法務委員会 第9号
- 発言数
- 230 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2000/04/18
会議録
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十三日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として江田五月君が選任されました。 また、昨十七日、岡野裕君が委員を辞任され、その補欠として佐々木知子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(風間昶君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民事法律扶助法案の審査のため、本日の委員会に警察庁刑事局長林則清君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(風間昶君) 民事法律扶助法案を議題といたします。 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木知子君 おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。 民事法律扶助についてお尋ねさせていただきたいと存じます。 司法改革は、御存じのとおり第七の改革ということで、最近さまざまな問題が、さまざまなメディアまたさまざまな形で取り上げられるようになっておりますが、要するにその根本にあるところは、司法をもっと身近にしよう、使い勝手のいいものにしよう、そういうことにあるのではないかと思われます。その一環として法律扶助というのも考えられるのではないかと思いますけれども、現在のところ民事法律扶助は財団法人法律扶助協会、これは法務省所管の公益法人でございますが、によって行われておりますが、その仕組み、現状はどうなっているのか、それについてまずお伺いしたいと存じます。
○政府参考人(横山匡輝君) まず、現在の法律扶助の仕組みについて申し上げますと、民事紛争を抱えた方々が法律扶助を利用しようとする場合には、法律扶助協会の各支部に設けられました受付窓口に申し込みをしていただき、支部では資力に乏しい方であると認めた場合に弁護士による法律相談を行います。 この法律相談により弁護士から適切なアドバイスがなされて、裁判に至る前に早期に紛争が解決されるケースも多くありますが、事案の中にはもはや裁判等により解決を図るほかはないものもあり、そのような案件につきましては、弁護士等によって構成されます審査委員会で勝訴の見込みに関する要件等の審査を行い、要件を満たすと認めた場合に裁判援助等の扶助決定をすることになります。 そして、弁護士会から推薦された受任弁護士、依頼者及び協会の三者間で法律扶助に関する契約を締結し、これに基づいて、協会は依頼者にかわって受任弁護士に着手金等を立てかえ、依頼者から原則として事件進行中に立てかえられた金額を分割して償還していただくことになっております。 受任弁護士が事件を処理し終えますと、審査委員会で終結決定を行いますが、協会は必要に応じて受任弁護士に報酬金をも立てかえる場合があります。こうして終結決定後においても、協会は依頼者に立てかえた金額の償還を求めていくことになりますが、特に資力に乏しいため償還が困難な方々については、償還を三年間の範囲で猶予し、最終的には免除することのできる仕組みも備わっております。 次に、法律扶助の現状について申し上げますと、扶助決定件数は昭和四十年代半ばから昭和六十年代までの間は二千件から三千件台の間で推移してきましたが、平成に入りましてからは国民の需要の増大に伴って増加の一途を遂げ、例えば昭和六十三年度に三千三百十九件であった扶助決定件数は平成十年度には一万七十九件に上り、今後も需要の増大が見込まれております。 以上でございます。
○佐々木知子君 そのところに本法案を制定することになったわけですけれども、現在、その財団法人法律扶助協会でやっていることに関して、どのような問題点なり、新しく法律を制定する必要性があったのかどうか、この法案を制定する経緯を含めてお答え願いたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 民事に関する法律扶助制度は、民事紛争の当事者の裁判を受ける権利の実現を国が後押ししようとする制度で、資力に乏しい方々の弁護士費用等を立てかえるものでございます。 法務省では、昭和三十三年度以降、補助金を交付するなどしてその充実に努めてきたところでございますが、法制度化されていないことなどから、国民の需要に十分こたえていないことや全国的に均質な事業の遂行が確保されていないなどといった問題点を抱えておりまして、立法化の必要性がこれまで指摘されてきたところでございます。 そこで、平成六年に設けられました法律扶助制度研究会の研究結果や昨年の司法制度改革審議会設置法案の御審議の際の衆参両院における法務委員会の附帯決議等を受け、その基本的枠組みを定める法律が緊急に必要であるとの認識に立ちまして、今国会に本法案を提出させていただいた次第でございます。
○佐々木知子君 その結果といたしまして、本法案成立後の民事法律扶助手続というのはどのようなものになるのでございましょうか。先ほど現在の財団法人法律扶助協会の仕組みについて述べられましたけれども、その相違点についても鮮明にさせながらお答えいただきたいと存じます。
○政務次官(山本有二君) 本法案のもとでの民事法律扶助手続につきましては、基本的には従来の手続と異なりませんが、法制定によりまして民事法律扶助事業に関する国、弁護士会及び事業主体の責務等が明確にされまして、国及び事業主体は統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な事業遂行の実現に努め、弁護士会はその適正な運営の確保等に必要な支援をするよう努めることとなりますので、国民の法律扶助に対する需要に適切に対処する基盤となるものと考えております。 また、訴訟代理援助だけではなく書類作成援助も事業に含めることによりまして、国民が幅広く制度を利用できるものとなりますし、指定法人に登録した弁護士がみずからの事務所において法律相談を実施することとするいわゆる相談登録弁護士制度の導入等によりまして法律相談を簡易に受けられるようにするなど、国民の利便性に配慮することが可能になると考えております。このように、法制定は国民の司法へのアクセスを一層広げるための基礎固めとして有意義なものと考えております。
○佐々木知子君 次の質問は大臣にお伺いしたいんですけれども、民事法律扶助に関しまして平成十二年度の一般予算は二十一億円余ということになっていると承知しております。これは前年度が十億円を切っておりましたので二倍以上にふえているということになりますけれども、この予算を大幅に増額した根拠をお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(臼井日出男君) 民事法律扶助制度につきましては、その重要性にかんがみまして、近年、民事法律扶助関連予算の増額を図るなど本制度の充実を図ってきたところでございます。 本制度の対象者といたしましては、生活保護受給者層やそれに準ずる所得層の方々を中核といたしまして、全世帯のおよそ二割の所得層となるものでございますが、最近における扶助の需要は近時の社会経済状況を反映いたしまして増加の一途をたどっておりまして、そのような方々に対して十分に対応し切れないというのが現状でございます。 そこで、平成十二年度の民事法律扶助関係予算といたしましては、そのような方々の扶助の需要に適切に対応することができるよう、裁判援助等に直接必要な経費に対する補助や、裁判への窓口的機能を有するものとして重要でございます法律相談に対する補助金の増額を図るとともに、事業の適正な遂行を行うための事務関係経費に対する補助金を新たに措置するなどいたしまして、御指摘いただきましたとおり約二十一億八千百万円といたしたところでございます。
○佐々木知子君 続いて各論に入らせていただきたいと思います。 法二条によりますと、民事法律扶助を受ける対象者は、自己の権利を実現するための準備及び追行に必要な資力がない国民等、等というのは適法に在留する外国人ということを入れているようですけれども、またはその支払いにより生活に著しい支障を生じる国民等ということでございます。 一見すると余り違いがよくわからないようなんですが、民事訴訟法の八十二条の法律上の扶助にこれと同じような規定がございます。それによったのではないかというふうに思いますけれども、この二つの相違、それから認定というのはどのような形でなされるのか、この点についてお答え願いたいと存じます。
○政府参考人(横山匡輝君) 本法案第二条におきます民事裁判等手続の準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない方々とは、生活保護受給者やこれに準ずる方々のように、そもそも当該費用を支払うことができない方々を念頭に置いております。そして、同条のその支払いにより生活に著しい支障を生ずる方々とは、生活保護受給水準よりも若干上回る方々ではありますものの、当該費用の支払いをすることによりまして生活保護受給水準に陥るなど、生活に著しい支障を生ずる程度の資力しかない方々を念頭に置いております。 現行の民事法律扶助事業では、こうした資力に乏しい方々として全世帯の下からおよそ二割の所得層を対象としてきたものでありまして、本法案のもとにおいても基本的には同様の所得層を念頭に置いております。 現行の民事法律扶助事業におきます資力基準の認定について具体的に御説明しますと、親子三人家族の場合、その資力基準は手取り月収二十七万二千円以下を基準額としまして、東京など大都市の場合は物価等による調整を図って二十九万九千円以下とされております。しかも、申込者が住宅ローンや家賃を支払っている場合には、六万六千円を限度にその実額を基準額に加算することができることとされております。 このように、我が国では全世帯の下からおよそ二割層を対象としているとはいえ、相応に柔軟性のある基準で扶助の認定が行われておりまして、本法案のもとでは資力に関する基準を扶助の審査に関する事項として指定法人の業務規程に記載すべきものとし、これを法務大臣の認可に係らしめることとしておりますが、その認可に際してはこのような現行の実務の運用が参考にされるべきものと考えております。 以上でございます。
○佐々木知子君 現在、どれくらいの数の弁護士がこの財団法人法律扶助協会の仕事に携わっておられるのか、把握されておられるのかどうかわかりませんけれども、お答え願えませんでしょうか。
○政府参考人(横山匡輝君) 法律扶助事業を取り扱う旨を法律扶助協会に登録しております弁護士は、各単位弁護士会における会員中に占める登録弁護士の割合で見ますと、東京が八%、大阪が一五%であるなど大都市では登録弁護士数が一部に限られているのに対しまして、地方の小規模単位弁護士会におきましてはほとんどすべての会員に登録をいただき、多くの弁護士の方に法律扶助制度の運営に御協力をいただいておるところでございます。
○佐々木知子君 そうしますと、本法案が制定されますと、今小さな弁護士会では大体の方が登録されておられるということでしたけれども、東京は八%、大阪は一五%、大体大阪の弁護士が全体のもう半分かそこらを占めるところですから、数としては非常に少ないんだろうと思いますけれども、全体としてその数がふえるのかどうか、もっと使い勝手のいいものになるのかどうか、そのあたりはどうでございましょうか。
○政府参考人(横山匡輝君) 本法案におきましては、弁護士につきましても民事法律扶助事業に協力すべき責務をうたっております。そういうようなこともありまして、本法律案の制定によりまして、このような登録弁護士の数も一層増加するものと考えております。
○佐々木知子君 結局、弁護士会がどう対応するかという問題で、法務省プロパーの問題ではないのかとも思いますけれども、私がここで非常に強調しておきたいのは、結局これは弁護士会がどう対応するかという問題にやはりなるところがございます。 弁護士の過疎地域というのがございます。大都市につきましては今東京で八%、大阪で一五%と言われましたけれども、もともと弁護士の数が多いわけですから少なくともそれほど支障はないかもわかりませんが、小さな都市に行けば行くほど弁護士の数は少なくて、実際、器だけあっても使える弁護士がいなければ何にも、扶助だけあっても意味がないということになりかねません。 特にゼロワン地域というものがございまして、これは調べたところによりますと、全国地裁の本庁が五十庁及び支部が二百三庁ございますけれども、そのうち今ゼロワン地域と申し上げました、弁護士がゼロか一人しかいないという地域でございます。これは七十カ所を超えるということでございます。弁護士が四人以下は百二十カ所に上る、こういうことでございます。 では、一人いれば足りるのかといえば、双方代理というのがございますので、一人だけではこれは足りない。もしその一人が大企業かどこかの顧問弁護士でもやっていれば、やはりそれはないのと等しいということにもなりかねないということで、弁護士を奪うということに、扶助はできないということになりかねませんので、これは弁護士過疎地域をどうするかということを抜本的に弁護士会にも考えてもらいたい。弁護士会だけの問題ではないかもしれませんが、第一義的にはやはり考えていただきたいと思うわけです。でなければ、単にこれまた民事法律扶助だけの問題ではなくて、今、当番弁護士制度というのを刑事にも設けておりますけれども、この刑事につきましても過疎地域になれば弁護士がいないというわけで、絵もちになりかねないということでございます。 医療ももちろんそうなわけですけれども、僻地にどれだけのハードがあるか、ソフトも使えるかということがなければ幾ら制度だけつくっても無用になりますので、これはぜひ皆で考えていかなければいけないことだというふうに考えております。 次に行かせていただきますけれども、法律扶助ということを言いますが、私たちはよく知っておりますけれども、実際問題、知らない国民が圧倒的多数である。アンケートの結果では七〇%が知らなかっただけだというので、えっ、そんなに知っていたのかと私はかえって驚いたぐらいなんですけれども、知らなければやはりこれは近づけない、アクセスがないということです。いかにして知ってもらうか。 予算措置を見ますと、三千万円以上が広報ということで計上されておりますけれども、実際にどのような形で広報されていかれるのか、具体案についてお伺いしたいと思います。
○政府参考人(横山匡輝君) 民事法律扶助制度につきましては、ただいま委員から御指摘のありましたように、その対象層の方々の七割近くがこの制度を知らないとの調査結果がありまして、これを解消しますことは司法へのアクセスを容易にする意味で極めて重要な課題と認識しております。 平成十二年度予算におきましては、従来一定額であった広報宣伝委託謝金の大幅な増額、これは前年度比三千万円増、パーセンテージでいいますと八二三・四%増ということになりますが、総額では三千三百万円ということになります。 このような大幅な増額を行い、新聞広告、ポスターの掲出及びリーフレットの作成、配布等により、広く国民等の方々に本制度を知ってもらうための措置を講じることとしております。 なお、現在でも法務局、地方法務局及び人権擁護委員等の人権擁護機関におきまして、資力の乏しい方々が人権相談に訪れた際などに民事法律扶助事業の概要をお伝えしているところであります。本法案のもとにおきましても、国の責務として、これらの利用者としての対象層の方々を中心に民事法律扶助事業の周知に一層努めてまいりたいと考えているところでございます。
○佐々木知子君 できるだけよろしくお願いしたいと存じます。一般的に法務省は特に広報が下手なようでございますので、これに限らずいろんな形で広報をしていただきたいというふうに考えております。 次に、大臣にお伺いいたしますけれども、現在、民事法律扶助法案ということで上がってきて、これはこれで非常に結構なことだというふうに思いますけれども、周りを見渡しますと被疑者弁護の問題もございます。そして、少年事件の付き添いなどもございます。そういうことも含めたトータルな形での公的な支援制度を設置するべきではないのかということで、その手の議論が真剣に行われていることは法務省側もよく御承知のことと存じます。 しかるに、今この時点で、そのトータルな公的支援ではなく、ひとり民事法律扶助という形がクローズアップされて、成立を急ぐというか成立させるというその本心というのか、意図をお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(臼井日出男君) 民事法律扶助制度につきましては、かねてからその立法化の御指摘がございまして、平成六年に設けられました法律扶助制度研究会の研究結果や昨年の司法制度改革審議会設置法案の御審議の際の衆参両院における法務委員会の附帯決議等を受けまして、その基本的枠組みを定める法律が緊急に必要であると、その認識に立ちまして、今国会に本法案を提出させていただいた次第でございます。 他方、刑事事件は、国家刑罰の実現といたしまして、国が本人の意思にかかわらず権限を行使して、被疑者、被告人を刑事手続にのせるものでございますから、私的な紛争の解決を目的とする民事事件に比べまして、より迅速かつ確実に弁護人の選任等を行う必要がございます。また、既に被告人につきまして国選弁護士制度がございますので、これと統一的、総合的に実施することが望ましいと考えられることなど、民事事件と異なり、必ずしも法律扶助になじむものではないと考えるのでございます。 ただし、起訴前の弁護活動に対しまして公的支援を行うべきである等の御指摘につきましては、法務省といたしましても、公的な被疑者弁護に関する現実的な検討が必要な段階に来ていると考えておりまして、司法制度改革審議会等における御議論も踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。 また、少年保護事件につきましては、第百四十五通常国会に提出いたしました少年法等の一部を改正する法律案におきまして、少年審判に検察官が関与する場合で少年に弁護士である付添人がいないときは家庭裁判所が弁護士である付添人を付することとして国選付添人制度の導入を盛り込んでおりまして、御指摘の問題については付添弁護人制度全体の中で検討を行うことが適当であると考えております。 したがいまして、民事法律扶助事業に関しまして、刑事事件と切り離して、先ほど御説明いたしましたような緊急の必要性から所要の法律を制定することは既に十分合理的なものと考えているのでございます。
○佐々木知子君 私は冒頭に司法制度改革というふうに申し上げましたけれども、現在さまざまな面で司法制度改革が問題とされております。各論的に取り上げれば、例えば訴訟迅速化であるとか、法曹の数をふやせという議論もございます。法曹一元なり、陪審、参審なりの国民の司法参加という面もございます。それから法曹の教育制度というのも、ロースクールを導入するなり何なりしてちょっと考えないといけないとか、いろんな形がございます。 でも、それの根っこにあるところは、結局のところ、司法というどっちかというと立法や行政よりも国民、市民から遠いところにあるものをもっと身近に引き寄せ、もっと使い勝手のいいものにしようではないかというところにあるのではないかというふうに思います。その司法制度改革との関連で、あるべき法律扶助の姿というのはどのようなものであると法務省はお考えか、それについてお伺いしたいと存じます。
○国務大臣(臼井日出男君) 現在進められております司法制度改革は、国民がより利用しやすい司法制度の実現を目指しまして、国民的見地からの検討を行っているものでございますけれども、法律扶助制度は国民が司法を利用することを容易にする上で極めて重要な役割を果たすものでございます。 今回提出をいたしております民事法律扶助法案は、緊急に充実を図る必要のある民事法律扶助事業につきましてその基本的な枠組みを定めるものでございますが、司法制度改革の理念をも踏まえた法律扶助制度のあるべき姿につきましては、今後、司法制度改革審議会等におきましてさらに高い見地から検討をしていただく事柄であろうと考えているのでございます。 法務省といたしましても、そのような検討の結果も踏まえまして、法律扶助制度の充実にさらに努めてまいりたいと考えております。
○佐々木知子君 ありがとうございました。 私の質問は、ちょっと時間前ですけれども、与党ですから、これで結構でございます。
○竹村泰子君 待ちに待ったと申しますか、本当はもっと早くこういった法律を出して、きちんと国がそれに対する対処をしなければいけなかっただろうと思いますけれども、遅駆けながらというか、乗り出すことができた。日本もようやくそこまで来たかという感じがいたしまして、大変結構なことだと思いますが、しかし問題点がないわけではない。そして、もっとこうすればいいのになと、あるいはもっとこう変えなければならないのになと思うようなことが幾つかございますので、お聞きしたいと思います。 この法律は、民事裁判等の手続の準備や実際の裁判を進めるに際して、財力の乏しい人、国民を援助する事業のための法律であるというふうに思います。本当は、後ほど触れますが、国民と言い切りたくないわけです。日本に住んでいる人すべての人々にと言いたいんですけれども、一応そうなっておりますので。 私は、この法律について考えますとき、真っ先に立場上、今非常にストーカーの問題でありますとか、それからドメスティック・バイオレンスの問題でありますとか、女性が暴力の対象となることが非常に多く、しかもそれが社会問題化しているということもありまして、やはりこのことを、性暴力に対することを考えざるを得ないわけです。近年では、女性への暴力の根絶がきちんと認識されて、政府、自治体による女性政策の柱としてDV対策が位置づけられようとしております。私どもも何とかこのDV法といいますか、女性に対する暴力行為に関する法律をつくりたいというふうに今考えて準備をしているところでありますけれども、昨年施行されました男女共同参画社会基本法の大きな柱の一つとしてこの女性への暴力に関する対策があるのは言うまでもありません。 御承知のように、総務庁が今年度全国規模の調査を行い、現在累計中であると聞いておりますけれども、新年度は網羅的な実態把握からさらに一歩踏み込んで被害者のヒアリングなどを実施し、具体的にケーススタディーを行う予算がつけられております。 例えば、ここで一つのケースを考えてみたいと思いますけれども、夫婦間暴力、夫から妻への暴力、長年にわたってさまざまな形で暴力を加えられている女性が最近各地で声を上げつつあります。駆け込みシェルターというのができております。 しかし、これに対して国の補助は一切まだ出されておりません。民間の乏しい財源の中からカンパや寄附によってみんなが持ち寄って、特に中心となっている女性たちがさまざまな衣類とか食べ物とかいろんなものを持ち寄って、そして民間のシェルターをつくっている。一部自治体がその全体の経費の中から考えればほんのわずか補助をしてくれているところもありますが、国からの補助は一切まだありません。そういうシェルターに駆け込み、性暴力根絶の運動をしているグループの手助けを得ながら提訴する事例もございます。このような事例の場合、よくあるケースとして、被害者の女性は長年の夫の暴力によって心身に大きな傷を負っている場合が非常に多い、特に精神的にもかなり参っている、そういう人が心療内科に通ったりしながらという場合も多々あります。 ここで、民事法律扶助法案の中の援助の審査について、扶助対象の判断基準として、一、資力に乏しいこと、二、勝訴の見込みのあることの二つを挙げておられます。 さきのようなケースの場合、資力に乏しいというのは当然のことであります。私の知っている限りでも、子供の手を引いて、ほとんどはだしで、着のみ着のままでシェルターに駆け込む方たちもたくさんいらっしゃるわけですから当然のことですけれども、二で言う勝訴の見込みということについて、客観的な事実だけでは裁判の勝訴、敗訴の見込みなんというのは素人にはとてもわからない。弁護士の皆さんだってわからないと思いますけれども、こういった事例が多くあることを大臣、よくおわかりいただきたいと思います。 例えば、具体的にDVに詳しくない弁護士もいらっしゃるわけです。弁護士さんがすべてわかっていてくださるわけではない。おまけに、暴力を受けたことにより心療内科に通っているということがはっきりしていても、暴力によってその因果関係、診療行為が起きているのかどうかというようなこともなかなか立証できない場合もあります。その結果、子供の親権がもしかしたら、非常に少ない例ですけれども、夫に行ってしまうというような例すらあるわけです。 もっと端的に言えば、セクハラ事件にしろDV事件にしろ、ここ二、三年少しはよくなってきたと私は思いますけれども、それまでには圧倒的に女性被害者の敗訴が多かったという事実も聞いております。そして、もっと考えなければいけないことは、このような性暴力の被害女性が離婚訴訟などを提訴するということは非常に難しい。追い込まれてもうやむにやまれぬ状態になっていて、しかも勝訴しというのはこれは無体な話ではないでしょうか。 大臣、どうお考えになりますか。
○政務次官(山本有二君) 民事法律扶助制度は、資力に乏しい方々が民事裁判等手続におきまして自己の権利を実現しようとすることを後押ししようとする制度でございますから、これを利用するに際し勝訴見込みに関する要件を満たすことが必要であり、本法案におきましても第二条で、民事裁判等手続におきまして自己の権利を実現するという表現を用いて勝訴見込みに関する要件を必要としております。 この要件につきましては、指定法人が本法案の趣旨を敷衍した形でその蓄積するノウハウを生かして具体的に定め、これを業務規程に記載し、法務大臣が当該業務規程の認可を通じてその具体的要件が法の趣旨に適合しているかどうかを判断することとしておりますが、民事法律扶助を必要とされる方々への援助が不当に狭められることのないように適切に指導してまいりたいと考えております。 なお、御参考までに、法律扶助制度研究会の報告書がございまして、ここの中にも先生と同じ問題意識を指摘しているところがございます。それは、本来援助を受けるべき者が援助を受けることをちゅうちょすることがないようにすべきであるとも考えられることから、その要件のあり方として、勝訴の見込みがないとはいえないという方向について考慮されるべきだ、こういう指摘がございます。 以上でございます。
○竹村泰子君 文章では勝訴の見込みとありますけれども、どうやって勝訴の見込みを見きわめるんでしょうか、大臣。 政務次官、お答えありがとうございますけれども、私どもは政府委員の廃止を訴えておりますのは、国会議員同士の議論ができることが本当に国会の討論であるだろう、審議であるだろうということから、こういった問題で私がどうお考えになりますかと聞いているときには、やっぱり御自分の御判断を聞かせていただいて、御決意を聞かせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
○政務次官(山本有二君) 勝訴の見込みの判断と申しますのは、多くの民事事件等を扱っている弁護士会あるいは法律扶助協会のノウハウの蓄積というものでほぼ明らかになってきておりまして、他方で、例えば民事紛争を少しでも楽にしていきたいという人たちがやたらに提訴をしてくるという乱訴の危険もございます。そういう意味におきましては、このノウハウを信頼してこの制度を運用するということが最も緊要なことであろうと思っております。 特に経験豊富な弁護士さんの見方からして勝訴の見込みがないとはいえないというところまで幅を広くしましたときには、先生の御指摘になるDVや、その他いわゆる女性の裁判を受ける権利については十分に確保することができるというように確信をしておりますので、御理解をちょうだいしたいと思います。
○竹村泰子君 大臣、どうぞもしお考えがあれば。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、総括政務次官からお話しいたしましたように、委員御指摘のような、例えばドメスティック・バイオレンスで本当に困って駆け込んでこられたような方々が勝訴の見込みがないということをもって排除されるということはあってはならないというふうに考えるわけでございまして、したがいまして今、政務次官からお話しのとおり乱訴のおそれの問題等もございますのでこうした規定も入れさせていただいておりますが、なお業務規程の中の書き込み方につきましては、勝訴の見込みがないとはいえない、こういうふうな表現をもちましてその幅を広げることによって、当然こうした民事法律扶助の適用を受けるべき方が阻害されることのないように努める、こういうふうにいたしているところでございます。御理解をいただきたいと思います。
○竹村泰子君 これまでのこのような法律扶助事業を進めてきた財団法人法律扶助協会発行のパンフレットの中に、法律扶助を受けるにはという項がありまして、その要件として、やっぱり資力に乏しいこと、勝訴の見込みのあること、二つの要件が挙がっているんですけれども、その勝訴の見込みがあることの括弧書きの中には、弁護士を頼むことにより利益があると見込まれる場合には法律扶助を受けることができますとあるんですね。 私のような素人が見れば、勝訴の見込み、裁判に勝つことですよね、原告というか、ここでの事例によれば、例えば性暴力を受けた被害女性にとってみれば、弁護士を頼んで裁判を提訴すること自体が性暴力におびえて夫から逃げているという立場であれば非常に心配なんです。本当に当分、しばらくの間は子供たちの学校も控えさせてというか、そういう形で隠れていなきゃならない、そうじゃなきゃ夫が探し出して暴力に及ぶということもあるわけで、そのこと自体本人にとっては非常に難しい場合もあります。 そういったことで、今、大臣お答えになりましたけれども、私はこの判断基準に勝訴の見込みという項目が入っていることはどうしても解せない、いろんな状況を考えればこのことがそんなに必須な条件なのだろうか。今、乱訴のおそれとおっしゃいましたけれども、乱訴のおそれを防ぐ余り、本当に必要としている人たち、非常に条件の悪い人たちを締め出してしまうということになるのではないかと思うんです。 しつこいようですが、できればこの勝訴の見込みというのは私は削除するべきだと思うんですが、大臣、もう一度いかがでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきましたが、性暴力の被害者の方々にとりましては、弁護士を依頼して相手方に不法行為の差しとめ請求、あるいは不法行為に基づく損害賠償請求の訴訟を提起することは大変極めて意義のあることだと考えておるわけでございます。 なお、民事法律扶助制度におきましては、資力に乏しい方々が民事裁判等の手続におきまして自己の権利を実現しようとすることを後押ししようとする制度でございますので、これを利用するに際しまして勝訴の見込みに関する要件を満たすことが必要であるとしているわけでございますが、本法のもとにおける指定法人の事業として、民事法律扶助を必要とされる方々への援助が不当に妨げられることのないように適切に指導してまいりたいと考えております。
○竹村泰子君 勝訴の見込みというよりも、まだ紛争解決の見込みとかそういう言葉にしていただいた方がずっと幅があって妥当な判断基準ではないかというふうに思いますが、ここで押し問答をしていても仕方がありませんので、これは将来的にやはりきちんと考えるべきだと思いまして、御提案をしておきます。 続いて、立てかえ金の返還猶予、免除などについてお伺いしたいと思いますけれども、さきに挙げました法律扶助協会のパンフレットの中にある立てかえ金の返還についてでありますが、もちろん借りたものは返さなきゃならないのは当然なんですけれども、立てかえ費用は毎月割賦で返還もできるとあります。ただし、事情によっては返還が猶予される場合があるというふうに記述されております。 そこで、立てかえ金の返還猶予、免除などの現状はどうなっているんでしょうか、今回の改正によってどう変わるのでしょうか、お答えいただけたらと思います。
○政府参考人(横山匡輝君) 現行制度におきましては、原則として償還制を採用しつつ、生活保護受給者等に対しましては一定の条件のもとにその償還を猶予しまたは免除することができる取り扱いとなっております。 その内容を具体的に述べますと、扶助を受けた者が立てかえ金を一時に償還することが著しく困難であると認められる場合には、まず立てかえ金の償還を三年間を限度に猶予できることとされております。そして、案件の終結決定後三年を経過してもなお生活保護受給者やこれに準ずる程度の生計困難者であると認められる場合には、償還を免除することができることとされております。また、生活保護受給者の方の資力が将来にわたって回復する見込みがなく、案件の終結後においても訴訟等により財産的利益を得ておらず、将来においても得る見込みがないと認められる場合には、三年の猶予期間を待つことなく即時に償還を免除することができることともされております。 もっとも、現状におきましては、扶助に関する資金の確保の観点から、原則として生活保護受給者やこれに準ずる方々からも案件の進行中に償還を求める運用が行われているのが実情でありまして、このような運用は生活保護制度の趣旨に照らして問題があることも指摘されているところでございます。 そこで、本法制定のもとでは、原則償還制を維持しつつも、生活保護受給者等に対しましては、案件の進行中の償還を猶予することができることとするとともに、訴訟等の結果財産的給付が得られた場合を除き、償還猶予の期間を置くことなく原則として償還を免除することができることとしたいと考えております。
○竹村泰子君 現状では、法律扶助を受けた人が事件の解決後三年を経過して生活保護を受けているときなどに立てかえ金の返還免除を受けることができるとなっておりますけれども、例えばDV被害者などでも子供を抱えながら離婚訴訟などをしている、当事者は事件の解決後三年たってもなかなか自立できない、生活保護の場合よくあります。そういう場合、仮に三年たって、一定の収入も得て生活保護を受けなくてもいいようになっていたとしても、これら法律扶助の立てかえ金の返済、ぎりぎりの生活保護を受けないところまでは来たけれどもなかなか大変だとか、そういういろいろなケースがあると思います。言い出したら切りがないとおっしゃるかもしれないけれども、その辺のところの免除及び凍結というか、どんな償還方法があるでしょうか、現状を少し教えてください。
○政府参考人(横山匡輝君) 現状におきましては、原則として三年猶予して、それでもなお資力の回復する見込みがない場合に免除するという扱いになっております。 ただ、このあたりにつきましてはいろいろと御批判のあるところでございまして、ただいまも御説明しましたように、生活保護受給者の方々あるいはこれに準ずるような方々に対しまして、訴訟等の結果財産的給付が得られた場合を除きまして、そういう三年間という償還猶予の期間を置くことなく原則として償還を免除することができるようにしたい、そしてその運用も迅速に行うようにしたい、このように考えているところでございます。
○竹村泰子君 ぜひケースによって柔軟な対応を第一にお願いしていきたいというふうに思います。 この民事法律扶助法案はその目的の中で、これらの事業に関する国、弁護士会等の責務を法律で明らかにすることというふうにありますけれども、大臣も御存じのように、現状ある法律扶助の事業について、弁護士によってはこの法律扶助の申請を極端に嫌う人が結構いるという事実もあるんです、残念ながら。私の地元北海道の女性グループがかかわってきた事例では、地方都市などで数名しか弁護士が、先ほど御質問にもありましたが本当に弁護士の少ない地域がある。そういうときに、これまでの法律扶助というか裁判費用の立てかえの制度が活用できなかったという現実があります。極端な例を挙げれば、最初からこの法律扶助制度は使えないと偽りの説明をする弁護士さんすらいらっしゃる、大変残念なことですけれども。 そうなると、もうこれは絵にかいたもちであって、国や弁護士会等の責務は責務としても大変結構なんですけれども、この制度を使うことによって何か弁護士にもメリットが生じるようなインセンティブ、これまで弁護士会が本当に苦労してこの扶助制度を抱え、進めてこられたわけですけれども、何かインセンティブというか、そこら辺のところはどのようにお考えになっているでしょうか。お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 先生のおっしゃるように、これまでは多くの問題があったと思います。その一つは、予算とか財政面の裏づけがしっかりしていなかったという点が一つ。さらには、これを利用しようとするいわゆる所得の低い方々がそもそもこの制度を知らなかったということもあります。 それからさらに、御指摘のように北海道等いわゆる地方では弁護士さんが少なくて、かつまた報酬が得られないというようなこともありまして、全国的にも過不足があったということであろうかと思いますが、これらの点をある程度カバーできる、特に例えば弁護士さんが少ないところでも相談登録弁護士制度というものを設け、したがってこの方々に御出張をいただける、あるいは札幌まで来たときには弁護士さんの事務所を訪ねてもいいというような簡便な方法をとりまして、それで利用しやすいという形をとらせていただきました。 そして、弁護士さんにも余り御負担をかけずにそれぞれの事業が行えるように、報酬等もきっちり財政的裏づけを国の方の予算をふやしながら考えていく方向にもあるわけでございまして、その意味におきましては大分進んでくるのではないか、こう期待をするところでございます。
○竹村泰子君 責務とありますし、今度は法律ができてきちんと国の対策、施策ができるわけですから数段進むわけですけれども、どんなケースであってもまず弁護士はこの扶助制度を当事者に告知し、そしてそれを依頼されたら拒めないようにしていただきたいと考えるんですが、いかがでしょうか。
○政務次官(山本有二君) 先生も御案内のとおり、この責務の問題について、第四条の二項には、「弁護士は、その職責にかんがみ、民事法律扶助事業の実施のために必要な協力をするよう努めるものとする。」という、明確に努力義務が課されておるわけでございます。 そして、本法案では、弁護士の職責にかんがみまして、法律扶助事件の受任義務を法律で課すべきことまでもこれでうたっているかどうかという点でございますけれども、弁護士が事件を受任するかどうかにつきましては、依頼人と弁護士の間における高い信頼関係があって初めて決せられるものでございまして、一律に法律で弁護士の受任を強制することは、そのような信頼関係のない場合にも受任を強制することになるのでございまして、個々の弁護士に過度の負担を負わせることになりかねず、また依頼人の不利益にもなりかねないものと思われます。したがいまして、御指摘のような受任義務までを課すことは相当でないと考えております。 次に、民事法律扶助制度の告知義務を弁護士に課すべきとの御指摘の点、広く国民等が司法へのアクセスをしやすくなるとの望ましい点もあると思われます。 けれども、法律相談に訪れた方々は千差万別でございまして、資力に関する要件、勝訴見込みに関する要件等、本法案における扶助の要件を必ずしも満たしているとは限らないと考えられます。それにもかかわらず、告知を一律に法律で義務づけることは必ずしも相当でないと考えておる次第でございます。 けれども、先生のおっしゃる、いわゆる受任を拒めないということでの対処ではなくて、多くの弁護士さんがいらっしゃるわけでありまして、拒む弁護士さんがいるならば、他の弁護士さんを紹介するあるいは依頼をするというような運用の工夫でこのことを改善していくことができるのではないかというように思っております。
○竹村泰子君 私が心配していることがそのとおりにならなければいいと思いますし、この法律の運用をしっかり見きわめていかなければならないと思います。 もう一つ、この適用対象は我が国に在留する者というふうにはなっていないんですね。外国人については、「我が国に住所を有し適法に在留する者」という限定がなされている。 参議院法務委員会で一九八九年にこのような附帯決議をしております。不法就労外国人について、「外国人労働者の人権問題等に係る相談制度及び法律扶助制度の拡充を図るよう努めること。」。その後も、衆議院、参議院の法務委員会などで申し合わせとかいろいろとされておりますけれども、法務省は、国民の理解を得られないとか、いろいろな犯罪を犯してしまう外国人もいて、不法滞在者だというふうなことを盾になかなか外国人が、弱い立場にいる人たちが非常に多いんですけれども、正規の在留資格を持たない人がこの法律扶助から除外されることになってしまいます。 これは法律をいろいろ議論していらっしゃる間にも、私どもはここは何とか表現を変えてほしいと言い続けてまいりましたけれども、結局は変わりませんでした。 法律扶助は、国際人権規約に、公正な裁判を受ける権利を保障するための制度であって、何人であれ経済的な理由で公平な裁判を受ける機会を奪われることがないように国際的に決められているものであることは御存じのとおりであります。 国際的な人権関係のさまざまな条約にも反することであると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか、大臣。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほどお話しいただきました附帯決議の問題につきましては、後ほど担当からお答えをさせていただきたいと思っておりますが、いわゆる外国人に対する民事法律扶助につきましては、これまで、扶助に係る事件が終結をいたしまして立てかえ金の償還が完了するまで適法に我が国に居住することができる場合には、国民と同じく資力に関する要件や勝訴の見込みに関する要件等のもとで扶助が行われてきているわけでございます。 民事法律扶助法案におきましては、扶助の対象者としての外国人につきまして明文の規定を定め、現行の取り扱いと同様、我が国に生活の本拠を置き適法に在留する者までを対象といたしておりまして、国民と同様、資力に関する要件や勝訴の見込みに関する要件のもとに援助を行うことといたしております。 これは、民事法律扶助事業が限りある財源のもとで資力に乏しい者を扶助しようとする社会福祉的側面を持つものでございますので、国民の理解を得て限りある国費を投入するという観点からは、その対象者を国民及び国民と同様の扱いをすべき者に限定するのが相当であり、不法に我が国に在留する者までを含めることは相当でないということからでございます。 しかしながら、現在、法律扶助協会におきましては、そのような外国人に対しましても自主的な財源に基づいて例外的に法律扶助を行っている例があると伺っております。
○竹村泰子君 法務省人権擁護局が法律相談事業を行っていらっしゃいますけれども、これは当然相談の対象者は在留資格がない外国人にも開かれているわけでありますね。これはもう大臣自身が国民の理解を前提としてやっておられることであるというふうに思います。 法律扶助によって裁判を起こさなければいけないあるいは提訴しなければならない立場にある人というのは非常に弱い立場でございまして、私はいつかのこの委員会でも申し上げましたけれども、日本の社会の中に住んで、そして帰りたくても自分の国に帰れば危害を受けるおそれがある難民と認定されなければならないような方ももちろん入りますし、だから不法労働者とか不法滞在者という一くくりですべて何か犯罪者のような扱いをされるということには、非常に日本の国として私は恥ずかしいものもあるのではないかと思いますけれども、そういう弱い立場にいろんなケースがあって、いろんな在留の仕方がありますけれども、それを一くくりにしちゃって適法に在留していなければこの法律の対象にならないというのは、いかにも狭量というか、そういう感じがしてならない。我が国に在留する者ではなぜいけなかったのでしょうか。どんなことを恐れてこうなっているんでしょうか。──大臣に聞いているんですけど。あなたに聞いていません。
○政府参考人(横山匡輝君) よろしいでしょうか。
○委員長(風間昶君) どうぞ。
○竹村泰子君 いや、よくないですよ。要求していません。
○政府参考人(横山匡輝君) 先ほど大臣からもお答えしたところと重なるところかと思いますけれども、やはり民事法律扶助事業は、訴訟代理費用を立てかえることによって裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つものでありますけれども、限りある財源のもとで資力に乏しい者を、乏しい方々を扶助しようとする社会福祉的側面を持つものでありますから、国民の理解を得て限りある国費を投入するという観点からは、国民及び国民と同様の扱いをすべき者に限定するのが相当でありまして、不適法に我が国に在留する方々までを対象とすることは相当でないと考えております。
○竹村泰子君 ちょっとやめてください。
○政府参考人(横山匡輝君) 特に、我が国では、近時不法在留罪まで設けて適正な出入国管理を図ろうとしているにもかかわらず、不適法に我が国に在留する方々までも対象とすることはそういった不正行為を助長することにもなりかねないと考えております。そこで、国民のほかに我が国に生活の本拠を置き……
○竹村泰子君 委員長、ちょっとやめさせてください、時間がないので。
○政府参考人(横山匡輝君) 適法に在留する者までを対象としたものでございます。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま政府参考人からお答えしたとおりでございまして、限りある国費の中でこうした事業を行うということで、そうした者までも含めるということは現状では困難であるというふうに考えておりまして、御理解いただきたいと思います。
○竹村泰子君 私が要求していない人を指名しないでいただきたいと思います、委員長。 同時に、私は、こういうことはやっぱり大臣の非常に政治判断と申しますか、それを聞いているわけですから、お役人に答弁していただかなきゃならないときもあると思いますけれども、やっぱりこれは大臣の私は御判断を聞きたいと思った。 なぜ「適法に」という言葉が入らなければならなかったか。今いろんな形で在留をしている日本の中で、しかも働いて税金も納めている方たちもいらっしゃいます。非常に苦しい、厳しい現状の中で、帰りたいんだけれども帰れないと悩んでおられる、家族とも会えないと悩んでおられる方もおられます。そういう人たちがなぜ法律扶助を受けられないのか、そこのところの「適法に」の二語が入っているだけで受けられないわけですよね。そこのところを大臣はどういう御判断でこの法律を出されましたかと聞いているわけですから、余計なことを答えないでください、時間のむだですから。どうぞ。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来、重ねて政府参考人からも私からも御答弁をいたしましたとおり、限られた財源の中で民事法律扶助事業を行っていかなければならない、そうしたこの扶助事業には社会福祉的側面もある、こういうことでもございます。冒頭に私が申し上げましたように、現在、法律扶助協会におきましては、そういった不法滞在者の方々に対しては自主事業としておやりをいただいているということもございます。 先般来、不法在留者に対しては罪科を重くするという措置までして現在行っている、こういうことのバランスを考えると、限られた財源の中で、現状では委員の御指摘のようなところまで配慮することはできない、御理解をいただきたいと申し上げているわけでございます。(「了解」と呼ぶ者あり)
○竹村泰子君 何が了解ですか。 これも、いろいろな形の市民の人たち、あるいは政府が助けなきゃならない人たちを助けないから一生懸命頑張っている市民運動の仲間たち、そういう人たちから非常に強い御要望が出ておりますことを申し添え、そして将来的にはこんな狭量なことは日本のような国が言うべきではないということを強く申し上げておきます。 私は、きょう、刑事局長にもおいでいただきまして、先日私が追及をいたしました桶川事件の報告書をいただきました。あれだけの事件の中でたったの十一枚です。一生懸命調査はされたと思いますけれども、多々わからないところがある、不思議なところがある、どうしても理解できないところがあるということで御質問をしたいと思いましたけれども、時間がなくなってしまいましたので、次の機会に譲りたいと思います。まことに申しわけありませんでした。 質問を終わります。
○魚住裕一郎君 公明党・改革クラブの魚住裕一郎でございます。 民事法律扶助法、我が公明党が長年主張をしてきたものでございまして、ようやくここまで来たなというのが実感でございますが、小さく産んで大きく育てるというようなことを言われますけれども、この法律扶助、今回は民事法律扶助という形でスタートするわけでございますが、そういう観点から何点か質問をさせていただきたいというふうに思います。 まず、先般この趣旨説明をお伺いしたわけでございますが、法文上、第一条に「目的」というふうにありますが、司法制度の充実に寄与するという、公共性の観点からこの目的が書かれております。もちろん、日本国の公の秩序あるいは人権まで含めた公共性というのは考え得るわけでございますが、非常に何か遠いというか、抽象的というか、そういうふうに読めるわけでございまして、この民事法律扶助ということと司法制度の充実という部分との整合性というか、どのように考えたらいいのか、ちょっと御説明をいただきたいというふうに思っております。
○国務大臣(臼井日出男君) 民事法律扶助制度は、資力に乏しいがために弁護士費用等を支払うことができない、自己の権利を裁判等を通じて実現することが困難な国民に対しまして弁護士費用等の立てかえ等の事業を行うものでございまして、憲法第三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つものでございます。 そして、そのことは司法手続における審理の充実や迅速化に資するとともに、国民の司法へのアクセスを容易にするなど、司法制度の充実に寄与する公共性の高いものとして位置づけることができ、民事法律扶助の整備及び発展を図ることは国民がより利用しやすい司法制度の実現に資するものとなることを意味しているのでございます。 そこで、本法第一条は、本法案の目的につきまして、民事法律扶助事業は裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つことを前提といたしまして、同事業が司法制度の充実に寄与する公共性の高いものであることにかんがみ、国民がより利用しやすい司法制度に資することを目的とするといたしたものでございます。
○魚住裕一郎君 司法制度の充実という言葉でございますけれども、結局は国民等が具体的な裁判という手続を踏むことによって充実してくるということでございまして、今大臣おっしゃったように、裁判を受ける権利を実質的に保障するというようなことを通じて、その結果としてといいますか、反射的な効果として司法制度の充実というものができるわけです。 そうすると、この法文の書き方になってしまうのかもしれませんが、招来される結果をここに書いているのであって、やはり直接的にもっと裁判を受ける権利というものをきちっと書いた方がよりわかりやすいのではないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘をいただきました点につきましては、憲法第三十二条の裁判を受ける権利は、民事事件及び行政事件の場合におきましては、裁判所に訴訟を提起いたしまして、その裁判を求める権利を有するものを意味すると考えられておりまして、裁判を受ける権利があることから民事法律扶助を受ける権利が直ちに導かれるものではありませんので、これを明示することが適当とは言いがたいと考えているのでございます。 なお、本法第一条の「目的」は、民事法律扶助事業が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つことを前提としているものございまして、改めて裁判を受ける権利の実質的な保障に係ることを法文上明示する必要はないと考えているのでございます。
○魚住裕一郎君 ただ、やはりそうはいっても、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を有するという説明になってきているわけでございまして、この裁判を受ける権利というその権利性がどこまであるのか。要するに、人権のいろんな立て分けがございますけれども、受給権であるとか自然権とかいろいろありますけれども、それにしても今おっしゃったように直ちに権利性、請求権性を帯びるというところまで解釈されていないわけであって、今おっしゃるようなことにはならないのではないかというふうに思っておるんですが、なお敷衍して御答弁ありましたらお願いします。
○政府参考人(横山匡輝君) ただいま大臣がお答えいたしましたとおり、裁判を受ける権利があることから民事法律扶助を受ける権利が直ちに導かれるというものではございません。そして、国は民事法律扶助事業の整備等についての責務を負うものでありますけれども、本法案は国民等に対して直ちに民事法律扶助を受ける受給権を認めるものではございません。本法案の目的条項である第一条に憲法の具体的な条項を盛り込みますことは、本法案が民事法律扶助の受給権を規定したものと受けとめられかねないことや、その他法制上の理由などから適当とは言えないのではないかと考えております。 これをもう少し細かく御説明いたしますと、憲法上の理念、趣旨を必ずしもすべての法律の目的規定に盛り込むべき必要性があるとも思われないところ、憲法の具体的な条項をその目的条項に掲げている法律は生活保護法第一条と国民年金法第一条のみでありまして、しかもこれらの法律は具体的な受給権を定めているとのことであります。さらに、法律の目的条項の中に、言葉で言いますと、由来するとか、あるいは実質的に保障する、あるいは意義を持つという語句が用いられている法律はないと承知しております。 そういうようなことで、受給権に係る問題、あるいは法制上の理由などからこれを第一条の目的条項の中に、裁判を受ける権利を実質的に保障するということを入れるというのは適当ではない、このように考えているところでございます。
○魚住裕一郎君 今、裁判を受ける権利、具体的な人権の由来する、あるいは実質的に保障する、そういう文言を書いた法律がないというふうなことでございますが、別につくってもいいわけでございまして、私はそのように考えるのですが、衆議院段階での山本総括政務次官、我が党の漆原委員の質問に対して、そのとおりだと考えておりますというような御答弁がございましたが、今でも同じお考えですか。
○政務次官(山本有二君) この制度が憲法三十二条に淵源するということは、まさしくそのとおりだと私は今でも考えております。 ただ、ストレートに書けないというのは、必ずしも憲法と法律が受けて目的条項に入れるという、そういうような制度にはなっていないということが一つ。もう一つは、憲法三十二条をそのまま書くことによって給付権というように誤解を受けるというところに原因があって書かないものと、私はそう理解しておる次第でございます。
○魚住裕一郎君 これ以上やっててもあれなんですが、受給権とは余り解されていないだろうとは私も思うところでございまして、由来するというふうな形で書いた方がもっともっと、新たな出発でございますので、価値の高い法制度になるのではないかなと、私はそういう観点から御質問をさせていただいたところであります。 そこで、これは民事の法律扶助でございますが、刑事の被疑者段階での弁護人の関係についてお尋ねしたいんですが、刑事被疑者段階での弁護士の制度につきましては、ある弁護士会の派閥の若手が当番弁護士というのをつくって、そこから出発点といたしまして、ある意味ではボランティア活動から始まったというところでございます。法律扶助協会がそれをバックアップするという形で今推移をしてきておりますが、この刑事の被疑者段階での扶助制度につきましては、進展ぐあいは今どうなっているところでしょうか。刑事局長、お願いします。
○政府参考人(古田佑紀君) 委員御指摘の被疑者段階の公的な弁護制度の導入の問題につきましては、基本的には刑事手続の流れからいたしまして、被告人段階における現在の国選弁護制度とも一体として見て、捜査、公判を通じた人権保障や手続の迅速化という観点から、あるべき姿が探求されるべきものであると考えております。 また、公的弁護制度が国民の税金によって支えられるものであることを考えますと、国民の十分な理解と支持を得られるものとすることが不可欠で、そのためには、例えば弁護士さんの偏在の問題でありますとか弁護士活動の適正確保、あるいは現在の刑事司法における喫緊の課題でございます、密度の高い審理に基づく迅速な裁判の実現などの課題をあわせて検討する必要があると考えている次第でございます。 ところで、法務省といたしましても、この公的な被疑者弁護の問題につきましては、その現実的な検討が必要な段階に来ていると考えておりまして、司法制度改革審議会などにおける御議論も踏まえながら、現在、法曹三者、これは法務省、最高裁判所、日弁連でございますが、この間で行っております意見交換会の場で、ただいま申し上げたような問題も含めまして、被疑者段階の刑事弁護に関連する諸問題について幅広く検討、議論を行っているところでございます。
○魚住裕一郎君 ぜひ、充実した議論をし、私は早期に公的な制度にしていきたいと思っております。 次に、少年事件の関係で、少年案件の捜査段階での付添人といいますか弁護士の制度、この点についてはどのような進捗状況になっておりますでしょうか。
○政府参考人(古田佑紀君) ちょっとお尋ねの趣旨がよく聞き取れなかった点もございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、被疑者段階での公的弁護制度、この導入については現実的な検討が必要な時期に来ているということでやっているところでございます。
○魚住裕一郎君 少年事件についてはどうかということです。
○政府参考人(古田佑紀君) 少年の付添人の件でございますか。 少年の付添人の件に関しましては、現在、国会に提出して御審議を願っている少年法の改正案におきまして、検察官が関与した場合に、もし弁護士である付添人がいらっしゃらなければこれを国でつけるというふうな制度を導入することを御提案申し上げており、少年につきましては、弁護士さんである付添人全体をどう考えるかという少年法の体系の中で引き続き検討していきたいと考えております。
○魚住裕一郎君 そのことはわかっておりますが、検察官が関与しない場合はその付添人はどうなのかということと、捜査段階ではどうかということを聞いているんです、少年のですよ。
○政府参考人(古田佑紀君) まず、捜査段階につきましては、先ほど申し上げました捜査段階における被疑者に関する公的弁護制度の問題の中で解消されるものと考えております。 また、少年法の中での弁護士さんである付添人制度の点につきましては、先ほど申し上げましたとおり、まず検察官が関与するようないろいろ複雑、重要な事件については国で付添人を付するという措置が必要だろうと考えております。 それ以上の点につきましては、その必要性等について今後の検討課題だと考えているということでございます。
○魚住裕一郎君 それから、これは民事法律扶助ですが、いろんな法的紛争の解決手段というか、そういう制度があるというふうに思っておりますが、この点はこの法律の射程距離といいますか、どういう位置関係になるんでしょうか。
○政府参考人(横山匡輝君) 委員のただいまの御質問は、ADR、いわゆる裁判外紛争処理制度、あるいは処理機関と言われているもの、ADRを利用する場合の問題であろうかと思います。 ADRを利用する場合に要します費用を扶助の対象とするかどうかにつきましては、ADRを利用する場合のうち、どのような場合をどのような理由で扶助の対象とするべきか、裁判になる前に際限なく国が費用を負担するという事態とならないか、ADRにおける費用負担のあり方については、その特殊性や専門性等を踏まえ、当該ADR自体や関係当局において別途検討されるべき事柄とは言えないか等の問題がありまして、ADRの実態や国の財政事情等をも踏まえ、今後、慎重に検討されるべき問題ではないかと考えております。 そこで、本法案におきましては、ADRを利用する場合を直ちに扶助の対象とするのではなく、そのADRを利用することが法案の第二条第一項の「民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるもの」の場合に該当するかどうかによって扶助の対象となるかどうかが個々的に判断されるものと考えております。
○魚住裕一郎君 第二条の二項を見ますと、「書類を作成することを業とする」とありますけれども、法律扶助というと弁護士さんをすぐ念頭に置きますが、書類を作成するというふうになりますと司法書士さんというのが念頭に上がってくるんです。この民事法律扶助の中には弁護士以外どのような方が想定されているのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(横山匡輝君) 民事法律扶助事業において法的役務を提供する者につきまして、弁護士以外の業種の方としましては、ただいま委員も御指摘されました、裁判所に提出する書類を作成することを業とすることができる者として司法書士の方々を念頭に置いているところでございます。
○魚住裕一郎君 次に、第三項に法律相談のことが出ておるんですけれども、この委員会でも松江に行ったりいたしまして調査をいたしました。あのとき、島根県の弁護士の偏在というか、そもそも弁護士さんが少ないというような状況で、各市に司法書士さんがいるというようなことがございます。 書類を作成するにはやっぱり相談、まず話を聞かなきゃいけないということもあるでしょうし、話を聞くということと法律相談を取り扱うというか、その辺の関係の中で第三項は弁護士だけに限るという形になってしまうのか、もっと広げて、事実上二項の前提としての相談といいますか、そういうような形でずっといっちゃうのか、その辺ちょっと整理をお願いできますか。
○政府参考人(横山匡輝君) 本法案の二条三項に言います法律相談、これは「法律相談を取り扱うことを業とすることができる者による法律相談」ということでございますので、現行法のもとにおきましては、このような法律相談ができる者は弁護士ということになります。 なお、司法書士の方々が書類作成を援助する過程において必要ないろいろ事情聴取する、これは書類作成業務に通常付随する範囲のものであれば、文字どおり書類作成援助の内容としていろいろ事情を聞いて、説明を聞いた上で書類作成をすることになる、そのように考えております。
○魚住裕一郎君 法律相談というと、大昔というか、今でもあるかもしれませんが、大学のゼミとかでも結構町に出て法律相談を受けるようなことをやりますよね、セツルメントというんですか。いろんな方がいろんな法的知識実務家といいますか、法律相談にあずかっているところでありまして、これは業法の問題になるのかもしれませんけれども。 これから規制緩和をして事後的な紛争解決というような社会になっていくわけでありまして、町の法律実務家の活用ができるような環境を整備していく必要が具体的にあるのではなかろうか。大都会ではまだしも、各地方に行ったらそういうことは現実の問題として私も実感しているところでございまして、なおこの点についてしっかり私どもも議論をしていきたいというふうに思っております。 それから、指定法人のことについてちょっとお尋ねをしたいんですが、全国に一を限って民事法律扶助事業を行う者を指定するというふうになっております。 前国会のときに、電気通信回線による登記情報の提供に関する法律というものをやりました。要するに、オンライン登記という法律ですが、このときも全国に一を限って指定するということになっております。ただ、このときは同意を得て指定する。今回は申請により指定する。つまり、前のオンライン登記のときは同意プラス指定、今回は申請プラス指定という形になるわけであります。その規定の書きぶりはどういう意味で違うんでしょうか。
○政府参考人(横山匡輝君) 委員御指摘のとおり、本法案第五条では、法務大臣が同条所定の要件を備える者の申請を待って民事法律扶助事業を行う者として指定することができるとなっております。 これは、指定を受けて民事法律扶助事業を担う主体となろうとする者にその申請を行わせることにより、指定の要件を満たしているかどうかの判断を効率的にすることができる。それとともに、またみずから進んで指定の申請をしているということから、そのような法人については自主的かつ積極的な民事法律扶助事業の遂行を期待することができるのではないか、このような考え方からでございます。
○魚住裕一郎君 時間が来ましたので、終わります。
○橋本敦君 まず最初に、この法案の基本的な理念と目的に関しての話ですが、先ほど魚住議員の質問に対して、人権擁護局長が法案第一条について答弁をされた。形式的にはそうかもしれないが、私は、国民の裁判を受ける権利との関係で、余りにも形式的な答弁ではないかということを、実はこの法案の運用に、今後に関して危惧をするわけです。 この法案の提案理由説明で大臣ははっきりと、「この法律案は、民事に関する法律扶助制度が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義をもち、」、こうおっしゃっているわけです。そのとおりだと思うんです。だから、この法案の第一条の目的の中に、憲法三十二条、国民の裁判を受ける権利の保障ということを書かなかったという問題に関連した議論ではありましたけれども、基本的には、この民事法律扶助法案というのは、国民がひとしく裁判を受ける権利を実質的に保障する、そういった意義を国の立場でしっかりと踏まえてつくられ、また、それをその立場で運用していくという、ここのところは基本問題として間違いのないことだと思うんですが、大臣、そのとおりでよろしいですね。
○国務大臣(臼井日出男君) 提案理由説明でも私が申し上げましたとおり、まさに国民の権利を保障するものでございます。
○橋本敦君 したがって、その観点はやっぱりこの法案の理念としてしっかり踏まえた上で運用を図っていかなきゃならぬし、解釈しなきゃならぬということが基本だと思います。 そこで、内容に入っていきますが、先ほど人権擁護局長から、現在の法律扶助協会の事業として、法律扶助の案件が近年は非常にふえているというお話がございました。法務省、日弁連、法律扶助協会の三者による法律扶助制度研究会、これによりますと、アンケート結果に基づいて需要予測を出されておりますけれども、これは大体将来四万二千件に達するだろうという予測が出されておることは間違いありませんね。
○政府参考人(横山匡輝君) 法律扶助制度研究会におきましては、研究結果をまとめました報告書の中におきまして、委員御指摘のように、アンケート調査の結果に基づきましての推計に基づく数値としまして、潜在的な需要が四万二千件と予測されると、そのような記載がされているところでございます。
○橋本敦君 したがって、きっちり四万二千件になるかどうかは別として、今後、先ほど実態が報告されたけれども、かなり需要予測としては、国民のニーズは大きくなるということを考えた上で対応する必要があるということは間違いないでしょう。
○政府参考人(横山匡輝君) 私どもが今後の需要を予測する上におきましては、この研究会の報告書に予測数値としてこのような数字が出ているということは当然念頭に置いているところでございます。
○橋本敦君 そこで、仮に四万二千件にも需要予測が伸びるとなると予算額はどのくらいになると推定していますか。
○政府参考人(横山匡輝君) 民事法律扶助事業に対します予算措置につきましては、現実の扶助件数の推移やそれに対する予算の実績、過去の扶助事件の増加の伸び率、それから現在の社会経済状況を反映して急激に増加している破産事件等の事件類型の状況、各年度の償還金の推移など、諸般の事実を踏まえながら個別具体的に積み上げていく作業を行うべきものでありまして、アンケート結果に基づく仮定的な数値として年間約四万二千件の需要予測があるというだけでは、それがどの程度の予算規模になるのかについて適切にお答えすることは困難であると考えております。
○橋本敦君 推定していない、検討していないということですよね。 現在の予算額ですが、今年度の扶助事業に対する予算は十六億六千三百万、これはそのとおりですね。
○政府参考人(横山匡輝君) 扶助事業費に関する予算額としては委員御指摘のとおりでございます。
○橋本敦君 この予算額を算出するための需要予測としてはどのぐらいの件数を考えていますか。
○政府参考人(横山匡輝君) この予算額の数字としましては、結論から申しますと、約一万八千件程度というものを計算のベースとしております。
○橋本敦君 そこで、この三者の研究会の予測との関係、それから現在傾向として実際にふえてきているという実情の問題、それからこれを周知徹底させれば需要件数もさらに伸びるということが考えられる、こういう状況の中で果たしてこの予算額で十分なのかどうかということが次に問題になってくるわけです。 したがって、今一万八千件程度とおっしゃったのは研究会の予測から見ると半分以下、ひどいわけですが、伸びるということを予測していく上で今後この関係での予算は、今年度は十六億六千三百万ですが、国民の裁判を受ける権利の実質的保障ということを本当にやっていく上ではさらに国の予算をふやしていくということをやっぱり真剣に考えていく大事な課題だと思っておりますが、この点は法務大臣から御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来政府参考人の方からお答えをいたしてまいりましたけれども、民事法律扶助事業の事業規模が今後どの程度の規模になっていくかということにつきましては、これまでの実績だけでなくて、今回の制度改正後の成果も踏まえなければなかなか申し上げることはできないと考えておるわけでございますが、民事法律扶助の決定件数は近時御指摘のとおり急激な増加を見せているところでございまして、特に最近の社会経済状況等を反映いたしまして、自己破産の申し立てに係る事件が急増し、扶助の申請も予想を上回る件数に至っているのでございます。 国といたしましては、民事法律扶助制度の重要性にかんがみまして、改革後の成果等を十分踏まえつつ、一層の整備及び発展を図ってまいりたいと考えております。
○橋本敦君 一層の整備充実、発展ということのためには予算の裏づけが要るわけですから、今後、予算の増大についても状況に応じて適正に努力していくというお答えと聞いてよろしいわけですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 委員御指摘のとおりでございまして、今後とも努力をいたしてまいりたいと考えております。
○橋本敦君 私がこの問題を提起しましたのは、実際に要求があり、必要性があっても、予算額がもうこれでおしまいだからこれで扶助できませんというようなことが起こりますと、これはこの法の理念にも憲法の理念にも反する実態が起こるわけですよ。 私が心配をするのは、衆議院の法務委員会の三月二十一日の質疑なんですが、予算が足りなくなったらどうしますかという質問に対して、横山人権擁護局長は次のように答えている。「足りなかったらどうなのかという御質問でありますけれども、私どもとしましては、そこを適正に監督することによりまして、事業の運営がそういうことにならないようにしたい、」、こう答弁されている。これはどういう意味なんですか。しっかり監督してその予算の範囲でやれるように、要請があっても切ってしまえと、こういう意味ですか。どういう意味ですか、これは。
○政府参考人(横山匡輝君) まず、本年度の民事法律扶助事業に係る予算につきましては、過去の法律扶助の予算の実績や扶助事件の伸び率等を踏まえて積算しておりまして、本年度の現実の需要に適切に対応できるものと考えております。 国としましては、「適正に監督する」というのは、年度途中で予算不足になることがないよう、指定法人に対し、事業年度ごとの事業計画書、収支予算書等の認可等を通じまして、適切かつ計画的な事業執行となるよう指導してまいりたいという趣旨でございます。
○橋本敦君 局長、だから予算の範囲内で適正に執行せよということを言うというんでしょう。だけれども、実際問題として、年度末に近くなって国民の中からこういうニーズがある、勝訴の見込みがある、勝訴の見込みがないわけじゃない、これは扶助してあげなきゃならぬという状況があっても、予算がないからといって扶助できないことが実際にあり得るということはあるんでしょう、どうですか。そんなことは一切ないとあなたは断言できますか。そうはいかぬでしょうが。それを聞いているんですよ。
○政府参考人(横山匡輝君) 私どもといいますか国としましては、年度途中で予算不足になることがないよう、指定法人に対し、事業年度ごとの事業計画書、収支予算書等の認可等を通じまして、適切かつ計画的な事業執行となるよう指導してまいりたいという趣旨でございまして、殊さらに扶助の件数を抑制しようというものではございません。
○橋本敦君 予算には予備費というのがあるんですよ。何で予備費があるかというと、事業年度計画でいろいろそれは各省やっていくけれども、足りなくなった場合、国政上の必要があれば予備費の範囲で使える場合があるから予備費というような制度をつくるんでしょう。 あなたは計画どおりやらせると言うけれども、国民のニーズはその計画を超えて要求が出てくることがあるんですよ。ないと断言できますか。まずこれを聞きましょう。ないと断言できますか、局長。そうはいかぬでしょう。
○政府参考人(横山匡輝君) 一般論で申し上げますと、予算がいろいろな事情で足りなくなったという場合に、所定の要件が満たされれば補正予算の制度があるということは私としても十分承知しているところでございます。
○橋本敦君 そうすると、ニーズがあったら大臣に頼んで補正予算を組んでもらったらいいと、こういう趣旨を言っているの。そんなことではないでしょう、僕が聞いているのは。年度途中で事業計画を超えて国民のニーズが高まって実際に扶助してあげなきゃならぬという実態が起こり得る、そういうことはないとは断言できないでしょう、これを聞いているんですよ。これ、答えてください。
○政府参考人(横山匡輝君) 一般論で申し上げますれば、そういうこともあり得るかと思います。
○橋本敦君 もう早く答えてくれないと、二十分しかないんだよ、僕の時間は。 そういうことが起こった場合にどうするかということなんですよ。国民の裁判を受ける権利にかかわって、年度途中で予算額はもう使っちゃった、しかし扶助してあげなきゃならぬ必要性がある、認めざるを得ない、こういうことが起こった場合にどうするかという質問をしているんです。これは大臣、答えていただけますか。特に質問通告はしていなかったけれども、今の議論から、補正予算を組んでほしいという意見もありましたね。──じゃ、局長から先に聞きましょう。
○政府参考人(横山匡輝君) 先ほどの補正予算云々というのは、まさに一般論としてそういう制度があるということを述べたものでありまして、扶助事業に関して言及しているものではございませんので、御理解いただきたいと思います。 それで、繰り返しになりますけれども、本年度の民事法律扶助事業に係る予算につきましては、過去の法律扶助予算の実績や扶助事件の伸び率等を踏まえて積算しておりまして、本年度の現実の需要に適切に対応できるものとまず考えております。 したがいまして、こういうような状況のもとでもし足りなかったらどうするかと言われましても、私どもといたしましては、指定法人に対し、年度途中で予算不足になることがないよう、事業年度ごとの事業計画書、収支予算書等の認可等を通じて、適切かつ計画的な事業執行となるよう指導してまいりたいと考えているわけでございます。
○橋本敦君 私の質問の趣旨をわかっていますか。 実際、国民の中から法律扶助を受ける要求があり、その要求が適切であり、国として扶助してあげなきゃならぬという状況があって予算が足らないという状況になったときに、そういうときには裁判を受ける権利なんということはもう絵そらごとで、ほったらかすんですか。もう予算が今年度はありませんからもうあなたの要請は適切にお断りしますと、こういうわけですか、適切に管理運営するというのは。 これは大臣、これをどうすればいいというように法務省は考えていますか。大臣、お考えがあったら聞かせていただけませんか。これは大きな問題なんですよ。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来政府参考人がお答えをいたしておりますとおり、本年度の予測も需要に対応できるようなものを予測して計上しているわけでございますが、委員御指摘のとおり、予測は予測でございますので、万が一にもそういうふうな状況になったときには、私どもといたしましては、財政当局と相談をして適切に対処しなければならないと考えております。
○橋本敦君 今の大臣の御答弁で、一つはこの問題が適正に運用される可能性があるかなという感じはしたんですが、局長の答弁のままではこれはとてもじゃないがそれはもう国民から見たらたまったものじゃないですよね。だから、予算の都合で扶助を受けられないというような事態が実際に起こらないようにしていかなきゃ、この法の本来の理念というのはやっぱり貫徹できないと思うんです。 だから、局長がおっしゃるように、予算を組むときに適正な今年度の需要予測をやった上で組まれるということは私は理解しますよ。しかしそうではなく、それを超える場合があるんですから、いいですか、だからそのことを聞いているんだということをよく理解しておいてください。 もう私の質問時間はなくなってきたんですが、もう一点お聞きしておきたいことは、償還免除規定の問題なんです。 これは、先ほどから同僚委員からいろいろ意見がありました。この法律扶助制度研究会の報告書によりますと、扶助の総立てかえ金額に占める総免除の額の割合、免除率ですが、これは三・八%というようにありますね。みなし消滅を加えても五・六%しかないことが報告されております。 そこで、現行の償還猶予制度及び償還免除制度について、これが十分に今でも機能していないんじゃないか、これが適正迅速に運用できるようにその手続を改善する必要がある、こういう研究会の報告があるんです。これにこの法案はどうこたえようとしているか、お答えいただけますか。
○政務次官(山本有二君) 先生御指摘の問題点があることは承知しておりまして、改善すべき点、大いに取り組んでまいりたいと存じております。 現行の償還猶予制度を廃止して即時に免除すべき運用に改めるべきだと先生は御指摘になっておいでですので、その点についてもあわせて御報告させていただきますと、現行の民事法律扶助事業におきましては、原則として償還制を維持しつつ、生活保護受給者の方々に対しましては一定の条件のもとにその償還を猶予しまたは免除することができる扱いでございます。 もっとも、現状におきましては、扶助に関する資金の確保の観点から、原則として生活保護受給者やこれに準ずる方々からも案件の進行中に償還を求める運用が行われているのが実情でございます。このような運用は、生活保護制度の趣旨に照らしますと大変な問題がございます。 そこで、本法制化のもとでは、原則償還制を維持しつつも、生活保護受給者等に対しましては案件の進行中の償還を求めないといたしました。特に、訴訟等の結果財産的給付が得られた場合を除きまして、原則として償還を免除することができるということとしたいと考えております。あわせて、免除制度を迅速に運用することなどにも努めてまいりたいと存じております。
○橋本敦君 時間が来ましたので、今のお話を受けて、さらに法律扶助の償還免除制度、この問題については、私どもは給付制度という方向で積極的に検討すべきではないかという見解を持っておりまして、諸外国の進んだ例との関係で、次回に質問させていただきます。 きょうはこれで終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 民事法律扶助法案に入る前に、一点だけ大臣に、通告をしておりましたが、お聞きしたいと思います。 きのう、私の出した質問主意書が戻ってきまして、入管の収容外国人の中で未成年者の数を法務省は出してくださいました。これが思った以上に未成年者がやはり多く、例えば五歳以上十歳未満が四十人、十歳以上十五歳未満が三十五人、十五歳以上二十歳未満が三百七十九人と、いわゆる学校に行く年齢の子供たちがかなり収容されております。また、収容期間も、短い人もおりますけれども、百五十日以上二百日未満が十一人、五十日以上百日未満が七十七人と、学校に通うべき未成年者がかなり長期に収容されていることがありまして、これは子どもの権利に関する条約の趣旨などにも反すると考えますが、大臣の考えを述べてください。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきました入管収容施設における未成年者、特に学齢期の子供たちの問題でございますけれども、退去強制手続と申しますのは、身柄を収容して進めることとされておりまして、学齢期の児童も例外ではないのでございます。 しかしながら、収容令書または退去強制令書の執行に際しましては、年齢、健康状態等にかんがみ、人道的な配慮を要する場合には、収容した当日に仮放免措置をとって現実の収容は避けるように努めているわけでございまして、また収容を行った場合でございましても、個々の事案によって収容期間は異なるものの、できるだけ短期間の収容にとどめるよう配慮するとともに、今お話し申し上げましたような人道的配慮を要する事情が生じた場合には仮放免を許可するなど、これらの事情に配慮した運用を行っているのでございます。 今後とも、委員の御指摘もいただきましたので、このような配慮のさらに適切な運用に努めてまいりたいと考えております。
○福島瑞穂君 適切な配慮をお願いします。 外国人の収容施設は刑務所と違って長期に収容することをそもそも念頭に置いていない面もありますし、特に子供の場合は長期の拘束が心身への影響にもよくないでしょうし、勉強もできないということもあるでしょうから、昨年は未成年者が五百五十八人、五歳未満で百四人いる、長期の子供もいるということを、ぜひ今後は改善してくださるようにお願いいたします。 では、本題に戻ります。 先ほど佐々木委員と竹村委員も聞かれたんですが、扶助の対象者である外国人を適法に在留する外国人に限定したのはなぜかということを私も思っています。 私自身もアジアからの出稼ぎ女性の緊急避難所の協力弁護士を十年以上しているので、オーバーステイの女性たちの裁判、殴られたということに対する慰謝料請求や賃金の支払い請求などたくさん裁判をやってきました。例えば、簡単なことで、労働基準法違反の労働をしたからといっても賃金はもちろん請求できるわけですし、仮にオーバーステイであったとしても、労働災害を受ければ請求ができる。強姦されれば刑法にのっとって訴えることができるし、民事上の請求ももちろんできるわけです。これが、適法に在留する外国人に限定したことによって、むしろそういう資力に乏しい外国人たちの権利救済を阻むのではないか。 先ほどの答弁で、今まで扶助協会はオーバーステイなどの外国人についても扶助してきたというふうに答えられましたけれども、今回このような形で法律ができることで、従来は扶助を受けられた人たちがこの法によっては受けられないということになると考えますが、いかがですか。
○政府参考人(横山匡輝君) 現行の民事法律扶助事業におきます不適法に在留する方々に対する扶助の問題ですけれども、これは、国からの補助金がもととなって行われていますまさに現行の民事法律扶助事業、ここにおきましては、不適法に在留する方々は対象となっていないと承知しております。 現在、法律扶助協会では、自主的な財源に基づいて、このような方々に対して扶助協会が一定の場合に扶助の対象にしている、そのように承知しておるところであります。 したがいまして、今回の法案は、この現行の扱いをさらに狭めて、そういうこれまで扶助を受けられていた方々に対して扶助を受けられなくするというものではない、このように理解しております。
○福島瑞穂君 法務省は情けがないなと思うんですね。今まで扶助協会が自主的に救済していた人たちを対象にしないわけです。離婚でも、例えば外国人の女性であれば、夫が在留資格の更新に協力をしてくれなければあっという間に不法滞在になってしまいます。離婚を抱えているようなケースは夫は協力しませんから、簡単に彼女たちはオーバーステイになってしまうわけです。扶助協会がなぜ今までそういう人たちに扶助をしてきたかということは明らかで、その人たちが資力がなく、かつ権利救済をする必要があったからです。にもかかわらず、なぜこの法律は除外するのか。
○政府参考人(横山匡輝君) 委員がいろいろ御指摘するような事例は、確かにいずれも気の毒な事態ではあります。しかし、本事業は、先ほど来御説明しておりますとおり、いわば社会福祉的側面を持ち、限りある財源のもとで、国民の理解を得て限りある国費を投入するものであります。 このような観点から、本事業による援助は、国民及び国民と同様の扱いをすべき方々までを対象とするのが相当でありまして、不適法に我が国に在留する方々までを対象とすることは相当でない、このように考えております。 御指摘のような場合があるからといいまして、法制度として、我が国に不適法に在留する方々までを国費で援助の対象としますことは、全世帯の下から二割の所得層ですら満足に扶助の需要を満たしていない現状においては、果たして国民の理解を得ることができるのか、不法在留罪まで設けて適正な出入国管理を図ろうとしている入管法の趣旨を損なうおそれはないのか等の問題がありまして、今後慎重に検討すべき事柄ではないかと思っております。 なお、指定法人制度のもとにおきましても、指定法人はその寄附行為または定款に定められた目的の範囲内におきまして自主的な事業を行うことは可能でありますので、このような事業の中で御指摘のような気の毒な事案に対しましては対応することが可能なのではないか、このように考えております。
○福島瑞穂君 結果的にオーバーステイになったとしても、外国人の中には保険料を払っていたりあるいは税金を払っていたりする人もいます。それから、福祉とおっしゃるんですが、病院はその人がオーバーステイであろうが、非常に財政的に負担を抱えていても、診療拒否をしないケースがほとんどです。 福祉とおっしゃって、外国人はだめだというのであれば、入管行政をつかさどる法務省にこういう民事扶助の制度は任せられない。つまり、いろんな資力に乏しい困っている人が救済を受けられる制度をつくったはずなのに、不法残留罪を盾に面倒を見ないと、そういう人には。しかも、百歩譲って、これは全額償還制が原則としてありますから、与えるわけではなくて貸すわけですよね、それさえも条文上除外するのであれば、法務省のそのかたくなな外国人に対する対応は民事法律扶助法案をつくるに際して不適切だと考えますが、いかがですか。
○政府参考人(横山匡輝君) 不適法に在留する方々を一律に排除する、非常にかたくなだと御批判をいただいておりますけれども、この点についてもう少し御説明いたしますと、本法案におきまして適法に在留する者とは、通常、当局が我が国に在留することを認めている者のことを言いますけれども、当局に在留が認められなかった者でも、当局の在留資格に関する処分を争う取り消し訴訟において裁判所によって適法に在留する者である旨判断された者は、当局が処分した時点において適法に在留する者に該当するものであったと考えられます。 それゆえ、扶助の決定をする時点で当局から在留することが認められていなくとも、当該外国人が在留資格に関する当局の行政処分を争う訴訟を提起したならば、過去の裁判例等に照らして、裁判所が当局の当該処分を否定し適法に在留する資格がある旨を判示するものと認められる高い可能性がある場合には、本法案においては適法に在留する者として扶助の対象となる場合がある、このように理解しております。
○福島瑞穂君 二十一世紀を迎えるに当たって、法務省の頭を切りかえていただきたいというふうに考えます。 裁判を受ける権利をどう考えているのか。不法であれば裁判の救済ができないというふうには建前をとっておりません。不法滞在であったとしても裁判を受けることはできる。刑事で訴えることもできれば民事で訴えることもできるということは当たり前のことです。その権利救済をなぜ拒むのかということに関して、本日こういう答弁が出てくることは非常に残念ですし、この法案のこの部分については大変異論があるということを言って私の質問を、ちょっと同じことの繰り返しになっているようなのでやめます。 ただ、外国人で適法でなければ裁判を受ける権利を実質的には保障しないとする法務省の考え方はやはりあらゆる方面から批判されてしかるべきだというふうに考えます。大臣、どうですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来委員より御指摘のとおり、繰り返し答弁になってしまっておりますが、今回、民事法律扶助が法律として制定をされるということによるその効果というものは委員もお認めをいただけると思うわけでございますが、限られた当面財源の中でもってどういう人たちを優先的に対象としていくかということは国民にとりましても大変重要な問題だと思っております。 したがいまして、私どもといたしましては、日本国籍を有する者、そして適法に在留する外国人の方々に対して、まずこれらの恩恵というものを向けてさしあげる。さらに、将来財政的なものに対しても積極的な努力をしてこれを拡大していくということを当面の目標としていこう、こう考えておるわけでございまして、先ほど政府参考人がお答えをいたしましたとおり、なかなか委員御指摘のそうした方々に対する配慮というのは当面難しいということを御理解いただきたい、このように思っております。
○福島瑞穂君 扶助の制度は権利救済が困難な人に手を差し伸べようという制度のはずですから、今のお答えは極めて残念かつ遺憾だと考えます。 次の質問に移ります。 ほかの委員さんがほとんど質問をされたんですが、やはり私もなぜこれが民事法律扶助であって被疑者あるいは少年保護事件の付添扶助が認められていないかというふうに思います。 これも衆議院の漆原委員の質問の中で、現在法律扶助協会で起訴前の弁護活動で全国で三千六十五件援助されて、支払われた費用は二億六千三百七十万、日弁連の補助金によって賄われております。少年保護事件の付添扶助も一億二千八十七万円、一千百二件あります。これもすべて日弁連が賄っているわけですけれども、どうして現在このように行われている扶助の中で除外をしてしまったのか。なぜ刑事で頑張っている、あるいは少年保護事件の付添扶助で頑張っているのをわざわざ除外したのか。 先ほど、いや司法制度改革がどうのこうのというのと、少年法の改正案が出ているのでという二つの説明がありました。しかし、司法制度改革がどうなるかわからないわけですし、少年法も先ほど魚住委員が質問されたようにすべてのケースが検察官が関与するという改正案ではもちろんありませんし、付添人が必要な場合はたくさんあります。 再度お尋ねします。なぜこれらを除外しているのでしょうか。説得力のある答弁をお願いします。
○政務次官(山本有二君) 民事に関する法律扶助制度は、民事紛争の当事者の裁判を受ける権利の実現を国が後押ししようとする制度で、資力に乏しい方々の弁護士費用等を立てかえてさしあげるものでございます。 かねてからその立法化の御指摘がありましたが、平成六年に設けられた法律扶助制度研究会の研究結果や昨年の司法制度改革審議会設置法案の御審議の際の衆参両院における法務委員会の附帯決議等を受け、その基本的枠組みを定める法律が緊急に必要であるとの認識に立って今国会に本法案を提出させていただきました。この法案は今後の司法制度の基盤となるものとして重要な位置づけを持つものと考えております。 他方、刑事事件について申し上げますと、刑事被告人につきましては法律扶助制度ではなく国選弁護人制度が定められ、法制度が既に構築されているところでございます。そして、被疑者につきましても、刑事手続は国家刑罰権の実現として国が本人の意思にかかわらず権限を行使して被疑者、被告人を刑事手続にのせるものでございますので、私的な紛争の解決を目的とする民事事件に比べてより迅速かつ確実に弁護人の選任等を行う必要がありますことや、被告人の国選制度と統一的、総合的に実施することが望ましいと考えられますことなどから、民事事件と異なり必ずしも法律扶助になじむものではないと考えられております。 このように、民事法律扶助事業に関し、刑事とは切り離して、先ほど御説明いたしましたような緊急の必要性から所要の法律を制定することは十分に合理的なものと考えておる次第でございます。
○福島瑞穂君 そんなに被疑者段階での弁護人をつけることが必要であれば、被疑者段階での国選弁護制度というのは大至急なされるべきだと考えますが、いかがですか。
○政務次官(山本有二君) 各先生方、それから各政党の政調、政策審議会等におきましてそういう御提案が現在あります。すなわち立法作業が進んでいると私は認識しておりますので、その推移をも見ながら判断していきたいと思っております。
○福島瑞穂君 立法作業が進んでいるということだったので民事法律扶助はこれで、ただ被疑者段階ではきちっと被疑者国選でということでよろしいですか。うんうんうなずいてくださっているので、答弁お願いします。
○政務次官(山本有二君) そういうことになるかどうかも御審議あるいは立法の中身等によるだろうというように思います。
○福島瑞穂君 破産手続の予納金の適用や、あるいは成年後見法が成立しましたけれども、あの時点で議論になりましたが、例えば裁判は鑑定費用などもかかったりいたします。この鑑定費用や破産手続の予納金などのそういう費用はこの民事法律扶助法案によってカバーしていただけるのでしょうか。
○政府参考人(横山匡輝君) まず、破産手続における予納金について御説明いたします。 民事法律扶助事業は、先ほど来出ておりますが、資力に乏しい個人に対する訴訟代理費用の立てかえを中核とする事業でありますが、破産手続も裁判所における民事事件に関する手続でありますから、資力に関する要件や勝訴見込みに関する要件等があれば民事法律扶助事業を利用することができるものと考えております。 もっとも、民事法律扶助事業は訴訟代理費用の立てかえを中核とする事業でありまして、予納金自体は訴訟代理費用ではないこと、また予納金は事例によっては極めて高額に上ることもあり、これまで扶助の対象とすることにより、より援助が必要な貧困層の方々の訴訟代理費用の立てかえが手薄になるようなことがないか等の問題があり、予納金まで扶助の対象とすべきかどうかについては慎重に検討してまいりたい、このように考えております。 また、鑑定の費用の場合であります。これは成年後見法等に基づく鑑定費用の点ではないかと思います。民事法律扶助事業は、先ほど言いましたように、資力に乏しい個人に対する訴訟代理費用の立てかえを中核とする事業でありますが、後見開始の審判、保佐開始の審判といった家事審判手続も裁判所における家事事件に関する手続でありますから、資力に関する要件やいわゆる勝訴の見込みに関する要件等があれば民事法律扶助事業を利用することができると考えております。 ところで、家事審判事件におきます鑑定費用は、その性質上代理行為に伴って生ずる費用と認めることはできないことから、第二条第一号に言う「代理人が行う事務の処理に必要な実費」には含まれないと考えております。それゆえ、家事審判手続を利用する場合においてその鑑定費用を立てかえることは、本法案の第二条第四号のいわゆる附帯業務に含まれ得るものと解されます。 もっとも、家事審判手続におきましては通常の訴訟における勝訴に相当する概念は存在しませんので、勝訴見込みに関する要件を具体的にどのように設定するのか、援助の要件の有無をどのように判断するのかという問題や、鑑定費用まで扶助の対象とすることにより、より援助が必要な貧困層の方々の訴訟代理費用の立てかえが手薄になるようなことがないか等の問題がありまして、成年後見制度についていえばこの家事審判手続の今後の利用状況等を踏まえて慎重に検討してまいりたい、このように考えているところでございます。
○福島瑞穂君 終わります。
○委員長(風間昶君) 速記とめて。 〔速記中止〕
○委員長(風間昶君) 速記起こして。
○中村敦夫君 この法律は、裁判に際して貧しい人たちが、とりあえずお金がないからそれを援助して貸してあげるということなんですけれども、お金がないくらいですから貸した後でも返せないというケースは十分に想像できると思うんです。 今までの法律扶助協会での扶助事業というのは償還されなかったケースも多いと聞いているんですけれども、大体これはどのぐらいのパーセンテージで返ってこないのか、あるいはこの法律ができて大体償還率というのはどの程度に見込んでいるのか、お答えいただきたい。
○政府参考人(横山匡輝君) ある会計年度に立てかえた金額がその後どの程度償還されるかという民事法律扶助事業の償還率につきましては、現行ではおよそ八割程度になるものと承知しております。今後、本法制定のもとでは、原則償還制を維持しつつも、生活保護受給者等に対しましては案件の進行中の償還を猶予することができることとしますとともに、訴訟等の結果財産的給付が得られた場合を除き、原則として償還を免除することができることとしたいと考えておりますので、償還率については現行よりある程度低くなることが予想されます。
○中村敦夫君 現行でも八割。それより低くなると予想されるわけですから、資金がどんどん減っていくということは当然あるわけです。 二十一億余の予算を組まれていますけれども、どんどん減っていくとこれはどうなるんでしょうか。
○政府参考人(横山匡輝君) もともと民事法律扶助事業は資力に乏しい方々を対象とした事業でありますから、委員御指摘のとおり、こうした方々のすべてから完全に償還させることは困難であります。 そこで、このような事情を当然考慮した上でこれまでも本制度の充実を図ってきたところでありまして、今後とも国民の扶助に対する需要に適切に対応できるよう、本制度の充実を図ってまいりたいと考えております。
○中村敦夫君 法の制度は充実しても、お金の問題ですから、目減りしたものはどうするか。これも法律で決めるというんですか。
○政府参考人(横山匡輝君) ただいま言いましたように、委員御指摘のとおり、こうした資力に乏しい方々のすべてから完全に償還させることは困難であります。したがって、委員御指摘のとおり、目減りするということは当然予想されるわけでありまして、こういう事態を前提にしましてこれまでそれでもなおかつ充実を図ってきたということは、当然目減り分も考慮に入れて充実を図ってきているということでございます。当然、その点も補てんするという形で、なおかつさらに充実を図ってきているということでございます。
○中村敦夫君 法律扶助事業費補助金として二十一億四千二百万円というのが今年度の予算に計上されているわけです。これで十分と考えておられるのか。この数字はどういう見積もりの根拠があって出てきたのか。その内訳というのを大ざっぱに知りたいんです。
○政府参考人(横山匡輝君) 平成十二年度予算におきましては、民事法律扶助事業関係予算として、前年度当初予算額との比較で十五億七千万円増、二五六・九%増の約二十一億八千百万円の措置をいただき、このうち裁判援助等の扶助に直接必要な経費として約十六億六千三百万円の措置をいただいておりますが、当該年度において回収される償還金が約十五億円程度と見込まれますことから、事業規模としては約三十二億円程度になるものと予測しております。 これを件数的に見ますと、平成十年度実績では扶助決定件数が約一万件であったのに対し、平成十二年度においてはおよそ一万八千件程度になるのではないかと考えております。 このような予測は、これまでの実績や急激に増加している事件類型等を踏まえ、現行の対象層である全世帯の下から約二割の所得層の方々が平成十二年度において扶助を受けるであろう事件数を予測して積算したものであります。 その内訳について御説明しますと、一般の扶助事件を処理するために直接必要な経費としての補助金は、先ほど言いました十六億六千三百万円。法律相談補助金として一億五千九百万円、これは前年度比五千九百万円増でございます。調査費補助金として二千百万円。書類作成援助補助金として新規に一千万円。事務費補助金として新規に二億九千九百万円をそれぞれ計上し、民事法律扶助事業の拡充を図りますとともに、本制度を広く国民に知っていただくために、その広報宣伝委託謝金として三千三百万円、前年度比三千万円増を計上していただいておりまして、国の指定法人に対する監督権の適正な行使に必要な経費としてもさらに新規に六百万円を計上している。 以上でございます。
○中村敦夫君 この予算の中で、法律扶助事業広報宣伝委託謝金として三千三百万円が計上されているわけですね。この法律自体を国民に広く知らせて実際に役に立つようにする、司法というのを本当に使いやすいものにするという大きな目的があるわけです。そのために、一番の取っかかりとしては宣伝しなきゃいけない、そしてわかってもらわなきゃいけないという部分があるんです。 私たちの常識からいうと、この三千三百万円という宣伝の費用はびっくりするほど小さいわけです。例えば、一本の映画を本当に短期間に上映するのでも、安い映画で二億円かかったとしましても、その半分以上を広告費にかけるんです。そうしないと、小さな映画館へ人が来ないというぐらい広告というのは費用のかかるものなんです。三千三百万円というと、テレビで十秒のスポットを二回でも流したら終わっちゃうわけですね。新聞で何回かやるにしても、えらくこれ、もうほんのちょっとしかできないびっくりするような少ない金額なんですけれども、この三千三百万円を具体的にどういう広告媒体を使ってやるのか、ちょっと説明していただけませんか。
○政府参考人(横山匡輝君) 民事法律扶助制度につきましては、その対象層の方々の七割近くがこの制度を知らないとの調査結果もありまして、これを解消しますことは、私どもとしましても司法へのアクセスを容易にする意味で極めて重要な課題と認識しております。 平成十二年度予算におきましては、ただいま委員からも御指摘ありました三千三百万円という広報宣伝委託謝金の措置をいただいておりまして、新聞広告、ポスターの掲出及びリーフレットの作成、配布等により、広く国民等の方々に本制度を知ってもらうための措置を講じることとしております。 それからなお、事務費補助金がございますが、この中にも電話帳広告掲載経費ということで八千百万円計上されております。これなども広報宣伝に使えるものと考えております。 なお、現在でも法務局、地方法務局及び人権擁護委員等の人権擁護機関におきましても、資力の乏しい方々が人権相談に訪れた際などに民事法律扶助事業の概要をお伝えしているところでありまして、本法案のもとにおきましても、国の責務として、これらの利用者としての対象層の方々を中心に民事法律扶助事業の周知に一層努めてまいりたい、このように考えております。
○中村敦夫君 もうちょっと広告業界の実情と費用対効果のことを研究していただかないと、これはもう笑い話になるようなことなんですね。これだけでいいと言ったら、とにかく余りお客は来ないでくれというような一種の表明にもなってしまうんじゃないかなと。お客が来たらもっと今度は予算が要るというような話になりますね。その辺のところをもっとリアリティーを持って、本当に国民のために広くやる仕事であるということを考えて、予算編成についてもう一度、今回がどうのというのではなくて、これからもう少しまともに考えていただきたいと思います。 最後に、法務大臣に質問いたしますが、私の身の回りなんかでも、とにかくいろんな問題が起きてもなかなか弁護士さんのところへ行かない。それで、とにかくそれを裁判にしたいのかしたくないのか、問題になるのかならないのかという初歩的なところで一般の人々はつまずくケースが多いんですね。私らに相談されても、なかなか適切な方法ということを教えるような能力はありませんから、非常に困るというケースがある。これはもう一般的にどこでもそうだと思うんです。そして、やっぱり一番助かるのは、無料法律相談ということがあれば、とにかくそんな大げさじゃないんだ、ちょっと聞きたいんだということが多いわけですよ。 そういう意味で、今でも多少補助があると聞くんですけれども、ここの部分を大幅に拡大していくということが非常に重要なことだと思うんです。だからといって、弁護士さんたちに犠牲を強いるというんじゃなくて、やはり国がその辺のところはきちんと保障するというようなシステムを拡大しないと、司法が本当に国民のものにならないというふうに思いますが、今後そういうような無料法律相談という事業に対して、拡大、そしてまた予算ということも含めてこれから積極的におやりになるおつもりがあるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 民事法律扶助制度というのは、先ほど来お答えをいたしておりますとおり、裁判を受ける国民の権利を実質的に保障する意義を持つ制度でございます。裁判手続の援助を中核といたしておりますが、専門家による法律相談というのは民事裁判手続への窓口的機能を有しておりまして、同手続の利用と不可分一体の関係に立つとともに、紛争を簡易かつ容易に解決する端緒となるものでございまして、紛争解決制度全体の社会的コストの低減にも資することになると考えております。 そこで、本法案では、第二条第三号におきまして、法律家による法律相談を実施することを民事法律扶助の事業の内容とすることを明らかにいたしております。また、平成十二年度予算におきましても、法律相談事業につきまして一億五千九百万円、対前年度比五千九百万円増、五九・一%でございますが、措置されているところでございます。 本法案に基づいて行う法律相談を有料とするか無料とするかということにつきましては、有料の場合にはどの程度の金銭を利用者から徴収するのか等について、まず民事法律扶助事業の実施主体がみずからの判断で決定することとなるわけでございますが、本法案の趣旨にかんがみ、無料で法律相談を実施する方向となるのではないかと考えられております。 このように、法律相談が国民等の司法へのアクセスに重要な意義を持つことを考えますと、今後その実施を踏まえつつ、一層の整備及び発展を図ってまいりたいと考えております。
○中村敦夫君 終わります。
○委員長(風間昶君) 午後二時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十八分休憩 ─────・───── 午後二時開会
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、民事法律扶助法案を議題といたします。 本日は、本案の審査のため、お手元に配付の名簿のとおり、三名の参考人から御意見を伺います。 本日御出席をいただいております参考人は、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授山本和彦君、弁護士・日本弁護士連合会法律扶助制度改革推進本部事務局長小寺一矢君及び日本経済新聞社論説委員藤川忠宏君でございます。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 参考人の皆様方から忌憚のない御意見をお聞かせいただきまして、今後の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 議事の進め方でございますが、まず山本参考人、次いで小寺参考人、そして藤川参考人の順に、お一人二十分程度で御意見をお述べいただきまして、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。 なお、念のため申し添えますが、御発言の際は、その都度、委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきください。また、各委員の質疑時間が限られておりますので、御答弁は簡潔にお願いしたいと存じます。 なお、参考人の意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも、着席のままで結構でございます。 それでは、山本参考人からお願いいたします。山本参考人。
○参考人(山本和彦君) 私は民事訴訟法を専門とする研究者でございますが、民事法律扶助制度につきましては、主としてフランスの法律扶助制度との比較等の研究を行ってまいりました。本日は、そのような研究者の立場から、民事法律扶助法案の一般的な意義と若干の具体的な論点についての意見を述べさせていただきたいと存じます。 まず、民事法律扶助制度の意義について申し上げたいと思います。 民事法律扶助法案の提案理由説明の冒頭にも指摘されておりますとおり、民事法律扶助制度が憲法三十二条の定める「裁判を受ける権利」を実質的に保障する意義を有していることは、今日では異論のないところであると思われます。憲法三十二条は「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と規定しておりますが、十分な資力がなく、裁判や弁護士に要する費用をみずから負担できない当事者については、その権利の実現に必要な費用を援助する制度があって初めて憲法三十二条の規定の趣旨が全うされるものと言えます。 また、民事法律扶助制度は同時に福祉的な側面をも有しており、フランスなどにおきましても、一九七二年に法律扶助の基本法が定められたところでありますが、そこでは法律扶助制度は貧困者にも裁判へのアクセスを保障するという社会保障制度の一環と位置づけられているところであります。 さらに、この点は民事裁判制度を国が提供する公的なサービスの一環であるとする考え方からも導かれるところと思われます。私は、民事司法は警察や教育等と並ぶ公共サービスの一種であり、その制度の構築については常に利用者、ユーザーの視点を基本に据えるべきであると考えております。そのような考え方を前提にしますれば、利用者の資力にかかわらず司法サービスを利用できるようなシステムを構築することが公的サービスの提供者たる国の責務であると言えます。そのような意味で、民事法律扶助法案が国の果たすべき責務について規定を置いていることは相当であると思われます。 他方で、弁護士、弁護士会がこれまで法律扶助制度の発展のために果たしてこられた御努力については私は深く敬意を表するものでありまして、今後とも重要な役割を果たしていかれることを研究者の立場からも期待したいと思います。 フランスなど従来は国が法律扶助制度の中心となっていたところでも、最近ではむしろ弁護士、弁護士会の関与、役割を重視する方向に向かっているように見受けられまして、国と弁護士、弁護士会の共同の責務を法律扶助制度の運営に認めていくのは一つの世界的な潮流ではないかと思われます。その意味で、民事法律扶助法案が弁護士、弁護士会の果たすべき責務について規定を置いていることもまことに相当であると思われます。 次に、民事法律扶助法案がその援助の対象を主として民事裁判に置いている点でありますが、これは今後の二十一世紀の日本社会で民事裁判の果たすべき役割いかんという観点から説明できるのではないかと思っております。 すなわち、我が国が今後規制緩和を推進し、透明で公正なルールに基づく事後監視・救済型の社会に転換した暁には、現在と比べてはるかに多くの法的紛争が顕在化するものと予想されます。そのような紛争のすべてを裁判所において解決することは困難であり、また適当でもなく、そこでは調停や仲裁などADRと言われる他の紛争解決方法と民事裁判との役割分担の視点が不可欠になってくると思われます。私は、民事裁判は困難な法律問題や事実認定を含む紛争において法の解釈適用を明確にする役割を中心的に担い、定型的でルーチンな紛争は裁判外の解決に相当程度ゆだねていかざるを得ないのではないかと考えております。 そうであるとしますれば、法の解釈適用を明確化することによって他の紛争の解決や紛争発生の予防にも資する効果、経済学で言うところの外部経済効果を持つ民事裁判に対しまして重点的に公的資金を投入することは十分に正当化できるように思います。そして、最近の最高裁判所の判断にもあらわれておりますように、裁判所の方でもそのような期待にこたえて、迅速かつ果敢に必要な法的指針を社会に示していくことが望ましいものと考えます。 ただ、ルーチンな紛争につきましても、紛争の発生、拡大及び紛争の処理のプロセスが社会的なコストを生じることは確かであります。そこで、そのような社会的なコストを軽減するためには、紛争の拡大、激化をできるだけ予防していくこと、とりわけ適切な法律相談を適時に提供していくことが重要ではないかと思われます。その意味で、民事法律扶助法案が法律相談を援助の重要な対象としていることは大変適切なことではないかと考えております。 フランスにおきましても、一九九一年の法改正で法律相談を扶助の対象といたしましたが、その際には、裁判へのアクセスから法へのアクセスへという標語が語られ、とりわけ法律相談による紛争予防の効果が重視されていたところであります。日本の民事法律扶助制度がその最初の法整備の段階から法律相談を重視しておりますのは、二十一世紀の司法制度全体のあり方という観点から見ても正当な態度であると思われます。 以上のようなところから、私は、民事法律扶助制度の運営、発展について、国及び弁護士、弁護士会の基本的な責務を定め、援助の対象として民事裁判を中心としながら法律相談など紛争予防の機能をも重視するという民事法律扶助法案の基本的な骨格に賛成するものであります。 次に、法案につきまして、若干の個別的な論点に関しましても各論的に意見を述べさせていただきたいと存じます。 まず、民事法律扶助法案の二条柱書きが定めるところの援助の対象事件及び対象者についてであります。 対象事件が家事事件や行政事件を含む広い意味での民事裁判事件全体に及んでいることは高く評価できると思います。フランスでも当初は必ずしもそうではなかったわけでありますが、その適用対象を徐々に拡大し、一九九一年の法改正で残っていた親権関係事件などを含めてすべての裁判事件を制度の対象としたところであります。 また、制度の対象者につきましても、法案は「我が国に住所を有し適法に在留する者」という形で外国籍の人をも対象とした点は重要であろうと思われます。この点はフランスでもさまざまな議論がされたようでありますが、最終的に、原則として恒常的かつ適法に居住する外国人をその適用対象としておるところでありまして、民事法律扶助法案と同様の考え方に立つものと思われます。 次に、民事法律扶助制度の利用者の負担の問題といたしまして、いわゆる償還制か給付制かという議論についてであります。 この点で、民事法律扶助法案は、指定法人の業務規程の必要的記載事項として償還に関する事項を掲げるなど償還制度を前提にしているように見えますが、私も少なくとも現段階においては償還制によらざるを得ないのではないかと考えております。 この点は財政の問題等もあるところかと存じますが、研究者の観点からいたしますと、弁護士費用の負担の一般的なあり方との関係が重要かと思われます。現在の日本の民事訴訟制度は、弁護士費用につきましては各自負担の原則をとっております。そういたしますと、仮に給付制を前提にしますれば、扶助対象者が勝訴しても財産的な利益を得られなかった場合には、勝訴者の弁護士費用を結局敗訴者ではなくて納税者が負担することになってしまうわけでありますが、このような結論を理論的に正当化することは困難であろうと思われます。 弁護士費用の負担の問題につきましては、法務省の民訴費用制度等研究会の平成九年の報告書におきまして既に抜本的な検討の必要性が指摘されているところでもありまして、私は、将来的には、弁護士費用の一部敗訴者負担制度を導入する一方、法律扶助につきましても給付制を基本としながら利用者の資力に応じて負担金を課すような制度に向かうのが相当ではないかと考えております。 そのような意味で、このような問題点も含めて今後さらに議論が深められていくことを祈念しておりますが、少なくとも、償還制を前提といたしましても、償還猶予及び償還免除の制度を適正かつ迅速に運用していただくよう強く期待したいと思います。 最後に、民事法律扶助制度の運営組織の点でありますが、法案では指定法人制が採用されております。法案が求める国の責務及び弁護士会の責務をより適切に実現でき、また民間等の活力の利用や運営組織の民事法律扶助以外の活動の可能性などを考慮いたしますと、指定法人という法形式は相当なものではないかと思われます。 とりわけ民事法律扶助の需要につきましては、今後の司法制度の改革等に伴い予測が困難なさまざまなものがあらわれてくるのではないかと思われまして、そのような新たな需要に迅速かつ柔軟に対応するという観点からは、指定法人制によってその業務規程に制度の具体的な運用のあり方を一部ゆだねることが適当ではないかと考えられます。 この点は、フランスなどでも試行錯誤の結果、一九九一年の改正で法律扶助の資金の管理を弁護士会の自主的な管理にゆだね、実際の需要をより適切に反映するような仕組みを設けたことや、法律相談の援助に関しては地方公共団体や民間団体等に運営面あるいは資金面で広く協力を求めるような体制をとったことなどともつながるように思われます。 ただ、そのような運営の自由や裁量を運営組織に認めることは、同時に指定法人の運営の透明性が特に求められることを意味するものと思われます。民事法律扶助制度が国民等の裁判を受ける権利を実質的に保障するものであることに思いをいたしますと、指定法人はそのような国民等の権利の実現を左右するかなめの地位に立つものと言えましょう。その意味で、フランスなどでもそのような形になっておるわけですが、指定法人の業務規程を公開したり、あるいは指定法人の運営に利用者の代表等の実質的な参加を求めたりするなど、その透明な運営が図られていくことを強く希望したいと思います。 以上、今後の制度に関する希望や期待についても若干触れさせていただきましたが、最後に、重ねて民事法律扶助法案の早期成立を研究者の立場からもお願いをいたしまして、私の意見とさせていただきます。
○委員長(風間昶君) ありがとうございました。 次に、小寺参考人にお願いいたします。小寺参考人。
○参考人(小寺一矢君) 私は、日本弁護士連合会の法律扶助制度改革推進本部という組織がございまして、そこの事務局長をしております。大阪弁護士会所属でございます。 平成二年十一月から、当時法務省と扶助協会との間で行われておりました法律扶助検討会というのがございまして、そこに日弁連スタッフとして参加して以来約十年間、この実現に向けて参加してまいりました。 本日、参議院の法務委員会の席上で民事法律扶助法案ということで意見を申し上げる機会を与えていただきまして、非常に個人的には感無量でありますし、また、日弁連の担当者の一員といたしましても深く感謝を申し上げます。 本法案につきまして私の意見を結論から申し述べますと、今次の民事法律扶助法案につきましては、日弁連がかねてから主張してまいりました民事、刑事、少年等を含む総合的法律扶助制度の観点から見ますといささか不十分な点はございます。しかし、諸外国に比べて著しくおくれている我が国の法律扶助事業の現状を打ち破って、せめて民事からでも充実発展させようとしていただいておる積極性、必要性については十分認識し、また理解をしております。ぜひとも今国会において成立をさせていただきたいと願っております。 そして、先生方には、この改革法案成立を出発点としていただきまして、第二段階として、今回法案の対象となりませんでした刑事被疑者弁護、当番弁護士の接見活動あるいは少年事件の付添人援助に対する公的援助の実現、さらには民事法律扶助そのもののさらなる充実拡大の実現をあわせてお願い申し上げたいと思います。 以上が私の意見の要約でございます。 本日、当委員会に出席させていただくに当たりまして、事務局の方から参考資料を見せていただきました。本法律案の概要、法律案の背景として、国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するものとしての民事法律扶助制度の意義、現行制度の概要と法律に根拠を置かず運用されている現在の制度上の問題点、わずかな国庫補助しか出ておらず民間資金に依存している財政上の問題点、国庫補助が少額規模であることから人的、物的にも単位弁護士会に依存している組織上の問題点、これを簡潔にわかりやすくまとめていただいております。 したがいまして、私としましては、内容の重複を避けまして四点に絞って意見を申し上げたいと存じます。 まず一番目は、日弁連として今まで法律扶助制度にどのようにかかわってきたかという点でございます。そして二番目に、今回の法案提出に至るまでの具体的な経過はどうであったか。三番目は、今回法案で予定されている平成十二年十月一日施行に向けまして日弁連は現在どのような取り組み体制を整えているのかという点でございます。最後四番目は、残された課題についていかなる努力を続けていくのかという点について意見を申し上げます。 まず一番目の日弁連と法律扶助制度のかかわりについてでございますが、これは昭和二十四年の九月に議員立法で成立しました現行弁護士法の三十三条二項九号で、会則に「無資力者のためにする法律扶助に関する規定。」を定めなさいと義務づけられております。そして日弁連、各単位会とも会則にその旨の規定を定めておりますし、そしてその実際の運営主体として財団法人法律扶助協会を設立すべく、昭和二十七年ごろですか、広く民間に基金を募りましたけれども御理解が得られず、日弁連がわずか百万の出資で財団を設立いたしました。当時の記録によりますと、年間予算二百万ぐらいで、扶助件数は年間わずか四十数件だったということです。これではいかぬということで、昭和三十一年には既に法務省が中心となって法案まで検討されたようでございますが、なぜか見送りになりまして、かわりに昭和三十三年ごろ法務省の予算措置としての国庫補助が始まったわけでございます。 資料二十四ページのグラフをごらんいただきますと一目瞭然なんですが、当初は年間の補助が一千万でございました。昭和四十年ごろに五千万を超えていますが、これは交通事故の激増があったと思います。四十二年ごろから六十二年まではずっともう横を、そのまま六千万から七千万台で推移をしております。その間、扶助協会は、地方公共団体やその他の団体に御寄附をお願いして、また弁護士会の援助も求め、かつ会員には応分の負担を求め、わずかな扶助事件の報酬金の一割の強制寄附も求めて財源の確保に必死に努力をしてまいりました。平成元年から補助金が右肩上がりに上ってまいります。今現在、平成十一年度の国庫補助金総額は約九億円としていただきました。その上がってきた理由は、元年ごろから法律扶助制度についての国の認識が改まったことにあると思います。従来、扶助は恩恵的なものと言っておられましたけれども、憲法三十二条に由来するものだというふうに国の認識が改まったようにお聞きしております。 ただし、これ右肩上がりには上がっておりますが、国庫補助の対象事業というのは民事法律扶助に限定されておりまして、管理運営費には使用できませんし、協会が社会の要請あるいは扶助の国際水準に近づけようとして始めました少年保護事件付添援助、これは昭和四十八年に最高裁家庭局からの照会にこたえて開始した事業でございますが、これにも国庫補助はございません。それから、平成二年に大分県弁護士会、福岡県弁護士会から始まりました刑事被疑者に対する当番弁護士制度、これに対応いたしまして、当番で行きました弁護士が費用負担が困難な被疑者から弁護を受任するということがございまして、これを扶助するということになり、これについての援助についても国庫補助は現在出ておりません。すべて日弁連、単位会の補助金あるいは協会の自主資金で賄っております。 ちなみに、平成十年度の刑事被疑者弁護援助決定は全国で三千六十五件、支出した金額は二億六千三百万、少年事件付添援助には一千百二件、支出額は一億二千万となっておりまして、両者合わせて約三億八千三百万、そのうちの約二億円を日弁連が補助しているのが実情でございます。日弁連としましては、全国会員から年間一人二万六千四百円ほどの特別会費を徴収してこれに当たっております。しかし、扶助決定件数は年を追うごとに増大をしておりまして、自前の資金手当てではもはや限界に達しております。もう破綻は時間の問題だと思っております。この点、昨年十月に最高裁、法務省、日弁連の間で被疑者弁護に関する意見交換会を開いていただいておりますが、そこで三者の間で国庫補助の必要性がようやく、ようやくですが共通の認識になったということをお聞きして、いささかほっといたしております。 日弁連と法律扶助制度のかかわりから一挙に四番目の今後の課題の一つまで飛んでしまったのですが、次に、戻りまして二番目の、今回の法案提出に至るまでの経緯でございます。 これにつきましては、もうこれは先輩方が昭和五十年代から六十年代初めにかけましてさまざまな法律扶助の要綱案を発表されました。日弁連としましては、昭和六十二年五月に法律扶助立法化推進決議というのを定期総会で上げたわけですが、その後平成五年に総会決議でこれを撤回いたしました。国の財政負担と開かれた組織体制を基本とした扶助制度の抜本的改革に取り組むということなんですが、これは平たくいいますと、六十二年決議といいますのは国のお金は出してください、でも口は出さないでくださいという決議だったわけですが、平成五年は、これではいかぬということで、お金を出してもらうなら少々口も出してもらっても構いませんというふうに方針を転換したわけです。これは、まあ日弁連としては、こういう決議をするというのは非常に珍しい、初めてのことだったそうでございます。 その後、日弁連内に推進本部が設けられまして、総合的な法律扶助制度に取り組み始めました。法務省においても研究会予算をとっていただいて、やっとスタートかと思ったのもつかの間で、いざスタートに当たりまして、法務省から、今回の研究会は刑事問題は含めないと。で、会内は大混乱に陥りました。増大する刑事被疑者弁護、少年付添援助、これが扶助立法の推進力になっていたわけなんですが、これが当初から研究会の対象から外れるとなりますと、会内はおさまりませんでした。約半年かけて会内の強硬意見の方々にも納得してもらいまして、基本的了解に達して研究会がスタートした次第でございます。 その了解は、レジュメの中に書きましたけれども、三つにわたるわけですが、もう時間がございませんので読みませんが、三番目に、その了解事項の中で、法務省の方でも刑事については別の場で研究会を設置してもらって、先ほども述べました昨年十月の共通認識に到達していただいたということになりまして、近い将来、司法改革審議会の議論も踏まえて第二段階の改革が実現されることを念願しております。 三番目の、施行に向けての日弁連の取り組みでございますが、これは本法案四条に定めております各責務を改めて会内において周知徹底いたします。公益活動の義務化というのも各会で今会則化しておりますし、法的サービス提供者として相談登録弁護士の募集も開始をいたしております。現在、法律扶助に関与している弁護士は全国で約三千人ぐらいだろうと思うんですが、当面十月一日スタートに当たっては六千人を確保したいと思っております。これは相談の受付窓口になりまして、今まで各支部でしか受け付けていなかったものが一挙に六千カ所になるほど画期的なものではないかと思っております。これにつきまして努力をいたします。 協会の方は、指定法人ということになるかと思いますので、その受け入れ体制の整備も整えております。また、過疎地対策も当然入ってまいりますので、日弁連としては本年一月から特別会費一カ月千円会員に課しまして、五年間で約十億を集めて公設事務所あるいは法律相談センターの設置というようなことに当たってまいります。ただ、運営の実際を担当する職員、施設は、これ今のところ弁護士会の負担になってくると思うんですが、この弁護士会依存の体質から脱却しない限り、法律扶助の完全な実施というのはなかなか難しいのではなかろうかと思っておりますので、その点につきましても特段の配慮をお願いしたいと思っております。 なお、今後の課題でございますが、先ほど述べました刑事被疑者弁護援助、少年付添援助に対する公費による援助実現をぜひお願いしたい、これはもう弁護士会としてはたえ得る限界に来ておるというところでございます。 それと、先ほど来山本先生のお話にもございました償還制の見直しということも将来の課題として考えていただきたい。それから、対象層の拡大もございます。それから、負担金制度の採用、これは、対象を今のように生保受給者層に限定しながら償還を求めるというのは、いかにも現場の感覚にはそぐいません。単なる立てかえ制度なので、あなたにはお金は出しますけれども後返してもらいますよと言うと、皆さん、いやそれやったらもう結構ですと。弁護士の方も、それやったらそこまで言わぬと、まあ受任の段階はただでやっておいて後で調整しようかというような、こういう発想になりますので、こういうのは給付にしていただいて、利益を得られた場合には戻してもらうという発想でいいんじゃないかと思っております。 それから、外国人につきましても、法案二条では適法在留ということになっておりますが、現実には、オーバーステイで非常に困られておる外国人の方に対してむしろ一番扶助が必要なんではないかというふうに思っております。この辺は国民の公平感もございますでしょうけれども、三Kの仕事で入ってきてオーバーステイになって、それで労災に遭うて扶助も受けられないというような姿を見ていますと、ちょっとこれでいいのかなという気はしております。 簡単でございますが、以上意見を申し上げまして、ぜひこの法案につきましては早期に成立をお願いしたいと思っております。 以上でございます。 ありがとうございました。
○委員長(風間昶君) ありがとうございました。 次に、藤川参考人にお願いいたします。藤川参考人。
○参考人(藤川忠宏君) 藤川でございます。本日は、民事法律扶助法について意見を述べる機会を与えてくださいまして、大変ありがとうございました。 既に、山本先生から学問的な見地からの御意見、それから小寺弁護士からは、これまで法律扶助を進めてこられた実務経験に基づいて御意見の開陳がありました。私は新聞記者でございますので、今までの新聞記者の取材を通じてこの今の日本の法律扶助についてどう感じたか、あるいは海外取材の経験もございますのでどう感じたか、それらについて意見を述べさせていただいて、御参考にしていただけたらと思います。 実は、法律扶助について関心といいますか持ちましたのは、たまたま今から六年前、一九九四年にイギリスに司法制度の取材で伺いまして、そのときにリーガルエードボードという、日本でいいますと特殊法人になるんですか、そこへ取材に伺いました。それで、イギリスでなぜ世界で一番トップクラスと言われているリーガルエードの仕組みができたのかなということを知りたいものですから取材に行きました。 向こうの方が言っておられてなるほどなと思ったんですけれども、きっかけは実は戦争だということを言っておりました。戦争でだんなさんが戦地に行く、奥さんが内地に戻る、そういう形で家庭崩壊が非常に起きた。これに対して、今大分イギリスの離婚制度は変わってきたようですけれども、当時はイギリスは裁判でないと離婚できないという仕組みだったんだそうです。その離婚問題がたくさん起きた、ところが弁護士を雇えない女性の方がたくさんいる、それを何とかせにゃいかぬというようなことがきっかけだと言っておられました。 一九四九年にリーガルエード・アンド・アドバイス・アクトという法律ができて、それから後に有名な一九八八年のリーガルエード・アクトという法律ができて、これによってこのリーガルエードボードというのができたんだそうですけれども、そのときに向こうの方が言うには、あなた、病気になってお金がない、医者にかかれない、これは不幸だろう。そうすると、金がなくて医者にかかれなければ死ぬしかないでしょう。実は社会的紛争というのも、これは社会生活上の病気ですよと。どんなに例えば行儀正しい人でもあるいは社会的な紛争に巻き込まれるかもしれない。それはどんなにジェントルマンであっても、がんになったりインフルエンザにかかるのと同じですと。金がなくても医者にかかれるためにメディカルエードというのができました。同じように、金がなくても弁護士を頼んで自分の社会的な紛争を解決してもらう、そのために法律扶助というのができたんだ、これは極めて重要なものだという話をして、ああなるほどそうかなという感じを持ちました。 社会生活上の病気、それはだれでもかかるんだ。それが、金がないからそれに対して適切なリーガルサービスが受けられないというのはおかしいじゃないかということを伺ってきまして、ああ、いいお話を聞いたなと思っていましたら、実は昨年、今進んでいます司法制度改革審議会の論点整理というのが出されまして、その中でこういうことを言っているんですね。司法(法曹)はと言っていますが、要するに弁護士ということでいいと思いますけれども、いわば社会生活上の医師の役割を果たすべき存在であると。ああ同じようなことを日本もやっておる、何周かおくれで言い始めたなと。ただ、社会生活上の医師である法曹あるいは司法制度も法律扶助が充実していなければ使えない。まさにイギリスのリーガルエードボードの担当者が言っておったようなことじゃないかなということを、まずそのイギリス取材で非常に強く感じました。 それからもう一つ、私がこれは何とかせにゃいかぬなと思っておったのは、多重債務者問題でございます。 二枚目に、昨年、一九九九年四月十九日付の日本経済新聞の社説を載せさせていただいております。一昨年ぐらいから、リストラによって、いわゆる遊興型の多重債務ではなくて本当に首を切られたりなんかして、経済苦に伴う多重債務というのが非常にふえてきました。それが社会問題になりまして、私は一昨年、九八年暮れから九九年にかけてこの取材をしておりました。そのときに感じていたのが、法的なサービスの谷間があるんじゃないか、この国には。そこを埋めなきゃいけないなという感じは非常に強く持ちました。 御存じのように、九八年には個人の自己破産というのが十万件を超えました。自己破産だけが非常に目立つんですけれども、実は同じような自己破産に近い機能を果たしています債務弁済調停というのがございます。これは少しお金のある方が調停を申し立てて、このぐらいでもう示談にしてくれ、あるいは利息制限法に基づいて引き直し計算をして、これで何とかしてくれ、それが十八万件ございます。このほかに、弁護士先生に頼んで親族から金を集めて、それで内整理をするのが十万とか十五万とか言われています。 そういうふうな形で、多重債務者、借金地獄の中でどうして逃れたらいいのか、そのすべを知らない多重債務者が全部で百五十万人ぐらいいるだろうと言われています。こういう人々は、破産なりあるいは債務弁済調停なりをすれば一たんそこで債務をチャラに、チャラとは言いませんけれども、清算をしてもう一度人生の再出発ができる。ところが、そういうすべを知らない人がたくさんいる。 余談になりますけれども、多重債務者の取材をしていまして、彼らは三つのことを知らないなという感じを持ったんです。一つは、変な話ですけれども自分が幾ら借りているのか、これ本当に知らないんです。というのは、利息制限法に引き直して本当の債務はどのくらいなのか、どれだけ本当に返しているのか、それを知らないんです。その次、どこに相談に行ったらいいのか、これを知らない。最後に、どうしたら生活再建ができるのか、これも知らない。そういう人がたくさんいる。こういう人に何らかの公的な手当てが必要だなという感じを非常に強く持ちました。 その一つの手段が自己破産なんですけれども、自己破産するにも金がかかります。そこに書きましたように、大体着手金と実費で十三万から十五万、裁判所の予納金が二万から三万、大体二十万かかります。皆さん二十万って大した金じゃないと思うんですけれども、多重債務になっている人はあちらこちらから金を借りまくってもうにっちもさっちもいかない人、そういう人にとっては非常に二十万というのは大きな金なんです。 そういう人がどこへ行ったかというと、法律扶助のところへ押しかけまして、それで九八年はとうとう予算がパンクしてしまいまして、たしか一部の支部では九月ぐらいからもう窓口を閉めちゃったんです。九九年ももっと続いていまして、これは大変だというのでさすがに法務省が予算の補正をしまして、三億三千万臨時に出しました。 それで何とか息を、しのいだんですが、これでも生活保護受給が資格になっていました。それよりちょっと出ている、あるいは人によっては自分は生活保護を受けるのが嫌だという、潔しとしないという人は対象にならないというふうなことが続いていました。このような一時しのぎの補正予算で三億三千万出してやるというのではとてもじゃないけれどもだめだと。 同じようなものは、実は多重債務だけでなくて、リストラの問題もある。それから、さまざまなもっといろいろな問題がある。そういう人々にもっと法のサービスを与えなきゃいけないなという感じを非常に強く持ちました。そういう意味で、今度民事法律扶助法が出てきたというのは非常にいいことだと私は思います。そこに書きましたように、速やかに法律扶助法の制定をお願いしたいというのが私の立場でございます。 理由というのは、そこに挙げましたように三点でございます。繰り返しますので、前の二人の先生の意見とダブりますので言いません。 ただ、一言申し上げたいのは、僕はこれをいい法律であると思っていますのは、和解交渉であるとか書類作成だとか法律相談、今までどうも法律扶助というのは裁判手続に傾斜し過ぎているんじゃないかなという気がしますけれども、ここまで前広に取り上げたというのは僕は非常にいい法律だなと。 社会的コストを考えましても、裁判にするよりも前に示談で済めば示談で済ませる、法律相談で話し合いがつけばそれでいい、私はそう思うんです。そういう意味で、そこまで対象に入れたということは非常にいい法律であると思います。 それから、運営主体を指定法人にした、これについても、小寺先生はおっしゃらなかったけれども、かつて日弁連の中では認可法人にしろという議論がありました。しかし、僕はこれでいいと思うんです。要するに、民間の自由度あるいは自主性を尊重するという意味では指定法人で十分ではないかなという感じがいたします。 そういう点で、ぜひ速やかにこれを制定していただきたいと私は思うんですが、実施上の問題点としてこの辺に少し気を配っていただきたいと思います。 一つは、補助対象をなるべく広くとってほしい。今度の予算は二十二億の予算がついています。これは一応所得階層からいって、下から二割ということで家族三人世帯で年収四百万ということでラインを引いています。大体生活保護水準の一・三倍から一・七倍ということになっています。もう少し広くとっていいんじゃないかなという気がいたします。 それから、償還主義、法律を読ませていただきますと、立てかえ立てかえとなっております。今の実態を見ていますと、まだ裁判の行方がわからないうちに早くも償還しろ、金を返せということをやっています。これは幾ら何でもひどいなという気がします。高齢者など定期収入のない方あるいは被告側が支払ってくれないような人もあり得るわけですから、もう少し弾力的にやってほしいという気がいたします。 それから、これを読ませていただいて、指定法人の書きぶりの問題なんですが、かなりがちがちな監督をかませています。特に役員の選任、解任を大臣の認可としている。指定法人を僕は少し調べたんですが、こういう書きぶりの指定法人もありますけれども、ここまでがちがちにする必要があるかなという気がいたします。 僕の考え方としては、自由度を高めて、むしろ公正さというのは行政によって監視するんじゃなくて、国民によって監視すべきだ。例えば情報公開、あるいは国民が何らかの形で監査に加わるというような形で、国民の監督によって透明性や公正さを担保すればいいんじゃないかなという気がいたします。 それから、これが最大の問題です。 このような制度をつくった場合、全国でひとしくこのサービスが受けられなければ、同じ税金を使った制度としては非常に不公平なものになると思います。そういう意味で、弁護士過疎の問題。あの広い島根県で弁護士が二十四人しかいません。そういう中でどうするのか。弁護士過疎の問題、これは弁護士会だけで解決がつく問題ではございません。過疎過密というのは、これはまさに国政全体の問題なんですけれども、そういう中でやっぱり弁護士会も頑張ってほしい。 もう一つ重要なのは、地方公共団体の役割です。 この法律を読みますと、国の責務それから弁護士会の責務の間に三条の二項で「地方公共団体は、」と書いてあります。「必要な協力をすることができる。」、これは義務づけ規定じゃなくて関与規定だと思うんですけれども、本当は一番重要なのは地方公共団体だと思うんです。皆さんも困ったときにどこへ行くかというと、消費生活センターや困り事相談所、それは行政がやっています。それといかに弁護士会なりあるいは法律扶助協会とのネットワークをつくるか。 一昨年になりますが、私は浜田にあります石見法律相談センターというところにお邪魔しましていろいろ話を聞きましたけれども、あれが非常にうまくいっているのは、実は浜田市とか浜田を中心とする地元の市町村が非常に熱心なんです。全国的にそれによって浜田市が非常に名前が売れたという点もあるんでしょうけれども、非常に自治体が熱心である。場所を提供して各市町村から分担金を取って運営するという形でやっています。実質はあれは日弁連が金を出しているんですけれども、そういう形で協力しているという、自治体の協力というのが非常に重要じゃないかなという気がいたします。 それから、そこには書きませんでしたけれども、法律扶助の単価です。弁護士先生に払う単価を適正水準にすべきだと思います。 と申しますのは、今、同じような形で国選弁護というのをやっていますけれども、一件七万六千円前後です。この間、ある死刑事件の弁護士さんと話をしていましたけれども、その先生が死刑事件で十七回公判をやって、本当に一生懸命やったんですけれども、それで裁判官が言うには、特別な例ですと。幾らつけたかというと、三十五万円だと。先生、それじゃ割に合わないでしょう、合いませんと。一メートル半ぐらいの一件書類、供述書類の謄本をとるんですけれども、それで四十万を自分で立てかえていると。後で裁判所が払ってくれると言っていましたけれども、余りにも国選弁護の費用が低過ぎる。同じようなことを今度は法律扶助でやりましたら、やっぱりそういうような個人の犠牲の上に成り立っている制度というのは、僕は社会にとって不健全だと思うのです。 私は大学で経済学をやりましたから経済学的に言いますと、大きなことを言いますと、資源の配分がゆがんでくるということはその制度にとってもよくない不健全なことなんです。だから、それによってきちんと対コストの割の合う費用を払うべきだと。だから、国選弁護の二の舞をしてはいけない。きっちりした、逆に言うと、国選弁護も引き上げる必要があると思うんですけれども、そういう制度をつくっていただきたい。これは運用の問題でございます。 最後に、そういうことで、これは僕は第一歩だと思います。より総合的な法律扶助制度をつくるべきだと思います。この制度は二つの制限、制約がある。一つは民事に限ったことです。だから将来的には刑事及び少年事件に対象を広げるということ。 それからもう一つは、償還主義をとっているということだと思います。先ほど、償還主義について御意見がありまして全くそのとおりだと思いますけれども、やっぱり将来的には、払えない人は本当に払えないということで、ある程度給付主義も入れざるを得ないんじゃないかなという気がいたします。 そういう意味で、最近自民党が出しました総合的法律扶助制度のグランドデザイン、これを読んでこれはおもしろいなと思いまして、私と考えが違うところがございます。ただ、こういうものを各党がお出しになってまさに競争されるとよろしいんじゃないかなと。そういう意味で一日も早く、ここに書きましたように、法律扶助の充実を実現していただきたいということでございます。 以上でございます。
○委員長(風間昶君) ありがとうございました。 以上で参考人の意見陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木知子君 自民党の佐々木知子でございます。 きょうは先生方、お忙しいところをわざわざお越しくださり、また貴重な意見をお述べくださりましてありがとうございます。殊に小寺先生は、私の懐かしい大阪弁を聞きまして、非常に心が和む思いでございます。 山本先生からまずお聞きしたいんですけれども、先生がおっしゃられたとおり償還制か給付制かという問題。弁護士費用をだれが負担するか、敗訴者負担か当事者負担、これは非常に密接な関係があるというのはもう言うまでもないことでございまして、私がお聞きしたいのは、日本は当事者主義、不法行為に関しましては一部敗訴者主義ということもございますけれども、フランス以外で、先進国のレベルで日本と同じく当事者負担をとっている国とかその理由とか、もし御存じであればお教えいただきたいというのが一点でございます。
○参考人(山本和彦君) 私は必ずしも十分に勉強しているわけではありませんけれども、委員御指摘のとおり、先進国においてはやはり敗訴者負担制をとっている国が多いんだろうと思います。フランスについてもかなりの点そうでありますし、ドイツあるいはイギリスについてもそうだというふうに伺っております。 日本のような当事者負担制をとっているのは、恐らくアメリカがそうなのではないかというふうに伺っています。ただ、アメリカにおいては、個別法におきまして一部の事件につきましては敗訴者負担制度を採用するというような形で、例外的なものはかなりあるというふうに伺っております。 ただ、アメリカが原則としてそのような当事者負担という考え方をとっているのは、やはりアメリカの基本的な考え方といいますか、訴訟というのは各当事者がそれぞれリスクを負担してやっていくものだ、だから勝っても負けてもそれぞれが費用をコストとして負担するというのが公平であるという基本的な考え方によっているんだろうと思いますけれども、必ずしも先進国の間でもそういう考え方は多数ではないというふうに私は了解しております。 以上でございます。
○佐々木知子君 そうしますと、先生今一部敗訴者負担制度を導入すべきということで検討しておられるということを言われましたけれども、その一部というのはどの範囲でとか、事件の範囲とか額の範囲とか、どういうふうなことを具体的にお考えであるのか、お教えいただければと思います。
○参考人(山本和彦君) 委員御指摘のとおり、そこが一番難しいところではないかというふうに思っているわけでありますが、おっしゃるとおり、事件について、事件をあるものに限るといいますか、あるいは仮に敗訴者制度を一般的に導入するとしても例外的なものをつくるということが必要ではないかという点はあると思います。 とりわけ、敗訴者負担制度を導入すれば、必ずしも勝てる見込みが十分にないような事件の訴え提起を抑制する効果がどうしても発生してきますものですから、その訴え提起に社会的な意味での価値が認められるような訴えというのは、ただその提訴の時点では必ずしも勝訴の自信がないというような事件、例えばHIVの訴訟なんかはそうだったのではないかと思うわけですが、そういうのが抑制されるということはやはり問題であろうと思いまして、そこは何かこういう事件の類型によって分けていく必要があると思います。 それから、費用についても、全額を負担させるということになりますと、もし負けた場合のことを考えますと相手の費用を全部負担しなければいけないということになりますから、これもやはり訴え提起を抑制するということで、これは二十一世紀の日本の司法を見る限り、それは妥当ではないのではないか。だから、その費用の一部、弁護士報酬は着手金と成功報酬に大きく分かれるわけで、大体一対二ぐらいになっているのではないかと思いますけれども、少なくとも例えば着手金の部分、三分の一程度のものを敗訴者負担にするというようなところから制度を始めてみるというようなことも考えられるのではないか。必ずしも定見は持っておりませんけれども、そのようなことを考えております。 以上でございます。
○佐々木知子君 それは、不法行為とか類型とかではなくて全般的にという形でよろしいんでしょうか。
○参考人(山本和彦君) そういうことであります。
○佐々木知子君 はい、わかりました。 それでは次に、小寺参考人にお伺いしたいんですけれども、先生も過疎地対策ということを言われました。今回の民事法律扶助が機能するようになりますし、当番弁護士というのもかなり前から弁護士会が自発的にやっていただいているものなんですけれども、これを語る場合に一番問題になるのがやはり過疎地の問題である。特にゼロワン地域というのが、午前中も私は申し上げたんですけれども、全国地裁本庁五十庁及び支部二百三庁のうち七十カ所を超えている。こういうようなところでは幾ら扶助ができる、当番弁護士に立ち会ってもらえると言われても、実際は行けないとか扶助に応じられないとかいうことにもなりかねないわけです。 よく弁護士をふやせというのが司法制度改革で述べられております。これは実は弁護士会は反対しているんだということを漏れ聞かないこともないわけです、本当のところはわかりませんけれども。ただ、弁護士をふやしても大都市だけふやしたのでは、今大都市は本当にあぶれているぐらい、だから懲戒事件だって結構起こるぐらい、先生御存じのようにあるわけで、もっと過疎地にやらないことには、実態としてはどうにも国民を法律的レベルで助けるということにはならないんだろうと思います。これは藤川参考人の方からも大きな問題であるという提起がございましたけれども、先生としてはどうすれば本当にこれの対策になるかというお考えがあるかどうか。 あるいは、今度はすごく私は弾力的なことを申し上げますけれども、今弁護士法七十二条で弁護士業務を独占しているわけですけれども、これをちょっと緩めて、司法書士でも相談に応じられるようにするとかいうふうになれば、これも過疎地対策に抜本的になるのかもしれませんけれども、そういうようなことまで含めて、発想の転換をすべきなのかどうか、先生の率直な御意見をどうぞ。
○参考人(小寺一矢君) 司法制度改革審議会で今御議論されている最中で、私のようなものが自分の意見を申し上げるというのはちょっとつらいような大きいテーマなんですが、いずれにしましても一万七千人の弁護士が全国におりまして、まず法律扶助を実施させていただくということになって弁護士としての基本的な自己の責任、それをまず果たせるかどうか、これは問われると思います、一人一人の弁護士が。 地方会の先生方は、五十人、百人の単位会の先生方は恐らく全員登録していただいて、やっていただける気概を示していただいております、今は。大都会の弁護士は悲しいかな登録率が非常に低いです。ですから、その辺のところを弁護士個々人が自分の責任としてやり始めて、それでそれがもう限界に来たといったときに運営主体がそれぞれの事務所を設ける、専門事務所を設ける、公設事務所を設ける、これはもうやむを得ぬことだろうと思います、運営主体が雇用して。 ですから、当面はそういう形で、ある程度の弁護士増も図られていくでしょうから、むしろ気概に燃える若い人たちがそっちへ行く、あるいはふるさとのある都会で働いておられる弁護士さんにある時期ふるさとへ戻っていただくというようなことも、個々的には今起こっていますから、そういう弁護士がふえてくれることを祈るばかりです。 ただ、七十二条問題をここで言われますと私もちょっとつらいのでございまして、といいますのは、もともと他士業の先生方は紛争当事者の、対立当事者に立って仕事を処理するという訓練を受けておられません。そういう試験ではございません。ですから、単に法律相談といいましても、最終どうなるかという予測をした上での相談ですから、双方代理を原則にされておられる司法書士さんが的確な法律相談能力を、今の試験制度のもとでなられている司法書士さんが的確に処理できるかどうかは私は疑問だろうと思っております、個人的には。
○佐々木知子君 ありがとうございます。 では、藤川参考人にお尋ねしたいと思います。 イギリスでの法律扶助というのがもともとのきっかけは戦争だったというのを聞きまして、非常に興味深いものを覚えました。実は、イスラム法というのは御存じのように啓示宗教、ユダヤ教、キリスト教、一番新しい七世紀にできた宗教ですけれども、四人の妻をめとることが許されるというのは、やはりこれは戦争がきっかけだったそうでございます。だんなさんが足りなくなって女性が余っているので、社会福祉的な見地から女性を四人まで妻としてめとることができる。ただし、権利も義務も平等に背負うということで、どの妻もすべて同じように扶養し、同じように愛し、これは肉体的にも社会的にも精神的にもという意味ですけれども、待遇できることを前提としてということでございましたけれども、ああやはりそういうことなのかと思って、きょうはちょっと賢くなったような気がいたします。 先生は多重債務者のことを述べておられましたけれども、どうなんでしょう、多重債務者に陥るというのは、やはりかなり本人の生活態度とか、自分の資力もわきまえずというところもあるでしょうし、帰責事由というのもあるでしょう。一般的にまじめに生きている人は自分の支払い能力も考えるから多重債務者に陥りにくいということもありますでしょうし、そういう方に給付制、困っているから給付でいいんだとかいうのではちょっと一般のまじめに生きている人たちが泣くのではないかという感じがしないでもないんですけれども、その点いかがでございましょう。
○参考人(藤川忠宏君) お答えいたします。 まさにお話のとおりです。この取材をしていまして、実はこういうことを多くの方から聞いたんです。初め、三百万のお金を多重債務者、若者でもだれでも結構です、お父さんがついてきて三百万用意して、先生、これでけりをつけてくださいと。その場はけりがつくわけです。そうすると、五年後に今度は五百万持ってくるんだそうです。五百万で、先生、これが最後ですからまたお願いします。それで弁護士の先生がこれで処理をする。十年後には今度は一千万を持ってくる。それが人によって、多重債務者の大体一割であるとか二割とか言う人がいます。 多重債務者問題はお話のとおりなんです。法律問題であるとともに、ある程度コンサルティングが必要ですし、カウンセリングが必要ですし、それからまた、家計相談みたいな、ファイナンシャルプランナーというとちょっとオーバーですけれども、家計再建のためのそういうような指導も必要、そういうトータルなワークが必要な業務だなというのを私は非常に感じました。お話のとおり、そういう人が一割なのか二割なのか、いろいろあるかもしらぬけれども、慢性的に借金をしてしまうような人がおります。 ただ、さはさりながら、この社説でちらっと書きましたように、最近ふえていますのは、これは国民生活センターの数字を使っていたと思います。遊興型から生活苦型へ大分変わってきているんです。 先ほど先生が御指摘のように、ギャンブルに凝って多重債務になっちゃって、それはおかしいじゃないかと、まさにお話のとおりです。それから、借りたものを返せというのはまさに民事的ルールであるし、これは市民ルールであると思うんですが、そうではなくて、例えばローンを組んで、右上がりで給与がふえるだろうと思って当時のはやりの後年度負担の多いローンを組んでしまった。ところが、会社がリストラでつぶれてしまった。そのためにとにかく資金しのぎでとりあえずサラ金を借りた、それがどんどん膨らんだという、そういう人も決して少なくないと思います。しかもこの御時世ですから、地価を含めて不動産は三分の一から五分の一となりますと、マイホームを売っても借金を返せないという方がたくさんおりました。 ですから、僕は決して全部給付制にしろと言っているのではなくて、この法律に書いてあるように立てかえということを非常に厳格にやると、特に高齢者などでどうしようもない人が出てくるでしょうと。しかも今の運用だと、まだ裁判が続いている、右か左かわからない段階でもう償還が始まるわけです。これは幾ら何でもひどいでしょうということを申し上げたのと、それから将来的に、今の下から二割じゃなくて、もう少し四割ぐらいまで上げてきた場合、能力負担というものを今度はもっと入れていいんじゃないかなという考えで私は申し上げたつもりでございます。
○佐々木知子君 ありがとうございました。 もうちょっと質問ありますけれども、時間が来ましたのでこれで結構でございます。
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫でございます。 参考人の先生方、きょうは貴重な御意見ありがとうございます。 民主党はこの法案について基本的に賛成なんですが、ちょっと一点ひっかかるところがございまして、扶助の対象者を外国人の場合、適法に在留している者に限って、不適法在留者を除外しているという点がございます。 私の考えでは、このように一律に除外するのではなくて、ケースにおいてはやはり扶助した方がいいケースもあるのではないか、こういうふうに思いまして、どうもこの不適法在留者を除外するという点が納得できないといいますか、反対なんですが、小寺先生からその点の御意見をお伺いしましたけれども、山本先生と藤川先生はその不適法在留者の除外の点につきましてはどのようなお考えでございましょうか。
○参考人(山本和彦君) この点につきましては、私が勉強しましたフランスなども随分議論がございまして、フランスは一九九一年の改正で現在の形になったわけですが、それ以前は必ずしも適法性を要件としておりませんで、不適法な場合でも認めていたようであります。九一年の改正でかなり議論した末に、やはりそこまでは、フランスでも不法在留者の問題というのは社会問題になっておりまして、非常な議論の結果、やはり適法性を要求するということにしました。 ただ、例外的に、例えば国外退去の行政事件につきましては、そもそもがそこでは居住の適法性自体が争点になるわけですので、そこで一律に認めないというのは問題だろうということで、その国外退去の行政事件については例外的にその適法性を問わずに扶助の対象とするということにしているわけであります。 ただ、現在の民事法律扶助法案でも、もし私の理解が間違っておらなければ、仮に国外退去、日本でもその適法性が争われる事件、行政訴訟で勝訴の見込みがあるというふうに判断されるような場合には、そこは第一次的な行政庁の判断で適法性が仮に否定されていたとしても、行政訴訟でそれがひっくり返る可能性というものがあるとすれば、この法律扶助の適用との関係では適法性が認められる、扶助の対象になるという解釈、運用というのは十分あり得るのではないか。 そして、実際には恐らく適法性自体が微妙な争いになる事件というのはそれほど多くはないのではないかということを考えますと、運用のよろしきを得れば、そういうフランスの扱いとも実際上はそれほど違わないというようなことも可能なのかなと、そういうようなことを思っております。 以上です。
○参考人(藤川忠宏君) 私は、一番初めに申し上げましたように、メディケアという考え方が実は背景にあるんだというふうにイギリスの方はおっしゃっておりましたけれども、その考え方でいいますと、外国人が病気をしています、その方が不法に残留した人であるという場合、治療しなくていいかどうかと。治療しなくていいかどうかという問題とそれを国民の税金で負担するかどうかというのはまた議論が別でしょうけれども、しかし社会保障なりというものが確かに公国家的な権利と言われていますから、国家があってから初めて権利が発生するんだという考え方なんでしょうけれども、だんだんそういうことではなくなってきているんじゃないかという気が私はいたします。 そういう意味においては、僕は法律家じゃないので、適法に残留と書かれてしまうと、じゃ不法残留は一律に全部外す形になるのかよくわかりません。ただ、ケースによっては救済すべき例があると私は思います、先ほどのメディケアの例を申し上げたように。その辺をもう少し詰めた方がよろしいのじゃないかなと、一律に全部不法残留だからだめだよ、オーバーステイなりなんなりだからだめだよということじゃないんじゃないかなという考えでございます。
○小川敏夫君 ありがとうございます。 小寺参考人は先ほどその点を指摘していただきましたが、なお先ほど非常に簡単でしたので、もう少しその点について御意見を賜れればと思います。
○参考人(小寺一矢君) この点につきましては、日弁連としては実際日本におられる不法滞在の人の実態を皆担当しておりますので、その中で具体例を申し上げますと、超過滞在のまま働いていた外国人が工作機械に巻き込まれてけがをしたところ突然解雇された、雇用主に対して損害賠償請求及び解雇予告手当の支払いを求める裁判を起こす、これも外れるわけです、この法案のままでしたら。こういうこと、あるいは超過滞在のまま工場で働いていた外国人が粉じんのために気管支ぜんそくになったが労災認定されないため行政訴訟等を起こす場合、これも外れるわけです。 ですから、こういうのを担当している弁護士の立場からしますと、こういう例については、やはり何といいますか日本の国際的な立場を考えても、そういう労働者を外国から入れて、入れるときは別に不法じゃなかったわけで、そのままオーバーステイになってしまって、それで働いて、こういう場になっていざ救助を必要とするときに適用しないというのは余りにもちょっと日本の国として恥ずかしいのではないかと私は思います。ですから、この点は再考をお願いしたいなというふうに切に思います。
○小川敏夫君 ありがとうございます。 次に話題を変えまして、この法案が成立されました後、実際にどの程度この制度が活用されるか、ここら辺のところを、小寺参考人が弁護士会として実際取り扱う場面が多いと思いますので、その見込みといいますか、そこら辺のところの御感想をお聞かせいただければと思います。
○参考人(小寺一矢君) 当面、昨年度、十一年度は約一万件の対象事件だったわけですから、これを法施行後は二万件、民事法律援助、そっちの方は二万件という形になっていくと思いますが、とにかく弁護士をこの体制に組み込むことが一番急務でございます。弁護士自身の意識を変えてもらうと。法律扶助というのはもう五十年にわたって、結局一年に一件か二件ボランティアとしてやるんだ、この人からは別に報酬も着手金も期待しない、むしろ気の毒だからやりますという何か個人的な感覚で処理されておられたように思います、今まで。 これをむしろ弁護士自身の業務として、仕事として、国民の二割層ですから、ちゃんとした、そのかわりにボランティアじゃなくてしかるべき水準、適切な水準の報酬は出していただく、弁護士費用は、というもとでやっていく必要があるかと思います。
○小川敏夫君 また続けて小寺参考人に御意見をお聞かせいただきたいんですが、やはり法律扶助事件ですと一般事件に比べて少額事件が多いのではないかと思います。そういう中で、今話が出ました弁護士報酬、もうこれ少額事件であれば当然報酬も少額になるわけですが、そうしますとそこのところ、なかなか弁護士として余り気が晴れないのかもというようなことも少し懸念してしまうんですが、そこら辺のところの弁護士の受け入れ体制などはいかがでございましょうか。
○参考人(小寺一矢君) 少額訴訟に対しましては、各弁護士会で最低の手当てをしております。加えて、今の簡裁における少額訴訟、これはまた別でございますけれども、むしろ本人訴訟で解決すべき問題ですから、それを上回る部分の総額百万円以下ぐらいのところですか、その辺のところについては弁護士会自身が手当てもしておりますし、また今度新法が施行されるということになると業務規程の中で少額訴訟に対する手当てをしていくということになりますので、しないということはないと思います。むしろやるべき、やるだろうと思います。
○小川敏夫君 どうも失礼な意見、感想を申し上げまして失礼しました。 次に、償還金の点なんですが、また小寺参考人の方にお尋ねしますが、これまでの法律扶助業務で償還の実績といいますか、そこら辺のところはどうなっていますでしょうか。
○参考人(小寺一矢君) これは各国、扶助をやって、償還制をとっているところもありますけれども、日本は最たる償還率を示しています。約七割、厳しいときには八割償還を受けています。 ですから、これは日本国民の何といいますか律儀さというか、生活保護を受けながら毎月五千円、一万円返しておられるのが実態です。ですから、そういう高率の償還率を誇っているというか、自慢して、ちょっとその辺は言葉を選びますけれども、そういう実態でございます。
○小川敏夫君 その償還に伴う事務ですが、この事務コストといいますか事務量ですか、ここら辺は特に負担ということはないんでしょうか。
○参考人(小寺一矢君) いや、これは大変です。結局扶助で出した人に事務局が何回も督促するわけです、返してくれ返してくれと言って、しまいに内容証明まで出すわけです。こんなことをしていて、しまいに扶助協会の事務局が先ほどの多重債務者の高利貸しみたいになっている雰囲気に陥るんです、職員が。そこまでして返してもらっているというのが現状です。それだから大変なコストです。ちょっと今具体的な数字を持ち合わせませんが。
○小川敏夫君 ありがとうございます。 藤川参考人にお尋ねしますが、多重債務者の問題が取り上げられまして、非常に多くふえているということですが、これはもう私の非常に個人的な感想としてお聞きいただきたいんですが、どうもこの法律扶助制度が多重債務者の問題だけで独占までいかなくても多くを占められてしまうと、少し扶助の制度としてつまらないなと思うんですが、例えば多重債務者の問題は、これはやはり非常に重要な問題ですから、法律扶助よりももっと専門的な特化した救済機関なり措置を設けて、この扶助制度は多重債務者ではない一般の民事事件がいいのかなというふうに私は個人的に感じたんですが、藤川参考人のそのお考えはいかがでしょうか。
○参考人(藤川忠宏君) お答えいたします。 そのとおりだと思います。ここにいただきました法務省の資料の後ろについています扶助件数なんですが、私の記憶で間違いなければ、十年度の一万件のうちたしか六千五百が自己破産のあれでございます。 それで、お話しのように、民事扶助制度というのは使い方によって非常に有益な制度でして、それから先ほども申しましたように、多重債務者の問題というのは法律問題よりもっと幅広い、先ほど申し上げたようにコンサルタントであるとかカウンセリングとか、まさに心理的なカウンセリングも必要でしょうし、それから生活再建のためのさまざまな家計に対する再建も必要です。そういう意味で僕は、これは議員の先生方は誇っていいと思うんですけれども、特定調停法という法律が議員立法でできました。僕はあれは非常に立派なお仕事だったと思うんですよね。初めはゼネコン再建法だといって非常に悪口を言われていましたけれども、大分内容が変わって、それであれをうまく使えば多重債務者だって救えるんですね。 多重債務者の問題というのは、そういう意味でいうと、法律じゃなくて、さまざまな方々が協力する、そしてさまざまな手段を使って解決する。もっと言えば、要するに景気をよくすることもこれもまた多重債務者対策なのでございまして、お話しのように、私はこの自己破産の問題を法律扶助の問題に結びつけて主張してあちらこちらでしゃべってみたり書いたりしていますのは、非常にわかりやすい、多重債務者はトピカルの例ですから。なぜ法律扶助が必要なのという場合、あなたの会社だって今はうまくいっているかもしれないけれどもある日倒産するかもしれない、あなたローンを抱えているでしょう、そのとき払えなくなったらどうするんだと、そういうときにあなただって法律扶助にお世話になるかもしれないよという一つのわかりやすい例として多重債務者を申し上げているので、多重債務者のあれはお話しのとおりです。もっとさまざまな手段があり得るし、それから自己破産だけではなくて債務弁済調停もありましょうし、それから私的な整理も必要でしょうし、ということでございます。 ただ、この社説で書きましたように、総合的な手段、だからトータルプランと書いたんですけれども、が必要なことであることはお話しのとおりだと思います。
○小川敏夫君 ありがとうございます。 終わります。
○魚住裕一郎君 公明党・改革クラブの魚住裕一郎でございます。 まず、山本先生にお願いをしたいんですが、先ほど小寺先生の方から管理運営費、実質的に弁護士会に寄りかかっているというようなお話がございました。フランスでは、先ほど弁護士会の自主的な管理というような言い方があったんですが、この辺の費用負担というのはフランスではどのようになっているんでしょうか。
○参考人(山本和彦君) フランスでは、先ほども申し上げましたとおり、伝統的には国が基本的な運営主体といいますか国が直営しているわけでございまして、裁判所が基本的には運営組織を担っているということでありますので、基本的には全額国庫から負担するという原則で今までやってきたわけであります、運営費についてはですね。 ただ、一九九一年の改正でつくりました法律相談に対する扶助につきましては、なかなかそれだけではフランスもやはり財政難という状況にありますので難しいということで新しい組織をつくりまして、これは一種の第三セクター的な組織でございまして、国ももちろん資金を負担するわけですが、それ以外の弁護士会とかも資金を負担する、あるいは民間団体や地方公共団体も資金を負担するという、そういういろんなところから資金の援助をして新たな組織をつくって、そこが法律相談については管理運営の中心的な組織、中心的な業務を担う、そういうような形になっております。
○魚住裕一郎君 先ほど小寺先生の方から償還に関して取り立て屋みたいな雰囲気になってしまっているみたいなこともございましたけれども、確かに弁護士会が中心になって法律扶助制度を運営してきて、そこに国が今度乗っかって、実際上扶助の費用はちょっと民事に関して出しますよというような制度であって、フランスの今お話しいただいたように、いろんなところから、国からも負担を出しながらやっていますが、まだ日本のはあくまでも管理運営費まで出しませんよということなので、ちょっとその点についてお聞きをさせていただきました。 それで、先ほど外部的経済効果、もうちょっと詳しくお教えいただけますか。今後、ことしは二十一億ですか、なっていきますけれども、もっともっとこれはいっぱい用意しないと間に合わないんではないかなというふうに思っておりまして、その点、もう少し説明をお願いいたします。
○参考人(山本和彦君) 私が先ほど外部経済効果というような言葉を用いましたのは、裁判所が裁判をすると、それが判例になり、そしてそれがその社会のルールになっていく。もちろん基本的には法律というものがあるわけですが、その解釈、適用については常にやはりあいまいな部分が残るわけですが、それを裁判所の判決によって明確化していく。それによって社会にルールができて、取引を行うについてもそのコストが軽減されていく、そして新たな紛争が発生する率が少なくなっていく、そして紛争が発生してもその解決に一定の既存のルールがあるとすればそれにのっとって解決が行われることによって紛争解決コストを減らすことができる。 そういう意味で、裁判所が一つの判決を出す、判例を出すということは取引紛争発生、紛争解決のあらゆる局面において社会的なコストを軽減する意味があるわけでありまして、その判決はその一つの事件だけではなくて他の事件、他の場合についても波及的な効果をもたらすという意味で外部的な経済効果を有している。そういう意味で公益性があるということで、公的資金を投入する根拠になるのではないか、そういう意味で申し上げたわけであります。
○魚住裕一郎君 次に、小寺先生、レジュメの中では対象層の拡大ということが二ページ目の下の方に出ておりまして、国民四割層、この法案では二割層ということでございますが、やはり四割の方がもちろん制度として充実するであろうと思いますが、この四割層に拡大する必要性というものはどのように考えたらいいんでしょうか。
○参考人(小寺一矢君) まず、二割層の方々は貧困ということが直接の理由になると思うんですね。それから、その上の層というのは、直接貧困とまでは言えなくても、一時的に弁護士費用を立てかえることが困難な方という層があると思うんです。 その層もやはり、例えばおうちを持っておられて、不動産は持っておられて、資産はあるけれども動かせるお金は少ないというような場合に、いや家まで売って持ってきなさい、やりなさいというわけにはいかぬと思うんですね。ですから、その辺の層のところも対象にして、そして一時そのところは立てかえて償還してもらうということ、その辺が一部負担金制も導入したらいいんじゃないかということなんです。 ですから、層の拡大と一部負担金の導入というのは絡んでくると思うんです。
○魚住裕一郎君 私も、ことしの一月に島根県にこの委員会として行きまして、弁護士会の先生にもお会いさせていただいたんですけれども、戦後五十年ぐらい、島根県弁護士会、人数が変わらないといいますか、弁護士はどんどんふえていっても、大体二十二、三名とか、その数でそのまま推移しているということがありまして、司法制度改革をやって弁護士、司法試験合格者をどんどんふやしても島根県だけはふえないというそういうような言い方をし、また司法書士会の先生もそんなふうな形でおっしゃっておりました。 そんな中での公設事務所というようなことで日弁連の努力というものを私も一会員として高く評価をするところでございますけれども、やはりその点の解消は、再度同じような質問になってしまうんですけれども、祈るばかりが対策といいますか、その点先ほど御答弁でございましたが、もう少し何か打開策がないんでしょうか。
○参考人(小寺一矢君) 過疎地対策につきましては、先ほども申し上げましたけれども、先生方も御負担いただいている特別会費ですね、それで五年間で十億の資金をつくって、そして弁護士が戻って定着の援助とか法律相談センターの設置とか、公設事務所も当面過疎地に一番必要だろうと思うんですね。その辺はかなり真剣に取り組んでいるところなんですけれども、一万七千人という有限の人的資源の中でどうしていくのか、これは悩ましい問題だろうと思います、率直に申し上げて。
○魚住裕一郎君 藤川先生にお聞きしたいんですけれども、藤川先生のお話の中で、この法律扶助制度が国選弁護制度の二の舞にならないようにというある意味ではショックな表現がございましたが、私どもも含めて大成功できるようにしていきたいというふうに考えておりますが、このレジュメの中で「相談業務での弁護士事務独占の解除も」というようなことが書かれております。 先ほど質問でございましたけれども、やはり弁護士倫理というようなことも弁護士会ではかなり声高に教育あるいは研修をしているところでございまして、単に独占を取っ払って、町の司法書士さんとか、もちろん職業倫理として立派な先生方が多いと思いますけれども、その倫理の部分についても含めて、この独占解除というものをどのようにお考えになっておられるでしょうか。
○参考人(藤川忠宏君) お答えいたします。 多分そこについて弁護士御出身の委員の方々から御批判が出るだろうなとは覚悟しておりましたけれども、私はこう考えるんです。 今、現実に困っている方がおられる。今、島根のお話をされました。私も浜田へ行って法律相談センターを見て、それから浜田の司法書士会の支部長さんに会っていろいろ話を聞きました。向こうにああいうのができたけれども、今司法書士は書類作成のための必要な相談はやっています、減りましたかと。それは余り影響ないよという話をされておられました。 弁護士の先生はよく言われます。例えば、双方代理をやっている司法書士というのとそれから双方代理を禁止されている弁護士とはそもそも発想法が違うんだというようなことを言われます。それはあるかもしれないけれども、私は、先ほど言いましたように、困った人がいる、じゃ、あなた方はそれに対してどうやっているんだと。 確かに今度、対馬に公設弁護士事務所の第一号ができます。よく頑張っておられるとは思いますけれども、例えば臨司答申、報告書ができました昭和三十九年から現在まで、当時弁護士は七千人いました、今一万七千人です。一万人ふえて、ところが東京、大阪、それから名古屋の弁護士の比率と地方の弁護士は変わっていないんです。ふえたから地方に行くかというと、ふえない、そうじゃない。 とするなら、今の司法書士をそのままとは言いません、それはお話しのように倫理教育なりそれからしかるべき相談についての指導、指導と言ってはおかしいですね、研修を受けた上で、ある程度そういう者も入れていかざるを得ないと僕は思います。 イギリスに行って、法律が違うといったらそうかもしれないけれども、イギリスはボランティアによる法律相談というのをやっているわけですね。そのかわり研修を受けさせて、それに基づいてボランティアによる法律相談を行わせているということです。 七十二条というのは、余りにも非弁活動あるいは事務独占という形でかたくやり過ぎているんじゃないかなという僕は気がするんです。これは札幌地裁の有名な判決ですけれども、国民が弁護士から得ているもの以上のものを弁護士に与え過ぎているんじゃないかという判決がありますけれども、まさにそのとおりだと思うんです。 私は、国民の立場からいえば、事務独占をやるんだったら、そのかわり供給義務はありますよと。例えば電気にしてもそうですし、水道もそうです。地域に供給独占しています。そのかわり、供給範囲については供給義務があります。供給義務を果たさないで事務独占だけするというのは僕はおかしいと思うんですね。 そういう意味において、できないんだったらその次の手段を考えざるを得ない。そのために研修をして、倫理研修、実務研修をして、その人たちに法律事務をやらせるというしかしようがないでしょうという考えでございます。
○魚住裕一郎君 私も司法書士会の方と話したことがございますけれども、書士会として会員のメンバーの研修とか倫理の面についてかなり一生懸命取り組んでおられるようでございまして、ちょっと困ったときにいろんな相談に乗ってくれる方が身近にいないと実質的に法的サービスへアクセスできないということを考えると、確かに先生おっしゃるようなこういう方向性も真剣に考えていく必要があるんだろうなというふうに今思うところでございます。 終わります。
○橋本敦君 参考人の皆さん、きょうはありがとうございました。小寺先生、わざわざ大阪からお越しいただいて、大変ありがとうございました。 最初に小寺先生にお伺いしたいんですが、先ほどのお話で、民事法律扶助はこれで一応前進したわけですが、刑事被疑者弁護の問題、それから少年付添援助の問題、日弁連としてはこれも含めてトータルに法律扶助という制度を前進させたいという御意向が強かったと思うんですね。それがいろんな経過の中で、先ほど苦渋の選択というお話もありましたが、後の課題で残された。 先ほど先生のお話を伺いますと、当番弁護士制度にしても、法律扶助協会もそうですが、各地の弁護士の犠牲的な負担も大変なものですから、ほとんど限界に近い状態だ、だから早急にこれは国の方で前向きの施策をとってほしいという御意見のように伺いましたけれども、実態としてかなりの事件がふえているのか、財政的にほとんど限界状態だというのは具体的にはどういう状態になっているのか。そこらあたり、この緊急の必要性についてもう少しわかりやすくお話しいただけたらと思いますが、いかがでしょうか。
○参考人(小寺一矢君) まず対象事件ですが、扶助として扱っております中で一番多いのがやはり近年は消費者破産、これは一万件のうち四千九百七十八件、五〇%近くを占めているわけです。それから、ずっと多いのは、ずっと多いといいますか一定の割合でずっと占めているのは離婚事件。これはもう世界どことも共通、先ほど藤川先生がおっしゃっておられるイギリスもこれでスタートしたというぐらいですから、これは普遍的に一定の割合を占めるでしょう。ある時期には交通事故が四十年代激増したことがありました。 ですから、今の消費者破産申し立てというのは、先ほどおっしゃっておられますように、協会としては、年度が四月に始まって、大阪なんかではもう十月か十一月にパンク、それ以降来られた方はもうあきませんと、こんなことを言わなあかん立場の弁護士はつらいですね。これはやっぱり不公平ですしね。 といって、何でそんな勝手に借りてあかんようになった人に公的な金出して援助するねんと、こう言われますけれども、今対象者にしているのは生保受給者に限定しているわけですよ、生活保護受給者に。生活保護受給者にあんな高利の金貸しているというのがどだい私には理解できへんのですけれども、次々貸し続けて破産者に追い込んで、破産の予備軍といったら百五十万人ぐらい国民の中におられるというふうにも聞きます。これが少なくなるということはあり得ないわけですよね。ですからこれは何とか、今は扶助でやるしかないのでやっていますが、大変なことだろうと思います。
○橋本敦君 それで、扶助の要件として勝訴の見込みがあるときということが言われているわけですね。この法律では、法律条文に決めているわけじゃなくて業務規程に置くと、こういうんですが、研究会では、勝訴の見込みがあるときというんじゃなくて、勝訴の見込みがないとはいえないときという一定のモデレートな、緩和的な意見があるわけですね。 この勝訴の見込みがあるというのは一定の合理性があるように思いますけれども、厳格にこれで締めていきますと、もうこれで救済の対象、扶助の対象から切っていく手段に使われかねないという不信感が出るおそれがあるんですよね。特に我が国では、行政訴訟の勝訴率は国民の側は大変低いというのは一般的判例で言われているところですから、そういう意味じゃ、行政訴訟あるいは公害訴訟なんかでは、勝訴の見込みがあるということでないと扶助しない、こうなりますと、これは扶助対象として裁判を受ける権利のかえって侵害になりゃせぬかという心配があるんです。 ここらあたり、日弁連としては今までの経験からどうお考えになっていらっしゃいますか。
○参考人(小寺一矢君) 橋本先生御指摘のとおりでして、従前の交付要領では「見込があること。」と積極要件になっていたわけですが、「ないとはいえない」というふうに変えたところはまさにそこだろうと思います。 それで、厳格に言いますとそこで本当に縛りがかかりますし、訴えを起こしても和解もあるわけですから、和解の見込みのあるような事件はこれは勝訴と考えるというようなことで、少し要件を緩和したということでございます。
○橋本敦君 それから、実際実務で我々経験するんですが、一審、二審で敗訴しても最高裁で勝訴するというような労働事件なんかもありますし、勝訴の見込みというのはなかなかそう簡単に言えない問題がありますので、この点で絞りに絞ってしまうというのは問題だということで申し上げたわけです。 それからもう一つは、今度は指定法人の運営の問題なんですけれども、現在、日弁連が大変御苦労なさって事実上、法律扶助協会の運営を支えていらっしゃるわけですが、これからこの指定法人の管理運営費がどうなるかということで、随分と私はやっぱり大きな問題が残ると思うんですね。 そこらあたりについて、日弁連としては、協会自体の、指定法人自体の管理運営は財政的にどう裏づけるのがいいとお考えなのか、そこらあたりのお考えはありますか。国の予算だけで足りるのかどうかという心配があるものですから聞くんですけれども。
○参考人(小寺一矢君) 管理運営に関しては、弁護士会もその費用負担については応分の負担をしていくという覚悟はしております。協会も自主的にもちろん努力されますでしょうし、弁護士会もこの点については、今までもやってきましたし、今後も同じ努力は続けていく覚悟でございます。
○橋本敦君 それも弁護士会としては大変な犠牲的な負担だというように思うんですが、この協会の管理運営について、先ほど藤川参考人の方から運営の自主性ということが大事ではないかと。そういう意味では、運営の公正さ、透明さというのは、法できちっと縛る以上に大事なのは情報公開、国民による監督ではないかという御意見がございました。私も大変大事な御意見だなというように伺ったんですが、この点、藤川参考人の方からもう少し、こういうことがなぜ必要なのか、具体的にどうすればそういう仕組みができるか、お考えがございましたらお伺いできますか。
○参考人(藤川忠宏君) お答えいたします。 実は、私、政府の特殊法人情報公開検討委員会のメンバーになっていまして、この特殊法人の情報公開問題を今一生懸命検討しているところなんですけれども、この間中間報告が出まして、それでこれから指定法人をどうしようという問題に入っているんですけれども、そこでやっぱり議論になっていましたのは、例えばNHKであるとか日銀であるとかそういう問題にしても、政府の介入は好ましくない、しかしそれでは日銀が勝手なこと、勝手と言っては失礼ですけれども、要するにノーチェックでもいいのか。あるいはNHKについても、どんどん肥大化している、しかし、じゃ政府、具体的に言いますと郵政省を通じての監督でいいのか。そうではなくて、もっと国民が直接監督するというシステムを考えていいのではないか。例えば、NHKの場合には放送法なりなんなりということでございます。 だから、場合によっては、これは弁護士会は嫌がるかもしれないけれども、法律扶助法の中にそういうような情報公開の制度をビルトインすることだって可能だと思うんですよね。個別法の中に情報公開の規定を盛り込む。 情報公開というのは二通りあると思うんですけれども、一つはディスクロージャーというより情報提供。機関、法人側がみずから進んで情報提供するというディスクロージャーの面と、それからいわゆる情報公開と言われています、情報開示請求権に基づいて個別情報を出す。両面あると思うんですけれども、その両面で整備することによって、あるいはもしも法律でやるのが無理だとしたら、自主的な機関として、核燃料サイクルが、実は御存じのように動燃から衣がえしたんですけれども、そのときに、自己の内部の組織としてそういうものをつくったんですね、仕組みとして。情報開示請求について、情報をみずからの義務として課す、それで情報提供をするということをつくっています。 ですから、ディスクロージャーをしっかりやることと、それから場合によっては自分のところの自主的な組織として、開示請求があったらこたえましょうというものだってできると思うんです。そのかわり、これほどがちがちにやらなくても僕はいいんじゃないか、もっと思い切って自主性を尊重させた方がいいんではないかという気がいたします。
○橋本敦君 小寺先生にもう一つお伺いしたいんですが、御意見の中で、二割層以下は原則給付として、そして四割まで扶助の対象を広げるということで、そういう実情に応じて、経済的利益が得られた場合等も勘案しながら、原則的には給付とそれから償還をうまく組み合わせるのが合理的じゃないかという御意見がございましたが、その場合、合理的にそれを組み合わせるというのは、もう二割以下は原則給付にする、こういう御意見とお伺いしてよろしいのですか。それとも、四割の場合、扶助を広げても給付ということで償還免除をするということもあり得るということも、それは一部償還という手続でやれるということなのか。そこをもう少し御説明いただけますか。
○参考人(小寺一矢君) 四割層に広げても原則は給付、ただしそこのところは、当然経済的利益が得られた場合には返してもらうと。 これは表裏になるんですね。結局同じことなんですけれども、最初から、扶助を決定しましょう、お金を出しますよ、返してもらいますよというのと、お金はこういうことで立てかえましょう、ただしあなたが経済的利益が得られた場合には返してくださいよというのと大分違うと思うんですね。そこのところは、現場でやっている人間は、後で返してくださいよ、返すものですよと言うと逃げはるんですね。そんなやったらもう邪魔くさい、要りませんわと言われるのが実際なので、それで結局消えてしまうと、その事件が。 そういうことなので、できれば原則給付、それで例外償還という制度が一番望ましいんじゃないかと思っています。
○橋本敦君 最後に山本先生にお伺いしますが、今の問題、フランスの実情は給付制と償還制がどうなっているかということとの関係で、先生の御意見でも、将来の展望としてはやっぱり給付制ということも含めて検討すべきだという御意見がございましたが、そこらあたり、今のお話との関係ではどうお考えでしょうか。
○参考人(山本和彦君) フランスにつきましては、やはり基本的には給付制をとっております。ただ、小寺参考人も述べられましたように、フランスは五割層まで対象にしておりますけれども、上の方の層につきましては一部給付といいますか、必要な弁護士費用の一部について国から給付を受けて、あとはその人と弁護士さんとの契約で、残りの部分はその人が弁護士さんに直接支払う、そういうようなシステムになっております。 ただ、先ほども申し上げましたように、やはりフランスでも弁護士費用については基本的には敗訴者負担の方向がとられておりまして、多くの事件では敗訴者に弁護士費用を負担させるということになっております。ですから、扶助を受けた人が勝った場合には、国は敗訴した人から扶助した分を取り立てるというシステムになっておりまして、日本でも将来的にもしそういう敗訴者に負担させるということになれば、私はやはり給付制を原則としながら、小寺参考人が今おっしゃったような一部負担金を伴う給付制というものに転換していく余地というのは十分にあるのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○橋本敦君 ありがとうございました。終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。きょうはどうもありがとうございます。 まず、小寺参考人にお聞きいたします。 なぜこれが民事にのみ絞られたのか。先ほど、弁護士会の中でも長いこと大変議論があったというふうにおっしゃいましたけれども、民事扶助の法律というのは、なぜ刑事あるいは少年保護事件が落ちてしまったんだろうと私も強く思うんですが、なぜこういうふうに絞られてしまったんですか。
○参考人(小寺一矢君) なぜと言われますと、先ほど経過を述べましたように、まず法務省の法律扶助制度研究会、そこで入り口のところで、長年民事については勉強会も検討会もやってきた、そしてそれについてはもう共通の認識、コンセンサスができていると。一方、刑事につきましては平成二年からスタートした制度で、まだその段階では法務省あるいは弁護士会との間に共通のコンセンサスはないという御意見だったわけです、法務省の方の。 それで、我々は、いやもう形成されつつある、実態は進んでいるんだということを再三申し上げたんですけれども、片方は共通の認識ができていない、こっちはできている、こういう立場の違いで、結局研究会に、目的に入らなかったと。出口でまた入れてもらえるのかなというふうな淡い期待も持っていたわけですが、それもだめだったということで、とりあえずはこうなりますといって、刑事、少年が入らないから民事も後回しで一緒にできるときまで待ちましょうという一つの選択肢もあったわけですが、それは余りにも現実的ではないだろうということで、今回の民事につきましてやっていただくには、これは我々としても協力する、こうなったわけです。
○福島瑞穂君 どうもありがとうございます。 というのは、法務省になぜ民事にのみ絞られたのかと聞いても、いや少年法の検察官関与のときに弁護士がつくからとか司法制度改革で議論していただくというふうになるんだけれども、経緯からいいますと、冒頭から民事にのみなぜ絞られたのかというのは私もやっぱり疑問。法務省、検察庁と弁護士会は刑事では相対立する、特に検察庁は当事者なので刑事が落ちたのかななんてひがんで思ったりもするんですが、どうなんですか。
○参考人(小寺一矢君) 別に対立しているからということでもなかったと思いますよ。 当番弁護士制度及び刑事被疑者弁護援助を協会が平成二年から始めたわけですけれども、協会が果たしてひとりでやり得る事業なのかということは弁護士会内でも議論がありました。これ、一たん取り組んだらエンドレスになりますから、十何万件の逮捕者、勾留者に弁護士が全部つき切れるのかという不安もあったわけですから、その辺も踏まえて、とにかくほっておくわけにいかないんでやったということですからね。
○福島瑞穂君 やはりちょっと小寺参考人にお聞きします。 十一条は、「国は、予算の範囲内において、」「民事法律扶助事業に要する費用の一部を補助する」とあるわけで、法律上は一部と書いてあるわけですよね。全額というのは難しいかもしれませんが、運営費などは恐らく従前どおり、先ほどおっしゃったように弁護士会の負担なわけですから、この一部を補助するという点についてはどういう議論があったんでしょうか。
○参考人(小寺一矢君) 本当は全部と書いてほしかったんですけれども、経緯からいって弁護士会も人的、物的にそれこそ一部を負担する、ただし限度はありますということを申し上げていたわけです。法案になりますと国が一部となったんで、我々としてはちょっとつらいなというのが率直なところです。
○福島瑞穂君 指定法人を全国に一つを限るというふうに法文上なっておりますが、この点については藤川参考人はどうお考えでしょうか。
○参考人(藤川忠宏君) お答えいたします。 私も非常にこれ奇異だなという感じがしまして、たまたま手元にありましたものですから民間都市開発推進機構ですか、民都機構に関する法律と、それから中部国際空港に関する法律、いずれも指定法人です。中部国際では指定会社という株式会社を指定するんですけれども、それについて調べたんですが、一に限ってというのは極めて認可法人的な決め方です。 御存じのように、講学上、数を制限して設立を認可するというのが認可法人の定義となっておりますけれども、だから非常に珍しいあれだなと思ったんですが、ただ、いろいろ話を聞いてみますと、全国一律に同じようなサービスをするためには、西日本法律扶助協会、東日本法律扶助協会というのができてもおかしかろう、だったら一に限ってということでも実質的に指定法人の形をとっていればいいのではないかと思いまして、まあこれでもよかろうと私は思っております。
○福島瑞穂君 では藤川参考人にまたお聞きします。 これは中小の法人を対象とできるかという議論がありますけれども、その点についてはなぜ認められなかったんでしょうか。
○参考人(藤川忠宏君) お答えいたします。 経過については私はよく承知しておりません。それから、扶助研といいます扶助研究会の報告書を読んでもそれについては何にも書いてありません。ただ、自民党のつくりましたこのグランドデザイン、これを拝読いたしますと、非常におもしろいユニークな考えだと思うんですけれども、対象に法人も入れてもいいじゃないかと入っています。中間所得層と法人も入れてもいいではないかと。ただ、そうなってくると趣旨がちょっと違ってくるのではないかなと。 というのは、メディケアと、こだわるようですけれども初め申し上げました。そういう意味で、セーフティーネットとしてのメディケアをつくるという意味でいうと、法人にメディケアというのはあるのかなと。もっとも、それは違うので、もともと法人には心もなければ魂もないということだからそれは関係ないのかもしれないけれども、法人は法人でそれなりの資金調達の方法があり得るだろうと思うんです。だから、法人を入れて込んでくるとちょっと制度の趣旨が違ってくる。ただ、中間所得層を入れてくるというのは、それは応能負担制度を入れて込んでくればそんなにおかしくはないなという気がいたします。
○福島瑞穂君 扶助協会にお世話になってきたので、法律を見ると、いい制度だと思う反面ちょっと不可思議な感じがする面も正直に言ってありまして、先ほど藤川参考人がおっしゃったように、役員の選任及び解任は法務大臣の認可を受けなければ効力を生じないとなっていることなどは今後どうなっていくのだろうというふうにも思っています。 先ほど橋本さんもおっしゃいましたけれども、国の監督権限行使はなるべく控え目にした方がいいだろうというふうにおっしゃいましたけれども、その点についてもう少しどうお考えなのかということをお願いします。 衆議院の法務委員会では、おもしろいといったら怒られますが、枝野さんだったと思うんですが、天下りが法務省からないようになんということを質問の中でおっしゃっていたりしたんですけれども、その点についていかがお考えでしょうか。
○参考人(藤川忠宏君) お答えいたします。 御指摘のとおりだと思います。特殊法人、認可法人をずっと調べて取材していまして一番感じるのは何かというと、各省庁ごとに次々と認可法人、特殊法人、指定法人をつくりまして、そこに人をどんどん出していくというのが要するに特殊法人問題の本質だと思います。まさか法務省はそんなことはしないと思いますけれども、認可法人などにした場合には、当然そこに対しての天下りということが考えられます。 ですから、民間活力を本当の意味で利用するということを考えますと、やっぱり従来どおり天下りというものは排除して民間の方が中心になってやっていくということが必要ではないかと思います。
○福島瑞穂君 日弁連は、こういう法律ができた後に法務省からの天下りはないかとか、監督権限との関係でどうなるかとか、そういう議論はどういうふうにあったのでしょうか。
○参考人(小寺一矢君) 日弁連として具体的にそういう検討はしておりませんけれども、日弁連が一番気にしていますのは、法務大臣の認可という中に、監督の中に、扶助に基づいて行う現実の弁護士活動、これに対する個別具体的な監督といいますか口出しがあるんじゃないかという不安は持っていたわけですが、これは一切ないと。五十年にわたって扶助をやってきて、扶助の事件の中身について運営主体から文句を言われた例はありませんから、そういうことはないだろうと。 今言っておられる役員の選任、解任というのは、これは扶助協会がもう既に役員の数を二十五人に減らされまして、しかもそのうち半分は弁護士以外の人を選任されておられますので、そこでおのずと自主的にお決めになることだろうと思いますので、弁護士会があれこれちょっと言える問題じゃないんじゃないかと思っています。
○福島瑞穂君 山本参考人にお聞きいたします。 先ほど、フランスは五割層を念頭に置いていらっしゃるということで、この法案は日本ですと二割層、生活保護受給者を主に念頭に置いているということで、先ほどから給付か償還かという話の中であるんですが、二割でなく、やはりもう少し日本も拡大すべきであるというふうに思うんですが、その点についてお話しください。
○参考人(山本和彦君) フランスでは、先ほどお話ししましたように、九一年の改正で五割層に拡大したわけであります。ただ、実際に現地に行って調べたところでは、実際に制度を利用しているのはやはり下の方の層で、上の方の層、つまり先ほどの一部の扶助という形が適用されているのは数としては、比率としては少ないということがあろうかと思います。 それから、日本とフランスで事情がかなり違うと思いますのは、所得の格差がやはりフランスは日本に比べるとかなり大きいのではないか。だから、同じ五割層というふうに申しましても、日本でいうところの中間層みたいなところが数として少なくて、かなりの数の低所得者層と一部の富裕な層という、かなり日本に比べてそういう所得の分散がありますものですから、そこは同じ五割層といっても、日本と比べてもかなりその所得は実際低いというところがあるかと思います。 ただ、将来的なことを考えますと、日本でもこの制度の立ち上げといいますか、最初の法制化の段階では二割というところから出発しても、徐々に国民的な理解等を得ていく、あるいは先ほどの弁護士費用の負担の問題もありますが、そういうような総合的な制度を考慮していく中で負担層を拡大していくということを検討していくのは、これはぜひとも必要なことではないかというふうに思っております。
○福島瑞穂君 どうもありがとうございました。 お三方、どうもありがとうございました。
○中村敦夫君 三人の先生方に同じ質問をさせていただきます。 今回の法律の骨子とは余り大きく関係しない質問ですが、もちろんこの裁判や司法手続の費用を立てかえるという大変前進した法律ができることはそれでよいし、充実したものにしていただきたいと思うんですけれども、日本の社会の現状を見ますと、やっぱり司法と国民というのは先進国の中でも著しく離れている、非常に疎遠だという関係がありますね。 ですから、司法改革もこれから進むわけですから、最もその窓口となる場面、これは私は法律の無料相談だと思うんです。ここの入り口を非常に国民にとって利便的なものにしないと、なかなかいろんな制度ができても窓口で進まないんじゃないかなと。実際その部分も今回入っていますし、今までも努力されてきた、そういう機関もあるということは承知しています。それから私の知り合いの弁護士たちも、非常にボランティア的な形で何人か組んでいろんな形で努力しているんですが、どうしても時間と経費をやっぱり負担しなきゃならないということになって、長続きもしないし、広がりも見せないで苦闘しているという状況があるんです。 無料法律相談という形で、山本先生には、例えばフランスを初めとする欧米のシステムというものが何か特殊なものがあるのかどうか、お考えがありましたら教えていただきたいし、また小寺先生、藤川先生には、実際これを実のあるものにするには具体的にどういう形にしたらいいのかなという、そういう何か提案というものがありますでしょうか。 私自身は、やはりこれは国で負担して、弁護士に保障して、それをやってもボランティアにならないような何か方法がないのかなというふうに考えておるんです。
○参考人(山本和彦君) フランスにつきましては、先ほども若干触れましたけれども、一九九一年の改正で法律相談につきましても法律扶助の対象にするということにしまして、したがいまして、依頼者の側から見れば無料で法律相談を受けられる、それで弁護士の方には国から相談についての報酬が支払われるというシステムを構築しようとしているわけであります。 フランスでも、やはり委員がおっしゃるとおり、法律相談を無料にする、それが国民の法へのアクセスというか、やはり社会に発生する問題を法律によって解決する、解決していくんだという方向、社会をそういう方向にしていこうという一つのきっかけであるという点が非常に重視されているわけでありまして、私は、日本の今回の法律扶助法案も、そういう法律相談担当弁護士というものを設けて、それが全国に、先ほど来小寺参考人等から過疎地の問題が出ていますけれども、全国にアクセスポイントがつくられていくというのは、今おっしゃる国民と司法とをできるだけ近づけるという意味では非常に重要な、大きな一歩なのではないかという認識を持っています。
○中村敦夫君 フォローする質問ですが、この法律でそれが十分かどうかという感じなんですね。私は疑いを持っているんですけれども、どうでしょうか。
○参考人(山本和彦君) 実際にどのように運用がなされていくかということは私は一書斎の人間ですのでなかなかわからないところでありますけれども、ある程度やはりやってみないとわからないところがあるのではないかというふうに思います。もちろんこの法律を施行してみて、必ずしも十分ではないということが明らかになったときには、さらにもう一段の何らかの措置をとっていくということは必要であろうというふうには思っております。
○参考人(小寺一矢君) 先生御指摘のとおり、今まで弁護士は、敷居が高いとか、あるいは紹介のない人の事件はやらないとか、あるいは一見の客はしないとかいうことをもって一流弁護士のあかしみたいなことを言っている人が結構多かったんですが、この辺のところは恐らくは変わるだろう、変わらざるを得ないということで、そのアクセスポイントとして相談登録弁護士を登録していただくわけですから、それに当たって我々としてはマークをつくろうと言っています。 この間出ていたのはレインボーマークみたいなマークですけれども、にじをかけようか、にじをかける橋か知りませんけれども、そういうのを事務所に表示して、要はそういうマークのある弁護士さんはむしろ世間から信頼されますよ、この弁護士さんは一応認知、認知と言ったら失礼だけれども、認められた弁護士さんですと。マークをしていないところは逆にちょっとまゆつばと違うかというぐらいの意識を持ってもらうように持っていこうとしています。これが六千カ所できればかなり違った状況になってくるんじゃなかろうか。 相談窓口は協会の方としては業務規程で三十分五千円ということにもう今なって登録を進めています。もちろん相談に来られる方は無料です。そういうシステムはもう準備しております。
○参考人(藤川忠宏君) お答えいたします。 そこに司法制度改革審議会の論点整理の文章を引用しましたように、国民の生活上の医師というような考え方からいいますと、やはり身近にそういう相談ができる対象がいるというのは非常に重要なことだと思います。 そういう意味で、今までお話しのように、司法と国民の距離がなぜあったか。本来ならそこに媒介になる法曹というのが市民の生活の中にたくさんいて、身近にいつでも相談に乗れるという体制がなかった。そういう法曹がどちらを向いているかといったら、いつも裁判所の方に向いていて国民の方へ向いていなかった。そこに問題があったと思うんです。そういう意味においては、今まさに司法改革でそういうことを変えようとしているということで、僕は非常にいいことだと思うんです。 ただ、無料相談について僕は若干意見が違います。三十分五千円にしろ何にしろ、そういうものに金を払って、無料というのは僕は基本的に物事、経済の仕組み、資源配分を不自然な形にする、不健全な形にすると思うんです。ただ、無料にしなければならないような理由が存在する、先ほどメディケアのお話をしましたけれども、金がなくてお医者さんにかかれないというような人にメディケアがあるように、金がなくて弁護士に相談できないという人は無料にすべきである。じゃ、一律に全部金のある人まで無料なのかというと、そうではないという気がいたします。 ですから、三十分五千円というのは僕は基本的にはそれでいいと思うんです。ただ、そういうような、だからここに書いてある、先ほど言いましたこの二条の柱書きはちょっと僕はきついなという感じはします、この読み方だと思いますけれども。そういうような無料にする必要のある人については無料にすべきだけれども、すべての人について無料というのは僕は若干おかしいんじゃないかなという気がいたします。
○中村敦夫君 終わります。
○委員長(風間昶君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用のところ大変貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本当にありがとうございました。 本日の審査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時十三分散会