労働委員会 第9号
- 発言数
- 155 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2000/04/21
会議録
○赤松委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、港湾労働法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として運輸省海上交通局長高橋朋敬君及び労働省職業安定局長渡邊信君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○赤松委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小林多門君。
○小林(多)委員 私は、自由民主党の小林多門でございます。 ただいま上程されております港湾労働法の一部を改正する法律案について質問をいたしたいと思います。 牧野労働大臣並びに長勢労働政務次官におきましては、就任以来、寝食を忘れて我が国の経済の発展あるいは労働行政の発展のために大変な御努力をいただいておりますことを、まずもって心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。 私は自由民主党の所属議員でありますから、質問をすることはいかがかな、このように思っておりましたけれども、政権政党の議員であるからこそ、私どもは今回の法律について、やはりただすべきはただし、改めていただかなければならない点については率直にお尋ねをして、この改正法案がさすが牧野労働大臣並びに長勢政務次官の提案した法律であるな、このような思いから率直に質問をさせていただきたいと思います。 御案内のとおり、我が国は四方を海に囲まれておりまして、港湾事業また港湾労働者の戦後、今日までの繁栄、発展に尽くされた貢献度というものは私どもは高く高く評価をしなければいけない、このように思っているところであります。 そこで今般、事業の効率化、サービスの向上を図るために、港湾運送事業法の一部を改正する法律案、加えて、港湾労働法の一部を改正する法律案を提出されたわけでありますが、私は、港湾で働く労働者の雇用安定が阻害されることがあってはならない、このように思うわけであります。 そこで、今般の改正案において、港湾労働者の雇用の安定を図るためにどのような施策が盛り込まれているのか、この機会に長勢政務次官にお尋ねをいたします。
○長勢政務次官 港湾労働を取り巻く環境は大きく変化をしてきておるわけでございまして、港湾運送事業の一層の効率化が今進められている中で、またそのサービスの多様化が求められておる中で、港湾労働者の雇用の安定というものが大きな懸案でございます。港湾労働者の雇用の安定ということと港湾運送事業における効率的な経営、就労体制の確立ということが喫緊の課題でございますので、今回の法改正もこの変化に対応するためのものでございます。 具体的には、港湾運送事業主間で港湾労働者を相互に活用することを可能とする、いわゆる港湾労働者派遣制度を今回の改正によって導入いたしまして、港湾運送事業主が企業外の労働力を活用する場合には、当該港湾労働者派遣制度の優先的な利用を義務づけるということにいたしております。 これによりまして、作業量が少なくて労働者に余剰のある時期、こういう時期には常用労働者を他の港湾運送事業主に派遣することができることになりますので、これによって常用労働者の遊休率を下げることが可能となって、そういうことによって常用労働者の雇用の安定と港湾運送事業における効率的な経営、就労体制の確立の両立を図っていくことができる、こういうふうに考えておりまして、このための改正を今御提案申し上げたところでございます。
○小林(多)委員 港湾労働者派遣制度を導入するとともに、企業外労働力を活用する場合には、当該制度の優先的な利用を義務づけるということでありましたが、問題は、この制度の優先的な利用を義務づけることがどれだけ実効性が担保されるかということであろうかと思います。 昨今、現実の問題として、港湾労働者雇用安定センターの労働者派遣制度に日雇い労働者が活用されている事実があります。そこで、まずセンター労働者と日雇い労働者のそれぞれの活用状況についてお尋ねをいたします。
○渡邊政府参考人 港湾労働法が適用されております六大港におきましては、現在、作業量の約九八・五%が常用労働者によって作業が行われておりまして、残りの約一・五%程度におきましてセンター労働者と日雇い労働者が使用されております。 その内訳ですけれども、この制度が発足をいたしました平成元年度におきましては、センター労働者は一日平均約百五十六人使用されており、日雇い労働者は一日平均約三百三十七人でありましたが、平成十年度におきましては、センター労働者が一日平均約五十七人、それから日雇い労働者が一日平均約二百十九人使用されている、こういった現状でございます。
○小林(多)委員 ただいま六大港について御答弁をいただいたわけでありますが、センター労働者に比べると多くの日雇い労働者が活用されているのが事実のようであります。 そこで、お尋ねをいたしますが、企業外労働者を活用する場合には港湾労働雇用センターの優先的な活用が義務づけられているにもかかわらず、多くの日雇い労働者が就労している事実について、どのようにお考えになっているのか、総括政務次官にお尋ねをいたします。
○長勢政務次官 安定局長から御説明いたしましたように、日雇い労働者が多く使われているという状況でございます。こういう状況が生じておるのは、センターを通じた派遣事業の利用を促進するために助成を講ずる等々の措置も講じてきたわけでございますけれども、どうしてもセンターに企業の求める技能に達するような労働者が少ないというようなことなど、派遣の条件が事業主とマッチングをしないということに最大の原因がある、このように思っております。
○小林(多)委員 そこで、大臣にお尋ねをいたします。 先ほども触れましたが、現時点においても日雇い労働者を違法に使用していると指摘がありますし、港湾運送事業の規制改革が実施された場合は、港湾運送事業者間の競争が激化した場合、安価な日雇い労働者を違法に雇用する事業主がふえることが懸念をされます。そこで、日雇い労働者の違法雇用に対してどのように対処していくおつもりなのか、この機会にお尋ねをしておきたいと思います。
○牧野国務大臣 港湾運送の業務につきましては、各企業が雇用する常用労働者により処理される、これを原則といたしております。企業外労働者を活用する場合には、現行法であれば港湾労働者雇用安定センターが行う労働者派遣制度を、改正法であれば港湾労働者派遣制度により他社の常用の港湾労働者を優先的に活用する、これを義務づけているわけであります。したがいまして、お尋ねの日雇い労働者の活用については例外的なもの、このように考えているわけであります。 このような港湾における雇用秩序を維持していくことは、港湾労働者の雇用の安定及び福祉の増進の観点から極めて重要なことであると考えておりまして、従来より、公共職業安定所による現場パトロールの実施や個別の事業所に対する訪問指導等を通じまして、秩序の確保に努めてまいったところであります。しかしながら、日雇い労働者が常用労働者に偽装して港湾運送の業務に従事している、このような御指摘があるのも現実の姿でございます。港湾運送事業の規制改革の実施による競争の激化に伴い、この港湾の雇用秩序が混乱することも懸念される、こういうことも事実でございます。 このため、今回の改正法におきましては、港湾労働法に違反する事実にかかわる港湾労働者からの公共職業安定所長に対する申告制度をつくりまして、積極的に関係者からの指摘を求めるということ、公共職業安定所長が港湾運送事業主に対して報告徴収及び立入検査を実施することができる旨の規定も盛り込んだところでございます。これらの制度を活用することにより、港湾における雇用秩序の維持に努めてまいりたい、このように考えております。
○小林(多)委員 ありがとうございました。改正法に、港湾労働者からの申告制度の導入や公共職業安定所の立入検査権限を明確にしたとのことですが、これらの制度が絵にかいたもちに終わらないようにぜひしていただきたいな、このように思います。今般の改正法の趣旨、理念を実現し、港湾で働く労働者の雇用安定と福祉の向上が図られますように全力で取り組んでいただきたいものだな、このように思うわけであります。 冒頭お願いをいたしましたけれども、港湾労働者が今回の改正法によって、さすが政府あるいは与党が出した法律だなと心から感謝をできるような法律案の作成に最後までの御努力をしていただきたい、このように思っているわけでありますが、牧野大臣の決意のほどをお聞かせいただいて、質問を終わります。
○牧野国務大臣 我が国の貿易量の九九・八%は、物の移動でありますから、必ず港を経由して行われるわけでありまして、しかも非常に大型化しておりますし、荷役作業の合理化進展等を考えますと、物流の結節点としての港湾というのは非常に大切にしなければならないことは、これはもう当然のことでございます。そういう意味において、これに関係する港湾労働者の雇用の確保と安定ということは非常に大切でございまして、そういう観点から今回の法改正をお願いいたしたわけでございます。 今度の改正法案により導入される港湾労働者派遣制度の適正な運営、港湾労働者からの申告制度の導入、公共職業安定所による立入検査の実施等々が新たに取り入れられたわけでありますが、先ほど申しましたとおり、港の重要性というのは、これはふえこそすれ全然なくならない。しかも、インターネットの発展によりまして瞬時に取引その他が行われるわけでありまして、港湾におけるいわゆる船舶の状況等を考えますと、さらに強化しなければいけない。そのためには、港湾労働者の雇用の安定ということは基本的に極めて大切なベースになるわけでございます。 そういう点で、私どもは今回の改正によりましてさらに最大の努力をいたしたい。あちこちから、港で荷物が停滞しているじゃないか、釜山だとかシンガポールに荷役業務をとられているじゃないかというようなこともございまして、そういうことを考えますと、ますます港湾業務の適正な運用に努めなければならない、こう考えております。
○小林(多)委員 ありがとうございました。
○赤松委員長 河上覃雄君。
○河上委員 この審議に先立ちまして、先日私は、横浜港の港湾労働の一端を視察してまいりました。 確かに、はしけを利用し荷物を肩に担ぐ旧来の荷役作業というものも一部分ありましたけれども、大型機械を利用してコンテナが次々に運ばれてくる光景はまさに圧巻でありました。著しく近代化をしていらっしゃるな、これが素直な実感でございまして、現在の荷役作業等は技術や技能を持つ労働者でないと十分対応できないということ、まずこの点について見聞をいたしてまいりました。 さらにまた、コンテナターミナルで、仕事の変動に対応するために、一人の作業員がフォークリフトやクレーン、あるいは大型特殊などの資格を取得するように勧めている、こういう説明も民間の業者の皆さんから伺ったわけでございますが、こうした近代的な荷役作業では、常用の労働者として雇用し、一人一人の能力というものの向上を図ることが非常に重要であるということを痛感して帰ってまいりました。 三時間ぐらい時間をいただきましてさまざまなところを視察させていただいたわけでございますが、これらの点を踏まえながら、きょうは何点か質問をいたしたいと思います。 港湾労働者雇用安定センターの労働者は、御案内のとおり、国と雇用関係に立つものではありません。センターの労働者派遣業務が法律上廃止されることによって離職を余儀なくされるわけです。その意味で、これらの労働者の方々の再就職ということについて、国が何らかの支援を行っていく必要があるのではないかと私は考えております。 そこで、センターの労働者派遣業務を廃止することについて、その基本的な考え方と、離職者対策としてどのようなことを考えていらっしゃるのか、まずこの点についてお伺いするとともに、センターの労働者は、センターの労働者派遣業務の廃止についてどのように考えているかについてもあわせてお伺いいたします。
○牧野国務大臣 港湾労働者雇用安定センターが実施しております労働者派遣業務につきましては、日ごとに業務等が変動し、企業外労働力に依存することが必要な港湾運送の業務に関し、センターの雇用する常用労働者に対して計画的に職業訓練を実施し、技術、技能を有する労働者として港湾運送事業主に派遣する制度としてこの制度が導入されたことは、先生御承知のとおりでございます。 しかしながら、日によって就労場所が異なること等の理由から、センターの派遣労働者の技能を計画的に向上させることには限界がございまして、また、センターの派遣労働者は本年三月末現在で百二十九名であり、量的な面でも波動性に対応できない、こういう残念な状況にあります。 このため、センターが実施している労働者派遣業務は赤字基調でございまして、累計で約二十五億円の赤字を計上しております。平成十一年十二月二十四日には、センターとして指定を受けている財団法人港湾労働安定協会の理事会において、こういう赤字基調にあるわけですから、廃止の方向が実は決議されたところであります。労働省としましては、これらの事情を踏まえて、今回の改正法案に港湾労働者雇用安定センターの行う労働者派遣事業の廃止を盛り込ませていただいたところであります。 先生御指摘の、センターの労働者に対する雇用対策ですが、雇用の確保に万全を期す必要があることは当然でございまして、港湾運送業以外の業務への再就職を希望される方への再就職のあっせんや、必要な相談、情報提供を行うほか、港湾労働安定協会が行うセンター労働者の再就職支援につきましては約七億円の補助金を交付する、こういうことに決められたわけであります。 また、センターの労働者派遣業務の廃止に対するセンター労働者の姿勢でございますが、既にセンターの労働者派遣業務の廃止を前提とした労使協議が進められまして、四月六日に、センターの労働者派遣業務は四月三十日をもって終了する。次に、センターの労働者のうち港運業への再就職を希望する者につきましては四月三十日までにあっせんを行う。港運業への再就職につきましては、センターとして指定を受けている港湾労働安定協会はもとよりでありますが、港運業界挙げて求人の確保に努める。以上三点の合意がなされておりまして、現在、港運業への再就職を希望する者についての調査及び再就職のあっせんの作業が急ピッチで行われておる、こういう現状だというように承知いたしております。
○河上委員 三点にわたる雇用対策を講ずるということでございます。センター労働者の雇用の確保が図られますようにしっかりと御努力をいただきたいと思っております。 先ほど、港湾の機械化が進んでいるということについては触れました。いわゆる在来型の荷役については今後減少することが見込まれると思いますが、完全になくなるということはないだろう、こう思います。これも見てまいりましたが、在来型の荷役作業というものは、一歩誤れば大変な大事故につながります。危険な作業であります。その意味で、安全対策というものは非常に重要になると思います。このような在来型の荷役作業について日雇い労働者が活用されているということ、先ほどの御指摘もございましたが、今私が申し上げましたように安全面の観点からも、これは日雇い労働者の方々だけではなくて、常用労働者で対応するのが適当なのではないのか。 そこで、労働省としては、港湾労働者の常用化にどのように取り組んでいくのか、この点についてお伺いいたします。
○長勢政務次官 港湾業務、また港湾労働者の技能の高度化、技術革新ということが大変なスピードで進んでおる。そういう中で、常用労働者によってその技能の育成等々も図っていくことがますます必要ではないかという御指摘は、そのとおりであると思っております。従来からも、港湾労働において日雇い労働者を活用するということになりますと第三者が不当に介入するというような問題もありまして、労働省といたしましては、常用労働者を活用していくことが原則という考え方で進めてまいったところでございます。 今回の改正におきまして、港湾労働者派遣制度を導入することによって、港湾運送事業者間で常用労働者を活用することが可能となるわけでございますので、また、この制度を優先的に活用するということを義務づけることにしておりますので、これによりまして、港湾労働における常用化の一層の促進に資することになると考えておりますし、その的確な運用に努めてまいりたい、このように考えております。
○河上委員 問題は、このような港湾における雇用秩序が実際の作業現場できちっと守られるかどうか、こういう実態にかかっているわけでありまして、横浜港では、安価な日雇い労働者を違法に活用しているという事業主の話も聞きました。 そこで、港湾における雇用秩序をどのように維持していくつもりなのか、労働省の御見解をお伺いします。
○長勢政務次官 雇用秩序を守っていくということは極めて重要なことでございます。従来から、現場パトロールの実施でございますとか、事業所に対する訪問指導等もやってきたところでございますが、なお、日雇い労働者が常用労働者を偽装するとか、いろいろな問題の指摘もあることも事実でございます。 このため、今般の改正法におきまして、港湾労働法に違反する事実についての申告制度を創設する、また、公共職業安定所長が港湾運送事業主に対して報告徴収及び立入検査を実施することができる、こういう規定も盛り込んだところでございまして、これらの制度も活用して、港湾における雇用秩序の維持に努めてまいりたいと考えております。
○河上委員 パトロールの車も見ました。ただいま、申告制度や立入検査の権限を活用していくということでございますが、港湾における雇用秩序を維持していくためには、港湾で働く労働者が常用雇用労働者かどうかを迅速かつ確実に確認することができるような方法も検討すべきではないのか、私はこう思いますが、この点についての労働省の御見解をいただきたい。
○渡邊政府参考人 現在、常用労働者につきましては、公共職業安定所から写真つきの身分証明書であります港湾労働者証というものを交付しておりまして、常にこれを携帯するということを義務づけているわけであります。また、港湾によりましては、ヘルメットにそのコピーを貼付するという方法を用いているところもあると聞いておりまして、今後、労使の方の意見も聞きながら、迅速、確実な確認の方法について検討してまいりたいと思います。
○河上委員 間もなく時間でありますので、最後にもう一点だけお伺いをいたします。 雇用秩序の維持と関連してお尋ねをいたしますが、横浜港では、人つきリースと言われる、いわゆる運転手つきのフォークリフトのリースが行われている実態があると聞き及びました。人つきリースについては、フォークリフトの運転手が、具体的には、フォークリフトを借り受けた事業主の指揮命令を受けて就労する場合は労働者派遣法に違反することになりますし、請負作業として荷役作業を行うのであれば、リース会社そのものが港湾運送事業の免許を取得しているものでないことから港湾運送事業法違反になるわけでございます。 いずれにしても違法行為ということになるわけでございまして、この問題については、現行の港湾労働法を制定する以前から論議されている問題でありました。本来であれば既に解消していなければならない問題であるにもかかわらず、今なお人つきリース等が存在することは、私はある意味で行政の怠慢と言わざるを得ない、ゆゆしき問題であると思っております。その意味で、放置するわけにはまいりませんし、許されないと思います。 そこで、こうした問題を早急に解消するために、労働省の対策はどのように講じようとするのか、この辺についてお伺いして、終わりたいと思います。
○長勢政務次官 いわゆる人つきリースにつきまして、派遣法あるいは港湾運送法上違法にわたるケースが多いということは御指摘のとおりであると我々も理解をしておりまして、従来からこの解消に努めてまいった次第でございます。関係事業主に対して個別指導も行ってまいったところでございますし、平成十一年度からは、個別指導の対象事業の範囲も強化をして具体的に指導してまいりました。 その結果、平成四年度には、小型フォークリフトの人つきリースの借り受け台数というものが月平均で延べ一万六百八十台という状況でございましたが、平成十一年度では三千三百四十七台まで減少を見ておるというふうに承知をしておりますが、違法の事態を解消することは当然でございますので、なおこの縮小に最大限の努力を払ってまいりたいと考えております。
○河上委員 港湾における雇用秩序が遵守されず、そして混乱することは、我が国の経済にとってもマイナスでございます。港湾における雇用秩序がきちんと維持されるように、行政としてしっかり対応することをお願い申し上げて、終わります。
○赤松委員長 青山丘君。
○青山(丘)委員 労働大臣、少し質問をさせていただきます。 港湾運送については、貨物の取扱量が一定しておらない、日々貨物の取扱量は変動する、こういう特徴があるわけでして、どうしても波動性を有している事業でございますから、この波動性にどのように対応していこうかということで今日まで取り組んでこられたことを、私はそれなりに評価しております。 したがって、これまでは、企業外労働者、すなわち日雇い労働者を活用してやってきたのでありますが、日雇い労働者については、第三者が不当に介入してきたというような事案もありまして、ここにもやはり問題があった。 ところが、近年、コンテナ輸送が非常に増大しておりまして、昔のような荷役作業で港湾運送を進めていくという時代でなくなってきたことは事実でございまして、荷役作業の機械化が進んできていることも御承知のとおりであります。しかし、それでもなお港湾運送の波動性は存在しているというふうに見るべきでしょう。 そういう意味で、港湾労働の分野における最大の課題は、この波動性にいかに的確に対応していくかということだろうと思います。港湾運送に必要な労働力を確保する、これは当然のことであります。同時に、港湾労働者の雇用の安定と福祉の増進を図っていく、こういう立場をどうこれから進めていくのかということが今法律改正の大きな眼目であろうと思います。 そこで、波動性に対応する方法ということで質問をさせていただきたいと思いますが、現在までとられてきた波動性に対応する方法というのは、港湾労働者雇用安定センターが労働者を常用で雇用して波動性に対応していく、あるいは労働者に計画的に訓練を施すことによって港湾の技術革新に対応できる技能労働者として育てていく、こういう対応が必要だということで取り組んでこられて、今日までセンターの事業を進められたことを私は承知しております。 ただ、平成十年度におけるセンターの労働者の派遣日数は十一・七日程度でありまして、センターの労働者によって行われている荷役作業は、常用労働者、センターの労働者、日雇い労働者によって行われる荷役作業全体のうちのたった〇・三%、非常に低い割合になっております。これに対して、日雇い労働者による荷役処理は全体の一・二%となっております。つまり、企業外労働力として活用されている労働力のうち、センターの労働者によって対応できているのは全体の二〇%にすぎないというわけでございます。 センターの労働者による荷役作業全体に占める割合の推移を見ていきますと、制度が制定された当初であっても、波動性に対して三〇%程度しか対応できておらなかった。そして、その割合がなお低下してきておるという状況から見ますと、私は、幾つか問題はあった、けれども、もっと早くこれは廃止すべきであったのではないかという気がいたしますが、いかがでしょうか。
○長勢政務次官 従来進めてまいりました港湾労働者雇用安定センターの就労の状況等についても、今御指摘のような問題があった点でございますし、また、センターの収支状況も相当悪化をしてきた経緯がございます。そういうことで、平成八年に、中央職業安定審議会港湾労働部会の中に港湾労働者雇用安定センター派遣事業検討委員会というものが設けられまして、そのあり方について見直しの検討が行われました。 その委員会におきましては、港湾労働においては依然として日々の波動性が存在をしており、雇用秩序を維持しつつ企業外労働力の需給調整を円滑に行うためのシステムとして、センターの機能は引き続き維持していくことが必要であるという基本的な考え方に立って、センターの事業の健全化についての提言というものが平成八年十二月にまとめられたところでございます。 この提言を受けまして、労働省といたしましてはセンターの労働者派遣事業の健全化に鋭意努力をしたわけでございますけれども、御案内のとおり、なかなか成果が上がりませんで、平成十年度末にも約二十五億円の赤字を出す、また就労の状況もはかばかしく改善がないということで、センターとして昨年十一月二十四日に廃止の方針が決議されて、今回の法律案に至る、こういう経過でございます。 もっと早いやり方もあったのではないかという御指摘は、結果的にはそのような点もあろうかと思いますが、今回の改正を踏まえて波動性に対応できるような運用に努めてまいりたい、このように思っております。
○青山(丘)委員 御答弁いただきましたように、私は、港湾運送の波動性といういわば変動的なものに対応するための制度として常用労働者をプールしてきた、やはりここに一つは無理があったのかなと思います。 それから、港湾においては荷役作業の機械化が非常に進んできておりまして、日々、大型の機械が随分利用されてきております。したがって、プールされた労働者に訓練を施して、技能労働者として派遣をしていくというところにもやはり限界が来ておったのではないか。つまり、現在常用労働者として日々大型の機械を作動している人たちが、港湾運送の波動性に対応するために、他の事業主のところで対応していくことの方が妥当性があるのではないかという気が私はしております。 そういう意味で、今回の制度改正の方を私は評価しておるんですが、問題は、今回の法改正によって波動性にどのような対応がなされるというふうに見ておられるのでしょうか。
○渡邊政府参考人 港湾運送事業の波動性に対応しまして、自社以外の労働力に頼らざるを得ないという場合でありましても、今委員御指摘のように、その方たちはやはり港湾運送の近代化に対応した高い技能、技術を持った方であることが必要であろうと思います。 そういった点からいって、今般、現に事業を行っておられる事業主で働いております常用労働者を相互に活用するということですから、そういった点については十分対応できると思いますし、また、人数的に申しましても、労働省で行いました事業主の意向調査によりますと、現行の派遣労働者の数よりはずっと多くの方が対応できるということでございますので、人数面からいっても波動性への対応は十分可能ではないかと考えております。
○青山(丘)委員 まだ質問を用意してきておりましたが、時間がなくなりました。 港湾は海と陸との物流の結節点、非常に重要なところで、労働者の雇用の安定が図られ、そして労働者の福祉が増進していくということは極めて重要なことでございます。我が国経済社会にとっても重要なこと。ぜひひとつこれからも進めていただきたいと思います。 終わります。
○赤松委員長 松本惟子君。
○松本(惟)委員 民主党の松本惟子でございます。 私は、できるだけ今回の改正法案に沿って、この法律の実効性がどこまで保たれるのかということも含めまして質問させていただきたいと思います。 昭和六十四年に現在の港湾労働法が施行されて以来、十年ちょっとたっております。同法におきましては、港湾労働者の雇用の安定を図る観点から、必要な労働力は、企業内はもとより企業外に確保をする労働力も含めて常用労働力として確保することを基本的方向として定められております。そして、先ほども議論ございましたけれども、港湾労働者の雇用の改善及び能力の開発を図りつつ、港湾運送事業における事業活動の波動性に対処するために、公益法人である港湾労働者雇用安定センターにおいて労働者派遣業務が行われてまいりました。 平成九年の十二月の行政改革委員会の最終意見におきまして、港湾運送事業の免許制度等にかかわる規制緩和に合わせて、日別の波動性に対応するための企業外労働者を活用する方策として、新たに、港湾運送事業者間の融通が円滑にできるような仕組みを確立すべきなどという提案があったわけでございます。 改正案は、こうした港湾運送事業の規制緩和に伴うセーフティーネットの一つとして港湾労働の安定化を図る、そのために提出をされたものと理解をいたしております。言いかえれば、港湾運送事業の規制緩和によってダンピングが横行し、労働集約産業である港湾運送事業では、港湾労働者の賃金が引き下げられ、日雇い労働者が増加をし、労働災害が多発をすることのないような港湾労働対策が求められているわけではないかというふうに思います。 そこで、まず労働大臣にお尋ねをしたいのですが、本改正案提出の背景について、法案の提案理由では、港湾労働をめぐる状況の変化及び行政改革委員会の意見等を踏まえというふうにございます。その状況の変化というのは何か。また、港湾運送において必要な労働力というのはどのようなものを考えていらっしゃるのか。先ほどの委員の質問と重なる部分もございますけれども、再度御答弁をいただきたいと思います。
○牧野国務大臣 今先生のおっしゃる港湾労働をめぐる状況の変化、この具体的な内容でございますが、一つは、コンテナ輸送の増大等港湾における輸送革新の著しい進展で、高度な技術、技能を有する労働者をより積極的に活用していく方策が求められているという環境、二番目には、港湾運送事業の一層の効率化、サービスの多様化が求められており、事業の効率化に伴い港湾労働者の雇用の安定が損なわれることが懸念されること、こういう状況にございまして、このような港湾労働をめぐる状況の変化に的確に対応するために、また、港湾労働者の雇用の安定と運送事業における効率的な経営、就労体制の確立との両立、こういうことがぜひ必要であり、このような立場から今回の改正法案を出させていただいた次第であります。 また、港湾運送に必要な労働力を確保する、このための労働力は何かという御質疑でございますが、現在の港湾労働法と概念としては同じであるわけですが、具体的に申しますと、港湾運送の業務に従事するために必要な技能その他の能力を有する労働者であることと港湾運送を実施するのに必要な労働者数、質と量の両面を意味するものというように考えておりまして、こういう観点から、適正な港湾運送業務が行われるように、これを前提にして考えている次第であります。
○松本(惟)委員 御答弁の中にもあったかと思いますけれども、この港湾運送事業における事業活動の特徴としまして、今のような背景を持って波動性にどのように対応していくかということがあると思います。 この波動性に対応する労働者として位置づけられていたのが、旧港湾労働法においては、技能を持たなかった登録日雇い港湾労働者だったと思います。六十四年から施行されております現行法においては、港湾労働者雇用安定センターに雇用された一定の技能水準にある派遣労働者が原則でございました。当時の資料によりますと、荷役の波動性に対処するため必要な労働力を確保するに当たっては、計画的かつ継続的に技能の向上を図ることができる常用労働者を労働者派遣という形態で活用することが、最も適当であると考えた、このようになっております。 ところが、この安定センターの派遣労働者は、先ほどの各委員のお話にもありましたけれども、初年度三百三十五人。前年のいわゆるプール労働者は千百七十五人だったわけですから、制度がスタートしたら三分の一に減っている。しかも、その後の推移を見ると、年々減少するばかりで、現時点では百三十人というふうになってしまっているわけでございます。これはどのように見ても、制度として十分活用されたとは言いがたい、私はそのように思います。 波動性に対応する労働力として、当時の法改正においては最善の策として提起されたにもかかわらず、なぜ活用されなかったのか、その原因については真剣に検討すべきだというふうに思います。制度設計に問題があったのか、実際の運営に問題があったのか、あるいはそのほかにも理由があったのでしょうか。 これは、労働省だけに責任があると言うつもりはございません。立法府の一員である私たちも大きな責任を感じているわけであります。そういう立場からお尋ねするのでございますが、いかがでしょうか。
○長勢政務次官 港湾労働者雇用安定センターの経緯またその実情は、御指摘のとおりであると思っております。 活用が十分でなかった原因は何かというお尋ねでございますが、労働省といたしましても、センターにおける派遣事業の利用促進のために努力をしてまいったわけでございますけれども、なお十分でなかったということは、センターに企業の求める技能に達する労働者が少ない、あるいは企業の派遣の条件にマッチするということはなかなか難しかったという結果だったと思います。 その結果を生ずるにつきましていろいろな要因もあろうかと思いますが、こういうことでございましたので、今回新たな制度に改善をして波動性に対応していきたい、このように思っておるところでございます。
○松本(惟)委員 やはり、取り巻く状況を含めまして注意深く見守りながら、制度の適合性についての検討をしていかなきゃいけなかったのではないのかなというふうに私は思います。 港湾運送事業の規制緩和に伴って今回法改正がなされるわけでありますけれども、港湾運送事業の規制緩和は、港湾労働法が対象としております六大港、このほかに千葉、清水、四日市、博多で実施されることになっております。事業法と港湾労働法が別の体系で制定をされていることは承知しておりますけれども、規制緩和が実施される一方で、セーフティーネットの措置を受けられない港が四つあることは問題だというふうに思います。 港湾労働法の適用を規制緩和が実施される港湾に拡大すべきと考えておりますけれども、この点についていかがですか。
○長勢政務次官 港湾労働法をどの港に適用するかということにつきましては、国民経済上に占める港湾の重要性及び必要な労働力の確保、そのほか港湾労働者の雇用の安定等に関し特別の措置を実施する必要性が高い港湾を政令で指定する、こういう仕組みになっております。 その方向で検討しなければならないのではありますが、この政令の指定の前提としては、関係労使の合意が得られるということがまずもって不可欠である、このように考えております。現在港湾労働法の適用対象港とされていない、今御指摘のような港湾にこの法律を適用していくかどうかということでありますけれども、現状ではなお関係者間のコンセンサスが得られていない、こういう状況にございますので、引き続き慎重に検討していくことが必要ではないか、このように考えます。 〔委員長退席、鍵田委員長代理着席〕
○松本(惟)委員 引き続き検討していただきたいと思います。 次に、港湾労働者派遣制度についてお尋ねいたします。 改正案の大きな柱の一つは、六大港において、港湾運送事業主間における港湾運送の事業に係る港湾労働者派遣制度の導入ということにございます。この港湾労働者派遣制度とは一体どのような制度であるのか、いま一つ理解しがたい点がございます。 法案の説明によりますと、労働者派遣法とは別に独自に港湾労働法で定義をしているように思えます。他方、雇用や就業管理については派遣法のシステムを利用していることから、本来労働者派遣法の適用除外業種である港湾運送について、例外的に一定の規制のもとで行うというようにも理解できるわけであります。 御承知のように、現行の港湾労働法においては、安定センターについて労働者派遣法の一部適用除外を定めて、そして安定センターが派遣元となって事業を行ってきたわけであります。 改正法案では、安定センターではなく、民間港湾運送事業主間の労働者派遣というふうになるわけであり、法第二十三条で労働者派遣法の特例を定めておりまして、同十二条から二十二条までは労働者派遣法とほぼ同様の内容となっています。 そこで、お尋ねしたいのですけれども、港湾労働者派遣制度というのは一体どういうものなのか、そしてまた労働者派遣法との関係についてもあわせて伺わせていただきたいと思います。
○長勢政務次官 労働者派遣法におきまして、港湾運送業務というものは適用除外業務とされておることは御指摘のとおりでございます。 この制度と今般の制度との関連についてのお尋ねでございますが、今般導入する港湾労働者派遣制度は、現行法に基づき実施されている港湾労働者雇用安定センターの労働者派遣制度と同様に、港湾労働法に基づく特別の制度として導入するものでございまして、港湾労働者の雇用の安定を図ることを目的としておるものであります。 また、現に港湾運送事業を営んでいる事業主のみを許可の対象とする、また許可基準に適正な派遣料金、派遣日数の上限を設定するとか、派遣労働者を港湾労働者証の交付を受けた常用労働者に限定をするとか、港湾労働者雇用安定センターに港湾労働者派遣制度に係る情報収集、提供、あっせん業務、事業主及び労働者に対する相談援助業務を行わせるといったように、通常の労働者派遣事業とはその目的及び規制方法を全く異にするものでございまして、港湾労働法に基づく特別の監督規制のもとで事業の適正実施を確保しつつ港湾運送事業者間において企業常用労働者を活用していくものであると御理解いただきたいと思います。 派遣事業法の一部の規定を適用しているという点を御指摘でございますが、形態的に似た部分がある点は、そういう意味で活用させていただいておるわけでございまして、適用除外を前提として、特別の立法に基づく制度として理解していただきたいと思います。
○松本(惟)委員 続いてお尋ねをいたしますが、部会の労働者代表委員がこの制度について賛成できないもう一つの理由がございます。労働省は当初、港湾労働者の派遣を行う場合には公的機関を通して行う案をお示しになっていた、ところが突然、事業者間で派遣を行う案に変わったということを挙げています。 このような事実はあったのでしょうか。事実としたら、公的機関を通じて行う案が撤回された理由を伺わせてください。
○長勢政務次官 御指摘のとおりでございまして、昨年の六月に、港湾労働部会の報告書を取りまとめる段階では、港湾労働者雇用安定センターが港湾運送事業者から雇用されている労働者を出向で受け入れて、その方をセンターが派遣するという方式も想定して提示さしていただいて御議論をいただいたところでございます。 しかし、議論の過程で、議論を詰めてまいりますと、この方法でいきますと、派遣の対象となる労働者の雇用主というのが本来の港湾運送事業者のほかにセンターということにもなりまして、雇用主としての責任が不明確になるなど、労働者保護を損なうという問題もわかってまいりましたので、今回の改正案に至ったという経過でございます。 しかし、今回の方式におきましても、港湾労働者雇用安定センターを制度の適正実施のための支援機関として位置づけまして、あっせん業務ですとか相談援助業務等を行わせることによりまして、この派遣業務に公的機関を関与させるということを通じて適正な運営を確保していきたい、こういう仕組みにしておるところでございます。
○松本(惟)委員 実質的に公的機関を関与させる仕組みを考えているということでございましたけれども、労働者派遣法に基づく労働者派遣制度との関係につきましては、これは二月十日に出されたものですけれども、中職審事務局から港湾労働者派遣制度の基本的考え方が示されております。 これによりますと、港湾労働者派遣制度は、労働者派遣法に基づく労働者派遣とはその目的、規制方法を異にする一方で、雇用就業管理につきましては労働者派遣の契約に基づくシステムを活用しているものである、このために、法制的には港湾労働者派遣の名称を用いつつ、労働者派遣法とは別に港湾労働法において特別の制度として運営するものであるというふうに言っているわけでございます。特別な制度ということであるならば、労働者派遣制度と混同されやすい名称をどうして使ったのかなというふうに私は思います。 この点について、審議会委員のお話によりますと、三年後の見直しに際して、制度全体のみならず名称についても検討する意向が示されているとのことでございますが、そのおつもりですか。
○長勢政務次官 港湾労働者派遣制度という名称についてのお尋ねでございますが、従来の経緯もございましたでしょうし、また特別の法律に基づく制度でありまして、その目的、規制内容は違うことは違いますけれども、自己の雇用する労働者を他人の指揮命令のもとに就労させるという意味で派遣法の枠組みも活用しておるということもありまして、この名称にしておるところでございます。 御指摘のとおり、中職審におきまして、派遣という名称を用いることによって混乱が起こるのではないか、こういう御指摘もあったところでございますし、施行後三年後の見直しで検討すべきであるという意見も出されたところでございますので、労働省といたしましては、改正法の施行状況を見きわめながら、必要な検討を行うということにいたしたいと思っております。
○松本(惟)委員 よろしくお願いしたいと思います。いずれにしても、特別な制度というところに意味があるわけでございまして、混同がないようにしなければならないというふうに思います。 次に、現行法におきまして、港湾運送の業務に関する労働者派遣の業務を行う主体であります。この主体につきまして、港湾労働者安定センターという公益的な性格を有する法人を実施主体としているわけで、その理由といたしましては、港湾が手配師等第三者による就労への違法な介入などの問題が生じやすいところから、民間の営利事業として労働者派遣事業を認めることは労働者福祉の面から問題が多いためということでこうなっているわけであります。 改正により、今までの安定センターという公的機関が派遣元となった制度から、民間企業が事業として行うことになるわけであります。派遣料金とか賃金それから雇用の状況などについて一定のチェックが必要ではないかと思います。 法第十四条の許可基準に、適正な派遣料金、派遣日数の上限を設定することになっておりますが、具体的にはどのようなものを考えていらっしゃるのでしょうか。 関連して、労働大臣が定める基準とはどのようにお決めになるのでしょうか。港湾ごとにとありますけれども、業種や業務の区別をするのかが問題だというふうに思います。この点についていかがお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせください。
○長勢政務次官 港湾労働者派遣制度は、先ほど来御説明いたしておりますように、特別の制度でございまして、港湾運送事業に付随する限度でその実施を認めることとすることが適当であるというものでありますから、許可基準に適正な派遣料金、派遣日数の上限を設定することにしたところでございます。 派遣料金についてでございますけれども、派遣料金の基準につきましては、派遣労働者の賃金その他の港湾労働者派遣事業に要する経費の水準等を勘案をして定めるということにされております。これにつきましては、必要に応じて港湾運送事業主に対して調査を行うことによって把握をして定めていくということにいたしたいと思います。 派遣日数の上限につきましては、港湾労働者が港湾運送の業務に従事する日数を勘案して定めることとされておりますので、常用労働者の平均的な就労日数を把握できますので、そのデータを参考に基準を策定していくということにしたいと考えております。 いずれにいたしましても、派遣料金の基準、派遣日数の上限につきましては、双方とも、中央職業安定審議会の場において関係者の意見を十分に聞いた上で具体的な基準を決定していくということになるのでございます。 また、各企業の派遣料金等につきましては、定期的に事業主から公共職業安定所長に報告を求めることとしておりますので、適正にチェックができるものと考えております。
○松本(惟)委員 労働大臣の定める基準の中に、適正な派遣料金というのならば、例えば派遣料金についてこの水準を下回ってはならないといったふうに一定の歯どめをかける必要があるのではないかと思います。 派遣料金については、その市場の中でおのずと決まるというふうな考えもありますけれども、したがってほっておけばよいというふうに考える向きもあるわけでございますが、それでは一般の派遣の料金についての考えと同じになるというふうに私は思います。 そもそも特別な派遣制度としてあるわけは、営利性がなく、何らかの公的関与が求められる特別な派遣であるということからでございます。営利性がないようにするためには派遣料金の上限規制が必要でありますけれども、同時に賃金へのはね返りが大変危惧されることから、極端に低い派遣料金とならないように一定の歯どめが必要であるということを申し上げておきたいと思います。 次に、第二十五条で、港湾派遣元事業主は、労働者派遣の対象とする労働者が派遣就業をしないときに従事をしている業務の種類が異なる場合には、当該労働者を派遣労働者として派遣を行ってはならないというふうに書いてあります。その上で、その主たる業務については労働大臣が基準を定めるというふうになっているわけでございます。派遣を行ってもよいものと、してはならないもの、この区分けは主たる業務の判断によることになります。 そこで、主たる業務とはどのように規定をなさるのか。技能、資格によるものなのか、港湾運送事業法で言うところの業務を指すのかが問題だというふうに思います。 労働者派遣法の審議の際にも同一業務の規定が大変大きな論争となったことを思い出します。我が国の雇用慣行では、御承知のように、一人の労働者がいろいろな仕事をするわけでありまして、業務基準が明確ではございません。したがって、主たる業務という場合にも、その意味するところを可能な限り具体的にしておくことが必要であろうというふうに私は思いますが、いかがでしょうか。
○長勢政務次官 港湾労働者派遣制度におきましては、労働者がふなれな業務に従事をすることによる労働災害発生の危険性を回避する、こういうような理由から、その者が主として従事している港湾運送の業務と異なる港湾運送の業務に派遣することを制限するということにしておるわけであります。この港湾運送の業務とは、港湾荷役事業の業務、はしけ運送事業の業務など港湾運送事業法及び港湾労働法で定められた業務を指すものであります。 また、労働者がいかなる港湾運送の業務に主として従事しているかについての判断基準は労働大臣が定めることといたしておりますけれども、この基準につきましては、労働者が港湾運送の業務に従事している期間等を勘案して定めるべきものと考えております。 また、御指摘の、一人の労働者が複数の業務に従事している場合の取り扱いにつきましてのお尋ねでございますが、今御指摘の点も含め、今後中央職業安定審議会の御意見を聞いて決定してまいりたい、このように思っております。
○松本(惟)委員 審議会の議論を経てということでございました。 次の質問でございます。 二月三日付で中央職業安定審議会の専門調査委員港湾労働部会の労働者代表委員が意見書を提出をしています。これによりますと、第一に、港湾労働者雇用安定センターが行っている労働者派遣業務の廃止につきましては賛成できない。そして、その理由といたしまして、一つ、労使の合意が得られていないこと、二つ、センターの労働者の雇用確保に問題があること、三つ、仮に廃止を提案するにしても、経過措置を設けるなり雇用確保が図られるような提案を行うべきである、そのように言っております。 二つ目には、港湾労働者派遣制度の運営につきまして、制度の適正を図るために、センターにおいて一元的な運営を行うべきであり、契約締結のあっせんを受けることを法的に義務づけるべきという内容となっております。 これに対してどのような御見解をお持ちでしょうか。 〔鍵田委員長代理退席、委員長着席〕
○長勢政務次官 御指摘の意見書は十分承知をいたしておりまして、労働省といたしましても、この意見書にも十分配慮して進めたい、このように思っております。 まず、労働大臣が定めることとされておる港湾雇用安定等計画におきましても、港湾労働者派遣制度について、港湾労働者雇用安定センターによる一元的な運用が図られることが適当である、この旨も明記をいたしまして、当該計画に基づき必要な指導を行って、センターの役割を明確にしていきたいと考えております。 なお、センターの労働者派遣業務の廃止につきましては、労使間の協議の結果、四月六日に廃止についての労使間の合意がなされたものと承知をいたしております。
○松本(惟)委員 改正案では、センターの業務として港湾労働者派遣の契約締結のあっせんを行うこととされています。先ほど申し上げましたように特別な派遣制度ということで、いわば営利性の排除と公平性を確保するため何らかの公的関与が必要であると思います。その意味からも、部会の委員の意見にもあるように、制度の適正運営とか、それからセンターにおいて一元的な運営を行うということ、そのためにこれを法的に義務づけるためのことを含めて検討すべきではないかというふうに私は思いますが、今の御答弁では、一元的な運営ができるように検討してまいりたい、努力をしてまいりたいというふうなことであったというふうに受けとめさせていただきます。 この点につきましては、審議会におきまして、事務局から、法的義務づけは法制上困難だけれども結果として一元的適用が図られるように制度運営に努力をしたい旨の説明があったとのことでございますが、今政務次官のお答えにもございましたと思いますが、もう少し具体的に、何かございましたら、補足を伺わせていただければと思います。
○長勢政務次官 港湾労働者派遣制度の実施主体は、港湾運送事業の免許等を受けて港湾運送事業を営んでいる方々であります。このような方々が労働者派遣契約を締結する場合に、第三者の関与、ここではセンターでございますが、それを法的に義務づけるということになりますと、契約自由との関係から困難である、このように考えておるわけであります。 しかしながら、港湾労働の日々の流動性に対応して、港湾運送に必要な労働力の需給調整が迅速に行われるためには、センターによる一元的な運用が不可欠である、このように思いますし、また適正な運用の上からもそのことが不可欠であると考えておりますし、これは労使の一致した見解でもあります。労働省といたしましても、現実にはそのような運用が図られるものと思っておりますし、そのために指導してまいりたいと思います。
○松本(惟)委員 次に、日雇い労働者の問題についてお尋ねをしたいと思います。 前提として伺いたいわけですけれども、そもそも、現行の港湾労働法におきまして、いわゆる日雇い労働者の位置づけと申しますか、役割はどのようになっているのでしょうか。 現行法十条において、「事業主は、公共職業安定所の紹介を受けて雇い入れた者でなければ、日雇労働者として港湾運送の業務に従事させてはならない。」このように規定をされているわけでございます。ちなみに、この条文は今回改正されないことになっておりますが、この趣旨は、港湾労働に従事する労働者は、原則として企業の常用労働者と安定センターの派遣労働者であるということで、例外的に、追加的に労働力需要が生じた場合に公共職業安定所に日雇い労働者の求人を申し込むということと理解してよろしいのでございましょうか。
○長勢政務次官 御指摘のとおり、日雇い労働者の活用は例外的なものという位置づけでございます。 また、日雇い労働者の活用につきましては、日雇い労働者に対する第三者の不当な介入を排除する観点から、公共職業安定所の紹介を受けた日雇い労働者を優先的に雇用するということが義務づけられておりますので、日雇い労働者を雇用する場合には、まず公共職業安定所に求人を申し込むということになるものであります。
○松本(惟)委員 港湾における日雇い就労に第三者が介入することを排除するために、港湾運送事業主が港湾運送の業務に従事させる日雇い労働者につきましては、今おっしゃられましたように、公共職業安定所の紹介を受けることを原則としているということでございますね。 昭和六十三年当時の会議録を拝見いたしますと、この十条のただし書きをめぐりましていろいろと議論があったようでございます。当時の中村労働大臣は、日雇い労働者の直接雇用は、港湾労働者雇用安定センターが派遣する労働者、公共職業安定所が紹介する日雇い労働者によって必要な労働者が確保できないときに例外的に認められるものと答弁をされております。 ところで、ここに東京都の労働経済局職業安定部による東京港についての資料がございます。それによりますと、平成十一年度の月平均就労数は、センター派遣三百五十二人に対して、安定所紹介の日雇い労働者百三十七人、直接雇用が二千三百七十二人となっております。これも先ほどどなたかがおっしゃられておりましたけれども、労働省の六大港における港湾労働者の就労状況の推移でも同様の傾向があるわけでございますが、なぜこのように直接雇用が多くなっているのでしょうか。
○長勢政務次官 公共職業安定所紹介の日雇い労働者に比べて直接雇用の日雇い労働者が多く活用されているという実態が見られることは、そのとおりだろうと思います。企業としては、雇用したことのある労働者の技能を把握しておりますし、日雇い労働者として雇われる側にも、同一の企業あるいは職場で就労したいというニーズがあるということ等もありますし、また、公共職業安定所紹介による場合には企業の求める技能を有する求職者が少ないというようなことなども原因の一つかな、このように考えております。 いずれにしても、常用化も含め、法の趣旨が徹底するように、さらに指導してまいりたいと思います。
○松本(惟)委員 こういう事態がないように指導を強め、指導の充実を求めておきたいと思います。 次に、改正法の四十三条についてお尋ねをしたいと思います。 「港湾労働者派遣事業に係る事業主の義務」ということで、企業外労働者を業務につかせる場合は港湾労働者派遣を優先するというふうになっていまして、その労働者派遣を受け入れられないとき日雇い労働者の就労が認められることとなっておりますが、この四十三条の規定の趣旨についてお伺いをいたします。 あわせて、四十三条につきましては、改正法の中でもポイントとなる条文でありますので、少し細かい点について後ほど伺わせていただきたいと思いますが、職業安定所は、就労可能な派遣労働者がいるのかいないのかどのように把握をなさるのでしょうか。それとも、事業者が日雇い求人を職安に求めるときに就労可能派遣労働者がいなかったことを証明すればそれでよいのでしょうか。いかがでしょうか。
○長勢政務次官 まず、現行の港湾労働法の条文の趣旨についてのお尋ねでございます。 現行の港湾労働法におきましては、事業主が企業外の労働力を利用する場合には、まず港湾労働者雇用安定センターに労働者の派遣を求めなければならないということになっております。これは、港湾労働者雇用安定センターに雇用されている労働者の雇用の安定を図るとともに、港湾労働者雇用安定センターが実施している特別の需給調整機能が有効に機能するように、そのための趣旨の条文でございます。 今般の改正におきましては、事業主が企業外労働力を利用する場合には、まず港湾労働者派遣制度を利用しなければならないということにいたしておりますが、これは、まさに現行の港湾労働法と同じ趣旨でございまして、港湾労働者の就労の機会を確保することにより雇用の安定を図る、港湾労働者派遣制度の機能を十分に有効に発揮させるためのものでございます。 次のお尋ねは、公共職業安定所は派遣可能な労働者の有無をどのように把握するのかという趣旨の御質問だと思いますが、港湾労働者派遣制度の導入後は、企業外労働力を利用する場合には派遣労働者を優先的に利用するということが義務づけられておりまして、当該港湾において港湾労働者派遣事業を営んでいるすべての事業主に労働者の派遣を求め、または港湾労働者雇用安定センターに労働者派遣契約の締結のあっせんを求めたにもかかわらず派遣を受けられなかった場合に限って日雇い労働者の利用が認められる、こういう仕組みにしておるところでございます。 このことを担保するために、公共職業安定所は、日雇い労働者を活用しようとする事業主が所要の手続を行ったにもかかわらず労働者の派遣を受けられなかったことについて、センターへの連絡などをして確認をした上で日雇い労働者の紹介を行うこととし、また日雇い労働者の直接雇用の届け出も受理をする、こういう仕組みにいたしたいと思っております。
○松本(惟)委員 文字どおり、おっしゃるとおりとすれば、一人でも派遣可能な労働者がいれば日雇い労働者の就労は認められないということになるわけでございます。 また、これで日雇い労働者の雇用に厳しい制限がかけられ、例えばやみ雇用などがないようになるのかどうかが問題だと思いますが、その点について重ねて伺わせてください。
○長勢政務次官 日雇い労働者の活用につきましては、御指摘のとおりであります。いわゆるそういう違法雇用がないようにしていかなければなりませんので、従来から現場パトロールの実施でございますとか個別事業所に対する指導をしてきたわけでございますが、さらに今回の法改正におきまして、違反に対しての申告制度を設けるとか、また安定所長が港湾運送事業主に対して報告徴収及び立入検査をできるという旨の規定も盛り込んだところでございまして、これらを通じまして、このような問題のないよう、港湾における雇用秩序の維持というものに全力を挙げてまいりたいと思います。
○松本(惟)委員 次に、四十三条は、労働者派遣契約の締結に当たりまして安定センターにあっせんを求めることになっています。このあっせんがどのようなものになるかでこの法律の組み立ては変わってしまうと思います。そこで、その趣旨をより明確にするためにも、例えば港湾雇用安定等計画にその旨明記する必要があると思っています。ぜひ御検討くださるように、これはお願いをしておきたいと思います。 続いて、安定センターに雇用されている労働者の雇用の確保についてでございます。 重複する質問になるかと思いますけれども、改正法案では、港湾労働者雇用安定センターが行っている派遣事業を廃止することになっております。その結果、現在安定センターに雇用されている百二十九人の雇用問題が発生することになっております。審議会の部会報告にも、雇用主代表委員から、センターの労働者について転籍等により雇用の確保に万全を期す旨の意向が示されてございます。具体的にはどうなっているのかということを伺わせていただきたい。 それから、既に労使交渉も行われているというふうに伺っておりますけれども、百二十九人のうち、港運業に再就職を希望する人、廃止に伴って退職をする人それぞれいらっしゃると思いますけれども、現段階ではどのようになっているのでしょうか。廃止に伴いまして退職を余儀なくされた方に対して何らかの配慮が行われることになっているのかどうか、あわせて伺わせていただきたいと思います。
○長勢政務次官 御指摘の、港湾労働者雇用安定センターに雇用されておられます労働者の雇用対策につきましては既に労使間で協議が行われておりまして、四月六日には、第一に、センターの労働者派遣業務は四月三十日をもって終了する、第二に、センター労働者のうち港運業への再就職を希望する方については四月三十日までにあっせんを行う、第三に、港運業への再就職については、センターとして指定を受けている港湾労働安定協会はもとより港運業界を挙げて求人の確保に努める等の合意がなされ、それに基づきまして現在港運業への再就職を希望するか否かの調査が行われております。現時点におきましては二十三名の方が港運業への再就職を希望されておる、このように承知をいたしておりまして、その再就職の具体的な条件等について調整が行われておるものと承知をいたしております。 また、港運業界のあっせんによる再就職を希望されない方につきましては、既定の退職金のほか上積み金が交付されることとされておりますが、他産業への再就職を希望される方については、公共職業安定所による再就職のあっせんや相談、情報提供に鋭意努めてまいりたいと考えております。
○松本(惟)委員 これをもって退職をされる方、定年退職に届いていらっしゃる方はまだしも、そうでない方々もおいでになるのではないかと私は思います。今国会でこの法案が審議をされているわけですけれども、まだ残った方々の処遇が見えない場合もございます。その中で、個々の労働者に選択が迫られているという側面があるわけで、そういう点では立法府の一員として私も心が痛む思いがいたします。 さらに、職業安定所の窓口に参りましても、特に中高年の雇用というのは厳しいものがございます。また、二十代の労働者もまじっているというふうに伺っておりますので、再就職を希望される方への国としての格段の配慮、それから、再就職をされる、あるいは再就職を希望される方の中に同業種に戻りたいというような方がおいでになる場合、一たん退職をし、職業訓練などを受けられましてまた戻りたいと希望される方がいらっしゃる場合にもちゃんとした対応ができるように、職業安定所の窓口あるいは事業主におかれましても御配慮をお願いしておきたいというふうに思います。 一方では労使自治という言葉を使いながら、その労使自治の結末も十分に見ないままに外堀を埋めるような形でこの法律が結末を見るということについても釈然としない気持ちがあるということを申し述べさせていただきたいというふうに思います。 それから、雇用安定センターが廃止をされることによりまして、審議会の中でも雇用の確保が図られるように配慮されたいというようなことが述べられているわけで、国の責任も問われているというふうに思います。 そこで、今回の退職者等に対しまして国はどのような責任を果たされていらっしゃるのか、財政的な面なども具体的にございましたらここでお聞かせをいただきたい。退職者だけではなく、再就職などを図られる労働者に対する支援も含めて伺いたいというふうに思います。
○長勢政務次官 港湾労働者雇用安定センターの労働者派遣業務が廃止されることによって離職を余儀なくされる方々に対して十分な雇用の安定を図っていくということは極めて重要な問題というふうに労働省といたしましても受けとめておるところでございます。 退職される方につきましては、先ほど御説明を若干させていただきましたが、再就職のための措置といたしまして、港湾労働者雇用安定センターに対しまして再就職支援のために七億円の補助金を交付することといたしております。また、今、公共職業安定所の制度として失業なき労働移動に関する助成金などがございますので、こういう助成金等も活用してまいりたいと思っておりますし、また、港湾労働者雇用安定センターに対し、センターの労働者が港運業界へ円滑に再就職できるよう港運業界と密接な連絡調整を行うように強く指導いたしております。 さらに、港湾運送以外の業種に就職を希望される労働者に対する相談援助及び円滑な職業紹介の実施に努める、こういうことを今指示しておるところでございまして、先生の御指摘を踏まえまして最大限の努力をするように督励してまいりたいと思います。
○松本(惟)委員 格段の御努力をお願いしておきたいと思います。 次に、ILO条約の批准の促進についてお尋ねを申し上げます。 よく、いろいろなところで国際化とかグローバリゼーションとかいう言葉が使われ、そして対応するように規制の緩和が持ち出されているわけでございます。規制緩和すべてに反対をするわけではございませんが、これと対応いたしまして、我が国も国際基準に適合するようなスタンスを強めなければならないのではないか。労働基準の公正化という意味におきまして、私はそのように思っております。 一九七三年に採択をされましたILOの百三十七号条約、これは港湾における新しい荷役方法の社会的影響に関する条約であります。並びに百五十二号条約がございます。百五十二号条約は、港湾労働における職業上の安全及び衛生に関する条約でございます。百三十七号条約は七三年に採択をされた古い条約でございます。いまだに我が国はこれを批准しておりません。 この二つの条約の批准をしていない理由、特に港湾というのは海外とも接点を持つところに働いている労働者がたくさんいるわけで、どうしてこの二つの条約の批准ができなかったのかということをお尋ねいたしたいと思います。
○長勢政務次官 ILO百三十七号条約は、港湾労働者の登録制度を創設し、登録労働者の就労について優先権を付与すること等を要請するものでございますが、現行の港湾労働法により同条約の内容はおおむね満たされることになっているものと考えております。 しかしながら、港湾労働法を六大港以外の港湾にも適用する必要があるのかとか、港湾労働者の登録については事業主による常用労働者の届け出制で十分であるかとか、港湾労働者の就労と生活保障の責任を負うべき者の範囲に荷主や船会社等の港湾の利用者も含まれるのかとかということにつきまして、港湾関係者間に相違が見られるところでございますので、引き続き関係者間の合意形成を図って、批准に向けての努力をしていく必要があると考えております。 また、百五十二号条約は、港湾における労働者の事故及び健康障害を防止する措置、荷役機械その他の設備に関する技術的措置等を規定したものでございます。この条約の内容は、労働安全衛生法等の国内関係法令によっておおむね実施されているところではありますが、安全委員会に関する規定や玉掛け用具の規制に関する規定のように、国内関係法令の規定と相違する部分がありまして、現状では批准が困難であると考えておりまして、今後とも、この国内法令との相違についてさらに検討を進めていく必要があると考えておるところであります。
○松本(惟)委員 前向きに御検討をいただきたいと思います。 ILO条約の採択あるいは見直しにつきまして、現在の我が国のILOにおける地位は、従来のように、あれはヨーロッパ主導の議論でもって決められる傾向があるからということではもう済まなくなってきている。やはり各国の実情に即して、コンセンサスでもって採択をされるわけでございますので、適合するものは批准を急ぎ、あるいは、見直しをする場合には、我が国の実情も述べながら条約が採択をされますように、私は望んでおきたいというふうに思います。 次に、時間が迫ってまいりましたので、三つほど確認答弁をお願いをしておきたい。これは大臣にお願いをしたいと思います。 一つ目には、港湾労働者派遣制度について、センターによる一元的な運営が図られるよう、労働省としてどのような措置を講ずるのでしょうか。 二つ目には、改正港湾労働法におきましては、企業外労働力を活用する場合には、港湾労働者派遣制度を優先して活用することとして、派遣を受けられない場合に限り日雇い労働者の就労が認められることとなると理解してよろしいかどうか。また、その実効性をどのように担保をするのかを伺いたい。 三つ目には、港湾労働者雇用安定センターの労働者の雇用の確保のために、国としてどのような措置を講じられるのでしょうか。 この三点につきまして、お答えをいただきたいと思います。
○牧野国務大臣 第一のお尋ねでございますが、港湾労働者派遣制度の実施に当たり、作業量が日別で大きく変動するという特殊性、港湾運送の波動性に対応し、港湾運送に必要な労働力の需給調整を迅速に行うためには、港湾労働者雇用安定センターによる一元的な運用が不可欠であることについては、労使一致した見解であります。 労働省といたしましては、大臣が定めることとされている港湾雇用安定等計画において、港湾労働者派遣制度についてセンターによる一元的な運用が図られることが適当である旨を記載し、当該計画に基づき、必要な指導を行ってまいりたいと考えております。 第二の御質疑でございますが、御指摘のとおり、港湾労働者派遣制度の導入後は、企業外労働力を利用する場合には港湾労働者派遣制度による派遣労働者を優先的に利用することが義務づけられており、この派遣を受けられなかった場合に限って日雇い労働者の利用が認められることとされております。 このことを担保するために、公共職業安定所は、日雇い労働者を活用しようとする事業主が所要の手続を行ったにもかかわらず労働省の派遣を受けられなかったことを確認した上で、日雇い労働者の紹介を行うこととし、また、日雇い労働者の直接雇用の届け出も受理するものであります。 また、日雇い労働者の違法雇用対策につきましては、従来より、現場パトロールの実施や個別の事業所に対する訪問指導等を実施してきたところでございますが、今般の改正法におきましては、港湾労働法に違反する事実にかかわる港湾労働者からの申告制度を創設するとともに、公共職業安定所長が港湾運送事業主に対し報告徴収及び立入検査を実施することができる旨の規定も盛り込んだところでございまして、当該制度を活用することにより港湾における雇用秩序の維持に努めてまいりたいと考えております。 最後に、第三の御質疑でございますが、港湾労働者雇用安定センターの労働者につきましては、国と直接の雇用関係に立つものではございませんが、センターの労働者派遣業務が廃止されることによって離職を余儀なくされるものであります。 したがいまして、このために、労働省といたしましては、センターの労働者の雇用の安定を図ることは重要な問題と考えておりまして、一、港湾労働者雇用安定センターに対し、再就職支援のため七億円の補助金を交付、二番目、失業なき労働移動に関する助成金の活用、三番目、港湾労働者雇用安定センターに対し、センターの労働者が港運業界へ円滑に再就職できるよう、港運業界と密接な連絡調整を行うべき旨の指導、四番目、港湾運送以外の業種に就職を希望する労働者に対する相談援助及び円滑な職業紹介の実施等の施策を講ずることによりまして、離職を余儀なくされる労働者の再就職の促進と雇用の確保に努めてまいりたい、こう考えております。
○松本(惟)委員 大変ありがとうございました。 法案に則して細かい点も伺わせていただきました。 時間が参りましたので、終わりにいたします。
○赤松委員長 大森猛君。
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。 今大臣から答弁があったばかりの問題から入りたいと思うんです。これは差し迫った大変な問題であろうかと思うんですが、十二年前に、港湾における波動性に対処し、同時に雇用の安定に寄与するという目的で行われた港湾労働センターにおける派遣業務が、今まさに終了、廃止をされようとしているわけであります。今いろいろ答弁があったわけなんですが、この実態がどうなっているか、私も現場の労働者の方にお聞きをしてみました。 今回の審議前に、港湾労働センターの労働者の処遇について労使が既に合意をしたという答弁もありましたけれども、センター労働者派遣事業の廃止がこの法の改定以前に行われることになっているわけであります。 そこで、それぞれの同僚委員からも質問がありましたように、本当に雇用が保障されるのかという点での不安はなお尽きない。先ほどありました労使間の確認書の中では、あるいは大臣の答弁にもありましたように、再就職を希望する者についてはこの四月三十日までの間にあっせんをするとか、安定協会はもとより業界挙げて求人の確保に努力する、こういうぐあいになっているわけなんです。実際、一昨日、私は横浜に住んでおりますから、横浜の労使による再就職あっせん、いわゆる労働者と事業者との集団のいわばお見合いのようなものが行われたわけなんですが、しかし、一昨日やられたその場で一人として再就職が決まった者がない。対象労働者四十人のうち、再就職を希望する十数人が会場に来られたわけなんですが、事業者の方は、横浜港では二百から三百社あるわけなんですが、そのうちわずか二十数社。しかも、労働者が希望したような事業者はどこも来ていない。中には、最初から、私どもでは採用する枠はありませんというようなことを公言する事業者、あるいは目的を知らないで参加をしている事業者もあったというような状況なわけですね。ですから、まともなあっせんの場にはならないで早々に終わってしまった、こういう状況。実際に参加された労働者の側は、やはりやめるしかないんだろうかというような気持ちを持たれたというわけですね。 先ほど来繰り返し大臣も原稿を読まれているわけでありますけれども、しかし、そういう言葉とは全く裏腹の実態が今現に、ついおとといもそういう状況が進んでいるんだということなんですが、そういう実態については、労働省の方は報告なりあるいはみずから掌握される努力をされているでしょうか。
○牧野国務大臣 御指摘の、安定センターの労働者派遣業務を廃止する、こういうことにつきまして、労使関係で一応の話し合いがつきまして法律案を出したわけですが、仕事をやめられる方々の再就職の問題、これは私どもも一番気にいたしているところでございまして、先ほどからいろいろ御説明いたしておりますように、ある程度の補助金の交付等々考えておりますが、これらのことはともかくとして、いずれにしても、再就職していただけるということが私どもの一番大きな願いでありますから、今御指摘のように、いろいろな形で交渉し、就職あっせんをさせていただいておりますが、さらに、先生の御趣旨、私も本当に再就職をきちっとしていただきたいというのが願いでございますので、そういう意味においては最大の努力をさせていただきたい、こう思っております。
○大森委員 十二年前に新たに導入されたセンターにおける派遣業務、それを今回、国の政策の変更の中で離職を余儀なくされるということですから、言葉だけじゃなくて、一人残らず希望どおり就職できるように、大臣として全責任を持つという中身のある御答弁をぜひお願いしたいと思います。
○牧野国務大臣 労働省の責任というのは、労働者の皆さんの雇用が安定されるということでございまして、そういう点では、今全省を挙げて先生のおっしゃるような方向で最大の努力をさせていただいておる、こういうことでございます。
○大森委員 このセンターの業務の一つとして、この間訓練等もあったわけなんですが、そういうものが本当に十分であったかというような検証もされなくてはなりませんし、今回、再就職に当たって、新たに訓練等も含む業務の充実、そういうものをぜひ進めていただきたい、このように思います。 今回の港湾労働法改正は、言うまでもなく港湾運送事業法改正とかかわっているわけであります。港湾運送事業法の改正は、特定港湾における事業の参入規制あるいは運賃・料金規制の緩和であるわけですが、これはもうかねてから私ども指摘をしておりますように、港湾において、今その利用者の圧倒的な多数が大企業である、一方で運送事業者は圧倒的に中小零細業者である、そういう中で、今でも運賃のダンピング、料金のダンピングなどが行われている。私も横浜港には再三再四調査に入りましたけれども、日常茶飯事そういう話を聞くわけであります。これは当然、利用者である大企業から言われたらやはり従わざるを得ない、これはもう戦前からダンピングが押しつけられる状況があるわけであります。 今回、需給調整を廃止をするあるいは緩和する、こういうことが一層競争を激化させて、ダンピングなどが一層強められる、一層はびこることになるんじゃないかという懸念が、これは当事者ならずともだれしも予想をされるわけであります。そうなれば、中小事業者の経営困難あるいは労働者の雇用破壊、労働条件切り下げにつながっていくということが予想をされるわけでありますが、この点、運輸省はどのようにお考えになるか。そうじゃないんだ、大丈夫だということであれば、根拠を示してお答えをいただきたいと思います。
○高橋政府参考人 お答えいたします。 今回の港湾運送事業法の改正の趣旨、背景を申し上げながらお答え申し上げたいと思いますけれども、港湾運送事業は、御案内のとおり、海陸の結節点でございますし、貨物の船舶の積み込み等で、我が国の経済活動や国民生活を維持していく上で極めて重要な役割を果たしているというふうに認識しております。 一方、近年、各国の港湾間におきまして国際的な競争が進展するというのも事実でございます。コンテナの取扱量などにおきまして、我が国の港湾の東南アジアにおける相対的地位というのが大きく低下をしているということも事実でございまして、その原因の一つとして、我が国の港湾運送事業者間の競争が行われにくいということ、それから船会社、荷主のニーズに合ったようなサービスが提供されにくくなっているという点が指摘されているところでございます。 今後、我が国の港湾が東アジアの主要港に伍して将来にわたって効率的な物流サービスを提供していくためには、海上輸送の主流をなしているコンテナの貨物などの積みおろしにつきまして、一層の効率化、サービスの向上を求められているというふうに考えております。 こういったような状況を踏まえまして、コンテナ荷役につきまして大宗を占める主要九港につきまして、需給調整を廃止して、免許制を許可制に改める、それから、運賃・料金につきましては、認可制を届け出制に改めるなどの規制の見直しを行うわけでございます。これによりまして、事業者間の競争を促進して、事業の効率化や多様なサービスの提供を図ることとするものであります。 しかし、この規制緩和を行うに当たりまして、港湾事業の言うならば過去の歴史、そういったものを踏まえながら、港湾運送が競争の激化によって混乱するということがないように、あるいは労働者に過剰なしわ寄せが行かないように、そういったことの安定化策といったものが大事だと考えておりまして、そのためには、過度の運賃ダンピングといったことに対して料金変更命令制度を設けたりとか、あるいは、規制緩和の行われる港につきましては、ダンピングが行われるという状況でありますならば、緊急監査というものを行いまして、実態を調べまして必要な指導を行うということによって安定化に対する配慮に努めてまいりたい、このような考え方でおります。
○大森委員 これまでの本日の委員会での議論の中でも、労働省の側でいえば、申告制度の適用とかあるいは立入検査等もあったわけでありますが、今の運輸省の監査あるいは変更命令制度、本当にそれが行政の上で有効な発動をされているのかということが、これは非常に重大な問題になると思うのですね。 例えば、今、変更命令がありました。私も、運賃ダンピングの問題では、実際に伝票等を見せていただいたり、違う委員会でありますけれども、この問題を取り上げたことがあります。非常にこれは深刻な問題であるわけなんです。それで、変更命令を出されるということなんですが、しかし、これは同様の規定が貨物自動車運送事業法でトラック事業者についてはあるわけですが、それでは、このトラック事業者について、トラック事業についてもダンピングが大きな問題になっていることはもう周知の事実であるわけですが、変更命令を出されたことが過去あるでしょうか。
○高橋政府参考人 私、道路運送を所管しておりませんので、事実については申し上げられない立場にございますが、数は多くないように漏れ承っております。
○大森委員 所管が違うわけなんですが、過去十年間一度も発動されていないということであります。したがって、そういうものが本当にこういうダンピングを阻止する上で有効な手だてになるかという点は、極めて大きな疑問があるわけであります。 同時に、今回運送事業法の規制緩和を提案された背景、理由を御説明があったわけでありますけれども、大きな枠組みの問題として、この間の大きな流れをやはり見ておかなくてはいけないと思います。 この間、いわゆる事前協議をめぐる日米協議、あるいは制裁課徴金の問題、港湾荷役問題日米協議、そういう中で事前協議制あるいは免許制緩和の覚書が交わされるという、アメリカ側からの我が国への労使慣行あるいは国内法へのさまざまな要求、介入があったのは事実であると思うのです。こういうアメリカの要請、要求をやはり優先して、そのもとでこうした今回の政策が導入されているのじゃないかということを指摘しなくてはならないと思います。 同時に、今効率化を言われたわけでありますけれども、港湾運送において本当に効率化を言うのであれば、全体の枠組みの問題、全国の港湾の建設、管理、ばらまき整備などとも言われているような、全国に港湾をたくさんつくって、結局、個々の港で見れば貨物の取扱量が減少する、少なくさせられる、そういう問題を見なくてはならない。つまり総合的な、建設、管理を含めた物流政策の検討が必要じゃないかと思うのです。雇用の安定あるいは雇用秩序を図る上でも、そのことを抜きにこれは考えられないのじゃないか、このことを強く感ずるわけであります。 その問題を棚上げにして、少なくなっている個々の港でのみ効率化を追求すれば、当然のように中小運送事業者あるいは労働者にしわ寄せが行くことに必ずなるということじゃないか、そういう関係じゃないかと思いますが、運輸省の方、どうでしょうか。
○高橋政府参考人 先生、たくさんの前提をお話しされましたけれども、一番最後にお話しされました、今回の九つの港に関して規制緩和することの点についてお答え申し上げたいと思います。 九つの港というのは我が国の大宗貨物でありますコンテナ輸送の主要港でございまして、九つの港で我が国のコンテナの九五%を扱っております。この九五%を扱っている港が東南アジアの各港と厳しい競争関係にあるということでありまして、我が国港湾が将来にわたって東南アジアの港に伍して生き残っていくためには、やはり打ちかつための体力をつけなければいけないということが大きな課題でございます。 その意味で、競争による活力をこの港に導入して、何とか日本の港が将来に向かって立派なサービスをしていただけるという方に向かって規制を見直そうという趣旨でございますので、その中でいろいろと痛みもあろうかと思いますけれども、関係者の御努力でもって新しく乗り切っていただければというふうに考えているところでございます。
○大森委員 競争が激化する、痛みもあるだろうがというような正直な御答弁だったのですが、運輸政策審議会海上交通部会の答申でも、「今般の規制緩和の結果、港湾運送事業者間の競争が激化すると、全体のコストに占める労働コストの割合が非常に高いため、価格競争の結果が労働コストにしわ寄せされやすく、港湾運送事業者は常傭労働者に代えて日雇労働者への依存を強める可能性が高まる。この結果、労働関係が不安定化するとともに、再び日雇労働者の労務供給を業とする悪質事業者の参入を招くおそれが生じてくる。」こういうぐあいに規定しておる。これは本当にそのとおりだと思うのですね。土台がこういうことになっている中で、この点を明確にしないまま、幾ら港湾における労働行政をしっかりしようとしてもそれは効果がない、こういうことになると思うのです。 先ほど局長がおっしゃったような防止策の一つとして、労働者保有基準の一・五倍の引き上げなども打ち出されているわけですが、それについても、ではそれがこういう日雇い労働者の雇用等を優先するその歯どめに本当になり得るのかという点が問題なわけなんです。 そこで具体的にお聞きしたいのですが、保有基準引き上げを満たせない企業というのは今どのぐらいあるでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えいたします。 現在把握しております数字で申し上げますと、先生御地元でございます京浜港で申し上げますと、二百六十一事業者がございますけれども、その約三分の二、百六十七がそのままでは引き上げ後の労働者保有基準を満たさないことになるわけでありますが、これにつきましては、新たに労働者を雇用するということもございますが、今私どもが考えておりますのは、共同作業などを行う協同組合に加入していただくならば他の事業者の労働者も自分の労働者にカウントすることができますので、それによって事業規模を大きくしていただくことによって基準をクリアしていただくということで、この基準のクリアの問題について対応していきたいと思っておりますし、またそのように指導していきたいと思っております。
○大森委員 特に、港湾荷役事業者の場合、京浜の場合でいいますと、百三十七社のうち百六社、七七・四%、約八割が引き上げ後の労働者最低保有基準を満たすことができないという状況なわけですね。こういう事業者が、では新たに労働者を基準を満たすために雇用できるかという力も、恐らくこれは、私も今回の調査の中で多くの事業者の方のお話も聞きましたけれども、もう切り詰めるだけ切り詰めているという中で、八割の事業者が基準を満たすことができない、結局弱い事業者はやめるかあるいは大きいところに吸収されるか、それしかない。そこでまた新たな雇用の不安定というものが生まれてくるのではないかと思います。 こういう点で、改めて私は、今こういう効率化を言うのであれば、ばらまき港湾整備、そういう根本をやはり見直す必要がある、このことを強く要求しておきたいと思います。 次に、十二年前に現行の港湾労働法がスタートをしたわけでありますけれども、改めて現行の港湾労働法について、その改正の理由、それからこの十年間の評価について、労働省の見解をお聞きしたいと思います。
○渡邊政府参考人 現行の港湾労働法は昭和六十三年に制定されたものでございます。港湾運送におきましては、業務の波動性が大変強いということで、自社労働力だけではどうしても需要に対応できないということですから、企業外労働力に頼らざるを得ない事情というものがあり、また、港湾運送が急速に近代化をしていく中で、仮に企業外に労働力を求める場合にも、その労働者というのは一定の技能、技術を備えた人が必要である、こういった観点から、現行の港湾労働法は港湾労働安定センターというものを設置いたしまして、ここにおける常用労働者の訓練等をしながら港湾業務の波動性に対応する、こういう仕組みをつくったというふうに理解をしております。 この法律の目的はそういったことで、もともと港湾運送業務が常用労働者によって担われることが望ましいという精神に立っていたと思いますが、先ほど御議論もありましたが、現在、港湾運送事業はその大部分が常用労働者によって担われておりまして、ごく一部がセンター労働あるいは日雇い労働によって行われているということでありますから、この法律は所期の目的を達成しつつあるというふうに考えております。
○大森委員 今回の改正によって、これも先ほど来の質疑の中にありますけれども、新たな雇用不安が拡大するのじゃないかという懸念を多くの方が持っておられると思うのです。 今回の改正によって、港湾労働者の勤務形態はどうなるのか、労働条件は改善をされるのか。先ほど運送事業法との関係で申し上げた荷主からの事業者へのサービスの強制、こういうものによって労働条件が悪化する懸念があるわけなんですが、その点はいかがでしょうか。
○渡邊政府参考人 今回の改正におきましては、新しい派遣制度におきます派遣労働を求めまして、どうしてもそれで需要に応じられないというときに初めて日雇い労働者で対応するという仕組みにしているわけでございます。 また、雇用管理者というものを各港湾運送事業主が選任することになっておりますが、その雇用管理者の業務に今回新たに労働時間等労働環境に関する業務というものを省令でもって追加するということを予定しております。 また、この派遣制度でございますが、その派遣料金や派遣日数については一定の基準を労働大臣が定めるということにしておりますゆえに、対象になります派遣労働者につきましても、これは安全等の観点から、通常従事している業務以外には派遣をしてはいけないという縛りをかける、こういったことにしているわけでありまして、この新しい派遣制度によって労働条件が低下することがないように努力しているところであります。
○大森委員 雇用秩序の不安定化という点で、先ほど人つきリースの問題がありました。これは先ほど件数も御報告がありましたけれども、重ねて、件数を今どのように掌握されているか、お聞きをしたいと思います。
○渡邊政府参考人 いわゆる人つきリースの問題でございますが、小型フォークリフトの人つきリースの借り受け台数について見ますと、平成四年度には月平均で延べ一万六百八十台でありましたが、平成十一年度には月平均で述べ三千三百四十七台にまで縮減をしてきております。
○大森委員 先ほど指摘もあったように、この人つきリースというのは違法性がある。請負事業ということであれば港湾運送事業法第四条違反、それから派遣労働ということであればこれは労働者派遣法の同じく第四条違反になると思うのですが、この点はそれぞれ調査はされたのでしょうか。
○渡邊政府参考人 この人つきリースの問題は、長い間いろいろと問題の指摘もされてきている問題でありまして、今御指摘のありましたように、派遣の問題あるいは港湾運送事業の免許の問題、こういった点からの問題があるわけであります。労働省としましても、従来から実態を把握しまして、これを削減するという指導を長い間続けてきておるわけでございまして、なかなか一挙にというわけにはいきませんけれども、最近では関係都県に具体的な縮小計画も作成させるということにしておりまして、先ほど述べたような縮小を見ておりますが、さらに努力を続けたい、傾注したいと思います。
○大森委員 運輸省の方はいかがですか。
○高橋政府参考人 港湾労働の場合には、下請の問題が大変大きな課題であることは承知しております。この点につきましても、港湾運送法に従って適切な下請が行われるよう、監査等の場面を通じてしっかり監督してまいりたいと思っております。
○大森委員 これはれっきとした法律違反でして、運送事業法の場合でいえば、第四条に「違反して港湾運送事業を営んだ者は、三十万円以下の罰金に処する。」と明確にあるわけですね。それが全部相当するかどうかは別として、かつては一万件を超え、今なお三千件を超えているわけです。派遣法違反は、これはもっと罪が重くて、第五十九条で、四条違反で「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」ということになっているわけですね。単に調査するだけではなくて、明確に違反であるというものについてはこういう罰則を科していく、そういう手続やら措置はなぜとられなかったのでしょう。
○渡邊政府参考人 労働行政といたしましては、この人つきリースの問題につきましては、できるだけフォークリフトは自分で所有する、あるいはこれを利用しないということで、従来系統的に指導を続けてきたということでありまして、さらにその努力を続けたい、強化したいと考えているところであります。
○大森委員 雇用秩序のそういう不安定化という意見に対して、先ほど来、申告制度の導入とかそういうことをいろいろ言われているけれども、本当に体制上それが伴うのか、それとのかかわりでそれが実効性あるのかという点を問題にしているわけで、あえてこういう意見を申し上げたわけでありますけれども、これもお話があったパトロールの問題、実際にパトロールに当たっておられる方のお話も聞きました。この問題でも、とにかくわずか二、三人で週二、三回、しかも一回で一社がせいぜいだろうという状況で、本牧の埠頭から川崎の一番端まで、広い範囲をやっておられるわけですね。ですから、実際、調査に入っても、パトロールに行っても、ハッチの中に入ることができない、そんなことをやっていたらとても調査ができないというような状況なわけですね。 ですから、特に労働大臣にお願いをしたいわけなのですが、こういう雇用不安が拡大する、雇用秩序が破壊されるのではないかという懸念の中で、本当にそういう申告制度あるいはパトロール体制を実効あるものにするためには、今のままではまずだめだということは、これははっきりしておる。そういう点で、こういうパトロール隊あるいは申告制度を設けるための、そういう体制の強化ということを、ぜひこれは大臣の口から、質問通告はしていませんでしたけれども、御答弁をいただきたいと思います。
○牧野国務大臣 今回の改正の趣旨は、一つの港湾ごとに港湾業者と労働組合が一体になって、しかも安定センターが中心になって、お互いに労働力の過不足を融通し合う、こういう大きい構成ででき上がっているわけですから、今御指摘のパトロールだとかあるいは申告だとか、従業員が訴え出てもいいですよ、そこまでしておるわけですから、今先生が御心配になるようなことは、労使一体化して、しかもそれでお互いに融通し合うという機構ですから、特別の、一つの形態と申しますか、そのような形ですから、私どももちろん、法律をつくり、実行する以上はきちっといたしますが、先生が御心配になるようなことは基本的にはないのかな、こういう感じがいたしています。
○大森委員 質疑時間、持ち時間がなくなりましたので終わりますけれども、大臣、それは大変甘い認識だと思います。これはもう当委員会でも、職安行政は人が足らない、増員してほしいという請願を全会一致で採択しました。そういう中で、なおかつ港における職安は、とてもそういう手が回らないというのが率直な今の現状であります。 ぜひ一度、認識を深める意味でも、横浜港でもどこの港でもいいですが、大臣自身ごらんいただきたいと思います。このことを要求して、私の質問を終わります。
○赤松委員長 畠山健治郎君。
○畠山委員 港湾事業の秩序の維持並びにこれに働く労働者の権利保護という観点から、幾つかお尋ねをいたしたいというふうに思います。 まず、本案作成過程の問題でございます。 八八年の港湾法審議の際、衆参ともに、港湾労働者雇用安定センターの運営については、関係労働組合の意見が十分に反映されるものとなるよう指導をすること、こういう決議が付されておりますことは御案内のとおりかと存じます。ところが、本案作成過程では、中央職業安定審議会専門調査委員港湾労働部会において、労働者代表委員からは多くの否定的な意見が提出されております。中でも、本案の核心部分ともいうべき港湾労働者雇用安定センターの労働者派遣事業の廃止に関しては、港湾労働安定協会理事会の採択は無効との意見書が提出されております。しかも、港湾労働に従事する労働組合からは、これまでの港湾労働部会の審議内容と法改正とは内容を大きく異にしているばかりか、たった一日の審議で承認を求めたとして、その非を強く訴える声が聞かれておるわけであります。 このような異論にもかかわらず本案が提出されたことは、さきの附帯決議はもちろん、安定的な労働関係の確保を求めた改革委員会の意見にも反するのではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○渡邊政府参考人 ただいま委員御指摘がありましたように、新しい派遣制度の創設の具体的なイメージあるいは現行の港湾労働安定センターの存続の問題、こういうことについて、議論の過程の中でいろいろな御議論もありましたし、また、先ほどの御議論にありましたが、私どもの提案しました素案についても、その後検討する中でこれをまた改定するというようないろいろな過程がありましたが、最終的には、関係審議会の審議を経て今般の法案を取りまとめたものでございます。
○畠山委員 肝心なことを、附帯決議の中で、ちゃんと尊重しなさいと。しかも、中身からすると、一日の審議でどんと出してくる。この過程が大事だと言っているのです。どうしてそんなことをなさるのですかと聞いているのです。
○渡邊政府参考人 この問題は、ただいま申し上げましたように、いろいろな問題点は確かにありまして、いろいろな議論も出されたところでございます。また、審議会の運営についても労働側委員からいろいろと御意見も出されまして、私どもも、審議会を再度開催するというふうなことをしまして意見の集約を図ってまいりました。
○畠山委員 とても納得はできません。時間もございませんから先へ進みますが、本案は十月からの施行であるにもかかわらず、安定協会は四月いっぱいで派遣事業の停止、労働者解雇を打ち出すなど、安定的な労使関係の確保とはとても思えません。その点、ただいまの答弁では納得するわけにはまいりません。 再度、お尋ねをいたしますが、まだ半年もあるにもかかわらず、なぜ今月いっぱいで雇用を打ち切らなければならないのか。事は法改正に起因するものであり、一体、労働省は業界をどう指導してきたのか、お伺いをいたします。
○渡邊政府参考人 この港湾労働安定センターの廃止の問題ですが、労使交渉の結果、この月末をもって廃止するということになったわけでございまして、この問題については、国がいつ付でということを申したことは一切ございません。法律上は施行日は十月一日というふうに予定しておりまして、その時点でもって切りかえるということを法律上は想定しておりますが、これは労使の話し合いの中でそういう合意を見たというふうに承知をしております。
○畠山委員 労使の話し合いと言いますけれども、労働省の定めた特定法人がやっておることですから、うちらは関係ありませんよ、労使の問題ですよ、これでは言い逃れだというふうに言わざるを得ないのです。その点、もう一度答えてください。
○渡邊政府参考人 ただいま申し上げましたように、法案上は、この法律の施行日は本年の十月一日というふうにしているわけでありまして、その間の安定センターの存続について私ども特に関係労使に申し上げたことはございません。この間、いろいろと労使の中で存続そのものあるいは条件等について話し合いが随分と重ねられ、先ほど申し上げたような結論に至ったというふうに私どもは聞いております。
○畠山委員 労使問題というふうに片づけるわけにはいかぬでしょう、労働省が定めた特定法人によってやられておるわけですから。しかも、法の改正によって起こる問題ですから、それを何にも答えていない、残念ながらそう言わざるを得ないというふうに思います。 先へ進みます。 港湾運送事業法改正で、これまでの港湾運送事業は、免許制から許可制に、あるいは料金認可制は届け出制にそれぞれ緩和されるということになるわけでありますが、保有労働者数を一・五倍の約三百人と義務づけることで、果たしてどれぐらいの新規参入があると見ているのですか。運輸省にお尋ねをいたします。
○高橋政府参考人 お答えいたします。 今度の港湾運送事業法の改正によりまして、一般港湾運送事業につきまして、参入が免許制から許可制に変わるということでもって事業への参入が容易になるわけでありますが、一方、今回の法改正にあわせまして、先生御指摘の、労働者最低保有基準を引き上げることにしております。 これはねらいが二つございまして、専ら日雇い労働者を使用して港湾事業を営むような悪質事業者、この参入をこの際防止したいということ、もう一つは、事業規模の拡大をしていただくことによって事業の効率化を図りたいという二つの目的でございます。 一・五倍ということになるものですから、それにつきまして措置を考えておりまして、事業者が事業協同組合に加入する場合には、協同組合内の他の事業者の労働者を自己の労働者にカウントするという措置を講じたいと思っておりまして、この措置によれば、労働者最低保有基準の引き上げをいたしましても、事業協同組合に加入していただくことによってこれはクリアできますので、新規参入に悪影響を与えることはないのではないかと考えているところでございます。
○畠山委員 実際には予測しがたい問題であろうかと思いますが、私なりに今の答弁を理解すれば、つまり港湾運送事業の特殊性からすれば新規参入はないに等しいというふうに理解していいと私自身解釈をしたいというふうに思うのです。 とすれば、港湾運送事業の規制緩和に関する昨年六月十日の運政審海上部会答申に言う事業の効率化は、こと事業主間競争という点では余り期待できないのではないだろうかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答えいたします。 新規参入の形は、これから規制緩和がされましたならばいろいろな転換があろうかと思っておりますが、いずれにいたしましても、事業者同士による切磋琢磨によりまして効率化が進むというふうになろうかと思いまして、港湾運送全体の効率化に対する貢献につながっていくのではないかと期待しているところでございます。
○畠山委員 むしろ、競争激化よりも、実際に生ずる競争は、下限規制はあるとはいえ、労働者の賃金切り下げ競争であり、その結果生ずるのは、そうした競争のできる比較的規模の大きい事業主による寡占化の系列化となるのではないだろうかと思っても仕方がないというふうに思うのです。 そうなった場合、部会答申で危惧する労働関係の不安定化、雇用不安、労働争議となり、かえって港湾運送事業の全体的効率化は損なわれるのではないだろうかというふうに考えます。労働省並びに運輸省からの見解を求めます。
○渡邊政府参考人 港湾労働法におきましては、派遣制度による派遣を受け入れる、そういう努力をしてなお受け入れられないときに初めて日雇い労働者を雇っていい、こういうことを義務規定として規定しているわけでありますし、今般は、それぞれ現に事業を行っておられる運送事業に現に雇用されている常用労働者、この相互活用を図るというものでありまして、例えば、賃金の面におきましても、通常の使用者から派遣先に行って賃金が急にダウンするというふうなことはちょっと想定しにくいところでありますし、また、管理者の仕事の中にも、先ほども申し上げましたが、労働時間等労働環境に関する業務というものをその仕事として追加するというふうなことも規定しているわけであります。 こういったことによりまして、労働条件の維持ということについては法律上も歯どめをかけているというふうに考えております。
○高橋政府参考人 お答えいたします。 規制緩和の結果、先生たしか御指摘のように、非常に競争が厳しくなることは事実だろうと思います。ただ、これが、過度のダンピングでありますとか、労働者に過度のしわ寄せになるということによりまして港湾運送が全体的に混乱するということは避けていかなければいけないというふうに思っております。 そのための措置としまして、料金の問題でございますけれども、過度のダンピングが行われた場合に、届け出料金につきましては変更命令をかけるという制度を設けております。それから、規制緩和を行う港につきまして、現に行われている料金水準が低下しているという場合がございましたならば、緊急監査というのを行うというふうに今度いたしておりまして、この制度によりまして、実態を調べた上で必要な指導をしてまいりたい、こう思っているところでございます。 それから、先生、競争の結果大企業が優位になる、中小企業が厳しくなるだろうという御指摘がございました。 これにつきましては、中小企業の方々につきましては、競争に打ちかっていただく、体力をつけていただくという意味も込めまして、船会社、荷主のニーズに合ったサービスの提供を図るために集約、協業化もお願いをするということで、事業協同組合などの推進をこれから進めていきたいと思っております。それによって中小企業の方々の企業体力が強化されて、港の新しい姿と申しますか、港の効率性が高まるように、むしろ参加していただけるというふうに期待いたしているところでございます。
○畠山委員 経済が上向きと言われる反面、失業率は四・九%と雇用なき成長が労働市場を覆う傾向が見られるとき、港湾運送事業の安定的発展を図るには、社会的スタビライザーが制度的に必要ではないのか。 そうした観点からすれば、港湾労働者雇用安定センターの派遣事業の廃止は、国による制度的スタビライザーの放棄ではないのか、こう言わざるを得ないというふうに思いますが、いかがでしょう。
○渡邊政府参考人 港湾労働安定センターにおきます派遣業務というものは、従来の日雇い労働市場から常用市場へ切りかえるという点で大変大きい役割を果たしてきたというふうに考えております。ただ、技能、技術の向上あるいは人数の量的な面の供給、そういった点で大変な困難に逢着してきたというのが現状の姿であったと思います。そういったことにかんがみて、今般、新しい派遣制度を創設するということでございます。 いろいろな状況を踏まえて今般の改正ということでございますが、先ほどから出ております港湾労働センターに現におられました労働者の雇用につきましては、国としてももちろん大変大きい責任があるわけでありますから、これに対する七億円の助成金も措置をする、あるいは港湾運送以外に就職される方については最大限職業紹介、職業相談に応じる、こういったことで国としての責務を果たしたいと思っているところであります。
○畠山委員 では、お尋ねしますが、労働省は、これまで雇用安定センターを十分活用してきたと言えるんですか、そう言わざるを得ないと思います。 例えば、港湾労働に占める雇用安定センター労働者の割合は、八九年からこの十年間、〇・七%から〇・三%と一%以下で推移している反面、日雇い労働者の割合はほぼ一%台を占めているのではありませんか。しかも、センター労働者の技術アップのための技能訓練に至っては皆無に近い状況であります。常用労働者による港湾事業が港湾労働法の目的であるにもかかわらず、実態はまさしく逆。しかも、貨物運送のコンテナ化、荷役作業の機械化等、運送改革の進展を言いながら技術アップについては皆無では、安定センターはこれまで何のために設けられてきたのか。 制度のスタビライザーたる雇用安定センターの活用には目を向けず、国際間競争の激化に備えて、これは理由にならないはずであろうと思いますが、いかがでしょう。
○渡邊政府参考人 港湾運送事業が常用労働者によって担われるべきであるということの大きい目的の一つは、そういった方たちに系統的な職業訓練を行いまして、港湾運送の近代化、機械化に対応できるようにするということでありました。 そういったことから、港湾労働安定センターの労働者につきましても就労機会を拡大するといったような観点から、玉掛けやフォークリフトの運転免許、こういったことを中心にしまして資格の取得を促進してきたところであります。 ただ、この方たちはどうしても、派遣労働でございますから、例えば日にちによって作業をする職務の内容も変わってくるというようなことで、なかなかOJT等による職業能力のアップも難しい、こういったことが現実の問題としては確かにありました。そういったことから需要と供給とのマッチングが難しいこともあってなかなか需要も伸びない、センター労働者の数も、発足当時三百数十名であったものが現在では百三十名になった、こういうふうな推移を見てきたわけでありまして、大変残念ながら、こういった現状にかんがみて、新しい制度の策定も想定せざるを得ない、こういったことがあったかと思います。
○畠山委員 雇用安定センターによる派遣をやめ、あっせん、苦情処理として、これを通じて事業主間で労働者を派遣し合う本案の制度は派遣事業法とどう両立するのか、法制度上おかしいのではないだろうかと言わざるを得ないと思うんです。いかがでしょう。
○渡邊政府参考人 労働者派遣法におきましては、御案内のように港湾運送事業における派遣業務を禁止しております。 その理由は、この業界におきましてかつて第三者による労働市場への不当な介入等が行われた、そういったことにかんがみまして、目下現行法では港湾における派遣労働を禁止しているわけであります。 ただ、六大港におきましては、従来から港湾労働安定センターによる派遣労働が港湾労働法によって特別の制度として認められてまいりました。今般、その仕組みを大幅に変更して六大港における新しい派遣制度を設けようというもので、もちろん労働者派遣法の特別法になるわけでありますが、ただ、派遣労働法で港湾労働における派遣を禁止していると先ほど申しましたような趣旨にかんがみまして、今般の六大港における派遣というものはそういった弊害が絶対に生じないように、そういった枠組みとして、新しい仕組みとしてつくっておるわけであります。 例えば、派遣を目的とする業者の参入は認めない、つまり登録型派遣のようなものをすることは一切認めないということで、例えば現に事業を行っている方が現に常用労働者として雇用する方だけを派遣の対象にするとか、料金や派遣日数についても労働大臣の定める基準に適合するようにするとか、同一港湾の中だけでしか派遣を認めないとか、そういったかなり厳しい規制監督をかけながら派遣労働制度をつくっていくということで、一般的に派遣労働が禁止されている趣旨にかんがみて、そういった弊害が生じないような仕組みとして今回はつくるということにしているわけであります。
○畠山委員 事業主が相互に派遣し合う新たな制度において、一元的な派遣を担保するための雇用安定センターの実効性をどのように確保するのか、よく見えない。また、その場合、常用労働者のみの派遣という前提によって港湾労働者の雇用維持などは間違いなく確保されるのかどうか、これもまだ極めて不確定だと言わざるを得ないというふうに思いますが、いかがでしょう。
○渡邊政府参考人 港湾におきます先ほど申したような問題点もあることを考えますと、私どもといたしましても、この新しい派遣制度のもとにおいてもこれが的確に行われる、第三者による不当な介入等が行われないようにすることが必要であるということは十分考えておりまして、立案の過程におきましても、必ず港湾労働センターを通すということを法律上の義務にするという案についても随分と検討いたしました。 しかし、関係方面といろいろと折衝する中で、契約の締結について必ず第三者の手を経なければいけない、いわば代理制度、委任制度というものを法律上の義務として課するということは立法上としてもなかなか例もないというふうなことで、法律上これを義務として課するということは実現しなかったわけであります。 ただ、そうは申しましても、先ほど申しましたようなことからいいますと、やはり準公的な機関がこの派遣に関与するということは絶対に必要だというふうに思っておりまして、今後、例えば港湾安定計画等におきまして、港湾労働安定センターの使用についての労働大臣による指導、こういったものを必ず書き込みたいというふうに思っておりますし、それに基づいた指導も行っていきたいというふうに思っております。
○畠山委員 そこのところがしっかりと担保されなければ何の意味もない、そう言わざるを得ないというふうに思いますので、しっかりやっていただきたいというふうに思います。 次に、先ほども指摘いたしましたように、日雇い労働者が恒常的に一定割合を占めている現状からすれば、事業主の偽装常用派遣ということは十分想定できます。そうした場合、日本港湾協会の自主ルールへの対応や労働者の識別方策について、予算措置も含めてどのような指導、チェック体制を講ずるのか、お伺いをいたします。
○渡邊政府参考人 いわゆる偽装常用があるのではないかという指摘は従来からもあるところでありまして、この点につきましては、現行制度でも公共職業安定所長の発行します写真つき身分証明書であります港湾労働者証を発行しておりますし、港湾によってはそのコピーしたものをヘルメットに貼付するというような工夫をしている港湾もあるところでございます。 今後、どういった制度がいいのか、関係者の意見を十分聞きながら検討していきたいと思います。
○畠山委員 いずれにしても、現在でもそのような現実の問題が起こっているわけですから、これから法を改正して、常用以外は使わないという建前で法律改正をやっているわけですから、ここの識別がしっかりしないというようなことは大変な問題を起こしますことは容易に想像できるわけであります。ここのところをしっかりとやっていただきたいし、同時に、どういう方策をとったのかというようなことはやはり国会に報告をしていただきたいとあえて申し上げておきたいというふうに思います。 それから、本案四十三条に言う常雇用労働者に係る事業主の義務は、あくまでも同一港湾の港湾労働者派遣が優先して行われるべきもので、日雇い労働者の使用はこれによって排除されるべきものと考えますけれども、そう理解してよろしいですか、確認をいたします。
○渡邊政府参考人 港湾事業主におきましては、まず派遣労働を活用し、どうしてもそれが利用できないときに初めて安定所紹介による日雇いを雇い入れるという仕組みになっております。
○畠山委員 くどいようでございますけれども、これもしっかりとチェックをしなければ大変な問題を醸し出すわけでありますから、しっかりと対応していただきたい、こう申し上げておきたいというふうに思います。 次に、雇用安定センターの派遣事業の廃止によって約百三十名の労働者が解雇されます。民間事業所ならいざ知らず、事は指定法人の労働者であり、判例を超えた、法改正に起因する解雇であります。 そこで、まずお尋ねをいたしますが、これら労働者の解雇並びに再就職条件など労使関係の状況、また民間事業主との職業あっせんの進捗状況等について、現在の姿で結構でございますからお知らせをいただきます。
○渡邊政府参考人 港湾労働者雇用安定センターの労働者の雇用の確保の問題でありますが、労使交渉の結果、港湾事業に再就職を希望する方につきましては、港運業界を挙げてそのあっせんに努力をするということになっているわけでありまして、いろいろと問題もあるという御指摘もありましたが、現在そういった努力がなされているというふうに聞いております。 現在時点では、百二十九名の労働者中、再就職を希望する方は二十三名というふうに承知をしておりますが、港湾外の就職も含めてまだ具体的に再就職が決まった方はいないというふうに聞いております。
○畠山委員 百二十九名中二十三名が転職希望、確定ではないというふうなお話でございますが。そうしますと、大方の方々がおやめになるということになりますよね、今の状況からすれば。そうなりますと、当然のことながら、非自発的な退職ということになりますよね。と同時に、それに対する雇用保険等々の対応もしっかりとってもらわなきゃいけないというふうに思うんですが、その辺の考え方をお聞かせいただきます。
○渡邊政府参考人 今般退職される方につきましては退職金の上積みを行うということでございまして、国としてもこれに対する助成措置を講じております。 また、今おっしゃいました雇用保険の制度によります再就職支援につきましても、例えば、事業主が再就職先を探してきて、失業なき労働移動をするというときには雇用についての賃金助成の制度もあることでありますから、こういった制度ももちろん十分に活用したいと思います。
○畠山委員 ここの部分について一言大臣にお尋ねをしておきたいというふうに思います。 先ほど大森さんにもお答えをしておったようでありますが、こういう雇用困難な、就職困難な状況下にあるわけでありますから、先ほど大臣は私じゃなくて省を挙げてやりますというふうな元気なお話がありました、このことをもう一度確認したいというふうに思います。
○牧野国務大臣 先生御承知のとおり、雇用問題に関する基本的なセーフティーネット、これはきちっとしておきませんといけませんし、さらに、新たな雇用をつくる、そこに入っていかれる労働者の皆さんにはその時代に必要な技術の研修だとかそういうものをぜひ持っていただきたい、こういうことで現在の厳しい雇用状態に対して今全力を挙げているわけでありまして、まさに労働省というのはそのためにある役所だ、こう考えております。 港湾労働者の皆さん、特にセンターにお勤めの皆さんにも、新たな職場を求められるということについては大変な御苦労があると思います。そういう点で、技術講習だとか、私どもが今やっておりますいろいろな制度を十二分に御利用なさっていただかなきゃなりませんし、そういうことにつきましても御相談に応じてベストを尽くさせていただきたい、こう考えております。
○畠山委員 通告を申し上げております最後の問題でありますから、締めくくりとして大臣にお伺いをいたします。 今回の解雇は判例にのっとって行われるものではなくて、くどいようでありますが、法改正に起因するものである以上、労働者の雇用の保障責任はまずもって労働省にあるはずであります。したがって、民間任せとはならないはずでありまして、労働省の自覚と責任ある答弁をお聞きしたいというふうに思うんです。 さらに重ねて申し上げますれば、これに伴う解雇、再就職の決着状況などは労働省は当然フォローアップしなければならないと思っております。そしてまた、その後始末の問題についても、当委員会にしかるべき報告をするのが当然かというふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○牧野国務大臣 先ほどの先生の御質疑にお答えいたしましたとおり、労働省を挙げて、ぜひ、再就職されるよう、いわゆる解雇だとかいう形で問題が処理されることは私どもも願っておりませんので、先ほども申しましたとおり、いろいろな措置を講じてベストを尽くさせていただきたい、こう考えております。
○畠山委員 時間になりました。終わります。ありがとうございました。
○赤松委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○赤松委員長 これより討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。寺前巖君。
○寺前委員 私は、日本共産党を代表して、港湾労働法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 反対理由の第一は、二十四時間三百六十五日稼働の港湾サービスを実施するには、従来のばらまき港湾整備をやめ、国際航路は中枢国際港湾を中心に貨物を集めて効率的な港湾運営を行うことが必要不可欠であります。 現在、港湾の過剰整備により、個々の港では三百六十五日稼働させるだけの貨物取扱量がありません。港湾運送事業の効率化を検討するには、港湾の建設、管理も含めた総合的物流政策の検討が必要であるにもかかわらず、政府においてこの点の検討がなされていません。 どのように港湾建設、管理運営を効率化するのか、二十四時間三百六十五日稼働のために必要な三交代勤務の労働条件を確立するのか、そのコストをだれが負担するのかを明確にしないままの二十四時間三百六十五日稼働体制の確立は、労働者の労働条件切り下げによって大手船社、荷主の負担軽減を図ろうとするものであります。港湾運送事業の認可料金から届け出料金への規制緩和により、今でも運賃ダンピングがなされていますのに、それを一層激化させ、労働者の雇用破壊、労働条件切り下げを生み出すことは必至であります。 反対理由の第二は、このような総合的物流政策の展望のないまま、港湾の過剰整備の結果、貨物取扱量に対して過剰になった港湾労働者を新たに導入する派遣労働に従事させようとしていますが、このことで問題が解決するものではありません。それどころか、常用労働者の極限までの人減らしの結果、派遣労働による相互融通は困難となり、それを理由に低賃金、劣悪な労働条件の日雇い労働者への依存を一層強めかねません。現に、コスト削減のため、日雇い労働者への依存が強まっています。港湾に新たな派遣制度を導入することは、この展望のない行き当たりばったりの政策の結果を港湾労働者に押しつけるものであります。 最後に、この法案は港湾労働者雇用安定センター派遣業務の廃止を決めていますが、既に法成立以前からこのセンターが派遣業務を廃止するなど、法律に基づく役割を放棄しております。政府は、労働大臣の指定法人に対し、必要な措置を行うのではなく、事実上放置し、センター雇用労働者の雇用を不安にさらし、センター廃止に伴う雇用の維持等の対策に責任を持って当たるものとはなっていないことであります。 以上述べましたように、今回の法改悪は、センターの派遣業務を廃止し、かわって事業者間の労働者の相互融通を合法化し、同時に、相互融通が機能しなければ、港湾労働でより劣悪な労働条件の日雇い労働を一層拡大することになります。このことは、港湾常用労働者自身の労働条件の低下を招くものであります。 港湾労働の労働条件の維持改善には、事前協議制を含む産業別労使協議制の確立と、現行港湾労働法による労働秩序維持の機能が十分発揮されてこなかったことに対し十分な検討を行うとともに、その改善を行うことにより港湾労働の安定を確立することを要求して、反対討論を終わります。
○赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○赤松委員長 これより採決に入ります。 港湾労働法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○赤松委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○赤松委員長 この際、本案に対し、穂積良行君外七名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、保守党、自由党、社会民主党・市民連合並びに土屋品子君及び藤波孝生君の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。松本惟子君。
○松本(惟)委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 港湾労働法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。 一 港湾労働者派遣制度の適正な運営を図るため、港湾運送事業者が労働者派遣を求める場合には港湾労働者雇用安定センターにあっせんを求めることとするよう指導するとともに、同センターの運営については関係労使の意見が十分に反映されたものとなるように指導すること。 二 港湾運送事業者が企業常用労働者以外の労働者を使用しないよう指導すること。 三 本法施行後の実績、港湾運送事業の規制緩和の実施状況等を勘案し、本法の適用港湾の拡大に努めること。 四 港湾労働者派遣制度の導入及び日曜荷役・夜間荷役の推進に伴い、労働時間が増大しないよう雇用管理の適正化を図るとともに、港湾運送事業者が協力して労働安全衛生対策を講じるなど、労働環境の整備に努めること。 五 港湾労働者雇用安定センターの労働者派遣業務の廃止に伴い、同センターが雇用する派遣労働者の雇用の確保に努めること。 六 ILO第百三十七号条約(港湾における新しい荷役方法の社会的影響に関する条約)及び第百五十二号条約(港湾労働における職業上の安全及び衛生に関する条約)について、港湾における荷役作業の実態等を踏まえ、その批准について検討を行うこと。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○赤松委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。牧野労働大臣。
○牧野国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存でございます。 —————————————
○赤松委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○赤松委員長 次に、内閣提出、会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案並びに日野市朗君外四名提出、企業組織の再編における労働者の保護に関する法律案及び大森猛君外一名提出、企業組織の再編を行う事業主に雇用される労働者の保護に関する法律案の各案を一括して議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。牧野労働大臣。 ————————————— 会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○牧野国務大臣 ただいま議題となりました会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 この法律案は、会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ会社分割の制度を創設するため、今国会に提出された商法等の一部を改正する法律案に合わせ、これと一体のものとして、会社の分割に伴う労働契約の承継等について商法の特例等を定めることにより、労働者の保護を図ることを目的とするものであり、その概要は次のとおりであります。 第一に、分割をする会社は、分割によって設立する会社等に承継される営業に主として従事する労働者及びそれ以外の労働者であって労働契約を設立会社等に承継させる労働者に対し、事前に分割に関する情報を書面で通知しなければならないこととするとともに、労働協約を締結している労働組合にも同様に通知しなければならないこととしております。 第二に、労働契約の承継に係るルールを定めております。 その一として、設立会社等に承継される営業に主として従事する労働者の労働契約について分割計画書等に設立会社等が承継する旨の記載がある場合、分割の効力が生じたときに当該労働契約は設立会社等に承継されることとしております。 その二として、設立会社等に承継される営業に主として従事する労働者の労働契約について分割計画書等に設立会社等が承継する旨の記載がない場合、労働者は分割会社に対して異議を申し出ることができることとし、異議を申し出たときは、その労働契約は設立会社等に承継されることとしております。 その三として、設立会社等に承継される営業に従として従事する労働者の労働契約について分割計画書等に設立会社等が承継する旨の記載がある場合、労働者は分割会社に対して異議を申し出ることができることとし、異議を申し出たときは、その労働契約は設立会社等に承継されないこととしております。 第三に、分割会社と労働組合との間で締結されている労働協約について、労働組合の組合員である労働者に係る労働契約が設立会社等に承継されるときは、分割の効力が生じたときに、設立会社等と労働組合との間において同一の内容の労働協約が締結されたものとみなすことにしております。 また、労働条件その他の労働者の待遇に関する基準以外の部分について分割会社と労働組合との間で設立会社等に承継させる旨の合意があったときは、合意部分については分割計画書等の記載に従い設立会社等に承継されることといたしております。 第四に、労働大臣は、分割会社及び設立会社等が講ずべき労働契約及び労働協約の承継に関する措置に関し、必要な指針を定めることができることとしております。 なお、この法律は、商法等の一部を改正する法律の施行の日から施行することとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○赤松委員長 城島正光君。 ————————————— 企業組織の再編における労働者の保護に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○城島議員 ただいま議題となりました企業組織の再編における労働者の保護に関する法律案につきまして、提出者を代表して、その提案理由及び内容について御説明申し上げます。 経済のグローバル化が進む中、純粋持ち株会社の解禁や産業活力再生特別措置法の制定など一連の立法が行われ、政府は、企業組織の再編を容易にするための施策を講じてきております。 殊に、産業活力再生特別措置法案の審議においては、企業組織の再編における労働者保護に係る問題が繰り返し取り上げられ、衆参両院の附帯決議において「労働関係上の問題への対応について、法的措置も含め検討を行うこと。」としております。 にもかかわらず、政府は、会社分割制度を創設するための商法の一部改正案に合わせ、ようやく会社分割に伴う労働契約承継法案を提出した次第であります。しかし、その内容は、会社分割に特定した労働契約承継法でしかなく、数多くの裁判で争われている営業譲渡あるいは合併については、何ら法的措置が講じられておりません。また、会社分割に関しても、企業組織の再編を理由とする解雇の禁止、労働契約承継の不同意権、労働組合あるいは過半数労働者との事前協議の規定はなされておらず、政府案は、労働者保護について極めて不十分であると言わざるを得ません。 また、企業組織の再編の際に労働契約が自動的に承継されることを法律上の効果として保障した規定が整備されているヨーロッパのEU指令と比較すれば、政府案の不備は明確であり、これを整備することが今国会における最も重要な課題の一つであると考えます。 そこで、民主党は、企業組織の再編に係る企業の社会的責任を明確にする必要があるとの観点から、会社分割のみでなく、営業譲渡、合併にも対応して、労働契約、労働協約などの承継を規定するとともに、国が、事業主に対しても適切な承継を図るため助成等の措置を講ずることなど、労働者の保護を図ることを目的とする法律案を提出した次第であります。 この法律案の主な内容は次のとおりであります。 第一に、この法律の目的は、政府案のように会社の分割に限らず、企業の合併、営業の譲渡、分割による企業組織の再編に際して、労働者の雇用や労働条件の保護を図ることとしております。 第二に、事業主は、企業組織の再編を理由として労働者を解雇してはならないこととしております。 第三に、企業組織の再編に際して、労働契約は原則として承継されるものとしております。合併と営業全部の譲渡の場合は、労働契約については新会社に包括的に承継されることとしております。ただし、労働者は新事業主との労働契約を解除できることとしております。その際、労働者が労働契約を解除して退職することとなっても、それは、事業主による企業の合併及び営業の全部譲渡がその理由であることから、事業主の都合による非自発的失業であると考えております。 また、営業の一部譲渡と分割の場合は、その営業の主たる従事者の労働契約は新会社に承継されることを原則としますが、その承継に同意しない労働者は旧会社に残れる余地を認めております。また、労働者が同意しないことを理由にして、事業主は解雇等の不利益な取り扱いをしてはならないこととしております。また、それを行った場合には罰則を科すことにしております。 第四に、新事業主は、企業組織の再編を理由として労働者の労働条件を不利益に変更することのないようにしなければならないとしております。 第五に、労働協約の承継についてでありますが、合併の場合は、承継労働者が組合員であるときは、労働協約は新会社にも承継されるものとしております。また、営業譲渡と分割の場合は、当該営業を譲り受けた事業主等は、当該労働組合と旧事業主との間において締結されていた労働協約と同一の内容の労働協約を締結したものとしております。 第六に、新事業主は、旧事業主が労働者との間に労使協議機関を設置していた場合は、設置するように努めなければならないこととしております。 第七に、事業主は、企業組織の再編を行おうとするときは、あらかじめ、その雇用する労働者の過半数で組織する労働組合がある場合は労働組合、労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と協議をしなければならないこととしております。その際、事業主は、労働条件に関する情報や労働者の保護に関する必要な情報を提供しなければならないこととしております。 第八に、労働者からの申告についてであります。事業主がこの法律やこれに基づく命令に違反する事実がある場合に、労働者はその事実を都道府県労働局長、労働基準監督署長、労働基準監督官に申告できるようにいたしました。また、事業主が、その申告をしたことを理由に解雇その他の不利益取り扱いをしてはならないこととし、それを行った場合は罰則を科すことにいたしております。 第九に、国は、企業組織の再編に際して、労働契約の適切な承継を図るために、事業主に助成その他必要な援助等の措置を講ずるとともに、労働者の能力の開発及び向上を促進するための措置を講ずるものとしております。 以上、この法律案の提案理由及び内容につきまして御説明申し上げました。 何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○赤松委員長 大森猛君。 ————————————— 企業組織の再編を行う事業主に雇用される労働者の保護に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○大森議員 ただいま議題となりました企業組織の再編を行う事業主に雇用される労働者の保護に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 現在の雇用情勢は、政府の経済失政による大不況と大企業を中心とするリストラの横行で、戦後最悪の状態が続いています。特に最近では、銀行に見られるように合併による大規模人減らし、営業譲渡、分社化に伴うリストラの強行が横行し、小渕内閣以来、株式交換・移転制度を内容とする商法改正、産業活力再生法、そして今国会に提出されている会社分割法と、法制面でもその支援策が強められ、労働者の雇用はかつてない重大な危機にさらされています。 既にヨーロッパにおいては、こうした企業組織の再編から労働者の既得権を守るための法制が整備されてきておりますが、我が国においては、ほとんど野放しというのが実情であります。我が国においても、雇用を守るルールの確立を求める広範な世論があるにもかかわらず、政府は、今般、商法改正による会社分割を法制化するに当たって、その場合に限った労働契約承継を内容とする法律案を提出したにすぎません。しかも、その内容を子細に検討すれば、分割を容易に行うため、主要な労働者の民法六百二十五条に基づく異議申し立ての余地を完全になくすための法整備という性格のものであり、到底労働者保護の名に値するものではありません。 本法律案は、こうした企業組織の再編から労働者の雇用と労働条件を守ろうとするものであります。したがいまして、第一に、労働者が保護される企業組織の再編の範囲を、合併、営業譲渡・譲受及び今回政府から提出されております分割等といたしております。 第二に、こうした企業組織再編を理由とした解雇を禁止する措置を講じました。さらに、企業組織再編後の企業経営上の負担をあらかじめ軽減することを目的とした解雇も禁止することといたしております。実際には、後者の例が多いことにかんがみ、この措置は、解雇制限措置を実効あるものにする上で不可欠であると考えます。 第三に、労働契約の承継について、本人同意を原則とした承継を基本にしながら詳細な労働者の雇用に関する権利保護を定めました。 合併の場合には、合併に当たって合併消滅事業主に雇用される労働者の労働契約は合併存続事業主にすべて継承されること、この場合、同意のない労働者は合併存続事業主との労働契約を解除できることとしております。 分割の場合にも、労働契約の承継について本人同意を前提としております。したがって、分割計画書に記載された労働者は労働契約を承継されますが、同意しない労働者の労働契約は承継されることはありません。この点が、政府の労働契約承継法案とは根本的に異なる部分であります。当然、承継されないことについても異議申し立て権が保障されていることは言うまでもありません。 営業譲渡の場合にも、合併の場合と同様の権利を確保しております。 こうして、労働者の雇用を守り、民法六百二十五条で確立されている本人同意原則を疑問の余地なく明らかにすることが可能になるでしょう。 第四に、これら企業組織の変更を行おうとする場合には、事業主は、労働者に対し労働契約の承継等必要な事項を通知しなければならないこととしました。 第五に、企業組織変更後一年間の労働条件の不利益変更を禁止しました。 第六に、労働協約について、労使の間で承継について合意のあった部分すべて、承継について合意がない場合には企業組織再編後の企業労使においてそれまでの労働協約が締結されたものとみなすことといたしました。 第七に、企業組織の再編を行おうとするときは、あらかじめ過半数労働組合もしくは過半数代表者との間で事前協議を義務づけております。 第八に、企業組織再編に際して、再編後の企業において少数労働組合の権利を確保するために、承継労働者の労働条件の主張の機会の確保措置を明記しました。 第九に、労働契約及び労働協約の承継、労働条件の不利益変更の制限その他労働者の権利確保のために労働大臣が指針を定め、労働者保護のために必要な指導助言をできることとしています。 第十に、本法律またはこれに基づく命令違反の事実があるときは、労働者から都道府県労働局長、労働基準監督署長または労働基準監督官に申告できる旨定め、本法律の実効を確保しております。申告したことによる不利益取り扱いの禁止は言うまでもありません。 以上が法律案の主な内容であります。日本共産党は、本法案以外にも、本院に、解雇規制法案及びサービス残業根絶特別措置法案の二法案を提出しておりますが、本法案とあわせ施行されることになれば、先進諸国と比べ我が国に決定的に欠けている雇用に関するルールが確立し、リストラから雇用を守るだけでなく、雇用拡大にも資することは間違いありません。 以上、本法律案の提案理由及び内容につきまして御説明申し上げました。 何とぞ、御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○赤松委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十六分散会