経済・産業委員会 第11号
- 発言数
- 245 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2000/04/20
会議録
○委員長(成瀬守重君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、山下栄一君、脇雅史君、前川忠夫君、吉川春子君及び足立良平君が委員を辞任され、その補欠として海野義孝君、陣内孝雄君、藁科滿治君、山下芳生君及び千葉景子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(成瀬守重君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(成瀬守重君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に山下芳生君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(成瀬守重君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 消費者契約法案(閣法第五六号)及び消費者契約法案(第百四十六回国会参第六号)の審査のため、本日の委員会に政府参考人として経済企画庁国民生活局長金子孝文君及び法務省民事局長細川清君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(成瀬守重君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(成瀬守重君) 消費者契約法案(閣法第五六号)及び消費者契約法案(第百四十六回国会参第六号)の両案を一括して議題といたします。 政府及び発議者から順次趣旨説明を聴取いたします。堺屋経済企画庁長官。
○国務大臣(堺屋太一君) 消費者契約法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 現在、我が国では、国民の自由な選択を基礎とした公正で自由な競争が行われる市場メカニズム重視の社会の実現を目指し、構造改革が推進されています。こうした中、政策の基本原則を行政による事前規制から市場参加者が遵守すべき市場ルールの整備へと転換することが求められており、消費者のための新たなシステムづくりが大きな課題となっております。 その一方で、構造改革の進展に伴う商品、サービスの多様化の一層の進展による消費者の選択の自由が拡大する反面、消費者と事業者との間にある情報・交渉力の格差を背景に、消費者が事業者との間で締結する契約、いわゆる消費者契約に係るトラブルが増加しております。 こうした認識のもと、政府といたしましては、これまで国民生活審議会及び幅広い関係各方面との議論を重ねてまいりましたが、昨年末の国民生活審議会の報告の趣旨に沿い、公正で予見可能性の高い新たな民事ルールを整備すべきとの結論が得られましたので、本法案を提出することといたした次第であります。 この法律の制定により、消費者利益が擁護されるとともに、消費者、事業者双方の契約当事者としての自己責任に基づいた行動が促されることによって、消費者と事業者との信頼感が増し、新たな経済活動や業態の創造が容易になり、活発化するものと確信しております。 次に、この法案の要旨を御説明申し上げます。 この法律は、消費者が事業者との間で締結する契約に係る紛争を公正かつ円滑に解決するため、次の二点について定めることとしております。 第一に、消費者契約の締結について勧誘をするに際し、重要事項について事実と異なることを告げたり、事業者に対し消費者がその住居等から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず退去しないなど、事業者の一定の行為により消費者が誤認しまたは困惑した場合について、契約の申し込みまたはその承諾の意思表示を取り消すことができることとしております。 第二に、事業者の損害賠償の責任を免除する条項、消費者が支払う損害賠償の額の予定または違約金が一定の限度を超えることとなる条項のほか、消費者の利益を一方的に害する条項について、その全部または一部を無効とすることとしております。 その他、法の目的、消費者契約の範囲、事業者及び消費者の努力規定、取り消し権の行使期間等、所要の規定を置くこととしております。 以上がこの法案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(成瀬守重君) 次に、発議者千葉景子君。
○千葉景子君 ただいま議題となりました消費者契約法案につきまして、その趣旨及び内容の概要を御説明申し上げます。 我が国は、経済、雇用、教育など多方面で急激な変容と緩やかな崩壊に直面しております。このような変化に対応するには、一人一人の自立する個人の確立と横の連帯、すなわち共生に基礎を置き、国民の自由な創造性が発揮されるとともに、個人の自由な選択を可能とする国づくりが必要と考えます。 こうした国づくりに当たっては、喫緊の課題として、経済には可能な限りの自由の確保を、生活には安心と安全が守られる最大限のセーフティーネットの構築をしていく必要があります。 以上申し上げました視点に立って、このたび、国民一人一人が消費者としての自由な選択の幅を広げ、そのリスクをみずから管理するという時代に備えた消費者契約法案を提出させていただきました。それの目指すところは、情報力や交渉力において事業者との間に格差がある消費者を悪徳商法や契約トラブルからガードする透明度の高いルールを設定するとともに、消費者みずから必要な情報を入手し、自分で的確な判断を下すことのできる賢く強い消費者の育成を支援しようとするものであります。 なお、本法案は昨年の第百四十六回国会に提出したものでありまして、今期国会に継続審査となった法案であります。 以下、本法案の概要を御説明申し上げます。 第一は、法案の目的であります。 消費者が事業者と対等な立場において契約を締結することができるよう、消費者契約の効力等に関し必要な事項を定め、消費者契約の締結過程及び内容の適正化を図るとともに、その実効性を確保するための措置を講ずることにより、消費者の利益を確保し、国民の消費生活の安定及び向上を図ることを目的としております。消費者と事業者との実質的な対等性の確保という本法案の趣旨を可能な限り明示した目的となっております。 第二は、定義であります。 まず、消費者契約を、自然人が主として事業に関連しない目的で事業者と締結する契約と位置づけ、消費者をこの場合における自然人と定義しております。主として事業に関連しない目的であるならば、付随的に事業に関連して使用される場合についても消費者契約に含まれることを条文上明確にしております。なお、労働契約は消費者契約から除外しております。 第三は、消費者契約における契約締結過程の適正化についてであります。 事業者が消費者に対し、重要事項について消費者が理解することができる程度に情報を提供しなかったり不実のことを告げた場合、威迫した場合、消費者の判断力が不足している状況を乱用した場合などについて、消費者は契約を取り消すことができることとしております。取り消し権の時効は、追認が可能になったときから三年、契約締結から十年と定めております。 第四は、消費者契約における契約内容の適正化についてであります。 まず、事業者には、契約内容の明示、契約条項の明確化等の義務を課すことといたしております。また、内容が社会通念上異常であるためその存在を消費者が予測できない事項、すなわち不意打ち条項は無効としております。さらに、事業者が一方的に法律関係の設定または変更を可能にすることなど、いわゆる不当条項も無効としております。 第五は、実効性確保の措置などであります。 内閣総理大臣による不当条項削除等の勧告及び内閣総理大臣への申し出などの規定を盛り込んでおります。さらには、政府に対し、法施行後三年を目途に、消費者団体による差しとめ訴訟などについて検討し、必要な措置を講ずるよう求めております。 以上が本法案の趣旨及び内容の概要でありますが、今期国会に本法案と題名が同じ内閣提出の消費者契約法案がございますので、本法案と内閣提出法案との相違について追加して御説明させていただきます。 まず、内閣提出法案が消費者に情報提供すべき重要事項の範囲を、物品等の質、用途その他の内容及び対価その他の取引条件に限定されているのに対し、本法案は、重要事項として、一般消費者の判断に影響を及ぼすと考えられる事項のほか、消費者の判断に影響を及ぼすことを事業者が知り、または知ることができる事項としており、重要事項の範囲を広くしております。 また、内閣提出法案は、消費者が契約の取り消しができる悪質な行為を不退去または監禁に該当する場合に限定しているのに対し、威迫された場合や困惑させられた場合と、取り消し事由を広くとっております。 さらに、不意打ち条項を無効としていること、取り消し権の行使期間を、契約の追認が可能になったときから、内閣提出法案では六カ月としているのに対して三年とするなど、行使期間の延長を図っていること、内閣総理大臣が不当条項の削除等の勧告を行うことができるなどの実効性確保のための制度を取り入れていることなど、消費者と事業者との間に存在する情報力や交渉力の格差を是正し、実質的に対等な立場で契約が締結できるようにするための内容となっております。 以上が本法案の趣旨及び内容の概要でございます。 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。
○委員長(成瀬守重君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○海野義孝君 おはようございます。 公明党の海野でございます。公明党・改革クラブを代表して御質問させていただきます。 最初に、私ごとで本日のスケジュールの関係で最初に御質問させていただくことを成瀬委員長にお許しいただいたことを心から感謝申し上げます。 御案内のとおり、北海道有珠山におきましては、先月三十一日以来約三週間にわたりまして噴火が続いております。そうした関係で、ピークよりは減少したとはいえ、なお七千名余の方々が仮宿舎におきまして大変御不自由な、また不安等におびえながらの生活を送っていらっしゃることに対し、お見舞いを申し上げると同時に、有珠山の噴火が一日でも早く平穏におさまることを心から念願するものでございます。 と同時に、前総理小渕さんにつきましては、目標の半ばにおきまして、特に有珠山のことについて大変心配をされる中で、すべて後事のことを託しながらただいま病床に伏せっていらっしゃることに対しては、一日も早く御快癒されることを心から御祈念申し上げる次第でございます。 早速本論に入らせていただきます。 ただいま堺屋長官からも本法案につきましての趣旨あるいは目的等々についてるる御説明がありましたが、私も公明党・改革クラブとしまして、今回のこの法案の審議に臨むに当たりまして、党としてこれまでいろいろ審議を重ねてきましたことをまず最初に申し上げたいと思います。 まず、経済企画庁から、国民生活審議会におきましてこの六年余にわたっていろいろ検討を重ねてこられたことについては、私どももいろいろとその状況について御報告をいただきました。 今回の法案の立案に当たりましては、消費者の方々あるいは事業者、法曹界の代表の方々等から、この消費者契約法の内容につきましても、私ども、党の政策審議会の経済産業委員会におきまして、数限りなくおいでいただきまして、直接意見の聴取等もさせていただきました。そして、この法のあるべき内容についても種々検討をさせていただき、本日この委員会に臨んでいる次第でございますけれども、私どもは、やはり今回のこの消費者契約法、つまりこれは消費者政策の重要な柱であると、このように心得ているわけでございますけれども、その中で三点。 第一点は、消費者と事業者の間にある情報・交渉力の格差、これを法の目的の中にきちんと明示すべきこと。それから二点は、適用除外を設けずにすべての消費者契約、すなわち消費者と事業者の間で締結される契約を対象とする。第三点は、不当条項の一般条項の規定を必ず盛り込むこと。こういったことを私どももいろいろな各団体、各関係者の方々との議論、意見交換の中でも申し上げてまいりましたし、いろいろ承ってまいりました。 こうしたことを踏まえて今回の消費者契約法の質疑に入るわけでございますけれども、まずそういったことで最初に改めてということになるのでございますけれども、きょうの私の御質問としましては、時間的にはこの一回だけでは十分には御質問できないということで、もう一回機会を与えていただけると思っておりますので、中間部分までになると思いますことをお許しいただきたいのでありますが、逐条的に沿っていろいろと御質問させていただき、御答弁を願いたい、こういうような形でまいりたいと思うわけでございます。 そこで、まず大臣にお聞きしたいのでございますが、この消費者契約法の目的につきましてでございますけれども、第一条のこの法案の目的につきまして、「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、」と規定されているわけですけれども、これについて改めてこの趣旨についてということ。 それから、この法律の直接の目的は、この目的の第一条の中にもありますけれども、消費者の利益の擁護であるということ、そのように理解してよろしいかという点について、よろしく御答弁をお願いします。
○国務大臣(堺屋太一君) 委員仰せのように、有珠山の件また小渕前総理の件、まことに私も同感でございます。 質問の件でございますが、委員が御指摘になりましたように、この法案の直接の目的は消費者の利益を擁護するという立場に立っております。このために、この法案では、消費者と事業者との間に存在します契約の締結、取引に関する構造的な情報の質及び量それから交渉力の格差に着目いたしまして、消費者に自己責任を求めることが適当でない場合について、契約締結過程及び契約条項に関して消費者が契約の一部または全部の効力を否定することができるようにする場合を新たな法律で定めたということでございます。 この法案は、労働契約を除きまして、全部の消費者と事業者の契約を包括している、そういう性格に当てはめてこの格差の是正ということをまず第一に考えたものでございます。
○海野義孝君 この消費者契約法とそれから民法それからいろいろな業法などの個別法でございますけれども、こういったものとの関係についてはどのように理解したらいいか、お願いします。
○国務大臣(堺屋太一君) この法律と民法及び業法があるわけでございますが、本法案は、消費者と事業者との間の情報力、交渉力の格差が消費者と事業者との間で締結される契約である消費者契約のトラブルの背景になっていることが少なくないという前提に立ちまして、消費者契約に係る意思表示の取り消しについて、民法における詐欺あるいは強迫といった厳格な要件の緩和を図るとともに、抽象的な要件を具体化、客観化しているということでございます。 したがいまして、まず民法というものの中の特例法としてこの法案が存在しております。これによりまして、事業者の不当な勧誘によって締結されました契約から消費者が離脱することが容易になるという点で大きな進歩があるかと思います。また、消費者の立証負担を軽くする、この要件を軽くしておりますので、そういうような意義があるかと思います。 また、民法では、消費者の利益を不当に害する契約条項を無効にするかどうかは信義則あるいは公序良俗というような極めて抽象的な要件で判断されておりましたが、この法案では、無効とすべき条項を具体的に規定し、不当な条項の効果を否定することを容易にしていることがあります。 一方、個別業法でございますが、個別業法との関係で申しますと、主として各個別分野について当該トラブルの発生、拡大を防止し、消費者契約法は消費者契約に係る広範な分野のトラブルを取り扱って、公正かつ円滑な解決に資するものと。業法が部分でございますのに対して、消費者契約法は全体というような関係にございます。 このような意味で、消費者契約法と個別の業法とは補完関係、民法とも補完関係でございますが、こういう三つのものが相まって消費者契約に関して十分な消費者保護が図られるものと考えております。
○海野義孝君 大変詳しく御説明いただきましたけれども、言うなれば、個別法、こういったものが縦割り行政に対して、特別法としての消費者契約法というのは、そういった業態的なあれを横断した横断的、包括的なそういうルールといったものを定めると。まさに、今日のいわゆる消費者と事業者との間においてのいろいろなトラブル、そういったものが発生してきている、そういったものについて広くやはり捕捉し、そしてこれを円満またスピーディー、迅速に解決していく、そういうような意味合いでこういった法律の必要性がある、このように理解させていただこうかと思うんです。 そこで、本法案の制定に至る経緯についていろいろと議論があったように思います。そのことについて私はこだわるということではないんですが、あえてこの機会にちょっとお聞きしておきたいと思う点がございます。 それは、この法律案の内容としましては、平成十年の一月に国民生活審議会第十六次の際の中間報告において、不意打ち条項とかあるいは消費者有利解釈の原則、こういったものがこの法案の中には盛り込まれていないということについて、消費者保護の観点からは後退しているんじゃないかというような批判があるというようなことを聞いたわけですけれども、私は必ずしもそれは当たらないと。さっき長官がおっしゃったように、やはりこれはそういった民法あるいは個別業法、それとこの消費者契約法、相補完して問題の解決に当たっていけばいいということでありますので、そういう意味におきましては、まさに自己責任、そういったものに対して問題のある部分について今回のこの法案の中で明示したんだと、こういうふうに私は思いますけれども、その点あえて、そういうような意見もあったかに聞きますので、その辺についてはいかがかということ。
○国務大臣(堺屋太一君) この法案の作成過程はかなり時間がかかっておりまして、まずいろいろと国民生活審議会等で審議をいたしました。 一昨年の一月に国民生活審議会が公表した中間報告というのがございます。これは、消費者が直面している問題を摘出して、欧米諸国の法制度や法理論を参考に具体的な民事ルールの内容として考えるものの試案といたしまして大胆な問題提起をした、こうしたらいいというより、問題提起をしたということでございます。 その後、国民生活審議会において、さらに、学界の方、消費者の方、あるいは法曹界、産業界など幅広い関係者にお集まりいただき、この試案を実施したときに具体的にどのような影響が生じるかといったような問題を考えまして、望ましくない副作用というようなものも少なくないなどの分析を行ってみました。そして、取引の実情やトラブルの実態を踏まえて、日本において法的措置として採用するのにふさわしいものを検討いたしました。この法的措置、民法的措置という点が非常に重要だと思います。 この結果、昨年の十二月に至りまして、消費者政策部会、これは国民生活審議会の一部会でございますが、の報告となってまとめられたものを骨子として、今日の提出した法案はこの報告を忠実に条文化したものでございます。 本法案は、特定の消費者トラブルの防止や救済を直接目的としたものではございませんが、本法の制定によって、事業者が不適切な行為を行った場合、消費者が契約の取り消しや契約条項の無効を主張できる場合を新たに法定することとなりますので、消費者にとっては従来に比べまして救済手段が非常にふえるということになろうかと思います。 したがって、本法は、民法、商法や特定分野を対象とする個別法、この制度と相互補完的な役割を果たすことによって、消費者トラブルの防止と解決を通じて従来以上に消費者の利益を擁護することになろうかと思います。 一部に後退したんじゃないかという意見がございますのは、先ほど申しました一昨年の大胆な試案というもので、たたき台といいますか議論のテーマを出した、それに比べてという御意見があるようでございますけれども、前に出したものはそういう性格でございますので、決して後退したと私たちは思っておりません。
○海野義孝君 ただいまの長官の御答弁で、大変この問題については国民の皆様方にとっても理解が深まることになったのではないかと、このように思う次第でございます。 今、御答弁になったことと多少重複するかもわかりませんけれども、審議会で昨年最終報告が十二月に出されるまでの間に具体的に論点となった問題、今回の法案をつくっていく条文の中等にもちょっとございますけれども、特に論点となったような点、何か特に御説明いただけるようなことがありましたらお願いします。
○国務大臣(堺屋太一君) いろいろ審議会でも議論がありました。平成十年の中間報告以降の国民生活審議会における具体的な討論事項を例を申し上げますと、まず適用範囲、この法案の適用範囲でございます。実際にどのような契約を対象とすることができるのか、できる限りこれを明確にする必要があるということが一つの問題になりました。その前提といたしまして、消費者と事業者を区分する基準を明確にするということが第一でございました。 事業者から消費者への情報の適切な提供の確保に関する規定、これもいろいろと議論になりました。個々の消費者契約の類型ごとに、消費者契約の態様、提供される商品またはサービスの特性、あるいは関連法制や自主ルールの存在など、事業者取引の特徴を十分に考慮した上で、客観的に判断されることになると考えられる重要事項の内容等の点について法文上どのように明確にするか、これは大変難しいことでございます。法文にするという、明確にするというところが重要だったと考えております。 それから、事業者から消費者への不適切な強い働きかけの回避に関する規定についての要件でございますが、強引、執拗で強要的、威圧的な事業者の不当勧誘というトラブルの実態を踏まえて、困惑の概念をより明確に具体的にしなければならない、こういう問題もございました。 それから、不当条項の方でございますが、不当条項を明文で規定するに当たっては、諸外国の立法例も参考にしつつ、日本の実情やトラブルの実態に照らしてふさわしいものを採用する必要がある、こういうような議論がなされました。 これらの検討を踏まえまして、政府としても関係各方面と調整を行って、公正かつ予見可能性の高いルールを策定するという観点から法律の規定の仕方についてさらに検討を加えた結果、取りまとめたのが本案でございます。
○海野義孝君 大分広範につきまして御説明いただきまして、ありがとうございました。 ちょっと細かな話でございますが、ちょっとお聞きしたいと思います。 本法の第二条の関係の定義の問題でございますけれども、これから申し上げるような契約につきましては本法律案の対象となる消費者契約か否かといった点についてちょっと教えていただきたいんですが、一つは医療行為に係る医者と患者との間の契約、それから二つ目は住宅建築請負に係る工務店と消費者の間の契約、三つ目は電子商取引による契約、こういったものは消費者契約の対象となるかどうかという点について。 それから、ついでですけれども、国とか県とか市町村などの公法人、それから特殊法人、非営利法人、あるいは弁護士、税理士などの専門的職業、こういったものは事業者になるのかどうか、この点についてお願いします。
○政府参考人(金子孝文君) お答えいたします。 まず、医療行為に係る医者と患者との間の契約、これが消費者契約か否かという問題についてまずお答えいたします。 本法律案は民事ルールでありますので、民事ルールの基本たる民法における契約のうち、本法が規定いたします消費者と事業者との間で締結される契約を消費者契約とし、その対象としているものであります。したがいまして、医療につきましても、例えば結核予防法による命令入所、これは強制的に入院をしなければいけないわけですけれども、そうした行政処分のように医者と患者との間に契約が存在していないとみなされる関係については本法の適用はありませんけれども、契約が成立していると見られる場合には医者と患者との間の契約について本法の適用があるということであります。 それから次に、住宅建築請負に係る工務店と消費者との間の契約についてですけれども、住宅建築請負に係る工務店と消費者の間の契約についても、本法における消費者と事業者との間で締結される契約であるため、消費者契約に当たるわけであります。 それから三番目ですけれども、電子商取引による契約、これはどうかということです。 それで、先ほども言いましたように本法は民事ルールでありまして、民法における契約のうち本法における消費者と事業者との間で締結される契約であれば、その形態のいかんを問わず本法の対象となります。したがいまして、電子商取引につきましても、本法における消費者と事業者の間で締結される契約であれば本法の対象となります。 次に、国、県、市町村などの公法人あるいは専門的職業は事業者となるかどうかということについてお答えをいたします。 これも先ほどと同じですけれども、本法は民事ルールであるため、民法における契約のうち本法における消費者と事業者との間で締結される契約であれば、私益公益の区別や営利非営利の区別を問わず本法の対象となります。したがいまして、国や県、市町村のような公法人、特別法による特殊法人、非営利法人や、弁護士、税理士などのいわゆる専門的職業についても本法第二条第二項の「事業者」に含まれるものであり、第二条第一項の「消費者」との間で締結される契約であれば本法の対象となるわけであります。
○海野義孝君 どうもありがとうございました。 次に、第三条についての解釈の問題でちょっと教えていただきたいと思うんですが、第三条第一項の関連でございます。 ちょっと条文を読むのは時間の関係もあるから省略いたしますけれども、消費者の自己責任を原則とするということであるならば、消費者に消費者契約の内容について必要な情報を提供する事業者の義務を努力義務とするだけでは十分と言えるか、これでは不十分じゃないかというような意見もあるやに聞いたんですけれども、この辺のところの、「情報を提供する」というその内容等にもよってくるんではないかと。先ほどからお触れになっているような重要事項の問題のことになってくるかと思うんですけれども、その点がどうかという点です。 それからもう一点は、消費者に提供すべき情報の内容として決められています「消費者の権利義務」以外の「その他の消費者契約の内容」というのは、具体的にはこの辺はどういったことを指しているかといったことについてお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(堺屋太一君) この消費者契約法は、民事ルールとしては大変強い取り消しという行為を持っておりますので、その内容はかなり限定的にならざるを得ないと思います。 消費者契約法のように、あらゆる事業分野を対象といたしまして、民事ルールにおいて情報の不提供が取り消しという非常に私法的効果としては強いものを持っております。個別事業分野にとって、抽象度が高いために事業者にとって予見可能性を欠くような、健全なビジネスの発展を阻害するようなことになってはならない、こういう前提が一方にございます。 こうしたことから、国民生活審議会においても、単なる重要事項の不提供だけでは取り消しという私法的効果を付与するのは適切ではないのではないかという見解が示されたところでございます。 なお、事業者から消費者に提供されるべき情報を規定することが必要な契約もあると考えられますが、そういった場合には、当該契約を対象とした個別法をつくるということでその具体的な部分を補えるのではないかと考えております。 また、消費者に提供すべき情報の内容を定めている「消費者の権利義務」以外の「その他の消費者契約の内容」とは具体的にどんなものかという御質問がございましたが、この契約の内容とは、物品、権利、役務等の質、用途や、契約の目的物の対価、値段ですね、それから取引条件、商品の名前、事業者の名称等がそれに当たると思われます。 「消費者の権利義務」に該当する部分は、契約の内容の中でも主要な部分でございますので特に例示したものであり、契約の内容に含まれております。契約の内容に含まれているもののうち、契約の目的物の対価や取引条件は消費者の権利義務に該当いたしますし、また物品、権利、役務等の質、用途は、すべてではないものの一部は消費者の権利義務に該当するかと考えております。
○海野義孝君 今の御答弁は、重要事項の内容というものがこの第三条第一項の消費者の権利義務及び契約の内容の具体的なものであるというように御説明があったわけでございます。そのように理解させていただいております。 それからもう一つは、第三条の第二項関係の消費者の義務という問題ですけれども、消費者と事業者との間の格差を是正し立場を対等にするということが目的であるけれども、双方に自己責任はあるわけですけれども、必ずしもこれは対等にはならないという面があろうかと思うんです。 そういう意味で今後、本法案を立法し、重要事項とかあるいはまた損害賠償の問題であるとか、いろいろなそういった事項を具体的に明示されたということでありますから、そういう意味で消費者の義務というのは、やはり消費者も自己責任というそういった意識を強く持って事業者との契約に当たる。そういう努力をするということで、これは言うなれば、必ずしも事業者の義務と消費者の義務というのは義務の内容も程度問題違うんじゃないかと思いますが、義務としていると何となく強いような感じにとられると思うんですけれども、これはどんな程度のことなんでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) 消費者の努力規定を盛り込んだ理由は、事業者から提供される情報を活用し、契約内容を十分理解できるように努力していただきたい。消費者が十分に合理的な意思決定ができることを期待するというものでございます。このことによって、民法その他で定められました消費者の権利が侵されるようなものではございません。あくまでもこれは努力規定でございます。
○海野義孝君 そこで、今の件についてもうちょっと、第三条第二項の規定について、これは消費者の権利を法的に制約するものであるかどうかというような点が重要だと思うんですけれども、具体的に言いますと、第三条第二項の努力を消費者がしなかった場合、いろいろな重要な事項等が盛り込まれたそういう契約条項等について、これについて十分にそれを理解するように努める、そういったことをしなかった場合には、この第三条第二項を根拠にして消費者が第四条の取り消し権、これを行使できなくなるかどうかという点はいかがでございますか。
○国務大臣(堺屋太一君) 委員御指摘の本法第三条第二項は、消費者に条文に規定された内容の努力をすることを求めた努力規定でございまして、私法的な効果、つまり契約の効果について発生するものではございません。したがって、消費者が本法案の第三条第二項に規定された努力を果たさなかったとしても、これで取り消しが認められなくなるとか、あるいはいわゆる過失相殺というような判断によって法的な影響が及ぶものではございません。
○海野義孝君 今の最後の部分でお聞きしたいなと思っていることにもちょっとお触れになりましたけれども、この点も改めてお聞きしたいんです。 第三条第二項の消費者の努力でございますけれども、これを消費者がしなかった場合には、消費者が事業者に説明義務違反などに基づく損害賠償請求をした場合に、この第三条第二項によって過失相殺の割合が大きくなるかどうかという点ですが、今ちょっとお触れになったようですが、改めてひとつ。
○国務大臣(堺屋太一君) 先ほども申しましたように、消費者が理解する努力を怠った場合であっても、事業者の側にそういう故意または過失、重要事項の不実等がございますと、これで過失相殺で取り消しができないとか、その権利が制限されるということはございません。
○海野義孝君 次に、第四条、重要事項に関してのいわゆる契約の締結過程の問題についてお聞きしたいと思うんです。 まず最初に、誤認による取り消しということについてでございますけれども、重要事項について消費者の不利益となる事実を事業者が故意に告げなかったことの立証責任を消費者に求めるということはいかがかというような意見があったように思いますけれども、この点、故意かどうかとか、こういうような問題はなかなか難しい問題なんですが、その辺についてはどういうふうに理解というか解釈したらよろしいんでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) この不実告知であるとか、いわゆる断定的判断の提供、この株は必ず上がりますよというようなことでございますが、それ自体として事業者の不適切な行為という評価が可能でございます。これに対して、不利益事実の不告知は事業者に積極的、作為的な行為を要求する規範であるため、取引の安定性を考慮してその行為の悪性の程度が高いものを契約取り消しの対象とするのが適切だと考えております。 こうした考え方から故意という消費者の主観的な要件を入れておりますが、これは立証しにくいということでございますが、民法に詐欺というのがございますけれども、これは二重の意思、まずだましてやろうということと、それによって利益を得ようということがはっきりしていなきゃいけないという関係がございます。それに比べますとこの消費者契約法の立証はかなり緩くなっておりまして、相手方を欺こうという意思よりも程度の弱いものでございますし、またそういうことを重ねてやっているというような客観的な事実、その業者があっちこっちでやっているというような事実がございますと非常に立証しやすい。そういう点では、民法の詐欺などよりもはるかに立証しやすくなっていると考えております。
○海野義孝君 重要事項の判断基準は一般平均的な消費者を基準とするのかどうかということです。例えば、高齢者など判断能力の劣るとされているような消費者についてはどのように扱うかという点でございます。 それともう一点は、事業者が消費者が受忍できそうな不利益な事実だけを述べて殊さらに不利益な事実を故意に告げない場合は、この誤認による取り消しの本規定の適用はされるのかされないのか、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(堺屋太一君) 二つ御質問の趣旨があったと思うんですが、まず高齢者など非常に新しいことがわかりにくい状況の方でございますけれども、この消費者契約法は一般平均的な消費者を対象としております。 したがいまして、その物品なりサービスなりの買い手、消費者の方が一般的に高齢者であるというような場合には、その消費者の水準、当該商品、当該サービスの一般的な買い手ということになります。だから、相手によって、あるいは商品、物品によって、これはかなり高度の消費者が買うものだという場合と、高齢者あるいは子供ですね、そういう人が買う場合とは内容が変わってくるということになります。高齢者が一般的な消費者である場合には、重要事項等も主として高齢者を基準として行われるというような形になろうかと考えております。 それから、もう一つでございますが、事業者が消費者が受忍できそうな不利益な事実だけを述べてもう一つの不利益なことを隠していたということでございますが、これは第一に、事業者にとって消費者に不利益になる事実をすべて網羅して説明するということは非常に難しい。その消費者がどういう関心を持っておられ、どれだけの知識があるかわかりかねますので、全部網羅することは難しいと思います。現在においても健全な事業者は消費者に不利益となる事実を説明しておりますが、第四条第二項にこのような内容を盛り込めば、事業者は消費者に不利益になる事実を説明することで萎縮してしまいまして、かえって消費者のためにならないという場合もございます。 また、第二といたしまして、消費者に不利益になる旨と、それよりもさらに消費者に不利益になる事実との程度の差の問題がございまして、それぞれの意義ないしは違いが必ずしも明確でないため、予見可能性が低くなり、法律的な安定が薄れてしまいます。事業者の方としてこれが大事な部分だと思っても消費者の方はまた違うということもありますし、不利益というのもいろいろありますから、全部網羅しなきゃいかぬということになりますと、かなり契約が難しくなる。少額契約、いろんな中小企業の方々の販売等を考えておりますと、やはりそこまではできないんじゃないかということでございます。 以上のことから、第四条第二項に、事業者が消費者に不利益になる旨を告げ、かつそれよりもさらに消費者に不利益になる事実を故意に告げなかった場合についても取り消しを認めるという内容を盛り込むことは適切でないと考えております。
○海野義孝君 大変難しい御説明だったように思いますが、確かにそういう消費者と事業者との間での契約というものはいろいろとあれですが、私が認識するところは、やはり重要事項についてはきちんと説明するということが、まずこれが義務があると。それでないと、自己責任という問題と対等にこれについて法的にも追及できないというような感じがしたわけです。 それから、困惑による取り消しについてちょっとだけお聞きしたいんですが、例えば消費者が怖がったり、事業者が話す暇を与えないなどによって退去すべき旨または退去する旨の意思表示を行えなかった場合には、この困惑による取り消しの規定が適用されないことになるんでしょうか。この辺の解釈はどうなんですか。
○国務大臣(堺屋太一君) 不退去、監禁ということになっておりまして、それ以外の事業者の行為、例えば威迫・困惑行為や状況の乱用型の行為について取り消しを認めますといろんな問題が生じてまいります。 例えば、第一に、威迫・困惑行為や状況の乱用型の行為の意義が必ずしも明確ではなくなってまいります。事業者にとって客観的にどのような行為をすれば取り消しの対象になるのか不明確になります。取引が不安定、あのときこうしたのが悪かったと後で言われると取引の取り消しになるわけでございますから、不安定になります。したがって、これは明確にしなきゃならないというのが第一です。 第二番目には、威迫でございますが、これはよく議論になるのでございますけれども、大体は民法の強迫という概念に相当いたしまして、その違いが、威迫と強迫との違いが不明確でございます。 第三に、民法において意思表示の取り消しが認められているのは、意思表示に瑕疵のある場合、意思表示はしたけれどもどこかに誤りがある、欠点があるという場合でございます。しかるに、困惑行為や状況の乱用型の行為に関しては、必ずしも消費者に当該消費者契約についての意思表示に瑕疵があった、不十分な部分があったとは言えない。このため、これらの行為について取り消しを認めますと、事業者が非常に難しくなりまして、何をしたらいけないのかその要件が不明確になってまいります。この要件の明確さと取り消しという効果のバランスというのがやっぱり大事だろうと考えております。 以上の点を踏まえまして、政府案としては、消費者トラブルの実態あるいは消費者の保護を必要とする程度、取引の安全の確保等々を考えまして、不退去、監禁ということを取り消しの条件にしたわけです。 消費者が出ていってくれとか帰りたいとか明確に意思表示をした、この点がちょっと問題にされるときがあるのでございますけれども、必ずしも言葉でなしに、そういうことが明らかにわかる行為をとるということがございますれば、これは不退去、監禁に当たると思います。この明確に意思表示をするというのが一つの要件になっておりますけれども、それは言葉だけではないということでございます。
○海野義孝君 民法とこのただいまの第四条との関係でもうちょっとお聞きしたいんですが、この本案の第四条第一項及び第二項の誤認類型と民法九十六条の詐欺、それから本法の第四条第三項の困惑類型と民法九十六条の強迫、これはそれぞれどこが異なっているか。今も少しそういった点もちょっとお触れになったように思いますが。それからもう一つは、民法の詐欺、強迫に当たらないのにもかかわらず消費者契約法第四条で取り消しは認められるのかといった点について、ちょっと念が入るようですけれども、その点についてどうかという点、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 本法案の誤認類型におきまして対象とされる事項は、第四条第一項第一号の「重要事項」、それから同項第二号の「将来における変動が不確実な事項」、そして第二項における「当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実」としておりまして、民法の欺罔行為の要件を限定したものでございます。 民法の詐欺でございますが、民法の詐欺というのは二重の故意ということが言われておりまして、詐欺の、まずだましてやろうという確実な意思がある、そしてそれによって自分が利益を得ようという意思がある、この二重の意思を証明しなきゃいけないということになっております。詐欺の違法性が非常に強いということでございまして、本法案の誤認の類型では、これは、この二重の意思あるいは詐欺の違法性というのは要件とされておりません。そういう点で、非常に立証しやすいのではないかと思っております。 また、この法案の困惑の類型でございますと、民法の強迫行為、すなわち相手を畏怖させるような行為がなくても、客観的、外形的に不退去だと、おどすとかすごむとかいうことがなくても、帰らないというだけでこれが成り立つ、あるいは帰さないというだけでこれが成り立つということで、かなり困惑の類型を明確にしております。 さらに、民法の強迫の要件のうちで二重の故意、強迫の違法性、ここでもまた二重の故意というのがありまして、おどしてやろうという意思があって、それでもうけようという意思があることなんですが、そういう二重の故意、それから強迫の違法性というのがございますが、本法の困惑類型ではそれが要件とはされておりません。 したがって、この法案の第四条は、民法の詐欺、強迫を単に具体化、明確化したわけではなしに、民法の規定に比べて消費者がその意思表示を取り消すことのできる範囲が相当に広がっているんじゃないかと考えております。特に、裁判外解決ということになりますと、これはかなり重要な効果を発揮するのじゃないかと考えております。
○海野義孝君 第七条関係の取り消し権の時効の問題についてちょっとお聞きしたいんですが、消費者契約のトラブル類に巻き込まれた消費者にとりましては、事業者にトラブル処理の交渉を引き延ばされることは容易に考えられると思うんです。 ここで、要するに、追認をすることができるときから六カ月間という行使期間、それからまた、もう一つは、いわゆる当該消費者契約の締結のときから五年間で無効になる。この根拠というか、これは何かを参考にというか根拠にされてこういった六カ月とか五年間をお決めになったのか、その辺何か、知りたいわけなんです。
○国務大臣(堺屋太一君) 本法の契約は、一般ではなく消費者契約、事業者が必ず一方で必ず一方が消費者、こういう契約でございます。このため、行使期間の程度をどれぐらいにするかということを考えたわけでございます。 第一に、民法はいろいろの意思表示の場合を想定しておりますが、取引社会の実情において比較的短期間のうちにその請求、弁済がなされることから、早急に法的関係を安定させたいという趣旨がございます。民法の規定によりまして、民法第百五十三条に債権者の催告後その効力を確定させるために必要な裁判上の請求権を行う期間を六カ月以内にしている。この民法百五十三条というのが一つの参考基準でございまして、裁判外で行使する形成権に当たる取り消し権につきましても短期の行使期間は同程度にするのがいいのではないかと考えております。 これは、追認できる状態になって、だまされたとか不実告知があったということを知るようになってから六カ月、それも取り消したいという意思を通知すればいいわけでございまして、そういう点からいって決して短い期間とは思っておりません。そういうことで、この民法百五十三条の条項とそろえさせていただいたということでございます。
○海野義孝君 最後に、もう一問お願いします。 第八条、第九条関係、不当条項に絡む問題でありますけれども、本法案の中の第九条第二号に関連しまして、消費者契約法の対象となる例えば五百万円の代金の支払いを一年間遅延した場合に、遅延損害金が年三六・五%とした場合に、この消費者契約法が施行されると、これは条文の中には一四・何%か書いてあったと思うんですが、結局具体的に幾ら支払うことになるかという点です。
○政府参考人(金子孝文君) 消費者契約法がない場合には、契約にあるように遅延損害金は掛け算をしまして五百万円掛ける三六・五で百八十二万五千円ということになりますけれども、本法の場合には一四・六%以上は無効とするということになりますから、当然一四・六%までだということで五百万円掛ける一四・六ということで七十三万円を払えば足りるということになります。
○海野義孝君 今の点は、これが施行されてから契約を結んだ以後の問題ですね、それは。
○政府参考人(金子孝文君) 施行された後、締結された契約についてこれが適用されます。
○海野義孝君 時間になりましたのでこれで終わりますけれども、法案についての解釈、大分できました。 あと、やはり問題は、消費者契約法の実効性という問題をいかに確保するかということだと思います。この点についてはまた機会を与えられましたら次回に詳しくまたいろいろと教えていただこう、このように思っておりますので、また私の考え方も述べさせていただきたいと思います。 本日はこれで御質問を終わらせていただきたいと思います。いろいろとありがとうございました。 以上です。
○千葉景子君 きょうは長官、どうも御苦労さまでございます。 先ほど、実は私どもが出させていただきましたやはり同じ消費者契約法案の趣旨を皆さんに御説明させていただいたところでございますが、冒頭、長官、この消費者契約法が多くの皆さんからその制定が求められておりまして、国生審などを中心にして大変な議論が積み重ねてこられました。本来であれば、私たちも経企庁の方から、政府の方からできるだけ早く案が御提起いただけるのではないかということで大変首を長くして待っておったんですけれども、なかなか待ち切れませんものですから、私どもの方でもさまざまな議論を重ねさせていただき、あるいは多くの市民の皆さんの御意見などもお聞きをしながら、なかなかまだ十分なものではないかとは思いますけれども、先んじて先国会で法案を出させていただきました。 今国会で政府の方からもこのような法案が出されたことを大変私たちも歓迎させていただいております。立法機関として多少立法行為をさせていただくということも意義があるのではないかと思っておりますし、両案を並行しまして議論させていただいて、そしてよりよき役に立つ法律ができることを私たちも望んでいるわけです。 長官、率直にそのところの御感想をちょっとお聞かせいただければ、これは通告をさせていただかないことではございますけれども、率直な御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 私が経済企画庁長官に就任いたしましたのは一昨年の七月末でございます。それからこの消費者契約法というのは既に話題になっておりまして、私といたしましても大変気になる法案でございます。 同時に、国民生活審議会で熱心な議論をしていただいておりまして、ちょうど中間報告というたたき台といいますか、そういう議論の対象となる項目を並べたようなものも出ておりました。さまざまな方面の意見を伺いまして、どういうような消費者契約法をつくれば最もいいか、ぜひとも世界に冠たるものをつくりたいと考えまして、契約の場面とそれから無効条項の場面と両方を体系的に入れたものをつくろうということで、国民生活審議会でもさまざまな議論がありました。 その前提といたしまして、先ほど委員の民主党案の提案にもございましたように、自由化が進むにつれて消費者と事業者との情報力の量、質の格差、それから交渉力の差、そういったものも広がってまいります。その反面、いろんな場面で自由な選択という重要な消費者の権利がございますし、また消費者の中にもいろんな方がおられることも考えていかにゃいかぬ。そういったことをさまざまに考慮しているうちに民主党さんの方が先に提案をしていただいたわけでございまして、それも私たちも熟読玩味させていただきました。 その中で、特に私たちは、予見可能性が高い、この法案でこういう行為をすればどういうことになるか、これで取り消しがどの範囲にあるか、この予見可能性の高いものをつくって消費者、事業者双方の最大の利益、そして同時にまた、これからの新しい事業の展開に妨げにならずに、むしろ消費者と事業者との信頼関係を高めて、これを新しい事業を生み出すのに効果のあるようなものにしたい、そういうようなことをさまざま考えまして、国民生活審議会の議論、それから各方面の御意見等を調整いたしまして、最終的には国民生活審議会の答申を文案にさせていただくというような形で提出させていただいたわけでございます。 いろいろ各方面の意見も多く、時代の流れも激しいものでございますから、提案あるいは法案の作成にいささか手間取りまして、民主党さんに先に提出していただいたことは私たちにとっても大変ありがたいといいますか、一つの参考になったと考えております。
○千葉景子君 ありがとうございます。 目標とするところは必ずしも違う方向を向いているわけではございませんで、ぜひよりよいものにしてまいりたいものだというふうに考えております。 さて、その上で、法案の方に入らせていただきたいというふうに思いますが、やはりこの法律をつくるに当たりましては、基本的な立法目的といいますか、法案の目的がどういうところにあるのかということが法律全体に影響することであろうというふうに思います。目的に沿って各条文もつくられていくわけですので、まずその立法目的について改めて、先ほどもお話がございましたけれども、お尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。 〔委員長退席、理事馳浩君着席〕 この消費者契約法が多くの皆さんからも要望されてきたという背景には、やっぱりこの高度に進展した経済システムの中で、事業者とそして消費者の間には、情報あるいは知識、また交渉力、さまざまな点で構造的な格差がある、こういうことに着目をし、そしてこういう格差の中で消費者被害というのが大変増加をしてきている、こういうことが背景になりまして、この消費者契約法案というものの必要性が叫ばれてきたものだというふうに思います。 確かに現在、規制緩和、そしてまたそれぞれが自立した個人としての責任を持っていくということも当然でございまして、それを私は否定するものではございませんけれども、やはりそういう自立性のある社会ということを考えれば考えるほど、消費者の立場、先ほど申しましたような格差を持って取引に当たる消費者の立場に立って立法というのがなされる必要があるのではないか。十分に力を持っているそういうものに保護を与える必要は余りないわけでして、むしろそういうものに乏しい側に立ったきちっとしたサポートのシステムというものが必要とされているんだろうというふうに思っています。 そういう意味で、この法案の立法の目的がどこにあるのか。確かに自立性のある社会、そういう中で消費者も対等な立場にできるだけ立ってやろうということは否定はしませんけれども、やっぱり本来は消費者の保護、こういうことに視点をきちっと置くべきではないかというふうに私は思うのですけれども、その点についてこの法案の、政府案の立法目的というのはどこに足がしかと置かれているものか、その点について改めてお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 御指摘のように、本法案の目的は、消費者と事業者の間に存在する取引に関する構造的な情報の量、質の格差、それから交渉力の格差に着目して、消費者に自己責任を求めることが適切でない場合のうち、消費者が契約の全部または一部の効力を否定することができるようにする新たな法律を定めることによって消費者利益を守ることにあります。 だんだんと、昔は事前規制でございまして、いろいろと政府が規格基準などを定めて消費者の安全であるとか利益であるとかというのを事前型に処理してきました。それが、自由な選択、消費者の自由な選択ということを重視するようになりましたので、事後的に消費者の利益を守る、そういう観点から、この情報力、交渉力の格差に着目してこういう法律をつくったということでございます。 しかしながら、また本法は同時に、裁判規範あるいは紛争解決の具体的な指針としての機能も持っておりまして、消費者契約に係る紛争を公平かつ円滑に解決することが必要であり、そういう効果がなければならないと思います。そのためには、消費者の事後救済を容易にし、かつ迅速にすることが大事でございます。 そういう点から、裁判における効力はもとより、裁判外の紛争の円滑化、迅速化、消費者と事業者双方の契約に関する意識の変化あるいは健全なモラルの向上といったような効果も期待しているところでございます。 したがって、この法案の直接の立法目的は、消費者契約に係る紛争を公正かつ円滑に解決することによりまして消費者の利益の擁護を図ることでありますが、これがひいては消費者と事業者とが自己責任を果たしていくに当たりまして環境を整備することにつながって被害を防止することに資する、こう考えております。
○千葉景子君 ありがとうございます。 ぜひこれから、法案のそれぞれの解釈あるいは考え方、そういう中で消費者の保護を図るという点を頭に置きながら進めていかなければいけないというふうに思っております。 〔理事馳浩君退席、委員長着席〕 ただ、そこで、この法案を見ますと、どうもそこの視点が必ずしも、消費者の視点というのが本当に十分に備わっているのか。やはり事業者と消費者をある意味ではもうこの時点で対等なところに置いて、余りにもひどいのはだめよと、どうもこういう立て方になっているのではないかなというふうに思われて仕方がありません。 そこで、多少具体的に順次お聞きしたいと思うんですけれども、これも先ほどの海野先生の御質問にもございました事業者と消費者の立場、これについて事業者も情報の提供の努力をしなさい、こういうことがうたわれています。これは少なくとも当然のことであろうというふうに思います。ただ残念ながら、これは努力義務ということでもございますが、これは法文のそれぞれの具体的内容の方でどの程度情報提供義務を尽くさなきゃいけないかということが今度は具体的に出てくるんだろうとは思いますけれども、その努力義務に、もう一方で消費者の側にも理解をするように努めよという、消費者の側にも努力義務が課せられているということに法が構成されております。 これは、先ほどから私の指摘させていただいている事業者と消費者の格差、こういうことから考えますと、双方に努力義務をしかも今度法的に課すということは、これはやっぱり消費者保護という観点から考えると非常に消費者に過大な重荷を負わせることになるのではないか、こういう考え方につながっていくのではないかというふうに思います。 お答えでは、これが法的効果、例えば過失相殺とかあるいは取り消し権の行使ができなくなるとか、そういう効果を生むものではないんだということの御答弁が先ほどございましたけれども、やはりこれは法文に法的な義務といいますか、そういうことで明示をされているということになるわけですから、それだけ重い負担ということになろうかというふうに私は思います。むしろ消費者の側は、消費者がいろいろな情報を得たりあるいはみずから自立した消費者として誤りのない選択をするのは、消費者にとっては権利みたいなものですから、もうそれはいやでも自分でもぜひそうしたいとむしろ願っているわけです。 だから、法的に理解するよう努力せよというのを事業者と対等な形で置くということは、いささかこの法の本来の趣旨から考えると違和感を持つことになりますし、それから過大な負担になるのではないかという私は思いがいたしますが、長官、率直にいかがでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) 自由経済、市場経済になってまいりまして消費者が自由に選択をできる、これは消費者にとって大変ありがたい権利でございますし、また消費者が自由に選んだものによって世の中が、消費者に選ばれたものがどんどん栄えていく、いわゆる消費者主権という世の中のことを想定しておるわけでございます。そうなりますと、やはり消費者の方が健全かつ賢明であって、そしてなるべくいいものを選んでいただく。そうしますと、いいものが生き残ってそうでないものが滅んでいくということになりますから、世の中がいい方に進むわけでございます。 そういう観点から考えますと、やはり消費者の方々にもできるだけ取引の情報あるいは取引の対象となります商品やサービスの内容、それを十分に理解していいものを選ぶ賢い消費者になっていただくことが必要ではないかと思っております。 それはあくまでも消費者の権利でもあり義務でもあるわけですが、これによって何らかの法的な、例えば消費者がその努力を怠ったから取り消しができなくなるとか、あるいは事業者も悪かったけれども消費者も努力を怠ったから過失相殺だ、そういう私法的な影響は全くあらわれません。ただ、やはりより消費者が情報を理解して取引の実態そしてその商品、サービスの内容を吟味していただくというのは、これからの自由経済、市場経済の世の中で大変重要なことだと考えております。
○千葉景子君 御説明の趣旨は私もよくわかります。むしろ、ここに消費者の権利ということを同時にうたっておいた方がいいのかなという気がするくらいでして、消費者がみずから選択ができるそういう社会というのは、私は本当に歓迎すべきものだというふうに思います。 ただ、これはまた前に戻りますけれども、そのために非常に情報の格差とか、あるいはいろいろな知識、交渉力にやっぱり格差がある。それをどうするかというところに法の非常に重要な点があるわけですから、事業者と消費者というのに同じような義務を課すというのは、やはり法の趣旨からいうと私はいま一つ納得がいかないところでございます。 事業者について、できるだけ格差がない条件をつくるための努力をせいということは十分法の趣旨からも考えられることですけれども、この消費者の努力義務というのがどうも、むしろ消費者にとって過大な負担を課せているようなそういう規定になっているのではないかという私は率直な気持ちがいたしまして、できるならばこれはない方が、むしろ消費者の権利みたいな形を明確にする方が法律としては大変輝いたものになるのではないかと率直に思いますが、御感想でよろしいですので、いかがでしょうか。 〔委員長退席、理事馳浩君着席〕
○国務大臣(堺屋太一君) 本法案の第三条にございます規定は全く同じではございません。契約の内容を明確、平易にするように配慮すること、それから契約の内容の必要な情報を提供するように努力すること、契約内容の理解に努めることと、消費者と事業者によってちょっと内容を書き分けておりまして、同じような努力を設けているわけではございません。 事業者の方には、契約条項が明確かつ平易なものになるよう配慮する努力、まず易しくわかりやすく言えと、それから情報を提供する努力を求めております。一方、消費者の方には、事業者から提供された情報を理解する努力を求めているのみでございまして、能動的に易しくよく説明しろという方と、説明を聞いたらよく理解しろという方と大分格差をつけておりまして、決して同じように扱っているわけではございません。 委員仰せのように、本質的に消費者と事業者との間にある立場の違い、情報の得やすさあるいは交渉力の立場というものを理解して、この規定にもそれを配慮した表現をしたつもりでございます。
○千葉景子君 ぜひ、少なくともこの義務が過大な負担になるものではない、改めまして、先ほどもありましたように、例えば過失相殺とか取り消し権を抑制するような、そういう効果を持つものではないということだけは明確にしておきたいというふうに思います。 さて次に、具体的な中身になりますけれども、事業者と消費者の定義でございますね、特に消費者という点について確認をしておきたいというふうに思うんです。 やはりこの消費者契約法の立法趣旨から考えますと、情報、知識、交渉力等の格差、これを是正しようということからしますと、消費者というのは、事業をやっていても消費者の立場を持っている人もいるわけです。事業との非関連性の基準を、事業に直接に関連しない目的で取引する場合には消費者なんだということをはっきりさせておく必要があるんじゃないかというふうに思っています。 例えばですが、よく例に引かれるんですけれども、八百屋さんのパソコンという例がよくあるんですね。個人の事業者、八百屋さんを営んでいる方が、例えば今はもうだれもがパソコンをいじったりしますので、パソコンを購入して趣味にもインターネットなどをやっている。ただ、あれば確かに御商売にも多少は役に立つこともあるわけですけれども、こういう個人事業者などが自分の個人生活のためにパソコンなどを購入する際、どうなるのかというようなこと。 あるいは、例えばよく内職商法のようなものがございます。あるいはマルチ商法と言われるような、法的に考えれば、自分も購入者でもあれば事業者のような形態をとるようなそういう商法などがあり、逆に言えばこれは非常に被害を出しているわけですね、それにひっかかったりして。そういうものは一体この法案では消費者として救済の対象になっていくのか。その辺が私は、この第二条の消費者の定義のところを見ますと大変難しいのかなという感じがいたしております。 むしろ、こういうところに消費者としての被害というのも発生をしているわけでございまして、ここがもし救済をされないということになると、この法律の幅は随分狭いことになるなという気がするんですが、この点について、消費者の定義についてどういうふうに説明をいただけましょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) まず、消費者の定義でございますが、個人については、消費者として契約の当事者となる場合もあれば、事業者として契約の当事者になる場合もございます。 ただいま仰せになりました八百屋さんのパソコンという場合でございますと、八百屋さんが主として個人の趣味にお使いになっている、時々仕入れとかあるいは広告のチラシづくりとかいうのにお使いになっているという場合でございますと、これはパソコンに関しては消費者、主としての方に入りますから消費者として分類できると思います。 それから、内職商法とかマルチ商法とかいうことでございますが、内職のために必要な材料とか機械とかを購入するということで、内職が客観的に見て実体がなかった。ずっと内職をなさいまして収入を得ている、反復継続して収入を得ているというのではなくして、いわゆる内職商法と最近言われているのは、道具だけあるいは材料だけ売って本当の仕事はほとんど来ないというケースでございますが、こういう実体がなかったという場合でございますと、事業をしていると認められないような場合には内職のための材料や機械を高い金額で購入する契約は事業のための契約ではないことになると考えられます。だけれども、それでも反復して内職を実際おやりになれば事業者でございますが、単に内職のためということで買わされたという方はやはり消費者と分類できると思います。 同様にマルチ商法も、この取引では、加入者が商品やサービスの再販売等を行う意思を持って販売組織に加入して加入者になった上で、その商品やサービスの購入計画を締結することが通常でございますけれども、この場合には当該の商品、サービスの購入契約は事業としてなされた、また販売しようという場合には事業でございます。したがって、加盟者となった加入者は、また販売しようというときには、ここで事業者の方に分類されることになります。そういう実態を見て、その人が買っただけなのか、再販をどんどんしているのかというところがやっぱり大きな分かれ道になろうと思うんです。 だから、買わされたというような人は消費者として保護できる。それが内職の目的で言われたとしても、買わされたというだけでしたらこれは消費者として保護の対象になると思います。
○千葉景子君 この条文の定義をどう解釈するかということになろうかというふうに思いますので、その点についてぜひ明確に解釈上させていただくことが大事だというふうに思います。 さて、この法案でも、一つは契約の締結過程、ここについて問題があれば取り消し事由にするぞということがこの法案の一つの内容でございます。ただ、私どもも出させていただいて、やっぱり契約締結過程を適正にするということを同じ目的にしているわけですけれども、政府案の方では非常に範囲が限定的になっているのではないかというふうに思います。情報を提供すべき重要事項の範囲が契約の対象それから契約条件、こういうところに限定をされている、こういう法律の内容でございます。 ただ、現実にいろいろな消費者被害あるいは現実の取引、こういうことを考えますとこれだけで本当に、立法目的に立ち返りますけれども、いろいろな格差があり、取引の上では弱い立場にある消費者を本当にこれで十分に保護できるのだろうかという感じがいたしますが、この情報を提供すべき範囲をかなり限定したことの意味、理由、これについて改めて、先ほども御解説いただいたんですけれども、改めてお願いできますでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) 二つあると思うんです。 一つは、この消費者契約法というのは、一方には民法の一般的な法律がございまして、詐欺とか強迫とかいうのはそちらで救われるということが一つございます。もう一つは、特別法がございまして、特定の業種、例えば今御審議いただいております金融商品取引に係る法律とか訪問販売法とかいろいろそういう特定のものもございます。そういう全体系の中でどの部分を安定的にすべきかというのが第一の問題でございます。 それから第二番目には、事業者の中にも中小企業もございますれば従業員の方もおられます。そして、日常的に大変いろんな取引が行われている。こういうものを全体として見ておるものでございますから、内容が取り消しという非常に大きな、民法上では最も強い効果を発揮するわけですから、これを実行するためにはその内容を明確にしておかなきゃいけない。例えば重要事項の説明でも、必ずすべてをしなきゃならないというと、ちょっとした買い物にも大変たくさん説明しておかないといけないということになります。 そういうような経済のバランスということを考えますと、やはりここに限定しておりますような重要事項の不実告知あるいは断定的な予測の断言、そういうところに限るというのが正しいのではないか、こう考えているわけでございます。
○千葉景子君 確かに、取引の安定のようなものを考える必要というのは、これは否定するわけではございませんけれども、ただ、いろいろな取引の実情とかあるいは消費者被害の実情から見ますと、本当に取引の安定を考える必要があるのかなと。相手方は、事業者の方は十分情報を持ち、あるいは相手方の立場も知り、その状況もよくよく熟知をしながら、消費者の方がそういうものを持ち合わせないがために損害をこうむるということが結局はほとんどなんだろうと思うんです。 ですから、本当に対等な当事者間での取引というときに取引の安定、安全、こういうものを考慮するというのは当然なんですけれども、やっぱり今度の消費者契約法が情報格差などを背景にその救済を図るために立法されるとすると、この限定はいささか狭いのではないかというふうに思います。例えば、現実に物を購入し、いろいろな今被害が出ているのを見ますと、購入の動機とか購入の目的、こういうものにかかわる場合というのはかなりあるんです。 例えば、これは例としてよく引かれるものでございますけれども、消火器を購入する際に、普通だったらそんなに要らないかなと。消防署から来ました、これは当然必要なものなんですというようなことがある。これは購入動機として、別に普通の店頭ならあれなんだけれども、消防署から来たと言われるとなるほどと思う、こういう場合。あるいは、よくあるシロアリの駆除サービスとか、これもちょっと見て、お宅の柱は相当シロアリにやられていますね、これは駆除した方がよろしいというような、これも動機などにかかわるところです。あるいは化粧品なども、やっぱり相当お肌も荒れていますから、これを使われると大変肌荒れも治りますというような、こういうケースなどの被害というのはかなりやっぱりあるんです。 こういうことを考えますと、必ずしも契約の対象とか契約条件というわけではないんですけれども、こういうところがこの法案ではなかなか対象にし得ないという感じはいたしますが、この点についてはどうお考えでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) 今、千葉委員幾つかの例をおっしゃっていただいたのでございますけれども、それぞれまた違った問題があるかと思います。 例えば、消火器の場合、売りに来た人がはっきりと、自分はうそをついて、これによって相手をだまして、そして売り込んでもうけてやろうということでございますと詐欺になる可能性はございます。したがって、本法では消火器自体についてうそを言わない限り取り消しにはなりませんけれども、民法の救済の可能性があろうかと思います。 それから、シロアリでございますけれども、本当にシロアリがわいていて柱が危ない、これが事実であれば問題はないのでございますけれども、シロアリがいないのに、まあ普通の人は床の下など見ませんから、お宅の床の下へ入ってみたらえらいシロアリでもうじき家がひっくり返りますよというようなことでありましたら、これもやはりシロアリがいないのにいたという、これは虚偽でございまして、それによって不当に高い料金を取ってもうけようという意思があったらこれも詐欺になろうかという気がいたします。 もう一つ、化粧品の場合は、これは多分多いのは訪販法にかかるんじゃないかと思うんですけれども、それでもし化粧品を売りに来て不退去、なかなか粘るとかいうことになればこれは不退去の取り消しにかかりますけれども、大抵そういう場合は訪問販売法の方の条項にも関係してくるんじゃないかと思うんです。 そういうぐあいに、民法とか特別法とかいろんな法律がございまして、これはもう消費者契約法は全部のいろんな場面に当てはめて考えています。そうしますと、また逆のことも考えられまして、例えばうちのまんじゅうは日本一だなんて書いていたら、おまえ、日本一って全部調べたのかと言われても困るわけでございまして、そういうことも考えますと、やはり労働契約以外すべての契約を覆っている、こういう性格から見て、大体重要事項というのを限定した方が安定的ではないか、こう考えたわけです。 また、消費者の方にもいろんな方がおられまして、よく駐車場でとめた人が注意しなかったからちょっと後ろをかすっただけで大変なトラブルに持ち込まれた、損害金を取られたというケースもございます。そういう場合でも、じゃ一々こういう場合にはこうですと駐車場の従業員が説明しなきゃいかぬかということになりましても、これまた難しい問題がございます。 もういろいろそういうことを考慮いたしまして、このあたりが一番穏当なところといいますか、中庸を得た、バランスのとれたところではないか。もし、さらにこれからいろいろの商売の方法が出てまいりましょうけれども、そのときにはそのときでまた特別法をつくることも考慮しなきゃいかぬかと思いますけれども、全体の法案としてはこのあたりが一番バランスのとれたところだろうと考えている次第です。
○千葉景子君 確かに、民法もございますし、それから各業法もございます。ただ、それぞれ立法の趣旨あるいはその構造も違うわけでございまして、確かに民法でかなり詐欺が明確だとか、そうなりますと詐欺として取り消しが可能にはなります。ただ、民法そのものがむしろ対等な当事者を前提にしてそれこそもう百年も経過するほどの法律でございますので、やっぱりそれで救済し得ない、あるいは各個別業法では救済し得ない、そういう被害が、すき間というわけではありませんけれどもやっぱり広範に存在をしている。そういうところから、むしろこの法律の必要性というのはあるわけですね。 そういう意味では、例えば立証の問題あるいは救済の手法、そういうことも含めて考えますと、やっぱりこの消費者契約法があらゆる取引について、その情報やあるいは知識やあるいは相対したときのいろいろな交渉力を含めて格差のある消費者を本当に全体としてサポートしようという立法の趣旨からいうと、今長官が御説明いただきました、確かにほかの法律できちっと救済できる、あるいはそれも明確に該当するというようなことについてその法律を使うということは当然ではありますけれども、やっぱり幅広く今存在するような被害がもしこの法案で救済されないのであるとすると、何のための立法なのかなということにもなってしまうだろうというふうに思います。 取引の安定ということも、私も否定は先ほどから申しますようにしませんけれども、むしろ相手にはもうそれだけの十分な情報があり、それだけ上の立場にも立って商売をしているというケースも多いわけですので、今幾つか指摘させていただいたような例、ケースなどが何とか救済できるような、そういう方向にこの法案もさらに前進できないものだろうか、こんなふうに思います。 改めまして、こういう問題について、今特別法の検討も必要かもしれないというお話もありますが、どうでしょうか、そういう点などについてこれからも検討を続けていくというようなお気持ちはございますか。
○国務大臣(堺屋太一君) こういう消費者契約法ができますことは、この条文のほかに、裁判外でいろいろ解決するという、消費者と事業者との関係を社会的に前進させるという意味が非常に大きいと思います。この条項だけの存在よりも、この法律ができるという、その存在自身で非常に世の中にいろんな社会的風習としての影響も与える、これの前進も大きいと思います。 ところが、こういう汎用的に広い範囲でとらえるものに厳しい条項を与えますと、実際に日常生活で、そういうお挙げいただきましたようなシロアリとか消火器とか化粧品とかということじゃなしに、もっともっと一般的な取引が何兆回と行われておるわけです。そういうものを全部縛ると非常な不便も考えられます。 これからどんなことが起こってくるか。今ちょうどEコマースとかいろんな新しいことも起こってくる事態でございますから、そういう世の中が変われば、法律も変われば新法も出てくる、これは当然のことだと思うんですけれども、現在の段階で広い範囲の中小企業の方々、またちまたで商店街でお店を張っておられる方々、その従業員の方々、そういった方々を全体として事業者と考えますれば、大変広い範囲の者に対して余りに過重な義務を課すのはいかがなものかと考えます。 また、我々でもそうなんですけれども、この説明義務を余りに多くいたしますと、忙しいときに説明をされて、全部言わないと買ってもらえない、あるいは取引にならないなど、これだけで結構ですというようなときもあるんです。 そういうことを考えますと、やはりこの範囲にとどめることが一般的に広い範囲を対象とした消費者契約法としては最適ではないかと思っております。 さらに、いろんなトラブルにつきましては、そういう相談機能を強めるとか、そういった活動の方もおろそかにできない。それによって社会的に法的以上な効果を発揮することもあり得るんじゃないかと期待しております。
○千葉景子君 まだまだ御質問したいことはあるんですけれども、きょうは円委員と質問させていただくということになっておりますので、また時間が今後ございましたらぜひ、むしろ御質問するというよりは議論させていただければ大変ありがたいというふうに思っております。 今、長官おっしゃいましたような相談窓口の充実等も、大変今後この法律と相まって重要なところであろうかと思いますが、そういう部分なども含めまして、また機会がございましたらよろしくお願いをしたいというふうに思います。 私の方はこれで終わります。
○円より子君 おはようございます。民主党・新緑風会の円より子でございます。 昨日、質疑通告で、これから質問いたしますことに対して民主党と長官の両方にお願いする予定でございましたけれども、私、きのうの本会議でも堺屋長官に質問させていただきましたし、また、今、委員会で公明党の海野先生また我が会派の千葉先生が政府案のこの消費者契約法についてはかなり突っ込んだ御質問をなさいましたので、できましたら民主党の方に質問を多くさせていただいて、少し堺屋長官の方は質問がなくなることがあるかもしれませんが、御了解いただきたいと思います。 では、まずこの法案がつくられるに当たりまして、きのうお聞きしたんですが、堺屋長官は消費者の権利ということを自由な選択とおっしゃいまして、私もそれには同感でございますけれども、その自由な選択を消費者が行えるためには、その前提として自由意思に基づく公正な契約を結べる環境が必要だと思うんです。そのときに、まず消費者は不当な契約から守られる権利があると私は思っておりますが、民主党案をつくられた発議者のお一人の小川先生にお聞きしたいんですが、まず消費者の権利とか消費者行政の目的というものをどのようにお考えになっておられますでしょうか。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 御質問ありがとうございます。 消費者と事業者との立場というものは、これまでの質疑の中でもるる出てきましたので簡略に申し上げますと、やはり事業者の方は扱う商品について非常に豊富な知識を持っておる、それからその契約を結ぶに当たる勧誘方法についても非常に手なれているというような状況がございます。 一方、消費者の方は、これから物を買うなら物を買う、契約をするなら契約をしてその契約関係に入るということで、事業者ほどその契約内容に関する商品とかそういったものについて十分な知識を持っていない、あるいはやはり取引に当たっても交渉能力も事業者には劣るというような面がございます。 契約関係では、あくまでも対等な立場で契約を結ぶといいましても、やはり形式的に事業者と消費者を対等な立場に置いたのでは、実質的な意味で消費者というものが今言いました交渉能力と情報の不足等によって不利益になってしまうということがございます。この不利益な部分を、実質的な意味で消費者を保護する、あるいは事業者の方に義務を課して実質的に対等な立場に置くということによって、事業者と消費者の契約を平和に行おう、紛争を未然に防止しよう、そのことによって消費者の利益を守ろうということでございます。 また、そのことによって消費者の消費活動が安心して消費を行えるということで活発になる、あるいは消費者の選択の範囲が広がることによって、それがまた事業者の方も多岐にわたって供給が活発になるということで、経済産業が活発になるという側面も持っていると思います。そうした方向でやはり消費者行政を行うことが適切ではないかと考えております。
○円より子君 ありがとうございます。 政府案では、「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、」というふうになっております。また、民主党案の方は、「消費者が事業者と対等な立場において契約を締結することができるよう、」というような形に目的がなっているんですけれども、どうも政府案についての御答弁を長官からいろいろお聞きしておりまして、先ほども事業者と消費者の両方の権利や経済の安定等のバランスをとってこの法案がつくられたと、絶妙なバランスというんでしょうか、その辺がうまくいったというふうにお答えになっているようにお聞きしましたけれども、両方の主張を聞きますとどうしても、バランスをとるというといい言葉ですけれども、妥協の産物になったのではないかという批判も聞いております。 それで、この法案は、政府案の側は妥協の産物で、私は、余り消費者の権利というよりは経済の発展、安定の方に少し傾いてしまったのではないかという気がしておりまして、民主党案の場合は、この法案の目指す目的といいますか、それは何なのか。そして、この法案というのは消費者のためなのか事業者のためになるのか、このあたり、率直な御意見を聞かせていただきたいと思っております。 またもう一つ、この点につきまして、私は、自己責任ということがこれからの時代に大変必要になると思うんですけれども、対等な関係のもとでの自由競争の原則が通用する場合には自己責任というものが十分問えると思いますけれども、この法案でも示されております、政府案でも言われておりますように、消費者と事業者の間には大変情報の質、量また交渉力において格差があるわけです。 そうした場合、その格差が解消されるような政策を講じた後に自己責任というのならわかるんですけれども、残念ながら、ただ事業者の情報提供を努力義務としてしまいまして、法的な義務になっていないわけです。そうすると、これでは自己責任を問える状況にはならないと私は考えておりまして、この点についても民主党の小川先生にお聞きしたいと思っておりますし、また、政府案の第三条第二項で消費者に努力義務を求めておりますが、これは必要なのか、削除すべきではないのか。こういった点についてお聞きしたいと思います。 小川先生にお願いいたします。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 今、円委員から御指摘いただいた意見がそのまままさにそのとおりでございますというふうにお答えしたいようなことでございます。 重複になりますが、先ほど述べたように、消費者というものが実質的な意味ではやはり弱い立場にあるというものを、その弱い部分を補強して対等な立場で消費契約を結べるようにするということが目的でございます。 ですから、この法律の目的の第一は、やはり法案のとおり消費者の保護でございます。そして、それに伴って、消費者を保護することによって契約が活発に行われるということによって経済産業が活性化するということがまた次の目的でございます。
○国務大臣(堺屋太一君) 政府案でも最大の目的は、消費者と事業者の間にある情報力の格差、交渉力の格差を解消して消費者の利益を保護することが第一の目的になっております。 ただ、その方法として情報提供を義務といたしますと、これは消費者の保護だけではなくして、消費者自身も迷惑を受けるような取引の混乱とか、あるいは新しい方法の開発がおくれるとかいうことがございます。だから、あくまでも第一の目的は消費者の利益を保護するという点では民主党案と趣旨は同じだと考えております。
○円より子君 それでは、もう一度小川先生にお聞きしたいんですけれども、政府案の第三条第二項の消費者に努力義務を求めることは削除してほしいという要望が随分消費者団体から出ているんですが、この点についていかがでしょうか。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 先ほど堺屋長官の答弁には、法的な効力がないという御答弁をいただきましたが、しかし、やはりさまざまな分野におきまして事業者と消費者に何らかの紛争が起きた場合に、やはり消費者の方にこのような注意義務が本来あるんではないかということが一つの解釈の指針になりはしないかという不安を抱いております。 そんなことを考えますと、法的拘束力がないという長官のお言葉をいただきまして多少は安心しておりますが、しかし何も規定しなくてもいいのではないかというふうに考えております。
○円より子君 今、小川先生がお答えになられたように、確かに消費者の側がノーと言える賢い消費者にならなければならないということは当然のことでありまして、私もこれをあえて入れる必要はないというふうに考えております。 それでは次に、契約取り消しの対象となるものが、その悪質な契約締結過程について、それを読みますと、民主党の方が広いように感じられるんですけれども、この政府案との違いについて、またこの法律の効力について小川先生に御説明いただきたいと思います。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 一言で申し上げますと、政府案が取り消しの対象となる事項を限定いたしておりますが、この限定が実際に起きております悪質商法による消費者の被害という現象から見ますと甚だ不十分であるというふうに思っております。 先ほど千葉委員の際に出てきました、例えば消火器販売の悪徳商法という問題がございました。これにつきまして堺屋長官の答弁は、仮に政府提案の消費者契約法に触れなくても民法上の詐欺という点での保護があるのではないかという御指摘がありましたが、そもそもこの消費者契約法は、民法の詐欺は大変に要件が厳しい、その民法の詐欺では救済されないけれどもしかし救済する必要がある部分について特に法を定めたというものであることを考えますと、消費者契約法に規定しない部分は民法の詐欺を考えればいいのではないかというと、結局はその部分について新たな保護を、何の手だても講じないということになると思います。 具体的な例は、たまたま消火器の例が出ましたので申し述べますと、例えば堺屋長官のお話ですと、積極的な明白なうそを言えばそれは詐欺で民法で取り消されるから救済されるということでございましたが、積極的なうそに至らない場合、例えばあたかも消防官の服かあるいは消防団員のような服装をして、消防署の方から来ました、今度防火のためには消火器が必要ですからぜひ買ってくださいというような商法があったとした場合、消防署員であるとはうそは言っていない、消防署の方から来たというのは、消防署から来たとは言っていないので、消防署の方の方角から来たというふうなことを言っていると。それから、防火のためには消火器が必要であると言われれば、これはそのとおりでございますから。しかし、消費者の方は何か消防署の人が来て消火器は買わなくちゃいけないのかと思って誤解するというような商法が一般でございます。 このような悪徳商法は、明らかに民法上の詐欺となるような方法はこれはふだんは講じないで、法の網にひっかからないようなまさに抜け道を次々と見つけ出しては消費者を実質的にだます、被害を及ぼすような商法を考えておるわけです。ですから、消火器販売の場合、詐欺にならないようなケースの販売方法が実際に現に社会現象として起きているわけです。このような悪徳商法に対する消費者の保護が実際にこの政府案ですと保護されない、これでは何のための消費者契約法なのかというふうに考えております。 民主党案ですと、そういったことも包括して救済される法案になっておりますが、そのような観点から、大変に政府提出の法案は契約取り消し事由を限定しているということが実質的には消費者の保護に欠けているのではないか、不十分であるというふうに認識しております。
○円より子君 今、消火器等の販売についてお話しいただきましたけれども、例えばこの閣法、政府案の方では第四条第三項に困惑について不退去・監禁行為に限定しておりますけれども、今さまざまに悪質な商法がいろいろ考え出されておりまして、この不退去・監禁行為以外の被害が続出していると聞いておりますけれども、先ほど千葉委員が質問なさいました威迫、それから例えば恋人商法とかSF商法とかキャッチセールスとか霊感商法とか、本当にえっ、そんな商法があるのというようなものが随分出てきておりますが、こういったものは、それでは民主党案ではこの被害者を救うことができるんでしょうか。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 基本的には民主党案はそのような悪質商法のほぼすべてを規制することができるような条項となっております。 第三条の一項におきまして、まず事業者が、法案をそのまま読んでもしようがありませんけれども、事実に反することを言って消費者が誤解するようなことがあった場合、あるいは事業者が威迫した、あるいは消費者を困惑させて合理的な判断を妨げた、あるいはたまたま消費者が何らかの形で何らかの事情で錯誤している、あるいは判断力が著しく不足しているというふうな状況を乱用するというようなことを網羅して、それを取り消し事由として列挙しております。 例えば、今出ました恋人商法ですか、通行人に声をかけてあたかも女性がその男性に対して親しくなるような行動をとって、そのことを大きな事情として商品を買わせるというものは、これはやはり消費者が合理的に判断することを妨げることになると思います。 あるいは先ほどの消火器の商法ですが、これは重要事項について契約の目的物とか対価だけに限定しないで動機も含んでおりますので、重要事項について、先ほどの消火器ですと、そのものを購入する動機もこれに含まれるということで救済されることになります。 あとは催眠商法ですか、今ある消費者の被害のパターンでは、集会所に多くの人を集めて、そこで事業者と通じたサクラというような客も含めて、どんどん物を買えばあたかも得したかのような錯覚に陥らせて高価な商品を買わせてしまう。後で落ちついてみると、とんでもないものを買ってしまったというような場合があるわけです。これなどもやはり消費者の判断力が不足している、消費者が催眠状態に置かれていると。あるいは特殊な雰囲気の中で買わなければいけないような雰囲気を感じたのであればそれは威迫とも言えますし、あるいは精神的な圧迫があれば、やはり消費者の私生活に関して困惑して消費者が合理的に判断することを妨げる事情にも該当するというようなことにもなります。 そのようなことによりまして対処できるということでありますので、現在消費者問題として、悪質商法問題として消費者が被害をこうむっている、不利益をこうむっているようなケースについては、この民主党提出の法案ですとほとんどが対処できるというふうに考えられます。
○円より子君 ただその場合に、やはり長官が先ほど業者側とのバランスということも大事だとおっしゃっていましたが、むやみに取り消し権を広げますと、逆に消費者の側にも悪質な人もいて、悪質な消費者の予備軍が目覚めるんじゃないかというような指摘が業界側からあったと聞いているんですけれども、それで政府案では不退去と監禁という明確なものに取り消し権をつけたというふうになったと聞いておりますが、民主党案ではそういった心配がないのかどうか、こういった意見についてどう思われますでしょうか。
○委員以外の議員(小川敏夫君) まず、民主党案が列挙しましたそうした取り消し事由につきまして、これはこの記載から明らかなように、すべて通常の取引の勧誘方法ではない方法でございます。ですから、普通に営業しておる事業者の場合には、これはすべて当たらないということでございます。 また、基準が不明確ではないかということがございますが、基本的にはやはり消費者が合理的な判断ができないんじゃないかという一般消費者の基準をもって解釈すべきことですので、これは個々の消費者によって判断基準が異なるということにはなりませんので、客観的な基準として明らかになると思われます。 また、その内容についてなお不明確であってはならないということも含めまして、内閣総理大臣がその態様につきましての指針を定めまして、事業者が混乱することがないようにも努力しておるわけでございます。 また、一部のクレーマーの問題が出ましたが、やはりクレーマーがいるからしかし消費者の保護をしなくていいということにはなりません。やはりそういったクレーマー、すなわち正当な理由がないのに事業者に対してクレームをつけて何らかの補償を要求することをいうんだと思いますが、そのようなものについてはむしろ事業者の方が毅然として対処することが必要であると思います。 また、今回こうした消費者契約法を定めて、事業者のあり方、消費者のあり方を定めることによって紛争が非常に解決しやすくなります。その面では、クレーマーが本当の保護を必要とすべき消費者なのか、あるいはそうではなくて消費者の立場を乱用したクレーマーなのかということも容易に判断がつきますし、またその対処も非常にスムーズに解決できることになると思われます。 こうした意味でも、やはり事業者が混乱に陥るということは余り考えなくて、むしろ消費者の保護を十分徹底することが望ましいし、それに対処したのが民主党の法案であると思っております。
○円より子君 今の民主党の御意見に対して長官はどういうふうに思われますでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) 今、民主党案では二つポイントがあると思います。第一は、非常に広い範囲で取り消しができる、二番目は総理大臣の指針というのに依存しているということでございます。 私は、一般的な条項として、一般的な法律としてこれをつくるとなりますと、やはり一般的にわかりやすい基準をつくっておかなければならない。これは今、小川先生が一般的な消費者を対象としているからごく常識的にというお話でございましたが、なかなかそこは定めにくい場合、本当に消費者がどの程度の理解力を持っていたのか、それは非常にわかりにくい基準になってきて、大きな範囲に取り消しが広がる、混乱を広げるという心配があります。 もう一つ、法律といたしまして、総理大臣に基準あるいは指針というのを譲るとなりますと、どういうものが出てくるか。そして、これは総理大臣でございますから国会に諮らないで改正することが起こる可能性があります。そのときにどんなことが起こってくるのか。非常にやはり国民の代表である国会できちんと諮れるようにしておく方がいいんじゃないか。そういう意味では、できるだけ具体的な内容を法案に書いていただく方がありがたいんではないか、こう考えております。
○円より子君 今、小川先生がお話しにならなかった点も少し出てまいりましたが、反論がございましたらお願いいたします。
○委員以外の議員(小川敏夫君) まず、内閣総理大臣のガイドラインが国会の法律の改正によらなくてできるということでございますが、ただ、内閣総理大臣のガイドラインも、私ども提案の消費者契約法の三条で一、二、三、四、五とこの取り消し事由を定めた、そのことについてガイドラインを定めるということでありますので、これは内閣が国会の意思を無視して恣意的にできるというものではないと思われます。
○円より子君 それでは、政府案には盛り込まれておりません不意打ち条項を民主党案では無効としておりますけれども、これにはどのような意味があるか、御説明いただけますでしょうか。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 実際にこのような消費者問題が発生しております。いろんな例としまして、例えば表向きの契約では物品を買う、非常に安いので買ったところ、どうもたくさんある契約条項の中に附属部品を継続的に追加して買わなければならないというような条項が消費者が予期しないのに入っていたというようなケース、そのような不意打ち的な商法もございます。 ですから、理論的にも、そのような消費者が予期しないような条項が入っている契約に関しては、やはりその部分に関しては無効にする必要があるのではないかという、一般論として必要であると思いますし、また実際にそのような消費者被害が出ておりますから、やはり消費者契約法としてはそのような場合にも対処できる条項が必要であると思います。
○円より子君 今おっしゃったように、契約の中に本当に細かい字でびっしり書かれておりまして、それを隅から隅まできちんと読む消費者というのは、本来は読まなきゃいけないと言われればそれまでなんでしょうが、なかなか読む人はいなくて、セールスをする人やまた保険なりなんなりを勧める人のその人の言い分を信頼して中身をしっかり読まずに契約してしまうという人が多いようで、先日読売新聞が実施した消費者問題に関する世論調査でも、契約内容のすべてを読むというのは二四・四%しかいない。約四分の一ですね。そうしますと今のようなこともあり得るということで、そのときには不意打ち条項は無効だということがあれば随分消費者としては助かるのではないかというふうに私も思います。 それでは次に、この法案が成立した場合に実効性の確保ということが大変重要になってくると存じますが、それについてそれぞれどう講じようとなさっているのか。例えば消費者団体の団体訴権や差しとめ請求権についてはどのように検討なさるのか。堺屋長官には重ねてでありますが、これについてお聞きしたいし、また小川さんにもお聞きしたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 消費者契約法を施行するまでに、国会において御審議を踏まえつつ、消費者契約法の逐条解説いわゆるコンメンタールを作成し、有識者、弁護士会あるいは消費者団体の方々と連絡体制を強化して説明をしていきたいと考えております。できれば映像なんかでも示せるようにしたいという考えも持っております。 また、消費者団体による差しとめ訴権の問題でございますが、これはドイツあたりにはあるようでございますけれども、民事訴訟法全体の流れとして非常に重要な法体系の問題、司法体系の問題と絡んでおります。消費者団体による差しとめ請求権については、日本の司法改革の問題が出ておりますが、どういうような法理論でどういうような認定団体にそれを与えるのか、そういったことを、今後の司法制度の改革の流れも踏まえ、全体を見て十分検討する必要があるんじゃないか、このことだけを先行させるのは非常に今の段階では難しいんじゃないかと、こう考えております。
○委員以外の議員(小川敏夫君) まず、実効性確保ですが、そもそもこの消費者契約法は個々の消費契約に関して取り消しあるいは無効ということで、これは法律問題でございます。 そうしますと、今の制度では、こうした法律問題について消費者の保護は事業者が実現しなかった場合にはこれは裁判に訴えるということになりますが、しかし今の裁判はやはり少額訴訟には余り適していない、あるいは弁護士に頼むと費用がかかるというような問題がございまして、このような消費者契約に関しまして直ちに裁判に訴え出ることしか被害の実際的な回復方法がないというのであれば非常に実効性が乏しいと思われます。 そうした意味で、裁判によらなくてもこの消費者契約法に定めた取り消し権あるいは無効による原状の回復といいますか被害の回復、これができるような措置を講じることが特に必要であると思われます。そういった意味で、消費生活センターとか、そうした消費者の利益を擁護する活動を国や地方自治体が積極的に行う、あるいはそうした機関をより多く活用して消費者が手軽に安く利用できる、そのような施策を講じることが絶対に必要であると思われます。 それから、差しとめ訴訟の件ですが、この消費者契約法の取り消し権の主張あるいは無効の主張というものは、あくまでも契約の当事者である消費者がみずからの消費契約に関して取り消しや無効の主張をできるというものでございます。 そうしますと、悪徳商法といいますと、広範囲に広範な消費者を相手にこのような悪徳商法を繰り返しているということになりますと、一人一人が自分の契約に関してだけその被害救済を求めてもそれはその範囲でしか悪徳商法はいわば被害が回復されない、泣き寝入りした人はこれは当然被害が回復されないということと同時に、問題となった当事者の契約に関しては被害が回復されても、しかし悪徳商法を行う事業者が同じような商法をやめないで次から次に繰り返していれば新たな被害者が次から次に発生してしまうわけでございます。 そうした意味では、やはりそうした消費者の利益を擁護する消費者団体というものがそのような事業者に対して悪質な商法はやめなさいという差しとめ請求権を認めることが、まさに悪徳商法の防止につながり、いわば将来の消費者の被害の発生を未然に防止することができるということでございます。ですから、差しとめ訴訟の団体訴権というものはやはり認める方向で早急に検討することが必要であると思います。
○円より子君 今この法案の実効性確保ということで消費生活センターの話が出ましたけれども、堺屋長官にちょっとお聞きしたいんです。 長官はもちろん地方自治体等で消費生活センターが今財政難で縮小傾向にあるということは御存じだと思うんですけれども、市町村レベルになりますと常勤の専門家がいないんだそうです。そうしますと、今までずっと審議の中でも出てきておりますように、悪質な商法というのがどんどん私たちがなかなか思いもつかないものを法の網をくぐって出てくることが考えられますと、ますますその相談業務というのは複雑で多様化してくるわけで、専門の常勤の人がいないということでは、せっかくこの法案をつくりましても、この法案が生かされるとは思えないんですね。 ですから、またそれから市町村の場合、商工課にこの消費生活センターが属しておりますから、商工課というのは事業者が出入りするところでございまして、その地域の消費者が事業者の出入りするところの管轄の消費生活センターでは本当に消費者の権利を守ってくれるだろうかという不安や心配もあってなかなか相談に行かないということがありますと、せっかく本当に法案をつくっても全く機能しないんじゃないかという気もいたしておりまして、この点ぜひとも、地方自治体のことではありますけれども、しっかりした拡充、機能強化をやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○政務次官(小池百合子君) ただいま御指摘のございました消費生活センターでございますけれども、現在全国で約四百カ所機能いたしております。消費者と事業者との間の取引に関する紛争について相談、あっせんを行うということで、それぞれの地域で御活動いただいているわけでございますが、また今回のこの消費者契約法が成立いたしましたら、消費者行政の拠点として大きな役割を果たすということで認識をいたしております。 そして、最近、消費生活センターの縮小などがあるのではないかと。一部でそういう例があることも認識もいたしておりますけれども、先ほど円さんもおっしゃいましたように、消費者行政というのはいわばやはり地方のきめの細かい、消費者との距離の近いところでやっていただくというのが趣旨であろうと思います。しかし、こうやって新しい法案、法律ができることによって、国としてのバックアップをするところはしていく。例えば、これから研修などもより具体的にもうスケジュールなども組まれておりますし、それから相談業務に関する情報を提供いたしますPIO—NETというオンラインシステムがございます、こちらなどは拡充をしていくということで、消費生活センターの一層の支援に努めてまいりたいというふうに思っております。
○円より子君 それでは、この消費者契約法、政府案と民主党案があるわけですが、それぞれの消費者契約法が成立しました場合、今後消費者契約がどういった形になっていくのか、どういうふうになっていくと考えていらっしゃるか、お答えいただきたいと思うんです。 長官は、予見可能性が高いこの法律の成立によって、事業者、消費者の信頼関係が増し、新しい業態の経済活動が活発化するのではないかとお答えになっていらっしゃいますが、どうもこれで本当に消費者が安心して今後契約に臨めるのか、この消費者契約法が有効に機能するのか、その辺について、また小川先生の方には民主党案であればどう機能していくのか、それぞれお伺いしたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 法律というもの、特にこういう一般的に広く網をかけた法律というものがすべて有効だということにはなかなかならないだろうと思います。 ただ、重要なことは、こういう法律ができますことによって悪徳商法は取り消しの対象になる可能性がある。しかも、それが裁判外の簡易な方法でとられるということは、悪徳商法を抑制する抑止力としては非常に大きなものがある。それからまた、それができますことで消費者の方々が消費者センターなり弁護士会なりそういうところに御相談に行かれるような習慣がつく、そういうことによって日本の自由競争市場というのが非常に向上するだろうという期待を持っております。 また、新しい商法、初めての商法が出てきた場合、例えば電子取引でありますとか今いろんなことが考えられておりますが、少なくともこれがどんどん取り消しになるようなものは、大変な被害ですから、まともな事業者はやらないわけです。そうすると、消費者の方から見ると、こういう新しいものが出てきても、これは消費者契約法で通るものだからそれほどの大きなうそはないだろう、大きな間違いはないだろうということになります。そうすると、新しい商法が非常に広がりやすくて、知恵の時代にふさわしい多様な販売方法、多様なサービス方法が開発される、そういう点で日本の経済あるいは生活条件が発達すると思います。 特に私が重要だと思いますのは、これから高齢者の家族、あるいは男女共働きのお宅など、非常に家事のアウトソーシングが盛んになってくるだろうと思うんですね。そういったときに、この消費者契約法に触れないでちゃんとできるものが生まれてくる、それは透明性が高いから事業者の方もこれなら大丈夫という事業コンセプトの組み方がやりやすくなってくる、これがこれから大きな利点だと思っています。 その意味におきましては、一方で消費者の権利を保護するとともに、消費者の利益全体を考えて、新しい、より便利な、より使いやすい消費がふえてくることが大きな利点ではないかと考えております。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 私、今堺屋長官のお話をお伺いしまして、言っておられることはまことにそのとおりであろうと思います。ただ、そうした御意見が果たしてこの政府提案の消費者契約法に合っているのかといいますと、合っていないんじゃないかと思っております。実際には、この政府提案の消費者契約法は、非常に取り消しの要件あるいは不当条項の無効の要件というものを限定しております。 私ども、これまでの消費者問題、悪徳商法問題というものを振り返ってみますと、常にやはり悪徳商法をやる人は非常にこうかつであります。ですから、何らかの規制法ができれば、その規制にひっかからないような抜け道というものを常に探して持ってくるというのがいわばこうした悪徳商法の実態でございます。 そうしますと、今、この政府案のように取り消し条項というものを非常に限定的にしてしまいますと、当然悪徳商法をやる人はその政府案の限定された範囲のことはやらないで、その限定されたもの以外の、つまり規制されていないことについての悪徳商法に特化してどんどん広げてくるかと思われます。一つの例としては、さっきの消火器の点も挙げました。 常に悪徳商法というものはそういう性質であるということを考えますと、堺屋長官が言われた趣旨はまことにそのとおりだと思うんですが、非常に残念なことにこの政府案の法律は、そのような長官が意図された方向には行かないでほとんど機能しない、悪徳商法が次々出てくるものについてそれを封ずることには効果がほとんどないんではないかというふうに考えております。 一方、民主党が提案しましたこの消費者契約法、民主党の案ですと、そのような抜け道を許さない、威迫、困惑といったさまざまな要件のものを包括しておりますので、これは本当に悪徳商法の出現というものを防止できて、そして堺屋長官が言われたような趣旨の本当の意味の消費者行政というものが実現できると思われます。
○円より子君 そうした意味でぜひとも、私は昨日本会議でも政府案を修正なさるおつもりはないでしょうかとお尋ねしたんですけれども、再度お尋ねしたいんですが、民主党の方にも、それぞれお互いすぐれているところを出し合って修正ができれば、なお消費者行政にとっても消費者の権利にとってもこれからの時代、いい形にいくのではないかと思われるんですが、再度お尋ねいたします。
○国務大臣(堺屋太一君) 政府案は、長年にわたりまして国民生活審議会また各方面と議論をいたしまして、その結論を法文化したものでございまして、私どもはこれが最良の法案だと考えております。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 同じことを繰り返して申し上げませんが、政府案は非常に消費者の保護という観点から不十分であると思われますので、なおこれを修正していただけるのであれば私どもも積極的に前向きに考えたいと思っております。
○円より子君 堺屋長官は最善のものとおっしゃいましたけれども、消費者団体または先ほどの消費生活センターそれからアドバイザーの方々、現場で本当にさまざまなトラブルの被害に遭って困っていらっしゃる方々の相談を受けていらっしゃる方からは、ないよりはましという声も随分出ておりまして、できれば本当に、法の網をかいくぐってさまざま出てくるそうしたものを阻止できるような、そしてそこから消費者が守られるような法案に修正できればと考えておりますけれども、ひとつ、とりあえず走っていってみて、そして消費者の方も契約時に十分契約書を読んで自分の権利を自分で守っていくような、そういった形になっていく。そこで、先ほど小池さんからも答弁がありましたPIO—NETや国民生活センター、消費生活センターでの累計をきちんとして、どういった相談があるかを見ていき、レビューをして、そのときにまた見直すということが大事だと思うんですね。 その件について、見直し条項をぜひ私は入れていただきたいと思うんですが、先ほど、消費者の側に義務があることが書かれておりまして、それはあえてその義務を入れる必要はないと私は考えているんですが、それを入れるならば見直し条項もきちんと入れていただきたいと思うんですが、もう一度、堺屋長官、いかがでしょうか。 それからまた、見直し条項について民主党案ではどう考えておられるかもお聞きして、最後の質問としたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 世の中が変化いたしますと、法律が変わり、行政が変わり、体制が変わるのは当然でございますが、それがいつ予定すべきかということはなかなかわかりません。特に今はこういう情報技術あるいは流通機構が大変化しているときでございます。したがいまして、大きな変化が生じて変えなければならないというときには、もちろん法改正あるいはまた個別の特別法をつくるというようなことが必要でございますが、これをいつ変えるということを最初から入れますと、法律上の安定性ということが損なわれます。 だから私は、いつ変えるというような見直し条項を入れるのではなしに、より実態に合った法律の運用、そして必要のあったときに改正するという立場で進むべきだと考えております。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 私としましては、まず見直し条項というもの、これは社会の状況がさまざま刻々と変化しております。また、悪徳商法というような問題は、先ほども述べましたように、次々と新手な方法を考えてくるというような状況がございます。そうした状況を踏まえますと、どちらの法案にいたしましても、それが施行された後の変化というものをよく見きわめ、また消費者の保護という問題と、それにかこつけたクレーマーによる事業の支障という声もありますので、そうした実態を踏まえて適切に対処するために、やはり見直しというものを盛り込んだ方がいいのではないかと思っております。 特に政府案の方は、何回も述べておりますが、非常に限定的であるということについて、不十分な点がございます。不十分な面がある法律こそ積極的に見直しを入れていただきたいというふうに思っております。 また、今、円委員から感想がありました。政府案はないよりはましだというような御意見もありましたが、私はもっと厳しい見方をしまして、限定的に取り消し権を認めているということは、限定されていない部分については、これは悪徳商法を容認していることになるんじゃないかと。いわば反対解釈、こちらは禁止されている、禁止されているものに含まれないものは認められているという解釈が出て、かえって政府案に取り消し権が認められない商法は法律で認知されたかのようなことになりはしないかという懸念も持っております。 そうした意味で、政府案の方が成立する可能性が大変高いようですけれども、むしろそうした意味で、政府案こそが施行後の早い時期にその実情を踏まえて見直しというものを考えていただきたいと、このように考えております。
○円より子君 ありがとうございました。 終わります。
○理事(馳浩君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。 午後零時三十七分休憩 ─────・───── 午後一時四十分開会 〔理事馳浩君委員長席に着く〕
○理事(馳浩君) ただいまから経済・産業委員会を再開いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、海野義孝君が委員を辞任され、その補欠として続訓弘君が選任されました。 ─────────────
○理事(馳浩君) 休憩前に引き続き、消費者契約法案(閣法第五六号)及び消費者契約法案(第百四十六回国会参第六号)の両案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○加納時男君 加納時男でございます。 初めに、堺屋長官に、今なぜ消費者契約法なのかということについて伺いたいと思います。 昨日からきょうの午前中までの本会議並びに委員会での同僚の質疑を真剣に伺いました。私の印象では、ほとんどの大筋において同僚議員の意見は一致していると思います。一つだけ、一つというか一カ所違いがあるだけだと思っております。 私なりに整理してみますと、消費者契約というのは消費者と事業者の合意で成立するものであり、契約自由の原則といって両者は対等のものである、そして自己責任が原則であるというのが自由主義市場経済での原則であろう、これはどなたも別に異論はないと思います。 二つ目に、これも異論がなかったところは、さりながら、現実には事業者と消費者の間には大変な情報力、そして交渉力の格差がある、したがって、対等といってもいろいろ手当てをしないと対等は実現できない、これもほとんどの方の御意見が一致していると思います。 そういうことなんで、これまではどちらかというと消費者は弱い者、保護すべき者という考え方、これに対して業法によって事業者を規制するということを通じて今まで消費者の保護を図ってきた。しかし、新しいこういう自立の時代を迎えて、消費者保護の観点に加えて新しい民事ルールをつくっていこうというのが今回の消費者契約法の制定のねらいである。この目的というのも、消費者の利益の擁護、これは私は全員一致していると思うんですけれども、消費者の利益の擁護、これを目的とし、これを通じて国民生活の安定と向上を図っていく。これは文言もほとんど一致しているように私は印象を受けました。 どこが違うのかというと、具体的な法文をつくっていくときのややテクニカルな、その書き方、力点の置き方が若干、二つの意見があったのかなと思います。一つの意見は、消費者保護に力点を置いて、例えば契約の無効だとか取り消しだとかということを比較的広く認めていこう、そのためには政令に委任していこうという立場でございます。もう一つの考え方は、これは政府案の考え方だと思いますけれども、消費者保護を重視しつつも、事業者にとっても予見可能性を高めて、つまり未然防除、行動規範についてもヒントになるような、そういうものをつくっていこう、そういうことを通じて紛争を未然に防止していこう、もちろん消費者の保護は守りますよ、しかし事業者にとっても予見可能性を高めようというのが閣法というか政府提出の法律かなというような印象を受けました。 私の意見を述べて大臣の見解を伺いたいと思うんですが、私はやはり消費者も事業者も自己責任意識というものを涵養すべきだと思っております。 それからまた、紛争が起こったらどうするかということじゃなくて、紛争の起こる前に未然に防除することが大事である。その意味では、事業者にとってもこういう民事ルールができることによって、こういうことをやってはいけない、こういうことはやるべきだというようなことで、やるべきこととやってはいけないことが極めて明確になることによって予見可能性を高める。私風に言うと、そのためにはこれが明定されなきゃならない。明らかに定められる。しかも、きょうも午前中に議論があったように、国会でもって明確に定める、つまり法律で定める必要があるように私には思えるわけであります。同時にこのことは、一たん発生した紛争についてはこれを解決するルールを明確化することにもなるだろう。 そういうことによって、私の意見というのは、消費者の利益の擁護を通じて国民生活の向上を図っていくというのが今回の目的である。今なぜなのかというと、このところ消費者苦情が、PIO—NETを見てもこの五年間ぐらいの間にたしか倍増ぐらいしていると思うんです。二十万件から四十万件ぐらいですか。 そういうこともあって、今こそ自主独立の時代に、市民が一人一人権利意識に目覚めてほしい時代に、理想は高く掲げつつも現実とある程度折り合いながらやっていくとなると、中庸という言葉がいいのかどうかわかりませんけれども、こういうような考え方があるのかなというふうに私には思えるんですけれども、大臣の思いをぜひ伺いたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 御説のように、今なぜ消費者契約法かという問題は非常に重要な問題だと思います。といいますのは、苦情がふえているとか、そういうような一時的現象ではなくして、構造的にこれが必要になっているということが重要だと思っております。 といいますのは、日本は長らく規格大量生産を目指してまいりまして、その中で官僚主導のもとにそれぞれに規格を定め、その規格を定めることによって消費者に悪いものが出ない、官僚主導で形を決めることで保ってきたわけでございます。ところが、世の中がどんどん進歩いたしまして、技術の開発も早ければ消費者の嗜好も多様化する、国際交流もふえる、そういった中でいろんな多様な商品が登場し、多様なサービスが必要になってまいりました。 特にこのサービスの面では、消費者に係るサービスが非常に多様化し、いろんなものがアウトソーシングされていく、そういう中でさまざまな商法も生まれ、それがいい影響もまた難しい問題も生み出した。そういうことを前提としてこの消費者と事業者との契約関係に新しいルールをつくらなきゃいけない、紛争をなくするような、解決するような新しいシステムをつくらなければいけない、そういうところから物事が考えられたわけです。 そのトラブルの原因には、その事業者あるいは消費者が悪意であるという場合ももちろんございますけれども、それ以前に、事業者と消費者との間に情報力の格差、あるいは交渉力の格差、そういったものが存在いたします。その格差をなるべく埋めて、そして消費者も納得をして物を買う、事業者も正当な方法で物を売る、そのことで消費者の選択が誤りなく、よりよいものがこの世の中で繁栄し、悪いものが消えていくというような仕組みをつくるべきだと、こういった社会的時代的な要請がその根底にあるのではないかと思っております。 同時にまた、このさまざまなトラブルをできるだけ予見可能性を高めることによって起こる前に防止をする。事業者の側からいうと、これこれのことはできるけれどもこれこれのことはしてはならない、やったとすれば取り消し条項にかかる。そういう可能性があることによって、取り消しを受けるとやはり損害が出ますから、事前にそういうことはまともな人はしないはずだ。消費者の方も十分情報を理解していただいて、よりよいものをつくっていく。そういった社会的な要請のバランスの中、時代変化に合った社会的な要請の中で、バランスをとってこの法律をつくろうというのがこの国民生活審議会その他各方面から出てきた御意見だと考えております。 こういう意味で、消費者の立場を擁護しつつ、全体としての経済あるいは生活の向上に役立てようというのがこの法律の根本的な趣旨でございます。
○加納時男君 ありがとうございました。 今のお話を伺っていますと、消費者のよりよい選択、そしてまたトラブルの未然防止ということを一つ大きく取り上げていらっしゃるように思います。 私はこのことでちょっと思いついたんですが、どうもよく一つのパイを分け合うゼロサムというのがございます。例えば、事業者が得すれば消費者は損する、消費者の利益をふやすと事業者の利益が減っちゃうという、何か一定のパイを取り合うというようなそういう世界をゼロサムと、我々マージャンで、余りマージャン通になっちゃいけませんけれども、図書券かけてマージャンというのもあるようですけれども、そういうことはやっちゃいけないと思うんですけれども、どこかで脱線しましたが。 ともかく、ゼロサムじゃなくて私はプラスサムといいますか、消費者は安心を得る、そしてよりよい商品が買える。そしてまた、事業者の方は予見可能性が高まる、それで紛争が未然に防げるからコストも下がる、そして自分たちのルールもうまくやれるということでビジネス機会がふえる。 これは、実はこの消費者契約法のねらいはプラスサムだというふうに理解したいと思うのですけれども、そういう理解でいいでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) まさに経済というものはプラスサムを目指すものでございまして、政治の世界はだれかが当選すればだれかが落選するというゼロサム社会でございますけれども、経済というのは本来プラスサムを追求し、消費者に満足を、事業者に仕事を与えるというのが基本だと考えております。 したがいまして、消費者の方々に満足をしていただけるような契約内容、そして事業者の方々もより多くの仕事をよりスムーズにできるような契約形態にしたい。それにはトラブルが起こってから解決するよりも、まず事前に解決できるような、予見可能性が高いということが一つの必要性になってまいります。それでもなおトラブルが起こる場合には、これをできるだけ早く解決するというように、裁判外解決の方法も広げていきたい。そして、どうしても解決しない場合には裁判に持ち込んで明確な結論が出ると、こういう仕組みをしておくのがよかろうと、こう考えております。なるべくそれに沿って国民生活審議会等で議論していただいたものを法文化したのが政府案だと心得ております。
○加納時男君 ありがとうございました。 消費者に満足を、そして事業者に仕事をというのはまさにプラスサムだと私も思っているわけでございます。 そういうことで考えますと、PL法との関係をちょっとここで伺いたくなるところでございます。 実は製造物責任法、PL法でございますが、私はこれもやはり民事ルールではないかなと、欠陥商品についての民事ルール。今回の消費者契約法は、契約締結プロセスと契約内容。この契約締結プロセスと契約内容というのが実はPIO—NETで見ても苦情では非常に多いケースなものですから、そこでこれについての民事ルールと。こんなような理解でよろしいのかどうか。 よろしいとすれば、参考になりますので、PL法が施行されてから今日までどういう変化があったのか。例えば、消費者の意識がどう変わったのか、苦情や相談が何か変化があるのか、訴訟がふえたかふえないのか、こういうことでかなり議論されたと思うのですが、それから企業の対応はどう変わってきたのか、こういったあたり、わかる範囲で結構ですけれども、伺いたいと思います。
○政府参考人(金子孝文君) お答えいたします。 まず、委員の御指摘の消費者意識がどう変化したかということでございますけれども、PL法の施行一年を経過いたしました平成八年度に経済企画庁がこの意識の調査を行ったわけですけれども……
○理事(馳浩君) もっと大きな声でお願いします。
○政府参考人(金子孝文君) はい。 行ったわけでありますけれども、それによりますと、消費者は、製品の警告表示や取扱説明書の改善、製品の安全を訴求する広告の増加等のPL法施行を契機とした事業者の変化を認識しつつ、安全を確認して製品を購入したり、製品の安全な使用を心がけるといった意識の変化が見られております。 それから、消費者苦情相談の変化でございますけれども、平成七年七月の製造物責任法施行以降、各地の消費生活センター及び国民生活センターが受け付けた製品事故に係る苦情相談数、これを見ますと、法施行後一年に法施行前と比べますと倍増しています。つまり、法施行前は三千七十一件だったわけですけれども、法施行後は五千七百六十五と倍増しているわけですが、その後は落ちついたせいか減少傾向にあると。一番最近の数字では三千八百五十件ということになっています。 それから、製造物責任法というのは拡大損害についてのルールなわけですけれども、その拡大損害を伴った苦情相談件数、これは法施行後増加したものの、その後はほとんど変わっておらず、安定的に推移しているという状況にあります。 それから、訴訟です。訴訟に関しましては、私どもが確認している限り、製造物責任法に基づいて提訴された訴訟件数は、法施行四年余りが経過した平成十一年三月末現在で二十件となっております。それで、戦後、製造物責任法が制定されるまで約五十年間あったわけですけれども、その間は製造物責任法はなかったんですが、やはり同旨なことで裁判が起こされているわけですけれども、その件数が百六十件ということになりますから、百六十割る五十で、それまでは三件ぐらいだったのかなと。それで、先ほど申しましたように、製造物責任法施行以来四年で二十ですから五件ということで、ふえはしたわけですけれども、顕著に増加したということではないようであります。 これは次、もう一つの御質問に絡むわけですけれども、やはり企業の対応、そこが大きく変わったのではないかということと関連すると思います。それについて御説明したいと思います。 事業者の方では、こういうような製造物責任法の施行によって、製品の安全性確保のために、製品の安全基準の見直しや表示、取扱説明書の充実等積極的な対応が進んできていると思います。 それで、経済企画庁の調査では、PL法施行後の製品安全保証体制を企業に尋ねたところ、三分の二の企業が安全保証体制を見直したと、こう回答しているわけであります。それで、製品の表示の取り組み、これがどうなったかという質問に対しては、多くの企業が、PL法の施行に当たって表示を見直したと、こう回答しているわけであります。 それから、PL法が裁判規範、行為規範としての機能を果たしているかどうかという御質問にお答えしたいと思います。
○加納時男君 まだそれは聞いていないけれども。
○政府参考人(金子孝文君) 聞いていませんでしたか。失礼いたしました。
○加納時男君 官僚の方は非常に先が見えるというのはわかるんだけれども、質問する前に次の質問の答えを言われちゃうとちょっとやりにくいので、質問をしてから答えてもらうといいと思うんです。こちらは今お答えを聞いて次の質問を考えていたものですから。 企業は、例えば三分の二の企業が今のお話だと安全保証体制を見直したとか、それから表示を変えたとか、取扱説明書を工夫したとか、いろいろとやっているんですね。私これ非常に意味があると思うのは、なぜこんな質問をしたのかというと、今度の消費者契約法も、これをつくることによって恐らく、行為規範といいますか、そういう予見性が高まるということもあるんですけれども、どういうことを事前に予防しようというふうに企業はその行動を変えてくる。 つまり、次に、今あなたが答えようとした質問になりますけれども、裁判規範としてはもちろんだけれども行為規範としても機能しているということでいいですね、これは確認です。
○政府参考人(金子孝文君) 先生先ほどその行為規範に随分関心をお持ちではないかということでつい先走って答えてしまいまして、済みませんでした。 それで、当然のことながら、PL法は裁判規範として機能しているわけでありますが、行為規範、これは先ほど御説明しましたように、企業がその安全性に対する対応を非常に進めているということを御説明しました。それこそまさにこのPL法が行為規範として非常に重要な役割を果たしているということを示しているんではないかと考えております。
○加納時男君 どうも御苦労さまでした。 では、次の質問に移りたいと思うんですけれども、対象の問題であります。 今回、この法の対象を消費者個人対事業者というふうに限定、限ったわけでございます。この法案で私が非常にいいと思ったのは、すべての業種を対象としているというところがすごくいいと思います。そこで、そのすべての業種を対象にしたということは、私は適用除外はないということはすごくいいと思うんですけれども、個人対事業者間に限定しているということで、法としてはこういうものかなとは思いますけれども、ちょっと気になることがあります。 というのは、最近苦情の中に非常に目立ったものがあるんです。それは特に、例えばなんですけれども中古マンション。これは事業者対個人とか個人対個人があるんですが、最近の判例で、去年の四月に出た神戸地裁の判例というのを見てますと、これは中古マンションのケースなんですね。中古マンションをある人が、神戸の御夫婦が買ったわけです。売り主は、これは個人だったんですけれども。買ったところ、そのマンションにアリが大量に室内に発生したと。こんなことは非常に、ありがた迷惑とは言わなかったんでしょうけれども、迷惑だということで、契約の解除と購入代金などを返せといった損害賠償の請求を起こしたわけですね。これは四千七百万円の支払いを判決は認めているんですが、これはアリの被害が著しくて日常生活に支障があるということで。 私も詳しくは読んでいないのでよくわからないんですが、恐らく、私の想像によると、これは個人・個人間の争いだったので民法の原則でやったんだろうと。恐らく、売買の目的物に、隠れたる瑕疵なんて昔習ったことがありますが、隠れたる瑕疵があったというようなことで債務不履行になり、契約解除、損害賠償責任と、こんなようなことだったと思うんです。 これは、個人・個人だから今回の法律の対象じゃないんですが、なぜこんなことを聞くのかというと、これが例えば事業者から今のようなケースで個人が買った場合、これは当然消費者契約法の対象になると思うんです。そういった場合には、消費者契約法があることによってどういう点が今までの民法の原則に比べて、今のアリが大量に発生したというケースでやりやすくなるんだろうか。例えば重要事項の不告知ということで売買契約の取り消しというのができるのかと思うんですけれども、その辺の解釈はいかがでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) 個別のことにつきましては政府参考人から後ほどまた答弁させますが、まず一般的に言いまして、先ほど委員御指摘のPL法というのは、民法で言います故意、過失による責任要件の不法行為の原則を欠陥を責任要件としたものに広げている、こういうところが重要なところでございまして、規格大量生産の時代に必要な民事ルールとして拡大された。 今度の消費者契約法というのは、消費者と事業者の間に存在する契約を対象としているということで、車の両輪をなすような形で民事ルールを補完することになろうかと思います。民法の限界を補う包括的な民事ルールとして紛争の公正かつ円滑な解決を図るものとする共通の面がございますけれども、いわば車の両輪として消費者被害をとどめていくというところが大きなところだと思います。 そういう観点から申しまして、消費者契約法が消費者対事業者という点に限定されておりまして、消費者対消費者あるいは事業者対事業者というものが対象とはなってまいりません。したがいまして、今のアリが大量に発生したというようなトラブルが個人と個人との間でございますと、やはりもとの民法に戻りまして、債務不履行か、あるいはアリがいないと言ったとしたら詐欺か、何かそういう方に行くのではないかと考えております。 追加の説明はありますか。
○政府参考人(金子孝文君) 消費者契約法でありますけれども、消費者契約法は二つありまして、一つは契約締結過程におかしなことを言わなかったかどうかという問題と、それから契約の条項自体がおかしくないか、この二つに分かれると思います。 それで、アリの問題ですけれども、仮にアリはいませんねと聞いたと、ところが、いやそんなものはいませんよということを答えて、それで契約の意思決定をさせたとすれば、それは不実なことを、つまり事実と異なったことを言ったということで契約の取り消しになるということになると思います。しかし、そういうことは気づかずに契約を結ばれて、それでアリがいたということになりますと、それは契約の内容自体の話になってきますから、それは先生がおっしゃったように瑕疵担保責任なりあるいは債務不履行なりで損害賠償が行われるということになるかな、こう考えている次第であります。
○加納時男君 今の件はわかりました。 全く似たようなというか、今アリの話をしたんですけれども、今度は暴力団というケースもあったんです。やっぱり中古マンションなんですけれども、これは東京地裁で今から三年ほど、二年半ほど前に出た判決だったと思いますけれども、中古マンションをある人が買ったわけです。そうしたら、入居後そのマンションに暴力団組員がいたと。ただいるだけならしようがないんですけれども、それが迷惑行為をした。例えばいろんな人を呼んできて大騒ぎをするとか、それから共用部分がそのマンションにあったわけですが、これを私物化して我が物顔に使うというので、暴力団の人が非常に迷惑行為をしたというので、これでは安心して住めないというので売り主に契約の取り消しと損害賠償を求めたというんですが、判決を見てちょっとあれと思ったんですが、契約解除を認めていないんです、この東京地裁は。損害賠償を一部認めたわけなんですが。 今回、これも個人対個人だということになってしまうと今回の契約の対象外ですが、これを仮に事業者から中古マンションを個人が買ったというふうに置きかえて考えてみて、私どうもよくわからないんですけれども、今回の契約でこれは救われるんじゃないかなと。つまり、重要事項を不告知、非常に乱暴なことをする暴力団員が住んでいるということを告知しなかったのは取り消しの原因になるのかなと思うんですが、この辺はどうでしょうか。
○国務大臣(堺屋太一君) まず、本法の対象となるために事業者、マンションの売り主の方が業者であったといたしまして、その次に、暴力団が住んでいる、あるいは迷惑な使い方をしているということをその業者が知っていたといたしますと、これはかなり重要な不実告知になる可能性は高いと思います。また、その暴力団が出ていかない。出ていかないとすれば、買った人が利用できないという意味で債務不履行になる可能性も高いと思います。だから、民法の債務不履行でいくか、あるいはこの新法によります取り消しでいくか、これはそのときにどちらでも選べる、両方とも使える条項になるんじゃないかと思います。
○政府参考人(金子孝文君) ちょっと補足的に御説明させていただきます。 これは誤認に絡む話だと思うんですけれども、誤認の要件は三つありまして、一つは真実と異なることを言うこと、二番目が非常に変動が大きいものについて断定的な判断を示すこと、三番目は有利なことを言ってそれだけでこんな不利益なことがあるというようなことをあえて言わなかった。その三つが要件になります。 ですから、この暴力団のことなんですけれども、暴力団を言わなかった、それは非常に重要なことだと思いますけれども、言わなかったというだけではやはりこの消費者契約法には当たらないわけです。 ただ、暴力団、どうもこの辺はそういうことが多いのでどうなんですかと言ったときに、いや大丈夫ですよ、いませんよと言ったらもう絶対だめですね。 それからもう一つは、これはいろいろケースによって違うと思うんですけれども、いやお客さん、このマンションは非常にお金のある方が住んでいらっしゃいましてと言って、暴力団もお金持ちだったというようなことで、ああそれだったらいいんじゃないかというんですが、そういうお金持ちの暴力団がいて、それはお金持ちだけかなと思って、まさにそういう人がいるとは思わなかったというようなことになった場合には、それは不利益なことを言わないということに当たるということもあり得るかもしれません。そういうようなことだと思います。
○加納時男君 少しケーススタディーに時間がかかって済みませんでした。よくわかりました。 次は努力規定について、大臣とそれから小川議員に対しましてお伺いしたいと思います。 まず、政府の方に伺いたいと思います。 政府案では、きょう午前中も質疑がございましたように、政府案の第三条には三つの努力というのが記載されていると思います。一つは、契約の内容を明確かつ平易にするように配慮することという、これは事業者に対する明確表現努力義務みたいなものです。それから二つ目は、ここは一番論点になる、契約内容についての必要な情報を提供するよう努めることと。これは俗に言う努力義務と言われている事業者の努力義務。三つ目が、契約内容の理解に努めることという、極めて易しい表現で書かれている消費者の努めというようなことでしょうか。 きょうも午前中議論があったんですが、私もこれを読んでいて、いま一つよくわからなかったのは、この三つの努力のレベルというのは、何かどのように違うのか。きょう午前中の堺屋大臣の答弁、それからきのうの本会議での円議員の質問に対する答えだったですか、たしか大臣は差を設けたとはっきりおっしゃったと思うんです。 私は、差を設けたというのは理屈のあることだと思っています。つまり、事業者に対してはやや厳し目に、そして消費者に対してはやや易し目にといった、情報格差もあることだし、交渉力格差もあることだから、努力義務も差をつけたということかなと思いますけれども、そういう理解でよろしいのかという確認が一つ。 もう一つ、これもきょう午前中に議論のあった契約内容の理解に消費者が努める、私はこれは極めて当たり前のことだし、当然こういうことは書いておかしくないと思うんですが、問題は、この契約の理解に努めなかった場合、つまり努めることという条項に沿わずに消費者が理解をしようとしなかった場合、これは例えば何か損害が出た場合に過失相殺になるんですかという午前中に質問があったような気がするんですが、そのお答えもいただきたい。 これが政府案に対する質問です。 終わった後、小川議員に今度は民主党案についての質問をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) まず最初の御質問でございますが、事業者に対しましては、契約条項が明確かつ平易なものになるように配慮する努力、これをはっきり努力としております。それに対しまして、契約内容を理解するように努めることという書き方をしておりまして、これには、一方に対しましては努力の要請、一方に対しては努力の期待というような違いがあるのではないかと思います。そして、この消費者に対する努力の期待は、これは民法の法的効果は全く持ちません。 したがいまして、努力を怠っていたということを仮に裁判か何かで立証したからといって、それによって事業者側の責任あるいは義務が免れるということはございません。
○加納時男君 ありがとうございました。よくわかりました。 では、小川議員に伺いたいと思います。 民主党さんの案、けさ配られたものを読ませていただきましたけれども、第三条第一項のところに、消費者の判断に影響を及ぼす重要な事項について、消費者が理解できる程度に情報を提供しないときは契約を取り消せるというようなことが書いてあったというふうに思います。 私の質問は、消費者が理解できるかどうかは、だれがどのように立証するんでしょうかというのが第一の質問です。 加えまして、情報提供が不十分だとして取り消しが次々と行われる、乱発されると、中小企業だとか零細企業といった方々、私もこういう方々といろいろおつき合いしているんですが、そういった事業者の方、特に工務店等が次々と倒産するおそれがあるんじゃないかといった心配を、実はこの数年間ずっと話を聞いてきました。これについては民主党さんは具体的にどういうふうに答えられますかという、その二つをまず伺いたいと思います。
○委員以外の議員(小川敏夫君) まず、若干、その前に質問いただきました契約内容の明示の点でございます。 民主党の考え方は、消費者の保護それから紛争の事前防止という観点からすれば、消費契約の内容をより契約の段階あるいは勧誘の段階で明確にすると。その場合には、やはり事業者が書面を作成してこれを交付するということが一番確実であろうと思われます。 ただ、これを法的に義務づけますと、やはり契約の締結というものが停滞してしまうのではないか、必要以上の作業を事業者に課すことによって取引が停滞してしまってはいけないという観点から、法的義務にしないで努力義務といたしたものでございます。 消費者の方についてそのような義務を定めなかったのは、これがそう定めることによって過失相殺、あるいは消費者に不利益な取り扱いを受けることになるような指針となりはしないかということを懸念したことによって、そのような配慮から消費者に対しての努力義務は設けなかったということでございます。 それから、次の質問でございますが、消費者が理解できる程度に情報を提供しないときという法文の解釈ですが、これは個々の消費契約について個々の消費者がどのような理解をしたかどうかということを意味する用語ではなくて、一般的な消費者というものを基準に置いて、一般的に消費者が理解できる程度の基準はどういうものであろうかという客観基準というもの、つまり消費契約を結ぶときのその慣習や常識においての一般的な客観的な基準というものをこのような言葉で表現したものでございます。したがいまして、あくまでも個々の消費契約のケースによって、個人的事情によって判断が異なるというものではございません。そして、これは消費者がそのような客観的な注意基準というもの、あるいは理解できる基準というものを主張し立証する。これは、消費者がそもそも取り消しを主張する立場にあるわけですので、消費者が主張し立証するということでございます。 次に、取り消しの乱発ということが事業者に必要以上の損害といいますか、事業上の不安定を与えないかという点の御指摘、御意見でございますが、この点につきましては、私どもの方はむしろ反対に考えておりまして、このように消費者の保護というものを徹底することによって消費者が安心して消費契約に臨むことができる。また、消費者が安心して消費契約に臨むことができる結果、選択の範囲も広がる。その結果、消費契約が活発になる。すなわち取引が活発になるという形によりまして、事業者の方から見ても需要がふえる、すなわち取引がふえるということで、経営といいますか、業績の上昇につながるのではないかと考えております。 それから、取り消しが乱発といっても、事業者が正常な取引をしているときに消費者の一方的なわがままによって取り消されるというものではなくて、やはり民主党案でも、事業者が消費者をだます、威迫させる、あるいは困惑させる、あるいはその他、完全に勘違いしているのに乗じるといったような、やはり常識的な判断から見ましても事業者側にそれなりの責任があるケースに限って消費者に取り消しを認めるものでございます。 ですから、そうした意味で、事業者がそのような問題となるようなことをしない場合にまで取り消しを認めるものではありませんので、事業者が普通に正常に取引を行う、事業を行っている場合には何ら問題が起こることはないというふうに考えております。 以上でございます。
○加納時男君 今のお話を伺って、三つほどコメントしたいと思います。 まず第一は、消費者の努力について。消費者が契約内容の理解に努めるものとするということを書くと、これは裁判上不利になるんじゃないかと今おっしゃいましたけれども、先ほど立法側の意思として、法案提出側の意思として私が質問したのに対する回答を聞いていますと、裁判上に不利になることはないというつもりで書いたということですから、これは私はそういう意見もあったということを記憶にとどめたいと思っています。 二つ目の話ですけれども、この第三条第一項の規定があることによって消費者が安心して契約に臨めるだろうというのが小川議員の話だと思います。私はこれはおっしゃるとおりだと思います。しかし同時に、これが余りにも漠然としていますと、消費者の側は安心して契約に臨め、事業者は不安感を持って契約に臨むのでは困ると私は思いますので、これも一つ私の気になるところであります。 三つ目には、ちょっと理屈っぽい話なんですけれども、民法では詐欺とか強迫といった意思表示に瑕疵がある場合に取り消すことができるということで、これはよく議論をすることなんですけれども、民法の意思表示に関する理論からしますと、意思表示に瑕疵があると取り消せる、こういうことで、そこを前提にしながら今回の法律も、詐欺とか強迫というのを少し広げて議論して消費者契約法はできつつあるんだと私なりには理解しているんです。 そうすると、民主党さんの案のように、事業者が情報を提供しないことによって即契約が取り消せるというのは、私とあなたと習った教科書が違うのかもしれないけれども、私の理解しているところでは、民法の意思表示に関する理論からすると、やや無理があるんじゃないかなという気もするんですけれども、この辺はどうでしょうか。 最初の二つは私の感想ですから、三つ目だけ回答いただければ結構です。
○委員以外の議員(小川敏夫君) これは民主党も、事業者が不実のことを言った場合で消費者側の契約に臨む意思に全く問題がなかったことについてまで取り消しを認めるものではございません。たまたまその事業者が間違いを言っても、消費者がその間違いを知っていて正しい認識を持って契約した場合であれば、これは消費者に取り消し権を認める必要がないわけでございます。あくまでも民主党の方は、そうした事業者の方が事実でないことを申し述べる、あるいは威迫、困惑とかそんなような要素があってやはり意思表示をする、それが民法上の瑕疵あるいは無効事由とならないまでも、やはり事業者側の何らかの行為によって、民法上の瑕疵とまではいかなくても、意思表示の形成過程に何らかの障害事由といいますか、正常な判断をできなかったような事情がある場合に、やはりこれは救済すべきではないかと考えております。 そのようなことでございます。
○加納時男君 これ以上やると、やや研究室の議論になっちゃうので、ここまでにさせていただきます。どうも御苦労さまです。ありがとうございました。 次は、では今いろいろ話が出ていた契約の取り消しというところに話題を移してみたいと思います。 政府案の第四条では、誤認と困惑による意思表示を取り消すことができることにしたわけでありまして、私のさっきから非常にこだわっている民法の原則にのっとりつつ拡大して解釈しているというふうに私は理解しているわけでございます。 まず、政府の方に質問したいんですけれども、消費者契約を締結する判断に影響を及ぼす重要なものについて誤認させた場合は取り消しというんですけれども、重要なものというのは具体的に何なのか。これも、きのうの本会議、きょうの午前中もいろいろ議論があったんですけれども、もうちょっとわかりやすく説明していただけたらと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 重要事項と申しますのは、当該消費者契約の目的となるものの内容または取引条件であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすもの、こう考えております。 この意味でさらに申し上げれば、契約締結の時点の社会通念に照らして、当該消費者契約を締結しようとする一般平均的な消費者が当該消費者契約を締結するか否か、その判断を左右すると客観的に考えられるような当該消費者契約についての基本的事項、こう定義しております。 もう少し平たく言いますと、まず契約する物品なりサービスなりそのものであるということが第一でございます。二番目は、そのときのそのものの消費者、これは高齢者の集団が多いとか若者の集団が多いとかいうことでありますれば、その商品のあるいはサービスの対象となる一般社会的な状況。その人たちの社会通念として持っているような知識、状態、そういうものでございまして、それがこれを買うか買わないか、この契約を結ぶか結ばないか、これを左右するような問題。これは、違っていても社会通念としてそれで左右されないようなものでございますればそうでもないんですが、その意思決定を左右するようなもの。 そういう三つの条件、対象物であること、社会通念として重要であること、そして意思決定を左右すると思われること、この三つのそろったものを重要事項と、こう考えております。
○加納時男君 最初の方はやや今までのと同じような難しい表現だったですけれども、最後の方は非常に今の大臣のお話はわかりやすかったので、今、最後に言われたようなことをぜひとも法律を制定した後はコメンタール等でわかりやすく書いていただきたいということだけ注文させていただきます。 さて、ここでの一番の議論になったのは故意の問題だと思うんです。消費者にとって不利益な事実を故意に告げない場合は取り消せるということになっているんですが、この故意とは何かということが昨日以来何度も議論されております。 大臣は、きょう午前中だったと思いますけれども、民法の詐欺よりも緩いものであると。だます意思があるとか利益を得るとかいうようなことは民法の詐欺の構成要件になろうかと思うんですけれども、それほど厳しいものじゃなくてもっと緩いものだというようなことで、何となくわかるようなわからないような感じなんですけれども、これをもうちょっとわかりやすく言うと、どのようにこういうことを立証するんでしょうか、消費者が当然立証するわけですが。どういうふうに立証すると詐欺よりも緩いと言えるんでしょうか。 なかなかイメージがわかないのでイメージがわくように、大臣は非常に表現力豊かな大臣なので、わかりやすく説明していただきたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 故意とは、当該事業者が当該事業が当該消費者の不利益になるものであることを知っており、かつ当該消費者が当該事実を認識していないことを知っていながらあえてという意味でございます。 易しく普通に言いますと、売り手ですね、事業者、事業者の側が消費者にこれは不利益だと、先ほどの暴力団もシロアリもそうなんですけれども、不利益だということは十分知っている。そして相手が、買おうとしている人、消費者の方が実はそんなことは知らないらしい、これも知っていると。それで、自分は知っていて相手は知らない、しかも重要だということを知りながらあえて言わなかった、これが故意ということにしております。
○加納時男君 今の御説明はよくわかる御説明だったと思います。ありがとうございました。 ちょっと話題は変わるんですけれども、先般のこの我々の委員会で議論し、本会議でも通った訪問販売法の改正というのが今回の消費者契約法との関連で思い出されるわけであります。 あのときには、特定継続的役務として、エステと外国語会話と家庭教師の派遣とそれから学習塾だったですか、四つたしか指定したと思うんです。あの四業種を指定して書面交付を義務づけたというのが一つ。二つ目は、不実告知だとか困惑行為を禁止した。それから三つ目として、クーリングオフを認めたというのがあったように思います。たしか書面交付から八日間だったと思いますが、そういうクーリングオフをやったと思います。 今回の法律ができますと、こういった従来からやってきたクーリングオフとの関係はどうなるのかということを伺いたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 本法案の誤認、困惑の類型等による契約の取り消しと訪問販売法に関する法律におけるクーリングオフ権は、いずれも適用される。要するに、両方ともそのまま成り立つわけです。したがって、クーリングオフの規定そのものが強化されるわけではございませんが、消費者が契約の効力の否定を主張するための民事ルールが追加されるという意味において消費者の利益の擁護に資するものと思われます。 つまり、その四業種についてのクーリングオフはそのまま残ります。だから、そっちでクーリングオフしたいというのならそれもいけます。また、こちらの消費者契約法の方で違反していると思えば、それで取り消すこともできる。両方とも有効だということです。
○加納時男君 両方ともできると。つまり、八日間以内の方がいいと思ったらば訪販法でやる。それよりかもっと後でも今回の法律で救われる、こういう理解でいいかと思います。ありがとうございました。 民主党さんに伺いたいと思いますが、民主党の案では契約取り消しの条件として第三条で五つほど、第一号から第五号ですか、だっとこれは並んでいまして、情報提供が不十分な場合とか、さっき出たものですが、重要事項につき不実告知それから事実の不告知、それから威迫の場合、それからさらに合理的な判断を妨げる、それから判断力不足の状況を乱用と。 私は読んでいくと一々ごもっとものように思うんですけれども、ちょっと気になるのは、威迫であるとか、第四号の消費者の私生活を困惑させるとか、第五号の判断力不足の状況を乱用する。これは何か文学的に見ると、私は非常に状況が浮かぶようでいいなと思うんですよ。 しかし、法律的に見ると若干あいまいな感じがするんです。抽象的かつあいまいだと。だから幅広くやれるよというのがメリットだけれども、逆に言うとちょっと不安だなというか、立場を変えて事業者から見ると何か不安になってしまうので、じゃ明確にした方がいいんじゃないかと思って、おたく様の法律を読んでいくと四項というのが出てきまして、そこでは抽象的な話については具体的な基準を決めるというので、さあ出てきたと思って読んだら政令で定めるとあるんですね。 政令で定めるとなると、我々国会でこれを一生懸命議論しているんですけれども、これから飛んじゃって、今度は行政府に任せちゃうわけですね。行政府はけしかるとかけしからないとかといろんな議論がありますが、少なくもこういう大事な事項は国会で、国民から直接選ばれた我々がこの場で議論して、法律で決めるというのが私はすごくいいんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 現実にさまざまに生じておりますいわゆる消費者事件、悪質商法の事件とかを見ますとさまざまな手口がございます。これを、それぞれがどういうような手口なのかということを、手口を集約していきますと、威迫とか困惑とかこういったことになるので、民主党案としましては、そうした一つのエキス部分としましてこのように記載したわけでございます。 これをさらに、そのガイドラインを政令に任せると言いましたのは、やはり今度は威迫というその態様がさまざまなものがございます、あるいは困惑というものもさまざまございます。催眠商法というものもありますし、あるいは威迫ですと、買わなきゃ先祖のたたりがおまえに降りかかるぞみたいな、強迫とは言わないけれども、しかしどうも人に不安を与えるような行為等もございます。 さまざまな類型が余りにも数多くありますので、やはりこれは法律で一つ一つのことを定めるというよりも、実際の行政の場面で、さまざまなケースをより詳細に内閣の方で指針として示すことが適切ではないかと思っております。 それから、この五項の項目、抽象的といえば大変抽象的ですけれども、しかし法律的にはやはり威迫、困惑あるいは判断力不足に乗じるということで、かなり具体化されております。例えば民法におきましても、信義誠実の原則とかあるいは権利の乱用とか正当事由とか非常に抽象的な言葉で法律が規定されておりましても、実際に百二年の歴史の中でそれが定着しているという部門もございます。そのようなことを考えれば、この五項は決して抽象的過ぎてとらえどころがないということはないと思っております。 以上でございます。
○加納時男君 私は、小川議員が言われるように、民法の信義則なり公序良俗の原則だとか、そういったことが長い歴史を持っていることはもちろん十分承知しているつもりであります。 なぜ今消費者契約法なのかというと、その民法の原則では余りにも抽象的だというので、判例はいろいろございますけれども、消費者ルールというか、こういう民事ルールをつくろうということで今議論されているわけですよね。ですから、抽象的なものはほかにあるよといったって、今具体的なものを決めようということなんです。ですから、これは一種の考え方の違いだといえば違いなんですけれども、こういう意思表示の取り消しというのは、非常にもう大事なことであるから、これは厳しく明定すべきだ。そうしないと消費者も事業者も安心して契約に臨めないということで、私は明定する方がいいと思うんですね。 小川さんも決して明定するのに反対してはおられない、ただ明定するのを政令に任せようと、こういうことなので、私は政令に任すのは変じゃないかと、国民の代表である我々国会議員が決めるべきじゃないかと言っているんですが、小川さんはそれに対して、きょう論争しているつもりじゃないんです、単なる質問ですけれども、小川議員の方は、いや、さまざまな類型があるからそれを一概に具体化するんじゃなくて、若干抽象化しておいて、具体化するに当たっては行政でやったらいいんじゃないかと。これは考え方の違いかもしれませんね。 それ以上のことは結構でございますが、私の意見としては、私はあくまでも国会議員の方が行政府の人間よりも世間のことをよく知っていると我々は自負している、役所の方には悪いですけれども、そう思っております。小川議員も役所の方じゃなくて国会議員でありますので、一緒に議論して明定化したいなと私は思っているところでございます。 さて、じゃ最後に、無効について言って終わりたいと思います。 契約の無効について、政府案では不当事項をこれは明定しているわけであります。第八条、第九条、第十条というところで明定しております。 そこで政府案の方に質問になりますが、ここでは例えば、事業者の損害賠償を免除するとか、損害賠償の額を勝手な金額に予定するとか、消費者の利益を一方的に害するような、そういう条項があったならばもう不当条項として無効だよと。これはよくわかるんですが、よく読んでいったら、この条項にないのがあるんですね。例えば不当な価格とか不当な目的というのは、当然私は無効にしていいんじゃないか、不当条項になるんじゃないかと思うんですけれども、政府案、これは政府に聞いています、政府案にないんですけれども、これはどうしてでしょうか。また、例によって民法の公序良俗違反だとか、そんな話になるんでしょうか。これをぜひ伺いたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 契約における価格や目的は本法の無効とすべき契約条項の評価の対象外となる事項でございまして、これで取り消し、無効にはならないことになっております。 価格というようなものは非常にはっきりしているものでございますから、消費者も誤解することはまずないわけでございまして、その値段でいいということになりますれば、社会通念と違っても情熱とか思い出とか宗教とかいうようなことでお買いになる方がたくさんございます。そういうものをすべて取り消しにすべきだということにはならないと思います。 ただ、消費者の側が何かで困っているとか、あるいはよほど経験がない、初めてのものだとかいうような弱みにつけ込むとか無知につけ込むとかいうようなことで暴利をむさぼりますと、これは民法第九十条の規定によって公序良俗の違反となって、民法の方で無効になることはあり得ると思います。
○加納時男君 ありがとうございました。 今の御回答はそのまま承りたいと思います。 もう一つだけ政府の方に伺いたいと思うんですが、きょう午前中にも議論があったんですけれども、不意打ち条項であります。 政府案では不意打ち条項は入れなかったというふうに私は理解しているんですが、そういう理解でよろしいと思うんですが、入れなかった理由をちょっともう一回わかりやすく説明してほしいと思います。
○政府参考人(金子孝文君) 不意打ち条項ですけれども、不意打ち条項というのは、交渉の経緯などから消費者が予測できないような契約条項ということであります。この条項の要件を明確にすることはなかなか難しいなということで、その明確性ということを基本にする本法案ではこの不意打ち条項に関する規定は定めなかったということであります。
○加納時男君 ありがとうございました。 それでは最後に、民主党さんにこの契約の不当条項、無効について若干伺いたいと思います。 民主党さんの案を拝見しますと、契約を無効とする、不当条項という言葉で呼んでいますが、これは第九条に書かれております。先ほどの契約の取り消しと若干似たような質問になっちゃうんですけれども、ここに書いてあるのは、例えば信義則違反のものであるとか、それから消費者の過重な義務を書いたものというようなものは無効だよとか、消費者の権利を制限するものはだめよとか、消費者の法的地位を不安定化するものということが書いてあるので、私もこれは抽象的に理解、考えましてごもっともなことをおっしゃっているなと思います。 だけれども、さっきの取り消しの場合と同じように、極めて包括的かつ抽象的なんですね。これはやっぱり光と陰がありまして、包括的かつ抽象的だということは非常にいろんなものが入り得ると言うけれども、陰の面としては、それで無効になっちゃうとするとややリスクがあるのかなという気もします。では、それを具体化しなきゃいけないんじゃないかと言うと、さっきの質問と全く同じなんですけれども、やっぱり民主党さんはそこは賢く、これはちゃんと決めますよと、こう書いてあるわけですね。どこで決めるのかというと、また政令だと、こう来るわけで、がくっときちゃうわけなんですけれども。 私は、政令委任がちょっと民主党さんの案は多いんじゃないかと。不当事項の判断と勧告とか、不当事項の公表権限だとか、こういう権限を委任していく、今度は知事に権限を委任するところもあると思うんですけれども。こういうことは私は若干、取締法規的なものならいいけれども、民事ルールとしていかがなのかなと思うんですけれども、この辺、専門家でいらっしゃると思うんで、御意見を伺いたいと思います。
○委員以外の議員(小川敏夫君) 限定的にしないである程度抽象的な表現を使ってあらゆるケースに対応できるようにしたということは、先ほどの取り消しの場合と同じような事情でございます。 特に強調したいのは、やはり消費者の保護を必要とするような悪徳商法というものがさまざまな形でありまして、そのさまざまな形も規制すればその規制を免れるような形でまた変容するというような、抗生物質とばい菌のような、何か耐性菌があらわれるような、そんな構造というか性質を持っておるわけです。 そうしますと、この点につきましても、政府案のように限定すれば、限定した部分に関しては非常に明確であるけれども、しかし限定した部分についてだけしか法が適用されない。そうすると、実際の生じている消費者事件というものに関して対応できない場合が出てきてしまうんではないかというのが民主党案のこのやや抽象的な、私はそれほど抽象的だとは思っていないんですが、抽象的という御批判をいただいている部分の規定を置いた趣旨でございます。 この規定の内容も、抽象的といいましても、やはりそれぞれ勝手に法律関係を変更できないものとか、過重な義務を要求するものとか、抽象的とはいいましてもかなりの程度具体的な基準が設けられております。ただ、これをなお混乱が生じないためにはやはり具体的なものを示した方がいいということで政令に任せておるわけです。 これを法律にしない、国会が決めた法律で、国会がそれを定めるのが適切という意見も確かにごもっともではございますが、しかし日常頻繁に生ずる消費者事件に直ちに適切に対応するという場合には、やはり国民生活センターとか行政部門で、直接そうした消費者被害事件に当たられる部門を持っている行政府が当たるのもまた適切な面もあるのではないかと思いまして、根本は、骨格は国会が決めておりますので、その決めた骨格の中で具体的な事例の明示は行政府でもよろしいのではないかというふうに考えております。
○加納時男君 小川議員は非常に論理的にわかりやすくお話しになると私は非常に前から敬意を持っているわけです。きょうのお話も非常に論理的で、部分的に論理的なんですけれども、全体を合わせると私はちょっと一貫性がないんじゃないかと。 今のお話も、第一は、あらゆるケースにたえられるようにしたい、限定すると危険であると一方でおっしゃりながら、そうはいっても今度は限定する、ある程度はっきりしているよとおっしゃっているわけですね。これはどっちなんだろうかという気もしますけれども。それからまた、消費者に対応するには迅速に対応する行政がいいんだと言うけれども、迅速に不適切に対応したら私は危険じゃないかと思うんです。そうすると、やっぱり国会の方が行政よりも私は優位にあっていいんじゃないかと、こういう民事ルールについては。 これは意見ですから、これ以上やりません。結構なお話ありがとうございました。 では、次の質問に移りたい。 今のお話を伺いながら感じたことですけれども、これは単なる質問ですけれども、こういう民事ルールの根幹部分を政令だとか指針といったようなものにゆだねている法律の前例があるのかどうかというのは私はどうも非常にわからないんですけれども。つまり、内閣がかわるたびに民事ルールが変わっちゃうと。迅速に変わるのはいいのかもしれないけれども、迅速に悪く変わったら非常に困ると思うのでございます。 私の心配は、取引秩序が不安定になるんじゃないかと。そういうことについては、小川議員はどういうふうにお考えでしょうか。
○委員以外の議員(小川敏夫君) まず根本は、でき得る範囲、可能な限り民主党の案におきましても具体化されております。 先ほどと同じような答弁になるかもしれませんが、事業者が一方的に法律関係の設定または変更ができるといえば、これはやはり非常に具体的になっておりまして抽象的ではないと思うんですが、これをさらに、じゃどういうことかといえば、解除権を一方的に認めないとか勝手な代金の変更権を認めるとか、考えますればこれはもう幾つだって考えられるケースが出てくるわけです。それを一つ一つ法律で決めるというのも、これは法律のあり方として余りにも、かえって、何という表現がいいのかな、粗雑というか、逆にまとまりがない法律になってしまうと思います。 ですから、それぞれの類型ごとにこれをパターン化して、その類型の柱となる問題点を言葉で表現すればやはり民主党のようなこの五つの表現かなということになるわけでありまして、これは消費者の保護等漏れがないようにという要請を満たすという上では非常に特定化された表現だと思っております。 それで、政令に任せることがいけないということは決して、とにかくこの法律の基本を国会が決めておるわけですから、国会が決めたその枠の中で行政府が政令で決めるべきことは決めるということでございますので、私は特に問題となる点は全くないんではないかと。 実際の紛争の取り扱いになれば、個々のケースの問題につきましては、これは国会が判断するんではなくて、この法律に基づいて裁判所がこの要件に当たるかどうか個々のケースの該当を判断するわけでございます。そういった裁判所が判断する上においても、これは十分に民主党の案におきましても要件が具体的に特定されていると私は思っております。
○加納時男君 どうもありがとうございました。 いろいろ私、率直な質問をしまして、率直に答えていただいて、非常にこういう議論を国会でぜひやっていきたいと思っております。 結びとしまして、私は、感想ですけれども、民主党さんの案、随分よくお考えになったなということは評価したいと思っています。しかし、どうしてもやっぱり私は、先ほどから申し上げているように、民事ルールの根幹にかかわる部分を政令に任せているというのはどうも余り記憶がないんですね、私には。そういう法律は余り記憶がないものですから、どうも気になるということが一つ。 これは、政府の裁量によって消費者の救済レベルを拡大したり縮小したりすることも、そんな気はないよとおっしゃるでしょうけれども、法律ができてしまうと、この法律をそのとおり読むとあり得るわけなんで、私は、契約自由の原則への国家の過度の介入、私は行政の介入というのはすごく嫌いな人間でありますけれども、そういう意味では行政の介入が懸念されるというのは非常に不安があるということを申し述べて、時間は少し早いですけれども、私の質問をこれで終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。昨日は本会議でも代表質問をさせていただきましたけれども、きょうも委員会の質問をさせていただきます。 私たち日本共産党も、日夜消費者トラブルの解決に当たっていらっしゃる消費者団体の皆さんや日弁連の皆さんとも力を合わせまして、早期に消費者の権利を守るという立場から実効性のある消費者契約法の成立ということに努力をしてまいりました。衆議院では野党の皆さんとも協力をいたしまして修正案を提出させていただいたわけでございますが、参議院では与野党の力関係も大変拮抗いたしておりますので、ぜひ各会派の皆さんとも力を合わせまして、よりよい消費者契約法をつくっていくためにぜひ力を合わせたいというふうに思っております。 それで、民主党案につきましては私たちも質問を準備したんですけれども、円議員の方の質問にほぼ盛られておりますので、質問は御遠慮させていただきましたのでお断りをしておきたいと思います。 まず最初に、大臣にお伺いいたしますけれども、一九九四年に制定されました製造物責任法とこの消費者契約法の位置づけについてお聞きをしたいわけです。 先ほど来も御質問がありましたけれども、製造物責任法は、製品の欠陥を原因とした生命、身体、財産などの被害に対して無過失責任、賠償責任を課す、それで消費者の安全を守ることを意図したものでございました。今回の消費者契約法というのは、製品やサービスなどの消費者契約における契約過程や契約内容について定めることによって消費者の利益を確保するものと考えておりますけれども、消費者行政におけるこの二つの法律の関係、位置づけについて大臣のお考えをお伺いいたします。
○国務大臣(堺屋太一君) 製造物責任法は、規格大量生産が進みます現代社会において消費者の安全性が製品の製造者に依存する度合いが高いということから、そういう背景で故意または過失がなくても製品に対して欠陥があるということを責任要件として損害賠償責任を規定した、こういうことでございます。従来の法律では、民法七百九条においては故意または過失というのを責任にしておったわけでございますが、これに製品に欠陥があるというのを賠償責任の原因にした。したがって、これは物の方、形のある物の方を規定しております。 今回の消費者契約法は、消費者と事業者との間に存在する契約締結の情報あるいは交渉力の格差、そういったものに着目をいたしまして、消費者が事業者との間に契約するものにつきまして、事業者の一定の不適切な行為によって消費者が誤認または困惑をした場合について契約を取り消すことができる、また民法等の任意規定を排除する特定の条項、例えば損害賠償の規定を全くなくするとか過大な違約金を取るとか、そういうようなものを除くという、契約過程とそれから契約条項、この二つに体系的に規定することによって消費者の利益を守ろうということでございます。 この両法律は、片一方は物の製造物でございまして、こちらは契約過程及び契約条項でございます。この二つが車の両輪となりまして、総合的に消費者の被害を防止して、これからの多様な自由競争の世の中で消費者の利益を擁護する。そして加えて、こういうものがありますことで消費者が安心して新しい業態あるいは新しい製品を使っていただく、あるいは契約を結んでいただく、そういうことでどんどんといい方の、より効率的でより便利な世の中ができる、より安全な生活ができるようにしようと、そういう趣旨でこの二つの法案を車の両輪としてこれからの消費者行政の支えにしていきたいと考えております。
○西山登紀子君 車の両輪ということで、消費者のそういう利益を擁護する、支えにしていくという御説明があったわけですけれども、これは九四年の製造物責任法の制定の際にもやっぱり議論があったところですね。製品だけでなくサービスも含めたルールづくりの必要性については、最近急に議論があったわけではありません。もうあれから六年もたっているわけでございますね。 ですから、消費者契約法の提案がなぜこのようにおくれたのか、必要性はその当時から議論があったのにということで、なぜこんなにおくれたんでしょうか。御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(金子孝文君) 消費者契約法案ですけれども、これは製造物責任法の検討を終えた後に、国民生活審議会が六年前からその検討を行ってきたわけでありまして、委員御指摘のとおりであります。しかし、民事ルールの具体的内容についていわゆる中間報告という形で試案を得てから約二年で国会に提出できたということであります。 それで、一方、製造物責任法でございますけれども、製造物責任法は、昭和五十年に私法学会によるいわゆる我妻試案が発表されたわけですけれども、その昭和五十年から約二十年かかってこの法律が、製造物責任法ができたということで、片や二十年、片や二年だということを考えますと、二年で成果を得た消費者契約法案は、その範囲、これも製造物責任法よりもはるかに広いわけですけれども、ということを考慮しますと、比較的短期でまとめられたのではないかという認識をしている次第であります。
○西山登紀子君 いろんな比較のやり方があるものだなというふうに思ったわけですけれども。 昨日も私は本会議で、トラブルがどれだけふえているのかということで、消費生活年報に掲載されておりますPIO—NETの統計を御紹介いたしました。それには、九八年のデータでは六十三万件とトラブルの相談件数がふえている、それは八〇年当時の三・二倍だと御紹介しました。八〇年、ちょうど二十年ほど前におよそ二十万件の相談件数があったのが、今、この二十年の間に六十三万件、実に三・二倍ということで、トラブルの被害、消費者被害というのは非常に格段にふえております。さらにその中でも、契約に関するトラブルというのが約九割を占めるという、非常に内容的にもふえているわけですね。 私は、政府は一方で規制緩和規制緩和と、こういうふうにやりながら、事消費者被害に対する対応というのは、どちらかというと個別法で対応してくる。後追い型というふうに言えると思うんですけれども、この点は、政府のいろんな出版物を見ましても、これではやっぱり対応に限界があるということは率直に認められていると思うんですね。 この消費者契約一般に適用する民事ルールの制定がおくれたために、先ほど早いじゃないかというような弁解がありましたけれども、おくらせてきたために被害に遭った皆さんに対してはやっぱり政府はその責任を重く受けとめていただかなければならないと思うんですけれども、その点についての大臣のお考えをお伺いします。
○国務大臣(堺屋太一君) 私が今から二年前に担当大臣に就任いたしまして、消費者契約法の制定を緊急かつ重要な政治課題といたしまして、国民生活審議会、あるいは事務当局、また消費者団体の方々、いろんな方々に御相談もし督促もしてきたところでございます。 確かに、委員御指摘のように、最近消費者契約に関するトラブルがふえておりますし、またトラブルを意識して相談される方、この率もふえている。事件そのものもふえているんでしょうけれども、そういう社会的に表に出てくる率もふえている、こういう感じがしております。 幸い、平成十年一月に国民生活審議会の中間報告という形で試案が取りまとめられました。これはいろいろ問題点を並べたようなものでございまして、こういう法律をつくれというよりも、こういうところを議論しようというような形で試案がまとめられました。それから、国民生活審議会において法案の内容についていろいろと議論がありましたし、各方面、関係される方々あるいは学識経験者、いろんな方々とも議論をいたしました。 本当のことを言いますと、なかなかこれはまとまらないんじゃないか、今国会も危ないんじゃないかと思っていたことが随分ございます。それが幸いにしてコンセンサスが得られまして、今般こうして法律が出せたわけでございます。 そういうことを考えますと、今までトラブルがあって被害に遭われた方々がどうしてくれるんだということはあるかもしれませんが、我々といたしましてはかなり頑張って一生懸命やったつもりでおりますので、慎重審議の上、どうか御同意いただきたいと思っております。
○西山登紀子君 私たちはもっともっと内容のいいものを、消費者、国民の皆さんの期待にこたえ得る、そういう契約法をつくるということにやぶさかではございません。大臣が言われましたように、確かにトラブルの件数はふえている、契約の内容に関するものがそれの九割を占める。しかし、消費生活センターに相談に来たのは全体のわずか二・一%だと、昨日も御紹介しましたけれども。つまり、表に出てきたのはそれだけのわずかで、もっともっと泣き寝入りをしているというんでしょうか、本当に表に出てきたのは氷山の一角というか、被害者はもっともっとたくさんいらっしゃるんじゃないか。 そういう被害者の皆さんに対して、こういう制定がおくれてきたという責任について、大臣の御努力されているということについては私たちも承知をしているつもりではございますけれども、やはりこの間非常にたくさんの被害者が泣き寝入りというか放置されてきた状況については政府は重く受けとめて、重く受けとめるということがやっぱり私はこの法律をよくしていく大前提にあると思いますのでお聞きをしたようなわけでございます。 それで、内容に入っていきたいと思うんですけれども、この消費者契約をめぐるトラブルの原因というのは、契約の締結に先立って契約内容を理解するに必要な情報というものが十分提供されていないということが圧倒的に多いわけでございます。特に、トラブルになったケースというのは、消費者がそのときの必要性から自主的に求めているというよりも、むしろ事業者の売り込みによるものが圧倒的でございます。 したがって、私たちは、事業者が消費者と契約するに当たりまして、その内容を十分に説明する責任があるということを昨日の本会議でも申し上げ、契約の内容に関する情報の提供の義務づけ、これは不可欠であるというふうに考えて御質問させていただいたわけですけれども、私は昨日の御答弁は大変問題があるというふうに思っているわけです。 私の質問に対する答弁は、結論的に言いますと、この情報提供の義務というものを法律にきちっと明記いたしますと、事業者にとって予見可能性を欠いて、健全なビジネスの発展を阻害しかねない結果になりかねませんという答弁をされたわけです。これでは、本法案の目的の第一条に定めている消費者の利益を擁護する、格差の是正もきちっとお認めになって、その上で消費者の利益を擁護するという目的にはこれでは沿わないということをみずからお認めになったような御答弁に思えるんですけれども、この点はどうですか。
○国務大臣(堺屋太一君) 情報提供義務というのは、これが取り消しという大変民事ルールとしては強い効果を発揮するものでございます。したがいまして、仮に情報不提供ということをこの取り消しの対象といたしますと、どういうことを言わなかったら取り消しになるのか。それから、すべてを語らないと取引、契約が成立しない。そうなりますと、少額契約あるいは一般的な生活のものまで非常な手間がかかってまいります。 確かにそれによって被害というものがないことはないでしょうけれども、逆にそれを全部に義務づけますと、大変手間のかかる、一般的な普通の契約条項、普通の取引条項が阻害される面が大変大きく出てくるんじゃないか、そういう考え方もございます。それで、これは絶対的な義務として取り消しの条項にするのにはきついんじゃないか、こう考えているわけでございます。
○西山登紀子君 各種のマスコミなどもこの消費者契約法案については、骨抜きだというふうな厳しい見出しがついている報道もございますし、実効性は不透明だ、要するに消費者と事業者の折衷案なんだというふうな見出しもございます。 事業者の説明義務が消えてしまって、消費者団体の皆さんの中には非常に落胆が広がっている。まあ、ないよりはましだというような厳しい批判もあるようなところでございますが、やはり私は、こういう格差を認めながら事業者の情報提供をしっかりと義務づけないというところにこの消費者契約法案の、やっぱり皆さんが心配していらっしゃる、消費者のためじゃなくて、どうも事業者の圧力と言ったらあれでしょうが、そういう意向に負けたんじゃないかというような、そういう点がここの義務規定をしなかったということでどうも払拭することができない。そして、昨日の御答弁では明快に、事業者にとってという、健全なビジネスの発展を阻害しかねない結果を招きかねないからここに明記しなかったんだというふうなことをあからさまに答弁なさいますと、ちょっとこれは、消費者の権利擁護にこの法律はどうなのかなというふうな懸念を強くするわけでございます。 次の質問に移りますが、同じような第一条の目的に関係することなんですけれども、格差の存在を明確に認識した上で消費者の利益を擁護する、この目的の一条というのは私は正しい規定だろうというふうに思っているわけです。この認識に立つのであれば、この格差の是正のためには、先ほど来申し上げておりますように必要最低限の、私たちは必要最低限の措置として情報提供の義務というのは不可欠だと思っているわけです。 ところが、この不可欠である情報提供の義務というものを明記しない一方で、消費者に対しては契約内容の理解、努力しなさいということを一方で第三条で設けておりますね。これは、私たちは本末転倒だというふうに思うんですけれども、どうですか、考えが逆立ちしていませんか。
○政府参考人(金子孝文君) 先ほどから大臣も答弁しておりますけれども、この努力規定でございますけれども、これは事業者及び消費者の間では努力の程度、そこに差をつけているわけであります。 それは、その情報力あるいは交渉力の格差にかんがみて、事業者には情報を提供する努力を求めるということであります。消費者には事業者から提供された情報を理解する、理解ということで集めろとは言っていないわけです。片方は提供する。提供されたものを理解せよと、自分で集めてこいと言っているわけじゃありませんから、そういう面で努力の程度にかなりの差があるということはひとつ御理解いただきたいと思います。 それから、消費者だけが努力をせよと言っているんではなくて、まずその前提として事業者に情報提供努力を求めているわけでありますから、そうして与えられた情報などを活用して消費者に契約内容を理解する努力を求めるということによって消費者の十分合理的な意思決定が行われるということは、まさに消費者の利益の擁護にかなうものではないかと私どもは考えている次第であります。
○西山登紀子君 それでは法務省にお聞きしたいんですが、来てくださっていますか。 この法案の今御説明がありました第三条の規定について、実際に訴訟になった場合、裁判官は、この第三条で定める事業者と消費者に対するこの規定は、判決に当たってはどのようにしんしゃくするというか、判決に生かすのでしょうか、これをお聞きしたいと思います。この第三条の努力規定というのは。
○政府参考人(細川清君) 第三条は、事業者及び消費者に対し、それぞれ条文に規定された内容の努力をすることを求めるという趣旨の努力規定、いわゆる訓示規定でございます。 したがいまして、この規定には特段の私法上の効果はなく、第一項について、これまでの裁判例に見られた事業者の説明義務に関する考え方に悪影響を及ぼしたり、二項につき、これにより消費者が新たに法的義務を負ったり消費者の保護の範囲を狭めるものではないというふうに考えております。 判決でどういうふうに生かせるかということでございますが、もともとこの法律の第一条で情報量に格差があるんだということは明確になっておりますから、それを念頭に置いた上で、従来認められていた説明義務を事業者が尽くしていたかどうかということを裁判の上で考慮するということだろうと思っております。
○西山登紀子君 ちょっと最後が聞こえにくいので、もう少しはっきりと御説明いただけますか。ちょっと聞こえにくいんです。
○理事(馳浩君) 細川局長、もう一度明確にお話しください。
○政府参考人(細川清君) 済みません、明確なつもりだったんですが。 最後に申し上げましたことは、この法律の第一条で消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力に格差があるんだということを明確に言っておりますので、そういったことを念頭に置いて裁判でも、事業者がなすべき説明義務を尽くしたかどうかを裁判所が判断するであろうということを申し上げたわけでございます。
○西山登紀子君 事業者には説明の義務があるというふうに裁判所は考えているんでしょうか。
○政府参考人(細川清君) これは、個別具体的な場合に、一定程度まで説明しないと正しく契約をしたことにならないという一般的な信義則の考え方から、そういう場合があるということは判例で認められているものもございます。
○西山登紀子君 判例では認められているものがあるということなんですが、この消費者契約法案の第三条の「事業者及び消費者の努力」ということで、「情報を提供するよう努めなければならない。」、一方は「理解するよう努めるものとする。」という、この二つのちょっと書きぶり、言いぶりが違っておりますね。 この書きぶりは、確認いたしますけれども、裁判になった場合に事業者に対しても消費者に対しても、この規定を根拠にして双方の権利義務に変更を与えるんでしょうか、何ら変更を与えるものではないというふうに理解する方がいいのでしょうか、どっちなんですか。
○政府参考人(細川清君) これは、先ほども申し上げましたとおり努力義務の規定で、いわゆる訓示規定でありますから、直接的には私法上の効果はないというふうに考えた方がいいのではないかと思っております。
○西山登紀子君 いろいろ書きぶりは、経済企画庁の説明では、事業者の方にかなりその努力の度合いをきつく要求している、消費者の方には理解するよう努めるということで、少しその努力の度合いを少なく要求しているんだ、こういうふうな説明が今まであったように思うんですけれども、今のお話だと、まあこれは裁判になったような場合には単なる建前規定といいますか、余り双方の権利義務には影響を与えるものじゃないんだというふうに御説明になったと思うんです。 そこで、大臣にお伺いしたいわけですけれども、実際の裁判になれば、これはいわゆる建前規定であって裁判に直接影響を与える項目じゃないということなんですけれども、政府の説明だと、しかし両方には少し差をつけてあるんだ、事業者の方には少しきつい表現になっているんだというふうにたしか御説明が今まであったと思うんですけれども、大臣、私たちは義務規定にすべきだと思っておりますが、しかし努力規定にして、なおかつ事業者の方に少し差をつけてあるんですよと言われる以上は、少しは効果があるようにしなきゃいけないと思うんですけれども、これは少しでもその効果を期待していいのでしょうか、あるいはその期待する効果を発揮させる何か方法をお考えになっているでしょうか、それが一つ。 もう一つは、私たちが気になっておりますのは、この努力規定が、裁判になったら双方に、事業者にとっても消費者にとってもこれは影響を与えるものではないと、建前規定なんだということはそうだと思うんです。 それでは一方で、消費者がトラブルに実際に巻き込まれた局面で、消費者が事業者から説明を聞いていないあんたの方が悪いんだというふうに詰められて、この法律にだってちゃんと理解をする努力をするということが書かれているじゃないかというふうにこれが使われて泣き寝入りをするようなケースが生まれないかどうか。それはもう全く生まれない、心配ないよというふうにおっしゃっていただけるかどうか、この二つの点を大臣にお伺いしたいと思うんです。
○政府参考人(細川清君) 先ほど申し上げましたのは、直接的には私法上の効果はない、つまり取り消し等の効果が生ずるわけではないということを申し上げたわけです。 この法案では、事業者と消費者の間の努力義務については明らかに事業者の方に重い努力義務を課しているわけでございますので、例えばぎりぎりのところで錯誤に当たるかそれから詐欺に当たるかあるいは信義則の適用があるかという場面では、この法律の立法趣旨に照らして裁判官が判断する、そういう意味でこれは効果があるということでございまして、直接的に取り消し等の効果が生ずるという意味ではないという意味で、直接的な私法上の効果がないというふうに申し上げたわけでございます。
○国務大臣(堺屋太一君) 今裁判の場合についてお話がございまして、法令としての効果は別として、裁判官の心証その他には影響があるということですが、これがまた裁判外紛争処理ということになりますと、その場でこの立法趣旨そしてこの法案の書きぶり、こういったことは十分考慮して考えられるケースが出てまいります。したがって、全く効果がないということではございませんで、この違いはかなり事業者に対して圧力になり、消費者に対して救いになる部分があると思います。
○西山登紀子君 二つ質問しているんですが、大臣、私は、その三条の二項で、こういう努力規定が消費者にもあるんだぞといって、トラブルになったときに、かえって消費者が事業者から詰められると、そういうことにこれは悪用されませんか。そういうケースは絶対ありませんか。
○国務大臣(堺屋太一君) そのために書きぶりを変えておりまして、消費者の方から事業者に説明が不十分だったという詰め方と、それから消費者が理解していなかったという詰め方と、責任の度合いは少し差が出てくるだろうと思います。 それで、先ほども申し上げましたけれども、消費者が努力していないから取り消しができないとか、あるいは過失相殺とかというようなことにはなりません。
○西山登紀子君 裁判になった場合も、それはならない場合も、抑止力というのでしょうか、この法律が消費者の利益を守るためにそういうふうに働くということは非常に大事なことなんですけれども、今大臣がおっしゃったように、この努力規定があるからといって、あんたが悪いんだと、理解が不十分だと、あんたの側に責任があるんだよということで消費者が引っ込むというのですか泣き寝入り、我慢をしなきゃいけないというようなケースは、これはあってはなりませんけれども、ないんだということを確認させていただいていいですか。
○国務大臣(堺屋太一君) そういうことはあるべきでないと思っております。
○西山登紀子君 あるべきではないんですけれども、ないようにするために大臣はどうなさいますか。
○国務大臣(堺屋太一君) もしそういうトラブルが何らかの形で表面立つといたしますと、消費生活相談員とかなんとかというような人たちのところへ持ち込まれたといたしますれば、あなたの努力が足りないからこうなったんだというようなことはないようにその相談員なりなんなりが応じるということになろうかと思います。
○西山登紀子君 そういった場合には、当国会での大臣の御答弁をぜひ生かすようにという趣旨だと受けとめさせていただきたいと思うんです。 しかし、現実はそんな甘いものではありませんので、やっぱり私は、こういう消費者に対する努力規定を、一方で事業者に対して義務をきちっと課していないという、課していないのに消費者にこの努力規定を明記するという、これはやっぱりまずいことだと、なくすべきだというふうに考えるものでございます。 次に質問を移らせていただきますけれども、四条に規定していることでございますが、消費者契約それ自体を取り消すことができる場合について具体的にお聞きをしていきたいと思います。 取り消すことができる場合についてですけれども、提供された情報の内容にかかわるものと勧誘行為にかかわるもの、二つの側面から規定をしているわけでございます。情報に関する部分について言いますと、重要事項について事実でないことを告げる、それから変動が不確実な事項について断定的判断を提供する、また重要事項について利益になることを告げて不利益になることを故意に告げなかったという、非常に三つのこのケースに限っているわけですけれども、なぜこの三つに限ったのでしょうか。
○政府参考人(金子孝文君) その情報の点でありますけれども、誤認することを考えてみますと、大分今議論になっているような情報を提供しなかったということもそれは一つだと思います。それからもう片方では、うそを言うという、その間にスペクトラムみたいなのがあって、そこを一体どのくらいまで取り入れようかというのが私どもが随分考えたところであります。 それでまず、また繰り返しになりますけれども、情報を提供しなかったということを果たして取り消しに値するような要件とするかどうかということでございますけれども、これは要するにすべての情報を提供するためには相当な努力が必要なわけです。何を言ったらいいのかということで、十分に気をつけながらそこを決めていかなきゃいけないということで、それはやはり明確に法がこういうことは情報提供しなさいということを決めないと、やはり事業者としてもしっかりした情報提供はできないだろうということで、包括的なルールの中で情報の不提供を取り消しという強い効果を持つものとして明定することはできないだろうということで、情報の不提供ということは取り消しの要件として明定しなかったわけです。 そうなると一体どうなのかということになりますけれども、片方で先ほど言いましたうそを言う、つまり事実と異なることを言う、これは異なることを言わないようにすればいいわけですから、それくらいはしっかりやってほしいというのがまずあると思います。 それからもう一つは、断定的判断の提供ですけれども、これもそうなるかもしれないわけですから必ずしもうそではないかもしれない。でもやっぱりいろいろなトラブルを見てみますと、いやこの株が二倍になりますからと、なるかもしれないわけですから全くうそじゃないかもしれないけれども、相当のケースそういうことにならないということでトラブルが非常に起きているということで、不実でもなく情報の不提供でもないけれども、これはやはり取り消しの要件とすべきものではないかということで、不実告知に並んでこれが入ってきたと。 三番目の問題ですけれども、非常に利益がありますよと言うわけですけれども、それと密接に関連するような不利益、これを一般的な人が余り理解していないのを言わなかったということでありますけれども、これは何かというと、やはりこれはまさに情報の不提供なわけです。 しかし、先ほど申しましたように、何でもかんでもの情報提供というのは非常に事業者にとって不利なわけでありますけれども、いいことを言った、それと非常に密接な関係があって得る不利益、しかも消費者がそれを知らないようなこと、それはしっかり言ってもらう必要があるんじゃないか。それを言わない場合にはやはり契約の取り消しに該当するのではないかということで、その三つ、つまり不実の告知、断定的判断の提供、不利益事実の不告知、不利益というのは利益であるといった非常に密接な反面的なような不利益事実の不告知ですけれども、その三つを誤認とし、これにより消費者が誤認して契約を結んだ場合には取り消しすることができるということを定めたものであります。
○西山登紀子君 それでは次に、第四条の第一項第一号と第二項で言う「重要事項」の中には、契約の対象である商品やサービスの内容と契約条件に限られています。ここでもまた限られているわけですけれども。 そこで、政府は、先ほどるる説明ありましたけれども、情報提供に係るトラブルがこの第四条の第一項、第二項、第四項ですべて救済できると考えているのかというのが一つです。 それから、こうやって限定をしていきますと、例えば、昨日も私、本会議で例に出させていただきましたけれども、事業者が家庭の水道水の検査をして、お宅の水は発がん性がありますよと言って浄水器を売りつけるようなケースは対象にならないのではないでしょうか。それが二点目です。 それから三点目は、これまでの情報提供に係る被害例で救済されないことになるケースにどんなものがあるのか、ちょっと列挙して説明してほしいと思います。
○政府参考人(金子孝文君) この消費者契約法は、もう先ほど何回も議論になっていますけれども、包括的な法であります。したがって、そこには健全な事業者あるいはいわゆる悪質な事業者、いろいろ入っているわけであります。 それで、悪質な事業者だけを見ると、もっとこの法律を厳しくした方がいいんじゃないかと私もそう思います、それだけを見れば。しかし、善良、通常の事業をやっている事業者が多分九九・九九%以上あると思うんですけれども、非常に悪質な事業者を取り締まるような、あるいはそれが契約の取り消しが行われるような厳しいルールにしますと、したがって健全な事業者の事業活動を阻害してしまうということになりますから、その非常に悪質な事業者の面について適用ができないという面はあります。 それで、その一つがさっきおっしゃった水道水に発がん性物質が含まれているということですけれども、お宅の水道水に発がん性物質が含まれているぞと言って浄水器を買わせるということですけれども、これは確かに、この場合には発がん性が含まれていても、目的物というのは浄水器ですから、浄水器について事実と異なったことを告げない限りこの取り消しは認められないということであります。ただ、それが非常に悪性が強い場合には詐欺などになるということであります。 それから、それ以外に消費者契約法で救済されないケース、これは今申し上げたようなこと、それから消費者センターなどでは、そもそも契約になっていないような事例とか、それから代金を支払ったのに商品が送られてこないとか、あるいは先ほども問題になりましたけれども、債務不履行の問題だとか、そんなような問題がいろいろ来ています。 したがいまして、消費者被害の救済、これはこの消費者契約法、これができることによって非常に大きな効果がありますけれども、これだけではなくて、これまでの民法、それからこれまでいろいろ使われてきた個別法、そういうものが相補完し合って消費者被害の公正かつ円滑な救済が図れるということで御理解をいただきたいと思います。
○西山登紀子君 お宅の水は発がん性がありますよというふうに言ったことが非常に動機づけになって浄水器を買っちゃうというようなことは、これはもう対象にならないということになってきて、それはもう民法の詐欺罪でまた解決してくださいということになりますと、やっぱり期待をしている、この契約法ができればもっと迅速に、もっとわかりやすく消費者被害が解決するというふうに期待をしている消費者、国民にとっては、やっぱりちょっとこれは使いづらいなと、あるいは網羅的といっても何だか非常に限定されちゃうんだなというふうに非常に落胆をさせるようなところになりますので、私はやっぱり、もう少しこれは動機なども含めて対象は広げるということが必要じゃないかというふうに思っております。 さらに、問題は故意の問題、これが非常に私は問題だと思うんですね。消費者に利益になるということだけを言って、そして不利益になることを故意に告げなかった、その場合には取り消しができるという規定になっております。しかし、事業者が故意に告げなかったことを立証する責任は消費者の側にあるわけですね。それは非常に極めて難しいことではないでしょうか。 本会議の私の質問に対する御答弁ではこうなっています。民法の詐欺における相手方をだまそうとする意思よりも程度の弱いものでございますので、消費者にとってこれを立証することは民法の詐欺に比べると容易であると考えているというような御答弁なんですね。 またちょっと法務省にお伺いしたいんですけれども、これは民法で言う詐欺と、それからこの契約法で消費者が立証しなければならないこの故意ということが一体法律的な概念上どう違うのか、その点を御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(細川清君) 民法における詐欺が成立するためには、表意者、つまりこの場合は消費者ですが、表意者を錯誤に陥れ、その錯誤によって意思表示をさせることを意図していることということが二つ必要です。ですから、いわゆる二重の故意が必要であるとされているわけであります。これに対して、本法案の四条第二項による不告知の類型は、このような二重の故意を要件としていないという点で、詐欺とは異なる類型の取り消し規定であるというふうに考えております。
○西山登紀子君 詐欺罪の場合には、詐欺であるという二重の故意というものを立証するのも、訴えた側にその立証の責任があるんですけれども、それを立証する方法というのは例えば具体的にはどんなものをそろえるというんでしょうか、必要なんでしょうか。
○政府参考人(細川清君) 故意というのは、ある事実があるかないかを知っていることというのが民法上の故意でございまして、詐欺罪というのは刑法上の問題ですから、それとは異なります。ですから、そのことを知っていたかどうかというのは本人の内心の事柄でありますから、なかなか直接証拠はないわけですけれども、客観的状況から見て、こういうときにはこの事業者の使用人は知っているに違いないと、そういうことが認定できれば、それは裁判でもそれを積極的に認定することはできるわけでございます。ですから、申し上げますと、故意の認定は、直接証拠に限らず、間接証拠であっても状況から推認しても差し支えないということでございます。
○西山登紀子君 経済企画庁にお伺いいたしますけれども、これは実際、消費者が故意の立証をするということは詐欺よりは易しいんだとおっしゃるんですけれども、先ほども詐欺の場合どういうものをそろえたらいいかとお伺いしましたけれども、私はやっぱり、この内心の故意の立証というのは極めて難しいものだというように思うわけですね。 そこで、故意の立証、詐欺ほどではない、容易だというふうにおっしゃいますけれども、具体的に、例えばわかりやすい例で、どの程度の内容を消費者がそろえればいいのか、その辺はお考えになってお決めになっているんでしょうか、説明してください。
○政府参考人(金子孝文君) この法律の故意というのは、先ほど大臣も説明いたしましたけれども、当該事業者が当該事実が当該消費者の不利益となることを知っており、かつ当該消費者が当該事実を認識していないことを知っていながらあえてという意味であります。 それで、そのときにその証明をどうするのかということですけれども、そのときに消費者は、今のことからいけば次の二つのことを証明すればいいということになります。 その一つは、この事実が私にとって不利益であることを事業者は知っていたでしょうということをまず証明する必要がある。二番目は、私がこの事実を認識していないことを事業者は知っていたでしょうと。その二つを証明すればいいということになります。 例えば、この例が適切かどうかわかりませんけれども、私どもがよく考えるのは、一九八〇年代の中ごろに出てきた変額保険であります。変額保険のときに、あれはどういう売り方をしたかというと、これはこれまでの保険に比べるとすごく利回りがいいですよと言ったわけですね。ところが、それまでの保険の常識というのは元本割れをするということはなかったわけですけれども、それを言わなかったということでトラブルがかなりあると思います。ということで、この場合については、特に新しい生命保険というのが出てきて、みんながその内容をよくわからない。そのときに、その利回りはいいですよという利益を言うわけですけれども、その反面の額面割れすることがありますということを言わなかったということ、それがトラブルだと思います。 そのときに消費者は何を証明すればいいかというと、額面割れをするということが不利益だなんというのは大体事業者は知っていると思いますから、それは非常に簡単に証明できるのではないか。それから、私がそういうような額面割れをするなんということは知らなかったということをあなたは知っていたでしょうということですけれども、しかし、それは非常な新しい生命保険の商品ですから、普通の人はこんな額面割れをするなんということは大体知らないのではないかというようなことになりますと、それは、これも両方の内心ですけれども、ただ客観的な情勢として、特に新たな商品、サービスが出てきたときに、みんながそれを気がつかないわけですから、そこの客観的な事情がそういうことであれば、そこは裁判に行っても裁判官の心証が十分得られるのではないか。 特に、これは第四条の第二項を読んでいただきますと、この「不利益となる事実」というのは、「当該告知により」、当該告知というのは利益を言ったということですけれども、「当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。」と言っているのは、通常はそんなことは思わないようなことをここで不利益として問題にしているわけですから、私はその証明というのは、詐欺における二重の故意に比べればはるかに容易ではないかと、こう考えている次第であります。
○西山登紀子君 私はいろいろ伺ってもよくわからないんですね。 それで、やっぱり内心の、故意でうそをついた、あるいはうっかりして告げなかったにしろ、故意に告げなかったにしろ、だます意思を持って告げなかったにしろ、重要な契約でいいことだけ言って、消費者に利益になることだけ言って、そして不利益になることを告げなかったという事実だけでも、私はやっぱりそれは事業者の責任であって、決してそれは消費者の側の責任ではないと。何でここに故意にというふうなややこしい内心の問題をわざわざ入れたのか。何か取り消しになかなかできないようなものをわざわざここにつけた、それこそ故意につけたというふうにしか思えないんですよ。 だから、私はもう最後に、時間がないですから大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、堂々とお商売をやっていらっしゃる事業者であれば、うっかり告げなかったにしろ、故意に告げなかったにしろ、だます意思を持って告げなかったにしろ、消費者が不利益になることを告げなかったという事実については事業者が責任を負うというのが、これはやっぱり私は社会的なモラルとして当たり前のことじゃないかと思うんですよ。だから、故意の部分について私はやっぱり削除すべきだと思いますけれども、削除するとはおっしゃらないと思いますから、大臣にこれだけ私はお聞きしておきたいと思うのです。 今言ったように、うっかり告げないにしろ、故意に告げないにしろ、だます意思を持って告げないにしろ、相手方の消費者に重大な不利益を与えたような場合は事業者が責任をとるというのが、これはやっぱり事業者としてのモラルじゃないでしょうか。その点については大臣どうですか。
○国務大臣(堺屋太一君) 今までの議論を総括的に申し上げますと、この消費者契約法というのは非常に包括的に労働契約を除くすべてに適用される、まずこれが第一にございます。そして、一方においては、民法があり、特別法があり、その間にこの消費者契約法があると、そういう法体系全体の問題がございます。そして、これを円滑に実施していくというためには、特定の悪い事業者だけを例に挙げるんじゃなしに、平均的、いい人も悪い人もいろいろいると、こういう世の中の事情をやはり見きわめていかなきゃいけないと思うんですね。 それで、この故意というのは、先ほども説明させていただきましたように、自分はこれは不利益なことだと、相手にとって不利益なことだと知っている、そして相手は知らないということも知っている、それであえて告げなかったということですが、相手が当然知っているからと思って告げなかった場合もあります。そういうときにこれが取り消しになりますと、非常に大きな影響があるわけですね。そうすると、相手が知っているのかどうかわからないことは全部告げなきゃいけないという、大変、相手が知らないとはっきりわかっている、そして不利益だ、それを知らないだろうという意思があって告げない場合はあれですけれども、じゃ、相手のその知識状況を全然推しはからないで、例えばこの人は銀行員だったらこのぐらいのことは知っているだろうと思って言わなかったのに、それでひっかかるというのでは、非常に何事にも一々手間がかかってしまうんですね。それは、今変額保険の例が出ましたけれども、もっと小さい取引、通常的な取引にまでいきますと、これは非常に手間がかかるようになりまして、この取り消しという重い事実とのバランスがとれなくなってくるんじゃないか。 そういうことを考えますと、確かに委員おっしゃるように非常に悪質な例を挙げてまいりますと問題が残りますけれども、全体として包括的な法律ということを考えますと、これはやはり必要な条項だろうと考えております。こういう全体のバランスということがやっぱり、これは単に事業者のためではなしに、消費者が健全に便利に暮らせるためにも必要な条項だろう、こう考えております。
○西山登紀子君 いや、これはどうも私はちょっと納得いかないんですよね。 やっぱり消費者にとっては、うっかりであろうが、故意であろうが、だます意思であろうが、告げられなくて不利益になれば、それはやっぱり取り消すというのが最も消費者の利益にかなうことでありまして、これはもう常識の問題じゃないかなと。あえて故意を入れることによって、本当にスムーズに取り消しができることでもあえてこの取り消しができないようになってしまう、これがあるためにですね。これはちょっとやっぱりなくすべきだというふうに思います。 それで、時間がありません、最後に大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、第十条の問題なんですよね。これは、一般条項が盛り込まれたということは積極的に評価をしたいと思うんですが、先日の代表質問でも申し上げましたけれども、この現場の実際消費者トラブルの解決に苦労していらっしゃる消費者相談員の皆さんからは、使い勝手のよいものにしたいので、いわゆる日弁連などが出していらっしゃるブラックリストやグレーリストをきちっと盛り込んでいただきたいという声が上がっているわけです。そこで、やっぱりそれを盛り込んだ方がよりトラブルの迅速な解決に役立つと思うんですけれどもどうかということが一点。 それから、やっぱりこれからこの法律を使って実効性のある、効果を上げていくためには、現場の相談員あるいは弁護士の皆さんのお力がどうしても必要です。だからこそ、今そういう現場の相談員の方や弁護士の皆さんが声を上げていらっしゃるように、ブラックリスト、グレーリストをきちっと法律に盛り込むということの方が効果が上げられるし、この現場の声を聞くべきじゃないか。 この二つの点、大臣にお伺いをして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) ブラックリストというのは評価の余地がない条項ということでございますし、グレーリストというのは評価の余地がある条項ということになろうかと思います。そういう条項を加えますと、本法の八条から十条までの規定について、無効となり得る具体的な契約条項については、この法律の解説書などで可能な限り事例を盛り込んでいきたいと思っております。これ法律の中にちょっと書くのはとても難しいと思いますが、そういう解説書の中には盛り込みまして、消費生活相談員の皆さん、現場の相談業務などにはできるだけ役立てていきたいと考えております。
○西山登紀子君 終わります。
○梶原敬義君 三十五分持ち時間ですので、変わった角度から質問をしてみたいと思います。 我が国の今日の社会経済状況というのは、情報産業あるいはバイオ、通信、こういうものを中心にした産業革命の真っただ中にあるんだろう、このように考えておりまして、社会経済も目まぐるしく動いておりますし、同時に新しいさまざまな商品やサービスの取引が出現をしております。 あわせて、契約形態も複雑になっているわけでありますが、消費者と事業者の間の取引におけるトラブルは、先ほどからもお話がありますように、非常にふえております。平成元年に十六万五千六百九十七苦情処理と相談件数の数でありますがあったものが、平成十年には四十万七千九百七十二と大幅に増加をしております。 しかも、総理府の資料によりますと、消費者問題に関する世論調査では、商品、サービスへの苦情の申し出をしなかったという人が六八%ちょっとを超えております。圧倒的にそのまま泣き寝入りといいますか、表に出ておらない数字が六八%強であります。非常に潜在的な苦情の存在がこの数字では浮き彫りになっております。そういう状況を考えると、少し時間はかかったものの、この消費者契約法というのは時宜を得ているというか、急がねばならないと考えております。 長い間、経企庁も苦労された、そうして今日に至ったことについては心から敬意を表したいと思いますし、また先ほど提案がありました民主党も積極的な対案を出されたことにつきましても、心からあわせて敬意を表したいと思っております。 私は、これは中身をいろいろこう見てみると、十分とは言えないものの、これは運営する過程の中でまた国会を中心にして見直し、法律改正、こういうものをしっかりとやっぱりやっていく必要があるんだろう、そのように考えておりますし、そういう考えに立脚して、以下、私は、実効性の確保、これは表現は難しいんですが、実効性の確保を中心に最初に質問をし、時間があれば法案に入っていきたいと思っております。 消費者契約法については、生身の消費者にとってこの法律が意味を持つものとなるには、紛争処理の手段が十分に機能することが必要だと考えております。特に、消費者団体などからは裁判外紛争処理機関の充実についての期待を寄せられております。 そこで、私はまず、この苦情処理相談の最前線で頑張っておられます消費生活センター、これは先ほどからお話がありますように、広島県とか神奈川、若干後退したような話を聞きますが、むしろこのような時期に当たっては消費生活センターを充実させる方向で、前向きに大臣の決意を最初にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) 委員御指摘のように、この法律は成立いたしまして実施されたといたしましても、これが実効あるためにはやはりその実施機関、これが大変重要でございます。 また、御指摘のとおり、一部の府県ではこれが後退しているというような事実もございまして、大変財政の厳しい中で消費者行政は市町村の責任だというような考え方も出ているかと聞いております。 しかしながら、先ほどからも繰り返し申し上げておりますように、日本の市場が自由化され規制緩和され、そして消費者と事業者との間の契約を中心とした選択の幅の広い世の中になってくる、こういった中でPL法、製造物責任法と並んでこれは重要な法律でございます。そういうものが施行されるときにぜひ自治体の方でもこれに力を注いでいただきたいと思っております。 また、我々といたしましても、国民生活センター等を通じましていろいろとこの法律の実施あるいは相談員の養成、さらにはPIO—NET等を通じまして電子機器を利用したような統計のとり方、相談の受け方というようなものも広げていきたいと考えております。 将来、これは日本の生活行政の中での非常に重要な位置づけになるものだと心得ておりますので、そのように努力したいと思っております。
○梶原敬義君 前後するかもわかりませんが、二〇〇一年、来年からですか、経済企画庁の担当というのは総務庁に移るんですね、総理府。
○国務大臣(堺屋太一君) 内閣府です。
○梶原敬義君 内閣府に移りますと、今のように担当大臣がぽっとはっきりわかるような形じゃなくなるのか、そこらが心配で、消費者行政が後退するんではないかと。今、力強い答弁をいただいたが、そこは大丈夫か、しっかと引き継いでいただくようにお願い申し上げたいと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(堺屋太一君) 内閣府という総理大臣の知恵袋のような機関に移行するわけでございますが、この内閣府には経済財政諮問会議という経済政策の中心となる部門のほかに国民生活局という局ができます。そのほかいろんな幾つかの局ができるわけでございますが、これの担当は形の上では官房長官ということになりまして、官房長官は大変多忙でございますから、そういう意味で委員の御心配ももっともかと思いますが、内閣としてこれはやはり引き継ぐべき重要事項だと考えております。 したがって、総理大臣直属の問題として大いに国民生活の中心的な課題として考えていきたい。それは明確に次の機構にも引き継いでいく必要があることだと思っております。
○梶原敬義君 なかなか内閣といっても、これは党利党略じゃないがそのときの政治情勢によって内閣というのはそう動くわけですから、こういうのは静かに恒常的に地域の消費生活センター等各方面と提携をしてずっとやっていくことですから、これは浮ついた形じゃなくてしっかり根をおろした行政をやってもらいたいことを冒頭お願いを申し上げたいと思います。 そこで、具体的にお聞きしますが、現在都道府県の消費生活センターに対して財政的な助成というか補助というか、そういうものは一体どうなっておられるのか、それが第一点。 それから第二点は、消費生活センターや苦情処理委員会等に対して地方交付税の基準の何かそういう、この部分が地方交付税の算定の基礎になっているのかどうか。 その二点をお尋ねします。
○政府参考人(金子孝文君) 国から都道府県等の消費生活センターに対する財政的補助についての御質問でありますけれども、経済企画庁は生活情報体制整備等交付金を関係の都道府県に交付しております。 その内容は、コンピューターネットワーク、これはPIO—NETというわけですけれども、各地の消費生活センターと国民生活センターを結んでいろいろ苦情相談の情報を集め、また地方の消費生活センターにフィードバックさせるという、そういうネットワークですけれども、その整備事業に交付金を与えている。二番目は、消費者に対する情報提供事業、これについての交付金。三番目が、商品テスト機器整備、これについて交付金を与えているということで、平成十二年度の予算額は全部で三億九千万円であります。 それから、消費生活センターあるいは苦情処理委員会など都道府県における苦情処理、これで地方交付税の基準財政需要額がどのように算定されているかという御質問ですけれども、都道府県の苦情処理体制の整備に対しましては、地方交付税の基準財政需要額に消費者苦情処理委員報酬、苦情処理専門員謝金、苦情処理体制整備事業、商品テスト事業等、そういったものが算入されております。
○梶原敬義君 たしか豊田商事の事件のときだったか、そのときに消費生活センターと国民生活センターの間にネットワークが、もうそのときできていたのかな、何かそういうことで随分昔の話ですね、PIO—NETにお金を投入したというのは。今も何らかの形でやっておられるのかどうなのか。お聞きしましたが、いずれ苦情処理の関係は地方交付税の対象になるかどうか。金額でいうと大体どのぐらいのものにはね返っているんですか。
○政府参考人(金子孝文君) まず、前者のPIO—NETでありますけれども、その交付金の交付が始まったのは昭和六十年からでありまして、先ほど交付税のトータルが、その内訳として、PIO—NETでは二億四千六百万円を交付していますし、これは年々増加しております。 それから、あと基準財政需要額に算入されている金額がどのぐらいかという御質問でよろしいんでしょうか。
○梶原敬義君 はい。
○政府参考人(金子孝文君) いろいろありますのでなかなか難しいんですが、まず県と市に分かれていまして、県の中の細目で消費者保護行政費という金額があります。これは標準団体行政規模、人口百七十万を基礎として、それに対して一体需要額がどのぐらいあるのかということで算定していますけれども、これについては、県については、ちょっと失礼します──済みません、ちょっと足し合わせていないのであれなんですけれども、給与費……
○梶原敬義君 それは後でいいです。
○理事(馳浩君) 後でそれはお示しください。
○政府参考人(金子孝文君) はい。じゃ、後でお示しいたします。
○梶原敬義君 私は大分県の出身ですが、大分県の消費生活センターの皆さんにちょっと電話で話を聞いたんですが、今、職員が九名、相談員が五名、それで相談員は嘱託で一カ月十八日以内の勤務です。それで全部女性であります。その契約期間というのは六年間でございますが、やはり財政的な応援をしてもらえれば、相談員のところで財政の応援をしてもらえると非常に元気が出る、このように言っておりました。 そこで、少し質問が前後するかもわかりませんが、商工会議所あたりに中小企業診断士という人がおるんです。この中小企業の診断をする人は、何人かは前は国の予算でやっておったんです。たしか昨年ごろから地方分権の話が出まして、県の方にその予算は国が渡し、県がその中小企業診断士の方に給料を渡す、資金を渡すように今なっておるんです。 私は、少なくとも相談員のところぐらいは、国が直接渡すのは無理かと思いますから、県に交付して、県から消費生活センターに支援をする、少なくとも二分の一ぐらいの支援体制というのをつくっていく必要があるんだろう、それぐらいの価値がある、このように考えております。いかがでしょうか。
○政務次官(小池百合子君) 議員も御指摘になりましたけれども、都道府県におきます相談員の皆様方というのは、それぞれ地方の事情に合わせて報酬などの体系を実施しておられるというのが実情でございます。そして、その都道府県の消費生活のあり方というのは、よって、各都道府県に自主的に判断していただくということで、経済企画庁といたしましては、こういった消費生活センターをいろんな意味でバックアップして、適切な苦情処理を妨げることがないように地方自治体に要請をしていきたいということでございます。 そして、それでは冷たいじゃないかという話が出るかもしれませんが、生活情報体制整備等交付金の交付、先ほど金額を申し上げました。そして、消費生活相談員の研修とか相談業務といった情報提供などもいたしておりますし、また、消費生活センターでの苦情処理が適切に行えるように、今後ともそういった意味でしっかりと支援をしていきたいと思っております。 それから、今御提案がございました中小企業の経営指導員の養成の仕方に倣ってはどうかというお話でございますが、経企庁の方では、消費者からのさまざまな苦情相談に適切に対応できます人材の確保と、また人材の養成の一環として、国民生活センターを通じまして、消費者問題、そして関係法令、商品知識など一定水準の知識を有して、また相談業務に対応できるいわゆる消費生活専門相談員の資格認定制度の運営を行っております。 ちなみに、平成十一年の五月現在でございますけれども、二千七十七名がこの資格を取得しておられるところでございます。そして現在、その方々を含めまして全国で約二千四百人消費生活相談員の方々が御活躍をいただいているということでございますが、先ほども申し上げておりますように、それぞれの地方自治体でもって、より消費者の支援をしていこうという判断に重きを置かれる自治体もおありでしょうし、それぞれのところにお任せしていくというのがまさに地方分権のあり方ではないかというふうに思っている次第でございます。
○梶原敬義君 今までやってこられたことはわかるんですが、私が申し上げたいのは、むしろ思い切って財政的に中小企業診断士ぐらいのところまでは国が一歩を踏み出してもいいじゃないかと、このように言っているわけでありまして、今までやっていることよりもそのことを強く長官に要請させていただきたいと思います。 大分県の場合は、五千件を五人で苦情処理相談に乗っているわけですね。だから、五千を五で割ると一人千件なんです。東京ではもっと多いかもわからない。だから、大変なボリュームだと思うんですよ、これは。果たして一人が千件でこれで十分かと。もう少しよく相談に乗れるかもしれないけれども、なかなかあっちゃこっちゃあってそうはいかないかもわからない。だからこういう実態を、相談員の今頑張っている実態、こういうものはある程度は国の方も、経企庁の方もつかんでおられると思うんですけれども、そこがもしわかれば。わからないとまた後でもいいんですが。
○政務次官(小池百合子君) 私もこの消費者契約法の審議に入る前に、東京都の方の消費生活センターを取材というか視察してまいりました。本当に一人一人の相談員が熱心にまたそれぞれの相談に取り組んでおられる姿にまさに敬意を表したいところでございます。 平成十年度に経済企画庁の方で調査をいたしまして、これはむしろそれぞれの報酬の方の調査でございますけれども、報酬と申しましょうか待遇の方の調査でございますが、経企庁といたしましては、消費者契約法の実効性の確保といった観点からこの苦情相談の対応に当たられます相談員の果たす役割は大変重要であるわけでございますから、相談員にとってやりがいのある、また働きやすい環境が実現するように地方自治体にもしっかりと要請をしてまいりたいというふうに思っております。
○梶原敬義君 言いたいのは、本当に僕は大変だろうと思うんですよ。今五万何がしかの件数の相談が来て、そこに対応している相談員の人たちというのは、それはもう身分も安定しないし、なかなかお金とか身分だけのものではやれない。何とか社会正義を貫くために一生懸命頑張っておられると思うんですが、できればそういう今皆さんが一生懸命頑張っている日本全体の中の相談員の実態というものをやっぱりつかんでいただきたいと思います。 次に、苦情処理委員会。大分県の場合も、ちょっと聞きましたら、一年間一件やりましたということを聞きましたが、やっぱりこの法律が動き出しますと少しふえてくるんだろうと思われますね。だから、相談員だけではこれは手にはばからないから、苦情処理委員会にもどんどん持っていくような形というものをぜひやっぱりつくっていかなきゃいけないと思うんですが、苦情処理委員会がそういう方向でこれはもっと全国で国が音頭をとって動き出すように指導してもらいたいと思いますが、現状とそれから今後の決意をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(金子孝文君) それでは、現状についてお答えをいたします。 苦情処理委員会、これは消費者から寄せられる苦情相談について解決が著しく困難な場合にあっせん、調停を行う第三者機関として地方自治体が条例によって設置している機関であります。 現在、五十九都道府県、政令指定都市のうち五十六の自治体で設置されております。全部で都道府県プラス政令指定都市が五十九ございますけれども、五十六の自治体で設置されております。未設置は、広島市、北九州市、福岡市、その三つの政令指定都市であります。
○政務次官(小池百合子君) その苦情処理委員会の点につきましては、この消費者契約法の実効性確保という観点からも、あっせん、調停を行います苦情処理委員会が適切に活用されることが望ましいと考えておりますので、法律の施行に向け、その旨要請してまいりたいと考えております。
○梶原敬義君 広島と北九州と福岡、これは何でやらないんですか。福岡の県知事は通産省の役人だった、最後は特許庁長官までやった男で、おかしいね、福岡は。そこらはちょっとわかりますか。
○政府参考人(金子孝文君) 福岡県ではなくて、福岡市であります。 ただ、どうして設けていないかというのはちょっと実態をつかんでおりません。
○梶原敬義君 それは早速調査をしてください。 それから、それは幾ら皆さんが頑張ったところでも、やっぱり予防で、先に、こういうことが起きない方がいいわけです。同時にまた、こういう法律ができたということを国民に知らせるPR活動なんというのは、これは大変だろうと思うんですが、そこは非常に大事なことだと思うんですが、これ、できますかね。これは国民の皆さんに、誤認とか困惑とかいうことは取り消しの対象になるのよと、国民みんながずっとそういうルールを今度新たにこれができましたら知らないとこのルールは眠ってしまうわけですから、国民にこのルールが新しく行き渡るということはまた大変な作業だと思うんですが、これはどう考えておられますか。
○政務次官(小池百合子君) この消費者契約法関連の事業といたしまして、平成十二年度で啓発事業、啓発資料、パンフレットをつくるであるとか、それからシンポジウムを開催することを考えております。また、マスメディアを通じました国民への啓発事業ということを考えております。 やはりせっかくこの消費者契約法ができるわけでございますので、それを十分に活用していただく、それが消費者の側からも事業者の側からも両方がよく御理解いただいた上で本当の威力が発揮できるものと信じております。
○梶原敬義君 今、民法の公序良俗とか、民法の場合は詐欺とか、そういうものは大体国民の皆さんはもうわかっていますよね。しかし、この誤認とか困惑とかいうようなことはこれからの話でありますから、ちょっとやそっとではなかなか、日本人の常識としてもう水や空気のような存在になるまでにはやはり時間がかかる。それは時間をかければいいというものではないんで、それはどんどん出てきますから、これは早目に、新しい商品、新しい商売がどんどん出てきます、それに対抗するためには早目にその辺のPRというか、国民に行き渡らせることが大事で、長官。
○国務大臣(堺屋太一君) 梶原委員、大変この問題に熱心でございますので、ちょっと我々の答弁にも歯ごたえのないところをお感じかと思うんです。 さっきの苦情処理委員会にいたしましても相当ばらつきがありまして、例えば今の福岡市はやっていないけれども、神戸市は七件もやっているとか、相当ばらつきがございます。 私も大阪の消費者センターに去年行きまして、いろいろと実態も見せていただきました。また、相模原にあります国民生活センターの研修所も実験所も伺いまして、この実態などもよく見てまいりました。 この消費者契約法案が通りましたならば、この五月十六日には消費者問題の中央大会、国民会議などをやって大いにPRしたいと思っております。やはりわかりやすく説明しないといけないというのが大事なところだと思うんですね。だから、一般の法律と同じようにコンメンタールその他もつくりますけれども、できればビデオか何かでわかりやすく、DVDでもつくろうかというように思っておりますけれども、なかなかこれ経済的に引き合うかどうかわかりませんけれども、各消費者センターにそういうような映像関係でできるようなことも考えたいなというように思っておりますが、まだそこまで実行が進んでおりません。ぜひとも先生御指摘のように大いにこの実態を国民に知らせて、この法律の活用をしていただけるようにしたいと思っております。
○梶原敬義君 もう少し時間がありますから。 これは卑近な例ですが、あるとき我が家に、もう何年か前ですが、電話がかかってきたらしいんです。それで、奥さん、行きますよと言ってもう何回も言われるものだから、まあしようがない。そしたら、日曜日、私がいるときに来て、布団乾燥機ですね、ちょっとこのぐらいの布団乾燥機で、それから同時に、畳にダニがいっぱいいるんだ、そのダニを取る、これでダニも取れると。要するに掃除機の大きなものですね。 女房は共働きでありますし、自分はお金を持っていますから、ころっと乗りまして、ダニの話が出た瞬間に、それで二十何万するものを買ったんですね。僕も横から、おまえそんなことをせぬで、布団を干すのは外へ干して、太陽の当たるところへ干せと、こう言おうかと思ったけれども、乗ってしまって、それで買ったんですね。それで、ダニがどうやこうや言うものですから、ぜんそくにダニが悪いとかなんとかいう話をしているのを黙って聞いていたんですが、そこらにつられてふらふらっといって、結局二十何万のを買って、全く使ってないんです。全く使ってない。 だから、これはなかなか本当に私は、普通の人はどこかにその人の弱点を持っている。その弱いところにぽっとこう入ってくる。それはなかなか商売は上手ですから、これはぜんそくにダニが悪いですよとかなんとか言えば、もうすっと入っていくわけですから。 だから、そういうことに対応するためには、何回も申し上げますが、国もやはりある程度予算措置をして、そして勢いをつけて、そういう弱みにつけ込むような事業者というのはこれからまたどんどんふえるし、また金融商品なんかでは大変なことになるだろう、このように心配しておりますから、これはもう少し経企庁も勇気を出して、さっき言いましたように中小企業診断士にお金をどんどんほうり込むぐらいに、ここにも、消費生活センターあたりにももう少し予算を投入するように、思い切って予算要求を僕はしてもらいたいと思うんですよ、大蔵省に対して。真っ向から議論をして、それで前向きに行かせるように対応してもらいたいと思います。 そのことを申し上げて、時間が来ましたので一応きょうは終わります。
○水野誠一君 もう大分各委員から質問が出てまいりまして、最後の質問となります。私は多少時間を短縮して、皆さんお疲れなんで、貢献したいと思います。 きのうも実は代表質問を若干させていただきまして、それぞれについての御答弁をいただいたわけでありますが、きょうはその代表質問を若干補足する内容、それから加えて何点か具体的な問題について御質問をさせていただきたいと思っています。 まず、昨日伺わせていただいたのは、まず何をもって公正なルールとするかということを明確に認識しておくことが必要であろうという点でありました。契約行為における公正とは、お互いが十分な情報を持って自由な判断を許されること、そしてさらに重要なのは、当事者それぞれがその情報と判断にはっきりと責任を持つということではないかと、かように申し上げたわけでありますが、長官から基本的にそれを認める趣旨の御答弁をいただいたわけであります。 同じことを繰り返すつもりはございませんが、きのう申し上げたかった趣旨というのは、消費者行政においてもいわゆる自己責任の原則をゆがめることがあってはならない、こういう点でありまして、さらに言えば、この消費者保護の観点とそれからその自己責任原則というものは必ずしも矛盾する、相反する概念ではないということでございます。 これまでに当委員会で中小企業支援施策やベンチャー支援施策が論議されたときにも私は同様の趣旨の意見を述べさせていただきましたが、そうした観点からしますと、今回の消費者契約法案が消費者、事業者双方の自己責任を問い得る環境整備、これを提案理由に含んでいることを私は高く評価したいと思っております。今後の消費者行政においても、この趣旨が尊重されることをひとつここで改めてお願いしておきたいと思います。 ということで、質問に移りたいと思うんですが、これまでにいわゆる事業者側から出てきた消費者契約法に対する意見や主張にはどんなものがあったのか。 六年間という非常に長い期間この法案策定に向けた論議がされたわけでありますが、そこにはいわゆる有識者、それから弁護士会、それから消費者団体、そして事業者団体など、さまざまな立場の方がお出になって、その方々からヒアリングを行ったということであります。そこではやはり立場の違いから双方この法案に対してかなり厳しい意見も出てくる中で、昨日も質問の中にもありましたけれども、何かちょうどその中間的な妥協の産物だというような言われ方も片方ではするわけでありますが、私は必ずしもそうではないと思うんです。 ただ、比較的マスコミ等の論調を見ていると、弱い消費者を悪徳事業者から守れという前提が非常に強くアピールされているということでありますが、一方、事業者側にとってもこの法案というのは非常に重要な意味を持つと同時に、昨今いろいろな意味で消費の形が変わってくることによって、事業者側が持っている問題意識、悩みというのもある種非常に深刻になってきている面もあると思います。これは、片方では悪徳業者がはびこることによって非常に善意の業者が迷惑をこうむるというようなことも含めてでございますが。 そういう中で、この六年間の議論の中で特に事業者側がこだわった主張、あるいは最後まで双方でもめた論点、それはどんなことだったのかというのを少し整理して御紹介願えればと思います。
○政府参考人(金子孝文君) 国民生活審議会で事業者側から意見あるいは懸念が表明されましたので、それについて述べてみたいと思います。当然のことながら、この事業者というのは健全な事業者ですから、そういう方々がいろいろ意見、懸念を示されたということです。 総論といたしましては、正常な事業を運営している事業者に無用な混乱を招くことのないよう、取引実態に即応した法制度としてほしいということが第一点であります。 第二点ですが、契約の取り消し、無効という強い法律効果を認めるわけでありますから、要件を規定する際には極力あいまいさを排除してほしいということが示されました。 各論でありますけれども、きょうも随分議論になっています、単なる情報の不提供を要件として取り消しの効果を付することは要件効果のバランスを失することである、望ましくないということです。 それから第二ですけれども、取り消しの効果が認められる困惑類型につきましては、その上限、上限というのは民法の強迫になると思います、そこと下限、これは許容されるセールストーク等を明確に定めるとともに、客観的に決められた行為に限定すべきであり、消費者の主観によって左右されるものであってはならないということであります。 三番目ですけれども、不当条項の要件が不明確なままに規定され、契約の一部の条項のみをとらえて形式的に適用される場合には取引に無用な混乱があるのでそこを恐れるというような意見であります。 それからまた、消費者契約法の施行に当たっては、同法に関するコンメンタールをわかりやすい形で示すようなパンフレットをつくってほしいということで、この法律の周知徹底を図ってほしいということであります。 それから、何が最後まで問題になったかということですが、これはここでも議論になっているわけですけれども、やはり情報の提供、その問題で、先ほども申しましたように情報の不提供、これをもって取り消しの効果ということでは、これは健全な事業活動を行うことができないということで、非常に強い懸念が示されたことであります。 それから、大体今言っていることなんですけれども、基本的に要件を明確にしてほしいというようなことだと思います。
○水野誠一君 その中で、取り消し権行使期間の問題、これはどんな議論だったんでしょうか。特に、民主党案の中で、取り消し権の時効は追認が可能になったときから三年、契約締結から十年ということで、非常にその期間を長くする案が出ているわけでありますが、それについての議論というのをもう少し教えていただければと思います。
○政府参考人(金子孝文君) 事業者の方は、やはりその契約自体を早期に決着させる必要があるということで、できる限り短くと。最終的に報告書では、短期六カ月、長期五年となったわけですけれども、事業者側はそれでもまだ長いということで、もっと短くしてくれというような議論がございました。
○水野誠一君 ありがとうございました。 そういった双方の立場からいろいろな議論がされたということ、これがこの法案を決めていく上で非常に重要なポイントだと思ったので、あえて伺わせていただいたわけです。 次に、代表質問でも伺いました高齢者に対する消費者教育、啓蒙の重要性という問題であります。これは、ほかの委員からも繰り返しこれについても質問が出ております。 日々、国民生活センターや全国の消費生活センターに寄せられる苦情相談件数というのが大変多いと。これは、私はきのう平成十年度において四十一万件と申し上げたんですが、先ほど西山委員からはPIO—NETによると六十三万件ということで、ちょっと数字のとり方で開きがあるんですが、いずれにしても十年で約三倍にふえている、こういう苦情があるわけです。 私は、重要なのはやっぱりその中身の分析だと思うんですが、単純に言って、恐らく私のこれは予測、想像なんですけれども、二十代の若者が絶対数では圧倒的に多いんじゃないかなと。ただ、一人当たりの金額、事の深刻さということを考えると、逆に六十歳以上、そういったお年寄りがどうも多いんじゃないかなというふうに予測をしているんですが、近年、特に高齢者の相談件数あるいはその割合というのはどういう傾向なんでしょうか。つまり、ふえる傾向なのかどうなのかということです。
○政府参考人(金子孝文君) 一つ、四十二万件と六十二万件の話ですけれども、これは、PIO—NETに載っていますのはいわゆる苦情の話でありまして、それ以外にいろいろ相談などがありますので、それを全部入れますと六十二万件ということであります。 それから、六十五歳以上のおっしゃっているように苦情自体が、相談自体がふえていますけれども、六十五歳以上の高齢者がその当事者となっている割合ですけれども、平成七年度は八%、八年度八・八%、九年度九%、十年度九・七%、十一年度一〇・八%という形で次第にふえてきております。
○水野誠一君 ちょっと先ほど私が触れた一人当たりの相談に係る金額とか、被害金額と言っていいかと思うんですが、その辺のデータというのはあるんですか。
○国務大臣(堺屋太一君) 政府参考人より細かいことを大臣がお答えいたしますが、主として高齢者がターゲットになっております悪質商法と言えるものにSF商法、これは布団類とか電気治療器、健康食品のようなものが多いんですが、これが大体平均契約金額で二十七万五千円でございます。これは、特徴としては六十歳以上の女性が多いということです。 それから、薬効をうたった契約というのが大分ございます。これは健康食品とかやはり浄水器とかいうようなもの、これは高齢の男性、それから女性は各世代にわたっておりますが、三十四万八千円、平均金額がかなり上がっております。 もう一つは、先ほどから何度も出ます点検商法でございますが、これはシロアリ駆除サービスとか消火器あるいは工事関係、これもやっぱり布団もございます。これは、多いのは家事従事者、つまり専業主婦、そういう方がよくひっかかるということで、これが五十四万八千円ぐらいのかなり大きな契約金額。そういうところが、高齢者を含めまして悪質商法の例としてPIO—NETに出ているところでございます。
○水野誠一君 大臣みずから大変細かいところまでお答えいただいて恐縮でございます。 今のお話もそうですし、先ほどの梶原先生の事例というのもかなり金額が大きな事例かと思うんですが、さらに言うと、もっと私が耳に挟んでいるところでは、アルツハイマーの御老人が完全に必要のないアクセサリーを百万円も購入契約をした、こんな事例もあるというようなことで、もう本当に悪質な事例。 そしてまたさらに言えば、悪質なそういう契約を結ばされていること自体気づかないという、そういう高齢者の方というのもいるわけでありまして、やはりそういう意味での監視といいますか目を光らせてそれを守っていくということは大変重要なんだと思います。これは一般の消費者と同じ基準では論じられないテーマではないかと思うわけです。 そういう中で、きのうも高齢化社会に向かう中で本法案を実効あるものにするためにはどうしたらいいかということで御質問をさせていただきました。それには、きのう大臣は、それは当然重要だ、高齢者にもいろいろな媒体を通じて情報提供などを行っていくというお答えがあったわけであります。 とはいえ、これはやはり高齢者の方に政府広報をやる、あるいはいろいろな意味での広告宣伝活動をしてもなかなかこれは浸透しない。やはりそれにはもう少し知恵を使わなきゃいかぬのではないかなと。言ってみれば、消費者センターが幾ら声高に言ってもなかなか伝わらないというものを、例えば福祉とか介護という場面を利用しながらそういった広報活動をしていくとか、やはりちょっと省庁の壁を少し乗り越えたところでの何か広報活動みたいなものも私は必要かなと思うんですが、その辺について大臣の御所見を伺えればと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) さすが流通におられた委員だけに、いいことを教えていただきましてありがとうございました。 我々も、老人会とかあるいはいろんなゲートボールのサークルとかそういうのもございますので、なるべくお年寄りの方にもわかりやすいような道具をつくりまして、それを消費者センター等を通じて流していきたい、できるだけのことはしたいと考えております。 情報というものはなかなか伝わらないものでございまして、総選挙をやっても選挙があったこと自体知らない人が二%ほど残るそうでございますから、なかなか伝わらないのでございますけれども、この消費者契約法は一人一人に関係することでございますから、できるだけの努力はしたいと思っております。
○水野誠一君 ありがとうございました。 次に、消費者契約法と個別業法との関係について何点か伺いたいと思います。 消費者契約法の民法や個別業法との関係、これは私は大変重要だと思うんですが、従来、事業者と消費者の間のトラブルが宅建業法や訪問販売法などの個別の業法で調整されていたのに対し、消費者契約法はどの事業にも適用できる共通ルールである、既に施行されている製造物責任法と並ぶ消費者保護法の車の両輪として基本法である民法と個別業法の中間に位置づけられるものだと、こういう説明が経企庁の方からされているわけでございます。 これは非常によくわかりやすい説明だなと。大きな民法という枠の中で個別業法があって、それに対して共通する製造物責任法、そして今回の消費者契約法というのがまさに共通法として底辺に位置づけるというような、図解しても非常にわかりやすい御説明をいただいているわけであります。 そこで、きのう代表質問の中で他の議員から消費者契約法と金融サービス法の関係を伺う御質問がございました。この金融サービス法、これも私、大変重要な法案だと思っているわけであります。特にこの金融業者の提供する情報のうち、重要事項とは何か、あるいは情報を提供したか否か、あるいは事実でないことが含まれていた場合はどうするのかといった点は、この消費者契約法の議論と大変似た議論があったということも聞いておりますし、そういう意味で非常に共通点もあるんですが、一方で違う点もある。つまり、消費者契約法が契約そのものの全部または一部に効力が及ぶというのに対して、金融サービス法の効果は条件を満たした場合に顧客が金融機関に対して損害賠償を請求できるというものでありまして、非常に似た点もあるんですが、こういう異なった点もあるという、国民にとってわかりにくい、この性質の違う二つの法律の関係、これをどういうふうに理解したらいいのか。 きのう実は御答弁を聞いていたんですが、いま一つちょっとよく理解ができない点もありますので、あえて同じ質問をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) この消費者契約法は、今委員御説明いただきましたように民法の全体をカバーする、労働契約を除いてすべてをカバーする法律でございます。これがございますと新しい商法とか新しい業態が出てきたときも対応できるという、そういう非常にいいところがございます。 個別法は、既に起こっている問題点をやはりねらい撃ちでいくというところがございまして、この金融商品の販売等に関する法律というのは、金融商品という非常に変動性が激しく、また金額も張ると、そういったものを対象にしておりますので、内容は非常に明確でございます。限られたものでございますから、告げなければいけない内容についても非常に明確になっております。それに比べて消費者契約法は全体を対象としておりますから、かなり、どのような業態にも対応できる、こういうような形になっております。 この二つの中でもし違う点がありますならば、個別法の方が金融取引については優先いたしますから、金融商品の販売等に関する法律の方が適用されると思います。
○水野誠一君 さらに同じような事例を伺いたいんですが、宅建業法との関係でございます。宅建業法を見ますと、三十八条に損害賠償額の予定等の制限に関する条項がありまして、業者は宅地や建物の売買契約において、買い手の債務不履行を理由とするキャンセルの際の買い手に対する損害賠償額をあらかじめ定める場合には、代金の二割を超える額を定めてはならないと割合の上限を規定しております。そして、さらにそれを超える部分は無効だとしているわけです。 一方、この消費者契約法では、九条一号に消費者契約の解除に伴う損害賠償額の予定に関する条項があって、消費者のキャンセルによる損害賠償額などをあらかじめ定める場合には、それと同種の消費者契約のキャンセルに伴って通常事業者に生ずる損害額を超えた額を定めてもそれは無効であると、こういう規定になっております。 この二つを読み比べますと、かなり違いといいますか差があるような気がするんですが、ちょっと私もその専門的なところはよくわからないんですが、ちょっとそういう気がする。こういった場合、宅地や建物の売買契約においては今の大臣のお答えからいくと宅建業法の規定が優先するのかなと思うんですが、その間に何か矛盾というものはないんでしょうか、その点についてお尋ねします。
○政府参考人(金子孝文君) 先ほどの大臣の答弁に若干補足させていただきます。 それで、消費者契約法のこの金融商品販売法なんかと絡む問題は、結局意思表示の瑕疵があることによって取り消しができるという規定をしているわけです。金融商品販売法というものは、リスク情報を提供しなかったときには、それは一種の不法行為になり、不法行為の場合には損害賠償責任になるということですから、両者は要件効果が全く異なるわけであります。ですから、そういうことに直面した消費者、これは仮に消費者契約法も該当する、あるいはその金融商品販売法の規定も該当するとすれば、どちらでも使えるということであります。 それで、次に宅建業法三十八条の問題になるわけですけれども、これはまさに定めていることが同じというか、片方の場合には、つまり消費者契約法の場合には、その解約に伴って事業者に生ずべき平均的な損害額を超えたような損害賠償を規定することは、それ以上は無効だと言っているわけですね。それから、宅建業法三十八条は二割だと言っているわけです。そうすると一体どっちが優先するのか、そういう問題でありますから、そういう面で消費者契約法と金融商品販売法の関係と、それから宅地建物取引業法三十八条と消費者契約法の関係は異なります。 それで、こういうような宅地建物取引業法三十八条と消費者契約法の関係というのは、まさにこれは抵触いたしますから、これは本法十一条第二項には「消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し及び消費者契約の条項の効力について民法及び商法以外の他の法律に別段の定めがある」と。この「別段の定め」というのが今議論になっている宅地建物取引業法三十八条ですから、そこで決まっている場合にはそれが特別法として優先しますということですから、この場合には二割がその損害賠償額になるということであります。
○水野誠一君 ということは、すべてそれぞれの業法が優先するというわけでは必ずしもない。ケース・バイ・ケースなんでしょうか。
○政府参考人(金子孝文君) ですから、それは要件効果が異なるものだったら両方できるわけです。ところが、同じようなもの、つまり要件が同じようなものだったら一体どっちが優先するかといえば特別法が優先するということです。
○水野誠一君 じゃ、もう一つ伺いたいんですが、割賦販売法との関係もございます。 この割賦法では、第六条二項に、品物の代金の支払いが滞った場合には、事業者は未払い代金分に対して六%を超える遅延損害金を請求することができないと規定しております。 一方、この本法案は、九条二号に、消費者が期日までに代金の全部または一部を支払わない場合における損害賠償額などをあらかじめ定める場合には、未払い代金分に対して年率一四・六%を超える額を定めてもそれは無効である、こういう規定がございます。この場合、これも先ほどと同様に解釈すればよろしいんですか。
○政府参考人(金子孝文君) これも、割賦販売法第六条第二項は支払いが滞った場合の遅延損害金みたいなのを定めているわけでありまして、消費者契約法第九条第二号も同じことを定めていますから、そういう面で両者は抵触するわけです。その場合には、消費者契約法に対して割賦販売法の六条第二項は消費者契約法十一条二項の「別段の定め」に当たりますから、そちらが優先するということであります。
○水野誠一君 法学部じゃないものですから非常に勉強になりまして、よくわかります。またもっと勉強させていただきたいと思います。 次に、インターネット関係、これが非常に今もう申し上げるまでもなく盛んになってきている。この中で幾つかお尋ねしたいと思うんですが、まず、消費者及び事業者そのものの定義に関して伺いたいと思うんです。 法案では第二条に、消費者契約の定義を「消費者と事業者との間で締結される契約をいう。」と定め、消費者の定義を、「事業として又は事業のために契約の当事者となる場合におけるものを除く」「個人」。そして事業者の定義を、「法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人」と規定しています。消費者と事業者との間で締結される契約を消費者契約というとしたとしても、個別の取引契約においては、消費者的な性格を持つ企業もあれば事業者的な性格を持つ個人も十分あり得ると思うわけです。 消費者と事業者の境目については、今までのような時代と違って、これからはますます個人か企業かという線引きでは適切ではないんじゃないかと、そういう気がしております。最たるものが今申し上げたインターネット上のオークションなどの場合だと思うんですが、例えば一人の個人について考えてみても、消費者的な立場と事業者的な立場を時々刻々行き来をしていると、こういう性格が随分出てきております。 こういった消費者と事業者との間の線引き、これは大変難しい時代に入ってきているんじゃないかなと思うんですが、その点についてどういうふうに解釈したらいいか。
○政府参考人(金子孝文君) この法律におきまして、消費者と事業者の区別する観点というのは事業性を持っているかどうかということであります。 それでは、事業とは何かということですけれども、これは一定の目的を持って同種の行為を反復継続的に行うことと、こう通常定義されているわけであります。 したがいまして、例えば八百屋さんの場合に、八百屋さんが当然野菜の仕入れを行い、それを売るというのは反復継続的にしていますから、そういう面で八百屋さんというのは事業者ですねと。それからあとは、その八百屋さんが、そこで事業というのは定まりますから、ここでの定め方は事業のためにということで、八百屋さんはそれほどコンピューターは得意じゃないかもしれませんけれども、しかし八百屋さんという事業を行うためにコンピューターを買った場合には、そのときにその八百屋さんは事業者としてあらわれるということになっています。しかし、自分の楽しみのためにコンピューターを買うということになれば、それは事業のためじゃありませんから、そのときの八百屋さんは消費者になるということです。 それで、おっしゃるようにネットオークションなんかになりますと、確かに消費者なのか事業者なのか、それは一定の目的を持って同種の行為を反復継続しているかどうかというようなことで判断することになると思いますので、ちょっとそこの実態を見てみないと、その場合にその個人が事業者なのかあるいはここで言う消費者なのかということを抽象的に決めることはなかなか難しいと思います。
○水野誠一君 次に、勧誘と単なる広告との違いという点、これもインターネットの世界ではなかなか線引きが難しいんではないかと思うんですが、この点について伺いたいと思います。 この法案の中に消費者が契約を取り消すことができる要件を定めているのが第四条の部分でありますが、ここには、契約の締結について勧誘をするに際し、重要事項について事実と異なることを告げること、勧誘をするに際し、将来におけるその価値等について断定的判断を提供すること、勧誘をするに際し、重要事項等について利益となる旨を告げ、不利益となる事実を故意に告げなかった場合などに契約を取り消すことができるとされています。これは先ほどから各委員からいろいろ質問が出ている点であります。これはいずれも勧誘する際における事業者の行為、それが要件になっているわけであります。 この勧誘の定義について伺う前に、まず二点、簡単な確認をしたいと思うんですが、一つは、電話による勧誘と電子メールによる勧誘に条文解釈上違いがあるのかどうか。二つ目は、条文で意味するところの勧誘に当たらない行為の過程で、例えば重要事項についての不実の告知などがあった場合には契約の取り消しができる要件を満たさないことになると理解していいかどうか、この二点についてお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(金子孝文君) 勧誘と単なる表示についての区別について私は説明をしなくてよろしいという理解でよろしいんでしょうか。 単に事実だけを言うことになりますと、電話で例えばAさんということで勧誘というかアプローチをしたということになれば、それは勧誘になると思います。 それから、電子メールで、電子メールといっても、例えばホームページか何かに載っているというのは、それは別に特定の者に対して働きかけたことはありませんので、それは勧誘にはならないということだと思います。 それから、広告のようなものですけれども、広告自体もこれは特定の者に対して積極的に働きかけたということではありませんので、これは勧誘にならずに、その場合に、その広告の中に不実があったとしても、これは先生が御指摘のように勧誘の過程で事実と異なることを言ったかどうかということがこの要件になりますから、そもそも勧誘に当たりませんので、消費者契約法の取り消し要件にはならないということであります。
○水野誠一君 ということは、例えばだれでもアクセスできる状態にあるホームページ上に特定の商品の紹介がある、購入を勧める内容だった場合でもそれは勧誘にはならないということ、そういう理解でよろしいですか。
○政府参考人(金子孝文君) ちょっと私の答えが誤解を与えたと。ちょっとメモが入っていましたけれども。 電子メールの場合には、特定の者に対するものなので、それは勧誘行為になる。ただ、ホームページがあって、そこに私がアクセスしていったということだけでは勧誘にはなりませんと、そこに書いてあっただけでは、ということです。
○水野誠一君 ということは、今確認をしていただいたので非常に明快になりましたけれども、電子メールで特定の人に対して寄せられた情報というものは、これは勧誘になる、そういう理解ですか。よろしいですか。
○政府参考人(金子孝文君) そのとおりです。
○水野誠一君 しかし、最近またいろんな意味でインターネットの情報伝達手段というのが高度化してまいりまして、特定の個人向けに用意されたホームページに、いわゆるプッシュというような手段なんですが、特定の情報を入れてくる。つまり、言ってみれば、だれもがアクセスできるホームページということではなくて、むしろ個人に特定な情報がプッシュされてくるような商法、商売、こんなものも確かに出てくるような時代になってきているんじゃないか。つまり、金子さんなら金子さんがこういうことに興味があるということを届けておくと、それに必要な特定情報が電子メールの形で日々入ってくる、こういうような形態のものなんかも出てくると思いますし、またインターネットの中におけるそういった消費者と事業者との関係というのも非常にこれから目まぐるしく変わってくるというような状況が出てくると思うんです。 私は、やはりそういう中で、今回の法案がそういったインターネット時代の新しい商売のあり方というものをどれくらい意識して考えられているのか、この点を実は伺いたいわけなんです。余り細かいことを申し上げて恐縮なんですが、その辺の議論、論議というのは今回の法案制定の中でどれくらいされたものなのか、お答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(金子孝文君) 私の記憶する限り、Eメールなりインターネットを十分に意識してこの法をつくったか、考えたかというと、それは十分に考えていないと思います。 ただ、この法自体、要するに何が事業者で何が消費者、あるいは勧誘とは何かということは、その時代、社会通念、そういうものによって変わってきますから、そこの運用によってその問題は解決できるんではないかと思います。ただ、いろんなほかの問題が出てきて、電子商取引に特異な問題が出てきてこの消費者契約法では対応できないとなれば、それはそれに即応した新たな法が必要になるのではないか、こう考えております。
○水野誠一君 大変重要なポイントだと思うんです。といいますのは、今まさに消費者、事業者の関係とか勧誘、広告の関係とかというのが従来の常識でははかれないところに、ちょうど変わり目に来ているという、まさに転換期だと思うんです。そういう中でこの法律が定められるわけですから、今回この法案がどうのということよりも、やっぱり次のそういった時代をにらんで絶えず我々は考えておく必要がある。 特にその中で、私が最近非常に心に残っておりますのは、東芝のクレーム事件というのがございました。あれはクレームを言った人が本当にクレーマーだったのかどうかというようなところを、これは断定するわけにはいかないんですが、しかし今までですと、一消費者がある企業に対してクレームを持ったときに、今までは大企業に立ち向かう手段がなかったということなんですが、あの場合は一個人がホームページをつくって東芝のやり方に異を唱えるということによってあれだけの大きな反響が出てくる。東芝の株が下がるぐらい大きな反響になるということは、必ずしも巨大な事業者、組織的な事業者と力の弱い個人という関係だけでもなくなってくる。 こういう大きな時代変化の中でこの消費者契約法というものを今後どう考えていったらいいか、これは大いに今後のテーマとして私も勉強させていただきたいと思っております。 それから最後に、これも皆さんからもう出ているので繰り返しませんが、全国の消費生活センター、あるいはそういった組織が縮小傾向にあるというお話が繰り返し出ています。これは、確かに地方自治体も含めて大変予算が絞られている、リストラの時代でありますから、幾ら苦情数がふえたからといってそれに対してなかなかその規模を拡大するということが難しいということもよくわかります。 そこで、やはりもう一つ何かこれから、今後知恵を使わなきゃいけないんじゃないかなと。まさに、今申し上げているようにインターネットの時代でありますから、新しい消費生活センターのあり方というものも模索しなければいけませんし、それから、先ほど来お話が出ていますPIO—NET、これも今は消費生活センターの中でのクローズドサーキットとして情報交換がされているものでありますが、まさにもっと広く消費者そのものと情報交換ができるようなインターネットのシステムの導入とか、やっぱり何かそういうものが今後必要なんじゃないかと思うんですが、その辺についてお考えをぜひ伺いたいと思います。
○政務次官(小池百合子君) ほとんど各質問者の方がこの問題をお取り上げになっているということはそれだけ、もちろん消費者契約法を審議しているわけですから当然といえば当然でございますが、消費者問題というのがいかに我々の生活に身近であるかということ。それから、プロデューサーオリエンテッドな社会からいかにコンシューマーオリエンテッドな社会に今変わりつつあるかということではないかと思っております。 今御指摘ございましたように、消費生活センターの縮小の動き、残念ではございますが、それぞれの地方自治体での財政状況ということもあり縮小の動きが、まだ一部ではございますが、現実にはございます。 そうした中で、先ほども苦情処理委員会が、大臣の方から地方によってばらつきがあるというお話がございました。やはり、消費者行政に熱心な地方自治体、そうでない自治体、もしくはほかのものに熱心な自治体、いろんな色が出てくるということも、これも地方自治体のある意味では自然なあり方なのかもしれません。 そういった中で、では経済企画庁とすればどうするのかということで、生活情報体制整備等交付金というお金の問題、それから消費生活相談員の国民生活センターにおける研修、相談業務に関する情報提供、こういった苦情処理が適切に行えるというこれまでの積み重ねと、今おっしゃった件などはまさに新しいネットの時代でどのようにして効率的に、また地方で各地分かれているわけですから、ネットの威力というのはその距離を縮めることにあるわけでございまして、そういった中でインタラクティブなものは何ができるのかということ、今大変興味深く聞かせていただきました。 そういった中で、新しいそういったツールのどういう活用があるのか、これもまた考えてみたいところだとは思っております。
○水野誠一君 大いにその点に期待をして、私の質問を終わります。
○理事(馳浩君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 ─────────────
○理事(馳浩君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 消費者契約法案(閣法第五六号)及び消費者契約法案(第百四十六回国会参第六号)の審査のため、来る二十五日の委員会に参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(馳浩君) 御異議ないと認めます。 なお、人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○理事(馳浩君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十九分散会