法務委員会 第9号
- 発言数
- 160 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2000/03/31
会議録
○武部委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、民事法律扶助法案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長細川清君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省人権擁護局長横山匡輝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○武部委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所千葉民事局長、白木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○武部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
○日野委員 民事法律扶助法が出されまして、私も喜んでおります。 ただ、これは随分待たれた法案でもありますし、民事法律扶助事業というのは随分古くから日弁連あたりを中心に進められてきた事業でございます。何か昭和二十八年とかなんとか、ちょっと数字は正確ではありませんが、そのころからやっている。そして、単に民事問題だけではなくて、法律扶助の事業というのは非常にすそ野を広げてといいますか範囲を拡大してずっと今行われてきているようでございます。 私も、実は弁護士をやりながら、まことに協調性のない弁護士でございまして、逃げ回って逃げ回って、この法律扶助事件なんというのはできるだけ受けないようにと思ってやってきた。それからあとは、国選弁護もできるだけ受けないように受けないようにと思って、逃げ回ってきたのですよ。そうしたら、あるとき、先生、さっぱり国選やっていないからぜひこれをやってくださいといって私のところに持ってこられた。たまにはしようがないかなと思って、どういう事件だと思って見たら殺人事件、これには参りましたね。しかも、接見に行ってみたら否認事件でございます。これには本当にほとほと参ったなという思いがあります。 このように、弁護士にとっては、法律扶助というのは決して好ましい事件ではないのであります。ありていに言えば、これは弁護士さんたちの犠牲の上に成り立ってきた一つの事業でございますね。 私は、法律扶助ができた、そしてこの民事法律扶助に予算をきちんとつける根拠をつくったということは非常に結構なことだというふうに思うのです。民事法律扶助法、この法律ができる前からわずかずつ補助があったのですが、何でこんなにおくれてしまったのかということを、顧みて非常に遺憾の念を表明しておきたいと思います。 そして今度は、補助金がふえたというので、弁護士会だとか法律扶助協会も喜んでいるようでありますし、多くの方々から歓迎をされているという点について、私はそれにけちをつけるつもりはないのでございますが、しかし、その額だって非常に少ないと言わざるを得ない。この間から随分ほかの国と比較の数字を見ておりますが、ほかの国なんかに比べるとこれはもう何分の一どころか何十分の一というような感じでございます。何でこんなにおくれてしまって、その規模も全面的に展開できないのか。 この民事法律扶助法の第一条を見ますと、非常に高い理想が飾ってあるわけですよ。「民事法律扶助事業が司法制度の充実に寄与する公共性の高いものであることにかんがみ、その整備及び発展を図るために必要な事項を定め、」こうなっているわけですね。高い理想を掲げているが、しかし現実にはおくれて規模も小さいというようなことで、何でこういうふうになっているか、ひとつ御説明を伺いたいと思います。
○臼井国務大臣 このたびの民事法律扶助制度は、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つわけでございまして、司法制度の充実に寄与する公共性の高いものでございます。 先進諸国におきましても、例外なく法整備がなされているわけでございまして、相応の国費が投入されているところでもございます。 法務省といたしましても、この制度を充実する必要性というものを認識いたしておりまして、先ほど委員のお話に出ましたとおり、大分前、平成六年から法務省内に法律扶助制度研究会というものを設けまして、学識経験者などの参加を得まして検討を重ねてまいりましたけれども、平成十年の三月にその検討結果が取りまとめされまして、民事法律扶助事業について国が責任を持って整備、発展を図るべきであるという結論が出たのでございまして、事業運営の適正さが十分確保できるだけの国の積極的関与が不可欠であるというふうなことも報告をされたのでございます。 そして、平成十一年四月及び五月に、衆参両院の法務委員会におきまして司法制度改革審議会設置法案が審議をされました際に、このような方向性の示されている本制度につきまして、法制定を含む制度の充実を図るべき旨の附帯決議がなされまして、同年十一月には、司法制度改革審議会におきまして、政府において制度の改革のための措置の早急な実現を図ることを期待する旨の会長談話というものが発表されたところでございます。 このような経緯をたどりまして、今回、緊急の必要性があるものといたしまして本法案を提出させていただいたところでございます。委員御指摘のとおり、立法が意図的におくらされたというふうなことはないのでございます。
○日野委員 今の答弁を伺いまして、私は、そういった努力、それは多といたしたいというふうに思います。 ところが、私、この委員会でこの法案の審議の質疑を聞いておりまして、非常に気になることがあります。これは、同僚議員がこの委員会において大演説をぶたれたわけでありますが、自民党の方でありますが、その方は、自民党の内部におけるこの法律案の作成に至るまでの経緯についてお話しになりました。それから、将来展望というものについてもお示しになった。私は、将来展望なんかは非常にいい、積極性のあるものだというふうにお伺いをいたしました。 ただ、私、この法律を見て非常に気になる点があります。まず、私の質問の基調として一つお話を前もってしておきます。 これは余りにも法務省の監督に名をかりた規制が強過ぎるんじゃないか、こういう考えを私は持っています。そして、将来にわたって、この法律扶助制度に対する生殺与奪の権を握るとまでは言わないけれども、いろいろなさじかげんで、この制度が機能するかどうかということについても大きな影響力を法務省はこの法律によって持った、私はこういうふうに思っておるんですよ。ですから、私は、一方的にこの法律を歓迎するということばかりではいかぬのだろう、こういうふうに思っています。このことは私のきょうの質問の前提としてひとつお含みおきをいただきたい。 そして、ここの委員会におけるある委員さんの演説についての危惧を私は申し上げたいと思う。彼は、この民事法律扶助制度について法律をつくるということについては、こういう要望は非常に強かったんだけれども、自民党、法務省、まず順番としては法務省を置いてそれから自民党が出てくるわけですが、自民党や法務省が日弁連に対して好ましく思っていなかった、こう言っているんです。日弁連というのは強制加入団体であるにもかかわらず偏向しておった、こう彼は指摘をしているわけです。であるから、民事法律扶助についてもこのような法律案ができるのはおくれたんだ、彼はこう言っている。そして彼は、法務省と自民党を並べて、将来にわたっての法律扶助制度についての言及をしておられるんです。 私は、これは日弁連に対する誹謗であると思う。日弁連の偏向という言葉を使った。私は、その方も弁護士ですが、彼の人権感覚に対する疑問を呈せざるを得ない。大体みんな、司法試験のために憲法を学んで、そしてそこで憲法の理念というものを学んで弁護士になり、裁判官になり、検察官になるのであります。その憲法というものがどのようにできているか、これを考えてみなくちゃいかぬ。 憲法をごらんになれば、これは国に対する命令であります。何々をしてはならない、それから何々をしなければならない、憲法というのは原則として国に対する命令を決めているんですね。何でそういうふうなでき方になっていくかといえば、特に日本の場合は戦前における国家からの人権の侵害、こういった歴史を踏まえる、それから世界史的に見ても、国家は人民に対して不利益を課していく、しかしその場合、課してはならない不利益は何であるか、それから国家に対して、その人民に対してどのような行為をなさなければならないか、こういうことをずっと書いてあるのが憲法なんです。 でありますから、憲法を学んだ者、人権を守ろうという立場で仕事をする者、これは国家に対する態度が厳しくなるのは当然のことであります。厳しい目で国家の公権力の行使を見詰めていくわけでありますから、日弁連のような団体が国家の公権力の行使に対して辛口になっていくのは、これはやむを得ないところなんです。それを、あたかもそれが偏向であるかのごとく日弁連を誹謗するのは、私は全く当たらないと思う。国家権力に対して人権を守るために立ちはだかる、それが日弁連の使命です。国のとっている政策、それから裁判所の態度、検察庁の態度、そういったものに対しても立ちはだかっていく、それを誹謗するようでは私はその人の人権感覚を疑わざるを得ないんです。 このような人権に対する考え方というのは、私は非常に大切な部分であると思う。この民事法律扶助を今後運用していくに当たっても、人権を守っていくという立場というのは非常に大事なものになっていく。そして、指定法人として指定される法人というのは恐らく法律扶助協会になるのでありましょう。その法律扶助協会、これだってやはり同じような考え方というものが存在してしかるべし、私はそう思っています。この点について大臣はどうお考えになりますか。
○臼井国務大臣 ただいま委員が御指摘をいただきました御質問は、先般私もその委員の御発言を承っておったわけでございますが、そのときの議事録、正確には覚えておりませんが、そのときにあるいは法務省という言葉があったといたしましても、それが即私ども法務省の立場でないことは委員よく御承知のことだと思うわけでございます。 ただいまるるお話をいただきました今まで民事法律扶助について法律扶助協会が果たしてこられた役割、そして扶助協会に対して日弁連を初めとする皆様方が大変多くのお力添えをいただいている点、それはもう私どもも十二分に認識をいたしているところでございまして、今回この法律が成立いたしましたならば、さらに一層私どもは扶助事業に対して一生懸命に努力をしていかなければならない、このように考えているところでございまして、御理解をいただきたいと思っております。
○山本(有)政務次官 大臣の答弁と重なりますが、委員御指摘の、弁護士会そして法律扶助協会のこれまでの人権を守ってこられた実績、さらに歴史的な憲法の使命、機能あるいは役割、そういった鋭い御指摘の中からの今回の法律扶助制度についての御示唆でございます。その意味におきましては、我々も、法律扶助協会が人権擁護の先兵としての役割をさらに深める趣旨でこの法案を提出したつもりでございますので、委員御指摘の御懸念はないように今後も努力してまいりたいというように考えておる次第でございます。
○日野委員 私は、法務省が果たしている人権擁護のためのいろいろな仕事というものを評価すべき点はいろいろあることは知っています。ややもすると、人によっては法務省だの裁判所に対して非難中傷を雨あられと浴びせる人もおりますけれども、私はそのような考え方はとりません。やはり評価すべきところは評価する。しかし、評価できないところは評価できないとはっきり私は言わざるを得ない。 例えばその委員は、私、固有名詞を使ってもいいんだけれども、それは避けておきましょう、その委員は、二回にわたってここで大演説をやっているんです。一回目は、この法案審議の政府とのやりとりの中でやっておられる。それから、参考人質疑のときにもかなりの時間演説をされまして、裁判所と検察庁と弁護士会の三者協議についてまで彼は言及をした。そして、弁護士会は何でも反対ではないかと。全く認識不足も甚だしければ、本当はこんなところで言う必要もないことまで彼は言って、これからどのようにこの民事法律扶助の制度が運用されなければならないかということにまで言及をしているわけです。 私は、先ほどからずっと述べているように、やはり人権をきちんと守っていく、そのためにこの制度というのは機能していかなくちゃいかぬ、そのためには、法務省にとっても非常に不愉快なことはあるだろうと思うんです。法務省というのは国の機関でありますから、不愉快なことはあると思う。しかし、そこは冷静に、司法との接点、司法が国民の権利を守っていく、その接点に位置する一つのシステムをつくろうとしているわけでありますから、そういうときに法務省の立場のみに執着すべきでない、そして、かりそめにもこの指定法人に対して圧力をかけるようなことがあってはいけないと私は思うんですね。そういう観点から一つ問題を提起しておきます。ひとつ大臣もそのことは十分に心得ていただきたい。よろしいな。
○臼井国務大臣 承りたいと思います。
○日野委員 それでは、この問題とも早速関連するんですが、民事法律扶助ができたのは結構なんです。しかし、先ほど私も指摘したように、この制度というのはおくれてきたし範囲も狭い。民事法律扶助だけに限定をする、本当はこれじゃいけないと思うんですね。既にこの制度は、この法律とか何かからもう離れて、随分大きな展開をしています。法律扶助協会がやっている問題だけでも、刑事被疑者弁護、それから少年保護事件の立ち会い、こういったものもありますね。こういうところにやはりもっとちゃんと拡大をしていれば起きなかったであろうような現実の事件というのもあるんですな、ごく最近です。 松山の裁判所に起訴されていた人物が九カ月ですか勾留をされて、そうしたら今度は高知の裁判所に起訴された人物が、あれはおれがやったんだということになっちゃって、今まで身柄拘束をされていた者を保釈したというケースがありましたね。これなんかは、私は、刑事被疑者弁護の制度がきちんと機能して、一般の国民もこれを知っていたとするならば、もしこの被疑者に擬せられていた人物がこれを知っていて、捜査の段階から弁護士の弁護を求めていたならば、起きなかったんじゃないか。 これは私よく知りませんが、報道されるところによれば、捜査段階で自白をしてしまって、そして刑事事件の法廷に出てから否認をするというようなことになったというふうに伺っていますが、大体そんなことでよろしゅうございますか。
○古田政府参考人 御指摘の事件につきましては、警察におきまして、この方に犯罪の嫌疑があるということで、まず任意同行を求めたわけでございます。任意同行を求めて事情聴取をした結果、犯行を認めるに至ったことから逮捕したというふうに承知しております。
○日野委員 どっちにしても、これは検察当局も間違えちゃったわけですわな、本当に残念なことですね。この勾留をされていた、九カ月だというふうに記憶しているが、その時間というのはこれはもう取り返しがつかない。何か報道によりますと、勤めていたところもやめたということになったようでありますし、これは本当は一般質問でやった方がいいんだろうと思うが、ちょっとだけ聞いておきます。 何で検察庁は間違ったとわかったら公訴を撤回しないのですか、取り消すというのかな、今度も公訴を取り消さないで無罪の裁判を求めるわけでしょう。たしかそのように報道されているようだが、間違ったと思ったら公訴を取り消したらいいじゃないですか。何でそれをやらないのですか、絶対にやらないんだ、これは。どうも、ごめんなさい、これは質問通告していなかったから。
○古田政府参考人 御指摘のとおり、公判係属中に真犯人と認められる者がほかにあらわれてこのような事態が生じたということについては、現時点において見ますれば、大変残念に思うところでございます。 ところで、本件の経過でございますけれども、逮捕に至った経過は先ほど申し上げたとおりでございますが、その後、勾留された後、本件起訴に至るまでずっと自白を維持しておられまして、その自白内容もほかの証拠に照らして合理的なものと認められたということでございまして、その時点において検察におきましては犯人であるとの判断、これは合理的なものとしてやむを得なかったものではないかと考えております。 それともう一点、公訴の取り消しをなぜしないのかというお尋ねでございますが、これについてはいろいろな考え方があるところでございまして、公訴の取り消しという方法もございますけれども、一方で、まさに無実の方であるならば、無罪の裁判というのをいただいてはっきりさせるということも、これまた一つの考え方であろうかと思うわけです。私どもが承知しております限りでは、公訴の取り消しということは、後者のことを考えて、検察庁としてはそういう措置はとらないというふうに判断していると聞いております。
○日野委員 私は、公訴の取り消しの方がいいと思っているのですね。一たん公訴を提起されて無罪になったにしても、公訴を提起されたというのと公訴そのものがなくなったというのでは大きな違いですね。どっちがいいか、これはまた別の機会に必ず議論しますから、ひとつ準備しておいてください。 では、今の問題からはちょっと離れますが、大臣、いずれは政策の問題として、今法律扶助協会がやっている事業というのは、やはり必要に駆られて、人権感覚に導かれて、非常な犠牲を払いながら法律扶助の事業をやっているのです。こっちの方にもやはりきちんとした補助金をつけて、そっちの方も法律扶助の対象として国の方でもきちんとした制度的なバックアップをしていくということをやりませんと、何だ、公権力の行使には関係のない民事事件ばかりかねという問題は必ず出てきますよ。これは、公権力の行使が間違っていたらそれを正していく、そういうことのためにもきちんとした制度の仕組みが必要になってくると思う。立法政策の問題としてどうなんでしょうね。 それから、この法律扶助のような、この政策についてどういうふうに考えているのか、法務省の一つの政策の方向性を聞いておきたい。いかがですか。
○臼井国務大臣 先ほど来から、民事に関する法律扶助制度というのは、民事紛争の当事者の裁判を受ける権利の実現を国が後押ししようとする制度である、資力に乏しい方々への弁護士費用等を立てかえてさしあげるものであるということはお話を申し上げたのでございます。そして、その間の経過もいろいろ申し上げました。 他方、刑事事件につきまして申し上げますと、刑事被告人については、法律扶助制度ではなく国選弁護人制度というものが定められておりまして、法制度が既に構築されているところでもございます。そして被疑者につきましても、刑事手続は国家刑罰権の実現として、国が本人の意思にかかわらず権限を行使して被疑者、被告人を刑事手続にのせるものでございますので、私的な紛争の解決を目的とする民事事件に比べて、より迅速かつ確実に弁護人の選任等を行う必要がありますことや、被告人の国選制度と統一的、総合的に実施することが望ましいと考えられますことなどから、民事事件と異なり、必ずしも法律扶助になじむものではないと考えられるのでございます。 このように、民事法律扶助事業に関し、刑事とは切り離しまして、先ほども御説明いたしましたように、緊急の必要性から所要の法律を制定することは、私どもにとりましては十分に合理的なものであると考えているのでございます。
○日野委員 今の大臣の答弁を伺っていますと、一つ一つやっていきますよ、緊急の必要性のあるものにまず手をつけたのでございます、これからいろいろ検討していくのですよとも聞こえないわけではないので、今のところはそのように伺っておきます。 ただ、今の国選弁護というのは公判が提起された後ですからね。その前の問題について法律扶助協会は仕事をしている。 それからあとは、少年保護事件の付き添いですね。これなんかも、私、何回か付添人になったことがあります。本当は嫌なんです。まあ、つかなくたっていいじゃないのと思って、私は今まででも、付添人で出てみて、そして後悔したことはない。やはり、ああ出てよかった、この少年たちには付添人がちゃんとついて、彼らの言いたいことをちゃんと言わせてやる、その思いがちゃんと裁判所に届くようなことをしてやる、これは必要だ、私は常にそう思いました。このこともつけ加えておきたいと思う、私の個人的な感想といえば個人的な感想にすぎませんけれども。 そういうことで、私は、そういったところにもずっとこの制度を展開させていくということの必要性については特にお話をしておきたいと思います。 それで、国選弁護の話が出ましたから、国選弁護が実質的な法律扶助的な役割を果たしているということは私もそのとおりだと思う。ただ、ちょっとこれは行き過ぎじゃございませんかという点を幾つか指摘しておきたいと思います。 というのは、私が今住まいしているところは石巻というところで、そこには石巻支部というところが、甲号支部というのがあります。それからその周辺の、支部の所在地の弁護士さんたちからも聞いてみると、刑事事件はほとんどが国選弁護になってしまっています。そして、ちゃんと事業をやって、豪邸を構えてぜいたくな暮らしをしている人たちまで国選弁護になってしまった。こういう事態はどうかと私は思うのですね。 国選弁護人は手を抜いて仕事をしているなんというのは、あれはうそです。そういった非難を避けるために、国選弁護を引き受けた場合、私なんかかえって緊張して弁護活動をするものです。 それで、私は思うのですよ。何とまあ、こんなに安い国選の手数料で何でこんなに苦労しなければいかぬのかと本当は思います。あんな連中からはもっと取ったらいいじゃないか。しかも、大体、国選の訴訟費用は全部免除されるのですね。あんなことをしてはいけませんよ、やはり取るものは取らなければいけない。そういうふうになっているから、刑事事件はみんな国選だ。私選ということになると、大物の選挙違反事件であるとか、それから贈収賄事件なんかで非常に面倒なものとか、そんなものに限られている。 ですから、もっと私は、これは裁判官に任せられていることでございますということを最高裁もお答えになるかもしらぬけれども、これは一つの基準のようなものは指示しなければいかぬと思いますね。国選だったにしても、金を持っている人からはちゃんと取らなければいけません、訴訟費用の負担はさせなければいけません。 それから、弁護士に支払われる手数料が非常に少ないということ。 もう一つ、これは法務省になるか裁判所になるかわかりませんが、訴訟費用の負担を命じた場合、どのような手段でそれを回収するのか。 ここは、幾つか論点を挙げました。ひとつ答えてください。
○白木最高裁判所長官代理者 まず、国選の選任比率の問題それから訴訟費用の負担の割合についてお尋ねがございました。 被告人から貧困を理由として国選弁護人の選任請求がなされました場合、裁判所が被告人の資産状態をその時点で調査することは予断排除の原則などから難しく、一般に被告人の資産状態等を調査することなく国選弁護人の選任手続を行っております。最近では、この国選弁護人の選任される比率が約七割に達しております。 この場合、公判審理が終わりまして、有罪判決を宣告し、刑を言い渡したときには、刑事訴訟法の規定に基づきまして、被告人が貧困のため訴訟費用を納付することができないことが明らかである場合を除きまして、被告人に国選弁護費用を含む訴訟費用を負担させているところでございます。 平成十年度におきまして有罪判決を受けました被告人のうち、二四・六%の者が訴訟費用の負担を命ぜられ、七四・九%の者が費用の負担を免除されておりますが、これは、公判審理の過程で得られました種々の資料でありますとかあるいは証拠調べの結果から、個々の事件におきまして、裁判所が被告人が貧困かどうかを判断した結果のトータルの数字ということになるわけでございます。 こういった数値が高いかどうかということにつきましては、具体的事件の中身を離れまして一般的、抽象的に申し上げるのは適当ではないと考えますので、意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと存じます。 それから、国選弁護人の報酬の問題が指摘されましたが、国選弁護人の報酬につきましては、裁判における国選弁護制度の重要性を考慮いたしまして、財政事情が厳しいところではございますが、毎年、公務員の給与の改善率を上回る基準額の引き上げを行ってきているところでございます。 つけ加えさせていただきますと、現行の裁判官の報酬額はこの五年間で約四・五%のアップでございますが、国選弁護人の標準報酬額の方は同じ五年間で一三・七%のアップとなっておりまして、裁判官の報酬額のアップ率を相当上回っているということを御理解いただきたいと思います。 国選弁護人の報酬につきましては、ただいま申し上げましたところを基本的なスタンスといたしまして、今後ともなお一層の努力をしてまいりたいと考えております。 それから、訴訟費用の負担を命ぜられた被告人に対しまして、その徴収の問題でございますが、これは検察庁の方でなさるわけでございます。
○古田政府参考人 訴訟費用の徴収は、これは訴訟費用の負担を命ずる裁判の執行でございますので、検察庁において、検察官の指揮により徴収手続をとるということになります。
○日野委員 ちょっとそれを具体的に説明してください。
○古田政府参考人 具体的な徴収方法は、検察庁におきまして、訴訟費用が幾らになるのかということをまず算定いたします。その算定に基づいて徴収すべき金額を決定し、これを負担を命ぜられた人に対して通知いたします。そして、その納付を求めるわけです。納付を求めまして、これは任意に納付される場合も非常に多うございますが、仮に任意に納付されない場合には、民事執行法に基づく強制執行の措置をとるということになります。
○日野委員 国選弁護人の選任ですが、弁護人は国選だからいいかげんにやっているなどという、ややもすればそんなことを言う人がいますが、決してそんなことはないのです。私も何件か無罪判決を今までとっておりますが、そのうち二件は国選事件でありました。これはもう大変な苦労をして、やはり無罪判決をとるというのは大変なことでございますからね。何しろ無罪率というのはたしか〇・四%かそこらしかない国でありますから、それをとるのは大変なことですが、弁護人そのものも一生懸命やっているんだ。 そうすれば、その費用の点についてもいろいろ考えなくちゃいかぬし、もっと選任方法を裁判所も考えなくちゃいかぬのじゃないかというふうに思います。それは、予断排除の原則から、国選を希望するかどうかというところに丸をつけて出したら国選にするなどという、そんな安直な方法じゃなくて、これはもう少し考えるべき点があるんじゃないかということを私は指摘をしておきたいと思います。 この話になると何ぼでも時間が欲しくなってしまうので、大事な点を逃してしまいますから、ではこの点はこの程度にしておきますが、ひとつ御考慮をいただきたいということだけはお話をさせていただきます。 そこで、民事法律扶助事業の定義が第二条に書いてございます。 これによりますと「「民事法律扶助事業」とは、裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続において」云々、こう書いてあります。民事事件、これはいいでしょう。家事事件もいいでしょう。行政事件、これも入った。実は、この法律の中で、国家の公権力の行使にかかわる部分というのはここの部分だけ、行政事件だけなんです。 そこで私は、前に別の委員からもこの点については問われていることがありますが、少し議論をしましょう。 この行政事件に関する手続、これはどの範囲を指しますか。我々が認識するところでは、行政事件といえば弁護士法の第三条に書いてあるんですが、第三条には「審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為その他」、こうなっています。恐らく弁護士法の中で意識されたのは、審査請求、異議申し立て、再審査請求等、これらは行政事件として一つのくくりの中で理解されている、私はこう読むべきだと思うんです。行政事件というのはここの場合どういうふうに読むんですか。裁判所に行政事件として入ってしまったものだけをいうというふうに、何かこの異議申し立てや何かは含まないんだというような答弁だったということで、その議員さんは憤慨をしておられたが、見解を示してください。
○横山政府参考人 本法案第二条に言います行政事件は、裁判所におけるまさに行政事件、これは行政事件訴訟法に基づく行政事件というふうに私どもは理解しております。
○日野委員 範囲が非常に限られてしまうわけですね。行政処分を争うということになりますと、これは決して行政事件訴訟法ばかりじゃなくて、行政不服審査法というのがあります。それから、いろいろな法律に異議申し立ての手続があります。何でこういうものを含めないのですか。そもそものところを伺いましょう。
○横山政府参考人 まず、本法案におきましては、民事法律扶助事業が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つものとして、資力に乏しい方々に対する裁判援助の事業として長年行われてきていることなどから、民事法律扶助事業を裁判援助を中核とするものとして位置づけております。 ただいま委員御指摘のありました行政機関に対する不服審査手続につきましては、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を図ることを主要な目的として、当該行政処分の当不当や違法性を行政機関において再考するものでありますから、このような不服審査手続を扶助の対象とするかどうかについては、それぞれの法制度の特殊性や専門性等を踏まえ、所管当局において別途検討されるべき事柄とは言えないか、また、簡易迅速な手続による国民の権利利益の救済を主要な目的とするこのような手続に弁護士の援助まで制度的に付与することとする必要性があるのか、むしろ、最終的に裁判による解決を図る提訴の段階で訴訟代理費用等を扶助すれば、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を果たすことができるのではないかなど、いろいろと検討されるべき課題が少なくないと考えております。 以上でございます。
○日野委員 今、司法制度全体をめぐって、審議会で非常にエネルギッシュな検討が進められています。そこでの最大の問題は、やはり行政事件なんですよ。行政訴訟における原告の勝訴率というのはまことに低い。これが今問題だという問題意識を持たれているわけです。その点は御承知のとおりなんです。 何でそんなに勝訴率が低いかというと、原告の側、原告になる人民の側、民衆の側がどういうふうに行政訴訟というものを展開していくべきかということは、その前段の手続で決まってくるのですね。行政訴訟なんというのは、もう御承知のように訴訟類型は訴訟手続法で四つに限られるのです。そのどれを選択するのかというところからそもそもわからなくなってしまっている。それから、異議の申し立てだって、それぞれの法律によっていろいろな異議の申し立て方があるので、そこのところで間違っている。そういうのが一つ大きい。それよりはやはり、国が一たん定めた制度の公定力を重視していくという考え方が裁判所の方にあることを私は否定できないと思います。その前に、いろいろな技術上の問題、取り扱いの方法の問題、そういったところで間違っているというのが非常に多いのですね。そういう認識をお持ちになりませんか。私は、そこのところを認識すべきだと思う。 だから、行政事件といった場合、その前段の、前は訴願前置主義なんというものがあって、訴願を出さなくちゃいけなかった。それが変わってはきているのですが、しかし、それだって非常にわかりにくいものであることは変わりはない。ですから、その前段の段階できちんとした専門家がそれに対して知恵をかしていく、手続の申し立てや何かについても代理をしていく、そういうことが私は必要だと思うのです。だからこそ、弁護士法の第三条にも、さっき申し上げたように行政事件に入る前段の手続についてまできちんと羅列をしてある。私はそう思うのですが、いかがでしょう。
○横山政府参考人 行政事件訴訟に入る前の前段の手続についていろいろお尋ねでありますけれども、行政処分に関して国民の方々がいろいろ、これは問題があるのではないか、あるいは違法ではないかという意識を持つ、それも一つの法的紛争というふうに位置づけることができるのかなと思います。 そして、こういう行政処分をめぐる法的紛争につきましても、これは、本法案に基づく民事法律扶助事業の重要な内容となっております法律相談によりまして、法律相談という中で法律の専門家による相談を受けることができることとなっております。そして、この中で相談を受けることによっていろいろなアドバイスを受けることは可能である、このように考えております。
○日野委員 こればかりやっていると、もう時間がなくなってきていますので、この部分については本当はもっと深い議論をしなくちゃいかぬと思う。これだけで何時間かの議論が必要になってくると思います。 私の今お話ししたことは、行政事件を取り扱ってみたことのある人だったらわかるはずだ。異議申し立てというのはどんなに面倒なのか、不服審査というのはどんなに面倒なものなのか、そして時間がかかって大変なことかということはおわかりいただけるはずだ。 だから、今局長の方からああいう答弁がありました。大臣、これは政治的に決定できることです。「行政事件に関する手続」と書いてあるんだから。これについては、今お話ししたような前段の段階まで含ませるべきだと決断すれば、大臣、これはできるのですよ。今すぐ決断できるのなら、してください。
○臼井国務大臣 先ほど来お答えをいたしておりますとおり、行政裁判については裁判所におけるものというふうに限らせていただいているわけでございまして、るる御説明いたしましたように、むしろ、最終的に裁判による解決を図ってその段階で訴訟費用等を扶助すれば、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を果たすことはできるのではないか、こう基本的に私どもは考えているわけでございます。 そういった意味で、行政処分に関するものにつきましては、今局長からお答えをいたしましたとおり、法律相談により、あるいは、その中のある部分については第三者機関を設けて審査をする、そういった形のもの等々によりまして対処し得るものである、こういうふうに私どもは理解をいたしているのでございます。
○日野委員 この間から一貫してそこのところは変わらないんですが、私は、「行政事件に関する手続」と書いてあるのですから、個別の具体的な事件の取り扱いや何かについて、ぜひひとつ今後とも十分な考慮をしてもらいたいと思うところです。 ただしておきたいことがもっとありますので、では、別の質問に移ります。 今度は、この法律の第二条第二号で書類の作成の問題が出てきます。 現在の法律扶助協会は、これは恐らく指定法人になるのだろうという前提でお話をさせていただきますが、これらの中には司法書士さんは現在入っていないと思いますね。これからできるであろう法律扶助協会の役員構成の中に司法書士さんも入れることが望ましいというふうに私は考えていますが、法務省はどのようにお考えになっておられますか。
○横山政府参考人 指定法人の役員に司法書士さんのような隣接業務を行う方々を加えるかどうかは指定法人において決定されるべき事柄でありますけれども、役員の構成は国民各層の幅広い意見が反映され得る構成が望ましいものと考えておりますので、御指摘のように、幅広い見地から適任者を求めることは重要と考えております。
○日野委員 何かこの間の参考人質疑の場合、参考人の法律扶助協会の事務長さんですか、おいでになって、四月からは入れたい、こんなお話もしておられたようであります。 ところで、私は、できるだけこの書類を作成するということが十分に機能できるようなシステムをつくってもらいたいなと今度の指定法人の方にも要望をしておきたいというふうに実は思っているのです。 ただ、これは書類をつくるとかなんとかといっても、審査機関の方で時間を延々ととってしまってというようなことでは、これは実際機能できなくなるんじゃなかろうかなというふうに思うわけですね。そして、この審査もできるだけ早くやりませんと、特に民事事件なんというのは保全処分がつきものですから、保全手続がつきものですから、保全なんというのは、密行性、迅速性、こういったものが必要なので、ここらについてちょっと、では書類の作成といってもすぐぱっとできるのかどうかなということについては心配をしておりますので、できるだけ早くこれがやれるようなシステムにしてもらいたい、こう思っています。これは私の希望としておきましょう。 ただ、現在裁判所の方で、少額裁判制度とか調停とか、これは家事調停、民事調停を含みますが、裁判所でちょっとした簡単な書類だったらつくってくれるのですな。それなんか、建前と現実ということがありますが、あれは本当は本人がつくるということが建前なんでしょう、それを書記官なんかがいろいろそばでアドバイスをするということなんでしょうな、どうなんでしょう、そこいらは。
○千葉最高裁判所長官代理者 裁判所の訴訟の多くが法的知識を十分持たない本人により行われているということから、裁判所としましては、後見的に民事裁判の手続の関係でバックアップするということが必要になってくることがございます。 いろいろ手続の内容を説明するということもございますけれども、窓口におきまして本人からいろいろ申し立て等の希望があった場合には、定型の申し立て用紙を用いまして、適宜記入方法を説明しながら申し立て書の作成を補助しております。補助をしながら本人に書いてもらう、そういうやり方をしておりまして、当事者本人にも容易に訴訟の書類が作成できるようにしているわけでございます。
○日野委員 では、別の問題に移らせていただきます。 時間がどんどん過ぎてしまうものですから、ちょっとでかい問題について聞きますが、先ほど私は、余りにも法務省の指定法人に対する干渉の余地が多いのではないかということを申し上げました。それで、まず、第八条について聞きます。 指定法人は、毎事業年度、法務省令で定めるところによって事業計画書及び収支予算書を作成して法務大臣の認可を受けなくちゃいけない、こう書いてありますね。ところで、第七条を見ますと、第七条の業務規程、これは民事法律扶助事業に関する業務規程です。それから、第十条を見ますと、区分の経理をしなさいよ、これは民事法律扶助事業にかかわる部分とその余の部分とを区分経理しなさいよ、こう書いてあるのです。 ところが、第八条にはその限定がないのです。指定法人は、とにかく全部、民事法律扶助事業にかかわる部分であろうとそれ以外の部分であろうと、事業計画書や収支予算書について法務大臣の認可を受けなければならないのですか。なぜそうなるのですか。
○横山政府参考人 本法案第八条第一項に基づく事業計画書等の認可や、同条第二項に基づく事業報告書等の承認は、指定法人が民事法律扶助事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行の実現に努め、同事業を適正かつ確実に行うことを担保するためのものでありますから、これらの認可や承認が必要となるのは、民事法律扶助事業に関するものに限られることになると理解しております。
○日野委員 そうすると、第八条は、第七条や第十条のように民事法律扶助事業に関するものというふうにこの条文上は規定する文言はないけれども、この認可を受けなければならないのは民事法律扶助事業にかかわる部分だけである、そのように伺ってよろしゅうございますね。それ以上にはみ出すことはありませんな。
○横山政府参考人 もう一度お答えしますが、この八条に基づく認可や承認が必要となるのは、民事法律扶助事業に関するものに限られることとなります。
○日野委員 そうすると、もう一度お聞きします。七条と十条と同じように、民事法律扶助事業にかかわるものだけ、そのように読むと。よろしいですね。
○横山政府参考人 これは、もう一度繰り返しますけれども、結局、民事法律扶助事業に関するものに限られるということでございます。そういうことで御理解いただきたいと思います。
○日野委員 そうすると、法律扶助協会がやっているその余の事業に関するものについてはこういうものが必要ない、そういうことですな。うなずいておられますな。はい。時間ないですから。 では、今度は、補助金をつけることについての根拠をこの法律で置いたということは、私も先ほどから言っているように非常に高く評価するのです。 それで、第十一条を見ます。「国は、予算の範囲内において、指定法人に対し、民事法律扶助事業に要する費用の一部を補助することができる。」こう書いてあるわけですな。「補助することができる。」と書いてある。 一方、国の責務をこの法律ではうたっています。それから弁護士会の責務もうたっています、弁護士にも責務がありますよと。その職責にかんがみ、この事業の実施のために必要な協力をするように努めなくちゃいかぬ、こう書いてあるわけですね。 今までも随分犠牲を払いながらやっている。それに対して、「補助することができる。」と書いてある。そうすると、これは国のさじかげんでふやしたり減らしたりすることもできるんじゃないか。そういうふうにもこれは読めちゃうんですな。 これは私は、今までこの制度がおくれてきた、それから今でも規模は小さい、こういうことからすれば、補助する義務があるような、そういう責務を負うような規定にしなくちゃいかぬと思うが、そういう意向がこの中から読み取れるということなのかどうか。
○横山政府参考人 民事法律扶助事業は、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持ち、我が国の司法制度の充実に寄与する公共性の高いものでありますことから、本法案第三条第一項において、国の責務として、国は、民事法律扶助事業の適正な運営を確保し、その健全な発展を図るため、同事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行のために必要な措置を講ずるよう努めるとするなどの規定を設けているところであります。そして、このような責務を踏まえまして、本法案第十一条において、指定法人が行う民事法律扶助事業に対する国の補助金の支出について法律に根拠を置くものとしたものであります。 しかしながら、国の補助金の支出については、国の財政状況、その他諸般の事情によって政策合目的的に決定されるべきものでありまして、国の予算の範囲内で行われるべきものであります。そこで、本法案第十一条においては、「国は、予算の範囲内において、指定法人に対し、民事法律扶助事業に要する費用の一部を補助することができる。」としたものであります。 以上でございます。
○日野委員 これは法務大臣にも伺っておかなくちゃいけませんが、「一部を補助することができる。」というふうに書いてあるので、大分弾力的なんですが、これはふやす方向で努力をしますということをお約束いただかなくちゃいかぬと私は思っているんですよ。法律扶助協会だとか指定法人がやっていることはちょっと気に食わぬ、民事法律扶助で補助金をやっているにもかかわらず、どうも一方では反権力的なことに手をかしているんではないか、けしからぬ、補助金を減らせなんということになったらこれは大変なことなんで、そんなことはありません、これはもうちゃんとふやしていく努力をするんですということをお約束できますか。
○臼井国務大臣 この民事法律扶助制度というのは、民事紛争の当事者が資力に乏しい場合でありましても、民事裁判等において自己の権利を実現することができるようにするために、弁護士費用等の立てかえの援助を行うものでございまして、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持ち、司法制度の基盤となる公共性の高い制度でございます。そこで、私ども国としてもしっかり支援をしていかなければならない、こういうことで、今回、国の責任、弁護士の責任というものをはっきりと示させていただくことになったのでございます。 国といたしましても、昭和六十三年には約八千四百万円でございました国庫補助金等の額が、平成十二年の予算では約二十一億八千万円となっていることからも御理解いただけると思うわけでございますが、この制度の重要性にかんがみまして、近年、民事法律扶助制度の関連の予算の大幅な拡充に努めてきたものでございまして、今回の制度改革後におきましても、その成果等を踏まえつつ、引き続き本制度の整備及び発展に努力をいたしてまいりたいと考えております。
○日野委員 今の答弁、まあ了としておきましょう。発展に努力をなさるという部分をしっかりと私もここで聞き取ったということにいたしたい、こう思います。 それで、私が気になるところをもう一つ言います。第十二条なんです。「役員の選任及び解任」というところに、第一項を見てください。これは、指定法人の役員の選任及び解任は法務大臣の認可を受けなくちゃいかぬ、そうでなければ効力を生じませんよ、こう書いてあるわけね。私は、ここまでやることはないよ、役員の選任はその指定法人に任せていいんじゃないの、こう思うんですよ。ここまで何も法務省が立ち入るなんということをしなくたっていいし、法務省はそれほど暇でもないでしょう。 ところが、その第二項を見ますと、指定法人にその役員の解任を命ずることができるという規定があって、解任を命ずるその理由の中に、前段はいいとして、後段に、民事法律扶助事業に関し著しく不適当な行為をしたときは指定法人にその解任すべきことを命ずることができる、一体何ですか、これは。例示してみてください。
○横山政府参考人 法案第十二条二項の「民事法律扶助事業に関し著しく不適当な行為をしたとき」とは、例えば、指定法人の役員が特定の弁護士から民事法律扶助事業の扶助事件を多数件または長期間継続的に受任させてほしい旨を依頼されて、その趣旨に沿う取り扱いをし、その対価として当該弁護士からバックリベートを受け取った場合等が考えられます。
○日野委員 まあ、そう言われてみればそうかなとも思うんですが、そんなことはめったにないこと、私は皆無だろうと思いますけれどもね。 しかし、これはかなり広範な意味を持った言葉でありますから、こういうことで役員の解任を、あいつはけしからぬやつだ、偏向しているやつだなんというのは、何か、この間のあの大演説を聞くとそんなことも私は感ずるんですな。非常に、そこいらちょっと……。政治の意向を受けて、そんなことにならないようにこれは十分注意しなくちゃいかぬと思います。 一番最初に、私のきょうの質問の基調の中にはそういう認識はありますよということを言った。それで、第八条については、さっきの答弁で私も了解します。ただ、この役員の選任のところなんかは、これはやはりかなり問題は残すんだろうと思います。そこらは問題点の指摘にしておきますが、一つそういう指摘があったということを忘れないでおいていただきたい。 それから、これはやはり私先ほどから言っているように、公権力に関係のない部分にできるだけ限ろう、限ろうとしているわけね。行政事件に関するというさっきの定義の部分ですな。あそこも、公権力にかかわる部分はできるだけ狭い範囲にという意向が見え見えですな。そこで、さっき大臣にも一つそこのところは問題点として指摘をしておいたところです。 それで、この間参考人質疑のときに、長谷部さんとおっしゃったかな、学習院大学の先生がおっしゃっていた。民事法律扶助事件の果たす役割の一つに、公共財としての法律の意味の確定とかそういうことを言っておられたんです。そこで私も、余りこの民事法律扶助という定義を狭くすべきではないと考えます。 それから、国家権力にかかわる民事訴訟というようなものについても、やはりそれを受け入れて民事法律扶助事件として取り扱うべきものだというふうに私は思っています。私の個人的な経験から申し上げるんですが、私は、訴額、国は三百六十円を払えという訴訟を十数年かけてやったことがある。これは年次有給休暇の性格をめぐっての訴訟です。最高裁まで行って勝たせてもらいました。これは、国のいろいろな機関の管理運営とは真っ向からぶつかる事件だったんですな。そういう事件でも、これはある組織がそれに取り組んだからできたのであって、普通の人だったらできない。三百六十円払えという、当時の二日分の日当です、それを払えという、これは普通の人だったらできない。これなんかは、むしろ民事法律扶助なんかを生かしてやるべき問題だと思いますね。 今度、私の考えからすれば残念ながら、松山事件の被告人に対する国家賠償事件、これは仙台高裁では退けられましたけれども、ああいった問題も、やはり民事法律扶助なんかも活用してやらないと、なかなか国家の組織なんかに対する訴訟としては、個人ではやり切れないものがあるだろうと思う。 私は、こういうものも民事法律扶助の中に含めていく、それが長谷部教授が言われる公共財を積み重ねていくという民事法律扶助の一つの大きな役割として見てもいいのだろう、こう思うのですが、お考えはいかがでしょうか。
○横山政府参考人 ただいまの委員御指摘の事件というのは、結局、公権力の行使にかかわる国家賠償事件のことを念頭に置かれているのかなと思いますが、国家賠償事件につきましては、裁判所における民事事件として法律扶助の対象になる、そのように理解しております。
○日野委員 もう一つ、松山事件のものは国家賠償でいいのですが、年次有給休暇なんかの場合は国家賠償とは言えないのです。これは賃金請求事件という形で出てまいります。こういう三百六十円払えというのは、勝訴したって、取れるのは三百六十円。そのかわりに、弁護士に対する費用というのは何十万とかかるわけですよ。こういうものにもやはりきちんと適用できるような定義づけをしておかなくちゃいかぬだろうと思うのですが、いかがですか。
○山本(有)政務次官 民事法律扶助事業は、民事紛争の当事者が資力に乏しい場合であっても、民事裁判等において自己の権利を実現することができるようにするために弁護士費用の立てかえ等の援助を行うものでございます。したがいまして、民事法律扶助事業は、民事裁判等手続において正当に実現されるべき法的利益があり、法律扶助を相当とするものであれば、単に勝訴による経済的利益に拘泥すべきものではないと考えております。 他方、例えば金銭事件の場合においては、余りに少額の訴額であると、費用対効果の観点からは、法律扶助の対象とすべきかどうかにつきまして慎重な検討を要すべきものと考えております。 したがいまして、単に勝訴による経済的利益がわずかかどうかにとらわれることなく、勝訴に関する要件、資力に関する要件等を踏まえ、対象事件について法律扶助を行うことが相当かどうかの観点から、適切に本事業の遂行を図ってまいりたいと考えております。
○日野委員 何で私がここのところを聞いているかというと、こういう権力に対する対立関係に立つ事件というようなものをその指定法人が扱うということによって、法務省あたりが指定法人に対して、さっきから私が幾つか並べてきたような、この法律上の根拠によって不当な取り扱いをするのではないかということに対する心配が私の胸の中にずっとわだかまっているから、こういう質問をしているのです。 そんなことはありません、必要以上の干渉を法務省としてその指定法人に行うつもりはないんだということを、ひとつ大臣にここのところは言ってもらわなくちゃいかぬですな。
○臼井国務大臣 委員御指摘をいただきましたとおり、監督権の行使というものを適切に行ってまいりたい、このように考えております。
○日野委員 私の質問を終わります。
○武部委員長 先ほど日野委員から御指摘のありました削除の部分については、議事録から削除させていただきます。 北村哲男君。民主党の持ち時間の範囲内で調整をお願いします。
○北村(哲)委員 北村でございます。 私も幾つか質問要旨を出しておるのですが、もうとてもありませんので、一、二点聞きたいと思います。 第三番目に、これは法務当局ですけれども、法案の十条では、指定法人の民事法律扶助に係る経理について区分経理をしなければならない旨が規定されておりますが、この趣旨をまず聞きたいと思います。
○横山政府参考人 指定法人は、民事法律扶助事業を行うのみならず、定款または寄附行為に定められた目的の範囲内でその他の事業を行うことが可能でありますので、民事法律扶助事業に係る経理とその他の事業に係る経理とを区分しなければ、国の補助金が適切に民事法律扶助事業に用いられているかどうかの財務関係が明確にならず、ひいては同事業の適正かつ確実な遂行に支障を生ずるおそれがあります。それゆえ、指定法人は、民事法律扶助事業に係る経理とその他の事業に係る経理とを区分して整理しなければならないものとしたものでございます。
○北村(哲)委員 今までも、民間の財団法人に補助金が行っておりますよね。それは区分していなくて、それでもやはり一定の区分はあったと思うのですよ。民事事件と、それからあとの刑事の被疑事件とか、そのあたりでそれなりの区分はあったと思うのです。そのほかの部分についても私は当然補助があってしかるべきだと思うのですけれども、それは全然補助がなくて、勝手にやれ、弁護士会や何かの費用とか寄附とか、それで国は一切補助しないということなのか、その区分した民事訴訟以外にも補助があり得るのか、そのあたりはどうなんでしょうか。
○横山政府参考人 まず、現行の民事法律扶助事業につきましても、国からの補助金は民事法律扶助事業についてのみ支出されておりまして、いわゆる自主事業に対しては支出されておりません。そしてまた、本法案に基づく民事法律扶助事業についても、補助金は当然に、本法案に基づく民事法律扶助事業について支出されるということでございます。
○北村(哲)委員 多分だめだということなんだと思うのですが、現在は全部自主事業でしょう。そういうことになるんじゃないですか。今やっているのは、別に国が指定してやらせているわけではないし、民事扶助事業というのはあるのですけれども、それはどういうことなんですか。
○横山政府参考人 補助金につきましては、補助金対象事業として、民事法律扶助事業を対象としております。これは、補助金交付要領に基づきまして、対象を決めて支出しております。
○北村(哲)委員 わかりました。 それでは、もう一つですが、指定法人は、今までの議論の中で、恐らく財団法人法律扶助協会が指定されるというふうに考えていいと思うのですけれども、そのあたりは大臣にもう一回御答弁願いたいと思います。
○臼井国務大臣 指定法人としてどのような法人を指定するかということにつきましては、申請に基づきまして、法案第五条一項の要件に該当する者を指定すべきこととなるのでありまして、現時点ではまだ決まっておらないのでございます。 財団法人法律扶助協会につきましては、同法人から指定の申請があり、同法人が法案第五条第一項に規定された指定要件に合致すれば、同法人を指定する可能性はございます。現在のところ、同法人は有力な候補と言えるのではないかと考えております。
○北村(哲)委員 繰り返し同じことなんですが、これは法務当局に聞きたいのですが、今は、財団法人の法律扶助協会というのはほとんど弁護士会がやっておるわけですから、役員構成とかそういうものについては恐らくほとんど弁護士だと思うのです、違う人もいるかもしれませんが、中心は。ところが、これからは例えば司法書士さんの世界にも仕事が広がります。あるいは、進展によっては行政書士さんとか社会保険労務士さんとか、いろいろな仕事も抱え込まなくちゃいけないという事態も出てくると思うのです。そうすると、その新しい指定法人の役員構成というものはそういうふうな職域に非常に広がっていく。今までのように弁護士独占ではないような形になっていくのか、あるいは役所から天下り先として使われてしまうのじゃないか、そういうふうなことについてはどのようにお考えでしょうか。
○横山政府参考人 指定法人の役員構成につきましては、利用者を初め納税者たる国民や民事法律扶助事業に関する責務を有する弁護士等の意見を幅広く反映するような構成をすることが望ましいと考えております。 指定法人の役員に隣接業務を行う者を加えるかどうか、これは指定法人において決定される事柄でありますけれども、ただいま言いましたような趣旨から、役員の構成は国民各層の幅広い意見が反映され得る構成が望ましいと考えておりますので、委員御指摘のように、幅広い見地から適任者を求めることは重要である、このように考えております。
○北村(哲)委員 特に、先ほどの日野委員からも、いささかも国の支配、介入があってはならない、自主性、独立性を認めなくちゃいけないということが言われました。この新しい法人については、そのあたりも十分考慮されて、職域を広げることはもちろんでありますけれども、逆に、法人の自主性というもの、特に、場合によっては国家賠償訴訟とか行政訴訟とかいって国に刃向かうようなこともやらざるを得ないようなところに対して、国の介入があってはならないということも十分注意していかなくちゃいけないと私は思っております。 もう最後の質問になりますが、せっかくのすばらしい事業でありますが、その利用者とか、あるいは弁護士なんかのモラルハザードという、国からたくさんお金が来るということによって、本来は生活に困窮している者のための制度でありますけれども、生活に困っていないのに役員による民事訴訟を画策したり、あるいは乱用的に利用する場合を防止する必要があると思います。逆に、防止するといっても、扶助の審査が厳し過ぎて扶助が利用されない結果もまた困る。 そういうことで、まず大臣に、そのモラルハザードの事態をどのように防止すべきかということの一般的な指針を示していただいて、次に当局から、どのような方策がとられているかということについてお聞きしたいと思います。
○臼井国務大臣 本法案におきましては、民事法律扶助事業の中核となる訴訟代理費用等の援助につきまして、これまでどおり原則償還制を維持するということといたしておりまして、結局、当該費用につきましては利用者の自己責任に帰着することとなるので、その性質上、御指摘のような事態は起こりにくいものと考えておるのでございます。
○横山政府参考人 民事法律扶助事業は、たびたび出ておりますけれども、非常に公共性の高い事業でありまして、限りある国費を投入する観点からは、委員御指摘のように、乱用事例を防止する必要が一方ではございます。 そこで、現在の民事法律扶助事業においては、扶助を行うかどうかの審査に当たり、このような乱用事例を防止する観点から、資力要件や勝訴の見込みの要件のほかに、扶助の趣旨に適することも要件としております。 本法案におきましても、第二条におきまして「自己の権利を実現するため」との規定を設け、扶助に当たっては、民事裁判等手続において実現ないし救済されるべき法的利益が存在することを要求しておりまして、権利を乱用しようとする者が民事法律扶助事業を利用することを防止することとしております。 一方、現行の民事法律扶助事業におきましても、この事業の利用を不当に狭めることのないように、勝訴の見込みの要件等を適正に判断するように努めておりまして、再審査の道も認められていると承知しております。 本法案のもとにおきましても、このような運用が望まれるところと考えております。
○北村(哲)委員 終わります。どうもありがとうございました。
○武部委員長 冬柴鐵三君。
○冬柴委員 公明党の冬柴鐵三でございます。きょうは、同僚議員の御同意を得て差しかえをしていただきました。 法律扶助基本法としての性格を有する民事法律扶助法案というものが、きょう委員会において最終の審議が行われる。感無量であります。 私は、初当選以来、その前に大阪弁護士会で弁護士を二十二年ほどやっておりまして、その間、法律扶助事業にもかかわったことがある者として、その飛躍的な充実ということが必要である、このような認識を持っておりました。 初当選をいたしまして、その次の六十二年の五月三日憲法記念日がちょうど憲法発布四十周年という節目を迎えますので、そのときに基本的人権にかかわりの深い法律扶助基本法ともいうべきものを何とか議員提案したい、このような思いで、半年ほど準備をいたしまして、法律扶助基金法というものを起草いたしました。残念ながら、これは本院に提案することができませんでしたけれども、公明党の基本政策に取り入れていただくことができました。 そういう経過もありまして、きょう質問させていただくために、国立国会図書館で大体何回ぐらいやったのか調べてみますと、今日までにどうも二十二回やっているようでございます。そのうち六回が予算委員会の総括質疑、そして一回が分科会、それから十五回この法務委員会で質疑を重ねてまいりました。 一番最初に質疑をさせていただいたのが、六十二年三月二十四日、中曽根内閣、遠藤要法務大臣のときでございました。そのとき私は、この法律扶助事業というのは、憲法十四条の日本国民はいわゆる経済的な関係において差別を受けないという基本的人権の骨格、それから三十二条における「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」これをあわせ読めば、当然に国の責務ではないのか、憲法に由来する国の事業として行われなければならないのではないか、このように考えるがいかんということを聞きましたところ、昭和六十二年当時でございますけれども、当時の法務省の基本的な考え方としましては、我が国の民事訴訟は弁護士強制主義というものをとっていない、したがって、だれでも最高裁判所まで本人で訴訟ができる仕組みになっている、それから、民事訴訟法で弁護士報酬は訴訟費用の一部には考えられていない、こういう論点から、残念ながら、弁護士を付した方がいいという判断のもとにその資力のある人が弁護士をつければいいのであって、そのような建前となっておりますと、えんきょくではありますけれども、はっきりと否定された答弁をされました。 また、その年の七月十六日に予算委員会総括質疑で質問させていただく機会がありましたので、重ねてしつこく遠藤法務大臣に、ぜひ基本法をつくらなきゃならないのではないかということもお尋ねしたんですけれども、そのとき大臣は、今行っている補助制度で十分やれていると思う、法務省としてはあなたの言うような制度を変えるという考え方は今は持っておりませんというつれない返事でございました。それが、ずっと以前から六十二年当時までの基本的な法務省の考え方だったと私は理解いたしております。 しかし、それであきらめるわけにいきませんので、その後ずっと質疑を続けてまいりまして、平成元年、第二次竹下内閣のときに、高辻正己法務大臣が就任されました。この方は、もちろん弁護士でもありますけれども、その前に法制局長官等を務められた法曹でありまして、この方に、今まで言ってきた憲法に由来する国民の基本的な人権ではないのかということを訴えましたところ、そうだと言われました。そして、民事法律扶助というものは憲法に由来する国の義務だということを初めて認められました。私は、これが平成元年だったから、法律扶助元年だなということを感じました。 そして、そのときに高辻法務大臣から、 弁護士会の今までの法律扶助制度についてのいろいろな熱意ある御努力並びにいろいろな資金的なやり繰りの御苦心等を伺うにつけ、弁護士の皆さん、弁護士会の方々、弁護士会そのものに対して大変深い感謝の意を表したく存じております。 今お話がありましたように、いろいろな基金の創設であるとか基本法の制定の問題であるとかいろいろ御提案がございますようでありますが、これらについてはなお時間をかしていただいて、さらに御趣旨を体して検討させていただきたいと思います。 という大変温かいお言葉も賜りました。 それから、私は、今後ろで委員としていらっしゃいますけれども、左藤恵法務大臣の際には、訴訟援助だけが国の義務ではないのではないかということを申し上げました。民事の紛争というのは、訴訟の場で解決されるだけではなく、むしろそれは全体から見ればごく一部のことであって、大多数は当事者間の話し合い、示談による解決が行われているのが実情だ。そうであるとすれば、その示談の内容が正義にかなったものでなければならない。それは、当事者が力の強い人であろうと弱い人であろうと、あるいは金持ちであろうと貧乏人であろうと関係なく、ジャスティス・フォア・オールでなければならない。そのように考えたときに、この憲法三十二条が言っている理念というものは、ただ単に訴訟援助だけではなしに、無料法律相談、いわゆる法的助言援助制度まで及ばなければならないのではないかということを申し上げましたところ、左藤大臣は、「今の財団法人法律扶助協会が行っております無料法律相談に対して、そうした仕事をもう少し何か応援できないかということを、当然国庫から補助するとかいうようなことも含めまして検討して、この拡充を図って、もっと利用していただきやすい形を考えるべきではなかろうか、このように思っております。」ということで、訴訟援助だけではなしに法律相談も含めて国の義務として考えていきたいという画期的なお話がありました。 前置きが非常に長くなって申しわけなかったんですけれども、そのような流れの中で、私は、二十何回質問しますと各大臣に質問したことになりますが、そのたびごとに、この法律扶助は、憲法三十二条だけではありませんが、憲法に由来する国の義務ではありませんかということを尋ねて確認をし、そして、そのとおりだということを高辻法務大臣以降の大臣はすべて認めていただいたわけであります。 そこで、今回の民事法律扶助法案を読ませていただきました。この基本法が閣法でこのように出されたということを大変高く私は評価しますし、敬意も表するわけでございますが、全文を読みましても、憲法三十二条ということには論及していられない、そういうものは書かれていない。事の性質上やむを得ないのかわかりませんが、私としては、ぜひ法務大臣に、この法律扶助事業というものが憲法三十二条の裁判を受ける権利に由来するものであるという精神にのっとって構築されている、私はそう思うんですけれども、その点について明確な答弁をちょうだいしておきたいと思います。
○臼井国務大臣 今委員、まさに法律扶助の歴史をお示しいただいたような感じがいたしまして、昭和六十二年からこの件について御追求していただいた、心から敬意を表する次第でございます。 民事法律扶助の位置づけにつきましては、御指摘のとおり、平成元年三月二十四日に開催されました衆議院法務委員会におきまして、冬柴議員の御質問に対しまして、当時の法務大臣が、法律扶助は憲法第三十二条の裁判を受ける権利に由来するものとして認識している旨を初めて表明したものでございます。その後も、本制度につきましては、冬柴議員を初めとする御党の先生方から、国会の審議の場等におきまして、さまざまな貴重な御指摘をいただいてまいりました。 法務省といたしましても、先生が本制度の充実に向けて長年にわたり積極的に取り組まれてきたものであることを十分承知いたしておりまして、先生方の御努力を一つの支えとして、これまで本事業の拡充に努めてまいった次第でございます。 本法案における民事法律扶助事業は、資力に乏しいがために自己の権利を民事裁判等を通じて実現することが困難な国民等に対し、弁護士費用等の立てかえ等の援助の事業を行うものと規定をされておりまして、御指摘のとおり、本法案は、民事法律扶助事業が憲法第三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持ち、憲法第三十二条に由来するものであるとの精神にのっとって構築されたものでございます。
○冬柴委員 大変明快な答弁をちょうだいしまして、今後それを指針にこの法律が長く運用されると信じます。 次に、総括政務次官も法曹でいらっしゃいますが、先ほども言いましたように、民事法律扶助事業というものは、裁判援助だけではなく、法律相談とかあるいは裁判前の和解交渉というものも対象として初めて、三十二条が求める憲法理念というものが十全に実現するものであろうと思いますし、また、左藤法務大臣もそのように述べていられるわけでありまして、本法でどのようにそのようなものが取り扱われるのか、その点について総括政務次官にお聞きします。よろしくお願いします。
○山本(有)政務次官 先生がこの法律扶助事業に熱心にお取り組みであるということは承知しておりましたが、先ほどの昭和六十二年からの経過を聞かせていただきまして、地味な分野だと思いますけれども長い間お取り組みになったその情熱、感激いたしましたし、また、一議員という立場は、今のこの国会の制度の中ではそれほど多くの仕事が可能な存在ではない、むしろ政党の方が力強い存在だろうというように思っておりましたが、先生のこのお取り組みがこうして大きな流れをつくったということに対しまして、最大限の心からの敬意を表させていただく次第でございます。 民事法律扶助制度は、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つ制度でございまして、裁判手続の援助を中核としております。しかしながら、民事紛争に出会った者は、自己の権利を実現することができるかどうか、裁判による紛争解決が相当であるかどうか等を判断する場合には、まず法律専門家に相談をするのが通常でございます。すなわち、専門家による法律相談は民事裁判手続への窓口的機能を有し、同手続の利用と不可分一体の関係に立つとともに、紛争を簡易かつ容易に解決する端緒となり、紛争解決制度全体の社会的コストの低減にも資することとなります。そこで、本法案では、第二条第三号におきまして、専門家による法律相談を実施することを民事法律扶助事業の内容とすることを明らかにしております。 また、民事裁判等手続に先立って、弁護士による和解の交渉をすることが特に相当と認められる場合、例えば裁判で高い確率で勝訴が予想され、かつ迅速な権利の実現のための交渉ができる可能性が高い場合などには、法律専門家である弁護士が裁判前に和解の交渉をする方が、当事者にとって早期の解決となるとともに費用の低廉化に資するので合理的であると考えられます。そこで、本法案では、第二条第一号におきまして、民事裁判等手続のみならず、これに先立つ和解の交渉であって特に必要と認められるものについての代理人の報酬等を立てかえることを民事法律扶助事業の内容とすることを明らかにしております。
○冬柴委員 今の点も非常に心強い限りでございまして、時間が迫っておりますけれども、今後もリーガルサービス、そういうものがあまねく日本国全体、均質で良質な法的助言、援助がされ、そして裁判の前に紛争が正義にかなった解決を図られるように期待をいたします。 最後になりますが、平成十二年度の民事法律扶助事業の予算は実に二十一億八千百万円、法務省の御努力を高く評価をしたいと思います。先ほどの六十一年、私が当選させていただいたときには七千二百万円でした。この金額は、昭和四十一年に七千万円になって、実に二十年間据え置きでした。それが、高辻法務大臣あるいは林田法務大臣以降増額を重ねられまして、今日二十一億八千百万円という夢のような金額でございます。しかし、一億二千六百万人の国民で割り算をいたしますと、間違っていないと思いますが、一人十七円強だろうと思います。 私はこのために、イギリス、ドイツ、そしてもう余りにも懸隔が甚だしいので発展途上国はどうだろうと思いまして、韓国、フィリピン、シンガポールへ私費で調査に行ってまいりまして、この法務委員会ではその報告をしながら、外国ではこんなのですよということを申し上げてまいりました。それは省略いたしますが、ほぼ平成十年度で、イギリスは一人当たりで二千二百二十七円だったと思います。それから、フランスは三百十七円、ドイツは四百四十五円、スウェーデンが五百三十円、アメリカは百七十五円、韓国が三十二円です。フィリピンは省略しますが、これは非常に大きいです。これから比べますと、この二十一億八千百万円という名目額は非常に大きいんですけれども、国民一人当たりにしますと十七円ということで、今挙げました国から見ますと大変まだ見劣りがすると思います。 今日、立派な基本法ができましたので、国の義務として今後は予算要求をできるわけでありますので、増額をしていただく。ただ、これにも、この金額だけ増額しても、法律扶助事業というのは、法律扶助審査ということとか立てかえたお金の回収とか大変手間がかかるんですね。そういう意味で、将来は人件費も国費で見られるようなシステム、特殊行政法人等もう考えなきゃならないんじゃないかなとは思いますけれども、とりあえず法務大臣、最後に、今後もこの法律扶助事業に対する予算要求、予算をきっちりと確保していただく。諸外国の例というのは、制度は違いますけれども、見劣りのしない、外国にも名実ともに誇れるものにしていきたいと思いますので、その覚悟、決意をお伺いして、私の質疑を終わりたいと思います。法務大臣、よろしくお願いします。
○臼井国務大臣 先ほど来お話を申し上げておりますとおり、この民事法律扶助制度というものは、資力に乏しい方々が裁判を通じて自己の権利を実現することを後押しするものでございまして、これまで生活保護受給者層やそれに準ずる所得層の方々を中核として援助の対象としてきたものでございます。そのような方々は全世帯の下から約二割の所得層となるものでございまして、そのような方々に対してさえ扶助の需要を満たしておらないのが現状でございます。 そこで、本法案では、現状でも対応し切れていないこれらの方々を対象といたしまして、その需要に対応するとともに、国や弁護士会の責務を明確に定め、法制度の整っていない扶助の枠組みの基礎を確立いたしまして、今後の民事法律扶助制度をしっかりとした制度に発展させていこうとするものでございます。 御承知のとおり、民事法律扶助制度につきましては、長期間にわたり先生を初め多くの方々がその改革に取り組んできておりまして、制度の法制化と財政基盤の強化というものは関係者の皆様方の長年の悲願でございました。国といたしましても、民事法律扶助事業の重要性にかんがみまして、近年法律扶助関連予算の大幅な拡充を図ってきたところでございまして、委員先ほど申されましたように、六十二年度では七千二百万円ということでございましたが、昭和六十三年度では約八千四百万円であった国庫の補助金等の額が、平成十一年度には約九億千三百万円となりまして、さらに今回、平成十二年度の予算では約二十一億八千万円となっております。このように、過去の規模からいたしますと、現在の民事法律扶助事業に係る予算は相当程度増加いたしているものでございます。 このような国の努力につきまして御理解いただきたいと思うわけでございますが、なお議員御指摘のとおり、民事法律扶助制度の重要性にかんがみまして、今回の制度改革後におきましても、その成果等を十分踏まえつつ、一層の整備及び発展を図ってまいりたいと考えております。
○冬柴委員 どうもありがとうございました。
○武部委員長 木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫です。 前回の三月二十一日に続きまして、民事法律扶助法案についての質問をいたします。 最初に、前回に続きまして、行政訴訟に関する扶助の問題についてですが、先ほども同僚委員が質問しておりましたが、法務省の答弁は、本法案は行政事件訴訟については扶助対象だが、行政不服審査請求や異議申し立て事案は扶助の対象ではないという答弁であります。私は、これは現場で非常に矛盾と混乱が起きるのじゃないかと思うのです。 それは、具体的にこういうことが起こったらどうするのですか。行政訴訟を提起するということで法律扶助の裁定が下った、そういう弁護士と依頼者、国民があったとしますね。しかし、よく事件を精査してみたら、やはりいきなり行政訴訟を起こすよりは前段階としての異議申し立てをきちっとやった方がいいのじゃないか、あるいは行政不服審査請求をきちっとやった方がいいのじゃないかという判断があった場合ですね。それは、当然そういう判断は合理的だと思うのです。いきなり訴訟をやるよりも、まずは行政庁の再考を促そうという判断はしかるべきだと思うので、是とするのですが、そういう判断に立ってもそういう手続はとってはいかぬということになってしまうことになりはしませんか。 〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
○横山政府参考人 行政事件訴訟を提起する前に行政不服申し立てをした方がよいというような事例の場合でしたらば、それは御当人にそのような手続をとっていただく、そういうことになろうかと思います。
○木島委員 質問の意味がわかっちゃいないですね。そうじゃないのですよ。 行政事件訴訟を起こすということで指定法人からその扶助決定が出て、着手金等の費用もおりてきた。そういう場合で、よくよく検討したらやはり事前に行政不服審査や異議申し立てをやった方がいいのじゃないかという判断に弁護士として立ち至った場合に、もうお金もらっちゃった、扶助決定も出ているという場合に矛盾が起きるのじゃないかという質問なんですよ。
○横山政府参考人 それは、行政事件訴訟を提起することについて扶助を与えるかどうかの審査をする段階において、そういう事柄も含めてもともと判断される事柄ではないかと思います。 行政事件訴訟を提起する必要があるということで扶助決定をした、弁護士もついたということになれば、それはそのままそれについては行政事件訴訟を提起していただく、こういうことになろうかと思います。
○木島委員 では、こう聞いていいのですか。 行政事件訴訟を提起するということで扶助申請をして、扶助決定がおりて、お金も受領した、そういう当事者と弁護士は、前提手続としての異議申し立て、不服審査請求をやってもいい、それは排除されないと聞いていいですか。
○横山政府参考人 行政不服審査手続をする、その部分については扶助の対象となっておりません。行政事件訴訟に関してのみ対象となっております。
○木島委員 だから、よく聞いてください。 行政事件を起こすということで扶助申請をして、扶助決定を得てお金も受領した弁護士と当事者がいた場合に、裁判を起こすということでお金はもう受領しちゃった、そういう場合に、しかしよくよく考えてみたらやはりいきなり裁判を起こすよりも異議申し立てや不服審査をやった方がよかろうかなということになって、そしてそういうことを起こす。あり得ますね。それはいいのですね、そういうことは。 もうあなたは行政事件訴訟を起こすということで指定法人から扶助料をもらっちゃったのだから、異議申し立てや審査請求なんかはやってはいけませんよ、何が何でもいきなり訴訟を起こさなきゃだめですよ、そういう硬直的な立場しかないのですかということなんです。
○横山政府参考人 扶助するかどうかの扶助審査の段階で、行政事件訴訟を提起するということについて、これは扶助するのが相当ということで扶助をし、またそういう訴訟委任契約を当事者間でするということですので、その契約に基づくものは行政事件訴訟を提起していただく、そういうことになります。 〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
○木島委員 だから、いいのですよ。そういうことで弁護士も事件を受任し、行政裁判を起こそうということで、お金がないから指定法人に扶助申請をして認められた、着手金もいただいた、さあそれで本気になって準備しようとしたときに、いきなり訴訟というのは何かな、せっかくだから不服審査請求を前置としてやろうという判断をした場合に、それをしてもいいのかということなんですよ。 それでまた、たまたまそういうことをやってみたら行政庁が非常にすばらしい判断をしていただいて、行政不服審査段階で事件が一件落着しちゃったという場合にどうなるのかということを聞いているのです。
○横山政府参考人 行政事件訴訟を提起するということで扶助決定がなされているにもかかわらず、別途の手続であります行政不服審査手続をやるという場合、これは扶助決定の趣旨と異なりますので、その契約の方はむしろ解消していただくのが相当である、それで当事者間で別途任意にそのような行政不服審査の手続をとっていただく、そういうことになろうかと思います。
○木島委員 非常に実務が逆に硬直的になっちゃうのじゃないかと思うのですね。 先ほど同僚委員からも指摘されておりましたが、異議申し立てをやるかやらないか、行政不服審査請求をするかしないか、法的前置主義がとられていない場合は当事者の自由です。いきなり訴訟を起こすこともできるのですが、そういうことで、弁護士と契約をして、法律扶助の決定が出たという場合に、ではもっと柔軟に不服審査請求から立ち上げていこうという場合に、せっかく扶助決定が出たのを、返せ、返さなければ不服審査請求をやってはいかぬということに今の答弁だとならざるを得ないのです。 しかし、不服審査請求をやるにも、それは金のかかることです。行政不服審査請求というのはそう単純、易しい事案じゃないですからね。では弁護士さんに頼もうとしたけれども、お金がない、弁護料が出ない。結局不服審査請求を断念するということになっちゃうのですね。 ですから、お金のない国民が不当な、不法な行政処分に対してこれをとがめる係争をしようとすると、いきなり硬直的に行政事件訴訟で裁判を起こすか、あるいはお金がないから不服審査請求をやめてあきらめてしまうかという、非常に硬直的で、せっかくの行政不服審査請求という立派な制度、あるいは異議申し立てという制度、行政庁として再考を促すそういうすばらしい行政不服審査法による制度が逆にないがしろにされてしまうという結果をもたらすことになるのではないかというふうに私は思うので、そのことだけ指摘して、ぜひそういう硬直的な態度をとられないように望みたいと思うのです。 それでは、一点だけ法務省に聞いておきましょう。指定法人が自主事業として異議申し立てや不服審査請求事案に対して扶助を行うことは許されますか。この法律ができちゃうと、そういうことは排除されますか。
○横山政府参考人 指定法人は、定款または寄附行為の定める目的の範囲内でいわゆる自主事業を行うことができますので、今委員御指摘のような事件についても、自主事業として行うことは可能かと考えております。
○木島委員 それでは、ぜひ指定された指定法人は、自主事業として、法務省が大変かたくなな態度をとっておりますから、まずは行政不服審査請求や異議申し立て事案についても自主的に扶助ができるような定款をつくることを私から望んでおきたいと思います。 次に、外国人に対する扶助についてお聞きをいたします。 法案第二条によりますと、扶助を受けることができる外国人は「我が国に住所を有し適法に在留する者」となっておるようであります。この定義ですと、適法に入国したが一定の在留期間が過ぎてしまった者、オーバーステイですね、今度法律が改正されまして不法在留罪ということになってしまうのですが、それはともかく、適法に入国をして、残念ながらオーバーステイで適法でなくなってしまったという外国人が扶助の対象から外されてしまうことになるのです。私は、こうした外国人こそ、例えば労働基準法に反する非常な低賃金、そういうものの救済が求められている事案が多いと思うわけなんですね。 なぜこの法案では、外国人については適法在留という資格を要件としたのか、なぜこれを外さなかったのか。まず理由を、これは法務大臣か法務省にお聞きします。
○山本(有)政務次官 外国人に対する民事法律扶助につきましては、これまで、扶助に係る事件が終結し、立てかえ金の償還が完了するまで適法に我が国に居住することができる場合には、国民と同じく、資力に関する要件や勝訴の見込みに関する要件等のもとに扶助が行われてきております。 民事法律扶助法案におきましては、扶助の対象としての外国人につきまして明文の規定を定め、現行の取り扱いと同様、我が国に生活の本拠を置き適法に在留する者までを対象とし、国民と同様に、資力に関する要件や勝訴の見込みに関する要件等のもとに援助を行うこととしております。 これは、民事法律扶助事業が、限りある財源のもとで資力に乏しい者を扶助しようとする社会福祉的側面を持つものでありますから、国民の理解を得て限りある国費を投入するという観点からは、その対象を国民及び国民と同様の扱いをすべき者に限定するのが相当であり、不適法に我が国に在留する者までを含めることは相当でないからでございます。
○木島委員 憲法三十二条の裁判を受ける権利は「何人も」というのが主語でありまして、「国民」が主語ではありません。これは、厳格に憲法は、主語が「国民」か「何人」かで分けているのですね。そうすると、憲法三十二条は、外国人も当然我が国においては裁判を受ける権利があるということを示していると思うのですね。再三、この法案の基本は裁判を受ける権利を実質的に保障するためという法務大臣からの答弁でございます。 そうしますと、適法な在留資格がない外国人にもいろいろありまして、適法に入国したが期限が切れてしまったという例やら、事実上日本に定着して労働し、子供ももうけ、十年、二十年、三十年と、在留資格はないけれども現実に日本の社会に定着している外国人はたくさんいるわけですよ。 ですから、そういう人こそが、適法在留資格がないことのゆえをもって、日本社会では、労働現場では不当な低賃金労働で苦しめられている。救済を申し立てしようとすれば、おまえは在留資格がないではないか、退去強制手続というのが待ち構えておりまして、恐ろしくて、労働基準法、最低賃金法からいったら裁判を起こせば一〇〇%勝てる、何百万というような賃金請求を、訴訟さえ起こせばこれは間違いなく勝てるということが明らかな事案でも、そういうバリアがありましてなかなか表に浮上しない。こういう事態こそが、私は、日本社会の低賃金を下で支えている、これはやはり解決しなければいかぬと思うのですね。 その一つの手段として、この民事法律扶助法が機能すればいいと私は思うのです。そのためにも、外国人にもいろいろいるわけですから、そういう外国人に対しては、法案第二条で適法在留する者という要件をつけてしまって、はなから扶助対象者から除外するという硬直的な法律はよくないのではないかと思わざるを得ないのですね。どうでしょうか、これは法務大臣かな。
○山本(有)政務次官 不法在留罪まで設けて適正な出入国管理を図ろうとしておりまして、特に不法在留罪は懲役三年以下という比較的重い罪でございます。そして、不適法に我が国に在留する、そういう者を今度は法律扶助の対象とするということになりますと、公費でそういった不正行為を助長するということにもつながるわけでございまして、したがいまして、この点において御理解を賜りたいと思います。
○木島委員 まことにおかしな答弁だと思うのですね。 では、法務省に聞きます。 現在の法律扶助協会は、外国人に対してはどういう取り扱いを法律扶助に関してやっておりますか。
○横山政府参考人 現在、法律扶助協会では、不適法に在留する外国人に対して、自主的な財源に基づいて例外的に法律扶助を行っている例はあるようでございます。
○木島委員 だから、法律扶助協会は現在でもやっているのですよ。適法在留資格を法律扶助の要件にしていないのですよ。 私はここに、現行の法律扶助協会の「民事法律扶助ハンドブック」というのを持っています。「外国人の申込」、クエスチョン「外国人でも法律扶助を受けることができますか」、アンサー「事件が終結しても、立替金の償還が完了するまで日本に居住する見込みがある等、償還が見込める場合は扶助を受けることができます。この条件を満たせば、難民や留学生、労働者も扶助対象です。一方、旅行者等の短期滞在者は対象外です。」こういうことが書いてあるだけで、適法要件というのは必ずしもくっつけていないのですね。そのぐらい現に柔軟にやっているのですから、私は、この法律扶助法でも、せめてそういう柔軟なことができるような法律にすればいいんじゃないかと思うのですよ。 では、ついでに聞きますが、先進諸国、イギリスやアメリカ、ドイツ、フランスでは、外国人に対する扶助に対して、適法在留資格を扶助要件にしているのでしょうか、どうでしょうか。
○山本(有)政務次官 アメリカは、永住権を有している外国人等を対象としております。フランスは、EU加盟国民及び国内に恒常的にかつ適法に居住する外国人を対象としております。イギリスは、イギリス法の適用に関する問題であれば外国人を対象としており、ドイツも外国人を対象としております。
○木島委員 まともに答弁しませんが、要するに、イギリスとドイツは適法在留資格を扶助の対象要件にしていないのですね、広いのですよ。 今、次官は、フランスについて、適法在留資格を条件としているとおっしゃいました。原則はそのとおりですが、実はフランスの場合も例外がありまして、国外退去事件は例外なんだ。国外退去事件については、当然ですが、不法に在留している者に対しても法律扶助を与えているのですよ。 ですから、私は、アメリカという国はもともとが法律扶助の対象が狭いですから、イギリス、ドイツがこのように適法在留を条件としていないのですから、せっかくこういう民事法律扶助法を日本でもつくろうというのですから、せめてイギリス、ドイツを見習って、適法在留資格は扶助要件から外すべきだったんじゃないか。 これは政治判断ですよ。法務大臣、どうですか。せっかくこういう法律扶助法をつくるのですから、せめてイギリス、ドイツ並みの法律にしてやったらいかがですか。
○臼井国務大臣 先ほど来御答弁をいたしておりますとおり、現在、我が国の民事法律扶助事業というものが、限りある財源の中で国として補助もしておるわけでございます。しかも、目標としております国民の下層から二割の方々にもまだ十分行き渡っておらないという現状があるわけでございまして、そうした点を考慮いたしますと、なかなか委員御指摘のような方々にまで現状で対応してさしあげるということは不可能のように思うのでございます。
○木島委員 非常に冷たいですね。冷たいだけじゃなくて、こういう外国人が適法在留資格がないために本当に低賃金で苦労している。現実に日本社会を支えているのですよ。いわゆる三K労働なんかは大体そうですよ。しかし、労基署に行けない、裁判を起こせない。そういう低賃金労働ですから、当然法律扶助を受けなければ裁判を起こせないほどの状況ですよ。そういう者にこそ門戸を開くということが国際社会に開かれた日本社会をつくることにも通じるし、私は、日本の労働者の低賃金労働を解消するにも非常に大きな役割を果たす、おもしを取り除くことになりますから、大事だと思うのです。 この問題については、法律扶助制度研究会がかなり論議を尽くしているように私には思われます。平成十年三月二十三日の報告書によりますと、いろいろな意見があった。適法在留資格のない外国人についても、我が国に継続して居住する外国人で適法に入国後不法滞在となった者が労災事故、交通事故等に関する法的救済を求める場合には対象とすべきではないかという意見、それから、短期間であっても適法に滞在する場合には対象とすべきであるという意見、また、フランスが国外退去事件に関する外国人については居住要件を求めていないことなどにかんがみ、難民認定や在留資格に関する事件については対象とすべきであるという意見、なかなか説得力ある意見が皆さんがおやりになった法律扶助制度研究会でも出ているのですよ。 それだけいい意見が、もっともな意見が出ているにもかかわらず、法務省がおつくりになったこの法案によると、適法在留する者という要件をつくることによって全くそういうものをはなから排除してしまう。これはいかがなものか。法務省は余りにも硬直的じゃないかなと思うのですよ。 法務大臣、大分うなずいておられますが、答弁してください。
○臼井国務大臣 先ほどお答えをいたしましたとおり、現状においては日本国民においてもなかなかこの権利を十分に保障することはできないという状態の中で、こうした法律の形になったということを御理解いただきたいと思うわけでございますが、なお今後、そうした点についてもいろいろ御論議をいただく必要はあると思っております。 なお、当局に在留することが認められなかった者であっても、在留資格に関する当局の行政処分を争う訴訟において、裁判所によって適法に在留する者である旨判断された者は、当局が処分した時点において適法に在留する者に該当する者であったと考えられる。それゆえ、扶助の決定をする時点では当局から在留することが認められていなくても、在留資格に関する当局の行政処分を争う訴訟を提起したならば、過去の裁判例等に照らして、裁判所が当局の当該処分を否定し、適法に在留する資格がある旨を判示するものと認められる場合には、適法に在留する者として扶助の対象となる場合があると考えられる、こういうことでございます。
○木島委員 何か一つ門戸を開いてくれたような答弁だと思うので、ぜひ、この法律が通ってこれが運用されるときには、業務規程やらつくられるわけですから、広げていただきたいと思うのです。 では、この点でも一点だけ確認しておきますが、それでは、指定法人が自主事業として適法在留資格のない外国人に対しても扶助を与えるという事業をやることは認められますね、法務省はそれは排除しませんね。
○山本(有)政務次官 法律扶助協会では、そのような外国人に対して自主的な財源に基づいて例外的に法律扶助を行っている例はあるようでございますし、本法案に基づく指定法人は、民事法律扶助事業以外に、定款または寄附行為の定める目的の範囲内で自主的な事業を行うことができますから、指定法人が自主的な財源に基づき本法案の要件を満たしていない外国人に扶助を行うことはできないことはないと考えられます。
○木島委員 次の質問に移ります。 法案第二条の費用を支払う資力がない国民あるいは適法在留外国人の範囲についてお聞きをいたします。 法案第二条は、必要な資力がない者を扶助対象としております。現在の法律扶助事業では、既に論議が出ておりますように、所得階層が下から二割の部分を対象として運用されている。しかし、それでも現実には予算が足りずに、そこまで扶助ができていないという現状です。 法案には何も規定がないのです。先ほど来の答弁で、所得階層別、下から二割層を対象としたいという答弁が出ておりますが、それは業務規程できっちり書かれるべきだ。そして、そういうことが書かれた場合には法務省として認可する、そう伺ってよろしいですか。
○横山政府参考人 委員御指摘の資力に関する要件につきましては、本法案第七条で、指定法人の業務規程に記載されることとなっております。 この資力に関する要件につきましては、その具体的な基準を設定するに当たり、国民の生活水準、国の財政事情等を踏まえつつ、全国的に均質に対処することができるようにするために、生活保護受給者に対する公的な支給金額、一般的な勤労世帯の所得水準、各地域における物価水準の格差等、諸般の事情を考慮して、類型的かつ詳細に定められる必要がありますので、業務規程においてもそのように定められることになろうかと思います。
○木島委員 私からも、この問題では、諸外国の現状と比較して、所得階層下から二割層を扶助対象にするというのは少な過ぎる、不十分だということを指摘しておきたい。少なくとも四割、五割までは扶助対象にすべきではないかという意見を述べておきたいと思います。それは、イギリスは五〇%ですし、フランスも五〇%ですし、ドイツが四〇%、スウェーデンが九三%、お隣の韓国でも五〇%の階層まで扶助対象にしているわけですから、そうしてもらいたいと思います。 そこで、これは法務大臣に、将来の政策目標なんですが、今日では下から二割の階層を対象とするという答弁ですが、将来、四割、五割まで引き上げる、そういう政策目標を法務省としてはお持ちになっているのかどうなのか、その決意なり政策見通しなりをお聞きしたいと思います。
○臼井国務大臣 我が国の民事法律扶助事業におきましては、ただいま委員御指摘をいただきましたように、全世帯の下からおよそ二割の所得層を対象としてきたものでございますが、既に申し上げましたとおり、この所得層の方々に対してすら十分な支給ができない実情にございます。 また、この基準を具体的に見ますと、親子三人家族の場合、その資力基準は手取り月収二十七万二千円以下を基準額とし、東京など大都市の場合は、物価等による調整を図って二十九万九千円以下とされております。しかも、申込者が住宅ローンや家賃を払っている場合には、六万六千円を限度にその実額を基準額に加算することができることとされております。 このように、全世帯の下からおよそ二割層を対象としているとはいいましても、相応に柔軟性のある基準であると考えております。そこで、本法案のもとにおきましても、基本的には同様の所得層を念頭に置いているわけでございます。 今後につきましては、引き続き本制度を拡充していくことを考えてまいりたいと思います。
○木島委員 現在、全世帯の下から二割層の所得層を対象としても、財源がなくて、事実上それすら完璧にやられていないということですから、そこまで到達することもそう容易なことではないということは承知した上で、これをさらに拡充することを希望しておきたい。 数字だけ言っておきますと、これが決して裕福な層ではないということは、法律扶助制度研究会の報告でもこういう記述があるんですよ。下から二割の所得層の所得水準は、「生活保護基準のおおむね一・三倍ないし一・七倍程度にとどまっており(ちなみに国民の平均所得は生活保護基準の二・二倍ないし三・〇倍程度である。)、また、その消費水準も、生活保護受給者の平均的水準を若干上回る程度にすぎない。」そういう水準なんですね。そして、研究会は、「現行法律扶助制度は、このような所得層を対象としながら、その需要に十分こたえていないことは、先に述べたとおりであり、また、諸外国においてもこのような所得層に制度に対する需要が高い状況にある。」ということも指摘されているわけですから、これに安住することなく、さらに上の階層まで法律扶助の対象にするように、これは努力を続けていただくことを重ねて要望しておきたいというふうに思っております。 そこで、仮に、指定法人が下から二割の階層について法律扶助の対象とするという業務基準をつくり、これが法務大臣から認可されて動き出した場合に、今度は第三条の国の責務、あるいは第十一条の予算措置の責務とかかわり合ってくるわけですから、それはきっちり守り抜かなきゃいかぬわけですね。 そうしますと、前回委員会で私も指摘しましたが、財源がないために、同じ自己破産申請でも、一定の時期までは扶助対象、扶助決定がおりますが、お金がなくなってしまうと、同じ自己破産申請者でも扶助を切り捨てられてしまうということが現にあるんです。 この法律ができた以上、そしてそういう業務規程がつくられ、大臣が認可して予算措置がとられる以上、今度はそういうことは許されない。それが行われますと、今度は差別になるんです。同じ自己破産者でありながら、一方が扶助がされ、一方が財源がないからといって扶助決定棄却される、却下されるなどということは、これは今度は憲法十四条の問題になってしまうんです、法律ができた以上。ですから、そういうことは絶対あってはならぬと思うんですが、それは確認していいですか、法務大臣。そういう予算をつける義務がこの法律によって発生しているんだ、そう聞いてよろしいですか。
○横山政府参考人 法案三条の国の責務と、法案十一条の予算の範囲内で費用を補助することができるという規定との関係についてまず御説明いたします。 民事法律扶助事業は、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持ち、我が国の司法制度の充実に寄与する公共性の高いものでありますことから、法案第三条第一項におきまして、国の責務として、国は、民事法律扶助事業の適正な運営を確保し、その健全な発展を図るため、同事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行のために必要な措置を講ずるよう努めるとするなどの規定を設けております。そして、このような責務を踏まえ、本法案第十一条において、指定法人が行う民事法律扶助事業に対する国の補助金の支出について法律に根拠を置くものとしたものであります。 しかしながら、国の補助金の支出につきましては、国の財政状況その他諸般の事情によって政策合目的的に決定されるべきものでありまして、国の予算の範囲内で行われるべきものでありますので、本法案第十一条におきまして、「国は、予算の範囲内において、指定法人に対し、民事法律扶助事業に要する費用の一部を補助することができる。」としたものであります。 したがいまして、こういう予算の範囲内、実際には扶助事業は立てかえ制をとっておりますので償還金とこの補助金、こういう予算の範囲内で行われることになる、そのように理解しております。
○木島委員 ただ、現に法律扶助法ができ、業務規程が指定法人によってつくられ、そしてどの階層まで扶助対象とするかまでがきちっと書き込まれ、その業務規程が法務大臣によって認可されるということになりますと、これは公的義務が生じるんじゃないのでしょうか。 そうしますと、国民から見たら、当然自分は扶助対象になってしかるべきだということが見えるわけです。それで聞いているんですよ。同じ自己破産者でも、金がないから扶助ができません、あなたの場合は早目に来たから金がありますから扶助対象にできます、現にやられているんです。そんなことがもしこれから発生したら、これは訴えられますよ。扶助申請却下決定に対して争われますよ、指定法人は。そうでしょう、不平等で差別なんですから。同じ自己破産者で、全然お金がないから破産申請もできない、免責の決定ももらえないという、そんな差別を起こしちゃいかぬわけです。そういう差別があってはいかぬと思うんです。 では聞きましょう。そういう不当な差別によって、金がないということによって指定法人から扶助決定を棄却された、扶助棄却決定、扶助却下決定がされた場合に、とんでもない、おれに扶助をしないのはおかしいというので、指定法人に対して裁判を起こすことができると思うんですよ。その場合は、民事裁判ですか、行政裁判ですか。あるいは、そういう裁判に対して扶助は出るんですか。
○横山政府参考人 指定法人が行う民事法律扶助事業において、扶助決定をするかどうかの決定は指定法人内部における意思決定である、そのように理解しております。したがって、扶助をしないという内部的な意思決定としての決定、これについて、それを直接争うことはできない。つまり、扶助決定をあたかも行政処分のようにとらえてこれを争うというものではない、指定法人の内部的な意思決定である、そのように理解しております。
○木島委員 それはちょっとおかしいのではないですか。そうすると、国民の立場から見たら、全く一〇〇%恩恵としか法律上は位置づけていないということになるのではないですか。これは恩恵ではないでしょう。単なる恩恵ではないからこそ、この淵源、ゆえんが、憲法で規定された裁判を受ける権利を実質的に保障するため、そういう意義を持っているのだ。わかりました。法務省が、第一条の目的にそういう憲法の裁判を受ける権利という言葉をなかなか書き込まない理由が私ははっきりわかりましたよ。 やはりこれは法務大臣、単なる恩恵で、扶助しようとしまいと勝手だ、そういう理屈はもう通らないと思うのです。法律がつくられ、指定法人が指定され、業務規程がつくられ、大臣が認可する。その認可した業務規程の中に、この水準の国民までは、この水準の低所得者層までは法律扶助をしようと決めた。勝訴の見込みもある、償還の可能性もあるという場合に、たまたま金がないからあなたはだめだなんということをやったら、これは憲法十四条違反で許されないですよ。そういうのはやはり民事裁判を起こせると私は思いますよ。起こせないと今おっしゃったけれども、起こせないというのは、お恵みだからということなのです。私はそうではないと思うのです。起こせると思うのですね。 ですから、逆に言うと、国はそういうことがないように予算手当てをする責務が第三条によって発生している。また第十一条の、予算措置ができる、「補助することができる」という、この「できる」という条文には私は不満です。補助をするものとするというぐらいの言葉にしてほしかったのです。しかし、これは行政が補助をすることができるという文言ですから、三条と相まって、補助しなければならぬということに事実上は解釈されるわけですよ。ですから、そういうものとして受けとめるべきだと考えるのですが、いいですね。そういう扶助請求権というか、扶助を求める権利の問題です。
○横山政府参考人 本法案におきましては、扶助の対象となる方々に対しまして、扶助を受ける権利、いわゆる受給権を認めているものではない、そのように理解しております。
○臼井国務大臣 長い間多くの方々の御努力によって、今回法律としてできるわけでございまして、これによって国並びに弁護士会の責務というものがはっきりする。それだけ国の責任というのは重くなるということは当然のことでございまして、今後一層の法律扶助事業の発展のために、さらに私どもは努力をしていく責任があると思います。
○木島委員 もう時間が迫っておりますから、では、この問題はこれだけにして、最後に一点だけ、原則償還制か原則給付制かの問題についてお伺いしたいと思います。 これは私からも、原則償還制ではなくて原則給付制にぜひ切りかえていただきたいと思います。しかし、これは実際の運用でかなり柔軟にできる問題ではないかと思います。業務規程のつくり方、特に業務規程の中で免除制度、こういう場合は償還を免除するというその免除規定のつくり方によっては、かなり柔軟に対応できると考えるからであります。 そこで、一点だけお聞きしますが、今法律によると、大体下から二割の階層を対象にする。しかし、四割、五割までこの対象をふやしてほしいという要求が非常に強いわけですね。せんだっての参考人も、永盛事務局長もそういうことを言っておりました。 そこで、限られた財源の中で、四割層、五割層までなかなか扶助の対象にできないということであれば、せめて、四割層、五割層までを扶助対象とする、しかし、全額扶助ではなくて一部扶助といいますか、一部自己負担、一部扶助、そういう組み合わせも柔軟に認めたら非常にいいのではないかということを私は考えているのですが、こういう扶助のあり方についてはいかがでしょうか。
○山本(有)政務次官 民事法律扶助の対象層を拡大すべきとの御指摘の点につきましては、我が国では、全世帯の下からおよそ二割層を対象としているとはいいましても、具体的に見ますと、親子三人家族の場合、その資力基準は手取り月収二十七万二千円以下であり、東京など大都市の場合は物価等による調整を図って二十九万九千円以下とされておりますし、さらに申込者が住宅ローンや家賃を支払っている場合などにはこれをも考慮に入れるなど、相応に柔軟性のある基準であると考えておりまして、本法案のもとにおきましても、基本的には同様の所得層を念頭に置いております。 弁護士報酬の一部を扶助で負担し、残りを本人が負担するといった一部扶助の考え方をお示しになられましたが、これは対象層の拡大を前提としたお考えでございまして、現行の扶助の対象層の方々の需要に対しても十分こたえ切れていないのが現状でございますので、まずは、このような方々の需要に適切にこたえるのが何よりも重要であると考えておる次第でございます。
○木島委員 時間が来ました。終わります。 まだまだ現状は不十分だ、また、法律ができても不十分だということはお認めになったと思うので、今後ともこれの一層の拡大充実のため、法務省としても、政府としても努力されることを希望して、終わります。
○武部委員長 保坂展人君。
○保坂委員 本法案で大事なことを二点ばかり確認をしておきたいのですが、まず法務大臣に、さきの法務委員会で問題になりました登記簿が閉鎖をされたという問題、これはもう早速調査に当たられるということだったと思いますが、この問題の破産した菱和ハウスという会社がございます。この会社は、数々の悪質な商法を展開して相当数の被害者を出している。私も調べてみましたが、そのあたり、どの程度お調べになったでしょうか。
○臼井国務大臣 先般お尋ねをいただいた件につきましては、調査をいたさせましたので、担当の民事局長から御報告をさせたいと思います。
○保坂委員 では、具体的なことに入る前に、例えば、ローン申し込みに年収を上乗せした虚偽の申請を申告させたり、あるいは、多重債務者の名義で東京三菱銀行から二億七千万円の融資を引き出し、その融資の際の申請には課税証明書の偽造など違法な書類があったりとか、修繕積立金などが行方不明になってしまったり、信販会社から融資を受けてそれを入居者に渡さずにそのまま破産したものですから、入居者は債務だけ残ってしまったとか、あるいは、マンションの販売代金二億三千万を横領したとか、新聞記事をたどっただけでもう次々とあるわけですね。 では、民事局長に伺いますけれども、このような会社に絡む問題については、この新聞報道に、法務省幹部、これは東京法務局長ではないかと思いますが、東京法務局長がこの登記簿閉鎖の直前に、閣僚経験者と言われる代議士の秘書さんと、菱和ハウスの関連会社、麹町信用保証の社長らと面会をした事実があったかどうか。これはいかがですか。
○細川政府参考人 本件の問題になっておりますマンションの仮差し押さえの登記の嘱託がされたのが平成十一年の一月二十六日でございますが、その翌々日ごろ、ある国会議員の秘書の方が菱和ハウスの担当者とともに東京法務局長を訪ねたということはございました。
○保坂委員 面会されたということなんですが、新聞記事の中では、「はっきり記憶していないが、秘書と役員が来たので、担当部署に話を下ろしたと思う。」というコメントが掲載されているのですね。 担当部署というと東京法務局の不動産登記部門ではないかと思うのですが、例えば、登記官をその場に呼んで、話を聞いてやってくれと話をつなげるということがあったのかどうか。これは重大なので。
○細川政府参考人 関係者をすべて調査いたしましたが、その際には、訪ねられた方々が、東京法務局長のところでしばらく雑談の後、不動産登記について相談があるので担当部局を紹介してほしい旨依頼がありまして、同局長の紹介によって、その方々が不動産登記部門の統括登記官のところに赴いたというのが事実関係でございます。
○保坂委員 法務局長が即統括登記官を紹介して、そこでお話があったのでしょう。そして、この不動産登記法七十六条四項の規定を準用して、差し押さえがはっきり確認できるものからこういうきれいなものに移記された。これは、準用というのは間違った解釈じゃないですか、こんなことは許されるのですか。
○細川政府参考人 これは、まず、若干の経緯がございますので、少し長くなりますが、調査の結果を御説明させていただきたいと思います。 まず初めに、菱和ハウス株式会社を所有者とする所有権保存の登記及び株式会社整理回収銀行、これは現在の整理回収機構でございますが、これを債権者とする仮差し押さえの登記の抹消の経過について御説明いたします。 まず、菱和ハウスの所有権保存の登記の抹消については、登記上利害関係を有する第三者である整理回収銀行の承諾書等が必要とされています。これは、不動産登記法の百四十三条、百四十六条に規定するところでございます。本件では、整理回収銀行から印鑑証明書つきの承諾書が提出されたことから、所有権保存の登記の抹消申請は不動産登記法に従った適法な申請として受理され、登記の抹消が実行されております。 また、整理回収銀行のための仮差し押さえの登記は、その目的とする所有権の登記自体が抹消されたため、登記簿上存在し得ないものとして、不動産登記法第百四十七条第二項に従い、登記官によって職権で抹消されております。 このように、菱和ハウスの所有権保存の登記の抹消と整理回収銀行のための仮差し押さえの登記の抹消は、いずれも不動産登記法に従って適法に処理されたものであって、何ら違法なものではありません。 次に、御質問の、不動産登記法七十六条第四項の規定による新登記用紙への移記の手続について御説明いたします。 これにつきましては、仮差し押さえの登記の嘱託がされた平成十一年一月二十六日の翌日に、菱和ハウスの担当者から管轄登記所である千葉地方法務局野田出張所に対し、所有権保存の登記が抹消された後の登記手続について相談がありました。 その相談内容は、所有権保存の登記が抹消されると仮差し押さえの登記も職権で抹消されることになるようだが、仮に抹消されたとしても、仮差し押さえの登記がされたことがあるという過去の経緯が登記簿に残っていたのでは、本件マンションを購入された方がその購入について金融機関から融資を受けるのにも支障を生じ、売り物にならないなどの事情があるので、過去の登記の経緯自体がわからなくなるように職権で登記簿から削除してほしい、全く消してほしい、そういうものでございました。 しかし、そのような処理は不動産登記法上認められておりませんので、野田出張所では、そういうことはできない旨を回答しておりました。 その翌日ごろ、先ほど申し上げた方々が東京法務局長を訪ね、雑談の後、不動産登記について相談があるので担当部局を紹介してほしい旨依頼し、同局長の紹介によって担当の部局を訪ねたわけでございます。 菱和ハウスの担当者から、野田出張所に対するのとほぼ同様の相談を受けた不動産登記部門の統括登記官は、本件においては不動産登記法第七十六条第四項の規定の類推適用が許される特別の事情があるものと判断し、菱和ハウスの担当者に対し、過去の登記の経緯自体を登記簿から削除することはできないが、新しい登記用紙に現在効力を有する登記だけを移記するという手続はできるのではないかとの説明をいたしました。 同月二十九日ころ、菱和ハウスの担当者が再度野田出張所を訪れ、東京法務局の担当官の説明内容を伝えたことから、野田出張所では、東京法務局の担当官にその趣旨を確認する一方で、整理回収銀行の同意書が直ちに提出されたことにかんがみ、東京法務局の担当官と同様に、不動産登記法七十六条第四項の規定の類推適用が許される特別の事情があるものと判断して、移記の手続が行われたということであります。 登記の現場におきましては、極めて多数の事件を迅速に処理しなければならないため、例えば登記官が誤って他人の不動産に仮差し押さえの登記をしてしまったというような場合には、その登記を抹消したとしてもその不動産の所有者に多大な迷惑をおかけすることになりますので、登記用紙の枚数が過多でないときであっても、現場の登記官の判断で、不動産登記法第七十六条の規定を類推適用して移記の手続を行うことがあると承知しております。 このように、本件は、不動産をめぐる権利変動の過程や現在の権利関係の内容自体を改ざんしたというものではありませんし、また、移記前の登記用紙についても、閉鎖登記簿として一般に公開されており、だれでも過去に行われた権利変動の過程を知ることができるようになっています。 これが調査の結果判明した事情でございます。
○保坂委員 これは驚いた答弁ですね。法案の審議になるべく早く入りたいのですけれども、どうですか、今の話は。 きょうの新聞には、この閣僚経験者の代議士のもとに、この菱和ハウスの関連会社から、確認できるだけで総額七十万円近い献金やパーティー券購入の事実があった、こういうことも載っているわけです。 今の民事局長の答弁だと、つまり、ある程度有力な国会議員であれば、業者をその秘書が連れていって、うまくやってくれや、こういうきずがあっては販売できないから協力してくれと言ったら、この七十六条四項の類推適用はこれからも可能なんですね。これからもやるんですね。はっきり答弁してください。
○細川政府参考人 例えば、ある登記事項が抹消され、法的には既に効力を失っていても、特別な事情があることにより、登記簿上その痕跡を残しておくと事実上登記簿上の名義人等の回復困難な損害を生じるような場合が考えられます。 しかしながら、その判断は、具体的な事案に応じて登記官が個別的に判断せざるを得ないものでありますから、ここで具体例を示すことは困難であります。また、そのような事例が実務上どの程度あるかについては把握しておりません。 なお、申し上げますが、これにつきましては、お見えになりました秘書の方は紹介されたということで、説明をしていたのは菱和ハウスの担当者であったということを報告を受けております。
○保坂委員 委員長、大臣に登記簿をお見せしたいのですが、いいですか。
○武部委員長 どうぞ。
○保坂委員 法務大臣、今日いろいろなところで信頼が揺らいでいるわけですよ。前回坂上委員の方から、法務局の登記簿なんというのはそれこそ石のようにかたくて、石といっても小石ではなくて、もうさわれないぐらいの、ピラミッドぐらい、押しても引いても何ともならぬ、それだけ信用のあるものなんですよ。そういうものがこういうふうに魔法のように変わってしまうわけです。こういうことを類推適用で問題ないというふうに民事局長が答弁したら、これは重大な答弁ですよ。 これは大臣としてどうですか。こういうことを類推適用でオーケーだったとしたら、これからもやりますよ。そういうことでいいんですか。大臣、しっかり答弁してください。
○細川政府参考人 このような問題は、現在紙の登記簿には起こるのですが、全国の登記簿の約四割がコンピューター化されております。コンピューター化されている登記所におきましては、これは現在事項、現に効力を有する登記だけを出す、現在事項証明書という形で出すということも、全部事項証明書を出すことも自由でございます。 ですから、現に効力を有する登記だけを証明書を出すということは常に自由になっている問題でございまして、先ほど申し上げましたように、特別の事情がある場合にはそういうことをしなければならない場合もあるということを申し上げたところでございます。
○保坂委員 民事局長は、特別の事情があって類推適用が可能だったケースというふうに何回も答弁するのですね。私は、これは法務省にとっても非常に危機的な状況だと思いますよ。 もういいです。大臣、答弁してください。
○臼井国務大臣 今委員お示しをいただきました移記されたもの。現場におきまして、今回のことが特別な事情、こういうふうに判断をした原因の一つに、仮差し押さえが平成十一年の一月二十六日にあった。差し押さえというのは当然いきなり来ることではございますが、その翌日の平成十一年一月二十七日、原因錯誤ということで、これが抹消されている。 ということで、本件のこの処理というのは、ただいま民事局長から御報告ございましたとおり、本件の申請があった際の事情、特別の事情があったという判断のもとで行ったわけでございまして、不適切との批判を受けるようなものではないと私は思っております。
○保坂委員 大臣、ちょっと落ちついて答弁していただきたいのですが、三日間で、まだわかっていないこともあろうかと思いますよ。これは、調査をすると言われて、調査はもう完了して、何ら問題なしという結論をここで出されるのですか。それとも、まださらに周辺をいろいろよく見てみて、本当に適法なのか、問題ないのかどうか、そこも含めてもう少しきちっと調べるのか。きょうで結論はおしまいなのか、それだけ答弁してください。法務大臣。
○臼井国務大臣 先般委員から御指摘をいただきました事情につきましては、ただいま御報告をいたしたとおりでございまして、先ほど冒頭に委員がお話しをいただきました新聞等による諸事象等につきましては、私どもは現在、詳しい事情等は承知をいたしておりません。今後何か新しい問題が出てきて、法務省としてお答えをすべき問題であるとするならば、これは当然、調べるべきものは調べる必要はあると思います。
○保坂委員 法案についても聞きたいのです。民事局長は長く答弁されるから。 これが適法だったと言ったら大変なことになりますよ。ではこれからもこの手でいこうかと言いますよ、みんな。
○武部委員長 細川民事局長。簡潔に御答弁ください。
○細川政府参考人 菱和ハウスの担当者から受けた登記官の供述によりますと、本件においては、先ほど言った理由の事情のほかに、仮差し押さえの登記については整理回収銀行との間で話がついており、これは本来登記されるべきものではなかったが、担当者の手違いで登記されたものであるという事情があるとの説明があったわけでございます。そういうことで、これを信用して、特別の事情があるものと判断したというふうに聞いております。
○保坂委員 これはもう本当に、整理回収の問題も含めて、大変な大問題の答弁が出たと思うのですが、本法案についてもお聞きをしたいので、ちょっとこれは私は納得できません。ぜひ再調査を徹底して求めたいし、今のこの答弁では、本当に、登記ということの根幹が揺らぐと思いますよ、こう指摘をしておきたいと思うのです。 では、法案に移りますが、先ほど木島委員の方からありました、外国人、オーバーステイであったりとかさまざまないわば不法就労の外国人の方などには民事法律扶助の適用はない、こういうことでありましたね。 では、政務次官にちょっと伺いたいのですが、例えば、考え方として、不法就労の外国人に対しても労働関係の法令は遵守されるべきだという考え方がありますね。賃金未払いとか、あるいは労働現場においてさまざまに人権をじゅうりんするとか、こういうことはいかぬ、人道的な配慮で人権問題にかかわる相談制度や法律扶助はやるべきじゃないかと。これは国民の間でもかなり強い意見かと思うのですが、こういう意見に対してはいかがですか。
○山本(有)政務次官 大変悩ましい点であろうと思います。何人といえども賃金不払いに対しては権利を主張しなければならぬわけであります。しかし、入国管理の秩序というのもまた、これは一方で支えなければならぬ大事な観点でございます。 そこで、先ほども木島委員に申し上げましたとおり、不退去罪を新たにつくって、三年以下の懲役という、いわば懲役刑というものまで実施して確保しようとする入国管理の秩序、これを崩すほど、あるいは不法滞在を助長するほどに法律扶助を活用することがどうかな、そういう観点で申し上げたわけで、決して不払いを奨励したりするものではありません。 そこで、例えば東京入管におきましては、不法滞在でありましても、雇用者に、ぜひ賃金を支払っていただきたいというような、率先して指導をしておるような現場も、私も現実に拝見いたしましたし、そういうような意味では、できる限りこの法律扶助の観点を全うしようという考え方は法務省全体の意見でございます。
○保坂委員 ちょっとファジーな御答弁なんですけれども。 法務大臣、国会決議というのは、国民から選ばれた国会議員が議論をして、そして合意を得て、各会派の考え方も違います、しかし、この程度、ここは国民の大半の声だろうということだと思います。 平成元年の十二月七日に参議院の法務委員会で、出入国管理及び難民認定法の附帯決議というのが出ているのです。これは「政府は、次の諸点について格段の努力をすべきである。」の中に一つ、「不法就労外国人についても、労働関係法令等が遵守されるべきものであることにかんがみ、未払い賃金等就労中の労働条件に係る問題につき人道的配慮をするとともに、外国人労働者の人権問題等に係る相談制度及び法律扶助制度の拡充を図るよう努めること。」とあるのですね。つまり、これは、不法就労の外国人についても、法律扶助制度も範囲に入れて政府がやりなさいと。 当時の法務大臣はその国会決議を受けて、受けとめたということを発言されたと思うのですが、大臣、これはこの線できちっとやられますか。 この法律にはこれはないのです。だから、国会決議をどう受けとめるかは、あなたじゃなくて大臣の問題です。
○臼井国務大臣 附帯決議というものは、政府の立場としても尊重すべきものだと思います。
○保坂委員 そうすると、矛盾しますよね。 では局長、今聞きますよ。 一つ、この国会決議をがっちり守って今回立法したのかどうか。 それからもう一点は、相談に来る人が不法残留、あるいはそういうことがあっても、人権擁護を優先する立場で、もう関係機関には通報しないぐらいのことを人権擁護局長が言った方がいいんじゃないですか。 その二点。
○横山政府参考人 まず、平成元年十二月七日の参議院法務委員会における出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案の附帯決議との関係で御説明いたします。 御指摘の附帯決議は、その前段で、不法就労外国人も労働関係法令等が遵守されるべきものであることにかんがみ、就労中の労働条件に係る問題について人道的配慮をすることとされ、その後段では、外国人労働者の人権問題等に係る相談制度及び法律扶助制度の拡充を図るよう努めることとされております。 このように、法律扶助制度の拡充については後段の外国人労働者を受けておりまして、前段の不法就労外国人と後段の外国人労働者を使い分けておりますことからも明らかなように、不法就労外国人を法律扶助制度の拡充の対象とすることまで決議したわけではないと理解しております。 民事法律扶助事業は、国の補助金を含め、限りある財源のもとで資力に乏しい者を扶助しようとする社会福祉的側面を持つものでありますから、国民の理解を得て限りある国費を投入するという観点からは、国民及び国民と同様の扱いをすべき者に限定するのが相当であると考えております。 このようなことから、本法案は、我が国に生活の本拠を置き適法に在留する者までを対象としたものでありまして、御指摘の附帯決議に反するものとは理解しておりません。 それから、相談の件でありますけれども、民事法律扶助事業としての法律相談に関しましては、やはり適法に我が国に在留するという要件がかかるかと思います。 なお、法務省の人権擁護機関では人権相談というものを別途行っておりますが、これにつきましては、相談に当たりましては、国籍の有無とか在留資格の有無等は相談を受ける方からは尋ねることなく、専ら人権の観点から相談を受けておるのが実情でございます。
○保坂委員 ちょっと僕もああいう答弁が来るとは想定もしていなかったので、打ち返しようがないのですが。 法務省のホームページに書いているのですよね。人権擁護局自身が、人権擁護局のホームページに、人権擁護を優先させる立場から関係機関へは通報しませんよと書いているわけですよ。今の附帯決議の解釈は、はちゃめちゃだと思いますよ。不法就労の外国人が労働現場でいろいろなことがある、そういう人についても相談やあるいは法律扶助については拡充していこうじゃないか、これは平成元年の国会の意思だったわけです。 大臣、その点だけ確かめて終わります。今のような局長の解釈で終わるのではなくて、現法案では頭のところで制約がされています。しかし、今後これはやはり拡充をしていっていただきたい。国会の決議もある、それを尊重される立場で、ぜひ前向きな答弁をお願いします。
○臼井国務大臣 ただいま委員御指摘をいただきました点につきましては、現法律案につきましては、先ほど来るるお話を申し上げてまいりましたとおり、私ども日本人であっても、なかなか下層二割の方々にも十分に対応できないということで、現法律でいくということは御理解をいただきたいと思うのでございますが、今後の制度の問題につきましては、この法律案の成果というものを踏まえつつ、引き続き制度の整備並びに発展を図ってまいりたいと思います。
○保坂委員 時間が参りましたので、本当は児童虐待についても聞きたかったのですが、残念ですが、これで終わります。
○武部委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○武部委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 内閣提出、民事法律扶助法案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○武部委員長 この際、ただいま議決いたしました本案に対し、杉浦正健君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を聴取いたします。北村哲男君。
○北村(哲)委員 ただいま議題となりました附帯決議案について、提出者を代表しまして、案文を朗読し、趣旨の説明をいたします。 民事法律扶助法案に対する附帯決議(案) 本法の施行に伴い、関係者は、次の事項について格段の配慮をすべきである。 一 民事法律扶助制度が憲法第三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する制度であることにかんがみ、これが広く国民等に理解され、できる限り多くの者が利用することができるよう、その趣旨・内容について、周知徹底に努めること。 二 政府は、指定法人が民事法律扶助事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な運営が行えるよう、財政措置を含む必要な措置を講ずるよう努めること。 三 国民の多様な法的ニーズに迅速かつ適正に対応するため、民事法律扶助制度の拡充のみならず、法人に対する法的支援制度や、少年事件、被疑段階における刑事弁護をも視野に入れた刑事に関する総合的な公的弁護制度の導入などについて、司法制度改革審議会の審議結果等を踏まえ、鋭意検討すること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 杉浦正健君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。臼井法務大臣。
○臼井国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。 —————————————
○武部委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○武部委員長 次回は、来る四月四日火曜日午前九時四十分理事会、午前九時五十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十七分散会