青少年問題に関する特別委員会 第5号
- 発言数
- 185 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 2000/04/13
会議録
○富田委員長 これより会議を開きます。 この際、去る七日の議院運営委員会における理事の各会派割当基準の変更に伴い、理事の辞任及び補欠選任を行います。 まず、理事の辞任の件についてお諮りいたします。 理事三沢淳君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 引き続き、理事の補欠選任の件についてお諮りいたします。 先例によりまして、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○富田委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に石井郁子君を指名いたします。 ————◇—————
○富田委員長 次に、青少年問題に関する件、特に児童虐待問題等について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 本件調査のため、本日、政府参考人として警察庁生活安全局長黒澤正和君、総務庁青少年対策本部次長川口雄君、法務省民事局長細川清君、法務省刑事局長古田佑紀君、文部省生涯学習局長富岡賢治君、文部省初等中等教育局長御手洗康君、文部省体育局長遠藤昭雄君、厚生省児童家庭局長真野章君、農林水産省農産園芸局長木下寛之君、郵政省放送行政局長金澤薫君及び労働省労働基準局長野寺康幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石田勝之君。
○石田(勝)委員 皆さん、おはようございます。きょうは、青少年問題特別委員会の各会派の理事の皆様方に御理解をいただきまして質問の順序を繰り上げていただきまして、心から感謝を申し上げます。 時間も短いわけでございますので、早速質問に入らせていただきます。 テレビのニュースあるいは新聞報道等々で、悲惨な児童虐待の報道が後を絶ちません。全国の児童相談所に寄せられた数は、御案内のとおり、平成二年は千百件、しかし、平成十年では七千件に急増いたしているわけであります。実際には児童虐待が行われているのはこの十倍を超えているとも言われているわけであります。 この児童虐待は、子供の将来に大きな心理的障害、いわゆるトラウマを残すゆゆしきことでありまして、親のしつけや監護とは異なる犯罪行為だ、私はこういうふうに思っております。 なぜこういう問題が近年多発するのか、これらの問題を根本的に解決するのは、核家族や地域社会の崩壊といった社会環境の問題、親になるまでの教育の問題、あるいは現代が抱える諸問題のいわゆる多元連立方程式を解くという気の長い作業になることは間違いないわけであります。 しかし、根本的なアプローチとして、これと並行して、法律や予算面で少しでも多くの幼い命を救いたい、一日も早く児童虐待を防止したい、こんな思いでこれまでこの問題に取り組んでまいりました。また、本委員会の理事各位また各委員におかれましても、この問題に昨年来、一生懸命取り組んでいただいたわけであります。 そして、とみに深刻の度合いを深めてきた児童虐待の問題を喫緊の課題と位置づけて、各会派の委員の中から、参考人招致や政府等々への論議、特に厚生省との論議の中で明らかになってきたのは、児童虐待を防止したり、また虐待された児童を救出してケアしたり、あるいは虐待した親を指導するなどの体制が現行法では不十分である、そして現行の児童福祉法にも多くの不備や課題があるといった点であります。 ところで、厚生省は昨年十一月の当委員会で、児童福祉法の改正は当面必要がない、こう答弁されているわけであります。現行法の運用で十分対応できると答弁されてきたわけであります。その後の当委員会では、全会一致で「児童福祉法その他関連法の必要な法整備を早急に講ずる」、こういう決議を行い、そのため検討を続けてまいったところでありますが、厚生省におかれては、その後も昨年十一月の当委員会で答弁されたお考えとお変わりがないのかどうか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○真野政府参考人 先生御指摘のとおり、児童虐待の件数が大変ふえておりまして、私ども、何とか児童福祉法をきちっと適用して、その体制を強化したいということを再三申し上げてまいりました。 また、昨年来の当委員会におきます熱心な御審議、児童虐待問題に関します各方面からの関心が高まりを見せる中で、第一線の現場からもさまざまな意見表明がなされました。 また、今先生御指摘の昨年十二月の当委員会での御決議、さらには与党においての児童虐待問題検討会の設置など、いわばこの児童福祉法の体制では対応し切れないのではないかという御指摘を私ども大変深く重く受けとめておりまして、これらの議論の中で提起されております法的整備の問題を含めた幅広い論点につきまして、当委員会におきます議論や与党における検討状況も踏まえながら、私ども真剣に検討したいというふうに考えております。
○石田(勝)委員 今の局長の答弁、昨年の十一月の答弁よりはかなり前進をしたかなというふうにもとれるわけでございまして、さまざまな現場あるいは当委員会での取り組み、または実際にこの児童福祉法では対応し切れないのではないか、そういうことを深く重く受けとめ、この青少年問題特別委員会の論議を慎重に見きわめて前向きに進めていきたい、こういうふうに今局長が答弁されたと私は理解をいたしております。 そこで、この現行法の運用では現状はとても対応できないということを今局長が申されたわけでありますが、この児童虐待防止のための新法が必要であるという考え方で私ども検討を進めてきましたところ、児童福祉法の改正だけではなく、児童福祉法の改正と民法の改正によって対応ができるのではないか、私はそういうふうに思い至ったわけであります。それが、厚生省にも法務省にもお届けをさせていただきました、私の個人的な案を出させていただいたわけでありますが、きょうは、時間がございませんから、まず児童福祉法の改正が必要だと考える中の四点について、厚生省に逐次お伺いをしたいと思います。 まず第一に、児童福祉法に児童虐待の定義が存在しない、法的根拠がないので、児童相談所などがこれは児童虐待だと判断しても、親に抵抗されるなど、職務の遂行に支障を来すことがあります。私は児童虐待を、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の四分類に分けて児童福祉法に規定すべきだと考えておりますが、厚生省の御見解はいかがでしょうか。
○真野政府参考人 児童虐待、先生御承知のとおり、さまざまな専門家の間におきましても定義が試みられておりますけれども、まだ関係者の間で一致している状況とはなかなか言いがたいのではないかというふうに思っております。 ただ、今先生が四分類としてお示しをいただきました分につきましては、私ども、とにかく児童相談所におきます対応の統一性といいますか、適正を図るという観点から、昨年の三月に、「子ども虐待対応の手引き」という形におきまして、関係者に周知をしたというものでございます。 児童福祉法にといいますか、その定義を法律上置けということでございますが、法技術的な関係で大変恐縮ではございますけれども、今申し上げましたように、識者の間でいろいろ議論がある。私ども、一応その四分類をお示しいたしておりますが、そういう状況である。 また、当委員会でも、参考人の方からも、いわば児童虐待の定義というのもやはり社会的状況において刻々変わっていくんだ、そういう状況の中で法律上の規定ということが後々、かえってマイナスにならないんだろうかという問題もございますし、また法律で定義をいたしますと、普通はその定義に伴う法的効果というものを想定するわけでございますが、いわばその法的効果をどの程度持たせるのかというような議論、そういうような議論の整理が必要ではないかと思います。 ただ、現場の声として、親御さん方に対する対応として、いわば法律上の根拠、定義がないということが現場において非常な困難を来しているという関係も先日来お聞きをいたしております。 そういう意味では、今申し上げましたような点を整理するということを検討しながら、与党におきましてもいろいろ御意見をいただいておりますし、当委員会でも御意見をいただいておりますので、そういう検討状況を十分踏まえながら対応していきたいというふうに思っております。
○石田(勝)委員 今局長が答弁されましたけれども、法的効果ということは、法的根拠がなければ法的効果というのは出てこないのであって、私は、まずその法的根拠、いわゆる児童虐待の定義をまず児童福祉法の中で示すべきだ、規定すべきだ、こういうふうに思っております。そうでなければ法的効果というのはあらわれないと思っておるわけであります。 第二点として、児童虐待を発見した場合、現在でも国民一般に通告義務があります。しかし、国民一般に通告義務があることすら国民の多くは知らないというのが現状であります。 それで、現在の制度で実効性が上がっていないという批判が多い中で、お医者さんだとか学校の先生など特定の職業にある者の通告義務を国民一般より重いものにするとともに、仮に通報を間違えた場合に、親に名誉毀損等々で訴えられない、そういうおそれもあるわけでありますので、免責規定を設けて通報を保護することが必要であろうと思います。この点について厚生省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○真野政府参考人 先生御承知のとおり、国民一般に通告義務が課せられております。通告の経路を見ますと、約半数程度が家族などからの通告であるというふうに承知をいたしております。先生御指摘のとおり、これまでそういう部分の周知徹底も十分ではなかったわけでございますので、私ども、一層の周知徹底をしたいと思っております。 ただ、お医者さんなど専門職種の方々、こういう方々に今の国民一般の通告義務より重い義務を課すということにつきましては、いわば国民一般にも義務があるわけでございますので、それとの関係をどうするのか。そしてまた、もし違えるとすれば、また義務の違え方を考える必要があるわけですが、そういうものをどうするのか。 先生御指摘のとおり、そういう方々が一番発見しやすく、そして一番対応をきちっととっていただかなければならない、それは私どもも全く同感でございます。それを法律的にどういうふうにあらわすのか。そういう意味では、通告義務というのを二重にかぶせるのか、いわば日ごろから注意をしておって早く見つけるというようなことをやるのか、そういう点につきまして御議論をいただきたいというふうに思います。 また、通告に伴う免責につきましては、児童福祉法の二十五条に基づきます通告が刑法上の秘密漏えいや法令上の守秘義務違反にはならないということは、私ども既に通知をもってお示しをいたしております。それを立法化するのかどうかということになりますと、今度はまたほかとの並びの議論があるのではないか、私どもはそういうふうに思っております。
○石田(勝)委員 これは、まず児童虐待というものの定義をきちっと決めて、それを国民に周知徹底して、国民にも通告義務があるんですよということをまず知ってもらわなければいけない。国民は通告義務があるということを知らない人がほとんどだろうと思います。これは恐らく、厚生省でアンケート調査をやって、児童虐待の通告義務が国民に課せられているのを御存じかとやったら、ほとんどの人は、いや知らないと答えるのじゃないか。まず児童虐待の定義を決めて、これが児童虐待だ、そしてそれは、発見した場合には国民一般に通告の義務があるんですよと、それが私は早期発見につながってくる道だろうと思うのです。 そして、お医者さんだとか学校の先生だとか、いわゆるそういう虐待児に接する可能性の高い方に重い義務を課しても、そこで免責規定を設けておけば、親から名誉毀損で訴えられることもないということで、これは、発見からケアまでの段階の中で避けては通れない通告義務、そして免責規定、早期発見、こういうものがまず国民に周知徹底されることが、私は児童虐待を防止していく一つの道だ、第一歩だというふうに思っております。 第三点目として、児童相談所などが児童虐待の疑いを持った家庭に対し立入調査をしようとしても、現行法では親が拒否をしてかぎをかけて立てこもったような場合は対応ができない。子供を緊急避難的に保護する必要があるときは、より迅速に裁判所の令状をとって、警察官の立ち会いのもとに解錠できる法律上の規定も必要だと思いますが、厚生省の御見解をいただきたいと思います。
○真野政府参考人 確かに、立入調査に対しまして、物理的な抵抗も含めまして、そういうような状況に対処するということで、大変現場で苦労していただいているというふうには私どもも承知をいたしております。 ただ、先生御指摘の、立入調査の際に家庭裁判所の許可ということ、まずそれをかけて手続の適正化を期される、それは一つの御意見として私ども貴重な御意見だと思いますが、先生も御案内のとおり、二十九条、立入調査の関係と、二十八条の母子分離、施設入所等の関係で、裁判所の手続をとるということが、なかなか児童相談所の現場、特に一時保護というような緊急を要する場合に、本当にそのような迅速な対応が家庭裁判所から、対応として、これは家庭裁判所がやるんだということであればまたあれでございますが、そういう状況が考えられるのが一つ。 それから、先生のおっしゃられました、かぎをあけるという権限を児童相談所に与える、当委員会でも参考人の方からそういう御意見も出ましたことは私どもも十分承知をいたしておりますが、その一方では、児童相談所は後々のケアもする。したがいまして、母子分離をする人間と、後々母子のケアをまた引き続きやっていくというところが本当に一緒に権限を持っていいのか、これも議論のあるところではないかと思っておりまして、私どもとしては、警察官と同行していただく、そういうような方法の模索を警察にもお願いをいたしておりますし、もし立法するということであれば、そういう方向も一つの議論の方法ではないかというふうに思っております。
○石田(勝)委員 二十八条の問題については後ほど法務省の局長と議論させていただきたいと思いますが、厚生省の局長に最後の点でありますけれども、児童虐待の解決に最も大事なのは、親が悔い改め子供を温かく迎え入れる、このことだろうと思います。現行法では、親に対するカウンセリング、親が拒否すればそれまでであります。これは法律上、親に対する義務づけが必要だと思いますが、厚生省の御見解を伺いたいと思います。
○真野政府参考人 先生御指摘のとおり、保護者に対する継続的な指導が大事であるということにつきましては、私ども全く先生と同じ意見でございます。 ただ、それを法律的に義務づけるという場合に、現在は児童相談所がそういうことをする、児童相談所の権限としてそういう継続指導、逆に言えば児童相談所はそれをしなければならない義務を負っているわけでございますが、逆に言えば、先生御指摘のとおり、保護者の方がそれを拒否すればそれ以上の方法はない。ただ、そういう状況ではございますけれども、それを義務づけるということになりますと、いわば実効性の担保、本当に来なかった場合にどうするんだとか、児童相談所に一度も顔を見せない場合にどういうふうにしてやっていくんだとか、私どもは、技術的にはそういう点をさらに詰める必要があるのではないかというふうに思っております。
○石田(勝)委員 児童虐待については、先ほど申し上げましたように早期発見からケアまで一本の線で結ばなきゃいけない、こう思います。そして、子供にとってどうなんだろう、子供にとってどういう救いの手が差し伸べられるかということがやはり児童虐待の防止につながってくるわけでありまして、これはいわば大人の責任で、政治の責任でこの問題を一日も早く解決していかなければいけないことだろうと思います。先ほど来私が申し述べておりますように、早期発見からケアまで一本の線で結ぶ、その法律を立ち上げるということが我々の政治に課せられた、政治家に課せられた、あるいは行政に課せられた責任だというふうに思っております。 時間がありませんから、次に法務省にお尋ねをいたしますが、民法の改正についてお尋ねをいたします。 せっかく児童相談所が親から虐待をされている子供を切り離して一時保護しても、親が毎日のように取り返しに来る。この間も児童相談所の所長さんから参考人で御意見をお聞かせいただきましたし、またきのう、当委員会の委員長を初め委員の皆様方が児童センターの先生方からもいろいろ視察をされてこられたとも伺っております。 そういう中で、親に親権がある限り、法律に取り返しに来てはいけないとかあるいは会いに来てはいけないなどと規定しても、厚生省がどんな通達を出そうが、私は親なんだ、こう言い返してくる。あなたは今は親ではないんですよということを宣告する必要がある。 そこで、民法の八百三十四条に親権喪失の規定がありますが、児童相談所は一時的に子供を保護するけれども、その間の親のカウンセリングなどを進めて、一日も早くもとの家庭に戻したいとも考えているわけであります。 今の親権喪失の規定では、期限もなく、児童虐待に対処するには重た過ぎる。実際の問題としては活用されていないと私は思うわけでありまして、そこで、民法八百三十四条にある親権の喪失規定に親権の一時停止を加えるべきだと私は私案で提案をしているわけでありますが、この八百三十四条を改正して親権の一時停止を加えるという考え方について、法務省の御見解を伺いたいと思います。
○細川政府参考人 親権の一時停止の制度を設けるという御見解が児童福祉の関係者の間で大変強いということは承知しております。また、参考人の御陳述を私ども拝見いたしまして、そういう意見を持たれる問題意識というものも私どもなりに理解しているつもりでございます。 ただ、その問題意識に対応するために、手段として親権の一時停止を設けることが適当かどうか、そういう点について、私どもは実際上の影響について危惧する問題点があるわけでございます。 順次申し上げますと、まず、親権の一時停止の期間でございますが、これは家庭裁判所が判断することになりますけれども、親権者に親権を行使させることが一定期間は不適切だけれども、その後は適切になるという期間をあらかじめ決めるということは、裁判官にとっても大変難しいことではなかろうかというのが第一点でございます。 それから第二点といたしましては、あらかじめ一定の期間を定めた場合、期間満了のときに親御さんの不適切な状態が改善されていないということであれば、再度児童相談所長が家庭裁判所に申し立てを行うということになりまして、手続がかえって複雑化するのではなかろうか。 あるいは第三番目としましては、民法は身分関係に関する私法の一般規定でございますので、一時停止の制度を設けますと、これは児童虐待以外の場合にも当然適用になることになりますし、申し立て権者も児童相談所長さんに限られないということになるわけでございます。したがいまして、他の親族や夫婦間の紛争にこれが乱用されることにならないかという心配があるわけでございます。 これに対して現行の親権の喪失制度は、期間を定めずに親権喪失の宣告をした上で、親権を行使させることが適切な状態に戻ったということになった場合には、家庭裁判所が親権喪失宣告の取り消しの審判をするということになっておりまして、いわば特定していない期間の間に親権を喪失させるという制度でございます。したがいまして、運用が適切になれば、状況に応じた弾力的な親権の制限が可能だろうと思っております。 また、親権喪失の宣告の手続が続行している間に問題があるということであれば、家庭裁判所は審判前の保全処分として、親権者の職務執行停止、職務代行者の選任を保全処分として行うことも可能でございます。 そういったことから、私どもとしては、問題意識はわかりますが、手段としては、一時停止を設けることは必ずしも適切ではないのではなかろうかというふうに、現在ではそう考えているところでございます。
○石田(勝)委員 今の御答弁は、児童福祉法の二十八条の運用で可能だ、こういうふうな御答弁だと思うのですが、二十八条については現実に最低半年から一年かかっているわけでありまして、その間、宙ぶらりんにされた子供が大変かわいそうなんですね。また、親から虐待を受けたという証拠集めに物すごく苦労するわけであります。例えば、心理的虐待だとかネグレクトだとか、そういう場合には証拠集めに大変苦労するわけであります。 そういうことを具体的に示すのは至難のわざでありますから、八百三十四条の親権の一時停止を加えるとどういう問題があるのかと私は法務省にもう一回お尋ねをしたいところであります。しかし、時間が来たということでありますので、私は、その点を強く指摘し、先ほどから申しておりますように、民法の改正も含め、あるいは児童福祉法の改正も含めて、この児童虐待防止法を今国会中に各委員の御理解、御協力をいただいて、成立を期せるように、最後にお訴えを申し上げまして、質問を終わります。 ありがとうございました。
○富田委員長 次に、阪上善秀君。
○阪上委員 自由民主党の阪上善秀でございます。 本日は、児童虐待問題に関して質疑をさせていただくわけでございますが、私は、児童虐待を、親または親にかわる保護者等によって行われる虐待行為というだけではなしに、子供の健全な成長を妨げるような大人のすべての行為であるととらえて、そういう観点から質問をさせていただきたいと思います。 本題に入る前に、若干政府にただしておきたい点がありますので、そちらから質問をさせていただきます。 まず、警察庁にお伺いしたいのですが、昨今、警察の対応のまずさゆえに事件を大きくしてしまったという報道は目に余るものがございます。新潟の女性監禁事件、埼玉県の桶川市で起こった女子大生刺殺事件、名古屋の五千万円恐喝事件と、警察の民事不介入の原則が世の流れに合わなくなってきているのではないかということは明々白々であります。 さすがにこれではまずいと気づいたのか、警察庁は、去る三月に、「困りごと相談業務の強化に係る実施要領について」という局長通達を都道府県警察あてに発出し、その中でいわゆるストーカーと言われるつきまとい事案、家庭内暴力等の事案、児童虐待事案等に適切に対処できるように指示しております。 この通達による安心して暮らせる空間づくりのためには、警察の人員の増強が必要なことは言うまでもございませんが、私が危惧しておりますのは、そのための予算措置は大丈夫なのかということであります。地方の財政危機が叫ばれておりますこの時期に、地方に負担をかけることなく、第一線の警察官の士気を損なうことのないような方法がとられているのかどうか、お聞きをいたします。
○黒澤政府参考人 国民が警察に最も強く求めますものは、安心して暮らせる空間でございます。その確保をするための活動を強く求めておるわけでございます。 ただいま委員から御指摘がございましたけれども、特に、最近、社会問題になっております女性に対するつきまとい事案、夫から妻への暴力事案、児童虐待事案等につきましては、国民からの要望に積極的にこたえるために、都道府県警察に対しまして、困り事相談の受理、対応体制を充実強化し、犯罪等の未然防止活動を徹底するよう指示いたしたところでございます。 委員御指摘の、お尋ねの警察力の充実強化でございますけれども、現下の喫緊の課題であると認識をいたしておりまして、引き続き、さらなる人的基盤の強化、そして予算の充実につきまして十分に検討していく必要があると考えておるところでございます。
○阪上委員 次に、厚生省。 厚生省は、現行法改正、つまり児童福祉法の改正には消極的と言われておりますが、その真意をお伺いしたいのであります。 先ほど申し上げました名古屋の五千万円恐喝事件におきましても、被害者の少年の母親は、地元の児童相談所に相談に行ったとの報道がございました。相談に行ったが、対応し切れなかった。残念ながら、現状では相談所の能力が目いっぱいであることも原因の一つだと思います。 また、先日の当委員会の参考人質疑における全国児童相談所長会のアンケート結果からすれば、児童相談所の拡充強化は急務であることは間違いのないことだと思います。そして、児童相談所の拡充強化、人員増は現行法の範囲で十分可能であり、そのための法改正は必要ではなく、実行上の問題であり、それを当局は指導しているのだから厚生省は責められることはないということなんでしょうか、御意見をお伺いいたします。
○真野政府参考人 児童虐待の問題につきまして、児童相談所を含めまして、あらゆる機能を十全に果たしていくということは私ども最大考えなければならないことだと思っております。 ただ、法律改正という観点に関しましては、先ほども申し上げましたように、昨年来当委員会で大変御熱心に御議論をいただいておりますし、また、児童相談所を初め、福祉の現場の第一線の方々からさまざまな意見が寄せられております。また、昨年十二月には当委員会での御決議もございました。そういうようなことを、私ども、深く、強く、重く受けとめておりまして、これらの議論の中で提起されております法的整備の問題を含めて、幅広く、真剣に検討する必要があるというふうに考えております。
○阪上委員 それでは、児童虐待とは子供の健全な成長を妨げるような大人のすべての行為であるという観点からお伺いをしてまいります。 児童福祉法第三十四条は、「何人も、次に掲げる行為をしてはならない。」と十一個の事例を挙げております。もちろん、この法律は戦後間もないころにできた法律でありますから、そのころの社会情勢には適合しておりましても、現在では少し首をかしげたくなるような事例もあります。しかし、この事例は本当に機能しているのかという疑念があります。 昨年、十八歳未満の児童を相手にした買春やポルノを処罰する児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律が施行され、青少年の人権保護に大きな前進を見たと思っております。 しかし、私は、昨年、地元のある親御さんから、こんな気になる話を聞いたのであります。 東京に少年たちがタレントとして活躍しているジャニーズ事務所という芸能プロダクションがあるのですが、そこに所属する少年たちの間で喫煙や飲酒が堂々とまかり通っておるというのであります。ほかにもいろいろな問題があります。私も耳を疑ったのですが、ジャニーズ事務所の社長であるジャニー喜多川さんがタレントの少年たちに性的ないたずらをしているという話も聞きました。 その親御さんのお子さんがジャニーズ事務所に関係しており、お子さんだけでなく、子供の友達からもジャニーズ事務所の体験談をたくさん聞いたそうであります。 私は芸能界に疎い人間であります。ジャニーズ事務所という名前は知っておりましたが、その詳しい内容について知りませんでした。しかし、訴えの内容が内容だけに、私も気になって少し調べてみました。すると、かなり以前からこの問題は活字になっていますし、最近でも文芸春秋社発行の週刊文春に、十回にわたり、この問題が掲載されておるではありませんか。 ジャニーズ事務所は、青少年に対して極めて大きな影響力を持つ芸能プロダクションであります。この大みそか、事務所に所属するタレントが集まって東京ドームで年越しコンサートを開きましたが、そこに五万五千人も集めております。昨年、「嵐」というグループがデビューしたが、東京の国立競技場で行われたデビューイベントには八万人が押しかけておるのであります。新人ですらそうなんです。事務所で一番人気のあるSMAPというグループなど、昨年夏のコンサートだけで、五十万人以上のファンを集めておるというのであります。 そういう華やかな反面、ジャニーズ事務所のタレントOB、元フォーリーブスの江木俊夫が、昨年、覚せい剤を使用して、有罪判決を受けました。フォーリーブスでは北公次さんもそうであります。覚せい剤で逮捕されたタレントOBは五名になります。 私、いろいろと調べてみましたが、ジャニーズ事務所の人気や社会的影響力の大きさを考慮したとき、教育的な見地から、どうしても看過できない、多くの疑問を抱きましたから、あえて問題を提起させていただきたいと考えたのであります。 順を追って質問をいたしてまいりたいと思います。 まず、労働省にお伺いいたしますが、労働基準法では、満十五歳未満の児童は労働者として使用してはならないとありますし、満十五歳以上十八歳未満の年少者は深夜、つまり午後十時から午前五時までは使用してはならないと定められているのであります。また、満十五歳に満たない児童については、労働基準監督署の許可を受けて使用する場合、年齢証明書のほかに、「修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない。」とあります。 これらの規定について、ジャニーズ事務所の実態を労働基準監督署では把握されておられるのか。そして、実態調査を過去にされたと聞いておりますが、その事実についてもお伺いをいたします。
○野寺政府参考人 芸能プロダクションの専属タレント等につきましてはいろいろ難しい問題がございますが、一般的に申しますと、専属契約という形の契約で報酬、スケジュール等が決められておるようでございます。 この報酬を見ますと、一般の方の所得水準の数倍にも上るようなケースが多いわけでございまして、これから考えますと、労働の対償である賃金とは言えない場合が多いというふうに考えております。または、税法上も事業所所得という形で課税されているわけでございます。こういったことから、いわゆるタレントは、一般的には労働者とはみなしていないというケースが多いわけでございます。 ジャニーズ事務所でございますけれども、これまで年少者にかかわります労働基準法上の先生御指摘の規定等の問題があるといったような情報も、週刊誌のお話もございましたけれども、特には告発等の形ではないわけでございまして、そういう意味では、現在正確に情報を把握しているという状況ではございませんが、労働基準法等の観点に照らしまして問題があるようであれば今後必要な調査を的確にやってまいりたい、なおかつ指導をしてまいりたいというふうに考えております。
○阪上委員 昭和六十三年に、ジャニーズ事務所では光GENJIというグループに大変人気がありました。当時十四歳のメンバーが深夜の歌番組に出演した疑いで労働基準監督署が調査に入りました。このときはなぜ問題にならなかったのですか、お伺いをいたします。
○野寺政府参考人 御指摘の光GENJIの件でございますけれども、昭和六十三年の六月に、事務所を管轄いたします労働基準監督署が調査をいたしております。このときの調査によりますと、報酬面や、あるいは先ほど申しましたように税法上の取り扱い、事業所所得として課税されているといったような実態から見まして、労働者とは認められないというような判断をしたわけでございます。したがいまして、特段の指導は行っておりません。
○阪上委員 それではお聞きいたしますが、昨年十二月に、大手プロダクションのホリプロ所属のタレントが大阪の毎日放送に深夜出演したことで、大阪府警がホリプロと毎日放送の社員を労働基準法違反の疑いで書類送検をいたしております。ホリプロは摘発されてジャニーズ事務所は許されるというのはおかしいのではないかという声をよく聞きました。 ジャニーズ事務所に対する報道がある以上、少年たちの教育的な見地から、事務所の実態調査を行い、必要な指導を行うべきではないかと思います。平成十年あるいは十一年に実態調査に入られたと聞いておりますが、その後の指導監督はいかがになっておりますか、お伺いをいたします。
○野寺政府参考人 昨年十二月、御指摘のホリプロの所属タレントが大阪毎日放送に出て深夜放送に出演したという件でございますけれども、これにつきましては、先ほど申しましたように、個々のタレントの契約の実態、内容、所得の課税の状況等々勘案いたしまして、労働者に該当するかという形で判断をするわけでございます。 この場合には、いわば売り出し中といいますか、タレントもかなり名前が通って所得がふえてまいるような状況の方と、まだそこまで至っていないような状況の方がいらっしゃいますけれども、この場合は余り売り出しがまだできていないような方であったかと思います。したがいまして、労働基準法上の問題に抵触する可能性がございましたので、その観点から必要な指導を行い、的確にその是正が図られるように努めてまいっております。
○阪上委員 それでは次に、文部省にもお伺いいたしたいと思います。 ジャニーズ事務所では、中学生の少年に平日のドラマの仕事が入ることがありますが、子供が義務教育段階にある場合、学校教育法では、児童の使用者が「義務教育を受けることを妨げてはならない。」とありますが、いわゆる芸能プロダクション、学校長、子供に対してどのような指導をされておるのか、お伺いをいたします。
○御手洗政府参考人 個別の状況について承知いたしておりませんけれども、一般論として申し上げますと、先ほど先生御指摘ございましたように、労働基準監督署の許可を受けるに際しまして、学校長がその使用が修学に差し支えないことを証明するという手続になってございます。この点につきましては、各学校におきましても、私ども周知はしておりますので、具体的に家庭とも十分連絡をとった上で、その状況について学校長が証明書を与えるということになろうかと思います。 その後の、実際の使用許可を受けて子供たちが使用されている状況につきましては、当然学校といたしましては、教育課程がしっかりと身につくようにということで、十分それは個別の生徒指導上の観点から把握をし、そしてまた家庭とも連絡をとりながら、問題があれば家庭あるいは労働基準監督署と連携をとって適切に対応するということが必要であろうかと思いますので、今後とも、そういった具体の問題点につきましては、御指摘がありましたら、私どもといたしましてもそういった形で適切な連携が行われますよう指導に努めてまいりたいと考えております。
○阪上委員 学校長が出した許可書と事務所の実態、そして子供、親との関係というものが、書類だけがまかり通って形骸化されている節があると思いますので、なお厳しい把握をお願いいたしたいと思います。 次に、ジャニーズ事務所で横行する飲酒や喫煙の問題についてお伺いをいたします。 週刊文春のグラビアで、ジャニーズで働く少年八名の喫煙、飲酒写真が掲載されておりました。他の雑誌にも同様の写真が掲載されております。ジャニーズ事務所のタレントが当たり前のように喫煙や飲酒をしているわけでございますが、彼らはいわばあこがれの対象であるだけに、青少年に対する影響ははかり知れないものがあると思います。 文部省並びに捜査当局は、ジャニーズ事務所にいかなる指導、勧告を行ってこられたのか、お伺いをいたします。
○遠藤政府参考人 一般論で申しますと、学校教育におきましては、たばこやアルコールが心身に及ぼす影響などをまず正しく認識させるということ、それによって未成年の段階では喫煙や飲酒をしないという態度を育てることを主なねらいとしまして、喫煙とか飲酒に関する指導を行っておるところでございます。これは、中学校、高校では保健体育とか特別活動などで行っていますし、小学校でも、十年の学習指導要領の改訂に当たりましては、その旨を明記しまして、充実を図ろうというふうに対応しているところでございます。 こうした指導などを通じまして、児童生徒が周囲の状況にかかわらずみずからの判断で喫煙とか飲酒を行わないこととなるよう今後とも努めてまいりたいと思いますが、文部省としては、学校教育等の場面を通じてそういった喫煙とか飲酒の防止に関する教育に努めているところでございまして、私どもが直接に特定の事務所等に指導するということは難しいものと考えております。
○黒澤政府参考人 詳細につきましては控えさせていただきますが、御質問のジャニーズ事務所で働く少年たちがあるパーティー会場において飲酒や喫煙を行っていた事案につきましては、関係者に対しまして厳重に注意をし、あるいは始末書をとるなどの所要の措置を講じたものと承知をいたしております。 警察といたしましては、少年の飲酒、喫煙というものは、その健全育成上重大な問題として認識をいたしておるところでございまして、今後とも、少年の健全な育成を阻害する行為等に対しましては、未成年者飲酒禁止法や未成年者喫煙禁止法等の関係法令の趣旨に照らしまして、厳正に対処していきたいと考えておるところでございます。
○阪上委員 例えば週刊文春のグラビアで、実名を挙げて、米花君というタレントの喫煙している写真が掲載されております。この米花君は最近も、テレビにレギュラーで出演をしております。脱法行為を指摘されている少年が大手を振ってテレビに出演しているのでは、他の青少年に対して示しがつかないのではないかと思うのですが、答弁をお願いいたします。
○遠藤政府参考人 お答えします。 おっしゃるように、そういう人気のあるタレントがそういった場面で飲酒、喫煙等を行うということは、私どもとしても、青少年に与える影響というのは大変大きいものというふうに心配をしております。そういったタレントの方が未成年の場合には、これは当然、法律で禁じられておることでございますから、その方がタレントであるか否かにかかわらず許されないものであることは間違いありませんので、そういった場合の対応としては、やはり学校を含めた周囲の関係者が適切に対応していくべきもの、あるいは、法律違反ということになれば警察署ということになろうかというふうに考えております。
○阪上委員 次に、最も深刻な問題であるジャニー喜多川社長のセクハラ疑惑についてお聞きしたいと思います。 報道によれば、ジャニー喜多川社長は、少年たちを自宅やコンサート先のホテルに招いて、いかがわしい行為を繰り返しておるという内容のものであります。なぜ少年たちがこんな行為に耐え忍んでいるかといえば、ジャニー喜多川社長に逆らうと、テレビやコンサートで目立たない場所に立たされたり、デビューに差し支えるからというのであります。 私は独自の調査で、ジャニーズ事務所に所属していたことのある少年の母親の手紙を手に入れました。少し長くなりますが、御紹介をさせていただきます。 うちの現在高校二年生の息子も、中三の冬にオーディションに合格し、約一年間ジャニーズジュニアをしていましたが、事務所からのコンタクトがなくなり、自然にやめたような形になりました。ずっと後になって息子から聞いたのは、オーディションに受かってから初めてレッスンに行ったとき、先輩のジュニアから、もしジャニー喜多川さんから、ユー、今夜はホテルに泊まりなさいと言われたとき、多分ホモされるかもしれないけれども、それを断ったら次から呼ばれなくなるから我慢しろと教えられたそうであります。息子はジャニーさんの好みでなかったらしく一度も誘われなかったので、清い体でやめることができましたが、何人かはこの行為を受け、お金をもらっていたそうであります。今テレビでにこにこして踊っているジュニアたちは、陰ではそんなつらい思いをしておるかと思うとかわいそうです。 こういう内容であります。こういうことが事務所でまかり通っているわけであります。 ジャニー喜多川氏は、親や親権者にかわって児童を預かる立場であります。児童から信頼を受け、児童に対して一定の権力を持っている人物が、その児童に対して性的な行為を強要する。もしこれが事実とすれば、これは児童虐待に当たるのではありませんか。
○真野政府参考人 児童虐待の定義でございますが、先ほど来御説明をいたしておりますように、私ども、平成十一年三月に作成をいたしました「子ども虐待対応の手引き」において私どもなりの虐待の定義をいたしておりまして、この手引によりましては、親または親にかわる保護者などによって行われる身体的虐待、性的虐待、心理的虐待、ネグレクトを虐待というふうに規定をいたしております。 今御指摘の件は、性的な行為を強要した人物がこの手引に言います親または親にかわる保護者などに該当するわけではございませんので、私ども、手引で言うところの児童虐待には当たらないというふうに考えております。
○阪上委員 その判断はおかしいと思いますね。地方から単独で東京の事務所に出てきて預かってもらっておる人が、なぜ親がわり、親権者がわりにならないのか、私は大いに疑問であります。 ジャニー喜多川氏の行為は法的に問題があると私は考えます。児童福祉法第三十四条第六号は、児童保護のための禁止行為として挙げておりますが、ジャニー喜多川氏の報道された行為が事実とすればこの法律に違反しているのではないかと思いますが、いかがですか。
○真野政府参考人 児童福祉法の三十四条では、「何人も、次に掲げる行為をしてはならない。」ということから、児童福祉を著しく害する行為を定めましてこれを法律上禁止いたしておりまして、同条の第六号には「児童に淫行をさせる行為」が規定をされておりまして、「淫行」とは、判例によれば、性交そのもののほか性交類似行為を含むというふうにされております。また、「淫行をさせる行為」とは、児童に淫行を強要する行為のみならず、児童に対し直接であると間接であるとを、また物的であると精神的であるとを問わず、事実上の影響力を行使して児童が淫行することに原因を与えまたはこれを助長する行為を包含するという判例もございます。 御指摘の個別事案につきまして、それを判断するための情報がございませんが、一般論といたしましては、児童に対しまして今申し上げたような性交類似行為をするということは、児童福祉法三十四条の六号に違反しているというふうに考えられると思います。
○阪上委員 厚生省の今の答弁のように、事実を把握しておりながら実行しないというところが、私は、青少年、あこがれのスターを夢見る子供たちをみすみす犠牲に追いやっているものと思います。 報道によれば、ジャニー喜多川氏はセクハラを行った後に、数万円の金銭を少年たちに与えておりますが、東京都や大阪府などで定められた青少年健全育成条例では買春処罰規定があります。例えば東京の場合、「何人も、青少年に対し、金品、職務、役務その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して性交又は性交類似行為を行なってはならない」とあります。この規定に抵触するのではありませんか。 なぜか大阪と東京の場合では違いがあるそうでございますが、その差についても御答弁をお願いいたします。
○黒澤政府参考人 個別具体的な事案の捜査にかかわりますことにつきましては答弁は差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げれば、犯罪があると思料されます場合には捜査を行いまして、違法行為があれば、法と証拠に基づきまして厳正に対処してまいりたいと考えております。 なお、東京都青少年の健全な育成に関する条例第十八条の二に規定する「職務、役務その他財産上の利益」につきましては、次のように解されていると承知をいたしております。「職務」とは雇用または仕事のことでございまして、「役務」とはサービスのことであります。また、「その他財産上の利益」とは、債務免除等、財物ではないが金銭的に評価できる財産上の利益でございます。したがいまして、仕事上の利益がここで言う職務等に当たるか否かにつきましては、具体的な事案の内容に基づき判断されるものと考えております。 それから、健全育成条例につきましては、淫行、わいせつ行為、いろいろな規定の仕方がございますけれども、東京都の条例では、金銭等を対償として供与し、供与することを約束する、こういったことが必要でございますが、県の条例によってはこういった要件のないところとか、都道府県によりましてそれぞれ差異がございます。
○阪上委員 これはやはり全国的な、統一なものを私はつくっていく必要があるのではないかと思っております。 ここで忘れないうちにお聞きしておきたいのですが、ジャニーズ事務所に対して警察庁も厳重注意を勧告されたと聞いておりますが、それはいつのことであったのですか。
○黒澤政府参考人 済みません。ちょっと御質問の御趣旨は……。
○富田委員長 ジャニーズ事務所に厳重注意をされたと聞いているがと。
○黒澤政府参考人 そのように対応いたしております。
○阪上委員 私の質問が終わるまでで結構ですから、きのう打ち合わせに来られた方にお話の中で、ジャニーズ事務所にいつ厳重注意を勧告されたかという日にちをお聞かせください。 金銭だけでなく、少年たちに仕事上の不利益があると考えさせることも違反に該当するのではありませんか、御答弁をお伺いいたします。
○黒澤政府参考人 厳重注意、始末書をとった日時、ちょっと手元に資料を持ち合わせておりませんが、間違いなく厳重注意、始末書処分をいたしておるところでございます。 それから、先ほども申し上げましたが、仕事として出させない、こういったことが条例に違反するかどうかにつきましては、個々具体的な事案に応じて判断されるわけでございますけれども、先ほどの繰り返しになりますけれども、仕事上の不利益が条例で言うところの職務等に当たるのか否か、それは具体的な事案の当てはめの問題でございまして、具体的な事案の内容に基づきまして判断されるものと考えております。
○阪上委員 次に、冒頭で申し上げました児童買春、児童ポルノ禁止法には抵触しませんか、お伺いをいたします。
○黒澤政府参考人 大変失礼いたしました。厳重注意をいたしましたのは飲酒と喫煙の関係でございまして、淫行ということではございませんので、その点、訂正をさせていただきます。
○富田委員長 阪上先生、今のは警察庁に対しての質問ですか。(阪上委員「はい」と呼ぶ)
○黒澤政府参考人 大変申しわけございません。質問の御趣旨をちょっと聞き漏らしまして、大変失礼いたしました。
○富田委員長 児童買春、児童ポルノ禁止法に抵触しないかというふうに阪上委員は質問されているんですけれども。
○黒澤政府参考人 大変失礼いたしました。 個別具体的な事案にかかわる捜査でございますので答弁は差し控えさせていただきますが、一般論として申し上げますならば、児童買春、児童ポルノ法では児童買春をした者を処罰することといたしておるわけでございますけれども、児童買春とは、児童等に対しまして、対償を供与し、またはその供与の約束をして、当該児童に対しまして性交等をすることと規定されております。これに違反するような行為がございますれば、具体的な証拠に基づきまして厳正に対処してまいりたいと考えております。
○阪上委員 我々、議員立法までして児童虐待の原因解明をやっていきたいというときに、飲酒と喫煙で厳重注意でありますから、ジャニー喜多川氏のこのようなセクハラ行為は、今後警察庁としてどのように追及し、捜査をされようとしておりますのか、決意のほどをお伺いいたします。
○黒澤政府参考人 青少年の健全育成は大変重要な私どもの任務と考えておるところでございまして、今後とも、少年の健全育成のためにあらゆる施策、そしてまた各種の法令を適用いたしまして各種の事案に対応して、健全育成を図ってまいりたい。また、関係機関とも緊密な連携をとってこの問題に対処してまいりたいと存じます。
○阪上委員 警察庁の方にも、私の質問の流れを聞いていただいて、ジャニーズの事務所の実態、社長の存在、そして、そこで働く傷つく子供たちのこともよくわかっていただいたと思いますので、これからの児童虐待に警察庁がどのような姿勢で対応するのか、これがこれからの動きを大きく左右すると思いますので、注目をしてまいりたいと思います。 次に、法務省ですが、十二歳の少年がセクハラ行為を受けたという報道もありましたが、刑法によれば、十二歳以下の少年にわいせつな行為をした者は強制わいせつ罪にも問われると思いますが、いかがですか。
○古田政府参考人 一般論として申し上げますれば、刑法では、十三歳未満の少年についてわいせつな行為をしたときには、それ自体で強制わいせつ罪が成立することとされております。
○阪上委員 条例違反や児童福祉法違反、強制わいせつ罪は、被害者からの訴えがなくても捜査の対象となると思いますが、いかがですか。
○古田政府参考人 一般論を再び申し上げることになりますけれども、今御指摘のような犯罪につきまして、被害者からの被害申告あるいは告訴、このようなことが捜査を開始する要件とされているわけではないというふうに理解しております。
○阪上委員 警察庁の考えもお願いします。
○黒澤政府参考人 ただいま法務省から答弁がありましたとおりでございます。
○阪上委員 昨年、愛知県名古屋市で、二十三歳の女性教師が中学三年生の教え子と関係を持ち、愛知県警が摘発しております。 捜査当局にお伺いしたいのですが、同種の問題が起きたとすれば東京でも捜査の対象になり得るのかどうか、お伺いをいたします。
○黒澤政府参考人 先ほども申し上げましたが、淫行等に対しまして利益の供与というものがあるのかないのか、その辺が条例で違っておる部分がございまして、東京都の場合には利益の供与というものが要件になっておりますので、それがないということでございますので、東京だとそれは当てはまらない、このように解されるところでございます。
○阪上委員 捜査当局では、報道にあったような証言について真摯に受けとめる必要があるのではないかと思っております。 ジャニーズ事務所所属タレントが一日署長を務めたり、所轄署に差し入れをしていることが捜査に影響を与えているのではないかという意見もよく聞くわけでございますが、そういうことはないと思いますが、お伺いいたします。
○黒澤政府参考人 警察におきましては、違反行為につきましては厳正に対処いたしておるところでございます。
○阪上委員 大みそかのNHKの紅白歌合戦といえば、昔ほど驚異的な視聴率は上げてはいないのですけれども、現在でも国民全般に愛されている番組であると思います。 私も、当委員会に所属しております関係上、若者たちに人気のある芸能人はどういうものだろうかということで、興味を持って前半から見ておりましたが、最近の若者はスタイルはよくなったなと感心する以外、だれがだれなのかさっぱりわからないというのが現状でございました。そして、その出場メンバーの中にジャニーズ事務所という芸能プロダクションに所属している若者たちが大挙して出演していることも知りませんでした。 そんな折、私は、知り合いの芸能プロダクションの元社長からこんな話を聞いたのであります。ジャニーズ事務所が日本の芸能界を牛耳っているため、ジャニーズ事務所に逆らうとタレントを引き揚げられて番組ができなくなってしまうというのであります。それで、テレビ局は遠慮して、ジャニーズ事務所に関する不祥事を放送できないそうであります。マスコミ、新聞においても、ニューヨーク・タイムズがこの問題を報じておるのにもかかわらず、日本のマスコミはへっぴり腰だという批判を受けておるのもその辺に根拠があるのではないかとおっしゃったのであります。 そこで、NHKの電波が一事務所の意向で左右されることがあってはならないと思いますが、郵政省はどのような御指導をされておるのか、お伺いをいたします。
○金澤政府参考人 放送法第三条におきましては、「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」というふうにされております。これは自律の原則をうたっているということでございまして、放送事業者はみずからの判断により番組を編集し、放送した番組については放送事業者みずからが責任を負うということでございます。 お尋ねの件でございますけれども、これはまさに放送事業者たるNHKの番組編集権にかかわる問題でございまして、NHKみずから判断すべきものというふうに考えているところでございます。 ただ、一般論として申し上げますと、NHKはその公共性を十分配意いたしまして、番組編集に当たって適切に対応されるものというふうに期待しているところでございます。
○阪上委員 きょうの質問をきっかけに、差し控えておりましたマスコミ関係もこの問題を注視するものと思います。今後このような形の事務所の問題、社長の存在、虐待される少年の問題等々が明らかになった場合には、先ほど申し上げました元芸能プロダクションの社長がおっしゃっておりますように、一事務所に左右されない電波を私どもは期待するのであります。 最後に、私は、この問題は厳密に言えば児童虐待ではなく他の法律で処罰される問題かもしれませんが、何度も繰り返すことになりますが、児童虐待とは子供の健全な成長を妨げるような大人のすべての行為であると考え、座視するわけにはいかないとあえてこの場で取り上げさせていただいた次第であります。幸い、関係者の方々からこの問題に積極的にとまでは言えないかもしれませんが取り組むとの御意見をいただきましたので、今後の展開を見守ってまいりたいと思います。 最後に、有名芸能人が自殺をすればその後追い自殺をする子供たちがいるという時代であります。このような青少年に絶大な影響を持つ芸能人への対応、つまり芸能人を抱える芸能事務所への対応として、取り締まれるはずの法律は、今やりとりをしてきましたように、整備されてはいるのです、しかし現実に問題は生じております。 私は、現行法があるからそれでいいというのではなく、運用でカバーできると言い張るのではなく、その時代その時代にマッチした法整備というものが必要ではないかと思うのでありますが、最後に各省庁の御意見をお伺いいたしたいと思います。
○黒澤政府参考人 警察におきましては、子供の健全な成長を妨げるような大人の行為につきましては、既存の法令の適切な運用により厳正に対処しているところであります。また、あわせまして、時代にマッチした新たな法整備につきましても重要なことであると認識をいたしております。 かかる観点から、例えば児童虐待事案防止に係る法整備に向けた本委員会での検討につきましても、積極的に協力してまいりたいと考えておるところでございます。
○富岡政府参考人 文部省といたしましても、児童虐待の背景とか原因とか、それから、その家族関係の態様というのが時代の変化に伴いまして変化しつつあることもございますので、その時代に即した児童虐待に関する法的な対応というようなことにつきましては、必要な検討をしていくことは大切なことだというふうに私どもも考えております。
○野寺政府参考人 先生いろいろ御指摘いただきました。 私どもでできることは、まず労働基準法の中で年少労働者の最低年齢というのを定めております。十五歳から義務教育が終了する三月三十一日というふうに改めたわけでございますけれども、これに該当いたしますような場合については厳しく取り締まるとともに、こういった規定年少労働者に対します労働条件の確保等につきまして、適正かつ厳正に対応してまいりたいと思っております。
○真野政府参考人 先生御指摘をいただきましたように、その時代その時代にマッチした法整備というものを検討してまいりたいというふうに思っております。
○古田政府参考人 委員御指摘のとおり、まず現行の法令の趣旨に従った運用の徹底を図るということが肝要でございますけれども、さらに、社会の状況の変化によりまして、特に刑罰法規につきまして申し上げますと、既存の刑罰法令では十分に対応できないという事態が生じましたときには、これに沿うような法整備を図る必要があり、当局といたしましても、そういう観点から引き続き調査検討を進めていきたいと考えております。
○金澤政府参考人 時代の変化に応じましていろいろ見直しが必要になってくることもあろうかと思いますが、その場合に必要な見直しをしていくべきであるということは先生御指摘のとおりと考えております。
○阪上委員 我々も、現行法の足元をよく見きわめながら、児童虐待から児童を守るために今国会中に議員立法で頑張ってまいりたいという姿勢も見せておりますので、皆さん方も真摯な態度で積極的に、きょうの質問をもとに皆さん方の御健闘をお祈りいたします。 以上で終わります。
○富田委員長 次に、田中甲君。
○田中(甲)委員 民主党の田中甲です。 私は、持ち時間、本日四十分ちょうだいしました。私の質問のコンセプトは、昨年の暮れ、十二月の十日に当青少年問題に関する特別委員会で行った決議に基づいて、「立法府は、本問題の早期解決を図るため、児童福祉法その他関連法の必要な法整備を早急に講ずることとする。」この国民に約束した決議に基づいて議員立法を提出していく、その特別委員会の目的に沿った質問ということを、きょういただきました時間の中でさせていただきたいと思います。 児童福祉法は平成九年に改正をされていますけれども、いまだにどう見ても現状にそぐわないと思われる第三十四条の「禁止行為」。先ほども前段の質問者の石田さんの方から質問されていましたけれども、果たして十分にそのときに改善が厚生省はできたのかなという疑問を持たざるを得ないところであります。なかなか現状の中で法を改正するということの難しさはあるんでしょうけれども、余りにも時代的な背景が変わってしまったということはやはり認めなければいけないだろうと思います。 私は、最初に、この定義のところで少し質問をさせていただきたいと思うのですけれども、逆に、児童虐待の事案で現行の刑法や関連法令で適正に処罰することが可能なのかということをそれぞれお聞きをさせていただきたいと思います。まずは警察庁、続いて法務省の刑事局長。
○黒澤政府参考人 昨年中に警察において検挙いたしました児童虐待事犯の件数は百二十件で、検挙人員は百三十人でございますが、罪種で申しますと、傷害、これは傷害致死罪も含めてでございますが四十二件、それから保護責任者遺棄、致死も含めてでございますが二十件、殺人、未遂を含めてですが十九件、強姦が十二件、それから児童福祉法違反が十二件、青少年保護育成条例違反が七件などとなっております。 私どもといたしましては、このようにあらゆる法令を適用いたしましてこの種事犯に厳正に対処しているところでございます。
○古田政府参考人 児童虐待という中身がいろいろあろうかと思われるわけでございますが、その内容によって、適用可能な、あるいはいわば児童虐待のために設けられたとでも言えるような罰条というのは変わってまいると思います。 暴力につきましては、例えば刑法上で申し上げれば傷害罪、暴行罪、それから、児童の保護を十分尽くさないというような場合には保護責任者遺棄罪、あるいは非常に重い結果を生ずる殺人、傷害致死など、行為の形態によりましていろいろな罰則があるわけでございます。また、その一方で、性的自由を侵害する、こういうような行為につきましては、強姦罪なり強制わいせつ罪、あるいは児童買春法上の各種の罪、児童福祉法上の罪など、こういうふうな罪が種々ございます。 こういうような点から、児童の虐待と言われることの中の非常に多くの部分は現行法規で恐らく処罰の対象になっていると考えられ、私どもといたしましても、事案に応じて適切な捜査処理及び科刑の実現が図られているものと考えているところでございます。
○田中(甲)委員 御答弁ありがとうございました。 大体、現行の関係法令で対処できるということを刑事局長はおっしゃったと思うのですけれども、その辺の認識の違いが、定義の必要性があるのかどうなのかという判断に大きく関係しているのだろうと私は思います。 実際に、刑事事件として処罰される事例は大変に少ないということが実態です。その原因は何かといえば、その対応をすることによって家庭崩壊につながりかねないという考え方がまずあること。それからもう一点は、家族関係に介入しない原則というのがありますから、例えば懲戒権、親権の強さという中で、実際には現行の刑事法の処罰ということが十分に適用されているとは私は思えないんですね。 その中でも適用されているケースがあったとする。その場合でも、実際には過失致死とか、これは罰金刑ですね。それから重過失致死罪の場合には、大抵執行猶予つきというのが現行とられている対応です。 こういうことを考えていきますと、しっかりとした対応というのが本当にできているのだろうかという疑問を持たざるを得ないのです。 この間、参考人がこの委員会に出向いてくれまして、参考人が児童相談所長会のアンケートの中でこういう発表をしてくれたのです。きょうは皆さん方はこの資料をお手元には持っていないと思いますから、私の方から若干内容を説明いたします。 児童福祉法第三十四条に禁止行為として性的虐待が書かれていないために起きた、十六歳の少女の悲劇的な事例でありました。実の父親から中学一年生になったころより性的虐待を受けた、法的規定がないことから、父親自身もこのことが重大だという認識がまず持てていなかったということと、児童相談所が対応に極めて苦慮したという事例をまずお伝えします。 それで、この中一のときから性的虐待を実の父親にされた子どもが、この被虐待児が、本人の告訴がなければ父親に対して刑法の強制わいせつや強姦罪は問えないということですね。ちょっと一度確認させてください。
○古田政府参考人 強姦罪あるいは強制わいせつ罪については、御指摘のとおり申告罪とされておりますので、被害者あるいはその法定代理人の告訴、未成年者の場合でございますが、その告訴が必要ということになろうと思います。
○田中(甲)委員 実態はそうだと思うのです。申告罪、つまり、被害を受けた本人の告訴がなければならない、申告しなければならない。中学一年生にできますか、ここが問題だと思うのですね。 性的虐待の年間件数、これは厚生省児童家庭局長、ちょっと数字をお答えいただけますか。
○真野政府参考人 虐待の相談件数は、先ほど来御指摘がございましたように六千九百三十二件でございますが、そのうち性的暴行として分類されました件数は三百九十六件ということでございます。
○田中(甲)委員 そのうち、子供が実際に告訴した、つまり申告した件数は何件ありますか。
○真野政府参考人 申しわけございませんが、本人が告訴した件数につきましては統計的な把握は行っておりません。
○田中(甲)委員 子供が申告するというのは実際はできないんでしょうね、自分がどういうことをされているかという判断ができる年齢じゃありませんから。そう思いますよ。 ただ、厳しいことを申し上げるようですけれども、統計を持っていないということはどういうことなのかということは申し上げておかなければなりません。 それでは、性的虐待、強姦、強制わいせつ罪で実際に検挙されたのは何件あるか、警察庁にお答えをいただきたいと思います。
○黒澤政府参考人 昨年中の数字でございますけれども、三十四件、性的虐待事犯として検挙いたしております。強姦が、致死を含めてでございますが、十二件、強制わいせつが三件、なお、ほかに児童福祉法違反十二件、青少年保護育成条例違反が七件でございます。
○田中(甲)委員 ちょっと確認しますけれども、性的虐待で検挙した数というのは平成十一年で三十四件とおっしゃったですね。そうすると、先ほどお答えいただいた性的虐待の相談件数というのが三百九十六件、その中で実際に検挙されたのは三十四件ということになります。わずか八%にすぎない。 この手の問題をこの表面に出てくる数字だけで判断してはまたいけないと思うのです。性的虐待が表に出にくいということを考えるならば、この検挙された三十四件という比率はもっと下がるはずです。ここを私たちがしっかりと認識して、定義というものを明確にして、性的虐待ということを児童福祉法にうたうのか、あるいは今回私たちが議員立法で提出する中の定義の中に明確にうたっていくのか、それをやらないと、子供たちが現状の中から、性的虐待という傷を持って虐待の連鎖につながっていくという実態はとめられない。 十二件の検挙があるんですね。例えば児童福祉法違反、これは第三十四条の第六号、淫行をさせる行為というところで検挙している、そう見てよろしいですか。
○黒澤政府参考人 そのとおりでございます。
○田中(甲)委員 どう考えても、それはちょっと問題があると私は思っているのです。 三十四条の第六号というのは淫行をさせる行為ですね。淫行をさせる行為で検挙をしていますけれども、実際には親が子供に淫行をしているんですよ。それを、この禁止行為の中では、淫行をさせる行為というところ、無理やりここに当てはめている。 禁止行為の改正ということも必要だと思いませんか。再度。
○黒澤政府参考人 児童の生命、身体を守り、また被害児童の精神的な立ち直りを支援することによりまして、問題行動等に走ることを防止するという観点から、法改正の要否につきまして、今後とも私ども勉強してまいりたいと考えております。
○田中(甲)委員 同じように、厚生省児童家庭局長さんに、これでも虐待に対する定義というものが必要ない、新たに法律が必要ないと言われますか。
○真野政府参考人 先ほど来、定義の明確化、それを法律に明記すべきだということを御指摘をいただいておりまして、そういう議論があり、そして虐待の防止のためにそれを明記するということは私どもも必要であるというふうに考えております。 ただ、今申し上げておりますように、先生もよく御存じのとおり、定義そのものが、私ども関係者、専門家の間でもまだまだ揺れている、私ども、昨年の三月に手引という形で、児童相談所の職務のために統一的見解という状況であるというのが一点。 それから、先ほど先生も御指摘いただきましたように、それが直ちに罰則を伴う禁止ということになりますと、本当にそれを執行できるのかという議論もあろうかと思います。私ども、定義が不必要だと申しているのではなくて、定義をする場合にそういう点も十分整理をした定義が必要ではないかということでございます。
○田中(甲)委員 では、局長は、定義が必要ないと言っているのではないけれども、定義が必要だとはあなたは言えないんだ。言ったら責任問題になるのですか。
○真野政府参考人 そういうことではございません。
○田中(甲)委員 議員立法で提出しますから、よろしいですね。政治判断で、この特別委員会の議員が議員立法で提出するということに関しては御異論はありませんね。
○真野政府参考人 もちろんございません。
○田中(甲)委員 任用の規定について質問を続けさせていただきたいと思います。 一番新しい数字では、児童福祉司、第五号要件で任用される者は二百七十二名、約二二%、児童相談所所長、第四号要件で任用される者は八十二名で四七%、この数字は現場の方からいただいたものですからまず間違いないと思うのです。 そこで、私は、児童相談所職員の専門性というのを高めていくために、この法改正が必要だというふうに考えているのです。すなわち、任用の例外規定である現行第十一条の二第五号、それから、児童相談所長の任用の例外規定である第十六条の二第四号を基本的に廃止をすべきという考え方を持つのですが、そのことについていかがですか。
○真野政府参考人 児童相談所の所長、それから児童福祉司、それの専門性を高め、確保していく必要があるということについては、先生と同じ意見を持っているものでございます。 ただ、現状におきまして、先生御指摘いただきましたように、まだ、福祉司で二二%、それから所長で約半数の四七%が、いわばその他各号に準ずる者として知事が認めるものという状況になっております。それを、そういう状況下で削除して、自治体、これは都道府県の施設、それから指定都市の施設でございますので、そういうところで本当に任用が可能なのか、そういう問題はあるのではないかというふうに思っております。
○田中(甲)委員 では局長、任用資格の厳格化の実施に三年ないし五年の猶予期間を設け廃止するという規定を設けるのはどうでしょうか。
○真野政府参考人 一つの方法論だと思います。 ただ、先生おっしゃられた期間の問題につきましては、私ども、それを達成するのが三年がいいのか、五年がいいのか、七年がいいのか、そこは正直わかりません。 ただ、そういう先生の御指摘からすれば、厚生省が指導しても結局この程度ではないか、後は退路を断ってやるべきではないか、そういう御議論は十分よくわかっているつもりでございます。
○田中(甲)委員 三年がいいのか、五年がいいのか、七年がいいのかわからぬと今言われましたね。それは、先ほどと同様に、政治判断で議員立法する際に私たちが考えて判断するということでぜひとも御理解をいただきたい。 おわかりにならないとおっしゃったんですから、それは立法府の方で決断をしていくべきなんだろうということをまずお伝えをしておきます。これは結構です。 それから、社会福祉士を任用資格に加えてはいかがだろうかということを考えていますが、いかがですか。
○真野政府参考人 社会福祉士は、そういう意味で最も福祉の専門職種としてつくったものでございまして、これも大変恐縮でございますが、それがなぜその他各号という格好になっておって、本来、医師と同じように明示されて、これは立法技術上の問題かもしれませんが、私どもそういうふうに考えております。 それから、余計なことを言うなというふうにおしかりを受けるかもしれませんが、任用の問題に関しましては、自治体が実際の任用をやっておりますので、期限の問題につきましてはそれはまさに立法府の御判断でございますけれども、その点につきましては、よく自治体の実際の任用の運用というものを私どもとしてはぜひお聞きをいただきたいというふうに思います。
○田中(甲)委員 厚生省は、自治体のその声をどのように受けとめているのですか。
○真野政府参考人 先生御承知のとおり、この問題につきましては、取り上げられて以来、私ども何度か通知も出しましたし、それから関係会議、部長会議でありますとか課長会議とか、私ども全国の関係者を集めるときに、そういう意味で児童相談所の存在にかかわるということから、有資格者の任用というのをこれまでも強く自治体にお願いをしております。そういう意味でここまで来たということか、それでもここだということではないかというふうに思っております。
○田中(甲)委員 私が今お聞きしたのは、局長がそうおっしゃるので、猶予期間をどのぐらいにするか、自治体からはどのようにお聞きになっているかということを尋ねたわけで、その明確な答えがなかったということは、もちろん、そのアドバイスというのを聞きながら立法府で議員立法する際に判断をさせていただく。 通告の免責についてお聞かせをいただきたいと思います。 虐待を早期に発見するという重要な部分ですけれども、国民に通告の義務が課せられているわけですが、なかなか通告ということが十分にされているのかどうか疑問の部分があると思うのです。児童相談所が手いっぱいの状態だからこれ以上通告がふえるのは大変に現場としては苦しいという声も随分と聞いてきました。 ただ、病院にベッドがあいていないからけが人は病院に行ってはいけないという話ではいけないわけですから、児童相談所のクオリティーというものを高めていくことによって、どの通告を優先的に対応しなければいけないかという判断力を養ってもらって、限られたというか与えられた条件の中で最大限努力してもらうしかないんだろうと思うのです。 ただ、免責の規定がありませんと、通告するということが極めて、児童虐待を早期に発見する立場にある職業の方々から十分な通告がされていない、そういう問題点を今回の法改正の中でも、議員立法で行っていく中でも行っておくべきではないのかというふうに考えているのです。 それで、免責規定というのをどこにどのような形で現在使われているかということを若干調べてみました。 特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律の第四条の第一項、通告していなくて済みません。間際になってこれが私の方にちょっと資料として認識できたものですから。刑事上、行政上の免責をここで与えているんですね。 質問の中でまずお聞かせいただきたいのは、刑事上や行政上の免責ということが行われているこの特定非常災害の被害者のための免責規定ということを考えるならば、児童虐待という極めて重要で生命に危機を与えるという面では、児童虐待の通告ということも極めて重要なことになるんだろう。 そこで、同じように、刑事上あるいは行政上の免責というのを与えることができないのかということを刑事局長の方にお尋ねしたいと思います。
○古田政府参考人 刑事責任に関する点についてだけお答え申し上げたいと存じます。 児童虐待につきまして、児童相談所等に対して通告をした、その場合、それが結果的に事実に反するものであった、そういう場合にすぎないときには、現行法上、これが何らかの犯罪を構成するということは大変想定しがたいところがございます。 そういう意味におきましては、誤って通告したにとどまる場合に刑事上の責任を問わないというふうな免責規定を設ける必要性というのはどうも乏しいように思われるわけでございます。(田中(甲)委員「済みません、最後の言葉をちょっともう一回」と呼ぶ) 結局、現行法上、何らかの犯罪を構成するということは大変想定しがたいものでございますので、誤って通告をした、そういう場合にとどまるときに刑事上の責任を問わないというふうな免責規定を置く、そういう必要性というのはどうも乏しいように思われるということでございます。
○田中(甲)委員 刑事上の免責規定を置くという必要性は乏しいのではないかとおっしゃられたわけですね。そこまで言い切られると、本当に、のみ込んでしまうんですけれども。 それでは、ちょっと質問を変えまして、刑事局長、民事上に対してはどう思いますか。いや、刑事局長、あなたがそう言ったんですから。
○古田政府参考人 まことに恐縮でございますが、民事上の責任につきましては私からは答弁いたしかねますので、民事局長が参っておりますので、民事局長からお答えさせるようにしたいと思います。
○細川政府参考人 御承知のとおり、現行民法におきましては、故意または過失により違法に他人の権利を侵害して損害を生じさせた者は、不法行為に基づく損害賠償責任を負うものとされております。 御指摘の通告につきましては、児童福祉法上、国民一般の義務とされておりますし、また、通告があった場合において、児童相談所長等が必要があると認めたときに初めて所要の措置がとられるということになりますので、単に過失によって誤った通告をした、そういう場合に、そのことだけで不法行為による損害賠償責任が生ずるということは一般的にはまず考えられないことだと私どもは思っております。 いずれにしましても、これが本当に過失であっても、他人の権利を侵害して、そして損害を生じさせたというときにこれを免責していいかどうかということは、民法の大原則に関する修正ですから、これは相当慎重に考えていかなければならない問題だ、このように考えております。
○田中(甲)委員 通告の義務を国民に課していて、また専門の職種に対する努力規定ということを設けた場合に、これは直接、例えば医師ですとか看護婦、保育士等、通告した場合の免責規定があるかないかによって、その通告の姿勢ということが変わってくると私は思っています。 現場の声をしっかりと聞いてみますから、次回、先ほどの理事会で決まったのですが、参考人の中で、埼玉県の小児科の先生、医療センターのお医者様をお呼びして、参考人として意見聴取をしますから、このときにぜひ、通告に対する免責規定が必要かどうか、私たち、そういう意見も聞いてみたいと思います。 きょうのお二人の答弁、御意見とどこに違いがあるのか、そして、最終的にどう判断すべきなのかということを、次の機会というわけになかなかいかないと思いますから、きょうお二人はそう答えたということを私の記憶にとどめておきたいと思います。 それでは、安全確認、立ち入り、一時保護というところに質問を移らせていただきます。 私は、児童相談所は、立入調査を容易にしていくために、通告を受けてから限られた時間の中で子供たちの安全を確認する義務を負うべきだと思っております。 具体的に、四十八時間以内に安全を確認するという義務を負うことを行っている自治体がありまして、それを私は非常によい傾向だというふうに考えているんですけれども、これに対して厚生省はどういう御所見をお持ちになられているか。
○真野政府参考人 先生御指摘の虐待相談につきまして、四十八時間以内に子供の安全確認を行うということを埼玉県の児童相談所が行っているという報道がございました。埼玉県では、県内の児童相談所長の会議においてそういうことを確認して、この問題に取り組んでいこうということであるというふうに聞いております。 私どもも、虐待への対応というのは、とにかく早期発見、早期対応だということでございますので、当然、ほかの事案に優先して児童相談所においても対応していただいているというふうに思っておりますし、そういうふうに指導もしてきているところでございます。 ただ、児童相談所が法律上の義務として四十八時間以内の対応ということを義務づけられました場合に、児童相談所が本当にそれにこたえられるだろうか、そういうところは大変心配をいたしております。
○田中(甲)委員 引き続き御意見を聞かせていただきたいんですけれども、一時保護に関して、たしか事前に質問されている点という記憶もありますけれども、一時保護の期限を明確化するということに対してどのようにお考えになっているか、御所見をいただけますか。
○真野政府参考人 期限をできるだけ明確化すべきではないかというのは、それはそのとおりだと思いますが、一時保護というのは、先生御案内のとおり緊急保護でございまして、その児童の状況、その児童の家庭の状況、そういうものを勘案して、そして児童にとって一番いい処遇を決めるということでございますので、一律に期限を付すというのは、実際、一時保護をやる児童相談所の立場としてはなかなか難しい面があるのではないかと思います。
○田中(甲)委員 一時保護を一定の期限に区切って、子供たちが一時保護の施設にいる期間というものを限定し、さらに子供たちの傷をいやしていける環境に早く落ちつかせてあげるということが必要だと思うのですけれども、その点は同じ意見ですね。
○真野政府参考人 そこは同じ意見でございます。
○田中(甲)委員 わかりました。 それからもう一点、お聞きしたいんですけれども、解錠権限、かぎをあける権限をどの段階で持たせるべきか、いや、その前に、持たせるべきなのか、必要ないとお考えなのか。 あわせて、私は、立入調査を行うという段階から解錠の権限を持てるような仕組みがあった方が、親と子供の児童虐待を行っている、被虐待児とあるいは加害者である保護者との関係を悪化させる前に指導ができるのではないかという考えを持っていますが、いかがでしょうか。
○真野政府参考人 そこは、解錠の権限を与えてほしいという児童相談所の参考人の方の御意見があったことも私も承知をいたしております。 ただ、その場合に、解錠という、いわば物理的に相手の家庭に入っていくというような権限を児童相談所の職員、児童相談所の福祉司のような職員が持つのが本当にいいのかどうか。実際には、立入調査の場合に非常に困難が伴うということも言っておられました。そういう困難を排除して、福祉司というような職員がそういう権限を持つのがいいのか。 それから、先ほどもお答えを申し上げましたが、児童相談所が立入調査をやるのは、子供を保護し、そして結果として、できれば子供を家庭へ返すということを、いわばその後者の方も担っております。そういうことを担う職員が、入り口のところで、物理的排除をして入っていくということが本当にいいのかどうか。ここはもう御議論のあるところだと思いますが、そういうところは十分考える必要があるのではないかと私どもは思っております。
○田中(甲)委員 ありがとうございます。 十分考える必要があるとか慎重に検討する必要があるという話は、どうも余りいいアドバイスではありませんで、それはもうわかっているんですよ。だから、それを、最後に子供たちの命を守るルールをどのようにつくるかというところで、やはり決断をしていく段階に入っていると思いますので、その辺のお答えといいますか、お話をいただければありがたいなと思っているので、どうぞよろしくお願いをいたします。 民法が不磨の大典だとは考えているわけではございませんで、必要があれば見直していくことは常にやっているという答弁を七月の二十九日に民事局長からいただきました。民事局長、民法の中で懲戒権についてお尋ねをしたいのですけれども、懲戒場というのは今あるのですか。
○細川政府参考人 民法上には規定はございますが、現実に懲戒場が設置されていることはございません。
○田中(甲)委員 そうすると、七月の御答弁でもいただいたように、不磨の大典ではなく、民法、懲戒権、第八百二十二条、「懲戒場に入れることができる。」というのは、もう現実にはそぐわない法文であるということでよろしいわけですね。 質問を続けます。 それでは、現在起きている恩寵園初め、「体罰禁止規定まだ三割」という一昨日の新聞記事などを見ますと、懲戒権イコールしつけという問題、この辺がやはり児童虐待を考えていく中でしっかりと議論がされていかなければならないことになるのだろうというふうに思っています。 私は、この懲戒権を廃止して、または厳格に制限した規定へ改正すべきだという意見を持つ一人なんです。それは、民法上と、この場合に私が考えているのは児童福祉法上、この法律に限っては懲戒権を廃止すべきだという考えを持って議員立法をつくっていきたいと思いますが、担当である民事局長の御所見はいかがですか。
○細川政府参考人 御指摘のとおり、民法は、親権者が必要な範囲内でみずからその子を懲戒することができるものとしております。これは、親権者が、子の監護上、子の非行や過ちを矯正し、それを指導するために必要かつ相当な範囲内で子に対して一定の措置をとることを認めたものでございまして、これらの立法趣旨としては、子の監護教育のために必要かつ合理的なものであるというふうに考えられるわけでございます。 その限界が問題でございますが、この懲戒には体罰も場合によっては含まれるわけですが、それが子の監護上必要かつ相当なものとされるかどうかは、その社会の、時代の健全な常識により判断されるべきものでございます。 いずれにしましても、懲戒権は親が子の利益のために行うべきものでございますから、子の身体に傷害を負わせたり、または心理的な虐待を加える等、児童虐待と判断される行為が懲戒権として許容されないことは言うまでもないわけでございます。 懲戒権を今度は民法上一般的に廃止するべきではないかという御意見があることは私どもも承知しておりますが、これは民法上全部廃止してしまいますと、親が子のために行う正当なしつけもできないということになりかねないわけでございまして、これは我が国の家族制度のあり方にも大きな影響を及ぼすものでございます。この問題については、そういう家族制度に大きな影響があるものですから、これも慎重に御検討していただきたいなというふうに思っております。
○田中(甲)委員 民事局長、私は、懲戒権ということを廃止して大きな影響を与えたいんですよ。 つまり、今まで細川さんが、お父様としてと言ってよろしいのですか、どういう教育をされてきたかというお話はまたお伺いする機会があればうれしいと思いますけれども、子供に対するしつけとか、子供を育てていく、自立させるために親が子供に愛情を注ぐというのは、これは義務であって、懲戒権という権利を与えて子供を罰するということは極めておかしい。いつまでもこういう姿のままであっていいとは思えないという自分の考えのもとで、議員立法の中では懲戒権というものを廃止していく。今までの日本の教育、家庭内の子供をしつけという名のもとに懲戒をしてきたという姿そのものにメスを入れていきたいという考えを持っている一人であることをお伝えしておきたいと思います。 それから、全く同じような考えで池坊衆議院議員がお考えを持たれていることも私は存じ上げておりまして、ぜひこの委員会の中でもその方向性が出せればというふうに考えておりますので、また御所見、御意見などがありましたらお教えをいただきたいと思います。 限られた時間、もう最後になりました。一点、これは最低でも五分ぐらい時間がなければ話をすることができなかったので、時間の割り振りを間違ってしまったのですけれども、親権の問題、最後にお聞きをしたいと思います。 今、懲戒権を聞きましたが、親権あるいは懲戒権ということが余りにも強く主張されてきたために、極論を申し上げるならば、命を落とさずに済んだ子供が悲惨な児童虐待という中でとうとい命を失っていった、そういうことを考えた場合に、身上監護権の一時停止、つまり親権の一部一時停止ということをしっかりと取り入れた法整備を行っていくべきだと考えます。 海外の事例を見ても、あるいは日本の中でもそのような議論というものがもうでき上がっているわけですから、それをしっかりと見詰めていく必要があると思うのですけれども、否定的な答弁にしないでいただきたいのですが、民事局長、いかがですか。
○細川政府参考人 親権の一時停止の制度を設けるべきであるという御意見が、児童福祉の関係者の中で大変強い意見があるということを承知しておりますし、また、その問題意識というものも私なりに理解しているつもりでございます。 しかし、これは、そういう問題に対処するために、方法として、手段として親権の一時停止というものがいいかどうかということにつきましては、私たちは実務上の疑問を持っているわけでございます。 若干時間が長くなりますけれども、よろしゅうございますか。 まず第一点では、親権の一時停止の期間については家庭裁判所が判断することになりますが、親権者に親権を行使させることが……(田中(甲)委員「済みません、これは次回にしますので、そこまでの答弁で結構です」と呼ぶ) いろいろ実務上の問題があるということを申し上げて、午前中の一番最初の御質問で申し上げたのですが、それと同じことでございます。
○田中(甲)委員 時間をオーバーして質疑をさせていただきました御無礼をお許しいただきたいと思います。 きょう皆さん方に御答弁いただきましたことを参考にして、当委員会でも議員立法に向けて努力をしてまいります。ありがとうございました。
○富田委員長 次に、大森猛君。
○大森委員 日本共産党の大森猛でございます。 昨日、東京の戸山の一時保護所と石神井学園の養護施設を視察に行ってまいりました。大変困難な状況の中で第一線の職員の皆さんが懸命に努力をされている、そういう状況もつぶさに視察をしてきたところであります。 同時に、一時保護所においては、視察の直前に畳が真っさらなものに更新されていたということ、非常に印象強く感じてきたわけなんですが、きょう、既に幾つか、児童虐待問題、この問題での法整備あるいは立法化という点でいろいろ論点も出されているわけなんですが、後は、こうした法整備あるいは立法化、議員立法などの方向で大いに私どもも努力していきたい、こう思っているところであります。 ただ、私は、きょう特に申し上げたいのは、立法以前の問題として、政府における、厚生省における児童福祉にかかわる行政の問題、特に、虐待が社会問題化してくる中で、そういう虐待を受けた子供たちの心の傷を本当にいやすんだという立場で、特に、第一線でそういう子供たちに接する児童相談所や一時保護所あるいは児童養護施設がそういう場になっているんだろうか、そういう場に厚生省がやっていくんだという姿勢があったんだろうかという根本問題をやはりきちんと明確にしなくちゃいけないんじゃないか。そうしなければ、仮に立法化できたとしても、それを執行する行政の側のそういう立場、スタンスが変わっていなければ法の効果も出てこないということになるわけでありますから、この点が非常に重要じゃないかと思います。 そういう立場で、私、具体的に幾つかの点をお聞きしておきたいと思うわけなんですが、第一は、きのうも言いました一時保護所にかかわる環境等の問題であります。 私は、横浜市に住んでおりまして、横浜市の中央児童相談所に併設されている一時保護施設、このお話を聞く機会がありました。 そこでは、横浜市は人口三百数十万になるわけなんですが、定員が三十名、年間の入所者は平均で二十二人か二十三人と、ほぼ満杯状態になっております。春休みあるいは夏休みには定員を超えてしまう日が五十日以上もある。乳幼児の場合は、八人分のベッドしかないところに十人預からなくてはいけない場合もある。畳を置いて寝かせるとか、布団や机などはレンタルして急場をしのぐというような状況だそうであります。一時保護ということであるわけなんですが、非常に環境が悪い、条件が悪い。ここ数年、特に大都市ほどそういう傾向が顕著になっているようであります。 厚生省の方では、施行規則で、一時保護施設の設備、運営については、児童養護施設について定める最低基準を準用するというぐあいになっているようでありますけれども、その最低基準というのはどういうぐあいになっているんでしょうか。
○真野政府参考人 一時保護所につきましては、先生御指摘のとおり、児童相談所に付設されておりまして、その基準につきましては、児童養護施設に準ずるということでございまして、児童養護施設の居室につきましては、三・三平米を最低基準とするということになっております。
○大森委員 以前の当委員会で私も取り上げたのですが、児童福祉法制定以来、昭和二十三年に施行されて以来、半世紀以上にわたって、この基準がほとんど変わってきていない。今おっしゃった面積についても、ついおととし若干改善されただけで、例えば部屋の収容人員については、一室十五人以下という状況が、これは恐らくもう半世紀以上続いていると思うのです。 ちなみに、先ほどの横浜の場合、女子の居室は定員八人、それから男子の場合も八人、幼児の場合も八人、きのうの新宿の場合は実際には六人というところもありましたけれども、横浜ではこういう状況になっているわけです。 問題は、こういう最低基準というのは児童虐待がそう顕著にならない時代につくられたものですから、やはり心をいやす場として、児童養護施設に係る最低基準については、そういうことを加味した、心をいやす場としての設置基準の見直し、面積だけの若干の改善じゃなくて、それを私は行うべきだと思いますが、どうでしょうか。
○真野政府参考人 児童養護施設につきましては、先生御指摘のとおり、最低基準は十五名以下ということでございますが、実際の居室の七割以上が四人以下ということになっております。 また、私ども、平成十二年度の予算におきまして、いわば児童養護施設を整備する場合の予算上の補助基準でございますが、これにつきましては、一人部屋が二分の一、二人部屋が四分の一となるような居室の改善をするということで、児童一人当たりの平米数を二十五・九平米に改善するということで、できるだけの改善に努めているところでございます。
○大森委員 実際の運用において一定の改善がやられているということは私も承知をしておりますが、政府の姿勢として、こういう問題にきちんと対処していくという点では、最低基準自体についてやはり見直しをすべきじゃないか。重ねて、その点をお聞きしたいと思います。
○真野政府参考人 最低基準は、いわばそれを必ず守っていただかなければならないということでございまして、最低基準を大幅に上げますと、現行の施設でそれを守れない施設がかなり出るというような問題もございます。ただ、私ども、その最低基準、現行のままでいいと思っているわけではございませんので、十分検討させていただきたいと思います。
○大森委員 先ほど来出されております全国児童相談所長会の要望の中で、設置基準については即刻見直しをしてほしいという要望が非常に強く出されているわけでありますから、やはり政府の姿勢、こういう立法化の機運が大きく盛り上がっている中でそれはぜひ行っていただきたいと思います。 さらに具体的な点でお聞きをしたいわけなんですが、きのう視察をしました戸山の一時保護所の場合は、体育館というか体育室というのがありました。かなり傷んではおりましたけれども、そういう体育施設があったわけなんですが、全国所長会の要望の中で、一時保護所の充実の中でまず挙げてあるのが、一時保護の長期化に備え、体育館等設備基準の見直しということなんですね。 私、横浜の一時保護所の関係の皆さんのお話を聞く中で、一時保護とはいえ長期化の傾向が一段と強まっている中で、子供たちが伸び伸びと遊ぶことができる、そういう場所をどうしてもつくってほしいという強い要望を出されました。 そこで、体育館なり体育室なり、これは設置基準にはないわけなんですが、そういうものが設置されている一時保護所というのはどの程度なのか。
○真野政府参考人 申しわけございませんが、ちょっと手元に資料がございませんので、恐縮でございます。
○大森委員 では、現場の皆さんの要望として、同時に私の要望としても、この体育館についてぜひ検討していただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
○真野政府参考人 これは感じで申し上げまして大変恐縮でございますが、一時保護所で体育館を持っているというのは非常に限られているのではないかと思います。ただ、十分実情は調べさせていただきます。
○大森委員 きのうの戸山の一時保護所の場合、平均在所日数、入所日数が約二十五日でした。ただ、実際にお話を聞きますと、これは正確な数字じゃないかもしれませんが、三カ月から六カ月かかる方も年間十人ぐらいおられる。やはり長期化の傾向は出ているわけですね。横浜の場合にも、大体平均で一カ月、中には半年、こういう子供さんもおられる。これは一カ月間学校に行けない状況になるわけです。長期化する中で、そういう一カ月あるいは数カ月学校に通わない状況になるわけです。 これは文部省にお聞きしたいのですが、こういう状況は放置してよいのか、文部省の立場として。
○御手洗政府参考人 今先生の御指摘にございましたように、一般的には、児童相談所に付設されております一時保護所はいわば緊急避難的な措置ということで承知しておりまして、通常、私どもが承知している限り、大体一月前後ぐらいで、適切な他の恒久的な措置に移っていくということでございます。通常、子供たちが病気等で入院するというような場合もこういった程度のことはあるわけでございまして、一時保護所につきましては、午前中は、学習指導につきましては、それぞれの施設の実情に即して適切な措置がとられているという状況でもございます。 ただ、私ども実情を承知しておりませんが、今御指摘のように、数カ月にも及ぶというような事態が出てきた場合に、やはりこれが親なり、子供を監護する義務のある立場にいる者として、義務教育をどう保障しているかという問題については、そういう長期になればそれなりに考える余地は出てくるだろうと思っております。 この点、そういった子供はどういうケースに当たっているかによってまた異なろうかと思いますので、一時保護所の施設の長等の御判断によりまして、具体的な問題があれば地元の教育委員会とも御相談をしていただくような支援は私どももさせてもらいたいと思いますし、また、今後そういった観点からも教育的な配慮を行うというような話があれば、文部省としてもできるだけ協力はしてまいりたいと思っております。
○大森委員 一時保護所に長くいないのが一番いいわけで、それが原則なわけですが、現実にはそういう長期にわたる子供さんが今各地で生まれているわけですね。 きのう視察した際には、指導員の方は教員免許をお持ちの方でした。私が横浜で伺った方も、たまたま教員免許を持っている方が学習に当たっておられるというわけなんですね。しかし、指導員などの資格の中には、そういう教員免許をお持ちの方もありますけれども、同時に保育士とか教員免許をお持ちでない方もあるわけですね。 宮城県などでは、そういう長期にわたる子供さんに対して、教育委員会の方から保護所に出向いて勉強を教える、そういう手だてもとっているようでありますから、長期にわたる子供が生まれた場合には、実情を調べていただくのと同時に、そういう必要な措置をぜひとっていただきたいと思います。 そこで、滞在期間が長い一つの原因が、受け入れる側の施設の問題もあると思うのですね。特に大都市における児童養護施設、かなり今、このところの相談件数の急増の中で満杯状況になっているわけなんですが、この児童養護施設、特に都市部、ちなみに横浜、東京、大阪の充足状況、収容定員に対する入所の児童数の割合はどの程度でしょうか。
○真野政府参考人 東京都でございますが、入所者が二千六百七十八人ということで、定員に対しまして九二・〇%でございます。横浜市は入所者が三百九人ということで九三・四%、大阪府は千四百八十三名でございまして八八・一%、大阪市は七百八十九名でございまして六九・二%ということでございます。ちなみに、全国では八二・八%でございます。
○大森委員 全国的にはかなりばらつきもあるようですが、特に都市部では八八%から九三%というのは、これはもう完全に満杯、飽和状況と言ってもよいと思うのです。それが一時保護所における長期化の大きな要因になっているのじゃないか。ですから、横浜では、もう県内で措置できないということで山梨県とか静岡県に措置する、そういう事例まで出ているわけですね。そういう現実。それが必要な場合も場合によってはあるかもわかりませんが、原則やはりそういうのはない方がいいと思うのです。 そういう意味で、都市部における、とりわけ今の児童養護施設のこういう状況を改善する手だてを、やはり厚生省として都道府県、地方自治体とも協力をしてこれを進める必要が今緊急にあるのじゃないかと思うのです。そういう点の厚生省としての見解をぜひお示しいただきたいと思います。
○真野政府参考人 私どもも、児童養護施設、経緯的にも、戦後すぐといいますか、非常に古い施設が多うございます。それは、先生御案内のとおり、その当時の補助基準も、逆に言いますと狭いといいますか、年々改善をしてきておりますので、そういう意味では、昔に整備されたところほど条件が悪いということでございます。 私ども、そういう意味で、できるだけ今の状況に合った形での施設を整備してほしい、当然補助制度もございますので、都道府県に対してそういう整備の指導をしているところでございます。
○大森委員 ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。 次に、法整備にかかわる問題について、既に予定していたものについてはこれまでもう既にいろいろ出ておりますので、ひとつちょっと角度を変えてお聞きをしたいのですが、きのう視察に行く際にいただいた東京都の被虐待相談処理状況、この資料の中で、相談経路として、近隣、知人からというのが二百六十九件で最も多い。特にこの二、三年の間に七十七件から百七件になり、そしてさらに二百六十九件になった。大変激増しているわけですね。 きのうの説明では、社会的な関心の広がり、世論等の広がりなどもその背景にあるのではないかという御説明をされていたわけですが、これは局長には事前に質問通告という形ではしていませんけれども、局長は東京都におけるこういう近隣、知人からの相談経路が急激にふえているその背景にどういうものがあるとお考えか。
○真野政府参考人 なかなか一概にお答えは難しいかと思いますが、やはり当委員会での御議論、その他マスコミへの取り上げ方、それから自治体がそれぞれ工夫をして、見つけたら連絡をしてほしい、そして早期発見が何よりだということを市町村広報その他を通じて広報に努めた、そういうものがそういう形であらわれてきているのではないかというふうに思っております。
○大森委員 私も本当にそうだと思うのです。社会的な機運の広がり、つまりそうした国民の関心、あるいは住民のそういう面での意識の広がりというのは非常に強い力を発揮していく。私は、この児童虐待防止の面で、立法的な措置と同時に、国民の側からのそうした機運、運動、世論、意識、これを広げることもそれこそ大きな柱の一つとしてもいい、そのぐらいの見解も持っているわけなんですが、そういう点で改めて、例えばしつけの問題、あるいはお話にあったように児童虐待の定義の問題、そういう点を広く広報活動していくことの重要性が増していると思うのです。 私もこれは聞いた話なんですが、関西テレビでは、夕方の時間帯にNPOの児童虐待防止センターへの連絡先を流している。関西テレビもNPOのそういう団体にかかわりが深いそうでありますけれども、意識的にそういう放送を流して、その時間になるといろいろ電話がふえるということがあるわけですね。 今年度の厚生省の予算で、広報、研修の実施で九千四百万の予算を組んでいるわけなんですが、これは今までよりも予算の額としては多いのではないかと思いますが、いただいた資料を見ますと、まだ研修の方がウエートを置かれているようなんです。 ですから、広報活動をもっと、それこそ従来の枠を大きく超えた広報活動をやっていくことが、児童虐待問題を解決していく大きな力の一つになるのではないかと私は思います。 そういう点で、この面での厚生省としての御意見、決意をお聞きしたいと思います。
○真野政府参考人 私どもも、とにかく国民の皆さん方にこの問題を理解していただく、そのためには周知、広報、これは本当に大事だというふうに考えておりまして、当委員会でもいろいろ御指摘を受けまして、私ども努力してきたつもりでございますし、また、政府全体の広報でも、こういう児童虐待の問題を積極的に取り上げていただくということをお願いいたしておりまして、そういう政府広報の関係の会議でもお願いをいたしております。そういう意味では、この問題にぜひ力を入れていきたいというふうに考えております。
○大森委員 時間が参りましたので、通告していた件で言えば心理職の配置、これは昨年か一昨年からやっと配置されるようになったわけなんですが、きのう参りました児童養護施設の場合、非常勤で週に四日という非常に限定された勤務しかできない。ところが、実際に対象になる子供さんが六十人近くに上る、とても対応し切れないような、そういう状況も見てまいりました。 児童養護施設が、冒頭に言いましたように、心の傷をいやす場として、本当にそういうものにふさわしいものになるために、心理職の配置等については格別の力を入れていただきたいということを最後に要望として申し上げて、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○富田委員長 次に、松浪健四郎君。
○松浪委員 保守党の松浪健四郎でございます。 児童福祉法における児童虐待関係の規定が幾つか書かれてあります。児童福祉法は、児童の福祉の増進及び健全育成を理念とした児童福祉の基本法でありますけれども、児童虐待の場合も含め、要保護児童の発見及び保護についても、児童相談所が関係機関と連携をとりつつ必要な措置を行うための規定が盛り込まれてあります。 例えば、第二十五条には、保護者に監護させることが不適当であると認める児童を発見した際の児童相談所等に対する通告義務、そして第二十六条、二十七条には、児童相談所長等による指導や施設入所等の措置、そして第二十九条には児童相談所の職員等による立入調査、三十三条には児童の一時保護、三十三条の六には児童相談所長による民法の規定による親権喪失宣告の請求、これらが盛り込まれてありますけれども、厚生省としては、現行の児童福祉法による各種規定を積極的に活用されて児童虐待の早期発見を促進するとともに、児童の保護を最優先に、早期に対応することが重要と考えて、今までいろいろな措置を講じてこられた、こういうふうに思うわけであります。 そこで、たくさんの施設が設けられてあります。きょうは、児童家庭支援センターと情緒障害児短期治療施設、これについて、短い時間ではありますけれどもお尋ねをさせていただきたい、こういうふうに思います。 そこで、児童家庭支援センターというのは、児童福祉法の第二十六条の二項、そして第二十七条、その二項に出てまいりますけれども、このセンターは、地域に密着した相談支援体制を強化するために、児童や家庭に関する各般の問題について児童、母子家庭、地域住民などからの相談に応じ、必要な助言を行うとともに、保護を要する児童またはその保護者に対する児童及び児童相談所等との連絡調整等を総合的に行うことを目的とするということでつくられてあるわけですけれども、設置及び運営の主体は地方公共団体並びに民法三十四条の規定により設立された法人及び社会福祉法人が運営の主体となっております。 そして、大きく分けて三つの事業内容に分かれておりますけれども、地域の児童の福祉に関する各般の問題につき、児童、母子家庭その他からの相談に応じ必要な助言を行う、二つ目には、児童相談所において、施設入所までは要しないが、要保護性があり、継続的な指導が必要であるとされた児童及びその家庭について、指導措置を受託して指導を行う、三つ目には、児童や家庭に対する支援を迅速かつ的確に行うため、児童相談所、児童福祉施設、学校等関係機関との連絡調整を行う、これらが主な事業内容であります。 それで、職員が置かれてあります。相談支援を担当する職員、心理療法等を担当する職員が置かれてあるわけですけれども、この児童家庭支援センターは、児童福祉施設の相談、指導に関する知見や、夜間、緊急時の対応、一時保護などに当たっての施設機能を活用する観点から、乳児院、母子家庭支援施設、児童養護施設、情緒障害児短期治療施設及び児童自立支援施設に附置するというふうになっております。 それで、児童福祉法改正後に事業開始となった児童家庭支援センター事業は、全国で、平成十一年度までに十二カ所設置され、各所で事業が展開されてきたところでありますけれども、まだまだ十分なものにはなっていないのではないか、その視点からお尋ねをしたいと思います。 現在の職員配置は、常勤ソーシャルワーカー一名、非常勤ソーシャルワーカー一名、そして非常勤のセラピスト一名というような状況であります。これは改善する必要があるのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
○真野政府参考人 先生御説明ございましたように、児童家庭支援センターは、平成九年の児童福祉法の改正によりまして創設されたものでございまして、十年の四月から実際に活動をしていただいているということでございます。 趣旨といたしましては今御説明のあったところでございまして、職員配置、これも充実をしたいというふうに思いますが、まだ全国で十二カ所でございます。私どもは、この児童家庭支援センターは、児童相談所なり児童福祉施設それぞれと連携をして地域でいろいろな窓口になっていただく、そういうことを期待いたしておりまして、ぜひ早期に全国展開をしたい。 まず、数をふやすということに現在最大の力点を置いておりまして、なかなか自治体側からの理解も得られないというような状況の中で、そういう箇所の増というところに力点を置いておりまして、職員の問題については、その全国展開の状況を見ながらも検討したいというふうに考えております。
○松浪委員 それと、現在の常勤職員が社会福祉・医療事業団で扱う退職共済会において児童家庭支援センター職員としての登録が認められていないんですね。これを共済会契約対象施設として位置づけていただきたい、こういう要望がありますが、いかがでしょうか。
○真野政府参考人 現在は先生御指摘のとおりでございますが、今回、社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する法律案を今国会に提出をいたしまして、御審議をお願いしようといたしております。 その中におきまして、現在対象外となっている施設でございましても、共済契約者の申し出によりまして、社会福祉・医療事業団が承諾したものにつきましては、共済契約者の掛金を負担していただくことにより加入が可能となるというような改正の内容で今回、法案をお願いしている次第でございます。
○松浪委員 このセンター事業の展開に必要な、例えば相談業務専用車両を買うというようなことになりますと、やはり助成金が必要になってきます。また、子育て支援の実を上げるためにも、広報活動やセミナー開催に伴う事業を行うというふうにすれば、やはりお金がかかる。これらにも補助金あるいは助成金等を考慮してもらうということは不可能なんでしょうか。
○真野政府参考人 センターの事務費につきましては、先ほど先生御指摘の人件費のほかに、弁護士の雇い上げ謝金、それから夜間などに同センターが附置をしております児童養護施設の職員の協力を求めた場合の協力費などの事業費を計上いたしております。 御指摘の専用車両または広報活動、セミナー事業、これもそれぞれ大事な事業でございますし、センターを理解してもらう、新しい施設でございまして、なかなか理解をしてもらうのが難しいということに対して、センターの理解を進めるためにぜひそういう活動をしたいという御趣旨は私どもも理解できるところでございますが、先ほど申し上げましたように、やはり私どもとしては、全国でまだ十二カ所だ、こういうセンターを全国に、児童相談所と連携できるほどの数にぜひしたいと思っておりますので、まずそちらの方を最優先にしたいというふうに考えております。
○松浪委員 とにかくまだ十二カ所だということでありますけれども、意外にこの設置が困難なんですね。増設が進むように厚生省の方から強力な指導がなければ難しい、こういうふうに私は思います。この辺も考慮していただければありがたいと思うわけです。 現在は、当該年度の末に一括してお金が支払われる府県がほとんどで、法人で一千万円前後のお金を立てかえているわけですね。当然のことながら、運営が難しくなる。したがいまして、それを年度開始前に概算払いで執行できるようにしてもらえないかという強い要望がありますけれども、これについてはいかがでしょうか。
○真野政府参考人 二点あったかと思いますが、センターの設置につきまして、先ほど来申し上げておりますように、なかなか、法律改正のときの意気込みとは異なりまして、設置が思うように進んでおりません。これは、都道府県の負担もございますので、そういう意味で、現在、自治体の財政状況は非常に厳しいという状況もございまして、設置がなかなか進まないという面がございます。 私ども、そういう状況は理解しながらも、これだけの問題に対して、やはり児童相談所と並ぶ大きな手段でございますので、ぜひ各自治体で設置を進めるように機会あるごとに指導をしているところでございます。 また、実際のセンターの運営の委託費の執行の点について御指摘がございました。年度当初に概算で払う、これは補助金でございますので、そういう仕掛けは実際にはなかなか難しいわけでございますが、今お聞きいたしましたように、年度末に補助金が行く、それまでの間は、いわば法人なり施設なりでつないでいるというわけでございますので、私どもとしては、できるだけ早く補助申請をいただきまして、補助決定をして、そして委託費が支給できるように努力をしたいというふうに思っております。
○松浪委員 可能な限りの努力を心からお願いしたい、こういうふうに思います。 それで、近年、子供を取り巻く環境が複雑になりまして、心身症、不登校、被虐待など、情緒障害児短期治療施設の対象児童は年々増加しております。その利用者へのケア、治療及びサービスの向上に各施設とも懸命に取り組んでおるわけですけれども、最近の入・通所児童は症状が多様化しております。また混在化もしております。しかも非常に重度化しておりまして、各施設ともその処遇には苦慮している、このようにお聞きします。したがいまして、家庭、学校、地域社会などの要請にこたえて、一層の成果を上げていくためには、情緒障害児短期治療施設の機能の充実と施設の増設を図っていくことが必要である、私はこのように思います。 そこで、今この施設をどのようにすればよりよくなるか、つまり要望が幾つかあるわけでございますが、時間がございませんので、大ざっぱに要望を申し述べ、そして局長に御理解いただければありがたい、こういうふうに思うわけであります。 まず、施設設備の整備充実、職員体制の充実、それから在籍児童数の計算方法についての改善、入所児童の自立支援及び年齢延長に伴う改善など最低基準改定を強く要望したいということ。それから、外来機能の充実を図っていただきたい。そして、教育条件の整備を推進していただきたい。 それで、情緒障害児短期治療施設という名前、これが長くてなかなか言いづらい、そこでこの名称を何とか変更してもらえないだろうか。そして情緒障害児短期治療施設、これも全国に設置するよう推進していただきたい。この名称変更、それから全国に設置を促進していくということについて、二つのお答えをいただければありがたいと思います。
○真野政府参考人 私どもも、今御議論いただいております児童虐待の、いわば母子分離した後、最後はやはりできるだけお母さんのもとに子供さんを返したいということになりますと、子供のアフターケアも親のアフターケアも要る、それに対しては非常に心理的な手段によるフォローが要る、私どももそういうふうに思っておりまして、その役割を最も専門的に担うのが先生今御指摘の情緒障害児短期治療施設ではないか。これは大変残念なことにまだ全国では数少ない。私どもも、先日の部長会議でも、まだ設置していない都道府県、指定都市の部長さん方にも、本当にその後受け皿をどうするつもりですかということを申し上げたところでございます。そういう意味で、ぜひそういう施設整備を心がけていきたいと思います。 それから、名称の問題もございました。これも平成九年の児童福祉法のときに実は議論がございまして、何か、いわば名は体をあらわす、最もいい名称はないのかということを省内でも随分議論をしたそうでございますし、また専門家にもいろいろお聞きをしたそうでございますが、残念ながら、いわばぴったしといいますか、そういう名称を法改正までに見出しがたくて現在に至っているというふうに聞いております。そういう意味では、ぜひ専門家の意見も聞きながら、いい名称を考えたいというふうに思っております。
○松浪委員 幾つかの要望をお願いいたしました。十分に実現していただきますようお願いを申し上げまして、時間が参りましたので私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○富田委員長 次に、一川保夫君。
○一川委員 自由党の一川保夫でございます。 これまで、この虐待問題等につきまして、当特別委員会でも相当いろいろな質疑がされてまいりましたけれども、私自身も、こういった問題というのは非常に奥深い、根の深い問題でもありますので、そういう当面の対策と長期的な対策というものは、それぞれ関係省庁が相当総力を挙げて取り組まないとなかなか解決しない、そういう課題だというふうに認識いたしております。 そういうところで、時間内で若干質問をさせていただきますけれども、基本的には、こういった青少年問題なり児童の健全育成という行政等につきましては、総務庁なり厚生省が総括的な官庁としてそういう問題に取り組んできたと思います。 こういう問題は、私も前に質問させていただいたときもそういうお答えだったと思いますけれども、当然一厚生省とか総務庁とかというところだけで対応できる問題でもございませんし、関係省庁のいろいろな連絡会議等が開かれているというふうに聞いておりますけれども、相当の省庁にまたがるような、そういう課題であることは間違いないわけでございます。 特に、総務庁と厚生省の方に、本日はこういった虐待問題を中心としたテーマでございますけれども、こういうことについてどういう現状認識を持って今取り組んでおられるのか。それから、今後、当面どういう方向で取り組んでいこうとしておられるのかというところが、何かはっきり見えないところもございますので、そのあたり、簡潔でいいですけれども、総務庁と厚生省の方から、現状認識、それから、今現在どういう取り組みをやっているのか、また今後どういう取り組み方針で臨むのか、そういったところ、ポイントのところだけでも結構ですから、お話を聞かせていただきたいと思います。
○川口政府参考人 青少年の非行を防止し、健全に育成するということは国民的な課題であるというふうに認識しておりまして、総務庁としては、従来から、関係省庁の局長クラスで構成いたします青少年対策推進会議などの場を通じまして、政府の青少年行政の総合的かつ効果的な推進を図るとともに、青少年健全育成国民運動の推進に努めているところでございます。 さらに、昨今の少年非行とかあるいは児童虐待等、青少年をめぐる問題の深刻な状況にかんがみまして、昨年七月に出されました青少年問題審議会答申などを踏まえまして、昨年の十月に、青少年対策の基本方針等を定めた青少年対策推進要綱につきまして、内容を抜本的に見直し、青少年育成推進要綱としたところでございます。 具体的には、この要綱におきましては、基本方針としまして、青少年は地域社会からはぐくむという視点に立ちまして、地域社会の構成員である家庭、学校、地域住民あるいは企業、民間団体、関係機関が開かれた関係を構築し、地域で一体感を持った自主的取り組みを促進するという方向を重視することとしまして、当面取り組む課題として、新たに、青少年の社会参加活動等多様な活動の促進と児童虐待問題等への対応の推進というものを加えたところでございます。 総務庁としましては、この要綱に沿いまして、関係省庁の緊密な連携を図りつつ、地方公共団体あるいは民間団体等の協力も得まして、青少年の健全育成、非行防止のための施策を推進してまいりたいと考えております。
○真野政府参考人 児童、青少年の非行の問題、その他健全育成の問題、それぞれ、総理のもとに開催されました次代を担う青少年について考える有識者会議や、厚生省では中央児童福祉審議会その他におきまして御議論いただいておりまして、地域社会の中で児童の居場所をふやすということが、非行を防止し、あるいは児童の健全育成のために有益であるというような御意見をいただいております。 厚生省といたしましては、この児童、青少年の居場所づくりということを推進するために、放課後児童クラブということにつきまして、昨年つくりました新エンゼルプランに基づきまして、実施箇所数を平成十一年度の九千カ所から、プランの目標年度であります十六年度に一万一千五百カ所に増加させまして、地域での拠点を確保したい。 また、児童館につきましては、年長児童の利用ということの促進のために、創作活動費を補助基準面積に加えて少し広げるという対策を推進しておりますし、また、この児童虐待問題に関しましては、今年度予算で市町村ネットワーク事業というようなことで、市町村レベルでも対策をお願いしたいというふうに考えております。 今後とも、各省庁とも連携しながらこの対策に努めてまいりたいと思っております。
○一川委員 今ほどの総務庁、厚生省の方からお話を聞いておりますと、基本的には考え方は私も同感でございますけれども、おっしゃっていることはもっともなんですけれども、では実際問題、そういう施策が具体的に動いているかといったときに、なかなかそれが見えてこないというのが今の実態ではないかと私は思います。 こういった青少年問題なり健全育成、虐待問題等々は、基本的には、よく議論が出ていますように世の中全体の、戦後五十年を経過しておりますけれども、日本の社会全体の世相がこういった問題に映し出されているというふうにも考えられますし、またある面では、大人社会そのものがある程度無責任な社会になりつつある、そういったものがやはりこういう子供の世界にも反映してきているという面では、特に我々政治の場にいる人間は強く反省しなければならないというふうに私自身は考えております。 そういう中にあって、今ほどのように、特に児童虐待という観点から見れば、地域社会の中でもっと児童の居場所をふやすというようなお話もございました。私自身、田舎に住んでいる人間でございますので、全くそのとおりだと思いますし、やはり地域社会の中で、大人と子供が本当に一体となってある目標に向かって取り組むというようなこと、例えば、いろいろな伝統文化的な行事とかそういうものも一つの大きなきっかけでもあろうし、家庭と地域社会、また学校、場合によっては職場等が連携をとってこういった問題に真剣に取り組む、そういう気構えが今非常に大事になってきているんだなというふうにつくづくと感じております。 そこで、きょうは、実は農水省の方に来ていただいておりますけれども、農村地域と都会を比べた場合に、これまでの虐待のデータでもそうですけれども、都会の方は虐待の事例が非常に多い、農村地域は割と少ないというデータも出ております。 それは、前にもちょっと指摘したことがあるのですけれども、人間の気持ちの余裕といいますか、都会にいる、そういった殺伐とした毎日の生活の中でのストレスというのは当然あろうかと思うのですけれども、農政、農業問題というのも、一方では過疎問題、高齢化問題ということで重要な課題を今日抱えているわけです。地方においては非常に過疎化現象が起こり、若者が少なくなってきている。場合によっては学校そのものが存続できないというところが、山間部ではたくさんあるわけです。 そういう実態が一方でありながら、都会では過密現象の中でのこういう虐待現象みたいなものが一方で起こっているわけですね。こういうものを、何かもう少しお互いに協力し合って同時に解決する方法があるのではないかというようなことを常日ごろ考えているわけですけれども、農林省も、一方では、今言ったそういった過疎化、高齢化現象による山村地域の活力の低下というのは一つの課題でございますし、また一方では、農林業の担い手問題という観点から見ましても、大変重要な課題を今抱えているわけです。 そういうことを考えますと、当然その本人なり家族の希望も踏まえてのことでございますけれども、農村地域、山村地域に、一時期でもよろしいですし、あるいはずっと長くいても当然いいわけでございますけれども、農村地域がそういった都会に住んでいていろいろな悩みの多い方々を受け入れるということも含めて、いろいろと施策的にもこれから取り組んでいく必要があるのではないかということを感じております。 私たちの地元でも、山村留学ということで割と成功した事例もございます。そういう自然との触れ合いとか動植物とのいろいろな触れ合い、また地域社会での人間と人間との心の触れ合い、そういう中で、受け入れた側もいろいろな面で活力が出てくるし、また、そこへ入ってこられた方々も、大人の方も子供の人も、いろいろな面で、新たな体験の中で人間として成長していかれるという事例を見ているわけです。 そういうことを考えてみた場合に、農水省におかれましても、こういった青少年問題を農林行政の中で受けとめるということも非常に重要なことではないかなというふうに考えるわけですけれども、農林水産省の見解をお聞かせ願いたいと思います。
○木下政府参考人 委員御指摘のとおり、農業体験というのは、一つは、将来を担う子供たちが農業、農村の果たしている役割を正しく理解をする機会でもございます。また、子供たちの生きる力をはぐくむという意味でも重要な役割を果たしているというふうに考えているところでございます。 こういう観点から、私ども、文部省とも連携をとりながら、学校教育における農業に関する学習あるいは学校外を中心とした農業体験学習等につきまして、各般の施策を活用して取り組んでいるところでございます。また、農村地域への青少年受け入れ対策といたしまして、私ども、都市と農村の交流の取り組みについても実施をしているところでございます。 御紹介いたしますと、文部省が指定をいたします子ども長期自然体験村等々におきます体験活動に必要な機材の整備を実施するとか、あるいは本年度から子ども地域活動促進事業等とも連携をしているところでございます。また、都市と農村の交流施設につきましても従来から整備を進めてきたところでございますけれども、さらに経営構造対策等々におきましても施設整備の充実を図っていきたいというふうに考えているところでございます。 また、将来の担い手を確保するという観点からも新規就農対策は重要だというふうに考えているところでございまして、労働省とも連携をとりながら、農業等就職相談コーナーというのを主要な都市部に設置をして、農業へのいろいろな情報提供をしているというような状況でございます。
○一川委員 既存のいろいろな取り組みの状況は今までも御説明がございましたけれども、今の社会的なそういういろいろな現象、課題等を踏まえて、より積極的な対応をぜひ検討していただきたい、そのように希望したいと思います。 さて、もう一つ、これも私の個人的な見解でもあるわけですけれども、こういった青少年問題なり、また虐待に至るような悲惨な現象を見ておりましても、若いお母さんたちのそういう悩み、ストレスも当然ございますし、また、子供自身が非常に孤立化していくということもあろうかと思いますけれども、一方では、今日、学校の現場がいろいろな問題を抱えて荒廃してきているということも教育の現場であるわけです。 そういうことを考えてみた場合に、これからの我が国の人材育成ということを考えた場合、こういう問題というのは大変難しい問題をたくさん抱えているなというふうには思いますけれども、私は、一つの対策としてスポーツの振興といったことを、これまでも当然やってきているわけですけれども、やはり子供、青少年も、あるいは若いお母さん、お父さんにとっても、ストレスを解消するというか、そういうものを発散するような場所として、あるいは体を動かすという面で、スポーツ振興というのはある面では非常に大事だというふうに私は思います。 こういう青少年問題あるいは児童の健全育成という観点からしましても、何か従来とまたちょっと違った発想でのスポーツの振興なりそういったことに、もっともっと文部省サイドも力を入れるべきではないかと思いますけれども、そのあたり、文部省としてのお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○富岡政府参考人 先生御指摘のとおり、平成十年度に文部省が行った調査によりますと、生活体験とか自然体験、あるいはそういうグループ活動などが豊富な子供ほど、モラルあるいは道徳観とか正義感が充実しているという傾向が見られる調査を発表しております。 そういう意味で、心の教育を推進するためには、いろいろな体験活動、あるいは団体によります年齢を超えました異年齢の活動を進めるということが大事でございまして、農林水産省の方からも御説明がありましたように、私どもとしても各省と連携していろいろなプロジェクトを進めておるわけでございます。 先生御指摘のスポーツということにつきましては、教育的効果が非常に大きいわけでございますので、子供たちだけ、あるいは親子で参加する、身近な地域でスポーツに親しむことができるような事業を進めることが必要だということから、特に総合型の地域スポーツクラブの育成、定着を進めておるわけでございます。 特に、学校や地域単位で組織されておりますスポーツ少年団と連携しながら、スポーツ環境の整備を進めるということを今全国的に進めておるわけでございますので、私ども、スポーツ活動それから文化活動、いろいろな形で地域ぐるみの活動を進めるということに努めてまいりたいと思っております。
○一川委員 もう時間も来ましたからこれで終わらせていただきますけれども、そういったスポーツとか今お話に出ましたような一種の文化活動、特に地域でのいろいろな伝統文化的な行事ごとというのはたくさんあるわけでございますけれども、そういうものを振興しながら、そういう中に児童を参加させながら大人社会との接触を深めていく、そういう中で地域全体がお互いにコミュニケーションを深めながら助け合うというようなものを、いろいろな施策の中でぜひ各省庁頑張っていただきたい、そのようにお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○富田委員長 次に、保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。 きょうは、子供の虐待の問題に関して、十五分に限られていますから、厚生省の真野局長だけに率直な討論をさせていただきたい、こう思っております。 まず一点目に、これは一年越しに、委員会で質問するのはこれが四回目になりますが、さきの宮下厚生大臣の時代にこの委員会で、子供自身に子供の虐待というのは許されないんだということを知らせていくために、例えばテレビコマーシャルというようなことを考えてみてはどうかということを求めたのです。 その後、同じこの委員会だったと思いますが、局長は、ぜひ考えさせてください、いや、考えさせてくださいじゃなくて一歩踏み出してくださいよ、やらせていただきますという答弁もあって、ことしの予算を楽しみにしていたのですが、三万枚ぐらいのポスターをつくられるということで、ポスターはいいのですけれども、やはり子供たちがよく目にする、例えば予算委員会でも紹介しましたけれども、育児をしない男を父とは呼ばせないという、タレントのSAMさんを使った十五秒のスポットがありました。これは三十二エリアで四千四百七十六回流れたと。このくらい流れると、なるほどなと印象に残るわけですよね。 これはほかにも、雑誌広告、新聞の大きな広告などで、補正予算を使って五億円とかなり大規模にやったようですが、五億円使わなくてももう一歩努力してほしいということを丹羽厚生大臣にも求めました。 具体的に、今やったこと、それから今努力しようとしているところ、率直に答弁いただけないでしょうか。
○真野政府参考人 先生から御指摘をいただきまして御答弁をいたしたことは記憶いたしておりますし、またことしの予算委員会でも先生から御指摘を受けたことは承知をいたしております。 その御指摘を受けまして、昨年十二月に政府広報のテレビ番組にこれを取り上げていただきました。また、ラジオ番組でも取り上げていただきました。また、ことしの初めにもラジオ番組で取り上げていただいておりますし、二十三日にもテレビ番組でさらに取り上げていただく予定にいたしております。 また、政府広報でございます「フォト」、「にっぽんNOW」、「広報通信」におきましても記事をお願いいたしましたし、今年一月末には啓発ビデオ一万一千本と啓発パンフレット百二十万部を作成いたしまして、すべての都道府県、市町村に配布をいたしまして、ぜひ啓発を行っていただくようお願いをしたところでございます。 また、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、三月の末に行われました政府の広報関係の会議におきましても、この児童虐待の問題について重点的な広報テーマとして取り上げていただくということをお願いいたしました。 今後とも、できるだけそういう面の活動に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○保坂委員 きのう厚生省の方に来ていただいて、今度四月二十三日にやる番組、これは大変いいことだと思いますけれども、たしか日曜日、時間帯は朝六時四十五分ですか、ちょっと朝早かったような気がするんですね。元気な子は起きて、そうだといって見るかもしれませんけれども。 そういう番組提供はそれはそれでいいんですけれども、予算が限られていれば限られていたなりに、そのスポットのCMを、子供の虐待というのは許されないんだというのを当の虐待されている子供やその隣にいる子供たちに、ああ、そういう考え方があるのかと、まだ届いていないんじゃないか、そんな気がするんですね。そのあたり、検討しているかどうか。
○真野政府参考人 先生からそういう御指摘をいただきました。親のことではなくて、子供が訴えていいんだよということを子供に対してメッセージを発しない限り難しいんだという御指摘をいただきました。 予算のことを申し上げて大変恐縮ですが、なかなかそういう面、これはいろいろな予算的な制約がございますが、どうしても私どもがつくりますといわば親向けのPRということになりがちでございますが、先生から御指摘を受けた、要するに子供に対するメッセージ等をどういう格好で伝えていくのか、子供に届けるのかということについてはまた検討させていただきたいと思います。
○保坂委員 これは、厚生省だけではなくて、政府一体の緊急の取り組みとしてぜひやっていただきたいし、やっていただくことの意味がとてもあるだろう。そういうことがなければ、この委員会で各会派一致して推進しようとしている虐待防止法、この成立を見ても、やはり社会的な効果、特に子供たち自身がそういうことを知らないのであればこれは困ったことになるわけですから、ぜひそこはお願いをしたいと思います。 二点目に、きのう大変有意義な視察をさせていただいたのですけれども、児相、東京の児童相談所のセンターと、それから養護施設石神井学園の方を見せていただきました。 一点だけなんですけれども、養護施設の方は大変広大な環境で、しかも教室などもゆったりと、長期に滞在しますのでなかなかいい環境だなと。そしてまた、職員の人たちの心配りなどに感銘をして、改めて、大切な仕事をされている、やはり本で読むよりはそこに行かなければわからないものだなという思いを強くしたのですけれども、一時保護施設の方も大変な量の相談が今来ている。そういう中で、手いっぱいの状態の中で必死に子供さんたち、しかも二歳の子供さんから二十に近い子供まで預かりながら一時保護をしているということでした。 その御苦労は踏まえた上で、若干気になったことを一点だけ申し上げますと、部屋を見せていただいたんですが、私物が何もなかったんですね。要するに、子供ですと大切にしている縫いぐるみだとか、どうしても持っていきたい手帳だとかありますよね。アイデンティティーというのは、どうしても離せないものというのは大人でもあるじゃないですか。そういうものも含めて自分だということがあって、例えば小児病棟に子供さんが入院するときにはそういう愛着のあるものを持っていきますね。数に限りはありますよ。それは段ボールで何箱も持っていくということはありません。しかし、周りに何らかありますよね。 あれはどうして一時保護状態のときには、私物というのは必要なんじゃないか、子供たちが日記をつけたり、いわゆる一人一人の人格形成の上で。そのあたりを少し改善することを考えたらどうかというふうに思ったのですが、これはいかがですか。
○真野政府参考人 今初めて御指摘をいただきました。 御案内のとおり、一時保護というのは緊急保護を、原則と言うと変ですが、そういうことでございますので、長期滞在を予定いたしておりませんのでそういうことになっているのかなと。また、一時保護をした状態のときに本当に私物を持っていける、極端な場合、親と分離してというような場合に、本当にそういうことが可能かというのはございますが、ただ、処遇上、子供さんの一時保護所における処遇から見ても、先生の御指摘というのは、要するに子供さんの安定ということに関して非常に有意義な話だと思います。 一時保護所側が一律に排除しているのか、そこはちょっと、大変申しわけございませんが、調べておりませんのであれでございますが、当然、私は、一時保護所というのは一番子供のことを注意して保護しているとは思っておりますが、もしそういうふうに一律に、ルール上全部だめだというようなことがあるのであれば、そこはぜひ是正をしたいと思います。
○保坂委員 それは、私はただ一カ所を見ただけで全国を見ているわけではありませんので、厚生省の方で調べていただきたいと思うのです。 一時保護は、まさに戦争直後の戦災孤児たちが本当に居場所がなくておなかをすかせて、それで保護をすると。ですから、多分、服を一時保護の施設の側で貸与するという形になっているようですね、靴も。そのあたり、戦前からずっと来ているんじゃないのかなとちょっと思ったのです。だから、むしろその時代にはその方がよかった。 ところが、今や大きく時代も変わっていますし、特に傷ついた心を持っている子供たちを受けとめるというところは、子供によっては、例えば縫いぐるみと引き離されることがもう不安でたまらないという子もいるわけですから、お考えいただきたいと思います。 もう一点ですけれども、実はイタリアにテレホノ・アズーロという民間の電話相談組織がありまして、去年、法務委員会の委員派遣でたまたま時間がローマであいたものですから訪ねてみました。これは、ローマの小学校を全部改装して、一時保護施設、これは民間が委託を受けて運営をする形。そこの施設を今ちょうど工事中ですよというときに訪ねさせていただきました。 そこを見ると、電話相談の窓口があり、そして、ボランティアが一階に集っていて、二階にはカウンセリングルームがあり、カウンセラーや弁護士、そして医者、さまざまな専門家がそこに待機をする。それから、一時保護した後の子供を親に戻すべきかどうか、その判断を専門家たちが見ていく、そういう部屋もあるのですね。これはイタリアでも初めての試みだと聞きました。 日本でもそういうソフトを用意しなければいけない。民間団体のそういう知恵、あるいは日本に限らず世界で先進的な事例があればどん欲に厚生省もこれをキャッチして、いろいろと体制整備を急いでいただきたいなと思います。これは、厚生省だけがやるのではなくて、日本にもさまざまな意欲的な民間団体がありますので、そういう人たちの積極性をうまく生かしながら、虐待から子供を保護する、そして加害の親もやはり変わってもらう、そういうことが大事かと思うので、そのあたりのお考えはどうですか。
○真野政府参考人 先生の御指摘、また先生が書かれたものも若干読ませていただきましたが、御指摘のとおりだと思います。 やはりどうしても、これまで我が国の中で議論をするというようなことがございましたけれども、海外での取り組み、これにつきましては、今年度、厚生科学研究の子ども家庭総合研究事業の中で国際比較に関する研究ということで公募しておりまして、ぜひ有識者の方々のそういう面のアドバイスをいただきたいというふうに思っておりますし、それから、これはまさに先生おっしゃるとおり、役所だけでできるはずはございませんので、NPOを初めそういう民間団体のお力をかりなければ対応できないと思っておりますので、そういう面にも意を注いでいきたいというふうに思っております。
○保坂委員 最後になりますけれども、きのう児童相談所で児童精神科医の方のお話を聞いて、改めてわかったことがあるのです。児相の一時保護も、それから養護施設の中も乳児院の中も、それぞれ虐待児がふえているわけですね。被虐待児、虐待された子供たちがふえている。それが、それぞれの施設が被虐待児ということを想定してつくられているわけではないので、子供は確かにケアをする、カウンセリングも幾らかはする、しかし万全ではありません。しかし、親に関してはどこがやるのだという話になると、ないわけですね。 だから、本来であればこれは急いでいただきたいし、検討していただきたいのは、家庭内の虐待、当事者である親と子を総合的にワンケースとして扱い、そして長期のフォローや事例研究もしていくような虐待防止の専門機関、これはやはり厚生省としても検討を始めてほしいと思いますが、いかがですか。
○真野政府参考人 その役割を果たすのが、先ほど取り上げられましたけれども、情緒障害児短期治療施設、ネーミングはともかくといたしまして、そこがやはり、心理療法士もおられますし、精神科医もおられる。そういうところで子供さんも受けとめますし、それから、そこはやはり子供が出てきた家庭を見てやっている。 私も、なかなか実際の施設を見せていただく機会がございませんが、横浜の施設、情短と言っておりますが、情緒障害児短期治療施設を見せていただきました。そこで、精神科の先生方を初め、非常に苦労した取り組みをされております。そういう意味で、そういうところを核に全国に整備をしていきたいというふうに思います。
○保坂委員 それでは、これで終わります。
○富田委員長 以上をもちまして質疑は終了いたしました。 —————————————
○富田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 青少年問題に関する件の調査に関し、児童虐待問題等について、来る二十日木曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次回は、来る二十日木曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時十二分散会