国民福祉委員会 第13号
- 発言数
- 164 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2000/03/30
会議録
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る二十一日、斉藤滋宣君、森下博之君及び中島啓雄君が委員を辞任され、その補欠として水島裕君、中原爽君及び尾辻秀久君が選任されました。 また、昨二十九日、柳田稔君が委員を辞任され、その補欠として直嶋正行君が選任されました。 ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に山本保君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣外政審議室内閣審議官須田明夫君、外務省条約局長谷内正太郎君、厚生省保健医療局長篠崎英夫君及び厚生省社会・援護局長炭谷茂君を、また平成十二年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会に厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省年金局長矢野朝水君及び社会保険庁運営部長小島比登志君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案及び栄養士法の一部を改正する法律案を議題といたします。 提出者衆議院厚生委員長江口一雄君から順次趣旨説明を聴取いたします。江口一雄君。
○衆議院議員(江口一雄君) ただいま議題となりました二法案について、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。 まず、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。 本案は、環境衛生関係営業を取り巻く状況にかんがみ、営業者の自主的、主体的な取り組みを支援する体制の整備等を図ろうとするもので、その主な内容は次のとおりであります。 第一に、法律の題名及び目的規定に環境衛生関係営業の振興を加えること。 第二に、環境衛生同業組合等の事業に、組合員の営業に係る地域社会の福祉の増進に関する事業の実施に資する事業を加えること。 第三に、厚生大臣は、利用者または消費者の選択の利便の増進に資するため、標準営業約款に関する情報を提供するよう努めるものとすること。 第四に、国及び地方公共団体は、環境衛生同業組合等に対して必要な助成その他の援助を行うよう努めなければならないものとすること。 第五に、「環境衛生」を「生活衛生」に改めること。 なお、この法律は、公布の日から一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行すること。ただし、環境衛生同業組合等の名称の変更等については平成十三年一月六日から施行することであります。 次に、栄養士法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。 本案は、生活習慣病の予防が国民の健康面における大きな課題となっており、これら疾病の発症と進行を防ぐには食生活の改善が重要であることにかんがみ、管理栄養士制度の見直し等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。 第一に、管理栄養士を傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導等を行う者として位置づけること。 また、管理栄養士が傷病者に対する療養のため必要な栄養の指導を行うに当たっては、主治の医師の指導を受けること。 第二に、管理栄養士の資格を登録制から免許制にすること。 第三に、管理栄養士国家試験の受験資格を見直し、管理栄養士として必要な知識及び技能の一層の高度化を図ること。 その他所要の改正を行うこと。 なお、この法律は、平成十四年四月一日から施行することであります。 以上が二法案の提案理由及び内容であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(狩野安君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。──別に御発言もないようですから、これより両案の討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより順次両案の採決に入ります。 まず、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(狩野安君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、栄養士法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(狩野安君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案及び平成十二年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案を議題といたします。 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。丹羽厚生大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況に配慮し、年金の支給を初め各種の援護措置を講じ、福祉の増進に努めてきたところであります。 平成十二年度においても、年金等の支給額を引き上げることにより、戦傷病者、戦没者遺族等に対する援護の一層の充実を図ろうとするものであり、その改正の内容は、障害年金、遺族年金等の額を、恩給の額の引き上げに準じて引き上げるものであります。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。 次に、平成十二年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 公的年金制度及び各種手当制度等につきましては、国民年金法等の定めるところにより、毎年の消費者物価指数の変動に応じた物価スライドを実施することとなっております。 平成十一年の年平均の全国消費者物価指数が平成十年に比べ〇・三%の下落となったことから、国民年金法等の規定に基づくと、平成十二年度においてはこれに応じた減額改定を行うこととなりますが、現下の社会経済情勢にかんがみ、平成十二年度における特例措置として、公的年金及び各種手当等の額を平成十一年度と同額に据え置くこととし、この法律案を提出した次第であります。 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。 平成十二年度において特例として、国民年金、厚生年金、児童扶養手当等について、物価スライドによる年金の額等の改定の措置を講じないこととしております。 なお、この法律の施行期日は、平成十二年四月一日としております。 以上がこの法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(狩野安君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 これより戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案の質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐藤泰介君 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に関連して質問をさせていただきます。 民主党の佐藤泰介です。 援護法に関する資料を見ておりましたら、昭和五十三年の障害年金、遺族年金、遺族給与金の受給者数は十三万七千九百十八人でしたが、平成十一年十二月末には四万四千三百九十二人と実に九万三千五百二十六人の方々が亡くなられているとのことです。戦後の五十年余の時の流れを感ぜずにはおられませんが、この援護法がさきの戦争が多くの家族の生活や未来を打ち砕いた国家の責任の重さを証明しているようにも思います。 この援護法は何のためにあるのか、そんなような思いを冒頭述べさせていただきましたが、大臣、このことについてどのようにお考えになるか、まずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員御指摘のように、援護年金の受給者は、制度創設当初は三十六万人前後でございましたが、現在平成十年度末でございますが、四万七千人となっており、近年は毎年三千人から四千人程度減少いたしておるわけでございます。また、受給者の方々の高齢化も進んでおります。障害年金受給者の平均年齢はおよそ七十四歳、遺族年金受給者の場合は八十四歳になっておるわけでございます。 ことしは終戦から五十五年目に当たりますが、このようなことを考えますと、御指摘のように歴史の大きな流れを感じますとともに、二度とあのような過ちを繰り返さないためにも記憶を風化させてはならない、こういうような思いを新たにいたしているものでございます。 また、これらの高齢化されていらっしゃる戦傷病者や遺族の方々に対する援護に責任を持つ厚生省といたしまして、引き続き処遇の改善などに心を砕いてまいりたい、こう強く決意をいたす次第でございます。
○佐藤泰介君 国家による戦争で被害を受けた方々に国家が補償をする、特にこの援護法は軍人軍属などであった方とその遺族を援護することを目的に制定されています。 今、大臣からも大変高齢化しているというお話がございましたけれども、受給者の方々もこの援護法による金銭の受け取りよりも家族一緒に障害なくその人生を全うした方がよかったと思われていることだと私は思っております。 さて、国家補償、すなわち国の責任を証明していると言えるこの援護法の規定は、この戦争によって被害を受けられた方に対してすべてに平等であると考えるのですが、既にこの委員会でもいろいろ質疑はされたと思いますが、国籍条項によって制限が設けられております。日本に在住してもう五世が生まれている現在の特別永住者に関してもこの援護法の国籍条項のため適用がされておりません。 日韓請求権協定の解釈の論争に終始したり、日朝交渉の結果待ちに終始したりしています。政府間の政治的交渉のおくれが、該当者がどんどん亡くなっていかれることを座視しているようにしか私には思えませんが、特別永住者に何らかの措置を講ずるとした場合、受給資格に該当する人数、あわせて旧植民地出身者を軍人軍属とした欧米諸国の補償の現状について説明をしていただけますでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 厚生省は、旧陸海軍から引き継いだ軍人軍属に関する人事資料等を保管いたしておるわけでございますが、これによりますと、朝鮮半島の出身の旧軍人軍属の人数は全体でおよそ二十四万人でございます。そのうち戦没者はおよそ二万人になっております。 これらの保管資料から戦傷病者の方がどのぐらいいらっしゃるか、また現時点での生死の状況であるとか、あるいは在日の方がどのぐらいいらっしゃるかという居住地につきましては、現在明らかにすることができておりません。 なお、準軍属につきましては、日本人の場合を含め厚生省には記録が残っておらない状態でございます。
○佐藤泰介君 欧米諸国の補償の現状についてもあわせてお尋ねをしたんですが、今御答弁がなかったようです。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 欧米諸国でどのようないわゆる補償が行われているかということでよろしゅうございますでしょうか。
○佐藤泰介君 はい。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 外務省が行いました昭和五十七年の調査によりますと、イギリス、フランス、ドイツについては、旧植民地出身者に対して年金などを支給いたしておるわけでございます。 これに対しまして、御承知のとおり、我が国におきましては、サンフランシスコ平和条約、これには四十八カ国が署名しておるわけでございますが、これに基づきまして戦後処理の問題は、個人個人への補償ではなく国家間の外交交渉の場で賠償や請求権の問題として誠実に処理してきておるわけでございます。他の国々と異なる背景、事情があるわけでございまして、我が国はこのような措置をとらせていただいているような次第でございます。
○佐藤泰介君 特別永住者に何らかの措置を講ずるとした場合、戦後直後の資料はあるが現在はそれらの調査がないというような答弁として理解させていただいていいですか。 そうしますと、今与野党含めて各党から今国会に議員立法を提出する動きがある、そんなように聞いております。民主党もそんな準備を進めておりますが、その共通項の一つとして人道的立場に立ってという言葉が入っているようにも思いますが、先ほど述べましたように、国籍を有する三分の二の方々が既に亡くなられており、そのことから推測しても、特別永住者の方々の多くも既に亡くなられている方が多いものと私は思います。人道的な立場からしても何らかの対応が早急に必要になるのではないかと私は思っております。また、欧米諸国と日本とは形が違うというようなことを言われましたけれども、私は、欧米諸国は植民地出身者に対しても十分な補償がされているというように聞いております。 今大臣が答弁されたような姿勢がこの援護法の運用の根底に流れている、答弁されたことが根底に流れていることが、最近の司法からの何らかの措置が期待されるという指摘、あるいは国連人権委員会からも指摘が明らかにされているにもかかわらず、そうしたことに対応しようとする姿勢すら見えないことは大変問題である、このように私は思っておりますが、現在そうした特別永住者に対する各党間での措置に対する準備が進められようとしている中で、やっぱり調査される時期ではないのかというふうに思いますし、欧米諸国と日本とは違うという形だけで済まされる問題なのか、私は大変問題であろうというふうに思うわけでございます。 この問題については、既にこの委員会でも、私、国民福祉委員会は初めてでございますけれども、多分何度も議論がされたところであろうというふうに思いますので、そうしたことを踏まえても調査がされていない、戦後直後の資料しかないというようなことはやはり問題ではないのか。既に議員立法というような動きも、新聞等でも自民党の方からも提出されるようなことが伝えられております。そうしたことを考えたときに、やはりそういった指摘を受けてそれに対する何らかの対応が既になされてしかるべきではないのか。今の大臣の答弁では何にも対応していない、やや怠慢のように私には聞こえたわけでございますけれども、大臣いかがでございましょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 援護法に国籍要件が設けられている理由につきましては、先ほど来申し上げておるとおりでございます。この問題は法的には既に完全かつ最終的に解決済みのものでございます。 御指摘の幾つかの問題でございますが、こういう問題を受けまして、平成十一年三月の衆議院の内閣委員会におきまして、当時の野中官房長官の発言を契機にいたしまして、これらの方々の置かれた状況にかんがみまして、現在、内閣の外政審議室においてこの問題に対処するに当たりましてのさまざまな問題につきまして調査検討を行っているところでございます。厚生省といたしましても、十分にこの調査研究に協力をいたしております。 それから、この問題はさまざまの経緯のある大変難しい問題でございますけれども、与党内でも、また御党でもいろいろ御検討なさっておるわけでございますけれども、議員立法を前提といたしまして人道的観点から検討が進められている、このように承知をいたしておりまして、私どももその状況というものもあわせて見守っていきたい、このように考えております。
○佐藤泰介君 野中前官房長官の意を受けて調査を始めているということでございます。ぜひ厚生省としても、戦後直ちの資料ではなくて、現状はどのようになっているのか、特別永住者の皆さん方の状況を十分把握されるような調査を要望しておきたいというふうに思う次第でございます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどもちょっとお話を申し上げたわけでございますけれども、これがもし仮に制度化されるような事態になりますれば、当然それぞれの方々から請求をいただきまして、残されております資料とも十分に照合いたしまして、その対象となる支給される方々を把握する方針でございますけれども、現実問題として今調査は困難である、こういうことを申し上げたわけでございます。
○佐藤泰介君 では、この件はよろしくお願いをしておきたいと思います。 次に、この問題は人権の問題であるというふうに私はとらえております。政府でも人権教育十年を総理を代表とする取り組みをされ、五年が経過しております。厚生省もこの人権教育十年に関する予算を計上されております。 そこで、昨年七月二十九日に出された人権擁護推進審議会の答申のこれからの基本的認識の項目では次のように述べられています。長い文章ですので抜粋して少し読ませていただきますが、 迎える二十一世紀は、「人権の世紀」と言われている。それには、二十世紀の経験を踏まえ、全人類の幸福が実現する時代にしたいという全世界の人々の願望が込められている。二十世紀においても一九四八年の世界人権宣言以来、国際連合を中心に全人類の人権の実現を目指して、様々な努力が続けられてきたが、それが一斉に開花する世紀にしたいという熱望である。 「人権は、「人間の尊厳」に基づく人間固有の権利である。」、「世界の大きな動向から、ひるがえって我が国の人権状況を見ると、人権尊重を基本原理とする日本国憲法の下に、様々な経緯を踏まえながらも、」、「不当な差別は、憲法施行後五十年以上を経過した今日の時点でも解消されていない。我が国が、世界の人権擁護推進に寄与し、国際社会で名誉ある地位を得るためにも、これらの課題を早急に解決していく必要がある。」と述べています。 かなり抜粋をしておりますけれども、大臣、この基本的認識についての御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 人権という言葉が使われてもう久しいわけでございますけれども、果たして私どもの日々の生活の中でこのことがしっかりと守られているかどうかということにつきまして、私は個人的にもさまざまな思いがしないでもありません。 今委員が御指摘のように、この審議会の答申にございます人間の尊厳とかあるいは名誉だとか、こういうような何人も侵してはならない問題について、委員会の審議にございますように、これをきちんと守っていかなければならない、こういう認識を持っておるような次第でございますし、まさにこの国民福祉委員会においては、行き着くところ、そういった問題について私どもがどこまで議論をして、そして国民の皆さん方の御期待にこたえていくかということに尽きるのではないか、こういう考え方を持つものでございます。
○佐藤泰介君 私、今、大臣が述べられた所信、全く同感でございます。ぜひそういう方向でこの委員会が進んでいくようなリードをしていただきたいというふうに思う次第でございますが、私は、この特別永住者とのかかわりで、今申し上げた人権等の問題のかかわりで重要なのは、我が国が世界の人権擁護推進に寄与し国際社会で名誉ある地位を得るためにも不当な差別を早急に解決していく必要がある、この部分であろうというふうに思う次第です。これは憲法の前文からの引用だろうとも思いますが、国の品格を問う言葉として私は受けとめております。 大臣は、先ほど言われましたけれども、国籍条項はこの不当な差別に当たらないという御認識なのかどうか。私は、国際化時代の中でやはり解決しなければならない問題、先ほど申し上げた人権擁護推進審議会の基本的な方向からすれば、やはりこの国籍条項というものは早急に検討すべき課題ではないのか、そのことが国の品位を高めていくことにも直結していくんではなかろうか、こう思う一人でございますけれども、この国籍条項は、人権擁護推進審議会の答申の基本認識と重ね合わせたときにどんな御見解をお持ちでございましょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど申し上げましたように、大変不幸な状態の後に、昭和二十七年にサンフランシスコ平和条約というものが締結されたわけでございます。その中において、それぞれ二国間の特別取り決め、外交交渉により解決すると、こういうことでございます。法的にはそういうことでございまして、この昭和二十七年の外交交渉にはさまざまな国が、四十八カ国が既に署名をいたしておるわけでございます。 そういう中で、我が国といたしまして、先ほども申し上げましたような、個人個人の補償ではなくて国家間の外交交渉の場において賠償や請求権の問題として誠実に処理をしていく、こういうようなことを現実に行った経緯があるわけでございます。それはそれとして厳然と存在をしておるわけでございまして、今、自民党内、そして民主党の中においてもさまざまな御議論がなされていることは十分に承知はいたしております。 そういうような事実は厳然としてあるけれども、しかし現実に日本に永住をなさっていらっしゃるいわゆる外国人の方で軍人あるいは軍属として戦地に赴いて大変な苦しみを経験なさったことに対しては何らかの形でいわゆる措置をすべきではないか、こういうことで今議論が進んでおる、このように私どもは承知をいたしておりますし、当然のことながら私どもは、こういった問題がまとまれば、十分にそういった問題に従いまして私どもといたしましては前向きに検討していくべきものだと、このように考えているような次第でございます。
○佐藤泰介君 法的には解決済み、国家間の問題というようなことを冒頭から大臣は答弁されてみえるわけですが、やはり時代がここまで進んで、大臣もまさに人権の時代だという御認識があるわけでございます。 この特別永住者の方々は全く法の谷間に置かれている人たちだと思います。こっちでは解決済み、あるいは韓国の方においては解決済みでないというような、全く法の谷間において非常にそうした援助が受けられなくて大変お困りになってみえる方々ばかりだというふうに思うんです。だから、国家間の筋としてはわかりますけれども、法的な谷間に入っちゃって何ら援護が受けられない、救済が受けられないということは、やはり何らかの措置をとっていく必要が時代とともに私はより強くなってきているんだという認識に立っております。 したがって、それぞれがまとまればということよりも、厚生省が先頭に立ってそれをリードしていっていただくような、そんな取り組みをぜひお願いしたいというふうに思います。 この問題については、司法の場では既にいろいろなことが言われております。国籍による差別は問題である、平成四年四月の最高裁の判決や、十年、十一年の東京、大阪高裁の判決の傍論で、ほぼ同様の境遇にある日本人と比較して著しい不利益を受けているのは明らかであり、大臣はここのところも話をされましたけれども、予測される外交上、財政上、法技術上の困難を超越して、早急にこの不利益を払拭して国際信用を高めることが国政関与者に対する期待である、このことを指摘していますし、最高裁判事を九年半にわたって務め、昨年退官されたソウル生まれの園部逸夫氏も回想録の中で、差別身につまされる、一言書かざるを得なかったと述べ、今申し上げた判決の傍論と同様の趣旨を最高裁判決に関する意見としてつけられていました。 大臣、こうした司法のメッセージについてどう思われるでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、私どもも積極的に御協力を申し上げるわけでございますが、一厚生省の問題ではなく、この問題につきましては政府全体の問題として今取り組まさせていただいておるわけでございますので、その点につきまして委員の御理解をいただきたいと思っております。 それから、裁判のことでございますけれども、こういった問題については私どもは厳粛に受けとめまして、そういう結果を、この裁判の判決そのものはこれまでの主張というものが認められておるわけでございますけれども、そういった問題について言及されたことにつきましては私どもは厳粛に受けとめておるわけでございます。 そういうことやもろもろのことがきっかけになりまして、今、政府を挙げてこの問題に、そして自民党においてあるいは民主党においてもそのような議論がなされている、このように受けとめておるような次第でございます。
○佐藤泰介君 今の大臣の答弁、私は全くそのとおりだと思いますけれども、現実としては、野中前官房長官は国籍条項に関して、二十世紀を終わるに当たり戦後積み残した問題の総括をしなければならない、どういう措置がお互いの気持ちを和らげ責任を果たせるのか検討したいと。非常に今、丹羽厚生大臣も言われたような前向きな取り組みの考え方を繰り返して表明されました。 しかし、昨年の十月、姜富中さんの訴訟で大阪高裁は、これまで判決理由で補足的に注文をつけることにとどまっていたものを一歩進めて初の和解勧告に踏み切りましたが、国側は和解勧告に応ずる考えがないことを明らかにしました。前官房長官の発言あるいは今の丹羽厚生大臣の発言と重ね合わせると、どうも私は言行不一致ではないかと思うのですが、重ねて大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員が御指摘の和解勧告というのは平成十一年六月の大阪高裁におきます和解についてだと思いますけれども、この訴訟は、在日韓国人の元軍属である原告が援護法に基づきまして障害年金の支給を求めたいわゆる行政事件訴訟でございます。つまり、クロかシロか、こういうような問題でございます。 国側といたしましては、原告の請求を却下した処分について適法である、こういう立場に立っている以上、クロかシロかという判断が出されている問題で譲歩するとか和解するとか、そういうようなことではないのではないか、また慰謝料や和解金の支出根拠もない、こういうことで、裁判所の勧告いたしました和解には、これは応じないというよりもなじまない、こういうたぐいの性格のものではないか、このように受けとめております。
○佐藤泰介君 多分そういう答弁だろうというふうには思っておりますが、そうした指摘もある中で、解決に向けた意欲を改めて表明する、何らかの形でしていくんだということを表明し、裁判所の声にも耳を傾け、いかなる措置をとり得るのか考える、政治の信頼はそうした誠実な態度をくみ上げる中から醸成されていくものだと私は思います。シロかクロかだからだめだということではなくて、やはりそういったところに耳を傾けて、こんな措置ならとり得るんではないかとか、そういうことの表明が私は欲しかったということを申し上げたいというふうに思うわけですけれども、いかがでございますか。 また、そのことが、ジュネーブで開催された国際人権規約委員会の日本政府報告書の審査で指摘されたことにこたえることでもあると思うんです。また、冒頭申し上げた国際的に名誉ある地位を得ることであり国の品格を高めることにもなると思いますし、さらに小渕総理が何度も発言されている富国有徳の有徳に当たるんではないか、こんなふうに私は思うわけでございますけれども、重ねて大臣にこの点をお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員の御意見なり御趣旨は私なりに理解はできるものでございますけれども、ただ、行政事件訴訟という性格、これを十分に考えますと、先ほども申し上げましたけれども、国側として、原告の請求を却下した処分について適法である、こういう立場に立っている以上は、譲歩するとかしないとかという以前の問題として、慰謝料や和解金の支出の根拠、こういうことが生じないわけでございますので、裁判所の和解そのものがなじまないということでございまして、これをもって我が国、私どもがこの問題について非常に後ろ向きであるとかあるいは熱意がないというような考え方を持っているなということは、そういうことではないんだということを委員にも御理解を賜れば幸いである、このように考えているものでございます。
○佐藤泰介君 今の答弁、大変に力強い御答弁でございます。ありがとうございます。ぜひ熱意を持ってそうした声にこたえていっていただきたいというふうに思います。 先ほど来、自民党においても在日韓国人戦没者等一時金要綱案要旨をまとめられたやに聞いておりますし、与党三党の協議も進め今国会中に議員立法で成立させることを目指しているというような動きも聞いておりますが、この案は、援護法の国籍による差別には触れず一時金による解決のような感じと私は受けとめておりますが、野中前官房長官の今世紀中の解決との発言に対する体裁を整えるだけとしか思えない内容にならないように、ぜひ今の発言を受けて御要望を申し上げておきたいというふうに思います。 私ども民主党では、与党三党の法案とは異なり、一時金に加え、法成立後に日本人と同額の年金を受け取れる特別永住者等である戦傷病者等に対する特別障害給付金等の支給に関する法律案を提出する準備を進めております。三月二十三日の総務委員会で、我が党の菅川委員の質問に対して青木官房長官は、一時金か年金か今後の討議にゆだねたいと答弁されておりましたが、一時金のみか一時金と年金かなど、今後十分な討議を開始していくことを確認させていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども申し上げさせていただいたわけでございますが、現在、政府を挙げまして、内閣外政審議室において調査検討が行われているところでございます。私どもといたしましても、この調査検討に対しまして積極的に御協力を申し上げているところでございます。 また、与党内におきましても御党におきましても人道的な観点から検討が進められている、こう承知をいたしておるわけでございます。その検討の状況を見守っていかなければならないわけでございますが、かつて日本軍の軍人あるいは軍属としての身分を持ち日本人と同様に戦地において戦った方々で現に日本に在住している方々は、今御検討中のようでございますが、私は、当然のことながらその対象に含まれてしかるべきだ、このように考えているものでございますし、また、青木官房長官もこの問題の取り組みにつきまして大変御熱心に熱意を示していらっしゃるわけでございます。私も基本的には同じ気持ちでございます。そして、厚生省といたしましても、さまざまな御議論というものを、人道的な観点から十分に検討を見守りながら必要な協力を積極的に行っていきたい、こういう考え方を持つものでございます。
○佐藤泰介君 今、大変前向きな御答弁をいただきましてやや安心したかなと思いますが、与党が出す法案はなかなか審議に入りませんので、ぜひそれも踏まえてお取り組みをいただきたいというふうに思います。 時間があとわずかですので、二問用意しましたが一つにして質問をさせていただきます。 中国残留邦人関係についてお尋ねしますが、一昨年、私、ある中国の方より、死亡した父親の身元調査で、遺骨を本人の希望で故郷の墓に帰してやりたいとの依頼がありました。早速、厚生省援護局に連絡をし、家族の父親の話をしてきた経歴の内容で記憶に残るすべてを相談し、調査を依頼しました。非常に丁寧な調査をしていただきました。この点は大変感謝を申し上げております。 そこで伺うわけですけれども、この依頼の件で、海軍の軍人だったのか陸軍であったのか軍属であったのか不明でした。そのため、海軍については業務第二課、陸軍については調査資料室、軍属については第五資料係と、分けられたデータで調査しなければならないと聞きました。今後出てくるであろうこれらの事案に対応するためには統一されたデータベースでの管理をお願いしたいということが一点です。そのことが、冒頭申し上げた特別永住者の現状を把握していく上にも大変重要ではないかというふうに思います。 二点目は、中国残留邦人が死亡し、その家族が残留邦人の肉親捜しを依頼する場合の日本としての窓口の設置と、その希望者の調査を中国政府に依頼することができないかということなのですが、いかがでしょうか。 この二点、お尋ねします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、前者の御質問でございますが、厚生省が旧陸軍、旧海軍から引き継ぎました人事関係の資料につきましては、それぞれの組織の由来といいますか、そういうものもございまして、現に残されてあります情報の内容や整理の仕方もさまざま異なっておるわけでございます。これを全く同一の規格にするということは、これは実際問題としてなかなか難しいなと、こう思っております。 厚生省といたしましては、委員の御指摘で大切なことは、効率的に検索を行う、こういうことではないかと思いますが、旧陸軍、旧海軍につきましては、それぞれ平成六年度より使用頻度の高い資料から順次コンピューターに入力をいたしまして、もう既に八〇%以上整備を図っているところでございます。 それから、後者の御質問でございますが、残留邦人が中国でお亡くなりになり、そしてその遺族が在日親族への遺骨の引き渡しを希望する場合でございます。この窓口の問題でございますが、御指摘のような御依頼はこれまでも手紙であるとかあるいは在外公館を経まして厚生省に寄せられているところでございます。 厚生省といたしましては、こうした御依頼に対しまして、人道的な見地から、都道府県の協力を得ながら可能な範囲で調査を行ってきておるわけでございますが、今後とも、中国にございます在外公館の窓口に御相談をいただくとか、あるいは直接厚生省に対して手紙などで御連絡をいただければ調査に全力を尽くしてまいっていきたい、このように考えているような次第でございます。
○佐藤泰介君 もう時間です。済みません、最後に一言。 援護局の方に調査をいただきました件について、結果は不明とのことでした。そのことを調査の過程などを踏まえて報告したところ、家族から深い感謝の手紙を寄せていただきました。大変御苦労をおかけしたことに私からも感謝を申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○井上美代君 私は、ただいま審議をされております戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に賛成をいたします。そして質問をいたします。 私は、今なお戦争の重荷を背負って頑張っている被爆者と、そして戦没者御遺族の方々を思い、介護保険制度における被爆者への助成問題と、そして戦没者の遺骨のDNA鑑定について質問をいたします。 まず、被爆者の問題から入ってまいります。 既に戦後五十五年になります。あの日、原爆により一瞬の灼熱の地獄の中で放射能と熱線によって犠牲になった被爆者、今日まで生き続け、高齢化し、そして老後の不安と後遺症と闘いながら頑張っている被爆者の方々の問題の解決というのは、私たちに課せられた重要な課題の一つであると思っております。 四月一日からいよいよ介護保険が実施されますけれども、それを前にして、日本共産党は、三月二十二日から党議員のおります二千三百八自治体で調査を行いました。その結果で明らかになったことがあります。いろいろありますが、私は、要介護認定とケアプランの作成依頼、これをしている人というのが七六・五%ということですけれども、この要介護認定者とケアプランの作成依頼をしている人の間にギャップがあるということがここで見ることができるなと思います。朝日新聞の調査がついこの間発表になりましたけれども、ケアプランを作成依頼した人というのが四割に満たないところもかなりあるというふうに発表をしております。 共産党の調査では、要介護者数とケアプラン申込者数との間に生まれているギャップの原因についてですけれども、制度が知られていないという答え、これがトップです。そして続いて、利用料が高過ぎるということが挙げられております。介護が必要とされているのに利用料の負担への不安がありましてケアプランを立てるまでになっていないという人、これが広範にいらっしゃるということが明らかになってきていると思います。これは、今調査したのは一般の方ですが、私は被爆者にとっては本当にこれ以上だというふうに思っております。 それで、昨年の夏になりますけれども、総理が広島へ、そして宮下前厚生大臣が長崎へいらっしゃいました。その広島、長崎の地で、介護保険制度を導入された場合でも、現在行われている援護よりも扱いが不利になるような、そういうことにならないように配慮をするということをあいさつの中で明言をしておられます。 私は、丹羽大臣にお聞きしたいと思いますけれども、被爆者の医療そして福祉両面で現行よりも後退をさせない、利用料が負担になってこれまでのサービスを受けられないという事態を招かないようにするという、ここの認識をお持ちであるというふうに思っているんですけれども、その辺いかがでしょうか。御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、被爆をなさって現にさまざまな治療であるとかさまざまな手当てを受けていらっしゃる方々に対しまして、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。 委員の御指摘の問題は、介護保険の導入に伴って負担増になるのではないか、こういうようなことも御懸念をいただいておるわけでございますけれども、この介護保険の導入に伴いまして、給付についての定率の自己負担が導入されることになりますが、これによって、被爆者の方々が従前に比べて負担が重くならないように、例えば介護保険の対象となる老人保健施設の入所の自己負担につきましては公費で負担をすることにいたしております。 このほか、広島、長崎などに在住の被爆者の方々で特養に現に入所していらっしゃる方々については自己負担分を補助し、全国の方々の在宅サービス、これは被爆者全体でございますけれども、自己負担分については介護手当を支給するなど、いずれにいたしましても被爆者の援護対策の充実ということで、これによって被爆者の皆さん方の負担が重くなるということがないように十分に配慮をいたしているところでございます。
○井上美代君 被爆者援護法に基づいてずっと予算も組まれているわけなんですけれども、福祉事業への国の補助金というのは二〇〇〇年度予算で二十九億五千八百万円となっております。そしてまた、介護保険の導入に当たっては二億四千万を計上し、ホームヘルパーやデイサービス、ショートステイなどの利用料の自己負担の一割の利用料について、広島、長崎の被爆者については利用料を援助するという要綱を作成していて具体的にやられておりますけれども、どのような措置がやられているのかということを政府参考人にお聞きしたいのです。
○政府参考人(篠崎英夫君) お答えいたします。 被爆者の方々が数多く在住する広島、長崎におきましては、法律に基づきまして原爆養護ホームが設置をされ介護を要する被爆者の方々が入所されておりますほか、原爆養護ホームが実施するショートステイ事業、あるいはデイサービス事業が実施されているところでございます。また、被爆者の援護に関する相談事業に応じるとともに、六十四歳以下の低所得者で介護を要する被爆者の方々には家庭奉仕員が派遣されているところでございます。これらの事業を行う広島、長崎両県市に対しまして、その経費の一部を補助いたしております。 介護保険制度の導入に伴います被爆者援護施策での対応につきましては、原爆養護ホームの運営、ショートステイ事業、デイサービス事業の経費の助成は引き続き実施をいたします。 そのほか、原爆養護ホームを利用する被爆者と、それから特別養護老人ホームに入所する被爆者やあるいは介護保険のデイサービス、ショートステイ事業を利用する被爆者の方々の利用料の負担の均衡を図りますために、介護保険サービスを利用する被爆者の自己負担につきまして平成十二年度からその増加分を補助することといたしまして、従前の援護施策に比較して特に不利な取り扱いとならないよう措置をいたしているところでございます。
○井上美代君 今お答えいただきましたようなことで広島、長崎についてはやられております。 問題は、被爆者への利用料の負担の軽減措置が広島と長崎の被爆者だけに限られているということです。全国に被爆者はおります。長崎と広島はたくさんおりますけれども、他県にも被爆者はおります。医療系については、全国の被爆者を対象とした助成となります。 皆様方のお手元に資料をお配りしたんですけれども、これは広島市が作成しました表です。これを見ますと、現行と介護保険施行後どうなるかというのがわかるわけなんです。そして、白い丸がありますけれども、「国の補助を得て実施」というふうに下の方に書いてあります。ところが、この白は広島、長崎だけで、それ以外のところはやられていないということなんです。ここをこの表から見てとっていただきたいんですが、介護保険制度の施行後どうなるかということがそこで出てくるというふうに思います。 基本的に、一割の利用料について、福祉サービスなどについて、今政府参考人が言われたとおりなんですけれども、今この被爆者というのは非常に単身者の比率が多くて、そして家族や親戚も少ないんです。それは、影響が出るのではないかということで子供を出産していない人たちが多いという事実があります。広島、長崎に住む被爆者も、そして他県に住んでおられる被爆者も、それは同じなんですね。 だから、広島、長崎以外に住む被爆者にも国は同様の補助を行い、そして介護保険における福祉事業、今参考人が言われたそうしたものの利用料を補助すべきであると私は考えております。 なぜ全国の被爆者を対象に広げていかないのか、被爆者全体を対象にやるべきだというふうに思いますが、それについてどのように考えておられるか、大臣にお聞きしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 被爆者援護法では、福祉事業として、各都道府県、さらに広島、長崎市が、今、篠崎局長からも御答弁を申し上げさせていただいたわけでございますが、一つは相談事業、それからもう一つは家庭奉仕員の派遣であるとか、あるいはショートステイ、デイサービスなどの居宅生活支援事業、さらに三つ目といたしまして原爆養護ホームへの入所を行う養護事業、この三つの事業を実施することができることにいたしております。 このうち、相談事業につきましては、広島さらに長崎を含む三十四の自治体で既に制度化されておるわけでございますが、居宅生活支援事業、さらに養護事業につきましては、広島、長崎両県市を除いて取り組んでおらない現状にあるわけでございます。 これは、広島、長崎両県市に比べまして、ほかの都道府県では被爆者数が少ないというような状況にあるものと考えておりますが、ほかの都道府県でこれらの事業に取り組もうという向きがございますならば、その御希望にこたえていく方向で検討したい、このように考えているものでございます。
○井上美代君 今、県からの要望があればこたえるというお話でした。被爆者援護法は、三十八条、三十九条がありまして、これに基づいて福祉事業がやられているわけなんですけれども、これまで広島、長崎に限って実施してきたこととの関連がやはり私はあるというふうに思います。 これまで厚生省は、都道府県の要望があったときに、厚生省当局の態度としては、厚生省が定めてきた原爆被爆者介護手当等国庫負担金交付要綱というのがありまして、この要綱の中に広島、長崎の県と市の名称は入っておりますが、それ以外のものが入っていないんです。そのために、要望が県からあっても拒否してきたという事実があります。 今、大臣が答弁をされましたけれども、それは各県の要望があればこたえていくということでよろしいですね。
○政府参考人(篠崎英夫君) ただいま大臣が御答弁されましたように、都道府県の方からそういうお申し出の向きがあればそれを検討させていただきたいというふうに思っております。 それから、もしその結果そういうことになれば、今先生の御指摘の要綱について、県の名前とかそういうものが入るということでございます。今はその結果がそうなっておりませんので、この交付要綱上、広島、長崎両県市の名前しか入っていないわけでございまして、結果としてそのようになればここに追加されるということでございます。
○井上美代君 このお金については、これから予算が組まれるというふうに思うんですけれども、検討するというところまではお聞きしているんですけれども、それがいつ、どのように検討され予算が組まれていくのだろうかということをお聞きしたいのです。
○政府参考人(篠崎英夫君) 通常ですと、当方で検討をいたしまして、それがしかるべき結論になりますれば、次年度の予算要求に向けていくということでございます。
○井上美代君 三重県とか、ほかの県からもいろいろ国の方に意見書が上がったり要望が行ったりということがあるというふうに思いますが、十三年といいますと来年になるわけです。それで、介護保険というのはもうあさってから始まります。要望している自治体も既にあるんです。 私は、三重県のいろんな書類を細かく読ませていただいたんですけれども、やはり国の決断をまさに待っているという、そういうところにあるというふうに思います。だから、例えばある分については、今の答弁でいきますと十三年からやるというふうになるのかなと思いながら聞いたんですが、その辺は四月から始まる介護保険との関係ではどのようになるんでしょうか。
○政府参考人(篠崎英夫君) 冒頭申し上げましたように、自治体と国との予算でやっておるものでございますから、各県の要望があって、そして当方で検討いたしまして、その結果、自治体も予算措置をすることが必要だろうと思いますので、検討の結果、諸条件が整いまして予算要求をするということになるわけでございます。
○井上美代君 自治体の要望があればやるというところははっきりしたと、そして要綱にも県の名前を入れるというところははっきりしたというふうに思います。 それで、問題は要望が既に去年のうちに出ているんです。例えば、三重県は去年だったと思います、去年のうちに出ているわけなんです。だから十二年度の予算に入っていないとすればこれは大変だというふうに思うんですが、その辺はいかがですか。
○政府参考人(篠崎英夫君) 今御指摘の三重県の例でございますと、平成十一年の十二月二十一日付で県議会議長の方から御要望をいただいておりますので、年度的にはこれには間に合っていないということでございます。
○井上美代君 間に合っていないということですね。 私は、大臣にお尋ねしたいというふうに思います。 まず、十三年度にはきっとやってくださるんだというふうに思っておりますが、それと、そして十二年度、十三年を待たずして私はやってほしいと。この計算もちょっとしてみたんですけれども、数字は余り正確ではないかもしれないけれども、そうたくさんは要らないんです、お金は。だから、ぜひこれを十三年を待たずしてやるという決断を大臣にしていただきたいと思います。大臣にお願いしたいんです。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 平成十二年度の予算につきましては、既にこの予算が今国会で成立いたしておるわけでございますので、この問題を、要するに広島、長崎両県市以外の都道府県で現実問題として実施をするということは難しいと考えておるような次第でございます。
○井上美代君 私は、予算が確定していることもよく存じ上げた上で、今、大臣に御答弁を願ったわけなんです。 それは、こういう問題については、九四年の衆議院の厚生委員会もそうですけれども、ここで、この福祉事業の法制化の趣旨を踏まえて一層の推進を図るという附帯決議もついているわけです。そういうことを考えますときに、四月一日から介護保険をやるというふうに言っているのに、わずかのお金をここに使えないというのは、大臣として私はおかしいというふうに思うんです。だから、ぜひ私はこれを検討してほしいというふうに思います。 やるという方向で検討していただきたいというふうに思いますが、大臣、ぜひ御決断をお願いしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 予算につきましては十分な御審議をいただきまして、そしてこれにつきまして可決、成立した経緯があることは委員も御案内と思います。私がそういうような何か裁量権を持ってどうのこうのするという趣旨のものではございませんので、当然のことながらこの問題について、そういうようないわゆるほかの県に対しまして助成する場合には国会に御審議をいただくことになると考えております。
○井上美代君 確定した予算を動かすことはできません。それは私も承知しております。その上で、ぜひこれから、まだ二〇〇〇年度は来年の三月までありますし、いろんな予算もあります。だから、ぜひ御検討を願いたいということで、私、時間がありますのでまだ先の方へ行きたいというふうに思います。 次は、戦没者の遺骨のDNA鑑定について質問をいたします。 第二次大戦が終わって五十五年、厚生省の資料では、海外で戦死した人は約二百四十万人おられます。そのうち遺骨が送還されたのは約百二十三万柱です。未送還の遺骨は約百十七万柱もあります。この約百十七万柱の遺骨を遺族のもとに届けるために政府は全力を尽くす義務があると私は思っております。また、残された御遺族はそれを心から願っておられるわけです。 そこで質問いたしますけれども、厚生省は、海外で収集した遺骨を現地で焼骨をせずに持ち帰り、DNA鑑定して、そして遺族のDNAと一致したら遺族にその遺骨をお渡しするために、昨年概算要求で三百万円を要求しました。このわずか三百万円を、政府予算案の段階ですべてカットをしてしまわれました。なぜ御遺族の必死の願いにこたえなかったのか。 きょうは御遺族の方も傍聴席にたくさんおいでになっております。ぜひ説明をお願いいたします。
○政府参考人(炭谷茂君) 今、先生が御指摘されましたように、遺骨の氏名の特定にはDNA鑑定が大変有効な手段の一つになってきております。そこで、十一年度から、遺骨収集に当たりましては御遺体が個別またはこれに準ずるような形で埋葬されている場合は、一部の御遺骨を検体として焼骨しないで持ち帰るという新たな方法を導入したところでございます。そこで御遺族から自費によるDNA鑑定の申し出があったときは、当時の埋葬図等から見て遺族が主張する戦没者の遺骨であるという蓋然性が高い場合には、検体を提供して、国として協力していくという新たな方針をとったところでございます。 〔委員長退席、理事山崎正昭君着席〕 そこで、これについての費用の問題でございます。確かに先生言われましたように、当初の概算要求の段階で、私どもこの鑑定に要する経費について、一部を国の負担について要求を行いましたけれども、その要求後のDNA鑑定の実例を見てみますと、当初の予想に反しまして遺骨の氏名の特定にまですべて至らなかったという結果が出てきたわけでございます。 このため、具体的に今後どのような蓋然性が出てきた場合DNA鑑定が有効かどうか、さらなる実例の積み重ね、そして検証を踏まえる必要があることなどについて考慮する必要があるということで、これらを検討すべき課題があるということで十二年度の予算においては予算計上は見送った次第でございます。
○井上美代君 今、蓋然性の問題を言われたんですけれども、やはり遺骨と遺族というのはまだ結びついていないのであって、どうして結びつけるかというところが重要なんだというふうに思うんです。 厚生省は、予算の問題ともう一つ、遺骨と遺族が結びつく可能性についてこの現地の実態が地図と違っていたことなどを挙げて蓋然性の問題を言っておられるんですけれども、私は次の三つの点を述べまして、厚生省が見解を改めてDNA鑑定の予算を組んでほしいということを切に質問の中で申し上げたいというふうに思います。 その一つは、遺族の切実な願いだということです。 今月三日の朝日新聞に、ここに、手元にありますが、朝日新聞に投書が載りました。 終戦後、モンゴルに抑留されて現地で亡くなった日本人は千六百余人、父もその一人です。しかし、ウランバートル市郊外のダンバダルジャ墓地で見つけた父の墓標の下にあったのは、折り重なった遺骨でした。墓標と遺骨は合致していなかったのです。 途方に暮れた私に残された唯一の希望は、DNA鑑定でした。収集された遺骨八百七体は現地で火葬しましたが、厚生省の指導で、すべての遺骨からDNA鑑定用の歯を抜き取り、持ち帰っていたからです。 しかし、厚生省はDNA鑑定の予算が取れないので、鑑定は困難とのことです。財政事情もあるでしょうが裏切られた気持ちです。遺骨は今後、千鳥ケ淵の戦没者墓苑に納骨され、このままでは「無縁仏」になってしまいます。 九十一歳の母に、父の遺骨を抱かせたいとの思いも、かないそうもなくなりました。 DNA鑑定費は一件につき三万—五万円といいます。費用は私たち遺族が持つとも申し入れましたが、はかばかしい回答はありません。DNA鑑定で、長い歳月を経て、やっと肉親が待つ家へ、と願う気持ちはわがままなのでしょうか。 このように書いてあります。 この投書は中尾雅胤さんという方が、きょうお見えになっていると思います、雅胤さんが書かれたものです。私は本当にこのとおりだというふうに思いました。 その第二は、中尾さんも参加されたモンゴルのダンバダルジャ墓地の場合、八百三十五名の埋葬者の名簿があります。そして、八百七柱の遺骨を収集しています。今少なくとも中尾雅胤さんら約三十名の遺族が国によるDNA鑑定を求めておられます。そこで、八百七柱の遺骨のDNA鑑定とそして遺族のDNA鑑定を行い、一致すれば御遺族に遺骨をお渡しする。 〔理事山崎正昭君退席、委員長着席〕 昨年、初めて現地で焼骨をせずに遺骨の一部を持ち帰ってきているわけですね。DNA鑑定をせずに日本で焼骨して千鳥ケ淵に入れる、無縁仏としておさめてしまうなどということは、本当に御遺族の気持ちを思うときにこれは許されないことだと思います。 そして三つ目には、昨年収集して持ち帰った遺骨はロシアを含めて一千六百柱です。これを全部DNA鑑定しても約八千万円で、これぐらいの予算が組めないなどということはないというふうに思うんです。 御遺族が怒っているのは、例えば自衛隊が毎年富士山に向かって公開で実弾を撃ち込んでおられる、その演習には四億円も使っている、こんな予算は必要ではないと、こういうふうに言っておられます。これを削っただけでもDNA鑑定はできるじゃないかということを言っておられるのです。 これは厚生省だけの問題ではない、だから厚生大臣だけでは答えられない問題かもしれないけれども、でも大臣は政府の要人です。だから、そういうことでぜひ私は大臣に、大臣の本当に政治生命をかけてDNA鑑定をやってほしい、踏み切ってほしい、決意してほしい、そういうふうに私は思っておりますけれども、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) DNA鑑定のこの問題そのものが出てきたのがまだ実は一年ちょっと前の話でございまして、先ほど局長からも答弁申し上げたわけでございますけれども、DNA鑑定は遺骨の氏名特定に有効な手段の一つとして認められつつあるわけでございますけれども、平成十一年度から当時の、先ほどのモンゴルでございますけれども、埋葬図などから見て遺族が御主張なされる戦没者の遺骨である蓋然性が高い場合において、遺族から自費によりますDNA鑑定の申し出があったときに検体を遺族に提供いたしましてこれに協力していくこととしたわけでございます。 いわゆる国庫負担の話だと思いますけれども、これを行うことにつきましてはまだ日が浅いわけでございますが、そういつまでも、要するにこの問題につきましては、私自身、大変有効な手段ということでありますならば、こういうようなこれらの事例の結果などを踏まえながら早急に検討をしていきたい、このように考えております。
○委員長(狩野安君) 時間です。
○井上美代君 早急に検討するということですので、ぜひ検討願いたいと思います。 DNA鑑定については、厚生省が初めて実施されたのは去年なんです。去年、御遺骨を持ち帰ってくださったんです。しかしながら、そのずっと前からDNA鑑定はあるんです。だから、そんなに今やられている、初めてやられているというのは、厚生省がおくれていて去年初めてやられたんです。だから、この機会、やはり蓋然性と言いますけれども、ぴたっと一致するものはないわけなんです。遺骨とそして墓標、名称、これがぴたっと一致していれば本当に苦労がないんですが、一致しないところに大きな問題がありますので、ぜひ私は踏み切っていただきたいということをお願いし、質問を終わります。
○清水澄子君 社会民主党の清水です。 時間が私は短いので、答弁も簡潔にお願いいたします。 私は、この援護法には賛成の立場で質問をいたします。 しかし、毎年のことでございますけれども、この法改正は日本人のみを対象としておって毎年いろんな増額が図られておるわけです。しかし、去るあの大戦では、傷病兵士となりあるいは死亡した人たちの中には、当時日本の植民地として統治された、そして日本帝国臣民とされて日本軍人軍属として徴用された朝鮮人、台湾人が入っているわけであります。中でも、戦後もずっと日本に永住し、そして日本人同様に税金を納めて生活している在日韓国・朝鮮人の元軍属の戦傷病者やその遺族たちは、戦後五十年を経た今日においてもなおこの現行援護法の枠外に放置されたままで、同じような境遇にある日本人の旧軍人軍属などと比較して非常に法的な差別、そして不利益を受けております。 そういう意味で、先ほども佐藤議員が質問されましたけれども、大阪高裁のこの判決、国籍で差別するのは憲法十四条違反、そして国際人権規約B規約二十六条に反する、この疑いが濃いという判決がありました。そして、国会が何の補償もしないまま今後も放置すればそれは違法行為となるということを言及しているわけですけれども、こういうふうな判決について大臣はどのように受けとめられ、今後どのようにこういう人たちを処遇しようとされておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 援護法の国籍要件につきましては、憲法であるとかあるいは国際人権規約に違反しない、こういうことで、御指摘の大阪高裁の判決でも、判決そのものはそのような国側のこれまでの主張が基本的に認められて勝訴したものと受けとめるわけでございますけれども、ただ、今申し上げたような御指摘があったことも紛れもない事実でございます。 そういうことを受けまして、現在、与党内で人道的観点からの検討が開始されているところと承知いたしております。そのような検討が開始されておりますことは大阪高裁の所見の趣旨にも十分に沿うものではないか、また委員が御指摘の点にも十分かなうものではないか、こう考えているような次第でございます。
○清水澄子君 戦争遂行という日本の国益のために動員しておきながら、日本側がこれらの問題を半世紀以上にわたって放置してきたことというのは、これはもう国際的にもこういうことは通用しなくなっております。ですから、私はやはり速やかにこういう人たちに対して政府は誠実な謝罪を表明して新たな法律制定をすべきだ、それが日本政府としての責任であり義務であるというふうに考えます。 今いろいろ自民党内にも動きがありますし、議員の中にもいろんな法制定の動きがあるわけですけれども、私はその場合、ぜひ、単なる一時金で打ち切りという、しかも三百万円とか四百万円とかそういう形ではなくて、一時金に加えて法律制定後はやはり日本人と同額の年金が受けられるようなそういう法的措置を実施していただきたい。これはぜひ私は援護行政の担当である厚生大臣自身が関係機関及び関係者にそういう立法化のために積極的な働きかけをしていただきたい、役割を果たしていただきたいと願いますが、そのことについてのお考えをお聞かせください。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 清水委員の御意見は一つの考え方として承らせていただきますけれども、現在、与党内におきます検討では、現に生存されていらっしゃる重度戦傷病者に対する一時金の額についてはその生活状況なども配慮しながら議論されている、このように聞いておるような次第でございます。
○清水澄子君 日本の恩給法とか援護法にはなじまないとかとおっしゃるんですけれども、なじまないならば別な特別の法制定をなさるべきだと思います。 次に、まだ余り問題になっていないことで、韓国出身のBC級戦犯の人たちの問題でございます。中でも、さらに過酷な人生を送ってこられているのが日本軍の軍属として、戦争犯罪者ですね、BC級の戦争犯罪者とされた旧日本国籍の韓国・朝鮮人の方です。 彼らは、日本支配下の朝鮮にあって日本軍に軍属として徴用されて、そして南方へ送られ欧米人の捕虜の見張り役などを命じられたために、百四十八名が敗戦後連合国の戦争犯罪者という判決を受けております。うち二十三名が処刑をされております。そして百二十五名が懲役二十年とか十年という刑を科せられた上、サンフランシスコ条約が締結された後も日本に帰されて巣鴨のプリズンで残りの刑期を服役させられてきたわけであります。その後、韓国へ帰国した人を除きますと五十二名が日本に在住をされておられて、うち二名は日本で生活ができず自殺をされました。そして、本人が御存命なのは二十名でございまして、遺族世帯となっているのが三十名おられます。 この人たちについては、やはり東京地裁、高裁、最高裁とも深刻かつ甚大な犠牲ないし損害をこうむったと判決をしております。そして、この問題の早期解決を図るために早急に政府における立法化の必要性を判示しているわけでございます。 きょうこの傍聴席にも、当事者の李鶴来さん、この方はシンガポールのチャンギー刑務所から巣鴨プリズンに移された後、一九五六年十月まで四千二十六日間、日本の戦争犯罪者として自由を剥奪されてこられた方でございますけれども、きょう傍聴されております。 そこで、私は大臣にお伺いしたいんですけれども、やはりこういう方々には日本が非常に重要な責任があると思うんですけれども、ぜひこの裁判所の判決の意味というもの、早速それを深く受けとめていただいて新たな立法をしていただきたいと思いますが、大臣、そのためにぜひ御尽力いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御指摘の韓国出身のBC級戦犯の方々の問題につきましては、こうした戦後問題の解決の基本的な枠組みにかかわるものでございます。援護法の枠組みを超える問題でもございますし、私の立場から率直に申し上げて非常に申し上げにくい事柄でございますが、しかしながら、日本国民として戦争犯罪を犯したという理由で刑を受け、また監禁された韓国出身のBC級戦犯の方々が経験されました御労苦に対しましては、心中察して余りあるものがございます。 このような悲惨な忌まわしいことが決して繰り返されてはならないと強く感じておるわけでございますが、この問題につきましては、日本人の取り扱いを含めて総合的に考えていかなければならない問題だと、このように考えているような次第でございます。
○清水澄子君 日本人同様に考えていきたいと。その問題はちょっと違うんじゃないかと思いますね。 ここに当時の、戦争時代の一九四二年五月二十三日の京城日報というものがございます。この新聞を見ますと、ここで、今般日本政府は、陸軍の要求に基づいて、大東亜戦争における赫々たる戦果によって各地に収容中のアメリカや英国の俘虜の監視に従事せしめるために、朝鮮半島における有為なる青年数千人を軍属として採用することになった。そして、ここでは、こういうような名誉ある職務をやることに至った朝鮮半島の青年はそれは非常に光栄である、この責任を皇国臣民としての資質がそのあるがままに認められたんだと、朝鮮人が。そして、その採用された者の任務というのは、単にアメリカや英国人の捕虜を監視するだけではだめだ、傲慢不遜のアメリカや英国人に対して真に日本国民の優秀性を認識せしめて衷心より日本帝国に対する尊敬の念を抱かしめるように指導すべきであると。そういう使命を持っているんだということをちゃんと軍は指示をしているわけですね。 こういう新聞をそのまま私は手にしたわけですけれども、これは明らかに日本のA級戦犯、BC級戦犯の人たちとはおのずと性格が違うと思います。 そういう意味で、私はやはり、これは日本政府の明らかな政策によって朝鮮半島の青年たちがこういう役割をさせられた、しかも捕虜虐待という仕事を強制させられた、そのことに対する日本政府の責任は大きいと思います。 ですから、この人たちの人権を回復するということについて、私は、特に大臣は人間としても、一人の政治家としても、ぜひ御尽力いただきたい。ここでひとつ御決意をいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 大変、お話を聞いておりまして胸が痛む思いがいたしております。再びあのような忌まわしいことを繰り返してはならない。政治家共通の願いとして恒久平和というものを私どもは常にこの政治の羅針盤の一つとして考えていかなければならない問題でございますが、事が大変大きい問題でございますので、機会があるたびごとにこういった問題が提起されていることを十分に私自身の脳裏に刻み込んで、委員の御指摘のことにつきましてどういうような対応策がとれるかということにつきまして十分に私の立場で今後検討していきたい、このように考えているような次第でございます。
○清水澄子君 直ちにひとつ検討を始めていただきたいと思います。 そこで、ちょっと戻るわけですけれども、なぜ朝鮮人が日本の戦争犯罪者とされたのか、その法的根拠ですね、そして同時に、昭和二十七年には日本が独立ということでサンフランシスコ講和条約の発効で、朝鮮人の戦争犯罪者も日本国籍を奪われているわけですね、外国人になっているわけです。 ところが、なぜ独立後も日本政府が管理する巣鴨刑務所で彼らを服役させたのか、そういうことになった法的根拠というのは一体何なのか、外務省の条約局長にお伺いいたします。
○政府参考人(谷内正太郎君) 先生御指摘のとおり、極東国際軍事裁判所並びに日本国内及び国外の他の連合国戦争犯罪法廷が刑を宣告した者のうち、朝鮮半島出身者及び台湾出身者は平和条約発効により日本の国籍を喪失したわけでございます。 我が国といたしましては、このサンフランシスコ平和条約第十一条及び平和条約第十一条による刑の執行及び赦免等に関する法律というものに基づきまして、連合国の最高司令官または関係国から身柄の引き渡しを受けた者に対しては巣鴨刑務所で残刑を執行したというふうに承知しております。 それで、国籍の観点で申しますと、先生御指摘のとおり朝鮮半島出身者及び台湾出身者の方々はサンフランシスコ条約発効後は日本人でなかったわけでございます。それで、御質問の焦点は、それではどういう法的根拠に基づいてこういう方々の残刑を執行したのかと、こういうことでございますけれども、この点につきましては、日本国は平和条約発効直前まで日本国民であった者の刑の執行の義務を平和条約十一条で負ったわけでございます。それで、平和条約発効後の国籍の変更、喪失は、この義務に影響を与えないということで、刑の執行は日本国が平和条約発効前に連合国が権利として行使していた刑の執行を平和条約の義務の履行として引き続き行う、こういうふうに理解しておるところでございます。
○清水澄子君 御存じのように、当時の敗戦後という問題もあったと思いますけれども、この法のはざまの中で、同じ刑に服していながらある時期までは日本国民、そしてその刑務所にいる間に日本国民でなくなる、国籍がなくなる、こういうことの中でもこの平和条約では、「日本国民にこれらの法廷が課した刑を執行するものとする。」となっているわけですね。ですから、日本国民扱いなんでしょう。そうしたら、刑が終わっても日本国民としての補償をしなければ、非常に御都合主義といいますか、余りにも機械的といいますか、この人たちは本当に日本で戦争犯罪者として刑に服するようなそんな重要な役割を果たしたわけではないですよね。 ですからそういう中で、ここでは私は今回のこの法律、今いろいろ準備をされていると言われるわけですけれども、自民党がやっていらっしゃること、それからいろんな各政党が考えられている中に、私はこのBC級戦犯の人たちの問題は入っていないと思うんです。ですから、そういう人たちをぜひここで謝罪と補償の対象にするということについて、私はここでどうしてもはっきりさせていただきたいわけです。そうしないと、またここでこの一番重い責任を負わされてしまった人たちを見殺しにしてしまう。 ですから、今ようやくいろんな問題を処理しようとする動き、二〇〇〇年内に起きたことを処理しようとする動きがあるときに、こういうBC級戦犯の方々本人とそして遺族ですね、そういう人たちに対してもぜひその補償の対象にするように、これも私はやっぱり大臣に言っていただかないと困ると思うんですが、そういう問題提起をしていっていただきたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 現在与党内で、先ほどから申し上げておりますように人道的な立場から在日韓国人などであっても旧日本軍人軍属等の戦没者、重度戦傷病者に対して弔慰金、見舞金などの一時金を支給する措置が検討されておるわけでございます。 その内容の詳細については与党内で検討中でございますから申し上げる立場ではございませんけれども、御指摘のBC級戦犯の方々につきましては、日本人のBC級戦犯の方々の取り扱いも、先ほども申し上げましたけれども、勘案しながら総合的に判断されるものと考えておるような次第でございます。
○清水澄子君 最後にもう一度申し上げますけれども、こうした補償を考えるとき、政府は従来日本国籍を有することという非常に狭い枠内で問題を処理してこられました。そのために非常に多くの人たちの人権が侵害されたまま、じゅうりんされたまま、そのままになってきたわけです。 しかし、最近ようやく在日の永住外国人の問題がこういう課題になってきたこの時期に、やはりもう一度このBC級戦犯になった旧日本国籍の人たち、この人たちはさっきも申し上げたように戦後南方で死刑になっていればもう日本と関係なくなっちゃっているんですね、処刑されてしまいましたから。または長期間現地、シンガポールとか南方の刑務所で服役した人たちは在日外国人としての要件を、日本でいう在日外国人としての要件を欠いているわけです。ですから、そういうふうな人たちも含めてぜひ調査をされて、そしてまたその現地からわざわざこの日本の巣鴨プリズンで残りの刑期を勤めさせられた人たち、こういう人たちとやっぱり会って、生きている人たちいらっしゃるわけですから、ぜひこれらの人たちの補償というものを、在日という要件だけに絞るとまたその人たちは外れてしまうわけですね。 ですから、ぜひその点は旧日本国籍を持っていてそういう政治の谷間、法律の谷間で犠牲になった人たちに対して今度しっかり補償をしていただくことを私はここで再度お願い申し上げたいんです。大臣に最後の御決意を伺って質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども申し上げましたけれども、大変心の痛む問題でございます。 日本人でも拘禁されていないことに対する補償がないから、だから韓国人の方々のBC級戦犯に対する補償がなされていないということでございます、整理といたしまして。 こういう問題も含めて、いずれにいたしましても大変大きな問題でございますので、政府全体で取り組む中においてこういう問題の取り扱いというものも当然のことながら議論されるべき問題だと考えておりますけれども、先ほどから申し上げておりますような総合的に勘案をして取り組むべき問題だと、このように認識をいたしておるような次第でございます。
○清水澄子君 終わります。
○堂本暁子君 私も戦傷病者戦没者遺族等援護法で朝鮮半島出身の方についての質問をしたいと思いましたが、今同僚議員の質問には本当に心痛むものがございました。後ろにいらしていらっしゃるとすればどの方なんでしょうか。 大変な御苦労をなさったということで、私も本当に胸がかきむしられるような思いがいたしました。 やはりこういった法律と申しますか、制度の谷間に落ちてしまう方がいらしてはいけないんだということをつくづく思いますし、それからある程度きょうのお話で、私は大臣にお願いしたいのは、人数もそう多くない、それから、私の父もアメリカにおりましたから、敵国ということでキャンプに入れられて、そしてそのまま亡くなりましたけれども、やはり戦争というのは本当に個人の意思とは別にその人の不幸を招くものだし、日本は責任を持たなきゃいけないというふうに思います。だから、清水さんの質問を補うのであれば、私は、超法規的な措置をとっていただきたい、そんな気がしています。 私自身は大変短い時間しかお願いしていませんが、去年は三月二十三日に同じ質問がございました。そのとき私は、議事録を見てみたら、ちょうど北朝鮮から帰ってきて三日目だったんですね。それで、去年のちょうど今ごろピョンヤンに参りましたけれども、大変反日的なムードが強くて、ホテルから外にも出てほしくないと言われるほどの反日感情の渦の中におりました。当時の厚生大臣、そしてさらに内閣の外政審議室長に、今後正常化交渉があったときに、どうか南北の隔てなくそういった対象になる方たち、日本の軍人あるいは軍属として戦った方たちに関しての補償をぜひお願いしたいということを申し上げまして、その御答弁は、今後国交正常化のときには当然対象にする問題である、含む問題であるという御答弁でした。 それから一年たちまして、今ちょうど国交正常化についての話し合いがスタートしてまいりました。そういったときに、やはり南北の別なく、そしてやはり日本人として戦地に行った方たちやそういった方たちの補償というのはこれから交渉していくべきだと思っております。その件について大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 朝鮮半島など分離独立地域の出身者の財産・請求権の問題につきましては、昭和二十七年のサンフランシスコ平和条約において我が国とこれらの地域の施政当局とのいわゆる特別取り決め、外交交渉により解決されていることとされております。 このうち、もう私から繰り返し申し上げることもないのでございますが、韓国との間では昭和四十年に日韓請求権・経済協力協定が締結されまして、完全かつ最終的に解決済みとされておるわけでございます。これを受けまして、韓国政府は昭和四十九年に在韓国の戦没者遺族に対しまして三十万ウォンの補償金を支給する、こういう措置を講じておるわけでございます。 また、北朝鮮につきましては国交正常化の問題がございますので、サンフランシスコ平和条約で予定されております特別取り決めを締結することが今できない大変不幸な状況にございます。しかしながら、在日の方々につきましては現に置かれている状況を十分に配慮しながら、人道的な観点から検討が与党内で行われていると承知をいたしております。与党内では、サンフランシスコ平和条約により日本国籍を離脱した者であっても国内に永住している者については、出身地域を問わず対象とする案が検討されているというふうに聞いておるわけでございます。 ただ、これは他国におられる方でございますので、日本政府が他国というようなそれぞれの主権を持っている問題、それを通り越して何らかの措置を行うということは、この主権の問題とも大変微妙に絡んでいるということはぜひとも御理解を賜りたいと思っております。
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。 私の方からは毒ガス障害者対策についてお伺いいたしたいと思います。 第二次大戦中、毒ガス製造に従事をされた方々に対する救済対策についてお伺いしたいと思いますが、まず、この毒ガス障害者対策の一環として行われております健康管理手当、それから保健手当などの額の改正、それから来年度予算の概要についてまず冒頭お伺いいたします。
○政府参考人(篠崎英夫君) 先生御指摘の毒ガス障害者対策について御説明をさせていただきますが、厚生省の毒ガス障害者対策といたしましては、国との雇用関係のなかった動員学徒などの障害者に対しまして、保健予防上の観点から、従来より毒ガス障害者に対する救済措置要綱に基づきまして救済措置を行っているところでございます。 このため、平成十二年度におきましては健康管理手当は額が据え置きでございますが、介護手当支給限度額を重度の方につき月十万八千円から十万八千三百円に、それ以外の方につきまして月七万二千円から七万二千二百円にそれぞれ引き上げることといたしましたほか、引き続きこの要綱に基づいて健康診断の実施、医療費及び諸手当などの支給を行いますとともに、相談事業や調査研究を行うこととしているところでございます。
○西川きよし君 この毒ガス工場で働いておられた方々の健康被害対策などの問題についてはいろいろ私も資料を拝見させていただきまして、戦後半世紀、さまざまな方々の御苦労によって今日の救済対策があるということを再認識いたしました。 私は本日諸先生方の質問をお伺いいたしまして、私は昭和二十一年生まれでございまして、終戦の明くる年で戦争を知らないという人間でございますけれども、おじいちゃんやおばあちゃん、そしてまた両親から、もちろん戦争のころのお話も随分と聞かせていただきまして、本日こういった質問をさせていただくに当たりまして、しっかりとよりよい方向に皆様方にもお願いをいたしまして、努力をしていきたいというふうに再認識をいたしました。 そしてまた、制度間に残されている格差の是正の問題についてですけれども、あるいは今なお中国大陸に毒ガス弾が大量に遺棄されたままとされているこういう問題も、今後さらに積極的な対策が必要というふうにまた感じておるわけです。 そこで厚生省にお伺いしたいのですけれども、今日までの毒ガス障害者対策における経緯、それから昨年新たに対象とされました神奈川県の旧相模海軍工廠における対応についての御説明をお願いいたします。
○政府参考人(篠崎英夫君) 今までの毒ガス対策の経緯等でございますが、広島県の大久野島にありました旧陸軍造兵廠忠海製造所などに従事をしていた毒ガス障害者につきましては、昭和四十九年度より、また福岡県北九州市にありました曽根製造所に従事していた毒ガス障害者につきましては、平成五年度より救済を開始しているところでございます。 ただいま先生御指摘の神奈川県寒川町にございました旧相模海軍工廠に従事していた方々につきましては、救済の要望が平成十年十月に厚生大臣と大蔵大臣に出されまして、平成十一年一月に旧相模海軍工廠ガス障害者救済検討委員会を設置いたしまして、同年六月に報告書が出され、その後、直ちに同様の救済措置を講じているところでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。 次に、この毒ガス障害者対策についてですけれども、これまでの会議録もいろいろと目を通させていただきまして、丹羽大臣が御答弁の部分も読ませていただきました。そして今までは、例えば元社会党の浜本先生が毎年のように指摘をされておりました。毎年毎年指摘をされておる会議録も目を通させていただきました。旧陸軍共済組合の組合員であった方々との格差の是正の問題ですけれども、相当以前の委員会より調査を行う旨の御答弁を再三にわたってされております。 この点に対するこれまでの厚生省のお取り組み、そして今後の考え方について、丹羽厚生大臣に御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員の御指摘の問題は、大蔵省のガス障害者対策の対象である旧陸軍の工員などの旧令共済組合員に比べた場合に、厚生省のガス障害者対策の対象でございます動員学徒に対しては、例えば特別手当であるとか医療手当などの支給が行われておらないのが現実でございます。 これはいろいろ経緯を調べてみますると、平均的には旧令共済組合員の方の方が作業の危険度が高く、また従事期間も長かったための措置と聞いておるわけでございますけれども、厚生省が救済対策を講じている毒ガス障害者の中には旧令共済組合員で特別手当や医療手当の支給となっている方と同様の疾病状態である方がいなかったと考えていいのかどうかと、こういう問題がございます。 そこで、昨年の十二月に厚生省に毒ガス障害者対策検討委員会というものを設置いたしまして、現在、医学的な観点から検討を進めているところでございまして、その結果に応じて対応を行いたいと考えておりますが、私は、基本的には同様の疾病状態の方々には同じ取り扱いをするということが基本的な考え方ではないか、こう考えているような次第でございます。
○西川きよし君 いろいろと勉強させていただきますと、本当に何年、何十年、なかなか国会には声が届かないという方々、そしてまた、子供さんからお年寄りに至るまで幅が広くて奥行きのあるというんですか、本当に大変難しい問題ではありますが、ただいま大臣が御答弁いただきましたようなよりよい方向によろしくお願いを申し上げたいと思います。 そして、この問題の最後の質問にさせていただきたいと思いますけれども、午前中の最後は中国における毒ガス遺棄問題についてお伺いをいたします。 これまで村山内閣、そしてあるいは橋本内閣当時、日本政府といたしまして現地の調査を行ってきているようでございますけれども、その調査の状況、そして今後この問題解決に当たりましてどのようなお考えで具体的な対応をされていかれるのか。ただいまも、堂本先生、清水先生からいろいろ外国等々のお話も出ましたけれども、この問題の解決に当たりましての具体的な対応をどうされていかれるのか、最後に総理府よりお答えをいただいて、午前中の質問を終わりたいと思います。
○政府参考人(須田明夫君) お答えいたします。 平成二年に中国から遺棄化学兵器の問題につきまして日本側に要請がございましてから、先生御指摘のとおり、歴代内閣はこの問題を真剣に検討してまいりました。 政府といたしましては、この問題の解決が化学兵器禁止条約における日本の履行義務であるという観点、それから日中関係の促進という観点からも極めて重要な問題として受けとめまして、政府全体としてこれに積極的に取り組むという姿勢を明らかにしております。これは、平成十一年三月の閣議決定で明確にしているところでございます。その後、平成十一年四月には、総理府に遺棄化学兵器処理担当室を設置いたしまして、この担当室が中心になりまして、現在、処理計画の策定ですとか、あるいは爆発リスク、環境の問題等を含めた処理技術の検討等を積極的に進めているところでございます。 明年度につきましては、明年度予算約二十八億円、また十一年度の補正予算で八億円を組ませていただきまして、これらの予算を使いまして今秋には、黒竜江省に北安市というところがございますが、そこに千五百発の砲弾が埋設されておりますのでこれを発掘、回収するという事業、こういった事業を手始めといたしまして処理事業に取り組んでまいる考えでございます。 遺棄化学兵器の処理の問題と申しますのは、何と申しましても中国全土に推定で約七十万発にわたる砲弾あるいは発煙筒等がほとんど埋設された形でまだあるという状態でして、かつそれは古い砲弾ですのでほとんどが変形したり腐敗したり、物によっては化学剤が漏出したりといったような状態でございますので、これをいかにして発掘、回収をし、かつ処理をしていくかということは大変複雑な事業でございます。 したがいまして、これをできるだけ早くすべて処理するということが大切であるということはもちろんでございますけれども、同時にその準備あるいは調査検討等を万全に遺漏なきを期すということもまた大切なことでございますので、そういった点を踏まえまして、中国側と十分密接な協議を行いつつ、政府として今後とも全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っております。
○西川きよし君 ありがとうございました。
○委員長(狩野安君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(狩野安君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 午後二時まで休憩いたします。 午後零時八分休憩 ─────・───── 午後二時開会
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、直嶋正行君が委員を辞任され、その補欠として柳田稔君が選任されました。 ─────────────
○委員長(狩野安君) 平成十二年度における国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案を議題といたします。 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございますが、本日またこの特例法案についても質疑をさせていただきたいと思います。 大臣にお尋ねしたいのですが、年金関連三法それから共済四法を含めて、私たちの目から見ますと強行採決をされたわけでありますけれども、そちらの方では給付水準を下げる、あるいは支給開始年齢をさらに引き延ばすという、こういう国民に大変苦痛を強いる法案の採決を強行しておきながら、今回は消費者物価の下がり方が〇・三だということで、少ないということを理由に年金額は切り下げないという、そういう片一方で非常に厳しいむちを当てながら、ちょびっとしたあめのかけらと申しますか、あめ玉の回りについている粉みたいなものをちょろちょろと出したような、こういう法案なわけですけれども、こういう特例法を提出した意図は一体どこにあるのか、お答えいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の物価スライド特例法案は、政府として景気対策を最優先に取り組んでおるわけでございますが、年金の引き下げによります影響も十分に考慮いたしまして、ぎりぎりの判断として平成十二年度限りの特例として提出したものでございます。これは、委員御案内のように、現に今この年金を受給されている方の年金額を減額しない、こういうような趣旨でございます。 それからもう一つの問題の法案の方のことでございますけれども、これはあくまでもいわゆる少子高齢化社会を控えて現役世代の過重な負担を軽減すると、こういう観点からいわゆる年金の支給額の伸び率を抑制しておるわけでございまして、これは額そのものは下がるわけではございません。そういう点から、おのずと性格が異なるものだと、このように認識をいたしておるような次第でございます。
○今井澄君 二つのことを今の御答弁に対して質問したいんですが、一つは、けさ方のこの法案の趣旨説明でも「現下の社会経済情勢にかんがみ、」という、これが要するに景気回復のためのということなんでしょうかね。そうだとすると、私は非常にこれはおかしいと思うんです。 景気対策、景気回復がまず第一だからそのためには何でもやる、これは小渕総理が二兎を追ってはいけないんだと、一匹だけとにかく何が何でも捕まえなきゃならないというお話ですけれども、それに対して私どもは党首討論の場でも繰り返し主張しているわけですけれども、やはり景気対策、景気回復とそれから将来に向けての構造改革、財政構造改革も含めて二兎を追わなければいけない、そうしなければ本当に一兎すら取り逃がしてしまいますよということを主張しているわけなんです。 例えば、今回のこの特例法で老齢基礎年金では月額二百円下がるところを下げないというわけですね。老齢厚生年金ではこのままほっておくと月に六百円下がるけれども、それを下げないという。わずかな額でもそれは国民にとっては大事なことかもしれません、そういう考え方も。例えば、月額六百円といえば年間にすれば七千二百円ですか、これだけだってもちろん消費に使ってさえいただければこれは無意味とは言いませんけれども、しかしこのわずかな額が下がらないために消費が果たしてふえるかということだと思うんですね。それが果たして本当に景気対策なんですか。それよりはもっと将来に向けて安心できる方が景気対策じゃないでしょうか。 国民は今、千三百兆円とも千四百兆円とも言われる個人資産を持っていると言われているんですね。お年寄りも平均すれば一人二千二百万を超える預貯金を持っている統計が出ているわけですね、もちろん低所得者は別ですけれども。そうすると、それだけの個人金融資産を持っている中で、将来への不安が消費を冷え込ませていると言われていると思うので、この特例法の経済刺激効果というのはほとんどないと思うんですけれども、それとも大臣はおありだと思いますか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 景気対策という側面があることも事実でございますが、私どもといたしましては、いわゆるお年寄りの中で年金に依存している方が全体の六割ぐらいを占めておる、そういう中において現にいただいている年金の額というものは、やはり生活設計のこともこれあり、翌月から下がりますよということではなくて、この問題についてはやはりお年寄りの皆さん方のことを十分に配慮して、景気対策という側面もありますけれども、即すべてがということではなくて、お年寄りの生活ということも十分に考えた上で今申し上げたような措置をとることが政治的な配慮として正しい選択だと、こういうことで提出させていただいているものです。
○今井澄君 景気対策として、消費刺激効果として余りないということをやっぱり御認識なさっておられると受けとめたわけであります、それが必ずしも主ではないと受けとめましたけれども。 やはり大事なことは、世の中何でも筋を通せばいいということではないですけれども、少なくとも政治においては基本線というものをきちっと明らかにする、時にはもちろんそれから外れることがあっても、きちんとすることが大事だと思うんです。強行可決された年金のように、これだけ厳しい状況で厳しいことをやりますよ、国民の皆さん、理解してくださいと言うからには、一方で物価が下がったんだから年金も下げるという、こういう制度になっているんです、逆に上がれば上がるようになっているんですから安心してくださいと、そういう筋を貫くことが、やはり私は特に今政治が信頼を失っている中では大事なことだと思うんですよ。ある意味では品位のある政治を行うということ、筋を通すということですね。だから、わずかだからとか何かじゃなくて、一方で厳しい法律を通した以上、一方でそんな変ななまじっかなあめ玉はしゃぶらせるべきではないと私は思うんです。 さて、それはそれとして、もう一つの先ほどの御答弁の問題は、現に年金をもらっている人は下がらないんですよと。それは、例えば五%カットというのはこれからの新規裁定者ですね。それはそのとおりです。また、現にもらっている人の額が下がるわけじゃないんですね。それはそうですけれども、この前、厚生省の試算、これを小池理事の方からもそれをもとにして質問されましたけれども、今七十歳の人が今後亡くなるまでにもらえる年金が三百万減るという数字を厚生省も出しておられるわけでしょう。 だから、さきの改革案は、確かに今度の四月にもらえる年金が下がるわけじゃないけれども、年金額の絶対額が下がるわけです。今この特例法で月六百円下がるのを下げないようにしましょうということよりは、その三百万下がることの方が問題なんですね。だから、お年寄りも消費を控えて、乏しい中でもさらに貯蓄をふやしたりして景気に悪い影響を与えているんじゃないでしょうか。どうなんでしょうか、その辺でこの改革案は。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、今井委員の先の御質問でございますが、原理原則からいえばまさに物価が下がったんだから年金も下がるべきだと、これはそうだと思いますが、私はさまざまなこの年金の審議の中で、原理原則の問題と、いや、そうは言ったって国民の皆さん方にとって大変、先ほどの午前中の話もそうでありますけれども、そこは何とかということでありまして、そこが私ども政治家がリーダーシップを発揮するべき問題ではないかな、こう思っておるような次第であります。 私は、額がわずかだからということではなくて、基本的な考え方として、年金の給付というのはやはり最低限今のものは保障されるべきだということから考えて、これは今井委員と意見が異なるようでございますけれども、現在支給されているものについては最低限確保するということがまさにお年寄りの不安を解消することになるのではないかと。 それから第二点目でございますけれども、これは先ほどから申し上げておるわけでございますけれども、今この少子高齢化社会が大変深刻になっていく中において、特に若年世代の負担というものが大変大きな問題になっている。そういう中において、年金の不安、不満ということも強まっている中でございます。 そこで、私どもがお願いをしたいのは、私たちの代はまだいいんですが、私たちのいわゆる子供であるとか孫の代になって、負担は重い、給付は少ないということになりますと、年金に対する信頼というものが失墜するのではないか。私ども政治家は、今の問題も確かに重要でございますけれども、二十年先、三十年先ということを見据えてやっていかなければならない、こう考えているような次第でございます。
○今井澄君 いや、私どもは何もこの特例法案に反対する気持ちはありません。これはそんなにいい法律だとは思わないから積極的に賛成する気もないんですけれども、しかしあえて反対する気はもちろんありません。 今、大臣がおっしゃったこれからの少子高齢化の中で大変厳しい時代の中で私たちは生きていかなきゃならない。今の若い人たちはなお厳しい状況になる。だからこそ厳しい、ある意味でいったら筋があるとすればそれをはっきりさせることが大事だと。そういう視点からすると今度の特例法案、こんなのはインチキじゃないですか、いいかげん過ぎませんかということを私は言っているわけです。 それで、これは例えば今度の特例法案も各審議会に諮問をお出しになりましたが、社会保障制度審議会がどういう答申を二月二日にされているか、よくお読みになっていると思うんですね。こう書いてあるんです。これは七行ですから読みますけれども、答申の意見です。 物価スライドは、年金給付額の実質価値を維持するための制度であり、本来、物価動向に則して、ルールどおり増減すべきであるが、厳しい経済社会情勢の下における年金受給者の生活の状況等にかんがみ、平成十二年度限りの特例として、年金給付額を据え置くこともやむを得ないと考える。なお、今後も経済情勢によっては、物価が低下することも考えられるが、平成八年度の特例措置の際にも指摘したとおり、物価スライドのルールを確立し、年金制度に対する信頼性の向上に努めるべきである。 これは物すごい皮肉ですよね、はっきり言いまして。 ここばかりじゃないですよ。厚生省の年金審議会だって「本来は物価変動に応じた年金の額の改定を行うことが原則であるが、」「やむを得ない措置」だということで渋々、やっぱり皮肉を込めて答申をしているわけです。 だから、ある意味では、政治主導と言いましたけれども、その政治主導というのは逆に言えばまさに選挙目当てとか何か勘ぐらざるを得ないわけです。こういういいかげんなことはしないでやっぱり筋を通すということが非常に大事だ。年金制度の信頼をかち取るために今私たちは何をすべきかということ、そのことが、これまで繰り返し年金審議の中でも申し上げてきましたけれども、実は一番大事なことだと思うんです。 それで、次にお尋ねしたいんですが、二十一日の本委員会で強行採決されました。そして、さらには一昨日、衆議院に送付されてそこで成立しましたが、この間の新聞、テレビ等の論調を大臣も大分気になることでしょうから注意を払ってお読みになられたと思うんですね。 私は、実はけさの朝日新聞の二面の漫画を見て、まさにこれが今の庶民の一番の気持ちだろうなと思いました。うちの勝木理事の趣旨説明のときの本会議の代表質問でも、それから過日、二十二日、採決するときの本会議でも反対討論の中でも、今の年金改革は逃げ水のようなものじゃないかということを再三主張された。 きょうのこの朝日新聞の漫画、本当はこれをきょう資料で配らせていただきたいと思ったんですが、何せけさ見て切り抜いてコピーしたばかりですので配れなくて残念ですが、ごらんになった方も多いと思います。小島功さんという例のなかなか色っぽい漫画をかく方がかいているだけに、それだけにまた非常に印象的なんですけれども、「年金改革は逃げ水か」と。四人の男女、恐らくこれは年をとった方のようですね。つえを持っている方が乗り場六十五と書いた停留所に駆けつけたら、もうそのときにはバスはずっと向こうに行っている、そしてその先に夕日が沈みつつあると。まさに今国民が受け取っているのはこうだと思うんですよ。 新聞論調やテレビ論調もそういう論調が多かったと思うんですが、この間のそういうマスコミの論調、これは国民に大きな影響を与えますし、また国民の意見をかなり代表していると思うんですが、どのように受けとめられましたでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、強行採決であるかどうかについては、これは国会の運営上の問題でございますから、私の方からはコメントをする立場にございません。 それから、新聞の論調についての御指摘でございますが、それぞれの立場でそれぞれ、公的年金制度に対するさまざまな問題について御提起をいただいているということについては十分承知いたしております。 これは先ほど今井委員が選挙がどうのこうのというお話がありましたけれども、むしろ、私どもが選挙目当てであるならば、率直に申し上げてこういう厳しいことを申し上げるよりは、例えばもっと給付は上がりますとか、保険料は下がりますと、こう言った方がはるかに私どもはいいと思うんです、はっきり申し上げて。それは国民というか、お年寄りも喜びます。 私のところでもさまざまなお年寄りの方々が、私が話をすると、うんとうなずいて、何か非常に私も複雑な気持ちがしないでもないんですが、しかし、私どもはそういうことではなくて、今一番国民の皆さん方が求めていることは、たとえ辛口であっても将来に向かってきちんとしたビジョンを示すということがまさに政治に求められていることであって、今、今井委員が御指摘になったようなことを避けて通ってきたのではないか、これまではどちらかというと。 そこに私は疑問点があるわけでございまして、ちょっと意気込んで言わせていただきますならば、私も大変つらい立場でございますけれども、風に向かって敢然として立ち向かっていかなければこの国の社会保障の先はどうなるんだと、こういう思いであえてこういうような法案を出させていただいたわけでございます。 恐らく与党の委員の方々も選挙区なんかでいろいろなおしかりを受けながらあえてやっていらっしゃる。私は、こういう問題は与党だ、野党だというような政争の具ではなくて、社会保障のあり方、財源を含めて、そういう中で議論というものを煮詰めていくべきものではないか、このように考えておるような次第であります。
○今井澄君 議論がおもしろい方向に発展してまいりましたが、私は率直に言って与党もこの年金の強行は避けたかったと思うんですね。だけれども、避けようがなかったんですよ、皆さん方は。それは、だって昨年国会に提出されて、閣議決定してから正式に国会に出るまでに一会期かかっているわけです。会期末になってやっと、それは連立与党内の例の財源問題の議論ですね。そして秋の臨時国会でもうまくいかなかった。そこで、もうどうしてもこれはやらざるを得ないというところにあったんですね。 評判の悪いことを我々は堂々とやったんだ、どうだ、選挙目当てじゃないだろうと。それは全然そういう理由にはならないんで、やらざるを得なかったということなんですよ。しかも、その裏には農林共済のどろどろした問題まで絡んで、私どもは十分その舞台裏も見せていただいておりますから、どういう魂胆があってやらざるを得なかったかというのはわかるんですけれども、もしそうでしたらおもしろい方向に議論が進んできたと思うんです。 今国会に提出される重要法案で、次に衆議院の本会議で、明日ですか趣旨説明が行われ、質疑が行われるのは、何と驚くことに社会保障基礎構造改革に関する法案なんです。大事なのは、私は医療保険法の改正案と医療法だと思うんです。これはどうなるのですか。どうも何か逃げているような気がして、それが出てくるのかと思ったら、どうも与党さんはそれを一生懸命やろうという気持ちが今ちょっとなえているようでありまして、選挙を考えたら、年金をやって、医療保険をやって、これはたまらぬわいということになってきているんじゃないかとむしろ私などは勘ぐっているわけであります。だから、先ほどから繰り返し申し上げているのは、通すべき筋は通すべきだ、そのときに筋に違ったようなことでちょこっとこういう特例法案のようなことをやるのはみっともない、まさに政治の見識が疑われるということを繰り返し申し上げているのであります。 それはそれとして、先ほどのマスコミの論調についてですけれども、新聞の見出しなどを見ればもう言うまでもないことなんですけれども、「迫る氷河期、募る不安」、「年金改革法成立へ」とか、それから「年金頼みもはや限界」とか、「社会保障見えぬ全体像」とか、「小手先改革、懸案先送り」とか、各紙ともこういう見出しがトップに並んでいるぐらい今度の年金については非常に問題がありますね。各紙がもちろん社説で取り上げております。 そして、さらに昨日の朝刊あたりで、もう一度衆議院で成立してからのことがありますが、将来への不安が積み残された、そして将来像がはっきりしない、このままでは、先ほど漫画のお話をしましたけれども、これで負担と給付の関係が安定しますよと幾ら言ってみても、だれもそれを信じていないんですね。これから本格的にきちっと議論してもらいたい、年金改革は今終わったんじゃない、これからですよというのがマスコミの論調だと思うのです。先ほど大臣が言われたように、私は、こういう問題は政争の具にしてはいけないと思うし、まさに超党派でやるべきだと思うんです。 ある新聞の社説にも書いてあります。スウェーデンでは昨年度から画期的な新制度が始まった。これを我々は大いに勉強してやっていかなきゃならないと思うんですけれども、そのためにスウェーデンでは国会の中の与野党の代表による超党派のワーキンググループをスタートさせて、六年がかりで法案をまとめた。私たちだって国会の中にそういう委員会をつくって本当にこの問題をやるんだったら、私たちは党派を超えて参加して議論をしたいと思いますよ。今度のことだって、私たちが言ったのは、基礎年金の議論を抜きにしてやったということを私たちは大いに主張してきたわけです。だから、そこまで含めてやるならば、超党派で私はやっていくべきだというふうに思うんです。 それからもう一つ、これは社説ではありませんが、ある新聞の編集委員がおもしろいことを書いています。総理は十年間凍結する、もう変えないということを言うべきだ、そのぐらい言わないと国民は安心しないということを書いているんです。こういうふうに書いてあります。「カサにかかったように負担増と給付の抑制に突き進んできたのがこの十年の年金改革の歴史である。五年に一度の年金財政の再計算と制度の改変がこの十年間で三回あった。」。 それで、これは別の社説に書いてありましたが、前回のときにもうこれが最後の大改革だということを言ったのに、それから五年でまた大改革をやっている。もうこういうことはやめるべきだと。 さらに、私は、余り言いたくはないけれども、ここで最後にもう一度厚生省の皆さんにも申し上げておきますけれども、この六十五歳問題を特に取り上げて、「厚生省の年金官僚たちの自我としか考えられない。」と。前の改革のときに基礎年金しかいかなかったものだから、何が何でも今度は報酬比例部分もやろうとした、その自我じゃないかと。しかも、これは十三年先から始まるんですね。「十三年先のことをなぜ今、決めなくてはいけないのか。定年後の無収入層はどうなるのか。「だから雇用の延長を」と民間に言うだけで済まされるのか。はっきりしているのは、これらの疑問に答えることなく、自自公政権が年金官僚の作った法案を無修正で通すということである。」と批判しているんです。 私は、この種の批判は当たっていると思います。やっぱり多くの不安を与えながら強行してきたというところに非常に問題がある。我々は、本当にじっくり地に足をつけた議論を超党派できちっとやらなきゃならない、しかも、それは社会保障制度全体の中でやらなきゃならないんですね。だから、私は、総理の有識者懇談会が結論を出すまで凍結されたらどうですか、学生の十年延納とか、いい部分だけはとにかく切り離して通しておいて、そうでもしないと安心できないですよということを申し上げた。大体マスコミの論調もそういうことだと思うんですけれども、これで終わったんじゃない、このままでは不安が残ります、これからしっかりやらなきゃだめですよと。 どうですか、こういう論調を受けて。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、最初の委員お話しの国会の法案の質疑の問題については、これは私どもが及ばないところでございまして、衆議院の場合は議院運営委員会でお決めいただいているものであります。 ただ、念のため申し上げますが、あした本会議で社会福祉事業法の質疑が行われるというふうには聞いておりません。そのことだけ申し上げます。 それから、新聞の論調についていろいろ話があったんですが、これはさまざまな御意見があって、私どもは謙虚に受けとめなければならないんですが、これもいろいろ議論があって、恐縮でございますが、例えば消費税を導入するときに大変な議論がありました。ある新聞は消費税導入反対だという論陣を張りました。それから、ある新聞は、これからの少子高齢化社会を見据えて、直間比率の見直しという観点から消費税は賛成せざるを得ないんだと、こういう話になりました。まだまだ消費税についていろいろな議論があることを私も十分承知いたしておりますが、その反対をした新聞は、三%から五%にするときにはいろいろ議論して、今度は容認に回りました。これは、しかしほかに財源がないじゃないかと、こういうことでありまして、別段この新聞の論調をとやかく申し上げるわけではございませんけれども、時代とともにさまざまな流れがあるんだということを御紹介申し上げたいと、こういうことでございます。 それから、私が申し上げたいことは、この年金の問題についてもいろいろな議論があることは十分承知いたしております。女性の年金権の問題であるとか、それから基礎年金の国庫負担の問題であるとか、こういう問題があることは事実でございますけれども、先ほどから申し上げておりますように、とにかく私どもといたしましては、今回の年金法の改正を通じて、安定し、将来にわたって国民の老後の安心を保障できる、こういう観点から法案の成立をお願い申し上げたということであります。これは、何か待っていたらどうのこうのということではありませんけれども、今回は五年に一度の財政再計算のときでございますし、将来に向けての一つのビジョンが示されたものと、このように確信をいたしておるわけでございます。 また、尊敬する今井委員に大変失礼でございますけれども、この物価スライドの凍結をインチキだとか小手先だと言うことは国民に対していかがかなという感じが、私は個人的にいたしておるわけでございます。
○今井澄君 もちろんマスコミもやっぱり商売ですから、論調が変わったり、いろんなことを書くんです。しかし、この間の年金についてのマスコミの論調、それぞれ行き過ぎもあったり、間違っているところもあったり、いろいろ私も感じますけれども、一貫しているのは、これで終わりじゃないんだと、今度この法案が通ったからこれで将来が安心できるとだれも思っていないということが一番大事なんですよ。そこを私は申し上げたい。 そして、それはなぜかというと、やっぱり基礎年金の部分を含めた年金の全体像、財源の問題、そういうことを含めて全然明らかになっていない。そうすると、五年たったらまた、さっきの漫画の話じゃないけれども、今度は間に合ったかなと思って行ってみたらもうバスは出ていたという、そういうことがまた繰り返されるんじゃないかということをみんな不安に思っているということなんですよ。 だから、ある意味でいったら、ここで党派を超えて将来の社会保障の全体ビジョン、その中で私は年金が一番大事だと思う。最初の質疑のときに漫画をお配りしましたけれども、年金がしっかりしなければ医療や介護の自己負担も保険料もあり得ないわけですから、私は、多分政府の方にもそういう結論を出してもらえると思っているんです、年金が根幹ですよと。そういうことできちっとした議論を今からまた続けなければならない、というより今から始めていかなければならないと思うんです。基礎年金の部分、財源の問題、場合によってはスウェーデン方式の勉強を含めて、スウェーデンもやっと始めたばかりですから、それが本当に安定的な年金制度なのかわかりませんけれども、そういうことも含めて私は議論すべきだと思っているんです。 ところで、いずれにしても今回解決しなかった問題が幾つもあるわけで、女性の年金問題については大臣もお認めで、これから懇談会をつくるということですが、障害者の無年金問題については今回の改革でも全然明らかにはならないし、質疑の中でも明らかになってこなかったと思うんです。しかも、今度、二百円だ六百円だ年金が下がる分を下げませんよという特例法でも、障害無年金の人はこんな特例法を通してもらっても、もともともらえていないんですから何の得もないわけですよ。そういう人が今十万人を超える数がいると言われているわけですね。 このことについても既に多くの人たちが質疑をされましたけれども、我が会派では一度もその問題、ちょっと質疑時間が足りなくて、堀議員が交代で質疑に来る予定だったんですが、とうとうその機会もないままに強行採決されてしまったので、一言だけ申し上げておきたいと思います。 平成七年十二月につくられた障害者プラン、これは実は当時の与党福祉プロジェクトで、厚生大臣、私たち一緒になって、堂本さんなんかも一緒になってこの障害者プランをつくったわけですが、与党と同時にこれは政府の障害者プランです。その政府の障害者プランの中に、この白い冊子でいえば九ページの第十二番「所得保障」のところに、「障害無年金の問題について、年金制度の在り方全体をにらみながら、」、その次が大事なんですけれども、「年金制度の中で対応するか福祉的措置で対応するかを含め、幅広い観点から検討する。」と。平成七年十二月、政府の文書ですね。これはその後どういう検討をして、今どうなっているのか、もう一度はっきりお答えをいただきたい。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 無年金障害者の問題につきましては、堀委員から予算委員会の場におきましてかなり御質問を受けております。この無年金障害者につきまして、年金制度において何らかの給付を行うことは、保険料の負担に応じて給付を行うといういわゆる年金制度の根幹に触れるものでございます。 年金審議会の意見書におきましても、現在の年金制度のもとでは年金給付を行うことは大変難しい。当然のことながら、税方式になればこれは全然問題ないわけでありますけれども、私どもは負担と給付の関係を明確にして、そして長期間払っていただいて将来渡していくという社会保険方式というものを維持し、堅持していくべきだと、こういう観点からはなかなか難しい問題でございます。 しかし、この問題については委員会でも私の方から答弁をさせていただいておりますけれども、解決に向けてなお難しい論点が残されているところでございますけれども、真にやむを得ない理由によりまして国民の皆さん方が納得できるものがないかどうかを含めて、これはまさに筋論からいうとちょっと外れるのでございますけれども、先ほどの話じゃありませんけれども、今後とも関係者の御意見を聞きながら私なりに知恵を絞っていきたい、このように考えているような次第であります。
○今井澄君 そうすると、現時点では保険制度という中で難しいけれども、その中での対応も含めて今後また検討すると、こういうことですね。確かにこれまでも国籍要件を外したり、それから小笠原、沖縄、それから中国残留者の問題、いろいろクリアしてきたわけですし、今度も学生のことで十年間とか、いろいろなことをやっているわけです。 この前、清水委員の方から紹介された大阪の方からのあれはほとんどの委員のところにコピーで来ていると思うんですけれども、あの方の場合なんかも、掛けている期間もあったのに、最近の一年二カ月と、それから若いころの長い百何カ月。結局このことは、一つはこの保険制度と同時に、日本の年金は資格取得に二十五年間という異常に長い期間があること、これは前に私は指摘しておきましたけれども、イギリスが十一年で最長で、あとは三年とか短いんですね。そういうことが皆さんのところへ来た大阪のあの障害無年金になってしまった人のことでもあると思うんです。 こういうことも含めて根本的に考え直すために、やっぱりこの委員会としても私は小委員会をつくるぐらいのつもりで早速にでも取り組むとか、そういうことで政府の方でもまた取り組んでいただきたいという希望を申し上げて、質疑を終わりたいと思います。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。 国民年金法による年金の額等の改定の特例に関する法律案、これについては、深刻な消費不況が続いているもとで当然の措置というふうに考えております。 そこで、きょうは国民年金の深刻な空洞化問題をお尋ねしたいというふうに思います。 まず、本来ならば国民年金に加入しなければならないのに制度に加入できていない第一号の未加入者は何人でしょうか。
○政府参考人(小島比登志君) 国民年金の第一号未加入者についてのお尋ねでございますが、平成十年の公的年金加入状況等調査によりますと、平成十年十月におきます国民年金の第一号未加入者は九十九万三千人ということになっております。
○小池晃君 前年より減ったとはいえ、まだ約百万人であります。 さらにお聞きしたいのは、制度に加入して被保険者となった人たちはちゃんと保険料を払えているのかという問題です。 免除者ですけれども、免除者は一体何人になるのか、また前年度との比較では何人ふえているのか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(小島比登志君) 免除者についてでございますが、平成十年度末現在の国民年金の保険料免除者数は三百九十九万八千人となっております。また、前年度末の免除者数三百五十八万五千人に比べまして四十一万三千人の増ということになっております。
○小池晃君 この一年間に保険料を払えない人が四十一万人もふえているということなんです。この四十一万人のうち、申請免除者は何人でしょうか。
○政府参考人(小島比登志君) 平成十年度末の保険料免除者は先ほど申しました四十一万三千人の増加となっておりますが、申請免除者はそのうち三十八万六千人の増加ということになっております。
○小池晃君 免除者がふえたうち、ほとんどがこれは申請免除者であります。この申請免除者の急激な増大については、「保険と年金の動向」の九九年度版でも「所得の伸びの低迷や完全失業率の上昇など経済情勢の影響」によるものと、こう書いてあります。 厚生年金の問題、私は年金法案の議論の中で空洞化の問題を議論しましたが、国民年金の空洞化も一層加速をしているということであります。さらに、こういう未加入者、免除者を除いた残りの方々、これは果たしてまともに保険料を払えているのかという問題について議論したいと思うんです。 検認率というものがあります。これについてちょっとただしたいと思います。 この検認率というのは、被保険者から免除者を引いた上で本来納められるべき保険料のうち何%が納められたかを示す数字であります。九八年度の検認率は七六・六%だと。すなわち免除されていない、保険料を払えると認定された被保険者の保険料も七六・六%しか納められていないんだということです。 国民年金第一号被保険者の対象者は二千百四十二万人であります。先ほど紹介された未加入者それから免除者を除いた被保険者の数は千六百四十三万人、これは対象者全体の七六・七%になる。この七六・七%に検認率の七六・六%を掛けると五八・七%になる。すなわち、検認率というのは保険料の納入を示す数字で、単純に人数とイコールではない、このことはわかっております。しかし、保険料を受け取れているのは全対象者の五八・七%分だけだと。 大臣にお聞きしたいんですが、六割切っている、この実態を見れば国民年金の空洞化というのは否定できないのではないかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、保険料の免除者というのは、これは委員御案内のように、低所得などの理由によって制度として保険料を納付しないことが認められている者であります。ですから、未納者、未加入者と同様に扱うべきではない、こう考えておるわけでございますし、それから納付割合の算出根拠に含めるべきではない、そもそも納めなくていいんだと。納めなくちゃならない人が納めないのと納めなくていい人というものは別の性格のものではないか、こう思います。したがいまして、保険料の納付割合につきましては、その年度に本来納めるべき保険料の総額に対する実際に納められた保険料の割合である検認率、現在は七六・六%、これが正確ではないか、こう考えています。 いずれにいたしましても、委員の御指摘の未納・未加入問題というのは、これは免除とは別でありますけれども、大変重要な問題と認識いたしておるわけでございますし、さまざまな形で私どもは、PRもさることながら、この委員会でも十分御審議をいただきました国庫負担率の引き上げ等を含めまして、こういったものの解消に全力を挙げなければならない、このように考えているような次第でございます。
○小池晃君 いろいろおっしゃいましたけれども、未加入、未納というのをいろいろと理屈づけていらっしゃるのは、それは厚生省の論理であって、現実に保険料は払うべき人の五八・七%しか納められていない、これが現実じゃないかと思うんですが、これは認められますね、大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ちょっと恐縮でございますが、そうすると保険料の免除者というのはどういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
○小池晃君 どうしてですか。保険料の免除者というのは全体として制度の対象になり得ないというふうに判断された方でしょう。そういうことでいえば、全体の払うべき人の中で対象者のうち五八・七%分の保険料しか納入されていないということは事実じゃないですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ですから、保険料の免除者といわゆる未納者、未加入者というのは別の性格のものだということを私は申し上げているのであって、これを混同するということはやはりちょっと筋違いな話ではないか、こういうことを申し上げたんです。
○小池晃君 今の問題でいうと、ほかにもいろいろと指標が私はあると思うんです。例えば、未納者が百七十二万人という数字、これは二年間全く保険料を納付しなかったと。それからまた別の数字でいうと、厚生省が保険料を十二カ月払えた人数を大まかに出す拠出金算定対象者という指標があります。これでも九八年度は千二百二十六万人、対象者の五七・二%。こういうことでいうと、先ほどの数字も合わせて保険料を払えているのは対象者の六割であるということは共通して言えるんではないかと思うのです。 やはりこの空洞化の現実という認識、そこからスタートすべきであって、先ほど大臣がおっしゃられたように、直ちに二分の一に国庫負担を引き上げる、保険料の軽減を図るべきだということが、今不況に苦しんでいる被保険者の救済という点でも、空洞化の解決に一歩踏み出すという点でも、これは極めて重要だということを私はここで改めて主張しておきたいというふうに思います。 さらに、残りの時間ですけれども、実施を直前に控えた介護保険の問題についてお聞きをしたいと思います。 介護保険の実施まであとわずか、あさってからであります。ケアプランの作成がおくれているということが報道されています。厚生省は現状をどのように把握しているのか。特に居宅サービス計画作成依頼届、ケアプランの作成依頼届の届け出状況について説明をしていただきたい。
○政府参考人(大塚義治君) 居宅サービス計画、いわゆるケアプランでございますが、その作成状況につきまして、私どももいわば緊急調査ということで、三月二十四日現在の状況につきまして全国から五十の市町村を抽出して調査をいたしたところでございます。特別養護老人ホームなどの施設入所者を除きまして、居宅のケアプランの作成必要見込み数に対しましておおむね七三%の進捗率でございました。 ただ、未作成者の中には、当面、介護保険でのサービスは希望しない方、施設入所を希望しまたその見込みのある方、ただいま一般の病院に入院している方々、あるいはグループホームとか有料老人ホームに入所をいたしますとこれはケアプランに基づくサービスではございませんのでその作成が直接的には必要ないわけでございますが、こうした方々も入っておる数字でございます。 したがいまして、実質的な数字はもう少し高いものになるとは思っておりますけれども、いずれにいたしましても必要な方の作成依頼届が順調に提出されますように、都道府県を通じまして直前までその趣旨の徹底に努めてまいりたいと考えております。
○小池晃君 四月までに施設に入所する可能性があるとか、そういういろんな可能性が全くないとは私も言いません。ただ、現状として七三%という極めて低い数字であるということだと思うんです。 我が党が二十二日から二十四日にかけて全国で緊急調査をやりました。これは我が党の地方議員のいる自治体の約八割、千八百四十三の市町村で調査をいたしました。結果は、二十七日に記者会見をして、その日のうちに大臣のもとにもお届けさせていただきました。 この調査によれば、これは厚生省と同じ考え方ですが、施設入所者を除いた数で調べました。要介護、要支援と認定された九十三万七千二十七人のうちケアプランの作成の依頼がされているのは七六・五%だったと。政令市で八〇・六%、特別区で七一・八%、一般市が七六・七%、町村が七五・七%だと。厚生省の結果とほぼ同じような数字が出ておるわけですが、ケアプランの作成依頼の段階に至っているのが七割台にすぎないという事態です。 大臣にお伺いしたいんですが、この事態をどう認識されているのか、そしてこの原因は一体どこにあるというふうにお考えなのか、お尋ねしたい。
○国務大臣(丹羽雄哉君) いよいよ今週の土曜日から介護保険制度がスタートするわけでございます。そういうことを踏まえまして、私ども、ことしになりましてからも全国会議を、一月二十六日、さらに三月の七日、八日と、こういうことで、担当の課長の皆さん方あるいは関係者の皆さん方にお集まりをいただきまして、とにかくこのケアプランの作成の周知徹底、そして早くつくっていただきたいということをお願い申し上げてきたところでございます。 このケアプランの作成の進捗を図るために、当面、簡便な方式によりますケアプランの作成の迅速化を図ること、それから、ケアプランというのは私が申し上げるまでもなく本来ケアマネジャーが作成するものでございますが、現在サービスを利用されている方へのサービスの提供が途切れないように、こういうことから、利用しているサービス内容に基づきまして市町村がケアプランの作成を支援する。これは、実はこの二十八日でございますけれども、再度また徹底をしております。 こういうようなことをお願い申し上げておるわけでございますが、率直に申し上げて、私も連日この問題で何とか四月から円滑にスタートできるように最善の努力をする、こういうことで、この委員会が終わりましてからまた私自身が陣頭指揮に立ちましてお願いを申し上げて、また厚生省の方からもきょうからいろいろな点につきまして、いわゆる直前直後情報収集チームというのをつくりまして、重立ったところでまだまだおくれているところとか御理解をいただかねばならないところには直接職員が出かけていって叱咤激励をしながらお願いを申し上げる、こういうことで最善の措置をとっておるような次第でございます。 それから、四月一日以降も、この実施状況につきまして定点観測市町村会議ということで百カ所ぐらいの市町村に集まっていただきましていろいろな、アンケートの調査を実施したり、アンケートの調査というのは実は半月に一回ぐらいずつやっていこうじゃないかということ。それからあと、四月の中旬には定点観測市町村会議というのを月一回のペースでやっていこう、こういうことであるとか、それから老人クラブなどによります利用者代表による意見交換会というのを四月の下旬ごろやりたいと思っています。それから、私の諮問機関でございます、樋口恵子さんであるとか堀田さんなんかに御加入いただいておりますより良い介護保険に育てる会でも、これを踏まえまして五月の上旬ごろ行う予定でございます。それから、介護サービスの事業者の皆さん方による意見交換会も四月の下旬ごろ行う予定でおります。 こういうことで、私どもといたしましては最善の努力をさせていただいておりますけれども、率直に申し上げて、まだまだ委員が御指摘のように非常に温度差といいますか開きがあります。例えば、北海道の奈井江町なんというのはケアマネジャーが二人しかいない。二人しかいないんですが、実はもう三月からスタートしているんです。もうあらかじめこの日を予期して、前からずっと実際のケアプランの作成をしている。こういう地域もありますし、これは何度申し上げても、大変失礼な言い方かもしれませんけれどもなかなか動いてくださらないところもありまして、これはあくまでも市町村の今回の介護保険に対する一つの取り組み方、姿勢の問題にも率直に申し上げてかかってきているのではないか。 しかし、私どもも十分に反省すべき点は反省しながらも、さらにどうのこうのということではなくて、とにかく現在既にこのサービスを受けていらっしゃるお年寄りの皆さん方のサービスが途切れないようにやっていかなきゃならない、こういうことで最善の努力をしておるところでございます。
○小池晃君 いろいろ努力されているのはわかりましたけれども、かみ合っていないんです。甘いと思うんです。 というのは、私はケアプランの作成ができていないということじゃないと思うんです。七三%というのはその前の段階なんです。作成の依頼届が出されているのが七三%しかいないんです。だから、ケアプランの作成を簡易法でというようなお話がありましたけれども、そういう段階じゃないんです。ケアプランの作成依頼届が出ているのが七三%にすぎないんです。それが現状なんですよ。そこをどうするのかという対策が今のお話の中には見えてこない。 我々の調査の中で、ケアプランを何でつくるというところまで行っていないのかということの答えで一番多かったのは、制度を知らない、制度が知られていないということであります。それから利用料の高さということも挙げられています。まさに厚生省の責任が今問われているんじゃないだろうか。 私がここで問題にしたいのは、重大なのは、ケアプランの作成依頼届が出されていない場合には償還払いとなってしまうということです。きょうの一部の報道で、ケアプランができていないと償還払いというような報道がありますけれども、そうではなくて、作成依頼届が出ていればこれは償還払いにならないはずだと思うんですね。これはそうだと思うんですが、作成依頼届が出ていないと償還払いになってしまう。ただでさえ一割の自己負担ということで悲鳴が上がっているところに、一たん全額払う償還払いということになっていったら大変なことになってしまうんじゃないか。 これは、制度発足時であり特殊事情なんですね、制度が十分知られていない。ケアプランの作成届の提出、これはもうあくまで手続的なものなんです。これがおくれても償還払いにならないように、例えばケアプランがその月末までに間に合えば償還払いにしないようにするとか、そういう何らかの配慮が必要なんじゃないだろうかというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) このケアプランの作成を届けていただくということは、それぞれの都道府県の国保連から支払われるための最低条件でありまして、今、委員から御指摘がありましたように、私どもとしては、できるだけそういうような償還払いという、一時的であっても御負担をいただかないようなことが望ましいということで、先ほど申し上げておりますように、とりあえずまず簡便なケアプランの作成でも結構です、それから市町村に御相談していただいてつくっていただきたい、こういうことを申し上げておるわけでございます。そういう意味において今後さらにこのことを徹底していきたい、こういうことでございまして、できるだけ償還払いにならないように最大限の努力をしていかなければならない、こう考えております。
○小池晃君 ちょっとかみ合っていないんですけれども、簡便な方法だから解決するという問題じゃないと思うんです。ケアプランができたら償還払いにならないというわけじゃないですから、ケアプランの作成依頼届が出ていなければこれは償還払いになってしまうんですね、届けが出なければ。 事業者と被保険者が契約をして、この事業者に頼みますよと。事業者が実質的には市町村、保険者に届けを出す。この手続が三月三十一日までにやられなければ償還払いになってしまう。だから、簡便な方法だから解決するという問題じゃ私はないと思うんです。 だから、これはやはり何らかの形で、この届けが少しおくれても何らかの形で救済をするというようなことが私は求められるんじゃないかと思うんです。もう一度お伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか、大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどの答弁の繰り返しになるわけでございますが、介護報酬を支払う、こういう点から考えましても、必要最小限度のことは、これはきちんと手続を踏んでいただかなければならない問題だと、こう考えております。 私どもは、こういうことも十分に予想をしながら半年間の助走措置として特別対策で保険料の免除、このようなことをとらせていただいたような次第でございます。
○小池晃君 予想されていなかったと思うんですね、三月十七日になって簡易ケアプランの通達を出しているんですから。こういう事態を予想されていなくて大変慌てていらっしゃるんだと思うんです。私は、これは何らかの配慮をやはりすべきだ、これはぎりぎりまで検討すべきだというふうに申し上げたいと思うんです。 さらに、その後の問題ですが、ケアプランの作成依頼届が出されてから、その後ケアプランが完成したかどうかということを確認する仕組みはこの制度上あるんでしょうか。
○政府参考人(大塚義治君) 利用者がケアマネジャーと御相談をし、あるいはお話をしてケアプランの作成に入るわけでございますが、利用者が自治体に御提出いただきますのがいわば作成依頼届け出でございます。ケアマネジャーは、いわばその利用者とのお話し合いをまとめて、一つはサービスを提供する事業者にケアプランの内容を提示する、それから支払いをいたします国保連に給付管理票を届けるというような形でございます。 もし、お話が自治体側がケアプランの作成結果について把握する手法あるいは手段、方法はどうかということでございますれば、直接的にあるいは自動的に市町村にケアプランの作成内容が届くというような仕組みではございませんけれども、市町村は法の規定に基づきましてケアプランの作成事業者に必要な報告を求めることができますので、また事業者は報告の求めがあればそれに応じる義務がございますので、そうした形で情報を収集することは可能でございます。
○小池晃君 要するに、事業者を市町村が問いただせば調べられるけれども、報告するシステムはないんですね。だから、作成依頼届を出す、そこからケアプランの作成が始まるわけです。 七三%のところ、ケアプランをつくっているのはもっとそれより少ないんですよ。ところが、それを把握する手段を持っていないわけですね、行政の方は。これは私は大変問題じゃないかと。最終的にわかってくるのは四月の終わり、五月になってから、保険請求で来たときに初めてわかるということになるわけで、これはやはり大変な問題ではないかと思います。 昨年十一月十八日の当委員会で、私は、ケアプラン作成に当たる居宅介護支援事業者について、事業者そのものになっているのは都道府県段階では二県だけだということを指摘しました。ケアプランの作成に自治体が関与することが必要だという提案をいたしました。そのとき大臣は、「地方自治体が事業者としてやれと、」「それも一つの考え方でございますけれども、私はできることならば民間活力の導入という観点から、」「多様な事業主体の参入を認めることによってケアプラン事業の体制の整備が図られると、このように考えている」というふうに答弁をされました。 私は、何もすべて国や自治体でやれというふうに言っているわけではないんです。やはり自治体が全く関与しないようなシステムには問題があるんじゃないだろうか。それを国がきちっと支援することが必要なんじゃないだろうか。 最後に、大臣にこの時点に立ってもう一度お聞きをしたいと思うんですが、やはり自治体が責任を持ってケアプランの作成を進めるためにも、自治体みずからが居宅介護支援事業者になって、ケアマネジャーも確保して、そしてそのための体制をつくることが必要なんじゃないだろうか。このケアプランをつくるのに漏れるような人に、自治体が直接ケアプラン作成に乗り出すということも必要なんじゃないだろうか。それから、国がそれに対してやはり必要な支援を私はすべきでないかというふうに思うんですが、いかがでしょう。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 介護保険制度におきましては、多様な事業主体の参入を認めることによりまして、居宅介護支援事業の体制の整備が図られるとまず一義的に考えております。 行政みずからが居宅介護支援事業者の事業を実施するか否かにつきましては、それぞれの地域の実情があるわけでございます。都市部であるとか離島であるとか山間部であるとか、それぞれの事情を抱えておりますけれども、こういったことを十分に踏まえて、地域の実情に応じて判断をしていただく問題である、このように考えているような次第でございます。 それから、今、施行直前の段階という状況のもとで行うべきことは、先ほどから委員にも御心配、御懸念をいただきまして、私も答弁をさせていただいておるわけでございますけれども、できるだけ要介護認定を受けた方々に対してケアプランの作成依頼届の届け出の勧奨をひとつお願い申し上げたい。 それから、簡便な方式を用いてケアプランの作成の迅速化を図ることが大事であって、特に現在サービスを利用されている方々については、サービスの提供が途切れることがないように、市町村によりますケアプランの作成の援助などの工夫をする必要があると考えております。 自治体が、その市町村がそれぞれ乗り出してやっていただく、それだけ御熱心なところは大変私は喜ばしいことだと思いますが、これはあくまでも地方自治体がそれぞれ運営をしていただく問題でございまして、そこまで私どもはお願いを申し上げることはないんですけれども、小池委員のそういった趣旨というものは大変貴重な大変ありがたい御提言だと、このように考えている次第でございます。 いずれにいたしましても、それぞれの自治体がこの制度の円滑実施のために最大限の一層の御努力をお願い申し上げたい、このように考えている次第です。
○清水澄子君 共済年金と厚生年金が統合されるわけですが、この共済年金と厚生年金にはさまざまな差があるわけです。それで、それらをどのように考えていくのかということをお聞きしたいんですが、例えば厚生年金の障害年金及び遺族年金については、保険事故が起きたときに公的年金の加入すべき期間の三分の二以上保険料を納めているということが支給の要件になっておりますね。しかし、共済年金にはこのような要件はついていないわけです。ですから、同じ年金に統合されたとき、それはどこにどういうふうに統合していくのか。 例えば、厚生年金の場合には、給料から天引きされているために滞納が発生していないように見えるわけですけれども、しかし厚生年金に加入する前に国民年金で保険料の滞納があった場合は三分の二に行かないわけです。厚生年金でも期間が足りなくなる人があるけれども、共済年金の場合にはそれは起きない、そういう制限はありませんから。そういう場合はどういうふうになるんでしょうか。
○政府参考人(矢野朝水君) かつて官民格差ということで共済年金と厚生年金は非常に差があったわけでございますけれども、六十年改正で給付につきましては基本的に厚生年金に合わせる、こういう改正をしたわけでございます。しかし、幾つかの点におきましてまだ違いが残っておるわけでございます。これは、これまでの共済年金の歴史あるいは公務員処遇の一環という観点からいろいろな措置が講じられている、こういう理解をいたしております。 今お尋ねの件でございますけれども、共済年金ですと同じ職域の人の生活と福祉の向上に寄与する、こういう観点からできておるわけでございまして、同じ職域に勤めている間に保険事故が生じた、こういった場合は無条件で支給対象になる、こういう考え方でございます。 一方、厚生年金は、非常に多種多様な事業所に勤務する民間のサラリーマンでございまして、非常に職場に違いがある、こういうことから公的年金制度の保険料納付実績を考慮して支給をするかどうかを決めておる。こういうことで、その両者の違いがあるわけでございます。
○清水澄子君 それでは、逆に厚生年金の障害年金というのは厚生年金加入中も支給されるわけですけれども、共済年金の障害年金は共済組合の加入中は原則として支給されない。そうすると、これはどちらに合わせるんですか。
○政府参考人(矢野朝水君) 厚生年金の場合は、今申し上げたとおり非常に多種多様な事業所に勤務しているわけでございまして、障害になられると一般的に給料も低い、こういう実態があるわけでございます。したがって、障害者の障害年金は支給をする、こういう取り扱いをいたしております。 共済年金の場合は非常に大規模な組織ですし、働いている限り障害者であっても給与が大幅に低下する、こういう実態はないわけでございまして、そういうことから働いている間は障害年金が支給停止になる、こういう取り扱いでございます。 こういった問題をどうするかというのは、再編成の過程で関係者が御相談するわけでございまして、そういう中でどちらに合わせるかを決めていくことになろうかと思います。
○清水澄子君 そういうことをまだ何にも話し合いもしないで、まず統合ありきだったんですか。 それで、遺族年金が支給される遺族の範囲も厚生年金と共済年金では違います。一級、二級の障害を持つ子については、厚生年金は二十歳までになっているんですが、共済年金には年齢制限がありませんね。これは、障害年金だけではなくて遺族年金でも六つぐらい差がありますね。 今言ったことと、それから夫が亡くなったとか、父母または祖父母が自分の子供とかが死亡した場合に受け取る遺族年金については、厚生年金はこれらの人が五十五歳以上のときに権利を持っていなければ支給されないのですけれども、共済年金の場合はそういう制限はありませんね。 そしてまた、遺族年金の中高齢寡婦加算については、厚生年金には妻が権利取得時に三十五歳以上という要件があるんですけれども、共済年金にはないわけです。 そしてまた、遺族年金で、厚生年金では配偶者が失権すれば、その受給権は子供に移転するわけですけれども、それ以外の人には払われないわけです。しかし、共済年金ではこれはずっと順番が決めてあって、例えば一番が連れ合い、妻であれば、二番が子供とかと順位が決めてあって、そういう順位の人たちも失権すればまたずっと孫までも払うというふうになっているんですけれども、こういうことなどをいつどういうふうになさっていくつもりですか。
○政府参考人(矢野朝水君) 今の問題、一つ一つ背景、理由を申し上げる時間もないんですけれども、私ども厚生年金を担当する立場からはそれなりの合理的な根拠があり、現在のような仕組みで運営しているわけでございます。それが共済年金の方は、そういう点については、今御指摘のございましたように、より有利な仕組みになっておるということでございます。 厚生年金に統合する、こういった場合には当然そういった問題をどうするのかということが議論になるわけでございまして、これはJRとかJT、NTTを統合したときもそういう御相談をしたわけでございます。基本的には厚生年金に統合するわけですので、厚生年金のルールに従うというのが基本になって統合が実現した、こういう経緯がございます。 今回、農林共済が統合ということで要望を受けているわけでございまして、この場合にも関係者で懇談会をつくって議論することになります。そういう中で、今御指摘のあったような問題につきましても最終的にどうするかということを決定していくということになろうかと思います。
○清水澄子君 では、JRなどは何年かかって、それから全部もう解消しているんですか。
○政府参考人(矢野朝水君) JR等につきましては厚生年金に統合する、一本化するということにしたわけでございまして、統合後は厚生年金の中で厚生年金の加入員と全く同じような立場で制度運営をしていく、こういう仕組みにしたわけでございます。過去期間分についてどうするかということはまたこれは別途積立金、移換金の問題とかいろいろ議論があったわけでございますけれども、将来に向けては厚生年金のルールに従うということで決着をしたという経緯がございます。
○清水澄子君 大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、今何点かにわたって私は共済年金と厚生年金における被保険者や家族が受けられる給付の違いについて伺ったわけですけれども、将来にわたってというだけではどういうふうにそれらが話し合われていくのか、特に四つの共済年金制度についてはそれぞれの成熟度や違いがあると思うんです。しかし、これを大局的には厚生年金に統合していく方針なわけですから、統合された後、それまで受けていた給付条件が切り下げられていくということが起きる人もあるだろうと思うんです。しかし、そうなると掛金を掛けてきた被保険者としての権利が奪われることになると思うんです。それらについても私たちはなかなか子細がわからないわけです。 ですから、こういう統合ということを考えられる以上、今まで一部の制度内で達成されてきているやはりある程度の高い給付水準に、低い方に合わせるんじゃなくて、むしろある程度他の制度に合ったものに年金全体の中身を充実拡大させていく、そういう観点からそこを調整していただきたいと思いますけれども、一体いつどのような場所で、そしてどういう条件で検討を調整されていくのか、そのことについてぜひ大臣お聞かせください。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 厚生年金と共済年金との間のさまざまな、有利な面と不利な面と両方ございますけれども、給付面の格差の問題につきましては、基礎年金を導入いたしました昭和六十年の改正におきまして給付設計をそろえましたことによりまして基本的には解消されておるわけでございますが、委員が先ほどから御指摘のように、まだ幾つかの問題点といいますか相違点といいますか、そういうものが存在することも十分に承知をいたしておるわけでございます。これらの問題につきましては、公務員制度の一環ということで共済年金制度の性格であるとかそのほか従来からの取り扱いの経緯、こういうことによるものであると考えておるわけでございます。 これらのなお残されております若干の課題、こういう問題を具体的にどう取り扱っていくかにつきましては、一元化の懇談会の場におきまして今後被用者年金制度の再編成を推進していく中で十分に関係省庁と連携を図りながら検討を進めていきたい、このように考えているような次第でございます。
○堂本暁子君 一つの法律は通りましたけれども、今度また新しい形で、先ほどの今井議員の話だとあめの粉というようなおっしゃり方になりましたけれども、最後のまとめのチャンスかなというような気もして、私としてはもう一度年金の問題に触れてみたいと思います。 現在の公的年金制度、これがほかの社会保障制度、税制とか民法のあり方と相まって男女の多様化したライフスタイルに中立な制度になっていないんじゃないかということを終始申し上げてきたんですが、それは別に女性だけの問題ではなくて、男性間でもある種中立になっていない、あるいは女性の間でも中立になっていない。本来なら、年金の言葉で言えば中立、もう少し日常の言語を使えば、どこまでも際限なく平等である必要のあるこういった年金あるいは税金という問題がいささかそうなっていないんじゃないかというふうに感じるんです。 このことについて、経済の専門家の大澤眞理さんが非常におもしろいことを書いていらっしゃるのをたまたま発見しました。 高度経済成長期が始まった一九五五年には、いわゆる専業主婦世帯は五百万世帯しかなかった。それが八〇年には一千百万世帯と大体今に近づいた。それがまた今ぐっと減ってきているというんですね。 それはどういうふうにそういうことになってきたかというと、もう高度成長の時代ではなくて一%、通産省が言うのでも二%の時代に入った。そのことによって、経営者でさえもう日本型の経営は無理、日本型の雇用慣行も終わった。したがって、いわゆる専業主婦の時代が終わったと。結局、夫の収入で家族全員が生活し、それから子供を高等教育まで受けさせる、そういうことができない時代に入った。したがって、いわゆるシングルインカム、男性だけが稼ぐ時代からダブルインカムの時代に変わってきた。そのことがやっぱり専業主婦世帯の減少傾向を担ってきていると。それで、夫は仕事、妻は家庭というのはずっと使ってきた言い方ですけれども、そういった世帯単位で設計されている社会保障制度は、今までは大企業にとって有利だったし、税制もそれを助長してきたけれども、もうそういう時代ではなくなってきた。 彼女の表現を御紹介したくてあえて今までここのところを申し上げたんですが、彼女の表現によると、今の社会保障制度というのはそういった高度経済成長の一番ピークのところのあり方にむしろマッチした、八五年の改正後ですけれども、これをオールドスタイルの既製服と彼女は言っています。 今や非常にライフスタイルがみんな多様化してきている。個の時代に入った。この場合にはやはりオーダーメードの洋服をみんな着なければならない。一人ずつ自分の形に合わせていくわけですね。だから、世帯単位の、しかも専業主婦というような一つにくくってやるようなやり方ではもうできないんではないか。 したがって、今までるる申し上げてきたように、百三十万円という限度で、相当にこれは経済的にも問題のあることだと思いますが、そこで税金も扶養家族として控除される、年金も払わない、そういう経済の仕組みとしても非常に大きな問題を抱えた構造の中で、私たち日本に生きる、男も女もですけれども、すべての人がオールドスタイルの既製服という社会保障制度を着せられている。それに生身の人間が合わせるということは非常に不健康きわまりないという文章を使っているんですけれども、そういった不健康きわまりない制度は変えて、そして個別の単位になったときに、奥さんが百三十万よりもっと稼いで、そしてもっと自由に自分も年金を払うという形でやっていくことが大事なんだと。 そういった意味では、一人一人が個別に注文服を注文で、自分に合った形できちっと年金が払えるという、妻であれば絶対に今は払えないんですから。絶対にという意味は百三十万以下だった場合ですよ。この場合には払いたくても、民間の年金は別として公的年金に入りようがない、これからは注文服の制度が求められているんだ、そのための前提としては世帯単位から個人単位への移行が一番大事なのではないかという提案をしておられるんです。 私は、一番最初に伺っておきたいことは、中立であるということ、平等であるということ、女性の間であろうが男女の間であろうが、それから高い所得を持っている人だろうが低所得者だろうが、それから職業のいろんな内容だろうが、どのような年金の制度であろうがやはり平等であるということ、中立であるということが一番大事だと思うんです。そのことについて、もう一度大臣の御所見を伺いたいというふうに思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 女性の皆さん方の社会進出が最近とみに広がっておるわけでございます。そういう中において、家族であるとかあるいは女性の皆さん方のそれぞれの就労形態、こういうような多様化というものを十分に踏まえながら年金制度のあり方というものを検討しなければならないという点におきましては、堂本委員と全く同じ認識を持つわけでございます。 現行の制度におきましても、これまでの改正過程の中で真剣な、真摯な検討が行われた上で今の形が、ちょっと見解が違うところもあるわけでございますけれども、形成されてきたものと考えておるわけでございますし、六十年の改正によって女性の年金権の確立を通じて広く女性の老後に安心をもたらしていく、こう考えているわけでございます。 そして、私はこの考え方につきましてしばしばこの委員会で申し上げておるわけでございますが、女性の年金をめぐる課題につきましてはさまざまな議論がございますし、また各種の調査におきましても意見が分かれておるということも御紹介を申し上げました。 私自身、決してこの問題が女性の間で、例えば第一号の自営業者の皆さん方であるとか、それから第二号の皆さん方、第三号の皆さん方によって意見がまだ十分に集約されていないのが現実の問題でございまして、私といたしましては、基本的な認識は堂本委員と同じでございますけれども、現実的に女性の年金権を確立する方向に向かって進むときに、どういうようなスピードで進めていって、果たして女性の皆さん方あるいは国民の皆さん方から御理解がいただけるかということの問題。それから、年金がすべてこういうものを阻害しているかということにつきましては、いささか私と意見が異なるかなという感じがしないでもないということではございますが、基本的な歩む方向というのは大勢において同じでございます。
○堂本暁子君 私は、すべてとは申しませんけれども、例外がないという意味で年金というのは相当大きなファクターだろうと思います。最近、友達がずっと二十数年掛け続けて、だけれども年をとったら、なぜか年数が足りなくて今一銭ももらえない、無年金者なんですね。結局、二十数年掛けたのは全くむだになってしまったということで、今病気になってその方は非常に困っているんです。 そういったことで、年金というのは生きるか死ぬかに近いようなぎりぎりのところまで、生活保護を受けるというのもこれまた大変なことなんで、そこのところのぎりぎりの選択を迫られるという意味では相当基本的な要因になる。税制よりもむしろ私は年金の方がいろいろ支配的な部分があるのではないかというふうに思います。 年金権を得たというふうにおっしゃいましたけれども、例えば、これは東京・生活者ネットからいただいたファクスなんですが、最初のところに書いてあるのは、これからもし検討会を設置なさるのであれば、三号被保険者の声を聞くシステムをぜひともつくっていただくよう十分にそのことを伝えてほしいということも書いてありますけれども、中に見出しで「払いたい」と。自分で払いたいという女性が増加している。なぜなら、離婚も増加しているから離婚のときのことを考えるとちゃんと払いたいんだと。 だから、もうずっとこの十五年間、女性は年金権を得たではないか、得たではないかというふうにおっしゃっていますけれども、この方たちは、前の大臣だと思いますが、宮下大臣のところに陳情にも行っているわけです。それでその陳情の、必ずしも私はこの陳情の内容全部に賛成という意味ではありません、税金を使ってのということもおっしゃっているので全部ではないんですけれども、少なくとも世帯単位から個人単位への年金制度をということで、年金改正に関する要望書というのを私たちは厚生省に持っていっていますと。その中では、むしろ今おっしゃった年金権を与えたという立場ではなくて、年金を払って自分の生涯を担保しておきたいのに、さっき申し上げたように払うことを認めてもらえない、そういう制度は不便だという逆の発想があるわけです、女の人たちの中に。そういう陳情も厚生省に持っていっているわけです。 そういうことから考えると、首相の有識者懇談会を待ってというさっき今井議員のお話もあったんですけれども、私は、待つことはない、むしろそれよりも年金制度から手をつけていくべきだと、そして、そのことによって、逆にほかの税制とか民法のあり方すらも影響を与えていくぐらいのやはり積極性を厚生省で持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 女性の年金の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、就労の状況であるとか、それから賃金の水準であるとか、最近若い方はもうほとんど差がございませんけれども、こういったような女性が置かれております社会的実態というものも踏まえながら、単に年金制度の分野だけにとどまらず、幅広く検討する必要があると考えています。 この女性の年金に関する検討会はできるだけ早く立ち上がらなければならないと思います。その場合には、そういうような専業主婦の第三号者の方々であるとか、あるいは職場で働く第二号者の方々であるとか、あるいは第一号の自営業者の方々であるとか、当然こういった方々に幅広く御意見を聞いて、そしてまた、女性だけでなく男女のバランス、こういうものを配慮しながら、いずれにいたしましても濶達な意見交換をしたい、こう考えているような次第でございます。 それから、女性の年金の問題としては、これも先般来申し上げておるわけでございますけれども、年金だけではなくて民事上の取り扱いなど、こういった問題の整合性などさまざまございますけれども、結論を得ることがなかなか難しい問題、いずれにしても総合的にまず検討しなければならない。そういう中で、結論が得られるものについてはできるだけ早く取り組む、これが私は本来の筋ではないかと考えております。
○堂本暁子君 今、大分お答えの中に入っていましたけれども、やはり検討会を始められて二段階あると思うんですね。おっしゃるように制度が非常に複雑多岐にわたっているので簡単に単純化することは難しいかもしれませんが、その最大の問題は、情報が伝わらない、複雑過ぎてみんなわからないということだと思うんですね。やはり年金というのは単純化する方がいいと。もう一々、女性はこう、あるいは自営業者はこう、あるいはサラリーマンはこうというふうに今大変複雑なシステムになっていますけれども、可能な限り、全部が一本に単純化できるかどうかはこれまた問題ですが、可能な限り単純にすることが大事だろうと思います。そうしないと、やはり男性と女性、あるいは男性間、女性間の中に不公平がどうしても生まれてしまう。事は解決しない。それには時間がかかると私も思っております。 しかし、非常に直近の問題、例えば今の離婚の不公平というか不安ですね、女性たちが抱えている離婚したときの不安、そういったようなものは一刻も早くやるべきだというふうに思います。 そういった短期的なビジョンとそれから長期的なビジョンと二つあると思うんですね。その両者について、短期的なビジョンの中にはどういうものを、それから長期的な解決の中ではどのようにして公平性、中立を保っていただけるのか、そこのところをお示しいただけたらと存じます。
○国務大臣(丹羽雄哉君) できるだけわかりやすく単純というのは、これは年金だけじゃなくて、私自身も社会保障全般について委員の皆さん方の御議論を通じましてひしひしと感じますけれども、なかなかこれは、単純化だけするといろいろな例外といいますか、国民の実際の生の声をどうやって生かしていくか、その辺のところで単純化だけでできないところがあって、いろいろ例外もあるということで、非常に私どもといたしましては悩ましいところであるわけでございます。 年金法の改正案を可決、成立させていただいたわけでございますが、当面の問題といたしまして、まず短期的な問題としては、先ほどから申し上げておりますような女性の年金権の問題、それから障害者の年金の問題、いずれも大変この議論の中で、どこまで実際問題例外を設けて、社会保険方式の中でどこまで実際このさまざまなお気の毒な方に対してこたえられるかということを今私が現下に確約することはできませんけれども、こういった問題につきまして真剣に洗い直しをする必要があるのではないかと考えております。 それから、この改正案の審議の中で申し上げておることは、やはり国庫負担の三分の一を二分の一に引き上げるということの問題であります。安定した財源を確保しなければならないわけでございますが、ということだけでいつまでも放置しておくような問題ではない、できるだけ早くこの問題について皆様方の英知も拝借しながら二分の一に引き上げていく必要があるのではないか、こう考えております。 それから、長期的な問題といたしましては、まさに私どもは最善の方向性というものを今回の年金法の改正でお示しさせていただいておるわけでございますけれども、与党の中でも実は財源方式のあり方を含めて二〇〇四年までに検討をしなければならない、こういうような覚書があるわけでございます。 こういったいわゆる年金制度と財源の問題をどうするのかというような問題、少子高齢化社会を迎えて、先ほど来御指摘をいただいておるような年金の空洞化に対して、これは短期的な問題でもあるわけでございますけれども、長期的にもそれにたえられるような仕組みをつくっていかなければならない。こういったような問題が長期的な問題として常に私どもはこれから、基本的な枠組みはできたわけでございますが、そういった問題については議論を進めていかなければならない、このように考えている次第であります。
○堂本暁子君 その際、一つぜひ加えていただきたいと思いますのは、先ほど小さい会社とおっしゃいました、零細会社とおっしゃったでしょうか。やはり問題の一つが、本来なら小さい会社でも法人であれば厚生年金に入ることが義務づけられているわけですけれども、実態としてはやはり零細な法人あるいは個人事業者、五、六人の職員しかいない、雇用者しかいないようなケースの場合には事業主がその半額が払えない、そのために厚生年金に加入していない、あるいは滞納、未納している場合がある。結局、従業員は個人で一号被保険者になって国民年金に加入しているケースがあるというふうに現場から伺っています。そのような実態を政府が把握していらっしゃるのかどうか、これがまず一つ大きな問題だろうと思うんです。 そして、今までこの委員会の中で基礎年金、国民年金の未納、未加入ということは大分問題になってきたんですけれども、それともう一つのすき間とでも申しますか、厚生年金の未納、未加入についての問題もあるんではないかと思いますが、このあたりについては今これから検討する中にそういった問題を入れていらっしゃるのかどうか。 それから、事業規模別の収納率というか、そういった調査をやっぱり行っていただく必要があるんじゃないか、零細企業の中でどういうところで未納あるいは滞納をしているのか、その辺の実態をつかんでいただく必要があるだろうというふうに思います。収納率が特にここ数年、毎年〇・二%ぐらい落ちているということのようですけれども、やはりこういったところを十分に実態を把握して、そしてその上で早期の検討項目に入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御案内のように、厚生年金保険の適用につきましては、すべての法人事業所、さらに常時五人以上の従業員を使用する個人事業所を強制適用事業所といたしておるわけでございます。法人事業所は毎年多く新規設立されておりますが、零細法人については設立、廃止の頻度が比較的多く、中には設立登記のみでその実体がない事業所もあるわけでございますし、また個人事業者につきましては設立登記も不要であるということから、適用対象数の把握は大変難しい状況になっておるわけでございます。 また、保険料の滞納、未納の状況につきましては、零細法人や個人事業所に特定した状況は現在把握をしておりませんけれども、委員が御指摘のように、これはやっぱり率直に、どういう方法にせよそういう実態を何らかの形で把握し、真摯に受けとめなければならない、こう思っておるような次第でございます。 同時に、私どもといたしましては、引き続きさまざまな形でこの年金の広報活動であるとか、先ほどからお友達のお話もございましたけれども、大変重要だということを、老後におきまして必要なことだということを積極的に、例えば事業主に対しまして巡回個別指導などを行う、こういうようなことを通じましてそれぞれの事業者の皆さん方、そしてまた従業員の皆さん方にも御理解をいただけますように最大限の努力をしていきたい、このように考えております。
○堂本暁子君 るる女性女性と言ってきたのは、何も女性の主張をしようということではなくて、それも十分ございます、たくさんありますけれども、むしろ女性の主張をしながら、同時に余りにもやはり制度が男性本位であるということ、それから大企業本位であること、そして世帯単位であるということは家族頼みになっている、やはりこの三つから脱却しないと本当の意味での公平性あるいは中立性が担保できないんじゃないかと思うからなんです。 今、最後に大臣おっしゃってくだすったように、ぜひともそういった意味で、大企業のみではなく零細なところにも目を向けていただきたい。それから、家族頼みだけではなく、やはりもっと個人の多様な生き方、自由に羽ばたけるように、オールドスタイルの洋服を無理やりに着せられているのは私たち嫌なものですから、新しいファッションを二十一世紀には着たい。だから、新しい時代に羽ばたけるような生き方ができるような、そういった制度をつくっていただきたい。そして最後に、やはり男性本位ではなく、男女がともに参画できる、そういった制度にしていただきたいというお願いをして、終わらせていただきます。
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。 まず私は、学生さんの納付特例について、今後の取り組み方針をお伺いしてまいりたいと思います。 年金法案が成立いたしまして、直近の課題といたしましては、学生さんへの新しい制度の周知の問題が大変だと思います。いよいよ四月一日からスタートするわけですけれども、もう既に日数は御承知のとおりございません。そして、運悪くと申しましょうか、ちょうど春休みの時期でもありますので、この制度の周知を図るためには相当な対策が必要ではないか、こういうふうに思うわけですけれども、厚生省といたしましてはどういうふうな対策をお考えでございましょうか。
○政府参考人(小島比登志君) 先生御指摘のように、学生につきましてはこの四月から保険料納付特例制度が実施されるということでございます。この制度内容につきまして、広く国民の皆様に御理解をいただかなければならないわけですが、届け出の主体であります学生、あるいは現在保険料を負担されております御両親、こういった方々に特にこの制度の趣旨を御理解いただくことが重要であると考えております。 そこで、現在、まず第一弾としまして、新学期の始まるころに照準を合わせまして、ポスターを作成しまして大学、市町村等に掲示し、学生に申請といいますか届け出を呼びかけることとしております。また、制度内容を盛り込んだチラシといいますかリーフレットを作成いたしまして、大学や市町村等の窓口にそれを置きまして配布する。それからまた、各市町村にお願いをいたしまして広報紙等への記事の掲載を既に依頼しているところでございます。 こういった準備を進めているわけですが、さらに、これ以後の広報につきましては、現在検討中ではございますが、引き続きできる限り効果的な広報、周知徹底に努めてまいりたいというふうに考えております。 また、多くの学生は在学中に二十歳に到達をいたします。国民年金の被保険者にそのときになるわけでございますが、こうした二十到達者対策ということで、社会保険庁といたしましては、かねてより市町村との連携のもとに個別の適用勧奨あるいは国民年金手帳の送付などを行ってまいりました。その際に、この学生納付特例制度についての理解を求めるための資料なり案内なりを一緒に送付したりして広報に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
○西川きよし君 ありがとうございます。 これだけの大きな法案ですから、成立までにかなりの時間を必要といたしましたし、いろいろございました。でも、これはやむを得ないことといたしましても、そうはいいましても、決まった以上は学生さんがそのことによって不利益をこうむるようなことがあってはいけないと思います。今御答弁いただきました、ポスターやチラシや市町村やいろんなことをお考えになっておられますが、周知徹底していただきまして、そして今も申しましたように学生さんが不利益をこうむることがあってはいけないと思いますので、十分な配慮をお願いしたいわけです。 特に、極めてまれなケースであるかもわかりませんけれども、私が心配いたしますところは、届け出をする前に障害事故が発生する可能性もこれは否定ができないと思うわけですから、そういった事態を未然に防ぐためにも万全を期していただきたいということでございます。この点については厚生大臣の方から御答弁をいただければと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 学生の保険料納付特例制度でございます。届け出をすれば、仮に保険料をまだ納めていなくても不慮の事故の場合には障害基礎年金が満額保障されるものでございます。このような点につきまして十分な周知が必要である、こう考えておるわけでございまして、委員御指摘のように徹底した周知に努力してまいりたいと思います。 なお、十分な周知期間を確保する、こういう観点から、七月の末までに申請をしていただければ四月にさかのぼって特例の対象にすることにいたしておるような次第でございます。
○西川きよし君 次に、ちょっと午前中の内容にも関連をいたしますが、軍隊の期間と公的年金の関係について少しお伺いをしたいと思います。 皆さん方、諸先生方のところにもこういった相談はあると思うのですけれども、戦争中軍隊に行っていたけれども期間の問題で軍人恩給の対象にならない、また公的年金との関係はどうなるのかといった相談を私どもの方にもしばしばいただくわけですけれども、ただこういった内容になりますと相当専門的な知識が必要になってまいります。 簡単にはお答えができないわけですけれども、この軍隊に行っていた期間と公的年金の関係について御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) 軍人期間の取り扱いでございますけれども、公務員の共済年金におきましては、恩給制度を引き継いだいわば一本の制度でございますので、軍人期間は公務員の共済年金の加入期間ということで年金額の算定基礎にしておるわけでございます。 一方、厚生年金、それから農林共済、私学共済、こういった一般のサラリーマンを対象とする制度につきましては恩給から引き継がれた制度ではない、こういうことでございまして、軍人期間につきましては老齢厚生年金などの計算の基礎には入っていないということでございます。
○西川きよし君 そこで、そうした方々の声として出てきますのが、公的年金の中でも国家公務員、地方公務員の共済年金であれば通算されるわけですけれども、厚生年金などについては通算されない、これはやっぱり西川さん不公平ではないかという御相談をしばしばいただきます。戦争中の苦労は何だったんだと。午前中にも申し上げましたけれども、私は昭和二十一年生まれで戦争のことは知らないんですけれども、そういった方々の御相談をたくさんお受けいたしますので、そういった人の気持ちになってこうして質問させていただいているわけですけれども、戦争中の苦労は一体何だったんだと。なかなか我々返す言葉もないわけです。 この問題、あるいは旧満州鉄道など外国特殊法人、この期間についても同様のことがあるわけですけれども、かなり御高齢の方々でございますので、こうした声について厚生省といたしましてはどういうふうに考えていただいているのか、御答弁をいただきたいと思います。
○政府参考人(矢野朝水君) この問題につきましては、実は昭和五十七年の四月でございますけれども、総理府の総務長官のもとで有識者検討会が設けられまして、軍歴通算問題に関する報告というのが出されておるわけでございます。私どもはここで示された考え方と同じでございますけれども、要は、今申し上げましたように、公務員の共済年金は恩給制度を引き継いでおるということから軍歴期間を加入期間に数えるということが行われておる、こう理解しておるわけですけれども、国民年金とか厚生年金におきましては、制度に加入して保険料を納めるということが支給の要件になっているわけでございまして、単に軍隊にいらっしゃった期間につきまして国民年金なり厚生年金なりで特例を設けるということになりますと、これは制度の基本を損なうことになりますし、大変不公平な取り扱いになってしまうと、こういうことになるわけでございますので、国民年金、厚生年金では特例は設けていないと、こういうことでございます。
○西川きよし君 午前中にも格差是正ということの御質問もさせていただきました。 そして、今の質問でも、不公平ではないか、戦争中の苦労は何だったんだというようなことの御相談もよくよくお受けするわけですけれども、こういった問題で、今御質問をお聞きいただきまして、これを最後にしたいと思うんですけれども、この問題につきまして厚生大臣に御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、戦時中に従軍をされたり、あるいは海外の特殊法人に勤務されたりいたしまして辛酸をなめられた方々につきましては、筆舌に尽くしがたい御苦労をなさったことではないかと、心からまず御労苦に対しまして敬意を表したいと思っております。 この問題、今、局長からも一部答弁がございましたけれども、軍人あるいは旧満州鉄道にお勤めの方々はいわゆる官吏と同様の取り扱いであった、こういう経緯を踏まえまして、恩給制度を引き継ぎました共済年金では軍人期間を加入期間として取り扱っておるのが現状でございます。 この問題につきまして実はさまざまな意見がございまして、かつて官房長官のもとで開催されました有識者懇談会で御検討をいただきましたけれども、国民年金、厚生年金保険は社会保険方式の仕組みによる一般的な制度であって、軍人であった期間などを特別扱いするということは大変難しいんだと、こういう結論が出ております。 なお、こうした方々のうち恩給を受けられなかった方々に対しましては、政府として、平和祈念事業特別基金等に関する法律、こういうものに基づきまして各種の事業、例えば総理名の書状の贈呈であるとか銀杯の贈呈、さらに懐中時計の慰労品など、こういうような各種の事業が実施されておると、こういうふうに承知をいたしておるような次第でございます。
○西川きよし君 済みません、もう最後と申し上げましたんですけれども、あと一分半ほど残っておりますので、お願いだけして終わりたいと思います。 せっかくこうしてこちらの方に寄せていただいておりますので、午前中の質問も、午後の質問もそうですけれども、少しでもよりよい方向にしていただければということで、皆さん方に逆らったりけんかを売ったりということではございません。私もあとまだ四年お世話になるわけですけれども、少しでも、一つでもよくなればというような気持ちで質問を毎回させていただいておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げたいと思います。 終わらせていただきます。
○委員長(狩野安君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時五十四分散会