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147回国会衆議院2000/04/26

農林水産委員会 第12号

発言数
177
登壇者
15
会派数
6
開催日
2000/04/26

会議録

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、農水産業協同組合貯金保険法及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の一部を改正する法律案及び農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律案の両案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として農林水産省経済局長石原葵君、農林水産省構造改善局長渡辺好明君、水産庁長官中須勇雄君及び建設省河川局次長高橋健文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮本一三君。

宮本一三自由民主党

○宮本委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、農協金融二法案につきまして質問をさせていただきたいと思います。  農協貯金でございますけれども、今やその規模は七十兆円を超えております。民間の金融機関の総預金量の一割にも達するという非常に大きな規模を持っておりまして、また農協、信連は地域金融機関として非常に大きな役割を果たしておるわけでございます。  その中核になるのが農林中金でございますが、大手都市銀行並みの資産規模を持っておるわけで、我が国の金融機関の中でもトップクラスの、そして非常に高い格付を得て、国際的にも非常に活発に活躍するなど、系統金融機関は、我が国の金融システム全体を考えても、極めて大きな一翼を担っているというふうに感ずる次第であります。  ところで、バブル経済の崩壊後、我が国の金融機関は非常に大きな、多額の不良債権を抱えまして、その処理の過程で、御承知のように、多くの金融機関が破綻するというようなことになったわけでありますけれども、このような中にありまして、農漁協の貯金者の保護を目的とする貯金保険制度は、一般の金融機関の預金者の保護を目的といたしまする預金保険制度とともに、我が国金融システムの安定化に非常に大きな役割を果たしてまいった次第でございます。  今後、金融ビッグバンによりまして、他の金融機関との競争の激化が予想されるわけで、御承知のように、今、四大メガバンクに集約されているような動きでございます。また、そういった大きなグループとしての金融機関がリテール分野にも参入してくることも予想されますし、ますます系統金融機関の活動も他の金融機関との競争にさらされていく、激化するということは十分予想されるわけでございまして、それだけに、貯金保険制度の役割がより一層重要なものになってまいると思うわけであります。  この点につきまして、今回の改正を見ますと、まさに金融ビッグバン後の系統信用事業のセーフティーネットの確立ということを目的としたものでありますし、非常に時宜を得たものであるというふうに認識はいたしておりますけれども、今回の法改正によりまして、系統のセーフティーネットがどのようなぐあいに強化されるのか、この点について、ぜひ大臣に伺いたいと思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 今回の法改正によりまして、系統のセーフネットがどのように強化されるか、こういう御質問であったと存じます。  まず、今回の法改正におきましての第一点でございますが、系統信用事業が、単協、信連、農林中金の三段階で運用されているという実態を踏まえまして、系統信用事業全体としてのセーフネットを構築する観点から、信連と農林中金を貯金保険制度の対象に追加するということが一つであります。  また第二点におきましては、迅速かつ円滑な処理を行うため、資金援助の方式の多様化、貯金保険機構の資産買い取り業務の充実、公的管理人制度の導入など、預金保険法と同様の整備を行いまして、他の金融業態と同様の破綻処理システムの整備を図ることといたしておるわけでございます。  これにより、信用事業全体に対する貯金者からの信頼が確保されることになるものと考えているところでございます。

宮本一三自由民主党

○宮本委員 ありがとうございました。  次に、ペイオフの解禁問題について伺いたいと思います。このペイオフの解禁問題につきましては、昨年末、与党三党間の合意を受けまして、四年前に決定いたしました十三年四月からペイオフを実施するという決定を一年延期するという方向で決定がされたわけでございますが、そうした合意を受けまして、なぜこの時期に延ばすんだという強い批判もありましたし、また同時に、このことは、ややもすると、選挙を間近に控えた、いわば配慮のあらわれではないかというふうな批判もありました。さらにまた、改革を結局おくらせるものではないのか、そもそも、四年前にこれは国際的に約束したようなものだ、そういったものをほごにするということは、やはり国際的にも非常にマイナスな効果を持つのではないか。いろいろな御批判があったわけでありますけれども、私はそのような批判は当たらないと思っております。  現に、先ごろのG7におきましても諸外国からそういう批判は全く出ていないという事実がありますし、また、系統の団体を見ましても、ペイオフの延期が決まったからといって改革あるいはその努力を緩めるというふうな動きは一切聞いておりませんし、ないとも言っておるわけで、むしろ合併とか資本の増強に真剣に取り組んでいる姿を見ている次第でございます。  しかしながら、ここで非常に多くの誤解が国民の皆様方にあってはいけないし、そういう意味でも、ペイオフの解禁の延期ということについて、この席で、ひとつ大臣からはっきりと見解を伺っておきたいというふうに思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 ペイオフ解禁を一年延長する理由でございますが、我が国経済を確実な安定軌道に乗せるためには、一部の中小金融機関について、経営の実態把握を図り、その改善を確実なものにすることが大事であると考えます。より一層強固な金融システムの構築を図るという観点から、与党間の合意を踏まえまして、政府といたしましてもペイオフ解禁一年延長の措置を図ることとしたところであります。  系統金融機関におきましては、当初予定どおり十三年三月末をめどに、合併や自己資本の増強等によります経営体質の強化に積極的に取り組んできたところであります。今回の一年延期の決定によりまして、より強固なものにしていかなきゃいかぬ、こういう目的を持ちまして、ペイオフといった金融機関の基礎的な競争条件は同一である、こういう観点から、農協系統機関といたしましてもペイオフ解禁を一年延期するということといたしたものであります。

宮本一三自由民主党

○宮本委員 ありがとうございました。  時間が参りましたが、最後に、農協それから信連の経営状況について、何か非常に内容を心配する声がよく出てくるわけでございます。私も、その点、いろいろな声を聞くたびに心配はしておるのでございますが、一体、農協、信連の経営の内容、実態はどうなのか、この際、経済局長にぜひ説明をお願いしたいと思います。

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 経済局長。簡潔にやってください。

石原葵農林水産省経済局長

○石原政府参考人 お答え申し上げます。  農協、信連の経営状況でございますが、二つの関連でございます。  一つは、総資産に占めるリスク管理債権でございますけれども、その比率を見ますと、全国銀行が三・五%、信金等が四・四%であるのに対しまして、信連は一・一%、農協は一・四%、いずれも低いということでございます。  もう一つは、自己資本比率でございますが、すべての信連が国内基準である四%を超えております。それからまた、農協の中には四%に達しないものがございますが、その数は、十年には八十八ございましたが、十一年には三十九と減少しておりまして、確実に改善されていると考えております。  いずれにしましても、総体的には問題がないと考えているわけでございます。

宮本一三自由民主党

○宮本委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 次に、安住淳君。

安住淳民主党

○安住委員 おはようございます。  きょうは、一時間、経済通の玉沢農林水産大臣に、役所の答弁書は見ないでぜひ答弁をしていただきたいと思うんです。  私も、四年間は、三年七カ月ですか、農水委員会に籍を置かせていただきまして、実は農政論をまじめにやってきましたけれども、大臣になってから、もう不幸にも構造改善局の話ばかりでございましたから、きょうはもとに戻りまして、ペイオフの解禁問題について少し話をさせていただきたいと思います。  農協金融二法といいましても、これは、玉突きというか、ビリヤードの玉みたいなものでございまして、はっきり言って、農水省から見ても主管の法案というよりは玉突き法案の一つだと私も思っておりますから、むしろその根本のことについてきょうはお話をしたいと思います。  大臣、大臣は、政治家や政府が約束したことをいかなる理由があってもほごにすることというのは、理由をつけたといえども、許されることだと思いますか、そうでないと思いますか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 いかなる約束事、こう言われましたけれども、いかなる約束事ということを言われますと、これはなかなか難しいと思います。やはりそれは状況等に応じて、信頼される範囲で変えていくということは許されることではないかと思います。

安住淳民主党

○安住委員 平成八年の六月でございました。預金の全額保護をする現行の特例措置というのがあったんですね、大臣、覚えていらっしゃいますか。これはどういう背景で、政府はその当時、全額預金保護をしたか。大臣も、政治家としてそのことについてどういう感想を当時、お持ちでございましたか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 金融不安が生じまして、預金者、貯金者の皆さんに大変な迷惑をかけてはならぬ、こういう観点から出されたものと認識しております。

安住淳民主党

○安住委員 私の質問の仕方が悪かったんですが、もう少し深い話をしていただかないと、だめだと思うんですね。  このときに、裏を返すと、五年間という時期を決めたわけですね、大臣。この五年間というのは何を意味したと思いますか。つまり、あなたは今与党の質問者に対して、あと一年延期することに対して、金融機関の安定、信頼、何か云々と言ったですね。実はこの五年間というのは何の意味かというと、あなたが今言った話を五年間でやりなさいよという裏返しの話だったんですよ。  当時、金融ビッグバンというのは我が国にとって大変な衝撃を与えた。なぜ衝撃かというと、それはロンドンのシティーなんかに行くと感じるんですが、外国資本が国内株式市場の三分の一ぐらいを占める。つまり、日本の今の株式市場なんというのは、もちろん、四年前でもほとんどが、株式市場というのは日本人がほとんど東証を、言ってみれば、牛耳っていたというか、東証の取引というのはほとんど日本人がやっていた。  しかし、流れてくる広大な金融システムの中で、それではとても太刀打ちできない。これは、少々痛みが伴っても、言ってみれば、金融の護送船団行政と決別をして、世界の中で金融のマザーシティーというか、東京市場というのが、世界からまたお金が来るようにしないとどうしようもない、そういう閉塞感の中で、この話が出てきたのですよ。あなたが言うように、金融機関の金融不安で預金を守るなんという保護主義的な話というのは、だから特例的な話なのですよ。本筋は違うのですよ、本筋という言い方をすると、ちょっとあれですけれども。  要するに、これはまるで鎖国を開国するような話なのだ。逆に言うと、それぐらい大蔵省だって、もう金融行政に対して一律の、それこそあの時代は、MOF担と称しまして、若い銀行のエリート職員が大蔵省の中を廊下トンビといって歩いていろいろやったりして、言ってみれば護送船団も華々しい時代。それからさようならという深い深い、自民党らしくないいい政治を決断して、新しい日本をつくろうという趣旨だったのじゃないですか。私は、そういう観点から実は聞いているのですよ。  私の考え方と、平成八年からの流れに対して、大臣はどういう認識なのですか。私と同じだったら全く一緒だと言ってもらっても結構だし、違うというのだったら、そう言ってもらいたい。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 全く同じではありません。  やはりこれは国際化にどういうように対応するかということがあると思うのですね、委員のおっしゃられるとおり。しかし、その間において、ある程度の準備期間といいますか、そういうものをやはり整備していく、こういうことがあって五年間という特例措置を行う期間を設けた、こう考えておるわけでございます。あえて言えば、ロンドンのシティーの話をされましたけれども、昔から国際的に金融市場の中心だったロンドンと我が国の場合とは若干事情が違うのではないか、そういう点も考えて、私は委員の考えとは全く同じではない、こういうことです。

安住淳民主党

○安住委員 いやいや、そうじゃないじゃないですか、今のお話だと、どこが違うかよくわからないのだけれども。  準備期間といみじくもあなたはおっしゃった。五年間でしょう。信金や信組だって、あなたの話からいうと、この五年間で自己資本比率を含めてきっちりと再編してやらないと、いけないのじゃないですか。別に何も大手の都市銀行だけじゃないですよ。大手の都市銀行は、結果的には四つのグループに再編という急激な変化をしている。もちろん、貸し渋りの問題や、もともと自己資本比率というのは一体何なのか、あの八%という国際公約は一体何なのかというのは、実は議論のあるところです。ここは農水委員会だし、そこは農林大臣に質問する話じゃありませんからしませんけれども、この五年間というのは、少なくともあなたが言ったとおりなのですよ。何がとおりかと言ったら、この五年間でちゃんとやりなさいよという話じゃないですかと言っているのですよ。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 しっかりやれ、しっかりやると、こういうことですね。  それで、もう一つは、金融制度調査会の答申におきましては、先ほども言いましたけれども、不良債権のディスクロージャーが充実の過程にあり、預金者に自己責任を問い得る環境が十分に整備されていない、したがいまして、ディスクロージャーその他明確にしていく、こういうこともあります。それで、金融機関が不良債権を抱えておりまして、信用不安を醸成しやすい金融環境にあるということがあって、この五年間でペイオフを行う条件を整備する、こういうことでやってきたわけでありますから、国際的な開放といいますか、そういうことも含めて、あわせて、こういう事例もありましたことから、五年間という時期を設定した、こういうふうに思います。

安住淳民主党

○安住委員 いやいや、不良債権の問題で言うと、大臣、例えば、西村さんという銀行局長がいて、当時、私が話をしたときに彼はこう言った。日本の不良債権問題なんか大したことない、平成八年前後で十八兆円ぐらいなものですからと。自民党を含めて、当時の自社さ政権を含めて、多くの政治家も役所も、銀行側が一方的に言っている情報をうのみにして、実際にはその十倍近い不良債権があると言われていたにもかかわらず、言ってみれば、日本の経済の病状診断を軽く見てそんなことを言った。つまり、ディスクロージャーしろというのは、ディスクロージャーを銀行側にしろと言っているだけで、本当にディスクロージャーをさせてきたかというと、ちょっと違うのですよ。  三年ほど前、アメリカで、私は当時民主党の菅代表と一緒に行ったときに、自民党の加藤紘一先生と話をしたときにも、私もサマーズ氏に会いました。サマーズ氏に会ったときに、不良債権のことをかなりしつこく言われて、はっきり言うと、加藤さんですらそのときにかなりの認識をようやく持ったという程度なのですよ。だから、そういう意味では、あなた、今、口で簡単なことを言うけれども、ディスクロージャーなんというのは、言ってみれば、この五年間の中でするというよりも、五年間猶予を銀行、金融機関に与えるから、みずからの責任で、不良債権だって、実態としては今だってわからないのですから、分類債権を分けたけれども。それをちゃんと全部した上でやりなさいよという五年間なのですよ。政府がその間に、金融機関に対する資金援助もしました、資本注入もしました。  私は、今から言いますけれども、ゼネコンを相手に債権の放棄なんというのは、私の地元の商店街を歩いたって、怨嗟の対象ですよ。借金棒引き、この間もそごうがやりました。どうですか、結果的にはあのお金は銀行が借金棒引きするのでしょう、水島さんに言われて。しかし、そのお金は、結果的には我々の税金、資本注入したお金に回ってくるのじゃないですか、めぐりめぐると、金融というのは、そういう話になるわけですよ。  つまり、話を戻すと、この五年間というのは、いろいろな意味で目をつぶってやるから、その間に必ずやりなさいよという約束だった。しかし、どうでしょうか。その五年を一年前に控えた十二月、与党の三者か何か知りませんけれども、延期をするという話をした。最初の質問をしますけれども、時代の状況が変化したから、それに応じて前に約束したことを変えるというのであれば、その状況の変化を国民が理解をしているのであれば、そんなにその決断に対して批判はないと私は思う。しかし、どうでしょうか。そういう意味では、五年間の猶予期間を与えたにもかかわらず、さらにこの一年延期をするという結論に至ったのは、一体、何のためでしょうか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 我が国の経済を確実な安定軌道に乗せるためには、一部の中小金融機関について経営の一層の実態把握を図り、その改善を確実なものにしていく必要がある、そういう観点から、この一年間の延長措置を講ずるということになっております。

安住淳民主党

○安住委員 大変残念なのは、一番肝心なところは、反省を込めて、きょうは、私は言質なんかとりませんから、役所の、特に農水省の役人の書いた紙をこの問題で読むというのは残念ですね。(玉沢国務大臣「政府全体として」と呼ぶ)いや、政府全体としてでなくて。いいですか、これは良心にもとる話だから私は言っているのですよ、玉沢さん。(玉沢国務大臣「おれが約束したわけじゃないのだから。政府全体が」と呼ぶ)おれが約束したのじゃないと言ったって、そうしたら、あなたは閣議で言えばいいのですよ、発言権があるのだから、おかしいと、国民に約束したことは実行しろと。今の話では、もう木で鼻をくくったような話じゃないですか。大臣はこの五年間のことを全く無視してあと一年と言っているのだ。  では、信金や信組はこの五年間何をしていたのですか。信金の例で言うと、こういうことなのですよ。全体で言うと、大臣、これは基本的なことを聞きますけれども、信金というのはどこが検査するか知っていますか。岩手県なんかにもあるでしょう。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 都道府県ですね。

安住淳民主党

○安住委員 正解です。  これは、特に抜き打ち検査というのは、したことがないのですよ、全国で。だから、言い方は悪いけれども、ある意味では護送船団で、どんぶり勘定検査なんですよ。何月何日にどこどこの支店に行くから調べておいてくださいと。大体、その検査に行く県の職員が金融のことなんか全然わからない連中なんだから。こんなことをずっと続けてきたのですよ。  ただし、問題は、これは自民党の政治姿勢の問題だと私は思うけれども、いいですか、信金、信組の検査を今まで金融監督庁なり県が、言ってみれば、適当にやっていたのを第三者がやるとなる。七月から三月までやるわけでしょう。そうなったときに何が問題か。私の地元の宮城県の何人かの信金や信組の方に話を聞くと、相当怖いと言うのですよ。何が怖いと思いますか。検査されることがですよ。  それは、日本国内にある地方経済に対して非常に大きな影響を与える可能性があるのです。つまり、不良債権の問題なんですね。地元の中小企業、零細企業の貸し付けの問題を言うと、はっきりした数字はない。これを検査していくと、信金、信組が持っている不良債権の額というのは実は相当なもので、自己資本比率にこれを当てはめていくと、ほとんどの信金、信組はもたない。こういう話から、選挙の年だし、一年ここに目をつぶってやろうというのが本音じゃないんですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 委員もいみじくも認めておられるように、信金、信組と言いましたが、信金の場合は国がやっていますね。信用組合の場合は県がやっておる。  信用組合の場合は、なかなか実態がよくわからなかった、そういう観点から、やはり国がちゃんと調査をして、改善の措置もとっていく必要が生じてきた、こういう判断で一年延期をしようということでございますので、委員がおっしゃっていること、そういう要素が入っているということを御理解賜れればと思います。

安住淳民主党

○安住委員 そういう要素が入っているというのは、要するに、選挙対策だというのは認めているわけですな。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 私の場合は、調査が不十分で、やはりディスクロージャーが十分ではない、そういう点を明確にしなければ改善措置も出てこない、こういうことでございまして、選挙にどういうふうに関係するか、これは、客観的にも主観的にも何とも言えないところでございますね。

安住淳民主党

○安住委員 いやいや、これは、当時十二月時点で新聞ではみんな認めていますよ、与党の亀井政調会長も。そこで手心発言があるのですよ。そうでしょう。大臣、同じ派閥の越智さんの話だけれども、この手心発言の延長線の話じゃないですか、これは。  つまり、大臣、私が言っているのは、公の政党が、なおかつ、その自民党が決めた話を、四年前に約束した話をみずからほごにしたのですからね。社会的状況なんか何にも変化していないということなんですよ、私が言っているのは。それで、シティバンクは再編に向かって動き出してかなり思い切ったことをやった。足元の地方経済を支えている信金、信組に対して、ではこの五年間、何をやってきたのだという話ですよ。  これもある意味では政府の責任なんです。もっと早くやればいいんですよ、この五年間の中で再編をしたり。言い方は悪いですけれども、倒れるところは倒れて、預金は全額保護するわけだから。そういうことを何にもしないで、信金、信組から泣きつかれたのか、選挙対策かわからないけれども、この一年前になったときにそこが大変だといってやるというのは、まさにモラルハザードなんじゃないですか。倫理なきでしょう、無責任社会そのものでしょう。それ以外に何があるのですかと聞いているのです、僕は。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 五年間の間にシティバンクの方はそれなりに相当改善をされてきたということは、認めたとおりでございます。  しかし、私が言っておりますのは、政府全体の見解といたしましては、中小金融機関におきましてはまだ不十分である、そういう点がありまして、これを調査し、改善していく、こういう必要があって一年間延長するということになったわけでありますから、特にこの中におきまして多大なる影響を与えたとか損害を与えた、こういうようなことはないものと思います。

安住淳民主党

○安住委員 何をもたもた言っているのかよくわからないのです。  玉沢さん、これは政府が決めたのではないですよ。与党が決めた。いいですか、十二月の二十九日に与党が決めた話なんですよ。それを、明けた年に政府が追認しているのですよ。宮澤さんはその十二月の講演の中でも、そんなことをやったら国際的にもたない、自民という政党はそんな恥ずかしい決断をする政党ではないということを言っているのですよ。舌の根も乾かないうちに、亀井さんという人はこういうことを決めた。笑われるのではないですかと言っているのですよ。  G7で質問が出なかったという質問が出たけれども、あきれてだれも文句を言わないのですよ、改革をしないということだから。まして、改革をやろうとした、宣言したことを撤回したという話ですからね。  責任というのは重いのですよ。国内の痛みがあるから、何とか助けてくれと言うところに手を差し伸べたつもりかもしれないけれども、それが大きな政治不信や政治のモラルハザードを起こす。ひいては日本という国は改革をしない国だというふうに、ワシントンや世界の各国からレッテルを張られる。これに対するデメリットがどれだけのものかということをあなたは御存じですか。そういう皮膚感覚がありますか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 五年間でやるべきものを一年延長した、せざるを得ない、そういう判断でございますけれども、確かにそれは、五年間でしっかりやればそれで十分かとは思いますけれども、やはり不十分なところがありますので、一年延長する。これはやはり……(安住委員「何が不十分なの」と呼ぶ)中小金融機関ですね。そういう見解を大蔵大臣も示しているわけですから、したがって、これに対して、国際的な問題等におきましても理解を得られるようにしていくということが大事だと思います。

安住淳民主党

○安住委員 では、今言ったから、その話の続きで言うと、この一年延期して、不十分なものが具体的にどう十分になるんですか。そこまであなたがおっしゃるのだったら、私はもっと詳しく聞くから。では、何が十分になると思いますか。具体的に言ってください、そうしたら私も具体的に言うから。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 大蔵大臣が申し上げておりますように……(安住委員「いや、あなたが政治家として」と呼ぶ)いや、だから、それは政府全体の話ですから、決断するにおいてですよ。私がここに立っているのは、個人としても立っているかもしれませんけれども、農林水産大臣として、政府の一員なんですから、そういう観点から申し上げているわけでございます。中小金融機関における調査が不十分だった、そういう点におきまして、国が調査をし、その調査に基づいて改善措置を図っていく、これが日本の金融体制を強固にしていくという上においても大事なことだ、こういうことです。

安住淳民主党

○安住委員 それを一年間でやるということですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 五年間プラス一年と。

安住淳民主党

○安住委員 では、今まで検査したことはあるのですか、そういう観点で。いいですか、これは正確に言ってくださいよ、自己資本比率等々について、大手銀行を対象とした検査と同じ項目で、信組、信金を検査したことがあると、あなたは思っているんですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 いや、だから、先ほどから言っておるように、信用組合の場合は県がやっておった、それを国がしっかりとやらなきゃいかぬ、こういう趣旨になっております。

安住淳民主党

○安住委員 いやいや、そうじゃなくて、あなたは今、五年プラス一年と言った、調査はそうやると。そんな抜き打ちの、定期検査のことを言っているんじゃないですよ。金融監督庁等々がやっているような検査というのは、今までやったことがないはずですよ。いいですか、それで七月から三月までやると言っているわけでしょう、全部、三百。その検査結果に基づいて、では、何か改善策をとるんですか。その検査結果が出てきたら、何をする、あなたは、一年間延期をして、いや、それは紙を見たってだめですよ。一年間延期をして、大臣、何をするつもりなのか、この金融再編というのは。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 これは、要するに、信用を回復をするということが大事であって……(安住委員「それは金融機関の話でしょう。政府は何をするんですか」と呼ぶ)いや、金融機関についての話を聞いているから、金融機関についての話をしたわけです。

安住淳民主党

○安住委員 いやいや、そんな抽象的な話じゃない。一年延期をして、では、何をするんだという話なんですよ、大事なのは。つまり、国民にはただ、一年延期をした、検査のあれでかかるからと。そんなばかな話はない。国際公約をこうやって破った、大きな代償を伴う決断をした。しかし、では、その一年を延期して何をやるんだと聞いているんですよ。あなたが政府の一員だとさっきから言っているから、私は、政府の一員として、閣僚として聞いているんですよ。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 我が国経済を確実な安定軌道に乗せるためには、一部の中小金融機関についての経営の一層の実態把握を図り、その改善を確実なものとすること等により、より強固な金融システムの構築を図る必要があるとの観点から、与党間の合意を踏まえ、政府としてもペイオフ解禁の一年延長の措置を講じることとしたところであります。

安住淳民主党

○安住委員 急にざんごうに立てこもって、何にもしないというのはおかしいですよ。だから、言質をとらないので、あなた、自分の感想で言ったらいいじゃないですか。つまり、大臣、こういうことなんだ。(発言する者あり)ちょっとうるさいから静かにさせてください。

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 静粛にしてください。

安住淳民主党

○安住委員 一年延期をしてやるんだったならば、それなりの覚悟が必要なんですよ、金融再編というのは。例えば、都道府県全部一つにするとか、自己資本比率の足りないところに対してはこうします、つまり、資本注入をするのか、それとも統合するのか。何らかの方針がないにもかかわらず、ただ一年先送りを今のような話でするというのは、あなた方、明らかに選挙目的、ただぬるま湯につかっているのを一年だらだら延ばすという話にしか見えないんだと言っているんですよ。いかがですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 いや、選挙目的だけではありませんよ。(安住委員「では、選挙目的を認めているんですか」と呼ぶ)選挙目的だけでやったということでありますが、先ほどからのお話のとおりであります。

安住淳民主党

○安住委員 いや、だから、選挙目的じゃないというんだったら、一年延期することによって何をするんだということを聞いているんですよ、キャビネットのメンバーとしての玉沢さんに。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 ペイオフを一年延長するという措置を言っているわけですから。

安住淳民主党

○安住委員 いや、だから、一年延長するということは、解禁を延長するということだから、そのときに、信金、信組は例えばどういうふうに対応するんですかと。調査をするだけだったら、今までだってできたはずですよ。調査をした上で、どうするんですかと聞いているんですよ。どうするのが適当だと思っているんですかと聞いているんです。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 ペイをオフするわけですから。そういうわけです。

安住淳民主党

○安住委員 だれももう、こんなことをやっていると、政治を信用しませんよ。要するに、特定の業界に口をきいて、面倒を見ているという話にしかならないんですよ。ただし、金融機関は、ルールに基づいてやらないと一番だめな業界だと私は思っているんですよ。なぜかといったらば、我々の税金を注入していくわけですから、つまり、ほかの産業体とはちょっとこれは違うんですよ。だから、明確なルールに基づいて金融行政というのはこれからはやっていくので、さじかげん一つで信用組合や信金だけは特例措置、なぜこういうことを言うかというと、当時の話をしていると、部分救済論というのがあったんですよ。そうでしょう。ペイオフの解禁はそのままにして、要するに、信組だけは特別扱いにして、部分延期をしよう、そういう話もずっと出てきた話でしょう。これは、御党の部会の中でもあったというふうに、日経新聞なんかには当時書いています。つまり、こういう話の延長で今回の結論が出てきた。  これ以上、何度繰り返してもしようがないから、私ははっきり言います。大臣、越智大臣の発言に凝縮されるように、手心発言がありましたね、それは、後援会の、ある特定の国会議員の会合で、リップサービスのつもりで言ったかもしれません。しかし、皆さん、公正でフェアな政治を求めていくべき我が国の社会において、特定の人間だけえこひいきをするような話をするというのは、いかなる場面でもよくない。公正でフェアなルールをつくってやっていくという政府の目的がなくて、こういう国際公約を破って、特定の金融機関の、特に地方の信金だけに、言ってみれば延命措置を講ずるというのも、まさに、公正でフェアを求めるのではなくて、あなた方のやっているのは、口きき、えこひいきの政治という話になるんですよ。いかがですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 一般論として言いますと、金融機関に対する検査に手心を加えるようなことは、公正なルールで透明な行政を行うという観点からは、基本にかかわることであって、あってはならないことだと思います。

安住淳民主党

○安住委員 あってはならないことをやったじゃないの、一年延期するということは。あってはならないことをやってしまったのは、まことに私どもは遺憾だし、それと、政治的な話をしますと、大臣、もう一つは、四月から介護保険が始まったですよね。どうですか、十月まで高齢者から保険料を取らないという話、これについて、大臣、どういう感想を持っていらっしゃいます。     〔委員長退席、金田(英)委員長代理着席〕

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 これは、経過的な激変緩和措置を講ずる、こういうことによりまして、新しく始まった介護保険の制度の円滑な実施を図ろう、こういう観点から行っていると思います。

安住淳民主党

○安住委員 では、大臣、十月からは取るべきだということですね。いかがですか。十月からきっちり取るんですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 これは、私が答えるべきかどうかはわかりませんが、そういうことになっておりますね。取ることになっているわけです。

安住淳民主党

○安住委員 なぜ十月だったんですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 激変緩和措置を講じた後ですからね。

安住淳民主党

○安住委員 これも金融と全く同じですね。総選挙の任期満了まではお金を取りません。つまり、言い方は失礼ですけれども、国民をばかにしているというか、私は、この問題でいったって、それは、高齢者の方からお金を取る時期は半年ずらすなんというのはやるべきでないという立場で言っているんですよ。この問題は、大臣、農林大臣として、農水省の何かを聞いているわけじゃありません。政治家個人として私も意見を言っているんだから、それは、質問があれば逆に言ってもらっても結構ですから、お役所の話ではなくて、揚げ足をとったりしませんから。  介護保険について、これも私は、ペイオフと全く一緒だと思いますよ。つまり、政治家は、やはり将来のことをずっと考えて何かをやらないといけない。例えば、あなたも与党の幹部のお一人です。それなのに、目先の選挙のことばかり考えてこんなことをやっていたら、国民は政治家を信用しないんじゃないですか。いかがですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 決めたことをきちきちっとやっていくというのも大事かと思いますけれども、その中におきましては、やはりある程度情にもこたえていく、こういうことも政治には大事だと思いますよ。  ですから、高齢者の方々に対しまして、介護保険を何とか理解して、協力をしていただくという趣旨からいいまして、最初は半年間は取らない、さらにその次の一年間は二分の一、こういうような形で御理解をいただきながらやっていくということも大事だと私は思います。  委員の言われるように、ルールだからといって全部やるのも大事かもしれませんが、やはりいろいろ配慮を加えながらやっていく、これも農政においても大事なことじゃないかと思いますよ。

安住淳民主党

○安住委員 何でもルール、ルールと言うけれども、ちょっと違うんですよ。玉沢さん、秘書官の話じゃなくて私の話を聞きなさい。あなたは何でもルール、ルールと言うけれども、玉沢さん、私はこう思いますよ。  浜口雄幸がピストルか何かで東京駅で撃たれたでしょう。そのときの話で、たしか小渕総理にだれか作家の方がおっしゃったらしいんだけれども、私もその後、読んでなるほどなと思った。総理大臣たる者が、政治家たる者が国民にうそをついたら、国民は何を信じて生きていけばいいのかという話をしているんですよ。つまり、そこに政治不信のもとがあるんだと言っているんですね。  では、介護の話、高齢者に対する激変緩和というところを聞きますけれども、高齢者からそんな要望を聞いたんですか。十月まで半年間お金を取らないでほしいと、全国の高齢者は何か政府に要望したんですか、していないんじゃないの。あなた方が勝手に、年寄りはそうやったら喜ぶだろう、選挙のためにプラスになるだろうと。つまり、制度をあなた方が勝手にねじ曲げたんでしょう。そんなのに理屈も何もないじゃないですか。それをまた木で鼻をくくったようなことを言うから、政治不信はますます増大すると私は思いますよ。いかがですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 この点について、きちっとしたものを取ればそれで信頼が増すかという考え方もあるでしょうし、また、この制度を遅滞なく進めていくという上におきまして、やはり高齢者の方々、対象になる方々でございますから、そういう方々に対しましては、保険料につきましても一定の措置を講じながら御理解をいただく、こういうことも、それをもってうそをついたことには決してならない、むしろ十分配慮しているんだな、こういうように受けとめられると私は思いますよ。

安住淳民主党

○安住委員 もし本音でそんなことを言っているんだったら、私はもう絶望的な気持ちになりますね。  つまり、政治家が、政府がいやしくも約束したことを何の議論もなく直前でひっくり返すというようなことは、約束をほごにしたとしか言わないんですよ。それで高齢者が喜ぶとか、そういう話ではないんですよ。政府が国民に約束をして、市町村に約束したから、あなたの地元でも私の地元でも、市町村の村役場や町役場へ行ったことがありますか、このことでみんな大変苦労しているんですよ。夜の夜中まで仕事をさせられて、政府に対する不信感というものはもう大変なものですよ。しかし、これは名誉のために言っておくけれども、厚生省がやったんじゃない。あなた方自民党がやったんですよ。それで、よくもいけしゃあしゃあと喜ぶ人たちもいると。あなた方のやっている政治の代償というのはとてつもなく大きい。二十世紀の政治の最後を締めくくるには、最も嫌らしく、最も忌み嫌われるようなことをやったというふうにしか私には見えない。忌まわしい。(発言する者あり)私だけだというあれもありますが、本当にそう思って、選挙のときにそう言ってください。  公正でフェアなものを求めていかなければいけないんじゃないんですか。少なくとも、いやしくもこれは主義主張の問題でない。国民や市町村に対してそのために準備をさせてきたならば、やはり筋を通してきちっとそういうことをやらせてもらう。いや、最初から、保険料の問題、税額負担の問題、この話でもめているんだったら何も異議はない。決まってから、いけしゃあしゃあとこういうことを言って、なおかつ与党席からこういうやじが飛ぶ。もう断末魔というか、全く倫理観、国民に向けた政治をしていないというふうにしか私は思えないですよ。大臣、いかがですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 何も、断末魔の声を上げているつもりはございません。  やはりこの制度は、最初にスタートをしていくということが大事でありますし、国民の皆さんの理解を得てやっていくということが大事だと思います。  ですから、保険料を決めたことを、最初、高齢者の方々から六カ月間徴収しない、それに対して、地方自治団体における行政は確かに混乱したかもしれません。そういう点では、それは申しわけない、こう思いますけれども、しかしながら、対象となる方々にとりましては、決して委員の言っているような声ばかりではないということも事実だと私は思います。

安住淳民主党

○安住委員 税負担でその分を補うということは、非常に短絡的にいえば、我々若い世代にその分の負担を強いているんだ、そういうことじゃないですか。それだったら、そういう社会にしたいということですか。あなたの話は、年寄りは喜ぶけれども、若い者には負担させていいという話ですか。そこまで考えて、あなたはそういうことをおっしゃっているんですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 いや、これは確かに国民全体として負担していかなきゃならぬことでありますけれども、やはり対象となる方々が高齢者の方々でありまして、そういう方々に、この制度を理解してやっていくという上におきまして大事なことではなかったかな、こう考えるわけでございまして、決して委員の言っていることを全部否定するつもりはありません。

安住淳民主党

○安住委員 もともとこの制度を始めようと思ったときは菅厚生大臣、推進をしたのは小泉厚生大臣でした。一貫して私も議論の中に、いろいろな会合とかに参加して、税方式にするか、それとも保険料方式でやるかということに対しては大変な議論があったんですよ。しかし、これは国民に広く浅く負担をしてもらうということで、高齢者の皆さんにもということで始まった話なんですよ。それを半年延ばすというのは、ただ単に半年延ばすだけじゃなくて、もっと深い深い政治的な問題を実ははらんでいるということなんですね。あなたがここで私と議論したってどうなるものでもないとは思いますけれども、私は非常に残念ですね。私個人は残念だと思っているんです。なぜかと、迎合主義だからですよ。  高齢化社会をこれから迎えて、少なくともこういうことを決定する方々というのは、五年後、十年後、先を見てしっかりした政策をやってもらわなきゃ、目の前の選挙のこととかで右往左往されたのでは、私は、そういう人に政府・与党の幹部になってもらいたくない。だから、今回のペイオフも全く同じなんですよ。私は不快感を非常に感じているんですよ。  国民的議論があって、その上で、やはりその対象となる六十五歳以上の方々からの負担は、これは年金からまでお金を取るのはやめようといった話だったならば、違う財源の話をちゃんとした上でやるべきでないですか。そこは、そういう話であれば、小魚を煮るように丁寧にやればいいと私は思うんですよ。そうでないでしょう。そうやって小魚を煮るように丁寧にやらないといけないことを、選挙が近いから乱暴にやったんでしょう。恥ずかしくないですか。私は政治家として恥ずかしいですよ。いかがでございますか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 何をもって恥ずかしいかはいろいろあるかとは思いますけれども、いろいろな配慮も大事であるという観点から、これは決定をした、こう考えております。  したがいまして、やはり政策決定の結果等につきましてどうするかということは、今後も議論をしていかなきゃならぬことだと思います。

安住淳民主党

○安住委員 日本の社会が大きく変わっているときであります。やはり政治の手法も大きく変わっていかざるを得ないのですね。一言で言えば、護送船団との決別というか、構造改善局の汚職事件も実は、私は底流は同じだと思っているのですよ、大臣。  みんなで飯を食わないといけない時代だから、少ない仕事をみんなで広く薄く分け合って、なおかつ、お役人は早くやめるから、天下りもできて、みんなで飯を食えたらいいねという時代の名残というか仲間意識、こういう中から実は発生した問題が構造改善局の汚職事件だったと思います。  これからは、特定の業界や団体を保護し、守るのではなくて、一定のルールに基づいて、だれもが参入できるチャンス、機会があって、だれもが同じだけの可能性を持った社会をつくっていかないと、国際的には生き残っていけないというのは、実は、これは私が言ったのではなくて、橋本元総理の時代のビッグバンの結論というのはまさにそうだったわけですよ。  そういう意味で、大きくそっちにかじを切らないといけない時期で、だからみんな悩んでいると思うのですよ。今までやってきたことで今からも生きられるという時代ではないと私は思うのですね。  そういう中で、多少の揺れ戻しもありながら、前に進んでいけばいいんだけれども、どうも見ていると、規制緩和に関してだって、推進役だった武藤さんが今度反対の方に回ったり、つまり、目先のことでそういう大目標を、国家として二十一世紀の日本の新しい行政のあり方、国のあり方をそっちの方向に一回決めたにもかかわらず、また保護主義的なことを言い出す、選挙が近くなってくるとなおさら。  私は、これが日本の改革を妨げてしまうのではないかというふうな非常な危機感を持っているから、今の質問をしたのですよ。(玉沢国務大臣「よくわかりました」と呼ぶ)よくわかりますか。よくわかるのであれば、ぜひ、公正でフェアということを、何度も言いますけれども、その裏返しの政治をやってきたからなんですよ、口きき、面倒見、手心。  つまり、公正さを欠いたからこそ、無党派層ができてきたと私は思っているのです。こういう人たちから見たときにも、日本の社会がフェアで、政治のやっていることは公正だと。霞が関の皆さんにだって相当な不信感を政治は与えているんだと私は思いますよ、こういうことをやったら。だから、政治家は信用できないということにもなりはしないかと思うのですね。泥をかぶるということがないですから、このペイオフと介護保険は、逆に。  本来であれば、玉沢先生、それは福田先生や田中先生や、非常に立派な先生方が自民党の中にいらっしゃいました、元総理の。ああいう時代だったら本当にこんなことをしたでしょうか、私はしなかったと思っているのですよ。あえて泥をかぶったのではないでしょうか。  今回引退のうわさがある竹下さんだって、消費税のときは本当に勇気があったと私は思います、私は違う立場で身近にいましたけれども。選挙に仮に負けたとしても、大平内閣から続いてきた間接税の問題に対して一定の結論を出した。これが後に、今の日本で税を考える中では非常に大きな役割を果たしたと思いますね。  そういうことからいうと、あなた方のやっていることは、稚拙、えげつない。つまり、リーダーとはとても言えないような決断だと私は言っているのですよ。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 今後進むべき方向につきましては、委員の言われるように、自由で公正な社会の建設、これについては異議はございません。しかしながら、これも、十九世紀において議論されたことも、今引き続き議論されていると私は思いますよ。  全部自由で競争していくというような社会が実現された結果、やはり勝者と敗者、こういうものがつくられまして、そして大きな、経済恐慌とかそういうことになった場合に、なかなかこれを回復することができなかった、こういうこともあるわけでありますから、やはり改革には犠牲が伴いますけれども、その改革をやっていく場合におきまして、五年間でやるものを一年延長したからといって、すべて失われたというふうに考えるのは、ちょっと結論を急ぎ過ぎているのではないかと私は思うわけでございます。

安住淳民主党

○安住委員 聞いている方々には、私と大臣の違いといいますか、わかっていただけると私は思っています。セーフティーネットの話は別です。公正でフェアなルールをつくった上で、どうセーフティーネットをつくるかというのは別の話。  特定の、例えば価格統制や、農林水産行政の中にも今まで長くありました。こういうことによって、改革や強さが生まれてこない社会をつくってきた責任は、私は、我々にあると思います。しかしそれは、戦後のことを考えると、やむを得ない時代も続いたということも私は認めております。しかし、今からそれでいいんですかということです。そういう意味では、勇気ある一歩を踏み出してもらいたかったにもかかわらず、相も変わらず護送船団にしがみつくというか、そういうふうな印象しか、私には実は今度の問題は残りませんでした。  そこで、時間があとわずかでございますが、ちょっと余計なことを聞きます。これは通告はしてないのですが、大臣、WTOの中で、多面的機能の問題というのは非常に重要な局面を迎えていますね。欧州やアメリカとの対話というのは、今はもう、本当はすぐにでも行ってやらなければいけないぐらいの時期じゃないですか。どういう認識ですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 全体的なWTOの会議は、今それに向けて協議をしている。しかし、農業委員会における交渉は既に始まったわけでございますから、多面的機能という問題等も含めて、これからやるということなんです。  農業委員会におきましては、まず、議長を選出するというところから始まるわけでありますが、この前の会議では、それに対する合意が得られなかった、次回、六月以降になると思いますけれども、そこで議長選出をして、会議の手続等もさらに決めて、それから各国の提案等が出されまして、そして審議を、交渉といいますか、そういう形に入るものと思います。

安住淳民主党

○安住委員 大臣、やはり今欧州や何かと連携を強化していくということをやっていかなければいけない時期ですよねと言っているのです。どうですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 EUとの閣僚会議は、一月、もう既にやっておりまして、共同声明も出したわけであります。その後もEU側とは連絡をとり合って、それで向こうからもラミー委員等おいでになりまして協議をしているというのは事実であります。

安住淳民主党

○安住委員 六月に向けて、大変五月は重要な時期ですよね。連休は、もちろん欧州やアメリカへ行って、我が国の国益のために頑張られるんじゃないですか。まさか選挙区に行って運動するなんということはないと思いますけれども、いかがですか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 農業委員会における交渉といいますのはこれからのことでございますから、私は今まで、就任以来、外国には六回、それぞれの交渉において行っております。WTOの問題等におきまして、アメリカあるいはEUの方に行くことも大事かとは思いますが、今の時点におきましては、電話でもできる状況にございますので、連休は日本にいる予定でございます。

安住淳民主党

○安住委員 日本では、特に東北地方は、連休は田植えのシーズンで、余り選挙運動してもしようがない時期ですから、私は、ぜひ欧州へ行かれたらいいんじゃないかと思っているんです、中国でも。そういう予定は今のところないわけですね。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 EUとは大体、共同宣言におきまして、多面的機能を重視する、こういうこともうたっておるわけでございます。その線に沿いまして今後連携して進めていきたい、こう思います。  中国につきましても、まだWTOには加盟してはおりませんけれども、先々月、漁業協定で北京に参りまして、陳農業部長さんとお会いしまして、やはり食料、農産物に関しましては、WTOの中におきましてはこういうような立場に立つということを我が国も申し上げたわけでございますが、これに対して中国側からも大変な理解をいただいたところでございます。

安住淳民主党

○安住委員 あと四分ぐらいですから、大臣、有珠山の噴火がありまして、当委員会にも北海道選出の先生方は多いわけでありますけれども、長期になりますと、いろいろな意味で農家の皆さんにとって苦しい状況が続いているのかなと心配をしております。  政府全体として総合対策をやられると思いますが、特に畜産、酪農関係が多いということを聞いておりますし、どうぞそこは、私も特段の措置を御配慮いただきたいと思っております。というのは、これは、公正でフェアなものとは別に、つまり、自然災害によってみずからの生産現場を奪われるという現実があるわけでありますから。  それから、あそこは漁業です、ホタテかなんかですか、特にこのことについても、もしかしたら農林関係よりも水産の被害の方が、後になってくると大きい可能性はあるんですね、養殖をやっていると、私の地元もそうなんだけれども。本当に、そういう意味ではその補償をどういうふうにするのかというのは、少し政府に私の方からも要望しておきますので、ひとつ遺漏なきようお願いをしたいと思いますけれども、いかがでございますか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 万事遺漏なきようというお話でございまして、万全を期して対策に取り組んでいきたい、こう思います。  御報告でございますけれども、例えば水産業におきましては、ホタテ養殖の管理作業が大事である、こういう観点から、私も、先般、有珠山の視察また見舞いに参りましたときに、現地の対策本部に対しましても、こういう状況の中でありますけれども、生命の安全を期しながら何とか作業に取りかかることができないかということをお願いを申し上げまして、この作業が行われるようになりました。  大事なことは、やはりこういう状況の中におきましても、何としても施業を続けていくことができるようにするということが大事なことじゃないかと思います。

安住淳民主党

○安住委員 いよいよ最後の質問です。  実は農業者年金の問題、私も地元で農業委員会の皆さん等々からいろいろな話を聞いて、正直言って本当に大変な話でありますが、しかし、こういう見通しになるのをわかっていながら放置してきた責任もある。  大臣、これは通告していたかどうかわかりませんけれども、農業者年金はどうなさいますか。というよりも、これは農業全体の年金のスキームの問題とも私、かかわってくると思いますけれども、しかし、直近の問題として、かなり農業者年金の問題は深刻でございますから、最後にどうこの決着を図るのかだけお聞かせを願って、私の質問を終わりたいと思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 御承知のとおり、農業者年金制度が今まで果たしてきた役割は非常に大きいものがあるわけでありますが、社会経済情勢の変化等がございまして、年金の維持に非常に厳しい局面に立たされているということがございます。  そういう中におきまして、何としてもこれを継続していくということが大事だと思うわけでございますので、関係者の理解と納得及び年金財政面での長期安定が得られる制度にしていく、こういう観点から、先ごろ農業委員会系統及び農協系統において現場からの意見集約が行われましたので、団体と政府の間で今後検討を深めるように事務方に指示したところでございますので、今後その検討を待って方向を決めていきたい、このように思います。

安住淳民主党

○安住委員 ありがとうございました。終わります。

金田英行自由民主党

○金田(英)委員長代理 次に、漆原良夫君。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 公明党・改革クラブの漆原でございます。  まず、農水産業協同組合貯金保険法及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の一部を改正する法律案は、農協系統の信用事業のセーフティーネットについて、他の金融業態のセーフティーネットと基本的に同様の整備を図ろうとする、こういうものであります。そしてまた、農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律案は、農水産業協同組合の再生手続及び破産手続について迅速、円滑な処理を行うための特例の措置を講ずることによって貯金者そして組合員の利益を図ろうとする、こういう内容でございますので、評価をしたいと思っております。  そこで、ペイオフの解禁時期の一年延長問題について、まず大臣にお尋ねしたいと思います。  今回の改正では、特例措置の適用を一年間延長して平成十四年三月末までとしております。この特例措置の適用期間を平成八年から平成十二年度までの五年間とした理由について、こう説明されております。「不良債権については、今後五年間以内のできるだけ早期にその処理に目途をつける必要があるが、それまでの間は預金者に破綻処理費用の分担を求めることは困難である」、こんな説明がなされてきたわけでございますが、今回、一般金融機関と同様にこの措置を一年間延長することとした理由をまずお尋ねしたいと思います。     〔金田(英)委員長代理退席、委員長着席〕

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 我が国経済を確実な安定軌道に乗せるためには、一部の中小金融機関について経営の一層の実態把握を図り、その改善を確実なものとすることにより、より強固な金融システムの構築を図る必要があるとの観点から、与党間の合意を踏まえ、政府としましてもペイオフ解禁の一年延長の措置を講ずることとしたところであります。  系統金融機関におきましては、十三年三月末をめどに、合併や自己資本の増強等による経営体質の強化に取り組んできたところでありますが、今回の一年延長の決定は、我が国金融システム全体をより強固なものとすることを目的としたものであること、またペイオフといった金融機関の基礎的な競争条件は同一である必要がある、こういう観点から、農協系統金融機関におきましてもペイオフ解禁を一年延長することとしたものであります。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 平成七年の金融制度調査会でこんな説明がされております。現時点では、ディスクロージャーが充実の過程にあり、預金者に自己責任を問い得る環境が十分整備されていない、そしてまた、「金融機関が不良債権を抱えており、信用不安を醸成しやすい金融環境にあることから、未だペイオフを行うための条件が整っていない。」  今回、特に、一年間延長された理由として信金、信組のことが言われているわけでございますが、ここは、政府として実態はまだ把握していない、だから、一年間期間を延長して十分把握をしてからペイオフを解禁するのだ、こんなふうな説明がなされておりますが、今回の一年間延長の大きな理由は信金、信組の実態解明調査にあるのかどうか、その辺をまずお尋ねしたいと思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 委員のおっしゃられるとおりであります。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 先ほど来いろいろなやりとりが民主党との間でございましたが、平成八年から平成十二年までの五年間の間、いろいろな調査、ディスクロージャー、不良債権の処理をするということで、特例措置を設けたわけでございますが、なぜ信金、信組についてはこの五年間で十分な調査を行うことができなかったのか。五年間で十分調査はできたのではないか、こういう指摘があるわけでございますが、なぜ最初からこの五年間の間で信金、信組まで調査の対象にしなかったのか、この辺をお尋ねしたいと思います。

石原葵農林水産省経済局長

○石原政府参考人 お答え申し上げます。  ただいま大臣からもお答えされたとおりでございますが、当初決められました五年間ということで、ただいま信金、信組とおっしゃいましたけれども、信金は、従来から国の方で検査等を行っております。  ただ、信用組合につきましては、これまで都道府県の方で検査をしてまいりまして、その都道府県の検査の中で、その五年間、いろいろな実態解明、そして、問題があれば改善措置も講じてきたわけでございますが、必ずしも十分な成果が上がっていないのではないかということでございまして、この七月から、従来の都道府県にかわりまして国の方で検査するということになったところでございます。  信用組合につきまして、国がこれから検査の充実を図っていくわけでございますけれども、実態解明が進むと同時に、問題があれば改善措置を行い、場合によってはいろいろな不良債権の償却もきっちりやってもらうとか、自己資本が不足であれば金融機関の方に自己資本の充実を図ってもらう、そういう努力をいろいろしていく必要があります。  そういうことも考えますと、やはり一年間の延長が必要だということで、今回あのような決定になったものと理解しておるところでございます。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 私が質問しているのは、信組について、なぜ今の段階で国の検査の方に移したのか、五年間の間でもっと早く移しておけば、五年間の中で全部処理できたのではないか、こういう疑問を持っておるわけでございますけれども、この辺についてはいかがでしょうか。

石原葵農林水産省経済局長

○石原政府参考人 信用組合の検査を国でやるのか、あるいは都道府県でやるのか、これにつきましてはいろいろ議論があったところでございます。  御案内のとおり、農協につきましては都道府県の方で検査をやっておりますけれども、これについても同様の問題がございます。それ以上に、信用組合につきましては、国か、あるいは都道府県かということで議論がありまして、これはいわゆる地方分権の問題ともかかわりまして、信用組合につきましては信用事業だけやっている、これは農協と違う大きな点でございますけれども、信用事業だけをやっているということで、信用事業の検査の十分な力を持っている国、大蔵省、財務局でございますけれども、やはりここで検査をしてもらった方がいいのではないかということがあったろうと考えております。  それからまた、都道府県の方でも、仮に検査の結果いろいろな問題があるとしますと、これにつきまして都道府県の方でいろいろな救済措置を講じてきているのが今までの実態でございます。それらにつきまして、各都道府県の方で必ずしも議会筋の了解を得られないとか、そういう問題もございました。  そういうこともございまして、この七月から、その辺のことをかんがみまして、従来の都道府県にかわりまして国の方で検査をするということが決定されたものと理解しているところでございます。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 このペイオフの一年延長については、不良債権の処理だとか金融機関の体質の強化に関する努力を減速させるのではないかというふうな指摘があります。また、その点についてはいかがお考えか、お聞きしたい。  そして、この点、系統金融機関におけるペイオフ対策の内容をどんな内容で進められてきたのか、そして、現在の進捗状況はどうなのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

石原葵農林水産省経済局長

○石原政府参考人 ペイオフ解禁に向けての農協系統の取り組み、努力でございますが、農協系統におきましては、当初、解禁予定が十三年三月末ということでございましたので、これを目途に経営体質の強化に取り組んできたということでございます。  具体的に申し上げますと、来年の三月を目標にいたしまして、広域合併構想というのを立てております。最近の数字では、今現在農協が一千四百十一ございますが、これを約五百三十にするという構想を立てております。この構想を強力に推進する、この合併によりまして農協の規模を拡大いたしまして、これにより経営基盤の強化とか業務運営体制の強化を図っていくというのが一つございます。それから、どうしても経営困難農協というものがございますので、これの合併につきまして、農協系統全体となりまして支援措置を講じるということもやってきております。それから、内部留保の充実に努めるということ、増資、不良債権につきましても早期の処理を図る、このような努力もしてきております。  このような努力の効果があったものと我々は理解しておりますが、農協につきましては、総資産に占めるリスク管理債権が一・四%ということになっておりまして、他業態に比べまして低いものとなっているということ、それから、自己資本比率が四%に達していない農協が、十年度は八十八ございましたが、十一年度には三十九に減少しています。十二年度の数字はまだ出ておりませんが、恐らくこの三十九よりかなり減少しているものと我々は確信いたしておりますけれども、このような成果が着実に上がってきているというふうに理解しているところでございます。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 大臣にお伺いしたいと思います。  このペイオフの延長について、先ほど質問がありました野党だとか、一部マスコミなどから、選挙目当てだとか、政府・与党間での無限定な先送りだとか、一度決めたことを無原則に変更したとか、大変口をきわめた厳しい言葉が先ほど来出ておるわけなのです。大臣、いかがでしょうか、こういう野党の質問、指摘、また一部マスコミの指摘に対してどのようにお考えか、きちっと反論をしていただきたいと思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 先ほど来からの議論にありますように、そういうような、選挙目当てであるとか、いろいろな議論があるところであります。しかし、今大事なことは、日本の金融体質をやはり安定したものにしていかなければいかぬ、こういう観点から、一年に限りまして、特に信組の状況等をよく調査し改善をしていくという観点から、一年延長する、こういう決断をしたわけでございます。決して改革の趣旨に反するものではなくして、むしろ、一年延長することによりまして、この改革の趣旨をさらに徹底をして、安心して国民の皆さんが預貯金をできる、こういう体制をつくっていくということでございますので、その点について御理解をいただきたいと存じます。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 それでは、法案の内容に入りますので、総括政務次官にお尋ねしたいと思います。  今回の改正は、貯金保険制度の対象を、これまで農協だけだったのですけれども、さらに、信用農業組合連合会、農林中央金庫にも適用対象を拡大しようとしておりますが、従来、信連とか農林中金を貯金保険制度の対象にしなかった理由として、こう述べられております。  本制度は、金融機関の破綻に対処して預金者の保護を図ることを目的としたものであり、信連、農林中金らについては、その受け入れている貯金のほとんどが会員農協からの再預かり貯金であるということ、そしてまた、農協段階で貯金保険の対象となって保護されているため、あえてそれを対象とする必要はない、こういうふうに説明されてきておったわけでございます。それにもかかわらず、今回、信連、農林中金を本制度の対象にした理由はなぜか、従来の対象にしなかった理由との整合性とあわせて御説明いただければありがたいと思います。

谷津義男自由民主党農林水産政務次官

○谷津政務次官 先生御指摘のとおり、貯金保険制度におきましては、信連あるいは農林中金はその対象にしておらなかったところであります。しかしながら、単協または信連が破綻したときの受け皿として信連や農林中金を活用する必要があるということ、それから、他の金融業態とも同一の競争条件を確保するために、信連や農林中金が貯金者から直接受け入れている貯金あるいは農林中金の金融債につきましても、保険の対象とすることが必要であることから、系統信用事業全体としての信頼性の確保と金融機能の維持を図るために、信連、農林中金を含めた全体としてのセーフティーネットを整備することが必要だからであります。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 それでは次に、貯金保険機構の資金援助の充実の内容についてお尋ねしたいと思います。  改正案は、資金援助の対象として信用事業の一部譲渡を加えております。今回、なぜ信用事業の一部譲渡を加えたのか。そしてまた、これを加えることによって破綻処理がどの程度迅速に進むとお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

谷津義男自由民主党農林水産政務次官

○谷津政務次官 これは、破綻農協の状況にもよりますけれども、その資産の内容等に対する不信から、受け皿農協が破綻農協からの全部譲渡を受けられない場合もあり得るということもありますので、このような場合には、信用事業の一部譲渡を資金援助の対象にすることによって、迅速な処理が可能になるものと考えております。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 不良債権をたくさん抱えている場合に、不良債権までも引き継がなくてもよろしいのだ、不良債権を置いたまま優良な資産だけ引き継ぐような方策を講じれば、より円滑に処理が進むではないか、こんなことで設けられたというふうに理解してよろしいでしょうか。  それでは続いて、改正案は、合併などで経営困難組合を救済する単協だとか信連の自己資本の充実策として、これらの組合が発行する優先出資を貯金保険機構が引き受けることができるとしておりますが、従来は、優先出資の引き受けができるのは農林中金に限定されておりました。今回、それを単協や信連に拡大した理由は何か、お尋ねします。

谷津義男自由民主党農林水産政務次官

○谷津政務次官 経営困難な組合の救済のためには、当該組合との合併または事業の譲渡を行う組合、これは受け皿組合ですが、を見出す必要があります。自己資本比率の低下を恐れて、経営困難な組合との合併または事業譲渡に難色を示すことも懸念されるのではないかというふうに思います。  このようなことから、受け皿組合があらわれやすい環境の整備を図るために、貯金保険機構の資金援助の一環として優先出資の引き受け等を行うものでありまして、優先出資の引き受け等の具体的条件につきましては、預金保険制度における基準等を踏まえまして今後検討することとしておりますけれども、受け皿組合の自己資本比率が合併または事業の譲受前の自己資本比率まで回復するために必要な額とする等の基準を定めることとしておるところであります。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 もう一つ、援助の対象として今回、事後的な損失補償、損失補てん、こういうものがつけ加えられておるわけでございますけれども、受け皿組合の債権回収等の資金管理にモラルハザードを起こすのではないかという指摘がありますが、それについてどのようにお考えか、またどのように対処していくのか、お尋ねしたいと思います。

谷津義男自由民主党農林水産政務次官

○谷津政務次官 これは損害担保ですが、経営困難な組合から引き継いだ資産から生じる損失、いわゆる二次ロスと申しますか、その発生を恐れて受け皿組合があらわれないといった事態を解決するために導入するものでございます。この場合、貯金保険機構は損失額の全額を負担するわけではなく、受け皿農協にもその一部を負担させることとしておりまして、こうしたことから、受け皿組合が債権回収の努力を怠るといったようなモラルハザードが生じるおそれはないものと考えているところであります。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 最後の質問に移りたいと思います。  再生手続の特例等に関する法律についてお尋ねしますが、民事再生法は、和議制度の短所を解消するために、和議法にかわる新たな再建型の倒産処理手続の基本法として昨年制定されたものでございますが、和議法に比べてどのような利点があるとお考えなのか。そして、本制度を導入することによって、農水産業協同組合の再生手続、そして破産手続の迅速化にどの程度資するというふうにお考えなのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

谷津義男自由民主党農林水産政務次官

○谷津政務次官 今回の民事再生手続の特例措置につきましては、検査等により系統金融機関の経営状況を知り得る立場にある監督当局に民事再生手続の申し立て権を付与することによりまして、早期に手続に入ることを可能とすること、農協に対する債権者の圧倒的多数を占める貯金債権者を貯金保険機構が代位して再生手続に参加すること等により、手続の迅速化を図ること、それから、総会の特別議決にかわる裁判所の許可によりまして迅速な信用事業譲渡を行うことを内容としております。これらの措置によりまして、経営困難な組合の破綻処理の迅速化が可能になるものと考えておるところであります。

漆原良夫公明党・改革クラブ

○漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 次に、中林よし子君。

中林よし子日本共産党

○中林委員 我が党は、農協系統金融の内部でセーフティーネットを構築して、救済と支援の措置をとること自体には反対するものではありません。しかし、金融ビッグバンに対応するために、ほかの金融業態との横並びで、協同組合の原点に反するような措置を導入することには賛成できません。なぜならば、金融ビッグバンは、金融規制の全面緩和と自由化を徹底させることによって、系統金融を含む中小金融機関を大銀行との競争に追い込み、整理、淘汰を促進して、少数の巨大金融機関が日本経済と国民生活を支配する仕組みをつくるものだからです。  そこで、法案の具体的内容について幾つか質問をしてまいります。  先ほどからペイオフ解禁を一年延長する問題が論議されておりますけれども、このペイオフの解禁によって、農協系統金融に混乱を来すような深刻な事態が今現在、生じているのかどうなのか。この一年延期の理由、農協系統金融機関に限っての問題についてお答えいただきたいと思います。

石原葵農林水産省経済局長

○石原政府参考人 今回のペイオフ一年延長の理由は、先ほど来出ているところでございますが、我が国の経済を安定的な軌道に乗せるということで、ただし、その場合、一部の中小金融機関につきまして経営の実態把握の問題がある、その実態把握をした後、所要の改善措置を講じなければならないということで、今回、一年の延長措置が講じられることになったものでございます。  それで、ただいま委員の方から、農協系統で特段の問題があるのかというお話がございましたが、農協系統につきましては、この一年延長の要望を出したこともございません。特段その必要性はなかったものと我々は思っております。農協系統は、当初の来年の三月末というのを目途に合併や自己資本の増強等を行ってまいりまして、経営体質の強化に積極的に取り組んできたということでございます。  しかし、今回の一年延長の決定が我が国金融システム全体をより強固なものとすることを目的としたということ、これが一つでございます。それと、それ以上に、ペイオフといった金融機関の基礎的な競争条件は同一である必要がある。仮に、特定の金融機関だけ一年延長ということになりますと、農協系統の金融機関との差がある期間だけは、どうしても農協系統の方が不利になります。多分、他の業態はどれだけ保証できるかということを恐らくPRすると思いますので、競争条件としては非常に不利な関係になるということで、農協系統金融機関につきましてもペイオフの一年延長をすることにしたということでございます。

中林よし子日本共産党

○中林委員 要するに、他の金融業態と横並びのものだということだと思うんですね。  現在の農水産業協同組合貯金保険機構の財務内容は健全だと思うんですけれども、これはどうなのか、責任準備金残高は、制度発足以来着実にふえて、現在の残高は約千七百億円となって、現状では十分な額だというふうに思っておりますけれども、農水省のお考えはどうかというのが一点です。  それから、貯金保険機構が健全な財務内容を維持している背景には、貯金保険とは別に農協系統で独自に積み立てている相互援助制度があります。その財源は現在幾らになっているのか。ペイオフ凍結解除に向けて積立金を集中的に積み増す方針ではないのかと思うんですけれども、この二点、お伺いしたいと思います。

石原葵農林水産省経済局長

○石原政府参考人 まず、最初の御質問でございますが、ただいま委員の方からお話がございましたように、農協系統では、農協系統といいますか、貯金保険機構では、現在、責任準備金が一千七百億円となっております。これは十年度末の数字でございまして、これは着実にふえてきております。もちろん、この過程におきましても破綻する農協もございました。そういうところにつきましては、所要の資金援助という方策をいろいろ講じてきたわけでございますが、そういうようなのを講じてきた上で、十年度末で一千七百億円の責任準備金を持っておりまして、我々、当面これで対応できるものと考えております。  それから、もう一点御質問がございました相互援助制度の財源がどの程度あるのかという御質問でございますが、農協系統では、この貯金保険制度と別に、自主的な積立制度といたしまして相互援助制度というのを持っております。これは、県段階及び全国段階の二本立てで運用しておりまして、平成十年度末の積立金の残高は、県段階が四百十八億円、それから、全国段階が百七十二億円となっておりまして、合計で五百九十億円ということになります。  農協系統におきましては、系統信用事業の安定と信頼性の維持を図るという観点から、今後三年間で、県段階の残高五百億円、それから全国段階の残高五百億円、合計一千億円にするということを目標に、さらに、財源の充実を図ることとしているところでございます。

中林よし子日本共産党

○中林委員 本法案では、金融危機への対応として、予算で定める金額の範囲内において、政府が、貯金保険機構に、危機対応業務に要する費用の一部を補助することができるという規定を設けることとしています。前回の法改正で、貯金保険機構の農林中金または日銀からの借り入れについて政府が保証できることとされていましたけれども、今回の措置は、直接財政資金を投入できる恒久的な仕組みをつくることにほかならないものだというふうに思います。  農林中金の角道理事長は、週刊東洋経済という雑誌に、こういうふうに述べているんですね。系統金融全体として見れば、決して経営状態は悪くない、例えば単位農協の不良債権比率にしても、総与信額に占める分類債権の比率は八・二%と全国銀行の平均値一一・六%を大きく下回っている、農林中金にしても九九年の春にも、公的資金の申請はしなかった、それで、中略ですけれども、農協は相互扶助組織だが、こうした協同組織の力は大きいと思う、基本的には、信用事業に関しては現在ある相互援助組織と貯金保険制度を拡充することで十分対応できると考えている、こういうふうに述べております。  系統信用事業の相互扶助組織、協同組織としての力が非常に大きい、この特性に依拠するということが、私は非常に大切だというふうに思うんですね。ほかの金融業態との横並びだとか、財政資金投入の恒久的な仕組みをつくることなどは、むしろ、こういう相互扶助組織、協同組織としての特性に反する方向に導くことになるおそれがあるというふうに私は思うんですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 委員のおっしゃられるように、相互扶助組織は大変大きな役割を果たしておると思いますし、大事なことだと思います。しかし、同時に、もっと大きな破綻状態とかそういうことが出てきた場合に、それに対応するということになってまいりますと、やはり、ほかの預金機構と同じような条件を整えておくということが大事だと考えておるわけでございまして、今回の法改正は、その点にウエートを置いておるということでございます。

中林よし子日本共産党

○中林委員 これ以上論議はしませんけれども、先ほどからこの委員会で言われている自己資本比率四%以下のところも農協としては非常に減ってきているという御報告があって、かなり改善はされてきていると思うんですね。今大臣が、破綻するおそれがあるから、その準備は着々と進めておかなきゃならないんだと言われるほどの状況ではないというのは、経済局長の先ほどの答弁からしても言えることなのではないかというふうに私は思います。そこを指摘して、次の質問に移りたいと思うんです。  先日、衆議院で可決されて、今参議院で審議中の預金保険法改正案に含まれている、協同組織金融機関の優先出資に関する法律の一部改正案によって、従来、協同組織金融機関の全国連合会のみ認められていた優先出資の発行を、協同組織金融機関全般に認めることとなります。本法案によって、貯金保険機構が農水産業協同組合の優先出資を引き受けることができる、こうなるわけですね。  そこで、協同組合が優先出資という形で外部資金を導入すると、優先出資者に対する配当成績を上げるために、高収益を上げることが優先されたり、経営難にある農家の安易な切り捨てなどで、本来の協同組合の原点である、先ごろ大臣も言われたような相互扶助組織、協同組織としての特性が損なわれはしないかというおそれが出てまいります。この点について、そういうおそれはないのかという点が一点。  それからもう一つ、今度の法案で、都道府県知事が、一定の要件のもとに、協同組合に対して、管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分をすることができる、こういうことになっているわけですけれども、これも従来は協同組合でやっていたわけです。それを、知事などが管理人を設けてやっていくということになると、これも本来の協同性というものが損なわれはしないか、こういう懸念を持っているんですけれども、いかがでしょうか。

石原葵農林水産省経済局長

○石原政府参考人 二つ御質問になりましたが、まず最初の質問でございます。  貯金保険機構による優先出資の引き受けが、農協の協同組合原則といいますか、協同組合性を損ねることにならないかという質問でございますが、我々、農協につきましては、この協同組合原則を第一に考えなければならない、あらゆることにつきまして、この原則を考えなければならないというふうに考えておるところでございます。  今回、経営困難組合が出まして、これと合併したり、あるいは事業譲渡を行う受け皿組合を見出すわけでございますが、こういう受け皿組合は、合併あるいは事業譲渡をいたしますと、自己資本比率が低下する可能性がございます。そういうこともございまして、その自己資本比率の低下を恐れて合併あるいは事業譲渡に難色を示すということが往々にして見られるわけでございまして、そういうことが懸念されるところでございます。  こういうこともございまして、受け皿となる組合があらわれやすい環境の整備を図るということが重要であろうかということでございまして、その環境の整備の一環といたしまして、貯金保険機構の資金援助の一つといたしまして、優先出資法に基づく優先出資の引き受けを今回、追加することにしたものでございます。  この優先出資の引き受けは、組合員の議決権に影響を与えないように、優先出資者には総会における議決権は与えられないということにしております。それから、組合の自己資本の増強によりまして、厳しい競争の中で組合員の相互扶助をよりよく果たせるようにするためのものである、要するに、自己資本を増強いたしまして厳しい競争を勝ち抜けるようにする、そういうことが結果的に農協を守り、組合員の相互扶助をよりよく果たすことができると我々は考えているところでございます。こういうことから、優先出資の引き受けを今回、追加いたしましても、決して協同組合性に反するものではなく、むしろ、一層これを充実させるものになるのではないかというふうに考えているところでございます。  それから、第二点目の、公的管理人制度の導入が協同組合性を損ねることにならないかという点でございますが、経営困難な組合が出ますと、その経営困難に至らしめた責任を有する役員が通常いるわけでございまして、その役員のもとで経営困難組合の合併等による破綻処理を円滑に進めることはなかなか困難でございます。そしてまた、役員につきましては農協が責任を追及するわけでございますけれども、その責任追及を行うことも、そういう役員が残ったままでは困難であるというふうに考えております。  こういうこともございまして、経営困難農協の金融機能を維持しながら合併等による破綻処理を迅速に行うということと、それから、破綻に至らしめた役員の厳格な責任追及を行うことができるようにということで、預金保険制度と同様に、行政庁が公的管理人を選任いたしまして、その理事にかわりまして経営困難組合の業務執行及び財産の管理処分を行うことができるようにしたところでございます。  この場合、管理人の権限の行使に当たりましては、理事と同様、あくまでも組合の最終の意思決定機関でございます総会の議決の拘束を受けるものであるということ、それから、公的管理人制度によりまして経営困難組合の適正な業務執行を確保し、組合の不良債権の増大、資産の劣化、こういうものを防止することは組合員の利益の保護に資するということ等から、公的管理人制度の導入は農協の協同組合性を損ねるものではないと考えております。  いずれにしましても、我々、この協同組合性、協同組合原則、この問題につきましては、常に考えてこの問題にも対処してまいりたいと考えているところでございます。

中林よし子日本共産党

○中林委員 それならば今までどおりでいいんじゃないかという感じがしないでもないんですね。今までだって合併はかなり促進されてきているし、だから、新たに外部から資金の導入を優先出資という形でやる必要もないし、また、内部で破綻農協の処理はやってきていたわけですから、そこに行政庁が入っていくこともないというふうに思うので、今局長が、協同性は損なわないように厳重に対処すると言われましたので、もしそういうことになれば、大きな問題が起きるということを私は指摘しておきたいというふうに思います。  そこで、もう一つ本法案で、貯金保険機構が債権回収会社と回収業務に関する協定など締結できるというふうになっているわけですね。こうなりますと、農家への融資が不良債権扱いにされて、債権回収会社による取り立てに遭う可能性が出てくるのではないか。今までは協同組合で回収をやっていたわけですから、そこはお互いによく知った間柄ということで、農家の経営実態もよくわかるし、心の通うといいましょうか、負債は持っていてもそう理不尽な取り立てなどは起きない。それでも起きていたわけですけれども。  こうなると、回収会社ですから、今の農家の人たちが負債を抱えて、本当に大変な思いをしている中で、さらに、氷水でもかけるような仕打ちがされないのかという懸念を私は持っているのですけれども、この点はいかがでしょうか。

石原葵農林水産省経済局長

○石原政府参考人 経営困難農協の農家組合員の不良債権が債権回収会社の取り立てに遭うのではないかという御指摘でございますが、貯金保険機構の業務委託によりまして、債権回収会社が回収することになりますのは、経営困難農協の不良債権のうち、受け皿となる農協が引き継ぎを拒んだものが基本となるというふうに考えております。  農協は、委員も御指摘のとおり、農業者の相互扶助を目的とした組織でございます。それからまた、農業者の経営状況はよくわかっているということでございまして、農業者の経営状況を把握しながら、適切な債権管理や経営指導を行うのがその使命であり、本来の業務であるというふうに考えております。そういうことからしますと、農家組合員の不良債権について、受け皿農協に通常は引き継がれる、受け皿農協がこれを拒否するとかということは、通常は考えにくいのではないかというふうに考えているところでございます。  したがいまして、経営困難農協の農家組合員の不良債権が債権回収会社により回収されるようなことは基本的にはないと考えているところでございます。

中林よし子日本共産党

○中林委員 今までも農水省の指導のもと、各単協は自己資本比率を高めなければならないという絶対命令があって、四%以上にしなければいけないということがあって、北海道などでは離農勧告を農協みずからが農家にしなければならないというような大変深刻な事態というのはあったんですよ。それをやって自己資本比率を高めることによって、何とか今、さっきの四%以下が非常に数が減ったというところまで来ているんですね。農協と各農家というのは本当によく知った間柄ということになって、今度は回収会社にそれができるということになれば、むしろ忍びないから、もう全く関係のない回収会社に任せて、取り立てに回らせるという選択肢もあり得るのではないかというふうに懸念がされます。だから、こういう問題点があるということを私は申し上げておきたい。  本当に今、負債額が多い農家が悲嘆に暮れている中で、債権回収会社が取り立てを無慈悲にやることのないように、よく注意をしていただきたいというふうに思います。  そこで、農水大臣にお聞きするわけですが、農業協同組合法第一条の目的に「この法律は、農民の協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期することを目的とする。」こううたっております。農協系統金融の現状を打開するためには、この原点に立ち返ることが大変重要だというふうに私は思うんですけれども、大臣の認識はいかがでしょうか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 農協法第一条の精神は大事なことだと思います。  農協の信用事業が農協の一部門として営まれている以上、信用事業にかかわる種々の問題の解決に当たっても、農協法第一条を踏まえて、農業生産力の増進や農民の経済的、社会的地位の向上につながるよう留意していくことが重要であると認識をいたしております。

中林よし子日本共産党

○中林委員 大臣からそれが重要だという基本的認識を披瀝していただきましたので、私は、それを踏まえた上で、以下いろいろ質問したいというふうに思うのです。農協系統金融の構造的問題として、金融機関として見た場合、資金調達機能に比べて資金運用機能の極端な弱さが挙げられております。系統金融が膨大な資金を住専に貸し込んでいった一般的背景には、こうした構造的資金過剰と運用難という問題があったというふうに思うのです。  大臣、こういう構造的問題、資金はたくさん調達するんだけれども、運用の方が弱い、この原因はどこにあるとお考えでしょうか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 農協の貯貸率が低い要因としましては、一つには、農村部においては、都市部に比べて企業が少ないことなどから資金需要が少ないこと、また、農業におきましては、他産業より設備需要が少ないことなどから資金需要が少ないこと、また、協同組織であることから員外貸し出しが制限されていること等を挙げられておりますが、私もそう思います。

中林よし子日本共産党

○中林委員 ちょっと歴史的に振り返る必要があるのではないかというふうに私は思います。  これは、「農業と経済」の九八年七月号に東京農大の日暮さんという方が指摘をしているのですが、農協は、営農指導に取り組み、銘柄産地を形成し、生産された農産物を有利に販売する、その代金が農協に振り込まれる、そして、その金が個々の生産者の口座に振り込まれ、貯金の増加をもたらす、農業の生産力が高まれば、農業者は積極的に農業投資を行うので農業貸し出しが増加、その結果、農協に多くの貸出利息の収入が入る、このような絵にかいたような農業拡大再生産のシナリオは、昭和三十年代から四十年代にかけて多くの農村地域で見られた、それは、まず農業生産があり、次いで農産物販売、そして最後に、金融があった、これは、農業者、農協だけではなく、国民経済にとっても、豊富な農産物の消費、農村の購買力の向上という点から見て望ましい姿であったというふうに言われているのですね。  大臣、この点についてはいかがでしょうか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 農協の信用事業が拡大する上におきまして、農業者自身の所得が向上していくということと相まって、どちらもいい方向に進む、こういうふうに思います。

中林よし子日本共産党

○中林委員 私は、この指摘をされていることを大臣もお認めになっていると思うのです。  そこで、今お配りしている資料を見ていただきたいというふうに思うのです。  農協の貯貸率と貸出金の用途別残高、それから貯金財源の源泉別内訳の推移をグラフにしたものです。及び農林公庫、その他制度資金、系統資金という種類別の農業融資残高。  これを見ていただければもう明らかなように、貯貸率低下の原因が、貯金財源における農業収入の比率の低下、貸出金でも農業資金の比率の低下にあること、これはもうきれいにそういう線を描いており、明白だと思うのですね。  ちょうど昭和三十年から四十年ぐらいまでの間は、この第一期というところですけれども、非常にいい線を描いている。ここに、やはり日本の農政が大きく影響しているというふうに私は思うのですね。農産物の自由化は、一九六〇年代以降、飼料穀物だとか大豆、バナナ、レモンなどが完全輸入化されて、一挙に九〇%台まで輸入が高められて、穀物自給率が急速に低下をしていきました。それから、農業基本法のもとで、規模拡大や選択的拡大、そして構造改善というようなことで、大変政策的な方向づけがされました。  そういう中で農家の経営というものが大変な事態に追い込まれていくということですから、こういう歴然とした事実を見ていただき、大臣も、この日暮さんが言っていることは当たっているというふうに感想を述べられたわけです。自給率問題で大臣とこれまで随分議論してまいりましたけれども、農協系統のこういう融資の状況から見ても、輸入自由化だとか農業基本法農政が、本来、農業拡大再生産のシナリオを突き崩して、農協の融資のゆがみも出してきたのではないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 正確に言えば、農家の方でも、農外収入を受けて、これを農協に貯金している、こういう方もあると思いますので、この貯貸率の問題についても、一概に農業だけで判断をするということは正確ではない、こう思うわけでございますが、主としましては、やはり農家の所得が向上していくということが、いずれにしましても大事なことであると思います。

中林よし子日本共産党

○中林委員 もちろん、そうですよ。農外収入の方が今農家の収入の面で多くなっているというのが、農業生産そのもののゆがみをあらわしているものだというふうに思います。  さらに、「農林金融」のことしの二月号に、大変興味深い調査結果が出ております。これがそうですけれども、アンケート調査結果に見る農協金融の変化というアンケート結果が出ているわけですが、これは資料としては二枚目のところに出しております。  ここで、農協貯金の財源別内訳、用途別貸出金の残高と増減などについてのデータなんです。用途別貸出出資残高で、相変わらず農業資金が大幅な減少を示しています。注目すべきは、財源別内訳で、農業収入が減少要因で、特に米代金の収入が激減しておりますね。これを見ていただければわかると思います。  三月二十三日の日本農業新聞で、北海道で米価の急落が担い手を直撃して、二〇〇〇年一月までに、認定期間を終えた九百九十九人のうち、再認定されたのはわずか三百十八人と三割にすぎない、こういう報道が出ております。  「認定が始まった一九九四年当時、道内の稲作農業者は最低でも、米の手取りを六十キロ当たり一万六千円以上に見込んで経営改善計画を立てた。早期に認定を受けた農業者の多くはその価格を前提に、認定農業者になる最大のメリットである低利の「スーパーL資金」を使い、離農や高齢化で生まれた農地を積極的に買い増ししてきた。 大規模な稲作地帯を抱えるある町の担当者は「米価見通しの狂いから、早い時期に認定を受けて規模拡大してきた農業者ほど、計画と、現実の所得がかけ離れ、経営が厳しい傾向にある」と指摘する。この町で掲げた所得目標を達成した人は、一割にも満たない。 九五年に認定を受け、三十ヘクタールにまで規模拡大してきた農業者は、「見通しが甘かったといわれればそれまでだが、国の政策にのった自分がはがゆい」と静かに話す。 道が本年度、道内の全農業者六万三千戸を対象に行った「営農意向調査」でも、稲作農業者の苦悩が浮き彫りになっている。「規模の拡大」を考える農業者が一六%にとどまる一方、「規模の縮小」が六%、「経営の中止」は一八%にも達した。」これが農業新聞で紹介されている例です。  この指摘をさらに裏づけるように、こういう指摘も出ております。問題は農協の収益環境が厳しいことなんだ、ノンバンク、不動産融資といったバブル含みは少ないものの、畜産農家など初期投資が回収できず苦しんでいるケースが多い、こういう指摘もあります。  これまで私は大臣に、政府の農産物輸入自由化政策、それから、価格保証の放棄と市場原理導入を抜本的に転換する必要があるということを求めましたけれども、こういう農家の実態、米の値段が下がって、農協の貯金の中にもそういう影響が出ていることを思えば、当然やはり、私どもが指摘をしたような農政の転換が必要だというふうに、金融の面から見ても言えるのではないかと思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 農業の持続的な発展を図るためには、他産業従事者と遜色ない水準の生涯所得を確保し得る効率的かつ安定的な農業経営を育成することが重要であると考えております。  このため、農業者自身の経営努力を基本に、経営全般にわたる支援策を総合的かつ計画的に講じていくこととし、基本法及び基本計画に即しまして、新たな経営構造対策事業の推進や、認定農業者等の意欲ある担い手に対する農地の利用集積の促進、金融措置の充実を図りますとともに、需給事情等を適切に反映した価格形成が図られるよう価格政策を見直すこととあわせて、価格変動が、育成すべき農業経営に及ぼす影響を緩和するための経営安定対策を実施する、こうした諸施策を通じまして効率的かつ安定的な農業経営の育成を図ってまいりたい。

中林よし子日本共産党

○中林委員 新食糧法をつくられたときに、売る自由があるんだ、魚沼コシヒカリみたいなものをつくれば高く売れて収入が上がるんだと、認定農家を誘導するときにも、北海道では一万六千円ぐらいですけれども、本土では、私の地元などでは、六十キロ当たり二万円の計算で所得の計算をして、認定農家になればこうなるんだ、こういうことを言ってきました。しかし、現実はそうならない。農協の金融の中身を見れば、米の代金の収入が激減しているではありませんか。  今言われたように、いろいろな価格制度をつくっているんだと言われるけれども、それは、例えば稲経にいたしましても、三年の平均の八割補てんだということになれば、ずっと下がり続ける保証でしかあり得ない。価格対策はやっているんだとおっしゃるけれども、米をまず価格保証から外す、大豆、麦をことしの通常国会で外した。これから乳価だとか糖価も外そうとされている。これでは、私は、農協の金融状態から見ても、絶対に金融状態がよくなる見通しはないということを指摘しておきたいというふうに思います。  農協金融にとって大変示唆に富んだ指摘をしているのがありました。これを見ると、こう言っているんですね。先ほど出た日暮という大学の先生なんですけれども、農協金融は、貸出残高全体に占める農業向け貸出残高の割合が一〇%台と低下しているので、地域金融機関としての性格が強い、それでは既存の農協から離れて地域金融機関として分離独立できるかといえば、金融業態間の競争の激しさからそれも難しい、農業と金融とのリンクによって貸し出しの規模を拡大するには無理があるけれども、農家と金融とのリンクについては展開の可能性が残されているし、そこが農協の強みでもある、金融自由化、ビッグバン時代において、金融業態はその特性発揮の重要性が指摘されている、農協の場合、農家との強い組織的なつながりと総合兼営事業の利点もある、貯金についてはその強みを十分に発揮してい、貸し出しの促進に向けてどのようにその強みを生かしていくかが大きな課題であるというふうに指摘をしております。  だから、私は、政府が本気で農政の転換を図るならば、農業収入を拡大して、農業への投資を拡大することは十分可能だ、それが農協金融の強みだ、こう指摘をされているわけです。金融危機だからといって巨額の公的資金を投入する仕組みをつくるのではなく、本来の農業振興に国民の大切な予算を使うことこそが大切だ。  そのためには、これまでも口を酸っぱくして言っておりますけれども、輸入自由化をやめ、市場原理政策を転換して、抜本的な農産物価格保証と農家への所得補償を増していくことこそ、私は金融機関の改善に本当につながっていく道だというふうに思うんですけれども、大臣、いかがでしょうか。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 基本計画等に基づきまして行う施策を通じまして農家の所得の向上にも相努めて、さらにまた、今委員が御指摘をされましたように、農協金融等におきましても積極的にこれを活用して、農業がさらに進展することができるような、そういう施策を推進することが大事であると思います。

中林よし子日本共産党

○中林委員 基本法に基づいて輸入を義務化し、価格保証を市場原理に投げ出してしまうということでは決して農家の経営はよくならない、それによって農協の金融系統の改善が図られるとは到底思えない。だからこそ、私は組合法の目的、第一条を確認させていただいたんですけれども、この目的に沿ったことを大臣に重ねて要求をして、質問を終わります。

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 次に、一川保夫君。

一川保夫自由党

○一川委員 今回のこの法案に対するいろいろな質疑も話題が割と出尽くしたような感がございますけれども、私の方から、確認の意味も含めて農水省の方に御質問をしたい、そのように思っております。  私自身は北陸、石川県の出身でございますけれども、まさしく今農繁期に入ろうとしておりまして、もう既に田植えを行っている農家の方々も出てきております。  そういう中にあって、農協という組織をいろいろな面で、農家の方はもちろんでございますけれども、農村地域の方々あるいは金融界の皆さん方も、今後の農協のあり方についても相当関心を持っているのが、今日の状況ではなかろうかというふうに思っております。  農協そのものは御案内のとおりのことでございまして、農家の営農を支えていく、あわせて生活も支えていくという面の本来の趣旨がございますし、また、こういった農協の中の信用事業というものも、農村、農業を取り巻く激しい変動の中でも、農協の正組合員を主体としていろいろと運営されてきているという面では、評価できるというふうに思いますし、今後とも組合員の皆さん方の期待にこたえて、しっかりとした対応をお願いしたいというふうに思っております。  他の金融機関に比べれば、中山間地域やいろいろな過疎地域も含めて、農協のネットワークというのは張りめぐらされておるわけでございまして、そういう面では非常に期待感も大きいわけでございます。  今回のこの法律の改正につきまして、大臣に基本的な所見をお伺いしたいわけでございますけれども、こういった単協に関するいろいろな貯金保険に関する制度というのは、それなりに整備されてきたわけですね。今回の改正は幾つかございますけれども、最も重要なポイントというのは、信連なり農林中金といったものを貯金保険制度の対象に組み込んでいこうということにあるわけでございまして、農協の信用事業の体系からすると、こういったものがトータルされてのことでございますし、従来、なぜこれがなされていなかったのかなという感じもいたすわけでございます。  現実問題、今もう、単協の組合員等から預かった貯金というのは、十一年度末で六十九兆円ぐらいあるということですね。その六三%ぐらいが信連に預けられて、さらにまた、信連の四十七兆円ぐらいの貯金のうち約六割が農林中金へと上がっていっているというような実態でございます。  そういう全体の動きの中でセーフティーネットをかぶせていこうということでございますけれども、今回、法律改正でこの信連、農林中金を貯金保険制度の対象にしたということについて、改めて大臣の所見をお伺いしたいというふうに思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 従来の貯金保険制度におきましては、これまで基本的に単協を対象としておりまして、下部機関からの預かり金を主体としている信連、農林中金をその対象とはしていなかったところであります。  しかしながら、系統信用事業全体としての信頼性の確保と金融機能の維持を図るためには、信連、農林中金を含めた全体としてのセーフティーネットを整備するということが必要になってきた。それは、単協または信連が破綻したときの受け皿としてこれを活用する必要があること、また、他の金融業態と同一の競争条件を確保するため、信連、農林中金が貯金者から直接受け入れている貯金、農林中金の金融債につきましても対象とするということが必要である、こういう観点から、セーフティーネットを整備するという必要が生じてきた、こういうことでございます。

一川保夫自由党

○一川委員 次に、今回のペイオフ解禁を延期するという扱いも、今ほどのお話のように、他の金融機関と同等の競争条件を備えていくという趣旨が一つございます。  私は、当然そういうことも大切なことでございますし、一方では、こういった農協の信用事業そのものの、独自の信頼度をアップしていくということ、また、他の金融機関に何でも横並び、そういう自主性のないことじゃなくて、もっとしっかりとみずからを見詰め直すという中で、これからの農協の信用事業関係を充実強化していくということは、非常に大事なことであるわけですけれども、その一環として、特に気になりますのは、検査体制というものがあると思うんですね。  このあたり、ちょっと政務次官にお伺いしたいんですけれども、信用組合関係の監督権限というのは、今回、都道府県から国へ移管されるということで、いろいろな厳しい検査をされるというふうにお聞きしております。今回一年延期した背景の中には、信用組合の検査を国が実施するのに、まだ若干時間がかかるというようなことも含めたことが一つの理由にもなっているわけですね。  そういうことを考えますと、では、農協の検査体制は大丈夫かねということが一方で気になるわけですけれども、そのあたりに対するお考えをひとつお願いしたいと思います。

谷津義男自由民主党農林水産政務次官

○谷津政務次官 農協、漁協につきましては、金融をめぐる情勢が大きく変化する中で、経営環境も厳しいことなどから、都道府県の農漁協に対する検査の一層の充実強化を図る必要があるのではないかと考えております。農水省といたしましても、各種研修の実施等を通じまして都道府県の検査職員の資質の向上を図りますとともに、検査項目等を盛り込んだ標準的な要領を作成する等、検査の充実強化に向けまして適切な指導を行っているところであります。  また、信用事業を行う農漁協につきましては、それぞれ平成九年及び十年から、都道府県知事の要請があれば国が都道府県と共同で検査を実施することができることになっております。農水省といたしましても、このような制度の活用や、国が行う検査への都道府県職員の参加を促進しながら、都道府県と密接な連携を図りながら検査の充実強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

一川保夫自由党

○一川委員 その検査体制、またいろいろな御指導をよろしくお願いしたいと思っております。  要するに、破綻に伴うそういった貯金者や地域経済の混乱を最小限に食いとめていくということが、これは当然なことで、大変大事なことでございますけれども、今回のこの改正の中でも、貯金保険機構からのいろいろな資金援助の手法が大幅に強化されていくというふうにお聞きしております。今回の改正で、受け皿となる農協が受け皿として手を挙げやすいためのいろいろな工夫が凝らされているというふうにお聞きしておりますけれども、この手法の多様化ということについての、効果も含めて、そのあたりお聞きしたいと思います。

石原葵農林水産省経済局長

○石原政府参考人 お答えを申し上げます。  資金援助手法の多様化という問題でございますが、今回の改正ではいろいろな多様化の方法を講じております。信用事業の、これまでは全部譲渡であったのを一部でもいいとか、付保貯金移転、これは要するに保険に入った貯金だけを移転するとか、二次ロスということで損害担保とか、あるいは追加的資金援助ということで、最初に資金援助した後、情勢の変化でさらに資金援助の必要があった場合に追加的にやる、こういう多様化の措置を講じております。  これも、すべてを通じまして受け皿機関の不安を取り除くということでございます。受け皿機関はなかなか見つけることが難しいわけでございますけれども、こういう措置を講ずることによりまして、一たん受けた場合でも追加的に援助がされるとか、いろいろ心配の材料を取り除くということで、破綻先金融機関の合併あるいは事業譲渡の迅速かつ円滑な推進に資するということでございます。  このような資金援助手法の多様化によりまして破綻処理の迅速化が図られるということ、それから、こうなりますと、一番破綻処理で問題になりますのは、時間が経過いたしまして、その結果、資産が劣化するということが一番恐れるべき点でございます。こういう資産劣化の防止にもつながるということで、処理コストが軽減され、系統信用事業全体に対する貯金者からの信頼が確保されるものになるというふうに考えておるところでございます。

一川保夫自由党

○一川委員 次に、こういった制度の拡充に伴ってのいろいろなコストのことについて確認の意味でお伺いしたいわけですけれども、特に、保険料等にかかわる問題でございます。  農協は、御案内のとおり、実態としまして、信用事業なり共済事業の収益で、他のいろいろな購買事業なり販売事業も含めたもろもろの事業をカバーしているというのが実情であると思うんですね。そうなりますと、こういうセーフティーネットが完備されていくということは、一方では非常に大事なことなんだけれども、そのことによって保険料等いろいろな面でそのコストがまたはね返ってくるんではないかという面の心配といいますか、その見通しがわからないというような面の不安感といいますか、そういうものがあるのではないかという感じがするわけですね。そのあたりのことをちょっと確認の意味でお伺いするわけです。  保険料の水準の決定に当たって、これからの農協の経営等に対する影響といったことを農水省としてどのようにこれから取り組んでいくおつもりなのか。単協にとっては何か負担が相当ふえていくのではないかという心配もあるのではないかと思いますけれども、そのあたりの取り組み方針についてお伺いしたいと思います。

谷津義男自由民主党農林水産政務次官

○谷津政務次官 貯金保険制度の保険料率につきましては、長期的に貯金保険機構の財政が均衡するように定めることとされておりますけれども、これまでのところ、貯金保険機構の運営は健全に行われていることから、保険料率も預金保険機構のそれよりも約三分の一ぐらい低くなっております。  貯金保険制度の責任準備金につきましては、先ほどから答弁しておりますが、十年度では約一千七百億円が積み立てられておりまして、当面この活用により対応することが可能と考えております。今後の保険料水準につきましては、系統信用事業全体の信頼を確保する観点から、今後の貯金保険制度の運用実績や系統金融機関の経営状況を踏まえまして検討することとしておるところであります。

一川保夫自由党

○一川委員 農協の問題はおおむね話題が出尽くしていると思いますので、ちょっと漁協の問題についてお聞きしたいと思います。  漁協関係も、今日の漁業を取り巻く状況は大変厳しいものがあるのはもう御案内のとおりでございまして、そういう面では各漁協とも経営面でいろいろな御苦労をされていると思いますし、大変難しい局面にあろうかというふうに思っております。  こういった漁協の信用事業をこれから強化していくということについては、当然ながら、この漁協系統の組織基盤そのものをもっと強化していく必要性があるというふうに私は思いますけれども、このあたりの考え方をお聞かせ願いたいと思います。

中須勇雄水産庁長官

○中須政府参考人 先生から御指摘のございました漁協の系統信用事業でございますが、当然のことながら、組合員に対する資金の供給であるとか販売代金の決済機能等を持つほか、水産制度金融においても重要な地位を占めるということで、水産政策上も大きな役割を果たしている、こういうふうに認識しております。  ただ実態は、例えば平成十年度の数字で申しますと、漁協の貯金額は全体で約一兆六千億円、こういう状況でありまして、一漁協当たりの平均貯金残高は約十六億円ということで、やはり他業態に比べて大変規模が小さい、収益力も低いという状況がございます。  このため、金融自由化の進展という中で、漁協系統におきましては、信漁連に対する信用事業の譲渡、あるいは農協と同様でございますが、合併を推進する、こういうことによって強い信用事業という取り組みを進めております。私どもといたしましても、これらの取り組みを支援するとともに、最低出資金制度の導入あるいは監査体制の強化など、信用事業を行う漁協の体制整備を推進しているところでございます。

一川保夫自由党

○一川委員 今ほどの御答弁の中にも合併問題というのが出ております。組織的なものをしっかりと強化していくという面では、ある面では合併していくという中で組織を強化していくということも大変大事な課題だというふうに思っております。そのあたり、漁協の方は漁業権の管理という特殊事情を抱えておりますけれども、そういったことを乗り切って、新しい時代に向けての漁協の組織強化ということをぜひ図っていただきたいと強く要望しておきたいというふうに思います。  その合併の問題に関連しますけれども、農協の合併問題、これはまた以前からいろいろと言われている大変大事な課題でございました。我々の地元でも、合併は、一時期ぐっと促進されて、ちょっと中断したような格好でございましたけれども、最近また少しずつ、そういう問題意識に燃えて合併がぼつぼつふえてきているという感じもいたしております。  こういった合併問題というのは、当然ながら、今大手の金融機関等が、予想もしなかったような銀行同士が再編されていくという時代ですよね。こういうことを考えますと、大銀行でもそういうことに対応しているという中にあって、では農協というのは本当に大丈夫かねということが、また一方で、こういう観点から見ると、気になる部門もあるわけですね。  そうしたことを勘案した場合に、今の合併の促進といいますか、合併を促進することが組合員に当然プラスの還元がなければ何にもならないわけですけれども、そういう中で、農協の合併促進という大きな課題に対する取り組み状況なり、これからの取り組み方針といったところを改めてお聞きしたいと思います。

谷津義男自由民主党農林水産政務次官

○谷津政務次官 農協系統では、二〇〇〇年度、平成十三年の三月末ということでありますけれども、約五百三十農協とする合併構想の実現を推進しておりますけれども、本年の一月一日現在で実現されているのは六六%にとどまっております。  こうした状況の中で、全中では、一月二十日の理事会で、来年三月末までに残りの合併構想についても着実に実現できるように、合併協議会を設置していない地区の解消等に積極的に取り組む方針を決定しております。  農協の合併は、農協系統みずからが目標を設定いたしまして自主的に取り組んでいるものでありますけれども、農水省といたしましても、着実に合併構想が実現できるように、去る二月三日付で都道府県に指導を要請する通達を発したところであります。  実際に、合併構想を実現した農協が、合併メリットを出すために行っている具体的な取り組み例を示すといった措置を講じておるところでもございます。

一川保夫自由党

○一川委員 ぜひそういうことでの指導をよろしくお願いしたいと思っております。  農協の合併とあわせまして、これまた従来からの一つの課題でございますけれども、県連と全国連との統合のいろいろな問題というのがございます。これは以前からもこの委員会等でも話題になっている事柄でございますけれども、経済事業についてはもう既に幾つかのところでいろいろな取り組みがされているというふうに聞いております。それからまた、共済関係もそういう動きがあるというふうにお聞きしております、これは従来もいろいろな対応があったのだと思いますけれども。  一方、信用事業については、法制度的にはそういうものが対応できるような仕組みは一応でき上がっておるわけでございますけれども、こういう農協系統の組織の二段階化ということについて、我々に漏れ伝わってくるところによると、若干いろいろな抵抗もあるのではないかというお話もありますし、いろいろな特殊事情もそれぞれ抱えておるのだろうと思います。特に、信連なんかでの不良債権というものは、その地域地域によっていろいろな特色を有しておりますので、画一的に物事が進まないとは思います。こういった農協系統の組織の二段階化に対する取り組みというものをもっと精力的にやっていただきたいわけですけれども、そのあたりの考え方をお聞きしたいと思います。

谷津義男自由民主党農林水産政務次官

○谷津政務次官 ただいまの先生の御指摘にお答えする前に、先ほど私、ちょっと日にちを間違って答弁したようであります。現在実現されているのは六六%となっておりますと申し上げたのですが、一月一日と申し上げたようでありまして、実は四月一日の間違いでございますので、御訂正をいただきたいと思います。  農協系統につきましては、農業、農村をめぐる環境が変化する中で、事業機能と経営基盤の一層の強化を図っていかなければならないというふうに考えておりまして、組織二段階のために取り組んでいるところであります。  事業ごとに見ますと、経済事業では、十年の十月に三経済連、これは宮城、鳥取、島根、また、本年の四月には三経済連、東京、山口、徳島が全農と統合しておりまして、十二年度末までにはさらに二十五経済連が統合する予定となっております。  共済事業につきましては、本年四月に四十七県の共済連が一斉に全共済連と統合したところであります。  信用事業では、九つの信連が統合に向けて農林中金との間で個別協議に入っておりますが、この中で、栃木県信連と農林中金との間では、十五年四月ごろを目途とする統合に向けまして統合研究会が設置されたところであります。  農水省といたしましても、農協系統がその役割を十分に果たしていくためには、組織二段階によりますところの事業機能あるいは経営基盤の強化が重要であると考えておりまして、このため、統合を目指している連合会につきましては、全国連との協議が円滑に進むように指導していきたいと思っております。

一川保夫自由党

○一川委員 では、最後に質問させていただきますけれども、この農協系統の信用事業というもの、今回のこの法改正で、これから将来に向けて万々歳だという体制だというふうに私は認識いたしてはおりません。  といいますのは、これは平成八年だったと思いますけれども、農協の経営体制というものを強化するという意味で、経営管理委員会ですか、そういうものをつくりながら、農協の組織の意向をしっかりと反映しながら、今日の金融を取り巻く厳しい、また相当高度な判断を要する場合、その下に理事会を置いて、そこに専門的な方々を配置して、しっかりと農協の経営を管理していきましょうということも制度的には整備されておるわけですけれども、そういうことを本当にしっかりと、当時の法の改正の趣旨に従って農協そのものも取り組んでいく必要があると思うんですね。  そういうことを考えてみた場合に、今お聞きしますと、農協自身もそういう問題意識に燃えて、全国大会でも農協の今後のあり方等についても取り組んでいきたいという意欲を示しておられるというふうにも聞いております。また、農水省の内部でも、これから系統の改革に向けていろいろな勉強会がスタートしたというふうにも聞いておりますけれども、やはり基本的には、農協そのものが本当に組合員の期待にこたえ、また、農村地域に住む皆さん方の期待にこたえ、ひいては国民全体の期待にこたえてしっかりと改革していくということを私はやはり忘れてはならないと思います。そのあたりの基本的なお考えをお聞きしたいというふうに思っております。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 今委員がおっしゃられたように、農協系統の事業、組織の改革は、今後、基本法に基づく農業政策の推進の観点からも極めて重要である、こう認識をいたしております。今後、農協に関する法制度の見直しも必要になる可能性があると考えております。  このため、農林水産省といたしましても、経済局長の私的検討会としまして農協系統の事業・組織に関する検討会を設置しまして、積極的にこの問題に対していく、こういう考えでございます。

一川保夫自由党

○一川委員 以上で終わります。ありがとうございました。

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 次に、知久馬二三子君。

知久馬二三子社会民主党・市民連合

○知久馬委員 私は、社会民主党・市民連合の知久馬二三子でございます。  私の地元鳥取県とそれから島根県にまたがる全国有数の汽水湖であります中海の本庄工区約千五百ヘクタールを干拓する問題について、本庄工区検討委員会の報告書が出されました。私は、この件について質問をさせていただきたいと思います。  この件につきましては、きのうから、島根県の豊かな汽水域を後世に活かす市民会議の方々が、農水省、大蔵省に陳情等に上がっておられると思います。いい機会だなと思って、質問させていただきます。  平成九年度予算編成時の当時の与党三党合意により、二年間の調査の上、土地利用のあり方について総合評価を検討することになり、去る四月三日に本庄工区検討委員会から三論併記の報告書が出されました。残念ながら、この報告書は、当時の与党三党合意に基づく総合評価を行ったものとはなっていません。  先般、四月八日に、この報告書の住民説明会が松江市で開催されました。私もそれに参加してまいりましたが、住民の皆さんの真摯な質問に対して、農水省のすれ違う答弁が繰り返され、三党合意の住民への周知という点から、大きな問題を残したと思います。そこで、私は、報告書の性格づけについて明らかにしていただきたく、次のとおり質問させていただきます。  まず、この報告書の扱いについてでございますが、三論について、報道によりますと、部分干拓案について農水省は否定的にとらえているようでありますが、私も部分干拓案は大変問題が多い案だと思います。また、全面干拓案も、国と県合わせて五百二十億円の追加費用が必要となります。これも大変大きな問題です。干拓事業を中止して、宍道湖・中海の特質を生かした地域産業振興を打ち出す時期に来ているのではないかと思うのでございます。  国は本当にこの三論とも実現の可能性があると認められて、その認識に立っておられるかということについて、その真意をお聞かせいただきたいのです。国の事業である以上、国が何らかの方策を先に地元に示すべきだと考えますが、農水省としては、三論について強弱をつけて、一案に絞って島根県と協議されるのか、この点について、大臣の御答弁をお願いいたします。     〔委員長退席、松下委員長代理着席〕

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 委員が指摘をされました本庄工区検討委員会の報告書におきましては、三案併記で出しておるわけでございます。この三案につきまして、いずれも本庄工区の利用のあり方としてそれぞれの意義を有しており、担い手の確保、地方自治体の財政負担等の諸課題を解決した上で実現は可能とされておりまして、農林水産省としましては、この報告書の内容を尊重する立場であります。  今委員から、この案のうちどれか一つをもって国の結論とすべきではないか、こういう話があったわけでありますけれども、農林水産省といたしましては、あくまでもこの報告書を踏まえ、島根県と協議した上で最終的に判断をさせていただきたい、こう考えておるところであります。

知久馬二三子社会民主党・市民連合

○知久馬委員 去る四月の十四日には、鳥取県議会や米子市、境港市議会においては、干拓すると水質が悪化するし、治水に悪影響が出るので、干拓堤防の開削をしようと干拓中止を決議しております。鳥取県知事に要請することを、自民党も含めてすべての党、これは超党派で決定しているところでございます。  このことについてどのように評価されますのか。また、鳥取県知事の意見について、直接、国として知事の方から意見を聞かれるということはないでしょうか。その点について。

渡辺好明農林水産省構造改善局長

○渡辺政府参考人 今御指摘がありました事情については承知をいたしております。  一方、この問題、つまり、本庄工区の取り扱いにつきましては、三カ年間にわたって調査と検討を行ってきたわけでありますけれども、それは、そもそも平成八年三月に、島根県知事からの工事再開要請を受けて始まったものでございます。したがって、取り扱いの判断につきましても、再開要請を行われました島根県知事の御意見を聞くことが基本であるというふうに考えております。  ただ、念のため申し上げますと、平成八年の工事再開要請時に、鳥取県知事から島根県知事に対しまして一定の申し入れが行われております。今回も、島根県知事は当然こうした経緯を十分御認識の上で御判断されるものと考えております。

知久馬二三子社会民主党・市民連合

○知久馬委員 それでは続きまして、夏の概算要求までにこの最終結論を得るようにされるかどうか、具体的なスケジュールについてはいかがでしょうか、お聞きします。

渡辺好明農林水産省構造改善局長

○渡辺政府参考人 委員会の御報告をちょうだいいたしまして、四月五日に協議が開始をされたばかりでございます。先生の御質問の中にもございましたけれども、関係市町への御報告、それから住民に対する説明も行われております。  今後、島根県との協議を進めていくことになりますけれども、その前段として、まずは、島根県において県内で十分御議論をいただきたいと考えております。判断の時期でありますが、明確に言える段階ではありませんけれども、今御指摘がございました十三年度概算要求が一つの節目になるとは考えております。しかし、協議というものは、やはり念には念を入れてしっかりとやっていくつもりでおります。

知久馬二三子社会民主党・市民連合

○知久馬委員 長引けば長引くほど大変なことになると思いますので、早い時点でそのような結論を出してほしいと思うのでございます。  次に、農地造成についてお伺いしますけれども、中海干拓事業の一方で、これは平成七年までの十年間のデータですが、島根県では本庄工区の約三・六倍の六千百ヘクタールもの農地が減少しているという状況にございます。  農水大臣は、先般、農地確保の面で干拓が必要ということを島根県での自民党の政経パーティーで、何か話されたようでございますが、既存の干拓地ではキャベツを初めとする作物も計画数値を下回っています。本庄工区で干拓した農地が利用され、担い手が見つかり、営農が成り立つという認識を持たれているかどうか、その根拠みたいなものがありましたら、具体的な数値を示してほしいと思います。  それで、県が約四割を補助する営農計画の十アール当たり百六十四万円でいきますと、個人経営で農地を六ヘクタール購入する場合に、一つの農家で約一億円の費用が必要となります。今日の農業情勢で、これだけ投資してだれが営農するのでしょうか。絵にかいたもちと多くの方は本当に疑問を持っておられます。  また、報告書では、参考意見として他用途利用についても議論の俎上にのせておられるようですが、その理由についてお聞きしたいと思います。

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 私が島根県で発言したことも引用されましたので、私の方からも申し上げますが、自給率を確保し向上せしめるという上におきましては、基本的に農地が必要であるということは論をまたないと思います。  島根県におきましては六千ヘクタール、これは中山間地域を中心としてだと思いますけれども、農地の放棄がある。したがいまして、今回の基本計画の中におきましては、中山間地域の農地が全体の四〇%を占めるということからも、耕作放棄に至らないような措置を講ずるべく、中山間地域に対する直接支払い制度、こうしたものも施策の中に盛り込んでおるわけでございます。それから、さらにまた転用される農地ということも見込んだ場合におきましては、やはり農地を造成していくという努力は必要である、こういうふうに考えるわけでございます。  中海干拓地が実際に営農というような状況になった場合にどういう形でやるかということについては、構造改善局長の方から説明をさせていただきたいと存じます。

渡辺好明農林水産省構造改善局長

○渡辺政府参考人 県の農政、農業振興の方向と委員会での議論を御紹介することでお答えになるだろうと思います。  委員会の報告書の中で、県の農業を、稲作、園芸、畜産のいわゆるトライアングル農業ということでかなり高生産性の農業を行うことを意図しております。  それから、農政局や島根県が実施をいたしました調査結果によりますと、干陸面積千五百ヘクタール程度でありますけれども、これに対しまして倍近い営農の意欲が示されております。つまり、条件が整えばこの地域で生産性の高い農業をしたいという希望が多いわけでございますし、県としても、いろいろな指導であるとか公的な支援もやりたいということになっております。  委員会の中でこの議論をいたしまして、配分予定価格を既に完成をした揖屋、安来工区の農地価格並みの十アール当たり百七十万円として計算をいたしますと、一戸当たり平均で千百万円の所得が期待できるというのがこの委員会の結論でございました。もちろん、これは農地取得にかかる償還金は控除した後の数字としての議論でございました。  それから、二つ目の御質問であります他用途利用の問題でありますが、討議の中で確かに干陸地の他用途利用について御議論がございましたが、結論としては、報告書の中で、他用途利用を行う事業者との共同事業としての具体化が前提となり、共同事業者を特定できない現状では、本委員会の検討対象とすることは困難ということで、具体的な内容には及ばなかったものでございます。     〔松下委員長代理退席、委員長着席〕

知久馬二三子社会民主党・市民連合

○知久馬委員 ただいま大臣の意欲のほども聞きましたし、今の説明も聞きましたけれども、本当に百七十万借金して、今の話の中では千百万円の収入があるというような、実際にそういうことができるかということを住民の方からの声として聞かれたのだろうかなという思いがしてなりません。  中には、きょう、ちょっとお聞きした中海・宍道湖を守る国会議員の会の方からだったのですけれども、団体の方が言っておられました。美保関町では減反二十一ヘクタールというのがもう二十三ヘクタールもするんだというようなことで、これだけ農業離れがしている現状を見て、本当にこの干拓事業が有効なものかどうかをやはり考えるべきではないかなと思います。  続きまして、今度は環境保全についてお伺いします。中海につながる宍道湖では、ここ数年水質悪化が進行して、住民から堤防開削の声が強く上がっているようです。水質保全の立場から、本庄工区の堤防開削という意見をどう考えておられますのでしょうか。また、堤防開削と中浦水門の操作を組み合わせたシミュレーションでは、中海の貧酸素水塊が移動して水質改善がされるという結果が出ているということですが、これについてはどうでしょうか。  この図面が、わからないと思いますけれども、これが中海なんですけれども、こことこことこの水門をあけさえすれば、中海も宍道湖も大変きれいな水になるということが言われているわけなんです。その辺についてお伺いします。

渡辺好明農林水産省構造改善局長

○渡辺政府参考人 二つございましたので、まず堤防開削の問題からお答えをいたします。  本庄工区検討委員会では、ケースを二つ設けまして、一つは堤防開削をして本庄工区を水産利用する場合、それから二つ目には開削をしないで農業をする場合、この二つのケースについて水質の予測結果を出しましてこれを議論したわけでございます。その結果、堤防開削の有無は、本庄工区以外の宍道湖・中海の水質にほとんど影響を与えないというのがこの委員会の結論でございました。  ただ、いずれにいたしましても、この本庄工区の取り扱いにつきましては、島根県の意見をお聞きしているところでございまして、その中で堤防の取り扱いについても総合的に判断をしていくということになろうかと思います。  それから、本庄工区の堤防開削と中浦水門の操作を伴う水質シミュレーション、これによる水質改善の効果なんですが、確かに、この水質予測結果では、本庄工区を含む中海全体の貧酸素水対策については一定の効果があるという結果が得られておりますが、一方で中海全体の塩分濃度が下層で均一化をする傾向が見られたわけでございます。また、この検討委員会の報告書では、「中浦水門の操作は、漁業や生態系に及ぼす影響の把握、費用負担を含めた維持管理上の課題、関係機関との調整等広範な課題を抱えていることを十分認識しておくことが必要である。」とされております。  結論的に申しますと、中浦水門の操作は、貧酸素水対策の面から見れば一定の効果はございますが、塩分濃度が下層で均一化をいたしますので、宍道湖・中海の生態系に影響を与えるおそれがあると考えられます。その取り扱いにつきましては、慎重を期する必要があると考えます。

知久馬二三子社会民主党・市民連合

○知久馬委員 これも、十九年前に堤防ができたそうです。年を追うごとに、宍道湖等に住んでいるシジミとか、コノシロなど大量な魚が死んでいるという現状があるんです。やはりそれは本当に水質が汚染しておるということだろうと思います。そういうようなことの中で、しっかりとその辺は調査をしながら、私はやはりもとの環境に戻すということが一番大切なことだろうという思いがいたしております。  次に、住民の説明会についてお伺いしたいと思います。  まず、冒頭にも触れましたけれども、先般行われました説明会では、形を整え意見を聞くだけのものであったと思うのです。三党合意をしておりました当時の判断も含めて、幅広く住民に周知するという趣旨には外れていたと思うのです。そのときの質問時間も少なく、住民の皆さんは本当に大変評価を低くしておられました。再度説明会を開き住民の声を聞くべきだと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

渡辺好明農林水産省構造改善局長

○渡辺政府参考人 今回の説明会は、二年間の調査結果と、委員会報告の内容を直接、住民の方々に周知をするために開催をいたしました。  先生のお話の中にありましたように、一部の説明会場において、想定した質疑時間を超えて質問が寄せられましたために、説明会の時間を延長するなどできる限りの対応を図りましたが、それでもなお対応できなかった質問につきましては、質問票を配布いたしまして後日お答えをすることといたしました。  なお、再度の住民説明会ということでございますけれども、市町それから県において説明会の要望を集約していただければ、私どもは説明会に出向くことはやぶさかではございません。

知久馬二三子社会民主党・市民連合

○知久馬委員 確かに市町村では受けられますけれども、なかなか行政の立場では、推進する立場となれば、やはりそのような条件のいい方に向けられるということがありますので、本当に直接に市民の声を聞かれる機会をつくってほしいということを希望しておきます。  次に、干拓事業と治水事業の整合性についてお伺いしたいと思います。鳥取県民や松江市民の皆さんは、治水の面でも大変心配しておられます。ここに写真があるのですけれども、この写真は九八年の十月に写されたものです。松江市の意宇川の周辺なんですけれども、そこの中で田畑に冠水しておる状況が見られます。それで、なかなか水も引かないという状況があります。そういうことで、松江市とか島根県の特産でありますキャベツ等にしましても、みんな冠水している状態であるというようなこともお伺いしておるのです。本当にこういうことがありますので、幾ら護岸のかさ上げをしても治水問題の解決にはならないということを言っておられます。地元住民は、干拓事業の影響、干拓堤防が原因ではないかということで大きな疑念を持っておられます。  既に干拓された揖屋工区でも、今お見せしましたように、少しの雨でも本当に冠水しているという状況でございます。先がたも言いましたように、キャベツ等も根腐れして、特に今ビニールハウス等はそういうことで根腐れしておる状況でございます。排水ポンプ等を使っても、塩分を排出するために、たびたび故障しており、地元負担、受益者負担も莫大なものになっているということです。  治水は、建設省の管轄で、現在斐伊川、神戸川治水計画が進められていますけれども、大橋川の拡幅を含めて、住民の理解を得るようになっていないのではないかと思われますが、この点についてはいかがでしょうか。干拓事業と治水事業の整合性がとれていないのではないかと思われますが、いま一度調査の必要があるのではないかと思いますけれども、その点についてお願いします。

高橋健文建設省河川局次長

○高橋政府参考人 お答えいたします。  中海周辺を含みます斐伊川水系の治水事業は、干拓計画によりまして中海の面積が減ること、そして境水道の掘削により河道が確保されていること、こういったことを前提として立ててございますので、両事業は整合性のある形で進められていると考えております。  また、斐伊川や神戸川におきます治水計画は、上流の二つのダム、斐伊川から神戸川を経由して日本海に放流する斐伊川放水路、そして、中海と宍道湖の湖岸堤整備と両湖を結ぶ大橋川改修、通称、いわゆる三点セットを基本とする上下流域が一体となったものでございます。この治水計画につきましては、鳥取、島根の両県、さらに両県の県議会、関係市町村及び関係の市町村の議会等へも説明いたしております。また、一般住民の方への説明だとか、テレビの放送等を通じまして理解が得られるように努めてきたところでございます。  また、議員御指摘の意宇川河口周辺や八幡川につきましては、意宇川河口の建設省管理区間、いわゆる直轄管理区間につきましては、建設省が護岸整備を進めてきたところでございます。県管理区間の八幡川合流地点につきましては、被害の実態を踏まえまして、島根県において今後対策を検討していくと聞いております。  次に、大橋川改修につきましては、下流の鳥取側の一部で理解を得られていないものの、斐伊川全体の治水安全度の向上のために必要な事業でございます。関係住民の理解を得て、今後とも斐伊川、神戸川の治水対策に万全を期してまいりたいと考えております。

知久馬二三子社会民主党・市民連合

○知久馬委員 ぜひとも連携をとりながら進めていただきたいと思います。  もう時間が来ましたので、最後に一言だけ、答弁は要りませんので、私の、ちょっとあれを言わせていただきます。  この件につきましては、全面干陸案、干陸しない案、部分干陸案の三案が報告書に併記されています。優劣がつけられなかった現段階において、国のとるべき最良の策は、この国営干拓事業本庄工区を廃棄して、地方分権時代にふさわしく、今後の地域発展についての意思決定を地方に任せることではないでしょうか。  農水省は、中海干拓事業本庄工区を正式に廃棄し、堤防の開削と架橋工事など水質保全の後処理をして、撤退することがよいと思います。そうすれば、地元は、英知を集めて、環境と調和する新しい持続可能な発展の道を踏まれるのではないかと思いますので、ぜひとも考えてほしいと思います。  以上で終わります。

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、農水産業協同組合貯金保険法及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の一部を改正する法律案について議事を進めます。  これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。藤田スミ君。

藤田スミ日本共産党

○藤田(ス)委員 私は、日本共産党を代表して、農水産業協同組合貯金保険法及び農林中央金庫と信用農業協同組合連合会との合併等に関する法律の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。  反対する第一の理由は、本法案が、ペイオフ解禁の延期を口実として、大銀行等に国民の税金を投入する仕組みをさらに広げる預金保険法改悪と横並びで、農漁協系統金融機関についても貯金保険機構に財政資金を直接投入する恒久的制度を新たに創設することであり、さらに金融ビッグバンに対応するための法整備を進めることであります。  金融ビッグバンは、大銀行の要求に沿って金融規制の全面緩和と自由化を進め、農漁協系統を含む中小金融機関を大銀行との激しい競争に追い込んでその整理、淘汰を促進し、少数の巨大金融機関による経済と国民生活への支配を徹底させるものであります。  第二に、改正内容には、貯金保険機構による優先出資の引き受け、債権回収会社への業務委託や公的管理人制度の導入など、農水産業協同組合という協同組織のあり方から見て問題のある仕組みが含まれていることです。  今、貯金保険機構の財務内容は健全であり、相互援助制度とあわせ、当面の経営困難組合の救済には現行の仕組みで十分対応できることは、関係者が共通して認めています。  もとより、我が党は、農漁協系統金融機関が独自のセーフティーネットを構築して、系統内部で救済、支援を強化する措置をとることには反対するものではありません。  なお、この際、あわせて、農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律案については、信用事業を行う農協等の破綻に際して、早期かつ迅速に対処するための法整備で、多数に上る貯金者を保護するものであり、賛成いたします。  最後に、農水産業協同組合の信用事業の目的は、一般の金融機関からは敬遠されがちな組合員が、お互いに貯金し合い、貸し付けし合う相互金融によって営農と生活の改善、向上を図ることであり、この本来の目的に沿った組織と活動を強化することこそが求められていることを強調して、私の討論を終わります。

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 これにて本案に対する討論は終局いたしました。     —————————————

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 これより採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、農水産業協同組合の再生手続の特例等に関する法律案について議事を進めます。  これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 次に、内閣提出、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案、砂糖の価格安定等に関する法律及び農畜産業振興事業団法の一部を改正する法律案並びに内閣提出、参議院送付、食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案及び漁港法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。農林水産大臣玉沢徳一郎君。     —————————————  加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案  砂糖の価格安定等に関する法律及び農畜産業振興事業団法の一部を改正する法律案  食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案  漁港法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

玉沢徳一郎自由民主党農林水産大臣

○玉沢国務大臣 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  我が国酪農及びその関連産業につきましては、牛乳、乳製品の安定供給の基盤をなすものとして、また、地域の経済社会を支える基幹産業として重要な役割を有していることにかんがみ、これまで、いわゆる不足払い方式により加工原料乳に係る生産者補給金を交付する等の措置を講ずることにより、これらの健全な発達を促進し、あわせて国民の食生活の改善を図ってきたところであります。  しかしながら、この仕組みは、市場評価にかかわらず加工原料乳について一定水準の手取りが確保されるものであることから、生産者及び生産者団体の生産、販売努力が促進されにくいものとなっております。  このような状況を踏まえ、消費者、乳業者等のニーズを生産者に伝達し、需要の動向に応じた加工原料乳の生産を促進することを通じて、我が国酪農及びその関連産業のさらなる発展を確保するため、市場評価が生産者手取りに的確に反映されるよう生産者補給金制度を見直すこととし、本法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、生産者補給金について、生産費の水準である保証価格と乳業者が支払い可能な水準である基準取引価格との差額を不足払いする方式を改め、前年度に定める一定の単価により生産者補給金を交付する方式とすることとしております。なお、生産者補給金の交付は価格低落が生乳の生産者の経営に及ぼす影響を緩和するための積立金制度の対象とされる加工原料乳について行うこととしております。  第二に、不足払い方式の見直しに伴う行政価格の廃止とあわせて、農畜産業振興事業団による国内産の指定乳製品の買い入れ及び農林水産大臣または都道府県知事による加工原料乳の取引に係る勧告を廃止するとともに、農畜産業振興事業団による外国産乳製品の輸入及び売り渡しについて所要の規定の整備を行うこととしております。  このほか、生乳の生産事情及び流通事情の変化を踏まえ、都道府県の区域を超える生乳生産者団体の指定を農林水産大臣が行うこととする等の措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  続きまして、砂糖の価格安定等に関する法律及び農畜産業振興事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  砂糖は、食生活の面においても食品産業の原材料としても必要不可欠であるとともに、甘味資源作物であるてん菜やサトウキビは、地域農業及び地域経済において重要な地位を占めております。これまで、砂糖の価格安定等に関する法律により、砂糖の価格の安定を図るとともに、国内産糖に係る関連産業の健全な発展を促進し、甘味資源作物に係る農業所得の確保と国民生活の安定を図ってきたところであります。  しかしながら、近年、国際糖価が低位で安定している中で、消費者及び食品産業からの砂糖の内外価格差の縮小の要請が強まるとともに、砂糖需要の減少に伴い、輸入粗糖が減少し、その負担する調整金の単価が上昇するなど、現行の糖価安定制度の円滑な運営に支障が生じてきております。  このような状況を踏まえ、糖価の引き下げにより砂糖の需要の拡大を目指すとともに、輸入糖と国内産糖の適切な価格調整及び市場原理の円滑な活用を図りつつ、甘味資源作物生産者の経営の安定及び砂糖製造事業の健全な発展を促進することが必要となっていることから、今回この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容について御説明申し上げます。  第一に、糖価の低下を図る上で制約となっている安定上下限価格制度を廃止し、これに伴い、法律の目的の規定を改めるとともに、題名を砂糖の価格調整に関する法律とすることとしております。  第二に、国内産糖の原料であるてん菜及びサトウキビについては、最低生産者価格制度を維持し、その算定は、甘味資源作物の生産費その他の生産条件、砂糖の需給事情等を参酌し、再生産を確保することを旨として定めることとしております。  第三に、国内産糖については、市場原理の活用を図りつつ、農畜産業振興事業団の買い入れ及び売り戻しの方式を廃止し、交付金を交付する方式に改めることとしております。  第四に、砂糖の生産の合理化と砂糖の需要の拡大を緊急に図るため、輸入に係る指定糖等の売り戻しの価格の特例措置を三年間に限り講ずるとともに、農畜産業振興事業団に、当分の間、糖価安定資金を引き継ぐ砂糖生産振興資金を設置し、これを財源として、当該売り戻し価格の特例措置を含め、砂糖等の生産の振興に資するための措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  続きまして、食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  食品産業は、国民生活に不可欠な食品を消費者に安定的に供給するという重要な役割を果たしており、食料・農業・農村基本法においても、その健全な発展を図るため、事業基盤の強化、農業との連携の推進、流通の合理化等の施策を講ずることとされているところであります。  このため、食品産業と農林漁業との連携の強化、卸売市場の活性化及び食品産業の技術開発力の強化を図るための施策を講ずることとし、今回この法律案を提出することとした次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、食品生産販売提携事業の拡充であります。  現行の食品生産販売提携事業を拡充し、原材料である農林水産物を含む食品の生産から製造または加工に至る一連の流通行程を改善するため、食品製造業者等と農林漁業者等との間の連携の推進及びそのために必要な農林漁業施設の整備等の措置を追加するものであります。  第二に、卸売市場機能高度化事業の拡充であります。  現行の卸売市場機能高度化事業を拡充し、卸売市場の開設者が、他の卸売市場の開設者と連携して卸売市場の活性化を図る事業を追加するものであります。  第三に、新技術研究開発事業の創設であります。  食品製造業者等、食品製造事業協同組合等または農業協同組合等が、食品の流通の円滑化等に資する新技術の研究開発を実施する事業を新技術研究開発事業として創設するものであります。  第四に、構造改善事業の実施に対する支援措置であります。  構造改善事業の実施に当たり、農林漁業金融公庫から長期かつ低利の資金の貸し付けを行うとともに、食品の流通の円滑化等に資する新技術の研究開発を実施するに当たっての税制の特例措置を講ずるものであります。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  続きまして、漁港法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  我が国水産業の基盤である漁港は、国民に対する食料の安定的供給を図る上で欠かすことのできない重要な役割を担っております。  他方、このような漁港の重要性に十分配慮しつつ、地方公共団体による主体的かつ効率的な漁港の整備及び維持管理を可能とすることが地方分権の推進を図る観点から重要となってきております。  このため、平成十年五月の地方分権推進計画におきましても、漁港法における国と地方公共団体との役割分担のあり方について、「国民への水産物の安定供給、水産資源の適正管理等の観点にも留意し、抜本的に見直す」こととされたところであります。  また、近年の海洋性レクリエーションの普及に伴い、漁港におけるプレジャーボート等の無秩序な放置等が全国的に増加する等、漁港の適正な維持管理を図る観点からの問題が生じているところであります。  これらの状況に適切に対処するため、地方分権の推進を図る観点からは、漁港の指定権限の一部を市町村長及び都道府県知事へ移譲する等の措置を講ずるほか、漁港の適正な維持管理を図る観点からは、漁港の区域内における船舶等の放置等を規制するとともに、放置された船舶等の所有者等を確知できない場合であっても当該船舶等の処分を行うことができる制度を設けることとし、この法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、これまですべての漁港について農林水産大臣が指定しておりましたが、今後は、第一種漁港については市町村長が、第二種漁港については都道府県知事が、その区域について農林水産大臣の認可を受けて指定することとし、第三種漁港及び第四種漁港については、引き続き農林水産大臣が指定することを原則とすることとしております。  第二に、漁港の区域のうち漁港管理者が指定した区域内において、みだりに船舶等を放置すること等を禁止するほか、漁港管理者が放置された船舶等の除却命令等を命ずべき者を確知できない場合であっても、当該措置を漁港管理者みずからが行うことができるようにする等の手続を整備することとしております。  以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

松岡利勝自由民主党

○松岡委員長 これにて各案の趣旨の説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十分散会

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