法務委員会 第3号
- 発言数
- 215 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1999/11/16
会議録
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民法の一部を改正する法律案外三案の審査のため、来る十八日、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認めます。 なお、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(風間昶君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 民法の一部を改正する法律案外三案の審査のため、本日の委員会に内閣総理大臣官房参事官冨澤正夫君、法務省保護局長馬場義宣君及び厚生省社会・援護局長炭谷茂君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(風間昶君) 民法の一部を改正する法律案、任意後見契約に関する法律案、民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び後見登記等に関する法律案、以上四案を一括して議題といたします。 四案につきましては先国会において既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○北岡秀二君 おはようございます。 大臣、政務次官におかれましては、政府委員制度廃止という本当に画期的な新しい制度の中で、連日委員会対応をされておられましてお疲れのことと思いますが、これから何点かの質問をさせていただきたいと思いますので、よろしく御答弁のほどをお願い申し上げたいと思います。 まず、きょうのこの関連の法案についてでございますが、成年後見の改正、これは一般的に皆様方御認識のとおり、時代の流れとともにその社会が欲するニーズというか、当然社会環境も変わってまいりますし、要求される価値観というのも変わってくる、そういう状況の中で、私ども政治、行政に携わる人間というのは適宜的確にいろんな対応をしていかなければならないというのが大前提にあるだろうと思います。そしてまた、なおかつそういう状況の中でこのたびの法改正、一つの大きな引き金になったのは、介護保険制度の導入というのも引き金になった一つの要因というような状況でございます。 そういう状況とはいえ、私は前段に申し上げました社会の状況変化に対応するという観点から申し上げますと、このたびの法改正というのはもっともっと早く取り組まなければならなかったのではなかろうかなというような思いも込めて、質問をさせていただきたいと思います。 御承知のとおりの現行の禁治産、準禁治産制度、私の身の回りにも何名かこの制度を適用されていらっしゃる方も承知をいたしております。皆さん方も御認識をされていらっしゃるだろうと思いますが、現行の制度はともすると社会的にはマイナスのイメージでとられている、そしてまた、なおかつ本当に身近なところでは社会的にはちょっと隠しておかなければならないのではなかろうかというような、申請をするサイドからすると社会的に非常に申請しづらい制度であったということも一つの事実としてあるだろうと思います。 そういう状況の中で、このたびの法改正に関連しては各界各層の皆様方から、本当に何とか早く改正をしていただきたい、そしてまた、なおかつ新しい時代に即した使いやすい制度をこしらえていただきたいという要望が非常に強いというような状況でございますので、前段にそのあたりの現実的な数字というのがどういうふうになっておるのか。今、現行制度の禁治産、準禁治産制度を利用されている方々がどの程度いらっしゃるのか。そしてまた、なおかつ法務省として掌握できておる範囲の中で、もし法改正があるとすれば潜在的にその必要性がある方がどの程度いらっしゃるのか。まず、政務次官にお伺いを申し上げたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 現行制度の利用件数は、平成十年の時点で年間、禁治産宣告等の事件が一千七百九件、準禁治産宣告等の事件が二百五十一件と、宣告の取り消し事件を含めて合計で一千九百件余となっております。 他方で、痴呆性高齢者の数は、推計によりますと、平成七年の時点で全国に約百二十六万人と推計されております。また、厚生省の調査によりますと、知的障害者の数は平成七年の時点で約四十一万人、精神障害者の数は平成八年の時点で約二百十七万人であるとされており、成年後見制度の潜在的な対象者はかなりの数に上っていると認識しております。
○北岡秀二君 これはもう本当にどなたもが御理解をされておることであります。今の数字、千九百件余ですか、そういう状況と、実質すべての方が私は必要とされているとは思いませんが、百二十六万とかあるいは四十一万とかいう数字を今いただきましたが、かなりのそのあたりの需要というのはあるように思うわけでございます。 その状況の中でのこのたびの法改正ということで、私は、こういう状況を前提にした中で新しく制度を変えるということは、潜在的な需要がたくさんある、そしてまた、なおかつこれから法改正後に多分いろんな意味で、新しく取り組まれるがゆえにいろんな問題が起こってくるだろうと思います。それだけに、細部にわたっての慎重さも必要でしょうし、いろんな周りの状況に対する配慮というのも必要になってくるだろうと思います。 そういった意味で、大きな枠から順次ちょっとお伺いを申し上げたいんですが、このたびの法改正による新しい制度の枠組みを決める上では幾つかの選択肢の中から判断されたことと思いますが、この政策決定の内容について、いま一度再確認をさせていただきたいと思います。 まず第一に、補助、保佐、後見の三類型のいわゆる多元的制度を導入される予定でございますが、一般的に諸外国の状況というのを見させていただきますと、例えばドイツのように、世話法による民法改正がなされており、法定の類型を設けない一元的な制度として、裁判所が全面的に裁量権を行使して保護の措置を決めるスタイルをやっております。 今回の法改正において、法務省は諸外国の制度も十分検討された上で決めたと思いますが、補助、保佐、後見の三類型の制度を採用した理由について、まず大臣に確認をさせていただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員がお話しいただきましたように、成年後見制度の枠組みにつきましては、フランスなどのように多元的な制度をとった上で類型の内容を弾力化する考え方と、御指摘のドイツのように法定の類型を設けずに個別具体的な措置の内容を裁判所の裁量判断にゆだねる考え方とがございます。 今回の改正につきましては、基本は我が国の実情に即した多元的制度をとりつつ、各人の個別的な状況に即した柔軟かつ弾力的な措置の設定を保障するという一元的な制度の趣旨をも取り入れることといたしたものでございます。 制度の枠組みにつきましては、基本的に多元的な制度をとるのは、重度の精神上の障害を有する方について、本人保護の観点から一定の範囲の保護を定め、以下、判断能力の程度に応じて、保護の措置について本人の選択にゆだねる部分を順次大きくする仕組みが妥当であるからでございます。
○北岡秀二君 次に、成年後見制度の対象者の問題について、これもちょっと再確認をさせていただきたいと思います。 検討段階でいろんな方面からの議論があったと思います。最終的に、新しい成年後見制度の対象者は精神上の障害により判断能力の不十分な者に限定されるということになっております。つまり、私が申し上げたいのは、身体障害者は対象とされていないのでありますが、成年後見制度の対象者をこういうふうな形で決められた政策判断の理由について、政務次官にお伺いしたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 昨年四月、重度の身体障害により意思疎通が著しく困難であり適切な表示行為をすることができない者を補助の制度の対象に含めることの適否について意見照会を行いました。これに対しまして、身体障害者の関係団体の大多数が消極の意見でありました。今回は、身体障害者は成年後見制度の対象とはしないというように、そのためしたものでございます。 この点についての経緯をなお申し上げますと、昭和五十四年の民法改正において、準禁治産制度の対象者から聾者、唖者及び盲者を削除いたしました。これは、これらの文言の削除を求めていた視聴覚・言語機能障害者の諸団体の要望に沿うものでありまして、その主な理由は、第一に、これらの者が一般に判断能力の劣る者であると誤解を世間に与えやすいこと、第二に、当該障害のために判断能力が不十分な者の保護は心神耗弱を理由とする準禁治産宣告により可能であることなどでございました。このときの議論は身体障害者全般にそのまま妥当するものと考えられますので、今回の改正において、身体障害者全般をこの制度の対象にすることは妥当でないとされたものでございます。 以上です。
○北岡秀二君 今の御答弁の中での議論というのは、私はまだ多少今後の推移というのも当然見守っていかなければならない状況もあるだろうと思います。 賛否両論いろいろある中で、最終的に今回の一つの方向に決着をしたということでございますが、私は、新しい制度がいろんな意味で非常に使い便利がいい、そしてまた、なおかつ社会的に非常に有効だという認知がされれば、多少周りの環境の御意見、物の見方というのも変わってくる可能性もあるだろうと思いますので、このあたり法務省といたしましても、できるだけ注意をしながら、もし法が通って施行される段階の中で、後々のフォローをぜひともしていただきたいと思う次第でございます。 私が先ほど触れましたドイツの制度、これを点検しますと、成年後見制度の利用者やその家族などの関係者による申し立てを待つことなく裁判所が職権で手続を開始することができるようでございます。これは、裁判所の負担というのは非常に大きくなるという一面を持つものではありますが、一方で身寄りがない本人ということからすると、成年後見制度の利用を考えてくれる人のいないような方々が裁判所の職権開始によって保護を受ける機会が確保される、これは私は一つのすばらしい制度ではないかなというような感じがするんですが、こういう家庭裁判所が職権で後見開始の審判等をする制度としなかった理由をお伺いしたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 先生御指摘のとおり、改正案は現行法と同様、家庭裁判所の職権により開始することとしていませんが、これは第一に、私的自治の尊重等の観点から、本人の行為能力等に一定の制限を加えることとなる手続を中立的な判断機関である裁判所がみずから開始するということに問題があるというように考えました。 第二番目に、判断能力の不十分な者に関して、積極的に情報を探知することは裁判所の司法機関としての性質になじまないということでございます。 なお、今回の改正では老人福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律を改正いたしまして、市町村長に後見開始の審判等の申し立て権を付与することとしております。これは、市町村が各種の福祉サービスを行う過程において身寄りのない判断能力の不十分な方々に対する成年後見制度による保護の必要性を把握することができ、必要に応じて申し立てを行うことが可能であるということを理由とするものでございます。 したがいまして、市町村長が民生委員等からの通報に基づいて適切に必要な申し立てを行うことで十分な保護が図られるものと考えておる次第でございます。
○北岡秀二君 続いて、制度の運用面にかかわる部分についてお伺いしたいと思います。 このたびの改正では、制度の利用者本人の保護を図る立場に立つ成年後見人等の選任に関しては、現行法に対する指摘を踏まえたかなりの改正がなされております。しかしながら、この法律案が成立しても新しい制度が本当によかったかどうかは、実務における実際の運用によって決まってくるものであると思います。新制度の実効性を確保するためには、実際にどのような人が成年後見人等になるかが非常に重要なことであると思うのであります。特に、利用者本人の利益保護を考えると、本人と利益が相反する者を選任することは大変不適当であり、そのチェックが十分にされる必要があると思うわけであります。 そこで、個々の事業において確実に適任者を選任するとともに、本人との利益相反のおそれのある個人や法人のような適任でない者を選任しないようにするためにどのような法律上の手当てがなされているのか、政務次官にお伺いしたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 今回の改正では複数または法人の成年後見の選任を認めております。そして、配偶者法定後見人制度を廃止しております。家庭裁判所がこのように事案に応じて適任者を成年後見人に選任するというような建前をとっております。その上で、民法改正案の第八百四十三条第四項では、家庭裁判所が成年後見人の選任に当たって考慮すべき事情を例示的に列挙して規定しております。 ここでは特に、成年後見人等の候補者と本人との利害関係の有無を考慮事項として掲げ、その候補者が法人である場合には当該法人及びその代表者と本人との利害関係の有無も考慮すべきものとしているのは、本人との利益相反のおそれのない個人または法人が選任されることを制度的に担保する趣旨によるものでございます。この趣旨からしますと、本人が入所している施設を経営する法人については、利害関係の有無について特に慎重な審査が必要となるものと考えております。 以上でございます。
○北岡秀二君 次に、適任者を成年後見人等に選任し、成年後見が開始した後の問題についてお伺いしたいと思います。 成年後見人等は、本人の身上に配慮しつつ財産管理等の事務を行うことになるわけでありますが、権限が広範になれば、それに伴ってその乱用のおそれも考える必要が大きくなると思います。幾ら適任者を選任したといえども財産管理を行う中で過ちが起こらないとも言えない。そうした権限乱用を未然に防ぐことが重要である。 そこで、今回の改正では成年後見人等の権限を充実させることにより、本人保護の実効性を高める一方で、成年後見人等の権限の乱用により、本人が被害をこうむることのないようにするためにどのような対策が講じられておるのか、続いてお伺いしたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 成年後見等の権限乱用の防止については、次のような方策を講じております。 まず、成年後見人等に対する監督を充実させるため、既存の成年後見人に加えて新たに保佐監督人、補助監督人の制度を新設しております。また、法人もこれらの監督人となることができることを法文上明らかにしております。 また、家庭裁判所の職権によりこれらの監督人を選任することもできるものといたしました。この点に関連して、適任者を確保するため、家庭裁判所はこれらの監督人に報酬を付与するということにしております。 また、改正案では、成年後見人等の解任の請求権を後見監督人、被後見人もしくはその親族等に与え、家庭裁判所の後見事務等に関する必要な処分の請求権を本人にも付与するなど、家庭裁判所の監督機能をより一層充実させるための改正を加えることといたしました。 以上でございます。
○北岡秀二君 このたびの制度改正でもう一つ注目をしなければならない点の中に、現行の戸籍への記載という状況の中から新しく登記制度に切りかわるというようなことになっております。 これはもう私も前段に申し上げましたとおり、戸籍に記載をされるということで、社会的に非常にいろんな部分で気を使っておった。そしてまた、なおかつ、それがあるがゆえにその適用を避けておられた方もいらっしゃることも事実だろうと思います。そういう状況の中で、このたび登記制度に変えようとすることは非常に私はすばらしいと思いますし、なおかつ各界からの反応というのもいいんじゃないかなというような感じがするわけでございます。 その後見登記制度についてお伺いしますが、後見登記等に関する事務は法務大臣の指定する法務局等が登記所としてつかさどることになっており、当初は東京法務局のみを指定する予定ということを私はお伺いしております。なぜ東京法務局なのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 成年後見登記制度を運用するためには他の登記制度と同様、利用者に費用を負担していただくということになります。利用者の過度の負担を一方で避けなければなりませんが、経費をできるだけ抑える必要がございます。 登記事務を取り扱うには所管庁ごとに新たにコンピューターシステムを備えなければならないため、大変膨大な経費がかかります。そこで、この経費をできるだけ抑えるために、制度の施行前に利用件数の正確な予測ができないというようなことを勘案して、制度発足当初については東京法務局のみを登記事務を取り扱う登記所として指定する予定でございます。 以上です。
○北岡秀二君 ある程度試行的に行われる部分もあるだろうと思います。 ぜひともそのあたり、利便性等を考えてみると、当初のスタートが東京法務局ということであれば、地方に住んでおる方々にとりまして使い勝手が悪いんではなかろうか。あるいはいろんな面で、身近な役所でないばっかりに、ともすると大事な、これは後でもう一つ質問しますが、広報、PRという観点からしてもちょっと縁遠い存在になっていろんな障害が起こりゃせぬかなというような危惧を抱いておるわけでございます。 そのあたりについて、利用を促進するという観点から申し上げると、今の東京法務局一カ所というのはどういうふうにお考えなのか、政務次官にお伺いしたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 先生おっしゃるとおりでございますが、東京法務局に全国の登記事務を所管させたとしましても、当事者は登記及び証明書の取得の手続のために登記所に出頭する必要はありませんので、利用者にとって格別の不便とならないものと考えたいところでございます。 そして、詳しく説明いたしますと、後見開始の審判等がされたとき、または任意後見契約に係る公正証書が作成されたときは、裁判所書記官または公証人からの嘱託によって登記されますので、この場合には当事者は関与することはございません。また、当事者が行う変更、終了の登記申請及び登記事項証明書の交付請求につきましては、政令等で郵送の方法によることもできることとする予定でございまして、この場合には当事者の登記所への出頭は不要となります。 なお、郵送の方法による登記の申請、登記事項証明書の交付請求の手続を利用しやすいものとするために、申請書、交付請求書の定型書式、いわゆるひな形でございますが、手続等をわかりやすく説明した一般向けパンフレット等を作成し、これらを各法務局、地方法務局の窓口等に備え置くとともに、関係機関、関係団体に配布し、さらにはインターネットのホームページに掲載するなどしまして、関係各方面との連携を図りながら周知啓発の施策を講ずることとしております。 以上でございます。
○北岡秀二君 何でもそうなんですが、新しい制度ができるときに、一つの側面なんですが、ともすると地方に行けば行くほど新しい制度の普及というのはおくれがちの部分もございます。なおかつ、利用されるサイドからすると、そのあたりの利便性の享受、あるいは恩恵といったら変なんですが、恩恵を受けるというのは、社会的に新しいことに取り組む姿勢というのがともすると地方というのは弱いものですから、そういう状況の中で今のお話、これはもう社会のニーズということからすると大変すばらしい新しい制度でございますので、全国均衡のある形で普及ができるように、いろんな工夫もこれから引き続いてやっていただきたいと思います。 このことに関連してなんですが、私もこの立場で地元の町村長さんによくお会いをします。私が法務委員会に所属をして、このたびこういう法律がありますよという説明もよくするんですが、成年後見制度の改正ということに対して余り行政サイドにいらっしゃる方々にとっても、直接の担当者は十分に承知しておるんだろうと思うんですが、行政に関係しておりながらまだまだ十分に認識されていないというような状況もあろうかと思います。そしてまた、なおかつ利用されるサイドの立場も、いろいろ世話をされていらっしゃる関係の方々にとりましては非常に認識は深いところもあるだろうと思いますが、本当に利用されるその末端の方々にとって、まだまだこの制度が新しく変わっていくということに対する認識というのは私は薄いような感じがする。 そしてまた、これはもう本当に画期的な新しい制度でございますし、なおかつ非常に必要とされる部分もあるということからすると、このたび法改正が成ったら、そういう意味での周知徹底、そしてまた利用者が利用しやすい制度として広く国民の間に定着するようになるためには、いろいろな努力、工夫が必要だろうと思います。 最後に大臣、このあたりの取り組む姿勢をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員お話しいただきましたとおり、こうしたものの周知徹底、地方の普及がおくれるということはあってはならないわけでございまして、新しい成年後見制度が真に利用しやすい制度として運用するための方策といたしまして、先ほど政務次官からもお話しございましたが、一般の利用者にとってもわかりやすいパンフレットその他の説明資料等を作成いたしまして、今お話をいただきました地方公共団体等も含めた全国の関係機関、団体に配布するなど制度の周知や広報に努めてまいる予定でございます。また、新しい成年後見制度の利用のための相談体制の整備や、成年後見人等の制度の担い手の確保についても関係機関と連携協力を図ってまいりたいと考えております。
○北岡秀二君 終わります。
○竹村泰子君 おはようございます。民主党の竹村でございます。 今回、百年ぶりの民法改正ということで少しく御質問を申し上げたいと思います。 知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者、いずれの方々も当然、どんな重い障害を持っておられても社会の構成員の一員として参加し得るはずでありますし、物事の判断能力が現代社会の複雑多様な制度や約束事を理解する上で不十分な状況にありますために、援助や社会的なサポートが必要であるにもかかわらず、実際には適切かつ十分な援助が得られない状況に置かれていることが多く見られます。それゆえ、これらの人々は人権を著しく侵害をされておられる事件が多々ございます。そして、犯罪事件に不本意ながら巻き込まれるケースも多いというふうにお聞きしております。 私の地元札幌におきましても、両感音性難聴による聴力レベルが右が百十デシベル、左が百十デシベル及び言語機能障害という障害を持った方なんですけれども、身体障害一級の認定を受けている方なんですが、知的能力もIQ三二のハンディキャップを持って、そして小規模授産所に通所していた一人の成年がおります。この成年がその授産所の指導員から、これまでの生活の中でためてきた貯金一千万円をだまし取られるという詐欺事件がありました。その授産所を取り巻く関係者や警察、検察の努力によって、ことしの九月になって指導員らが詐欺容疑で警察に逮捕されました。十月に関係者二名が起訴され、ちょうどきょう第一回公判が開かれるということになっています。この事件を熱心にフォローし、また成年の代理人ということで警察に告訴状を出し、三年たってやっと逮捕、起訴というところまでこぎつけました私たちの仲間の弁護士は、この一連の経過の中で、特に検事との折衝の中で被害者本人の証言能力等に不安を抱く検事に対して、知的障害者は被害者にもなれないのかと強く迫って事に当たったというふうにお聞きをしております。 このような事件を繰り返させないために、私は議論されている成年後見人制度が一日も早く成立し、実社会において具体的に使われやすく、そして法務省が言うように、高齢者や障害者の自己決定権を尊重し、残された能力をできるだけ活用できるという理念を生かした制度にすべきだと思い、そういった観点から以下御質問申し上げたいと思います。 同僚議員からも今ありましたが、まず現行民法上、禁治産、準禁治産制度及び後見・保佐制度が設けられておりますけれども、家庭裁判所での既済事件の推移等を見る限り、現行法の成年後見制度の利用状況は極めて低調と言わなければならぬ。それはいろんな理由があると思いますけれども、その原因、要因をどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(臼井日出男君) 現行の禁治産、準禁治産の制度につきましては、心神喪失、心神耗弱といった重度の精神上の障害により判断能力が著しく不十分な方々だけにしか対象とされません。軽度の障害者が対象とされていないことが問題でございます。次に、二つの類型の間で大きく異なる効果が定型的に法定されていて、内容も硬直的で利用しにくいことが挙げられます。三つ目といたしまして、禁治産、すなわち治産を禁ずるという用語の問題や広範な資格制度などについて関係者に抵抗感があることが挙げられます。四つ目といたしまして、戸籍への記載について関係者に抵抗感があることが挙げられます。それら等々の問題が指摘されております。 これらの問題点が御指摘の問題の要因として考えられるのではないかと思います。
○竹村泰子君 そういったことがいろいろ原因、要因として考えられるために非常に低調であったということが言われると思いますけれども、現行の成年後見制度について少し立ち入って質問をいたしますが、現行の成年後見制度の申し立ての動機、目的はどのようなものになっているでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。 私どもが平成八年に行いました全国の実態調査の状況を見てみますと、申し立ての動機といたしましては、財産管理の必要からという事案が約四〇%を占めております。さらに、遺産分割を行うためというようなものが二六%、さらに訴訟手続を行うためというものが一三%等となっている状況にございます。 以上でございます。
○竹村泰子君 現在、援助、社会的サポートを必要としている痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者等の判断能力の不十分な成年者の数、先ほど北岡議員にもお答えがありましたけれども、もう一度お願いいたします。 知的障害者四十一万、精神障害者二百十七万、痴呆性高齢者七十万というふうにさっきお答えがあったかなと思いますが、それでよろしいでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま御指摘の知的障害者の判断能力の不十分な方々の総数でございますが、まず痴呆性高齢者の数は、ある研究所が行った推計によりますと、平成七年度の時点で全国に百二十六万人と推計されております。また、厚生省の調査によりますと、知的障害者の数は平成七年の時点で約四十一万人、精神障害者の数は平成八年度の時点で約二百十七万人であるとされております。
○竹村泰子君 失礼しました。百二十六万人であったわけですね。 そうしますと、大体これを足した数、四百万以上の方たちが、今回の成年後見制に、全部ではないですね、この中できちんと御自分で判断能力をお持ちで、成年後見制のような制度は必要ないという方もあるいは入っているかと思いますけれども、大体四百万を出る方たちが該当するということですね。 今お答えにありましたように、現行制度の利用の動機、目的から見ましても、財産管理、財産処分が一番多いと。そうしますと、その事案の内容あるいは現行制度上で審理する側の家庭裁判所として抱えている問題点、課題といいますか、困難な点はどのような点でしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 財産管理に関する申し立てを行った事案の特色といたしましては、将来起こるであろう遺産分割のいわば前哨戦とも言えるような本人をめぐる財産関係のトラブルが背景にあるという事案が少なくないようにうかがわれるところでございます。 こういった事案を見てみますと、三点ほど問題があろうかと思うわけでございますが、まず第一点は、その鑑定等を行うための医者の確保の問題でございますけれども、多くの場合主治医の方が鑑定等をされるわけでございますが、この主治医の方が鑑定をされますと、いわば親族間の財産争いに巻き込まれるというところから、鑑定を受けるについてためらう方が少なくないという状況にあるようでございまして、そういった場合は医者の理解を得るべく努力しなければいけないという点がございます。 二番目の点は、後見人に適任者を選ぶことについての問題でございまして、親族が幾つかに分かれて相争っているような場合におきましては、その中立公平な立場で後見事務を行ってもらう方を的確に把握するということがなかなか難しい、慎重な判断が必要になってくるという面があろうかと考えております。そして、必要な場合には、後見人として親族以外の方、例えば弁護士さんでございますとか、そういった福祉関係の方でございますとかにお願いする場合も出てこようかと考えているところでございます。 三番目には、後見事務を行うに当たりまして、その親族間の利害関係の対立からなかなか後見人が思うように後見事務を行いがたいという問題もあるようでございまして、こういった場合には、後見監督を通じまして関係者間の調整を図っていく必要があるという状況にあるところでございます。 以上でございます。
○竹村泰子君 今ちょっとはっきりしなかったんですが、後見事務を行いにくいというのは例えばどんなことがあるわけですか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 例えば、ある財産を処分するかどうか等につきましても、その親族の一つのグループは処分すべしと言い、他方はこれは残すべしと言う、そういった御本人の財産をめぐっての将来を見据えた思惑が入り組んでくるというような事案があるということでございます。 以上でございます。
○竹村泰子君 そういうときにはどういうふうにしていらっしゃるんでしょうか。非常に難しいケースの場合。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 後見監督を家庭裁判所が行っていく過程におきまして、そういった親族間の厳しいトラブルがある場合には、家庭裁判所調査官等がその関係者に働きかけをいたしまして冷静な判断を行えるような環境づくりをするということが考えられますし、さらに必要があれば、親族間の関係調整という調停事件として事件を出してもらいまして、その場で調整を図ることも考えられるところでございます。 以上でございます。
○竹村泰子君 その調査官は御本人にもお会いになりますか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 必要に応じて御本人にお会いすることになろうかと考えております。
○竹村泰子君 最近の禁治産・準禁治産宣告事件の特徴として、高齢者をめぐる紛争性のある事件の増加、鑑定人の選任に困難を来す事件の増加、後見人の認定に困難を来す事件の増加などが今おっしゃったとおりいろいろあるわけですね。これらのうちの幾つかは、今回の民法の一部を改正することによって対処しやすくなるとは思いますが、繰り返しになりますが、新たな成年後見制度の創設を求める世論なり社会の仕組みなりを求める背景事情とは別に、これまで現行制度を運用してきた側からの新制度への取り組みの姿勢というか、理念をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今回の成年後見制度の改正は、判断能力の不十分な成年者を保護するために、高齢社会への対応及び知的障害者、精神障害者等への福祉充実の観点から、自己決定の尊重、残存能力の活用、ノーマライゼーション等の新しい理念と従来の本人の保護の理念との調和を旨として、柔軟かつ弾力的な利用しやすい成年後見制度を構築しようとするものでございます。 今回の改正につきましては、このような理念に基づきまして、成年後見制度の充実を求める福祉分野からの要請にこたえるべく鋭意取り組んでまいった次第でございます。
○竹村泰子君 大臣、新制度への取り組みの姿勢とか理念ということで、今の御答弁でよろしいですか。──そうですか、はい。 さて、新しい成年後見制度について、私は、痴呆性高齢者にしても知的障害者、精神障害者にしても、非常に多様な症状というか一律ではないというか、症状はさまざま違うと思うんです。一人一人違うと言った方がいいかもしれないと思います。 私がさっき触れました札幌の成年にしても、あるときはとてもしっかりとした本当に正しい意見を言うかと思うと、あるときは日によってあるいは時間帯によってはもう支離滅裂なことを言い出すというふうなことで、私が先ほど調査官は本人にもお会いになりますかとお聞きしたのはそういう意味もありまして、本当にさまざまな症状があり、さまざまな状態があるというふうに思うんです。 これは大臣にお伺いいたしますが、こんなさまざまなケースがあるのに、今回、後見、保佐、補助、この三類型の制度にするのは私はいささか難があるのではないかというふうに思っているんです。 理想としては、この種の制度の進んだ国のように、例えばさっきドイツのお話がありましたけれども、ドイツのようにあるいはヨーロッパのほかの国のようにタイプ分けをせず、それぞれのケースごとにきめ細かい支援内容を決定する。世話法というのがあって、さっきお話がありましたけれども、世話人支援センターというのがありまして、担当裁判官は本人の自宅に必ず出向き、住居や周辺環境などをその目で確認した上で、直接本人と面談をしていろいろな必要性について最終的に判断を下す。非常にある意味では、そんなことをしていられないよということもあるかもしれないし、ちょっと煩雑に見えるかもしれないんですけれども、世話人制度というのは、ドイツの場合世話人制度と言っているわけですが、一歩間違えると個人の自由をかえって束縛してしまう。その手続は厳格に行われなければならないという哲学のもとに、こういうきめ細かい面接あるいは調査といったことが行われているというふうにお聞きをしております。 この三類型という方式の大きな問題点は、法務省が新たな制度の理念として掲げる残存能力の活用という言葉に反して型はめを優先させる、本人が自分でもできることにも介入する、ほっといてくれればいいところにも介入する。障害者の自立ということでもこれは言えることでして、お世話をする人たちが必要最小限度のケアにとどめるということは大変大事なことだというふうに思っていますが、いわば後見的補助介入、過剰的に生活すべてにかかわってしまうという問題点も含まれているというふうに考えます。 改めて、後見、保佐、補助の三類型というふうにタイプ分けをしてしまった、しかも三類型にタイプ分けをしてしまったこの理由をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 成年後見制度の制度的枠組みにつきましては、比較法的にいきますと、一つとして、フランスのような多元的制度をとった上で類型の内容を弾力化する考え方がございます。また、ただいま委員がお話しいただきましたドイツのように世話人制度をとり、法定の類型を設けずに個別具体的な措置の内容を裁判所の裁量、判断にゆだねるという考え方もございます。 今回の改正案におきましては、基本は我が国の実情に即しました多元的な制度をとりつつ、各人の個別的な状況に即応した柔軟かつ弾力的な措置の設定を保障するという一元的制度の趣旨をも取り入れておるものであります。 制度の枠組みにつきましては、基本的に多元制度をとるのは、一といたしまして、重度の精神上の障害を有する方については、本人の保護の観点から一定の範囲の保護を定めて、以下、判断能力の程度に応じて保護の措置について本人の選択にゆだねる部分を順次大きくしていくという仕組みが相当であること。二つ目といたしまして、一元制度をとったといたしましても、裁判の実務においてはある程度の類型化の必要が生ずること。三つ目といたしまして、多元的制度のもとで法定の類型等、基準が示されている方が制度の利用者としても予測可能性があって利用しやすいことなどの理由によるものでございます。 今回の補助、保佐、後見の三類型の考え方は、多元的制度をとりつつ、各人の個別的な状況に即した柔軟かつ弾力的な措置の設定を保障するという一元的な制度の趣旨をも取り入れておる、先ほど申し上げたとおりでございまして、御指摘のような、人を型に当てはめるようなことにはならないと考えております。また、本人保護や利用しやすさという面から見ても適当なものと考えております。
○竹村泰子君 大臣、私は大臣の人間的ないろいろなことを尊敬いたしますけれども、やっぱりこういった法案の根幹になる部分というか、哲学というような部分というか、人間をそういうふうに三つの分類に分けてしまえるだろうかと。確かな判断力を少々失った人から非常に重い障害を持ってほとんど御自分の存在もわからないようないろんなタイプの人たちがいらっしゃる中で、そんなふうに分けてしまえるだろうかと本当にお思いでしょうか。 役人の書いた答弁じゃなく、大臣のお思いをちょっと聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今回の改正は、従来の禁治産、準禁治産との考え方の問題点となっておったところをいかに改善するかということも考えた上で、それらの日本的な物の考え方の流れの中でもって保佐あるいは補助、後見という制度に新しくつくり上げたものでございまして、ただいま申し上げましたとおり、それぞれの成年後見あるいは多少本人の裁量を得ることができる保佐、そうした裁量の幅も持っておりまして、私は、今制度で新しく、いろいろな御不自由をしていらっしゃる方のために十分役目を果たし得る、このように考えております。
○竹村泰子君 ありがとうございます。 ちょっときょうは厚生省においでいただいていますので、介護保険との関係をお伺いしたいと思います。 いろんな御意見が後から出てきてかなり迷走ぎみの、ダッチロールと言われていますが、来年四月から介護保険がスタートいたします。 周知のように、これは行政庁が介在する措置制度ではなくて利用者と事業者とが直接契約を結ぶという仕組みであります。この措置から契約へというサービスの提供のあり方、この改革、これが介護サービスにとどまらず、社会サービス全般、福祉サービス全般が契約型へと移行し始めていると言っていいかと思います。これも新成年後見制度創設の一つの背景であろうと思うわけです。 御承知のように、厚生省は国の補助事業として地域福祉権利擁護事業というのをスタートさせていらっしゃいます。私の地元北海道でも、十月一日から北海道社会福祉協議会が北海道地域福祉生活支援センター制度を開始しました。全道十五カ所に地域福祉生活支援センターというのができております。 これを統括する本部を置いて事業を進めているわけでありますけれども、このような事業がより地域の中に浸透し、そしてその活動がもっと幅を広げてくれば、当然、順調にいって来年四月に始まる新成年後見制度との接点は多くなっていきますし、特に三類型のうちの補助類型と言われるタイプについては、福祉事務所からの助言の内容においてもふえてくることは間違いないのではないかと思われます。ある学者の方は、この補助類型がいかに柔軟に、いかに幅広く多様に運営されるかがまさに成年後見制度の成功か否かということのかなめであるとおっしゃるくらいであります。 それは後見、保佐にも同様なことが言えるはずであり、そうだとすれば、現行制度の利用状況より確実に新制度の利用はふえるというふうに考えられますが、これは厚生省の御意見、それから法務省の御意見もお伺いしたいというふうに思います、その判断、体制づくりともに。
○政府参考人(炭谷茂君) ただいま先生が御指摘になられましたように、これからの社会福祉の基本というのは、現在の措置制度から利用契約制度へという方向が正しい方向だろうというふうに思っております。 そうした場合、例えば痴呆性高齢者、また知的障害者、精神障害者の方々などのように判断能力が不十分な方々が実際に利用契約制度で選択をするということがなかなか難しい場合がございます。しかし、そのような場合であっても利用契約制度が活用できるようにしなければいけない、いわばできる限り自己決定能力を確保するということが重要ではないかと思っております。 したがいまして、これから、私ども既に十月から発足させておりますけれども、地域福祉権利擁護制度というのはこのような判断能力の不十分な方々を援助して自己決定能力を十分に活用していただくという制度でございまして、このような需要というのは先生御指摘のように高まっていくだろう、また私ども、それに応じた体制づくりに努力してまいりたいというように考えております。
○政務次官(山本有二君) 先生御指摘のように、この補助というのは今回の改正で新設をされた制度でありまして、いわば最も時代に即応した形の制度を創設したという考え方をとっております。 特に、対象者を軽度の痴呆、知的障害、精神障害等により判断能力が不十分な者、こういうわけでありまして、一般的な見方では普通の人と変わらないというところを本人のいわば同意を必要とさせながら特定の法律行為に限ってだけ代理権を補助人に付与する、しかも申し立ての範囲の中で家庭裁判所が定めていく、こういうことでありますから、本人の意思も尊重しつつ、家庭裁判所等の後ろからの判断、後見的な判断ということも十分にできるわけでございます。 特に、先生御指摘のように、利用される数がどうかということになりますと非常にこれだというように言いにくいわけでありますが、先ほど先生にお示しさせていただきましたような痴呆性高齢者が百二十六万いるということも一つだろうと思いますし、もう一つ言わせていただければ、フランスで、この補助制度導入時にわずか四百から六百件の申請しかなかったものが、導入後十年たちますと二万件になっているという飛躍的な活用の実態がございます。そう考えれば、我が国においても相当数この活用が見込まれるだろうというように思います。 加えて、先生の御指摘は、補助人の担い手として一体どういうものがあるかというような点も御指摘いただきましたが、それは、親族、知人に加えて、弁護士、司法書士等の法律専門家、社会福祉士等の福祉の専門家等がこの補助人の候補者として考えられておりますし、それに加えて、社会福祉協議会、福祉関係の公益法人等の法人もその候補となると考えられております。 これらの関係団体、機関等におきましては、新しい成年後見制度の施行に備えて成年後見人等の供給源としての体制を整備するため各種の研修や人材養成の検討、実施が進められており、法務省といたしましては、改正法の施行の前後を通じて関係各方面との緊密な協議、連絡を行いながら、これらの各種団体、機関における研修、養成等の体制の充実に協力していきたいと考えております。 このように、成年後見人等の担い手の養成、研修は、各種の関係団体、機関等においてそれぞれの技能、特性等に応じた個別の体系に即して行われるものでありますので、これらの私的な各団体、機関の自主的な実施にゆだねつつ、その運用について、必要に応じて個別に連携協力していくのが相当であると考えております。 以上でございます。
○竹村泰子君 政務次官、ありがとうございます、次の質問も答えてくださったんですけれども。 私は、これらの類型はみんな一様にさまざまな条件が絡み合って増加してくると、先ほども言ったように。しかし、請求要件がふえた制度がイコール利用できる制度では決してないと。家庭裁判所が事案に応じて適任者を成年後見人、保佐人、補助人に選任できることになっても、それが複数であることも認められても、また法人がそれになることを可能として、それらに該当する人材がいなくてはどうしようもないわけでございます。実際にふさわしく信頼できる後見人、保佐人、補助人及び監督人を養成することが急務であり、そのような人材育成のバックグラウンドはどう確立されるんですかという質問を申し上げようと思いましたが、政務次官が今詳しくお答えくださいました。 この成年後見制度を初めて真に利用できる制度に一歩近づけるためにそういった人材育成が必要ではないかと思ったのですが、今お答えをお聞きしたところによりますと、弁護士会、司法書士会等、それから福祉事業団とかこれまでのいろいろ社会福祉的な事業にかかわってこられた方たち、あるいは弁護士さん、司法書士さんのようにいろいろ法律的な問題に助け手としてかかわってこられた方たち、そういう方たちを考えておられるようで、新たに人材育成をしようとか、これは厚生省もどう考えておられるか、もしお考えがあったらお聞かせいただきたいですが、そういうふうにしっかりとした人たちを養成して人材をつくっていかなきゃならないというふうには考えておられないわけですね。 法務省、もう一度お答えいただいて、そして厚生省もお伺いします。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、御指摘をいただきました新しい成年後見制度が真に利用しやすい制度として運用されるようにするためには、成年後見制度の受け皿の整備というものが大変重要であると考えられます。 そこで、これら受け皿の整備が法改正の前後を通じて円滑に推進されるように、諸関係団体、今申し上げました弁護士会でございますとか司法書士会でございますとか社会福祉士会、社会福祉協議会あるいは厚生省等を初めとする関係各方面と緊密な協議、連絡を行いながら十分な連携を図ってまいりたい、このように考えております。 特に、成年後見人等の制度の担い手の確保につきましても、各種の団体、機関等における候補者の研修あるいは名簿のリストアップ、推薦等の体制の充実が円滑に進むように関係各方面と緊密な連携協力を図ってまいりたいと考えております。
○政府参考人(炭谷茂君) 地域福祉権利擁護事業は何分にも新しい事業でございまして、何よりもやはり先生の御指摘のように、それに携わる職員の資質、また能力というものが大変重要かと思っております。 そこで、私どもといたしましては、まずこの事業を実施するに当たりましてどのように進めたらいいだろうかというマニュアルづくり、できるだけわかりやすいマニュアルづくりというものを始めたわけでございます。きょう、ちょうど持ってきてまいっておりますけれども、このように非常にわかりやすい分厚いものを一年、半年かけてつくらせていただきました。(資料を示す)この事業に関与をされておる弁護士の方、また実際にこれらの事業は東京都、大阪等の第一線で既に先行事例がございますので、そのような方々の御意見も入れながらこのようなわかりやすいマニュアルをつくらせていただいております。 ただ、マニュアルをつくっただけでは意味が不十分でございますので、既に先月、これに携わっていただく職員の研修会というものを実施いたしまして、できる限り適切な事業を実施していただく人材というものを養成したところでございますけれども、またこれからもさらに不十分なところは足していきまして努力をしてまいりたいというように考えております。
○竹村泰子君 次も厚生省に少し介護保険との関係でお伺いしたいと思います。 新しい成年後見制度の理念の一つとして身上監護の重視ということをうたっております。それは考え方として、財産の管理、保全だけではなくて、本人の営む生活支援、自己決定支援を重視するべきだということだと思いますけれども、ここで言う身上監護を行う適切な場合の身上監護のサービスの範囲といいますか、具体的にはどのようなことが想定されているのでしょうか。 つまり、財産管理、財産処分以外の、例えば介護サービスの手配とかお買い物の支援とか、そういった身の回りの問題のどこまでに対応するつもりか。これも非常に多様だと思うんです。ある人は音楽会に行きたいと言うかもしれないし、ある人は本当に市場のにぎやかなところへ行きたいと言うかもしれないし、いろんなニーズがあると思うんですが、どこまで対応するつもりなのでしょうか。
○政府参考人(炭谷茂君) この地域福祉権利擁護事業の範囲でございますけれども、いわば現在議論になっております成年後見人制度との守備範囲の問題、成年後見人制度というのはいわば財産管理とか身上監護に伴う法律行為の援助ということになろうかと思いますけれども、私どもの地域福祉権利擁護事業というのは、いわば日常的、また頻繁に生ずるような福祉サービスへの適正な利用の援助、例えば契約の申し込みの手続の問題とか、また代行とか、それから具体的に申しますと、まず最初は情報の提供、助言、それから手続の援助、それから利用料の支払い、また苦情解決制度の利用援助というような福祉サービスの利用援助が該当いたしまして、いわば身上監護、具体的なホームヘルプサービスのようなことはここでは想定していないわけでございます。
○竹村泰子君 そういうはっきりしないというか、非常に範囲の広い御要望がどう出てくるかということで、そのときに適切な判断をしなければならない問題も多々あると思いますので、余りここで今、この場合はどうするんだ、この場合はどうするんだと言っても仕方がないと思いますから、まだ試行錯誤の段階であるというふうに受けとめておきたいと思います。 次に、費用の問題です。 先ほど申し上げました厚生省の地域福祉権利擁護事業では、この制度の利用者と地区センターが契約を結んで、その契約に基づいて具体的にサービスを提供するのが生活支援でありますけれども、このサービスの利用料は私の住んでおります北海道では一時間千二百円、東京では千円となっております。その内訳は、北海道でいえば、生活支援員の報酬額九百五十円と総合賠償保険料百七十円に消費税を合わせたものということではじき出されているようなんですけれども、生活支援員の報酬は家事援助滞在型時間給ホームヘルパーの道内社会福祉協議会の平均報酬でありまして、東京の最低賃金をベースとしているというふうにお聞きしております。それにそれぞれ生活支援員の移動に係る実費が加算されるわけです。 さて、この費用の面につきましては、はっきりと二つの側面があるというふうに思います。 一つは、利用者というか請求者から見た場合、提供されるサービスの割には費用がかさむようではその制度利用に二の足を踏む人が出てくるでありましょうし、厚生省の事業の場合は、生活保護受給者は公費負担があるというので無料になっておりますけれども、そうでない人の場合には、やっぱり生活保護を受けておられない低所得の方たちの場合には大きな問題であるだろうと思います。 もう一つの側面として、サービス提供者の報酬という面も大事な点であることを指摘したいと思います。この種のことをいわゆるボランティア的に考えるのは明らかに間違いでありまして、きちんとした職種として確立していないと先細りになってしまうのは目に見えております。これらのことはそのまま新成年後見制度に当てはまると思いますけれども、いかがでしょうか。 法務大臣もお聞きになっていていただいて、こういった問題点もあるということで、すべて自己負担だとすれば、経済的に恵まれなくてもこの制度を利用できるような工夫や費用を考慮しなければならないと思いますけれども、制度の定着はこの点からは難しくなると思いますが、いかがでしょうか。 誤解なきよう申し上げますが、私は厚生省の地域福祉権利擁護事業と成年後見制度とどちらがよいとかどちらが悪いとか、こうすればよかったとか言っているのではなくて、それぞれの制度、事業は本当にそれらを必要としている人たちのために使いやすく、相互に補完し合うようでなければ、四月から介護事業は始まりますから、やはりそういったリンクといいますか、そういったネットワークをどのように考えておられるかということで、厚生省にまずお聞きし、それから後ほど大臣に感想をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(炭谷茂君) まず、地域福祉権利擁護事業の利用料の考え方でございますけれども、本来、利用者の利益のために行われる援助でございますので、援助を行う際の必要な実費等は自己負担をしていただくということを原則にいたしております。しかし、私どもといたしましては、できるだけ利用者の方々に対して利用しやすい制度でなければ意味がないわけでございます。 そこで、公費として国庫補助の二分の一を入れまして、まず実施主体であります社会福祉協議会における職員、例えば実際に相談を受けた窓口の場合、また援助計画、支援計画をつくる場合の経費、そこは公費ですべて負担をするという形をとっております。実際、利用者の方々に負担していただくという部分は、例えば一緒に市役所に行って契約の手続を同行するというような実際のサービスの分については、これは利用者の方々に負担をしていただかざるを得ないだろうと思っております。しかし、低所得者の方、またそれぞれの利用者の経済状況がございます。それにおいては、それぞれの実施主体においてそれらの状況を勘案して料金を設定していただいてもよろしいという実施主体の裁量に任せております。 ただ一方、提供者側、いわゆる実際に援助に当たられる生活支援員の生活の問題ということも御指摘されましたけれども、実際の収入の状況というものを勘案いたしますと、これだけで生活が成り立つということはなかなか今のところは難しいのではないかなと。ですから、したがって、私ども、実際に援助に当たっていただく生活支援員というのは、例えば社会福祉士として他の仕事を持っていらっしゃる方とか、また福祉施設に勤めていらっしゃってやめられたOBの方とか、このような方々にやっていただく。これを専業にするというのはなかなか今のところは、当面は難しいのではないのかなというふうに思っております。
○国務大臣(臼井日出男君) 介護保険が措置制度から利用契約制度に移行するということでございます。当然のことながら、これらのものをしっかりと利用していかなければならないわけでございますので、成年後見制度と今お話をいただきました厚生省の考えている地域福祉権利擁護事業との連携を密にするということによりまして、両者がお互いに相互に補完し合う形で、両方がよりよく機能を果たしていくということが必要であろうと考えておりまして、判断能力の不十分な者が地域で安心して生活することができるような仕組み、それをしっかりと完備していくことが必要である、このように考えております。
○竹村泰子君 お聞きしておりますと、ボランティア的な力もかなり期待をしているように聞こえます。この成年後見制はこれからスタートするわけですから、実行してみないとわからない部分ももちろんありますし、なかなか予想のつかないこともあるわけでありますけれども、今厚生省と大臣のお話を伺った限りでは、さっき私が言っている人材育成とか、そういったこともそんなに考えてはいない。そして、御理解を賜った人たちに来ていただいて助けていただくというふうな感じで、報酬についてもボランティア的なところで、安いけれども我慢してこれでお願いしますというふうな感じにも聞こえますし、なかなか前途、うまく制度がスタートして、そしてどんな障害を持った人もどのような状況の中にある人も、一人の人間として尊厳を保ちながら生きていけるための手だてと支援ということにならなければならないと思いますけれども、心配な点が多々あるということを申し上げておきたいと思います。 ここでちょっと視点を変えまして、この成年後見制度の利用者になるというか、今回の改正の特徴の一つであります補助類型の対象者になる知的障害者について少し申し上げてみたいと思います。 さまざまな会合や会議などで日本を訪れる世界の知的障害者たち、札幌でもDPIの世界大会がやがて開かれるわけでありますけれども、この外国の知的障害者たちははっきり自分の意見を述べる人が非常に多い。もちろん、日本の知的障害者の方々にもそういう人はいるのですけれども、冒頭の札幌の詐欺にあったといって財産をだまし取られた人のように、すぐにはなかなか自分の意見をはっきりと言えない人々が多いのではないかと思っています。それはもちろん障害のせいもありますけれども、障害のためだけではないと私は思うんです。 それは、彼ら、彼女らの多くは、小さいときには学校で落ちこぼれとして扱われ、職場では役に立たない存在として邪魔にされ、家庭では人に迷惑をかけないように服従を強いられたという、そういう結果も相当影響しているのではないかなと、社会的な受け入れ状態といいますか、私はそういうふうに考えています。 ちょっとそれるかもしれませんけれども、日本の教育の中で自己主張というか、そういうことを重視した教育を意識し始めたのは最近のことでありまして、知的障害者でなくても、これまで綿々と続いてきた日本の初等中等教育の中ではこの問題はやはり問題点として存在しております。私たち女性もやはりいろいろなことを社会の中で感じているわけでありまして、女は黙って後についてこいとか、そういう因習的な考え方がまだまだ強い、この永田町の中にも強いということをよくわかっておりますけれども、それはちょっと横道でごめんなさい、余計なことですが。 よく知的障害者の方は自分の意思を的確に伝えることの苦手な、いわゆる口の重い人が多いと言われます。その内実は、家庭などでなるべく余計なことは言わないように、あなたは黙っていなさいというふうにしつけられていたり、言えないような状況に置かれているからではないかと思っているんです。そして、その子のためにとの親心から、小さいときから他人に迷惑をかけないように、あるいは人からかわいがられなきゃだめよ、あなたは知恵おくれなんだからとか、そういうふうにその子に過度の忍耐を強いるといった結果が口の重い人、自分の意見を言えない人、表現ができない人、そういう場合も多くあるというふうに考えます。 このような知的障害者の障害の程度や必要な援助、本人と相当密接に触れ合って初めてわかるものであり、私のこれまでの経験からいっても、一人一人の知的障害者を理解するには相当の時間が必要だということであります。 そこで、この知的障害者が対象となる補助類型も含め、すべての成年後見制度では家庭裁判所がそれぞれの請求を受け対応するのですね。審判の開始に伴い、家庭裁判所では、例えば知的障害者やその周囲から出された補助人候補者について、本当にその知的障害者の財産の管理などを託して問題がないかの利害関係調査を含め、本人の状況、家族状況、資産や財産の管理状況など相当な範囲の調査を実施して、かつ本人に面談して同意取りつけを行うということになりますよね。三類型とも本人の陳述を必ず聴取し、そして補助、保佐では本人の同意が必要ということになります。 そこで、本人の自己決定の尊重という理念、これを最大限生かすためにも、それこそじっくり面談し良好な関係を保っていかないと大変ではないかと、さっきから言っておりますように、そう私は心配しているわけであります。 現在の全国の家庭裁判所における調査官、裁判官の人員でこの新成年後見制度を軌道に乗せていくのは可能かどうか、法務省のお考えもお聞かせいただきたいと思います。特に、調査官についてはどのようにお考えなのか、裁判所あるいは法務省のお考えをお聞かせ願います。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 委員お尋ねの裁判官の数等の関係でございますけれども、裁判官は大きな庁においては地裁、家裁と分かれて担当しておりますけれども、御承知のとおり、地方庁においては地裁と家裁を兼ねている裁判官が少なくない関係から、厳密に家庭裁判所の裁判官の数というものを御説明することは難しいわけでございますけれども、全国の裁判官、合計今二千九百人ほどいるわけでございますが、そのうち地裁と兼ねている者も含めまして家裁事件を担当している裁判官は約六百人ということでございます。 一方、家庭裁判所調査官につきましては、全国で千五百人いるわけでございますが、この調査官は家事事件と少年事件を担当しているということになるわけでございます。 ただいまお尋ねの件でございますけれども、新しい制度が導入されるということを踏まえて種々体制の整備を検討しているわけでございますが、その中で人的体制の関係についてお尋ねでございます。最近における家庭裁判所の事件の動向を見てみますと、新受事件が全体的に増加傾向にあるということ、さらにあわせまして、少年事件につきましては社会的な関心を集める重大事件がある、さらに非行の理解が困難な事件が少なくない状況にございますし、またさらに家事事件につきましても、両親の間の子の奪い合いでございますとか深刻な事件がある、さらには遺産分割など事案が複雑な事件も少なくない、こういった状況にあるところでございます。 こういった事件数の動向でございますとか社会の法的ニーズの高まりでありますとか、今回導入されようとしております新しい制度の具体的な運用状況といったものを踏まえながら、家庭裁判所がその特色であります科学性、後見性を十分に発揮して的確な事件処理が図れるように、まずは事務処理の中における効率化を図るとかあるいはOA化ということを進めていく、こういったことをあわせながら、さらに必要に応じて人的体制のあり方についても検討してまいりたいと考えている次第でございます。 以上でございます。
○竹村泰子君 運用面でも方向性なり疑問なりまだ多々あるのですけれども、それはこれから参考人の御意見もお聞きしますし、質疑も続きますので、また機会があればお聞きしてみたいというふうに思います。 時間がなくなってまいりましたが、これはちょっと通告をしなかったので申しわけないと思うんですが、お答えになれたらお答えください。 成年後見法案の中で社会参加の拡大が目指されているわけですが、これまでの禁治産、準禁治産とされた人に資格取得や選挙権を認めない欠格条項がこれまでの制度の中から百十六種も残るということになってしまった。これは法務省が法案提出に際して各省庁に撤廃を要請したにもかかわらず、選挙権、公務員、医師、公認会計士などの資格取得が欠格条事項として残っている。欠格条項を残すと、老人や障害者への偏見を助長し、社会参加が妨げられるという批判が出ていることは御承知のとおりであります。あと司法書士、税理士、行政書士、介護福祉士、土地家屋調査士など欠格条項が残っているというふうにお聞きしております。 確かに、どの職業もどんな障害を持った人にも開放されるべきだという理想としてはわかるんですけれども、実際の問題としてはなかなかそうはならない。できるできないということは能力の問題もありますから、それは確かに国家試験も通らなきゃならないものがたくさんありますからわかるんですけれども、しかし障害者に平等の権利と社会参加を求める世界の風潮の中で、それをせめて本人が選べるという選択の自由を与えられるという、そういうふうにはならなかったのでしょうか。法務省が努力をされたにもかかわらず、各省庁からの反対が多くてすべての欠格条項を消去できなかったということについて、通告しておりませんで大変申しわけないんですが、最後にお伺いして、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘をいただきましたいわゆる欠格条項の件につきましては、各種法令中の資格等にふさわしい能力を担保するために設けられるものでございまして、資格等を付与する段階においてその資格等にふさわしい能力を有しているかについて審査を行うべきものであると考えております。 そこで、個別的な能力審査手続が整備されている法律につきましては、成年後見人等をあえて欠格条項として存置しないこととしてございます。それ以外の当該法令中に十分な能力審査手続を有しないものなどにつきましては、欠格条項として存置をするとの方針で所轄の各省庁と協議し、改正案を取りまとめたものでございます。しかしながら、欠格条項の見直しの結果につきましては、最終的な判断は所轄の各省庁の判断にゆだねざるを得ないものでございまして、やむを得ないと考えているところもございます。
○竹村泰子君 法務省が撤廃をお願いしたのに、各省庁からの反対が強くて実行できなかったという報道があるんですが、それは確かかどうかお伺いしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 御質問の点につきまして、まだ確認を正確にとっているわけではございませんけれども、各省庁と個別の資格等について協議をした結果だと思っておりまして、特にそうした点について委員の御指摘のようなことがあったということは私ども考えておりません。
○竹村泰子君 終わります。
○橋本敦君 今回の成年後見制度等の改正ということにつきましては、高齢化社会への対応という問題、それからさらに、それに見合った具体的な自己決定権の尊重をしながら必要な保護、援助を図るというそういった観点から多くの改善や新しい方向が示されておりますから、私どもとしてはこの法案には賛成する立場で議論をさせていただくわけであります。 そういう立場に立っても、なおかつ、この改正法を方向づけとして円滑に運営していくために若干議論をしておく必要があると考える問題がありますので、そういう問題について質問をさせていただくつもりでございます。 一つの問題は、北岡委員や竹村委員からも御指摘がありましたが、いわゆる一元的構成との関係で、人の能力は千差万別であり、判断能力も十分でないというその状況の程度もさまざまな段階があるわけですから、具体的にこれに対応するということで後見、保佐、補助の三類型に分けてしまうということで十分機能できるだろうかという問題がどうしても一つの問題として出てくるわけであります。 これについて、法務大臣もあるいは政務次官も先ほどの御答弁で、そういった趣旨も十分踏まえながら、一元的対応ということも考慮に十分入れながらこれからの課題を進めていきたいという趣旨のお話もございました。 日弁連はこの問題について、既に御存じと思いますけれども、意見としては、法制審に対して「成年後見制度の改正に関する要綱試案」に対する意見書ということで発表しております。それを見てみますと、「判断能力だけを基準に類型的に決定されるべきではない。」、こういう原則を考えた上で、「援助の必要性は、本人の財産状況、生活状況、健康状態等によって大きく異なり得るのであり、それに応じて後見の内容も、具体的な必要性に即して決定されなければならない。」、こういうことをはっきり言っているわけです。 私は、この考え方はまさに具体的に正しい適用を図る必要がある考え方であって、制度利用者の個々の状況に応じて柔軟に対応できるという、そこのところはこの法の運用についても極めて大事な問題だというふうに考えておりますが、まずこの点について、大臣なりあるいは現実にこれを運用する裁判所の方で基本的なお考えとしてどうとらえていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今回の成年後見法の制度のとり方につきましては、いろいろなお考えがあろうかと思います。 委員御指摘をいただきました一元的なとり方、そういったものもあろうかと思いますが、先ほど来私がお答えをいたしておりますとおり、私どもといたしましては、我が国の実情に即した多元的な制度をとる、フランスなどのような多元的な制度というものをとった上で、類型的な内容を弾力的に考えるとり方、こうしたものをとっているわけでございまして、ドイツのような法定の類型を設けずに個別具体的な措置の内容を裁判所の裁量判断にゆだねる考え方というものはとっておらないのでございます。 この私どもの改正案につきまして、個人の個別的な状況に即した柔軟かつ弾力的な措置の設定等を保障するという、その一元的な趣旨というものも取り入れるということにいたしてございます。
○橋本敦君 民事局長でもあるいは最高裁でも結構ですが、今、大臣がおっしゃった一元的なそういう考え方のいいところも取り入れるということの具体的な対応というのはあるんですか。
○政府参考人(細川清君) この問題は、法制審議会で議論を始めたときでも枠組みとしてどう考えるかというのが最も大事な問題であって、相当議論を尽くした点でございます。それで、私どもが三類型がよろしいのではないかと最終的に判断したのは、やはり従来の実務からの連続性ということも考えなきゃいけないということが一つございました。それから、当事者の予測というものがございました。 その上で弾力的に使うにはどうしたらいいかということで、まず、今は禁治産と準禁治産が画然と分かれております。そのすき間が埋められないのじゃないかという問題がありますので、ですから保佐ですと、取り消し権の範囲を法定以上に拡大することもできる、それから代理権も与えることができる、それから保佐人に取り消し権も与えることができる、そういうことでそこを弾力化しよう。それから、補助については準禁治産以下のさまざまな態様に対応できるように、取り消し権の付与する対象あるいは代理権を付与する対象も当事者の申し立てによるということになっているわけです。 ですから、私たちの考え方といたしましては、三類型に分けてもその間はずっとつながっている、そういうふうに考えておりますものですから、弾力的にできるだろうということです。 もう一つ大事なことは、任意後見制度を導入しておりますので、これが相当幅広く使えるということなので、全体を通じて考えれば相当弾力的に運用できるんだ、一元制のよいところが取り入れられるのではないかということでございます。 例えば、衆議院の法務委員会で参考人として意見を述べられました千葉大学の新井先生でございますが、あの方も当初は非常に一元制論の強い論者だったんですが、任意後見も含めた全体を見れば今回の制度は非常に一元制のよいところを取り入れた柔軟な制度になっているという評価を委員会でされておられます。 そういうことで、私どもとしては一元制のよいところも十分取り入れているんだというふうに考えているところでございます。
○橋本敦君 そこで、そういった観点で具体的な適用ということになりますと、裁判所の判断ということが、これがやっぱり具体的な決め手になってくるわけです。 先ほどからもお話がありましたドイツの世話法の関係でいえば、裁判官は具体的な対応として、医師に医学的な診断を依頼する、それから世話人支援センター、あれは日本でいえば福祉事務所のような行政組織になるんでしょうか、ソーシャルワーカー、こういった方々と一緒に日常の生活ぶりについて調査し、みずからも判断が必要な場合は、先ほどもお話がありましたように、出向いて本人に面接、住居や環境を検討する、そういったことで具体的な対応を図る、こういうことをやっているという報道があります。 そこまでやるのは大変なことで、先ほども竹村委員から裁判官の体制整備は大丈夫なのかという質問がなされるのは当然でありますが、最高裁としては、本人の自己決定権の尊重あるいは具体的な補助、援助の必要性ということを具体的に判断するという、そういったことについてどういう考えで臨もうとしていらっしゃるか、最高裁にお伺いしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。 今、委員から御指摘がございましたように、まさにさまざまな事案に柔軟に対応していくことが求められるわけでございまして、私どもといたしましても、今回の法改正が成立した場合には、まず家庭裁判所調査官ができるだけ本人にお会いする、関係者にお会いするという方向での調査を進めていくことになろうかと考えております。 その方法といたしましては、現在、規則の改正も検討途上にあるわけでございますけれども、そういった中におきましても、できるだけ御本人の陳述を伺う、こういったことなどを明記することも一つの検討事項かと思って検討を進めている段階にございまして、御本人の陳述を聞くということになった場合には、裁判官が伺う場合もありますし、あるいは調査官が伺う場合もあるだろうということでございまして、まさにその点は運用の上で弾力的な運用を行っていきたいと考えている次第でございます。 以上でございます。
○橋本敦君 では、今おっしゃった運用の面で、最高裁に一定の規則なりあるいは考え方なり、この法案の今後の運用を国民の期待にこたえられる方向でぜひ検討していただきたいということを言っておきたいと思います。 次の問題に移りたいと思います。 任意後見の問題なんですが、今回これが法制化されることになった。現在、自治体等が行っております財産保全サービス、あるいは病院や施設等で事実上行われている高齢者の財産管理等いろいろあるんですけれども、こういった問題については法的根拠に疑義があったり、あるいは監督体制の問題がございますから、そういう意味で今度のこの制度というのは大いに注目されるわけですね。 そこで、この任意後見制度というのが改正の大事な眼目だと思いますので、この任意後見制度をつくった意義について、大臣からこの意義はどこにあるのかということを一点お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 現在の法制下におきましても、任意代理人を選任する委任契約については、本人の意思能力喪失後も代理人の代理権は存続するというふうに一般的に解釈をされているわけでございます。しかし、本人の判断能力が低下した後の任意代理人に対する監督の枠組みがない現行法のもとでは、このような場合の後見事務を任意代理人に委託する委任契約は実際には利用が困難であるという面が多く見受けられます。 このような問題に対応するために、本人の判断能力が低下した後の任意代理人に対する公的な監督の枠組みを法制化することによりまして、従来、関係各界からその必要性が強く指摘されておりますこの問題についても解決ができるものと考えておりまして、特に現在、任意代理を活用いたしまして財産管理サービスを試みておられます地方自治体の社会福祉協議会、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会等からは法制化に対する強い要望が寄せられております。 この任意後見制度は、このような関係各界のニーズを踏まえまして、私的自治の尊重の観点から、本人がみずから締結した任意契約に対して本人保護のための必要最小限度の公的な関与、すなわち家庭裁判所が選任する任意後見監督人による監督の仕組みを法制化するものでございます。また、これは自己決定の尊重の理念に即した本人保護の制度的な枠組みを構築しようとするものである、このように私どもは考えております。
○橋本敦君 そこで、法人の問題についてちょっと検討させていただきたいと思うんです。 法案によりますと、法人も成年後見人はもとより任意後見人、後見監督人、これに就任ができる、こうなっております。そこで、受任者である法人と本人との間に利益相反関係があるような場合はどうするか、そういう問題がやっぱり起こるんですね。法人はいずれの受任者にもなれないという制約がそこまで必要かということになりますと、これまたそれだけでいいのかという問題も出てきます。この点は法八百四十三条第四項によりますと、利害関係の有無を考慮するという規定になっております。ここで言う利害関係の有無を考慮するというのは、具体的にどういう場合にどういう判断がなされ、利益相反行為については何らかの基準ということを考えた、そういった基準というようなものがどこかにあるのかどうかという問題も一つは検討する必要があるかなという気もするんですね。 ここらあたり、民事局長はどうお考えでしょうか。
○政府参考人(細川清君) これは、利益相反という用語が非常に幅広い概念でございます。したがいまして、少しでも利益相反がある場合にはすべて後見人あるいは後見監督人等になれないということになりますと、制度としては非常に硬直的になるだろうというふうに考えているわけなんです。 それで、よく問題になりますのは、例えば施設に入所されている痴呆性高齢者の方がおられて、その方の後見人をする場合に、その施設の代表者がこれに適当かどうかという問題になりますと、後見人は包括的代理権を持っていますし、経営者は御本人と契約していて料金を徴収することになっているわけですから、そういう場合には明らかに不適当だということで、裁判所は後見人を選ばないと思います。 ただ、そうでなくて、先ほど厚生省から若干お話しされましたが、例えば無料の介護サービスというのがございますね。そういう場合には必ずしも利益相反とは言えない場合もあります。それから、法定後見人が二人いるという場合で、それぞれ分掌すればその相反の問題は回避できる。それから、補助人の場合には権限が狭いものですから、その狭い範囲では利益相反が起きないということが言えると思います。 ですから、そういうことで、やはりこれは裁判所の適切な御判断に期待するのが適当であるということで、それを考慮事項として挙げたわけでございます。
○橋本敦君 だから、そういう意味では、この利害関係の有無を考慮するという法の規定は、ある意味で言えば裁判所に包括的な権限を委任するということであるわけですね。だから、明確な基準というのはなかなか難しい。 そこらあたり、最高裁としては、どういう姿勢でこの八百四十三条四項の運用をやっていくのが適当かというようなことで、検討、研究されているような状況がございますか。局長、いかがですか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) ただいま御指摘の点は、まさに個々の事案ごとにおいて裁判所が判断すべき問題ということになろうかと思っております。その意味では、今、民事局長から説明があったようなことを個々の事案ごとに考慮しながら、まさに利益相反ということで後見人とするのはふさわしくないというふうに判断するか、さらにその利益相反の問題があるにいたしましても、後見監督人を選任することによって補完ができるとか、複数選任することによって分掌ができるとか、こういった措置がうまくとれるかどうかということも含めて検討していくことになろうかと考えているところでございます。 以上でございます。
○橋本敦君 実際に施設で老人の財産を不当に占奪したというようなそういったケースも起こっているという状況があるものですから、国民的な不安と関心というものもこれについてはやっぱりあるんですね。 九六年の関東弁護士会連合会の高齢者の財産管理に関するアンケート調査結果というのがありますが、これによりますと、福祉関係者が担当したケース一万二千九百一件中、預金通帳、権利証等を施設または職員が保管しているのが五千五百二十六件、福祉関係者が保管しているのが三百二十件、四五%にも上っているという実情があるという報告があります。 法務省の民事局参事官室の要綱試案に対する意見照会の結果の概要というのが出ておりますが、ここでも、利益相反関係にある法人及びその代表者、使用人を排除する明文規定を設けるべきであるとする意見が多数と記してあります。これは事実だと思うんですね。排除する明文規定を設けるべきだという意見が五十、慎重ないし消極が五にとどまったというのが法務省の資料を見ると書いてあるんですけれども、日本障害者協議会、社会福祉協議会、このいずれも利益相反ということについて、成年後見人になることが適当でない場合があることに十分留意してほしい、あるいは福祉施設を経営する社会福祉法人については利益相反の問題から慎重に対応すべきという意見が出されている。 こういう意見があったというのは、民事局長、これは間違いないですね。
○政府参考人(細川清君) 御指摘のとおりでございます。
○橋本敦君 そういう面で、こういう意見があったんですが、排除する明文規定を設けるべきだという意見が五十にも上っている。慎重意見、消極意見は五である。 そこで、明文規定としてもう少しここのところをはっきりと規定する工夫がなかったのか。明文規定で厳格に禁止というところまで行かなくても、単に利害関係の有無を考慮するという八百四十三条四項程度じゃなくて、もう少し具体的な規定の仕方がなかったのか。そこらあたりの議論や結果はどうなんですか、民事局長。何か知恵があったように私は思うんですけれどもね。
○政府参考人(細川清君) いろいろな御意見を伺いまして、いろいろ審議会等でも御意見を伺いまして、やはり最終的には、民法という基本法なものですからある程度抽象的にならざるを得ないということで、これはやはり裁判官の英知に期待するのが、結果的には最も妥当な結果が出るのではないかというのが最終的判断であったわけでございます。
○橋本敦君 時間が来ましたからきょうは最後の質問になるんですが、家庭局長に、あるいは民事局長でも結構ですが、今言ったようなことの具体的担保をするという意味で、法人が後見人あるいは後見監督人に加わる場合は、単独じゃなくて複数にして、お互いにきちっと見合う、事情をよく検討し合うという相互の牽制及び抑制、そういったことを合理的にするために、こういう家事審判の方法、こういう規定を設けてもよかったんではないかと私は思っているんですが、それについての御意見を民事局長なり最高裁に伺って、きょうはこれで質問を終わります。
○政府参考人(細川清君) まず、法人の後見人の導入につきましては、これは、積極意見が五十で、慎重ないし消極意見は五でございます。これが要綱試案に対する意見の概要でございました。 家庭裁判所の規則では、やはり法律ではございませんので手続事項に限られると、国会の御審議を経ていないものですから。そこで実体的な規定を書くのは難しいだろうというのは、従来から、憲法上の解釈からの問題にしても難しいであろうと言われております。 そういうことで、私どもとしては、なかなか、繰り返しになりますが、実体的な規定は難しいかなというふうに思っておるところでございます。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 先ほど申し上げたとおり、やはりこれは個々の事案ごとに考えていただくべき問題であろうと考えております。そういった問題については、やはり手続規則である家事審判規則に規定することも、これは適当ではないだろうと考えている次第でございます。 以上でございます。
○橋本敦君 終わります。
○委員長(風間昶君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(風間昶君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。
○阿部正俊君 始まります前に、私の他の委員会での理事会等もありまして、順序を変更させていただきまして、委員長を初め理事の皆さん方に大変御迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げたいと思います。 きょうは、いわゆる成年後見法の改正ということが中心でございますけれども、一般的に申しまして、成年後見の中身云々という前に一言申し上げたいんですが、委員会の質疑のあり方ということを今国会でいろんな意味で活性化するというのが本来のねらいでございますし、その代表例としていわゆるクエスチョンタイムというようなものも導入されたということだろうというふうに認識しております。やはりこの委員会も、私ども与野党を含めた努力といいましょうか、そういうことにこたえていくことが国民から期待されておるだろうなというふうに思いますし、できますれば、いわゆる政府委員制度の廃止ということだけではなくて、国会というものの委員会審議も含めまして、もっと端的に言えば、従来型ですと一方的に片や攻める、片や守る、どう失敗しないように答えるかというふうなことに終始してきたような傾向もなきにしもあらずという感じもするわけでございます。 このマイクもかえてもらわにゃいかぬ。こういうものも私、大変問題だと思うんですよ。ちょっとずれますけれども、委員会の音響効果というのはもう少し工夫すべき問題ではないかなというふうに思います。やはり私も含めてでございますが、そんなに皆さん耳がお達者な方ばかりではないであろうかなという気もしますし、聞かない方がいいことも中にはありますけれども、これだけの各委員の前にマイクを備えるならば、もう少し全体の音響効果といいましょうか、音が奏でられるということだけではなくて、一人一人がきちっと明瞭に聞き取れるような装置をやはり今考えるべきときじゃないかなというふうな気もいたします。 この間、党派は違いますけれども、中村敦夫先生ともその話を実はいたしました。先生はマイクを台に載っけて、背が高いものですからマイクを近づけて質問をなさっていました。大変いいことだと私は思います。余計なことですけれども、委員長どうかひとつ、委員長だけではなくて、私も議運という場におりますので私らの仕事でもありますけれども、本会議場も含めて音響効果というものをもう少し考えた工夫をすべきときではないかなという気がいたします。余計なことですけれども、一言、こんな状態なものですから申し上げたいと思うんです。 さて、成年後見の問題に入るわけでございますけれども、先ほど申し上げたように、もう一度振り返りますと、きょうは大臣、両政務次官おいででございますので、できれば政府参考人の質疑ということではなしに、私、浅学非才でございますけれども、できれば両政務次官も含めて省を代表するリーダーシップをとっておられるお三方との間での質疑応答というより、むしろ意見交換というようなことで成年後見のこれからのありようをしっかり目に見える形にしていきたいものだな、こんなふうに思っております。細部について多少勇み足といいましょうか、言質をとったとか、ああ言ったとかこう言ったとか言うつもりは毛頭ありませんので、どうかその辺はやはり新しい制度でもございますので、これからの方向性というのをはっきりさせる意味でも恐れずに将来の展望などについてお考えをお聞かせいただければありがたいし、私もそんなつもりで質問をさせていただきたい、こんなふうに思いますのでよろしくお願い申し上げます。 まず、具体的な質問に入ります前に一言申し上げたいんですが、裁判所といいますと、これは法務省直接ではございませんけれども、どうしてもやはり昔のいわゆるお白州というイメージがぬぐい切れないわけでございます。きょう、この法務委員会にはいわゆる司法その他法曹に関係する方々が大変多いわけでございまして、私ども素人ということからしますと、大変恐れ多い方が多いのでございますけれども、そんなイメージがどうしてもございます。 特に、裁判所というのは、率直に申しまして敬して遠ざけるということが一般の庶民の感覚ではないかなという気がするわけでございます。また同時に、使われる用語もどっちかといいますと何か聞いたこともないような言葉が裁判所の判決文の中には堂々と載っている。まともに判決文を読んだ人というのはまずだれもいないんじゃないか、その職にある方は別ですけれども。というふうなことをやはり大きくこれから手直していかなきゃいかぬのじゃないかなという気がするし、その代表的なイメージが裁判所というもの、いわゆるお裁き所だということですね、お裁き所に近づく人というのはまともな人ではないというふうな感じがどうしてもあるんじゃないかという気がするんですね。 そもそも考えてみますと、特に民法といいましょうか民事については、やはり法曹で裁くというよりも、何か庶民の、国民の生活のルールをより秩序立てていくという仕事をするのが裁判所なのではないかなという気がするわけです。 これは質問ということではないとお考えいただいて結構ですし、それぞれどなたかの、大臣なり政務次官なりのお気持ちをお聞かせいただきたいと思うのでございますが、私は、家庭裁判所などはむしろ家庭裁判所としてでんと立派なところに置くんじゃなくて、例えばビルのワンフロアを借りるとか、あるいはデパートの屋上のところに置くとかというふうなこともいわばイメージづくりとして大事なんじゃないかなと。むしろ裁判所なんかへ行くというよりも、特にこれから申し上げます成年後見なんかの場合になりますと、デパートの中の一室についでのときに行ったときにお寄りするとかということもやはり一考に値しないのかなと。 とっぴだとお考えかもしれませんけれども、私はやっぱりこれからの司法行政、特に民事についての司法のあり方というものは、成年後見なんかを含めまして大きく変わっていってほしいものだなという期待を持っておりますので、最初にそうしたふうな、いわば一般の素人の感覚ということについて何か御感想でもありましたら、一言どなたか、大臣ないしは山本政務次官でも結構でございますので、結構でございますって失礼でございますが、どなたか御発言でもいただければ大変ありがたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 後ほどまた政務次官の方からも御発言いただけるかと思いますが、私も従来法務とは余り関係のない議員でございまして、そうした立場から申し上げますと、やはり裁判というのは特殊な状況ということでございまして、できれば余り裁判関係には携わりたくない、訴えることも、そういうふうになりたいとも思いませんし、まして訴えられる方にもなりたくない、そういう環境でございます。 しかし、この世の中の正義というものは守られていくということを考えますと、裁判制度というものはしっかりしていなければならない。そうした双方の調和、一方では使いやすい、一方では、しかし権威を持って正確な判断をする、両方のサイドのことが調和をされた中で、国民生活にプラスになる形というものが望まれるように私は思う次第であります。
○政務次官(山本有二君) 先生御指摘のとおりでありまして、司法権といえども国民主権主義の中での司法権でありますから、国民ができるだけ使いやすい、利用しやすい裁判所でなければならないと思います。そして、家事事件におきましては、特に離婚にしましても子供の親権にしましても、みずからの家庭のいわばプライバシーに当たる部分を正確かつ深く相手方に伝えるという、そういう作業が必須になってこようと思います。その意味におきましては、できるだけ権威を取り払い、一番説明しやすい、そしてプライバシーといえども披瀝をしやすい、そういう環境づくりを裁判所としても心がけるべきだろうというように私も考えております。
○阿部正俊君 どうも質問の前に質問でもないことを申し上げて大変失礼いたしました。ありがとうございました。 さて、具体的に成年後見の問題に入ってまいりたいと思います。 まず最初に、今回の成年後見制度を設ける、民法初め四本の法律を、新法もつくったり法律を改正したりということ、大変な作業でございますがここに至ったと、大変うれしい、喜ばしいことだと私は基本的に思っています。ただ、やはりこれからの成年後見の中身というものをよりいいものにしていくためには、今までの制度ではどこがどういうふうに悪かったのか、あるいは時代の変遷に応じてどこをどういうふうに手直しすべきなのかというふうなきちっとした問題認識が前提になければいけないのではないかなというふうな気がいたします。 私もその端くれではございましたけれども、どうしても役所といいますのは、どちらかといいますと新しいことについては一生懸命やりますけれども、過去についてあるいは今までのことについてどこがどういうふうに悪かったのか、あるいはどこにどういうふうな問題があったのかということをきちっと整理しないままに新しいことを何か必要だからやるんだというようなことでやってくる傾向がございます。これは、ある種の、過去は悪かったとなりますとだれかが責任をとれみたいな話になるものですから、どうしてもそうなりがちなのでございます。 でも、これからの行政といいますのは、やはりより客観的に、特に公務員というのはどなたかの部下でもありませんし、国民全体の奉仕者、こういうことでございますが、奉仕というのは別にサーバントというわけではありませんけれども、特定の人のためのものではなくて全体のことを考えてやろうということですから、今までの仕組みを直すのであるならば、全体の利益のためにきっちり過去の整理をして新しい形を整えていくということをその前提として、今までの、例えば今回のことでいえばいわゆる禁治産、準禁治産というふうなことを基本にした仕組みについてのいわば問題点はどこにあったのか、どこがまずいのか、少なくともこれから先このままではだめなのかということについてきちっとした整理が私は要るのではないかな、こんなふうな気がするわけです。 そういう意味で、まず最初に、今までの禁治産、準禁治産というふうな制度を中心にした仕掛けではうまくいかない、だから手直しするんだ、こういうことなんでしょうけれども、今までの問題点の整理あるいは法改正に至った背景等について、わかりやすく要点を幾つかに絞って挙げていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○政務次官(山本有二君) 現行の禁治産、準禁治産の制度につきましては、一つには重度の精神上の障害により判断能力が不十分な方々だけしか対象とされていないこと、一つには内容も硬直的で利用しにくいこと、一つには戸籍への記載や広範な資格制限などによる抵抗感があることなどが指摘されております。また、後見人、保佐人につきましても、配偶者が事情のいかんを問わず必ず後見人等となるものとされていること、また法人や複数の者が後見人等になれないこと、さらには後見人等の監督体制が不十分であることなどの問題点を指摘されております。 以上のような問題点は、高齢社会及び障害者福祉におけるノーマライゼーションの理念等の進展を背景として主として福祉の分野から指摘されるようになったものであり、今回の改正はそうした福祉の分野からの要請にこたえて成年後見制度をより柔軟かつ利用しやすいものにするためのものであると認識しております。
○阿部正俊君 政務次官、ちょっと言葉じりをとらえるようで恐縮でございますけれども、今までのは私は成年後見制度だったとはちょっと思えないんです。法務省さん、何度か来ていただいて、お話聞いてこう言うと嫌な顔をされる方が多かったんですけれども、私は従来の禁治産あるいは準禁治産というのはむしろ取引安全の制度だったんじゃないのかな、こんな気がするんです。意思を尊重して、その意思に沿って、成年になっても本人の利害あるいは意思を大事にして物を処理していこうというふうな、意思を尊重した後見という制度ではなくて、取引するのに安全な仕掛けとして禁治産、準禁治産というのをつくってあったのではないかなというふうに邪推する人もいるんです。 その辺から見ると、今までのは私は成年後見ではなくて、むしろ成年後見というのは今までとは違って新しくつくるんだというふうな理念ではないかなと思いますけれども、その点だけちょっともう一回お答えいただければありがたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 阿部委員御指摘のとおりであろうと思います。 百年前にできたこの制度の言葉も産を治する、すなわち財産を治めること相なりませんよという意味なわけでありますし、そういう言葉からもそれが類推できます。さらには、平成十年の利用率が禁治産で千七百九件、準禁治産で二百五十一件というこの利用の姿を見ましても、先生御指摘の弊があろうと考えております。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 さて、それで今のをもう少し敷衍して申し上げますと、私は成年後見といいますのは、先ほど山本政務次官が高齢者の増加とか、あるいは障害を持った方々のノーマライゼーションというふうな観点も強く認識されて今回の制度をつくられるというふうなお話がございましたけれども、私はもう少し一歩踏み出して、その根底にあるものは何なのかということを考えてみたいなと。 何かそういう特別な、あるいは意思表示がうまくいかない人がふえたから、あるいはその人たちを大事にするのだからということからもう一歩踏み越えて、これからの社会のありようとして、結果として何かしてあげるということ、結果としていいか悪いかじゃなくて、まず本人の意思を大事にする社会、そのためにどういう社会づくりをした方がいいのかということが、私は今回の成年後見もその一環であるというふうに思うわけでございます。 本人の意思をまず確かめるということから物を考えていこう、結果的にうまいものが食えるとかあるいは何かのためになるとか、だれかが見るんじゃなくて、ぼろを着てても心はにしきじゃありませんけれども、やはりまず本人の意思というのが大事な社会にしていこうじゃないかということが今回の成年後見制度というものに結びついておるのではないかなというふうに思っておるわけでございます。やはり個人の意思を尊重する社会。 ちょっと横道にそれますが、賛成、反対いろいろございましたけれども、いわゆる臓器移植法についても、脳死が死か死でないかさまざまな意見があるでしょう。だけれども、そうした脳死を死と認め、自分の肉体の一部であったものを他人にプレゼントしたいという方の意思、これをだめだという権利はだれもないはずではないかな。意思の尊重ということを前提にして、いわば脳死判定を受け、臓器提供を申し出た意思を持った人については、やはりその意思を尊重してということが今実行されております日本における臓器移植法だと思うんです。 ということになりますと、やはり成年後見の根底にありますのは、いろんな場面で本人の意思というものを、自己決定というものをできるだけ尊重していくようにしましょうや、本人の意思からすべてが始まるということを、少し今までのあり方とは変えてつくっていこうじゃないかというのが基本的な理念になっているのではないかなというふうな気がするわけでございます。 日本の場合はどっちかというといわゆる契約社会ではなかったということでもあるのかもしれませんけれども、本人の意思ではなくて結果平等主義みたいなことだけがどうしても表に出がちでございますけれども、やはり一番大事なのは、人間の尊厳にとって何が大事かということになりますと、結果として恵まれたか恵まれないかということではなくて、物と金ということももちろん大事でございますが、一番基本にあるのはやはり本人の意思ではないか、こんなふうに思うんです。そうしたふうな流れの中で今回の成年後見制度というのはできてきた。特に、先ほど山本政務次官がお触れになった意思決定が余り得意でない高齢者がふえてまいりますとか、あるいはノーマライゼーションとかいうのがむしろ後押しをした、こんなふうに認識すべきものではないかなと。 成年後見制度というのは、私はそういう意味で日本のいろんな意味での仕組み、文化というものにこれから大きくかかわっていくことにつながっていくことではないかなというふうに思うわけですけれども、法というものをつかさどる法務省さん、大臣、政務次官としてどんなふうにお考えなのか、御意見がございましたらちょっとお聞かせいただければありがたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきました個人の意思を尊重する社会、いわゆる言ってみれば自分の責任というものもしっかりと大切にしていく社会であろうかと思いますが、大切な視点だと思っております。 今回の成年後見制度の改正というものは、判断能力の不十分な成年を保護するために、高齢者への対応及び知的障害者あるいは精神障害者等の福祉の充実の観点から、自己決定の尊重あるいは残存能力の活用、今お話しいただきましたノーマライゼーション等の新しい理念と従来の本人の保護の理念との調和というものを旨として、柔軟かつ弾力的な利用しやすい成年後見制度を構築しようとしたものでございますけれども、これらの今回の改正の理念というものは、ただいま御指摘をいただきましたより大きな視点からとらえて位置づけるということも当然のことながら大切であろうかと思います。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 そういう点から見ますと、私は日本といいますのはまだまだこれから変わっていっていただかなきゃならぬ点が多いのではないかなと。行政改革、政治改革というふうな制度的な改革がどうしても表に出がちですけれども、一番根底にあるのはやはりいわば個人の意思、あるいは別な面から見ると自立というものをもう少しどういうふうに考えるべきなのかということがこれから問われていく時代ではないか。そこのところについてもう少し、AさんとBさんの意思が違ったときに、本当は意思の方が大事なんだけれども、形の上で出た結果に差があるということだけ日本人というのはどっちかというと見たがる方なんですね。 差というのを非常に許さない社会というものじゃなくて、それ以上に大事なのは個々人の意思がどういうふうに尊重されているのかという自己決定だとか個人の意思の尊重、例えば憲法で言えば憲法十三条、個人の尊重というものが私はこれからむしろ大事にされなきゃいかぬことなんじゃないか。どっちかというと、今まで社会保障なんかでも憲法二十五条が大きな支えであることはこれからも間違いございませんけれども、もう少し言えば、これからは選択だとか多様性とか自己決定だとかということになりますと、むしろ憲法で言えば憲法十三条というものがもう少し尊重される、生かされる社会づくり、仕組みづくりというのが要るのではないかなという気がするんです。 となると、やはりそうしたふうな個人の意思の尊重というものがどの程度生かされようとしているかということは社会の一つの進歩の尺度になるのではないかなという気がするわけです。そういう意味からいうと、例えばサミット国、七つか八つか九つかいろいろ見方があろうかと思いますけれども、私の見る限り、ドイツの世話人法とかということも含めて、それぞれ戦後、ここ二十年ぐらいの間に大抵そうしたふうなさまざまな制度がつくられてきていると思うのでございます。それは一つの社会の進歩といいましょうか変化というものを基本に、障害者のためにとか福祉のためにということではなくて、むしろ社会の成熟度の尺度として私は見ていくべきではないかなと思うんですけれども、他のいわゆるサミット国なんかでは今申し上げたような成年後見制度に類するような制度がどんなふうになっているか、ひとつお答えいただければありがたいし、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 近年、欧米諸国においても、成年後見制度についての法改正が相次いでおります。例えばフランスにおいては、一九六八年の民法改正により、従来の禁治産、準禁治産の制度が後見、保佐、裁判所の保護の三つの制度に改められ、カナダのケベック州におきましては、一九九〇年に同様の改正が行われております。また、オーストリア、ドイツにおきましては、近年、民法の改正により、禁治産制度の大幅な見直しが行われております。 これらの諸外国における禁治産制度の見直しは、いずれも自己決定の尊重、ノーマライゼーション等の新しい理念と従来の本人保護の理念との調和を旨として柔軟かつ弾力的な利用しやすい成年後見制度を構築しようとするものでございます。我が国における今回の改正も、この国際的な流れに沿うものであると考えております。 また、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストラリア等におきましても、近年、本人の判断能力が低下する前に、契約によりみずから信頼できる後見人と後見事務を事前に決めることができる継続的代理権制度を法制化する特別法の制定が相次いでおります。我が国における今回の任意後見制度の創設も、この国際的な流れをくむものであるということができようかと存じます。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 日本においては、高齢化社会と通称されますけれども、何かお年寄りがふえて非常に荷物が重い社会になるんじゃないかというふうなことを言われます。むしろ私は、これは私流の言葉ですが、高齢社会というのは余り好きじゃありませんで成熟社会という言葉を使っておりますけれども、成年後見なんかも含めて考えますと、負担が多いか少ないか、あるいは物が豊かに利用できるかできないかということだけが、だけというか、それが福祉ということの一部ではありますけれども、その前にやはりそうしたふうな意思の尊重というものが、社会の成熟、高齢社会と言われる社会を想定しますと、そうしたふうな人間の意思が尊重される社会というものをつくっていくというのが本当の高齢社会対策なのではないかな、ちょっとおわかりにくいかもしれませんけれども、そんなふうにも思うんです。 そういう意味で、負担が多いか少ないか、いただくものが多いか少ないかということも大事ですが、同時にそうした個々人がどういうふうに尊重されるかどうかというのがそれぞれの国の社会の成熟度であり、今の山本政務次官のお話のように、他国に比べてもその辺、日本は少しそういう面で立ちおくれていた面は否めないのかなというふうに思うし、そういう意味から今回こうしたふうな御提案があるということを大変うれしく思うし、むしろ遅きに失したのかなとすら思うんです。 それはともかく、一歩前に進まれるということなので、特定の人間の保護というふうなものから、さらに進めてこれからの社会のあり方の大きな仕組み、枠組みを変えて新しい社会づくりの基本にしていくんだというふうな意識でひとつ成年後見制度のこれからの運用を行っていただきたいものだということを申し上げておきたいと思うわけでございます。 さて、ちょっと自己宣伝あるいは我が自由民主党の宣伝にもなるのでございますが、実は自由民主党では社会部会の中に成年後見に関する小委員会というのをつくりまして、平成九年四月にいわば中間報告的に、こういったふうな問題点があるし、こういった方向で改正したらどうだろうかということをまとめまして、法務省さんあるいは成年後見制度を裏腹になって支えていくであろう厚生省さんの福祉サイドの仕組みなりもつくる必要があると思うんですが、後で申し述べますが、ということの意見を両省に申し上げたわけでございます。 そのときに、私どもも参考にさせていただきましたが、もちろん障害者の関係の団体とか、あるいはお年寄りの関係の団体とか、あるいは高齢者や障害者を直接お世話しておる、あるいは利用施設を経営しておられる方々の意見とかというのもいろいろお聞きしました。 幸い、法務省さんも聞くところによりますと、いろんな幅広い団体の意見も十分徴されて今回の制度改正に結びつけられたんではないかなと思うんですけれども、まず最初にどんなふうな団体の方々にどんなふうな形で御意見を聞かれたのか。片や専門的に御検討の場もあったと思うんですけれども、その辺の今回の制度を構築するに当たっての下ごしらえといいましょうか、そういうことについてちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 成年後見制度の改正につきましては、制度の利用者の御意見を十分に反映させる必要がありますことから、法務大臣の諮問機関である法制審議会の民法部会に老人福祉団体、障害福祉団体、権利擁護機関、社会福祉協議会等の福祉関係者を含む一般有識者の幅広い参加を得た成年後見小委員会を新たに設置いたしまして、平成九年十月から平成十年十二月まで調査、審議を行いました。その検討の過程では福祉関係団体及び社会福祉協議会所属の各委員から多岐にわたる御意見をいただいております。 また、成年後見小委員会での審議、検討の中間段階で、昨年四月、成年後見制度の改正に関する要綱試案を公表し意見照会を行いましたが、障害者の当事者団体を初めとする多数の福祉関係団体から意見を寄せていただきました。その数、百六十になんなんとしております。 そしてまた、阿部委員は自由民主党社会部会の成年後見に関する小委員会の委員長として、この意見等についての報告をまとめていただいたことに法務省としましても大変感謝を申し上げている次第でございます。
○阿部正俊君 感謝と、そんな大それたことじゃないのでございますけれども、やはりできればそうしたふうな制度が望ましいのではないかということで比較的早くから関心を持たせていただきましてやらせていただいたんです。 同時に、私は別にエールの交換じゃございませんけれども、法務省さんにしてはと言っては大変失礼でございますけれども、この問題については本当に法制度を直す、特に禁治産、準禁治産あるいは契約その他かなりの制度の大きな改正なんです。これを数年の短期間の間にここまで持ってこられた関係者の御努力と、あとは小委員会等をやっておりまして非常に誠実にお答えいただき、かつまた今、山本政務次官から御紹介がございましたように、できるだけ多くの方々を、特にいわゆる福祉関係、精神障害者関係の団体あるいはぼけのお年寄りを抱える家族の会の代表の方とかあるいは知的障害の関係の育成会の方々からも意見をお聞きいただいたというふうなことで、私もその後でそんな方々に大変法務省さんは誠実にやっていただいたというふうに聞いております。そういう意味で、事務当局を含めまして大変私は前向きに考えていただいたんじゃないのかというふうに感謝し、かつまた特に民事法制を預かる法務省さんとしてはぜひそうあっていただきたい。 法というのは、正邪を決めるだけではなくて、やはり人々の日常の生活を秩序立てて円滑に運営していくためのスタンダードだというふうな面も、十分そんなふうな考え方で一人一人の能力の違いはありましてもそんな方々が一緒に暮らせるような社会をつくる。ある意味では司法にもノーマライゼーションというのがあるということだと思うのでございます。どうかひとつそんなことを大事にしていっていただきたいというふうに思います。 山本政務次官、もしおわかりになりましたら、いろんな御要望があったと思うんです。ただ、多くの団体、多くの方々ですからすべてのテーマを取り入れるということはできなかったのではないかと思うんですけれども、そういう意味で今回の改正ではまだ宿題として残った課題ということについてもしおわかりでしたらお答えいただければありがたいし、これからの検討といいましょうか、何かお考えがありますればお聞かせいただきたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 制度の枠組みについての意見として多かったのは、まず軽度の精神上の障害のため判断能力が不十分な方々のための類型の新設、また任意後見制度の導入、そして能力の制限があることを戸籍に記載することをやめることなどでございます。これらの意見につきましては、今回の改正に盛り込まれております。そのほかにも、従来の禁治産制度において身上監護面の手当てが十分ではなかったとの御指摘もありましたが、そうした事項についても今回の改正に反映させております。 一方、御意見をいただきました中で今回の改正法案に盛り込まれていないものとしては、この制度の利用者に対する公的な支援体制の問題でございます。しかし、これにつきましては、社会福祉分野において日常生活に必要な援助を行うための利用者支援の取り組みについて成年後見制度との連携、補完を視野に入れながら検討が進められていくことが必要であると考えられております。 具体的には、厚生省で推進中の社会福祉基礎構造改革において判断能力の不十分な者に対する無料または低額の料金による福祉サービスの利用援助等を行う社会福祉事業の創設とそのための全国的な体制の整備を進めることとされておりますので、その検討が期待されるところでございます。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 それでは、今挙げられました利用者に対する支援体制等につきまして後ほど、多分厚生省になるのかと思いますけれども、権利擁護事業のところで再びお聞きしたいと思っております。 さて、もう午前中の質疑でも出たのかと思いますが、私いなくて大変恐縮でございましたけれども、ダブるかもしれませんけれども、改めまして少し法律的な改正の中身について御説明をいただければと思います。 まず最初に、いわゆる禁治産、準禁治産というふうな従来の制度は廃止されまして、新しく後見の制度ができるわけでございますけれども、具体的にどの点が従来の禁治産、準禁治産というのと、新しくできますいわば類似といえば類似でございますが、後見、保佐という制度、いわゆる補助と任意後見はまたちょっと違うと思うのでございますけれども、禁治産、準禁治産と新しくできます後見、保佐、この二つの制度の違いといいましょうか、どういうふうな点がより後見制度の理念に近いことになるのかというような点について、かいつまんでポイントをお聞かせいただければと思います。
○政務次官(山本有二君) 従来の禁治産、準禁治産制度についての改正としましては、次のとおり制度の全般にわたって先生御指摘の自己決定の尊重の理念に沿った法律上の手当てをしているところでございます。 まず、精神上の障害により判断能力が著しく不十分な方々を対象とする保佐の制度におきましては、本人の申し立てまたは同意が代理権付与の審判の要件とされ、本人の意思に基づいて代理権による保護が図られる仕組みといたしました。 次に、成年後見等の選任に当たっては、本人の意見を考慮すべきものとされ、また成年後見人等は、後見等の事務を行うに当たっては、本人の意思を尊重しなければならない旨の明文の規定を設けました。 第三に、後見、保佐の両制度において、日用品の購入その他日常生活に関する行為は、全面的に本人の判断にゆだねて、同意権、取り消し権の対象から除外いたしました。 第四に、保佐人と本人の意見が食い違い、本人の不利益となるおそれのない行為について、保佐人が同意しない場合には、本人は家庭裁判所の許可を得て当該行為をみずから行うことができるものといたしました。
○阿部正俊君 わかりました。 後で述べますが、まだまだそういう仕掛けというのは全く未知な点がありますし、国民に使われてこそ初めて生きた制度だと思いますので、その辺どうかひとつ、むしろ大いに使われるようにしていっていただきたいと思うんです。 そのときに、よく普通の人、普通の人というよりもむしろ意思決定能力が弱い方々が多いわけでございますので、そういう方々にも絵でもかいてわかりやすくお示しいただければありがたいものだなというふうに思いますので、今の山本政務次官のお言葉を絵にかいてお示しできるように、こんなにいい形になったんだよということで、ぜひ御工夫をお願いしたいなと、こんなふうに思います。 さて、今回新しくいわゆる後見、保佐の制度に加えまして補助制度というのを導入されておられます。これは先ほど外国の例を申されましたけれども、似たような国もございますし、今回のいわゆる成年後見制度というふうに言い得るための大きな目玉といいましょうか、ポイントの一つではないかなというふうに思いますけれども、今回こうした新しく補助の制度というのを設けました趣旨と、どういう場合に利用されるのかというふうなことについてちょっと御説明を願えればと思います。
○政務次官(山本有二君) 新設の補助の制度は、軽度の痴呆、知的障害、精神障害等により判断能力が不十分な者、すなわち現行法のもとでは禁治産、準禁治産制度の保護の対象とならず、財産管理等に支障を生ずるケースが多々見られた軽度の精神上の障害がある者を保護の対象とする制度でございます。 この制度においては、保護を必要とする本人のために補助人を選任し、当事者が選択した預金の管理、介護契約等の特定の行為について、審判により補助人に代理権または同意権、取り消し権を付与することが可能とされております。この制度の新設により、これまで財産管理等に支障を生じていた軽度の精神上の障害がある方々が本人の意思に基づいて必要かつ適切な範囲で弾力的な保護を受けることが可能となり、成年後見制度の利用価値を飛躍的に高めることになるものと考えております。 例えば、補助人に特定の法律行為の代理権を付与することにより、適法、有効に法律行為を確実に行うことが可能になることから、介護契約や施設入所契約の締結などに利用されるものと考えられております。また、補助人に同意権を付与することにより、悪徳商法等による被害から本人の保護を図ることが考えられております。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 これは感覚の問題でしょうから、あえて言うのはどうかなと思いますけれども、政務次官の答えに、法律上もそう書いてございますが、保護という言葉がございます。 私は、今回の成年後見というのは、保護ということよりも本人の尊重というふうな意味だと理解しておりますけれども、従来の保護といいますと、本人の意思というよりも、いわばいい食事をして、いい布団に入れてやるのがいいじゃないかというふうなのが保護という、どっちかというととかくそういう方向に流れがちでございますので、できますれば、将来、成年後見制度をもう少し一般の方々に知ってもらうためには、保護という言葉を慎重にお使いいただきたいものだなというふうに思います。これは要望でございますので、特段のお答えは要らないと思っています。 さて、今回の成年後見制度の全体を通じたポイントの一つといたしまして、従来の禁治産、準禁治産というふうな制度のときに、後見人、保佐人というのをつけていたわけでございますけれども、どうしてもお一人でやるというんでしょうか、お一人が後見する、お一人が保佐するというふうな仕掛けでございましたけれども、今度はどっちかといいますと、一人の人がすべてを担うということではなくて、例えば監督という者というのは非常に大仰な言葉ではございますけれども、少なくとも複数の方が御本人の意思の尊重、あるいは意思がそんたくされて本人の利害をきっちり実行されておるのかなということについて、いろんな形がございますが、少なくとも複数の目がそこに注がれるということが大きなポイントかなというふうに思います。 例えば、従来、配偶者がいわば法定後見というんですか、よく詳しく知りませんけれども、まず配偶者がなるのが原則だというふうなことがあったやに聞いておりますけれども、それもやめるということ。もちろん夫婦でありますれば配偶者が片方の配偶者の意思をできれば代弁できればというのが理想ではございますけれども、なかなかそういかないケースが率直に言って多々ございました。 というようなことで、今回、お一人残った配偶者の原則後見というのをやめまして、新たな後見人の選任及び複数の方の目がそこに行き届くというふうな形に変えてきたというのが一つの大きな全体に共通した後見人の選任及び後見の実施についてのチェックというものを入れたというのが一つのポイントかなというふうに思うんです。 そうした後見人、保佐人あるいは補助人という方々の選任方法なりあるいは実施についてのチェックの仕方なりについて従来と違った点は、どういう点を変えたのか、特に配偶者の選任、原則後見というのをやめたというふうなことも含めて、考え方と中身のポイントをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○政務次官(山本有二君) これまでは夫婦の場合配偶者が必ず後見人、保佐人となるものとされておりますが、高齢者の場合には配偶者も高齢となっていて後見人等の役割を果たすことができないことも少なくないとの指摘があったところでございます。 また、これまでは複数の後見人等を選任することができず、法人を後見人等に選任することの可否につきましても解釈上疑義があるので適切な対応ができない場合があると指摘されてまいりました。 そこで、今回は配偶者が当然に後見人等となることをやめ、法人や複数の成年後見人等の選任も可能としております。そして、成年後見人等につきましては、家庭裁判所が本人の保護の必要性や本人と成年後見人等との関係等の事情を総合的に考慮した上で、個々の事案ごとに適任と認める者を選任することになります。具体的には、従来の後見人等の大多数を占めてきた親族、知人に加えて、弁護士、司法書士等の法律実務家、社会福祉士等の福祉の専門家、さらには社会福祉協議会等の法人も成年後見人等の候補となるものと考えられます。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 さて、今回の成年後見制度においてもう一つのポイントだと思っているのでございますが、前の制度の禁治産、準禁治産というふうな表現から変わったということでもおわかりのように、御本人のいわば財産的な問題だけではなくて、どういう生活を組み立てていくのかということについてさまざまなことがあるわけでございます。 例えば、施設入所、あるいはさまざまな福祉サービス等も受けるか受けないか、あるいはどういうふうな受け方をするかというふうなこともあるわけでございますが、言葉はまだこなれていないなという感じが、しようがないんですけれどもいい言葉がないのでそうなりますけれども、いわゆる身上監護というふうな表現でございますけれども、これについてどういうふうに成年後見制度の中に位置づけておくのかということが一つの大きなテーマではなかったかなというふうに思うのでございます。 法律的に若干の手直しがなされているようでございますが、成年後見制度における身上監護の意味と、それから法律的な手直しの内容について御説明をいただきたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 身上監護に関して、現行民法第八百五十八条第一項は後見人に禁治産者の療養看護義務を課しておりますが、対象行為が限定されていて、身上面の多様な職務における後見人の注意義務を含むことができないことなどについて批判があったところでございます。成年後見人の行う法律行為には、身上監護を目的とするものはもとより、財産管理に関するものであっても本人の身上に関連する事項が多く、成年後見人は本人の身上に配慮して事務を遂行すべき一般的な責務を果たすことが求められるところでございます。 そこで、身上面の保護の重要性にかんがみ、成年後見人の後見事務遂行に当たって、身上配慮義務として本人の心身の状態及び生活の状況に配慮すべき義務に関する一般的規定を創設するとともに、自己決定の尊重の観点から、本人の意思を尊重すべき義務につきましてもあわせて規定することとしたものでございます。 なお、この点は保佐及び補助制度における保佐人及び補助人につきましても同様でございます。
○阿部正俊君 わかりました。 それからもう一つ、いわゆる従来の制度の是正されるべき点として、戸籍に記載されるということについて、なかなか利用が進まない点の一つの大きな特色として挙げられておりました。 戸籍ということについて、特に日本の場合には、何か人間の存在そのものの原点のように受け取られている点があるものですから、そこに禁治産、準禁治産と書くと一人前の人間ではないというふうな烙印を押されるような受けとめ方をする方が少なくなかったのではないかというふうに思うのでございますけれども、今回の改正ではそれをやめまして新しい制度にするわけですけれども、同時にやはり利用者あるいは従来の取引上の安全というものも配慮しなきゃいけないことでございます。 当事者自身も、そうしたふうな法律上の利用関係にあるということを確認できる制度がどうしてもやっぱり必要なのかなというようなことで、いわゆる登記法が新しくつくられたのであろうというふうに思うのでございますけれども、場合によっては、人によってはそんな登記制度なんて要らないじゃないかというふうな人もいなくはありません。と同時に、社会的な諸関係をさまざま取り結ぶわけですから、そうした関係を秩序立てていくためには何らかの登記制度、確認制度と言ったらいいのかもしれません、何か本人のレッテルを張るという意味ではなくて、どういうふうな法律関係にあるのかということを確認できる仕組みというのが必要なのかなというふうに思うわけでございます。 今回の登記法の、従来の制度と変わっている点で、その登記制度の趣旨というものと同時に、それがだれでもかれでも見られるということもやはり防がなきゃいけない点だし、それは難しいところでございますけれども、どの範囲で確認できるのか、あるいはこういう人はできないのか、その辺について少し考え方をお話しいただければと思います。
○政務次官(山本有二君) 現行制度のもとにおいて、禁治産宣告または準禁治産宣告の裁判が確定したときには、後見人または保佐人からの届け出により、本人の戸籍に禁治産宣告または準禁治産宣告の裁判が確定した旨及び後見人または保佐人を特定する事項を記載しております。 しかし、禁治産宣告、準禁治産宣告を受けたことが公開を原則とする戸籍に記載されることにつきましては、関係者にとって強い心理的抵抗感があり、これが禁治産制度、準禁治産制度の利用の妨げになっているとの批判があり、また今回の改正による補助類型の新設、任意後見制度の創設に伴い、補助人、任意後見人の多様な代理権等を公示するためには戸籍記載では十分対処できないことをも考慮し、現行の戸籍記載にかわる新しい登記制度を創設することとしたものでございます。 成年後見登記制度における登記情報の開示は、登記官が登記されている事項を証明した登記事項証明書を交付することによって行いますが、取引の安全保護の要請と本人のプライバシー保護の要請との調和を図るため、登記事項証明書の交付を請求できる者につきましては、本人、成年後見人、成年後見監督人等一定の者に限定しております。
○阿部正俊君 ありがとうございました。 さて、もう一つ、今までの制度の利用が進まなかった点の一つとしていわゆる選挙権、被選挙権との関係の問題もあったのかなというふうに思うんです。残念ながら、この点については、今回の制度では少なくとも後見人がつけられる方についてはやはり選挙権、被選挙権というのは難しいのかなというようなことで見送られたやに聞いています。 これは簡単で結構ですが、そういう事情にあるのか、あるいはこれから先も、これはどうしてもやっぱり選挙という自分で意思表示をするということから見て無理だということなのか、あるいはもう少し何か工夫はないのかという気もしないでもないんですけれども、お考えをお聞かせいただければと思います。
○政務次官(橘康太郎君) 公職選挙法第十一条におきましては、禁治産者は選挙権及び被選挙権を有しないと規定しているところでありますが、これは禁治産者が心神喪失の状況にある者であることから、選挙権及び被選挙権を有しないとされているところでございます。 今回の民法改正案では禁治産者が成年被後見人と変わるため、自治省として検討してまいりましたが、その対象者は一致するものであり、選挙時に個別に意思能力を審査することも困難であることから、従来の禁治産者と同様、成年被後見人について選挙権及び被選挙権を有しないとしているところでございます。
○阿部正俊君 橘政務次官、わざわざお出かけいただいてお答えいただきまして、恐れ入ります。結構でございます。ありがとうございました。 できれば、将来とも一つのテーマとして、これは課題の一つだというふうに御認識いただければありがたい、これは要望でございますが、申し上げておきたいと思います。 さて、今回の禁治産制度の利用を困難にしている理由の一つとしてもう一つございますのは、いわゆる他の資格制度、さまざまな数百の資格制度があるわけでございますけれども、禁治産、準禁治産者は門前払いといいましょうか、そもそも欠格事由に該当するんだということで、事実確認の前にそもそももう無理だというようなことで頭から門前払いをしている制度が結構あったやに思うし、これにつきまして法務当局もできるだけの改善をしたいものだということで御努力いただいたのではないかなと思うのでございますけれども、やはり大事なポイントの一つであると思います。 これも時間が限られておりますので余り深くできませんけれども、できますれば、どんなふうな基準で各省庁に働きかけ、その成果についてどんなふうに思っておられるのか、どんなふうな成果があったのか、ちょっとお答えいただければありがたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 欠格条項は、各種法律中の資格等にふさわしい能力を担保するために設けられるものであり、資格等を付与する段階においてそのような能力を有しているかについて審査を行うべきものであります。 そこで、個別的な能力審査手続が整備されている法律については禁治産宣告等をあえて欠格条項として存置しないこととし、それ以外の当該法律中に十分な能力審査手続を有しないものなどについては欠格条項として存置するとの方針で、所管の各省庁と協議し、改正案を取りまとめたものでございます。 その結果、欠格条項のうち、削除されるものが民法中のものを含めて四十二件、存置されるものが百十六件となっております。この結果につきましては、ある程度の成果を得たものと考えております。
○阿部正俊君 どうかひとつこれからも、門前払いをするのではなくて、ある一定の目的を果たす、あるいはある仕事をするための資格でございますので、その資格が、能力が、そういう力があるのかないのかということを確かめることは結構でございますけれども、頭からレッテルを張るような欠格条項というのはできれば私やめてもらっていいのではないかなという気もしないでもないんですけれども、これからも引き続き御努力をお願いできればということをお願いしておきます。 さて、以上いろんなことを申し上げて、これもむしろ先に聞いておきますか。 今回の法律改正で、従来のいわば委任契約でもできたけれども、従来の契約よりも、一般論として、任意後見というものをつくってより普及させていきたいということで、任意後見の制度がつくられたと思うのでございます。法律論としては従来の委任契約等でもあるいはできたのかなと思うのでございますけれども、あえて一歩踏み込んで、こうしたふうな契約方式を取り込んでより幅広く利用しやすいようにしたと。私も結構なことだと思うのでございますけれども、むしろそのPRを一言、政務次官、お願いできればと思います。
○政務次官(山本有二君) 任意代理人を選任する委任契約につきましては、本人の意思能力喪失後も代理人の代理権は存続すると一般に解されています。しかし、本人の判断能力低下後の任意代理人に対する監督の枠組みがない現行法制のもとでは、自己の判断能力低下後の後見事務を任意代理人に委任する委任契約は、実際には利用が困難であると考えられております。 このような問題に対応するためには、本人の判断能力低下後の任意代理人に対する公的な監督の枠組みを法制化することについては、従来、関係各界からその必要性が強く指摘されてきております。特に、任意代理を活用して現在財産管理サービスを試みておられる地方自治体の社会福祉協議会、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会等からは法制化に対する強い期待が寄せられておりました。 任意後見制度は、このような関係各界のニーズを踏まえ、私的自治の尊重の観点から、本人がみずから締結した委任契約に対して、本人保護のための必要最小限の公的な関与を法制化するものであります。また、自己決定の尊重の理念に即した本人保護の制度的な枠組みを構築しようとするものでもございます。
○阿部正俊君 大枠、承知いたしました。どうぞ利用されることをこれから望むわけでございます。 今の任意の制度だけではなくて、制度体系全体が大きく変更するわけでございますが、これをどう利用していただくか。国民の日常生活の、いわば人間の尊厳ある生活を組み立てていく上において大いに役立てていただくということが大事なことなんだろうと。法的な枠組みをつくったからあとは利用するかどうかは本人次第ということでは、日本の今までの契約とか本人の意思とかというのを大事にする社会ではなかったといえばちょっとオーバーでございますけれども、待ちの姿勢ではなかなか定着しないのではないかなという気がするわけでございます。 したがって、全体の制度、任意後見も含めて、任意代理人といいましょうか、それも含めまして、今までどうしても、私がこうなったらこうしてよというふうなことをしっかりしている間に意思表示をつくっておくというふうな考え方というのは余り一般的ではなかったわけですね。今までの老人福祉等々の考え方ですと、いわば最後まで御家族に契約なしに何となくお任せして、一方で、御家族も意思表示をしないで大変だなと思いながらもどん詰まりまで来ちゃってどうにもならなくなってしまうという例が意外と多かったのではないかと思うのでございますけれども、そういう意味で物の考え方そのものを、大いに事前に意思決定をし、本人の意思で事は動いていくんですよということをやはり国民によく了知していただかないといけない点ではないか。 そういうことからすると、従来の法務行政ではいわばお裁き所ということで、来たら何か裁いてあげるよということではなくて、市民生活の中の秩序立てたルールづくりということについて国民の中に浸透していくことをぜひもっと積極的に乗り出していってもらいたいなと思うのでございます。 制度のパンフレットをつくるとかいうだけではなくて、各層、例えば弁護士さんなり司法書士さんなりというふうな方々の意識も含めて、改めて国民の、庶民の生活の中を秩序立てていくというふうなこと、あるいは本人の意思が大事なんだということを前提にした仕組みを担い手として考えていっていただきたいなと思うのでございますけれども、そうしたこの制度の普及促進について、あるいは定着について、お考えがございましたらお聞きしておきたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 新しい成年後見制度が真に利用しやすい制度として運用されるようにするための方策として、一般の利用者にとってもわかりやすいパンフレットその他の説明資料等を作成して、全国の関係機関、団体等に配付するなど、制度の周知や広報に鋭意努めていく予定でおります。 また、新しい成年後見制度の利用のための相談体制の整備に関しては、家庭裁判所における家事相談のほか、社会福祉協議会等の福祉関係機関における相談事業、弁護士会、司法書士会、社会福祉士会等における相談など、関係各方面と連携を図りながら相談体制の充実に努めたいと考えております。 さらに、成年後見人等の制度の担い手の確保につきましても、各種の関係団体、機関等における候補者の研修、名簿作成、推薦等の体制の充実が円滑に進むよう関係各方面と緊密な連携協力を図ってまいりたいと考えております。
○阿部正俊君 どうかひとつよろしくお願いしたいし、かつまた、これはいわゆる利用する人、障害を持った方あるいは判断能力が劣った方に対してということではなくて、私は国民全体の理解というのはやはり要るんじゃないかなと。そういう意味で、一人一人の障害の有無あるいは判断能力の良否だけにかかわらず、国民みんな、やはり個人個人の意思をまず確かめて、そこを基本にして物を考えていく社会のルールというものが求められるのではないか、その一つの典型の例として私は成年後見制度というのがあるのではないかなという気がしますので、どうかそういう点で直接かかわる方々だけではなくて、より広く私は意識の変革というものを求めていくスタンスでお願いしたい。 人権尊重というのは、いわゆる物的な利害ということだけではなくて、そうした人間の尊厳の一番基本にある意思というものがどういうふうに尊重されるのかというのが基本かなというような気がしますので、新しい人権尊重あるいは人権擁護の基本理念として、その一番の典型として後見制度があるんですよというような視点からぜひ幅広い働きかけをお願いしたいなということを御要望申し上げておきます。 さて次に、厚生省の政府参考人がおいでいただいていると思うのでございますが、やはり法的な枠組みとともに、いわゆる従来福祉制度で対応してまいった方々あるいは知的障害、痴呆の高齢者等々について、まずいきなり裁判所に行って手続するということはどうも抵抗があるのかなという気もしますし、もう少しそれの窓口的な役目を果たすところがやはりどうしても裁判所以外に要るのかなという気がいたします。と同時にまた、法的な枠組みをつくるまでいかなくても、事実行為として解決できるもの、あるいはその方が望ましいものというものもあるんだろうというふうに思うのでございます。 そういう観点から、私ども自由民主党での小委員会の報告にも取り上げておりますけれども、法的な制度と、それを窓口として、あるいはそれを補完するといいましょうか、両々相まって機能する仕掛けが裏表で要るんではないか、車の両輪ではないかというようなことを申し上げてまいったわけでございます。 どうも聞くところによりますと、厚生省の方でも地域福祉についての権利擁護事業というような形で、ちょっとかた苦しい名前だと思うんですが、というものをおやりになるというような話を聞いておりますけれども、そのことにつきまして、全体の説明は時間がないのであれですが、特に成年後見制度との関係でどういうふうな役目をしていくのかということと、それから法律的な手当てを、制度を利用する前の段階として何をしようとしているのか、この辺についてかいつまんでお答えいただければと思います。
○政府参考人(炭谷茂君) 地域福祉権利擁護事業につきましては、知的障害者、精神障害者等、判断能力が不十分な方々に対しまして、先生が強調されております本人の意思の尊重の基本に立ちまして、福祉サービスの利用の援助やそれに付随した日常的な金銭管理等を援助する仕組みでございます。 これと成年後見人制度との関係でございますけれども、基本的には成年後見人制度と相補い合う関係にあるわけでございます。具体的に申しますと、成年後見人制度は、法律事項また身上監護に基づく法律事項等について援助を行うというものでございます。 これに対して私どもの事業は、いわばもう少し軽微なもの、日常的に生ずるような福祉サービスの利用の援助ということに重点を置いておるわけでございます。したがいまして、私どもが相談を受けている過程において、これは成年後見人制度を利用された方がいいという窓口での判断があればそちらの方につながなければいけない、具体的に申しますと、契約を結ぶ意思能力が私どもの方では欠けるとか、またこれは重要な財産処分が伴う問題だというような問題については成年後見人制度の方へつなぐというような形での相協力という形で進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○阿部正俊君 局長、ちょっと忘れました。 先ほど山本政務次官のお答えの中で、利用者支援のところについて厚生省の方に期待するような意味の御発言があったやに聞いておりますけれども、そうしたふうな答えについては、この権利擁護事業の中では何かお考えかどうか、一言だけお聞かせ願いたいと思います。
○政府参考人(炭谷茂君) これからの社会福祉サービスにおきましては、いわゆる現在行っております措置制度から介護保険などに見られるような利用契約制度という形になろうかと思います。そうした場合、あくまで利用者に判断をしていただいて選択をしていただくということが重要になってまいりますけれども、その場合、痴呆性高齢者のような自分で判断が必ずしも十分できないという形の場合が生じてまいります。そのような場合、その手続を代行するとか、また助言をするというようなことでこの地域福祉権利擁護事業が機能を発揮するんじゃないかというふうに考えているわけでございます。
○阿部正俊君 もうちょっと具体的に低額利用のような話もあるのかなというふうに思っておりました。これは細部にわたりますのできょうはやめておきますが、いずれお聞かせいただければと思っております。 さて、最後に、あと残り時間わずかですので二問だけにいたしますが、一つは、現在いわゆる入所者施設、例えば特別養護老人ホームあるいは養護老人ホームあるいは身体障害者療護施設等々で、御本人が例えば年金を受けておられる、あるいは貯金を持っておられるというふうな場合に、従来の福祉制度では、住所そのものを当該施設に移す場合が多かったわけでございます。ということになると、年金はその施設に入所されている方の通帳に振り込まれる、こういうことになります。かといって御本人のお部屋は個室は余りなくて何人かのお部屋が多いわけでございますので、そうなると勢いその御本人の年金やら貯金やらは施設が事実上お預かりし、若干の利用料の支払いとか、あるいは日常的な利便にそのときそのときで施設に申し出て管理し、うっかりすると時にはその預貯金が、例えば一人百万円ずつですと百人おれば一億円になるわけでございますね。ということで巨額なものになっておるんだろうと思うのでございます。 このよしあしはいろいろ意見がございますが、私はこれを放置していいものだとは思いません。やはり御本人の意思なり、お一人お一人の違った形で管理されるべきだと思いますし、かつまたうっかりしますと、施設側にとりましてもやむなくやっているというようなことでございまして、少し意地悪な目で見ると、何かそこからいい思いをしているんじゃないかというように見られることに対して大変遺憾に思っている施設の経営者も少なくございません。 この辺について、今回の成年後見制度の成立を機会に是正していくということがどうしても具体的に必要なことではないかなと思いますが、その前に、これについていわばどれくらいの推計額になるかというのは、ちょっと統計はないかもしれませんけれども、そうした施設入所者の預かり金の実態あるいは実例ということについて、まず最初に厚生省の方にお聞きしておきたいと思います。
○政府参考人(炭谷茂君) いわゆる社会福祉施設における入所者の預かり金の実態につきましては、その実際に預かっている金額というものの実態はなかなか把握できないわけでございますけれども、たまたまことしの四月に私どもの所管しております救護施設について調査いたしますと、大体三十万から四十万程度になっております。しかし、実際はもっと、特別養護老人ホームになりますとやはりその一けた上に行くんじゃないのかなというのが私どもの職業的な勘でございます。 これにつきましては、現在、先生が指摘されましたいろいろな問題点、またこれをやらなければいけないような実態というものもあるとおりでございます。これについては入所者のあくまで自主性、本人の意思の尊重ということを原則にいたしまして、不祥事防止の観点から、各都道府県を通じまして、これら入所者預かり金についての施設における管理規定の整備、内部牽制体制の整備など、適正な管理について指導を行っているところでございます。
○阿部正俊君 これ以上その点は触れませんけれども、ぜひこの機会に改善していってもらいたいものだなというふうに思います。 この点について一つだけ法務省さんにもお聞きしておきたいと思うんですが、法律上今言った施設での預かり金というのはどういうふうに考えるべき問題なのか、今までですね。これから先、成年後見というふうな新しい仕組みができたらどういうふうな形になっていくのがより望ましいのか、この辺について一言お聞かせ願いたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 何らの権限なく財産管理行為を行うことは本来許されるべきではないことであり、これは民法改正後も変わることはありません。 この問題につきましては、成年後見制度の利用が広がることにより、施設に入所している方々の財産管理を成年後見人等が適法に行うことが定着することが期待されます。また、施設内で御指摘のような行為が行われることを成年後見人等がチェックすることが可能になり、トラブルの防止が図られることになるものと考えます。 なお、成年後見制度は判断能力の不十分な方々のための制度であり、身体障害を有する方々につきましては、精神上の障害により判断能力が不十分である場合には成年後見制度の保護を受けることが可能だということだけ付言しておきたいと思います。
○阿部正俊君 どうもありがとうございました。 約一時間半近くさせていただきましたけれども、最後に一つだけつけ加えてお聞きしておきたいと思います。 今回の改正で、民法の九百六十九条、いわゆる公正証書遺言につきまして改正が行われております。この内容は、公正証書遺言の作成方法が九百六十九条に書いてあるわけでございますけれども、公証人はあくまでも「遺言者の口述を筆記し、」と、こうなっているものですから、あるいは読み聞かせるということになりますと、口がきけない人、耳が聞こえない人は公正証書をつくれない、こういう運用をされてきておったようでございますね。 私は、正直申しまして、法律の解釈論としてそこまで厳格にやらにゃいかぬのかな、本来の趣旨は何だということで、改正をするまでもなく、できれば幅広い解釈をしていく、いってほしかったものだなというふうに思います。 ただ、今回、幸いよく気がついていただきまして、これをやめて、手話通訳でも結構ですし、筆記でも結構だということになるように聞いておりますけれども、この点について、いわば今回の改正の趣旨あるいはこれからの運用についての御決意といいましょうか、お考え方を最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○政務次官(山本有二君) 遺言の方式につきましては、公正証書遺言、秘密証書遺言、自筆証書遺言の三つの方式があり、利用者がこれらを適宜選択することによってあらゆる方が遺言をすることができるようになると考えられておりました。 現行民法は、公正証書遺言の方式について口授、口述及び読み聞かせを必要としており、聴覚・言語機能障害者は公正証書遺言をすることができないと解されております。 これは、遺言意思の真正及び正確性の担保の観点から、特に厳格な口頭主義を採用したものです。手話の未発達であった約百年前の民法制定時には、聴覚・言語機能障害者につきましては、その意思を正確に反映する方法として自筆証書遺言または秘密証書遺言が相当と考えられたものと思われます。 今回の改正は、手話の急速な発達、普及という近年の社会状況の変化に対応して見直しを行うこととし、手話、筆談等で足るというように改正したものでございます。
○阿部正俊君 ありがとうございました。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。 今回の民法の行為能力の制度、百年ぶりに大改正ということでございます。近年、高齢社会に突入をいたしまして、いろんな分野でこの行為能力の制度につきまして不備が目立ってきたなというふうに思っているところでありまして、今回の成年後見制度の改正というものはまさに時期を失したのではないかというふうに思っているような次第であります。 私ども理事、また各法務委員会の委員のもとにもいろんな要望書が来ていると思いますが、今般、きのうですか、日本障害者協議会というところからも緊急要望書というのが送られてまいりました。その中には、「参議院におきましても、大綱においては各会派一致した見解にあると伺っております。事は障害のある人々の人権に関わる問題であり、また、筆舌に尽くし難い家族負担の軽減・回避という観点からも、その成立が急がれるのです。」、こういうような記述があります。七十一団体を擁する協議会ということでございますけれども、私ども当院の法務委員会としてもこの改正についてしっかり議論をし、また一日も早い成立を図っていきたいというふうに思っているところでございます。 実態はどんどん現実対応が必要になってきておりまして、各自治体においてもいろんな制度というかアイデアというものが出てきました。先ほど厚生省の地域福祉権利擁護事業というのがことし十月から開始されたということでございますけれども、地方自治体でもかなり前からやっておられるんですね。東京都中野区ではもう昭和五十八年から、一人暮らし高齢者等財産保全サービス事業というのを開始されているようであります、今から十五、六年前ですか。 それからまた、東京都においても平成三年から、平仮名で「すてっぷ」という表現になっておりますが、知的障害者や痴呆性高齢者、また精神障害者権利擁護センターというものを設けて、いろんな現実の生活のアシスト等をやっておられる。また、各県の弁護士会でも同じような制度をしようとしておりますし、大阪でも後見支援センター「あいあいねっと」というものが平成九年からスタートしているようであります。 そして、先ほど来阿部先生の質問にも出ておりましたけれども、ようやく厚生省の地域福祉権利擁護事業というものがスタートしたようでございますが、先ほど厚生省の局長の方から、この擁護事業と今回の成年後見制度との関係につきまして相補う関係であるというような表現がなされました。 ただ、例えば痴呆性老人にかわって軽微な法律行為とかまた財産管理、金銭管理というふうなことになりますと、補助だと思いますが、かなり重なり合う部分が出てくるんだろうというふうに思うんです。これは、まさに福祉と司法とをどうとらえるかというようなことかと思いますけれども、法務省としてはこの役割分担というものをどのようにお考えになっているのか。大臣あるいは政務次官でも結構ですから、コメントをいただければ幸いであります。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘のとおり、いよいよ始まります介護保険における地域福祉権利擁護事業、それから私どもの成年後見法、まさにともどもにしっかり両立していかなければいけない、こういうことでございまして、お互いにしっかりと相補いながらやっていく必要があろうかと思っております。 そういう意味におきまして、今、委員御指摘でございますが、今後とも両法の事業というものをしっかりと確認をしながら、お互いに相補いながらやるようなことを心がけてまいりたいと考えております。
○魚住裕一郎君 それで、この成年後見制度、新たに拡大したというようなイメージで私はとらえるんですが、制度をスタートさせるについていろんな体制整備が必要かと思っております。特に後見人ということから考えますと、この後見人確保の問題があろうかと思います。 日本司法書士会連合会では本年十二月に社団法人成年後見センター、こういうものを設立予定であるというふうに聞いておりまして、内容は、支部を都道府県につくって、高齢者からの相談に応じたり、またみずから後見人となって生活支援も行うと。また、東京弁護士会でも約三百人というふうにお聞きしておりますが、高齢者・障害者総合支援センター「オアシス」を立ち上げたというふうに聞いているところでございますが、そういう状況の中で、後見人の候補者名簿等をつくってこの制度を支えていくというふうになろうかと思いますが、これらの機関との連携をどのように考えていくのか。 先ほど来各弁護士会とか司法書士会とかいろんな福祉法人、協議会とか御説明ございましたけれども、そういう方々がかなり偏在しているのではないか。例えば、過疎地あるいは離島とかいった場合にこの対応策は一体どういうふうに考えていくべきなのかということもあわせてお聞きしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま御指摘の司法書士会あるいは弁護士会においては、高齢者や障害者の財産管理、身上監護を目的としたセンターというものを構想しているわけでございます。既に実施されているところも結構多いわけであります。成年後見人等の受け皿としても私どもも大いに御期待を申し上げている次第でございます。こうした関係機関との間において、相談体制の整備や成年後見人等の養成確保のための研修への協力などを通じて、十分な連携というものを図ってまいりたいと思っております。 なお、委員御指摘の地域偏在というものも、先般もお答え申し上げましたけれども、日本の国のどこにおっても同じような権利というものを受けられるということにしなければならないと思っておりますので、そうした点につきましては実施に当たって特に配慮しながらこれからも実施をいたしてまいりたいと思います。
○魚住裕一郎君 今の法務大臣の御決意、ぜひ何とぞよろしくお願いしたいと思います。 それから、裁判所の体制なんですが、これはもう既に質問が出ておりますが、地方における地家裁の裁判官含めて六百名だというような数の報告がございました。また、調査官も千六百ですか五百ですか、そういう数字もいただいているところでございますが、少年事件もやり、また家事事件もやり、かなり忙しいだろうなというふうに思うところでございます。 ドイツでは成年後見の担当の裁判官、先ほどから質問が出ておりますが、必ず出向いて面接して判断を下すというようなお話がございましたが、五百五十名程度いるということでございますが、本当に今の日本の裁判制度で、家裁のあり方で間に合うんだろうかというのが実感でございます。 予算審議にも関連するでしょうけれども、裁判官の増員も七十名とかそういうような数字だと。それは禁治産が七百件とか二つ合わせても二千件行かないような世界でやっていれば何とか間に合うかもしれないけれども、高齢者あるいは知的・精神障害合わせると三百七十万ぐらい、いろんなことを考えると、本当に今のままの裁判官の数では全く対応できないんではないか。需要の増加見込み、なかなか難しいかもしれませんが、その辺を踏まえた裁判所の体制整備について、最高裁の方からお聞かせいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。 今回、御審議されている成年後見制度の具体的担い手といたしましては、家庭裁判所におきましては、もとより裁判官が核になるわけでございますけれども、事柄の性質からいきますと、家庭裁判所調査官に大いに期待されるものがあるだろうと考えている次第でございます。 こういった観点からのお尋ねかと思うわけでございますけれども、今回の成年後見制度につきましては、新しい制度でもありまして、一定程度の負担の増加は予想されるものの、御指摘のように事件数の予測はなかなか難しい面がございます。そしてさらに、事件数を受けまして、事件処理の効率化でございますとかあるいはOA化とか、こういったような推進も図っていく必要もあるわけでございまして、こういったことを踏まえてみた場合に、この制度の導入によってどの程度の人的体制が必要になるかということについては、現時点では具体的に予測することはなかなか難しい面があることを御理解いただきたいと考えている次第でございます。 しかしながら、家庭裁判所といたしましては、今後、社会の法的ニーズの高まりでございますとか、今回の法改正に伴って係属することになる事件数の動向でございますとか、新しい制度の具体的な運用状況というものを踏まえながら、家庭裁判所がその特色でございます科学性、さらに後見性というものを十分に発揮して的確な事件処理ができますように、さらなる事務処理の効率化あるいはOA化を推進するとともに、家庭裁判所の人的体制のあり方についても検討してまいりたいと考えている次第でございます。 以上でございます。
○魚住裕一郎君 それから、今度の新しい制度においても後見人の報酬という側面については、被後見人というか被保佐人というか、そういう本人側の負担になっているんです。 それで、資力がない人にもこれは利用できるのか。裁判の審判の申し立てとかそういう問題ではなくして、資力がない人は取引社会とは関係ないよと言ってしまえばそれで終わりかもしれないけれども、そうはいかないわけであって、やはり資力がない人にも後見人をつけて、本人の心身の状況や生活状況に配慮しなければならないのではないか。そうすると、これは法律扶助とかそういう問題ではなくして、後見人の報酬については公費負担という制度がきっちりできないと新しい制度も本当に現実の社会に対応してうまく運用されていかないのではないかというふうに思うところであります。 先ほどから出ているドイツの世話法ですか、いろいろ改正もあったようでございますけれども、ボランティアでやっている後見人という方もいるようでございまして、そういう方には、ボランティアですから全く無料ということだけではなくして、ボランティアだけれども報酬をアップしていこう、逆に、職業的に後見人をやっている方については報酬をダウンしていこう、そんなことも考えているやに伺っているわけであります。 後見人のなり手というのも大事な要素だと思います。どういう人材を確保できるかというのも大きな問題でございまして、私は公費負担ということも含めて、報酬について、この改正案ではちょっとそこまでいっていませんけれども、どういうふうに考えていかれんとするのか、御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘のとおり、成年後見制度におきましては、本人の利益の保護の観点から本人の財産管理等を適切に行うために利用されるものでございますので、成年後見人等の後見事務に要する費用またはその報酬等の経費につきましては、基本的には本人がその財産の中から支弁すべきものであるというふうに考えられております。 なお、現行の禁治産、準禁治産の宣告に要する費用につきましては、一般の家事事件と同様に、資力の要件等の法律扶助の要件を満たしておる場合には法律扶助の対象となっております。新法における補助、保佐、後見の開始の審判に要する費用につきましても、同様に要件を満たしておる場合には法律扶助の対象となるものと考える次第でございます。 なお、今御指摘いただきましたいわゆる経費のことにつきましては、今後、社会福祉分野において、低所得者も含めて、日常生活に必要な援助を行うための利用者支援の取り組みについて、成年後見制度と、先ほど申し上げました介護保険におけるシステムとの提携、そういうものをしっかりととっていく必要があると考えます。
○魚住裕一郎君 いろんなそういう介護保険等のシステム利用も考えられると思いますけれども、公費負担というものをさらに御検討いただきたいというふうに思っております。 それから、今回の改正では鑑定というのが必ずしも必要ないというような形になってきますけれども、私も前にこの禁治産宣告の申し立てをしたことがあります。寝たきり状態というのですか、ほとんど意思表示できずに、酸素マスクというか、チューブが入っている、そういう人に対する財産管理で必要性があったんですが、そのための禁治産宣告申し立てをしまして、それでも約半年ぐらいかかりましたし、鑑定が必要だと、鑑定費用を予納しろ、三十万持ってこい、そういうような形でありました。鑑定ということだけでもかなり時間がかかるなということがございますし、また費用面でもいかがなものかなというふうに思っております。 また、司法改革の中でも、鑑定制度というのが非常に裁判の遅延というような結果も招来するやに聞いておりますし、もちろん裁判所の大変な努力ということも承知をしているところでございます。そういう意味で、軽度な痴呆等について鑑定は不要だ、これは大きな前進だというふうに思うんです。 ただ、新聞記事等を見てみますと、これは六月の新聞なんですが、例えば鑑定が必要な場合でも、「法務省は、鑑定を行う場合にも、必要限度で運用したい考えで、五万—十万円程度を想定している模様だ。」、こういうような記事が載っておりました。これは「法務省は、」という形で載っておるんですが、本当に五万、十万レベルで判断能力といいますか、意思能力の判断ですから、これはできるのかどうか。ここでは法務省と載っていますけれども、実際には鑑定作業をやるというのは審判でやるわけですから、裁判所の方も五万、十万でできるというふうにお考えなんでしょうか、その点いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 鑑定の実情を御紹介申し上げたいと思いますが、平成七年に行われました事件からとったものでございますけれども、大体五万円から二十万円で鑑定を行っていただいているものが全体の六割強あるという状況にあるようでございまして、中にはもとより高くかかっているものもあるようでございますけれども、それなりの額におさまっているということであると思います。 しかしながら、委員御指摘のように、今後の運用におきましては、この鑑定費用を抑えられないかという問題意識は十分持っておりまして、そういった面での工夫も重ねてまいりたいと考えておる次第でございます。
○国務大臣(臼井日出男君) 費用の点につきましては、今御説明のあったとおりであろうかと思います。 このたびの新しい成年後見制度のもとでは、鑑定は精神の状況の認定方法として重要なものと考えられております。鑑定をより利用しやすいものにするための改善方策や、あるいは補助制度及び任意後見制度における精神状況の認定のあり方等につきまして、現在裁判所において関係機関等とも連携をとりながら検討しておられるものと思います。
○魚住裕一郎君 今までは一応体制整備という視点からちょっとお聞かせをいただいたんですが、けさからずっと出ておりますが、成年後見制度、やはり一元的に立てるべきではないかというような思いを午前からの議論を拝聴しておっても感ずるところであります。 そもそも、この成年後見制度というのは、主に精神、意思能力の問題ですから、自己決定を尊重しつつ残った能力をどう生かしていくか、そして健常者と同じように取引社会にも参加するというような、その援助をどういうふうにしていくか、そういうことだろうというふうに思います。 だから、その援助の内容というものは、判断能力だけではなくしていろんな援助の必要性とか財産状況とか生活状況、健康状況、いろんなレベルに応じて具体的に必要性に即して決定されていくべきではないか、ましていわんや身上監護の必要とかあるいはその内容についてはそれぞれ全然違うのではなかろうかなというふうに思うわけであります。 それを踏まえながらも、先ほど法務大臣、多元的なというか、三類型というような形で理由をいろいろ述べられたわけでございますが、その中で我が国の実情に即して云々というような御説明がございましたけれども、我が国の実情に即して、非常にわかるようなわからないような言葉なのでございまして、その我が国の実情という部分につきましてちょっと補足説明をお願いしたいんですが、法務政務次官で結構です。
○政務次官(山本有二君) 既に禁治産、準禁治産制度が制定されて百年、しかも千七百件の禁治産あるいは二百数件の準禁治産、これが多いか少ないかは別といたしまして、このような制度との連続性というものを考えた場合に適当でないかというのが我が国の実情であろうというように思います。
○魚住裕一郎君 実務の連続性といいましても、結局、全く判断能力ゼロの人、著しく劣っている人、今度は補助の類型ということになるんでしょうけれども、これはこんな鋳型にはめたような形で判断できないだろうと思うんですね、当該個人にとっても段階的によくなったり悪くなったりするでしょうし。 そうすると、例えば宣告して数年たったら見直すというような形も必要になってきますでしょうし、何も実務の連続性というような、それは使っている弁護士なり裁判官が今までの類型の方が理解しやすいよと、それが実務の連続性じゃ余りにもわびしいと思うんです。やはり本人サイドに立って考えると、実務の連続性と言われてもさらに理解しがたい部分があるんですが、法務政務次官、もう一度お願いします。
○政務次官(山本有二君) 本人にとりましても一元的な制度であって、すべて裁判所等に対応をゆだねるというよりも、三類型あるときに、本人の選択肢を考えた場合にある程度予測がつくということも大事でなかろうかというように考えております。
○魚住裕一郎君 ただ、予測といっても、本人サイドからしてみるとどう援助をしていただけるかという内容の方が大事であって、私はこういうレベルというかラベルですよというようなことは必要ないわけです。 午前中、マイナスのイメージという言葉がありました。これは言葉をかえてもやはり精神障害者には三類型、三ランクあるんだなということを真正面から認めるというような感じになるわけです。そうすると、世の中でノーマライゼーションとか言われている中で、百年たってもまた同じことをやるのというような形になるのであって、これは本人サイドの予測可能性といってもちょっとどうなのかなというふうに思うんです。本人は援助内容が中心だと思うんです。いかがでしょうか。
○政務次官(山本有二君) 審判開始決定に本人の同意が必要なものは補助開始の審判だけでございまして、あと保佐とか後見とかは不要というふうになっておりますが、本人としましても、特定の法律行為だけで代理権を与えていきたいという、例えば補助開始の問題を考えてみるならば、それで足りるという本人も当然いらっしゃるだろうと思います。 そういう意味においては、私はこれだけでいいんだぞと、阿部先生のお言葉ではありませんが、本人の意思の尊重という意味におきましては、そういう選択の意思も考慮する必要があろうと私はそう思います。
○魚住裕一郎君 そうすると政務次官は、例えば保佐を申し立てたときに後見はできない、そういう審判はできないということですか、裁判所には。あるいは、後見を申し立てたにもかかわらず、いやそこまで行っていないよ、これは保佐でいいんじゃないのと、そういうような判断もできないという意味ですか。
○政務次官(山本有二君) 保佐開始の審判は保佐開始の審判の申し立てがあって初めてできるわけでございますので、当然に保佐開始の申請をしたならば、結果として後見が開始されたということはあり得ないというように考えております。
○魚住裕一郎君 そうすると、後見の申し立てに対しては、保佐はオーケーなんですか。
○政務次官(山本有二君) 後見開始の申し立ては、当然後見の開始があるかないかだけの判断になろうと思います。
○魚住裕一郎君 では、それは保佐の審判ができないということですね。
○政務次官(山本有二君) そのとおりです。
○魚住裕一郎君 ちょっとその辺、本人の援助をどうするかという観点からしてみると、いわゆる後見まで当たらなくても、ちょっといろんな手助けをすればいいんじゃないのかな、それはもう一度申し立てをしろというふうな形になるのであって非常に利用しづらい制度になるんじゃないのか、本人の予測可能性というようなことが言われながらその辺いかがなものかなというふうに思うんですが、何かございますか。
○政務次官(山本有二君) 先生の御質問の御趣旨を踏まえてお答えするならば、後見の申し立てをした場合、申請書の趣旨を一部手直ししていただけるという簡便な形で保佐開始審判が行えるという実務上の応用も十分可能であろうというように考えております。
○魚住裕一郎君 それにしても、基本法の中で知的な判断能力、意思能力にランキングをつけるというような、非常に私としてはなかなか納得できない部分がございますが、これ以上議論をしてもあれかなと思いますので、次にまた別途議論させていただきたいと思います。 成年登記についてちょっとお聞きしたいと思うんです。 これはけさほどから質問が出ておりますが、成年登記所は一カ所だというふうに伺っております。当分の間、一カ所に限られると。やはり利用者の側から見ると不便ではないかなというふうに思っておりまして、将来的に考えますと、利用の拡大、登記所の拡大、これについてちょっと御所見をお伺いしたいんです。
○国務大臣(臼井日出男君) 委員御指摘のとおり、当初は東京法務局のみで登記事務を取り扱うということで予定いたしております。将来的には制度全体の利用状況等も勘案いたしまして、指定の法務局を追加することも当然考えてまいりたいと思います。
○魚住裕一郎君 とりあえず東京一カ所だということなんですが、午前中の説明でも出頭する必要ないよ、また嘱託もあるし郵送もあるよということでもあると思うんですけれども、そういうことでありますと、何で東京なのかというのも聞きたいんです。 私は東京選出でございまして、首都機能移転とかいろいろ言われている状況の中で大反対なんですけれども、そういう意味では東京でいいのかなと私は思っちゃうんですが、なぜこれが大阪ではないのか、何で高知ではないのか。それは郵便だし嘱託だしということを思いますと、何で東京なのか。コンピューターでいろいろ設備をつくらなきゃいけない、それは大阪だってできますよ、名古屋でもできます。何で東京なのか、そこのところをちょっと教えてくれますか。
○政務次官(山本有二君) 現在の成年後見の申し立ての利用件数の予測上、東京法務局が最も多数あるだろうという予測をつけたからでございます。
○魚住裕一郎君 なるほど、よくわかりました。これも一つの首都機能かなと私はとらえておきたいと思っております。 また、阿部先生からもまた他の先行委員からもお話がございましたが、この成年後見制度の普及という部分でございます。 啓発事業ということも、いろんな形でパンフレットをつくったりいろんな関連団体等に徹底していきたいというようなお話でございましたけれども、やはり禁治産、準禁治産者を変えて新しい成年後見制度ということですから、マイナスのイメージをここで一発大きく変えると。新聞広告みたいな、政府広報みたいなそんなのも考えてもいいんではないかと私は思うわけでありますが、その辺も含めて、テレビでやれとは言いませんけれども、もう少し周知徹底方、四百万人近くいろいろ障害がある方がおられるわけですから、もう身の回りにもたくさんおられると思うんですね。そういう専門筋での周知徹底ではなくて、一般国民への周知徹底方についてちょっと御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 先般来、今、委員御指摘のとおりお答えを申し上げておりますが、専門の方々だけでわかるような、そうしたものではない、一般の皆さん方がわかりやすいパンフレット等というものもつくっていく、あるいは専門家、各団体等で理解できるような、そういった資料等もつくっていくということをいたしておりますし、また最近利用の多いインターネットのホームページ等もつくるというふうなことも考えさせていただいております。 今、委員御指摘をいただきました新聞広報につきましては、費用対効果の問題もございますが、御指摘でございますので検討させていただきたいと思います。
○魚住裕一郎君 それでは、今度は公正証書遺言について若干お伺いをしたいと思います。 今回、口述、口授だけではなくて手話通訳でも公正証書遺言ができるようにするわけでございます。この手話通訳さんの確保といいますか、そういう意味での体制の整備が必要かなと思っておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(臼井日出男君) 平成元年に発足いたしました厚生大臣認定の手話通訳士試験に合格いたしました方々が約千名おりまして、この手話通訳士を含めまして、国による手話通訳者、手話奉仕員の養成、設置、派遣事業により全国各地に合計約三千人の手話通訳者の通訳の能力を有する者がおります。 したがいまして、公正証書遺言をするに当たって、各都道府県の手話通訳派遣協会等を通じて正確な手話通訳の能力を有する手話通訳者を迅速かつ確実に確保することが可能である、このように考えております。
○魚住裕一郎君 先般、私の部屋にも弁護士の山田裕明さんがお見えになりました。ちょっとお会いすることはできなかったんですが、論文を置いていかれました。山田裕明さんは、山本政務次官、また私と同じ司法研修所三十五期の弁護士でございます。確かに、このときには専属の通訳は研修所は認めていなかったわけでございますので、ちょっとどうかなとは思うんですけれども、非常に頑張ってこられて、手話通訳による公正証書遺言の今回の民法の改正に大きな働きをしておられて、私は同期として大変誇らしく思っているところでございますが、山田さんの立場は、現行法においてもこれは手話通訳で解釈上認めるべきでないかと。 というのは、口授等の要件というのは、要するに公証人とか証人、それから遺言者本人の相互のコミュニケーションをきっちり図っていくんだと。その遺言者の自由に表明された意思が伝えられる、そういうような状況があればいいんではないか。それが確保されることが大事であるというような理由づけ。また外国人の場合には、外国人の外国語通訳つきで公正証書遺言を作成してもらえる制度になっておりまして、外国語というと本当にきちっと通訳しているのかどうかわからないんですが、そういうような理由づけもして、その対比の中でこの手話通訳も認めるべきであると。そもそも健聴者に比べて聴覚障害者を不当に差別するものではないか、憲法十四条に違反するものではないかと、そういうような立論なんですね。 本当にそのとおりだなと私は思いますが、今回のこの改正の中では「通訳人の通訳による申述」という表現なんですが、これは今度は目の見えない方、口もきけない、耳も聞こえない、こういう方は点字で意思表明できると思うんですね。この点字通訳というんでしょうか、そういう表現が正しいかどうかわかりませんが、これには含まれるのかどうか。点字の方でも立派な意思表示をしっかりできる方がいるわけでございまして、こういう点字であっても同じような、今ちょっと御紹介をいたしましたコミュニケーションを図れますし、きちっと通訳できますし、あえて排除する必要はないと私は思料するところでございますけれども、この点についてお教えいただきたいと思います。
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきました点字を使った意思疎通しかできない方についての御質問でございますが、今回の改正案では、公正証書遺言を作成するに当たっては通訳人の通訳により口述することでも足りるとされておりまして、通訳は手話による通訳に限られるというわけではありません。したがって、点字の方法であっても、本人の真意に基づくことが確認できるのであれば、公正証書遺言を作成するということは可能であると思われます。
○魚住裕一郎君 ちょっと時間が五分ほどありますが、今の点、確認できましたのでこれで終わりにいたします。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 総理府は障害者に係る欠格条項の見直しについて検討していらっしゃいますが、今どういう状況なのか教えてください。
○政府参考人(冨澤正夫君) 免許、資格等の制度におきまして、障害があることまたは障害者であることを理由に取得を制限する等の制度を障害者に係る欠格条項と申しておりますけれども、これらにつきましては、平成五年に定めました障害者対策に関する新長期計画等におきまして、障害者の社会参加を不当に阻害する要因とならないよう必要な見直しを行うこととされております。 政府におきましては、本年八月九日に障害者施策推進本部を開催いたしまして、障害者に係る欠格条項を有します六十三の制度につきまして一斉に見直しを行うこと及び見直しの方向を決定いたしましたところでございます。現在、それぞれの制度を所管いたします各省庁におきまして見直しを進めているところでございます。
○福島瑞穂君 総理府がノーマライゼーションの観点から欠格条項の抜本的な見直しをされていることには大変敬意を表したいというふうに思います。 先ほどから同僚のほかの先生方からも質問がありました欠格条項、今回の点でも残る欠格条項についてお聞きをしたいというふうに思っております。今回の改正で禁治産、準禁治産者であることを理由とする百五十八件の資格制限のうち四十二件が廃止されますが、百十六件は資格制限として残ります。このことについてお聞きをいたします。 リストをいただいたんですが、撤廃されたものもありますが、残るものもある。例えば公証人は撤廃をされるんですが、残るものとしてさまざまなものがあります。 まず、株式会社の取締役にはなぜなれないんでしょうか。
○政府参考人(細川清君) これは、昭和五十六年の商法の改正で取締役の欠格条項として新しく入れられたものでございます。そのときの議論は、株式会社の取締役は非常に大きな責任がある。例えばタコ配いたしますと、取締役会で反対をしなければそれを全部会社に戻す義務があるとか、そういうことがあります。 そういうことで、そういう責任が一つ大きいということと、もう一つは、やはりこの司法書士と保護司の場合と同じですが、その資格にふさわしい判断能力があるかどうかを個別に審査する手続が整備されているかどうかという観点から見ますと、商法の選任手続というのはそれだけでは不十分であろうと。そういう二つの理由から、今回については、ここの点については欠格条項として残さざるを得ないという判断に至ったわけでございます。
○福島瑞穂君 しかし、代表取締役は業務執行権がありますが、取締役は取締役会に参加をして議論をすると。総理府の今回のノーマライゼーションの考え方にも共通すると思うんですが、絶対的欠格事由をできるだけなくして、相対的にやっていくと。初めから門前払いで、要するに禁治産、準禁治産などになれば自動的に排除されるというよりも、個別的に判断をしていくという方が私はやはり時代の流れだというふうに思っております。そういう意味で、今回残っているものについてもこれからでも結構ですのでぜひ見直しをしていただきたい。 公証人は今回欠格事由とはならなかったわけですが、では、なぜ公証人にはなれて取締役にはなれないのかという議論も起こると思います。 次に、今回残っているものの一つとして保護司にはなれません。これはなぜなんでしょうか。
○政府参考人(馬場義宣君) お答え申し上げます。 今般の改正におきまして、この欠格条項を存置するという形になったわけでございますが、これにつきましては、保護司法につきましては法令上心身の故障のため職務の遂行にたえないと認められるときに保護司を解任できる、こういったような心身故障の一般的な規定が保護司法にございません。そういう意味で、保護司の能力を担保するための一般的な規定として必要最小限度こういうものを残してある、そういうことでございます。
○福島瑞穂君 今のことを踏まえて、逆にお聞きします。 資格審査の手続で能力を担保されても、資格付与後に資格を付与した職務にたえられなくなった場合は、例えば検察庁法二十三条一項、実質的、相対的な基準、すなわち回復の困難な心身の故障のために職務をとるに適しないときという条文があります。また、弁護士法十二条一号は心身の故障があり、「弁護士の職務を行わせることがその適正を欠く虞がある者」となっております。今の答弁ですと、例えば資格を取るときは別に問題がなかったけれども、その後何十年かたってさまざまな個人的に問題が生じてきた、そういう場合には個別的に判断できるわけです。 先ほど、なぜ保護司には欠格事由が残っているのかという私の質問に対して、保護司の場合にはこのような適しない場合という条項がないので残しましたとおっしゃいました。では、逆にお聞きします。弁護士法、司法書士法それから検察庁法などではあるにもかかわらず、なぜこれらは欠格事由なんでしょうか。
○政府参考人(細川清君) 資格にふさわしい能力を持っているということはぜひとも必要なことでございます。それで、欠格条項、例えば従来ですと禁治産の宣告を受けますと、それは欠格条項ですから当然その人はその資格を失うということになるわけでございます。 ですから、そういう事実が生じた場合に、すべて自動的に資格を取り扱っている機関にわかるのであればそれは問題がないわけですが、そうでない個別的な審査でわからないという場合もある。したがいまして、そういう場合にはやはり欠格条項として残してほしいという意見が、これらの問題について他省庁と協議した場合に皆さんそうおっしゃいましたので、最終的にはそういう結果になっているということでございます。
○福島瑞穂君 しかし、総理府の見直しの中でもそうですが、障害者の方たちなどからもよく意見が聞かれるのは、初めから門前払い、初めからなれないという形ではなくしてほしいということがあるんです。というか、欠格条項をできるだけなくす方向で検討をすべきだと思いますが、ちょっとしつこくて済みません、いかがですか。
○政府参考人(細川清君) 総理府で御検討されておりますのは身体障害による欠格でございます。我々が今ここで取り扱っておりますのは、精神上の障害により判断能力が欠けている状況にある、あるいは著しく不十分な状況にある方の問題でございます。ですから、そこはおのずから別があるというふうに私どもは考えておるところでございます。
○福島瑞穂君 総理府が検討していることが身体障害に限っていることはもちろんわかります。ただ、総理府が今検討している障害者の欠格条項の見直しの根底には、やはりできるだけ欠格条項を門前払いという形でなくしていこうということだと思います。その点は、今回せっかく新しい制度を設けて、もし今回の成年後見制度に意義があるとすれば、禁治産、準禁治産という負のイメージを払拭して、みんなが負い目を感じずに使える新しい制度をつくろうということであるとすれば、欠格条項、後見がついたりしたらもうできないというよりも、できる限り個別的に判断していこうという方が私は方向性としては正しいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(細川清君) 基本的な考え方といたしまして、今、福島先生が言われたのはそのとおりだと思います。 ですから、私どもも、この法律の改正をするときには、先ほど来大臣、政務次官から御説明申し上げているような、要するにノーマライゼーションの観点ということから、今回の民法等の改正はこういう意味であるということで、担当者が全省庁を回りまして、一年間かけて御協議させていただいた。そういうことで、私たちから見ればある程度の成果が上がったというふうに思っておるわけです。 ですから、基本的にはそういうお考えはそれで正しいと思うんですが、また個別の具体的な問題になりますと、それぞれ担当のところでそれぞれの別の考慮もある。要するに、立法上にはさまざまな価値があるものですから、それを調和させなきゃいかぬということで、その結果が現在の整備法のでき上がった姿だと、こんなように御理解いただければよろしいかと思います。
○福島瑞穂君 百十六残っておりますので、ぜひ検討をお願いします。 それで、先ほども先輩の議員から質問がありましたが、公職選挙法上についてお聞きいたします。 実は、これは一番最大の問題ではないかと思うんですが、禁治産者の場合、今選挙権、被選挙権はありません。やはりこれは憲法上の権利ですので、それと衆議院でも議論になっておりますが、常に心神喪失の状況ではなく、きょうはやっぱりあの人に絶対投票したいとか思う状況はあるわけですね。つまり、取引をする場合の能力と、投票したい、この党には投票したいという能力は違います。選挙権の行使の方がもっと原始的に判断ができるという気もしますが、公職選挙法上なぜ今回欠格条項としていまだに残ったんでしょうか。
○政務次官(橘康太郎君) お答えいたします。 公職選挙法第十一条におきましては、禁治産者は、心神喪失の状況にあるものであることから、選挙権及び被選挙権を有しないとされているところでございます。 今回の民法改正案では、禁治産者が成年被後見人と変わるわけでございますけれども、その対象者は一致するものであり、選挙時に個別に意思能力を審査することも困難でありますことから、従来の禁治産者と同様、成年被後見人について選挙権及び被選挙権を有しないとしているところでございます。
○福島瑞穂君 しかし、選挙に行けば相手方の字を書かなければいけないわけですから、私は、もし例えばいわゆる寝たきりだとか行けない場合は、その人がその人の状況で行かないわけで、その人がはっていってでも書きたいなと思えばそれは認めるべきだと思います。 ですから、今お聞きしたいことは、禁治産というのと被後見人というのが同じものか違うものかということではなく、なぜ今回も欠格事由としたのかということをお聞きしたいと思います。
○政務次官(橘康太郎君) お答えいたします。 今回の民法改正により欠格条項の見直しが行われ、個別的な能力審査手続が整備されているものにつきましては欠格条項を削除されておりますが、十分な個別的能力審査手続を有しないものや資格等の性質上欠格条項による一律の審査を必要とするものにつきましては、欠格条項として存置されているところと承知いたしております。 選挙権及び被選挙権につきましては、選挙時に個別に意思能力を審査することは困難であることから欠格条項を存置しているものでございます。
○福島瑞穂君 質問と答えがちょっとずれていると思うんですが、私がお聞きしたいのは、なぜ意思能力がなければ選挙権、被選挙権が自動的に奪われてしまうのかということなんです。この後見制度が開始をすると、これは財産上の取引を保護するものあるいは本人を保護するものだと思うんですが、それとなぜ公職選挙法上の選挙権、被選挙権がリンクしなくちゃいけないのかというところがわからないためにお聞きしているんです。
○政務次官(橘康太郎君) 選挙権及び被選挙権を有する者の範囲をどのように定めるかにつきましてはさまざまな角度から検討すべき課題ではございますが、事理を弁識する能力を欠く状況にある者について選挙権を認めることにつきましては慎重に検討すべきものと考えております。
○福島瑞穂君 私は、やはり選挙権、被選挙権は人間の尊厳にかかわりますし憲法上の権利ですから、これは撤廃、欠格条項を見直してほしいという要望を強く申し上げたいと思います。 それから、ちょっと成年後見とずれて済みませんが、欠格条項でいいますと、やはり公職選挙法上、禁錮以上の刑に処せられその刑の執行を終わっていない者については選挙権、被選挙権がありません。外国の制度もさまざまですけれども、私が思っているのは、なぜ刑務所に入ったら選挙権、被選挙権がなくなるのか。私は、万が一自分が刑務所に入ったら、やはり選挙権、被選挙権を行使したいというふうに思うんです。この点はなぜなのか。 要するに、刑務所に入ったら、選挙をしたいという基本的な権利すらなぜ奪われなくちゃいけないのか、その点いかがでしょうか。
○政務次官(橘康太郎君) お答えいたします。 禁錮以上の刑に処せられている者は、一般社会とは隔離されて拘禁されるような重大な犯罪行為を行った者でありますので、選挙に関与させることは適当でないことから、選挙権及び被選挙権を停止することとしているものと承知いたしております。
○福島瑞穂君 私は、もし犯罪を犯したのであれば、身柄を拘束され懲役に付さなくちゃいけないというのはそれは仕方ない。しかし、それ以外の権利、特に憲法上の権利を奪われるのは耐えがたいというふうに思うんです。ですから、刑務所でも権利行使ができるようにすべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○政務次官(橘康太郎君) 同じ答えでございます。
○福島瑞穂君 総理府が今一生懸命やっているノーマライゼーション、人はそのことによって自動的に何かを奪われるということではなく、本当にできる限りいろんな権利を保障しようという方向は私は正しいと思います。 そういう意味で、特に公職選挙法上は、私たちも被選挙権を刑務所で行使したいと思う日がないことを望みますが、ということはあると思いますので、ぜひその点の改正、検討をよろしくお願いしたいと思います。 外国ですと、アメリカの場合は重大な犯罪の場合というのをつけ加えているところもあるんですが、日本ですと、例えば業務上過失致死で交通刑務所に入るということがあるわけです。それでも選挙権がなくなってしまうので、果たしてその合理性があるのかということをぜひ検討をお願いいたします。 次に、先ほど後見登記の話が出ました。具体的にどういう取引になるのかということをちょっと危惧する点があります。 衆議院の中で例えばこういうふうにあります。「本人がみずから取引をしようという場合には、相手方が疑問に思えば、あなたが成年後見等を受けているかどうかを確認するということになりまして、もし受けているということであれば、この取引は御本人ができるかどうか証明書を出してくださいと言って、御本人から出してもらう」と。 つまり、銀行などが高齢者、ある人と取引をするときに、この人大丈夫かなと思ったら、済みません、証明書を出してくださいと言って証明書を出してもらう。本人がうそをついていた場合には、詐術によって取り消しができないということでケアするとなっているんですが、私が一番心配に思うのは、相手方の注意義務がどういうものになるのか。もし私が銀行員でしたら、今四十代以上でもアルツハイマーの方もいらっしゃいますから、済みません、証明書を出してくださいと。つまり、司法書士は住民票と印鑑証明書と登記の証明書を付加して出すというようなことになるのではないか。そのことは逆に、後見が付されていようが付されていまいが、ある種の人たちに対して圧迫になるのではないか。 ちょっと質問が漠然として済みませんが、相手方の注意義務ということに関して言えばどこまで要求されるんでしょうか。つまり、取り消されればもう取り消しになってしまうわけですから、相手方は物すごく慎重に、高齢者と取引をする場合には証明書を出してくれと私は言うことになると思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(細川清君) ただいまの御指摘は私の衆議院法務委員会での答弁だと思いますので、私から御説明させていただきます。 まず、今回の改正では、後見に付された方についても、日常用品の購入その他日常生活に関する事項についてはみずからできるということにいたしました。そのことが意味することは、日常生活に必要な売買等だけではなくて、それに必要な銀行等の口座からの引きおろしというものも含むわけでございまして、ですからそういうことで、そういう日常的な行為につきましては後から取り消されるおそれはないということで、そこのところは安心して取引していただけるというふうに思うわけです。 実は、この法律をつくるときに、経済界、銀行協会の方々ともいろいろお話し合いをしたんですが、その中で、やはり普通の場合は銀行としては、いろいろ周りの方々とかありますので、お話ししていれば非常にわかると言うんです。疑問に思った場合はお伺いしますということで、御本人がいや実は補助を受けていますと言うなら、ではこの取引はあなたは間違いなくできるということを確認させてもらいたいということで証明書を出してもらいたい、そういうお話になるだろうということを申し上げているわけです。 それで、最後の御質問は民法二十条の詐術に当たるかどうかという問題ですが、これは最高裁の判例がございまして、ただ黙っていただけでは詐術にはならない、しかし積極的にうそを言えば詐術になる。その中間的に、はっきりは言わないけれども、言動で誤信せしめるようになった場合には詐術に当たるんだというような最高裁の判例があるわけですが、基本的には今後もそれと同じ考え、法律条文は変わりませんので、同じような解釈になるであろうというふうに思っております。
○福島瑞穂君 禁治産、準禁治産は余り使われなかったんですが、今後はこの成年後見の制度ができればかなり多様化されるだろう。取引の相手方は、この人は果たして本当に大丈夫かと思って、黙っているだけでは詐術に当たらないのであれば、あなたは大丈夫ですかと言って、黙っていて引き下がったら取り消されても後で文句が言えないという状況になりますから、今後その運用面にわたって何か問題が生じないか、こちらも逆に注意をしたいと思いますが、そういう問題もあるかもしれないということをぜひよろしくお願いします。 次に、先ほど魚住先生の方からもありましたが、費用の点なんですが、今やはり後見、保佐のための鑑定の費用、三十万から五十万ぐらいかかっているようにも思います。この費用について、ちょっともう一度お願いします。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 私ども調査したところによりますと、平成七年の状況でございますけれども、鑑定費用といたしましては五万円から二十万円までというものは全体の六割強という状況でございます。
○福島瑞穂君 あとの四割については。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) もちろん三十万円台、四十万円台、高いものは五十万円台もあるようでございますし、五万円未満のものもあるようでございます。
○福島瑞穂君 後見人、後見監督人等への報酬もあるわけですが、月々幾らぐらいということになるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 後見人の統計は手元に持っておりませんですけれども、まさに事案に応じて報酬を決めているという状況かと思います。その御本人の持っておられる財産の状況でございますとか管理の困難性でございますとか、そういったことを考慮した上で決めているものと承知しているところでございます。
○福島瑞穂君 本年十月から開始されている地域福祉権利擁護事業というのがあります。そうしますと、お金がある人は成年後見制度、収入が年金だけの高齢者は地域福祉権利擁護事業という何かすみ分けが起きてしまうんではないかという気もするんですが、その点はどう考えていらっしゃるでしょうか。
○政府参考人(炭谷茂君) 成年後見人制度と厚生省が進めております地域福祉権利擁護事業との関連でございますけれども、両者が相補い合う関係でございまして、まず、私どもでは福祉サービスの日常的な利用について援助を行うという面を担当するわけでございます。それに対しまして成年後見人制度は、いわば法律行為でございますので、重要な財産的な処分については私どもの地域福祉権利擁護事業の守備範囲には入らない、そのようなものは成年後見人制度にお願いをするということになろうかと思います。
○福島瑞穂君 ただ、成年後見の場合には、司法扶助協会との関連では申し立て費用のみ司法扶助で、あとの点についてはどうかと思うんですが、としますと、結局はお金がない人は成年後見制度は利用できないということになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(細川清君) 民法は対等な当事者間の私的な権利義務を定める法律だということになっています。今回の成年後見の制度はまさに御本人の利益のために行われるものでございますので、他の制度と同じように、やはりそれにかかる費用とか報酬というのは民法上は御本人の負担ということにならざるを得ないと思うんです。これは、従来のように専らボランティアに頼む、ボランティアに依存するということでは立派な後見人や保佐人あるいは補助人の方は得られないということも間々あるわけでございまして、民法としてはこうせざるを得ないわけでございます。 ですから、後はこれはやはり基本的には社会福祉の問題とならざるを得ないものですから、例えば介護の申請をして却下された、訴訟しなきゃならぬという場合には、法律的行為ですから、そういう場合には、私どもとしましては、社会保障のいろんな御検討をされる中で何かできるようにということを前々から期待しているというところでございます。
○福島瑞穂君 地域福祉権利擁護事業実施要綱を見ますと、実施主体は社会福祉協議会のみとなっております。社会福祉協議会はサービスを提供する側です。先ほども阿部先生の方から質問がありました、皆さんからありましたが、例えば施設の長、施設が後見人となるとどうしても、万が一食い物にされたりいろんな状況があるんじゃないか、利益相反関係になるんじゃないかと質問が出ました。それに対する民事局のお答えは、ケース・バイ・ケース、一律に利益相反行為とはしないでケースによって判断するということなんですが、その立場に立っても、地域福祉権利擁護事業が社会福祉事業団、つまりサービスを提供する側に全部ゆだねている。 実施主体がそこであるという点は将来問題が起こり得る余地があるのではないかと思いますが、利益相反などの関係でいかがでしょうか。
○委員長(風間昶君) 簡潔に答弁願います。
○政府参考人(炭谷茂君) 確かに、利益相反ということがこの地域福祉権利擁護事業を検討する際大きな議論になりました。それで、私ども、多数の法律家を入れまして検討会を実施してこれをどのように考えたらいいだろうかということにしたわけでございます。 そのためにとりました手段といたしましては、一つは、地域福祉権利擁護事業を実施するセクションとホームヘルプ等の直接福祉サービスを実施するセクションを分けるということが第一でございます。それから第二に、事業の透明性、公正性を担保し、事業が適正に運営されるよう、当事者団体及びその家族会、関係者、弁護士等の学識経験者で構成される運営監視委員会を設けまして、事業の実施状況を把握し、改善のための提案、勧告等を行う、また、これに対して利用者が本事業にかかわる苦情を受け付けるというような対策を講ずることによってこの利益相反の問題が回避できるものではないかと考えているわけでございます。
○福島瑞穂君 以上です。
○中村敦夫君 今回の改正では、新たに法人というものを成年後見人等に選任することができるというふうになります。しかし、法人といいましても、社会福祉法人あるいはいろいろな公益法人、NPO法人、商法上の法人、つまり企業までも含むというかなり漠然とした範囲になりますが、この法人の中に宗教法人というのも含まれるんでしょうか。これは法務省にお聞きしたいんです。
○政府参考人(細川清君) 民法上は人という場合には法人も含むのが原則なんですが、従来の民法上、後見人、保佐人については、後見人は一人でなきゃならぬという規定がありましたので、一体これがあるために法人が入るかどうかという疑義がありました。そこで、これは法人が入るということをはっきりするべきかどうかという問題になりまして、いろいろ意見を御照会した結果、多数はやはり法人も入るということをはっきりしてほしいということでございましたので、法人が入るということを明らかになるような改正を御提案申し上げているわけでございます。 したがいまして、この法人はあらゆる法人が入りますから、社会福祉法人とか公益法人だけではなくて、御指摘のような宗教法人も当然含まれるわけでございます。
○中村敦夫君 なぜこのことをお聞きしたのかといいますと、私は議員になる前からジャーナリズムの立場から統一協会などのひどい集金システムというものをずっと調査してきまして、マインドコントロールされた信者の親族というものの財産を調べてねらっていく。これはオウムなんかでもそういうことがかなりありまして、常套手段なんですね。宗教法人といいましてもかなりいかがわしいものがたくさんある。本質的には利益追求が目的であると明らかにわかるようなものもかなりあるわけなんです。ですから、この法制度ができることによって逆に積極的に悪用、乱用するトラブルがふえるというような一つの危機感があります。 また、別の面からいうと、宗教というのは精神というものを扱う場面ですし、また死という場面に立ち会う、その周辺に宗教に関係した人々が集まるという事態が起きますね。そしてまた、信者によっては財産を宗教法人に寄附するというようなことも少なくはありません。 ですからこそ、この後見人というのは、逆に第三者という形でやった方が非常にクリーンになるし、トラブルというものが発生しない、そういう二つの面から、宗教法人に限ってやはりある程度の制約とかそうした配慮というものは考えなかったのか。ほかの法人以上にかなりこれは密接に関係すると思っているんですが、法務省はどう考えていますか。
○政府参考人(細川清君) これは特定法人を念頭に置かないで、一般論としてお答え申し上げますが、宗教法人にはさまざまなものがあるわけです。 ヨーロッパやアメリカに参りますと、キリスト教等の団体で社会福祉に大いに活躍をしている団体もありまして、日本でもそういう団体があるわけです。ですから、宗教法人はカテゴリカリーにこういう受け皿になり得ないんだということを法律の条文で書くのはちょっとできないことであろうと私どもは思っておりまして、今後の運用におきましては、家庭裁判所が当該の法人につきまして内部の状況等を十分勘案された上で最も適任であるという場合だけ後見人等に選任する、こういうことになろうかと思います。 また、仮に間違って選任して不当な結果があるということになれば裁判所が介入するということもできるわけでございますので、やはり法律の条文としては特に宗教法人だけ除くというのは適当ではないんではないかというふうな判断でございました。
○中村敦夫君 別の質問をします。 本改正に合わせて家裁調査官というのはどのぐらい増員する予定ですか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 御説明申し上げます。 本改正に合わせてという御指摘でございますけれども、私どもといたしましては、平成十二年度予算要求におきまして家裁調査官の五名の増員を要求したところでございます。この要求いたしました趣旨といたしましては、昨今の家庭事件、家事事件と少年事件でございますけれども、その増加傾向でございますとか、事件の困難化の状況を踏まえてこれに対処するための方策として考えたものでございます。 以上でございます。
○中村敦夫君 この保護制度が利用されていくと、今でも大変忙しい家裁でございますけれども、さらに仕事の量がたまる、質が大変難しくなるという状況なんですが、家裁調査官、これは裁判官も含めてですけれども、非常に少ないのではないか。 実は、家裁調査官というのはここ十年で一人もふえていないという事実があるわけです。それに比べて家事審判事件というのは十年前三十五万件だったのが、一昨年、四十五万件までふえている。それでも一人もふえていない。四十五万件を千四百七十人の家裁調査官が担当すると、これは数学的な割り切りだけですけれども、一人三百件ということなんですね。これは事実上質の高い仕事をするにはほとんど困難だというような状況なんです。 五人ですか、来年ふやすというような、単位の問題じゃないんです。その質問に関しては前に別の議員の方が質問されて様子を見てふやしていくということなんですが、これは我々が考える限り大幅な増員というものは必須ではないかと思うんですけれども、最高裁はどういうふうに考えていますか。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) ただいま委員からこれまでの増員要求の状況等について御指摘もございました。 確かに、家事事件につきましてはこの十年近く増加が続いているわけでございまして、これに対しましては事務処理体制の見直し等の効率化を図るとか、あるいはOA化といったことなどの対策を講じてきております。一方で、少年事件につきましては、少子化の影響等もございまして、昭和五十八年をピークにいたしまして大幅に事件が減少してきているところでございます。こういった事件の動向に合わせまして、内部において適切な人員配置の見直しも行ってきたところでございます。 しかしながら、昨今、家事事件はさらに増加が続いておりますし、少年事件につきましても平成七年をボトムにいたしまして増加傾向に転じております。しかも、内容的にも家事事件、少年事件ともに困難な事件がふえてきているということから、先ほど申し上げたような形での家裁調査官の増員を要求したわけでございます。 今、委員から御指摘の成年後見制度を踏まえてどう考えているのかということでございますけれども、これは今の段階では的確な事件の見通しもなかなか立てにくい状況にあることは御理解いただきたいと思いますし、私どもといたしましては、この施行後の事件受理状況、動向等を見ながら、そしてそれに対する事件処理のあり方等の観点で事件の処理の効率化あるいはOA化等による改善策といったことを講じ、そしてその上でさらに人的体制の整備についても検討してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○中村敦夫君 人数の問題もありますけれども、今度は今までの家事審判と質の違った部分も問題として出てきて、現場はかなり大変なことになるんじゃないかなという事態が予想されるわけです。ですから、数だけではなくて質の問題と。 つまり、家裁の裁判官とか調査官、この人たちの社会的見識とか福祉に対する知識、もっと多様なもの、もっと深いものを求められていくということは間違いないと思うんです。ですから、そちらの面でどのような研修計画とか教育計画とかということを用意されているのか、あるいはしていないのかということをお答えいただきたいんです。
○最高裁判所長官代理者(安倍嘉人君) 裁判官と家裁調査官につきましては日々各種の角度からの研修が行われておるわけでございますが、この研修の機会におきまして、家庭裁判所のテーマを取り上げる場合においては当然のことながら家庭裁判所を取り巻く事件の状況、そして取り巻く福祉の状況等についても十分な時間を割いて御説明をしているところでございます。 そして、これから先も、今後このような制度改正を踏まえまして、研修の機会等を使って十分な周知徹底を図ってまいりたいと考えている次第でございますし、さらに裁判官等の協議会におきましても、介護保険の状況でございますとか地域福祉権利擁護事業の関係につきましても十分な説明をいたしまして、それについての理解を深めるように努力してまいりたいと考えております。 さらに、私どもの部内の研究誌等におきましてもこの権利擁護事業等を解説する文を掲載する等いたしまして、文献によってもその辺の周知を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。 以上でございます。
○中村敦夫君 質問を終わります。
○委員長(風間昶君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時四十八分散会