法務委員会 第6号
- 発言数
- 275 件
- 登壇者
- 21 名
- 会派数
- 9
- 開催日
- 1999/11/25
会議録
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨二十四日までに、山内俊夫君、吉川芳男君及び魚住裕一郎君が委員を辞任され、その補欠として中島眞人君、佐々木知子君及び荒木清寛君が選任されました。 ─────────────
○委員長(風間昶君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に荒木清寛君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(風間昶君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案外二案の審査のため、来る十一月三十日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(風間昶君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案外二案の審査のため、本日の委員会に警察庁長官関口祐弘君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁刑事局長林則清君、警察庁警備局長金重凱之君、国税庁課税部長河上信彦君及び労働省労働基準局長野寺康幸君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(風間昶君) 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案、特定破産法人の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法案及びサリン等による人身被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 まず、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案について、政府から趣旨説明を聴取いたします。臼井法務大臣。
○国務大臣(臼井日出男君) 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明いたします。 我が国社会においては、平成六年、七年に、毒性物質であるサリンを使用してのいわゆる松本サリン事件及び地下鉄サリン事件が相次いで発生し、不特定多数の者の生命身体に対し極めて甚大な被害をもたらしたことは記憶に新しいところであります。 最近の国際情勢を見ても、多数の死傷者を出した平成十年八月のケニア、タンザニアにおける米国大使館同時爆破事件に代表されるように、公共の場所で爆弾を爆発させるなどして多くの一般市民を犠牲にする無差別大量殺人事件が多発しております。 このように、無差別大量殺人行為は、平穏な市民生活にとって重大な脅威となる上、これを団体が行う場合には、秘密裏に計画準備がされて実行に移されるため犯行の事前把握が極めて困難であることなどから、犯行の実現可能性も高く、また、団体が一定の目的を達成するための手段としてこれを敢行する場合には、反復して実行される危険性が高いのであります。 そこで、この法律案は、このような無差別大量殺人行為の特性を踏まえて、過去に無差別大量殺人行為を行った団体について、現在も危険な要素を保持していると認められる場合に、迅速かつ適切に対処するため、必要な法整備を図ろうとするものであります。 次に、この法律案の主要点について御説明申し上げます。 第一は、過去に団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体であって、現在も危険な要素を保持している団体を適用対象とするものであります。 第二は、公安審査委員会が、対象団体について、その活動状況を継続して明らかにする必要があると認めた場合、一定期間、公安調査庁長官の観察に付し、公安調査庁長官が当該団体から一定の事項について定期の報告を受けるとともに、必要に応じ当該団体が所有しまたは管理する土地または建物への立入検査を行い得る観察処分の制度を設けるものであります。 第三は、公安審査委員会が、対象団体について、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の増大を防止する必要があると認めた場合、または、第二の観察処分に付された団体につき、不報告または立入検査妨害等があり、無差別大量殺人行為に及ぶ危険性の程度を把握することが困難であると認めた場合、一定期間、土地または建物の新規取得の禁止、既存の土地または建物の使用禁止、無差別大量殺人行為の関与者等に一定の団体の活動に参加させることの禁止、加入強要、脱退妨害の禁止、金品等の贈与を受けることの禁止等の処分を行い得る再発防止処分の制度を設けるものであります。 第四は、観察処分及び再発防止処分の判断手続を迅速に行い得るようにするための手続規定を設けるものであります。 第五は、政府が、毎年一回、国会に対し、この法律の施行状況を報告することとするとともに、公安調査庁長官が関係地方公共団体の請求により、観察処分に基づく調査の結果得られた情報について、個人の秘密等を害するおそれがある事項を除き、提供できることとするものであります。 第六は、本法案による規制をより実効性あるものとするため、警察当局との協力関係につき、所要の措置を講じるものであります。 第七は、規制の実効性を担保するため、立入検査妨害及び再発防止処分に伴う役職員または構成員等の禁止行為違反等につき、所要の罰則を設けるものであります。 以上が法律案の要旨であります。 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
○委員長(風間昶君) 次に、同案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員北村哲男君から説明を聴取いたします。衆議院議員北村哲男君。
○衆議院議員(北村哲男君) 無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案に対する衆議院における修正部分について、その趣旨及び概要を一括して御説明申し上げます。 第一は、本法律案の目的についてであります。 本法律案は、我が国において、団体の活動としてサリンを使用して無差別大量殺人行為が行われ、その団体が依然として危険な要素を保持しつつ活動しており、そのことに国民が大きな不安と危惧の念を抱いているという現状にかんがみ、過去に無差別大量殺人行為を行った団体について、現在も危険な要素を保持していると認められる場合に、これに迅速かつ適切に対処するための必要な規制措置を定め、もって国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与することを目的とするものでありますので、その趣旨を明記するものであります。 第二は、本法律案の適用対象団体の範囲についてであります。 本法律案による規制処分は、無差別大量殺人行為を行った団体の活動に対して一定の制約を課するものでありますので、その団体の範囲を明確に限定するため、団体の役職員または構成員が当該団体の活動として行った無差別大量殺人行為のうち、この法律の施行の日から起算して十年以前にその行為が終わったものを除外するものであります。 第三は、観察処分及び再発防止処分の取り消しについてであります。 公安審査委員会は、これらの処分の必要がなくなったと認めるときは、その職権によりこれを取り消すことができるとされておりますが、当該団体においても、公安審査委員会に対して、職権による取り消しを促すことができることを法律上明らかにするものであります。 第四は、団体の所有等に係る土地または建物についてであります。 本法律案による立入検査は、観察処分を受けている団体が所有しまたは管理する土地または建物を対象として実施されるものでありますので、公安審査委員会による観察処分の決定またはその取り消しの判断に資するため、公安調査庁長官が、公安審査委員会規則の定めるところにより、団体が所有しまたは管理する土地または建物について、これを特定するに足りる事項を記載した書面を公安審査委員会に提出するものとするものであります。 第五は、法律の施行後の見直しについてであります。 この法律案は、我が国においてサリンを使用して無差別大量殺人行為を行った団体が依然として危険な要素を保持し、そのことに国民が大きな不安と危惧の念を抱いているという特別な事情に対処することを念頭に置いたものでありますので、この法律について、その施行の日から起算して五年ごとに、この法律の施行状況について検討を加え、その結果に基づいて廃止を含めて見直しを行うものとするものであります。 以上が政府提出の本法律案に対する衆議院における修正部分の趣旨及び概要であります。 何とぞ、本修正に御賛同くださいますようお願いいたします。
○委員長(風間昶君) 次に、サリン等による人身被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案について、発議者橋本敦君から趣旨説明を聴取いたします。橋本敦君。
○橋本敦君 日本共産党が提出いたしましたサリン等による人身被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその内容を御説明いたします。 オウム真理教とその関係者は、地下鉄サリン事件など、サリン等を発散させ不特定多数の人を無差別に殺傷するという、我が国の犯罪史上に例を見ない凶悪な犯行を強行しました。これに対して国会は、一九九五年四月、全会一致でサリン等による人身被害の防止に関する法律を制定して、サリン等の発散、製造、輸入等を重大犯罪とし、その未遂、予備も犯罪と規定し、さらには発散、製造等のために資金、土地、建物、機械、原材料などを提供することをも独立の犯罪として処罰することといたしました。 ところが、オウム教団は、今日に至るもこれらサリンによる凶悪犯行を認めず、謝罪も反省もないまま再び活動を活発化させ、全国各地で地域住民の不安を高めています。そのため、関係自治体と地域住民は、オウム教団の活動実態の的確な把握と活動規制等の新たな立法措置を強く求めているのであります。 本法案は、これらの要望にこたえて、サリン被害防止法を改正し、オウム教団とその構成員によるサリン犯罪等の再発を完全に防止し、公共の安全の確保に寄与しようとするものであります。 以下、法案の主な内容を御説明いたします。 第一に、本法案は、活動規制を行う対象団体は、サリン等を発散させることにより無差別大量殺人を行った団体で、その犯罪行為の首謀者が当該団体の活動に影響力を有しているなど、その基本方針を現在も維持している疑いがあると認められる団体を指定することとし、実際上、厳格にオウム集団に絞っております。 第二に、対象団体の指定は、暴力団対策法の規定に倣い、都道府県公安委員会が国家公安委員会の承認を得て行うこととしております。 本法案が暴対法の枠組みをとったのは、言うまでもなく警察は、犯罪の予防、鎮圧を責務としているからであり、サリン凶悪犯罪を犯したオウム教団は、いわば極悪暴力集団とも言うべきものであり、暴対法に準じた枠組みによってその活動の規制を行うことが最も現実的かつ道理あるものと考えるからであります。 第三は、本法案は、違憲の疑いがある破防法に基づく団体規制とは根本的に異なり、指定団体の活動を規制することとし、指定団体にその状況の報告を求め、三つの段階に従い、その活動を規制し、犯罪を防止しようとするものであります。 まず、都道府県公安委員会は、指定団体に対して、その活動状況を明らかにするため、報告または資料の提出を求めることができるものとしております。 次に、指定団体が報告または資料の提出を行わず、または虚偽の報告または虚偽の資料の提出をするなど、活動の状況を明らかにすることができなかった場合には、公安委員会は、警察職員に当該指定団体が所有、管理する土地、建物への立入検査を行わせることができることとしております。 さらに、その立入検査を拒まれたり、妨げられ、忌避されたとき、または指定団体に無差別大量殺人行為に及ぶ危険性が明らかに認められるときは、公安委員会は、国家公安委員会の承認を得て、土地または建物の取得や借り受け、使用を禁止し、また加入強制や勧誘を禁じ、さらには金品等の贈与を受けることを禁止するなどの規制処分を行い得ることとしております。 第四に、地域住民への情報の提供は、国民の不安を解消する上で極めて重要であり、そのため、本法案は、関係地方公共団体の長からの請求に応じて、指定団体に関する情報提供を公安委員会に義務づけるとともに、政府に毎年一回の国会報告を義務づけております。 以上が本法案の提案理由及びその概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。 以上でございます。
○委員長(風間昶君) 次に、特定破産法人の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法案について、発議者衆議院議員杉浦正健君から趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員杉浦正健君。
○衆議院議員(杉浦正健君) 特定破産法人の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 この法律案は、無差別大量殺人行為に基づく損害賠償責任を負う法人が破産宣告を受けた場合につき、その被害者の救済に資するため、破産管財人による破産財団に属すべき財産の回復を容易にする特別の措置を講じようとするものでございまして、法律案の要点は次のとおりでございます。 第一は、破産法人で無差別大量殺人行為に基づく損害賠償責任を負うものを特定破産法人と名づけ、この特定破産法人と一定の密接な関係にある特別関係者が有する財産につき、その価額は、不当利得として、特定破産法人の破産管財人に返還すべきものであると推定することであります。 第二は、特定破産法人が最初の無差別大量殺人行為の後に行った特別関係者への財産の移転を、特定破産法人が破産債権者を害することを知ってしたものであると推定することなどにより、破産管財人による否認権の行使を容易にすることであります。 第三は、特定破産法人の破産管財人に、公安調査庁長官に対して必要な資料の提供を請求する権限を与えることであります。 以上が法律案の要旨であります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(風間昶君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐々木知子君 おはようございます。自民党の佐々木知子でございます。無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案について幾つか質問をさせていただきたいと存じます。 そもそも、今国会でこのような団体規制法案を提出せざるを得なかった出発点と申しますのは、松本サリン事件に続きまして地下鉄サリン事件という世界でも例を見ない無差別大量テロ事件を起こしたオウム真理教なる教団に関し、公安調査庁が破壊活動防止法第七条に基づいて団体の解散処分を求める請求を起こしたのに対し、平成九年一月、公安審査委員会がこれを棄却したことにあると言うべきであります。 もともと、破防法というのは非常に使いにくい法律であります。その理由は、だれもが指摘しますように、規制の要件として、継続または反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるという将来の危険性が必要とされているからにほかなりませんが、将来の危険性の予測など、はっきり申しまして、神ならぬ人間の身にはわかろうはずがございません。同委員会は、この法律上の要件にさらに独自の絞りをかけ、今後ある程度近接した時期における将来の危険性とまで限定し、そのおそれなしとして右請求を棄却したものであって、初めに棄却の結論ありきとのそしりがかなりの部分を占めたのも首肯できないことではございません。 アメリカではオウム真理教、日本赤軍の二団体を含む三十団体を外国テロ組織として指定しております。それにもかかわらず、同委員会の棄却決定によって日本はテロを容認する国家であるというふうな国際的認知を受けたことは事実でございまして、非常に残念だったと考えております。それ以上に、公安審査委員会が事実認識を誤っていたことは、その後のオウム真理教の活動実態が如実に示していることでございまして、同委員会は国民の素直な怒りの声に耳を傾けなければならないと考えております。 現在、公安調査庁当局はこの団体の勢力をどのように把握しておられるのか、現場の責任者であります公安調査庁長官にお伺いしたいと存じます。
○政府参考人(木藤繁夫君) お答えを申し上げます。 委員御指摘のとおり、オウム真理教は破防法に基づく解散請求が棄却決定されました平成九年一月以降、組織再興に向けた活動を活発化させておりまして、現在、パソコン販売事業等による潤沢な資金を背景にして、十六都道府県三十四カ所の施設を確保して、その約七割に当たる二十三カ所におきまして地元住民の方々や自治体との紛争事案を引き起こしておるわけでございます。 教団は、現在も麻原彰晃こと松本智津夫が説いた殺人をも肯定する危険な教義を堅持しておりまして、活発な活動を展開しております。その組織体制につきましては、合議制の意思決定機関である長老部を初め十五部署の中央組織を配置して、松本智津夫の子女及び教団代表代行の村岡達子ら六人の教団幹部による集団指導体制がとられております。一方、構成員数につきましては、現在五百人以上の出家信徒と一千人以上の在家信徒が活動しておると見ております。 また、教団は、本年九月末の休眠宣言におきまして、十月以降の支部運営の中止、勉強会等の集会禁止など対外的活動の休止を公言いたしましたが、現在におきましても依然として信徒指導や集会を組織的に開催しておりまして、同宣言は新法逃れの策動にすぎないものと考えております。
○佐々木知子君 オウム真理教に対します地方自治体及び住民の不安は当然でありまして、政治が早急に何らかの手を打たねばならないのは疑う余地のないところでございますが、方法としては三つ考えられると存じます。 一つ目は、これは刑事事件ではなく、一事不再理は働きませんので、再度破防法に基づいて解散請求をする。私自身は、実はこれが最も近道だとずっと考えておりました。 二つ目は、破防法そのものを改正する。もちろん、これこそが抜本的解決でベストであるのは疑いがないことでございましょうが、その分非常に大変であろうこと、これまた目に見えております。 三つ目は、オウム真理教にターゲットを絞った特別法を制定するというやり方でございます。これは二つ目の方法に比べて容易なのは明らかではございますが、特定の個人や団体をねらい撃ちにしたような法案というのは日本の法体系上いかがなものであるか、かなり無理があるのではないかと実は私は個人的に考えていたものでございます。 ところが、実際は今回この三つ目の方法によっておりますが、これに至った経緯及びその理由を法務大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(臼井日出男君) 破壊活動防止法は、団体に対する規制処分の要件といたしまして、暴力主義的破壊行為を行った団体が継続または反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があることを要件といたしております。オウム真理教についての現時点における調査結果では、教団につきましては、継続または反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足る十分な理由があると言えるまでの状況に達しているとは断じ得ないのでございまして、破防法に基づく解散請求が容認されることは困難でございます。したがって、この方法によっては国民の不安や危惧の念を直ちに取り除くということにはならないのでございます。 次に、破防法の改正という御指摘がございましたけれども、破防法は先ほど申し上げました要件を前提として、おそれを除去するために活動制限処分または解散指定処分を行うことができることとなっております。この見直しを行うことは必要ではございますが、国民的な議論の上に慎重な検討を要するものと考えております。 本法案は、無差別大量殺人行為が暴力主義的破壊活動のうちでも治安の根幹をも揺るがしかねない極めて危険な行為でありまして、再発を防止することが困難で反復性が強いという特性を有することにかんがみまして、これを団体の活動として行い、かつ現在も危険な要素を保持している団体については、公共の福祉の観点から実効ある規制を行うことが必要であるとの見地から、緊急の措置といたしまして、観察処分及び再発防止処分という規制措置を迅速な手続によって行う新たな団体規制の仕組みを設けるものでございます。 このように、本法案は、教団を念頭に置いた当面の緊急の措置として新たなる規制措置の仕組みを設けるものでございます。破防法とは制度の趣旨及び内容を異にするものでございますので、破壊活動防止法の改正によらずにこれと別個の法律案といたしたものであります。 以上であります。
○佐々木知子君 今、大臣がお述べになりましたように、本案の骨子である規制措置、これは第二章に規定されておりますが、観察処分と再発防止処分の二つでございます。 まず、五条から七条に規定されております観察処分は、公安審査委員会が公安調査庁長官の請求によって対象団体につきその活動状況を継続して明らかにする必要があると認められる場合、三年以内の期間を定めて同長官に対して活動状況に係る定期の報告徴取をさせ、特に必要があると認められるときは団体施設への立入検査を行えるとするものでございます。 以下は法律上の細かい論点になるかと存じますので、お答えは官房長で結構だと考えております。 まず、五条四項に期間を更新できるとありますが、更新後の期間というのはどのようになるのでございましょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 委員御指摘のとおり、本法では更新という制度をとっておりますので、当初の処分内容がそのまま繰り返されるということになります。したがって、その期間につきましても当初の決定の期間がまた繰り返される、こういうことになります。 なお、その期間が必要よりも長い場合には、もちろん六条による取り消しの対象になる、こういうことになります。
○佐々木知子君 七条二項に立入検査の要件として「活動状況を明らかにするために特に必要があると認められるとき」とございますが、これはどのような場合でございましょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 観察処分に付されました団体の具体的な活動状況を明らかにするために、公安調査官による任意調査が行われます。また、観察処分がなされますと、当該団体からの報告も出てまいります。それらによってなお活動状況が明らかにされていないということが特に必要なということに当たると思います。 ただし、報告を待っていられないような状況というのも特に必要なときというのに当たる場合もあろうかと思います。
○佐々木知子君 実効性の観点からは、これで十分だというふうにお考えでしょうか。もし立ち入りを拒否された場合はどのようになるのでございましょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 本法では、観察処分に伴う立入検査は行政処分としての性格を有するものでございます。したがいまして、その実効性は間接強制による確保という方法をとっております。 このような仕組みでございますので、委員御指摘のような立ち入り拒否が行われた場合には、それに対しては刑事罰が科されますほか、再発防止処分の要因の一つになるということによってその実効性の確保をしようとしているものでございます。
○佐々木知子君 憲法三十五条、捜索、差し押さえに関する令状主義を定めておるものでございますが、これは行政手続にも適用されるべきとの議論があるのは周知のとおりでございます。 実際に行政手続の一環としての立入検査に裁判所の許可が必要とされている立法例はあるのでしょうか。もしあるとすれば、本法案による立入検査との違いはどのようなものでしょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 委員お尋ねの、行政手続の一環としての立入検査について裁判所の許可を必要としているもの、そういう法律はございます。例を挙げますと、いわゆる犯則調査手続としての強制調査、法律で申しますと国税犯則取締法第二条、あるいは関税法第百二十一条が規定いたします臨検、捜索、差し押さえがこれに当たります。 これらが裁判所の許可を必要としております理由は、まず直接的な強制力を有すること。二番目に、これらの手続はいずれも刑事上の処罰に結びつく可能性のある手続であること。刑事資料収集に直接結びつく作用を有すること。これらが理由であると思われます。 これに対しまして、本法案による立入検査は、刑事上の処罰を目的とする手続ではないこと。それから、刑事事件の資料収集に直接結びつく作用を一般的に有するものでもないこと。また、検査の拒否、妨害に対しては罰則が設けられて間接強制を認めておりますが、反面、直接の実力行使が許されているわけではございませんので、先ほど申しました法制とはその法制を異にしている、こういうことになろうかと思います。
○佐々木知子君 では、本法案のように裁判所の許可を要せず、行政機関の責任において立入検査ができるとした立法例は他にどの程度あるのでございましょうか。そのうち、警察官または警察職員による立入検査を認めた例はどの程度ありますでしょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 現在施行されております法律で、行政機関の責任において立入検査ができるものとしているものは約五百ございます。このうち約三百五十につきましては立入検査の拒否、妨害等に対する罰則が設けられております。 このうち、警察官または警察職員による立入検査を認めた例といたしましては、最近では債権管理回収業に関する特別措置法がございます。また、従来ありますものとしては、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律あるいは武器等製造法など十四例ございます。
○佐々木知子君 それはすべて警察官または警察職員による立入検査を認めた例、そういうことでございましょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 先ほど申し上げたとおり、警察官の立ち入りを認めました法律につきましては、債権管理回収業に関する特別措置法等十四例ございます。
○佐々木知子君 次に、もう一つの規制措置でございます再発防止処分についてお伺いしたいのです。 八条は結構ややこしい法律でございまして、読ませていただきましたけれども、その趣旨、目的につきまして官房長の方からお答え願いたいと存じます。
○政府参考人(但木敬一君) 無差別大量殺人行為は不特定かつ多数の人の生命身体に極めて甚大な被害をもたらすものでございます。これが団体によって組織的に行われる場合には秘密裏に入念な計画準備がなされ、これを事前に防止することが極めて困難でございます。また、団体が一定の目的を達するために無差別大量殺人行為を行っている場合には、その反復性が極めて高い類型でございます。 このような無差別大量殺人行為の特性にかんがみまして、過去に無差別大量殺人行為を行った団体が現在もなおその危険な要素を保持している場合には、危険な要素の量的、質的増大を防止する必要が極めて高いと言わなければなりません。また、観察処分に付された団体につきまして、不報告あるいは虚偽報告あるいは立入検査妨害というようなことが行われて、その団体の状況が極めて把握しにくいというような場合にも、当然、無差別大量殺人行為の再発を防止するために一定の活動をある一定期間停止させる処分を行う必要がある、こういう考え方に立って再発防止処分を設けたものでございます。
○佐々木知子君 今のお答えと少し重複するかと思いますけれども、八条には、前段の場合、要するに危険性が増大したと認められる幾つかの場合と、後段の場合、すなわち観察処分を受けた団体について報告義務違反または立入検査妨害等があった場合の二つのケースが想定されておりますが、その二つのケースを想定したということについての理由と合理性についてお伺いいたします。
○政府参考人(但木敬一君) まず八条の前段でございますが、ここは先ほど述べましたような無差別大量殺人行為に及ぶ危険につきまして、その要素の量的、質的増大が疑われる場合にこれを防止する必要がある、こういうことで一定期間、一定の活動を禁止する、こういう趣旨で入れたものでございます。 後段につきましては、先ほど申しましたように、そうした不報告あるいは立入検査妨害等があって団体の危険な要素の量的あるいは質的な程度を把握することが困難である、このような場合であれば団体側の行為の介在ということもあるわけでございますので、当然これに対してはその危険を防止するという観点から一定の期間、一定の再発防止処分を行う必要があるというふうに考えたわけでございます。 いずれにいたしましても、八条全体について申しますと、無差別大量殺人行為の再発を防止する上で必要な条件、兆候が生じた場合には再発防止処分を行う、こういう仕組みになっております。
○佐々木知子君 処分は二項で五つ規定されております。恐らくは、団体を解散させた場合の効果というものを一つ一つ具体的に羅列していったらこうなったのではないかと思えるような処分が規定されているわけでございます。 中でも、現在オウム真理教施設を抱えている地方自治体が最も望んでいるのではないかと思われる二号、つまり「当該団体が所有し又は管理する特定の土地又は建物の全部又は一部の使用を禁止すること。」はどのような場合にできるのでございましょうか。場合によって、その「全部又は一部を行うことができる。」というふうに一項には規定されておりますが。
○政府参考人(但木敬一君) お尋ねの第八条第二項第二号の処分は、団体が既に所有しあるいは管理している土地または建物であっても、その利用状況によっては当該団体の無差別大量殺人行為に関する危険性の増大を防止する必要が生じるということから、再発防止処分の要件の一つとしたものでございます。 第二号の処分がなされる具体的な場合としては、例えば組織の引き締めのためにある施設に信者を監禁する施設を設けているような場合、あるいはもっと端的に申しますと、武器を製造するための工場、あるいは何の目的かわからないけれども、立入検査を妨害いたしまして当該施設に立ち入らせないというような状況が生じた場合、そのような場合が想定されるかと思います。
○佐々木知子君 また同三号は、無差別大量殺人行為の関与者等に、「当該団体の活動の用に供されている土地又は建物において、当該団体の活動の全部又は一部に参加させ又は従事させることを禁止すること。」というふうにございますが、この意図するところは何でございましょうか。
○政府参考人(但木敬一君) この三号は、当該団体が無差別大量殺人行為を行った当時の殺人行為への関与者あるいはその当時の団体の役職員、これらの者が当該団体の施設内で活動することを禁止しようとするものでございます。 これは、具体的な例といたしましては、例えば当該大量殺人行為の根拠となっている極めて危険な教義をそれらの施設内で喧伝する、あるいは個人的な指導を行う、こういうような事例の場合にあり得るのではないかと思っております。
○佐々木知子君 次に、二つの処分いずれにも取り消しに関する規定が六条ないし十条に設けられておりますが、対象団体というのは取り消しの請求権を持つのでございましょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 六条及び十条は、処分を継続する必要がなくなったと認められるときは、公安審査委員会が職権によってこれを取り消さなければならないという義務規定でございます。しかし他方、この義務を負うのはひとり公安審査委員会でありまして、処分の対象者がこの取り消しを請求する権利というものはございません。 ただし、もちろんその処分の取り消しをする職権発動を促すという行為は、それ自体は否定されるわけではございません。これにつきましては、衆議院の修正によりまして極めて明確な形で規定されております。
○佐々木知子君 続きまして、第三章の「規制措置の手続」に移りたいと思います。 十二条二項で、「公安調査庁長官は、」各処分を請求する前に「警察庁長官の意見を聴くものとする。」となっておりますが、このように定めた理由は何でございましょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 本法案は、団体規制に関します公安調査庁長官による請求、公安審査委員会による決定という枠組みを基本的に維持しつつ、その実効性をより増すために、確実なものとするために、警察の持っている情報力あるいは組織力を活用できるような仕組みを本法内に設けております。 お尋ねの件もその一つでございまして、警察においては、全国のさまざまな犯罪捜査によりましていろいろな情報を有しております。そうした情報力を的確にこの手続の上に反映させまして、公安審査委員会が正確な判断ができるような仕組みを設けるために、御指摘のような警察庁長官の意見陳述権というようなものを認めた次第でございます。
○佐々木知子君 そうですね。同条三項には、「警察庁長官は、必要があると認められるときは、公安調査庁長官に対し、」処分の請求が「必要である旨の意見を述べることができる。」ともございます。やはり公安調査庁は人員的にもどうしても限りがございますので、警察庁にある程度は、依存と言えば言葉が悪いかもしれませんけれども、頼らざるを得ないところがあります。それは国民の安全を維持するためにどうしても必要なことですから、これは当然公安調査庁と警察庁とが信頼の上に協議し合ってこれから事務を遂行していかないといけないというふうには考えております。 修正後の十四条でございますが、警察庁長官が再発防止処分の請求に関して意見を述べるために必要があると認めるときは、観察処分を受けている団体に対して当該都道府県警察に必要な調査を行うよう指示することができ、その際、当該本部長は、特に必要があると認めるときは、警察庁長官の承認を得て警察職員を団体の施設に立入検査させることができるとしておりますが、その承認の前に、「公安調査庁長官に協議しなければならない。」としております。これ関連するかもわかりませんが、この理由は何でございましょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 協議を必要といたします理由についてお尋ねでございます。 御案内のように、本法では公安調査庁が調査権を有するとともに、警察に対しては再発防止処分について意見を述べる、その必要上の調査権を認めております。これが仮に公安調査庁と警察とがばらばら、別個に行われるということになりますと、被観察団体の方から見ますと、非常に頻繁に行われてその制約の程度がより激しくなるということも十分考えられるわけでございます。そこで、両者が協議することによって円滑かつ統一的な立入検査等を行いたい、こういうふうなことから協議という規定を設けたものでございます。 ただ、協議と申しますと、法文上の用語といたしましては、単なる相談ということとは異なりまして、両者がよく意思を疎通してその協議を調えることが必要であるというふうに解されております。
○佐々木知子君 としますと、もし協議が調わない場合にも警察職員は立入検査を行うことができるのでしょうか。それともできないというふうに考えられるわけでしょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 法文上協議という言葉が使われている場合には、先ほども申しましたように、両者がよくその意思を疎通し合って協議を調えることが必要であると考えられております。したがいまして、お尋ねのように万一協議が調わない場合には、協議不調であっても立ち入りを行えるという性格のものではございません。 ただ、繰り返し述べておりますように、本法におきましては公安調査庁と警察との協力関係というのが非常に強く求められておりますので、その協議によってお互いに理解し合えるというふうに私たちは考えております。
○佐々木知子君 これで私の通告済みの質問は終わったのでございますけれども、ちょっと三点ほど意見を言わせていただきたいと存じます。 まず、附帯決議にもございましたけれども、この四項に、「政府は、この法律による規制処分を実施した団体から離脱し又は離脱しようとする当該団体の役職員及び構成員並びに既に離脱した者の社会的な救済につきカウンセラーの充実などこれらの者の社会復帰に資する体制の整備などの施策を講じるよう努めること。」。これは非常に私は重要なことだというふうに考えております。 こういうふうにはっきりとオウム真理教をターゲットにしたとはどこの法案にも書いてございませんけれども、これは考えればだれにでもわかることでございまして、追い詰められた信者というのがどのような行動をするであろうかということは、やはりこれまただれにも読めないことでございます。窮鼠猫をはむという言葉もございますけれども、何年間かどこかに潜って、そしてまた出てくるかもわかりません。どういうことになるかもわかりません。 今またオウム真理教以外に非常に変わった宗教に基づいた事件が出てきているやにマスコミ情報では聞いておりますが、手をかえ品をかえいろいろな宗教が出てきます。そしてまた、被害者になってくる人もたくさん出てくる。これはもしかしたら抜本的な日本の教育というか、そういうふうな問題ではないかというふうに考えると非常に奥深い問題が隠されているように思ってかなり深刻にならざるを得ない点があるわけです。 この特別法をつくったから、オウムを取り締まってそれで事足れりということでは決してないわけで、そういったところにまで奥深く政治は目配りをしなければいけないということを皆が考えないといけないということをまず第一点、私は指摘させていただきたいと考えております。 それから第二点ですけれども、当法案はかなり厳しい罰則規定まで完備しております。職権乱用罪は非常に厳しい罰則規定まで設けられております。一見非常によくできた法律のように見えますけれども、言うまでもなく、法律があるということ、制度があるということ、それをいかに運用するかということはおのずから別問題でございます。 現代、いろんなところで不祥事が出ております。特に警察の不祥事は、もう本当に社会問題になっている。子供の教育にも非常に悪いんではないか。ただ、警察だけではございません。いろんなところで不祥事が明らかになっております。 運用はおのずから別物、運用するのは人でございますので、幾らいい器があっても盛る中身がない、運用しない、非常に貧しい運用であるというのでは全く無意味にも等しいということになりかねません。公安調査庁はもちろんのことでございますけれども、警察ももちろんでございます、そして公安審査委員会も、今度こそは国民の信頼を裏切らずに真摯にその負託にこたえるべく鋭意努力していただきたいと切に願っているものでございます。それが二点目でございます。 三点目でございますが、現在、司法制度改革というのが二十一世紀を目前にして非常に大きく叫ばれるようになりました。 オウム真理教の首魁は十七の公訴事実で起訴されております。ところが、一カ月に三回も四回も開廷をして、普通は一カ月に一回のペースで日本の裁判は開いておりますので、これはまれに見るハイペースだというふうに言わざるを得ませんが、それでも遅々として進んでおりません。そして、法律関係者の間では十年かかるだろうということが別に驚きの声でもなく普通に言われているというような現実は、決して正常な司法のあり方ではございません。 ほとんどの裁判は、これは結構誤解されておりますが、三カ月ないし半年で終わっております。九割以上の裁判は一審の段階で半年あれば終わるだろうというふうに言われておりますけれども、ただ、一部世間の耳目を集めるこのような特異の裁判が非常に、この言葉を言わせていただければ異様に長引いております。これは日本の精密司法というのが行き過ぎた結果であろうというふうに私自身は考えておりますが、ただこれをとめる手段はどの法律を見てもございません。 おくれた裁判は裁判の否定であるという昔から有名な法格言がございますけれども、真剣な司法改革に取り組む必要のまず第一といたしまして、こういう異様に長引く、遅延する裁判をどのようにして早目に終わらせるか。鉄は熱いうちに打てという言葉がございますが、十年後にこの首魁に対する判決が出たとして、一体全体国民にどのような感銘力があるだろうかといえば、もうほとんどないではないかというふうに言えると考えております。 刑事司法改革にも真剣に取り組む必要があるということを最後につけ足しして、五分ほど早目ではございますが、私の質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○中島眞人君 自由民主党の中島眞人でございます。 私は、オウム事件が発生をした上九一色、あるいは富沢町、あるいはことしの春の清里と言われるような山梨県出身でございます。今かなり法律的な面で御質問があったわけでありますけれども、私は一般住民がどう思っておるのか、そういうサイドから質問をしていきたい、このように考えております。 十一月二十四日のニューズウイークを見ますと、「日本のヒステリー」という形でこのオウム問題を取り上げておりますけれども、続いて、その次の週にはいろいろまた奇異な宗教にかかわるような事件が発生をいたしているわけであります。 私は、基本的には本法案には賛成であります。 オウム真理教は、坂本弁護士一家殺人事件を初めとして、一九九四年六月二十七日の松本サリン事件で死者七名、重軽症約一千百五十人を出し、翌一九九五年三月二十日の地下鉄サリン事件では朝の通勤ラッシュをねらった無差別テロを起こし死者十二名、重軽症約三千八百人を出すなど、我が国のみならず世界的にも例を見ない凶悪なテロ事件を起こしています。同年五月十六日、松本智津夫及び十六人のオウム信者が逮捕され、同年十月三十日には東京地裁が宗教法人オウム真理教の解散命令を出しました。 あれから四年経過して何が変わったんだろうか、こんな思いが国民の心の中にある率直な思いだろうというふうに思います。 この間、一九九六年七月十一日に公安調査庁が破防法に基づいて公安審査委員会にオウム真理教の規制処分を請求しましたが、結果的には適用を見送られました。そして、後ほど大臣からそのときの見送られた理由、なぜ見送られたのかということをお聞きしたいわけでありますけれども、将来にわたってそういう危険性はないんだ、そういう確たる判断に基づいて見送られた、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、この辺について大臣の率直な御所見をお尋ねいたしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 公安調査庁がいたしましたオウム真理教に対する破壊活動防止法に基づく解散指定処分請求は、九年一月、公安審査委員会により棄却されたわけでございますが、今日この仕組みの上で振り返ってみますと、主として次の二つのことが指摘できると思います。 第一は、破防法の処分の要件の問題でございます。 破防法は、処分の要件として団体が過去に暴力主義的破壊活動を行ったことに加えまして、「当該団体が継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるとき」という極めて厳格な要件を定めております。したがいまして、教団の場合のように、組織の中枢の幹部が逮捕されまして、教団施設から信徒が立ち退くなどいたしまして、教団の人的、物的、資金的能力の縮小などの状況の変化が生じていた場合、その認定は大変困難なものとならざるを得なかったということでございます。 第二は、規制手続の運用の問題でございます。 さきの公安審査委員会の棄却決定に至る経緯を見ますと、公安調査庁による弁明手続の開始から公安審査委員会の決定まで一年一カ月余もの期間を要しておりまして、その間、さきに述べたように、教団を取り巻く状況が大きく変化したことが棄却の決定につながったものと認識をいたしております。
○中島眞人君 では、お聞きをいたしますけれども、四年前のオウム真理教、そして解散命令を受けた現在のオウム真理教の信者数はどのぐらいいるんですか。そして、教義はどういう教義を持ち続けているんですか。同時に、教祖はだれなんですか。こういう点をお聞きをしたいと思います。
○政府参考人(木藤繁夫君) お答え申し上げます。 まず、オウム真理教の信徒数につきましては、宗教法人の解散時点であります平成七年十二月当時におきましては、出家信徒数は約八百人で、在家信徒は約七千五百人と私ども認識しておりましたけれども、一連の事件に対する刑事手続あるいは破防法の規制請求手続などによりまして、同教団の反社会性の実態が明らかになるにつれまして、信徒数は減少するに至ったのであります。しかし、同教団は破防法に基づく解散請求が棄却された後に組織再興の動きを活発化させておりまして、現在、出家信徒が五百人以上、それから在家信徒が一千人以上というふうに把握しておるところでございます。 それから、教義につきましては、今なお麻原彰晃こと松本智津夫が説く殺人をも肯定する危険な教義を堅持しておるものと見ておりまして、教義に変化はないものと認識しております。 それからまた、教祖につきましては、破防法による第五回弁明手続が行われました平成八年の六月以降、表面的には松本が教祖から開祖になりまして、教祖には同人の子供である当時三歳と二歳の子供が就任したということになっておりますけれども、教団は信徒に対しまして、松本への絶対帰依を督励しております上に、松本みずから本年九月二十二日の元信徒豊田亨らの公判期日におきまして、人定質問に対しましてオウム真理教の代表かつ教祖と述べていることなどからいたしますと、依然松本が同教団の代表者である実態に変化はないものと認識しておるところでございます。
○中島眞人君 先ほど大臣からのお話にありましたように、公安調査庁等の見解は、将来危険のないものであるという大きな一つの理由があった。しかし、現状ではオウム真理教を取り巻く信者数あるいは教義あるいは教祖等、何ら変わっていないのではないかという認識に立ったとすれば、あの適用除外をしたときには一つの粗雑性があったのではないか、こんなことを指摘せざるを得ないと思うのであります。 さて、破防法の適用の論議をしていく過程の中で、オウム真理教に破防法を適用すれば他の団体にも適用される恐れがあるのではないかという指摘がございました。では、本法案については他団体への適用は絶対ないのか、オウム以外には適用されないと言われても心配はないのか。これがいろいろな方々の率直な声として今マスコミや新聞等の中に投稿されたり、また解説がされているわけでありますけれども、こういう他への適用というのは守られていけるのか。この辺について大臣にお聞きをしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 本法案の適用対象につきましては、現在のところ、現実にはオウム真理教に限られているものと考えております。もともと本法案は、適用対象については極めて限定的な要件といたしておりましたけれども、さらに衆議院におきましてオウム真理教を念頭に置きまして目的規定が修正されましたほか、無差別大量殺人行為の定義規定につきまして本法案の施行の日から起算して十年以前に行為が終わったものを除外する旨の修正がなされておりまして、より一層適用対象となる団体が限定されることとなりました。 したがいまして、現時点においてオウム真理教以外の団体に対して拡大適用される懸念は払拭されたものと考えております。 以上であります。
○中島眞人君 絶対にあり得ない、絶対に他の団体に適用をしていかない、いかないようにしたい、こういうふうな御発言でございますが、とするならば、逆説的に言えば、オウム真理教に対して破防法の再度の適用をしていくことの方がそういう危惧されている問題が解消されるんではなかろうか、こんなふうに素朴に思うんですけれども、その点はいかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 破壊活動防止法を再度適用すべきではないかとの御指摘でございますが、破防法は、団体に対する規制処分の要件といたしまして、暴力主義的破壊活動を行った団体が継続または反復して将来さらに団体活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足る十分な理由があるということを必要といたしております。 教団の危険な体質に変化がないということはこれまで申し上げているとおりでございますが、現時点における公安調査庁の調査結果では、教団がさきに申し上げた継続または反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認定するまでの状況に達しているとまでは断じ得ないと理解いたしております。現時点において教団に対し破壊活動防止法を再度適用し、解散請求することは困難であると考えております。
○中島眞人君 大変苦しい御答弁をいただいているんですけれども、オウム真理教というものの一つの流れを見てみる、そして信者数を見る、そしてオウム真理教の教義を見る、そして教祖の実態を見ると、四年前と何も変わっていないんじゃないですか。 同時に、信者が東京拘置所を聖地としてそこに集結をしていくそういう実態というのは、危険のない団体だといって却下をしていったあの破防法適用の経過というのは非常に甘かったんではないか、あるいは情勢分析が非常に甘かったんではないのか、あるいは出した証拠というものが非常に不十分であったんではないのか、これは率直に国民の感情として私は持っておるんですけれども、その辺について再度お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど御答弁をいたしましたとおり、当時、出家信徒が八百人、それから在家信徒が七千二百人あったものが審査をしている状況の中でどんどん減ってきて、出家信徒が五百人以上、在家信徒は千人以上と極めて数も減ってきた。ちょうど縮小傾向にあった時期にその判断の時期とぶつかっておったということが一つの大きな理由ではなかったのかと、こう考えております。 今申し上げましたとおり、現在のところ、再び破防法を適用するという状況には至っておらないという見方は私どもは変わっておりません。
○中島眞人君 では、視点を変えて、現在、住民と教団側との衝突、トラブルが群馬県藤岡市、栃木県大田原市を初めとして二十三カ所に上っていると聞いております。さて、この本法案が施行されれば、現在各地で発生している教団と住民との衝突、トラブルは解消できますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 本法案では、オウム真理教の活動状況を公安調査官や警察職員による厳重な監視のもとに置き、立入調査を含めた調査を行うことができる旨定めるとともに、その危険性の増大の兆候が見られた場合には、再発防止処分というより強い規制に移ることができることと決めておるわけでございます。また、調査による情報は地域の住民にも伝わる手だてが設けられております。 したがいまして、住民の方々の二十四時間の監視活動等は基本的には必要がなくなるものと考えておりまして、また、多くの国民の皆様方の不安を取り除くことができるものと考えております。 オウム真理教の信者の住民登録拒否、子弟の就学拒否等の問題につきましては、信教の自由、住居移転の自由、教育を受ける権利等、信者側の人権にもかかわっている一方、住民の平穏で安全な生活を確保するという住民側の人権にもかかわるものでございまして、まず本法の実施により住民の不安の解消緩和を図った上、その解決に当たってはこれらの点に十分配慮しつつ、政府全体として総合的な視点から的確に対処していく必要があると考えております。
○中島眞人君 そうあってほしい。法務大臣の考え方というのは法の執行者、そして片やオウム真理教という信者。しかし逆に、この中で指定をしているように、オウム真理教という一つの団体が無差別大量殺人にかかわる団体であるという認定をされたときに、そこに住む住民の皆さん方は恐怖や不安を持たなくて過ごすことができるでしょうか。 そういう問題の中で、違った住民感情、住民のオウム真理教に対するあり方というものが、少なくとも公安調査庁やあるいはオウムという二つの間ではだんだんだんだん追い詰めていくことはできたとしても、これは無差別大量殺人の団体なんだという認定を受けて、それに対して立入調査やいろいろなことをしていくというのが目の当たりで行われているとしたら、そこに住む地域の住民にとってみると大変不安で恐怖を感ずることだと思うのは、これは人の情けだろうというふうに思うんですけれども、その辺はいかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 重ねて委員の方から住民の不安と恐怖の問題というのが御指摘をされたわけでございます。 概要につきましては先ほどお答えをいたしたとおりでございまして、公安調査官や警察官による厳重な監視下というものに置かれる。立入調査を含めた調査も行う。危険性の増大というものが見られた場合には、再発防止処分というより強い規制というものが行われる。また、情報というものも住民の方々にしっかりと伝わる手だても設けている。そういうことを考えますと、国民の皆様方の不安と危惧の念を除去、緩和することができると思っておりまして、今、委員から御指摘をいただきました、このことによってかえって住民に不安と恐怖がもたらされるというような御懸念は私は当たらないものと考えている次第であります。
○中島眞人君 いや、当たらなければ結構なんですけれども。私が一住民としてその地域に住んでいる、オウムの施設に入所をしている人たちがいる、この人たちが無差別大量殺人という一つのレッテルを張られた集団であって、そこに監視やあるいは立ち入りやいろいろなことが行われていったときに、そこに住む住民にとってみれば大変な不安が増大してくるということは、これは紛れもない住民感情だろうと私は思います。 そういう中で、そうあってはほしくないという気持ちを込めながら、では、今法を無視しているというような住民票拒否の問題とか就学拒否の問題というものも、これも皆無になっていくことができるのか、そういう問題もあわせてひとつお聞かせをいただきたい。 住民の素朴な願いというのは、法を執行する側とオウムとの間に交わされているようなそんな問題でない。もっと純粋な、そういう不安な問題を解消する手だてというのがやっぱり何かそこになければいけないのではないか、こんなふうに思うんですけれども、その辺について再度、これは私、大変重要な問題だと思いますので、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 委員御承知のとおり、現在、全国各地では現実の問題として住民との間で極めて厳しいトラブルというものが現に起こっております。二十四時間監視というものを続けているような住民の方々もおられる。いろいろ御陳情等いただいております。 それらを聞いておりますと、そうした住民の緊張というのはもう極度に達しているというふうに私ども感じておりまして、私どもといたしましては、こうした環境を一刻も早く除去いたしまして住民の皆さん方に安心をしてお住まいいただく、そのことをしっかりと国の立場で察してさしあげるという必要があろうかと思っております。 なお、委員御指摘のとおり、脱退をされるようなオウムの信徒に対する対策というのは大変重要な問題でございまして、これは、先ほど申し上げましたとおり、私ども政府としてしっかりと総合的な立場でもって対策を立てていくべきだ、このように感じております。
○中島眞人君 その問題は私の頭の中にずっとこびりついている問題でございますので、法を執行する側あるいはオウムという形の中で取り交わされていくこの法案の延長という問題が住民にどうかかわってくるかという問題を私どもは常に忘れてはいけない、こういうこともある面では私の懸念する問題として提起をしておきたいと思います。 そこで、追い込められていくオウム真理教、確かに追い込められていくでしょうね。実は、ことしの九月にオウム真理教は対外活動の休眠を宣言いたしました。この後、休眠宣言、また信者の拡張の行為も自粛すると。このことはどういうふうな意味を持っているんでしょうか。本当に反省をしてやっているんだろうか、あるいはやはり法の包囲網がだんだん大きくなってくるので、この際地下に潜れ、こういう意味を持っているのではないかというような論調も見られるんですけれども、これらに対してはどんな御見解をお持ちになっているのか、またどういう対応をとっていくのか、これについてもお聞かせをいただきたい。
○政府参考人(木藤繁夫君) 委員御指摘のとおり、オウム真理教は、本年九月末に、支部運営の中止、勉強会などの集会禁止など対外的活動の休眠を宣言したわけであります。 その宣言以降も、しかしながら一部の支部におきましては依然として信徒指導や集会を組織的に開催しております。かつて破防法に基づく解散指定処分の請求の際にも、教団は活動の自粛を装いまして、請求棄却後に再び活動を活発化させた経緯などを踏まえますと、今回の休眠宣言も単なる規制逃れのための策動ではないかと考えておるところでございます。 また、追い詰めて地下に潜っていくのではないかという御指摘でございますけれども、新法によりましてオウム真理教に対し観察処分が行われました場合には、公安調査庁といたしましては、警察当局とも協力し、教団の実態解明に鋭意努力していく所存でございまして、教団を地下に潜らせる、潜伏させることはないものと考えております。
○中島眞人君 くれぐれもこの点については注意を払っていただきたい。 そこで、この四年の間にオウム真理教がいろんな形で活動を展開してまいりました。中でもパソコンを業とし、七十億円とも七十七億円とも言われる売り上げをいたしている。特にオウム真理教というのは宗教団体ではないわけであります。オウム団体が行うセミナー、これに五万円とか十万円とかというような会費を集める。これは、ある面では本来なら宗教団体としてはお布施に値するんだろうけれども、宗教法人でないオウム真理教にとってはそれにも該当しない。そうすると、これは所得税法の問題等々に絡まってくる問題ではないんだろうか。 これらに対し、現行法で例えば税務当局あるいは労働省はどういう対応をおやりになってきたのかひとつお聞かせをいただきたいし、そしてどんな現状認識をしているのかについてもお聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(河上信彦君) 先生御案内のとおり、私ども税務職員は、所得税法等税法によりまして国家公務員法よりも重い守秘義務を負っておるわけでございまして、個別の事柄につきまして御答弁できないことは御理解賜りたいと存じます。 したがいまして、一般的なことを申し上げざるを得ないわけでございますが、国税当局といたしましては、常に納税者の適正な課税を実現するという視点から、あらゆる機会を通じまして資料、情報の収集に努めるとともに、関係当局から提供されました情報をも参考にいたしまして、課税上必要があると認められる場合には実地調査を行うなど適正な課税に努めているところでございます。国税当局としては、いかなる納税者に対しましても特別扱いすることなく、同様の方針で臨んでいるところでございます。 セミナーと称しまして資金を集めているとの御指摘がございましたが、私ども税務執行の立場からいたしますと、人格のない社団等が行うセミナー等の課税の問題というふうに理解できるわけでございます。 この点につきましても、恐縮でございますが、一般的なこととして申し上げざるを得ないわけでございますが、人格のない社団等につきまして、法人税法施行令第五条に掲げます三十三の収益事業を営む場合に限りまして、その収益事業から生じました所得につきまして法人税が課されるということとなっておるわけでございます。人格のない社団等が行うセミナー等がこの収益事業に該当するかどうかということにつきましては、その事業の内容を十分検討いたしまして、実態に即して厳正に判断するというふうに考えておるところでございます。
○政府参考人(野寺康幸君) オウム真理教の関連企業で働く者につきましては、労働基準監督機関としても重大な関心を寄せてフォローしてございます。ただ、働いておられる方々が宗教上の奉仕あるいは修行というような信念に基づいてやっておられるというケースが間々ございまして、一般的には労働基準法上の労働者であるかどうかという点に問題がございます。このため、関係機関からオウム関連企業の実態の情報を収集いたしまして、私どもとしても従来からずっと慎重にフォローしているところでございます。 例えば本年十月、通信販売業を営むオウム真理教関連会社で就労しておりました労働者から一カ月分の賃金が支払われていないというような申告がなされまして、これにつきましては、当該事業所に臨検監督をいたしまして、事情を聴取いたしました上是正をさせたところでございます。 今後もこういった観点から慎重にフォローしてまいりたいというふうに考えております。
○中島眞人君 日本の税務当局というのは、金の動きをつかむのはある面では世界一だと言われるぐらいその力を持っておるわけであります。特に、暴力団等におきます資金源の問題等についても、過去何回かそういう問題についての摘発もしている等々を考えてみれば、あるいはまた、パソコン販売店等の中で働いている者が信者であっても労働者である点については変わりはないわけであります。そういう点で、労働者台帳等の提示を求めていく、これは積極的に現行法の中でも対応していくすべはあるんではないか。 今お聞きをしますと、守秘義務の問題があるので細かな説明はできないけれども、税務当局もそれなりにやっておるということでございますからそれなりの評価をいつの日か期待をいたしておきたい、こんなふうに思います。 実は、この質問をするに当たりまして、ちょうどオウムの上九一色の事件があったときに、山梨県中央児童相談所に子供たちが五十三名収容されておりました。男子二十八名、女子二十五名。結果的には約八十日間ここで保護されまして、それぞれの地元の児童相談所に帰っていったのでありますけれども、そのときの記録を私は取り寄せてみました。 児童の様子 ほとんどの子どもが透きとおるような白い肌をしており、「顔色不良(蒼白)」を指摘された。 その他、健康診断により、健康上問題をもった児童がほとんどであった。また、身長、体重等の平均値も同年齢児に比べ、大きく下回っていた。 オウムでの生活が長く、深い信仰を持っている子どもは、オウム以外のことに対しては徹底的に反発したし、子どもなりの葛藤もあった。現世での生活を強いられることによって、チックや洋服の糸抜き、唇舐めなどの身体的症状が極度に目立っていった。それでも二カ月間一時保護所で職員らと関わる中で、少しずつ人間への信頼を獲得していき、親との面会を通して家族への思いを確認したり、様々な遊びを通して子どもらしさを取り戻していった。あわせて、最初はオウムへしか向けられなかった興味が、次第に現実に向けられていく。時期により起伏はありながらも、全体の流れで見ると身体症状も確かに減少していった。 今なお解決していないオウム事件のことを考えると、こういう言い方さえ関係者に対し不謹慎に聞こえるのかも知れないが、結局我々職員は、あの子ども達に励まされたのだという気がしてならない。子ども達の回復力に人々は驚き、そしてあの子達の笑顔が、生きているってこんなに楽しいんだよと大人に語っているようであった。 また、今回の件で、一時保護業務を見直す良い機会となった。規制を徹底的に嫌う子ども達と接することで、一体何が必要なルールで何が必要でないのかを考えさせられた。 細かい点を挙げれば、反省点が多々あったことも否定できない。しかし結果的には、方向性として、職員の関わりは正しかったと考える。これらを全て含め、我々が為し得た関わりが、子ども達一人一人への生きる励ましとなったことを信じたい。そしてまた、五十三人の子どもたちが、この厳しい現代社会の中で、これからたくましく生きて行けることを信じたい。 こういうことで、胸が詰まるような思いをしたわけであります。私はここで法務大臣に、最近オウムの出発点に類似するような、例えばミイラ遺体事件のライフスペースの問題、全国約一千百人が総額約五十二億円の損害賠償を求めている法の華の問題等々がございます。まさにカルトへの歩みと申しましょうか、こういう一つの動きが起きつつある。ニューズウイークはこれらの現象をとらえて、「日本のヒステリー」、こんな表現をとり得ているわけであります。 私はこれがオウムという問題を法律でがんじがらめにしていくんだ、そしてオウムを追い込んでいくんだということの中だけで、このオウム問題というものが解消できるんだろうか。子供たちの問題、そういう問題を考えますと、大変難しく深刻な問題を考えざるを得ません。 起こっている一連のこれらの問題、同時にあの児童相談所へ保護された五十三名の子供たちが今や、はっきりとその経過はわかっておりませんけれども、多分幸せに過ごしているだろうということを信じながら、二度とこういう問題があってはいけない。相次いでこういう問題が起きつつあるこの日本の社会というものに対してどういう対応を考えていかなければならないかという問題は、本法案を審議すると同様に私は日本の政治があるいはすべてが真剣に考えていかなければならない問題だ、このように考えます。 大臣の御所見をお聞きして、私の質問を終わります。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員お話をいただきました上九一色村の五十三名の子供たちの話は、私といたしましても大変重く感じさせていただいた次第でございます。 いわゆるカルト集団につきましては、オウム真理教が地下鉄サリン事件を引き起こして以来、こうした事案の発生を未然に防止するという観点から、公安調査庁としても注目してきたところでございます。そのような団体に当たると考えられる団体に対しましても、公安調査庁においてその動向につき関心を払っていくものと考えております。 このような集団に対しどのように対処していくべきか等につきましては、幅広い観点から種々の議論がなされる必要があると考えております。
○江田五月君 本日は閣法が一本、それからその閣法に対するこれらの修正議決をされたものが本院に来ているわけですが、それと衆法が一本、さらに参法が一本、三本の法律案ということになるわけですが、主として閣法及び修正部分について質問をいたします。 私たち民主党は、政府提出のこの無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案に対し、衆議院での審議の中で九項目修正項目を提起いたしました。与党三党との間で五項目の修正で合意をして、与党三党と民主党の共同提案による修正案に賛成をし、これが衆議院で可決をしてこちらへ来たということになっているわけで、ここに至る経緯をかいつまんで申し上げておきます。 ことしの三月の参議院の予算委員会で、私は当時の野中官房長官に主として二つの質問をいたしました。 その一つは、活動が再開されて地域住民とのトラブルが起きているオウム真理教に対して、政府として直ちに対策を講じるべきではないかということでございます。御承知のとおり、オウムがしょうけつをきわめたといいますか、大荒れに荒れた当時に関係省庁連絡会議を持ちまして、これはもう本当に各省庁、すべてではもちろんありませんけれども、網羅的に連絡をとっていただいて、学校教育の面あるいは薬物使用の面、消防の面、警察はもちろん道路使用その他、もうすべての観点からオウムに対処をしていったわけです。今回、私の問題提起があってというほどまでうぬぼれちゃいけませんが、後の関係省庁連絡会議の再発足につながったと思っております。 もう一つ、現行の破防法にかわって、個人の刑事責任を追及する刑法体系とは別の犯罪組織の団体活動を規制できるアメリカのRICO法のような法体系を考えるべきではないかという問題提起をいたしました。これはじっくりと慎重に腰を落ちつけて検討しなけりゃならぬ課題で、拙速はいけません。そんなわけで、まだ実現はしていない。 そして同時に、民主党としては、石井一現副代表を委員長とするオウム真理教及びカルト対策特別委員会をつくって現地の視察とかあるいは法案の作成の検討とか、こういうものを開始いたしました。八月には、当時の野中官房長官や当時の衆議院法務委員長であられた杉浦正健さんとも何度もお会いして、政治の責任として超党派の議員立法でオウム対策法と被害者救済法をつくれないかと話し合ってきたわけです。その後、与党の方では政府とのやりとりなどもいろいろあって、この臨時国会に二法案を一つは閣法、一つは衆法ですが、提出された。私たち民主党も団体規制法案の骨子を発表した。そこで、やはりこれは憲法で定められた基本的人権を制約する法案でありますので、与党三党と民主党の間で修正の協議が真剣に行われ、合意がなされたという、こういう経過でございます。 何としても政治の責任を果たさなきゃならぬ、まだこれはいろいろ詰めなきゃならぬ問題点いろいろありますが、その第一歩にはなったのではないかと思っておりますが、法務大臣、この間の経緯をごらんになって、感想をひとつまず聞いておきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) この問題につきましては、委員御指摘のとおり、政府といたしましてもオウム真理教問題関連対策関係省庁連絡会議というものを設けまして、総合的な立場から検討をさせていただいてきたところでございます。 その後、オウム真理教の活動は一時縮小化の傾向もございました。そうした関係で、九年九月に一時廃止をしたわけでございますが、委員御指摘のとおり、その後も動きについては監視を続けてまいってきておりまして、本年十一月一日に、現在の立法化の問題もございまして、オウム真理教対策関係連絡会議を再発足というふうな形で、その重要性というものを確認いたしておりますし、また同八日にはオウム真理教等社会復帰対策調整担当者会議というのを開きまして、また関係省庁における検討も再び始めております。 今、委員御指摘のとおり、この問題はオウム真理教の団体ばかりではなくて加入をしている信徒の問題でもございます。また、いろいろ話も出ておりますように、周辺に居住している住民の安全の問題、そういうものも持っておりまして、大変広範な問題でもございますので、政府といたしましても、各省庁の連絡というものをしっかり密にとりまして今後とも対処いたしてまいりたいと思います。
○江田五月君 先ほど、同僚委員といいますか自民党の委員の方の御質問の中に、平成八年七月十一日ですか、公安調査庁がオウム真理教について解散指定の請求をした、それに対して公安審査委員会がその棄却の決定をした。これがそもそも間違いの始まりだという御指摘があったわけですが、私は、準司法機関の判断に対して政治が物を言うときにこれはそう軽々に言う話ではないだろう。むしろ逆に、これまで過去を振り返って反省してみるとすれば、やはりこれは坂本事件に反省はさかのぼらなきゃならぬのじゃないか。 坂本事件の捜査のあり方は主として警察の方あるいは国家公安委員会の方に聞いた方がいいのかもしれませんが、法務大臣は我が国の法秩序のあり方全体についてやはり関心を持っておられると思いますし、それは法務大臣の守備範囲に入っていると思うので。 細かな捜査の個々のことは結構ですが、私は、やはり坂本事件のときにもっと早く、警察がだめなら検察も捜査できるわけですよ、検察官、検察庁にも捜査の権限は当然あるわけで、ちゃんと腰を上げていれば、そうするとオウムというのに監視の目がきっちり行き届く。各都道府県警が、全部自分のところ自分のところというので広域の捜査の体制を持っていなかったなんということがあって、神奈川県で起きていることと山梨県で起きていることとの間の関連性なんというのは全然捜査の方は関心を、全然と言うとおかしいかもしれませんが、持っていなかった。そんなことがあってああいう巨大施設が膨れ上がっていって、そこでサリンをつくるというようなことが行われたわけです。 そこの反省がまず最初になきゃならぬと思いますが、法務大臣、いかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今御指摘のとおり、坂本弁護士殺害事件につきましては、当時私どもの調査が至っておらなかったということは御指摘のとおりでございまして、今振り返ってみるとそのことは極めて残念なことでございます。今後そうした状況の結果というものを踏まえましてしっかりと調査をしていく、そうしたことの大いなる参考になろうかと思っておりまして、今後とも心して運営してまいりたいと思います。
○江田五月君 これは、私も一番端っこの方ですが弁護士の資格は持っておりまして、弁護士が自分が弁護士としてかかわった事件の関係でその弁護士だけではなくて奥さんや子供まで殺されてしまうという、法治国家にあるまじき大変な事件だったわけです。それが何か随分後まで、放置をされていなかったのかは知りませんが、解明されなかったということはやはり重要なことで、後々我々は繰り返し繰り返し反省をしなきゃならぬことであろうと思います。 そしてもう一つ、公安調査庁の請求が公安審によって棄却されたことについて、これをどう思われるかです。 結局、公安調査庁が破防法の解散指定の要件、将来の危険というこの要件を立証できなかったということなんだと思いますが、これは、法務大臣、公安調査庁がだらしなかったからなのか、それともその時点では公安審査委員会が要求するような将来の危険というのは実態として本当に立証できないということになっていたからなのか、どちらだと思われますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今御指摘のとおり、あの時点ではオウム真理教の活動自体が縮小傾向にあったということもございます。私は、あの時点で公安審査委員会が棄却の決定をするということは、今、委員御指摘のとおり、破防法そのもの自体が将来に対する明らかなおそれということで極めて厳しい要件を課しているということから、やむを得なかったものと考えております。
○江田五月君 私は、当時、当時は村山内閣だったんですが、政治あるいは行政がなし得ることはすべてやはり国民のために国民に責任を負う立場でやらなきゃいけない。もし、破防法が憲法違反ならば、それは村山内閣としてはこの法律を廃止する手だてを講じなきゃいけない、もし憲法違反でないとするんだったらやはりそれの適用も考えなきゃならぬということは申し上げました。 そして、適用の申請があった。しかし、後、準司法機関、独立行政機関である公安審査委員会の審査について、これは政治や行政の側から、ちょっとそこは足りないかも知らぬけれども何とか目をつぶってやってくれよというようなことを言っちゃいけない、これは厳に抑制しなきゃならぬことで、その抑制がなされたということもあるでしょう。神様ではないから、その結論が絶対真実であったか真理であったかどうか、それはわかりません。だけれども、やっぱり準司法機関として棄却の決定を下したことは皆尊重をしなきゃいけないことだと思っておりますが、法務大臣のそういうお答えを聞いて一安心をしております。 団体規制法案について、政府案と私たち民主党の考え方との違いが大体三つあるだろう。一つは対象団体の限定の点、二つが実効性の点、三つが時限立法。その三つです。 立法が特定の団体に的を絞って手だてを講じるというのは、確かに余り推奨される、褒められたことではないかもしれません。しかし、今の状況のもとで、やはりオウムのこの状況を考えると、これは政治の責任として何か一致しなきゃいけない。そこで、オウムに限定をする、その限定をしっかりさせる、そしてオウムを押さえ込む、終息させる、これについては実効性のある手だてを講ずる。しかし、これは非常に基本的人権の観点から悩みのある方法なので、目的を達成したらそういうものがいつまでも法秩序の中に残るようなことがないようにさっと終わりにする。その三つのことを考えた。修正項目の中でさらに適正手続の保障も盛り込んだ。 実効性ということについては、政府案が既にリストラ対象となっている破防法と公安調査庁を使うことにこだわっていたんですね。これに対して私たちは、実効性ということで言うならば地域に密着をし根を張っている警察、これを都道府県知事の要請により国家公安委員会の主導のもとに使う、そして解散指定も盛り込むということで実効性を上げようとしたわけですが、破防法、公安調査庁を使うことにこだわっていた政府や自民党の皆さんも、しかし現実に公安調査庁はその実力はちょっとないんじゃないか、やっぱり警察が実際の行動の中核になっていかなきゃいけないんじゃないかということで両方を組み合わせる仕掛けの合意をおつくりになった。私たちは、この政府の調整をされて仕上がった仕組みそれ自体は、それは一つの考え方かなということでその点は認めるということにしたわけです。結果として修正の合意五項目、目的規定、対象団体の限定、適正手続、そして時限立法と、ずばりといきませんでしたが、見直しなどについて相当の修正が実現したと思っております。 さて、そこで修正の合意の内容に沿って幾つかの確認の質問をしておきます。 まず第一条の「目的」の規定、当初の政府案は、「もって公共の安全の確保に寄与することを目的とする。」となっていたものを、「もって国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与することを目的とする。」、こう修正いたしました。 この法律は第二条で、「国民の基本的人権に重大な関係を有するもの」だと。また、第三条にも書いてあるように、「思想、信教、集会、結社、表現及び学問の自由並びに勤労者の団結し、及び団体行動をする権利その他日本国憲法の保障する国民の自由と権利を、不当に制限するようなことがあってはならない。」、そういう制約を持った法律だ、これはこの法案自体がこの中に書いてあるわけです。すなわち、この法案は憲法で保障された基本的人権を制約する、そういう法律だと。 そこで、憲法の規定する基本的人権を制約する、下手をしたら憲法違反になるぎりぎりのところの法律なので、基本的人権の制約がこれで憲法違反じゃないんだということをもう少し詰めておきたいと思います。 法務大臣にまず、第一条の目的規定の中に「国民の生活の平穏を含む」という修正が加えられたこと、このことと憲法との関係をどういうふうにお考えになるかお聞かせください。
○国務大臣(臼井日出男君) 本法案は、過去に無差別大量殺人行為を行った団体について、その活動状況を明らかにし、また当該行為の再発を防止するために必要な観察処分または再発防止処分という措置を定めて、もって公共の安全の確保に寄与することを目的といたしているものでございます。 そして、その処分は、その危険性の程度を把握し、またはその増大を防止するために列挙された必要な措置の中から、準司法的機関である公安審査委員会が具体的な事案における必要性に応じて合理性の認められる限りにおいて選択するものであり、団体側から意見を聞いた上で証拠書類等に基づいて中立公正な手続により行われるということになっております。 このように、いずれの処分も本法案の目的を達するために必要かつ合理的な限度にとどまるものでございます。 委員御指摘をいただきました、住民の不安を取り除くという点につきましては、ただいま申し上げました本法案の目的の一部をなすものでございまして、衆議院において本法案第一条の、「公共の安全の確保に寄与することを目的とする。」の前に「国民の生活の平穏を含む」を加えるとの修正がなされたのもその趣旨をより明確にするものでございまして、意義あるものと考えております。
○江田五月君 法律家の細々した理屈の話といえばそうなのかもしれませんが、やはりこれは違憲にならないかなるかという重要なところなのでより詰めておきたいんです。 オウムが過去にあれほどひどいことをした、その危険は今もある、したがってオウムの結社の自由は制約をするんだと、それだけだと私はこれはまだ違憲の疑いをぬぐえないという気がするんですよ。過去にああいう危険があった、またそういうおそれ、危険が増大することがあり得る。抽象的なんですね、これはまだ。その程度の抽象的な危険だけで、あとはもう公共の福祉でぐっと押さえ込んでいいんですというのではこれはまだ危ない。 そうじゃなくて、公共の福祉というのをどうとらえるかなんですが、これは法律上の議論がいろいろありまして、公共というものがあって、それの福祉のために、このにしきの御旗があれば、あとは幾らでも基本的人権の制約はできるんだと。そうじゃなくて、基本的人権というのもいろいろある。人権が衝突する場合だってある。オウムにも人権があるでしょう。しかし同時に、オウム以外の人にも人権がある。その人権を調節するためにこういう程度のことが必要だという、これが公共の福祉だという考え方もあるわけです。 私は、オウムがまたかつてのような大量無差別殺人を行う危険が現実に感ぜられるほどにあるかというと、ちょっとそれはわかりません、将来は。しかし、今の段階でそこまでなっていると言うのはちょっと言い過ぎじゃないか。 しかし、さはさりながらオウムの活動の活性化によって地域の皆さんに大変な不安を与えている。地域の皆さんは、これは本当に誇張じゃなくて夜も寝られないという。ですから、二十四時間監視体制をつくってオウムの一日の出入りなどについても目を光らせている。何かちょっと質問をする、オウム側の対応が悪い、そうすると、これはそこで大変鋭い摩擦が起きる。下手をすると地域住民の皆さんが頭にかっときて何かをやるということだってあるかもしれません。あるいは地方自治体の首長さん方が住民票の移動も拒否するとか、あるいは子供が学校に来てもらっちゃ困るとか。居住移転の自由というのは憲法上保障された権利なんです。学問を受ける、これももちろん憲法上保障された権利なんです。それさえオウム関係者に拒否するという自治体の首長さん方が出てくる。 さてそういうときに、これは一方でオウムの人権もあるけれども、他方で住民なりあるいは自治体なりの憲法秩序というものが揺らいでいるわけです。そこでどうするかということがあってこういう法律が出てくるんで、そこに初めてこの法律の合憲性というのが出てくるんじゃないか。ですから、オウムが何かやっている、だけれども、地域の皆さんは皆安心している、首長さん方も別にいらいらしていない、そういう状況のもとでこの法律を出すのだと、これは違憲のおそれがあるというように思います。そういう意味を込めて「国民の生活の平穏を含む」ということをあえて入れたんだと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員がお話しのとおりだと私は思います。 まさに私が先ほど申し上げましたように、この条文の「公共の安全の確保に寄与することを目的とする。」という前に、修正をいただきまして、「国民の生活の平穏を含む」、こういうふうに書き込むことができたということはそういう意味で大変意義がある、こういうふうに申し上げた次第でございます。
○江田五月君 地域住民の皆さんに対して、あるいは首長さん方に対して、いら立つ気持ちはよくわかる。それはそうです、あれだけのオウムですから。あなた方がそうやっていら立っていろんな活動をされる、そのことが悪いんじゃないんだと。これはやっぱり謝罪もしないで活動を再開させるオウムが悪いんだと。そしてもっと突っ込めば、そのオウムについて、住民の皆さんに安心していただけるようなちゃんとした手だてを講じていない政治というものが責任を感じなきゃいけないんだと。 そういう意味で、今回、政治が一歩前へ踏み出した。したがって、この法案ができればもうこれでちゃんと政治の側あるいは行政の側がオウムについてはきっちりと風通しをよくする、中をちゃんとだれにもわかるようにする、もし変なことが起きれば再発防止処分をする、したがって地域の皆さん安心してください、二十四時間監視体制なんかもうどうぞそんなに、あとは公安庁、警察に任せてください、首長さん方、住民票の受け付けを拒むようなことはもうどうぞしないでください、子供たちも学校へ受け入れてください、そういうことが言えなきゃいけないと思いますが、法務大臣、そう言えますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員お話しのとおり、この法案によって私どもは基本的に団体としてのオウムに対する第一策は成った、こういうふうに思っています。 あとは、オウムの信者の個人の皆さん方が団体を脱退された、そうした方々に対する対処、そうしたこと等についてまさに国としてしっかりと対応していくということが求められていると思います。
○江田五月君 修正案の提出者である北村さんにも同じ質問をしておきたいと思います。 閣法のままだとまだまだ憲法上いろんな疑問があった、そこを修正で辛うじて合憲だと言えるものに直したんだ。したがって、この法律の適用に当たっては、「国民の生活の平穏」、その限度を超えてオウムにどんどん入り込んでこれを規制するというようなことがあるとややこしい問題が出てくるという、微妙なところだと思いますが、修正案提出者としてどういう覚悟で修正案をお出しになったかお聞かせください。
○衆議院議員(北村哲男君) まさに江田議員が御指摘のとおりだと思うんですが、私たちは、オウムに限定するという趣旨では五つの修正項目を出しました。それは先ほど江田議員も御指摘されたとおりでございます。 今話題になっております住民の平穏という問題につきましては、確かにオウムそのものを見て今危険かどうかというのははっきりしません。しかし、はっきりしていることは、その存在が地域の住民に非常に不安を与えているということで、現実に首長が違法行為まで行わざるを得ない、住民登録の拒否なんかの、そういう事態を巻き起こしている。そういうことを避けることが大きな目的であるということで、単に原案であれば「公共の安全」ということで締めくくってありますけれども、「公共の安全」というのはオウムの危険性に対して公共の安全を保つためにというそういう対置の構造でありますけれども、今回の場合は、特に住民の不安、そしてそこに起こる無法状態というか違法状態、そういうものを避けるのも大きな目的であるということで、目的規定に「国民の生活の平穏」ということを、大きい意味では「公共の安全」という中に入りますけれども、それをあえて加えたというのが目的におけるその限定であります。
○江田五月君 この法律がオウムにだけ限定される、少なくとも過去をさかのぼって見るとこの法律が適用できる団体はオウムしかない、これはもう既に何度も確認済みだ、そう理解してよろしいですね。 さて、将来ですが、この法律を適用しなきゃならぬ団体が将来出てくる、それにも備えているんだというふうにお考えですか、それともそこは必ずしもそういう備えではないんだということでしょうか、法務大臣。
○国務大臣(臼井日出男君) もちろん、本法案は法文上ではその対象はオウム真理教のみに限られるわけではございません。無差別大量殺人行為とは、政治的目的を持って「不特定かつ多数の者を殺害し、又はその実行に着手してこれを遂げないもの」を言うわけでございまして、本法案の対象となる団体の範囲はこのような無差別大量殺人行為を行った団体として極めて限定されておるわけでございまして、将来、恐らくはもうそうした団体があらわれないだろう、またあらわれてほしくない、このように思っております。
○江田五月君 あらわれないだろう、あらわれてほしくない。もう一つ、あらわさせない、その決意が要るんだろうと。 私が坂本事件の反省は繰り返ししなきゃいけないと言うのはそこでして、いろんな殺人行為が起きる、それがいつの間にか観察処分しなきゃならぬような団体に成長してしまう、そんなこともあっては困るからこれをつくったと。それは法律ですから抽象的な法規範の定立であって、そういう適用の可能性をゼロにするということはこれは言えません。言えませんけれども、やっぱりそこは行政担当者として、もちろん法務大臣は警察じゃないから法務大臣の全責任というわけにいきませんが、覚悟を持って当たっていただきたい。 将来、このオウム以外にこんなものが適用されなきゃならぬような団体が生ずることは、これはもう何としても防ぐという決意をしていただいたものと思います。 修正項目の第三、第四、これは適正手続に関するものですが、それと別に、適正な運用について三点ほど確認しておきたいと思います。 五条の一項五号、八条一項八号、ここにバスケットクローズがございます。このバスケットクローズの意味ですが、当然のことと思いますが、それぞれ前各号に例示してあるものと同程度の危険性でなきゃならぬ。バスケットクローズですから読み方によって、抽象的ですから広がる可能性、心配、これは心配をするなと言ってもする方が当たり前の話でして。 そこで、これは前に掲げてあるのと同程度でなきゃならぬ、そういうふうに解釈しなきゃならぬということでよろしいですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 委員御指摘のとおりでございまして、一号から四号までは典型的なもの、そして五号はそれらと同種、類似のものということでいわゆるバスケットクローズ、こういうことにいたしたわけであります。
○江田五月君 それともう一つ、八条の再発防止処分に移行する要件、「報告がされず、若しくは虚偽の報告がされた場合、又は」立ち入り「が拒まれ、妨げられ、若しくは忌避された場合」と全部受動態で書かれている。これは読み方によっては、公安庁なり警察なりが、妨げられたんだ、忌避されたんだと思ってしまえばそれで当たるというふうにも読めないわけじゃないと思いますが、これは受け身で書いた理由は特にありますか。やはり妨げるとか忌避するとかそういう行為があって初めてこの要件が満たされるということになるんでしょうか。どちらでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今御指摘の本法第八条後段では、御指摘のように、不報告、立入検査拒否等について、「報告がされず」、また「立入検査が拒まれ」などの表現を用いております。 これは、一般的に立入検査については団体の構成員ではない者によっても立入検査妨害行為を行うことが可能でございまして、このような場合も含めて規定をしておく必要があるということから、不報告などの場合もあわせ、報告、立入検査等を主語として表現したものでございまして、もとより立入検査拒否等の成立に必要な主観的、客観的な要素の一部を不要とするものではございません。
○江田五月君 もう一つ、その今の「妨げられ」、「拒まれ」といったところですが、団体側が取り消し訴訟を起こした、これは拒否とか忌避には当たらないですよね、法務大臣。
○国務大臣(臼井日出男君) そのとおりでございます。
○江田五月君 最後の修正項目が時限立法の関係ですが、施行の日から五年ごとに廃止を含めて見直すと。これは、オウム真理教というものがもうなくなってしまわなかったら廃止できないのか、それとも、先ほどからるる言っているとおり、オウム真理教という宗教が純粋に、公共の危険あるいは住民の不安、そういうものを感ぜさせることなく純粋に信仰活動だけをやるというところになったときに、それでもなおオウム真理教の信仰活動があるからということでこの法律を残しておくということになるのか。 私は、それではいけない、それではこの法律は違憲状態として残ることになると思いますが、純粋な信仰活動が残っているだけだという状態になったときには、これはもう廃止をしなきゃならぬという理解をしなきゃいけないと思いますが、いかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員から御指摘をいただきました廃止の問題でございますが、衆議院における本法案の修正により、廃止を含む見直しに関する規定が附則に設けられました。これは大切なことだと思っております。 本法案が成立をいたしまして施行されました後は、その施行の日から起算して五年ごとに、この法律に基づく規制処分の実効性、規制対象団体の危険な要素等の消長、この法律の施行状況、いわゆるテロ対策等について検討が加えられ、その結果に基づいて、その廃止の可否も含めて見直しについて国会において十分な御論議がなされるものと考えております。 私ども政府といたしましては、その御論議に資するため、この法律による一年ごとの報告等につきまして積極的に対応してまいる所存でございまして、国会による適切な御判断がなされるものと考えております。
○江田五月君 修正案提出者に伺います。 今の廃止のことは私が今申し上げたような趣旨だ、そういう意味で修正をしたんだということでよろしいですか。
○衆議院議員(北村哲男君) そのとおりでございます。
○江田五月君 時間がないのでどんどん飛ばして進んでおります。 さて、残念ながら、やはりこういう法システムをつくってこれでオウムについてはちゃんと透明度を増して、何かおかしなことがあったら防止処分をして押さえ込むから国民の皆さん安心してくださいと。安心してくださいと言うには、やはり法務省とか警察庁に対する国民の信頼というものがあって初めて言えるんだろうと思うんです。ところが、今どうも法務省についても警察庁についても国民の信頼が傷ついているのではないか。 警察について、警察庁長官をきょう、まだお見えでないのでお見えになってから聞きますが、法務省、本日の新聞報道によると、これは後で同僚委員から質問があるかと思いますので私は触れるだけにしておきたいと思いますが、公安調査庁が市民運動を破壊団体扱いしている、そういう新聞報道があるんですが、大変これは重要なこと、私もこの点は問題に思っているということをまずもって申し上げておきたいと思います。 きょうはそれじゃなくて、もうちょっと古い話なんですが、ことしの九月下旬に法務省の人権擁護局の上席補佐官が日本新聞協会を訪れた、そして人権擁護推進審議会のヒアリングへの出席を求めた。その際、事もあろうに、行政命令によって人権侵害する記事を差しとめることも視野に入れて検討したいと。これは、人権擁護関係の諮問をして、諮問が二つに分かれていて、最初の諮問、啓発、教育、これは既にもう答申が出ました。その後の人権擁護機関をどういうふうなあり方にするかというそういう諮問ですが、一カ月以上たって法務省は説明の内容が不適切であったと認めて謝罪をして、一連の発言を撤回したということです。 これは上席補佐官、しかも人権擁護局、人権擁護推進審議会へのヒアリングを求めて、日本新聞協会に対して行政命令によって人権侵害する記事を差しとめる、行政命令によって記事の事前差しとめをすることを視野に含めると。明らかに憲法が禁止する事前検閲です。検閲はこれを許さないというふうに、もう全然何の留保条件もなしに検閲はもうだめなんだと憲法がしっかり書いている。そのことが頭から抜けて、たまたまそのときちょっと体のぐあいが悪くてとか、ちょっとそれでは弁解にならないと思うんですが、法務大臣、これをどうお考えになりますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 一カ月以上たってという御指摘がございました。この流れにつきましては、私ちょっと資料を持っておりませんので後ほどまた参考人の方から答えさせていただきたいと思いますが、お尋ねの件につきまして、人権救済の充実強化について審議をいたしております人権擁護推進審議会が実施するヒアリングに関しまして、人権擁護局の職員が新聞協会に出席の依頼に参りました際、行政命令による差しとめに言及したのは事実でございます。先方から被害者救済との関係でどのようなことが問題となるのかというお尋ねがあったのに対し、全くの可能性として言及したものでございまして、法務省としてそのような手段を具体的に検討していきたいという趣旨で申し上げたものではないと聞いておりますが、事例としても不適切なものであり、既に担当課長が新聞協会に事情を説明し担当者の発言を撤回したものと承知をいたしております。私といたしましても、こうした考えは持っておりません。
○江田五月君 法務省がそのような考えをちょっと持っているとしたらこれは大問題で、何をか言わんやですが、可能性の一つとしてあるんだということであってもいけない。憲法二十一条はどう書いているかというと、「検閲は、これをしてはならない。」と。もう何もないんです。条件も何もないんです。よく練られた検閲だったらよろしいとか秘密にやるんならよろしいとか、そんなことは何もないんです、「検閲は、これをしてはならない。」と書いてあるんですから。可能性として言っただけでもこの可能性はないんです。憲法に書いてあることに違反しても可能性としてはあるんだというようなことはあっていいんですか、行政として。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘のとおり、そういうことはあってはならないと思います。
○江田五月君 私は、これはやはり明白な憲法違反の発言を職務上行ったと。それは一人の上席補佐官、名前もわかっておりますが、武士の情けで名前は言いません。しかし、やっぱり法務省の憲法感覚、人権感覚について国民の信頼を裏切る、そういうことがあって、それでこの人権侵害のおそれの強い制度を活用させてくれというんではやっぱりちょっと困る。 これは法務大臣の人事権に属することなのでそれ以上はちょっと申し上げにくいですが、少なくともこの上席補佐官、人権擁護推進審議会の事務局の役を果たしているというんですね、トップじゃないようですけれども、これはやっぱり人権擁護推進審議会の事務局からは外れるべきだと思いますが、法務大臣はどのような厳正な対応をされますか。
○国務大臣(臼井日出男君) いずれにいたしましても、大変不適切また不用意な発言だったと、こういうふうに考えておりまして、上司からも厳しく注意と指導をしたというふうに聞いております。
○江田五月君 ぜひひとつそれは考えていただかないと、人権の関係でいろんな運動をしている全国の人々がじっと見ているんです。ほんの小さなことであっても、それはやっぱりみんな本当に必死の思いで見ています。何だ、法務省はとなったら、いや法務省に人権擁護のことなんかむしろ言うもおろかというような感じを国民に与えたら大変です。現に今与えているかもしれないんです。よく考えていただきたいと思います。 あと、警察庁長官にいろいろ伺いたいことがあるんですが、まだお見えにならないので、あとはひとつ角田委員から質疑を続けさせていただきたいと思います。 終わります。
○角田義一君 関連して私の方から若干お尋ねをいたします。 先ほど同僚議員からもいろいろお話がございましたが、私は群馬県でございまして、藤岡市を抱えております。十月二十四日、忘れもしませんが、三千人の市民が集まりましてオウム追放という集会をやりました。自民党からは地元の福田康夫衆議院議員、参議院からは私が招かれまして、三千人の市民の前でオウムに対するやっぱり法的規制というものは必要である、これはいろいろ憲法上大変大きな問題があるかもしれないけれども、できれば超党派で合意を得て合理的な規制法案をつくらなきゃならぬということを約束をした経過もございまして、このたび、先ほど江田議員からもお話がございましたいろいろの経過の中で、私ども民主党の修正案も取り入れていただいて、一応の法案ができた。 共産党さんは独自の法案を出しておられますけれども、いずれにしても、団体規制、これは必要だと。いろいろ憲法上の制約をくぐりながら、あるいはそれを守りながらやる必要があるということについて、何とかこれができそうでございますし、我々もそれはつくらにゃならぬという認識では、これは皆さん一致しているんじゃないかと思います。 しかし、現場の住民の立場に立ってみますと、我々としてもこれだけ苦労してつくろうとしている法律ではございますけれども、本当にこれが実効性があるのかなと。二十四時間、今も監視しています。そして、学校がすぐそばですから、そのオウムの拠点、父兄が毎日ついて登下校をやっているわけですね。これはみんな仕事を持っていますから、もう耐えられないという限界ぎりぎりに来ていると思います。幸いにして、そのオウムの拠点の前に群馬県警が交番をつくってくれまして、一応の監視もしているわけですが。住民とオウムがぶっつくときに、住民の感情からすれば、警察はどうなんだ、オウムをちゃんと取り締まらんかと、こういう意見も出るわけですから、お巡りさんも容易じゃない。 そういう非常に現場は緊迫した状況が今日なお続いておるという中で、私は改めて大臣に、この非常に難しいいろいろな条件をクリアした法律ができて、これでまさに住民が平穏に暮らせるという保証になるのか、またそうしなきゃいかぬという決意なり、実効性なりについて大臣の所信を改めて私は、これは住民に向かって、国民に向かってはっきり言ってほしいという気持ちがしますので、どうぞひとつお願いします。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、お地元の大集会のお話も伺いました。 この法案につきましては、広く各会派の皆様方の御賛成も得て通すということが大切だと思っておりまして、民主党の皆さん方にも修正によりまして御賛同いただいたことは大変ありがたいと感謝いたしております。 本法案では、オウム真理教の活動状況を公安調査官や警察職員による厳重な監視下に置き、立入調査を含めた調査を行うことができる旨定めております。その危険性の増大の兆候が見られた場合には、再発防止処分というより強い規制に移ることができることにもなっております。また、調査による情報は地域住民にも伝わる手段が講じられているわけでございまして、したがいまして、地域住民の皆さん方が今しておられるような二十四時間の監視活動等、そういったものは基本的にその必要がなくなるものと考えております。また、多くの国民の皆様方の不安を取り除くことができるものと考えておる次第であります。
○角田義一君 住民は決して住民エゴでやっているわけではないのでございまして、例えば、仮に何らかの方法でオウムの使っております土地、建物を藤岡市が取得をして、どこかへ行ってもらうというようなことがあったといたしましても、これはAという市から今度はBというところへ移っていくわけで、そのBというところはまた同じ悩みを抱える、あるいはBからCへという同じ悩みをみんな抱えるわけですから、ここのところを抜本的に解決しなくちゃいけないんじゃないか。 先ほどから、いろいろ出ておりますいわゆるオウム信徒といわれる人たちの更生あるいは社会復帰、そういうことについて、アフターケア、これはやっぱり真剣に考えなくちゃいけない。法務省には保護局があるわけですけれども、これは犯罪者あるいは刑期を終えた者に対する更生保護でございますけれども、少し若干これは違うと思いますが、それなりのノウハウを持っているわけですね。それをきちっと生かす。あるいは他の省庁の協力を得ながら、ここをしっかりやりませんと、それはもう信徒はジプシーのようになって日本じゅうをうろちょろうろちょろして、うろちょろと言っては悪いけど、物議を醸すだけで本質的な解決にならないじゃないか、こういう心配をちゃんと住民は持っているんですよ。これは決してエゴじゃないんです。そこまで考えながら、どうしたらいいのか。国はそこのところをしっかり、それは国しかないじゃないかと、できるのは。 こういうふうに問題提起をしているわけですから、これは法務大臣としてそこのところは深刻に私は対応しなきゃいかぬと思いますけれども、いかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘のとおり、信徒が追い出されるたびに右から左に移動するというふうなことであってはやっぱりいかぬと思います。 現在、御審議をいただいております本法案によりまして無差別大量殺人行為を行った団体に対する規制を設けることは、団体の活動に対する対応策として急を要する大変重要な事柄でございますが、他方で、その規制の対象となりました団体の構成員等の社会復帰等に資する体制の整備など施策を講じることも社会的に大変重要なことでございまして、衆議院法務委員会における附帯決議に盛り込まれておりますとおり、政府として取り組むべき大切な課題であると理解をいたしております。 現在、オウム真理教の信者やこれを脱会した元信者の社会復帰等に役立つ対策につきましては、政府全体として、関係省庁間で連絡を図りつつ、かねてから取り組みを強化すべく関係省庁間で協議を続けているところでございます。これからも努力をいたしてまいります。
○角田義一君 それから、この法案によりますと、三カ月ごとに例えば観察処分になりますと当該オウムの団体がいろいろな情報をきちっと公開しなきゃならぬようになっておるのでございますけれども、住民サイドあるいは行政サイドからいうと、何も三カ月に区切らないで、的確な情報は随時提供してもらいたいという願望が非常に強いということです。それが一つ。 それからもう一つは、変な話ですけれども、オウムが来たことによって実は地方自治体、関係自治体は大変な出費、金がかかっているんですよ、はっきり申し上げて。 それで、例えば藤岡市では市民安心課というようなものをつくっている。日本に一つしかないですよ、安心課なんというのは。安全というのはあるんだけれども、安心課なんというのはない。安心させなきゃならぬから安心課というものをつくって、そしていろいろな対応をしている。もちろん専従の職員をそれへ張りつけるわけです。 そういうことを考えますと、このためにかなりの出費も実はしなきゃならぬということになると、これは法務省独自の問題じゃないと思いますけれども、法務大臣は閣僚の一員として、その辺のこともやっぱり面倒を見なくちゃいけないという認識というか問題意識をお持ちなのかどうか、そして、それに対する対応も考えなきゃいかぬだろうと、ちょっとそれを聞きたいと思うんです。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきました問題でございますが、自治体に対する情報提供につきましては、今お話しのとおり、大切なことでございますので、適切に要望に向けて対処をいたしてまいりたい、このように考えております。 また、後半の自治体の負担等のお話でございますが、現在オウム真理教の関連施設が設けられている各地域の地方自治体におかれましては、オウム真理教がみずから実行した無差別大量殺人行為に対する反省の念を全く表明せず、危険な体質を維持しながら各地に進出しているということに対する住民の方々の大きな不安と危惧の念を背景に、さまざまな問題について大変苦渋の選択を迫られておりまして、御努力を重ねていらっしゃるものと推察をいたしている次第でございます。 まずは御審議いただいております本法案が国会の御理解を得て一刻も早く成立をいたしまして、施行され、住民の方々の不安を解消、緩和することが必要でございます。それによって自治体の負担も軽くなる、こう思うわけでございますが、今お尋ねをいただきましたオウム真理教をめぐる種々の問題につきましては、政府として適切に対処に欠けるところのないよう引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
○角田義一君 今回の法律を見ますると、先ほど同僚議員からもいろいろ御指摘もありましたが、やはり警察というものに対して相当強大、強力な権限を付与することになるわけであります。したがって、警察に対する国民の信頼というものがその基底になければならぬと思っております。 長官、きょう来ていますから、私あえて聞きますけれども、私どもは、第一線のほとんど、九七、八%の警察官、お巡りさんと言われている人たちは本当に私は一生懸命やっているというふうに信じておりますし、現にやっていると思います。 しかし、警察庁長官、今回の神奈川県警、不祥事なんというものじゃないよ、これは。警察が犯罪集団になっちゃったんだ、はっきり言って。県警本部長が首謀者じゃないですか。こんなことは今までの日本の警察史上例がないですよ。こういうことで、また改めてこのオウムについて私ども大変な警察に対して権限を与えるんだよ。法案について今やっているんだよ。この不祥事をどういうふうに感じているか、まず長官の見解を聞きたい。
○政府参考人(関口祐弘君) 委員御指摘のとおり、最近神奈川県警におきましていわゆる不祥事が相次いでいること、まことに遺憾に存ずるところでございます。中でも、当時の警察本部長あるいはまた幹部の警察官が犯人隠避、そしてまた証拠隠滅ということに関与をいたしたものとしまして刑事事件として立件送致をされるというふうな事態に至りましたこと、まことに前代未聞の出来事と申しますか、私どもとして深刻に事態を受けとめているところでございます。
○角田義一君 田中角栄という元総理は前総理であったけれども逮捕されたんだよ。逮捕されたんだ。あのときの衝撃を私は一生忘れませんよ。果たして総理大臣の地位にある者を捕まえていいのかどうかと私自身も考えた。しかし、日本の検察は少なくとも、法のもとの平等、前の総理大臣であろうとやっぱり捕まえるべきは捕まえる。捕まえた。 今度はどうですか。犯人隠避、証拠隠滅ですよ。これはみんな共謀でやっているんだ、共謀で、九人で。分離分割して逮捕して供述をとるというのが捜査の王道ですよ。初歩ですよ。そんなことを警察がわからないはずはないんです。だれ一人捕まっていないじゃないですか。だれ一人逮捕しないで、そして送致している。 逮捕しない合理的理由を言ってくださいよ。
○政府参考人(関口祐弘君) 御指摘の事案、実はこれ三年前の事案でございますけれども、神奈川県警におきましてこの九月以降調査あるいは捜査を進めてまいりまして、多数の関係者から事情を聞き、あるいは証拠を精査するという作業を進めてきたところでありまして、そうした多くの関係者の供述や証拠から全容を明らかにするに至ったというふうに判断をいたしまして、元本部長を含む関係被疑者を送致したというふうに報告を受けております。
○角田義一君 私が尋ねているのは、なぜ、例えば元の県警本部長、これは首謀者だ。この身柄をとらないでやれた合理的理由を説明してくださいと、こう言っているんだ。
○政府参考人(関口祐弘君) 神奈川県警におきましては、今回の事件を厳正に捜査する中で、いわゆる逃亡なり、あるいは証拠隠滅のおそれなど、逮捕の必要性について慎重に検討した結果というものと聞いております。
○角田義一君 そんなことあなた言ったってだれも信用しないよ、国民は。警察は身内に甘いんだ、あれだけ悪いことをやってもだれも捕まらないんだと。そういうことで本当に国民の信頼を得られると思いますか。やはり、田中角栄さんは元総理大臣だったけれども、捕まえるときには捕まえたんだ。角栄以上だ、本部長の地位はということになっちゃうじゃないですか。 そんなことであなた、国民の信頼を得られると思っているのか、長官として。そこを聞きたいよ。
○政府参考人(関口祐弘君) 今回の事案で国民の信頼を著しく損なっているということ、もう私強く感じているところでございます。 そうした中で、神奈川県警として捜査を遂げて立件送致をする、刑事事件として送致をするということをいたしたわけでございます。そしてまた、私どもとしては、こうした刑事事件の送致というものもさることながら、またそのほかの諸対策を講じることによりまして、国民の皆さん方の失われた信頼の回復というものをぜひとも回復をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
○角田義一君 いいですか。この事件の捜査権は、捜査の指揮官はだれかといえば、今の神奈川県警の警察本部長ですよ。この人が捜査の責任者でしょう、当面の。検察庁はこっちに置いて。あなたが任命したんじゃないですか。みんなキャリアでしょうが。 あなた、警察庁長官としてこれだけの事件が起きて、ではどういうふうに指導したんですか。全部部下に任せておいたんですか。捜査権は県警本部長にあるからおれは何も言わないということで逃げるんですか。これだけの不祥事を起こしておいて逃げられないでしょう、警察庁長官として。ちゃんと指揮監督をする権限をあなた持っているんだから。その具体的な捜査にしたってちゃんと言うべきことは言わなきゃいけないんじゃないですか。どうですか。
○政府参考人(関口祐弘君) 本件の事件処理に関しましての警察庁の指導というのがどういうことをしたのかというお尋ねかと思いますけれども、警察庁としましては、本年の九月二十二日に本事案を認知した後に神奈川県警察に対しまして事実関係と今後の対応について報告を求めたところ、捜査の過程におきまして犯人隠避に当たる行為があった可能性があるということで、県警におきまして特別チームを編成して捜査をしているとの報告を受けたわけでございます。 当該報告を受けまして、警察庁といたしましては、早急に事実関係を解明し、厳正に対処するよう指導を行いまして、それを受けて県警において捜査を尽くし、去る十一月十四日に地方検察庁に書類を送致したというものと承知をしております。
○角田義一君 今の厳正に対処しろという中には身柄をとれということが入っているんでしょう。どうなんですか。
○政府参考人(関口祐弘君) 警察庁としましては、今申し上げました九月二十二日に本件事件を認知後、厳正な捜査を指示していたところでありますけれども、具体的な個々の事件の捜査の方針とか手法につきましては、その捜査の主体である府県警察の責任において判断すべきものでありまして、本件事案については県警において必要な捜査を遂げて書類送検したというふうに承知をしております。
○角田義一君 少なくとも常識的に言って、厳正な対応をしろということは身柄をとることまで含んでやるということですよ。常識じゃないか、そんなこと。あなた、神奈川県警の、県警不祥事二十一もあるんだよ。それから、栃木でも出る、佐賀でも出る、奈良でも出る。続々出てきている。 もう言っちゃ悪いけれども、はっきり申し上げますけれども、あなた、おやめになった方がいい。やめなさい。これはもうだめだ。あなたのもとでこの警察改革はできない、今のようなことを言っているようじゃだめです。自分の出処進退について考えたことがありますか、この件で。
○政府参考人(関口祐弘君) 全国におきまして不祥事が相次いで発生しているという事態、まことに深刻であり、また遺憾なことであるということに考えております。 今現在、私に課せられた使命は何かといえば、その不祥事案対策というものを進め、国民の失われた信頼というものを一日も早く回復することであろうというふうに考えております。そのために全力を尽くしてまいりたいと思います。
○角田義一君 これはまたあなた、そうやって居直るんなら居直るでいいですよ。予算委員会もそのうち開かれることだから、徹底的にやらしてもらいます。あなた、おやめにならないと言うなら、あなたを任命しているのは国家公安委員長です、自治大臣ですから、その国家公安委員長・自治大臣が、あなたのもとで本当にできるのかできないのか、警察改革が。それをほっとくようなら、今度は大臣の責任になるんだからね、公安委員長・自治大臣の。そこまで私どもはやりますよ、きっちり。そうでなかったら、新しい警察はできないんだから、二十一世紀を任す警察が。そのくらい民主党としては、あなたの出処進退を含め、この問題については深刻に考えているということをきっちり申し上げておきます。どうぞ、長官、御退席ください。答弁は要りません。 それから、最後、七分残っていますので、法務大臣にちょっと一つお願いがございますので、質問をいたします。 実は、東京弁護士会が、ことしの四月三十日に、東海旅客鉄道株式会社に対して人権救済申し立て事件についての警告を出しております。 時間がありませんから、簡単に申し上げますと、事案の内容は、一九九三年、今から六年前の五月から、この東海旅客鉄道株式会社の東京運転所というのは、これは新幹線の運転手さんです、新幹線の運転手さんの勤めておる当直の天井等に九台の監視カメラをつけて、そして二十四時間この九台のカメラを使って運転手さんの動静を監視している、こういう事案でありまして、東京弁護士会は、これは二十四時間労働者を監視する、これはもう明らかに人格権を侵害する違法な人権侵害なので速やかにこのカメラを撤去しなさいと、こういう警告を出している事案がございます。 私は、なぜこの問題をこの法務委員会であえて取り上げたかというと、この運転手さんたちは高速の運転をしておるわけですよ、新幹線を運転しているわけです。それで、例えば大阪から東京へ来てほっこり休む、そしてまた運転して帰るわけです。その息抜く時間も天井の監視カメラが監視していると。笑い事じゃないけれども、運転席に戻ってやっとほっとするというんだから、逆じゃないですか。 いいですか、運転するときは緊張しなきゃならないんだ。少なくとも休憩時間ぐらいはのんびりしていたいなと、これ人情でしょう。それを常時二十四時間監視体制の中に置くということになれば、東京弁護士会はこれに対して人権侵害だと言って警告を出して、撤去しなさいと言うのは私は当然だと思うんです。 それに対して、この東海旅客鉄道株式会社は、まずその弁護士会の事実調査を拒否した。それから、まだこの警告に全然従わない。そして、そのままこれをつけてつけっ放し。こういう深刻な状態が九年も続いているんですよ。毎日運転手さんは、これはもうノイローゼになると、こういう状態が起こっている。 もし私は、こういう精神状態が長く続いて、それから事故にでも直結したら一体どうなるかということになれば、これは先ほど江田先生がどうも法務省の人権擁護局がけしからぬところもあるらしいが、けしからぬところもあるんでしょう、あるんだと思う、多いんだと。しかし、これは例えば、東京法務局の人権擁護局あたりに恐らくそのうち私は提起されると思うんです。そしたら、法務省としてこれから問題が提起されて何にもしないというわけにいかないでしょう。どうですか。まずそこです。
○国務大臣(臼井日出男君) 委員ただいま御指摘をいただきました件については、具体的な事実関係を承知しておりませんので、私から意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。 なお、一般的に申し上げますと、委員御指摘のような事件においては、被害を受けたとされる方々からの具体的事実を踏まえた被害申告が人権侵犯事件として調査する上で重要でございます。委員御指摘の件につきましても、法務局に対してそのような申告がなされれば人権侵犯事件として調査をするなど、人権擁護機関としての適切な対応をするものと承知をいたしております。
○角田義一君 恐らくこれは近い時期に、管轄は東京法務局になると思いますから、申し立てがなされると思いますが、実は運輸省もこのカメラを見に行ったんだけれども、だまされて、行ったときだけどこかにカメラが隠されて、帰ったらまたやられたんですよ。今それで証拠隠滅じゃないけれどもそれがはやりだから、どうしようもないよ、これほっといたら。 私は、はっきり申し上げますけれども、さっき言ったように、これは乗客の安全にもかかわることであって、これだけの私は不当なる人権侵害が今日なお現在続いておるとは信じられなかった。非常に深刻な事案でありますから、今、大臣は具体的な事案についてはどうのこうのと言ったけれども、これが出たら整々と公平に手抜かりなくちゃんと調査をして、しかるべき措置が必要であればそれはやるんだということを最後に言ってほしいですな。
○国務大臣(臼井日出男君) 私が先ほど申し述べたとおりでございまして、事案が提示をされた場合は、この件につきましても当然しっかりとした審査をいたすことは言うまでもございません。
○角田義一君 終わります。
○委員長(風間昶君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時十分まで休憩いたします。 午後零時四十七分休憩 ─────・───── 午後二時十分開会
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案、特定破産法人の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法案及びサリン等による人身被害の防止に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○荒木清寛君 公明党の荒木でございます。 私は、団体規制法案につきまして質疑をさせていただきます。この議員提案も含みます二法案につきましては、公明党でも随分議論をして我々も悩みに悩んで提案をさせていただいているわけです。 一つには、オウム真理教団に対する社会的な不安というのをこの二法案によって本当に解消できるのかという、そういうこれで十分なのかという思いがあります。もう一方で、ある新聞なんか見ますと、この法案は信教の自由よりも公共の福祉優先だというそういう話でありまして、しかし私はそういう話ではないと思います。 我々も、この法案を議論する際には、過去の戦前の宗教弾圧を踏まえた今の憲法における信教の自由の保障ということを最大限考えなければいけないと。間違ってもこの法案が拡大解釈あるいはひとり歩き等によって、そういう宗教に対する弾圧、規制等につながることはあってはいけないという、その両方をぎりぎり考えたわけですね。批判をするのはこれは簡単なわけでありますけれども、一方でオウム対策、一方で信教の自由を厳然と守るという、この両方をきちんとするのが政党、政治家の責任であるという、そう考えて我々は今日に至ったわけでございます。 そういう前提で、まず大臣にお聞きをいたしますが、団体規制法案につきましては、政府案が衆議院の段階で民主党も含めて修正案の提示で修正になったわけであります。一般的に言えば、ベストだと思って政府案を出したわけでありますから、そういう意味からすると、使い勝手が悪くなったということも一般的に言えば言えなくもないわけですね。 大臣は、今回、衆議院において野党も含めて修正案が可決をされた、送付をされたということについては、どういう所見、意義をお感じなんでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 委員御指摘のとおり、本法案につきましては衆議院において五点にわたる修正がなされたものと承知をいたしております。この修正によりまして、本法案が国民の生活の平穏の確保をも目的とするものであること、対象団体が事実上オウム真理教に限られることがより明らかになるとともに、公安審査委員会による観察処分の決定及びその取り消しに係る判断の適正が一層確保され、また五年ごとの、国会において多様な観点から本法案の廃止の是非も含めた見直しのための議論がなされることとされていることは大いに意義あることだと考えております。
○荒木清寛君 私も衆議院でそのようなことになったのは大いに意義があると思っています。 それで、今度は民主党、公明党の修正案提案者にそれぞれお聞きをいたしますが、先ほど第一条の目的の修正のお話もありましたけれども、私はむしろ、この附則の「五年ごとに、」「廃止を含めて見直しを行う」というところが一番ポイントじゃないかというふうに考えるわけなんです。この附則の修正について、どういう意味合いにおいてこのような修正案を提案をし可決をしたのか、それぞれお聞かせ願いたいと考えます。
○衆議院議員(北村哲男君) 先ほど荒木委員が信教の自由の大切さについて述べられました。私どもも、この法案が国民の権利に重大な影響を及ぼしかねない法律であるということを強く認識しております。 そこで、政府案に対して私ども修正を求めた点は五点ありますけれども、その目的は、やはり団体を限定し、すなわちオウム真理教に対する対策、臨時措置法的な意味であるということを打ち出すために、団体の限定、そして乱用をできないようにいかに歯どめをつけるか、そして実効性をいかに高めるか、そして最後に、こういう劇薬的な法律は用が終わったらもう早く終えたいという、そういう目的のもとに限定を加えるということに五点の修正をしたわけです。 ですから、第一点では、目的条項で、一つは「国民の生活の平穏」と挙げ、さらに「サリンを使用するなど」というふうにして目的を、対象団体を限りなくオウム真理教だけに限りたいという、しかも一般法としての体裁を保つという形をとりました。 第二点目が、過去十年にさかのぼってそれ以前のものには適用されないというふうな形にしました。これは、このオウム真理教の事件が過去十年前には坂本事件がありました。それからずっと今日に至るまで一貫して同じ目的のもとに行われてきたということで、これをそれ以外の団体には及ぼさないということにしました。 三番目に、すなわち公安審査委員会の乱用禁止というために、当事者から公安審査委員会に対して、もし必要がなくなったらいつでも取り消しできますよということに対して職権発動を促す意味で取り消しの申し立てができるというふうな形にしました。 四番目に、公安審査委員会の乱用禁止のために、事前に対象物件というものを公安審査委員会に出し、かつ現実に立入検査をする際には直前に報告をし、また直後にもその報告をするという方法をとりました。それは乱用禁止の目的であります。 そして五番目に、まさに大事だと言われた、こういう法律をいつまでも置いておくと、これだけのかなり厳しい法律であるならば五年もたてば目的を達成できるだろう、またできないような法律ではつくる意味がないというぐらいのつもりで、そういう決心で五年たったらちゃんと廃止を含めて見直せと。そうでないと、法律がひとり歩きをしてオウム真理教でない別の団体までに適用されて、国民の権利侵害が一般的になってしまうだろうと。そういうことを防ぐために五年の時限立法を求めている。しかしながら、このオウム事件がこんな法律をつくっても五年で終わるとは限らない。すなわち、麻原事件なんかを見ても、五年で第一審だろう、最高裁まで行くには十年だろうということもあって、今五年で完全に区切ってしまうとやはり不安が残るということで廃止を含めて見直しをすると。 そういう五点の修正によって、かなり難しい法律を限定した、がんじがらめにしたという意味があります。 以上でございます。
○衆議院議員(上田勇君) 今、荒木委員から御指摘のありましたように、この法案が与党三党に加えまして民主党を含めた協議の結果、四党賛成の上で可決したということの意義は大変大きなものがあるというふうに認識をしております。 修正の内容につきましては、今、北村先生が述べたとおりでございますが、私どもといたしましては、今回のこの修正案、政府が提出しました原案の目的やまた期待された効果、そうしたものについては基本的に損なうことがなく、立法の趣旨、緊急特例的であるという趣旨や手続をより明確にできたものというふうに認識をしております。 とりわけ、今、荒木委員からお話がありました五年ごとの見直し規定につきましては、本法案があくまで緊急特例的な措置であるという趣旨を明確にするべきであるというような議論は、与党三党の中で議論してきた際にもその必要性については話し合われてきたところでありまして、そうした修正が加えられたということは法案の趣旨がより明確になったものだというふうに認識をしているところでございます。
○荒木清寛君 私に関しては修正案提案者はもう結構でございますので、御退席いただいても結構です。 そこで、今、民主党提案者からは劇薬的な内容であって限りなくオウムに限定をしたい、公明党提案者からは緊急特例的措置であるというお話でした。今回の総理の所信表明をお聞きしておりましても、オウム対策として議員提案を含む二法だという位置づけが明確になっておりました。また、午前中からの議論を聞く範囲でも、ここに参加をしておられる委員もそういう適用はオウムに限定というお気持ちだというふうに思うんですね。 そうであれば、いろいろそういう公共の福祉優先ではないかとかいう批判をする向きもあるわけですから、まさに法案の適用対象をオウムに限るというふうに法律に書くというわけにはいかなかったんでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今御指摘の本法案の立法の形等でございますけれども、御承知のとおり、オウム真理教が過去に松本サリン事件、地下鉄サリン事件を初めとする前例のない凶悪な重大事件を相次いで起こしている。こうした中で、反省の意を全く示そうとしない。殺人をも肯定する危険な教義を保持するなど危険な体質を維持しつつ各地に進出をしている。多くの住民とも摩擦を生じている。国民に対して大変大きな不安や危惧の念を与えている。 このことは周知の事実でございまして、本法案は、事実上このような教団の現状というものを念頭に置きまして、当面の緊急の措置として、無差別大量殺人行為の結果の重大性、事前防止の困難性及び反復性というその特性にかんがみ、過去に無差別大量殺人行為を行い、かつ現在も危険な要素を保持している団体に対し、その危険性の程度を把握するための観察処分及びその再発を防止するための処分を行うことができる仕組みを設け、もって公共の安全の確保のために寄与することを目的としてつくっておるわけでございます。したがいまして、この法案は事実上オウムだけを指している、このように考えております。 しかし、法規範の一般性、抽象性からオウムのための法案と名指しで行うことはしなかった、こういうことであります。
○荒木清寛君 そこで次に、公安調査庁長官にもお越しいただいておりますので、過去から現在に至るまでのオウム真理教の危険性について総括的な説明をお願いいたします。
○政府参考人(木藤繁夫君) オウム真理教につきましては、平成二年二月の衆議院選挙に際しまして、その幹部が大量に立候補し落選したころから関心を持ちまして、その活動に注目していたところでありますが、危険な団体であると認識して調査対象団体に指定したのは、松本サリン、地下鉄サリン事件が発生した後、麻原彰晃こと松本智津夫が逮捕された平成七年五月中旬でございます。 その後の調査の過程で、教団が政治目的を持ってそれら二つの事件を行ったということが明らかになりまして、また将来さらに団体の活動として同様の事件を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があると判断して、平成八年七月十一日、公安審査委員会に解散指定処分の請求をしたところ、平成九年一月に、教団には危険性が残っているものの将来暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるとは言えないという理由で請求棄却となったわけであります。 その後、教団は無差別大量殺人行為である松本・地下鉄両サリン事件を行ったことが明らかであるのに、それについて反省も謝罪もしていない上に、現在に至るまで殺人をも肯定する危険な教義を堅持していること、また松本が教団の絶対的存在であり続けていることなどの事実に加えまして、構成員を増加させ、拠点を拡大するなどして勢力を強めておりまして、教団としての力量を増加させつつあると認められますので、これら事情を総合すれば、教団は危険な要素を保持しつつ、これを強めているものと認識しております。
○荒木清寛君 午前中の答弁も補足をしますと、たまたま解散指定処分を請求した時期、判断された時期は、危険性がやや低下しておった時期であったというようなお話もありました。逆に言うと、今はもっとそういう危険な兆候が出ているという話かと思いますし、また公安審査委員会の決定書、棄却決定を見ますと、調査庁の出した証拠のずさんさということも言われているわけですね、新聞記事を出しているとか白抜き調書でありますとか。そういうことからしますと、またその後の事情変化もあるわけですから、改めてこの破防法でこの事案に対応するということは無理なんですか。
○政府参考人(木藤繁夫君) 現行破防法におきましては、団体規制処分の要件といたしまして、既に御指摘されておりますように、暴力主義的破壊活動を行った団体が継続または反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるという非常に厳しい要件にしておるわけでございます。 現在のオウム真理教は、先ほど申しましたように危険性を増大させておるというふうに認められるわけでございまして、その危険性に対する、教団に対する国民の不安や危惧の念には依然として大きなものがあることは周知のとおりなのでございます。しかし、現時点における調査結果では、教団について危険性はあるもののさきに申し上げた明らかなおそれを認定するまでの状況に達しているとまでは断じ得ないということでございまして、現行破防法に基づく再度の規制請求を行うことは困難であると考えております。 そういうことから、緊急の措置といたしまして、教団の危険性の程度を明らかにしその増大を阻止するために教団に対する観察処分、再発防止処分を可能にする法制を導入する必要があると考えまして本法案を提出いたしました次第でございます。
○荒木清寛君 そこで、この団体規制法案でありますが、破防法と同じく、公安審査委員会及び公安調査庁による規制の仕組みを採用しております。しかし、破防法の先ほどの団体規制の場合には、平成七年五月に公安調査庁が調査団体に指定をした、結果的に平成九年一月三十一日に団体規制処分の請求棄却決定がなされた、この間一年九カ月を要しているわけですね。しかも棄却されてしまったわけでありますが、そういう調査庁、審査委員会という同じ枠組みの中でこの法案も成り立っているわけでありますが、本当に迅速で実効ある規制ができるんでしょうか。そういう心配はありませんか。
○政府参考人(但木敬一君) 委員御指摘のとおり、住民の不安等を考えますと迅速性あるいは実効性というものは極めて重要な問題であると考えております。他方、本法案による規制は結社の自由に対する制約を伴うわけでありまして、迅速性あるいは実効性とともに、やはり手続の適正が守られなければならないという要請もございます。 そこで、本法におきましては、公安調査庁長官が調査及び処分の請求を行い、これとは独立した公安審査委員会が決定を行うという仕組みをとったわけでございます。特に、公安審査委員会につきましては、法律によって独立して職権を行使することが保障されており、また、その機能からして準司法的機能を有するものでありまして、処分の中立性、公平性を確保できるようにしているものでございます。 また他方、実効性、迅速性というのも極めて重要でございます。そこで、本法につきましては、規制請求に係る官報公示があった日から三十日以内に公安審査委員会が決定するように努めなければならないという規定を置くなど、手続の迅速化への配慮をする一方、実効性を確保するという観点から警察の有する情報力、組織力を活用できるような仕組みを取り入れているところでございまして、その意味で二つの要請はともに満たされていると考えております。
○荒木清寛君 今、官房長からも結社の自由の規制を伴っているというお話がありましたし、また同じく信教の自由の規制も当然伴っているわけであります。 そういう意味で、このような人権に対する規制は憲法の保障に違反をするおそれはないのか、そういう懸念はないのか、大臣から改めて明確にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員申し上げいただきました本法案は、過去に無差別大量殺人行為を行った団体についてその活動状況を明らかにし、または当該団体による無差別大量殺人行為の再発を防止するために必要な観察処分または再発防止処分という規制措置を課し、もって公共の安全の確保に寄与することを目的とするものでございます。 その処分は、準司法的機関である公安審査委員会が個々の具体的な事案に応じ、その必要性に応じて合理性の認められる限度で選択をするものでございまして、その手続も団体から意見を聞いた上で証拠書類に基づいてなされる中立性、公平性の確保されたものでございます。 したがいまして、本法案によります団体規制は、結社の自由でございますとかあるいは信教の自由でございますとか、そういうものに対する制約ではあるわけでございますが、公共の福祉により認められた必要かつ合理的な制約であるということはできまして、御指摘のような結社の自由あるいは信教の自由というものに対する侵害の御懸念はないものと考えております。
○荒木清寛君 これはいわゆる経済的な自由ではありませんから、精神的自由、しかも信教の自由というのはその中核をなすわけでありまして、今の言葉じりをとらえるわけではありませんが、必要かつ合理的な規制というよりも、むしろ私は、先ほどもおっしゃいましたが、必要最小限の規制であるということが一つ大事だと思いますし、また、今おっしゃったその規制に至る手続の公正さの担保ということもあわせて考えれば、ぎりぎりですね、ぎりぎりという言い方はおかしいですが、憲法上の要請にもこたえているというふうに私も考えています。 そこで、大臣にもう一つお聞きしますが、この第四条に無差別大量殺人行為ということがありまして、団体が過去にこのようなことを行ったというのがこの規制の大前提になるわけであります。 これは公安審査委員会が決定するんですが、刑事事件の確定判決によらなければそういう認識ができないのか、それともそうではないのか。もし刑事裁判が確定をしなければいけないという話になれば、林郁夫被告は確定をしておりますが問題の松本智津夫被告人は係争中でありますし、刑法の分野では無罪の推定が働いているわけでありますね。そういう団体を無差別大量殺人行為を行ったと認定して規制していいのか。 しかし、その裁判の確定を待っておっては、何ら国民の不安の解消に役立たないということも一方明確でありまして、結局、だれがこのような認定を行うのか、またそのことは憲法上の要請にかなっているのか、お答えいただけますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 本法案で定める団体規制は、公共の安全の確保という観点から行われる行政処分でございまして、過去に行われた犯罪についてその行為者に対する刑事責任を追及する刑事処分とは領域を異にする処分でございます。 したがいまして、公安審査委員会が規制請求に対する判断として、本法案第四条の無差別大量殺人行為の認定を行う場合において刑事事件の確定判決がなければならないというものではなく、みずからの証拠に基づく認定を行うことができるのでございます。
○荒木清寛君 私もそうでなければいけないと思うんですが、ただ、この規制の内容からして、公安審査委員会の認定といいますか心証の形成も、刑事裁判に同じとは言いませんが、それに準ずるような高度のそういう心証の形成がなければいけないというふうに思うんですね。その点いかがでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 委員のお説のとおりだと思います。
○荒木清寛君 次に、観察処分に基づく立入検査、第七条でございます、についてお伺いいたします。 これは、立入検査を拒んだ場合には次の再発防止処分に進むという不利益があるわけでありますが、そういう意味での間接強制のある立入検査が、住居の不可侵を定めました憲法三十五条の令状主義に違反をするということはありませんか。
○政府参考人(但木敬一君) これまで再三大臣からお答え申し上げておりますが、本法の対象といたしますのは過去に無差別大量殺人を行ってかつ現在もなおその危険な要素を保持している団体でございます。その団体につきまして、観察処分に付された場合であって、しかも団体の活動を明らかにする必要がある、そういう場合に限って観察処分の実施の一環として立入検査が行われるものでございます。 昭和四十七年の判例に則して申し上げますと、この立入検査は刑事上の処罰を目的とする手続でもありませんし、刑事事件の資料収集に直接結びつく作用を一般的に有するものでもございません。 また、その立入検査の拒否、妨害等につきましては刑罰が科されることになっておりますが、その強制の態様、程度はあくまでも再発防止処分を含めて間接的なものにとどまっておりまして、直接的、物理的強制と同視すべきものではないと考えております。 そして、このような観察処分に付された団体の活動を明らかにしなければならないという必要性、公益性は極めて大きいものがございまして、立入検査はこの目的実現の上で必要欠くことのできない手段であると考えております。これに対しまして、立入検査の拒否、妨害等について罰則を定めておりますが、それはその実効性の確保の観点から十分合理性のあるものと考えております。 このような観点から申しますと、本法における立入検査があらかじめ裁判官の発する令状によらないからといって憲法三十五条の法意に反するものとは考えておりません。
○荒木清寛君 続いて、第七条二項に、立ち入りの際に物件を検査させることができるということでありますが、この検査に当たって書類の押収等ができるのかを含めて、具体的に何をなし得るのか、明確にしていただけますか。
○政府参考人(但木敬一君) 典型的なことを申しますと、立ち入った先で帳簿や書類を閲覧すること、あるいは設備を見分すること、これらの行為は典型的な行為であります。そのほかにも、立ち入り先の建物の中で検査対象物が入っていると思われるロッカーをあけるように求める行為あるいは帳簿類の提出を求める行為、あるいは検査結果を明らかにするために必要かつ合理的な範囲内で設備や施設の写真撮影をする行為、それから事務所の見取り図を作成する行為、これらの行為は立入検査で許されるものと考えております。 これに対しまして、物理的な強制と見られるような行為は本法の立入検査ではこれを行うことができません。例えば、施錠されているロッカーにつきまして、その施錠を開錠しろと求めることは先ほども申しましたようにできますが、みずから例えばかぎ屋さんを呼んでそのかぎを開錠してしまうような行為、あるいはそこにある物件の占有を自分で取得してしまって、差し押さえと同視できるような行為をしてしまう行為、これらの行為はもちろんできないわけであります。
○荒木清寛君 この立入検査につきましては、公安調査庁以外に警察職員も行うことができるという仕組みになっております。これはほかの行政目的における立ち入りにおいて、同じように補助的にといいますか警察官あるいは警察職員が同行できる、あるいは立ち入りができるという例はあるんでしょうか。これは異例な規定ではありませんか。
○政府参考人(但木敬一君) 必ずしも異例とは申せないと思います。 例えば最近の立法例で申しますと、債権管理回収業に関する特別措置法でも警察官の立入検査が認められております。その他、化学兵器の禁止及び特定物質の規制等に関する法律、あるいは核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律等々、約十四例あると認識しております。
○荒木清寛君 次に、再発防止処分についてお聞きいたします。 この法案の第八条第一項各号に掲げる要件はどのような基準によってこれを選別したのか、これを説明していただけますか。殺人の予備等、犯罪になるようなものも含まれておりますが、必ずしもそうではなくて、暴行を加えようとしているとき等かなり広範囲のものがこの要件の中に入っておりますが、どういう基準でこれを挙げたんでしょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 本法の第八条第一項は、御指摘のとおり、再発防止処分の要件をさまざま定めております。これは過去に無差別大量殺人を行い、現在もなお危険な要素を保持している団体につきまして、その保持している危険な要素が量的、質的に増大しており、あるいはこれを増大させようとしていると認められる場合を類型的に示したものでございます。一号から七号まではその典型的なものを示したものでございます。第八号は、午前中、江田議員から御質問がございましたが、それと同種同程度のものを指す要件でございます。
○荒木清寛君 典型的というお話ですが、それを言うと、例えば五号の規定、これは要するに布教活動として信者を勧誘する、そこに強制的な要素があるというような話ですね。七号でいうと、これは団体が急激に信者や施設をふやそうとしているという、これがどうしてそういう典型的に危険な兆候というふうに判断できるんですか。
○政府参考人(但木敬一君) 御指摘の第五号についてでありますが、これは無差別大量殺人に及ぶ主体的要件を整えているという指標、徴表として考えているわけでございます。これに該当するときは、違法不当な方法によって組織を運営しその維持強化を図っているという点に着目して要件の一つとしたものでございます。 七号につきましては、人的、物的あるいは資金的要素が急激に増加するということは、それ自体その危険性が急激に深化するおそれを抱かせるものでありますが、それと同時に、そうした急激な増加をいたしますとその危険性の程度を十分把握できなくなるという問題もございまして、そうした場合には一定の期間その規模等をその限度で凍結させるというような再発防止処分が必要となる場合がある、こういうことから掲げられた要件でございます。
○荒木清寛君 先ほども公安調査庁長官からも話がありましたが、このオウム真理教はいまだに殺人を肯定するような教義を維持しているわけですね。そういうことはまさにこの八条一項一号に該当するんではないかというふうにも思われますが、一方でそういう教義を持っているだけでこれに当たるとしていいのか。思想は税関を通過するという言葉もあるわけでありまして、その点どのように解釈をしたらよろしいんでしょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 八条一項一号は、「当該団体の役職員又は構成員が、団体の活動として、人を殺害し若しくは殺害しようとしているとき、人の身体を傷害し若しくは傷害しようとしているとき又は人に暴行を加え若しくは加えようとしているとき。」、こういう要件でございます。これにつきましては、もともと殺人をも肯定する教義というものがそのまま維持されているということを非常に強くあらわす行為類型でございます。 この中に「しようとしているとき」という要件が入っておりますけれども、これらはいずれも刑事法的に申しますと予備の段階にあるという状況を指しているものでございまして、単なる内心の意思ではなくて外部的にあらわれたこと、それから内心の認識等を総合して予備段階に既に入っているという客観的な基準で認定するものでございます。
○荒木清寛君 次に、本法案第三十一条の国会報告の規定の趣旨及び第三十二条の関係地方自治体への調査結果の提供への趣旨を説明していただけますか。
○政府参考人(但木敬一君) まず、本法三十一条の国会報告の規定の趣旨でございますが、本法案によります団体規制措置が憲法上の結社の自由に制約を課するものであることにかんがみまして、その規制措置を執行する責務を有する政府が、国権の最高機関である国会に対して毎年一回その施行状況を報告することを義務づけたものであります。これをもちまして、国会における本法の見直しを含む多角的な検討に資することができるという趣旨を含むものでございます。 続いて、第三十二条の地方自治体への調査結果の提供の趣旨でございます。 これは、公安調査庁長官が観察処分に基づく調査の結果得た情報を関係公共団体に提供することによりまして、その自治体の施策に資するとともに、住民の不安感を解消ないし緩和し、もって国民の生活の平穏を含む公共の安全の確保に寄与することを趣旨とするものでございます。
○荒木清寛君 大臣に最後に二つお聞きしますが、一つは、オウム信者に対する住民登録拒否やその子弟に対する就学拒否の問題につきまして、先ほどもありましたが、どのように大臣として考えているのか、取り組んでいくつもりなのか、お聞かせください。
○国務大臣(臼井日出男君) オウム真理教の信者の住民登録拒否、子弟の就学拒否等の問題につきましては、信教の自由、居住、移転の自由、教育を受ける権利等信者側の人権にかかわっている一方、住民の平穏で安全な生活の確保という住民側の人権にもかかわるものでございまして、まずもって本法の実施によりまして住民の不安の解消、緩和を図った上、その解決に当たりましては、これらの点に十分配意しつつ、政府全体として総合的な視点から的確に対処していく必要があると考えております。
○荒木清寛君 では最後に、オウム信者の社会復帰問題につきましても政府全体として全力を挙げて取り組んでいくべきと考えますが、法務大臣の決意をお伺いします。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員お話しをいただきましたとおりでございまして、団体の活動として無差別大量殺人行為を行った団体に対する一定の規制措置を設ける一方で、これによる規制の対象となったオウム真理教の信者やこれを脱退した元信者の社会復帰に役立つ対策を講じるということは社会的にも重要なことでございます。 この問題につきましては、ただいま委員お話しのとおり、政府全体として関係各省間で連携を図りつつ、かねてからの組織を強化すべく関係省庁間で協議を続けてまいっているところでございます。今後とも努力いたしてまいります。
○荒木清寛君 終わります。
○橋本敦君 今回の政府案につきましては、オウム対策ということで出されているわけですが、法務大臣も衆議院本会議の十一月五日の答弁で、オウム真理教の現状を念頭に置いて、当面の緊急対策として、破防法の規制そのものとは異なるけれども、破防法を背景に、準拠しながら新たな団体規制制度を設けたものだという趣旨の御答弁をなさいました。 そういう立法が果たして許されるかどうかということについて、私どもは極めて批判的で反対の態度をとっておるんでありますが、それは結論として後で触れるとして、そもそもこの事件について振り返ってみる必要があると思うわけであります。 オウム真理教とその関係者は、一九九四年の六月に松本サリン事件を起こしました。翌九五年の三月には、ついにあの凶悪な地下鉄サリン事件を引き起こしたわけであります。猛毒ガスサリンを発散させる、不特定多数の国民を無差別に殺傷する、まさに我が国犯罪史上例を見ない悪質きわまる犯行だということは言うまでもありません。 この松本サリン事件から地下鉄サリン事件に至る九カ月の経過を振り返ってみますと、私どもは当時国会で、坂本弁護士殺害事件、あの事件が起こったときから警察の厳しい捜査も要求してきました。また、松本サリン事件では、その直後に上九一色村のオウム施設の第七サティアンの周辺で異臭事件が発生したこと、御記憶があると思いますが、警察がそれを鑑定した結果、サリン残渣物が発見されたということも当時明らかに報道もされました。だからしたがって、当然警察は厳しい強制的な捜査を含む断固たる捜査を遂げなければ重大な犯罪を予防することもできないということで、捜査のおくれを許してはならぬということで何度も国会で厳しく私どもは指摘してきたわけであります。 そういう経過に照らしても、このサリンを利用した凶悪な犯罪には極めて厳格な処罰の体制を新たに設ける必要があるということも含めて、そういう警察の捜査のおくれの反省も含めながら成立したのが、全会一致で九五年四月成立のサリン人身被害防止法ではなかったかと思いますが、警察としては、このサリン被害防止法の提案の理由、その背景等、どう今お考えになっていらっしゃいますか。刑事局長からお考えを聞きたいと思います。
○政府参考人(林則清君) ただいま委員御指摘のように、サリン等による人身被害の防止に関する法律、いわゆるサリン法は平成七年四月に成立したことは御指摘のとおりでございます。 この法律は、当時、サリンによって不特定多数の人を無差別に殺傷するという今御指摘のあった我が国の犯罪史上例を見ない残虐きわまる犯罪が続発、続発といいますか続いて発生し、社会に重大な不安を生じさせたという情勢にかんがみ、サリンの発散、製造、所持等について重い刑罰を定めるとともに、その発散による被害が発生した場合において警察官等がとるべき措置等について所要の規定の整備を行ったものというふうに承知をいたしております。
○橋本敦君 参議院地方行政委員会の平成七年四月十九日でも、当時の国家公安委員会野中広務委員長は、この提案理由説明についても、今お話がありましたけれども、最近、サリンと見られる猛毒ガスによって不特定多数の人を無差別に殺傷するという我が国の犯罪史上例を見ない残虐きわまる犯罪が発生し、社会に重大な不安を生じさせているところであります。そこで、この法案は、この実情を踏まえ、サリン等、サリンに準ずる強い毒性を有する物質の製造、所持を禁止するとともに、これを発散させる行為についての罰則、その発散による被害が発生した場合の措置等を定め、もってサリン等による人の生命及び身体の被害の防止並びに公共の安全の確保を図ることを内容としておりますと提案理由を説明されました。そのとおりだと思うのであります。 そして、このサリン防止法の具体的中身を見ますと、今少しお触れになりましたけれども、サリンの製造、輸入、所持を重大犯罪として規定する、同時にサリンの発散、製造等の未遂、予備、これも犯罪と規定する。さらには、サリンの発散、製造、輸入等に要する資金の提供、あるいは車両、原材料を提供する、設備、機械、器具、これを提供する、土地、建物を製造のために提供する、それ自体重大な犯罪というところで処罰の対象として規定をしたという仕組みになっていることは間違いありませんね。
○政府参考人(林則清君) 御指摘のとおりでございます。
○橋本敦君 それで、しかもこのサリン防止法では、第三条では、製造等の禁止ということで、何人も製造あるいは所持、譲り受けをしてはならないということを決めておりますが、同時に第四条では、警察官等は、サリンの疑いがある物質の発散により人の生命または身体の被害が生じており、または生じるおそれがあると認めるときには、その被害に係る建物、車両、船舶その他の場所への立ち入りの禁止、またこれらの場所にいる者の退去、サリン等を含む物品その他被害に係る物品の回収、廃棄、その他被害を防止するために必要な措置をとらなければならない、こう言って厳密に防止措置をとることも決めているわけであります。 この第四条に基づいて、こういう規定に基づいて、サリン発生防止のために、その具体的なおそれがあれば、今私が指摘したような立入調査あるいは回収、そういった措置がとれるようになっていることも間違いございませんね。
○政府参考人(林則清君) 御指摘のとおりでございます。
○橋本敦君 ですから、このサリン防止法自体は、残虐な凶悪犯罪であるサリンという、そのことの製造から発散、そのための施設の利用等を含めて厳重に対処するという措置をとっているわけであります。これらの法律が個人の行為だけを処罰するということなのか、集団で共謀共同正犯と言われる形での意思を相通じてこういうことをやることについても防止をするという機能も持つものなのか。その点、警察庁のお考えはどうなんですか。
○政府参考人(林則清君) 刑法に基づいて、事実と証拠によりまして共謀が認められれば共犯が成立することは、通常の法律でありますから当然のことであると思います。
○橋本敦君 当然のことですね。しかも、第七サティアンの状況を見ても、個人で、一人あるいは二人でサリンを製造するというようなそんなことはできるわけはないわけですよ。だから、サリン犯罪というのは、本来的に共同でまさに団体的行動として製造し発散する、そういう構図をとってきたことはオウム教団の事件自体がもうはっきり物語っておるわけですね。だからしたがって、全会一致でサリンの防止という重大な社会的目的を持ったこの法律をつくった。その法律を合理的に今後のサリンの防止のためにきちっとこれを検討して使うというのは、それはそれとして大事な法的方向あるいは筋だというように私は考えますが、警察庁はどうですか。
○政府参考人(林則清君) オウム真理教等が現実にこういうものを使った場合に、この法律に基づいた措置をとることは当然でありますが、それだけでは済まない、通常そういうおそれの段階である程度把握しておく必要もあろうかと思います。
○橋本敦君 だからしたがって、私が言うのは、このサリン防止法だけでよいとは言っていませんよ。しかし、このサリン防止法が今言ったような構造と目的とそして態様を持っている、そういう法律が全会一致でできているんですから、今あなたがおっしゃったような予防的措置をさらに深めるということの検討を加えて改正をするという、そしてまた、そういう改正について今指摘されたような問題も含めて国民の不安や期待にこたえる方向で検討するというのがこれが当然の私は立法の筋じゃないかと思うんですね。 そもそも犯罪の予防ということ、防止ということ、これはまさに警察法に規定された警察の一番大事な重要な任務じゃないですか。そうでしょう。犯罪の予防についてあるいは防止についてだれが責任を負うのか警察法ではっきり書いている。これはもう間違いないところじゃありませんか。 だから、そういう意味ではサリンという凶悪な犯罪の今後の予防について、社会の不安をなくし地域の住民の不安にこたえてこれを防止していくということについても警察が重要な責務を担ってその任に当たるというのが筋として当たり前だと私は思いますが、警察のお考えはどうですか。
○政府参考人(林則清君) 警察は、現行法に基づく権限の枠内において国民の生命、身体、財産を守るべく活動をするところであります。 ただ、つけ加えて申し上げますと、現在のオウム教団が住民等に与えておる不安感なりそういったものは、現行法、現在既にある法律だけを根拠に果たして十分な対策を講ぜられるものかについては疑問を持っており、そういう意味で、今回提案されておる法案、当委員会で審議されておる法案の成立を我々期待しておるところであります。
○橋本敦君 そこが話の筋という意味で私と違うところなんです。私も現在のサリン法だけでいいとは言っていませんよ。だから、このサリン法の改正に基づき、暴対法の手続も準用して、あなたがおっしゃるそういった将来の予防的措置をオウム集団に特定して対応ができるような法律を私どもは考えて提案しておるわけなんですよね。 例えば、暴対法の問題を考えてみましょう。 あの暴力団対策法は、特定の凶悪な暴力団を指定して、その暴力団の行動、その構成員に対して警察は厳重に対処ができるようになっていますね。暴対法の三十三条ではどういうことができるようになっていますか。
○政府参考人(林則清君) 三十三条におきましては、指定暴力団に対する報告の聴取、立入検査につきまして、この法律の施行に必要があると認めるときはこの法律の施行に必要な限度においてそれを行使することができるとされておるところであります。 具体的には、その目的は、事務所使用制限命令等の暴対法上の処分を行うための事実の確認、資料の収集等を目的として行うということであります。
○橋本敦君 そうですね。 そこで、対象となる暴力団の指定はどこが行いますか。
○政府参考人(林則清君) 厳重な手続を得て公安委員会が行うことにいたしております。
○橋本敦君 ですから、オウムに対する対策でも、本来犯罪の予防、防止に責任を負う重大な官庁である警察がその職務を遂行する上で、この暴対法に準じてオウム教団というような凶悪な集団に対しては公安委員会が指定をし、その指定に基づいて警察がこの暴対法の手続に準拠して立ち入りして調査をする、報告も求める。そういうことができるようになっているわけですから、だからサリン法とこの暴対法とを合わせた形で合理的な法律をつくるというのが私は基本的に大事な筋だし、警察の本来の任務を遂行する上で非常に大事な課題だと思うんですね。 なぜ破防法が必要だということをおっしゃるのか、その理由はおっしゃいませんでしたが、警察はなぜ必要なんだと思っているんですか。
○政府参考人(林則清君) 今、先生の方から暴対法の話がございましたが、現行の暴対法は、個々の暴力団員がそれぞれ暴力団の威力を巧妙に利用して反社会的な行為を行うことが常態であるという実態を踏まえまして、個々の暴力団員の当該行為をとらえて規制を行うという仕組みになっておるわけであります。 それから、サリン法の方もございました。サリン法は、先ほど話がありましたように、サリンの製造、所持等を禁止するとともに、これを発散させる行為について罰則がついておる、そして発散させた場合の措置について定めておる。 ところが、これに対して本法案は、対象団体の危険性の程度を把握するため活動状況を継続的に明らかにする、または危険性の増大を防止する必要が認められる場合や危険性の程度を把握することが困難である場合には活動の一部を停止させるなど、団体規制を行うものであります。団体規制を行うに際しましては、さまざまな議論があるのは承知しておりますけれども、本法案の対象となる団体は、現時点で先ほど来指摘のある大変なことを引き起こし、また現に大変各地で住民に不安を与えておる、これが対象になるだけであります。 オウム真理教に対する団体規制を行うに当たっては、公安審査委員会及び公安調査庁による現行の団体規制の仕組みを生かすことにしたものというふうに我々は承知しておるところであります。したがいまして、先生のおっしゃる暴対法の枠組みを準用しサリン法を改正するというお考えはいかがなものかというふうに考えておる次第でございます。
○橋本敦君 そこが法案をめぐっての重大な論争点であり、議論の大事なところなんですね。 それで、私たちは、団体規制ということを基本とする破防法を使うんじゃなくて、サリンを発散させた凶悪なオウム集団ということに対象を具体的に特定することがまずは一つ大事であることと、そしてその上で、全会一致で成立したサリン法、全会一致で成立した暴対法、この手法で、新たにサリンによって凶悪なオウム集団が再び策動し、住民を不安に陥れ、また犯罪を発生させることがないようにするために、必要な報告を求めること、そしてその報告を拒否すれば立入調査ができること、そしてその立入調査を妨害するようなことがあれば、さらにそれに対して犯罪を起こす可能性またはおそれがあると認定した場合には、建物やあるいは物件や、そういったものについて厳しい対処をすることができるということを私たちは提案をしているわけですから、基本的に破防法を使わなくても、まさに警察本来の任務に基づいて今あなたがおっしゃったようなそういうことが具体的にできるじゃないかということを提案しているわけですよ。 それで、破防法ということをおっしゃいますけれども、それじゃ公安調査庁に伺いますが、先ほども話がありましたけれども、坂本事件がありました、それからまた上九一色村のサリン発散の疑いの事件がありました、松本事件、そして地下鉄事件と起こりましたが、どの段階で公安庁がこの破防法という立場に立ってオウム集団に対して危険な団体の指定をしたのかというと、先ほど話があったように平成七年の五月になってからのことでしょう。全部凶悪な事件が起こってからのことでしょう。 一体、この凶悪な犯罪を予防し、国民の期待にこたえてこういうことをさせないために破防法が役に立ったんですか。公安調査庁長官、はっきり答えてください。役に立ったんですか。立っていないでしょう。
○政府参考人(木藤繁夫君) 公安調査庁は、オウム真理教につきまして、平成二年二月に麻原こと松本智津夫以下信徒多数が衆議院議員総選挙に立候補した、そして落選したころから政治団体の一つとして関心を持っていたわけであります。 その後、当庁は、熊本県の波野村の教団施設をめぐる地元住民の反対運動とか、松本市への進出に対する反対派住民の阻止運動とか、亀戸道場の異臭事件とか、上九一色村のサティアンの建築をめぐる反対運動などなど、地域住民との間の相次ぐ紛争事案が生じていたということから、これらに注目して情報収集には努めていたわけでございますけれども、しかし、平成六年の松本サリンあるいは平成七年の地下鉄サリンといった凶悪事件の発生前には、残念ながら危険な団体として本格的調査を始めるだけの合理的根拠を十分把握することができなかったわけでございまして、結局、調査対象団体に指定して本格的な調査をするに至ったのは地下鉄サリンの発生後ということでございます。
○橋本敦君 だから、破防法による団体規制は、それ自体が乱用の危険も含むし、憲法違反の疑いもあるし、合理性がないということはもう基本的に私たちは言っているんですが、実際にあの凶悪なオウム集団の犯罪に対して、今あなたが答弁されたように、松本サリン事件以降、あの凶悪な地下鉄サリン事件が起こって、大きな社会不安と重大な凶悪な犯罪だということで国民が驚愕をした、世界も驚いた、それまで危険な団体として指定さえしなかった。 そういう意味では、地下鉄サリン事件までに至る間に公安調査庁がこのオウム集団に対して合理的なしかも効果的な措置は何一つ具体的にはとることができなかったということははっきり認めてくださいよ。どうですか。
○政府参考人(木藤繁夫君) 御指摘のように、危険な団体と認識して本格的なそういう団体としての調査を始めたのは、凶悪な地下鉄サリンの後のことでございます。 それ以前にそういった危険な性格になぜ着目できなかったのかということにつきましては、当庁の調査手段が任意調査によるものでございまして、やはりそれにはおのずと限界があり、組織の深層に及ぶ調査まではできなかった。 しかし、このことを深刻な反省として受けとめまして、将来に対するいろんな調査に生かしてまいりたい、このように考えております。
○橋本敦君 ですから、基本的に役に立たなかったことはお認めになったとおりですよ。 それだけじゃないんです。きょうの東京新聞を見て私は、これはきょう質問通告をしていないけれども、公安調査庁のあり方ということでお尋ねしなきゃならない、こう思ったんです。 きょうの東京新聞によりますと、公安調査庁が市民運動を破壊団体扱いにしたということで、九六年度の内部文書によれば、ペンクラブさえも対象になっているという重大な記事が出ていますね。「公安調査庁が市民オンブズマンや環境保護団体など広範な市民運動を調査するよう全国の下部組織に指示し、実態把握に乗り出していたことが」「同庁の一九九六年度の内部文書で明らかになった。」と報道されています。調査指示項目には、日本ペンクラブ、日本ジャーナリスト会議など、報道関係の任意団体も対象として列挙されているというんですよ。 ここで明らかになったのは、公安調査庁が下部組織に当たる全国八カ所の公安調査局にそれぞれ重点解明目標を設定し調査を指示した中の近畿公安調査局への指示項目。そこには、大衆・市民運動関係として、原発建設の賛否を問う住民投票運動のほか、市民オンブズマンの行政に対する告発や大気汚染、リゾート開発、ごみ問題への取り組みなどを行う団体を列挙。女性の地位向上や消費税引き上げ反対運動も含まれている。法曹・救援、文化、教育関係の分野では、いじめ・不登校問題、日の丸・君が代反対運動に対する諸団体の動向、諸団体による死刑廃止運動や人権擁護の取り組みなどに加えて、言論・出版の自由を求める活動の実態としてマスコミ関係団体も指定されている、こう報道されている。 これが事実だとしたら、こんな憲法違反、どこにありますか。松本あるいは地下鉄サリン事件には本当に国民のために役に立たなかった。それどころか、我々がかねてから憲法違反の疑いがあると指摘してきた公安調査庁は破防法に基づいてこういうこともやっているとなったら、一体これは許せますか。私は、これは絶対に重大な問題として看過できないことだと思います。だから、オウム対策として破防法を背景に団体規制をやるということは法律上筋が違うということを指摘しましたが、それだけじゃなくて、こういう危険な破防法及び公安調査庁に安心して私たちは任せるわけにはいかないじゃありませんか。 きょう新聞で大きく報道されたこのような事実があるのかどうか、答えてください。
○政府参考人(木藤繁夫君) 本日の朝刊の報道に係る文書につきましては、当庁の内部で作成された可能性をも含めて、答弁を差し控えさせていただきたいと存じます。 ただ、一般論として申し上げますと、公安調査庁は、日本国憲法の保障する民主主義体制を暴力で破壊しようとする団体につきまして、その組織や活動状況などを調査しております。したがいまして、そうしたおそれのない市民運動ないし市民団体そのものやその正当な活動を調査の対象とすることはございませんし、破壊活動防止法の第三条にもその趣旨は明記されているところでございます。 しかし、これらの市民運動等に対する調査対象団体からの働きかけとか、あるいはこれらの市民団体内部における調査対象団体構成員の活動などがある場合には、これらの活動を調査することもあると承知しております。
○橋本敦君 今の答弁は、この新聞で書いてあるような市民団体に対するそういう調査があったことを認めたということですか、最後の方は。そういう意味ですか。やることもあると言ったでしょう。
○政府参考人(木藤繁夫君) 繰り返して申し上げますが、公安調査庁は……
○橋本敦君 認めるか認めないかです、この記事を。
○政府参考人(木藤繁夫君) 民主主義体制を暴力で破壊しようとする団体につきまして調査しているのでございまして、そうしたおそれのない市民運動ないし市民団体そのものやその正当な活動を調査の対象とすることはございません。
○橋本敦君 一九九六年度の内部文書で、調査指示項目に今私が指摘したような日本ペンクラブや日本ジャーナリスト会議やあるいは市民の原発オンブズマン運動、こういったものが調査対象になっていたというように報道されているこの事実については、内部の問題も含めてお答えできませんとさっき答弁されましたね。そういう答弁ですか。もう一遍確認します。
○政府参考人(木藤繁夫君) 本日の報道に係る文書につきましては、当庁内部で作成された可能性をも含めて答弁を差し控えさせていただきたいと考えております。
○橋本敦君 なぜ答弁しないのですか。国会が、国政調査権に基づいて議員が聞いているんですよ。重大な国民の権利と憲法にかかわる問題でしょう。内部の文書でこういう文書をつくったことがないと言うのかあると言うのか、それも含めて答えないというのは答弁拒否ですよ。そんなことは許されない。はっきりこれを否定するなら否定するで、あなたはこの新聞の記事にどう対応されるか私は聞きますが、否定もされない、答えないと言うんだから。はっきりしてくださいよ、なぜ答えないのか。国会議員の国政調査に関するこういう重大な憲法、国民の権利にかかわる質問に答えないなんということは、政府参考人として許されることではありませんよ。はっきり答えてください、内部文書があるのかないのか。
○政府参考人(木藤繁夫君) 御指摘の報道された文書が仮に内部で作成された文書であると仮定いたしますと、いずれの文書も当庁の調査内容に関する事項が記載されておりまして、そのようなものを外部に公にすることは庁の業務運営に著しい支障を来すことになるし、またひいては公共の安全と秩序の維持にも支障を及ぼすおそれが生じるものと考えております。したがいまして、こういった文書につきまして、報道された文書と庁内の文書が同一か否か、これを確認するといたしますと、その文書の内容を公にしたのと同一の効果をもたらすということになりますので、こういった文書と同じものが内部にあるかどうか、あるいは類似のものがあるかどうかについての答弁を差し控えさせていただきたいと考えております。
○橋本敦君 時間が来ましたから、残念ながらこれ以上質問ができないんですが、はっきりとこういう文書はないということを否定されなかった、しかも私の質問にはまともに答えず答弁を拒否された。この事実は重大ですから、今後ともこの問題について、私は承知できません、追及していく、そういうことを申し上げて、時間が来ましたので終わります。
○福島瑞穂君 社会民主党の福島瑞穂です。 この無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律案はオウム真理教のみに適用されるのでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今御指摘の、今度私どもが提案をいたしております新法は、事実上オウムだけにしか適用できないものと考えております。
○福島瑞穂君 どの条文からそう言えるのでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 御指摘のとおり、「目的」におきましても、衆議院の修正によりまして、「例えばサリンを使用するなどして、」というふうに限定をいたしましたり、あるいは同じように、「この法律の施行の日から起算して十年以前にその行為が終わったものを除く。」、こういうふうに四条でも修正をいたしておりまして、こうした全体の流れを見てみますと、現在私どもの頭にあるものはオウム真理教しかない、このように考えている次第であります。
○福島瑞穂君 法律は、できればそれがひとり歩きをいたします。「目的」の中にあるのは、「例えばサリンを使用するなど」とありまして、しっかり「など」という文言が入っております。これは、目的にしかすぎません。観察処分の要件には別にオウム真理教のみに適用するということは書いてありません。そして十年以上前に、十年という期限は切ってありますが、この間さまざまな事件は起きております。 先ほど江田委員それから橋本委員の方から、けさの新聞の「市民運動を破壊団体扱い」という記事に関する質問が出ました。今、さまざまな市民運動には本当にさまざまな人がかかわっていますし、その人がどういう立場なのかわからないまま一緒にそのテーマで活動することもあります。日本赤軍、それから新左翼格闘派と呼ばれる解放派、中核派、革マル派、これについてはこの法案は適用されるのでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) この法案につきましては、御承知のとおり、政治目的を持って「不特定かつ多数の者を殺害し、又はその実行に着手してこれを遂げないもの」というような条件がついております。したがいまして、本法案の適用対象となる団体の範囲というものは、このような無差別大量殺人行為を行った団体に極めて限定されておりまして、衆議院において「定義」に修正がなされ、現時点ではオウム真理教が唯一の対象団体でございます。
○福島瑞穂君 日本赤軍、それから解放派、中核派、革マル派といったものにはなぜ適用がないのでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今申し上げましたように、無差別大量殺人というものを行った団体、先ほど申し上げましたように、この十年間というふうな期限を切った、そういうことから総合的に見まして現時点ではオウム真理教しか対象にない、このように申し上げております。
○福島瑞穂君 オウム真理教は現在、不特定かつ多数の殺人行為及び未遂をするおそれがあるというふうに考えられますか。
○国務大臣(臼井日出男君) このことはまさにこの法案が成立をいたしまして公安審査委員会でもって御審議をいただく、このようになるわけであります。
○福島瑞穂君 先ほど荒木委員の方から、精神的自由権の規制についてはその手段は必要最小限でなければならないというお話がありました。御存じのとおり、経済的自由権、精神的自由権は規制手段としては憲法の違憲立法審査基準が異なっております。本法案は、思想、良心の自由、信教の自由、表現の自由、集会、結社の自由、住居の不可侵、プライバシー権など、まさに精神的自由権が問題となる法案です。 精神的自由権は、それが一たん侵害されますと民主主義の過程が傷ついてしまいますので、他の手段によってはその瑕疵が是正できないという非常にデリケートな人権です。であるから、精神的自由権の規制手段はより制限的でない、他の選び得る手段、表現の自由に関する規制については明白かつ現在の危険がなければ規制ができないというのは憲法の確立された考え方ですが、これに照らしてこの法案はそういう要件がありません。それについてはいかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 本法案は、過去に無差別大量殺人行為を行い現在も危険な要素を保持している団体について、その活動状況を明らかにし、または当該団体による無差別大量殺人行為の再発を防止することによって公共の安全を確保することを目的として観察処分なり個別の再発防止処分を課するものであるわけでございますが、その処分は、危険性の程度を把握しまたはその増大を防止するために列挙された必要な措置の中から、準司法的な機関である公安審査委員会が個々の具体的な事案に応じましてその必要に応じて合理性の認められる範囲で選択をするということになっているわけでございます。したがいまして、その手続も団体側から意見を聞いた上で証拠書類に基づいてなされる中立性、公正性の確保されたものでございます。 したがいまして、本法案による規制というものは、先ほど委員がるる申されました結社の自由等々の精神的自由に対する公共の福祉により認められた必要かつ合理性のある規約であるということができまして、御指摘のような権利を不当に制限する懸念はないものと考えております。
○福島瑞穂君 質問に対して答えていただけていないというふうに思います。 なぜこの要件で表現の自由などが規制できるのか。団体の現実的、具体的な危険性が観察処分の発動要件とはされていない、それが問題ではないかということです。 では、先輩の民主党の北村委員に御質問いたします。 国際人権規約B規約の勧告が四回出ておりますが、特に四回目の規約人権委員会には北村先生も出席をされていらっしゃいます。傍聴にジュネーブまで行っていらっしゃると思います。 去年十一月に出た国際人権規約B規約の勧告のパラグラフの八は、公共の福祉、パブリックインタレスト、「委員会は「公共の福祉」という、曖昧で限定のなく、そして、規約のもとで許される制限を超える制限を可能にする概念に基づき、規約において保障されている権利に課される制限についての懸念を繰り返し表明する。前回の見解に従って、委員会は、締約国に対して国内法を規約に適合させることを再度強く勧告する。」と言っております。 国際人権規約B規約の委員会は、公共の福祉というあいまいな概念で基本的人権を制限してはいけないということを繰り返し繰り返し日本政府に対して勧告をしています。 特に、今回の法案で問題になっているのは精神的自由権です。先ほどほかの委員の答弁に対して、大臣は公共の福祉によって基本的人権が制限できる旨お答えになったかに思います。なぜこういうことで表現の自由が規制できるのか、教えてください。
○衆議院議員(北村哲男君) 私はお答えできる立場ではないんですが、基本的人権と申しましても、表現の自由とか、他に及ぶ場合は権利の衝突があったりしますけれども、荒木委員のおっしゃった精神的自由、信教の自由なんかは恐らくこの法律では制限していないと思うんです。そこはできない。それは権利の衝突がないからだと思うんです。 それで、なぜ表現の自由が制限されるのかということですが、具体的にこの法律の中のどれがどのようにいわゆる表現の自由を制限しているかというのはちょっと明確に指摘できないんですけれども、一般論としては、おっしゃるとおり、単に公共の福祉だけで権利の制限をすることはできない。その公共の福祉の内容を明確にしなくちゃいけない。 この法律では無差別大量殺人行為を行うという危険性が人の生命、身体をまさに侵害するということとの比較考量の上で公共の福祉の内容を、内容というか公共の福祉を侵害する行為がすなわち無差別大量殺人だというふうに規定してある。それだけではなくて、政治目的あるいは何々というふうな一定の制限を設けて侵害行為を規定しているわけですから、恐らくその均衡性、そしてこのオウムについては過去から現在までそういう無差別大量殺人行為を行ったということがある、そしてまたその危険性が現在同じ団体で引き続いておるということが公共の福祉の内容になってくると思います。
○福島瑞穂君 この法律よりも、なぜ破防法を適用できないのかという橋本委員の説明などに対して、破防法は適用できない、でもこの法律は適用できるという説明が──ごめんなさい、委員の名前をちょっとそこだけカットしてください、間違えたかもしれません。 破防法は適用できないけれども、この法律は適用できるという説明がありました。破防法についてはたくさんの違憲であるという指摘があります。破防法は、当該団体が継続または反復して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるときには団体活動を制限し、この制限だけではそのおそれを有効に除去することができないと認められるときに解散指定ができるとされています。 この破防法における将来の危険についての要件については、「明らかなおそれ」というだけで具体的危険の発生などの要件が要求されていないので恣意的判断がされる危険性が強く、言論、表現の自由や結社の自由を制限する上で要求される明白かつ現在の危険の原則に反しているので違憲であるという意見が大変学者の中で、立法過程の中で出ましたし、今もあります。 私がきょう申し上げたいのは、この破防法よりもはるかに現在及び将来の危険については考慮していないということです。本法案は破防法において要件としていた将来の危険性を不要としている。したがって、明白かつ現在の危険の原則を全く無視していて違憲の法律であるというふうに思います。 今なぜ危険なのかということは、観察処分の要件としては例えば次のようなものが出ております。「当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員であった者の全部又は一部が当該団体の役員であること。」、五条三号です。単に役員がいればその人間が不特定かつ多数の殺人の未遂に関与したかどうかを全く問わないで観察処分の対象になります。なぜこれが現在かつ将来の危険と言えるんですか。済みません、大臣、お願いします。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘の五条三号、「当該無差別大量殺人行為が行われた時に当該団体の役員であった者の全部又は一部が団体の役員であること。」ということは五条一項──ちょっと済みません。
○福島瑞穂君 では、ちょっと質問を変えます。 危険性があると認めるに足りる事実という抽象的な危険を問題にするにすぎない。今オウム真理教が現在及び将来危険なのかという厳密な議論をせずに、ここで列挙されているこの観察処分の要件となっている一号から五号まではいずれも極めて形式的な事実ではないか。特に三号では、「役員であった者の全部または一部が当該団体の役員である」ということになっていて、その人間が不特定かつ多数の殺人の未遂に関与したかどうかも問うてはいません。 ですから、例えば不特定かつ多数の殺人行為及び未遂に関与していなくても、その時点と現時点でともに役員である人物が一人いるだけで形式的にはこの要件を満たすと。危険性の具体的判断を全く放棄して根拠なき擬制をしているのではないでしょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 突然の技術的なお尋ねですので私の方から答えさせていただきます。 御指摘の条項でございますが、無差別大量殺人行為を行った当時の当該団体の役員、これは当時の教義を信奉し、団体の中において指導的な地位を占めていた者でございます。 したがいまして、そういう者が現在もなお役員を続けているということは、当該団体の基本的な性格が変わっていないということを具体的に示す徴表であると考えております。
○福島瑞穂君 私は、それはひどいと思うんです。役員とか首謀者という認定をどうするかという問題ももちろんあります。それから、その人間がい続けるからその団体が危険であるというのは極めて乱暴です。 私が、実は先ほどから繰り返し繰り返し言っているのは、荒木委員も先ほど言った必要最小限の規制手段というふうには言えない、現在及び将来の危険性をこの法案は不要としている、そんな憲法違反の法律でいいのかということを聞いているわけです。いかがですか。
○政府参考人(但木敬一君) 先ほど委員御指摘のように、「おそれ」というような抽象的な文言を認定するということは、ある意味ではその判断が非常に困難であります。 これに対しまして、ある具体的な徴表をとらえてこれが認定できるかできないかというのは、極めてある意味で判断がきちっと確保されるわけであります。したがいまして、問題はその徴表のとらえ方が不当であるかどうか、この問題に尽きるかと思います。 先ほども申しましたように、三号につきましては、無差別大量殺人行為を行った当時の団体の指導的地位にあった者、これが現在もなおその団体の指導的地位にあるということになりますと、それは無差別大量殺人行為を行った当時の団体の考え方、思想、これが現在も残っていることを強く示唆するわけでありますので、私どもはこれはその危険な要素の徴表として認めるに十分であるというふうに考えておる次第であります。
○福島瑞穂君 三号は、「役員(団体の意思決定に関与し得る者であって、当該団体の事務に従事するものをいう。」というふうにしています。「意思決定に関与し得る者」ですから、主導的立場ではありません。むしろ、一号の「首謀者」というのが今おっしゃったことだと思います。私が思うのは、なぜ役員がたまたまたった一人でも同じだったらこの観察処分がスタートするのかというふうに思います。 社民党の法務部会において、政府は「サリン事件のときよりはオウムの危険性もなくなったと客観的には言えるだろう」とおっしゃいました。 現在及び将来の危険があるということが今は言えない。でも、住民は不安です。オウムはむかつく、嫌いだ、嫌だ、どこかへ行ってほしい、そう思う気持ちはよくわかります。 でも、そう思う気持ちと、精神的自由権、信教の自由も含めて、漠然とした国民生活の不安で基本的人権を果たして制限できるのかということをこの法務委員会できちっと議論すべきだというふうに思います。私は、違憲の法律をつくることについては私たちは共犯になってしまうというふうに思います。 韓国の国家保安法は、国際人権規約B規約の委員会において違法、違憲というふうに判決が出たというふうに聞いております。人権の考え方からすれば、私はいずれこの法律は裁判所あるいは国連の委員会において絶対に違法だというふうに断ぜられるだろうというふうに言いたいというふうに思います。 例えば、五条の一項四号なんですが、「当該団体が殺人を明示的に又は暗示的に勧める綱領を保持していること。」というのがあります。 実は、仏教徒やさまざまな宗教者の方から、綱領について、国家権力が綱領をチェックしていくということに対して大変危惧が寄せられております。さまざまな昔からある綱領がある。それが、いや、これは実は危険なんじゃないか、しかもこれは暗示的に勧めるというふうに、非常に不明確です。 例えば、この要件で観察処分がスタートする。これについていかがですか。政府委員でも結構ですし、北村先生でも上田先生でも、どなたでも結構です。
○政府参考人(但木敬一君) まず、お考えいただきたいんですが、第一の要件はあくまでも、この法律の施行前十年にさかのぼりますけれども、その間に無差別大量殺人を集団として行ったそういう集団について規定しているわけです。したがって、一般的にいろいろな宗教においてどういう綱領を持っているというようなことが問題なのではありません。 ここで言っているのは、あくまでも現に無差別大量殺人行為を行った、団体として行ったその団体が殺人を明示的あるいは暗示的に勧める綱領をなお保持していること、この危険性を私たちは指摘し、これを要件としているわけでございます。
○福島瑞穂君 不特定かつ多数の殺人、それの未遂をやったことは犯罪として処罰されるべきだと思います。 ただ、私が危惧する、あるいは宗教者の人たちが危惧するのは、こういうことを入れることで、場合によっては国家が綱領をチェックすることというのが起きるわけですね。で、五条の一項の各号が果たして現在及び将来の危険ということを言っているのか。これは現在及び将来の危険というふうには言えないので、こういう現在及び将来の危険を不要にした法案は違憲であるということを申し上げて、次の質問に移ります。 再発防止処分に付された団体に許された活動というのはどのようなものがあるでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 本法案第八条に規定する再発防止処分は、過去にその役職員または構成員が当該団体の活動として無差別大量殺人行為を行い、かつ現在もその団体の属性として危険な要素を保持している団体について、危険な要素の量的質的増大を防止する必要があると認められる場合、または観察処分に付された団体について、報告義務違反または立入検査妨害等がなされた場合であって、危険な要素の程度を把握することが困難であると認められるとき、当該団体に対し必要かつ合理的な範囲で団体の活動の一部を一時的に停止させようとするものでございます。 したがいまして、再発防止処分に付された団体については、処分の内容に応じた活動が禁止されるにとどまり、それ以外の活動をすることは全く禁止されておりません。 具体的に申し上げますと、例えば再発防止処分の内容が、土地または建物を新たに取得し、または借り受けることのみを禁止するものである場合、当該処分を受けた団体は、土地または建物を新たに取得すること及び借り受けること以外の活動については何ら制約を受けるものではございません。
○福島瑞穂君 衆議院の参考人の江川紹子さんは、この法律が施行されればオウム真理教は私たちの目から非常に見えにくい形で活動するようになっていくだろうということです、ということを参考人として呼ばれておっしゃっています。私もそうなっていくのではないかと。 先ほども、午前中、中島委員の方からもありましたけれども、むしろカルト宗教をどうやっていくのかという視点がなければ、幾らがんがん規制をしても、結局、行き場のない人たちはどこにも本当に行きようがないという状況になっていくだろうというふうに思います。そのことについてはいかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今お話しのとおり、オウム真理教の動きというものが地下に潜ってしまったということだけではこれは基本的な解決にならないわけでございまして、私どもは、オウム真理教を団体として規制すると同時に、そのオウム真理教から脱退をしていくような信徒の皆さん方に対して国としてしっかりと対応していくことが必要であると考えております。
○福島瑞穂君 この観察処分及び再発防止処分は、日本国憲法に定める幸福追求権、思想及び良心の自由、信教の自由、集会、結社、表現の自由、学問の自由、財産権などを著しく侵害するものであります。これが行政処分としての規制として行われるわけです。 憲法三十一条の適正手続は行政処分の場合にも準用して適用されるべきであるという旨、判決では出ております。本案の場合、現行破防法の規制と同様の効果をもたらす処分でありながら、事前の弁解、意見聴取の手続が三十日以内で行われることを予定するなど、破防法よりも極めて簡素化されております。その点についての問題点、大変あると思いますが、いかがですか。
○国務大臣(臼井日出男君) いわゆる破壊活動防止法というものは規制処分の内容として団体に対する解散指定処分という極めて重い処分を可能とするものでございまして、国民の基本的人権である結社の自由等に究極的な制約を加えると。そういうことにかんがみますと、特に慎重な手続が必要である、このように考えております。 他方、行政手続に関する一般法である行政手続法上は、対象に一定の義務を課しまたは権利を制限する不利益処分については、その資格または地位を直接剥奪するようなものを除きまして、原則として相手方に弁明書及び証拠書類等を提出する機会を付与すれば足りるとされております。 本法案によります観察処分及び再発防止処分は、いずれもこの不利益処分にすぎないわけでございまして、対象団体に弁明書を提出する機会を付与すれば足りるものと考えております。しかし、本法案では、これらの処分が結社の自由等に直接かかわりを持つものであることにかんがみまして、より一層手続に配慮を加え、独立して権限を行使することが保障されている準司法的機能を有する公安審査委員会が中立、公正な判断のもとに処分を行うことといたしておりまして、その手続自体も、原則としてこれを国民に公開した上、対象団体側に口頭で意見を述べる機会を付与するものとし、またさらに団体側出頭者から公安調査庁職員に対して質問を発することを認めるとするなどいたしておりまして、本法案における手続保障は十分なものであると考えております。
○福島瑞穂君 被害者救済法はこの団体規制法を前提としているという点で、またこちらも問題があると思います。過去に行った犯罪に対してそれでどう団体を規制するかという問題と、破産法の手続の中で破産管財人にどういう権限を与えるかというのは全然別の話であるにもかかわらず、被害者救済法の方が団体規制法と実は双子になっている。実は一つの法律で、団体規制法を前提にしているという点で問題である。これで救済されるのは破産手続に参加をした人間だけです。それだけでは実は不十分だと思います。三千何人いるうち破産の手続に関与、申告した人は一千名強というふうに聞いております。救われていない人がたくさんいるわけですから、もっと広範囲な被害者救済法が必要である、団体規制法の違憲性についてはきちっと考えてほしいということで、私の質問を終わります。
○平野貞夫君 けさからこの参議院の法務委員会の諸先生方の論議を拝聴していますと、一言で言えば、いわゆるオウム新法がなぜ必要かという立法理由といいますか、あるいはこの法律の性格論だったと思います。私もいささかこのオウム新法については与党ではございますが意見を持っております。福島先生の立場とは逆な立場でございますが。 それは、あのとき破防法を適用していたならば、現在のような混乱は避けられたと思います。なぜ破防法が適用できなかったか。破防法に不備があるならばやっぱりきちっと現代に合うような整備をすべきである、それが国会の、立法府の責任だと思います。公安審査会の結論は率直に申し上げまして間違っていたのではないかと私は思いますが、当然、こういう法律を必要とするということになりますと、公安審査会の結論に対して、私は、やっぱり政府は政治責任があると思います。 その点について法務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 公安調査庁が行いましたオウム真理教に対する破壊活動防止法に基づく解散指定処分請求は平成九年一月、公安審査委員会より棄却されたのでございますけれども、今日これを仕組みの上で振り返ってみますと、主として次の二つのことが指摘できると思います。 第一は、破防法の処分の要件の問題でございます。 破防法は、処分の要件として、団体が過去に暴力主義的破壊活動を行ったことに加えまして、「団体が継続又は反覆して将来さらに団体の活動として暴力主義的破壊活動を行う明らかなおそれがあると認めるに足りる十分な理由があるとき」という極めて厳格な要件を定めております。したがって、教団の場合のように、組織の中枢の幹部が逮捕されまして、教団施設から信徒が立ち退くなどして教団の人的、物的、資金的能力の縮小などの状況の変化が生じていた場合、その認定は大変困難なものとならざるを得なかったということが挙げられます。 第二は、規制手続の運用の問題でございます。 さきの公安審査委員会の棄却決定に至るまでの経緯を見ますと、公安調査庁による弁明手続の開始から公安審査委員会の決定まで一年一カ月余もの期間を要しておりまして、その間さきに述べたように教団を取り巻く状況が大きく変化をしたことが棄却の決定につながったものと認識をいたしております。 委員御指摘のとおり、教団に対して破防法を適用することができなかったことが現在の問題の根幹にあるものと私も認識いたしております。破防法の抱える前述した問題については今後の課題として取り組む所存でございます。
○平野貞夫君 現に暴力主義的破壊活動を行っている団体もありますし、よりそれがまたエスカレートする可能性もありますし、それから、若干それとは異なるというか、それよりもっとひどい無差別大量殺人行為を行うという人たちもおるわけでございまして、しかも破防法をつくったときよりかさらに巧妙、しかも非常に技術的に進歩した能力を持った活動、しかも国際的にいろいろ絡んだ問題がありまして、日本のそういう治安というものは決して簡単なものじゃないと思います、ますますおかしくなっておると思いますので、ぜひ、もちろん憲法の精神を酌んだ法律体制というものを早急に検討してもらいたいと思います。 それと、私、十一日の当委員会で取り上げました。法律が制定されようとあるいは制定されまいと、現実にオウム教団に非常に資金が豊富だと、そこのオウム教団の資金となるパソコンの組み立てとか部品とかいろいろなものがあるようですが、そういうところに公の金が流れ込んでいるという問題を取り上げたわけでございます。 具体的には、高知県池川町の地域情報化事業の委託業者となった、これは前科のある男ですが、森列雄という人物を通してオウム関連企業に公金が流れた問題を十一日に取り上げたんですが、この森をその事業の責任者に推薦したのは高知県知事なんです。私は、その政治責任を指摘して、その事実関係について調査をお願いしたんですが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 今委員御指摘を賜りましたその調査の結果、池川町が国や県から補助金を得てパソコンを利用した事業を行い、その過程で委員御指摘の森という人物が東京の教団関連のパソコンショップから通信販売によりパソコン部品を購入していたことは判明いたしましたが、この案件における教団の役割を含めた詳細を明らかにするまでには至りませんでした。
○平野貞夫君 わかりました。法務大臣に余り個別のことの調査をお願いするのもいかがかと思いますので、念のため私が調査しましたことを整理して申し上げたいと思います。 一つは、高知県池川町では、平成九年五月、池川インターネットむらを設置して、過疎の打開を目的に住民の日常生活から健康管理までを担おうとする地域情報化構想を策定しました。 二番目に、この構想を実現するために池川町は国や県の補助金を導入することになりまして、県単独の補助事業としまして市町村活性化総合事業、これは行政情報伝達システムの開発ということで総事業費八百七十万、補助金額が四百三十五万、そして地域間交流支援事業、これは国土庁の補助事業ですが、総事業費が二千四百万、補助額が八百万ということで、池川町ホームページの拡充とかパソコン教室とか、あるいはセンターの設置のための廃校になっている旧安居小学校という学校の改築などをやっております。これは平成十年度の予算でございます。それで、全体の構想としましては総事業費四億、補助金額が一億四千万の計画でして、覚せい剤取締法違反で逮捕された森なる委託業者のせいで、この事業は全部もう崩壊状態でございます。 三番目に、この前科三犯の森列雄という人物はどうして池川町に入り込んだかといいますと、インターネット関連の仕事で地域の活性化を手伝いたいというメールを平成九年五月に高知県知事に送付しております。そして、これを受けた高知県知事の推薦で、平成九年十一月に同町と委託契約を結んでおります。 池川町に住み込んだこの森列雄は、池川インターネットむらの責任者としてパソコン教室の業務に従事する一方で、オウム真理教団関連のパソコンショップなどからパソコン部品を購入して自分でパソコンを組み立てて、技術的には相当な人だったようですが、一台約二十万円で池川町に五台、私が調べたところ五台、それからそのほか台数はわかりませんが住民に相当数を販売しております。 平成十年、昨年の暮れごろから、どうも森が組み立てているパソコンはオウム真理教の関連業者の部品が使われているという投書が県当局になされたようでございます。そして、地元でもそういううわさが広がった。 そういう中で、ことしの三月になって、森と、そして森がインターネットむらの研究員と称して連れてきた仲間の山本道広という人物、この二人が覚せい剤を隠し持っていた疑いが生じ、山本という人物は逮捕されましたが、逮捕というより自分で名乗り出たようですが、森は逃亡して全国に指名手配され、ことしの五月に覚せい剤取締法違反で逮捕されております。現在、公判中でございます。 以上のことから二つのことが指摘できると思います。 まず第一に、高知県知事が推薦して池川インターネットむらの責任者で委託業者になった森列雄が、オウム教団関連企業からパソコンの部品等を購入していたことです。したがって、これは大臣の今の発言にもありましたのですが、池川町が森から購入したパソコン等にそれらの部品が使われ、公金が、この公金が町の金なのか県の補助金なのか国の補助金なのかわかりませんが、オウム教団側に流れていたことは相当確率の高い確実なことであると私は思います。 第二は、これは非常に重大なことなんですが、森の逃亡とか、あるいはどうも高知県警を中心とする警察の動きが私から見ればひとつわかりにくい。そういうことから、森列雄という人物そのものがオウム真理教団関係者であった可能性が強いという、こういう疑惑を捨て切れません。 以上の二点が私の調査した一つの結論ですが、しかしこれは私の調査でございまして限界があると思いますので、そこで警察庁当局に具体的なお尋ねをしたいと思います。 第一点は、警察は、池川町の委託業者である森列雄の金融機関の口座を捜査した事実はございますか。
○政府参考人(金重凱之君) お答えさせていただきます。 本年二月でございますけれども、高知県警が、他県警のオウム真理教関連企業に係る事件の捜査上の要請から、高知の今御指摘の地元のJAに開設されました当該業者の取引口座を捜査いたしておりまして、取引状況を入手した事実はございます。
○平野貞夫君 今説明の中で、他県警のオウム真理教関連企業に係る事件という話でございましたのですが、報道等からしますと、私は高知県独自の事件ではないかというふうな推定をしておったんですが、このいわゆる金融機関の口座を捜査した他県警のオウム真理教関連企業に係る事件というのは具体的にどんな事件だったでしょうか。事件名とか簡単な概要、それから現在どういう状況になっているかを御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(金重凱之君) これは、他県警と申しますのは埼玉でございますけれども、電磁的公正証書原本不実記録、同供用罪という刑法の条文に係る被疑事件でございます。 事件の概要でございますけれども、オウム真理教関連企業でありますところのパソコンの組み立て工場、海宝という有限会社がございます。現在、これは閉鎖されて実体はございません。これの商業登記をするに当たりまして、海宝の代表者である出家信者、オウム真理教の出家信者でございます、これが法務局に虚偽の申請を行いまして、公正証書である有限会社登記簿の原本として用いられる電磁的記録、これに不実の記録をさせたというものでございます。 この事件につきましては、本年七月の初めに埼玉県警におきましてこの出家信者一名を逮捕いたしますと同時に、五都府県二十四カ所の捜索を実施しております。 なお、七月下旬に検察庁において本件処分保留になったというふうに承知しております。
○平野貞夫君 そうしますと、埼玉県のこの問題に関連した捜査要請だったということなんですが、恐らく、地元の事情聴取といいますか、JAの金融機関の人たちは余りそういう意識がないわけなんです。令状を持ってこられて、オウム関係だ、だからちょっと協力してくれというか、事情を調べたいというような感じで受け取っておって、専ら高知県独自の問題かなという誤解があったようですが、そういう捜査の方法というのはあれですけれども、法的根拠というのはどういうところにありますか。
○政府参考人(金重凱之君) この事件につきましては、ただいま申し上げましたように、虚偽の申請をして違法な商業登記を行ったというオウム真理教の関連企業の海宝、これがどういう企業活動を行っておるのかということの捜査の必要性というものがございましたので、埼玉県警が高知県警を初め関係都府県警察に捜査を依頼したということでございまして、このオウム真理教関連企業からパソコン等を購入したと見られます高知県の池川町内の御指摘の委託業者につきまして、その取引状況につきましては県警の方で刑事訴訟法に基づいて捜査関係事項の照会を行ったというものでございます。
○平野貞夫君 そうすると、池川町の問題だけでなく、オウム関係企業と取引のありそうな全国の何カ所かに照会した、こういうことでございますね。
○政府参考人(金重凱之君) そのとおりでございます。
○平野貞夫君 その照会の結果、いろいろなことがわかっておると思いますが、いろいろな取引があったということが警察には判明したと思いますが、こういういわゆる公的機関と、地方自治体ですか、公的機関とのかかわり合いでの取引があったケースというのは池川町以外にありましたか、ありませんでしたか。
○政府参考人(金重凱之君) 詳細、ちょっと捜査の中身に関連することになりますので、控えさせていただきたいというふうに思っております。
○平野貞夫君 今のお話はわからぬわけでもないんですが、公の金が池川町関係で流れたということ、これはもう私どもよくわかっておるんですが、よその自治体でもそういうことがあったのではないかということを聞いているわけなんです。 確かに捜査の内容にかかわる個別の話ですが、事はオウム問題でして、余り内容とか個別とかということにとらわれておっては、やっぱり事実の解明、真相の解明ができないんじゃないか。あるいは、今後も自治体の人たちにそういう金の流し方はさせるべきではないと思います。そういう注意を喚起するためにも言ってほしいんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(金重凱之君) 先ほど申し上げましたように、本件、今、私、御説明させていただいています捜査の過程におきまして、特定のオウム真理教関連企業の営業実態を把握するということのために他県の必要なところにも照会を行っておるというようなことなのでございますけれども、この捜査につきましては、オウム真理教関連企業、今申し上げております海宝でございますが、これに係る事件捜査上の必要から実施したものでございまして、あくまでも取引の事実確認ということだけを目的にしておるというようなことでございます。 ですから、他県で公金が使われておるのかどうかというようなこと、つまり口座の取引の内容が公費であったのかどうかということまでの捜査につきましては、この段階では行っておらなかったということで承知しておるところでございます。
○平野貞夫君 要するに、池川町のケースが非常に目立っておると思います、この問題では。 そこで、地元JAにある森という人間の口座の取引履歴一覧ですか、これを捜査関係事項照会という刑事訴訟法の手段で警察は入手されていると思うんですが、この取引履歴一覧を見れば、森列雄がオウム関連企業とどういう取引をしたか、どのくらいの金が支払われて、どういうものが購入されたかということがわかると思います。警察はこれを把握していると思いますが、それを明らかにしていただけませんか。
○政府参考人(金重凱之君) お答えいたします。 どのぐらいの公金が使われておったのかという御質問でございますけれども、ただいまもお答え申し上げましたように、この口座の取引内容につきましては、公費かどうかというところまでの捜査というのはこの段階では行っておりませんでしたので、これを把握しておらないわけでございます。 それから、金額がどのぐらいだと、こういうことでもございますけれども、全体としての金額ということになるかと思いますが、本件、お尋ねのものについてでございますが、これはちょっと捜査に関する事項なのでお答えは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
○平野貞夫君 それは、立場はわかりますけれども、そもそもこのオウム新法というのは、大臣の発言にもありましたように、事実上オウム教団に限定した法律なんです。個別の法律ですよね。ですから、こういう審議では個別の話も、内容の話も出していただきたいと思うんですが、時間の関係もありますのでこれ以上押し問答してもしようがありませんので、ちょっと私がその関係について調べたことをここで申し上げたいと思います。できればそれにコメントしていただければありがたいんですが。 森がつくっている金融機関の口座、その場所は地元のJAということですが、これはコスモス農協という高知の中央部の農協を合併した大きな農協だと思います。それから、森が取引していて捜査を受けたちょうどことし二月ごろ、私の調査によりますと、数百万円の取引が池川町と森との間になされております。そして、私の入手した情報によりますと、その取引したオウム教団の関連企業というのはトライサルという店だったというふうに聞いています。 いかがでございますか、私の調査に対してそうだとか、あるいはそうでないとか、まあ警察庁の限界はあると思いますが、説明していただけませんか。
○政府参考人(金重凱之君) 本件事件につきましては、先ほども申し上げましたとおり、オウム真理教関連企業の一つであります海宝という有限会社でございますけれども、これに関する電磁的公正証書原本不実記録、同供用被疑事件、こういう事件で捜査したものでございます。 したがいまして、その他の企業名につきましては、違法行為があれば別でございますけれども、違法行為がないということでございますならば公表は差し控えさせていただきたいというふうに思いますし、それから取引金額につきましても、先ほど申し上げましたとおり捜査に関する事項なのでお答えは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。
○平野貞夫君 では、角度を変えてちょっと質問をいたします。 警察が池川町の委託業者森に目をつけて、コスモス農協の口座を捜査したのがことしの二月上旬、これはあなたも説明されたとおりです。それで、森に覚せい剤取締法違反の疑いがあるということがわかったのが三月の末。そして、逃亡して五月に逮捕されるわけです。 ところが、かなりこの問題は覚せい剤の問題よりオウムの問題、オウム関連企業との取引ということが先行した話だったんですが、なぜか覚せい剤事件だけになって、今現在裁判しているわけなんです。 警察庁側が具体的な内容を明らかにしていただけませんので、依然としてこの森なる人物のオウム教団あるいはオウム教団関連企業との関係、かかわり合いがわからぬわけでございます。場合によったら、何かの理由でそれを隠すために覚せい剤事件を非常にクローズアップさせたのではないかというふうに私は推定するんですが、いかがでございますか。
○政府参考人(金重凱之君) 今回の事件に係る捜査関係事項の照会につきましては、ことしの二月の上旬に高知県警が埼玉県警からこのオウム真理教企業に係る事件の捜査上必要ということの要請を受けまして、御指摘の業者の取引口座を捜査したというものでございます。 一方、先生御指摘の五月に検挙された覚せい剤事件といいますのは、高知県警がこのオウム真理教関連企業に係る事件とは全く別個の情報に基づきまして捜査いたしまして、独自に検挙するに至ったというものでございます。 なお、この御指摘の人物につきまして、今回の取引を除きましては現在のところオウム真理教関連企業との関係についてはそれを裏づける証拠は得られていないということでございます。
○平野貞夫君 オウム教団に公金が流れたということは大変重大です。 どんな法律をつくっても、やはりオウム教団のような事件を防止するためには、法務省や警察庁が本気で徹底して対応しなければ何にもならぬと思います。私たち国会にも当然責任があると思います。そのために、私は池川町のケースで公金がどのようにオウム教団に流れたかという真実を知ることが防止対策の第一歩であると思います。 当法務委員会には国政調査権の一つとして資料要求権というのがあります。 そこで、委員長にお願いしたいのは、コスモス農協にある森列雄の口座の取引履歴一覧及び取引企業との伝票、これを提出していただくよう当委員会としての手続をとっていただきたいということをお願いしたいと思います。
○委員長(風間昶君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(風間昶君) 速記を起こしてください。
○平野貞夫君 ぜひこの資料要求を実現させていただきたいということで、時間が参りましたので、改めてこの問題を取り上げるということにしまして、終わります。
○中村敦夫君 ちょっと複雑な質問になりますので、お答えできる担当の方で結構でございます。 いわゆるカルト宗教団体というものが起こす極端な犯罪、これは世界じゅういろいろあるわけですけれども、こうした犯罪をある極端な政治思想を持っている団体が起こす犯罪、あるいは暴力団が利益を目的として起こすような重大犯罪というものと同列で見てしまうとなかなかわかりにくい部分があります。刑法的に処分するという点では同じかもしれませんけれども、やはり、その犯罪が起きる動機そして過程、意思決定とかというものが、普通の常識社会とは全く異なる要素でもって出てくるわけでございます。 そのときに、そうした犯罪を正当化するという特徴があるんです、カルト集団なんかの場合。その根拠となるのがいわゆる教義と呼ばれているわけですし、まあ教義というのは、聖典とか教典とかあるいは綱領とか、ほとんどの団体は持っている、宗教団体は持っているわけでございますけれども。 例えば、統一協会なんかは、これは原理講論という分厚い教典のようなものがあります。これは、キリスト教の旧約あるいは新約聖書をごちゃごちゃに編集しまして、非常に独断的に解釈した本当に読みにくいなぞのようなものなんですけれども、その中に一説があって、万物復帰という思想が書いてあるわけです。これはどういうことかといいますと、地上のすべてのものは神様のものなんだから、全部お返しするのが要するに立派な行為であると。結局こういう教義がどう利用されるかというと、御存じのような詐欺的な霊感商法とか実際の詐欺、経済犯罪とかというものに利用されてしまう。つまり、人のものを取ったって全部神様に返すんだからいいんだと。信者は本当に罪の意識なくそれをやってしまうということが実態なんですね。 麻原彰晃率いるオウム真理教は、これはどうやら密教系の何か流れの宗教らしいということなんですが、実際にその教典と呼ばれるような中心的なものがあるのか、それは何なのか。そしてまた、その中で殺人を正当化するような文言というのはあるのか。あればそれはどういうものなのか。そしてまた、それをそのまま実行したのか、その文言を麻原が勝手に解釈して殺人を正当化して命令したのかということについては、どういうふうに当局は考えておられますか。
○政府参考人(木藤繁夫君) オウム真理教の教義は、麻原彰晃こと松本智津夫の説法、話をした中身、それと著作、書いたものの集大成でございまして、まとまった教典というようなものになっているわけではないのでありますけれども、その教義の一部に、目的のためには手段を選ばず殺人をも許されるとする松本独特のタントラ・ヴァジラヤーナという教えがあるのでございます。そして、そのタントラ・ヴァジラヤーナの中核としまして、悪行を積む者はそれだけ長く地獄で過ごさなければならないのでそれ以上の悪行を積ませないために早く命を絶つことも許されるとする極めて危険な教えが存在しております。この教えは、殺人を慫慂するといった中身のものであると認識しておりまして、この教えがサリン事件など凶悪な事件を引き起こし、あるいはそれらの犯罪を正当化した教義であると考えております。
○中村敦夫君 そのタントラ・ヴァジラヤーナというのは、特定の伝統的な、外国でしょうけれども、宗教から来ているんでしょうか。それは何なんでしょうか。
○政府参考人(木藤繁夫君) 松本の唱える教義というのは、自己の解脱を第一とします小乗仏教と、自己だけでなく衆生の救済を主眼とする大乗仏教と、及び衆生救済の最短最速の道であると言われておりますタントラ・ヴァジラヤーナ、これは秘密金剛乗とも言われるわけでございますが、それらを混交した松本独特の教えの集大成でございまして、言ってみれば、仏教、キリスト教、ヒンズー教を松本が自己流に解釈した上、これらと終末思想を合成したものと、こう考えております。
○中村敦夫君 犯罪に走るような強力なカルト宗教団体というのは、その大きな特徴として、大体絶対的な独裁者がいる、そしてそれをあがめ祭っている集団がいるというのが構図なんですけれども、普通その人間がいなくなると自然解散する場合もあるし、あるいは分裂したりほかの似たような宗教にからめ捕られていくというような現象が普通なんですが、依然として本人がいないときにもまだ青年たちが集団を組んで動いているということは大変不思議に思っておるんですね。 リーダーは形式上その娘にかわったということですけれども、娘は子供ですからそんな力はないわけでして、まだその組織が維持されているというそのマネージメントですね、これはどういう構図で動いているのか。麻原にかわるような、信者たちに信頼を集めているような二次的なリーダーというのが今いるのかどうかということについてお聞きしたい。
○政府参考人(木藤繁夫君) オウム真理教のいわゆるリーダーということで考えてみますと、実質的なリーダーはいまだに麻原こと松本智津夫であると考えております。しかしながら、同人は現在勾留されているわけでございまして、幹部とか信徒に対しまして直接指示を与えるのが困難であります。 そこで、現実には、同人の影響力のもとで、今お話にありました松本の三女というのと教団代表代行の村岡達子、そういった者、合計六人の教団幹部によって構成される長老部という組織によって意思決定がなされまして、これに基づいて信徒が活動しているものと見ております。
○中村敦夫君 今回の法案は、組織を物理的に解体するということに重きが置かれていると思うんですね。私は、それはかなり大きな効果があると思っていますし、特にその金の出どころというところを押さえるということは悪質なカルト集団を壊滅するためには有効であるというふうに考えますが、問題は、こういう物理的な法律だけでは信者たちを扱うことはなかなか難しいんですね。これは、非常に強烈なマインドコントロールというものにかかって人格が変わってしまっているわけですから、そういう人々がうろついていくと。自然に現実社会へ復帰してくれればいいんですが、なかなかこれ、ほかのこの種の集団の例を見ても難しいんですね。 これに対して政府は、極力こういう人たちを救う努力をすると言っておりますが、具体的にどういうふうにするつもりなのか、お答えいただきたいんです。
○政府参考人(但木敬一君) 現実的には非常に難しい御質問でございます。政府といたしましては、もちろん社会復帰を望む信者に向けたカウンセラー体制等をぜひ早急に確立したいと考えております。しかし、人の内心の自由、良心の自由、信教の自由、これらについては国家権力がみだりに介入してその方向を改めさせるということは我が憲法上許されているわけではないと思っております。したがいまして、これらのカウンセリングに強制的に連れていくということは非常に法制上難しゅうございます。となりますと、いかにしてそうした信者あるいは元信者たちの心を社会に正当に向けさせて、みずからの意思でカウンセリングに自分を連れていくかといいますか、みずからをカウンセリングの場に赴かせるというそうした自発的な意思をどうやって形成するかということが非常に難しい問題でございます。 もちろん政府としては関係省庁で現在その効果的な方法について協議中でございますが、この問題は委員御指摘のとおり、団体規制によってすべてが解決するわけではないという意味で、非常に重要な問題であると同時に非常に難しい問題であるというふうに現在の段階では申し上げるしかないと思っております。
○中村敦夫君 こうした人を救うために国家権力が何らかの形で無理やり改宗させるなり指導するなりすることはいけないという答えは、私は正解だと思うんですね。なぜかといいますと、このマインドコントロールの手法というのは非常に精密で強引なものなんですね。私は一つのそういう宗教団体のマインドコントロールの問題を研究しましたけれども、大体同じような方法をどのカルト集団でも使っている。 一つは、要するにいろんな形で誘い込んでその人の価値観を否定していく。徹底的に否定していって、自信をなくしてしまう、なくさせてしまうという期間を持つわけですね。大体こういうことにひっかかってくるのは、逆に言うと非常にまじめな青年たちが多い。正直で、しかし世なれしていないということもあったり、あるいはいろいろと不幸な問題を抱えているというような条件もあります。 いずれにしても、こういう人たちを徹底的に自己否定させてしまう、そして真っ白になって自信がなくなったところへ集中的に教義なり説法をつぎ込んでいくわけですね。ここではもう隔離してかなりの長い期間やります。そうなりますと、もう確実に前の自分というものがいなくなって、父母さえも要するに悪魔であるというようなことを簡単に信じ込んでしまうようになる。人格が変わってしまうという段階があるんですね。 その後は、要するに命令でもって動き回らせるという段階に入るんですね。三段階あります。そして、一般社会から隔離していくということで物すごく忙しく振り回すということになりまして、事実上社会生活のできる常識がないということになるんですね。命令がないともう全然動けなくなるという精神的ロボットになってしまいます。水を飲むのも許可をもらうというような精神状態になる。ある集団から脱会した信者数十人、私はインタビューしましたけれども、しばらくはやはり本当に、こうやってコップを持って飲むのも、ふとだれに許可をもらおうかというふうな錯覚に襲われて、なかなかそこから抜けられないという困難な時期があるということなんですね。 これを完全に戻すということは、長い間信者でいるとなかなかこれはもう直らないんですが、早い場合には三カ月あるいは六カ月、一年、人によってそれぞれですけれども、直す方法はあるんですね。しかし、これは完全に隔離してその場所に置く、そして次第に日常生活にならし、そして、言われた事柄の非合理性というんですかね、間違っている部分に対してきちっとした答えを与えていくという、そういう大変な努力が必要なんですね。 一番大きな問題は、そのためにはもう友人や最も親しい家族たちが本当に何人もかかって長い間隔離した状態をつくらなきゃいけない。そして、取り戻しに来るということが物すごく多いんですね、こういう集団の場合。それに気づかれないようにしなきゃいけないという大変なことがあります。しかし、今までの経験からいうと、それ以外に直す方法がないんだということなんですね。 問題になるのは、いつもやはりその集団から信者を両親なり友人なりがさらってくるという形にならざるを得ないんですね。そして、そこに監禁するという形になるんですよね。ですから、それは間違えば法的な問題としてどうしても引っかかってくるという、そういう難しい問題があるんですね。 統一協会なんかの場合は、やはりキリスト教というものをゆがめて使われていますから、プロテスタントの牧師たちが大変協力しておる、かなり大きい人数でそういう相談役にもなっているという部分がありますが、オウム系の場合は何ですかね、そこに当てはまるような宗教集団が日本にないんだと。本来なら伝統的な仏教か何かがやるかもしれないけれども、そういう動きもないというところで大変難しいんですが、いずれにしても、脱会してそしてもとへ戻すという努力は民間がやるべきだと思うんですね。そのときに、法的な問題で何らかの保証というか考慮というものはできないものだろうかという質問なんです。
○政府参考人(但木敬一君) 大変微妙なまた奥深い問題でございまして、今にわかにそういう法制が可能かどうかということをお答えすることができませんけれども、そういうお考えについて非常に強い関心を持ったということだけを申し上げたいと思います。
○中村敦夫君 ちょっと法律上の問題をお聞きしたいんですが、第八条ですが、一号から七号まではさまざまな犯罪のケースを取り上げていて、一で言えば「人を殺害し若しくは殺害しようとして」と。この「しようとして」、先ほどもこの問題で質問がありましたね。「しようとして」というところが私は大変難しいなと思いますね。 一号から七号までみんな場面が違うんですね。例えば、二に「人を略取し若しくは略取しようとしているとき」ということで、一体どういう状況のことを言うのか。それを相談している現場を盗聴とか何かで聞いた場合を言うのか、実際にさらいに行く途中でそれを判断するのかというところの問題が出てくると思うんですね。また、四番目だと「爆発物、毒性物質」とかありますね。これは毒みたいなものがそういう団体が持っていればこれはかなりの証拠になると思いますけれども、例えば金を切るのこぎりがあったということだってその要件に入らないことはないんですが、そうするとその判断と解釈次第で何でもよくなってしまうというような、かなりずさんな現場の状況が生じるのではないか。 私は、この「しようとしているとき」というのは、この法案に関してもうちょっとより明確に修正した方がいいのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(但木敬一君) 委員御指摘のとおり、一号から七号までの間、一つは過去に既にやりました、つまり殺人をやりましたという類型と、それからこれからしようとしているときと、こういう二段階で規定しております。 この「しようとしているとき」というのは、先ほども申し上げましたが、刑法的に言えば予備の段階を指しております。予備の段階と申しますのは、単なる内心の意思の問題ではありません。客観的な行為あるいは客観的な状況、それから主観的な内容、それを総合判断して既に準備行為に入っているというふうに判断できるかどうかということですので、必ずしもそれ自身が不明確であるというようなことではありません。 ただし、どういう場合を想定しているのかということでございまして、例えば「略取しようとしているとき」というのは、今まさに何か車で略取しに現に向かっているときとか、そういうことを想定しているのかというお尋ねだろうと思うんですが、もちろんそういう場合を排除しているわけではないんですが、ここで言っておりますのは、当該団体の意思決定でこういう行為が行われたということでありますので、もう少し継続的な概念を含んでいると思います。 例えて申しますと、例えば暴行しようとしているときとか傷害しようとしているときというのは、現に殴りかかるという趣旨ではなくて、まさに団体の構成員でもあるいは住民に対してでもいいですが、これに暴行を加えるために例えば鉄パイプを用意しましたというような段階を意味しているわけであります。単に鉄パイプがあっただけで「しようとしているとき」に当たるのかと言われるとそうではなくて、それは何のために準備されたかという、もちろん主観的な要素も入ってきますが、主観的な要素と客観的な要素を加味して、現在予備段階の行為として認められる、こういう段階を指しているというふうに御理解いただきたいと思います。
○中村敦夫君 主観的にしても客観的にしても、いろんな場面を思い浮かべると、やはりだれが判断するかというところが非常に重要な問題になると思うんですね。 ですから、このことは、もう一度、つまり犯罪というものは既に犯したときから成立するというこれまでの刑法の観念があるわけですから、「しようとしているとき」というのは大変査定しにくいという部分がありますので、もうちょっと各党間でここのところをまともな法律らしく修正できないものかどうか検討していただきたいということをお願いして、質問を終わります。
○委員長(風間昶君) 答弁はよろしいですか。
○中村敦夫君 はい。
○委員長(風間昶君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時四十八分散会