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147回国会衆議院2000/03/29

労働委員会 第6号

発言数
72
登壇者
9
会派数
4
開催日
2000/03/29

会議録

赤松広隆民主党

○赤松委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  本日は、両案審査のため、参考人として、日本経営者団体連盟常務理事荒川春君、日本労働組合総連合会総合労働局長松浦清春君、労働運動総合研究所常任理事草島和幸君及び中小労組政策ネットワーク共同代表中岡基明君、以上四名の方々に御出席をいただきました。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。  次に、議事の順序について申し上げます。  御意見は、荒川参考人、松浦参考人、草島参考人、中岡参考人の順序で、お一人十五分程度お述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えいただきたいと存じます。  念のため申し上げますが、発言する際にはその都度委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対し質疑することはできませんので、あらかじめ御了承を願いたいと存じます。  それでは、荒川参考人からお願いいたします。

荒川春日本経営者団体常務理事

○荒川参考人 私は、日本経営者団体連盟、日経連常務理事の荒川春と申します。  本日、衆議院労働委員会におきまして、雇用保険法改正案並びに高年齢者雇用安定法改正案につきまして、参考人の意見を述べる機会をいただきまして、大変感謝を申し上げる次第であります。  さて、我が国の雇用情勢、御案内のとおり、一九九九年、平成十一年の平均数字で、諸指標を見てみますと、完全失業率は四・五%、完全失業者数は三百十七万人、有効求人倍率は〇・四八倍、雇用者数も前年の伸びを下回る、あるいは雇用保険の受給者実人員が百万人を超える、このように見られますように、当面大変厳しい情勢が続いております。いましばらくの間は予断を許さない状況が続くものと見なければならないと思います。  この状況につきましては、経済活動が展開されております中では、失業は自発的、非自発的なものが組み合わさりながら発生するということにつきましては、これを回避するのはなかなか難しい状況にもあります。さらに、今日的には、雇用を取り巻く状況が、グローバル化の進展による競争激化、それに伴います産業自体の再編成を余儀なくされている点、あるいは働く側の意識の変化によります労働移動の増加など、いわゆる構造的と申す大きな変化があり、その中で、今日あります雇用の大変厳しい状況感が生まれてきている。そして、今後もしばらくの間は楽観視できない、こういうものではないかなと思います。  そのベースにあります構造的な変化に対しまして、将来にわたりまして持続可能なセーフティーネットというものの整備がどうしても必要であるということは、私どもは率先して認識するところであります。今後は特に再挑戦できる社会づくり、これが求められておりまして、セーフティーネットとしての雇用保険の役割はますます重要であると認識いたします。さらに、これをしっかりとしたものにしておくことが、雇用面での安心感を与えることによりまして社会が安定をし、そして消費活動活性化にも寄与するもの、そういうベースのものになる大切な機構であると思うわけでございます。  今回の雇用保険改正法案につきましては、保険財政悪化の要因からして、保険料や国庫負担の暫定引き下げあるいは一時的な受給者増、こういうものからして改正を、そして、そのつじつま合わせのためにというふうなものとして取り組むというものではないだろう。むしろ、雇用保険そのものの構造が、経済社会が構造変化を余儀なくされている中で、雇用保険そのものの給付体系が基礎的に、基本的に制度創設時のままずっと続いている。その手つかずのままにある中で、例えば保険料の引き上げ、国庫負担の引き上げといったようなものをとり行おうではないかという考えにつきましては、私どもは問題ありという形で反対をしてきました。  例えば、被保険者で見ますと四%の方々が六十歳以上層になるわけでございますが、受給額では三分の一を超えるという実態があります。これは、今日的には、保険を支払うという立場からいたしますと、違和感を禁じ得ないところであります。  雇用保険というのは、労使が連帯して失業者を支え合うという連帯制度であります、共済制度であります。それも強制的に適用されるというところもありまして、やはり保険を払う側、もらう側、さらには労働側、使用者側含めまして、関係者の信認を得られるものにしていくことがどうしても必要になってきております。  雇用保険の基本は、突発的な保険事故に対して給付を行うところにあります。あくまでも掛け捨てでございます。このことを念頭に置きますと、現行の給付体系というのは年齢のみで就職の困難度、給付日数等が評価されるものになっていますが、年齢は幾つかあるうちの要素の一つと考慮されるべきでないかと思います。  以上の観点から、現行の給付日数体系を抜本的に見直し、真に必要な者に必要な給付がなされるように再編成すべきである。この意味で、あらかじめ離職が予見できるかどうかに着目した給付体系への見直し、いわゆる中高年齢者の退職あるいは不幸にして解雇等への給付の重点化を図るという今回の改正は極めて妥当なものと考えるものであり、賛成するものであります。  もとより、このようなことがあったからといいまして、経営側としては、働く者へのいわゆるリストラクチャリングが正当化されるなどとは考えておりません。むしろ雇用というものは経営の責任の一端であり、大きなものである、こういう認識で日経連を含めます活動を続けておるところでございます。また、労使によりまして雇用安定宣言も昨年十月出したところでありまして、雇用を維持し拡大するというのが第一義であるということは変わらないところであります。  そのほか、雇用保険制度の改正につきまして、今般の制度改正におきましては、給付日数体系以外でも、法律改正によらないものも含めまして幾つかの見直しが行われることとされております。いずれも雇用を取り巻く状況変化に対応したものとして一定の評価をしてまいりたいと思います。  負担面の見直しについてであります。  使用者側としては、保険料負担がふえるとしても、従来の原則千分の十一におさまるようにすることを強く求めてまいりました。しかしながら、今般、雇用を取り巻く状況変化に対応した給付面での見直しが適切にされるということ、また国庫負担も原則に戻すという中で、先ほど申しましたように、セーフティーネットとしての雇用保険の安定運営を確実なものにするためには、結果的にはもう一ポイント引き上げ、千分の十二が不可欠であるということで、今般の雇用保険料負担の引き上げについてはやむを得ないものと受けとめたところであります。  今般の国庫負担を原則四分の一に戻す判断につきましては、現在の国家財政が大変厳しい中で妥当な判断であると言えるところであります。雇用保険財政の悪化に対しまして、給付も見直さず、国庫負担の増だけで対処してはどうかというような意見につきましては、中央職業安定審議会の中で解決済みである、整理済みであると認識しております。  すなわち、国庫負担といえども、税金という形で最終的には労使が多くの負担をしているものであります。失業と雇用とは表裏一体であり、雇用が経済活動の派生的な需要であるとすれば、その雇用需要を派生させる源になる経済活動の活性化あるいは積極的な雇用対策にこそ活用すべきではないかと考えるところであります。  次に、高年齢者雇用安定法改正案についてであります。  私ども経営者側は、定年引き上げや継続雇用制度の導入を法律で強制することは適切でないし、反対であるという一貫した立場をとっております。  六十歳代前半層における雇用確保のあり方につきましては、定年引き上げ等さまざまな対応が求められていることは十分承知をしておりますが、賃金、人事処遇制度の総合的な見直しが不可欠でありまして、基本的には労使間の話し合いにゆだねるべきであろうかと思います。ことし春の労使交渉におかれましても、本問題についての労使の真摯な取り組みがなされ、動きがあったことは御案内のとおりであります。あのような動きを私どもとしては一番のあり方だと信じているところであります。したがって、高年齢者雇用対策の手法として、個々の企業の努力に対して行政が支援する枠組みについて推進されるべきだと思います。  助成措置についてでありますが、厳しい経済情勢のもとで雇用延長を進めるには、段階的に取り組まなければなりません。労使間でなされるさまざまな創意工夫、今たくさん出ておりますが、その創意工夫に対しまして的確に対応でき、効率的な助成制度が運営されることを期待するものであります。また、高年齢者雇用の状況は刻々変化いたします。機動的な見直しも不可欠になってまいります。  雇用延長を実質的に進展させるためには、高齢期前からの職業生活あるいは計画的な能力開発につきましての働く皆さんの主体的な取り組みも非常に大切な要素であることは間違いないところであります。また、それを期待していかなければならないと思います。  中高年齢者に対する再就職援助のあり方であります。  再就職援助計画が実質的に効果あるものとするためには、個々の企業の事情に応じた内容とする必要があり、企業の自主性を尊重する必要があろうかと思います。作成手続につきましては個別作成方式をとりますが、事業主の過度の負担にならないよう十分な配慮をお願いしたいところであります。新設されます助成制度につきましても、効果的かつ効率的な運用を求めるところであります。  高齢者の多様な雇用就業ニーズにつきましては、民間労働力需給調整機関の果たす役割はますます大きくなると思います。そのためにも、改正労働者派遣法の的確な運用を求めるとともに、高齢者につきましては、派遣業務や派遣期間の点につきまして、特例の検討も含めまして、どうか検討に入っていただきたいというのが私どもの願いであります。  雇用以外の就業ニーズへのきめ細かな対応も今回の改正法案の中に盛り込まれております。シルバー人材センターの機能強化あるいは高齢者の起業支援等も今後一層重要になることが見込まれます。政府としての的確な対応を期待していきたいと思います。  いずれにいたしましても、両法案につきまして、この国会におきまして十分な御審議をいただきまして成立をいただきますよう、私どもも期待をしております。  どうもありがとうございました。(拍手)

赤松広隆民主党

○赤松委員長 ありがとうございました。  次に、松浦参考人、お願いいたします。

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 おはようございます。  私は、日本労働組合総連合会の松浦と申します。  本日は、勤労者の生活安定に極めて大きなかかわりを持ちます雇用保険制度の改正について審議されるこの労働委員会にお招きをいただきまして、意見発表させていただく機会をいただきましたことに対しまして、まず御礼を申し上げたいと思います。  あわせて、私は、今回の制度改定が、雇用労働者にとって最後の安全ネットであります、この制度を安定的に維持していくためにぎりぎりやむを得ない措置をとられるということで、これについては制度安定という立場で賛成をする、そういった立場で私の意見を申し述べたい、このように思うわけであります。  したがいまして、以下、そういう立場で幾つかにわたって要望と御意見を明らかにしたいと思います。  まず一つは、御存じのとおり、今回の制度改正は、バブル経済の崩壊以降長期に低迷をしております不況の中で、ますます厳しさを加えております世界市場競争に打ち勝つためと称して企業が進めております産業、企業構造の改革あるいは転換、すなわちリストラによる人減らしによる失業の増大と、あわせまして、こうした対処ができなかった企業の倒産による失業など、失業者と失業給付者の急増、失業給付期間が長期化をしているということなどによって雇用保険財政がパンクするとの問題に対処するための措置でございます。いわば、この制度改定に当たりまして、労働省が主管をいたします中央職業安定審議会における審議におきましても、そういった判断に基づいて労使がぎりぎりの対処を余儀なくされた、こういう内容であるわけでございます。  特に本日申し上げたいのは、労働側といたしましては、現在取り組んでおります春の賃金引き上げ交渉にもあらわれていますように、ここ二、三年、低成長下におきまして労働者の賃金引き上げ額は千円にも満たないという実情の中で、今回の制度改定によりますと、平均的な労働者で一カ月に八百円、年間約一万円の雇用保険料の負担増になるわけでございます。また、失業者が急増しているということから失業給付要件の見直しがされるということになっておりまして、特に、定年退職を含めた非自発的離職者の給付日数が大幅に削減されたということでございます。  もちろん、これは突発的な失業に対処する保険制度でございますから、定年退職者というのは枠外という使用者側の主張も理解はしたいというふうに考えましたものの、お手元に高齢者雇用安定法の参考資料として出されております表を差し上げておりますが、いわば、これからますます高齢化が進んでいく、そして、二ページ目にございますように、高齢者、六十歳代の失業率が極めて高いという実情のもとで、定年後も真に働きたいという人の職場がない、あわせて失業給付期間についても短縮されるということになりますと、たちまち生活に貧窮するわけでございまして、そういった大きなリスクを承知の上で、あえて、雇用保険制度を安定的に維持していきたいという立場でこれに対処したということについて、まず御理解をいただきたい。  そうした判断のもとに、以下、要望について三点ほど申し上げたいと思います。  まず一つは、高年齢者の雇用安定、生活の維持についてでございます。  御存じのとおり、公的年金につきましては、二〇〇一年四月以降その支給開始年齢が引き上げられることはもう既に決定をされております。もちろん、中職審におきます審議過程で、使用者側委員あるいは公益側委員が発言をされましたように、六十歳で定年となられる人の中には非常に裕福な人が多いということでありまして、失業保険を受給して海外旅行をされているというような意見も中職審において出てきたわけでございます。  確かに、そういった六十歳定年でハッピーリタイアの人もおられるということについては承知をいたしているわけでございますけれども、先ほども説明しましたように、人生八十年時代の今日、六十歳で定年となって二十年間を余生というには余りにも長い期間でございますし、高齢化が進む中で、六十歳以降の労働力を有効に生かして、分母の中に入れて各種の社会保障システムを充実、安定化させていくということも、絶対に不可欠の要件であるわけであります。  しかしながら、御案内のとおり、六十歳以降あるいは中高年以降の職場というのは極めて限られているという実情にあるわけでございまして、そうした実情を踏まえていただいて、ぜひひとつ、同時に改正をされようといたしております高齢者雇用安定法の関係につきましては、労使が自主的に雇用を継続するという制度の支援策を含めて、できれば中小企業などにおきましては定年延長という制度を勘案しながら、これを確実なものにしていただきたいというのが第一点でございます。  六十歳定年者につきましては、あらかじめ引退の時期が明らかであるというのが自発的失業者群の中に入れるという理由でありますけれども、労使が折半で負担する保険料をこれ以上引き上げることの方の問題が大きいという判断から、私どもは、やむなしとして、六十歳以降の継続雇用制度の充実という問題を指摘いたしましたが、現状、六十歳以降の再就職については極めて難しい。  そういう実態から、私どもは労働者間の内部議論の中で、何とか、六十日間も削減をされる定年退職者の給付日数を、いわゆる激変緩和措置という形で、国庫補助によって例えば三十日間程度、暫定措置として一年間は保障する、そういった制度が考えられないかということも議論をしたわけでございます。  しかしながら、そうした移行措置、激変緩和措置をとることによりまして、現在の経営の厳しさを根拠にして六十歳以降の継続雇用制度に経営側が積極的に取り組まないという問題も生じるといった判断から、まずは、激変緩和措置を超えて、何としても六十歳以降の継続雇用、あるいは定年延長という制度を確実なものにしていただきたい、私どもそういった決断をしたということについてぜひこの委員会として十分に御理解をいただきたい、このように考えるわけであります。  二つ目は、失業給付要件についてでございます。  御案内のとおり、今回の改正は、自発的離職と非自発的離職を明確に区分し、従来の自発的離職者につきましては、給付の待期期間三カ月というものに加えまして、給付日数についても大幅に削減するということになっているわけでございます。  しかしながら、いかに非自発的失業者の四十五歳から六十歳未満の方の給付日数の引き上げという改定要件があったとはいいながら、自発的離職と非自発的失業者の間には大きな差が生じているわけでございますし、ハローワークの窓口におきましてどの方が自発的離職なのか、非自発的離職なのかということを確定するというのは、非常にたくさんのケースがありますだけに、そんなに容易なものではないというふうに判断をしているわけでございます。  したがいまして、自発的離職、非自発的離職の区分の明確化についても、ぜひこの委員会でしっかりと議論をいただいて、例えば、その区分けの基本的なあり方などについて情報公開をしていただいて、経営者の認識はもちろん、労働者にもそれが理解できるように、ぜひ取り計らいをいただきたい。  私どもは、この区分に関係いたしましてグレーゾーンが存在をするということを実に危惧をしているわけでございます。例えば、企業の希望退職募集に応じた場合、あるいは早期退職援助措置がある、あるいは早期退職優遇措置を企業が提案をした、これに応じた場合に、これはみずから退職を選んだのか企業のそういう施策に協力をしたのかということで極めて判断があいまいになる、このように判断をしているわけでございます。  これにつきましては、本人の申告を第一に、そして、非自発的あるいは自発的の区分については通達などで窓口に明確にする、こういうことになっておりますが、ぜひひとつ、こうしたグレーゾーンが残らないように、グレーゾーンの運用がそれぞれのハローワークの窓口によって差異が生じるということのないような取り扱いをお願いしたい、このように考えるわけであります。  最後に、雇用保険制度につきましては、労働者にとっては最後の安全ネットであります。政府による景気回復、失業状態の改善という措置はもちろんでありますけれども、今日の雇用構造が変化したという実情のもとで、早く、雇用創出、雇用安定施策というものに強力に取り組んでいただいて、失業の解消ということを実現していただきたい。  あわせて、この雇用保険制度につきまして、失業者がふえるあるいは失業給付の期間が長くなるということによってその財政が非常に不安定になるということで、その都度保険料率を改定するとかいうことについては非常に難しい問題であります。生活の根幹にかかわります。したがいまして、そうした非常事態というものを、一つの判断材料を明記していただいて、そうしたときには国庫補助を積極的に投入できるというような柔軟な財源対策について、この機会にぜひひとつ確立をしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の意見とさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)

赤松広隆民主党

○赤松委員長 ありがとうございました。  次に、草島参考人、お願いいたします。

草島和幸労働運動総合研究所常任理事

○草島参考人 草島でございます。  審議されている二法案のうちの雇用保険法を中心にして、私の意見を申し述べたいと思います。  この法案の最も重要なポイントは二つあると考えます。  一つは、失業給付の削減をめぐる問題です。日本における唯一の失業中の労働者に対する生活保障の重大な後退になるというのが第一であります。第二が、雇用保険料率の引き上げであります。大量失業が長期化するもとで、これまで政府のとってきた無責任な雇用保険財政対策の結果が、結果的には労働者負担の増加に転嫁されるという事態だというふうに考えます。  したがって、私は、以下、本法案に反対するという立場から意見を申し上げてみたいと思います。  反対する理由の第一は、給付の削減についてであります。  九九年二月の労働力調査特別調査でも明らかなように、最近の失業は失業期間が長期化している、つまり、再就職の機会が遠のいているというのが現状だということは明らかであります。こういう事態のもとでは、本来ならば、現行の雇用保険法にもあるように、長期化する失業に対して雇用保険の失業給付における広域延長、全国延長などという措置をとるべきが妥当な施策だろうというふうに考えます。つまり、失業の長期化に伴う失業給付の期間を延ばして失業者の生活を維持するという責任があるべきだろうというふうに考えます。  これまでのこの法案の審議を通じて、給付の削減による財政効果は年間約五千億円というふうに言われています。つまり、それだけ給付が減少するという事態であるわけですけれども、失業者の生活をごく短期間のうちに収入ゼロの状態、大変窮地に追い込む施策だというふうに言わざるを得ないと思いますし、同時に、この年間五千億円余の給付の削減、さらには新たに財政対策としての保険料の引き上げということを合わせるならば、総額では一兆円規模のいわば消費支出のための財源が、この制度によって奪われていくということになるのではなかろうかというふうに考えます。消費低迷が景気回復の足を引っ張っているというのが最近の特徴でありますけれども、さらにこの雇用保険制度を通じて給付削減と負担増で一兆円規模の消費低迷の原因をつくるということは、どうしても納得のできない中身であろうというふうに思います。  あわせて、給付削減について、今回の法改正によって新たに離職理由別によって給付が格差をつけられるということでありますけれども、これは失業者に対する差別以外の何物でもないというふうに思います。  賃金、収入がゼロになるという失業を、自発的失業、非自発的失業ということで区分をする根拠はありません。賃金、収入がゼロになるということは、働いている労働者だれ一人、好んで選ぶ道ではないということは明らかであります。そういう点からするならば、社会保険という性格もあわせまして、保険システムにおける共通の保険事故、つまり失業という事態について、その保険事故の中身を根拠にして給付の格差をつけるということは、これまた保険システムにおける原則、保険原理の上から見ても許せない差別ではないかというふうに思われます。  同時に、この雇用保険法の前身である失業保険制度も含めて、日本では保険による失業給付というシステムが五十年以上も続いてきて今日まで至っております。この五十年間に離職理由別で給付に格差をつけるということは事実上ありませんでした。今回初めてやられる事態であります。  この自発的な離職の問題については、現在のところ、自己都合退職という名目でもって給付開始期間を三カ月延長するというペナルティー、給付制限がありますけれども、この例の場合をとってみても、今回の改正については極めてあいまいで不可解な内容が伴うというふうに思います。  給付まで三カ月の待期期間の設定については、労働者が企業を通じて手渡される離職票に記載されている離職理由、つまり自己都合退職という記載だけがそのまま通用するのではないということは既に明らかにされていることだろうと思います。労働省も、十九項目にわたって離職の正当理由ということを職安の窓口でもってただすという措置が行われております。しかし、今度の給付格差の問題については、給付期間の削減の問題については、これは省令事項ということにされておって、現在までのところ、その中身はよくわかりません。わからないけれども、省令という、いわば行政の裁量にゆだねてしまうということは、これは大変危険だというふうに言わざるを得ないと思います。  正当理由に関する十九項目がイコールこの非自発的離職の中身に入っていくなどということは私も考えませんけれども、若干性質が違うという側面もありますけれども、しかし、その権利救済にかかわる内容については、今回の給付格差導入に当たって、法律上はどこを見ても見当たらないという事態は、決して正当な法案の処理だというふうには言えないと思います。被保険者の保険の受給の権利、あるいは保険を支給するという政府管理の保険の支給の義務という両方から見ても、この事態は甚だ遺憾だというふうに言わざるを得ないと思います。  第二の理由について申し上げます。  保険財政のあり方についてでございますが、今度の法案では、雇用保険法の国庫負担の本則に戻るということにされております。これ自体は当然のことだと思います。  しかし、九二年度から国庫負担率を引き下げてきたことが現在も続いているわけですけれども、これが今日の雇用保険財政悪化の大きな要因の一つだということは明白だというふうに思います。とりわけ、年平均の完全失業率が三%、つまり雇用悪化の大台を超えた時点、九四年度からですけれども、それ以降に直ちに、三%の大台を超えた失業悪化の事態が急速に進むというときに、なぜ法律の本則に戻すという適切な措置がとられなかったのでしょうか。もしこの措置が失業率が三%を超えた時点から今日まで七年間本則に戻って継続されているとするならば、財政効果はほぼ一兆円規模でもって確保できたんじゃなかろうかというふうに私は推計するわけですけれども、これらについて、政府のこれまでの責任を明確にしていくべきであるし、何としてもこれは許しがたい財政運営の実態だというふうに考えます。  同時に、最近の雇用保険財政を含めて、年間の保険料収入が低下しているという現象をもう一つ注目しなければいけないと思います。  賃金比例でもって保険料が徴収される他の社会保険制度、厚生年金あるいは健康保険といったものが、軒並み収入の増加が抑制されるだけじゃなしに減少しているという事態と関連があると思います。これらの事態は、いわば雇用における構造的な変化を反映しているというふうに私は考えます。  例えば、九八年度の雇用保険の被保険者で見ていきますと、全体としての被保険者は前年に比べて十八万人減少しているというふうに言われますが、その内訳では、正規雇用の一般被保険者が二十六万人減少、パートタイマー等短時間労働者の被保険者は逆に九十万人増加しているという数字が既に発表されております。通常雇用、正規雇用の場合の労働者に比べて、非正規雇用、短時間労働者の収入はほぼ二分の一、論者によっては三分の一程度まで落ち込むというふうに言われていますが、つまり、高いクラスの賃金の労働者の総体の数が減って、低い賃金の被保険者の数がふえているという事態は、社会保険の財政運営においては長期にわたって重大な影響、マイナスの影響をもたらすというふうに思われます。  これらの事態については、企業の今三月期決算、間もなく行われると思いますけれども、一般的には減収増益に転換するだろうと言われております。企業の売り上げは落ちたけれども収益は伸びる、減収増益でしょうけれども、雇用保険を含む社会保険全体については、これは収益の増加どころではない、構造的、長期的なマイナス要因をつくっていく現状だというふうに思います。  この点については、雇用保険財政の上からだけではなしに、労働行政のあり方として、こういう大企業を中心にして行われる大規模なリストラ、そして雇用流動化と称する不安定雇用への置きかえ、こういう事態を労働行政の責任によって歯どめをかけるということを今からやっておかなければ、事態はますます悪化していくことになるのではないかというふうに思います。  ついでながら、申し上げておきます。こういう非正規雇用、パート等の雇用については、九四年、九六年、相次いでILOで二つの条約が採択されております。パート労働条約と家内労働条約と言われておりますけれども、この二つの条約の中身については、いわゆるオランダでやられているような方式を行うべきだというふうになっています。つまり、パートであろうと派遣であろうと、労働者の賃金の時間額については正規雇用の労働者に比例するという原則でなければならないというのが条約の基本であります。その条約を国会において早期に批准して、それに合わせた国内法の整備をしていくということが求められるのではないかというふうに私は考えます。  以上が理由でありますけれども、私は、この機会に、我が国の雇用失業情勢をめぐる問題について、さらに本法案との関連で御審議を深めていただきたいという要望を幾つか申し上げたいというふうに思います。  現在、資料が得られる直近の労働力調査は一月分ですけれども、完全失業者は三百九万人というふうにされております。しかし、この時期の雇用保険の失業給付の受給者は百十万人、実人員で百十万人いっていないのじゃないでしょうか、いったとしてもその程度。つまり、三百万人の完全失業者のうち、失業したことによって社会的な給付を受けられるというのは百万人程度、二百万人は全く何の生活の支援も受けられないという状態で推移しているのが現状であります。この二百万人の失業者についてこのまま放置してよろしいのかどうかということは、ぜひとも御審議を深めていただきたい今日の失業保障のあり方についての現状だろうというふうに思います。  これらについては、労働力調査では、非自発的離職百一万人、自発的離職百十七万人というふうになっておりますが、こういう形で雇用労働者であった二百数十万人の部分についてさえ雇用保険は事実上給付が行われていないという現状ということを考えてみるときに、雇用保険制度として問題があるのではなかろうかというふうに思います。多分、雇用保険の給付期間が切れて、無収入の状態でなおかつ必死で職探しをしている完全失業者が、前に雇用労働者であった人たちがたくさんいるということは、これでいいのかという一つの大きな問題だと思います。  もう一つ、学卒未就職者が、一月現在で十二万人いると言われています。もとより雇用保険の被保険者の対象外でありますから、このまま雇用保険の被保険者なんかには無関係だからいいんだというふうに言ってよろしいのでしょうか。昨年の三月現在における学卒未就職者の実数は三十万人というふうに報告されておりました。三十万にも及ぶ若者が、人生の門出で、職にもつけないで完全失業にカウントされているという実態は、これまた放置を許されない事態だろうと思います。同じ失業という事態に直面しているのに、自発的か非自発的か、そういう区分でもって格差をつけるだけじゃなしに、将来に夢と希望を持って人生の門出をスタートするという若い青年に対して何らの手当ても行われないで放置されているという現状は、失業保障制度としてはこれでよいかという根本的に問われる問題だというふうに思います。  二つ目に御審議を深めていただきたい問題ですけれども、こういう雇用保険給付の対象外とされている労働者あるいは失業者に対する対策として、もっと労働行政は現行法の積極的な活用を行うべきではないかという問題を提起したいと思います。  一つは、雇用対策法に関する施策の全面的な発動というふうになります。とりわけ、第三章の「求職者及び求人者に対する指導等」、第四章、「技能労働者の養成確保等」、第五章、「職業転換給付金」の諸条項についての積極的な活用であります。  もとより、これらの雇用対策法の施策については、財源は保険財源ではなくて国庫の一般財源であります。制度がありながら行政運営としてはほとんど活用されていないという事態が、先ほど言った学卒未就職者の問題、給付期間が切れてもなおかつ必死で無収入の状態で職探しをする労働者の多発という事態が放置される原因になっているのではないか。せっかくある救済手段について、もっと現行法を活用するということで御審議を深めていただきたいというふうに考えます。  三つ目の問題については、労働行政の現状についての改善の問題であります。  雇用保険の受給者に対する正当理由の判断は、職安の窓口における職安職員との失業者の話し合い、聞き取りによって大体判断されるということになっております。この職安職員の聞き取りが、失業者の数が多くなって、次から次にこなしていくというだけでは、心を痛め必死の思いで職探しをしている失業者に懇切に対応できるという余裕はありません。という点からするならば、これらの職安窓口における懇切な行き届いた対応が本来必要ではないかというふうに考えるところであります。こういう点から、もっともっと行政上の運用における判断を失業者の権利擁護という趣旨から考えていただきたいというふうに思います。  最後に、簡単に一つだけつけ加えます。  非自発的理由という概念の中で、セクハラされた女性の失業についてどう考えるんでしょうか。  関西の有力知事のあの露骨なセクハラについて、当初は全く知らぬ、存ぜぬ、うそつきだと言っていたのが、最後に追い詰められてああいう事態になりました。セクハラというのは、本来そういう性格を持つものですけれども、これが自発的理由で失業給付を制限されるという事態は、本来放置を許されない問題だろうと思います。十九項目の中にはそれらしきこともありますけれども、もっと明確に、これらの問題については、失業者の権利擁護のために、充実した内容、具体的な内容にしていただきたいということを申し上げて、私の意見といたします。(拍手)

赤松広隆民主党

○赤松委員長 ありがとうございました。  次に、中岡参考人、お願いいたします。

中岡基明中小労組政策ネットワーク共同代表

○中岡参考人 中小労組政策ネットワークで共同代表をしております中岡と申します。  本日は、中小労働者の声を聞いていただく機会をいただきまして、本当にありがとうございます。お礼を申し上げたいというふうに思います。  御承知のように、現在、雇用情勢は極めて深刻な高い失業率で推移をしている、あるいは有効求人倍率も〇・五倍を前後してという状況にあります。幾らか求人もふえているとはいいますものの、大手大企業の相次ぐリストラ、日々新聞で発表されるわけでありますけれども、その影響は、今後、関連企業にとどまらず、中小企業、零細企業あるいは小売企業を含めた町の破壊までも含めて波及し、倒産あるいはリストラ解雇が拡大することが予想される情勢にあると考えております。  雇用保険による失業給付は、職を失った労働者が最低の生活を維持し、安心して再就職を求める大きな糧となっております。  このたび審議されております改正案は大きく四項目の柱から成っていると考えております。第一の柱であります倒産、解雇などに伴って失業する中高年齢労働者の失業給付日数を引き上げるということに関しては私どもも評価をするものであります。一方、高齢者と自発的離職者とされる労働者に関しては、大幅な給付日数の引き下げということであります。そして、自発的離職者と非自発的離職者ということで選別をされるということであります。さらに、保険料率の引き上げという三つの改定作業が行われております。これらを全体的に見ますと、私には幾つかの問題点があると思われます。  大企業に勤め、正規に雇用されている労働者と中小零細企業で働く労働者、また、ここ数年の間に大きく増大をしておりますいわゆる非正規雇用と言われるパートタイマー、派遣労働者あるいはアルバイトなどの労働者、そして日系を含めて滞日労働者として働いている外国人労働者の問題があります。これら日本経済を下支えし、また日本労働者数の過半を占める人々、これらの人々と正規で働く大企業本工、いわゆる本工労働者と一くくりで考えるわけにはいかないのではないかというふうに考えております。  また一方、労働者の意見を反映する労働組合、これは私どもの努力不足ということもありますが、極めて組織率は低くなっております。中小零細と言われます三百人以下規模の職場にあっては、わずか一・四%にしかすぎません。労働組合として意見を反映する、そのような回路さえ持っていない多くの中小零細の未組織労働者がおるということをぜひともお考えをいただきたいというふうに思いますし、非正規労働者がそれ以上に組織化がおくれているというのが現状であります。  したがいまして、私は、中小零細企業に働く労働者あるいは失業を余儀なくされた労働者と日々語り合い、あるいは労働条件なり生活上の悩みについてさまざまな相談を受けている立場から、今回の雇用保険制度の改正案について、できるだけ生の意見を述べさせていただきたいというふうに思います。  多くの点について申し上げたいことがありますが、時間の関係もあり、以下四点に絞って意見を述べたいと思います。ぜひ御審議の中で反映させていただければ幸いに思います。  まず第一点は、六十歳定年労働者の取り扱いであります。  中小企業で働く労働者にとって、現在の経済状況にあって、再雇用制度の確立あるいは定年の延長を求めようとしても極めて困難な状況にあるということをぜひお考えをいただきたい。  昨今のリストラ計画を見ましても、人員削減の大きな柱として自然減ということを言います。すなわち、定年退職を織り込んだ計画となっております。結果、労働者が働く意欲と意思を持っており、雇用の継続を望んだとしても、定年ということで、いわば半強制的に職を失うことになります。高齢者の雇用促進がうたわれ、六十五歳定年制への指導も行われているところではありますけれども、現状、その成果は高齢者の雇用を保障するためには十分とは言えません。  また、六十歳を過ぎた高齢者に対する求人状況は依然として十人に一人あるいは十人に二人あるかどうかという現状にあり、就業の機会さえ奪われているところであります。したがって、六十歳定年を迎えることによって離職する場合、今回の改正案は現行制度に比して給付日数が百二十日から百八十日という大幅な引き下げになり、労働者に与える影響は甚大なものがあります。  あるいは、定年退職者を非自発的離職とみなした場合においてさえ、現行より最大百二十日、これは五年以上十年未満、掛けられている方でありますけれども、引き下げられることになります。  さきに申し述べましたように定年がリストラの大きな柱になっており、定年退職の取り扱いは非自発的離職としての取り扱いを行い、なお現行給付水準を維持するべきではないかと考えております。  二点目は、さきにも述べましたが、六十歳以上労働者の給付日数引き下げは極めて大幅なものとなっております。今次春闘を見ましても明らかなように、定年後の再雇用制度が大きな焦点となりました。大企業労働者の一部に取り入れられようとしていますが、これとて、必ずしも希望する全員が再雇用されるというふうには至っておりません。大きな隔たりがあるところであります。  中小零細企業においては、その余裕さえない厳しい経営状況にあるのが現状であります。六十五歳定年制に向けた高齢者雇用の促進、指導が進められておりますけれども、お手元の方に資料としても配りましたけれども、東京都、平成十年度中小企業賃金、退職金事情等の調査によりましても、中小零細企業ではいまだ六十五歳定年制を導入している企業は四%にも満たず、希望者全員を再雇用する制度を取り入れている、いわゆる再雇用、賃金を下げ、あるいは条件を下げて再雇用をする、その企業でも二〇%にすぎません。また一方では、退職金制度さえなく、制度があっても金額は失業生活を支えるためには十分なものとは言えない状況にあります。  今後、年金制度の改定による支給開始年齢が段階的に引き上げられ、受給額も減額される方向になっております。さらに、介護保険制度もこの四月より実施され、職のない高齢者といえども月々の保険料の支払いを義務づけられることになっております。職のない労働者の生活には極めて深刻な影響をもたらすことになります。高齢者の定年延長あるいは再雇用制度が整備され、また求人状況が大幅に好転するまで、少なくとも三年程度は急激な変化を避け、現行の給付日数等を維持するべきではないかというふうに考えております。  三点目に、依然として雇用保険制度に未加入の企業が多くあります。その多くは、中小零細企業や非正規労働者に集中をしております。こうした現状は、昨年私どもが「雇用破壊NO!」ということで全国キャンペーンを行いましたその際に、企業の規模にかかわらず、パート、アルバイトなどの非正規労働者、派遣労働者が未加入であるということが判明をしております。さらに、地方自治体においても、非常勤労働者が未加入のまま存在していることも判明をしております。  幸い、私どもに相談に来られた方には、保険適用対象になる方であれば手続等をお手伝いしておりますが、こうした労働者はまだまれで、少ないわけであります。多くの未組織労働者が雇用保険が強制加入ということさえ知らないという状況でありますし、事業主も故意に加入をしていないという状況もあります。  失業という緊急の場合、生活をどうにか維持することに欠かせない失業給付の恩恵が受けられない労働者は潜在的には膨大な数に上るというふうに思いますし、私どもが解決のために援助できた失業者は、ある意味では氷山の一角にすぎないというふうに思います。事業者へさらに周知徹底をする、並びに加入の促進をするということは、保険財政は極めて厳しいというふうに言われるわけでありますけれども、財政上においても極めて重要な点だというふうに思っております。  そして、問題は、幸いにも失業後に雇用保険制度を知り手続を行ったとしても、現状では、いわゆる遡及というのが二年間とされておるわけであります。これは、十年以上あるいは二十年以上勤務していたとしても、被保険者であった期間が二年間ということにしかならないわけであります。こうした保険未加入の責任というのは、決して労働者が責められるべきものではありません。そのことによって労働者に不利益をもたらしている現状を何とかしなければならないというふうに思います。  こうした現状を見ますと、倒産、解雇等により失業を余儀なくされ、あるいは失業給付によって再就職活動をしようとしても、未加入の労働者には、今回の改正案最大の改正点である、いわゆる倒産、解雇等によって職を失った方には手厚く対応しようとする、そのような法の改正点の効果は一切あらわれないということになっております。倒産、解雇等の非自発的な離職者にあっては、遡及できる加入期間に勤続年数を勘案することが必要ではないのでしょうか。  最後になりますが、法運用上の問題であります。  今改正案では、一般の離職か倒産、解雇等による離職か、それぞれに選別認定されることになります。したがって、認定によっては、給付制限にとどまらず、基本手当の給付日数が最大百五十日、これは基本日額一万円とすれば百五十万円となります、そのような違いが出ることになります。  その点、この選別基準は、現実的でかつ明確なものであることが必要であります。いじめ等による退職勧奨、リストラ解雇が多く指摘されていることは御承知でありますが、近年では、企業間競争の激化によって、企業組織の再編が行われ、営業譲渡あるいは工場、事業所等の統廃合のような問題、そしてそのような経済環境を反映して、直接労働者の労働環境に激変をもたらすという事態が続いておるわけであります。また、今後も、会社分割を主とした商法の改正案など審議されております。こうした新たな事態の変化は、労働者の勤労意欲にかかわらず、さまざまな具体的な障害を引き起こすことが十分に予想されるところであります。  一般の離職と倒産、解雇等による離職との認定基準は今後省令によって定められるということになっておりますが、基準を作成する際には、予想される新たな経済情勢をも十分に想定される必要があると考えます。  現在、給付制限を受けることのない正当な理由のある離職者の基準が平成五年一月の中職審で了承されております。当面この認定基準を援用して省令を定め、幅広く離職を強制される労働者の救済を図る必要があると考えております。  また、職業安定所窓口では、離職者がどちらに該当するのかを認定する際には、極めて慎重な作業が必要とされることは当然であります。窓口担当者によって異なる基準によってなされてはなりません。また、手続を行う労働者には、認定基準についての具体的事例を知らせ、退職に至る事情を十分述べさせる機会を設け、また、職業安定所内ではだれでも認定基準を知ることができるような具体的な策を講じておくことが必要と考えております。  多くの点、まだ述べたいところもありますが、時間の関係上ここで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)

赤松広隆民主党

○赤松委員長 ありがとうございました。  以上で参考人の意見の開陳は終わりました。     —————————————

赤松広隆民主党

○赤松委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑者は、質疑の際に、御意見をお伺いする参考人を指名願いたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷畑孝君。

谷畑孝自由民主党

○谷畑委員 自由民主党の谷畑孝でございます。  本日は、非常にお忙しい中、私どもの労働委員会に参考人として出席をしていただき、また、貴重なる意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。  限られた時間でございますので、早速参考人に対する質問をしてまいりたい。  まず、雇用保険法改正案について荒川参考人に質問をしたい、このように思っています。  国家もそうですし私どもも、やはり働く意思のある人に就職の機会を与えるということ、そしてまた、働くことによって非常に生きがいを持ち、社会にも貢献でき、そしてまた家族を養っていくということは非常に大事なことである、このように思っているわけでございます。また、そのことについて私どもも努めなければならない、これが政治の務めでもある、このように思っているわけでございます。  しかし、残念ながら、それぞれの企業の構造改革だとか、あるいはそれぞれの産業を含めて、競争の中で企業自身も生き延びていくに当たってやむにやまれずリストラをしなければならない場合もございますし、また、せっかく勤めてきましたけれども後進に道を譲るという意味で今日定年制というものがあるわけでございまして、そういうことでやめていくということもあろうかと思いますし、また、幸運なことに再就職がまだ定年になってもできる、こういうこともあろうとも思いますし、また逆に、これだけ勤めたのだからもう定年で、それで十分だという考え方の方もおられますし、実は多種多様であると思うわけであります。  いずれにしましても、この雇用保険というのは、やはり、国でありあるいは使用者側でありあるいは働く労働者側であり、お互いがそれぞれが努力をし合って、そういう偶発的な、リストラ等を含めて残念ながら失業するという事態に対して、いわゆるセーフティーネットをきっちりと、安心というものをどうしていくかというシステムである、このように実は思うわけであります。  残念ながら、好況のときにはそうでございませんでしたけれども、雇用保険の財政が、今までの余力のものを食いつぶしながら、失業率がどんどん高くなってきたがために財政事情も非常に悪化をし、そういう状況の中で今回この雇用保険の改正ということになったと思います。  それと同時に、ただ単にそういう財政の問題だけではないとも思うわけでありまして、どうめり張りをつけるのか。失業者にも、それぞれのジャンルを分けまして、自発的であったり非自発的であったり、さまざまな状況を加味しながらめり張りをつけた改正だ、こういうふうに実は思うわけであります。  そこで、私も一人の人間として、長年勤め上げてきた定年者が今まで順当にいけば三百日間受給をされておったのに今回の改正で縮小される、これはやはり高齢者いじめじゃないか、こういうふうに単純に思われる場合もあるわけであります。  しかし、考え方によったら、定年まで失業せずに働いてこられた、これは非常に幸せである、そういうことで、やはり中高年者で、これからまだまだ家族を支えなければならない現役の皆さんで首を切られた人々にもっと手厚くしてあげることも大事ではないか、こういうお互いの助け合いというのか共助というのか、保険の精神から見ても、そういう考え方も非常に大事なことであろうかと思うわけであります。  荒川参考人さんに、そういう給付のめり張りというのですか、今回のポイントでありますけれども、今意見をお聞きしたわけでありますけれども、もう一度そのことについてひとつお考えを明確にお聞きしたいと思います。

荒川春日本経営者団体常務理事

○荒川参考人 お答えさせていただきます。  今先生のおっしゃったとおりの考えを、私ども経営者側も持って今回の改正問題に事当たったということでございます。  雇用保険の基本というものは、やはり突発的な保険事故というものをその仕組みとしてとらえ、その中から給付がされるものである、そして掛け捨てでございます。これがいいか悪いかよりも、そういう仕組みが一番セーフティーネットとしての機能を果たすものである。こういうふうに考え、それをベースに置きますと、先生の今おっしゃられました、自発的失業者と非自発的失業者におけるめり張りのつけ方が今日的にはあった方がいい、あるべきであるというお考えにつきましては、全く同意見となるところでございます。  現行の給付日数体系を抜本的に見直そう、そして、私どもが主張している言葉として、真に必要な者に必要な給付を、そのために再編をして限られた財源の配分を効果的にするのがこれからの雇用保険のあるべき姿として明確になるものではないか。  残念なことに中高年齢者の倒産あるいは解雇に至った方に対しての給付水準は、これを重点的に行うというのは極めて妥当なものであり、あらかじめ退職が予見できる人よりも、格差というのでしょうか差をつけてあったとしても、保険そのものの機能はますます明確になるものではないかな、そういうふうに理解しておるところでございます。

谷畑孝自由民主党

○谷畑委員 全く同感でございます。雇用保険自身が貯蓄、財形ではございませんし、突発的に失業に陥ったときに、お互いが助け合いをしながら、そのことに対してセーフティーネットということで安心をつくり上げていくという制度である限り、めり張りをつけながら、そういう保険の趣旨に基づいてしていくということは非常に大事なことである、今の意見を聞きながら私自身もそのように感じたわけでございます。  次に、荒川参考人さんにもう一つ質問を雇用保険についてするわけであります。  いろいろな意見の中には、もっと国庫を、今回原則四分の一に戻すということになっておりますけれども、きょうの参考人の何人かの皆様の中からも、もともと四分の一だったんだからもっと早く、好況のときにおいても、その前にも四分の一でずっとしておれば今そういうことではないのではないか、そういうような意見も少し……。  いずれにしましても、国庫を中心にさらにふやしていくことによって、いわゆる労使の率をできる限り上げることなく、そしてまた給付を、もちろん定年者を含めても最高三百日まで、そういうような意見もあると思うわけですけれども、しかし、保険の性格上、使用者側も、しかもまた一番それを受ける当事者である労働者側も、お互いがやはり痛みを分かち合っていくということが非常に大事だと思うわけであります。  そういう意味では、原則四分の一に戻して、千分の十二にするということについてはやむを得ない状況じゃないか、私自身そのように思うわけでありますけれども、参考人には、さらに国庫をふやして他のところはそのままという考え方に対してどう考えられるか、お聞きします。

荒川春日本経営者団体常務理事

○荒川参考人 谷畑先生の御質問でございますが、私ども使用者ばかりでなく、この雇用保険をしていっときの失業状態を何とかして脱していくための救済、共済制度を維持するためにそれぞれが負担し合うというのは、これからの社会保障制度としての基本は変えてはならない。その意味からして、関係者が、特に当事者であります経営者、使用者側と働く側とが緊急の危機のために財源を積み上げてそれを使っていこうという仕組みは堅持する。この中で、国家が一定の分負担をしていただけるということについては、ある意味で政府全体の責任の発露であるということは言えると思いますが、それをますますふやし現行制度の雇用保険は維持していくべきだという考えには、くみしないところであります。  と申しますのは、確かに、暫定措置をして、国庫補助につきまして引き下げがしばらく続いておりました。これは、そのいっときいっときの雇用情勢がその引き下げを十分可能にするものであったわけでございます。しかし、こういう今の雇用失業情勢になりましたから、その暫定措置をもとに戻す。そして、関係者、この場合は使用者と労働者の側の負担と給付についても、それを少しでも改善をしようという努力に対しまして、いささかでも国庫の負担をふやしていただけるという範囲のものであるべきであって、もし国庫補助をふやしこれまでの制度をそのままにするという体制をとりますならば、その国庫補助なるものはどこから出ているか、これも、企業であり、働く人たちの税金にほかならないわけでございます。  税金の使いようというのは、それこそある特定の方たちだけに使えるものではないですし、さらには、今の財源をもってして積極的に雇用が拡大される、あるいはそのベースになる産業が振興されるようなところに振り向けて、むしろ将来的には国庫補助も、失業の会計が潤沢になった場合にはまたもとに戻すという考えがあってもいいぐらいな立場で、雇用保険の財政運営を労使でしっかりと見ていかなきゃいけないというものになろうかと思います。

谷畑孝自由民主党

○谷畑委員 もう時間が余りなくなってまいりましたので、予定しておったものを少し省きまして、あと、各参考人の皆さんに一人一人、一言ずつお聞きをしたいと思います。  一つは、高齢法のことですけれども、私も、この間も老人会の寄り合いに行っておりますと、最近六十歳の方で老人会に入ってくれる人がいないと。昔なら人生五十年ということで、五十歳の人を見ますと本当にお年寄りだな、こう思ったんですけれども、振り返ってみたら、私が今五十三でまだ三十代の青年のつもりでおりますし、そういう意味では、世の中、社会が、非常に高齢化というのか、元気でしかも長生きするようになったのではないか。そのことにおいて、今の社会システムが、人生五十年だとか六十年の時代のシステムでは合わなくなってきたんじゃないか。だから、今回の法案も、六十五歳の定年の延長義務というのか、努力義務というんですか、そういうようになっておると思うんですけれども、これからそういう社会システム全体をどう変えていくかということ。  それと同時に、やはり生きがいということも非常に大事じゃないか。これは、現役時代から、三十代後半から、定年後をどう生きるかということのトレーニングをしっかりしていく必要があるんじゃないかと思うんです。また、社会自身もそのことに対して支えるシステムを、例えばNPOだとかあるいは地域のさまざまの各種団体、町内会での働きだとか、いろいろとそういうことで常に、人間というのは死ぬまでこれは現役でありますから、そういうことがやはり大事じゃないかと思いますので、もう時間がありませんので、各先生方一言ずつ、感想なり意見がありましたらお願いしたいと思います。  高齢化社会に対する社会のシステムを大きく変えていくことと生きがいについてお答えいただきたい。

荒川春日本経営者団体常務理事

○荒川参考人 今谷畑先生からお話がありました問題認識につきましては、私自身にいたしましても全く同じ気持ちを持っております。  一つだけ例を申し上げます。  私ども、働く者が六十以上になった場合、働くことも含めて就業のありようの選択肢がたくさんあるような社会づくりに邁進したいと。そのためにも、私どものこういう経済団体におきましても、今先生の御指摘のありましたNPO、NGOに対します積極的なかかわりよう、支援、あるいはそこへの参加者への企業内におきます教育等も含めまして、取り組みを進めてまいりたいと思います。御支援をいただきたいと思います。

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 老後の生活をどうするかということ、あるいは生きがいをどういうふうに保持していくか、若いときからトレーニングするということについては、御指摘のとおりだと思います。  ただし、生活の現場を見てみますと、現実の問題として、若いときからそういった生活設計を立てられるような生活実態にないという者も非常に多いということについても見逃してはならない。それから、日本の場合には、ヨーロッパ、アメリカに比べて社会保障システムについてもまだ未整備でございまして、老後については、いわゆる公助、自助というものがありますが、公助の部分が整備されていない、自助の準備ができないという実情の中で、やはり、公助と自助についてこれからどうあるべきなのかというビジョンを基本的には国が示してやる必要がある、このように考えます。

草島和幸労働運動総合研究所常任理事

○草島参考人 簡単に申し上げます。  高齢化に伴う現象というのは、心身ともの衰えを伴うというのは避けられないことだと思います。それは、就労における困難性にもつながってくる問題だろうと思います。しかし、心身の衰え、就労の困難性について社会的にバックアップするシステム、生活上の問題も就労保障の問題も、そういうシステムの中で、生きがい、それからボランティア活動、NPOへの参加も、高齢者の意欲、蓄積された能力を発揮して社会に役立てるということになっていくんだろうと思うので、先生のおっしゃる前提のところで、バックアップのシステムをどう充実するかというところからスタートさせていただきたいと思います。

中岡基明中小労組政策ネットワーク共同代表

○中岡参考人 システムというのはそれこそ一言では言えないわけですけれども、やはり、高齢になっても働けるということが一番ではないかなと。その意味で、六十五歳定年制をある意味では法的にも含めて充実しなければならないなと。  御存じかもしれませんけれども、私ども、居酒屋を失業者がみずからつくりましたけれども、六十過ぎている方も非常にここでは文字どおり元気にやっておるということも御報告しておきたいと思います。

谷畑孝自由民主党

○谷畑委員 どうもありがとうございました。  終わります。

赤松広隆民主党

○赤松委員長 鍵田節哉君。

鍵田節哉民主党

○鍵田委員 民主党の鍵田でございます。  本日は、大変貴重な御意見をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。皆さんの御意見を参考にしながら、これからの審議を進めてまいりたいというふうに思っております。  時間が制約されておりますので、特定の方に集中して質問をさせていただくということになるかもわかりませんが、御了解をいただきたいというふうに思います。  私は、常々、勤労者にとりまして、健康を損なうということと雇用を失うということは人生にとりまして最大の事件であるというふうにとらえておるわけでございまして、その中の雇用問題が今非常に深刻でございますし、それに伴って雇用保険法も改正される、同時に高齢者雇用の安定法も改正されるということになってくるわけでございます。  そういう勤労者の雇用問題が大きく変わりつつあるときに雇用保険制度がまた大きく変わるわけでございまして、それらにつきまして、勤労者を多く組織されております連合として、一体どのように今後のセーフティーネットを構築していくか。これは、単に雇用保険だけじゃなしに、年金問題も絡んでこようと思いますし、それらを含めて、どのようなお考えがあるのか、まずお聞きをしたいと思います。     〔委員長退席、城島委員長代理着席〕

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 ありがとうございます。  私どもは、技術革新のテンポが非常に速くなっているということ、あるいは消費者のニーズの変化も非常に多くなっておりますことから、これからは、一つの企業でいかに制度として長期継続雇用システム、制度を持っていたとしても、企業内における職場の異動であるとか、あるいは企業を超える異動というようなものもふえてくるというふうに判断をしているわけであります。  しかし、そうした企業内における異動であるとか転職とかにかかわる準備につきましては、これまでは企業に任されてきた、あるいは労働者個人の自己研さんに任されてきたということでございます。  しかしながら、これからは、社会保障システム、安全ネットとして、労働者に対してこうした雇用保険制度の中できっちりとした制度を確立する、労働移動を支援するための労働者の能力開発や教育訓練というものをさらに充実させるということが必要であるし、そして、今日のように、やむなく離職を余儀なくされた者に対する失業中の生活保障であるとか、あるいは求職活動に必要な支援であるとか、そういうようなものを安定的に、そしてかつ、充実をさせていくということが引き続き必要だ、このように考えております。  以上であります。

鍵田節哉民主党

○鍵田委員 ありがとうございました。  それでは、先ほどから各参考人もおっしゃっていたことでございますけれども、今回の雇用保険制度の改正というのは、離職を余儀なくされた者とそうでない者とで支給の区分を大きく変えるというような制度でございます。この離職を余儀なくされた者ということをやはり明確にする、そうでない人との間で運用の面で混乱が起こらないようにするということが非常に大切でございますけれども、それらにつきまして、連合としてどのようにお考えになっておるのか、お聞きしたいと思います。

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 御案内のとおり、失業給付の受給につきましては、失業後、企業から出されました離職票、それから本人の失業給付の受給申請によって、これがなされるものであります。  したがいまして、今回のように失業の区分がされた場合に、往々にして、窓口に行ったときに、企業から申告をされた、いわゆる離職票で出された離職理由と、本人が申告する申告理由というものが食い違うということが想定をされます。  なぜならば、雇用保険制度を含めまして、企業が、例えば人材移動特別助成金制度その他、雇用調整助成金制度を受けるときに、過去一年以内に会社理由で離職者を出したか否かということが、この雇用保険制度の支援制度の適用を受けるか受けられないか、そういった条件を持っております。  したがいまして、企業としては、全部が全部とは言わないまでも、いわゆる失業者を企業の理由で出しているにもかかわらず、新しい必要な人材を採用するときに、なるだけそうした援助制度の適用を受けたいという欲求から、やはり、少し拡大解釈をしたといいますか、間違った離職票を出すということが容易に想定されるわけでございます。  したがいまして、窓口では、本人申告と会社が発行する離職票との間に大きな差が生じる。これを防ぐためには、やはり何といいましても、非自己都合の離職と自己都合離職の区分けの基準について情報公開をすることが必要であるというふうに考えますし、この制度の中に織り込まれておりますように、やはり、何はともあれ、労働者の申告を第一義に考えていく、そういうことが必要だというふうに思います。

鍵田節哉民主党

○鍵田委員 ありがとうございます。  次に、定年退職者の取り扱いの問題でございます。  定年退職者につきましては、あらかじめ退職の時期が明示されておるというふうなことで大幅に給付が削減される、こういうことになっておるわけでございますけれども、定年退職者といえども、年金の受給時期が来年から一年ずつおくれていくというふうな環境の中でもありますし、それから、定年者の方は退職金も大幅に受けられるというふうなことも言われておるわけでありますが、たしか労働省の調査の中でも、中小企業などの場合には、一五%ぐらいのところが退職金制度がないというように聞いております。そういうふうなところでは、大変厳しい環境にさらされるということになるわけでありますし、それからまた、高齢者の求人倍率がとても厳しいわけであります。  そういうことを考えますと、定年退職者といえども、決して恵まれた人ばかりではないわけであります。やはり六十歳を超えてもどうしても働かなくちゃならないということになってくるわけでありますが、そういう人たちに対する対策についてどのようにお考えになっておるのか。これにつきましては、できましたら松浦参考人と荒川参考人、両方からお答えいただければと思います。     〔城島委員長代理退席、委員長着席〕

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 御指摘のとおり、六十歳定年者につきましては、制度の審議に当たって、審議会では、定年につきましてはあらかじめ予見ができるということから再就職の準備が可能だということで、給付日数の削減という結論はやむなく出したわけでございますけれども、今日の厳しい雇用情勢のもとでは、再就職の準備を早くしたとしても、再就職が可能かどうかということについては不可能に近いという現状にあるというのは、先ほどデータを含めて示したとおりであります。  また特に、六十歳以降も働くという理由の中に、単に経済的な問題としてということではなしに、生きがいであるとか、自分の存在感であるとか、あるいは社会に貢献するとか、いろいろな理由が実はあるわけでございます。  したがいまして、六十歳で定年する人がみんなハッピーリタイアをするということではなしに、現実の問題として、本当に働きたい人が働けるようにするということで、これは、私どものお願いとしては、給付日数の暫定措置も考えたわけでございますけれども、あえて、中長期の雇用の安定という観点から、高齢者雇用安定法の実効性、効率が上がるような施策をお願いをいたしましたので、ぜひこれを実現をしていただきたいということと、それからもう一つは、きっちりとしたフォローの制度についても御検討をお願いをしたいと思います。

荒川春日本経営者団体常務理事

○荒川参考人 定年退職にかかわります雇用保険の考え方につきましては、私は先ほど申し上げましたが、あえてもう一つ申し上げるとすれば、一つは、定年退職者が雇用の場におきます欲求も強いことは十分理解しておりまして、そこの市場が大変狭いということも現状でございます。  その現状の原因はいろいろあるわけでございますが、一つは、六十歳定年が、一応労働条件としましては、ピークとは申しませんが、それに近いような形であり、その延長線上をやはり求められる状況感が非常にあり、それが需給バランスを大変崩している場面でございます。  これからしっかりとした高齢者の労働市場をつくるということにつきましては、賃金、労働時間、あるいは働き方等についての市場としての整備をしっかりと正しく組んでいかなければなかなか市場が拡大しないということは、思えるところでございます。  そこで、高年齢者雇用安定法を今回改正させていただきまして、その中でさまざまに条件整備をしていこうという動きがございます。それも一つの大きな期待として見ていかなければならないんではないかなと思うところであります。

鍵田節哉民主党

○鍵田委員 それでは、次の問題に移りますが、高齢者雇用安定法改正の中で、再就職援助措置というのがとられることになっておるわけでございますけれども、先ほどからの御意見もありますように、やはり本来なら、雇用延長でありますとか定年延長によりまして雇用を確保するということが一番の主眼ではないかなというふうに思うわけでございますけれども、こういう再就職の援助措置というものが入ることによりまして、定年延長だとか雇用延長よりも、むしろそれを使ったリストラが出てくるのではなかろうかという懸念があちこちから聞こえておるわけでございます。  これらにつきまして、そういう懸念についての見解を、これも労働側と経営側を代表して、松浦参考人と荒川参考人からそれぞれ御意見をお聞かせいただきたい。

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 御指摘のとおり、今企業につきましては、世界の市場で勝ち残るためにということで、非常に厳しいリストラをされているわけでございますが、労働相談などに出てくる問題につきましては、そうした行き過ぎという問題が非常に顕在化しているということを私どもは憂慮いたしております。  したがいまして、そうした再就職やあるいは職場異動に関する助成措置が経営側のリストラ促進策とならないような十分な歯どめが必要というふうに考えております。

荒川春日本経営者団体常務理事

○荒川参考人 再就職援助計画から助成制度に至る一連の仕組みにつきましては、まず前提が、定年、あるいは不幸にして解雇によりまして離職する方たちが失業を経ないで再就職をするようにというシステムの一環でありましたので、その実をしっかりと理解をしなければならないと思います。御指摘いただきました諸点はあってはならないということは、はっきり申し上げておきたいと思います。  さらに、この計画から助成までの件は、まず計画につきましては、離職することが決まった後、作成、交付するというふうに伺っております。そして、その基本的な部分につきましては、労使と十分話し合い、合意した旨、そしてその余に個人の個々の事案につきましてこの計画がつくられる。解雇促進というようなものにはこの材料が使えるようなものではないと私は思っております。  さらに、給付はその実を上げるためのものであるということで、私は積極的に理解したいと思っております。

鍵田節哉民主党

○鍵田委員 それでは、最後になりますけれども、今回の雇用保険法の改正によりまして、使用者側もそれから労働者側も大変大きな負担をしなくてはならないということになったわけでございまして、これも今日の経済情勢の中で、また松浦参考人もおっしゃった春闘の情勢などから見ましても、大変大きな負担になるわけでございます。  そういう中にあって、国庫負担の問題も、荒川参考人の方からは、四分の一負担に戻ったということは一定の評価ができるというふうなお答えであったわけでありますが、今後、雇用情勢がどのように推移するか、まだ予測が十分つかめない状況の中で、今後の雇用保険制度のあり方の中で、国庫負担のあり方ということにつきまして、使用者側それから労働側、それぞれどのようにお考えになっておるのか。  先ほどは、荒川参考人の方からは、国庫負担をふやせば、それは税金で負担することになるので結局は労使にはね返ってくるんだというお考えのようなことも伺ったわけでございますけれども、国の財政のあり方そのものを抜本的に見直す、そして積極的に雇用問題にも国庫からも負担をもっとしていただく、さらにはこういう雇用保険などにも負担をしていただくということがあってもいいんじゃないか、こう私は考えるのですが、これは私の意見を述べる場ではございませんので、ひとつ両者からお答えをいただきたいと思います。

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 私どもはこの問題については二つに分けて整理をしておかなければならない、ぜひこの委員会も整理をしていただきたいと思うわけであります。  その一つは、国庫負担を含めまして、労使が折半で負担をする保険料率につきましても特別措置をとっていたわけでございます。先ほどもほかの参考人から言われましたように、失業が増大をしてくる中で、これに対する適切な措置ができなかったという問題。できなかったにもかかわらず、破綻を目前にして、急遽千分の八の特別措置から千分の十二まで、労働者にとりましては一カ月の賃金から八百円もの保険料の増額を余儀なくされたということであります。特別予算として、何としてもソフトランディングをしていただくために、国庫補助を一時金で一兆円ほど出してくださいという要求をした経過があるわけでございますけれども、こういうふうに予想もしなかった、あるいは構造問題ということゆえに雇用の創出も直ちにはできないという火急の事態の変化の場合には、やはり国庫負担を一時的に拠出をして、労使の負担をやはりソフトランディングで移行させてやるということが私は必要ではなかったのかということが一つであります。  それからもう一つは、私どもは千分の十二ということで受けとめるということを決定をいたしておりますので、今後の問題として、今後、予期をする以上の事態が生じた場合には、先ほどもお願いをいたしましたが、柔軟に国庫負担を適用できる、発動できる、そういうようなシステムの確立というものをぜひお願いをしたいということであります。

荒川春日本経営者団体常務理事

○荒川参考人 国庫負担につきましては、私どもは、今回の四分の一に戻って負担をしていただけるということにつきまして、要望もし、さらには、今松浦参考人さんからの御指摘もあったように、緊急事態、状況が非常に悪化したときは、それをさらに弾力的な扱いにする、もし雇用保険の財政の健全な状況ができたならばまたお戻しするといったような、やはり弾力的な扱いというものがあっていいのではないかと思うのでございます。  四分の一を、何もせずにさらにふやしてこの事態を回避していいかということになりますと、私どもは、それは労使が自主的に運営する保険という趣旨には合わないと思って、今回の考え方にしたものであります。

鍵田節哉民主党

○鍵田委員 ありがとうございました。

赤松広隆民主党

○赤松委員長 大森猛君。

大森猛日本共産党

○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。  各参考人におかれましては、年度末の大変御多忙の中、御出席をいただき、また貴重な御意見を開陳いただき、本当にありがとうございます。  時間の制限もありますので、すべての参考人の方に御質問するわけにはいかないのですが、まず草島参考人にお聞きをしたいと思います。  御意見の中にもありましたけれども、今回の雇用保険の一部改正案、その主要なポイントの一つが給付の大幅削減、加えて保険料の引き上げ、もう一つが失業理由による失業者の区別、差別という御意見もありましたけれども、この二点が今回の改定案の大きな重要な点じゃないかと思います。  そこで、こうした点に関連して何点かお聞きをしたいわけなんです。  私は、こういうことは、これまでの失業保険あるいは雇用保険制度の概念そのものを根本から変えることになるのじゃないか、これほどの改定はかつてなかったのじゃないかと感じているわけなのでありますけれども、求人倍率の低さ、あるいは今日の非常に厳しい雇用情勢の中での給付の大幅な削減が一体どういう効果をもたらすだろうかという点で、私もこの法案の委員会や本会議での質疑の中でも取り上げたわけなのですが、いわゆる労働条件の下降移動が、給付日数を削減されるたびに、みずからの意思、要望、要求に反した再就職を強制される、そういうことが必然的に起こってくるのじゃないかということを強く感じるわけでありますけれども、給付日数の削減との関係で、草島参考人の御意見をお聞きしたいと思います。

草島和幸労働運動総合研究所常任理事

○草島参考人 給付日数の削減に伴う労働条件あるいは労働者の生活水準の下降移動ということは、私もそのとおりだと思っております。  しかし、振り返ってみると、雇用保険における失業給付そのものの、今度の理由別に区分するという以外の場合でも、それは基本的には機能しているのじゃないかと思います。なぜかといえば、離職前賃金の六〇%を基本にして給付額を決定するということは、離職前の賃金の六〇%程度を超えれば就職が強制される、拒否をしたら受給を停止するという仕組みが雇用保険、失業給付の基本にあるから、基本的な問題として雇用保険そのものにはそういう要素があるというふうに私は理解しております。  しかし、それは裏返して見ると、六〇%を下回った賃金、労働条件だったら失業保険の受給者は就職を拒否する正当な理由になるという側面ももう一つ持っているということになるとすれば、それは六〇%以下への労働条件の下降移動を食いとめるという機能も、両面としてあり得るのじゃないかというふうに思っております。  これは、今度の改正で給付率には全然手がつけられないで日数だけなんですけれども、その日数が部分的に短縮される人が広がってくるということは、セーフティーネットのいわば歯どめの部分における期間が大幅に縮小する、つまり収入がゼロになってしまう時期が大いに早まるということになったら、ストッパーの外れる時期がずっとさかのぼってしまうということになるところが最大の問題だろうというふうに考えます。  これについて、私は余り言いたくはないのですけれども、日経連の最近の雇用労働政策で言われている、労働力の流動化、雇用システムの再編、総額人件費抑制策の中で言っている雇用システムの雇用ポートフォリオにおけるカーブがどんどん膨らんでくる、下降移動促進のための条件が促進をされるのではないかというところを大変危惧しております。こういう点については、今言ったようなストッパーを早く外してしまう失業者を大量につくり出すということについては何としても取りやめてほしい、これ以上の下降移動を促進させないでほしいというふうに考えております。

大森猛日本共産党

○大森委員 二番目の失業理由による区別の関連でありますけれども、きょうの御意見にも、あるいはこれまでの当委員会での質疑の中でもあったわけなんですが、高年法の中であらかじめ離職がわかっている人に対する一定の措置をとるということなども言われているわけなんですが、それを加味しても、それを考慮したとしても、今こういう区別を設けること、それが再就職の困難度、それの区別ということになるわけなんですが、それを解消することになるのか。再就職の困難度の大きな差が本当に解消されるのかという点は、同じく草島参考人、いかがでしょうか。

草島和幸労働運動総合研究所常任理事

○草島参考人 再就職の困難度の解消ということでしたか。

大森猛日本共産党

○大森委員 失業理由による給付日数の区別がされているわけなんですが、端的に言えば、失業理由によって再就職の難易度が下がるかということです。

草島和幸労働運動総合研究所常任理事

○草島参考人 基本的には、困難な雇用失業情勢のもとで、今度の離職理由による給付は再就職を場合によっては労働条件の劣悪なところにまで選択の幅を広げていくという誘導があるのではないかというふうに思いますので、基本的に困難度の解消ということで言うならば、低劣な労働条件への誘導が雇用の解消策だという議論まで含めるならば、それは拡大していくでしょうけれども、これは決して労働者の望む、本来の再就職の機会がふえるということにはならない。むしろ、そのことの拡大によって、現役労働者、失業者でない現役労働者の賃金、労働条件まで労働市場を通じて圧迫されていくということの懸念の方が強まるのじゃないかというふうに思います。

大森猛日本共産党

○大森委員 関連して、松浦参考人にちょっとお聞きをしたいのですが、先ほどの御意見の中で、高年法における再就職支援計画、新たな措置ですが、これが企業におけるリストラに活用されないような歯どめが必要だという御意見があったわけなんですが、それに歯どめをかけるとすれば、具体的にどういう考え方でそれをやっていけばよいのか、何かお考えがあれば、お聞かせいただきたいと思います。

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 企業の方は、これまで長期継続雇用のもとで、新規事業やあるいは新しい技術を開発したときには、当該の従業員の再教育をやって異動させてきたわけであります。ところが、現在の経営は、再教育に必要な費用も時間もないということから、これまで従事してきた職場や工場を廃止する場合には直ちに解雇して、そして新しい事業に必要な即戦力を採用しよう、こうするわけであります。  したがいまして、それぞれの企業におきまして、もとの従業員を離職させて新しい即戦力を採用するという場合の援助措置などについては一切行わない、そういったきっちりとした歯どめが必要だ、このように考えております。

大森猛日本共産党

○大森委員 再度、草島参考人にお聞きをしたいわけですが、先ほどの意見陳述の中で、後半に述べられた失業給付を受けていない失業者の問題、これは大変興味深く私も聞かせていただいたわけなんです。幾つか具体的な点も御意見の中で述べられたわけでありますが、この点、もう少し詳しくお聞かせいただけないでしょうか。

草島和幸労働運動総合研究所常任理事

○草島参考人 外国の諸制度を出しては長々と説明する機会はありませんけれども、例えばドイツの場合には、日本と同じような労使拠出による失業保険制度が一番最初に適用される失業者への給付の財源です。その後は、財源としては保険ではなくてかなり別の制度を活用して、ほとんど五年から六年、いわばかなりの長期間にわたって失業中の労働者の生活費支給が継続する、最終段階は日本でいうところの生活保護法の部分にまで適用が及んでいく、これは再就職するまで無制限というシステムになっているのが現状だと理解しております。  日本の雇用保険というのは最長で三百日というのが現状です。三百日を過ぎて再就職できなかった場合には無収入の状態での失業を継続するということになっていき、先ほど言った完全失業三百九万人に対して不支給の二百万人という現実の存在があるという事態になったわけであります。  これらの問題については、外国でそうなっているのが何で日本でできないのだろうか、雇用保険という保険システムを通じてであったとしても、社会保険として、社会保障の一環としての雇用保険の制度についてもっとより充実させる方向が追求されてもいいのじゃないかということで、先ほど、例えばということで新規学卒未就職者も含めて、あるいは自営業者から離職した人も含めて、制度適用の方法は現行法であるのじゃないかという点で雇用対策法の中身について申し上げたわけです。  雇用対策法においては、対象になった人たちについては一定の現金給付、職業訓練、教育の機会ということがセットで組まれているという内容ですので、これらについてなぜ政府が今まで活用してこなかったのだろう。雇用失業情勢がさらに悪化するかもしれないというこの時期にこそ、全面的に発動していくというのが私は緊急課題だというふうに考えております。

大森猛日本共産党

○大森委員 草島参考人にもう一点だけ、御意見との関係でお聞きをしておきたいのですが、先ほど最後に述べられたセクハラ等を受けて退職したケース、これは、お聞きをしておりまして、本法案の改正に関係なく、十九項目の認定基準との関係で即刻何らかの措置をとる必要があるのじゃないかと思うわけなんです。これは、十九項目の認定基準との関係じゃなくて別の方法でも必要じゃないかと思うわけなんですが、その点はいかがでしょうか。

草島和幸労働運動総合研究所常任理事

○草島参考人 この調査室がつくられた資料の六十ページに十九項目の正当理由の中身が記載されてありますが、それの十二項目で、「上役等からの故意の排斥、著しい冷遇、嫌がらせを受けたことにより退職した場合」というのは、正当理由の一項目になっております。  しかし、これはいろいろな解釈がされる余地が残されております。しかも、女性だけじゃなしに男性も含めてということになろうと思いますが、セクハラ、セクシュアルハラスメントというのは女性に対する嫌がらせ、あの知事さんのように露骨なセクハラもあるけれども、言葉のセクハラということも含まれるということを考えると、この規定では極めて不十分だというふうに思います。  ましてや、雇用保険における給付の総額において日数が減少するということで、どっちか、自発的離職か非自発的離職かというふうに分けられるということになったら、これは重大問題だ。やめざるを得ないところまでいじめられて、辱められてという女性労働者の気持ちに立つならば、この部分についてはもう少し体系化して、正当な権利擁護の仕組みをぜひとも考えていただきたいというふうに思います。

大森猛日本共産党

○大森委員 連合の松浦参考人に再度お聞きをしたいと思うのですが、今度のこういう改定案が出された背景には、言うまでもなく失業者の急増、その背後には大企業におけるリストラ等々があるのも明らかなわけでありますけれども、そういう中で、加えて、今国会で商法改正案という形で、企業分割、こういうものが新たに導入されようとしているわけですね。  これによって、一層分割に伴うさまざまな形のリストラが当然懸念をされるわけなんですが、こういう政府の姿勢、あるいは大企業のリストラもこれから本格的な展開があるのじゃないかという中で、この商法における企業の分割の促進をどう考えたらいいだろうか、それに対して政府としてどういうことをやるべきかという点、お聞きをできたらと思います。

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 私どもは、商法の改正によりまして企業を分割するという基本的な施策について反対はいたしておりません。こういうグローバル化社会の中で産業、企業がどのように生き残るかということは、労働者にとりましても極めて重要な課題だ、このように考えております。  しかしながら、分割というものを理由にして、あるいは営業譲渡というものを理由にした労働者の安易な解雇ということについては認められない、こういう考え方でございます。  したがいまして、商法の改正にリンクをして、あるいは商法の改正に時を同じくしてこれらにかかわる労働者の保護法というものを明確に定めていただきたい、こういう考え方で今日まで対処しているということを申し上げておきたいと思います。

大森猛日本共産党

○大森委員 政府の方も労働契約承継法案などを国会に提出しているわけですが、今おっしゃった労働者保護法の内容としては、労働省提案のものでは極めて不十分じゃないかと私も感じておるわけなんです。  関連して、最後にもう一問松浦参考人にお聞きをしたいわけなんですが、社会経済生産性本部の調査によって、いわゆる残業の関係、とりわけサービス残業、これをなくすだけでも九十万人雇用を確保できるということで、私もたびたびサービス残業の問題も取り上げてきたわけなんです。  そうした中で、先週二十四日に最高裁で、いわゆる電通の過労自殺、この問題でのいわば画期的な判決が下されたと私は思っております。  この中で、会社の労働時間管理の責任、あるいはサービス残業蔓延、こういうものに対する警鐘というような、この最高裁判決を論評した報道記事などもありました。  特に、労働時間管理を労働者のいわば自己管理、残業についても自主申告、こういうことが圧倒的な企業の中で当たり前のようになっているという状況が現にある。それがサービス残業を蔓延させている大きな理由にもなっていると思うのですが、この点で、サービス残業は根絶すべきだと思いますけれども、連合などでこうした問題でどのように対処をされているか、お聞きできたらと思います。

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 御案内のとおり、憲法二十七条に、国は労働時間その他の労働条件について定めなければならないということが明記してあるにもかかわらず、最近の傾向として、労働者の自己管理に任せるいわゆる裁量型労働であるとか変則労働時間制であるとか、そういったものが安易に導入をされようとしている、あるいはその施策の拡大がもたらされているということについて危惧を持っているわけであります。  したがいまして、私どもとしては、その適用範囲を限定するということとあわせまして、労働者みずからが自分の健康と命は自分で守る、そういった意識改革をしていかなければならない、このように考えているということであります。

大森猛日本共産党

○大森委員 それぞれの参考人の皆さん、どうもありがとうございました。時間が終了したためにすべての皆さんにできませんでしたが、貴重な御意見を本当にありがとうございました。

赤松広隆民主党

○赤松委員長 畠山健治郎君。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 参考人の皆さん、きょうは大変お忙しい中を御出席いただきまして、貴重な御意見を承りまして、厚くお礼を申し上げたいと存じます。失礼な場面ももしかすればあるかもしれませんが、その節は御容赦をいただきたいというふうに思います。  まず前段で申し上げておきたいことは、今さら申し上げるまでもございませんが、日本の経済を支えておるのは、その七割、八割は中小零細企業あるいはそこに働く労働者に支えられておる。ところが、とかく物を見るときには、そこの部分を忘れて大きな部分だけ見ちゃう、本質を誤った議論がされがちになる、そういうことが現実の問題としてたくさんある。こういう前提に立ちながら、そうではなくて、中小零細の具体的な現場に大きな目が振り向けられた中身でなければならない、そういうことを前段に置きながら、まず最初に中岡参考人にお尋ねを申し上げたいというふうに思います。  参考人は中小労組政策ネットワークの共同代表をなされていらっしゃいますが、皆様の組織にはどのような職場が参加なさっておるのか。中小職場の実態をも含めて御説明をいただきたいというふうに思います。

中岡基明中小労組政策ネットワーク共同代表

○中岡参考人 私ども中小労組政策ネットといいますのは、それこそ職場を問わず、中小の三百人規模から、多くは三十人規模の部分が参加をしております。今、実態的には、その職種は先ほど言いましたようにさまざまでありますけれども、例えばトラックの運転手の方々もおります。ミキサーの運転手などは、この間の景気の冷え込みで仕事がないというような事態も続いております。  実は、私どもの中では、現在、日雇いの保険に関しまして、二カ月に二十六日間、印紙が要るというような状況があるわけでありますけれども、このような二十六日間も仕事ができないというような実態まで抱えて、さまざま運動をしておるわけであります。もちろん、その中には、先ほど少し触れましたけれども、失業をして、何とか職を探し仕事を続けたいという方とか、あるいは外国人の仲間も含めて私どもは一緒にやっております。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 ただいまの説明で皆さんの組織や職場の実態は一応理解できました。  そこで、もう少し立ち入ってお尋ねをいたしたいというふうに思います。  参加をしている職場の雇用制度はどのような状況にあるのか。また、ことしの春闘で再雇用制度についてどのような議論がなされたのか。それから、中高年労働者、特に定年労働者の再就職はどのような実態にあるのか。先ほどからの御説明を私なりに想像いたしますと、再雇用はほとんど話できるような状況じゃないというふうに思わざるを得ない。これらの点についてお話しいただきたいというふうに思います。

中岡基明中小労組政策ネットワーク共同代表

○中岡参考人 御承知のように、先ほども資料等で配らせていただきましたけれども、中小企業の定年制というのは基本的に六十歳というのがほとんどであります。その上で、なおかつ、この間の景気の中で人員削減というのを、これは中小企業も含めて迫られております。その意味で、この間、いわゆる雇用の継続という問題が春闘ではしばしば議論になるわけでありますけれども、実際的には、本工を人員削減して、バイトあるいは派遣労働者に置きかえるというのがすべての職場で蔓延をしております。したがいまして、雇用の延長を議論する以前に、このリストラ計画に賛成をしてくれなければ会社がもたない、あるいは銀行が融資をしてくれないということでしばしば交渉が詰まっておるわけであります。  唯一私どもの職場の中で雇用がある程度延長をされるというところが、実は病院の職場なわけです。これは、いわゆる資格を持っておられる、いわゆる資格がお金になるというような性格もありまして、看護婦さんなんかに関しては、七十歳ぐらいまで雇用を保障していただけるというところが多々あります。ただ、それでも、しばしば労働条件は引き下げるという交渉にならざるを得ないというのが現状であります。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 中小労組の労働者の方々を対象にした活動をなさっておるわけでありますけれども、これらの労働者からの御相談、多種多様かと思われますが、そうした中でとりわけ雇用保険未加入労働者からの御相談、典型的な例がございましたらお話しいただきたいというふうに思います。

中岡基明中小労組政策ネットワーク共同代表

○中岡参考人 雇用保険未加入の労働者からの相談といいますのは、率直に言って、倒産、解雇されたときに初めてわかるというのが一つなわけです。実は、倒産をして解雇された、どうしたらいいんだろうかというときに、まず雇用保険は入っているんですかというふうにお聞きしますと、雇用保険は入っていないというのが多々あります。  その上で、典型的な例といいますのは、先ほどのいわゆる遡及期間との関係もありますけれども、十七年間いわゆる紳士服の縫製をされていた腕がピカ一の、それも高級紳士服で、案外先生方も使われたことがあるかもしれないような名のある紳士服の縫製工をされていたんですが、そこに十六年間勤められた。ただ、倒産によって、二年しか遡及ができないということになりました。そのときは、私は、個別延長給付を行うべきである、特別の職もありますし、家族もありますし、倒産という要件もありますので、個別延長給付を行うべきではないかというふうに職安にかけ合ったことがありました。職安は、そういう法律はあるけれども、そういうのは適用したことがないということで拒否され、最後には訓練校に行きなさいと。十六年も仕事をし、五十六、七になって、縫製工でしか仕事ができない、ある意味では職人ですよね、そういう人たちに単純に訓練校に行きなさいと。訓練校に行くにも十人も二十人も順番を待たなければならない、そのような事例があります。  それと、もう一つ典型は、いわゆる学校関係なわけですけれども、これは非常勤講師が非常に多いわけであります。こま数等の関係も含めて、あえて雇用保険に入らないということを学校側がやっているということもあります。そして、実際的にそのこま数の考えで今の保険行政が行われるわけですけれども、学校の先生方は、それを準備する過程も含めてどのようにいわゆる労働時間として考えるのか、このようなことをいつも窓口事務所でもやりとりをしたりしているような実情であります。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 いろいろな相談を受けておる中で、特に大事なことは、職安の窓口で起こっているトラブルで大変懸念される問題が幾つかあろうかと思いますが、何か典型的な例がございましたらお話しいただきたいというふうに思います。

中岡基明中小労組政策ネットワーク共同代表

○中岡参考人 今、窓口でのトラブルも含めて少し御報告したわけですけれども、今までの私どもの経験では次のようなことがあります。  先ほどの意見でも述べたわけですけれども、ある企業がリストラのために早期退職を行いました。早期退職を募集しまして、それに応じて退職をしたということでありますけれども、これの給付制限をめぐって、いわゆる自己都合か会社都合かということが、実は職安の窓口によって決定が違うということが発生をしました、同じ事件なんですけれども。  といいますのは、職業安定所に離職票を持って申告に行くのが住居地ということになります。したがって、東京に住所があり東京で申告をしたという方と、千葉にお住まいで千葉で申告をしたという方がありまして、東京では会社都合というふうに認めていただいたわけですけれども、千葉では拒否されたというような具体的な事例がありまして、私ども慌てて修正のために飛んだりということもありました。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 高年齢者雇用安定法の改正案に盛られておりますところの再就職援助計画の性格あるいは有効性等について、どのように評価なさっていらっしゃるでしょうか。

中岡基明中小労組政策ネットワーク共同代表

○中岡参考人 先ほども出ておりましたけれども、この問題は非常に危険な要素を持っているというふうに僕は思っております。  といいますのは、例えば、今既に外資系などではしばしばこういうことをやっておるわけですけれども、私もかかわりましたので、プレスメントというような会社があります。要らなくなれば、君、プレスメント行きだよということを言われます。プレスメントというのは、いわゆる民間の有料職業紹介をやっているわけでありますけれども、その間三カ月は給料を出します、そこで新しく職を探しなさいというような指導をし、三カ月が来れば自動解雇になるというような制度もあるわけです。その意味で、本人が次の職を探しなさいというふうに会社に指令されるということが、本人同意とはいえ、実際的にそれをされることによって、社内も含めて、余剰人員であるということをある意味では刻印をするということになります。これは、実際的にいじめの対象にもなりますし、やめざるを得ない、そういう促進になってくるのではないか。  その意味で、現在、自己がスキルアップをするためのさまざまな援助というものがあります。昨年、八〇%までだったかと思うんですけれども、そういう制度が少し充実されてきました。そういう制度を、基本的には自己が技能を高めていくというところに焦点を当てて援助を強めるべきではないか。なまじっか再就職のための援助というふうにして行うことによって、逆にリストラがふえ、あるいはいじめが現実的に発生するのではないかというふうに、非常に危惧をしております。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 次に、松浦参考人にお尋ねをいたしたいというふうに思います。  現行高齢者雇用安定法四条の三で、継続雇用制度の導入または改善計画について、事業主に対し計画作成の指示と必要な勧告を労働大臣に与えられておるんですね。残念ながら、四条の三の適用で労働省がやったことは、この五年間ただの一件もありません。五年間、法に基づいて本来やるべきことをやっておったならば、今回改正する努力目標じゃなくて、もう一歩踏み込んだ改正案ができるんじゃないだろうかと思えてならないんです。この事実についてどうお考えになるでしょうか。

松浦清春日本労働組合総連合会総合労働局長

○松浦参考人 この制度にかかわらず、国や労働省が持っている支援施策につきまして、その実効性が極めて薄いものがあるということを私どもは危惧あるいは憂慮いたしております。したがいまして、これらの制度をつくられましたのはこの委員会であり、あるいは国会議員でありますから、みずからも反省をしていただいて、ぜひ、今回はそうしたしり抜け法案にならないようにお願いをしたいと思います。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 いよいよ時間もなくなってまいりましたので、荒川参考人にお尋ねをいたしたいというふうに思います。  本年一月の十二日、日経連による「人間の顔をした市場経済」と題する労働問題研究委員会の報告がございます。人間の働きがい、生きがいが大切にされる社会を目指すとしつつ、そうした社会に果たす企業責任の重さと、そのための経営道義の高揚を強調なさっております。  経営道義の責任を高く自覚されることは大変結構なこととは存じますが、さて、現実の姿はどうかといえば、バブルがはじけて、あげくの果てに巨額の不良債権を生み出しながら、その責任をとった経営者は皆無に等しいという今の姿。それどころか、本来の意味とはおよそかけ離れたリストラによって首切りが行われておるというのが国民の実感ではないかというふうに思うんです。  「人間の顔をした市場経済」、理念と現実とには随分格差があると言わざるを得ないわけでありますが、経営者の連合組織の要職を務められる荒川さん、これをどのように御認識なさっておるのか、承りたいと思います。

荒川春日本経営者団体常務理事

○荒川参考人 御質問いただきましたのは、たまたま私持ってまいりました、こういうものでございます。  今御指摘いただきました諸点でございますが、反省をするのか、責任をとるのか、それから、これからそれをベースにしてどうするかという、さまざまな御質問が入っていたと思います。  私ども日経連が、人間の顔をした市場経済を目指すと提起しました背景は、経営者の理念、活動を本来に戻すべきであるという、経営者みずからに対して、さらには社会に対しての提起であります。私ども、この趣旨をこれからしっかりと踏まえながら活動をしていくものと考えております。  わけても雇用問題につきましては、さまざまに御指摘をいただきますが、雇用の維持、創出は経営者の最大の責務であることを忘れてはならない、何よりも日本の経営は、組織経営の基本を人間に据え、人間の幸せ、成長への希望をエネルギーとして発展してきた、これからもこの姿勢は堅持すべきであるということを、改めまして経営者並びに社会に明言したものであります。  過去の御批判はいろいろございますかもわかりませんが、私どもは、これをもってしてこれからの経営指針として日経連活動をしてまいりたいと思います。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 最後にもう一点だけ、荒川参考人にお尋ねをいたしたいというふうに思います。  経団連が昨年の十月十九日に公表した「国民の豊かさを実現する雇用・労働分野の改革」という提言がなされておりますが、この中で、「雇用・労働政策及びこれに密接な関連を持つはずの産業政策、教育政策、社会保障政策が担当省庁毎に縦割りで、十分な連携がとられておらず非効率なまま実施されている。」との批判がなされております。  参考人も既に御案内かと存じますが、二〇〇〇年度の租税、社会保障負担率は三六・九%、財政赤字を加えた潜在的な負担率は四九・二%という大蔵省の発表がございます。経団連のこの批判と、大蔵省が明らかにした負担率とを重ね合わせた場合、一方では介護保険制度が発足をし、他方では雇用保険の負担率の引き上げが行われようとしておりますが、省庁別縦割り、つまり、社会保障制度を構成する制度が個々の財政的収支均衡の観点から負担率を引き上げたり給付内容を引き下げることは、全体的セーフティーネットを損なうことになりはしないのかというふうに思えてならないわけであります。  参考人はこの点いかがお考えでしょうか。

荒川春日本経営者団体常務理事

○荒川参考人 私どもと組織の異なる経済団体連合会の御主張は御主張でございます。それの感想を求められておりますが、この点については、私責任者でもございますので、お答えは差し控えさせていただきます。申しわけございません。

畠山健治郎社会民主党・市民連合

○畠山委員 時間が参りました。終わります。どうもありがとうございました。

赤松広隆民主党

○赤松委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十三分散会

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