金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 第6号
- 発言数
- 187 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 2000/05/10
会議録
○委員長(真鍋賢二君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る八日、松崎俊久君が委員を辞任され、その補欠として勝木健司君が選任されました。 ─────────────
○委員長(真鍋賢二君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁監督部長乾文男君及び法務大臣官房審議官小池信行君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(真鍋賢二君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行副総裁藤原作彌君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(真鍋賢二君) 午前は、預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○峰崎直樹君 おはようございます。私は、民主党・新緑風会を代表しまして三つの法案に対する質疑に入らせていただきたいと思います。 最初に、生保の問題、特に経営状況は一体今どんな状況になっているのかなと。昨年五月に国内生保に一斉に金融監督庁が検査に入ったというふうに言われているわけですが、その結果どんな状況になっているのか最初にお聞かせ願いたいと思います。これは大臣にお願いします。
○国務大臣(谷垣禎一君) 生保会社につきましては、平成十年三月期から自己査定制度が導入されておりまして、また昨年の四月から早期是正措置制度が導入されましてソルベンシーマージン比率に基づいて必要な措置が講じられる、こういうことになっておりますが、平成十一年五月から財務内容等の実態把握のための検査を順次実施しておりまして、平成十二年五月九日現在で二十一社に対して検査に着手して、そのうち十四社に対して検査結果を通知している、こういう状況であります。ちなみに申し上げますと、四月末現在、生命保険会社数は四十七になりますが、そこまで今検査をやっていると。 個別金融機関の検査結果の公表につきましては、これは取引先等への影響、不測の損害を与えるおそれがある、あるいは個別私企業の経営内容が当事者の意に反して開示することになるなどの問題がございますので、中身の公表は差し控えさせていただきたい、こう思っております。
○峰崎直樹君 全般的に生保の経営状況というのは、通常私どもがさまざまな資料等で見ますと、片仮名で書かれた生保は非常にいい、漢字で書かれた生保は非常に悪い、こういうふうによく聞いているんですが、これは事実なんでしょうか。
○政務次官(村井仁君) ある意味では個別の金融機関といいましょうか生命保険会社の経営状況につきまして監督当局としての判断を申し上げるということになりますので、ちょっとお答えを差し控えさせていただかざるを得ないことだと思っております。
○峰崎直樹君 今、村井総括政務次官が答えられたんですけれども、基本的に大臣がおられるときにどうして総括政務次官が出られるのかなということが私ども理解できません。何かありますか、どうぞ。
○政務次官(村井仁君) 現在、実は金融再生委員会とそれからその下にございます金融監督庁の間の関係というのは若干ややこしい関係になっておりまして、包括的にはもちろん再生委員長が責任を持たれる立場でございますが、保険会社に関する事項というのは実は金融監督庁の権限になっておりまして、その金融監督庁に関することを私が金融再生政務次官として担当していると、こういうような区分がございます。 そこで、金融庁が発足いたしました場合にはそこのところはもうちょっとすっきりした形になるんだと思いますが、現段階、保険の問題はどちらかというと金融監督庁の専管事項で再生委員会の問題ではないという感じがございます。監督大臣はもちろん再生委員長でございます。
○峰崎直樹君 担当大臣が再生委員長だったら再生委員長が答えるというのが当たり前のことではないかなと思うんです。ある意味では自分たちの内部で決めたことが国会という場でそのまま通用するというのは私はおかしいと思うんです。そういう意味では、これから先は基本的には私は大臣に答えていただきたいというふうに思います。 そして、将来的には、ずっと半年間繰り返してみて、細かい問題を実は聞かなきゃいかぬところが出てくるんですが、これは恐らく将来は私は法案の逐条審議を国会審議とは別にやらないとまずいんじゃないかなというふうに思っておりますが、そのことは、また将来的な改革の問題は別にして、そういった点でぜひ、内部の意思統一は十分していただいて結構ですが、答弁の場合は責任を持って答弁をしていただきたいなと思います。ありますか、何か。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、峰崎委員のおっしゃったことは私もよくわかりますが、ただ、単に内部における責任分担というのと違いまして、実は私も金融再生委員会に参りまして、金融をめぐる行政組織というのは御承知のようにこの数年大きく変化して、それも逐次変化してまいりますので、権限範囲等が非常にある意味ではわかりにくくなっているわけでございますが、今の総括政務次官が御答弁申し上げましたことは法律上も根拠がございまして、法律上もそのようになっているわけでございます。 したがいまして、総括的には私が責任を持つということになっておりますが、個別の事案については、個々の問題に対して私が余り権限がないというような形に法律の仕組みもなっていることを御承知いただきまして、その上で委員の意も酌みまして私がお答えできるところはできる限りお答えをしてまいりたい、こう思います。
○峰崎直樹君 法律的に実はできないんですというふうに言われました。これはこれ以上ここで議論しませんから、その根拠を、後で私にちょっと法的にどういう根拠になっているかだけぜひ示していただきたいと思います。 さて、いわゆる経営状況の問題ですが、今個別の案件は言えないと、こうおっしゃったんです。だけれども、個別の案件はわからないと言いながら、今出されているのは、生保、あるいは損保もそうでありますが、これがいわゆる破綻したときどうするかとか、そういう実は問題に対応しようとしているわけですね。経営状況がどうなっているのか、個々の企業のことについては私は言いませんが、その傾向はどうなっているのかということについてはどのようにとらえておられるんですか。
○政務次官(村井仁君) 現在御審議をいただいております法律の一つの問題意識として根底にございますのは、申し上げるまでもございませんが、日産生命が破綻した、あるいは東邦生命がやはり同じように行き詰まったというような事態がございまして、さらには先般第一火災が損保で初めての破綻を生じた、こういうようなことでございまして、そういったものに通底いたしますさまざまの問題を考えますと何らかの対処が必要であろう、こういう認識に至って、ただいま御審議をいただいているということでないかと思っております。
○峰崎直樹君 非常に何かすっきりしないですね。通常、三重苦と言われているんです、トリレンマ。一つは極度の販売不振、二点目は運用環境が非常に低迷している、三番目に一向に減らない逆ざや、このことは事実だと思われますか、その点明確にしてください。
○政務次官(村井仁君) 何と申しましても、歴史的な超低金利というような運用環境の悪化というところから逆ざやというのが非常に大きな問題としてあるわけでございますし、そういう意味で、一方その保証利回りを生保会社が容易に変更できないというような状況がございまして、大変苦しい状況が出てきている、これは一つの事実だと思います。 そしてまた、そのことが保険というものに対するある種の信頼を国民の中で減じてまいりまして、その結果、新しい契約がとれない、こういうような問題を生じている。 基本的には、ただいま委員御指摘のような問題があるということだと思います。
○峰崎直樹君 販売不振の原因の一つに、日産生命あるいは東邦生命ですか、ございましたですけれども、最近の毒物入りカレー事件とか、いわゆる犯罪に実は生命保険が非常に悪用されている。この点を何らかの形で防ぐ方法というのはないんでしょうか。この点はどのように考えておられますか。
○政務次官(村井仁君) ある意味では、保険の問題というのは常にこういう犯罪の問題をどのようにチェックしていくか、防いでいくかというのが、何といいますか、常に逃れがたい課題であるわけでございまして、そういう意味で、このようなただいま委員御指摘のような犯罪は、まさに他の善良な契約者の利益も大いに害するものでありますから、社会的にも糾弾されなければならない、また保険会社もそれを十分チェックするような体制を持っていなければならないということだと思うわけでございます。 ただ一方で、何といいましょうか、それをチェックするシステムというのがなかなか完璧には組みがたいという面もございまして、ただ、いずれにしましても、私どもとしましては、和歌山の事件などをきっかけにいたしまして、平成十一年四月でございますが、保険契約における被保険者の同意確認の強化等の改善策を講じましたほか、高額な保険契約が重複して掛けられているような例につきましては、その保険金額の妥当性の判断、確認を適正に行うために、社内的な規制の見直し、業務運営体制の整備、こういったことをきちんとやれということで事務ガイドラインを定めることとし、これはことしの三月でございますけれども、その旨公表をいたしているところでございます。
○峰崎直樹君 非常に今大変な状態に陥っているということについては私どももよく認識しているわけですが、これは大蔵大臣にちょっとお聞きしたいんですが、大蔵大臣はかねて、大蔵省の過去の金融行政は護送船団方式の時代が率直に言ってありました、これが非常に問題だったとおっしゃいました。 過去に大蔵省の生命保険、損保ももちろんそうなんでございますが、生保に対する業界への行政指導のあり方に問題はなかったかというふうにお考えであるか、あるとすればどういう点に問題があるというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変詳しいいきさつを知っているわけではございませんけれども、やはり基本的には銀行に対すると同じように、殊に生保は資産も大きゅうございますし、国民生活への関連も深うございますから、波風が立たないように平穏な行政が行われるようにという指導をしてまいったことは基本的には私は同じであろうと。 かなり業界には差がございます。この点はマネーセンターバンクスの間の差よりは生保相互間の差が大きいかもしれませんが、しかし全体の数は少のうございますので何でございますが、全体として保護をされてきた、そういうことには私は変わりがないであろうと思っております。
○峰崎直樹君 過去、具体的にやはり内部留保よりも例えば配当の方をふやすとか、あるいは膨大な株式あるいは資産の含み益というものを背景にして例えば予定利率を非常に上げている、こういうようなやはり事例があったんじゃないのかなと。そのときに、生保の商品になりますと、二十年、三十年、大変先のリスクをかぶっているわけでありまして、そのリスクの先を、ある意味では予定配当利率というのはそこをもう確定しちゃうわけですから、これはもう大変なやはりある意味では指導の内容だったと思うんです。 そういったことに対して、実は大蔵省の過去の指導にはやっぱり問題があったという責任は痛感をされますですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはそうであろうと思います。 殊に、このように市場経済、自由競争という世の中になって反省をいたしますと、今までやってきたことにはいろいろ考え直さなければならない問題もありますし、殊に今利率のことをお話しになりましたが、今日のような非常な低金利になってまいりました場合に、予定利率というものが実際どうやっても達成が難しくなっているのは現実でございますから、そういう行政指導の結果というものは今日もなおいろんな問題として残っているといいますか、むしろ存在しているということは、それはそう考えなければならないと思います。
○峰崎直樹君 ということは、やはり過去のいわゆる行政の、とりあえず大蔵省の行政責任と言われるものは私はやはりあるんだろうと思うんです。しかし、なかなかそれが、その責任のとり方というのが、これは銀行もそうでありますし、証券ももちろんそうでありました。住専に対する指導もそうです。バブルの崩壊以降、その点どこも明確にしてその責任をきちんととっていないというのがやはり非常に問題なんではないかと思うんです。 さて、そのことについて私自身さらに追及していかなきゃいかぬと思いますが、先ほど逆ざやの問題をおっしゃいました。逆ざやとは一体何でしょうか。これは政務次官、どうでしょうか。
○政務次官(村井仁君) 生命保険の場合でございますけれども、いわゆる予定利率というのを定めておりまして、それに基づきまして保険料を決定するわけでございますが、実際の資産運用の結果、その予定利率を達成できないというようなことになりますと、当然のことながら損失が生ずるわけでございまして、それを逆ざやと、このように解釈いたしております。
○峰崎直樹君 予定利率を構成している中身が通常三つあると言われています。死差、それから利差、それから費差。そのうちどれが問題なんですか。
○政務次官(村井仁君) 死差につきましてはさほどの差があるとは考えられませんから、結局、利差、費差。費差につきましては、これは当然各社とも一生懸命いろいろな経営努力をして改善を図っているところでございましょうから、結局、金利、低金利の問題という利差の問題が現在の生命保険におけるいわゆる逆ざやの非常に大きな原因だと、このように言わざるを得ないと思います。
○峰崎直樹君 そうすると、今生保業界が陥っている大きな要因というのは、一つは今おっしゃいましたやはり利差の問題。利息があるいは運用環境が非常に低迷しているという問題ですね。これとやはり過去の大蔵行政のいわゆる将来見通しといいますか、これは三十年先を見通せというのがなかなか酷なことなのかもしれませんが、しかしいずれにせよ、その場合でもある意味では三十年という一つの期間リスクに対する、投資というのは必ずリスクをとらなきゃいけないわけですから、そういうことも考えた対応をさせてこなかったという二つの大きな責任が今明確になったと思うんですね。 もう一つお聞きします。 金融監督庁が監督に入られて、これから先実は会計基準が変わってきますね。私ども聞いていると、資産サイドは二年後に時価会計に入る、負債サイドは五年後に時価会計に入ると、こういうふうに聞いているんですが、それはそういうふうになっていくんでしょうか。
○政務次官(林芳正君) 会計のことですので大蔵省の方から御答弁させていただきます。 委員が御指摘になったように、資産の方は今度時価になって、こう動くわけでございます、マーケットで。 それで、負債の方はおっしゃるようにまだ時価評価ということになっておらないわけでございます。 この問題につきましては企業会計審で金融商品に係る会計基準というような意見書を十一年の一月に出しておりまして、そのときにこの四月一日からの事業年度から資産について時価評価を導入したと、委員御承知のとおりでございます。 そこにも、意見書にもありますように、負債については、例えば借入金のように一般的に市場がない、それから市場があっても例えば社債のように時価によって自由に清算するというのはなかなか事業遂行上等難しいわけでございまして、負債については時価評価の対象としないことが適当であるという答申になっておるわけでございます。 これはアメリカの会計基準や最近注目されています国際会計基準についても同じような評価になっておるところでございまして、負債の方をどうして見ていったらいいかというのは、今委員は五年とおっしゃいましたが、それぐらい少し中期の課題ということになろうかと思います。だから、五年で必ず結論が出るという状況ではないということだと思います。
○峰崎直樹君 そうすると、生保業界がもし直ちにこういう国際的な会計基準に合わすような評価方法に切りかえたときには、どんな経営状態になるかということは推計されておりますでしょうか。
○政務次官(村井仁君) 今私ども、会計基準の問題、ただいま大蔵政務次官からお答えがございましたように、なおいろいろな角度から検討中というふうに承知しておりますので、私どもの方でもそれなりの研究はいたしておりますが、ちょっときちんとしたお答えをできるような用意がございません。
○峰崎直樹君 トータルで結構でございますから、あるいは大手八社でも構いませんが、そういったある意味ではこれから先にどのような会計基準になっていくのか、そしてそれがどういう経営状態になっていくのかということについて、やはり国会にあるいはディスクローズしていくといいますか、そういう無用な心配をもたらすということを考えるかもしれませんが、しかしやはりもう今日ではさまざまな評価機関もあるわけですから、そういった点を明確にしていただきたいなというふうに思います。それはまた後で申し上げたいと思います。 きょうは日銀の副総裁に、総裁はたしかバーゼルに行かれているようでございますので、副総裁にお願いをしたいと思うんですが、今、利差の問題で、要するに予定利率に対してそれがなかなか実現できない大きな要因として非常な低金利政策がある、こういうことで、これは国会でも随分と議論をしておるわけであります。 日銀のゼロ金利政策について、たしか四月十二日に日銀総裁が記者会見をされたときに、ゼロ金利についてこのように発言されていると思うんです。これは正確なところはわかりませんが、個人消費の基盤となる所得環境がこれ以上悪化しないことを条件に挙げて、実は将来的にはいわゆるゼロ金利からの解除があり得る、こういうお話があって、その後たしか大蔵大臣と一緒にG7に行かれましたですね。 そして、アメリカで恐らくサマーズあるいはグリーンスパン両氏ともお会いになってお話しなさって、帰ってこられたら急にそのことがトーンダウンしているように思うわけであります。 この点について、日銀としてはゼロ金利政策の解除の条件というのはどのように考えられているのか、改めてお聞きしたいと思います。
○参考人(藤原作彌君) お答えいたします。 総裁が四月十二日の記者会見で申し上げた先ほど先生がメンションされたこと、それは記者会見のときとその後のスタンスとは変わりございません。日本銀行ではかねてからゼロ金利政策解除の条件は、これはもう熟した言葉になりましたけれども、デフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまでというふうに申し述べております。その条件としてこれまで政策委員会で議論した中から集約されてきましたのは、そのためには設備投資や個人消費といった民間需要の自律的回復への道がある程度見えてくることがまず必要であるということでした。 この中身ですけれども、まず設備投資につきましては、三月の短期経済観測の調査結果やそれから関連する指標から見て、緩やかながら増加に転じてきているということが明白になりつつあります。一方、もう一つの柱であります個人消費につきましては、引き続き回復感に乏しい状態が続いておりますが、雇用・所得環境の面では雇用者数や賃金に下げどまりの動きが見られるなど明るい兆しも出てまいっております。 それで、ではそこからどういうふうにフォローしていくかということでありますけれども、そこが、先ほど先生が御指摘ありましたが、総裁の発言に差しかかるわけですけれども、今後は個人消費の基盤となる所得環境などがこれ以上悪化しないだろうということが少しでもはっきりしてくれば、自律的回復、つまりゼロ金利政策の解除の条件とされておりますデフレ懸念の払拭への展望が見えてくると、そういう順路で総裁は答弁申し上げたわけでございます。 私どもとしましては、こういった点を中心としまして、特に今後は個人消費を中心とした経済情勢及び指標を注意深く点検しながら、適切に判断してまいりたいと考えているところでございます。
○峰崎直樹君 ゼロ金利に入ったのは去年の二月十二日だったでしょうか、そのときに比べて大分大きく変わってきているように思うんですね。一つは、金融システムが今のところさまざまないわゆるセーフティーネットといいますか、それができ上がってきた。あるいは景気も、たしか経企庁長官だと思うんですね、非常に緩やかにと。日銀もたしか最近では、短観とかそういうものを通じて、上がってきていると。株価も、ちょっときのうは非常に大きく下がっておりますが、これは外人の方が売り抜けたというような話を聞いておりますが、いずれにしても比較的安定度が上がってきた、あるいは卸売物価もどうやら下げどまりになってきたかなということなんですね。 ただ、私どもがそういう当時非常に懸念していたことはほぼなくなったのではないかなと。だとすると、これはゼロ金利といいますか、あるいは公定歩合が〇・五になったのはたしか一九九五年の九月だったと思いますが、もう約五年この異常な低金利が続いているわけですね。 最近では、先日もちょっと予算委員会で日銀総裁にお話ししたんですが、通常GDPでいわゆるベースマネーを割って、マーシャルのkというちょっと難しい言葉ですが、これが異常に膨らみ始めているという。そして過去、一九七〇年代の、七三年ごろのあの異常値、それから一九八〇年代のバブルをもたらしたときの異常値。今回またそれが異常に膨らみ始めてきているということを指摘して、こういう異常な状態が、〇・五も異常だけれども、金利が実質上ゼロにしてしまうような、もうそれも一年以上にわたって続いている。こういう異常状態が当たり前のようになってしまっているというところに非常な次の問題、危険性があるのではないかということを指摘したわけであります。 その意味では私どもは、異常なんだと、今の状態が。一刻も早くそこを通常の、普通の状態に戻っていかなきゃいけないときに、どうもそういう方向を目指そうとされていたのに、アメリカに出向いて帰ってこられたら、途端に若干それがトーンダウンしてきたのかなと。そうすると、ブラックマンデーが起きたときに絶好の利上げのチャンスを失って異常状態を長引かせていったという、あのパターンに非常に似てきているのではないでしょうか。そういうふうに思われませんか。この点は副総裁と大蔵大臣にも、そのときの経験者でございましょうから、ぜひお聞きしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今お話しの日銀総裁の談話というのは四月十二日とおっしゃいましたが、たしかその前四月十日に日銀の政策委員会の決定がありまして、これはゼロ金利政策はしばらく継続するということでありました。 その間の事情でございますけれども、私はそれから間もなく総裁と御一緒にG7に参りまして、飛行機の中でも一緒に行動をしておりましたので、よくわかるような気がすることでございますが、総裁としては、こういうゼロ金利、確かに九五年九月からこういう状況に、〇・五になってきた、今のゼロという金利状況、殊にこれは本来のことではないという気持ちを当然のことですが総裁は持っておられまして、政策委員会でもそれから生ずるメリットはもちろんですがデメリットもいろいろ議論があって、自分はしたがってこれが本来のことではないんだ、やがて状況が改善すればこれは変えるべきことであるということを機会があればマスコミュニケーションにコミュニケートしておきたいと。コミュニケーションという言葉を総裁がしょっちゅう使われるわけでございますが、これは今としては当分これしかあるまい、しかしこれが本来ではないんですよということは言っておきたいという気持ちがあって、四月十二日の発言をしたんだということを言っておられました。 私は、今でもそういう気持ちでおられるだろうし、殊に伺うと政策委員会の中でもいろいろ議論があって、だんだんそのデメリットについての議論も出てきているということが恐らくあるんだろうと思いますから、そういうことで考えておられる。 したがって、G7の会合では一切総裁はそれに触れられませんでした。何となれば、今の状況としてはこれは続けていかざるを得ない、そういう政策委員会の意向でもある。そこで、一遍しかし原則論はと言ってみたところで別段の意味はないので、それは今言うことではないと考えられたのだろうと思いますが、何も言っておられません。したがいまして、それについての議論は日米間においてなかったというのがこの間の状況でございました。
○参考人(藤原作彌君) お答えいたします。 ゼロ金利政策を日本銀行が採用しましてから経済環境はどう変わってきたかということにつきましては、先生が御指摘なさった項目一つ一つそのとおりだろうと思います。つまり、事態が好転しているということは事実でありますと思います。 そういう中にありまして、ではそのゼロ金利政策をいつ解除するかということに、従前に比べますと政策委員会の議論もかなりきめ細かくなっております。しかし、最終的結論としましては、結論はディスカッションした上でみんなで採決して決めるんですけれども、その結果は当面今の政策、つまりゼロ金利政策を続けていくということになってきております。 ただ、議論の中身は、結果としての票数はゼロ金利政策継続という多数意見ですけれども、議論の中身はかなりこれだけ経済の状況がよくなってきているんだから大体デフレ懸念払拭の展望が見えつつあるということで煮詰まってきつつあるという段階でございます。 ゼロ金利政策の持つデメリットもかなり詳しく検討されておりますが、しかし現時点ではまだもう少し先ほど言いました設備投資、個人消費、特に個人消費の面が雇用環境にどういうふうな影響があらわれてくるかを見きわめたいというのが委員会の大勢ということで現在に至っているわけです。
○峰崎直樹君 副総裁にもう少しお聞きしたいんですが、このゼロ金利政策をとっていることによって日本の経済構造の改革がおくれているのではないか。ちょうど財政政策のところである意味では小渕前首相のもとで何でもありの政策をとられたわけでありますが、そのことと裏腹といいますか、今度は金利の面ではそういうゼロ金利政策をとることによって、これは表現は非常に気をつけなきゃいけませんが、本来的にはもう市場からリタイアしていかなきゃいけないと言われているような分野が依然としてずっとそのまま存続を許されていると。そのことが実は経済構造の改革をおくらせて、例えばゼロ金利にしたって銀行の貸し出しというのはずっと減り続けている。なぜ減り続けているのか。それは民間のいわゆる借りる意欲といいますか、そういったものがもう落ち込んでいるんでありましょう。あるいは銀行が貸そうと思っても、実は不良債権を持っている、そこに引き当ててはいるけれども、さらにいい分野があってもなかなかそこに貸せないとか。そういうものの中で実は大変大きな問題をもたらしたんじゃないか、これが一点です。 もう一点は、例えば今我々地域を回ってみて、家庭の主婦だとかあるいはお年寄りの人が、もう定期預金なんかに預けるのはばかくさくて預けるという気はない。ではどこにそのお金が行くかというと、非常に金利選好といいますか、金利がどう高いかということをよく見ていますから、そうすると、余りリスクに関係なくて、例えばIT関連の株が非常に上がっているとなればそちらに投資が移行するとか、果たして本当に期待値だけで上がっているところに本当にリスクを十分判断されているだろうかと思いながらも実はそういうところに投資をされているというような分野がふえ始めているんじゃないでしょうか。 そういったことの弊害というものがもうだれの目にも明らかになってきているというのが私は実態なんじゃないかと思うんですが、その点はどのように判断されますか。
○参考人(藤原作彌君) お答えいたします。 先生が今御指摘なさったいわゆる構造問題がゼロ金利政策を長く続けていくことによって少しく足を引っ張られているんじゃないか、つまりモラルハザードが起きているんじゃないか、そういう面は政策委員会の議論の中でも相当指摘されております。それから、短期金融市場、マーケットがゼロ金利になれ切っているがために資金がうまく潤滑に動くかどうか、そういった技術的な実態的な資金の循環の側面でもデメリットは指摘されております。それから、預貯金の金利、年金生活者の方々それから財団その他の金利、先ほど生命保険のお話が出ましたけれども、そういったことからくるデメリットも指摘されております。 私どもも今、そういったデメリットと、それからゼロ金利政策をもう少し続けていくことによって経済全体の自律的回復が完全に定着するまで見きわめる、その間支えてきたゼロ金利政策のメリットとデメリットを勘案しまして、もう少しメリットの方を続けて日本経済が大丈夫だという点を見きわめてゼロ金利政策の解除に踏み切るという方向感を持って今議論が進められておりまして、その議論が次第に煮詰まりつつあるという状況は先ほど申し上げたとおりです。
○峰崎直樹君 本当に日銀のさまざまな内部の議論の様子というのは議事録などで読ませていただいておりますのでよくわかるようになったんですが、その意味でぜひそういった点をよく注意していただきながらやはり改革に取り組んでいただきたいなというふうに思っているところでございます。 さて、そのときもう一つお聞きしておきたいのは、これは大蔵大臣にお聞きしたらいいのか、日銀副総裁がいいのかもしれませんが、GDPに対する銀行部門の貸し出しの比率というのは全然減っていないですね。これはちょっと数値的に恐らくGDPの一・一か一・二ぐらいでずっと貸し出しているんじゃないでしょうか。これ、ちょっともし事実がわかれば教えていただきたい。
○参考人(藤原作彌君) お答えいたします。 国内銀行貸し出しの対名目GDP比率、今先生御指摘はそのことだと思いますが、それをやや長い目で振り返ってみますと、一九八〇年ごろには七〇%程度でした。これがバブル期には大きく上昇しまして、九〇年には一〇七%ぐらいまで高まってまいりました。バブル崩壊後は徐々に低下傾向をたどっておりまして、昨年末には九八%程度、そういう状況になっております。
○峰崎直樹君 ということは、バブルのときの、いわゆる八六年、八七年の水準までにはまだ下がっていないと。まあ、直接金融よりも間接金融のウエートが高い日本ですからアメリカと比較するのはよくないのかもしれませんが、結局銀行はいわゆる引き当てをやりましたと、ですから第Ⅱ分類、第Ⅲ分類、第Ⅳ分類もほとんどやっているからもう大丈夫ですと、こうおっしゃっている。おとといの委員会ではバブルはもうほぼ八〇%終わったんだと、こうおっしゃっているんですが、問題は、この貸し出している部分が多少減っているといっても、そのいわゆるバブル期の水準よりもなおずっとオーバーに貸し続けているんじゃないのか。 これが実は減っていかないというのは、やはり帳簿上のところの整理はついているけれども、実体上の経済には本来その清算をしてしまわなきゃいけないものがなかなかそれが清算されないままに残っているがゆえに、実は実際にマネーを、大いにハードカレンシーを出してもそれがなかなか有効に活用されていかないという大きな原因になっているんじゃないかという気がしているんですが。 最近、ちょっと新聞を読みますと、新しくこの四月から民事再生法ですか、非常に活用される度合いが広まっているというふうに、企業再建処理で。問題は、その処理スピードといいますか、今後これをやっぱり速めていかないと、日本のやはり構造改革といいますかそれに早く金融がきちんとした仲介機能なり決済機能なりを持てないんじゃないかという気がしてならないんですが、これは日銀副総裁がいいんでしょうか、大蔵省に聞いたらいいんでしょうか、両方にお伺いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどのGDPとの対比のお話は、伺ってなるほどなと思う反面、GDPそのものにも問題があるのかもしれないなという思いがいたしますが、それはそれといたしまして、御提起になっていらっしゃる問題はやっぱり私は大事な問題だろうというふうに思います。 それで、少しマクロに考えまして、アメリカがあれだけの再生を果たしているということ、それを我々は見ておって、大変におくれているけれども、我々は我々なりに新しくなろうとしておりますけれども、やはり手法の違いの一番大きな部分は恐らく雇用政策だろうというふうに私は思っています。 これは、レイオフというようなことがアメリカではいろんな伝統もあって比較的やりやすいというか、かなり厳しく残酷なまでにやっておって、それはそれなりに社会問題になってはいるんでしょうが、全体の成長の中で支えられてきている。我が国の場合、しかしそういう雇用政策あるいは会社のポリシーというものがそのまま認められるかというと、現実にはなかなか問題もありますし、簡単なことではない。政府もアメリカのようなレイオフの政策というものを基本的に是認して対応しているとは私は思っていないので、やはり日本には日本の対応の仕方があるというふうに私なんかも思っていますし、恐らく国民の多くがそう思っていらっしゃるのではないかと思います。 そうだといたしますと、今峰崎委員の言っていらっしゃいます問題は、どれだけ果敢にかつ思い切ってそういう国全体のリストラクチャリングを行うかということに帰着いたします。我々はともすればそういうことについて場合によっては憶病だと言われるかもしれない状況の中で、今のような御指摘があったことは大変にある意味で励まされる思いがいたしますけれども、現実の事態として恐らくこれは、一番はっきり申せば、アラン・グリーンスパンがはっきり言うことでございますけれども、いい悪いの問題ではないが、やっぱりそこはどうしても日本なりあるいはヨーロッパにはそれなりのやり方があるんだなということを申します。その問題に深く関係しているだろうと思います。 ただ、そうではありますけれども、だからといってリタイアするはずのものがなかなかリタイアしない、温存されているといいますか、余り意味のない存在としていつまでも残るということについてはこれはやっぱり問題がある、そうおっしゃっていることは我々も反省をしなければならない点も確かにあると思っております。
○参考人(藤原作彌君) お答えいたします。 大筋としましては今大臣の方からお考えを述べられたとおりであると思いますけれども、民間金融機関の動向との関連について私からちょっとお話ししたいと思います。 民間銀行は基本的にはいまだに慎重な融資姿勢をとっております。ただ、銀行自身の資金繰り面や自己資本面からの制約といった事情は大分緩和されつつありまして、大手銀行などでは融資先の信用力を見きわめた上で融資を回復させようという姿勢を強めております。 一方、企業サイドはどうかといいますと、実体経済活動に基づく資金需要が低迷を続けている上に、いわゆるバランスシート調整の一環として借入金を圧縮するスタンスをまだ維持しているということから、民間の資金需要は引き続き低迷しております。したがって、民間銀行貸し出しは全体として減少傾向が続いているわけです。 しかし、日本の産業全体それから経済全体のリストラという点から見ますと、銀行も企業もバランスシート問題の処理を今一生懸命進めているということがうかがい取ることができます。 構造調整の促進といったそういう問題そのものは金融政策の目的ではございませんけれども、景気の回復と密接な関係がありますので、私どもとしましても注意深く今後とも見ていきたいと思います。
○峰崎直樹君 お二人から、その意味では非常にこれから雇用問題あるいは民間の動向を慎重に見きわめていきたいというお話があって、きょうは保険業法の利子の問題からそちらの方にちょっと入っていったわけでありますけれども。 実は、EUの今ユーロが非常にユーロ安になっているんですけれども、私どもまだ十分確かめていないんですが、どうもやはりEUのいわゆる構造調整といいますか、やはりそれがおくれているがゆえに、ユーロがアメリカやアジアやそういったところに直接投資をしているんじゃないかと、もちろん証券投資も入っているんですが。 その意味では、やはり構造改革を早く進めていかないと、今日本でも、今おっしゃいましたけれども、民間企業は余り日本でこれから大きく設備投資をしないで、逆にアジアやアメリカなどそういったところに、これは証券投資ならすぐ返ってまいりますけれども、直接投資もそちらに向かう日本の空洞化というものを招いてしまう危険性が構造改革がおくれればおくれるほどあるんではないかなというふうに私自身は考えておるんです。それは当然リストラクチャリングというのは、雇用問題にも影響がありますし、企業分割だとかそういうことについては、当然今働いている人間がそのことについてどういうふうに同意をするかとかという問題も非常に重要な問題だと思うんですが、しかしそこの構造改革がおくれればおくれるほど、私はやはりスピードがこれからの時代非常に大きいんではないかなというふうに思えてならないわけでありまして、その点はまた別途いつか議論する場で議論したいと思います。 そこで、金融監督庁にちょっと、政務次官の方で結構でございますが、じゃ、今そこで長期金利が二%、三%上がってくる、景気が今のような状態で長期金利が上がるとなると、これは生保の経営体質にとってみれば、それはいいことなんでしょうか、悪いことなんでしょうか。
○政務次官(村井仁君) 金利がこれからどのような展開を示してくるか、これはちょっとわからないところでございますが、仮に上がってまいりましたら、それはとりあえず、現在生保業界が特に悩んでおります利差の問題、こういう点では経営の状況をよくする方向に向かうんだろうという面もあるかと思います。 ただ一方では、もちろんそれぞれ機関投資家としていろいろ機能している面がございますから、その融資を受けているといいますか投資されている先でどのような影響が及ぶか、これまたいろいろ複雑な問題にいずれにしてもなるんだろうと思います。
○峰崎直樹君 再生委員長、前に予算委員会のときにも質問しようと思ったいわゆるポートフォリオの中で、相当やはり資産を持っていらっしゃるでしょう、国債ですよ。そうすると、金利が上昇すれば当然含み損が出てまいりますよね。ですから私そのことを聞いていたわけですが。 もちろん、これからの将来の問題はそのことによって投資環境は変わるんでしょうけれども、過去の問題というのは相当深刻なんじゃないかと思うんです。今、そういう利子率いわゆる金利が上がっていくことによってどのような影響を受けるのかということについては、それは展望されておりますでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 個々の企業のポートフォリオの内容については監督庁の方でいろいろ見ているわけでございます。私としては、逆ざや問題というのはやはり大きな問題だと思っておりますから、その限りにおいてはよい影響が金利の問題が上がってくる場合にはあるだろうと思っておりますが、全体の経済の中でどう判断するかはまた別の問題だと思っております。
○峰崎直樹君 いずれにせよ、今、要するに生保は、金利環境が非常に好転すること自身は好ましい面と、やっぱり保有している債券の下落に伴う含み損の与える影響というものは実に大きいんじゃないかと思うんですね。 きょうは自治省からちょっと、情報開示がなかなか進んでいないということで、生保の抱えている不良債権のうち第三セクターと言われているものがあるんですよ。地方自治体における第三セクター、地方公社に生保は一体どのぐらい出資しているのかということは自治省でつかんでおられますか。
○政務次官(橘康太郎君) 御質問の点でございますが、残念ながら自治省におきましてはそれをつかんでおりません。申しわけございません。
○峰崎直樹君 それでは、国のいわゆる第三セクターとか石油公団、道路公団、各種公団──石油公団はまた前の通産大臣が文芸春秋にその実態を赤裸々に書いておられますが、そういったところに生保はどのように融資をされているんでしょうか。その点、ちょっと数字を明らかにしていただけますか。
○政務次官(村井仁君) 金融監督庁としての立場では、生保会社が個別の融資先にどのような金額の残高を持っているかというようなことは定期的な報告を求めているわけではございませんので必ずしも全貌を把握しているわけではございませんが、ただ、今御指摘の中で、例えば苫小牧東部開発の有価証券報告書によりますと、生保業界からの同社への融資額が平成十一年三月末で百三十七億円、それから国土庁が平成十二年に衆議院に提出した資料によりますと、むつ小川原開発への融資額が平成十年十二月末で二百十四億円と、このようになっていると承知しております。 それから、石油公団への融資額については他の政府系金融機関への融資額とあわせて報告を受けておりまして、その合計額は平成十一年三月末で四千四百億円となっておりまして、それからまた道路公団への融資額については他の運輸・通信業に属する融資先とあわせて報告を受けておりまして、その合計額が平成十一年三月末で約二兆三千三百億円と、こういうようなことになっております。
○峰崎直樹君 個別の石油公団あるいは道路公団の数字はちょっと名前を質問に入れておいたので出てきたんだと思うんですけれども、ぜひ公社公団の、個別の生保の会社はいいですから、一度一覧表をつくっていただけませんか。どうですか。そして、国会に提出してくれませんか。それから、地方自治体も地方公社、地方の第三セクター、そういったところにどれぐらい出資しているのか。 ということは、いわゆるこのディスクロージャーというのがどんなに進んでいるのかということがわからないために、我々はやっぱり生保の将来像というものを考えるときに非常に不安を持っているわけでありまして、その点、出していただけるかどうかだけちょっと。
○政務次官(村井仁君) 金融監督庁の立場といたしましては、監督上の立場から把握しています個別の融資額というものにつきましてはやはりこれはちょっと公表というのは難しいのではないかと思っておりますが、峰崎委員の特段の御指摘でございます、なお研究はさせていただきます。
○峰崎直樹君 自治省の政務次官はどうですか。
○政務次官(橘康太郎君) 本件につきましては、まことに残念なことでございますけれども、第三セクターにつきましては、地方自治体として出資している分、これはつかめるわけでございますけれども、その生保、損保が幾ら出資しているかということについて、現在はつかんでおりませんけれども、しかしながらこれは今後の自治省の政策の中においてそれがつかめるのかどうなのか。私はっきり申し上げまして御存じのとおり実務の方はやっておりません。そういう関係の中で、このことを今私が答弁できる立場にないということはひとつ御理解賜りたいと思います。 ただ、実務の当事者につきましては、このことの要求があった、どう対処するのかしっかり対応してもらいたいということは申し伝える、そういう気持ちでおります。よろしくお願いいたします。
○峰崎直樹君 当然、金融監督庁は検査に入っているわけですね。そして、第Ⅱ分類、第Ⅲ分類、第Ⅳ分類、やっているわけですね。そうすると、そこの中において政府系の特殊法人、公社公団にどれだけ入って、それが第Ⅱ分類だと評価しているのか、そこはトータルとしては出てくるだろうと思いますし、先日も青木官房長官は、天下りの役員の問題について、きれいに、その後十年間ぐらいの天下り状況、渡りなどの状況を資料として出すことを約束して、出していただきました。その意味で、これからディスクロージャー、情報開示が非常に重要な時代ですから、その点はぜひ出していただきたいということをお願い申し上げたいと思います。 さて、時間も余りなくなってまいりました。 要するに、責任の問題でいえば、私は、やはり生保の、損保ももちろんそうですが、経営実態の問題はそれぞれあると思うのでありますが、今出されている株式会社化の問題だとかあるいは更生法の適用の問題だとか、そういった点について、改革について私は賛成なわけでありますが、もう一つ、今後、実はよく見ていると金融機関の中で銀行とか証券というのは随分ドラスチックに変わってきていますよね、大型化している。なぜ生保の場合はそれが進まないのかなというふうに思っているんですが、よくよく見ると、たしか、どことどこの生命の合併だったでしょうか、合併じゃないですね、国内の生保の太陽生命と大同生命の全面提携が進んだと。去年の一月でしたね。一年以上たったんですが、それはどうですか、どのぐらい提携はうまく進んでいるんでしょうか。
○政務次官(村井仁君) 生保業界のある意味では将来展望というような感じの問題になるかと思いますけれども、一つには、私は、現在相互会社という形態をとっているということ、これがいろいろな意味で、何といいましょうか、大きく変化させるには大変いろいろ難しい問題があるということは御理解いただける問題だと思っております。 しかしながら、一方で、高齢化社会が進展してまいりますと、医療、介護、年金等の分野における多様な保険商品のニーズというものが出てまいる、それから金融システム改革に伴いまして業態を超えた相互参入が行われる、そういうことでサービスの提供主体が非常にバラエティーに富んだものになってくる。あるいはインターネット等の情報通信技術の発展に伴いまして、保険募集ですとかあるいは契約締結の形態でございますとか、こういったものが非常に多様化してくる。こういうようなことで、私はまた保険業界も非常に大きな変化が当然起こってくるのではないかと思っております。 そういう意味で、各社ともいろいろな新しい商品でございますとかサービスの提供のために努力をし、あるいは情報技術につきましての投資の増大、これが不可欠になってまいりまして、そういう意味ではさまざまな努力をそれぞれにしている。 それから保険相互会社の株式会社化でございますけれども、これが比較的より容易な形になるということがこれまた保険業界のこれからの変化に大きにプラスするのではないか、こんなふうに期待しているところでございます。
○峰崎直樹君 保険業界が相互会社から株式会社化する、これ実はとてつもない数なんですね。一千万あるいは二千万近い、日本生命になると大変な数。株式会社化する手続、時間だけでも膨大なものがかかって、果たしてこれは実際にやれるだろうかなというぐらい本当に。まあ一つの選択肢がふえるということは非常にいいことだと思うんですが。 私がさっき聞いているのは、そうじゃなくて、提携関係を結んだ企業があるわけですね、太陽生命、大同生命。それがどうもうまくいかないと。これは相互会社であるがゆえにうまくいかないんですか。なぜうまくいかないんでしょうか。いや、保険商品がそれぞれ大変だからという、その点実はもう今お話を聞いただけではちょっとよくわからないので、もう一回その点、原因を。
○政務次官(村井仁君) 大変恐縮でございますが、ただいま具体的にお示しになりました件につきまして、うまくいっている、いかないというような判断を私の方からいたすのは、これはもう大変申しわけございません、差し控えさせていただきたいと存じます。今どういう状態になっているかということにつきましては私どもなりに注視をしているというふうに御理解をいただきたいと存じます。
○峰崎直樹君 どうも私どもの聞いている限りでは、あるいはいろんなものを調べた限りでは、提携はしたけれどもなかなかうまくいっていない面が、あるいはやりづらい要素がたくさんあるんじゃないかというふうに言われている。 たしか私も前大蔵委員会にいたときに前回の保険業法の改正にも私質問に立ったことがあるんですが、実はそのときには生保と損保の子会社の参入とかそのレベルで、実は非常に今から思うとこんなに金融が大再編成されるとは思わなかったようなときに恐らくさまざまな改革がなされたんだけれども、その改革が今の業界再編をやっていくときに非常にある意味では規制がまだまだ強過ぎるんではないかという、そういう御指摘があるということについてはどのように考えておられますか。
○政務次官(村井仁君) 現在の段階では、規制の問題と申しますよりは、一般的に提携関係等につきまして、あるいは相互参入というような問題につきまして障害になるものがあるとするならば、いわゆる契約を管理いたしますシステムでございますね、それが個社によってそれぞれ違っている。そのシステムの違いというのは、これを統合していくのは大変難しい、このコストが非常に高い、このあたりが提携関係を、一般論でございますけれども、非常に提携なり相互参入なりを阻む一つの問題というように私どもは聞いておるところでございます。
○峰崎直樹君 今御指摘になったようなところだろうと思うんですよね。 それで、これは顧客の秘密を守るとかあるいは顧客の利益を守るということとの恐らく関連性があるんだろうと思うんですが、例えば契約管理の問題だとかあるいは資産運用だとかあるいはシステム開発だとか、こういったことを合併してアウトソーシングしたい、両方まとまって。そのときに、そのアウトソーシングをすることに対するある意味ではやりづらさというかやりにくさとか、それは逆に言えば顧客の利益を考えた上でのことかもしれないですね。しかし、どうもそこらあたりをきちんとしないと、生保全体のいわゆる大きなビッグバンへの対応にならないんじゃないか。 ひいては、先ほど費差、利差そして死差と言いましたけれども、費用の差のところの改革というのは、利差は今いわゆる経済の環境が大きく響きますが、運用の努力をして利差を大きく上げようというときに、その利差を改革するときの大きな阻害要因にもしなっているとすれば、ここはやっぱり改革していかなきゃいけないんじゃないかと思うんです。 どうでしょうか、ずっと聞いていて金融再生委員長、そういう形での大きな改革に対するやはり大胆にやっていくべきものはやる、もちろん顧客の利益を守っていくということを優先することは当然なんですが、その点はどう考えておられるんでしょうか。
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、委員の御議論を伺っておりまして、金融の再編成にもいろんな局面があると思いますが、銀行の場合には大きなメガバンクはどんどん進んでいる。それから地域の信組等は、いろいろこれ生き残りの上からいろんな動きがあると思うんですが、これから進んでいくんじゃないかと思うんですね。地域銀行の場合にはかなりすみ分けが進んでいる。 それに比較して保険の場合は、日本の保険業界というのはいずれも皆、何というんでしょうか、全国展開を目指しているような感じでございまして、銀行の場合のようにそれぞれの保険会社の規模や何かによって状況が違うということは余りないんだろうと思うんですね。そういう中で、必ずやはり再編というものが、これはもう個別の保険会社の判断でございますけれども、再編というものをやはり起こしていかなければこれだけの競争の中では耐え得ないだろうと思います。 私どもは、かつての護送船団方式というのではないのでいこうということでやっているわけでありますけれども、大きな方向で見た場合には、そのような流れを加速していくことが単に経営の安定性を高めるというだけではなくて、利用者の利便を高める上からも必要だと思いますので、一体何が全体の中で問題になっているかということも注意深く点検しながらこれから対応してまいるように我々も努力していきたいと思っております。
○峰崎直樹君 じゃ、質問を終わります。 ありがとうございました。
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。 私は、きょうは保険業法改正案について伺いたいと思いますが、その前に第一火災のことについて緊急に対応すべき問題がありますので、一点だけ伺っておきたいと思います。 五月一日に第一火災海上が破綻して金融監督庁は業務の一部停止命令を出されました。二〇〇〇年三月期決算で四百八十八億円の債務超過だと報じられておりますけれども、第一火災は一方では飛ばしの疑惑も生まれておる。それから粉飾決算の疑いも浮上しているし、債務超過の金額もさらに膨らむだろうという指摘もなされております。金融監督庁は、第一火災の経営責任を明確にするために保険管理人を選任されたわけなんですが、詳しくは、財務状況等はその調査を待ってからということにもなるかと思うんです。 今、私のところに第一火災の契約者からもいろいろ問い合わせが来るんですね。非常に心配をしておる、どうなるんだろうと。解約した方が得だろうかとかありまして、それはお答えできる範囲で私も答えておりますけれども、問題はそんな状況が起こっておることをこのまま置いておいたらいかぬだろうということなんです。 私、やっぱり、日産生命の問題もあったし、東邦生命の問題もあったし、その教訓は得ているわけですから、再生委員会、監督庁としても、今度の問題ではもう少し迅速にできなかったのかなということを感じています。そういう点では監督庁の責任というものもあるだろうと思うんです。 きょうただしたい問題は、これは第一火災の代理店に伺ったんです、直接。その話ですと、第一火災は破綻してもその理由だとか今後の問題、そういったことを保険契約者には何一つ知らせていないと、今は保険管理人の手元にもう移ってしまっているということもあるわけなんですけれども。第一火災は、ただ代理店には簡単に経過報告したと言うんです。だけれども、直接契約者に詳しい報告をしますと金がかかる、約一億円かかると言っているんです。だからもうできない、代理人任せだということになっているんです。これでいいんだろうかということ。当然よくないと思うんです。 第一火災から代理店への報告も、これはもう簡単な報告で詳しい報告じゃないと言うんですね。代理店自身がやっぱり不明な点を多く持っている。こういうことがありまして、しかも、知らせようとしてもそれなりに金がかかるし、その金は出るわけじゃない、どこからも出ない、代理店に押しつけられるということで困っておるということでありました。 当然これは放置していい問題ではありませんから、管理人の手に移っているということもあるけれども、やれるとしたら管理人の手でやるのか、あるいは機構で負担して契約者にちゃんとした状況報告をする必要があると思うんです。何らかの手だてをとるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがですか。
○政務次官(村井仁君) 池田委員よく経過を御案内のことでございますけれども、私どもとしましては、五月一日に第一火災から、事業継続断念の決議を受けましたに際しまして、未明でございましたけれども、同日付で保険業法に基づく保険管理人による業務、財産の管理を命ずるということと、それから保険管理人に対して保険契約の移転計画の作成を命ずるというような措置を私どもとしては迅速にとったつもりでございます。 そして、ただいまの契約者に対する何といいましょうか通知の問題でございます。委員御指摘のように確かに非常に大事な問題でございますが、現段階では、要するに新規契約の締結、解約、配当の支払い等に関する事務、業務は停止されておりますけれども、保険金の支払いでございますとかそれから保険料の受領等の保全業務というのは引き続き行われているわけでございます。 それからまた、申し上げるまでもないことではございますが、補償対象になります一定の損害保険契約につきましては責任準備金の九〇%は補償される等々のことがございまして、いずれにしましても実際の契約者につきましては基本的にはある程度のものは保証されている。そういう実態をこれは努めて代理店を通じてなりきちんと契約者に通報するように保険管理人に対しましてよく連絡をとり、やってまいりたいと思っております。
○池田幹幸君 再生委員長も五月一日の談話では、「保険契約者におかれては、いたずらに風評に惑わされることなく、冷静な行動をとられるよう強く希望する。」という談話を出しておられるわけですけれども、やっぱり惑わされないためには正確な情報が必要なわけですから、その手だては機構を通じてなり管理人を通じてなり必ず、今代理店を通じてなりというふうにおっしゃったわけですけれども、金の問題も当然起こってきますから、そういったことも考えながら遺漏なきようにやってもらいたいというふうに思います。 本題に入りたいと思いますが、保険業法改正案のうちの保険契約者保護機構について伺いたいと思います。 この政府の提案理由説明によりますと、この生命保険契約者保護機構のセーフティーネットとしての機能の維持を図るために、保護機構の借り入れに対する政府保証の恒久化、それからもう一つは生命保険会社の破綻処理費用の政府補助を行えるようにする、そういうことなんだと言っておるわけですけれども、セーフティーネット機能の維持というのは、これはもう大切なことは言うまでもありません。そのために政府が必要な役割を果たすということも当然だと思うんです。 しかし、それがなぜ税金投入ということになるのかということです。税金投入がなぜこの場合正当化されるのか、そのことについてまず伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 後から場合によりまして補足をしてもらうかもしれませんが、やはり生命保険そのものが国民の生活保障手段の非常に大きな部分である、世帯ベースで申しますと九割だそうでございますが、個人資産の総額千二百兆の中で個人金融資産、保険に関するものが三百兆あるそうでございますので、そういうことから考えますと、銀行預金とは違いますけれども、国民生活にとって、国の経済にとってはもちろんでございますが、非常に大きな部分である。したがって、これが揺らぐということは国民生活そのものに影響があるということが基本にあろうと思います。 そういう中で、ごらんのように一、二の生命保険会社の破綻がありました。国民に不安を与えている事実もございます。それに加えまして、現実の問題としては、やっぱりこういう非常に低い先ほどからお話のあります金利政策がとられております結果として、保険会社が予定をしておった利率というものは当然に非常に現実は下回らざるを得ないという、これは経営の責任だけには帰せられない国の経済状況の変化、それに対応する国のあるいは中央銀行も含めまして全体の経済政策のあり方と決して無関係ではない。これは否定することのできない事実でありますから、そのことも含めまして総合的に国が責任を負わなければならない部分があるということを考えております。 もとより、生命保険会社自身がそれにたえ得るような資産を持ち、またそれにたえ得るような仕組みを自分たちだけの力で考えてくれるということであればそれはもとより望ましいことでございますけれども、そういう経営の不振の上に、かなり大きな、既に七千六百億円という負担を背負って、かなりそれは各行にとって重荷であるということも事実と思われますので、そういう意味で、今回とりましたように保険機構が借り入れする限度に対して国としても保証をする、あるいは今回また保険会社が千億円出すというようなこともございましたので、そういうこともございまして国としてもさらに対応することにした。将来につきましても、全力を尽くして保険会社がそれに対応しましてもなお対応し切れないという場合については、改めてまた国としてそれについてはどう対応するかを考えなければならないだろう、こういう考え方をいたしておるわけであります。
○池田幹幸君 九割の国民が加入しておる。先ほど七千八百億と言われたのはちょっと数字が違うのじゃないかなという気がしますけれども、それは後で。それは結構です。 要するに、セーフティーネットを確保していくということにおいて、九割も国民が入っているんだから大事だというお話だと思うんですね。ただ、今のお話にもあったんですけれども、保険業界が独自の責任で信頼を確保していく、そういうためのシステムがあればそれはそれでいいんだがとおっしゃったわけですが、本来はそうあるべきもので、保険業界自身も従来保険基金というものをつくってみずからの責任でやろうというふうにしていたわけです。それが、九八年の段階で保護機構というのをつくって、自分たちだけの責任ではできないので政府保証もつけてやろうということになりました。 そうしますと、その進みぐあいを見てみますと、もともとその基金をつくってやっていこうとしていた業界の自己責任のとり方、その自分自身でやっていこうというそういう気持ちを強めるのじゃなしに弱める方向に、むしろ面倒を見てやるからという言い方をして弱める方向に持っていっておる。今度の税金投入問題も結果的にはそういう方向に、面倒を見てやるという方向に動いているんじゃないか、本来あるべき姿からは逆行しているんじゃないかと思うんですが、大蔵大臣いかがお考えですか。
○国務大臣(宮澤喜一君) おっしゃいますように、そこは難しいところであると思います。 ちょっと逆説的になりますけれども、従来の、昔のような今批判されております行政のもとでは、業界が一体であるという物の考え方が比較的受け入れやすかったと思いますけれども、今そういう考え方は実はやや過去のものに属しておりますから、非常に力のある保険会社がそうでない保険会社等々を全部ひっくるめて業界のためにかなり大きな負担をするということについては、必ずしも過去のようにすんなり受け入れられる状況ではないであろう。 全く受け入れられないと申しておるわけではありませんけれども、殊に外国の保険会社なんかもだんだんございましょうから、全体として一つの一体感のために応分の負担と申しますよりはもう少し大きい負担をすることもあえて辞さないという、そういう論理はなかなか難しくなってまいっておると私は思います。でございますから、しかしそういうことはやはり考えてはもらいたい。 今度の場合も、業界として何々の負担をすべきだと私どもが申しますときに、政府としての責任も、やはり責任という言葉になるんだろうと思いますが、なしとはしないんだから、それで諸君もという、こういう話の運びにやっぱりなってきておるのが現実ではないだろうかと。これから先そういう物の考え方がどういうふうに変化してまいりますか。 先ほどからお話のありますように、業界の中での合併とか吸収とかということは非常にやりにくい仕組みの業界であることもありまして、そういうようなことで政府としても、その果たすべき責めを契約者に対して果たすべきであろうというふうに考えておるわけであります。
○池田幹幸君 先ほどの議論にもあったんですけれども、要するに今超低金利だと、逆ざやになっておるということで大変生保業界が経営困難に陥っているという話なんですが、ただ要するに生保会社というのは、二十年なり三十年なりという長い期間でリスクを負うことによって、リスクを引き受けますと、そのことによってもうけを上げる、そういう会社なわけですから、もともとそういう契約者の信頼を得なければやっていける会社じゃないわけですよね。当然その努力をしなければいかぬと。 本来やってきたけれどもできなくなったとおっしゃるんですけれども、しかし政府としてはあくまでもそういった自覚を持ってやらせるようにまずやることが第一で、危なくなったからすぐ政府保証を、はい続いて税金投入と、この二年間でとんとんと進んできているわけですよね。それはあくまでも自覚を弱める方向にしかなっていないというように思うんです。 生保業界自身も、伺ってみますと、この現行法の見直し規定を利用して必要な措置をとってください、経営が困難になりましたからとってくださいと言って交付国債を出してくれと、堂々と文書には書かなかったけれども口頭では交付国債を出してくれと言ったそうですね、銀行と同じように。しかし、これは大変だから政府保証だ、税金投入だ、交付国債だというふうなことを言っておったんでは、これは本来契約者にしてみればもう信頼できませんよ。リスクを引き受ける会社が自分のところの経営リスクも管理できないと。そんなところに、じゃ二十年、三十年の契約をしようかなんという気持ちにならない、そういうことになるんじゃないでしょうかね。 そういうことを考えれば、今の政府のやり方というのはやはりセーフティーネットの機構を強める方向ではなしに逆に弱める方向になっていると私は言わざるを得ないんじゃないかと思うんです。 特に今のお話を伺っていますと、セーフティーネットを強めるというのは、もうここまで来たら政府保証とか税金投入とかこういうことをして、税金を投入するんだから国民は安心してくださいよ、契約者の皆さん安心してくださいというのがセーフティーネットを確保することだというふうに聞こえるんですね。そうしますと、これはもう将来にわたってずっと税金投入の仕組みを残しておかなければ、税金投入を恒久化しなければセーフティーネットは確保できないということになるんじゃありませんか。 大蔵大臣は、いや今度の措置は二〇〇三年までの措置なんだというふうに衆議院でも説明しておられます。これは、セーフティーネットを強化する努力は業界にやってもらう、それに加えて政府としてもその補完するために時限的に政府補助を可能にしたんだとおっしゃっているわけですけれども、今の考え方でいくと政府補助は永久的に置いておかなければセーフティーネットは確保できないということになってしまうじゃありませんか。
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども生命保険会社というものは、もともと二十年、三十年という、そういう長い期間にわたっての契約者との関係、経営を考えるべきものであると、私はそのとおりだと思います。 それには違いないと思いますが、今我が国に起こっている経済現象、先ほども質疑応答がありまして、今の〇・五という公定歩合が九五年から続いておるというお話はそのとおりでありますが、ありましたし、またゼロという金利が現実に行われて、昨年二月からでございますからかなりの時間がたっておるというような状況は、これは二十年、三十年に一遍あっても実はちょっと普通だとは言いにくい話であろうと思います。それは、いろんな説明もあると思いますけれども、現実はそうであるということは生命保険会社の経営から見て、そんなことは君たちで勝手にすればいいんだというにしては少し異常な状況であることは違いがない。 それももとより基本は契約者の保護ということでございますから、保険会社を助けるという考え方よりは、これだけ個人の家庭に入っておる、世帯にして九割、金融資産にして四分の一でございますか、ぐらいになりますと、そこはやはり政府としても、生命保険会社というのは本来そういうリスクには耐え得るものだとはいいながら、いかにもリスクの状況が異常である、こう考えてはいけないものかなというふうに思っておるわけです。
○池田幹幸君 ともかく大き過ぎたと、大変な借金を抱え込んでしまったと、破綻の規模が大き過ぎるからということだと思うんですけれどもね。 それではやっぱり私は本来のものが通用しないだろうというふうに思います。特に今、私が伺ったのは、税金を投入すると。国民にはそもそも何の責任もないわけですから、これについては。その国民の税金を投入するという仕組みが、これはもうずっと続いていくことになると。 もう時間もありませんので、今度の改正の仕組みのことだけ一点伺っておきたいんですが、私はこれだと二〇〇三年までの時限措置で当面は四千億円税金を投入するということになっておりますね、上限で。しかし、二〇〇三年四月以降も結局は税金投入を可能だというふうな形で残す仕組みにこの法律はなっているじゃないかというふうに思うんです。 その点について確かめておきたいんですが、二〇〇三年三月までしか税金投入しないということではないですね。政府参考人でも結構ですけれども、二〇〇三年三月までしか税金投入はしないんだ、それ以降はもう出しませんということではありませんね。それ以降も場合によっては税金投入するんだということでしょう。
○政務次官(林芳正君) 条文のことでございますので私から御答弁をさせていただきますが、政府保証とそれから補助と両方ございまして、補助の方を今委員がお尋ねになっておりますので、保証の方は恒久化でございますが、補助の方は今御指摘になったように二〇〇三年三月、要するに平成十五年三月まででございまして、これは今委員が御指摘あったように、機構がきちっと運用が軌道に乗るまでということで、それ以降のことはここには書いてございません。 ただ、委員法案をごらんになったように見直し規定というのがございますので、そこで見直して、また御審議をいただいて、それ以降のことはまたそのときに決めていただくということになりますので、今の規定にはそれ以降のことはないということでございます。
○池田幹幸君 附則三十一条で見直すことになっているわけですね。そこで見直すことになっているわけですけれども、同じ附則の一条の二の十三というところを見ますと、要するに政府補助をなぜやるのかということをここには書いてあるわけですよ。 その理由は、破綻生保、その資金援助に要した費用、これを税金で面倒見るんだというわけですけれども、その理由が、当該生命保険契約者保護機構の会員が納付する負担金のみで賄うとすれば、その費用を賄うとしたならば、当該生命保険契約者保護機構の会員の財務の状況を著しく悪化させることにより保険業に対する信頼性の維持が困難となる、そういうことになるから税金で面倒を見ようということになっているわけでしょう。 つづめて言えば、ともかく生命保険業界全体でも負担金として納めていけばとてもとてもたまらなくなるから、ともかく税金で面倒見てやる。その負担金の額がたまらなくなるような、これ以上耐えられないという額をどう判定するかということも問題だけれども、しかしこういうことを理由にしてやるとすれば、結局は二〇〇三年四月以降もこういう事態であるというふうに政府が認定すれば、あとは予算措置さえつければできるという仕組みになっているわけですね、これ、そうでしょう。
○政務次官(林芳正君) 予算措置をやってできるのは先ほどの平成十五年まででございますので、見直し規定に基づいてもう一度見直しをするということは法律を変えるということでございますので、御審議をいただいて、そこから先同じような規定を入れない場合は予算措置をやるというそもそもの根拠がないということでございますので、それはもう一度法案を御審議いただくということになると思います。
○委員長(真鍋賢二君) 時間が参りました。
○池田幹幸君 はい、終わります。 要するに、そうなっているんだけれども、そうすると、その後の見直しのあれについては、予算措置ということで政府が提案して国会に承認を得ると、こういう形になるわけですよ、法案の改正ということになるんだけれども。その後は、もうまさに四千億とかそういった上限も何もないんですよ。青天井で、これ政府提案していけばできるという仕組みになっていまして、これは政府保証を二年間でやめて恒久化したと同じような、そういう恒久化のおそれというものがここに非常に内包されておるということを指摘しておきたいと思うんです。 時間がなくなりましたのでこれで終わりますが、できれば引き続きやりたいと思います。 終わります。
○山本正和君 十二分間いただきましたので、実は大蔵大臣にはまた改めて、今度は二十五分間あるようですから、いろんなお教えをいただきたいと思っております。 私は、与野党を通じて尊敬する政治家がたくさんおられますが、その中でも特に宮澤大臣は私は当選以来尊敬しておる先輩の一人でございますので、本当は質問をしたいのは、日本の国の二十一世紀を控えたこの国の経済がどうなるのか、どういう形が望ましいのかというふうなことを本当は大臣からいろいろとお伺いしたいと思っておりますが、これは次の機会にさせていただきます。 きょうは私は、実は昭和二十三年、一九四八年に、学生時代にアルバイトで生命保険の外交員をやったことがあるんです。大変成績が優秀で、あんたはもう学生やめて支部長にするから会社へ入れと言われたこともあったんですが、そのときに私が思ったのは、あの戦争で焼けただれて、私は大阪の学生だったものですから、焼け跡をずっと一件一件訪ねていって、戦争中に契約した人の家を訪ねていくわけです。焼け跡でありませんから、そこから訪ねてまた行く。そして何とか昔の契約をこの際ひとつ切りかえてくれませんかと。数千円とかせいぜい多くて数万円の契約を十万円に切りかえてもらおうと、その仕事をやったわけです。 そうしたら、戦争に負けたときの国民の感情は、みんな貧乏ですからもう金も何もない、生命保険に入っておっても何にもならぬというふうな時代です。そのときに私どもが、学生で私は理科系ですから全然こういうことは弱いんです、弱いんだけれども、会社から、お客さんに言うときにはこう言いなさいよと言われた言葉は今でも覚えている。 それは、これからの日本の生命保険というのは今までと違います、みんながお金を出し合って、そしてお互いの命をもしものときに保障するんです、だから生命保険会社というのは一番安全なんです、みんながお金を出してそのお金でちゃんと計算して、一年間にどれくらいの人が死ぬとか死なぬとか、それに対する保障をする、みんな絶対これで大丈夫というお金を一番安いお金で計算して、それから会社の経費も入れて保険料を定める、絶対これからは大丈夫です、そして日本の国はこれから経済が復興してきますけれども、まずそうやってみんなが安心を持つことからやらなければこの国はもちませんよと、こういう話をしろと言われて一生懸命に回ったんです。そういう記憶があります。 私は、本来的に生命保険というのはそうじゃないかと思うんです。保険料というのはなぜ決まるか、どういうふうに決まるかといえば、恐らく保険数学できちっと計算をすぐやりますね。その中でこれなら会社は安全ですよ、皆さんの掛金も安全ですよということで金額が決められてやっていったんだろうと思うんです。ですから、相互会社という意味は非常によくわかるんです。ところが、資本主義がどんどん大きく変わってきますから、これはお金というものがあればどんどん動きますね。だけれども一番原点として、保険とは何かという思想というものがなくちゃいけないんじゃないかと。 今度、どうも私見ていて、私は実は今でも、今は民主党ですけれども、私の大の仲よしが大蔵大臣になったものですから、当時私は与党ですから、大蔵大臣のなり手が実は、自民党の中に、いや、あんたやれ、あんたやれと、だれもなかなか引き受けてくれないのに、とうとう当時の社会党のところへ回ってきまして社会党が大蔵大臣を引き受けた。私は随分当時の野党からたたかれたんですよ、住専に六千八百五十億はけしからぬと言って。お国のためだと一生懸命に言って野党の皆さんにお願いに回った記憶があります。 だけれども、そのとき以来ずっと流れているのは、どうも何か知らないけれども、企業というか大きな経営というかが揺らいだときに、いろんなことを言いながら、政府がいざとなったら助けるんだよ、本当に悪いことは悪いときちっと整理せずにあんたはそれをやったじゃないかと、こういうことを言われ続けたんだ。 今度、生命保険会社のこの変更の問題も、ちょっと私が気にしておるのは、保険契約者の人たちはほとんどお金をためようという人は余りおらぬのですね。中には詐欺にかかってこの前みたいに殺されたりする人もおるけれども。だから、生命保険の原点はこうなんですよ、あるいは保険の原点はこうなんですということを今度の法案の説明に当たって、政府の方でその心を言ってもらう必要があるんじゃないかと。 だから、契約者の皆さん、どうぞ御安心くださいよというようなことを、ちょうど私が初めてアルバイトをやったときに教えてもらった社長さんのような気持ちで、政府が今度出すのは、皆さんの生命保険の契約はかくかくこういう状況でこうなっていますけれども、こうやって守りますよ、しかもそのことは、今度は少なくとも経営をする保険会社、金融機関に対して政府は断固たる決意を持って当たりますよ、いいですよ。こういう話をしてもらった提案でなければ、やっぱり国民の間には、ちょうど私が住専のときに一生懸命説明しても何ぼやってもわかっていただけなかったような、また同じことになりはせぬかという気がして仕方がないんですけれども。 その辺をひとつ担当大臣の方から、保険を変更するについて、今度はなぜ相互会社が株式化できる道を開くか、あるいは皆さん方には、これについてはこうですよというふうなことをやってきたその趣旨、それから今後皆さん生命保険に入るときにはひとつ大丈夫ですよというふうな、そういうようなことをちょっとお考えをお聞かせいただきたい。 また、本当に私は今も思うんですが、私が昔知っておった大蔵省の課長とか、もう今はみんなやめていったんですけれども、あるいはましてや局長なんていうのは大変な見識と権威を持っておったんです。一年生の国会議員がちょこちょこ行くと、あんただめです、そんなことでは、もっと勉強しなさいとしかられたものです。それぐらい行政をやる者がそれだけの責任を持ってやっておったと私は思うんですね。 そういう意味で、今やっぱりこれから金融の問題は大変ですから、提案される大臣としての御決意のほどを承りたいと、こう思うんです。
○国務大臣(谷垣禎一君) 提案は大蔵大臣なのでございますが、この七月からいろんな形で金融庁となってまいりますので。 今、委員が戦後の経験を交えてお話になりましたように、現在でも保険というもの、生保というもの、あるいは損保も含めまして、今委員がおっしゃったような戦後一生懸命説かれたような考えが基本にあることは、私、間違いないだろうと思っております。 特に、これから高齢化が進んでまいりますから、その意味において生命保険というものも確固として国民によい利便を提供してもらわなければいけないということがあろうかと思います。しかし、こういうふうに金融全体の競争も高まってまいりますから、同時に金融機関も、金融機関といいますか保険会社も体力をつけてもらわなければいけない。そういうような仕組みをいろいろ用意しながら国民の老後の負担等にこたえられるようにしていこう、もう根本は私はそこにあると思っております。 委員のお考えに同感と申し上げたい、こう思っております。
○山本正和君 四分までしかありませんので、大臣にはまたこの次、もっと根っこの部分で伺いたいと思います。 今の谷垣大臣のお気持ちを今後の行政の中できっちりと進めていただくことを特にお願いしておきたいんですけれども、また必要があれば、これをさらに補完する法律が必要となればまた御準備いただいて、国民の皆さん、これは第一歩ですよということをぜひともお取り組み願いたい、こういうふうに思っております。 次に、ちょっとここは、私はどうしてもまだわからないのは信用組合の問題なんです。 私も実は小さな田舎の県で信用組合を設立するときに相談を受けたこともありますし、そしてその信用組合は今もあるんですが、もともと信用組合というのは、お互いに仲間がおって仲間が保証し合うというのが趣旨だったと思うんです。ちょっと調べてみると、何か一兆円を超えるような預金量を持っておる信用組合も今やある。随分大変な形態になってきておる。しかし、百億円ぐらいまでの信用組合がかなり多くの数に上っておると。要するに、信用組合というものと信用金庫あるいは銀行というものはそれぞれ役割が違うと思うんですね。 ところが、大臣は、私が本会議でも質問したときに、ペイオフの問題はこれは一つのけじめですから何としても当初どおりにやっていきたいというお気持ちをずっと本会議の間に述べておられたんですね。ところが、この段階で、どうしてもこれじゃだめだなと思ったのが信用組合の問題であるというふうな格好でお話がある。 私はどうしても、信用組合というものの公的な役割、ただしそれが実態として大変なものがあるということは私もわかるんですよ、実態として。一兆円を超えるようなところもあるということになれば。 しかし、本来、信用組合というものをも国が面倒を見なきゃいけない性格のものなんだろうかと、これは。お互い仲間が知り合って、そしてお金を出し合ってやるというのが信用組合の原点だったと私は思うんです、もちろん実態はそうなっていないというのはわかりますけれども。だから、本来のあるべき姿からいえば、逆に本当は大臣が言っておられた人間のけじめの問題というか国のけじめの問題としての中に信用組合が紛れ込んだのはどうもちょっと私は何となく心配でならないんですが、その辺のことだけ最後にお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) おっしゃいますように、信用組合はいろんな違う地域の事情の中からおのおのお互いにこのようなものをつくろうということでできたわけでございますから、金融という面だけから申しまして、非常にきちんとやっているところも無論たくさんございましょうけれども、必ずしもそうでないというところもあるというのが実情だと思います。いずれの場合にも、しかし地域における大きな存在であるということは否定するわけにはいかない。 それで、従来、しかし金融機関でございますから、そこに預金をしておられる方は従来から保護を受けておったわけですが、国としては、そういう信用組合の実態というものを検査したことがございませんので、本当はよくわかっておりませんでした。 それをこのたび、この四月から国の検査に入る、その下に置かれるということになりましたので、それでは国が検査をして、金融監督庁なり財務局が検査をして、金融の面から見てもきちんとしたものにすべきではないかと思うに至ったわけであります。 現実に三百ぐらいの組合がまだ、いろいろな合併するしないといったいろんな事情もありながら、そのぐらいのものがある中で幾つか、あるいは二けたになるんではないかと思いますけれども、そういうところが問題があるかもしれない。しかし、それでも残ったものはきちんとして、場合によっては資金援助もして残ってもらって、国の金融システムの一つになってもらうことがいいのではないかという判断をいたしたわけであります。 それによって、信用組合の持っておるいろんなローカルなよさをなくそうということを考えておるわけではありませんで、金融機関である以上は、金融機関の面からも皆さんに信用してもらってもいいというものになってもらいたいという、そういう本意でございました。
○山本正和君 終わります。
○田名部匡省君 柳沢、越智、谷垣委員長、三人をずっと拝見しておって、どうも三人とも違うなという、大幅とは申しませんが。城山三郎さんが小渕さんと対談したときに、政治家は志だと。国民に約束したことを守らなければ国民は何を信じて生きていけばいいかわからない、男子の本懐は志にあるという話を聞いて、ことしの元旦は私は志という書き初めをしたんですけれども、どうぞ余り変わらないようにおやりいただかないとついていく国民の方が大変だろう、こう思うんです。 この間もゼロ金利のお話を代表質問のときにさせていただきまして、私も本当に難しいなと。借りる人の立場から見れば安い金利の方がいいし、いろんな影響は出てくるなという感じを実は受けました。翌日、日銀総裁がゼロ金利を見直すなんということを言われて、アメリカも皆大騒ぎになっちゃって、余計な質問をしたのかなと思って考えておりましたが、保険会社もゼロ金利が続いていわゆる逆ざやが起きておるということなんですね。 いずれにしても、このようなゼロ金利が続くことによってどういう影響が考えられるか、まずこれをお話しいただきたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) これは日銀総裁にお答えを願うべき問題だと思いますけれども、ともかく国際的に見まして、我が国だけがこれだけの低い金利であるということは非常に金の流れから見ましても異常な状態であろうと思います。 我が国は貿易で外貨は稼いでおりますけれども、しかし稼いだ外貨はこれだけ低い金利の国にとどまるわけには恐らくまいりませんで、高い金利を求めて外へ出ている。それは世界のためになっておるということではございましょうけれども、それがどれだけ日本のためになっておるかというと、金利を稼いでおるというだけのことになりますから、まずそういう問題が一つあろうと思います。 それからもう一つは、できるだけ低い金利によって経済活動を刺激したいと考えておりますけれども、逆にそれは消費活動をむしろ非常にディスカレッジすることになっておりますし、いわんや金利生活者等々の生活、これに頼っておられる方々、あるいはこれを基金として活動しているようなそういう公益法人等々、非常に大きな迷惑を与えておる。したがいまして、日銀総裁が当面は維持せざるを得ないが本来本格的なことではないということを言っておられるのはそのとおりであろうと思います。
○田名部匡省君 運用先がないわけですから、やっぱり米国債なんかに向いていったり、いろんなことが起きてくるんだろうと思うんです。 そこで、ペイオフのことは、私はどうしても、余り知恵のない方ですけれども考えてみて、預金者保護だと、こう言われて、まあそれはそうだな、かわいそうだなと、こういう気持ちで見ておったんですが、本当に預金者保護なのか、預金者保護といいながら金融機関の保護をしているのではなかろうかという気がしてならないんです。ですから、経営効率が今度逆にそれを延ばすことによって何かまた一生懸命にならない、そんなふうになっていくのではないのかな、むしろ危ないと思われる金融機関から健全な方へシフトをする方が預金者の立場から見ればいいことなんだろう、こう思うんです。それを信用組合だけやるということになるとこれは大変だというので一括しちゃったのかなという、そのねらいがどこにあるのかが私にはいまいちぴんとこないんです。 この辺のところ、もう少し国民の皆さんにもわかりやすくお話しいただければありがたい、こう思いますが。
○国務大臣(宮澤喜一君) それはもうよくおわかりでございますけれども、過去数年の段階におきましては、実際これは預金者保護よりは金融機関保護ではないのかと。むしろつぶれるものはつぶれて、そういう預金者がいい方へ動いていけばかえっていいのではないかとまでおっしゃった意味はよくわかります。その場合、確かにしかし金融機関は困るわけでございますから、またそういう金融機関が今から二年、三年前には国民の気持ちの中にあるんじゃないかということでございました。 預金者保護の結果、ともかく今国民はそういう心配をもう持たないようになられましたので、今としてはこの制度が預金者のためであると。金融機関のためでないと申しませんが、幸いにして金融機関がそういうピンチを通り抜けたということであろうかと思います。したがいまして、信用組合の問題がございますが、一定期間をもってこの制度は正常に戻してまいりたい、こう考えております。
○田名部匡省君 山本委員からも先ほど住専のときの話がありまして、私はあのときも随分この問題で質問したんです。結局は経営者の責任が本当に問われなかった。特にそれぞれの銀行から出向して住専の役員になっておられる方々は危ないと思ったんですか、自分のところの分だけはもう先に返済しちゃった。わからないところが最後にかぶるものが大きかった。それが農協経営が特にそうだったと思うんです。中身は全然わかっていないですから。ですから、これはもう法的に許されるはずがないんです、わかっている人が先に自分の銀行の分を返済しちゃったということが本当だとすれば。そんな気持ちで見ておったんです。 ですから、今回の場合も、私は、何でもかんでもやっていいというわけではないですけれども、本当にまじめにやってもなおかつおかしくなったという銀行と、いろんなことをやって失敗した銀行ははっきりやっぱり差をつけなきゃだめだと。責任がその人にあったわけですから。 きょうの新聞にも、いろんなやり方をして、報道されておりますように、ああいうところまで一緒になって私はやる必要があるのかなという気持ちがあるんです。 いずれにしても、最近地元に帰っても、金融機関もこれ大変ですが、生き残りのために一生懸命になるから今度借り手の企業に厳しい注文をつけざるを得ない。それは借り手の方だって、地価は下がっている、新たに担保を要求されても、それは追加を求められたってやれるわけがない。そういう苦しい中小企業が多いんです。 うがった見方をすれば、選挙も近いし、金融改革よりも公的資金を導入して中小企業への配慮を優先させたのかなと。あるいは規制緩和に反対する議員連盟なんというのをつくりまして、規制緩和をやろうやろうというのが、いつの間にやらやめる方の議員連盟を武藤嘉文先生が中心になってつくったという報道なんかを見ておりますけれども、日本経済を活性化し中小企業を育てる会ができて、どういうことをおやりになるかわかりませんが、皆さんはその議連に入っていないでしょうね。入っている人がおったらちょっと、いないですか。──いないようですので、どうぞ本当に、目先のことも私は大事だと思う、私も心情的にはそう思うことが随分あります。しかし、時としては心を鬼にして後世にツケを回さない、そんな努力というのはあってもいいのではないかなと。何でもかんでも横並びでやるということに対して私は非常に疑問を持っている一人なんです。 特に生命保険なんかも大変なようでありますけれども、どうぞ国民の皆さんがわかりやすく、あんな小さな字で契約書を書いてあってもみんなわかって入っているわけではない。情報をしっかりやって、後からあら、それは違うじゃないかと。私なんかでもそうです。だから、一億だと、六十歳まで生きていると一億出ないというのを聞いて、あら、そんなことなのかということを思うんです。ですから、一般の人たちならばそういうところまで一々、一億に入った入ったと自慢していますけれども、本当に一億だと思ったらそうでなかったと、長生きすれば別だと、こういう話になったとなると、それはみんなおかしいと思いますよ。 ですから、そういうことなんかもきちっとやって、国民が本当に信頼して安心できるそんな仕組みというものをぜひつくっていただきたい、こう思います。 最後に御感想だけ伺って、終わりにします。
○国務大臣(宮澤喜一君) これからますます自由化になりますと市場経済へ傾いていくと思いますので、その際消費者というものが十分に注意しながら、その犠牲になるということがあってはなりませんので、法律を一つつくります場合にあってもそういう配慮は必要ですし、また消費者全体のための保護という政策の展開がますます必要になってくると考えています。
○国務大臣(谷垣禎一君) 冒頭に田名部先生から、私の前任者、柳沢さんそれから越智さん、谷垣、みんな違うではないかという御指摘がございました。人間が違いますから若干違うのはこれはやむを得ぬかと思いますが、そのために国民の側あるいは我々の行政の対象となる方々が無用な混乱になっていることがもしあるとすれば、それはやはり我々心しなければならないことだと思います。私どもの役所はまだできて時間も浅うございますし、強固な伝統というものがまだできているわけではございませんので、我々がやはり先例となっていくというつもりで頑張らなければいけないなと、こう改めて思ったわけであります。 それと、いろいろ金融の問題に対して国民の間にある素朴な疑問もお話しになったと思うんですが、我々の与えられている手法は、個々の金融機関を救うものではない、システム全体をやはりかっちりしたものにして国民に不安をかけないようにするというのが原点だということをもう一回考えながら仕事をいたしたい、こう思います。
○田名部匡省君 大変ありがとうございました。どうぞ一生懸命頑張ってください。期待しております。 終わります。
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。短い時間ですので、本日は二問お伺いをいたします。 まず、最近、保険金詐欺事件が多発をしておりまして、本当に恐ろしい時代になってまいりました。我が子にまで保険を掛けて、そして殺して保険金を受け取るという本当に恐ろしい世の中でございますが、そういう意味で、本日午後から参考人といたしまして生命保険協会の会長の森田さんにお越しいただくわけですけれども、衆議院で参考人といたしまして発言をなされたところを一部御紹介させていただきたいと思います。 保険金詐欺についてこういうふうにおっしゃっておられます。 これは、一部の悪意を持った者が起こした事件であり、これにより生命保険に対する信頼が揺らいでいることにつきまして、大変遺憾に思っております。体制を見直し、再発防止に向けた一層の対応策を講じつつあるところでございます。特に、生命保険協会の契約内容登録制度につきましては、平成十一年四月に続き、平成十二年四月にも登録する保険金額の基準を引き下げる等、チェック体制の強化を図っております。今後は、こうした手当てが抑止力として働き、大きな効果を発揮するものと考えております。 こういった内容でございますが、このような事件、そして森田会長さんのこの御意見についてですけれども、御答弁をいただけたらと思います。
○政務次官(村井仁君) 保険は、申し上げるまでもないことでございますけれども、多数の保険契約者がさまざまの偶然の事故によってこうむる経済的な損失を緩和するために必要な保険料を分担拠出し合いましていくという、こういう制度でございまして、こうした公共性にかんがみますと、一部の悪意を持った者がこの仕組みを悪用しまして、不正に利益を得るということを目的にして保険金詐欺事件を起こしている、これは非常に遺憾なことだと思っております。 森田生保協会会長が、ただいま御引用ございましたように、これにより生命保険に対する信頼が揺らいでいることについては大変遺憾に思うと、こうお述べになったことにつきましては、私ども全く同様の見解を持っておる次第でございまして、生保協会としてただいま御指摘のような契約内容登録制度の改善策を打ち出していることにつきましては、私ども高く評価しているところでございます。 また、金融監督庁の対応でございますが、これだけ簡単に申し上げさせていただきますが、和歌山の保険金詐欺事件を契機にいたしまして、被保険者の同意確認の強化、こういったことを措置しておりますほか、本庄事件に関連いたしまして、保険金額の妥当性の判断あるいはその確認を適正に行うために、社内できちんとした規制を行うように社内規制の見直し、業務運営体制の整備というようなことを私どもの事務ガイドラインで定めて、業界にきちんとした対応をするようにさせているところでございまして、今後とも保険会社に対する国民の信頼が崩れることのないように努力をしてまいりたい、このような考え方でございます。
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。 そこで、今度は法務省にお伺いをいたします。 現行の商法を改正いたしまして、保険契約者が他の保険契約を結ぼうとするときには、保険会社に、私はほかにもこういう保険に、こんな保険にも入っておりますという告知をすることを義務化すべきであるという試案を発表しているわけですけれども、現在の法律では、先ほども申しました悪質な保険金詐欺、保険犯罪を防ぐことは本当に難しいというふうに思います。 各専門家の評でもそうですけれども、いろんな書き物にも評されておりますように、今の法律で本当に難しい、現在の商法を改正して、保険契約者に他の保険契約について告知義務を課すことが必要であると、私自身もそう思いますが、この点について法務省から御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
○政府参考人(小池信行君) 先生御指摘の問題につきまして、商法の一般論から申し上げますとやはり幾つかの問題点があるように思います。 一つは、現在の社会では、個人で複数の保険契約を締結しているという方は非常に相当数おられるわけでございます。しかも、その大多数は正当な目的あるいは必要性があって契約を締結しているという方々でございます。そういう人たちをも含めて法律上の一般的な義務として告知しなければならないというふうに義務づけをするということが果たして妥当かどうかという問題が一つあろうかと。 二番目は、そういう正当な目的、必要性を持っておられる方々のプライバシーということにも抵触をするおそれがないかどうか。 三つ目に、今御指摘の試案でございますが、この試案でどうなるかちょっと私はまだはっきり理解できないところがございますが、例えば正当な目的、必要性があって複数保険契約を締結している方が、何らかの理由があって保険に入っているということを秘匿したい、隠したいというふうに考えている場合、そのために保険会社に対して告知をしなかった、その場合も事後的に保険会社の方の判断で契約が解除されるということになってしまうのか、その辺は幾つか問題があるような気がいたします。 さらに申し上げれば、現在の法律でも、例えば不正な目的で保険契約に入ろうとする人が、自分に不利益な事実を隠したり、それから保険会社に積極的に虚偽の事実を申し述べたり、そうした場合には詐欺であるとか、それから錯誤による無効とか、そういう法理によって契約の効力を否定することができるわけでございます。 もっとも先生おっしゃるように、保険契約が悪用されるという事例が現にあるわけでございますので、そういう観点から合理的な告知制度というものがあり得るかどうか、これは各方面の御意見なり御議論を伺って、慎重に検討してまいりたいというふうに思っております。
○西川きよし君 知恵を絞って、よろしくお願いいたします。
○委員長(真鍋賢二君) 午前の質疑はこの程度といたします。 午後一時三十分に再開することとし、休憩いたします。 午後零時二十七分休憩 ─────・───── 午後一時三十分開会
○委員長(真鍋賢二君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。 午後は、両案審査のため、参考人として東京大学大学院法学政治学研究科教授・金融審議会委員神田秀樹君、社団法人生命保険協会会長森田富治郎君、21世紀政策研究所理事長田中直毅君、中央大学経済学部教授米田貢君、以上四名の方の御出席をいただいております。 この際、参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。 参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。 本日の議事の進め方でございますが、まず、神田参考人、森田参考人、田中参考人、米田参考人の順序でお一人十二分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答え願いたいと存じます。 また、御発言の際は、その都度委員長の許可を得ることとなっておりますので、御承知おきいただきたいと思います。 それでは、まず神田参考人からお願いいたします。神田参考人。
○参考人(神田秀樹君) 東京大学の神田と申します。 本日は、この特別委員会におきまして意見を述べさせていただく機会をいただきまして、まことにありがとうございます。早速ですが、私の意見を述べさせていただきます。 時間の制約もございますので、私は、今回の二つの法案のうち、主として預金保険法等の一部を改正する法律案の方について意見を述べさせていただきたいと思います。 私は、この法案のもとになりました金融審議会での審議に委員として参加いたしましたほか、金融審議会第二部会のもとに設置されました預金保険制度に関するワーキンググループという会合の座長を務めさせていただきました。金融審議会の答申は昨年末に出されましたが、その後の与党三党の合意等を経まして、今回の法案が作成されるに至りました。 私は、実は平成十年の、二年前ですが、七月末から始まりました国会の十月、いわゆる金融再生法などの審議の際に、その際には実は議員の先生方が提出なさいました法案が十二本ございまして、朝までかかって読んだ記憶があるんですけれども、その際に、この特別委員会におきまして、本日御一緒の田中さんとともに意見を述べさせていただく機会を与えていただきました。 その際に、私は次のような意見を当時申し上げました。それは、我が国の状況はせっぱ詰まっている、何がせっぱ詰まっているかと言うと、それは極端な言い方をすれば、後から振り返ってみると多少間違っていたと言われるかもしれないにしても、今は思い切った行動をしなければならない、そして思い切った行動をするかどうかが全世界の注目を浴びている、思い切った法律の制定と、制定した法律の実行を速やかにやっていただきたい、とにかく法律をつくって行動に移すということが一番必要であると、そういう以上のようなことを当時申し上げさせていただきました。 幸いにも、金融再生法とその直後に成立いたしましたいわゆる早期健全化法をベースといたしまして、我々は国会の場を中心にして、国を挙げて何とか金融危機を乗り越えようと最大限の努力をし、その努力の結果として、幸いにも金融危機を乗り越えることができつつあるわけであります。これは大変にありがたいことであります。 ただ、言うまでもないことでございますが、金融再生法や早期健全化法による体制というのは緊急体制でありまして、金融分野を国が管理するといういわば戒厳令をしいたような非常事態であります。そのコストは国民全体が負担するといいますか、後の世代にツケを回すということであります。したがいまして、金融危機を乗り越えたら一刻も早く平常の状態に戻るといいますか、平常状態に移行する必要があります。 今回の法案は、見たところは大変複雑につくられておりますが、その大部分は今申し上げました意味での平常状態におけるセーフティーネット体制の確立と、そしてちょっと表現はややこしくはなりますが、平常状態においてペイオフがあり得る状態における金融機関の破綻処理体制の確立を目指すものであります。一部は、そのような平常状態体制に移行するための経過措置的なもの、すなわち非常事態の延長のような部分も含まれてはおります。その部分は法律の条文の分量としてはそれなりの分量に達してはおりますが、これも、できるだけ早く非常事態から抜け出して、金融分野を民間の手に返すための必要最小限のやむを得ない措置であり、早くかつスムーズに平常状態に移行するための道筋をつける措置と考えるべきであります。 したがいまして、私は、我が国の将来のためにはもちろん、世界の金融分野の将来のためにも、今回の法案の速やかな成立を期待いたします。 今回の法案のポイントを私の理解している範囲で簡単に申し上げますと、やや繰り返しにはなりますが、法案の中心部分は、金融機関の破綻処理のための恒久的な制度と恒久的なセーフティーネット体制を確立するというものであります。そういう平常状態での制度がきちんとつくられておりませんと、現在の非常事態を安心してやめることができません。いつまでも金融分野の国家管理、すなわち後の世代へのツケ回しがやめられないというとんでもないことになります。 この金融機関の破綻処理のための恒久的な制度と恒久的なセーフティーネット体制の中身についてここで具体的に申し上げる時間的余裕はございませんが、例えば万が一金融機関が破綻したような場合には、現在の預金保険法のもとでは認められておりません営業の一部譲渡と資金援助の組み合わせ、これはアメリカではPアンドAなどと呼ばれておりますが、そういうものを導入するとか、あるいは破綻した金融機関について、現在の預金保険法の枠組みでは認められておりません行政的な措置と司法的な措置をうまく組み合わせるといった仕組みとかを今回の法案は新しく用意しております。 もう少しだけ幾つか項目を申し上げさせていただきますと、抽象的な言い方にはなりますが、恒久的な制度としましては、第一に、預金保険法の改正といたしまして、破綻処理の迅速化のための措置、破綻処理の多様化のための措置、万が一のシステミックリスク対策、預金保険の付保対象などの改善などの重要な改正が含まれております。 第二に、預金保険法以外の法律につきましても、例えば民事再生法に関する特例ですとか、個々の協同組織金融機関への優先出資制度の導入などの重要な改正が含まれております。 また、時限措置といたしましては、例えば預金保険機構に交付する国債の増額、預金全額保護期間の確定、協同組織金融機関に対する早期健全化法適用関係の整備、そして信用組合の破綻処理の仕組みの改善などの手当てが含まれております。 これらの恒久的な制度及び時限措置におけるもろもろの手当ては、我が国の金融分野が今置かれている実情はもちろんですが、アメリカ等における経緯なども踏まえまして、慎重かつ十分な議論を経てつくられたものでありまして、その内容はすぐれた内容になっていると私は思います。 最後に、もう一つの方の法案であります保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、ごく簡単に意見を述べさせていただきます。 この法案は、保険相互会社について株式会社形態への組織変更をスムーズに可能とするための措置、保険契約者保護のための特別の措置、相互会社への更生手続の特例措置、生命保険契約者保護機構の基盤強化といった、これまた主として平常状態における保険分野のセーフティーネット体制と破綻処理体制などを確立しようとするものでございます。 細かい点では金融機関の場合と異なる取り扱いをしているところもございます。しかし、基本的な考え方の点におきましては預金保険法等の改正法案と同じであります。したがいまして、こちらの方の法案につきましてもその速やかな成立を私は期待いたします。 以上で私の意見の陳述を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(真鍋賢二君) ありがとうございました。 次に、森田参考人にお願いいたします。森田参考人。
○参考人(森田富治郎君) 生命保険協会長の森田でございます。 本日は、保険業法等改正案の御審議に当たりまして意見を申し述べる機会を与えていただきましたことに対し、お礼を申し上げます。 お手元には御理解を賜りたい点を整理した資料をお配りしてございますが、時間の関係により逐一御説明することは控えさせていただきますことを御了承ください。 初めに、生命保険業界の現状と課題について概況を御説明いたします。 現在、生命保険業界におきましては、長期に及ぶ歴史的低金利に起因する逆ざやの状況が続いております。業界全体の逆ざや額は平成四年度から平成十年度まで七年間の累計で十兆円を突破しており、生保各社は徹底したコスト削減と運用収益向上に取り組んでおりますが、毎年の剰余のほとんどを契約者に還元してきたという過去の経緯から、自己資本も拡充途上にある生保にとりまして、この逆ざやは激しく経営を圧迫しております。逆ざやを一気に解決する根治療法はなく、実体経済の回復に伴う金利上昇を初めとする運用環境の好転以外に手段がないというのが実情であります。 今日の超低金利は日本経済再生のための政策金利と受けとめておりますが、こうした超低金利の長期化は歴史的にも前例がなく、生保業界のみならず一般的にも予見想定外の事象でございます。 例えば、昭和五十年六月の保険審議会答申におきまして、過度に保守的な予定利率は問題である、引き上げを検討すべきという指摘がなされ、これがそれまで長年四%と市中金利と比べて極めて保守的に設定されていた予定利率が上昇していく引き金になったという経緯がございましたが、これが当時の常識的な見方というものであったろうと思います。 加えて、保険営業面においては、生命保険の高度普及に加え、日本経済の長期低迷に伴う可処分所得の伸び悩みの中で、新契約、保有契約とも前年の実績を下回る厳しい状況が続いております。 具体的には、個人保険の新規契約高は平成三年度をピークに減少を続け、片や解約・失効額は、特に日産生命の破綻が発生した平成九年度以降高い水準にあります。その結果、平成九年度以降、史上初めて保有契約高が減少するという事態になっております。 こうした状況下、日産生命、東邦生命の破綻という事態をも受けて、生命保険業界は信頼の確保を最重点課題に掲げ、財務体質の改善やコスト効率の向上等による経営基盤の強化に全力を挙げて取り組んでいるところでございます。 さらに、業界をめぐる環境は、金融ビッグバンに象徴される規制緩和、自由競争の流れがますます勢いを増している状況であります。そうした中で、契約者及び保険会社の自己責任原則重視の一方で、セーフティーネットの整備が喫緊の課題となっております。 以上のような現状の中で、今般、保険相互会社の株式会社化、保険会社に係る倒産法制の整備に関する法律案が上程されており、また当局による早期是正措置、検査、モニタリングの強化の方策が進められているところであります。 お手元の資料の一ページをごらんいただきたいと思います。生命保険契約者の保護のための制度の課題と対策について整理いたしております。 まず、保険相互会社から株式会社への組織変更規定の見直し、いわゆる株式会社化の規定整備についての考えを申し上げます。 既に現行の保険業法にも株式会社化の規定が設けられており、株式会社化による社員権の補償として株式を契約者に交付することが求められますが、多くの保険相互会社は数百万人あるいは一千万人超の契約者を有しておりますため、膨大な数の株主が生ずるとともに、額面五万円に満たない端株が大量に発生いたします。それによって、株主総会の運営や株式の管理面において、既存の株式会社に比べて大変な労力とコストがかかるという極めてハードルの高い実務上の問題点がございました。 今回の改正によって、端株の一括売却制度の導入で、端株については株式にかえて売却代金を交付することが可能となり、また組織変更と同時の株式発行等による資本増強が可能となります。これらの手当てにより、株式会社化の道がより現実的なものになると認識しております。 保険会社の経営基盤強化につながる資本調達手段の拡充、資本提携、再編等を含む事業展開の自由度の確保といった面で経営の選択肢が広がりますことから、今回の改正の意義は大きいと考えます。 次に、保険会社に係る倒産法制の整備についての考えを申し上げます。 現在、保険相互会社には再建型倒産手続である会社更生法の適用はございませんが、今回の法改正により、保険相互会社への更生手続の適用、債務超過に陥る前の早期の手続開始等が可能になります。この手当てにより、保険契約者保護を図るための枠組みがさらに強化充実されることになり、保険事業に対する信頼性確保に大きく資するものと受けとめております。 これらの法整備に加え、会社自身によるリスク管理の充実を図るためのさまざまな仕組みの見直し、監督当局における検査・モニタリング機能の充実強化や早期是正措置の適時適切な運用によりまして、今後の生保のセーフティーネットにおける事前的な対応と万一の場合の破綻コストを最小限にするための条件整備が進むものと心強く受けとめております。 しかしながら、これら諸手当ての実効性発揮と定着には一定期間を要するであろうと思われ、今回あわせて生命保険契約者保護機構の財源対策についての法案が平成十五年三月までの破綻を対象とする緊急措置として上程されております。 昨年、東邦生命の破綻処理に伴い保護機構の財源がほとんど底をつくという問題が発生いたしました。業界内では、平成九年に起きました日産生命の破綻処理に使用された二千億円と、現行保護機構における負担限度額であります四千六百億円の合計六千六百億円という既定の負担額が業界にとっての限界とする議論も根強くございましたが、保護機構の機能停止による混乱は何としても防ぐべきであるとの判断から、一千億円の業界による追加負担を含め、この緊急措置を求めることを保護機構の総会において決定いたしております。 そもそも破綻に伴う契約者保護のコスト総額は事前に限定できないものでありまして、それに業界が無限に対応すべしという議論は物理的にも思想的にも無理があると申し上げざるを得ませんが、それでは、財政措置を構えて生命保険契約者を保護することに社会的価値があるのかということにつきましては、まず、私的生活保障手段の中軸を担うという生命保険事業の社会的役割があり、さらに日本の経済、金融の中で大きな比重を占める生保の金融サービス機能、そして仮に破綻が拡大した場合に懸念される危機の連鎖、すなわち生保版システミックリスクが挙げられます。 特に、生命保険の社会的役割につきましては、世帯加入率が九割を超える高い普及率と、遺族保障、老後保障、医療・介護保障等の幅広さによって、公的保障とともに国民生活安定のインフラとして浸透していることがその重要性を明示していると考えます。 さらに、本格的な少子高齢化の中で、社会保障のスリム化が必須となる二十一世紀の自助努力型福祉社会においては、小さなコストで幅広く大きな安心を提供できるという生命保険固有の機能によってその使命が一層増大していくものと考えております。圧倒的な普及率や一億件を超える保有契約にかんがみれば、生命保険の契約者保護は全国民的問題と言って過言ではないと存じます。 とはいいましても、今回の措置はさきに申し上げたセーフティーネットに関するもろもろの条件整備とその実効性発揮までの緊急対応としてとらえるべきものであり、これらの諸方策による破綻の未然防止と破綻コストの極小化が問題解決の本筋であると思料するものでございます。 法案に関する意見は以上でございますが、最後に、最近発生いたしました保険金等の詐取を目的とした犯罪につきまして一言述べさせていただきます。 これは、一部の悪意を持った者が起こした事件であり、全く生命保険本来の趣旨から逸脱したものでありますが、これにより生命保険に対する信頼が揺らぐということにつきまして、大変遺憾に思っております。生命保険協会及び生保各社は、モラルリスク契約の排除に努力をしておりますが、結果として排除できなかったことに関しまして深く反省すると同時に体制の見直しを鋭意推進し、再発防止に向けた一層の対応策を講じつつあるところでございます。 特に、生命保険協会の契約内容登録制度につきましては、平成十一年四月に続き、平成十二年四月にも登録する保険金額の基準を引き下げる等、チェック体制の強化を図っております。こうした対応により、例えば埼玉県本庄のケースがマスコミ報道にありますような実態とすれば、このような例は確実に捕捉されるものと考えます。今後は、こうした手当てが抑止力として働き、モラルリスク契約の排除に大きな効果を発揮するものと考えております。 以上をもちまして私の意見陳述とさせていただきます。 私どもといたしましては、法案が今国会において成立いたしますことを強く期待する次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○委員長(真鍋賢二君) ありがとうございました。 次に、田中参考人にお願いいたします。田中参考人。
○参考人(田中直毅君) 本日は、先生方の前で意見を述べる機会を与えていただきまして大変ありがとうございます。 本日は、お手元に参考資料として配らせていただきました「ペイオフ解禁のための処方箋」、ことし二月に私どもの研究所で発表したものでございますが、ここに述べましたことを中心としてお話しさせていただきたいと思います。 今回の預金保険法の改正は、システミックリスクを避けるために最低限必要な手当てはなされていると思っております。しかし、懸念すべき論点はありますし、最大の問題点は、二十一世紀における我が国の経済運営をいかなる原則で行うのかについて総合的なビジョンを示すのには成功していないのではないか、そういう懸念を持っております。本日は、そうした懸念すべき点を中心にして申し上げたいと思います。 金融自由化のもとで個々の民間銀行がどのような行動をするのか、そしてそのことが経済にどういう影響を与えるのかということになりますと、金融自由化を最初に手がけたところに最も経験値が累積しているわけであります。今回、我が国も金融自由化のもとでバブルが発生し、バブルの後不良債権問題が我々の前に出てまいりました。そして、このバブルの処理の過程でシステミックリスクを不幸なことにも起こしてしまったというのが一連の経緯でございます。 ここまで、日本ほどひどくはございませんが、やはり金融自由化を行った国においては、その後民間金融機関の行動に従来では予測できないことが起きているわけです。アメリカで起きたことが我々の経験より十年以上早いわけですし、そして不良債権問題の処理というテーマについても我々より十年近く前にこの問題に取り組んでおります。 そういう意味では、日本とアメリカ社会との違いはもちろんありますけれども、自由化のもとで民間金融機関がどういう行動に出るのか、そして不良債権問題というものを引き起こしてしまったときに、その後の金融監督から、いざそうした問題が顕在化したときにいかなるシステムでこれに対応するのかということからいきますと、アメリカの事例というのは大変我々にとって勉強になることだというふうに思っております。 そこで、アメリカの例を見ていただくために、お手元の資料の三十六ページに表をつくってございますのでこれをごらんになってください。 一九八〇年代の後半から九〇年にかけまして、アメリカではSアンドLの破綻が相次いだわけでございます。このため財務省は金融制度改革のための提言を九一年二月に行い、これを受けましてFDIC、連邦預金保険公社の改善法が議会を通過しております。 ここでは何が決まったのかということでございますが、まず第一には、預金保険制度を小さく設計し直すということがはっきりうたわれておりますし、そして破綻処理に当たってもコストを最小にする努力を払うべきだと。その方向で制度改正が行われております。そして、保険対象外預金の保護については、これは制限的に行うべきだ、これは小さい預金保険制度という趣旨からくるわけでございますが、こういう仕組みになっております。 なぜそうすべきかというと、大きな預金保険制度をつくりますと、預金者にも金融機関経営者にもモラルハザードを起こすことになる。結果として国民が負担しなければいけない破綻処理のコストは高くなってしまうというところから、小さい預金保険制度をつくるという趣旨が貫徹しているわけであります。 それから、預金保険料率に関しましても、銀行の経営にかかわる健全性尺度をつくりまして、この尺度の違いによって明確に異なる預金保険料率を徴収するという仕組みが提案されており、またそれが取り入れられておるわけでございます。 早期是正措置の導入についても極めて具体的でございまして、問題金融機関の債務超過に陥る前に閉鎖が可能なような法の手当てが行われているということがこの比較表からもおわかりかというふうに思います。そしてまた、万が一システミックリスクに陥ったときにどうするのかというテーマについても問題の処理がなされているというのが現状でございます。 それでは、こうしたアメリカの事例は我々ちょっと勉強すれば勉強できるわけですし、既にこうした仕組みについて日本語で研究論文、それから書籍も出ております。日本銀行でもわかりやすく解説されたこともございます。 そうしたもとにおいて我が国の預金保険制度改革というものが行われたわけですが、冒頭に申し上げましたように、最小限の問題処理はなされていると思いますが、懸念すべき点が四点あるというふうに私は思っております。 まず第一に、ペイオフの凍結解除、いわゆるペイオフの解禁が一年延期されたこと、また流動性預金についてはその上さらに一年後まで全額保護されることになったということであります。 これは、預金者及び金融機関経営者のモラルハザードを誘発する可能性がありますし、結果として国民の負担する処理コストが膨れ上がるリスクがあるということであります。こうしたことに対して少なくとも我々は自覚すべきだということであります。 第二点は、小さい預金保険制度という原則が貫かれているとは私には思えないことであります。 個人貯蓄向けで転々流通しない金融債が付保対象、保険の対象になったわけです。また、預金利息までもが付保対象につけ加えられております。そして、協同組織金融機関の連合会も今回預金保険制度の対象になったわけですが、このことの意味が十分論じられてはいないというふうに思います。すなわち、もともと協同組織金融機関が預金保険制度の対象ではなかったということは、システミックリスクというような形に見舞われる可能性がないようにそもそも設計されている。規律というものは、ごく少数の同じ地域あるいは同業者というような形で、規律が外部的に大幅なものが導入されなくても、内部における一覧、内部で一覧すれば問題が解決するということでこの組織原理があるはずですが、実際はそうはなっていなかったということについてどう考えるかという問題でございます。 第三に、可変預金保険料率の導入が見送られているということであります。 そして、最後に申し述べるべきは、こうした全体の構図からどういうことが起きるかといいますと、預金者と金融機関、そして監督機関の間にインセンティブが働かない仕組みになっているということであります。 結果として、モニタリングコストは高くつきますし、監督機関はかなり膨大な事業量、事務量をこなさざるを得ないし、そして監督機関が入った場合には処理コストは膨大になっているという可能性があります。 本来、こういうテーマも既に自由化が早く行われたところでは議論されておりまして、インセンティブコンパティブル、個々の預金者なり金融機関なりに働いている誘因と整合的な規制を行うべきだという、そういう原則が今回の全体のスキームからはうかがわれないことであります。結果として、悪くすれば国民は過大なコストを支払う可能性があるというテーマでございます。 そういう意味では、この問題の見きわめは立法府の皆様方にとっても大変重要ではないか。先生方に我々は我々の権限を委託し、皆様方の監視、監督を通じてこの国の規制のあり方についてより望ましいものを手にしようとしているわけですが、例えばでございますが、ことしの四月から始まった金融監督庁による信用組合の検査でございますが、一部にノンバンクに多額な融資を行っている信用組合があるとされているわけですが、この破綻処理に当たってどのような原則が適用されるのかという問題は極めて重要だというふうに思います。 こういう問題がどのような処理をされるのか、ペイオフの解禁延期の背景に我々はもっと注目せねばならないと思っておりますし、先生方のお役目もそこにあるのではないかというふうに勝手に考えております。 どうもありがとうございました。
○委員長(真鍋賢二君) ありがとうございました。 次に、米田参考人にお願いいたします。米田参考人。
○参考人(米田貢君) 中央大学経済学部の米田です。 私は、預金保険法の改正にかかわって意見を述べさせていただきたいと思います。お手元に簡単なレジュメを渡しておきましたので、それに沿って話させていただきたいと思います。 私は、この九〇年代の金融不安の中で預金保険制度が実際に運用されることによってどんなふうな特徴を持ってきたのか、この点をまず最初に述べさせていただきたいと思います。 この点、大きく分けると二つの点に分かれますけれども、一つは、まずこの預金保険制度というものは、本来は付保限度額の設定に見られるように零細預金者を保護するというふうなことが基本的な理念として出発しました制度ですけれども、残念ながら、日本の預金保険制度の運用の現状、これはこの九〇年代の中でかなりその原則から離れたものになってしまっているということをまず申し上げざるを得ないと思います。 特に、きょうも少し問題になっておりますペイオフの解禁の問題ですけれども、この預金保険制度の発動の発端で、我が国の場合にはペイオフは五年間凍結というふうなことで出発しまして、いち早く預金の全額保護ということに進みました。さらに、この預金保険の対象を拡大するということはかなりある意味では無原則的に拡大されまして、実際には預金取扱金融機関のあらゆる商品を対象にするというふうなところまで進んできたと思います。さらには、国会でも大きく議論になりましたように、それ自体としては預金を取り扱っていない金融機関である住専の破綻処理にまで預金保険制度が発動されるというふうな結果になりました。 この点では、本来の零細預金者を保護するという点から離れて、基本的には、言ってみると、システミックリスクを回避するための機構というふうなものに預金保険制度が実質上転化してしまったというのがこの九〇年代の歴史の中で示された一つの帰結だろうというふうに思っております。 二番目の特徴は、まさにこのこととかかわります。本来、預金保険制度というものが零細預金者の保護というところに限られているものであれば、恐らく預金保険料の範囲内で預金保険制度というのは運用可能だろうと思います。 ただし実際に、この九〇年代、日本で行われたようにあらゆる預金を保護する、さらには預金取扱金融機関が取り扱っている金融商品をすべて保護するということになれば、不可避的に公的資金を投入せざるを得ない。要するに、預金保険料だけでは賄い切れない事態というのは当然出てくるわけです。現実に我が国の場合にはペイオフコストによる制約というものをかなり早い段階で取っ払いましたし、それ以降はさまざまな形の時限立法を通じて、現在では六十兆円を超える公的資金投入体制というものができるようになってきております。 そういう点でいきますと、零細預金を守るという点の趣旨そのものが生かされていないということ、それとやはり公的資金に全面的に依存するような体制になっている、この二つがやはり現在の日本の預金保険制度の基本的な特徴だろう、そしてこれは確かに国際的に見ても極めて例外的な預金保険制度の実態だろうというふうに考えております。 そこで、今回の預金保険制度の改正の問題を考えるに当たって、改めてセーフティーネットと預金保険制度の関係について簡単に述べておきたいと思います。 一つは、この預金保険制度というのはいわゆるセーフティーネットの一環として考えられます。ただし、セーフティーネットとはそもそも何かといえば、ある金融機関が破綻する、その破綻した金融機関の影響が金融システム全体に及ぶことを阻止するという点にあります。だから、もともと金融不安の未然防止とは全く違ったレベルの政策対応です。まず、ここの点が大事だろうと思います。残念ながら日本では、この事後防止、セーフティーネットの一環だという点が必ずしも明確に意識されないまま、未然防止のところにも預金保険制度がどんどんどんどん利用されるという形で、この間の問題が出てきたのではないかというふうに考えております。 それでは、セーフティーネットは大きく分けてどんなふうな構成部分から成るか、私は②のところで書いておきましたけれども、大きく分けて三つあると思います。 一つは日本銀行のいわゆる最後の貸し手機能、これは一時的な流動性の供給ということに限られます。二番目がいわゆる金融不安時における金融当局の破綻処理体制です。これは迅速な破綻処理ということに尽きるかと思います。そして、三番目が実際に起きてしまった金融機関の破綻に対して、零細預金者をどうやって保護するのか、これが独自の問題として出てきます。 ただ、この点でいいますと、大口預金者とやはり小口預金者との間で同じく預金者に対して自己規律ということが言われますけれども、私は基本的には零細預金者に関しては自己規律を全面的に求めるということはほとんど不可能だろうというふうに考えております。そういう点でいきますと、付保預金限度というのが設定されていること自体、やはり零細預金者を守るという点に限定して預金保険制度を運用しようというのがやはり制度本来の趣旨だというふうに考えるべきだろうというふうに思っています。 この三つがセーフティーネットの本来的な内容だろうというふうに考えております。 この点で今回の預金保険法等の改正案についての簡単な評価をしておきますと、一つは、やはりこれだけ肥大化した預金保険制度に対して、やはりその肥大化を野放しにすると言ったら少し語弊があるかもしれませんけれども、少なくともコスト原理を働かせて、安易な形で公的資金に依存しないような体制をつくるという点での歯どめが必ずしも十分でないように思います。一応ペイオフコストによる制約ということが前面に掲げられておりますけれども、アメリカの例なんかからいっても、やはり基本的には最も小さな費用で破綻処理をやるというふうなコスト原則なんかをもっと明確に出していくことが必要ではないかというふうに考えております。 この点では、保険料負担者である銀行業界のコスト意識を高めるということと絡ませて最小コスト原則というものを考えてみる必要があるだろうというふうに思っております。 それと、二番目として、いわゆる時限立法という形で行われてきました金融機能早期健全化法等における資金援助が、これがやはり制度的に預金保険制度の名のもとに恒常化される、この問題については私は基本的には反対だというふうなことを明確に申し述べておきたいと思います。 これはさっきも述べましたように、預金保険制度というのは本来は事後的な破綻処理におけるセーフティーネットの一環でしかない。その点では、危なくなったから何とかこれを救おうじゃないかという形で発動されるべきようなものではもともとないということが基本的な趣旨であります。その点で、今回こういうふうな形で預金保険制度の中に時限立法が恒常化されるということになりますと、政策当局による裁量的な運営を助長する可能性がありますし、また同時に、公的資金の際限のない投入の可能性があるというふうに考えております。 あと二つ、③、④と述べましたけれども、これは要するに迅速な破綻処理、これは今回の法案の一つの眼目だろうと思いますけれども、まさしく私も言いましたように、実際に破綻が起きた段階でいかに迅速に正確に破綻処理をするか、これが金融不安を広げない決定的な方策なわけです。 その点では、この金融整理管財人制度、あるいはPアンドA、特に付保預金のPアンドAというのはこの点ではアメリカでも有効な方策だということが確認されておりますので、こういうものを導入したことについては積極的に評価したいというふうに思っております。 以上です。
○委員長(真鍋賢二君) ありがとうございました。 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。 これより参考人に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○木村仁君 自由民主党の木村仁でございます。 本日は、四人の先生方に大変貴重な御意見を聞かせていただきまして、心から御礼を申し上げます。 生命保険の問題と預金保険の問題、二つございますが、まず、業界の代表と言うといけないのかもしれませんが、森田会長さんいらっしゃいますので、生命保険の問題について若干、少し細かくなって申しわけございませんがお尋ねをしておきたいと思います。 今次改正法案の具体的内容について、また採用された破綻処理のスキーム等について、企業サイドの率直な御意見をお伺いしたいのでございますが、まず第一に、生命保険契約者保護機構、いわゆる保護機構に対する財政上の措置でございますが、これは政府の補助金として構成されている。したがって、そういった事態が生じたときに、国会の議を経て予算を計上し、そしてそれを実行するということになるということだと思います。 金融機関の預金保険のスキームの場合には、交付公債という形で、それも金額も七兆円プラス六兆円というような金額になっておりますが、このことについて、政策形成過程ではかなり難色を示されたというふうに聞いておりますが、現時点でどのような御感触であろうかということ、これが第一点でございます。 まとめて申し上げまして、簡単にお答えをいただきたいと思います。 第二は、補助金の枠取りが四千億になりまして、業界負担も一千億増にしようと。しかし、業界としてはもうほとんど保険料、その積立率六%を超えるような状態になっているんだから、これはとても無理だというようなお考えを示されたように記憶しておりますが、この点についてもう一度御感触をお伺いしておきたいと思います。 それから第三点は、今回の保護機構に対する措置、それは平成十三年三月末までに破綻した場合の措置だということで、機構の借入金に対する政府保証は別として、これは極めて限時的な措置になっております。皆様としては、平成十三年三月末まであたりを押さえておけば、逆ざや問題もかなり改善され、もう独自にやっていけるのではないかと、破綻も生じないだろうし、あるいは破綻が生じてもみずからの業界内の力で処理できるのでないかとお考えなのかどうかということでございます。 以上、細かな質問で申しわけございませんが、簡単に御答弁をお願いしたいと思います。
○参考人(森田富治郎君) お答えいたします。 まず、保護機構、今回の政府の補助金のスキームについて、預金保険機構については交付国債が出ているではないかと、それとの対比でどうかという御質問だと思いますが、率直に申し上げまして、私どもは将来にわたる業界の負担し切れない部分について確実な国の支援というものをお願いしたいということで、交付国債というものを希望してまいった時期がございます。 ただ、やはり、預金保険といいますか、銀行等の置かれている状況とそれから生命保険の置かれている状況でやはり一般の認識にいささか差があるということだったろうと思います。つまり、火事のさなかで手を打つか火事になりそうだから手を打つかということの差であろうかなと、そんなふうに考えていると。 私どもとしては、今とにかく契約者保護機構の機能というものがきちっと維持されるということをもって、保護機構に対する不信任といいますか、これに基づく破綻というものが、危機というものが発生しないということ、これが今緊急に必要であろうと思いますので、まずは、いざというときには補助金というものの措置が講じられると、この法案でやっていきたいと、そういうように考えております。 それから、業界負担はこれ以上無理ということにつきましては、この一千億追加負担いたしますと、保護機構に対する拠出というものが五千六百億に増加する。それから、日産生命の破綻に対して、当時は保護基金ということで業界の任意の対応ということで行いましたが、二千億日産生命の処理に業界が負担をしておりまして、これが実は全部借金という状態で今残っておりますから、トータルで七千六百億の負担というものを我々は負わねばならない。 先ほど申し上げましたように、逆ざや状況の中で非常に厳しい経営を強いられておるものですから、その中でこの七千六百億という負担そのものが既にして実は非常に重いということで、これ以上は御勘弁いただきたいと、こういうことであります。 それから、今回の財源の問題について、時限措置、これは先生、平成十三年とおっしゃいましたが、十五年三月末でございますが、要するにこれから三年ということになりますけれども、これでよいのかということですが、私どもは、この財源対応の問題以外に、更生特例法の適用であるとか、株式会社化であるとか、あるいは当局による検査、監督の強化であるとか、この辺のもろもろの条件整備によって破綻の未然防止あるいはコストの極小化というものが進められると思っておりますので、この範囲でおさまることを期待しておるわけでございます。 よろしいでございましょうか。
○木村仁君 それから、先ほど森田会長さんの方から御説明がございましたが、相互会社から株式会社への組織変更の問題でございますが、端株の処理等かなりきちっとした措置が講ぜられ、手続の簡素化が図られていると、それで大変結構な改正であるということでございました。 私どもからすると、もう長いこと、知識の不足かもしれませんが、生命保険というのは相互会社で自分たちがグループをつくってやっているものだと思っておりましたので、これを株式会社に変更するというのはどういうことかなという気がしないでもなかったわけでありますが、いろいろ議論をしておりますと、なるほどそうかなという気はいたします。 ただ、現実に、現在相互会社の形をとっている保険会社が株式会社に組織変更していくということは、非常に多くのケースがあらわれるのでしょうか。それとも、こういう方途も講じましたと、いずれ自力で経営基盤の安定が図れるならば株式会社にするまでもないだろうとお考えになっておられるのか、そのあたりについて御感触をお教えいただきたいと思います。
○参考人(森田富治郎君) これは会社の置かれた状況でいろいろな判断が出てくると思います。逆ざやの中で非常に厳しい経営を余儀なくされているというのが一般的ですから、どの会社も決して楽ではないんですが、特に厳しい状況にある会社にとっては、何らかの形で資本の増強あるいは再編等を行いませんとこの状況を切り抜けられないという会社がやはり存在すると思いますので、それについて道が開かれたということについては歓迎する会社はかなり多いと思います。 問題は、比較的余裕のまだある会社です。この会社にとって株式会社化することのメリットと、それに対して株式会社化、例えば大きい会社でいいますと、私どもの会社も契約者が約一千万人おりますから、その一千万人の契約者に株式会社化することの意味を理解していただき、それに賛成していただく、それから現実にその契約者に株式を割り当てる場合に、これまでの会社に対する寄与分といいますか、どれだけの貢献を財政的にしてきたのかというようなことを全部一千万人積み上げて計算しなければいけない。その辺のエネルギーとコストというのは大変なものになります。ですから、株式会社化によって得られるメリットというものと、それに要する大変大きな負担というもののバランスをどう考えるかということで判断が分かれてくるところがあると思います。 ただ、恐らく相当程度の会社が株式会社化を真剣に検討すると思いますから、それが実際に実行に移されて、それがマーケットの中の競争でどういう現実的な利点というものを株式会社化によって得たのかということが証明されてまいりますと、それによってまた状況も動いてくる、そんなふうに考えております。
○木村仁君 現在の生保会社の窮状というものは、もう一言で逆ざやというように説明されております。このことは大変わかりやすいのでございますが、そしてまた昨年来、短期金利ゼロ%というようなゼロ金利政策のもとで非常にわかりやすい言葉でございますけれども、よくよく考えてみれば、単なる金利の動きだけの問題なのかなということを素人としては感じざるを得ないのでございます。 例えば、我々の感じからすれば、生命保険会社というのは、お金をかけていけば死亡したときあるいは大きなけがをしたときにはそれだけのお金を払ってくれる、そのための原資をしっかり我々のために守ってくださる会社である、それが相互会社の意味である、そういうふうに考えていたわけでありますが、実際にはいわゆる機関投資家として非常に株式等の世界でも大活躍をなさる。大活躍をした結果は、やっぱり相当危険なものを扱っておられたのではないかな、そういう気がいたしました。そういうところの、株式が非常に重要な資産管理の手段となっているということについて、それで本当にいいのだろうかということが第一点の疑問でございます。 それから、バブル時代には生保、損保を問わず大きな資金を力としていろんな土地の保有等についてもなさいましたし、また巨大なビルを建ててこれを貸すという営業的なこともなさっていたわけでございます。 それから第三に、大体予定金利四%でずっと押し通していた。ところが高金利時代には、やっぱりそれではおかしいじゃないか、少し高くしろと言われて五%あるいは六%に近い予定金利を用いて保険数理を計算したこともある。そういうものをもし、この低金利の今、しっかり頑張って、少し保険料が高くなるかもしれないけれども頑張っておればよかったのではないかという感じもあります。 それから、これは我々消費者から言うのはおかしいのかもしれませんけれども、保険契約者は、利益をどんどん上げてどんどん還元しろ、自分の保険料はどんどんただに近くなっていくことが望ましいと、そういう非常な圧力があることも事実だろうと思います。 そういうものをいろいろ考えてみると、今のゼロ金利政策、あるいはバブル以降の低金利の中でこの逆ざやが起こったというだけではなくて、やっぱり経営的にも相当考えなければいけないことがあったのではなかろうか。それが逆ざやという一言で片づけられますので、我々一般庶民の感覚からすればそうかなという気がするのでございますが、そのあたりはどのような御説明になるのでございましょうか。
○参考人(森田富治郎君) 逆ざや以外にいろいろあったのではないかという御質問でございますが、まず、保険会社はいろんなことをやりましたねということについては、実は保険会社の投資の理論というのは、かつて、もうちょっと落ちついた世の中では、いわゆる分散投資ということで、今、株、不動産のお話がありましたが、特に戦後、インフレというのが非常に金融機関、それから生命保険会社、気にしたところでございまして、そういうインフレをヘッジする方法として株や不動産というものは必要である、こういう判断をしておりました。今デフレでございますからこの議論が余り迫力がないんですが、かつては、それはもちろんインフレヘッジだけではなくて、正常な経済の中では例えば金利と株が逆相関になるとか、こちらが悪ければこちらがよくなるというふうな、そういういろいろ逆相関の関係が成り立つ状況というのがありましたので、できるだけ幅広く投資することによってリスクを避ける、これが生保の運用の基本でございました。 これはバブル期まで間違いなく機能していたんですが、バブル崩壊後に、はっきり言って金融マーケットがめちゃくちゃになりまして、株も下がれば金利も下がる、ついでに円高になるというふうな、要するにそれぞれのマーケットの指標の間のバランスが完全に崩れてしまって、全部悪い方向に動くというふうな、そういう過去の常識というか理論というものが通じないマーケットに投げ込まれてしまったというのが大変大きいわけであります。ですから、おっしゃるとおり、我々がこういうふうに追い込まれている理由、原因は金利だけですかということであれば、そうとも言えませんというのはそのとおりであります。 ちょっと各論で申しますと、株につきましては、結局金利も下がる、株も下がるという状況を我々は現実問題として経験してしまったわけですから、この辺についての見方というものはやっぱり変えざるを得ないと思っておりまして、株式の占率というものは今業界各社かなり絞りぎみになっております。やっぱり株というのは非常にリスクの高いものだと。もともとそうなんですが、そのときに片一方で金利で補うというふうな作用が全くききませんから、株そのもののリスクというもの、これをやはり減らさなきゃいけないという方向に動いている。 それから、不動産の問題については、よく御指摘を受けるんですが、何分不動産というのは目に見えるものですから、随分不動産に突っ込んでいるじゃないかという印象を持たれるんですが、実を言いますと、業界全体で不動産の投資というのは総資産の五%程度のものでありまして、実は目に見えない形で株式とか国債とか、これの方が実はボリュームとしてはるかに大きいわけです。それだけ実は生命保険会社、業界の資産というのは非常に膨大なものでありまして、ざっと言って大体どの資産でもマーケットの一割程度は生命保険会社は持っているわけです。ですから、いずれの分野においても非常に大きなボリュームがあって、その中で不動産というのは現実形として見えるものですから、保険会社は不動産をやり過ぎじゃないかと、そういう印象を持たれるのですが、実態は五%程度のものであります。 それから、なぜ不動産をやったのかというのは、さっき申し上げたように、要するに長期的に安定的な収益を生み出す、これはバブル以前からそういう思想でやっておりまして、それは間違いなく、私どもは過去値上がり益を期待して投資したことはバブル以前ありませんでしたので、確実で長期的な賃料収入というもの、これを目的として投資を行ってきたわけです。 それから、予定利率をバブル期に引き上げたということにつきましては、私どもは昭和五十年の保険審議会の答申に責任をなすりつけるつもりはありませんが、あのときの世の中の雰囲気というのがやっぱり我々の背中を押したのは間違いがない。つまり、当時の新聞を振り返ってみますと、当時、日本経済は非常に絶好調でありましたから、株も上がりますし、生命保険会社の含みというのが順調にふえていった時期でありまして、それに対してもうけは早く返せというマスコミの大合唱が起こっておりまして、そういう中で、いやそうはいっても将来危ない、これ以上金利を上げると危険かもしれませんという反論は恐らく余りだれも聞いてくれなかったろうと。もちろんそこに、保険会社も大丈夫かなとそう思ったところがありまして、そこが甘いじゃないかと言われればそうかもしれませんが、さっき保険審議会答申を引用させていただきましたのは、要するに当時の代表的な知性がやっぱりそういう見通しを立てていらっしゃったということについて一応引用させていただいたわけであります。 いろいろ申し上げましたけれども、結局、私どもは、過去バブル期までよって立ってきたいろんな価値観とか理論とか、これが実はひっくり返ることがあるんだということについて、私どもは痛切に受けとめて、それから反省しておりまして、したがって、例えば保険商品というのも二十年、三十年あるいは終身、こういった非常に長い期間について金利をそのまま約束して動かさないということが現在の金融の理論でいえば非常に不都合を来すということもよく承知しておりますので、それについて、例えば保険商品の仕組みの見直しとか、その辺も今一生懸命研究し、実行しておるところでございます。
○木村仁君 大変御丁寧な御説明ありがとうございました。 私ども、保険については二度こういう経験があるわけでございます。子供のころには親たちから、保険というものには入るな、入ってもいつただになるかわからぬようなものだと。それはハイパーインフレの結果そうなったのだろうと思います。五十年たって、今度は金利、利ざやの問題でどうなるかわからぬから、口車に乗せられてたくさん入らぬ方がいいぞと、こういうことになるのか。 その結果か知りませんけれども契約残高等が減っているということのようでございます。したがって、もう私どもが言うまでもないことでありますけれども、安心を買うシステムでございますから、本当に我々消費者が安心のできるシステムを維持しなければいけないというふうに思います。 その点について、信頼感の回復というのは、こういう行財政上の改革、そういうものもさることながら、会社自身の経営の姿勢とかあるいは窓口の職員の方々の客に接する態度とか、そういうものにかなり影響されるのではないかと思いますが、この信頼の回復ということについてどのような努力をなさっていらっしゃるでしょうか。最後の質問でございます。簡単で結構でございます。
○参考人(森田富治郎君) 御指摘のとおり、今、私どもが最大の価値観として追求しなきゃならないのは生保に対する信頼の回復ということだと思っております。 まずは、緊急課題として保護機構の信認を確保するために今回の法案も用意していただいたと、こういうことでありますが、そこから先の業界及び各社の努力の問題としましては、一言で言いますといかに経営の健全性を確保するか。これは分解して言いますと、自己資本を充実するとか運用のリスク管理体制を強固にするとか、こういうことになりますが、そういう財務基盤を強化するということ。それから、片や逆ざやから当分の間抜けることはできないと思っておりますから、そこを何で埋めるのかということ。これは突き詰めて言いますとコスト削減に当面求めざるを得ない。もちろんそこから先は事業の再編なり資本投入を仰ぐなりというものがあるわけですが、各社共通の問題として今一生懸命やっておりますのは、コストを削減して逆ざやで足らない収益というものを埋めていくという、こういう努力が必要と思っております。 それから、あとは質的な問題として、コンプライアンスの徹底によります公正な事業運営、あるいはディスクロージャーを強化することによって消費者の皆さんに正確に会社の状況を理解していただく、この辺のもろもろの努力、これをあわせて遂行していきたいというふうに考えておるわけであります。
○木村仁君 どうも大変ありがとうございました。 ちょっと申し落としたんですが、単なる感想でございますけれども、本庄市のあの事件なんかを見ておりますと、協会に対する契約の登録というのを通じてそういうケースをチェックするということ以前に、もうどう考えてもああいう飲み屋の客に何億もの保険を掛けるということ自体が、そもそも窓口でおかしいんじゃないのかなという、そういう気持ちがいたしますので、お答えは要りません、申し添えておきたいと思います。 大変時間を使ってしまって申しわけございませんでしたが、神田参考人にお尋ねをいたしたいと思います。 先生は、終始一貫して平常時における破綻処理というもののシステムをそろそろつくろうではないかとおっしゃって、そして、その過程でできるだけ早く金融機関自身による破綻処理、つまり民に返せという言葉でおっしゃっておりましたが、そういうことにしていきたい、しかし、本当にシステミックリスク等が生じるおそれがあるときは果断な政府の活動によって事前に防ごうと、そういうお考えでシステムを御指導いただいてきたと考えておりますが、今の時点で、一方ではペイオフを一年、そして流動性資産については二年延ばすという中で、今のシステムは、先生が言われるところの平常時のシステム、スキームができつつあるというふうにお考えでございましょうか。そしてまた、直接お話がございませんでしたので田中先生との関係でお尋ねしたいのでございますけれども、ペイオフの現在の評価についていかがお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
○参考人(神田秀樹君) 非常に重要な御指摘だと思います。 私の理解を簡単に申し上げますと、完全に平常時のシステムというのは、この法案が通りますと、平成十五年になりますか、流動性預金の特例措置も終了した後の平成十五年四月からということになります。その平常時のシステムをこの際きちんとつくっていただくことと同時に、その平常時のシステムへ移行していく道筋をつける。その間はまだ特例措置でありまして、それが全部入っているものですから、法案は非常に読みにくい、複雑なことになっているんですけれども、それも今回の法案が成立いたしますと、その道筋もついて、かつ平成十五年四月から平常時のシステムになるということであります。 御指摘のように、平常時のシステムになって、それは私は大変望ましいことだと思いますけれども、でも万が一システミックリスクが出るような場合があり、これはあってはならないことですし、現にアメリカは、御存じかと思いますが、九一年の法律でやっぱり今回の日本のように万が一システミックリスクがあるときには国が出てきますよという例外的な規定は入っているんですが、一度もアメリカでは今日まで発動されておりません。そういう万が一の場合の手は一応置いておいた方がいい。 それは、万が一のことが起きてから、二年前のように、七月三十日から十月までの時間を費やすよりは、非常に厳しい条件のもとではありますけれども、そういう万が一の場合に備えての仕組みというのは今回設けてあるわけですけれども、それは使われないでしょうし、基本的には使われてはならないお守りのようなものであります。 それから、ペイオフの点につきましては、一年とか二年とかいういわば特例措置期間が延長という言い方がいいのかどうかよくわかりませんけれども、ということになったことにつきましては、これはもういろんな御意見がございまして、私自身も個人的な意見はないわけではありませんけれども、最終的には与党三党での御議論を経た上決まったことですので、それで私は今回この法案を通していただければというふうに思っております。 もう一点だけ最後に、ペイオフそのものについてなんですが、これは先ほどほかの参考人の方が御指摘になったこともちょっと関係があるかもしれませんけれども、ペイオフというのはこれまで日本ではもちろん行われておりませんけれども、アメリカでもそうはないんですね。ほとんどの場合は先ほどのPアンドAという資金援助というやり方でありまして、資金援助でも、ペイオフコストの範囲内というちょっとわかりにくい表現なんですが、要はペイオフするにしても資金援助する場合でもその破綻した金融機関を助けたりはしないわけです。破綻した金融機関はやっぱり消滅していただくわけです。そのうちのいい部分の資産だけを移して、それでもし全部つぶしていたならばかかったであろうコスト、ペイオフコストと呼んでいますけれども、その範囲内で資金援助するわけですから、そういうことでいえば、それをPアンドAと俗に呼んでいるんですけれども、アメリカでもというかアメリカではと言うべきでしょうか、そちらの方が圧倒的に多いわけであります。 そういうことから言いますと、平常時になった後ペイオフは可能なんですけれども、ペイオフをすべき場合というのはむしろ少なくて、これは推測なんですけれども、PアンドA的ないわば資金援助的処理、これもペイオフコストの範囲内ですから、選択肢としてはそっちの方が国にとって国民経済的に望ましいという場合の方が多いというふうに私は現時点では予想しております。直接お答えにならなかったかもしれません。
○木村仁君 実は私当選して最初にこの委員会に投げ込まれまして、再生法、早期健全化法の法律案の審議に当たったんですけれども、私はそのときに理解できなかったことが一つございました。 それは、その年の二月ですか、緊急金融安定法という法律ができて、そして総額で三十兆、そのうち十三兆がまさに破綻のための準備、資金の事前注入ということであった。それを四月にやってみたら一・七兆しか入らなかった。私は大蔵大臣にそのときにお尋ねしたんですけれども、なぜそういうスキームができていて、そして十三兆円マイナス一・七兆円の予算措置もきちっとできているのに、政府はこれを実施なさらないんですかということを一生懸命お尋ねしたのでございます。そのときに大蔵大臣は、いやこれはおっしゃるとおりであるかもしれないけれども、今この重要な二つのセーフティーネットの法律を審議しているところであり、かつ当時野党の党首の方は資金の破綻前注入はまかりならぬ、政局にはしないが絶対反対だと言っておられましたから、そういうこともあったのかと思うんですけれども、もし、もしと言うのはいけないのかもしれませんけれども、その時点で思い切って果敢にやるという姿勢でやっておったらば、ごく最近金融監督庁長官がおっしゃられましたようにもっと安上がりだったかもしれないと。これはあくまで仮定の問題ですけれども、そこについてどのような御感触をお持ちでいらっしゃいましょうか。
○参考人(神田秀樹君) 私も今の御指摘の点につきましては、もしやっていたらばそうであったかもしれないという点は確かにあろうかと思います。 関連して申し上げさせていただくことをお許しいただけるとしますと、本来平常時になりますと、仮にペイオフが起きても、これはアメリカの例なんですが、アメリカは十万ドルを超える部分につきましても、九〇%以上は戻ってきているんですね。 それはなぜかといいますと、資産が悪くなっていたところをいわゆる早期是正措置で監督していますので、ずっとマイナスが非常にふえる前にどんと発動しますので、いわばマイナスが少ないところでやりますので九〇%以上は返ってくるわけです。そうだとしますと、預金保険というのは国の税金を投入しなくても運用できる範囲なんです。 ところが、日本はどういう状況だったかと申しますと、まさに再生法、健全化法もそうでしたし、二月もそうだったんですけれども、そういうところがはっきりしていないという状況のもとでいわば制度的な枠組みをつくらなければいけない、そういう段階に、二月もそうですし、再生法の段階もあったわけです。二月と再生法との間には、六月にいわゆる長銀の信用不安ということがあり、そこで政府は預金全額保護ということを宣言せざるを得ない、これは非常に混乱を防ぐためにもそれをせざるを得ませんで、それが再生法につながっていったわけですね。 そうだとしますと、本来は預金保険の普通の枠内で、税金を投入せずに済むはずのものであるし、今我々は平常時としてそういう姿に向かって何とか道筋をつけようとしている、それがこの法律なんですけれども。そのとき、二年前のことをというふうにおっしゃいますと、これは私の個人的な意見としてはどこかで税金を思い切って投入するしかない。それはまさに御指摘のように二月に思い切って投入していれば実はもっと軽く済んだかもしれないということは後から考えるとそういう可能性がなかったとは言えないと思います。 ただ、私としては、十月にとにかくあれを成立させていただきまして、その結果今日に至ったので、歴史的に見ると、確かに国民の負担はかなり大きかったということかもしれませんけれども、結果的にはよかったことじゃないか、今の状況を見る限りにおいてはそういう感想を持っております。
○木村仁君 大変時間の使い方が下手で、田中先生、米田先生、同僚があと御質問をいたしますので御了承いただきたいと思います。私も、この二つの関係法案が早く可決されて、そして断固実施されることを心から祈っているものであることを申し添えて、質問を終わります。 ありがとうございました。
○山崎力君 まず、田中参考人に端的な形で御質問したいと思います。 今度のペイオフの解禁延期、延びるということで具体的にはどういう影響といいますか、悪い方の影響があるとすればどういう点が一番問題だとお考えでしょうか。
○参考人(田中直毅君) ペイオフ解禁を延期されたことについて与党三党での合意というのがございました。しかし、それを見てもなかなかわからない、その意図が私には依然としてわかりにくいというふうに思っております。特に流動性預金、これは預金期限の定めのない預金でございますが、流動性預金にやっぱり問題があると。もしそこに問題が起きると事業会社の連鎖的な金融破綻が起きるということがどうも御懸念の筋道だったように思うんです。 しかし、お手元の資料の三十四ページをごらんになっていただきますと、これは日本のちょうど昨年の春先から秋にかけての経緯でございますが、定期性預金と要求払い預金との比較がございます。棒グラフは金額でございまして、そして折れ線が対前年比伸び率でございますが、太い方が定期性預金でございまして、定期性預金の残高が対前年比で若干プラスだったのが少しずつ減ってきて秋にはゼロになるということになっているわけです。これに対して要求払い預金の対前年比伸び率は秋にかけてだんだん高くなっていっているわけです。 これはどういうことかというと、要求払い預金は預け入れ期限の定めがないものですから、特定の金融機関、Aという銀行がおかしいといううわさが出たならば直ちにということを考えておられるのでしょう、そういうすぐにでも指示一つで移転できるような預金の方に移転されているということですから、逆に言いますと、銀行の流動性の問題からいきますと、貸出先との関係を薄くしておかないと今度は銀行が困ってしまうということですから、こうしたグラフ一つ見ていただいても、現実に預金者が状況に対して警戒的であるときには、今度は銀行自身が固定的な貸し出しに対してかなりちゅうちょせざるを得ないということが起きるわけです。 したがって問題は、何か流動性預金だけを保護すればいいというようなテーマではなくて、金融システムに対して、銀行経営者は、果敢にみずからの銀行の自己資本を厚くするなり、あるいはコストを大幅に削減して預金者に安心感を持ってもらうなり、将来に対してどのような改善計画を行うかを発表して預金者の信頼を取り戻すということをやる以外にないわけであります。そういう意味では、流動性預金を全額保護しろというような御主張に対しては全く私は理解できないというふうに思っています。 こうしたことが結果として金融機関の対応を先延ばしを助長するものですから、破綻した場合に当然債務超過額は大きくなっておりまして、国民の負担すべきものは大きくなるということがあります。 そういう意味では、現在はシステミックリスクの状況ではありませんので、個々の金融機関が破綻に追い込まれること自体はこれはもうごく当たり前のこととして受けとめていただく以外にないんで、それが累積的な金融不安につながり、あらゆる当事者が自己保全のために新しいことは何もしない、すべて流動性を積み上げて事態に対応しようとする、これがシステミックリスクですが、そういうことは起きないと。起きない仕組みにしておいて、しかし個々に破綻する金融機関についてはこれはもう早期破綻処理という原則を政府は明らかにするといいますか、予定どおりペイオフの解禁を行えば政府の姿勢はより明確であったのではないかというふうに思っております。
○山崎力君 時間の関係で次々やらせていただきます。 米田参考人にお伺いしたいんですが、今の田中参考人の方にも若干関係してくるんですけれども、要するに、個別銀行といいますか金融機関の破綻の問題と、それが業界全体といいますか、金融全体のいわゆるシステミックリスクにつながる、この関係がどうあるかというのはこれは極めて難しい問題だと思うんです。 単行、一つつぶれてそれで終わりよということになるのか、いろいろな影響、連鎖という、そういうものでシステム全体に影響が出てくる。その判断を、どうとらえるかというのはこれは極めて、その場所、個別、その当時の状況すべてひっくるめなくちゃいけないんですが、それをどういうふうにお考えなのか。その辺のところで対応策も当然違ってこなくちゃいけない。 それからもう一つ、モラルの面からいけば、このつぶれるというような銀行、破綻するような銀行が、放漫経営をやっていてつぶれそうになった場合と、ちゃんとしたある程度の経営はやっていたんだけれども、ありがちな経営判断のミスによって、余り道義的には非難できないようなミスによってつぶれそうになっている、この辺のところで、一般の国民からすればそれに対する同情心というのは違ってくるんだけれども、経済的な面からいけば全く変わらないわけです。その辺をどのようにお考えなのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○参考人(米田貢君) 御質問は二つあったかと思いますけれども、まず最初の方に関して言わせていただきますと、先ほども申しましたように、市場原理の社会ですから、ある一定の局面で一定の個別金融機関が破綻するというのは、このこと自体は不可避だと思います。 問題は、それがどんなふうな形で金融システムに影響を及ぼすかということですけれども、これは大状況としては、その時点で金融界全体で債務超過状態がどの程度になっているか、これにやっぱり基本的にはかかるかと思います。ですから、ずっと御議論になっている早期是正措置というのは、まさしくそういうふうな個別金融機関が破綻したときに金融システム全体として債務超過の状態になるべくなっていないようにする、あるいは債務超過になる前の時点で個々に破綻したものについては敢然と処理をしてしまう、この体制が肝要だろうと思うんです。もし、そこがきちっとした形で金融行政の点でチェックができていれば、一部の破綻が直ちに金融システムの破綻につながる、不安につながるということはまずはない、そういうふうに考えております。 それと、二番目の問題ですけれども、これにつきまして、私自身、一九九五年前後にさまざまな信用組合が破綻しましたけれども、あのとき幾つかの財務状況を見てびっくりしました。資産の九割が焦げついている。ただし、その九割焦げついた対極にある負債ですけれども、預金の中で三千万円を超える預金者というのがずらずらっと並ぶ。個人のレベルで残っている。そういう点でいきますと、やはりそういうふうな、最後つぶれそうになった金融機関というのは、高金利でもって大口預金を集めようとしたわけです。そういうふうな形で、ある意味では個人も含めてそれに群がった人たちがいるわけです。果たしてこれを本当に預金の全額保護という形で救うべきだったかどうかについては、私はやっぱり大きな疑問を持っております。 だから、原理的に言って、先ほど言いました小口零細預金を保護するというのが預金保険制度の本来の趣旨だとすれば、やっぱり現状から見て余りにも明らかに限度を逸脱したというか、行き過ぎた投資家がいる場合には、そういうふうな金融機関については断固としてペイオフをやるということも含めて対応が必要なんではないかなというふうにも考えております。
○山崎力君 そういう同じような感覚なんですが、ただ、それを制度の中にどう取り込むかということが非常に難しいなというのと、それから我々のこの問題というのは、最後のところになれば、そういう金融機関にシステム全体に影響あるんだから膨大なお金でもお金をつぎ込もうよということに対して、国民が納得するかしないかという問題だと思うんです。その辺の制度的な問題と、それから国民個人の感情、ある意味では感情的な問題。理論に基づいた、理屈に基づいたとはいえある程度の満足感といいますか、納得、その辺のところの整合性といいますか、その辺をどうとらえるかというのは、この問題、大きい問題だと思っております。 それで、時間の関係ではしょりますが、モラルハザードということが言われているんですけれども、今の世界の金融の流れというのは、まさにジャングルローと言われる弱肉強食、規模の有意差を持ってこようということで行われつつあるようにも見えるんです。その辺のところを、何というんでしょうか、私のとらえ方ということについて、田中参考人、米田参考人に一言ずつ教えていただければと思います。
○参考人(田中直毅君) 世界で金融機関の規模がどんどん合併等を通じて大きくなっているというお話ですが、これは、例えば預金者、その銀行あるいは金融機関の利用者からいけば、利用者の利便がより拡大すると考えればいいと思います。 例えば、寡占度において、それではもう通常の工業製品に見られるような寡占度というのをつくってみますと、大きな銀行が次々登場したとしても寡占度が著しく高まったということはございませんので、確かに金融機関従事者にとってはなかなか競争が厳しくなってつらいかもしれませんけれども、一般の事業者や、それから預金者、投資家という立場に立ちますと、サービスはより好転するということでございますので、何か異常な支配度を持っているという話なら別でございますが、そうでないとすると、一般の有権者あるいは国民が、金融機関が非常に厳しい競争が始まったことについて同情するというような必要は全くないというふうに思っております。 それから、モラルハザードでございますが、これは預金者にも金融関係者にも起きることでありまして、その預金を全額保護するということになりますと、それは預金者はただ金利が高いところに持っていけばいい、破綻したとしても全額保護してもらえるということですから、人の懐を当てにしてといいますか、ほかの人のコスト負担を当てにして自分だけ利益を得ようとする行為を制度上許すということになりますから。 一方でシステミックリスクが登場するのはもちろん抑えなければいけませんが、他方でそうしたモラルハザードを構造上許すということは国民の士気にかかわることだというふうに思いますので、そのバランスを考えるのが政府の役割ではないかというふうに思います。
○山崎力君 時間がありますので、一言だけあれば。
○参考人(米田貢君) まず、最近進展しております金融再編成の問題ですけれども、まだ私は、この間の金融再編成の流れは量から質へという形には必ずしも流れていない。やはり、まだ日本の銀行業界というのは大きさが勝負だというふうな意識でいるんじゃないかなと。その点では、国際的な本当の金融再編の流れの中に乗り切っていけるのかどうかという点ではまだまだ大きな不安を持っています。 ただ、その上でこれだけ大規模な銀行が出てくると、明確に金融行政としてもそういうふうな国際的な競争戦に生き残るための巨大銀行と、それと本当の意味での地域密着型の金融機関とのすみ分けということをやはり制度的にも本格的に考えていかざるを得ない。 その点で、預金保険制度とのかかわりで早期是正措置等が自己資本比率を中心にあらゆる金融機関に対して適用されつつありますけれども、僕としては、こういうふうな地域密着型の金融機関あるいは協同組合型の金融機関については、単なる自己資本規制というふうなレベルじゃなくて、もっと幅広い実情に応じた形での規制、管理の体制が必要ではないかなというふうに考えております。
○山崎力君 終わります。
○齋藤勁君 民主党・新緑風会の齋藤勁でございます。きょうはありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。 私ども、この間国会においてはさまざまな改革を遂げなければならないということで、さまざまな分野で改革ということについて鋭意取り組んできたつもりでございます。とりわけ、改革に懸命に取り組まなきゃならない国会、政治改革というのはさまざまなシステムの中でも大いなる指摘を受けまして今日に至っていると思うんですが、なかなか国民からも、政治改革、政治改革と言うけれども選挙制度改革しかやっていないではないかというような、そんな御意見、御批判もあるところでございます。 〔委員長退席、理事溝手顕正君着席〕 きょうは各参考人の方々に、とりわけ金融システムの改革、預金保険制度あるいは今の日本の生保業界の対応に対しましてとるべき道は何なのかということでの法案が出ているわけですが、この金融システム改革という改革に幾つかこれから入らせていただくつもりでございますので、前の方々の質疑とちょっと一転、脇道にそれるんですけれども、それぞれの参考人から、述べますことについて感想、所感をお示しいただければ率直にありがたいというふうに思います。 それは、先月小渕前内閣総理大臣が残念ながら急に病気で倒れられまして、今なおなかなか意識が戻らないという状況というふうに伺っております。大変国民にとって、私たち政治家にとりましても唐突なことであり、もちろんのことながら一日も早い御回復を祈るところでございます。 問題は、そこで起きたこと、そしてそれ以降私たち国会がどういうふうに取り組んできたんだろうかということ、そしてそのことが有権者、国民にとって、あるいは金融がグローバルという中で、政治もまたグローバルなわけでありまして、そのグローバルの、他の国々の国民の顔を見てということではありませんが、むしろシステムの中できちんと私たちは位置づけをして、そして胸を張って日本の政治として大道を歩んでいくということになるならば、これは主として自由民主党総裁を選ぶということで、自由民主党の方々を何かこてんぱんにするという意味ではございませんが、改めて後継総裁選び、後継総理選びということについて、緊急の場であったけれども一体どういうことだったんだろうかということを私はやはり問い返していかなきゃならない。そしてこのことは、時間がたったからもう過ぎた問題なんだということではなかなか成り立たない問題ではないかというふうに思います。 これは、強いて言えばまた金融システム改革の問題にも実は入っていくわけでありまして、少なくとも共通でとらえるならば、モラルハザード、倫理の欠如とか責任が不明確だとか、国民に対する説明が非常に不明確だというふうにも、これは同じ一つのキーワードになっていくわけであります。 とりわけ、小渕総理が倒れられた後、非常に長時間、国民に向け政府からメッセージがなかったということや、今日なお医師団からの説明がないということ。そして後継総裁選びについても、確かに衆参国会議員で首班選びをしたことは事実でございますが、果たしてそういうことがそれぞれの政党政治で本当に有権者、国民に胸を張って選ばれた、そういったシステムであったのだろうかということについて、非常に疑義があるところでございます。 きょうは金融システムということでの参考人の方々ですから、私が申し上げた点について全く予想もしない、そんな指摘であるかもわかりませんが、所感、感想でも結構でございます、国会にお運びいただきましたので、私からの指摘も含めまして、一国民、有権者というお立場でも結構でございます、ぜひそれぞれ御感想を賜れば幸いでございます。
○参考人(神田秀樹君) それでは私から、僣越でございますけれども感想を申させていただきたいと思います。 私の感想は、先ほどの繰り返しになるかもしれませんが、今回の法案を通していただくことというのは、国民全体にとってみれば、平成十五年の四月から、いわゆる私の言葉で言う平常状態に移行しますよ、そしてそれまでの道筋はこうでありますよということを明らかに示すものであります。 それをやはり明らかに示すことが重要でありますし、なぜ今明らかに示すのかという点につきましては、これは今明らかに示せるようになったということで、冒頭ちょっと申し上げましたが、再生法とかを議論しているときはもうそれどころではない、とにかく今何とかしないことには大変なことになるという状況だったものが、今はそこまでいわば冷静になって、明らかに道筋を示せるような時点にあるというその点が重要と思います。 それから、もう一点つけ加えさせていただきたいと思うんですけれども、平常時になった後、大丈夫かという話はあると思うんです。国民の立場というか、私も一庶民としての感想も踏まえて申し上げますと、これは先ほどから混乱が若干あるかもしれないし、私自身もあるいは正しくないのかもしれませんが、預金保険制度というのが小口預金者の保護と、そして小さな預金保険制度であるべきというのは私もそのとおりだと思っているんですが、その話と、金融機関の例で言いますと、これは保険会社も同じなんですけれども、銀行の方で言いますと、破綻処理とは別なんです。 どういうことかと申しますと、今仮に真実がよくわかっているとして、仮にある金融機関がだんだん悪くなって自己資本比率が八、六、四、二、ゼロ、マイナス、こう行くとします。早期是正措置というのは、早期に是正するわけですから、これはマイナスになってからあれしていますと一千万円を超えた部分は返ってこない部分があるというのは先ほど申し上げましたけれども、ではプラスのうちに介入していいのか、これは一つまた問題になるわけです。 考えてみると、一般の事業会社、例えば自動車製造業の場合にはマイナスになっても国は介入しないんですね、変な言い方ですけれども。そうだとすると、そもそもなぜ国が介入するかということを考えなければいけないし、国が介入する以上は、そこで今回のような緊急措置、特例措置期間のような形で、税金はつかないまでも、何らかの意味で税金が使われるわけですから、それは小口預金者の保護とは違う次元の問題です。なぜなら、小口預金者の保護というのは一千万円までの保護で図られているわけですから。なぜそれに加えて国が介入するのか、またどういうタイミングで介入するのかというのは、これは自動車製造業とは違ってやはり金融の分野には信用秩序の維持と呼んだりあるいはシステミックリスクという言葉で呼ばれているような、国として守らなければならないそういう部分があるからであるということだと思うんです。 それで、では一〇%のうちに介入できるか。これは私は介入のし過ぎで適切でないと思います。今、早期健全化法というのがありまして、なぜプラスなのに資本増強という形でいわば介入しているのかといいますと、これは今やっぱり緊急事態でして、全銀行が必ずしもよくないと、バラエティーがありますけれども。したがって、緊急事態としてはプラスのところについてもいわば介入しましょうというそういう制度ですから、平常時になった場合には少なくともある程度プラスが高いうちに介入するのは正当化されない。しかし、ゼロ近くなったそのあたりでぱっと介入することがなぜ正当化されるかといいますと、今のいわば信用秩序の維持とかシステミックリスクということであります。 システミックリスクということの意味で、これで最後になりますけれどももう一言申し上げますと、ある銀行が破綻してある支払いができないということになりますと、他の銀行なり当事者はその支払いを受けて自分の支払いをしようと思っているわけで、これが入ってこないと、自分は本来は健全であるにもかかわらず、こっちも支払いができない。そういう支払いができない連鎖が起きる結果、全体として経済が麻痺するというのをシステミックリスクと呼んでおります。それを防ぐためには、やっぱりゼロのところで介入して迅速な破綻処理をすればそれは防げるわけですから、そういう意味で国の介入がそこで正当化される。 こういうことを、言ってみれば国民に今やはり明らかにする。そのためにこの法案がある。ちょっと法案の文章自体はわかりにくいんですけれども、今言ったような趣旨をやはりぜひ議員の先生方からも国民に対するメッセージとして伝えていただきたいと思います。
○参考人(森田富治郎君) 政治の問題そのものにつきましては回答を差し控えさせていただきたいと思いますが、先生の私どもに対する御趣旨というのは、要は、今回のもろもろの法案、私は保険業法周りのお話に限定させて申し上げたいと思うんですが、これのたたずまいが筋が通っておるか、あるいは十分説明的であるか、そういうお尋ねだと思います。 これにつきましては、今、生命保険業界の置かれている状況について、こういう形で打開の方向が示される、それから平常時の問題解決の手前で緊急対応として財源措置が講じられる、そういう筋立てにおいて十分筋の通ったものであり、十分説明的なものであると、かように解釈しております。
○参考人(田中直毅君) 御質問の趣旨が、今回は金融システム改革というお話ですので、私の所見を述べさせていただきます。 金融システムが大きく日本において変わるというのは、これは自由化が前提でございまして、自由化が行われる形で個々の金融機関の役割や役割の果たし方が変わってきたということだと思います。 自由化以前の日本の金融機関は、準地代追求者という性格であったと思います。これは、供給に制限がある、あるいは競争に制限がある場合に、その制限を前提として自分の制限されたものをうまく使って利得を得ようとするやり方であります。規制されていることを前提にして、その規制の中においておいしいところをとろうというのが我々以前の、ついこの間まででございますが、日本の金融機関の成り立ちでございました。 これに対して、自由化をするということは、金融機関はその利用者に対して、資金仲介機関はその利用者に対してどういう利便を提供できたのか。それで図られたものによって企業規模というものは結果として決まってくるというところに入るわけですから、従来とは全く違うルールのもとで今、金融機関相互の間で競争が行われようとしている。 結論は、そのプロセスは結局のところ金融機関を利用しようとする人たちの利便がふえることでありまして、結果として金融機関従事者の数は間違いなく減ります。規制下における金融機関従事者は不必要なまでにその人員をふやしていた。これがクエイサイレント、準地代というものを追求する時代の基本的なものでございます。制限されているがゆえに余分の利得がその分野において生じていたわけですから、自由化はその余分な利得を排除いたしますので。ということは利用者がそれだけ利便を得る。そうすると、その余分な利得を得ていた分野におけるリストラクチャリングが起きるのは当然でございまして、金融機関従事者の数はいっとき二百万人だというふうに言われておりましたけれども、これは当然のこととして相当数従事者の数は減るということだと思います。そのプロセスにおいて、これは他の国においても見られたことですが、生き残りを策して金融機関の個々の経営者がかなり無理な競争をする。それがバブルになったり、あるいは不良債権の激増につながったりする。 したがって、規制時代から自由化時代に対応するときには、これがシステム改革、先生が言われました金融システム改革でございますが、金融システム改革に当たっては、その前の時代のやり方をどこかで一挙に変えなければいけないという問題があるわけですが、このことについて我が国で十分な議論がなされてこなかった。立法府においてもその議論が不十分であったということが問題だろうと思います。 ただ、これは先生方が努力不足だと言っているのではなくて、私どものような分析を業とする者の分析が不十分であったり、あるいは幾つかは書いたりはしておりますが、その説得力が乏しかったということで、責めは当然のことですが私どもの業界人も負わざるを得ないものだというふうに思っております。 いずれにしろ、金融システム改革のポイントは、自由化という時代にあって金融機関の評価が、あるいは金融機関の行動原理が全く従来のものとは変わるということに経営者がどれだけそのことを自覚されているかどうかということは、もう極めて重要なことだというふうに思っております。
○参考人(米田貢君) 御質問の趣旨が必ずしも十分に理解できておりませんけれども、私自身は、ここでは今回の預金保険法等の改正の問題について意見を求められたと考えておりますので、それ以外の部分については発言は控えさせていただきたいと思います。 その上で、金融システムの問題等にかかわってのお話では少し言わせていただきたいと思います。 一つは、要するに今回の預金保険法等の改正、先ほども平常時の体制をどうつくるかというふうな趣旨でつくられたと神田先生自身もお話になっておりましたけれども、その点からいきますと、私自身としては、やはりこの九〇年代の教訓を生かすべきだというふうなことが一番大きな基本的な考え方になるかと思います。その点では、今回金融システム不安が起きましたけれども、この金融システムというのは、あくまでも銀行業界自身がみずからの存立の基盤として維持しなきゃならない公共財です。その点では、やはり資本主義というか市場原理を前提にしている以上、業界みずからの力でもってこれをどう支えるのか、その点が基本にならざるを得ないんだろうというふうに考えます。 その点でいきますと、私きょう冒頭でお話ししましたように、預金保険制度というのはあくまでもセーフティーネットのほんの一部の部分でしかない。だからそういう点でいくと、この九〇年代の教訓から、平常時の預金保険制度へ移行するに当たっては、できる限り自助努力に基づいた預金保険制度の本来の姿に戻すべきだ、そういう意味で、小さな預金保険制度ということであれば、私自身も今回の趣旨に賛成したいというふうに思っております。 ただその上で、私先ほどセーフティーネットの根幹部分という形で言いましたのは、要するに破綻処理について決然と行うというこの立場ですけれども、この立場が今回の預金保険法等の改正あるいはその他の金融行政等のところで本当に生かされるかどうかについては、やはり今後着目していきたいなというふうに思っております。
○齋藤勁君 どうもありがとうございました。 なかなか、金融問題でございますので、生々しい私どもが国会でやりとりしている総理の交代劇の模様につきましては御感想は難しかったのかなというふうに思いますが、またの機会のときに、この部屋を出た後でもお聞かせいただければと思います。 ただ、いずれにしましても、それぞれの受けとめ方があろうと思いますが、やはり公約ということがこれまでも政党政治家にとって、議会にとって、これは日本の議会だけではなく、すべてあらゆる議会がそうですが、大切であるということを追及してきましたし、これからも最も大切じゃないかと思うんです。 そこで、その公約といえば、いわゆるペイオフ延期の、一年延期をしたということになりますと、これは日本国民への公約どころか国際的な私は約束だというふうに思います。 たまたま田中先生から一挙にというお話がございましたが、昨年末、与党三党によりまして、私も与党三党の中に詳しいわけではございませんけれども、与党三党の中でも必ずしも全部が全部延期をしようなんということで合意をしていなかったんではないかというふうに受けとめていたんですけれども、どうもばたばたというふうに一年延期、こういうことになって大変驚愕をしているわけです。やはりこれは過ぎてしまったことだということではなく、なぜそういうことが起きたんだろうかということ、そしてそのことをやっぱりきちんと国会の中で議論をしていかなければならないのではないかというふうに思っています。 そのときの各報道を見ますと、「倫理観の荒廃きわまれり」とか、これは社説でございますけれども、「失政十年の締めくくり」、「「失われた十年」の集大成が、三党によるペイオフ延期であることを、次の総選挙まで有権者はよく覚えておく必要がある。」とか、また別の冊子では、「まだ変わらない「先送り体質」」、「国際公約違反だ ペイオフ解禁一年延期を決断させた信用組合の不安」、あるいは「ペイオフ延期の膨大なコストは預金者が負担」、田中先生は、「ペイオフ解禁延期はもってのほか」と、これは雑誌社がつけた見出しかもわかりませんけれども。「「借り手の反乱」に安易に屈すれば消費者の明日は損なわれる」と。 ここはやはり私は、十二月に与党三党が決断してこういう法案になってきているわけですけれども、確かに一カ月、二カ月、三カ月、五カ月たちます、ここはきちんとやっぱり検証すべきだというふうに思います。これは森田参考人は別に、生保の関係ですから、失礼な言い方でございますが。神田さん、そして田中さん、米田さん、それぞれの参考人に、これはやはりペイオフ解禁延期というのは私ももってのほかだというふうに思っています。ということで、私どもの会派も衆議院、参議院でもそういうことを指摘をし、総理にも指摘をし、大蔵大臣にも指摘をして今日に至っているわけですが、ここはやはりきちんと検証するということ。なぜということですね。 そしてもう一つは、預金者保護ということを言っていますが、本当に預金者保護なんだろうか、これは借り手保護なんではないんだろうかという指摘が二つ目にあろうというふうに思います。 もう一つ、神田参考人においては、金融審議会でしたか、いろいろかかわり合いを持っていたというふうに思うんですが、そういった兆候は会議の中で感じられましたでしょうか。いや、あれは本当に寝耳に水だったと、きょうは法案に御賛成の立場ですからなかなかあれなのかもわかりませんけれども、このペイオフ解禁延期問題、やはりきちんと検証すべき立場でということで、ぜひそれぞれお三方のお立場で明らかにしていただければありがたいというふうに思います。
○参考人(神田秀樹君) 大変重要な御指摘をいただきまして、ありがとうございます。 ペイオフは解禁を当初の予定から一年延期するということになったわけですけれども、まさに私は、先生御指摘のとおり、延期することになったからには延期する理由を国民にきちんと説明する必要があると思います。 金融審議会で議論しておりましたときは、延期すべきかすべきでないかという議論は基本的にはこれは金融審議会では余りしておりません。むしろ平常時移行の絵をかくことと平常時にスムーズに移行できるように、その二つは議論していましたけれども、それがいつかということ、そのことについては、これは私の言葉で言うと高度に政策的な判断が必要になりますので、これは国会の場で先生方がお決めいただくというふうに、私は個人ではそういう認識で議論をしておりました。ただ、流動性の預金の問題だけは金融審議会でも若干議論をしました。ちょっとその点は省略させていただきます。 そこで、与党三党の合意ですけれども、私も間接的に伺っている限りですけれども、いろいろな御意見の中でそういう御決定をされたということですので、一年延期せずに済めば、その方が私もそれにこしたことはないと思うんですけれども、一年延期という御決定をされたということは、これを尊重すべきですし、政府としてはそれを盛り込んだものを政府提出の法案として出しているということでございます。 そこで、国民に対する説明というか世の中に対する説明ですけれども、よく言われている一つの説明は、余り繰り返しませんけれども、信用組合の検査がまだ終わっていないということで、来年の三月末ということですと、当初の予定ということでしょうか、ちょっとぎりぎりで、まだいわゆる信用不安。ですから、これは平常時の話ではなくて現在の特例措置の処理が必ずしもきれいに終わる自信がないということであります。 それで、私は昨年末からいろいろ実は考えてきてはいるんですけれども、もう一つ説明としてあり得るのではないかと思いますのは、これは私の個人的な見解ですが、平常時移行の姿というのは、実は今法案を先生方に審議していただいて、成立していただきたいと私は思っていますけれども、法案の姿は、二月に実は国会に提出されている、衆議院にまず提出されたわけですけれども、そうすると先ほど私がちょっと申しましたように、国民としては平常時の事態、状態とは何なのか、やはりそういう周知期間というのでしょうか、が要ると思うんです。 もし、来年の四月一日から平常時ですということになりますと、今法案が出て、仮に成立するといたしますと、それから一体何なのかという、平常時の事態をある程度周知する必要があると思うんです。それは預金保険の対象の問題もありますし、それから万が一、先ほどのお守りのようなものですけれども、万が一システミックリスクが出たような場合の対応はどうなっているのかとか、そういういろんな問題がある。 私は、万が一破綻した場合にはどうなんだとか、そういった意味で周知期間ということからいってもちょっと来年の四月一日というのはきついかなという感じはあるとは思いますので、そういうことから申しますと、この際、この法案をきちんと通していただけるのであれば、その内容についてきちんと説明をし、みんなで納得して、いわば安心してというのでしょうか、平常時の状態に移行していただければと思っております。
○参考人(田中直毅君) ペイオフ解禁延期の大きな理由に、信用組合が挙げられることがございます。信用組合は現在二百七十ぐらいまでに減少しているようでございますが、そのうち百近い信用組合にかなりの問題があるというふうに言われておりますし、前金融再生委員会委員長もそういう旨をおっしゃっています。しかし、この資金量は二百七十ぐらいを足し合わせましても約二十兆円でございまして、預金保険加入金融機関の三%程度でございます。 ことし四月からの信用組合に対する検査、監督が多少手間がかかるといたしましても、当局、金融監督庁は別にできない話ではないというふうに言っておられるようですから、それはもう粛々とできたんだろうと思います。問題がもし起きて破綻処理に入ったとしても、それがシステミックリスクにつながるわけでないことは数値の上でも明らかでございますから、信用組合を理由にペイオフ解禁延期というのはどうにも論理的にはつながらない話だというふうに思います。 では、ペイオフ解禁延期で一体何が問題なのか。いろいろ問題はございますが、一番大きくは日本の金融システム改革において消費者や利用者の利便を図るような革新の契機といいますか、そのチャンスが大幅にそがれることだと思います。 お手元にお配りしてございます資料の三十二ページをごらんになっていただきますと、日本とアメリカでの家計部門の金融資産比較がございます。これで日本は一千三百兆円を超える家計の金融資産がございますが、そのうちの五五%が現金、預金、貯金でございます。これに対して、アメリカはこの比率が一〇・七%程度ということになっております。 これはなぜかと。いや、それはアメリカが株を余計持っているからだ、こういうふうに言われているわけですが、しかし、実際にはペイオフ問題に関して言いますと、金融イノベーション、金融革新というものがアメリカで本格化したのと、日本ではそれがほとんどまだ起きていないということに起因する問題がございます。 例えばアメリカの場合は、決済のために必要な現金、これはある時期で現預金は持たざるを得ませんが、通常時はどのように運用しているかというと、金融機関と話し合いまして、必要以上の流動性についてはスイープ勘定というものをつくりまして、それでその金融仲介機関に国債を中心とした債券で運用していってもらう。決済必要額が出てきたら、その国債を中心として債券で運用しているもの、これは毎日マーケットが立っておりますので、売りを入れればすぐ流動性に変わります。これを一たん自分の銀行の勘定に入れまして、振りかえて、債券を中心とした券面を金融仲介機関に指示しますと自分の銀行口座にそのまま振りかわるわけですから、それでもって、この流動性でもって必要な決済を行う。そうすると、百決済しなきゃいけない場合には百に相当する分だけスイープ勘定で指示をすれば済むということになるわけです。 〔理事溝手顕正君退席、委員長着席〕 ですから、そういう勘定がじゃ我が国において一般的に使われているかというと、御存じのようにそうではありませんので、銀行に預金として何らかの形でずっと持っている。ずっと持っていたら、金融機関が破綻したらこれは企業にとっての決済性預金が損なわれる、こういう話だということになるわけです。 それじゃ、なぜ日本でそういうスイープアカウントという、利便性も高く、そして債券で運用しているわけですから、我が国の今日の状況を考えましても銀行預金よりも国債を中心とした運用の方が恐らくいいだろうということからいうと、なぜそうした勘定ができないのか。 これは、情報投資に問題があるとか、そうした形での消費者、利用者の利便を考えるような経営者が出なかったとか、あるいはこれまで規制当局が、あなたのところはゆとりがあるからやってもいいと言うわけにはいかないよ、護送船団で船足が遅いのもあるからねといって新商品の開発をすべてとめるというようなことが相まって今日こういう状態になっているわけです。 ペイオフ解禁というのは、まさに利用者の利便をどんどん拡大しまして、必要以上の流動性を預金という形で銀行に持つ必要はありません、もっと有利な運用ができるような仕組みを情報システムも含めて開発しましたからどうぞ御利用くださいと、こういう金融仲介機関がいっぱい出てくることを我々は期待しているわけであります。 ペイオフ解禁延期ということは、あるいはその後また流動性預金についてはさらに一年全額保護するというのは、そうした大きな変革が加速している時代に、それはもうしなくてもいい、だらだらしたことをやっていればいいんだということをメッセージとして伝えているわけですから、そんなことがあっては困る、早くやってほしいというのが、本来私ども利用者の目からいけばペイオフ解禁延期なんというのはあってはならないことだということなんです。 先生は先ほど争点形成のことを言われました。選挙に当たって御主張されればいいと思います。ペイオフ解禁延期ということが一体何を意味するのかということについて、我々が主張してきたことはこういうことだ、これを解禁を延期したということはそういう利用者の利便について全く考慮を払っていないことだというふうに御主張されて、それが有権者に受けとめられるかどうかは先生方の御説得力があるかどうかでございますので、それは私はそういうことではないかというふうに思っております。
○参考人(米田貢君) ペイオフ問題に関して、私の方では三つの点について発言させていただきたいと思います。 今も田中先生の方でお話しになりましたように、今回ペイオフが一年延期、あるいは事実上の延期まで含めると二年という形になりましたけれども、この際の一つの判断として、やはり特定業界というか信用組合の問題があるんじゃないかというふうに一般には言われております。 これに関して、私は少なくとも、ペイオフの解禁の問題と解禁されたから直ちにペイオフを実施するということは全く違うんだという事柄については正確に理解していただきたいなというふうに思います。 これは先ほど神田先生も御紹介があったように、アメリカでもペイオフというのは当然解禁されているというか、ずっとその手法というのは認められてきていますけれども、それの実施の状況は極めて少ない。これはなぜかといえば、明らかにペイオフという形で、最もラジカルな形で倒産処理をやってしまえば預金者だけでなくその地域経済全体に対する影響は明らかに大きいからです。だから、その点では、ペイオフをやらざるを得ないというのは極めて限られた状況であることはこれまでのアメリカの経験からも明らかなわけです。 だから、日本でペイオフを解禁するということと、何かペイオフを解禁しちゃうと直ちにペイオフを実施せざるを得なくなるんじゃないかというふうに考えられている節がありますけれども、それはやはり区別して考えるべきことじゃないかなというふうに思っています。 ただ、その上で、特に信用組合の状態との関係でペイオフの解禁が問題になったとすれば、僕は、信用組合というふうな協同組合金融機関あるいは地域密着型のあるいは中小企業向けの専門金融機関の破綻処理について、いわゆる大規模な銀行も含めまして、銀行と同じような基準で破綻処理をやっていいのかどうかについてこれはやはりもう一度考えていただく必要があるんではないかなと思います。 だから、その点では、単なる国際行と国内行に分けるというだけでなくて、もっと具体的な営業の実態に即した形での破綻処理のあり方をやっぱり考えていただく必要があるんではないかなというふうに思っています。それが一番目です。 それと二番目、ペイオフの原理的な問題についてひとつお話ししておきたいと思います。 ペイオフというのは明らかに二側面があります。私は、預金保険制度というのは零細貯蓄者を守る、金融機関が破綻したときに零細貯蓄者を守るための、ある意味じゃアメリカ的な言い方をすると草の根民主主義の思想から生まれてきた預金者保護の制度だというふうに考えておりますけれども、当然その裏側として零細預金者を保護するということは、アメリカでいえば十万ドルを超える、日本でいえば一千万を超える大口預金者については一定の損失をこうむる場合もあり得ると。ただ、これも先ほどお話があったように、アメリカの例で見ても九〇%ぐらいは大口預金者だって資産は保証されるというか回収できるわけですね。 だから、その点では、大口預金者についてもう全面的にペイオフを実施したら資産が返らない、そんなばかな話はないわけです。債務超過の状態によってはかなりの部分は回収できるということがあります。ただ、問題は、要するにペイオフを実施すれば守られるのはあくまでも付保預金、預金限度額内の預金だけだと、それ以外の人たちは何らかの形で損失をこうむる可能性がありますよということなんです。問題は、そのことの持つ意味をどんなふうに考えるかだと思います。 私は、当初、ペイオフが五年間凍結されたときに言われていたことを思い出します。預金者の自己規律を問う環境にないという形でかなり議論されました。これについては私は、大口預金者と同様の、例えば機関投資家のような大口預金者と同様の自己規律を、せいぜい数十万しか銀行に預けていらっしゃらないような小口のお年寄り等に同じような自己規律を求められるのか。これはあと十年たっても二十年たっても私はそんなことは絶対求められないと思います。 我々が銀行に預けるのは、生活のお金を現金で持っておくのが怖いから近くの金融機関に預けるわけです。多くの国民の方々はそうだと思います。そういう人たちに、常に一番もうかって、そしてしかもある程度の安全性があるところを目指して世界じゅうを駆け回っているような大口の投資家と同じような自己規律を、預金者の自己規律という一言でもって強制していいのかどうかという問題があります。 その点では私は、少なくとも現局面においても、預金者の自己規律、これを基準にしてペイオフを解禁するかどうかという話が出てくるんだとすれば、それはもう全く議論の筋が間違っているんじゃないかというふうに考えております。 それと三番目、最後になりましたけれども、私は、ペイオフの解禁がこの間五年間凍結されていた、このこと自体も一定の問題はあるかと思いますけれども、それ以上にやはり問題だったのは、ペイオフの解禁をしない、ペイオフを凍結する、イコール預金を全額保護する。さらには、先ほども出た貸し渋り対策のために大手行も含めて一斉に資本注入をやった、そのために結果的に巨額の公的資金が投げ込まれたという、こちらの方がやっぱり大きな問題だと思うんです。 だから、そういう点では、ペイオフというのはある意味じゃ単なる象徴的な処理策のほんの一つです。そして、実際には発動しようと思ったらかなり限定された局面でしか発動されません。そのことを解禁するか解禁しないかという問題以前に、預金保険制度が結局零細預金者の保護という立場からかなり外れた形で運用されることによってかなり巨額の資金を注ぎ込まざるを得なくなった、そこのところが問題だったのではないかなというふうに考えております。
○齋藤勁君 ありがとうございました。 今回時間の関係でペイオフ解禁問題はまたの機会にさせていただきますが、いずれにしましても、何というんでしょうか、痛みとか負担とか大変きつい部分もあろうと思いますが、いずれにしろ先送りをしたということについてはこれは否めない事実であるわけでありまして、どれだけ、さきに本会議で私ども、この法案が提案された際に簗瀬議員が本会議で質問した際に、宮澤大蔵大臣からなぜ延期をしたのかということについての答弁もるる述べられておりますが、言ってみれば説明になっていない。これ失礼ですけれども。 読みますと長くなりますからこれは省略をいたしますけれども、国際的な信用がなくなるんではないかというふうに報道されておりますけれども、そうではないと。こうまで言い切られているのは一体本当に、これはもう既に予算委員会とか本委員会でも各同僚議員からやりとりがされていることですが、むしろある意味ではスケジュール的には国民に選択をしていただくことになるかもわかりませんが、そういうところにやはり、もうそういうことをずっとこの間金融再生法のときにもいろいろ議論をもうやってきたではないかということを実は私はまず言いたいわけでありまして、それぞれの参考人の方々の御発言本当にありがとうございました。 さて、森田参考人、生保の関係でございますけれども、逆ざやということでずっとこういう状況だというふうになっていますが、いわゆる超低金利政策が約五年続いております。この超低金利政策に対する、当然、生保側の方からはこれは改めてほしいということになろうというふうに思いますけれども、一方で私は、今回いわゆる公的資金が入っていくわけでございますし、非常に社会的使命が生保業界としては必要だということで、例えば資料からいただきましたら、生保の社会的使命、生保事業は社会奉仕とともに国民の社会・生活保障の両輪であるとか、あるいは国民生活安定化に寄与している、あるいは日本経済、金融マーケット発展に貢献をしているとか、いろいろございます。 先ほどの自民党の方の御指摘のとおり、逆ざやだけではなくて、むしろいわゆる生保業界としていろいろ社会的にもっと反省すべき点もあったのではないかということでそれぞれのやりとりもございました。これは繰り返しをしません。 一方で、きょう午前中の私どもの峰崎議員の質問の中で、生保の関係で例えば自治体の第三セクターに対していろいろ資金が行っていると、これを政府として、では自治省がどれだけ把握をしていますかとか、あるいは建設省なりさまざまな公団とか含めましてこの資金がどれだけ行っているのか、そういうのが焦げついているのかとかも含めて、分類のことも含めましてただしましたら、出てこないわけですね。数値が出てこない。これは、例えば政府から求められても出していないのか、求められていないのかどうか。 少なくとも生保の協会として社会的使命というのがまさに大きいわけでございますけれども、私どもの午前中の委員会では政府に質問をしても出てこなかったんですが、日本経済、金融マーケット発展に貢献をしている、株式も保有をしています、国債も保有しています、企業貸し付けもしています、不動産は五%で少ないというふうに言われましたけれども、この幾つかやはり今日こうしたシステムをとらなきゃならなかった要因というのは、ここがいわゆる逆ざやと同時に焦げついている部分があるわけですね。ここはどういうふうに整理されているのか。政府に資料要求があって提出しているのか、出せない状況になっているのか、御説明いただきたいと思います。
○参考人(森田富治郎君) 今の苫東ですね、これは私どもとしては通常の投資という判断で実行したと思っています。ちょっと業界各社がどういう状況であるかというのは今手元に数字を持っておりませんのでよくわかりませんが、私どももこの投資に参加をしております。 恐らくこの苫東のプランというものが走り出しますときというのは、見通しとして日本じゅうで大変明るい見通しを持っていたころだと思っておりまして、やはり御多分に漏れず、これがバブル崩壊と現在のような経済の低調ということの中で当初の予定がうまく進まなくなったと、そういうことであろうと思います。特別の私どもは意図を持ってこのプロジェクトにつき合ったというふうなことはございませんでした。
○齋藤勁君 森田参考人、あれでしょうか、協会の中で個別の生保会社がそれぞれ例えば株式とかさまざまな企業貸し付けをしていますね。それらについてのいわゆる行き先についてどうなっているのかということについては、協会としては全体で把握はされていないんですか。それは個々企業ですか、個々の会社ですか。
○参考人(森田富治郎君) 協会の機能として個別の投資行動について把握するということはしておりません。最終的にデータの集計というのは業界全体の数字として協会が取りまとめるというのはやっておりますが、個別にどこに何というふうな把握の仕方はしておりません。
○齋藤勁君 もう一方で、簡易生命保険というこれは日本の長い古来の制度ですが、この存在は例えば今協会としてどういうようなお考え方を持っておられるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
○参考人(森田富治郎君) 基本的に不要であると、簡易保険は不要であるという立場を民間としてはとっております。つまり、官業の使命は終わったという認識であります。したがって、これから先ぜひ廃止、縮小、または民営化、これをしていただきたいと、これは長年私どもとして申し上げておることであります。
○齋藤勁君 先日の当委員会で私どもの会派の櫻井議員が、政府に対してでございますけれども、いわゆる政治献金問題について指摘をさせていただきまして、これが言ってみれば訴訟になっているわけですけれども、私どもの方の資料にありますのは具体的な会社、その保険会社は住友生命保険相互会社の訴状の資料でございます。 今回公的資金注入をしていくという方向になっていくわけですけれども、また制度として仕組みをつくっていくわけですけれども、このことをもっての話をしますと長くなりますから省略的に話をさせていただきますけれども、非常に社会的使命、役割が高いという協会としての位置づけをされていると。一方で、そういう中で今回そういうシステムをつくっていくと。このように、過去であっても一相互会社に対しまして、いわゆる企業献金がされているということで、それはまあ正当になっているわけでございますけれども、このことについての倫理観ということについての観点で協会としてコメントをされたのか、これはもうそういう一相互保険会社のことなんだからということなのかどうか。それについての所感はいかがでしょうか。
○参考人(森田富治郎君) 今回のいわゆる提訴といいますか、これについては個別の会社の事情ですからちょっとコメントを差し控えたいと思うんですが、いわゆる企業の献金ということですけれども、私どもはいわゆる将来的に政治資金というものが公的助成と個人献金で賄われるべきであるという、その方向については承知もしておりますし、違和感を持っておりません。 ただ、現実に特に個人献金というものの枠組み及びその実態というのがなかなか理想どおりにいかないという現実があるわけでありまして、片やで、私どもは、企業というのは一つの社会的な存在でありますから、その社会的な存在としてどういう役割を果たしていくべきかというテーマをずっと持っておるわけであります。その点については、むしろ、そういう今の現実の枠組みの中で、それぞれの企業がそれぞれ判断して、それに対する責任を問われるということについては、むしろ枠組みの問題というのをきちっと政治の場で整理していただくというのが実は先ではないかと、そんな感じを持っております。
○齋藤勁君 極めて私は倫理観という立場に立って問題であるし、とりわけまた会社の形態が相互会社であるという点からいっても非常に問題があるんではないかという、そんな感じを持っているところでございます。 あと本当にわずかなんですが、田中参考人に、きょう午前中の質疑に日銀の参考人も見えて、低金利政策がずっと続いているということでの日銀の参考人あるいは政府の大臣とのやりとりがございまして、これはもう金利はまさに日本の場合日銀が所管でございますが、この低金利政策について改めるべきだと田中参考人がばんと言うかどうかということについてなかなか難しい部分があるかもわかりませんが、日本の今の現状にとって、この超低金利政策が続いているということについて、大変短い時間でのコメントを求めるのは大変申しわけございませんが、感想がございましたらお示しいただきたいと思います。
○参考人(田中直毅君) 低金利は、もちろん政策の面もありますが、今日の日本経済を前提にしますと、結果であると。要するに、金利が上げられるような環境にはないというのがあると思います。 それから、財政政策と金融政策とのバランスの問題もあろうかと思います。今後、金融政策、金利も含めた資金のアベイラビリティーで日本経済を支えないと、財政面からこれ以上支えるというのはもう無理になっておりますので、そういう意味では結果としてこういうゼロ金利政策が持続しているというふうに理解した方がいいと思います。 ただし、このゼロ金利政策には当然副作用が伴うものでございますから、副作用を避けるためには別の政策を用意しなければいけないということかと思います。例えば、それが株式市場に回る可能性があると。しかし、それは別にごく正常な反応でございますが、そのときに、そこで異常な価格形成が起きないような形で、ディスクロージャーから始まって、一連の政策がこの際前倒しに行われるというような、副作用を回避するような政策があわせ行われる必要が私はあると思いますが、残念ながら、ゼロ金利政策と言われるものは日本経済が陥った結果として実現しているものだというふうに思っております。
○齋藤勁君 時間が来ましたので終わります。ありがとうございました。
○浜田卓二郎君 改革クラブの浜田卓二郎です。公明党・改革クラブを代表して、参考人の皆様に幾つかの点について御意見を承りたいと思います。 まず、森田参考人にお伺いをいたしますが、保護機構でございますね今回九千六百億に増額をされるということでありまして、一つはこの額で十分とお考えなのかどうかということです。 先ほどの御説明を拝聴いたしておりますと、銀行ほどではないけれども、信用機関として公的性格が強いものであるというお話でございました。本当にそうであれば、経営の安定あるいは保険契約者の安心というようなことのコストがこの保護機構の財源だということになろうかと思いますけれども、本当に十分であるかどうかという判断は、例えば一千億が業界の負担する限界であるということから九千六百億しかできないんだという説明では不十分だろうと思いますし、それから交付国債の方が本当にいいというのであれば、補助金でしかも四千億で満足するというのがこれは本当に安心の材料になるのかどうか、そういう素朴な疑問を感ずるものですから、この点について一つお伺いいたします。 それからもう一つは、私は森田さんが生保協会の会長に御就任になったときのごあいさつ資料でちょうだいして読みましたけれども、自立型福祉社会という言い方をしていらっしゃる。これは私も大賛成でございまして、やっぱり日本の福祉制度を考えていく場合に自立した個人、自立した家庭、自立した社会、もっと言えば自立した国家と言わなきゃいけないんですけれども、それが本当に基本にぴしっと入らないと、これから幾ら財源を保険料にしようが消費税にしようが、何か底抜けのバケツに水を入れるような感じが私は、私も長い間社会福祉政策に携わってまいりましたけれども、そういう気がしてならないわけです。やはりここで、もう二十世紀も終わろうとしていますけれども、これからの日本のいろいろな意味におけるキーワードは自立だというふうに私自身は思っているものですから、短くて結構でありますので、森田参考人の自立型福祉社会についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(森田富治郎君) まず今度の財源措置が十分であるかということでありますが、率直に申し上げて将来起こり得る破綻のコストを見積もるというのは我々では不可能でありますし、恐らく当局も無理ではないかと思います。 ですから、何でまず九千六百で新しく五千なのだというところから申し上げますが、今まで業界の努力でやってまいりました資金が四千六百億でございまして、これの相当部分が東邦生命の処理でなくなってしまった。四千六百億の機能をもう一度復活させようと。といいますのは、要するに現実に起こったときにそれで間に合うか間に合わないかよりも、要するに保護機構には財源がない、したがって何か起こってもだれも助けてくれないという、そういう認識が世の中に広がることそのものが大変に危険であると思っておりまして、まずそれを防がなければいけない。それが今回の措置の最大のポイントだと思っております。 そうはいっても、現実にこれから破綻が幾つか起きてそこを突き抜けちゃったらどうするんだということが御心配かと思うんですけれども、それは先ほど来申し上げておりますいろいろなセーフティーネット回りの整備、一つは更正特例法の適用であったり、あるいは当局の検査とかモニタリングの強化であったり、それから株式会社化によってもっと強い資本の十分受けられる状態をつくるとか、そういう形でまず破綻を起こさないようにしようと。それから、破綻が仮に起きてもそのコストを最小限にとどめようという、そういう努力を込みで何とかこの枠内でおさまってほしいと、そう思っておるわけです。 そこから先はなかなか、何ぼなら足りるんだというのは恐らくだれも証明不能ですし、その根拠を示せという話になると多分大騒ぎになってしまうということで、まずは再び保護機構の機能が回復するという安心感のところで我慢といいますか納得しようじゃないかと。 ですから、補助金じゃなくて交付国債の方がいいではないかというのは、私どももその方が大変わかりやすくてよいなということでお願いもしてきたんですが、やはり銀行と保険では大分状況が違うと。片方は火事の中で火を消す話で、もう一方は火事を起こさないようにしようという話で、これはなかなか世の中の認識としても追いつくのには大変だというようなこともあったのであろうと、そんなふうに考えております。 それから、自助努力型福祉社会ということにつきましては、私どもは、基本的に今社会保障制度でカバーしている部分、ほとんどの部分について民間の自助努力で対応する役割を担っておると思っております。それは死亡から年金から介護から一応私どもカバーをしておると思っておりまして、そのウエートがやはり社会保障がスリム化する流れの中で高まらざるを得ないと思っております。 問題は、じゃ、そういうものをきちっと受けとめられる我々の方の体制というものをちゃんとつくっていけるのですかというところがやっぱりこれから先ポイントになってくると思っておりますので、一言で言えば、消費者のニーズというものにいかにきちっと対応していく姿というものを完成させていくか、そこが我々のこれからのテーマであると思っております。
○浜田卓二郎君 どうか、状況が違うとおっしゃいましたけれども、日産生命の破綻、東邦生命の破綻というのは十分な材料でありますから、決して銀行の状況がよその状況ではない、そういう御認識を私は持っていただきたいし、私自身も生保の老後設計のための商品の供給というのは今後の福祉社会を考える上で非常に重要な役割を持っていると思っておりますし、三つ挙げられている公的な理由の根拠というのは私は十分に説得力あると思っておりますので、必要な御主張はきちんと自信を持っておやりになるように老婆心ながらひとつお願いを申し上げておきます。 それから、田中参考人に御意見を伺いたいんですが、私の個人的には、党としてどうかというのは別でありますが、個人的にはペイオフ凍結延期は大変ショックでございました。つまり、金融特の場で何度も私も議論してまいりましたけれども、自分でデッドラインを設定して、ここまでの間にこの異常状態を克服していく、そのために六十兆、七十兆という巨大資金を準備する。私は公的資金を準備した以上むしろ強制的な注入まで考えろという議論をしておりましたから、要するに二〇〇一年三月三十一日をデッドラインにしてよほどの決意と覚悟を持ってこの異常事態を乗り切ると、そういう期間であるというふうに認識をしておりましたので、これを延ばすというのがいかに全体の意気込みをそいで緊張感をなくして、これは非常に金融正常化のためにはいろいろな意味でマイナスであるということを私は強く感じて、当時そういう議論をしておりました。 しかし、既にそれが既定事実のようになって今日の状況が動いている。いささか残念に思っているわけですが、この間に私は妙な話になりつつあるんじゃないかと危惧するんですね。 つまり、護送船団を解除して、過剰行政、過保護行政というのをやめるというのがこの護送船団解除の決意であり大蔵省解体の一つの大きなきっかけであり、そういうことであったはずなんですが、例えば公的資金を準備してそれを注入したから中小企業の融資をふやせというような業務内容にかかわる介入まで実はあるんですね。まあだれが言ったのか知りませんけれども、私は、公的資金を準備してそれを注入したから銀行はこれこれこれの具体的な貸し付けをふやせとか減らせとかいう話になるというのは実におかしな話だと思っております。 つまり、護送船団を解除して、これから、先ほど神田先生は正常状態とおっしゃいましたけれども、正常状態に復したときの官と民といいますか、今まで銀行行政と言ってきました金融と行政のあり方というのはどういうふうになっていくのか。今はむしろ護送船団のときよりも異常・過剰介入が行われているわけで、これが一定の期間、決められたデッドラインまででこの異常事態を早く克服しようという迫力のもとにあるのであれば私はそれで結構だと思うけれども、そうじゃなくて、また延ばして、これが常態になりますよ。もっと過剰行政になる、もっと過保護行政になる。その先に本当に日本の金融正常化があるのかというのが実は私は大変心配なところでありまして、田中先生、先ほど今後の日本の経済社会の展望というものをどう置いて今やっているんだというところが明らかでないという御議論をされていました。私も大賛成なものですから、その点についてお伺いしたいと思います。
○参考人(田中直毅君) 全体の仕組みでいえば、個々の企業や預金者の誘因といいますか、彼らを動かしているものと整合的な形でシステムは先生言われるように設計されていないと思います。 それで、大蔵省の財政・金融分離という流れになりましたので、現在の御当局は大蔵省ではないんですが、あれもし従来どおり大蔵省がやっていれば大変な批判の渦に巻き込まれていたと私は思います。 確かに貸し渋りという事態に相当することはありましたけれども、公的資金を注入して銀行に対して改善計画を提出させるということは、手段についていえば経営者の力量を判断するわけですから、公的資金が入ったということは実質上国民がより強く銀行経営に対して監視の目を持つということですから、そのもとで経営者が十分な力量を発揮できないようだったら、その任にあらずという形でそれは解任も含めてあるというのが本来だと思います。 ところが、その一方で、向こう岸までちゃんと泳げと言いながら手足を縛っておくというのが特定の分野に対しての融資をふやせという議論でありまして、これは現実に非常にゆがみを持ち始めています。ジャンルといいますか、分類上中小企業という分類に入ればもうじゃぶじゃぶでも貸さざるを得ないし、それなりの経営能力があるところにはとにかくもうじゃぶじゃぶづけにでも借りてくださいということが現実に起きているというふうに言われておりまして、既にゆがみを伴っております。 そういう意味では、現在の金融システム改革の流れの中で、誘因を中心としてそれと整合的なシステムは依然としてできていない。これは別の形のゆがみをきっともたらすだろうと思います。そのことについてぜひ国会内においても今後この法の改廃を含めて議論をぜひやっていただきたいと思います。 ペイオフ解禁がなぜ延期されたのかについて、恐らく私は経済実態との関係はやっぱりあるのかなというふうに思っています。ただ単に金融機関の問題ではない。 例えば、日本列島のいろんなところにありますが、名門の温泉町があるとします。そこは主要な旅館が軒並み赤字ということが間々あります。現在、日本では事業会社が二百五十万社ございますが、その三分の二が赤字でございますので、現在の金融システムといいますか金融監督庁がやっておられる貸し出し査定からいきますと、赤字法人に対する融資についてはちゃんとした引き当てを積みなさいということになりますので、それはその分だけ自己資本が毀損することになります。したがいまして、事業会社、赤字法人に対する銀行の融資は当然のことながら抑制せざるを得ませんし、貸したものはできればもう回収したいというごく当たり前の行動になるわけです。 したがいまして、事業会社も含めて本格的なリストラクチャリングにならないとこの問題は解消しない。逆に言いますと、金融機関はなぜ事業会社が赤字を解消するような形でいろんな知恵を出すときにもう一つ余分の知恵を出して、さらに知恵を出してその事業会社の改善に当たれないか。温泉町でいえば、そのうちの温泉町の旅館の幾つかは結果として市場から退出せざるを得ないんだと思います。しかし、残るところもあるわけですから、残るところに対してどういう形でリストラクチャリングをするのか、そういうところまで全部いかないとこの問題は解消しない。 それが嫌だから、あるいはそれを避けたいのでとりあえずペイオフ解禁延期という形で、できれば今までどおりのつき合いをしてくれよという悲鳴が上がったのではないか。事業会社からの悲鳴がこのペイオフ解禁延期につながっている可能性は私はあるというふうに思いますので、一体日本全国で事業会社がどういう局面に置かれてどういうリストラクチャリングが必要なのかも含めて議論をしないとこの問題が解けないところへ来ているのかもしれないというふうに思っております。
○浜田卓二郎君 ありがとうございます。 最後に神田参考人に一言だけお伺いいたしますが、いつ平常状態に戻れるかということなんですが、二つあると思うんですね。つまり、ペイオフ凍結をやめる、そしてそういう意味の異常事態は平常になる、なくなると。もう一つは、日本のバンキングがちゃんとした機能を果たすようになるという、そういう意味の本当の正常化というか平常化、これは私は非常にまだ悲観的なんですよね。 やっぱり今の金融機関は、今締めつけがいろいろありますから余計そうなのかもしれませんけれども、リスクテイクに非常に臆病になっていますね。それから、依然として、土地神話はなくなったとしても、土地担保、物的担保、担保至上主義というのはまだなくなっていませんし、本当に必要なところに必要な資金が本当に行っているかというのは、私はかなり問題がある。 特に今我が国は産業構造の変化を効果的に推し進めなきゃいけないときですから、そのときに日本の金融というのが本当に機能しているかどうかというのが極めて大事だと思うわけですが、長銀を外資に売ったというのは私はいいことだと思っているんです。むしろ積極的な外資の商法というのを日本のマーケットに私は入れていって、そしてそういう意味の本当の競争といいますか、それが行われるようになる、必要なバンキングが復活をするというふうに早くならないかな。ちょっと私はまだ悲観的でありますけれども、神田参考人の金融問題を長くやっていらっしゃるお立場から一言御感想を聞かせてください。
○参考人(神田秀樹君) 私も御指摘のことに全く賛成というか同じ感想を持っております。 御指摘のとおり、セーフティーネットの法律制度については平成十五年四月に平常時になるというのがこの法案の考え方でございます。 後者の方ですね。実際はどうなのかということにつきましては、別途よくビッグバンなどと呼ばれておりますけれども、法律制度面ではとにかく自由に競争あるいは強力な規制緩和ということをしましょう、しかし他方利用者とか投資家の方はきちんとしましょう。それはいわば従来の言葉、キャッチフレーズ的に申しますと、事前にこれはだめ、これはだめと言うことはやめましょう、事前は何でもありです。しかし、いわば事後的にきちんと利用者とか投資者の保護はしましょうという形での法律制度の整備を、二年前にもしましたし、この国会にも実は出しておりまして、参議院では別の委員会ですけれども、財政・金融委員会の方で審議の結果、この間、参議院は何というんでしょうか承認いただいて衆議院に送付されているわけです。 したがいまして、法律面からいうと後者の点についてももう最大限の努力をしておりますし、私はそれはかなり法律制度の面では実現していると思います。 そうしますと、残る面は、いわば舞台は整った、そこで本当に日本の金融機関が競争力を発揮できるかということになると思うんですけれども、もうこれは平成十五年四月を待つのではなくて、もうすぐにでも私としてはなってほしいというふうに祈念しています。
○浜田卓二郎君 終わります。ありがとうございました。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。 最初に森田参考人にお伺いをします。 参考人の先ほどのお話を聞いていて私感じたんですけれども、まるで何か大地震の被害者らが救済は当然であるかというような口ぶりに私、聞こえたんですね。果たしてそうだろうかと。しきりに逆ざやの問題を言われましたけれども、あなた方は二十年、三十年という長い期間でリスクを引き受けることを業とする会社であります。マーケットの動向で収益が落ちたから公的資金で救ってくれと、こういうことでは何のための保険会社かということになりはしないだろうか。過去の常識の通用しないマーケットに投げ込まれたと言われましたけれども、そういうマーケットをつくった責任の一端はあなた方にもあるはずだし、投げ込まれた後の対処にもやはり責任はあるんじゃないだろうか。 先ほど、信頼回復の第一はという質問がありまして、公的資金の投入だと言われました。これは一体自己責任をどう考えているのかなというふうに思ったんですが、その点をお聞きしたいと思います。
○参考人(森田富治郎君) まず、公的資金を私どもにちょうだいしたいと申し上げているわけではありません。契約者保護のためにこれまで業界は最大限の負担をして、契約者保護を貫徹しようとしてやってまいりましたが、もうこれ以上負担をしますと今度は健全な生保が大変傷ついていく。これは一つ物理的な問題であります。 それから思想的に、基本的に自由競争をやっておるわけですから、その中で破綻した生保の契約者にかかわる責任は残った生保がすべて見るのだと、この論理にはおのずと限界がある。ですから、我々は物理的に耐えられる限りそこは責任としてやりますが、その耐えられる限界を超える場合には私どもは責任を負いかねると。 その場合になれば、破綻生保の契約者は保護しなくていいかと、こういう問題が残ってしまうわけでありまして、そこの緊急措置として私どもは公的な支援を仰ぐ、こういうことであります。私どもは決して責任を放棄したつもりはありません。
○小池晃君 責任を放棄したわけではないとおっしゃいますけれども、要するに果たせる責任の範囲でしか果たさないということにしか私には聞こえない。そういうことで、やはり税金投入をするという仕組み、ますますきょうのお話を伺って私は疑念が深まったというふうに申し上げたいと思います。 その上で田中参考人と米田参考人にお伺いしたいんですが、この間の九七年来のいわゆる金融危機の処理の仕方についてどう見ておられるかということをお聞きしたいと思うんです。 多額の公的資金が投入されたわけです。全体で二十兆円を超える資金がつぎ込まれて、もはや九兆円以上が国庫に返ってこないということが判明しております。長銀、日債銀は約七兆円、これからさらに膨らむと言われている。そして、売却に当たっては八千億円と言われる特約、持参金までつけるということまであるわけです。 この間のこうした金融再生法、金融早期健全化法に基づく一連の処理のやり方についてどのように考えておられるのか、両参考人にお伺いをしたいと思います。
○参考人(田中直毅君) システミックリスクに襲われた日本経済にとって、方法は二つだったと思います。 一つは、事業経営者が自己保全のために流動性を積み上げざるを得ないという状況に陥りましたので、異常に流動性が欠乏する経済になりました。常日ごろならば十分な準備を持つ程度でいいのが、突然売掛金の回収もできなくなるかもしれないという状況になりますと、手元に流動性を潤沢に積み上げませんと自分を保護することになりません。このために、流動性積み上げのために彼らがやった手法は、新規の投資は全部やめることだと。在庫投資も極力控え、倉庫にある在庫を使うということになりましたので、設備投資はとまり、在庫投資の補てんも必要最小限になりました。これは、他の企業にとりますと受注が一挙に減るということになりまして、経済が一挙に収縮しました。 したがいまして、これが発生しましたのが九七年の十一月以降でございますので、これに対しては流動性を潤沢に提供して、事業経営者に対して、もはやあなた方は流動性不足を心配する必要はありませんという形で流動性の潤沢な供給に踏み切るという決意が必要であったと思います。 もう一つは、そもそもの議論になりますが、不良債権処理を長年放置してきたわけであります、個々の金融機関が。この問題のゆえに、自己資本が相当毀損しているという見方が経済主体の間に一挙に広がりましたので、それを回避するためには一たん公的資金を銀行に注入して彼らの経営がどこかで寸断されることはないということを見せる必要がある。もちろん、これは与えっきりの金ではありません。経済が正常に戻ったときには国庫に返却してもらうという前提でございますが、この金を注入して異常な不安を避けるという、この二つの手段が必要だったと思います。 前者の潤沢に流動性を供給するということについては、私は当時の日本政府の状況認識は大変甘かったと。従来どおりの公共事業を積み上げるということでしかなかったものですから、九八年、システミックリスクのゆえに経済が異常収縮になりました。 当時、橋本内閣が参議院で敗北されたのは、当時の政府が状況に対してちゃんとした処方せんをとられなかったことについての有権者の批判であったというふうに歴史的には解釈する以外にないというふうに私は思っています。そういう意味では、当時の政府部門の方々も、この点については恐らく悔いを持ってごらんになっているのではないかというふうに思います。 もう一つの公的資本の注入に関してでございますが、これは住専処理が結局預金者保護ということを確認することになりませんでした。金融機関保護だったんですね。系統金融を中心とした金融機関の貸し金が戻ってくるために六千八百五十億というものが使われたということがありまして、このために、預金者保護のためのあるいは金融システム保護のためにお金を投入するという大義名分がそれ以後通らなくなりました。銀行を救済するために金を使っているのではないか、こういう批判が出たときに恐らく当局者はそれを説明し切るだけの自信がなかったんだろうと思います。 このため、公的資金の銀行への注入がおくれにおくれるということになりまして、長銀の実質上の破綻を経てやっと、先ほど神田さんが言われました九八年十月というのは、まさにおくれにおくれた結果成立した法案が金融再生法と健全化法だったというふうに思っております。
○参考人(米田貢君) まず、いわゆる金融システム不安というのはどんなふうな形で起きたのかについて私の認識を示しておきたいと思います。 九〇年代全体通して金融不安と言われますけれども、金融システム不安というのが本格的に表面化したのは私は九七年の十一月に集中的だろうと思っています。その時点では、山一証券とか北海道拓殖銀行というこれまで絶対つぶれないと思われていたところが一気にあらしの中に投げ込まれるというふうなことになりましたけれども、少なくともあの時点で日本銀行が潤沢な資金を供給する、要するに一時的に流動性を大量供給することによって市場を鎮静化させました。 問題は、その局面で果たしてそれ以外に債務超過に陥る可能性が極めて高いあるいは実際上債務超過に陥っていた金融機関はなかったのかどうかなんです。私は、少なくともその後の経過を見る限りは、日長銀、日債銀等についてはかなり危険があった、あるいはひょっとするとある程度の債務超過の状態に陥っていたのではないかなというふうに考えております。 ただし、その点については政策当局はつまびらかにはしなかった。というか、むしろ実際上さまざまな形での債務超過の表面化を糊塗する会計政策を黙認していた、容認していたのではないかなというふうに思っております。 具体的には、例えば系列ノンバンクに対する貸し付けはほとんど当時は不良債権とはみなされていなかった。なぜかといったら、母体行が少なくとも追い貸しを認めているわけです。だから、その限りにおいては表面的には利息は払っているよという形にしようと思えばできたわけです。ただし、この事態を長く放置しておくことがどれだけ不良債権を累積させたかという事柄について、ほとんどその時点で母体行については余り危機意識がなかったように思います。 こういうふうな問題を放置していたことが、結果的に、今、先生の方からお話があった例えば長銀、日債銀へとんでもない金額が投げ込まれざるを得なくなった。 そういう意味で、今回預金保険法の改正にかかわって果断に破綻処理していただきたいというふうに言いましたのは、やはり九七年十一月の状況、さらにそれが九八年、九九年の日長銀、日債銀のああいうふうな形の悲惨な国有化に行かざるを得なかった経緯からの最大の教訓であるというふうに思います。 それともう一つ、公的資金投入とのかかわりで言いますと、私は、原因はどうであれ、結果的にああいうふうな形になったら何らかの形での特別公的管理は不可避だと思います。そして、それには一定のお金も要るのかもしれないです。ただし、私はやっぱり金融機能早期健全化法、これについては必ずしも納得できていません。 というのは、あの時点で一斉注入をやったわけです。大手行すべて一斉注入。ただし、私は東京三菱銀行についてはその点ではかなり高く買いますけれども、一つのプライドか見識かわかりませんけれども、私のところは公的資金は必要ないと言ったわけです。ある特定の銀行以外のすべての大手行が本当にそれだけの資金を必要としたのかどうか。自立自助の体制で乗り切ろうと思ったときに、本当にそれで乗り切れなかったのかどうなのか。その後、東京三菱銀行は十分に国際戦に対応できるような力をつけてきています。だから、そういう点でいくと、ああいうふうな形での一斉の公的資金投入が本当にあの時点で必要不可欠なものだったのかどうかについては私は大きな疑念を持っています。 そういう点では、先ほども冒頭で言いましたけれども、時限立法だった金融機能早期健全化法の内容を実際上預金保険法の中へそのまま持ち込むという事柄については、極めて不安な状況というか、安易な形での公的資金投入につながるのではないかなというふうな懸念を持っております。
○小池晃君 そのシステミックリスクに関して、今度の法案では新たにシステミックリスクに際して、資本増強、それからペイオフコストを超えた資金援助、特別危機管理銀行という仕組みができたわけです。これは神田参考人にお伺いしたいんですが、先ほどシステミックリスクの問題で、使われないでしょうというふうに言われました。これはどうしてか、この根拠をお聞かせ願いたいと思うんです。
○参考人(神田秀樹君) これは先ほどの繰り返しになりますけれども、例えばアメリカでもこういう条項は九一年の法改正で入れておりますけれども、今日まで使われておりません。将来のことは、それは絶対に使われないならそもそも条項は要らないのではないか、そういうロジックにもなり得る話かとは思いますけれども、使われないだろうというふうに申し上げましたのは、使われない可能性が高いだろうということでありまして、絶対に使われないと私は思うという意味ではもちろんございません。 法律の中では非常にたくさんの、そこだけ長くなっているものですから実は目立つんですけれども、これは法技術的に丁寧に書いているからこういうことになっているわけでありまして、これはお守りであるというふうに理解すべきだと思っております。
○小池晃君 使われないでしょうとおっしゃったので、何かその根拠があるのかなと思ってお聞きしたんですが、特にそういう根拠もないわけで、これは使われる可能性も十分あるという仕組みであることは明らかだと思うんですね。 この仕組みについて米田参考人にお伺いしたいと思うのですけれども、これは非常にあいまいな規定がありまして、そもそもその資本増強は金融危機、システミックリスクのおそれで発動できる、その決定は首相以下五人の金融危機対応会議で決められる、国会には事後報告だと。税金投入にも道を開いているわけですね。 まさに、この早期健全化法、金融再生法の永続・恒久化とも言えるような中身じゃないかと思うのですが、こういうやり方は世界で、アメリカというお話もありましたけれども、税金投入まで含む仕組みは例がないんじゃないだろうか。 そのことと、こういうやり方で果たしていいんだろうかと。やはり銀行業界が責任を持ってやるべきだし、流動性の危機であれば日銀特融で対応できるし、こういう公的資金を投入する永続的な仕組みをつくるということに大変問題があるんじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょう。
○参考人(米田貢君) 二つお答えしたいと思います。 一つは、まず後者の方のセーフティーネットにおける中央銀行の最後の貸し手機能の問題ですけれども、何回か述べましたように、今後早期健全化法あるいは早期健全化の体制、あるいはディスクロージャーが徹底されるという中で、金融システム全体として九〇年代に起きたような超過債務の状態というのがかなり深刻に進むというふうなことがなければ、十分に最後の貸し手機能で対応できるというふうに考えております。これは、九七年のあの局面でも一応対応できたわけです。だから、その点では、今後の金融行政がしっかりした健全な経営を銀行業界に指導していけば、それは十分に中央銀行の最後の貸し手機能で対応できるものと考えております。 それと、システミックリスクの問題で例外規定をどう評価するかということになりましたけれども、アメリカでは明らかに例外規定で、これは実際上発動されていません。ただ、アメリカでのこの例外規定というのは、もう大前提としてまずは自助努力でやっちゃうんだと、自助努力でシステム維持は果たすんだと。そのために最低コスト原則まで導入しているわけです。日常的にできるだけ自分たちの負担にならないような処理方法を追求すると。なぜかといえば、最終的に自分たちがその負担をかぶらざるを得ないからなんだというふうな自覚があるわけです。 残念ながら、日本のところでは、そういうふうな自前で、自分たちの保険料でもって預金保険制度を維持するという形の運営はこれまでのところ行われておりません。実際は、むしろ時限立法がどんどん重ねられていって公的資金がどんどん投入されるという体制になりました。だから、そういう点でいくと、日本で言う例外規定とアメリカで言う例外規定というのは実際の重みは全く違うと思います。 私はやっぱり、こういうふうな形で日本でシステミックリスクを例外規定として、しかも政策当局の判断でもって直ちにというか、何らかの当然審議は経るとは思いますけれども、公的資金が投入されるような体制が恒常化されることについてはかなり大きな懸念を持っていると言っておきたいと思います。
○小池晃君 アメリカのシステムを一方で持ち込む、自己資本比率をすべての金融機関に横並びで評価するということにも問題があるんじゃないかというふうに先ほど米田参考人からもお話がありました。これもアメリカのシステムの押しつけという面もあるんじゃないだろうか。ある意味で、そのアメリカのシステムの導入ということで言うと、こういうシステミックリスクへの対応という問題であるとか、あるいは地域経済を抱える協同組織金融機関も大手大銀行も同じように自己資本比率では評価していくようなシステムとか、そういうことばかり持ち込まれてくるわけですけれども、果たしてそれだけでいいのだろうかと。 やはり、アメリカのシステムということで言うと、例えば地域再投資法のように、特に協同組織金融機関が地域経済に果たす役割、これは貢献度を評価していくようなシステムもあるわけで、そういうものも大いに私は学ぶべきじゃないか、あわせて導入されないと、地域における貸し渋り、貸しはがしなんというのはどんどん進むんじゃないかというふうに思うんですが、この点について米田参考人、いかがでしょう。
○参考人(米田貢君) 今お話のあったとおり、アメリカではこの破綻処理ともかかわって、接収した金融機関の資産の処分に際しては、地域の営業体を優先するというふうな措置もとられております。あるいは地域再投資法、今も紹介ありましたような法律もあります。日本では今現在、貸し渋り対策という形で、時限立法も含めていろんな対応がなされていますけれども、基本的にはやはり地元密着型の金融機関あるいは協同組合組織型の金融機関の生き残る道というものはやはり独自な形で考える必要があるとは思います。 特にこの点では、今言われましたように、自己資本比率規制というのが、アメリカでは従来ずっと自己資本ということを重視してやってきましたから、当然ある意味ではそれがすべての金融機関にも当てはまるという側面はあると思いますけれども、日本の場合は必ずしもそういうふうな自己資本を重視するというふうな経営体制をとってきていなかった。そして、少なくとも八〇年代に至るまでというか、バブルであそこまで不動産金融にまみれるまでは、そんなに高い自己資本がなくても十分に対応できたんです、地域金融機関は。 その点からいくと、現在の時点でもなおかつ自己資本比率規制という国際的な基準をそのまま国内行にも横滑りさせていくということについては、何回も言いましておりますように、かなり問題があるというか、もっと具体的な実情に即した形での行政上の管理体制が考えられるべきじゃないかというふうに思っております。 簡単ですが。
○小池晃君 終わります。 ありがとうございました。
○大脇雅子君 田中先生にお伺いしたいんですが、ペイオフの延期について先生は、移行期の改革の逆流であるというふうにも言っておられますし、日本経済の自律的な回復軌道というものの復帰をおくれさせたというようなことを言っておられます。私も、信用組合がノンバンクにかなり不良な貸し付けをしておりまして、その破綻処理に預金保険機構が使われていくことによって国民の負担が過大になるということについて大きな危惧を持っております。 確かに、システミックリスク回避の方途という正義の御旗のようなことを説かれましてやむを得ないんだという風潮がありますけれども、私はやはりこの自由化の中でなぜ日本はこれほどまでに情報開示が不徹底であるのかと。最近の第一火災の例にもありますように、早期是正措置が全く働かないで業務停止になっていくというような日本の状況というのは、どうしてこれほどまでに情報開示がおくれるのか、不徹底なのかという点について。 それからまた、非常に経営責任があいまいですね。何と言われてもなかなか責任がとられていないで免責されていく。そして、何と言われてもリストラクチャリングが不徹底で非常に小さな規模しか行われていない。この移行期における日本のこうした特色というものをどのように受けとめられるのか、そしてこれをどう改革したらいいのかという点についてお尋ねします。
○参考人(田中直毅君) 第二次世界大戦後、我が国は恐らく二つの原理を余り相互に闘わせることなく持ち込んできたんだと思います。一つは、大組織において見られるものですが、企業というのは利害当事者すべてのものだと。経営者も、働いている人もいるし、取引先もあるし、地域住民もある。そういう中の一つに株主もあるのかなと。こういう形で動いてきたのが上場企業を中心とした動きだったと思います。 もう一つ我が国にあったのは、今回協同組織金融機関に特徴的なものでございますが、従来の仕組みでは小口の預金を持っていても融資対象にはならない、それだったら自分たちで小口の預金といいますかお金を集め合って、それで手元不如意な人、住宅を建てる人に貸し出すということがあってもいいではないかと。これが協同組織金融機関の発祥だったと思いますし、そのことは社会的な正義でもあるということだったと思います。 ところが、この二つ柄、上場企業のコーポレートガバナンスというものがこれに対応すべきだというふうに思いますが、一方でこの大企業の問題、上場企業の問題があると同時に、協同組織金融機関の問題も同じようにあらわれてきた。今回の金融不安というのはこの双方から出てきている。おっしゃいました経営責任の問題というのは、上場企業にも言えますし、協同組織金融機関についても言えるわけであります。 すなわち、まず協同組織金融機関の方からいきますと、地域的にあるいは職域で限定されて、統治といいますか、ちゃんとした経営が行われているということは周りを見渡せば大体わかると。外部から大変な監査機関を導入しなくても、きちっとした経営が行われている。貸し金は皆の住宅資金であり、例えば規模の小さい企業の投資資金だということならば、そんなに片っ端から不良債権が出るということはあり得ないわけです。 現実に不良債権が生まれているというのは何かというと、もう見ず転で実質上ノンバンクに貸しているからなんです。ということは、協同組織金融機関が当初前提としていたものとは全く違う行動を行っていて、そのことに対して都府県のチェックも入らなかった。このことが今日信用組合を、今回、ペイオフの解禁で信用組合に問題があるというのは、まさにそれが放置されたからなんです。 大組織についていいますと、これは一言で言って株主の監視機能が極めて入りにくい仕組みになっている。株式持ち合いというのも多分あったでしょう。そのほかにも、株主権に基づく企業経営者に対する目配りと監視というものがききにくい仕組みが長年放置されたことが今日の不良債権問題につながっている。もっと早くなぜチェックがきかなかったのかということになると、これのきかせ方としては株主権に基づくものしかないのではないか。 金融機関も同様でございまして、自己資本規律に基づいてなぜ監視をするのか。それは、株主権に基づいて企業経営者をチェックするのが一番いいと。自己資本比率が低い金融機関というのは、負債でもって資産を買っている、負債を積み上げて資産を積み上げているという形でございますから、もし金融機関にとっての負債の部分が救済されるということならば、資産に対する目配りというものが落ちるわけでございまして、いろんな経験上、自己資本規律は自己資本でもって金融機関を規律するのが望ましいという経験値に属しているわけで、これはイデオロギーというよりは経験値に基づくものです。 そうでないやり方があるだろうという説もあるようですが、それをやるということは膨大な行政コストを前提にするということであります。低い自己資本比率でも経営してもいいということになりますと、一挙手一投足に至るまで監視機関は挙げてチェックしろということになりますから、そんな膨大な行政コストを納税者がとても許すとは思えませんので、自己資本規律を行うというのは、まさにそれぞれの市民社会の厚みに応じて、株主には株主の果たすべき役割がある、それを通じて整合的な規制システムをとろうということの合意ができつつあるんだと私には思えます。
○大脇雅子君 ありがとうございました。 米田先生にお尋ねをしたいのですが、少額預金者のための保護機構として小さな預金保険機構ということを繰り返して言われておりますが、日本の今の預金保険制度で最も根幹的に直すべき点というのはどこだというふうに御指摘されるでしょうか。
○参考人(米田貢君) 今回の預金保険法の改正のところで参議院の事務局の方でも資料をつくってくださっていましたけれども、その中を見ていても、日本で預金者の九九%ぐらいはもうほとんど付保預金の限度額の枠内でおさまっています。だから、そういう点でいくと、少なくとも金融不安というものが起きたとしても、あるいはさらには具体的な個別の金融機関の破綻が起きたとしても、少なくとも現行の預金保険制度を前提とする限りは一般の零細預金者の懐というのはそれ自体はそんなに痛まないわけです。利便性の問題は当然ありますよ。ただし、最終的に一千万円まで保護されている限りは、少なくとも一般の我々庶民の銀行に対する不安というか銀行預金に対する不安は変わらないわけです。だから、その点をやっぱり徹底させる。 だから、その点でいくと、先ほども言いましたけれども、破綻の処理方法においてペイオフの解禁というのは象徴的な問題です。ペイオフを解禁したからといってペイオフを直ちに実施するわけじゃない、ただしペイオフをやる場合もあるということは、要するに、どんな最悪の場合だって零細預金は保護される、要するに私たち国民は自分たちの預金は保護されているんだということを具体的に知ることになろうかと思います。 だから、そういう点では、私としては、やはり正常な預金保険制度の運営の中ではペイオフの実施というのは不可避的な選択肢として選ばれるべきだろうと思っていますし、それと今回の預金保険法の改正の中で付保預金のPアンドAというのが具体的に提起されています。僕はこれ自体は物すごい画期的な破綻処理方法だと思っています。要するに、金融機関の利便性はそのまま地域で維持されますし、地域経済にとっても金融機関が直接破綻して全部清算されるという形じゃないですから、その限りにおいては地域住民にとってあるいは地域経済にとって従来の金融システムの役割というのはそのまま維持されると。 だから、そういう意味では、零細預金者を保護しながら、なおかつ地域経済への影響も最小限に抑える方法だというふうに考えますから、そういうふうな方法が具体的に実施されていくことが大事だろうというふうに考えております。
○大脇雅子君 ありがとうございました。 最後に一点……
○委員長(真鍋賢二君) 時間です。
○大脇雅子君 そうですね。 一点ちょっと。保険事故が多様化して生保中心から総合保障化への傾向がある中で、犯罪に悪用される生命保険という点で、私は被保険者への通知サービスということを業界として考えていただきたいということを切望いたしまして、時間ですので質問を終わります。
○田名部匡省君 参議院クラブの田名部でございます。 きょうは大変御苦労さまでした。 私はこれ、預金者保護だ預金者保護だと言うので、そうだろうなと、こう思っておったんですが、何か金融機関の保護のようにだんだん思えてきましてね。まあ金融機関がおかしくなれば預金者もおかしくなるのはこれ当然でありますけれども。ただ、社会というのは、借りたものは皆返すという、そういうルールで生きてきているんですね。あの歌手の千昌夫君なんか、もう頭を坊主にして、また出直しだと、こう言って頑張っているんです。 特に、公平公正という立場から考えてみると、郵便局だけを利用している人もおる、あるいは銀行を利用している人、あるいはしていない人、あるいは少額である人、それはいろんな人がおるんですね。しかし、そういう人たちもすべてが税金を納めているんです。考えてみると、保護される人がおって、保護されない人もいるんですね。しかし、税の負担で公的資金を導入すると、利用していない人、いわゆる保護を受けない人たちまでが負担に回る、それは将来子供たちに負担させるということになると、本当に公平で公正なのかなという気がするんです。 しかも、護送船団はもうだめだ、変えようと、あるいは規制緩和、行財政改革、政治改革、あらゆる改革は国民皆挙げてやろう、やろうと、こう言ってきたが、だんだんどこへ行ったのか、これわからなくなりましてね。さっきも金融再生委員長に申し上げたんですが、結局は規制緩和に反対する議員連盟なんかができて、一生懸命今度は中小企業を守ろうと。わからぬでもないけれども、そんなことを見ておると、どうもこの公平公正という観点から見ると私はおかしいと。借りたものは将来どんなになっても、百年たとうが返すと、こういうので公的資金を導入するというのならまあわかりますけれども。 私の考えが間違っているかどうか、どうぞ田中参考人、そして米田参考人に意見だけを伺いたいと思います。
○参考人(田中直毅君) 守っているのは金融機関ではないかという田名部先生の御指摘ですが、私はそうは思いません。 最大に守るものは金融システムである、そして一千万円までの預金者は、別にその銀行や金融機関の信用度を考えなくても、隣にあるところに預けて結構です、それは全額保護いたしますということですから、普通の預金者は別に金融機関が出す財務諸表を分析する必要はない。そういう形で守ることを通じて、では何を守っているのかというと、金融システムである。 もし、金融システムが破綻いたしますと、九七年から九八年にかけての十二カ月間、まさにあらしのようになりまして、生産規模が一挙に縮むという状況を引き起こしたわけですから、それを引き起こさないということでありまして、個々の金融機関に対しては金融機関の株主に対しても経営者に対しても極めて厳しい規律がこの間課されているということであって、彼らを救うために、金融機関の株を持っている人を救うために、あるいは金融機関の経営者を救うためにこれが使われているというのは私は正確な表現ではない、我々が守っているのは金融システムだということだというふうに思います。 ですから、その手段として一千万円までの預金者のお金を全額保護することは続けましょう、このことは今回の法改正あるなしにかかわらず続けようという合意があるわけですから、それを通じて救われるものが金融システムだというところに何とか着地できればというのが今回の趣旨だというふうに理解しております。
○参考人(米田貢君) 金融機関といいますけれども、売っているのは何かというと信用を売っているわけです。特に銀行の場合は、預金取り扱い金融機関としての銀行というのは、まさしく信用を売って成り立っている商売です。といいますのは、今日本では現ナマが毎年四、五十兆円出ています。ただし、当座性の預金というか要求払い預金というのは百兆円あります。定期性預金は六百兆円とかとあります。だから、信用不安が起きればあっという間に現金不足になります。だから、本当に正常な信用システムが維持されて初めて成り立っているのが銀行業界なんです。しかも、それは決済システムがさまざまな形で集約されて初めて成り立っています。だから、ある金融機関が倒れるということはやはり業界全体の信用にかかわるんです。 だから、そういう意味ではこの預金保険制度というのは、個々の金融機関の問題じゃないよ、これがどこかが破綻すればそれは自分たちの信用全体に、自分たちの商売で売っている信用そのものが揺らぐ可能性があるんだよということからつくられておるのが預金保険制度です。だから、私としては銀行が信用を売る業界である限りはまさしく少なくともその点について自己責任を負うべきだというふうに思います。 だから、その点で先生おっしゃられたように、これまで巨額の公的資金が投入されていますけれども、何年かかろうとも基本的にやっぱり銀行業界が本来的に負担すべきものだろうというふうに思っております。
○田名部匡省君 森田参考人にお伺いしますが、私が小学校に入ったころでしょうか、私の父親が徴兵保険というのを私に掛けていてくれたそうです。ちょうど大学に入ったら満期になりまして、そのときはもう本当に何百円か。掛けたときは相当苦労して掛けてくれたんだろうと思うんですね。あれ以来、私は保険というのは長いのはあかんなという気持ちを持っていましてね。 しかし、ちょうど安倍晋太郎さんが政調会長か幹事長でしたか、私と前の自治大臣の吹田さんと山岡賢次君と控除額五千円を五万円にしろと言って、それで安倍さんのうちまで行って党を挙げて大変なことになったことがあるんです。 そんなことで、何というんですか、いろんなトラブルを私のところに言ってくるんですね。それは一つは、余りにもこまい字でいろいろ契約条項というんですかが書いてあって、あれを見て契約している人はもうほとんど皆無なんです。それで、一つの例ですけれども、入ったら一年たたずに亡くなって、一年生きてくれれば何とかなったのにと言われて、何で一年たたなきゃ保険もらえないのかという話とか、いろいろ聞かされます。自賠責の問題も、この間テレビを見ておったら、犬をひいたらいかぬと思って避けたらそっちへ行ってぶつかって、それには保険が出ないと。 ああいういろんなのを見ておると、加入者よりも何か別のことの方が少し優先しているんじゃないのかなという気がしまして、どうぞやっぱり情報公開とか、特に熱心な人は本当に感心するほど、私もつき合っている人はいっぱいいますから、わかるように説明してくれるんですよ。ところが、入れたいだけの勧誘だけやられると、後からいろいろ問題が起きてくる。さっきも申し上げたんですけれども、一億とか三億の保険に入っている入っているといって私のところに威張ってきて、そうしたら六十歳になったら、今まで生きたら、いやいや六十過ぎると三億出ないですよという話をされて、そんなばかなと。まあ一般の人というのはそんな程度なんですね。 ですから、よほどやっぱり仕事としては私は重大なことをやっておるし、これからいろいろ高齢化、少子化、そういう時代に、厚生省では八千万人に減るというのまで出している中で、一体どういうふうにこれからやられるのか、最後にお伺いして、終わりたいと思います。
○参考人(森田富治郎君) 個別の事例でいろんな御不満とか苦情といったようなものが、何せ民間保険だけで一億二千万件あるものですから、いろんなところで発生するというのがありまして、これについてはそういうことはやっぱり基本的になくしていかなきゃいけないということで頑張っています。 やはりマクロ的に言うと、先ほど生命保険業界がちょっと契約が調子悪いというふうなお話を申し上げましたけれども、結局、世の中が大層変わりまして、つまり経済成長が順調にいっているときから成長がとまっちゃっているところへの切りかえの中で、お客様のいろんなニーズというものを生命保険業界がきちっと受けとめ切れたかということについてやっぱり大きく反省しなきゃいけないと思っております。 そういう中で、やはり大層競争も厳しゅうございますから、結局生き残れる会社というのはお客様の気持ちをどれだけしっかり受けとめることができるか、多分そこがお客様の選択のポイントになってしまうんだろうと思っていまして、それは業界は今一生懸命その認識のもとで新しい使命といいますか、これに向かって進もうと、そういうことでやっております。
○田名部匡省君 ありがとうございました。
○西川きよし君 どうぞよろしくお願い申し上げます。 本日は御苦労さまでございます。 まず、短い時間ですので、田中参考人の方からお伺いをいたします。 金融機関の破綻処理の資金援助額ですが十三兆円ということでございますけれども、これは預金保険機構の運営委員会で決定されるわけですけれども、これだけの十三兆円という高額なお金でございますので、もう少し透明度というんでしょうか、この決定内容をもう少し我々は知りたいなと、こういうふうに思うわけです。その後、決定いたしまして理事長談話がインターネットで公表されるわけですけれども、国民にとりましてはもう少し透明度を求めてもいいのではないかなと。そこで決定している運営委員会の議事録を公表していただくとか、透明度の高いものに。 ただ、信用秩序の維持への影響なども考えまして、いろいろと自分自身も悩むところでありますけれども、この点について田中参考人にまずお伺いしたいと思います。
○参考人(田中直毅君) 情報公開については、しばらく時間がたったら完全に公開されるということがあれば、そのときの当局者、その責任者は決してゆるがせにはできないと思いますので、これは信用秩序にかかわるテーマでございますので、すぐその場で全文公開がふさわしいかどうかというのは判断が分かれると思いますが、しかし、歴史の単位で見れば必ずすべて公開されるという前提があれば、当事者もまた真剣にこの基準をつくったり、あるいはその適用を行ったりすると思いますので、そういう形で議論が着地できればというふうに思っておるんですが。
○西川きよし君 ありがとうございました。 次に、森田会長にお伺いをいたします。 午前の委員会でも引用させていただいたんですけれども、衆議院のときの部分でございますけれども、たび重なる保険金詐欺。そこでお伺いしたいのは一定基準額ですけれども、このたびも五千五百万円から三千万円に引き下げという報道も目にいたしました。 しかし、一方で、この基準額の引き下げが行われても、保険契約をそれ以下の金額にして分散すればよいだけではないか、保険金犯罪は防げないのではないか、むしろすべての契約を登録対象にすべきではないかという意見もございます。 商法の一部を改正、そしてまた告知義務化、そういう試案、そして新たな法整備、そういったものも考えまして総合してお答えをいただければと思います。
○参考人(森田富治郎君) まず、全件登録すればというお話でございますが、今回実は、今金額のお話ありましたけれども、これは協会としては一切公表しておりませんで、マスコミが書いているということで御理解いただきたいと思うんですが。一言で言いますと、いわゆる通常の常識的な金額、そこまでバーを下げたというふうに考えておりまして、それでもやろうと思えばやれるんじゃないかという話につきましては、今度は逆に全件登録しても、要するにこういう犯罪をたくらむというのは何とかルールの裏を探ってそこをついてくるというものでありますから、単純にそれだけで済むということにはならないと思います。やはり各社のチェック体制の強化とか、そういうものを含めて総合的に対策を立てて防止を図るということだと思います。 といいますのは、和歌山の件にしましても埼玉の件にしましても、実は我々はこんなことがあったかというのを、こういう人間がいるんだということを実はそこで初めて認識させられるということがいろいろありまして、ならばこちらはそういう人が世の中にはいるものだという前提で今度は我々は対策を立てる、そういうことで総合的に防止を図っていきたいと、こういうふうに考えております。
○西川きよし君 ありがとうございました。
○委員長(真鍋賢二君) 以上で参考人の方々に対する質疑は終了いたしました。 参考人の方々に一言お礼のごあいさつを申し上げます。 参考人の方々には、長時間にわたり御出席を願い、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後五時三分散会