法務委員会 第4号
- 発言数
- 226 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2000/03/21
会議録
○武部委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、民事法律扶助法案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。臼井法務大臣。 ————————————— 民事法律扶助法案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○臼井国務大臣 民事法律扶助法案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、民事に関する法律扶助制度が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持ち、司法制度の充実に寄与する公共性の高いものであることにかんがみ、国民がより利用しやすい司法制度の実現に資することを目的として、民事法律扶助事業の整備及び発展を図るために必要な制度を創設するための措置を講ずるものでありまして、その要点は、次のとおりであります。 第一に、民事法律扶助事業の内容を、民事裁判等の手続の準備及び追行に必要な資力に乏しい国民等を援助する事業であって、訴訟代理費用、書類作成費用等の立てかえ及び法律相談の実施等の業務を行うものとし、国は、同事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行等に必要な措置を講ずるよう努めるものとすることとしております。 第二に、民事法律扶助事業の実施に関し、日本弁護士連合会及び弁護士会は、会員である弁護士による協力体制の充実を図る等同事業の適正な運営の確保等に必要な支援をするよう努めるものとするとともに、弁護士は、その実施のために必要な協力をするよう努めるものとすることとしております。 第三に、法務大臣は、民事法律扶助事業を行う公益法人を全国に一を限って指定することができることとした上、指定法人に対する法務大臣の監督等に関する規定を設けることとしております。 第四に、国は、予算の範囲内において、指定法人に対し、民事法律扶助事業に要する費用の一部を補助することができるものとし、指定法人に対する国の補助金の交付を法律に根拠を置くこととしております。 以上が、この法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○武部委員長 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長黒澤正和君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長上杉秋則君、金融監督庁監督部長乾文男君、経済企画庁国民生活局長金子孝文君、法務大臣官房長但木敬一君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省人権擁護局長横山匡輝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○武部委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所中山総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○武部委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。枝野幸男君。
○枝野委員 民主党の枝野でございます。 この法律扶助法案につきましては、私を含めて、今まで心待ちにして要請をしてきた法案でございます。基本的な方向としては賛成できる。若干、部分的にまだ足りないとかいう問題がございますが、これについては、この後北村委員の方から質問がございますので、この法案本体につきましては一点だけ。 実は、この仕組みについて、私は一点だけどうも問題があると思っています。それはいわゆる指定法人という仕組みであります。これは法務省に限らず、いろいろなところで最近指定法人という仕組みが乱用されておりますが、ここが一種、利権、天下りの温床になってしまっているという実態があるというふうに考えております。 まず、お尋ねいたしますが、本法で指定法人として指定を予定されているのは財団法人法律扶助協会というふうに想定されますが、現時点でどこまでお答えいただけますでしょうか。
○臼井国務大臣 指定法人としてどの法人を指定するかは、申請に基づきまして法案第五条第一項の要件に該当するものを指定すべきこととなりますので、現時点では決まっておりません。
○枝野委員 全体的に、一般的に、この法律扶助法に限らずなのですが、指定法人制度をとって、しかもその指定法人は全国一つだなどという場合に、法律を審議している段階で全く想定をしていないなどということは現実にはあり得ないわけでありまして、ある意味では国会の法案審議権というものにもかかわるような問題であって、一般的に、どこまで断定的に言えるかどうかは、法律が通っていないわけですからあるわけでしょうけれども、少なくとも想定というようなところまではおっしゃらないと先の議論が進まないと思うのですが、いかがですか。
○山本(有)政務次官 委員が御指摘になられましたとおり、法律案に特定の団体を盛り込むことは法の一般性から見て困難であるという先生の御意見のとおりでございまして、現在、指定法人にふさわしい経験あるいは実績、そして均てん化、すなわち全国津々浦々、今過不足がございますこの法律扶助のサービスについてうまく統一的にできる団体といたしましては、予想される限りでは法律扶助協会以外にはないというように考えております。
○枝野委員 そこで、この財団法人法律扶助協会は、今までのところ、公益法人としては、いわゆる行革的観点からすれば問題のある運営はしていない。役員の名簿を見てみましても、若干問題があるかなと思うのは元法務大臣の長尾立子さんがお入りになっておられるという点があえて言えばひっかかるかもしれませんが、これ以外には、役員の中に、いわゆる所管官庁である法務省、広く検察庁を含めて、場合によっては裁判所も含めて、いわゆる天下りは存在をしておりません。 本法が施行されてこの法律扶助協会が指定法人になった後に、今までなかった天下りなどというものがここに入ってきたら、やはりこれは利権法だったのだなというそしりは免れないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○臼井国務大臣 公務員やそのOBを役員や職員とするか否かにつきましては指定法人の決めることでございます。ただ、国といたしましては、指定法人がそういった方々を役職員とすることによって公務員の職務の公正さ等に問題が生じるようなことがあってはいけませんので、そのような見地から適切に監督いたしてまいりたいと考えております。
○枝野委員 一般的な天下り規制の話については、職務の公正という話で、今の御指摘で正しいのですけれども、最近、指定法人、公益法人が問題になっておりますのは、公益法人というのはまさに公益性を持っているわけですから、営利企業ではありませんから、中立、公正という意味の公務員の方の問題はひっかかってこない。だからどんどん公益法人に天下っていってしまっている。要するに、国が権限を指定法人のような形で与えるから、あるいは、場合によっては補助金、予算を与えるから、だから公務員のOBを引き取れというような形での公益法人、指定法人の使われ方が、少なくとも法務省に限って言えば今のところ余り目につきませんが、一般的には多く見られていて問題だ。 今回この法律扶助協会が、法律ができることによって権限がふえ、予算がふえるわけであります。そのときに、人もついてきましたねということになったら、他の利権官庁と同じことを法務省もやっているのだなというそしりは免れないのではないか、そういう問題点なのです。
○臼井国務大臣 委員御指摘をいただきました問題点というのは大変重要な点でございますので、気をつけて監督いたしてまいりたいと思います。
○枝野委員 もう一点だけ、この扶助協会について。 ここの役員さんは、現時点で二十八名いらっしゃるそうでありますが、事実上全員が無給、無報酬でなさっておられる。専務理事さんが事務局長を兼ねておられるということで、その事務局長としての経費を、むしろ役員報酬という形の方がクリアだろうということで役員報酬で出していらっしゃるようですが、事実上それ以外の二十七名の方は会長以下無報酬でなさっておられる。これは、法律扶助のこの法案の趣旨から考えても、そして従来から無報酬で運営が十分になされてきたという実績から考えても、今後も維持されるべきというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○臼井国務大臣 現時点では今委員御指摘のとおりでございますが、今後、役員報酬を無給とするかどうかにつきましては、指定された場合に、指定法人の決めることだと思います。ただ、この問題につきましては、役員の勤務形態とか、あるいは業務量等ともかかわってくる問題でございますので、このような観点から見まして、国といたしましては、指定法人が不適切な役員報酬を支払うことのないよう適切に監督いたしてまいりたいと思います。
○枝野委員 この法律扶助協会がいわゆる天下り利権的な話とそしりを受けないような対応を、ぜひお願いしたいと思います。 さて、この民事法律扶助ができたとしても、実体法が伴っていなければ国民の権利は守られません。 そこで、一点、大変気になる新聞広告を見ましたものですから、この機会にお尋ねをさせていただきたいと思います。 お手元にもあるかと思いますが、これはことしの三月四日の日本経済新聞の三十一面の下に載っておりました新聞広告であります。今どき一・八%も年利がつく。こんなにつくのだったら私も、非常に小さな額ですが、そういう運用をしてもらいたいなと思うところの金額であります。 税金とかいろいろ引かれるんだろう、だれでもそこぐらいまでは思います。一応そこは書いてあります。すぐ右側に「課税後年一・四四%」と書いてあります。これは公社債投信ですので、投信ですから、これが保証されているわけではないという、これ自体の一般論は別においておくとして、ここで一・四四になるというのまでならばまだ、まあそうだろうな、こういう広告もあるだろうなというのはよくわかります。 ところが、その下に小さな字で書いてあります。「ご換金の場合、手数料(一万口当り百円)」、つまり一%です、「および消費税相当額(当該手数料の五%)がかかります。」つまり、換金をする場合には一・〇五%引かれるということがここに小さく書いてあります。 結局どういうことかというと、一・八%とこんなにでかく新聞広告でうたっておりながら、実際に一年複利で、一年で見直されますとあります、一年で換金をした場合につく実質の利率というのは、手数料一%分と消費税〇・〇五%分が引かれますから、結局は〇・三九%ということになります。 新聞広告にこんなにでかでかと一・八〇%と書くということは、これを見た一般顧客あるいは顧客たらんとする者に対して明らかに誤解を与えるのではないかと私は危惧いたします。しかもこれが、日本を代表する証券会社の名前を頭につけて広告がなされ、日本を代表する経済紙である日本経済新聞に堂々と打たれている。これは、まず消費者のサイドから見てとても納得できないし、国際的に見ても恥ずかしいというふうに思うのです。 まず、どこから聞きましょうか、公正取引委員会さん、こういう広告は規制できないのですか。
○上杉政府参考人 お答えいたします。 私どもの所管している景品表示法というものがありまして、それによりますと、実際のものよりも著しく優良であると一般消費者に誤認されるような表示、広告等、そういったものが禁止されるわけでございます。 一般的に申し上げますと、ここに書いてありますような予想分配率につきまして、課税後のもの及び手数料というものが表示されている場合でありますと、私どもの法律で言う著しく優良であるとの誤認は生じないのではないかと考えております。
○枝野委員 同じことを金融監督庁にお伺いします。 金融監督庁として、こういった広告を見過ごしておいていいと思っていらっしゃるのでしょうか。
○乾政府参考人 証券会社が投資家に虚偽の表示等を行いますことは証券取引法等によりまして禁止されているところでございますけれども、今御指摘の広告につきましては、予想分配率のほかに税引き後の利回りや換金の際の手数料につきましても記載されておりますことから、特に問題があるとは考えておりません。
○枝野委員 経済企画庁にもおいでいただいています。お尋ねします。 こういった形で消費者に、私は誤認を与えると思うのですけれども、こういった広告に基づいて、多くの方はいろいろ引かれても少なくとも一%強ぐらいはつくんだろうなと思うのが普通だと私は思います。これで実際には〇・三九%しかつかない。それどころか、「換金自由型」と書いてありますが、一年以内に、例えば半年で解約をしたら元本割れになりますね。こういう広告で顧客を勧誘してよろしいのでしょうか。
○金子政府参考人 御指摘の広告につきましては、予想分配率、それから課税後の利回り、さらには換金の際の手数料及び消費税相当額についても記載しており、法的に特に問題があるとは考えておりません。
○枝野委員 法務省にも一通りまず聞いておきましょう。 民法では、詐欺は取り消せるということになっています。法的に詐欺に当たるなどと言うつもりはありませんが、詐欺を取り消しの事由にしている趣旨からすれば、こういった広告で勧誘をするということを見逃していいとは思えないのですが、いかがでしょうか。
○山本(有)政務次官 公社債投信のようないわゆる金融商品の販売の場合におきましては、通常、顧客は広告のみによって直ちに契約の締結に至るわけではなく、顧客に対する勧誘の過程におきまして証券会社等からさまざまな説明が行われているのが実情であると承知しております。 証券会社等の勧誘過程における説明の仕方が信義則に反するものであるかどうかにつきましては、当該金融商品の特性に照らし、勧誘過程における説明の全体をとらえて、顧客の投資目的、投資経験、商品知識等の要素をも総合的に考慮した上で判断されるべきものでありますから、広告の記載内容のみを取り上げて、直ちに信義則に反するかどうかについて申し上げることはできないと考えております。 ただ、要素の錯誤があればこれは無効である、先ほどの詐欺があれば取り消し、あるいは宅建業で重要事項の説明をする制度というような各種制度のありようから見まして、消費者にとりまして特にこの新聞が、一般的な個人個人、すなわち高齢者や年金受給者まで含められて対象となっているということを考えた場合に好ましい広告かどうか、少し疑問なしとしないというように思っております。
○枝野委員 大変踏み込んだ御答弁をいただいて、ありがとうございます。 今、契約締結過程全体を見なければいけないと。やってみました。ここに、申し込みたい人はフリーダイヤルで〇一二〇—〇八六—九七〇に問い合わせてくださいということがありましたので、直接やろうかなと思ったのですが、ちょっとそこは、直接やるのは下品かなと思ったので、うちの秘書に電話をしてもらいました。 非常に高い配当率が新聞に載っていたのですけれどもいかがでしょうか、こんな高くつくのですか、いろいろ引かれるのでしょうというふうに電話で尋ねましたが、この手数料の話などは一切向こうからは言ってこなかった。繰り返し繰り返しいろいろとこちらが誘導尋問をして、ようやく一年間では結果的に〇・五%以下になりますねという話を認めるまでに五分以上のやりとりをして、こちらが誘導して初めてそういう数字が出てきました。 私は、そもそも、取引の過程の中でこの手数料が実質一%分かかりますよということをきちんと説明をする意思があるぐらいだったら、こんなにでかでかと一・八〇%などという数字をど真ん中に広告で載せるというような、ある意味ではそれこそえげつない広告の仕方はしないのではないかというふうに思います。 先ほど三人の政府参考人の皆さんは、法的に問題がないというお答えの仕方をされました。現行法でこれを取り締まれないというのはそのとおりでありましょう。しかし、こういう広告を見逃していること、つまりこれによって、今政務次官からのお話の中でも、例えば年金生活者の方とかいろいろな方が挙がってきました。日経新聞を隅から隅まで読んでいる人だったら、この広告を読めばこういう細かいところは危ないなと気がつくのでしょうが、恐らく多くの消費者はそうではないでしょう。一・八%もつくのか、しかも野村かといったら、それ相応に信用するのじゃないか。 そういう形で、実は一年間では〇・四%ぐらいしかつかない、それどころか、換金自由と書いてあるのに、半年以内ぐらいでやめたら、いわゆる分配の方はつかないで手数料だけは同じようにつきますから、むしろマイナスになる。そういう事態に陥った人は自己責任だから仕方がないというふうに三人の政府参考人の方はおっしゃるのですね。順番にどうぞ。
○上杉政府参考人 私どもの所管しております景品表示法というのは、表示の虚偽といいますか、そういうところを規制いたしておりますので、それに該当しない場合には先生おっしゃったようなことになるのではないかと考えております。
○乾政府参考人 投資家が投資判断に必要な情報といいますのは、ここに書いてございますように、予想分配率、税引き後利回り、それから手数料、消費税等は書いてございますことから、特に問題はないと考えております。
○金子政府参考人 ただいま二人の政府参考人が答えたように、行政法としては問題ないと私は思っています。それから、司法の判断としては、これは司法で判断さるべきことだ、こう理解しております。
○枝野委員 金融監督庁にお尋ねします。 問題ないとおっしゃいました。つまり、だまされる方が悪いのですね。そういうことですね。
○乾政府参考人 だます、だまされないという問題ではございませんで、投資信託という商品を購入されます場合に、そこに書いてあります情報を、投信委託会社あるいは証券会社の方がそれを隠ぺいとか故意に書かないとか、そういうことであれば別でございますけれども、この広告に関する限りは、投資信託を販売する証券会社、投信委託会社として必要な情報はすべて提供されているわけでございますから、この広告としては特に問題がないということをお答えしたわけでございます。
○枝野委員 法的に問題はないというのはわかっていますよ。つまり、おじいちゃんもおばあちゃんも日経新聞たくさん読んでいるわけですよ。年金生活のおじいちゃんもおばあちゃんも、大学生も読んで、これを見て、手数料のところを気がつかないで、一%も引かれて、引かれてから気がついて、ああと言っても、それは気がつかない方が悪いとおっしゃっているわけでしょう、あなたは。そうですね。
○乾政府参考人 気がつかない方が悪いと言っているわけではございませんで、ここに必要な情報は書いてあるということ、そういうことから、この広告としては問題がないということを申し上げているわけであります。
○枝野委員 それは気がつかない方が悪いということじゃないですか。気がつかなかった人は、一・八%ぐらいつくと思っていたのに、下手すると一年以内だったら元本割れするのですよ。その人はどう考えたらいいですか。そちらの側から答えてください。 これで一・八つくのだと思って、こんな細かいところまで気がつかなかった人、いや、読んだとしたって、手数料だなんてどういうことかよくわからないですよ。一万口で百円だなんて、一%と書けばまだわかるのに、それで買った側の方はどうなるのですか。
○乾政府参考人 重ねてのお尋ねでございますけれども、投資家が判断をされるに必要な情報というものを証券会社、証券投資委託会社は提供する義務がある。この広告に関する限りは、それは提供されているというふうに考えているわけでございます。
○枝野委員 聞かれたことに答えてください。提供しているかどうかなんて聞いていないのです、法的に適法かどうか聞いていないのです。これを読んで、手数料のところまでよくわからなくて、少なくとも一・四四%ぐらいつくのだなと思った人はどうなるのですかと聞いているのです。
○乾政府参考人 まさにこの広告を読んで投資家が適正に判断されるべきだ。そこに間違ったことが書いてあったり、あるいは必要なことが書いてなければ別でございますけれども、この広告に関する限り、投資家に必要な情報が書かれていないといったことはないのだろうと思っております。
○枝野委員 結局は、こういう細かいところまで気がつかなかった人が悪い、その人が自分の意図と違う結果になったのは仕方がない、そういうことですね。そうお答えになるしかないのですよ、あなた、理屈からいったら。
○乾政府参考人 もうたびたびお答えしたとおりでございまして、投資家に、投資判断に必要な情報というのはここに記載されているというふうに考えているわけでございます。
○枝野委員 結局あなたのおっしゃっていることは、それは読めなくてここまで気がつかなかった人は損をしても仕方がない、少なくとも、思った意図が、成果が上がらなくても仕方がないということをおっしゃっているのと同義語だと言わざるを得ません。 先ほど来、お三方いずれも、法的に問題ないということをおっしゃいました。それぞれの三つの役所は、金融機関に対して行政指導をする権限はお持ちではないのですか。それぞれお答えください。
○上杉政府参考人 私ども、事業者に対しては、この法律に従うように要請する等の権限はございます。 そこで、ちょっと過去のことを申し上げたいと思うのでございますが、昨年の八月に、やはりこういった投資信託につきましては、リスクがある商品であるものが一般に売られるようになるということで、私ども調査をいたしまして、先生の御指摘のような、似ているんじゃないかと思いますけれども、そのときに行った調査の中で、口座管理料というものがかかるということを書いてないものがございました。そのような場合には問題があるというような考え方を示したところでございます。
○乾政府参考人 行政指導かどうかは別にいたしまして、私ども金融監督庁といたしましては、法令にのっとりまして、証券会社等が、投資家の判断に当たりまして誤った判断をされることのないよう、あるいは虚偽の表示を行うことのないよう、またそうしたことが行われた場合には厳正に対処をするということを常々対応しているところでございます。
○金子政府参考人 行政指導という定義がどういうことかはっきりしませんけれども、通常の意味でいえば、経済企画庁は行政指導をする立場にはないと思います。
○枝野委員 そうだと思います。公正取引委員会と金融監督庁が行政指導をこの場合はするべき所管庁だと思います。 そして、行政指導というのは、法令に違反をしているか違反をしていないかではなくて、行政目的にかんがみてこうすべきじゃないかと促すことでありますから、この広告が例えば景表法に違反をしていようがしていまいが、消費者、顧客に誤解を与える可能性があるのだとしたら、私は、実は行政指導を一般的には縮小させるべきだと思いますが、少なくとも現に公正取引委員会と金融監督庁は権限を持っているわけであります。 確かに手数料のことも記載があります。しかし、余りにも大きさがアンバランスだ。一・八〇はこんなばかでかく書いてあって、手数料の話はこんな小さく、しかも一万口当たり百円、要するに一%でしょう、一%引かれますよと書けばいい話ですよ。もうちょっとバランスよく書かないと、それは投資の専門家はわかるかもしれないけれども、素人はわかりませんよ、もうちょっと法の趣旨にのっとって誤解のないように広告はつくるべきですよというようなことを言ったらいいんじゃないですか。いかがですか、公正取引委員会と金融監督庁さん。
○上杉政府参考人 確かに私どもも、表示物全体を見て誤認するかどうかということでございますので、個別にこの表示が問題があるとかないとかいうことというのはちょっと差し控えさせていただいた上で一般的にお答えいたしましたので、もう一度精査いたしまして、そのようなことができるかどうか検討したいと思います。
○乾政府参考人 今の枝野先生の御指摘でございますけれども、議論は別にしまして、こういう御指摘があったことを証券業協会等に伝えていきたいというふうに思っております。
○枝野委員 法務省さん、いかがですか、今の議論を聞いていて。最終的には裁判所では民法で処理をされることであります。こういったことについては、最後は裁判所で、法務省の所管する法律でいくわけでありますが、少なくとも法をつくっていく側として、こういうことで被害に遭わないような法整備ということをきちんと考えていかないと、なかなか現場のところでは、とりあえず書いてあるからいいじゃないかという話になってしまっているようであります。いかがでしょう。
○山本(有)政務次官 先生の、弱者に対する配慮というものは大切なことと思います。他方で、もし、こういう書き方が他の投信の一覧表の中で同じように並べてある、しかも、それが専門家に対するメッセージであったということになれば、これはもう完全に合法、適切であるというわけでありますし、適宜適切にその場合の個別判断をしてまいりたいというように法務省としては考えております。
○枝野委員 では、最後になると思いますが、経済企画庁さん。 実は今、消費者契約法案が国会に、私たちの出している法案と政府案と両方出ております。こういう広告を出しているときには手数料のことをきちんと口頭で説明するというのは、今度の消費者契約法で法規制がかかるんでしょうね。少なくとも民主党案では、これはきちんと説明しないと取り消しの対象になります。いかがですか。
○金子政府参考人 三月七日に閣議決定をされました政府の消費者契約法案第四条第二項におきましては、 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。 こういう規定がされております。 したがいまして、事業者がその利回りの有利さのみを強調し、手数料等について故意に説明しなかったことにより、消費者が手数料等に関する不利益な事実が存在しないとの誤認をした場合にはこの第四条第二項の適用の場合となりますけれども、単に情報を提供しなかったというだけでは取り消しの対象にはなりません。
○枝野委員 まさにそこでして、故意に告げないということの意味がどこまでなのか。つまり、この広告を見たときに、この小さな文字というのは告げたということに果たして言えるのかどうかということなんだろうと思います。 先ほど申しましたとおり、うちの秘書に電話をしてもらったら、こんな高利回り何でできるんですかといろいろ聞いても、この手数料の話なんかは向こうから出てこなかったという現実があって、これは、もし例えば消費者契約法ができていて取り消しだなんだって裁判になったとしても、そういうやりとりがあったということは多分裁判所では立証できないでしょう。ちゃんと書いてあって、説明はしてわかっていると思いましたとおっしゃるんだと思います。 というようなことをちゃんとすくっていって、なおかつ、政務次官がおっしゃられたとおり、プロ向きのところはプロ向きで構わないわけですが、これが一般の、今や日本経済新聞も、経済のプロだけじゃなくてみんなが読んでいる新聞のところに載っているということは、速やかに対応をすべきではないだろうかということを重ねて申し上げて、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○武部委員長 北村哲男君。
○北村(哲)委員 民主党の北村ですが、この民事法律扶助法案についてお尋ねをしてまいりたいと思います。 この民事法律扶助事業というものは、今に始まったことではなくて、古く、昭和二十七年に設立された法律扶助協会によって実施され、今日に至っております。今回、この民事法律扶助法案が提出されたことについては、法律扶助の重要な一翼を担う弁護士としては、まさに昭和二十七年以来の念願というべき事柄であり、率直な感想としては、まあよくここまで来たという感じがいたします。 そこで法務大臣には、まず、今回の民事法律扶助法の制定の意義をお伺いしたいと存じます。
○臼井国務大臣 今委員御指摘をいただきましたとおり、民事に関する法律扶助制度は、民事紛争の当事者の裁判を受ける権利の実現を国が後押しをしようとする制度でございまして、資力に乏しい方々の弁護士費用等を立てかえてさしあげるものでございます。 法務省は、昭和三十三年度以降、補助金を交付するなどいたしましてその充実に努めてきたところでございますが、法制度化されていないなどのことから、国民の需要に十分こたえていないことや、全国的に均質な事業の遂行が確保されていないといった問題点を抱えておりまして、立法化の必要性がこれまで指摘をされてきたところでございます。 そこで、本法案におきましては、民事法律扶助事業の内容及び同事業に関する国、弁護士会等の責務を明らかにするとともに、同事業を行う公益法人を指定することができる制度を採用いたしまして、指定法人に対する補助を法律的に根拠を置くものとしつつ、同事業の業務、会計、人事について国の認可権限等を定めまして、同事業の適正な運営を確保し、その整備及び発展を図るものとしたところでございます。 この法律案は、今後の司法制度の基盤を築くものとして重要な位置づけを持つものと考えております。
○北村(哲)委員 今のお答え、まことに結構でございますが、日本国憲法の三十二条には裁判を受ける権利ということが規定してあります。すなわち、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」というふうに規定をしております。 私は、この民事法律扶助法の位置づけについては、現実に訴訟費用がないためにこの裁判を受ける権利が実質的に奪われている人たち、その人たちの権利を実質的に保障するという意味で法律扶助法を位置づけるべきと思いますが、そのお言葉がないようですけれども、その点については、大臣、御意見はいかがでしょうか。
○臼井国務大臣 今委員御指摘の点につきましては、現在私どもが法律化しようとしておりますこの民事法律扶助につきましては、その権利を保障するということでございますので、そういった憲法の問題とは一線を画されている、こういうことでもございます。
○北村(哲)委員 憲法の問題とは一線を画していると。そうすると、私が言った、これはやはり裁判を実現するんだという趣旨に沿ったものだというお答えを私はいただきたいと思うんですけれども、一線を画しているんですか。それはどうなんですか。
○臼井国務大臣 憲法第三十二条の裁判を受ける権利というものは、民事事件及び行政事件の場合におきましては、裁判所に訴訟を提起いたしまして、その裁判を求める権利を有するということと考えられております。裁判を受ける権利があることから民事法律扶助を受ける権利が直ちに導かれるものではありませんので、これを明示することが適当とは言いがたいものと考えております。 なお、先ほど申し上げましたように、本法案の第一条は、民事法律扶助事業が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つことを前提としているものでございまして、改めて裁判を受ける権利の実質的な保障に係ることを法文上に明示する必要はないと考えているのでございます。
○北村(哲)委員 この問題は出発点の問題でありまして、憲法上の権利性の実質的な保障ということの線に沿ってできており、また、将来的にはそういうものを肉づけしていくという法律のようにして育てなければ、僕はちょっとその辺の趣旨がはっきりしないような気がするのでこれ以上言いませんけれども、その流れの中にあるものだという位置づけをきちっとしていただきたいと思います。 それでは、私のように言うならば今法案を制定しようとすることの意味はわかるんですが、大臣の御趣旨からいうと、一体本法によってどういうことができるかということについて大臣の御意見を聞きたいと思います。
○臼井国務大臣 本法案は、まず、民事法律扶助事業に関する国、弁護士会及び事業主体の責務等を規定いたしまして、国及び事業主体は、統一的な運営体制のもと、全国的に均質な事業遂行の実現に努めるものといたしまして、弁護士会はその適正な運営の確保等に必要な支援をするよう努めるものとするなど、民事法律扶助制度につきまして国等が取り組むべき姿勢を明確にいたすものでございます。また、民事法律扶助事業の内容に、訴訟代理についての援助だけではなくて、裁判所に提出をする資料作成についての援助も含めることなどによりまして、国民が幅広く制度を利用できるものとなるのでございます。さらに、法律相談を簡易に受けられるようにするなど、国民の利便性を高めることが可能となるのでございます。 このように、法制定は国民の司法へのアクセスを一層広げるための基礎固めとして有意義なものと考えます。これに加えて、民事法律扶助事業の実施に当たりまして重点分野の設定や地域間のバランスを考慮した適正な事業計画を確保することができるなど、全国的に均質な事業を実施する体制を確立することができるものと考えております。
○北村(哲)委員 おやりになるようなことについては中身はよろしいのですけれども、今回は、法律の名前も民事法律扶助法案というふうになっております。現実に行われている法律扶助は、民事に限らず、刑事の問題、少年保護事件なんかの問題、あるいは行政事件とかそういうものもあると思うのですけれども、どうして今回の法案では民事に関する法律扶助に限定しているのでしょうか。
○山本(有)政務次官 民事に関する法律扶助制度は、民事紛争の当事者の裁判を受ける権利の実現を国が後押ししようとする制度で、資力に乏しい方々の弁護士費用等を立てかえてさしあげるものでございます。 かねてからその立法化の御指摘がございましたが、平成六年に設けられました法律扶助制度研究会の研究結果や昨年の司法制度改革審議会設置法案の御審議の際の衆参両院における法務委員会の附帯決議等を受けまして、その基本的枠組みを定める法律が緊急に必要であるとの認識に立って、今国会に本法案を提出させていただきました。この法案は、今後の司法制度の基盤となるものとして重要な位置づけを持つものでございます。 他方、刑事事件について申し上げますと、刑事被告人につきましては、法律扶助制度ではなく国選弁護人制度が定められ、法制度が既に構築されているところでございまして、被疑者につきましても、刑事手続は国が国家刑罰権の実現として本人の意思にかかわらず権限を行使して被疑者、被告人を刑事手続にのせるものでございますので、私的な紛争の解決を目的とする民事事件に比べまして、より迅速かつ確実に弁護人の選任等を行う必要がございますこと、さらに、被告人の国選制度と統一的、総合的に実施することが望ましいと考えられますことなどから、民事事件と異なり、必ずしも法律扶助になじむものではないと考えられております。 そこで、民事法律扶助事業に関し、刑事とは切り離して、先ほど御説明申し上げましたような緊急の必要性から所要の法律を制定することは十分に合理的なものと考えております。 以上です。
○北村(哲)委員 山本政務次官のお答えに対してですが、刑事被疑者弁護とかあるいは今当番弁護士みたいな、同じようなことでしょう、あるいはそれに準じた少年保護事件、これも刑事に準ずるのかどっちなのかわかりませんが、ともかく国家権力によって身柄を直接拘束なんかしますね。そうすると、これは国選弁護制度の中でそれを拡大するようなやり方で別建てでつくっていくべきだ、法務省としてはそういうお考えなわけですか。
○山本(有)政務次官 基本的には、憲法三十七条三項の「刑事被告人は、」云々という条文がございます。刑事事件においてはこのことが基本となろうと考えておりますし、先ほど申し上げましたように、国選弁護制度が既に長い実績と確立された法体系があるわけでございますので、その延長上で考えていくという委員御指摘の考え方が私は妥当だろうというように考えております。
○北村(哲)委員 それであるならば、民事扶助法よりももっと緊急性があるような気がするのです。もちろん、民事事件についても大事でありますけれども、刑事被疑者の問題は、まあ私ども普通の人たちがアメリカのテレビなんか見ていたら、あるいは映画を見ていたら、もう人が捕まればすぐ弁護人がすっ飛んでいくというふうなことが常識だと思われているのに、日本はまだ別である、しかも少年事件なんか別であるということで、しかも被告事件だけに限られているという点。 今もっと緊急なんだとおっしゃった、もっと緊急なものが取り残されて、今回この民事法律扶助法ができる。そうすると、国庫補助は民事だけに限られて、結局また取り残されてしまうということになりますね。これはどうされますか。しかも、それを自主的に、前と同じように人の寄附だとか無料奉仕とかあるいは弁護士会の奉仕活動で補完せざるを得ないような状態になっているわけですけれども、そのあたりの必要性とか緊急性とか、その点についてどういうふうにお考えなのか。
○山本(有)政務次官 誤解のないようにお願いしたい点は、刑事被疑者弁護が緊急性がないと申し上げているつもりはございませんで、法務省といたしましても、公的な被疑者弁護に関する現実的な検討が必要な段階に来ていると考えておりまして、司法制度改革審議会等における議論も踏まえつつ、現在、法曹三者、すなわち法務省、最高裁判所、日本弁護士連合会において行っております意見交換の場で、被疑者段階の刑事弁護に関連する諸問題について幅広く議論を進めていく所存でございます。
○北村(哲)委員 もう一点。そうすると、今までは、何もないところで国選弁護だけは曲がりなりにもあった、そのあとは全部法律扶助協会あるいは弁護士会が包含してすべてのものをやってきましたね。ですから、私は、法律扶助というものはそういうものを含めた全体に及ぶべきだという考えで、例えばイギリスのような例は、民事も刑事も一緒に法律扶助で包含しているのですね。そういうふうな形でとらえないわけですか、法務省としては刑事と民事を峻別されるというお考えなのですか。
○山本(有)政務次官 必ずしもそうとは申し上げておりません。基本的に、裁判を受ける権利と申しますのは、当事者訴訟を原則としまして考えれば、弁護士を必ずしもつけなくてもいいという結果になるわけでありまして、その意味では、実質的な三十二条の実現という意味は、私権を実現するための弁護士さんがいることによってより実現しやすいという意味を持つであろうし、さらには、戦後の新刑事訴訟法では、糾問主義に対抗する概念として当事者主義、その当事者としての被告人の地位を高めるという意味での弁護人というようなことを考えたときには、やはり弁護士さんが必要だというような両方の意味から裁判を受ける権利というものを考えるべきであって、そうしますとオーバーラップする、重なり合うところも当然あろうと思いますけれども、やはり裁判を受ける権利そのものを、民事においては積極的に私権を実現するというお立場が国民の中にあるということが前提で、刑事においては国家刑罰権というものの実現、こういうことになるように思いますので、おのずから私は本質が違ってくるように考えております。
○北村(哲)委員 この議論はこれぐらいにしまして、法務大臣、今の議論も踏まえてですけれども、法律扶助についてはさまざまな分野、先ほどもおっしゃいましたが、将来的な課題として法律扶助のあるべき姿、これについてどういうお考えか、お伺いしたいと思います。
○臼井国務大臣 今回提出をさせていただいております本法案は、その充実を図る緊急の必要性がある民事法律扶助事業につきまして、その基本的な枠組みを定めるものでございまして、将来的な法律扶助のあるべき姿といったものにつきましては、今後の司法制度のあり方とも密接にかかわるものでございますので、司法制度改革審議会におきまして今後幅広に御検討をいただくべき事柄であろうかと考えております。 私ども法務省といたしましても、同審議会でもこの点が審議される場合には、積極的に協力をいたしてまいりたいと考えております。
○北村(哲)委員 この法律扶助の定義の中で、法律扶助を受ける人の対象に珍しいことが書いてあるんです。 第二条には、「この法律において「民事法律扶助事業」とは、裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続において自己の権利を実現するための準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない国民若しくは我が国に住所を有し適法に在留する者又はその支払により生活に著しい支障を生ずる国民等を援助する」云々とありますが、対象を、資力のない国民というのは今の段階ではそれなりにいいと思うんですが、「我が国に住所を有し適法に在留する者」というふうに限った趣旨はどういうことなんでしょうか。
○臼井国務大臣 外国人に対する民事法律扶助につきましては、これまで、扶助に係る事件が終結をいたしまして、立てかえ金の償還が完了するまで適法に我が国に居住することができる場合には、国民と同じく、資力に関する要件や勝訴の見込みに関する要件等のもとに扶助が行われてきております。 民事法律扶助法案におきましては、扶助の対象としての外国人につきまして、明文の規定を定め、現行の取り扱いと同様、我が国に生活の本拠を置き、適法に在留する者までを対象としまして、国民と同様に、資力に関する要件や勝訴の見込みに関する要件等のもとに援助を行うことといたしております。 これは、民事法律扶助事業が限りある財源のもとで資力に乏しい者を扶助しようとする社会福祉的側面を持つものでございますから、国民の理解を得て限りある国費を投入するという観点からは、国民及び国民と同様の扱いをすべき者に限定するのが相当であり、不適法に我が国に在留する者までを対象とすることは相当でないと考えているからでございます。
○北村(哲)委員 適法に在留しない者というのは、この委員会でもしばしば、またほとんど常に問題になっておりますオーバーステイの人たちが入ると思うんです。今全国で二十五万人とも言われるオーバーステイの人たちがいると思われます。これは要するに在留期間が過ぎたというだけで、いろいろな意味で社会的な貢献をしているし、税金を納めたりしている、そういう人たちをらち外に置くということは問題ではないかというふうに思います。 しかも、オーバーステイであっても、例えば難民認定をして適法に変わる人もいます。あるいは、在留特別許可を得られて適法になる人もいます。そういう人たちがいるにもかかわらず、こういうふうに一般的に除外することがいいかどうかという問題が一つあります。 それから、そういう人たちであっても、交通事故に遭ったり、あるいはまた直接在留許可を争う裁判だってあるわけですから、そういう人たちに対して扶助を与えないというのは、そのほかの適法に在留する外国人は入れて、そうじゃないという基準が、基準ははっきりしているんですけれども、実質的に見て私は法のもとの平等に反するのではないかというふうに思いますけれども、大臣、お考えはいかがでしょうか。
○臼井国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたような理由で、法制度としてそのような外国人の方々を含めるというのは困難であるというふうに考えておりますが、もっとも、本法案に基づく指定法人というものは、民事法律扶助事業以外に、定款または寄附行為で定める目的の範囲内で自主的な事業というものを行うことができるわけでございまして、指定法人が自主的な財源に基づき本法案の要件を満たしていない外国人に扶助を行うということは可能であろうかと思っております。 また、当局に在留することは認められなかった者でございましても、在留資格に関する当局の行政処分を争う訴訟におきまして、裁判所によって適法に在留する者である旨判断がされた者につきましては、当局が処分をいたしましたその時点において適法に在留する者に該当する者であったと考えられるのでございます。それゆえに、扶助の決定をする時点で当局から在留することは認められていなくても、在留資格に関する当局の行政処分を争う訴訟を提起したならば、過去の裁判例等に照らしまして、裁判所が当局の当該処分を否定し、適法に在留する資格がある旨を判示するものと認められる場合におきましては、適法に在留する者として扶助の対象となる場合もあると考えられます。
○北村(哲)委員 いろいろな例があって、必ずしも適法に在留する者か否かということは、場合によっても違うようなことを言われましたけれども、では、この判断あるいは基準というのはどこで決めるのでしょうか。
○横山政府参考人 我が国に住所を有し適法に在留する外国人に当たるか、これは指定法人が扶助の申請を受けて、その都度判断することになると思います。 そしてまた、この判断の基準に関しましては、指定法人の行為準則である業務規程の中に書き込まれることになるというふうに考えております。そしてまた、これを法務大臣が認可するという形になっております。 したがいまして、指定法人がその都度この要件に当たるかどうか判断することになる、そのように考えております。
○北村(哲)委員 ちょっと今の点、もう一回聞きますが、そうすると、指定法人にある程度任されておるというか、この法律の趣旨もあると思うのですけれども、特に在留許可を争うとか、あるいは別の許可、難民認定をするとか、そういう問題については微妙で、場合によっては入ったり入らなかったりということを指定法人が決めるということを今聞きました。それを一つ、まず聞きたいと思います。そういう理解でよろしいのですか。
○横山政府参考人 適法に在留する者に当たるかどうかにつきましては、その都度指定法人が判断することになりますけれども、これはもとより法的な判断でございますので、指定法人が法的に見て専門的な観点から判断することになる、このように考えております。 それで、原則としましては、当局が我が国に在留することを認めている者が適法に在留する者に該当すると考えておりますが、先ほど大臣がお答えしましたような、当局の在留資格に関する行政処分を争う訴訟、このような場合において、この訴訟において訴訟の帰趨がどうなるか、勝訴の見込みがあると言えるかどうか、行政当局の判断が覆される可能性があるかどうか、これはまさに法的な判断でございまして、過去の裁判例あるいは当該事案に関する事実関係等に基づきまして、当該指定法人において専門的な観点から判断することになろうかと思います。また、そういう可能性が高いと言えるのかどうか、そういうところを法的な観点から判断する、そのように考えております。
○北村(哲)委員 要するに、勝つ見込みがある、特に在住の問題に関する争いは、勝つ見込みがあるならば事前に法律扶助をすることができるんだということですね。 そうしたら、少し観点を変えて、本当に交通事故に遭ったとかあるいは業務災害を受けたとかという場合に、労災だとかそういうものについては当然国の保護を受けているのにもかかわらず、法律扶助だけはだめだとおっしゃる。しかも、このオーバーステイの人たちは、外国に来て、非常に問題が大きい、また特に三Kの仕事をしておったりして、多くの事件を起こすというグループというか人たちなんですよ。その人たちは、本当に法律扶助協会にも弁護士の世界にも駆け込んで助けを求めてきている。それをここでばっさり切るというのは、確かに大臣のお答えだと限りある国民の税金を違法に在住する人に出すのはよくないというふうにおっしゃいますけれども、しかし、形式違反とは関係ない世界で実質的に侵害を受けた、日本で侵害を受けたならば、これはそこで救ってあげたい、そこで対象にした方が私はいいと思うんです。 じゃ、今回この問題でこの法案に反対するのかというふうになると非常に悩ましいところですけれども、そこのところは何か前向きに考えることはできないんでしょうか。
○横山政府参考人 法制度としての法律扶助を、外国人の方々、どの範囲で含ませるかという問題として考えましたときには、やはり先ほど大臣がお答えしましたような理由から、なかなか不適法な方まで扶助の対象にするのは難しいと考えています。 御案内のとおり、昨年、出入国管理法等の改正によりまして不法在留罪まで設けて適正な出入国管理を図ろうとしているにもかかわらず、一方で不適法に我が国に在留する者までを対象とすることは、公費でそういった不正行為を助長することにもなりかねない、そういう問題もあります。 それで、ただいま委員御指摘のような問題につきましては、結局、一つは、指定法人の定款または寄附行為の定める目的の範囲内で自主的な事業として扶助を行うことができますので、実際にまた現在も、現行の扶助事業でもそのような取り扱いが認められている、行われていると承知しておりますので、そのあたりで対応することが可能なのではないかというふうに考えております。
○北村(哲)委員 確かに理屈で、不法在留罪をつくったからその人たちを片っ方で救うのはおかしいと言うけれども、これはもう法の目的が違うんですから、そんなことを言ったら労災だって何だってみんなだめですよ。けがをした人が日本のお医者さんに、国立病院にかかったってだめですよ。 この問題は、ある弁護士の人たちが、本当に献身的に死に物狂いで助けておるグループがあるんですよ。だから、そういうものについてそういうふうにほうり出すんじゃなくて、やはり立法的に解決する。またしかも、これは法理論でだめなんじゃないんです、ただの政治判断なんですよ。含めたってちっともおかしくない。それがまさに、労災適用を受けるとかそういう問題も、確かに一時は問題になったかもしれないけれども、既に堂々と受けさせている。やはり人としての尊厳というのを守ってあげる、尊重するという精神だと思います。 諸外国の例だって見てください。恐らく、さまざまあると思います、外国の例がすべてじゃないと思いますけれども、私は政治判断と思うので、これはあなたに言ってもしようがない、大臣ですよ。やはりこういうものを含めてお考えになるべきだと思いますけれども、どうでしょうか。
○臼井国務大臣 例えば、オーバーステイの方々に対しても、今委員御指摘をいただきました労災等の問題がある場合には、在留特別許可の要件に当たらなくても、そうした問題が解決するまでは在留を認めるというふうなこともいたしておりますし、そういった意味ではいろいろな面の配慮はいたしているところでございます。 一方、先ほど来私どもがお答えをいたしておりますとおり、この民事法律扶助につきましては、限られた財源の中で国民の税金を使ってやるという中で、いろいろな要件というものも考えていかなければならないというふうに考えておりまして、今まで御報告をいたしましたようなことにさせていただいているのでございます。御理解をいただきたいと思います。
○北村(哲)委員 私は理解できない。これはやはりもう少し考えて、前向きに考えていくべきだという問題だと思います。 ぜひそのあたりは、これからもこういう、まさに外国人と日本人を差別するようなことをなくしていく方向で実質的に保障するという考えをとっていきたいと思っております。 それでは、次の問題に移ります。 今回の法案の第三条一項ですけれども、「国の責務」として、「民事法律扶助事業の適正な運営を確保し、その健全な発展を図るため、民事法律扶助事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行のために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、その周知のために必要な措置を講ずるものとする。」とされております。 この「国の責務」とは何か、これをわかりやすくというか、その趣旨をまず大臣にお伺いしたいと思います。
○山本(有)政務次官 民事法律扶助事業は、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持ち、我が国の司法制度の充実に寄与する公共性の高いものでありますから、その公共性を維持、確保し、司法制度の基盤としてふさわしい発展を遂げるために、国はその整備、発展に努めるべきものと考えられます。 ところが、従来その位置づけが明確ではなかったので、国の責務を法律において明確に規定することが民事法律扶助事業の整備、発展に向けた国の諸措置を講ずる上で極めて重要なものとなります。 そこで、国は、民事法律扶助事業の適正な運営を確保し、その健全な発展を図るため、同事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行のために必要な措置を講ずるよう努めるとともに、その周知のために必要な措置を講ずるものとする規定を設けたものでございます。
○北村(哲)委員 続けてお伺いします。 そうすると、具体的な措置とは一体どういう措置をお考えなんでございますか。
○山本(有)政務次官 まず第五条の指定法人の指定、そして第十五条等のこれに対する監督、そして第十一条の補助金の支出等ということを想定しております。
○北村(哲)委員 骨組みとしては、まさにそうだと思います。そういう条文になっていると思うんです。 ところで、同じこの三条には、片や国については措置を講ずるといいながら、二項では、地方公共団体は「必要な協力をすることができる。」とあります。この「必要な協力」とはどういう協力なのか。そして、地方公共団体とは一体何を指すのか。すなわち、都道府県なのか市町村まで含むのか、このあたりはどのようなお考えで規定してあるんでしょうか。
○横山政府参考人 まず、法案三条二項の地方公共団体の協力の方についてお答えいたします。 民事法律扶助事業は、地域社会における住民福祉の向上に寄与するものでありますから、地方公共団体がその地域において行われる同事業に必要な協力をすることができることは、地方自治法二条三項九号の公共事務、これは自治事務であります、この趣旨に沿うものと考えられ、現に多数の地方公共団体がその協力をしているところであります。そして、地方公共団体が住民福祉の観点からこの事業に協力しますことは、国の措置と相まって、司法制度の充実に一層寄与するものと考えられます。そこで、本法案におきましては、地方公共団体が民事法律扶助事業の実施のために必要な協力をすることができる旨を明確にする規定を設けたものであります。 そこで、本項に規定します「必要な協力」とは、地方公共団体がその地域住民に民事法律扶助事業の実施主体を紹介すること、それから、事業の実施主体に対して、法律相談の実施場所の便宜を供与し、または補助金、寄附金を交付すること等、同事業の整備、発展に役立つ活動が考えられます。 次に、法案四条一項の弁護士会の支援の点について御説明いたします。 弁護士は、基本的人権の擁護と社会正義の実現に努める使命を負っております。これは弁護士法一条一項、御案内のとおりでございます。そして、司法の重要な一翼を担う存在でありますことなどから、弁護士、弁護士会及び日本弁護士連合会は、資力に乏しい者に対し、訴訟活動等を通じた法的援助を行うことによって、その使命を果たすよう努める責務を負うものと考えられます。 そして、民事法律扶助事業をより一層充実したものとするためには、弁護士会等が以上のような責務に基づいた具体的な支援措置を講じていくことが不可欠でありまして、そのためには、従来必ずしも位置づけが明確でなかった弁護士、弁護士会等の責務を法律において明確に規定することが必要でありますので、本条の規定を設けたものであります。 このような見地から、この四条一項の弁護士会の支援の具体的内容について見ますと、法律扶助事件、これは訴訟代理や法律相談等ですが、これを受任する弁護士、扶助事件とすべきか否かの審査に当たる弁護士など、民事法律扶助事業の実施に必要な相応の数の弁護士を安定して確保する協力体制を充実させることを中核としまして、施設の提供等の物的な負担、その他財政的支援に努めること等も幅広く含まれると考えられます。 以上でございます。
○北村(哲)委員 そうすると、今の、例えば財団法人法律扶助協会は東京に本部があって、高裁の、全国八カ所ですか、地区協議会があって、そして各都道府県、恐らく地裁でしょうけれども、そこに支部がある、そういう組織になっていますね。だから一番下の組織が支部、県単位になっているんですけれども、この地方公共団体というのは、それに限らずすべての市町村まで及ぶというふうに考えてよろしいんですか。
○横山政府参考人 地方公共団体の範囲といたしましては、そのように理解しております。
○北村(哲)委員 それでは、どういう人を法律扶助事業の対象にするかということで、一般的に書いてあるのは資力に乏しい人を対象としておるようですけれども、具体的にはどういう人が資力がないと言うのか。例えば、訴訟をする場合に、訴訟追行をする力がないというのは、かなりのお金持ちであったって、大きな訴訟をするとき、医療訴訟なんかしようとしたらとてもそんな訴訟をする資力がないんです。さまざま個々具体的に事情も違うということも考えられますけれども、一くくりにして資力の乏しいということを対象としているというのは、どのような基準でどのような人たち、そして現実にどのぐらいの国民層があるのか、その点についての説明をお願いします。
○山本(有)政務次官 現在の民事法律扶助事業におきましては、全世帯の下からおよそ二割の所得層を扶助の対象としておりますが、本法案に基づく対象といたしましても、基本的には現行と同様の所得層を考えております。 なお、現行の資力基準につきましては、三人家族で手取り月収二十七万二千円程度となっております。
○北村(哲)委員 今のお話は今まで財団法人法律扶助協会がつくっておった基準だと思うんですけれども、それをそのまま踏襲されるわけですか。
○山本(有)政務次官 基本的には踏襲するわけでございますが、今のところ年間約一万件の扶助事件でございますけれども、その層といたしましても潜在的に四万件の需要があると見込まれておりますので、その基準でもかなりの増加が見込まれると考えております。
○北村(哲)委員 現状、出発はそういう感じ、一つのくくり方の問題だと思うんですけれども、裁判を受ける権利が奪われるのは何も低所得層に限らない。裁判をするというのはさまざまな目的がありますよね。行政訴訟の問題もありますし、医療過誤の問題もあるし、さまざまの問題があります。こういう別の観点から、この範囲を広げようという議論というか考え方というのはあるんでしょうか。 あるいはもう一つ、二番目に、個人に限らず法人も扶助の対象にしたらどうだ。倒産に瀕した零細企業なんかは非常に困っているということもあります。そういう考え方。 あるいは、訴訟費用というのは、何も低所得層ができないのじゃなくて、先ほど言ったようにだれでもお金がかかる。山本有二さんによく似た山本有三さんに「路傍の石」というのがあります。あそこでも主人公のおやじさんが訴訟に明け暮れているという日本の黎明期の社会の姿が出ているんですけれども、そういうところに広げていくというか、そういう考えというのは将来構想としてあるんでしょうか。
○横山政府参考人 先ほど法人は対象になるのかという問題がございましたけれども、本法案は、先ほど大臣がお答えいたしましたとおり、従来重ねられてきました検討の結果を踏まえて、緊急の必要性に対処するため、その制度上の基本的な枠組みを定めるものであります。 我が国の民事法律扶助事業はこれまで、資力に乏しい個人に対して訴訟代理費用の立てかえ等の援助を行ってきたものでありますが、近年の社会経済情勢等を反映しまして増大している個人の需要に十分対応し切れていないなどの事情から、本法案は個人を対象として制度の整備を図ろうとするものであります。 近時、経済活性化の見地等から、法人、特に中小企業等を対象とすべきではないかとの指摘も見られ、私どもとしましても重要なものとして受けとめておりますけれども、この問題は、法律扶助のあり方そのものにもかかわってきますので、今後高い見地から幅広に検討されるべき事柄ではないかと思っております。 また、事案の性質等によって、弁護士費用等が特に多額に上るため、その一時的負担が困難になる場合もあるではないか、こういう場合はどうするのかということでございますけれども、やはり現行の民事法律扶助事業は、生活保護受給者層を中心に、全世帯の下からおおよそ二割の所得層を対象としておりますけれども、このような方々の需要に対しても十分対応できていない、こたえ切れていないのが現状でありますから、まず、これらの方々に対する需要にこたえることが重要であると考えておりまして、本法案でもそういった方々を念頭に置いているところであります。 現在の民事法律扶助事業の資力要件の認定は、所得の面が中心ではありますけれども、それにとどまらず、資産等も含めた総合的な判断となっておりますので、そのような総合的判断に基づいて一定の基準を上回る資力があるとされた場合でありながら訴訟等に要する費用の一時的負担が困難であるという事態は考えにくいのではないか、これは信用等も含めて考えることができるのかな、こう思っています。したがいまして、一定の基準を上回る資力があるとされた方が生活保護受給者層またはこれに準ずる層に当たる、そういうような場合、やはり総合的に判断してそのような場合に当たるかどうか検討していく必要がある、こういうように思っております。
○北村(哲)委員 大臣に御感想を聞きたいのですけれども、扶助の対象をもう少し、今のように低所得層だけではなくて、まあ低所得層でいいのですけれども、もっと拡大していこうというふうなことについては、そういうお考えというか、そういう考え方でとらえていくということについてはどのようにお考えでしょうか。
○臼井国務大臣 ただいま御答弁を申し上げましたとおり、現状においてもまだ、法律扶助の対象とされる方々について需要に十分にこたえ切れていないというのが現状でございまして、何よりも、こうした方々に対する要望にこたえていくことが第一であると考えておりますが、なお民事法律扶助制度につきましては、その重要性にかんがみますと、今回の改正以後におきましても、その成果等を十分踏まえつつ同制度の整備及び発展を図ってまいらなければならない、こう考えております。
○北村(哲)委員 先ほど山本政務次官が、法律扶助の潜在需要者が年間で四万人ぐらいというふうに言われましたが、確かに一つの推定ではそういう数字も出ております。それと今回の二十一億円という予算。それは、今大体現実には一万人ぐらいが年間対象になっているようなんですが、それで予算規模が三十億ぐらいなんですね。三十億ぐらいで推移しているように私は記憶しているのですけれども、二十一億円をそれに加えて五十億ぐらいになることに計算はなるのか、その中で四万人という人を対象にしていくというふうな考え方になるのか。どういうふうな形でこの今回の予算というのは組み立ててあるのか、考え方についてお聞きしたいと思います。
○横山政府参考人 まず、予算の点でありますけれども、近年非常に扶助の需要が増大してきているということで、この需要の増大に伴いまして、国も扶助関連予算の大幅な拡充を図ってきたところであります。具体的には、昭和六十三年度には約八千四百万円であった補助金等の額が、平成十年度には約四億一千六百万円、本年度は九億一千三百万円、さらに十二年度予算では二十一億八千百万円となっているところであります。 これは、扶助の事業費の補助金が中心になっておりまして、扶助事業に充てられるお金は、立てかえたお金が戻ってくる償還金もございます。したがいまして、現在は、予算規模は、補助金の額等は例えば平成十年度で四億一千万円ぐらいでありますけれども、事業規模としては十数億円、十七、八億円でしょうか、そういう償還金も入れますと、より大きいものになっております。また、十二年度、二十一億八千万円ほどになりますと、事業規模としては、すぐに立てかえたものは戻ってきませんので、すぐに大きくなるとは思いませんけれども、事業規模そのものは、償還金を入れますと三十億台ぐらいまでには乗るのかな、こう思っております。 それで、こういう予算措置で、今数字が出ております潜在的需要、これはアンケート調査の結果等を踏まえた計算上の潜在需要というものでありますけれども、これが一つの指標として出ておりますが、これを十分賄えるのかということでありますけれども、御指摘の需要予測と現実の扶助決定件数に非常に乖離が生じております。この要因には種々のものが考えられますけれども、民事法律扶助制度の存在そのものが国民に十分知られていないという問題が大きな要因の一つとなっていると考えております。 そこで、今回、十二年度予算におきましては、民事法律扶助制度を広く国民の方々に知っていただくための広報宣伝に努める、そのための予算を計上していただいておりますし、また、この法案に基づきまして、いわゆる相談登録弁護士制度の導入といったアクセス網の整備にも努めることとしております。平成十二年度予算では、これらのアクセス網の整備を含む新制度が十月一日から施行されることを見込みまして民事法律扶助決定件数の予測をしておりまして、これで十二年度は対応できる、このように考えているところでございます。
○北村(哲)委員 確かに、予算の流れを見れば、飛躍的にグラフは上がっていると思うのですけれども、しかし、逆から見ると、まだまだ緒についたばかりだというふうな感じもします。 それで、確かに予算規模も上がっているのですけれども、扶助の対象になる件数も飛躍的に伸びていると思うのです。この二十一億円の予算というものの内訳といいますか、扶助事業が中心という言い方をされたのですけれども、もう少し詳しく言っていただきたいと思うのです。
○横山政府参考人 平成十二年度民事法律扶助事業の予算について、扶助事業関係予算の合計額は、先ほど来出ておりますように二十一億八千百万円でございます。これは前年度、本年度ということになりますけれども、当初予算額と比較しまして十五億七千万円の増、二五六・九%増というふうになっております。 その内訳は、一般の扶助事件を処理するために直接必要な経費についての補助金としまして十六億五千三百万円、これは前年度比十一億八千万円増、二四九・九%増でございます。それから法律相談補助金としまして一億五千九百万円、これは前年度比五千九百万円増、五九・一%増ということでございます。それから調査費補助金として二千百万円、それから書類作成援助補助金として新規に一千万円、それから事務費補助金としまして新規に二億九千九百万円をそれぞれ計上しまして、民事法律扶助事業の拡充を図りますとともに、本制度を広く国民の方々に知っていただくための広報宣伝委託謝金として三千三百万円、これは前年度比三千万円増、八二三・四%増という数字になります。それから、国の指定法人に対する監督権の適正な行使等に必要な経費として、新規に六百万円を計上しているところでございます。
○北村(哲)委員 今の考え方で、ことしあるいは来年、どのくらいの人が扶助の対象になるかという予測はしておられますか。
○横山政府参考人 この予算を積算する上での私どもが予測している件数といたしましては、約一万八千件程度を考えております。
○北村(哲)委員 そうすると、先ほど潜在的な需要者四万人ということの半分にも満たないのですけれども、それはどういうことになりますか。
○横山政府参考人 先ほど御説明いたしましたとおり、四万二千件という数字は、法律扶助制度研究会の方でアンケート調査を二つほど平成八年に行っております。そのアンケート調査について一定の計算をして出した需要予測でございます。 実際にどうかということになりますと、やはりこれは、それぞれの方々がいろいろ生活を抱える中で、さあ訴訟をどうするかということになってまいります。また、もちろん周知を図るためにいろいろ広報いたしますけれども、新しい制度になって、潜在的に計算上四万二千件ほどが出ているということで、これがそのままどっと扶助に流れ込む、そこまではならないのではないか。 私どもとすると、いろいろ需要はかなり急激に伸びてきておりますけれども、そういう過去の事件の伸び等も考慮に入れまして、平成十二年度は先ほど述べたような一万八千件ぐらいの数字かな、こういうふうに予測をしているところでございます。
○北村(哲)委員 質問を終わりますけれども、それではせっかくの数字も余り意味がなくて、いや、意味がないというかどうか知りませんが、ことしの倍を対象にしているというぐらいですよね。それはまたこれからの実績を見て、ひとつ大いに飛躍的にふえるということを期待しまして、きょうのところは質問を終わりたいと思います。
○武部委員長 木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫です。民事法律扶助法案について質問をいたします。 最初に、民事法律扶助法案並びに扶助事業の意義、目的と憲法上の根拠についてであります。 法務大臣の趣旨説明にも、この法律案は、民事に関する法律扶助制度が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つと述べられております。まさにそのとおりだと思うのです。 ところが、先ほど大臣は、憲法の裁判を受ける権利とは一線を画すという御答弁をされましたが、それはちょっと違うのではないか。趣旨説明で述べられたとおり、民事法律扶助の憲法上の根拠は、やはり憲法三十二条の裁判を受ける権利にあるのではないか。憲法三十二条を読みますと、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」と。この裁判を受ける権利を実質的に保障するものだ、そういう位置づけなんじゃないのでしょうか。改めて、念のため確認しておきたいと思います。
○臼井国務大臣 先ほどからお答えをいたしておりますとおり、民事法律扶助制度というのは、資力に乏しいがために弁護士費用等を支払うことができない、自己の権利を裁判等を通じて実現することが困難な国民に対して、弁護士費用等の立てかえ等の援助事業を行うものでございまして、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持っておるのでございます。 そして、このことは、司法手続における審理の充実や迅速化に資するとともに、国民の司法へのアクセスを容易にするなど、司法制度の充実に寄与する公共性の高いものとして位置づけることができまして、民事法律扶助の整備及び発展を図ることは、国民がより利用しやすい司法制度実現に資するものとなることを意味しております。 したがって、本法第一条は、民事法律扶助事業が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つことを前提として、同事業が司法制度の充実に寄与する公共性の高いものであることにかんがみ、国民がより利用しやすい司法制度の実現に資することを目的とすることをあらわしているものでございます。
○木島委員 大臣認められましたように、本法は、民事に関する法律扶助制度が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つということを前提にしておられる。それなら、なぜ本法の第一条の「目的」の欄に、裁判を受ける権利を実質的に保障するためという文言を書き込まなかったのか。大事な文言だと思うので、まさにその意義の部分を目的条項の中にきちっと入れるというのが法の趣旨を鮮明にすることではないか。なぜ入れなかったのか。殊さらにその言葉を脱落させたのだとすれば、その理由は何か。大事なところだと思いますので、御答弁願います。
○臼井国務大臣 いわゆる憲法第三十二条の裁判を受ける権利というのは、民事事件及び行政事件の場合においては、裁判所に訴訟を提起してその裁判を求める権利を有することを意味するものと考えておりまして、裁判を受ける権利があることから民事法律扶助を受ける権利が直ちに導かれるものではございませんので、これを明示することが適当であるとは言いがたいものと考えております。 なお、本法律案第一条の「目的」は、民事法律扶助事業が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つことを前提としているものでございまして、改めて裁判を受ける権利の実質的な保障にかかわることを法文上に明示する必要はないと考えたのでございます。
○木島委員 どうもその理屈は、全然わかりません。 法務省の担当官も参加して、ずっと法律扶助制度研究会が続けられておりました。そして、平成十年三月二十三日に報告書が作成され、広く発表されております。その中に、「第二 法律扶助の理念 一 法律扶助の意義 (二) 憲法上の根拠」というところに、こうあります。「法律扶助制度は憲法第三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する制度であり、この制度の整備、充実は、憲法第二十五条(生存権)、第十三条(個人の尊重、幸福追求権)、第十四条(法の下の平等)の趣旨に適合するものである。」と。 やはり、この制度の根本は憲法三十二条から生まれてくると、法務省の皆さんが全部入って研究したこの結果報告書にもきちっと位置づけているわけですから、私は、この文言を本法の第一条に高く掲げるということをなぜやらないのか、全く理解できないのです。ちょうどこれは、情報公開法で知る権利という言葉を入れることを拒絶し続けてきた政府の態度を思い出さざるを得ないのですよ。それで聞いているのですよ。
○横山政府参考人 民事法律扶助制度が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つということと、裁判を受ける権利の内容として何が含まれているのかということは、これは区別する必要があるのではないかと考えております。 裁判を受ける権利につきましては、先ほど大臣がお答えいたしましたとおり、民事あるいは行政の裁判についていいますと、裁判所に訴訟を提起する、そして裁判を求める権利、これが裁判を受ける権利の中核でございます。 民事法律扶助事業といいますのは、この民事裁判の手続に対しまして国民のアクセスを確保する、そして、国民が司法をより利用しやすい制度として、司法制度の基盤をなすもので非常に重要だ。そういうようなところから、その機能面から、これは裁判を受ける権利を実質的に保障する意義があるということでございます。その意義があることと、裁判を受ける権利の内容そのものになるというのは区別する必要があるのではないか、このように考えております。
○木島委員 全然理屈がわかりません。裁判を受ける権利を実質的に保障する意義があるというのなら、「目的」の欄に裁判を受ける権利を実質的に保障する目的で本法をつくるんだと。意義という言葉と目的という言葉を区別する理由、全然答弁になっていないです。これは私は修正した方がいいのじゃないかということだけ指摘して、時間がかかっても仕方ありませんから、では一点だけ指摘しておきましょうか。 平成五年六月二日に当法務委員会理事会で法律扶助に関する申し合わせということをやっております。「法律扶助に関する申合せ 法律扶助制度は、資力に乏しい人々に対し、憲法に定められた国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するために欠くことのできない重要な制度であり、その充実、発展が望まれるところである。」当委員会の理事会は、何も目的と意義を区別して論を立てるなんということはやっていないわけでありまして、この当法務委員会理事会の申し合わせの延長線にこの法律があるのであれば、私は、第一条の「目的」欄にしっかりと憲法上の根拠、裁判を受ける権利を実質的に保障するためであるということを書き込んでいただければよかったということを申し上げまして、次の点について質問いたします。 法律扶助事業の対象についてであります。 先ほども同僚委員から質問がありましたが、本法は民事法律扶助法案ですから当然民事事件についてのみの法案ですが、なぜ法務省が今回刑事事件の起訴前弁護や少年審判事件の付添人に対して法的扶助を与える法案を出さなかったのかという点について、改めて私からも聞いておきたいと思います。 実は、法律扶助協会が昨年の十一月一日に司法制度改革審議会の佐藤幸治会長に「法律扶助制度の拡充に関する要望」というのを出しているのは、法務大臣も法務省も篤と御存じのことと思います。 三項目の要望ですが、その第二項目は、「起訴前の刑事被疑者への弁護活動に対する、国費による援助の制度化について 現行の刑事国選弁護と並んで、起訴前の被疑者のための弁護活動を国費により行えるよう、立法化をご検討ください。」という要望事項であります。 その中身は、先ほど山本政務次官から答弁のように、憲法第三十七条三項は「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。」と規定しておる。ところが、被疑者については国選弁護の規定は置いていない。そこで、法律扶助協会は自主的にみずからの財力でこれをやってきているわけであります。大変立派な活動をやってきているわけです。 財団法人法律扶助協会は、日弁連と各地の弁護士会の支援を得て、刑事被疑者弁護援助を全国支部で実施しており、平成十年度における実績は三千六十五件、支出した金額は二億六千三百七十万円となりましたが、年々増大する申請にこたえるためには財政は限界に達しております、そこで、国の補助制度をお願いしたい、こういう実績に基づく切々たる要求があったわけですが、なぜ今回この部分について法制化しようとなされなかったのか、改めてお聞きしたいと思います。
○臼井国務大臣 民事に対する法律扶助制度は、民事の紛争の当事者の裁判を受ける権利の実現を国が後押しをしようとする制度でございまして、資力に乏しい方々の弁護士費用等を立てかえてさしあげる制度であるということは申し上げました。 かねてからその立法化の御指摘はございましたけれども、平成六年に設けられました法律扶助制度研究会の研究結果や、昨年の司法制度改革審議会設置法の御審議の際の衆参両院における法務委員会の附帯決議等を受けまして、その基本的枠組みを定める法律が緊急に必要であるとの認識に立ちまして今国会に本法案を提出させていただいたのでございます。この法案は、今後の司法制度の基盤となるものとして重要な位置づけを持つものであると考えております。 他方、刑事事件について申し上げますと、刑事被告人につきましては、法律扶助制度ではなく国選弁護人制度が定められておりまして、法制度が既に構築されているところでございます。 そして、被疑者につきましても、刑事手続は国が国家刑罰権の実現として、本人の意思にかかわらず権限を行使して被疑者、被告人を刑事手続にのせるものでございますので、私的な紛争の解決を目的とする民事事件に比べまして、より迅速かつ確実に弁護人の選任等を行う必要がありますことや、被告人の国選制度と統一的、総合的に実施することが望ましいと考えられますことから、民事事件と異なり、必ずしも法律扶助になじむものではないと考えられております。 そこで、民事法律扶助事業に関しまして、刑事とは切り離しまして、先ほど説明いたしましたような緊急の必要性から、所要の法律を制定することは十分に合理的なものと考えております。 私ども法務省といたしましても、公的な被疑者弁護に関する現実的な検討が必要な段階に来ていると考えておりまして、司法制度改革審議会等における議論も踏まえつつ、現在法曹三者におきまして行っております意見交換会の場で、被疑者段階の刑事弁護に関連する諸問題について幅広く議論を進めていただきたいと考えております。
○木島委員 そうすると、法務省としても、被疑者弁護人選任について公的扶助制度をつくることについては非常に前向きである、ただ、現在司法制度改革審議会でも論議がこれあり、また法曹三者でもその内容について詰めた論議をしているので、それを待っているんだ、その論議を待って前向きにそういう制度構築のための法案も提出を考える、こう聞いてよろしいですか。
○臼井国務大臣 公的な被疑者弁護制度の導入の問題につきましては、被疑者段階に限定することなく、被告人段階における弁護制度とも一体と見て、捜査及び公判を通じた人権保障や手続の迅速化という観点からあるべき公的弁護制度が研究されるべきでございまして、また、公的弁護制度が国民の税金によって支えられるものであるということを考慮するならば、国民の十分な理解と支援を得られるものとすることが不可欠でございます。 そのためには、弁護活動の適正の確保、弁護士偏在の解消、そのほか刑事司法における喫緊の課題でございます密度の高い審理による迅速な裁判の実現の問題をあわせて検討する必要があるのでございます。
○木島委員 わかりました。幅広に検討するということでありますが、現に財団法人法律扶助協会はこういう事業をやっているわけですし、弁護士会からも財政的な大変な出捐をしているわけでありますので、速やかにそういう広い、深い論議を踏まえて、被疑者段階での弁護人選任にも公的扶助制度をつくるように要望をしておきたいと思います。 先ほど大臣から、今回は民事法律扶助法だということで、そういう刑事被疑者弁護については自主事業でやることができるんだと答弁されましたが、仮にこの法案が通って、現在ある財団法人法律扶助協会が指定法人に指定をされて、業務規程がつくられ、法務大臣が認可をして、この民事法律扶助事業がこの法に基づく事業として推進されていったときに、これは仮定で結構ですが、その指定法人になった財団法人法律扶助協会は、現在やっておる事業は引き続き堂々とやっていいわけですね。
○横山政府参考人 指定法人の定款あるいは寄附行為の目的の範囲内に含まれれば、自主的な事業として行うことはできる。したがいまして、今仮定の話ということで出ましたけれども、これは扶助協会の寄附行為の目的の範囲内に含まれるということで今やっておるということを承知しておりますので、そういう寄附行為を前提にしますと、行うことはできるということになろうかと思います。
○木島委員 指定法人になったとしても、今の事業はやれなくなるわけではないという答弁とお聞きいたして、了といたします。 では、続いて少年保護事件への国費による付添人の援助の制度化についても、一言だけ法務大臣のお考えを承っておきたいと思うんです。 やはり先ほどの、昨年十一月一日の財団法人法律扶助協会会長の司法制度改革審議会会長への要望事項の第三項目めがこれなんですね。「少年保護事件について、弁護士が附添人として活動することを制度的に保障するために、国費による援助制度をご検討ください。」 中身は、「少年は、自らを防衛する能力という点では一般に成人より劣るものであり、この点で、成人の刑事事件より厚い保護が与えられるべきものであり、成人の場合以上に弁護士による援助が必要であります。ところが現状は、成人の刑事事件には国選弁護があるのに対して、少年事件は保護手続であるという理由だけで、国費による弁護士の援助は認められておりません。」 そこで、財団法人法律扶助協会で自主的にこの事業をやって、その実績は平成十年度で全国で一千百二件、支出した金額は一億二千八十七万円だというんですね。やはり、「その財政もまた刑事被疑者弁護援助同様、限界に達しております。」こういう切なる要望なんですね。 それで、こちらの方についての御所見をお伺いしたいと思います。
○臼井国務大臣 ただいま委員御指摘をいただきました少年保護事件等に関してでございますけれども、第百四十五通常国会に提出をいたしております少年法等の一部を改正する法律案におきまして、少年審判に検察官が関与する場合で、少年に弁護士である付添人がいないときは、裁判所は弁護士である付添人を付することとして、国選付添人制度を導入するということを盛り込んでおりまして、御指摘の問題につきましては、付添人制度全体の中で検討を行うことが適当であると考えております。
○木島委員 少年法改正とはひとつ切り離して、これは財団法人からも要望があるわけですから、検討していただきたいということをきょうは私から言っておくにとどめたいと思うんです。しかし、こういう要望があるということをしかと法務大臣は受けとめていただきたいと思います。 次に、本法の民事法律扶助事業の対象についてお聞きしたいと思うんです。 法案第二条、「定義」のところによりますと、「この法律において「民事法律扶助事業」とは、裁判所における民事事件、家事事件又は行政事件に関する手続において自己の権利を実現するための準備及び追行に必要な費用を支払う資力がない国民」等に援助するための法律なんだということで、その一号に、「民事裁判等手続の準備及び追行(民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるものを含む。)」こう書かれております。 そこで、大事な、基本的な概念なんでお聞きしますが、この「民事裁判等手続の準備及び追行」、その範囲はどんな範囲なんでしょうか。
○山本(有)政務次官 本法案におきましては、民事法律扶助事業が、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つものとして、資力に乏しい方々に対する裁判援助の事業として長年行われてきていることなどから、民事法律扶助事業を裁判援助を中核とするものとして位置づけておりまして、第二条の「準備及び追行」とは、裁判所における手続の準備及び追行であることを原則とするものでございます。
○木島委員 裁判援助を中核としているということですね。 今の日本の行政法体系によりますと、行政事件訴訟、具体的には行政処分に対する取り消しの抗告訴訟は、大体異議申し立てをしなければならない、そして続いて行政不服審査請求をしなければならないという例が多いんです。重要な法律などでは前置主義がとられておりまして、異議申し立て、行政不服審査請求、これが終わった後でなければ取り消し訴訟が起こせないという前置主義がまだまだ日本の行政法体系の中にはまかり通っているわけであります。しかも、最近、税務訴訟とか、これから法律が動き出す情報開示訴訟など、ますます行政裁判というのは国民の権利の確保にとって非常に重要になってくると思うわけであります。 そうしますと、先ほどの次官の答弁だと、本法は裁判援助を中核とする、そしてそれに関連する分野まで援助できるということであろうと思うんです。 それでは、改めてお聞きしますが、これら行政事件訴訟、行政訴訟事件に先立つ異議申し立てあるいは行政不服審査請求をやるために当然弁護士が必要だというので代理人に依頼した場合の報酬や実費も対象になって当然だと法解釈から出てくると私は思うんですが、いいですか。
○山本(有)政務次官 行政機関に対する不服申し立て手続につきましては、当該行政行為の当不当や違法性を行政機関において再考するものでありますので、最終的に裁判による解決を図る提訴の段階で訴訟代理費用等を扶助すれば裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を果たすことができるのではないかと考えておるところでございます。 また、裁判を前置する構造をとる制度でございます。これも扶助の対象としないのかというわけでございますが、行政処分に対する不服申し立てが裁判に前置する構造をとる制度において、当該行政処分の中には、当該行政処分の適否について第三者機関を設けて審査するものや、専門事項を調査する専門調査員の制度を設けて判断するものがございます。すなわち、不服申し立て制度は、当該行政機関において行政の統一性や特殊専門性を考慮し、むしろ国民に対する簡易迅速な救済を図るとの後見的な考え方に基づいて組織、機関を整備するなどしているのでございまして、それ以上に、裁判になるより前の段階で国費を投入することは、どのような場合にどのような理由で必要となるのかなど、今後慎重に検討されるべき課題が多いと考えております。
○木島委員 わからぬですね。この法の第二条の第一号に「民事裁判等手続」。「民事裁判等」の中には行政裁判も入るわけですね。その準備、追行。括弧して、その例として「民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるもの」は含むんだ、ここまで広げておいて、行政裁判をやる、その法的前置主義がとられていたら、国民はまず異議申し立てしなきゃ行政裁判を起こせないんですよ。行政不服審査請求をして棄却されなければ、行政裁判を起こせないんですよ。どうしてもそのハードルをクリアしなければ裁判を起こせないんですから、国民が異議申し立てをし行政不服審査請求するのは、裁判に到達するための一里塚なんですよ。まさに準備行為そのものじゃないですか。一番大事なところですよ。これを切り捨てて、こういうものは援助しませんというのは、行政庁に対してはむやみに裁判するな、そういうことを言っているにほかならないと思うんで、とんでもない解釈だと思うんですが、どうですか。
○横山政府参考人 本法案二条に言います「民事裁判等手続の準備及び追行」、特に準備ということかと思いますけれども、これは手続自体の準備ということでございます。ですから、具体的には、訴訟代理に当たる人、代理人等が訴訟提起に先立ちまして所要の調査をするとか、あるいはまたいろいろな準備をする、関係書類等を収集する、そういうような手続自体、訴訟提起についていいますと、訴訟を提起するために必要な準備ということでございまして、行政不服手続のような、それ自体一つの自己完結的な手続といいますか、それ自体は、行政不服審査法が、全体としての一つの統一的な法律がございまして、そのもとで行われているという手続でございますので、ここに言う「民事裁判等手続の準備」の中には含まれない、そのように考えております。
○木島委員 今答弁で、異議申し立てや行政不服審査請求はそれ自体自己完結しているとおっしゃいましたが、とんでもないんですね。特に前置主義をとられている場合は、日本は重要な法律が前置主義が多いんですよ、それは自己完結なんかじゃないんですよ。まさに行政訴訟をやらなきゃいかぬ、やりたくてうずうずしている国民でも、法が前置主義をとっているから、その段階をクリアしなきゃいけないからやらざるを得ないだけじゃないですか。自己完結じゃないじゃないですか。 それでは、自己完結というなら、前置主義をとっている行政事件については、異議申し立てや不服審査請求は行政事件裁判と不可分一体のものとして法律扶助の対象になると伺っていいですね。
○横山政府参考人 今私の、自己完結的というのが多少誤解を招いたかと思いますけれども、行政不服手続自体の中では、異議申し立て、審査請求あるいは再審査請求等におきまして、これは行政処分の違法性だけではなくて不当性も判断事項になるかと思いますけれども、そういうものが認められればそれ自体で一つの法的な効力のあるものとして決定がなされる、特に認容の場合であります。棄却の場合はまた裁判まで行きますけれども。 そういうことで、こういう手続自体は、先ほど総括政務次官からお答えがありましたとおり、手続自体で簡易迅速な救済を図るというような一つ手続が整備されている、そしてまた一定の第三者機関が設けられている、そういう手続的にも配慮されたものがなされている、行政不服審査法の中でもいろいろな所要の手続が定められている、そういう中で、これは裁判手続自体の準備には当たらないというふうに理解しております。
○木島委員 行政裁判の中には、生活保護受給権を不当に打ち切られてしまったというような事件もたくさんあるわけですね。そういう場合に、異議申し立てや不服審査請求をやるということ自体が、それは素人になかなかできるものじゃないんですよ、率直に言って。その段階から、最終的な行政裁判に照準を置いて異議申し立てや不服審査の準備をしていくわけですよ。そういう人にこそ法律扶助を適用してあげなかったら、できないじゃないですか、生活保護受給権を切り捨てられたとき。こういうのも事前準備ですよ。裁判に行き着くための事前準備について扶助を与えない、何で行政庁相手の場合だけそういう冷たい法体系、法律解釈をするのか、あるいはなぜこんな法律を法務大臣は出してきたのか、根本目的をもうちょっとわかりやすく答弁してくださいよ。
○横山政府参考人 これまで我が国の民事法律扶助事業は、裁判援助、訴訟事件の訴訟代理費用等を立てかえて援助するということで行われてきております。これも下から二割の所得層の方々を対象にしてやってまいってきておる。そういう中で、なかなかその需要も十分満たすことができないでいるということで、ここで法的な基本的枠組みをはっきりさせてこういう需要に対応していこうというところで、この法案は緊急の必要性に基づいてできてきているところでございます。 行政手続、行政不服申し立て手続等に関しましては、これ自体国民に対する簡易迅速な救済を図るとの後見的な考え方に基づいて組織、機関を整備するなどしてきておりまして、それ以上に、裁判になるより前の段階で、どの範囲でどれだけの国費を投入していくか、これはまた、それはどのような場合にどのような理由で必要となるのかなど、今後いろいろと慎重に検討されるべき事柄が多いのではないか、このように考えているところでございます。
○木島委員 最近、非常に大事な裁判外の紛争処理手続がたくさんありまして、ますますふえ続けているんですね。公害紛争もそうだ、建築関係の紛争もそうだ。これが非常に重視されています、迅速な紛争解決処理方策として、ADRというんでしょうか。では、民事裁判を最終的な紛争解決の手段として残すその一歩手前のところでのさまざまな裁判外の紛争処理手続、ADRについては、この法は法律扶助の対象に考えているんでしょうか、いないんでしょうか。
○山本(有)政務次官 ADR、いわゆる裁判外紛争処理機関を利用する場合に要する費用を扶助の対象とするかどうかにつきまして、ADRを利用する場合のうちどのような場合をどのような理由で扶助の対象とするべきか、裁判になる前に際限なく国が費用を負担するという事態とならないか、ADRにおける費用負担のあり方につきましては、その特殊性や専門性等を踏まえ、当該ADR自体や関係当局において別途検討されるべき事柄とは言えないかなどの問題がございます。ADRの実態や国の財政事情等をも踏まえ、今後慎重に検討されるべき問題ではないかと考えております。 そこで、本法案におきましては、ADRを利用する場合を直ちに扶助の対象としているのではなく、そのADRを利用することが第二条第一号の「民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるもの」の場合に該当するかどうかによって扶助の対象となるかどうかが個々的に判断されるものと考えております。
○木島委員 個別的に判断をして、当該指定法人がこういう目的でこういう趣旨でADRを使うんなら本法の扶助対象にしようということで認定をして、対象にしてもよろしいという答弁ですね。これは非常に膨らみを持った答弁だと思って、結構なことだと思うんですが、それなら私は重ねて、もう一回戻るんですよ、行政事件だってそうじゃないですか。膨らみを持たせた答弁をされたらどうですか。
○横山政府参考人 ただいまのADRに関します考え方といいますのは、この二条一号の「民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるもの」、これに当たるかどうかということで、これに当たるものならば含まれる、ここはそういう趣旨でございます。 この「民事裁判等手続に先立つ和解の交渉で特に必要と認められるもの」といいますのは、最終的には訴訟を起こさなければならないにしても、弁護士さんが代理人となって相手方と交渉すれば速やかに紛争が解決する可能性がある、そういうような場合には事前に援助すれば紛争の簡易迅速な解決につながる、そしてまた費用対効果の観点からも好ましいものである、そういうような考え方でこの「和解の交渉で特に必要と認められるもの」を入れておるわけでございますけれども、先ほどの行政手続に関しましては、それ自体、先ほど来申し上げておりますけれども、既に、後見的な観点から簡易迅速な解決を図るということで、手続がもともと行政不服審査法等に基づきまして整備されているもので、時には第三者機関も関与するというようなことで、その場合は、いわゆる和解の交渉という、専門家をわざわざ立てて、つまり手続的に不定型な中でといいましょうか、普通の和解交渉をお考えになっていただきますとおわかりかと思いますけれども、そういう場合とは異にする。既に手続が、それ自体後見的な配慮もできる、あるいは簡易迅速な解決を図れるという形で手続が整備されておる、そういうものの場合とこの和解の場合とで、やはりおのずと違う。そして、ADRの場合も、そういう和解交渉の実質を持つものにつきましては扶助の対象となる、そのように考えているところでございます。
○木島委員 よくわからないですね。ADRだって非常に手続が整備されてきていますよ。そして、むしろADRを使う場合がなぜ必要かというと、まさに専門性が必要だからなんですよ。そういう面では、行政事件訴訟の前段階としての不服審査請求、異議申し立てと全然質的に変わらないと私は思うのですよ。 まだ何か言いたいそうですから、どうぞ。
○横山政府参考人 それから、先ほどの和解の交渉と行政手続の関係でございますけれども、一般的に行政手続では、行政処分に関しましては、これは法に基づいて行われる処分でございますので、一般に和解はできないと解釈されていると思います。そういう意味で、行政手続の中で和解というのはなかなか一般には親しまないもの、このように考えております。
○木島委員 これはきょうで終わりじゃありませんから、また詰めて、こういう民事法律扶助法をつくるのですから、そういう分野にまで、最終的には裁判に行き着く、その前段階としてのいろいろな手続が必要だ、それには専門性も必要で弁護士が必要だというふうな事件が多いわけですから、それにも本法を適用するような法律をつくり出すことが今求められているんじゃないかと思います。 たくさんのことを聞きたかったのですが、時間が来ましたから終わります。
○武部委員長 保坂展人君。
○保坂委員 社民党の保坂展人です。 法務大臣にまず基本的なことを伺います。 大変待たれた法律だと思いますけれども、今までこの法律がなかなかできなかった理由、その原因は何でしょうか。
○臼井国務大臣 私ども日本におきましても、法律は存在いたしませんでしたが、民事法律扶助事業というものはもう長い間実績を持ってやってきているわけでございますが、御承知のとおり、その要望に比較をして対象者として取り扱う方々の人員がなかなか増加してこないということもございまして、この際、欧米と同じように法律化することによってこの扶助事業というものを大いに進展させる必要があるという判断に至ったのでございます。
○保坂委員 先ほど憲法との問題が話題になっていましたけれども、この法律扶助は憲法上の国の義務として行われるのではなくて恩恵的なものだという考え方が仮にあるとすると、そうではなくて、やはり法律扶助制度は憲法三十二条に由来する、私はこのように考えるわけですが、法務大臣、見解はいかがでしょうか。
○臼井国務大臣 先ほど来御答弁いたしておりますとおり、国民の実質的な裁判を受ける権利というものを保障するということで、三十二条のいわば前提としてこうした法案というものを準備するのでございます。
○保坂委員 三十二条の前提ということなんですが、それではもう一度繰り返し伺いますが、法律扶助制度は憲法三十二条に由来する、こういう考えはお持ちにならないですか。
○臼井国務大臣 民事法律扶助制度は、憲法第三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つということでございまして、我が国の司法制度の充実に寄与する公共性の高い制度でございます。 このような高い公共性を維持確保し、同事業が司法制度の基盤としてふさわしい発展を遂げるために、国はその整備及び発展に努めるべき責務を負うものと考えております。
○保坂委員 法務大臣、先ほど来の答弁はわかったわけです。そこで、伺っているのは、法律扶助制度は憲法の三十二条に由来するというお考えはお持ちにならないでしょうか。これは、ないならないではっきりそういうふうに、今の御答弁を繰り返されないでお願いします。
○山本(有)政務次官 由来するから、実質的に保障しているということになろうかと思います。
○保坂委員 今の政務次官の答弁があったのですが、大臣、いかがですか。
○臼井国務大臣 そのとおりでございます。
○保坂委員 先ほど前段で私が紹介したのは、昭和六十二年三月の、法律扶助は憲法上国の義務として行われるのではなく恩恵的なものという答弁がその当時ございまして、平成元年の高辻法務大臣の答弁が、由来する、こういうことだったので、ちょっと確認をさせていただきました。それはもう間違いないということで、先に進ませていただきます。 そういう意味で、先ほど大臣が、憲法三十二条と一線を画するというようなことを、ちょっと聞こえたように思うのですけれども、この意味はどういう意味でしょうか。
○臼井国務大臣 憲法第三十二条の裁判を受ける権利があるわけでございますけれども、民事法律扶助における権利がこれによって直ちに導かれるものではございません。
○保坂委員 ちょっと長い間繰り返しになりそうなんで、やはり由来すると言った以上は、ここに基本を置くんだということで徹していただきたいと思います。要望します。 次の質問で、これでこのたび法律が整備をされたとはいえ、現状、例えば国民一人当たりの国庫負担の金額でいうと、イギリスが千九百七十三円、フランスが三百十六円、アメリカが百七十六円、韓国が三十一円、日本が三円、極めて手薄いわけですね。しかも、法律扶助事業が、弁護士会にほとんどすべてを依存して、そこに国庫補助という形で行われてきた。これは、弁護士会の責務もこの法律で盛られたわけですけれども、弁護士会が今後取り組んで、その事業規模を大きくして、また今まで届かない国民各層に手厚くなればなるほど、弁護士会自身の財政負担も大きくなるという部分、あるいは弁護士会のいわば負荷といいますか、そういう部分は大きくなるという矛盾を抱えているのではないかと思いますけれども、その点はいかがお考えでしょうか。
○横山政府参考人 民事法律扶助事業に関します国の責務は司法制度の重要な基盤の整備という要請から位置づけられるのに対しまして、弁護士会等の責務は弁護士法の規定する弁護士の使命等を根拠とするものであります。民事法律扶助事業に関するこのような両者の責務がそれぞれ相まって、国民がより利用しやすい司法制度の実現に資するものと考えておりまして、どちらか一方の責務のみが強調されるものとは考えておりません。 そして、本法案では、民事法律扶助事業に関しまして、事業計画、収支予算や役員の選任、解任等について法務大臣の認可等を受けるべきものとしております。これらの国の監督権限を通じまして、民事法律扶助事業の実施に当たり、重点分野の設定や地域間のバランスを考慮した適正な事業計画を確保し、あるいは資金の統一的管理を行うなど、全国的に均質な事業を実施する体制を確立することができるものと考えておりまして、本法案に基づく制度のもとで地域的な格差が拡大するなどということにはならないようにきちっと対応してまいりたい、このように考えております。 〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
○保坂委員 では、局長に続けてお聞きします。 いわゆるクレジットあるいはサラ金などの破産者は、その潜在的な予備軍も含めれば百万人を超える、こういうふうにも言われています。一般に、裁判所に納める預託金は二万円弱ということのようですけれども、二万円弱でしたら扶助という必要はないかもしれませんが、破産申請者自身が破産手続を自分で全部やり切るという方は非常に少ない、弁護士や司法書士などにお願いをする際に十五万から三十万円を払わないといけない、しかしその金が払えない、これをまたサラ金から借りてきてひどいことになる、そういう話も聞いております。そういった部分、つまり手続をするためにお願いをする費用、ここも扶助の対象に加えるかどうか、お考えを伺いたいと思います。
○横山政府参考人 民事法律扶助事業は、資力に乏しい個人に対する訴訟代理費用の立てかえを中核とする事業でありますが、破産手続も裁判所における民事事件に関する手続でありますから、資力に関する要件や勝訴見込みに関する要件等があれば、破産手続に関しましても民事法律扶助事業を利用することができます。 もっとも、民事法律扶助事業は、訴訟代理費用の立てかえを中核とする事業でありまして、予納金自体は訴訟代理費用ではないこと、また予納金は事例によって極めて高額に上ることもあり、これまでも扶助の対象とすることにより、より援助が必要ないわば貧困層といいますか低所得層の訴訟代理費用の立てかえが手薄になるようなことがないか等の問題がありまして、予納金まで扶助の対象とすべきかどうかにつきましては、慎重に検討してまいりたいと考えております。
○保坂委員 では、局長、今の答弁で確認的にお聞きします。 例えば司法書士さんにお願いをして破産の手続をするときに三十万円の費用がかかるわけです。その三十万円はありません、破産するわけですからね。その費用も含めてこの扶助の対象にすることはあり得るというふうに聞いてよろしいのでしょうか。
○横山政府参考人 ただいま出ました予納金についてまで扶助の対象とするかどうかについては、慎重に検討してまいりたいということでございます。
○保坂委員 そうすると、予納金がないためにいわば扶助が受けられない。サラ金で借りてやればいいわけで——まあ、よくはありませんよね。そういう破産手続、これは一番多いと思いますが、そこの部分を除外して考えるという根拠は一体どういうところにあるんでしょうか。
○横山政府参考人 先ほどお答えいたしましたとおり、この扶助事業自体は訴訟代理費用の立てかえを中核としておりまして、限られた財源の中で訴訟代理費用等以外、書類作成援助等も含めておりますけれども、破産の場合の予納金までも扶助の対象にするということで、肝心の訴訟代理費用とかあるいはまた裁判書類作成援助費用とか、そちらの方が手薄になることはないか、そういうようなところもいろいろと見ながら慎重に検討する必要がある。そうでありませんと、予納金のために、訴訟代理援助が必要な方々が限りある財源の中でしばらく待ってもらうとか扶助できないというような事態にもなりかねないということで、そこら辺はやはり慎重に検討してまいりたい、そういうことでございます。
○保坂委員 大臣に伺いますが、今の局長の答弁では、そこは慎重に考えるんだ、予納金で肝心の訴訟代理費用までが食われてしまっては困ると。しかし、私が聞いているのは、破産の潜在的な方たちが大変多くて、その三十万円なら三十万円が払えないために実際にそういった手続が行えないという部分についての救済になるかどうか。それは、なるという方向も含めて検討をお願いしたいと思いますが、大臣、御所見はいかがでしょうか。今、大体、局長からは聞いたので。
○臼井国務大臣 ただいま局長が御答弁申し上げましたとおりでございまして、慎重に検討してまいりたいと思います。
○保坂委員 積極的に検討していただきたいのです。 一つ、司法書士の方たちのこの事業に対する関与の問題で、これは要望書が私のところにも来ておりまして、法律相談業務については司法書士が積極的にこれに参画できる環境を将来的に整えていただきたい、また指定法人の役員などにも幅広い人材ということで司法書士を加えていただきたいという要望が来ているんですが、これについては、局長、簡潔にお願いします。
○横山政府参考人 まず、法律相談の点でございますけれども、本法案におきましては、法律相談に携われる者として「法律相談を取り扱うことを業とすることができる者」と規定されておりまして、現行法上、司法書士が業として行うことができる事務には法律相談は含まれておりませんので、民事法律扶助事業において司法書士が法律相談業務に携わることはできないものと考えております。 ただ、民事法律扶助事業の窓口業務との関係で、司法書士の事務所を訪れた扶助希望者に対し、司法書士が、扶助申請の支援として指定法人の申請窓口を紹介したり、あるいは申請書作成の指導をするなど、民事法律扶助事業の取次窓口の役割を果たすことはむしろ期待されているところでございます。 それから、指定法人における役員の点でございますけれども、指定法人の役員に司法書士の代表を加えるかどうかは指定法人において決定されることでありますけれども、御指摘のように幅広い見地から適任者を求めることは重要と考えております。
○保坂委員 それでは、国の責務というところで大臣に一点伺いますが、こういった制度があること自体、六五%の国民が知らないというアンケート結果があるんですね。確かに、聞いたことはある程度の人はいても、説明ができる人はかなり限られていると思います。 そこで、「周知のために必要な措置」というのは大体どういうことをするのか、国として国民に周知を図るためにどういうことをするのか。そしてまた、その周知の中に、例えば目の見えない方に対して点字でこの制度の概要をお伝えするような工夫、あるいは外国人の方に同様の、さまざまな言語で概要を紹介するようなこと、こういったことを検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○臼井国務大臣 今委員御指摘をいただきましたように、民事法律扶助制度につきましては、その対象層の方々の七割近くがこの制度を知らないとの調査結果も出ているわけでございまして、これを解消するということは、司法制度へのアクセスを容易にするという意味で極めて重要な課題であると考えております。 平成十二年度予算におきましては、初めて事務費補助としての広告経費を予算化いたしましたほか、従来、一定額でございました広報宣伝委託謝金の大幅な増額も行っておりまして、広く国民等の方々に本制度を知っていただくための措置を講じることといたしたのでございます。 なお、現在でも、法務局、地方法務局及び人権擁護委員等の人権擁護機関におきまして、資力の乏しい方々に民事法律扶助の概要をお伝えいたしているのでございます。 また、目の不自由な方々に対しましては、法務省のホームページにおきまして、民事法律扶助事業のあらましや、現在、民事法律扶助事業を行っている法律扶助協会のすべての支部の連絡先を盛り込んだ点字ファイルのダウンロードサービスというものも行っておりますし、同じくホームページにおいて、外国の方々を対象に英文で民事法律扶助事業のあらましを載せるなど、さまざまな工夫をいたしまして制度の周知に努めている次第でございます。 本法律下におきましても、国の責務といたしまして、これらの利用者としての対象層の方々を中心に、民事法律扶助事業の周知に一層努力をいたしてまいりたいと考えます。
○保坂委員 それでは、政務次官に伺いたいんです。 先ほど禅問答みたいな、財団法人法律扶助協会と新しい指定法人がどういう関係があるのか、ないのか、まあ、あるわけですね。この財団法人法律扶助協会が、現在、自主事業として行っている事業の中に大変大事な事業がありますね。先ほど刑事や少年の話が出ましたから、私の方からは、中国残留孤児の国籍取得を支援する活動、そしてまた難民認定手続などを援助していく、これはUNHCRから要請を受けて始まったそうですが、こういう自主事業がございます。 今度の指定法人でぜひこういう事業は継続をしていただきたいと思うんですが、その点に関していかがでしょうか。
○山本(有)政務次官 本法案に基づく指定法人は、民事法律扶助事業以外に定款または寄附行為の定める目的の範囲内で自主的な事業を行うことができることから、指定法人が、自主的な財源に基づき、当該目的の範囲内で御指摘のような事業を行うことは可能かと考えております。
○保坂委員 可能だということで、ぜひ力を入れてほしいと思います。 それでは、制度の根本についてちょっと人権擁護局長に伺いたいんですが、日本の場合は全額償還原則ですね、あくまでも立てかえであって、判決や決定あるいは示談などの結果いかんにかかわらず全額償還。これを原則としている他の国というのはございますでしょうかね。世界各国、日本のようなそういった制度をとっている国はないと私は聞いているんですが、いかがでしょうか。
○横山政府参考人 お隣の韓国が償還制度をとっていると承知しております。
○保坂委員 局長、それを答弁されるのだったら、韓国の場合は、ある一定限度の金額を提示して、それに満たないときには免除される、そういう仕組みになっていませんか。
○横山政府参考人 韓国の場合、原則償還制度ですけれども、勝訴額が五百万ウォン以下の場合、それから敗訴した場合、それから償還が不適当または不可能な場合等は免除が認められている、そういうことでございます。
○保坂委員 ということは、やはり日本とは違うわけですよね、そういう意味で、条件がついていますから。 この全額償還原則をこのままでいくかどうかということについて、法律扶助制度研究会の報告書でも両論併記になっていますよね。両論併記、やはりこれは給付ということでいくべきじゃないか。特に生活保護の世帯などでは、当然、食っていくのがやっとで、食っていくだけでも赤字が出るぐらいなんで、ましてや訴訟費用などどこからも出てこないという家庭が多いわけです。 質問はこれからですが、今の扶助協会の仕組みでも、扶助が受けられるその条件と免除をいただくその条件を比べてみると、免除をいただく場合の方がハードルが高いですよね。法務大臣の認可を求めなければならない。ここらのことをやはり改善していくという方向が必要だと思うんですが、その点についていかがですか。
○横山政府参考人 現行の民事法律扶助事業におきましても、生活保護受給者あるいはこれに準ずる方につきましては免除の制度も認められておりますが、確かに、こういう方々について、現在、事件が進行中に分割償還を求めるというような制度、そこら辺もいかがなものかということを指摘されておりますし、また、免除制度が果たして適切に運用されているのかという指摘もされているということは私ども十分承知しております。 今後、本法案のもとにおける、指定法人における免除制度の運用のあり方でございますけれども、これにつきましては、指定法人の業務規程の中に盛り込まれて、それを法務大臣が認可するということになりますけれども、私どもといたしましては、このあたり、進行中償還を求めているという現行制度のこういう指摘されている問題、それからまた、免除制度が迅速に運用されているのか、きちっと行われているのかといういろいろ指摘されている問題、こういう問題がきちっと解消できるように、適切に免除制度が運用されるように図っていきたい、このように考えております。
○保坂委員 ぜひ検討していただきたいと思います。 残り五分になりましたので、刑事局長に来ていただいていますので、さきに参議院の法務委員会でも自由党の平野議員から、これは大問題じゃないかということで出されたと思いますけれども、一昨年、茨城県牛久市で、中学三年生の岡崎哲君、十四歳が同級生に殴られて亡くなった、こういう事件があるわけです。 臼井法務大臣も、その詳細について参議院の質疑の中で受けとめられたと思います。私も、亡くなった少年の遺影、そして御両親の悲しみを見るにつけて、何とも無残な事件、そしてまた茨城県警が捜査初動で、御両親を呼んでまるで取り調べるように、どなり散らすように調べたということについて、これは異例だったと思いますが、謝罪の会見をされたと思います。私は、その段階で御両親と会いまして、茨城県警が謝ったんだからこれはいい方向に行くのかな、こう思いきや、先日、予算審議中でしたけれども、御両親が訪ねてこられて、実は全然そういうふうにはなっていないんだということを聞きました。 刑事局長に伺いますけれども、この事件について、検察段階で、遺族のいわゆる調書をとらなかった、会ってもいなかった、そしてまた、ここに平野議員が参議院で提出された、水戸地検土浦支部作成の捜査メモがあります。これはごらんになったと思いますけれども、作成者も何も書いていないのですね。こういうものが使われた。あるいは、被害者の父親である岡崎さんの供述調書、署名も捺印もない、こういうものが使われた。そして、直接加害少年であったところの少年のお父さんそしてお兄さんが警察官であるということから、やはり何らかの捜査に対する、公正な捜査が本当に行われたのだろうかということが疑問だと私も思います。 そして、刑事局長に率直なことを聞きたいのですけれども、これは毎日新聞には捜査不十分だったというふうに出ております。私、議会の中継ビデオを見まして、捜査の徹底ということを痛感されているんだ、遺族の心情にも触れた捜査のあり方が必要で、困難な問題も多くて、若干の弁解もあるが、いろいろな角度から捜査することが必要だと言われていますが、捜査の徹底を痛感しているというところの気持ちをもう一言お願いしたいと思います。
○古田政府参考人 ただいま御指摘の事件につきましては、既に少年審判が確定した事件の捜査の問題でございますとともに、国賠訴訟も起きているということから、個別具体的に申し上げることは差し控えたいと存じますが、先ほど先生御指摘のお話につきましては、いずれにいたしましても、この種の事件におきましては、遺族の心情にも十分配慮した捜査が必要であり、また、やはり事件の性質、そういうようなことから、捜査の徹底が必要である事件であるということを深く改めて感じたということでございます。
○保坂委員 確認的ですが、そうすると、刑事局長から見て、個々具体的に、進行中の事件でありますから限界があるでしょうけれども、今の答弁を確かめると、やはり徹底した捜査と、公平で、そして遺族の心情を十分酌み取る捜査が必要だ、こういうふうに受けとめてよろしいですか。
○古田政府参考人 そのような性質の事件であるというふうに考えているところでございます。
○保坂委員 これで時間が来ましたので、この問題については、後ほどまた機会があれば徹底的に検証させていただきたいと思いますし、法務大臣にも、関係資料にぜひお目通しをいただいて、本当に御両親の叫びに耳を傾けていただくことを私からもお願いいたします。 終わります。
○杉浦委員長代理 次に、漆原良夫君。
○漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。 本法案は、我が党もずっとその実現に向けて頑張ってきたものでありまして、本法案の成立のために御尽力ちょうだいした法務省初め関係の皆様に本当に心から敬意を表したい、こういうつもりでいっぱいでございます。 そこで、単刀直入にお伺いしたいのでございますが、先ほどから、まず目的が問題になっております。この第一条で、本法案の目的については、「民事法律扶助事業が司法制度の充実に寄与する公共性の高いものであることにかんがみ」云々、こういうふうな規定になっておりまして、どうもいま一つ文言が抽象的で、内容がつかめません。具体的に説明していただければありがたいと思います。大臣にお伺いしたいと思います。 〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
○臼井国務大臣 民事法律扶助事業は、資力に乏しい国民の方々に対して訴訟費用等の立てかえ等を行う事業でございますけれども、法律専門家がこれらの方々のため訴訟代理をし、あるいは裁判に必要な書類を作成するということは、審理の充実、迅速化に資するものでございます。また、事業主体が充実した法律相談を実施することによりまして、国民の方々が司法手続にアクセスしやすくなるとともに、それについて理解をより深めることが可能となるわけでございまして、このように、民事法律扶助事業は、司法手続における審理の充実や迅速化に資するとともに、国民の司法へのアクセスを容易にし、その理解を深めるものでございまして、司法制度の充実に寄与する公共性の高いものとして位置づけることができるのでございます。 そこで、このような同事業の公共性にかんがみまして、この法律案が民事法律扶助事業の整備及び発展を図るために必要な事項を定め、もって国民がより利用しやすい司法制度の実現に資することを目的とすることを明らかにしたものでございます。
○漆原委員 この第一条は本法成立の目的、それから第三条に国の責務ということを規定してあるわけなんですけれども、この第一条及び第三条に関して、先ほどから問題になっておりますが、「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。」というこの憲法三十二条の裁判を受ける権利との関係で、目的及び第三条の国の責務、どういうふうに解釈すべきでしょうか。
○臼井国務大臣 民事法律扶助制度は、先ほど申し上げましたように、資力に乏しいがために弁護士費用等を支払うことができず、自己の権利を裁判等を通じて実現することが困難な国民に対しまして、弁護士費用等の立てかえ等の援助事業を行うものでございまして、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つものでございます。 そして、そのことは、司法手続における審理の充実や迅速化に資するとともに、国民の司法へのアクセスを容易にするなど、司法制度の充実に寄与する公共性の高いものとして位置づけることができ、民事法律扶助の整備及び発展を図ることは、国民がより利用しやすい司法制度の実現に資するものとなることを意味しております。これは先ほども申し上げたとおりでございます。 したがいまして、本法第一条は、民事法律扶助事業が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つことを前提として、同事業が司法制度の充実に寄与する公共性の高いものであることにかんがみまして、国民がより利用しやすい司法制度の実現に資することを目的とすることをあらわしたものでございます。 また、先ほど御紹介がございました、裁判を受ける権利の保障との関係でございますけれども、民事法律扶助制度は、憲法第三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つものでございまして、我が国の司法制度の充実に寄与する公共性の高い制度でございます。このような高い公共性を維持確保し、同事業が司法制度の基盤としてふさわしい発展を遂げるために、国はその整備及び発展に努めるべき責務を負うものと考えられるのでございます。 そこで、本法案第三条一項におきまして、国は、民事法律扶助事業の適正な運営を確保し、その健全な発展を図るために、統一的な運営体制の整備や全国的に均質な遂行のために必要な措置を講ずるよう努める等の責務を設けたものでございます。 したがいまして、本法第三条一項の国の責務は、民事法律扶助事業が裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つことを前提としつつ、司法制度の基盤としてこれを整備すべきものとして位置づけているものでございます。
○漆原委員 今、憲法三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持つものだというふうにおっしゃいました。意義という言葉が加わったかのように思いますけれども、いずれにしても、憲法三十二条を根拠として出てくる制度なんだということを考えますと、「目的」の中に、非常に抽象的な言葉ではなくて、憲法三十二条の裁判を受ける権利からこの法律が出てくるものなんだという、これをもっと単刀直入にお書きになるわけにいかぬのでしょうか。大臣、いかがですか、これは。
○臼井国務大臣 憲法第三十二条の裁判を受ける権利は、民事事件及び行政事件の場合におきましては、裁判所に訴訟を提起いたしまして、その裁判を求める権利を有するということを意味するものと考えられておりまして、裁判を受ける権利があることから民事法律扶助を受ける権利が直ちに導かれるものではありませんので、これを明示することが適当とは言いがたいものと考えておるのでございます。
○漆原委員 確かに、この裁判を受ける権利が受給権なのかどうかという法理上の問題点があるのですね。憲法上は、この三十二条はやはり社会権的権利であって、自由権的権利ではないだろうというふうに私は思います。 そういう意味では、先ほど来いろいろな委員が憲法三十二条の趣旨を明確にしろという質問をしておりますけれども、しかし、ほとんどの委員は多分、これが直接的な受給権を保障したというふうには解釈しない。憲法三十二条に由来するものなんだ、そういう趣旨を明確にすべきじゃないのか、こういう観点からの指摘だろうと思います。 私も、この三十二条を明記したからといって、そこから直接的にこの受給権が出てくるとは思っておりません。ただ、この権利が憲法に由来する制度なんだということをぜひ書いていただくことが、この制度の今後にとって非常に大きな意味があるのじゃないか、そういうふうに思いますが、これはどうでしょう、弁護士でもいらっしゃる山本総括政務次官、私と同じような感覚かなと思いますが、いかがでございましょうか。
○山本(有)政務次官 そのとおりだと考えております。
○漆原委員 びっくりして喜んでおります。 本当に、直接的な権利ではないということを前提としつつ、「目的」の中に憲法三十二条に由来するという一項目が入れば、この法律扶助法という法案が非常に価値の高い法案になるだろうなということを申し上げて、次の質問に移りたいと思います。 これは大臣にお聞きしたいのですが、先ほど来質問もありましたが、刑事事件の被疑者弁護の件でございます。 この事業は、資力に乏しい刑事事件の被疑者に対して、起訴前の弁護活動ということで言われておりますが、法律扶助協会の平成十年度の実績は、全国で三千六十五件援助されて、支払われた費用は二億六千三百七十万、こう聞いております。しかし、この事業は国庫補助対象外事業とされておりまして、その費用は日弁連や弁護士会の補助金によって賄われている。 憲法三十四条前段では、「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。」として、被疑者の弁護人選任権を保障しております。被疑者段階では、刑事手続上も被疑者の人権が最も侵害されやすいし、また、捜査機関によって被疑者の命運を決定づける証拠が収集される、こういう事態にもなっております。また、被疑者側にとってみても、防御のための準備活動の場でありまして、極めて重大な段階だ、こう思います。被疑者が弁護人の援助を受ける権利の保障は、憲法三十一条のデュープロセスの観点からも不可欠だろう、こう思っております。 また、被疑者のうち、裕福な者は捜査段階から弁護人を選任して援助を受けられるのに対して、貧困な被疑者は弁護を受ける権利を行使したいと思っても経済的理由で受けられない、こういう結果になります。このように、裕福な被疑者と貧困な被疑者との間に金がないという理由だけで差別を認めるのは、まことに私は不合理だなと思います。また、憲法十四条の法の精神からも反するのではないか、こう考えております。 したがって、刑事事件の被疑者段階での弁護もぜひとも法律扶助の対象に加えてもらいたい、こういう気持ちを持っておりますが、大臣はいかがでございましょうか。
○臼井国務大臣 刑事事件は、国が国家刑罰権の実現として、本人の意思にかかわらず権限を行使して被疑者、被告人を刑事手続にのせるものでございますから、私的な紛争の解決を目的とする民事事件に比べて、より迅速かつ確実に弁護人の選任等を行う必要がございます。また、既に被告人について国選弁護制度がございますので、これと統一的、総合的に実施するということが望ましいと考えられるなど、民事事件と異なり、必ずしも法律扶助になじむものではないと考えております。 しかしながら、起訴前の弁護活動に対しまして公的援助を行うべきという御指摘があることにつきましては、法務省といたしましても、公的な被疑者弁護に関する現実的な検討が必要な段階に来ていると考えておりまして、司法制度改革審議会等における議論も踏まえつつ検討してまいりたいと考えております。
○漆原委員 前向きなお答えをいただいて、ありがとうございました。今回は、議論のある民事だけでも早く終わらせてひとつ決着をつけようということで、民事法律扶助というふうにお出しになったと思いますが、できるだけ早く刑事の方も解決してもらいたい、こう思っております。 もう一つは少年保護事件の付き添い扶助でございますが、これも法律扶助協会の十年度の実績では一千百二件があった。お金も一億二千八十七万、これも国庫補助の対象外にされているために、日弁連の補助金で賄われております。 少年事件の場合には、少年審判は、当該事件に非行があったか否かを認定するという、そして、非行のある少年に対しては法的措置や保護処分を行う手続でありまして、保護処分が少年の身体の自由を拘束したり、その権利を制限するという点では成人と変わりがないというふうに思います。 そういう意味では、この少年保護事件の付き添い扶助もぜひとも法律扶助の対象にしてもらいたい、こういう気持ちを強く持っておりますが、この点の大臣の見解をお尋ねしたいと思います。
○臼井国務大臣 ただいま委員御指摘をいただきました少年保護事件等につきましては、第百四十五通常国会に提出をいたしております少年法等の一部を改正する法律案におきまして、少年審判に検察官が関与する場合で、少年に弁護士である付添人がいないときは、家庭裁判所は弁護士である付添人を付することとして国選付添人制度の導入を盛り込んでおりまして、御指摘の問題につきましては、付き添い制度全体の中での検討を行うことが適当であると考えております。
○漆原委員 少年法は今国会にも出ておるわけなのですが、非常に難しい問題をたくさん含んでおります。そういう意味では、少年法の改正については非常に反対意見も強うございまして、それとは別に、現在、法律扶助協会で一生懸命やっている、弁護士会等でお金を出してやっているという事実を考えますと、やはりこれは少年法の改正とは別に早急に対処しなければならぬ問題ではないのかなというふうに考えますが、大臣、いかがでございましょうか。
○臼井国務大臣 私どもの考え方といたしましては先ほど申し述べたとおりでございますが、委員の御指摘でございますので、しっかり考えてみたいと思います。
○漆原委員 続きまして、山本総括政務次官にお尋ねします。 この運営主体について、指定法人に関して聞きたいのですが、指定法人は全国に一個となっておりますが、実際には多くの支部をつくって運営に当たることとなると思います。財団法人の法律扶助協会の場合には、今、東京に本部がありまして、都道府県で五十の支部を置いて運営されておりますが、法務省としては組織としてどの程度の規模を想定されているのか、お尋ねしたいと思います。
○山本(有)政務次官 指定法人は全国に一つを限って指定されるものでございます。民事法律扶助事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な遂行の実現に努める等の義務を負っているものでございますので、全国的に同事業を展開できるものを想定しており、国民等の方々の利便等も考えますと、例えば各地方裁判所所在地に一つずつ支部を置くものなどを想定しております。
○漆原委員 そうすると、五十ぐらいになりますか。もっとになりますか。
○山本(有)政務次官 ちょうど五十だろうというように考えております。
○漆原委員 本事業を五十個ぐらいの支部を置いてやるとした場合に、これを適切、円滑に運営して法の目的を達成するためには、相当高額な組織の管理運営費というのが必要になってくると思います。 この法第十一条は、国は、指定法人に対し法律扶助事業に要する費用の一部を補助することができる、こう規定しておりますけれども、この「民事法律扶助事業に要する費用」の中に、指定法人の組織の管理運営費は全額含まれるというふうに解釈していいんでしょうか。それとも一部しか認められないというふうになるんでしょうか。
○山本(有)政務次官 事務費補助金につきましては、民事法律扶助事業の需要に適切に対応するための事務量の増大に対応して、新たに平成十二年度から予算化させていただいたものでございます。 民事法律扶助制度につきましては、その重要性にかんがみますと、今回の制度改革後におきましても、その成果等を十分踏まえつつ一層の整備及び発展を図ってまいりたいと考えておりますものの、常に全額ということまでは予定していないところでございます。 ちなみに、平成十二年は、新規の予算として三億円を計上しております。
○漆原委員 三億円、十二年度は計上されておりますけれども、五十支部があって、専従の職員を置いたりして、果たしてこの三億で足りるのかなという感じがいたします。 もしもこれが三億で足りないという場合には、仮に一億ぐらい足りなかったという場合にはどういうふうになるんでしょうか。
○横山政府参考人 お答えいたします。 まず、もともと指定法人制度そのものをどうして採用したかというところでございます。 国が民事法律扶助事業の整備及び発展を図るに際しましては、国がその責務に基づきこの事業の遂行に積極的に関与し得る枠組みが必要でありますとともに、行政改革の理念を踏まえますと、民間活力をも利用しつつこの事業の運営を適正かつ確実に遂行することができる制度を採用するということに合理性があると考えております。 そこで、本法案においては、全国的に民事法律扶助事業を行うにふさわしい法人の要件を定め、法務大臣がこれを指定することができるものとした上、その指定法人の組織体制を整備し、国がその運営を適切に監督することができる制度を採用することとしております。 具体的に、指定法人の運営に関しましても、年度当初に事業計画、それから収支予算等につきましては法務大臣の認可に係らせておりまして、また、そこで運営がどのように行われるのか、それも適正に監督することになっております。 したがいまして、足りなかったらどうなのかという御質問でありますけれども、私どもとしましては、そこを適正に監督することによりまして、事業の運営がそういうことにならないようにしたい、このように考えております。
○漆原委員 なぜこれを聞いたかといいますと、現在の法律扶助協会を見てみますと、法律扶助協会が雇用している者というのは本部及び東京支部の職員だけでありまして、他はすべて弁護士会の職員が兼務しています。弁護士会の日常業務を行う弁護士会の職員が支部の業務を兼務しているのが現状であって、また、管理運営費というのは、その多くを日弁連とか弁護士からの資金に依存をしているわけですね。 そうすると、この指定法人というのは、収益が入ってこないわけですから、お金が足りなかった場合に果たしてどうなるんだろうか。今の財団法人法律扶助協会のように、場所も人も金も全部これは弁護士ないし弁護士会に依存しているような状況ですと、法律サービスの提供者である弁護士にほとんど依存されている。こういう体制になった場合には、これは国民の目から見た場合に、決して弁護士と法律扶助事業が中立ではないな、こういう疑惑を持つと私は思うんですね。ですから、扶助事業指定団体とサービスを提供する弁護士もこれは中立性を保たなきゃならないんじゃないか。 そうだとすると、事業に対してはきちっとして、管理運営費はしっかり国の方で面倒を見ていくぐらいの体制をとらないとやっていけないんじゃないかなという心配を持っておりますが、総括政務次官、いかがでしょう。
○山本(有)政務次官 御指摘のように、現行の民事法律扶助事業が人的、物的及び財政的に弁護士会に依存しているとの御意見があることは承知しておりますが、この事業は、これまで長年にわたり弁護士会からの多大な御支援に基づき発展してまいりましたし、本法案のもとで同事業が健全に発展していくためには、今後とも弁護士会の責務等に基づく御支援が不可欠であると考えております。 他方、同事業が司法制度の充実に寄与する公共性の高いもので、国民がより利用しやすい司法制度の実現に資するものであることにかんがみますと、本法案に基づく指定法人は、事業運営、役員構成等の全般にわたり、御指摘のとおり国民の方々の意見も幅広く取り入れることのできる中立公正なものでなければならないと考えております。 したがいまして、先生の御指摘、重要な御指摘と受けとめ、指導してまいりたいと考えております。
○漆原委員 現在、財団法人法律扶助協会の管理運営費は、これは総括よく知っていらっしゃるとおり、法律扶助協会があっちこっちに要請して、日弁連だとか弁護士会、地方自治体、民間の企業から、一生懸命要請して寄附を集めているわけですね。その財政援助によって成り立っている。そもそもこのようなあるかないかわからない財政援助に基盤を置くことは非常に不十分だろうし、また、景気がよければたくさんの寄附はあるかもしれないけれども、景気が悪くなると寄附が少なくなるという、運営主体としての財政基盤は、今のような状態ではまことに不安定だと私は思うんですね。 そういう意味では、先ほど大臣がおっしゃったように、法律扶助制度というのが憲法三十二条の精神から出てくるんだということであるとすれば、それをきちっとしてやり通すためには、財政基盤が不安定ではとても私はそんな高邁な理想を実現できないだろうな。そういう意味ではやはり、財政基盤に対しても、国が万全の財政援助をするような体制にしていかなきゃならぬのじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。これは総括、どうですか。
○山本(有)政務次官 かつての法律扶助事業に係る予算は本当に微々たるものでございましたし、ことしの予算二十一億八千万、この予算でも不十分とはいいながら、過去の例からしますと相当な額ふえておるわけでございまして、その意味におきましては先生の御理解も得ておるだろうとは思います。 しかし、これはこれでふえたとして、我々満足しているわけではございません。先生の御指摘のとおり、さらにしっかりとした予算の確保をして、国民の裁判を受ける権利の実質的保障をしていくという心構えはしっかりと持っておるつもりでございますので、なお御指導よろしくお願いいたします。
○漆原委員 約二十二億、大きいか小さいかは異論があるところでございますが、私は、小さくとも、まず制度をつくったという、これは大変大きな前進だろう、こういうふうに実は思っております。 具体的な問題を解決しながら、ぜひともこれを大きく育てていっていただきたいな、これを最後にお願いしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 杉浦正健君。
○杉浦委員 ちょっと速記をとめていただけますか。
○武部委員長 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○武部委員長 速記を始めてください。 杉浦君。
○杉浦委員 自民党の杉浦でございます。 御案内のとおり、司法制度改革審議会ができまして、司法改革に関する議論もいろいろな分野で、政府内外で進み始めております。まだ改革審議会の方で本格的な論議に入っていないようですが、各界で進んでおることは御案内のとおりでございます。 我が党におきましても、審議会を生みっぱなしではいけないということで、保岡先生いらっしゃいませんが、保岡先生を会長といたしまして司法制度調査会というものを、前からあったものをさらに強化いたしまして、司法制度改革審議会の論点整理が出されておるわけですが、その整理にのっとりまして、それを五つに分けまして、小委員会を立ち上げて、昨年の秋以降、それぞれの小委員会が議論を進めておるところでございます。 ちょっと余談になりますが、司法制度改革の問題は、この間の選挙のすぐ後、当時の橋本総理が六大改革に次ぐ七大改革ということで御指示をされまして、自民党の中に、当時、山崎拓政調会長でございましたが、政調会長を特別調査会長として発足いたしました。保岡先生が会長代理、私が事務局をお受けして、総選挙直後から取り組んでまいったわけでございます。 自民党の中で、一年近くかけまして司法制度改革のあらゆる問題を議論して、それを橋本総理に答申した。その中に、この司法制度改革審議会をぜひ政府の中に設けてほしいということが結論の一つだったわけでありますが、それを受けて、政府部内に審議会が設置された、進み始めたということでございまして、それに携わった一人として本当にうれしく思っているわけであります。 それは一方におきましては、新しい時代の流れ、さまざまな状況の変化というものがございますし、また、法曹三者の中におきましても、期せずして、みずからの中から、司法制度の改革が必要ではないかと、裁判所、検察庁、法務省そして弁護士会の中から強い盛り上がりが同時にあったわけでございまして、大きなうねりとなって進み始めておるわけでございます。ぜひとも、いい形で司法改革が、国民の目から見て新しい時代にふさわしいものに進んでいくことを切に祈念しておりますし、その改革の発進に連なった一人として進めてまいりたいと思っております。 ところで私は、その五つの自民党の小委員会のうち、この法律扶助の問題を含みます小委員会、国民の争訟解決を支援する小委員会と名づけたわけですが、小委員会の委員長を仰せつかりまして、去年の秋以降、小委員会で取り組んでまいったわけでございます。 お手元に、ことしの三月九日付のプロジェクトチームの素案という二枚のペーパーをお配りさせていただいておりますが、半年近い間にわたりまして小委員会で議論をし、プロジェクトチームを立ち上げたわけでございます。最高裁、法務省、弁護士会、それから司法書士会初め隣接各団体、中小企業庁、日本商工会議所等、広い範囲の方々からの御意見を承りながら、プロジェクトチームとして望むべき法律扶助制度のあり方を検討いたしまして、最大限それらの皆様方の御意見を取り入れて、たたき台素案をつくったわけでございます。この素案は、三月九日の小委員会で了承をいただいております。ですから、素案とは言えないかもしれませんが、ただ、まだ自民党の中で調査会とか法務部会の了承はいただいておりませんから、党として決めたわけではございませんが、一応そういう段階の素案だということで御参考までにお配りをさせていただいたわけでございます。 これをごらんいただけばわかりますように、今回提案されました民事法律扶助法案よりももっとスケールの大きいものを私どもは念頭に置きながら進めてまいっておるわけでございます。これは、山崎政調会長が立ち上げられました改革調査会以来、私が中心でございますが、扶助事業については、今のようなものではとてもだめだ、もっと抜本的なものを立ち上げるべきだという考え方で一貫してまいっておるところでございます。それが、このような形で結実しようとしているというふうに御理解いただいたらいいと思うわけであります。 まず第一に、これは官房長にお伺いしたいのですが、党の部会でいろいろ官房長とやり合いましたのでさらっとお伺いいたしますが、この法律を制定することの意義は、画期的なものであることは認めます。けれども、我々は、もっと大きなものを現実に検討しておったわけで、五つあるわけであって、なぜ今民事の法律扶助法案だけを先に出すか。刑事のことも我々は考えているわけで、先ほど来いろいろあったけれども、それを含めて考えているわけだし、民事についても、中小企業まで含めたらどうか、法人の扶助があってもいいではないかということも考えているわけで、私どもとしては、党のしかるべき決定をいただいた場合には、我々としてはこう考えるのだ、審議会の場で十分御議論を賜りたいということで、改革審議会に持ち込むつもりなわけなんです。 そちらの審議会の方も、まだ中間答申も秋ですか、これから各界の意見を聞いて、公聴会なんかもなさるのでしょう。広範な国民の声を聞いて御議論をなさるというふうに承っておるわけですが、その結論がまだ出ない前に、なぜこの法案を急がれるのか、非常に素朴な疑問がありまして、大分自民党の中で官房長と渡り合ったことは御案内のとおりなんです。この法案を出すこと自体は反対はしないわけですけれども、そのあたり、いまだに私は十分納得しているとは言えませんし、待ってもらってもいいではないか、補助金の執行は適正化法というのがあるわけだし、別にこの法律をつくらなければ執行できないわけではないのだからという思いはないわけではございません。 ここで聞きたいのは、法務省としては、法律扶助についてこの法案で打ちどめだということではないのですね。要するに、これから改革審での御審議が進む、我々も前向きにやるわけですけれども、そういった結論が出た場合にはそれに従われるのですねという点をまず第一に念を押し、念のためにお伺いしたいわけです。
○但木政府参考人 委員御指摘のとおり、決して法務省は、これをもってすべてが終わるというようなことを考えているわけではございません。ただ、ぜひ御理解いただきたいと思うのですが、民事法律扶助の問題につきましては、本当に長い間の悲願でございました。遠くは、亡くなられました瀬戸山元法務大臣などが大変御努力されて、民事法律扶助事業を発展させなければならない、できるだけ早く法制度をつくらなければいけないということで、大変長い間たくさんの方々がかかわって、この民事法律扶助事業の法制化ということに取り組んできたわけでございます。 そして、平成六年になりまして法律扶助制度研究会ができまして、各界からの御意見をいただきまして、平成十年にようやく民事法律扶助事業についての御提案をいただいたわけでございます。 法務省といたしましては、先ほど来法務大臣が繰り返し述べておりますように、民事法律扶助事業というのは、資力に乏しい人々が裁判所を利用して自分の正当な権利を実現するという意味で非常に重要な制度でございます。そういう意味におきまして、この民事法律扶助法につきましては一刻も早く通していただいて、国の責務あるいは弁護士会の責務ということも明らかにしていく必要があると考えております。 それで、御質問についてでございますが、一番端的に申しますと、昨年、司法制度改革審議会の会長談話が発表されております。この会長談話の中では、司法制度改革審議会は「今後とも総合的・体系的に審議を深めていく」ということを言っております。その一方で、「現在、民事に関する法律扶助事業に関し、国の責務を明らかにした上、その統一的な運営体制を整備し、国民に対し全国的に均質な法的サービスを提供することができるように、財政基盤の強化を含め必要な措置を講ずることを検討されているものと承知している」と、当審議会としては、ぜひその法律を早期に制定してほしい、こういう意見を述べております。 私は、これによってかなり性格は変わった。つまり、現在提出しております法律扶助法と司法制度改革審議会はまさに同じ方向に向いておって、それの第一歩としての位置づけをしていただいている、こういうふうに考えております。
○杉浦委員 以下のことは答弁要りませんが、但木さん、私率直に言って、この法案は画期的だから賛成ですよ。出すなとは言わないけれども、我々が審議会を含めてもっと大きなものを考えるというのに、あなた方はこれを出せというわけだ。会長談話が出たと言うけれども、僕に言わせれば出してもらったわけで、あなた方法務官僚が、改革審議会を設立して、国民の広い意見を聞いて司法改革をやる、役人は口を出さないと重ね重ね言っていた。だけれども、それならば、この法律を二、三年待ったっていいではないかと僕は思うのだな。答弁要りませんよ。 司法制度改革審議会は、皆さんまじめに議論しておられるわけで、その審議会はこれから本格的に議論が始まるわけだから、本当に各界の意見を聞いて、我々法曹界の人間は先輩から、権力に携わる者は謙抑でなければいかぬ、権力の行使は謙虚に抑制的でなければいかぬということをたたき込まれたよね。本当に謙虚に国民の意見を聞いて、これからあるべき司法制度改革のあり方を、官僚の立場で、いやしくもリードするとか引きずるというようなことのないように。僕はちょっとおそれを感じた、印象ですから、ひとり言を言っているだけですけれども。官僚諸君に期待したい、こう思っておりますので、答弁は要りません。 それで、現在の法律扶助制度は昭和二十七年から始まったのですが、私は出だしが不幸だったと思っているのです。私は昭和五十七年度に第一東京弁護士会の副会長を一年間やりまして、扶助協会を担当しました、財務も。日弁連の幹部とか扶助協会の幹部とも大分議論しました。要するに、扶助事業というのは本来国の責務だ、国がやらなければいかぬことだ、なぜ弁護士会がしょい込んでやるのかということを大分言ったのですね。これは運営費もほとんど弁護士会が持っている。本当に犠牲的な報酬でやっているわけですよ。これはおかしい、弁護士会は手を引くべきだ、国へ事業を返上しろと随分言って。日弁連からすごいたくさんの補助金が出ているのだな。僕は財務担当だから判こをつかなかったのだ、こんな支出するのはおかしいと。我々弁護士会の会費は高いですからね。半年ぐらい判こをつかなくて、扶助協会が困ったことがあるのです。要するに日弁連、弁護士会が始めたわけですよ。最初は補助金もなかった。それゆえのねじれというのが今でも尾を引いていると思います。 この資料に各国の比較表がついていますよ。参考資料、一覧表、八十五ページというところにありますけれども、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、アメリカ、韓国という事例がありますが、そのうち、フランス、ドイツ、スウェーデン、この三国は裁判所が扶助事業をやっていますよ。ほかの三国は非政府の法人でありますが、これはいろいろ聞いてみますと、日本流に言うと特殊法人に近いのですね。特殊法人でやっているのですよ。要するに、国がやっているのと同じなのですね。日本は弁護士からスタートした。 それで、不幸なことには、最近の日弁連は大分地に足がついてきましたが、今でも日弁連は余り政治的過ぎる、強制加入団体でありながら政治的な活動をし過ぎるという批判は随分ある。特に自民党の中には強いです。日弁連というと左だ、こういう批判が強いわけなのですが、そういう体質というのがあるわけです。五十七年ごろ、私が副会長のときは、もう本当に著しかった。我々伝統的弁護士というのは、強制加入団体は憲法違反だ、脱会する自由があっていいではないかと息巻いたこともございました。それくらいの団体でしたから、はっきり言って、瀬戸山さんはそうおっしゃったか知らないけれども、政府は一貫して後ろ向きでしたね。前向きどころの話ではないです。ずっと自民党政権でしたから、自民党ももちろん積極的にそれを育てようというおつもりはなかったと拝察しておりますね。それでずっと来たのです。それが不幸だと私は思うのです。 金額を見てください。イギリスなんか、これは何年の事業費ですか、事業費千六百十億円、うち国庫負担千百四十六億円。フランスは約百八十二億円で全額国庫負担。ドイツは三百六十三億円で全額国庫負担です。スウェーデン、小さい国ですけれども、約四十七億円で、国庫負担約四十五億円。アメリカも六百五十六億円、うち国庫、州も入っていますが、四百六十二億円。韓国は十七億円、国庫負担十四億円、こうなっております。韓国はちょっとあれとして、金額もけた違いですよね。 それで、予算をふやしたふやしたとさっきからおっしゃるけれども、このところふえているのは個人破産事件ですね。資料をもらいました。平成六年度千五百四十九件だった自己破産扶助決定件数が、平成十年度は約五千件、四千九百七十九件あります。扶助決定総件数から自己破産扶助決定件数を引きますと、ふえたり減ったりしておりますが、大体四千件台ですね。つまり、個人破産事件以外の扶助事件はふえていない。十一年度はもっと自己破産はふえているでしょう。予算をわっとふやした。ふやさなければしようがなかった。最高裁が困ったのですね。破産申請件数がふえる。破産裁判所はパンクする。破産するくらいだからもう資力がないですよ、資力がないから持ち込むわけです。管財人をつけなければもう事務が停滞してしまうということで、国にやいのやいのというお願いをして、要するに個人破産、自己破産の事件を処理するためにふやしたと言ってもいいのですね。何も胸を張って、二十億にしたと言うようなことではないと僕は思うのですよ。裁判所の渋滞を解消するためにやったようなものです、実態は。僕はそう思うのです。 だから、扶助事業そのものも、今ですら日弁連と扶助協会の問題は尾を引いておりまして、ここでやっと、国が国の責務を法律で正面から認めて、本格的に取り組むというのはまさに画期的なことでありますし、本来の姿に立ち返ることだと僕は思うんです。 ただし、さっき局長からあったけれども、事務費二億何ぼなんて、とんでもない話ですよ。弁護士会だけで五億ぐらい管理費を、補助金を出しているわけですから。そんなもので、全国津々浦々まで均質なサービスが提供できる指定法人になると思ったら大間違いなんですね。それはまだまだ、財政的な、大蔵省という、国家財政の厳しさという壁に突き当たっているという問題はあるにいたしましても、本来あるべき法律扶助、権利性は仮にないとしても、私は扶助の権利性はないと思う、しかし、資力がないために泣き寝入りしている人をできるだけ援助しようというのが我々の立場でしょう。それをやるとなったら、今のこの法律案の中身で決して満足できるものではないと私は思っておりますが、官房長、いかがですか。
○但木政府参考人 司法制度改革審議会が、二十一世紀に向けて、現在、司法の位置づけをしてくださっている最中でございます。杉浦委員御指摘のように、このようなスケールで果たして日本の法律扶助制度はいいのかというのは、非常に大きな問題であろうと思います。司法制度改革の中で、国民が司法へアクセスできる道をどれだけ大きく確保するかというのは、司法制度改革の中の非常に大きな柱であります。 この点につきまして、国会において御論議をいただき、また、司法制度改革審議会で御論議いただいて、次の二十一世紀において、国の構えとして司法がどう位置づけられ、その司法に国民のアクセスがどう確保されていくか、この点については、ぜひ、高いお立場から十分な御論議をいただきたいというふうに思っております。
○杉浦委員 弁護士会が扶助協会をしっかり抱え込んでいる、言ってみれば完全子会社みたいな形で運営してきたわけですね。こういう状態を解消しない限り、この扶助事業の本当の前進というのはあり得ないと私は思うんですね。 弁護士時代にはそれを強硬に言ったんです、国に返上しろ、弁護士会及び弁護士は協力者だと。弁護士は、事業、仕事はやるわけだ。だけれども、運営とかお金とかいうのは国が責任を持ってやるべきであって、報酬もきちっと出すべきである。きちっとというか、基準に従ってとは言わないけれども、もっときちっと出して当然であろうということを言っておったわけですね。今度の改革でも、私はその点が非常に重要な問題だと思うんです。 先ほど、指定法人の指定の問題で山本政務次官が御答弁なさったんですけれども、私は、今の法律扶助協会を指定する、今のような予算規模とかなんとかといって指定することは、必ずしもいいとは思わないんですね。さっき漆原さんが心配しておられたけれども、別にしっかりした、弁護士会からも、最高裁、法務省からも中立な、ぴしっとした組織を立ち上げて、それを指定する、そして、それに弁護士会は協力をする、国も法務省も協力するということが、私は大事なことだと思うんです。 現実に扶助協会がやってきたじゃないか、こうおっしゃるんですが、私に言わせますと、扶助協会がやったんじゃないです。日弁連、弁護士会、弁護士がやってきたんですよ。扶助協会は、ある意味では補助金を受け入れるための窓口みたいなものですよ。事務局として独立しているのは、日弁連というか、本部と東京支部だけですね。わずかな人数ですよ。東京三会だって、一弁だって、扶助をやっている職員が何人かいるわけですよ。地方に行ったら、弁護士会が全部やっておるわけですよ、独立していないんです。それであるがゆえに、広報だってままなりませんね。大体、弁護士会がどこにあるかも知らない国民が大多数ですから。予算の規模も少ないし。これは、弁護士会が抱え込んだ体制から解き放って、しっかりした基盤を持った法人格を立ち上げることが必要だ、絶対条件だと思うんですね。 とりわけ、刑事手続を扱うことになりますと、民事は当事者、私人間の争いですからあれですけれども、刑事は国家の刑罰権の行使対国民ですよね。公正性とか中立性というのをうんと担保されるわけですよ。だから、弁護士会の子会社のような扶助協会ならば、最高裁もオーケーしないし、国民もノーと言いますね。これはやはり、法曹三者から独立の、中立の、しかも国がしっかり監督権を行使した、そういう団体でないと、これは大方が納得しない、私も納得できませんね。そう思うんです。 この民事法律扶助協会の、考えておられる指定法人という考えと、後ほど見解を伺うけれども、僕は、認可法人がいいと思っているんです。もっと大きい、日本赤十字のような、立派な法人格を、法曹三者から中立的な部分、立ち上げるのがいいと思っているんだけれども、その法人格に対する考えは基本的な考えとしては同じでしょう。そこのところはどうなんですか、官房長。
○但木政府参考人 基本的に、今度の法案が何が画期的かと申しますれば、やはり、弁護士会のボランティア活動として支えてこられた、また、それに対して国が補助金を出す、そういうやり方で続けられてきた民事の法律扶助事業を、これからの時代は国民全体に支えてもらう民事法律扶助事業にしなければならないという大転換が図られているという点に今度の法案の基本的な特質があり、また、それが非常に大きな意味があることだというふうに思っております。 そういう意味で、次の、そうした扶助事業、また、杉浦委員がお考えのような、刑事も含めた扶助事業というようなものを想定した場合には、国民が支えている扶助事業というのにふさわしい運営主体であるべきであるというふうに考えております。
○杉浦委員 今の法律扶助協会は、民事の扶助事業以外に、独自の事業も幾つかやっておられますね。それはそれとして、弁護士会が、その社会的責務から、扶助事業以外のことをいろいろなさるのは、それは弁護士会の自由に属することなんです。 私は、法律扶助事業に関する限り、この指定の要件の第一、「民事法律扶助事業を適正かつ確実に遂行するに足りる知識及び能力並びに経理的基礎を有する者」、これは、今やっておるのは、形式的にも実質的にも日弁連と弁護士会だと思うんですよ、扶助協会ではないと思うんですよ。だから、この指定をするに際しまして、そのあたりは日弁連や弁護士会ともよく協議をされて、要するに、日弁連からも離れたもの、裁判所や法務省からも中立であり公正である法人を協力して立ち上げて、それを指定するという方向を考えられたらいかがか、考えるべきではないかと僕は思っております。答弁は要りません。 加えて言いますと、最近はそうでもないようですが、私が副会長のころは労働運動がすごくて、私は労務担当副会長でもあったものですから、春闘のときなんかはもう毎晩徹夜のようでしたよ。全弁労というのは本当に強くて、もう苦労したのをきのうのように思い出します。特にその弁護士関係の組合の中で扶助協会の組合が強くて、後ろにいて指導して、一弁の労働組合なんかはおとなしかったのですけれども、あおりを食らって本当に痛い思いをしたことがございまして、そういうことを覚えている法曹人というのは多いですよ、政治家の人たちもよく知っているから。 だから、今の日弁連は着実になってきた、ひところに比べますと。それから、扶助協会もあのころとは違うということはよく知っております、理解はしておりますけれども、しかし、新しい酒をつくるのにはやはり新しい皮袋をつくってやるという方がいい、古い皮袋へ新しい酒を入れるのはよくない、そういう意味でも私は思っておりますので、私見としてどこかにおとめ置きいただければありがたいと思う次第でございます。 時間がなくなってきましたので、少し早目に終われと言われていますからはしょりますが、お配りいたしました小委員会の素案についての見解をお伺いいたしたいと思います。これは、法務省並びに最高裁からお伺いしたいと思います。 一括してお伺いいたしますが、素案をお読みいただければわかりますように、民事は最後の第三になっておりますけれども、民事の法律扶助につきましては、個人に対する法律扶助のみならず法人に対する法的支援も行うべきではないか。中小企業庁とか商工会議所にいろいろ聞きましたら、ニーズはあると。中小企業、小規模企業といえどもお金がないために裁判ができないという人もいる。個人と同時に法人も日本には人格として存在しているわけですから、法律扶助なり、あるいは扶助というのになじまなければ法的支援というのも要るだろうというふうに考えておるわけでございます。 個人に対する法律扶助としては、ADRにおける法律扶助は入れるとか、それから中間所得層も、今は二〇%と言っていますが、それをもう少し上へ上げるとか、先ほど引用した国では大体四、五〇%くらいまでは支援対象にしているのですね。だから、もっと広く考えるべきではないかとかいうことも視野に入れておるわけでございます。 とりわけ、法人に対する争訟支援については、今度民事再生法が四月一日から施行されますが、これなどは、いい弁護士さんがつく、つかないでもう天と地の差ができるわけですね。この再生手続に対する支援、これは中小企業が主となると思うのですが、そういうものですとか、独禁法を今度改正される、まだされておりませんが、政府提案なされますが、私人の差しとめ請求を認めようというふうに踏み切りました。これも画期的なことなんですけれども、これも恐らく中小企業が主になると思うので、こういう手続に対する支援だとか、ADR、あるいは特許の申請から、これは手続としか書いてありませんが、特許の申請費用とか維持するのに相当お金が要りますから、そういったものも物によっては支援してもいいのじゃないかというような幅広な法人支援を私どもは検討いたしております。 それから、第二は刑事弁護でございますが、先ほど来いろいろ問題になっておりましたように、公的弁護制度を、被疑者、被告人を通じた全段階で検討すべきだろう。つまり、法律扶助の見地から、資力の乏しい方々に対しまして、被疑者段階においても本人の請求に基づいて一定の範囲の事件について弁護人をつけるとかということも導入すべきだと考えておりますし、それとの関係で国選弁護制度も、今は裁判所がやっておられますが、新しい私どもの考える運営主体に移しまして、弁護人の選任、解任等はもちろん今までどおり裁判所がなさるのだけれども、今五十億円という予算の運用、あるいは場合によっては回収まで、そういったものは新しい運営主体でやったらどうだろうか。 こういうことを考える理由の一つは、今の国選弁護制度は、弁護人に対する国選弁護費用が支払われておるわけですが、本来資力があって負担できる人まで負担しなくて済んでいる場合がかなりあるようだ。だから、もう少し厳しく、資力のある人から国選弁護費用を取り立てるべきじゃないかという考えも根底にございまして、国選弁護制度の運用の改善、これも新主体でやったらどうか。仮に五十億円の予算のうち半分ぐらい回収できれば、その分法律扶助に回すことができるわけでありますから、それも考えておるわけでございます。 そういうようなことをやることになりますと、今のような扶助協会、弁護士会に偏った運営主体ではとてもだめだ。だから、認可法人といたしまして、最高裁、法務省、日弁連のいずれにも偏らず、隣接士業や有識者、経済界等の代表者等を加えた公正、中立な大きな組織にする、認可法人にする。特殊法人ということも考えられますが、特殊法人、国の機関となると刑事事件をやるのもいかがなものかということもございまして、認可法人がいいだろう。 事業範囲も、先ほど申したように広げる。組織規模も、全国の地方裁判所所在地等、これは地裁の本所だけじゃなくて、支部も大きなところは置いたらいい。 法的サービスの提供形態も、今はジュディケア制と言っている開業されている弁護士さんに頼むということなんだけれども、そういうのに加えまして、契約弁護士さんとか、あるいは法曹の数がふえてくれば弁護士を雇用することも考えられるだろう。そういうのを併用して多角的な提供形態を考えたらどうか。弁護士の偏在という批判に対しましても、将来大きなものが立ち上がった場合には、この支所を弁護士さんのおられないところにつくって、雇った弁護士を配置すれば、そういう過疎地の解消にも役に立つだろうというようなことも念頭に置いておるわけでございます。 そういうことによりまして、国民のサイドからのアクセスを容易にする、広げるということが必要ではないだろうかと思うわけでございます。国、地方公共団体等といたしましたのは、弁護士会とかあるいは商工会議所とか公的な団体がありますが、税理士会とか行政書士会とかもろもろの団体に、法的な網をかぶせられるところにはぜひとも協力義務を負っていただいて、窓口及び広報体制を強化する、近いところへ申し込めば受けられるというふうにしていったらどうかということも考えておるわけでございます。 こういったことを一応我々小委員会としてまとめまして、これから党の上の方に上げていこうと思っておるわけでございますが、まず、法務省に、私どもPTとか小委員会の席でもお伺いしたことではありますけれども、こういう委員会の席上で、我々の素案についてどのようにお考えか、官房長からお伺いしたいと思います。
○但木政府参考人 これは、司法制度改革審議会設置法案の審議の際に法務省から繰り返し申し上げたことでありますが、二十一世紀を迎える我が国の司法制度がいかにあるべきかということを、司法制度改革審議会において国民的視点に基づいてぜひ自由に御論議いただきたい、そこにおいては、法務省がそれをリードするとかそういうことは一切いたしませんということを繰り返し申し上げてまいりました。それについては、現在も全く変わっておりません。 先ほど、会長談話はおまえらがやらせたのではないかというお話がございましたけれども、決してそのようなことはございません。 私は、私どものお願いとして申し上げれば、二十一世紀において我が国における司法というのはいかなる位置づけを与えられるのか、これをまずきちっと御論議いただいて定めていただきたいというふうに思っております。その中で種々の司法制度の改革が必要になるのではないかというふうに思っております。 先ほど来杉浦委員から、民事法律扶助における種々の問題、法人に対する扶助、ADR、民事再生法案等に対する扶助、刑事弁護あるいは運営主体等についてさまざまな御指摘をされました。一つ一つの問題、それぞれ非常に重要なことであると思っております。 国会において、また司法制度改革審議会において、二十一世紀の司法がいかにあるべきか、また諸制度がいかに改革されるべきか、ぜひ御論議いただいて、二十一世紀を展望した御結論をいただければありがたいというふうに思っております。
○杉浦委員 重ねて官房長にお尋ねしますが、私が申し上げたようなこの素案が自民党から改革審議会の方へ出されて、審議会が、ではこういう方向でやりましょうというふうになった場合は、この素案のとおりにやることに異存はありませんね。
○但木政府参考人 私どもは、司法制度改革審議会がさまざまの御提言あるいは御意見を受けて十分な御審議をなされることと確信しております。そこで出されました結論は、もちろん、私どもとしては、次の時代への司法政策として、ぜひそれを実現すべく最大限の努力をすべきものではないかと考えております。
○杉浦委員 最高裁に、同じ素案についての考えをお伺いしたいと思います。 とりわけ、刑事弁護制度がございます。それから、国選弁護制度をこの新認可法人に移譲するといいますか、移しかえるというような点についていろいろ御意見があると思いますが、最高裁の御見解をお伺いしたいと思います。
○中山最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 本日お示しいただいた素案の内容は立法政策にかかわるものであり、また、今後司法制度改革審議会において検討が予定されているものと考えておりますので、本来、裁判所としては意見を申し上げる立場にはございませんが、この構想が実現を見、実施に移された場合に、訴訟の運営をつかさどる裁判所として、これが適正迅速な裁判に資するものでこそあれ、支障を生ずる点は何らないというふうに考えております。 また、移管の点についてもお尋ねでございますが、裁判運営の主体として、国選弁護人の適正な弁護活動を確保するという観点から、裁判所には、選任、解任を初めとする国選弁護人に対する適切な職権の行使が要請されているところでございますが、今後ともこの点がきちんと確保される限り、裁判所としては、国選弁護人に関する所管あるいはその報酬等の予算要求の主体が変わることについて別段の支障はないというふうに考えております。 以上です。
○杉浦委員 両当局から本当に前向きの御答弁をいただきまして、うれしく思っております。 最後に、重ねてですけれども、事業の運営経費ですね。今度二億円ちょっと事務費が計上されているようですが、これでこの法律がねらっておるようなことを本当に津々浦々までといいましょうか、均質的な法的サービスを展開しようと思っておられるとしたら、それは大間違いである。それはあなた方に言っても無理なことでありますからあれですが、私どもの小委員会の、第一の四ですが、この司法改革の関連要求については、閣議決定によって行政改革の別枠扱いとする。認可法人の認可もうるさくなっているのですけれども、そういうのも認めてもらうとか、予算を大幅に認めてもらうということをしなきゃいかぬと思っております。これは我々政党人の責務でございましょうから、全力を挙げて頑張っていきたいと思っておる次第でございます。 五分前になりましたので、まだまだいろいろ聞きたいことはございますが、ここで質疑を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十五分散会