法務委員会 第3号
- 発言数
- 191 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 2000/03/14
会議録
○武部委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。 趣旨の説明を聴取いたします。臼井法務大臣。 ————————————— 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○臼井国務大臣 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。 この法律案は、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所の職員の員数を増加しようとするものでありまして、以下その要点を申し上げます。 第一点は、裁判官につき、判事補の員数を七十人増加しようとするものであります。これは、地方裁判所における民事訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件及び倒産事件の適正迅速な処理を図るため、裁判官の員数を増加しようとするものであります。 第二点は、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十六人増加しようとするものであります。これは、地方裁判所における民事訴訟事件、民事執行法に基づく執行事件及び倒産事件並びに家庭裁判所における家庭事件の適正迅速な処理を図るため、裁判所書記官等を二百四十五人増員するとともに、他方において、裁判所の事務を簡素化し、効率化すること等に伴い、裁判所事務官等を二百二十九人減員し、以上の増減を通じて、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十六人増加しようとするものであります。 以上が、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案の趣旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○武部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○武部委員長 この際、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房長石川重明君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、法務大臣官房長但木敬一君、法務省刑事局長古田佑紀君、文部省高等教育局長佐々木正峰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○武部委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所中山総務局長、金築人事局長、白木刑事局長、安倍家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○武部委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
○日野委員 例年のとおり、ことしも定員法の審議ということになりました。今までの審議を見てみますと、これは年中行事みたいに、若干の質疑をして、我々は不平不満をここで並べて、何で最高裁、もっと積極的に人をふやさぬのだという思いを抱きながら、毎年、それでもまあ最高裁のおっしゃることだから賛成しようかというようなことで賛成をしてきたんですね。 今までの審議を見てみますと、まことに定員というのはりょうりょうたる増加でございます。平成七年なんか十二人、去年でやっと三十人というところだったわけですね。ところが、ことしは違いますな。ことしは七十人の定員の増加、こういうことになるわけであります。この七十人の増加というのは例年に比べて非常に大きい増員でありますから、これについていろいろの問題点というのは出てまいります。いろいろな憶測も出てまいります。 そこで、まず裁判所に伺うことにいたしたいと思いますが、こういう七十人という定員増、これのよって来った理由といいますか、それをまず聞かせていただきたいというふうに思うんですね。これは、恐らくは大蔵省の主計局あたりではかなり問題にはなったんだろうと思いますが、主計局の意見は主計局の意見として、裁判所としてこの七十人という定数の増加をこの法律で求めるという理由を聞かせてください。 〔委員長退席、杉浦委員長代理着席〕
○中山最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 近時の社会経済状況を反映して、委員も御承知のとおり、裁判所に提起される事件は全般的に増加しており、特に民事事件が著しい増加を示してきているところでございます。 このような事件数の増加を踏まえて裁判所では、ここ五年間について見ましても十二人、十五人、二十人、二十人、三十人、合計九十七人の判事補の増員をお願いし、これを実現してきているところでございますが、本年の七十人という増員につきましては、このような事件増嵩を踏まえるとともに、委員も御承知のとおり、新しい司法修習制度が実施され、本年、平成十二年度は四月期と十月期に二期分の司法修習終了者から新任判事補を採用することになることから、判事補七十人の増員をお願いしているところでございます。 以上でございます。
○日野委員 五年間で九十七人ふえたのでございますという話でございますね。これじゃどうにもならぬのです。事件数の増加、それからその内容が難しいものになってきましたね。それから、法廷に出ない、いわゆるワ号事件とかそういった事件でなくても、これは随分ふえていると思います。刑事部についてはいろいろ、令状担当の裁判官の不足もありますし、そのほかに破産事件であるとか執行事件の増加とかいろいろ事件数が増加しているのは、これはよくわかります。その割には何ださっぱり積極的に取り組まないではないか、こう我々は言ってきたわけですな。そういうずっと一連の流れがあって、それが急にことしは七十人の法律を出すということになりました。 結構じゃないかと思うんだが、この七十人がふえるというのは、二つの期がことしはダブルで卒業するわけです。これも私はその事情はよく存じています。ただし、事件の増加、それから事件の複雑化、困難化、こういった問題はもうずっと同じ流れで続いてきているんであって、ここで七十人をふやすということが、これはダブルで卒業生が出るということのほかに、何かもっとほかの理由があるんじゃないか、私は実はこんな感じがするんですね。 時間も余りないので端的に申し上げましょう。実は、今司法制度について大改革をやるために審議会を設けて審議をしていただいているわけです。そこで大きなテーマになるのは、一つは審理の促進、これは一つの大きなテーマですね。それと同時に、もう一つは法曹一元の問題が大きなテーマなんです。法曹一元という場合は、これは非常に大きなテーマであって、前回の臨時司法制度調査会、臨司の意見書では、これは周辺の状況を判断すると非常に難しい問題だからということで先送りになっているわけですね。 私は、キャリアシステムに対する裁判所の考え方というのをひとつまず聞いておきたいと思うんです。法曹一元とキャリアシステム、これは質問通告は実はこういうふうにまとめてやらなかったので、非常に政治的な絡みもありお答えにくいかと思うが、明敏なお二人がここにおられるので、この法曹一元に対する考え方、キャリアシステムというのは好ましいものと考えておられるのかどうか、そこをちょっと聞かせていただけませんか。個人的な考え方でもいいや。
○金築最高裁判所長官代理者 大変大きな問題でございます。御承知のように、法曹一元につきましては、臨時司法制度調査会、かつてございました、ここで、「法曹一元の制度は、これが円滑に実現されるならば、わが国においても一つの望ましい制度である。」ということを述べております。私どももその点についてはそうであろうというふうに考えておりますが、ただ、同時にこの意見書は、「この制度が実現されるための基盤となる諸条件は、いまだ整備されていない。」としておりまして、幾つかの条件を挙げているわけでございます。 そこで、現時点で重要なことは、やはりそういう諸条件が現時点で、現状でどうなっておるかということをできるだけ客観的な姿勢で分析、検証するということが一番重要なことではないかというふうに思っている次第でございます。
○日野委員 私の危惧として申し上げる。裁判所というのは、これは言うまでもなく、やっている仕事が、大体、司法の仕事というのはやはり回顧的です。そして、そういう仕事に携わっておられると、やはり一つの制度に対してとる態度というのは保守的にならざるを得ないんだろう私は思っているんですね。そして、キャリアシステムというのは、その中に入った人たちにとってはまことに居心地のいいシステムだろうと私は思います。これは、裁判官を今やり玉に上げて言っているようですが、警察の世界でも同じですね。それから弁護士の世界だって、ここにも弁護士が随分いますけれども、やや似たようなところがあって、大体法曹の世界というのは保守的なところがあるんだろう、大きな変化を遂げていくということに対して臆病であるということは言えるんじゃないかと思うね。 それで、私の危惧といいますのは、裁判所が非常にそのキャリアシステムに執着をする。しかし、どうもかなり大きな声で法曹一元というものも叫ばれている。そうすると、さっき金築さんがお話しになりましたね、法曹一元については、望ましい制度ではあっても基盤になる条件が整っていない。では、その基盤になる条件の中で大きなものは何だろう、こう考えてみるわけです。そうすると、キャリアの裁判官、この人たちをどういうふうに処遇していくのかということが非常に大きな問題点になってまいりますね。 さて、今この審議会で司法改革が論点になっておりますが、その中で、法曹一元を阻害する条件というのはキャリア裁判官の処遇でありまして、これが今も従来のとおりに細々と増員が続いていくのであれば、それは乗り越え得る障害にはなるんだ。ところが、今度みたいに七十人ぼんとふえますね。そうすると、これは大変だなというような感じも私はするんです。これは一番最後のところでまた聞きますが、裁判所としてそういう意向をお持ちなのかどうか。これは、ちょっとここで伺うのは酷かなとも思うんですが、私もそういう危惧を抱いているということについて感想をどうぞ。
○中山最高裁判所長官代理者 今回の増員は、先ほどもお話し申し上げましたとおり、近時の事件数の増加に対処し、適正かつ迅速な裁判を実現するためのものであり、また、本年は、平成十二年度は特に二期分の判事補を任官という、そういう状況を受けてのものでございまして、法曹一元の議論とは全く関連しないものでありますし、また、その議論に影響を与えようという趣旨に出たものではございません。 法曹一元の議論が行われている限り人的充実を行っていくことができないということになりますと、かえって国民の期待、負託にこたえないということにもなるのではないかというふうに考えている次第でございます。
○日野委員 では、この点はまた後で締めの議論をさせていただくことにしますが、ちょっと別の観点から伺いましょう。 七十人判事補がふえますね。そうすると、大体はこれは特例のつかない判事補ということになるだろうというふうに思います。そうしたら、この特例のつかない判事補をどのように使っていくのか。私は、今までの裁判所の人的な増強、物的な増強、こういった面から見て、七十人、それは吸収させようと思えば無理に吸収できないこともないだろうと思います。例えば各地裁の各部、民事何部とか刑事何部というところに判事補を二人つけてというようなことだって考えられないことはないんだが、こんなものも、従来の裁判所の態度からいったら、これはちょっと違うなという感じがします。それから、令状部だとか保全部だとか執行部だとか、そういうところに人を配置していく。 これは従来から足りないんですからね。何度も、もう毎年繰り返されている議論です。裁判官が足りません、絶対数が足らぬのです、こうずっと我々は言い続けてきた。しかし、これでも何とかやっていきますから大丈夫でございます、こう裁判所は今まで言い続けてきたんです。絶対数が足らないんだからそこに入れればいいんじゃないかというその根本的な考え方、これは非常に安易に過ぎるので、では、どういうふうにこの判事補を使いこなしていくのですか、どういうところに配置をしていくのですか。まだ確定的に決まっておりませんと言うかもしれませんが、青写真でもいいです、ブループリントでいいですから、どうぞ。
○金築最高裁判所長官代理者 本年十月に採用される判事補、これは司法研修の期で申しますと五十三期というふうになりますが、この五十三期は、基本的に、現在新任判事補を従来ずっと配してきております十三の庁、これは東京、大阪を初め比較的規模の大きな庁に配属しておりますけれども、やはり五十三期もこれらの庁に配属することを考えております。そういたしますと、ことし四月に任官した、これは五十二期ということになりますが、それから昨年任官した五十一期と、十月以降は三期新任の判事補がこの十三の庁にいるということになるわけでございます。 そこで、どういうふうに働いてもらうかということでございますが、この三期のうちで一番経験がある、経験を積んでいる五十一期の判事補につきましては、五十三期が来るわけでございますので、通常の合議事件の左陪席などはそういう人とかわるということにいたしますと、例えば複雑困難な合議事件の審理や判決起案に専念するとか、あるいは、御指摘もありましたように、破産執行でありますとか、そのほかの専門的な事件に関与してこれを担当して処理をする、あるいはさらに、これは事件処理だけでございませんで、今、裁判官のいろいろ専門化、そういうことが求められておりますので、研修、あるいは民間へ行っていろいろ広い経験を積む、そういった機会にも利用できればと思っておりまして、この二期ことし採用できるということによってもたらされる利点を最大限に生かしたい、こういうふうに考えております。
○日野委員 地方、中央を問わず大分事件は込んでおりまして、そうすると、もっと部をふやさなければいかぬのじゃないかというような話も聞きます。それから、そのためには裁判所の法廷の数もふやさなければいかぬのじゃないか。それから、宅調なんという制度、こういったものもやめて、きちんと勤務をして、事件処理をどんどんやっていくという物理的な条件も整えなければいかぬのじゃないか、こんなことをいろいろ考えるわけです。これについてどうですか、これから部をふやすというようなことを考えておられますか。
○中山最高裁判所長官代理者 事件の増加等を見ながら、各裁判所における部の増設については、その必要性を勘案し、適宜これを増加させているところでございますし、法廷等につきましても、裁判所の改築あるいは庁舎の新営というような機会に使いやすい法廷、ラウンドテーブル法廷の充実等、そういったところも努力してきているところでございます。 また、宅調について御質問がございましたけれども、原則として今、裁判所においては宅調ということはございません。もっとも、非常に大きな判決等で集中して判決書きを行わなければならない、あるいは記録を検討しなければならないという場合には、そういうような場合に限って非開廷日に家の方でそういった職務を行うということはございますけれども、原則として宅調ということはございませんで、全員裁判所に出てきて裁判官は執務しているのが実情でございます。
○日野委員 今度は法務省に伺います。一番最初の通告の部分はもう時間がないからやめます。 裁判官が七十人にふえます。さて、検察官はどうなりますか。
○臼井国務大臣 検察官の増員、平成十二年度の場合は四十一名でございます。
○日野委員 これは裁判所の方は二倍になるのですよ。検察官は去年は何人でしたか。
○臼井国務大臣 平成十一年度は三十名でございます。
○日野委員 三十名ですね。これは、判事補が倍以上になるにもかかわらず検察官の増員というのは少ない。司法修習生が単一の年度で二期卒業生を出す、この事情は全く同じなんですよ。何で検察官の増員というのはそうなるのかなという非常に強い疑問を私は持つのですね。バランスがとれていなければいかぬのですよ、裁判官の増員と検察官の増員と。弁護士は数が多いということもありますから、バランスをとるだけの人数はいるけれども、検察官の場合は、やはりバランスをとるという考え方からすれば、本当はこれはもっとふやさなければいかぬのだというふうに私は思っております。 特に、私が非常に危惧をしておりますのは、人員不足の弊害というか、それが出ているのは実は裁判官よりも検察庁です。検察官、検事不足で副検事さんを登用するということですね。さらには、事務官あたりに検察官事務取扱という辞令を与えてやらせているのですよ。これは、我々実務家から言わせてもらえば、特に、地方の支部あたりに行くと、ぞろっと出てくるのは検察官事務取扱なんです、副検事ならまだいい。それから、地方の支部長なんかになりますとこれも副検事であったり、まあ検察官事務取扱で支部長というのはなかったかなとも思います。 どういう点で問題かというと、やはり知識不足、それからもう一つは、人権であるとか、法曹として持つべき高度の価値判断、そういうのができないという面には、よく我々小さい事件なんか扱ったときにぶつかったものです。 私は、こういう事態を何とかしなければいかぬと思うのですよ。恐らく、検察庁そのものからはもっと人をふやしてくれという要望は強いのだろうと思う、ないはずがありません。検察の現場をごらんになればよくわかる。しかも、何か大きい事件があれば、各地から腕のいい検事をずっと東京だ大阪だと集めて、そしてその人たちに仕事をさせるということですから、私は、法曹三者の中で、非常に人手不足に悩んでいる現場というのは検察庁なんだと。 法務大臣、これは増強しなさいよ。検察に対する信頼というのはやはりあると思いますよ。しかし、警察の方があんなふうになっているでしょう。下手にまた、検察の方からも人手不足のゆえになどということで変なことが起きて、検察の権威まで失墜するようなことになったら大変だ、これはゆゆしき事態だ、大いに国家の威信を害することになる、私はこう思っています。今、行政や何かでいろいろ問題が起きていますが、まだ国民の司法に対する信頼というものは私は強いと思う。それをきちんと守っていくためには、私は検察の人員をきちっと確保していくことが大事だと思う。ひとつ覚悟というか、お気持ちを聞かせてください、いや、今のとおりでいいというのか、増強しなければいかぬというのか、そのために努力をするというのか。
○臼井国務大臣 ただいま委員御指摘をいただきました検察官の人員ということは大変重要な観点だと私どもも認識をいたしておりまして、御承知のとおり、司法制度改革審議会におきましても、私どもの意見を求められた際にはこうした点についても大変重要な視点であるということを申し上げ、論点整理の中にもそうした点をお入れいただいているところでございまして、今後とも、私どもはそうした私どもの考え方というものをしっかり主張してまいりたい、こう考えております。 〔杉浦委員長代理退席、委員長着席〕
○日野委員 ぜひ、ここは頑張ってもらわなければいかぬです。裁判所を見習ってください。いや本当に、裁判所が今度ふやしたというのは英断だと思うのですよ、私は危惧を持ちながらも非常な英断だと思う。ひとつ法務省も、これは非常に大事なことですから、何といったって治安がいいということは、法的秩序が守られているというのは、これは日本が世界に誇り得ることです。この誇りに傷をつけないようにお願いしたい。 次に、文部省に伺います。 今、法曹不足というのは非常に悩みの種でして、弁護士は、さっき数はいると言ったけれども、決してこれだって私は多いとは思わない。現実に、我々細かい事件の相談を受けるのですよ。私は、もうこんな国会議員なんかやっていますから、法廷にはもちろん立ちません。ただ、私が弁護士だというのを知っている人が来まして、いろいろ相談をして、だれかいい弁護士さんを紹介してくれませんかなんて来るわけです。そうすると紹介しますが、今、実に困ることが起きています。小さい事件についてだれかを紹介しようと思っても引き受けてくれる弁護士さんがいない、これは深刻な問題です。何か少額裁判制度なんというのができたりなんかして、随分いろいろ裁判所の方でも努力はしておられるようだけれども、とにかく、弁護士も不足です。法曹の人口をふやさなくちゃいかぬ、これにはいろいろな異論があると思いますが、私は、断固として法曹の人口はふやさなくちゃいかぬ、こう思っています。 そこで、いろいろな考え方がありまして、ひとつロースクールを活用しようという、ロースクール制度というものについていろいろな検討が行われています。私も、ロースクールというのは一つの魅力的なシステムであろうというふうに思います。何しろ、現在、司法試験になかなか受からないというので、みんな予備校に行っているわけです。そして、司法試験のことばかり夢中になって勉強して、そのほかのことはろくすっぽ勉強もしない、経験もしないという人たちがかなり多いというふうに、これは風のうわさで私も聞きます。そしてまた、大学院なんかも、これは予備校化しているという指摘もあるわけです。 私は、こういう状態では絶対にいかぬ。法曹というのは一の法律的知識と九の一般の常識である、何か昔、偉い法律学者がそんなことを言ったということを、私、何か頭のどこかにひっかかっているんですが、確かにそれははっきり言えることだろうと思いますね。ですから、法曹養成のための機関というのが今から大きく変わらないと、良質の法曹を輩出していくということにはならないと思う。 そこで、みんなが目をつけているのは、四年制ではとても足らぬのだ、四年制で司法試験に受かるだけの法律的勉強と、それから本人の質を高めるための一般的な勉強、これが足らぬのだということになると、どうしても大学院というところに行くわけですね。 そこで、ちょっと文部省の考え方をお聞きしたいんですが、ロースクールということを意識して大学院の制度というものを考えたことがおありになるかどうか。どうでしょう。
○佐々木政府参考人 今後の大学院のあり方といたしましては、教育研究の質的向上と相まって、研究者養成のみならず、高度専門職業人の養成の役割を重視した大学院というものを考えていくことが必要であるという観点に立っております。 そういった観点から、大学院修士課程におけるこれまでの高度専門職業人の養成、これについてはさまざまな御意見もあるわけでございますが、それを充実することとあわせて、さらにこれを推し進め、特定の職業等に従事するのに必要な高度の専門的知識、能力の育成に特化した実践的な教育を行う大学院修士課程、これを専門大学院と称しておりますが、この設置を行えるようにしたところでございまして、ここにおきましては、その目的に即した質の高い教育研究を確保することといたしております。 ただ、この専門大学院につきましては、ロースクールというものは現在その対象といたしておりません。このロースクール構想につきましては、御指摘のように、社会の法的ニーズが飛躍的に増大しているということもございまして、法曹の質量両面の強化が求められるわけでございます。その要請にこたえるためには、幅広い教養、柔軟な思考力、法律に対する体系的理解を身につけた質の高い法曹が必要なわけでございます。 そういった観点から、法学教育を改革し、法曹養成に特化した高度の実践的教育を行ういわゆるロースクール構想につきましては、文部省におきまして、別途、平成十一年二月に、法学教育の在り方等に関する調査研究協力者会議を発足させ、現在、鋭意検討を進めておるところでございます。
○日野委員 現在、国立大学がかなり積極的にこのロースクールを意識した大学院改革をやっているというふうに私は理解をしているわけであります。東大とか九州大学なんかでは、そういった法曹の教育というものについて、特にロースクールを意識した大学院の編成を試みているようにも聞いているのです。 つまり、大学院の場合は、研究と教育というこの二つ、これを別々に大学院としてやっていっていいのかどうか。それからまた、専門大学院ということについて、文部省の方針としては、兼任を認めない相当数の専任教員の確保、三分の一の実務家起用というようなことを基準として挙げておられますね。こういう基準はどうなるのか、ちょっと教えてください。
○佐々木政府参考人 ロースクール構想につきましては、現在検討を進めておるわけでございますが、その際、法的基礎知識の体系的な教育とともに、より実践的な教育の実施が求められるわけでございます。 そのためには、十分な数の専任教員の配置と一定数の実務経験を有する教員の配置といったことが必要であろうと思うわけでございますが、具体的に教員配置のあり方をどうするのか、あるいは教育研究体制をどうするのかといったことについては、先ほど申しました協力者会議において、現在、司法制度改革の論議も他方にございます、そういった論議なども念頭に置きながら検討を進めているところでございまして、ロースクールにおける教育のあり方については、現在、文部省として具体の成案を持っているところではございません。
○日野委員 実は、これは国立大学と私立大学で考え方がかなり違ったりなんかしていまして、そして教員の配置の問題なんかでこれは教育界の方で、大学の中でかなり混乱をしているので、ロースクールということをきちんと念頭に置きながら大学院のあり方というものをちょっと検討してみる必要があるんだろうというふうに私は思うのですが、そういうお考えはありますか。そうでないと、大学の研究者や何かが非常に気の毒です、ああしたらいいのか、こうしたらいいのか。 何しろ、ロースクールを出ても一応の試験、司法試験のような試験というのはなければならないのだろうし、大学で実務まで教え込むということは不可能だ。とすれば、これはやはり合格者に対する研修と現在の修習、こういうことも視野に入れながら一つの大学院システムのようなものをつくらないとまずいだろうと思います。そして、ある程度文部省なんかもきちんとそれに入り込んで方針を示してやらないと、システムは現実に司法改革の方向性が出たにしたって、もう教育体制の方が追いつかないなどということになると思いますので、そういうことをぜひやってもらいたいと思うんだが、どうですか。
○佐々木政府参考人 賜りました御意見につきましては、文部省といたしましても貴重な御意見として受けとめてまいりたいと考えておりますが、現在は、法学教育の在り方等に関する調査研究協力者会議において、司法制度改革審議会の動向なども踏まえながら、ロースクール構想について検討を進めておるところでございます。引き続き積極的に対応してまいりたいと思っております。
○日野委員 試験の問題それから修習の問題等ありまして、これは文部省だけで考えていたってだめなんで、裁判所とか法務省とか弁護士会とか、そういうところともきちんとした打ち合わせをする。もちろん大学、これは国立大学のみならず私立大学も含めて、いろいろ協議をした上できちんとした結論を出していただきたいと思う。そうでありませんと、やはりまずいことになっちゃいますので、これは文部省は今までどおりの教育のことを考えてりゃいいんですというわけになかなかいきませんから、ひとつそこいらは、いろいろな機関との協議の上でそういう検討を進めますということをちょっと約束してもらいたいんです。
○佐々木政府参考人 ロースクール構想は、法曹資格のあり方や司法試験制度あるいは司法修習制度と密接な関係を有しております。そんなわけで、法曹養成制度全体の枠組みの中で検討する必要があるわけでございます。 したがいまして、文部省といたしましても、法務省、最高裁判所等との十分な連携のもとに、現在、司法制度改革審議会の審議もあるわけでございます、そういった動向なども踏まえながら、大学、大学院における法学教育のあり方について積極的な検討を進めてまいりたい、十分連携をとって対応してまいりたいと考えております。
○日野委員 では、また裁判所にいろいろ、今度は少し裁判所との議論になろうかとも思いますけれども、先ほど金築さんでしたか、法曹一元について一応の見解をお述べになった。 私は、日本の司法制度は、これは大陸的なもの、それから、特に第二次大戦以降のいろいろな影響から、これに英米法的な、特にアメリカ的な物の考え方というのが入ってきて、非常に混在しているんだと思うんです。歴史は、かなりヨーロッパ的なものを踏まえて現在のキャリアシステムなんというのはでき上がっているわけですが、しかし一方で、アメリカの物の考え方というのは非常に強く浸透してきております。 実は法務委員会も、去年、フランスの司法制度について勉強をする機会がありまして、行ってまいりました。私もフランスの大審院の法廷を見せていただいた。そうしたら、私はびっくりしたんですが、日本じゃちょっと考えられないんだが、法廷の机の上にもう何件分もの一件書類がずっと並べられて、倉庫がわりになっちゃっている。倉庫がわりだなんと言ったら失礼かもしれませんが、向こうの大審院の方々も、いや実はもう訴訟がたまってたまって、書類の置き場に困ってこうやっているというような説明もしておられたんです。 やはりもっと事件をきちんと処理をする、彼らがきちんと処理しないなんということを言っているわけじゃありませんから、もう今はフランスの話は忘れていただいて、事件を処理をするというときに、事件をもっとダイナミックなものとしてとらえるという考え方というのは、私は必要だと思うんですよ。現に事件というのは、もう死んでしまったのを今いいの悪いのというのではなくて、今ここの局面をどう解決していって、そしてそれをどのように生かしていくかという観点というのは、これからの司法に必要なんだというふうに私は思います。 それから、いろいろな価値観がありますが、特に一般の庶民的な価値観といいますか、人権を擁護するというきちんとした価値観というものが司法制度の中に生き生きと生きていかないと、私は、司法そのものがやがて活力を失い、国民からの信用、国民がそれに頼ろうという気持ちをなくしていくわけですね。現在、日本の経済界が特にこのことは強く意識をしておりますね。もう時間がかかり過ぎるではないか、現在の訴訟の結論が出るときにはもう事態はずっと前の方に進んでいっている、こういう事態が起きるのです。 私は、そういった目から見て、もっといろいろ私の見解を披瀝すればいいところですが、もう時間がほとんどなくなりましたので私の結論だけ言わせていただくが、法曹一元の制度というのは、これが現実に採用されればそういう点でも非常に光ってくると思います。 ただ、そのときに、裁判所がその前に立ちはだかるような態度は、これはとってはいけないんだと思うんです。そして、さっきもおっしゃった法曹一元の基盤となる条件というものの中に、キャリア裁判官の数というものがありますね。キャリア裁判官がこうやってふえていくということ、これは、裁判所が意識するとしないとにかかわらず、そういうキャリア裁判官がふえていけばいくほど、法曹一元というのはやりにくくなるという現状がございます。 ですから、来年はもう卒業生は一つの期だけです。来年はどうするつもりか、私はこれだけ最後に聞いて、終わります。
○中山最高裁判所長官代理者 次年度につきましてどうこうするかということは、今直ちにはお答えできませんけれども、事件の増加傾向がどうなっていくかというようなことを踏まえながら、現状に安住することなく、なお一層適正迅速な裁判を実現するという観点から、今後とも必要な人員の確保に努めてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
○日野委員 終わります。
○武部委員長 坂上富男君。
○坂上委員 坂上でございます。 まず、定員法案について質問をさせていただきたいと思います。 日本弁護士連合会が二〇〇〇年の二月十八日に「法曹一元の実現に向けての提言」という文書を発表されております。この中に、私は的確な指摘なんじゃなかろうかと思っておりますが、一つまずお聞きをしたいことがございます。 全体はもちろんお読みいただいておるんだろうとは思っておりますが、二ページに「裁判の質」ということが書いてあります。「官僚裁判官は、」こう書いてありまして、その第一に「法に基づく定型的・形式的な事件処理に重きを置くあまり、事案の把握が表面的になり、具体的な事案の事実関係に迫ってそこから法そのものを吟味して、法にアップ・トゥ・デイトな生命力を与えるとともに具体的に妥当な事案の解決を図ろうという姿勢が乏しくなる」、第二に「行政官庁などに親和的な態度をとりがちになる」、こういう指摘をしておるわけでございまして、私は、これはもう当然な指摘だなと感じておるわけでございます。 それから四ページでございますが、「裁判のあり方」というところの四行目あたりにこう言っておるんですね。「たとえば、「司法は、国民に開かれておらず、遠い存在になっている」」これは司法制度改革審議会の論点整理の中の一つだそうでございます。それから、「「司法は分かりにくく国民に利用しづらい制度となっている」という声がある。これも昨日今日に始まったことではない。今から五十年以上も前に、当時の大審院判事は、「私は現在の裁判所が民衆から遊離していることを今更のやうに嗟歎する…大抵の人は裁判所といへば、怖い顔を以て臨む近づきがたい所としか考へていないのだ。これは封建時代から民衆に植えつけられた考で一朝一夕のことではないが、裁判所構成法が行はれて五十年の今日、なほこの思想の去らないのは、裁判所の方にも反省すべき多くのものが存する」」三宅正太郎先生の「裁判の書」でございます。こういうふうにやはり書かれておるんですね。 そこで、七ページにこういうふうにあります。「これからの裁判制度の概要」というところに、七ページの(三)の最後の四、五行でございますが、「現に官僚たる者が裁量性を介在させて行った裁判には、地域住民の負託あるいは信任を受けてこれを行ったといいうる要素はない。ましてそこに陪審制など「司法参加」もないのであれば、そのような裁判によって新たに打ち出されたルールに地域住民が納得しうる実質的な根拠を見出すのは困難である。民主的な正統性を確保するための制度的保障が是非とも必要とされる所以である。」といって、現状の裁判と裁判のあり方についてそれなりの提言をなさっておるわけでございます。 これは簡単で結構でございますから、最高裁はどのようにこういうことを受けとめておられますか。
○金築最高裁判所長官代理者 この日弁連の提言、大変詳しいものでございますので、一々、個々の論点を取り上げますとちょっと時間がございません。簡単に大ざっぱな感想を申し上げますと、この提言は、キャリアシステムについてはいろいろ考える欠点を強調しておられる。他方、法曹一元の方については、理念としての長所を専ら述べておられる。そういったふうに制度のよしあしについて非常に割り切った見方をしておられるように思うわけでございます。 ただ、世界各国でキャリアシステムをとっている国というのは少なくないわけでございまして、この二つの制度にはそれぞれに長所もあれば短所もある、そういうものだというふうに考えます。そういう意味合いから申しますと、この提言は制度を客観的、実証的に分析する姿勢には乏しいように感じております。
○坂上委員 今の御答弁について意見は申し上げません。 それから、今度は八ページにあります「法曹一元の基本構想」、特に「法曹一元の制度構造」についてでございますが、簡単に言いますと、「裁判官の任用資格を弁護士となる資格を有する者で裁判官以外の法律職務に相当期間従事した者とする。」それから「選任方法 裁判官に指名される候補は国民・地域住民に基盤を持つ裁判官推薦委員会の推薦を得た者に限ることとする。」「運営制度 裁判官等の人事をふくむ司法行政を地方分権的に再編成し、かつ、各級裁判所事務局は裁判所の管理運営機能のみを保有することとする」「人事制度 裁判官の昇任制・昇給制など官僚的人事制度を廃止することとする。」そして、その移行期間を「二〇一〇年をもって新規の判事補の採用を中止することとする。」こういうふうに書いてあって、これは確かにアメリカの裁判官制度からもきているんだろうと私は思っておるわけでございまして、やはり私たちにとっては想像できないような新しい提言であることは間違いない。しかし、これはやろうと思えば、意識の問題ですから、できないわけでもないのであります。 この辺、本日の裁判官の増員問題と絡まってこれから大きく影響してくるところでございますが、まず、最高裁はどういうふうなお考えにあるのか、それから、法務省とされましても、こういう観点はどういうふうに御認識をいただいておるのか、これは所管で結構でございますから、御答弁ください。
○金築最高裁判所長官代理者 この「法曹一元の基本構想」で示されておりますところは、ただいま委員が御指摘になりましたけれども、この構想につきましては、抽象的な構想としてはともかくといたしまして、具体的な実現可能性といった点につきましては、どうも検討とかをしたところについて説明が十分ではないんじゃないだろうか、その辺がわかりにくいように思います。 御指摘ありましたように、提言では二〇一〇年をもって判事補の採用を中止するということにしているようでございますけれども、これはいわゆる法曹一元の基盤の問題で、弁護士の地域偏在の是正であるとか、弁護士活動の共同化の推進といったいろいろな諸条件、基盤があるわけでございますけれども、こういった点が言っております年度までにどこまで進むのか、そういった点が必ずしも実証的に検討されてはいないのではないか、そういうふうに考えております。
○臼井国務大臣 法曹一元の問題につきましては、かつて昭和三十九年に臨時司法制度調査会から意見書が出されておりますが、これが円滑に実施されるならば一つの望ましい制度であるとしつつも、これが実現されるための基盤となる諸条件がいまだ整備をされていないとされたところでございます。 しかしながら、委員御指摘をいただきました日本弁護士連合会の提言を初め、司法制度の改革につきましては、各界の提言等にもこの制度について言及するものが少なくございません。昨年末には、公表されました司法制度改革審議会の論点整理の中に法曹一元というものが審議項目として挙げられておるわけでございまして、同審議会におきまして、各方面からの御提言も踏まえまして幅広い観点からの調査審議がなされているものと承知をいたしておりまして、私ども法務省といたしましても、広く国民的見地に立ちまして、充実した審議がなされるように協力してまいりたいと考えております。
○坂上委員 これからいろいろと意見の開陳があり、論争があり、そして、どうあるべきかということの結論が出てくるんだろうと思うのでございますが、やはり私は、こういう提言は極めて重大であり、大変意味のあることだと思っておりますので、ぜひともその提言が実現するように期待をいたしておるのでございます。 次に、私は、新潟県警の女性長期監禁事件について質問をさせていただきたいと思います。 この問題は、私は二月十八日の法務委員会で質問をさせていただきました。自後、ずっと予算委員会、分科会、決算あるいは地行等でも質問を続けてまいっておるわけでございます。しかも、まだ時間が足りませんで、まだまだこの問題について指摘をし提言しなければならぬ問題が相当たくさんあるわけでございまして、以下、私は、この問題について、今度は検察といいますか法務の立場、あるいは裁判の立場でも少しお聞きもしなければならぬと思っておるわけであります。 先般も申しましたが、この事件は、私の町三条で起きた不幸な事件でございまして、被害者になられた女性の方には一日も早い御回復もお祈りをしておりますし、また、御親戚、御家族には本当にお見舞いを申し上げまして、一日も早く心がいやされますことも念じておるわけでございます。 きのうは決算委員会で、国家公安委員長は責任をとりなさいと私は言っているんでございますが、また反面、この女性復帰にかかわりまして、私の町三条市が全国に回復のための募金を、地方自治体が始めました。私は、もうこれは明らかな捜査ミスでもあるんだから、国家賠償の対象でもあるんだ、したがって、新潟県もそれから国も、どうのこうの言わないで、本当にこの被害者の立場に立って、回復のためのあらゆる援助、いわゆる国家賠償法を上回る以上の御支援をされるべきだということをきのうは最後の結びで申し上げました。国家公安委員長は、このことは御指摘のとおり私からも警察庁に申して対応をしたい、こういうふうにもおっしゃっておるわけでございまして、ぜひこれはまた皆様方からも御協力をいただかなければならない問題でもあるわけでございます。 そこで私は、今度はいわゆる法務の立場、いわゆる検察の立場と申しますか、裁判所の立場、それから少し残っておりますところの警察の立場を問題点としてまず指摘をしたいのであります。 この事件は、三月三日に、新潟地方裁判所にいわゆる未成年者略取それから監禁致傷という罪名でもって起訴されました。この事件というのは一体、合議制になるんでございますか、また、方法はどうなるんでございましょうか。
○白木最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。 お尋ねの事件は、三月三日に略取、逮捕監禁致傷の罪で新潟地裁に公訴が提起されております。本件は、本来は単独裁判官によって審理される事件でございますが、三月六日に合議体で審理、裁判する旨の裁定合議決定がなされたということでございます。したがいまして、この事件は合議体で審理がなされることになります。
○坂上委員 そうですか。それは私知りませんでした。 その次に、いわゆる罪名が二つあります。未成年者略取と監禁致傷でございますが、この犯罪の開始といいますか、着手といいますか、この時期と、犯罪の終了の時期はいつになりますか。
○古田政府参考人 二つの罪名がございます。それについて申し上げますと、公訴事実によりますと、被告人は、平成二年の十一月十三日の午後五時ごろ、三条市内においてこの被害者の女の人に対しナイフを胸部に突きつける等の行為をしたということになりますので、これが略取の着手時点ということになろうかと思います。引き続きまして、その女性を自動車のトランク内に押し込めて柏崎市内まで連れていった。その後、本年の一月二十八日の午後二時ころまで柏崎市内の被告人方に監禁していた。したがいまして、一月二十八日午後二時ころということが監禁罪の終期ということになると考えられるわけです。 なお、略取については、特に終期というのは公訴事実の中では明示してございません。それにつきましては必要があれば公判で明らかになることと思いますが、一般論として申し上げますと、略取と申しますのは、暴行等の有形力を使いまして自分の実力支配下に置くということが要件でございますので、実力支配下に置くという事態が生じますれば、そこで犯罪が完成し、終了するということになるわけでございます。
○坂上委員 この起訴前にこういう報道もなされたんですね。未成年者略取は長期五年以下である、したがって、長期五年だと時効になっているんじゃないかと。こういうので、この点が起訴になるかどうかということが一つ注目をされたところでございます。 しかし、検察の方は略取を起訴されました。起訴されたとするならば、この略取は、自動車のトランクの中に押し込んだそのときから略取行為があったんでしょう。またあわせて、ここでもまた監禁行為もあったんでしょう。だから私は、着手は両方にあったということについては結構なんでございます。 もう一つは、終了でございますが、略取の終了は一体、被告人の自宅の二階に監禁したそのときをもって略取が終わって、監禁がずっと続いて、発見されるまでが監禁だ、こうなりまして、そこで略取の方は、同じく監禁によって切りかわったんじゃなくて、略取はずっと、発見されて保護されるまで続いていたんじゃなかろうか。 したがって、私は、自動車の中に押し込められたそのときの着手は未成年者略取であり、それから監禁の着手。しかし、自宅に押し込めたときは、略取はそのまま継続しておりまして、逮捕監禁もそのまま継続して、発見されるまで終了しなかった。したがって、略取と監禁罪の着手、犯罪開始と終了は同じなんじゃなかろうか、こう思っておりますが、この点はいかがなんですか。
○古田政府参考人 詳細は必要に応じて公判で明らかになることと考えますが、若干一般論的に申し上げたいと思います。 ただいま委員御指摘のような考え方、こういうことも確かに一つの考え方としてないわけではございません。ただ、一般的な理解と申しますと、略取は、先ほども申し上げましたように、暴行等によりまして被害者を自分の実力の支配下に置くということで完成し、そこで終わるというふうに考えられております。一方、監禁は、ある特定の場所から被害者の方が脱出できないような状態にして、それが続いている間続いているというふうに理解されております。 そこで、冒頭、時効の話もございましたけれども、本件の場合につきましては、検察当局におきましては、未成年者略取と逮捕監禁致傷、この行為に重なるところがございまして、その意味でいわゆる観念的競合という関係になる、観念的競合になる場合には、その時効の完成日は最後の犯罪の、この場合は監禁ですけれども、その監禁が終了した時点から起算されるというふうに考えたものであろうと承知しております。
○坂上委員 検察の御主張はわかりました。 そこで、まだこれは問題があるのですが、御存じのとおり、この発見のことについて虚偽会見をした。これは、犯罪の終了はいわゆる被告人の自宅なのでございましょうね。しかし、警察発表は、その後一時間半ぐらいたってから病院で発見、保護した。そうしますと、犯罪の終了としては病院だ。そして実際は自宅であった。 こういう点において、その差は確かに一時間半でございますが、犯罪の終了時において認定の問題で法律上非常に問題があるわけでございます。これがいわゆる虚偽会見だといって大きな問題になったのですが、法律的にはこういう問題だろうと私は思っているのです。この辺、病院でもって終了したということにはならぬと私は思っているのです。自宅でもって監禁から解放された、そのときをもって犯罪の終了だ、こう思っているのですが、これは検察の方ではどうですか。
○古田政府参考人 これもまた、詳細につきましては必要に応じ公判で明らかにされることとなると思いますが、いずれにいたしましても、実質的に監禁状態から解かれる、本人にとって行動の自由が回復する、その時点をもって監禁が終了したということになると思います。 なお、警察御当局の当時の御説明につきましては、私は詳細は承知しておりませんが、必ずしもその時点までこの女性が行動の自由が制約されていたということをおっしゃっているのではないのではないかという感じを持っております。
○坂上委員 これは局長、やはり認識が少し浅いんじゃないかと私は思います。病院で保護したと言っているのです。保護というのは解放されたということなのだろうと私は思っていますから、これは指摘だけしておきます。御答弁は求めません。病院で保護した、こう言っているのですよ。だから、保護というのは犯罪から救出をした、こういうことだろうと私は思っております。これは指摘だけしておきます。 さて、そこで、これもまた大事なことなのですが、今の御答弁を聞いておりますと、観念的競合一罪だ、こういうような御答弁のようでございます。これに対立というかもう一つの考え方としては、併合罪という考え方があるわけでございます。どちらかということはこれから議論させてもらいますが、もし併合罪であるとするならば、この長期は十五年になるのだろうと思います。観念的競合一罪だとするならば十年だと思うのですが、これは一般論としての質問ですから、御答弁を。
○古田政府参考人 御指摘のとおりでございます。
○坂上委員 さて、そこで、私は、やはりこの事件は併合罪でいいんじゃなかろうかと。と申し上げますのは、車のトランクの中に入れた、自分の実力支配に入れた、こういう犯罪行為と、そしてそれを自宅まで連れていって、自宅の二階の小さい部屋のまた一部分にだけ、出てはならないという監禁行為を続けたんじゃないか。そうだとすると、やはり罪名は二つあり、事件としても併合罪なんじゃなかろうかと私は思っているのでございます。これをいわゆる観念的競合一罪である、こういうようなお考えなのでございますが、この辺、少し納得できるように御説明いただきたいと思います。
○古田政府参考人 一般的なお答えになりますけれども、先ほど御説明申し上げましたとおり、科刑上一罪、いわゆる観念的競合と申しますのは、一個の行為で二個以上の犯罪に触れるという場合ということになっているわけでございます。したがいまして、略取の行為と逮捕監禁の行為、これが行為として重なっている場合には、法律上は観念的競合ということになるわけでございます。これに反しまして、その二つの行為が重なっていない、全く別に行われたということになりますと、御指摘の併合罪ということになるわけでございます。
○坂上委員 裁判所の判断をまつということになるのでございましょうか。この女性は九年二カ月、まさに監禁、本当に言いがたい苦しみの中の九年二カ月なんですね。もしこれが観念的競合一罪ということになりますと、長期で十年なんですね。仮に法定減軽ということになりますと、なるかならぬかわかりませんが、九年二カ月以下になるおそれもあるのですね。非常に、私が接触しておる市民の方々には、坂上さん、少なくとも九年二カ月以上の処罰がなされなければならぬわな、こういうお話があるわけでございます。今言ったような条件を考え合わせますと、大変気になる部分でございますが、刑事局長として何か御意見はございますか。
○古田政府参考人 量刑につきましては裁判所の御判断になることでございますので、私どもの立場から申し上げることは適当ではないと思いますが、いずれにいたしましても、検察官といたしましては、事案の実態に見合った適正な量刑の実現に努めることと信じております。
○坂上委員 今度は警察庁にお聞きをいたします。 新潟県警察をめぐる事案に関する報告書、三月七日付の書面でございます。これを見ますと、この中に、十一ページ、「五 被疑者の母親からの相談への対応」、こうありまして、息子が暴れることから、平成八年に柏崎警察署に相談したということを今捜査本部で述べられているそうでございます。そこで、この相談の防犯相談記録でございますが、相談を受理した場合に記載することとされておる防犯相談記録簿の保存期間は五年であるが、平成七年から平成九年までのもの三年分が、保存期間が経過していないにもかかわらず存在しない。当時から現在までの間の同署生活安全課在籍者から事情を聴取したが、これらの防犯相談記録簿の取り扱いについて記憶している者はいないと。 「今後の対応」というところが大事なんですが、「記録等が存在しないことから詳細は不明であるが、柏崎警察署は被疑者の母親から被疑者に関して困りごと相談を受けたものと認められ、この相談に対し、事実関係を詳細に聞くなどの対応をしていればその時点で被害者を発見、救出できた可能性があり、誠に残念である。警察庁は、今後とも、相談者の立場に立って」云々、こう書いてあって、なくなったことについて、どうやってこの責任を追及し、発見のための努力をするかということはここに書いていないのですね。もうなくなったからしようがないじゃないか、今後気をつけますわ、一生懸命やりますよという程度の報告なんですね、これは。 これは、この間も私は申し上げたのでございますが、いわゆる公用文書なんですね。しかも、この中に、この母親は多分、相談に行ったとき、二階に何か女性の声が毎日します、知らない女性がいるかもしれませんということは、これは私の推測ですが、おっしゃったのだろうと私は思っています。そのことも書かれているのだろうと私は思っているのです。だからがゆえに、全く神隠しのようにこの前後三冊がなくなっているのだろう。一冊だけなくなるとこれまた格好も悪うございますから三冊なくすると、いたんじゃなかろうか、そんなような感じがしてなりません。 でありますから、この点は、もっと親切に対応していれば女性がいることも発見したかもしれない、こうは言っているのですが、母親は多分、何か二階にだれかがいるらしいということぐらいは言ったのだろうと私は思うのですよ。 そういう観点から、この公用文書というのは大変大事なんですよ。これが女性発見の糸口になったかもわからないというような文書なんですね。これはひとつ警察庁、この問題はどうしますか。
○黒澤政府参考人 紛失いたしております防犯相談記録簿でございますが、生活安全課内はもちろんのこと、前にも申し上げたかと思いますが、倉庫の方にも保管整理をしておきますので、そちらの方につきましても、繰り返し繰り返し人をかえて捜索をいたしておるところでございます。そしてまた、当時の生活安全課員はもちろんでございますけれども、現在の署員あるいは他課の者、こういった者からも事情を聞いておる状況でございます。 遺憾ながら、現時点におきまして発見には至っておりませんで、紛失の経緯が不明でございます。事実関係を解明いたしまして、その責任の所在というものを明らかにした上で対処したいという報告を受けておるところでございます。 それから、母親からの相談の内容についてお話がございましたけれども、現在時点におきまして、母親からの相談を受けた署員が判明いたしておりませんので、お尋ねのようなお話があったかどうか確認できていないところであるという報告を受けておるところでございます。 いずれにいたしましても、この防犯相談記録簿は個人のプライバシーにもかかわる重要な書類でもございますし、今後、整理保管等につきまして万全を期すよう全国都道府県警察を指導してまいりたい、かように考えておるところでございます。
○坂上委員 局長、この記録は公用文書なんだということの御認識はございましょうね。
○黒澤政府参考人 おっしゃるとおりでございます。
○坂上委員 これは一人で舞い上がってなくなるということはないのですね。何らかの形の作為があって、どこかにあるけれども今見えないのか。どうも最近見えないのではなかろうかと私は思っているのです。しかも、母親がそういうようなことを言うたことはそこにもメモられているのではなかろうか。そんなことから、これが出たら大変なことになるというようなことから、前後三年分が見えなくなっているのではなかろうか。 このお母さんに会った署員もわかりません、こういうことでございますが、もっと綿密に調査くだされば、私はまだまだ真相の究明ができるのではなかろうかと思います。公用文書であれば、故意に隠したりすればもう明らかに公用文書毀棄罪という罪名でもあるわけでございますから、もう立件してもいいような部分なのではなかろうか、私はこう思っておりますので、強く警察庁には、この調査は厳格に早急になされることも期待をし、御報告を待ちたいと思っております。 さて、裁判所にお聞きをいたしますが、私は、これは全部のいろいろな問題を考えますと、保利国家公安委員長は責任をとられるべきであるということを私は強くあらゆるところで指摘をしてまいりました。しかし、なかなか御理解をいただいておりません。公安委員会におけるところのことしの二月二十五日のいわゆる持ち回り決裁についての、違法性があるのか適法なのかという判断の問題でございます。違法と適法と、妥当と妥当でないと、これはもう法律の専門家はだれでも区別をして言うわけでございますが、なかなかほかのところでの質問は、違法と妥当というようなことを混同されてお話しになっておりまして、明確になっておられぬので、法律の専門的な法務委員会においてこのことだけまず明確にさせてもらいたいと私は思っておるわけでございます。 この持ち回り決裁について、判例が二つあります。その一つは、浦和地裁の判例です。これはもう持ち回り決裁は無効であるという判決、大阪の方は持ち回りは有効である、こういうことでございます。 そこで、大阪のものが有効だというふうな判示をしたその理由は、本当に特殊事情によるのですね。こう書いてあるのですね。「本件デモの申請については、すでに三月一一日の定例会議において不許可と決定した原告からの最初のデモ申請と万国博会場周辺道路を行進する点において実質的に変るものではなく、かつ前回の不許可決定と時間的に接着し、その間に客観的状勢の変化はなく、また、デモ実施予定日も切迫していたのであって、これらの事情を考慮すると、本件は同規則一条に定める「特別の事由ある場合」に該当すると認められるから、同公安委員会がいわゆる「持廻り決議」によってこれを不許可と決定したことには何ら手続上の違法はない」、こう言っているのですね。もう接着しておる、同じことをこの間やったばかりだ、したがって、わざわざお集まりをいただいて審議するまでもない、こうやって、これは特殊事情でいいのではないか、こういうことなんですね。これは、私はそれなりに理解ができるのであります。 しかし、また一方、浦和がこの持ち回り決裁はだめだ、こう判断したことの中にこう書いてあるのですね。「前述したところからすれば、不完全不十分な説明を受けただけでなく、一部著しく正確性を欠く説明すら受けたまま、本件取消処分を決定したことがうかがえるのであり、本件取消処分の審査判定手続は、違法であることを免れない」。そこで、災害その他緊急な事態の発生した場合において、会議を招集することができず、また招集してもこれを開くことができないときにはこれは持ち回りも仕方がない、こういうふうなことが書いてあって、「公安委員が直接一堂に会して会議を開き、その議決によることを要するのであって、これと異なり持ちまわりの方法によって会議を開き、その議決によって職権を行使することは、本来予定するところでないと解される。」といって、これは違法だ、こう言ったのですね。これはまさにそのとおりなんですね。 持ち回りというのは特殊の事情がなければだめだ、こう言っているんですね。したがって、浦和は、これは無効だ、こう言っているんですよ。したがって、上級審がありませんから、この二つをしてみますると、やはり原則としてはならない、間違ってやると無効だよ、こういうことなんですね。 だから、私は、今回の二月二十五日の国家公安委員会の持ち回り決裁というのは、これは小林前本部長を処分したことなんでございますが、無効だと言っておるわけでございます。無効でございません、そういうことはもう理由もなくおっしゃっていると私は思っておるわけでございますが、こういう点に対して、まず最高裁判所の方から御意見がありましたら、また、今私が指摘したような判例があるということもあわせてひとつ御答弁いただきたいと思います。
○中山最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 具体的な事件の判決についてコメントすることは立場上相当ではございませんので、今御指摘のあったものがあるかどうかということについて回答申し上げたいと思いますが、浦和地裁のものにつきましては昭和四十九年十二月十一日の判決というふうに承知しておりますし、大阪地裁のものは昭和五十一年四月二十日付のものというふうに承知しております。 いずれも、その判文には委員御指摘のような内容のことが記載されているということでございます。
○坂上委員 このことをまだ警察庁や国家公安委員会が認知されておらない、繰り返し繰り返し私は言っているのでございますが。 さらに、私は法律上明確にしたい。 商法で取締役会というのがございます。この取締役会の持ち回り決裁が有効かどうかということで、最高裁は昭和四十四年に判決をしております。これはどういう判決でございましょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 最高裁第一小法廷、昭和四十四年十一月二十七日の判決でございますが、代表取締役が所在不明となったことを受けて、持ち回り書面方式で取締役の一人に代表権を付与することを承認した取締役会の決議を有効なものとは認められないと判じたものでございます。
○坂上委員 これは民間なんですね、株式会社ですから、取締役会ですから。民間ですら持ち回りの決裁というのは厳格に解しているわけであります。 したがって、さっきの有効、無効の判例を調べてみても、これは間違いなく、持ち回り決裁というもの、ましてやこういう重大なときにおける重大な決裁について持ち回りをもってすることは、もうどうしても、この三つの判例からも許されるべきものではない、違法性を帯びているもの。したがって、国家公安委員長としては責任をとっていただきたい。いないところで余り言うのもいささかいかがかと思いますが、しかし警察庁おられますから再度申し上げるわけでございます。今説明を聞いておりまして、だれ一人、私の言うていることがむちゃな主張ではないということは皆さんよく理解いただいているんだろうと私は思っております。 したがいまして、最高裁の四十四年の判決から見ても、民間ですらこれだけの厳格さをしているわけでございますから、特に、特別の緊急性のない、また災害等の事態によるところの持ち回りでもないという事案から見ますと、これはもう明らかに違法だ、私はこう思っておるわけでございまして、最高裁、御解説大変ありがとうございました。 ぜひ、警察庁を代表して来ておられますが、強く、法律上の主張をこういうふうに引きながら審議がなされていたということもひとつ国家公安委員長にもお伝えをいただきまして、対処されるよう特に求めながら、私は本日の質問を終わらせていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○武部委員長 木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。 裁判所職員定員法の質疑でありますが、お許しをいただきまして、最高裁の協力をいただいて作成した資料を配付させていただきたいんですが、委員長、よろしくお願いします。
○武部委員長 はい、資料を配付してください。
○木島委員 法案に関する質問に入る前に、これは閣法でありますから、法務大臣にかかわる問題についてお聞きをしたいと思うんです。去る二月十八日の当委員会に続いて、法務大臣の元秘書松岡光のいわゆる脱税コンサルタントとのかかわりについてお聞きしたいと思います。 東京国税局は、経営コンサルタント会社ネオギルドの役員らを脱税容疑で東京地検に告発をいたしました。刑事局長にお聞きしますが、告発対象となった脱税事件の概要と捜査の状況、どうでしょうか。
○古田政府参考人 お尋ねの点につきましては、個別具体的な事件の内容に関する事柄でございますので、恐縮でございますが、答弁は御容赦いただきたいと存じます。 なお、一般論といたしましては、もちろん検察におきまして厳正公平な立場で必要な捜査を遂げると考えております。
○木島委員 既にもうマスコミ等で報道されておりますから、事実は明々白々であります。ネオギルドという会社の幹部、それから実際に脱税をした当事者が告発されております。 もう直接ずばりお聞きしますが、法務大臣の元秘書が仲介したと指摘されているいわゆるタツノレジャーについては告発の対象になっているんですか、なっていないんですか。
○古田政府参考人 その点につきましても、恐縮でございますけれども、具体的な事件の内容でございますので、だれが被告発者であるか等については答弁を御容赦いただきたいと存じます。
○木島委員 一般社会ではもう明らかなんですよ。タツノレジャーは告発の対象から外れたんですよ。何で外れたのか、法務大臣の元秘書にかかわっているからか、そういう疑問を国民は持っているんです。はっきり答弁してください。
○古田政府参考人 繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、個々の告発の内容、だれが告発を受けたかあるいは告発を受けなかったかという点については答弁を差し控えたいと存じますが、いずれにいたしましても、一般論といたしまして、何らかの特定の関係があるために告発を差し控えるとか、そういうことはございませんので、御了承いただきたいと存じます。
○木島委員 私は、この問題は、予算委員会の分科会で国税当局に大変細かく質問をいたしました。 刑事局長に改めてお聞きしますが、これは一連の事件だと思うんです。その中で、告発の対象になった事件と告発の対象から外した事件とあるんです。あるんですが、一連の事件でありますから、検察庁としては、仮に直接の告発の対象になっていないとしても、タツノレジャーにかかわる問題、これを一連の法人税法違反事件として、いわゆる脱税事件としてきちっと捜査の対象にすべきだと思うんです。 これは一般論で結構です。直接告発の対象になっていない事件はもう捜査の対象から外れるなんということは、日本の検察の捜査のあり方としてありませんね、捜査の端緒さえ得られれば捜査に入れるわけですから。それはいいですね。そこだけ答えてください。
○古田政府参考人 一般論として申し上げますが、逋脱事犯の摘発は、国税犯則取締法に基づき国税当局にゆだねられた事柄でございまして、検察当局は、原則的には国税当局からの告発を受けて捜査処理を行うこととしております。しかしながら、その捜査の過程で他の逋脱事犯等が発見された場合には、先ほど申し上げました国税当局にゆだねられている趣旨も勘案しながら、国税当局と連携して適切に対処するということでございます。
○木島委員 直接告発の対象になっていない事案についても、見えるわけでありますから、しっかり捜査していただきたいと思うのです。 実際は、東京国税が告発するかしないか、この事件は告発の対象から落とすか入れるかについては事前に検察としっかり協議をした上で告発しているのですよ。それは、私、予算委員会の質問で国税ははっきり答弁しているのですから、タツノレジャーにかかわる部分についても法人税法違反としてしっかり捜査の対象にしていただきたいと重ねて申し上げて、次の質問に移ります。 法務大臣に質問いたしますが、松岡光元秘書が株式会社タツノレジャーにネオギルドの役員鈴木照次を紹介して、その謝礼として七百万円を受け取ったのじゃないかという疑惑で、法務大臣は当委員会で私の質問に対して、松岡は金の授受を否定しているとの報告を受けている、そういう答弁をしておりますが、告発という段階、仮にタツノレジャーが告発の対象から外れているとしても、関連事件が既にもう告発されて、東京地検の手のもとにあるわけでありますから、事態をあいまいにしたままでは済まされない段階になってきていると思います。 かなり、一カ月近くの時間がたちました。法務大臣としてみずからの元秘書に対する調査を深めて、真実をつかんでいるのではないかと期待をしておりますので、その真実はどうなのか、その後の調査結果はどうなのか、報告をしていただきたい。
○臼井国務大臣 御指摘の点でございますが、先般、委員の御質問につきまして、松岡に秘書を通じて聞いてみたというお話をさせていただきました。その際に、必ずしもちまたに言われているようなものと話が一致するということでもないという程度のお話をさせていただいたと思います。本人は、いわゆる七百万というものについて修正申告をしているということは、これは本人の言うことでございますから事実でございますが、それ以上のことは確認できておりません。 先般も申し上げましたように、この件につきましては既に関係機関の手が入っているわけでございまして、私が秘書等から耳にすることは一方的な、一方通行のことでもございます。したがいまして、このことについてここで申し上げることはかえって混乱をさせる要因にもなる、こう思っておりまして、私は、そうした機関の手にお任せをすべきであるということで、ここで申し上げることはないのでございます。
○木島委員 今大臣は、元秘書が七百万円の入金の申告を怠っていたことが明らかになったので修正申告をしたということはお認めになりました。 それでは、ちょっと突っ込んで聞きますが、この金は元秘書松岡がだれから受領した金と聞いていますか。そして、その金のもう一つ先の出どころ、それはどこからだと聞いておりますか。
○臼井国務大臣 聞いておりません。
○木島委員 非常に、それはあいまいにするわけにはいかぬ性格の問題だと思うのですよ。この金は、これまでの一連の国会での質問やマスコミ報道等からして、恐らく鈴木照次から元秘書が受け取ったのであろう、そして金のもとの出どころは、鈴木照次らが脱税指南をしたタツノレジャーから報酬として流れた金であろう、これはもう合理的な推測が立つぐらいになっていると思うのですよ。知らないで済まされないんじゃないですか。 直接、元秘書が既にもう告発の対象になっている、被告発人になっているのですから、脱税容疑で。それから金を受け取っていたかどうかは重大問題ですよ、法務大臣としても。さらに、その金の出どころが、実際に脱税容疑で調査はされた、告発の対象からは外れているようですが、タツノレジャーからの金だったとすれば、これまた重大事案。やはり調査しないで済まない事案だと思うのですが、どうですか大臣、しっかり調査して、事実は事実として明らかにすべきじゃないのでしょうか。
○臼井国務大臣 修正申告をしたという事実につきましては、当然のことながら国税当局の調査、その上でもって修正申告をしていると思うわけでございまして、そうした関係機関の手が既に入っている、こう考えておりまして、真実というものが解明されつつある、こう思っております。私から申し上げることはございません。
○木島委員 法務大臣はタツノレジャーという会社から政治献金を受けているかについて、二月二十五日予算委員会第二分科会で、保坂委員から質問を受けました。明確に否定されましたね。パーティー券はわからない、しかし、政治献金は受けていないと否定されました。今でも否定されるのですか。
○臼井国務大臣 そのときに、政治献金は受けておらないということは申し上げました。ただし、パーティー券につきましては、私は、その方であるならば来ていただいておって不思議はないと思っておりまして、恐らくお売りをして買っていただいているんではないだろうか、こういうことを申し上げたのでございます。
○木島委員 いつごろのことか答弁できますか、そのパーティー券を買ってもらっているんじゃないかと思われるというその時期。
○臼井国務大臣 細かいことは、申しわけありませんが、存じません。
○木島委員 パーティー券はともかく、政治献金は否定されるということですが、大臣は、自民党千葉県第一選挙区支部というのがあるのを御存じでしょうか。大臣はどういうかかわりでしょうか。
○臼井国務大臣 私はその支部長でございます。
○木島委員 あなたが支部長をしている自民党千葉県第一選挙区支部が九七年三月二十五日に千葉県選挙管理委員会に対して提出した政治資金に関する報告書には、タツノレジャーから十万円の政治献金を受けているということが記載されているんじゃないんでしょうか。
○臼井国務大臣 不明にしてその事実を存じません。
○木島委員 私、手元に九七年三月二十五日に自民党千葉県第一選挙区支部が提出した報告書を持っております。大臣にお示ししたいと思うのです。寄附の中に、法人その他の団体からの寄附、そしてその中にタツノレジャー、事務所の所在地、東京都港区、金額、十万円という記載があります。記憶喚起のために示したいと思います。 どうですか。あなたが支部長をしている自民党千葉県第一選挙区支部は、今問題になっているタツノレジャー、本社は東京港区ですよ、ここから十万円の政治献金を九六年にもらっていたんじゃないですか。
○臼井国務大臣 大変申しわけありません。これによりますと、確かにタツノレジャー十万円と記載されておりまして、このとおり間違いないと思います。
○木島委員 そうすると、予算委員会第二分科会での保坂委員の質問、間違いであったと確認していいですか。
○臼井国務大臣 私が政治献金を受けておらないと申し上げたのは誤りでございました。確かに十万円受けております。
○木島委員 重大な事実だと思いますし、大臣答弁が事実でなかった、このこと自体も私は重大だ。再三、政治献金の有無については質問されていたわけでありますから。しかも、地元の千葉県選挙管理委員会に提出された、みずからが支部長をしている政治団体の届け出の中にきちっとタツノレジャーから十万円というのは入っていたわけですから、このこと自体大変重い出来事じゃないかと思うのですが、大臣、どうですか。
○武部委員長 政党と個人と違うんじゃないの。
○木島委員 いや、そんな理屈は通らないですよ。
○臼井国務大臣 御承知のとおり、この千葉県第一区支部というのは自由民主党の支部でございます。
○木島委員 あなた、支部長なんでしょう。責任者でしょう。
○武部委員長 まず、委員長から申し上げますけれども……
○木島委員 いやいや、いいですよ。関係ないですよ。 そんな、自分が支部長をしている自民党千葉県第一選挙区支部、これが十万円タツノレジャーからもらっていた、おれは知らないなんという理屈は絶対通らぬですよ。 お聞きしますが、これは実際は一九九六年だと思うのです、届け出が九七年の三月ですから。タツノレジャーの会社幹部から大臣が直接政治献金を受け取った記憶というのはないのですか。
○臼井国務大臣 申しわけございませんが、記憶にございません。
○木島委員 タツノレジャーという会社を知っておるということは、前回別のところでの質問に対して答えていますよね。違いますか。タツノレジャーという会社を存じ上げているのですか、大臣は。
○臼井国務大臣 前に申し上げましたとおり、今、このタツノレジャーの経営者であった方という方がもし私の想像している方であれば、その方はよく存じているということを申し上げたわけでございまして、タツノレジャーなる会社というものを私は事実上認知をしておらないということは、先般も申し上げました。
○木島委員 ここに株式会社タツノレジャーの商業謄本を持ってきているのですが、平成元年六月一日設立です、本店が東京港区芝浦です、代表者が龍野広道という人と荒井昌彦という人であります。こういう役員を全然知らないのですか、大臣は。
○臼井国務大臣 先般来申し上げておりますが、あるスポーツ団体の関係で、その方は恐らく私の想像している方であろうということを存じているわけでございまして、その方が具体的にどういう会社のどういう役をやっている方であるかということは認知をしておらなかったと申し上げているのであります。
○木島委員 その方というのは、どちらですか。荒井さんですか、龍野さんですか。
○臼井国務大臣 荒井さんであります。
○木島委員 確認しますが、では、あなた自身は荒井さんから十万円、九六年ですか、政治献金をもらったことはないということ、それは確認していいですか。
○臼井国務大臣 そのとおりであります。
○木島委員 現実にはそういう政治資金の届け出に載っている。そうすると、これはだれがもらったものだと今あなたは想定できますか。あるいは、この報告をした責任者はだれなんでしょうか。元秘書の松岡とのかかわりはどうなんでしょうか。
○臼井国務大臣 いずれにいたしましても、今お申し出の件につきましては、果たしてどれくらいわかるかわからないかわかりませんが、経理の担当の者に状況がわかるかどうか聞いてみたいと思います。
○木島委員 報道によりますと、鈴木照次らが税対策ビジネスを始めたのは九六年ごろから、そして、脱税容疑の対象となった九七年、九八年、鈴木照次らは顧問料として約八億円を受け取っている、こう報道されております。まさに、あなたが支部長をしている自民党千葉県第一区選挙区支部にタツノレジャーから十万円政治献金を受けた、そういう時期と重なり合うわけであります。これは事は重大ですよ。 政治献金を受けた時期、受けた人物、脱税指南グループへの仲介とのかかわりの有無、これらについてきちんと調査し、この委員会、国会に報告をすべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○臼井国務大臣 先ほど来申し上げておりますとおり、この問題につきましては既に検察当局の捜査が行われている、こういうことでございます。私の立場から申し上げることが適当ではないと思っているわけでございまして、私は、検察は常に厳正公平、不偏不党の立場で対処し得るものと確信をいたしております。
○木島委員 調査し、当委員会に報告するつもりはないのですか。
○臼井国務大臣 私の立場から申し上げるべきではないと思います。
○木島委員 既に鈴木照次らは、脱税事件として告発され、東京地検の捜査の対象になっているわけであります。 法務大臣というのは、検察庁法第十四条によって、個別事件に対しても検事総長に対しては指揮権を発動することが認められている、そういう地位にあなたはいるわけであります。検察庁が一連の脱税事件等を厳正に捜査、訴追することが今求められているわけです。法務大臣とその元秘書が脱税指南グループやその顧客との金のつながりを持っているんじゃないか。私も今指摘しました。そういうことでは、私は、国民の法務・検察行政に対する信頼は絶対に得られない、そういう問題になってきていると思うのです。 もっとはっきり言いますと、法務大臣の地位にあなたがこの事件を抱えておりながらとどまることは許されないと私は考えますが、大臣の御所見を願います。
○臼井国務大臣 私の元秘書の件でこうした問題を起こしたということは大変遺憾なことでございますが、既に私の事務所をやめている者でもございます。既に私とのつき合いは全く絶えている上に、私の秘書在任中のことではございますが、私に無断で行ったことでもございます。 私は、検察当局の捜査の公平さというものを疑われるようなことは全くない、それはないと考えておりまして、信頼をいたしているのでございます。
○木島委員 もう既にやめているから、そして自分に無断でやったことだろうからということでは全く通らない問題だと思うんですよ。あなたの在任中の事柄であります。いわゆる国会議員と秘書とは不可分一体の間柄であることは、先刻御承知のとおりであります。しかも、あなたが支部長をしている政治団体の届け出に十万円の政治献金の入金がちゃんと載っているわけですから。 では、これはだれがやったんだ、松岡がやったんだろうか、その原資はどこから来たんだろうか、タツノレジャーからの直だろうか、鈴木照次を迂回した金なんだろうか。あるいは、七百万という過少申告で修正申告したようでありますが、そういう金との関係はどうなんだ。一連の、その一部だったら、これは大問題ですよ。また逆に、こういう政治献金を受けた後、松岡が仲介をしたら、これまた逆に大問題ですよ。 いずれにしろ、これは大問題なわけでありまして、みずからの元秘書なんですから、きちっと全容を調査して当委員会に対する報告を求めます。 そして、私は再々要求していますが、ここまで来ますと松岡光を証人として当委員会に喚問を願いたい、重ねて要求しますが、委員長。
○武部委員長 証人の問題は、理事会において諮ります。
○臼井国務大臣 元秘書がこうした事件を起こしたということは大変遺憾なことでございます。 ただ、先ほど委員申されました千葉県第一区支部に対する寄附、これは政党に対する寄附でございますが、これがあたかも不正な献金であるかのようなお申し出をしておられますけれども、これはまさしく政党に対する寄附でございまして、それがゆえにきっちり載せてあるということははっきり申し上げておきたいと思います。
○木島委員 不正なんて言っているんじゃないですよ。そういう金のかかわりのある者がまさに今脱税容疑として国税の調査の対象にもなった、そして、それを仲介したというのがあなたの元秘書だったという重大な問題だというので提起したんですよ。 予想以上に時間がかかりましたが、きょうのところはこの辺でこの問題についての質問を終わります。 法案についてちょっと一言だけ質問します。 今回の定員法でふやそうという中身を見ますと、裁判官について言えば判事補七十人です。これで十年連続して判事補だけの増員であります。百九十六人になります。この十三年間の判事の増員はゼロです。提案理由には、地方裁判所における民訴事件、執行事件、倒産事件の適正迅速な処理を図るためとありますが、どうして判事の増員要求をしないで判事補だけの要求なのかという点を質問したい。 ただ、答弁を求めていると時間がなくなってしまいますから続けて言いますが、今、司法制度改革審議会においては法曹一元制度導入に関する議論が行われております。先ほど同僚委員からもありましたように、二月十八日、日弁連は法曹一元要綱試案を発表いたしました。裁判官は弁護士、検察官、大学教授、助教授を十年以上務めた者の中から任命するというものであります。同時に、判事補制度は廃止するという提言であります。 今回の判事補のみの増員要求は、こうした法曹一元への取り組みに水をかけ、こうした流れに逆行するものじゃないか。簡潔に最高裁当局の答弁を求めます。
○中山最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 判事を増員することが望ましいことは言うまでもございませんが、現実に弁護士から判事への任官数というものは、最近十年間でも三十三人で、年間三人程度にすぎないわけでございます。その結果、判事への任官者は、判事補として十年の経験を経た者がほとんどを占めているという実態にございます。 このような状況からすると、判事の定員をいきなりふやしても直ちには充員できないことになりますので、判事の増員の前提として、まず判事補をふやし、判事への給源を充実させていくことが必要であります。 そこで、今回も、近時の事件数の増加に対処するために判事補の増員をお願いしているものであり、また、このことと法曹一元の採否とは別次元の問題であるというのは先ほどもお話し申したとおりでございます。
○木島委員 まさにこれはキャリアシステムの構築であり、強化にほかならないんですよ。 戦後五十年間に及ぶ裁判官の定員、欠員の推移、弁護士から裁判官に任命された者の数、司法修習終了者からの任命数、皆さんに今配付したとおりであります。明らかに最高裁は、弁護士十年の経験者の中から判事を任命しようという努力を怠って、判事補の定員枠を拡大し続けてきた、そして、それを唯一の判事への供給源とする政策をとり続けてきたのではないかと思います。細かい数字は、もう時間が来ましたから述べません。 もう一つ、キャリアシステム強化に大きな役割を果たしてきたものの一つに、報酬制度の問題が実はあるわけであります。それで、改めて私、戦後五十年間の日本の裁判官に対する報酬制度の変遷について調べまして、最高裁の協力をいただいて、皆さんのお手元に資料として配付をいたしました。判事補については、昭和二十六年に六階級から十三階級に、判事については、昭和三十四年に六階級から八階級に、昭和三十八年に九階級へと拡大されております。 法曹一元制度のもとでは、本来、裁判官の報酬の刻みというのはなくて当然であります。私は、時間が来ましたからもう答弁は求めませんが、刻みがむしろ拡大をされている、それから、刻みだけじゃなくて現実の報酬額もどんどん拡大してきているということを指摘しておきたい。昭和三十九年九月一日段階では、一番上級の判事と一番下級の判事の差が二・四四倍、一番上級の判事と一番下級の判事補の差が六・八八倍になっているんですか。計算していただければわかりますが、昔はそんなに格差がありませんでした。 これはまさにヒエラルヒーを強化する、そういう政策以外の何物でもないということを資料から指摘をいたしまして、こういうキャリアシステムを強化するような政策こそ法曹一元に対する全くの逆の道だということを指摘して、最高裁がそういう方針を根本的に転換されることを要望して、もう答弁は求めないで終わりにしたいと思います。 ありがとうございました。
○武部委員長 倉田栄喜君。
○倉田委員 公明党の倉田でございます。 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案についてでございますが、まず、私は、司法制度改革論議それから法曹人口の増加という視点から二、三お尋ねをしたいと思います。 今回の増員でございますけれども、判事補七十人、そして裁判官以外の職員十六人を増加するということであります。今までの議論の中で大体の趣旨、ねらいというのは出ておりますけれども、改めて確認の意味でお伺いをいたします。 提案理由では、下級裁判所における事件の適正迅速な処理を図るため、こうなっております。これは、それ以外の背景とか趣旨はないのかどうか、あるいは、判事補の増員あるいは裁判所職員の増員計画については今後はどのような予定なのか、今までのところを簡潔にまとめていただいても結構でございますので、御答弁いただきたいと思います。
○中山最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 平成十二年度の増員は、今委員御指摘のとおり、下級裁において、民事訴訟事件が依然として増加傾向にあること、倒産事件が急増していること、執行事件も金融機関の不良債権処理等に伴い引き続き増加が予想されること、家庭事件も事件数が増加傾向にあり、内容も複雑困難化していること、これらの事件のより一層適正迅速な処理を図るために求めるものであり、かつ、判事補については、先ほど来御答弁申し上げているとおり、二期分の修習生を採用する、そういった特殊事情も踏まえ、判事補については七十人、裁判所書記官については、事務官等からの組みかえを含め二百四十人、家庭裁判所調査官については五人の各増員をお願いしているというわけでございます。
○倉田委員 今後の予定のことについては時々の状況に応じて考えるということだと思いますけれども、今回の増員計画が、事件の適正迅速な処理を図る、そして、本年においては特に司法修習生が二期分重なるという特殊事情があった、こういう話であります。 司法制度改革の議論では、法曹人口の大幅増員が主たる議論の大きな一つになっていると考えておりますが、我が国の司法インフラの充実を図る、こういう趣旨であろうかと思います。 一方、今まで我々は、行政改革の議論の中では、事前の裁量型行政から事後のチェック型行政への転換が必要である。裁判所はいわゆる職員定数の中には入っていないのだと思いますけれども、公務員総数の二五%削減というのが目標とされて計画が進められている。裁判所職員がこの中に入っていないとしても、国民から見れば公務員だ。 一方で、いわゆる司法というものに対する充実ということでは、ここに従事をする、法曹というのか、判事、判事補あるいは職員、先ほど法務大臣からお答えいただいた検察、検事等々も含めて、さまざまな形で大幅な充実が必要とされているのだろう、こう思うのですけれども、これがきちんと示されていかないと、一方では公務員二五%削減みたいな議論の中で、果たして国民的な理解が得られるのだろうかという危惧を持っているわけです。 そこで、今回の判事補七十名の増員については、そういう将来的な使途とか、そういうことを戦略的に含んだものであるのかどうかということは、先ほどキャリア制度ということも議論の中にのっておりましたけれども、あるのかどうかということをお尋ねしたのですけれども、お答えの中には、基本的にはそういうことは今考えてないということなんだろうと思うのですね。 そうしますと、今後法曹人口の拡充という形で議論が出てきたときに、ではそれに受け皿として対応するためにはどうするのですかということについて、最高裁としてどういうお考えを持っておられるのだろうか。その場その場の中で、いわゆる裁判の適正迅速な処理を図るという観点からのみ——いわゆる裁判所の職員、判事あるいは判事補以外の方々の職員の増員計画というのはどういうふうに将来的な見通しを持っておられるのだろうか、この点はいかがですか。
○中山最高裁判所長官代理者 お答えいたします。 判事補の増員につきましては、先ほども申し上げましたように、将来的には判事の増員と充実ということにつながるものでございます。また、裁判官を補佐する補助職としての書記官等につきましては、近時の書記官の権限の拡充、これは新民事訴訟法等に見られるわけでありますけれども、そういうことを踏まえて、平成十年度から、事務官等からの振りかえを含め、二百人以上の書記官をこれで三年間続けて増員要求をしてきているところでございます。今後とも、そういった事件動向を見ながら、きちんとそういった必要な人員の確保を着実に図ってまいりたいと思っておるのが一方にございます。 また、裁判所の人的体制につきましては、今委員から御指摘のように、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議するために設置されました司法制度改革審議会において、将来の司法のあり方を検討する中で検討される論点の一つとされております。今後、有意義な審議がされるものと裁判所としても期待しているところであり、そこで一定の提言が出されれば、裁判所としてもきちんとこれにこたえていかなければならないというふうに考えているところでございます。
○倉田委員 その司法制度改革審議会の中で、法曹人口の充実、増大ということが大きな論点になっている。法曹人口の増大という社会的な要請がある。一方で、ではこれを受け入れる方はどうなのか。受け入れる一つのシステムとして、裁判所というのは一つの大きなシステムの中にあるわけでありますね。これを、司法制度改革審議会の中で議論がされて、提案がされるのを待つということではなくて、最高裁自体も、これから二十一世紀の我が国の裁判所はどうあるべきなのかということをきちんと議論をしていただかなければ、そしてある程度お考えも示していただかなければならないのだろう、こう思うのです。 司法試験の合格者は、本年は一千人と大幅に増加をしているわけであります。本年度の修習生の就職先は大丈夫だというふうには聞いてはおるのですけれども、また今後増大する修習生の終了後の進路の問題、あるいは、これは先ほどお答えの中にありましたけれども、検察官の増員については、昨年三十名で本年は四十一名だ、こういうふうなお話であります。 トータルとして見たときに、いわゆる法曹人口の増加ということが言われるとすれば、それを受け入れる受け皿のシステムも、当然これに見合うだけの改革がなされていかなければならないと思うのですね。それは先ほどの、判事補の増員が行われるとすれば各部の増加も必要なんだろうという議論も出てくるわけでありましょうし、そうだとすれば、現在の裁判所の建物とか法廷の形とか、いろいろな問題もそのままでいいのだろうか、こういうふうにいろいろな議論が起こってくるのだろうと思うのです。これは法務省の方も、全体としては同じことだと思うのですね。 法務大臣、法曹人口の増加に対応できる受け皿としての、機構とか建物とかさまざまな組織も含めて、システムの整備として今後どんなふうにお考えでございますか。
○臼井国務大臣 二十一世紀の我が国社会における司法の役割の増大、これは大変重要なことなのでございますが、社会のさまざまな分野で法律家に対するニーズが増大をしてくるということは考えられるのでございます。 司法制度改革審議会が昨年十二月に決定、公表いたしました論点整理におきましても、法曹人口の適正な増加が論点項目の一つとして掲げられているところでございまして、法務省といたしましても、同審議会の検討の結果も踏まえまして、法曹人口の適正な増加に対応できるシステムの整備につきまして検討を進めてまいりたい、このように考えております。
○倉田委員 法曹人口の増大に対応できるシステムをやはりきちっと踏まえなければ、これは期待されることにはならないんだと思うのですね。 そして、法曹人口の増大という意味では、先ほど議論もありましたけれども、ロースクールみたいな議論も出ている。これはいわば、多分、今司法試験等をにらみながら、いわゆる法曹という資格をどういう人たちに持たせるかということが議論の中心になっているのだろうと思います。しかし、我が国の司法制度、司法制度インフラという観点からすれば、法曹人口の増大ということは、例えば司法書士であり、行政書士であり、会計士であり、税理士であり、あるいは社会保険労務士等々、いわゆる法曹インフラという意味で、ここに携わる人々との関係もトータルとして検討されて司法インフラの充実ということが議論がなされるべきではないか。これは、私はそういうふうに思うということだけ申し上げておきたいと思います。 そして、司法制度改革ということでは、法曹人口の増加という視点が今どうも主なる議論になっているみたいでありますけれども、そういうところだけではなく、現在の司法制度が司法本来の目的や役割を十全に機能するようなシステムに果たしてなっているのかどうか、この点の検証というのか視点も同時にやらなければ、期待される役割を十全に果たし得ないのではないか、私はこう思っております。現在の司法制度というのが、裁判が遅いとかなんとか、そういうことのみならず、果たして国民の期待されるものになっているのかどうか。 その点からちょっとお聞きをいたしますけれども、憲法三十二条は、国民の裁判を受ける権利を規定いたしております。そこで、我が国の司法制度そのものに対して国民はさまざまな思いを持っているのだと思います。これは私も聞かれてどう答えるかなと思うものですからお聞きするのですけれども、裁判所はだれのものですか、こういうふうに聞かれたら、最高裁あるいは法務大臣、これはどう答えたらいいのでしょうか。
○臼井国務大臣 まさに、裁判所は国民のためのものであるとお答えするのが一番端的なわけでございますが、司法は、近代国家の基本でもある法の支配というものを現実のものとする役割を担っているわけでございまして、国民の権利の実現を図るとともに、国民の基本的人権を擁護して安全な国民生活を維持するなど、国民生活にとって極めて重要なものでございますので、そのような司法の役割に照らしまして、裁判所は国民のためにある、こういうふうに申し上げてよろしいと思うのでございます。
○中山最高裁判所長官代理者 裁判所も同様でございますが、主権者である日本国民のもとの制度であり、その中にあって、司法の使命というものは、公正な手続により適正かつ迅速な裁判を行い、国民の私的な紛争を解決し、あるいは法的秩序の維持を図るということに尽きるというふうに考えております。
○倉田委員 大臣から、端的に、裁判所は国民のためにある、そういう話でありますし、国民の権利の実現を図るためのものである、そういう御答弁をいただきました。 そこで、これは裁判所にお聞きをいたしますけれども、現在の裁判所は明治憲法下の裁判所と、例えば最高裁と明治憲法下の大審院、そして明治憲法下の下級裁判所と現在の裁判所、どういう改革がなされ、どんなふうに変わってきているんでしょうか。
○中山最高裁判所長官代理者 簡単に申し上げますと、最高裁は、国民主権を定める日本国憲法においては三権分立のもとに司法権を行使することとされた結果、違憲審査権が与えられ、あるいは裁判所に司法行政権が認められ、行政事件の上告事件をも処理することになった、そういうところが大きいところかと思います。
○倉田委員 あえて私が、明治憲法下の裁判所、そして現在の裁判所、こういう比較で申し上げましたのは、いわば、今お答えにありましたけれども、今憲法が国民主権という名のもとにある、そうであるとすれば、裁判所も裁判所に携わる方々も、その意識のもとで国民の権利を守らなければいけないし、国民のためにある、そう思うわけであります。 しかし、それは我が国の行政全般のことでもありますけれども、いわゆるお上意識というか、この意識が現実に相当強く存すると思うんですね。裁判所はまさに裁きをするということでお上そのもの。ここで言うお上というのは、おわかりいただけると思うんですけれども、普通にはなかなか近寄りがたいし、威圧的である、国民にこう思われているのではないのか、こう思うんですね。 裁判所という司法の中心的なシステムが、本当にこれは国民のためにある、そしてもっと国民に公開をされる、もっと裁判所というシステム自体が透明感あふれるシステムになっていく必要がある、そうなっていかないと法曹人口の増大という話の中にも私はこたえられないと思うんです。 今司法権の独立というお話をなされましたけれども、例えば、違憲立法審査権を裁判所が持っておられる、しかし、現実の効果はなかなか、今これはさまざま考え方があって消極的であるというのが基本的な考え方であります。しかし、先ほどの事前から事後ということも含めて、もう条例なんかは自分たちでつくりたいというふうな住民投票なんかがいっぱい出てくるような状況の中で、裁判所が持っている違憲立法審査権とか、そういう行使もますますこれから大きな意味を持ってくる。そうだとすれば、私は、今みたいな違憲審査権行使の消極性だとか、あるいは裁判のシステムの透明性とかなんとか、この辺を本当にきちっと問題意識を持ってやらないとなかなか大変だな、こういうふうな思いを持っております。 先ほどから議論になりましたけれども、今、判事というキャリアシステムもそうであります。これは、キャリアシステムそのものが全体としていいのかどうかという議論もなされてくるだろうと思いますけれども、その中にあって、裁判所のキャリアシステムもその例外たるべきものではない。果たしてうまく十全に機能するかどうかという議論もしていただかなければならない。 裁判の法廷の形とか、あるいは今の状況とかも含めて、これはいわゆる最高裁の改革問題、どういう議論が出てくるかわかりませんけれども、そういうことについて裁判所は今時点でどういうふうな問題意識、あるいはどういうふうな議論をされようとしているんだろうか。これも、司法制度改革審議会の結論を待って、その御意見を尊重してということになるんですか。
○金築最高裁判所長官代理者 お尋ねのキャリアシステムの関係につきましては私の方からお答えさせていただきたいと思いますが、いわゆるキャリアシステムにつきましては、通常、他の職業等を経験せずに裁判官になりますので、世情に疎い面があるとか市民感覚に乏しいというふうな御指摘があるということは承知しております。これはキャリアシステムという制度についての一般的なマイナス面として指摘されるということが多いということでございまして、現実の裁判官一般が大体そうであるということではないと思います。しかし、そうした批判があるということにつきましては、私どもとしては謙虚に耳を傾けなければならないというふうに考えております。 そういう点、どう考えるかということでございますが、一つは、裁判官に、キャリアシステムを基本とするといたしましても、多様な経験の人を採用するということがやはりいいことではないか。特に、当事者経験のある弁護士の方の任官については今後とも努力していきたいと考えておりますし、また、キャリア裁判官につきましても、若い裁判官を民間企業に出して研修させたり、海外留学をさせたり、その他法律問題に限定しないでいろいろな形の研修などを行っていくことが大事ではないか、そういうふうに考えております。
○倉田委員 裁判所はだれのものか。いわゆる裁くという意味でのお上意識というのは、明治憲法下の当時の裁判所と今の裁判所と比べてどうなっているのか。これについて、今司法制度改革審議会でさまざまな議論がなされているんだから、二十一世紀のあるべき最高裁あるいは裁判所の姿というものは、そういうことも含めて、それも一つの大きな視点と考えて議論をしていただきたいということで申し上げたわけであります。 この点を、お上が裁くという意識が今なお残っているのではないかということを思いながらこういう質問をさせていただいたのは、今国会で提出予定の犯罪被害者の保護手続、後で当委員会で議論されることになるんだろうと思っておりますけれども、その法案を勉強しながら思ったんですね。今回の出てくる法案は、被害者の方に対する一定の保護のまさに第一歩という意味では評価されるべきものだとは思うんです。 今盛んに世論の中でも犯罪被害者の人権保護という観点から大きな議論がなされているわけでありますけれども、我が国の司法システムの中で、当事者たるべき犯罪被害者の方々がどういうふうにかかわっているのかということを見てみますと、基本的にかかわることができないような仕組みになっているわけですね。つまり、被害が発生をする、捜査が始まる、起訴される、判決が下される、刑の執行そして終了、こういうシステムの中で、犯罪被害者は、自分の権利が侵害をされた、そしてこの権利の回復を図りたいということの中では、基本的にはそれは国が訴追官として代行しているような形になっていて、国がかわりにやってあげますよという形が、刑罰権はどこにあるかという話の中に含めての話だとは思うんですけれども、そういう形の中で、原則、権利者として被害者は参加できないことになっているんですね。これはなかなか難しい議論だと思うんですけれども、今回の法律でも、基本的には、いわば権利者としての参加を認めているのではなくて、保護の対象者としての範囲を厚くするという域を出ていないわけであります。 私は、この視点も、裁くということがお上のものではなくて国民主権のもので、国民が参加をするということを思うならば、この犯罪被害者も、権利回復の主体者、いわば権利者として、今一連申し上げましたシステムの中でかかわる場をもっと認めるべきではないのか、こういうふうに思うわけでありますけれども、どうしても保護の対象者で配慮の範囲を厚くするという域を出ていないわけであります。 これは法務大臣にお聞きしたいと思いますけれども、なぜ犯罪被害者は、権利の主体者として捜査や裁判、刑の執行に関与することはできないのでしょうか。
○山本(有)政務次官 先生のいら立ちとか深い哲学的な観点というものに対する答えにはならぬかもしれませんが、犯罪被害者は、刑事手続が対象としている事件によって直接の被害を受けた者という意味において、事件の当事者であり、刑事手続において、その心情及び名誉について適切な配慮を受け、かつこれを尊重されるべき立場にあると考えております。 ただ、刑事手続は、具体的な事件における被疑者、被告人に対する国家の刑罰権の有無及びその範囲を確定するための手続であります。したがいまして、刑事訴訟は、公訴を提起する検察官及び公訴を提起された被告人を訴訟の当事者とする基本構造をとっており、判決の効力を受けるのは検察官及び被告人であって、犯罪被害者につきましては、検察官や被告人と同様の手続上の当事者たる地位は認められていないものでございます。
○倉田委員 犯罪被害者は当事者ではあるのですよ。しかし、国家の刑罰権という絡みの中で、どう参加するかということについては考慮の対象者でしかすぎない、それでいいのかどうかという問題提起を今させていただいているわけであります。 それは、裁判というものがやはり国民に信頼され、なるほどそうだねというふうに納得されるものでなければならない。そうすると、今まで私どもは、被害者の人権、被害者の権利ということについて、やはりどうしてもお上が裁くという御意識があったからでしょうか、余りなおざりにし過ぎてきたのではないのか、そういうふうな思いを持つわけであります。 例えば、犯罪被害者が捜査の情報を受け取ることができること。これは、息子を殺されたお父さん、お母さんが、捜査の段階で今どうなっているのだろう、これも聞きに行くのもなかなか大変なわけですし、聞いてもなかなか思うような答えが出てこない。 私は、やはり犯罪被害者が捜査の情報を受け取ることができることや、あるいは、これは難しいかもしれませんけれども、公判に被害当事者として何らかの形で参加する、傍聴ということではなくて参加することができることや、裁判記録を権利として受け取ることや、判決や刑の執行、刑期の終了等について、ここのところは一方でプライバシーという話が出てくるわけでありますけれども、情報を受け取ることなどは、これから、国家に刑罰権があることを前提にしながらでも、やはり被害者の権利として、一定の方向で、認めていく方向で議論されるべきではないのか、こういうふうに思うわけでありますけれども、この点についてはいかがでしょう。
○山本(有)政務次官 犯罪被害者への情報提供に関しましては、検察庁において、既に昨年四月に全国統一の制度として、犯罪被害者その他の刑事事件関係者に対し、事件の処理結果、公判期日、刑事裁判の結果等を通知する被害者等通知制度を実施しておりまして、その適正な運用に努めているところでもございます。 次に、裁判記録につきましては、今国会に提出を予定しております犯罪被害者の保護のための法案の中に、刑事裁判の係属中であっても、犯罪被害者の損害賠償請求権の行使のために必要がある場合等に、犯罪被害者等に公判記録の閲覧、謄写を認める制度を盛り込むことを考えております。 いわゆる出所情報につきましては、これを知りたいと思っている犯罪被害者がいらっしゃることは承知しており、これら犯罪被害者の立場も十分に考慮されるべきであると考えておりますが、他方、犯罪者の改善更生やプライバシーの保護も重要でございますので、両者の要請をどのように調整するか等につきまして、鋭意検討を進めているところでございます。 捜査情報の提供につきましては、捜査が密行性の高いものである上、事実が時々刻々と変動し、流動的であるのが通常でございますので、犯罪被害者その他の関係者等に誤解や混乱を生じさせるおそれがあるばかりでなく、事案の真相解明に支障が生じるおそれも否定できないことでございますので、慎重に検討する必要があろうと考えております。 いずれにしろ、刑事事件に関する情報は、捜査、公判の円滑な遂行や関係者のプライバシーの保護にも十分に配慮して取り扱うべきものでございまして、一律にそのような情報の提供を受ける権利を認めるべきか否かという形で論じるよりも、個別にそのような情報をどのような条件のもとで提供するのが適当かを検討するのが妥当であろうと考えております。 さらに、先生御指摘の、犯罪被害者が公判に被害当事者として参加することが権利として認められるべきではないかという問いに対しては、犯罪被害者の公判への参加につきまして、今国会に提出を予定しております犯罪被害者の保護のための法案の中に、犯罪被害者から申し出があるときは、被害に関する心情その他の被告事件に関する意見を陳述させるものとする制度を盛り込むことを考えておりますが、さらに進んで、犯罪被害者に検察官や被告人、弁護人と同様な形で公判に関与することを認めることは、刑事訴訟の基本構造にかかわることでございまして、慎重な検討が必要であろうと考えております。
○倉田委員 今山本総括政務次官からお答えをいただいたその中身が、いろいろ御検討いただいたことだと思うのですけれども、私が持っている問題意識は、まさにそのお上意識で、お上が国民を裁くという発想のもとでそういうふうな考え方になってきているのではないのか。そこをもう一度もとに戻って、裁判所はだれのためにあるのかという視点から考え直さなければいけないのではないか。今般出てくる犯罪被害者の保護手続法も、やはり配慮しなければならないというふうに、お上が国民に、犯罪被害者を一定の範囲で配慮してあげますよ、そういう思想の中でどうも出てくるような思いがしてなりません。もっと、いわゆる犯罪被害者の方を、保護の対象者としてではなく、まさに権利回復の主体者として扱うべきなのではないのか、こういうふうに問題提起として思うわけであります。法務大臣、いかがでしょう。
○臼井国務大臣 今委員御指摘をいただきました、裁判所は国民のためにある、そういう立場というのは大変重要なことのように思います。御指摘をいただいております犯罪被害者の立場、大切なものとしてお取り扱いをするというのは当然のことでございまして、今まさにこれから法案として御提出をさせていただいております犯罪被害者法におきましては、そうした精神というものをしっかりと見詰めながら対応していくということを心がけてまいりたいと思っております。大切な御意見としてお伺いいたしました。
○倉田委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。 定員法の質問に入る前に一点だけ、当委員会の名誉と権威にかけて、警察庁石川官房長はいらっしゃっていますね、確認をしておきたいことがあります。 当法務委員会で、昨年の十一月二十四日、いわゆる読売新聞の報道によって明らかになった、神奈川県警内に不祥事隠しマニュアルがあるのではないか。坂上委員、木島委員、そして私と、同日三人の委員から、このマニュアルを提出するように、こういう求めがありました。この日、石川官房長は、委員会終了後、この件で何か行動を起こされましたか、あるいは、何もしませんでしたか。御答弁願います。
○石川政府参考人 この件について特段の行動といったものはございませんでした。
○保坂委員 御承知のように、法務委員会でも地行委員会でもいろいろな議論があって、議員五十人から、予備的調査権ということで、この不祥事隠しマニュアルと言われているものを出しなさい、こういう要求が出たわけですね。 そして、二月にこれが返ってまいりました。返ってきたものを見ると、唖然とします。これは、もう廃棄されたので、現存していないから提出できない、こういう答えですね。 官房長に伺いますが、十一月二十四日、この委員会の質疑をしていたときには、このマニュアルは神奈川県警に存在していたんですね。
○石川政府参考人 神奈川県警に、質疑の時間帯にこのマニュアルが存在したかどうか、そういう時間関係については承知をしておらないわけでございますが、この十一月二十四日に神奈川県警察において、それがあるところに対して廃棄、回収を依頼する文書を発出して、そして資料が残存していた所属に廃棄等を徹底させた、十一月二十六日までにすべて廃棄をした、こういう経緯をたどっているという報告を受けております。
○保坂委員 連日の答弁、御苦労さまだと思いますけれども、こういうまともな指摘に対して後ろ向きで、二十四日の日に、神奈川県警に不祥事隠しマニュアル、適切な内容じゃないというふうに官房長も認めた、このマニュアルがあったことは、二十五日、地行の委員会で、共産党の春名議員の質問に答えて答弁しているじゃないですか、幾つかの部署でこの資料が残存していたのは事実でありますと。あったんでしょう、このときには。そして、二十四日というのは前の日ですよ、神奈川県議会で、今度は県警本部長が答弁しているでしょう、二十四日に新聞が出たので、早速廃棄しろと徹底をしたところでありますと。 あなたは、石川官房長は、前任は神奈川県警の本部長でしょう。神奈川県警がどういう体質かというのはよく御存じのはずだ。これだけ不祥事隠し、証拠隠滅で、まさに全体が問われているときに、ああ、神奈川県警ならこれはきっと廃棄処分する、待てよ、とめろ、そういう指示を何で出さなかったんですか。国会で指摘されたことを何も伝えなかったのか、はっきり答弁してください。
○石川政府参考人 このマニュアルについて、一部不適切な表現があったということについては御答弁申し上げました。 そして、十一月二十四日に、神奈川県警が、独自の内部資料について、自分の判断でこの廃棄措置を行った、こういうふうに承知をしておるわけでございます。
○保坂委員 答弁になってないですよ。官房長、よく落ちついて聞いてください。 神奈川県警は、あなたも本部長だったから御存じのように、独自の判断で廃棄するんですよ、こういうものは。だから、証拠隠滅事件を起こしている。神奈川県警は、こういう問題が出れば必ず捨てるのです。それは、あなただったらわかるでしょう。 国会でそういう指摘をされているわけです。こういうものを早く、まさか廃棄したんじゃないでしょうねと私、聞いているじゃないですか。そのときに、官房長として、神奈川県警にすぐ連絡を入れて、国会でこういう件が出ているからちゃんととっておくように、こういうふうに指示しなかったんですか。国会の指摘を受けて、法務委員会の三委員から指摘を受けて、何も行動しなかったんですか。これは無視したんですか。はっきり答えてください。
○石川政府参考人 国会での御審議を無視するといったような気持ちは、私どもにはございません。 ただ、それについて、先ほど申しましたように、私は特段の行動を起こさなかったということは事実でございます。
○保坂委員 不作為の作為。つまり、行動を起こさないということは、連絡も一切しなかったということで理解していいですか。これは重大ですよ、そうだとすれば。
○石川政府参考人 私どもも、これは報道によって初めてわかったことでありまして、そして、神奈川県警にそういうものがあるのかとか、あるいは、それは一体どういう内容であるのかといったようなことは事務的に問い合わせておった、こういう状況でございまして、それについて時間帯が、二十四日の日に、廃棄をするのを待てとか、あるいは廃棄をしろといったような指示をする、その前提となるような事実関係というものが私どもに把握をされるような状況ではなかった、こういうことでございます。
○保坂委員 平成九年から十年まで、神奈川県警本部長ですね。マニュアルを見たことはありますか、それが一点。 それから、これが問題になって、マニュアルを入手して、我々に見せることはできないと答弁しているわけです。当然、現認したわけですよね。見たわけですよね。最初に見たのがそのときなのか、それとも本部長時代に見たのか、答弁してください。
○石川政府参考人 任を離れた部署における問題について、その立場で御答弁するのは適当ではないと思いますけれども、今私がこの所掌の立場で申し上げますと、神奈川県警に私が勤めておったときにこの文書は、見たことは一度もございません。(保坂委員「その後は。新聞に出てからは」と呼ぶ)新聞に出てからは、事務的に神奈川に問い合わせをして、そして、その中身については、私はその時点では承知をしておりました。
○保坂委員 そうすると、石川官房長、警察庁官房長としては、本部長時代は、うっかりかどうか知らないですけれども、見てなかった。しかし、自分もいた神奈川県警にこんなマニュアルがあった。これは国会の指摘もあっただろうし、どういうものかと、当然、新聞に出た直後、見たわけですよね。 警察庁として入手したマニュアルは、ここから大事ですよ、廃棄したんですか、焼却したんですか、神奈川県警に頼んで焼いてもらったんですか。
○石川政府参考人 これは、後の時点の話になりますけれども、神奈川県においてこういった形の廃棄処理を行ったということを受けて、私どもとしても、こういったものを持っておく必要はないということで廃棄をいたしております。
○保坂委員 これはもう実に重大ですね。廃棄をしたというのは、いつどういう形で廃棄したんですか。焼いたんですか、お得意の。これだけ問題になっているんでしょう、こういうものがあるのなら、これは出しなさいと。一連の神奈川県警の証拠隠滅事件というのは、こういうものが原点にあったんじゃないかという指摘を国会の各委員会で受けているじゃないですか。どうして、それを一部も残さずに廃棄するんですか。
○石川政府参考人 私が直接に廃棄をしたのではないので、その時間とか方法というものについては詳しく御答弁できませんけれども、恐らくシュレッダーだろうと思います。
○保坂委員 これは、今、警察不祥事がどうしてとどまることがないのかという重要なポイントなんです。 法務省官房長に伺います。 この十一月二十四日の質疑の中で、法務大臣としてこの資料を入手されるお気持ちはないかということを、私は法務大臣に聞きました。大臣は、最初は遠慮された、これは警察庁のことだからと。しかし、事は重大ですよ、これは公務員が知り得た情報を告発しなかった場合の刑訴法上の問題や公務員法に違反するという問題もある、だから、これはぜひ法務大臣、見てくださいと。それで、入手するように努力いたしますと、そのときには答弁していただいた。 法務省としては、この文書を大臣の答弁を踏まえて入手をされたのかどうか、関心がなかったのかどうか。これは、検察庁は当然入手したと思いますけれども、大変な事態だと思います。国政調査権で五十人が出しても、捨てたのでありませんと。あったものを、指摘したらシュレッダーにかけて、焼いてなくなった、こういうことが許せるんですか。法務省、これはどういうふうに見ますか、官房長。
○但木政府参考人 法務省といたしましては、直接、法務省の所管する事務にかかわりがないということで、その後の入手等の努力はしなかったと思います。 ただ、これは別途、刑事事件になっておりますので、その関係で捜査機関である検察庁がどのようにしたのか、これについては私どもは存じ上げておりません。
○保坂委員 官房長にもう一言聞きます。 先ほども国会答弁を訂正されたようですけれども、この入手するように努力いたしますという答弁は、法務大臣は訂正されていない、撤回していないんです。入手するように努力する、法務大臣としてもこれは大事だという重い答弁をいただいたんですよ。その答弁を踏まえて警察庁に要求したんですか。はなからもうそういう面倒くさいことはやめよう、こういう態度ですか。はっきりしてください。そういう努力をしたのかどうか。大臣は努力すると言ったんですよ。大臣が努力するという言葉をフォローするのが官房長じゃないですか。何を相談しているんですか。そういう口裏合わせはやめてください。
○但木政府参考人 大臣の御答弁がありまして、お戻りになられて、それについては所管である刑事局と官房が協議したと思います。その結果、当省としてこれを入手するような立場にはないということで、法務省としては入手するような努力はしていないということが結論でございます。 ただし、事件の関係では別論でございます。
○保坂委員 委員長、これは後の委員会でも、重大なのでぜひ考えていただきたいんです。 確かに、このときに神奈川県警の不祥事マニュアルを国会に出すことは、それは警察にとってはつらいことだったでしょうよ。しかし、そういうときに出しておけば、今回の新潟県のこういう不祥事、次々とこういうふうに露見するというようなことは少なくともなかったはずですよ。法務省も法務省で、国会の中でこれだけ議論になっていることに対して、警察が堂々と証拠隠滅していくようなことを認めちゃだめなんですよ。 また、これは大責任問題だと思いますので、とんでもないことだ、そういう反省の気持ちはあるんですか。証拠隠滅の確信犯ですか。
○石川政府参考人 もう一度整理して御答弁申し上げます。 この資料は平成三年に作成されたものと思われるわけでございますが、同年中にその効力が失われている。神奈川県警が独自に作成した資料である。当時、このことが報道され、国会でも御議論になったということはあったわけでございますが、警察庁としては、神奈川県警が独自に作成した文書ということで、国会への提出を差し控えていたところでございます。 この報道の後、時間関係が、提出を要求をなされたから廃棄をしたんだ、あるいは証拠隠滅的なものだ、こう御指摘でございますが、そういったような意識もございませんし、そうしたような指示を行ったというような事実もないわけでございます。
○保坂委員 もう打ち切ろうと思いましたけれども、ああやって答弁されるので、もう一回言います。 それでは、神奈川県警は法務委員会の中継を全部見ていないでしょう。こういう議論がどこであったのかわからぬでしょう。国会で要求が出たということを伝えるのは、官房長、あなたの役割じゃないですか。神奈川県警になぜ連絡しなかったんですか。無視していいと思ったんですか。
○石川政府参考人 当日の私の行動と申しますか、日程を詳細に覚えていないわけでございますけれども、いずれにせよ、無視をするとかそういったような気持ちは毛頭ございませんでした。
○保坂委員 何で連絡しなかったのか聞いているんですよ。
○石川政府参考人 連絡しなかったということは事実でございます。
○保坂委員 これは到底納得できないので、また別の機会に続けます。 判決、裁判の問題に移りたいと思います。 去年、京都地裁におきまして、雲助判決という判決が出ましたね。一言で言えば、「一般論でいえばタクシー乗務員の中には雲助(蜘蛛助)まがいの者や賭事等で借財を抱えた者がまま見受けられること(顕著な事実といってよいかと思われる。)」とあるわけですね。これは最高裁としても異例の注意を与えたということなんですが、先日、個人タクシーの運転手の方が、職業上非常に差別をされたということで訴訟を起こされて、東京地裁がこれを却下する内容の判決を出しています。 この判決を見ると、まじめに働いているタクシー運転手がその内容を読めば不快に感じてもおかしくない表現であることを否定できないにしても、「一般論でいえば」あるいは「まま見受けられる」など限定的な表現を使っているので、要するに一人一人の運転手を差別したものであるとは見受けられない、こういう論拠ですね。 そこで、最高裁に伺います。一般論で言えばという前提をつければ差別的な表現は判決文の中で許される、こういう見解でしょうか。
○金築最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の判決、本年三月十日に東京地裁で請求棄却の判決があったわけでございますが、その判決の認定判断の当否ということをお伺いでございましたら、これは裁判の当否について事務当局でコメントすることは差し控えたいと思います。 ただ、判決が言っておりますのは、判決が原告の請求を棄却いたしましたのは、京都地裁の判決の表現は原告個人の社会的評価を低下させるものと認めることができないということであるということに御留意いただきたいと存じます。
○保坂委員 ちょっときょうは言葉の論争を裁判所、最高裁と行いたいのです。 一般論で言えばというのは、私の理解するところによれば、おおよその人々の理解を得るところであって、広く浸透している意識、こんなふうに思うんですけれども、一般論で言えばというのはどういう形でどういう前提で使われているんでしょうか。 一般論で言えばという言葉と間々そういう場合があるという言葉が入れば、職業に対する差別や不快感を、最高裁だって注意しているわけで、適切じゃない判決だというのはわかっているわけですけれども、一般論ということをつければこれが許される、どういう一般論の理解をされているんですか。
○金築最高裁判所長官代理者 一般論で言えばという言葉をさらに言いかえるというのは難しゅうございまして、一般論は一般論でございますが、申し上げたいのは、この東京地裁の判決は京都地裁の判決の表現が差別的でないというふうに言っているものではないというふうに私は理解いたします。あくまでもそれは、先ほど申し上げましたように、原告個人の社会的評価を低下させるものと認めることはできない、こういうふうに認定しているわけでございます。
○保坂委員 いや、僕は判決に入り込んで質問する予定じゃなかったんです。そういう答弁だから入り込みますけれども、これはそうじゃないですよ。「一般論でいえば」「まま見受けられる」など限定的な表現を用いてタクシー運転手に対して雲助まがいのこととかというふうに記述しているのであって、タクシー運転手の多くが雲助まがいの者やかけごとで借財を抱えた者であると表現しているものと読むことはできないというふうに京都地裁判決を解しているわけですよ。 だから、裁判官が人権教育をこの問題でやらなきゃいけないと答弁されたでしょう。これはやはり意識が徹底していないんじゃないでしょうか。タクシー運転手は一般論で言えば雲助、そしてかけごとで借財を抱える、こういうふうに言われれば、タクシーのハンドルを握っている皆さんはみんなそうと思うでしょうよ。そのタクシー運転手のお子さんは学校でどういうふうに言われるんですか。そういうことが重大だから注意したんでしょう。そういう意識が足らないんじゃないですか。
○金築最高裁判所長官代理者 この東京地裁の判決の認定評価自体について申し上げることはできないことは先ほどから申し上げているとおりでございますが、その点は別にいたしまして、いわゆる京都地裁の判決の問題につきましては遺憾に思っているということは前にも申し上げたとおりでございまして、最高裁といたしましても、研修の機会などをとらえまして裁判官に注意喚起するなどしてまいりたいと思っております。
○保坂委員 それで、これは昨年の定員法の審議のときにも取り上げた問題なんですけれども、身分を厳重に保障されている裁判官を処分するに当たって、裁判所が——これはちょっと背景を説明しますと、去年さんざん問題になった組織的犯罪対策法あるいは通信傍受法、我々はいわゆる盗聴法と呼びましたけれども、こういう問題の議論について集会があった。私はその集会の会場にたまたまいたんですね。目撃をしているんですけれども、仙台高等裁判所のこの寺西裁判官に対する処分の決定があります。これは、この集会で話す予定だったけれども、上司から注意を受けて、処分があるかもしれないなどの話があったので、自分は裁判所法で定めるところの政治運動に当たるとは思わないが、パネリストとしてきょうは発言できない、こういう発言をした、これは仙台高裁の決定にも出ておりますね。ここからなんです。「旨、言外に同法案反対の意思を表明する発言をし、」と。この「言外に」ということが、裁判官が裁判官を処分する言葉としてこの三文字が使われたというのは極めて重大だ。 最高裁判所の見解、最高裁が言外にという言葉を使う場合に、これは仙台高裁が使った意味を聞いているんじゃない、最高裁が言外にという言葉を使う場合に、どういう意味ですか、簡潔に説明してください。
○金築最高裁判所長官代理者 最高裁が言外にという言葉を使っているわけではございません。これは、御指摘ありましたように、仙台高裁の決定の中に出てきている言葉でございまして、それを受けて最高裁大法廷決定がした認定は言外にという言葉は使っておりません。 それで、この判決の当否等について、裁判の当否等について事務当局がコメントできないということは先ほども申し上げたとおりでございますので、あくまで一般的なことだけ申し上げますと、これは別に最高裁が言外にという言葉をどう使っているかということではございませんで、あくまで一般的なことでございますけれども、言外にというのは、言葉の表面的な意味ではなくて、その言葉の発せられた経緯、状況等を総合的に評価して言動の持つ意味を認定するということであろうと思います。人の行為に関しまして、情況証拠等によりましてその持つ意味合い等について総合的な認定判断をするということは、これは日常生活上もよくあることでございますし、裁判上も特に珍しいことではございません。
○保坂委員 これはもう大変な答弁を今されたわけですね。さっきの雲助判決をめぐって毎日新聞は、「裁判官は常識を備えよう」、こういう社説を書いていますよね。裁判官はもう縮み切っている、各種団体への参加はおろか、自治会の役員になったり署名一つするのにも勇気が要ると。 言外にという言葉は、広辞苑を開かなくてもわかりますが、言葉に出さないことなんです。言外ににおわせるとか、そういうふうに使われます。したがって、裁判官に内心の自由があるならば、そして言外に言葉にならないことで示したこと、身ぶり手ぶりとか空気とか、あるいはしゃべり方とかさまざまな態度、しかしそれは言葉に発せられていない、そのことまでがこれから処分対象になる、裁判官の言動というのは、言動以外の言外の部分も注意すべしというのが最高裁の見解ですか。
○金築最高裁判所長官代理者 この寺西判事補の懲戒処分の決定に関しまして私の立場として申し上げられることは、先ほど来申し上げていることに尽きると考えます。
○保坂委員 答えていないじゃないですか。そんなことを聞いていないんです。寺西さんの話はもう聞いていない。先ほど聞いたのは、言外に、裁判官の言動じゃなくて、要するに言動以外のことも処分理由や対象の範囲の中に加える、これがこれからの最高裁の態度ですかと聞いているんですよ。過去のことを聞いていない、これからのことを聞いているんです。
○金築最高裁判所長官代理者 お尋ねのことに関しまして一般的なことを申し上げるのは適切でないというふうに考えます。
○保坂委員 ちょっと時間がないので、これ以上は禅問答みたいになっちゃうのでやめますけれども、判検交流について一問お聞きします。 現在、多くの裁判官が、ほかの省庁も多いんですが、特に法務省に出向していますね。昨年、この判検交流についても、これはやはり是正すべきじゃないかということを申し上げました。これは、今度は逆に法務省にお聞きすることにします。 といいますのは、昨年の答弁で、官房長ですか、一般論か、現実には裁判官に訟務検事などに当たってもらうということで行わなければなかなか難しい現状もあると答弁されているんですね。しかし、将来においてはこのままではいけない、やはり何らかの改善をしていかなければならないだろう、そういった人材を法務省の内部で育成していくことも、あるいは弁護士から登用していくことも必要だというような趣旨の答弁をいただいているんですが、一年たってみて、その方向の努力は始まっているでしょうか。数字の上ではこれは全然見えないんですよね。
○但木政府参考人 判検交流一般につきましては、いろいろな考え方あるいは評価というものがあろうかと思います。特に、法務省の中における司法制度、あるいは民事、刑事の基本法令の策定というようなことになりますと、やはり裁判実務を現にやっていた人の知恵をかりるということも非常に重要でございます。現場のニーズに合った法改正をするというような意味では、やはり判検交流全体を否定するということはないと思っております。 ただ、訟務検事につきまして、裁判官ではなく、検事からもっとやったらどうかというようなお話がありました。これは、今司法制度改革審議会で、法曹人口の問題も含め、あるいは法曹のそれぞれの役割を含め、また法曹一元というような非常に大きなスケールでの改革も考えられている中でありますので、そうした大きな論議の中で訟務検事の位置づけもきちっとすべきだと思いますし、裁判官が法曹一元で弁護士の経験のある者から採るという制度になっていけば格別ですが、現行の裁判官制度の中で裁判官がいろいろな経験をしていくということも裁判官にとっては大事なことであろうと思っております。 いろいろな問題がふくそうしておりますので、やはり司法制度改革審議会の中で今後の法曹像というのをはっきりさせて、その中でこの問題も考えていくべき問題であろうというふうに思っております。
○保坂委員 では終わりますけれども、この問題は、大臣、もう答弁は要らないんですけれども、裁判所の方も一体何人法務省に送り込んでいるのかすぐわからなかったんですよ、二十九年いる人もいるので。そういう場合は、もうこれは法務省の方になっていただいた方が公正な司法の運営の点でもいいのではないか、こういった点でぜひ検討を加えていただきたいということを要望して、終わります。
○武部委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○武部委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○武部委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○武部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十分散会