商工委員会 第8号
- 発言数
- 89 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 2000/04/05
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、消費者契約法案及び第百四十六回国会、菅直人君外三名提出、消費者契約法案の両案を一括して議題といたします。 本日は、参考人として東京大学法学部教授落合誠一君、全国消費者団体連絡会事務局長日和佐信子君、全国商工会連合会専務理事井田敏君、弁護士・日本弁護士連合会消費者問題対策委員会副委員長野々山宏君、国民生活センター顧問及川昭伍君、以上五名の方々に御出席をいただいております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。 なお、御意見は各参考人それぞれ十五分以内でお述べいただきますようお願い申し上げます。 それでは、まず落合参考人にお願いいたします。
○落合参考人 東京大学の落合です。 本日は、与えられました時間が十五分ということですので、大きく分けまして三つのことを簡潔に申し上げたいと思います。第一は、なぜ消費者契約法が必要なのかという点であります。第二は、消費者契約法の民事ルールは包括的で極力明確なものでなければならない、こういうことであります。第三は、消費者契約法は消費者と事業者の利害の妥当な調整を実現するものでなければならないということであります。順次これにつきまして述べさせていただきます。 私は、消費者契約法というのはぜひとも必要であり、今国会での成立を強く望んでおりますが、なぜ消費者契約法が必要なのかということにつきまして、基本的には二点あるように思っております。 第一点は、市場メカニズムを重視する経済社会システムに転換するための環境整備の一環としての必要性であります。 つまり、二十一世紀に日本が繁栄を続けるというためには、市場メカニズムを十分に機能させる経済社会システムが絶対に必要なわけでありますが、このことは、ほっておけば自然に実現するというわけではありません。そのためには、規制緩和を大胆に進める等の環境整備が積極的になされねばならないわけであります。 ところで、その市場メカニズムというものが十分機能するためには、市場参加者の自由というものが確保されなければなりません。そのためには、行政がこれまでのように民間の活動に広範囲に介入するということをやめる必要があり、したがって大胆な規制緩和が必要になってまいります。また、市場での取引が適切になされるには、市場参加者が十分な情報を持って、お互いに自由で対等な交渉を行えるということが必要であります。 ところが、消費者と事業者とを比較いたしますと、情報の点でも交渉力の点でも、一般的にいいまして消費者は事業者よりも十分ではありません。つまり、このままほっておけば、消費者と事業者の契約取引は適切なものとならない場合が多いのであります。換言すれば、消費者と事業者との契約取引においては市場メカニズムが十分機能するための条件というのが一般的には満たされていないということになります。もっとも、従来は行政が事業者の活動に広範囲に介入するということによりまして、消費者と事業者との間にある格差を縮小させてきたという面がございます。 しかし、今後、その行政の広範囲な介入というものを排除するということになりますと、それにかわる手段を積極的に用意する必要があるわけであります。そして、その有力な手段の一つが消費者契約法であるというふうに考えております。これが、消費者契約法が必要であることの第一点であります。 その第二点としては、現在、我が国においては、消費者の苦情の八割が契約関連であるというまことに深刻な状況が存在しておりまして、早急に効果的な対応が求められていることであります。 早急の効果的な対応としては、これまでのような行政の積極的な介入による対応は好ましくないということになりますと、消費者と事業者との契約関係を直接規律する民事ルールの充実強化が当然浮かび上がってまいります。しかも、消費者契約に特化した民事ルールというものは今まで我が国になかったということが、消費者の契約関連苦情が深刻化する有力な原因の一つとなっていることも考え合わせますと、消費者契約に特化した民事ルールとしての消費者契約法を早急に立法して、現在の深刻な状況に対処する必要があると判断されます。 以上のような消費者契約法の必要性の認識につきましては、政府案も民主党案も私と基本的に同様な認識に立っているというふうに判断されまして、その点におきまして大変心強く思っているところであります。 申し上げたい第二としましては、あるべき消費者契約法の内容でありますが、一般的に言いまして、包括的で、極力明確な民事ルールである必要があるというふうに考えております。これにつきまして申し上げます。 まず、包括的ルールでなければならないということですが、これまでの我が国の消費者保護は、民事ルールによるのではなくて、個別の業法による対応というのが中心でありました。しかし、個別の業法による対応は、業法が対象とする事業者に規制が限定され、対象外の事業者による消費者被害については無力であり、どうしても規制にすき間が生じ、また新たに事業者を規制の対象に追加するとしても、後追い的になるという問題がございました。 それでは、すべての事業者のすべての活動を対象とする包括的な業法をつくるということになりますと、これはもちろん、行政の介入を必要最小限度とする規制緩和の基本的方針に反するということになります。そこで、すき間を埋め、後追いを避けるということになりますと、包括的な民事ルールというものが考えられるわけであります。民事ルールであれば、基本的に裁判による事後規制ということになりますので、規制緩和の方針に適合し、問題はないと考えられるわけであります。 したがって、消費者契約法は、すべての事業者を対象とする包括的な民事ルールとする必要があります。そして、消費者契約法は、消費者取引市場参加者のすべてに適用がある、いわば消費者取引市場の土俵を構成する基本的ルールということになりますから、消費者取引市場というものを十分に機能させるための重要な環境整備の手段となるのであります。この点につきましては、政府案も民主党案も包括的なルールということになっており、まことに適切であるというふうに考えております。 次に、消費者契約法の民事ルールは極力明確でなければならないということであります。 既に申し上げましたように、消費者契約のみを対象とする民事ルールというのは、現在我が国にはありません。したがって、基本的には、対等当事者間の関係を規律する民事ルールである民法、商人を対象とする法律関係を規律する民事ルールである商法、この民法、商法というものを使って消費者契約の問題に対処しているわけであります。本来、消費者を対象としていない民法、商法のルールを消費者取引に使うのは、使用目的が異なるルールを無理に当てはめるという面があり、それ自体かなり問題があるわけであります。 また、それに加えまして、民法、商法には、不当契約条項に関する規制がほとんどありません。したがって、権利乱用とか信義則といった漠然とした一般条項を用いて問題を解決せざるを得ないわけで、ルールの適用の結果が甚だ不明確な状況にあります。これは結局、裁判をやってみないと結論がわからない、ある条項が無効になるかどうかわからないというようなことがあり、結果の予見可能性が極めて低いルールしか現在ない、そういう重大な欠陥がございます。そして、予見可能性の低いルールしかないという状況が消費者契約紛争を深刻化させている有力な原因の一つと考えられるのであります。 したがって、予測可能性の高い明確なルールがまさに消費者契約法には必要になるのであります。もちろん、消費者契約法のルールは、例えば町の八百屋さんからデパートまですべての事業者に適用がある包括的ルールでありますから、すべての場合に適用があるということを考えなきゃいけないということから、明確性を要求するといいましても、数学の公式のような明確性というものは当然求めることはできないわけでありまして、一定の解釈が必要とされるというのはやむを得ないことであります。したがって、私としては、明確性が必要だと言っているわけですが、この明確性の意味は、もう少し正確に申し上げますと、極力明確なものでなければならないというふうに申し上げているのであります。 この極力明確でなければならないという点につきましては、政府案も民主党案もこの要請はクリアしているというふうに思われますが、ただ、民主党案につきましては、重要事項等について内閣総理大臣が指針を定める、これは三条四項、それからまた、不当条項の具体的基準を政令で定める、九条三項という規定がございまして、そういたしますと、具体的な指針ないし政令が明らかにならないと、最終的なルールの形がどうなるのかが現時点では必ずしもはっきりしていないような気がいたします。 最後に申し上げたい第三でありますが、それは、消費者契約法は消費者と事業者の利害の妥当な調整を実現するものでなければならないということであります。言うまでもなく、世の中には消費者と事業者がともに存在をしているのでありまして、その一方が欠けた社会というのは考えられません。したがって、どちらか一方の利益にのみ偏するルールというのは妥当とは言えないのであります。 第十七次の国民生活審議会消費者政策部会における検討は、消費者と事業者との妥当な利害調整としてのコンセンサス形成を目標といたしました。そして、昨年十二月の部会報告によって、消費者も事業者も、それぞれ一〇〇%の要求という点から見ますともちろん不満があるといたしましても、お互いに譲歩して、この線ならば全体として受け入れ可能という包括的なパッケージとしてのコンセンサスをまとめることができたというふうに考えております。 私の見ますところ、政府案は、基本的にこの消費者と事業者の受け入れ可能な包括的パッケージとしてのコンセンサスを忠実に反映しているというふうに評価しております。したがいまして、それぞれ不満はあるにいたしましても、政府案であれば消費者も事業者もほとんど問題なく受け入れ可能であるというふうに考えております。 許された時間が短い上に、やや早口でおわかりにくかったかもしれませんが、以上で私の意見を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 次に、日和佐参考人にお願いいたします。
○日和佐参考人 全国消費者団体連絡会、日和佐でございます。本日の委員会で意見を申し述べる機会をいただきまして、本当にありがとうございます。感謝申し上げます。 消費者契約法政府案を支持し、早期制定を求めるものであることを最初に申し上げておきまして、提案されています消費者契約法の評価する点と問題点等について申し述べたいと思います。 提案されています消費者契約法の評価する点は三点あります。 一点目は、第一条に、この法律の目的ですけれども、「消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、」の文言が明記されたことであります。 契約に関するトラブルの多発の要因は、まさにこの構造的な格差にあります。消費者と事業者の間の格差の存在を明白にし、これを是正することによって初めて事業者、消費者は対等な立場に立って契約を結ぶことができます。格差を是正するルールが消費者契約法であるということが言えます。 二点目は、適用除外がないことです。 消費者契約に関するトラブルの多発のもう一つの要因と、被害救済が困難である要因は、個別業法による規制では対象とならない業種が次々と巧妙に編み出されてくることに対応できないためであります。行政ルールは後追いになる場合が非常に多く、その間に悪徳事業者は言ってみればやり得、一方、消費者被害は増大するというのがこれまでの構造でした。 例を挙げますと、昨年改正されました割販法、訪販法は指定商品制であります。したがって、指定商品から外れたものについては全くその効果は及ばないということがあります。具体的に申し上げますと、エステティックはかなり長年にわたって被害が増大して問題視されてきておりました。しかし、その被害がかなり増大したという時点でやっと法律が改正されるというように、かなり後追いでしか行政ルールは効力を発揮しないという問題点があります。このような問題点をカバーするという意味合いで、適用除外なしの包括的な民事ルールがぜひとも必要とされていました。 三点目は、不当条項に一般条項である十条が入ったことです。 消費者団体といたしましては、不当条項に関して、ブラック条項は明確に列挙することを主張してまいりました。今回ブラック条項と言われるものが限定的になったことによりまして、一般条項はぜひとも必須条項として入れなければいけない、入れていただきたいと思っておりました。 以上三点につきましては、消費者契約法法文化に際して消費者団体が強く要求してきたものでございます。その観点から、私たちが強く主張してきた三点について法文化されたことについて、消費者契約法案を評価するものでございます。 しかし、百点満点というわけにはいきませんで、今後に残された課題もございます。主なもの三点を挙げておきます。 一点目は、困惑行為が不退去、監禁型のみに絞られたことです。勧誘行為は非常に巧妙になってきておりまして、目的を隠して接近する恋人商法だとか、職場への頻繁な迷惑勧誘電話など、不退去、監禁型だけでは余りにもその実態に対応できていないと言わざるを得ません。 二点目は、情報の格差を法の目的で指摘しながら、情報の提供は努力規定にとどまったことです。このことは論理的整合性からいっても矛盾していると私は思います。 三点目は、行使期間が六カ月であるということです。書類を整えたり等の時間を考慮すれば、短くても一年は必要であると思っております。 細かいことを申し上げますとまだ多々あるのではございますけれども、この三点をポイントとして、今後の課題として挙げておきたいと思います。 消費者契約法制定後の実効性確保について、あと少し申し上げたいと思っております。 その第一は、団体訴権、差しとめ請求権の導入をぜひ別途検討していただきたいということであります。 消費者契約にかかわるトラブルの被害は、一人一人、個人個人にとってはそう絶大に多額であるということではありません。したがって、消費者契約にかかわるトラブルが紛糾し、解決しない場合、最終的には裁判にその判断をゆだねるわけですけれども、今の裁判制度では非常に時間もかかり、お金もかかりということで、なおかつ、先ほど申し上げましたように多額ではないということであれば、なかなか裁判に判断を仰ぐということにはならないのが現状です。したがって、消費者団体等が団体訴権を持ち、そしてその団体が差しとめ請求権を要求することができる、いわゆる団体訴権を認めることをぜひ別途御検討いただきたいと思っております。 そしてもう一点、消費者センター、国民生活センターの充実及びADR、裁判外紛争処理機関の設置であります。 消費者センターは、現在、各区市町村でその縮小が言われて問題視されております。私は今、消費者問題が非常に複雑化し、かなり専門的な知識も必要であるという状況になってきております現状を考えますと、区市町村の消費者センターと県の消費者センターの役割分担を再度検討するべきときにあるのではないかと思っております。 区市町村の消費者センターでは、現実に非常に高度化、専門化している消費者問題を迅速に解決することは、一方では困難な状況なのではないかと思っています。したがって、区市町村では消費者に対する啓蒙活動、情報の提供等に力を入れ、専門的、複雑、高度になった消費者問題の解決は県レベルにおける消費者センター等で行うのがいいのではないか、そのような見直しが今必要なときではないかと思っております。そういう意味合いも含めての消費者センターの充実が必要であると思います。また、国民生活センターの消費者被害情報の充実も必要であると思います。 今後、この消費者契約法がどのように効果を発揮し、そして、まだ残された課題に関してどれだけの問題を抱えているか。具体的に言いますと、新たに救済できた消費者被害はどんなものが実際にあったのか、どういう成果を上げてこれたか、と同時に、なお消費者契約法でも救済されない消費者被害はどのようなものがあるのか、それを、消費者相談事例を分析し、分類し、情報を整理することによって検証することができると思います。そういう意味合いで、PIO—NETの機能をさらに充実することが非常に今後重要なことになってくるのではないかと思っております。 三番目、ADRの新たな設置です。 現在、明確にADRと言われております組織は存在していないと私は思っております。例えば、各県にございます苦情処理委員会。これも各県さまざまですけれども、一たん消費者センターに寄せられました相談事例が、その中で選択されて苦情処理委員会に上げられるわけですけれども、その選抜されて上げられる過程が透明ではないということが一つございます。したがって、苦情処理委員会を基盤にしながらでもいいと思いますけれども、消費者、専門家の方、それから事業者代表、弁護士さん等で構成され、この委員会に少し権限を持たせなければいけないと思っています。例えば立入調査権等、一定の権限を持たせ、そこでの判断がかなり有効であるというような仕組みをぜひつくっていく必要があるのではないかと考えております。 最後に、評価するべき点もございますけれども、課題として残された点もございます。 先ほどPIO—NETのところでも少し申し上げましたけれども、今後、消費者相談事例を検証し、トラブル解決のデータも積み上げ、その実態に即して消費者契約法の効果と課題を明らかにして、消費者契約法を見直すということも必要になってくるのではないかと思っております。なお、消費者取引も、これから電子商取引等新しい取引形態が進出してくることが見込まれております。そういう問題にも対応していける消費者契約法であるために、見直すことが必要だと考えております。 実効性確保のために、申し上げました二点と、この消費者契約法を見直していくということについて、ぜひ附帯決議で入れていただければ大変うれしいと思っております。どうもありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 次に、井田参考人にお願いいたします。
○井田参考人 全国商工会連合会専務理事の井田でございます。諸先生方におかれましては、日ごろから、商工業、とりわけ中小企業の振興発展に関しまして御支援、御指導いただいておりまして、まことにありがとうございます。厚く御礼申し上げます。また、本日はこのような発言の機会を賜りまして、ありがとうございます。 お手元に二枚紙で骨子をお配りいたしておりますけれども、骨子に沿いまして簡単に意見を申し上げたいと思います。 私ども商工会は、全国で二千八百余の、主として町村部に設置されております地域の総合経済団体でございますけれども、地域の商工業の振興発展のために、中小企業者に対する経営指導等さまざまな活動を行っております。現在、会員は約百十万事業者ございますけれども、その大部分がいわゆる小規模な事業者でございます。 さて、私は、昨年の五月に国民生活審議会に設置されました消費者契約法検討委員会の委員といたしまして法案の検討作業に参画をさせていただきましたけれども、基本的な立場といたしまして、主として次の三つの点につきまして委員会の場で主張させていただいたわけでございます。 第一点は、法案をつくる以上、実際の取引現場の実態に即応した法制度にしていただきたいということでございます。 この消費者契約法は、消費者契約、すなわち、事業者が消費者との間で締結いたします契約のすべてが対象になる法律でございます。法律の適用対象となります事業所数で申し上げますと、恐らく全国で約四百五十万事業者に上ると推計されるところでございまして、そのうちの大半、九五%程度は中小企業でございますので、この法律の制定につきましては、法案の内容いかんでは、中小企業、とりわけ小規模な事業者の事業活動に大きな影響を与えかねないわけでございます。 したがいまして、中小企業の経営実態あるいは取引現場の実態を十分踏まえた上で、この法律の与える影響というものも十分考慮した議論をぜひ展開していただきたいということを、まず第一点で申し上げたわけでございます。 二つ目といたしまして、この法律は、でき上がりますと、いわゆる裁判における紛争処理規範になるのはもちろんでございますけれども、裁判外における紛争処理においても当然活用されるということになりますので、予見可能性の高いルールでなければならないという点でございます。すなわち、具体的に事業者がどういう行為をすればどういった法律効果が発生するのか、こういったことが事前に明確にわかるルールにしてほしい、すべきであるという点でございます。 第三点でございますが、この法律がいわゆる包括的な民事ルールということになる以上は、その規定内容といたしましては必要最低限のものに限るべきであるという点でございます。すなわち、極めて特殊な取引形態、あるいは極めて特定の商品分野、こういった分野に係るトラブル処理に関しましては、消費者契約法のようないわゆる一般的なルールではなくて、むしろ別途の個別法といったもので対応すべきではないかという点でございます。 御承知のとおり、国民生活審議会消費者契約法検討委員会の中には、一般有識者を初めとしまして、各消費者団体からの方々、また私どものように業界団体の委員、法律学者、弁護士さんなど、非常に幅広い関係者が参加をいたしておりまして、消費者サイドあるいは事業者サイドから、実際のトラブルの実態あるいは取引の実態を踏まえまして数多くの意見が出されまして、相当な長時間を費やして議論をされた結果として報告書に取りまとめられたものでございます。 私も、中小企業の立場から数々の意見を申し上げましたけれども、最終報告書に決してすべてが盛り込まれたわけではございませんけれども、長時間の議論を通じまして全体の審議が深まっていく中で、ぎりぎりやむを得ないということで最終の報告書の取りまとめに御協力、御賛同を申し上げたものでございます。したがいまして、この検討委員会の報告書に盛り込まれております内容は非常に重たいものというふうに受けとめております。 今回、政府において今国会に上程されております法案につきましては、検討委員会報告書に比べますと一部の表現ぶりについてより明確になったというような点がございますけれども、ほぼ報告書の内容どおりというふうになっているものと理解をいたしております。したがいまして、政府案、この法案につきましては、私ども中小企業の立場からも基本的に反対するものではございません。 次に、検討委員会の場で議論になりました主な論点につきまして、五、六点ほど具体的に申し上げてみたいと思います。 第一点は、政府案の第四条第三項にございます「困惑」でございます。この当該消費者を困惑させる行為について、今の原案よりももっと幅広い要件で契約を解除できる、取り消せるようにすべきではないか、こういった議論が出てまいりました。 これにつきましては、仮に消費者を困惑させる行為につきまして今以上に幅広く対象にするということになりました場合に、一体何をもって困惑させたことになるのか非常に抽象的でございまして、私どもから見ますと甚だあいまいであるように思えるわけでございます。例えば、物を買いまして、後になって消費者が、困惑をしたんだ、こう主張さえすれば契約が取り消されることにもなりかねないわけでございまして、取引が著しく不安定なものになるおそれがあると思っております。 また、事業者が消費者を威迫した場合、これについても同様に幅広く契約の取り消しを認めるべしといった御意見も出ましたけれども、今申し上げました困惑の場合と同様に、具体的にどのような行動が威迫に該当するのか、類型化していくことは非常に難しいと思います。したがいまして、政府原案のとおり、不退去、監禁の場合に限定すべきものと考えております。 二つ目の議論が、いわゆる目的隠匿型商法についてでございますけれども、より抽象的あるいは幅広い要件をもって契約の取り消しを認めるべきではないか、こういった御議論であります。 それでは、実際にこの目的隠匿型商法、どういうトラブルが起きておるのかというのをいろいろ委員会の場でもお伺いしておりますと、和服でありますとか宝石といった販売のために、例えば恋人を装って消費者に接近をして物を買わせる、こういった非常に特殊な取引形態に限られているようであります。このようないわゆる特殊な取引形態における紛争処理につきましては、冒頭申し上げましたように、そのトラブルの実態に即応した形で、本法とは別途の特別ルールによって対応すべきものと考えております。 第三点でありますけれども、いわゆる事業者の情報提供でございます。これは、政府原案では努力規定になってございますけれども、努力規定ではなくてむしろ義務規定とすべきではないか、こういった議論が闘わされたわけでございます。 仮に、すべての事業者に情報提供義務を法的に課すということになりますと、それでは提供すべき情報といったものは何なんだと、その範囲につきまして明確に定めていく必要がございますが、極めて多種多様な分野にわたります取引全般についてその範囲を具体的に規定するというのは、私は現実的には不可能ではないかというふうに考えます。どのような情報をどの程度提供しなければならないのか、あいまいな規定のまま情報提供を法的に義務化するということになりますと、恐らく取引現場におきまして相当な混乱が生じる懸念がございます。したがって、こういう考え方には賛同できないというふうに考えております。 第四に、政府案の第四条第二項にございます故意の要件でございますけれども、この故意要件を外すべきではないかといった議論についてでございます。 一般日常の取引では、事業者は消費者に対しまして、いわゆる重要事項について必ずしもすべてを告げているわけではございません。必ずしもすべてを告げなくても、特にトラブルもなく、取引は成立しているのが実態でございます。 私はこの、事業者が重要事項につきまして単に消費者に告げなかった、それだけの理由で後になって契約の取り消しを認めることにつきましては、委員会の場で再三にわたりまして一貫して懸念を表明いたし、慎重な対応をお願いしたわけでございますが、政府案では、第四条第二項の規定として、事業者が重要事項を告げなかった一定の場合について取り消しが認められております。こうした一定の場合でございましても、ただ単に告げなかっただけで契約の取り消しを認めるという大変厳しい法律効果を伴っておりますので、これは事業者に過大な負担を強いるものであります。したがいまして、ぜひ故意要件が入ることが必要不可欠であるというふうに申し上げたいと思います。 第五点目に、政府案の第七条第一項にございますいわゆる取り消し権の行使期間についてでございますけれども、事業者の立場から申し上げますと、取引の早期安定化という要請は大変に強いものがございます。このたび、特別に契約取り消し権を新たに法定するということにいたしましても、その権利を行使できる期間につきましては極力短くすべきであると考えております。これは、私ども中小企業の立場だけではなくて、経済界全体の共通した意見でもございます。 政府案では、審議会での結論と同様に、追認できるときから六カ月、契約のときから五年というふうになっております。一般的な小売業などの取引実態から見ますと、私は正直、今、これでもむしろ長過ぎるのではないかという感じは否めないところでございます。例えば、消費者が物を買って三年後に誤認に気がついた、それからその後の六カ月間は取り消せるというのは、いかにも現実からしますと長いというふうに感じておるところでございます。ただ、現行の民法の規定に比べますと相当大幅な短縮をしていただいているということを考えまして、他の規定とのバランスでぎりぎりやむを得ないのではないかというふうに考えております。 最後に、第六点目でございますけれども、政府案の第八条から第十条に規定されております、無効とすべきいわゆる不当条項についてでございます。 私は、消費者と事業者、両当事者が合意して有効に成立した契約の条項に無効という大変強い効果を認めるわけでございますので、必要最低限かつ明確化できるものに限定すべきであるとかねて強く主張してまいりました。その観点から、いわゆる一般条項につきましては、かねてから懸念をずっと表明してきたところでございます。 政府案では、一般条項を第十条で認めておりますけれども、検討委員会報告よりもより明確化の努力をいただいたものと評価できるところでございますし、また、民法や商法の規定よりも消費者に不利な条項に対象を限定していること、また、民法の基本理念として定着しておりますいわゆる信義誠実の原則を判断基準に採用している。この二点を考慮いたしますと、ぎりぎり容認可能なものと理解をいたしております。 以上六点につきまして、いずれも政府案は、通常の事業を行っている中小企業者から見て、取引が混乱をしないであろうぎりぎりのところで取りまとめられているものと評価をいたしておるところでございまして、これらの点につきましてはぜひともこの政府原案を維持していただくよう、お願いいたしたいと思います。 最後に、政府案では、この法律が成立した場合の施行でございますけれども、平成十三年の四月一日からとされております。ちょうど一年ございますけれども、法案が成立しましたら、施行日までの準備期間におきまして、ぜひ次の二点の対応をお願い申し上げたいと思います。 第一点は、立法趣旨あるいは各条項の解釈等、本案の内容につきまして一般事業者の理解促進を図るために、逐条解説書でありますとか、あるいはわかりやすいパンフレットなどにまとめていただきまして、十分な周知徹底をお願いいたしたいということでございます。 私は、消費者契約法の立法化に当たりましては、内容をできる限り明確にすべきであると重ねて主張してまいりました。政府では相当程度御努力いただいたと存じますが、本法は大変に幅広い契約を対象にしたものでございますために、なお依然として今の政府原案でも抽象的な表現ぶりが残っているという点は否めないと思っております。したがいまして、国会で十分な御審議をいただいた上で、その成果を十分に解説書等に盛り込んでいただきまして、法律内容につきまして予見可能性を高めていただきたいと思います。 二番目に、消費生活センターの消費生活相談員の方々、あるいは各種の裁判外の紛争処理機関などにも十分な法の内容の周知徹底をお願いいたしたいと思います。また、消費者に対しましても、消費者教育等の充実に十分御配慮いただきまして、法の趣旨が誤解されないで正しく理解されますよう適切な対応をお願い申し上げたいと思います。 以上、主として中小企業の立場から御意見を申し上げてまいりましたが、あらゆる消費者契約を対象にトラブルを公正かつ円滑に解決する、こういう立法趣旨に反対するものでは決してございません。中小企業でありましても、時代の流れを十分踏まえまして、適切な消費者契約を締結するために努力することは当然のことと考えております。 諸先生方には、中小企業の取引実態に十分御理解をいただきました上で新しい立法を実現していただきますよう特段の御配慮をお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 次に、野々山参考人にお願いいたします。
○野々山参考人 野々山でございます。私は、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会の副委員長を務めております。 日弁連ではこれまで、古くは豊田商事事件、最近ではココ山岡、日栄事件など、大量、組織的な消費者被害の救済措置、あるいは不公正な勧誘行為の是正、並びに約款を中心とする消費者契約条項の適正化につきまして、さまざまな取り組みをしてまいりました。 それらの取り組みの中で、私どもは、消費者契約の適正化のためには個別の業法の改正等では十分ではない、包括的な民事立法の制定というものが必要であるということを痛感しております。このことは、一九八九年の第三十二回人権擁護大会の決議において明確にそれを示しまして、以後たびたび申し上げてきたところであります。 現在審議中のこの消費者契約法の制定は、日弁連のこのような問題意識にも合致しておりまして、私どもは、その早期制定に極めて強い期待を持ってきたわけであります。そして、この法律の検討が始まった以降、国民生活審議会消費者政策部会がたびたび報告書を公表してきておりますが、その都度日弁連では総会決議あるいは意見書を提出しまして、それに対する意見を表明してきたところであります。 本日、お手元に、政府案の法案に対する意見書、これは昨日理事会、正副会長会の方で承認されましたものですが、それを配付しておりますけれども、このような意見書を出してきております。それから、この消費者契約法は極めて重要な法律であるという認識のもとで、私ども、これまで生じてきた被害実態やあるいは現行法の状況、判例がどのようになっているか、さらに国際的な立法状況などを検討しまして、これらを踏まえまして、消費者契約法の日弁連試案というものを具体的な条文の形で公表しております。 私ども日弁連は、実効性ある消費者契約法の早期制定を強く願っております。その意味で、今回、この国会で消費者契約法が審議されることについては非常に期待をしているわけでありますが、ただ、その内容におきましては、私どもが公表してまいりました日弁連試案等と比較しますと、若干問題があるというふうに考えております。日弁連試案につきましては、その内容は民主党案に近いものがあるわけですが、内閣案におきましては一部幾つかの問題点があるというふうに考えておりまして、この国会でも十分御審議の上、その点について改善できるところは改善していただきたいというふうに考えております。 まず、なぜ消費者契約法が必要かという私どもの視点について述べさせていただきます。 第一には、被害やトラブルが存在しているということであります。 霊感商法など殊さら不安をあおる勧誘行為や、ココ山岡事件などに典型的にあらわれております長時間拘束、あるいは実現できないような買い戻し特約などを述べて勧誘する行為、あるいは先物取引、証券被害などの金融被害、KKC事件などの利殖商法、最近ではモニター商法というものが大量に行われているわけでありますが、このような消費者事件というものが非常に多く行われている。私どもの日々の相談活動の中でもこのような被害が日夜報告されております。そのため、全国的な弁護団を構成してそれに対処するというようなことが行われております。私ども、各単位会の方の弁護士会で消費者被害相談センターというものを設けておりますけれども、消費者事件は減ることはありません。各地の自治体の消費者センターにおきましても、多くの苦情、相談が寄せられているところであります。 私ども日弁連では、この消費者契約法の審議に伴いまして、昨年の十二月に、消費者契約何でも一一〇番というものを実施しました。わずか一日の相談で五百件以上の相談が寄せられております。お手元にその結果の報告を配付させていただいております。 このお手元の報告書の一番最後にグラフ十一というものがありますが、具体的なトラブルの原因がそこに記載されております。虚偽の説明、契約解消のトラブル、情報の不提供のトラブル、あるいは債務不履行、その他さまざまな苦情、相談、トラブルが寄せられてきているわけであります。わずか一日の相談で五百件の件数が寄せられたということは、この消費者契約に関するトラブルあるいは被害というものが極めて深刻なものであるということが言えると考えております。そのために、トラブルの予防、被害救済を実現できる法律というものがどうしても必要であると考えるわけであります。 そして、これらの消費者被害事件に対するこれまでの行政規制中心の消費者保護法制というものは限界があると考えております。すき間があるということ、あるいは後追いにならざるを得ないということで、十分機動的な解決ができないということがあります。 それから、民事的な救済については、対等当事者を前提としている民法による司法的救済が行われるわけでありますが、民法では対等性のドグマというものがありまして、裁判官等において、消費者契約における消費者の置かれている劣位な地位というものに対する理解が十分ではありません。また、不法行為、信義則など、いわゆる一般条項を使わざるを得ないという実情があります。そのため、判決をとろうとしてもその司法的救済には時間がかかり、当初、豊田商事事件でありましても敗訴判決が出てしまうというような事態があります。消費者被害の深刻さ、あるいは消費者の置かれている立場を裁判所に理解してもらうには、非常に時間がかかるという実態があります。 したがいまして、行政規制法だけではなくて、民法を補充する民事的な救済規定というものがぜひとも必要であると考えるところであります。 三つ目は、最近の商品、サービスは極めて複雑化、専門化しております。コンピューター製品一つとっても極めて複雑な内容となっております。また、取引方法も複雑化、専門化しております。金融商品あるいは電子商取引というものは、その取引方法について消費者に十分理解できないものが極めてふえてきております。また、契約内容につきましても複雑化、専門化しております。クレジット契約の裏面に契約内容が記載されておりますけれども、その内容について消費者が十分理解できるような状況にはありません。昨今、規制緩和が進んできておりますが、この規制緩和の進展は、このような状況にさらに拍車をかけてきているわけであります。 このような複雑化、専門化する商品、サービス、取引方法、契約内容の進展は、消費者と事業者の間の情報格差をますます広げることになります。このような情報格差を是正し、あるいは契約条項を適正化するような方策がぜひとも必要と考えられるところであります。 さらに、国際的な流れがあります。 消費者契約法と同様の法制は、世界各国、さまざまなところにあります。主要なところでは、ECが一九九三年に指令を出しまして、以後、ヨーロッパの各国でこのような法律ができております。お隣の韓国では、約款規制法が一九八六年に制定されております。日本も、このような流れの中で、消費者保護法制というものを民事立法として定めていく必要性は高いと考えられるところであります。 五つ目としまして、これまで消費者取引の公正さというものの確保につきまして、主として行政の力に頼るところが多かったと考えられるところであります。しかしながら、今後は、このような消費者取引の公正さを事業者自身あるいは消費者自身がみずからの頭で考え、みずからの実行力で実現していく必要があると考えるところであります。取引当事者によります公正な消費者取引の実現のためのルールがどうしても必要であると考えられます。 以上五点の必要性から、この法律はぜひとも早期に制定されなければならないというふうに考えているわけであります。 ただ、この五点の必要性から考えますと、求められる消費者契約法の内容というものもおのずと出てくるというふうに考えております。 まず第一には、適用対象を幅広いものにしなくてはいけないということであります。すき間、後追いの業法ではない、あらゆる消費者取引に対して対応できる、そのような法律が求められるというふうに考えております。この点につきましては、内閣案あるいは民主党案いずれにつきましても十分配慮されたものだというふうに私どもは考えております。 二つ目は、やはり消費者契約法を定める根幹というべき事業者の情報提供義務というものをきちんと明示していく必要性があるというふうに考えております。 この点、内閣案につきましては、事業者の情報提供義務が法的義務となっていない点が一つ問題点であるというふうに考えております。さらには、消費者の理解努力というものが定めてありますが、それは不要であるというふうに考えております。 消費者に契約上の自己責任を負わせるには、その前提として、消費者が意思決定するための十分な情報を得ることが必要であります。ところが、消費者と事業者間には情報の質及び量について格段の差があるわけでありますから、消費者が十分な情報を得られず、そのために意思表示に誤認等のゆがみが生じる場合があるわけであります。本法は、そのような場合に意思表示を取り消すなどして消費者利益の保護を図ることを目的としているわけですけれども、この目的を真に達成するためには、格段に豊富な情報を持ち、容易にこれを提供できる立場にある事業者に対して、契約前に必要な情報を消費者に提供すべき法的義務を課することが必要だというふうに考えるわけであります。 現実に、事業者が必要な情報を消費者に十分に提供しないために、消費者が適切な意思決定ができずに、多くの消費者被害やトラブルが発生しているわけであります。このような不十分な情報提供が多く行われていながら、一方で消費者に事業者から提供された情報を活用する等の努めを法文化することは、消費者と事業者間の均衡を失すると考えるわけであります。消費者の理解努力規定は、消費者が情報力において劣位にあるから制定されるとの本法の制定目的にも反し、これを没却するものであるというふうに考えております。 続きまして、三つ目としまして、トラブル被害の実態に合い、その予防と解決に資する内容でなければならないということであります。 内閣案あるいは民主党案いずれも誤認、困惑行為に取り消し権を付与したことについてはこれを大いに評価するものでありますけれども、特に内閣案では要件が狭く、発生しているトラブルや被害の予防、解決には十分ではないというふうに考えております。誤認につきましては、重要事項を契約対象と契約条件に限定しております。さらに、不利益事実の不告知につきましては、これに故意を要求しております。 現実の消費者被害の中では、誤認に対しては、購入動機あるいは販売目的について不実告知を行う、それによって誤認するということが多くあります。さらに、事業者側の故意を立証する責任は消費者にありますが、その故意を立証するのは極めて困難な状況があります。このような状況の中で、誤認行為について消費者側に過度な立証責任等を強いることは、この法律が有効に機能しない可能性があるというふうに考えております。 さらに、困惑行為とされているものについては、不退去、監禁の二つの行為のみであります。これは極端に限定されると言わざるを得ません。 現実の被害を見ますと、不退去、監禁を伴わない電話などによる威迫行為、特にこれは資格商法などで最近頻発しておりますが、そのような行為、あるいはSF商法や恋人商法など目的を隠して接近する行為、このような消費者被害も極めて多数あります。あるいは老人等判断能力の劣っていることに乗じる行為、あるいは霊感商法など不安を殊さらあおる威迫行為など、さまざまな困惑行為があるわけであります。これらを困惑行為に含まなくては、被害救済は不十分であると考えざるを得ないところであります。 現在、これらの困惑行為につきまして、消費者センター等ではその救済を図っているわけでありますけれども、消費者契約法で困惑行為に限定を加えると、不退去、監禁以外は困惑行為でないと反対解釈する危険も懸念されるところであります。 次に、取り消し権の行使期間が短い点も問題であるというふうに考えております。 日弁連の消費者契約何でも一一〇番のグラフの六を見ていただきますと、契約から相談まで、六カ月以内に相談に来る件数というのは半分以下であります。これを見ますと、六カ月以内で期限を切っていることについては短過ぎるのではないかという懸念があります。 四つ目の求められる内容としましては、日々生成する新しい取引方法や契約内容に対応できるものが必要であるということであります。契約条項の適正化のための一般条項を政府案あるいは民主党案は設けておりますが、そのことは、この視点からいうと大きく評価できるというふうに考えております。 さらに、この法律ができた以降のことについて申し上げたいと思いますが、この法律は、制定すればそれで足りるというものではありません。これを実効化していかなくてはいけません。事業者あるいは消費者が、この法律に従ったルール、このルールに従った行動をとることが求められてくるわけであります。 そのための方策として、まず第一には、消費者センターの充実というものが必要となっております。昨今、自治体の経済的な事情のもとで、消費者センターの機能が低下している面がありますけれども、これをきちんと充実していく必要性があるというふうに考えております。 二つ目には、消費者団体に不当約款の差しとめ請求権を認める団体訴権というものをぜひとも創設する必要がある。約款の問題点について、個々の消費者にこれを是正することを期待するのは極めて困難な面があります。これを消費者団体に認めるということが必要となっております。ドイツ、オランダ、フランス、イギリス、近くでは台湾にこのような法律ができておりますので、日本でも十分可能だというふうに考えております。 私どもは、以上述べました問題点がぜひともこの国会の中で十分に審議され、できれば改善されることを期待しておりますし、さらに今後の本法の施行状況の中で改善の検討をぜひしていただきたいというふうに思います。 消費者契約法が制定され、これが消費者被害、トラブルの予防、解決に十分資するようになることを強く期待して、私の意見を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 次に、及川参考人にお願いいたします。
○及川参考人 国民生活センター顧問の及川でございます。 私も、国民生活審議会委員として、この六年間、消費者契約法の審議に参画をしてまいりました。民主党から提案されている案、非常によい一つの考え方であると思いますが、そのような考え方も含めて、六年間非常に激しい議論をし、その結果、最終の報告を取りまとめさせていただきました。いろいろな対立する意見のある中で、多くの人の合意を得た案が生活審議会の報告であったろうかなと思っております。そういう意味で、生活審議会の報告を忠実に反映していると考えられる政府の消費者契約法案を、消費者保護のために、消費者の利益擁護のために、できるだけ早く、一日も早く成立させていただきたいと心から期待をしているものであります。 重複しないようにごく簡単に申し上げたいと思いますが、なぜ今消費者契約法がそれほど必要なのかというと、私は三点考えております。 何といっても、契約関係のトラブルが非常に多いということです。国民生活センターは全国の集計をしておりますが、この五年間に契約関係のトラブルは倍増いたしました。五年前といいますか、統計上は平成五年度に十六万件であった件数が、平成十年度は三十二万件を超えるようになりました。非常に多くなっています。何としてもこれを早く、法制を含めて対応策をとっていくことが緊急であります。 二番目に、そういうトラブルに今までどういうふうに対応してきたかというと、個別に対応してきました。ネズミ講が問題になるとネズミ講の禁止法をつくりました。豊田商事が問題になると預託法をつくりました。預託法をつくったら、金の取り締まりをしたのですが、牛が預託されるということになって、牛をまた追加する。どんどん規制法をやってきました。だけれども、個別規制では抜け穴がいっぱいあります。規制緩和の時代にもなりました。早く抜け穴のないような、全体を包括するルールを決めることが必要だと私は痛感をしております。 そして、そのような包括法で消費者を守るということは世界の潮流です、グローバルスタンダードになりました。ECは全部法律をつくりました。アメリカでも判例が確立されています。お隣の韓国でも、約款法は既に随分早くできております。日本は非常に立ちおくれました。そういう意味で、包括的な契約法を日本でつくることが消費者保護のために非常に大事だと思います。 政府案では、その第二条で、事業者と消費者との取引に全部これを適用するというふうに規定し、包括法であることを非常にはっきり定めております。審議の過程では個別の業者から適用除外の話もいっぱいありましたけれども、それを克服して包括法という原案ができたこと、私はその点については高く評価したいと思います。 第二に、消費者問題の発生の根本的な原因は、御存じのとおり、消費者と事業者との間の情報力の格差、交渉力の格差から生じます。 政府案の第一条の「目的」では、情報力格差、交渉力格差という現状にかんがみということを明記していただきました。その明記のもとでこういうことを考えるんだという基本的な目的、第一条に、日本の法律では初めて情報力格差、交渉力格差ということが明記されたということも、高く評価したいと私は思っております。 それでは、そういう情報力格差ということをどういうことで是正しながら消費者トラブルを解消するかということについては、まさしく、専門家である事業者が知っている情報を消費者に知らせてくれ、消費者の権利のトップに出てくる知らされる権利をどう保障するかということが、この消費者契約法でも本質的には大事なことであったろうと思います。 この法律案では、知らされる権利ということは明記はいたしておりませんけれども、一定の重要事項を知らされなかったならば消費者はその契約を取り消せるということは、裏返せば、消費者に一定の範囲で知らされる権利を保障したということになると思います。一定の範囲をどうするかということは、当然議論があります。ただ、権利がなかった消費者が権利を持つようになるということが法律の役割でありますから、そういう意味では、この法律が、日本の消費者行政の歴史の中では、ルビコン川を渡るような大きな意味を持つ法律になると私は考えております。 取り消し権を与える重要事項の範囲については、非常に強い効果でありますから、ある程度限定せざるを得ないと思います。この法律では、重要情報の提供全体については、第三条で、事業者の努力義務、努力規定としました。全体は努力規定、法律上の効果がすぐ及ばない努力規定としました。第二番目に、不利益情報を故意に隠したならば、故意という条件をつけましたけれども取り消せるというふうにしました。第三段階として、故意や過失を問わずに取り消せるということは、不実の告知、うそを言った、断定的判断をした、そういうことをやったら故意や過失を問わずに取り消せるという、情報提供について三段階の規定をいたしております。現段階ではそれは妥当な決め方であろうと私は思っております。 そして、困惑行為についても取り消せることにしました。不退去、監禁、その範囲は狭いじゃないかという議論がありましたけれども、いろいろ議論をした結果、合意を得たところがその点であります。合意を得たところを早急にルールとして法定をしていただきたいというふうに思います。 二番目、第三章になりますけれども、交渉力格差の是正の方策であります。交渉力が劣っておる結果、契約条項に非常に消費者に不平等な条項が入っている。その不平等な契約条項、一方的に消費者に不利な契約条項は無効とするというのが第三章の規定であります。 その無効とする不利益条項、不当条項というものを、個別に、具体的に制限して列挙しようという意見がいろいろありました。明確性、予見可能性ということから具体的な事例を列挙しようじゃないか。七項目、八項目列挙しようじゃないかという意見もありましたけれども、しかし、それでは抜け穴が多くて非常に問題のある法律であろうかと私は考えておりました。いろいろ議論があった結果、政府案でも、制限して列挙するだけではなくて、いわゆる一般条項として、不当条項、消費者に一方的に不利益な条項は無効にするというような条項が最終的に入ることになりました。 この一般条項が入ったことによって、政府案の消費者契約法案は、世界の契約法に見劣りをしない法案になったと私は評価しております。このような消費者契約法というのは、製造物責任法と並んで、実は、日本の消費者保護、消費者行政の中ではエポックメーキングな役割を果たすと私は考えております。 国際的には、消費者の権利というのは、一九六二年のケネディの消費者保護教書以来、安全である権利、知らされる権利、選ぶ権利、意見が反映される権利、これが消費者の四つの権利と既に確定しておりました。そして、弱い消費者を保護するのではなくて、この消費者の権利を守るのが連邦政府の責任だとケネディの消費者保護教書は言っているわけであります。そしてさらに、最近では、救済される権利とか対等である権利とかいうことが国際的には権利として確立されてきております。 しかし、我が国の消費者行政では、消費者に必ずしもそのような権利をしっかりと確認するということではなくて、弱い消費者を保護するというやり方で、個別に問題が起こったら規制法を使ってかわいそうだから消費者を保護するというやり方で行政を進めてまいりました。 そういうことではなくて、消費者に権利を与えて、権利のある消費者として、そしてその権利を擁護するということに、世界の先進国並みの消費者行政に日本も転換すべきときに来ていると思いますけれども、そういう意味で、消費者の権利の確立と、権利の上に消費者が自立する、自己責任を持つという意味で、製造物責任法と消費者契約法は大きな二つの柱になると私は考えております。 すなわち、製造物責任法が制定されて初めて、安全の権利が侵害されたら消費者はそれを完全に救済されるという権利が確立いたしましたし、消費者契約法が成立いたしますと、重要事項を、一定の範囲ではありますが、知らされなかったならば、それについて救済される、うそを言われたら救済されるというような権利が、そういう意味で確立することになるわけであります。製造物責任法と消費者契約法が、これからの日本の消費者保護の車の両輪としてしっかり働いていってもらいたいと私は思っておる次第であります。 契約法ができたらそれで万々歳ということではございません。皆さんからも御意見があったように、残された課題というものがあります。 契約法についてもPL法についても、一般的、包括的な民事ルールとして決められるものであります。権利義務を消費者と事業者の間で配分を変更する重大な民事ルールでありますけれども、それは裁判規範であります。裁判規範であるからには、裁判が消費者にとってやりやすい、使いやすいものでなければならないと思います。現実には、裁判所は消費者にとっては非常に近寄りがたいものになっています。今、司法改革がやっと緒につきました。ぜひこの司法改革をしっかりと進めて、裁判所を消費者にとって使いやすいものにしていただきたい、消費者契約法やPL法が裁判の場でしっかりと使えるようなものにしていただきたいと思います。 これらの法律は、裁判規範であるとともに、裁判外の紛争処理の規範にもなります。裁判外の紛争処理、だからわかりやすいものでなければなりませんが、消費者契約に関して裁判外の紛争処理をしている最大の機関は、全国四百カ所の消費生活センターであります。消費生活センターのあり方については多くの方から議論がありましたように、今、都道府県段階で相談業務を中心に縮小の動きが出てきたりして、全体としては懸念される方向にあります。むしろ、今このような法律が出たときに、他の規制行政分野は整理するとしても、このような公正取引の分野とか消費者のためのチェック機関とかいうことは、まさしく規制緩和時代には強化すべき分野であろうかと思います。経費もそうかかるものではありません。 ぜひ、消費生活センター、国民生活センター等を含めて、それらの事後チェック機関というもの、消費者情報提供機関、裁判外紛争処理機関というものを充実するようにしていただきたいと思いますし、消費者の自立ということのための消費者教育とか事業者への周知徹底等も図っていただかなければならないと思いますし、法律施行後どのように施行されるかということを、しっかりと施行状況のフォローアップも国会はもとより行政府においても行っておく必要があろうかと思います。 そのようなことで、この法律の施行後、実効性を確保していかなければならないと思いますが、いずれにしましても、個別の規制法によって弱い消費者を助けるということではなくて、新しいルール、透明なルールを定めて、消費者と事業者との間に信頼関係のあるマーケットができ上がり、それによって消費者の利益が確保され、国民生活が向上し経済が活性化していくということを私は望みたいと思います。そういう意味では、この法律というのは、日本の消費者行政についても新しい展開を求めていくものになろうかと思います。 最後の一行に一つだけ書いてありますが、従来、権利を持たない消費者を個別に家父長的に保護するということをやってまいりましたけれども、保護から自立へ、権利を持った消費者として自立し自己判断していく消費者、それで消費者の利益が守れるような方向に転換していかなければならないと思います。 消費者の保護から消費者の自立へといいますと、国際的には、世界の消費者行政の人たちからは、外国ではアメリカでもヨーロッパでも消費者の保護こそやっているのに日本は何を言っているんだと実は批判を受けたこともありました。 そのときに私が説明いたしましたのは、日本では、PL法もなかった、契約法もなかった、消費者には何も権利がなかったから、権利の擁護ということができないから、弱い消費者を保護するという家父長的保護をやってきた。だから、保護から自立へと変えるときに初めて日本は消費者の権利を持たせるような法制をつくり、そして権利を擁護する、すなわち自立した消費者という行政に転換していくためにスローガン的に保護から自立へと言っているんだと言いましたら、諸外国の消費者行政の担当者、消費者団体の方たちも非常によく納得してくださいました。まさしくそのような画期的な法律をPL法や消費者契約法は中に含んでいると私は考えております。 そういう意味で、自立する消費者づくりということがこれで進んでいくと思いますし、さらには、そのような自立した消費者が社会における最大の形成者として社会に積極的に参画していく、そのような行政に消費者行政が展開していくことを心から期待しているものであります。 そういう意味においては、三十年前につくられました消費者保護基本法についても、消費者の権利やその他はなくて、完全な訓示規定になっているわけであります。基本法の見直しがいろいろなところで、各面で国会において行われているわけでございますけれども、消費者基本法の再点検ということも、当然のことながら、PL法と消費者契約法の成立後は議題、テーマになってくるものと考えているわけであります。 国権の最高機関としての立法府の皆様方がしかるべく御審議をいただければ大変幸せに存じ、それを心から期待するものでございます。ありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 —————————————
○中山委員長 これより参考人に対する質疑を行います。 なお、念のため参考人各位に申し上げます。 御発言の際は、その都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、御了承願います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小島敏男君。
○小島委員 おはようございます。自由民主党の小島敏男です。自由民主党を代表して、幾つかの点につきまして確認及び質問をさせていただきたいと思っています。参考人の先生方には、本当にお忙しい中、早朝から足を運んでいただきまして、心から感謝を申し上げます。 この法案は、今御説明がありましたように、国民生活の安定向上や国民経済の健全な発展に大きな影響を与えるものであり、各界の関心が非常に高いということと同時に、一日も早く成立することが望ましいと私は思っています。 本問題について、それぞれの立場を代表する皆様から御意見をお聞きしたわけでありますけれども、今お聞きしておりまして、いろいろな団体から出ているために意見の衝突が随所にあったのではないかなということを推察するわけです。その中でも、なかなか難しい問題だけれども国民のためを思えばこの辺が落としどころという形で、皆さんがすべて自分の主張を貫き通していれば六年じゃなくて十年も二十年もかかっちゃうという形で、国民サイドに立った決断だということでありまして、私どもも大変に高く評価をしているわけであります。 そこで、時間が非常に短いので、はしょって、皆さんに質問できるかどうか非常に疑問なんですけれども、私もいろいろ書いてきましたけれども、早速質問に入らせてもらいます。 いろいろ御意見を伺った中で、最後の及川参考人のお話が非常にまだ耳に残っていますので、そこからお話をお聞きしたいと思うんですけれども、及川参考人がお話ししたことの中で、やはり製造物責任法と消費者契約法、これが車の両輪であるという形でありますし、世界に非常に誇れる法案であるということを挙げまして、PL法というものが非常に重要な役割を果たしてきたということであります。 振り返ってみて、PL法の成立のときを見ますと、いろいろな団体からやはり意見があって、この問題についてはどうもうちの方ではという形があったわけですね。しかしながら、それが全会一致で認められたということがあるわけです。今回の関係についても、各団体からは、どうもいまいち満足できるものではないけれどもまあやむを得ずという形があるのでありまして、私は、PL法に倣って、この法案がやはり国民生活のためなんだということであって、見直し規定だとかいろいろなことをやるということは今回やるべきでない。六年間の皆さんの意見を出して、時代がもう変わっていくわけですから。 先ほどのお話のように、電子取引なんかも出てきたらこの法案ではとても対応できないのではないかという心配の声もあります。そういう形の御意見もありますので、及川参考人の方で、やはり一日も早くということで、PL法に倣って、いずれにしても早期実現を図るという意見をお聞きしたいと思います。
○及川参考人 消費者契約法案は、PL法案と並んで、消費者の保護のためには非常に重大な、構造転換的な法律だと思います。 PL法による訴訟案件は、法律制定後五年間で二十件だけであります。乱訴になるという話がありましたけれども、そういうことじゃございませんでした。しかし、非常に重要な法案としてPL法はできました。 消費者契約法案は、それに対して、トラブルの件数が全体の消費者苦情のうちの八割を占めるくらいの非常に件数の多いもので、しかも少額、大量であります。そういう意味では、非常に簡明なルールでしっかりとしたものにして、早期に制定していただきたいというふうに考えておりますし、頻繁に改正する法律ではなくて、基本的な点を踏まえてしっかりとしたものをつくっていただきたいなと思っているわけであります。 あらゆる法律が、情勢の変化があったならばそのときはいろいろ見直すということは当然のことでありますけれども、この法律は法律としてしっかりとしたものをつくっていただきたいと考えております。
○小島委員 どうもありがとうございました。 消費者の自己責任それから自立というものを目指すということなんですけれども、何といってもこの法案は、一番の大きな意義というのは包括的にルールをつくる、民事ルールをつくるということだと思います。落合参考人は、国民生活審議会の消費者政策部会長として、大変にこの取りまとめに御苦労されたと思います。 その中で特に、この法律は、民法の定める場合とは別に新たな意思表示を取り消しできると定めていること、それから、契約が有効に成立したにもかかわらず消費者と事業者との契約であるというだけで一定の特約条項を無効とするという、民法、商法の百年の歴史の中でも大変画期的な法律になると思っております。そういう中で、やはり参考人の私法学会で非常にこの問題については意見があったと思うんですよ、この規定を設けるに当たって。そういうことで、学会の総意という形で考えていいのか、この辺についてお伺いしたいと思います。
○落合参考人 国民生活審議会の消費者政策部会には学界の代表の委員も何人か入っております。法律学者はそれぞれ自己の見解というのを持っておりますので、そういう意味では、法律学者がみんな同じような評価をこの法案に対して与えるというわけではない。しかし、一般的に言えますことは、民法、商法という民事ルールが基本、そういうものしかなかったわけですけれども、消費者のみを対象として、しかも包括的に規律する、そういうルールができるというのは我が国にとって初めてのことであります。 確かに、PL法というものと並ぶ両輪という位置づけが私も適切であると思いますけれども、PL法の場合は、いわば消費者被害に限定しておりませんで、事業者について、物の欠陥から被害を受けたような場合もカバーするという形になっており、そういう意味では、消費者そのものを対象として広い範囲で規律を設けるということはこの消費者契約法が初めての例になるであろう。 世界のスタンダードを見たときには、消費者自体に特化した形で特別なルールを設けていこう、その理由は、情報力、交渉力というものに非常に格差があるのでこのままほっておけば妥当な取引ができない、したがってそこに何らかの手当てが必要だ、そういう考え方でありますけれども、そういう考え方に基づいて、先進諸国さらには韓国等も含めまして、そういうルールがどんどんできている。 そういう状況の中で、我が国におきましては消費者に特化した形でのルールがなかったというのは、これは非常におくれた状態であり、それは、先ほどの及川参考人が言われましたとおり、消費者の権利を守るというのではなくて、弱者である消費者を保護するんだというスタンスが従来維持されてきたわけですけれども、そのように見てまいりますと、消費者契約法が早期に成立するということは法律学者にとりましても画期的な事柄でありますし、ようやく世界のスタンダードというものに追いつけるということにもなるのではないか。 この評価自体につきましては、私は、法律学者も一致してそのような評価をすると思います。ただ、内容につきましては、スピードとのトレードオフの中で、一体どこまでの内容のルールにするかということについてはそれぞれの立場から意見があるかと思いますけれども、全体的な評価としては、これは非常に画期的なものであるというふうに法律学者も評価するというふうに考えております。
○小島委員 ありがとうございました。 次に、日和佐参考人にお伺いいたしますけれども、この質疑をするに当たりましていろいろと参考人の書いたものを読ませていただいたんですけれども、見ながら、団体から出てくる人というのは大変なんだなということを思いました。いずれにしても、個人の意見でなくて、全国各地から意見を取り寄せて、しかも会議を重ねて、その中で自分の考え方を盛り込みながら結論を出していくということが随所に見られるわけでありまして、ただ単に自分の意見を述べる場だけでないんだということと、日ごろの御苦労に大変敬意を払うわけであります。 そこで、今お配りしていただいた中で、やはり、本法案が今国会中に成立されるようさらなる努力をお願いしますということなんですけれども、先ほどお話しいたしましたように、PL法の関係についても消費者団体からは相当な附帯条項だとか見直しをという形なんですが、そういうことを抜きにしてPL法の場合にはそのまま法案の成立を見たわけなんです。今回の消費者契約法というのは、PL法の関係と比べて、こういう形の中でいろいろと附帯条項という形が書いてあるんですけれども、これは、成立させることがやはり気持ちの中では大部分なんだ、ただ後で時間があったらという形ぐらいに理解してよろしいかどうか、お願いします。
○日和佐参考人 お気遣いいただきましてどうもありがとうございました。私どもの全体の意思といたしましては、とにかく早期成立、この政府提案について賛成しているという立場でございますので、そこは明確に申し上げておきたいと思います。 この二以降に書いてございますことは、附帯決議の中で、以後こういうことも必要なのではないかという、附帯決議として入れていただければということでございますので、そのように御理解いただき、御努力いただければと思います。
○小島委員 次に、井田参考人にお伺いいたします。 全国商工会連合会専務理事という形で、やはりどちらかというと今までの法律というのは消費者保護に偏っていたわけですね。これは、私どもも消費者であり事業者でありと両方兼ねていますから、いずれにしても、消費者が商行為を行う場合でも、いわゆる事業者が行う場合でも、消費者というのはやはりアマですよね。事業者というのはやはりプロですよ、それで生計を立てているわけですから。ですから、そこのアマとプロという関係が非常に重視されて、やはりアマチュアの方を少し手伝ってあげなければというのが今日までの法律のあり方だと思うんですよ。 しかしながら今、契約というものが、今回四月一日から施行されております介護保険においても今度はみんな契約をしているということですから、初めて国民の中で、いろいろな契約を結びながらみずからの老後に対しての責任を負っていくという形になってきたわけでありまして、国民の側も契約を学びながら実行していくということになります。 そこで、事業者の立場とすれば、余り過度な法案をつくられてはとても困るんだというのが先ほどの意見でわかるわけですよ。ですから、今度できる消費者契約法というのはぎりぎりの線だということも先ほど言っていましたけれども、そういうことについて参考人が非常に心を砕いておられるというのはよくわかりました。非常に重たいものだということも言っていますけれども、まあまあやむを得ない線だろうということで理解をしてよろしいですか。
○井田参考人 先ほどの意見陳述をさせていただきました中でも申し上げたとおりでございますけれども、こういうすべての取引を対象にした非常に幅広いルールでございますので、できる限り予見可能性が高い、事業者が自分がやった行為についてどういう効果が及ぶのかというのをはっきりと理解できないと、あいまいなままされますと、至るところ取引現場で混乱が生じるんではないかという大変な懸念がございまして、終始一貫して、明確化、はっきりしたルールをということを申し上げてきたわけでございます。 委員の御質問でございますけれども、本当に、私どもも欲を言えば切りがございません。もっと主張したい点もなくはないんですけれども、消費者保護ということで、まさにぎりぎりのところで私どもも報告書の取りまとめに賛同したわけでございますので、ぜひ、この報告書の線の範囲内で法律化をお願い申し上げたいと思います。
○小島委員 よくわかりました。 それで、私も商工会議所の常議員をやっていますから、いずれにしてもそういう点では理解をするわけなんですが、きのうあたりも一日じゅう各党の方がこの法案についての質疑をされていたんですよ。あらゆる面から質疑をされて、私も大変に勉強になったんですけれども、その中で、なるほどなと思った点と、そうじゃないんじゃないかなと思った点があるんですよ。 それは、やはり、全国の消費センターを使うことももちろんでありますけれども、商工会、商工会議所というのは先ほど言いましたように事業者であり消費者という方ですよ、中小企業、零細企業者の方ですよ。毎日みんな行くわけですね。そういう商工会とか商工会議所というところをやはり活用しないといけないわけです。ところが、御意見の中では、みずからの恥を身近な人に話をするというのはどうもうまくないんじゃないか、その人が行かないんじゃないか、だから県の方でしっかりしろ、都道府県でしっかりしろと言うんですけれども、都道府県の方で言うのは大変なわけですね。今そのとおりという声がありましたけれども、確かにそういう意見の方もいるし、私が話を聞いていてなるほどなと思った点はそういうところなんです。 だから、それを取り除くためにはどうしたらいいかということを考えるべきですよ。どうも身近で自分の恥をさらけ出すのはというのは、確かに持っていますよ、人間としては。ただ、それを取り除くということはできるわけですよ。だから、そういうものを、全国にたくさんある商工会、商工会議所、この辺は考えてやっていただきたいというふうに思います。 時間があれですから、最後に野々山参考人にお伺いいたします。 いずれにしても、先ほどのお話を聞いていまして、今回の法律というのはやはりすき間があるから、そのすき間を何とか埋めていかなきゃいけないということで、切々とお話をされている意味がわかりました。それは何かというと、いずれにしてもやはり八条から十条までの無効条項、このことだと思うんですよ。私もこの質疑をするに当たっていろいろと先生の書かれたのも読ませていただきましたけれども、やはり第十条を挿入するのに大変に御苦労されたということであります。 だから、八条、九条でいいのではないか、いや、やはり十条まで入れて、そこから漏れてくるものはここで救おうという形で御苦労されたということなんですけれども、その辺のことについてお伺いしたいと思います。
○野々山参考人 第十条は不当条項に関する一般条項の規定です。この規定を入れるかどうかについては国民生活審議会の方でもかなり議論になりましたし、その報告書の中に少数意見でこれを入れるべきではないというものも付記されたことでありますけれども、やはりこの法律は、国際レベルからいっても、このような約款規制の中では必ずあるものだという認識に立っております。 それからさらに、先ほども申し上げましたけれども、契約というものは日々新たに生成されてくる、新しいものがどんどんできてくる。こういうものに対応していくのに一つ一つ法律で定めていくということは、やはり非常に時間がかかるということです。それを判例等できちんと定めていくということは、ぜひとも必要だということだと思います。 きちんとした取引、公正な取引が公正な条項によって行われるということの担保のために、この条項はぜひとも必要だし、これが挿入されたことに対しては高い評価を私はしております。
○小島委員 時間が参りましたので、参考人の皆様方に心から敬意を表しまして、以上で私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○中山委員長 枝野幸男君。
○枝野委員 民主党の枝野でございます。参考人の皆様には、きょうはどうもありがとうございます。 おおむね、先生方の御意見と我が党の考え方、ほぼ近いところがございますが、井田先生だけちょっと立場が違うので、井田先生を中心にお尋ねをさせていただきたいと思っております。 私どもも、消費者契約法ができることで中小零細企業の経済活動に不利益が生じてはいけないというふうには思っております。ただ、若干、御指摘をいただいた点については何か誤解があるんではないだろうか、誤解に基づいて意見が違うということであるならば何とかそこは払拭をしたいというふうに思っております。少なくとも私は、民主党案程度のものをつくっても、いわゆる中小零細企業の皆さんの経済活動には全く影響がないというふうに確信を持っております。 具体的にお尋ねをいたしますが、我が党案の第三条では、俗に情報提供義務の規定、条文でいいますと、消費者の判断に影響を及ぼす重要な事項について、消費者が理解することができる程度に情報を提供しない場合には契約を取り消せるという条項がございます。こういう規定があっては経済活動にマイナスだという御意見のようではございますが、この条項があった場合には具体的にどういう問題が生じるというお考えなのか、教えていただきたいと思います。
○井田参考人 お尋ねは、民主党案の、情報提供を法律的に義務化するということでございますね。 これにつきましては、私どもは何よりも、今回の消費者契約法の法律効果が、契約の取り消し、一たん双方合意に基づいて成立した契約を取り消せるという大変厳しい効果を認めるわけでございますので、そのルールがつくられるに当たりましては、そのあいまいさなりを極力排除していただきたいということでございます。 では、義務化をしたら具体的に何が困るのかというお尋ねでございますけれども、仮に、法的に情報提供を義務化するということになりますと、では具体的にどういう情報を提供しなければならないのか、そういう情報の提供の範囲を事前にはっきりしない限り、後になって、あなたはこれをしゃべらなかったじゃないか、告げなかったじゃないか、情報提供義務違反だ、しゃべらなかったからこの契約を取り消してほしい、買った物を返したいと言ってくる方が至るところで出てくる懸念があるわけでございます。 では、しからば事前に提供すべき範囲を明確化できるかということになりますと、意見のところでも申し上げましたけれども、これはもうあらゆる取引ですから、多種多様、取引万般にわたるのを想定して、こういったケースにはこういう情報をここまでといった範囲を決めていくというのはおよそ不可能であるということから、私どもは、情報の提供につきまして法的に義務化、義務づけるということはとても容認できないということで終始反対をしたわけでございます。
○枝野委員 私、先ほど、俗に情報提供義務の規定という言い方をしました。あえて俗にと申し上げました。というのは、今でも情報提供義務はあるのですよ。というのは、契約を交わす以上は、契約の目的物が何なのかということがわからなければそもそも契約できないわけでありますから、何が契約の目的なのか、それは口頭で説明しているのか、現物を見るのか、いろいろありますけれども、何らかの情報を提供しなければそもそも契約にならないという意味で、情報提供義務はございます。 それから、不明確性ということであるならば、民法第一条で信義誠実の原則というのがございます。これが、余りにもひどい話、つまり、こういう情報も提供しないでおいて契約が成立したという話はないだろう、信義則に基づいてそんな契約は無効だということはあり得るわけですから、そういう限度においては今でも情報提供義務は課されているのです。しかも、信義則という、我々の条文なんかに比べてもさらにもっと抽象的な、あいまいな基準で、情報提供義務が法的義務として存在しているのです。 野々山先生、そういう解釈でよろしいですよね。
○野々山参考人 そういう解釈で正しいと思います。 こういう情報提供義務は、具体的な裁判の中で、特に金融取引、証券とか、そういうものの中できちんと明示されておりますから、その違反に対して不法行為等の制裁が加えられる、損害賠償が行われることもありますので、それはいずれも信義則に基づいて情報提供義務というものを判示しているところです。
○枝野委員 ですから、情報提供義務という言葉にちょっと振り回されていて、義務を課されると何かとんでもないことになるのではないかという誤解が事業者の皆さんの間にあるのではないかということを危惧いたします。 そして、具体的な話なのですが、例えば民主党案で仮にいった場合は、簡単な話なのです。全国の中小零細の小売サービスをなさっている皆さんにどういう通達を出せばいいか。従来どおり、商人の基本的な道徳に基づいて、伝えなければいけないなと思ったことは伝えればいいんですよということで十分なのです。 なぜならば、消費者保護という側面からは、逆方向で使われることがあったらまずいなという部分もあるのですが、例えば、私どもの条項では、重要事項というものの定義として「一般消費者の判断に影響を及ぼすと認められる事項」というのを基本に置いております。これは社会常識です。つまり、例えば自動販売機で、そのジュースがどういう成分でどうこうだなんということでは売れっこないというのは一般常識で、一般消費者の判断として当然なってきますし、スーパーのレジで一々商品の説明しろなんということはできないということも十分わかっています。 そして、人によっていろいろなケースがあるでしょう。例えば、ひげそりやドライヤーを買うのに、家で使うのか、海外旅行に持っていって使うのかというケースがある。でも、普通は海外旅行に持っていって使わない、日本国内で使うということを前提にしている。だから、普通の電器屋さんは、日本で使うことを前提にして、これはドライヤーですよと売ればいい、ひげそりですよと売ればいい。ただ、そうは言っても、その後に「当該消費者の判断に影響を及ぼすことを当該事業者が知り、又は知ることができる事項」を特別に含むということで、その電器屋さんで、ちょっと海外旅行で使うのだけれどもなと特に言われたときは、わかっている範囲で説明するか、いやそれは海外で使えるかどうかわかりませんと言うか。 こんなことは、今までだって普通の商売をなさっている方が全部やってきたことをそのまま素直に条文に書いただけでありますし、さらに、その情報提供も、特に先ほどの自動販売機とかスーパーのレジとかはそちらに当たるのでしょうが、「事業者が情報を提供しないことにつき正当な理由がある場合を除く。」というところまで入れております。 要するに、もしこの法律が通っても、いわゆる悪徳商法と言われているところを別として、つまり商工会にお入りになっているような中小零細の普通の商売をなさっている方のところには、商工会としては、今までどおりやればいいのですよということを伝達すれば済む話なんですけれども、そういう条文ではないでしょうか。
○井田参考人 先生御指摘の点につきましては、実は検討委員会の場でも随分論点になりました。まじめな大部分の事業者は従来どおり商行為をやっておれば今回の法律ができようができまいが関係ないじゃないか、影響がないのではないか、したがって、事業者が言っているのは極めて一部の悪質な消費者を念頭に置いての過剰防衛ではないかという御議論がございました。 確かにそういう側面は全く否定するものではございませんけれども、私どもの恐れますのは、冒頭も申し上げました四百五十万という数多くの事業者がいるわけでございまして、私も検討委員会に出るのにいろいろアンケート等もとったのです。取引の現場では、確かに消費者と事業者の情報力の格差、交渉力の格差、当然消費者が弱いのだということでありますけれども、小さな商店などの売り場の現場では、交渉力という点に限って申し上げますと、結構事業者の方が実際に消費者に泣き寝入りを強いられているというのも多く報告を受けております。 したがって、必ずしも世の中立派な消費者ばかりではないということもぜひ御理解いただきたいと思いますし、私どもは極端に悪質な消費者ばかりを念頭に置いているわけではございませんけれども、例えば、今の案のように非常に幅広く情報提供義務を法的に課されるということになりますと、いわゆる普通の消費者で、一たん物を買った、しかし家へ帰ってみて心変わりがしたといって、確かに一部情報が漏れていたな、必ずしも自分の言ったことについて十分な情報提供がなかったぞということを盾にとりまして、返品の申し出が出てくるということも十分予測されるわけでございます。そういうことをいろいろ考えますと、現場で大きな混乱が生じるおそれがあるということであります。 くどいようでございますけれども、あくまでも、これは契約の取り消しという非常に重大な法律効果を認めるという点から考えますと、その法律効果の認める適用範囲というのは極めて限定、明確化というものが要求されるのではないかというふうに考えております。
○枝野委員 いわゆるクレーマーの問題があるんだろうと思うんですが、クレーマー以外の方に対しては、逆にこれだけ細かくきちんと書いてあって、それはあなたは海外旅行に持っていこうと思ったのかもしれませんが、そんなことを聞かされていなければ、一般消費者だと国内で使うのが当たり前だと思って、海外では使えませんよと説明しませんよというような抗弁が、逆に具体的にきちんとここまで書いておいた方が、いざというときは信義則でばさっとやられる話よりもずっと説明しやすいと思うんですね。 そして、問題はクレーマーの話なんですが、私は、クレーマーというのは、法律がどうなっているかにかかわらず、要するに、いちゃもんつけてクレームつけて云々という消費者は、それは法律がどうあろうとやる人はやるし、やらない人はやらない。 むしろ、クレーマー対策をするのであるならば、例えばそのクレーマーに対して中小零細企業の皆さんが個別ではなかなか戦い切れないということに対して、それを行政的になり商工会なりでどういう対応をしていくのか。あるいは、ちょっと趣旨が違いますが今私たちはストーカー対策法というのをつくっているんですけれども、要するに、悪質なクレーマーに対してはどういう対策をつくるのか、そちらの側面の法整備をするべきなのであって、クレーマー的な話をこの法律の中の議論に含めても、ちょっと違うんじゃないか。 そういう意味で、五、六年ほど前にPL法をつくるときに、私はその当時与党でしたので、かなり私の主張を盛り込んでいただきました。そのときは産業界から、またこういうのでつくっちゃうとクレーマーがたくさんで大変だと最後まで反対をされましたが、現実にクレーマーが大変でという、その件数がふえたというような実証的な数字はあるんでしょうか、PL法で。もしどなたでもわかる方がいらっしゃればということなんですが、では及川参考人にお願いします。
○及川参考人 PL法施行後五年になりますけれども、PL法を根拠として裁判に訴えられている件数は、今私どもが把握しているのは全国で二十件でございます。PL法制定前に同様の製造物責任的な考え方で訴えられておったのは、戦後約二百件でございましたから、PL法制定後、特にPL法を根拠にして裁判がふえたということはございません。 ただ、商工会議所でやっておりますPLの損害賠償保険、これの請求は相当数多く出ておりまして、現場においてしっかりと処理した結果、裁判までは行かないということもあろうかと思いますが、PL法についてはそのような現状になっております。
○枝野委員 確かに裁判の件数でクレーマーの話がどうなっているかということはなかなか分析はしにくいんだろうと思うんですが、まさにPL法のときは裁判外紛争処理機関を法整備と同時に充実させて、したがって、消費者もPL被害に遭ったときにそういうところへ駆け込める、一方でクレーマー的な話で困ってしまった事業者もそういうところに駆け込めるということで、裁判のようにお金もかからずに、出るところに出ていけば、いわゆるクレーマー的なところはそこではじかれるでありましょうし、本来救済されるべきところがそこで救済されるということになるという知恵が働いているんだと思うんですよ。 ですから私は、法律の中身のところではむしろ消費者の保護のところをかちっとつける。そのかわり、クレーマーによって中小零細企業が変なことに遭わないようにというところは、クレーマーが出てきたところで、これは法律があろうとなかろうとつける人はつけるわけですから、そこを、出るところに出て、こういうルールなんだからあなたの言っていることはむちゃですよということが、自分一人の力じゃなくて業界団体なりあるいは消費者団体との協力でできるような機関をつくるということの方が、実はこの法律の条文の話よりも大事なことじゃないかなというふうに思うんですけれども、井田さん、いかがでしょうか。
○井田参考人 ちょっと私の発言が誤解を先生に与えたのかもしれないんですが、私はむしろ、クレーマーはもちろんのことでありますが、クレーマー以外のいわゆる一般の消費者の方も、俗に言う心変わりみたいなものがあって、一たん買ってしまったけれどもやはりやめようかな、返品を認めてもらおうかなというようなことのよりどころにされる懸念がたくさんあるということを申し上げております。 もちろん、クレーマーの方はたくさんおられますから、何もこういう法律をつくろうがつくるまいが、そういう人はそういう人でしょうという議論はわからないでもないんですが、こういうあいまいなままの規定で、非常に抽象的で幅が広い、かつ法律効果は取り消しという重大なものだというようなことで走りますと、普通の消費者であろうとも、別の理由で返品をしたいときにそれをよりどころとしまして幾らでもけちをつけられるわけでありますので、情報の一部が欠けていたよ、なかったぞとかなんとか言いながら現場で返品を申し出る。 こういうのが全国のいろいろな取引現場で起こりますと、とても混乱に陥って大変だということで、できる限り明確化、事前に事業者がどういう行為をしたらどういうことになるのかとわかるルールにしていただきたいという結果、今の政府原案ができたと理解しておりますので、よろしく御理解のほどをお願いしたいと思います。
○枝野委員 私は逆に、基準の明確化ということでは、先ほどのお話のとおり従来も情報提供義務はあるんですよ、民法一条に基づいて。それに違反をしたらやはり不法行為になったりするわけで、したがってそこは、法律には要するに信義誠実の原則としか書いていない基準しかないところで、あとは判例の積み重ねでしかない基準にかんがえれば、民主党案のような基準の方が、例えば心変わりをしたとは言ったって、いや、そんな心変わりの話は聞いていませんよという、逆にそちら側からの言い分になるような条文をこちらは置いているわけです。 つまり、一般消費者の判断の基準であるし、当該消費者の判断に影響を及ぼすことは事業者の側で知っていなきゃいけないということで、いや、そうは言ったって、そんなこと言ってもらわなかったらだめですよという反対側の文もつくってありますからね。私はそういう意味では、やはりそこの部分のところは誤解ではないかなというふうに思います。 最後にあと二分で落合先生に、その具体性、基準の明確性という話のところで、政府案も民主党案もそれぞれそれなりの明確性があるがということの後で、総理大臣の指針とか政令の話に触れていられました。 私どもとしては、法律の条文でも政府案並みあるいはそれ以上に明確だというふうに思っております、それで法律効果は十分だと思っておるんですが、ただ、それに加えて、先ほど来出ておりますとおり事業者の皆さんから不安があるということで、不安を少しでも小さくするために、法律はこうだけれども、さらに細かいことはちゃんと総理大臣が、つまり行政ベースのところでその法律の解釈の基準をさらに詳しくしっかり出しますよという趣旨なので、それは外してしまっても別に全然構わないんですけれども、その総理大臣の指針とはそういう意図だということで、明確性について政府案と民主党案との比較をどういうふうに御判断いただけますでしょうか。
○落合参考人 今の先生の三条四項の趣旨というのは、非常によくわかりました。つまり、現状でも明確なんだけれども、不安を除去するためにさらにそれを明確にするための規定である、こういう趣旨であるというふうに理解いたしました。 確かにおっしゃるとおりだと思いますが、ただ、具体的に内閣総理大臣が決めた指針というものの内容がどうなるかということが、結局この全体の解釈に影響を及ぼしてくる。その限りでは、具体的な指針の内容が明らかにならないと、全体としてこの規定がどの程度の明確性を持つものかというものについて全貌が明らかにならないのではないかという趣旨でありまして、この内容が非常に明確な形で決められるのであれば、明確性の要件というものは十分クリアするであろう。ただ、現時点で、全体として明確性の要件は満たしているのかと言われますと、その具体的な指針というものが具体的な姿で提示されない限りは、全体としての評価は難しかろうという趣旨であります。
○枝野委員 時間ですので終わりますが、特に事業者関係の皆さんには、今回はこういったいろいろな経緯でここまで来ておりますので、いろいろあると思うんですが、我々も我々の意図を誤解されないような努力をしたいと思いますし、今後また消費者問題では立法その他いろいろ出てくると思いますので、ぜひそういった点も御配慮いただいて、それぞれの団体の中の意思決定に供していただければということをお願いいたしまして、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○中山委員長 久保哲司君。
○久保委員 公明党・改革クラブの久保哲司でございます。きょうは、参考人の先生方、大変御苦労さまでございます。ありがとうございます。 先ほど来それぞれの先生から貴重な意見を聞かせていただき、基本的に、一刻も早くこの法律を制定することが必要であるということ、ないしは、昨年の十二月に出ました国民生活審議会の報告の範囲内である限りこれは容認できるものである、こういったお話がございました。 そこで、私自身も、この問題に皆さん方が過去六年にわたってさまざまな形で取り組んできていただいたことに基本的には敬意を表するとともに、各団体の皆さんとも別のところでお会いしたことがございますけれども、そのときにも申し上げました。世の中全部、すべてのことは基本的にはお互いの合意といいますか契約ということで成立しているわけで、そういう意味からいいますと、国民生活審議会の報告書があれだけの関係者がおられる中で取りまとめられたこと自体、あれが関係者皆さんの一つの契約かな、こう思ったりもしております。 それが言うなれば今回法案という形で、形を変えて出てきた。あの国民生活審議会の報告書から、それぞれの立場にあって、後退したものになっているのか、あるいはそれを十分満たしたものになっているのか、ここらあたりに一定の考え方の違いというものが当然出てくるのかと思いますし、また、先ほどどなたか、小島先生ですか、おっしゃっておられましたけれども、それぞれが自分の言いたいことを目いっぱい、そうでなければ絶対嫌だ、こう言っておったのでは、これまた世の中は成り立たぬということも当然あるわけであります。 そんな中で、もう一つは、落合先生も触れられました、内閣総理大臣が別に定めるという部分が民主党さんの案の中ではあるのですが、閣法、政府が出している案がいわゆる一般法という形で出ていること自体に大きな大きな意味があるのだろうと私は思います。 行政が関与する形で世の中をコントロールするというのではなくて、むしろ一般法として、成熟した個人対個人あるいは個人対事業者という場合もあるでしょう。そこの不足分は法として補わなければならないですけれども、それぞれが対等の立場で契約というものの実行にくみし、そして世の中が回転していく、こういう仕組みを一刻も早くつくり上げること、それがいわば成熟した社会をつくり上げるためにもぜひとも必要なんだろうな、そんなふうに思っておるところであります。 とはいえ、私なんかの頭ではとてもじゃないがなかなか理解できない話でありますけれども、IT革命だとかなんとか、こういう言葉がいっぱいはんらんしていますし、電子商取引なんという話がどんどん広がっていく。こうなってくると、これまた現代の我々の想定ではとてもじゃないが想像できないような事態も世の中に起こってくるのかな。 そんなことを考えましたときに、先ほどの日和佐参考人のお示しになられた書面の中に「本法を早期に見直すこと」ということで、こういうことがありますよということが書かれております。一方、関係者の皆さんそれぞれおいででございますが、この見直しというのは、我々今現在法律をつくろうかというときに見直しの議論もなかろうということであります。けれども、今申し上げましたように、電子商取引であるとか、あるいは今後この法が施行されたときに、先ほど来ありました事業者側におけるさまざまな不安、あるいは消費者側における不安、こういった問題。あるいはまた、野々山先生おいででありますけれども、裁判外紛争処理も含め、仲裁センター等に持ち込まれるさまざまな事案等、これの発生の仕方あるいは持ち込まれる態様が今までとどう変わってくるのか。こういうものも含めて、やはり必要なものは間断なく必要に応じて見直すことも必要なのだろうと思っておるのです。 この見直しについて、まず日和佐参考人あるいはまた井田参考人の方で、どういう状況になったとき、あるいはどういう状況が想定されたときに見直しが必要だというふうにお考えになっておられるのか。あるいは、そのためにも一定のデータの取りまとめみたいなことも必要かと思います。先ほど井田参考人も、全国の事業者からいろいろな声を聞いた、このようにおっしゃっておられましたけれども、そういうデータの取りまとめということも含めて、一つは見直しについて、落合先生と日和佐先生、井田参考人にちょっとお伺いをしたいと思います。
○落合参考人 先ほど、この消費者契約法案というものはスピードとの見合いの中ででき上がっている部分があるというふうに申し上げたのですが、これはつまり、今消費者契約関連の被害というのは非常に深刻な状況にある、早急に手を打たなきゃいけないということがありますので、速やかに何らかの包括的な民事ルールというものを設けなきゃいけないという点があります。 そうしますと、いわば早急に対応するという形で本法案をつくる、法律を通して成立させるということになりました場合に、その早急の手当てというものが一体どの程度の効果を現実に持っているものなのだろうか、あるいは何か欠けている部分があるのだろうか、その辺のところを今後の対応として十分考える必要がある、いわばそういう考えを背後に持ちつつ法案の成立というものが考えられているという関係にあると私は思っております。
○日和佐参考人 見直しのことですけれども、電子商取引等新しい商取引の形態の進展の中で消費者トラブルがどのように発生してくるかということが一つの要因になると思います。こちらの方が後だと思うのですけれども、申しわけありません。 もう一つは、先ほども申し上げましたように、この消費者契約法は決して百点とは言えません、問題を持っていると私は思っております。したがって、この消費者契約法施行後、この契約法によって消費者トラブルが今までよりもどれだけたくさん解決の方向に向けて実績を上げることができたのか、もう一つ、それとは別にできなかったトラブルというものも発生していくのではないかということを見通しておりまして、救済が困難なトラブルは一体どんなものであったのかということを、消費者相談の件数を全国的に集約し、データを積み重ねていって消費者契約法を検証するということが必要ではないかと思います。 それはPIO—NETだけではなくて、業界でも、消費者相談にかかわる問題、消費者の苦情にかかわる問題についてデータを積み上げ、それが消費者契約法との関係で一体どう処理できてどう処理できなかったのかということのデータをぜひ積み上げていただきたいと思っておりますし、消費者団体としてもフォローアップをしていきたいと思っております。そして、一定の検証結果が出た時点で、見直すべき項目が明確になってくるのではないかということを考えております。
○井田参考人 消費者契約法のようないわゆる包括的な一般的なルールということの性格を考えますと、私自身は、法律ができる前から見直し条項を入れるというのはそもそもなじまないのではないかなというのが基本でございます。 しかしながら、先ほどから電子商取引等の話が出ておりますように、経済社会の変化は非常に激しいものがございます。また、私どももかねてこの明確化ということでしつこく主張をしてまいりましたけれども、例えば、今回の第四条の第四項に重要事項の定義がございます。これを見ましても、確かにいろいろ書いていただいてはおるのですが、依然としてやはり抽象的に書かれているなという感じは否めないところでございまして、そういう意味で、私ども事業者の側から見ましても実際に現場でいろいろ無用の混乱が起きているということがございましたら、もちろん我々も要望し、変えていただくような運動をしなきゃいけないわけでございます。 いわばそれは当然のことだろうということで、法案の中に当初からわざわざ入れておく必要はないのではないかと私は思います。
○久保委員 ありがとうございます。 それぞれお触れになりましたように、世の中は際限なく動いておりますし、経済活動、まだ二十一世紀がどういう時代になるのかというものもわからない中で、法律というのは基本的には国民の生活がより安全で、より安心して暮らせるようにというところが主眼ですから、それに抵触するような状態というものが惹起したときには、当然しかるべき手は打つべきなんだろうというふうに私自身は思っておるところであります。 そんな中で、次に野々山先生にちょっとお伺いをしたいのですけれども、野々山先生の先ほどの御説明あった資料の最後のところに、消費者契約法の実効化というところで、一つは消費者センターの充実という問題、もう一つは不当約款差しとめ請求権を認める団体訴権の創設という話がございます。 今、司法制度改革協議会というところで、さまざまな士法との関係も含めて議論がなされておるところでありますけれども、この団体訴権というものについて、今後、一つは紛争処理が一刻も早くスムーズにできるようにといったような観点も含めて、将来法制化するとしたときに、どういう形といいますかイメージをお持ちなのか、ちょっと教えていただければと思います。
○野々山参考人 団体訴権というものは、先ほども述べましたように、本来、消費者一人一人が、問題になる約款に対して、これはおかしいということで無効ということを言っていけばいいわけですが、最終的には訴訟でそれを解決するということになりますと、一人一人の消費者にとっては経済的あるいは時間的なものが非常に負担となるということで、消費者団体は消費者の代表としてさまざまな消費者利益の実現を図っているわけでありますから、そのような団体に、そのような問題のある不当条項についてチェックし、これがおかしいということを言っていく権利を与えるものであります。 この団体訴権というものは別に新しいものではないわけで、先ほど申しましたように、ヨーロッパ各国あるいはアジアの中でも制度ができているものでありまして、ただ、日本の中ではこれまで、まず一つは訴えの利益というものがありますから、そういうものをどうクリアするかとか、あるいはどのような団体に訴権を与えるのかということが問題になってきております。 私のイメージとしては、やはり今現実に全国的な団体として動いているものが幾つかあります。きょうお越しになっている全国消団連、あるいは主婦連等々ありますから、こういうところが一つ受け皿になるであろうということ。あと、ドイツ等でこの団体訴権が認められていった過程の中では、消費者団体が全国的に糾合しましてそのような受け皿の団体をつくって、それをベースにして団体訴権を行使していったということがあります。現在、NPOとかいろいろありますから、そういうもので、例えば弁護士とか消費者団体あるいは学者の方が集まって、そのような新たな消費者団体をつくるということも十分可能だというふうに思っております。 乱訴の危険ということがありますけれども、約款の差しとめというのはお金を請求するものではないわけでして、この請求をすることによって利益があるというのはそう大きくないわけであります。やはり約款のチェックという機能を行政から消費者自身に移す、そういう意味で非常に重要ではないかということでありますし、乱訴の危険も少ないというふうに考えております。
○久保委員 ありがとうございます。 いずれにしろ、世の中考えて見れば、アウトローと言われるそういう存在がなければ別にお互いぎすぎすせぬでも機嫌ようやっていける世の中になるんかな、そんなふうに思います。 及川さんにちょっと教えていただきたいのですけれども、一つは国民生活センター、あるいは都道府県が設置しております消費生活センター、さらには今お話しいただきました野々山先生のところの弁護士会等で設置されております仲裁センター、その他さまざまな相談窓口というものがあるわけでありますけれども、この法律がPL法と車の両輪だ、先ほどもこういうお話がございました。 確かに、物という観点から見た部分と、契約という、こういう意味では、まさに両輪かなというふうに思いますが、さりとて、日本の法制度でいえば、最後はすべて裁判所に駆け込むということになるのかもわかりませんが、そうじゃなくて、裁判外紛争処理という形態でもっと早く一つ一つが処理されていけばなお好ましいわけでありますけれども、現に国民生活センターで顧問という立場でお仕事なさっておられ、さまざまな経験をお積みの中で、今後望ましい、消費者にとっての駆け込み寺というよりは、気軽に相談ができて処理がされていく、そのためには、都道府県消費生活センター、あるいは市町村でも設置されておるところがあるようでありますけれども、これらがどう有機的につながっていくことが望ましい、またどういう形が一番いいというふうにお考えになっておられるか、教えていただければと思うのです。
○及川参考人 国民生活センター、さらに都道府県の消費生活センター、市町村の消費生活センター、それらが連携をとっていくことは非常に大事だと思います。現在、すべての都道府県に消費生活センターがあります。市町村のうちにも、市のうちの相当部分にもありまして、全国で消費生活センターと言われるところは現在四百カ所ぐらいあります。そこでは二千五百人ほどの相談員が現実に相談を処理し、先ほど申し上げましたように、消費者契約関係の苦情だけで年間三十万件以上を処理いたしております。相談全体では五十数万件の処理をいたしております。それらのところがネットワークを組むことが非常に大事だと思います。 すべて裁判に行くのではなくて、非常に身近なところでこのような消費者の苦情が処理されるということが大事だと思いますが、私は個人的には、消費者保護基本法で消費者苦情処理の役割は市町村の仕事となっていますが、少なくとも全部の市町村に消費者苦情処理の窓口があることは望ましいと思いますが、弱小の市町村にはセンターまで設けるのはなかなか難しいと思います。考え方としては、二十万人ないし三十万人程度の規模で一つは消費生活センターがあるような形になってもらいたいと思います。現在、全国に四百カ所程度ありますから、単純に計算すれば三十万人に一カ所ということになっておりますが、まだないところもありますから、もっと整備が必要かなと思います。その場合には市町村の連携が必要かと思います。 都道府県は、市町村のそのようなセンターの相談処理について指導する役割、ネットワークを組む役割を持っておりますから、当然消費生活センターをもって苦情相談についても都道府県の全件をやる必要はありませんから、一万件なり二万件なり、すべての都道府県で大体そんな形でやっていますが、みずから処理しながら、市町村で処理できないより広域のものを処理していく。そして、それらの情報が、国民生活センターのPIO—NETシステムにすべてコンピューターオンラインシステムで入ってきて、全国でその情報を知りながら現場での処理が行われていく。 そして、それらのセンターに入ってきた情報が、言うなれば消費者からの発信する情報として国民生活センターに集約されて、情報が発信され、この委員会でも法律が改正されましたように、例えば、資格商法その他について、訪問販売法の改正やその他にそれらが役立つ。消費者からの情報が役立つ。情報の発信源としての役割も果たしていきながら、この消費者契約法が的確に運用されていくようになったらよろしいなと私は考えているわけであります。 そういう意味においては、一部、都道府県の消費生活センターに相談業務を取りやめる動きがあることを非常に懸念をしているところでございます。
○久保委員 ありがとうございます。 時間がほとんどないので、これで質問は終わりたいと思いますが、いずれにしろ、各参考人の皆さんおっしゃいましたように、一刻も早くこの法案を成立させ、来年の四月一日からまずは施行するということが大事だろうと思っておりますし、冒頭申し上げましたように、いわゆる一般法、民法に対しては特別法的な存在でありますけれども、契約に関する一般法、これを施行することによって新しい市民社会を形成していく、そういうことにできればと。日本という国は、中央集権国家でやってきたものですから、どうしても何かあったらすぐ役所へ駆け込む、こういう体質を変えていくためにも非常に大事な法律かな、そんなふうに思っておるところであります。 我が党におきましても、消費者問題プロジェクトチームというのをつくりまして、今後この問題についてもフォローアップをしてまいりたいと思っておりますし、今後とも御協力をお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○中山委員長 武山百合子君。
○武山委員 自由党の武山百合子でございます。何か、きょうが最後の与党としての質問かなと思っておりますけれども、早速質問に入りたいと思います。 国民生活センター顧問の及川さんにお聞きしたいと思います。 私、本当に画期的な法律がこのたびできるんじゃないかと思いまして、日本の消費者契約というものもかなりの線まで行ったなと思っております。ただ、私、アメリカに長いこと住んでいたものですから、いろいろな意味でまだまだ事業者の説明責任が、今まさに行政の説明責任ということが大変必要だと国民がしんから感じるようになりまして、と同時に、やはり事業者も説明責任というものをしっかり企業ロイヤルティーとして持つべきだと思うんですよね。同時にまた国民も、自己責任、それから理解するよう努力するという、国民の側の消費者としての立場もやはりしっかり国民の義務として持たなければいけないと思うんですね。 そういう意味では、ヨーロッパの先進諸国、またアメリカも、ある一定水準の方々ですけれども、あの国は移民の国ですから、きのうきょうかばん一つで国内の政治や経済の悪いところから移民されてくるわけですから、本当にいろいろな方々がおりますので、少なくとも、かなりの人がそういう基本的な自己責任のもとに生活をしているという観点を見ておりますと、日本の今回の法律はどの辺のレベルまで達したという法律なんでしょうか。ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○及川参考人 事業者の自己責任及び消費者の自己責任ということについては、日本はやはり少し欧米の諸国に比べては立ちおくれておるかなと思います。非常に、事業が悪くなるとすべて政府の責任で、政府で施策をとれと言いますし、消費者問題が起きて何か被害が起きると、これもすべて行政の責任といって行政にクレームを持ってくる。行政がすべての解決に手助けをする。消費者保護行政も、そういう意味で、何でも言ってきなさい、それを行政が、かわいそうだから助けてあげますよというような形で日本の消費者保護行政は今まで進んできたと思います。 私は、それはそれで、日本の国民性ということで言い切るわけにはまいりませんけれども、必要な施策であったかと思います。しかし、この段階まで来ますと、個別規制によって行政がすべてを手助けするのではなくて、欧米並みに消費者が自己責任を持つ、そのためには消費者自身が権利を持つというシステムをつくって、事業者の自己責任、消費者の自己責任ということを、しっかりとした国づくりを進めていかなければならないのではないかと考えておるわけであります。そういう意味で、製造物責任法及び消費者契約法というのは、消費者との関係では非常に重要な、画期的な法律であり、それは、欧米諸国に比べれば十年も二十年もおくれてやっと来たところであるかなというふうに思います。 これが定着するまでは相当程度行政から支援をしていかなければならないことかなと思ってきておりましたけれども、この法律が定着しましたならば行政からの支援の仕方は変わってくる。欧米並みに消費者保護行政も、個々の消費者をかわいそうにと援助するのではなくて、消費者の権利を擁護する行政にだんだん国の消費者行政は変わってくるでしょうし、地方の消費者行政は、自立した消費者をつくり上げる消費者啓発やら消費者教育などというようなことに重点が変わっていくことになろうかと思います。 日本の消費者教育の面ではそういう意味でもまだ立ちおくれておるわけでありまして、この法律を契機にして、相当大きな転換が二十一世紀にかけて日本では起こらざるを得ない、起こしていかなければならないというふうに考えております。
○武山委員 どうもありがとうございました。 その消費者教育という立場から、全国消費者団体の日和佐さん、日本の消費者教育を今後どのように進めていきたいなという青写真はありますでしょうか。
○日和佐参考人 消費者団体としてということだけではもう既に消費者教育はとても力が及ばないぐらいおくれていると思っています。これは、家庭もそうですけれども、家庭でさえも消費者教育はできない状況に一方であるので、家庭にも期待できない。やはり、学校教育のところで真剣に取り組んでもらわなければいけない問題ではないかと思っています。 低学年のときから、どこに主眼を置いてということでいいますと、やはり、どういう価値観を持って生きていったらいいのかというようなことにつながる、自分の生き方につながるような考え方を基本にした、いわゆるノウハウではない消費者教育というのが低学年のときから系統立ってやはり必要だと思っておりまして、そこに根本的に力を入れてやられない限り、なかなか、自覚を持って権利を主張し、なおかつ自己責任を果たすという消費者像は生まれてこないという気がしております。
○武山委員 私もそのとおりだと思います。大人はもう消費者としての経験をしているわけですから、ある程度の自分の認識というものがあった上でこういうトラブルが起きて、そしてこのたびこういう法律ができているわけですから、もう大人になった方々はまたそれなりの対症療法ということで議論されているわけですけれども、私も教育の中で一番大事だと思っております。 この件について、国民生活審議会でこういうものに対して議論は出ましたでしょうか、国民生活センターの及川さん。
○及川参考人 国民生活審議会は発足してから三十年近くなりますけれども、最初に議論したのはまさしく消費者教育のことでございました。そして、特に学校における消費者教育と社会人への消費者教育と両方について議論をいたしまして、学校における消費者教育については、累次にわたり、文部省に対しても、教育指導要領等の改訂も審議会から申し入れるというようなことまでやって、累次の改訂を経て、小学校、中学校、高等学校のそれぞれの学習指導要領の中で消費者教育ということが盛り込まれてはおりますが、必ずしも私どもの立場から見れば十分ではないと思います。 社会人に対する消費者教育については、特に都道府県の消費生活センターの、あるいは市町村の消費生活センターの重要な業務の一つとして、苦情相談、商品テストと並んで、消費者教育、啓発ということを挙げておりまして、社会人に対する消費者教育、啓発に地方の消費者行政は相当の役割を果たしてきていると思いますが、これについてもなお不十分なところがあり、これから拡充していかなければならない点だと思います。 消費者契約法の審議に当たっても、この法律ができればそれで万々歳ということではなくて、まさしく、この法律を生かすのも、最終的には、取り消し権なり無効ということを主張する権利を持った消費者、個々の消費者が自覚して行動を起こすことによって初めてこの法律が生きるわけでありまして、権利の上に眠る消費者は保護されないということで、消費者教育ということがこの法律の実効性を高める上でも非常に重要であり、国民生活審議会としても、消費者教育ということに一項目を割いて報告をまとめておる次第でございます。
○武山委員 どうもありがとうございました。 もう一つ、もう一回及川さんにお聞きしたいんですけれども、そのように互いが努力しても問題が解決できないという根本的なものは何なのでしょうか。
○及川参考人 消費者問題の根本は、私のレジュメにも書いてありますけれども、事業者と消費者との間の情報力格差、交渉力格差であろうかと思います。 近代工業社会ができる前のいわゆる市民社会ができたころには、手工業が中心でありますから、隣のおじさんとこちらのおじさんと、情報の格差というものはほとんどございませんでした。すべて平等でございました。ところが、工業化が進み、それが高度化し、情報化が特に進んでくると、事業者と一人一人の消費者との間では大変な情報力格差、交渉力格差が生じました。それをいかに是正していくかということがやはり根本であります。 ただ、一〇〇%それを是正するということはできないかと思います。今回の法律によって相当程度その格差が是正されると思いますけれども、それでもなおかついろいろ問題点が残ってくるかと思います。そういうところについて、行政が消費者教育なりあるいは消費者苦情処理なり相談なりという形で消費者を支援していくということはやはり非常に大事なことであり、すべて最終的に裁判で決着するのではなくて、情報提供を支援するとか苦情処理を支援するとかいうような役割が、特に消費生活センター等に課されておる役割がこれから非常に重要になってくるかと思います。 そして、これからは単に支援して個別の相談を解決するということではなくて、規制緩和の時代において、事前の個別の規制ではなくて、事後チェックの機関として、消費者自身が事後チェックの主体になる。その結果が情報として何万件と集まってきたときに、法律制度自体を消費者側からの意見で改革する動機になってくる。消費者側からの情報発信が出てくる、情報発信の主体に消費者が変わっていくということもこれから先必要であり、消費生活センター等はそういう役割をこれからは果たしていかなければならないと思います。 現実にそのような効果を発揮したのが、先ほどの、訪問販売法等の改正で資格商法等々を法律の対象にしていただいたのは、まさしく消費者からの情報発信によってデータが集められ、法律制度までこの委員会で御検討いただいたということになってこようかと思いますが、これからはそういう形をどんどん進めていかなければならないのではないかと考えております。
○武山委員 どうもありがとうございました。 それでは次に、全国商工会連合会専務理事の井田さんにお尋ねしたいと思います。 情報力格差ということですけれども、やはり事業者の方は全部情報を持っているわけですけれども、これに対応する青写真というものはどのようなものを描いていますでしょうか。
○井田参考人 ちょっと委員の御質問の趣旨がよくわからなかったんですが、情報の……。
○武山委員 事業者は、自分たちの情報で物を売ったりそれから電子取引したり、自分たちが事業者としての情報を持っているわけですね。それを消費者にきちっと説明する説明責任というものがあるわけですね。ところが、消費者とその事業者というものの間に格差があるわけですね。すなわち、情報を消費者の方がほとんど持っていない。 それから、情報を事業者は確実に、結局それを経済すなわち最終的にはお金にするわけですから、情報というものを全部手のひらに持っているわけですよ。それで、消費者というものがありまして、極端な例が、そこできちっと隠さず説明をして、それでその上に立ってお客が選ぶ、そういう消費者と事業者の対等な立場というのですか、そういう立場、すなわち私はそれは企業ロイヤルティーだと思うんですね。 例えばアメリカの場合、びっくりしたんですけれども、デパートでこういう衣類を買いますね。そうすると、一週間後にそのまま返すことができるんですね。物の場合、一週間以内に物を、ちゃんと、これお返ししますと。例えば、どこかほころびているとかボタンがないとかそういう場合もありますし、中には悪い消費者は、パーティーなんかに一回着ちゃって、それで一週間後に返すなんというのはよく聞く話なんです。しかし、一週間に一遍しか着なかったらほとんど新品同様なわけですよね。そういう消費者の立場というもの、そこまでデパートは消費者の権利というものを保障しているんですね。それには私、何しろびっくりいたしました。 日本ではまず物を、衣類を買って、返すなんということは今までなかったことですから、私、行ってみまして、大体何だってそうです。物の場合、デパートの場合、一週間以内に返せばクレジットとして、カード社会ですので、返してくださるんですよね。ですから、企業がそこまで懐が広いというか、経済的に成り立つのかなと。逆に返品ばかりだったら、もしかしたら自分も返してきた返品を買っているかもしれませんし、物価も安いということもありまして、どこかでバランスがとれているからそういうことも現に行われているということで、確かにそういう意味では自己責任のもとに消費者を保護しているという、物の場合は必ず返せる、そういう仕組みになっているわけなんですね。 ですから、そういう仕組みに対して、日本も恐らくそういう仕組みに少しずつ行くのであろうと思うんですね。正当な理由であれば、やはり私が事業者だったら、返さざるを得なくなると思うんですね、物だったら。それから契約だったら、本当にそうであればやはりそれは無効になる。 話が消費者の話とは全然別ですけれども、例えばここのところ交通違反の取り下げなんというものが問題になりましたけれども、ある国会議員が、それは国民が国会議員に頼むからだ、それは頼まれなければやらないんだと。しかし、ほとんどがやっているんじゃないか、やっていない人はいないんじゃないかというくらい、そういう話題が出たわけなんですね。 でも、そのときにやはり正直に、頼む方も頼んではいけない、それから頼まれる方もそれはできないんだという、自己責任のもとにおいた正しいルールというものが、ちょっと例は違いますけれども、本当にその物がだめであったら引き受ける、そういう企業の責任、それから本当に相手に過失があったらそれはあなたの過失ですよときちっと説明した上で、消費者に過失があったらきちっと説明して、消費者も納得して、消費者も正直に、自分に過失があったらやはりそれには授業料として払う、授業料として学んだと。消費者の立場も、何でもかんでも取っちゃおうという発想じゃなくて、何でもかんでも権利を主張するというのじゃなくて、両方の成熟した、事業者としての成熟した哲学、そして消費者としての成熟した哲学というものがやはりこれから成長していかなきゃいけないと思いますけれども、事業者としては、その辺、どのように考えていますでしょうか。
○井田参考人 事業者の方が情報力において消費者よりは格段にすぐれているということは事実だと思います。しかしながら、最近では、消費者の方も大変知識を蓄えられて、もう事業者顔負けの豊富な専門的知識を持っておられる方もたくさんございます。 事業者といたしましては、委員の御指摘をまつまでもなく、お客様に物を売る、いろいろな契約をする場合には必要不可欠な情報はきちんと提供していくということは当然のことでございまして、こういう一般的なルールができる、できないにかかわらず、きちんとした説明をし、情報を提供していくということにつきましては引き続き努力をしていく必要があろうかと考えております。 そして、委員の方から例に挙げられました、アメリカでは一週間後に返せるんだ、中にはパーティーに一回着ていって返す人もいるというような具体的お話をいただきましたけれども、今のような対応ができるおおような事業者、裕福でありかつそういうのに文句を言わない事業者はいいかもしれませんが、こういう今回のような広く取引万般に適用するルールということを考えますと、重ねて申し上げますけれども、一たん買ったものを返す、契約を解除するということになりますと、相当きちっとした要件を備えたものでないとたくさんの取引現場におきましてはいろいろな混乱が出るのではないかなということでございまして、今回政府原案で書いていただいておりますように、一定の要件を付した、限定をしたもとでの契約取り消しというルールでお願いを申し上げたいと思います。
○武山委員 どうもありがとうございました。 もう一点、最後に弁護士の野々山さん、先ほどのお話の中に、内閣案にある消費者の理解努力義務は不要なんということがありましたけれども、私は、やはり消費者の理解努力義務というのは当然求められるべきだと思いますけれども、この辺はどうしてこういうふうにされたんでしょうか。
○野々山参考人 これは、この法律に定める必要はないという趣旨であります。 この法律ができた背景としては、先ほど来出ている、事業者と消費者に情報力、交渉力の格差がある、それがさまざまな消費者トラブル、紛争の原因となっているというところで、この格差をきちんと是正していこうというのがこの法律の根本であります。そのために、いわゆる自己責任の前提となる情報提供義務をきちんと定めようということになっておりまして、その情報提供義務というものが、事業者に対して法定義務ではなくて努力義務となってしまったという不十分さがある、その上にさらに消費者の理解努力というものを求めるような規定を置くことは、そのバランス、この法律は何のために定めるかという根本思想に反するのではないかということで、この法律に定める必要はない、そういう思いで述べたものであります。
○武山委員 どうもありがとうございました。 私は、消費者も、危機管理ということで、授業料を払ってでもやはり理解や努力はすべきだと考えている一人でございます。どうもありがとうございました。
○中山委員長 吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。五人の参考人の皆さんには、大変お忙しいところ、きょうはどうもありがとうございます。 私、最初に落合参考人と野々山参考人に伺いたいと思いますが、落合参考人の方には、アメリカ、EUにおける情報提供義務の法律、法理の実情についてお聞かせいただきたいと思います。それから、野々山参考人の方には、ドイツ、フランス、オランダなどEU諸国における団体訴権の法律制定状況と訴訟の実例、実態などについてお聞かせいただきたいと思います。
○落合参考人 情報提供義務の関連では、まずヨーロッパの関係でありますけれども、情報提供義務というものを一般的な義務として規定を置いているのはフランスであります。それ以外の国、特にイギリス等では不実表示の法理というのがございまして、これでカバーをするという形になっており、アメリカも、英米法の流れですので、同じような形になっております。 ただ、この政府提出の、あるいは民主党の案も同じですけれども、契約締結過程で情報の問題というものを取り上げているというのは、これは、フランスを除けば、明文の規定でそういう形で対応していこうというのは非常に有益であり、意味のある定めであろうというふうに思っております。 フランスは一般的な情報提供義務を定めているんですけれども、では、その情報提供義務に違反した場合の効果はどうなのだろうか、損害賠償請求にとどまるのかあるいは契約の取り消しとかそういうことまで主張できるんだろうかという、その効果の点につきましては全く規定を置いておりません。ところが、今御審議いただいているこの消費者契約法の案の関連では、情報提供義務につきましては、効果として、取り消しという効果を明示的に定めるという点でも特色が見られるということになります。 先ほど申し上げました英米法の国々にあります不実表示の法理というものは、これは場合によったら取り消しということにも及ぶ場合がありますが、原則的には損害賠償請求という効果が一般的には認められているという関係ですので、それらをあわせて現在御審議いただいているこの法案と比較しますと、契約締結過程に限定をし、かつ取り消しという非常に強い効果を認めようという点では特色が見られ、これは世界的に見ても、その意味で、もしこれが実現できれば画期的なものであろうというふうに評価できるのではないかと思っております。
○野々山参考人 団体訴権は、ドイツで一九七六年につくられたのが最初だというふうに聞いておりますけれども、その後、一九九二年にオランダでは民法を改正しまして、その民法の中で、今の日本の民法典は対等当事者という考え方なんですが、そもそも民法の中にもう事業者と消費者に格差があるという前提での定めをしまして、その中に団体訴権も入れております。 それから、フランスでもそれ以前に制定をされているわけですが、一九九三年にEU指令の中で消費者契約の適正化のための指針というものを出しまして、その中で、各国で消費者自身のそういう適正化のための制度を設けなさいという中身ができまして、それ以後、EU各国でできております。昨年、イギリスでも消費者団体に対して団体訴権が認められたというふうに聞いております。 ドイツの状況でありますけれども、団体は、七十五名以上の現実にきちんと活動している消費者団体に付与されるということで、幾つかの団体が現実に訴訟を起こしている、相当数上っているというふうに聞いております。銀行取引とかあるいはリース契約とか、そういうものに対する不当条項について訴訟を起こし、判決が出されているという状況です。日本の銀行取引約款は、つい最近住友銀行が変更しましたけれども、数十年間全く変更がないという状況があるわけですが、ドイツの中では八回ほど、さまざまな改正を加えてよりよいものにしていくということをしているわけですが、その前提として、この法律、この団体訴権の存在というのが大きな影響を及ぼしているというふうに聞いております。 それから、オランダでは訴訟は一件だけというふうに聞いております。私どもが調査に行った段階では一件だけだと。ただ、一件だけれども、この訴訟を消費者団体がしたことによって、事業者の方が約款等を見直して、よりよいものになっていったというふうに聞いております。事業者団体の方にもお話を聞きましたけれども、やはりこの団体訴権の存在というものがより公正な契約をつくっていく上においては非常に重要だし、自分たちも高い評価をしている、そういうふうに聞いております。 EU等のそのほかの諸国についても、同様な形で機能しているというふうに考えております。
○吉井委員 落合参考人にもう一つお聞きしたいと思うのですが、契約内容に関する規制として、不公正条項のリストを定めて無効とされる場合の基準を示していく、そのことによって予測可能性がふえてくるんだということを論文で説明しておられます。また、ブラックリスト、グレーリストに分けて規定されるべきだというお考え、それから消費者有利解釈原則を規定することなども挙げておられますが、ブラックリスト、グレーリストに分けての規定、消費者有利解釈原則を規定すること、この二点について、もう少し詳しくお聞かせいただきたいと思います。
○落合参考人 まず、ブラックリスト、グレーリストの関係ですが、これは、不当な、消費者に非常に一方的に不利益を課するような条項というものを極力ピックアップいたしまして、それによって消費者が救われる場合という範囲を広げていこうという考え方であります。 ブラックリストの場合は、その条項に当たると無効という効果が出ますが、グレーリストの場合は、さらにその条項が使われている具体的な事情というものを考慮して無効か有効かというものを判断するという形になります。しかし、ブラックリスト、グレーリストと並べることによって、いわば不当条項として問題になる条項の範囲が非常に拡張できるというメリットがあるわけであります。したがって、可能であれば、ブラックリスト、グレーリストという形で規定を設けるということが十分考えられる立場であります。 ただ、先ほども何回も申し上げておりますように、我が国の場合は契約関連被害が深刻化しており、早急に手を打たなきゃいけない。そういうような状況の中で、消費者と事業者との利害の妥当な調整等を考慮いたしますと、まずは現在あるような形、政府案に見られるような形で、ブラックリストのみを定めて、そこから漏れる部分につきましては十条にあるような一般条項という形ですくっていくということで、早急の対応としてその効果というものは十分考えられるのではないかなというふうに思っております。 それから、作成者不利解釈の原則あるいは消費者有利解釈の原則というもの、これは解釈の一般原則として欧米では認められている解釈原則であります。したがって、それを明文で我が国の場合も規定するというのは私としては非常に意味があるというふうに考えておりますが、他方、国民生活審議会の消費者政策部会での議論におきましては、その有利解釈という意味合いが、場合によっては裁判所の判断というものに対して不当な拘束という側面が考えられるのではないか、あるいは、有利か不利かということの中身を考えてみると、これは相当具体的な事情というものを総合判断してみないと、なかなか有利か不利かというのは出てこない。そうだとしますと、有利解釈の原則というのは、ある意味で一般的な条項ということになるわけで、結局、解釈の問題が出てまいりまして、具体的な事案というものの中で個別的な解釈をすることによって有利解釈原則が適用されるという結果になる。 そうだとすると、これはいわば現在裁判所がやっている行為というものも、基本的には有利解釈原則というものに基づいて裁判所も行動しているというふうに思われるわけですので、それらを考えますと、あえて明文としてここで置く意味があるのかないのかという点について意見が分かれ得るわけでありますので、それらを考えまして、現段階の案としては、あえて入れる必要はないかなということであります。 しかし、そういう有利解釈原則というのは一般的に存在するのでありますから、それをいわば明文の形で入れるというのも意味があるというふうには思いますけれども、現時点の法案の中身としては、それを省いても特段非常に弊害が生ずるということはまずないであろうというふうに考えられますので、ないことについて、これは非常に困るというところまで言う必要はないかなというのが私の考えでございます。
○吉井委員 次に、日和佐参考人に伺いたいのですが、困惑を不退去、監禁型に限定しないことの必要性といいますか、しないことの方がいいといいますか、要するに、不退去、監禁型に限定しては実態に合わない実例が随分あると思うのですね。目的隠匿型などで、実際に全消連などで掌握しておられたり取り組んでいらっしゃるもので、そういう実例に合わせて、こういうものについては限定してしまうとやはり実態に合わないとか、そういう実例などをお聞かせいただければと思います。 あわせて、そういうことを実際に扱っていく上でも消費生活センターの強化というのが大事だと思うのですが、この点について、さらに先ほどの御説明以上に何かつけ加えてお話しいただけることがあったら伺っておきたいと思います。
○日和佐参考人 私ども全国消団連では、具体的に消費者相談業務を行っておりませんので、その点は御容赦ください。 先ほど大まかに申し上げましたけれども、不退去、監禁型というのは、全くないわけではもちろんありませんけれども、全体の勧誘行為、締結過程の勧誘行為の中ではそんなに多くない。大方はソフト型、先ほども申し上げましたけれども、恋人商法だとか、職場に頻繁に電話がかかってくるだとか、あるいは資格商法だとか、それから二重の要件で勧誘してくるというようなことですね。きのうも話題に出ておりましたけれども、家屋を修理する、シロアリ退治が必要だというようなこと、二重の要件での勧誘。 それで、非常に勧誘行為は複雑といいますか、巧妙なんですよ。物すごく巧妙で、不退去、監禁という、いわゆる単純な勧誘行為というのはそんなに多くはない。いろいろな要素を絡み合わせて、非常に複雑巧妙になってきて、ますますその巧妙さが増してきているがゆえに善良な消費者はそれにひっかかってしまうというのが現状なわけでして、そういう現状に、不退去、監禁型だけではやはりそぐわないということでございます。 消費者センターの充実ですが、私は先ほども申し上げましたけれども、もう少し消費者センターの役割を見直す時期ではないかと思っております。県レベルが廃止されて、区市町村ということで移行されていっているわけですけれども、今の消費者被害、消費者トラブルの実態を見ますと、県レベルでの消費者センターというのはやはりそれなりの役割があると思っております。むしろ、複雑、専門化した消費者トラブルを解決するためには専門的な知識も必要ですし、専門家の判断も必要ですし、さまざまな情報の収集も必要でしょうし、非常に高度な機能が必要だと思います。その高度な機能を発揮するためには、県レベルでの消費者センターの役割をもう一度、区市町村とは違う役割として位置づけるということが必要になってきているのではないかと思っております。
○吉井委員 私、次に及川参考人に伺いたいのですが、及川参考人も消費生活センター等の充実ということを挙げられて、先ほどのお話の中で、それほど金はかからないということもあったのですが、この消費生活センターの充実という中に、センターそのものの充実と、もう一つ、相談員の方たちの身分保障などを含めて本当にこの体制の強化ということが大事じゃないか、二つの点があるのではないかなというふうに私は思うわけです。 今もお話ありましたセンター縮小の動きで、県レベルで廃止の動きを示しているところがありますし、センターがあるところでも、市町村へ行きますと、嘱託の方で毎日行っておられないので、毎日開設されているということにはならないところがあったり、あるいは絶対数そのものが少なくて地域が十分カバーされない、こういう現状があります。 それで見てみますと、PL法ができても実は相談員の方がふえていないということで、センターそのものの機能が本当はもっと量的にも充実されるということは必要だろうし、そして内容的にも、相談員の身分保障という点では、及川参考人は国民生活センターのもう顧問の方ですから、直接かかわる話ではないのでこういうことを申し上げても失礼にならないだろうと思って言うのですが、実は、経済企画庁の方から相談員の方の待遇がどうなのかということを聞いたときに、給料が、国民生活センターの理事や理事長さんの大体十分の一以下が多い。例えば理事長さんなんかになると、年間二千二百万円ぐらいやるのだが、相談員の方は、月十万円未満の方が三割で、十万円から十五万円の方が四割で、ボーナス、一時金のある人は一七%しかいない。時間外手当のある人が八%で、通勤手当の出る人は二五%、失業保険とか厚生年金は六割の人がないという話を私は聞きまして、これは本当に深刻だなと。 だから、今この消費者契約法をつくって、そして本当にさまざまな相談を受けて解決してもらったり、頑張ってもらっている。この機能を強化しようとしたときに、仮に非常勤の嘱託という身分であっても、相談員の方の身分の保障をやはりきちっとして充実するということと、センターそのものを量的にも拡充ということ、ここが大事じゃないかなと思うのです。 この点、国民生活センターというのは一番そういうのをよくつかんでいらっしゃるところでもあると思いますので、国に対して、あるいは都道府県に対して、もっとこういうことをやるべきだという御意見なども含めて、今の実情とあわせてお聞かせいただければと思います。よろしいでしょうか。
○及川参考人 契約法の実効性を高めるためにはどうしても消費生活センターの充実が必要だというのは、御指摘のとおりだと思います。 消費生活センターの充実ということは、センターだけではなくて、実質的に苦情相談処理に当たる消費生活相談員の資質の向上、資質の向上の背景としてその待遇の改善ということも大事なことだと私も認識しております。 御指摘のありましたような処遇の実態にあるということも私は承知をいたしておりますし、その処遇の改善についても常日ごろ機会あるごとに地方にお願いしたり関係方面にお願いしたりしてきたところであり、国民生活センター自体にも消費生活相談員がおるわけでありますから、それらの待遇の改善等にも努めてきたつもりでありますけれども、なお今後努力を重ねていかなければならないところであろうかと思います。 地方交付税の基準財政需要額の算定根拠の中では、地方の消費生活相談員の経費についても現実に算出根拠を相当額見ているわけでありますが、地方公共団体の首長さんたちの中では、やはり自主的に使うということで、結果的にその財源も外へ、よそへ使っておるという実例もよく私はわかった上、情報等も提供いたしているわけであります。 政府は政府なりに、国民生活センターはセンターなりに、そして地方分権の建前でありますから強制することはできませんけれども、情報をしっかり提供することによって、処遇の改善等も進められ、消費者契約法が的確に実効を持って運用されるように側面から努力をしていきたいと考えております。
○吉井委員 時間が参りましたので、井田参考人に質問できなくて大変残念ですが、またの機会ということで進めたいと思います。 今もお話ありましたように、基準財政需要額でカウントする方はするのですが、実際にはどんぶり勘定で出ますから使われないという実態の中で、センター機能と、そしてやはり職員の方の待遇拡充などで機能を果たせるように一層努力をされることも求めて、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
○中山委員長 知久馬二三子君。
○知久馬委員 私は、社会民主党・市民連合の知久馬二三子でございます。参考人の先生方には、お忙しい中を長時間大変御苦労さまでございます。私が最後になりましたので、最後までのおつき合いよろしくお願いいたしたいと思います。 ただいま参考人の先生方から聞きまして、本当にこの六年間という長い間の積み重ねの結果で今回の法案が出たと思うのですけれども、その中で、私は日和佐参考人にお伺いしたいと思います。 先がたの説明の中で、レジュメの中にもありますけれども、消費者団体の要請した項目、条項が三点入ったので、大変、一〇〇%ではないけれども評価するということでございました。私自身も本当に、そうだろう、そういうことだろうなと思います。私は、消費者契約法に期待するものは、まず、増大する消費者トラブルの解決に使えるものであることだということと、それと同時に、行政指導に依存し、消費者に対する責任を軽んじてきた事業者の認識を改革していくということが必要だろうということを思います。 そうした中で、二点ほどお伺いしたいと思います。 先生も、全国消費者団体連絡会で消費者関連法検討委員会をつくられ、専門家を交えた議論の成果を審議会に反映されるという活動をなさってこられたわけですよね。今回の法案の中で、消費者の権利確立の観点から最も重要なポイントはどこにあるのか、また、欠けているとすればそれは何だと思われるのでしょうか。先がたあったとは思いますけれども、もう一度確認するために、よろしくお願いします。
○日和佐参考人 消費者の権利について、ちょっとその前に申し上げたいと思います。 消費者の権利という概念は今存在しないというふうに言われています。なぜかといいますと、消費者保護基本法の中に消費者の権利という文言がない、要するに消費者の権利という概念がないからです。ですから、情報公開法にしても今回にしても、消費者の権利という文言を入れたいと思っても入れられなかったという経過がございます。 消費者契約法成立後、これはもう根本的に、私たちの国に消費者の権利がないというのは非常におかしなことでして、消費者保護基本法を、権利をきちんと明記した消費者権利法とでもいいましょうか、そういうものに基本を変えないと、これはどうにも仕方がないということがございますので、今後の焦点かなと、及川先生もおっしゃいましたけれども、私もそう強く思っております。 消費者契約法に関しては、第一義的に、現在起こっております消費者トラブル、契約にかかわるトラブルを救済することに実効性のあるものということで、なぜそのトラブルが起こっているか、その要因を解消する消費者契約法であるということが一番重要なことだと思っておりました。 その一つの要因は、事業者と消費者間の構造的な格差です。時間がないので詳しく申し上げませんが。 二番目は、今まで行政ルールによって規制してきた事業者規制がうまくいかなかった。要するに、すき間ができるわけですね。すき間ができてうまくいかなかった行政ルールによって事業者を規制するというその仕組みを変えなければいけない。包括的な民事ルールという手法でそれを変えていきましょうということだったと思います。 この二つについては実現したということで非常に評価をしている、基本的なところが実現したということで非常に高く評価をしているというところです。
○知久馬委員 ありがとうございました。 もう一点だけ。事業者と消費者の格差を是正して初めて対等な契約が締結できるわけですね。そのための最低のルールが消費者契約法だということはわかりましたけれども、消費者が自己責任を問われるのであれば、被害から救済される権利として消費者団体訴訟制度が導入されなければならないと思いますが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○日和佐参考人 全くおっしゃるとおりであります。 最終的に、先ほども申し上げましたけれども、消費者トラブル、契約にかかわるトラブルが起こった場合には、まずはこの契約法をもとにして双方が話し合いをするわけですね。それでもなかなか解決はしないでしょう。それでADRに持ち込む、なおかつ解決しないということになりますと、最終的な判断は裁判ということになるわけですが、現在の裁判制度、御存じのように、非常にお金もかかれば時間もかかる。消費者個人が裁判に持ち込むというのは非常に勇気が要ることです。したがって、それにかわるものとして団体訴権をぜひ検討していただきたいと思っております。
○知久馬委員 ありがとうございました。 今では、本当に、専門的な弁護士さん等に頼むということになったり、裁判に持ち込むということになったら、大変な費用がかかります。かえって被害に遭った以上のものがかかりますから、それはなかなかできない現実にあると思います。 続きまして、野々山参考人にお願いしたいと思います。 野々山参考人は、弁護士さんとして今回の消費者契約法にかかわってこられたと思います。全体としては、消費者契約法が、消費者利益の確保と消費者契約にかかわる被害やトラブルを防止、解決するために立法されるとの観点が極めて弱いということをおっしゃっています。そして、公正な消費者取引が実現し、多発している消費者被害の予防と救済に資する、その実効性に疑問があるということを述べられていると思います。 それでお伺いいたしますけれども、まず、実効性を担保するため、法案のどの点の根本的な修正が必要と思われますのか、その点についてどなたかからも説明があったと思いますけれども、よろしくお願いします。
○野々山参考人 細かい内容につきましては、お手元に配付させていただきました日弁連の意見書をごらんになっていただきたいと思います。 その中で、特に私どもとしてこの点をぜひ考えていただきたいなということは、先ほども申し上げました、事業者の方に対する情報提供義務というものが努力義務になってしまっている。これは本来法的義務であるべきなのに、それが努力義務になってしまっている。一方で、消費者の理解努力というものが規定されてしまったということです。 これがなぜ実効性の担保に問題になるかといいますと、私どもさまざまな被害の中で裁判をしていきますが、判例の中で情報提供義務というものが現在積み上げられてきております。これは法的義務として積み上げられてきております。ところが、こういう形で努力義務と明記されてしまうと、その積み上げたものが一転後退する懸念があるということが一点であります。 それから、消費者の努力規定の問題は、説明義務を認めて、一定の損害賠償等の判決、いわゆる救済をとるんですが、過失相殺という形で、かなりの割合の消費者の落ち度ということで相殺されてしまうんですね。私がやった事例なんかでも、主婦の方が家にあった郵便貯金を全部投資信託に入れてしまって、それは説明が間違っていたわけですが、それが八割の過失相殺をされてしまったわけですね。その解決をして、私は本当に勝ったんでしょうかというふうに言われるような状態がある。そういう過失相殺の割合をやはり減らしていくべきだという努力を判例の中で積み重ねているわけですが、こういう形で理解努力規定が入ってしまうと、そういうものに対する悪影響というものの懸念があるということであります。 それから二つ目は、誤認、困惑に基づく取り消しというものの中で、要件が非常に限定されている、なかなか使い勝手が悪い。本来救うべきものに対して救えないようなものが結構できてくるんではないか。特に、困惑事例が限定されているということであります。 不退去、監禁ということになってしまいましたので、例えば電話によるおどし行為というのは結構あるんです、これは資格商法等で多いわけですが、そういうものに対しては適用がない。これは離れていますから、不退去、監禁ではないと。それから、先ほどから出ております目的を隠匿するような形で来ているものについても当たらないということで、現実に多くの被害が生じていて相談員の方が現場で苦労しているものが、なかなかこの中には入ってこないという問題点があると思います。 それから三つ目としては、行使期間が短いんではないかということです。 ほかにもありますが、その点が主として実効性の確保としては問題点ではないかというふうに考えるところであります。
○知久馬委員 大変よくわかりました。ありがとうございます。 そしてさらにもう少し、この消費者契約法の実効性を確保するために、日本弁護士連合会の意見書の中にも、消費者団体訴訟制度を認める必要があるということを強調されています。事業者団体や消費者団体など、公益的な目的を持って活動している団体に違法行為の差しとめ請求や是正要求などの訴権を与える制度は、大量の消費者被害を未然に食いとめるためぜひとも必要だと考えるということですね。 諸外国では既に実現しているとお聞きしますが、我が国でも可能ではないでしょうか。阻んでいるとすれば、それは何なのか。法理論上の問題なのか、事業者側の圧力でもあるのでしょうか。そのあたりの展望についてお聞かせ願いたいと思います。
○野々山参考人 団体訴権というものは、いろいろな意味で重要な意義を持っているというふうに思っております。 一つはやはり、事前に防止ができるということ、これが非常に重要な役割であります。被害に遭った消費者の方がその無効を言うことにおいては、一たん被害が出てこなくちゃいけません。ところが、それを、問題のあるものに対して事前にチェックができるという機能が一つ重要であります。それから、もう一つはやはり、消費者団体が能動的になる、みずから事業者の方に対して意見を言っていく、そこでいろいろな議論が生まれてくる。事業者と消費者団体との間で一定の改善もなされていくだろう。 これまでの日本のあり方というのは、やはり行政にゆだねる、事業者も消費者も行政に伺いを立てるということが多かったわけですけれども、そうではない、事業者と消費者が対等の立場で議論をしていく、その一つの契機になっていく。消費者の権利実現ということの大きな契機になるだろうというふうに私は思っております。それがゆえに、欧米諸国では次々と今この制度が実現していく。日本の消費者団体の活性化においても、また事業者団体の一つの大きな役割の重要性を確保する意味でも、この制度は重要じゃないかというふうに思っております。 これがなぜ阻まれているかということについては、まず一つは、やはりなじみのない制度だということですね。ヨーロッパでは、先ほど申し上げましたけれども、ドイツで一九七六年に既に生まれておりまして、一定の成果を上げている。それを皆が見ているということがありますが、日本ではまだまだそのあたりが見えてこないということと、やはり、受け皿というものがまだ十分機能していないということ。 外国を見ますと、やはり弁護士とか学者とか法律専門家と消費者団体が非常に連携をとって今活動しております。それから、消費者団体自身が法律相談を実施しておりまして、そこからいろいろなデータをとっているということがあります。まだ日本ではそこまで成熟した形でのものができていない、連携も十分ではないということがあります。そういうことで、受け皿の問題があるということ。 あと、法理論の問題は確かにあります。これまで日本の中では、被害を受けた、一定の権利侵害を受けた者でないと裁判ができないというのが一つの考え方として定着しておりますので、被害がない者がそれを行うということに対して一定の抵抗感がある、理論的な問題点があるということです。 事業者団体の方が特に強くこの制度について反対しているとは聞いておりませんし、いずれこれはでき上がる制度じゃないか。環境団体の問題も含めて、いずれ実現すべき制度であるというふうに私は考えております。
○知久馬委員 ありがとうございました。 続きまして、国民生活センターの顧問でもあります及川参考人にお伺いしたいと思います。 私の本当に身近なことなんですが、私は鳥取県の出身でございまして、実は鳥取県の消費生活センターの事業のまとめを見ましたところが、センターの中に寄せられた苦情というのが、二十代、三十代というのが五〇%あるんです。そして七十歳以上、高齢者の方が三〇%ぐらいの割合で苦情が持ち込まれているんですけれども、それらのことについて、国民生活センターの方で何かそういうような現状について、及川参考人はどのように感じられますか。そのことをちょっとお伺いしたいと思います。
○及川参考人 最近の消費者の苦情は、従来でありましたらば中年の女性が大部分でございましたけれども、最近では、一つは高齢者の消費者苦情が多くなっていますし、それから御指摘のような若年者の苦情も非常に多くなっております。いろいろな業者が高齢者に向かって攻勢をかけるということもあり、あるいは学校新卒者を含めて若者に対していろいろな攻勢をかけるということが出てきた結果、そういうことになってくるかと思います。 そういう意味では、それらのトラブルを予防するために消費者契約法は非常に役立つ法律ではありますが、消費者契約法の中身自身を高齢者にどのように周知徹底させるか、あるいは若年者にどのように周知徹底させるかということが非常に課題になってくるかと思います。そういう意味で、学校における消費者教育、社会人になるときの消費者教育ということも非常に重要になりますし、あるいは高齢者向けにどのように情報を伝達するか、老人学級やその他も含めて消費生活センター等の連携を図っていくことが非常に大事になってくるかと思っております。 そういうことを含めて、これから消費生活センターなり消費者行政が努力をしていかなければならない点であろうかと思います。
○知久馬委員 ちょっと私が聞きたいと思いますのは、こうした苦情は、確かに受けた分はわかりますけれども、それがどういうような形で解決したかというのは、例えば総括するとか、それを分析するとかというようなことは、センターの方ではそんなようなことはしておられませんでしょうか。それによって、本当にどういうようなことに原因があるとか、どういうようなことをすれば解決するとかというようなこともまたその中から見出すことができないかなという思いがありましたものですから質問をさせていただいたんですけれども、その点について。
○及川参考人 国民生活センターの消費者情報システム、PIO—NETシステムに全国の苦情相談事例が年間五十万件ほど集まってきております。その中ではいろいろな形で分析ができるわけでありますが、非常に残念なことには、早期に情報を集めるということを主眼にしておりますので、苦情を申し出た段階で速やかに情報を集めるということになっておって、一部は解決情報も入っておりますが、必ずしも解決情報が十分に入っているとは言えない状況であります。 そういうことを含めて、消費者契約法のフォローアップというときには、消費者契約法の各条文の分類類型に従った新たな区分けが必要になってくるでしょうし、あるいは、それがどのように解決していったか解決しなかったかというような情報も大数的に集めてこなければならないかと思います。そういうことも含めて、全体を含めて、契約法のフォローアップ体制ということをしっかりとしていかなければならないと思います。 情報が相当集まってきておりますが、情報の内容となるとなお不十分なところがあり、いろいろ御支援をいただきながら質の改善は進めていかなきゃならないと思いますし、そのような方向で方針は既に国民生活センターとしても定めているところでございます。
○知久馬委員 時間が参りました。もう最後にします、返答は要らないんですけれども、都道府県の消費生活センター等が縮小されている中で、この法ができた場合に有効的に実行できることをやはり考えていかないと、本当に一般の消費者というのはなかなか理解できていかないと思いますので、その点について、センターの方でも十分情報等の提供、啓発ということをお願いいたしまして、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○中山委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。 参考人の皆様には、長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。(拍手) 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十四分散会