P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
147回国会衆議院2000/03/22

商工委員会 第5号

発言数
272
登壇者
25
会派数
7
開催日
2000/03/22

会議録

中山成彬自由民主党

○中山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、産業技術力強化法案を議題といたします。  この際、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、渋谷修君の質疑の際に会計検査院事務総局第五局長諸田敏朗君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山成彬自由民主党

○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  引き続き、お諮りいたします。  本案審査のため、本日、政府参考人として、樽床伸二君の質疑の際に人事院人事官市川惇信君、山本譲司君の質疑の際に人事院人事官市川惇信君、久保哲司君の質疑の際に通商産業省産業政策局長村田成二君、青山丘君の質疑の際に通商産業省産業政策局長村田成二君、吉井英勝君の質疑の際に通商産業省産業政策局長村田成二君、中小企業庁長官岩田満泰君及び文部省学術国際局長工藤智規君、北沢清功君の質疑の際に通商産業省産業政策局長村田成二君、文部省学術国際局長工藤智規君及び厚生省保健医療局長篠崎英夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山成彬自由民主党

○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————

中山成彬自由民主党

○中山委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野晋也君。

小野晋也自由民主党

○小野委員 おはようございます。  今回、今から議論が始められます産業技術力強化法案でございますけれども、これは日本における二十一世紀の産業を育成する上で、技術面における基本法案と呼ぶべき法案だと私は考えます。これまで経済の復興のために、また振興のために、いろいろな法案が当委員会で審議をされてきたわけでありますが、その議論の中で不十分だったところをいろいろな形で補充をされながら、次期日本の産業の基礎を築いていこうという、非常に戦略的な法案の一つであると高く評価をさせていただいている次第でございます。  この内容を検討させていただきますと、いろいろな考え方から成り立っているわけでありますが、大きく分けますと、一つには、個々の技術要素というものをいかに振興していくかという観点からの取り組みが一点、それからもう一点は、それぞれの技術要素というものをうまく結び合わせていきながら、それらをより効果的なものにしていくために何が必要かというような視点からの取り組みが一点、この二つの要素から成り立っているというような気持ちがいたします。まさにこれは、これからの技術振興に必要な視点であると認識をする次第でございます。  ただ、このような基本法的な性格を持つ法律というものは、私どもが危惧いたしますのに、往々にして建前的な法律になりがちである。つまり、個々のものに対して焦点を絞った法律というものではなくて、広く大きくとらえるものでありますから、具体的な場面において活用しようと思うと、どうしてもその使い方があいまいになってしまう傾向があることは否めない点だろうと思います。  そこで、ぜひ大臣、こういう法律においては、形つくって魂入れずというふうにならないための留意が必要だと思うんですね。  それは何かといえば、この法律を考えます上に、大きなレベルでは、国家レベルにおいてこの産業技術力を高めるためにどういう戦略が必要か、つまり、より長期的なところで、また、より大きな指針として、余り状況に対してぶれのないような形で、どうこの産業技術というものを育成するかという視点をきちんと持たれることが大事だろうと思います。それから、もう一点は、逆のことを申し上げるようでございますが、現場レベルでの、例えば研究ですとか、それからその技術の活用ですとか、こういう問題に関しては、余り縛りをかけずに、現場でより自由度が高い判断が臨機応変になされる。この両面をきちんと兼ね備えておくということがこの法案に対して魂を入れるということにつながってくるのではなかろうか、こんなふうな見解を持つ次第でございます。  この点に関しまして、通産省とされまして、どういうような考え方で、どんな対応をお考えになっておられるのか、この点についてのお考えをまずお聞きをさせていただきたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 このたびの我々の産業技術力強化法というのは、二十一世紀の時代を迎えて、世界と伍して我が国が頑張っていくために最も大事な基礎的な技術の開発をどう行うか、そういう視点に立ったものでございます。小野委員の御指摘のように、この法律が本当に具体的にぶれなく生きていくような、そういう体制というのはとても大事なことだというふうに思います。  御案内のように、産業競争力会議というのがございまして、そこで産業界からのいろいろな御意見も出されました。これらの御意見を踏まえながら、産学官の有識者が集まって、去年の十二月に国家産業技術戦略というのを取りまとめたわけであります。国としてどういうような視点でこれを戦略としてとらえて進めていくかということでありまして、そのために、産学官の協力のための制度改革、研究開発投資の重点化、あるいは個々の研究環境において創造性豊かな研究が行われるような人材の育成などなどでございます。  今日のこの法案というのは、これらの考え方を踏まえながら産業技術力強化のための基本理念を示していく、そして同時に、国公立大学の教員等の民間企業役員兼業の規制の緩和を行う。つまり、研究と事業化というのは完全に別々であったものを、学校側での研究の成果というのが事業に生かせるような、そういう形などを今度は十分に考えたわけであります。そのために、また逆に、企業が大学の研究に支出を行う場合も、今小野委員の御指摘のように、余り細かく切らずに自由に研究費として使えるような体制を持っていこうとか、あるいは年度別じゃなくて、やや長期にわたってその資金の活用ができるといったような具体的な背景もつくりまして、この産業技術力の強化というのが具体的な成果を上げられるような、そういう方向を考えているというのがこのたびの趣旨でございます。

小野晋也自由民主党

○小野委員 大臣の御所信の表明にございましたとおり、この問題は非常に将来のために大事な法律になろうかと思います。法律の審議ないしこの決定に伴いまして、これから体制をつくって取り組まれることになると思うのでございますが、今の大臣のお考えの表明のとおり、ぜひ日本の国にとってこの法律が戦略的に有効なものになってくるように、体制整備等についてはよりよきものを整備していただきますように要望をしておきたいと思います。  それから、第二点目の質問でございますけれども、先ほど冒頭に、個々の技術要素を生かすという視点のある法律であるということを申し述べさせていただきました。そこで、大事な視点というのは、技術を産業に生かすという場合に、やはり知的財産権というものを一つの大きな柱に立てながら取り組んでいくということなんだろうと思います。  ところが、日本社会の場合は往々にして、これまでお互い同質社会だったせいもあるのでありましょう、こういう知的なものを財産として個人に、またある団体に帰属するという発想が非常に弱いところがある。つまり、知的財産権を尊重する風土が弱いというようなことが言われたり、また、工業系の学部等を出てきた学生たちにしましても、必ずしもこの工業所有権と言われるようなものに対して明確な意識を持っておられないというようなことが指摘される中にあって、実は、大臣、一つ御提案申し上げたい点がございます。  それは何かというと、大学の工学系の学部におられる学生さんないしは工業系の高等専門学校また工業高校、こういうところに在籍される学生さん、生徒さんに、在籍中に一件の特許ないしは実用新案を取得するまでの経費を国が面倒を見るというような形で、権利を取得するということがかないやすくなるような制度をつくってみてはどうかという問題でございます。  先ほど申しましたとおり、知的財産権の尊重風土をめぐるものも、広く教育の中で生かしていけば、この日本の国の中で根づくものになってくるでありましょうし、また、学生たちも、自分が行う研究から、それが特許や実用新案に結びついてくるということが意識づけられれば、これに伴ってまた研究にも熱が入ってくるでありましょう。  また、そこで生まれたものがベンチャー企業の育成ということで将来の日本産業に結びついてくる可能性もあるというようなことをいろいろと考えてまいりました場合に、ここに投じられる経費というのは決して高いものにはならない。むしろ、日本の将来の戦略的なものとして知的財産権というのがあるということを考えれば、教育の中でこれを有効に生かしていく施策というものが極めて効果的な方法なのではなかろうか、こういう考え方を持っているわけでございますけれども、大臣の御所見はいかがでございましょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 来るべき二十一世紀は、まさに知恵の時代であります。ですから、国民全体が、知的財産権ということに対しての理解、それからそれを活用するということを十分に考える、そういう時代にしていかなければなりません。そのためには、今委員が御指摘のように、例えば工業高校であるとか高専といったような生徒から大学生に至るまで、これに対する理解というのをきちっとさせていくということはとても大事であります。  通産省としては、そういう視点に立って、こういう副読本をつくって無料で生徒たちに配るというようなことをやったり、いろいろなセミナーなんかも開催して、例えば十一年度だけでも、大学生の知的財産権制度についてのセミナーは五十回近くやらせていただいております。加えて、大学等技術移転促進法に基づきました技術移転機関、TLOでございますが、大学生による特許取得に関する助言とかあるいは相談に乗っているわけであります。  今委員の御提案のありました、そういう学生の特許にかかわる件についての補助金なりあるいは助成をするという件までは残念ながら至っておりませんけれども、御意見として今日の段階では一応お聞きするというところにとどまりますが、いずれにしても、知的財産権を持つか持たないかというのは、個々の事業、個人にとってだけでなくて国家の戦略としても極めて重要なことでありますから、これらの問題には心して対応していきたいと考えます。

小野晋也自由民主党

○小野委員 この問題は、私自身も工学系の学部に学んだ人間ですから、大学の授業の中で確かに受講いたしました。  しかしながら、畳の上の水練という言葉があるとおり、幾ら学問的に法律はこうですよ、書類はこういう手続で書いて出すんですよといっても、みずから体験するかしないかということが非常に大きな差を将来に生み出してくるという観点から考えますと、学生の間に一件、本人が自分はこれで取得したいと思うもので書類を提出してとれる、こういうふうなところでのお金の面での裏づけをきちんとつけられるということが極めて大きな効果を出すと信じておりますので、この件につきましてはぜひ積極的な検討をいただきますようにお願い申し上げ、技術仲介業の問題も一件、質問項目があったんですが、残念ながらこの時間でございますので、質問することがかないません。これはまた先のことにして、もうこれで終了させていただきます。  ぜひ今後のこの法律を活用しての取り組みについての積極的な取り組みを心からお願い申し上げて、質問を終了したいと思います。

中山成彬自由民主党

○中山委員長 樽床伸二君。

樽床伸二民主党

○樽床委員 民主党の樽床でございます。ただいま、与党の小野議員の方から、仏をつくって魂を入れないようなことではだめだ、こういうお話がございました。そういう観点から私も質問をさせていただきたいと思います。  その前に、昨年この商工委員会で、私記憶をいたしておりますが、私どもの民主党の方から、起業家支援のための新事業創出促進法等の一部を改正する法律案というものを出させていただきまして、当時、与党の法案との対案のような形で審査をした記憶があるわけであります。その折に、今回出ております大学の先生の民間の役員兼務の規制緩和の問題につきまして、私どもは法案の中にそのことをしっかりと明記をして提案をさせていただいたわけでありますが、当時、政府側はそれに対して明確な答えをされなかったというふうに記憶をいたしております。  それが、昨年の十一月三十日ですか、閣議では私ども民主党が提案した方向で閣議決定がされる、こういうことで今回の法案に至っているように時系列的にはなるわけでありますが、当時の私ども民主党法案のこの項目について、現在どのように評価をされておられるでしょうか。お聞きをいたしたいと思います。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 お答えを申し上げます。  民主党御提出の法案の第二条におきまして、国立大学教員等の営利企業役員兼業について定められておりますことは、大学における研究成果を民間に効果的に移転することにより日本経済の活性化をお図りになろうとする、こう了解いたしますので、このような趣旨に関しましては今回の私どもの認識と共通するところでございます。  しかしながら、今回、人事院も加わりまして、政府全体といたしまして決定いたしました対応方針とは二点の点で異なっております。  第一は、昨年提出されました民主党の法案におきましては、国家公務員法に特例を設けまして、国立大学教員の研究成果を活用する事業を実施するために必要であると認める場合には、任命権者限りにおいて兼業を承認することとなっております。  これに対しまして、今回の対応方針では、大学教員等がその研究成果を活用する事業を実施する企業の役員を兼業する場合に、国家公務員法の体系のもとで、すなわち、百三条のもとで、その第三項に基づきまして、人事院の承認により役員兼業を認めることといたしております。  このような取り扱いといたしましたのは、国立大学教員等の役員兼業を認めるに当たりましては、全体の奉仕者としての基本的性格を念頭に置きまして、公務員法体系のもとで、兼業により職務専念義務にいささかも疑念が生ずることのないように、あるいは、兼業先企業との癒着関係が生じまして、その結果として大学教員等としての公正な職務の遂行が阻害されることがないように等、これらの観点から、中立第三者機関である人事院が審査を行い、承認することが必要である、こうしたところでございます。  相違の第二点でございますが、民主党御提案の法案では、国立大学、すなわち学校教育法並びに国立学校設置法に基づきます国立大学等において研究に従事している人を対象とされておりますのに対しまして、今回の対応方針におきましては、国立大学教員等のほかに、これと全く同じような形で研究成果を生み出しております国立の試験研究機関の研究職員につきましても、国立大学教員と同様の公益性及び必要性が認められるところから、役員兼業の対象としているところでございます。  なお、つけ加えさせていただきますと、民主党の御提案の法案で、国立及び公立の教官が技術移転事業者、TLOの役員を兼ねることに関しましては、本年四月から、国立大学教員及び国立試験研究機関の研究職員がTLOの役員を兼ねることについて、国家公務員法第百三条に基づきまして、人事院の承認により認めるところとしたところでございます。

樽床伸二民主党

○樽床委員 人事院のお考え方はそれで結構、考え方がいいか悪いかは別にいたしまして、おっしゃるのはそれはそれで結構なんでありますが、私が今お聞きしましたのは、当時、通産省及び政府は、我々の法案に対しては非常に消極的というか、はっきりとした返答をされなかった。  当時、与謝野大臣であったというふうに記憶をいたしておりますが、その当時、どうも明確な話がなかった。それが、その後の閣議において我々の方向性を踏襲したような形で法案が出てきておる、これはもう紛れもない事実でありますので、それは大臣がおかわりになったからどうのこうの、責任がないとおっしゃるかもわかりませんが、役所は役所としてずっと継続してあるわけでありますから、この間にどういうふうに考え方が変わったのかということをいま一度はっきりとお教えいただきたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 かつてその話が出ましたときに通産省が消極的であったというような状況については十分に把握はしておりませんが、しかし、いずれにしても、二十一世紀は知恵の時代で、このような形で持っていくことが日本の技術開発につながり、世界との競争の中で生き抜くための大事な点だと考えたわけでありまして、そういう意味では、御党の御意見も受け入れながらこのような法案ができたとお考えいただいていいのではないでしょうか。

樽床伸二民主党

○樽床委員 大臣がおかわりになられて、そこら辺のことについての基本的な考え方が変わったというふうに認識をしてよろしいんでしょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 私がかわったから政策を変えたというほど私自身はうぬぼれているわけではございませんが、これからの時代を考えて、省を挙げて、こういう方向が正しいと判断をしてこのたびの法案の提出になったことはそのとおりでございます。

樽床伸二民主党

○樽床委員 ということは、余り明確にはおっしゃらなかったわけでありますが、端的に言いますと、私ども民主党の方向性を政府が受け入れてこのような形にしたというふうに我々は理解をさせていただきたいと思います。  そこで、今回の法案は、最終的には結局は人事院の承認を経て決めなければならない。この法案について、明確にその意義といいますか大義名分を明記しただけでありまして、最終的には人事院が判断をする、このような法体系になっておると理解していいんでしょうか。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 お答え申し上げます。  国家公務員の営利企業役員への兼業に関しましては、国家公務員の全体の奉仕者としての基本的な性格と、営利を追求することを目的とする企業の経営責任を負う役員の立場、これは基本的に相入れないという認識がこれまでございました。したがいまして、百三条第三項に基づきます人事院の承認というのは極めて限定的に行われてきたわけでございます。  一方、国立大学で生まれました研究成果の事業化を促進する、それによって我が国の産業技術力の強化を図るという観点から、国立大学教員等の民間企業への役員兼業のあり方については検討を続けるべきであるという御意見が出てまいりました。これに関しましては、各方面の御要請を踏まえまして、全体の奉仕者としての公務員の基本的性格と営利企業の経営責任を負う役員としての責務の調和をどう図るかということがポイントになってまいります。人事院もこの点の議論に加わりまして、政府全体として検討してきたところでございます。  この法案は、大学教員等の研究成果を企業において事業化することに関連して国といたしまして諸般の措置を講じることとし、それらを通じて大学教員等の研究成果の事業化に公益性があるということを明確化し、あわせまして役員兼業に意義があることを言明しておりますので、これを通じまして全体の奉仕者性と営利企業の役員としての責務との間の調和がとれた、したがいまして、国家公務員法百三条に基づき兼業を認める上での環境整備がなされたもの、こう理解したわけでございます。  人事院といたしましては、この法案の趣旨を踏まえまして、国家公務員法百三条に基づいて、役員兼業の制度を厳正かつ的確に運用してまいりたいと考えております。

樽床伸二民主党

○樽床委員 非常に難しい表現が続いたわけでありますが、結局、人事院の承認が要る。当然、法案を読めばそういうふうになるわけでありますが、それの基準についてはもう少し端的に、どういう基準を満たせば認めるというふうにお考えなんでしょうか。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 お答え申し上げます。  国立大学の教員も、民間企業の役員を兼業する場合におきましても全体の奉仕者であるという国立大学教員としての本務は免れるわけではございませんので、兼業等により研究教育がおろそかになる、あるいは職務専念義務にいささかの疑念を生ずるというようなことがございますと、大きな問題になってまいります。  したがいまして、兼業中におきましても職務の遂行に支障がないこと、これを透明性を確保することにより確認するとともに、兼業を承認するに際してもその点のチェックが必要と思うところでございます。

樽床伸二民主党

○樽床委員 当然、民間の企業の役員さんになると、公務員でありながら非常に利権絡みのことをやっちゃいかぬ、これは当たり前の話でありまして、こんなことを一々議論することすらやめたいわけでありますが、問題は、その職務専念義務、これは一体何をもって判断をされるんでしょうか。時間なんでしょうか、それとも、成果といいますか、日々の活動内容なんでしょうか。そこら辺がよくわかりませんが、いかがでしょうか。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 公務員の職務専念義務は、その公務員が担っております職務を適切、忠実に遂行するという義務でございます。したがいまして、その義務を遂行するための勤務時間というものが定められておりますので、その期間は公務員としての職務に精励すべきであると考えております。  したがいまして、兼業等におきましては、原則的に勤務時間外に行われるもの、こう理解をいたしております。

樽床伸二民主党

○樽床委員 勤務時間内はだめだということであるならば、恐らくほとんど認められないということになるのではないですか。大体、勤務時間の間は民間の仕事をしちゃならぬということでありますと、勤務時間というのは、普通、日が明るいうちの話でありますから、すべてアフターファイブの活動になる、もしくは土曜、日曜日になる、こういうふうなことにしかならないわけでありますけれども、そういうところしかだめであるということでいきますと、せっかく通産省が努力をされてここまで進めてきたのに、結局は人事院で全部バツですよということになりませんか。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 大学等におきます研究成果を民間に移転する、二つの形があると思います。一つは、研究成果を生み出した方が企業を立ち上げますいわゆるベンチャー企業型、それから、その研究成果を受け入れて、そこにおいて事業化を図ります通常の企業、二つあるかと思います。  前者のベンチャー企業等を立ち上げるためには大変な労力を要することは、これは御案内のとおりでございます。そのような状況におきまして、それと職務専念義務とを調和いたすことを考えますと、非常に難しいことになってまいります。したがいまして、その期間におきましては、職務専念義務にいささかも違背することなしに、むしろ職務専念義務を免除いたしまして、ベンチャー等の立ち上げに努力をしていただくのがよろしいか、こう考えます。  したがいまして、職務専念義務の免除の一つの方法でございますが、この役員兼業にかかわる休職制度というものを現在検討しているところでございます。

樽床伸二民主党

○樽床委員 今、職務専念義務を免除するというふうにはっきりおっしゃいましたけれども、免除して、その間は平日の昼間も民間企業の役員として働いてもいい、今そういうことをおっしゃったわけでありますが、そうすると、元来、この職務専念義務を非常に明確に、人事院の基準でどんと前に打ち出す必要があるのですか。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 先ほども申し上げましたけれども、公務員としての全体に対する奉仕者という公益性と、それから今の兼業いたしました役員としての責務、これの調和を図るのがこの法案の一つのポイントになっておりますので、そこにおいてその調和というのが図れるように、人事院といたしましては諸規則を整備していく必要がある、こう認識いたしております。

樽床伸二民主党

○樽床委員 人事院がどのような御判断をその個別のケースについてされるのかは、それぞれ個別の場合によると思うのですが、通産省と人事院と見解が異なる場合というのがあった場合に、大臣、どうされるのでしょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 委員の御指摘の件がどういうケースかわかりませんから、一概に対立したときはどうするのかと聞かれても、答えようが正直ありません。ただ、大学、学校側と業界との、癒着というと言葉は悪いのですけれども、なれ合いとかそういうようなことを懸念する声というのも一方にはあるわけでございます。  そのために、今般の規制緩和では、国家公務員法の適用を除外するというような法律にはしなかったわけですね。つまり、法律の規定というのは、別個に行わずに、国家公務員法の適用で行うということにしたわけでございます。国家公務員法の規定に基づいて、したがいまして、兼業を認めるかどうかは人事院が判断をする、人事院の判断に係らしめるということにしております。  それから、今もお話がありましたような承認のための基準はどうかということでありますが、これは、例えば人事院規則の中では、教官の大学における職務と兼業先の企業との間に物品の調達関係等の特別な利害関係がないこととか、公務員としての職務の公正な執行が確保できること。二番目は、兼業時間等に関して、公務員としての職務の遂行に支障が生じないこと。三番目は、兼業時間及び報酬といった役員兼業の実施状況については、国民に対して公表して、透明性を図っていく。こういうようなことを規定しているわけでございます。

樽床伸二民主党

○樽床委員 今大臣がおっしゃった四つか三つの原則でありますけれども、それはある意味で当然のことだろうとは思います。  ただ、私は、職務専念義務を時間という形で制約すると、結局は、先ほど小野先生がおっしゃいましたように、仏つくって魂入れずになりませんかということを申し上げているわけでありまして、これまでも、結局はいろいろなそういう事例が出てきては承認されない、出てきては承認されないでずっと来たわけですね。ようやく通産省が努力をされて大義名分をつくった。しかし、人事院の方は前の感覚がそのまま残っていますと、今度は、時間的にこれは民間が多過ぎますよ、こういうようなことになって、結局は何も実行されないのじゃないかということを大変強く懸念しているわけであります。  ですから私は、公務員の職務専念義務というのを時間だけではかるのではなくて、透明性、ディスクロージャーして透明な中で、透明性を確保してその中で判断をして、そして、行き過ぎたところがあれば、それは一年終わった後に、これはちょっと行き過ぎですよ、だからこれはだめですとか、そういう見直しをしていけばそれで済む話であって、最初のところにがんと壁をつくるよりも、透明性確保ということをきっちりやるだけで、あとは年度年度のチェック機能があればそれでいいのではないかというふうに私は考えているわけでありますが、どのようにお考えでしょうか。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 基本的には樽床委員のおっしゃった方向で考えております。  ただ、例えば大学の先生がどういう勤務形態になっているか。場合によってはフレックスタイムのようなこともあり得ますし、大学の先生方にも、あるいはその他の方々にも、いろいろな時間的余裕あるいは研究の態様がございますので、その実態に合わせて、やはり樽床委員のおっしゃった、できるだけこの法律に基づいた、目的に基づいたことができるように調整するように、人事院を初め関係機関とよく調整してまいりたいと思います。  そういうことを前向きに認めていこうということについては、人事院も御了解いただいていると思いますし、ただ、それが本務にもとるようなことになってはいけない。例えば教育とか基礎研究、そういった分野で支障があるようではいけないので、そこの枠組みを積極的に積み上げていこう、こういうことだと了解しております。

樽床伸二民主党

○樽床委員 しつこいようにこの問題について言ってまいりましたけれども、とにかく、私どもも昨年の法案でこういう方向性の提案をさせていただいて、そのときには葬られたわけでありますが、そのおかげでこういう形になってきた。大変結構なことだというふうには思っております。ですから、これがきちっと実が上がるような形で運営をぜひともお願いしたい、このように強く申し上げておきたいと思います。  続きまして、産官学の連携の問題につきまして、その予算といいますか、いろいろ国立大学で民間企業が国と共同研究を行う際の問題点ということで、先ほど大臣のお話にもありましたように、単年度の形を複数年度にするとか、いろいろなお金の使い道が非常に細かく決まっておって、それに一々合わせておったらなかなか成果が上がらない。こういう点があるということが通産省の調査で明らかになって、そして今回のような方向性になってきているということは評価をするわけでありますが、しかし、これは通産省だけですべてが推進、実現できるのでしょうか。  予算の問題等々を含めますと、各省庁にまたがる問題でもあろうというふうに推察をされるわけでありますが、通産省の方向性、単年度予算の撤廃とか費目制限をなくすというようなことを、実際に具体的に推進について検討しているというのは、一体どこがどのようなプロセスで検討されて、今どういう状況になっているのでしょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 現在、国立学校あるいは公立学校は、産学官連携のため民間から受け入れる受託研究、共同研究などの研究資金については、国や地方公共団体の会計を通して管理されることに伴って一定の拘束を受けているということでありますが、このために、学界あるいは産業界から、事務手続が煩雑であるとか、あるいは研究以外にそのために時間が割かれて仕方がないとか、それから研究費の今言われた費目に限定されているからうまくいかないとか、単年度予算だから使いづらいとか、こういうような問題点がずっと指摘されてきたわけです。  そこで、本法案では、この問題を全面的に解決するために、第十三条で、国と地方公共団体は、資金の受け入れ及び使用に関して円滑に行うための措置を講じなければならない、このように定めています。ですから、この法律案が成立しますと、この規定に基づいて、国立学校については大蔵省が、公立学校については自治省が予算の運用制度を改めるということで既に合意しておりますから、その方向で着実に進むと思います。

樽床伸二民主党

○樽床委員 大蔵省や自治省が当然了解しているから閣議決定されたのでしょうけれども、通産省とされましては、ややもすればそれがなかなか進まないということが全くないと断言はできないだろうと思うのですね。  ですから、こういう方向で、先ほど与党の方の質問にもありましたように、この法案が基本法的な骨格を決めるというぐらい重要な法案であるという認識に立つならば、その通産省の方針を大蔵省も自治省もきちっと踏まえて、実際に実現をさせていくというぐらいの強い指導をしてもらわなければならぬというふうに強く申し上げておきたい、このように考えております。  そうすると、これは近々、もう予算が通っておりますから、まだいろいろありますけれども、来年度の予算から具体的にはそういうものが進んでいくというふうに認識をしてよろしいのでしょうか。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 おっしゃるとおり、自治、大蔵、そして関係する文部省とも細目を今詰めているところでございまして、例えば費目区分にとらわれない資金使用ということで、国立学校への受託研究資金、共同研究資金について、現在は産学連携等研究費という目に計上されており、さらに目細に区分されておりますが、この目細の区分を廃止しようということも合意されておりますし、複数年度にわたる契約を締結して、複数年度分の資金を一括して受け入れて翌年度以降も使用することを可能とすることも合意しております。そこには国立学校特別会計において積立金も活用するという合意もしておるわけでございます。  そういったことをやっておりますし、また公立学校に関連して言えば、受け入れた奨学寄附金の一括しての公立学校の長へ交付させるということによりまして、節の区分あるいは年度の区分に縛られずに自由に使用できるような措置もとっておる。またさらに、年度区分にとらわれない資金使用については基金を設けて各地方公共団体において設置する。公立学校についても、今そのようなきめ細かい詰めを最終的に行っているところでございますので、法の目的は達成できるかと思います。

樽床伸二民主党

○樽床委員 ぜひ実現に向けての御努力を心からお願い申し上げる次第であります。  続きまして、通産省からいただいた資料によりますと、日本の大学のそれぞれの国内でのリソース配分ということで、あに図らんや、我が国の大学の、大学の研究者がその国全体の研究者数に占める割合、または研究費、お金の面も含めて、アメリカよりも日本の方が大学でいくとその割合が高い、こういう結果が出ているわけであります。これは、我々に提示された資料にそのように載っているわけであります。  非常に安直にこの数字からいきますと、アメリカは日本以上に大学以外の研究体制が非常に充実をしているというふうにこの数字からは類推されるわけでありますが、もしそうであるとするならば、アメリカが大学外の研究が活性化している要因というのはどのように認識をされておられるのでしょうか。

茂木敏充自由民主党通商産業政務次官

○茂木政務次官 アメリカで大学外の研究が非常に活性化している、この要因でありますが、御案内のとおり、アメリカは一九八〇年代の前半から、非常に自分の国の産業競争力が低下している、こういうことに危機感を持ちまして、産業競争力を向上させるために、まずは大学におきまして、例えばバイ・ドール法等々の活用によりまして大学における研究活動を活性化した。同時に、スティーブンソン・ワイドラー法等によりまして大学と大学を核にした産学官の連携をつくっていく、こういう方向をつくったわけであります。  その結果出てきましたのが、基礎研究は基本的に大学がやる、そして応用研究とか実業化の方は民間がやる、こういう極めて明確な役割分担というのが生まれていった。そのために、民間におきましても戦略的かつ効率的な研究開発活動ができるようになってきた。このような傾向が八〇年代、九〇年代と続いてきたわけであります。  もちろん、分野によりましては、例えばバイオのように、アメリカで基礎研究が大変多いですから、大学での研究が多い、こういう分野も出てまいりますが、何にしても、我が国も、こういった米国の事例等々も参考にしつつ、今後ともますます産学官の連携を図りながら、民間企業も含めた研究活動の活性化に努めてまいりたいと思っております。

樽床伸二民主党

○樽床委員 ということは、日本はアメリカから十五年から二十年おくれている。時系列的に言うと、十五年、二十年前にアメリカがやったことを今ようやくえっちらおっちらやり始めた、こういうことになるのかもわかりませんが。それでいうと、アメリカは先に政府が乗り出して危機感を持って始めた、それが民間にどんどん波及していった、こういうことで、最後に政務次官が、民間も含めての体制をつくっていきたい、こういうふうにお話しになられたわけでありますが、今回の中ではほとんど出てきておりませんけれども。  であるならば、これから日本において大学以外の、今回は国立大学とか公立研究所等々が中心でありますが、そういうところ以外の研究に対する支援策というものは今お考えになっているのでしょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 産業技術力の強化というのは、規制緩和だけじゃなくて、事業者、研究者がみずからの発想に基づいて自由濶達に活動できる環境を整備するということがとても大事だ。したがって、この法案では、民間企業役員への兼業規制緩和措置について、国公立の大学を対象としてやったわけでありますが、国公立の大学だけじゃなくて、ただいまお話がありました国や公立の研究所まで枠を広げた。  それから、大学以外の研究の支援としては、例えば税制措置でいきますと、平成十一年度に制度強化を図ったところですが、その措置では、民間企業が行う試験研究費の額が過去三年間の平均額よりも増加した場合には増加額の一五%相当分を税額控除するといったようなこともやっているわけであります。  これからも、市場原理を尊重しながら、我が国の産業技術が迅速に進められるような必要な施策をとっていくべきだと思います。

樽床伸二民主党

○樽床委員 私は、民間の研究ということに対して大変強い関心を持っておるわけでありますが、それは、やはり民間の活力がなければ、いかに政府が公共事業をたくさん出したとしても日本の経済は元気になれない、こういう前提を私は持っているからであります。  よく別の委員会でも申し上げたところでありますが、私なりの判断でいきますと、人の体に日本経済を例えるならば、高度経済成長期というのは人間でいうと発育盛りのような時期でありまして、人間でありますと日に日に体重がふえる、日に日に身長も高くなる。当時のまさに高度経済成長時代、毎年毎年一〇%もする経済成長が続いていく、こういうのは、まさに人でいう発育盛りであっただろうというふうに思っております。  それが、人も、十代、二十代、三十代はまだ若さのうちで元気でありますからその余韻でずっと元気さを保っているわけでありますが、厄年を迎えるころからそろそろいろいろなことが気になり出しまして、政務次官もその年代であろうというふうに思っておりますが、私もことし厄年でありまして、体のことがだんだん気になり出した、こういう時期であります。こうなってくると、我々は成人病というものを大変気にし出すわけであります。実際、成人病にかかっていく人もたくさんいるわけでありまして、そのような観点からいくと、日本の経済は、バブル崩壊までは若い元気な体でもってきたわけでありますが、今ちょうど厄年を越えて成人病にかかったような状況にあるというふうに認識をいたしております。  こういう状況において、我々の体でありますと自然治癒力を高めるということがどうしても必要でありまして、ただ単に薬を飲んで、カンフル剤を打って寝ておれば元気になるというだけの問題じゃなくて、自然治癒力をいかに高めていくのかということをしっかりしなければ成人病は治らない、このように考えているわけであります。  この日本経済の自然治癒力に相当するものは、私は、一にも二にもこれは民間の活力であろうというふうに考えているわけでありまして、民間の活力をそぐような方向性のものについてはことごとく私は反対をしていきたい、こういう思いが大変強くありまして、どんな場合においても、民間の活力を伸ばすような、そういう方向性のもとにすべての施策を集中させていかなければならぬだろう、こういう認識を持っているわけであります。  そういう点でいきますと、今回の法案は、国立大学、国立研究所、TLO等々を含めまして、はっきり言うたら、公の分野の手直しといいますか、見直しというものが中心であります。先ほど税制の問題等々も大臣おっしゃいましたけれども、そういうような観点からいくと、民間のそういう技術力をどうやって高めるのかというのがまず一番ベースにあって、それを助けるのが国の仕事である、こういう発想に立たなければならぬだろうということを強く申し上げておきたい、このように思うわけであります。  そういった点で、大分時間が来ておりますけれども、民間ということを考えますと、私立大学もある意味においては民間企業であります。今回、国公立大学ということが中心となっておりますが、私立大学をいろいろなことで除外して、民間から国立大学への資金受け入れ円滑化等々につきましても、私立大学という言葉がなかなか見当たらなかったわけでありますが、なぜ私学を除外するような方向にされたんでしょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 本措置は私立大学を除外しようというものではありませんで、もともと私立大学は自由にやっているわけであります。そして、国立大学と公立大学についてのみ、収入が国や地方公共団体の会計を通して管理されているということに伴って制約が課せられていた。この制約を除去しようとするのが本措置でございますから、国公立大学についてのみ規定をしたということでございます。  すなわち、国公立大学が民間から受け入れる受託研究、共同研究などの研究資金というのは、例えば旅費であるとか謝金であるとか、費目区分に管理されて非常に使い勝手が悪い。これをそういう区分に縛られないようにしていこうとか、あるいは、複数年度にわたる研究でも単年度ごとに分けて契約しなければならぬというのは研究の成果の上でもはかばかしくありませんから、こういう、つまり国公立の大学にのみ規制されていた部分を除去しようというのが今回の法律の趣旨でございます。

樽床伸二民主党

○樽床委員 御説明はよく理解できるわけでありますが、私立大学が今まで制約がなかったにもかかわらず、ややもすれば国公立大学中心の技術体系になっておる。科学技術の中心はどうしても国公立大学に偏っておるというのがこれまでの我が国の現状であろうと思います。  逆に、アメリカ、別にアメリカのまねをすればすべていいとは思っておりませんけれども、我が国には我が国のあり方があって、アメリカにはアメリカのあり方があって、一〇〇%追随する気は私は個人的には全くないわけでありますが、しかし、海の向こうでは私立大学が非常にそういった分野においても力を持っているというふうに認識をいたしております。  本来は規制がないにもかかわらず、なかなか充実をしていない私立大学の研究する力を高めていく充実策ということは、今後何かお考えでありましょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 アメリカなんかの場合には、もともと国立大学というのはありませんで、州立大学が公立ですね。したがって、私立大学が中心になってこれらの産学提携がなされているということは当然のことだと思います。  日本の場合には、国公立というのがかなりあって、かなり研究も進んでいた。しかし、その研究成果が民間の事業に生かされていない。そこで、このたびは、規制緩和によって生かされていくようにしていこうということになったわけでございます。私立大学についても、当然のことでありますが、一層産学提携については前進させるように努力させたいと思います。

樽床伸二民主党

○樽床委員 日本の経済のこれまでの歴史を見ておりますと、大昔の話でありますが、例えば鉄鋼でも、初めは官営で鉄工所をつくって、それが民間になって、それが現在の新日鉄等々になっているわけであります。  そういう点でいきますと、アメリカは国立大学がなくて州立大学からの歴史的経緯がある。日本は、国公立大学があって、それからという経緯がある。その経緯の違いはあるにしても、我が国は、発展途上の段階において、民間がまだまだできないことを国がまずやって、民間ができるという段階になればそれを民間に渡していったということで現在まで来ているわけでありますから、この研究の分野もそういう方向性にしていった方が私はいいのではないかというふうに思っております。  すべてをお役所が政府の権限でやるというこの国の運営の仕組みというのは、まさしく発展途上国型のシステムだというふうに私は認識をいたしておりますし、今お越しになった堺屋長官もそのようなお考えをお持ちではないかというふうに類推いたしておりますが、そういうような方向性に向けてさらに進めていただくためには、今回の、国立大学の規制を外しましたよ、それで終わったということではなくて、これからさらに突っ込んでいく必要があるということを大変強く認識いたしております。  残り時間がもう余りなくなりましたので、そこら辺についての御決意を最後にお聞きいたしたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 さまざまな規制緩和を行うことによって国公立大学の研究の成果が民間の企業に生きるようにしていこうということで、このたびはスタートするわけでありますが、終わったところではありませんで、これが始まりでございまして、これからひとつ大いに前進をさせて、我が国の産業が技術改革によって前進できるように、それが二十一世紀の日本の姿になるように、挙げて政府は努力していくべきだと考えます。

樽床伸二民主党

○樽床委員 ほかの省庁に比べるとかなり柔軟な通産省でありますので、今回申し上げましたようなことをぜひとも十分に念頭に置いていただいて、ややもすれば、法律をつくったらそれで終わり、次のまた別の法律をつくるのに労力を費やして、できたら終わりということの繰り返しがこれまでの我が国の行政であったように思います。  そういうことがなきように強くお願いをいたしまして、私の質問を終わります。

中山成彬自由民主党

○中山委員長 渋谷修君。

渋谷修民主党

○渋谷委員 よろしくお願いいたします。  堺屋長官の件はきのうでおしまいにしたかったのでありますが、本当は指導法の方の準備もしておりまして、法案の審議をきちんとしたいというぐあいに思っておりましたが、きのう採決が行われてしまいましたので、採決が行われた法律でも、運用が大事でありますから、その分はその分でまた追加して質問する機会を得たいと思います。  きのうの経過の中で、最後に、経済企画庁の職員の倫理規程に基づいて届け出をしている、申請をしているということでありますから、それを出していただけますかということを申し上げましたら、プライバシーにかかわる部分もあるので出すことはできないという経過になりまして、理事会預かりとなり、その理事会の方の経過も伺いました。  大畠理事からきょうの朝伺ったわけでありますが、その中に、企画庁がこの書類を出しますと横並びになってしまう、他の省庁にも迷惑をかけることになるのでこれは出せないのだという話なんですが、プライバシーの部分なんですか、それとも護送船団の横並びで迷惑がかかるから出せないということなんですか、どちらですか。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 本質的にはプライバシーの問題でございます。昨日も申し上げましたように、渋谷先生のような真摯な状況でございますとよろしいんでございますけれども、どんどんそれが前例になって、いろいろなケースを考えますと、やはりプライバシーの問題は重要だ、こう考えております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 そんなたくさんの項目ではございませんね。その中で、プライバシーにかかわるというのは一体どこの項目ですか。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 どこの項目というよりも、こういう個人のことに関するもの、これを出すという前例をつくりますと、この項目のどこというのじゃなしに、そういう前例をつくりますと全体として個人情報が出るということ。この場合、どこが悪いということよりも、そういった前例をつくって一般的にこういう書類が出されるということがやはりプライバシーの侵害になるんではないか、こう考えておるわけでございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 堺屋さんにしてはほとんど説得力がありませんですね。公務員倫理法が今度四月から施行されますが、その中で、例えば贈与等にかかわる部分も報告が行われ、よほどの例外的な部分を除いては全部公開されることになるじゃありませんか。公務員倫理法はもう長いこと議論してきているんですよ。経済企画庁だけ別の世界にいたんですか。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 公務員倫理法は法律として施行されるのでございまして、そうなればそうなったでその時代の対応があります。こういう法定された場合は、やはり国会という国民を代表される方々、議員が定めることでございますので、それは国家公務員として従うべきだと思っております。  ところが、今日の状態ではそういう法制になっておりませんし、また個票といいますか、個々のものにつきましてはマル秘扱いになっております。そういう状態であればこそ国家公務員倫理法を制定するということもあったんではないでしょうか。

渋谷修民主党

○渋谷委員 もと通産省におられた、そういう意味での体質、癖もあるのでしょう。それは今どきの時代では全く説得力を持ちません。よほどの国家機密にかかわる、国家の損害にかかわるという話ならともかく、この資料の中に提起をする内容などというものはそんな重大な内容じゃないのであります。そのことにここまでこだわらなければならないということ自体が私は理解ができない。  ぜひ、そのことがとても大事な問題でありまして、もう一度改めて、きのうのことの繰り返しになりますけれども、私がこの問題について資料要求をいたしましたときに、その資料について、参議院の予算委員会の速報を持っていけば足りるなどという堺屋長官の判断、そのこと自身が、私は長官自身の能力を疑う。議会に対する軽視でしょう。この委員会から、私が委員会の委員として資料の要求をしているわけでありますから、それに対して真剣にこたえるべきじゃないですか。そういうことが実は今回のようなより力を入れた取り組みの質問ということにならざるを得ないじゃありませんか。いかがですか。きのうのことの、資料に対する対応の反省も含めてでありますが、いかがですか。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 すべての個人情報というのは性格的に一連でございまして、あるものが流出すると、そこに書かれていたことがその人にとって何ら障害がなくても、Aさんの個人情報が流れることは、やがてBさん、Cさんと、同種の情報が流れることになります。いろいろの登録関係、今後ふえてまいりますいろいろな、国民に対するプライベートな内容を含む、例えば納税番号の問題でもそうでございますし、いろいろな問題でこれは重大な問題であります。極めて大事な問題でございまして、ここでそういうことを、個人情報を安易に流しますと、私の文筆人としての名誉が歴史的に傷つくと私は心得ております。  したがって、そうおっしゃいましても、この場がどうだということよりも、そういった、過去にもその例はございます、個人情報というものは一括して、一たん流れ出しますと前例をつくるということになりますから、状況としてこれはやはり出せないものは出せないんだ。  それで、もしそれがあれでございましたら、法律でこういうものは出せ、こういうものは守ろう、こういうぐあいにお決めいただく。そういたしますと、その職につく者、その行為をする者はそのつもりで行えということでございますから、それはそれでいいと思うんですが、そうでなければ、今出さない、マル秘になっているものを、突然、突然といいますか、ある日出すということになりますと、また違う分野でも行われるし、同種のことが他にも及ぶ。これは非常に、民主主義、自由主義というのを守る大変重要なポイントだと考えております。決して一時的なことで私は申し上げているのではございません。(発言する者あり)

渋谷修民主党

○渋谷委員 本論と関係があるから質問しているわけであります。いいですか、行政権力者の行政姿勢に不信があれば、議論される法律、それを執行していくことに対して国民の信頼が得られますかということが基本になっているから、このことを申し上げているんです。  したがって、まさに自由主義とかそういうことでいうならば、今時代の流れは基本的には情報の公開に向かっているわけであります。ですから、公務員倫理法も四月から施行されるわけであります。その流れと逆行するような、あるいはあたかもそれとは全然別世界にいるような感覚で行政をやられては困るんであります。このことが基本なんですよ。それを平気でやっているんであれば、堺屋長官が得意の数字を並べながら例えば経済回復の指標を述べる、それらの数字が信じられますか。粉飾をやっているんじゃないかという話になりますよ。  いいですか、きのう私は経済企画庁の職員の倫理規程ということを申し上げて、そして長官にここでそれの二条の一項、二項を読んでいただきました。その解釈について長官にお願いを申し上げましたら、長官の方では実は国家公務員法の解釈をここで述べたのであります。この重大性について気がついていますか。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 私は、国家公務員法に基づきまして、これに関連いたしまして、経済企画庁としては、職員が個人として民間業者の依頼を受けて、相応の対価を得て当該民間業者の作業協力を行ったものとしても、勤務時間外であれば、かつ協力内容が継続的でないものであれば、規程に照らして職務専念義務違反などの問題は生じないものと考えている、このことをお読みいたしました。これは企画庁の倫理規程として公表されておるものでございまして、決してこれが、お読みしたことがどうというわけではないと思います。  また、私が職員の個人的情報を秘匿にする、これは、パブリックとプライベートという問題はやはり重要なけじめでございまして、行政の透明化ということとプライバシーの保護ということとは必ず両立しなければ、どちらか一方がなくなると、これはまさに行政に対する信頼感がなくなります。公務員だから、公務員のプライバシーとして守られることが破られるということになると、プライバシーとパブリックのけじめということが問題になります。  したがって、こういう規程がございますから、これはこれでそのように施行する、きちんと施行するのがいいのではないかと思っております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 公と私の間にグレーゾーンがありまして、そこのグレーゾーンの中でこれまでも幾つかのスキャンダルがあったり不始末があった。国家公務員法というのは、ずっと以前からあった法律です。それについて、今長官がおっしゃったのは実は公務員法の解釈、部内での解釈です。つまり、国会を通して、法律を通して普遍化したものということではないのであります。役所の中の解釈なんです、これは。  それで、いろいろな事件が起こってきたから、大蔵省の不祥事や厚生省の事件などもありましたから、各省に、みずからきちんと身を正さなければならないということで、経済企画庁の職員の倫理規程というのをつくったんです。これは公になっているものです。それぞれの職員がこれに沿って行動しなければならない。  だから、話が前後、時間が逆転しているでしょう。長官、初めてわかりましたでしょう。あなたが国家公務員法に基づいて、それによって我々の行動を律するということであれば、機関として、あなた、長官自身が訓令を出したもの、これはもう要らないということで捨てることになるじゃないですか。  私があなたに質問したのは、職員の倫理規程に基づいて、この解釈というのはどうですかと。わざわざ二項を読んでいただいて、「日常の行動について常に公私の別を明らかにし、職務やその地位を私的な利益のために用いてはならない。」明確じゃありませんか。そのために倫理規程をつくったんですよ。それを、私があなたに質問したら、国家公務員法に戻る。もちろん本法は国家公務員法ですから。しかし、そちらのグレーゾーンでは問題が起こるからということで、より明確にしたのが倫理規程なんです。そのことの重大性というものを、訓令した、発令した者が理解できなければ、だれが従いますか。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 もちろん、このことの重要性はお説のとおりでございまして、まず国家公務員法があってグレーゾーンがある、その準拠として基本の国家公務員法も述べた。そのグレーゾーンを解釈するために各省それぞれこういうものをつくりました。それにあわせて、DVDの製作で私どもの職員のやったことには疑義がない、こう申し上げておるのでございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 私が申し上げたことはもう一度改めてよく考えていただきたい。倫理規程を軽んずるようなことではいけないでしょう。さらに、これから公務員倫理法というそれの上位法ができるわけでありますから、それを踏まえて経済企画庁がきちんと仕事をしてもらわなければならないというぐあいに思います。  きのう確認しましたように、今度の件は、参議院予算委員会のあなたの答弁の中で問題点が実は明らかになっているんです。日経映像社あるいはPHP研究所やパナソニックデジタルコンテンツ、そのほか幾つかの会社がそれぞれ来まして——長官自身の発想は、私はそれまで否定しているんじゃないんですよ。文字情報としての経済白書、これを何とか映像化して、皆さんがよく見て立体的に、あるいは解釈、理解がしやすいようにしたい、いい発想じゃないですか。それであれば、予算化して、きちんとルールに基づいて委託製作をすればよかったんですよ。公募すれば、こういう社がみんな応じてくるんですから。ところが、あえてそれをしない。  だから、この日経映像社は、企画庁から委託費をいただいて製作をするということでないととても引き合わないということで、やめていくわけでしょう。これはあなたの説明です。当たり前の話ですよ、普通の会社ならば。製作に一千万もかかる、それを回収できない、あるいは利益の追求ができない、これは企業に損害を与えることになりますから、やめたという話になりますよ。  そして、幾つかの会社が企画書を持ってきて、最終的にはそれぞれの自己責任でつくるということになった。それはそれでいいでしょうという話ですが、結局は、その中で経過を誘導していって、あなたがつき合っているデジタルアーカイブズ社というところに誘導していたというぐあいに見られるわけですよ。そういう疑惑がとられるわけです。  いいですか。このやり方は、ほかの中小企業の例えば官公需、あるいは大手も含めてそうです。こういうやり口はあるんです。つまり、一円で落札をして実績をつくって次につなげていくというやり方はあるんですよ。今回だけで済まない。当然、プレステみたいな装置がどんどん社会に普及してくれば、DVDを見られるということになれば、企画庁にこれを実績にしてやらせろという話になる可能性だってあるんですよ。よもやそういうことにはつなげていきませんでしょうなということは、企画庁に最後に確認しておきます。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 私の、DVDで国民により正しく、より簡単に経済白書を理解してもらおうという意図に御賛同いただきまして、まことにありがとうございます。ぜひ、ことしもやりたいと思います。ありがとうございました。  それで、そのやり方でございますが、予算をとってというのは一つの方法でございます。現に、経済企画庁編という白表紙のものは、内部に配付するために予算で大蔵省印刷局に発注しております。しかし、それだけで十分かというので、印刷分野でも、毎日新聞社エコノミスト誌や東洋経済誌などは無料でやっています。その場合は経済企画庁編がついておりません。  それで、DVDとかCDでございますが、これがどれほど国民に広がるものかわからない、その状態で国費を使ってやるというのはなかなか費用対効果の問題で難しい点がございますので、できることなら、PFIみたいに、民間の活力といいますか民間のものでやってもらいたいということで、去年試みたわけでございます。これは、私は悪い方法ではなかったと思います。  それで、実績づくりとおっしゃいますが、一円でと言うが、入札行為とか登録行為とかいうのがあればそれは実績づくりになります。これは何にもないわけですから、だれでもできることをその会社、そのグループがおやりになったということですから、企画庁の登録業者になるわけでもなければ実績づくりにもなりません。  したがって、我々との関係、少なくとも官庁との関係では、これが何かの効果があるとは思いません。そういう事実を磨いたというような、トレーニングをしたというような企業内部の蓄積はあったともちろん思いますけれども、そういう意味では、役所にまずこれで実績をつくって次に受注するというような段階のものとは全く異なることは、委員も御理解いただいていると思います。

渋谷修民主党

○渋谷委員 せっかくそういういいものをつくろうということであるならば、やはりオープンに、だれからも疑惑を持たれないように、ことしももしやられるということであれば、それはそれで大いに結構な話じゃないですか。予算をつけてちゃんと、みんなから見て後で問題にならないように、公募して一般競争入札でやるという方向でそれはぜひ考えてください。  それは当然の話ですよ。だって、日経映像にしたって、ほかに聞いたPHPにしたって、チャンスがあればやりたいと言っているんですから。最終的に特定のところに誘導されるなどというのは、それはまずいですよということを申し上げておきます。  このことを申し上げているのは、事情のわからない議員さんもおりますから申し上げているんですが、少なくとも私ども政治家、もちろん大臣もそうでありますけれども、針の先ほども実は私どもの行動について不信を持たれてはならない。ましてやいろいろな不祥事が生じているところでありますから、みずからの身を厳しく律するということでなければ、ましてや行政権限を持っている方々でありますから、そのことをあえて申し上げておるのでありまして、ここの委員会で審議するに十分にふさわしい内容だと私は思って、確信を持って申し上げております。  それでは、次の問題に参ります。先般、所信表明に対する質疑の中で京セラの問題を取り上げましたが、若干の時間だけ、これもそんなに長いことやりません。  京セラによる補助金の不正流用の件なんですが、これは、今回の産業技術力強化法案を審議する上でも実は非常に参考にしなければならない点を含んでいるんです。それは後ほど申し上げます。この問題についてですが、その後、通産省としてはどのような対応を今されているでしょうか。  済みません、企画庁長官はお時間ありますね。後で、関連しながらこの産業技術力強化法案についてはやりとりできる話でありますから、お願いいたします。  では、大臣。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 先般の委員会におきまして、渋谷委員から御指摘がありました。そして、そのほかの補助金等の案件についてよく調査をしろということでございましたけれども、私ども当然、こういうことが起こったわけでございますから、その他の案件について調査をいたしております。  現時点で調査対象となっておりますのは、帳簿等の保存義務五年の期間が残っている四件であります。具体的には、新発電技術実用化開発費補助金に係る案件二件、エネルギー使用合理化関係技術実用化開発費補助金に係る案件が一件、新規産業創造技術開発費補助金に係る案件が一件であります。これらにつきましては、二月十七日以降、通産局におきまして立入検査も含めて調査を実施中でございまして、今後速やかに取りまとめを行っていきたいと思っております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 今の話ですが、瀧本さんが内部告発した件は通産省の調査でその一部が確認されました。非常に悪質なケースであるということで一定の処分が行われた。ただし、適正化法に基づく刑事告発、これは時効にかかっていたのでできなかったという経過がございました。  瀧本さんのケース以降、京セラに支出されている補助金の件数と、その総額は幾らになりましょうか。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 件数は先ほど申し上げましたとおりでございまして、金額も申し上げますか。(渋谷委員「はい、金額をあわせて」と呼ぶ)  それではまず、太陽電池発電における簡易型連携保護……(渋谷委員「項目は長いから件数と金額だけでいいです」と呼ぶ)  それでは、四件をそれぞれ申しますと、一件は、補助金が千三百三十三万一千円で、平成四年度から七年度の案件。それからもう一件が、一億四千四百六十七万三千円の補助金、超電導素子云々という項目でございます。それから第三件が、薄型大面積かつ高効率の多結晶シリコン太陽電池云々というものでありまして、一億六千四百十万一千円。それから第四番目が、大容量デジタル移動体通信の基地局用超電導フィルター云々という案件でございまして、四千二百四十万円の四件でございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 その中にはこの二月で終わりになりましたものは入っていますか。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 先般御指摘のその案件は入っておりません。

渋谷修民主党

○渋谷委員 それなりの金額の補助金が、瀧本さんの本の内部告発で指摘された事件のありました以降も実は出ているわけですね。それ以降もそれぞれの項目について通産省としては調査を行っていますね。何回ぐらいやっていますか。トータルでいいです。個々はいいです。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 通産省から直接補助金の交付を行った四件の事業について、現在通産局が調査を行っております。  これらの案件につきまして、当時の検査の状況をあわせて確認いたしましたが、中間及び確定検査の回数は合計二十二回でございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 瀧本さんの事件で明らかになりましたケースでは、十数回通産省としては調査をやったけれども、その時点では事実は出てこなかった。  その中で、実は三回ですか、通産省の調査官が接待を受けていたということがあります。その後の別の内部告発でも、こうした補助金の不正流用については常態化していたという指摘がありまして、やり口も一緒ということでありますから、当然のことながら、今、その後のケースについても同じように考えれば、通産省が調査をやってもやはり問題はなかったけれども、その調査の過程で調査官自身が接待を受けていたということも想定されるわけですね。そのこともあわせて調査をやっていますか。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 そのような飲食の有無についても確認しておりますが、検査時における飲食の事実は調査結果ではなかったと理解しております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 会計検査院は、その後どういう対応をされていますか。

諸田敏朗会計検査院事務総局第五局長

○諸田会計検査院当局者 お答え申し上げます。  先般の委員会で御答弁申し上げたとおりの方針で、鋭意検査に取り組んでいるところでございます。  現在は、通産省当局が既に調査と処分を行った事案につきまして、当局から説明を受けた上、補助金交付関係の資料等を分析中でございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 実は、これは杞憂であればいいんですけれども、幾つか心配をしております。  この京セラの件でも、まさか検査院のOBが京セラの東京本部次長にいるということなどは私は知りませんでした。いろいろ調べていく中でそれが実は明らかになったわけでありまして、過去の会計検査院の俗に言う天下り状況といいますか、これは普通ならばいろいろ四の五の言うんでしょうけれども、会計検査院はさっと資料を全部出してきました。これは、真剣にやろうという姿勢だと思います。  やはり、通産省あるいは大蔵省の関連に随分とお世話になっているんですね。会計検査院というところは許認可権限を持つ組織じゃありませんから、OBのポストを確保するというのは実に難しい役所であることは私も承知をしております。したがって、いろいろな意味で関係のある通産省や大蔵省、そことの協力を得ながらその関係にポストを得るということも、実は、これは余り思い出していなかったんですが、昔々会計検査院の方といろいろな雑談をすることがありまして、お話を聞いて、ああそうか、あのことだったんだということで、なるほどと思いました。  貴重な時間ですが、閑話休題で若干申し上げますと、私自身も政治家としてのいろいろな関心があったんですが、あの湾岸戦争のときに日本がアメリカに一兆五千億の資金援助を行ったんです。金だけ出して人を出さないで何だという議論も一方でありますけれども、この一兆五千億の金というのは一体どうなったんだろうか、どこにどういうぐあいに使われたんだろうか、国民の税金なのに会計検査院がこれをチェックするということは行われているんだろうかという関心で、実は会計検査院の担当者に連絡をしまして、これは私が落選しているころの話ですけれども、いろいろお話を聞いたことがあります。  アメリカにこれは直接に金を渡したわけじゃなくて、当時、湾岸のアラブ諸国協力理事会の事務局長とサウジアラビアの日本の大使と、この二人だけが管理する口座に都市銀行を通じて約一兆五千億円のお金が振り込まれたんです。これの調査を会計検査院としてはやりたいというぐあいに言ったんですが、外務省は、これは外交にかかわることなので一切だめだということで、一年ぐらい必死の交渉をしてやっとこさ会計検査院が検査に入ることができた。ところが、資料等はコピーさせてくれない、ただ見せてくれるだけということですから、実は大変な状況があったわけであります。  皆さんも御承知のように、このうちの一兆一千五百億は、実はアメリカのペンタゴンに直接振り込まれたんです。これは、アメリカ大使の一片の紙、請求書ですね、これだけの金がかかったということでの請求書でこれだけの巨額の金が実は振り込まれたんですね。それ以外にはイギリスやフランスなどにも支出されまして、これの総額が九五%を占めている。それ以外の部分はサウジアラビアとかその地域でありますけれども、これほどの巨額の金でありますから、家計簿だって、最後、帳じりゼロにするというのは、これはなかなか難しい話であります。当然幾らか端数は残ったんだろうというぐあいに思いましたが、いろいろ調べてみたら、何十億かは残ったようでありますけれども、その使途というのは、実は余りはっきりしておりません。  外務省はその資料を今も持っているとは思いますが、このことについては時効というのはありませんからね。政権交代すれば、これは海部さんと小沢さんが幹事長のときにやったことでありますけれども、その事実がいずれ明らかになるでしょう。  このことをやっている間にアメリカは、皆さん御承知かどうかわかりませんが、東西冷戦構造崩壊の後でありますから、約四兆円の武器を中東諸国に売ったんですね。大したものであります。  そういう状況の中で、実は、会計検査院の方々とお話をいたしまして、なかなか自分たちには天下りをする先がない、また、会計検査といいましても結局は役所側の協力姿勢がないと実効が上がらないんだと、率直なことを漏らしておりました。  そういう意味で、今度の補助金の件も、これは杞憂ということであればいいんですが、いろいろなところからの情報で、京セラの東京本部の次長に行かれた土井さんから会計検査院の方に、京セラを外してほしいといった趣旨の連絡があった。それについてどう応じたか、きちんとやったか、あるいはそれを受けてやらないということにしたのか、そこのやりとりはわかりません。  前回ここで指摘をしていますから、当然、検査院の中ではそれは問題になったはずでありますが、事実を確認されていると思いますけれども、いかがですか。

諸田敏朗会計検査院事務総局第五局長

○諸田会計検査院当局者 ただいまの件につきましては先般の委員会でお答えしたとおりでございますが、念のためその後再調査をいたしましたが、OBから検査を外してほしい旨の要求があった、あるいは検査を外したということは確認できませんでした。  現に、京セラに対しましては、最近三年間で二回の検査を実施しております。したがいまして、当方では、いつの時点のどの話かわかりかねますので、現時点におきましては、再度調査するという手法がないということでございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 もちろん、そういう答弁にはなりましょう。会計検査院の独立性が疑われたり問われたりするなどということになりましたら、これは重大な問題であります。  私ども民主党は、既にこれまでも提起したところでありますけれども、本来は、国会がこういう税金の使い道等について厳しくチェックする国会自身の自主的な機能をつくらなければならないということから、例えばGAOといったような提起などもしてきたところであります。  会計検査院が、今度の件も含めまして、通産省もそうなのでありますけれども、十分にそこのところは、お互いに仲よくするというのは困るわけでありますけれども、鋭意努力して、このことについての真実の追求に全力を挙げて取り組んでいただきたいというぐあいに思いますが、大臣も含めて、会計検査院、いかがでしょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 通産省といたしましては、事実を把握するために調査を行っておりますが、一層厳格な調査を進めるつもりであります。

諸田敏朗会計検査院事務総局第五局長

○諸田会計検査院当局者 お答えいたします。  補助金だけではございませんけれども、ただいまの先生の御指摘も踏まえまして、今後十分、さらに検査に当たっていきたい、このように考えております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 そこで、京セラの件ですけれども、最後に一言。  稲盛さんですが、まあ、ありていの言葉で言えば、税金のごまかしをするような会社の長が政府の審議会の委員などというところにいること自体が、私はどうも理解できない。これほどの問題になっているわけでありますから、みずから辞して、京セラの態勢の方は大変でしょう、これでたしか三年間補助金が出ないんでしょう。ということになれば、京セラの態勢に稲盛さん自身がトップリーダーとして全力を挙げるということでなければならないと思うのでありますが、大臣、いかがでしょうか。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 審議会等の委員につきましては、個々の審議会等の目的に応じまして任命されているわけでございますが、稲盛さんが、このたび、産業技術審議会の臨時委員を平成十二年三月十四日付で辞任されたことは事実でございます。  ほかの役職等については、我が省と関係ございませんのでお答えしかねるわけでございますけれども、そのような状況でございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 そのほかの審議会の委員もこの際辞して本業に専念すべきだという議論が国会の中であったということは、両大臣、ぜひ機会がありましたら御本人にお伝えいただきますようにお願いいたします。  特に、新千年紀記念行事懇話会という、これは堺屋さんが提唱したんでしたか、このイベントは。そうですね。その意味でも、この委員もされているわけですが、堺屋さん、いかがですか。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 ただいま御指摘の件と稲盛和夫氏、これは職務と全く関係なしに、個人の経験、知識でお願いしているわけでございまして、どのように取り扱うべきか検討をしてみたいと思います。

渋谷修民主党

○渋谷委員 審議会の委員といいましても、これは、きのうから私が申し上げておりますように、国家組織の中の一つの機能として、それで参画をしているわけでありますから、そこに疑念を持たれるということがあってはならない、それぞれが身を正していきましょうということのその延長線上であります。  ましてや、これほどの巨額の補助金が費やされ、その貴重な部分が浪費されているということになりましたならば、これは問題ですから、そのことについてぜひ御認識をいただきたいということ。  それから、先ほどの例のDVDの問題との絡みの中で思い出しちゃったんですが、古瀬幸広さん、これも新千年紀の委員をやっておられますね。この方のことも少し調べました。そうしましたら、立教大学の助教授、例のデジタルアーカイブズ社の取締役ということになっているんですね。どうもおかしいなと思いながら、立教大学に連絡をしましたら、立教大学から回答をいただきました。  立教大学の就業規則では、第三十五条で、専任教職員で他に職業を兼ねようとする場合は許可を受けなければならない。古瀬さんについては兼職に関する申請はないということでありますから、個人の行動というのはきちんと律するように古瀬さんにもよくお伝えいただきますように、やはりきちんと職務に専念する、新たにこういうことをやらなければいけないというときには、それはちゃんと届け出ればいいんですよ。そういうことは行われていないという立教大学の方からの回答があったことをお伝えしておきます。  それから、補助金をめぐる問題、両大臣とも、単なるスキャンダル追及をいつもやっているなというぐあいに御認識なさらないでください。国対副委員長という役目柄もありまして、実は、補助金行政のあり方を、この京セラの事件をめぐりまして、私自身も非常によく勉強をさせていただきました。やはり、こういった内部告発がなければ、なかなか実態というのはわからないものだなというぐあいに思います。  この補助金という問題について、実態を知れば知るほど、やはり幾つかの制度的な矛盾、問題によって、現場も無理やりそうせざるを得ない状況に追い込まれる。結果としては、要らないところに補助金がつけられたり、言ってみれば、ばらまきの公共事業と同じようになっている構造もあるわけです。ここのところを正していかないと、産業技術力強化法案、今度の法律によってNEDOに対する守備範囲が広がるんです、そこも同じような構図をこれから引きずっていくことになるんですね。  貴重な税金が、今これから大変大事な時代ですから、我々は、そこに集中的に効率よく税金を投入して成果を上げなきゃいけないわけでありますから、そのためには、今度の事件を踏まえながら、補助金行政のあり方というものを、通産省事務当局としては当然この間の指摘を通じながら検討をしてきただろうというぐあいに思いますので、この補助金行政のあり方についてどうするかということの考え方がありましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 従前から、補助金の交付先の決定、あるいは確定検査等、補助金の執行に係る一連の手続については、補助金適正化法及び交付要綱の規定に基づきまして適正に実施してきているものと認識しています。  しかし、今回このような事態が生じたわけでありますから、まことに遺憾であるというふうに思うと同時に、この事態から何を反省してどのような対応をすべきかは、我々にとっては極めて重要なことだと考えます。  まず第一に、補助金の執行に当たる職員の能力を一層向上させる、これが非常に必要であります。あわせて、交付先の企業に対しても厳しい自覚を求めるということが、当然のことでありますが極めて重要であります。そういうような観点から、これからの再発防止に万全を期していこうというので、この一月に、省内ではマニュアルをつくることにいたしました。  これは一月にまとめ上げたのでありますが、補助金執行適正化のマニュアルということでございまして、いろいろありますけれどもそれは省くとしまして、この三月の二十九日には、外部の専門家を招きまして、補助金執行業務を担当する職員に対する研修を行うことにいたしまして、ここには会計検査院の方においでをいただき、これを毎年実施していこうということなどを決めました。  また、補助事業者の経理処理体制の確認等適正な交付先の選定、これは例えば、いわゆる補助事業の執行部門と経理部門がきちんと分かれているかとか、相手の企業の対応をきちんと確認するといったような、そういう選定を行う職員の指導、研修ということなども行いました。そして、不正を行った場合の厳しい処分方針を交付決定時点からあらかじめ補助金をお渡しする事業者に周知徹底するようなことなどなど、あらゆる角度からそのマニュアルに沿ってこれから適正な対応をしていきたいというふうにしております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 真剣に検討されているということはわかりました。  そこで、瀧本さんの方からの指摘されていることも含めながら、私の方がここで幾つか提起をしていきたいと思うんですが、先ほど取り上げられておりました予算の単年度主義という問題、これもやはり不正をもたらす一つの背景になっている。  先に予算ありきということになりますと、現場ではやはりそれに合わせて支出をしていかざるを得ない。それで、どうしてもつじつまが合わなくなると、実は、労務費などで通らないようなお金を、通産省の方がアイデアを出して、報告作成作業という項目にすれば労務費として通りますよということをお互いにやっちゃうんですね、なれ合っちゃうんです。結果として、これが労務費の不正使用ということになっていくんですね。マンネリ化しますから、それで通るだろうということで、結局現場もそれに頼っていくという話になるわけですね。  ですから、実はこういう問題も含めてもたらしている背景には、予算の単年度主義というあり方は、先ほどの話にもありますが、産業技術力強化法案の中でも、これは大蔵省の姿勢、大蔵省のこれに対する見解ということがとても大事になるわけでありますが、この産業技術力強化法案をやっていく上で、ほかにもありますよ、きょうも文部省も来ていただいていますし法務省も来ていただいていますが、それらの法律を総合的にやはり作業していくということでないと間に合わないんですね、今の状況の展開には。  その意味で、この単年度主義という問題は、もちろん積極的にこれを活用しようというところと、今みたいに現状の部分でそういう不正をもたらす一つの背景になっているので、これを、例えば、余るなら余っていいじゃないですか。余った部分をちゃんと基金にして、別にしてオープンにしておいて、そして翌年になったらこの基金の中から取り崩しをして使うとか、幾らでも方法は実はあるわけですね。  また、例えば現場で言えば、本当は一生懸命工夫して、節約をして、今まで買われたもので使っていない機械も使って、そして成果を上げるという方が、実は国民の税金の効率的な活用ということではこの方がいいんですね。税金は余したらいけないという今の風潮ではなくて、税金を余して予定どおりの目的を達成するということの方がすぐれているわけでありますから、そういったこともできるような会計制度というのが私は必要ではないかというぐあいに思うんですが、大蔵省の方はどんな検討になっているんでしょうか。

大野功統自由民主党大蔵政務次官

○大野(功)政務次官 予算の単年度主義でございますけれども、申すまでもないことですが、憲法八十六条におきまして「内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。」というふうに規定されているわけでございます。  申すまでもないことでございますけれども、予算というのは、もう毎年、毎会計年度ごとに国会で十分審議して、そして決定していく。予算というのは国民のコントロールのもとにあるという財政民主主義の原則からこの予算単年度主義というのが出てきているわけでございまして、私は、これは大変重要な原則だと思っております。  しかしながら、こういう原則を余りにも厳しく貫いてまいりますと、今先生もおっしゃったような、現実にそぐわないようなことがある、あるいは中長期的な問題を考えていく場合にそぐわないような問題も出てくる、こういうことがございますので、財政運営を円滑に進めていくためには、やはり、予算の繰り越し等の制度を活用しながら補助金等の円滑な執行に努めている、これが現状でございます。  それともう一つ、新しい時代の要請もあると思います。例えば、小渕総理が決定されましたミレニアムプロジェクトでございますけれども、新しい産業を生み出す大胆な技術革新に取り組んでいこう、こういうことで、予算配分は行っておりますけれども、例えば、プロジェクトの構築に当たっては、明確な実現目標の設定、あるいは複数年度にわたる実施のための年次計画、これをきちっと明らかにしていこう、こういう試みに対してどう対応していくのか、こういう問題も出てまいります。  いずれにいたしましても、単年度主義の原則には沿いつつ、予算を円滑に執行していくための工夫を今後とも凝らしてまいりたい、このように考えております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 想像するに、同じような答弁を何十回も何百回も多分同じようにやってこられたんだろうと思いますが、時代状況が速いので、できる限り大胆にそこは、もちろん憲法上の制約があることはわかります。一番重要なのは、基本は、国民の税金をむだなく、いかに効率よくその政策目的に沿って使うかということだろうと思いますから、そこの担保がされれば、そこは柔軟にやっていく。さらにどうしても憲法上の制約があるというのであれば、思い切って憲法の改正だってそれは提起すればいい話でありまして、何も恐れる必要はないというぐあいに私は思います。  ぜひそういう点で大蔵省の方の積極的な姿勢を、今、日本の産業技術がアメリカに立ちおくれて、これからどうするんだという状況に立ち至っているわけでありますから、靴の大きさに足を合わせろなどという議論は困るわけでありまして、日本の経済の実情、産業技術の開発の実情に合わせて大蔵省の方もぜひお考えをいただきたいというお願いを申し上げまして、きょうは大丈夫ですので、よろしく。  それで、補助金が特定の企業にどうしても集中しがちである、本当に必要としている中小企業とかそういったところになかなか支給されない。結局は、大手の企業、自前で十分資金調達のできるそういう企業やその子会社に支給されることが多いという指摘があるんですが、このことは、実態は私はよくわかりません。そう指摘されていることについてはいかがでしょうか。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 通産省の行っております技術開発補助金制度といたしまして代表的なものは、工業技術院が行っております、民間企業等の新規産業創造に資する技術開発に対する補助金制度、そして、NEDOが行います、研究開発成果の実用化のための補助金制度があります。両制度とも公正な外部審査を実施しているところでありまして、その審査結果に基づきまして、よりすぐれた研究開発テーマを採択するように努めているところでございます。  また、大企業のみならず、革新的な技術を持つ中小・ベンチャー企業を支援するための御存じのSBIR、中小企業技術革新制度を開始するなどの措置を講じているわけでございます。  このように、通産省としては、多様な技術開発を支援し得る公平性の高い体制整備に努めてきておるわけでございます。  特定の企業に偏っているのではないかということでございますが、現在、主な補助金を調べたところでは、ほとんど重なったものはございません。特に中小企業などは、非常に競争率が激しいために採択率がそれほど高くないのでこれも重複しておりませんし、四年間で百二十四件採択されました新規産業創造技術開発支援補助制度交付先について調べてみますと、重複事業者の実績は一社のみでございますが、そのように、特定の企業に多数補助をされたということはほとんどないと認識しております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 現場からのお話ということで御了解いただきたいんですが、補助金につきまして、京セラの事件もそうでありますけれども、自分のところで開発、製作したものではないものも、実はそういう報告をして補助金をとるという事実があったわけですね。ということは、実は、その先でそれを開発している子会社とか、あるいは、言ってみれば水平分業している会社があるわけですね、中小企業が。こういったところは、やはり直接補助金をもらって開発した方が実はいいわけですよ、効率的なわけです。何も京セラをトンネルにする必要はないわけですね。そういったことが事実としてありますので、今のようなお話を申し上げております。  現場で本当に必要としている、しかも直にそこに補助金が投入されるような配慮を、今後もぜひしていただきたいというぐあいに思います。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 御指摘、ごもっともでございますので、そのような配慮をしてまいりたいと思います。

渋谷修民主党

○渋谷委員 それで、現場での話は、本当に製品の実用化を考え、かつその収益が見込まれるような研究の場合は、補助金などもらわない方が企業にとって得だ。ある補助金の交付式に出席したときに、ほかの企業の研究者がいたので、おたくの研究は将来、物になりそうですかと質問したら、物になるくらいなら補助金申請なんてしないと言うわけですね。  これは何を背景にしているかというと、煩雑な手続だとかその他いろいろあるということはもちろん一つありますが、これはNEDOの補助金、補助率一〇〇%のものですが、研究成果の実用化を他社が希望した場合に、補助事業を実施した企業が希望した企業に積極的に協力しなければならないといったような何か規定があるというぐあいに聞いています。あるかないか、なければないで構いません。そういったことのために、実用化しても他社に協力しなければならないということになるのでは、一番成果が上がるようなものについては、実はやりたくない。先行き見通しのないものについてもらうのは、実は研究者の、研究者はどうしたって必要ですから、人件費その他、研究者の経常的な経費がかかりますでしょう、これを先ほどから問題になっているように労務費で言ってみれば横流しにして、こっちを支えるために、余り先のない研究費でも補助金をもらうというような実態が一方であるわけですね。  ですから、これがけしからぬという話は先ほどの時点で、補助金の不正利用の点でこれは終わりました。そうではなくて、こういう実態を踏まえて、それでは、企業が自分たちで積極的に補助金をもらって、本当に積極的にプラスの意味でこれを活用できるようにするためには、開発したものについてはちゃんと自分のところで利益が出るように、利益を自分のところで追求してもそれが問題にならないように、例えば五年ぐらいで製品が開発されたら、その利益の中から補助金を返さなきゃいけないということもありますね。そういうのも、五年とか言わずに、もっと期間を延ばしてやるとかいうようなことで、つまり、企業にとってメリットを与えれば企業は積極的な意欲でこういう研究活動に取り組むわけでありますから。言っている意味はわかりますか。そういうことについて、いかがですか。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 おっしゃることは、まさに補助金行政の問題点でございます。補助金制度は、申請者にとっても極めて大変なことでございます。また、補助金を交付する行政にとりましても極めて大変でございまして、多数の申請者の中からごく少数の優良なものに順番をつける、しかもその必要額を個々の項目を積み上げて確定する、そしてまたさらに、その後の適正な使用、あるいはその後の成功、不成功の評価、補助金適正化法による収益の納付、これだけの巨大な労力を要しておるということが補助金制度のまさに問題点でございまして、行革のときにも非常に大きく議論されたものでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、先端の技術開発のような、本当に企業がそこでリスクマネーを投入すること、あるいは調達することが難しいものに限って、しかも先端性のあるもの、先進性のあるもの、波及効果のあるものに限ってやるということで、限定してやっておるんですが、それにつきましてもさまざまな問題があるということは、ただいま、あるいは従来から御指摘のあるとおりでございますので、さらに制度というものは改善していかなきゃなりませんし、また、スーパー電子政府などをやる際には、さらにより合理的な補助金制度の改善というものも課題になっております。  また、収益云々につきましては、確かに、明確にそこで収益が発生すればお返しいただくわけでございますが、なかなかそれの成果が出るまでに時間がかかっておるということが通例でございますし、なかなか成功にすぐ結びつくものも少ないということがございますので、必ずしもおっしゃるようなことになっておりませんが、姿勢としては、あるいは法体系としては、そういうことはしっかり実施しておることは御認識いただきたいと思います。(深谷国務大臣「ちょっといいですか。さっきの補足ですが」と呼ぶ)

渋谷修民主党

○渋谷委員 今質問いたしますので。  大臣の方もこのことについては真剣に取り組んでおられるということですが、私の方から提案をさせていただきます。  基本的にはこの問題も、先ほど来から申し上げている透明性の問題なんですね、税金にかかわることでありますから。私の方からは、やはり三段階のチェック体制が必要だろうということです。  つまり、どこに補助金を出すかということについて、補助金の決定前のチェック体制。  これは、ある企業を決めるときに、もちろん公募制でやったりするんでしょうけれども、その補助事業を行う必然性というのは一体どうなのか、その補助事業実用化による社会的効果というのはどうなのか、補助金の金額に見合うものなのかどうなのか。その企業は独自で研究する資金力がないのか、ないということであればやはり補助事業をやっていこうという話にもなりますが、あるということであれば、それだけにつぎ込むわけにいかないということになれば、例えば他の企業との企業連合でそういう補助事業をやるということなども考えられていいわけですね。そういう意味で、事前のチェック体制。  それから、中間段階でのチェック。  この間の瀧本さんの指摘のソーラーカーのケース、これは現場の研究者は途中で実用化できないということはわかっていたんですね。もちろん一番最初の計画書では、ソーラーカーを実用カーとしてつくって、最終的には京セラでこの実用カーを売り出しをするというところまで計画の中にのせて、それで補助事業の対象になっているんですが、やっている最中に、どうもこれは実用性がない。なぜならば、言ってみれば、太陽電池を屋根に張りつけて、昼間電気を起こして売電をして、夜、安い電気で車に充電すれば、今でもそうですが、十分に走れるわけですね。何も屋根に太陽電池をつけて年じゅう走って、それで何ら充電しなくても走れるというソーラーカーは、もちろん理屈的にはあるし、そういうことで努力しているソーラーカーのレースなんかもありますけれども、実は実用的な形ではこれは開発する可能性はないということは現場ではわかっていた。  ところが、これについての一定の年数の補助事業がついていますから、その必要性はないということはわかっていながら、途中でやめられないんですね。したがって、中間のチェック体制というのがどうしても必要です。もちろん、時々の調査活動もやりながら、途中でその補助事業がきちんと目的を達成することができるかどうかということもあわせてチェックをすることによりまして、現場の人たちも含めて、途中段階でこれは余り可能性がない、そこから得られる技術的な新たな成果というのはないということになりましたら、これは撤退できるという意味での中間のチェック体制というのが必要ではないか。  三番目は、最終的なチェック体制であります。  細かいことを言いますと時間がなくなりますが、いわゆるそういうチェック機関を通産省の内部だけでやっているとどうしても限界があるのですね。今度みたいにいろいろやっても、結果としては何も出てこないというようなことになりかねないので、私は、やはり情報の透明性、公開という観点からいえば、第三者的なチェック機関というものを考えていく必要があるのではないか。  今すぐここで結論を出せとは言いませんが、この補助金行政のあり方をめぐってもし検討されているということであれば、そのことも含めてぜひ研究課題に加えていただきたいということを申し上げますが、いかがですか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 技術開発補助金が有効に活用される、そしてまた公正に使用されるということは最も大事なことだというふうに考えます。  今委員から御指摘ありましたように、事前の評価、中間の評価、それから最後の事後の評価、これは大変大事なことで、そういう評価の基準を明確に設定をして、そしてあらかじめ国民に公開した上で厳正な評価に努めていくということはとても大事なことであります。そして、その評価の場合には、外部からの第三者的な立場から評価してもらうということも必要でございまして、これらは当然加えていくべき対応の中身だと私は思います。  それから、先ほど補助金を受ける側の人の話の中で、何か成果を上げても、それをよそに協力しなきゃならないからかえって困るんだというお話があったようでありますが、共同研究の場合には相手に協力しなければなりませんが、普通の場合にはそういうような義務が伴うものではありません。  それから、平成十一年の十月から、産業活力再生特別措置法というのができまして、それに基づいて、NEDOの委託研究にかかわる特許権等の帰属につきましては原則として全部受託者に帰属させるよう所要の措置をとったところでございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 ぜひそういう方向で検討して、一つの考え方がまとまりましたら、また私どもにもお知らせいただきますようにお願いを申し上げます。  今の件、もう既に産業技術力強化法案にかかわったお話を申し上げているわけでありますが、この間、既に質問等もございましたから、序文みたいな質問は申し上げませんけれども、いずれにせよ、かつては家電やあるいは自動車、エレクトロニクスなど、耐久消費財ではアメリカに対して日本が勝っていた。その状況にアメリカが非常に危惧をいたしまして、さかのぼれば一九七〇年代、カーター大統領の時代からイノベーション教書といったような方針を議会に提出いたしまして、それ以降、御承知のように、非常に有名なヤング・レポートなどが出されるわけですね。  ところが、現在の日本の産業技術のていたらく、堺屋長官は今度、文芸春秋にも、大丈夫だ、これから日本は頑張ってアメリカをまた越すことができる、立ち向かう楽観主義でありますけれども、小渕さんも立ち向かう楽観主義ですし、深谷通産大臣もそう言っておりますが、私も楽観主義の方ですが、楽観主義であるためには根拠が必要であります。これこれこれだけの対策をやって戦略的目標を定めて取り組んでいるからみんな自信を持てということであるならば、これは大いに結構な話でありますけれども、その根拠の部分があいまい、あやふやでは、これは不安の方が先に行っちゃうんですね。立ち向かうよりも立ちくらみがしちゃうという話になりかねないわけでありますから。  それは何を言っているかというと、ヤング・レポートが出て、その後、一九八五年に、日本はたしか科学技術等の予算的な規模は一兆五千億ぐらいだと思います。当時、アメリカはそれに九倍する規模であります。実はそのくらいの金をつぎ込んで、そして、もちろん人の問題、後ほど申し上げますが、人をアメリカに集中させる、技術者をアメリカに呼び込む、徹底した研究をやっていく。アメリカも研究者の数が減るという状況などもありまして、そういう反省の中から状況を展開していくわけです。かつての日本がなぜこういうていたらくになったかというアメリカとのやりとり、もちろん世界とのやりとりも含めてでありますけれども、そのことについての反省、そして、その問題点は何かということが実は把握されていない。  今、新しく出てまいりましたこの産業技術力強化法案、私は本当は、通産大臣、これは重要広範議案で、きちんとした手続をもって本会議場できちんと説明をし、総理も含めて答弁をするような重要な法律だというぐあいに思うんですよ、本来は。もちろん議会の責任も与野党ともあるわけでありますけれども、将来の日本経済の言ってみれば推進力でしょう。これがなければ日本の発展というのは絶対に確保できないわけでありますから、そういう意味でいえば、それほどの強い思いをこの法律について私自身は感じているわけです。  そういう意味から申し上げるんですが、何が今まで足らなかったのか、どこに問題があったのか、そこについて両大臣からぜひお伺いしたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 議員御指摘のように、近年、技術革新のスピードが世界的にアメリカを中心として進む中で、我が国の産業競争力を支える産業技術力については、特に革新的な分野においてアメリカから著しくおくれている、そういう評価がなされていることはそのとおりでありまして、その低下が懸念されるところであります。  一九八〇年代以降、アメリカは競争力強化を明確な政策の目標として掲げてきました。そして、産学官連携の強化、戦略的な取り組みを順次進めておりました。他方、我が国の方は、どちらかというと、コストをいかに低下させるかとか、あるいは品質の改善を進めるという技術開発を得意としたそういう行き方でございまして、アメリカに比べて創造的な研究開発による成果を企業に結びつけるという体制がなかったという点がございました。  こうした点から、我が国が得意とする物づくり技術の維持向上を図るとともに、創造性に富む、つまり、新しい研究開発を可能とする環境の整備が必要だ。そういう認識の中で、今回の法案において、産学官の連携強化、大学における研究活動の活性化に向けての必要な措置を盛り込んだわけでございます。  御指摘のように、例えば予算の面でもアメリカと比べるとかなりおくれております。平成十一年度の科学技術白書では、日本と欧米各国の九七年度の政府負担研究費、これは、日本が三・二兆円、アメリカは八兆円でございますから、相当なおくれであります。ただ、イギリスは〇・九兆円、フランスは一・六兆円、ドイツは二・一兆円という点からいけば、欧州諸国よりは多かったということは言えますが、アメリカとの比較においては格段の差があるわけでございます。また、GDP比で比べてまいりますと、日本の場合には英国を除く欧州各国に対してはかなり開きがある、こういうような状況であります。  そこで、先ほど申し上げたような、このたびの法律で産学官の協力を一層行っていくということで、現行の科学技術基本計画のもとでの政府全体の研究開発予算も、五年間ですが、合計十七兆円というふうに拡充努力をしてまいりました。今後とも、制度のあり方、仕組み、それから予算、それから人的な、つまり技術研究者の育成等々、いろいろな角度から頑張っていかなければならないというふうに思っています。  ただ、決して弁解するわけではありませんが、このたびの中小企業基本法の改正等でのいろいろな施策で全国をPRで歩いておりまして、そのたびごとにいろいろな場所に回っておりますと、例えば熊本においては、熊本大学を中心にした民間の企業と一体となった技術の革新はかなり進んでまいりましたし、例えば三菱電機等に工場視察をいたしましたけれども、一番基礎的な特許が先に取られたりしておくれをとっていますが、何とか乗り越えようと頑張っている、そういう芽はあるわけでありますから、これをしっかり支えていきたいと思います。

渋谷修民主党

○渋谷委員 実は大臣、これから先の話を私もぜひしたいんですが、いわゆる過去の反省の部分でやはりきちんととらえておくことが必要なのではないかということで今申し上げておりまして、若干技術的なところの御指摘がありましたけれども、堺屋長官に答弁いただく前に、実はここのところが一番の問題点だったのではないかというところがございます。  御承知のように、本来、アメリカという国は、政府が民間のことに一々口出しをしない、その意味では自立してやらせるというふうな言ってみれば文化的な風土があったわけでありますけれども、ところが、その中で例えば日本を中心とするアジアの国々からどんどん輸出攻勢をかけられ、技術的にもおくれていく。これでは大変だということで、今までにない形で実はアメリカ政府が直接に民間に資金的なバックアップをしていくということになるわけですね。  それと相前後いたしまして、もう御承知だろうと思うんですが、例の半導体問題等もそうですけれども、八〇年代の日米の摩擦激化で、日本の側が自主的に半導体については凍結状態にしてしまうんですね。実は日本の方が萎縮していくわけです。そのため、半導体にかかわる研究者とかそういうのがどんどんその職を失っていきます。  これは国のあり方としては非常に重大な問題でありまして、今これからいわゆる産業技術の開発は基本的にポイントは二つ、金と人だというぐあいに私は思いますが、この部分で日本が例えば金をつぎ込む、今、予算が三・二兆円という話がありましたけれども、長銀の処理に使った税金の金額よりは少ないわけでありますから、全然意味は違いますけれども、しかし、それ以上の金をこれにつぎ込むぐらいの国としての姿勢がなければいけないという意味で今申し上げたんです。  そういう点をこれからやるにいたしましても、我々が積極的に取り組もうとしてアメリカにキャッチアップをしようとする、そしたらまたアメリカから、おい、ちょっと待て、以前はトラックを日本が先に走っていたわけですから、アメリカは後ろから来て、ちょっとそこで休め、我々が並ぶまで休めと言っておいて、我々が途中で休んでいる間にアメリカがどんどん走っていって、トラックを一周、二周先に行っちゃっているという状況なんですね。これから頑張って貴重な税金をつぎ込んで取り組んでいったらまたアメリカから圧力をかけられて、途中でまたスローダウンしなきゃいけないなどということでは困るんです。  こういう時日的な経過が私はあったと思うんですが、そのことを含めて、これはヨーロッパの場合はそんなことはないでしょうけれども、特に対米との関係でこういった問題をどうやって克服していくのかということが重要だと思うんですが、長官、いかがですか。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 八〇年代には日本がアメリカをリードしていたが、九〇年代になりますと逆転しました。その八〇年代に日本が大変技術で進んでいたというのは、いわゆる規格大量生産技術でございまして、日本の中堅技能者、技術者の方々が非常に優秀でかつ組織的だった、これに支えられた面がございます。  ところが、アメリカの方は、やはり個人能力をかりまして、そのころから、規格大量生産の技術からいわゆる多様な知恵の技術といいましょうか、ソフトウエア、あるいはデバイスの組み合わせなど、いろいろな新しい発想をし出したのですね。  日本の方は、ちょうど私、七八年まで通産省の研究開発官をしておりまして、そのころサンシャイン計画という新エネルギー技術の研究を始めまして、当時はまだ四十七億円ぐらいの予算で出発したのでございますが、そういうときでも、アメリカの方の発想というのは、従来のものを改善するんじゃなしに、とんでもないところからぽっと飛んでくる、それを上手にとらえるといいますか、日本ではやはり大企業、大研究所あるいは有名大学でないとなかなかとらないところを、普通の青年の発想などを上手にとらえている。  そういうことがずっと重なってきまして、八五年ぐらい、これは日本が一番競争力の強かった時代でございますが、アメリカでは、新しい技術、これはソフトウエアもハードウエアもヒューマンウエアも含めまして、新しい技術がいろいろと登場してきました。この力がやはり九〇年代になって結実いたしまして、マイクロソフトのバージョンワンなんかが八二、三年に出たときにはだれも注目しなかったのでございますが、そういうものが盛り上がってきたのですね。  日本の場合、このアメリカの先行したものをいかに取り入れて改善していくかというのは一つの問題ですが、同時に、中小企業といいましょうか、個人企業といいましょうか、そういうところの新しい発想を上手にすくい上げていくことも大事だと思います。そして一方では、産学官の共同によって大きな技術をつくっていく、大きな産業に育てていく、実用化していくという、今お願いしている法案でございますが、それともう一つは、やはりいろいろな人がベンチャーができるという、これは去年中小企業の関係でやっていたようなことですが、その両方がうまく立っていかなければいけない。  今、私は、文芸春秋にも書きましたように、決して日本の技術、捨てたものではなしに、モバイル関係ではアメリカを上回るものがあるんじゃないかと考えておりますけれども、そういったものも含めて、多様な技術をどう開発していくかというのはこれからの問題だと思っております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 問題点の反省ということが大事だというお話を申し上げているのですが、そこでは若干かみ合わないようでありますけれども、改めてそこのところは、まあ既にいろいろな審議会等々ありますから、そこでの反省は当然あるのでしょう。それらを踏まえて、二度と同じような失敗をしないように私どもは心して取り組まなければいけないということをぜひ申し上げておきたいと思います。  それで、つい先日ですが、人と金ということを申し上げましたけれども、これはドイツの例ですが、ドイツ政府は、今のままではやはりアメリカにおくれをとってしまう、危機感は一緒ですね。そこで、コンピューター技術者一万から二万人を対象に、三年から五年間有効の特別労働許可証を発行するハイテク移民政策を採用する。ともかくドイツも同じように失業者は多いし、いろいろ大変な問題を抱えているけれども、この情報通信関連産業でおくれをとったらアメリカに支配されてしまうというような危機意識の中で、ともかく海外からの研究者、技術者を国内に入れて、それで研究開発を活発化させようということで取り組むわけですね。私は、やはりこの視点は非常に重要であるというぐあいに思います。  後ほど申し上げますけれども、余り時間がなくなりましたからはしょっていきますが、今度のこの法案を審議するに当たって、私なりに、やはり現場の研究者からこれは話を聞かないと、なかなかよくわからない。どうなっているんだろうか、その人たちがどう一体展望を見ているのだろうかということから、おつき合いのある大学の先生たちを含めて、私なりにアンケートをとってみました。海外にいる研究者にも、私はつき合いはなかったのでありますが、今どきの時代でありますから、インターネットでアメリカの大学のホームページにアクセスしまして、そこの中で日本人名と思われる方に直接メールを差し上げまして、そうしましたら回答が参りました。その方がまた別の方に連絡をして、また回答を寄せてくれるというようなことで、何通か今テーマとしておりますことについての御返答などもいただいているわけです。  やはりその中に、日本における大学の問題でありますけれども——その前に、法務省を呼んでいました。ごめんなさい。  海外からそういう研究者をどんどん入れまして、言ってみれば人的に流動化させていく、これは大学の問題と密接にかかわっているのです。大学の中の人間関係が非常に停滞していて、そのために、言ってみれば海外の研究者は日本にもちろん来られないし、日本の研究者は日本の中での研究活動に余り魅力がなくて外に出ていってしまうという現実があるわけですね。流動化させるという観点も一つ。  日本を飛び越えてアメリカへ行ってしまって、アメリカの研究室ではほとんど支えているのが中国人、インド人というような実態があるようでありますから、そういう人たちが魅力を持って日本に来させるためにはどうするか。やはり入管法の問題、制限というのは当然出てくると思うのですね。  法務省の側は、こうした観点について、通産省の側がこういう法律を出していますけれども、当然この法律の意図するところに沿って入管法ということをきちんと見直しをしていく、あるいは検討していくというような姿勢がおありかどうか、法務省の方に聞いておきます。

山本有二自由民主党法務政務次官

○山本(有)政務次官 先生のおっしゃる、外国人研究者、外国人技術者らの受け入れ促進に配慮した環境整備を行っていくべきではないかという問いに対しまして、現在でも、研究者や技術者等専門的、技術的分野の外国人につきましては、社会のニーズに応じて積極的にその受け入れを図っていくことを基本方針としております。  特に、今日、情報通信分野の発展は、その他の産業分野の発展にも大きく寄与するところであり、積極的な人材の確保や交流のため、法務省におきましては、関係する在留資格に係る基準の見直し等につき、関係各省と協議の上、検討を行い、受け入れ促進のための環境の整備を行っていく所存でございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 細かいことで申し上げますと、研究者が参りまして、一部は日本に今でもいるわけでありますけれども、そういう方々が、本当に細かい話なんですが、毎年一回更新しなくちゃいけない、これが煩わしいとか、研究に没頭しなきゃいけないのに、そのために東京まで出てきて、あるいは法務省の外の、窓口があるのでしょうけれども、そういったところに書類その他をつくって行かなきゃいけないというようなことなども指摘される声として挙がってきているのですね。そういったことはいかがですか。

山本有二自由民主党法務政務次官

○山本(有)政務次官 先生のおっしゃる、研究期間や在職期間に応じた在留期間を付与すべきではないかという御質問だろうと思いますが、我が国に入国、在留する外国人に付与される在留期間は、入管法第二条の二第三項により、外交、公用及び永住者以外の在留資格につきましては、三年を超えない範囲内で法務省令で定めるものとされております。  委員御指摘の外国人研究者あるいは技術者は、その多くが研究または技術の在留資格を持って我が国に在留していると考えられるところでございますが、これらに係る在留期間につきましては、従来、最長の在留期間が一年とされておりました。しかし、先生方の御協力によりまして、これを三年に伸長する同法施行規則の改正を行いまして、昨年十月一日から実施しておりまして、実際に、これらの在留資格につきましては、原則として最長の在留期間である三年を付与しております。  さらに、この在留期間につきまして、本人からの更新の申請がございますれば、更新もできることとなっております。その場合、雇用契約書及び在留更新申請書、二通をもって簡単に取れるように改正いたしました。  さらに、研究の上陸許可基準は三年以上の実務経験を要するとしておりましたが、修士の学位を有する者につきましては、何ら実務経験なしでも積極的に受け入れるというように改正いたしておるところでございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 ぜひそういう環境整備をどんどん進めていっていただきたいというぐあいに思います。  残された時間は限られているのですが、大学の先生方からいただいているコメントを申し上げて、文部省を含めてお考えをいただきたいと思います。法務省は大丈夫です、ありがとうございます。御苦労さまでした。  幾つかいただいています。日本の先端技術の発展に十分な貢献をなし得ていない背景、要因というのは、日本の大学運営における極端な平等主義だ。教官の研究費や研究室フロア面積や講義負担など、すべて画一的に平等で、教官の業績や研究グループの計画に応じてもっと柔軟な運営がなされるべきじゃないか。  それから、今の人の問題とも関連するんですが、優秀な研究者を大学へ招聘することに大学自体が余り積極的じゃない。教官の流動性が低い。大学がもっと自主性を持って大学運営のシステムを柔軟化し、競争的環境をつくっていくことが必要だ。この間議論されております大学の独立行政法人化ということが一つその中では重要なポイントになるという指摘もいただいているわけなんです。  それと、さらにもう一人の方も、これは海外に留学され、そしてまた日本に来て研究されている方ですが、やはり外国人を大量に採用することで、日本の、言ってみれば停滞しているこういう大学の現状、言葉はちょっと乱暴ですが、大学システム全体の破壊が必要だ、そうしない限り、とてもじゃないけれども、アメリカに追いつくような先端技術の開発研究などというのは無理だろうという、非常に悲観した指摘をされた方もおられます。  文部省の御見解をお願いします。

河村建夫自由民主党文部政務次官

○河村政務次官 一遍に幾つかの質問をいただきましたが、順次お答えさせていただきます。  大学運営が平等主義になっているという御指摘でございます。  これは、大学だけじゃなくて日本の教育全体が画一的にやってきたという一つの大きな指摘がございます。今、教育改革の中でもこの点についていろいろ議論を今から詰めていかなきゃならぬ問題でありますが、特に大学側にとっては、優秀な学問を進めておられる方にできるだけの支援をしていくという姿勢は必要であろうと思います。  大学そのものがやはり競争的な関係をつくっていくということがこれから必要になってくるだろう、こう思っておりまして、既に文部省では、教員の任期制ですね、優秀な先生を期間を切って採用するとか、あるいは公募するとか、それから科研費等の資金をふやすこと。この科研費というのは成果に対して与えるものでありますから、評価もいたします。  そういうものをもっとふやしていこうということでございますし、今回新たに法律で、これまでございました学位授与機構に大学評価機能を持たせるということになりました。第三者機関で、各大学の運営状況、あるいは研究の成果はどういうふうな形になっているか、あるいは国際水準、どの程度までいっているかということを評価することになりまして、これは大学側にもフィードバックしますし、公開をいたします。そうすると、各大学がよその大学の状況もわかるわけでございますので、まさに競争関係といいますか、そういう環境が生まれてくる、こう思っておるわけであります。  あわせて、御指摘の独立行政法人化の問題でございます。  これは、この十二年度の早々、四月、五月までにその方向性を決めるということになっておりまして、まだ大学は独立行政法人にすると確定をしたわけではございませんが、そういう流れの中にある。これはもう大学自体が、一つの単独の行政法人化、独立した法人格を持つわけでございますから、いわゆる自己責任、自律性に基づいて大学を経営していく、まさに競争的関係になっていくわけであります。そうした中で、当然そうした環境が生まれてくるというふうに思っておるわけでございまして、あわせて、日本だけの競争じゃなくて世界との競争、こういうものも視野に入れて独立行政法人化の方向を考えておるということでございます。  あわせて、優秀な外国人をいかに招聘するかという問題がございます。  これまで留学生を十万人受け入れるという方向をとってきて、今それを進めておるわけでありますが、さらに大学院等々で研究をされている方、いわゆるドクタークラスの方、そういう方々をどうやってこれから進めていくかということで文部省としても力を入れているところであります。  あわせて、日本において研究する場合に、宿舎の問題とかいろいろな難しい、日本では家賃が高いとかいろいろな問題もありまして、そういうことも整備していかなきゃいかぬだろうということで、このたび、十年からでありますが、国際研究交流大学村というのを設けまして、これは通産省、科学技術庁も一緒になりまして、約一千億ぐらいを投じまして、宿舎の問題であるとか、あるいは国際交流のシンポジウムをたやすくできるような機関であるとか、そういうものも含めて、すぐれた研究者を養成し確保できる、特に外国人を日本に受け入れる体制ができるような環境整備にも今努めておるところでございます。

渋谷修民主党

○渋谷委員 今いろいろと御答弁いただきましたが、独立行政法人化については、現場からの声は、これは私が文部省を呼んでお話をしているのと自己矛盾するのでありますが、できる限り文部省のコントロールを外してほしい、自分たちの自律性、その独自性というものを認めていただきたい、そういう責任を持たせられれば大学というのはよりもっと活性化してやれるんじゃないかという話でありますから、そういう枠組みを独立行政法人化という方向でつくるわけでありますけれども、その方向でさらに検討を重ねていただきたいというぐあいに思います。

河村建夫自由民主党文部政務次官

○河村政務次官 御指摘のとおりでありまして、大学も、特にこの独立行政法人化は国立大学にやるものでございますから、これまで国立大学は文部省の中にすっぽり入っておりまして、まさに護送船団方式じゃないかという指摘もある。だから、そういうものから一歩出て、まさに自己責任、大学の自治をしっかり守りながら、自由にひとつやっていただくような基盤をつくる。もちろん、それによって大学の教育力を落とすということはないように、これはやはり国の責任で見ますけれども、あとは自由にやっていただくということで、大いにひとつ大学の個性を発揮していただく方向に国立大学も行ってもらいたい、このように思っております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 ぜひそういう方向で御検討いただきたいというぐあいに思います。ありがとうございます。  大学の先生のコメントの紹介を引き続きやりたいと思ったんですが、大事なこと、これは大臣の方からぜひ一言いただければと思うんですが、この先端産業ですね、通信技術あるいは情報産業ということについて、新しい企業、ベンチャー企業がどんどん生まれているわけでありますけれども、その方々の年齢は、御想像できると思いますが、本当に若い方々ばかり、もう二十代、三十代、四十代も前半。私などももう完全に対象外であります。そのくらいの世代の人たちが今一生懸命頑張っておられますね。  ところが、ちょっと気になりまして、通産省関係の審議会のメンバーというのは一体どんなふうになっているだろうか、これを、作業をやっていただいた方に本当に感謝申し上げます、年齢を全部調べていただきました。  年がいっているからといって悪いという話をしているんじゃないんですよ。ここは誤解なさらないでください。世間が高齢化して、皆さん高齢者が頑張っておられるということは、世間的にはいいことです。しかし、政府の仕事、あるいはその審議会の中できちんとした審議会の目的の職務を果たすということになりますと、これは、やはり余り年齢がいきますと、勲章が欲しくてここにいるのかという名誉職みたいな部分もあるわけですね、大臣。これは日本的風土です。しかし、今のこれほど厳しい時代状況の中では、実はそのことを許しているような環境にはないんですね。  そこで、大臣、通産省の審議会だけでも三十以上もありますけれども、その中で産業技術審議会というのがあります。全部調べていただいたんですが、ここだけ年齢を私、確認させていただきましたら、部会を含めれば百五十一名いるんですが、そのうちで四十代というのは〇・七%、五十代で二〇・五%、六十代が六三・六%、七十代が一五・二%であります。六十代以上で八割を占めるんですよ。この審議会の現状では、今のこの時代のスピードにとてもじゃないけれどもついていけないのではないか。もっとこういったところに、今こうして頑張っている現場の、例えばヤング・レポートなどをつくった人たちは現場にいる人たちですよ、あの人たち、そこに入った委員の人たちは。  だから、そういうことでいえば、今先端で取り組んでいる、その中でももちろんいろいろな種類はあるでしょうけれども、そういう中から、三十代、あるいは二十代でもいいですよ、そういう方々に三分の一ぐらいは入っていただいて、審議会の議論が活発化するように。年齢がいってついていける人はいいですよ、その議論を聞いて、とてもおれは無理だなという人は、これはリタイアしてもらうしかないんです。そういう状況ではないでしょうか。  やはりこれは、審議会の検討というのはするべきだというぐあいに思うんですが、いかがでしょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 六十歳以上の方々の持っておられる知識、経験、そういうものは大事であるということを私たちは大変重んじなければいけないと思います。六十歳以上がお年寄りだという時代は随分変わりましたからね、私もその年代ですからあえて申し上げますが。ですが、七割、八割というのは多過ぎやしないかという御意見は、私はよくわかるような気がします。  ただ、逆に、現場の具体的な審議を行う場合の分科会というのがあります。これは六十ぐらいの分科会があります。これは本当に専門的な知識で議論をちょうちょうはっしやっていただくのですが、ここの専門委員の年齢は六十歳未満が七割を占めています。ですから、そういう意味ではバランスはとれているのではないかと思います。  ただ、最先端技術に関しては、おっしゃるとおり非常に若い人たちが大勢でございます。これは、コンピューターの時代に入って、子供のころからそれを身につけているようなそういう世代が今第一線になってきていますから、そういう意味では、十分委員の御意見は受け入れなければならないと思います。  二〇〇一年には通産省が経済産業省へ移行していくわけであります。産業技術審議会の再編等も予定されておりますから、この機会に年齢の若返り等を図っていくべきだというふうに思います。

渋谷修民主党

○渋谷委員 ぜひそういう方向で御検討いただきたいと思います。  本当に誤解のないように、高齢者が元気なことは大いに結構な話であります。しかしながら、こういう問題について、実際私がトップランナーといいますかそういう先端で頑張っている方々と話をいたしますと、私でさえも完全にこれはもう限界、この人たちの世界というのはすごいなというのが率直な、謙虚な気持ちであります。そういう頭脳というか力を絶対に活用しなければだめです、この国の将来のためにも。その方々が国のために働きたい、役割を果たしたいと思っているわけですから、それを吸収できるような国の姿勢というのが必要だろうというぐあいに思います。  あと、短い時間の中で。大学だとか外国に行った研究者のこういった法律についてのアンケートみたいなものはやろうと思えばできるわけであります。文部省に聞いたら、こんなことはやったことがないというわけですね。通産省も、実はそういう意味で組織だったもののアンケートというのはやったことがない。  やはりこういうことをやって、それを資料として議会に、私どもにも提出していただいて、それを背景にしてこの日本の今の産業技術の開発についてこうしようということになれば、より説得力があるし、では、そういう研究者が日本に来て頑張ってやってもらうための環境づくりを我々が考えようという議論にもなるわけですね。そこのところをぜひ御理解いただきたいと思います。  いずれにせよ、アメリカに行っている研究者ですが、やはりたくさんの異国人、外国人に囲まれて研究生活をするのは非常に刺激的で、そのことが非常に有意義だということですね。それから、アメリカでは、企業において博士研究員として仕事をする人が多数いる、企業と大学研究機関に余り隔たりはない。これは私どもが今取り組もうとしているところでありますが、そういうこと。  それから、きょうもちらっと出ておりましたけれども、日本の大学は何か相撲部屋みたいなところがありまして、十両以下はほとんど給料がもらえないというような話がありまして、大学院生でさえアメリカでは給料をもらい、何らかの生活保障をされた上で研究に集中できる。日本では、大学院生はほとんどインターンで、自費で経済的に苦しい学生生活を送っている。だから、政府からの資金支援というのは、学生や研究員の生活を保障する分が加味されるという体制づくりが必要ではないか。こういうことも、大変厳しい、よくわかる具体的な指摘であります。  また、アメリカでは、博士であって研究員として業績を上げた人が独立して研究所を持つということはよく見られる。ところが、日本の場合は帰国してもすぐ研究所を持つなどというのは不可能で、助手、助教授、教授と、相撲部屋と同じような段階を上がっていかないと自分の独自の部屋を持てない。これも誤解のないように、相撲は私ファンですから、国技館で大臣と一緒に相撲を見たこともありましたけれども、相撲は大好きでありまして、たまたまの例えです。そういうことをやっていかなければ研究所を持てないなどという、ある意味では硬直した日本の制度、体制というのがやはり問題ではないかなというぐあいに思います。  自分たちもかつて苦労したから若い者も苦労しろといったような発想で研究者を考えていたら、とても日本には独自の優秀な研究者が育たないということにもなりかねないので、こういった点もぜひ御検討いただいて、そのための環境づくりをぜひしていただきたいというぐあいに思います。  そのほかも幾つか指摘がありますけれども、時間になりましたから、時間を守りましょう。いずれにせよ、最後に通産大臣と、できれば長官と、やはり流れ弾になってしまいましたが、ずっと静かに座っておられます小池さんからも、今の産業技術力の問題について御意見をいただければというぐあいに思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 我が国が先端技術、革新的な技術開発を行っていかなければ世界に伍していけないというのは実際でございまして、そういう意味で、産業技術力強化法というのをつくってこれから積極的にやっていこうと考えます。  今委員から数々御指摘がありましたこと、それぞれ大変重要でありますから、その中の対応できるものにはきちんと対応しながら、この時代を乗り切っていくためにも、あらゆる制度やその他もろもろの面での改革を進めていきたいと考えます。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 今、日本は規格大量生産型の工業社会から多様な知恵の時代に変わりつつある、これが技術体系にも非常に重要な影響を与えていると思います。  今回の法案の改正、また、さきにやっていただきました中小企業法案の改正、そういったことが相まっていろいろなアイデアが浮かび上がってくる。特に私はここで、生産技術だけではなしにソフト技術の開発というのは非常に重要だと思っています。そういうものが相まって新しい時代をつくっていくだろう。私は、日本人の知恵、そして日本の社会が外国人の知恵も受け入れる柔軟性を持っているものだと信じております。

小池百合子保守党経済企画政務次官

○小池政務次官 では、流れ弾に当たりましたので、最後にお答え申し上げたいと思います。  二十世紀から二十一世紀に変わるというこの大きな潮目、境にあって、やはりパラダイムの変革を、日本の制度、そして仕組みそのものを変えていかなければならないというのが今回の法案の趣旨でもあろうかと思っております。一言で言えば、自己実現が可能な社会をどうやってつくっていくのか、それをベースにした仕組みづくりを今後とも行っていかなければならないというふうに思っております。

渋谷修民主党

○渋谷委員 ありがとうございます。

中山成彬自由民主党

○中山委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議

中山成彬自由民主党

○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山本譲司君。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 民主党の山本でございます。  早速、産業技術力強化法案についての質疑を行わせていただきたいと思います。  現在、我が国は莫大なる財政赤字を抱えながら、今小渕政権は、さらなる国債を次から次に発行して、予算の支出拡大によって、短期的な景気対策で経済問題の解決に、いわば近視眼的にどうも取り組んでいるんじゃないか。しかしながら、これで本当に日本はよくなるのか、日本経済は世界に誇れるような時代を取り戻すことができるのか、あるいは雇用を心配することなく安心して日々の暮らしを送れるのか、こういった不安を多くの国民が持っているんではないかと思います。  今、二十一世紀を迎えるに当たりまして、日本が経済的な一流国として国際的にも高い評価を持ち、それを持ち続ける国として成り立っていくためには、まず、こうした現在の近視眼的な景気対策ではなくて、日本の構造そのものを変えていく、そして、特に二十一世紀をつくる産業技術、これをどうしていくのか、これが今やはり国として本格的に、本腰を入れて取り組んでいかなくてはならない重要な問題ではないか、そう思っております。  私ども民主党は、この問題に一石を投じよう、そんな思いで、昨年の七月に、起業家支援のための新事業創出促進法等の一部を改正する法律案、これを提案しました。このことによって、国立大学の教員等の兼職に道を開くための特例を盛り込んで、本腰を入れた取り組みを開始したわけでございます。残念ながら、この法律は廃案になってしまいました。しかし、新たな道を示すことになったんではないかな、こう自負をしているところであります。  そういう視点でこの間の政府の対応を見させていただくと、文教行政、特に大学をめぐる問題、またその研究開発に関係する予算制度などの問題、これは時代の大きな流れに大変取り残されてしまっているんではないか、そして、経済回復の足かせにすらなっているんではないかという思いを私は強くしているところであります。  そういう意味で、私は、今回通産省がこの分野の解決に向けて本格的に着手をして、先ほど樽床委員からもお話のありましたように、私ども民主党案を踏襲するような形で産業技術力強化法案を提出されたことは、大いに敬意を表させていただきたいと思います。  この法案は、長年にわたって問題点をいろいろ指摘されながら、なかなか政府が改善措置を講じてこられなかった国立大学の教員の兼業規制緩和の問題、そして、研究をする側から長年不評を買ってきた共同研究の場の予算手続、この煩雑さといったこれまでの問題に正面から取り組んでいると評価をいたします。これで技術開発の政策がすべて事足りる、十分というわけではないと思いますが、評価に値するものだと考えております。  しかしながら、ここで指摘をしておく必要があるのは、この法律は当然、ひとり通産省だけで運用されるものではございませんし、役員の兼職規制緩和であれば人事院がどのように運用していくのか、そして、大学関係の措置であれば文部省がどのように前向きに対応されるのか、そういった運用問題に法律の成否が大きく依存をしていると思うんです。  したがって私は、産業技術力強化法案を積極的に評価する、こういった立場から、第一に、いかにこの法律の実効ある運用をしていくのか、第二に、この法律ができた後に技術政策についてどのような展望を持つべきなのか、その二点の観点から質問をさせていただきたいと思います。  そこで、まず、産業技術力強化法案の運用についてです。本日も何人かの委員からこの質疑の中で触れられましたが、この点について何点か、多少細かく確認をさせていただきたいと思います。  まず第一でございますが、研究成果の移転のための役員兼業規制緩和についてでございます。  この新しい法律では、第十四条を見ますと、国立大学と国の試験研究機関の研究者がその研究成果を活用する事業を実施する私企業の役員を兼ねることが重要な意義を有することに配慮しつつ、必要な措置を講ずるよう努めなければならない、これだけ、この文言だけ規定をしてあり、実際には、国家公務員法第百三条三項に基づきまして、新たな人事院規則を定め、それに基づいて人事院の承認を得た場合に兼業を認めるという形をとられているようでございます。そうすると、人事院規則でどういう基準が定められるか、あるいは文部省、人事院がどのように審査を行うのか、そういうことに規制緩和の効果がすべて左右をされることになると思います。  役所の皆さんを疑うわけではございませんが、どうも、この問題に限ったことではなくて、役所仕事というのは、規制緩和は形だけはしても、実際には、役所の裁量範囲が大変大きくて、申請をすると全然認めてもらえなかったり、あるいは本当に膨大な、信じられないような書類を提出しなくてはならない、結果的にあきらめてしまう、こういったことを私もいろいろな行政関係の許認可権をめぐる手続の中でお聞きしておりますし、こういったことが許認可行政には大変多いわけであります。  そこで、まず、法案の提出者である通産省に伺いたいと思います。  裁量行政や、過重な、そして煩雑な手続という負担を回避するために、やはり承認の要件というのは明確にしていただきたいと思います。明確にして、手続も簡素でわかりやすい、そういうきちんとしたルールというものが必要だと思いますが、通産省としてはどのようにお考えか、まずお伺いをしたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 日本が二十一世紀に向けて世界と競い合いながら前進していくためには、産学官共同の努力が必要であり、その制度をつくり出すということはまさに喫緊の課題だと考えて、通産省はこのたびの法案を出したわけであります。御党の御意見等も十分参考になったことはそのとおりでございます。  そこで問題は、この目的である、例えば役員兼業規制緩和の趣旨を全うして産業競争力あるいは技術力の強化という成果に結びつくようにしていくためには、兼業制度を実際に利用しやすいものにしていくということは不可欠の要素だというふうに思います。  そこで、実際の運用に当たりましては、簡素な手続、それから透明性、明確な基準、こういうものを人事院に設定していただくことが重要であり、通産省といたしましては、人事院と深く協議を今までもしてきたところであります。  そして、一つは、承認の要件が具体的で明確になっていくこと、二つは、提出書類については必要なものを最小限としてこれを明確化すること、三番目には、申請書の様式はできるだけわかりやすく明らかにすることといったようなことを、我が方から人事院に要請を既にいたして、その対応を人事院の方で検討しておられるものと思います。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 そこで、実際にルールを定める人事院にお伺いをしたいと思います。  この間、協議を重ねてこられたということでございますが、結果的にどうなったのか。まず、申請をするに当たって、申請をする側、大学の教員側はどうなのか、あるいは民間側、民間の方はどんな提出を準備しなくてはならないのか、それぞれ具体的に御説明をいただきたいと思います。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 国家公務員法百三条による役員兼業の承認のお申し出は、所轄庁の長から人事院に対してなされることになっております。  したがいまして、ただいまの御質問の趣旨にあります兼業を希望する職員本人及び兼業先の企業から申しますと、まず、職員の所属する機関の長に申し出られる、機関の長が所轄庁の長に申し出られる、そして所轄庁から人事院にお申し出があるというステップになるかと思います。  機関の長並びに所轄庁の長におきましても審査が行われますので、そこではその審査に必要な書類というものが要求されることになるかと思いますが、現在の時点では、それがどのようなものになるか、人事院としては申し上げる立場にはございません。  所轄庁から人事院に対してのお申し出に関しましては、一定の様式の申し出によるということを予定しております。そして、それに添付いたします必要書類は、法案の趣旨を踏まえましてできるだけ簡素なものとし、負担を少なくしたいと考えているところでございます。  しかしながら、この問題に関して、関係省庁の連絡会議で承認の要件が取りまとめられておりまして、技術移転型に関しましては三つの要件がございます。大学における研究成果の事業化を目的とした兼業であることが確認できること、教官の大学等における職務と兼業先企業との間に特別な利害関係がないことなど職務の公正な執行が確保できること、兼業時間や報酬等に関し職務専念義務及び国民の信頼が確保できること、この三つでございますので、この三つが確認できるような書類を添付していただくことは不可欠かと考えております。  具体的な添付資料の内容については現在検討中でございますが、例えば、本人の経歴を示す資料、兼業先企業が予定している事業化が本人の研究成果によるものであることを示す資料、役員として行おうとする職務内容を示す資料のほか、事業化に当たり国から受けることになる支援について資料の提出を求めることになるかと考えております。これらの資料は、その内容に応じまして、兼業先の企業あるいは兼業を希望する大学、教員等が準備するものになる、こう考えております。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 三点について確認ができる書類ということでありますが、一点一点、一つ一つを確認するのにまた膨大な書類が必要だということにならないように、ぜひ、提出する書類としては、通産省からの要請のとおり、必要最小限のものとして今お話をされましたこの三点に限定をするということでよろしいですね。  続きまして、この法律が施行された場合、企業の方や大学側に余計な資料をどうも役所側がとっていないか、そういう確認はそれぞれきちんとやられるのでしょうが、私ども国会の立場でも、この法施行後にもきちんとまた資料を提出していただくなり、しっかりと、監視といいましょうか、確認作業を行っていただきますので、そのつもりで、人事院では簡素でわかりやすい手続を策定していただくよう強く要望いたしたいと思います。  そこで、文部省に伺いたいと思います。  今回の兼職規制緩和の法律上の根拠となります国家公務員法第百三条の三項、これを見ますと、先ほども人事院から説明がありましたように、所轄庁の長の申し出により人事院の承認を得た場合は兼業が認められる、こういう形になっているわけです。ということは、当然、大学の場合は文部省の申し出により人事院の承認を得るということになります。兼業の申請の手続というのは、国立大学の先生が兼業をしようと思った場合、どのような流れになるのか、御説明をお願いいたします。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 委員がおっしゃいましたように、国立大学教官の民間企業への役員兼業につきましては、おっしゃったような国家公務員法第百三条の規定によりまして、つまり、所轄庁の長である文部大臣の申し出によって人事院が承認することとなっております。  現在、人事院において、職務専念義務の確保、職務の公正性の確保、公務の信用の確保などの観点から、人事院規則における役員兼業のための承認基準について検討が進められているところであります。  文部省としては、所轄庁としての役割を果たすために、各大学からの申請を踏まえ、個々の兼業が人事院規則に定める承認基準に照らして妥当であるかを判断した上で、人事院に対して申し出をいたすことにしております。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 これは一言で言うと検討中というぐあいに聞こえたのですが、一つの国立大学の中で、そこの先生が申請をした場合、まずは大学単位で承認をする手続をとるということですか。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 おっしゃるように、各大学単位で申請をして、文部大臣が判断をするということです。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 そうなりますと、まず大学で認めてもらわなくてはならない、それから文部省に認めてもらわなくてはならない、それを人事院に持っていく。行政でいえば二つ、チェック機関というか承認機関でいいますと三つの関門がありまして、これではなかなか、民間が求めても、大学側でまず認められなくては、有能な技術、そういったものが生かされないという結果になりかねないと思うんです。大学の教員にとってみれば、もしかして大変これは煩雑なきつい手続になるかもしれません。  こういったことは、できれば人事院にそれはもうゆだねるとか、これは本当に二重行政ですね、そういったことのないように文部省内の手続というのはやはり簡潔にする。そして、さっき人事院の中で三つの項目、これはきちんとチェックをするということですから、もっと簡素にできないんでしょうか。検討中ということですから、今後の検討の中でそういう意向はおありかどうか。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 特に国立大学の教員が民間企業の役員として兼業を行うに当たっては、心配されることとして、まず、特定企業との関係について国民の不信や社会の疑惑を招くことがないように配慮しなければならないとした上で、やはり文部大臣がその公の責任者の立場としてきちっと判断をさせていただきたい、チェックをさせていただきたいということが私が先ほど申し上げた意味合いでありますが、一方で、委員がおっしゃるように、国立大学における研究成果の社会への還元を効率的に実施するためには、兼業審査に時間がかかり過ぎないように十分な配慮をこれからはしていかなくてはならないというふうに認識を持っております。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 それでは、続いて伺いますが、大学の教員が兼業をしようと思ってから人事院の了解が出るまで、一体どれぐらいの時間がかかると想定されているんでしょうか。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 その点につきましては、文部省として、人事院に申し出を行うまでの期間については、先ほど申し上げましたが、時間のかかり過ぎないようにまずこれは配慮する、努力をするというもとで行ってまいりたいというふうに思います。  参考といたしまして、国家公務員法第百四条の規定に基づいて行われる民間企業技術コンサルティング兼業の場合の兼業手続に要する時間でありますが、大学内部において、おおむね二週間から一カ月程度、あるいは文部省、総務庁について、おおむね三週間から一カ月程度。この今の状況で正確な期間というのを申し上げるのはなかなか難しいわけでありますが、二、三週間から一カ月程度というものを参考にさせていただきながら、速やかなる努力をさせていただきたいと思います。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 ただいま文部省の方からお話がありました状況でございまして、文部省から人事院に申請が出されたその後におきましては、人事院としてはできるだけ速やかに、可及的速やかに処理をしたい、こう考えております。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 こういった許認可行政では、手続に必要な時間がどれぐらいかかるのか、これはもう重要な問題だと思います。ぜひ文部省と人事院でしっかりと相談をして、これは国民に対して許認可の標準処理期間というのをやはり明示をしていただかなくてはならないと思います。  こういった観点から、ぜひ速やかにこれが承認をされるよう、今文部省の方では大体二週間から一カ月ぐらい、これまでの例を挙げて言われましたが、ぜひこのケースも、それと同じというよりも、それよりも早い処理期間できちんと文部省の方で対応していただき、それをしっかりと人事院が、やはり同じような考えから、速やかに処理をしていくということでお願いをしたいと思います。  次に、兼業対象の中身について何点か確認をさせていただきたいと思います。  まず最初に、通産省に伺いたいと思います。  今回の法案を見て、物をつくるといいますと、あるいは産業といいますと、どうも理科系が優先をするんじゃないか、理科系を重視して文科系を軽視しているんではないか、こういった見方もあるわけでありますが、この新しい法律の十四条を見ますと、研究者がその研究成果を活用する事業を実施する会社の役員の職を兼ねると規定されている。  研究成果を活用する事業を実施する会社の役員に就任する場合であれば、その研究成果が理科系、文科系、どちらでもいい、これは問わない、両方すべて兼業規制緩和の対象となっているように当然読めるわけでございますが、現実的に言っても、文科系でも金融問題でありますとか経営工学、こういった分野でそれぞれの研究成果を活用する事業というのはたくさんあって、それを実施する場合もあると考えられます。  そこで、通産省に伺いますが、今の考え方、理科系、文科系を差別せずに規制緩和をしている、こう理解してよろしいでしょうか。

茂木敏充自由民主党通商産業政務次官

○茂木政務次官 そのように御理解いただいて結構でございます。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 では、人事院に同じく質問をいたします。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 人事院といたしましては、理科系に限定するという想定はいたしておりません。  ただ、今回の研究成果の事業化という観点で見ますと、そのような事業化になじみやすい研究成果というものは理科系の方に現在多いという実態がございますので、一般論といたしましてはそのようなことが多いかなと予想はいたしております。しかし、限定して考えているわけではございません。  文科系の分野におきましても、議員御指摘のように、いろいろな領域がございまして、そこにおいてみずからのつくり出した研究成果が企業において事業化、商品化ができるものがあるとすれば、それは第二条にかかわる産業技術力の一環といたしまして、当然この対象に含まれてくるものと考えております。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 次に、通産省に伺います。  アメリカのシリコンバレーでは、大学の先生が、既に存在する大企業の役員に就職するのではなくて、大学の先生をしながらみずからベンチャー企業を起こして、そしてその社長に就任をするという場合もたくさんある、こう聞いております。  今回の兼業規制緩和の場合についても、大学の先生が、自分の研究成果を商品化していくために、新たなベンチャー企業を起こして社長に就任したいという場合も十分起こり得ると思うわけであります。  そこで、通産省に伺いますが、この法律の第十四条の規定は、このように大学の先生がみずから企業を起こして社長などの代表取締役に就任をするという場合も考えられるか、認められるのか、お伺いします。

茂木敏充自由民主党通商産業政務次官

○茂木政務次官 山本委員御指摘のように、私も、シリコンバレーで自分で社長をしている大学の先生を何人か存じ上げております。  今回の役員の兼業規制の緩和におきましては、大学の研究者等がみずからの研究成果の事業化を企図する民間企業の役員を兼業する場合につきましては、代表権を有する場合を含めて、取締役就任に道を開くことといたしております。したがいまして、既にある会社の社長になる場合、それから、委員御指摘のように、新しく業を起こしてそこの社長になる場合、どちらも認められる形になります。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 人事院にやはりお伺いします。  承認基準では、みずから企業を起こして代表取締役に就任をするということも認められるということが明確化される、こう考えてよろしいでしょうか。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 みずから会社を起こしてということになりますと、発起人として株式会社の設立にかかわるということを意味している。そういたしますと、百三条に規定いたします営利企業の役員には取締役のほか発起人を含むという理解を持っておりますので、したがいまして、発起人として株式会社の設立にかかわり、設立後、代表取締役を含む役員の職につくことにつきましても、他の承認要件を満たす限りにおいて認められるもの、こう考えております。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 それでは、そうしたケースで大学の先生がみずからベンチャー企業を起こす場合、これについて伺っていきたいと思います。  アメリカの州立大学でも、大学の教員が州の公務員である場合が多い、こう聞いております。このような場合、大学の勤務時間の中で二割までは会社の仕事をやってもいいということになっているやに聞いております。しかしながら、今回の制度では大学の勤務時間内で会社の仕事をするということは一切認められない。これでは、勤務時間を変更するか、休暇をとって時間外で活動する場合に限定をされるということになっていくわけでございます。そうであるとすれば、やはり到底こういった代表取締役に就任は物理的に困難だと思うわけでございます。  こういった場合、人事院は休職も認めるということを検討しているというぐあいに聞きました。そこで人事院にお伺いしますが、この兼業規制緩和と同時に、兼業のための休職制度が整備されると考えてよろしいのですね。

市川惇信人事院人事官

○市川政府参考人 午前中の御質問にお答えしましたとおり、この兼業といいますものは勤務時間の外で行われるというふうに理解をいたしております。ただ、大学の教員に関しましては勤務時間の割り振りというものが任命権者に任されておりますし、また、国立試験研究機関に関しましてはフレックスタイムというものがございますので、その範囲において勤務時間外に仕事をしていただくことになるかと思います。  御質問の兼業に伴う休職でございますが、例えば、研究成果を事業化するに当たりまして、国立大学の教員等が一定期間民間企業の業務に専念することが必要になる場合もあるいはあるかと思います。そのような場合には、国立大学教員等を一定期間休職にして公務における職務専念義務を免除することが適当な場合もある、こう考えております。  人事院といたしましては、現在、国立大学教員等の研究成果活用企業の役員との兼業のために一定期間休職するに当たっての要件、手続等について、関連諸制度との整合性を検討しつつ、整備を進めているところでございます。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 これは休職制度の整備を現在進めているということ、そういう答弁と受け取りましたが、どうも日本の行政機関というのはいろいろな制度をつくるのにも時間がかかってしようがないというような指摘もたくさんあります。人事院は、この兼業規制緩和を行うと同時に、やはりきちんと休職制度を速やかに整備するようにお願いをしたいと思います。  以上、兼職規制緩和の運用について伺ってまいりましたが、やはり実効性ある規制緩和が本当に運用していけるのかどうなのか、まだまだ不安な点も多いわけであります。通産省がこの間本当に一生懸命汗を流してこの法律の提案にこぎつけられたわけで、どうもこのプロジェクトチームができたのは秋口ぐらいだったということで、通産省の皆さんからもこの間いろいろな説明を受けてきたりしてまいりました。大変努力をされていたと私も評価をするわけでありますが、しかし、なかなか関係省庁との調整が、思うように、そして速やかに進まないといった状況も私は主観的に感じ取っておりました。  やはりここは、政治のリーダーシップできちんと必要な措置を講じていくということが必要だと思います。ぜひ大臣、そして私ども国会議員もきちんとこの辺は、行政がどう運用していくかということは注視をしていきたいと考えております。また大臣もよろしくお願いいたしたいと思います。  続きましての質問でございますが、新エネルギー・産業技術総合開発機構、NEDO、この点について伺いたいと思います。  この産業技術力強化法案においても、大学教官への研究助成制度の創設でありますとか、民間の応用技術開発への補助制度の導入などで、NEDOを通じました助成金の交付を行っていくということになっております。  NEDOは産業技術の研究開発にこれまで九百億もの予算を計上されているわけでありまして、私は、NEDOが助成を行う研究開発について、これが、先ほど渋谷委員からも質問がありましたように、いかに公正なテーマ選択や助成対象者の選択を行うか、そうした観点から幾つか質問をさせていただきたいと思います。  まず、これまで大量の予算を投入してNEDOの研究開発事業を行ってきたわけでございますが、一体どのような成果が上がっているのか、当初の目的が十分達成されたのかどうなのか、きちんと評価をする、あるいは反省なども踏まえてきちんと総括をしていかなくてはならないと思います。まずこの点についての通産省の評価を伺いたいと思います。

茂木敏充自由民主党通商産業政務次官

○茂木政務次官 御質問いただきました新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOにおきましては、新規産業の創造など将来の我が国の発展基盤を支える技術、それから新エネルギー技術開発などの社会的使命にこたえる上で必要な施策を実施してきたところであります。  具体的な成果が上がっているかという御質問でありますが、幾つか例を挙げさせていただきますと、例えば環境問題に対応するための太陽電池の技術開発の分野では、低コストでありかつ大面積の太陽電池の製造技術を開発して、実際にその成果の一部を活用した新型の太陽電池が生産されております。  また、高度情報化社会において必要となってまいります大容量の記憶媒体を開発するために、次世代の光ディスクの開発などに取り組んでおりまして、このような研究開発により、今後の新市場の創造が期待されているところであります。  もちろん、新しい技術の研究でありますから、百発百中とか当初の計画どおりの結果がすべて出るとは私は考えておりませんが、何にいたしましても、NEDOが今まで行ってきました研究開発の成果は、産業技術基盤の形成につながるのみならず、今申し上げましたように、幅広い経済社会的な波及効果をもたらしていると認識をいたしております。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 莫大な税金を使うわけですから、本当に日本の将来のために必要な技術開発にきちんと予算を配分していくということが大きな課題だと思います。  例えばアメリカでいいますと、国立科学財団あるいは国立衛生研究院というところが多額な技術開発支援を行っていますが、きちんとした評価の手法が確立していると聞いております。内部の組織で意思決定を行うのではなくて、多くの外部の専門家がそれぞれ評価をして点数をつけて、その点数を合計して意思決定を行うという外部審査制度などを導入されているようであります。  ぜひNEDOについてもこのようなきちんとした外部審査の方法を確立して、先ほど渋谷委員から補助金に関連しての指摘もありましたが、いやしくも国民に官民癒着の疑念を抱かれることのないように、きちんとした研究開発テーマの選択方法を確立すべきだと考えております。  これは通産大臣にお聞きしようと思ったのですが、先ほどの渋谷委員の質問の中で答えられたので、それでよしとしておきたいと思います。  そこで、次の質問に移りたいと思いますが、この法律が施行されれば産学連携のための環境整備は一応整った、そしてこれからその進展が期待をされるわけでありますが、やはりその前提として、産と学、各それぞれの主体の質の高さというのが求められると思います。そういう目で日本の大学を見てみますと、大学内部の人からも、あるいは当然いろいろな外部の評論家の皆さんからも意見を聞くと、日本の大学はまだまだかなり問題があると言わざるを得ないような状況が聞こえてまいります。  スイスの国際経営開発研究所、IMDというところの資料によりますと、これは毎年国の競争力の評価を行っておりまして、ここでは、我が国の大学の教育水準は、調査対象の四十七国中四十五位と極めて低い順位になっているわけであります。これは、各国の企業経営者に大学教育の経済のニーズへの適合状況について十点満点で評価をしてもらい、その平均をとって順位を決めたということでありますが、一位のフィンランドの経営者は、フィンランドの大学を十点満点の八・一三、我が国の場合は三・〇九ということでございまして、いかに日本の大学教育が経済のニーズと適合していないかということを露呈した数字ではないかと思います。  産学連携強化の議論をしますと、よく、こういったことをやると基礎研究がおろそかになるというような指摘も実はあるわけでありますが、産学連携で有名なアメリカのスタンフォード大学やMIT、ここでは、ノーベル賞の受賞を含め、基礎研究の分野でも国際的にトップの業績を上げているということが、このスタンフォード大学やMITの中でも立証をされているわけであります。産業界から大学の改革の必要性を求める声というのが日増しに高まってきておりますし、事実我が国では、産業界が研究を企業外部に行わせる場合、日本の大学じゃなくて海外の大学に頼るようになってきてしまっているわけであります。  そこで、まず通産省に伺いますが、通産省は直接の文教行政の担当者ではございませんが、通産省の目から見て、日本の経済の現状を見るとき、日本の大学はどうあるべきだと思われますでしょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 今委員が御指摘のように、スタンフォード大学などは産学官の連携とか応用研究について大変進んでおりますけれども、おっしゃるとおり、基礎的な研究も成果を上げているというのはそのとおりでございます。また、各種の研究の成果、あるいはノーベル賞をとった方の数、それらを見ても、むしろ産学連携がうまくいっているところほどその成果を上げている、そういう状態にあることは委員御指摘のとおりだというふうに思います。  技術革新のスピードが非常に速い中で、バイオや情報通信といった先端的な分野では、一つの技術革新が短期間の間に次々と新しい産業をつくり出していくわけですが、それに対応するだけの大学の学術研究というのが進んでいない、歩調を合わせていないといったような、そんな状況が見られることは残念なことでございます。  こういう状況の中で、技術革新の起点、研究・技術人材の育成、その両面から、大学の持つ教育や研究の役割に対する期待というのは産業界から今非常に高まっているわけでございますから、大学はこれらの期待にこたえられるように、大学ごとの主体的な運営に努めるとか、経済社会のニーズに柔軟に対応できる体制を整備するとか、大学間の競争を一層高くして、そのことがいい意味での研究の競い合いになる、またそのことが国際的にも通用できるような研究・技術人材の輩出につながっていく、そういうような大学であってほしいというふうに思っております。  これから、このたびの法律によって産学官の提携が一層前進する過程の中で、大学もその対応ができるような内部改革が行われるものと期待します。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 そこで、文部省に伺いますが、こうした今の日本の大学、大学間の競争を高め、さらには国際的な競争力を高めるような大学改革というものを実際やっていくのかどうなのか。具体的に、やるとすればどういうスケジュールで何を進めようとしているのか。どうも外から見ているとよくわからないのですが、今後の大学改革の具体的な実施スケジュールと方針について御説明をしていただきたいと思います。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 これからの国立大学等は、より自主的、自立的な運営により、世界的水準の教育研究の展開を目指して改革を進めていく必要があると思います。  国立大学の独立行政法人化という話もありますが、これは、各大学に独立した法人格を付与して、そしてみずからの権限と責任において大学運営を行うことができる可能性を有しておりますが、大学の教育研究の進展のためには、各大学の自主性ですとか自律性に十分に配慮する必要があると考えており、昨年の四月に決定をされました中央省庁等改革の推進に関する方針においても、「国立大学の独立行政法人化については、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成十五年までに結論を得る。」ということにしております。  文部省としても、国立大学の独立行政法人化について、この方針に基づいて大学改革の一環として検討し、できるだけ早期に基本的な方向について結論を得たいというふうに考えております。また、制度の詳細については、それを受けて十分に慎重な検討が必要であるとも考えております。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 速やかにということですが、もういろいろ検討している間に、日本国内の有能ないろいろな技術者、学者が外国に逃げていってしまう、そんな危惧を強く持っているわけであります。  最近かなりいろいろなところで報道されておりますが、青色発光ダイオードという、これは何か電力を大幅に節約できる、信号機に使うようなものだそうですが、これを実用化した中村修二さんという研究者、この人が、徳島のベンチャー企業の研究者として大変頑張ってこられたわけですが、最近、アメリカのカリフォルニア州立大学のサンタバーバラ校というところで、教授として赴任をしていってしまった。  この人、中村修二さんいわく、日本では独創性のある製品を基礎からつくったケースはほとんどない。創造性を発揮することは非常識なことをすることであるが、日本の場合は、創造性のあるアイデアは会議でつぶされてしまう。こういう発言をされたそうであります。ちなみに、この中村さんという方は、欧米の大学からは来てほしいというお招き、これはたくさん受けたみたいですが、日本の大学からは一切なかったそうであります。  そこで、文部省にまた伺いますが、研究する人もしない人も同じようにお金がもらえて、幾ら研究をしても、研究成果に見合った評価が与えられない。日本の国立大学の予算システムは、どうも公共事業と同様に、予算配分が非常に硬直化してしまっているのではないかと考えるわけでありますが、その是正措置についてどのような考えがあるのか、見解を伺いたいと思います。  と同時に、もう一点。文部省の研究費予算、これは、教官当積算校費という、何かよくわからない頭割り配分される予算と、研究者がきちんと研究計画を立てた場合しか配分をされない科学研究費補助金、この二つから成り立っているということを聞いておりますが、どうも文部省は、少しずつ頭割りの予算を減らしてきてはいるのですが、それでもまだ、科学研究費補助金と同額ぐらいの予算配分をしているようであります。こういったたぐいの予算の配分をどう改善をしていくのか、どういう方針なのかというところも含めてお尋ねをしたいと思います。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 委員のおっしゃるように、よりよい意味での、意味ある投資というものは私も必要であるというふうに思っておりまして、学術研究の効果的な推進のためには、大学の研究者の研究活動を継続的に支えるとともに、すぐれた研究や萌芽的な研究を発展させていくため、研究費の充実を図ることは重要であるというふうに思います。  このために、これまで国立大学については、それぞれの大学における判断により、日常的な教育研究活動を行うための基盤的研究資金として、教官当たり積算校費を措置するものとしております。それとともに、独創的、先駆的なすぐれた研究を発展させるための科学研究費補助金や、我が国の未来の開拓につながる創造的な研究を指導的研究者のトップダウン方式で推進する日本学術振興会の未来開拓学術研究推進事業、これらの競争的研究資金の充実に努めてきたところでもあります。また、平成十二年度から、受託研究や特許料収入実績等の研究成果に応じ、インセンティブ経費と申しますか、そういう経費を大学へ配分する予定でもあります。  今後とも、基盤的研究資金を確保しつつも、競争的研究資金の充実、研究成果に応じた適切な経費の配分を図り、研究費の効果的、効率的使用と研究費の適切な配分を進め、すぐれた研究の推進に努めてまいりたいというふうに思います。  また、科学研究費補助金のことでありますけれども、これは、大学等の研究者のすぐれた、先ほど申し上げましたように独創的なあるいは先駆的な研究を支援し、我が国の研究基盤を形成していくための基幹的な経費であります。来年度の予算においても、前年度の百五億円増し、パーセンテージで八%増しの総額一千四百十九億円を確保するなど、文部省としては科学研究費補助金の重要性にかんがみ、その充実に努めているところであります。  いずれにいたしましても、全体的に申し上げれば、国立大学において日常的な教育研究活動を維持するための基盤的研究資金と競争的研究資金の二本立ての仕組みの維持を基本に、よりすぐれた研究が行われるような環境の醸成に努めてまいりたいと思います。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 最後に、文部省にもう一点だけ。  アメリカのシリコンバレーでは、スタンフォード大学の敷地内に多くのベンチャー企業が立地をしているわけでありまして、大学がいわば新しい企業のインキュベーション施設として機能しているわけであります。我が国におきましても、国立大学のキャンパスに新しい企業がどんどん入居して研究をできるようになれば、産学の連携が進むのではないかと考えるわけでありますが、国立大学のキャンパスのインキュベーションとしての活用にどのような見解をお持ちなのか。  そこで、その資源として、今現在文部省が国立大学の中に全国で五十三の地域共同研究センターを設けられているわけでありますが、パンフなどを見ると大変立派な施設でありますね。しかし、どうも聞いてみますと専任教官もほとんどいないような、余り利用されていないんじゃないか、建物の賃貸のみをやっているんじゃないか、そんな話も伺います。こうした地域共同研究センターの活用も含めて、大学のインキュベーションとしての活用に対してどのような見解をお持ちか、最後に伺いたいと思います。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 その点は委員の御指摘のとおりであると思います。例えば国立大学の敷地内に企業の施設が建設されることは、産学連携を推進するための有効な方策の一つとして、そういうものが大変に意味のあるものだということは認識をしております。このため、平成十年、国立大学等の敷地内に企業を含め国以外の者が共同研究のための施設を整備する場合の、例えば土地の使用料を安くするため、研究交流促進法の一部改正を行ったほか、不動産取得税の軽減措置も講じたところであります。  これらの措置を受け、現に北海道大学の敷地内に、地元企業の出資で設立された財団法人による官民共同研究施設が先月末に竣工されたところであります。北海道地域における産学連携の一層の促進がこれによって期待をされておりますし、私どもも期待をしたいところでございます。  文部省としましては、このような施設の整備が一層促進されるように努力をさせていただきたいと思います。

山本譲司民主党

○山本(譲)委員 この法律施行によりまして実際に産業技術力が強化されるように、これは政府の運用にかかっていると思いますので、しっかり頑張っていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

中山成彬自由民主党

○中山委員長 中山義活君。

中山義活民主党

○中山(義)委員 グローバルスタンダードと言われて久しいわけですが、世界の国々に伍して日本が経済発展を遂げるためには、いろいろな、技術であるとか、または日本の将来はどういうふうに行くのだろうとか、まずそういう日本の国の形であるとか教育のあり方とか、こういうことはすごく大切だと思うんですね。そういう面では、今回は文部政務次官の小此木先生にも、いろいろ教育の問題で、教育の中に日本の将来があるということをしっかり自覚をしていただきたい、このように思うわけでございます。  まず第一に、やはり新しい技術というものは人に先駆けてやるものですね。今の世界の中では知的財産権としてそれがはっきりと登録されたりしているわけなので、この点がしっかりいかないと日本の経済または産業、技術とか、こういうものを他に先駆けてやることができない、こういうふうに思うのです。  キルビーさんという方が、キルビー特許、これは大変大きな衝撃を日本にも与えたと思うのですが、いわゆる集積回路を発明してから、いろいろな分野で世界が変わってきた。特にIC関係で、日本はどちらかといえば向こうのできたものを分解して、そしてそれを見て、もっとコストが安く大量生産できる、こういうことはすごく得手だったと思うんですね。しかしながら、新しいものをつくっていくということは非常に、どちらかといえば苦手だった。これは大学などを見ていますと、やはり特許を申請している数などでもそういうのがはっきりあらわれているわけですね。  そういう面で、このキルビー特許についてひとつ見解を述べていただきたいのですが、大臣よろしくお願いします。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 知的財産というのが最も大事にされる時代に入りました。世界の国々の動きを見ても、まず技術を開発する、あるいは技術革新を行う、それについての特許をどちらが先に取るかということで後々の勝負まで決まってしまう。例えば基本的な特許を一回取ると、バイオでもそうでありますけれども、次々と新しいものが広がる。そのもとの特許を持っているところは非常に有利になる。そういう点で、例えば半導体などでも、日本は今日やや不利な状態になってきているわけであります。  そういう意味では、知的財産権、特に特許のありようについて多くの方々が深い理解を持つということはとても大事なことだと考えます。

中山義活民主党

○中山(義)委員 今のお話のように、特許をとること、知的財産権が非常にこれからの、会社の先行きがそれで決められてしまうような要素もあるわけですね。そういう面では今回の、産学そして官、これはあくまでもそういう研究を、人に先駆けた研究を大学にやらせよう、こういうような意味合いがすごく強いと思うんですね。残念ながら、日本の大学というのは特許の申請数を見ますと非常に少ない。こういうことは、ある意味では、そういう研究がされていないのじゃないか、またはそういう研究をするような組織ではないのじゃないか、このようにも思われるわけですね。  そういう面では、TLOを含めて、技術移転をするにしても、まず大学そのもののあり方についてもうちょっと我々は言及をしなければいけないのじゃないか。  最近の四年制の大学でも、四年制の大学を終わってから、さらに専門学校へ行って技術を勉強したりするなどというケースも随分あるわけですね、これは国立大学などにはあるかどうかわかりませんが。つまり、実際の世の中で役に立つような学問を大学でやっていないんじゃないか、こういう感じすら持つわけでございまして、そういう面でも、これから技術を中心にこの国が進んでいくためにはどうしたらいいんだろう、こういうことで、大学の新しい分野に、例えば特許をどんどん申請するようなそういうものが生まれる土壌というのはどうやってつくっていくんだ、この意気込みを政務次官、ちょっとお話をいただきたいんです。

茂木敏充自由民主党通商産業政務次官

○茂木政務次官 今、日本とアメリカを比べてみますと、大学が出願した特許の件数、九七年の数字でありますが、アメリカが三千六百四十四件に対して、日本は百七件ということでありますから、大体三十分の一以下のような数になっているということでありまして、大学における研究開発については、御指摘のように必ずしも日本の場合特許化が進んでいない、こういう現状があると思います。  幾つかの要因があると思うんですが、例えばアメリカですと、大学の先生等々の評価が、単に学問研究とか学術論文を発表することじゃなくて、いろいろ幅広くわたっている、それに対して日本の場合は、少しそういった意味では学術研究に重きが置かれている、こういった問題もあるかと思うんですが、当面の問題としては、例えば、大学側がどうしても特許を出しやすいような環境を国として整えていく、こういうことが必要だと思っておりまして、本法律案におきましては、大学及び大学教官につきまして、特許庁へ納付する一年目から三年目の特許料及び審査請求手数料の二分の一の負担軽減措置を導入したところであります。この措置は、国立、公立、私立を問わず、大学全般に適用してまいる予定でございます。  今般の措置によりまして、従来から実施している技術移転機関、いわゆるTLOの整備とも相まって、大学関係者の研究成果の特許化が進むことを期待いたしております。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 お答えいたします。  これからの大学院には、学術研究の推進やあるいは研究者養成に加え、高度専門職業人の養成機能、社会人の再学習機能の強化が特に求められているということだと思います。  このような観点から、各大学院においても、実務能力の育成を重視した教育を行う専修コースの設置を初め、高度専門職業人養成を目的とする実践的な教育の取り組みを進めているところでもございます。これをさらに今後進めて、特定の職業等に従事するのに必要な高度の専門的知識、能力の育成に特化した実践的な教育を行う大学院修士課程の設置が可能となるように、平成十一年九月に制度改正を行ったところであります。  平成十二年度の予算においては、この専門大学院として、一橋大学国際企業戦略研究科に、企業活動におけるグローバルな経営戦略と金融工学について実践的かつ高度な教育研究を推進して、日本企業を中心とした経営戦略や企業金融、リスク分析に精通した高度専門職業人の養成を目的とした経営・金融専攻を設置したところでございます。

中山義活民主党

○中山(義)委員 今、先端技術だとか新しい特許であるとか、これについての認識というのが日本の国民そのものに欠けているようなところがあると思うんですね。  いわゆる特許を侵害した賠償金なんかも、日本の平均だと四千六百万ぐらいですが、アメリカだと百億を超えているというような、やはりそういう面では、知的財産権に対する価値観とか、または向こうは当然、アメリカは訴訟国家ですから何か侵害されればすぐそうやって訴えるというところがあるんでしょうけれども、特許とかそういうものに関する知識とか、一般的な世の中の中でそういうものの認識が不足しているんじゃないかと思うんですね。そういうところがやはり一番大きな問題点だと思います。特に、アメリカというのは訴訟国家だから自分の権利が侵害されれば当然訴えるということなんですが、やはりそういう面では、教育の中も、それから通産省の方でも、そういうことを国民にもっと浸透させる必要があるんではないか。  この特許、知的財産権を得ればすごい大きな収益が上がってくる。あのキルビーさんは、一九八七年ぐらいにあれだけの赤字の会社を、そのライセンス料だけで会社を立て直しちゃったというくらいですから、相当なライセンス料が入っているわけですね。そういう面では、特許に対する考え方について、大臣からちょっとその知識をお披瀝いただきたい。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 中山委員御指摘のように、特許に対する認識というのは、日本人は比較的低いと思いますね。アジア全体もどちらかというとそういうところがあって、例えば新しいものを開発する、すぐ模倣する、そういうことでトラブルが多いわけであります。  やはり来るべき二十一世紀というのは知恵の時代ですから、そういう知恵を生かしていく、そしてその知恵についての権限というものをきちっと確保する。そういう意味では、特許ということについては本当にその重要性あるいはその利用の価値観というものを伝えていかなければならないというふうに思います。そういう意味では、それこそ小学校、中学校、高等学校、大学でもそうでありますが、不断の努力で、知的財産というものがどんなに価値があるのか、それを確保するための特許はどういう意味があるのかを教えていくということはとても大事なことだと思います。  委員お持ちかもしれませんが、通産省では、小学校、中学校、高校向けのこういう特許にかかわる本などを出しまして、学校の希望に応じて今までも無料で配付していますが、これは十二年度は一気に百万部以上にして、徹底した配付をしていきたいと考えます。また、大学向けについては、この制度を理解してもらうためのセミナーというのを開催いたしておりまして、もう既に五十回以上やっています。  どちらにいたしましても、特許庁を中心として、通産省としては、学生あるいは生徒を含めて、知的所有権制度についての理解を深めていくために一層努力をしていきたいと思います。

中山義活民主党

○中山(義)委員 ちょっと文部政務次官にお聞きしたいんですが、今のお話のとおりだと思うんですね。しかし、今、日本の子供たちも、HIIが落っこったりMVが落っこったり、ロケット技術も、日本はどうも最近は上げれば落ちちゃうじゃないか。まさかこれは、運が悪かったと片づけるわけにいかないわけでして、いろいろな意味で、私どもが今の科学技術とか日本の技術というものに対してちょっと不信を持ち始めている。これは原子力発電なんかもそうですけれども、いろいろな意味合いがあると思うんですね。  そういう面で、やはり先端を行こう、要するにトップランナーで日本が行こう、そういう意味合いだと思うんですよ。産学官一緒になってやろう、今度の新しい法律というのは、日本人が今までの、一九八〇年代のすごく繁栄したそのおごりを捨てて、もう一度、失われた一九九〇年代、これを反省して、そしてさらに新しい世の中へ向かっていくという意味合いがあると思うんですが、学校教育の中でも、今言った科学に対して興味を持つ、新しい技術に対して興味を持つ、または発明発見に対してすごく意欲的になる、こういう教育が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 委員のおっしゃるとおりだと思います。

中山義活民主党

○中山(義)委員 おっしゃるとおりと言われても、今の学校の制度の中で、やはり科学というものはどういうところにあるのか、または特許というものがどういうところにあるのか。今大臣がいろいろなテキストをお見せになって、こういう教育をしているんだということでございますけれども、今とにかく日本の子供たちは、トップランナーになるという努力がだんだん失われているんじゃないと思うんですよ。  昔は、スポーツの世界でも、回転レシーブだとか時間差攻撃だとかあったけれども、最近は向こうの技術にどんどん押されて、体操なんかでもそうでしょう、ムーンサルトだとかなんだとかあったけれども、最近はコバチだとかなんだとか、外国のわざの名前の方がだんだんウルトラEとかなんとかになってきちゃう。どうも、スポーツも科学も、トップを走っていこうという意欲がないと思うんですよ。  そういう面で、やはり教育の中に、今言ったパテントというものは、発明ですから、やはり一番先端を行くものなんだ、そういう教育をすべきだと私は思うんですが、その点はいかがですか。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 この点につきましては、教育というのは多方面からいろいろなことが指摘をされて、私も感じるところがありますが、例えば、私はこれはある人から言われたのでありますけれども、アメリカと日本の教育の違いについて、基本的なことを覚えさせるのに、日本ではただ口で教える、だけれども、アメリカでは子供たちに議論をさせるんだ、そこでそういったものを身につけさせるんだということを聞いたことがありまして、果たして日本ではどうなのかなということを、これまでも数校、学校に赴きまして、現場を見てまいりました。  その現場では、何万とある学校の中でまだ数校しか行っておりませんから、すべてがそうではないかもしれませんけれども、三十人なり四十人の学級で、グループになって議論をさせているというようなことをやはり見てまいりました。そういうことは非常にこれからも進めていくべき話なのではないかなと実際問題私として感じまして、今後二十一世紀に向けて、委員がおっしゃるように、今回の特許のような知的財産権を法的に保護することですとか科学技術に関する話、そういう意味合いを含めて教育についても生かす議論がさらに必要になってくるというふうに思います。  例えば、学校教育において、小中高について、児童生徒の発達段階に応じて基礎的な事項の指導を行うことにしております。  例えば、特許法関係の話で申し上げれば、小学校では道徳等において、法や決まりを守るということ、自他の権利を大切にすることなどの指導を行っております。中学校においては技術・家庭科において、他人の知的所有権をむやみに盗用してはならない、盗んではいけませんよということを指導している。  高等学校におきましては、公民などにおいて、知的所有権は独創的な知識や技術などに認められる権利であり特許権や著作権などがあること、知的所有権の保護のためモラルの確立や国際的なルールづくりが必要とされていること、例を挙げて申し上げればこのような指導がされているところであります。  大学においても、今度は主に法学部でございますが、例えば知的財産権法や無体財産権法、こういったものが授業科目として開設されておりまして、著作権法や特許法などを体系的に概説しつつ、知的財産が法的にどのように保護されているかなどについて講義がなされているところであります。  こういう形も、先ほど通産大臣がおっしゃいましたように、通産省とも文部省も連携をして促進をしてまいりたい、このように思っております。

中山義活民主党

○中山(義)委員 政務次官、今のお話はよくわかりました。ただ、世の中が、今までは人のものをまねして、それを効率よくつくったり、大量生産したときに効率よくつくって安い商品にするとか、これでよかったわけですね。だけれども、人の物まねはコストがかかるんだよということが最近わかってきたと思うんですね。要するに、自分で研究するよりも人が研究したものをまねしてやった方がコストが安いと考えたんだと思うんです、今までの日本人は。  しかし、これからは、人の物まねをすると、さっき言ったようにグローバルスタンダードでいくと、アメリカでは百億円も取られるんだ、しかもキルビー特許なんかであれだけ多くの賠償金またはライセンス料を取られたり随分してきているわけですね。そこで、やはりトップランナーを行った方がむしろコストが安いんだ、一生懸命勉強して新しいものをつくっていくんだ、新しいものを開発していくんだ、ここが大切だと思うんですね。  そういう面で、今度、内閣総理大臣補佐官で町村先生ですか、教育というものをトップで売り出していこう、自自公政権を教育によってもう一度評判を高めよう、支持率を上げよう、こういう意気込みなんでしょう。だから、そういう面で見ると、私たちは教育の中にこそこれからの本当の、官学産ですか、産学官ですか、どちらの順番でもいいですが、こういうことをやっていくんだと今度の法律が出てきたと私は思うんです。  そこで、一つだけちょっと政務次官にお聞きしたいんですが、実は大学と産業の方の関係なんですが、つまり二つ考え方があると思うんですね。学校が産業の、いわゆるそういうところからお金をなるべくもらって研究に生かしていく、そういう部分と、今度は産業が教育機関を下請機関みたいにして何かを研究させるという二つの要素があると思うんですけれども、その辺はどういうふうにお考えですか。要するに、産業の下に大学があって、ある研究を企業から大学が請け負ってやらされているというような考え方が一つ。もう一つは、いや逆に、産業の方からお金をうまくもらってもっと新しいものを研究していくんだ、こういうような考え。どうでしょうか、その辺。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 最近のアメリカの実態を聞いてみますと、学者が基礎研究をしまして、基礎研究が応用の方に使えそうだというところで、また企業あるいはベンチャーファンド、ベンチャーマネーを呼び込んできて、それからさらに企業化をする、それは企業とまた一緒にやる、そして大学の基礎研究には産業もお金を出すというふうに、これはやはり一体のものだと思います。もちろん文部省からもお答えいただきたいんですが、産業の側から見るとまさに一体のものである。  それから、先生がおっしゃったキルビー特許が、いかに大きな代償を日本企業も払っていったか。実際には半導体製造などでは世界一だったわけですが、その中の特許料がいかに大きかったかということを考えますと、これからは、二十一世紀は特にヒトゲノム解析などが非常に大きなテーマになって、ライフサイエンス部門でもしもゲノムの特許をほとんど押さえられるというようなことになれば、これからの医薬あるいはその他の科学、農薬とか、農業、食品、そういった部分で莫大な支出を迫られるということになりますから、産学官、三者一体となっての研究の促進がさらに必要な事態であると考えております。

中山義活民主党

○中山(義)委員 先ほどより大学院生の話も大分出ていたんですが、一つこういうことはあると思うんですね。教授は企業からいろいろ、兼業をして向こうで報酬をもらう。しかしながら、教授が一生懸命助手みたいに大学院生を使っていろいろな研究をさせる。そのときに、兼業をしているわけですから、報酬は当然教授の方に行くけれども、大学院生、この人たちにどういうふうにしてあげたらいいのかというやはり工夫をすべきだと思うんです。  今の法律を見ていますと、要するに、兼業ができる、大学の教授が兼業して報酬をもらうけれども、大学院生はもらわないわけですね。この場合ちょっと、学生をただで使って、結局は研究成果は自分がいただくという形になるようでございますけれども、その辺はいかがでしょうかね。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 今までは、例えば細目、細かい、交通費だとかあるいは研修費だとかなんとか規定がありましたが、今度は一つにまとめて柔軟に使えるようになっておりますから、そういう意味では、助手だとか大学院生を使った場合の手当というのは、それは支払いすることが可能であります。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 我が国において、例えば大学院生が生活の不安なく研究に従事できるようにするために、日本育英会の奨学金制度の充実を図っているところでありまして、これは委員御承知のことだと思いますが、奨学金の貸与を希望する大学院生の要望にはほぼこたえられているというふうに私は認識をしております。  また、日本学術振興会においては、すぐれた研究能力を有する大学院博士課程在学者に対して研究奨励金等の交付がなされる特別研究員制度を設けておりまして、将来の我が国の学術研究や産業を支える大学院生が生活の不安なく研究に専念できるように、これらの制度の充実もさらに進めてまいりたいと思います。

中山義活民主党

○中山(義)委員 今のお話のとおりだと思うんですね。やはり奨学金や何かを充実していかなきゃいけない。つまり、今助手なんというのは、限定されて何人と決まっちゃっていると、大学院生をいいように使うしかない。そういうことではやはりいけないんで、やはりそれなりの奨学金であるとか報酬を与えないとみんな外国に行ってしまいますよ、優秀な学生さんが。  ですから、ある意味では研究というのは、やはり純粋に研究をやる意味でも、ある程度の収入が保障されなきゃならない。だから、先ほど私も間違って学産とかなんとか言いましたけれども、やはり学が一番上に来て、産が来て、官が一番下に来るという形で、いいものを研究する場所が、しっかりした保障がなければいい研究は生まれてこないし、さっき言ったように、特許の申請数だって三千対幾つですか、何か三十分の一ということで、これでは日本ではやはり本当に先端を行こうという意欲のある学生が生まれてこないと思うんですよ。学生が本当に力を持って先端を行くというような、そういう意欲のある学校をつくらなきゃいけないと思うんですね。それをまず要望いたします。  それともう一つ、私学の日大なんかを見ましたら、日大は大学院の通信教育をやっているのですね。今まで、会社にいて、二年ぐらい大学院へ行く、これは、会社の方も中途半端になるし、大学の方に行ってもなかなか中途半端になってしまうとよく言われているのですね。それよりも、職場にいてインターネットや何かで大学院の通信教育を受けられるとか、こういうのを実際日大でやって、この間産経新聞か何かに出ておりまして、私ずっと読ませてもらったのですが、お互いに、産業の中で逆に学校というものを引っ張ってきて、自分の実態に合った学問を必要なものだけ勉強する、こういう制度なんです。  この通信制の大学院というか、もっと広げてもいいと思うのですが、その辺いかがでしょうか。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 生涯学習のニーズが高まる中で、大学院レベルの学習を希望しながらも、地理的あるいは時間的制約等から通学に困難を伴う社会人の学習ニーズにこたえるために、委員がおっしゃいましたように、日大の例を挙げられましたが、平成十年三月に大学院設置基準を改正して、通信教育を行う大学院修士課程を置くことができるようにしたところでございまして、日大に続き、これに伴って、平成十一年度には四大学六研究科が開設され、平成十二年度には二大学二研究科が通信制の大学院として開設される予定となっております。  また、放送大学におきましても、平成十四年四月の学生受け入れを目指して、現在、通信制大学院の準備を進めているところでございます。  なお、委員御指摘の点でありますけれども、国立大学の通信制の大学院については、各大学の検討状況、いわば行財政事情等を総合的に勘案しつつ、今後は適切に対応してまいりたいと思っております。

中山義活民主党

○中山(義)委員 国立大学でやる場合でも、一つ私どもでお願いがあるのですが、なるべく都心の方でやってもらいたい。どうも大学というと、田舎という言い方は悪い言い方ですが、どうしても職場からうんと離れてしまう。やはり産業の活性化のあるところで実際そういう教育を受けていくというのはすごくいいと思うのですね。  それと、本当は大学院生だってやはり給料をもらって安定した、年を考えてもらいたいのですね、修士、博士まで行ったら、二十三、四から、うっかりすればそれ以上になっちゃうわけですから。だから、その辺でもうちょっと、奨学金制度というだけじゃなくて、一歩進んで、給料がもらえるような制度というのもこれから考えられるのじゃないか、このように思うのですが、この辺の積極的な御意見はないでしょうか。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 学生の問題は文部省からお答えいただきますが、実は今一番問題にしておりますのは、ポスドクといいますか、ドクターコースを進んで研究室にいて、本当は世界的な研究をやらせればやれるのに、従来からの教室、教授、その他学部の伝統に縛られてなかなか若い学者が研究ができない、そこのところに大きな改良点があると考えております。その過程が学部であったり修士、博士課程であると思いますけれども、その先が非常に問題がある。  そこに研究費をどうつぎ込むか、そして効率的な使用をするか、産業をどうかませていくか、実態に合った有益な、特許につながるような研究ができるか、そこに非常に重点がありますので、その点を申し添えたいと思います。

小此木八郎自由民主党文部政務次官

○小此木政務次官 先ほど奨学金の話もいたしましたが、現行の中で、給料という言葉遣いはしておりませんけれども、日本学術振興会において、すぐれた研究能力を有する大学院の博士課程在学者に対して研究奨励金等の交付がされているということでございまして、こういったような特別研究員制度を現在は設けているということもつけ加えさせていただきます。

中山義活民主党

○中山(義)委員 今そういうお話ですが、世の中の、グローバルスタンダードとさっきから何回も私言っているのですが、世界の流れを見て、日本も同じようにしないと、はっきり言って競争できないですよ。だから、世界に伍して日本が、特にアメリカより上へ行こうと思ったら、アメリカのやっている制度は当然持ち込んでくるというくらいの気持ちがないといけないと思うのです。当然、文部省はそのくらいしてもいいというお気持ちがあっても、大蔵省の方がそれはだめだと言うかもしれないから、そこはしっかり説得して、我々も大蔵省にそのくらいのことは言いたいと思っているのです。  というのは、今回のこの問題というのは、大変国家レベルの、国の将来にかかわることなんですよ。ですから、本当は総理大臣がここへ来て、これは大変だ、教育もしっかりしないと世界に負けてしまう、このくらいの答弁を我々はもらいたいくらいだったのです。そういう面では、これはもっともっと大きな問題としてとらえてもらわなければいけない。  産業に手伝いに行ったからちょっとお金を出すとか、そうじゃないのです。新たな技術だとか新たな発想をできる大学院生を育てるためは、それだけのコストがかかるのです。お金も使わないで、何も予算も使わないで優秀な人間をつくろうといったって、それは無理ですよ。オリンピック選手をつくるのだって、本当はうんと金がかかるのです。日本は余りお金を出さないで、それでオリンピックで金メダルをとってこないと怒るでしょう。それと同じなんですよ。やはりちゃんとした環境をつくってあげて、ちゃんとした費用を出さなければいい人材が育たない、こういうふうに思うのです。  私どもは、さっき言ったように、むしろ学産官でやっていきたい、このくらいの気持ちでございますので、通産大臣もできるだけ教育という部分にバックアップができるような方法をしっかりとりませんと、本当の意味でTLOや何かも実際は効力を発揮しないのじゃないかと思うのです。  TLOの今の数、七つかそんなものですね。もっと数をふやして、本当に技術移転というものができるような、もっと大学を本当に利用しようという意欲を見せてもらいたいと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

茂木敏充自由民主党通商産業政務次官

○茂木政務次官 TLOの数について御質問いただきましたが、九八年の五月に大学等技術移転促進法が制定されまして、同年の八月に施行という形になったわけでありますが、同法に基づきまして、全国で既に十個のTLOを承認しているところであります。また、これまでに承認したTLO以外でも、進展の度合いには多少の差はありますが、全国各地でTLO設立の動きがある、このように承知をいたしております。  通産省といたしましても、TLOに対する助成金の交付や産業再生法に基づく特許料等の軽減措置等によりまして、TLOに対する支援の充実に今後とも努めてまいりたいと思っております。

中山義活民主党

○中山(義)委員 TLOが機能する方法というのは、本当に実業をよく知っている人たち、こういう人たちが研究者としっかりとしたスクラムを組まなければいけないと思うのですね。  先ほどちょっと質問がありましたけれども、産業界の方も実業、いわゆる実業というと文科系ですよね。TLOの中の組織構成はよくわからないのですけれども、やはり物を売るという、営業であるとかこういう部分もすごく必要だと思うのですが、やはり研究者というのは、どちらかといえば理工系の人が新しいものを研究していく。しかし、物を売るというのはそういう部分だけじゃないと思うのです。  TLOの中の組織で一番、今こういう組織なんだよとわかりやすくちょっと説明してくれますか。——ここへ、国立大学のTLOは、財政法や国有財産法の制約から、技術移転活動を進めていく上で所属の国立大学のキャンパスに無償で入居ができないとか、いろいろなことが書いてある。わかって言っているんでしょう、TLOは何ですかと聞いているだけなんだから。

茂木敏充自由民主党通商産業政務次官

○茂木政務次官 時間をかけまして失礼いたしました。  今、TLOの組織の内部ということですけれども、五、六人の組織でありまして、そして、大学の先生等との併任がかかっております。さらに、外部のアドバイザー等々を三人程度入れております。

中山義活民主党

○中山(義)委員 だから、この質問は、TLOが学内でいろいろ制約がある、大学へ入っていくと制約があると。先ほど、学内の中でも無償で、安く敷地を貸すとか、いろいろなことを言っていましたね。だけれども、TLOというのが機能を果たすためにしっかり活動してくれないと技術移転が進みませんよという話をしているので、だから、TLOの中の構成はどうなんですかということを聞いて、TLOは学内へしっかり入って、余りTLOの活動を制約するようなことがあったら、これは何のためにつくった組織なのかということなんですが、その辺、いかがですか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 趣旨は全くごもっともです。これからそのように自由濶達に中でやれるような状況をつくり出していくために努力したいと思います。

中山義活民主党

○中山(義)委員 これからも、TLOの関係、充実をしてやっていただきたいと思うのですが、これは要望ですけれども、さっきから出ている、科学技術というと、どちらかというと理工系。しかしながら、やはり物を売るという視点というのは、もちろん営業であるとかサービス業であるとか、そういう分野の方もすごく必要だと思うんです。そういう面で、いろいろな人材を入れて、本当に技術移転をして、それが売れるものになるという視点を考えた方がいい。  ですから、例えば特許関係でもいろいろなものがありますよね。デザインなんかも、当然そういうものはそういう関係に入るわけで、知的財産権の中に、デザインだとか、または、売り方までは入らないでしょうけれども、やはりそういういろいろな部分があると思うんです。ですから、そういういろいろな面での技術者をしっかり入れて、技術を移転した以上は必ず製品に変えて有効に生かしてもらいたい、こういうことなんです。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 中山委員のおっしゃるとおりです。どっちかというと、産学官の連係プレーは理工系を考えやすいですね。これは主たる大きな目標ではありますけれども、文科系でも、今あなたがおっしゃったようなデザインもそうですし、これからは、商業、ビジネスの方法までが特許の対象になるんですね、インターネットを使いますと。そういう分野などはまさに文科系でもありますから、そういう全体的な問題をとらえながら、産学官という連係プレーをやっていく必要があるだろうと思います。  それから、産学官という呼び方については、呼びやすい産学、産学でやってきたものですから、学産官というのは何となく言いづらいというところもありますが、決してどちらが上でどちらが下という意味ではありません。

中山義活民主党

○中山(義)委員 あと時間がないので、ちょっと中小企業の関係に移りたいのですが、中小企業の皆さんが、知的財産権、いわゆる特許、もしくは意匠登録とか、そういうものを取った。それは、お金を借りるときに、例えば保証協会や何かの関係で、これは担保になり得ますかね。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 そういう知的財産権は担保の対象になります。

中山義活民主党

○中山(義)委員 やはり中小企業の場合、特許を取る費用、または維持する費用、大変多くの負担なんですね。そういう面では、中小企業対策としての今のライセンスの問題、これはどういうふうにお考えでしょうか。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 中小企業において生まれる研究成果は、人材等と並んで重要な経営資源でございます。これによって売上高の利益率が違うというような統計もございます。しかしながら、中小企業の特許権の取得状況は非常に少なく、全体の一割が特許権を所有しているにすぎません。これについては、費用面の障害が大きいことが挙げられます。  そこで、本法案におきましては、試験研究費、開発費の収入に対する割合が三%を超える研究開発に積極的に取り組んでいる中小企業に対し、一年目から三年目の特許料、審査請求手数料の二分の一の負担軽減措置を講ずることといたしました。本措置の導入によりまして、従来から実施しておりますSBIR等の中小企業の研究開発支援施策と相まって、中小企業の特許取得が促進されることを期待しております。

中山義活民主党

○中山(義)委員 よくわかりました。  もう一つ、中小企業と大学との関係で、中小企業が研究委託をするとか、中小企業はお金も何もありませんから、教授に来てもらうにしても何にしても、なかなか出せるものも出せない、こういうようなことで、いわゆる研究開発費、こういう形のものは、中小企業に対する援助というのは何かお考えでございましょうか。または、この大学としっかり連携をしてやっているという証明があれば中小企業にも出してくれるのか。または、こういう研究をしてくれというものが非常に可能性があって、これが将来大変大きなものになるという可能性があれば出してくれるのか。その辺はいかがでしょう。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 現在の中小企業の特許の取得数というのは非常に少のうございます。全体の一割ぐらいしかありません。そういう意味では、もっと中小企業が特許を取れるような環境をつくっていく、言いかえれば、今の研究等にとっての応援、支援ということですが、やはり中小企業の面で一番大きいのは、特許を取れない理由の大きなものは費用の面だろうというふうに思います。  そこで、本法案においては、試験研究費、開発費の収入に対する割合が三%を超える研究開発に積極的に取り組んでいる中小企業に対しては、一年から三年目の特許料の免除、負担軽減ですね、それから審査請求手数料の二分の一の負担軽減措置などを今度は加えております。

中山義活民主党

○中山(義)委員 これは今中小企業の問題を言ったので、付随しているのでわかったらちょっとお願いをしたいのですが、訴訟がやはりふえていますね。日本も大分訴訟国家になってきまして、要するにライセンスに対するトラブルというのは随分あると思うんです。中小企業は、これにひっかかってしまいますともう倒産というのですか、そこまで追い込まれる場合も多々あるんだそうです。  それで、中小企業がたまたまほかのライセンスを知らないで使ってしまったとか、または意匠登録みたいなものにひっかかってしまったとか、こういう訴訟関係も中小企業としては随分悩みが深いと思うんですが、この辺はいかがでしょうか。そういう実態が把握されていれば御説明をいただきたいのですけれども。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 特に近年多くなってきたというふうに聞いております。  ただ、その場合に、ではどういう相談事務ができるかということについてはまだ定かに決めているわけではありませんが、さきに議論いたしました支援センターなどはそういうような処理に対しての紹介、あっせんなどもできるようになっています。

中山義活民主党

○中山(義)委員 時間がないので、最後に要望をして終わりたいと思いますが、教育がこの次の目玉だとか、いや憲法論議がこの次の目玉だとか、いろいろ二つの問題点、よく最近新聞に出てくるんですが、やはり教育という問題を度外視して日本の将来は語れないと思うんです。  やはり、学を志す者が世界に先駆けて新しいものを生み出していくとか、そういうものを発明するとか、みんなほとんど、昔の人たちはエジソンだとか野口英世だとかそういう人にあこがれて学問の道へ入って、そういうふうになろうと思っていると思うんです。そういう面でも、小学校、中学校、高校、大学、この教育課程の中で、やはり独創性であるとか新しいものを生み出す力であるとか、こういうものが培われなければいけないと思うんです。  私どもは、よく残念に思うのは、四年制の大学へ行って、実際は専門学校へ行って、それをしなければ世の中へ出て役に立たなかったり、またこれは当然今雇用という問題があって、なかなか就職できないから、一回、では何か技術を身につけようとして行く場合もあるでしょうが、学校というものがどういう場なのか、研究をしたりなんかする場なのか、または、実際にすぐ世の中の役に立つ、そういう教育を受ける場所なのか、この辺も今後明確にしていただいて、その上で、大学院から上の問題、これはしっかりやってもらいたいと思うんです。  四年制の大学までの、何か日本人が大学に求めているものというのは、はっきりしないような気がするんです。そういう面で、四年制の大学はこうあるべきだ、しかも新たなトップランナーとしてどういうすばらしいことが発想できるか、こういうところがこれからの日本にかかっているんで、今回のこの産業技術力強化法案というのはすごくでかい問題だと私は考えておりまして、総理以下皆さんが来て、日本の将来はこの法案を通さなければできない、このくらいの熱意がある状況が私は欲しかった、このようにも思いますし、これからもひとつ、この法案が通った後、ぜひ日本が技術で世界の先端を行くように頑張っていただきたい、このように思います。  以上です。

中山成彬自由民主党

○中山委員長 久保哲司君。

久保哲司公明党・改革クラブ

○久保委員 公明党・改革クラブの久保でございます。連日にわたり、大臣また政務次官、御苦労さまでございます。  きょうの法案は、午前中からずっと審議をされております産業技術力強化法案、私もこの法案を見させていただき、説明も聞かせていただいて、非常に大事な法案だなということを強く強く感じました。午前中も議論がございましたけれども、いわゆる知的財産、このノウハウをいかに積み重ねていくか、そして、それを我が国を支えてくださっているさまざまな企業の活力源にすることができるか、このあたりが一番大事なことかな、こう思います。  ただ、そんな中で、ある意味で産業技術に関する基本法的な性格を有する本法案ではありますけれども、考えてみると、いわゆるNEDO、新エネルギー・産業技術総合開発機構であるとか、あるいは国立のさまざまな研究所、工業技術院等も含めまして、国の研究機関ではほとんど二千人近い研究者がおいでだというふうに聞いておりますけれども、そういったところでも今までもやってきたわけですね。  あるものをやってきて、その上で新しいものをやるということは、一般的に言えば、スクラップ・アンド・ビルドという方式をとる場合、今までやってきたものが時代の趨勢に合わないからこうするよという場合、あるいは、今までやってきたこととまるで違う分野に手を出すからこういうものをつくるのだという場合、こういったことがさまざまあると思います。  そういう意味では、今回の法案、先ほども申し上げましたように、基本法的な性格を有しておるわけでありますけれども、今までやってきたNEDOにおけるさまざまな研究、あるいは国立の研究所におけるさまざまな研究、その中で得られた特許の成果とかそういったもの等々についての一定の評価というものがあって、それを踏まえた上で、次に何を目指すのだ、この法律によってどういったことを目指していくのだ、こういったことでなければいけないと思うのですけれども、そこらあたりについて、大臣の御見解といいますか認識といいますか、それをお聞かせ願いたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 久保委員のおっしゃるとおり、今までも通産省といたしましては、それぞれの段階において、過去の行ってきた政策についての成果の評価というものをいたします。そして、その評価を加えた上で、一体何が足らざるか、何をふやすべきかということで、新たな政策として提言をしてきたという経緯でございます。  例えば、国で使われずに休眠している特許権なんかがあるのですね。こういうものを、昨年提出した産業活力再生特別措置法では、国の委託研究の成果として知的財産権を民間に無償でお渡しする、帰属させる。これなんかは、過去の評価と、それをまたさらに新しく生かすという道筋であります。  あるいは、NEDO等について言うと、民間との関係で言うと、一〇〇%の予算で委託研究開発を行っていたのですが、プロジェクトをより意義あるものに絞り込むという意味から、今国会お出ししている法案では、民間への応用技術開発助成では三分の一の民間の負担を入れさせていただく、そういう新たな形をつくりました。  あるいは、大学の研究者の研究内容が、必ずしも産業界が必要としているものではないというような部分もございますから、そういうことなども反省しながら、産業界が必要としているテーマについて大学の研究者に研究助成を行う、そういう制度をつくっていくというように、常に、今までの歩みの成果を評価しながら、さらにそこから新しいものをつけ加え、そして全体的に前進させていく、そういう努力を続けてまいりましたが、これからもそうあるべきだと考えます。

久保哲司公明党・改革クラブ

○久保委員 今大臣おっしゃったように、過去の評価、その上に立っての新しい前進という、その点をよろしくお願いしたいと思います。  先ほど学産官なんという言い方もやっておられましたけれども、いわゆる産学官の連携の強化という点については、自自公三党連立政権の発足のときにも三党合意事項の中にそういったことがうたわれておるところでありまして、そういう点からも、私は、何としてもこれは早急に施行され、そしてそれが実を結ぶことを望むものであります。  その上に立って、この法案では、国あるいは地方公共団体、そして大学、さらには事業者、こういったものが互いに持っておる情報、人材、資金といった研究機能を補完し合って、そして効果的な産業技術の強化を図っていこう。そのための連携強化に関して必要な項目を、今まで障害になっておったようなことを取り除こうということで、さまざまな措置をとっていただいておるわけでありますけれども、この阻害される要因を今回かなりの点で改善なされたという点では大いに評価できるか、このように思うのです。しかし、別の意味で見ますと、もっともっとオープンにできれば、本当の意味で好き放題行き来ができれば、もっともっとよくなるのではなかろうかと思われる部分もあります。  そういった意味で、法が施行されれば具体的な実施に移るわけでありますけれども、今後さらに産学官の連携強化をしていく上で優先的に取り組まなければならない課題というのは、一体何なのだというふうに考えておられるのか。  あるいは、先ほどもちょっと出たかと思いますけれども、大学の方では、国立大学の独立行政法人化という、まさに民間型を志向する、こういうことが考えられておるようでありますけれども、その方向というのは、今回の産業技術強化法案という観点から、通産省の立場から見たときに、独立法人化というのはどのように評価されるのかという点についてお伺いしたいと思います。

村田成二通商産業省産業政策局長

○村田政府参考人 お答え申し上げます。  先ほど大臣からお答え申し上げましたような形で、いろいろな産学官の連携促進のための措置をこの法案は用意しているわけでございますが、先ほど御質問ございましたが、これから何が一番、実際上、魂を込めていくために必要かという点でございますけれども、私ども、一言で申し上げますと、一番大事なポイントは、やはり人だろうと思います。  やはり、柔軟でチャレンジングな発想が行い得るような人間、人材というものをきちっとこういった産業技術開発に充てていける、そういったシステム、あるいは土壌というものが何よりも大事だろう、こう思っておりまして、そういった観点から見ますと、やはり大学の研究あるいは教育といった面での役割というのは、この産学官の連携の中でも非常に大事だろう、こう思っております。  そういった意味合いにおきまして、いろいろ御議論があるわけでございますけれども、やはり大学ごとの主体的な運用、あるいは、経済社会のニーズに柔軟に対応していけるような大学にこれまた変身していくということが何よりも大事だろうと思っておりまして、これによりまして、大学間の競争、あるいは国際的な競争という局面においても、大いなる実力が発揮できてくるのだろう、こう思っております。  そういった観点から、こうした流れを踏まえまして、独立行政法人化の問題につきまして幅広い議論がこれから行われていくということを期待申し上げたいと思っております。

久保哲司公明党・改革クラブ

○久保委員 この後、国家基本問題委員会もありますので、あと一問だけ簡単にお尋ねをしたいと思います。  今回の改正でおもしろいなと思いましたのは、産業技術力の強化につながる効果的な実施方法として、国の資金による研究開発の適切な評価を行って、その結果によって予算を重点的に配分しましょうと。今まで、ある意味で予算というのは、マスコミでもよくたたかれますけれども、配分が硬直化している、そのようなことが言われておるわけであります。今回、重点的に配分するとうたわれておるわけでありますけれども、その際非常に大事な適切な評価、これは一体だれがどんな基準でやるのか、あるいは一部には外部の人間による評価を求めることもあり得るということも言われておるようでありますけれども、そのことについて、ちょっと基本的なお考えがあればお伺いをしたいと思います。

茂木敏充自由民主党通商産業政務次官

○茂木政務次官 今回の技術力強化法の一つのポイントは、柔軟な運営を行っていく、こういうことだと思うんですが、それとセットにならなければならないのが、適正な評価ということになってくると考えております。  そこで、通産省といたしましては、既に平成九年に通商産業省技術評価指針を定めまして、これに基づいて外部有識者等の知見を活用し、研究開発プロジェクト等につきまして、特に開始後の中間評価及び終了後の最終評価を行ってきたところであります。  今回の法案におきましては、御指摘のとおり、第十条におきまして、国の資金により行われる研究及び開発の適正な評価を行い、その結果を予算の配分へ反映させる、こういうことを定めてあるわけでありますが、通産省といたしましては、この法案の第十条の趣旨を踏まえまして、通商産業省技術評価指針、今申し上げたものでありますが、これを改定することといたしております。  具体的には二つポイントがございまして、一つは、研究開発プロジェクト等の選定時において、外部の評価者の活用をより積極的に図っていくということが一つ。それからもう一つは、評価の対象を、これまでの個別プロジェクトの技術的な目標達成度のみならず、今後は研究開発制度そのものの妥当性、さらに複数のプロジェクトを相対的に評価する、こういったことを新たに加えることによりまして、評価体制の充実強化を図ってまいりたいと考えております。

久保哲司公明党・改革クラブ

○久保委員 ありがとうございました。以上で終わります。

中山成彬自由民主党

○中山委員長 午後四時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時五十一分休憩      ————◇—————     午後四時一分開議

中山成彬自由民主党

○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。青山丘君。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 朝から議論になっておりますが、今、日本の国際競争力はまことに憂慮すべき状況にあります。  スイスのIMDの評価では、日本は一九九三年に世界一位であったものが、その地位を譲って、競争力を年々低下させてきました。昨年、一九九九年には世界第十六位という状況でございます。私は、日本を希望のある創造的な社会に再構築することができるかどうか、あるいはまた、このまま二流、三流の、国際競争力の弱い日本をつくっていこうということになってしまうのか、今まことに重要な分岐点にあると思っております。  その意味で、通産大臣、日本の国際競争力の現状をどのように見ておられますでしょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 青山委員が御指摘のように、技術革新が非常なスピードの中で進んでいる状態で、残念ながら我が国の産業競争力は低下している。つまり、世界のそのスピードに産業技術力が追いついていかない。特に、革新的な分野を中心にアメリカに著しく差をつけられている。その懸念が私たちの共通の思いでございます。  このような状況の中で二十一世紀を展望した場合、これまでコスト低下とかあるいは品質の改善という面ではかなり技術開発を進めてきたのでありますが、創造的な技術開発というものをもっともっと可能にしていかなければなりません。その可能にせしめる体制を構築するということが急務になっていると思います。  こういう危機意識の中で、昨年末には、通産省を初めとして、関係省庁、学界、産業界、有識者が集まりまして、国家産業技術戦略というのを取りまとめまして、産業技術力の強化に向けた基本的な考え方を示したところであります。今法案を通すことによって、産業技術力の強化に向けて国を挙げて努力をしていきたいと思います。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 二十一世紀を展望した場合に、まさに一方的な非難から前向きな変革というのは生まれるわけがないわけでありまして、謙虚な態度で、今の日本にとって何が問題なのかきちっと分析して学んでいこう、こういう姿勢が私は重要だと思います。  一九九〇年代のアメリカは、情報産業を中心にして見事に復活いたしました。シリコンバレーの例を見ておりますと、産業と大学、この連携がかぎになっていると感じました。国全体の研究者に占める大学の研究者の割合は、アメリカの一三%に対して、日本は三六%と高いものになっております。大学の研究費の割合を見ても、アメリカの一二%に対して、日本は一九%であります。この大きな資源を産官学の協力のもとにもっと有効に使っていかなければならないと私は思います。  そこでお尋ねいたしますが、アメリカの大学では、新たな企業が生まれたり、産業との共同研究が進んで、それがアメリカ経済の活性化に貢献してきた。それに比べて、日本ではなかなかうまくいかなかった。その原因をどのように受けとめておられるでしょうか。

村田成二通商産業省産業政策局長

○村田政府参考人 お答え申し上げます。  本日の御議論でいろいろ御指摘いただいておりますこと一つ一つが当てはまると思いますけれども、私どもなりに整理して申し上げますと、一つは、やはり我が国の技術というのは、従来、生産工程あるいは品質管理中心の技術で来たと思います。これはもうおわかりのように、やはり生産現場、すなわち企業が中心で技術を担ってきたというのが非常に大きいわけでございます。これに対しまして大学の方は、ややもすれば象牙の塔と言われる、ある意味で現場から離れることが大学の価値であるというようなスタンスを割と維持してきたのではないか、こう思いますが、両方相まちまして、やはり大学と産業界の距離というのがある意味で大きかったのではないか、こういうふうに思っております。  ところが、昨今になりまして、御案内のように情報化等々がどんどん進んでまいりまして、情報化それ自体は、先生御承知のように、それ自体が機能をどんどん自分でつけ加えていく、そういった技術体系でございます。そうしますと、大企業の生産工程をどうこうするというよりも、むしろ独創的な発想で、どんどんそこの新しい機能を研究開発してつけ加えていく、こういったことが技術進歩の一番の大きな要因になるわけでございますが、そういったことは、むしろ大学ですとか、あるいはベンチャーですとか、そういったところでどんどん担っていくわけでございます。  そういった観点から見ますと、アメリカの場合には、御承知のように、ある意味ではチャレンジ精神、非常に開拓者精神旺盛な社会の成り立ちでもあり、また大学の成り立ちでもある。こういうことから、やはり一九八〇年代あるいは九〇年代、ずっと通じまして、今申し上げました技術の新たな展開とともに、アメリカの特性、特質というのが非常に大きく強く出てきたのではないか、こういうふうに思っております。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 私は、幾つかの理由があると見ておりますが、科学技術庁が去年民間企業に対して調査を実施いたしました。その中で、民間と国が共同研究を行う際の問題点を聞きましたところ、事務手続が不便である、こういう指摘が多かったように思います。  実は私は、この法案はそういった小さな手続改善になっているかもしれないけれども、非常に重要な民間の声を取り入れたものだというふうに理解しております。すなわち、一部には、技術力を高める効果がないではないかとか、あるいはもっと格好いい政策でなくてはならないというような見方があるかもしれませんが、こうした批判は本当のことを言うと民間の切実な声を無視したものだと私は思っております。  事務手続の改善がどれほど大切か。例えば、一例を紹介させていただきますが、私が企業の人間だといたします。そして、国立大学のすぐれた研究者、深谷教授の才能を見込みまして、五年間で五千万円を用意して半導体の委託研究開発をお願いするといたします。しかし、五年間で五千万円という提案では、大学の事務局に受け付けてもらえません。国の予算制度が単年度主義になっておるからでありますが、そこで一年に一千万円、これを五年間、毎年同じような手続を繰り返してください、こういうことになってまいります。  しかし、これでもまだ不十分です。謝金は一体幾らになるのか、旅費は幾らになるのかというような、費目ごとに予算を分析していかなければなりません。ようやくその書類が整って、受理をされて一千万円を振り込みますと、国から大学へ深谷教授に査定という形で一千万円がおります。しかし、これには費目による制限が実はかかっておりまして、なかなか厄介です。  例えば、アメリカで大切な学会が開かれるのでぜひ深谷教授に参加してほしいと考えまして、私と教授との間で、この際パソコン購入費を学会出張の旅費に回していきたいという合意ができたといたします。しかし、これは費目間の流用となって、自由にお金を動かすことができません。また、もう一つ問題があります。年度末になってお金が二百万円余りました。よかった、来年使いたい。ところが、繰り越し手続が大変面倒なために、事実上不可能となっております。これでは、産官学連携といつまで言っていても、日本では絵にかいたもちになってしまいます。こういった地味ではあるが切実な問題を解決することが必要な段階であると私は思っています。  この法案では、その点で大きな前進になっていると思います。これも深谷大臣の指導があった、通産省が地道な努力をしてきたと私は思っておりますが、民間から国公立の大学へ資金が円滑に受け入れられるような面について、大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 青山委員のおっしゃるとおりでありまして、企業が大学に研究委託あるいは共同研究をしようというときに、せっかく出したその資金が、いわゆる費目によって区分をされたり、あるいは単年度主義であるがために繰り越しができない、あるいは一定の期間を考えて費用を使うということができない等々、これはもう明らかに、せっかくの研究、技術開発がうまくいかない最大の背景になっていると申し上げていいのではないかというふうに思います。  このたびの技術力を強化していくという種類の、その目的の法律としては、そういうようなマイナス要素をできるだけ外そうということでございまして、費用については、単年度でなくて、例えば今半導体で委託をするということになれば、五年分を一括してお渡ししてお使いいただける、そういう情勢にもなりますし、また、費目につきましても、もううるさいことは言わずに一括で御判断に任せるというような、数々の改革をいたしまして、そういう意味で、使い勝手がよくて、技術開発、技術研究ができるような内容を整えられた、このように思っております。

青山丘自由党

○青山(丘)委員 ありがとうございます。質問を終わります。

中山成彬自由民主党

○中山委員長 吉井英勝君。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。  私は、産業技術力というものは、これを強めていくということは非常に大事なことだと考えているものです。そのことを考えるときに、最近の事故から教訓を学び取っていくということも非常に大事じゃないか、実はかねがねそういうことを思っているんです。  例えば、HIIロケットであるとかミューVのロケットの打ち上げの失敗とか、巨大科学技術挙げての分野での失敗が続いておりますが、これは、少し詳しい話は科学の委員会の方でもやりましたからきょうはそれを繰り返すつもりはありませんが、例えばロケットのエンジンにしても、前回故障したところについて幾つかの可能性が考えられる。  その中には、液体酸素とか液体水素とか、それを高速回転するところへ持っていくと小さな泡が発生する。泡が発生するということは、振動が発生する。振動によって金属疲労が起こって、壊れたりとかいうことが出てくる。そうすると、それぞれの分野について、やはり、これは流体力学の分野にかかわる問題から、いわゆる泡の発生、消滅に至る問題とか、振動の問題とか、それを、液体酸素を使ったとき、液体窒素で模擬した場合、液体水素を使った場合とか、やはりいろいろな基礎的なそういう研究をきちっと押さえて、一つの失敗からたくさんのことを学び取る、たくさんの分野で研究を進めていくということが次につながっていくことだと思っているんですが、どうもその点では最近事故が相次ぎ過ぎている。  私は、そういう点では、一つには基礎研究というものが、それぞれの要素ごとの基礎研究などもかなり軽く扱われてしまっていたり、あるいは、コスト中心の発想から、そこが研究者の方はやりたいなと思っても、切り捨てられたりする部分もあるんじゃないか。そういうところもきちっと見ていく必要があるというふうに思っているんです。  それから、研究予算もそうですが、同時に、大学にしても国立試験研究機関にしても、研究者をサポートする、研究者一人当たりの研究支援者、サポーティングスタッフが年々減ってきているわけですね。研究者は、自分一人で何もかもできるわけじゃなくて、それを支援する、サポートする人の非常にすぐれた技能などがあって初めてうまくいくわけなんですね。  例えば、金属なり鉱物なりの研究をする人の場合に、その結晶をうんと薄い切片をつくって顕微鏡で見るというような場合に、どれだけ薄い切片がつくれるかというのは、これは本当にサポーティングスタッフの方の腕にかかるわけですね。しかも、かなり年をとった支援者の方が退職されるときには、その後を継いでいく支援者がきちんと養成されていかないとうまくいかない。そういう問題もあります。今、大学や国立試験研究機関で、かなりそこが弱い部分になってきているという問題もあります。  それから、物づくりの技術ということを考えたときに、いかに総合的な力を持った大企業といえども、かなり細かな部分については、大臣もよく調査に行かれたりしていらっしゃると伺っておりますが、例えば、東京でいったら大田区なんかの、ネットワークを組んで物をつくっている物づくりの皆さん方のところ、そういうところが、産業が空洞化していく中でネットワークが崩れていく。それで、集積された力があってこそそこは生きてくるんですが、一つ一つ歯抜けになっていくとうまくいかない、そこに技術や技能の伝承ということもうまくいかなくなってくるという問題もありますし、一方、リストラによって技術の蓄積が失われていったり、あるいは、品質管理とか工程管理をやるところからさえ力が失われていく。  だから、産業技術力を強化するというときには、大学などの技術の移転だけ考えればうまくいくというものじゃなくて、実際には、今挙げたような個々の分野で本当に一つ一つ力をつけていくということなしには、どこかで新しいものが考えられたからすぐ製品化されてうまくいくというものじゃありませんから、日本の産業技術力を強化するということを考える場合、今申し上げましたような基礎研究の分野から、その研究に当たる人やそれをサポートする人の体制やその予算、そして中小企業などの物づくりの技術の衰退という問題について空洞化を食いとめて、そこを支援していく。そして、企業の中でも、リストラ、リストラという、リストラばやりの時代ですが、技術の蓄積が失われるようなことを食いとめる。  そのために何をしていくかということを含めて、こういう点で個々の問題についてのしっかりした検討や取り組みというものがまず政治の舞台で考えられていく必要があるというふうに私は思っているわけですが、この点について、最初にまず大臣のお考えを伺っておきたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 ロケットの引き続いての失敗、そこから、日本の技術力が低下している、特に基礎的な研究が、あるいは基礎的な成果が後退しているといったような批判があることは、委員御指摘のとおりであります。また、物づくりという点からいきますと、いわゆる熟練した人たちの技術が高齢化とともに失われていく、そういう問題もありましょう。あるいは、優秀なサポーターが集まらないという問題もあります。それぞれがきちっとしていかなければならないテーマであることは全く同感であります。  ただ、そのこともきちんとやってまいりますけれども、一方において先端的な技術の開発が非常におくれている。アメリカと比べて二十年もおくれているとおっしゃった方もいらっしゃったけれども、そのおくれを取り戻していかなければならない。そのために産業技術力強化法をつくって積極的に進めていくわけでございますが、もう一回申し上げれば、それを進めていくことが、基礎的な技術開発をおろそかにしたり、ないがしろにするということでは全くないということでございます。  先ほど、シリコンバレーにあるスタンフォード大学の例が出ておりましたけれども、産学官連携だとか応用研究において非常に成果を上げている大学でありますが、同時に基礎的な研究においても成果を上げている、そういう形ができております。そういうような例を見ましても、研究開発の現場というのが産業界や社会と密接に関係を持つことで基礎的な研究もあわせて活発になっていくのではないか、そのように考えます。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 基礎的な研究をしっかりまず進めるということを考えていかなきゃならないということです。  次に、中小企業庁の方にも少し伺っておきたいんですが、「経営者」という雑誌の九六年十一月号に、明輝の会長の黒柳勝太郎さんという方が、この方は金型製造などの方ですが、金型製造はどんなに自動化、機械化しても技能的なものが残る、熟練が即技能だから技能の育成に時間がかかる、体で覚える必要がある。コンピューターを使っても技能は残る、若い人はコンピューターに行ってしまうんだが、そこは非常に大事な分野なんだ。景気が立ち上がらない原因の一つは国内製造業の空洞化にある。技能をもっと魅力ある仕事にするには国がもっと力を入れてほしい、いわば中小企業省をつくる構えを持ってほしい。これはみずからの体験を込めて言っておられるわけです。  私は、産業技術力強化ということを考えた場合に、こういう物づくりの技能を高め、継承し、発展させていく、そのことについて中小企業庁として、これは大企業の下請仕事をやっていたところであれば、下請取引を本当に簡単に切られることじゃなくて支援することとか、新しい製品開発への支援なども含めて、中小企業庁として本当にそこに力を入れておかないと、新しい先端的なものをいざ現場でつくろうといったときに現場の技術が伴ってこないわけですから、この点で中小企業庁としてどういうふうに進めていこうとしていらっしゃるか、私はそこを伺っておきたいと思います。

岩田満泰中小企業庁長官

○岩田政府参考人 今御指摘の点、まことに私ども同感でございます。  今私どもの中で勉強をいろいろとしておるところでございますけれども、技術が高度化をするということに伴って、すべてがその技術あるいは機械によって取ってかわれるというものではないという議論が多くの専門家の皆様から寄せられております。技術が高度化するに伴って、それに伴う高度な技能というものが必要になって、微細加工でございますとか精密ないろいろな製品あるいは部品のようなものが、素材のようなものができていくということ、そういう技術と技能の相互関係というものが極めて重要だというような議論も今展開されております。  具体的にどのような方策があり得るか。これは、企業のベースで行うこと、あるいは教育あるいは技能者の訓練というような次元について行うこと、あるいは政府、行政当局としてもろもろの支援策として行うというようなことがあり得るのではないか。  まだ中間的な段階にございますが、いずれにいたしましても、御指摘の点、まことに私どもも同じような問題意識を持っておりまして、物づくりを進めていく、あるいはこれからの二十一世紀の日本の製造、物づくり産業というものを引き続き支えていくというために、中小企業庁としても、具体的にどのようなことを民間の方々と一緒になってやっていくべきかということについて結論を得たいというふうに考えております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 これから検討し結論を得たいということですから、そこはしっかり取り組んでほしいと思うんです。  「もんじゅ」の事故があったときに西澤潤一先生がこういうことを、東北大学その他で御活躍ですが——超一流大学を出て、そのおれがコンピューターを使って設計したのだと過大な自信を持って、下請のそのまた下請の小さな工場の社長さんの、Rというような、角っこを少し円周状にする、そういう切削加工なんかをRをとるというふうに言いますが、Rをとっていないという当然の注意を突っぱねて、国や人類の百年の計を誤らせる大失敗をした事件もあったと指摘をしておられます。  実際にあのときも、これはNHKのテレビなんかでも紹介されましたけれども、大田区の町工場の方の、大企業から「もんじゅ」の事故のときの温度計の加工を頼まれたんですけれども、現場の人の経験からしてこれはこうとらなきゃだめだと言ったんだけれども、いや、コンピューターで計算したらこうだ、おれは超一流大学出てきた技術者だからおまえのような町工場の人間の言うことなんか相手にしていられるか、こういう感じでいって、結局大きな事故をやっちゃったわけですよ。  ですから、そういう点では、西澤先生も指摘をしておられるんですが、物づくり軽視の考え、これを本当に、ただ中小企業の皆さんが頑張るということだけじゃなしに、国の産業政策の中でもそうですし、それから教育の分野でもあるいは広報の分野でも、いろいろなところで物づくりというものを、基礎に立ち返ってしっかりこれを温めていくといいますか、大事にしていくということをやらないと、いかなる先端的なものにしてもうまくいきませんから、私はこの点で、物づくり軽視の考え方というものを克服していくその取り組みというものを、これは大臣、やはり国として本当にしっかりそこを据えてやってもらう必要があると思いますが、大臣に伺っておきたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 腕を磨いた職人たちの技術というのが機械よりもはるかに能力があるというケースは幾つもございます。そして、そういうものが新しい機械化、近代化の中で失われていくということは大きな損失であると考えます。そういう意味では、物づくりの人々、そこに携わる人たちをいろいろな角度から応援し、その技術を残しておくということは大変大事なことだと思っています。  私は、大臣になる前でありますけれども、埼玉県にものづくり大学という、これは労働省を中心にした大学を建てようというので今その準備が着々と進んでおりますが、通産省も可能な限りのお手伝いをしようというので今も協力しておりますが、これは、まさに物づくりの大切さというものをしっかり学んでいただく、技術を残していただく、あわせて周囲の人たちが物づくりを行ういわゆる職人さんと言われる人たちに対する敬意の思いをきちんと持っていくという社会環境をつくる意味でも大事だと思っておりまして、この点については我々も精いっぱい頑張っていかなければならぬと思っています。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 物づくりという点では、きのうも申し上げましたが、東の大田、西の東大阪と言われるような地域的な基盤的技術の集積地が日本の二大集積地と言われております。その周辺部に東京でも大阪でもすぐれた物づくりの力を持った町工場やそういう地域があるわけですが、そこが今日の経済不況の中で非常に深刻な状況にありますから、これはただ一般的に支えるというだけじゃなしに、そこについては、単なる金融の問題だけじゃなしに、新しい製品開発から経営基盤に立ち入った支援に至るまで、またそれを進めるそれぞれの自治体について、これは国の方の財政支援を含めて、本当に物づくりを支えるということはそういうことなんだということで取り組んでいってもらいたいというふうに思います。  私が非常に気になっていたことの一つは、八〇年代に大学の中で経常研究費がずっと頭打ちだったわけです、これは後ほどまた議論をしますが。あるいは、国立試験研究機関の施設設備の老朽化なども八〇年代から九〇年代の初めにかけて随分問題になりまして、これは国会でも議論になりましたが、そうした研究費不足などの常態化が進む中で、当時、ちょうどバブル経済のときでもありましたから、まじめに実験をすることがだんだん軽視されていって、コンピューター解析などがもてはやされるようになっていく。中には、工学部や理学部を卒業して、銀行、証券の方が給料が高いからということで行ってしまう。金融投機に走っていくことがまるでいいことのようにあおられていく。  大学の中ででも、実際に手を汚して実験をする、データを集積してそれがコンピューター解析と結果が合うのか合わないのかとか、データを理論化していくという、その作業と実験とが結びついていくような、そういう方向からはだんだん離れた方向が生まれてきて、私はそれを随分心配していたんですが、やはり工学部の先生方と最近懇談しても、最近の若い人たちは実際に手を動かす、汚す実験よりもコンピューター解析とかそっちの方に走りがちだ、本当は両方必要なんだがというお考えなんかも聞いてまいりました。  バブルの時期に前後して、産業技術力強化を言っている経済界の人たちの間にも、やはりコンピューターを駆使したりする理工系の学生を金融投機などの分野に、そこが何かいいようにもてはやされてしまうような、そういう風潮をつくってしまったということは、一面、これは本当に反省をしてかかるべき問題を残したんじゃないかと私は考えておるんですが、この点についても大臣に伺っておきたいと思います。

村田成二通商産業省産業政策局長

○村田政府参考人 お答え申し上げます。  非常に大きな視点からのお尋ねでございますので必ずしも十分にお答えできないと思いますが、確かに、おっしゃいますように、どんな研究開発でも、いろいろな方の寄与と積み上げ、積み重ねが大事だと思います。しかも、中核になって研究開発する人も、小さいころからいろいろな、例えば実験を繰り返し、ないしは昆虫採集、植物採集を繰り返し、物に触れ、物を工夫して加工しということを手ずからやってきて初めてその大事さというのがわかってくるのだ、私どもはそう理解しております。  そういう意味合いにおきましては、やはり大学教育のみならず、むしろ小中学校からを含めての日本の教育全体の人づくりの視点というものが問われているというふうに私どもは認識いたしております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 それで、バブル経済の中でコンピューター等の理工系の知識を持った人が金融投機なんかに走ってしまうという、別に金融の分野に行くことが悪いと言っているわけじゃありませんが、非常に残念なことも随分ありました。しかし、同時に、産業空洞化が、八五年のプラザ合意以降、円高が進むもとでどんどん進んでいって、そういう中で、産業が空洞化していく、リストラが進む、企業の中の技術の蓄積や伝承が断ち切られていく、そして中小企業も切り捨てられていく、だから、これまで組んでいたネットワークが崩れていくという非常に深刻な問題が生まれてまいりました。ですから、そういう状況を放置しておきますと、大学で生まれた特許の商業化といっても、本当に、現実に製品化する上でのたくみのわざというものが失われていくわけです。  こういう点では、EUなんかでは、労使協議会指令だとか大量解雇指令とか、あるいは既得権指令とか賃金指令とか、その指令とそれに基づく国内法を設けて、産業空洞化への道とかリストラの動きなどについても一定の歯どめをかける民主的なルールというものをつくって、地域経済が空洞化するとか地域の物づくりの力が失われていくのを食いとめるために、やはりそういう取り組みというものをやっているわけです。  ですから私は、こういう点では、ここのところは大臣に伺っておきたいと思うんですが、やはり産業空洞化を日本の産業政策の中でも抑えていく。未来永劫、どんな時代も社会は変わらないというそんなばかなことはないわけで、当然変化するんですよ。しかし、急速に今日ほど産業空洞化が進んでいってしまうということについては、やはり食いとめる。それを国としても考えていかないと、せめてEUなどが考えているような、取り組んでいるようなやり方、そこのところをやはり考えていくべきだと私は思うんですが、この点は大臣に伺いたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 生産現場の高いレベルの品質確保とか工程管理とか、これは我が国製造業のいわば強みというべき重要な要素でありました。そうした特質を十分に生かしながら我が国の産業技術力の強化が図られていくということは大変大事なことだと、同じような認識を持っています。  現在、厳しい経済環境の中でございますので、個々の企業がそれぞれの事業分野の見直しを図ったり、選択と集中といったような、そういう努力も非常に重要でございますけれども、むしろ、個々の企業でなく、国全体として、今申し上げた我が国の強みというものの物づくり基盤技術というものを維持向上していくための有効な手だてをやはりきちんととっていかなければならないというふうに思います。  このために、通産省としては、御案内のように、物づくりを支える技術、技能の普及啓発を図るとともに、その維持、活性化のために、例えば昨年十二月には総理のもとにものづくり懇談会というのがつくられて、物づくりの能力の向上に向けた幅広い検討が進められております。  実際に、例えば神戸なんかは私も何回か参ったのでありますが、あの中でも最近は、これは通産省が応援いたしまして靴の研究の集積施設をこしらえて、そこで物づくりの人たちの新たな努力、技術開発なども進めるようにいたしておりますが、それぞれの地域、それぞれの職業に合わせた物づくり対策というのを通産省も積極的にやっていかなければならない、そういう点では全く同感であります。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 さっきも、中小企業庁長官の方からもいろいろ考えているということでしたが、そういう懇談会もいろいろつくって考えていくというのもいいんですけれども、今本当に手がけなきゃいけないのは、空洞化がどんどん進んでいくのをどうして食いとめていくかということについて、私は、大もとに立ち戻った検討というもの、取り組みというものが必要だというふうに思っているんです。  実は、数年前になりますが、諏訪湖のほとりにあります精密機械などの集積地、そこをお訪ねしたときに、例えばセイコーエプソンの社長さんと懇談したときに、日本のプリンターが世界のプリンター市場の大体九六%ぐらいのシェアを持っていると思うんですが、その日本のプリンター業界同士の競争で、海外へ出ていく。一社が出ていくと、海外でコストを安く生産してまた国内へ持ち込むんだから、その競争になってしまう。自分たちは市場競争をやっているんだから、これをやっちゃまずいというのはわかっているんですと社長さんもおっしゃるわけですね。こんなことをやっておったら日本の産業が空洞化してしまう。空洞化するということは、やはり新しい製品開発の、技術開発の力を失うこということになりますからこれはまずいと思うんだけれども、我が社一社だけではできませんと。私は、それはもっともな話だというふうに思っているんです。  だから、そういうときにこそ政治の力で、産業空洞化について、これはやはり一定の民主的なルールというものを設けて、一遍に、とにかく自社の売り上げさえ伸びればいい、一社の企業利益さえ上がればいいということで簡単に海外に行って、国内産業を切り捨てる。結局それは、長期的に見たときには物づくりの力を失うわけですから。  私は、そういう点では、これは本当に、セイコーエプソンの社長お一人のお考えじゃなしに、亡くなられたソニーの盛田さんにしても、日本型経営が危ないという中で、過密労働とか下請取引の不適切なやり方、こういうやり方をしておったらやがて行き詰まりを来すんだと。そういう点では、ヨーロッパ並みの労働時間であるとか下請関係の透明性、公平性、適切さを取り戻すこととか、そういう点でのルールを設けて、やはり物づくりの基盤というものを本当に国内でしっかり守っていく、それを支援していく、私は、それは政治の力で考えていかなきゃいけないことだと思うのです。  ですから、懇談会はもちろんそうなんですけれども、幾ら懇談会でいい考えを出したところで大もとのところで崩れては大変ですから、私は、こういう点は大臣の方で、やはり政治の世界でどのように民主的なルールをつくっていくか、これを考えていかなきゃいけないと思うのですが、この点は大臣、どうですか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 時代の大きな変化の中で、そういう技術を持った零細企業と言ってはなんですけれども、そういうところがだんだんに淘汰されていくということは重要な問題だし、また、すべての企業が、あるいは圧倒的多くの企業が専らユーザーの求めに応じて安いものを大量に出していけばいいのだ、そういう歩みがずっと続いてきたわけでありますが、そういう中で空洞化が起こったりということは大変大きな問題だろうと私は思います。  物づくり、技術者、その人たちの力を時代の変化の中でも保持していく、あるいは向上させていく、それはかなりのコストもかかることではありますが、国としてやはり取り組んでいかなければならない課題だと私は思います。ものづくり懇談会、せっかくできておりますから、そこでの議論も活発にしていただいて、具体的な手法というものが示され、それを通産省が挙げて協力できるような体制をぜひつくっていきたいと思っております。  また一方で、小さな企業でも大学等と連携をして、新たな、例えば半導体の検査体制などで特許を取ったり、これは熊本に行ったときのテクノポリスパークで実際に行われている状態を見てまいったのでありますが、本当にわずかな人数で、大学とまさに産学の共同で開発をして、その企業がしっかり頑張っているというそんな現実を見ました。やはり後ろ向きな形だけでなくて、そうした新しい前向きの姿勢に対しても積極的に対応していくことが大事だと思います。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 特に下請のところは、とにかく安くて大量につくればいいということだけじゃもちろんだめだったわけですが、一方では、そういう構造に組み込まれておったという問題がありまして、八五年、六年のころで、一ドル八十円の時代に、八十円でも成り立つようにということで、スーパーコストダウンというのが下請の方に親会社から押しつけられて、私、静岡の浜松の調査に行ったときに驚きましたが、半値の六掛け二割引きで仕事をしろと。半値の六掛け二割引きですから、それでどうして生きていけるのかと不思議になるくらいでしたが、そういうふうな中で、しかし、もうそういうやり方ではだめだと行き詰まって、今度は海外へと。  そのことは、野村総研の研究員の方がトヨタ自動車の研究の中で、悪魔の循環という言葉で、そういう悪循環を重ねて海外へ行くようになってしまった、行き着かざるを得ない、そういう循環のことを論じておりましたが、私は、やはり歯どめをかけるべきところは政治の力できちっとルールを設けて歯どめをかけて、空洞化を食いとめるということをこれからもやっていかなきゃならぬというふうに思います。  さて最近、ネーチャーの一月六日号で「日本の科学者よ、行動の士たれ」というのが発表されました。国立大学の大学院生の数は過去十年間で二倍の十八万人にふえた、しかし研究室の延べ床面積は一〇%しか伸びていないという紹介であります。文部省の方から伺っておきたいのですが、この間の大学院生がどれぐらい伸びて、そして実際の研究室はどういう状況か、最初に少しそのことを伺っておきたいと思います。

工藤智規文部省学術国際局長

○工藤政府参考人 御案内のとおり、昨年、日本学術会議の方から、国立大学を中心にした大学関係の研究施設の窮状につきましての勧告が出されまして、それに基づきましての今の記事ではないかと存じております。  御案内のとおり、今データがちょっと手元にございませんのであれでございますが、大学院生がふえましたほかに、海外からの留学生もふえてございまして、それでなくても老朽化が進んでいる中で、ますます狭隘という状況は事実でございます。  私どもも手をこまねいているわけではございませんで、大学関係の研究環境の整備のために、研究費それから研究設備、最近は研究者の処遇改善等々、施策を講じているわけでございますけれども、全体として財政が厳しい中でございますので、なかなか思うようにこういう研究施設の整備に手が回らない部分がございます。  ただ、御案内のとおりここ数年、補正予算等の機会もできるだけ活用させていただきまして、年度によってばらつきがあるのでございますけれども、可能な限りの対応に努めているところでございます。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 大学の基礎研究を強めていく、多くの研究者の方が大学院生などの若い力も結集して、新しいものが次々と生まれてくる。それが学会で発表されたりさまざまな形で公開されて、その中から次々と商品化されたりして新しい産業が生まれてくるということは、私は一つの活力を生み出すものになると思うのです。  ただ、それにしても、大学院生が二倍にふえたけれども、ふえたということは、本来一人当たりのスペースがふえる前と少なくとも同じでなきゃおかしいと思うのですね。ところが、ふえ方が一〇%ということでは、明らかにまず身を置く場所からして狭くなっている。これでは、せっかく大学院生はふえたんだが、研究の中身そのものが本当に発展していくということでは、基礎的なところで保障がされていないんじゃないかというふうに思うわけであります。  この点では、昨年、今おっしゃった百三十一回学術会議の総会では、「特に自然科学系の実験室においては過密状態は著しく、研究者の安全、健康への影響が憂慮される状況である。多くの大学では、スペース不足のため、新鋭の機器の導入もままならず、スペース問題は研究活動を発展させる上で最大の阻害要因になっている。」それから、「現状では大学は十分な人的能力を持ちながらその能力を十分に発揮出来ない状況にある。大学に十分な資本投下を行い、その能力を十分に発揮させることこそ、長期的、継続的に果実をもたらし続ける」こういう指摘をしております。  ですから、私は、この点では今大事なことは、こういう法律案を考えるならば、何といっても大学の今日のこの状況を打開する抜本的な予算の強化。老朽校舎の改善であるとか、老朽校舎の問題だけじゃないのですね、施設設備の改善もそうですし、今の時代に見合った実験機器の更新もそうです。  それから、ほとんどの大学はみんなそうなんですが、大学には標準というのがあるのですね。標準というのはどういうことかといいますと、例えば、あるマンモスの化石、これが歴史上の年代を決める一つの標準となる。そういうものがきちっと保管されておったりとか。しかし、そこが雨ざらしになったり、そういう状況というのが、現在日本の大学の中でもまだまだ各地で改善が十分なされないまま残っているわけです。そういう貴重な学術資料の保存など。  その学術資料その他も踏まえて、あるいは更新された実験機器もあり、研究スペースも保障されて、そういう中から本当に国民の期待にこたえるような新しい研究成果というものも当然生まれてくると私は思うのですが、まず今、そういうところに本当に抜本的に力を入れていくべきときなんじゃありませんか。

工藤智規文部省学術国際局長

○工藤政府参考人 いろいろ御心配をおかけして申しわけございません。  御案内のとおり、私どもも手をこまねいているわけではございませんで、数年前になりますか、時の国内の各誌、新聞等がいろいろ大学の研究条件の窮状を随分キャンペーンを張ってくださったことがありまして、その折に新たな措置を講じましたのは、その折も必ずしも国の財政事情が豊かなわけではございませんけれども、国立大学が保有しております土地で処分可能なものについて、処分した暁の財源をもとにしながら特別施設整備をできるように、いわば特特会計のような仕組みでございますが、そういう制度改正を国会でも御承認いただいて立ち上げたわけでございますが、御案内のとおり、バブルがはじけてなかなか土地も売れないとかいうことで、財源の確保に苦労しているところでございます。  さはさりながら、ここ五年間、平成八年からの科学技術基本計画の期間中でございますけれども、八年度から平成十二年度までの国立大学の老朽狭隘施設整備の事業としましては、約三百万平方メートル、金額にいたしますと一兆七百億円ほどを投入してこの改善を図っているところでございます。来年度以降に当たりましても、さらに関係各省とも御相談しながらその整備に努力を続けてまいりたいと思っております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 ネーチャーでも、以前理化学研究所の理事長を務められた小田先生が紹介しておられますが、「一九八六年のハーレーミッションに参加したアメリカ航空宇宙局(NASA)のある研究者は宇宙科学研究所を訪問した際に「こんな貧弱な設備でも惑星探査が可能なことを発見して勇気づけられた」という皮肉な感想をもらしている。最近、宇宙科学研究所を訪れた研究者は、研究所が完成した世界初の超長距離インターフェロメトリーのための大きなアンテナ付き衛星を評して「ボロをまとったマリリン・モンローのようだ」と語った。」  海外の方は、そういう中でも日本の研究者はよく頑張っているということの評価とともに、いかにひどい状況に置かれているかということについては驚いているわけですよ。  私は、この点で大学の教授などと話をしておりましても、本当にサポーティングスタッフがどんどん研究者当たり減ってくる。ですから、その分は、何か実験をやろうと思ったら、技官の方がいなくなってきた場合には、実験設備の補修から運転維持に至るまで、あるいはウオーミングアップから全部、教授も含めてかからないことには、いざ、いよいよデータをとるというふうな実験を始めるころにはくたびれている、そういうふうな状況を切々と訴えられますよ。  それから、経常研究費の中でパートの人を雇わないと、事務職員がいなくなったために教授が雑務を随分こなさないとやっていけない、そういうふうなことなど。だから研究費でパートの職員を雇わないと研究室が成り立たないというふうな窮状とか、そういうのをやはり訴えておられるわけです。  私は、国立大学にしろ、あるいは国立試験研究機関にしろ、ここは文部省の問題で、ここはどこの問題だということじゃなくて、これは大臣、やはり国を挙げてこの問題に本当に力を入れていかなきゃいけないのじゃないかと思うのです。さっき御紹介しました小田稔先生は、科学技術基本法を制定したが、今のところ恩恵を受けているのは実用志向の研究分野だけだ、現実には宇宙科学研究所や国立天文台の予算は大幅に削られたということを言っておられます。  やはり日本が本当に科学技術の分野で大きな力をつけていこうと思ったら、基礎の分野からすそ野広く発展をさせていくということが大事なわけで、その点では、大学予算であれ、あるいは国公立などの試験研究機関であれ、本当に、施設設備からサポーティングスタッフから、研究費そのものについても思い切った力を入れるということをやってこそ、そこから先、産業技術力というのが生まれてくるわけですから、ここのところに本当に抜本的に予算をふやしていくことなど、国として考えていく必要があると思うのですが、ここは大臣、どうですか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 委員のおっしゃることはよくわかりますが、予算要求を学校関係でやるとすれば当然文部省でございますから、私どもが直接所管するわけではありませんが、その意を体して応援することは可能だろうとは思っております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 私は、だから、大学だけじゃなくて国立試験研究機関ということをつけましたのもそういうことでして、通産省もたくさん抱えていますからね。  それで、これは東北大学の西澤先生が、今西澤さんは東北大学の総長の後、岩手県立大学の学長を務めておられますかね。西澤先生が、  産業界は自分たちの努力こそがこの日本の繁栄につながったのだと驕り、自分たちの利益に直結する研究や仕事ばかりを重んずるようになった。そして、そういう研究をする大学や学者には資金を援助するが、そうでないものには目もくれなくなった。もっとひどいのは、大学は研究などやめてしまえ、企業でやるから無駄はしない方がよいと公言したと、記事にまでなった。   学者もまた自分の利益のために、産業界と手を結び産業界が喜ぶような仕事や、ノーベル賞に関連した世界的権威のある学問にばかりひかれるようになっていくのである。こうして、日本の研究からは独創性が消え、地道にこつこつと研究をし続ける学者も少なくなったのである。 嘆いておられるわけです。これは西澤さんが「背筋を伸ばせ日本人」という中で書いていらっしゃる一節です。  私は、一方では大学の予算が大変になってくる、実際に教授になっている友人らから聞いても、なかなか深刻な状況ですよ。そうすると、勢い、その反面、企業の方の出してくれる金にどうしても向かってしまう。だから、大学の中でも、マルビ、貧乏の方の研究室と、マル富研究室の二極分化が生まれてきたりとか、それが研究の方向をゆがめるような問題が生じてきたり、あるいは大学の中でよく金の集まる研究室の発言力は増していったりとか、それが大学の研究方向や大学の理念を変えていくという問題も生まれてくるわけです。  そういう点で、東大の国際産学共同研究センター教授の安井至先生は、「工業材料」の昨年九月号で、こういうことも言っておられます。産学連携に余りにも安易に取り組むと、大学内に企業の下請研究室ができてしまうという危険性をはらんでいることは事実である、特に、日本における学生の労働力はコストゼロだから、ますますその危険性が高いという指摘をしておられます。  やはり大学と企業との研究のあり方というものについて、きちんとしたけじめなりルールなりを、今そこに筋を一本通すというところをつくっておかないと、これがゆがめられたりしますと、大学自身が長期的に見て本当に正常な発展をしていくのか、方向がゆがんでいくのかということにもかかわってくる問題ですから、私は、この点では、産と学とのどういう関係を持っていくのか、この点について大臣の方も考え方というものを示していただくことが必要だろうと思うのですが、この点、大臣どうですか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 今委員のお話の中で、西澤先生、半導体の権威でございまして、かつて東北大学の学長をしておられた、今は県立の岩手大学の学長であると思いますが、実は、この間宮城県の仙台でシンポジウムをやりましたときの、私と一緒にパネラーで出ていただいた先生でございました。  この先生が、そのパネルディスカッションで盛んに言われたのは、産学官の連携が非常に大事であると。日本が世界からおくれをとっている、こういう状態を克服するためには、大学の持っている研究機関、そして持てる力と、産業界の要請、資金的な協力、また各省庁の支持というものが一体化しなければ、世界の中で伍していくことはできないということを非常に熱っぽく語られまして、私は非常に大きな感銘も受けたのであります。  西澤先生が、いろいろな場所でいろいろな議論をなさり、いろいろな文章にも書いておりますけれども、私がじかに触れたシンポジウムでの先生の意気込みというのは、まさに産学官が一体となって連携をとって頑張っていこう、そういう強い御意思であったというふうに承っております。  いずれにしても、大学が持てる力でさまざまな研究を推進し、そしてそれがやがて事業に移しかえられるような状態になるということの過程の中で、産と一体となって協力をする、それがしやすいように官がさまざまな角度からお手伝いする、こういうそれぞれの分野の分をわきまえた協力関係というものが必ず成果を上げるものと思っております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 その点で、西澤先生の指摘の大事なところは、自分たちの利益に直結する研究や仕事ばかりを重んじるようになって、そこへ、そういう研究をする大学や学者には企業の方が資金援助をする。そういうふうな形になると、産と学との関係というものがゆがめられてしまうわけですから。私自身、産と学とが協力し合っちゃいかぬというようなあほなことを言っているんじゃないんですから、そのときに、きちんとしたルールを考えておくことが必要じゃないかということを申し上げているんです。  私は、そういう点では、大学等で研究開発された産業技術力が産業界で公平公正に活用できるような仕組みや制度をつくるということ、特に、独自に技術を開発することが困難な中小企業などが活用できる仕組みを考えていくということが一つ大事だろうと思っているのです。  同時に、産学協同によって、大学の学問の自由に反したり、ゆがめたりするような事態が起こらないような、そういうきちんとしたルールというものは確立しておくということが大事だ。私は、少なくとも、余りいろいろな能書きを並べなくても、やはり、それぐらいのルールだけはきちっと確認をして進めておくということが大事だと思うんですが、そういうことを申し上げているんです。その点どうですか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 大学と企業との協力関係というのは、委員もお認めのように非常に大事でございますが、その際に、今までもありましたような妙な癒着であるとか不愉快なかかわりが起こるということに対して、きちんとしたルールを定めて、透明な形でこれを実施していくということが委員が一番言われたいことではないかなというふうに思いまして、それはまさにそのとおりでございます。  大学が資金を受け入れる場合にせよ、大学教官の役員の兼業にせよ、正規の手続に基づく実施ができないような状態で放置すれば、それは大学あるいは教官と民間との間での不透明なやりとりを引き起こすという可能性がございます。  こういう認識のもとで、今回の法律案には、例えば、外部資金の受け入れについては教官がこれを私的に経理することがあってはならず、産学連携のための受託研究、共同研究等に係る資金は大学が会計を管理し、その経理については、毎年会計検査院等による会計検査の対象にもするものである。また、営利企業の役員への就任については、独立第三者機関たる人事院が、公務員の基本的性格を念頭に置いて適正な審査を行い、問題がないということを確認することなしにはこれを認めない。こういうような形をとっているわけであります。  大学の先生が営利企業の役員に就任する際に人事院が関与するというところにも、そのけじめをきちんとしようという思いがあるわけでございまして、委員の言われたようなルールをきちっとつくりながら、本当の意味の産学の連携が可能になるように進めていきたいと思います。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 ここで文部省に伺っておきたいと思いますが、名古屋大学医学部の日高教授事件、これに対する名古屋地裁の判決です。  ここで、富士薬品、日本新薬、大塚製薬から受けた金員がわいろに相当するとして有罪判決が下されたわけですが、わいろ性を考えるときの、その職務に関しということについて、当該公務員の職務執行行為ばかりでなく、これと密接な関係にある行為に関する場合も含むと解される。そして、学外での指導助言も、企業から派遣された研究生に対する学内での教授指導と密接不可分、それに対価関係があれば職務に密接な関係ありとされる。私的な労力への謝礼も含むが、全体が不可分一体でわいろ性を有する。こういうふうに裁判所は判決で示したのではございませんか。

工藤智規文部省学術国際局長

○工藤政府参考人 名古屋大学の日高教授の事件でございますけれども、おっしゃいましたような判決と承知してございます。  大学と産業界との連携協力の仕組みにつきましてはいろいろございまして、共同研究ですとか受託研究ですとか、仕組みとしてはいろいろ整っているわけでございますが、残念ながら、日高教授の場合については、以前もそういう若干手続にもとる処理が見られたようでございますが、私ども総括して申し上げますと、せっかくいろいろな制度が整備されておりまして、その手続を踏めば適正に処理されたものを、あえてそれを無視して処理なさった。  先ほど通産大臣の方から、適正な処理と透明性ということをおっしゃられましたけれども、まさに産学連携で大事なのは、学内における委員会等の適正手続を経て、それを透明な形で処理していくということが大事なのでございますが、日高教授の場合は、多分に個人のモラルに起因する部分が多いものと残念に思っている次第でございます。  私どもとしては、これが産学協力のブレーキになってはならないと思いまして、次官通知等によりまして、一方で綱紀の厳正な粛正を求めますとともに、適正な手続によります産学連携協力の一層の推進を関係方面に求めていたところでございます。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 日高教授の事件の場合、すぐれた頭脳を持つ者がそれに応じた報酬を得ることは当然だ、よい研究を行うためにはその肥やしになるような豊かな私生活を送ることが大事だという発想、それが、みずからを厳しく律しなければならない教育公務員の地位にありながら、当然守るべき一線を踏み越え、わいろを受けてぜいたく三昧の生活を送っていたのであり、私利私欲に基づく犯行の動機に酌むべき事情は乏しいと判決文で述べられております。  私が非常に怖いと思いますのは、なれてしまうとだんだん感覚は麻痺していってしまう。ですから、そういう点では、大学教授という教育公務員の職務の公正さに対する社会の信頼を著しく害した問題とか、産学協同の場における共同研究が、研究生らの教育指導という見地からでなく、みずからの利益や特定の企業の利益のために行われているのではないかという社会的疑惑を招いたという点が判決の中でも示されているわけです。  やはり大学というのは、研究の分野と教育の分野があって、そして研究者としてすぐれた成果を上げながら、そのことがまた研究分野の後継者を生み出していく、育てていくという教育の側面があるわけですね。その両方が大事であって、この点で私は、やはり産と学との関係について、なれてしまってこういうふうにだんだんゆがんでいってしまう、それは個々特定の人の問題じゃなくて、やはり本当にそこにきちっとしたルールというものを設ける。  基本的には、やはり大学の研究成果等は国民共有財産であるわけです。ですからそれは学会その他で公にされるし、そして個人的におさめられた成果で何か個人的に結びつくものがあればそれは特許化されるという道があるわけですし、私はそういう点で、やはり学者が企業の役員を兼務して、産と学とがルールを外れてそこまでいってしまうということは、これはやはり考えなきゃいけない問題だというふうに思うわけです。  その点では、国立大学教官等の民間企業兼業問題に関する連絡会議の教官兼業三要件というのが挙げられておりますが、その中の二つ目に、教官の大学等における職務と兼業先企業との間に特別な利害関係がないことなど、職務の公正な執行が確保されることというのが示されております。  ここで伺っておきたいんですが、企業が大学教官を役員に迎えるねらいというのは、これは、企業の技術力強化という明確で直接的な利益の実現という目的があると思うんですよ。企業が教官を役員として迎えるのに特別な利害関係がないと言えるのかどうか、この点はどういうふうに考えておられるんですか。

村田成二通商産業省産業政策局長

○村田政府参考人 お答え申し上げます。  特別な利害関係というものは多分具体的な個々のケースごとに判断せざるを得ないんだろうと思いますけれども、御案内のように、一般的に、産業技術力をどう強化するかというコンテクストで出てくる関係まで含めて、特別な利害関係にあるというふうには私ども思っておりません。例えば、特別な利害関係にあるというケースとして考えられますのは、大学におきまして、その教官が調達の担当である、それでその調達先として特定の企業というものが具体的に想定される、そういった具体的な関係にあるというのが一つの例示だろうと思いますけれども、そういうものとして考えているわけでございます。  いずれにしましても、この点につきましては、先生御案内のように、独立の機関でございます人事院が、きちっと人事院規則で定めて、それを厳正に運用する、こういうことになっております。現在パブリックコメントに付されておりますけれども、そういったことを踏まえまして人事院で検討されるというふうに私ども理解いたしているところでございます。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 今の利害関係という問題を、取引関係とかあるいは許認可権限など極めて限定的に規定してしまうと、兼業という問題は、これまでとは違って全面解禁ということとほとんど同じ意味になるんじゃありませんか。

村田成二通商産業省産業政策局長

○村田政府参考人 現在パブリックコメントに付されております項目といたしまして、幾つか例示的に書かれておりますけれども、例えば、先生御案内と思いますけれども、ただいま申し上げましたような、大学教員等の占めている官職と研究成果活用企業との間に物品購入等の契約関係その他特別な利害関係あるいはその発生のおそれがないこと、あるいは、申し出前二年以内にその教員等が当該企業との間で特別な利害関係のあるような契約を結ぶような官職を占めていた期間がないこと等々、具体的に三つぐらい例示を挙げておられます。それからまた、最後の項目としまして、その他公務の公正性及び信頼性の確保に支障が生じないようという条項も入っておりまして、ここいらにつきましては、当然のことながら人事院が国家公務員法に基づいて厳正に判断して、こういうことになろうかと思います。  また、片や、透明性の確保というのは非常に大きなブレーキになるわけでございますから、半年に一回実際のケースを公表して、世の中からのいろいろな御批判をきちっとちょうだいする。そういったことも含めまして、適正に運用されるというふうに私どもとしては理解いたしておりますが、いずれにいたしましても、これは人事院がきちっと最終的に判断、ルールを決め、かつその判断を行うというふうに理解いたしているところでございます。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 私、仮に一週間に一回にしろ企業の役員として行って、そのときはまた逆に企業の利益のために頑張らないと職務専念義務に反するわけですから、それがほかの日は大学に戻って、大学に体を置いておってその時間の中は大学の中だといったって、人間、もうけの方が中心になってきますと、頭の中はまた別のところで動くわけですから、ですからそれは簡単に線引きなどできないわけですよ。  問題はそれだけにとどまらないで、だんだん、企業にかかわる研究を進めるために、例えば四回生の学生の卒業研究だとかあるいはマスターの学生の研究論文のための研究にうまくテーマを間配って、それぞれのまとまった論文そのものが企業の利益にもつながってくるということになりますと、これは私、大学の教官のあり方としてはやはり問題が出てくると思うんですね。  私は、人がもうけを考えることは悪いとは思ってないんですよ。だから、率直に、それならば大学の教官をおやめになって、企業の役員としてうんと腕を振るわれたらいいわけであって、なぜそれを兼任か。兼任して、本当にそれは、企業の私的利益のためじゃなしに、全体の奉仕者としての、公務員としての、研究者としての役割とそして教育者としての役割を果たせるのか。私はこれは簡単にいく話じゃないと思うんです。  そういう点では、やはりそもそも産と学との関係では、大企業の場合ですと、もともとたくさん卒業生等を送っているわけですから、企業の方からすれば受け入れているわけですから、その卒業生などを通じて、実態としては大体大学の情報はよく入っているわけですよ。  一番そういう情報から遠いところにあるのが実は中小企業などの方ですから、ですからそれは、自治体の例えば産業技術支援センターなどの役割を果たす機関が、中小企業の願っている研究開発などのテーマを大学へ相談に行ったり解明を求めたり、あるいは関係する大学の研究室に相談を持ち込むとか、逆に、学会で発表されたものなども、中小企業になりますとなかなか情報不足ですから、うまくそこをつないであげるとか、そういう自治体の産業技術支援センターなどの役割を、これをきちっと、いわば大学と産業の分野との間に緩衝役を果たす役割のもの、あるときはつないだり、緩衝の役割を果たす、そういうものを考えるのは非常に意味があるだろうと思うんですよ。  それからまた、大きい企業になりますと、大体、大学の研究の発表される場には卒業生その他の方がちゃんと学会等に参加して、その研究にもアクセスすることのできるルートもあって、私は、そういう点では産と学との間ではちゃんとした、今日でも共同していろいろ知恵を出し合ったりして取り組んでいく分野というのはあるわけですから。  ですから、兼業という、特定企業の利益に直接かかわっていく、そういうやり方はとらないで、別なきちっとしたルールのもとでの共同の道というものを考えていくことが大事だと思うし、それから、中小企業については、逆にそういう産と学との共同できるルートというものを考えてあげるということが、私はそれが今大事じゃないかというふうに思うわけですが、これについては大臣のお考えというものを聞いておきたいと思います。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 きょうの一日の議論の中でたびたび出た質問及び答弁の中身でありますが、やはりこの二十年の間に、日本は技術革新が非常におくれて、それがしかも産業の上で事業化されていかない。そこへいくと、アメリカは産学官の連携が非常に密になって、大きな躍進を遂げている。そういう状態の反省の中から、どうやって革新的な技術をつくり上げ、産業競争力に勝てるようになっていくのかということで、産業技術力強化のこのたびの法案になっていったわけであります。  企業が大学の研究者に対して共同研究もしくは委託研究を行い、資金も出す。それを研究の成果として実用化されるときに、さらに生かすためにその企業の中に参加する。こういう考え方で私どもは進めているわけでありまして、基本的に、残念ながら、その点に関する考え方の相違が委員と私どもとの間にはあるというふうに思います。  しかし、委員の言われているような癒着その他もろもろの問題が起こってはなりませんから、そういう意味では、今般の規制の緩和では、国家公務員法の適用を除外するような法律の規定を設けることは行わなかった。そして、兼業を認めるかどうかを、国家公務員法に基づいて、人事院の判断にかからしめるということにいたした。したがって、承認のための基準を人事院規則で定め、人事院が審査を行うということにしたわけであります。  人事院規則の中では、承認基準としては、教官の大学における職務と兼業先の企業との間に物品の調達関係等の特別な利害関係がないこと、公務員としての職務の公正な執行が確保できること、あるいは兼業時間等に関して公務員としての職務の遂行に支障が生じないこと、兼業時間及び報酬といった役員兼業の実施状況について国民に対して公表して透明性を図る、そういうことを規定しているわけであります。  そういう意味では、いわゆる産学の癒着、しかも刑事事件に及ぶようなそういう問題が生じないように、きちんとしたルールをつくったというふうに思っております。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 時間が大体終わりに近づいてまいりましたので、締めくくりに入りたいと思います。  私は、役員兼業の問題とかそういうことだけじゃなしに、産と学とのあり方というものが、実は今、アメリカの例をおっしゃったんですが、アメリカの方で今は随分それに対する反省といいますか、考え直すべきだという声が出てきているのを見ておくことが大事だろうと思うんです。  スタンフォード大学のアーサー・コーンバーグ氏、これはDNAのポリメラーゼの作用を実験的に証明したということでノーベル生理学・医学賞を受賞された方ですが、「残念ながらビジネスの発想が優先され、私たちの考えは広まっていない。企業は四半期ごとに利益を公表し、株主への配当を考えなければならない。かつてベル研究所やIBMの研究所は基礎研究で大きな成果をあげたが、いまは研究よりも利益が重視され、実践的な商品開発をするようになった。私の発見も」ということで、研究者の自然に対する好奇心から生まれたものであったが、今は基礎研究への理解が必要だ、その点で基礎研究を進める大学の役割は大きいと。大学と企業との関係で、アメリカがこれまでやってきたやり方を考え直す時期だということを言っておられるんですよ。  「日本はこれまで、企業も国も基礎研究を支援してこなかった。企業内の研究を中心に応用研究ばかりが発展してきた。しかし長期的には、基礎研究から新しい発見や技術が生まれ、ビジネスにとって利益があがる新商品にも結びついていく。大学と研究者はその中心にならなければならない。ベンチャー企業も産学協同も、充実した基礎研究と、科学を理解できるビジネスとの関係をつくるようにすべきだ。この関係が実は、最も効率的に新技術を発見することにつながることを忘れないでほしい」というのがこのアーサー・コーンバーグ氏の発言です。  もう時間がありませんから、そのほかに、S・ナディス氏、科学ジャーナリストも、産学が進むと企業秘密が中心になってしまって、大学の研究が侵されてしまったり、あるいはせっかくの学会等での論文発表がうんとおくらされたりとか、研究がゆがめられてくるという問題を抱えているんだということを指摘しております。  アメリカのこういう皆さん方からも、今、産学の協同という問題についてのあり方について、実はやってきたところが深刻に受けとめたり考えたりしておられる時期ですから、私は、そういう立場を踏まえて、そういう観点を踏まえてこの問題については検討をしていくべきだ、このことを最後に申し上げまして、時間が参りましたので質問を終わります。

中山成彬自由民主党

○中山委員長 北沢清功君。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 社民党の北沢でございます。  きょうの論議は、当面する日本の科学技術をどのように我が国の産業の発展や人類の進歩に貢献するかという意味では、非常に重要な論議であろうと私は思います。  今まで日本の技術というかそういうものは、私どももそう思っていたんですが、反省をしているんですが、物まねの科学技術が非常に多かった、そういう評価が実はあって、そういう中で、決して私は、日本の科学技術の頭脳というものは、世界的に見て、アメリカには及ばないにしても極端に劣るものではなくて、むしろ高レベルにある、そういうふうに信じております。  過去において、日本の産業技術というのは非常に高い品質で、なおかつ高い信頼を得ておりましたけれども、一九九〇年代に入って低迷をしております。その強化策が急務となっているというのは理解できるわけでありますが、しかし、このたびの法案に盛られるようないわゆるアメリカ的な規制緩和措置や、単に再編を促して活性化をさせるという手法で日本の国際競争力を強化するという方向性には、実は疑問を感ぜざるを得ないわけであります。そこには社会的、経済的弱者の視点とか配慮が欠如しており、ますます野放しの市場原理が圧倒的な格差を生じさせるのではという懸念を強く持つものでありますが、いかがお考えでしょうか。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 革新的な技術を産業界に生かして競争力を強化していくという、日本の産業全体を世界の中で伍していくような状態に持っていくことと、弱者を切り捨てるということは、全く同一義ではございませんで、弱い立場の人たちをそれなりにきちっとお守りするということに対する政策、政治というのはいささかも変えようとしているわけではないわけであります。ですから、これをやることが弱者切り捨てというふうに言われることは、やや私どもと意見が異なるというふうに思います。  私は、やはり、産業技術力については、革新的な分野を中心としてそのエネルギーが随分低下している。これを懸念されているということはもう間違いないわけでございまして、このまま規制による制約の多い研究開発環境というものを放置しておけば、ますます国力は衰えてまいりますし、貴重な人材だとか研究開発資金が国外にまさに流出をしてしまう可能性がある。我が国の全体についての技術の空洞化が危惧されるような状態の中で、むしろ日本の国内で大学における研究と産業における力とが一体となって、それが効果あらしめるような、そういう状況をつくり出すことが大変大事だというふうに私は思います。  本法案は、こうした制約を除去するために、研究開発の行いやすい環境を整備するということを重要な目的としているわけでございます。これで産業競争力強化に向けて研究開発が進展することを期待しておりまして、その利益は豊かな国民生活の実現を通して国民全体に及ぶものだ、そのように考えています。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 大臣のお考えは十分にわかるわけでありますが、多面的な原因でありますから多面的な論議を深めて、その中でやはり最良の方向を選ぶということが私は大事であるというふうに考えております。  従来の政府研究開発投資の措置状況を見ますと、例えば平成八年度からの総額で十七兆円に上っております。こうした巨額の投資をしておりながらそれが効果的に生かされなかったということなのでありますが、政府としては、これに対してどういうふうに評価をしておられるか、お考えを承りたい。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 これまで我が国の政府の研究開発投資は非常に少ないということで反省をされておりまして、時あたかも行政改革で全般的に経費を削減しろという中で、我が国の科学技術研究開発投資が少ないということで十七兆円という大きな投資が目標として掲げられてきたわけでございます。実は、これらの主たる分野は、やはり基礎研究費であり、幅広く使われておって、これはこれなりに我が国の基礎技術の発展には非常に大きく貢献しているものであると考えているわけでございます。  最近特に問題となっておりますのは、二十一世紀において、アメリカ型の産学の連携によって極めて急成長を遂げ、また将来の特許などに大きな影響があると考えられておりますのが、バイオテクノロジー、ライフサイエンスの世界、それから情報処理、電子関係の技術、そしてこれからは環境技術、またはこれから新エネルギー技術、そういう分野においては、企業家とこの研究、基礎研究というよりは特に応用研究の分野になりますが、こういったところが非常に密接に需要と結びついて研究開発されなければならないという分野でございます。したがって、その分野で非常におくれてしまったという、しかし、それはある程度、今回御提案申し上げておりますように、この枠組み自体も変えることによって、実際に将来の研究開発目的に沿ったものにしたい。  他方、大学にいたしましても研究者にいたしましても、そういう連携がどうしても不十分なためにその分野でおくれてしまうということでございますので、従来型の研究の中には、例えばポスドクという若い研究者がたくさんおられるけれども、それを大いに活用するとか、あるいは大学、研究所のあり方を変えるとか、いろいろな拡充も含まれた予算でございますが、これまでの考え方にさらに加えて、二十一世紀の科学技術の重要な点について役に立つような仕組みをつくろうという意味でございますので、単なる延長線上で考えているよりは質的な変化があるというふうにもお考えいただきたいと思います。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 その生産技術を左右する要因のうちには、いわゆる技術革新が重要な要因であると言われておるわけですが、我が国における技術革新と言われる技術、製品を新たに開発するという分野でのこれまでの実績はどうなっているのか。一般に、我が国の得意とするところは他国で発明された技術や製品の改良であって、新たな開発が不得手とされておりますが、なぜか、どういう理由によるものか。お答えをいただきたいと思います。

村田成二通商産業省産業政策局長

○村田政府参考人 先生おっしゃいましたように、一般的にそう言われているわけでございますけれども、歴史的に見ますと、やはり我が国は、欧米先進諸国に追いつけ追い越せという中では、国際市場におきまして、欧米先進国が開発した製品をどうやって自分のものにしていくか、そして、それに関する競争力をどう備えていくかという道をとらざるを得なかったのではないか、こういうふうに思っております。  ただ、いずれにしましても、そういった面におきまして、生産工程の技術改良、プロセスイノベーションと言っておりますけれども、これによりまして、そういった欧米が開発した技術を、生産性あるいは品質水準の飛躍的向上を伴って、日本としての競争力を備えていく、国際市場における優位性を確保していくということができたわけでございます。  これはもちろん、日本の教育水準が平均的に高かったということですとか、あるいは、企業を中心とします雇用形態の問題ですとか、あるいはモラルの点で、非常に高い勤労モラルを国民が持っていたということですとか、あるいは現場におけるチームワークの問題ですとか、日本の社会として伝統的に培ってきたいろいろなよい点がまさに強みとして今申し上げたようなことを実現したのだろうというふうに考えております。  しかし、御案内のように、最近に至りまして、非常に大幅な円レートの上昇、それからまた、生産技術、特に大量生産技術の極限までの合理化といいますか高度化、これは日本自身が実現してきたわけでございますが、そういったことによりまして、やはり国際市場におきます日本の限界というものが出てきたのだろうと思います。加えて、アジア諸国の急速な追い上げというものをこの分野で可能にしてきたわけでございます。  また、片方で、近年、情報通信あるいはバイオテクノロジーといった先端分野におきましては、一つの技術革新が短期間のうちに新しい産業をつくり出す、新産業、新市場を短期的に創出するような技術革新というものが非常に重きをなしてきている。特にアメリカを中心に、そういった面での競争力を非常にいち早く身につけた国があらわれてきているわけでございます。これはある意味でプロダクトイノベーションとでも言えると思いますけれども、こうしたいろいろな諸情勢の変化の中で、残念ながら、我が国の場合には、今申し上げましたプロダクトイノベーションにおきます新たな流れというものに十分対応できていない、そこにおいて非常に劣後し始めているという問題があろうかと思っておりますが、その理由としましては三つぐらい考えられるわけでございます。  一つは、先ほど来御議論いただいておりますように、先端的な技術革新の一番の担い手といいますのはやはり大学あるいは国立試験研究機関になるわけでございますが、そういったところと産業界との連携というものが、いろいろな経緯があって必ずしもうまくいっていない。それから、創造性豊かな研究あるいは技術開発人材というものを育成する体制、システムというものが不十分に思われるという点が第二点でございます。それから第三点は、こういった技術革新の成果を産業と結びつけていくベンチャー企業、ないしはそこに資金を提供するベンチャーキャピタルといったものが、社会的にうまくでき上がっていない。大きな要因としましては、以上の三つが挙げられるのではないかというふうに考えている次第でございます。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 今の御答弁で、いわゆる欠陥といいますか欠ける点についての指摘がされたわけですが、このことは、今までの指導性という面での認識というものについては若干問題があるのじゃないかというふうに私は実は思っております。  やはり創造的な新たな開発に取り組む姿勢というものを、その中で今後積極的に伸ばしていくように御努力をいただきたいと思います。  今回のこの法案で、特に基礎研究分野での開発を促進するために、産業界と大学や国立研究機関との連携を図ることが実は大きな目的とされるわけでありますが、我が国においては、先ほどもお話がございましたように、研究の主体が国立大学にあり、当然教官や研究者は国家公務員であるのに対して、アメリカの場合の中心となる大学は私立が多いわけですね。公務員の場合でも州立で、州独自の判断で動き、これまでも産学協同への取り組みも大学側が主体的に積極的に取り組んでいるという基本的な構造上の違いが実はあると思います。  したがって、そうした構造上の歴史的な役割の違いを無視してアメリカと似通った規制緩和等を日本の土壌に取り入れることが妥当なものであるかどうかということについて、いかがお考えであるか、お願いしたい。

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 アメリカには国立大学というのはありませんで、我が国の国立大学に相当する公立大学は、いわば州立大学でございます。アメリカの州立大学の教官は、公務員であったといたしましても、民間企業の役員への兼業が認められているなど、我が国の国立大学教官に比べて自由に活動できるような環境というのが整っております。そして、その結果、アメリカの州立大学からはベンチャー企業などが多く生まれているというふうに聞いております。  アメリカの制度を無批判に導入しようということではありませんが、我が国にも適合して、我が国経済の活性化に貢献できるものがあれば、これは受け入れて我が国の政策の中に導入していくということは、むしろ当然のことではないか。今日のように、革新的な産業技術面でおくれをとっている、こういう状態の中で、これを何とかしなければ二十一世紀に対応できないわけで、そういう意味では、大学の研究と産業界の力と連携をいたし、これにまた官が協力をして、産学官連携の中で前進させるということは、私は今日必要なことだと考えております。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 先ほども論議になりましたけれども、倫理的な面から実は伺いたいわけでありますが、これまで国家公務員という枠の中で活動してきた国立大学教官等の民間企業とのかかわりについても懸念材料があるわけでありまして、先ほどお話にもありましたような、記憶に新しいところでも、名古屋大学医学部教授が新薬開発をめぐって製薬会社から多額のわいろを受け取った名大汚職事件、また、新薬の臨床実験で有利な取り計らいをしたという謝礼を受けた防衛医大の収賄事件、空雇用で架空の研究助成費を計上した三重大学教授の不正経理など、現在公務員の倫理が問題となることが多いときに、また国立大学においても同様な不祥事については例外ではないわけであります。  文部省は、不祥事件防止のためのルールづくりの研究を始めたと聞いておりますが、具体的には現段階ではどのようなものになっているか、お答えをいただきたいと思います。

河村建夫自由民主党文部政務次官

○河村政務次官 御指摘のように、産学連携協力体制を進めていくためには、これはやはり特定企業との関係がございますから、国民の不信あるいは社会の疑念が生まれる、こういうことはあってはならぬわけでございまして、やはり個々の教官の倫理観あるいは透明性、この確保が不可欠になってきておるわけでございます。  このようなことで、文部省でも既に産学連携協力に対しては諸制度を整備いたしまして、外部資金は私的に経理せずに、歳入歳出は計上する等々の規定を設けて、適正な取り扱いを求めてきておるところでございますが、今委員御指摘のようなああいう残念な贈収賄事件、あるいは三重大学での不正経理等があったわけでありまして、適正な取り扱いが行われていない。これは教官個人のモラルに帰する部分があるわけでありますが、極めて残念なことであります。  直ちに文部省としても、一昨年十月、平成十年、事務次官通達を発しまして、こういう事態にかんがみ、綱紀の粛正を求める、また、適正な手続によって産学連携協力の一層の推進に特に配慮を求めたところであります。また、この事件から、学術審議会におきましても、産学連携のあり方、今後の推進方法について、大学等と企業との望ましい関係の構築についてという答申をいただいたわけであります。  今委員も御指摘ありましたように、産学連携の一層の推進については、倫理面でのルールづくりが重要である。学術審の方の答申もそのような形でございまして、それを受けて、文部省と奈良先端科学技術大学院大学共同で、産学連携と倫理に関する研究を実施いたしたところでございます。本年二月に、欧米諸国における取り組みの現状分析などを報告書にまとめたところでございます。  産学連携によって、大学教員が外部活動をする、その時間を費やす場合、また教員が個人的利益を得る場合、その教員の責務と、それから利益相反、いわゆるコンフリクト・オブ・インタレストというそうでありますが、この対処の仕方であります。この仕方について、アメリカあるいはイギリス等におきましては、教員は利益相反の可能性がある外部活動を毎年報告をして、大学が審査、承認するという制度があるわけでございます。  そういうことを踏まえながら、さらに今回いろいろな事情、そういう状況を掌握してまいりましたので、さらに関係者の意見も聞いて、先ほど来御指摘ありますように、我が国の国立大学にふさわしい産学連携と倫理の具体的なあり方についてモデルをつくっていかなきゃいかぬということを、今からこれを提起していかなきゃいかぬということでございますので、平成十二年度には早々にそういうものをつくり上げていこうという方向におるわけでございます。  なお、先ほど申し上げました調査結果の報告書、これについては広く国立大学にも配付をいたしまして、実態の認識を持ってもらう。そういうことで、これから産学連携と倫理の具体的なあり方について検討を進めて、各大学等における適切な対応を促してまいりたい、このような状況下にあるわけでございます。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 この費用といいますか、これは国民の税金でありまして、ぜひ公平公正な、一定の企業に貢献する立場であろうとも、努めて公平公正なルールが必要ではないかというふうに私は思うわけであります。  さらに、各大学や研究機関で行う研究はどのように決定されるのか。産学連携ということで委託研究が盛んになると、民間企業の影響力が大きくなって、企業の営利目的に合った研究ばかりがもてはやされるおそれはないか、研究の評価はどう行われるのか。お尋ねをいたしたいと思います。

細田博之自由民主党通商産業政務次官

○細田政務次官 大学の場合におきましても、あるいは国の機関におきましても、やはり研究の目的が達成されることによって国民全体の福祉あるいは世界の人類の発展に貢献するという分野があるわけでございまして、まさにそのような研究が役に立ってこそ全体のためになるわけでございます。  したがって、逆に言うと、研究機関や大学の中だけで地道な基礎研究をやっておってそこでとどめるということは、逆に一部のための奉仕者になって、全体のための奉仕者としてはもっと働いてもらわなきゃいけないという研究が必ずあるものでございます、先ほど例示でさまざま申し上げましたけれども。  そういったものは、産業界が必要としている、ということは、国民が必要としている技術については積極的にやっていくということでございますので、その点、もちろん透明性とか、先ほど例示されましたような、お医者さんが医学の世界で研究をして、それを自分で何かわいろのような形で懐に入れるというのじゃなくて、実際に臨床試験をして、そのことが人類のためになるということははっきりしておるわけでございますから、そのために研究費を使うとか、立場を明確にして研究体制をとることもプラスの面があるということをお感じになっていただきたいわけでございます。  その点が非常に、国立大学や国立研究所が多額の予算を使っている我が国としては、先ほど御指摘のように、結果として非効率になるような研究開発体制がある。これをよくしなければならないという問題意識で、そういった観点をミックスするような案を出しておる、しかも分野はおのずと限られてくるということを御理解いただきたいと思います。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 同じく文部省にお伺いしたいわけでありますが、昔から、科学する心、または国民の科学技術というのは一番大切な問題ですが、地味な問題ですから、最近生徒間に理数科離れという状況が出てきておるようであります。これは大変なことだと私は思います。  新エネルギーだとか産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOの新たな業務として、技術者の養成、資質の向上が本法案に挙げられております。しかも、日本の技術水準の低下には技術教育の不十分さも一因となっておるということも考えられるわけでありますが、学校教育における工場見学であるとか現場体験などを通じ、小中学生時代から関心や興味を持たせて、大学ではより実践的な実技を学べるような学習体験づくりが必要ではないかと思います。また、社会教育や生涯教育の観点からも、教育施設を地域に開放するなど社会全体の機運を醸し出していく努力をすべきであるというふうに考えるわけであります。  特に、大学における研究費の状況というのはまだまだお寒い状況であるということもつけ加えて、御答弁を煩わせたいと思います。

河村建夫自由民主党文部政務次官

○河村政務次官 北沢委員御指摘のように、技術教育というのは小中学校の時代からしっかり徹底をしていく必要があるわけでありまして、特にこの技術教育の中では物づくりというものに重点を置いてやっていこうということで、学校教育あるいは社会教育両面において力を入れておるところでございます。  児童生徒が、それぞれの発達段階といいますか、小学校一年生は一年生なりに、あるいは六年生は六年生なりに、みずからの創意工夫によって、いろいろな作業を自分で実際に手を使うことによって、あるいは体を使うことによって、物づくり、そして技術というものに関心を持つ、そういうものが大事だということを学ばせることは非常に大切なことだと思っておりまして、学校の図画工作とか美術とか技術家庭というものでは特に物づくり、技術を通じての、物をつくっていく完成の喜び、そういうものを体得させるようにしておるところでございます。  また、物づくりについては、学習の実施に当たっては、地域の企業の技術者、そういう方々にも、学校に来て特別非常勤講師として教壇に立っていただいて、いろいろ話をしていただく、あるいは先ほど御指摘のような工場見学、実際にその方の職場に行って体験的に一緒になって物をつくるようなことをする。それから、新しい学習指導要領にも総合的な学習の時間というものを設けまして、この時間で物づくりなどの体験をして、いわゆる技術教育というものにしっかり関心を持っていただく。  今度、ものづくり基盤技術基本計画、法律もできました。これに基づいて、そういう形で教育の充実を求めておられるわけでございますから、文部省としても、しっかりこれから、技術教育という観点から物づくりに関心を持っていただけるような教育をさらに進めてまいりたい、このように思っております。  また、社会教育の面におきましても、全国子どもプランというものをつくっておりまして、今度学校も五日制に変わっていくわけで、土曜日は休みになってまいります。  これまでも土曜日を使って、全国の公民館とか教室開放を行っている学校の施設とか、あるいは科学博物館とかそういうものを使って、地域の教職員の方、職人、技術者、そういう方が一緒になって子供たちと物づくりの指導等を行うような、科学実験、科学教室といいますか、そういうものを開く。あるいはまた、大学を開放していただくとか、特に専修学校が専門のいろいろなことをやっておられる。例えば、コンピューターで設計してロボットをつくる、ロボットの製作実習をやる。こういうようなことで直接参加をしていただいて科学する心をつくる。あるいは料理専門学校に行っていただいて実際に料理をつくっていただく、そして食の文化も学んでいただく。あるいは自動車の整備工場等に行っていただいて実際に自動車のメカニズムを学習していただく。  このような社会教育面においても積極的に子供たちに参加をしていただくということを続けておるわけでございまして、一層この点を進めてまいりたい、このように思っておるわけであります。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 私は、昨年成立をしたものづくり基本法の精神でもあると考えるわけでありますが、人材育成という面から本法案と基本法との連携をどう考えていくかという点については、今若干御答弁に触れられておりますので、ひとつ簡潔にずばりとお答えをいただきたいと思います。

村田成二通商産業省産業政策局長

○村田政府参考人 端的に申し上げれば、車の両輪だと思っております。非常に先端分野におきます創造的な技術力だけでは成り立たないわけでございまして、今日まで培ってまいりました、大企業から中小企業に至る個々の分野におきますすぐれた技術というものを、どうやってさらに維持向上を図っていくかというのは非常に大事なことでございまして、御指摘いただきましたものづくり基本法、こういったものを中心としまして、車の両輪として私ども努力を重ねてまいりたい、こういうふうに考えております。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 ありがとうございました。  本題から少し外れるかもしれませんが、昨日の毎日新聞によると、国連の政府間組織の気候変動に関する政府間パネル、IPCCが一九九五年に発表した二十一世紀末の地球の気温は、九〇年に比べて一から三・五度上昇するとしていたものを、一・八から三・八度上昇と予測気温を上方修正したという報道がございました。  恐らく、地球の温度が一度上がることによって、あらゆる植生も含めて大変な状況になるわけでありますが、四度近い上昇が二十一世紀にされるということになると、これは大変なことだろうと私は思います。こうした予測に基づいて、我が国の地球温暖化対策が当然再検討されるべきと考えるわけですが、特に企業に影響力を持つ通産省にお伺いをいたしたいと思います。

茂木敏充自由民主党通商産業政務次官

○茂木政務次官 毎日新聞を引用しての御質問でございましたが、先週までネパールで開催されておりましたIPCCの専門家会合で議論されましたのは、今回、まだ具体的ないわゆる地球の温暖化の予測ではなくて、複数の温室効果ガス排出のシナリオに関するものでございまして、御指摘の気温の予測値については、別途来年の春までに評価結果がまとめられることとなっております。  いずれにいたしましても、IPCCの方で議論されておりますのは、二十一世紀末という長期の予測でございまして、もちろんこれも重要なわけでありますが、我々としましては、まずは二〇一〇年前後の目標を定めた京都議定書の着実な達成を目指すことが大変重要だと考えております。  こうした認識から、我が国といたしましては、九八年の六月に策定されました地球温暖化対策推進大綱に基づきまして、あらゆる政策手段を動員し、着実に削減が達成されるよう、総合的な施策を推進することといたしております。  特に、産業界との問題での御質問をいただいたわけでありますが、抜本的な省エネルギーの強化を図るために、改正省エネ法に基づきまして、トップランナー方式の導入によります自動車、家電、OA機器等の省エネルギー基準の強化、及び工場、事業所におけるエネルギーの使用合理化の徹底を行うとともに、産業界の自主的行動計画の着実な推進を確保すべく、関係審議会によりフォローアップするなどの措置を強力に講じているところでございます。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 通産省としても、当然見直しを期待いたしたいと思いますが、こうした対策に貢献する研究には、時として、即産業化に適さなくても積極的に推進、対応していただきたいというふうに考えるわけであります。  私は、もう一つの例として、欧米ばかりではなくて、超高齢化社会を迎えようとしている我が国において大きな関心事は、増大し続ける医療費の削減であります。私は、今から二十五年前に、ちょうど日中国交回復の年に、一月ばかり中国に医療関係の勉強に実は行ったことがございます。そこで見た中国の医療というものは、伝統的な東洋医学と西洋医学の結合でありまして、そういう面で、予防医学ということに非常に力を注いでいるように私は思いました。  今、医療費の県別の負担を見ると、私どもの長野県は、自慢ではございませんが、大体半分ですね、医療費、老人医療費。これは、半分ということは大変なことなんです。そうなってくると、医療費のあり方というものについてもやはり考えなければならないわけでございます。そういう意味で、あちらへ参りまして、私は、気功術というのをずっと、上海の和平飯店のホテルの上から、下で何千という人たちが気功を中心とした体操を毎朝しておりまして、こういうような東洋医学の病気を予防するという考え方について厚生省はどのようにされているか。また、厚生省としてもこの分野の研究にももっと興味を持つべきではないかというふうに思うわけであります。  これに関して言えば、予防医学などという、産業化にすぐに成り立つものではないし、製薬会社や医師会からすれば利益に反する研究ということも時にはあり得るわけでありますから、対症療法の面ばかりの研究に偏重されてはいけないわけでありまして、現状にはそうした反映ではないのか。私は、今の医療界、薬学界の状況を見ても、大きな団体や業界の影響力が実はあらゆる面の研究にも反映をされるんではないかという心配をするわけであります。  どうか、今後の基礎研究とか、地味ではあるが将来的に意味があるもの、または産業界の利益に反する研究など、国として必要な研究をもちろん行っていただくために、国の指導力を発揮していただきたい、そのことを特にお願い申し上げたいと思いますが、御答弁を煩わせたいと思います。

篠崎英夫厚生省保健医療局長

○篠崎政府参考人 ただいま先生から、東洋医学、そして特に予防医学の観点からの重要性について御質問がございましたが、私ども厚生省といたしましては、予防医学は大変重要な分野であるというふうに考えております。  また、気功の例で申し述べられましたけれども、気功等の東洋医学の予防医学に関しての効果につきましては、若干まだ科学的な解明を待たなければならない部分も大きいというふうに考えられておりますけれども、こうした点に関する調査研究が進められまして、健康づくりの推進に資することが大変重要であるというようなことを考えております。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 私は最後に、ささやかでございますが、一つの提案をさせていただきたいと思うわけであります。  産学連携ということで、今までもさまざま言われてきた、倫理規程とか価値評価基準のルールだとか透明性をきちんとした形の上でという前提条件つきになるわけでありますが、日本の大学は各都道府県に必ず一つあります。この利点をどのように生かすか。その地方、地域に合った産業を大学が主体となって興していく、その地域への貢献を義務づけるということを提案したいわけであります。  このことは、地域を活性化させ、地方の人材をそこにつなぎとめ、また雇用の拡大という意義も大きいと思います。どうか前向きにお考えをいただきたいと思いますが、大臣、御答弁をいただきたいと思います。

河村建夫自由民主党文部政務次官

○河村政務次官 国立大学が各地域で果たしている役割というのは非常に大きいものがあると私も思っておりまして、これが地域産業に大きな貢献をしていただくということが地域の活性化にとっても非常に大きな意義のあることであります。  御案内のように、共同研究センターというものが、今国立大学における地域企業と一緒になって全学的な推進拠点としてできておるわけでございます。信州大学も拠点としてお地元でもやっておられることは御存じのとおりであります。既に昭和六十二年度にそういうものを、構想を打ち上げまして、今五十三大学がそういうものを設置して、地元企業と一体となっていろいろな開発、技術革新を進めておるわけであります。  またさらに、一昨年、大学等技術移転促進法、いわゆるTLO法でございますが、これが制定をされまして、本格的に大学の研究成果が企業等へ技術移転をできるようになったわけでございます。既に国立大学でも七つ設立をいたしております。信州大学はまだのようでございますから、ぜひひとつ御督励いただきたいと思います。私学も、慶応、日大、早稲田、それから関西では京都大学を中心に私学一体となってこれを進めております。  そういうことで、文部省としても、地方の国立大学と企業等の連携協力がさらに進むようにということで、環境整備に努めてまいりたい、このように考えております。

北沢清功社会民主党・市民連合

○北沢委員 これは一つの提案でございますから、やはり日本においては、国立また公立の研究所、私学、地方含めて、ぜひひとつ科学技術の日本的な、世界的に飛躍、発展をされることを終わりに強く御期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

中山成彬自由民主党

○中山委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————

中山成彬自由民主党

○中山委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。渋谷修君。

渋谷修民主党

○渋谷委員 民主党の渋谷修でございます。私は、民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました産業技術力強化法案につきまして、賛成の立場から討論を行います。  以下に主な賛成理由を申し上げます。  第一は、日本の産業技術の開発が、特にアメリカと比べて長期に停滞していることから、景気回復にも深刻な悪影響を与えていることを踏まえ、これを反転させ、日本の新生を実現するためにも、産学官の連携強化による大いなる挑戦が必要不可欠であります。本法案では、その方向に向けた取り組みの姿勢が打ち出されています。このことを評価いたします。  第二は、国立大学等の教官が企業役員を兼任することについて、技術・情報移転を促進する観点から、その制限を解く施策を具体化している点であります。  第三は、試験研究費への支出割合の高い中小企業に対し特許料を軽減することや、民間と国公立大学との共同研究が可能となること、さらに、民間からの資金提供を柔軟に行えるような施策を盛り込んでいる点であります。  以上が主な賛成の理由であります。  この法案は、まずは一歩前進であります。しかしながら、今置かれている現状からすれば、まだまだ規模においても、質においても、スピードも、物足りないのであります。  民主党は、既に昨年の通常国会に起業家支援法案を提出し、国立大学等の教官の企業役員兼任の解禁措置も盛り込んでいたのですが、その時点では、政府はそれを取り入れるのに消極的でした。たとえ野党の提案する施策でありましても、すぐれたものであれば、国民利益を確保する観点からも、柔軟に取り入れる姿勢を政府は持つべきであります。  国民に希望を与え、自信と確信を復活させるためにも、戦略目標を明確にする必要があります。さらに、それを実行する上で、通産省の行政権限を越える総合的な責任体制を構築して、資金面はもちろんでありますが、内外の研究者などの人的な交流を活発にする施策についても、人々が刮目するような具体的な数値を明示するべきであります。  そのことを要望申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)

中山成彬自由民主党

○中山委員長 吉井英勝君。

吉井英勝日本共産党

○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、産業技術力強化法案に対する反対討論を行います。  日本共産党は、大学などの研究成果が産業界で公平公正に活用されることは当然のことと考えます。その際、大学の自治、学問研究の自由に反することや、学問研究の健全な発展を阻害することのないよう、しっかりしたルールが必要であり、また、中小企業に活用しやすい仕組みが必要だと考えるものであります。  こうした観点から、以下の理由により本法案に反対するものです。  反対理由の第一は、本法案が、大学等の教育、研究を産業技術力の強化に奉仕させるため、産業技術に係る部分にのみ集中的に特典を与え、学術研究の健全な発展をゆがめるものだからであります。  基礎研究全体に対する支援がなおざりになっているもとで、産業技術力のための支援のみを優遇し、産業技術力強化という観点からの評価と予算の重点化が行われれば、大学の教育、研究をゆがめ、長期的には基礎科学と技術の発展を後退させるものとなります。  第二に、大学等の研究者が営利企業の役員を兼ねることは、公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではないという憲法の規定からいって重大な問題だからです。  憲法の規定を踏まえ、国家公務員法等では、公務員が職務に専念し、公務の公正な執行を確保し、公務に対する国民の信頼を維持するために、公務員の兼業を原則禁止しています。特に、営利企業の役員兼業については過去に前例がありません。大学等の研究者である特定の公務員が、特定の営利企業にその研究成果を活用させることは、教育研究という本来の職務を遂行する上でも、公務の公正という点でも、国民の信頼を得られるものではありません。  第三に、昨年度発覚した名古屋大学医学部教授の事件のような、研究者と民間企業との癒着の温床を拡大することになるからであります。  以上、本法案に反対する理由を述べ、討論を終わります。(拍手)

中山成彬自由民主党

○中山委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————

中山成彬自由民主党

○中山委員長 これより採決に入ります。  内閣提出、産業技術力強化法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

中山成彬自由民主党

○中山委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中山成彬自由民主党

○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————

中山成彬自由民主党

○中山委員長 次に、内閣提出、参議院送付、アルコール事業法案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。深谷通商産業大臣。     —————————————  アルコール事業法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

深谷隆司自由民主党通商産業大臣

○深谷国務大臣 アルコール事業法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  六十年以上の長きにわたって存続してきたアルコール専売制度につきましては、昨年四月の国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画において民営化が閣議決定されたところでありますが、アルコール専売制度の廃止後においても、アルコールが広く工業用に使用され、国民生活や産業活動に不可欠であり、かつ酒類と同一の特性を有していることにかんがみると、我が国のアルコール事業の健全な発展及びアルコールの安定的かつ円滑な供給の確保を図るため、アルコールの製造、輸入及び販売の事業の運営等を適正なものとするための所要の措置を講ずることが必要であります。  このような要請に対応するため、今般、本法律案を提出した次第であります。  次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一に、アルコールの製造、輸入もしくは販売の業または使用を行おうとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならないこととするなどの必要な規定を設けることとしております。  第二に、新エネルギー・産業技術総合開発機構は、酒類の原料に不正に使用されることを防止するために必要な額を付加したアルコールを、特定アルコールとして販売することとし、これを扱う者には許可を受ける義務を課さないこととしております。  第三に、許可者以外の者へのアルコールの譲渡などの違反行為を行った許可者に対し、納付金を国庫に納付することを命じることとしております。  第四に、緊急時においては、アルコール製造事業者等に対し、アルコールの製造予定数量の増加など必要な措置をとるべきことを勧告することができることとしております。  第五に、アルコール専売制度の廃止後五年間については、暫定措置として、新エネルギー・産業技術総合開発機構がアルコールの一手購入を行うこととし、また、この法律の施行後五年を目途に、新エネルギー・産業技術総合開発機構の行うアルコール製造業務の全部を引き継ぐ株式会社として政府がその資本の全額を出資するものを設立するとともに、その会社をできる限り早期に民営化するため、必要な措置を講ずることとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。

中山成彬自由民主党

○中山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、来る二十九日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十八分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗