国民福祉委員会 第4号
- 発言数
- 193 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 9
- 開催日
- 2000/02/22
会議録
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十八日、弘友和夫君、木村仁君、佐藤昭郎君、佐々木知子君及び浅尾慶一郎君が委員を辞任され、その補欠として沢たまき君、尾辻秀久君、中原爽君、南野知惠子君及び柳田稔君が選任されました。 また、昨二十一日、尾辻秀久君及び山崎正昭君が委員を辞任され、その補欠として中島啓雄君及び野間赳君が選任されました。 ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に野間赳君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 社会保障等に関する調査のため、本日の委員会に文部省高等教育局長佐々木正峰君、厚生大臣官房審議官堺宣道君、厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省健康政策局長伊藤雅治君、厚生省保健医療局長篠崎英夫君、厚生省医薬安全局長丸田和夫君、厚生省社会・援護局長炭谷茂君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省児童家庭局長真野章君、厚生省保険局長近藤純五郎君及び社会保険庁運営部長小島比登志君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、社会保障等に関する調査を議題とし、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。 先日の大臣の所信をお聞きいたしまして、本日は一般的質疑ということで社会保障制度全般についてお尋ねをしたいと思いますが、きょうの朝刊あるいはきのうの夕刊あたりからいろいろ情勢の変化もありますので、大臣の方にお知らせしてある質疑の順番をちょっと変えて御質問をさせていただきたいと思います。 まず、昨日、医療審議会がありまして、医療法改正に係る答申が出されました。それで、けさの各新聞を見ますと、とにかくこういうことではいけないんじゃないかという報道が目立ちます。これは皆さんお読みになっていると思いますけれども、医療改革が大幅におくれる、あるいは抜本改革ではないというふうなことであります。 この医療審議会の答申の中身はいろいろあります。病院をどうするかという問題、医療機関の広告をどうするかという問題、それから医師、歯科医師の研修をどうするか、それからカルテの開示の問題、かなり多岐にわたるわけですが、私は、医療改革という意味で根本の問題は、情報開示とともに、医療機関のあり方、病院をどうするか、診療所をどうするかという問題だと思うんですね。 日本は、戦後五十年の間に、かつて保険あって医療なしと、保険料を払って保険証をいただいてもそれでかかるお医者さんがない、医療機関がない、こういう時代が戦後しばらく続きました。 実は私が勤務をした長野県の諏訪中央病院というところも国民健康保険でつくった病院なわけですけれども、当時、八ケ岳山ろくの町村長さんたちが国民健康保険制度を導入しようと、町民、村民から保険料を集めて保険証を差し上げてもかかる医者も病院もないということで、九カ町村で力を合わせて一つの病院、わずか二十床ですけれども、つくりました。その病院に私は昭和四十九年から勤めたわけでありますが、当時の話を聞いてみると、村長さんの自宅に石が投げられるということもあったようですね。こんな、保険料だけ取っておいて医者にもかかれないじゃないかという時代があった。 ところが、戦後五十年の歴史の中で、今、日本人は保険証一枚あれば日本じゅうどこに行っても医療にかかれる、夜中でもかかれる。よほどの僻地に行けばまた別ですし、かかったところがたまたま質の面で疑問があるというところもないわけじゃありませんが、少なくとも量的には足りてきているんだと思うんですね。 ただ、戦後、そういう苦しい医療機関のない時代から、とにかく医者をふやし、医療機関をふやし、看護婦をふやし、そういうことで国民が医療を受けられるようにしてきた。この成果は上がったわけですが、しかしはっきり言って、何かきちっとした政策があって体系的に整備されてきたとは言いがたい。言ってみれば民間の医療機関の力をかりて、開業医さん、民間病院の力をかりてこれだけの供給体制を整備してきたということは事実だと思うんですね。 その結果、今の医療提供体制は何かわけがわからない。混然一体となって診療所があり病院があり、一般の人にとってみれば病院と診療所がどう違うかなんてまずわかっている人はいないだろうと思うんですね。それから、病院といってももういろんな病院があって、どの病院にかかったらいいかわからない。私どもの田舎に行きますと、住んでいる人もそう移動はしませんし、近所の人に聞いたり、どこへかかればいいかというのはわかるんですけれども、都会なんかで転勤の激しい人は新しいところへ行って一体どこへかかったらいいかもわからない、そういう状況があるんではないかと思います。 一方で、医療技術も進歩をしております。今、二十一世紀を見据えて私どもが医療制度改革の中でやらなければならない根本的に大きな問題というのは、混然一体となってごちゃごちゃっとしている医療提供体制を整理することだと思います。 そういう意味で、私ども民主党の改革案は、はっきり病院と診療所を分ける。病院は基本的に入院を診る。外来は開業医の先生に診ていただく。それで、開業医の先生も二つに分けたらどうかと。予防から相談までやる家庭医的な仕事と、それから専門医、整形外科とか産婦人科とか、そのことにかかりっきりになる、こういうのに分けたらどうかという提案をしているわけなんです。 その場合に、病院というのは社会的入院の問題もいろいろあります。率直に申し上げて、病院の名に値しないところは地域のプライマリーの医療の方に行っていただくと。入院のベッドを持って無理して医者を集め看護婦さんを集めても、きちっと医療ができないならば、そういうところは簡単に言えば病院をやめていただいてもいいんじゃないだろうか、あるいは介護の方に行っていただいてもいいんじゃないだろうか。今、九千三百幾つですかある病院、これは多過ぎるんじゃないだろうか。医療費がどんどんふえる中でこの病院をみんな経営を成り立たせていくのは困難だろうと。そうすると、やっぱり集中的にやった方がいいんじゃないか、こう思っているわけです。 そこで、きょう資料をお配りしました四枚とじのものを見ていただきたいんですが、これは実は私ども民主党で医療制度改革小委員会というのをもう一年半前からやりまして、去年の五月ですか、厚生省から御説明をいただいたときに厚生省からいただいた資料のうち四枚を持ってきました。 一枚目、これはもう厚生大臣よく御承知のとおりでありますけれども、縦軸が平均在院日数、横軸が人口千人当たりの病床数。例えばイギリスと書いてあるところを見ますと、この三角の右上が一九六五年、そして左下が一九九六年、この三十年間、イギリスでは人口当たりの病床数も減り続け、病院の平均在院日数もどんどん短くなってきている。イギリスだけではなく、アメリカでもフランスでもドイツでも基本的には同じ傾向がこの三十年間続いている。 ところが、右上ですけれども、日本は一九六五年からずっと二十年余り右肩上がりでいっている。先進諸国の病院とは違った傾向にいって、やっと一九八〇年代に平均在院日数は頭を打って下がり始め、病院数もやっと一九九〇年代に入ってから減り続けて、一時一万ちょっとあったのが今九千三百ぐらいになってきている。ようやく先進国の流れに乗ってきている。外国のまねをするのがいいか悪いかは別ですけれども、これが世界の病院の傾向だと思います。 これは端的に言うと、入院が必要な患者だけを病院が収容して手際よく早く治してお帰しをする、そのかわり病院はその経営を成り立たせるような高い点数、支払いをいただいている。これが世界の傾向だろうと思うんです。 次のページを見ていただきたいんですが、実は私は医療現場の経験から、平均在院日数を短くしろといったって限度があると。というのは、例えば夜勤の看護婦さんは二人とか三人ですね。医者だって当直だけ残してみんな帰っちゃう。大きな病院ならともかく、検査もレントゲンもポケットベルを持って家で待機しているだけなんです。夜は何にもできないんですよ。よほどのことがあるとみんなを呼び集めてやる。簡単に言うと、今の日本の病院は夜は保安要員を置いて何も起こらないことをただひたすら願いながら翌日の夜明けを待っている、こういうのが日本の病院ですね。そうすると、当然夜の間は何もしないわけですから、平均在院日数なんというのは短くなりようがないんですね、ある程度以上は。私は、欧米の病院のように潤沢なスタッフがいれば夜でも必要な治療はできる、病気は夜でも進行したり変化するわけですから、できる、そういう病院にすべきではないかと思っております。 案の定、二枚目を見ていただくと、イギリスで見ていただきましょうか、一九七四年から一九九二年にかけて右下下がりです。アメリカもそうです。一床当たりの職員数がどんどんふえてきている、それにつれて平均在院日数が下がってきているという、平均在院日数と職員数は逆相関の関係にあるということがはっきり出ています。これはもう素人が考えてもわかるわけですね。職員が多ければ手際よく治療して平均在院日数は短くなるだろう。ごく当たり前のことだと思います。日本もようやく最近そういう傾向におくればせながら入ってきた。 そして、驚くべきことは、この職員数ですけれども、三枚目が医師の数。これとは別のグラフを厚生省からいただきました。日本も人口当たりの医師数は先進国並みにふえてきました。将来は過剰になると言われているぐらいです。 ところが、病院に限って見ると、日本の病院のベッド当たり、つまり入院患者当たりの医師数はこの三十年間全然ふえていない。諸外国はこの三十年間、三十年前の日本と同じぐらいだったところからどんどんふえてきている。 四枚目が看護婦の数です。日本は三十年前よりちょっとふえている。だけれども、アメリカなんかすごいですね。三十年前はアメリカもドイツもイギリスもフランスも日本も病院の職員の数はほとんど同じだった。この三十年間でこれだけの差がついてしまった。 私は、今、日本の医療は治せる病気が治せない病院に陥りつつあるんじゃないかという危機感を持っております。そういう意味からいうと、今九千数百ある病院を、本当に治せる病気を治す、入院患者を主体とする病院というのを残して、あとの病院は、病院ではないと言っちゃ失礼ですけれども、リハビリ病院があっていいでしょう、長期療養病院も一部あっていいと思いますけれども、介護をするならば介護施設へということで整理していかないと、もうお金がないんですから、広く浅くばらまいていたら日本の医療はおしまいだと、こういうふうに考えるのが私の考えであり、民主党の医療制度改革小委員会の考えなわけです。 ところで、きのうの医療審議会、これについて実は毎日新聞のけさの社説にこういうことが出ています。ちょっと時間がかかりますが読ませていただきます。私の考えと全く同じです。 治療をこれ以上遅らせては手遅れになる。みんなわかっているのに、なかなか進まない。残念ながら、それが日本の医療改革の現状だ。 医療審議会は抜本改革の柱のひとつである、患者の病態に応じて「一般」と「療養」などに病床を区分することなどを柱とした医療法改正案要綱を、二十一日ようやく答申した。 が、半世紀ぶりの改正にしては、その内容は不十分なものだ。その内容でさえ、日本医師会はなおも反対し続ける。国会での成立も危ぶまれるという。 ということで、これは簡単に言うとこういうことですね。 今の日本の病院の看護婦の配置基準は患者四に対して看護婦一なんですね。患者というのは正確じゃないです。病床四に対して一。これは一九四八年の基準のままです。これを今度変えようということで、厚生省は二・五対一にしようと出した。看護協会は一・五対一にしようという案を出した。ところが、日本医師会の反対で三対一というところに落ちついた。もう三対一になっているのは八〇%以上の病院が現にあるわけですね。それで、いよいよ答申案を決めようと思って会長がメモをまとめたところが、改めてそこでまた医師会が反対し出した。三対一じゃ千の病院がつぶれる、やっぱり今の四対一にしろということで、とうとうきのうは多数意見で三対一という方向になったけれども、一部の委員が反対したと、こう書かれている。欧米ではもう、アメリカでは四倍、ヨーロッパでは二倍だということなんですね。 それで、医師会が反対した理由というのが、過疎地では看護職員が集まらないから反対したという、これは二十日の朝日新聞の朝刊ですね。 医師会は、当初、僻地では看護婦が集まらないと言って三対一に反対した。ところが、三対一に達していない千の病院がどこに多いかというと、一番多いのが大阪、次が東京、そして北海道、半分は僻地の病院、次が埼玉です。大都市部ですよ。看護婦がいないわけじゃないんです。集められない病院なんでしょうね。なぜか知らないけれども、看護婦が就職しない病院、そういうところが現に確かに千近くあるんです。それで、朝日新聞によれば、だから厚生省の資料で都市部だということが明らかになって、反対の根拠の一つは崩れたと。なおつぶれるかどうかということだって、看護婦をたくさん雇えばそれだけ診療報酬も多く出ることになっているんです。そうですよね。ですから、看護婦が手厚ければ手厚いだけ支出だけがふえるんじゃなくて収入もふえるんですから、つぶれるという論理も当たらないわけですよ。何でこんなことになるんでしょうね。 それで、毎日新聞、朝日新聞もこういうふうに結んでいます。「情けないのは、医師会の意向をもろに受け「衆院選が近いのに、病院の負担になる法案をなぜ出すのか」と医療法改正に反発する、自民党を中心とした国会議員たちだ。」と。朝日新聞は「見苦しいのは、医師会の意を受けて、看護婦増員への異議を叫んでいる自民党議員たちの姿である。」と。 厚生大臣、このことについて、自民党の中で最も医療問題に見識のある議員であり厚生大臣としてどうお考えになりますか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、医療の抜本改革の中で、私は、ある意味におきまして、みんなそれぞれ大事でございますけれども、患者さんにとって、国民にとって最も身近な問題は医療提供体制の問題でございまして、先生御指摘のように、これまでいわゆる結核、精神などの病床を除きまして区分がされておらなかったわけでございます。そういう中におきまして、昨日答申をいただきました医療審議会の中では、いわゆる慢性病床と一般病床というものを区分して、五十年ぶりでございますけれども、これまでの四対一、つまり患者四人に対しまして看護婦一、これを三対一にと、こういうことで御答申をいただいたわけでございます。 その中に少数意見が付記されていることも紛れもない事実でございますけれども、私は国民の皆さん方にとって、療養環境をよくするということ、それから先ほど来先生から御指摘のありましたさまざまな、これまでの病院のあり方であるとか、それから急性的な病床のあり方であるとか、あるいは介護療養的な病床のあり方とかいうことは大変ごもっともだと思っておるわけでございますし、とにもかくにもこの答申は大変重いものがある、こう考えているような次第でございます。 与党三党の御理解をいただきながら、なお一部に根強い反対意見があるということは私も承知をいたしておりますけれども、一番大切なことは要するに良質な医療を守っていくことだ、そして国民の療養環境を維持していくことだと、こういう観点に立って、御理解をいただきまして今国会に提出をさせていただきたい、こういうような方針、私の決意は大変強いものがございます。 それから、自民党内の一部の議員がどうのこうのという問題につきましては、これはいろいろな問題があって、率直に申し上げまして、私の方からのコメントは差し控えさせていただきます。
○今井澄君 そうすると、いろいろな反対はあろうとも、厚生大臣としては三対一にしていくことなどを中心とするこの改正案は断固として国会に提出する、そういう強い決意をお持ちだと理解してよろしいですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まだ昨日答申を受けたばかりでございます。私どもの考え方を丁寧に御説明申し上げて、そして十分な議論を経て御理解をいただけるものと確信をいたしております。
○今井澄君 私はかつて村山内閣、それから橋本内閣時代に厚生大臣と席を同じくさせていただいて、医療保険の問題、医療改革、介護保険、もう社会保障全般にわたって一緒に仕事をさせていただいてまいりましたし、その深い見識には大変敬意を払っているところであります。また、特に一九九七年のあの自己負担増を中心とする改正のときに与党協案をまとめて、それ以来、自民党の中でも医療基本問題調査会の会長その他として、昨年はまた政調副会長としてもこの間ずっと頑張ってこられたわけですが、それが二年たっても抜本改革に至らない。このことは大臣として痛恨というか、大変内心じくじたるものがあると思います。 どうして抜本改革が約束どおり二〇〇〇年、ことしの四月からできるようにならなかったと大臣としてはお考えですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) これは私の個人的な見解がまずあるということを含めながら御理解をいただきたいと思いますが、抜本改革の中には薬剤の見直しの問題、診療報酬のあり方の問題、それからもう今さら申し上げることもないわけでございますけれども、高齢者の医療制度の問題、それから今御指摘のありました医療提供体制の問題、こういう問題がいわゆる四本柱からなされておるわけでございます。 よく先送りだ先送りだということでございますけれども、まずその中で一番大きな問題として取り上げられておりますし、現に大変大きな、国民医療費の中の三分の一を占めておりますのが高齢者の医療制度の問題であります。この問題については、今井先生も十分に御承知のように、さまざまな議論はありますけれども、まだ十分に、例えば独立制度の問題であるとかあるいは突き抜け制度の問題であるとか、それぞれ一長一短がございまして、正直申し上げてこの問題はまだ全般的に集約ができておらないというふうに考えております。えい、やあでさっとやればという話ではございません。国保に与える影響とか、そういうことも含めていろいろ考えなければならない。 それから、私がかねがね申し上げておりますことは、この四月から介護保険制度がスタートするという中において、率直に申し上げて、現場に大変な混乱を起こす中において、この問題は現実的には、まず今回は高齢者医療制度におけるさまざまな問題、特にその中で一番大きな問題は長年議論されておりました定率の問題でございます。こういうようなことを一つ一つ進めることによって改革を進めていくべきだ、こう考えております。 それから、薬剤の問題につきましては、かねがね薬価差の問題が大変大きな問題になっていたわけでございます。まだ最終的な結論まで至りませんけれども、とにかくこれまでいわゆるR幅と言われておりましたのを五から二に縮めることができたと。こういうことにおきまして、正直申し上げて、三十六年の皆保険の導入以来ずっとこの制度というのが続いてきて、一気にすべてを問題解決するということは現実問題としてなかなか難しいという問題がございます。これは利害関係団体の衝突という面も否定できませんけれども、それだけの問題ではなくて、やはり医療現場であるとか国民の皆さん方の御理解を得ながら進めていかなければならない。 こういうことを考えますと、私といたしましては、本当に国民の皆さん方から見ると、ある面において大変遅いじゃないかとか、先送りしたではないかという御批判があることも十分承知はいたしておりますけれども、やはりできることから一歩一歩実現させていきたいということでありますし、私の医療改革への情熱はいささかも衰えておりません。今井先生と同じであります。
○今井澄君 率直に言ってどうも、なぜ抜本改革が進まないのかという理由が余りはっきり私には今のお答えでは理解できなかったんですが、難しい問題があると、それは事実そのとおりだと思うんです。 例えば出来高払いがいいか包括払いがいいか、それぞれメリット、デメリットがありますし、これが一〇〇%などという解答はないと思います。また、やってみなきゃわからないということもある。それはそのとおりなんですが、だからおくれたということじゃないと思うので、今、利害関係の問題もありますがというお話がありましたが、私は一つはそれがかなり大きいんではないかと思うんです。 ですけれども、その問題の前に、これは大変失礼な言い方ですけれども、根本的にやっぱり先生が責任者となっておつくりになった一九九七年の与党協案が私は中途半端だったと思うんです。民主党が昨年まとめました改革案の中間報告、ごらんいただいたかとも思いますが、正式には差し上げていなかったと思いますけれども、私どもはこういう筋立てにしたんです。中長期的、例えば十年、十五年ではこうする、当面はこうすると。それが与党協案では、例えば出来高か包括払いかその適切な組み合わせということしか書いていないんです。適切な組み合わせというのは、これは当たり前ですよ、どっちかに偏るわけにいかない。最終的に私どもの案は包括払いですけれども、それでも出来高を組み合わせなければやっていけないわけです。表現だけとればそうなんですけれども、今、出来高中心でやっているのを将来は包括中心でやるのか、このどっちかの軸足をはっきりさせた上で改革しなきゃだめだと思うんです。それが中途半端。 それから、病院についてもそうです。当面は今ある病院を急性期と慢性期、あるいは今度の一般と療養に分けるのは、これは現実的にしようがないんでしょう、すぐつぶれてくれというわけにもいかないですし。だけれども、将来的には病院というのは急性期病院がいわゆる病院なんですよ、その他の病院は、あってもいいけれども、それは第二種、第三種病院なりそういうふうに位置づけるんですよとか、そういう長期の軸が立っていれば、当面、徐々に変えていくことは可能だと思うんです。与党協案は、そこで軸足をはっきりさせないから、結局、支払い制度も出来高払い制度、病院も今のようなまま、要するに今のものを基本的に残しながら少しずつ変えていくというものにしかなっていない、こういうふうに私は一つ考えるんです。 それと二番目の問題は何かというと、四つの論点と言われました。確かに軸足がしっかりしていれば細かい課題に分けて議論してもいいんですけれども、軸足がしっかりしないままに薬価の問題だ、診療報酬だ、老人医療だ、医療提供体制だと、この四つに分けたですね。私はこれが間違いだったと思うんです。 まず、今の行政はほとんど官僚依存の縦割り行政です。結局これが縦割りになっちゃって相互の関係ができないんです。だから、私どもはこういうふうに考えているんです。 保険制度をどうするか、老人保健を中心として保険制度をどうするかは、これは確かに一つの軸です、ファイナンスのシステムですから。だけれども、あとの三つは一括した問題だと。さっきから申し上げておりますように、医療提供体制をどうするのか、病院、診療所をどうするのか、それがはっきりすれば支払い制度はおのずとはっきりしてくるんです。 例えば、政策医療をやるために国立病院が必要だったら、それは予算制にすればいいわけでしょう。そんなところを診療報酬でやるなんて合わないですよ。それから、急性期医療をやる病院だったら、これはDRG—PPSという包括払いが似合うわけです。急性期医療は全部一人一人違うから出来高払いがいいなんというのは、これは全く誤解も甚だしい話でありまして、今、病院で行われている医療の九〇%以上はほとんど定型的です。 例えば、医者の手術記録をごらんになった方はおわかりだと思います。名前を書いて年齢を書いて、何とかと病名を書いて、そして手術のあれを書いて、どうやったかというと、まず定型的に正中切開をし定型的な手法で手術を終えたとか、そういうふうなのが多いんです。大体が定型的標準、もちろん標準と違うものがあるけれども、そうすればいいわけです。医療提供体制をどうするかをはっきりさせれば支払い制度もおのずとはっきりしてくると思うんです。 薬価の問題だってそうだと思います。今、日本は薬価が高いというけれども、結構それなりにいい値段になっているんじゃないかと思うんです、そこそこのお値段に。これはなぜかというと、医療機関が、薬価差益というものがあったから、あるいは病院では今もありますから、物すごく買いたたくんです。 私は病院長になったときに真っ先に先日亡くなった諸橋旭中央病院長のところへ飛んでいきました、院長として何をやったらいいか教えてほしいと。そうしたら、まずあなたの病院で買っている薬の購入価格表を持ってきなさいと言われました。それで、千葉の旭市までとことこ行って、それを見てもらって点をつけてもらいました、これはいいとか悪いとか。そこから始まったんです。現に、いい悪いは別として、そうなんです。 だから、薬を安く買いたたくほど病院経営は楽にできる、私たちはもうけようとは思いませんでしたけれども。看護婦をふやすためにもできるだけ利益を出したいと思って、薬屋を徹底的に買いたたいたんです。ただ買いたたくだけじゃないですよ。私はスライドで、うちの病院の理念はこうだ、予防もやるんだ、リハビリもやるんだ、地域のために健康教育もやるんだ、だから皆さん、この病院を、経営をぜひ支えてほしいと製薬メーカーの人たちを集めて私は講演会をやって、薬価の値引きを交渉しました。 こういう力があるから、今、日本の薬はそれなりに下がっているんです。R幅を二%どうのこうのと言いましたけれども、医者が薬を買わないようになったらだれが薬を買いたたくんですか。新しいシステムをつくらない限りは薬価制度なんてもたないですよ。 だから、包括払いにすれば、薬代も医療材料も全部病院の経営の中でやるわけですから、いい薬を安く買う、いい材料を安く買う、そうすれば病院はいい治療を安くできるから、病院は頑張ります。そもそも薬だって何だって、これはいわゆる普通の市場経済の中でつくられているものです。それは自由市場に任せたらいいじゃないですか、厚生省が決めないで。そういう制度は包括払いにすればお薬は下がるわけです。まさに薬屋さんがいい薬を高く売ろう、こっちはいい薬を安く買おう、そういうことでいい競争になって、薬価差益なんか生じないということになるわけですね。 だから、私は、この四つの論点に分けたことが今の縦割りの官僚主導の行政のもとでは間違っていたということ、これが抜本改革ができなかった二点目だと思うんです。医療提供体制をどうするか、医療の診療報酬の支払い制度をどうするか、そうすれば薬価制度をどうするか、おのずとこの流れで一貫して出てくる。だから、軸は二つ、四つじゃない、二つだと私たちは主張しているわけです。現に医療提供体制は健康政策局、診療報酬制度は保険局、ばらばらじゃないですか。 それから三番目が利害対立だと思うんですね。 審議会の場というのは残念ながら利害対立の場になってしまった。特におととしの暮れからことしの初めにかけて各種審議会はそれぞれその四つの課題に関して、中間報告だ、たたき台だ、論点整理だ、いろいろなものをまとめました。その中で薬価制度について新しい案をつくりましたね。私ども民主党は真っ先に反対しました。こんな規制を強化するようなやり方は時代に逆行するということで真っ先に反対しましたが、それで薬価制度がつぶれて、そのつぶれ方が問題だったと思いますけれども、政治の力というか圧力団体の力というか、そしてそれ以来審議会はおかしくなったじゃないですか。私も議事録を、全部は見ていませんが、時々見ていますが、この間の医療制度改革をめぐる審議会は簡単に言えば罵倒のし合いじゃないですか、もうお互いに不信感の塊で、支払う側と支払われる側の。私は、この一年間なぜ進まなかったかというと、そういうことだったと言っていいと思います。 私は別に医師会だけを責めるつもりもないですし、例えば支払い側という意味では老人保健制度、老人の保険をどうやってやるかというのがうまくいかないのは支払い側にも問題があると思います。日経連、健保連、連合。要するにお金を払う側が、例えば国民健康保険という、そう言っては悪いけれども、日本の吹きだまりみたいにみんな一番気の毒な人の集まった健康保険制度があるのに、その人たちを考えないで、大企業のサラリーマン中心の支払いに固執しようとしている日経連、健保連、連合、この人たちにも大きな責任があると思います。 だけれども、先ほど大臣が言われましたが、審議会がそういう国民的な議論ができない、しないで、利害関係者の間だけで議論してきた、そのことが私は抜本改革ができなかった三番目の原因だと思います。 そこで、この二月七日、社会保障制度審議会がこの医療保険制度についての答申を出す中でこういうことを言っています。「今回も抜本改革が先送りされたのは遺憾というほかない。」。間を抜きますが、「医療保険制度の抜本改革は、もはや一刻も猶予すべきではない。」。その後いろいろ書いてあって、もう審議会ではだめだから、この際、「特別の法律に基づき、独立かつ中立の立場から抜本改革案を作成する「臨時医療制度改革調査会(仮称)」のような組織を設け、関係者の利害や既得権を離れて、問題の解決を図るという方法を提案したい。」と。どうですか、大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 多岐にわたる御指摘でございます。 まず最初の御指摘は、たしか今井先生もあの当時はお入りになっていたと思いますが、自社さ政権でありますから。──入っていなかったですか。失礼しました。 要するに、自社さ政権のもとでまとめました二十一世紀の国民医療のあり方、この問題が非常に何か中途半端ではなかったか、ビジョンがなかったと、こういう御指摘でございます。 あれは私が座長をさせていただきまして、一年以上、もう夏休みもなく、お聞きになっているかどうかわかりませんけれども、そういう中で私どもがまとめましたことは、例えば先生のお話をお聞きいたしておりますと、診療報酬の中で出来高払いと包括払いの問題において、どちらかというと包括払いにウエートを置いたような御発言とお聞きしました、DRG—PPSを含めまして。 この問題につきましてもいろいろ議論があるところでございまして、例えば急性的な病気のときに必要な検査であるとか必要な医療というものがもしあらかじめ決められていて、別段、性善説、性悪説に立つわけではございませんけれども、そういうものに医療の、要するに包括、定額ということがあらかじめ決められる、そういうことになるとどうなのかということでありまして、なかなか医療というものは、いわゆる効率化、財政のむだを省かなければならないことはもう紛れもない、そのための医療改革でございますけれども、そのことだけを追い求めていくと、良質な医療というものが後退する可能性もなきにしもあらずではないか、こういうような意見があることも先生御承知だと思います。 この中で、自社さ政権のときまた生まれましたのは、基本的には急性的な病症に対しては出来高払いが基本ではないか。それから、いわゆる慢性的な病症に対しては出来高払いができないと。しかし、具体的にこれから最善の組み合わせをするという一つの方向性を出すことができたのではないか、私はこう思っておるような次第でございます。 それから、あともう一つは、これまではばらばらであったのではないか、こういうような御指摘だと思いますけれども、確かにこれは率直に申し上げて、私のような立場にいる者が申し上げることが適当かどうかということをちょっとおかせていただきまして、役所というところは、これは厚生省に限らずなかなか縦割り的な、ここに役職経験の方が随分いらっしゃるんですが、何やかやございまして、総合調整というものがなかなか難しいなと。これは今後の課題でございます。 特に老人医療なんかの問題も、例えば厚生省を例にとってみますと、要するに保険局と老人保健局とをどういうふうに持っていくか、こういうものも含めまして、これは、いずれにいたしましても私どもが一番大切なことは、行政のための医療のあり方ではなくて国民のための医療のあり方に立ってどうするかという観点に立ちまして、今後そういう御指摘の点も十分に踏まえながら機敏に柔軟的に対応できるような体制にしていきたい、こう思っております。 それから、もう一つは利害対立の問題でございます。これが率直に申し上げまして大変頭の痛いところでございまして、それぞれの団体がそれぞれの団体の御主張を全面的に主張なさって、そしてなかなかまとまらないではないか、そういう中で、もう審議会なんか要らないんじゃないかということが、この間、社会保障制度審議会の中でそういうような医療臨調という一つの案ではないか、こう思っております。 そういうような、関係者の代表の方々には御遠慮いただくということも、これも一つの考え方ではあると思いますけれども、現実に施策を実行する場合にはやはり関係者の理解と協力が必要であるということも事実でございますし、要は粘り強く国民の皆さん方、関係者の皆さん方の御理解を得ながら、三十兆円を超える国民医療費を、今後とも医療費にむだがないかどうか、効率的かどうか、こういう観点に立って、そして世界に冠たる皆保険制度とそして良質な医療を求めていく、このことが大切なことではないか、こう考えているような次第であります。
○今井澄君 どうもはっきりしないんですが、粘り強くと言われますけれども、二年と約束した期限が来るわけですし、この先また二年なのか三年なのか。もう待てないんですね。今申し上げました社会保障制度審議会にも「もはや一刻も猶予すべきではない。」と書いてあるんですね。 たしか先生も社会保障制度審議会の委員をなさったことが何回もおありだと思います。私もこの審議会の委員を一度させていただきました。歴史的な、一九九七年でしたか、五年でしたか、勧告を出すときに参加させていただいて、私はこの審議会は大したものだと思うんです。ある程度利害を代表する人もいますけれども、かなり活発な議論が行われ、しかもすばらしいのは、このペーパーを決して役人に書いてもらわないことです。 この審議会は審議会のメンバーが自分で文章を書く。私も何回も、勧告を出すときに四回ぐらい夜、家へ帰っては文書を書きました。そうすると、そこの部分が修正されます。ところが、また議論でたたかれて次は削られる。そういうことを何回もやってこれがつくられるんですね。私は、この審議会は大したものだと思います。これがなくなるのは非常に残念ですけれども。 私は審議会をなくせとかなんか言っているんじゃないんですよ。少なくとも医療に関してはもうこれでわかったから、なぜかという原因がわかったから、医療臨調をつくった方がいいんじゃないだろうかということなんです。それは審議会をつぶせという意味じゃなくて、私はぜひお考えをいただきたいと思います。また、まさに国民にわかる議論をし、国民とともに議論をしていくんだったら、もはや今の審議会じゃなくて、その上に医療臨調をつくるべきだと思います。本当に一刻も猶予できない。 医療費からいうと日本の医療費は先進国の中では低い方ですね。国民所得あるいはGDPに対して、OECD二十九カ国の中で今二十一番目ですか、とにかく医療費が低いんですよ。低くてこれだけ健康ですから、非常に日本の医療制度はいいという面も一面ではあるんですけれども、今急速に高齢化していって、間もなく大変な医療費になってくるんですね。今の三十兆が問題なんじゃなくて、五年後が大変だと私は思っているんです、実は。 でも、今の三十兆も、あんなに小渕さんが借金をつくり過ぎたために、医療費としては余裕があるはずなのに、国家財政全体が余裕がないために社会保障全般にしわ寄せが来ているのは非常に残念だと思いますが、私はある意味で今がラストチャンスだと思うんです。 改革にはお金がかかるんですよ。新しいことをやるところにはお金をつけてあげなければならない。古く、おくれているところも、いきなりだめよというわけにいかないから、そこにもお金をつけなきゃならない。大改革にはお金がかかるんですよ。今、一刻も猶予がならないというのはそういう意味だと思うんですね。大改革には大変お金がかかる。まだまだ世界のレベルとしては医療費の少ない今、手をつけなければだめだと思っております。 そんなことで、後で医療費の問題なんかあれしますが、本論に戻りまして、本論というか社会保障制度全般の問題に戻るんですけれども、やっぱり国民は、こういうふうにして改革をするすると言いながらしない、そういうことに対して非常に不安を持っているだろうと思うんですね。 きょうのある新聞の世論調査を見ますと、久々に、何カ月ぶりかに小渕内閣の支持率が支持するよりも支持しないが上回ったと。出発当初は支持しないが圧倒的だったんですが、あるころから支持するの方が上回ったんですが、今回初めて何カ月ぶりかに上回ったと。その支持しない理由を見てみますと、最大の理由が「政策が評価できない」というのが三三・一%あるんですね。では、その評価できない政策あるいはできる政策は何かというと、景気対策が評価できないというのが四〇・八%なんですね。 私は、これはある意味では気の毒だと思います。これは、日本の大変な構造改革の時期ですから、一朝一夕に景気がよくなるはずがないと私は思います。逆に、一朝一夕でよくならないのに借金ばかりふやしていることが、余計景気対策としては間違っていると思うんですけれども。やっぱり国民の皆さんと真剣に討論して、お互いに苦しみを分かち合いながら本当の改革のためにやれば私はもっといいと思うんですが、それはそれでいいです。 景気対策が四〇・八%支持できないと出ているのはわかるんですが、その次に多いのが何かというと、介護保険など医療・福祉政策が二一・六%。小渕内閣の支持率が久々に不支持が上回った。その不支持の理由の最大は政策が評価できない。その評価できない政策の第一は景気だけれども、二番目、実質トップはこの社会保障政策なんですよ、介護保険の見直しもいろいろあるだろうと思うんですが。 そこで、この前、二月十七日には経済企画庁が国民生活選好度調査というのを発表されました。お忙しいから全文は読んでおられないでしょうけれども、ポイントは大臣もごらんになられたと思いますが、この調査の特徴は経時変化です。この十年間なら十年間どう変わってきたか、この傾向を出しているという意味でこれは特徴のある調査だと思うんですけれども、大臣、これをごらんになられてどういうことをお感じになりましたか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、国民生活の調査でございますけれども、率直に申し上げて、私は豊かさの中の不安の時代ということをかねてから申し上げておるわけであります。確かに、今、経済全体においてはいま一つ明かりが見えない状況でございますけれども、とにもかくにも小渕内閣が経済成長率二年連続マイナス成長からプラス成長を目指すということを申し上げて、あの当時、それを申し上げた当時は、ほとんどの国民の方々が、いや、難しいんじゃないかという意見も実はあったわけでございますが、いろいろな国民の皆さん方、それからこれに対する経営のかじ取りが誤りなきということであって、ことしは〇・六%ぐらいの経済成長率が期待できる、こういうことになったわけであります。 そういう中で、今申し上げて思いましたことは、やはりこの構造改革を進めていく中において、リストラであるとか合理化であるとか、こういうことが非常に進められている。その一方において、社会保障に対する国民の皆さん方の不安というものがあるのではないか。こういうことで、私どもは今さまざまな改革に着手いたしておるわけでございます。 特に私が御指摘を申し上げたいのは、あえて申し上げますならば、いわゆる若年世代、まだお若い現役の方々が将来の社会保障に対する大変な危機感を持っているのではないか。つまり、基本的に社会保障というのは、お互いの支え合いという中において、いわゆる給付を受ける方々と、それから私が申し上げるまでもなくそれを支える方々がピラミッドの人口構成になっていくのではないか。そういう中において社会保障は果たして大丈夫なのか、こういうことに対する国民の皆さん方の不安があるのではないか、こう思っております。 そういう中で、私どもは、さまざまな改革を通じて、将来に向けて国民の皆さん方が安心して、要するに長期的に安心できるような制度の構築を図っていくことが最大の課題ではないか。そういう中で、先ほどから御指摘になっている医療の問題もありますし、年金の問題もあるし、それからこの四月からは介護の問題、これも率直に申し上げて御負担はお願いをしなければならないわけでございますけれども、やはりこの介護の重要性ということを考えてぜひとも御理解をいただきたい。そういう中で、今懸命の努力をいたしておるわけでございます。私はそれだけ、ある意味において将来に対する不安、これは私ども本当に真剣に考えなければならないわけであります。 と同時に、私はもう二十年政治活動をやっております。率直に申し上げて、最初のころは国会議員の方もどちらかというとそれよりも農林であるとか建設、こういうことを申し上げるのがいいかどうかわかりませんけれども、ということに非常に関心があった方が多いんですが、今や衆議院においても参議院においてもこの問題について大変先生方、皆さんここで御熱心に御議論をいただいておるわけでありますが、そういうふうにだんだん国民が変わってきたんだな、こういうふうに受けとめておりますし、私は国民の皆さん方のしっかりやってほしいという叱咤激励と受けとめて頑張っていきたい、こう思っております。
○今井澄君 私も丹羽厚生大臣からかつて署名入りで御著書をいただきました。読ませていただきまして、厚生大臣がずっと政治家として社会保障の分野を頑張ってこられたことに敬意を表するわけです。また、最近社会保障の問題が政治の課題としても大きく取り上げられること、今、厚生大臣とともに、よくなったというかそれが問題になるからかえって悪いのかもしれませんけれども、そういう時代だなということ、時代認識は共感したいと思います。 先ほどの経済企画庁の調査は、新聞にも出ましたけれども、暮らしがよい方向に向かっているかというと、年々そうではないという人がふえているということと、それから、特に老後の見通しはどうかというと、年々老後の見通しが暗くなっているということが今の特徴だ、トレンドだということがこれに出ているんだと思います。 ちょっとお言葉を返すようですが、今、厚生大臣は若い人の不信ということを言われましたが、確かに年金について若い人が不信を持っているのは驚くべきことです。年金をもらえないと思っているわけですから、その話をする糸口をつかむのだけでも大変です。そういう面はありますが、この調査ではむしろ将来の見通しも老後の見通しも高齢者と若い人は割合と楽観しているというのが出ているんですよ。むしろ今の中年の人が将来の日本、自分の老後について厳しい見通しを持っている。若い人はそれほど極端ではないですけれども、お年寄りはそれほどでもないという結果が出ているということだと思うんです。 私はある程度わかるような気がするんです。これは後で格差の問題は申し上げますけれども、平均すれば結構な年金が出るようになったとか、そういうこともありますし、そういうことなんだろうと。やっぱり働き盛りの人が今不安を持っているというところに日本の実は深刻な問題があると思っております。 そこで、景気の問題についてもけさいろいろ出ていましたね。経済企画庁が新たにタクシーの運転手さんとかスナックの人のアンケート調査を集計したら、政府の言うほど明るい見通しじゃないということです。いずれにしても、非常に景気、特に消費が冷え切っているという原因は幾つか言われております。雇用の不安もありますし、社会保障、将来の老後の不安というのは非常に大きいです、あるいは病気をしたときの不安。そのほかにもう一つ、財政赤字がどんどんふえている。世界一の借金王の総理がおられるわけですけれども、この財政赤字がふえていることも国民に非常な不安感を与えていると思うんです。 だから、今、政策の上で非常に大事なことは、ばらまきは絶対にやらない、厳に慎むということが、国民に不安を与える、政策内容のよしあしもさることながら、ばらまきをしないということが実は一番大事なポイントの一つだと思うんです。ところが、社会保障行政でばらまきが、介護保険料を四月から半年ただだとか、それで国庫補助でしょう、それから児童手当の増額でしょう、それから診療報酬、こういう厳しい中で〇・二%というけれども、実際は〇・二より多いです、医療費はもっとふえますよね。こういうばらまきは今はやっぱり慎むべきじゃないですか。どうでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、私が申し上げることが適当なのかどうかわかりませんけれども、とにかく今から二年前のことを考えてみると、金融不安という中において、いわゆるロシアであのような金融不安が起きて、これがブラジルに飛び火して、今度は日本でいつ日本発の世界恐慌が起きるかわからないという中において、いろいろな経過はございましたけれども金融安定化対策をやる。そういう中で、小渕政権としては、どちらかというとこれまでの前政権の財政再建から経済政策のかじ取りを百八十度変えたと。そういう中において、当然のことながら、とにかく景気がよくならなければ日本経済そのものが沈没してしまう。そういう中において、ある程度の見通しが立った中において、当然のことながら財政再建ということも私どもは常に心がけていかなければならないわけでございます。そういうことについていろいろな議論が分かれておることだ、こういうふうに考えておる次第でございます。 問題は、ばらまきということでございますけれども、この介護保険の問題については、大変残念なことながら、まだまだ国民の皆さん方に十分に御理解をいただいていない面があるわけでございます。特にお年寄りの皆様方は、これまでさまざまなサービスを受けていた方々が、今度新しい制度を導入することによって大変な不安が起きるのではないかと。それから、私ども率直に申し上げて、行政の立場に立ちましても、これはすべてが全部合理的にぴしっと整合性がとれるものじゃありません。いろんな矛盾が正直申し上げて出てくるわけでございます。特に、これまではそれぞれの措置制度のもとで行われてきたものを今後利用型の契約制度に変えるとか、それから介護保険制度そのものが、これまでは私的な問題として、一家庭の問題として取り扱われていた問題を国民、要するにみんなで支え合っていこうということでありまして、さまざまな問題点があるわけでございまして、どうしてもそのための助走期間といいますか試運転と申しますか、そういうことが必要ではないか、こういうことでとったわけであります。 私は、これは介護保険制度を将来にわたって成功させていく、そしてこれを大きく飛躍させていく、そのための軽減措置である、こう考えておりまして、決してばらまきではないんだ、それだけまだまだ国民の皆さん方に御理解もいただけていない。 私もこの間ドイツに行ってまいりました。ドイツでは五年たってもまだ試行錯誤の状態だということを疾病金庫の会長から聞きました。それだけ難しい問題でございますし、やはりこれは国民の皆さん方の御理解をいただきながら、また当然のことながら当委員会の委員の先生方の御指導を仰ぎながら何としても成功させていかなければならない、そういうような過程の中で浮かび上がってきたものだ、このように考えているような次第であります。
○今井澄君 いや、世の中は均等にはいかないわけですよ。それで、介護保険も本当に、この前も申し上げましたが、大臣と法案の最後の詰めの段階まで御一緒に仕事をさせていただきました。そういう意味では、仲間と言っては失礼ですけれども、本当にこの介護保険を苦労してつくってきた戦友のような気がするわけです。 そこにいろいろ問題もあるし、今後も頑張っていかなきゃいけないと思うんですが、おくれているところがあるからあれだけの一兆円に近いお金を渡してただにしろというのは、これはどうかと思うんです。私の地元の市長なんかは、ちゃんと保険料を取らせてほしい、それだけもう住民の皆さんと話し合いをやってきた、そういうところがたくさんあるわけですよ。やっぱりこれは行政の姿勢として、進んだところの足を引っ張り、おくれたところに合わせるということはそろそろやめにしない限り、日本は改革もできないし、よくならないんじゃないですか。言ってみれば護送船団ですよね。最初に申し上げました病床の問題だってそうです。 やっぱり、よりよいものを目指して、だけれどもそれ以外はだめだと言っちゃいけないと思うんです。よりよいものを目指して、そこを標準として進む。ただ、ついていけない、あるいはおくれているところについてはそれなりの手を打つ、こういうことをやらないと、一番おくれたところに基準を合わせて、取りたいと言っている保険料が取れる市町村も取っちゃだめよなんていう、こんなのはもう近代的な政治の名に値しない、まさに封建時代の政治ではないかというふうに私は思います。 先へ進みますが、先ほど医療制度の抜本改革はもう本当に待ったなしだということなんですが、実は医療保険制度を含めて社会保障制度全体の問題が今問われていると思うんです。 医療は医療で、抜本改革もなしに自己負担が二年前に大幅に上がり、それで患者さんが減った医師会が大慌てでまたいろいろ圧力をかけてきたという経緯もあるわけですし、今度もまた診療報酬改定、この財源は全部患者の自己負担なんですよね。それで、介護保険が始まる。保険料は当面猶予されるそうですが、利用料はいただく。いずれにしても、これも保険料を納めていただいたり自己負担を出していただく。一方で、今この国民福祉委員会にかかっている年金法案は、年金の給付額を下げる、あるいは支給開始年齢を六十五歳に先送りする、そういう面だけが突出しているわけです。 社会保障制度の各制度、年金や医療や介護や、今度は社会保障基礎構造改革で法律が出るそうですが、差し当たってはお金の問題は余り出てこないのかもしれませんが、いろんな福祉の制度も今までのような措置制度から利用契約制度に変える、そういうふうになってきていますね。保育所も変わってくる。もうそういう流れに乗っている。 それぞれの制度がそれぞれで、これではうまく経済的に成り立たないから自己負担をふやしますよ、保険料を上げますよ、あるいは配るお金は減らしますよ、年金を減らしますよ、こういうことをやっていったらどうなるんでしょう。国民にはここに全く社会保障制度全体が統一されていないというふうに映っているわけです。 年金問題では、これは年金のときにまた議論いたしますが、一橋大学の高山先生が最近「年金の教室」というのを書かれました。年金官僚は全く経済音痴だ、年金だけのことでやっている。私もそう思いますよ。この間何年間も、ここにも年金局の皆さんおられますが、どんなに議論を仕掛けても頑として聞く耳を持たない、まるで鉄壁かコンクリートの壁みたいに年金は年金だけの理屈でやっている。こんなことじゃ国民は不幸ですよ。けさの新聞に出ていましたね、「年金の削減 貧困層直撃」「悠々自適ばかりじゃない」という、これは後で取り上げますけれども。 私は、今こそ社会保障のトータルビジョン、年金と医療と介護とその他社会保障は全体的にどうなればいいのか、例えば年金が減らされて医療費、介護の自己負担がふえれば一体どこからお金を、その負担分を出せばいいんですか、そういうことを国民に示さなきゃならないということであるわけです。 この間、細川内閣で、大内厚生大臣が就任して、半年以内につくれということを命じて二十一世紀福祉ビジョンというのをつくりましたね。それ以来、政府としては福祉ビジョン、社会保障ビジョンをつくっておられないと思います。ところが、厚生大臣はこの御著書の中で、百七十七ページですけれども、この大内厚生大臣のときの福祉ビジョンは全く意味がないと言われているんです。これは政治的な発言で、あのとき野党でおられた先生のあれもあるんですが、私も余り大きないいビジョンだと思わないし、それがいいビジョンだったらそのときに国民は安心していたわけですからわかるんですが、あれは、年金と医療とその他の福祉が五対四対一のお金の比率だ、医療に過重になってその他の福祉が薄い、だから五対三対二にするということを出したのがポイントでしたね。その結果というか、その流れの中で介護保険ができて、医療の部分が介護の方へ、生活の部分に移るということになっていると思うんです。 それはそれとして、丹羽厚生大臣も就任されてから早速意欲的にこのビジョンをつくろうとされましたよね、厚生大臣の諮問機関をつくって三月までにはビジョンを出すんだと。私は、これは厚生大臣として立派なことだと思いました。ところが、残念なことにこれが小渕総理に取り上げられちゃったわけですね、有識者懇談会というのをつくって。何かお聞きするところによると十一月、十二月。 確かに税制の問題もありますし、厚生省だけの問題ではないかもしれない。だけれども、私は厚生省でもやっていただきたいんですよ。全体の問題は全体でおやりになるのがいいでしょう。だけれども、やっぱり社会保障の相互関係については、厚生省の中の縦割り行政を統合する意味でも厚生省内できちっとやることは私は必要だと思うんです。それが一つ。 もう一つ、間に合わないということですよ。私ども民主党も、実は私がネクスト・キャビネットの責任者になりまして、そこで早速、党全体で社会保障制度調査会というのを立ち上げました。そして、そこに私は三月までにつくってほしいと。ちょっとおくれているので四月までにつくりたいと思っております。少なくとも今度の衆議院選挙は、この社会保障のビジョンを出した方が勝ち、あるいはみんなが出せばわかりやすいビジョンを出した方が勝ちの選挙だと私は思っております。自民党さん、間に合わないですよ、こんな十一月に小渕さんのところでつくったって。やっぱり早くつくるべきですよ、どんな遅くたって十月までには選挙があるわけですから。私は急ぐべきだと思うんです。 それで、私は小渕総理とは違って丸投げはしません。私は、基本的にこういう方向で議論をしてほしい、あるいはこういう案はどうかということで、それがきょうお配りしたこの絵です。「社会保障の樹」。(資料を示す)年金が幹である、年金で現金給付をきちっとする、きちっとの程度は議論しなければなりませんが、その上で医療、介護、その他の福祉諸制度は保険方式でやって保険料もいただく、自己負担もいただく、こういうことでやっていきたいと。 したがって、この木が立派に育つためには、ただ大きくなればいいという問題ではなくて、効率化ということで剪定作業もやらなければならない。そして、この木が生えているのは少子高齢化という、必ずしも豊かな土壌の上ではないんですね。そこから税と保険料と自己負担、この比率がまた難しいわけですが、ここから栄養分を吸い上げてこの福祉の木が育つわけですが、ほっておいても育たない。やはり国民一人一人が自立自助ということでこの木に養分をやらなければならないし、また世代間の助け合いというしっかりした考え方を持たない限り、高齢者は何でも税金でやれなんという無責任な、高齢者を見捨てるような、こういうやり方ではできないというふうに考えております。 私は、またこのほかに幾つか、年金は国でやるべきものだ、介護は市町村でやることになったのでできるだけ任せるべきだ、医療は分権すべきだ、少なくとも保険者を都道府県ごとに再編してやっていくべきだと思いますし、年金は現金給付、それから医療、介護については現物給付、生活保護はもちろん現金給付です。 私どもは、児童手当は現金給付の方がいいと思っているんです。税制改正とあわせて扶養控除を完全になくして、税金はちゃんと出していただく、そのかわり手当を払う。そういう意味では、今度の児童手当について単純に反対しているんじゃないんですよ。ほとんど財源もない、税制改正もきちっとできないのにやるのに反対しているんです。 私どもはこういうイメージを持っておりますが、厚生大臣、いかがですか、急ぎませんか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私も、社会保障の総合ビジョンを考えるに当たりましては、かねがね年金制度を一つの軸にして考えていくべきだという考え方は大変有力な考え方ではないか、こういう見解に立つものでございます。 老後の収入につきましては、ただ年金だけではなくて、これからは元気で働けるお年寄りは働いていただく、こういう中で、勤労収入であるとか、それからいわゆる公的年金だけではなくて私的年金、さらに貯蓄であるとか資産であるとか、こういうものをあわせながら同時に考えていかなければならない、こう考えているような次第であります。 ここでこぼすわけではありませんが、なかなか私も時間の余裕がなくて、きょうもこの後すぐにまた予算委員会に引っ張り出されて、もうきのうも全然寝ておりませんので、もうちょっと時間をいただければ、要するに十分にこれを早くまとめていきたいなと。そして、いずれにいたしましても早く国民の皆さん方に対してビジョンを示す必要があるという認識には変わりありません。
○今井澄君 やはり政治の役割は、国民に安心感、将来への希望を与えることだと思うんです。だけれども、それは決して単に大きなことを言えばいいとか、何でも安心しろ、任せろということじゃないと思うんですが、厳しいことは厳しいということをちゃんと言いながらも、どこまで負担していただけるのか、その負担は税で負担していただけるのか、保険料で負担していただけるのか、あるいは個々の利用者が自己負担ということでしていただけるのか、そういう議論をきちっと国民に向かって問いかけること、しかもその場合に、医療、年金、福祉、そういうものはばらばらじゃなくて、年金を軸としてやっていくことだと思うんです。 私見を申し上げれば、年金がどの程度の生活を保障できる年金であるか、非常に難しいと思うんですよ。平均的な生活を保障できるだけの年金を出そうとすれば、これは保険料が高くなります。かといって、全部自分で貯金しろといったってできっこないわけですから公的年金。生活保護水準というのも一つの基準かもしれませんが、その辺を国民の皆さんとも議論していかなければいけないと思うんです。 そこで、私は厚生大臣にお尋ねしたいんですが、政府の政策目標というのは国民負担率を五〇%以下に抑えるということがあるんですね。これはいかにも国民にとってみれば、税金や保険料で取られる分が少ないからいいなという面がある反面、いや、安かろう悪かろうで余り当てにならないんじゃないかなという不安を与えている面が非常に大きいと思うんです。 そして、それだけじゃないんです。国民負担率を抑えると言いながら自己負担だけはどんどんふえているんです。自己負担は国民の負担じゃないのと聞いてみたくなるぐらいですよね。それがこの間の状況ですよ。私はこの前も申し上げましたが、例えば医療費の自己負担はこの間、比率がどんどんふえてきているわけですね。 最近、総務庁の消費実態調査、これを過去にさかのぼって数字をいただきまして、慌ててゆうべ計算して数字をはじいていきますと、一九七〇年ごろの消費支出、そのころは六十五歳以上が世帯主の消費支出のうちの三・六三%が保健医療の支出だったんですよ。買い薬をしたり、あるいは健康器具を買ったり、それからお医者さんに行って払う自己負担のお金。それが、これは統計が平成三年以降変わってはおりますが、高齢夫婦無所得世帯はその後ずっとふえ続けて、今五・四二%なんです。だから、消費の中で、日々というか月々使うお金の中で保健医療に占める比率がふえているんです。 もちろん、これはいろんな要因があるでしょう、高齢化が進んでいるとか、今まで見つからなかった病気が病気として見つかっただとか、いい薬ができたとか、いろいろあると思うんですけれども。そうすると、どのぐらいを自己負担していただくか、どのぐらいを税と保険で出していただくか、いろいろだと思うんです。 私は、実は医者をやっていたときからこの国民負担率という言葉に非常に深い疑問を持ちまして、たまたまそのときに純負担率ということを言い出した学者がいまして、例えば医療だとか、その当時介護はなかったですけれども、年金だとかは出したお金が自分に返ってくる、ある意味では。ところが、防衛費だとか海外協力援助というのは、これは国全体でやることであって個々人には返ってこないわけですね、もちろんそういうものも必要なわけですけれども。だから、もし負担という意味で言うならば、むしろ自分にそのまま返ってくる、預けておくようなお金は差し引いて、本当に出したものが国全体の政策に使われて個人には返らない、そういうものを計算した方がいいんじゃないかという論文を読みまして興味を持ったんです。 その先生は、その後もずっと国民負担率の研究をやられて、最近は安田火災海上ですか、そこでずっと続けて研究会をやられて報告書を出しておられるんですね。私はそれをずっとフォローしているんですが、確かに正しい指摘だと思います。 まず第一に、国民負担と言う場合に自己負担が入っていないのは私はおかしいと思うんですが、こういうことが書いてあるんです。 国民負担率とは、学術上も国際的にも確定した概念ではなく、その高低が示す意味も一通りではない。問題は、そうしたあいまいさが理解されないままに、三点挙げていますが、一点は、個人の稼ぎから強制的に徴収される割合を指すかのような解釈というか誤解がされるケース。それから二番目、常に負担率が低い方が経済に活力があって、反対に高ければ必ず人々の生活が苦しくなる、経済が不活発になるかのように論じられるケース。これもおかしいと言うんですね。それから三番目に、本来は別の軸である政府規制の強弱、政府がどこまでかかわるかということの範囲の大小と重ねて論じられるケース。これもちょっと間違っているんじゃないか。ということで、国際的な観点から見ても本来の意味を明確にする必要があるんだ、安易に使うべきでないと、むしろ疑問のことが二年前の研究会のまとめで出されています。 そして、去年の研究会のまとめ、秋にはこういう発言をしている人がいるんです。 大体のコンセンサスが得られたことであると思うけれども、国民負担率が五〇%だからいいとか六〇%だからまずいという議論はもう卒業しなければいけない。国民負担率が、例えば五〇%という数字が理論的な根拠がない数字であるのは多分だれしも認めることだと思います。例えば、何でGDPを使わないのか。国民所得のNIを使っているのは日本だけなんです。国民所得には消費税は入っていませんから、消費税がふえてくれば全然負担の比率も変わります。片や、社会保障改革の議論が余りにも縦割り的に進んでいることを踏まえると、これはみんなの常識なんですね、厚生省の皆さんもよく聞いておいてくださいよ、やはり国民負担率で議論するのはもう卒業して、社会保障全体の公私の役割分担をどのようにするかということを議論していくべきだということなんです。 ところが、厚生省も、今はちょっと文句を申し上げましたが、昨年の厚生白書、私はこれを大いに評価したいと思います。 この厚生白書の七十四ページから七十六ページ、その前にいろんなことが書いてありますが、大変豊富な資料で勉強になりますが、この七十四ページから七十六ページにかけて国民負担率のことが書いてあるんです。 そして、この国民負担率については、一九八〇年以来の臨調、行革審でも高齢化のピーク時に五〇%以下に抑制しろと言っている。それから、社会保障関係審議会の会長会議、たしか八審議会の会長が集まったところでもやっぱり国民負担率を抑制するという旧来の政策目標を肯定的に引用しながらも、そこでは一九九五年の社会保障制度審議会の勧告、先ほども申し上げました、私も大変名誉なことにこの勧告をつくるときに参加させていただき、御意見も申し上げました。 それを引用して、「このように国民負担率については、公私の活動の適切な均衡をとる上での指標となり得るという評価があるが、様々な指摘もあり、それらもよく念頭において社会保障についての議論を行う必要がある。」と、この厚生白書自身がこういうふうにして絶対目標でないかのようなことを書いてあるんです、この七十四ページに。これはたしか閣議決定を経て白書というものは出されるんですよね。全閣僚の了解を得られた、当然、厚生大臣を初め。 ということで、ここに書かれていることは、これは政府の見解として受け取ってよろしいですか、国民負担率ということにはいろいろ問題もあるのでこだわらない、どうですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御質問の趣旨がもう一つ私にまだ十分理解できていないところがあるんですが、国民負担率の問題というのは実は非常に厄介というか難しい問題でございまして、実は、私、昨年一年間、この問題を検討したんですが、率直に申し上げてなかなか難しい結論で、私が中心となって党内で議論したわけでございます。 ただ、これからは国民負担率が五〇%を超えることがないように目指していこうではないか。このままでいきますと、今この国民負担率というのが大体五五、六%になるというような厚生省の推計が出ておりますけれども、これを私としては、今、先生の御指摘がありましたような、例えば保険の範囲の問題であるとか、それから当然のことながらそれに伴います給付の問題、それから当然のことながら改革も進めていかなければならない。こういう中で、四五%ぐらいを目指していって、そしてできるだけ国民負担率を抑制することによってそれぞれの一人一人の方々の持つ可処分所得を確保する、こういうことで、その選択というものはそれぞれの自由に任せていった方がこれからの時代に、国民の皆さん方のニーズに合うことができるんじゃないか、こう私自身考えているわけであります。平たく言いますと、自己負担というものはある程度重くならざるを得ないということでありまして、それがいいのか。 例えば、先日私が行ってまいりましたデンマークは医療がただだというんです。それから、老人ホームの場合には部屋代は取る。何かもう一つよく整合性がわかりにくいところもあったんですが、医療はただだと、こういうことです。聞いてみたら、いわゆる我が国の消費税に当たりますものは二五%だということであります。だから、その辺のところで、実際問題として我が国において消費税を導入するときに大変な問題がありまして、幾つかの内閣がこれによって倒れたという問題もありますし、三%から五%にするときも大変な問題があった。なかなかその国々における国情というものがあります。 ですから、ちょっと立場を離れて言いますと、政治家というのは常にそうだと思います。理想と現実、それから国民の皆さん方がおっしゃっていることと、いざ自分にかかってきた場合、そのギャップをどうやって埋めていくかということが大変難しいことであって、重要なことであって、そこがさっきからお話になっているある意味においてもどかしさにもつながっていくものではないかなと。 私は、やはり政治家である以上、常に理想を掲げながら現実的に一歩一歩進めていくということが現実的な姿ではないか、こう考えております。
○今井澄君 国民負担率の議論をやっても何か観念論というか、空中戦みたいになるから私もそんなにやりたくないのですが、もう一言申し上げますと、先ほど申しましたように、私はまず国民負担率というこの言葉自身が全く国際性がない。日本だけの言葉ですし、意味も非常に問題だからやめた方がいいということを前々から申し上げてきています。 先ほども申し上げましたように、この研究会でも個人の稼ぎから強制的に徴収される割合というふうに理解される。ある一流新聞がトップ記事に国民負担率五〇%ということは給料の五〇%を税金と保険料で持っていかれるんだという解説を書いているんです。何てあほなことを一流新聞の記事が。 ところが、大臣お笑いになりましたけれども、大臣の書かれた二百二十三ページにも「国民負担率が五〇%を超えれば、国民が自ら使える可処分所得は五〇%を下回ることになる。」というこの表現、これは個人で見れば今の間違いと同じなんです。大臣は、これは国民経済全体で見ておられると思うんです。だけれども、こういう表現にすると国民はどう受け取るかというと、へえっ、保険料と税で給料の半分持っていかれるの、こう思うわけです。 今、例えば国民負担率は三六%前後ですか、ここまたちょっと下がったと思います。実際の給料の中から支払っている保険料と税金は一七%ぐらいですか、要するに半分よりちょっとなんです。というのは、税というのは企業も払っているわけです。保険料も労使折半で、企業も払っているから、サラリーマン一人にとってみれば国民負担率の約半分ぐらいが給料の中から引かれる額なんです。 だけれども、この国民負担率という言葉を使うと、まさに大臣ここに書かれて、これは誤解されるから訂正された方がいいんですが、「国民負担率が五〇%を超えれば、国民が自ら使える可処分所得は五〇%を下回ることになる。」というと、国民は、へえっと思うんです。こういう間違った言葉は使ってはいけない。だけれども、大臣は引き続いてこういうふうに書かれているからマクロで使われていると私は理解しているんですが、これは誤解を生みやすいんです。その後に「これはいわゆる「大きな政府」であり、民間部門はそれだけ狭められる。」云々と、要するにここで大きな政府、小さな政府論が出てくると思うんです。 これまでの封建社会あるいは誤解を恐れずに言えば社会主義的な社会も、あるいはその他の国でも幾つもあったわけですが、どちらかというと国民の皆さんから税金なり保険料をたくさんお預かりして国民の皆さんにやってあげる、これが大きな政府だと思うんです。ところが、そうすると国民は依存的になるし、考えなくなるし、もっと自分で自由に使えた方がいいんじゃないかという話もあるのでできるだけ低く抑えようということですが、でも私は社会保障に限っては単純にそう言えないと思うんです。 例えば、年金の掛金をいただくかわりに、皆さん、これは天引きしませんから全部自分で年金を民間でも何でもいいからやってくださいといって、それでやっていける人なんてまずいないと思うんです。医療だってそうです。民間だけに任せたら病気にならない元気な人たちだけの保険ができちゃって、病弱な人は保険に入れてくれないわけです。いわゆるクリームスキミング、民間だけに任せれば。だから、公がそういうことの起こらないようにということで、どうしてもある程度やらなきゃならないわけです。 私は、大きな政府、小さな政府というときには、社会保障についても考えるけれども、むしろそれ以外の分野で大き過ぎる政府の問題点というのを考えた方がいいと思うんです。例えば公共事業です。巨大プロジェクトです。それは道路はみんなのためにつくるのでしょう。いろいろありますけれども、必要なものも当然あるでしょうけれども、やっぱりああいうところから大きな政府、小さな政府の問題をやって、いきなり社会保障の分野でそれだけ議論されちゃうと困るんです。ですから、総理の有識者懇談会の中ではそういう全体の中で考えていただかないと、社会保障の分野だけで小さな政府だけやられちゃうと、年金も医療も自分勝手にやりなさいよということになりますよね。 それともう一つ、少子高齢社会というのは大変な問題で、国がやらなきゃならないという昔と違った状況が出てきていると思うんです。昔は子育ても家族でできたのです。年をとった親の扶養も家族の中でやり切れたのです、お年寄りを養って、小遣いをやって。だけれども、それができなくなったから国がかわる制度として年金だとか子育て支援をやらなきゃならなくなってきた。そういう意味では、余り小さな政府小さな政府ということでいきなり社会保障にぶつけてあれするととんでもないことになる。大きければいいと私も思いませんけれども、ぜひその点はお願いしたいので、この厚生白書の七十四ページから七十六ページ、私もしっかり読ませていただきましたし、こういう方向でこれからぜひ厚生行政の方をお願いしたいというふうに思っております。 そこで、さっき医療の問題から入ったわけでありますけれども、介護の問題についてちょっとお話を進めたいと思います。 十月六日に亀井政調会長が何か日本の美風というような発言をされて以来大混乱がありまして、最終的には十一月五日ですか、政府の見直し案というのが三党の協議の上に成り立ったわけです。その結果として、半年間保険料は徴収しない、その後一年間は半額にするというふうなことを含めて出たわけですが、私は、もうとんでもない話だということで、私も先ほどから申し上げておりますが、丹羽厚生大臣と一緒にこの介護保険をつくる初めから法律を仕上げて国会に出すまで、そして国会の審議の中でも一緒に頑張ってきた立場で、もうとにかくこの土壇場に来ての見直しに物すごく頭にきたんですが、それから二、三カ月たってみますと、ああいうどたばた劇もまんざらではなかったな、副作用というか、いい効果を生んでいるという気がするんです。 それは、最近の新聞を読んでみますと毎日介護に関する記事があって、もう枚挙にいとまがないぐらいですが、それぞれの市町村がいろいろなことをやり出したんです。 例えば品川区などは、これは一月の新聞記事からちょこちょこっと拾っただけでも、家族への慰労金は支給しない、国がそう言ってもやらないよというのが品川区とか、そのほかどんどん出てきています。それから、認定されなかった者への独自のサービスは、去年の春の段階では三割ぐらいの市町村しかやる予定がないと言っていたのが、もう最近続々出てきました。当然のことです。これに厚生省も力を入れていることは私はいいことだと思います。それから、北九州市は標準契約書を条例化して使えと言った。これも当たり前のことです。 それから、私の地元の新聞を見ていたら、中条村というところが低所得者の利用料を減免するなんというのが出てきた。宮崎市では、認定審査会だけであれだったら、その上に調整委員会をつくって再調整をするということをやり出した。田無市は、民活、民活と言うけれども、特に認定外や軽度の人を中心に、自治体みずからもう一度ホームヘルパーを雇い直してちゃんと市で派遣するというふうなことも始めた。北海道の奈井江町は、サービスは実質三月から始めるんだと。料金はいただくわけじゃないし保険料は四月からだけれども、サービスは三月からやる。武蔵野市は、在宅サービスの自己負担比率は一律三%にするとか、川崎市は低所得者の保険料を免除するとか、高知市や野田市は国保加入者の若年の保険料を四分の一に軽減するとか、いろんなことを始めたんです。それから我孫子市が、これは昨年ですけれども、認定の基準を独自に何かやる。 それで、厚生省も慌てて市町村長をお呼びになったりいろいろなことをやっておられるようですが、最近の傾向としては、いろいろなことをできるだけ法の趣旨に反しない限りで市町村に任せるという方向で御指導をされていると。私は大変いいことだと思うんです。市町村が、ある意味で言ったら国が当てにならないと、かっと頭にきて勝手なことをやり出した。まさに地方分権、ある意味では勝手なことをやり出したことはいいことだと思うんです。 中には余り賛成できないようなこと、例えば高知市が保険料を四分の一にまけるなんて本当にやっていいのかなと疑問も持ちますが、それぞれいいか悪いかは別として、勝手におやりになって実験していくことはいいことのように思うんです。そういう意味では、やっぱり国が当てにならない、いいかげんだということがわかっただけでもこの介護保険、地方分権で仕組んだ意味が今生きてきたとむしろ喜んでいる面があるんです。 しかし、そこでやはり厚生大臣、介護保険をつくり育てようと思っている立場として、介護保険制度にいろんな問題点があるんですが、かなり根本的な欠陥があると思うんです。それは大臣も御記憶だと思いますが、この法案を国会へ提出する最後の段階になって介護保険法第一条に「医療」という二文字が入ってきた。これは当初の原案にはなかったはずなんです。私は、これが介護保険制度の根本的な欠陥というか混乱をもたらしてきているんじゃないかと思うので、次期見直しのときには絶対法律改正をすべきだ、これはかつて宮下厚生大臣のときにもこの委員会で主張をしました。 どうしていろんな問題が起こってきているかというと、例えば介護保険料が高い市町村は、いわゆる療養型病床群がどっとこっちになだれ込んできて、それが月四十何万かかるというので、それで保険料が上がるということがあるわけです。ところが、何で療養型病床群が特養、老健に比べて四十何万も高いお金を払わなきゃならないのか。それは、そこに入っている患者さんというか要介護者が重度な方が多い、だからその分お金がかかると考えると、これは大間違いですよ。 そもそも、この介護保険制度を検討する初め、一九九五年でしたか四年でしたか、厚生省にできた高齢者介護・自立支援システム研究会、この報告の中で、特養、老健、療養型病床群、ここに入っているお年寄りを見ると、たまたまのきっかけでどこかに入っただけであって、中に入っているお年寄りはほとんど関係ないよ、同じようなものだよ、こういう議論から始まってこの三施設の統一が出たけれども、できないままに来たわけです。 そこで問題なのは、この療養型病床群は百人に対して医者三人、それから看護婦が十七人いなければ許可されないんです、医療法で。それで、医療法で許可されたものを介護保険で引き取るわけでしょう。ここにおかしいところがあるんです。介護保険法で、いや、介護の施設は百人に対して医者一人でいいですよ、看護婦も十人もいればいいですよとすれば、四十何万払う必要はないんです。だから、医療の方の施設をそのまま介護に持ち込んだところに私は問題があると思うんです。 しかも、今特養や老健はもう決まった額でやっていて、医療が必要になったらお医者さんにかかってうまく解決しているわけです。ところが、療養型病床群の場合に、病気が急性になったりしたらどうするか。それは医療の方へ移しなさい。移せないところでは、療養型病床群でやって介護の保険料も払うけれども、ほかに医療費からも払いますなんて変なことになっちゃっているんです。 私は、これは解決すべきだと思うんです。本来、保険と医療と福祉は連携すべきものです。それはもう間違いないです。線を引くことはできません。しかし、制度としてお金の払い方、財布ははっきり分けるべきだと思うんです。だから、私は、介護保険法第一条から「医療」を削除して、介護保険から報酬をもらう施設は医療法で基準を決めないで介護保険法で基準を決める、こういうふうにすべきだと思いますが、どうですか、厚生大臣。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず最初に申し上げたいことは、今保険料や利用料など市町村がそれぞれ責任とその負担によって独自の施策をやっているのは大変結構なことだという中で、何か私どもの施策が間違っているとおっしゃいましたが、よく先生も御理解いただけると思いますが、これは私どもの特別対策と同じ路線であって、逆行するものじゃないんだということをまず御理解いただきたい。 つまり、保険料を軽減するとか、さまざまな形で住民の皆さん方にまずこの介護保険になじんでいただいて、そしてこれを成功させていくためにそれぞれ地域においてそれぞれの創意工夫をしているんだと。 それから、私どもの軽減策でありまして、その中で実は当初いろいろ戸惑いがあったことは事実でありますが、高齢者のいわゆる一号保険料の半年間の凍結の問題でございますが、今のところ私どもが掌握しているところにおいては、これは自由なんです。これは委員会でも私は申し上げたんです。要するに、いや、私の市町村はそうはいったって最初から二割だけ取るというのはもう自由であって、これは何も強制的に取っちゃだめなんていうことを決めていない、それぞれやってくださいということであります。最初そういうことをおっしゃっていたような首長さんも、実は全市町村がやはり凍結だということをあえてまず申し上げさせていただいて、要するに私どもの申し上げたいことは、考えていた特別対策で住民の皆さん方に理解を得ながらこれを進めていってそして介護保険を成功させていくということが、今、市町村がそれぞれの施策をしていることと同じ延長線上にあるんだということをあえて申し上げさせていただきたいと思います。 それから、療養型の問題でございます。療養型の問題の中で、基準の問題、数の問題でいらっしゃいますか。
○今井澄君 数の問題と、ちょっと見通しもついでに。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 療養型の病床群を含めた介護施設でございますけれども、今、先生が御指摘されましたように、率直に申し上げて、療養型の中には医療保険の適用の部分とそれから介護保険の適用の部分があります。そういう問題も含めまして今後の体系を整備するということが適当であると考えておりますし、今後の検討課題になるのではないか、こう考えている次第であります。
○今井澄君 いや、今の問題ですけれども、これはかなり深刻な問題で、やっぱり今やっている限り医療と介護のあれがごちゃごちゃして解決がつかないと思うんです。確かに医療と介護というのは本当に境界はないし、両方連携しなきゃいけないし、実態がそうなんです、地域では。それはやっていかなければいけないんです。制度としてははっきり分けないとかえってごちゃごちゃすると思うので、今療養型の問題を申し上げたんです。 つい先ごろも私は医療政策の討論会で、東北地方から京都ぐらいまでの二、三十の病院長が集まっておられて、厚生省の局長OBの方も高名な医療評論家も参加しているかなりレベルの高い勉強会に出させていただいたんですが、そこでこのお話をしましたら、大勢の方からそうだと。先生方、あれでしょう、療養型病床群、介護の方に変わりたいと思っても、お金は若干安くなる、しかも医者を三人も雇わなきゃならない、医者だといったってどこかの教授をやめたような人や病院長をやめたような働きもしないような人を探してきて高い給料を払って、働きもしないで文句ばかり言っていて、看護婦だって今この時期に十七人も集めるのは大変でしょう、それよりも、お金は安くていいから、老健並みに三十万なら三十万でいいから、医者一人、看護婦は十人でいい、あとは優秀なケアワーカーを集めた方がいい、どうですかと言ったら、おっしゃるとおりなんだと。そんな苦労して、高い金をもらうために医者を集めたり看護婦を集めたりしたくない、そんな必要はないと言うんです、介護にかわる療養型病床群は。これが現場の声なんですよ。 だから私は、介護療養施設というのを医療法で施設認定しているのがおかしいと。医療法で施設認定すれば、きょう最初にお話ししたように、いや、看護婦は三対一どころか二・五対一だ、二対一だ、一対一だ、レベルを上げることになるわけですよ。医者も大勢いなきゃだめです。そんな百人に対して三人なんかで医者は足りないですよ。だけれども、介護の方はそうじゃないんですよ。だからそこをはっきり分けなきゃだめだろうと思っているんです。 ついでに申し上げますと、実は私は、医師会総体あるいは医療機関総体が介護にかかわることもどうかというのを現場を歩いて考えているんです。もちろん、すぐれたお医者さん、介護について関心があるお医者さんは積極的にかかわった方がいいですよ、その方が。 私の地元も、今長寿開発センターか何かが出している「介護」というグラビア雑誌の中に茅野市が出ていますからお読みください。ここでは開業医の先生と私の後任の院長と市長と、みんなで本当にある意味で全国に誇れるようなシステムをつくっています。 医者がかかわることはいいんですよ。だけれども、医者というのは本来病気を治すためにトレーニングされてきたので、生活だとか何かを知らないのが多いんですよ。それを強制的に巻き込んだ今の介護システムは問題です。 例えば、認定がなぜおくれているかと聞いたら、医者が意見書を書いてくれないと言うんですよ。それで認定がおくれているというのがあるんです。それで、さらに書いてくれと言ったら怒られたとか、身長、体重の欄が空欄だからこれを書いてくださいと言ったら、何でおれが身長、体重を書くんだと。医者にとってみれば身長、体重なんて大した問題じゃないでしょう。だけれども、介護、生活からいえば身長、体重というのは大事なんですよ。 医者というのは、しょせん診断をつけて病気を治すための教育しか受けていない。その中で、意識を持った人はぜひ介護に参加してほしい、リーダーにもなってほしい。だけれども、医者組織を丸ごと介護に引き込んだことが私は間違いだったと思います、はっきり言って。審査会だって困っているでしょう。審査会には医師会から二名入れろなんて言っておきながら、忙しいからと言って交代で出てくるわけでしょう。交代で出てきて審査をやって、立派な審査ができるわけがないじゃないですか。 そういう意味で、今、介護の問題はもう一度、だけれども福祉がいいとは必ずしも言いません、福祉だけに特化すればいいとは言わないけれども、私は、医療というものをはっきり切り離してもう一度整理し直さないと介護保険は根本的にいい方向に進まないと。いろんな個々の問題が解決できると思うんですがね。 次回の改正のときに私どもはぜひ介護保険法第一条から「医療」を削除するという方向に行くべきだと思いますが、どうですか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども私が申し上げました療養型病床群におけます問題点であります。率直に申し上げて非常に難しい問題であると、こう考えております。 これがなぜ残っているのかということでございますが、例えば若い方々、つまり、お年寄りではなくて、そして急性的な病でないような方々に対する対応をどうするのかと。こういうようなことから、これはある意味において医療として残しておく必要もあるんじゃないかと。さまざまな経緯があってこういう問題になったわけでございます。 そういう中で今後この問題を、医療と介護というものをきっぱりと分ける。そもそもさまざまな要因があって、これはもう先生御案内のように、もともとはどちらかというと一般病院、つまり急性的な病を完全に治すというような方々が、例えば北海道なんかにおいて、社会的入院というものとは切り離していこうじゃないか、そして医療費というもののあり方も考えていこうじゃないか、そういうこともこの介護保険導入の一つの要因になったことは先生も御承知だと思いますが、今申し上げましたようにすっぱりとなかなか割り切れない面があるのも事実だと。 そういう中において現実的な施策としてこういうような対応策をとらせていただいておるわけでございますが、いずれにいたしましても今後の検討課題で、大変重要な問題だと私自身も常々、かねてから認識しておるような次第でございます。
○今井澄君 ありがとうございました。
○小池晃君 最初に、C型の慢性肝炎に対するインターフェロン治療、保険による再治療と投与期間の延長の問題について質問をします。 日本肝臓学会の九九年度の肝がん白書ですけれども、肝臓がんを減らすための提言ということで、一定の条件のもとでインターフェロンの再投与を行うべきだというふうにしています。現時点での学会でのコンセンサスだと思うんです。中医協での検討事項ということは承知をしているんですけれども、百四十六国会で同趣旨の請願が全会一致で採択されているということを重く受けとめて、再投与の保険適用の道を開くべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) C型慢性肝炎に対しますインターフェロン療法でございますが、平成四年に保険適用をいたしました当時、医学上再投与の効果について評価がまだ確定をしていなかった、定まっていなかったということと、重篤な副作用があった、こういうふうなことから、平成五年から六カ月間の治療の後再発した場合の再投与は認められていないという状況になりまして、現在もこの状況が続いているわけでございます。 しかし、現在では六カ月を超えてもインターフェロンの効果が認められるウイルスが特定できるようになったという最新の科学的知見もあり、専門家の間でもインターフェロンの再投与のコンセンサスが形成されてきたということを十分認識しております。また、委員御指摘のように、さきの国会におきましてインターフェロン再投与に関する保険適用の請願が全会一致で採択をされております。これを重く受けとめているところでございます。 こうした臨床実態の変化や医療費に与える影響も考慮しつつ、現在、中医協において検討がなされており、その検討結果を見守ってまいりたい、このように思っております。
○小池晃君 ぜひ前進をさせていただきたいというふうに思っています。 次に、介護保険についてお聞きをします。 介護保険が始まったら一体何を使いたいかという答えに、真っ先に挙がるのがショートステイなんです。横浜市が、昨年十一月に、要介護認定を受けた高齢者千二百人に対して介護サービス利用希望調査というのをやっております。これは、今どういうサービスを受けているか、そして介護保険が始まったら何を受けたいかという調査であります。この調査でも希望が一番ふえているのがショートステイなんです。現在利用している人が二六・九%、それが、介護保険が始まったらぜひ使いたいという人が五二・五%と倍増をしております。在宅介護を支える家族を支援する大切な制度だというふうに思うんですが、大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まさにショートステイというのは、在宅の高齢者の方々について、一時的に例えば特別養護老人ホームなどに入所していただく、こういうことで大変重要な役割を果たすものと考えているような次第でございます。 かつて在宅三本柱と言われた中においても、どれもこれもみんな重要でございますけれども、今、先生が御指摘がありましたように、横浜を初めとしていろいろな地域においてこの利用のニーズが高まっておるということも私も十分に認識をいたしております。
○小池晃君 しかし、このショートステイについて、二月十日に介護報酬大臣告示が出されました。介護保険になると利用日数に制限が加わってまいります。要支援だと半年で七日間、一週間ですね。そして要介護一、二でも十四日間、二週間であります。最重度の要介護五になってやっと一月に一週間という仕組みになっています。 そもそも、これは家族の負担軽減に着目した制度なんですから、利用日数というのは家族の側の事情で決まってくることが多いわけであります。介護を受ける本人の要介護度がたとえ軽くても、家族の健康状態とかあるいは仕事の事情などによってショートステイを多く利用せざるを得ないという場合も多くあるわけであります。要介護度でこれを区分するというのは実態に合わないんじゃないだろうかというふうに考えるんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 介護保険制度におきまして、ショートステイにつきましてほかのサービスとは別枠で利用限度日数を設けましたのは、それだけ大変希望者も多いし、私どもといたしましては家族の介護の負担軽減を図る、こういうために大変ニーズも高いと。こういうことからできるだけ多くの方々に幅広く利用していただきたい、こういう考え方でございます。 特に、その中で要介護度、今、委員は要支援の場合六カ月一週間じゃないかということでございますが、これはごらんになっていただければわかりますように、例えば要介護五の場合には六カ月六週間ということでありまして、非常に開きがある。これは率直に申し上げて、要するに要介護度の重い方の方が介護をしている家族の負担も重いのではないか、こういうことを配慮してこのような措置をとらせていただいたわけでございます。
○小池晃君 ちょっと実例を御紹介したいと思うんですが、東京にお住まいの老人性痴呆のある七十七歳の女性の例なんですね。これは夫と息子夫婦とそれから二人の小学生の孫と六人暮らしだというんです。痴呆で家の中を徘回しているんですね。夜はもう全然眠らずに同じ話をずっと繰り返すそうなんです。昼間は夫が面倒を見ている。ただし、夜は仕事から帰ってきた、セールスか何かをされているそうなんですが、息子さんが対応をしているんだそうです。 今は月に十日間ショートステイを利用して、週に二日間デイサービスを使っていると。息子さんのお話では、月に十日でもぐっすり眠れれば何とか在宅でやっていけるというふうにおっしゃっているんですね。ところが、この方は要介護認定を受けて要介護二なんです。そうすると、ショートステイは半年で十四日間ということになるわけです。息子さんのお話では、保険外で自費でやろうとすると一回一日一万円以上かかると。デイサービスも全部やめてもいいからショートステイを使えないものだろうか、何とかならないだろうかということで途方に暮れておられるんです。 ショートステイは今までは制度としてどうだったかというと、これは一回七日間までということが厚生省の基準で、回数は無制限なんです。さらに、事情に応じてこの日数七日間というのも延長してよいというふうになっておりまして、厚生省が進めている弾力化事業という中では最長三カ月まで認めていた。これは介護している家族が重病で入院する場合とかそういう例外措置ですけれども、そういうこともやっていた。しかし、介護保険では最重度の要介護五でもようやく月に一週間ということで、今より利用が制約されてしまうわけであります。 神奈川県の保険医協会が神奈川県内の老人保健施設にアンケートをやっています。介護保険実施後にショートステイの利用が制限される方の割合を調べたら、施設によってばらつきはあるんですけれども、最大一〇〇%、最小二〇%で、平均五九・八%の利用者の方が利用制限、被害を受けてしまうということです。 大臣、先ほど大切な制度だというふうに認識を述べられましたけれども、ショートステイというのはこれからどんどん発展させていくべき分野であるというふうに私も考えるわけであります。しかし、介護保険になると今よりも逆に利用制限というのはきつくなってしまうということは、これは在宅介護の推進という厚生省の方針に照らしても問題ありというふうに言えないだろうかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど、そのような利用回数を設けさせていただいたことについて、できるだけ多くの方々に幅広く利用していただく、しかもその中においてどうしても重い方が深刻に、要するに家族負担の軽減という観点から、重い方との幅を持たせたということを申し上げたわけでございます。 先生の御指摘は大変、私も認識においては同じでございますけれども、それぞれの市町村によってやっぱり違うと思います。そういうものを受け入れられるところと受け入れられないところが現実問題であるということが、これも大変大きな悩ましいところでございます。 要するに、家族が介護しているなどによってホームヘルプサービスなどを例えば六割未満しか利用しない場合については、ショートステイの利用日数を原則として今度は二倍に拡大する、こういうようなショートステイの柔軟的な利用について十分に配慮していきたい、このように考えているような次第でございます。
○小池晃君 認識を同じくするということがございましたけれども、拡大措置というのをそういう問題点も認識されて出されたと思うんです。 しかし、今御紹介された拡大措置を例えば先ほど私が紹介した例で当てはめてみますと、先ほどのケースでも半年で四週間にしかならないんですね。これでは実態に合わないということなんです。さらに言えば、最初の半年間というのは適用になりませんから、この間激変してしまうわけです。制度が発足した当初の六カ月間というのは穴があいてしまうわけであります。これは今お話があったように、自治体によって大変ばらつきがあるというお話がありましたけれども、先進的に進めてきた自治体が今大変苦労しているわけですね。 例えば、新潟県の長岡市は一カ月の利用が一人平均七日間であります。一カ月二週間以上認めているという利用者が四百四十人いらっしゃるというんです。市の介護保険事業計画を拝見しましたら、介護保険の限度額を当てはめてみると六カ月で二千四百週なんです。ところが、今の現状のサービスの水準でやろうとすると、計算すると四千週なんです。実に一・八倍で介護保険ではとても賄えないということです。 これは新潟県の来年度予算に対する要望書なんですが、この要望書では、農山村地域において農繁期の利用が多いことを理由にして、短期入所サービスの利用拡大が容易に行えるよう支給限度額の弾力的な取り扱いをしてくださいというふうにしています。切実な自治体の声だと思うんです。介護保険の実施までの間にぜひ早急に見直すべきではないか、弾力的な取り扱いのあり方について検討すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) ショートステイの利用につきましては、一部の自治体から先生のお考えのような御意見をいただいていることも私も十分に承知をいたしております。今後、ショートステイの利用の希望状況や、地域におきますショートステイ施設の整備状況などについて十分に市町村の実態を調べた上で検討していきたい、こう考えております。
○小池晃君 ぜひこれは緊急にやるべきだと思うんです。始まってからでは遅いと思うんです。先ほど言ったように激変する部分もあるんですね、当初の導入時。拡大措置がきかない六カ月の問題もあります。こういう場合、自治体が独自に上乗せで行うような場合にはやはり国が支援することも考えるべきじゃないだろうか。 例えば、兵庫県の芦屋市では、最初の拡大措置のきかない六カ月間の激変緩和のために、市の独自事業としてショートステイの上乗せをやるということを検討されているそうであります。ぜひこういう自治体の仕事を支援するということも検討すべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 介護保険以外の自治体の今のショートステイの支援ということにつきましては、これは介護保険の中においてこういうものはきちっと認められておるわけでございますので、それを公費をもって御支援をするということについては、今この場においてそれが適当であるということは残念ながら申し上げるわけにはいきません。ただ、先ほどから申し上げておりますように、今後、市町村の実態も早急によく調べまして、できるだけ早くそれについて結論を出さなければならない問題だと、こう認識しております。
○小池晃君 ぜひ切実な問題ですので、大臣の今の答弁も二年先、三年先の検討という趣旨ではなかったと思いますので、これは実施までに早急に取り組んでいただくよう要望して、私の質問を終わります。
○井上美代君 共産党の井上美代でございます。 今回の予算案で、児童手当法の改正と、そしてもう一つ年少扶養控除特例の廃止というのが盛り込まれております。私は、この点につきまして質問をさせていただきます。 まず、大蔵政務次官、お忙しいところおいでくださいましたけれども、少し確認をさせていただきたいと思います。 二〇〇〇年度の予算案では、ゼロ歳から十六歳までの扶養家族の扶養控除が四十八万円を三十八万円に引き下げて、そして年少扶養控除特例を廃止して、その財源で児童手当拡充を行うとしているわけです。その改正による増税は一体どれぐらいなのかということを一つお聞きしたいのと、来年度の予算案の税制改正で、国民負担にかかわるものに限っていただいて結構なんですけれども、増税になる項目がどのぐらいあるのか、何があるのかということを教えていただきたい。そして、税収全体は一体どのぐらいなのか、減っているのかどうかということを知りたいんですけれども、よろしくお願いします。
○政務次官(林芳正君) 井上委員にお答えをいたしたいと思います。 まず、十二年度の税制改正で行われます年少扶養控除特例の廃止によりまして、控除特例が廃止されるわけですから、どれぐらい税が戻るのかということでございますが、これはあくまで見込みでございますけれども、この廃止による増収額については初年度二千三十億円を見込んでおるところでございます。 それから、これ以外に今回の税制改正におきましていわゆる負担がふえるといったような項目がどれぐらいあるのかという御質問が二番目にございました。余りたくさんないわけでございますけれども、今の御指摘がありました年少扶養親族に係る扶養控除額の割り増しの廃止というのがまずございます。これ以外の改正について申し上げますと、基本的に余りないわけでございますけれども、一つあえて申し上げますと、負担の公平というものを確保する見地から、しょうちゅうに類似したみりんというのがございまして、これについてはしょうちゅう並みに、しょうちゅうとして売っておるような形態を伴うものにつきましては酒税の見直しを行う、こういうような措置を講ずるようにしてございます。 それから、これはかなり技術的なところでございますが、日本国内に住所を有していない相続人等が取得した国外財産を相続税等の課税対象に追加する、これは経済のグローバル化にあわせまして、従来に比べまして随分海外へ行かれたり海外へ住まわれたりする方がふえているという現状にかんがみまして、こういう措置も講じておるところでございます。 そこで、三番目のお尋ねで、全体の税収の増減ということでございまして、これはいろんな今申し上げましたような多少の負担の見直しということがございまして、全体では初年度千四百七十億円の減収、減税ということを見込んでおるところでございます。
○井上美代君 年少扶養控除というのは、十六歳未満の子供のいる世帯において、三十八万円の扶養控除を四十八万円に引き上げたというのが今年度のことだったんですけれども、今度の予算案ではまた三十八万円に下げたというのがあるわけなんです。そして、今言われましたように、年少の扶養控除については二千三十億円の増収になっているけれども、それ以外で国民負担になっているのは、しょうちゅうを酒税になんというのがあるようですけれども、何しろ基本的には子供に対する控除、これだけが言ってみれば増税になっているということが言えると思うんです。 そして、今、大蔵政務次官が言われましたように、税金全体は一千四百七十億円の減収だと言われております。そのように減収になるときに、子供に対してのものはまだ実施したばかりなのに増収にしている、二千三十億円も増収にしているというところに私は問題があるというふうに思っているわけなんです。今、少子化を乗り越えるということが非常に全国民的に言われておりますけれども、そういう中でこのような増収が出ているということについて、たとえそれが児童手当に充てるということであっても大変なことだというふうに思っております。 九九年、去年ですけれども、三月八日の参議院の本会議で小渕首相はいわゆる扶養控除の問題について、「子育て、教育等の負担のかさむ世帯に配慮いたしておるところ」と、このように導入の目的を述べておられるんです。まだ実施したばかりというのに、この目的はもちろん果たされていないというふうに思いますけれども、三十八万円に一年もしないうちに下げておられるということは一体どういうことでしょうか、大蔵政務次官。
○政務次官(林芳正君) 去年、三十八万円を四十八万円にして、ことしまた引き下げと、いわゆる朝令暮改のような気がするという御趣旨であろう、こういうふうに思いますが、昨年度税制改正において、一般的に少子高齢化が随分進展をしておりますので、井上先生がおっしゃるように、これに全体的に対応していこうということで子育て世帯への配慮ということでやったわけでございます。 与党でもいろいろ御議論をしていただきまして、今回は財政、税制を通じて全体的にどういうものがいいかという重点化を図るという観点で、児童手当を拡充することに伴ってこうやったということでございますし、それから対象となる年齢層が重点化をされるということでございます。三歳から六歳まで手当てをされるということでございますから重点化を図る、こういうことでございます。 もう一言つけ加えさせていただきますと、税の場合はどうしても所得税をお払いになっている方しかこれは行き届かないわけでございますが、手当にしますとそこがもう少し、所得制限がございますけれども、広い範囲で手当てができる、こういうことも総合的に判断してこういう判断をいたしましたということでございます。
○井上美代君 もう一つお聞きしたいんですけれども、年少扶養控除特例の廃止によって、ゼロ歳から十六歳未満の児童のうち、税制面から見て増税対象とされる児童数というのは一体何人になるのかということです。そして、納税者の数は一体どのぐらいになるのかというのを教えてください。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年少扶養控除の見直しの対象児童数は、税制当局の試算では一千九百万人と承知いたしております。 一方、今回の改正によりまして新たに児童手当の支給対象となる児童、三歳から義務教育の就学前まででございますけれども、その数はおよそ三百万人と推計されておりますが、この中には非課税世帯の児童も含まれておるわけでございます。児童手当がふえないで年少扶養控除の見直しの対象となる児童数は一千六百万人をやや上回る、こう見込まれているところでございます。
○井上美代君 今、一千九百万人ということで、増税対象児童というのは二千万人ですから、その中で一千九百万人ということになれば、これだけ増税がかかってくるということです。一方で、児童手当が新たに支給される子供たちがいるんです。それは三歳から六歳未満までに年齢が延びておりますので三百万人。 児童手当は拡充されるという部分を除いて、増税だけという子供たちは何人になるのでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどもちょっとお答えを申し上げたわけでございますけれども、その数は一千六百万人をやや上回る、こういうことでございます。
○井上美代君 そうなりますと、この一千六百万人というのが児童手当も支給されない上に増税だけがかかってくる、そういう子供ですね。私は、税金の控除の問題と児童手当の問題をあわせますときに、とても児童手当の拡充というふうには言えないと思います。 私ども日本共産党は、繰り返し児童手当の拡充を主張してきております。今回、支給年齢を拡充するということですけれども、問題はその財源にあるというふうに思います。先ほど大臣のお話にもあったんですけれども、この児童手当拡充というのは、三歳以上から六歳未満までですけれども、その財源としてゼロ歳から十六歳未満までの子育て世代への増税で賄うということになるわけです。 児童手当法の目的には、「家庭における生活の安定に寄与する」ということが一つ書いてありますし、もう一つが「次代の社会をになう児童の健全な育成及び資質の向上に資することを目的とする。」というふうに書いてありまして、これで子供たちが本当に安心して育てられるかということについては、私は大変納得のいかない思いでいるわけなんです。少子化対策としては、これは逆行しているのではないかというふうに思っております。 子育て増税、この千九百万人もの子供たちとその家庭への増税、これは今度の予算から外して、やめるべきだというふうに思いますが、いかがでしょうか。大臣にお願いいたします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) これは実は与党三党の中で御議論をいただいた問題でございますが、現在の大変厳しい財政経済状況の中で、児童手当の拡充もしなければならないけれども、一方においては将来世代に負担を回すような特例公債の増発というものは慎んでいかなければならない、与党三党の中の政策責任者の中でこういうような御議論があった、こう承知いたしております。そういう中でこのような措置をとらせていただいたような次第でございます。 今回の児童手当の拡充は、このような考え方を基本としながら、現実的に、とりあえず与党三党ではあくまでも経過的な措置だ、こういうようなとらえ方をいたしておるわけでございますけれども、そういう中でこのような案を決めさせていただいたような次第であります。
○井上美代君 ゼロ歳から十六歳未満の子供を対象に増税していらっしゃるわけですけれども、児童手当はゼロ歳から六歳までしか出されないということです。だから、十六歳までの子供たちに増税を押しつけながら、一方では、延ばしたとはいえ六歳までしか児童手当を出さないという、ここのところも私は納得がまいりません。 皆さんのお手元に資料を出しております。これで見ますと、上の方が年少扶養控除の加算措置の廃止による税負担の変化、下の方が年少扶養控除の加算措置の廃止による負担増です。下で見ましても上で見ましても差額が出てくるんですけれども、非常に増税になることが見えてまいります。これは大蔵省が試算されたものです。 四百万円の給与収入の納税者の場合ですけれども、子供一人の場合に八千円、二人の場合には一万六千円、そして年収八百万円の場合には、子供一人では一万六千円、二人では三万二千円、三人の場合には二万四千八百円というふうに増税になることがこの表でわかります。 よく政府は若い世代に重点化しているということを言われるんですけれども、子供が三歳以上六歳未満までの場合は新たな児童手当が支給されるということがあるんですけれども、六歳以上の場合にはもう増税しかないんですね。そういう点でおよそ少子化対策というふうには言えないと私は思うんです。 試算をしてみますけれども、例えば五百万円の給与収入があって、ゼロ歳の子と一歳の子と二人いるというふうにした場合に、これまで年額十二万円の児童手当をその家庭はもらっていたわけです。ところが、今回の税制改正では別途一万六千円の増税がかかってくることになるわけなんです。だから、結局、差し引いてその家庭には十万四千円しか支給されないということになります。 若い世代を何とか救出したいというふうに言われるんですけれども、実質的にはこの試算では児童手当の一三%カットになってしまうということです。だから、乳幼児を持つ若い低所得者の夫婦にとっては増税がのしかかってくるというのが今度の予算案ではあらわれているということを指摘したいというふうに思います。 私はもう一つお聞きしたいんです。それは自営業とサラリーマンの場合の違いなんです。 改正によって拡充された三歳から六歳までの支給の負担を、サラリーマンについては所得制限が六百七十万円まで国と地方でそれぞれ二対一で負担をするということになっておりまして、そして自営業の場合というのが低くなるということですが、それを政務次官に御答弁願いたいというふうに思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、最初の質問でございますが、年少扶養控除の加算の措置によりまして、確かに所得の低い方は一般的に有利でありますけれども、所得が高くなるに従って負担がふえるということも紛れもない事実でございます。私どもはそういうことを十分に配慮いたしまして、子育て支援基金というものに来年度の予算で四百億円を計上させていただいているような次第でございます。 それから、サラリーマンと自営業者などとの間でさまざまな問題が起きておるわけでございます。 所得制限限度額が違っておりますのは、これは昭和五十七年に行財政改革の観点から所得制限を大幅に強化いたしましたときに、サラリーマンの相当部分が児童手当を受けられなくなりまして、自営業者とサラリーマンとの児童手当の支給率に著しい格差が生じる、こういうことでございまして、特例給付を設けることなどによりまして自営業者などとサラリーマンの支給率を同程度に保つ、こういうことにした措置でございます。 こういう経緯を踏まえまして、これまでも所得制限限度額につきましては、サラリーマンと自営業者との間で支給率がほぼ、先ほど申し上げましたが、大体七割と考えておりますが、設定してきているところでありまして、このような所得制限の仕組みはサラリーマンと自営業者との間で所得形態が異なっている、こういうようなことであります。 今回、この仕組みを踏襲するということが三党間では適当である、こういうような結論からこのような措置をとらせていただいたような次第であります。
○井上美代君 今、所得制限の問題でお聞きしているわけなんですけれども、自営業の場合には所得制限は二百八十四万円、この金額自身についても実態を本当に反映しているんだろうかという疑問は持っているんですけれども、それはきょうは別ですので。 厚生省の資料では、六百七十万円の収入額まで児童手当が支給される、サラリーマンには今回新たに収入額六百七十万円までで支給されるけれども、自営業にも同じ水準でやっていただくということになりますと四百七十五万円というふうになるわけですけれども、私はやはり自営業の人にも支給をすべきだというふうに思うわけです。 今、歴史的なことを大臣は話をされたんですけれども、同じ所得なのにサラリーマンと自営業とが支給されたりされなかったりということ、これは子供たちが両方が同じように七割でカバーされるという歴史的な五十七年の話をされたんですけれども、そういう経過の中であったということなんですが、このような制度上の矛盾というのがあるということについて改善がされなければいけないんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点、大臣はどのようにお考えになっているでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) これは前も一度申し上げたことはあるんですが、児童手当というのは実は公費の負担よりも事業主の負担が全体の事業費の七割ぐらいを占めておる、こういうことでございます。ということは、私なりの考え方を整理しますと、恐らくこれはそれぞれの事業主のいわゆる福利厚生的な側面から始まったのかなと、こういう感じがしないでもありません。 問題は、今、委員から御指摘のありましたような自営業者といわゆるサラリーマンとの問題でございますが、先ほど申し上げましたように、サラリーマンと自営業者との間ではいわゆる所得形態が異なっている、こういうことも十分に踏まえながら、そして、先ほどから申し上げましたようないわゆる支給率というものを同程度に、要するに前提のもとにこのような措置をとらせていただいている、こういうことでございます。今後の検討課題ではないかと思っています。
○井上美代君 時間もどんどんなくなっていくんですけれども、自営業の方たちというのは本当に今長引く不況の中で大変な暮らしをしておられる。だから、今、大臣は所得形態が異なるのでというお話だったんですけれども、なかなか所得を比べるということは大変なことだというふうに思うんです。その実態というのは、みずからの命を絶つようなそういう方まで次々と出てきているような現状が非常に大変な中で、そして妻がたとえ働いていてもそれを必要経費に入れられないというような自営業の方たちの現状というのがあるんですね。 だから、そのようなことを思いますときに、私は児童手当の所得制限がサラリーマンと違うというのは制度上も不平等だというふうに思うんです。だから、実態によく照らして、私はこの点については改めていくように努力をされるべきではないかというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど、今後の検討課題だと申し上げましたけれども、これは私から申し上げることが適当かどうかわかりませんけれども、むしろ大蔵政務次官からお答えいただいた方がいいかと思いますが、自営業の場合のいわゆる税制のあり方、こういうことも総合的に勘案した、こういうことも十分にこういうようなことになっているのではないかと思っております。ただ、そういうような先生の御指摘というものは十分に一つの御意見として承っておきます。
○井上美代君 私は、今、児童手当制度については世界八十六カ国で制度化されているんですけれども、国民総生産と比較をいたしまして、日本は例えば〇・〇三%なんですが、フランスの九十二分の一、デンマークの三十二分の一というように非常に日本の水準が低いというふうに思うんですね。だから、これを引き上げていくということが重要なんだというふうに思います。 それで、歴史的に見ましたときに、国庫負担が随分減らされてきているということがあります。それは、八一年の第二次の臨調からずっとそうなんです。四百九十七万円の所得制限が三百九十一万円に大幅に下げられ、そしてまた一九八八年には下げられていくんですけれども、児童手当についても年齢を下げられたりしているわけなんです。そして、国庫負担で見ましたときに、一九八〇年の国庫負担というのは八百十三億円あるんです。それが一九九八年になりますと二百八十六億円、五百二十七億円も削減されているわけです。本当に三割に激減されてきたということが言えると思うんです。 私は、ずっと国庫負担を減らしてこられたんだと思うんですけれども、少子化問題というのをこれだけ強調しているときに、このようなことでいいのだろうかと思っているわけなんです。だから、ぜひここのところは考えてほしいというふうに思います。 八〇年の国家予算に占める児童手当というのは〇・一八七%だったんです。二〇〇〇年の、来年度になりますが、この予算案に占める児童手当の国庫負担というのは〇・一三八%なんです。こういうふうにして見ますと、一九八〇年の国家予算に占める児童手当よりもさらに低くなっている、小さくなってきているということが言えるのではないかというふうに思います。そういう点で、子育て増税をしながら児童手当を上げるというふうに言っておられますけれども、私はとてもこれでは少子化支援とは言えないというふうに思います。 時間が来ておりますが、全く私はひどいというふうに思うんです。今後のことを考えますときに、せめて児童手当を児童手当法にあります十八歳まで、やはり児童手当の見直しというのをしていかなければいけないというふうに思います。 大臣は先ほど経過措置ということを言われたんですけれども、この先どのようなことを考えておられるのか、それをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、経過措置と申し上げたのは、私ども政府が経過措置ということではなくて、与党三党ではそのように受けとめて決めたんだということであります。 それから、諸外国の児童手当との比較でございますが、これは当然のことながら児童手当と関連性の大きい賃金構造であるとか、あるいは税の扶養控除などについて大変に違いがありますものですから、児童手当のみだけを単純に比較するということは必ずしも適当ではないと思っております。 それから、要するにこの児童手当というのは、先生もあるいはごらんになったかもしれませんが、一部の新聞は手厳しく批判しています。私はそれにくみするものではないんですが、まだまだ国民的議論というものが十分に成熟していないのかなという感じがいたしております。 そういう中におきまして、やはり今後児童手当制度のあり方につきましてはさらに検討を進めていきながら、児童手当と年少扶養控除のあり方の問題を含めながら国民的な議論をさらに深めていく必要があるのではないかと、このように考えています。
○井上美代君 時間になっておりますので、最後に私は、やはり増税をして児童手当を強化していくということは、その経過措置で今後やられる中ではやらないでほしいということを最後にお願いして、質問を終わります。
○委員長(狩野安君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時二十分まで休憩いたします。 午後零時三十三分休憩 ─────・───── 午後二時二十一分開会
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、社会保障等に関する調査を議題といたします。 まず、先般、本委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。勝木健司君。
○勝木健司君 先般の委員派遣につきまして御報告を申し上げます。 去る一月十二日から十四日までの三日間、狩野委員長、田浦理事、山本理事、小池理事、久野委員、清水委員、入澤委員及び私、勝木の計八名によりまして、長崎県及び福岡県の介護保険の準備状況等に関する実情を調査してまいりました。 まず、長崎県について御報告いたします。 長崎県は、地理的には入り組んだ海岸線と多くの離島を抱え、高齢化率では全国平均を三・二%上回る状況にあります。こうした中、ますます増大、多様化する県民の医療・保健・福祉需要に幅広く総合的に対応し、だれもが安心して暮らすことのできる長崎県を実現するために、いたわりとぬくもりのある長崎県づくりを目指し、高齢者福祉施策を初め障害者福祉施策、児童家庭福祉施策及び健康づくりのための施策等の推進に努めているとのことであります。 一日目は、長崎県より保健福祉行政及び介護保険への取り組みにつきまして概況説明を聴取し、意見交換を行った後、長崎大学において原爆後障害医療研究施設及び熱帯医学研究所を視察いたしました。 原爆後障害医療研究施設は、原爆被爆や放射線被曝事故等による放射線障害発症機構の解明と放射線被曝者の遺伝子レベルでの治療を目的とし、放射線障害者の国際的調査や医療協力を実施し、加えて原爆後障害医療の情報センター的性格をあわせ持った総合研究施設であります。特に、チェルノブイリ及びセミパラチンスクとの遠隔医療診断支援システムは、現地から患者の超音波診断装置画像を当施設に衛星回線経由で送信し、診断結果を返信するもので、週一回、一年間で約二百五十名の診断を行っております。 熱帯医学研究所は、日本における熱帯医学研究を目指す唯一の公的研究機関として活動しており、熱帯病として重要な感染症を中心に、その診断、治療、予防など広く熱帯医学に関する基礎的、実際的研究を実施しております。また、国内の活動に加えて、世界保健機関、外務省、国際協力事業団などの要請による熱帯現地での研究や技術協力、海外の大学、機関との学術協定による共同研究を行っております。 それぞれの施設におきまして、最新の医療の現場に触れるとともに、担当者と率直な意見交換を行い、着実な成果を上げている状況を見ることができました。 次に、長崎原爆資料館を訪れました。 当資料館は、原爆被爆五十周年記念事業として、長崎国際文化会館の建てかえにより、最新の技術と展示手法を駆使した近代的な資料館として平成八年四月に開館いたしました。長崎原爆資料館を訪れて、原爆の恐ろしさと平和の大切さを改めて認識した次第であります。 二日目は、長崎から西へ五島灘を隔てて百キロメートルにある五島列島の福江島に渡りました。 初めに、五島支庁管内の概況説明を聴取した後、離島における介護保険の準備状況につきまして、町及び関係施設等の代表者から意見を聴取するとともに活発な意見交換を行いました。意見交換では、交通の便及び人材確保の困難さ等による離島における介護サービス基盤整備の厳しさや国に対する要望について意見が出されました。 次に、福江市総合福祉保健センターを視察いたしました。 当施設は、デイサービスセンターを持つ老人福祉センター及び保健センターをメーンとし、小規模作業所、児童館、シルバー人材センター、訪問看護ステーション等を併設する複合用途の施設でありますが、採光、通風と廊下の広さを確保し、床面をすべてフラットにするなど種々の配慮がなされており、福江市の福祉・保健活動の拠点となるとともに市民の触れ合いの場となっておりました。 次に、児童養護施設奥浦慈恵院を訪れました。 奥浦慈恵院の始まりは明治十三年にまでさかのぼり、カトリック的博愛精神に基づき、孤児貧困家庭の要保護乳幼児の教育を目的として創立されました。 現在は、定員三十五名、職員数十四名でありますが、訪問時の入所児童数は高校生九名、中学生十名、小学生五名の合計二十四名であり、最近の入所児童の傾向としては、不登校を原因とする中学生の入所が多くなったが、入所児童数は減少しているとのことでありました。施設長を初め職員の方々の日々の御努力に感銘を受けるとともに、児童福祉施設の機能及びあり方について検討の必要性を感じたところであります。 次に、福岡県について御報告いたします。 福岡県は、「新時代への挑戦…活気あふれる はつらつ ふくおか」を新しい県づくりの基本理念とした「ふくおか新世紀計画」を指針として、五百万人県民が健康で生きがいに満ちた快適な生活を送ることのできる県づくりを目指しております。 初めに、福岡県から保健福祉行政及び介護保険施策の概要について説明を聴取し、また福岡県介護保険広域連合の概要につきまして代表者から説明を聴取し、意見交換を行った後、福岡都市圏老人福祉施設「やすらぎの郷」を視察いたしました。 当施設は、福岡都市圏二十二市町村で構成する一部事務組合により設置され、その運営は日本赤十字社福岡県支部に委託されており、特別養護老人ホームのほか、デイサービスセンター、在宅介護支援センター及びケアハウスが併設されております。「やすらぎの郷」の運営のあり方は、徘回の問題行動がある痴呆症のお年寄りのために配慮されたものであり、そのすぐれた設備とともに今後の老人福祉施設のモデルとして注目されるものでありました。 以上が今回の調査の概要でありますが、今回の調査に当たりまして特段の御配慮をいただきました長崎県、福岡県及び訪問先の関係者の方々に心から御礼を申し上げ、私の派遣報告を終わらせていただきます。 なお、長崎県の概況説明に際しまして、当国民福祉委員会に対し厚生行政全般にわたる要望がありましたので、これを本日の会議録の末尾に掲載していただきますようお願い申し上げます。
○委員長(狩野安君) 以上で派遣委員の報告は終了いたしました。 なお、ただいまの報告の中で要請のございました現地の要望につきましては、本日の会議録の末尾に掲載することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 ─────────────
○委員長(狩野安君) 次に、休憩前に引き続き、厚生行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山本保君 公明党・改革クラブの山本保です。 私は、先に三十分ほど厚生大臣の所信につきまして、主に福祉面についてお聞きしたいと思っております。あと、同僚の沢議員の方からまたお願いしたいと思っております。 最初に、論議を具体的にしたいと思っておりますので、このほど発表されました高齢者福祉の基本戦略であります新しいゴールドプラン、これの考え方、特にこれまでとはどのような点が変わってきているのか、変えているのか、こういうことについて御説明いただきたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) これまでの新ゴールドプランでは、介護が老後の最大の不安要因であるということから介護の基盤整備を充実させる、こういう観点でその推進が図られてきたところでございます。 しかし、今回のゴールドプラン21では、介護保険制度の導入という新しい事態、状況も踏まえまして、より広く二十一世紀の高齢社会において高齢者の方々が尊厳を保ちながら自立し、そして元気で積極的に社会参加ができるような社会の構築を目指す、このようにしております。 具体的には、「活力ある高齢者像の構築」を初めとする四つの基本的な目標を掲げ、これまで重点的に取り組んでまいりました介護サービス基盤の整備に加えまして、介護予防とか生きがいづくり、そして社会参加の推進など、元気な高齢者づくりのための施策を車の両輪として推進することとしております。 将来的には、自立高齢者の方々の割合を九割程度まで引き上げるヤング・オールド作戦、こういったものもしっかり推進をしてまいりたい、このように思っております。
○山本保君 一応このプランについて読ませていただきました。今、政務次官の方からお答えがあったように、確かにこれまで福祉といいますと現状に対してどのように対応していったらいいのかという考え方が中心であったと思っておりまして、今回、最後に言われましたヤング・オールドですか、何か言葉はちょっとどうかなと思いますけれども、九〇%のお年寄りが元気にという数字、仮置きのものだとは思いますけれども、こういう観点というのは今までなかったのかなと思います。 昨年でしたか、私も本会議で当時の厚生大臣に、この高齢者対策などを考えるとき、医療も年金も含めまして総合的にどういう老人の社会像といいますか、それを描くのか、このことが大事だということで御質問をしたことがありました。当時は野党だったせいでしょうか、答えがなかったなと思っているわけです。 今回、ゴールドプラン21ですか、この中に九〇%という数字が出て元気なお年寄りという考え方が出されたことについては私も大変よかったとは思うんですけれども、さて問題は、そうなりますとそのために具体的にどうするのかということだと思うんですね。 きょうの午前中にもお話があったと思いますけれども、総理大臣のもとに社会保障構造の在り方について考える有識者会議というのがつくられるということに伺っているわけですけれども、この会議と今の例えば九〇%の元気なお年寄り、こういうものとの関連を少しお聞きしたいと思っているわけです。 まず、この総理大臣のもとにつくられるという会議は、どのような姿勢で社会構造、特に高齢者に関しては、まだこれからですけれども、どういう姿勢で臨もうとされているのか、わかる範囲でお教えいただきたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 今後、高齢化の進展に伴いまして社会保障の給付の増大が見込まれるわけでございますが、経済との調和がとれ、しかも国民の新たなニーズにもきちっとこたえていく、的確に対応していく、将来世代の過重な負担にならない、こういうふうなことから年金、医療などの改革、年金、医療また介護等々の横断的な総合的な改革に取り組もう、こういうことでございます。 社会保障構造の在り方について考える有識者会議におきましては、御指摘の点や経済社会状況などの変化を踏まえて新たな高齢者像を見据えながら、新たな高齢者像を見据えながらと申しますと、今まで高齢者といえば、どちらかというと弱者で保護される者というか、そういう対象で、どちらかというと一方的に見ていた要素があったかと思うんですが、そうじゃなくて、これからは高齢者の方も元気な方には社会を支える側になっていただこう、ボランティアだとかいろんな方で、自分よりさらに高齢の方の場合によっては世話役、ボランティア等々を通して支える側になっていただこうと、そういうような高齢者像というものも見据えながら、社会保障の基本的なあり方について、年金、医療、介護、また関係する諸制度について総合的に御議論をいただきながら、国民の皆さんが安心できる社会を築くため、国民の皆さんに信頼していただけるような、将来にわたって安定できる、こういう社会保障制度の構築に向けて努力をしてまいりたい、このように思っております。
○山本保君 おっしゃったことの意味はわかりますが、ちょっと少しきょうは総合的なといいますか総括的な話ですから、ちょっとお時間等も、議論のような形にしたいなと思うんです。 今回のゴールドプラン21では、初めて九〇%の元気なお年寄りというような数字が出てきまして、確かにそういうのが出てきたんですが、まだまだ厚生省全体の施策にそういう積極性といいますか、それはないと思うんです。例えば、大臣がこの前所信表明されました中を見ましても、例えば「国民の新たなニーズに対応し、」と、ニーズに対応すると、こういう形ですね。これはまさにこれまでのといいますか、従来の厚生省の考え方です。例えば介護保険なども、きょう議論がありましたけれども、よく使われますのは、二〇二〇年ごろには三〇%近くの方がお年寄りになる、このことは考えてみれば当然のことですから、これを変えようということはできない。同じようないろんな資料で言われていますように、例えばそのころ五百二十万人、五百万人以上のお年寄りが要支援というんですか、要介護であるというような数字が上がっていて、だからこれに対してベッド数がどれだけでヘルパーがどれだけだと、こういうふうに計算していっているわけです。 しかし、考えてみますと五百二十万人、まあ五百万人といいましても、これはこの中の例えば痴呆の方でありますとか、また生活面で自立ができないというような方、それから寝たきり、こういうのは自然に発生したわけでも何でもなくて、これまでの福祉や医療などの、また社会的な地域社会のお年寄りに対する対応というのが不十分であったがゆえにつくり出されてきたのだということはもう常識と言っていいと思うんです。 そうしますと、当然ここについて具体的にその改善の目標を定め、何%といった数字はともかくとして、どのような形でお年寄りの生活がよくなっていくのかということを決めなければならないと思うわけです。それをまず考えなければならない。ところが、まだまだ今回の21にあるところ以外についてはほとんどそういう感覚になっていないんじゃないかなという気がするんです。 ぜひ、今お話の中では、特に医療、年金というようなことを言われましたけれども、総理大臣のもとで行われるわけですから、お年寄りの生活環境というもの全般を考えますと、例えば元気で働かれる方、または趣味や学習ということで自己実現をしていこうという、生きがいを持っていこうという方、それから残念ながらそうもいかないので全く公的な応援によって、または自分の蓄えで生活しようとする方、社会参加をしていこうという方、いろんな方がたくさんこれから出てくる、多様な生き方が出てくるわけですから、ぜひ単に厚生省だけの仕事ではなくして、今申し上げただけでいっても建設関係、文部省関係、この辺は当然全体の老人像、老人が世界で一番多くなる社会の姿というものを、ただ単にふえていくのでこんなに暗くなるのだというのではなくして、どことどこを直してこのように変えていきますよということをぜひ厚生省は率先して引っ張っていっていただきたいと思っているわけですけれども、その辺、大野次官、どういうふうにお考えでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 確かに、御指摘のとおり、これからは単に厚生省の課題だけではなくて、高齢者雇用の問題もあるでしょうし、また自立、自助、共助、公助の世界の中で、共助のウエートをもっともっと増していかなきゃいけないというようなことでNPOの活動のさらなる充実ということもあるでしょうし、それは今後大変大きな検討課題である、このように思います。 御指摘の貴重な御意見をしっかり承らせていただきまして今後の参考にしてまいりたい、このように思います。
○山本保君 しっかりお願いしたいと思います。 私も厚生行政、福祉を担当させていただいて、その辺が非常にほかの省の仕事なり、またそれと比べますと残念でならなかったところなんです。決して厚生省というのは先に出ない、これは後でもまた申し上げますけれども、大きな目標設定をして向かっていくというよりは、社会全体がこのように悪くなりそうなのでそれに対応しますということで一生懸命やってこられた。これは最後のセーフティーネットとしては非常に効果的であったとは思いますけれども、まさに総理大臣も今度の所信表明で言われましたように、これからの日本の社会像というのはモデルのない全く新しいものに挑戦していかなければならないと、こう言っておられるわけですから、厚生省も特にお年寄りの施策について、活力ある高齢者像、その高齢者のいる町の姿というものについてぜひリーダーシップを発揮して、これまでとは違う施策の形をつくっていただきたいというのがお願いでございます。 次に、これとも関連するわけでございますが、まだ出てきておりませんが、社会福祉事業法等を改正して、いわゆる社会福祉の構造改革と今回の大臣のお話にもあったわけでございますけれども、この基本的な考え方、そしてこれにおいても例えばこれまでとはどういうところが違うのであるか、この辺についてお聞きしたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 現在の社会福祉制度は、戦後の復興期に貧困者とか身体障害者の方、また戦災孤児など緊急対応が求められた時期に制度化されまして、サービスも行政主導の画一的な内容が中心になってまいりました。今日の少子高齢化の進展と国民の自立意識の高まりを受けまして、利用者がサービスを選択できる、そしてまた国民の自立支援と参加を促す観点から、今国会で社会福祉事業法等の改正法案を提出することとしているところでございます。 具体的には、一つは社会福祉事業法の事業を取って社会福祉法に改めまして、その法律の目的に福祉サービス利用者の利益保護や地域福祉の推進を追加するとともに、小規模通所授産施設について規模要件を改めまして、そして社会福祉法人が容易に設立できる、設立要件も今まで一億円というところから一千万円を軸にして設立することもできる等々、このように社会福祉法人の活躍がしやすくなる、サービスの提供がしやすくなる、こういう方向で改めてまいりたい。 また、身体障害者福祉法などの関係法律を改正いたしまして、障害者福祉サービスの利用について措置制度から利用方式に改める、このようにしております。
○山本保君 それで、ちょっと質問には書いていなかったことですが、答えはどちらでもよろしいんですけれども、ちょうど先週ですか、私のところにも、また各党にも行かれたと思うんですが、NPOの全国の大半の団体の方が税の優遇をお願いしたいという要望書を持ってこられまして、昨年末の税制改正ではどうしてもそれが実現しなかったということで、ぜひ今度はということがありました。 それで、委員の先生方にもちょっと御注意を喚起したいわけでありますけれども、不思議なことといいますかおもしろいことに、今お話がありました社会福祉法人という法人はもう既にあのNPOの方たちがあんなにも欲しがっている税制優遇は、すべてと言っていいぐらいもう実現といいますか、持っておられるわけです。 ところが、私もいろんな地域で住民の方とお話をしていまして、例えば社会福祉法人、保育園でありますとか特別養護老人ホームの団体に寄附をしますと、今ちょうどその季節ですが、確定申告にその寄附をしたということを持っていくと税金が返ってくるんですよ、御存じですかと、こういうふうにお話ししましても、ほとんどの方が知らない。なぜ知らないか。それは、そう言われたことがないからです。つまり、あれほどNPOの方たちが欲しがっているものをもう既にとっておられるというか持っておられる社会福祉法人の方が残念ながらそれを生かそうとされていない、はっきり言って。 では、なぜ生かさなかったか。生かさなくたってすべて税金で賄われてきたから、その住民の。共助と言われましたけれども、そういう制度はもう既に社会福祉にはあるわけですよ。あるのにかかわらず使われていない。逆にそのことが、だからこそ大蔵省も非常にかたくなになりまして、実際既に制度があるのに使われていないじゃないかという形でNPOの方たちの要望をシャットアウトする、こういう構造になっているわけです。 私はぜひ、こういうことから、今いろんなお話がありましたけれども、社会福祉の構造改革という基本は、まず第一にサービス提供主体である。それはやはり専門家の責任です。専門家としてきちんとそういう地域の中での自分たちの位置というものを見直していただきたいと思っているわけです。 それで、ここからちょっと質問でございますけれども、今お話の中にも出ましたが、そこで私は三年ほど前から、今一万六千ほどあるんでしょうか、その社会福祉法人の方には少し申しわけないけれども、しかし今の社会福祉法人というのが土地も建物も要る、資産も最低一億円いつも、それも使っちゃいけないお金をいつも持っていなくちゃいけない。こういう形でしか社会福祉の仕事ができないということがおかしいじゃないかということでお願いをしてまいりましたら、昨年末ですか、局長の方から、今お話のあったとおり、今度土地や建物を借用してもよろしい、しかも基金も一千万円を軸に検討したいと、こういうお話があったわけですけれども、これはぜひ四月からの介護保険に間に合うようにやっていただきたい、なかなか厳しいかもしれませんが、と思うんですけれども、この辺の進捗状況といいますか、見通しはいかがでございましょうか。
○政府参考人(炭谷茂君) ただいま先生がおっしゃられましたように、現在、私どもは社会福祉事業法の改正とあわせまして、これはいわば運用事項、通達事項で決まっておりますので、運用事項の見直しとして検討いたしているわけでございます。 その中で、具体的に申しますと、障害者のための小規模通所授産施設、またホームヘルプ事業を行うことを目的とする社会福祉法人を設立する場合は、必要とする資産について現行の一億円から大幅に引き下げ、ただいま先生が御指摘されましたように一千万円を軸に現在検討を進めているところでございます。したがいまして、これはあくまで社会福祉法人全体の見直しの中でこれを行いたいというふうに考えているわけでございます。
○山本保君 先ほど勝木理事の方から委員派遣の報告がありまして思い出したんですが、先日、たしか長崎の離島へ行ったときにそこの町長さんたちとお話しした。私の方からも、実は今のような一千万円で考えておられるんですよと。つまり、これまでの福祉介護サービスという姿、イメージを変えましょうと。大きな団体または会社が大きなお金とたくさんの人を使って人を動かす、こういう形ではとても離島ではできないけれども、例えば一千万円ぐらいで法人ができるのであれば、その市や町や村も一緒になってそういう法人をつくって、そして小さい団体がその地域の生活に合ったサービスをしていく、何も全部東京型のサービスをする必要はないんだというようなことを申し上げたところ、非常に町長さんたちの方からそれ以後も問い合わせがあったりしまして、いつなるんだと言っておられるわけであります。 確かに、社会福祉、今度の法律改正というものにということは意味はわかりますけれども、考えてみますと、これは先ほど最初におっしゃったように法律とは直接は関係のないものでありますから、ぜひ前倒し的に、もし法律がおくれるようなことがあっても介護保険は始まるわけですから、やっていただきたいということを言っているのでございます。 もう一点、今のはお願いでございますが、ちょっとここをお聞きしたいんですけれども、それ以後、私のところに特に障害者のいわゆる小規模作業所を進めておられる団体の方が何人も来られまして、この一千万円というのはもう願っていたところだ、ぜひ自分たちもそういう形で進めていきたいという話も来ております。 今それも含むということでありましたので確認的にもう一回お伺いしたいわけですけれども、その場合、もう一つ言いますと、どういうサービスまでを小さな法人でやっていただくのかというところを、こういう地域型の法人というものがないときにつくられた、特に施設入所を中心とする今までの福祉像の中で、福祉の総体の中で一部分切り取って、ここだけ準法人みたいなところにやらせてあげましょうというのではなくして、位置を転換させて、本当に住民に一番近いところできめ細やかなサービスができる小さな法人にきちんと仕事をしていただくように全体を見直すべきではないかなと。特に、障害者でありますとかお年寄りの場合は、デイサービスといいましても、先ほどお話も出たようなショートステイとかいろんな形でのものと組み合わさなければいけないわけでしょう。それを、いや、これは違うんです、これはここだけですよというふうな形では動かしにくいんじゃないかと思うんですけれども、局長、その辺について専門的なお考えをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(炭谷茂君) 社会福祉法人の所有すべき資産につきましては、そこの施設に入っていらっしゃる方につきましてはやはり安定性とか継続性、ましてや社会福祉法人がつぶれては何にもならないわけでございますから、一定の資産がなければならないというふうに考えておりますので、例えば施設を経営するような場合は、しかるべき土地、建物があるというのは大原則だろうというふうに思います。 そこで、先生のおっしゃられました地域に密着するようなサービス、きめ細かいサービスが行えるようなものについては、むしろもう少し社会福祉法人を設立しやすいようにしたいというのが私どもの気持ちでございます。そのような観点から、先ほど言いました障害者の方々がつくるような授産施設、授産所、また介護のためのホームヘルプ事業というようなものについてはむしろできやすいようにしたいということで、このような分野を選んでいるわけでございます。
○山本保君 最初に動かすときに余り幅広くして大変になるということが難しいので、まず限定的なサービスから始めてということはわからないでもありません。ぜひそれに関連するようなサービスを、今までのようにこれは在宅だ、これは入所施設だ、入所措置だ、こういう形で分けるのではなしに、地域のサービス主体とそのサービスを受けられる方の必要なサービスは何かという形で、そういうところへずっと入っていっていただきたいという要望を申し上げます。 最後に、子育て支援で、特に少子化対策についてお聞きしたいと思いますけれども、今回、新エンゼルプランが年末に発表されたと思います。先ほどと同じような聞き方でございますけれども、これまでのプランとどういうところが違っているのかについてお答えいただければと思います。
○政務次官(大野由利子君) 結婚とか出産というのは当事者が決める問題ではございます、自由に選択ができる、こういうものでございますが、政府としては仕事と子育ての両立を支援して、安心して子育てができる、夢と希望を持って子育てができる、この少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランの考え方はこういう考え方でございます。従来のエンゼルプラン、また緊急保育対策等五カ年事業は、文部、厚生、労働、建設の四省庁のみでプランをつくっていたわけでございますが、この新エンゼルプラン、また少子化対策基本方針というのは、関係省庁、全閣僚を含んで少子化対策推進閣僚会議を設置いたしまして、政府として策定をしたものでございます。 また、新エンゼルプラン、どういうふうな違いがあるのかという御質問でございますが、あえて申しますと、従来の保育対策だけではなくて、新エンゼルプランでは、働き方とか相談支援体制、母子保健、教育、住宅等幅広い少子化対策にかかわる重点施策の具体的な実施計画として策定をしております。 育児休業給付の充実などを盛り込んで保育と育児休業の選択を容易にすることとか、それからもう一つ、ただ働くお母さんだけじゃなくて、在宅児も含めた相談支援体制の整備をいたしまして、今、母親の孤立化ということも大きな問題になっております。今、核家族化とともに、地域、家庭の子育て機能が大変低下をしている、このように言われておりますが、家庭も含めた子育てへの社会的支援の必要性が大変増しているということから、地域子育て支援センターの整備を初めといたしまして、子育ての相談、それから一時預かり、このような多様な需要に対して対応できる、こういうふうな子育て支援の拠点にしてまいりたい、このように考えているところでございます。
○山本保君 これまで緊急保育対策というふうな形で動いておりましたように、保育園、保育所の対策なんだというイメージが強かったと思うんです。今回もそれが払拭されたとは思いませんけれども、確かに重要な施策だと思いますけれども、今さまざまな形で親の就労形態も変わっておりますし、また社会参加とか女性の生き方というのも多様化しているわけですから、いろんなニーズに応じた対応をしていただきたいと思っております。 拝見しましても、確かに厚生省だけではないなと思いますが、ここはきょう言ってもしようがないですが、文部省にしましても建設省にしましてもほとんど数字が、文部省は少し出ていますけれども、さまざまな省庁がとか言われますけれども、非常に抽象的なものが多いような気がします。これは与党の課題だとは思いますけれども、もっと総合的な形で具体的な数値を出さなくちゃいかぬのじゃないかなと思っております。 それで、時間がなくなりましたので最後に一つだけお聞きしたいんですが、厚生省が子育て支援とか少子化対策と言いますといつも環境づくりということになりまして、中身、目標の内容については言わないという何かタブー視されているようなところがあると思うんです。子育てというものの目標は何かといいますと、すぐ文部省が出てきて、そして挑戦するであるとか生き方だとかいろいろ言うんですが、時々、心というようなことを言い出される方がおられますと、すぐ心というのは、何か古い、忠君愛国まではいきませんけれども、ほかに頼るべきものがないからかもしれませんが、出てくる。 私は、文部省というところが出てくるのは仕方がないと思っておるんですが、子供の生き方というものはいろんな悩みや苦しみやその中で頑張っていく、または共感し合うというような、本当に心を一番取り扱っている役所が厚生省だと思うわけです。厚生省の立場から子育て論の目標についても発言すべきではないかと思っておるんですけれども、最後の質問ですが、これについて何かお考えがあったらお聞かせいただきたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 児童が地域社会で異なる年齢集団の子供と一緒に遊んだり、交わったり、またボランティア活動だとか、また自然の中で体験学習する、こういうふうな中で、他人に対する思いやりだとかルールに反することはしてはいけないとか、そういうふうなことを体験を通して生き方の中で自然と身につけていくというようなことが非常に大事なのかな、こういうふうに思っております。 文部省と厚生省とは違うとかというんじゃなくて、文部省と厚生省はこれからも連携を深めながら、平成十年度で教育・児童福祉施策連携協議会というものを設置いたしましたけれども、両者が連携をしながら効率的な施策を行いまして、そして相互乗り入れと申しましょうか、保育所と幼稚園、いずれも地域における子育て支援に重要な役割を果たす施設であるというようなことから、子供や家庭の多様なニーズに的確にこたえていける、こういうふうなことで連携を深めてまいりたい、このように思っております。
○山本保君 終わります。
○沢たまき君 同じく、公明党・改革クラブの沢たまきでございます。 まず最初に、ちょっとアレルギーのことについて御質問させていただきます。 かつて、我が国では国民病といえば結核がそうでしたが、今日では国民の三人に一人が何らかのアレルギー症状に悩まされている。今やアレルギー疾患が新たな国民病になっています。 アレルギー疾患がふえている理由として、車の排気ガスや工場の排煙に含まれるNOxやSOxなどによる大気汚染、残留農薬、食品添加物など食生活上の問題、それに住宅建材に含まれる化学物質や杉花粉、またストレス社会における肉体的、精神的な原因が絡んでいると言われています。 また、このアレルギー疾患は個人差が大変大きいため、この病気の解決を困難にしております。そのために、この問題解決のためには、厚生省だけで解決できるとは思っておりません。環境庁、建設省、林野庁、農水省、文部省とかなり広範な英知を結集して予防法、治療法の確立が必要になってまいります。厚生省がその中心となって各省庁間の連携をおとりいただき、総合的なアレルギー性疾患対策を推進していくべきだと、このように思っております。 また、我が公明党の女性議員の中では、若いお母さん方からの御要望を受けて、ずっと十二年度の予算に向けて署名活動をしているという最中でございますが、政務次官、いかがでございましょうか。
○政務次官(大野由利子君) 委員御指摘のとおり、アレルギー疾患は今非常に増加をしているという大変な状況もございます。また、多様な症状で、慢性的な疾患で大変悩んでいらっしゃる方が多い。こういうこともあって、今、国民病とも言われるような状況であるわけでございます。現時点で発生機序とか治療方法、不明な点もたくさんあるわけでございますが、さまざまな要因が絡んでいると考えられるわけでございます。厚生省だけじゃなく、科学技術庁、環境庁、農林水産省、文部省、また気象庁等の関係六省庁で構成する連絡会議を開催いたしまして、関係省庁におけるアレルギー研究にかかわる研究課題の調整を行っているところでございます。 これからもしっかりと力を入れて頑張ってまいりたい、このように思っております。
○沢たまき君 ありがとうございます。 厚生省は、平成十二年度以降、アレルギー疾患の総合的な研究を効果的に推進するとともに、その成果及び最新の医療技術の全国的な普及を図るため、国立病院等を含めた医療機関、研究機関、研究者等の連携体制を構築するとされています。 アメリカ、ドイツ等では、花粉症、アトピー性皮膚炎、ぜんそく、あるいは化学物質過敏症のアレルギー疾患に対して、診断、治療を含め、総合的に対応する環境施設の拠点があります。それがまた大きな成果を上げているとも聞いています。我が国においても、対症療法だけではなくて、研究、予防、治療の拠点として、国立アレルギー総合センターと申しましょうか、そういうものを設置していくべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
○政務次官(大野由利子君) このアレルギー疾患を初めといたします免疫異常につきまして、国立病院・療養所の再編成の中で国立病院が担うべき十九の政策医療分野の一つとして明確に位置づけたという、こういう状況がございます。 そして、今、国立相模原病院をネットワークの頂点であります高度専門医療施設として位置づけまして、全国ネットワークをしっかり構築しながら先駆的な医療や難治性の疾病等に関する診療、また臨床研究等の機能を強化してまいりたい、このように思っております。
○沢たまき君 ありがとうございます。 次に、環境汚染物質に起因して中枢神経系、または自律神経系の障害とした症状の化学物質過敏症について伺いたいと思います。 通常、中毒性疾患では発症する原因物質量がppm単位でありますけれども、この化学物質過敏症はppb、pptの単位の量で発症するということ。また、中毒性疾患は体重当たりの中毒量と致死量は個体差がほとんどないのに、化学物質過敏症はアレルギー疾患同様個体差が大変大きいのが特徴であります。私のところにも陳情に見えられましたけれども、スリッパは履けない、なにはできない、もう大変なことで国会まで来ていただきました。 したがって、同じ原因物質であっても全く何の症状も示さない方と激しい症状を呈する方がいるということで、化学物質過敏症の患者は時には心身症と誤解されることがあります。御本人たちが安心して安全に暮らすためには、家族の精神的、経済的負担はもう想像に絶する厳しい状況にあります。このような患者は、アメリカのニュージャージーでは、疫学調査によると、アメリカ人の一〇%存在すると言われております。我が国では、北里大学の石川先生も、こういう疾患群が存在するのは厳然たる事実であり、早急に調査研究を進めて疾患本態の解明、予防・治療方法の確立が必要であると述べられて、日本では唯一この北里大学で診療が行われております。私並びに政務次官も行ってくださっていますので、おわかりと思います。 しかし、我が国では、いまだ病名の認定もされていないために保険の適用もされていないという状況です。化学物質過敏症について国が早急に責任を持って病名の認定を行い、保険の適用を急ぐべきだと思っておりますが、いかがでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 私も御一緒に北里病院を視察させていただいたわけですが、今、医療保険というのは疾病ごとの適用の有無を定めているのではなくて、原則として検査とか投薬とか処置とか、こういう診療行為ごとに適用の有無を定めている。こういう状況で、化学物質過敏症につきましても、症状として頭痛とか全身の倦怠感とか筋肉痛とか関節痛とか、また微熱、消化器症状、視力障害、こういうものに対しては検査、投薬、注射の診療行為について医療保険を適用されているところでございます。 化学物質過敏症という疾病概念について、厚生省はいろいろ専門家の方々による研究を行ってきたところでございますが、現在のところ、まだその疾病概念がどういうものかというのが固まっていない、まだ明確になっていない、また治療方法もまだ確立をしていないという、こういう状況でございますので、委員の御指摘は今後の検討課題ではなかろうか、このように思っております。
○沢たまき君 よろしくお願いいたします。数は少ないかもしれませんが、大変に苦労なさっておりますので、よろしくお願いいたします。 次に、院内感染対策についてお伺いをしてまいります。 厚生大臣は、所信の中で「国民が健やかに生活できるよう、結核やインフルエンザを初めとした各種感染症対策にも積極的に取り組んでまいりたい」と、その御決意を表明されております。 日本感染症学会編集の改訂版の「院内感染対策テキスト」によりますと、「院内感染は単に一施設だけの問題にとどまらず、地域あるいは国全体が抱える共通の問題としてとらえ、ネットワーク化し、協力して対処していく必要がある。」として、一つには国あるいは地域での感染症センターを設置する、二つには各施設での感染対策情報室や感染制御部などの設置、三つには感染制御ドクターや感染制御ナースの育成、制度化の推進等を図る必要があると指摘をしておりますが、厚生省はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
○政府参考人(丸田和夫君) 医療機関におきます院内感染対策につきましては、清掃等院内の環境整備や手洗いの励行、また院内感染に関する医療従事者の方への教育が基本となるものであります。これまでも、B型肝炎ウイルスあるいはHIV等の個別疾患に関するガイドラインを作成いたしまして医療機関への周知徹底を図ってまいりますとともに、院内感染を防止するための設備整備の支援などの取り組みを進めてきております。 委員御指摘の日本感染症学会のテキストの指摘でございますが、一番目の国等の感染症センターの設置につきましては、平成九年に新興・再興感染症に的確に対応するために従来の国立予防衛生研究所を国立感染症研究所に改組いたしまして、その研究所内に感染症情報センターを設置いたしまして、このセンターを中心としまして地方の衛生研究所と連携を図り、感染症発生動向調査を初めとしました感染症の調査研究に関する中心的な役割を果たしてきているところでございます。 また、二番目の各施設での院内感染対策の担当部門の設置についてでございますが、これにつきましては今後とも各医療機関の実情に応じまして院内感染対策委員会の設置や充実を求めていくこととしております。 さらに、三番目の院内感染対策の担当者の方の養成でございますが、これにつきましては引き続き日本感染症学会の協力のもとに、院内感染対策に関する理解を深めるための講習会の開催、あるいは施設内感染対策に関する相談窓口の開設を行ってまいりたいと思っております。 以上でございます。
○沢たまき君 済みません、政務次官、本日は余り時間がありませんので詳細は詰められませんので後日また取り上げさせていただきたいと思いますが、院内感染対策の実態は、とてもではありませんが十分な対策が講じられているとは言いがたいというのが現実だろうと思います。 院内感染に関する総合的なガイドラインの策定もようやく平成十二年度から着手されるということになっております。また、たとえ今御回答がありましたようにガイドラインができても、それを各医療施設がきちんと実施するのかどうかも大変に不明確です。さらに、感染症が厄介なのは、発症するまでの潜伏期間が長く、感染源を特定するのが非常に困難であるということがさらに被害を拡大する大きな要因だと思います。 したがって、感染症対策は国が指導性を発揮して、医療環境の改善、医療従事者への専門的な教育、医療機器の技術改新など、新たな立法を含めて厳しい対策を講じていく必要があると私は思っているんですが、政務次官の御見解を承って、質問を終わらせていただきたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 御指摘のとおり、国民の皆さんが安心して医療機関で治療を受けるためにはそれぞれの医療機関で万全の院内感染対策が講じられることが必要であろう、厚生省としてもできる限りの支援をやってまいりたい。 そのために、院内感染を防止するための設備整備の支援とか、医療従事者の研修、教育に引き続き取り組みますとともに、来年度から新たに最新の科学的知見をもとにした院内感染に関する総合的ガイドラインの策定に着手をすることになっております。個別のガイドラインだけじゃなくて総合的なガイドラインの策定に着手をいたしまして、そしてまた薬剤耐性菌感染症の発生動向を把握した上で、医療機関において活用される情報を提供する院内感染対策サーベイランスシステムの運用を平成十二年度より開始したい。今後とも院内感染対策の推進に万全を期してまいりたいと思います。
○沢たまき君 ありがとうございました。 終わります。
○入澤肇君 私は、きょうは、読売新聞社が昨年の七月に超高齢時代に備えた医療改革につきましてキャンペーンを行ったことにつきまして、当局の見解をただしたいと思います。 このキャンペーンは、超高齢時代に備えて我が国が直面している医療の諸問題、特に欧米との比較におきましておくれをとっているなというところに焦点を合わせて五つの提言をやっております。 一つは、死亡原因が第一位になりましたがんについての撲滅作戦を徹底させようじゃないか。二つ目は、病気からの解放のための画期的な新薬の開発を促進しろ。三つ目は、生老病死の究極の原因究明、そのために生命科学の研究を促進しようじゃないか。四つ目は、医療への信頼回復、それから情報公開による切磋琢磨によりまして医療技術そのものの水準を向上させようじゃないか。それから五つ目は、すぐれたお医者さんを確保するためにはどうしたらよいか。こういうふうな五つの視点から次のような提言を行っております。 〔委員長退席、理事野間赳君着席〕 まず、第一に「がん死亡「一割減」へ総力を挙げよ」、第二に「世界水準の新薬開発をめざせ」、第三に「生命科学十か年戦略を策定せよ」、第四に「医療機関の治療実績を公表せよ」、第五に「偏差値だけで医師の卵を選ぶな」、この五つの提言がなされております。きょうは、これについて逐次一つ一つお話を聞きたいと思います。 まず、「がん死亡「一割減」へ総力を挙げよ」ということでございますけれども、八一年以来、死亡原因の第一位にがんがなったわけであります。昨年は三人に一人ががんで死亡したということでございます。二〇一五年には四十五万人に達するのではないか、今の一・五倍にがん死亡がふえるのではないかというふうなことが言われております。そこで、二十年後に一割がん死亡原因を削減するんだと、そうしますと四、五万人の命が救われるわけであります。 このがんの発生状況にかんがみまして、原因の究明、それから研究の状況、今後の見通し、さらには一割減のために克服すべき課題は何かにつきましてお話を聞きたいと思います。
○政府参考人(篠崎英夫君) 先生御指摘のように、がんの死亡者は年々増加をいたしておりまして、昭和五十六年以来、死亡原因では第一位を占めております。平成十年度では全死因の約三割でございました。部位別のがんの死亡者の動向では、昭和五十六年度では胃がんが全がん死亡の約三〇%で第一位でございましたが、十年度におきまして肺がんがトップになりまして一七・九%と、胃がんを抜いてトップになったわけでございます。 がん対策につきましては、従来から、がんに対する正しい知識の啓発普及ですとか、あるいはがんの研究の推進などに重点を置いた施策を厚生省として進めてまいりました。 このうち、がんの研究につきましては、昭和五十九年度より、がんの本態解明を目標にいたしまして、対がん十カ年戦略を推進しまして、がん遺伝子の発見やウイルスによる発がんのメカニズムの解明などの前進を見たところでございます。 また、平成六年度からは、がん患者の高齢化や難治がんの増加などの新たな課題にも対処するために、がん克服新十カ年戦略を策定いたしまして、従来の研究成果や先端技術を生かした新しい予防法、診断法、治療法の開発など、七つの課題に重点を置いて研究事業を推進しているところでございます。 今後とも引き続き、生活習慣の改善による予防対策や、がんの本態解明からがん克服へを目標とするそういう研究を進めまして、その成果を予防、診断、治療に反映させていくことにより、がんの罹患率、そして死亡の減少を目指してまいりたいと考えております。
○入澤肇君 第二番目は、「世界水準の新薬開発をめざせ」ということでございます。 どうも欧米に比べて新薬の開発のテンポが遅い。特に、新しい薬を開発しても審査期間が欧米の二ないし四倍かかるということがこのキャンペーンでは指摘されております。できればアメリカ並みに一年以内に時間を短縮するようなシステムをつくったらどうかというふうなことも提言されております。 そこで、新薬の開発について今どんな問題を我が国の製薬業界は抱えているのか。特にアメリカとの関係において、研究者の数あるいは研究費、これはどの程度のレベルにあるのか。さらに、提言にありますように、審査期間を一年以内に縮めるということであれば、どういうことを解決しなくちゃいけないかということについてお話を聞きたいと思います。
○政府参考人(伊藤雅治君) 世界に通用する画期的な新薬の開発を国と企業が協力体制のもとにどのように進めていくかということは、現在極めて重要な課題になっていると認識をしております。 医薬品の研究開発につきましては、基礎研究を国が実施いたしまして、企業が応用研究を実施するとともに、その成果を製品化、事業化するという、これが基本的な役割分担ではないかと考えております。 そこで、現在、私どもは世界に通用する画期的な新薬の開発という観点から、特に現在世界的に競争が激化しておりますゲノム創薬における基礎研究をこれまで以上に推進することが重要であると認識しておりまして、このため平成十二年度予算案におきましては、ミレニアムプロジェクトといたしまして遺伝子解析による疾病対策・創薬事業を計上したところでございます。これは、現在、大まかに申し上げまして約百億円の予算を御審議いただいておりますが、ヒトゲノムの解析関係、それから再生医療関係などが主な内容となっております。 こうした事業につきまして、先ほど申し上げました基本的な役割分担の考え方に基づきまして、国といたしまして企業が実施困難な疾患関連遺伝子でございますとか薬剤反応性遺伝子の解析を実施することにしておりまして、その成果を民間企業が製品にすることにより画期的な医薬品の開発を行うということを基本的に考えております。 そのほか、委員御指摘のように、さらに国としても治験についての体制の整備でございますとか各般の問題、課題がございますが、総合的にそれらを民間と一体となって進めていくということが重要だと認識しております。
○入澤肇君 この新薬の開発につきましては、私は医療改革の中でもう少し真剣に取り組んでいいんじゃないかと思っているんです。午前中も今井委員から医療の現場から見た医療改革の話がございましたけれども、各省でベンチャー的やリスキー的な研究開発については大変な補助金を出したり、あるいは特別な法律をつくったりしてやっております。通産省などは基盤技術についての法律がありますし、それから中小企業につきましてはまた特別な技術開発の法律を持っています。農水省も生研機構についての法律がある。 私は、厚生省も製薬業界の負担軽減という観点、それから薬価差益の問題に貢献するためにも思い切った多額の無利子の制度を法律に基づいてやるようなことを考えたらどうかと。その制度の確立を待って、医療業界や医師会、あるいは製薬業界、健康保険組合等々、それぞれの言い分を円満に解決する一つの方策にしたらどうかと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 御指摘のように、現在この医薬品等の研究開発関係につきましては幾つかの課題があることは事実でございます。特に、今後の課題といたしまして、ベンチャー企業の育成ということについて、国として厚生省がどのようにかかわっていくかということが大変大きな課題であると認識しておりまして、その点につきましては真剣に受けとめまして対応していきたいと考えております。
○入澤肇君 もう一つ確認したいのは、欧米並みに審査期間を短縮するということについて具体的な方針が打ち出されていいんじゃないかと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 審査期間の短縮につきましては、かねてから私どもといたしましても取り組んでまいりまして、平成九年七月に承認審査事務を専門的に行う医薬品医療機器審査センターを設置いたしまして、審査期間の短縮化を図ってきたところでございます。 さらに、昨年十一月に中央薬事審議会におきまして、効率的かつ十分な審査を行う観点から、従来の六十二調査会のうち、新薬の承認審査等に係る四十六調査会を廃止するとともに、審査センターの事務局審査等につきまして、品目ごとに中央薬事審議会の委員の中から専門的な知見を有する方々に逐次御意見をいただく方式に改めたほか、いろいろな取り組みをしたわけでございます。 これらの取り組みにより、本年四月以降に申請される新薬の承認審査期間につきましては、現行の十八カ月から十二カ月に短縮したいと考えているところでございます。
○入澤肇君 今度の通常国会に通産省が産業技術強化法ですか、要するに国立大学の研究者あるいは独立行政法人になった筑波の国立研究機関の研究者たちが開発した技術あるいは製品、そういうものについて、民間に入り込んでいって、そして実用化するという、それを促進するための法律が提案されておりますけれども、厚生省はこの新薬の開発について、通産省が今提案しているような法律にのっとって画期的な医薬品を緊急に開発するようなプロジェクトを持つべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(伊藤雅治君) 基本的には私どもそのように考えておりまして、今後重要な課題として検討させていただきたいと思います。
○入澤肇君 いや、あえて申し上げたのは、私は、今申し述べた通産省の法案につきましては、憲法論、国家公務員法百三条の問題、それから人事院規則の問題についてかなり詳細にわたって議論した経緯があるんです。不思議なことに、厚生省も郵政省も農水省も、産業に少しでもかかわっている研究機関を持っているところがほとんど議論に参加していない。これは私は非常に問題じゃないかと思ったんです。ですから、要するに官産学の研究を促進して、そしてせっかく研究機関あるいは大学等で研究が行われて開発されたものを、民間に行って速やかに実用化していくという画期的な考え方なんでございますから、ぜひこの法案の内容をもう少しよく勉強してもらって、積極的に前向きに取り組んでもらいたいと私は思います。 〔理事野間赳君退席、委員長着席〕 それから三つ目は、「生命科学十か年戦略を策定せよ」ということでございます。生老病死の苦から解放されるということは人類永遠の夢でございますけれども、そうは簡単にいかない。今までのところは、ミレニアムプロジェクトにもありますけれども、ヒト遺伝子の配列の解明も間もなくでき上がる。ところが、その機能の解明はこれからの問題だというふうなことが言われております。この「生命科学十か年戦略を策定せよ」という提言の中には、こういうふうなことに携わるベンチャー企業の育成を目指せというふうなことも含まれていると思うんですけれども、現在の生命科学についての研究の段階ですね、現状、それから今後どんなことが目標とされていて、どのようなテンポでこういう研究が進んでいくかということにつきまして、現状をお話しいただきたいと思います。
○政府参考人(堺宣道君) 生命科学の分野におきましては、先生ただいま御指摘のように、ヒトゲノム解析などの技術革新というのが急速に進行している状況でございます。そこで、痴呆、がん、糖尿病などの予防、診断、治療薬開発などの国民の健康対策を講じる上で、生命科学をより一層進展させるということは重要であるというふうに認識しております。 このために、内閣総理大臣の決定に基づきまして、新しい千年紀を迎えるに当たって平成十二年度から行われるミレニアムプロジェクトとして、厚生省は生命科学の進展のための研究を行うこととしているわけであります。 具体的に申し上げますと、平成十六年度を目標にいたしまして、高齢者の主要五疾患でございますところの痴呆等の神経疾患、がん、糖尿病、高脂血症等代謝性疾患、高血圧などの循環器疾患、気管支ぜんそくなど免疫・アレルギー性疾患を対象といたしまして、疾患に関する遺伝子、その治療薬などの効果に関連する遺伝子の構造や機能を解明することによりまして、患者個人に対する最適な治療、投薬等による治療成績の向上、画期的な新薬の開発に着手することとしております。 それと、平成十六年度を目標にいたしまして、ヒトの組織の自己修復能力の解明、応用により、骨・軟骨、血管、神経、皮膚・角膜、血液・骨髄について、移植による拒絶反応、後遺症の回避などの生体への負担を軽減するとともに、より自然な状態への修復を目指す再生医療の実現を図ることにしております。 また、平成十六年度を目標に生活習慣病や痴呆症の予防、アレルゲンフリー等の機能を有する食品の開発ということも考えております。 ミレニアムプロジェクトにおきましては、これらの研究を効率的、効果的に実施するために、関係省庁が連携して研究内容を評価して助言する仕組みも設けるということにしてございます。 厚生省といたしましても、国民に質の高い医療を提供するため、医療分野の研究を効率的に進めることが重要と認識しており、ミレニアムプロジェクトの着実な推進のほか、研究を効果的、効率的に進める公募型研究費補助金や任期制の研究者制度などの活用促進を図っていきたいというふうに考えております。 以上でございます。
○入澤肇君 よくわからないんですけれども、研究の段階がございますね。要するに、基礎的な研究あるいは応用研究、実用化研究ですか、このどの部分で、今お答えになった分野でどの部分が一番問題になっているのか。 日本の生命科学の研究は立ちおくれているということがこのキャンペーンでは特に指摘されている。特に、中核技術の特許の大半が欧米に押さえられていて、特許料の支払いだけで将来の日本の医療保険はパンクしかねないということまで言われているんです。日本の特許庁への出願状況を国別に見ますと、アメリカからの出願は全技術分野では六%と低いけれども、生命科学、特に遺伝子の分野では三四%にもなっているというふうなことが言われています。 その基礎研究、応用研究、実用化研究、生命科学で、今どういうふうな段階にそれぞれの分野が行っているのか、ちょっと教えていただけませんか。
○政府参考人(堺宣道君) このミレニアムプロジェクトでの考え方でございますが、医薬品の研究開発ということすべてにわたることになるかもしれませんが、基礎研究というものをいわゆる官、国が実施いたしまして、その成果といいますか、それに基づいていわゆる民、企業というものが応用研究を実施するとともに、その成果を製品化、事業化するという役割分担というものを基本としてきたところでございます。 ただ、このミレニアムプロジェクトと申しますのも、やはり大切なことは、先ほどから先生御指摘のように、いわゆる国だけではなくて、国も厚生省だけではなくて他省庁とも連携をとり、またいわゆる大学等との連携、それから民間企業が共同研究できるような仕組みというものも活用しながらこれを進めていきたいというふうに思っているわけでございます。 さてそこで、現在の遺伝子研究、これに関する段階といいますか、どこら辺が取っかかりかといいますと、先ほど申し上げたような疾患を対象として、その遺伝子の構造や機能というものを解明するということがまず重要なことだと考えております。そこにまず重点を置いて一生懸命やっていきたいというのが現状でございます。 以上でございます。
○入澤肇君 ぜひこれは計画的に効果が早急に発揮できるような体制をとってやっていただきたいと思うんです。 次に、四番目には「医療機関の治療実績を公表せよ」と。これは医師会が聞いたら目をむくような提案があるんですけれども、医療の質の向上というのが緊急課題だということはわかっている、ところが治療内容の質が外部の評価にさらされるということはなかった。これはある意味ではやむを得ない部分が私はあると思うんです。一方的な専門家である医者と全くの素人である患者さんが対等に渡り合えるわけがない。だけれども、医療機関の治療実績、どこまでが公表に値するか、どこまでは公表できるか、適切なのか、ここら辺についてお考えがあったら教えていただきたいと思います。
○政府参考人(伊藤雅治君) 医療機関の治療成績につきまして、公表というものをどのように考えるかということだと思います。基本的にはそれぞれの医療機関が治療法の公表をしていくという方向、基本的にはそうだと思いますが、ただ現実問題になりますと、現在、我が国におきましては治療方法の研究を目的に研究者間でいろいろ学会などでは公表して議論しているわけでございますが、一般的には医療機関の治療成績というのが公表されていないわけでございます。 そこで、公表するということになりますと、これをどのように評価するかということが重要でございまして、例えば同じ病気におきましてもその重症度でございますとか性別、年齢別、そういうものを同じ条件で比較していくということが非常に重要になってまいりますし、また治療方法の標準化という問題も非常に重要になってまいります。 そういう非常に技術的に客観的に評価することが難しいことから、私どもの承知している範囲で申し上げますと、アメリカにおきましても医療機関が良好な成績を得るために患者さんを選んで診療するというような、そういう問題も発生しているというふうに理解しておりまして、このような問題をどのように解決していくかということが課題になってくるわけでございます。 したがいまして、治療実績の公表につきましては、まず治療方法の標準化でございますとかそういう条件整備、それから治療実績をそれぞれ医療機関が行っていく場合に、それを客観的に検証することが可能かどうかということの検討も必要になってまいりますので、いずれにしましても、今申し上げたような観点から幅広い検討が必要ではないかというふうに考えているところでございます。
○入澤肇君 私もこの問題は大変難しい問題だと思います。ただ最近、治療ミスについてのいろんなキャンペーンがなされていますね。こういうことからしますと、何らかの形で医療技術の中身が外に知られるようにしてもらいたいなというふうなことが一般国民から出てくるんじゃないかと思うんです。病院の評価につきましては機構ができまして逐次やっているようでございますけれども、何がリーズナブルなやり方かということにつきましてぜひ検討して、可能な限り治療ミスに対する国民の関心を受けとめてもらいたいというふうに私は思います。 それから最後の五つ目でございますけれども、これも非常にセンセーショナルな見出しなんですけれども、「偏差値だけで医師の卵を選ぶな」というふうなことのキャンペーン、これにつきましてもいろんなことを耳にするわけであります。 医は仁術である、その仁の心がなくなったんじゃないかとか、さっきも山本委員が心の問題ということを言っていましたけれども、心の問題を見失っているんじゃないかというふうなことを言われていますが、我が国の医師の国家試験、それから医学部への進学状況、受験状況、合格の状況を見まして、一体偏差値というのはどのようなウエートをもって採用されているのか。それからさらに、偏差値以外のいろんな要素を加味するとなるとどんな選抜方法が現時点においては最も適当と考えられるか。これについてお考えを聞いて、質問を終わりたいと思います。
○政府参考人(伊藤雅治君) この医療の提供体制の改革の中でも、やはり医師を初めとする医療従事者をいかに国民の期待にこたえられるように養成していくかということが基本問題であると認識しております。 そこで今、医師のあり方につきましていろいろな方面から御意見をいただいているところでございますが、これは大学教育の問題、国家試験の問題、それから卒業後の教育の問題、非常に総合的な問題でございますが、まず私どもが承知しておることから申し上げますと、医学部入学後に途中でやめる者がどれくらいいるかというのは正確に把握しておりませんが、それらの問題につきまして、文部省におきましては、二十一世紀医学・医療懇談会の報告を受けまして、例えば学士入学の導入の拡大でございますとか、それから選抜方法の改善、これは偏差値だけで選ぶなという御提案がございましたが、面接を選抜方法の中に取り入れることでございますとか、また入学後の少人数教育の推進など、文部省サイドにおいてもいろいろな問題に取り組んでいるというふうに承知しております。 また、厚生省におきましては、医師国家試験を実施する責任のある官庁といたしまして、いかに医師国家試験で適切な能力の判定をするかという観点から、現在いろいろ専門家のお力をかりまして医師国家試験の改善に取り組んでいるところでございます。この平成十三年からプライマリーケアや医の倫理、患者の人権に関する問題など、医師として非常に基本的な事項を重視していこうという観点から、例えば医療面接、つまり患者さんと対応したときにおけるコミュニケーション能力を見る観点からどのような試験の形が可能かというようなことを含めまして、今現在検討を進めているところでございます。 厚生省といたしましても、今後とも関係省庁と連携をとりながら、国民が安心して良質な医療を受けられるよう、医師の国家試験、卒業後の教育、資質の向上策に取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
○水島裕君 自由民主党の水島でございます。 午前中、今井委員の方から医療とか保険の制度あるいは行政の抜本改革という話がありました。もちろんこれも大変大切ですので、厚生省もぜひ頑張ってやっていただきたいと思います。 私は、ただいまの入澤委員のと多少重複するところがございますけれども、将来の日本の福祉と経済発展に非常に重要な関係を持っております医薬品も含めたライフサイエンスの行政あるいは研究ということをテーマにしていきたいと思います。大臣の都合で少し早目に終わらなくてはならないかもしれませんけれども、よろしくお願いいたします。ちょうど薬学出身の大野先生が政務次官におなりになりましたので、特に医薬品関係についていろいろお話しできたらと思います。 ただいま本屋さんに行きますと「日本の失われた十年」とか、そういうようなタイトルの本がございまして、私は特にこのライフサイエンスの分野は、私も関係しておりますけれども、極めてひどいと思います。私もいろいろ研究その他をやっておりまして、一九八八年ぐらいのところまでは、これはもしかしたら欧米と同じぐらいのスピードでやっていけるかなと思いましたけれども、九〇年に入りましてどういうわけだか、これは一々申し上げているともう時間がなくなりますけれども、本当に失速しまして、ライフサイエンスの分野では欧米、特にアメリカと差が開くばかりということで現状に来たわけであります。 ですから、対策はいろいろ立てておりますけれども、これからお話しすることのお答えいかんによっては、もしかしたらまだあと十年ぐらい、失われた二十年ぐらいになってしまう危険性も十分今の日本はあって、今度は、十年で戦争に負けたと言っているぐらいですから、もう二十年失われたら、本当に第二の敗戦ということになってしまうのではないかと思います。 それでは、第一問はそういうことも含めまして二十一世紀の医薬品産業あるいはライフサイエンスの研究についてですけれども、この医薬品産業も含めたライフサイエンス関連の産業が二十一世紀のリーディング産業にぜひなってもらいたい、あるいはなるべきだと思いますけれども、そのことはいかがか。それから、産業の規模が、現在は小さいと思いますけれども、将来どの程度を予想していらっしゃるか、まずお答え願いたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 水島先生、大変御専門でございますので、本当にその立場からの御質問でございます。医薬品産業を含めてライフサイエンス関連産業が二十一世紀のリーディング産業になっていくべきではないかという御指摘、私もまさに御指摘のとおりであろう、このように思っております。 このライフサイエンス関連産業は、二十一世紀の経済社会に大きな進歩と変革をもたらすものと期待をしているわけでございまして、医療分野はもちろん、化学、食品、電子・機械、環境・エネルギーといった幅広い産業分野において質の高い雇用、また新規のビジネスの機会というものをもたらすであろうと。また、循環型経済社会、ことしは循環型社会元年と位置づけようということで与党の合意はできているわけでございますが、循環型経済社会の実現にも大変大きな貢献をもたらすものである、このように思っております。 特に、医薬品産業につきましては、国民の保健医療水準の向上に不可欠の産業であるとともに、省資源また知識集約型の産業であり、技術立国を目指す我が国にとっても非常に将来性のある重要な分野である、このように思っております。厚生省といたしましてもまさに二十一世紀のリーディング産業にふさわしい、このように思っている次第でございます。 昨年の一月に厚生大臣を初め関係閣僚が申し合わせましたバイオテクノロジー産業の創造に向けた基本方針、こういう申し合わせがございますが、この中でこれらのライフサイエンス関連産業全体の規模は一兆円強と現在は推計されているわけですが、平成二十二年、十年後にはその規模が二十五兆円程度まで増大するであろう、このように展望しているところでございます。 厚生省では、従来から研究開発に対する支援等医薬品産業の振興に努めてきたところですが、今後ともこのような数字も視野に入れながら必要な施策を講じてまいりたい、このように思っております。
○水島裕君 産業の規模が二十倍ぐらいを期待しているというのは二年ぐらい前のころからの予想でございますね。そうすると、もう既に二年か三年ぐらいたって、一向にそういうふうになりそうもないということですから、やはりこれはよほど頑張らないと二〇一〇年に二十五兆というのは不可能な数字じゃないかと思いますから、頑張ってひとつやっていただきたいと思います。 きょうは、厚生省の方にもさらに理解していただくために、また議員の方々にも多少なじんでいただきたいと思いまして、資料を五枚持ってまいりました。 最初のものは朝日新聞の「論壇」に、これは一九八三年、実は十七年前に私が投稿した「論壇」でございまして、この写真は十七年よりかもうちょっと前の写真が載っているようでございます。ここでいろいろなことを言っているんですけれども、何を言いたかったかというと、日本はまねの薬ばかりやっていないで画期的なものをつくらなくては、貢献もできないし、将来の経済にもよくない、そういうことを一口に言うと言っているんです。 実は、ここ数年前までは、厚生省は幾ら言っても、これは私が中央薬事審議会の委員のときに厚生省にもいろいろ申し上げたんですけれども、厚生省が一つも聞いてくれないので、朝日新聞の「論壇」に書いたわけです。それから十二年ぐらいたちまして、五年前、平成七年の中医協の建議で、そろそろ日本はまねの薬をやめようじゃないかということになりました。大体十二年たってから直していただいたということで、私どもが何か言うと大体十年ぐらいたってから直るというのが今までだったんですけれども、これからそれではもう間に合わないと思いますので、ぜひきょう申し上げたことでこれだと思うものがあったら、十年たたないで、一年以内ぐらいにひとつそちらの方向に進んでいっていただきたいと思います。 それから次が、そのときにまたお話ししますけれども、日本の新薬開発の問題点。先ほど入澤委員からも御指摘があったのはこういうことだということでございます。 それから三枚目は、といっても日本のものは結構外国で売れているので、そうばかにしたものでもないと。また後で申し上げたいと思います。 それから四枚目は、アメリカで、外国で生まれた本当に役に立つ薬、ここでは例として関節リューマチに対するメソトレキセートを書いておりますけれども、大体先進国は一九八八年から一九九二年、この五年間ぐらいで全部許可になっています。最後は一九九二年ですけれども、日本で許可になったのは去年で一九九九年。ほかの国がみんな五年ぐらいで、後ずっとたって七年おくれて日本。これも私どもが一生懸命言ってようやく、これは厚生省だけに責任があるわけじゃありませんけれども、なったということです。 あるいは「二十一世紀の新薬」と書いてありますけれども、二十一世紀の医療がどういうふうに変わるかというのが最後に書いてありますので、きょう申し上げられなかったところは後でごらんいただければ幸いに思います。 そういうことで、ともかくきちっと早くやっていただかなくてはいけないんですけれども、なかなかそういかないという一つの例を申し上げたいと思います。 それは、画期的医薬品というものを日本でつくらなくちゃいけない。一つは、まねをやめなくちゃいけない。まねをやめなくちゃいけないというのは平成七年の建議でおくればせながらできたんですけれども、そのときについでに、画期的なものはこういうものだからこれを開発した方がいいということを厚生省で出したのが、構造式は全く新しい、作用機序は全く新しい、これまでのものに比べてめちゃくちゃに効かなくちゃいけないというような非常に無理な定義をつくってしまった。ですから、それからもう五年以上たっておりますけれども、それから日本では一品もそういうものが出てこない。 それからもう一つ、先ほどお見せしました資料の三枚目ですけれども、アメリカで売れている薬の上位二十五をここに並べてみたんです、途中は抜かしてありますけれども。そうすると、上位二十五の中に何と日本のものが六つもあるんです。ですから、アメリカは日本オリジナルのものを結構使ってくれている。これはまるっきり新しいものじゃないんです。車でいえば、エンジンとかそういうものは大体外国のものだけれども、ワイパーとか、まあワイパーじゃちょっと悪いけれども、エンジンの性能がすごくよくなったとか、そういうことでもってアメリカは日本の車を使いましょうというのと同じような薬ですけれども、それでも二十五の中に六つあるということは、アメリカは日本のこの六つの薬は画期的と判断して使っているわけで、これはアメリカ人もはっきり言っております。 ところが、この六つを先ほどの日本の基準に当てはめると、どれも合わない。ですから、アメリカは日本の薬のうち幾つかは、少なくとも六つは画期的だと言っているけれども、厚生省は、いや、それは画期的じゃありませんと言っていて、それも早く直した方がいいんじゃないかと言っても、いつになっても直らないんです。まあ二年後ぐらいというお話ですけれども、それについてお答え願いたいと思います。
○政府参考人(近藤純五郎君) 薬価算定におきます画期的加算につきましては、先生御指摘のとおり該当するものがほとんどない、有用性の加算というのは若干ございますけれども、画期的加算については平成五年に一成分のみ、こういう状況であるわけでございます。 この要件につきましては、関係業界から、先生からも大変熱心なあれがあるわけでございますけれども、見直しをしろと、こういう意見がございまして、中医協に薬価専門部会というものを設置いたしまして検討を重ねてきております。 昨年末に薬価制度改革の基本方針というものを出していただいておりまして、この中で有用性の高い新薬の開発促進、それから優良な後発品の育成、これを同時に進めるべきであるということで製薬産業全体の活性化と効率化を図る。こういうことで、今年度以降でございますけれども、先発品、後発品の薬価算定ルールの見直しとあわせまして、この画期的な新薬につきましても具体的な内容、基準等につきまして検討をして、早く結論を出したいというふうに考えているわけでございます。 私どもといたしましても、有用性の高い薬剤の研究開発というのは非常に重要でございますので、中医協の御議論をいただくわけでございますけれども、画期的な加算の基準等につきまして検討してまいりたい、なるべく早く結論を出せるように努力いたしたい、こういうふうに考えております。
○水島裕君 問題点を認められて、なるべく早く直していただくということですから、お答え自体はいいんですけれども、そこに並んでいらっしゃる人、私の気のせいか、何となく元気がないようでありまして、やはりもっと元気を出して行政をやっていただきたい。 それから、やはり薬をつくる方も、こういうものをつくったら本当に御褒美があるんだと。とてもできない決まりなんかつくらないで、早くこういうのを直して、こういうものを日本のためにつくってもらったら、薬価で御褒美をということになるんでしょうが、そういうことでちゃんと御褒美を出しますからということで、何か日本じゅうがもっと元気になるようにしないと困るので、ぜひそういう点で元気を出してやっていただきたいと思います。 それから、その次はグローバル医薬品と我々は言っておりますけれども、世界じゅうのどこの国でもこういう薬は絶対あった方がいいという薬をグローバル医薬品と言うわけです。私の専門の関節リューマチですと先ほど申しましたメソトレキセートというのがグローバル医薬品ですけれども、それが先ほどの資料四にありましたように日本だけはすごくおくれてしまっているわけです。これはおくれたけれどももう通ったので、今さらわいわい言ってもしようがないので、これからこういうことがないようにということを申し上げたいんですけれども。 実は、同じ例の方がよろしいと思いまして、関節リューマチにもう一つ物すごく画期的な薬がアメリカでできた。この間、私はアメリカへ行きまして、ドールさんという昔の大統領候補の人とちょっとお会いしたんですけれども、奥さんも非常にこれを使ってよくなったということで、いろんな人がリューマチには本当にいい薬ができてよかったですねと言っているんです。それはエンブレルという薬ですけれども、それが今アメリカとヨーロッパでほとんど許可になって、それからアジアの国も韓国とフィリピンとシンガポールは主としてアメリカのデータで許可しようという体制になっているようです。日本は日本の事情がありますので、どうしてもおくれそうなんです。ですから、日本がまた一番びりになることはほぼ確実なんです。 これはちょっとしようがないと思うんです、私も厚生省のことをよくわかる方ですから。だけれども、さっきのように十年もおくれてならないように。これで日本のリューマチの患者さんがどれだけよくなるかというのははっきりしているので、直ちに今許可した方がそういう人たちにはいいに決まっているんです。もちろん決まりがございますのでそこまでは申しませんけれども、できる限り早く許可するようにしていただきたいという、こういう全体のことについてまたお答えをいただきたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 世界的に評価をされております画期的な治療薬を日本の医療現場に迅速に提供するということは、日本の患者さんにとっても大変重要な必要なことであろう、このように思っております。 海外で開発、承認された医薬品の導入を迅速化するために、厚生省としましては、海外臨床試験成績等の海外データの受け入れ促進、また国内治験の一部省略化などの措置を講じているところです。 先ほど入澤議員の質問の中でも医薬品の審査を迅速にという御質問があったわけでございますが、やはり海外と日本では人種が違ったり生活習慣が違ったり医療習慣が違う等々あるものですから、やはりある程度日本に国内治験が必要とされる、こういう部門もございます。治験が速やかに進むように治験の推進策、これは医薬品の審査体制というものを強化いたしまして、ことしの四月以降は、全部データがそろっている場合は、従来は一年半ぐらいかかったものを一年程度で審査ができるようにというふうに審査体制を強化しているところでございます。
○水島裕君 本当のところを申し上げますと、これからは厚生省は多分大丈夫だと思っているんです、私も。医薬品機構で相談事業もちゃんとやられていますし、四月からはきちっと審査をやられる。だけれども、今までのいろんなツケが来ちゃって、製薬会社が物すごくスピードが鈍っちゃっているんです。ですから、いろいろ申し上げたいことはあるんですけれども、もしかしたら最後の質問のときにまたその辺は申し上げることにいたしまして、次のテーマに移りたいと思います。 次は薬の、これは保険が通らなくては結局は医者が実際問題として余り使えないので、保険適用で長期に使用することを認めていただきたいというものが幾つかございます。 例えば、ぜんそくで今最も治療しやすい、あるいはほとんどルーチンになっているのは経口のステロイドの吸入なんです。ところが、これは外用剤というレッテルが張られておりますので一週間しか使えない。少なくとも認可されてしばらくは一週間しか使えない。二週間使えるのは例外的であります。そういう薬剤がたくさんあるわけです。 ですから、本当に基礎的に治療をしている投与する薬、特に慢性病に投与する薬でも一週間しか使えないものですから、四週間で来てくれて十分な患者さんも、薬をもらうために毎週来なくちゃいけない。すると、患者さんも大変ですし、医療費もかさむし、余りいいことはない。そういう薬がたくさんございますので、いろいろ意見を聞いて、調査をされて、そういう薬は長期使用を認める、保険上ですけれども、そういう措置をなるたけ早くとっていただきたいと思いますけれども、いかがでございましょうか。
○政府参考人(近藤純五郎君) 先生御指摘のように、医薬品の投与期間というのは限度が設けられておりまして、外用薬につきましては非常に短い期間になっているわけでございます。この医薬品の投与期間につきましては、疾病構造が変化してきておりますし、それから副作用の情報等についても大分整備されてきた、こういうこともございまして、現在、中医協においてこの期間の見直しをしております。基本的には延ばす方向で最終的な詰めを今やっているところでございまして、この結論が出ればそういう方向で対処してまいりたい、こういうふうに考えております。
○水島裕君 きょうは厚生省、何か全体的にすごく意見をよく聞いていただいているんですけれども、要はスピードでございます。これはいいから変えますと言っても、二年も三年も、極端に十年もかかったのではもう変えないのと同じでありまして、私もすべて好きというわけじゃないですけれども、そういうところは東京都の石原知事にでも頼んだ方が早いかなと思うような気もいたします。 外用薬は、これはある程度しようがないんです。外用薬というのは昔は特別なものだったんです。でも、今は、皆様方も御存じかもしれませんけれども、例えば狭心症に使うニトロ剤なんかも、口で飲むよりかは皮膚に張りつけた方が、全く同じ作用ですけれども、ゆっくり長く吸収されるので漸進的によく効くんです。ですから、皮膚に張りつけるのも口から飲むのも全く同じ意味なんです。だけれども、こっちは外用剤だから一週間しかだめ、こっちは四週間いいというのは本当におかしいわけでございますので、おかしいとわかったら直ちに変えていただくということをぜひ約束していただきたいと思います。 それからその次は、これは多少厚生省も褒めたいんですけれども適応外使用、私も本当に何度も質問させていただきましたけれども、せっかくある効く薬があるんだけれども適応が別なもの、例えばがんだけにしか使っちゃいけないとなっているので肝心の病気にも使えないというのが適応外使用ですけれども、これは非常に厚生省も頑張って通達を出して、各学会に問題点があったら早く厚生省に届けるようにというような通達を出していただいて、私もこれでうまくいくかなと思っているんですけれども、うまくいきそうかどうか、これ以上の対策はとらなくてもいいかどうかを御回答いただきたいと思います。
○政府参考人(伊藤雅治君) 医薬品の適応外使用につきましては、昨年の二月一日に通知を出しまして、適応外使用されている医薬品のうち国内外の使用実績や科学的評価など十分な根拠のあるものにつきましては承認申請及び承認審査を円滑に実施することとしたわけでございます。 この通知以降、現在までに七件、適応拡大数で三十九、薬剤数で二十七の適応拡大の要望書が学会等から出されまして、その要望内容につきましては関係各課で検討するとともに、企業に対しまして順次情報提供を行っているところでございます。 その結果、二種類の医薬品の適応について承認申請がなされ、その中のシスプラチンにつきましては、新たに臨床試験を行うことなく、昨年十二月二十一日に小細胞肺がん及び骨肉腫の適応を取得しております。また、承認申請がなされていないものの幾つかにつきましても、承認申請を企業において検討中であると聞いております。 この適応外使用に関する通知につきましては各学会に周知し、日本における医薬品の適応外使用の実態を把握するため、昨年十二月には、医薬品の適応外使用のエビデンスに関する調査研究班におきまして、日本医学会に対しましてアンケート調査を実施し、その結果の取りまとめを行っているところでございます。したがいまして、当分この通知の結果を見て、うまくいくようであればさらにこれを続けていきたいと考えているところでございます。
○水島裕君 そのように、やればできるわけですから。ただ通知をぽっと出しておくんではなくて、友達にも医学者もいるでしょうし、そういう人たちからも連絡するようにひとつしていただかないと。私は、実は去年の十月、十一月ごろ、もう厚生省からちゃんと行っているはずだからと言ったら、かなり多くの学会が知らなかったのです。それで、私は知っているところにみんな言いまして、それから、例えばアレルギー学会なんかは先ほどの経口吸入ステロイドのことなんか保険局に一生懸命要望書を出していた。 ですから、これは保険局じゃなくて研究開発課の方に出すんだと言って、多分今出たと思いますけれども、結構私なんかが間に入っていろいろ苦労して、ようやく何件か集まっているのであります。厚生省もいつまでもお役所ありじゃなくて、ただ出して、やりましたというんじゃなくて、本当に出したのがちゃんと伝わっているかどうか、その辺までチェックしながらやっていただかないと困ると思います。 ちょっとお答えできるかどうかわかりませんけれども、今の適応外使用の中には先ほどの長期使用を認めろとか、それから投与量変更とか、そういうものも当然入ってよろしいわけですね。これは質問で出していないので、後ろの人が答えた方がいいかもしれない。
○政府参考人(伊藤雅治君) 現在のところはそういうものは入っておりませんが、今後の検討課題だと思います。
○水島裕君 これは検討課題じゃなくて、やはりちゃんとなさった方がよろしいと思うんです。後ろの人もわかりましたね。 それでは、それはそれとしまして、次に入りたいと思います。 次は、特に先ほどの産業育成ということにも関係するんですけれども、このごろの製薬会社は憶病といえば憶病、よく聞くと厚生省が怖いからと言う人が結構いるんですけれども、それからやはり医薬品開発に物すごくお金がかかるようになったからということもあって、相当しっかりしたエビデンスみたいなものがないと、医薬品開発をかなりよさそうでもやらないんですね。 それで、私もそう思いますし、諸外国でも、諸外国といっても大体アメリカとイギリスぐらいで、あとは日本よりも悪いところが、余り外国にそんなことが伝わってもいけないかもしれませんけれどもある。アメリカとかイギリス、ドイツぐらいはどうしているかといいますと、初期の臨床試験、瀬踏みの臨床試験といいますけれども、そこまでは研究としてとらえているんですね。ですから、我々は大学で研究して、それからいろいろ調べて、だけれどもそれは主として医療のために研究しているわけですから、それが人で使えなかったらもう研究の価値もないわけなんです。 ですから、我々も、このごろいろいろ基礎でいい発明、発見ができたら、何もこれは薬ばかりじゃないですけれども、検査でもそうですし、ほかのことでもそうですけれども、果たして人でもそうなのか、人にも応用できるものかというところまでは研究としてとらえた方が学問としてもいいし、また今政府が一生懸命やっておりますTLO、技術移転、大学でやったものを業界が利用するというのでもそこまでやった方がいいと思います。 ですから、お聞きしたいことは、初期臨床試験までは、もちろん製薬会社がやるというときはもちろん問題ないわけですけれども、医療機関はなかなかできないでしょうけれども、そうしたらベンチャーがそれを請け負って、国も協力する。もちろん医薬品開発のためのGMPとかGCP、説明は一々いたしませんけれども、そういうものをきちっと守って、中には医学研究があってもやむを得ないと思いますけれども、そういうものを守って初期第二相試験、瀬踏みで人でもうまくいきそうかどうかというところまでは医療機関、ベンチャー、国というようなところがやったらどうか。そういうふうにしないと日本の医薬品産業は本当に進まないんじゃないか。そういうところでやれば三年で済むものを製薬会社がやると十年ぐらいかかってしまうんじゃないかというふうにも思いますので、その辺についての御意見をまずお伺いしたいと思います。
○政府参考人(丸田和夫君) 先生御承知のように、医薬品の承認申請資料として用います臨床試験成績につきましては、その倫理性、科学性、信頼性を確保するために医薬品の臨床試験の実施の基準、いわゆるGCP基準に適合していることが必要であるわけでございます。 それで、御指摘の中のベンチャー企業あるいはベンチャー企業から業務を委託されました臨床試験受託機関、CROが治験依頼したとしまして、GCPに準拠して実施した臨床試験成績につきましては、申請企業との共同開発契約がなされれば申請資料として利用できることとしておりまして、申請企業との技術移転も図られると、そういうふうに思っております。 また、医療機関がみずから治験依頼者となりまして実施医療機関となりますことにつきましては、モニタリングや監査の実施方法等も含めまして、その研究結果の信頼性の確保をどのように図っていくかなどいろいろな問題もございますので、これにつきましては今後の検討課題とさせていただきたいと思います。
○水島裕君 丸田局長は官僚ですからそのぐらいのお答えしか無理なのかもしれませんけれども、私が思いますのは、今、ベンチャーは製薬企業と契約を結びとおっしゃいましたね。私はそれではだめだと思うんです。じゃなくて、やはり医療機関とか、場合によったら国と契約を結んでやると。 つまり、先ほどから申し上げているように、製薬企業というのはとにかく相当なところまでいかないとやり出せないんです。おまけに大企業ですから、大したことない大企業ですけれども、開発会議とか取締役会議とかいろんな会議を開いているうちに、すぐ半年も何年もたってしまうわけなんです。ですから、やはりベンチャーが大会社の言うことを聞いてやっているのじゃベンチャーにならないんでして、それは医療機関とか個人とか、あるいは仮に会社でしたら会社からもう完全に委任を受けたある個人がやるというふうにしないと意味がないわけでございます。 その辺はこれからの問題ですから、きょうはそんな無理を言ってもなかなかいいお答えをするのも大変でしょうけれども、やはりそういうところを踏み込んでいかないと、日本のバイオの産業もそうですし、バイオは私も随分いろんなことを申し上げましたけれども、ゲノムプロジェクトで政府の方針は、これは順番を調べて、よくできたらその機能を見ようと。 それから一塩基多型、おかしなのがあったりすると、病気との関連がどうかとか、薬の反応性がどうかとか、そういうことを幾らやっても医薬品の開発にはつながらないんです。全くつながらないわけじゃないけれども、大もとだけができるだけで、そこから製薬会社が、ああ、これはやりましょうという間の橋渡しをだれかがやらなくてはいけない。それは私はベンチャーが一番適切だと思いますけれども、今、日本はバイオベンチャーなんてほとんど育っていませんのでなかなかできない。やむを得ず今は医療機関あるいは大学が何とかベンチャーがわりのことをするとか、あるいは自分たちでベンチャーをつくってやる。 今度、阪大で血管新生の遺伝子治療、これは心筋梗塞でも末梢血管障害でも血管をどんどんふやしていく遺伝子治療がもしかしたら遺伝子治療の中で一番成功するんじゃないかと思われているわけですね、私もそう思いますけれども。それで、阪大でHGFという血管新生の遺伝子の特許を持っているんです。ですから、それをやろうということでやるんですけれども、それをどこでもつくってくれないんです。ですから、しようがないから今は外国に頼んでいるんですけれども、それじゃいかにも情けないということで、今度は阪大でベンチャーを持つことになりまして、私も応援しているんです。 ですから、今はもうだんだん本当にいいものを見つけた人が何とか頑張ってベンチャーをつくって、もちろん先ほどのGCPとかそういうことはきちっと守って、人でも効果があるかどうかと。そこまでいかないとなかなか製薬会社はやってくれないわけでございますので、その辺はむしろ丸田局長じゃなくて伊藤局長の方の分野だと思いますけれども、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 もし何か伊藤局長、御意見がありましたら。
○政府参考人(伊藤雅治君) 先生御指摘のように、我が国で画期的な新薬を開発していく一つの重要な仕組みが、橋渡しをしていくベンチャー企業をいかに育てていくか、その問題意識は持っておりますが、私どもとしてもこれは非常に大きな今後の課題だというふうに認識しております。
○水島裕君 ぜひ省内でいろいろ御検討いただいて、通産省とか科技庁あたりとも、あと大学が入りますから文部省のようなところとぜひ意見交換をしていただきたいと思います。 それでは次のテーマで、ちょっとがらっと変わりますけれども、おととしでしたか、感染症予防法が成立いたしました。そのときにも問題になったんですけれども、一類感染症、最悪の感染症を研究したり調べたりするにはP4施設というのが必要だと。ところが、日本はP4施設は一応あるんですけれども全然稼働していない、ないのと全く同じだということで、入澤議員もパリのを何か引用していただきましたので、そういうこともあって、実は去年パリに行きましたときにパスツール研究所に行きまして、写真を撮ってきたんです。 そうすると、P4施設のあるパスツール研究所のすぐ横はホテルなんです、ちゃんとしたホテル。それからすぐこっちの横はマンションなんです。人が出入りしている。ですから、とにかくP4施設なんというのはきちっとやればもう一つも危険なものではないということをパリの市民はちゃんと自覚しているわけですけれども、日本はどういうわけだかそういうのをつくろうというと住民が猛反対して、せっかくつくっても稼働できないという状態なので、写真を厚生省の方にお渡ししていると思いますので、その御感想でも結構ですから、よろしくお願いします。
○政府参考人(堺宣道君) 国立感染症研究所村山分室の高度安全実験室につきましては、昭和五十六年の施設完成以来、地元、地方公共団体、それから住民の方々と稼働のための意見調整が行われておりまして、御指摘のとおり現時点において稼働していない状況にあるわけでございます。 厚生省におきましては、これまでに感染症担当課長などが地元の武蔵村山市を訪問して協力要請を行うほか、地元の住民の方々に対して説明会あるいは施設見学などを通じて施設の安全性、必要性について御説明をし、住民の不安の解消に努めているところでございます。 先ほど御指摘の写真というのは恐らくこのパスツールのことだと思うのでございますが、こういうありがたい資料もいただきました。そのほかの例も参考にしながら、今後とも住民の御理解を得ながら、できるだけ速やかに施設の円滑な稼働に向けて努力していきたいというふうに存じております。
○水島裕君 厚生省は説得がちょっと下手なんじゃないか、一回やればもうやったということで上司に報告したりとか、その程度なんじゃないかなと思いますけれども、本当に最悪の感染症が、エボラ出血熱とかあんなものが仮にばあっとはやっちゃいましたら、これはどうにもしようがないわけでございますので、頑張っていただきたいと思います。 それでは、一応このテーマとしては最後のテーマですけれども、これまた非常に難題なテーマでございますが、これは全体としては政務次官の御意見なんかも聞きたいんですけれども、日本でどんどんいい薬をつくろう、画期的なものをつくろうとどんどんやっているわけですね。だけれども、現状はどうかというと、日本でいい発明、発見がなされても、それの基礎研究もある程度外国でやられる。それは技術的なことじゃなくて行政的なことで外国でやられる。それから、今度は臨床研究、治験がどうかというと、日本は進みが悪いので外国にみんな頼んじゃう。それから、審査はどうかというと、外国で治験するということもあるし、日本の審査の方が大変だからということで審査も外国でやる。それから、薬価も外国の方が高くつきそうだからまず薬価を外国でつけるというものが非常に多いんですね。 こんなことを言って私も、そういう人たちを非国民とかなんか私は時々言いますけれども、私も本当のことを言うと非国民のうちに入るので、私などもそういうことをやりますとやっぱり外国に頼んでしまうんですね、背に腹はかえられぬということで。 ですから、結論として言いたいのは、日本で見出されたすばらしい発明、発見、日本のオリジナルなものはやはり日本でちゃんと研究開発して、まず日本で認可をとるということをもう原則と、こう決めるわけにもいかないと思いますけれども、とにかくそういう思想でやっていただかないと日本の研究開発力は落ちる。それはみんな外国に頼んじゃうわけですからね。それから、治験も外国に頼んでしまう。そうすると臨床研究の、薬ができないばかりじゃなくて、臨床研究のかなりの部分はこれ治験なんですね、大学は。それですから、それも落ちてしまう。 それから、保険制度もおかしい。つまり、外国の方が薬価が高いし、今は日米の協定でアメリカの薬価の最低七五%はつけるようにするという協定がありますので、外国で高い薬価がつけば日本も高い薬価がつくということになっちゃうので、保健行政上も好ましくないということで、もう本当に好ましくないことばかりなんです。 ですから、研究開発体制、いろんなものを変えることによってそういうことを防ぐことができるので、そろそろ質問もやめたいと思いますので、大きな観点でどうお考えになるかだけ、きょうお話をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(伊藤雅治君) 薬の開発につきまして、我が国で開発された薬がまず日本で実用化されることが大事であると、そのとおりだと思います。そのためには基本的に、基礎研究の体制でございますとか治験の体制、審査の体制等、それぞれの部門で取り組んでいく必要があると思います。 そのような観点から、一つは、基礎研究につきましてはようやくミレニアムプロジェクトで一つ本格的な取り組みが始まっておりますし、治験の体制の強化につきましても、我が国でいかに治験の条件を整備していくかということから、先ほども御説明申し上げましたが、治験管理施設の整備、治験コーディネーターの養成など治験体制の整備を図っておりますし、また平成十二年度予算におきましても、新たに治験専門外来の整備を補助対象にするなどの措置を講じております。そして、審査体制につきましても、十八カ月から十二カ月に短縮し、一層の迅速化を図ることとしているわけでございます。 これらの体制を進めながら、先生御指摘のように、基礎研究の体制、治験の体制、それから審査の体制、総合的に取り組んでいくべきものと認識しているところでございます。
○水島裕君 もうこれで終わりにいたしますけれども、今現在日本で何が一番問題かというと、やっぱり製薬会社の中のモチベーションがすごく悪いというのがもう第一でございますので、やはり医薬品機構の相談業務をよく使うようにとか我々はいろんなことを一生懸命言いますけれども、厚生省もひとつ全体を見て、今のテーマを非常に厚生省の大きなテーマとして今後ぜひ考えて検討していただきたいということを申し上げて、終わりにしたいと思います。 どうもありがとうございました。
○清水澄子君 それでは、まず婦人保護事業についてお尋ねいたします。 今国会で社会福祉事業法の大改正が行われるわけですけれども、私はこの改正の機会に、売春防止法の中の婦人保護事業を社会福祉事業の一つとして法的に位置づけられないのかという点について、ぜひ知恵を出していただきたいという立場から質問したいと思います。 現在、売春防止法第四章に規定されております婦人保護事業というのは第一種社会福祉事業となっているわけですが、それは施設のみが対象で、実際に行われている福祉事業の内容は対象になっておりません。しかし、現実に婦人保護事業を担当している婦人相談所と婦人相談員の皆さんが日常的に接しているケースというのは、直接の売春関連というのはもうほとんどないわけですね。夫の暴力とか酒乱とか、離婚とか別居とか、望まない妊娠、中絶とか出産、近親姦、またつきまとわれ、性的強要など、そういう問題を重ね持つ人々であり、それから在日外国人の女性も多いわけです。 これらは女性であるがためのハンディや性にかかわる問題からこういう相談、シェルターというところに相談に来るわけですが、しかもこれらの人たちは帰るところのない緊急保護の対象者が多いわけです。ですから、このことはまさに現代社会に求められている女性の福祉事業だと言わなければならないと思います。 しかし、これらの福祉事業が社会福祉事業法の対象に位置づけられていないために、現場で働いている皆さんたちの位置づけ、または福祉事務所の各種政策との連携が余りうまくいかないという矛盾がずっと長い間続いてまいりました。そしてまた、社会福祉事業の枠外にあるために、民間が取り組んでいるシェルターも、寄附をしても免税の対象にもならないという矛盾があるわけです。 そもそも売春防止法で女性の福祉問題に対応するというのはもともと無理があったと言わざるを得ないと思いますが、今はその無理がはっきりしてきたわけですから、やはり次の解決策を検討すべきだと考えます。 私は、この際、福祉政策にジェンダーの視点を導入して、最も弱い立場にある女性の唯一の相談窓口であり、これら女性に保護の手を差し伸べていく、そして人権の回復と自立を支援している婦人保護事業に福祉の法的根拠を与えていただきたい、また与えるべきだというふうに強く要求したいわけです。 これは本当は大臣の答弁を求めようと思っておりましたけれども、担当者の方、それから政務次官が女性ですから、ぜひこの問題については真剣にひとつ考えていただきたいと思うんです。余り長くでなくて、ポイントだけお答えください。
○政府参考人(炭谷茂君) 今、先生が御指摘されましたように、現在の婦人相談所の役割の中で暴力被害の女子などに対する相談というのは大変大きいウエートを占めているわけでございます。私ども婦人相談所が警察や司法関係機関と一緒になって、新しいネットワークをつくるなどして努力をいたしているところでございます。 そこで、問題は、これを法制的にどのように位置づけられるかという御質問でございますけれども、現在、婦人相談所について、これを仮に法制的に位置づけようとした場合は、単に相談事務だけではなくて、それと付随して行っております一時保護なども一応範疇に入れなければいけない。いわゆる措置、適切な言葉かどうか、措置的な業務でございますが、そういうものも入るんじゃないのかなというふうに思います。 そのような幅広いものを入れた場合、現在の売春防止法は御案内のように売春のおそれのある要保護女子といいますか、そういう人たちを対象にしておりますので、売春防止法の新たな体系づくりをしなければいけない、目的規定から変えなければいけないという大きな課題にぶつかるわけでございます。 これにつきましては、識者によって、売春防止法の範囲でやるべきだとか、むしろ切り離してやるべきだとか、いろいろとあるというのは先生御案内のとおりでございます。これについては、やはりもう少し関係者の意見を集めて時間を、検討に相当時間がかかるんじゃないのかなというふうに一つ思っております。 一方、それでは社会福祉事業法に位置づけられないのかという御質問でございますけれども、これにつきましては、現在の社会福祉事業というのは各福祉施策の共通的な事項を定めているわけでございます。したがって、例えば仮に婦人保護事業の中心でございます婦人相談所というものを位置づける場合は、婦人相談所という個別のものについては、例えば障害者の相談所とか児童の相談所とか、そういうものがいろいろとありますけれども、既に機能しておりますこういうものは各個別法にゆだねておりまして、社会福祉事業法の規定の中には入れないという整理になっているわけでございます。このようなことから、法制的なことについてはやや時間を要する検討になろうかというふうに考えているわけでございます。 ただ、先生御案内のように、女性に対する暴力の問題については、現在、総理府の男女共同参画審議会において検討されているわけでございまして、総理府の方では実態調査も現在やられておると。それを踏まえまして、私どもも含めて関係省庁が総合的な対策を検討し、そして取り組んでいくというふうになろうかと思っておりますので、私どももそれに対して積極的に参画してまいりたいというふうに思っております。
○政務次官(大野由利子君) 女性に対する暴力の対策は非常に重要だと思っておりまして、私も昨年六月に成立をいたしました男女共同参画社会基本法の質疑の中で私自身も取り上げたことを覚えております。 今、局長から話がありましたように、男女共同参画審議会で今検討中ということでございますし、新法の制定も含めてこの問題についてはどういうふうに対応していくのがいいかということについてしっかり検討が進められる、このように思っております。
○清水澄子君 今お二人がお答えくださったのは、結局、男女共同参画室で行われている女性に対する性暴力を防止する法律、それができたときのことですか。現実はどうしますか。
○政府参考人(炭谷茂君) 現在、審議会が既に動いて、中間報告もまとめているわけでございます。中間報告の中には、法制度も含めて検討すべきであるというような報告がなされております。 そういうことで、現在、審議会を中心に、審議会の報告を受けまして、男女共同参画室が関係省庁といろいろと連携をとって、どのように今後婦人に対する暴力について取り扱うか、どう取り組んでいくかということについてやっておりますので、その中で現在進行中でございます。
○清水澄子君 これはもう何年も議論されてきたことで、性暴力の防止法はつい最近、私たち女性たちがつくろうと言い出したことですから、それにすりかえないで、もちろんその中にもかかわることはあるんですけれども、現実に今その作業をやっているわけですから、もっと知恵を絞る、そして社会福祉の事業の中でどういうふうにそれを受けられるのかということをぜひ検討されることを私は強く要望しておきたいと思います。 その次に、大臣がおいでになりましたので、午前中に今井議員が質問されたわけですけれども、政府は二〇〇〇年には医療法の抜本改革を実施すると公約していたわけですが、二〇〇二年に先送りされました。二月三日の医療保険福祉審議会の答申においても、抜本改革を先送りしたということについて厳しい批判をしております。そして、今回の制度改革というのは、主として七十歳以上の患者負担を定額払いから原則一割負担に変えるという当面の財政対策に終わっていると思います。 一方、医療審議会は、先ほどから御論議があったわけですけれども、医療の提供体制の改革と銘打って、看護職員の四対一から三対一への配置基準の引き上げとか病院の広告規制の緩和などの厚生省の諮問案を了承して昨日答申したと。これに対して、医師会の反対論というのは非常に非現実的であり非理性的であって、常に私どもの公平なというんですか、より今日の医療問題をどう改革するかという立場に立ったり、または患者の立場に立つならば、非常に見苦しい発言やそういう声が多過ぎると思うわけですが、それをそのまま受け入れている自民党の一部議員の皆さんたちの良識を疑いたいと思うんです。 カルテ開示の法制化というのもやはり医師会の反対で後退をしたわけですが、患者にとってカルテの開示というのは闘病に欠かせないものであります。そして、診療情報をいつでも手に入れられるというルールをつくっていくことは、健康に対する自己決定権としてこれからも非常に大切な要件だと考えています。 また、医師会が看護婦の配置基準の引き上げに反対する口実として、看護婦が集まらないとかということを言っていたわけですけれども、看護婦が集まらないのはなぜかというのは、もうこれははっきりしておりますね。看護婦の資格を持った人はいっぱいいるんです。しかし、余りにも労働条件が悪い、そして職場環境が悪いということでやめていく人がとても多い、これが現実だと思います。そういう問題をこそ解決していくべきで、そしてその看護婦さんたちは、医療ミスなどがあったときは、私たちがいろいろ聞きますと、そんなことに驚いておられるけれども、医療ミスや直前のニアミス経験はもうほとんどやっている、皆経験していますとおっしゃる。そのくらい忙しくて、そういうことはもう当たり前になっているということを言われるんですね。 ですから、そういう状況をどう変えるかということが医療提供体制の改革というところでは真剣な議論が必要だと思います。医療というのは何も医者だけの問題じゃない、そこに働く看護婦さんとか医療従事者の皆さんたちの労働条件というのが非常に重要ですから、その人たちが十分に患者に対応できない、そういう状況にあるということは、結果として患者は質のよい医療を受けられない、こういうことになるのだと思います。 そういう意味で、日本の医療のあり方というのは医師中心、病院経営中心になり過ぎているんじゃないか。患者が医療の主体であるべきだという認識をもっと基軸に据えたそういう改革論というものをぜひ私は真剣に追求してほしいと思うんです。 私は、医療の主体はあくまで患者であるという医療の原点に立ち返った医療の抜本改革を要求したいわけですが、その論はまたいずれ次の機会にいたしまして、先ほどもお尋ねがありましたけれども、今国会では医療審議会の答申に沿った医療法の改正案を一日も早く国会に提出するということをぜひ大臣にこの場でお約束いただきたい。よろしくお願いします。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 医療提供体制の見直しの問題につきまして、昨日、医療審議会から改正案について答申を受けました。これにつきまして、少数意見として反対が付記されておるわけでございます。率直に申し上げて、与党の中の一部にはなお強い反対があることも事実でございますが、私は与党三党の御理解をいただきながら粘り強く療養環境の立場、そして何よりも健康と命を守るという立場から、これは今回は五十年ぶりのことでありまして、率直に申し上げてこれまでなかなかこのこと自身が議論されなかったという経緯もあるわけでございます。 いろいろ見方によってはまだまだ不十分だという考え方があることも十分承知いたしておりますけれども、とにかく医療改革の、医療提供体制の中に占める割合の中で大変大きな問題と考えておりまして、私としては粘り強く与党の皆さん方の御了解を得ながら今国会に提出して、速やかに国民の皆さん方の御期待にこたえる決意でございます。
○清水澄子君 よろしくお願いいたします。 次に、最近、医療にかかわる個人情報を病名つきの病人リストとして薬局や健康食品会社などに販売する業者が出てきているわけですけれども、こういう悪質な漏えい、これは法的に見た場合には医師にはそういうことについての守秘義務があるわけですけれども、看護婦や病院職員とか検査技師などはその対象外になっております。また、健保組合など患者のレセプトを管理する立場の人々にも守秘義務はありませんし、それからコンピューター情報を扱う外部の委託業者については委託契約の中で守秘義務を負わせるという間接的な方法しかないわけです。 私は、個人の病歴という最もデリケートで人の一生を左右するようなプライベートな情報がこうした形で漏えいしていくということは大変大きな問題だと思っております。大臣は、患者のプライバシーの権利を守るという立場から必要なこの法整備をどのように対処しようとされているのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 医療の分野におきます個人情報につきましては、刑法であるとかあるいは医療関係の法規におきまして委員御指摘のように医師などに対する守秘義務が設けられておるわけでございますが、医療関係者におきましては倫理規程を定めるなど、これまではいわゆる法的な規制というよりは自主的な取り組みが行われているところであります。 法的な義務が課せられてはおらない例えば看護婦さんであるとか医療関係の事務職員などについていわゆる守秘義務を設けることにつきましては、医療関係者といってもさまざまな従業者がおるわけでございますが、どの範囲まで実際問題守秘義務を課すべきなのか、例えば医療現場だけではなくて事務の範囲までやるのかとか、さまざまな問題がございます。 いずれにいたしましても、現在政府で行われております個人情報に関する基本法制定の検討というものを踏まえまして、やはりきちんと、三カ月前だか半年前だかに事件がございまして、これは法には触れていないとかなんとかという開き直った発言、私もテレビで見ておりましたけれども、いずれにいたしましても十分に検討していくべき大変ゆゆしき問題ではないか、このように考えております。
○清水澄子君 次に、介護保険はいよいよ四月一日スタートを目前に控えておりまして、いろんな問題や不備な点も出てきているわけです。それらの中では評価すべき点もあるんですが、問題は介護保険制度の理念にかかわるような発言や政策変更を与党内の責任者が提起している、私はそういう問題だと思います。 特に介護保険で家事まで支援すべきではない、しかも単身者や障害や疾病を持つ者に限定すべきだという発言。その内容は、親は家族が面倒を見るものだ、それが日本の美徳であるという非常に固定的な男女役割意識に基づく家族観にほかならないと思うんですね。こういうことが中枢部にいらっしゃる方から絶えず出てきて、そして今この理念を浸透させようとしている動きに対して水を差すようなこういう動き、非常に私は問題だと思っております。 家族は例えば健康であっても外で働く人、あるいはさまざまな事情で外へ出ることがあるわけですし、そしてそういうことを認め合っていくのが介護の社会化であると思います。それから、身体介護はもとよりですけれども、家事援助型についても幅広くその人によっていろんなものが要求されると思うんですね。ですから、家族は介護に縛りつけられないという介護の社会化、社会で連帯し合うということが大きな理念だったと思うんです。 私は、厚生大臣がそういう古い考え方との間に立って随分御苦労されているのを陰ながら見守っておりますけれども、しかしこういう今度の介護保険の理念というのは非常に画期的な理念があるわけですね、それが現実に実態化できるにはまだ時間が要るでしょうけれども。 ですから、これは家族が外での労働や自営業の労働その他必要な場合に家を離れることを含めてこの家事援助型の要件として認め、運用するようにしていくべきではないか。そういう意味で、大臣の訪問介護の介護報酬に関する告示の「疾病等」という「等」にはこのようなことが含まれて運用されるかどうか、確認させていただきたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 高齢者の方々やその家族の介護の負担を軽減するために介護保険制度が導入されたという基本理念はいささかも変わっておるわけではございません。ただ、あの過程で要するに余り制度が乱用されてはならないというような意見が与党三党の政策責任者の間で、私は実際聞いておりませんけれども、あったということは承知をいたしております。直接は聞いておりませんけれども、承知しております。 いずれにいたしましても、かねがね御心配の問題でございますけれども、御懸念の問題でございますが、具体的な運用については、これは午前中もちょっと申し上げましたけれども、一律に定めることができなくて、あくまでも現場におきます個々の事情において現場の良識のある判断によって決める、こういうことでございますし、「等」の中に含まれているかどうかということを一言で言わせてもらうと、当然含まれております。
○清水澄子君 ありがとうございました。 次に、利用者がケアマネジャーに期待するところは単に法律上認定された分のサービスの配分ということだけではないと思うんですね。介護保険以外の市町村独自の保健福祉サービスとも一体化して、最も使いやすい形で本人に合ったプランをつくってもらえるということだと思うわけです。 その場合、厚生省も危惧しておられるように、大きな資本力を持つ医療法人が民間のケアマネジャーを自分の事業のいわば営業マンとして抱え込んでしまって公正なサービス情報やよい事業者を紹介していけない、そういう弊害もあり得ると思うわけですけれども、こういう点の防止策というのをどのように立てていかれるのか。また、ケアマネジャーが事業者からいかに独立をして、専門の分野として利用者の立場に立ったケアプランがつくれるような介護報酬の設定というのも必要なのではないか、このように考えますが、それについてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(大塚義治君) ただいま御指摘がございましたように、介護保険制度の適正な運営、あるいは制度自体が信頼される制度となるためには、おっしゃいますようにケアマネジャーの質と申しましょうか、適切な対応がかなめだと私どもも思っているわけでございます。特に事業者に属することが多いわけですから、特定の種類のサービスでありますとか特定の事業者の利用に偏るということがあっては信頼を損ねますので、この点を中心に私どももある意味では厳しく、ある意味では丁寧に対応をしていきたいと考えております。 具体的に申し上げますと、一つは、居宅介護支援事業、いわゆるケアマネジメント事業の運営基準におきまして、ただいま先生がおっしゃったとおり、介護サービスに関しまして公平に幅広い情報を提供する義務、あるいは特定のサービスでありますとか特定の事業者によるサービスへの誘導でありますとかを指示してはならないという義務、あるいは、当然のことでありますけれども、サービス事業者から金品などの対価を受け取ってはいけないというような義務、こういった点を運営基準に明確に定めると同時に、一方ではいわゆる教育と申しましょうか普及啓蒙と申しましょうか、養成研修事業あるいは現任研修事業、こういったものも今年度、来年度にかけまして実施をいたしたいと思っております。さらには、個別のケースによりましては、運営基準に反するような事例が見受けられますれば厳正的確な措置をとるということも各自治体にお願いをしておりますし、私どももその姿勢に沿って運営をしてまいりたい。 こうしたさまざまな手法をとりまして、ケアマネジャーの信頼性の確立に努めてまいりたいと考えております。
○清水澄子君 次に、「保育所の設置認可に係る規制緩和に関するパブリック・コメント手続の実施について」、これについて確認をしておきたいわけですけれども、今回のこの規制緩和のパブリックコメントの実施というのは、この目的、趣旨に書いてありますように、これはあくまで待機児童問題の解決を目的としていると理解していいでしょうか。そしてまた、あくまでも保育所の最低基準などの現行法令が確保される認可保育所の枠を堅持しながら進めていくというように理解してよろしいでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 委員御指摘のとおりでございまして、保育所に係る規制緩和は、設置主体制限の撤廃、また施設自己所有規制の見直し、また定員要件の緩和を行うこととしておりますけれども、待機児童をなくしていくということ、あわせまして児童福祉施設最低基準を満たす施設でなければ認可を受けることができない、これは当然のことでございます。
○清水澄子君 最近、政府はエンゼルプランとか新エンゼルプランによって待機児童の解消に努力しておられるわけですけれども、長い間、保育所の絶対数が不足していましたし、それから延長保育とか休日保育などの保育ニーズを抑えられてきていたために、今、保育所の多様化を進めてわずかの定員をふやしただけでは潜在的な需要に追いつかない。とりわけ、ゼロ歳児から二歳児までの待機児童の解消というのはまだ見通しが立っていないと思うんです。これらは単なる定数をふやすだけでは解決できない。やはり施設の拡充と予算をきちんと添えないとそれは解決できないと思うんですが、それについてはどのようにお考えでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 特にゼロ歳から二歳の低年齢児に対する保育所の入所に対するニーズが大変高まっている現状がございます。この受け入れの拡大が大変急務であるということで、新エンゼルプランにおきましても平成十六年度までに十万人受け入れを拡大する、五十八万人から六十八万人に拡大をする、こういう新エンゼルプランを策定しているところでございます。 これからも定員の弾力化の措置とか、また設置主体制限の撤廃等々とあわせまして、待機児童ゼロに向けて努力をしてまいりたい、このように思っております。
○清水澄子君 もう時間が来ましたので、ちょっと中途半端になるんですが、私は大臣にリプロダクティブヘルス・ライツについてどういうお考えがあるかということをお伺いしたいんです。 大臣は、リプロダクティブヘルスというのは、従来の母子保健に加えてさらにセクシュアリティーとか避妊、中絶、感染症、不妊、疾病など体と性の自己管理に必要なヘルスサービスや情報や手段を女性の生涯を通しての権利として保障されなきゃならないんだとか、もう一つのリプロダクティブライツというのは、女性が自分自身の体と性について、あるいは子供を産む、産まない、産むとすれば……
○委員長(狩野安君) 時間です。
○清水澄子君 だから、そういう意味で女性自身の自己決定権、これがなぜ女性の権利として言われるのかということについて十分御認識を持っていられるのかどうか。 あとの問題は私はきょうはもう聞けないんですが、今度厚生省から出された健やか親子21なんかでも物すごくおかしなことが、リプロダクティブヘルス・ライツというのは少子化対策としての位置づけであるとか、理念と全然違ったことが多く出ているので、これについて一言お答えいただきたいと思います。
○委員長(狩野安君) 時間ですので簡単に。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 正直申し上げてちょっと不十分なところがございますけれども、今、先生の御提起の問題でございますが、いずれにいたしましても女性の方々は妊娠・出産期のみならず思春期、さらに更年期など、生涯を通じまして男性とは異なる健康上の問題に直面して心身や生活の状況が変化し得るために、こうした女性特有の問題を踏まえて考えていかなければならない、こういうふうに女性にとって大変重要な問題である、こう認識しております。
○堂本暁子君 十五分ぐらいしかないそうなので、少子化についての質問を三つはしょりまして、ベビーホテルの質問の三番目から入らせていただきたい。 まず大臣に、もう本当に単刀直入に伺いたいんですけれども、八〇年の初頭にベビーホテルというのが大変に日本じゅう横行しまして、心身の発育に支障を来すだけではなくて、非常に不衛生だったり、それから乳児の死亡が多発したんですね。当時の園田厚生大臣は、今でも覚えていますけれども、予算委員会や何かで最敬礼をして謝られた。私は、丹羽厚生大臣にはそういうことはしていただきたくない。 その当時、無認可の施設に対する立入検査等というようなことで児童福祉法の第五十九条の改正は行われましたけれども、と同時に厚生省は、将来すべての無認可を認可保育所に吸収するということを当時言われたわけです。 ところが、今お手元に配ってあります、これは北九州ですが、こういうものがあるわけです。これはまさに私が当時見たベビーホテルそのものです。例えば、経営者を求めていますが、資格は一切要りません。そして、六カ月で七十六万四千円はもうかるようになる。逆の方の園児募集を見ると、月決めで二万七千五百円。こんなことってあり得ないことです。しかも、ゼロ歳児が圧倒的に多いわけです、ベビーホテルは。特に、ゼロ歳児保育に対しての対応がないところにできますから、そういうところに多い。二万七千五百円。きのう厚生省に伺ったら、ゼロ歳児だと大体十五万ぐらいの公費が使われているわけですが、このお金で一人の子供を預かれるはずがないわけです。 こういった実態が今全国にまたふえてきているということのレポートをいろんな保育園の保母さんたちからいただきます。これを送られたときに私はもうびっくりした。そして、あっ、また同じことが起こっていると思ったんですね。 厚生省からきのうベビーホテルについての状況はどうなっていますかと伺ったら、全国で七百十六あるということです。ゼロにするというのを、二十年たっても減るどころかこういう状態である。これだったらまた厚生大臣は申しわけありませんと。 私は、幾つも幾つも小さなお棺がベビーホテルから出ていくのを撮りにいきました。そういうことはあってはならないわけですよ。絶対にあってはいけない。これだけ少子化と言っているときに、大事な大事な子供の命がそういう形で失われる。それは国としても損失だし、そこの家族にとってもやりきれないことです。本当に嫌です。 それで、亡くなるなんていう極端なことじゃなくても、私は何人も、三歳になっても口を一切きかない、ただひたすら相手をにらみつけるだけの子供に児童相談所で出会った。それは、新宿の歌舞伎町のベビーホテルで三年間過ごした子供だと。完全な発育不全で、当時診たお医者さんは、心身ともに一歳にしかなっていない、三歳でも。それも極端な例です。ですけれども、多かれ少なかれ私が見た、これをごらんになればわかりますよ、園児三十人収容、保育士三人。これでもってゼロ歳児が十人ぐらいいたら、そんなことできっこないんです。 実際に私が行った東京でも、北海道から沖縄まで歩きましたけれども、その中でどうやってやるかといったら、いわゆるおさじでこうやって片っ端から上げていく、それから哺乳瓶を何かに立てかけて赤ちゃんに飲ませている。この赤ちゃん幾つですかと言ったら、さあ、わかりませんと。もう年齢すらわからない。そういうことで窒息死した子供もいる。こういうことはあってはならないことなんです。 だから、まず大臣に一つここで具体的にお願いしたいのは、あしたにでも厚生省は、これはもう現地の都道府県にここに立入調査をさせてほしい。どういうことをやっているか。私たちはきのう電話をかけました、子供を預けたいけれども、どうかと。私の声じゃだめだから秘書さんにかけてもらいましたけれども、そうしたら、ええどうぞお連れくださいと。間違いないです、営業していることは。だから、調べていただきたい。これが一つです。 でも、もっと国の方法としてこういうことを許しちゃいけない。それで、きのう課長とも随分お話ししましたけれども、すべて都道府県に任せているということで、数字は上がっているけれども、その内容については、当時全部チェックする内容を厚生省としてお決めになっていたわけですよ、十項目。最低基準の大体八割にするということは決まっていたわけです。そのことのチェックの具体的な内容については、国は、私としても非常に手落ちだったと今思っていますけれども、そのことはもっと早くに委員会で伺うべきことでした、それが二十年たって今になって知ったんですが、具体的なそういった量ではなく質についての報告を求めていない。これではまたベビーホテルが横行するようになります。 それで、どうしてこういうことがふえているかというと、まずは今これから、今、清水先生も質問された規制緩和が進もうとしている。それで、その予備軍としてどんどんあちこちでやっている。これは三年ぐらい前から実際に千葉県あたりでも具体的に出てきたことです。そして、本当にいわゆる保育者から見ればとんでもないというようなところに国からの補助が出ていたりして、これは何だというようなことすらございました。 それで、きのうもちょっとどうしてこういう規制緩和なんか今やるんですかということで、私はずっと規制緩和に反対してきましたけれども、保育園の側にも随分、特に公立保育園には責任がありました。それは保育園が、社会福祉法人にしても公立保育園にしても刺激を受けて定員を増してくれたらいいと。これは本当に厚生省の本音だと思います。私も同じように思います。ですけれども、なおかつベビーホテルのようなものが今でもこうやって現存していて、しかもなおかつ規制緩和をするということは非常に危険だということです。 当時、私が、ニクソンの時代ですが、アメリカへ行って、アメリカもちょうどそのころ保育制度をやろうとした。だけれども、日本ではニューディールで保育制度をやったけれども、ニクソンは拒否権を発動してやめさせたんですね、保育を。あれはソビエトのものであるというような言い方をして拒否した。それで、ハーバードの先生に会って聞いたときに、アメリカがそういうことをフランチャイズ方式で、規制緩和どころかそれ以前に営利企業がやったわけです。そういう中で、アメリカの場合にはもう本当にケンタッキーフライドチルドレン、チキンではなくてチルドレンがふえた。日本はそういったことを再びやるようなことはあってはいけないということを言われたことを今でも覚えています。 私は、今になって何で規制緩和をするのか。私が与党だった時代にも、行革の中で規制緩和してほしいということが何度もこの問題では出てきました。そのときに、断固としてそれはやってはいけない、ゼロ歳児の首も据わらないような赤ちゃんが本当に一日で、数時間で亡くなるんだから、商売の対象にしてはいけないんだと。本当にお金がかかるんだったら、三十万ぐらい毎月取ってやるんならわかります。三万円以下で、二万七千五百円で赤ちゃんの安全でしかも健全な発育が保障できるはずがないですね。 そのことと今度の規制緩和は違う、さっきのように最低基準をきちっと守るとおっしゃれば、それはまた確かに全然別の問題なんです。ですけれども、営利の対象になるということにおいては、本質的に子供を営利対象にしてはいけない。これは高齢者だって本当にそう思いますけれども、特に営利対象にしてはいけないのは赤ちゃんたちです。 だから私は、規制緩和に対してはだれが何と言おうと、子供の、特に三歳以下の子供については国が責任を持たなければいけない、自分の国の子供なんですから。ですから、社会福祉法人だろうがそれから公立の保育園だろうが、それは厚生省が本当にきちんと指導して改革させるべきであって、規制緩和によって刺激を与えなければ立ち直れないような、体質改善ができないような社会福祉法人や公立保育園は何とも情けない、日本人としては。だから、そこはきちっとやっていただきたい。 これだって、ちびっこランドは株式会社学栄と書いてありますね。そして、これは名古屋ではさんざんやって愛知県ではたしかつぶれたというふうに私は聞いているんですけれども、厚生省の表を見ますと愛知県ではベビーホテルはゼロとなっています。ですから、果たしてどれだけ本当にそれだけの調査がやられているのかどうか、私にはわかりません。 それで、大臣にお答えいただきたいことは二つございます。 ベビーホテルを、二十年前に園田厚生大臣ははっきりと、いずれは認可保育所に吸収するということを発言されたので、丹羽大臣にもぜひそのことをこの際もう一度おっしゃっていただきたい。そのことによって子供たちの安全を確保していただきたい。 それから、二番目は規制緩和の問題です。 規制緩和には私は断固として反対です。この問題については、きのう課長ともいろいろお話しして課長の立場もよく理解しましたけれども、これは公費が入るわけなんです。ですから、配当には使わないというようなことはこれから詰めていくというお話でしたけれども、それでも営業の対象にするということがどういうことなのかということを再度厚生省としては真剣に考えていただきたいんです。どうしても規制緩和をするのであれば、その地方自治体がきちっと立入検査ができるような、していないんですよね、今。質的なものの報告は一つも国に上がってきていない。そういった体制もないような中で規制を緩和するということはとんでもないことだと思います。それだけの状況が整っていないと思います。規制緩和に反対ですけれども、もしやるんであればそれだけの状況を全部報告していただきたい。だけれども、そういうふうにはなっていないように私は思っております。 今のベビーホテルはなくして認可保育所にするということが一点。それからもう一点は、規制緩和をもうぜひともやめていただきたいけれども、これをどうしてもやるのであれば、状況を整えなければいけないからやはり延期すべきである。だけれども、本質的にはやるべきではないと思っておりますが、そのことに対しての御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(丹羽雄哉君) 堂本委員が、前身のジャーナリストの時代からこのベビーホテルの問題について大変熱心に取り組んでいらっしゃることも十分承知いたしておりまして、心からまずその問題について数々の業績を上げられたことに対しまして敬意を表したいと思います。 それで、まず基本的に私ども少子化対策の中で、今回御案内のような新エンゼルプランというものを設けまして、例えば低年齢児の受け入れの枠の拡大につきましては、平成十一年度が五十八万人が対象でございましたけれども、これを六十八万人と一気に十万人ふやしました。そのほか、多様な需要にこたえる保育サービスの推進として、延長保育であるとか休日保育の推進であるとか、あるいは乳幼児の一時預かりの推進など、さまざまな施策をやってきておりますし、これからもこの問題について取り組んでいかなければならないと思っております。 まず、当然のことでございますが、児童の保育というのは最低基準を満たす認可保育所で行われるということが大前提でございますけれども、私も、あの実行力に富む園田大臣がそう明言をして、実際問題として七百十六カ所もあるということは、率直に申し上げて需要と供給の中で非常に難しい問題なのかなということで、その実態を踏まえずに今私が認可保育所に吸収するということを明言するということが果たして、もうちょっと時間をかしていただいて、十分にそういうようなことで排除していかなければならないということについてはお約束を申し上げますけれども、そういうことを私が今この場で申し上げることが適当なのかどうかということについてもうちょっと、まず実態をつかませていただきたいと思っております。 それから、規制緩和についても、私も率直に申し上げて流れとしては規制緩和の方に来ております。これは、何もこういうような児童保育の問題だけではなくて、すべての問題においてそういうことを言われておりますが、その中において、先生が指摘されるような劣悪な条件の中で行われる可能性がさらに強いのかどうかということも十分に私どもは実態を調査しなければならない、こう考えておるわけでございます。 いずれにいたしましても、現実問題としてあるベビーホテルというものについて、まずそれをきちんと実態を調査して、そして劣悪なものをまず排除するように、おざなりになるということではなく定期的に指導監督を行うということが何よりも実効性のあることではないか。 それと同時に、保育所の認可についての規制緩和については、これは保育所への移行を促進する。つまり保育所そのものの規制緩和をする、ベビーホテルということではなくて、ということを今いわゆる幼保の連携とかそういう中でさまざまなことをやっております。そして、さまざまな形で保育所がもっとつくられやすいような状況、環境をつくっていく、こういうようなことを進めていきたい、こう考えております。 このベビーホテルの問題については、今この中で先生の二点の問題について即座に明確な返事を申し上げるだけの知識とそしてまた判断能力を持ち合わせておりませんけれども、いずれにいたしましても生まれたばかりの低年齢児の育児の問題にかかわる大変重要な問題だと、このように認識しているような次第でございます。
○堂本暁子君 少なくともここにはぜひ立入調査をあした命じていただきたいと思いますが、それはよろしゅうございますよね、それはもうぜひ。それが一つの何か例になると思います。 それで、今、大臣が劣悪なとおっしゃるのは、例えば私が見た中ではもうトイレもないようなひどいところもあったわけですけれども、そうではなくて、例えばある東京の有名ホテルの中にある、だけれどもそこは天井ばかり見ているような形の保育であるとか、そういったことで、子供というのは何もきれいなところに置かれていればそれで劣悪じゃなくてきちんと育つものではないのでありまして、何人の保母さんが本当に信念を持って保育するかということの方が大事なんです。私が見た中でもきれいなベビーホテルはいっぱいありました。だけれども、その人たちは商売としてやっているから保育の理念を持たないということが問題なんです。 だから、全部の社会福祉法人がいいとは思いませんし、公立保育園だって前の日まで公共事業を担当していた人が園長になったりするわけですから、全部いいとは言いません。しかし、子供を育てるということに対して一つの理念なり使命感なりを持たない人が商売としてやった場合には、それはもう悲惨なことになるんです。赤ちゃんを抱きもしないでお乳をずっと哺乳瓶で飲ませるなんということをやるから、そういうことでは事故が起きる。 その当時のベビーホテルの協会の会長というのは一番いいはずだったんですよ、日本で。ところが、保母さんが後で告発したことには、そこではまともに物も食べさせていなかった、赤ちゃんが泣くと押し入れの中に突っ込んでいた。お母さんが後で非常に後悔して、何と月に五十万取っていたんです、そこは。高ければいいというものではありません。でも、東京青山でしたから、私の知っている弁護士さんだとか放送局の人だとか、いろんな人が預けていた。それでも、実際には内容は、子供がちょっと泣けばぶったり、はたいたりという形で押し入れに入れるというようなことがあったわけです。 見えないところでの保育というのは、赤ちゃんは家へ帰ってその実態を親に言えないわけです、まだゼロ歳児の赤ちゃんは。だから、それはきちっと国の方で責任を持っていただきたいということで、子供たちに成りかわってここはお願いをいたします。本当に大臣の責任は大きいと思います。私は、このためにもう一人でも死んでほしくない。どんなことがあっても、あれは二度と日本ではやってはいけないことなんです。ですから、大臣御在任中に一人でもベビーホテルでゼロ歳児が死ぬなどということが起こらないようにしていただきたい。 それだけお願いして、早く予算委員会にいらっしゃらないとだめだと思いますので。
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、特定のベビーホテルにあした立入検査をするなんということを……
○堂本暁子君 いや、指示だけ。
○国務大臣(丹羽雄哉君) いやいや、そういうことを今この公の場で申し上げることだけは差し控えさせていただきたいと思います。 これはそういうようなものでございませんけれども、先ほど申し上げましたように、劣悪なものに対する排除につきましては、定期的にやって、全般的にそのようなことが行われているか十分に実態を把握したい、こう思っております。 私も実は余り、ベビーホテルの看板は見たことがありますけれども、実態というものはなかなか見たことがございませんし、時間が許せばぜひとも一度、関心も持っている問題でございますので、身分を隠して視察でもして実態をつかんで、その上で先ほど御提言の問題についても少し勉強してみたい、こう考えていた次第であります。 申しわけございませんが、失礼いたします。
○堂本暁子君 大臣、ありがとうございました。 それでは、続いて政務次官に質問させていただきますが、当時、二十年前ですけれども、ベビーホテルについての厚生省としては十の項目を決めているわけです。 例えば、児童福祉施設の最低基準ですとか、それから非常災害に対してどうか、衛生管理、飲用水の問題、健康診断、それから建物の二階ということで、当時は六階とか十階にいろいろありましたけれども、二階よりも上にやってはいけないということも決めたわけですね。それから、乳幼児の氏名、保護者の連絡先等を記載した帳簿がちゃんと備えられているとか、当たり前のことですけれども、それから心身の健全な発達に著しく支障を生じるような事項がないかどうかをチェックするというようなことも全部決まったわけです。 それにぜひとも追加して今決める必要があると思いますのはマルトリートメント。私もちょっとこの横文字の仮名の書き方は知りませんでしたけれども、今は大変大人が子供に対して身体的暴力、不当な扱い、それから明らかに不適切な養育、事故防止の配慮に欠ける言葉とかおどかし、性的行為の強要など、いろいろな危険が予想されたり子供が苦痛を受けたり、それから明らかに心身に問題を生じるような状態、不適切なかかわりと日本語では言っているそうですが、そういった虐待が施設の中で行われていると。今そのチェック事項の中にこれは入っていません。十一番目として、虐待防止、大人の子供へのチャイルド・マルトリートメントの防止という観点から、無認可、未認可のいわゆるベビーホテルなどに対しては厚生省は対策を講じるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) いろいろ今御指摘がございました。 私も認識が不十分だなということを実感しながら聞かせていただいたわけでございますが、認可外保育施設に対する指導監督につきましては、平成元年に処遇面における重点的着眼点を定めて、保育内容や食事内容など乳幼児の処遇面についても指導の強化を図ることとしたところでございます。 また、昨年十月の保育所保育指針の改訂に当たっても、児童の処遇水準の確保を図る観点から、都道府県等を通じ、改訂後の保育指針を認可外保育施設にも周知されるよう依頼したところでございます。 今後とも、これらの指針に基づき児童の適切な処遇の確保を図ってまいりたいと思いますし、委員が御指摘の問題は、これからしっかり勉強もし検討もしてまいりたい、このように思います。
○堂本暁子君 私の質問は、今いろいろ指針が出されているわけですね、去年の十一月までに。それにこの虐待防止というのを加えるべきか否かということをいかがお考えかという質問です。
○政務次官(大野由利子君) 済みません、突然の御質問だったものですから、ちょっと答弁が適切じゃなかったかと思いますが、私は委員の御指摘は非常に重要な御指摘であろうと思います。その点は今後検討をしてまいりたい、このように思います。
○堂本暁子君 ありがとうございました。 それからもう一つ、規制緩和委員会の少子化対策推進の中で「保育所設置者の負担を軽減する観点から、調理室の必置規制を廃止すべきではないか。」という論点が示されています。それで、調理室の必置規制を解くということは、給食の外注化を完全に可能にするもので、企業が参入しやすい大きな条件をつくることになってしまいます。 これは、二十年前も、それから常に保育所では問題になってきていることですけれども、保育園で調理をする、特に離乳食なんかが一番問題だと思います。一人一人の子供に、全部の子供じゃないですけれども、やはり離乳の場合とか、それからアトピーがあるとか、いろいろな理由で全部の食事が食べられない子供もいるわけですね。そういった場合に、今まではそれぞれの保育所が子供に適した食事をつくっていました。そういったことが、もし必置規制がなくなると、もうまさにこれはフランチャイズ的な給食サービスという形になってしまいます。 それで、学校の場合にはそういうことも大変あり得ると思うんですけれども、やはりゼロ歳児とか離乳の時期、これは最初からゼロ歳児がいるということには限らなくて、途中で、例えば一歳と数カ月で入園した子供が離乳が終わっていなくて、保母さんはよくまた離乳の時期に戻ってやっているんですね。そういったようなときに、全部これが外から配食されてくるようなことだと対応できないというふうに私なんかは思います。 一番大事なのはゼロ歳児から一歳児にかけての食事だというふうに思いますので、大人がつくる、用意をするということも、子供にとってはお母さんのかわりですから、そういった姿を見るということも大事である。時間とか質とか量とか、その子供なりの心身に合わせた形で園が調理をやっていくということがこれからも必要だというふうに思うので、調理室の必置規制は廃止すべきではないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 規制緩和委員会からは、調理室の必置規制を緩和するような指摘を受けているわけでございますが、委員の御指摘も大変重要な指摘だろうと思います。 ただ、調理室の必置規制のあり方につきまして、保育所設置者に過度の負担になっていないかということとあわせまして、仮に規制を緩和した場合、今御指摘のように離乳食やアレルギーの児童への対応が十分に行われるか、また安全衛生面及び栄養面での質の確保が可能かなどを十分考慮すべきである、このように考えております。保育所内の調理室を利用した調理業務の外部委託を認めた平成十年度の措置の実施状況も見つつ十分な検討をしてまいりたい、このように思います。
○堂本暁子君 時間がなくなったので、介護保険は一つ質問をはしょりまして、最後の質問だけさせていただきます。 今回、自立判定を受けた人や健康なお年寄りなど介護保険制度の恩恵に浴さない方たちのために、介護予防、配食サービス、それから寝具のクリーニングなどのサービス、すなわち介護予防・生活支援事業について、百億円からことしは三百六十七億円に大幅に増額されました。しかし、自治体は、これがもしことし限りであったら大変困る、実際にそういうサービスを受けた方が来年も期待される、これは継続的なものなのかどうか、ぜひとも続けていただきたいということですが、厚生省としての見解を教えていただきたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 御指摘のとおり、介護予防、また生きがい対策等生活支援事業は、介護サービスの基盤の整備とともに、車の両輪のように介護対策として推進をしていくことが重要である、このように認識をしております。 厚生省といたしましても、事業のニーズ等を踏まえつつ今後も継続をして実施をしてまいりたい、このように思っております。
○堂本暁子君 どうもありがとうございました。
○西川きよし君 どうぞよろしくお願い申し上げます。 まず、いろいろきょうも理事懇のときにお話をお伺いしておったんですけれども、まず冒頭にきょう、先生方にも一度聞いていただきたいなと思うんですけれども、政府委員制度というものが国会改革でこういうふうに法律が改正されたわけです。その中で、大臣にいただく御答弁と、そして政務次官にいただく御答弁のその重みというのはそんなにも変わるものなのでしょうか。まず冒頭でそれをお伺いしておきたいなと思います。
○政務次官(大野由利子君) 重みが違うということでしょうか。
○西川きよし君 例えば、御質問をさせていただきまして、大臣にお約束をしていただいたことは何か皆一〇〇%ああ守っていただけるなというような、そんな気持ちに今までは、政府の皆さん方に御答弁いただくよりははっきり申し上げましてなりましたけれども、改革をされて、政務次官に僕は御答弁をいただくことできょうは一〇〇%納得をしてこうして質問をさせていただいているわけですけれども、そういう意味での変わりはないのでございましょうかということをまずお伺いしたいなと思います。
○政務次官(大野由利子君) 大臣も政務次官も本来は厚生省を代表して答弁をさせていただいているつもりでございますので、発言の重みは変わらないと思いますが、私個人の力不足、そういうことから政務次官では不十分だというような御意見があったのかな、私の至らぬところからくるところかなと、このように思っておりますが。
○西川きよし君 ありがとうございます。 僕は、本当に何も他意があって申し上げるわけではありませんので、本当に政務次官に一〇〇%お答えいただくことを信じて、自分もこちらへ参りましてお願いすることばかりですけれども、かえって大臣には、それは御答弁をいただくにこしたことはないんですけれども、本当に福祉の公明党ということで、我々は今までずっと福祉をやらせていただいて、そういう意味では政府の方にお入りいただいて私個人といたしましては大変ありがたく思っておりますので、きょうの御質問の方も、それではひとつ二〇〇パー信じて御質問させていただきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 まず、僕の方からは、要援護高齢者の介護サービスの費用に係る所得控除についてお伺いをしたいんですけれども、厚生省では来年度の税制改正要望の中で、訪問介護等の在宅サービスの介護費用、また特別養護老人ホームを利用するために必要な介護費用について二百万円を上限といたしまして所得控除が盛り込まれておりましたが、まずその趣旨からお伺いをしたいと思います。
○政府参考人(大塚義治君) お話ございましたように、平成十年度以降、私ども介護費用に関する所得控除の創設というものを税制改正要望の中で要望してきております。 その趣旨でございますけれども、介護保険制度というのが動き出すわけでございまして、それに当たりまして医療サービスと福祉サービスとの均衡でありますとか、あるいはサービスを利用しやすくする利用促進の観点という点を踏まえまして、訪問介護などの在宅サービスの費用、あるいは特別養護老人ホームに係る費用、そうした費用に関する個人の費用負担あるいは出費、そういうことにつきまして所得控除の対象とするように、医療費控除という制度が既にございますので、それと並ぶような、あるいは同一の趣旨の控除を創設するように要望してまいったところでございます。
○西川きよし君 そこで、これまでも同じような内容の要望を出されていたわけですけれども、私も一昨年の予算委員会でこの点について質問をさせていただきました。その際に大蔵省の方からお答えをいただいたんですけれども、所得税の考え方からいって納税者の置かれている社会的条件はいろいろあります、そういう中から特定の条件を抜き出して税制上しんしゃくするのはなかなか限界があるというふうに考えております、大変難しい問題だと考えておりますというふうな御答弁をいただいたわけです。 今回も介護費用の控除制度の創設は見送られたようですけれども、また一方で、医療費控除を拡大して対応するといったことが、昨年の暮れですけれども、日経新聞にも報道されておりました。かなり具体的な検討内容が報じられていたわけですけれども、まずこの点について、大蔵省との間ではどの程度、どういう検討が行われているのかということを政務次官にお伺いしたいと思います。
○政務次官(大野由利子君) 介護費用についての税制上の取り扱いにつきましては、昨年末の与党三党の合意事項、税制改正合意書におきまして、介護保険の実施状況、また特別な人的控除との関係等を踏まえて、平成十二年度内に検討し、早急に結論を得ることとしております。 その平成十二年度内では間に合わないじゃないか、介護保険はもうこの四月から実施をされるというようなこともございまして、法律改正しないで現行税制のもとで介護サービス費用の一部について医療費控除の対象とすることができる部分がないかということで税務当局と協議をしているところでございまして、今後とも適切に対応をしてまいりたい、このように思っております。
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。 いろんな手続でもって検討していただきたいと思うわけですけれども、仮に例えばこの医療費控除の対象となった場合ですけれども、介護サービスについて医療費控除の申請を行う場合に、要介護と認定されることは当然必要となるわけですが、そのほかで例えば医師の診断書ですけれども、こういうものが別途必要になるといったことは現段階で想定されるのでしょうか。それをぜひお伺いしておきたいと思います。
○政府参考人(大塚義治君) ただいま総括政務次官から御答弁を申し上げましたとおり、現在、高齢者の介護費用につきまして医療費控除の対象とできないかどうか、どういう範囲でできるかどうかといったようなことにつきまして私どもと税務当局で協議をいたしておるところでございます。その中には手続面の取り扱いというのも入ってくるわけでございますが、現段階におきましては具体的にどの範囲でどのような内容でというのがまだ固まっておりません。 したがいまして、その具体的な手続の段階まで至っておりませんけれども、あわせて協議を進めております。もちろん、できる限り簡素な手続がとれるように私どもとしても努力をいたしたいと考えております。
○西川きよし君 そこで、改めてお伺いしたいんですけれども、今後そういった申請方法、いろいろ検討が行われると思うわけですけれども、そんな中で現在既に医療費控除の対象となっているおむつの問題です。以前にもいろいろおむつに関して細かい質問をさせていただいたんですけれども、おむつに係る費用についてあわせて御検討いただきたいと僕自身思うわけです。それはこの控除申請に必要となっている医師の診断書についてですけれども、実は香川県の奥様からお便りをいただきましたので、少しお聞きいただきたいと思います。 税金の還付請求の時期が来ましたが、私が最近不満に思っている事がありますので、是非改善して頂きたいと思います。 私は実母を介護しており、母はおむつを三年前から使用しています。領収書とおむつ使用証明書があれば医療費控除扱いになり、申告すれば税金が戻って来ます。私が不満に思っている事は、このおむつ使用証明書を毎年お医者さんに書いてもらって提出しなければならない事です。その度に料金が必要で、長い間診察してもらっていない場合は、本人を連れて行って診察を受けなければなりません。常識的に考えて、おむつを使用している人は、電車やバスに乗っては行けません。その為に、経済的に負担が大きいのです。 書類はおむつメーカーが気持良く無料で送ってくれ、親切に教えてくれます。ご存知の通り、医療費十万円以上と言っても、例えば月に一万円のおむつ代としても年に十二万円になり、減税の対象額は二万円です。何の費用もかからなければ、少しは減税になりますが、証明書の費用、タクシー代を考えたら、減税にはなりません。 そこで私の提案ですが、四月から始まる介護保険の認定書等の書類を出すだけでおむつの医療費控除を受けられるようにして欲しいという事です。大企業や大口納税者には沢山の減税措置があるのに、老人や障害者をかかえている家族にとっては、絵に書いた餅のような気がします。 だからでしょうか、書類を出すと、お医者さんに、どこへ出すのか、なぜ必要なのかと聞かれます。是非改善してもらって、そしてPRして老人や障害者をかかえた家族が少しでも減税の恩恵が受けれるようにと願っています。 ぜひ皆さんのお力添えをと、こういうお便りをいただいておるわけですけれども、介護保険制度では要介護認定に際して医師の意見書が必要となるわけですけれども、このときにおむつの使用の証明も十分に行えるのではないかなというふうに私自身思います。そうすることによって家族の負担は、この文面にもありますけれども、随分助かります。お年寄り御本人も負担が大きいと思いますし、気も使われると思います。 そこで、厚生省としてはぜひとも大蔵省との間で御検討いただきたいというふうに思うんですけれども、政務次官、いかがでしょうか。
○政務次官(大野由利子君) 現場からのお手紙を通しての西川委員の御指摘、いつも大変感銘を受けているわけでございますが、今の御質問のことでございます。 確かにそのとおりだなと思うわけでございますが、ただちょっとこの点は難しいのかなと思うのは、要介護五の人は必ずおむつをするというふうにもなりませんし、また要介護がもっと軽くても、痴呆性の方などの場合は二とか三であってもおむつをしていらっしゃる方もあるというようなケースもあろうかと思うものですから、要介護度の認定イコールおむつを使用しているか使用していないかということの決定が多少難しい面もあるのかなというふうに思っているわけでございます。しかし、何分もう少し簡素な方法でこういう証明ができないかどうか、今後の検討課題にさせていただきたい、このように思っております。
○西川きよし君 ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。 この文面から察しますと本当に大変ですし、我が家も三人おるわけですけれども、おしめの問題は大変でございます。二度手間というんですか、本当に嫁とか妻、娘というのが随分、私もそうですけれども、こっちへ来ているこの間はいいんですけれども、おうちにおるときはできるだけ手伝いができるんですよ。なかなかこれが家におる者は、あなた何しに国会に行っているの、国民福祉委員会というところは、ましてや我々の家の中のこともできずに国のことができるかいなというようなことでいつも家内とトラブルになるんですけれども、細かいことですけれども、こういうところはぜひ女性の立場で、また政務次官としてもよろしくお願いを申し上げたいと思います。 次に参ります。 次は、障害者の欠格条項の見直しについてぜひよろしくお願いを申し上げたいと思うんですけれども、二〇〇二年度までに見直すことが決められているわけですけれども、まず厚生省といたしまして検討状況をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(今田寛睦君) 御指摘のように、障害者に係ります欠格条項につきましては、昨年の八月に障害者施策推進本部で決定をされまして、政府全体として見直し作業を進めるということになっておるところでございます。 その観点でありますけれども、一つは必要性の薄いものは廃止をする、それから真に必要である場合があっても対象を厳密に規定できないか、それから絶対的な欠格条項じゃなくて相対的な規定としてこれを置くことができないか、あるいは障害そのものを特定しないで規定できないか、こういった観点で見直しをするようにと、こういったことでまとめられ、各省にもその視点に立って見直しを進めるようにということで出されたところであります。 それを受けまして、厚生省といたしまして所管をしておりますものには、例えば医師、歯科医師、薬剤師などのいわゆる免許制度に係るものを幾つか持っております。それから、薬事関係の業の許可制度においても同様の欠格条項が定められているものがございます。こういったものに対しまして、省全体でこれを見直そうということで現在省内に連絡会議を設けまして、先ほど申し上げたような趣旨、推進本部の決定の趣旨に沿いまして、現在それぞれの欠格条項について見直しのための検討を進めているさなかでございます。
○西川きよし君 今の御答弁をいただいて僕もたくさんいろいろ勉強させていただいたんですけれども、我々素人では本当に悩みます、苦しみます。 つい先日、報道番組の中で、聴覚に障害のある薬剤師の方の、国家試験に合格をしながらも免許が交付をされていないという後藤久美さんという方の事例が紹介をされておられました。このところのノーマライゼーション、障害を持つ人も健常者も本当に皆さんが社会で一緒に生活ができるノーマライゼーションに対する理解の深まり、またテレビや新聞などでもたびたび報道されていることで、その世論の関心度も本当に年々増していっています。高まってきているわけですけれども、そうした中で、この後藤さんのような方に対する対応を検討するに当たりまして、具体的にどのような方法でどういうふうに検討していらっしゃるのかな、そのあたりの御説明をぜひ厚生省にお伺いしたいと思うんです。
○政府参考人(丸田和夫君) 薬剤師につきましては、薬剤師法に基づきまして、調剤のほか、処方せん中に疑義があった場合の医師団などへの照会、あるいは患者さんに対する適正使用のための情報提供等の義務がございます。これらの業務を適切に行うためには、患者さんの状況を的確に把握するとか、あるいは患者さんが医師などと適切な意思の疎通を行うことが必要でありますので、視覚・聴覚障害等につきましては欠格条項を設けている、こういう状況でございます。 それで、御指摘の後藤久美さんの件でございますが、今、委員の方から御指摘がありましたように、聴覚に障害があるために、国家試験には合格しましたものの薬剤師免許が交付されなかったケース、これは今回初めてでございます。 それについて検討の状況を簡単に申し上げますが、後藤さんは薬科大学を受験する前に、私どもの方に事前に欠格事由の程度につき御照会がありました。私どもの方からは、補聴器をつけまして通常の対話が可能ならば欠格条項には当たらない、こういう回答をしております。その後、薬科大学に進学されて、平成十年に薬剤師の国家試験に合格されたわけですが、後藤さんはその免許交付のための申請書を提出されました。そこに医師の診断書におきまして聴覚障害を有する旨の記載がございました。そういうことで、私どもとしましては、昨年の八月に、御本人の御了解のもとに精密検査をしていただきました。そうしますと、聴覚のみの会話の理解は不可能、こういう診断がなされましたために、薬剤師法に規定する欠格事由に該当するものとしまして免許の申請を却下した、こういういきさつでございます。 それで、私どもとしましては、先ほども説明がございましたように、このようなケースも含めましていろいろ検討しまして、今後、関係の団体あるいは審議会の御意見をお聞きして見直してまいりたい、このように考えております。
○西川きよし君 ありがとうございました。どうぞ本当によろしくお願い申し上げたいと思います。 次に、文部省にお伺いをいたします。 この機会ですのでぜひお伺いしたいんですけれども、昨年の九月二十三日に「たかが十八点ではない」と朝日新聞の社説の方に報道されておりました。ここに書かれてありますのは、この春、大学を受験される高校三年生の男子生徒さんのことですけれども、この生徒さんは耳が聞こえない。頑張り屋のこの生徒さんは幼稚部については聾学校を選ばれたそうです。小学校からは普通の学校に通いまして、みんなと一緒に勉強しているわけです。やや内向的な性格だそうです。多少のいじめは体験した、でも元気は失わなかったと、こういうふうに社説には載っておりました。 社説が問題にしているのは、この生徒さんが目指す国立大学を受験するためには大学入試センターの試験を受けなければならない。その中の英語の試験ですけれども、発音問題が含まれております。これは明らかにハンディだと。九年前の調査では、聴覚障害者が入試英語を受験するとき、発音問題はあきらめ、文字だけを勉強するケースが目立ったということです。この事例を挙げる中で、本当の意味でのバリアフリー、ノーマライゼーションとか、先ほども申し上げましたが、本当の意味でのバリアフリーについての問題提起がされているというふうに私はこの社説で読み取ったわけです。 ここで紹介をされている大学入試センターの事例ですけれども、本日、今現在、文部省としての御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(佐々木正峰君) 聴覚障害者も含めて身体に障害のある方の大学進学につきましては、その機会を広げるためにこれまでもできるだけの措置を講じてきたわけでございます。大学入試センター試験につきましても、例えば手話通訳者の配置などさまざまな対応をしてきたところでございまして、これら具体的な措置につきましては、全国高等学校長協会からの要望を受けて積極的な対応をしてまいったところでございます。 御指摘の発音問題に関しましては、これまで具体的な要望がございませんでしたし、また大学入試センターにおきましても特に問題があるというふうには考えてこなかったところでございます。 今後、そのような御指摘もございますので、全国高等学校長協会からの意見を伺い、要望がございますれば、大学入試センターにおいて具体的な対応を検討するよう文部省としても指導してまいりたいと考えているところでございます。
○西川きよし君 どうもありがとうございました。 この質問が最後になったわけですけれども、私、まだあと何分か残りの時間がございまして、本当にフリーのトークになって何もあとは用意をしていないわけですけれども、政務次官、きょうは本当にちゃんと御答弁いただいて、ありがとうございました。感謝いたします。 そして、フリートークみたいになるわけですけれども、時間が余っておりますので、よければお伺いしたいんですけれども、いよいよ四月からこうして、きょうの問題等々もそうですけれども、介護保険がスタートして、紆余曲折が今現在でもいろいろあるわけですけれども、これはスタートいたしますとかなり問題は出てくるんでしょうか。 出てくるといたしましても、まずどういった部分でどういうふうに皆さんが、いわゆるケアマネジャー等々も含めて、八十五項目とかいうようなことも全部含めて、皆さんが一番心配なさっているのは、お一人、また高齢者お二人でお住まいの方々が、夜中にかぎを預けたりとか、すべてのものがどこにあるかというようなことがわかってしまう、心配だとか、いろいろあります。 そして、時間が短い、長い、半年でどれぐらいショートステイを使うとかいろんな細かいことが、お金等々もですけれども、どういうところが一番、政務次官として、不安ということではなしに、こういうところをやっぱりちゃんとしていかなければ皆さんに安心してもらえぬ、そんなところも安心してもらえるようなPRを西川きよしもぜひやってくれというようなことがございましたら御答弁いただきたいなというふうに思います。
○政務次官(大野由利子君) 大変難しい御質問でございまして、地域によりまたさまざまなケースによって想定されるものはたくさんあるかなと、このように思っているわけでございます。 昭和三十六年に施行されました国民皆年金、国民皆保険以来四十年ぶりの世紀の大事業でございますので、この円滑な施行に向けて鋭意今努力をしている最中でございますが、四月に実施されましても、多少いろいろなところで、完全にこの制度が定着するまでには時間もかかるかなと、このように思っております。 想定されるケースはたくさんあるんじゃないか、このように思っております。
○西川きよし君 ありがとうございました。 突然に質問を申し上げて恐縮でございます。ありがとうございました。 そして、僕がきょうの一番最後の質問者ですけれども、感じましたのは、厚生大臣も忙しくて出たり入ったりですけれども、本当にいろんな委員会があるわけですが、本当に厚生大臣がこの委員会の、僕は大臣に一番元気でいてもらいたいんですよね。それがどうも何かしんどそうで、病弱でと、毎晩、ギブスというんですか。 どうぞ、それは厚生省を挙げて厚生大臣の健康管理をまずしていただきたい。そうでなかったら、これからの福祉行政やら何やらうまいこといかない。委員会運営もいかないように、日々、理事懇、理事会を体験しておりましてそういうふうに感じますので、これは生意気なようですが、ぜひお願いをいたしたいと思います。 どうもありがとうございました。
○委員長(狩野安君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時五十三分散会