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147回国会衆議院2000/05/12

法務委員会 第20号

発言数
131
登壇者
19
会派数
7
開催日
2000/05/12

会議録

武部勤自由民主党

○武部委員長 これより会議を開きます。  小委員会設置の件についてお諮りいたします。  少年犯罪をめぐる諸問題を調査するため小委員十一名よりなる少年問題に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部勤自由民主党

○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部勤自由民主党

○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びに補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部勤自由民主党

○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員会におきまして参考人並びに政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、出席を求めることとし、その取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部勤自由民主党

○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————

武部勤自由民主党

○武部委員長 第百四十五回国会、内閣提出、少年法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。臼井法務大臣。     —————————————  少年法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 少年法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。  少年審判において、的確に非行事実が認定され、事案が解明されることは、非行のある少年に適切な保護処分を施し、その健全な育成を図るという少年法本来の目的を実現する上で不可欠であり、一方、非行のない少年について、これを誤って処分することがないようにし、かつ、その判断が国民に信頼をもって受け入れられるようにすることが、裁判制度のあり方からも、また、その少年の利益のためにも肝要であります。  しかるに、近時、いわゆる山形マット死事件を初め、少年審判手続における事実認定が問題となる事件が相次いで生じたことなどから、少年審判における事実認定手続のあり方が問われるに至っております。また、犯罪の被害者に対する配慮を求める声が高まりを見せており、このような声に誠実にこたえることが関係各方面に求められているところであります。また、家庭裁判所で取り扱う家事審判についても、近年、法律上及び事実上の争点が複雑多岐にわたるなど解決困難な事件が増加しております。  そこで、この法律案は、このような状況を踏まえまして、少年審判における事実認定手続の一層の適正化を図り、被害者に対する配慮を実現するための法整備を図るとともに、あわせて家事審判についても所要の法整備を行おうとするものであります。  この法律案の要点を申し上げます。  第一は、少年法の改正であり、次の点を主な内容としております。  その一は、少年審判における事実認定の手続に検察官が関与した審理を導入することとし、検察官が審判の手続に関与する場合において、少年に弁護士である付添人がないときには、家庭裁判所が弁護士である付添人を付することであります。  その二は、一定の場合には、観護措置の期間の更新を、現行の一回を超えて、さらに四回を限度として最長十二週間まで行うことができることとし、あわせて観護措置及びその更新の決定に対する不服申し立て制度を整備することであります。  その三は、検察官に事実認定及び法令の適用に関する抗告権を付与することであります。  その四は、保護処分終了後において、審判に付すべき事由の存在が認められないにもかかわらず保護処分をしたことを認め得る明らかな資料を新たに発見した場合の救済手続を整備することであります。  その五は、家庭裁判所が被害者等に対し、少年審判の結果等を通知する制度を導入することであります。  第二は、裁判所法を改正して、家庭裁判所に地方裁判所と同様の裁定合議制度を導入することであります。  第三は、家事審判法を改正して、家事審判について合議体で審理をする場合の受命裁判官に関する規定を設けることであります。  その他、所要の規定の整備を行うこととしております。  以上が、この法律案の趣旨であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。

武部勤自由民主党

○武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————

武部勤自由民主党

○武部委員長 この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁刑事局長林則清君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省保護局長馬場義宣君、文部省教育助成局長矢野重典君、厚生省児童家庭局家庭福祉課長萩原英俊君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部勤自由民主党

○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————

武部勤自由民主党

○武部委員長 次に、お諮りいたします。  本日、最高裁判所安倍家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

武部勤自由民主党

○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————

武部勤自由民主党

○武部委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。杉浦正健君。

杉浦正健自由民主党

○杉浦委員 自由民主党の杉浦正健でございます。  自由民主党としても、いろいろな新しい時代に対しまして、少年法問題を根本的に考え直そうということで、少年法に関する小委員会を立ち上げることに相なっております。その小委員長代理を仰せつかったばかりでございますが、まだ小委員会で検討しているわけではございませんので、以下申し上げる点は党を代表しての意見ではないことはあらかじめ申させていただきますが、日ごろ考えていることを申し上げ、最後に大臣の所信をお伺いしたいと思っておる次第でございます。  今度提案された少年法の改正内容につきましては、きのうの本会議における審議でもいろいろ御議論あったとおり、手続面の改善ということでございまして、そのこと自体いいか悪いか、正直言って私は余り関心がなかったわけであります。反対でもありませんが、賛成でもない。ただ、実務をやっている方々の中から、そういう手続を改善してほしいという要望に基づいて出てきたものだということは法制審の審議経過等で承知をいたしておるところであります。しかし、それは現時点でのさまざまな大きな問題に対応するについて余りにもびほう的に過ぎる、もっと根本的な問題があるはずだということをかねがね申し上げておったところでございます。  国民の少年法に対する関心事といいますと、そこにはないわけです。以下、意見を申し上げますが、もっと根本的なところにある。これは、きのうの本会議の各委員の御発言の中にも出てきたところでございます。  暗い話ばかりなんですが、十八分いただきましたので、まず私は明るい話題から入らせていただきたいと思うのですけれども、私は、日本の少年、若い世代は、すばらしいポテンシャルといいますか可能性を持っている。ごく一部にああいう凶悪犯罪をやる子が出てきているのは非常に残念なんですが、全体として見ますと非常にレベルも高くなっている。自分自身が過ごした少年時代と比べますと、格段の高さだというふうに思っております。  ごく最近感動したことを申し上げます。  これは、私の母校、岡崎市立矢作南小学校と申しますが、卒業式に出席いたしまして、これは、父兄、来賓、先生方、本当にもう感動の卒業式でございました。私らのころは全校総代といって証書を渡したものなのですが、最近は一人一人校長先生がお渡しになる。今度の卒業式は、証書をもらった子供たちが、保護者席へ行って両親にありがとうございましたと言って卒業証書を初めて渡したのですね。それを受け取った保護者も涙ぐまれるし、後で聞いたら、子供からありがとうと言われたのは初めてだと言った父兄もあったそうですが、非常に感動的な情景でありました。  それから、卒業生を送る言葉、卒業生の答辞、我が母校の場合は、非常に全校挙げて合唱に取り組んでおりまして、全国小学生唱歌コンクールにはここのところ東海地域を代表してずっと出ているのですね。非常に合唱が上手なんですね。それで、卒業生の方も、在校生と向かい合って歌を歌い、言葉を交わしながら、代表がやるのではなくて全員でやりとりする。先生に対してもやるわけです。  それは非常に感動的であり、美しいのですが、四組あったうち、その一組は男の先生で、その子供の一人が、先生、しかってくれてありがとう、こう言ったのですね。その先生は立ち上がって、おまえたちと別れるのははらわたがちぎれるようだと、本当にはらわたがちぎれるような声を出されまして、感動の渦になりました。ほかの三組の先生方にもそういう言葉がかかったのでありますけれども、教育の場合にはそういう感動を生み起こすのだということを目の当たりにして、思わずみんな泣いたわけであります。  中学校、私の母校は矢作中学校ですが、ここに至ってはもっとレベルが高うございまして、吹奏楽団なんというのはウィーン・フィルに匹敵するんじゃないかと思うぐらいうまいんですね。運動会に行っても思うのです。彼らの音感のよさ、それから色彩感覚のよさ、それから勉強のレベルは実に高い。体力はちょっと、やはりコンピューターとにらめっこしているからひ弱になっているところもあるのですが、知的レベルは非常に高くなっています。  ほかの地域はわかりませんが、卒業式は、もう今に始まったことじゃありませんが、日の丸が正面に掲げてありますし、君が代を斉唱して始まる。実に厳粛な卒業式でもあり、感動を呼ぶものでございました。ますますその感を深くしたわけでございます。  私は、選挙をやっている関係上、二十代の若者ともいろいろなサークルをつくったりなんかしてつき合っているのですが、二十代の若者と生に接しますと、それぞれ夢を持ち、希望を持ち、貧しいのですが一生懸命取り組んでいる。そういう姿を目の当たりにしておりまして、それは犯罪行為をやる少年はごく一部、限られた子であって、もちろん根っこは深いものがあるわけでありますが、しかし、全体として見ると、我が国の将来は、そういう子たちがすくすくと育って、必ずや世界の中に冠たる日本を担ってもらえると確信いたしております。  ただし、凶悪犯罪が、このところ少年の犯罪がふえているということも一面憂慮すべきことで、僕は、少年たちの大多数はまじめに一生懸命取り組んでおるわけで、彼らも非常に困ったと思っているに違いない。  いじめの問題等さまざまあるわけですが、いじめに至っては僕らの小さいころはもっとひどかった。いじめるやつをいじめるのもいたのですが、これはもうどんな世の中になっても程度の問題はあれあることであって、ただ、それをどうやって社会全体で、家庭や学校や社会でコントロールしていくかという問題だと思うのですね。それも、私は、私の地元でも取り組んでおりますし、学校の先生も一生懸命やっておられるし、必ず解決していくと信じて疑いません。  申し上げたいことは、前提はもっと言いたいことはたくさんありますが、少年法との関係で言いたいことがいっぱいありますので、このあたりにいたしますけれども、私は、少年法の改正を行うとすれば、今の少年法が持っている根本的な欠陥にさわらない、実体的な部分に触れなければ全く意味がないと思っております。  どこがいけないかといいますと、きのうの審議でも出ました。まず第一に、目的であります。青少年の健全育成、これは結構なんですが、しかし、もっと規範意識と申しますか、罪を犯したら罰せられるよ、社会に対して迷惑をかけたらその責めは負うよということもきちっと植え込むという、その目的、第一条ですが、まず第一にその根本的な検討が必要だと思います。  そして、さまざまな面で検討すべき点がございますが、まず、年齢問題は避けて通ってはいけないと思います。  何条でしたか、ただし書きで、十六歳未満は刑事処分できませんね。これはおかしいと思います。あのただし書きは削除すべきだ、こう思います。十六歳というと高校生であります。高校生になれば、あるいは中学生であっても、凶悪な犯罪を犯した場合は刑事法廷に引っ張り出して、そこで事実を究明してきちっと審判をする。こんな微温的に検察官の立ち会いをどうするこうするというよりも、そこのところをきちっとやるべきだ、こう思っております。  さらに言いますと、十八歳未満、これは児童の条約があるのですか、死刑にできないというのは。条約に加入しているからできないそうなんですが、死刑にできない。今度の十七歳の少年なんか、二人ともそうなんですが、死刑にできないとすれば、これは法律で、何条でしたか、死刑に処すべき場合は無期懲役となっておりますが、その無期懲役の仮出獄も、法律で要件が緩くなっています。  だとすれば、刑法の方に終身刑ぐらいを導入して、そして、少年の場合には、死刑にできない場合は終身刑。七年や八年で出てくるというのじゃなくて、人生の大部分は獄中で過ごすんだよという規範をぴしっと決めて、あなた方はそんなことをやったらだめだよということを警告しなきゃいけないと私は思うのです。望むらくはそういう少年が出てこないことなんですが、しかし、出てきた場合には罰を受けるよということはきちっとしなきゃいけないんじゃないか。  あわせて、現在、刑法の方の刑事罰は十四歳から。十四歳というと中学二年生か三年生ということなんですが、中学生ぐらいになったらもう罰せられるよということも真剣に検討すべきだ。  どなたか、元服はかつては武士は十五歳だ、数えの十五歳ですから、満にしますと十三歳ですか、元服をして、場合によれば切腹もさせられたという時代もあったわけなんですが、十二歳にすると、小学校六年生で十二歳になる子もいるから、十二歳にするのはいかがかと思いますが、十二歳か十三歳か、もうそろそろ下げることを検討してもいいのじゃなかろうか。中学生になったら悪いことをしたら罰せられるよというふうにしてもいいのではないか、こう思うわけでございます。  この少年の定義、二十歳になっていますが、十八歳に下げるということも検討していいのじゃないか。そうしますと、成人が十八歳になりますから選挙権を与えるとかそういう問題が起こってまいりますが、私は、今の若者のことを考えてみると、全く個人的意見でありますが、十八歳で選挙権を与えていいのではないか、成人にしてもいいのじゃないかとすら思っておるわけでございます。  それから、もう一つ挙げるとすれば、逆送の規定がありますね。これは、裁判所が重い事件で相当と認めるときは決定で逆送する、こうなっていますね。私は、その中に必要的逆送を入れるべきだ。もう裁判官の決定を待たずに、家庭裁判所には検察官からも司法警察員からも送致されるわけですけれども、その中の凶悪事件については裁判官の判断を待たずに逆送するということを考えなきゃいかぬのじゃないか。今の家裁の運用は、逆送をためらう、殺人事件ですら送らないケースもあったのじゃないでしょうか。たしか多数人による輪姦事件なども家裁で処理したということもあったと聞いておりますが、殺人とか強盗殺人とか、あるいは監禁致傷だとか傷害致死だとか輪姦事件とか、そういった凶悪事件については、もう事実を確認したら直ちに逆送するという必要的逆送の規定を設けるということも検討していいのじゃないかと思っている次第でございます。  そのほかも細々いろいろありますが、自民党の小委員会においてはそういった問題を検討して、この少年法、審議されるとすれば修正、あるいは解散になれば廃案でありますが、新たな少年法の立ち上げについてはぜひともそういう基本的なことを検討すべきだと思っておる次第でございます。  これは、大多数の少年は犯罪をしないわけです。まじめに誠実に勉強をして成人していくわけで、凶悪な犯罪を起こしたごく一部の少年に対して厳正に適用をする、そういう規範を示すことによって犯罪を起こさないようにする。犯したら厳正に処罰するということが必要だ、それを社会も求めていると思うわけであります。  時間が参りましたのでやめますが、私は、国政報告会をやりますと、少年法の問題を大体持ち出すようにしております。私は持論を、今言ったようなことをみんなに言いまして、どうですか、皆さん、私の意見に賛成ですか、賛成する人は手を挙げてくださいと毎回やっているんですよ。圧倒的に手が挙がりますよ、私の意見。国民は私の意見に賛成です。少なくとも私の国政報告会に参加する人は全員賛成であります。  私は確信を持って、将来、大多数の少年が、日本を担ってくれるまともな人が多数いる。しかし、いろいろな原因があるにしろ、凶悪事件を犯すような一部の少年については厳正に処罰する、ぴしっと法廷に引きずり出して糾弾をして、そして、逆送したのを調べた結果、保護処分相当であったら、また家裁に戻したらいいのです。逆送の逆送をやったらいいのですね。戦前は、検事が調べて、必要なのは少年法で審判所へ送ったわけでしょう。そこは伸縮自在に運用したらいいと思いますが、そういう方向で提案したいと思っております。  大臣の御所見をお伺いして、終わります。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 今委員お話をいろいろいただきましたけれども、現代の少年の大部分が大丈夫だという委員の御認識、私もそう信じたい、こういうふうに思っておりますし、また教育というものは感動を呼び起こすことであるという委員の御指摘は全くそのとおりであろう、こういうふうに私も思います。  一方、本法案は、近年における少年の事件や少年の審判の実情というものにかんがみまして、少年審判制度に対する国民の信頼を確保するためには、まずもってその事実認定手続の一層の適正化のための所要の法整備を行うことが喫緊の課題であるというふうに考えられておりまして、これらについて行おうとするものでございます。  ただいま委員御指摘をいただきましたように、近時、少年による凶悪重大犯罪というものが発生したことなどを契機といたしまして、少年司法における年齢区分のあり方等、さまざまな問題が国民の重大な関心事となっていることは十分認識をいたしております。これらの問題につきましては、刑事司法全般において少年をいかに取り扱うべきかという基本的な考え方にかかわるものでございまして、種々の御論議があるということは承知をいたしておりまして、これらの論議を踏まえつつ、重要な課題として早急に検討していく必要があるものと考えているのでございます。

杉浦正健自由民主党

○杉浦委員 終わります。

武部勤自由民主党

○武部委員長 左藤恵君。

左藤恵自由民主党

○左藤委員 私に与えられた時間は非常に短いものでございますから、今杉浦さんがお話しになりました年齢の問題、いろいろなことがたくさんこの少年法の改正について当然取り上げられるべきである、このように思いますが、とりあえずの段階として、そうした手続的なことについて、私はこれはそれぞれの意義があると思いますが、それだけでこれだけのいろいろな大きな問題を起こした少年の犯罪につきまして十分それをカバーしておるかということについては、一つの面として、刑といいますか、そういうものが少年に対して行われている問題について、年齢によっていろいろ違うわけですし、収容される場所も違うわけなんですが、実情はどうなのか。  随分昔の話になりますが、私が法務大臣をしておりますときに、府中の少年刑務所ですか、視察に伺ったことがありましたが、当時、平均して大体十カ月ぐらいの収容しかしていないというのは、現実の問題としては、非常に子供の犯罪が多かったためにか、収容し切れないというような問題があるんだと。  もし、そういうことが現在も続いておるならば、当然このことについて施設の充実というようなことを図らなければならないのじゃないか。このことについては矯正局でしょうか、保護局でしょうか、とにかく現実の状況について御説明いただければありがたいと思います。

鶴田六郎法務省矯正局長

○鶴田政府参考人 お答えいたします。  家庭裁判所による少年院送致の決定においては、収容期間というのは定められておりません。家庭裁判所における決定で示されました勧告を踏まえまして、大別しまして、六カ月以下の短期またはそれを超える長期のいずれかの処遇課程に編入した上で、一人一人の少年の問題性に応じた教育計画を作成し、それに基づき矯正教育を行っておりまして、その結果、教育目標の達成度に応じて、保護観察に付することが本人の改善更生のために相当と認められるときに、少年院長が仮退院の申請をいたしまして、地方更生保護委員会の決定によりまして仮退院させる、そういうのが現在の原則的な取り扱いでございます。  最近、少年院の収容数も増加する傾向にございまして、中には収容定員を超えるような少年院もございますけれども、そういった収容状況によって仮退院の申請の適否を決定するというようなことはしておらないというのが実情でございます。  なお、施設の拡充等につきましては、今後、収容動向を勘案しながら必要な措置をとってまいりたいと思っております。

左藤恵自由民主党

○左藤委員 成人に対します刑務所におきます教育というものと、少年犯に対しますそういう教育と、私はおのずから、教育のウエートといいますか、そういうようなものが違ってきているのじゃないか。社会に対する、悔悟をして、そして社会奉仕をしなければならない、そういう気持ちと、それから教育的な意義といいますか、そして人間として再生していく、将来に対する期待というようなものが少年の場合は違ってくるわけであります。  特に教育の問題に関連しまして、例えばまだ義務教育課程にある、中学校の課程にあるというような子供の場合には、厚生省がやっておられるところですか、現実にそういう保護施設みたいなところがありまして、そこへ収容される場合に、午前中は、義務教育課程ですから義務教育の授業を受ける、そして午後はまた一般の作業をさせる、こういうような指導をしておられる事例があると思いますが、その場合の、文部省の関係の教員の資格というのは一体どういうふうに取らせておられるのか。  中学校の場合ですと、それぞれの学科別に許可証、そういうものを取っておるわけでありますが、形の上だけ義務教育の課程を終えさせるための、悪い言葉で言えば、無理をしてそういうようなことでやっておられるということでは困るのでして、やはりこの辺のところに、義務教育というものを、きっちりと教育していくという体制というものと、文部省との連絡というものをとっていないのではないかな、こういうような感じがします。  役所の権限争いというようなことも若干あるのかもしれませんが、具体的に、中学校をそこで卒業した場合に、近隣の中学校の校長さんが卒業証書を発行しているという事例があるのですが、それは一体どういうことになっているのか、このことについて厚生省の立場から御説明いただければありがたいと思います。  私の伺っているのは、要するにそういった少年犯に対します指導ということについて、法務省が法務省だけの考え方でやっているということであっても、年齢的にそういったところで、厚生省なり、あるいはまた文部省の関係の施設もあるのかもしれませんが、そういうようなところで収容してやっていく。そういう刑の執行というよりも、むしろ指導というような問題について、きちっとした形のものができているのかどうか、法に反していないのかどうか、こういうことについてもやはり責任のあるものを、子供たちが義務教育課程をきちっとした形で卒業して、そして社会へ戻っていく、こういう体制というものが十分できているのかどうか、こういったこともあります。  もう時間もありませんので、私はここで申し上げたいのは、小渕前総理が始められました教育改革というようなことで、今教育改革の審議会をつくって論議をしておられる、こういった答えもいろいろ参考にされて、法務省だけでこういった子供たちの指導の体制というものを、そういうようなことにしないで、次に法案を出してくるとかいう段階におきましては、十分その教育的な効果というようなものを、省庁を超えて、内閣として考えられるものを出していただきたい、このことを特に要望しておきたいと思います。  お答えがありましたら伺っておきたいと思います。

武部勤自由民主党

○武部委員長 時間になっておりますので、簡潔に答えてください。

萩原英俊厚生省児童家庭局家庭福祉課長

○萩原政府参考人 お尋ねがございました児童自立支援施設におきます入所中の児童の義務教育につきましては、平成九年の児童福祉法の改正以前は、教護によりまして学校教育法に準じた教育が行われておったわけでございますが、入所児童の教育権を保障する、そういう観点から児童福祉法を改正いたしまして、施設長に入所中の児童に就学させる義務を課しまして、入所児童に対し学校教育を実施させておるところでございます。  しかしながら、児童自立支援施設の入所児童に対する学校教育の実施につきましては、教職員の確保や、あるいは所要の施設整備など、地元の教育委員会を初め関係者の理解と協力が不可欠でございまして、直ちに学校教育を実施することが困難なケースもあるところから、経過措置を設けておるところでございます。  平成十二年四月現在、学校教育を実施している施設は、五十七施設中十六施設でございます。実施していない施設においても、教員資格を持っている児童自立支援専門員、あるいは非常勤の学習指導担当職員を中心に学習指導を行っているところでございます。  厚生省といたしましては、学校教育の実施につきまして、文部省と継続的な協議を行うとともに、都道府県の福祉部局と教育委員会との学校教育の実施に関する検討会等に対する助成事業を行っているところでございまして、今後とも、学校教育の実施の促進に努めてまいりたいと考えております。

左藤恵自由民主党

○左藤委員 時間になりましたので、大変申しわけありませんが、またもう一つの問題としては、この間のバスジャックの問題のような、精神病院から一時的に退院したときにこういった事件を起こしているというような問題もありまして、この責任論といいますか、そういったことの間に起こった事件に対する責任は一体だれがとるのか。精神病者に対する対策というようなものも真剣に考えていただかなければ、御本人のいろいろな問題だけでなくて、その被害を受けた人方に対する社会的な責任というものをだれがとるのだということを明らかにしていただきたい、このこともお願いしておきたいと思います。  終わります。

武部勤自由民主党

○武部委員長 北村哲男君。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。  少年法に関連する質問でもありますが、その前に一点だけ質問しておきたいことがあります。  というのは、総理の名誉毀損問題、昨今の、この数日の新聞では、総理の女性問題がさる月刊誌に記載されるということについて、総理自身も、幹事長と対応を考えたり、あるいは名誉毀損か何かで訴えるというふうなことも新聞に報道されております。また、事実かどうかということについては、総理は、そういうのはでたらめであるというふうな言い方もしておられます。  私は、ここに二つの新聞を今持っております。これは昭和三十三年二月十八日、随分昔の話でありますけれども、その毎日新聞及び東京新聞でありますが、ここに「青線の擬装転業摘発 業者ら十八人を検挙」という記事があります。これは東京新聞であります。また、毎日新聞では、「バー装い売春 新宿、浅草で十八人検挙」というその中に、「浅草周辺の街しょうの手入れを行ない業者二人、ポン引二人、客五人、旅館経営者一人、女八人計十八人を検挙した。」という記事があります。問題は、この「客五人」という中に、実はこの中の一人が過去の森総理ではないかということで、さる月刊誌が、でかでかというか詳細に記載してある、さる人の問題。  私の認識しているところでは、たしか売春防止法は昭和三十三年には既に施行されておったというふうに認識しております。そうなると、売春防止法では、あっせんをした人とか売春をした人は罰せられるけれども、いわゆる客は罰せられない。そうなると、検挙の対象にならないというふうにも思うのですけれども、この新聞が事実なのか、あるいはでたらめなのか。  森総理のおっしゃるように、でたらめなことであるならば、これは大変な問題である。これは一人の私人に対するプライバシーの侵害ではなくて、公人、しかも我々の総理であります。それは、森総理に対する、一個人に対するプライバシー侵害ではなくて、国民全体に対する侮辱ということも考えられますし、国際問題にも発展すると思いますので、まず、そのあたりの、その記事の中がそうかもしれないということの一番最初の問題について、売春防止法で摘発されるはずがないと思うのですけれども、その辺はいかがなものでしょうか。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 ただいま委員御指摘の新聞記事の正確性そのものについては、これはお答えを差し控えますけれども、売春防止法の施行がどうなっているかということについて申し上げますと、同法は、三十一年五月二十四日に公布されて、まず、刑事処分に関する部分を除きまして昭和三十二年四月一日から施行され、刑事処分に関する部分については昭和三十三年四月一日から施行されたものでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 そうすると、刑事処分に関するものは三十三年の四月からであるならば、この記事によると、まだこの時期では刑事処分前の条例か何かで刑事処分の対象になる、検挙もあり得るということになるということですね。多分そういう解釈だと思います。  そうすると、恐らく今後、総理が名誉毀損で訴えられるかどうかという問題はもちろん個人の問題でありますが、事実かどうかということは、恐らく前科調書とかあるいは犯罪歴調書というものには記載されておると思うんですけれども、そういうものの保存期間とか、あるいはどこにそういうものは保管してあるのかということについてはいかがなものでしょうか。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 いわゆる前科につきましては、検察庁でそのデータを保管しているわけでございます。このデータの保管は、まずは基本的には、お亡くなりになるまで基本的な犯歴データとして保存しており、死亡通知が参りましたら、これを別途保存するということにしております。

林則清警察庁刑事局長

○林政府参考人 お尋ねは、警察の保有しておる犯罪経歴に関してのものであろうと思いますけれども、警察におきましては、検挙した被疑者につきましては、その者に関する記録をいわゆる犯歴システムに登録しまして、犯罪捜査等の警察任務遂行のために利用しておるところであります。  この犯歴システムには、検挙した被疑者の罪名などの検挙に関する情報や判決の処分結果等を入力しておりますけれども、それ以上の詳細な入力項目や、今お話ありました、どの程度の期間それを保存しておるかといったことにつきましては、これを明らかにすると捜査に支障を及ぼすということから、それについてのお答えというのは差し控えさせてもらいたいということでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 そうすると、まず、逮捕されたかどうかということはどういうものに載っているのかということ、それから、起訴猶予というふうな処分、あるいは起訴されたという、何らかの罰金か何かの処分を受ける、三つ段階があると思うんです。  まず最初に、誤認逮捕とかさまざまな問題はあると思うんですけれども、逮捕されたかどうかというのは前科調書に載っているんですか。あるいは、いわゆる前歴調書、警察の保管しているものにあるんですか。

林則清警察庁刑事局長

○林政府参考人 検挙でありますから、逮捕されたというものについては、犯罪経歴として警察の犯歴システムの中に登録されておるということでございます。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、検察庁で保存しておりますデータとしては、要するに、裁判になって、その結果の確定した前科が中心でございますが、そのほかに、事件を警察などから送致を受けるなり、検察官が認知した場合の受理のデータというのも、また別途保存はしてございます。ただし、それは逮捕あるいは在宅であるかどうかということの区別はないわけでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 ちょっとはっきりしないんですが。  そうすると、起訴猶予のような場合は、検察庁保管のいわゆる前科調書というものには記録されているというふうに聞いてよろしいですか。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、前科は裁判の結果でございます。ただいまお話しの、不起訴になったものにつきましては、これは事件の受理のデータとして別途保存しているということでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 その別途保存しているというものは、どういうものなんですか。私の頭にあるのは、よく裁判なんかで関係資料として、犯罪歴報告書というものが警察から出ます。あるいは、前科調書というものは検察庁から出ます。今おっしゃったような、送致を受けたということ、あるいは不起訴の場合、それはどういうふうな名前のものなのでしょうか。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 ちょっと今正確な名前は覚えていないんですけれども、前科調書に記載されますのは、先ほど申し上げましたとおり、裁判によって有罪にされた場合のデータでございまして、不起訴のものは入っておりません。  ある事件が送致されまして、あるいは立件されまして、そういう送致を受け、あるいは立件された事実と、それについての処分がどうなったか、そういうデータが別にあるということでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 それでは、検察庁、警察庁、両方に聞きますが、それらの調書の開示の方法ですが、これは私の知識では、同じ人が裁判になった場合には恐らく添付書類としてそういうものがついてくるのは知っておるんですけれども、そうじゃない場合、例えば国会で資料請求したらどこまでが開示されるのか。  あるいはもう一つ、民事訴訟か何かを起こしたときに、相手方が防御するときに、その書類を資料提出を求めた場合には出していただけるものなのかどうか。そのあたりはどうなんでしょうか。

林則清警察庁刑事局長

○林政府参考人 犯罪経歴は、言うまでもなく個人のプライバシーに深くかかわるものでありまして、警察といたしましては、犯罪捜査等の任務遂行のために必要な場合にその使用を限定しておる、目的外の使用というものは禁止しておるところでありまして、個人の犯罪経歴の開示というのは行わないのが原則であります。  今、民事訴訟や国会の委員会の要請に対して犯罪経歴を提出できるかとのお尋ねでありますけれども、実際には具体的な要請を踏まえて検討すべきものではありますけれども、一般論として申し上げますと、犯罪経歴というのは個人のプライバシーに最も深くかかわるものでありまして、公務員法上の秘密に当たるとともに、これを開示いたしますと自後の警察活動に支障を来すものであるだけに、特に慎重な判断を要するものであり、提出といったことにはなじみにくいものというふうに考えております。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 前科について申し上げますと、ただいま警察庁の刑事局長からも御答弁がありましたとおり、人の名誉、信用に直接かかわるものでございますので、これをみだりに公開されないという法律上の保護に値する利益である、これは最高裁判例もそう認めているところでございます。  ただ、その前科について、それが訴訟等の重要な争点になっている、それ以外に立証の方法がないというふうな場合であれば、これは照会に回答することも違法ではない、こういう判断が示されている最高裁判決があると承知しております。  また、国政調査権の行使、あるいは先ほどのような資料の要求についてのお尋ねですが、これもただいま警察庁の刑事局長からお答えがあったことと基本的に同一でございますけれども、いずれにいたしましても、非常に個人の名誉に深くかかわるものでございますので、そういう点について十分な御配慮をいただく必要があるものと考えております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 そのあたりにしておきたいんですが、しかし、前科ということになりますと、これはいろいろな要件、公務員になるときの要件とか弁護士になるときの要件とか裁判官になるときの要件に前科があったらだめだというのがあるわけですから、これはある意味では公開の対象になるんじゃないでしょうかね。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 もちろん、御指摘のように、ある正当な目的があって、しかもその使用の形態が、例えば全く事務処理にだけしか使われないで外部に漏れることはないとか、そういうような問題も考えた上で前科について情報を提供するかどうかというのが決まるということになるわけです。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 それでは、ちょっと次の質問に移りたいと思います。  連休中の西鉄バスのバスジャック事件のことで、亡くなられた塚本達子さんの死亡の推定時刻という問題が、報道によりますと、小谷サービスエリアに停車した際の午後七時半ころ、バスから病院に搬出されて亡くなられたというふうに報道されておる。ところが、さまざまな情報によりますと、例えば乗客などの証言によりますと、午後四時ごろにはもう亡くなっておられたんじゃないかというふうなことを言っておられます。また、きょうのフライデーか何かでは、山口県警の弱腰が乗客の命を奪ったなんて、それはもう本当かどうか知りませんよ、そういうことも言われておるのです。  死亡推定時刻がどういうふうな影響を及ぼすかわかりませんが、遺族にとっても恐らく、いつ亡くなったのか、また相続問題なんかでも時間の問題というのは重要な問題になるのですけれども、それは今おわかりになりますか。

林則清警察庁刑事局長

○林政府参考人 今回のバス乗っ取り事件で亡くなられた方につきましては、今御指摘のように、午後七時二十五分ごろバスから救出をしまして、直ちに広島大学附属病院へ搬送したわけでございます。そして午後八時十二分に、その死亡が医師によって確認をされております。  実際にいつの段階で死亡されたのかということについては、現在捜査中のところでありまして、まだ確定をされておる状況ではございません。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 捜査中ということで、差し支えるならば、もちろん私はそれ以上お聞きする必要はないのですが。  通常、遺族のところには、死体検案書ですか、死亡時刻が記載されたものが届きますよね。それをもって火葬の問題とかお葬式の問題とかやるのですけれども、それはもう既に遺族のところに届いて、そこにその記載をされておるのでしょうか。

林則清警察庁刑事局長

○林政府参考人 恐縮でございますが、遺族のところへ参る書類でございますので、ここでお答えをするということは差し控えさせてもらいたいと思います。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 通常、請求があれば、当然に警察の方から、現在わかり得る範囲でかどうか知りませんが、差し出されるものというふうに理解しておるわけで、それ以上の御答弁は結構でございますが——では、そういうことにしておきましょう。  それでは次に、少年法の問題に移ります。  まず、法務省にお伺いしたいと思います。  少年犯罪が最近多発化し、あるいは凶悪化したというふうに言われております。また、本日の提案理由にもそれに近いことが言われております。しかし片や、そうではないんだ、少年犯罪というのはむしろ減っておって、少年法というものは適切に適用され、少年に対応されているんだという考え方も非常に多くあります。  例えば、幾つかの例を見ましても、花園大学の助教授である野田正人さんが法律時報に記載しておるところによりますと、現在の状況として著しい凶悪化を指摘することには無理があるということで、例として、平成八年の成人を含む殺人のうち、まあ殺人犯なんかも激減しているという話があります。  それからさらに、少年事件が著しく凶悪化し、今の子供は理解できない、危険であるとの論調には賛同しかねるというふうなことも言っておられます。  また、団藤重光先生、もちろん御存じと思いますけれども、その方も同じように、少年非行が激増しているあるいは凶悪な性格の非行が激増している、それを何とかしなければならないから少年法の改正が必要あるんだという論調については、団藤さんは、新しい犯罪白書を出してみると、第一それは事実に反しますというふうに言っておられます。  そのあたりで、実際の認識として、警察あるいは法務省、特に法務省ですけれども、法務省はどのようにお考えなんでしょうか、少年事件の傾向としまして。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 少年の非行の一般的動向につきましては、戦後三つのピークがあり、現在、その第四番目のピークに差しかかってきているのではないかというふうなことが言われているわけでございます。  この絶対数につきましては、過去のピーク時と比べて、今回特にさらにそれよりふえているということではないというのは、これは事実だと考えております。  ただ、いずれにいたしましても、最近特に、強盗を中心といたしまして、いわゆる凶悪事犯というのが増加傾向にあるというのは、これはそのとおりであろうと考えられるということと、もう一点は、年少少年、十四歳、十五歳の少年につきまして、これは特に強盗が中心なんですけれども、これがここ近時相当ふえてきているという傾向がある。それと同時に、少年事件の中で、世の中が非常に大きなショックを受ける、あるいは関心を持つというふうな事件が相次いでいるという事態になっているというふうに認識しております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 提案理由説明の中に、この少年法改正の契機となったことに、山形マット死亡事件など最近多くの事案が続出しているというふうな言い方を、ちょっと記憶がはっきりしないのですが、そういうことが提案理由説明にありました。  この法改正の原因になった事案が、山形マット死亡事件以外に、具体的にどういうものを指摘できるのでしょうか。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 今回御提案申し上げております法案は、要するに、少年審判の中で非常に事実認定が複雑あるいは困難なものということでございまして、そういう点で申し上げますと、山形マット事件がその典型ではあったわけですけれども、非常に多くの証人調べ等を要したという意味で、草加事件あるいは綾瀬の母子殺人事件などがあるわけでございます。(北村(哲)委員「そのほか」と呼ぶ)ちょっと……。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 というのは、私はそれを聞きたかったのは、さらに聞きたいと思うのですけれども、この契機となった事件は、実は事実認定が問題ではないというふうな分析もいろいろできるのですよ、山形マット事件にしろ。ですから、それをもう少し詳しく、何と何と何というふうに聞きたいと思うのですけれども、わかりますか。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 申し上げたことは、要するに、非常に多数の証人調べ等が必要であったという意味で、実際の少年事件の審判で事実認定上のいろいろな問題が生じた、困難が生じたということでございます。  そういうことから申し上げますと、ほかに例えば戸畑事件、これは平成六年に発生した放火事件。あるいは札幌の暴走族の事件で、これはアリバイを主張した事件でございますが、後にアリバイのビデオテープが提出され、それが偽造のものだということが判明した事件などがあるわけでございます。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 もう終わりに近いと思いますが、一点だけ、大臣に伺いたいと思います。  今、国民が緊急に求めているのは、大人には理解できない特殊なかつ凶悪な事件が発生したその原因の解明あるいは事件の発生の防止、これをどうすれば防止できるかという問題であって、事実認定の問題ではない。ほとんど事実認定は明らかになる、争いのないような事件が最近の事件だと思います。  そういう意味で、大臣は、この法改正で今の国民が求めている緊急課題に対応できると考えているのか、私は議論する方向が若干違うのではないかというふうに考えますけれども、大臣の御所見を伺いたいと思います。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 本改正法案は、平成五年に発生をいたしました山形マット死事件等において問題となっておりました事実認定の手続の一層の適正化のための所要の方策を行おうとするものでございます。  この改正は、少年審判において、御指摘のような社会の大きな関心を呼ぶ事件の事実認定について国民の信頼を確保するとともに、これに基づき適正な処分を行うための基盤を整備するものでございまして、現在の少年犯罪の情勢にかんがみ喫緊の課題であると認識をいたしております。

北村哲男民主党

○北村(哲)委員 マット事件は確かに一つの例ではありましたけれども、それから既にもう数年を経ている。最近、特にまた大きな機運が起こってきたというのは、事実認定の問題ではない、むしろ少年犯罪をどのようにすれば防げるかというふうな問題が焦点だと思っているので、そちらの方向で総合的なこれからの議論を進めていきたいと私どもは思っておりますということで、私の質問を終わります。

武部勤自由民主党

○武部委員長 倉田栄喜君。

倉田栄喜公明党・改革クラブ

○倉田委員 公明党の倉田でございます。  今ほども議論がありましたけれども、そして、先ほど杉浦委員からもお話がありましたけれども、現在の少年非行事案あるいは少年犯罪がどういう状況にあるのか。最近の新聞報道を見ておりますと、かつてないほど少年犯罪が多発をし、凶悪化しているのではないのか、このような印象を一般国民の方々はお受けになっておられると思います。  先ほど刑事局長からお話がありましたように、戦後、少年犯罪は第一、第二、第三のピークがあり、そして今、第四のピークとして上昇傾向にあるのではないのか、それは確かにそのとおりなんだと私も思っております。そして同時に、これは本会議でも私も指摘をさせていただきましたけれども、少年犯罪の凶悪化、粗暴化、集団化、そしてその内容が、社会情勢の変化の中で、今私どものシステム、それは初期の段階、捜査の段階、そして家庭裁判所、裁判の段階で果たして十分十全に対応できているのだろうか、これは考えなければならない、こう私は思っております。  その意味で私の立場を申し上げさせていただければ、少年法の改正は必要である、そう考えておるわけであります。ただ、少年法の改正が必要である、こういう立場に立つとしても、今指摘をされておる少年非行事案あるいは犯罪が少年法改正だけで済まされる問題ではない。先ほどから御指摘があっている教育の問題も含めて、抜本的な視点から根本的、総合的な対策が必要なんだ、このことは共通の認識として理解をしなければいけないのではないのか、私はこれをまず指摘させていただきたいと思います。それが一点であります。  同時に、少年法の改正が必要だとして、しからば、今政府がお出しになっておる少年法の改正の中身で果たして十分なのだろうか。私は、十分ではないのではないのか、そのような問題意識を持っているわけでありまして、当委員会でもこれらの点を含めて今後積極的に議論を続けさせていただきたい、このように思っております。  そこで、まず現在の少年事犯、犯罪、これに現行システムの中でどう対応しているのか。先ほど杉浦委員のお話の中で、大半の少年は健全であるというお話もありましたし、現行少年審判のもとで、家庭裁判所のもとでは、大方は正しく正常に機能しているのであろう、家庭裁判所の裁判官の方々も調査官の方々も真剣に努力をされているのであろう、こう思っております。しかし、いわゆる限界事例の部分について本当に大丈夫なのかなということと、そして同時に、少年審判の目的、少年の可塑性に着目をしてその保護、健全育成を図る、この目的が十全に機能し得ているのかどうか。これは、私はもう一度この機会に問い直さなければいけないことだと思っております。  そこで、きょうはそれほど時間がありませんので、まず前提事実として、現行システムの中で、近時の少年犯罪のいわば傾向、そして起こり得る原因というものに対して現行の体制はどう対応し得ているのか。マスコミ報道等で盛んに報道をされる凶悪化、集団化、粗暴化ということに対して、これは近時変わった傾向であるということであるとすれば、それに今のシステムの中で十分対応し得ているのかどうかということをまず一番最初に問い直さなければならないと私は思っております。  それは、まずは警察に対する被害者、加害者、さまざまな面でこの少年犯罪の初期の警告等々、いろいろな相談があったり、あるいは初期捜査があったりしている。警察の方はさまざまこの点での問題の指摘もあると思いますけれども、この点、どう対応しているのか。そして、近時の傾向に対してどう対策を立てているのかどうか。まず警察庁にこのことをお聞きし、同時に法務省、これは検察庁の対応の問題であろうと思いますけれども、私は、最近の少年犯罪の心理学的な側面も含めて相当従来の対応と変わった対応をしなければならないのではないのかな、こう思っておるわけでありますけれども、法務省としてはその点をどう問題認識をしておられるのか。  さらに、少年事件における家庭裁判所の役割、機能というのは今後ますます強化拡充をしていかなければならない。その意味で、少年事件に対する専門裁判官というのか、この側面のスペシャリスト、同時に現場で御苦労なさっておられる調査官の方々が十分今の現況に対応できるようなシステムあるいは機能ということをまずもって整備をする必要がある、こう認識をしておるわけであります。  この最初の側面、現状でどうなっているのかということについて、そしてどう対応しようとしているのかということについて、それぞれ警察庁、法務省そして裁判所にお聞きをしたいと思います。

黒澤正和警察庁生活安全局長

○黒澤政府参考人 最近の少年非行情勢でございますが、質、量ともに大変厳しい情勢であると認識をいたしておるところでございます。  この少年非行に係る問題につきましては、私ども総合的な対策を実施いたしておるわけでございますが、関係機関、団体との連携を強化いたしますとともに、少年保護対策等の積極的な推進、それと、悪質な非行、これは少年の福祉を害する犯罪も含めてでございますが、悪質な非行への厳正な対処、言ってみますれば強く優しい少年警察の推進に努めておるところでございます。  例えば、少年警察運営の刷新ということで、少年事件に係る捜査力の強化に努めておるところでございます。あるいはまた、街頭活動の強化、それから少年相談機能の充実強化、そしてまた体制の充実強化に努めておるところでございます。  こういった少年警察運営の刷新とともに、少年の規範意識の啓発というようなことで、関係機関との緊密な連携による諸対策を推進いたしておるところでございます。そしてまた、少年を取り巻く環境の浄化といった点につきましても、関係機関とも緊密な連携をとりまして、諸対策の推進をいたしておるところでございます。  とりわけ、今問題となっております少年犯罪の凶悪化、粗暴化につきましての現時点での対策でございますけれども、警察におきましては、少年事件捜査に専従するための特別捜査隊の府県警察本部への設置を進めるなど、少年事件捜査力の充実強化を図りますとともに、個別の悪質な事件につきましては、厳正に対処し、非行事実の確実な解明を図ることはもとより、加害少年に犯罪の社会的意味や被害者の痛みを理解させるために、その動機や背景事情の解明をも含めました捜査を徹底することといたしております。  今まで申し上げましたように、少年非行に対しましては、社会全体の問題として家庭、関係機関、地域社会等が一体となって取り組むことが極めて重要でありますことから、警察におきましては、全国に少年サポートセンターを設置してございますが、ここをキーステーションといたしまして、学校、児童相談所、関係機関、こういった団体との連携強化によるネットワークの構築、あるいは非行の前兆段階での的確な対応に向けた街頭補導活動やカウンセリング等による継続的な指導の強化、こういったことを積極的に推進しておるところでございまして、今後とも、とりわけ凶悪、粗暴な少年犯罪に対しましては厳正に対処いたしますとともに、関係機関との連携のもと、非行の前兆段階での的確な対応に努めてまいる所存でございます。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 検察庁における少年事件の捜査についてのお尋ねでございますけれども、何と申しましても、検察庁におきましても、少年事件につきましては、警察から送致を受けた場合にやはり事実認定をしっかりしなければならない、これが中心になるわけで、そういう意味で、必要な事件については十分捜査を尽くすということをまず第一に心がけているわけでございます。  しかし、ただいま委員御指摘のように、動機が非常に把握しにくい、あるいは、一体どういうことが事件の背景にあったのだろうかとか、そういうことが把握しにくい事件というのも決して少なくないわけでございまして、まず、こういう点につきましては、家庭裁判所の適正な処分が実現するようにという観点から、可能な限り、いろいろなそういう問題についても捜査を尽くすということにしております。  こういう事件を担当します検察官につきましても、これも先ほど申し上げましたような観点を充実させるということで、その充実を図っているところでございまして、いろいろな研修など、あるいは会議等の機会にいろいろな情報の提供などをしているところでございます。

安倍嘉人最高裁判所事務総局家庭局長

○安倍最高裁判所長官代理者 御説明申し上げます。  委員御指摘のとおり、最近の少年事件の特質を見てみますと、これまではさしたる問題行動はなかったにもかかわらず突然重大な事件を惹起する、こういったケースなど、非行のメカニズムを理解するのは必ずしも容易でない事案が目につくような状況にございます。  家庭裁判所におきましては、まず、何をさておき事実認定を確実にすることが肝要でございますけれども、その事実認定を踏まえた上で処遇選択を行うわけでございます。この過程においては裁判官と調査官の共同作業になるわけですが、その核になるのは家裁調査官であろうかと考えております。  家裁調査官におきましては、御承知のとおり、心理学、教育学等の専門的な知識、経験を積んだ、いわば人間関係学、行動科学の専門家ということでございますけれども、その家裁調査官が、少年、保護者に密度の濃い面接を行いまして、少年等の心を解きほぐしながらその内面に迫っていくという面接調査でございますとか、さらには、心理テストを行いまして、少年の人格や行動傾向を分析する、このような調査を重ねました上で少年の非行のメカニズムを解明しようとしているところでございます。  そして、昨今のような重大な事案、あるいは理解の困難な事案等につきましては、調査官一名のみで当たるのではなくして、共同調査、通常三名ぐらいでございますけれども、共同調査の体制を組みまして、多角的な角度から分析を深める、こういった体制を組んでおるところでございます。  今後も、この調査官の能力の向上に力を入れることはもとよりでございますし、また、裁判官についても、少年審判の骨子、その姿勢といったものを十分身につけていただくことを図りながら、マンパワーを十分生かして、充実した事件処理ができるような機能アップを図っていきたいと考えておる次第でございます。  以上でございます。

倉田栄喜公明党・改革クラブ

○倉田委員 最近の少年犯罪、その動機あるいは行動、態様が非常にわかりづらくなっている。その意味で、私どもは、警察における初期の段階、そして取り調べの段階、審判の段階で、従前のシステムのままで果たして対応できるのかどうかということは、もう一度考えなければならない。そして、今問題にも指摘をされておりますように、少年の可塑性、ある意味では、調べを受けるときに大人に囲まれて非常に迎合をしやすい、そこで虚偽の自白等々が行われたりする可能性がないかどうか、初期の捜査のミス等がとんでもないことになってしまうのではないのか、これをまず考えなければならないということを指摘させていただいて、きょうは、残り時間が少なくなりましたので、私の問題意識と考え方だけを少し述べさせていただきたいと思います。  今回の少年法の改正が、裁判官の合議制の導入、そして検察官の関与、観護措置期間の延長、被害者通知制度の規定等があるわけでありますが、私自身は、少年法の理念、目的、これは変える必要はない、その意味で、少年審判の審判の対象が要保護性であって、少年の健全育成のために今後とも十全にどう機能していけるかどうかということを考えなければならない、こう思っているわけであります。  先ほども問題意識として申し上げましたけれども、それでは、限界的な事例の部分において、少年審判の目的が、本当に当該少年が心から反省をし、非行事実というか犯罪というか、その意味というものを正確に認識して、そして処分結果を受けとめているのかどうか。これは一つ一つ検証が必要なのかもしれませんけれども、その部分はどうもそうでもないのではないのか、こういう不安感をぬぐい切れないわけであります。     〔委員長退席、横内委員長代理着席〕  そうだとすれば、大方は正常に正しく機能しているという理解を前提として、その限界事例の部分において、あるいは限界事例の少年事案、犯罪において、本当にその少年が自分が犯した事案の意味を正確に認識をし、本当にとんでもないことをしてしまったのだなということを正確に認識しているのかどうか。私は、少年法二十二条が「懇切を旨として、なごやかに」と規定をしてある、果たしてその限界の部分においてそれだけで足りるのかどうかということの問題を指摘させていただいたわけでありますけれども、そのことを考えると、私は、裁判官の合議制、検察官の関与、そして初期捜査における虚偽の自白だとか冤罪の防止とか、それは最大に大切なことですから、これから審議をさせていただきたいと思うわけであります。  きょう特に申し上げたいのは、少年が本当に冤罪でない、虚偽の自白でないということを十分に担保した上で事実と向かい合えるのかどうか。ここには、私はこれは本会議でも当委員会でも何回も申し上げさせていただいておりますけれども、いわゆる被害者側の意見の陳述、あるいは傍聴の参加、そして被害者側の被害回復を図るという側面、そして当該少年が本当に事実の重みを正確に認識をして反省をするという意味においては、私は、被害者側あるいは被害者家族を審判の中で、どういう形であるのかどうかということはこれから議論をさせていただきたいと思いますけれども、検討をしなければならないというか、参加をさせる方向にしなければならないのではないのかと思います。  もちろん、「懇切を旨として、なごやかに」というこの少年審判の二十二条の中からいえば、直接対面をするということになれば、とてもそれは和やかではないねという話になるのだと思いますけれども、陳述書にするなり意見書にするなりはわかりませんけれども、しかし申し上げたように、懇切ということはわかりますけれども、その和やかにという審判方式の中で、果たして限界事例の部分において、当該少年が本当に起こした意味というのを正確に認識をして保護処分を受け得るのかどうかということは、私は今の時点で大きな疑問としております。  その意味で、まず少年審判の目的、少年に対して本当に健全育成を図る、そういう意味から、現行の少年審判に対して、事実と向き合うという側面で、被害者側の関与が何らかの形で必要なのではないか、こういう問題意識を持っていることをまず申し上げさせていただきたい、こういうふうに思っております。  そうだとすれば、現行の少年審判も、いわばその事実の認定というところに重視をして少年法の改正案が出されているわけでありますけれども、新しく検察官が関与をする、検察官が関与をしながら、一方で、それは訴追官の立場ではなくて、審判の裁判官に対する協力者の立場であると言いながらも、抗告権を持つ、これらのことが果たして整合性があり得るのかどうかということも今後十分議論をさせていただきたいということをまずきょうの段階では申し上げさせていただいて、きょうはもう時間がなくなりましたので、私の質問は終わります。

横内正明自由民主党

○横内委員長代理 木島日出夫君。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 日本共産党の木島日出夫です。  いよいよきょうから少年法改正法案の審議に入るわけでありますが、最初に、私は、少年法改正論議の前提として、現在の少年の非行と犯罪の現状について、法務大臣が基本的にどんな認識に立っているのかという点についてお尋ねしたいと思うんです。  昨日、衆議院本会議で質疑がありました。私は日本共産党を代表して質問に立ったわけでありますが、そこでも党の態度を明らかにいたしました。今日の少年犯罪は非常に深刻な事態で進んでいる。中学生による五千万円恐喝事件、十七歳の少年による西鉄バスジャック事件、愛知県での女性殺害事件、我が国社会を本当に震撼させたと思います。こういう深刻な少年犯罪をどうすれば我が国社会から本当になくしていくことができるのか、そのためにどうすればいいのだ、何が問題なのか、そういう中で少年法はどうあるべきなのかなどについて、これは本当にだれもが真剣に考えざるを得ない状況になっているという基本認識に我が党は立っております。  そしてその上で、私は党を代表して、二つの点についての態度を明らかにしました。一つは、今日の少年犯罪を防止し、子供の健全な成長を図るために、その原因の究明、それからこれを防止する対策の研究などに真摯に当たるということが大事だということ。そして、少年法についても、犯罪被害者救済対策の抜本的改善とか、犯罪少年に自己の行為の責任を自覚させて再び事件を起こさないようにさせるというための処遇、少年院などでの処遇の改革など、検討すべき課題は非常にいろいろあると考えているということ。そういう立場から、現在提出され審議になっている少年法改正案についても真剣かつ慎重な検討をしたい、こう態度を表明したわけであります。  そこで、改めて、少年法の改正論議の前提としての我が国の現在の少年の非行と犯罪の現状について、法務大臣としての基本的な認識をまず伺っておきたいと思います。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 少年刑法犯全体の検挙人員の推移を見てみますと、昭和二十六年の第一のピーク、昭和三十九年の第二のピーク、昭和五十八年の第三のピークと三つの大きな波が見られるのでございます。検挙人員は、第三のピークと言われた昭和五十八年の約三十一万七千人以降、次第に減少してまいってきておりますが、平成七年を境に増加に転じ、平成十年には約二十二万一千人となりました。また、凶悪犯も、強盗を中心として、平成七年を境に増加の傾向に転じておりまして、近時、凶悪重大事犯が相次いでいることは憂慮すべき事態であると考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 戦後の少年犯罪の件数についてのお話があり、第四のピークというようなお話もございました。  ちょっと突っ込んで、それではもう一つ、現在の我が国の少年犯罪と非行の現状について、どういう位置にあるのかということを客観的に見るためのもう一つの指標である外国との比較、先進諸国、また隣国韓国との対比で、我が国の少年非行と犯罪の現状をどう認識されているのか。それについて答弁を求めます。

山本有二自由民主党法務政務次官

○山本(有)政務次官 先進諸国との比較は、各国の少年の範囲が異なりますことから、厳密な比較は困難でございますけれども、殺人罪について申し上げれば、十歳以上十八歳未満の人口十万人当たりの検挙人員の比率、少年人口の比率でございますが、その推移を英米独仏と比較いたしますと、我が国におきましては、近年横ばい傾向にありましたが、一九九六年に上昇しているのに対しまして、イギリス、フランスでは、最近十年間、多少の起伏を示しながらもおおむね上昇する傾向が見られております。アメリカでは、上昇傾向にありましたものの、一九九四年からは低下傾向でございます。またドイツは、低下傾向にございましたものが、一九九〇年から上昇する傾向にございます。  また、強盗で比較いたしますと、最近十年間、我が国とイギリス、ドイツ及びフランスはおおむね上昇する傾向にあるのに対しまして、アメリカは、上昇傾向にあったものが、一九九五年から低下をしております。  我が国の最近の少年による凶悪重大事犯の発生状況をも踏まえますと、諸外国と比較して楽観できる状況にはまずない、こう言えると思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 きょうは最初ですから、余り細かいところまでには時間的にも入っていけないわけでありますが、凶悪犯がふえているというお話も今ございました。  戦後、一九四六年、昭和二十一年から、平成十年、一九九八年までの長いスパンで凶悪犯の実数を見て、その中でも殺人と強盗をとってみますと、殺人は、統計資料によりますと、昭和二十年代は二百人台から四百人台、そして三十四年、三十五年、三十六年ごろがピークとなって、三十六年は四百四十八件、そして四十年代は三百件から百数十件になり、昭和五十年から二けたになっておる。ずっと二けたになって、昭和六十年に百件、平成元年に百十八件、そして平成十年に百十七件、これだけが三けたの年でありまして、平成に入ってからも、平成二年以降、七十件台から八十件台、九十件台と、顕著に少年の凶悪犯の中の殺人件数は減少しておるという数字が見てとれます。  それから、もう一つの大きな凶悪犯の類型である強盗につきましても、資料によりますと、ピークが昭和二十三年の三千八百七十八件、昭和二十一年から昭和三十八年までは二千件台、中途千件台に減少した時期もありますが、おおむね二千件台。そして昭和三十九年から四十五年までは一千件台、昭和四十六年からずっと平成七年まで二十五年間、三けたに減っている。そして、平成八年から残念ながら四けたになり、平成八年は千八十二件、平成九年が千七百一件、平成十年は千五百六十六件、こういう数字になっている。それで、法務省の犯罪白書によりますと、ここ数年強盗の事件がふえているという点が特注、特記されているわけであります。  しかし、その問題は、例えば一九九八年の法学セミナーの八月号で、西村春夫国士舘大学教授、守山正拓殖大学教授が「犯罪学への招待 少年非行のインパクト(その一)」と題する論文を書いておりまして、凶悪化という点を指摘しまして、   現実に非行が凶悪化しているかどうかの判断はきわめて難しい。統計分類などにも注意する必要がある。たとえば、少年が買い物帰りの主婦を背後から乗物を使って行う「ひったくり」は窃盗か強盗か。 どうにでもなるというんですね。  少年の集団的な襲撃行為としては同じであって、暴行、傷害、恐喝、強盗などに統計上分けられる可能性がある。つまり、法的な判断としての犯罪分類が非行の現状を正確に伝えるわけではなく、たんに強盗が増えたから凶悪化したとはいえない。 と、かなり突っ込んだ分析をして、この平成八年以降の状況についてはかなり的を得た指摘をしているのじゃないかと思います。  そうしますと、凶悪犯の中でも中心的な殺人、強盗全体としてはやはり、戦争直後から昭和三十年代、四十年代と比較して、著しく少年犯罪、凶悪犯罪は日本の国は少ない状態にあると見ていいのではないかと思います。  それから、諸外国との比較で政務次官から、ここ十年ぐらいのスパンのお話がございました。  しかし、基本的な数字を言いますと、強盗と殺人についての人口比、もう決定的に日本は少ないわけですね。例えば直近の数字で一九九六年、先進五カ国との比較でいえば、一番悪いのがドイツで、検挙人員人口比五千五百四十八、イギリス三千六十三、アメリカは、答弁にあるように若干低下傾向はありますが、二千四十五、フランス二千三百十、そして日本は千百と顕著に低い。ちなみに、お隣の韓国は九百八十八であります。  もう一つ、殺人の検挙人員人口比の推移がありまして、一番直近の統計である一九九六年、これも日本は顕著に低い。一番大きいのはアメリカ、七・一です。ドイツ三・〇、イギリス二・六、フランス二・四、そして我が国は〇・五。お隣の韓国も我が国と同じ〇・五。  我が国の少年犯罪、凶悪犯としての殺人、強盗はやはり非常に低い水準にある、大局的にそう見て、これは数字としてはいいのではなかろうかと思うのですが、法務大臣、こういう統計資料を見て、どんな印象を持たれておりますか。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 今委員御指摘のとおり、諸外国と比べて、日本のそうした凶悪犯というものが割合としては低いということは、私はそのとおりであろうかと思います。  しかしながら、日本の戦後の少年犯の検挙人員等を見てみますと、上下、増加減少というものを繰り返しながら推移してきておりまして、現在は、昭和五十八年当時から比べると確かに水準は低いということは申し上げられるわけでございますが、しかし、そうしたものはここ数年間、増加の傾向がある、それも平成七年等に比べると極めて増加の状態が著しいということが数字の中でもあらわれているわけでございます。  こういうことは、現在の日本の豊かさの状況から見るとどういうところに原因があるのか。その時代によってその原因というのはそれぞれ違っているわけでございますが、基本からもう一度こういうものを見直す必要があるというふうに考えております。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 私は、低いからいいんだという立場では断じてありません。少年の凶悪な犯罪、非行を本当になくさなきゃいかぬと思いますし、重大な日本社会での問題だ、政治が解決を求められている最大の重要な課題の一つだとも思っております。しかし、冷静に現状を客観的に分析しなきゃいかぬと思っていますので、そう指摘したわけです。  実は、私、手元に澤登俊雄教授の「少年法」という最近出された出版物を持っているんですが、この教授も、諸国との比較においては、右の指摘から悪化という言葉は浮かんでこないということを指摘しつつ、日本の非行現象のどこが問題かという点でかなり具体的な分析をしております。それは犯罪の質に非常に注目をされておるわけであります。それは、先ほどの西村、守山両教授の論文にもありまして、やはり少年の現代非行の質を、「問題は非行の質であり、将来の社会状況を決定するような現象の質である。」と、非常にそこを強調されておるようです。  そこで、私、昨日の衆議院本会議でも澤登教授の論説を引用させていただいて指摘したんですが、教授は、戦後の少年犯罪、少年非行の質を分析するに当たって動機に着目をしていますね。動機を五つに大別しますと、生存型、遊び型、反社会型、非社会型、確信型の五つに分類できると。そして、いつの時代にもこの五つの型の非行は存在するんだが、時代の変化、社会の変動に伴って五つの型の間に主役交代が見られる。そして、終戦直後の昭和二十年代には、いわゆる少年非行の主役は生存型非行であった。そして、続く昭和三十年代には、遊び型非行の全盛時代を迎える。そして、これが昭和三十九年をピークとする第二の波を形成した。次いで昭和四十年代に入っても遊び型非行の隆盛は変わりませんが、それらの非行の間に、了解困難な、その意味で不気味な非行現象が見られるようになった、それが非社会型非行と呼ばれる非行であり、その数が急増していく。この非社会型非行の急増、これが今日の少年犯罪、非行の重大な特徴だ、問題だと指摘をしているわけであります。  この非行の特色として、教授は、「明瞭な動機を欠き、しらけきった心理状態で行われる外形的にはしょぼくれた行為であるという点にあります。」こう書き、   これらの非社会型非行は、自分を取り巻く既成事実もしくは権威に立ち向かうのではなく、それから逃避するためにとられる行動です。少年たちは、自分の心を支配する無力感から逃れる方法を探し求めます。その方法の一つは、享楽的雰囲気に身を委ねることによって、弱者としての実感から一時的に解放されることです。現在少年を取り巻く環境は、この手段をとることがきわめて容易な環境です。次にその方法の二は、自分よりもっと弱い者を見つけ出し、これをいじめることによって自分のうっぷんを晴らすという方法です(家庭内暴力・学校内暴力・浮浪者襲撃などのかたちをとる)。 こう分析されております。  私は、非常にこの教授の分析というのは、現在日本の少年の非行、犯罪の特質をえぐり出しているすばらしい分析だと見ているわけであります。それで、昨日、森総理に対して、この今日の少年犯罪の特質を指摘し、質問をしたわけであります。  こういう分析やこういう側面から現在の我が国の少年犯罪、重大な少年犯罪をとらえていくということについて、法務大臣の基本的な認識をお伺いしたいと思います。     〔横内委員長代理退席、委員長着席〕

山本有二自由民主党法務政務次官

○山本(有)政務次官 少年非行の動機や特質については一律に語ることができませんけれども、先生の御指摘の点はまことにそのとおりであろうというように考えるところでございます。  特に動機に関しての先生の御指摘でございますが、戦後間もなく、貧困、生活苦を理由とするものはもはや現在では見受けられなくなりまして、かわって、殺人におきまして、近年では、かっとなってとか、強盗では、お金や物が欲しいあるいは誘われてその気になってなんという、そういうような事件の比率が高くなっていることが指摘されているところでございます。  また、最近の少年非行の特質として、集団による非行、処分歴のない少年による非行、保護者の経済状態や家庭環境にさほどの問題の認められない少年による非行等が増加しているという点、先生御指摘のとおりでございまして、まさに現在の少年犯罪の困難性を意味しているというように考えるところでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 では、こういう面での現在の少年犯罪の特質等について、これをえぐり出すような分析などを法務省はどの程度されているんでしょうか。こんな分析をしてこういう研究結果があるというのがありましたら、御披露いただきたい。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 少年非行の動向につきましては、法務省といたしましてもこれは重大な関心を持っているわけでございまして、具体的に最近行ったことといたしましては、たしか平成十年だったと思いますが、犯罪白書におきまして、少年非行をいろいろな角度から分析して、その結果を発表してございます。  また、ちょうどそのころでございますけれども、少年非行につきまして、鑑別所あるいは少年院等に収容されている少年のいろいろな、これは全数ではございませんけれども、サンプル的に、どういう人格特性を持っていると考えられるかなど、犯罪、非行の動機その他からの分析をしたところでございます。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 ありがとうございました。  私は、昨日の衆議院本会議でも、こういう現在の少年非行や重大な凶悪犯罪の分析、非社会型非行、犯罪、それは非常に難しいということから、その背後にやはり社会のさまざまな病理現象が少年を襲っているんじゃないかという立場から、三つの改革を提起したわけであります。  もう時間がありませんから指摘しますと、一つは、学校教育の抜本的改革。要するに、受験中心の教育が少年を物すごい重圧のもとにほうり込み、そして分断し、精神的な圧迫が、それが学校崩壊だけじゃなくていじめにつながり、そのいじめの延長線上に凶悪な犯罪が生まれてきておるという点、学校教育の抜本的改革。二つ目には、社会のあらゆる分野での道義の確立。これは、やっていいことと絶対にやってはならないことをきちっとけじめをつける。これは、少年自身もそうですが、まず政治、そして経済、社会、あらゆる分野で社会的道義の確立。そして三つ目には、テレビ、雑誌等での、文化面での社会の自己規律の確立という点を強調いたしました。  その三番目の点では、昨年三月、総務庁の青少年対策本部が第三回目の非行原因に関する総合的研究調査というのをやっておりまして、その結果を公表しました。  非行に走る主な原因は何かとの調査をしますと、断トツ第一位は、テレビ、新聞、雑誌などマスコミの影響、これが七六・四%あると指摘されております。そして、非行に駆り立てる社会的環境を親がどう見ているか、保護者がどう見ているかの調査、一がテレビ五六・九%、二が深夜営業四九・三%、三がゲームセンター四四・四%、四が雑誌その他三九・一%、五がポルノ等三五・七%。これが一番子供の非行に悪影響を及ぼしているという、一番近くにいて本当のことを知っているんでしょう、親の調査結果が出ているんですね。  このことだけ指摘しておきまして、少年犯罪、少年非行を根本からなくしていくには、この際、やはり三つの点で改革が必要じゃないかと指摘したわけであります。これは、少年法を主管する法務大臣の直接主管事項ではないかと思いますが、政治家として、また少年法を主管する法務大臣としての、その病理現象を除去することが少年犯罪をなくす根本ではないかということについての基本的認識を承って、質問を終わらせていただきます。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 委員御指摘のとおり、そのような分析のあり方もあろうかと思っております。特に、学校教育の問題もございますが、やはり基本的には、自分の子供はその親が責任を持って守らなければいけない、そういったものを中心としながら、今委員御指摘をいただきました何とも不可解ないろいろな犯罪というものも起きてきているわけでございますし、そういうものも徹底的に分析をし、さらにいかにしてそれを改善していくかということを国民全体を挙げてやっていくべきだ、このように思います。

木島日出夫日本共産党

○木島委員 終わります。

武部勤自由民主党

○武部委員長 西村眞悟君。

西村眞悟自由党

○西村(眞)委員 自由党の西村です。  昨日、本会議での森総理大臣の御答弁にもかかわらず、政府・与党としては、この法案の本国会中の速やかな成立を断固として実現するという動きにはどうもなっていないようですね。私としては、この法案を見れば、この法案は緊急避難的な感を否めない、しかし緊急避難は真に現在必要である、したがってこの法案も必要であると思っておりますが、本国会での成立が無理であるならば、今この時間の本審議は、その意義は何だといえば、やはり本質論にまで立ち上った、来るべき本当の改正案、真の改正案の準備作業と位置づけられるべきであろうかと思います。  それで、法務大臣、政務次官にお聞きしていきたいんですが、昨日の本会議での文部大臣の答弁また総理大臣の答弁は、少年非行は社会全体の問題としてあるという前提で、子供たちに思いやり等々を教えるんだ、他人を愛する心を教えるんだというふうなことを教育の対策また社会の対策として挙げておられた。しかし、私から見れば、それは戦後ずっと言うてきたことですね、何ら特異なことではない。我々が今直面している問題は、戦後そのように他人に対する思いやり、お互いに仲よくしようというふうに教え続けてきたにもかかわらず、それと正反対の結果があらわれている現実にどう対処したらいいのかということであります。  一人の驚くべき非行、犯罪は、それが一つであれば、その一人の人間の特色、犯罪性向を調査するだけで解明できるわけですが、これが二人になり三人になり、つまり複数になれば、もはや社会の病理現象として見ざるを得ないわけですね。  これは、二十数年前に、少年犯罪とは全く次元が異なりますが、三島由紀夫が自決されたときに、司馬遼太郎さんが、吉田松陰のごとき人物が日本の歴史上にあらわれる、一人あらわれるということは吉田松陰研究で足るんであるが、これが複数あらわれてくれば、一人の人物、その個々の人物の研究にとどまらず、民族の病理も含めた民族の問題となるんだ、このように論評していたことを私は思い出すんです。  それで、このことからお聞きしたいんですが、我々は例えば、私どもが家庭で、おばあちゃん子は甘やかされるからだめなんだとかいうことをよく聞いて育ったわけですね。真の少年の人生を、更生を考えるならば、甘やかすことだけが愛情ではなくて、厳しさも愛情であろう、これは真実である。しからば、昨日までに至る政府また我々の社会の思いやりだけを教える教育、教育は何も学校だけが教育ではなくて、刑事司法の場も少年の更生保護の場も全体としての教育でありますから、甘やかすだけが教育ではない、秋霜烈日の厳しさも真に人間を鍛えるんだ、これはやはり真実であろう、こう思うんですが、法務大臣はいかにお考えですか。

山本有二自由民主党法務政務次官

○山本(有)政務次官 昨日の先生の大変傾聴に値する御指摘に続いて、本日先生から御指摘いただきましたとおり、まさに社会の問題としてこの少年犯罪をとらえるとするならば、全体の歴史の流れ、あるいはこの国の置かれた立場、そういったものから解き起こす必要、根本的な問題を解明する必要、もとよりであろうと思います。特に、現在、平和な時代が続いておりまして、世界各国、紛争地域における子供たちと我が国の子供たちとは若干違うというような点から見ましても、先生のおっしゃる点、理解できるところであろうというように思っております。

西村眞悟自由党

○西村(眞)委員 次に、本改正案の中に、事実の認定について今のままではだめだということがありますね。その前提としてちょっとお聞きします。  刑事司法は、事実の認定で非常に努力を重ねて試行錯誤をしてきた。つまり、無辜を罰してはならない、これは大原則であるけれども、多くの無辜を罰する構造の中で、我々は無辜を罰してはならないという構造をいかにして構築するかに努力してきたわけですね。  糾問的訴訟、これは前近代の社会では行われておるし、今でも一党独裁国家では行われていることですね。つまり、検察官と裁判官が一体となって、被告人がその糾問される客体であるということですね。ここで非常にその裁判の公正が疑われる、当然、判断者と訴追者が一体なわけですから、非常に疑われる不合理な結果が生まれてきた。  次に、我々の今持っている刑事訴訟の構造は、当事者訴訟ですね。判断者である裁判官がいて、それは糾問には携わらない、糾問に携わるのは検察官である、そして糾問側からの主張とその被告人側、つまり主に弁護人ですか、弁護人からの主張をたたき合わせることによって、中立的判断者としての合理的な判断を下す。これによって、より実体的真実の発見が担保されるんだ。我々が訴訟また少年法で扱う事実というのは、歴史的、実体的、一体的、一回的事実で、だれも見たことがないわけですね、証人とかそういう人以外。だから、その客観的構造が必要だ。そして我々はこれに信頼を持っておる。  では、少年法における実体的真実の発見のための構造とはいかなる構造なのか。今、検察官はいないわけですね、そして、子供が、少年がおる。裁判官は少年法二十二条で和やかにやらねばならない。  おなかがすいたからパンを盗んだ、千円落ちていたのでそれでゲームセンターで遊んだ、こういう少年の事件であると思っていたものが、今、殺人、強盗、強姦、なさざるなき状態ですね。そして、むしろ、大人の犯罪よりも、動機において非常に驚愕すべき、戦慄すべきものがある、背筋が寒くなるような犯罪がある。  この犯罪の実体的真実を解明するために、事実誤認なく解明するために、裁判官一人で、和やかに、そして裁判官に入ってくる情報は少年のサイドからの付添人の情報しかないわけですね。はっきり言って、弁護士は委任契約ですよ。弁護士も生活しなければならないから、着手金、報酬をもらってやるわけでしょう。一人の裁判官が、和やかにやらねばならないと決められたその場で、入ってくる情報は少年からの甘い情報だけであるという中で、どうして事実認定ができるのであろうか。今までこれを放置してきたことは驚くべきことであると私は思います。  そして、この中で、マット殺人事件等々が今言われていますけれども、多くの少年が罪のなすり合いによって、付添人をつけている少年とつけていない少年の差がここに歴然とあらわれて、和やかな裁判官によって人生に取り返しのつかない傷を与えられていたのではないか。今までこれを放置してきたことは驚くべきことであるという認識を私は持っておりますが、大臣または政務次官はいかがですか。

山本有二自由民主党法務政務次官

○山本(有)政務次官 先生の御指摘のように、糾問主義と当事者主義でどちらがいかに実体的真実を解明しやすいかという価値判断の中で、我が国は当事者主義をとりました。したがいまして、より事実認定に精緻なシステムである当事者主義をもって事実認定に資するという点は肝要でございます。  しかし少年法は、それのみならず、要保護性というものをそれよりまだ前に置きまして、その両者が相矛盾しないという日本型の少年犯罪の、特に刑事事件における審判手続をとったわけでございます。そういう点におきましては、先生御指摘の当事者主義こそ価値だと思われる見方からすると、やや異論があろうかもしれません。  しかしながら、我が国におきましては、相矛盾しない、混然一体となったこの少年法の審判手続、これをもって真実解明にも資そう、こういう前提が置かれていることは御承知のとおりでございます。  ただ、私も思いますのに、先生と同様の認識でございますが、現在の集団的な犯行、これは通常の自白事件で、共犯事件を解明するにも、自白をそれぞれ各関与者からとったって一致させることはなかなか困難であるという面。あるいは、問題行動のない、処分歴のない少年が家庭の環境が良好な中で行われるという、今までと違っておるこの現実。すなわち、裁判官や付添人もこの子はいい子だと思わざるを得ない、そういうような犯行が多い。あるいは、動機において、先ほども御指摘がありました非社会型非行でございまして、いわば猟奇的であったり狂気的であった異常な犯罪も、動機がわからないというようなことからしますと、事実認定はいかにしても難しい、私に言わしめるならば、当事者主義でも多分難しいだろう、完全当事者主義でも難しいだろう、私はそう思います。その点、先生の問題意識あるいは問題点の指摘、まさにそのとおりであるというように考えるところでございます。

西村眞悟自由党

○西村(眞)委員 少年だからといって、ガロアという数学の天才等々はいろいろな業績を残しておるわけですね。  先ほども出ました三島由紀夫の名作に「午後の曳航」という小説があって、十四歳未満の少年たちが殺人を犯すわけですね。そのときの少年のせりふは、刑法四十一条、十四歳に満たざる者の行為はこれを罰せずとある、大人たちはおれたちに裏切られるんだというふうなせりふが出てくるわけです。バスを乗っ取った少年も少年法をよく知っておったようですね。  そして、この異様な規定、「懇切を旨として、」懇切を旨としてはいいですよ、懇切を旨としていない裁判官も検察官もいませんので。また、弁護士も精いっぱいやる。和やかにやらねばならないというふうな規定も、やはりそれを知れば、ゲームとしてそれの裏をかく、「午後の曳航」の少年のごときことも考え得るわけですから、余り情緒的な文言は法律の中に書き込まれない方がいいというのが私の意見である。  そしてまた、今回の改正案でも、当事者的構造に近づけなければ、事実認定、裁判官一人が音を上げてしまいますから、どだい人間の能力で無理でございますから、そこに一歩踏み込んでいくというのがやはり緊急避難的にはいいことだと思います。  次に、匿名報道についてちょっと。  匿名報道は少年Aという形であります。しかし、一つの犯罪が起こった場合に、それがだれによって、いかなる動機によって、そしてその動機の形成にはいかなる背景があってかく起こってきたのかということがわかるということが社会的教訓としての財産になるわけですね。  我々は、民主主義国家であって、我々自身が社会的な支持を受けてこの場で審議に参加しておるわけですね。その社会の中に、かくなればかくなるというふうな教訓があって、極めて具体的な教訓があるからこそ、そのような動機の形成の要素を社会は除去しなければならないんだ、社会は教育をこのように変えねばならないんだ、もっと小さくとも、我が家庭はそのようなことを要因としてつくってしまってはだめなんだ、我が学校はこうなんだというふうな教訓があるわけです。しかし、匿名報道で、知らせなければその教訓を生かすことはできない。社会は、なぜあれが起こったのだ、どういう人間が起こしたのだ、ひょっとしたら、どこの人間なのかわからないという不安だけが残るわけです。  したがって、公共の利益のために、必要があるときは匿名報道の解除また公表せしむべしという原則は必要であると思いますが、いかがお考えですか。

山本有二自由民主党法務政務次官

○山本(有)政務次官 まさに少年犯罪、いわばその少年の社会的生活に復帰する更生に資することを旨として匿名であるべきだという一般論、しかし、先生の御指摘のように、現実には社会防衛あるいは少年の更生にかえって匿名があだになるというようなところもあろうかと思います。  しかし、それらを含めて、この国会で、少年法第六十一条というものが、すべてを匿名にしよう、法律で明文化して規定いたしております。その意味では、例外を設けないというのがこの少年法の規定だろうと考えておるところでございます。

西村眞悟自由党

○西村(眞)委員 次に、被害者の声ばかりを強調するということは、やはりこれも情緒的に流れますから控えますけれども、私は、これは悲痛な叫びで、御承知だと思いますが、自分の妻と一歳に満たない赤子を殺された人、その殺され方も、赤子を土間にたたきつけるという殺し方なんですね。そのとき、少年Aである、そして犯罪の実態は暴行である、こう書いてある。これに対して、夫が強烈なマスコミに対する抗議をしている。この犯罪の実態が少年Aというふうなことで済ませるべきものであるのかないのか、それが単に暴行ということではわからないではないか、犯罪の実態も報道しない、そして少年Aだけが匿名として保護されていく、これで我はおさまらない、このように言っておるわけですね。そういう思いは私はよくわかります。  さて、年齢のことについてちょっとだけ触れます。  刑法四十一条、十四歳に満たざる者の行為はこれを罰せず、少年法二十条は、十六歳未満は検察官送致せず、そして少年の定義は二十未満、これは、年齢引き下げについては検討に値するのだと私は思います。  そして、それが世界各国の現状と比べて特異でも何でもなく、我が国だけがちょっと突出して高年齢まで少年法の範囲に入れておるという状況がありますが、引き下げれば各国とその状況は並ぶわけですね。  かつまた、我が国の伝統、つまり元服等々の伝統、それから見て何ら整合性を欠くものではなくて、むしろ我が国の伝統に従うというふうに私は思っております。これは昨日お聞きいたしましたので、御答弁は結構でございます。  これからいろいろ問題がありまして、我々の政治状況もまたいろいろ急変するでしょうけれども、少年については我々は、次の国家を担う少年の人生を真に真っ当たらしめるために、我々の今の持っている法律、体制、教育が不備ならば改めねばならない。我々の生き方も改めねばならない。それについて、根本的な点についてはきのう本会議で申し上げました。  防衛庁長官をされた大臣ですからよくおわかりと思いますが、実は、国、祖国に対する愛というものは教育と無縁ではなくて、子供たちの生き方、そして生きがいをいかに子供たちに教えるかという部分についても無縁ではなくて、そして、キケロの言うように、人生の最大の喜び、一番大きな喜びを与えてくれるのは祖国に対する愛であるという、人生の大きな喜びがあるのだということも子供たちに教えるわけですね。我が国戦後体制がそのことを見詰めてこなかったということは、防衛庁長官の御経験ある大臣にはよくおわかりのことと思いますので、よろしくお願いいたします。  質問を終わります。

武部勤自由民主党

○武部委員長 保坂展人君。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。  きょうは、各党から一巡、それぞれの党の立場、議員としての見方を出していくという質疑ということで、少し根本的な議論をしていきたいと思います。  少年法は十九世紀後半のアメリカで生まれた、こう言われています。アメリカの法理学者ロスコー・パウンドが、少年法の制定はマグナカルタが署名されて以来の司法領域における最大の進展であると当時述べたということですが、どういうことなのか。これはどうでしょうか、刑事局長あたり。従来の刑事司法と比べて少年法がどういう点で画期的だったのか。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 私自身、少年法の歴史、さほどつまびらかでないところもあるわけですが、私の理解しているところによりますと、少年につきまして、アメリカでいわゆるパレンス・パトリエの思想に基づくいろいろな、普通の刑事事件とは違った取り扱いをする、そういう発想というものが非常に有力になった。そういうことから、少年というものの利益を保護するという点で画期的な一つの進歩であったというふうに理解されているのではないかと思っております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 そうすると、マグナカルタにある罪刑法定主義の原則とは異なって、少年に対しては刑罰のみではなく、保護、教育という趣旨を取り入れていこうということ、これは、一八九九年にアメリカのイリノイ州シカゴにおいて初めて少年裁判所が設置をされ、一九二〇年代には全米に広がったというふうに聞いております。  しかし、その後第二次世界大戦を経て、一九六五年のケント判決、六七年のゴールト判決など、デュープロセスの導入やさまざまな改変が行われました。とりわけ、一九六〇年代に入ると、アメリカでは伝統的な少年司法が厳しい批判にさらされたと聞いております。少年犯罪の深刻な状況を踏まえて、少年裁判所の寛容な手続と処分、処遇期間の厳しさを欠いた処遇に批判が集中した。そして、一九七〇年代になると、多くの州が重大犯罪に焦点を合わせた強圧的、むしろ強い厳罰化を進めた少年犯罪対策法を制定していったというふうに理解しているのですが、いかがでしょうか、刑事局長。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 アメリカにおきます少年非行に対する対応については、私の理解しているところでは、二つの考えが常に主張されていたというふうに理解しております。  一つは、先ほど申し上げましたパレンス・パトリエに基づく思想、もう一つはいわゆるジャスティスモデルと申しますか、この二つの拮抗というのがずっとあって、今委員御指摘の一九六〇年代から始まったアメリカの少年法の動向というものは、一面ではジャスティスモデルに根を置きつつ、また一面では当時のアメリカの少年非行の非常に深刻な状況からして刑事制裁化していった、そういう傾向の一つのあらわれだというふうに私としては理解しております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 法務大臣か政務次官に伺いますが、アメリカで犯罪を犯して施設入所している少年というのは大体どのぐらいいるのか、おわかりでしょうか。——では、お調べいただいている間にちょっと次の質問を先にします。  きのうの本会議で私は、アメリカの今触れた六〇年代から七〇年代にかけての厳罰化、少年法改正の動きが、結果としてアメリカにおける凶悪な少年犯罪を抑止できなかったのではないか、むしろその数はふえてしまった、少年の受刑者は非常にふえてしまった、ここのところをぜひ法務省として調査、検証してほしいということを申し上げました。答弁の中で、九四年以降アメリカの少年犯罪は減少した、こういうふうに言われているのですが、この減少は、厳罰化によって減少したというふうに言える根拠が何かあるのか。これはむしろ逆ではないかという気もいたします。  御承知のとおり、クリントン政権になってから、アメリカの犯罪発生件数そのものもトータルに減少傾向をたどっています。経済状況、失業率などもよくなっている。こういうことで、犯罪全体のパイが減ったということと九四年以降の発生件数の低下傾向ということが直接結びついているわけであって、厳罰化が九四年に確定したのでうわっと少年犯罪が減った、これはどうでしょう、法務省としてそういう見解を今示せるのでしょうか、ちょっと疑問が強くあるのです。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 ただいま委員御指摘の昨日の本会議でのお話は、総理の御答弁だと思うのですけれども、この御答弁の趣旨は、犯罪件数の増減についてはさまざまな要素があるもので、これについて特定の要因を挙げることは困難であるということを前提といたしまして、アメリカにおける主要な少年犯罪は一九九四年のピークを境に減少という傾向にある、その年の前後において少年の刑事訴追を容易にする法律が制定されたものと承知しているということで、そこに何らかの因果関係があるかどうか、そういうことについてはこれは申し上げていないというふうに承知しております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 今刑事局長が、アメリカにおいてはもうずっと伝統的に二つの見方が両立してきたというか、双方が主張し合ってきたということをおっしゃいました。  アメリカでは今、要するに厳罰化によって、先ほどちょっと聞きましたけれども、一応私が調べたアメリカ司法省の統計だと、約十万人を超える十万五千七百九十人が九七年現在でアメリカの施設に入所をしている。公的施設に七四%、民間は二四%である。十万人に近い少年が施設入所しているという現状にあるのです。  ぜひこれは法務大臣にお願いをしたいことがあります。この問題は、現下の少年による凶悪事件、これはほっておけないというのはもちろんなんです。私も、対策を立てていかなければならないと思います。しかし同時に、今私たちは最低五十年、半世紀というスパンで社会や犯罪あるいは犯罪対策を考えていかなければならないのじゃないかというときに、例えば、厳罰化の背景に、どうもアメリカでは選挙と政治家の存在があったというふうに司法担当記者や研究者から私は聞いています。  つまり、非常にわかりやすいスローガンとして、例えば、十六歳を十五歳に、いや、私は十四歳に、十四歳は十三歳に、十三歳は十二歳にと下げていく。こういうことが、選挙が終わってみると、刑務所をどんどんつくらなければならない。そして、厳罰化によって、例えば十一歳の少年が十年、十五年の拘留期間で刑罰を受けたとする。そうすると、社会の中で何ら体験のないまま、出所して再犯をしていく率が大変高いというふうに聞いているのですね。  ですから、日本の犯罪発生件数が今大変憂慮すべき状況にあるとはいうものの、戦後の一時期、一九六〇年などに比べてみると、少年が犯す殺人事件の数も恐らく四分の一以下ですね。それをまた四倍にしないための、遠目のきいた、遠くを見た、五十年のスパンの政策をぜひ考えていただく上で、アメリカの少年の刑事司法の実態、特にこの五十年にわたる検証をぜひやっていただきたい。そして、今アメリカが抱えている少年犯罪対策の現場も含めて、日米の意見交換も含めて、これは大変役に立つ、そして国民の利益にもかなうことだと思いますので、大臣、いかがでしょうか。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 先ほど来の審議の中でもって、西欧各国の犯罪の発生の現況等も御報告いたしましたし、また、アメリカの状況も御報告いたしました。  しかし、それらの法制の関係と犯罪発生率とどういう因果関係があるのかということについてははっきりしておらないわけで、委員御指摘のとおり、アメリカのそういった状況について調べるということは、アメリカばかりではございませんが、西欧のこともしっかりと調べていくということは大切なことでございますので、今後、法務省としてもしっかり追求するように努めていきたいと思います。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 ぜひそれをお願いしたいと思います。そして、もちろんアメリカだけではなくて、例えばドイツにおいてどうなのか、少し体系の違う国で少年に対する処遇がどうなっているのか、これもぜひ見ていただいた上で、日本の現状を検証していただきたいと思います。  それで、日本の現状なんですが、私は、少年法の中にも大いに問題点は実はあると思っているのです。その問題点の多分大きな一つは、きのう本会議でも申し上げましたけれども、被害を受けた重大な事件、あるいは肉親を殺害されるなどの事件があったその後に、被害者の側が全く何も知ることができなかったと。  今回、通知ということである程度前進はされていると思いますが、この法務委員会でも一般質疑の中で参考人の意見がありました。あるいは、岡崎哲君という、これまた本当に悲惨な形で殴り殺された少年が、なぜかその審判の過程で、何が証拠で、どういう根拠に基づいて決定が下ったのかが全くわからないという指摘も私たちは受けています。  こういう意味では、今回の少年法が、被害者の立場に立ったときに、この通知の問題だけで片づけていいのか、刑事証拠の開示等を含めて、特別な犯罪被害者の側に立つ全面的な情報開示と、少年法の保護育成の概念というのは、私は両立するんじゃないかというふうに思うのですが、その点、次官、いかがですか。

山本有二自由民主党法務政務次官

○山本(有)政務次官 先生の御指摘も本当にそのとおりでございますけれども、少年事件記録につきましては、少年審判規則第七条で家庭裁判所の許可があれば閲覧、謄写はできるものの、少年審判の特質や少年審判が非公開である趣旨に照らしますと、被害者に広く閲覧権を認めるというところまでは、なお慎重な検討を要すると考えておるところでございます。  また、少年審判における被害者の傍聴というようにとらえますと、少年等がプライバシーに関する事項等について発言をためらったり、裁判所が必要な情報を得がたくなりましたり、あるいは、ひいては適正な処遇選択が困難になるというような問題も現在指摘されておるところでございまして、この点においても、なお慎重な検討を要する部分でございます。  総じて、先生のおっしゃる事案のようなことがないようにしなければならぬということを、情報公開あるいは通知という形で改善できるかどうか、これからまた考えてみたいというように考えております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 少年が起こした重大事件、あるいは重大というふうに言えないまでも深刻な事件を犯した少年たちが、本当に反省をして、これは悪かったんだというふうに自覚をして施設を出ることができるのかどうかというのがこの問題のポイントだと思うのですね。残念ながら、これは諸外国と比べてどうなのか、もしおわかりだったらお答えいただきたいのですが、日本の少年院を出た少年たちの再犯率が二割五分、二五%ぐらいだというふうに聞いています。これはひょっとすると諸外国と比べれば低いのかもしれませんが、しかし、四人に一人がやはりそこで再犯の道に入ってしまうということを何とかしなければならないのだろうと思います。  そこで、大臣に伺いますが、では、少年たちがどういう環境に置かれて、そして、その施設にいる期間、本当にみずからの行為と向き合って、きちっとこれを反省して再犯をしないような、いわば十分な立ち直りが保証されているかどうか。  これは、人的な資源、いわば職員の方たちは大変な努力をしていると思いますが、率直に言って私、介護保険の時代を迎えて、特別養護老人ホームや老人保健施設も各所にたくさん建っています。みんな新しい施設です。ところが、この前、児童虐待防止法の制定を前に、児童相談所の一時保護施設というところに行ったのですね。そうすると、六畳一間で、そこに二人か三人が寝るのです。そして、聞いてみると、服もズボンも靴下も全部取り上げるのですね。僕は、どうもこれは戦争直後の戦災孤児の皆さんの、いわば衛生状態がひどかったころの習慣がなお残っているのかどうなのかなとも思います。そして、子供に関する施設は皆古いですよ。  少年院あるいは児童自立支援施設にしても、もう少しやはりその環境をきちっと、そこには更生のためのサポートをするお金もかけて、整備をするべきじゃないかという気がとてもするのですね。そのあたりについてお考えはいかがですか。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 委員も御承知のとおり、私どものいわゆる刑務所等の取り扱いと少年保護における少年院等の取り扱いというのは極めて対照的であるというふうに私は考えておりまして、そういった意味で、少年の健全育成のための配慮というものは、私は、そこに働いている職員の気構えも極めて違う、すばらしいものがあるというふうに感じておりまして、そういう点については、自信を持って現場の状態というものはお知らせできると思っております。  なお、環境につきましては、まだまだいろいろな問題点もあろうかと思いますので、委員の御指摘も考慮しながら、今後いかにあるべきかということはさらに勉強していく必要があろうかと思います。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 残り少ないので大臣に伺っていきます。  きのうの本会議、そして本日の委員会でも各党からさまざまな意見が出ています。今政府の立場としては、少年法の理念はいささかもこれをゆるがせにしないというふうに答弁で聞いております。しかし、与党の中からも、年齢の引き下げぐらいはもう踏み切らなきゃいけないんじゃないか、こういう声も多々出ているようです。あるいは、少年法の体系自体が甘過ぎるんじゃないか、こういう声も出ているようですけれども、法務省としては、今回の改正案で、しばらく少年法自体には手をつけなくていい、こういうふうに考えて提出をされているのかどうか。いかがでしょうか。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 少年の教育や更生を大切に考える立場というのは、今後とも基本的に維持されるべきである、このように考えておりますが、一方、近時、少年による凶悪重大犯罪というものが発生していることを契機として、いわゆる少年の年齢問題が国民の重大な関心事となっているということも事実でございます。  この問題につきましては、刑事司法全般において少年をいかに取り扱うべきかという基本的なことにかかわる問題でございまして、種々の議論があることから、これらの議論も踏まえつつ、重要な課題として早急に検討していく必要があると考えているのでございます。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 きのうの本会議でも聞きましたけれども、確かに重大な衝撃を生んだ十七歳の二人の少年による事件がありますよね。ただ、その十七歳の少年による事件は、家庭裁判所の審判を経て刑事処分相当というふうになった場合に、検察官に逆送されることになり、成人同様の刑訴法による取り扱いを受けるというふうになっていますね。  ですから、十七歳の少年が起こした二つの凶悪事件、実は、それ以外にも二十代、三十代、四十代が起こしたさまざまな凶悪な事件はあるわけですが、十七歳の少年は少年です。しかし、この少年が起こした事件とこの法案とは直接関係ないですね。どうでしょう。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 そうした事件の発生というものが国民の重大関心になっているということは私も承知をいたしておりますが、今回、私どもが御提示をいたしております改正法というものは、いわゆる事実認定といった、より基本的な、緊急の問題について御提案をいたしているものでございます。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 ですから、凶悪事件を起こした少年が例えば十二歳とか十三歳とかという年齢で、この年齢の問題はまさに焦点だということで、この法案にもそのことがあるということではないわけで、その十七歳の少年についての今お話ししたような扱いがあるわけですから。  この法案審議をあの事件があったから急ぐということの背景に、私は、アメリカのこともぜひきちっと調べていただきたいし、そして日本の少年犯罪対策も含めて、少年法はこれでいいのかという議論もぜひきちっとやるべきだと思います。しかし、拙速に、ほとんど審議を深めずにやってしまえということに対しては非常に危惧を持つわけですね。たくさんの問題がある。  つまり、この少年法改正案では生ぬるい、こういう声があるわけですね。私は、今の政府提出の法案には反対です。反対ですが、もう少し厳しい内容のものをやるべきじゃないかという声も各党の委員から上がっているようなんですね。そういうときに、まずやはり必要なのは、感情や情緒ではなくて、事実をきちっと精査すること、調査すること、そして、それを踏まえた冷静な議論を展開することだと思いますが、このあたりは法務大臣はどういうふうに認識されていますか。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 私どもが提案をさせていただいておりますこの少年法の改正法案、衆議院の法務委員会でもって御審議をいただけるということを大変うれしく思っております。御承知のとおり、昨年の三月に御提案を申し上げておりますが、重要法案がいろいろ山積をしておりまして、今日まで審議がされなかったということについては非常に残念に思っております。  しかし、委員御指摘のとおり、この問題については、議員の諸先生方の議論をしっかりと深めていただいた上で、早急に御可決をしていただくように御努力をいただきたいと思います。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 きのう、ちょっと本会議でこれを紹介したら、私の発言かと思って与党の方からやじが沸いたんですけれども、日本政府は九六年、子どもの権利委員会でこういうふうに主張しているんですね。「刑罰や非難を加えるよりも、保護、教育を行うことが健全育成に役に立つ、検察官が責任追及をするという刑事手続のような対立構造は望ましくなく、裁判官が直接少年に働きかけ、教育的な働きかけが行える審判構造の方がふさわしい。」国連の場で日本政府はこういう見解を表明しているんですね。次にこういう機会があったら、この見解を表明なさいますか。いかがでしょう。少し変更されますか。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 お尋ねの件につきましては、児童の権利条約につきまして、各国の状況についての報告をすることになっておりますが、その第一回報告で、日本政府におきまして、少年法の理念というものが刑罰というよりは保護をまず考える、そういう理念に基づいているものである、そういう観点からの手続とかそういうことを考えるべきであるという趣旨で紹介したものだと私は承知しております。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 では、大臣、いかがでしょう。次に国連で同じような報告をされるのか、あるいはそうでないのかだけ伺って、終わりたいと思います。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 今いろいろ、私どもも法案を御提示させていただいておりますが、その時期になりましたら、その時期の我が国の態度を表明するにふさわしい報告をさせていただきたいと思います。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 このことは言わないというふうに受けとめてよろしいですか、そのときにふさわしいということで。私が聞いたのは、この見解を次の国連の場でおっしゃいますかということだったんです。それだけで終わります。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 その時期に、今私どもが御提案をさせていただいております法案がどういうふうな形になるのか、日本の国としてどういうふうな姿勢というものを外部に表明できるのか、そのときに適切な対応をしたいと思います。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 終わります。

武部勤自由民主党

○武部委員長 安倍基雄君。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 きのうの本会議でもいろいろ議論がございましたけれども、私も少年法の改正はずっと以前からすべきだと。参考資料として皆様にお配りしていると思いますが、ちょうど平成十年の八月号に、少年法改正をしろというのを出しましたので、それをちょっと今お見せしたいと思います。  一般論として、今まで少年犯罪について、すぐ教育が悪いとか、もちろん教育も悪いんですけれども、社会が悪い、そのためには、例えば三十人学級にしろとか、要するに、周りに責任を転嫁するというか、それは確かに大人が悪いんでしょうけれども。私も皆様もびっくりしたと思いますけれども、人を殺した経験をしてみたかったというようなせりふが出てくるわけですね。というのは、人を殺した人間は必ず自分も死ぬんだという基本的な気持ちがなければ、やはり犯罪というのは抑止できない。  それは少年なるがゆえに、よく十八歳未満は絶対死刑にならぬよと公言するような人間もいるわけです。ですから、教育問題とか家庭問題とか社会問題、これが悪い悪いと言うのもいいんですけれども、基本的には、やはり人を殺したら自分は死ななくちゃいかぬというような、哲学というかそういう基礎がなくちゃいかぬ、法と秩序と申しますか。  その点、私は、きのうからいろいろ議論が出ましたけれども、少年の年齢の引き下げとか刑事訴追年齢の引き下げ、これはやはり考えていかなきゃいかぬじゃないかと。ただ、今こういう事件が起こると、急にまた、慌てて何歳何歳と言い始めていますけれども、これは私は、日本というのは割合と一方にだあっと行っちゃう話ですから、年齢の引き下げも以前からやるべきと思っていますが、それなりの議論は十分すべきだとは思うんですよ。  この点について、まず最初に、少年についての年齢の引き下げあるいは刑事訴追年齢の引き下げ、その辺についての御見解を一応お聞きしたい。法務大臣。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 近時、少年による凶悪重大事件というものが発生いたしました。そうしたことを契機といたしまして、少年司法における年齢区分のあり方が国民の重大な関心事となっていることは、私どもも十分認識をいたしているところでございます。  この問題につきましては、刑事司法全般において少年をいかに取り扱うべきかという基本的な考え方にかかわるものでございまして、種々の議論があることから、これらの議論も踏まえつつ、重要な課題として早急に検討していく必要があると認識をいたしております。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 私は、この論文の中で各国の比較をしておりますから、読んでいただければいいと思うのです。  ただ、私は、ちょっとお聞きしたいのは、いわば実際上の刑罰として、ほかの国と比較してどうなんだろうと。その辺の実情というか、重罪犯罪については大体このくらいのいわば刑罰を科している、アメリカ、イギリス、日本はこのぐらいだ、一種のそういった比較が今までされているのかどうか。  これは何もほかの国をまねする必要はないのですけれども、それにしても、大体各国の平均的な比較ということも当然しなくてはいけないことだと思います。その点、法務省、そこそこの研究をしておられるのかどうか。少年法の改正と言われる以上、やはり実際上の刑罰がほかの国と比較してどうだろうと。  私の理解しているところは、外国の場合、重罪犯罪と軽微の犯罪と分けてやっている。裁判所そのものを分けているケースもございますが、その辺について、日本は外国と比べてどういう位置にあるのだろう、その辺についてのお答えをいただきたいと思います。

山本有二自由民主党法務政務次官

○山本(有)政務次官 諸外国の年齢についての定めでございますが、アメリカ・ニューヨーク州では、十六歳未満を少年とし、七歳以下は刑事責任能力がないと承知しております。また、十三歳以上の少年による一定の重大犯罪については、刑事裁判所において刑罰が科される場合があると承知しております。  イギリスでは、十八歳未満を少年としておりまして、十歳未満は刑事責任能力がないと承知しております。そして、十歳以上の少年による殺人等の重罪については、刑事法院において刑罰が科される場合があると承知しております。  ドイツでは、二十一歳以上を成人とし、十八歳以上二十歳以下を青年、十四歳以上十八歳未満を少年と区分いたしまして、十四歳未満は刑事責任能力がないものと承知しております。また、少年及び青年に対しては刑罰を科し得るとされております。  フランスでは、十八歳未満を少年とし、十三歳未満は刑事責任能力がないと承知しております。そして、十三歳以上の少年につきましては刑罰が科される場合があると承知しているところでございます。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 法の規定とはまた別に、現実的にどういう判決になっているかということもやはり一応調べる必要があると思うのですが、その辺までの十分の研究をなされているのかどうか。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 各国の量刑比較というのは一つの問題であろうかと思われるわけですが、実は、法定刑が非常に違っております関係から、そういう意味で、比較がなかなか難しい。しかし、データの把握には努めてまいりたいと思います。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 次に、氏名の公表についての規定ですね。これはほかの国にもあるのか、日本が特殊なものなのか。ほかの国にあるとしたら、どの程度の規制なのか。その辺をお答え願いたいと思います。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 報道機関に対して少年の氏名等の公表を禁ずる、これに近い規定というのは、各国、持っているところも、かなりの数ございます。  例えば、フランスでは、弁論の内容を公表するということは、新聞とかラジオとかその他、どういう方法を使ってもいけないということになっております。(安倍(基)委員「名前はいいんですね」と呼ぶ)名前はもっとだめです。名前もだめで、これはイニシアルも含めて公表することはできないということになっておりまして、これに違反した場合には罰金が科されるということになっていると承知しております。  あとは、イギリスでは、原則として少年の氏名等を明らかにするような報道をしてはならないということにされており、これも罰金刑が科されることになっております。ただ、裁判所の方で、一定の場合にはこの禁止を解除することができるようになっていると承知しております。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 過去の例で、イギリスあたりでまだ子供の名前を公表したケースもございますが、いわば罪の大きさによってはそれをある程度弾力的に考えるべきではないかと私も思っております。  大臣にお聞きしたいのは、抜本的改正を本当にやるつもりがあるのかどうか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 少年法のあり方につきましては、非行のある少年についてその改善と健全な成長をどのように実現するかという基本的な問題にかかわることでございまして、種々の議論がおありになるということから、これらの議論というものを踏まえつつ、総合的な観点から検討していく必要があるものと考えております。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 ということは、やるのかやらないのか、その辺がちょっとはっきりわかりませんが。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 現在私どもが御提出をしております法案は、現下緊急な問題として解決をすべきものということで御提示をしておるわけでございまして、それ以外の多くの問題点があろうかと思いますが、それらの問題については多くの議論があるわけでございますので、それらの議論を踏まえながら、例えば年齢引き下げ等につきましても早急な解決というものをしていきたい、このように考えております。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 私も本会議で質問したときに、手続面だけではなくて、実体面をやはり重視していかなければいかぬよと。それは今すぐというわけでもないのですけれども、それなりに十分検討した上で、やはり今、少年法も、確かにそれは一面において少年の更生という面はあるのですけれども、他面において、それが被害者を増加させ、いじめの原因にもなっております。  そういった面から、私は、余り甘過ぎる運用、甘過ぎる法制というのは、かえって子供のためにならない。保護すべきものは被害者であり、その子弟であるわけですね。その気持ちを考えないで、ただただ加害者の少年を守るんだと。私もちょっと言ったのですけれども、ジャン・バルジャンのようなケースは別だけれども、凶悪犯罪というのは別だよと。  少年法というのは、どうもやはりそういった最初の、窃盗犯とか、私は立法趣旨をちょっと見たことがあるのですけれども、戦後つくったときに、戦争中は教育も十分できていなかった、混乱期だというような説明がたしかあったような気はしますが、そのことを踏まえて、長い間の社会の変化に対応できる、そのために諸外国も大体、だんだんと厳しい面を備えてきています。  これは私は、当初申しましたように、少年犯罪の原因を、社会が悪い、何が悪いと外に求めるのもいいのですけれども、基本的にはやはり、いわば犯罪を犯した者は罰せられるんだよという基本がなければ、到底これは少年犯罪を抑止できないと思います。その点で、やはり法務大臣がより基本的な議論でこの抜本的改正について考えていただきたいと思うのでございますが、いかがでございますか。

臼井日出男自由民主党法務大臣

○臼井国務大臣 罪を犯した者は罰せられる、こういういわゆる社会規範的な考え方というのは日本国民として当然持たなければならない、このように考えております。一方、少年審判におきましては、少年の健全育成というものを基本とするという考え方というものは堅持しなければならないと考えておりまして、今後、本提出法案を初めとする、あるいは今後御検討いただくものによって、いわゆる事実認定を適正化し、また、なおかつ年齢引き下げ等についても御議論をいただいて早急に解決をし、より現代に適したものに改正をしていく必要があろうかと思っております。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 大臣は、次の何かがあるようでございますから、どうぞ退席していただいて結構です。  それから、今度は文部省にお聞きしたいのですけれども、私は、本会議の質問のときにも引用したのですが、山形のマット死事件ですか、あの直後に政務次官になりまして、どうも処分が甘いのじゃないかという気持ちがいたしました。  私は、ちょっと言い方が抽象的かもしれませんけれども、いじめによって子供が殺されたりあるいは自殺に追いやられたりしたときは、担当の教師は、ある種の業務上過失致死というかそれに近いのじゃないかと。つまり、教育でもっていい環境をつくり、教育するのが目的である教師が、自分の担当しているところでいじめを放置して、それでこういった事件が起こるということは、一種の過失致死罪に当たるのじゃないか。これは、ちょっと法的に必ずそうなるかどうかわかりませんけれども、それに近いのじゃないかと私は考えております。その当時、私は、過去のものをすぐさかのぼって罰するわけにはいかないから、これからについて一応警告をして、今度、要するにこの警告の後にはその問題の起こった教師は辞任するとか首にするとか、そういうことを実は考えておったわけです。  そのうちに細川内閣がつぶれまして、私が逆に首になってしまって、そういうことでいわば厳しい処断をする機会を失したわけでございますけれども、この点について、いじめが起こるたびに、学校の方が知らなかった、では補導の人間をふやせとかそんなことばかりで、だれも責任をとろうとしない。私は、この点はやはりもっと厳しくというか、教師たるもの、要するに自分の管轄の中でいじめが起こり、それが自殺に追いやられる、あるいは本当にマット死事件のような問題に発展をするというときには、懲戒免職というか過失致死罪に近い扱いをすべきじゃないかと思いますけれども、文部省の御見解をお伺いしたい。

矢野重典文部省教育助成局長

○矢野政府参考人 いじめの問題につきましては、弱い者をいじめることは人間として絶対に許されない、そういう基本認識に立ちまして、学校、家庭、地域社会等の関係者が一体となって取り組むことが重要であるわけでございます。  このため、学校におきましては、担当の教員はもとよりのことでございますけれども、校長のリーダーシップのもとで全教職員が一致協力して、組織的、機動的に対応できる体制を整え、そして、いじめを早期に発見し適切な指導を行うこと、そういうふうに努めることが必要であるわけでございます。また、この問題は、学校だけで抱え込むことなく、家庭や地域、警察等の関係機関との緊密な連携を図ることが求められているところでございます。  先生御指摘の点につきましては、いじめの問題は教員の指導のあり方が問われる問題であり、教員はいじめの問題解決について大きな責任を有しているものでございまして、当然のことながら、教員が教員としてのこうした責務を著しく怠った場合には、地方公務員法上職務を怠ったものとして懲戒処分の対象となり得るものでございます。ただ、対象となり得るものでございますけれども、実際に教師の責任を問うか否かにつきましては、それは任命権者がそれぞれの事案ごとに総合的に考慮して適切に判断されるものでございます。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 そういう、こういたしますという美辞麗句はいいのだけれども、基本的にそういうことでいわば処分したケースがあるのですか。その辺が実際上、一罰百戒できちっと処分しておけば、それなりに教師は、自分の首にかかわることだから一生懸命になるのです。適宜適切にとかいう言葉はいいですから、現実問題としてそういうケースがあるのかないのか、お答えください。

矢野重典文部省教育助成局長

○矢野政府参考人 トータルに調査したことはございませんけれども、私どもが承知している限りにおきましては、例えば平成八年の愛媛県の事例あるいは平成七年の新潟県の事例におきまして服務監督者である校長及び担当の教諭について処分がなされたことがございます。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 いずれにいたしましても、私は、過失致死罪というような、なかなか法的にはどうかと思いますけれども、それに準じた考え方を持つべきではないか。要するに、いじめがあったときに、何か知らなかったというような話ばかりで、だれも責任をとろうとしないというのが一番問題なので、責任をとらせる姿勢、これによって大分違ってくると思うのです。  私は、山形のマット死事件以降、いつかはそういうことをきちっと処分をしようと思っておったのができなかったわけでございますけれども、現実問題として本当にそれが一番の問題ですよ。いろいろコンサルタントというか、教師をふやして、それに相談のあれを置くとかなんとかいろいろ言いますけれども、そんなことではなくて、教師そのものが自分の首をかけるのだという姿勢が必要なので、私は、少年法の改正とともに、文部省における行政指導、その辺をやはりぴしっとしてほしいと思います。いかがでございますか。

矢野重典文部省教育助成局長

○矢野政府参考人 先ほど申し上げましたように、いじめの問題は大変大きな問題でございます。そういう意味で、その中で、特にとりわけ担当教員の責任は大きいわけでございますので、そうした責任を十分自覚した上できちんとした対応をすることが教員に求められるわけでございますので、そういった観点において今後とも指導してまいりたいと思っております。

安倍基雄保守党

○安倍(基)委員 戦後の日本は、そういうけじめというか、その辺が弱過ぎるのじゃないかと。責任があると何かほかのものに責任を転嫁して、やれ社会が悪い、やれ何が悪いとみんなしてしまう、その辺がやはり一番の問題であろうと私は思っております。その面で、教育者も責任をとるべきときはとる、私は、これが本当に、逆に子供たちも自分の責任を持つのだよという一つの見せしめにもなるだろうと思います。  時間もあれでございますから、私の質問はこの辺で終わります。

武部勤自由民主党

○武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時五十八分散会

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