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147回国会衆議院2000/02/22

大蔵委員会 第2号

発言数
104
登壇者
17
会派数
6
開催日
2000/02/22

会議録

金子一義自由民主党

○金子委員長 これより会議を開きます。  この際、一言申し上げます。  先日の大臣所信聴取の際は、委員長としても努力いたしましたが、結果的に円満な形とならなかったことは遺憾に存じます。  委員長といたしましては、引き続き与野党の円満な御協議をいただき、そのもとに委員会運営を進めてまいりたいと思っております。      ————◇—————

金子一義自由民主党

○金子委員長 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。  この際、お諮りいたします。  各件調査のため、本日、政府参考人として外務大臣官房長阿部知之君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、金融監督庁監督部長乾文男君、法務省刑事局長古田佑紀君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子一義自由民主党

○金子委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————

金子一義自由民主党

○金子委員長 財政金融の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜田義孝君。

桜田義孝自由民主党

○桜田委員 自由民主党の桜田義孝でございます。  東京都の外形標準課税の導入をめぐっての件と、国家財政と地方財政のバランス、この二点を中心に質問させていただきたいと思います。  今、東京都の石原知事が導入を予定しております一部銀行に対する外形標準課税が非常に話題をにぎわしているところでありますが、この問題につきましては、一部業種のみを対象として税の公平性原則に反するとか、金融システムの安定性を懸命に確保しようとしている現在の政府の金融政策と明らかに矛盾するとか、いろいろな批判もあるところでありますが、私自身は、国と地方の財政、税制の問題という点から貴重な一石を投じたということで、高く評価をしているところであります。  中央政府の顔色ばかりを気にする他の自治体の知事ではなかなかできなかったのではないだろうか。現に全国知事会で、外形標準課税については実施をする方向なのに一向に実施されない。これは明らかに自主性の欠如であります。また私は、これらの東京都の決定に対して、中央政府としては、一連の動きについて、せっかく出ている地方分権の芽を摘むような発言は厳に慎むべきであると考えております。  石原知事が銀行への外形標準税制導入を決断した理由として、東京都が財政危機に陥っても国は何もしてくれない、東京を預かる身として、みずから考え、決断したのだということをマスメディア等で随分流しております。  そこで、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思いますが、平成十二年度末には借入残高百八十七兆円、公債負担比率一五%以上の危険団体が全国の約六割を占めるという段階で、現在の地方財政の危機的状況において、天下国家の台所を預かる大蔵大臣として、どのような認識を持っておられるか。また、今後具体的にどのような対策を検討しておられるか、お伺いしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 確かに御指摘のとおり、ただいま国の財政も危機的状況にございますが、地方も、あるいはそれ以上に非常に困難な財政状況にございます。それは実は、このたびの御審議いただいている予算の前の、十一年度の予算編成のときに一番苦労いたしましたのは、地方財政の問題でございました。御審議いただきましたように、かなりいろいろ思い切ったことをいたしまして、地方とか国とかいうことではなく、共通の問題として、とにかく苦労は両方で分かち合おうというようなことで、十一年度の予算を御承知のように編成いたしましたし、このたびも、それと同じフォーミュラでお互いに相談してやっておりまして、こういう状況は余り長く続けられないような、実はいろいろな苦労をやっております。  したがいまして、国が財政再建をしなければならないということを皆様おっしゃいます。その時期が必ず参りますが、そのときには、地方もどうしても一緒に、国と地方の行財政、今まさに御指摘のような問題も、行政、財政、税源等々、みんな一緒にしまして考え直さなければならないような状況でございます。

桜田義孝自由民主党

○桜田委員 今回の問題に端を発しまして、私が改めて考えさせられるのは、国家財政と地方財政のバランスでございます。  現在、我が国では最終支出ベースでは国と地方の比率がおおむね一対二になっておりますが、これに対して、国税と地方税という点におきましては全く逆でありまして、租税収入の配分においては二対一と逆転しているところであります。こういった最終支出と税源配分の間に大きな乖離が存在しているところであります。  地方税と同じくらいのお金が地方交付税と国庫支出金として国から地方へ移転されているような状況の中、私は、地方交付税交付金や国庫支出金の趣旨を全面的に否定するものではありませんが、諸外国でも例を見ないこのバランスの悪さという点においては、問題があるのではないかというふうに認識しております。また、一回政府に税収として入ってから地方に移転するという過程にはさまざまな非効率が存在すると思いますし、地方の中央依存体質というものを助長するものではないかというふうに考えております。  このような財政移転制度というものを前提としますと、どうしても国頼み、甘えというものが発生してしまいますので、私は、地方公共団体が地方政府として、もっと自分たちの考えで実行できるような環境をつくることが必要ではないかというふうに考えておりますし、それが財政構造改革の基本のように思います。  さきに質問した地方財政危機の問題も、大臣も財政演説の中で触れられているように、地方交付税等の手厚い確保という対症療法的な対応ではなくて、地方公共団体の自己決定権と自己責任という形で、財政移転制度全般の見直しということを考える必要があるのではないだろうかというふうに認識しております。地方のことは地方の公共団体が一番よく知っているのではないだろうかというふうに思いますし、そうすることによって自主的な知恵が地方にも発生しますので、国家全体としては望ましい国づくりというものができるのではないだろうかというふうに考えております。  そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのですが、財政移転の問題につきましては、私は、国家による政策と地方による政策、財政分担のあり方全般を幅広く見直す時期に来ているのではないだろうか。それが地方分権ということを後押しするためにも最も適切であるし、行財政改革ということにつきましても一番有効であると考えておりますが、その点いかがでございましょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 今の中央と地方の財政関係は、基本的には昭和二十四年にシャウプが来まして、シャウプ勧告で、あのときに地方平衡交付金でございましたか、ああいう発想が出まして、これは考え方は、みんな国が焦土と化しておりましたので、地方に対しても財源がない。したがって、国全体にシビルミニマムを、ひとつやはり最低のものはつくらなければならない、そういう思想であったと思いますが、それが余り大きな変化なくきょうに及んでいまして、きょうはもうシビルミニマムなんというものはどの地方でもある程度のものは持っておりますから、あの当時のことと様子は全く違っております。その上に地方がおのおのの自分の文化というものを持ち、そういうような状況になっていますから、もうあのときの発想というものは実は非常に古いものになっている、しかしかわりのものは出てきていないということでございます。  それで、先ほど地方財政のお話から始まりましたが、実は地方財政のお話というのは地方の行政の話でもありまして、両方を別々にどうかすることはできない、全部を合わせて行財政、中央と地方と、全部もう一遍新しい目で見直すというようなことでありませんと財政改革すらできない、そういう状況であると思いますから、私は委員と認識を同じくしております。

桜田義孝自由民主党

○桜田委員 それと、地方自治では、例えば全国市町村民税収に占める、昭和二十五年には一八・三%もあった市町村民税の均等割なんかがあるのですが、それが平成八年には一・八%になってしまったということで、地方自治体においては、自主的に財源を確保する努力というものが欠けているように思うのですが、そういった点も踏まえてお答え願えればありがたいなと思っております。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 今の状況はまさに桜田委員のおっしゃいましたようなことでございまして、殊に昨今になりますとそうでございますが、私は、一言で言いまして、憲法の中で一番できていないのは地方自治ではないか。それは、できるようになっていないわけでございますから。やはりそれだけの財源を持ち、自分のアイデアでやらなければならない、そういう意欲はあってもそれだけの仕組みができていないというのが現状だと思います。  ですから、例えば、国と申しますか、こういう経済状況で公共事業をみんなお願いしたいといっても、単独事業はもう地方としては実はとてもやれないというのが正直の県が多いのでございますから、まことにどうもこういう状況は長く続けているわけにはいかない、国全体としましても、地方自治のためにも長く続けることはできないだろうと思います。

桜田義孝自由民主党

○桜田委員 どうもありがとうございます。質問を終わりにいたします。

金子一義自由民主党

○金子委員長 次に、若松謙維君。

若松謙維公明党・改革クラブ

○若松委員 公明党・改革クラブを代表して質問させていただきます。  先ほど同僚議員が質問しました石原新税につきまして、まず自治省、そして宮澤大蔵大臣に聞きたいと思うのです。  今回の石原新税に関して、地方の自主財源、これについては、地方自治体がさまざまな運動を通して、自主財源を認めろという要望があったわけですけれども、今回の議論でわかったことは、結局地方自治体に自主財源はあったわけなのですね。自主財源は自分の条例なりで導入することができる。ですから、今まで地方自治体が自主財源を要求してきたのは、ある意味で間違いであって、自主財源はそもそも地方自治体に付されていたのだ、そう理解されるわけですけれども、自治省、どうお考えですか。

平林鴻三自由民主党自治政務次官

○平林政務次官 地方の自主財源というのは、おっしゃるようにいろいろな方法で確保すべきものだと思っておりますが、これは地方によりまして随分と自主財源の存在が偏在をしておるということもございますので、我々としては極力、地方の自主財源を、税とそれから例の地方交付税などでございますが、そういうものを併用しながら確保していきたいということでございます。

若松謙維公明党・改革クラブ

○若松委員 大蔵大臣、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 石原知事のお考えに対しては閣内でもいろいろ意見がございましたので、調整をして、本日、閣議了解で政府としての見解を出しましたことは御承知のとおりと思います。これは繰り返しません。  したがいまして、幾つかの疑問点はあると思いますが、ひとつそれを、石原知事におかれても慎重な対応をしていただきたい、こういうことを閣議として決めております。  いろいろ、おのおのの意見がございますが、私にもございますけれども、これは閣議で見解として調整をいたしましたので、個人の意見は申しません。

若松謙維公明党・改革クラブ

○若松委員 それでは、自治省にまたお聞きします。  きょうの閣議の口頭了解の話は聞いております。ただ、大方の意見としては、基本的に、地方自治体の自主財源の確保というのは一応法的には枠組みとしてある。では国は、現在国の財源を地方に移譲できるかというと、それも実際できない。ということであれば、この事実を認めて、これからの自治体はまさに自主財源、この認められている自主財源というところをしっかり確保して、地方自治として必要なものはどんどん自分たちの住民に説明して、納得してもらって、それで自主財源を求めていく、こういったあり方というのはまじめな、真っ当な議論ではないかと思いますけれども、いかがですか、自治省として。

平林鴻三自由民主党自治政務次官

○平林政務次官 自主財源の中で特に根幹をなしますものは地方税でございますが、地方税はもちろん租税法定主義でございますから、基本は法律で定めるべきもの、そのように考えるべきであろうと思います。その基本で運用いたしまして、各地域の特性に応じて、このたびの東京都の外形標準課税というようなことも考える、そういう法律制度ができておりますから、そういうものを活用しながら地方税を確保していくということは理解できるわけでございます。

若松謙維公明党・改革クラブ

○若松委員 ということは、今の政務次官のお話ですと、基本的に地方それぞれの工夫した自主財源は認めるということですよね。  ですから、今回はこの石原新税で、ある意味で既成事実になりましたので、国が面倒を見なくてはいけないとか、地方自治体が国に引き続き要望するとかという、何か子供みたいな議論をもうやめて、国の置かれている状況、そして地方自治体の自主性、そういったところで大蔵省としても真剣に一つの考え方というものをこの際早急につくるべきだと思うのですけれども、大蔵大臣、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 大きな方向としてはもうそれしかないと思っておりまして、先ほど申し上げましたように、ただいま御審議いただいております予算の中でも、地方財政対策というのはかなりもう異例なことをいたしまして、やれることは全部やっております。次の年度にもう一遍これをやれということになりましても、なかなかお互いに苦労のあることでございますから、もうここまで来ますと、中央、地方を一遍全部見直す、そういうことしか方向がないように思います。  したがいまして、それは、いわゆる財政改革というのは、中央、地方、どうしても切り離してやることはできないし、また財政と行政も恐らく、税制もそうですが、切り離すことができないのではないかというくらい事態は深刻であるし、根本的な見直しを必要としております。

若松謙維公明党・改革クラブ

○若松委員 それでは、越智委員長にお聞きしたいのです。  私は別に金融機関を擁護するわけじゃないのですけれども、金融機関だって基本的には、民間じゃないものもありますけれども、企業なわけですよね。彼らも生き残りをかけなくちゃいけない。今回、都がこういう形で新税をかけてきた。であるならば、例えばバックアップオフィスとかコンピューター施設とか手形交換所とかさまざまな施設をどんどん東京外にと、私が経営コンサルタントなら銀行にそうアドバイスしますよ。東京都はある意味では空洞化させる。それは仕方がないですよ、石原知事がそんなことをやるわけですから。世界の常識だったら、こんなことをやったら企業はどんどん離れていきますよね。  もし金融機関がそういう状況になった場合に、東京をどんどん離れて、本当に、ある意味では本店移転、さらにはバックアップオフィスがどんどん東京都外に行く、そういった動きに対しては、金融監督庁としては別にこれを足どめしてはいけないと思うのですけれども、委員長はどういうお考えですか。

越智通雄自由民主党金融再生委員会委員長

○越智国務大臣 ちょっと一言申し上げさせていただきますが、今回の石原提案は新税と考えておりません。法人事業税という地方税法七十二条に基づくものの課税標準を、要するに課税対象を所得から所得計算上の中間に出てくる業務粗利益、いわゆる粗利に切りかえたということと、所得に九・何%が銀行の場合にはかかっておりましたが、それを三%という分に変えたという変化でございます。  金融機関としては、従来の法律に基づく負担で経営の計画を立てておりました。また、私ども金融行政当局としても、それを前提に健全化計画を認めてまいりましたので、その変更が経営に与える影響は大変大きいと思っておりますが、だといって店舗を急に動かせるというものではございませんから、これから先はむしろ店舗の無人化は進んでまいりますけれども、このことのために、石原提案のために銀行自身が店舗展開を急速に変えるということは余り予想されない事態だと思っております。  なお、それ以上のことは、やはりこの税が実際に施行されるならば、まだ都議会の提案も行われておりません、あしたからの都議会で約四十日間の議論があるものと理解しておりますが、その間に都民の代表である都議会議員の方々がこのものをお認めなさるならば、その上で各銀行が経営上の判断をされるもの、このように思っておりまして、監督庁としてあるいは再生委員会として、それに即応してどうこうしろということを申し上げるつもりはございません。

若松謙維公明党・改革クラブ

○若松委員 わかりました。  せっかくですから、簡単に。外務省を呼んでいますので。  今回の、二月十八日の読売新聞ですけれども、「米大使館日本人職員二百六十人 五十数億円申告漏れ」、これは当然在外公館ですから治外法権ですけれども、職員自体は日本人ですから、やはりこういった何かそれを利用するような形の脱税は非常に厳しく問われるべきだと思うのですけれども、大蔵省なかんずく国税庁の対応はいかがでしょうか。それを聞いて終わります。

大野功統自由民主党大蔵政務次官

○大野(功)政務次官 まず第一に、大使館は所得税の源泉徴収者ではございません。これは法律にはっきり書いてあるわけではありませんけれども、国際礼譲でありますし、またウィーン条約に基づくものでもございます。  問題は、徴収義務者じゃありませんから、では所得税はどうするんだと。税務当局といたしましては、資料収集に十分努め、また申告もにらみながら、もし問題ありとすれば調査をして厳正にやっていくつもりでございます。

若松謙維公明党・改革クラブ

○若松委員 ありがとうございました。終わります。

金子一義自由民主党

○金子委員長 次に、鈴木淑夫君。

鈴木淑夫自由党

○鈴木(淑)委員 自由党の鈴木でございます。  時間が限られておりますので、大蔵大臣及び金融再生委員長との間で一つずつ問題を取り上げて質疑をさせていただきたいと思います。  まず、宮澤大蔵大臣との間で質疑をさせていただきたい問題は、政府が提出されました財政の中期展望についてでございます。率直に言いまして、私はこの財政の中期展望は少なくとも二つの点で大変問題を含んでいるというふうに思います。  一つは、政策当局が出す展望とか見通しというものは、本来、その政策当局の政策意思、とろうと思っている政策の効果を織り込んだ展望でなければならない。  例えば経済見通しなんかはそうですよね。経済見通しといっておりますが、とろうとしている政策、その効果によって来年度の経済がどうなるかという事実上の予測が入ったものであります。それから、例えば海外でも米国の政府が出します、あるいは議会が出します財政の展望というのも、すべて今後の租税政策あるいは財政支出カットの方針等が入った政策意思が入っており、しかもその効果について政府としてはこう見るんだというのが財政収支の見通しでございます。  ところが、これは全然そういう政策意思が入っていなくて、過去十年間の平均によれば成長率が三・五%で、長期金利が四・五%で、そして租税の所得弾性値が一・一だ、それだけでやっているわけですね。  ところが、政府がこれを出したということになりますと、新聞も書き立てますし、もちろん国会では野党の皆さんがこれを取り上げて質問しますし、それがそのまま海外に流れます。そういたしますと、海外から見ている人たちは、例えば米国の人であれば、自分の国の政府あるいは議会が出している財政収支の見通しと同じ性格のものだと思っちゃいますから、何だ、日本政府はこんな赤字がどんどん拡大していくということを放置する政策スタンスか、こういうふうに見てしまうわけですね。その結果、ムーディーズが日本の国債の格下げをするというような話にまで発展してしまう。これは、そういう意味では大変ゆゆしき事態であります。  どうして政府は政策意思の入った、政策効果を織り込んだ中期展望をお出しにならないのか、これが質問の第一点でございます。  時間がないのでまとめて申しますが、第二点目は、仮にこれは純粋な中期展望だとしても、私はとてもこれは経済予測として合格点を上げられるようなものではないというふうに思っております。  おどろおどろしい字がたくさん並んでおりまして、結論として財政赤字は拡大すると書いてありますが、実はこんな簡単な予測はないんですね。キーバリアブルといいますか、キーになっている変数はたったの三つしかないわけであります。成長率と弾性値と金利水準です。成長率が三・五のとき金利が四・五で弾性値が一・一だといえば、だれが算術したって赤字は拡大するに決まっているんですよ。もう最初から答えがわかった数字なんですね。ところが、これは五年間でしょう。五年間の予測をするときに景気変動を頭に入れない、そんな予測というのはあり得ないんですね。  宮澤大臣、予算委員会でちらっとおっしゃっていたように思いますけれども、早い話が、租税の弾性値一・一というのは過去において十年間平均すれば一・一ですが、この弾性値ぐらい循環変動するものはないわけですね。三になった記憶があると、たしか大臣おっしゃいました。そんなべらぼうなことにならないまでも、租税の弾性値というのは景気回復期には二を超えるぐらいのことは起こり得るし、少なくとも一・五を上回っていきますでしょうね。そういうことが全然入っていない。  それから、金利水準についても、平気で四・五などとこの低金利時代に言っている。ついこの間、一九九五年度と九六年度、御承知のように日本経済ちょっと回復しましたね。あのときは御承知のように九五年度が三・〇%成長、九六年度が四・四%成長です。そのとき長期金利がどのくらいの水準にいたか御存じですか。ちょっと統計を見ればすぐわかることです。クーポンレートは二・九ですよ。それで市場レートは三・一だった。二・九よりちょっと高いこともあったけれども、九六年度などは逆に下がっていますね。  つまり、現在、経済予測をするといえば、景気を回復させるんだという政策意思が入って経済予測をするのであったら、弾性値は一・一より当然高くなきゃいけないし、今の状況からいって、長期金利が四・五なんて、こんなおかしなもの置くなということになりますよ。成長率の三・五は必ずしも高過ぎないんですよ。景気回復期には、さっきも言いましたように、ついこの間、九五年度三・〇、九六年度四・四なんですからね。そうすると、成長率はおかしくなくて、弾性値と金利水準だけおかしい、こんなばかげたものをお出しになって、その結果、日本の政府の政策意思、政策スタンスが疑われて日本の国債の格付が下がる、あほらしいことをしているものだと私は思います。  それで宮澤大臣に質問申し上げるわけですが、こんなばかみたいなものは百害あって一利ないから、おやめになりませんか。お出しになるのをおやめになりませんか。あるいは、野党の皆さんがどうしても出せと言ったら、政策意思の入ったものをお出しになったらいいですよね。この二つに一つだと思う。政策意思が入ったものを出して、野党の皆さんがこの予測は違うとおっしゃったら、それこそディベートをしたらいいのですからね。どうでしょう、その二つに一つがよろしいと思いますが、宮澤大臣のお答えをちょうだいしたい と思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 あの資料は、最初に、昭和五十六年に予算委員会の御要請がありまして、機械的なものでいいということで御提出をいたしまして、同じフォーミュラで今日に及んでおります。  私は、大抵一言、これはこういうものでございますということを申し上げてごらんをいただいておりますが、鈴木委員の今言われました、政策意思が入っていない、経済企画庁の経済見通しだってそういう作業に乗っているではないかと、そこが一番の実は問題のところでございまして、経済企画庁は経済見通しを立てる権能というものを持っていまして、あれを立てますときに各省庁の調整をいたします。それから、大抵の場合、長期計画が前にございますものですから、それとの整合性を見まして経済見通しを立てますが、大蔵省には経済見通しを立てる権限がございません。したがいまして、勝手な経済見通しに基づいて数字をつくることができない。まことに役所というのは、御存じのようにそういうところでございます。  したがって、そういうことはできません、政策意思を盛り込むことはできませんが、それだったらプロジェクションで来いということでプロジェクションをいたしました。ところが、その変数は三つしかない。それもそのとおりで、三・五%という成長率は、三・五とした場合と書いてあるので、何で三・五だということは書いてございません。金利も、これとした場合と書いてあるので、そういう金利になるとも書いていない。税制の弾性値も、一・一はこれは経験法則でございますとなっていますが、みんな変数は勝手に置いたものでございますから、したがって、そこに何ら政策意思が入っておりません。  それで、そういうものでございますと申し上げますが、しかし、予算委員の方々の御審議にはいろいろな意味で御参考になっておりますようで、私は、ちょっと今の時世でこういうことを現実としてごらんいただくことではないということは申し上げてございますのですが、今日まで続いておりまして、昨年の臨時国会でもそういう御要請がございました。  という性格のものでございますので、また当該委員会におかれまして、そういうものであれば何か工夫はないものかとか、あるいはそういう御注文がございましたら、喜んでそういうふうにさせていただきたいという気持ちはございますけれども、ただいまのところはそういうことでございます。

鈴木淑夫自由党

○鈴木(淑)委員 来年一月の省庁の改革に伴いまして、経済企画庁の経済予測の機能と予算編成の機能、経済財政諮問委員会といいましたか、総理のもと、恐らく全部あそこへ集中されるわけでございますから、今大臣がおっしゃったようなことも、つまり、大蔵当局、財政当局が予測する権限を持たないといったことも解消するかと思いますので、ぜひ、来年以降、こういう政策意思の入らない、しかも、展望としては経済学的に見て落第点をつけざるを得ないようなものはお出しにならないようにされた方がいいのではないか。その方が日本国のためになる。これは仮定だなんて言ったって、外国ではそんなものは省略されて報道されちゃうわけですから。ということを申し添えます。  越智大臣、申しわけございません。時間がなくなってしまいましたので、お許しをいただきまして、また別の機会に質問させていただきます。  どうもありがとうございました。

金子一義自由民主党

○金子委員長 次に、岡田克也君。

岡田克也民主党

○岡田委員 民主党の岡田克也です。  まず宮澤大臣にお尋ねしたいと思いますが、先般の本会議における私の質問に対しまして、景気回復の問題でありますけれども、宮澤大臣は、個人消費主導型の景気回復ということを述べられました。  それで、例えばきょうの新聞だけをとってみましても、個人消費に関するいろいろな統計が出ております。例えば経済企画庁の調査ですけれども、単身世帯の消費意欲については四期連続で改善していると。これは四半期ごとの調査でありますから、一年間連続して単身世帯の消費意欲は改善しているということになります。これはいい統計だろうと思います。  しかし他方で、今回始まりました景気ウオッチャー調査、これも企画庁のものでありますが、それによりますと、三カ月前と比べて四五・三という指数が出ております。つまり、五〇が横ばいでありますから、三カ月前と比べて景気ウオッチャーと呼ばれる人たちの見通しは、現時点では三カ月前より悪くなっている、こういうことであります。ただし、これから二、三カ月先ということについては五一・一ということでありますから、ほぼ横ばいということであります。  それから、たまたま、コンビニの既存店での売り上げが一・八%減という数字がきょう出ておりました。堺屋長官はよくコンビニを例に挙げられて、その売り上げが伸びているということを景気回復のあかしとして言われることがあるわけですが、既存店で見ると一・八%対前年同月比で減っているということになります。  これから四—六月期の個人消費ということを考えた場合にもう一つ考えておかなければならないのは、私は昨年の地域振興券だろうと思います。大体三月ぐらいから本格的に始まったと思いますが、七千億円という金額が三月、四月、五月ぐらいに使用可能になりましたので、前年同期と比べると、つまりことしの四—六月というのは、その七千億円の上乗せがなくなりますから、恐らく、対前年同期比で見れば個人消費は数字的にはかなり落ちるだろう、こういう感じもいたします。  そういうことをいろいろ考えますと、必ずしも四—六月の個人消費がいいという感じは私は、必ずしもというか全くしないわけですが、大臣、どういうふうに四—六月について、これがよくなることで景気が引っ張られるといいますか、それが主導する形で景気がよくなっていくということを述べられたように記憶しておりますが、もう一度大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 このことは岡田委員の本会議における御質問にも実は関連しておりまして、岡田委員が、おまえは個人消費の問題だと言うけれども、本当は設備投資が回復しなきゃ本当のことにはならないよとおっしゃいましたのは、私は、実はそのとおりだと思っているわけです。  私が申し上げようとしましたのは、どうも昨年の秋ごろから家計調査が悪うございます。家計調査にもいろいろ問題があるのかもしれませんけれども、収入が落ちている、したがって支出が落ちております。たまに限界消費性向が高い月がありますけれども、基本的にはやや低落ぎみでございますので、それで私は、どうも十—十二というものの消費はよくないだろう。  基本的に、私は、リストラクチャリングが始まっておりますから、皆さん、パートタイムでとどまっていてはくれるんですが、常雇いからパートタイムになるとやはり収入が落ちますので、それがかなり影響しているというふうに見ております。  それで、四—六と申し上げましたのは、今ちょうど賃金交渉の時期でございますが、その結果について政府は何も申すべきことでないことは明らかですが、それを通じまして労使の間でかなりいろいろなことについての理解が進んでおって、したがって、リストラというものも軌道に乗るのではないかという思いを私は、半分希望がございますが、持っています。  したがって、十—十二あるいは一—三まで入るかもしれません、収入の低下傾向というのは四—六ぐらいからは正常化するのではないか、大変によくならなくても前期比としては上がっていくだろう、こう思いまして、四—六の個人消費、すなわち、それがわかるのは九月ごろになりますが、そのころには直るのではないかということを申しました。  ただ、岡田委員がお尋ねになられましたように、それは消費のことであって、何といっても、消費が本当に堅調になるためには、そのための生産なりサービスがなければ経済は回っていかないわけですから、本当のところはやはり設備投資、そこへいかなければならない。これが私はどうももう一四半期かそこらおくれるのではないかということを思っておりますものですから、先に来るのが消費じゃないか、しかし、本格的には設備投資が戻ってこないといけない、こんな見方をしておるわけでございます。

岡田克也民主党

○岡田委員 設備投資が本格化するにはもう少し時間がかかる、そこは私も大臣と同じ認識でございます。政策的に投資減税とか、しかも今やっているパソコン減税程度のものではなくて、一兆円以上の投資減税でもやれば、これは前倒しでその投資を引き出すことができるのではないかというふうに思いますが、今の現状の中で、設備投資が例えば四月以降盛り上がってくるとかそういうことは余りなかろう、せいぜい早くても秋以降じゃないか、そんなふうには思っております。  問題は、それ以前に個人消費が盛り上がってくるかどうかという問題でありまして、大臣は、春闘の結果に期待をされるというか、リストラが一当たりめどがついてという御説明でございました。春闘の結果に対して大変御期待いただくのはありがたいわけですけれども、しかし、本当にそうだろうか、今の現状はそういう状況なのだろうかという気は一方でいたします。むしろ、雇用を守るために、賃上げよりも雇用の確保に重点を置いてやっておられるのが現場の現実の姿ではなかろうか。そんなに雇用者数もふえて、そして賃金もアップすると、もちろん業績によりこれはそれぞれ違うわけでありますが、全体として今の日本の状況を見たときに、とてもそんな余裕がある状況ではないのじゃないか。  我々は適正な賃上げがされることを期待はいたしますが、しかし、それを盛り込んで個人消費が四—六月からよくなるというほどに本当によくなるのだろうか、そういうふうに思いますが、そこのところ、大臣の、楽観的にといいますか、四—六月に個人消費がよくなると言っておられるそこのところの根拠について、もう一度聞かせていただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 春闘のことについて口を挟まないのが政治のルールでございますので、そのことはよく心得ております。  昨年の暮れのボーナスが悪かった、そして、その後の家計調査の結果がどうもやはり思わしくない、それは、明らかにパートタイムにかわられたリストラの結果であるということもわかっています。失業率が意外に上がらずにむしろ保っているのは、パートに移って働いてはおられるということの結果だと思うのですが、給料の方は悪くなっている。それがいつまで悪くなり続けるだろうかというのがこの際は問題でございまして、十—十二はもう明らかにそうであった。さあ、今ごろ、一—三がどうでしょうか。一—三全体のできはそう悪くないかもしれませんが、消費がちゃんと立ち直っているかどうかは、もう一つ確かでございませんので、そうとすれば、四—六ぐらいには立ち直ってくれるだろう。急によくなると私も考えておるわけではありません。  ただ、あそこにマイナスが出ますと、御承知のように、これで六〇%ございますから、GDPのプラスというのはなかなか難しゅうございますので、したがって、大した盛り上がりがなくても家計がプラスに転じてくれればいい、そういう程度のことを考えておりまして、非常に大きなそれからのGNPへの迫力がずっと続いていくというふうには私も思っていません。マイナスでなくて、収入としたがって支出が何ぼかでもプラスになって、そうしているうちに、仮に秋でございましょうか、設備投資が立ち直ってくる、そういうパターンではなかろうか。  なぜとおっしゃいますと、これは、どうもこれ以上に申し上げる方法がありませんので、一種のリストラが始まりましてからの経済の動き、そのころには多少各企業とも当期利益が少し大きくなっているのだと思いますので、そういうこともございまして、そういう期待をいたしております。

岡田克也民主党

○岡田委員 私は、今大臣がおっしゃったことは、大体本会議でも御答弁された線だと思いますが、二つのことを感じました。  一つは、実体経済の状況について、大変失礼な言い方ですけれども、どこまで認識しておられるのだろうかというふうに感じたわけでございます。つまり、もちろんいい企業もあるとは思いますが、今の置かれている状況というのは相当悪い。地域経済は非常に疲弊している。そういう中で、四—六月にリストラが一巡して、ある程度の賃上げがあって消費がよくなるというのは、ちょっと現実離れしているような、そんな感じが私はいたします。これは私の意見ですので、それが一つ。  それからもう一つは、大臣の言っておられることは願望と、そして現実がかなりまじっているのじゃないかというふうに思うのですね。もちろん、そういうふうになれば結構だと思いますし、そのことが設備投資を呼び込んで景気の本格回復につながっていけばいいと思いますが、しかしそれは、ある意味では、今の大臣の御答弁を聞いていても、確信を持ったものではなくて、見通しとして述べておられるだけでありまして、政府としてそのためにこういうことをやるとか、例えば消費を喚起するためにこういうことをやるとか、そういうことも別にないわけですね。それがないと、何かそうなればいいなという、単に願望を述べておられるだけじゃないかなという感じがいたします。  もし、そういった四—六月の消費の回復がないということになりますと、大臣の思い描いておられる姿と大分変わってくるわけですが、そのときには、もう一回補正予算を組むということをお考えですか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 賃上げとおっしゃいましたが、私は賃上げというほどのものを期待しているわけではございませんので、いわばリストラがある程度軌道に乗ってくること、それから企業が多少でも当期利益がふえてきたこと等を思っておるわけでございます。  それで、しかしおまえの言っていることは基本的には願望だろうとおっしゃいます。それは、正直に申してそうでございますが、願望している理由がないわけではない。何もしていないわけではございませんで、昨年度の補正予算、それから今御審議いただいております予算、これはかなり景気刺激的なものでございますので、これが効果を持たない、以前からの累積効果を持たないというふうに、それほどへりくだる必要はないというふうに思っていまして、それが一つの理由でございます。  そこで、しかし、仮に九月になっても、九月になってもと申します意味は、四—六がわかるのは九月でございますから、少しも景気がプラスになってこないというときにはどうするか。これはまた、そのときのことを考えなければなりませんけれども、私は、今回のような、御審議いただいておりますような景気刺激的な、あるいは金融の後始末をするような大きな予算はもうこれで大体いいのではないだろうかということを考えております。

岡田克也民主党

○岡田委員 もしそうであれば、来年度の予算も消費主導型とおっしゃるのであれば、いろいろな対策の中で、消費をまさしく喚起するような、そういう対策がどれだけ盛り込まれているのか、こういうことだと思います。私は、必ずしもそういうふうになっていないんじゃないか、そういう思いの中で御質問させていただきました。  それでは、次に参りたいと思いますが、これも予算委員会あるいは本会議でたびたび議論になりました財政構造改革と景気回復の関係の問題でございます。  宮澤大臣は予算委員会で、菅委員の質問に対しまして、こういうふうにお答えになっております。「基本的に、財政をやっておる立場として、今の景気回復と財政構造改革、これは必ずしも背反しないではないかということは、私もそう思っております。」ということを、二月十四日の予算委員会、菅委員の質問に対してお答えになっております。  私はこの見解は評価するものでありますが、ただ、従来小渕総理が言ってこられた、景気の回復を待って財政構造改革の本格的な検討に取りかかるというその言葉とは少し開きがある、違うというふうに思うわけですが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 本会議でございましたので詳しくは申し上げませんでしたけれども、公共事業の中でも、経済構造改善、環境対策、少子高齢化対策、情報通信、いわゆる四つの柱で申し上げましたかどうでしたか、全部で積み上げて二兆円ございますので、これが、九兆円の公共事業の総額から申しますと二〇%を超えております。  それから、この同じ四つ、非公共でございますから三つになりますが、これでミレニアムの対策を組みまして、単年度でなく多年度で各省庁でチームをつくりまして八つのプロジェクトをスタートしましたことも御存じのとおりでございます。これらは、ただ不況対策というのでなく、二十一世紀を展望して、かねて御批判のありました国の公共投資あるいは非公共を省庁を超えて多年度でやっていこうという試みでございますので、ただ景気不況打開だけを考えているわけではございませんということを菅議員に申し上げたわけでございます。  小渕さんのおっしゃいますのは、やはり組閣のときに、財政再建ということと不況打開、二兎を追うことはできないという決心をされました。それは、私どももまさにそう思ってここまでやってまいりましたが、多少今度は借金のことが気にかかる、少し景気が動き始めているので、こんなに借金しても大丈夫かというお話があちこちにあるものですから、総理大臣として、まだまだ仕事ができ上がったわけでない、もう一遍後押ししなければなりませんということをはっきりリーダーシップとして言っておきたい、そういうお気持ちのようであって、その点は私もそう思っておりますものですから、小渕さんの方が大づかみに自分の考えを言っておられるのだ、私はそう理解しています。

岡田克也民主党

○岡田委員 いろいろお聞きしておりますと、恐らく宮澤大臣と小渕総理の間で財政構造改革という言葉に対する定義が違うのだろうという感じがいたします。総理の方は、財政構造改革というのは、増税とかそういうことも含めて全体の収支が合うようなものを財政構造改革というふうに考えておられるんじゃないか。大蔵大臣の方は、これは二つの意味で、小渕さんと同じような意味で使っておられる場面もあると思うのですが、もう一つは、今答弁されたような、歳出項目のそれぞれについて本質的にもう一度見直していく、そういうものを財政構造改革と言っておられる。そこに若干の混乱が見られるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 そうであるかもしれません。総理の方が財政という方を言っておられ、私の方がストラクチュラルの方、後の方を考えながら言っておるという点はあるかもしれません。

岡田克也民主党

○岡田委員 そこで、大蔵大臣はこういうふうにも言っておられるのですね。何年かのうちに財政構造改革をしようというのであれば、国民経済の計算がはっきりしないと、税収見通し、歳出における削減がどれだけできるかということはわからない、はっきりした見通しと全体のフレームがないと作業ができない、こういうことを二月十四日、我が党の池田委員の質問に対してお答えになっております。  こういう議論もわからないわけではないのですが、しかし、これを言っていると、一体いつになったらそういったきちんとした財政構造改革の議論がスタートをし、そして中身の議論ができるのか、かなり先にならざるを得ないんじゃないか、こういう感じがいたします。  どのぐらいの時期になれば本格的な全体としての議論が可能であるというふうにお考えでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 新しい行政組織になりますので、どこでどういうことが行われるかわかりませんけれども、私は、これは私だけの考えかもしれませんが、やはりモデルをつくらないといけないのだろうと思っております。  少なくとも中期ぐらいのモデルをつくらないと、それに全部頼る気ではありませんが、いけないであろう。それについては、やはり日本経済がポジティブなプラスの成長をする、そういう軌道をかけませんとモデルは成立しませんので、そういう時期がやはり来ないとその仕事はできないな、それがおっしゃるフレーム、私の申すフレームです。  その中で、いろいろな可能な、それこそ税収であるとか金利であるとかいうことをやってみて、とてもこれではいけないということから構造改革をどうやるかという、順序はなかなかそういうふうに本当はうまくいかないと思いますので、岡田委員のおっしゃるように、アイデアの方が先に出ていくと思います。そして、モデルがそれをバックアップするようになるのだと思いますが、少なくともそのぐらいのしっかりしたものをつくりませんと、なかなか、国会でももちろん御承認いただけないだろうし、国民も信頼をしてくれませんでしょうから、そういうことを考えますと、何にもないところでこうしますという作業はなかなか信憑力がないのじゃないか。モデルも信憑力があるとはなかなか言えませんけれども、しかし、少なくとも、そこで総力を挙げてやることができるのではないかと思いますものですから、フレームということを申しました。それができるまで何にも考えないという意味ではもとよりございません。

岡田克也民主党

○岡田委員 私はそういった一定のモデルに基づく全体のフレームワークをつくっていくという作業を否定するものではありませんが、恐らくそれにはまだ何年かかかるであろう、ある程度安定した状況にならなければいけませんから。その間にどんどん毎年毎年国債の発行がふえていきますから、結局、気がついたらにっちもさっちもいかない状況になっている、そういうことを非常に恐れるわけであります。  それからもう一つ、全体で議論すると、橋本前総理のときに実際に財政構造改革の名のもとにやったような一律の歳出カットでありますとかあるいは硬直的な増税とかそういうことに陥りがちである。そういう意味で、今できることは何かと考えれば、やはり個々の歳出項目についてもう一度ゼロベースできちんと議論していくことだ、そういうふうに私は思います。  例えば、今石油開発の議論などがアラビア石油との関係で出てきておりますが、本当に日本は自主開発原油を持つ必要があるのかというところから私は議論をきちんとしていくべきじゃないか。何でもすべてのものがそろっていればそれは結構なことでありますけれども、少し必要であっても、しかし必要度が低ければ我が国としてあきらめていかなければならない部門もかなり出てくるだろう、財政の現状はそういうことだろうと私は思います。  そういう議論を一つ一つの歳出項目できちんとしていかなければいけないのじゃないか、そういう議論はもう始めるべきじゃないかというふうに私は思っております。そうでないと、景気がよくなったらなんて考えていたら、議論を始めた途端に景気がまた悪くなって、結局永遠にこの問題には手がつかないのじゃないか、そういうふうに思っておりますが、もし御感想があれば聞かせていただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 これはもう岡田委員の方が先をよくごらんになっていらっしゃると思いますけれども、そのときの、今財政改革という名前でお話がございましたが、それは、もう財政ばかりでない、ほとんどのことのやり直しみたいな、それで初めて二十一世紀に入っていけるような、そういう仕事になるに違いないと思っておりますので、そのためにはやはり全体の何かフレームかモデル、フレームでございましょうね、それがないとみんなに説得力がないし、かといって、一つ一つのことを絶対やらないというわけではございませんけれども、そのぐらい大きな仕事にならざるを得ないのではないかと。  橋本内閣のときにやりました財政改革は、あれはフレームは全く仮定でつくりましたものですから、ある意味で勘定としては合うような、しかし数字そのものは実は説得力を欠いておるようなことでございましたから、もう少し、もう少しどころではない、全くそれとはやや性質を異にした、二十一世紀の最初の何年間かの国のあり方みたいなものを考えなければならないのではないか、個人的にはそう思っております。

岡田克也民主党

○岡田委員 それでは次に参りたいと思いますが、先ほど来話が出ております外形標準課税の問題についてお聞きをしたいと思います。  まず、越智大臣にお聞きしたいと思いますが、今回の石原構想に対しまして、大臣としてのいろいろな御見解も今まで述べておられたようですが、きょう閣議口頭了解された「銀行業等に対する東京都の外形標準課税について」という閣議了解の紙以上に何かもし御意見がありましたら、おっしゃっていただきたいと思います。

越智通雄自由民主党金融再生委員会委員長

○越智国務大臣 私の二月七日以来の言動につきまして、大変誤解に満ちたいわれなき批判を受けておりますことを大変残念に思っております。  石原発言につきましては、当初、その発言に至るプロセスが、英語で言うときざですが、デュープロセスといいますか、そういう格好で国と地方の関係の税制がいきなり発表されていいのかという問題がありました。しかし、これは自治省の所管でございますので、保利大臣がいろいろなさるということで、私は、その後、発言はいたしておりません。  それから、税制としては大変、地方税法七十二条の関係のいろいろな条文から見て疑問が多うございます。これについても、宮澤大蔵大臣の所管でございますので、発言を控えるということにいたしております。  そして、それらの取り決めといいますか、取り決めでもないですけれども、大体の仕切りは、木曜日、二月十日の閣議でそのようなことになりまして、私どもは専ら金融政策上のことのみ主張させていただいておりますので、基本的には経済の回復、これを最大の政治目標にしている小渕内閣にとって、金融システムの安定、内外の信用の回復ということは一番大事なことでございますので、それと全く逆方向の政策と私は受けとめますので、その意味で国政の方向と違うということを当初から申し上げているわけでありまして、きょうの閣議了解の冒頭の前文にも、「他の政策目的との整合性等にも十分な配慮がなされなければならない。」と書いていただいたわけであります。それぞれの、これを導入した場合こんなことになるかもしれないぞということにつきましては、閣議口頭了解の第五項目に書いてあるとおりであります。

岡田克也民主党

○岡田委員 この閣議口頭了解で、今越智大臣が引用されたところは、途中をちょっと抜きますが、「およそ、税制については、」「他の政策目的との整合性等にも十分な配慮がなされなければならない。」こういうことですね。  しかし、地方には地方の課税の自主権というものがあるわけですが、他の政策目的との整合性に十分な配慮がなされなければいけないというのは、何を根拠に言っておられるのでしょうか。

越智通雄自由民主党金融再生委員会委員長

○越智国務大臣 大前提は、税制は、地方税といえども法定主義でございます。地方税法上考えられている法人事業税のあり方として、七十二条の十九でございますか、外形標準をとるときに、果たしてあのやり方が妥当なものであったかどうかということがここの閣議口頭了解に盛られているわけでありまして、あそこに例示されている外形標準には粗利益という言葉はございません。「等」というところで読んだんだとおっしゃいますが、当然、例示があのように四つも五つも出ているときには、どの例示かに準ずる格好にならなければなりません。  粗利というものは外から見えないものであります。所得計算の中間段階でしかわかりません。ましてや銀行の場合には、調達資金のコストというものは、全国に支店を展開している銀行にとっては、全国ベースでしか出てこないのでございます。外国の銀行みたいに、支店ごとの認可を受けているわけでもなければ、支店ごとの資金コストがわかるようになっているものでもございません。  百店舗出ているときに、東京に十店舗出ていたら、百店舗の全部、例えば大阪本店の銀行の場合にも計算をして、かつその上で利子収入も資金コストも配分率でやるんだと。配分率はほとんど従業員数でやっているのでございますよ。今までの地方税の配分率をとると言っていますが、御存じのように、配分率の半分が店舗数であり、税額が決まった場合に、半分が店舗数で半分が従業員数で、その場合に本店でも従業員を二分の一にするというそのやり方をまねると言いながら、実は、自治省に対する東京都主税局長の説明では、ほとんど従業員数でやりたいという話をされているようでございまして、基準がばらばらだということも、我々の考えてきた地方税法上いいのだろうかと。なぜならば、五兆円というのは資金量ではかっております。あの資金量には、銀行の発行した社債が入っておりません。そして、持ち株会社になった場合には、五兆円の計算には別々になっております。  条例案が十四日発表されましたので拝見しましたが、そういういろいろ問題点がございますから、今、ただ地方の税制を自治的に決められるという大原則だけで、この問題をしっかり検討することなくそのままに受け入れることには私は大変多くの問題があると思っておりますが、それは、ぜひ税の専門家なり、あるいは、せっかく東京都にも主税局に多くのスタッフがおりますから、たった一人の局長さんと相談するだけじゃなくて、きちっとした相談をしていただいてこれらのことを進めていただきたい。これがいわゆるデュープロセスの問題でありますし、同時に、地方税の今度の御提案の中の問題でございますので、ぜひこういう場でも一つ一つ御検討いただくことも、私は、租税法定主義からいってちっともおかしいことではない、このように思っております。

岡田克也民主党

○岡田委員 私は、ちょっと今の答弁、納得できないんです。つまり、もしこの七十二条の十九の「等」で読めないとおっしゃるのなら、有権解釈は法律ですから政府にあるわけです、まず一義的には。ですから、読めないと言えばいいわけです。東京都に対して、だめだ、法律違反だと言えば済むわけですね。もしそうじゃなくて「等」で読めるというのであれば、法律上は基本的には合法ですから、それに対して、今大臣がおっしゃったようなことをいろいろ言うというのは、基本的にはそれは筋が違うということになるのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

越智通雄自由民主党金融再生委員会委員長

○越智国務大臣 それは、きょうの外形標準と申しますか、この問題に対しては、そういう格好では書いておりませんけれども、私は、これらの五項目の発表の後に、書き直すことではないけれども、粗利というものが地方税法上の外形標準に入るかどうかは検討していただきたいということは閣議の席でも発言いたしておきました。  この中で言われているように、例えば五兆以上に対象を限定するのもおかしいとか、それから七十二条の二十二で均衡を失しないかという話も、これは所得標準の問題と税率の問題と両方絡みますけれども、今百億も出ていないところに千億の課税をするわけですから、均衡を失するかどうかという議論も、すべてこれらは東京都案に疑問が呈せられたわけでありますから、この読み方の中に粗利を外形標準と認めるかどうかも御議論賜りたいということは当然申し上げておきました。

岡田克也民主党

○岡田委員 そうしますと、今の御答弁は、この七十二条の十九に照らしてこれは適法であるということは、まだ政府としては結論を下していない、場合によってはまだ違法の可能性があるというふうに政府としては考えている、それがこの閣議口頭了解の意味である、こういうふうに考えてよろしいですか。

越智通雄自由民主党金融再生委員会委員長

○越智国務大臣 いろいろな御議論があった上でこのような閣議口頭了解にまとめたわけでございますから、このことでやっていくしかないとは思っておりますけれども、全国一律に、また全業種一律に入れるときの議論としては、その問題を御検討賜りたい、このように申し上げておきました。

岡田克也民主党

○岡田委員 大分趣旨が違ってきたように思いますが、基本的に、確かにこの石原構想に対しては手放しで喜べない部分があるというふうに私は思います。ただ、法律上は可能なことだと私は思いますので、もし政府としてこの石原構想が適切でない、そういうことがこの法律の中で起こったということであれば、こういう法律をそのままにしておいた、そこに問題があるんだろうと思うんですね。  つまり、何か地方というのはどうせ国の言うことは必ず聞くんだという前提に立って、こういう条文がそのまま放置されていた。もっと、例えば租税の公平の原則をきちんと図らなきゃいけないとか、そういうことも含めて法律の中に書いておけば、あるいはこの七十二条の十九についてもう少し幅をはっきりと明示しておけば、ある意味では狭めておけばこういう問題は起こらなかったというふうに思います。その背景にあるのは、やはり地方は国に従うという主従関係にある、そういう認識が念頭にあってそういうことになっていたのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

越智通雄自由民主党金融再生委員会委員長

○越智国務大臣 そういう意味ではございません。これは、石原構想でおやりになることについて、自治大臣が石原さんにお会いいたしました。何でお会いしたかというと、慎重なる対応を求めたい、もうちょっと直せませんかとかお考えいただけませんかということでお目にかかったわけで、やったら罰するぞという話でお会いになったわけじゃないのですから、その意味では地方自治をきちんと認めていらっしゃいますが、おっしゃるように七十二条の十九の書き方があいまいだった。しかし、それは何よりも一番欠陥があったというのは、県ごとにばらばらにやるということをどこまで認められるかということについて十分なる配慮がなかった。損保、生保に関しては売り上げの一・三というのはかかっているわけですから、だから業種別にもしやるのならば、法人事業税に関してはもっと業種別の課税標準と税率を考える手もあったのかもしれない。  実は、外形標準構想を入れるという議論をしているときには、常に全業種に適用されるような課税標準と税率を模索していたものですから時間がかかっていたので、やりようによっては、あの業種はこう、この業種はこうとしないと、課税標準のあり方が業種によって違う。要するに、粗利がたくさん出るところと粗利がほとんど出ないところといろいろあるわけですよ。それで、税率も、業務純益なら今九・八だったと思いますけれども、それが三になるという、ここの比率の計算も実ははっきりしていないのです。  ですから、そういう意味では、私は、おっしゃるように、あそこの条文、七十二条というのは実は枝番号ばかり多い条文でございまして、あの枝番号をつけたときから大分時がたっているのだから、もっと考え直しておくべきじゃなかったかと言われれば、立法府に籍を置く者としてはそうだなと反省をいたしております。

岡田克也民主党

○岡田委員 そこで立法府と言われたのはちょっとどういう意味かわかりませんが。  そこで、この石原構想をちょっと離れまして、外形標準課税というものについて大蔵大臣にお聞きしたいと思いますが、全国知事会も、外形標準課税について全国一律の制度を早期に導入してもらいたいというような御要望も出ているようです。私は、今回の石原提案の積極的な意味が一つ認められるとすれば、というか、そこを非常に積極的に評価するのですが、やはり地方の課税自主権というものはきちんとあるのだということを明示したことだと思います。  そういう視点に立って考えますと、今政府税調で御検討中の外形標準課税についても、本当に全国一律でやらなければいけない話なんだろうかという気がいたします。例えば、ずっと長い議論の中で、外形基準については四つの類型というものが政府税調の小委員会の中で示されております。一つは事業活動によって生み出された価値だ、第二は給与総額、第三が物的基準と人的基準の組合せ、第四は資本等の金額。  そんなことを延々と議論して、どれがいいかということをやっているわけですが、私は、そこまで国が本当に決めなきゃいけないことなんだろうか。ある程度の幾つかの類型を示して、その中でどれをとるかは都道府県にゆだねていいのじゃないか。あるいは税率についても、ゼロでは困りますが、一定の幅の中で都道府県が税率を選定していい、そういうことにしてこそ、初めて地方の課税自主権というものを尊重した、まさしくそういう外形標準課税になるのじゃないか。全国、全部一緒にする必要がどこにあるのだろうか、こういう気がいたします。  この点について、大蔵大臣の御見解を聞かせていただきたいと思います。     〔委員長退席、根本委員長代理着席〕

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 まず最初に、今の石原知事のお考えにつきましての政府の立場というものは、先ほど申し上げましたけさの閣議決定に尽きておりますので、それについて私は何も申しません。これが政府の立場でございます。  それから次に、このたびの御提案を契機として、法人事業税の外形標準課税という問題が非常に注目されることになりました。これは、御承知のように、政府の税調等々では以前から議論をされておる問題でございますけれども、殊に、具体的には、全国の法人の六割以上が赤字でございますので、今の課税標準に関する限りは納税がないという、いろいろな社会的なあるいは国家的な便益を受けておるにもかかわらず、確かにもうからないから所得的な課税はないにしても、その便益に対する何らかの納税はあってもいいではないかという考え方は、御承知のようにございます。それは政府税調でも検討を既にしつつあった問題でございますので、今度の石原提案というものが契機になって、承るところでは、全国知事会の会長の知事さんがこれは一律にやはり本格的に考えるべきではないかということを自治大臣に言われたと承知をしております。  今岡田委員のおっしゃいましたことは、外形標準のとり方についていろいろな問題が、どれをとるかというようなことは何も自治体に任せてもいいではないかという意味のことをおっしゃったわけですが、そうかもしれませんが、実はその前に、ちょっとこれは話が混雑するといけませんが、先ほど将来に向けての行財政改革ということを地方税も含めてお互いに話をしておりましたが、ちょっとそれと違う、手前の次元でこの問題は出てまいるわけですから、ちょっとそこを切り離させていただきますが、今の状況の中で、確かに地方財政からいいますと、ここのところの税収の落ちが非常に大きゅうございまして、国も特例交付金を九千億円つくったほどでございますから、そういうことは、地方財政からいいますと非常に喫緊な問題であると私も思いますし、今度、こういうことで認識が深まったからどうだろうかということがまた出てくると思いますが、他方で、半分以上を占める赤字法人は、これは当然のことながら反対でございます。仮に地方の商工会議所なんかで議論をすれば、賛成という人は、それはいるかもしれませんが、黙っている可能性が多うございまして、反対という人が大多数ということになります。こういう経済状況のときに、それをいわばコンセンサスとして実現できるだろうか。そのためにはやはり幾つかのステップが要るのかもしれない。  自治大臣御自身は、中小企業にはよく配意しつつということを言っておられますが、通産大臣は今度は、いかに配意をしても課税になることには変わりはないだろう、そういう中小企業の立場を考えられますので、したがって、にわかにここで、現実性と申しますか、議論が現実的なものになってまいったのは確かで、それだけの意味はございますが、その行き着く先というのは必ずしも明確でないと申し上げておくべきかと思います。

岡田克也民主党

○岡田委員 確かに、外形標準課税の導入の時期につきましては、今の景気の現状もありますから、いろいろな議論があるんだろうと思います。そのことは私も理解をしております。  私が申し上げたいことは、時期の問題というよりは中身の問題でありまして、確かに赤字法人がこれだけ多い中で、多少景気が回復したとしても、かなりの赤字法人がある中で都道府県が本当にそういう、それぞれがある程度の自由度を認めて新しい課税ができるだろうかという、そこに恐らく大蔵大臣の御心配はあるんだろうと思います。逆に言いますと、それを言っている限り地方自治というのは育たないわけでありまして、地方の赤字が深刻な中で、そこはまさしく地方の、都道府県の議会の中で御議論をいただき、赤字をふやさないために、そういった形での外形標準課税を入れていくのか。その入れる中身もいろいろあると思います。そういう中身についての議論も含めて、入れていくのか、それとも歳出を削っていくのか、まさしくそういう議論をきちんと都道府県でできるようにしていくということが地方自治じゃないか。それをいつまでも、都道府県では反対もあってちょっと難しそうだから、国が泥をかぶって全部一律に入れてあげるよ、そういう発想自身が地方自治を殺しているのじゃないかというふうに私は思うわけですが、いかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 私にとりましては、それは今の、あすあさっての問題ではない、こう思いながら、しかし、遠い問題でもないと思います。  よくおわかりのように、企業の立場からいえば、ある県には、殊に東京でございましょう、たくさん人間がいる、どこかの県には大きな工場がある、どこかの県には大きな工場があるけれども、それはオートメーションであるから人間というのは余りいない、だからそこは面積でやっておられたと。一つの企業について各県がそういう違う課税標準をとりますと、それは、納税者はたまったものじゃありません。  つまり、税の取り合いが各県で始まるわけでございますから、そういう状況というものはどういうところにおさまるだろうか。少なくとも今はああいう交付税みたいなものがございますから、各県の貧富を調整するというようなことで自治省がやっている。それは必ずしもよくないとおっしゃっている部分はわかるのですが、今度はそれが全部なくなっちゃって、みんな取り合いをした場合には、非常に大きな企業を抱いている地域、それは恐らくやはり大きな都市になると思いますが、それがもう圧倒的に財源を持ってしまう、不交付団体とか交付団体とかいう調整もなくなりますから。それが地方自治だとまでおっしゃいますと、それはなかなかつらい話になるかもしれない。その辺のところが一つ議論のあるところだと思います。

岡田克也民主党

○岡田委員 私も極端な議論をしているわけではございませんが、交付税で一〇〇%補てんするのじゃなくて、そこは、いろいろな工夫の中で都道府県の努力というものが正当に評価されるような仕組みというのがつくり得るのじゃないか、そういうふうに思っております。  先ほど大臣おっしゃいました、例えば、ある県では従業員の数を課税標準にして外形標準課税をかける、隣の県は、違う、例えば面積でかける、そういうことをやりますと、従業員の数の多い工場や事業所は、当然、それを課税標準にしないところに移っていきます。基本的にはそういう形になります。そういう形でまさしく都道府県の中で競争が始まる、そういう非常に積極的な面も評価できるのじゃないかというふうに私は思います。アメリカであれば州ごとにそういうことを現実にやっているわけですね。それを全部一律でと言っている限りはやはり地方自治というのは根づいていかないのじゃないかな、私はそういうふうに思っていることを申し上げておきたいと思います。  次に、時間もございませんので、日賦貸金業規制の問題について越智大臣にお聞きしたいと思いますが、私どもは、商工ローンの問題で利息の引き下げということを実現したわけであります。私ども、あの改正で十分だとは思っておりませんが、しかし、そういう中で、一方で日賦貸金業者というのがふえている、こういう話がございます。  今のこの日賦貸金業者の被害の実態、そして業者の今の実態についてどういうふうに把握しておられるか、お聞きをしたいと思います。

越智通雄自由民主党金融再生委員会委員長

○越智国務大臣 日賦業者の問題がクローズアップされてきましたのは、昨年十二月の上旬ごろ、例の商工ローンの話が煮詰まってきた段階で、これはかなり問題だという意識を持っております、二カ月ぐらい前の話でございますが。そして、その後、調査を始めてみると、ややふえているみたいだ、全国で二千軒かなと思っているのが、いや、そうでもないらしいぞと。  ただし、これは非常に地域の差があるみたいでございまして、どの県でもどうということじゃなくて、増減の波が違っている、もともと、飲食店等日銭の入る商売をされているところの問題でございますので。だけれども、それの規制が、単に貸金業法の取り締まりと同じ意味の、強烈な取り立てをしちゃいかぬ、過酷な取り立てをしちゃいかぬというだけじゃなくて、日賦業者の営業範囲を超えて百日未満をやっているんじゃないかとかサラリーマンの奥さんに貸しているんじゃないかとか、たまたま金利が昔どおりのが残っておりますものですから、そこら辺も調べたいんですが、業者の団体があるようで余りはっきりしていないので、我が方では、二月の上旬でございましたか、それに全部実態調査をかけることにしまして、作業をスタートいたしました。  たまたまその後であのNHKの番組が出たようでございまして、かなりそれで人口に膾炙したというのでしょうか、日賦業者というのはいろいろ問題があるのだなということになってきましたが、いましばらく時間をちょうだいして、まず業者の実態、そしてそれに基づく被害といいますか、トラブルの実態も早急に調べ上げていきたい、まだそんな段階でございます。

岡田克也民主党

○岡田委員 この問題は、出資法の附則でそういう例外が認められている、こういうことによるものでありますが、今大臣お話しのように、本来小規模事業者を対象にしたものであるべきはずが、主婦とか公務員までその対象になっている、借りているということでありますとか、それから商工ローンと同じように保証人がたくさんついているとか、いろいろな問題が指摘をされているわけでございます。  商工ローンのときには、民主党が中心になって夏の国会に法案を提出し、金融監督庁にはそれから動き出していただいたような現実だと思いますが、この問題も非常に重要な問題でありますので、ぜひ素早く対応していただきたい。  そして、これは法務省の法律だとおっしゃるかもしれませんが、これは金融の一つの断面でありますので、我々ももちろん立法府としてこの問題について積極的に取り組んでいかなければいけないと思っておりますが、実態把握も結構ですけれども、早急にやっていただきたい、そういうふうに思います。  もし御感想があればお聞きしたいと思います。

越智通雄自由民主党金融再生委員会委員長

○越智国務大臣 これも貸金業者の一部でございますので、貸金業法そのものは私どもの所管法律になっておりますので、法務省の仕事なんという言い方は考えておりませんから、もちろん私どもの仕事として目下積極的に取り組んでおります。ただ、率直に申しまして、スタートしたのが去年の暮れごろなものですから、多少出おくれているという残念な点もございます。

岡田克也民主党

○岡田委員 それでは次に、預金保険法等の改正の問題について、時間も限られておりますが、五分間ですが、大蔵大臣それから越智大臣に質問したいと思います。  まず、今回のペイオフの解禁の延期につきまして、党で決まったことだ、三党で決めたことなのでそれを尊重する、そういう基本的なスタンスでおられるように思います。もちろん、党での御議論も結構なのですが、これはやはり非常に大事な問題でありますから、しかも両大臣、越智大臣の方は信用組合の問題というのは指摘はされておりましたけれども、例えば宮澤大臣は、この問題はちゃんと予定どおりやるんだということをかなり明確に言っておられたように私は記憶をしております。  それが、党が決めたからということで簡単におりてしまうということでは、これはやはり何のために政府があるのか、大臣がおられるのかということになると思いますが、現実のところ、党との間でどのようなやりとりがあって、宮澤大臣としては納得をされたのでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 これは、私にとりましては実はそんな複雑な過程を経た話ではありませんで、私自身は、五年前に決めたことだからそれをやりたいなと思ってまいりました。ただ、いろいろ問題が、決まらない部分があるものですから、金融審議会に、実は年内に決めたいので夏休みを返上してくださいませんかというお願いをして、かなり金融審議会がいろいろ問題のあるところをおさめていってくれたわけです。  私が思ったよりも上手におさめてくれまして、それで、暮れに近くなりまして、いざ、さあ法律を書けるということになったときに、この信用組合をどうするかという問題が残りました。実際各党が、いよいよ本格的に法律が書けるという段階になりまして、本心でこの問題に関心を持たれるようになりまして、信用組合大丈夫かということになった。それまではそこまで問題が煮詰まっていませんでしたものですから、どなたも通常国会に法律が出るまで整備されるかどうかに余り本気に関心をお持ちでなかったようですが、十二月になりましてそうなりました、大丈夫かと。  私も、実はその問題は大丈夫かと思っていた一人ですが、もうこれだけ問題が整理されたと。それならば、言ってみても三百近くのことでございますから、四月に政府に移管をして、しかし金融監督庁の検査はちょっとつらいかもしれないなと。三百近いものが、かなり傷んでおるものも恐らくありますから、それを検査して、破綻するものはさせる、それから早期是正するものは是正する、場合によって法律を直してでも金をつぎ込むか、そういうだけの仕事を四月に権限が移って六、七月ぐらいから始めて来年の三月までに全部やり切るかということになると、それはなるほどちょっときついなと。それでも、国の金融秩序に関するほどのことでもないしという気持ちもございましたが、各党の方々は、やはり御自分の地域の実態を知っておられますから、信用組合といって余り軽く扱うわけにはいかないよというお気持ちが強うございました。そうかといって、これだけを別に扱うということは問題が多そうでございますから、その他の部分、例えば公的資金導入なんということはもう済んでおりますから、そういうものはもういいと。  ただ、信用組合と金庫について、場合によって資金的な援助もするという規定も備えた上で、それだったら思い切ってその部分は一年延ばしてもらった方がいいかもしれないと。ちょうどこれが、暮れになりましたものですから、少し報道等も全面的でありませんで、何かすべてのことがずれてしまった。一年ずれたものがまたずれるかもしれない。そうすると、国際的な不信を招くだろうというようなことがあって、いや、実はそんなことをするのではないのですと申し上げておりましたけれども、ちょうど暮れでもあって、PRも十分でなかったのかもしれません。  しかし、私の本心は、確かに三百近いものが残っていて、そのかなりのものが傷んでいるかもしれない、それが検査が始まるのが少なくとも権限的に四月でございますから、少しおくれてちょっと時間的に無理かな、そういうことでございました。

岡田克也民主党

○岡田委員 もう終わりますが、信用組合の権限移譲の問題はもう既にわかっていた話でありまして、わかっていたにもかかわらず、一たびは解禁は予定どおりやるべきだとおっしゃっていた、そこのところが私には納得がいかないところでございます。  終わります。

根本匠自由民主党

○根本委員長代理 次に、佐々木憲昭君。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 大蔵大臣は所信表明で、経済の自律的回復のかぎを握る民需の動向は依然として弱い状況にある、このように述べられました。  特に、中小企業の経営というのは大変な状況でございます。銀行の貸し渋りがあり、政府系金融機関が駆け込み寺にもなっていない。その足元を見透かすかのように、中小零細業者の苦境につけ込むような形で悪質な貸金業がはびこっております。大手商工ローン日栄に対する行政処分が行われたのは一歩前進でありますけれども、しかし、その一方で、日賦貸金業、別名日掛け金融、日掛けと言うわけでありますが、これが大変大きな社会問題になっております。  二月十八日のNHKニュースで、日掛け金融業者が急増してトラブル相次ぐ、こういう報道がありました。十九、二十日、二十一日にも、これに関する報道が行われております。民放では、昨年十一月三十日とことしの二月十六日、フジテレビの「ニュースJAPAN」で、世紀末暴力金融、金利一〇九・五%の恐怖、こういう報道特集が組まれまして、日賦貸金業者の問題が取り上げられました。  そこで大蔵大臣にお聞きをしたいのですが、出資法では、日賦貸金業についての特例という附則があります。そして、年利一〇九・五%という大変な高金利を認めております。これは、そもそもなぜ設けられたのか、どのような場合にこの特例が認められるのか、説明をしていただきたいと思います。

越智通雄自由民主党金融再生委員会委員長

○越智国務大臣 貸金業法の附則で入りました。あのときには、たしか議員提案だったものですから、議員の方のお答えになっているわけでありますが、電話の担保の問題と一緒に非常に限られた部分ではないかという認識で、商工ローンに比べればそういう意味の、範囲の狭い問題ではないかということで、当時、この問題は特例に入れられたものと理解いたしております。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 私は、この特例はどのような場合に認められるのか、その点についてお聞きしているわけです。

越智通雄自由民主党金融再生委員会委員長

○越智国務大臣 あそこには細かく規定が書いてございまして、百日とか、それからそういう営業している方とか、そういう規定が、先生も御存じと思いますが、残っておりますので、それを読めということでございますか。  営業している方であり、百日以上の貸し付けであり、そういうふうな種々の限定の入った貸し金ということになっております。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 要するに、これは、飲食業など日銭を稼ぐ中小零細業者に対して十万から百万程度の運転資金を貸して、毎日の日銭収入から返済をする。このために、特例として、例外として設けられたということであります。  今、この条項が必要かどうかという根本問題は後で議論するといたしまして、その適用の場合、極めて厳格に規定されているわけです。  法務省刑事局長にまず確認をしたいわけですけれども、日賦貸金業が融資できる対象でありますが、五人以下の小規模な業者、中小零細企業に限定されているわけであります。ということは、民間サラリーマンあるいは公務員、主婦、年金生活者、こういう方々はこの融資の対象外ということになると思うのですが、よろしいですね。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 お尋ねの点につきまして、刑事罰則の構成要件ということで申し上げますと、このお尋ねの方たちが、物品販売業あるいは物品製造業、サービス業などを営んでいる方でなければ、日賦貸金業者の特例の要件を満たす貸付先には当たらないと考えます。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 次に、取り立ての方法でありますが、この中小零細業者の店や自宅に休日を除いて毎日直接出向いて回収しなければならない。ということは、融資を受けた中小零細業者自身に払い込ませたり、あるいは日賦貸金業者のところに持ってこさせる、あるいはまとめ払いをさせる、こういうことは特例では想定していないということになると思いますが、それでよろしいですね。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 日賦貸金業者の特例の適用を受けるためには、百分の七十以上を、みずから事業所または住所、これは債務者でございますが、そこで取り立てなければならないということになっておりまして、その要件に該当しないような取り立て方法をした場合には、特例の適用はありません。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 例えば、こういう例があるのです。顧客に口座をつくらせて、キャッシュカードを日賦業者が預かって、顧客に毎日口座にお金を振り込ませて、日賦業者がキャッシュカードで引き出す、こういうやり方は、附則の特例で定めた業者の営業所や自宅に出向いた取り立ての中には入らないということになると思いますね。  そこで、もう一点お聞きをしたいと思いますが、日賦貸金業者の登録をしたとしても、出資法の附則の要件を守らない場合、当然この特例というのは適用されないと思いますけれども、そう考えていいか。つまり、附則の規定を守らない日賦貸金業者が利息制限法を超える金利を取った場合にはその分無効となる、こう解釈してよろしいですね。

古田佑紀法務省刑事局長

○古田政府参考人 日賦貸金業者の特例の適用とならない方法で貸し付けを行っている場合に、これはまず罰則の関係で申し上げますと、出資法五条二項が適用になるということでございます。  利息制限法につきましては、これは民事的な利息契約の有効性の問題になるということになるわけでございまして、ちょっと私がここでお答えするのが適当かどうか、罰則の問題ではございませんので、御容赦いただければと思います。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 判例としては、神戸地裁尼崎支部の一九九四年三月七日の判決、それから大分簡易裁判所、九四年十月十八日の判決がありまして、集金の形態について、例えば、銀行振り込みでやっていた場合や百分の六十四しか集金していなかった場合に、利息制限法によって計算した金額となる、こういう判決が言い渡されております。  もちろん、日賦貸金業者であろうが、サラ金であろうが、商工ローンであろうが、貸金業である以上、貸金業法で禁止されているような暴力的な取り立てはやってはならないということは当然であります。  ところが、そのように厳密に決められているにもかかわらず、実際には、法律もガイドラインも無視した無法行為がまかり通っております。主婦や公務員に貸し付けたり、まとめ払いや銀行振り込みをさせる、こういう事例がたくさんあります。暴力的な取り立てなどの被害も拡大しております。  配付した資料を見ていただきたいのですけれども、日賦貸金業者の広告であります。一番上を見ていただきますと、下の方に「安心と充実のサービスで女性をバックアップ」、これはファーストファイナンスという日賦貸金業者の広告であります。  右側を見ますと、「お申込 お電話一本でOK」です。「ご融資額 十万から百万円。」「秘密厳守」「ご返済 集金方式ですので、時間・交通費・振込手数料等が一切かかりません。」  左側を見ますと、「女性にやさしいサービスをご用意しました。」「ショッピングなどの急な出費でも、電話での受付は二十四時間OKで安心。」「安心の上の安心を 子育て応援サービス プレゼントや割引など、出産や育児に役立つサービスがいっぱい。」  これは日賦貸金業者なのかどうかわからないようなチラシでありまして、主に主婦を誘い込もうとしているということが言えるわけであります。  二枚目は、コスモクレジットというところの広告でありますが、「あなたのガンバリ、力いっぱい応援します。」右の方に、「返済もラクラク」。何か簡単に返せるかのような書き方をしております。  三枚目に行きますと、ハロークレジット。「ごあんない」というのが書いてありまして、漫画が書いてあります。その下に「お電話一本でレジャーから運転・設備資金まで、スピーディーにお手伝いします。」こういう書き方であります。まさにレジャー資金も貸せるんだと言わんばかりの広告であります。  例えば、大分県のある弁護士の報告によりますと、日賦業者の広告を見た人が、サラリーマンでもいいですかと聞きますと、いいですから来てくださいと言うので行ってみると、何か前に内職か営業をやったことはないですかと言われて、本当に何かやったことがあって書く人もいるし、うそを書いてしまう人もいる、こういうことであります。  法律上は、主婦の内職やサラリーマンのアルバイトは含まれる余地は全くない。それなのに、日賦貸金業者が架空の業者に仕立て上げて、サラリーマンにお金を貸すわけであります。こういう脱法、違法行為が多発しております。  取り立てについて言えば、熊本クレジット・サラ金・日掛け被害をなくす会の報告によりますと、日賦貸金業者が、例えば八十代の高齢の女性を車に乗せて一晩じゅう連れ回し、友人、知人宅で金策をさせ、有明海に沈めるぞ、こういうおどしをした例がある。あるいは、日掛け業者の事務所に三日間監禁して返済を強要した例もあります。  資料の二を見ていただきたいのですけれども、そこにはたくさんの被害の実例が載せてあります。  例えば、Aさんの例でありますが、トラック運転手のAさんは、九四年ごろ、いとこのZさんから日賦貸金業者のところまで車に乗せていってほしいと頼まれまして、一緒に事務所に行ったところ、保証人になれと言われ、十万円ならと思って保証人になった。  ところが、九五年一月に、屈強な男二人がZさんを連れてきて、おまえが保証人だから三十五万円払えと言われ、根保証となっていることを初めて知った。おどされて事務所に行くと、四、五人のやくざ風の男がいて支払いを要求し、一晩じゅう監禁状態となり、一夜明けて、運送会社の社長から給料の前借りを頼んで支払った。  ところが、その二カ月半後、夜八時ごろ、日賦業者がZさんを連れてまた自宅に来た。今度は二十八万円払えと言う。五年間の根保証だからと言うので、そんなことは聞いていないと言うと、業者は、そんなことは常識だ、知らないおまえがばかだ、ばかならおれたちの言うことを聞いてちゃんと払えと、ちゃぶ台をたたく、ドアをける、大声で罵声を浴びせるなど、夜十時を過ぎても帰らない。結局、この日賦業者から三十万円借りた。その保証人はZさんだと。  給与所得者であるAさんは、これは運転手の方ですから、毎日の支払いに追われてサラ金からも借りてしまい、逃亡生活を送るようになった。熊本を出て一カ月後、戻ってみると、妻が日掛け業者からおどされて保証人となり、Aさんの支払いのため、別の日掛け業者三軒から八十万円の債務を負うようになっていた。妻は、Aさんのいないとき、日掛け業者の事務所で三十時間ぐらい軟禁状態となり、それ以後生活状態がおかしくなり、現在も回復していない。子供たちはおびえて、長女と長男は登校拒否になった。  時間がないので、この資料は九人の実例を載せておりますので、ぜひよく見ていただきたいと思います。  このほかにも、例えば、和歌山県の商工金融課に寄せられた苦情の中に、五十代のサラリーマンの訴えがあります。返済がおくれると、その夜、登録業者の社員を含む男性四人が夜遅くまで自宅玄関に居座った。翌日も、喫茶店などに連れ出されて、泥棒などとどなられた上、無登録業者の事務所に連れていかれ、連帯保証人をつけるように迫られた。この会社員は、暴力的な言葉で威迫され恐怖感を覚えた、事務所から解放された後は死のうかと思ったぐらいだ、商工ローンよりひどい、こう言っているわけであります。これが具体的な実例で、もうたくさんあります。  警察庁生活安全局長、来ておられると思いますが、お聞きしたいのですけれども、昨年この日賦貸金業者を逮捕した事例は何件あったか。そのうち、典型的な事例について幾つか紹介をしていただきたいと思います。

黒澤正和警察庁生活安全局長

○黒澤政府参考人 昨年、平成十一年中でございますが、警察庁が都道府県警察から報告を受けた事件でございますけれども、例えば、暴力団幹部らが、平成十年の八月から十一年の五月までの間に、法に規定する日賦貸金業の業務方法によらず、今委員御指摘のように、事案によって、業務方法以外の方法といたしまして、主婦に貸し付ける、あるいは顧客の持参払いとする、あるいは銀行振り込みでありますとかいろいろございますけれども、日賦貸金業の業務方法によらずに、クラブホステス三十二名に対しまして約三千万円を貸し付け、法定金利の約三倍の金利を受領しておった出資法違反事件で、昨年六月、沖縄県警でございますが、暴力団幹部ら三名を逮捕いたしております。  それから、妻名義で日賦貸金業登録を受けた被疑者が、平成八年十月から十一年の四月までの間でございますが、法に規定する日賦貸金業の業務方法によらず、自営業者や主婦ら約七十人に対しまして約三千万円の貸し付けを行いまして、法定金利の約六・八倍から約十・六倍の金利を受領していた事案で、昨年の七月でございますが、富山県警が一名逮捕した事件がございます。  また、福岡県の事例でございますが、日賦貸金業二社の経営者らが、平成十年の二月から十一年の八月までの間でございますが、やはり出資法に定める業務方法によらずに、振り込み返済により、自営業者ら約千七百人に対しまして約三億九千万円を貸し付けまして、法定金利の約一・三倍から三・三倍の金利を受領しておりました事案で二名を逮捕した事件などがございます。(佐々木(憲)委員「年間何件ですか」と呼ぶ)  何人昨年逮捕したかは、ちょっと今資料を持ち合わせておりませんので、お許しをいただきたいと思います。(佐々木(憲)委員「逮捕した事件としては何件ですか」と呼ぶ)ちょっとお待ちください。昨年把握いたしておりますのは、逮捕の事件ではないんですが、任意も全部含めてでございますけれども、三百四十六人被疑者を検挙いたしておりまして、うち、日賦貸金業者による事犯が十四という数字になっております。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 犯罪統計上、日賦貸金業者の逮捕件数、この統計があるのかどうか。この数年間の数字を示していただければと思いますが、いかがですか。

黒澤正和警察庁生活安全局長

○黒澤政府参考人 十一年中に逮捕いたしました数でございますが、全部で十二人となっております。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 統計上、この数年間の推移を我々は要求したんですが、出てこないんですね。これだけ大きな社会問題になっているのに統計がないというのも極めて重大であります。  改めてお聞きしますが、今後、実態把握をより強めるというつもりはあるかどうか、また、日賦貸金業者の違法な取り立てや違法な高金利などの取り締まりの強化、これを行う決意があるか、お聞きをしたいと思います。

黒澤正和警察庁生活安全局長

○黒澤政府参考人 日賦貸金業者に関する問題につきましては、関係機関、団体と十分な連携をとりつつ、その実態の把握に努めますとともに、違法事案を認知した場合には、関係法令に照らしまして厳正に取り締まってまいる所存でございます。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 では、監督官庁であります金融監督庁にお聞きをします。  日賦貸金業者に関連してどんな苦情が寄せられているか。また、処分を受けた貸金業者のうち、日賦貸金業者がどの程度含まれているか、件数を示していただきたい。

乾文男金融監督庁監督部長

○乾政府参考人 日賦貸金業者に関します苦情につきましては、現在、財務局、都道府県に照会しているところでございまして、今、実態把握すべく調査中でございますけれども、これまでのところ、財務局、都道府県から聞いておりますところでは、苦情の主なものとしまして、出資法上貸し付けの対象にならないサラリーマンに対して融資の勧誘、貸し付けを行っている。また、出資法上、百分の七十以上の日数にわたって取り立てなければならないのに、月払い契約をしている。また、取り立てや貸し付けの利率をめぐるトラブル等があるというのが主なものであるというふうに聞いているところでございます。  それから、行政処分についてでございますけれども、貸金業者に対する処分は行っているわけでございますけれども、日賦貸金業者に係るものかどうかの区分をしておりませんので、日賦貸金業者の件数としてはちょっとお答えできないことを御了解いただきたいと思います。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 件数も実態もまともにつかんでいないという状況だと思います。それに対応が非常に不十分だというふうに思います。  例えば、九州財務局に、都城市の中小企業団体が昨年の十一月十日、取り立て規制違反だから対処をしてほしいと電話をした。ところが、財務局は、対応しますと言ったにもかかわらず何もしなかった。被害者は、財務局へ連絡したから指導があるはずだと日賦業者に言いますと、日賦業者は、そんなものない、あったらすぐ自分らのところに本社から連絡があって引き揚げる、そう言いながら、暴力的な取り立てを続けている。あるいは、熊本のクレ・サラ・日掛け被害をなくす会。財務局と交渉をしても、財務局は、県の商工課に話をします、こう言うだけで、県は県で、二人しかいないのでまともな対応ができない、結局ほうっておこうという感じだったと言っております。こんな対応でいいのかということですね。  九州、沖縄で被害者が非常に目立っております。熊本の弁護士会によりますと、県内の自己破産の七割が日掛け関係だと。資料の3を見ていただきたいのですけれども、自己破産比率の高い県、人口十万当たりの自己破産件数、一番多いのは大分県、次が宮崎県、福岡県、熊本県、長崎県。ワーストファイブ、すべて九州であります。ワーストテンに九州、沖縄の八県が入っている。これだけ被害者の多い地域なのに、九州財務局はまともに対応していない。そのため、日賦貸金業者は、財務局に言ったってむだだ、きちんと指導しないんだ、こう言っていたそうであります。財務局は日賦業者からもなめられているのじゃないかということであります。  監督庁は実態をきちんと調査し、厳正に対処すべきだと思います。立入検査を含めた調査を行い、違法、不当な行為を発見したときは速やかに行政上の処分を行う、必要なときには刑事上の処罰を求める、当然このようなことをやるべきだと思いますが、いかがですか。

乾文男金融監督庁監督部長

○乾政府参考人 御承知のように、貸金業者一般といたしまして、その活動地域によりまして、都道府県が管轄し、また地域が広いものにつきましては財務局が監督をしているわけでございますけれども、日賦貸金業者にかかわりませず貸金業者に関する苦情の申し出等がありました場合には、監督する財務局または都道府県におきまして、事情聴取して、必要な助言等を行うこととしているところでございます。  個別業者におきまして、貸金業規制法上の取り立て規制などの行為規制違反の疑いがあります場合には、監督しておるところから説明や報告を求めるなどにより、まず事実関係を調べまして、貸金業法違反の事実が確認されます場合には法令にのっとりまして厳正に対処することとしているところでございます。また、その過程におきまして、出資法違反等の刑事上の問題があると思料されるときには、警察当局に連絡をすることとしているところでございます。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 今貸金業者の登録は全体として減っておりますが、その中で日賦貸金業、日掛け金融だけがどんどんふえております。NHKの調べでは、この五年間で日賦貸金業者が約千二百件から二千四百件へと倍増しております。  金融監督庁は全体の数字をどのように把握しているか、この数年間の貸金業者全体の登録者の推移、そのうち日賦貸金業者の推移、数字を示していただきたい。

乾文男金融監督庁監督部長

○乾政府参考人 まず、貸金業者の総数、ここ三年、平成九年三月末、十年三月末、十一年三月末で申しますと、貸金業者全体の登録総数は、三万一千六百六十八件、三万一千四百十四件、三万二百九十件と推移しております。うち日賦業者、これは、現在数を調査中でございますので、概数でございますけれども、日賦業者は同じ期間、千八百五十社、それから二千五十、二千二百というふうに推移しているところでございます。

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 わずか二年でも、登録業者が減っている中で日賦貸金業者だけがふえていることは明らかです。サラ金業者や商工ローン業者から日賦貸金業者にシフトしている、暴利をむさぼる現象が起こっております。六月一日から、出資法の金利が四〇%から二九・二%に下げられますけれども、そのために日賦への参入がますますふえる傾向にあります。被害が一層拡大する、こういう危険性があります。  最大の問題は、出資法の附則に規定された一〇九・五%という異常な高金利が容認されていることであります。大蔵大臣にお聞きをしたいのですけれども、このような状況がある以上、まさに諸悪の根源とも言うべき現在の特例、これをいつまでも続けるというのは大変問題があるんじゃないか、見直すべきじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。

大野功統自由民主党大蔵政務次官

○大野(功)政務次官 さきの臨時国会で御存じのとおり改正をされましたけれども、その際、日賦貸金業者につきましては、いずれも少額の資金を融通する一方で、顧客の便宜のため毎日の集金等コストをかけており、また一定の条件でしか営業できない、これが議論されましたけれども、そういう行為規制を課せられております。ということで、出資法の上限金利の特例措置を据え置いたという説明があったことは先生御存じのとおりでございます。  また、その改正法案の中で、法律の施行後三年を経過した後、諸般の状況等を勘案して検討を加え、必要な見直しを行うものとする、こういうことでございますので、その中で御議論をいただきたい、このように思います。     〔根本委員長代理退席、委員長着席〕

佐々木憲昭日本共産党

○佐々木(憲)委員 出資法の上限金利は二九・二%でも高過ぎるというのが我々の考え方でありますが、利息制限法まで引き下げるべきだと思いますけれども、しかし、少なくとも抜け穴になっている日賦貸金業の特例については直ちに廃止すべきだという点を強く主張いたしまして、質問を終わります。

金子一義自由民主党

○金子委員長 次に、横光克彦君。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 社民党の横光克彦でございます。  来年度予算案についてお尋ねいたします。  政府は、歳出総額八十四兆九千八百億円にも上る過去最大の予算案を提出されたわけですが、その規模にもかかわらず、予算内容は必ずしも国民の期待する方向に向かってないといいますか、かなり国民の期待する方向とはかけ離れていると言わざるを得ない、そういう気が私はするわけでございます。  歳出総額約八十五兆円の実態は、三十二兆六千億円もの国債発行によって賄われている、借金漬けの財政体質であると言っても過言ではないわけでございますが、この結果待っているのは、財政赤字の恒常化そして拡大、そして行き着くところは債務残高の際限のない膨張だと思うわけです。来年度予算の歳入に占める公債依存度は実に三八・四%にまではね上がっております。国債残高はこの十年で倍以上に膨れ上がったことになるわけでございますが、しかも、二〇〇〇年度末で予想される、国、地方を合わせた長期債務残高は六百五十兆円弱に達しようとしている。我が国のGDPはおよそ五百兆円ですから、対GDP比は一三〇%にまで高まるわけです。これはもうイタリアを追い抜いて、先進諸国の中でも最も財務体質が悪い国、つまりは世界に冠たる債務大国の道を突き進むことになってしまったわけです。耳の痛い話ですが、これが現実なんですね。  そういった厳しい状況の中で予算を組まなければならなかったわけですから、私は、大胆とも言えるぐらいの変革があってもよかったのではないか、そんな気がするわけです。つまり、消費やあるいは民間設備投資を活性化し、経済を自律的な回復軌道に乗せるためには、私たちが従来から主張してきたような生活とかあるいは雇用とか福祉とか環境とか、こういった方面に大きくシフトした内容とすべきだったのではないか。言いかえれば、長引く不況のもとで青息吐息の国民が心の底からほっとする、安心できる予算にすることこそ今は求められているんではないかという気がつくづくするわけでございます。  そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのですが、大臣は、この来年度予算案につきまして、これが最後の積極型予算である、こうおっしゃっておられます。これほど厳しい状況ですから当然のお考えだと私は思うわけですが、本当に最後の積極型予算となるのか、景気の先行きはどうなろうともう補正予算を組むことはないのか、それほどの強いお気持ちで今回の予算案を提出されたのかということをお聞きいたしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 小渕内閣成立以来、経験したことのない不況から脱出するために、あえて財政再建の道をとらずに、ごらんのように、大きな補正予算、本予算、補正予算、本予算、できるだけのことをして不況脱出を図ってまいりました。その間、御指摘のように、非常に大きな公債を発行することにもなりました。  その結果といたしまして、一年半マイナス成長を続けておりました日本の経済が、ともかく昨年の一—三月に初めてプラス成長になりました。その後、一進一退はございますけれども、〇・六%という経済成長はまず間違いないであろう、そして来年度は一%を目指す。それは昔の日本からいえば大したことではございませんけれども、一年半坂を滑り続けてきた日本経済がとにかく立ち上がったということは、私は簡単なことではなかったと思います。国民の皆様にももとより大変な御心配をかけ、失業は出るし、借金が多いし、決して容易なことではありませんでしたが、とにかく不況脱出をできそうだという、ややそういう明るさが見えてきたことまではお認めいただけると思います。  もとより非常に大きな、重症でございますから、これに要したコストも大変なもので、これは長年かからなければなかなか返せないほどのコストではございますが、それをもってして初めて経済がプラスの成長に返ってきたということ、これが今日までの道筋だと思います。  それで、私がこれだけの景気刺激的な財政政策というのはこの辺でもういいのじゃないかと申しております意味は、ともかくプラスの成長に返ってきた、これが民間主導の経済への軌道に乗りましたらもう財政はこんなことをしなくてもいい、ただ今回だけは、いかにも借金は多うございますけれども、ここで手を放せばもとへ戻ると考えましたから、御審議いただいておりますような予算を編成しておるわけでございます。  必ずそうなるか。これはなかなか、これだけ大きな経済を、しかも国際経済の影響もございますから、必ずと申し上げるのは大胆過ぎるかもしれませんが、私はそうなる公算が大であるというふうに思っています。そこまで日本経済は戻ってきたと思っていますので、願わくば、過去のような大きな景気刺激的な財政措置というのは今回をもって終わりにいたしたい、そう申し上げておるわけであります。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 今もう本当に切実なお言葉でした、重症であると。確かにそうでございますし、このままこういった国債依存度を積み重ねれば重症から瀕死になるわけですので、ここはひとつ財政再建という意味からも、今の大臣のお言葉、非常に私は重要であろう、このように考えております。  次に、新しい社会への転換にはチャレンジが必要だと思うんですね。と同時に、後顧の憂いを断つ手だてとして、安全ネットの整備、これが不可欠であるということは申すまでもありません。この社会的セーフティーネットの手法として、今後、より比重が置かれる必要があるのは、私は、自治体による生活密着型サービスの供給、つまり、金よりも現物給付ではないかと思うのです、これからの時代は。  しかし、残念ながら、財政運営は景気刺激策中心であり、どうしてもハードが中心となっております。その結果、自治体の負担が増すばかりなんですね。大臣が先ほど申されました、国の財政は非常に厳しい、それと同様に地方財政も厳しいと。確かにそのとおりです。悪化の一途をたどっている。  この原因はどこにあるのか。これは釈迦に説法でございますが、バブル崩壊後、景気の冷え込みによる税収不足が一つの原因である。そして、いま一つは、やはりここ数年ずっと膨大なる公共投資の急増ではないかと私は思うんですね。  もちろん、景気対策の一助としては大変大きな効果をあらわしておりますが、その反面、地方財政に大変大きなまたしわ寄せを来している。地方債はもう限界状況に来ているわけですね。ですから、そのために、質、量を伴った現物給付、この実現に必要な資金需要を賄うことさえも地方自治体では困難になっているような状況だと思うんです。  こういった批判だけしても建設的ではありませんので、一つの具体的な例をお示しして大臣のお考えをお聞きしたいと思うんです。いわゆる私が言いました望まれている現物給付の本命の一つになり得るのが、福島県の葛尾村というところで実施されましたテレビ電話ネットワーク等の迅速かつ量的、質的な整備なんです。  福島県の葛尾村という非常に過疎と高齢化が進んだ村があるんですが、ここに、郵政省と福島県とこの葛尾村の三者が一体となって、村内の全世帯四百七十三戸に無償でテレビ電話を設置した。それで、試験的に行政サービスを実施したわけですね。これにNTTやあるいは地元の大学などが参加したんですね。  このテレビ電話を全世帯だけでなく村役場あるいは公共機関の窓口、電力や水道や電話やガスなど、さらに公民館や学校、診療所、そういったところにも設置した。七千五百万ぐらいの総事業費なんです。それを三者で二千五百万ずつ、郵政省と県と村が分かち合って負担してこれを試みた。このことによって、保健婦さんがテレビ画面を見ながらお年寄りに健康面でのアドバイスをしたり、あるいは若い母親の子育ての相談に乗ったり、さらに学校を休みがちな生徒に登校を呼びかけるなど教育面での効果もあらわれたり、また、各家庭から行政案内や各種サービス、買い物や娯楽などさまざまな映像情報を呼び出すことが可能になったというんですね。各種行政サービスを在宅のまま利用できることになった。村が生き返るようになった、こういう例もある。  こういったネットワーク網が完備されたら、地域過疎だけでなく、福祉過疎あるいは情報過疎、いろいろな過疎からの脱却が私は可能になって、いわゆる生きがいレベル向上の決め手としての役割も十分に期待できると思うわけなんですよ。要するに、私が申し上げたいのは、破産状態にある財政下においても対応可能な選択と集中、選んだり、あるいはチャレンジしたり、そういったことに徹していくべきじゃないかということを私は申し上げたい。  これはほんの一例なんですが、小さいことのように思われるかもしれませんが、私は決して小さくはないと思うんですね。こういったことが広がっていけば大きなプラスになる。景気刺激策にもなるんです。テレビ電話が設置されて、おじいちゃんとおばあちゃんのところにテレビ電話があるのならといって、外に出ている子供たちもテレビ電話を設置して会話をするようになったとか、いろいろな例がある。  これは郵政省の問題での一例ですが、各省庁でこういったことを、いわゆる人間関係のぬくもりといいますかそういったものを支える生活基盤型の整備の方にシフトしていくべきじゃないか、各省庁と連携してこういったことにチャレンジすべきではないかということを思うわけでございますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 仮に幸いにしてこの不況を脱却することができるとしましても、二十一世紀というのは、おっしゃいますように、我々にとっては非常に大きなチャレンジであって、まだ先の見えない時代になるのだろう。アメリカは先を走っておりますけれども、我々が二十一世紀にちゃんと本当に生きていけるかどうかというのはこれからの一番大きな問題だと思いますが、その場合にやはり大事なことは、今おっしゃいましたように、地域においてはコミュニティーが地域としての自分たちのアイデンティティーをつくっていくということに違いないと思います。  その方法はいろいろあるでございましょうけれども、今よく話に私も聞いております福島県の例などはその一つではないかと思いますので、コミュニティーが地域をつくっていくということが、やはり二十一世紀の一つの大きな新しい我々に向けられたチャレンジではないかという点では、私も全く同感でございます。

横光克彦社会民主党・市民連合

○横光委員 ハードはもちろん大事ですが、それと同時に、今大臣のお話にございましたように、人間関係のぬくもりを支えるような生活基盤型整備にこそ、今財政出動もシフトすべきときに来ているのではないかということを申し上げまして、質問を終わります。  ありがとうございました。     —————————————

金子一義自由民主党

○金子委員長 この際、村井金融再生政務次官より発言を求められておりますので、これを許します。金融再生政務次官村井仁君。

村井仁自由民主党金融再生政務次官

○村井政務次官 昨年十二月十四日の当委員会におきまして、河村たかし委員から、平成九年四月にプリンストン債の商品性等について大蔵省証券局の担当者が外部からの照会に応じて応接を行っており、その当時大蔵省は既にその問題性を認識していたのではないかという趣旨の御質問がありました。  本来、出所不明資料に基づく御質問や捜査にかかわる事項については答弁を差し控えるべきものではありますが、その際、あえて私から「担当者が、プリンストン債について、コンサルティング会社から照会を受けたことは事実のようでございますけれども、具体性に乏しいものでありまして、私募債販売の適切性について判断を示したことはない、」と答弁いたしました。  この関係では、当時の担当者の参考人招致をめぐり、本委員会理事会で協議がなされ、まず事実関係を調査することになったと承知しておりますが、これを踏まえて、私どもでも当時の担当者に再度ヒアリングを行いましたところ、今まで申し上げました答弁内容に間違いないことを改めて確認いたしましたので、再度この場でその旨申し上げたいと存じます。  すなわち、私どもの調査した事実関係によれば、異なる課の担当者が、簡単な資料をもとに、それぞれ三十分程度応接をしたとのことであります。したがいまして、河村委員が委員会の場で読み上げられたような、詳細な法律的議論を含むやりとりが担当者のそれぞれ一回限りの応接で行われたと考えること自体、やや無理があると判断する次第であります。  なお、河村委員のお持ちの資料については、当方にお示しいただくようお願いしたところでありますが、いまだお示しいただけないため、正確に特定できないのは残念でありますが、同様の文書は一部マスメディアにおいて流布しており、私どもも、マスメディアからの問い合わせがあるごとに、この信頼性につきまして疑問を呈してまいりました。  以上申し上げました上で、この十二月十四日の私の答弁において誤りがございましたので、これを謹んで訂正させていただきたいと存じます。  河村委員から、引用させていただきますと、プリンストン債について問題があるのではないかという警察からの照会があったのではないかとの御質問があり、私から「警察からも照会があったと承知しております。」と答弁いたしましたが、その後、当方で、警察からの照会の有無に係る部分につきまして再度調査いたしました。その結果、平成九年及び平成十一年において、本件に関し警察から照会があったという事実はなく、私の答弁誤りでございましたので、この点おわびをし、訂正させていただきたいと存じます。      ————◇—————

金子一義自由民主党

○金子委員長 次に、内閣提出、平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び第百四十六回国会大畠章宏君外三名提出、租税特別措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。大蔵大臣宮澤喜一君。     —————————————  平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案  租税特別措置法等の一部を改正する法律案  法人税法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 ただいま議題となりました平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  まず、平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。  平成十二年度予算につきましては、我が国経済が厳しい状況をなお脱していないものの、緩やかな改善を続けている中にあって、これを本格的な回復軌道につなげていくため、経済運営に万全を期すとの観点に立って編成したところであります。  この結果、一般歳出の規模は前年度当初予算に対して二・六%増の四十八兆九百十四億円となり、一般会計予算規模では八十四兆九千八百七十一億円、前年度当初予算に対して三・八%の増加となっております。  こうした中で、公債につきましては、財政法の規定により発行する公債のほか、二十三兆四千六百億円に上る多額の特例公債を発行せざるを得ない状況にあります。  本法律案は、こうした厳しい財政事情のもと、平成十二年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置を定めるものであります。  以下、この法律案につきまして御説明申し上げます。  第一に、平成十二年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとしております。  第二に、租税収入等の実績に応じて、特例公債の発行額をできる限り縮減するため、平成十三年六月三十日まで特例公債の発行を行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は、平成十二年度所属の歳入とすること等としております。  次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、最近の経済情勢等を踏まえ、本格的な景気回復に資する等の観点から、民間投資等の促進及び中小企業、ベンチャー企業の振興を図るための措置を講ずるとともに、社会経済情勢の変化等に対応するため、所要の措置を講ずることとし、本法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  第一に、民間投資等の促進を図るため、住宅ローン税額控除制度、特定情報通信機器の即時償却制度の適用期限の延長等を行うこととしております。  第二に、中小企業、ベンチャー企業の振興を図るため、エンゼル税制の対象株式に係る譲渡益課税の特例及び同族会社の留保金課税の特例の創設等を行うこととしております。  第三に、社会経済情勢の変化に対応するため、年齢十六歳未満の扶養親族に係る扶養控除の加算措置の廃止、相続税の延納の利子税の軽減等の措置を講ずることとしております。  その他、特別国際金融取引勘定に係る利子の非課税制度、土地の登記に係る登録免許税の課税標準の特例、被災代替資産等の特別償却制度などについての期限延長、既存の特別措置の整理合理化等を行うこととしております。  次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。  政府は、商法及び企業会計における金融商品の評価に係る時価法の導入を踏まえ、法人税における有価証券の評価方法について、売買目的の有価証券については時価により事業年度末の評価を行うこととする等の改正を行うほか、所要の整備を行うこととし、本法律案を提出した次第であります。  以上が、平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

金子一義自由民主党

○金子委員長 次に、北橋健治君。     —————————————  租税特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

北橋健治民主党

○北橋議員 私は、ただいま議題となりました租税特別措置法の一部を改正する法律案について、民主党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  今、我が国は、深刻な長期不況に陥っております。日本経済を本格的な回復軌道に乗せるには、国民経済の根幹を支えてきた中小企業を抜本的に支援し、新規事業を大きく育成することが極めて重要だと考えております。民主党は、そのため、昨年十一月三十日に「「バラマキ」から「やる気の支援」へ」という中小企業政策、商店街振興策を発表したところであります。その中から、今日の最重要課題であるいわゆる留保金課税制度を見直し、この法律案に取りまとめたところであります。  この法案は、中小企業者の事業活動の活性化に資するため、中小企業者について同族会社の特別税率の規定を適用しないこととする特例を設けようとすることを目的にしております。  法案の概要は、内国法人である中小企業者の平成十一年十二月三十一日以降に終了する各事業年度の所得に対する法人税の額の計算については、法人税法第六十七条「同族会社の特別税率」の規定は適用しないこととしております。  現在、中小企業の大半は同族会社であり、留保金課税制度は中小企業にとって大変重い負担となっております。また、自己資本の充実を妨げ、中小企業の成長、発展を阻害しております。留保金課税制度の廃止は、中小企業の新規投資や研究開発を促進し、中小企業の事業活動の活性化に資するものであります。  以上が、租税特別措置法の一部を改正する法律案の趣旨でございます。  今後の国会審議における議員各位の御理解と御協力をお願い申し上げまして、趣旨説明を終わります。

金子一義自由民主党

○金子委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明二十三日水曜日午後五時五十分理事会、午後六時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十四分散会

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