた、もう一点続けて質問させていただきたいわけでございますが、改姓によって不利益をこうむるのなら、通称の使用を社会的に認知すればよいと私は思うわけでございますが、なぜ法改正をしなければならないのか。 この二点について御答弁をいただきたいと思います。
○江田五月君 冒頭、自民党の中の議論についての御紹介がございましたが、私どもが今回提出しているものは、法制審議会で取りまとめられましたものとちょっと違いますが、大きな流れとしては同じものでございまして、法制審議会のあそこまでの議論でちゃんと案がまとまっているわけでございますから、政府や与党におかれましても、もちろんいろんな検討をしておられると思いますが、早急にひとつこの法制審議会の案や、あるいは我々の案や、そういうものを土台にした法改正に取り組んでいただきたいと思っておるところでございます。 さて、おっしゃいますとおり、現代社会に家庭崩壊の現象というのが多く見受けられる。最近特に連続する少年事件の背景にもこのようなことがあるのではないか、これは私どもも心を痛めております。しかし、家庭崩壊というのは既に起こってしまっているわけで、これは選択的夫婦別姓制を導入したから起きたというものではないこと、これはもう論理的にも明らかでございます。 また、クリントン大統領の取り組みについて御説明がございました。私も存じておりますが、アメリカでも、そこで少年、子供たちを健全に育て、家庭を大切にするために夫婦同姓制を導入しようなどという動きは寡聞にして聞いていないところでございます。 さてそこで、こういう夫婦別姓選択制を導入すると家庭崩壊をさらに進めるかという御懸念でございますが、私どもはそうは考えておりません。 委員御承知のとおり、我が国社会に標準世帯というものがありますね、夫婦と子供二人、これが標準世帯であると。そして、いろんな政策検討などをするわけですが、これはこれでいいんだろうか。道具として用いる分には構わないんですが、家庭とか家族とかというものはもっともっと多様化しているし、もっと多様化していくのではないか。三世代の大家族もある、ひとり暮らしの方も先ほどおっしゃったようにおられる、あるいは夫婦でも親子でもない友達同士が例えば年をとってから共同生活をしていく、これもある種のファミリーと言えるような、そういう結合も今後出てくるかもしれません。 私は、標準というよりも非常に多様な家庭の形態を前提に二十一世紀の社会のあるべき姿を考えていった方がむしろいい、そういう非常に多様な生き方をすべて認め、その上で新しい形の地域社会やコミュニティーというものを創造していく、それが二十一世紀の課題になるのではないかと思っておりまして、選択的夫婦別姓制というものはこのような多様な家族の形態に適切な法的枠組みを提供する、これですべてというわけじゃありませんが、その一つに使えるものであり、むしろ婚姻を増加させる、あるいは少子化問題への新しいアプローチを開いていく、多様な家庭形態の中での一つの中心的な形態として二十一世紀の地域社会の有効な担い手となっていくことを私どもは期待しているわけでございます。
○委員以外の議員(小宮山洋子君) 通称の使用を社会的に認知すればよいのではないかという御意見ですけれども、その通称を混乱なく旧姓を使えるようにするためには戸籍に書き込むことがぜひ必要で、そうでないと戸籍名と旧姓の関係をどうするのか、旧姓に戸籍名と全く同じ効力を持たせない限り戸籍名との照合が必要になります。それで、一人が二つの姓を持つことになり、かえって混乱すると考えられます。 そして、戸籍に書かないとしますと、戸籍に書かないから通称なんですが、通称の場合は戸籍名を変えることになります。そうなりますと、通称が使えるということで社会生活上の不利益をなくすという一面だけは解消されるかもしれませんが、選択的夫婦別姓が必要な理由はたくさんあります。 氏名は人格権ですから、長年使ってきたものを使い続けたい、あるいはアイデンティティーの尊重、姓を変えると自分が自分でなくなったように感じる、あるいは先ほど男女どちらでもいいと言われましたけれども、九七%女性が改姓をしている。戸籍名として姓を変える以上、こうした問題の解消にはつながりません。 さらに、旧姓を通称として使用する場合、その範囲をどうするのか。 現在の通称としての旧姓では、住民票、パスポート、免許証、納税などには使えません。また、印鑑証明にも使えないので、一定の額以上の買い物はできません。また、会社の代表取締役になることや抵当権の設定などはできません。そうしたすべての面で使えないと社会生活上の不利益をなくすことにもならないと考えます。それで、使える場合、使えない場合を設けるとかえって混乱をすることになります。 もし戸籍名と同じように使える通称であれば、別姓にするのと一体どういう違いがあるのでしょうか。 こうした理由から、通称の使用では問題は解決しないと考えております。
○北岡秀二君 もう時間でございますので私の改めての意見だけ申し上げますが、先ほどの答弁の中でさらに多様性のある家庭を目指すというような話もございましたが、私は、現代社会の家族像、家庭像ということを考えてみますときに、十分にもう多様性のある家庭、家族というのは築かれているんじゃなかろうか。かえって、私が前段に申し上げましたとおり、家庭のきずながもう既に、いろんな要因がございますが、薄まっておることによって社会的に大きな問題が提起をされておる部分の方が大きい問題と私は受けとめております。 こういうような状況の中で、先ほどおっしゃられましたとおり、夫婦別姓が家族のきずなを決定的に弱めるとは申し上げませんが、さらに弱める材料を社会的につくり出して、そしてまた家庭崩壊に拍車をかけるというのに私は非常に大きな危惧を抱くわけでございます。 さらに、先ほどもう一方の答弁でおっしゃっておられましたが、確かに通称を使うことによる個人的な混乱はあろうかとは思うわけでございますが、それ以上に家族としての姓が違うことによる混乱の方が私は大きいように感じるわけでございます。 そういうような状況で、これからいろんな議論があろうかとは思いますが、私どもは、願いはより健全な社会、そしてまたより健全な家庭をつくっていくということに思いがある立場からの発言でございますので、今後またいろいろ議論の場では発言をさせていただきたいと思います。 以上で終わります。
○竹村泰子君 おはようございます。民主党の竹村泰子でございます。 きょうは、答弁者側、つまり発議者側にずらっと女性が並んでくださいまして、こちらから拝見しておりますと何かいつもの委員会室とは大変違うような感じがいたしまして、夫婦別姓の審議に参議院でもようやく入れるようになったんだなという実感を味わっているところでございます。 そこで、短い時間でありますけれども、きょうはいろいろなことがこの中で審議されると思いますが、外国でもかつては日本と同じような制度が多かったと思いますけれども、六五年あたりからヨーロッパを中心にして夫婦別姓選択の自由を認める改正が進んできたというふうに思っております。我が国のように夫婦同姓を法律によって強制している国はインドとタイぐらいではないかなと。あとは、自由を認めている、あるいは夫は変わらなくて妻のみ選択を認める、あるいは全く別姓、別氏にするというふうなことです。 まだまだ日本の国の中にも世論調査などを拝見しておりますとさまざまな意見があることはよく承知をしておりますけれども、これは別に強制されるわけではありません、選択的夫婦別姓でございますので、そういう意味で、選択的夫婦別姓の導入をぜひするべきだという皆さん、発議者が信じてその運動を進めてこられた、その理由をまず端的にお伺いしようかと思います。
○千葉景子君 御質問をいただきましてありがとうございます。共感を持って御質問をいただいたものと受けとめさせていただきたいと思います。 今御指摘がございましたように、我が国の現行法上は夫婦同氏制を採用いたしております。ただ、この制度につきましては、現在、次のような問題点が指摘をされているところでございます。 一つには、現行制度は形式的には夫婦が対等な立場で氏を決定するということになっておりますけれども、実際上はほとんどの場合、九五%以上女性が婚姻によって改氏をしているというのが実情でございます。そういう意味では、夫婦の氏決定において実質的には男性、女性がまだまだ対等の立場に立ち得ない、こういう実情があるのではないかというふうに考えております。 また、婚姻によって氏を改めることによりまして、改めた者にとっては社会生活上の不利益あるいは不都合などをもたらすことが多々ございます。特に女性が改氏を多く強制させられているわけですけれども、社会進出あるいは仕事を持つという場が多くなるに従いまして、働く場において、あるいは社会活動の中で大変不便を感ずる、あるいは不利益を受けている、こういう事実が増加をしているということも指摘できようかと思います。 また、既に話にも出ておりますけれども、氏というものが個人のやはり個性、同一性、こういうものを象徴するものでもありまして、最高裁の判例でも人格権ということで一定の評価がなされているところでもございます。こういう人格権をやはりきちっと保護すべきではないかという御意見も出ているところでもございます。 また、現代社会における多様な価値観を尊重しようという意味でも、夫婦がそれぞれの氏を称するということを希望するならば、それを許容していくということも緩やかな社会の大きな基本ではないでしょうか。 そういう意味で、同氏を強制するという制度には大変無理が、そしてまた問題が生じてまいりました。そういう意味で私どもは、選択的な別氏制度を導入することを提案させていただいた次第でございます。 やはり現在、先ほど北岡議員からも御指摘がございました、確かに氏が家族の共通感、そういうものになっている部分も否定することはできないかと思います。そういう意味では、それぞれの選択を許容するという意味でこの改正案は選択的に夫婦別姓を採用することができる、とることができるということで提起をさせていただいている次第でございます。 そういう意味で、ぜひ御議論を進めていただきまして、だれもがそれぞれの個性を発揮できる社会をぜひこれを一つの糧として実現していくことができたらと念願をしているところでございます。
○竹村泰子君 先ほど同僚議員の質問にお答えがあったように思いますけれども、さまざまなことが考えられ、私の知人でも、事実上結婚はしたのだけれども夫婦別姓の法制の制定を待って別姓でぜひ夫婦になりたいのでといって、籍はそのままにして事実婚の形で法案の審議を待っていてくださるカップルもいらっしゃるわけであります。決してその方たちが多数だとは言いませんけれども。 しかし、そういう例もあるということで、先ほどお答えいただいていたようですが、もう一度お聞きしようと思いますが、現在、夫婦別姓の選択肢がないことでどんな不都合があると具体的に思われますでしょうか。
○千葉景子君 先ほど既に一部指摘をさせていただいているところでございますが、現在だれもが氏を使って社会経済活動をいたしているわけでございます。特に、仕事を持つ、あるいは職業上、氏というのはやはりその人の信用あるいはその立場をあらわすということで大変重要な意味を持っているわけでもございます。 そういう意味では、その氏を途中で変更するということになりますと、例えば名刺とかあるいは印鑑、こういうものもすべてつくり直して改めて自己紹介をしなければいけないという不都合もございます。あるいは年金、保険などの手続、またそれぞれ公官庁などへの届け出とか、こういう意味でも大変不便を感ずるところが多くなるわけでもございます。また、国家資格、国家試験の資格などにおきましても、戸籍名での手続が必要となりまして、氏を変更した人にとってはやはりこれも手続を更新しなければいけない、こういうさまざまな煩雑なことも出てまいります。 それ以外に、個人生活におきましても、登記の氏の変更とかあるいは契約関係での名義の変更、こういうこともさまざま起きてまいります。 そればかりではなくて、やはり自分の名前が変わるということによって自己喪失感あるいは不平等感、こういうものを感ずる、精神的苦痛を感ずる方も多いと言われております。そういうことによって、今お話がございましたように、婚姻は事実上しながらも法的な手続はとらずに事実婚でおられる、あるいは今度は一たん法的な婚姻手続をいたしましても、ペーパー離婚と言われますようにそれをまた解消してそれぞれもとの氏を名乗られる、こういうことも起こっているところでもございますし、この法改正ができるまで結婚を思いとどまろう、こういうことを考えておられる方もございます。 この法律の成立が大変待ち望まれているという状況も私どももしばしばお聞きしているところでもございまして、ぜひこういう不都合あるいはそれぞれの負担、こういうものも解消していくことができたらというふうに思います。
○竹村泰子君 ありがとうございます。 先ほどもちらっとお触れになりましたが、憲法十三条には氏名は人格権であるというふうに定められております。 人格というのは、その人間のまさに生きる生きざまでありますので、生きざまといいますか人間そのものでありますので、これが結婚によってどちらかが意思に反して現状のように姓を相手方にしなければならない。新しい姓を創設することもできないわけではないですけれども、しかしいずれにしても、好むと好まざるとにかかわらず姓を相手方に変えなければならない。このことについてさまざまな悩みや苦しみが生じているということについて、憲法との関係についてどのようにお考えになりますでしょうか。
○千葉景子君 さっきの質問で申し上げましたように、やはり氏というのは人格の一部、その人格と一体となって使われているものでもございます。 この人格権につきましては、憲法上は憲法十三条に規定されているものと承知をいたしておりまして、氏は個の標章であって個人の人格の重要な一部であって、憲法十三条で保障する人格権の一内容を構成する、これは最高裁で昭和六十三年に出された判例でございますけれども、このように氏というのが憲法上保障された人格権であるということが明確になっているところでもございます。 こういうことからいたしましても、やはり憲法の理念にも反し、みずからの氏の変更を余儀なくされる、こういうことについてはぜひ法的に解消する必要があるものというふうに感じております。 またそのほかにも、現在の夫婦同姓を強制する制度というのは女性が実質的には氏の変更を強制されるケースが多いという意味で、憲法十四条あるいは二十四条などで保障する実質的な両性の平等にも反する可能性も高いのではないか、こう考えておりまして、憲法の理念を尊重する意味でも、私は、ぜひ選択的な夫婦別姓の制度というものが導入されるべきと考えております。
○竹村泰子君 ありがとうございます。 野党共同で提出されました今回の法案と、大臣もいらっしゃいますけれども、以前に法制審から答申された法案、この一番の相違点は何だとお思いになるでしょうか。
○委員以外の議員(福島瑞穂君) 一九九六年二月二十六日に法制審議会より法務大臣に答申された民法の一部を改正する法律案要綱は、婚姻適齢を男女とも満十八歳とすること、再婚禁止期間を百日とすること、選択的夫婦別氏制度を導入すること、夫婦間の契約取り消し権についての規定を削除すること、離婚制度についての見直しを行うこと、婚外子の相続分を婚内子の相続分と同一とすることなどをその主な内容とするものです。 今回の私どもの法案の違いは、夫婦間の契約取り消し権についての規定の削除と離婚制度についての見直しを行っていないという点があります。また、別氏夫婦の子の氏について、法制審議会の要綱においては結婚時に定めなければならないとされているのに対し、今回の法案においては子の出生の際に定めることとしているという点に違いがあります。
○竹村泰子君 その出生の際に父母の協議で定めるとした理由は何でしょうか。
○委員以外の議員(福島瑞穂君) これは、結婚時に子供の氏を定めるというふうにいたしますと、結婚時に生まれてもいない子供の氏を決めること自体に無理があること、憲法の婚姻は両性の合意のみに基づいて成立するということに付加して結婚時に子供の氏を決定させなければならないことが憲法上疑問があること、当初より子を持つ意思がない場合やさまざまな理由により子供を持つことを考えていない人たちも子供を持つことを前提に子供の氏を決定させることなど不合理であること、結婚後子供を持つまでに状況が変わり得る場合があることなどの問題点があります。 したがって、子の出生時に父母の協議により氏を定めるというふうに考える方が合理的であると考えられます。
○竹村泰子君 人間同士の話し合いですから、しつこくて申しわけないんですが、うまくそのときに決められない場合もありますね。これは通告していなくて申しわけないんですが、出生時に決められない場合、この辺はこの野党共同の法案でちょっと書き切れていないところなのかなと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。
○委員以外の議員(福島瑞穂君) まず、子供の氏が決められない場合というのはそんなには多くないのではないかと思います。今まで子の名前が決められなかった場合というものは存在をしていないというふうに言われておりますので、余りないのではないか。もし仮に子供の氏が協議で決められない場合は、家庭裁判所の協議にかわる審判により子供の氏を決定することにしております。
○竹村泰子君 ありがとうございます。 それでは、さまざまな問題といいますか、いろいろな課題と私たちもこれからぶつかっていかなければならないと思いますけれども、まず現在の戸籍法、このことについて少し御見識を伺いたいなと思います。 戸籍法についてどうお考えになるでしょうか。
○千葉景子君 今回の選択的夫婦別姓制度を含めた民法の改正案、私ども提案をさせていただきましたけれども、これが成立をさせていただきますと戸籍法の見直しということが当然必要になってこようかというふうに思います。 ただ、戸籍制度につきましては、戸籍の事務の問題あるいは行政的なさまざまな手法、こういうものも含めて検討することが必要であろうかというふうには考えております。 ただ、変わるといっても、例えば従来の戸籍の書き方は、夫婦及びこれと氏を同じくする子供というものを一つの戸籍に記載をするということになっているわけでございますので、例えば選択的夫婦別姓制度を導入することになった場合には、いろいろなやり方があろうかと思いますけれども、戸籍の筆頭者のところに氏をつけてあとは名前だけ並べるということではなくて、全員の氏と名前を一つの戸籍の中に記載するというようなこともできるかと思います。あるいはまた一つ一つの名前ごとに戸籍を編製するということもできようかと思います。今後いろいろな議論をさせていただきながら、よりよい表示のあり方というものを検討する必要があるのではないかと思います。 また、国際的な状況などを考えますと、個人籍、こういう考え方も検討の一つではないかというふうに考えているところでもございます。戸籍などもコンピューターなどで処理をされるということも今基盤整備がされているところでもございますので、そういうことから考えますと、あるいは個人の自立をきちっと制度的にも保障するという意味では個人籍というのも一つの今後の検討課題ではないかというふうに受けとめているところでございます。
○竹村泰子君 戸籍というのは、その字の示すとおり、家というか一戸というか、そういうところにきちんと登録をされるべきである、すべてそのもとに我々の存在の登録がされるべきであるというふうな考え方があるかと思いますので、今千葉先生のおっしゃいましたように、個人籍ということになれば一番スムーズに運ぶのかもしれないと思いますけれども、しかしそれにはまだまだたくさんの解決しなければならない問題もあるでしょうし、それからさまざまな伝統的な風習といったものとの闘いということもあるだろうと思います。 それでは、時間がなくなってしまいましたので、大臣においでいただいておりますが、今議論をいろいろお聞きになっておりまして、こういう法律が通ると戸籍上の正規の結婚も事実上の結婚もわからなくなるんじゃないかとか、あるいはまた日本古来の家族制度の美風が壊れるのではないかというふうな意見もまだまだ多いと聞いております。永田町の中にも、国会の中にもまだまだ多いというふうに聞いております。しかし、婚外子差別についても国連の人権委員会で何度もこれは子供に対する差別であるという指摘を受けていることは、御存じのとおりでございます。 私たちは大変期待していたのですけれども、今国会もまた閣法は出ませんでした。別姓、婚外子差別を抱合した政府案、いわゆる閣法は、法制審の答申から時間がかなりたっていると思いますけれども、どのようなお考えなのか、なぜ閣法を出さないのか、一体いつ提出するつもりなのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 御指摘をいただきました選択的夫婦別氏制度及び嫡出でない子の相続分を嫡出である子と同等とすることにつきましては、なお国民各層、関係各方面におきましてさまざまな御意見があるように承っております。国民の意見が分かれている現状にあると私は認識をいたしております。 例えば、たびたび申し上げて恐縮でございますが、平成八年の総理府による世論調査の結果では、選択的夫婦別氏制度の導入に賛成の意見が三二・五%、反対の意見が三九・八%、通称の使用を認めるべきとする意見が二二・五%となっておりまして、また嫡出でない子の法定相続分を嫡出である子の相続分と同等とする改正に賛成の意見が二五・〇%、反対の意見が三八・七%、どちらとも言えないとする者が三〇・八%でございまして、この問題に対する国民の世論が大きく分かれている現状がうかがわれるのでございます。このように、この問題につきまして、国民の御意見というものが大きく分かれているということがうかがわれます。 民法は基本法でございまして、法務省といたしましては、特に御指摘の問題のような社会や家庭、家族のあり方等、国民生活に重大な影響を及ぼす事柄につきましては、大方の国民の理解を得ることができるような状態で法改正を行うのが相当と考えているのでございます。 したがいまして、この問題につきましては、国民各界各層や関係方面で御議論が深まることを期待いたしておるのでございまして、国会における御論議の動向を見守りつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。
○竹村泰子君 意見が深まるためには、国会で審議をしなければならないと思います。国会での審議を避けるようなことはぜひおやめになっていただきたいと思います。選択的夫婦別姓でありますから、国全体が賛成よ賛成よということにならなくても、選ぶ人が選んで夫婦別姓をとればいいのだと思いますので、十分に国会で審議する時間をとりながら、こういった国民的な議論を巻き起こしていきたいというふうに考えていることを申し述べさせていただいて、私の質問を終わります。 ありがとうございました。
○魚住裕一郎君 公明党・改革クラブの魚住裕一郎でございます。きょうは、提案者の先生方、御苦労さまでございます。 選択的夫婦別姓制度を柱とする今回の民法の一部を改正する法律案が審議されているわけでございますが、私どもにおきましても、この選択的夫婦別姓制度自体、大賛成でございます。 今回の提案については、一部その提出時に釈然としないものが残るわけでございますが、各先生方の御努力には敬意を表するところでございます。ただ、余り議論をしていなかった部分もございますので、何点か御質問をさせていただきたいと思います。 まず、婚姻の適齢でありますとか再婚禁止期間とか氏あるいは相続分の問題、家族に関連することは、憲法二十四条二項に、法律はこういうふうにしなさいよという形で定められておりますが、「個人の尊厳と両性の本質的平等」というような表現になっております。 発議者を代表してで結構ですが、特にこの「両性の本質的平等」というものをどのようにお考えになっているのか。何かわかるようでわからないというか、本質的というふうに書くから余計にわからないんだろうというふうに思いますが、ちょっとその辺、御教示をいただければというふうに思います。
○江田五月君 私どもの努力に御理解を賜りまして、大変ありがとうございます。 戦後、新しい憲法ができまして、今お述べになりました二十四条の二項、「個人の尊厳と両性の本質的平等」ということが書いてあります。これに基づいてさまざまな法改正が行われるわけですが、特に民法に第一条ノ二というのを加えまして、「本法ハ個人ノ尊厳ト両性ノ本質的平等トヲ旨トシテ之ヲ解釈スヘシ」と。これは解釈の指針ですが、それだけでなくて、この規定に基づいて、特に民法の親族、相続のところが大幅に変えられたという経過がございます。 現在の民法の規定、これは憲法の二十四条と、それに基づいて変更を加えられました民法でございますから、憲法に抵触をしているということではないであろうと思われます。 しかし、憲法の条項も、もうこれは合憲か違憲か、どちらかに決まってしまうというものでなくて、時代とともにいろいろ法付加されていく、さらに前へ進んでいく、そういうことがいっぱいございます。私ども、今回の民法改正は、憲法と、そして民法一条ノ二に言うような「個人ノ尊厳ト両性ノ本質的平等」、これをさらに進めるものとして、ある意味で憲法にも根拠を持つ、そういう改正だと思っています。 個人の尊厳、両性の本質的平等とは何であるかと。例えば個人の尊厳は、十三条の方に「個人として尊重される。」と。尊重と尊厳がどう違うかなどという議論はなかなかややこしくて、私もそこまで論を展開する能力を持っておりませんが、おおむね同じような意味だと教科書にも書いてありますし、個人として尊厳があるのか、人間として尊厳があるのかなどという議論に入らずに、おおむね同じだと理解をしております。 両性の本質的平等は、これは今度は憲法十四条の方にございまして、「すべて国民は、法の下に平等であつて、」という、法のもとの平等とこれもまあ同義であろうと。 本質的というのは何であるのかというのを憲法の本をいろいろめくってみたんですが、どうもその辺はさらりと書いてあって、実質的平等と形式的平等とか、機会の平等と結果の平等とか、そういういろんな説明はございますが、本質的とそうでなければ外形的というか、本質的とそうでなければ瑣末的というか、そういうことで本質的ということを書いているわけではなくて、むしろ英語でエッセンシャルという言葉もありますが、重要な、もともとの、本来のという、平等というのは一番大事なことですよという、そういう意味であろうと思っております。 先日、参議院の憲法調査会に参考人としておいでいただいたベアテ・シロタ・ゴードンさんのGHQ草案を起草するときの活躍を聞いておりましたが、日本国憲法と以前の神の国思想の大日本帝国憲法の一番大きな違いがこの二十四条というところにあるんであろうと思います。 これは、憲法の教科書だと、生理的条件の違いがあるから女子と男子と違った取り扱いは当然だというようなことも書いてあって、合理的な差別とか区別とか、いろんな議論ございますが、先ほど申しましたとおり、社会がダイナミックに変化しておりまして、従来合理的区別とされてきたものも差別だとして是正されたと。これも数多くあります。 女子差別撤廃条約を批准するに当たって、国籍法の改正とか均等法とか家庭科の共修とか、こういうことも行われました。均等法はさらに改正もされました。また昨年、男女共同参画社会基本法も制定されまして、男女共同参画社会の実現は二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題だと、こういうことも前文に入っております。 こういうダイナミックに進展していく民主主義、その中で個人の尊厳、両性の本質的平等もさらにもっと前へ進めていく、その一歩として今回の法案を出しておる、こう理解をしております。
○魚住裕一郎君 本質的平等と言われても、だれにもなかなか答えづらいことなんだろうなというふうに思います。 ただ、やはりそういう合理的差別はよしとして、形式的な平等じゃなくて、本質に根差した平等というものを考えていくべきだと私も思っております。 今回、別姓制度だけではなくて、何点かあるんですが、例えば結婚年齢とかあるいは再婚禁止期間等について、どの程度法社会学的な意味で調査をされたのか。先ほど法務大臣も世論調査等を多分述べられていたと思いますけれども、いろんな意見があるというようなことだったというふうに思うんです。 やはり氏とかあるいは結婚というような関係は国民感情とか社会的慣習に大きく左右されるところでございまして、やはりそういう実態調査というのが大事かなというふうに思いますが、発議者の各位におかれてはどの程度御調査されたのか、お尋ねいたします。
○千葉景子君 私ども提案に当たりまして、個々議員でございますので、独自に全国的な調査をさせていただくという力はなかなかございません。 そういう意味では、先ほど大臣の方からも指摘がございましたけれども、例えば総理府などの行っております各種世論調査、こういうものも参考にさせていただきましたし、あるいは東京都なども家族関係に対する世論調査を続けているところでもございます。これなどを見ますと、平成八年の調査でございますけれども、選択的な夫婦別姓を容認するかどうかということについて、女性の方ですけれども、特に若い世代の方ですと六〇%近くが容認をするというような結果も出ているところでもございます。 そのほか、日ごろ家族関係の問題に直接携わっている弁護士会の皆さんの御意見あるいはそこに出てくる裁判例、また労働団体や女性団体、NGOの皆さんなどの御意見、こういうことも参考にさせていただきましたし、多分、魚住議員のもとにもさまざま、直接郵便であるとかファクスとか、あるいはインターネットなどを通じてそれぞれのお立場あるいは考え方などを訴える、こういう声も届いておるのではないかというふうに思いますが、そういうものなども参考にさせていただき、あるいは各地で行われているシンポジウム等にも私ども個々参加をさせていただきながら、直面をしている当事者の皆さんの御意見などにも耳を傾けてきたところでもございます。 こういうことを総合してみますと、選択的ということで制度を求める皆さんの声というのは、私は本当に受けとめていく必要があるのではないかというふうに思っております。確かに、総理府の調査などでは三十数%ということもございますけれども、こういうことを申し上げると大変恐縮ではございますけれども、現在の内閣の支持率等を考えますと、こういう問題でそれだけのやはり要望あるいは認めようという声があるということは大変大きなことではないかというふうに受けとめ、立法化を進めさせていただいた次第でございます。 魚住議員におかれましては、ぜひ御一緒にやらせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○魚住裕一郎君 そこで、せっかく民法改正だということなんですが、裁判離婚につきまして、かつて法制審議会の答申等でも破綻主義を大きく取り入れた案も考えられておりますが、何でこれはその部分を欠落させたといいますか、落として提案なさっているんでしょうか。
○委員以外の議員(小宮山洋子君) 今の問いのお答えの前にもう一言だけ、先ほどの千葉議員の答えをフォローしたいんですが、一言よろしいでしょうか。
○魚住裕一郎君 時間がないから、いいです。
○委員以外の議員(小宮山洋子君) わかりました。 離婚制度を外した理由でございますけれども、裁判所の判例などを見ましても、有責の側からの離婚請求を認める判決などもございますし、世論調査などでも支持をする意見が多くはあったのですけれども、五年別居で離婚を認めるとなりますと一般的に経済力のない女性に不利になるのではないか、五年の別居で離婚できるとなったら経済的に弱い妻が夫に迎合して生きていかなければいけないのではないかというような反対の意見が弁護士さんを含めてかなりの方から出ていたこと、特に女性は経済的な保障が必要なわけですが、例えば財産分与の基準をもっと明らかにする必要があるとか、あるいは子供の養育費などが支払われないケースが多いので、そのあたりを確保するために例えば給与からの天引き制度などの新たな制度を考える必要があるとか、経済的に弱い女性の側を守るさまざまな制度が整わないとこれは同意できないという意見が強かったことなどもございまして、今回は、人権規約とか子どもの権利条約などからそれに反する婚外子差別、それから待ち望んでいる人たちが自分たちで選べるという選択的夫婦別姓制度、そちらに絞り込んでやりたいということで、これからも破綻主義を認める形での方向での検討を進めていかなければいけないというふうに考えております。
○魚住裕一郎君 そういうふうに御答弁されますけれども、法制審議会の案でありますと、例えば「離婚が配偶者又は子に著しい生活の困窮又は耐え難い苦痛をもたらすときは、離婚の請求を棄却することができる」というふうになっております。だから、今御懸念というふうに述べられたことは、やはりその法文の中で解消されていくものじゃないですか。
○委員以外の議員(小宮山洋子君) 私もできればこの方向でやった方がいいと思っておりますので、今後御一緒に検討していければいいと思いますが、ただ、先ほど申し上げました子供の養育費などにつきましても、どこが本当に非常に困窮しているかという見きわめのあたりが心配な点がございます。 今、養育費などについて、家庭裁判所などで支払うようにと命令を出しても、強制的な力がないと実際支払っている人は一〇%余り、一五%に満たないというような現状もある中で、やはり今回踏み切るのにはいろいろな制度がまだ必要ではなかったかということで、これから積極的に検討を御一緒にしていければと思います。
○魚住裕一郎君 だんだん時間がなくなってきました。 婚姻年齢についてですが、これは十八歳、私は何でこんなに両方男女ともに十八歳にしたか、ちょっとよくわからぬのですが、御説明、簡略にお願いできますか。
○委員以外の議員(吉川春子君) お答えいたします。 婚姻適齢の見直しは、やっぱり男女平等という理念に基づいて見直しをしたということが契機になっております。現行の十八歳、女性十六歳を、女性を二歳引き上げて十八歳にするものですけれども、これは法制審の法律案要綱と同趣旨のものです。すなわち、現行の婚姻適齢は主として男女の肉体的、精神的成熟度を考慮したものと考えられています。しかし、婚姻による成年擬制の制度により満二十歳に満たない者であっても婚姻後は完全な行為能力が付与されます。現在の複雑化、高度化した社会におきまして相応の成熟度を備えていなければ、完全な行為能力を有する者として社会生活を円滑に営むことは困難であり、婚姻適齢は社会的、経済的成熟度に重きを置いて決めるのが相当というふうに考えました。 この点から、男女を区別することなく、高校の教育が事実上義務化されている社会の実態を踏まえて、高卒程度の年齢をもって婚姻適齢としたものでございます。
○魚住裕一郎君 ただ、現実に年間約三千件ぐらいですか、十六歳、十七歳で結婚される届け出がありますね。また、これは人口動態統計、厚生省大臣官房統計情報部で出しているものですが、この平成十年の出生数を見てみますと、母親が十七歳以下というのが三千人を超えているんです、子供がですね。十月十日というふうに言われますが、十八歳では四千五百人ぐらい産んでいますから、現実に若いお母さんがかなり多くいる。 そうすると、恐らく社会の実態は余り動いていかないだろうと思うんですね、十八歳にしたとしても。やはり内縁的な形になるんでしょうけれども、そうすると実際子供も生まれる。そうすると、毎年数千人の非嫡出子が、本来であれば嫡出になるのにというような形になっていくんではないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
○委員以外の議員(吉川春子君) 確かに婚姻年齢を引き上げることによって非嫡出子がふえるのではないかと、こういう御心配でございまして、嫡出にするためには養子縁組をするとか、そういう方法も手続としてはあるものでございます。 そして、非嫡出子における子の利益ということを考えますと、母の氏を称しなければならないとか相続の面とかいろいろあるわけですけれども、やっぱり非嫡出子に対する社会の不利益を、今度も提案していますけれども、制度の不利益をなくしていく、そういう方向によって解決できるのではないか、このように考えております。
○魚住裕一郎君 今、養子縁組というお話がありましたけれども、自分の子で、本来であればちゃんとお父さん、お母さんが結婚しているはずなのに、これを引き上げることによって養子縁組までしなきゃいけないんですか。余りにも迂遠過ぎるといいますか、社会の実態を無視したような形で推移をしていくんではないかというふうにちょっと懸念するところでございます。 あとまだあったんですが、時間が来ましたので終わります。
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。 いわゆる選択的夫婦別姓を初めとした今回の改正案の背景には、今日の目覚ましい女性の社会進出や国民生活、意識の変化、あるいは女性差別撤廃条約、子どもの権利条約の批准などがあると思います。婚姻、相続制度についても、男女平等、子供の権利の徹底をという声や運動が大きな国民の世論に高まっているというふうに思います。例えば、選択的夫婦別姓について一九九九年三月に朝日新聞が実施した世論調査でも、四十歳代では四七%、二十歳代前半の女性では七四%が法制化を求めているという状況になっております。 したがいまして、今回の改正案がぜひ成立することを期待いたしまして、質問をいたします。 まず初めに、戦後、個人の尊厳、両性の本質的平等の憲法が施行され、家族制度の改革が行われてまいりましたが、婚姻年齢、再婚禁止期間、非嫡出子の相続分など形式的な不平等は残ってまいりました。これらの問題を今回改正する意義についてお伺いします。
○委員以外の議員(吉川春子君) 確かに、戦後、民法改正が行われまして、そして男女平等という形で法律が整備されたわけですけれども、今出しております婚姻年齢とか待婚期間とか、そういうものについての形式的な不平等が残ってきた、それを今回改正しましたので、形式的不平等の解消に一歩を踏み出した、さらに一歩を踏み出したという意味で今度の改正案の大きい意義があると思います。 同時に、婚姻年齢と成年の差とか両親の同意の存在など、今後の課題もあります。再婚禁止規定についても、家族制度、古い道徳観念を引きずっている、そういう面もないとは言えません。それで、技術的には父親が判明できるという報告もあり、廃止が大きな声になっていく過程で、いろいろな問題でさらにもう一歩、二歩進めていく必要はあると思いますけれども、今回の改正はその過程の中で大きな意味を持つもの、このように考えております。
○畑野君枝君 先ほどもございましたけれども、今回の改正案で婚姻年齢を十八歳にするということでございます。その理由について、つけ加えてあれば伺いたいと思いますし、また、父母の同意という問題についてどのように考えているか、お伺いをしたいと思います。
○委員以外の議員(吉川春子君) 女性に低年齢の婚姻を認めるのは、女性の婚姻について社会的、経済的成熟を要しないという性別役割分担の意識に基づくものがあるのではないか、こういう指摘があります。そして、男女間の不平等を助長するものという批判が生じてきています。その基礎には、我が国において女性の地位向上、社会的進出が盛んになってきたということが背景としてありまして、婚姻生活も社会的、経済的に自立した当事者の対等の関係において営まれるべきであり、身体的成熟よりも社会的、経済的成熟を重視すべきものとの意識が存在するものと思われると、九四年の試案でも指摘しているところでございます。 父母の同意については、これは憲法に照らしても問題があるという意見もあり、男女十八歳を婚姻適齢とすればもう一人前の大人として同意は不要である、援助をするということは必要であっても法律の制度として残す必要があるのか、こういう指摘も法律学者や実務家の中から多数あるわけでございます。 私たちは、今回、三党の提案としては現行の制度を残したわけですけれども、今後の検討課題ということで受けとめていただければと思います。
○畑野君枝君 あわせて、再婚禁止期間についても伺いたいと思います。 民法の今の規定は子供の父親の判定のためということになっております。男女平等の観点からも女性だけに再婚禁止期間を設ける必要はないという考えや再婚禁止期間はゼロにするべきではないかという意見もございます。 今回、改正案で百日にしている理由について伺います。
○委員以外の議員(吉川春子君) 再婚禁止期間については、現行の六カ月を百日に短縮するとしておりますけれども、これは法制審議会の民法の一部を改正する法律案要綱と同趣旨のものでございます。すなわち、現在、婚姻成立の日から二百日後または婚姻解消もしくは取り消しの日から三百日以内に生まれた子は婚姻中に懐胎したものと推定されますが、この規定を前提とした場合に、百日という期間は前婚における推定とそれから後婚における推定の重複を回避することができる最短の期間と言うことができると思います。 今回の改正は、現行の嫡出推定の制度を前提として、その範囲内で再婚期間の短縮を図ろうとするものです。畑野議員御指摘のようなゼロにすべしという意見が結構あるということも承知しておりますけれども、今の段階では私たちはこれが一番合理的な形ではないか、こういう選択のもとに共同提案をいたしました。
○畑野君枝君 また、非嫡出子の相続の差別撤廃の意義について伺います。 現民法では、非嫡出子の相続は正式な結婚で生まれた嫡出子の半分としています。既に一九七六年に日本共産党は、すべての国民は法のもとに平等という観点から、非嫡出子の相続を嫡出子と同等とする民法改正提案もしてまいりました。 そこで、子どもの権利条約の立場を含めてどのように考えるか、伺います。
○委員以外の議員(八田ひろ子君) ただいまの御指摘のとおりに、現民法では、法律婚の家族の権利を守るために、婚姻外の女性との間に生まれた非嫡出子の相続は法律婚のもとで生まれた嫡出子の半分となっております。 本法案により子供に対する差別撤廃を行います意義といたしましては、まず第一に、先ほど来論議の中にも出てまいりました憲法第十四条、すべて国民は法のもとに平等であって差別されないという原則にあります。個人の尊厳という民主主義の基本理念に照らしても、このような差別的取り扱いは排除すべきであります。 第二に、我が国社会の意識の変化など、時代背景は差別的取り扱いを定めた立法時と大きく変わっていることであります。親が法律婚かどうかは子供には責任のないことであり、平等の権利を持つのは当然と考える意見がふえる傾向にあります。既に、住民票での非嫡出子の差別が是正されております。先ほど、日本共産党が七六年に発表した非嫡出子の相続を嫡出子と同等とする民法改正提案の御紹介がありましたが、我が国におきましても、一九七九年に同等とする旨の改正要綱試案が、さらに一九九六年に政府の法制審議会の同等とする旨の答申が公表されています。 第三に、我が国が既に批准しました国連の市民的及び政治的権利に関する国際規約二十六条及び児童の権利に関する条約第二条一項は、出生または他の地位等による差別を禁止する趣旨を規定しております。我が国は、国連人権委員会から、一九九三年、九八年と婚外子差別を是正する法改正の勧告を受けており、また児童の権利委員会からも一九九八年に同じく婚外子の差別是正の立法措置を勧告されております。諸外国におきましては、既に相続上の差別を改めて、平等とする立法が大勢となっております。 以上のように、我が国社会の意識の変化、諸外国の法制の趨勢や国際社会の流れから見ましても、個人の尊重及び平等の原則からも、非嫡出子の相続においての差別を続けることは妥当性を欠き、一刻も早く是正することが必要と考え共同提案をいたしました次第でございます。
○畑野君枝君 次に、選択的夫婦別姓について伺います。 女性の社会進出が進み、また働く女性がふえる中で、結婚による改姓によって同一人物であることがわからなくなって、個人として積み重ねてきた信用や実績が途絶えてしまうという不利益や、あるいはプライバシーにかかわるストレス、精神的負担を訴える声も少なからずございます。また、長い間親しんできた姓を変えることが自分らしさを失うことになるのではないかと感じている女性もおります。 そういう点で、改めて選択的夫婦別姓の意義及び女性の自立にもたらす効果などについて伺いたいと思います。
○千葉景子君 既に触れさせていただいているところでございますが、今の畑野議員の御指摘、まさにそのとおりであろうというふうに思います。やはり夫婦同姓の制度が、女性が九七%改氏をするということによって、女性に対して大変負担を強い、あるいは女性の人権、自立性、こういうものを抑止してきたという面があろうかというふうに思います。 そういう意味では、二十一世紀は、やはり女性の人権を尊重し、そしてまた男性も女性もそれぞれが自立をした人間らしい社会を目指すということが必要になっているわけですので、ある意味ではそのスタート、一ステップとしてこの選択的夫婦別姓制度をぜひ導入する必要があろうかというふうに私は思います。また、二十一世紀は、女性が社会に参加をして、そしてそれぞれの力を発揮しなければ乗り切っていくことのできない、そういう社会でもあろうかというふうに思いますので、そういう趣旨も含めまして、ぜひこの早期の実現を果たしていきたいものだというふうに思っております。 よろしくお願いいたします。
○畑野君枝君 あわせまして、子供の氏の決定期について伺いたいと思います。 生まれたときに決定するということに対しまして、一方で婚姻したときに決めるという意見もこの間ございました。この点について提案者はどのようにお考えか、伺います。
○委員以外の議員(福島瑞穂君) 結婚時に子供の姓を決めるというふうにいたしますと、憲法が婚姻は両性の合意のみに基づいていると決めていることに反するおそれがあるというふうに考えております。つまり、従来は必要なかったにもかかわらず、結婚時に必ず子供の姓を決めなければならないわけですから、新しく要件を付加するということになります。 第二番目に、結婚をするときに子供を持つかどうかというのは人によってさまざま違いがあります。にもかかわらず、結婚をする際に必ず子供を持つという前提に子供の姓をとにかく決めさせるということは法政策上妥当だろうかというふうに思います。 第三番目に、結婚時に子供の姓を決めますと、例えば十年後に子供が生まれるとした場合に、また状況、二人の考え方も変わっているということも考えられます。したがって、結婚時に子供の姓を決めることは法律上妥当ではないというふうに考えております。
○畑野君枝君 私の知っている方の職場でも、半分は夫婦別姓をとっているとかあるいは最近結婚した方たちの職場ではみんな夫婦別姓など、本当に実際そのものが大きく変わっているというふうに思います。ですから、そういうこともよく調べていくと同時に、今お話がありましたように、それでは夫婦別姓の場合に子供の姓、氏はどんなふうになっていくのかということについては、いろいろの心配だとか御意見もあるかと思うんですね。ですから、そういうことを含めて、外国の諸事例なども大いにこの場で論議をしていく必要があるのではないかというふうに思います。 憲法に明記されている個人の尊厳の尊重や男女平等の立場から積極的な意味を持っております今度の民法改正案、本当に憲法で言われたとおりの内容が徹底されて、不利益を受けている方がなくなるように、私たちとしても御一緒に努力をするということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
○日下部禧代子君 社会民主党の日下部禧代子でございます。 社会民主党はこれまで、いわゆる選択制夫婦別姓を含みます民法改正の見直しの必要性を訴え、そして取り組んでまいりました。今回、初めて参議院で審議されることになりまして、非常にその意義が大きいということを感じております。一刻も早い成立を願うものでございます。 ところで、最初に私は実例を一つ御紹介してみたいと思うんです。 私の知人に久しぶりに会いましたところ、彼女が、私、離婚したのと言ったのでびっくりいたしました。そう夫婦仲が悪いとは聞いておりませんでした。その次に、私が唖然としておりますと、彼女は、いや再婚したのと言うから、また驚きました。何とこれは急転直下のことでありましょうと思ったんですが、よく聞いてみますと、これはいわゆるペーパー離婚であります。 彼女と彼は、いわゆる通称をどちらかが使っている夫婦別姓だったんですね、事実上の。夫である彼の方が国立大学の教授ということでお話があります。ところが、国立大学の方では通称を認めないということ。お話を聞いてみますと、結婚したときに彼が彼女の戸籍の方に入っていたわけです。ですから、通称を使っていたのは彼の方であります。したがいまして、彼としては、物書きでいらっしゃいましたし、いろいろな御本をいっぱい書いていらっしゃいます。そうすると、御自分の本籍上の名前を使うということは彼女の本籍上の名前を使うことになります。御自分のそれまでの業績、論文を含めた業績というものを全部名前を変えなきゃならないということになった。そこで、二人はペーパー離婚をいたしました。そしてもう一遍結婚をし直したのであります。そして、戸籍上は彼女が今度は彼の戸籍に入ったのです。形の上では、私たちが知る限りにおいては二人の名前は変わっていないんですね。 しかし、そういう戸籍上での離婚をなさり、そして戸籍上の再婚をする、そういうことが現状ではどうしても必要となる場合がたくさんあるわけです。少なくとも、女性も男性も自分の仕事というものを持っている限りにおいて、それまでの業績というものをどうするかというその視点をきちんと含めたような今までの民法ではなかったということをそこで非常に私は改めて感じて、この問題を深く認識する一つの大きなきっかけになったわけであります。 また、これは私自身のプライベートなことではございますが、私の弟が結婚した相手がきよ子でございまして、私、禧代子でございます。そういたしますと、弟の妻はいわゆる日下部きよ子になったわけであります。それで、私は漢字で禧代子なんです、彼女は平仮名できよ子なんです。彼女はある大学の医学部の教授であります。私もある大学で教えておりました、この職業になる前であります。そういたしますと、我が家に来る電話、それから郵便物、特に外国からの場合にはミズ・キヨコ・クサカベと、こうなっております。そうすると、我が家でもう父と母がそれをどのように区別するのか、電話をどのようにこちらの禧代子とあちらのきよ子に分類するのか、いまだに大変に悩んでおります。 こうなりますと、手紙とか何かが間違って来ますと、電話も随分間違ってかかってきたことがございます、お互いのプライバシーにもかかわってまいります。もし夫婦別姓制度というのがございましたら、多分彼女はそれを選んだというふうに思うのです。 特に、これは笑ってしまったのですけれども、私がこの職業になりますとき、つまり立候補いたしましたときに新聞に名前が出ました。そうすると、彼女は医学部の教授でございます、患者をいっぱい持っております、患者から、先生もとうとう政界にお出ましでございますかという電話とか何かがいっぱいかかってきたそうであります。彼女はもうそれに対する応対だけでも大変だったと、お姉さまに損害賠償を要求しようかしらというふうに私は言われました。こういう問題も現実にはあるわけでございます。 そういうことを考えますと、この夫婦別姓というのは非常に現実味を私にとっては帯びてくる問題でございます。 ところで、先ほどの私の知人の例で通称のお話を申し上げました。それは大分前の経験でございますけれども、現在、大学とか地方自治体あるいは企業などにおきましていわゆる通称ということがどのような形で使用されているのか。そしてまた、裁判などでそういう通称に関する判例などございましたら、そのことも含めて御紹介いただきたいと存じます。
○委員以外の議員(福島瑞穂君) 二〇〇〇年四月五日に入手いたしました文部省の見解はこのようなものです。「文部省としては、大学における職員の旧姓・通称使用については、統一的な取扱いを求めているものではないが、国立大学に対しては、人事担当部課長会議等において、旧姓・通称使用について弾力的に取扱うよう指導しているところである。 なお、私立大学については、設置者である各学校法人の判断により旧姓・通称の使用が可能である。」、こういただきました。 しかるに、たくさんの大学、私立大学でも通称が使えないという苦情、相談をたくさんいただいております。 ある女性の講師の方の手紙を御紹介します。「大学事務局の対応、並びに大学教授達の反応は、予想以上に厚い壁でした。御送付いただいた資料を基に、大学本部の事務局と話してみたのですが、「別姓が法律で認められていないので、認められない」、「これは大学の方針です」と言い切られ、ぐうの音も出ませんでした。これが、現実でした。がっかりです。」。なかなか使えていないということがあります。 公務員の通称使用について御質問をいただきました。 東京都では七区ほどで制度化している模様です。あるいはそれ以外でも、民法改正ネットワークの調査によりますと、少なくとも十七以上の自治体で通称使用を何らかの形で制度化しているところもあります。逆に言いますと、三千三百ある自治体の中で通称使用の制度化がなかなか認められていないという言い方もできます。 また、企業についての御質問がありました。 連合女性局が一九九八年に加盟労組を対象にした調査では、何らかの形で旧姓使用が認められているが三二%です。しかし、認めている範囲にはばらつきがあり、給与明細や振り込み口座までとなりますと二八%とさらに低いものがあります。また、旧姓使用に直属の上司や同僚の理解が得られていても、組織全体として取り決めがない場合はさらに深刻です。問題なのは、九八年の連合女性局の調査では、旧姓使用を認めていない場合、今後の対応を尋ねております。その結果、最も多かったのは、法律の改正がなければ認めないというものが五二%です。 それで、裁判についての御質問がありました。 図書館情報大学という国立大学の教授である関口礼子さんは、一九八八年十一月二十七日に東京地裁に提訴をされ、一九九八年三月二十七日に東京高等裁判所で和解が成立をしました。和解だけでも非常に大変で、何百とある名前を、関口礼子が使えるもの、関口礼子括弧戸籍名が使えるもの、戸籍名が使えるものと割り振るのに二年近くかかったように記憶をしております。 ですから、ここからはっきり言えるのは、第一に、大変切実であるということ。第二に、名前の問題で多くの人が非常に苦労しているということ。第三番目に、問題の解決にも時間が大変かかっているということ。第四に、通称使用をある程度認めても問題がそれで解決をしないということです。 関口礼子さんの高裁の和解の成立でも、今後誠実にお互い協議するという条項が入りました。つまり、いつでもこの名前についてどう使うかということで問題が生じますから、常に戸籍名と通称の間で割り振りを考えなくてはいけない。問題がずっとエンドレスに続いていくということがあります。しかも、戸籍名が使われている局面が大変多いですから、二つの名前を使うこと、戸籍名がどうしてもたくさん出てくることで多くの人たち、女性のみでなく男性も大変苦しんでいることを申し上げたいと思います。
○日下部禧代子君 ところで、日本も戦後、人口構造の変化あるいは産業構造の変化なども含めまして、家族の形だけではなく家族の構造というものが随分変わってきた、家族の概念というのも変わってきております。外国の場合ですと、それは非常に法律などでも顕著にあらわれているものがありますね。昨年のたしか十月だったと思いますが、フランスで、事実婚ばかりではなく同性愛婚も認めるといういわゆるPACS法が成立いたしましたのは御存じのとおりだと思います。 そのように、外国ではかなりさまざまな家族の変容にかかわる法、家族法の改正というものが行われているというふうに思うのでございますが、夫婦別姓も含めまして、その点につきまして御見解を承りたいと存じます。
○委員以外の議員(小宮山洋子君) おっしゃいましたように、特に一九七〇年代以降、各国でさまざまな形を認められるような法の改正が行われております。 国際的に見ましても、日本のように同姓を強制していますのはインドとタイだけです。夫婦同姓、別姓の選択を認めているのがアメリカ、イスラエル、スウェーデンなど、また夫婦同姓が基本で一方に姓の付加を認めているのがドイツ、スイスなど、夫の姓は変わらず妻が夫の姓を付加使用するのがアルゼンチン、イタリア、中華人民共和国など、さまざまな方法ですけれども、何らかの形で選択できるようになっている。そういう形で多様な家族が認め合えるようなことを法改正を伴って各国で行っているので、日本でもぜひ早くというふうに考えております。
○日下部禧代子君 家族の問題について引き続きお伺いしてみたいと思うのでございますけれども、個人単位ではなく日本の法制度が家族単位であることによって、例えば生活保護法などもいわゆる世帯単位の原則ということでさまざまな不利益をこうむる人々が今生じているわけですね。そしてまた、私的扶養というものに非常に日本が依存するという現実もございます。そのことが、介護保険法、介護保険制度が成立することによりましてその問題が大分違った方向へと、私的扶養から公的ということに移ってまいるような気配も出てきたわけですけれども、いわゆる選択制夫婦別姓を導入した場合に、他の法制度というものを変える必要が出てくるんではないかと思いますが、その点についていかがでございましょうか。
○千葉景子君 先ほどちょっと御説明をさせていただきましたように、例えば夫婦別姓制度を導入した際に戸籍の問題等が一つ挙げられようかというふうに思います。 また、大きく考えますと、これからそれぞれの自立性あるいは個人の尊重ということを考えますと、今御指摘がございましたように、社会保障とかあるいは税、こういう部分もやはり一人一人の個人を単位としながらしっかりとした制度をつくっていく、こういうこともこれからの共生社会という意味では必要になってくるのではないかというふうに思います。 ただ、選択的夫婦別姓制度を導入するということと直接は、改正をしたからそっちも改正せねばならぬという関係にはございませんけれども、大きく考えますと、やはりこれからの社会の中でさまざまな制度を個人の尊重という立場で見直していくということは必要なのではないかというふうに考えております。
○日下部禧代子君 最初に私は、通称を男性の方が使っていたということ、それにより不利益をこうむるということを申し上げました。 やはり、女性だけではなく男性にとってもこの選択的夫婦別姓制度の必要性というのはある、まさにこれは男女共同参画社会の課題であるということを最後に申し述べまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○中村敦夫君 中村敦夫です。 選択的夫婦別姓制度の導入に関しましては、与党を含めた超党派の国会議員で大変賛成者が多いわけですね。また、これはそもそも法制審議会の答申を得て内閣、法務省が準備してきた法案でもあるわけです。法制審議会というのは司法の政策決定の中で大変重みを持つ会でございます。 そこで、まず法務省に質問したいんですけれども、法制審議会が今まで答申を出しながら閣法として提出しなかったのは、この選択的夫婦別姓を導入する民法改正案のほかにあるのかどうか。あるのかないのか、一言で答えてください。
○政府参考人(房村精一君) 法制審議会が答申を出しながら閣法として提出しなかった例は、これ以外にもございます。
○中村敦夫君 幾つぐらいあるんですか。
○政府参考人(房村精一君) 三つございます。
○中村敦夫君 いずれにしても非常に少ないですね。これは異例な形だというふうに判断できるわけですね。 それで、続いて法務省の方に聞きますけれども、以前、法務省民事局が、世論を喚起するために選択的夫婦別姓制度に関する二色刷りのパンフレットを作成して配布していたわけです。(資料を示す)これはコピーですけれども、こういうものを配布していたわけです。非常に積極的にやっていた。ところが、これが途中からストップしてしまった、配布がとまってしまったということがあるわけですね。 これは、与党の有力議員たちからやめろという圧力があったというふうに一般に言われているわけですけれども、この経緯というものを説明していただけませんか。
○政府参考人(細川清君) 御指摘のパンフレットは、二万部ほどつくりまして、すべて配布済みでございます。どこからか反対があったので途中でやめたと、そういう事実はございません。
○中村敦夫君 二万部もまき切れたんです。だから、大変評判いいパンフレットだったわけですね。どうしてそこでやめてしまったのか。
○政府参考人(細川清君) 地方自治体とか公共図書館等にも配布しまして、それでその当時の目的は達したということでございます。
○中村敦夫君 今度は法務大臣に直接お伺いしたいんです。 これは法制審議会の答申からもう既に四年たっている法案ですけれども、それでも閣法として提出できないのはなぜなのかということを簡単に説明してください。 そして、法務大臣は法制審議会の会長でもあるわけです。この法制審議会の答申という重みをどう感じているのか、簡単にお答えいただきたい。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほどもちょっとお答えを申し上げましたけれども、この選択的夫婦別氏制度の導入につきましては、国民各界各層でいろいろ御意見がございます。 そうした状況に現在もあるということを私どもは認識いたしているわけでございまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、平成八年の総理府の統計、世論調査の結果によると、極めて意見が伯仲をしているような状態にある。また、地方自治法第九十九条第二項の規定に基づき地方議会から提出された意見書についても選択的夫婦別氏制度に関するものがあるわけでございますが、現時点までに法務省に提出された意見のうち、導入に積極賛成の意見が五十三件、慎重ないし消極の意見が三百八十八件となっているのでございます。 このように、この問題につきましては国民の意見が大きく分かれていることがうかがわれるわけでございまして、現在のところ、そうした状況を踏まえて、国民各界各層や各方面での御議論がさらに深まることを期待いたしておるのでございます。私どもといたしましては、現在国会でも御論議をいただいておりますが、その動向を見守りつつ適切に対処いたしてまいりたい、このように考えております。 なお、次の、法制審議会の重みについての御意見、御質問がございましたけれども、法制審議会は、法律学者、法律実務家、一般有識者の中から最適任者として選任をされました委員によって構成をされておるわけでございまして、法務大臣の諮問に応じて、民事法、刑事法、その他法務に関する基本的な事項につきましてさまざまな角度から慎重かつ周到な調査審議を行うものでございまして、基本法の整備を行う上で重要な意義を持つものと認識をいたしております。
○中村敦夫君 世論は大事にしなきゃいけませんね。しかし、世論だけで物事を決められないという場合もあるわけです。非常に専門的な問題、国際的なスタンダードとか社会情勢の分析、法的な問題というようなことは、必ずしも世論だけが参考で、それによって何かを決めていたんだったら国会なんか要らないわけですよね。 ですから、この問題は非常に専門的な問題であって、世論がまだ多数ではないからという理由で見送るということは、ちょっと国会というものの権限というものを放棄しているんじゃないかと私は思うんですけれどもね。 実際問題として、これが出てきて、特に自民党の中で反対意見が多くなってきたというのは、一九九六年三月三十一日に開かれた神道政治連盟国会議員懇談会、これ今話題の会ですけれども、ここにおいて選択的夫婦別姓制度の反対が協議されて、それ以来なんですね。それ以降、神道政治連盟及び二百名以上いる同議員懇談会というところでたびたびこの制度への反対が表明されているんですよ。そうすると、いわばここのところが与党の中でも反対の総本山みたいな形になっているということで、臼井法務大臣自体この懇談会の幹事を務められているということがあるわけですね。 これは、政教分離といういろいろな大きな問題でややこしい問題がございますけれども、それはさておいて、神道政治連盟と臼井法務大臣が、当然ここの会員ですから反対だという立場があると思います。それがいい悪いではなくて、なぜ反対するのか、その理由を明確に述べていただきたい。
○国務大臣(臼井日出男君) 御指摘の点につきましては、現在、選択的夫婦別氏制度につきまして法案が議員提案として提案をされておるわけでございまして、御議論をいただいているところでございます。現段階におきまして所管の大臣から賛否等にかかわる御意見を述べるということは適切ではないと考えております。
○中村敦夫君 いや、適切とかなんとか、そんなことを聞いているんじゃないんですよ。なぜ反対しているのかと、この連盟ですね。そして、あなたが幹事をやっている。当然その理由は知っているわけですから、適当とか不適当と言うんじゃなくて、整合性のある、なぜ反対するのか理由は言わないでただ反対だったら昔の何とか党と同じになっちゃうじゃないですか、その理由を教えてほしいんです。
○国務大臣(臼井日出男君) 大変恐縮でございますが、先ほども申し上げたとおり、所管の大臣としての賛否に関する御質問に対しての御意見は差し控えさせていただきます。
○中村敦夫君 あなた日本語がわからないんですか。賛否はいいと言っているんですよ。理由だけ聞きたいんですよ、どういう理解をされているか。ただここに加盟して名前を連ねているだけなんですか。
○国務大臣(臼井日出男君) さらに、賛否ばかりではなくて、それに対する私的な意見というものは発表を、御披瀝を控えさせていただきたいと思います。
○中村敦夫君 要するに、大臣というのはただの飾り物じゃないんですから、個人としてのリーダーシップ、考え方ということを述べても構わないんですよね、それは個人的責任において。しかも、政治連盟というちゃんとした組織に入っているわけで、そして非常に重要な法案に対して反対をしている。これは反対の理由もなしに反対と言うことはもうあり得ないと思うんです。 この神道政治連盟、私はいい悪いを言っているんじゃないですよ。この綱領を見ますと、「神意を奉じて、経済繁栄、社会公共福祉の発展をはかり、安国の建設を期す。」というふうに言っているんです。神意でもっていろいろなものを考えるということなんですよ。 ですから、夫婦別姓選択に反対する理由というのが説明できない、それはつまり神のお告げなんですか、だから反対できないんですか。もっと人間的な、要するに理性的な理由というものがあって反対しているはずじゃないんですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 神道政治連盟の考え方につきましては法務大臣としてお答えをできない。先ほどから申し上げている次第でございます。
○中村敦夫君 それは、自分が所属している団体、そしてその団体の意向については責任はとれないという話なんですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 本日、この場に出席させていただいておりますのは、法務大臣として関係の法律についてのお答えをするべく出席をさせていただいているのでございます。
○中村敦夫君 いや、法務大臣はたまたま法務大臣になったわけでしょう。その前に国会議員であり、そして社会に対して明確なメッセージを発している団体の幹事なわけじゃないですか。なぜ法務大臣だと何にも答えられないんですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 所轄の大臣でありますから、そういう所轄の問題について今国会で御議論をいただいている、私的な御意見というものは控えさせていただきたいと申し上げているのでございます。
○中村敦夫君 政教分離という問題は大変ややこしい問題ですけれども、私は宗教を否定しているわけではありません。実を言えば大変興味を持っている。専門的に勉強しているぐらいです。そして、文化的な存在、人々の生活の価値観をつくっている、そうしたものとしてかなりいろいろな国で重要な役割を持っていると思っております。私は神社にお参りにも行くし、お寺にも行くし、本当にそういう意味では敬意を持って接している。 しかし、それが、ある部分の方々だと思いますよ、一つの政治に参加してきて、宗教の神意というものを一つの政策の根本に置いてしまって政治参加する。これはやっぱり政教分離の憲法に違反しているというわけです。 ですから、普通の方々がそこへ入っていくならまだしも一つの主張としてわかりますけれども、国会議員がそこに入って、そしてそこで決められた意向に沿って国会の法案というものに賛成だとか反対の立場をとっていくということは、これは憲法違反じゃないかと思うんです。 法務大臣、まさにそういう大きな問題に今差しかかっている、よほどの決意と信念、覚悟がないとそこにはいられないと思うわけです。このことについてどうお考えですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 一般論として申し上げるならば、そうした各宗教団体と宗教団体のカウンターパートである議連、必ずしも考え方が一緒であるということではない、それぞれお互いの意見を交換しながらより理解を深めていく、こういう形になろうかと思います。
○中村敦夫君 確かめますけれども、私が調べている限り、この議連、ここに入っている方々はこの法案には反対している、ほぼそうであるというふうに判断しておりますけれども、そのとおりと考えてよろしいですか。
○国務大臣(臼井日出男君) そうした点については、私からお答えする立場にはございません。
○委員長(風間昶君) 時間オーバーですから簡潔に願います。
○中村敦夫君 何か日本の大臣というのがすべて判断停止の状況にあるということは非常に問題であるというふうな感想を述べて、質問を終わります。
○委員長(風間昶君) 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十七分散会