財政・金融委員会 第4号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1999/12/10
会議録
○委員長(平田健二君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 本日、梶原敬義君及び八田ひろ子君が委員を辞任され、その補欠として三重野栄子君及び笠井亮君が選任されました。 ─────────────
○委員長(平田健二君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に金融監督庁監督部長乾文男君、大蔵省金融企画局長福田誠君及び労働省労働基準局長野寺康幸君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(平田健二君) 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨説明は昨九日に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○日出英輔君 自民党の日出でございます。 商工ローンの問題が世上を大変騒がせているといいますか、国民の大部分が非常に関心を持っている中で、今回、出資法、貸金業法あるいは利息制限法につきまして、大変短い間に提案者の皆様方がまとめていただいたことにつきまして敬意を表するわけであります。五十八年の貸金業規制法の経緯を見てみましたら、四、五年かかって大変いろんな議論の中でなさったということがございました。これを考えますと、今回の短い期間での取りまとめ、本当に御苦労さまでございます。 多くの国民の関心が集まっておりますので、与党でございますが、二、三重要なことにつきまして伺いたいと思っております。 先般四月に、私は当委員会で貸金業者の社債発行法案につきまして質問いたしました。そのときにも金利の問題その他につきまして若干質問をしたこともございますので、続けてといいますか、そういうことで質問をさせていただきたいと思っております。また、基本的にはこういった商工ローン会社といいますか、中小零細企業向けの連帯保証人つきの無担保融資が必要であるという立場を私はとっておりますが、ただ当今の貸し渋りの中で出てきた問題につきましては大変な関心を持っておるということでございます。 早速、質問に入らせていただきます。 第一番目は、この改正法案におきます年利二九・二%、日歩八銭という金利水準、利息の水準につきましての意味を提案者に伺いたいわけでございます。 ちょっと伺いましたら、二十九年の出資法の制定のときからの制限利息の推移を見ますと、日歩三十銭、一〇九・五%、それから七三%、五四・七五%、四〇・〇〇四%という形で推移してきたというふうに伺っているわけでございます。この五十八年の改正のときに四〇・〇〇四%という水準までの道筋がついているということでございますが、考えてみますと、どうやら利息制限法の二〇%の影響あるいは関連があるように伺っております。 ところが、今度のこの二九・二%、日歩八銭という水準でございますが、これは利息制限法の利息と離れている、初めて離れたのではないかというふうに思うわけでございます。 世間では、例えばこの利息制限法の利息と出資法の制限利息の水準を合わせろとか、こういう議論もあるようでございますが、一方で制限利息が利息制限法の利息の二倍の水準だというのも何か少し機械的な感じもしないではないわけです。 この日歩八銭、二九・二%という水準でございますが、どういうような考え方で決められたのか。これは、後で見直しになりますときのいろんな根拠になろうかと思いますが、提案者に伺いたいのでございますけれども、この日歩八銭という考え方について伺いたいと思います。
○衆議院議員(相沢英之君) 御案内のように、問題となっております商工ローンについては、まずその取り立てが極めて厳しい。特に、貸金業者だけではなくて、これにかわって債務の履行を迫るいわゆる保証業者、それの取り立てが極めて厳しい。やれ、目ん玉を売れの、腎臓を売れのというようなことから、本当にあるまじき行為が行われているということが一つの大きな発端になったわけでありますから、まずそういうような行為については厳しく規制をしなければならぬということで、今回は衆議院の大蔵委員会の質問の中には少しやり過ぎじゃないかという御意見もあるぐらい厳しく規制を強化したわけであります。 と申しましても、やっぱり金利をどうするかということも同時に考えておかなければならない問題であります。もともと、貸金業のかなり問題となっております部分は、市中の金融機関で通常の融資を受けられないような業者が、例えば月末に支払い手形の期日を迎えるのに受取手形が不渡りになってしまったとか、あるいは入る金の予定がなくなった、しかし給料は払わなきゃならぬというような大変な急場に、いわば駆け込み寺みたいに貸金業者の戸をたたくということも多いわけであります。したがいまして、金利はどれぐらいでも何とかとにかく貸してくれと、こういうようなことで行われている例も間々あるわけであります。 それからもう一つ、貸金業の実態が実は役所関係の調査でも必ずしも明瞭になっておりませんが、我々が承知し得るところで見てみましても、かなり四〇%に近いところに、つまり現行の出資法の限度に近づいているものも多く見受けられるのであります。したがいまして、この限度の引き下げについては、かなり貸金業者からは反対の要請が強く寄せられております。 しかし、私どもとしては、この金利が決められた昭和五十八年当時の市中の金利から比べればはるかに低金利になっております今の金融界の現状、無論こういう貸金業者が調達をしているところの資金は二%とか三%ということではなくて七%から二〇%ぐらいの範囲まで結構高い金利で調達をしているという実態もございますが、いずれにいたしましても四〇・〇〇四%という今の金利を据え置くわけにはまいらない。日歩十・九六銭であります。 そこで、何とかそれを三〇%前後まで引き下げたらどうかと。これは私どもだけじゃありませんで、与党三党の間でいろいろと検討いたしました結果、何とかひとつ二〇%台の声を聞くところにしようじゃないかというのが日歩八銭、二九・二%であります。貸金業の平均的な金利というものを見ましても、これはピンからキリまであるわけでありますが、大体平均して三〇%をちょっと上回っているぐらいの実績もあるものですから、そういった点等も勘案いたしまして二九・二%、日歩八銭というところがまずまず適当じゃないか、こういうふうな判断で案をつくったのであります。
○日出英輔君 五十八年当時の、貸金業法が出発の時点の七三%につきましては、何か当時の事情を伺いますと、小口の貸金業者が多くて調達コストも高く貸出金利も七〇%以上だったという話を聞いておりますので、そういう意味では平仄の合っている考え方じゃないかというふうには伺ったわけでございます。 私は、この出資法の上限金利のほかに、利息制限法の金利自体も何か二十九年から全く変わっていないということでございますが、これも実はこれからの課題だと思います。当時からの金融情勢その他が大いに変わっておりますので、実はこの利息制限法の利息水準自体もこれからやっぱり検討されてしかるべきではないか、これは個人的な意見でございますが、そういう考え方を持っております。 それから、もう一つ実は伺いたいのでございますが……
○衆議院議員(相沢英之君) それは答えなくていいんですか。
○日出英輔君 はい、結構でございます。これは私の個人的な意見でございます。 それからもう一つ、いろいろ世上で出ておりますのが貸金業法四十三条のみなし弁済規定自体の問題でございます。 これにつきましては、五十八年に貸金業法が制定されますときに、二十万という数の業者が当時おられて、この方たちにこの行為規制をかぶせていくときに、この行為規制をかぶせながらこれらの法令をちゃんと遵守させるということとの見合いで、当時の最高裁の判例もあったようでありますが、こういった現場に混乱をさせないようにということでこの四十三条のみなし弁済規定ができたというふうに伺っているわけであります。 その後、やはり貸金業者につきましてはかなりきちんとした近代的な業者の方もどんどん出てまいりましたし、また問題になっています商工ローンの関係の方も、日栄とか商工ファンドとか十五社前後が全国展開をしているというようなことで、当時と全く実情が変わっているような気がいたすわけでありますが、今なおこの弁済規定について存続しておくということにつきましては、むしろ削除すべきだという意見があるようでございますが、これについては今どんな議論を提案者の中でなさったのでございましょうか。
○衆議院議員(相沢英之君) 確かに、出資法の規定を今回いじりまして利息制限法はそのままになっているのは平仄が合わぬじゃないかという御意見もあろうかと思います。私どもも、利息制限法についての引き下げも一つの課題であるというふうに考えておりましたし、また御意見もありますので、この点については今後検討する課題だというふうには思っております。もともと、出資法と利息制限法と貸金業法と三つ法律がありまして、どうもこれは必ずしも平仄を合わせてつくられていないという面があるので、本当はある時期にこれらの法律について全面的に見直す必要があるんじゃないかという気もしております。 しかし、そのみなし弁済の規定は、利息制限法の金利を超える利率をもってする金銭消費貸借は法律上無効ということになっているにもかかわらず、借り主が任意に支払った場合はそれを有効とみなすという、考えてみるとわかったようなわからないようなところもあるんですが、それは、出資法による、つまり刑事罰を適用されるところの限度とは違いまして、これは貸し手と借り主との関係でありますから、どうしても急いで、利息は何でも貸してくれるということになれば、利息制限法は制限法としてある程度の余裕を持って、それはとにかく借り主の方が、繰り返しになりますが、任意に払えばそれは認めようということでこういう規定が入ったのだと思います。 でありますので、これは刑事法の利息の制限と民事法の制限とをどう考えるか。私は、いわゆるグレーゾーンというものを全くなくすという他党の御提案もございますけれども、それはやはりどうかなというふうに思っております。 したがいまして、今お話がございました点は今後の一つの検討課題とは存じますが、当面存置することもやむを得ないというふうに思っています。
○日出英輔君 それからもう一つ伺いたいのでございますけれども、これは実態問題に根差す話でございますが、これも今回問題になっておりますあの根保証の問題でございます。 きょう、提案者の相沢先生のテレビを拝見させていただきましたが、根保証についてもちょっと触れておられたように思いました。やはりなかなか難解で一般的にわかりにくい根保証ということだと思いますが、普通、銀行間なんかで、事業者との関係ではよく使われるようでございますけれども、一般市民を巻き込んでの根保証というのがある意味で本当に必要なんだろうかという必要性が何かよくわかりにくい、そういうような感じがいたしております。こういう百万円から一千万ぐらいの中で、急場しのぎのというのでもし考えるとすれば、この根保証がこういう形で広く使われること自体が本来想定されていなくてもいいんじゃないかというような気もいたすわけであります。 いろんな団体や被害者団体の方々の御意見を聞いておりますと、この根保証というものをやめるように、禁止するというようなことはどうだという意見もあるようでございますが、これにつきましては提案者の方々で御議論がありましたら御紹介いただきたいと思います。
○衆議院議員(石原伸晃君) 日出委員にお答え申し上げます。 ただいま委員御指摘の根保証の部分と、また今回問題になっております日栄という会社が日本信用保証という会社をつくって、その保証会社の方が取り立てをする、この二つが今回のいわゆる商工ローン問題では一番大きな問題点であるという認識で私ども議論をさせていただいてまいりました。 委員御指摘のとおり、私も個人的にはこの根保証というものを、非常にわかりにくいのでやめることができないのかというような議論もありましたし、いろいろ検討させていただいたのでございますが、契約自由という原則の中で貸金業にだけこの根保証というものを廃止するということはやはりいかがなものかという結論に達しました。 そのかわりといってはなんでございますけれども、今回の改正では、貸金業者の方に対しまして、保証人の方に対して契約内容を説明する書面を事前に交付する義務や、さらに根保証契約における保証人の方へ、委員が今御指摘のことは、要するに根保証枠を一千万つくって、保証人の方は百万円借りたのにいつの間にか債務者の方がどんどん借りていって五百万円、一千万円にまでなってしまったということを御指摘されていたんだと思いますけれども、その都度報告義務を課す、さらに違反に対しましてはかなり厳しい行政罰をかけて刑事罰の対象にするなどという規制を行わせていただくことによりまして、これらの問題に対して、根保証を悪用するということに是正をかけるというような趣旨に変更させていただいた次第でございます。
○日出英輔君 今の根保証の問題につきましてもそうでございますし、このみなし規定なんかにつきましてもそうですが、何か五十八年当時二十万以上おりました貸金業者の、しかも庶民金融が必要だという前提でつくった仕組みが、その後かなりきちんとした事業会社といった形で運営されているわけでありますから、どうも当時とかなり違った仕組みを想定してもう一回議論をし直してもいいのではないかという気もちょっと私は個人的にするわけでございます。 実は提案者の皆様方には大変短期間にこれを取りまとめていただいたということで、私は、今聞きたいことは三点でございましたので、これで質問を終わらせていただきますが、四月十三日の貸金業者社債発行法案の質疑のときに、先ほど申し上げましたように、出資法の制限利息につきまして、引き下げる考えがないかどうかということを事務局に、政府委員に質問をしたわけでございます。またその後、この法案の附帯決議で、借り手保護の視点も踏まえながら貸出金利の規制のあり方について検討することという政府に対しての附帯決議がついております。 そこで、私は、こういう大変難しい問題でありますけれども、この時点で、政府側で本来ならばこういったことを取りまとめるのにもう少し努力をしてもいいのではないだろうかと思いまして、これを実は政府側から伺おうかと思っておったのでありますが、理事の方から、提案者の皆様は大変お疲れであろうからということでありましたので、私はこれで質問を終わらせていただきます。 大変御苦労さまでございました。ありがとうございました。
○浅尾慶一郎君 民主党・新緑風会の浅尾慶一郎です。 ただいま議題になりました貸金業規制法の改正案、そして出資法の改正案について質問させていただきます。 私は、もともとは、契約自由という考え方もあるから、どういう契約であったとしても一たん契約を結んだ限りにおいてはそれを履行すべきだというふうに考えておったわけでございますけれども、いろいろとこの商工ローンの問題に限らず問題を深く考えるに当たりまして幾つかの疑問点を感じるようになりましたので、その点についてまず発議者の方々に伺ってまいりたいと思います。 まず、通常の商取引、例えば車を買うといったようなことであれば、車のカーディーラーに行って私が買おうというときには、力関係は一対一、五分と五分というふうに考えられるのだと思うんです。どこで買ってもいいわけですから、お客さん、また売る方も、それほどその力関係において弱いということはないんでしょうが、事金融、特に高利の金融ということになりますと、借りる方はせっぱ詰まっているといったような事情があって、どこからでも借りられるということではなくて、借りられるところだったらそこから多少のことはあっても借りてしまおうというふうに考えるのが普通なのではないかなというふうに私は思います。 そこで、だからこそ法律に基づいて金利を規制しているのではないかなと、こういうふうに考えておるわけでございますが、その点に関しまして、私は、保証人も含めて商工ローンの被害者と業者との間の力関係については、取引を結ぶ段においては圧倒的に業者の方が有利な立場にあるのではないかなというふうに思いますが、その点の御認識を発議者の方に伺いたいと思います。どなたでも結構です。
○衆議院議員(相沢英之君) 先ほども私からお答えいたしましたが、確かにいわゆる貸金業者のところに駆け込み寺みたいに駆け込む人の立場というのは、今あなたが言われましたように、とにかくせっぱ詰まった状態においての借り入れですから、金利のことはともかくとして、とにかく急場しのぎに金を貸してくれという例が多いと思うんです。ですから、そういう関係からいいますと、それは貸す方が借りる方よりも強いでしょう。 しかし、事金利に関して申し上げれば、そういうような業者については、通常の金融機関とは違いまして、金融機関の場合には預金の金利ですけれども、普通はクレジットカードとかあるいはリース業者のようにそう低い金利で調達ができない。調べますと、やっぱり七%から、物によっては十数%まである。 それから、貸し出しに伴うところのリスクも大きいということを考えますと、貸し付ける業者としてかなりの実質的な資金のコストになっているわけでありまして、全部の平均を見ましても三〇%台ということにもなっています。これは非常に高いところと低いところとの平均値でありますので一概には申せませんが、その状態を前提として考えますと、私はこの二九・二%でもかなり今までの貸し付けの金利よりも下げざるを得なくなるところが出てくると思います。そういう意味におきまして、出資法の最高限度を下げるということは、この改定にとってもプラスになるというふうに考えているのであります。
○浅尾慶一郎君 今、相沢代議士の方からお話がありましたが、七%から一二%という調達金利は、例えば今話題になっております日栄とか商工ファンドといったようなところでは、先般、当委員会で参考人質疑をさせていただいたところ、調達金利が大体二%前後というふうな話でございました。 そうしますと、七から一二%というのは、具体的に言うと、質問通告させていただいた内容に沿った話をさせていただきますと、どういった規模の業者で、その数がどれぐらいあって、またその貸金業者から貸し出されている金額というのが幾らぐらいあるのか。例えば日栄、商工ファンド、あるいは商工ローンという企業向けの融資に関して言いますと、上位四社がほぼ八〇%以上の貸し出しを占めているというふうに聞いておりますが、七から一二%で貸し出されている業者数と、貸金業規制法に基づく届け出をしている業者が貸し出している金額に占める割合というのをまず教えていただいて、要するに二九・二より低くすることが社会的にどういうインパクトを与えるかということも明らかにしたいものですから、今の数字をお答えいただきたいと思います。
○衆議院議員(相沢英之君) 貸出金利がどの程度かということにつきましては、実はなかなか的確な資料を役所側も持っていないのでありまして、大体のところを各業界の方々から話も承って我々としては判断をしているわけであります。 例えば東京都の貸金業白書、これは東京都の貸金業協会が平成十年四月に出した白書でありますが、それを見ますと、平均の調達金利は、これは貸出残高によりまして大変ばらつきがありますが、大体三・四%から八%、これは消費者向けの場合ですね。それから、事業者向けのものにつきましても二%から八%という程度の数字が挙がっているわけでございます。これは調達金利の数字でありますので、当然にこれに貸し付けに伴う諸経費、またこういう業界の貸し付けは貸し倒れのリスクが相当高い、一〇%前後という数字もありますので、そういうものを勘案いたしますと、やはりこの平均調達金利が一〇%を下回っているからというだけの理由をもって判断をするわけにはいかないんじゃないかというふうに思っております。
○浅尾慶一郎君 私が伺いたかったのは、当然ある社会的な機能をこうした業者の方々も果たしておるということでございましょうから、加重平均をして、要するに大手の方は多分調達コストは安いと思うんです。中小の業者は多少高くなっているでしょうということなんですが、社会の中で果たす役割ということを考えた場合に、ではそれを下げることによって利用者の立場からいうと果たしてどれぐらいの人に影響が出るのかなと。幾つかの業者が経営が成り立たなくなってくるということによってどれぐらい利用者の方に影響が出るのかということを知りたかったものですから、それでその貸出金額がこれぐらいのところは調達コストは大体これぐらいですよということを伺いたかったんですが、その数字はお持ちでございますか。
○衆議院議員(相沢英之君) 先ほどの東京都貸金業白書によりますと、例えば貸付残高が三千万円未満のところの調達コストは平成九年三月末が六・七八%、それから、どの辺をつかまえましょうか、五億から十億のところでは七・九二%、それから百億から三百億のところでは五・〇八%、千億以上になりますと三・四%、大変ばらつきがございます。 よろしゅうございますか。
○浅尾慶一郎君 結構です。 それで、先ほど日出委員の方からもお話がありましたが、御案内のとおり、出資法と利息制限法との間にグレーゾーンがあるということでございます。先ほど発議者の方にはその点についてお答えをいただいておりますので深くは伺いませんけれども、ちょっと私のそこに関する考え方を述べさせていただいて、もし何かあれば御答弁いただければと思うんですが、そもそもグレーゾーンがあるということ自体が法の中ではおかしいのかなというふうに思っております。だとすると、解決策は、もしどうしても高い金利のものが必要であるということであれば、利息制限法の方の金利を上げて、そして一本の法律にするということなのではないかというふうに認識をいたしております。 この点に関しまして、若干それに関連する質問なんですが、多分これは金融再生委員長に伺った方がいいのかなという気もいたしますけれども、御案内のとおり、利息制限法は任意に支払ったものについてはその限りではない、貸金業規制法の四十三条にもそのとおり書いてありますけれども、では任意に払わない場合、端的に言いますと、例えば私がいわゆるサラ金業者に行きまして百万円を借りて、もうこれは法律違反だから払いませんよといった場合には一五%で済むということになっておるようでございます。また、それは裁判をした場合も当然それで勝てるということになっておるんです。 私は、これも先般の当委員会での質疑でも申し上げましたが、法律の前提というのは法律を知らなかったからということでは救われないという立て方になっておりますけれども、今申し上げた利息制限法を超える部分について、払わなければ払わなくていいんだよということを知っている人は物すごく少ないと思います。特に貸金業に駆け込むような方々、それぐらい貧窮されている方々にとってみると、そのようなことを知らない方が圧倒的多数なのではないか。また、保証人ということで協力をされている方にしてみれば、なおさらそういうことになるのではないかというふうに思っております。 何を再生委員長に伺おうかなと思ったのは、その点の周知徹底ということをぜひしていただきたい。周知徹底という意味は、任意に払わない、要するに払いませんよと言ったらこれは払わなくてもいいんですよということを知らなかったがために払ってしまったという方が非常に多いと思いますので、それをぜひやっていただきたいと思います。 それは先般の当委員会で可決しましたいわゆるノンバンク社債法案についての附帯決議にも、そうはっきりはもちろん書いておりませんけれども、附帯決議の趣旨にも沿うことなのではないかというふうに思っておりまして、ぜひ全国貸金業団体の方にそういったような通達を金融監督庁の方から出していただきたいと思いますが、もし何かありましたら。
○国務大臣(越智通雄君) 浅尾先生からは去る十一月十一日の当委員会においても同様の御質疑がございまして、そのときには何か張り出してはどうかという御提案でございました。私の方では、大変大事なポイントでございますから検討させていただきますというお答えをさせていただいた次第でございます。 でも、ここをいろいろ検討させていただきますと、やはり両方が合意した場合にはいいという、そこまで書かないといけないかなと。そこまで書いてしまうと、二割なら二割とか、一五%以上は同意しなきゃ払わなくてもいいんだということの後ろ側に、しかし同意していればいいんですよと書くということが一体どうかなと。書かないということはやはり法律の建前上はおかしいかなと。 それからもう一つ心配なのは、そこまで張り出したりなんかした場合には、わかっていて払ったのだろう、それを見て払ったのなら、気がつかなかったということは借りた方は後から言えなくなりますよという問題点も出てくる。それからさらには、率直に言うと、金利のそこの話じゃなくて、先ほど相沢先生からもお話がございましたが、もっと追い込められた状態のときにそういうような判断がつくかなと。だものですから、店舗に出すということよりも、一般的な消費者によく知らしめる何かもっとほかの方法でそういう関係をした方がいいと。 殊に、消費者金融の方は割ともう定型化しちゃっているんです。今問題になっている事業者の方はある意味では法人でございますので、何と申しますか、契約とかそういう商事の手続についてある程度認識が高いんじゃないか。一番わかっていないのは、そう言ってはなんでございますが、消費者金融の方にそんな法律知らなんだという話が多いようでございます。消費者金融を使うような方々にその周知徹底をする方法と、商工ローンの方の、中小企業といいますか、これとは、うまく知らしめるのだったら、貸す方に幾ら通達してもだめかな、借りる方にどう伝わるかに手を打たなきゃいけないかなと。いわば経企庁の消費者行政みたいな話と一体じゃないとまずいのかなと、こういうふうに今思案考慮中でございます。
○浅尾慶一郎君 大臣の御発言は、貸す方に通達を出してもなかなか難しいだろうというのは、それは確かにそのとおりかもしれませんが、私の問題意識は、要するに法律を知っている人と知らない人の間に不公平がある。それは法の建前上は知っていることが前提ですからしようがないという議論はあるかもしれませんが、ただ法の正義という観点からいえば、これはもう周知徹底ということを、コマーシャルでも何でも結構でございますから、ぜひしていただきたいということはお願いを申し上げさせていただきたいと思います。 今、消費者金融のお話がございましたが、確かに消費者金融のところについて言えば、これは保証もとらずに、そのかわり最高限度額が五十万円ぐらいで、多分四社ぐらいから借りるともうそこでおしまいというような仕組みになっておるようでございまして、ですからどんなに多く借りてもサラ金からは二百万円ということなので、これはこれで返せる、大手のところであれば返せる範囲内なのかなというふうに思います。 今問題になっております商工ローンは、もう皆様方に申すまでもありませんけれども、金額が非常に大きいということと、確かに物的担保という観点では無担保ということかもしれませんが、人的担保というか保証をとっておるわけでございます。 保証をとるということは、先ほど事故率も高いというふうに相沢代議士の方からお話がありましたけれども、保証をとる場合には、これは保証人が多ければ多いほど事故率が低くなってくるのは当たり前のことでありまして、例えば三人保証をとれば通常はリスクが三分の一じゃなくて、これは何というんですか、私も数学はよくわからないんですが、その偏差の部分だけさらに減るということですから、多分リスクはその九分の一とか十分の一ぐらいになってくるんじゃないか、保証人の数がふえればどんどんそのリスクは減ってくるのではないかなというふうに思います。 だとすると、今回御提案の法律は根保証の部分について書面の交付というものはありますけれども、根保証で何人もとる場合にその制限金利が高いというのは論理的にはおかしいのではないかなというふうに思いますが、その点について、保証をとった場合の制限金利について何か議論があったかどうか、発議者のどなたでも結構ですから、お伺いいたします。
○衆議院議員(石原伸晃君) 浅尾委員にお答え申し上げます。 委員御指摘の点はこの法案を取りまとめるに当たりまして私どもも問題意識を持った点でございます。 しかしながら、保証金額や保証人の数というもの、今、上限というお話があったわけでございますけれども、どのような合理的な基準を設けるのか、またこれが物理的にも立法上も非常に困難であると。また、契約自由の原則の中において、契約当事者たちのニーズに合わせて自由なさまざまな形態があるということが本来はきっと望ましい姿ではないか。そしてまた、根保証にも御言及されましたけれども、先ほどもお答えさせていただいたわけですが、この根保証契約というものにつきまして最高裁で有効であるというように認められている以上は保証金額や保証人の数で縛りをかけるというのはやはり適切ではない、そういう結論に至った過程があることを御報告させていただきたいと思います。
○浅尾慶一郎君 確かに法律技術的には難しいというのはわかるんですが、逆に言うと、今問題になっております商工ローン大手二社でございますけれども、ここは、先ほど調達コストというお話もさせていただきましたが、事故率が先般当委員会で聞きましたら大体一・五%だと。要するに、百万円貸したら一・五万円分だけは貸し倒れその他であるけれども、それ以外は全部返ってくるんだというふうにはっきりと答えておられました。 そうすると、それはなぜそうなるのかなと。年率三〇%を超えるようなお金を借りておいて、その事業者がずっと立ち行くということはなかなか考えられない。なぜ成り立つかというと、これは保証人が代位弁済をするから成り立つということなのではないかなというふうに思っておりまして、今、当委員会では審議中でございますけれども、そこの部分を考えると、保証の数が多くなれば多くなっただけもう一工夫いただけないかなと思う次第であります、これはなかなか答えづらいと思いますが。 そうすると、法律ができた後の運用面において、今度は監督当局の立場から、先ほど申し上げました利息制限法との関係で、特に保証人に対して任意の、任意ということの解釈もあると思いますが、その部分の周知徹底ということをお願い申し上げたいんですが、越智大臣、いかがでございましょうか。
○国務大臣(越智通雄君) 複数の保証人ということになりますと、どの保証人からかかるかということも大変難しい話でございまして、また保証される方は実はお借りになった方のいろいろな因縁があってなられる方でしょうけれども、保証される方はしょっちゅう保証しているというわけではなくて、たまたまそういうことですから、この方々に貸金業についてのいろいろな規制のあり方あるいは注意の仕方を周知徹底するのも、率直に申しましてどういう方法があるかな、またいろいろ考慮はしてみますけれども難しいかなと。 ただ、保証人の数と貸し付け条件とは直接的には関係はしてこない、こう思います。一番心配なのは、むしろ保証人が多い場合に取り立てる方がどういう選択をするかというところで、一番早く言えば取りやすいところにかかってくるという意味では、それは例えば社会的に弱い立場の方、お年を召した御婦人がお一人でお住まいになっていて、めいごさんに頼まれて、あるいはおいごさんに頼まれてよくわからずに判をついてしまったようなところへ来るんじゃないかなと。そこら辺をどういうふうに防護できるかが一番難しいと思っております。
○浅尾慶一郎君 今の越智大臣の御発言はまさにそのとおりだと思いまして、私もこの問題が出てきてから何人かのいわゆる被害者の方にもお会いをさせていただきました。お会いをさせていただいた印象を率直に述べさせていただきますと、本当に善意の方が被害に遭っている。恐らく善意の一般の庶民が被害に遭っていて、法律の非常にわかりにくいグレーゾーンの話などもまず知らない方が恐らく頼まれて判こを押してしまったということがそもそもの問題の出発点なのではないかなというふうに思っております。 そこで、大臣の発言で大事だなと思ったのは、先ほど申し上げましたように、法律を知っている人と知らない人で、知っている人は、知っているのが前提ですからいけないという議論もあろうかと思いますが、それでは政治的な公正は保たれないんだというふうに思っておりますので、工夫はしていただくとしても、消費者金融の借り手はもちろんですけれども、そうではなくて、こういった業者から借りられている方の保証人に対しても何らかの形で法の正義が及ぶような工夫を本法律が通過した後にぜひ御検討いただきたいというふうに申し上げさせていただきますが、何かありましたら。
○国務大臣(越智通雄君) 一言申し上げますと、金を貸す方も借りる方もいわば中小企業あるいは貸金業という営業になじんだ人たちですけれども、判こを押している方の人は全くそうじゃない人が多いわけでございますので、先ほど来申し上げましたように、私どもの行政範囲よりもむしろ経済企画庁的な行政範囲とかなり重なっているというか、あるいは向こうがウエートが高いところですから、よく相談させていただきたい、こう思っております。
○浅尾慶一郎君 それでは、次の問題に入らさせていただきますが、今回改正をしてもいわゆるグレーゾーンが残るわけでございます。残すことによって具体的にだれのどのような利益を守ろうと思って残しておられるのかということを発議者の方に伺いたいと思います。 もう少し詳しく言いますと、中小の貸金業者の利益、これが立ち行かなくなってしまうからそれを守るんだということなのか、あるいはそういうところを絞ってしまうと借りられなくなってしまってつぶれてしまう企業が多いからなのか、その点どちらなのかということをちょっと伺いたいと思います。
○衆議院議員(相沢英之君) それは両方あると思うんですね。 余り実態と離れて厳しくしてしまう、例えば刑事法である出資法の四〇・〇〇四%を利息制限法まで下げちゃうと、業界の実態からいって、とてもそれじゃ商売にならないというところもかなりあると思うんです。今、私のところにも二九・二なんかじゃやれないからと山のようにファクスが飛び込んできています。 それはそれとしまして、ですからそういう面もあるし、同時に、おっしゃるように、借り手の方からしましても、今の金利ではとても高過ぎる、しかし何とかして借りたいと。そうすると、出資法というのは刑事罰がくっついているものですから、それが四〇・〇〇四%を下げ足りないという御意見の方もあろうと思いますが、とにかく三〇%を切るところまで下げておけばそれ以上にはならぬ。そこまでは下げるというのは、四〇%に現実に張りついているところの貸し金も相当多いんですよ。ですから、そこが下がっていくことになれば、借りる方にとっても利益だと。 ですから、その辺のところは両方から考えて、さっきの答弁の繰り返しになって恐縮ですけれども、二九・二%というところが現状ではいいところかなというふうに思っているのであります。
○浅尾慶一郎君 現状のほぼ一番競争力があると言われている大手の業者さんが恐らく二七、八%ぐらいなんだと思うんです。ということになりますと、今のお答えですと、現状の大手の業者さんの要請に従ったというふうに聞こえてしまうんですね。 要はどういうことかといいますと、四〇%でしかやっていけない中小のところは結局つぶれてしまうというふうに考えてもいいわけでございますか。現状がこうだからという考え方だとすると、成り立たないところは少ししかないからそれはもういいということなのかなとも思いますが、その点、いや、そうじゃないんだということであれば言っていただければと思います。
○衆議院議員(相沢英之君) おとといの衆議院の大蔵委員会で、貸金業者の代表の方がこの程度ならばとおっしゃったのが三四・六七五という、ちょっと端数がついているんですが、そのぐらいまでならよろしいと、こういうことだったんです。 確かに、我々が手にしている、あるいは業者から示されているところの現実の貸出金利というものが客観的に見て実態をあらわしているものだとすると、二九・二に下げるということになると、おっしゃるように、それじゃとてもやれないというところも出てくるだろうと思います。しかし同時に、今の調達金利その他から考えれば、やっぱり今の金利そのものが四〇・〇〇四%という金利を前提として貸し付けが行われているがゆえに高いという面もあろうかと思うんです。 ですから、刑事罰がついた出資法の限度を下げることによって確かに貸し出しの金利も下がるでしょうが、ではそれで全くやれなくなってしまうという業者がどの程度のものか、その辺のところは正直申しまして私どももよくつかめないのでありますけれども、何とかその範囲でやっていただけるものじゃないかというふうに考えています。
○国務大臣(越智通雄君) 立案の二九・二というのは、私どもこの法律が成立したときに実効を見守る立場からいいますと、極めて微妙な大変いいところというか、やむを得ざるところじゃないかというふうに思っておりますのは、銀行系カード会社で現状二九・二を上回っているのは大体一社かなと、こういうふうに見ておりますし、流通系のカードでも一社ございます。それから、信販では二社ほどございまして、ここら辺が、もし法律が改正になって、多少の猶予期間は置かれると思いますけれども、全部を組みかえていくとなると大変難しゅうございまして、そうすると、どういう格好かで違反を招きやすいと。むしろ漸進的な意味では、二九・二で、日歩八銭ですが、やっていただければ、言葉は悪いかもしれませんが、遵法体制へ追い込んでいけるかな、こんなぐらいで拝見させていただいております。
○浅尾慶一郎君 今お二方のお話で業者側の観点というのは明らかになったというふうに思いますが、ではグレーゾーンは残るけれども借りる人は残った方がいいのかどうか。借り手の立場からいえば、借り手は安ければ安い方がいいということだと思いますが、要するに取引関係が冒頭申し上げましたように業者の方が強いと思うんです、この分野については。 ですから、借り手側にとってみると、要はこれ以上もっと下げた場合に、ではどれぐらいの人がお金を実際に借りられなくなって困ってしまうかと。その点はどういう認識を持っておられますか。
○衆議院議員(相沢英之君) それはちょっと難しいと思うんです、どれぐらいになるのか。ただ、私どもは、確かに先ほどあなたがおっしゃったように、貸し手の側が強くて借りている側が弱いから実際の資金コストその他よりも高い水準にとどまっている面もあろうかと思うんです。 ですから、出資法の限度を下げることによって確かにその点は貸し手の利益が失われるわけでありますけれども、ならば、全く貸さないということになればこれまた商売にならないわけでありますから、そういった点で、先ほど越智委員長から話がありましたように、いろんなものを考えて、二九・二というのは借りる方も貸す方から考えてもそんなところかな、こういう気持ちなのであります。
○浅尾慶一郎君 借り手についてはなかなか具体的にはお答えしづらいということはわかりました。 そこで、私は、消費者金融を除きますと、そもそも商工ローンといったような企業向けのローンについてこれがすごく問題になっているのは、一つ大きな話で言いますと、日本のいわゆる倒産法制がなかなか厳しい、あるいは社会的に一たん破産、倒産をするとなかなか立ち直りがしづらいというところに原因があって、だから無理して最後の最後まで頑張って、そして三〇%近い金利で借りて倒れていくということが一つ大きな原因としてあるのではないかなと。また、業界の中で余り金利の競争が行われていないというのも一つ問題なのではないかなというふうに考えております。 何を伺いたいかなといいますと、これは質問通告をさせていただいたことでございますが、そもそも金利競争があって、しかも保証人をとらないで、いわゆる事業のキャッシュフローだけを見てお金を貸すような方向の業界というのが出てくると少し世の中は変わってくるのかなと。わかりやすく言いますと、二%の銀行の貸し出しと三〇%の商工ローンとの間の部分がすっぽり抜けているのが多分今の現状なのではないかなというふうに思っております。 金融行政の企画については大蔵大臣の所管であるということで、質問通告は大蔵大臣にさせていただいておりますが、きょうはいろいろとその分野の専門家の方がおそろいでございますのでどなたでも結構でございますが、まずは大蔵大臣に。 今後、政府として、いわゆる保証人をとってというのは、私はこれはルール違反だと思いますので、ルール違反というのはリスクが少ないわけですから、ある程度のリスクは、その事業のリスクをとって貸し出しをしますよ、そのかわり金利はそこそこのものをチャージしますよというような業界が出てくることによってなだらかな、二%と三〇%の間が埋まっていくんじゃないかなと思いますが、どういう決意で、あるいはそういったようなことを考えておられるのかどうか、ちょっとその点を伺いたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、具体的な制度として図に描いて申し上げることはできませんけれども、基本的な考え方として、我が国の従来の伝統的な物の考え方、これは一般的な人生哲学とでも申し上げてよろしいんでしょうか、ローリスク・ローリターンというローリスクということに非常に熱心でありまして、ハイリスク・ハイリターンということはやや千三つ屋的な、世の中にはそういう見方をする人が多くて、実際にはハイリスクであればハイリターンということはあり得るし、俗なことを申し上げて申しわけないんですが、指輪なんかを買うときでも、ちょっと傷があると買わないわけですね。随分安いのに買わないといったような、どこかにそういう完全主義的なものがございます。 そういう意味では、これからは、おっしゃいましたように、ある程度リスクはある、しかしリターンも多いよという哲学があれば、そういう金を借りてそういう仕事をすることができるはずなのでございますから、物の考え方として私はもっとそうあっていくのが市場経済の考え方ではないかと思います。
○浅尾慶一郎君 今のお答えをできればもう少し掘り下げさせていただきたいと思うんですが、具体的に大蔵省の金融企画行政の中で、何があればそういった市場が育つかというところまではまだ特に検討はされていないということなんでしょうか。それとも、そこのところでもしあればお答えいただければと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 恐らく伝統的には、消費者といいますか、利用者保護というサービス精神がちょっと多過ぎたのではないかと思います。もっと市場経済に徹しても、国民も子供じゃありませんのでというようなところはだんだん出てくるんじゃないでしょうか。
○浅尾慶一郎君 そこで、その場合に一つ大事なのは、繰り返しになりますけれども、リスクをとるというのは、貸す方もリスクをとるような仕組みにしないといけないのかなと。今のいわゆる日栄、商工ファンドは、リスクをとっているようなふりをしていますが、保証人を何人もとることによって、実際上はリスクはとっていないんじゃないかなと。ですから、そこは、余りそこをまた政治が、あるいは行政が関与するのは難しいのかもしれませんけれども、何かそういったような工夫が必要なのではないかなということを申し上げさせていただいて、次の質問に移らせていただきます。 越智大臣に伺いますけれども、いわゆるノンバンク社債法が可決した後、その附帯決議に基づきまして、五月二十日付で金融監督庁の乾部長名で全国貸金業協会連合会の会長あてに「遵守及び貸付金利の引下げ」ということで通達を出されております。しかし、残念ながら、実際にいつ起きたかは別として、腎臓を売れとかいったようなことがその後も恐らく厳しい取り立てという観点でいえば行われているんではないかなと。特に、問題になっております日栄、商工ファンドについては、それぞれやり方は違いますけれども、ぎりぎりグレーの、グレーのというのは、法の趣旨にのっとってぎりぎり法の中かあるいは外側かというようなところで引き続きやっているんではないかなというふうに思います。 ここで申し上げたいのは、監督庁当局としてもう少し、そういったような附帯決議もあったわけでございますから、事が起きないようなことをされるべきではなかったんではないかなというふうに思います。もちろん通達を出したけれども守られなかったということはあるかもしれませんが、その点について何か御発言いただければと思います。
○国務大臣(越智通雄君) 当院の財政・金融委員会から四月十三日に附帯決議をちょうだいいたしました。その際には特に、多重債務問題の深刻化の現状にかんがみて、与信審査の厳格化、過剰貸し付けの禁止、貸出金利の引き下げ等に適切な指導、監督を行うという御要望をちょうだいしたわけでありまして、それに基づきまして、本年五月にいわゆる全金連、全国貸金業協会連合会に対しまして規制法の遵守並びに金利の引き下げについて出しました。 だけれども、正直言いまして、ちょうどそのころ日栄と商工ファンドが、前の年、一九九八年が一番ピークだったんですけれども、九九年に入りましてから彼らの業容が少し落ち込んできたんじゃないかと。それで急に取り立てが厳しくなってきたという情報がいろいろ入ってきまして、春以来非常に心配して、この通達は出したけれども、さらに九月に再度通達を出しまして、彼らは自主規制をつくりました。そのときには、九月の末でございますけれども、全金連の自主規制では根保証は最初の貸出額の三倍までというのまで入れたんですが、私ちょうどそのころ着任いたしまして、どうも彼らのやっていることを見ていただけではちょっと心もとないというか、それでともかく我が方の体制も十分でないので直ちに対策室をつくらせました。 それで、実は業者が三万幾つあるのでございますが、この二つだけと言ったらおかしいんですけれども、根保証というやり方をとっているのは。当委員会のお調べでよくおわかりになりましたように、二番手の方は一番手のところで修行した方でございますから、そういう意味で両方似ておるのでございます、やっていることが。ここは調べなきゃいかぬというので、この両社に対してお金を貸している金融機関十三社に任意でおいでいただきまして、どういう状況でお金を貸しているか、この取りまとめたものは既に十一月三十日に報告しております。 そのころからぐっといろんな意味で、世論のバックアップもございましたし厳しくなってまいりました。そして、実は近畿財務局と関東財務局でそれぞれ呼び出して聴取を始めたころから、今度は警察が入っちゃったものですから、やはり司法当局というか警察当局のお調べが優先しております。御存じのとおり捜索も何度も行われておりますし、既にトップの方の事情聴取も行われておりますので、その方の様子も見定めながらこの対策をさらに厳重に執行していきたい、こう思っております。
○浅尾慶一郎君 時間が参りましたので終わりますが、先ほど大臣が言われた消費者に対する利息制限法の周知徹底、これは商工ローンの保証人も含みますけれども、ぜひその点工夫をしていただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
○海野義孝君 公明党の海野でございます。 事前に御連絡してありませんけれども、今回提案をされていらっしゃる方々ですので、熟知されているということを前提に、ひとつ谷口議員に御質問申し上げたいと思います。 私は、十一月十一日の例の日栄と商工ファンドの参考人招致の際も申し上げましたけれども、一つは、五十八年に貸金業規制法等が行われましたけれども、もうそれから既に十六年経過している。この十六年というのは、我が国金融史上にとっても画期的というか、史上かつてないような経験をしたわけでございまして、そういった中で一番取り残された問題がまさに中小企業の問題であります。その中小企業のいわゆる経営上のお米である資金の問題、これがやはり深刻であったということが今般いろいろな形で露呈されたわけでございます。 したがって、高金利の問題、それからもう一つは根保証といういわゆるサラ金でいうところの多重債務的なもの、つまり一人の人が債務者であるけれども十数人の人が保証人であるということは、それらの人がそれぞれ借りているようなものでありますから形を変えた多重債務である、そういう根保証の問題。もう一点は、こういったことから当然起こるべくして起こった問題がいわゆる暴力的な取り立てであるということでございます。こういったことを踏まえて、今般いろいろなところから改正案をお出しになりましたけれども、与党三党の改正案が衆議院で通過をしたということで、ただいまこちらに送付されてきたわけでございます。 そういったことを踏まえて、谷口議員にお聞きしたいのは、今回の法案を作成するに当たってどういったことに一番重きを置いて取り組まれたか、そしてそれは今回の与党三党の法案の中でおおむね実現したかどうか、あるいはどういった問題を残しているか。私が気にかかるのは、三年後に再度見直しをするというようなことがありますけれども、そういったことを踏まえて、まず御答弁いただきたいと思います。
○衆議院議員(谷口隆義君) 海野委員にお答えをいたします。 我々公明党といたしましても、今回、与党に参加をいたしまして、この商工ローン問題に対しまして党内の意見を取りまとめたところでございます。 御存じのとおり、当初、我が党の案は出資法の上限金利を二〇%から二五%にということでございました。これは、刻みをつけまして、利息制限法の刻みでやろうというように定めたところでございます。 また、根保証に関しましても、先ほど石原議員の方で個人的な見解ということでおっしゃっておりましたが、我が党も一応根保証は禁止というようにした次第でございます。 それともう一点は、今回の商工ローン問題の根本的な問題でございますが、こういう高利の資金を調達せざるを得ない企業の状況に関しましてよくよく配慮を行うべきだということで、中小企業信用保証の特別保証の割り増し分、今回十兆円積み上がるわけでございますが、このうち五千億をそういうようなところの融資に振り向けるべきだ、また条件変更いたしまして振り向けるべきだ、このように提案をいたしまして与党協議に臨んだわけでございます。この金利の問題も、自民党の相沢先生、また自由党の鈴木先生等と大変なやりとりがございました。最終的に二九・二%、日歩八銭ということに決まったわけでございますが、我々のところは、一刻も早くこの法案をまず成立させることが必要であろうというような観点もございまして、今回このような金利の引き下げに応じたところでございます。 また、根保証の問題につきましても、法体系全体の立場で根保証の禁止が果たして言えるのかどうかという党内の議論もございましたし、また契約前の書面の交付であるとか都度通知の問題であるとか、現行、根保証の問題で起こっておるようなことも、これが行われますと解決されるだろうというような前提もございまして、御了解をさせていただいたわけでございます。 また、先ほど浅尾委員がおっしゃっておられましたが、現行の調達金利が二%程度である、また商工ローンのところは三〇%程度という大変高い金利ではざまのところが抜けているじゃないかというような話がございました。我々のところも、そういうような党内の意見もございましたし、私自身もそのように感じたわけでございます。 そういう中で、先ほどお話をいたしました信用保証協会の融資制度を提案させていただいたんですが、その後、与党内の協議がございまして、与党三党での意見書を出そうということになったわけでございます。 この意見書の内容は、まず第一点が現行の貸し渋りの状況でございます。金融機関の大変な貸し渋りの状況が、このような経済のひずみと申しますか、いわばやみ金融との境目のところの企業、こういうところから借りざるを得ないというような状況があるんだろうというようなことで、貸し渋りの問題に触れたわけでございます。 もう一点は、現行の金融制度全体の問題でございます。御存じのとおり、我が国の金融機関の制度全体は大手金融機関から地銀、第二地銀、信用金庫、信用組合と、このような状況になっておるわけでございますが、例えば協同組織金融機関、地域金融機関ですね、信用組合あたりは本来は地域の中小企業に対して融資をすべきでございますが、このところの経営破綻の問題等を見ておりますと、木津信用組合あたりは資金量一兆円というような大きな資金が回って経営破綻したわけでございます。状況を聞いておりますと、大手都銀と同じような融資体制をとっておったというようなこと等がございまして、金融制度全体の問題としてとらえなければいけないだろう、こういう観点で、今回、与党三党の意見書として取りまとめをさせていただきまして、政府に対して御要望した次第でございます。
○海野義孝君 経緯はよく理解できます。 十六年ほったらかしであったわけですから、極めて短期間によくまとめられたという御苦労に対しては多とするところでありますけれども、今のお話の中にも、さっきの民主党さんのお話の中にもありましたけれども、私は、日本の金融システムあるいは融資体系という問題、貸付金利等も含めまして大変不自然な状態が今日まで続いているので、これはもう早急に取り組んでいかなくてはならない問題であろうと思います。後でまたお聞きをしようと思っておりますけれども、やはりアメリカあたりとは、かなり日本は後塵を拝しているんじゃないかという感じがします。 今、大手金融機関等につきましては、今回の報道等のものを加えれば七十兆円というような資金で、いえば公的資金を投じて金融システムの安定化のために資する、こういうふうなことをやっているわけでありますが、これは言うならば護送船団方式をとってきたなれの果てでありまして、結局ツケが回ってきたということでありますけれども、実は預金者保護という大義名分のもとに公的資金が相当投入されるということであります。 しからば、商工ローンの借り手側である、大変苦しんでいらっしゃる、倒産が続出しているような方々にとっての借り手保護というものは一体あるのかという問題。今の商工ローンは市場競争が働いていない世界でありまして、まさに貸し手市場だということじゃないかと私は思うんです。こういうことがあっていいのかということなんです。日本みたいな近代的な国家、経済大国と言われたような国家の中でそういうような仕組みが残っているということがいいのかと。 それに対しては、業者の方としては、それは中小のところも考えないとということを言いますけれども、今、大手の銀行でも市場から退出するようなところがどんどん出ている時代です。そういった中で、国際的なそういったところから資本がどんどん日本に入ってくるという時代になっておるわけでございまして、そういった中小の貸金業者等に対しての手だてというものは、これはやはり金利体系の中でまた考えられる問題だというように私は思うわけです。 だから、貸金業者の大手の中では、これは例えば外銀であるとか国内の大手銀行から金を借りられる、ところが中小の貸金業者にとってみればノンバンクであるとかそういったところから借りなくちゃならない、こういうような状況です。こういうような形のものをそのままにしておいていいのかという問題でございまして、そういった点を含めて、先般も実は宮澤蔵相には御質問申し上げましたけれども、この問題はきちっと大臣として、今後の日本の、今ようやく景気の方もやや地べたをはい上がりつつある、来年ないし再来年にはプラス成長に入ろうというような、問題はありますけれども、片やペイオフの問題等も控えている、そういった中で、この問題はやはり捨ておけない、早急に我が国における金融システムとか融資体系等について、これはきちんとやらなくちゃならぬ問題ではないか。そうしないと、今回のこの法案、せっかく改正しても、ただ金利だとか根保証だとか、暴力的取り立てについてはもっと警察頑張れとかという問題で終わってしまうんじゃないか。もっと根の深い問題であると私は思いますので、その点、蔵相、個人的な御見解でも結構ですし、これから日本をこう変えるんだというような、そういった御指示でも結構ですけれども、ひとつお願いします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 海野議員は大変に長いこの世界においての経験を持ってこられましたので、私が申し上げることがそれに十分合っているかどうかわかりませんし、また今度こういう立法をされました議員各位の皆様の御努力に深く敬意を表しております。政府としてもぜひそうお願いしたかったところでございました。 それで、今のお尋ねでございますが、先ほど浅尾さんがおっしゃいましたことに少し私は自分としては同感してお話を伺っておりました。つまり、基本的に市場経済、自由経済というもの、自由競争というものに、やはりできるだけそれに状態を近づける、ちょっと言い方は悪うございますけれども、今度のマツ何さんという方も、ああいう人がたくさんいたらああいうことは恐らく起こらなかったはずであって、またたくさんいない状況がつくり上げられてしまったのではないかという気持ちがするわけであります。 ですから、そういう中で、つまり金を借りたい、貸したいという需給関係があるならば、それは、どなたかの言葉をかりれば、存在するものはすべて合理的でありますから、何かの理由があるに違いない。その場合に、そういう取引が反社会的、ここから反社会的でいいのか、あるいは犯罪的まで行くのか、そうでないことを政府が担保するということが大事なのではないか。 少しむごい表現になりますけれども、非常に反社会的なことがある、もちろん犯罪があればもとよりですが、それは政府は許さない、しかしそうでないならば、そこはできるだけ自由な取引というものが確保されればいい。大変むごい言い方ですけれども、私は制度論としてはそういうことになればいいのではないかというふうに、個人とおっしゃいましたので申し上げたわけでございます。
○海野義孝君 村井総括次官にちょっと教えていただきたいんですけれども、中小企業、個人事業者も含めましての経営とか信用状況等の情報システムの構築といったことが私は必要じゃないかと思うんです。 昨年来、いわゆる中小企業の金融安定化のための信用保証制度がさらに一年延長になり、来年を含めて十兆円の増額というようなことがあります。私の住んでいる千葉県におきましては、ことしに入って十月までで約四百数十社が倒産しておりますけれども、その中で六十一社は信用保証制度のそういった恩典を受けて借り入れした。こういったところが不幸にして倒産した。しかも、そういった中の約三分の一が商工ローンの方にも手を出していたということでありまして、その辺の倒産の因果関係はわかりませんけれども、当然のことながら、ただみたいな二%そこそこの金利のところで借りられなくて、さらに商工ローンを借りたということが命取りになったかと思います。 そういったことを考えました場合に、先ほど谷口議員からも御指摘がありましたように、本来であれば信金、信組等は零細な方々のために手厚く、不安を与えない、そういった融資をやるべきなところが、実際にはかつての住専へ金を貸したとかいろいろなことがあったということを見ても、大変その辺のモラルについては私はいかがかと思うわけでございます。そういう意味からも、経営とか信用状況についてのシステムを中小企業について構築するということが大事だと思うというのが第一点。 それから、そういう経営のリスクに応じて貸し付けの方についても当然金利はそれに対してプラスアルファというのは、例えばかつてジャパン・プレミアムがありましたように、国際的な金融機関におきましても、日本の一流銀行がかつては〇・八とか〇・九パーというようなジャパン・プレミアムがついたということを見ましても、やはり企業の経営状況によって金利差があるというのは当然だと思います。 これはまさに競争原理が働いているということであります。今のような商工ローン的な高い金利で一方的に貸す、しかも貸した金は返さなくていい、返さないというよりも返してもらうな、どんどん利息で稼げ、永久に利息でいけ、こんなようなむちゃくちゃなことを言っているということですから、こういったことを直していくためにも、今申し上げたような点について、一つは金利体系の問題、それからもう一つは信用経営情報システムを構築するということについてのお考えをお聞きしたいと思います。
○政務次官(村井仁君) 海野先生からの大変見識に満ちた御質問でございますが、金融機関の本来の役割というのは、まさに債務者の財務内容ですとか業務内容ですとかそういうものをよく吟味しまして、そしてその審査を行って、それで経費ですとか貸し倒れ損失等のコストなどを十分に勘案しまして、その上で適切なリスクをとっていく、そして資金の仲介者として経済活動をやっていくというのが本来のあらまほしき姿だと思っておりまして、そういう方向で私どもは指導しているつもりでございます。 事実、私どもが見ておりましても、いわゆる地域密着型の金融機関がそれぞれの地域における中小企業の経営の実態というものを非常によく把握しているのも、これもまた一つの事実だと思います。私ども、そういう地域金融機関というものをできるだけエンカレッジすると申しましょうか、そういう方向で支えていかなければいけない、そのためのシステムをきちんとしていかなきゃいけない、こんなふうに思っております。監督に際しましても、金融機関が必要以上に融資態度をかたくしまして資金供給が円滑に行われないというような事態が生じないように十分注意をしていきたいと思っている次第でございます。 先ほど金利水準をそれぞれのレベルで変えるというようなお話が浅尾先生からも出ました、谷口先生からも出ました。それに対しまして、宮澤大臣からも御見解が示されましたが、一部の地銀あるいは信金などでは、私の承知しております限りでもやや高目の金利を設定しまして弾力的な扱いをしているような例もぽつぽつ出てきているように見ておりまして、ただいま御議論のありましたような方向に行けば大変結構なことだな、そんなふうに感じる次第でございます。
○海野義孝君 終わります。
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。 発議者の方々に伺いたいと思います。 先ほどの御答弁の中にもありましたが、恐らくほかの同僚議員の方々のところにも山ほどファクスが来ていると思うんです。被害者の方々あるいは早くからこの商工ローン問題、この社会問題に取り組んできた弁護士の方々、こういった方々から多くのファクスが届けられております。それは一様に、今度の問題でこの法案に関してどうしても取り組んでくれという内容は、一つは高金利の問題、出資法の制限金利を利息制限のところまで下げてくれというのが第一、それから過剰貸し付けの問題、そして根保証の悪用の問題といったところが重要な内容になっておると思います。私のところにもたくさんそういった内容のものが寄せられております。 そういう点で、この与党提案の法案の内容を見ますと、その重要な三つの問題について不十分ないしは非常な欠陥があるというふうに言わざるを得ないと思うんです。 そこで、まず最大の問題であります高金利の問題について伺いたいと思うんですが、先ほどの二九・二を設定した根拠についての答弁は、たしか業界の平均金利というのが大体中心的な問題だというふうに伺ったんですが、そう理解していいですか。
○衆議院議員(相沢英之君) 業界の平均金利ということでありますが、それは貸金業全体の平均的な金利が大体三〇%ちょっとというデータもあるわけであります。無論これは大きいところもありますし、小さいところもあります。つっくるみの平均でありますから、かなりの幅があるというふうに思ってはおりますが、いずれにいたしましても三〇%前後が現実に貸し付けの平均金利となっていますから、この上限金利を二九・二%に下げることによってかなり影響がある業者もあろうというふうに思っております。
○池田幹幸君 ともかく四〇%近い高金利、三〇%の高金利、こういった借金をしてなかなか営業は成り立っていかない。それをわかっていて借金をするといったところで社会問題が発生していくわけなんです。 私どもはこの委員会で日栄の社長と商工ファンドの社長を招いて参考人質疑を行ったわけですけれども、そこでの両社長の話によりますと、どちらも二%台の調達金利、そして貸出金利は日栄が三〇%ちょっと超えたところ、商工ファンドが三〇%ちょっと下がったところという、どちらも大体三〇%という貸出金利だったわけです。そうしてみますと、先ほどの浅尾委員の質問の中にもあったんですけれども、今一番問題になっております日栄と商工ファンドの貸付金利を参考にして、彼らにとって痛くもかゆくもない金利の設定をしたということになるんじゃないかと思うんです。 そういった点からいうと、この法改正の目的であります借り手の保護といった点は一体どうなるのか、どう考えておられるのか、そのことについて伺いたいと思います。
○衆議院議員(相沢英之君) 日栄と商工ファンドを参考人でお呼びになりましてのお話、ちょっと私も新聞で見た程度でございますが、確かに平均的な金利という点からいうと、恐らく三〇%の範囲内に入っているのじゃないかという気はいたします。ただ、これは相当、資金量からいえばいわゆる貸金業者の中において占める比率は非常に高いものがありまして、したがってその調達金利もおっしゃるように安いということがありますから、二七、八、三〇%という範囲内での貸付金利になっているかと思います。 しかし、三万もある業界でありますから、現実にデータを見ましても、平均的に見ても四〇%近くに張りついているという部面もあるのでありますから、出資法の限度、つまり刑事罰をもって規制するところの出資法の限度を三〇%、四分の三に圧縮することによって影響を受けるところも相当多い、こう思っているのであります。 なお、日栄と商工ファンドに関しまして特に問題になっておりますのは、もちろん金利の点もありますけれども、貸し付けの実態が問題になっているのでありまして、異常に厳しい取り立てをすると。これは、もちろん現行法におきましても威迫等をもって取り立てを行うことは禁止をされておりますが、問題となっております業者は保証業者を使って行っているということでありまして、保証業者に関しては現行法では取り立てに関する規制が及ばないようになっています。そういった点は今度の改正によりまして保証業者にも厳しく及ぶようにと。なお、それに対する行政法上、また刑事法上の罰則も強化しているということで、その行為面においてはかなり目的を達することができる、このように考えております。
○池田幹幸君 厳しい取り立てとか暴力的な取り立て、こういったことが社会問題になっているわけですけれども、それの根底にあるのが高金利の問題あるいは過剰貸し付けの問題、根保証契約を悪用した問題というのがあるわけで、それが総合された形でそういう形であらわれているわけです。ですから、一番ここのところを、法律をつくる以上はその根源のところにメスを入れていかなければならないと考えるわけです。 そういった点で、二九・二%にすると貸金業者の中に経営が成り立たないところが出てくるというふうな話ですけれども、しかし今考えなければならぬのは、こういった二九・二%という設定をして果たして借り手が保護されるのか、今社会的な問題になっておるその被害者の方々が救われるのかという問題なんです。四〇から二〇まで引き下げないで、ちょうど中をとって三〇にした、そうすると被害者が果たして半分に減るのか、そういう問題ではないでしょう。日栄、商工ファンドは三〇%の貸付金利なんです。高金利という面で見れば被害者はほとんど減らないと見るべきだと私は考えるんですが、いかがですか。
○衆議院議員(相沢英之君) いろいろと業界の調査でも、貸し付けのいわゆる実質金利、利息、手数料とかその他のものを含めましての実質金利は四〇%に張りついているところが多いわけでありますから、出資法の限度を下げることによりましてそれはかなり厳しい規制が加わるというふうに承知しております。
○池田幹幸君 結局、グレーゾーンを残すということは三〇パーに今度は張りつくだろうというふうに私は思うんです。 問題は、利息制限法をはるかに上回る高金利の常態化といったものがどういうことを意味しているかというと、国民生活センターのことしの報告によりますと、多重債務者問題に関する調査報告書ですけれども、この中ではこう言っているんです、「このような高金利は業者に過剰利潤を許し、その結果として多くの悪質な業者の市場参加をもたらしていると言える。」と。まさにこの高金利の設定が悪質業者をふやしているんだと。皆さんのおっしゃることとは全く逆です。長く取り組んでおるこの調査報告でいえばこれが実態だと、私はそう思うんです。まさに、そういった点で利息制限法のところにまで金利をまず下げるということが非常に大事だ。 特に、考え方としては、少なくとも利息制限法内の金利で経営が成り立つような、そういった貸金業が営まれるように指導していくのがまさに政治の使命じゃないかと私は考えるんです。それを今の実態に合わせてというのではお話にならないんじゃないか。実態に合わすならば、今起きておる社会問題をなくすというところに合わせなければいけないと考えるんですが、いかがでしょう、再度。
○衆議院議員(相沢英之君) 業界の各貸付規模別の資料等を見ましても、平均して三〇%という数値も出ているわけであります。ということは、かなり三〇%を上回るところの貸し付けを行っている企業も多いわけでありますから、二九・二%に引き下げることによって従来の貸し付けの金利もかなり下げざるを得ないというところも当然に起きてくるというふうに思っております。 貸金業界から、先ほども申し上げたと思いますけれども、こういうような引き下げではとても営業ができないからという猛烈なファクス等もかなり入っておるわけであります。私どもは、考え方としては、そういうような現状をそのまま認めるようなことではこの法律を改正して規制をする意味がない、そういう判断のもとに四〇%から三〇%、その意味でいえばかなり下げていると思いますが、金利についても厳しくすると同時に、行為規制をさらに、衆議院の質問者の方から少しやり過ぎじゃないかと思われるぐらいの規制の強化を図ったのでございます。
○池田幹幸君 そういたしますと、この二九・二%という金利は将来もずっとこういう形で固定化していく、どんどん引き下げていこうという立場には立っていないというふうに私には聞こえるんですけれども、そうですか。
○衆議院議員(相沢英之君) これは法案の附則にもつけてございますが、「この法律による改正後の出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律第五条第二項については、」、これは金利でございますが、「この法律の施行後三年を経過した場合において、資金需給の状況その他の経済・金融情勢、貸金業者の業務の実態等を勘案して検討を加え、必要な見直しを行うものとする。」、こういう見直し条項をつけているわけであります。 この見直し条項の解釈はあるいは分かれるかもしれませんが、少なくとも資金需給の状態その他経済・金融情勢等々を勘案して今後見直すことあるべしということをうたっているわけでありますから、決して二九・二をそのままで今後も続けていくという考え方ではございません。 なお、余計なことを言いますれば、三年後の見直し規定は少なくとも三年たてば見直すということでありまして、今後、金融情勢その他の情勢の変化があれば当然またこの法律についても検討を加えることはやぶさかではない、このように考えています。
○池田幹幸君 三年後の見直しということは、逆に言えば三年間はこのまま固定されるということを意味するわけでしょう。三年間は二九・二%を引き下げることはしないということを意味しているとも言えるわけです。 さらに、今言われた附則八条ですけれども、確かにそう書いてあります。しかし、「施行後三年を経過した場合において、資金需給の状況その他の経済・金融情勢、貸金業者の業務の実態等を勘案して」とあるわけですが、今のゼロ金利と言われる非常に金利の低い情勢で、三年後、このゼロ金利よりもさらに低い金利情勢というのは考えられますか。恐らく今より金利は上がっていると思います。とすると、ここに書いてある「資金需給の状況その他の経済・金融情勢」という点でいえば、むしろ業者にとっての調達金利は上がるということを意味するわけでしょう。そうすると、業者の経営だ何だかんだ、その後に「貸金業者の業務の実態等」というのがくっついてきますと、どう考えたってこれは下がる方向にはない、二九・二を上げるという方向の見直ししかここには出てこないじゃないですか。いかがでしょうか。
○衆議院議員(石井啓一君) 先ほど附則第八条の見直し条項を御紹介申し上げましたが、その中に「資金需給の状況その他の経済・金融情勢、貸金業者の業務の実態等を勘案して」と、こういうふうに書いておりまして、私どもは、これは総合的に見てその三年後の情勢等をいろいろ検討して必要な見直しを行う、こういうことでございますから、引き上げるあるいは引き下げる、そのことを今の時点で決定づけて考えているわけではない、こういうことはぜひ御理解をいただきたいと思います。 ちなみに、衆議院でこの法案を可決する際に附帯決議がつきまして、「上限金利の見直しの検討に当たっては、資金需要者の利益の保護等に配慮すること。」、こういう附帯決議もついているところでございますから、そういったことも当然検討に当たっては考慮する、こういうことでございます。
○池田幹幸君 では、今の答弁だとやっぱり上げることもあり得るということなんですね。そういうことでしょう。 そういうことではなしに、やはり今のこの状態を考えれば引き下げていかなければいけないんだ、利息制限金利の水準まで下げるのがまさに使命なんだと私たちは考えるわけです。それは考えないんだ、三年後の見直しのときには上がることもあり得るよと。しかし、どう考えたって調達金利でいえば、今のゼロ金利の状態よりさらに下がるはずがないんですから、そういう点では、素直に見たら上げるのかと考えざるを得ない、そういう欠陥を持っているということは指摘しておきたいと思うんです。 余り時間がなくなってきたので次のところに移りたいんですが、過剰貸し付けの問題です。 過剰貸し付けについては、私は四月の時点でちょっとこの委員会で取り上げたことがあるんです。そこでは、けしからぬ形で貸し付けをやるわけですが、取り立てのときに脅迫的な取り立てというのはあるのだけれども、貸し付けるときにまでおどして貸し付ける、つまりキャンペーン中だから借りたくもない人に借りろ、貸すと言うわけですね、百万借りろと。しかし、資金需要がないのだから嫌だと言うと、それでは今貸している金を全部返せと無理無体な要求をやっている。返せるはずがない。返せないんだったら借りろという形で押しつけの貸し付けをやったということがありまして、これは日栄が裁判になっている事件なんですけれども、そういうこともあります。 こういった過剰貸し付けというのに対して厳しい規制をかけていかなければいかぬ。現行法でも十三条があるわけですけれども、しかしながらこの十三条は罰則規定がない。今度の改正案も、その点では過剰貸し付けを規制する罰則規定がない。少なくとも過剰貸し付けという点については定義もない。だから、その定義をきちっとできれば罰則規定も設けられるんだろうけれども、そういった努力がなされていないから罰則規定がない。これで果たして過剰貸し付けをどうやって規制するんだ、業界の自主規制等に頼るしかないんじゃないか、それでいいのか。どうでしょうか。
○衆議院議員(鈴木淑夫君) 池田委員御指摘のとおり、法第十三条に過剰融資禁止規定がありますが、これは訓示規定みたいなもので罰則を伴っていない、与党案ではそこを強化していない、それで大丈夫かということですね。 私どもも率直に言いましてここは随分議論いたしました。罰則規定を入れるとしますと、法律上過剰融資の構成要件をきちんと書かなきゃいけないんですね。何とかそういう過剰融資の基準といいますか、法的な構成要件をつくれないものかと思って議論しましたけれども、定型的な消費者ローンならいざ知らず、これは事業用資金の融資でございます。そういたしますと、過剰かどうかの判定というのは、その融資先の企業の業績はもちろんのこと、その企業が属する業界の状況とかその将来性とか、あるいは競争条件とかその経営者の資質とか、さらには将来のマクロ的な日本経済の動向とか、実にさまざまなものが絡んでくるわけで、これはまさに融資に際しての金融業の本質ともいうべき審査の真髄の話になります。 これはなかなか法律的な構成要件はつくれないという結論になりまして、それで一つは、おっしゃるように業界の自主規制でもっと過剰融資を防ぐように努力してもらおうということを考えた。もう一つは、やや間接的でありますけれども、保証人に対して事前の書面による説明とか、あるいはその後追加融資するときのその都度の書面による連絡とか、さまざまな形で外から過剰融資が起こりにくい状況をつくったということでございます。
○池田幹幸君 保証人の問題はちょっと時間がなくなってできないと思うんですが、今言われたので一言申し上げておきますけれども、書面による事前の問題と、それから保証人にその都度報告を出すというのがありますね。しかし、その報告文書を送ったとしても、受け取った保証人がもう根保証契約しておって、その限度額まではどんどん追加されているというのを黙って見ているしかないわけでしょう。これストップだ、いやだめだ、この契約はもうこれ以上の貸し付けは認めることはできないと言えるのかというと、そういうのはできませんからね、今度の法改正では。それでは余り意味がないんじゃないかと思います。 ちょっともとへ戻ります。 過剰貸し付けの定義の問題ですが、結局やりようがないから何もやらないというお答えですね。果たしてそうか。少なくとも今まで金融監督庁で過剰貸し付けの防止についてはガイドラインをつくって、これで行政指導していたわけじゃないですよ、こういうことをひとつ考えてくださいよというだけの話だったわけですが、しかし少なくとも一定程度の努力をしているわけです。これについてなぜ検討なさらなかったのか。 確かに定量的、定型的に難しいかもわからぬが、しかしこの過剰貸し付け防止のガイドラインの四項目、その一番には「過剰貸付けの判断基準」というのがありますけれども、そのほかに「無担保、無保証の貸付けを行うときは、借入申込書に借入希望額、既往借入額、年収額等の項目を顧客自らに記入させることにより、その借入意思の確認を行うこと。」とかいうのがありますね。こういったものを参考にした一定程度の過剰貸し付けの定義というのを考えることは可能だと思うんです。またいろいろありまして、きちんとした調査をしてというのも四項目にあります。 こういったことを検討すれば、当然のことながら過剰貸し付けの定義というのはできるし、何といってもそれぞれの金融機関にしても貸金業者にしても顧客の信用調査というのはちゃんとやるわけですから、その上で貸し付けをやるわけで、そういったところに着目した過剰貸し付けの定義というのは考えられるし、考えなければ、過剰貸し付けはやっちゃいけませんよと言っても意味がなくなるわけですよ。ここに知恵を絞らなければならないんじゃないか。改めて伺います。
○衆議院議員(鈴木淑夫君) 御指摘のように、業界の自主規制だけじゃなくて、例えば金融監督庁のマニュアルの中でも、過剰融資かどうかを判定する基準をいろいろ考えて出しているんです。我々は当然そういうものを全部読んで議論しました。 しかし、事後的にこの融資は過剰融資だったんじゃないか、こういう判定はできます。だけれども、事前に、しかも法律的な構成要件だから、一般論として過剰融資の基準を書いていくというのは大変に困難だということでありまして、そういう結論に達したと。 なお、先ほど答弁漏れが一つありましたので補足させていただきますが、三年後の見直しに関連してなんですけれども、私どもは衆議院で附帯決議をつけたときに、三年後の上限金利の見直しの検討に当たっては「資金需要者の利益の保護」と言っているんですね。資金需要者側を考えるというのは当然下げの方なんですよ。だから、一方的に上げ以外あり得ないじゃないかとおっしゃるけれども、下げのことも考えるわけです。第一、経済情勢からいいまして、今のような極端な貸し渋りみたいなものは三年後には解消しているかもしれないじゃないですか。そうしたら、もう少し一般の金融は資金需要者につくかもしれないじゃないですか。そういうことも我々は考えたから下げる方向も入れてあります。 ちなみに、この附帯決議には共産党さんも賛成しておられますので、下げの方向もあるということを御確認いただきたい。
○池田幹幸君 その下げの方向も読めるということで賛成したんです、おっしゃるとおり。ただし、今伺うと、どうも上げることもあり得るということを強調されるので、それではせっかく衆議院でつけた附帯決議は何だったんだということがあります。 時間が参りましたので終わりますけれども、やはり三年後見直しというのは、本当にそんないいかげんな、いいかげんなというかあいまいな形じゃなしに、きっちりと利息制限法の制限金利の水準まで下げることを目指すんだという方向を明らかにすることが大事だということを改めて申し上げて、質問を終わります。
○三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。 四点ほど質問させていただきます。 まず、出資法の上限金利の水準等につきまして発議者にお伺いいたします。 商工ローン被害防止のために少なくとも二九・二%の上限金利はもっと引き下げられる必要があると考えますけれども、二九・二%という水準はどのような根拠によるものでしょうか。 それからまた、利息制限法のように元本の額によって上限金利を段階的なものにするという案が公明党の初めの案では示されていたと思うんですけれども、上限金利を二九・二%に一本化するに至った経緯についても御説明をお願いしたいと思います。 さらにもう一点、あえてグレーゾーンを残した理由についてもお伺いいたします。 以上、三点につきましてお願いします。
○衆議院議員(相沢英之君) 二九・二%、日歩八銭という数字については、先ほど来いろいろと御質問がございまして、お答えもしてまいりましたが、現在の出資法の上限四〇・〇〇四%は昭和五十八年当時に一〇九・五%から下げられたものでありまして、当時の金利一般の水準に比べますと、私が申し上げるまでもなく、現在は極めて低金利の状態になっております。また、調達金利も当時に比べてかなり下がっておりますし、また分野によってはその業務の範囲も量も広くなっておりますから、そういうことを考えますと、調達金利を含めまして実質的なコストも下がっておると思いますし、当然資金需要者の利益も考えて下げていかなきゃならぬ、このように思っているのであります。 ただ、その実態的な調査資料が必ずしも十分ではありませんが、現行四〇%、出資法のぎりぎりのところにかなり張りついているような状態もありますから、今の二九・二%に下げれば実質的にも、これは刑事罰のついているところの限度ですから、実際の貸し付けにおきましても金利は下がってくる、下がらざるを得ないわけでありますので、このように判断をしております。 そのような出資法の限度としての金利は、二〇%もうちょっと下げろという、あるいは利息制限法の金利にまで下げろという御意見はありますけれども、まあまあこの辺のところが妥当なところかなということで、三党の間におきまして話し合いの結果、決定を見たわけであります。
○衆議院議員(石井啓一君) 補足して御説明を申し上げます。 私どもの当初の案では、確かに委員御指摘のとおり、利息制限法の元本の区分に応じて二〇%から二五%の上限金利でどうか、こういう案をつくったわけでございますが、それを一定の金利にした理由はいかんということでございました。 これは与党の中でいろいろ協議をいたしまして、元本の区分に応じて刑罰がかかる上限金利を変えるといった場合、どういう元本の区分でやるのが適当なのか、果たしてそれは利息制限法の元本区分でいいのか、そういう議論もございましたし、また仮に元本の区分に応じて刑罰のかかる上限金利を設定した場合、同一の借り手に対して融資額を小分けして事実上脱法行為が行われるという懸念もある、こういう議論がございまして、私どももこの上限金利を一本化することに了解をしたところでございます。
○三重野栄子君 グレーゾーンのことはどうでしょうか。
○衆議院議員(相沢英之君) 済みません。 御承知のように、現在は出資法、それから利息制限法、貸金業法、三本立てで利息に関する規定があるわけでありますが、御案内のように出資法の限度四〇・〇〇四%、現行におきましても利息制限法の上限金利との間には開きがあって、そして利息制限法の金利は貸し付けの金額によって御案内のように三つに区分されている、一五、一八、二〇ですね。その二倍までは借り主の方が任意に支払ったときは有効である、こういうふうな規定になっております。それがいわゆるグレーゾーンでありますが、それは遅延利息等賠償金のことを言っているのであります。 そこで、なぜこれを一致させないかといいますと、そういう賠償金の金額をも含めた制限額になっていることと、それからもう一つは、片やこれは刑事罰ですから懲役三年とか三百万の罰金とかの分野と、それから民事上の契約、民事法の世界であるところ、これは制限金利を超えた金銭消費貸借については無効ということになっておりますけれども、その民事上の制限金利との間には幅があってもそこは差し支えないんじゃないか。しかも、それは強制的に払わされればいけませんけれども借り手が任意に払えば有効である、こういうような規定の仕方でありますから、そういうようなゾーンがあっても差し支えない。グレーゾーンというとどうも聞こえが悪いんですけれども、私どもはそのように思っております。 ただ、今度の改正案におきましては、従来そこの利息制限法の二倍まではいいということにしておりましたものを一・四六倍ということにいたしましたから、従来よりもいわゆるグレーゾーンは半分以下になっているわけであります。
○三重野栄子君 そこで、大蔵大臣にお伺いしたいのでございますが、商工ローンに手を出したのは、貸し渋りというよりも追加融資をせずに回収だけする銀行の中小企業つぶし、ひどいやり方だという主張もあるわけですけれども、二九・二%という水準についてどのような感想をお持ちでございましょうか、大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) こういう貸金業者というのは、前回、本院、それから衆議院で御議論なされました昭和五十八年当時にも問題があって、当時はサラ金という問題であったと思いますが、やはり金融機関のあり方、最近は随分変わってはまいりましたが、今までのようなことでございましたから、国民のニーズというものにちゃんとマッチしていたかといいますと必ずしもそうばかりではない、一種の単一式な存在が多かったと思いますから、どうしてもこういう貸金業者というようなものの社会的な必要がある。当時もそうでありましたし、最近は殊にその金融機関が貸し渋りをいたしましたからなおさらそうなりました。その証拠には、金融機関から貸金業者の方へ金が出て、それが貸されておるというようなことはそれをよく物語っております。 したがって、さっきから申しますように、制度としては、だんだん自由競争というものが金融機関の間に当たり前になっていって、いろんな金利でいろんな貸し付けが行われるというようなことになってまいるに従って、それでも貸金業者は貸金業者としての自分の分野を持つと思いますけれども、そこは今日のような形から大分変わっていくだろうと思います。 二九・二%でございますが、このたび衆議院の各議員がこういう立法をされましたときに、政府もお求めに応じましていろいろ意見を申し上げてまいりました。私どもは前回の、殊に私の場合には、五十八年のときに両院の大蔵委員会、法務委員会が大変に苦労をなさいまして、その結果がごらんのような、グレーゾーンとおっしゃいましたが、そういうことになった。 なったにはやっぱり理由がありまして、今回も、この二九・二%というのが高過ぎるかどうかといえば、それは安いにこしたことはありませんが、しかしこの水準で十分に資金の需要があって、しかもこの水準で十分に余裕を持って貸金業者が貸し金ができるかといえば、そうも申せない実情がございますから、これも一種の前回と同じような現実的な処理、しかしいかにも反社会的な風潮のもとになったようなそういうことだけは改めていきたい、将来に向かってもそうかもしれませんが、それが衆議院の立法の御趣旨だろうと思っております。
○三重野栄子君 最後に、労働基準局長にお伺いいたします。 十一月二十九日に日栄と商工ファンド両社に対しまして、労働基準監督署が労働基準法違反に基づく是正を勧告したと伺っております。特に商工ファンドに対しましては、その約四カ月前に当たる七月三十日に中央労働基準監督署が立入検査に入っていると伺っております。また、本日は千葉におきまして、商工ファンドの元社員の方が、残業代の未払い等を理由として大島社長を告訴するとの報道もございました。 先月十一日の財政・金融委員会における参考人質疑の際、私は大島社長に本件について直接お伺いしたところでございますけれども、今後適切に対処したいという御答弁がございました。しかし、参考人質疑の後に是正勧告が出されたということは、大島社長は国会での答弁を守らなかったということになるのではないかと思うんです。 そこで、商工ファンドに是正勧告を行うに至った経緯及び立入検査を行うに至った経緯につきまして御答弁をお願いしたいと思います。 日栄についても簡単によろしくお願いします。
○政府参考人(野寺康幸君) お尋ねの件でございますけれども、商工ファンド及び日栄につきまして、関係労働者から長時間労働などに関します相談あるいは申告等がなされてまいっております。 労働基準監督機関におきましては、本社を含めまして全国の複数の支店、営業所につきまして、労働基準法関係等々の履行確保を図るという観点から監督指導を実施したわけでございます。 また、先生御指摘のように、商工ファンドにつきまして、本日午前中に千葉の労働基準監督署に、特に時間外労働に係ります割り増し賃金の支払い等を理由とする告訴がなされております。監督機関に対しましてこういった告訴がなされました場合には、法違反の事実について厳正に捜査を進めまして、刑事訴訟法の手続に基づきまして今後とも厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
○三重野栄子君 日栄の方はいかがですか。
○政府参考人(野寺康幸君) 今申しましたように、日栄につきましても基本的には同じでございまして、今のところ商工ファンドと同じような告訴はなされておりませんが、我々の立入調査によりまして幾つかの法違反が既に発見されております。 したがいまして、先生御質問の中でお触れになりましたように、十一月の末に是正勧告をいたしております。今後、この是正勧告に従いまして事業主がちゃんと遵守するかどうかを見守りまして、必要であればさらに強い手続をとってまいりたいというふうに考えております。
○三重野栄子君 終わります。
○委員長(平田健二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、自民、公明、自由三党提出の貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案に反対の討論を行います。 日栄、商工ファンドなどの貸金業者に食い物にされている中小零細企業を初め多くの国民を救済し、被害を根絶することが我々に課せられた責務であります。 商工ローン問題が自殺者を出すほど深刻な事態になったのは、日栄、商工ファンドなどが出資法の上限金利に迫る高金利、借り手の資力を無視した過剰貸し付け、詐欺的手法での根保証契約、さらには暴力的な回収を行い、債務者及び保証人を追い詰めているからであります。今求められているのは、これらの状況を踏まえ、出資法、利息制限法並びに貸金業規制法の改正による徹底した規制強化を行うことです。ところが、与党案には以下のような重大な問題点があることを指摘せざるを得ません。 第一は、出資法の上限金利を二九・二%という高い水準にとどめ、グレーゾーンを残していることです。 三〇%程度という日栄、商工ファンドの貸出金利とこの上限金利がほとんど一致していることは与党案の最大の問題です。これでは、商工ローン被害者の金利負担を軽減するどころか、現状を追認するものでしかありません。 第二に、見直し規定の問題です。 上限金利を三年後に見直すとしていますが、三年間高金利を固定化するだけでなく、三年後に下げるという保証は全くありません。それどころか、「資金需給の状況その他の経済・金融情勢」によって見直すという規定では、現在がゼロ金利であることから、金利を上げる可能性すら持つものです。 第三に、過剰貸し付けについてです。 与党案は、現行のまま行政処分の対象にもせず、罰則も設けていません。これでは追加融資を迫る強引な過剰貸し付けをやめさせることができません。 第四に、保証人への説明規定がないことです。 与党案では説明文書の交付にとどまっており、これでは根保証契約の際のごまかしの手法が温存され、保証人被害はなくなりません。 第五に、日賦貸金業者及び電話担保金融に対する制限利息の特例を温存していることです。 これは日賦貸金業者が出資法の制限利息をはるかに上回る一〇〇%を超えるような高金利で貸し付け、暴力団まがいの取り立てを行っていること等を容認するもので賛成できません。 以上、主な反対理由を申し述べ、私の討論を終わります。
○委員長(平田健二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(平田健二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、伊藤基隆君から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤君。
○伊藤基隆君 私は、ただいま可決されました貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 貸金業の規制等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。 一 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律における上限金利については、資金需要者の保護等に配慮しつつ、資金需給の動向等を総合的に勘案して、グレーゾーンの是非を含め、検討を加えるものとすること。 一 いわゆる商工ローン問題の背景にある中小企業への円滑な資金供給確保の必要性等の観点を踏まえ、我が国の金融の在り方を総合的な見地から更に真剣に検討し、早急に対応すること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(平田健二君) ただいま伊藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(平田健二君) 全会一致と認めます。よって、伊藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤大蔵大臣。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨を踏まえ配意してまいりたいと存じます。
○委員長(平田健二君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(平田健二君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会に参考人として日本銀行総裁速水優君、同副総裁藤原作彌君、同政策委員会審議委員田谷禎三君、同理事黒田巖君、同理事引馬滋君及び同理事小畑義治君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(平田健二君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融の調節に関する報告書に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。十分という大変限られた時間ですので手早くいきたいと思います。 昨日の速水総裁からいただきました通貨及び金融の調節に関する報告書の概要説明の中で、速水総裁は日本の景気は下げどまりから持ち直しに転じつつあると明確におっしゃいました。そしてまた、景気の先行きに対しましては、個人消費や民間の設備投資など民間需要の動向を慎重に点検していくことが重要な段階であるということで、楽観することを戒められました。 私はこの景気に関する見解については全く同感でございまして、支持を申し上げたいと思います。特に、四半期のGDPが再びマイナスに転じるということもございますし、また現状認識では慎重に点検をしていくことが必要な段階という見解、これと同じような見解が本日の月例経済報告でも示されたわけでございます。 しかし、昨日の御説明の中で私が大変問題に感じますのはこの現状に対する処方せんであります。昨日の総裁の御説明では、要するにゼロ金利政策を継続するという処方せんしか示されなかった。これには私はある意味で大変失望したわけであります。私は金融には全くの素人ですけれども、私のような素人でも昔、教科書で中央銀行の役割というのは短期金利を動かすことによって金融政策を行っていくことだという勉強をいたしました。昨日の総裁の説明は、要約をすると、短期金利がゼロになっちゃったんだから日銀としてはもうやることは何にもないんですというふうに聞こえたのですけれども、これでは学生でも考えつくような結論への帰着としか言えないのじゃないかと思っているんです。 金融政策の運営の責任者として、そしてプロとしての速水総裁に冒頭お伺いしたいんですけれども、本当にゼロ金利政策以外に日銀としてこの景気の難しい局面で、またデフレ懸念が払拭できない局面で何も打つ手はないとお考えなんでしょうか、まずそこをお伺いしたいと思います。
○参考人(速水優君) お答えいたします。 現在のゼロ金利政策は二月十二日に決定いたしまして、十カ月ぐらいたっておるわけでございますけれども、これは一口にゼロ金利と申しましても、毎日毎日の金融の資金の需給関係を眺めながら、金融市場局でその日その日の資金の供給を考えて調節をやっておるわけでございまして、その結果としてゼロ金利、つまり翌日物のオーバーナイトの無担保コールレートに影響を与え、〇・〇二%となっています。ターム物の金利は、今、年越しで少し上がっておりますけれども、これも下がる。長期金利も下がる。それで、株式にも金が回っていって株が上がっていく。金融機関はかなり潤沢な資金を持って企業の方にも金が回っていくといったような効果が十分出つつあるところだというふうに思っております。 やはり、市場では資金はかなり潤沢に出ておりまして、それがその日その日の余剰として日本銀行にも戻ってくるといったような現状でございまして、これは毎日毎日そうやってその日その日の需給を見ながら対応しているわけで、言ってみれば、ゼロ金利でやれよということを金融市場局に指示して、その日の動きを見ながら毎日、調節の苦労を、いろいろ苦心を重ねて実効を上げておるというのが現状であります。 その辺は財政なんかとも少し違うんだと思いますけれども、金融というのは、政策を一度決めましたら、その線で金融市場を見ながら手を打っていくというのが政策のあり方であろうかと思います。弾力的に適時適切に調節をする、オペのいろいろな道も開いて必要なオペをやっていくといったようなことで資金自体は潤沢に流れておりますので、今のところこれ以上さらに新しい政策を打っていくということはやる必要がないのではないか。足元の景気を見ましても持ち直しに転じつつあると判断できるような数字が出ておりますし、ゼロ金利を継続しながら豊富で弾力的な資金供給を続けていくというのが適当ではないか。 ただ、将来、私ども、今のこの政策を少なくともデフレ懸念が消えていく展望が見えるまで続けるということを申しまして、その方向で毎日の実体経済及び金融市場の動きをウオッチしているというのが現状でございます。
○世耕弘成君 ありがとうございました。 実体経済を慎重に見守られているということでございますけれども、実体経済では現実には特に土地の値段がなかなか下げどまらない、これが資産デフレを起こしていて、私は日本の景気にとって非常に足を引っ張る要因になっていくんじゃないかと思っています。地価の下落に歯どめがかからないと個人や企業のバランスシートというのがどんどん悪くなって傷んでいって、そして商品ですとかサービスの価格ですとか、さらには賃金へデフレがどんどん波及していく。私は、この際思い切った対処、すなわちインフレ目標を設定するとか、あるいは思い切った金融の量的緩和に進むべきだと、そのように考えます。 ちょっとここで話題を変えますけれども、実はきょうは田谷参考人に御出席をいただいております。 皆さんも御記憶だと思いますけれども、先日の十二月一日の本会議で日銀の政策委員会審議委員になっていただくということの承認の議決をしたわけであります。私は、この手の人事案件での投票では、非常に珍しくと言ったら怒られるんですけれども、かなり思い入れを入れて賛成のボタンを押させていただいたつもりです。 なぜならば、田谷委員は大和総研時代に繰り返し金融の量的緩和の必要性というのを説いてこられた、またその可能性も説いてこられた。この方が政策委員会の審議委員に加わっていただければ日銀の金融政策に変化が出るんじゃないか、ゼロ金利政策以外のバラエティーが出てくるんじゃないか、そういう期待をしました。これは決して私個人の期待ではなく、機関投資家あるいはアナリストも同じような期待を抱いていたと思うわけです。 まだ日銀の中で正式な御発言の機会はないわけですけれども、就任後の記者会見の模様を新聞報道等で見ておりますと、びっくりしたんですけれども、量的緩和の手段としてかねて主張されていた日銀による長期国債の買いオペの増額について、ゼロ金利政策による金融緩和の効果の浸透状況を見きわめたい、結論を急ぐべきではないと極めて慎重な立場を今までとは一転してとられたわけです。新聞なんかでもかなりびっくりしているような形で報道されております。景気の状況ですとかあるいは資産デフレの懸念という観点でいけば、田谷委員がかつて量的緩和を説かれていた、私の記憶ではことしの夏ぐらいまで説かれていたと思うんですけれども、そのときとそんなに状況は変化していないと思います。なのに、なぜそのような考え方の方向転換をされたのか。 しかし、一方で、新聞をよく読むと、逆に委員は量的緩和に含みを残したという報道もあるわけです。その会見、しっかり全部やりとりを読ませていただきましたけれども、いみじくもその中で田谷委員は、日銀は今まで十分な説明責任、アカウンタビリティーを果たしていないとちくりと批判をされているわけです。 逆に、本日はぜひ田谷委員から、量的な金融緩和についてどのようなお考えを持っておられるのか、しっかりとお伺いをしたいと思います。
○参考人(田谷禎三君) お答え申し上げます。 日銀はこのところ、銀行が日銀に準備預金として預けなければならない額を一兆円あるいはそれを上回る資金供給を実施しており、この意味では一種の量的緩和を行っていると言うことができると思います。 ただ、時として、これまでゼロ金利政策は日銀がとり得る効果が確実な手段として最大のものですとか、これ以上の量的緩和余地はほとんどないとか言われることがありまして、仮にそうしたことが真実に近いとしても、どのような状況の変化、現在は必ずしもそうではありませんが、例えば景気後退リスクの高まりといったようなことに対してもほとんど打つ手がありませんといった印象を過度に与えることが得策かどうかといった問題があると思います。 過去、この夏ごろだと思いますけれども、長期国債の買い切りオペの増額は、ある種の難しさはあるものの、実施する前から不可能であるとは言えないと書いたことがあります。今でもその意見は変わったわけではありません。 ただ、その後、政策支援の効果もあって景気状況が若干変化してきたことがありますし、短期国債の買い切り、売り切りといった新しいオペレーション手段が導入されました。まずは景況の推移、そしてそうした新しいオペの実施状況を見守りたいと思っております。
○世耕弘成君 わかりました。少し安心しました。 ということは、景気後退リスクが顕在化してくるような事態があれば田谷委員としては買い切りオペの増額についても検討すべきだと、こう解釈してよろしいですね。
○参考人(田谷禎三君) 長期国債の買い切りオペなのか、あるいはその他の手段なのかという話は別にしまして、そのとき何らかの手段をとらなければいけない状況になるのではないか、そういうことを私が言う可能性は強いのではないかというふうに思います。
○世耕弘成君 よくわかりました。 今度、十七日の金融政策決定会合が初めての御発言の場になると思いますので、期待をしております。 以上、終わります。
○伊藤基隆君 私は民主党・新緑風会の伊藤であります。 私は七問の質問を少し詳しく事前に通告しております。それはぜひ確実な答弁をいただきたいからであります。今、金融政策は重要な転換点にあるんじゃないかという認識でお聞きするわけであります。時間が三十分に限られておりますので、答弁の方はぜひ簡潔にお願いいたします。 さて、近年の日銀の金融政策の失敗は国民生活に甚大な混乱をもたらしました。特に資産価格がファンダメンタルズを大きく超えて上昇するバブルの発生は、ブラックマンデー以降、日銀の金融緩和政策が必要以上に長期化した結果であることは明白ではないかと思います。 日銀の金融政策の失敗は、バブルの発生とその崩壊だけではなくて、第一次オイルショックの狂乱物価がマネーサプライの増大という過剰流動性にあったにもかかわらず、八〇年代後半に再び金融緩和政策を長期化させ過剰流動性による資産インフレを招いたことにあると思います。一転して八九年五月以降九〇年八月までに公定歩合を二・五%から六%に急激に引き上げるというちぐはぐな金融政策を行ったことは、政府の地価政策と相まってその後の資産デフレを深刻化させ、二〇〇〇年を目前にした今日までの長きにわたる大不況を招いた主たる要因であると私は思います。この問題については何回も当委員会で取り上げ、大蔵大臣の見解も聞いておるところであります。 その後の金融緩和政策への転換によって公定歩合が引き締め前の二・五%に戻ったのが九三年二月、実に三年九カ月の間に公定歩合は倍以上の水準まで引き上げられ、半分以下の水準まで引き下げられたのであります。この間の日銀の対応は、金融緩和政策を長期化させてバブルを発生させたという失敗の後始末に過ぎた金融引き締め策を講じてバブル崩壊の不況を深く長くしたものであって、失敗に失敗を重ねたものではないかと言わざるを得ません。 インフレなき持続的経済成長を目指すべき中央銀行がその本旨を見失って資産インフレと資産デフレを引き起こしたことは国民を大きな混乱に陥れ、家計の資産形成に大きなゆがみをもたらしたのではないかと考えますが、日銀総裁の御見解を。
○参考人(速水優君) 過去のことを申し上げることになるわけでございますけれども、いわゆるバブルの発生につきましては、自由化、国際化といったような経済環境の変化とか土地取引に関する法制、税制などのさまざまな要因が相互に複雑に影響し合って経済全体にいわゆる右肩上がりだという幻想が国の隅々にまでしみ通っていたのではなかったかと思います。同時に、長期にわたる金融緩和にもその原因の一端があったということは否定できないように思います。 バブル発生に至ります金融政策を振り返ってみますと、国内経済は一九八五年のプラザ合意以降の急速な円高進行に伴ってデフレ効果が強く懸念される状況にありました。また、当時は国の経済政策面でも大幅な経常黒字の是正とか円高の回避といったようなことが優先的な課題とされていたように思います。そうした中にありまして、金融政策運営面でもぎりぎりの選択が迫られていたというふうに理解しておりますが、結果として長期にわたる金融緩和がバブル発生の一端となったということであろうかと思います。 その後、景気が急速に拡大しまして、マネーサプライも高い伸びが続いたことから、日本銀行は平成元年、すなわち一九八九年になって金融引き締めに転じた次第です。平成三年、九一年の半ばには金融引き締めの効果が確認されましたために、同年中に三回の公定歩合の引き下げを実施して、その後も思い切った金融緩和措置を講じてきたわけでございます。 このような思い切った金融緩和の推進にもかかわらず景気の低迷が長く厳しいものになったというのは、やはりバブル時代の経済の行き過ぎというものが極めて大きかったために調整がどうしても深く長いものになっていかざるを得なかったというような事情があったと思います。 日本銀行としましては、当時の経験を踏まえまして、まず第一に、為替相場の安定や対外不均衡の是正のために過度に金融政策に依存した対応をとることは適切ではない、あくまでインフレなき持続的成長ということを目標にすべきであるということ、第二には、その際、資産価格やマネーサプライの動向などにも十分留意して早目早目の対応をとっていくことが必要であるということ、こういったことを十分念頭に置きまして適切な金融政策運営を行うように努めてまいりたいと思っております。
○伊藤基隆君 当時の状況の中で金融政策に偏重したという反省があるわけでありますが、そのことが日銀法の改正というところに実際はつながっていって、本日また様相は違うわけでありますね。 さて、日銀は、今、総裁の御答弁で十分な注意を払ってということがございましたが、果たして相次ぐ失敗から学んだことをその後の金融政策に生かしているのであろうか。現在、日銀は史上経験のない異例の低金利政策を長きにわたって続けておりまして、本年二月からは無担保コールレートを限りなく低く誘導するゼロ金利政策をとっています。このゼロ金利政策はどのような効果をねらったものなのか、お聞きいたします。
○参考人(速水優君) 先ほども申し上げましたように、毎日毎日の資金需給を見ながら市場に潤沢に資金を供給していくということ。その窓口として主として短期金融市場に資金を出していくわけでございますけれども、そういう資金が市場に流れていって必要なところの金利が次々と下がっていく、そしてまた株や社債の資金にも十分金が流れていく。株価一つをとりましても、ことしの初めから四割の上昇になっておることを見ても、ゼロ金利政策の結果というものがかなり大きく影響を与えていることは間違いないところだというふうに思っております。これからリストラをやっていこうといったような企業にとっても金融機関にとっても、低いコストの資金を調達していけるということはやはり再生への道を早めていくものだというふうに思っております。 モラルハザードが起こるんじゃないかといったようなことを御懸念いただく方もございますけれども、今この非常事態、今やらなければならないときにゼロ金利政策という、今までほかの中央銀行でやったことのないような措置をとっておるわけで、こういうことが先行きデフレ圧力が高まる可能性に対処しながら景気の悪化に歯どめをかけていくことをより確実にしていくのではないかというふうに思っております。ゼロ金利政策という思い切った金融緩和措置を講じて経済活動を最大限サポートしていこうと。 やはり、問題は民間の自律的な需要がいつどういう形で出てくるかというところでございまして、自律的回復が起こってくるまでの下支えとして、公共投資とともにゼロ金利政策という形でできる限りのサポートをしておるつもりでございます。
○伊藤基隆君 せっかくの御答弁でありますが、私は異常とも言えるゼロ金利政策の効果を少し検証する必要があるんじゃないかと思います。 GDPの約四分の三は個人消費と設備投資で占めています。いまだ回復基調があらわれるに至っていません。これは日銀の政策決定会合においても認められている事実であります。銀行には公的資金の投入による自己資本の充実、今答弁にもございましたが、ゼロ金利による資金繰りの緩和など過剰とも言える優遇措置がとられているわけですが、しかしながら企業の設備投資は回復していない。これは銀行の貸し渋り問題が解消されていないということか、あるいはほかに原因があるんだろうか。 この間、雇用者所得は減少して、失業率も過去最高の水準にあります。一般国民の生活には何ら改善が見られません。 日銀自体のこの間のさまざまな発言を例にとりますと、平成十一年七月二十二日の速水総裁の定例記者会見においての発言では、「現在のゼロ金利政策は、マクロ経済活動を金融面から最大限に下支えし、デフレ懸念の払拭ひいては物価の安定に向けて、少しずつ効果を現し始めている段階にある」と。七月です。黒田理事のインタビュー、「金融財政事情」平成十一年八月九日で、「ゼロ金利政策といわれる金融緩和が、いわば流動性の面から経済主体の活動を下支えすることを期待している。」と。期待でございます。効果については、十月二十七日の政策決定会合において、「民間需要の自律的回復のはっきりとした動きは、依然みられていない」と。 このようにゼロ金利政策の効果があらわれていないんです。そのことをどう考えるか、お答えいただきたい。
○参考人(黒田巖君) お答えいたします。 ただいま先生からさまざまな点の御指摘がございました。ゼロ金利政策、金融面から実体経済を下支えしようということでございますが、先生おっしゃいますとおり効果があらわれていないかというと、私どもはそういうふうには考えておりません。 若干総裁の申したことの繰り返しになると思いますが、まず短期の市場金利は事実上ゼロ%で推移しております。昨年などと全く違いまして金融機関の多くには流動性確保への安心感が浸透しているわけでございます。長期金利も総じて落ちついた動きを示しておりますし、株価も上昇傾向にあるということでございます。企業金融面でも、金融機関は融資先の信用力を見きわめながら融資を回復させようという姿勢に変化してきていると思います。 これまでのところ企業の前向きの資金需要も低迷しているということもありまして、先生御指摘のとおり、残念ながら貸し出しが増加するというところまで行っておりません。しかし、資金需要が一たん出てくれば、これに十分こたえられる態勢にはなってきているというふうに思います。また、社債やCPなど直接金融市場を通じた企業の資金調達環境も大きく好転しているというふうに思います。 こうした金融環境の改善が企業金融の円滑化とか企業、家計のコンフィデンスの改善という形で実体経済にも好影響を与えつつあるというふうに考えている次第でございます。
○伊藤基隆君 景気の若干の改善といいましょうか経済状況の改善といいましょうか、これには財政の問題も大きく絡んでいるわけであります。 金融政策が日銀が期待しているほど効果を上げていない。ほとんど上げていないという言い方はちょっと酷かもしれませんが、上げていない。それは日銀の金融政策だけでなくて日本の金融システムにそれを吸収し得る力がないんじゃないかということも感じているわけであります。 先ほどから私がテーマとして言っているのは国民生活の改善がなされていないという点でありますが、副作用の問題が決定会合の中で何度も述べられております。日銀総裁自身が、ゼロ金利政策の四つの副作用として、家計から企業への所得移転、二つ目に構造調整の先延ばし、三、市場参加者のモラルハザード、四、コール市場の機能低下といった批判があることを認識しているというふうに述べております。 さて、中でも国民生活に直接かつ最も深刻な影響を与えている所得移転の問題を取り上げてみたいと思います。 マクロで見て、資金は最終的な貸し手である家計から最終的な借り手である企業に流れている。ゼロ金利政策によって銀行の定期性預金の利率はほぼゼロに近い水準に張りついておって、企業の支払い利息負担が減る一方で家計の収入利子は減少を余儀なくされております。 八月十七日の速水総裁の定例記者会見での発言では、「低金利というのは、家計の利子収入の減少をもたらしている一方で、経済活動全般の下支えを通じて、家計の雇用所得にもプラスの方向に働いているはずである。」と。前任の日銀総裁のころから私が一貫してこのことを聞くと、一貫して同じ答えが返ってきていますが、当時からもう五年もたっている。 したがって、長期にわたる人為的な低金利は、家計から企業への所得移転という所得分配上の不公平を生んでいると同時に、家計の中においても、住宅ローン等の負債を抱えている若い世代より、老後のために貯蓄を蓄えてきた高齢者世帯に負担を強いるという不公平を生んでおります。 そもそも家計の金融資産は元本が変動しない預貯金が中心でありまして、その傾向は安全志向の高齢者世帯ほど強いわけであります。預貯金は金利低下によるキャピタルゲインが得られないことから、金融資産を取り崩しながら生活して、預貯金の利子が貴重な収入源となっている高齢者世帯に特にしわ寄せが来ているのであります。なるべく取り崩さないようにしていると。政府の統計によっても取り崩し量がだんだん減ってきている。減ってきているというのは、将来に対する不安があるから減ってきているわけです。 日銀はゼロ金利政策が経済活動全般を下支えして雇用増、所得増につながることを期待しているようでありますが、たとえそのような効果があらわれたとしても、社会保障給付や利子収入に依存してゼロ金利政策のしわ寄せを受けてきた高齢者世帯に利益還元されるのか、この辺について聞きたいと思います。
○参考人(藤原作彌君) お答えいたします。 先生が今御指摘なさった点は、政策決定会合の中でも副作用の一つとして私たちは検討課題にいつも取り上げている問題であります。 御指摘のように、長く低金利政策が続いてきました。金利収入に多くを依存している高齢者世帯が厳しい状況にあるということは私どもも十分に承知しております。この点、さきに私どもで発表しましたアンケート調査、平成十一年の貯蓄と消費に関する世論調査で見ましても、高齢者ほど貯蓄保有額が大きい、その分だけ低金利の影響も大きいという結果が出ております。また、個々の家計で見ましても、高齢者層に限ることなく低金利で大変御苦労されているケースもあろうかと思います。実は私も家庭で家内や母からその点いつも追及を受けております。 しかし、日本銀行で政策を検討し運営している者にしますれば、今ここで金利を引き上げれば投資採算の悪化を招きますし、企業収益の下押しといったことを通じて経済活動が再び落ち込みまして、雇用や賃金の情勢が一段と悪くなるおそれがあるということも一方で承知しているのであります。家計収入のうち圧倒的に大きな部分が雇用者所得でありますから、この悪影響が金利収入などの減少よりもかえって大きなダメージを家計に与えることになりかねないと思います。 これまでの思い切った金融緩和政策ではありますが、それが徐々に浸透してきまして、経済活動は少しずつですが改善を見せていると考えております。これが景気の自律的な回復に本格的にこれからつながっていきますれば、その恩恵は雇用機会の増大や、今度は金利の自然な上昇という形になりまして、いずれ高齢者世帯にも及んでいくものと考えまして今の政策を推進しているわけです。 御理解を賜りたいと思います。
○伊藤基隆君 日銀の政策決定会合における副作用問題の指摘は少数意見、一名でございますね、私が知る限りでは、篠塚委員であります。 篠塚さんは平成十一年十月二十七日にこういうふうに言っています。「景気は最悪期を脱しており、できるだけ早期に金融政策を正常なかたち、すなわち、緩和も引き締めも可能な状態、に戻す必要がある」と。金融政策が緩和と引き締め両面でとれなかったら、果たして金融政策の武器を持っていると言えるのかどうかというふうに私は思います。「ゼロ金利政策は長引けば長引くほど解除に伴うショックが大きくなること」、もう既にショックが大きくなっていると思いますが、そういう理由を挙げて採決に反対したというふうにお伺いしております。 今説明がございましたが、私にはゼロ金利政策が高齢者世帯に特に負担が大きくなるというゆがみを伴う政策であるということを認めている答弁のように聞こえてなりません。それをマクロの経済を問題にして犠牲にしている。多数の高齢者世帯の生活も政策の中に包含されていなきゃならないわけです。私はマクロ経済政策として仮にその必要性がある場合にも、緊急避難的な一時的な政策でなければならないんじゃないか。その異常な政策が明確な効果をあらわさないまま本年二月から既に十カ月も続けられているけれども、ゼロ金利政策がいつまで続くのかが喫緊の重要な問題となっているんではないか。 日銀はデフレ懸念の払拭が展望できるような情勢になるまでと唱え続けていますけれども、民間消費や設備投資が自律的な回復に至るには、バブルの負の遺産として企業が抱える問題、すなわち過剰設備、過剰債務、過剰人員が解消される必要がありますが、いつになるか見当もつかないそのときまで高齢者世帯に負担を強いるということなのか、その間に高齢者世帯がこうむった負担はどのように補てんされるのか、そのことについての答弁がなければ現在の政策遂行の意味が薄れる、意味がないというふうに思いますが、いかがですか。
○参考人(藤原作彌君) お答えします。 家計の資産は、国民が働いて得る所得の中からこつこつとためていくということによって蓄積されていくものだと思います。このため、所得形成の源泉である経済活動が安定的に発展していかなければ金融資産の蓄積もまたおぼつかないわけであります。 このように、国民の金融資産が安定的に形成されていく上で最も大切なことは、物価安定ということを軸に経済の持続的成長を確保することであると考えております。日本銀行は、そうした状態をできるだけ早く実現したいというために思い切った金融緩和を現在は続けているという点を御理解いただきたいと思います。
○伊藤基隆君 さて、ゼロ金利政策が家計に及ぼす副作用やゆがみは所得移転のような直接的な問題にとどまらない、預貯金とともに将来に備える家計の重要な資産となっている保険及び年金でございます。 生保や企業年金にとって、ゼロ金利政策下での運用利回りは予定利率を大きく下回っており、逆ざやの状況が続いています。生保や企業年金の経営状態の悪化、積み立て不足という隠れた債務が国民に将来の給付に対する大きな不安を抱かせて、個人消費を一段と冷え込ませている原因となっているというふうに見られます。 このような状況は、ゼロ金利政策による預貯金金利の異常な低さとも相まって、家計の資産形成を不安定かつ困難なものとしているが、その点についての日銀の責任はどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。 さらに、最近では人為的にインフレを起こすインフレターゲティングなるものまで検討されていると聞きますが、高齢者世帯が長年にわたって蓄えてきた貯蓄を目減りさせ、若い世代の資産形成にも混乱を招くことが予想される、そのようなインフレ政策は果たして許されるのかどうか、総裁の御見解をお伺いしたいと思います。
○参考人(速水優君) インフレターゲット論あるいは調整インフレ論といったようなものがこのところ盛んに唱えられ、私どもの方にも日銀はなぜこれをしないのかといったようなことを聞かれるわけでございます。今とっておりますゼロ金利政策、これはデフレ懸念の展望がなくなるまでこれを続けていくということで、非常に抽象的だとおっしゃる方々もおられますけれども、このこと自体一つのターゲットでございます。民間の自律的な需要というものがいつどのような形で出てくるだろうか。今のところ物価は非常に落ちついて安定しておりますから、私どもが非常に気にして見ておりますのはその点でございます。これはまだ前向きに出てきたというふうには思っておりません。それと同時に、これはある意味ではターゲティングに相当するものだと私は思っております。 最近、デフレ的な経済状況を脱するためには高目のインフレ率を目標として設定したらどうだ、あらゆる手段を動員してその達成を目指すという考え方があるようでございますが、これは非常に危険な選択であると思っております。私どもにとってとり得る政策ではないと考えております。 一たんインフレが起きてしまいますと、これをコントロールすることは極めて難しいわけで、その場合に国民生活や企業活動に与える打撃ははかり知れないものとなると思います。特に年金生活者のように固定した所得などで生活をしている人たち、あるいは貯蓄で生活をしている人たち、こういう人たちにとって物価が上がっていく、インフレになっていくということがどんなに苦しいことかということを考えます。私どもの友人などもインフレにだけはしてくれるなということを、第一線を引いて引退している人たちは口癖のように私に言っております。一たんインフレが起こってしまいますと、それをコントロールするということは極めて難しくて、その場合、国民生活や企業活動に与える打撃ははかり知れないものとなると思っております。 御指摘のように、現在、いわゆる国民の金融資産というのは千三百兆円を超えております。この家計の金融資産の実質的な価値が目減りしていくようなことが起こるとしますと、それは極めて深刻な事態であるというふうに考えます。このように、インフレをもって経済問題に対処しようということは全く誤った選択であると私は思っております。 また、もう一つ……
○伊藤基隆君 総裁、私も最後にちょっと言いたいことがあるので。
○参考人(速水優君) はい、それではもうこの辺で失礼します。
○伊藤基隆君 済みません。 現在のゼロ金利政策は歴史上極めて異例なものでありまして、一部の高齢者世帯の負担を増大するという所得分配のゆがみなど多くの副作用なり弊害を伴うものであるから、時期を逸することなく解除されなければならないと考えます。 また、解除されるに当たっても、その間に負担をこうむった家計の利益について日銀及び政府による適当な配慮がなされなければならないことは当然でありまして、決してそのような家計の負担にフリーライドすることがあってはならないということを申し上げて、質問を終わります。
○海野義孝君 きょうは日銀総裁初め日銀の皆様方、御多忙のところを大変ありがとうございます。 公明党の海野でございます。 今、お二人の同僚議員の方々からいろいろな面から御質問がありましたので、相当部分についてはもうお答えをいただいているということでございますけれども、私の方からも多少、総裁初め皆様方にお聞きしたい、こう思います。 今、総裁もおっしゃっていましたけれども、二月以来のゼロ金利政策、確かにこれは異常といえば異常なわけですけれども、それだけ異常な状態に日本経済が落ち込んでいるということでございまして、例えば先ほどの個人の金融資産千三百兆円については、これが十分に機能していないと。 最近といいますか、昨年の十月十九日以来、東京株式市場において約五〇%方株価が上昇しました。私もかつてそういったところに身を置いておりましたから感慨新たなものがありますけれども、そういった部分の中では、かなり今、一日のいわゆる売買代金が一兆円を超えるとか、出来高が六億、七億株ということは、私が退職した当時から見れば、まさにこれまでの兜町の御苦労もようやくここへ来て報われ始めたかなと思います。 つまり、そこにはこの千三百兆円の金の中の一部が株式及び投資信託等を通じて機能し始めているということでございまして、まさに賢明なる消費者あるいは投資家の方々は、ゼロ金利の中から自己防衛のために、自分の将来のためにそういった市場に金を投じているということでございまして、私は、千三百兆円の金の中には有効に使おうとしているお金というのが相当あるわけで、まだ今の段階はごく一部分であると思いますけれども、将来の日本の経済というものに対する確信といいますか、そういった面がまだ大変弱いという人たちが現在のこのゼロ金利政策というものを余儀なくすると。 総裁はゼロ金利政策によって日本の景気を立て直すために貢献をしているんだとおっしゃいますけれども、私は必ずしもそうは受けとめてはおりません。現在、十一次にわたる景気対策によりまして財政部分から相当な支えをしてきたということについて、これは総裁も今回の六カ月報告の中でもおっしゃっているわけでして、まさに公共事業であるとかあるいは住宅投資であるとか、こういった面の効果は出てきているけれども、何分にも個人の消費とかいわゆる自律回復に向かうそういう面のパワーが弱いんだということをおっしゃっているわけですけれども、私はそういったところで総裁のおっしゃることが、国民にとってみればかなり腰を引かせているんじゃないかという部分があると思うんです。ということは、総裁はデフレスパイラルは一体終わったと思っていらっしゃるのか。 むしろ、それは既にある時期において終わり、インフレとは言いませんけれども、前向きの方向に向かうのに対しては現在のデフレ、これが解消するまではこのゼロ金利政策を使うということが過度に国民を神経質にさせているのではないか、私はそのように思うんですけれども、その点はいかがでございますか。
○参考人(速水優君) やはり、今一番の問題は民間の自律的な需要というのがなかなか出てきていないということで、御指摘の設備投資と消費というのがふえていくという傾向がまだうかがわれないというのが私どもにとっての最大の課題であるということを先ほども申し上げましたが、これを下支えしていくために公共投資も出、ゼロ金利の潤沢な資金が私どもの方から出ておるわけでございます。ただ、デフレ懸念と言っておりますけれども、現状がデフレであるとは必ずしも言えないと思うんです。これからまだデフレ懸念が強まっていくようなことがあるとすれば次の手も考えなきゃいけないかもしれませんけれども、今はいずれゼロ金利をやめられるような状況を展望できる段階にあります。 確かにゼロ金利というのは先ほど御指摘のように異常な金融政策であって、歴史の中でもこういう例はないわけでございます。ですから、御指摘の副作用、あるいは上げたり下げたりできないじゃないかといったような問題点を含んでいることは確かでございます。今の日本にとって、ようやく景気が底を打って上がろうかというときに必要なものは金融、財政両サイドからの支えであって、民間の需要が出てくるまでこれを続けていくしか私どもとしては今ほかに適当な手がないと言ってもいい。このゼロ金利のもとで適時適切に弾力的に毎日の資金供給をやっていくということが課題であろうと思います。 明るい方の面も随分出てきております。為替市場を見ると、今はドルも弱いしユーロも弱い、円だけが強いような形になって、ユーロ、円、ドルの三すくみが起こっているわけです。株式市場では海外勢が数兆円の買い超しになっているということを見ましても、みんながこれから日本は立ち上がってくるということを見てやっていることでありますし、かつての円高とは少し違う。円がこれから強くなっていくだろうというので円買いが起こっているんだ、経常収支の黒字も続いているんだというような面がある。こうしたことを考えましてもそんなに悲観したものではない、これをうまく使っていけば必ず立ち直れると思っております。
○海野義孝君 大変重要なというか、重大な発言をなさったというように私は受けとめます。 そういうことであるならば、デフレ的な懸念云々というようなことにこだわらないで、もっと前向きのスタンスで今後、事態におくれをとらないというか、そういった政策をよろしくお願いしたいと思います。 数日前でしたか、通産省の発表では、三年ぶりで民間の設備投資がプラスに転じるという予測が出ておりました。ただし、製造業については引き続きマイナスでありますけれども、非製造業についてはサービス業を初めとして相当なプラスに伸びが期待できるというようになっておりまして、私は、民間の設備投資について単純にこれが低調である、低迷しているというような見方は当たらないと思います。 先般、政府としましても日本経済の新生対策という形での補正予算の審議をし、成立したわけでありますけれども、あの中には、当面の景気対策と同時に、二十一世紀に向かっての構造改革的な部分あるいはまた二十一世紀の国民の安心の部分、そういったかなり複合的な部分が織り込まれているわけでございます。 そういった中で見ましても、やはり今後の情報立国というようなことの中で、民間の設備投資についても、企業にとってみましても、例えば最近の日立とか東芝あるいはソニー等々を見ましても、まさにリーディングカンパニーにとってみればその設備投資の内容ががらりと変わって、しかもことし、来年にかけては数千億単位の設備投資をするというように変わってきているわけでございまして、私は、そういう意味からいうと、設備投資は低調だということじゃなくて、民間設備投資の内容がまさに構造変革をもたらす方向に動き出したと。 この点を日銀としてはどのように評価し、今後の政策にどのようにこれを取り込んでいかれるか、そういった前向きのスタンスをお願いしたいと思うわけでございますけれども、その点について、どなたでも結構ですからお願いいたします。
○参考人(黒田巖君) お答えいたします。 設備投資が少し回復あるいは前向きのものになってきつつあるのではないかという点につきましては御指摘がございましたが、そうした動きが出てきているということは全く御指摘のとおりであろうというふうに考えております。 ただ、問題は、マクロでこれを見ますと、一方においてはまだ先生御指摘のほど元気でない企業と申しますか産業というものもあるという、この明暗と申しますか、いろいろまだら模様というのが最近までの実態であったろうと思います。 その中で、確かに設備投資はどんどん減少傾向を続けていましたが、減少の度合いは歴然と小さくなってきているということは確かでございます。こういった方向がさらに少しずつでも反転していく方向につながっていくならば、まさに先ほど来お話の出ております経済の自律的回復ということにつながっていく可能性が大きいものだというふうに考えておりまして、そういうことが一日も早く来るようにという期待をしている、しかし注意深く見守っていきたい、こういう状況でございます。
○海野義孝君 もう一問だけお願いします。 今お話がありましたけれども、マクロ的に言うとまだ云々というお話ですが、そういった企業によって前向きの動きが出てきたということは産業界に対してかなりインセンティブを与えている、与えることになる、私はこのように思う次第でございます。 最後に、一問でございますけれども、私は二年ほど前に当委員会において当時の国際局長あるいはシンクタンクの理事長に御質問したことがございますけれども、当時、日本の企業の中でいわゆるDRを発行している、あるいはニューヨーク市場に上場している企業は銀行ではたったの一行である。それに対して民間の企業にとってみれば国際的なそういう活躍をしている中に相当数上場している企業がある。したがって、当時ビッグバン等について市場から退出する企業は拒まないと、ただし預金者保護ということはありますけれども。むしろ前向きにそういった一般事業会社というものがどんどん銀行業務に進出することに対して免許を与えてはどうか、これは今は金監庁の所管かと思いますけれども。 きょうもソニーが新聞に出ました。先般もイトーヨーカ堂が出ました。こういうようなことが中央銀行にとっての今後の金融政策上、とりあえずこれは決済専門銀行というような感じでございますけれども、これに対しての中央銀行としての御意見はまだ今の段階では出ていないわけです。お立場上発言しにくいかと思いますけれども、私はこういった動きが出てきたことは大変前向きにとらえるべきではないか、このように思うのでございます。その点いかがでございましょうか。
○参考人(小畑義治君) お答え申し上げます。 先生、今、イトーヨーカ堂が新しい決済専門銀行設立の動きもあるというような御指摘もございましたが、個別の案件についてコメントすることは差し控えさせていただくといたします。 先生おっしゃるとおり、銀行業に新しい血が入ると申しますか、新しいキャピタルインジェクションが行われること、それを日本銀行としてどう考えるかというふうに受けとめてみますと、例えば従来の銀行業とは違うセクターの一般企業、事業者が入ってくるというようなことは、一般論といたしましては、情報通信の発達でインターネット銀行というようなことも言われておりますし、あるいはイトーヨーカ堂がどうするかという不透明な部分はございますが、そういう決済専門銀行とか新しい銀行サービスのあり方が模索されてきている。ビッグバンの進展の中でますます金融サービス業は競争を活発にいたしておりますし、それから個人、企業の金融に対するニーズも非常に多様化してまいっておりますので、そういう意味では、国民一般の選択の幅を広げるという意味で先生御指摘のような流れが出てくるのは私ども日本銀行としても基本的に大変好ましいと申しますか、結構なことと思っております。 ただ、問題は、こういう新しい金融サービスが始まるということになりますと、最終的にはこういう新しい銀行をどう決めるかというのは行政当局の免許等々の問題があって、御判断もあろうかと思いますけれども、私ども日本銀行といたしましても、こういう新しい金融サービスが始まるには競争上とかいろんな利益相反の問題とか、そういういろんな今までとは違った新しい問題が生じないような環境整備は注意して行っていかなきゃならない。私どもも日本銀行として貢献できることであれば、新しい金融サービスは大歓迎でございますけれども、それに伴って生じるようなマイナスのことが起こらないか、そこも注意深くチェックしながら金融システムの安定を図ってまいりたい。 結果的に金融システムがそういうふうに強固で安定したものになれば私どもの金融政策の有効性も一段と増すというふうに考えておりまして、長くなりましたが、今のところそういうふうに私どもは認識いたしております。
○海野義孝君 どうもありがとうございました。 以上です。
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。 今回の補正予算で七兆六千億円の国債が増加発行されます。今年度の国債発行高三十八兆六千億、依存度四三・四%、大変な財政の実態であります。国、地方合わせて本年度末には六百八兆円、そういう債務残高を抱えることになるわけなんですが、ともかく財政危機は深刻な事態になっております。 ところで、大蔵省、財政当局はこういった財政危機から脱却する道といいますか、めどといいますか目標、そういったものも持てない実態にあります。ですから、国民から見れば、政府はもう手だてはない、恐らくやるとしたら大増税かあるいはインフレ政策か、あるいはその両方じゃないかということを危惧しているわけです。どちらにしてみても国民にとっては大変迷惑な話、大変な負担を抱えることになるわけで、こういった日本経済に大きな困難をもたらすような政策は断じてとってはならないと考えておるわけです。 そこで、先ほどの伊藤委員の質疑も伺っておったんですけれども、ことしに入って自民党や大蔵省サイドあるいはアメリカサイドから国債の日銀引き受け論が頭をもたげてき出した。そして、一月にはルービン財務長官の発言があり、六月には自民党の金融問題調査会債券市場問題小委員会などでの議論があった。そして、きわめつけが大蔵省の伊藤副財務官のインフレターゲット論、こういうのが続々と出てきておるわけです。先ほどの伊藤委員の質問に対して、総裁はインフレターゲット論はとるべき政策ではないと明言されましたので、これはそのとおりきっちりと受けとめさせていただきたいと思います。 であるならば、それがずっと日銀の政策として貫徹されていなければならないわけなんですけれども、ここの動きを見ますと、必ずしもそれだけ毅然とした姿勢がうかがえないのじゃないかと思うんです。その点で二、三伺っていきたいというふうに思います。 まず、この秋、報道によりますと、金融の量的緩和をめぐって日銀包囲網がしかれたというふうな報道がなされております。「金融ビジネス」という雑誌によりますと、いろいろ詳しい報道がありまして、九月十六日に宮澤蔵相が都内のホテルで日銀総裁と会談したころから、アメリカからの介入協力を取りつけるため日銀の量的緩和が必要だとの動きが強まり始めたというふうに書かれております。いろんな新聞報道もありますが、その十六日の翌日、十七日の夕刊から各紙一斉に量的緩和に踏み込むのかなという、日銀はそういう方向に踏み込むのかなという記事が流れた。日銀の知らないところで包囲網がつくられたというふうに報道されております。 ところで、その後の日銀の動きを見てみますと、総裁はG7後の九月二十五日、それから数日後ですけれども、二十五日の声明、十月十三日の会見、そして今月一日の談話と、相次いで意見、見解を発表されているわけです。新聞報道もいろいろあります、さらに量的緩和に踏み切った云々の報道もあるわけですが、果たして量的緩和問題で従来の日銀の政策が変わったのか変わっていないのか、ここのところをひとつ明確にされたいと思います。
○参考人(速水優君) 御指摘のステートメントを九月二十一日に出し、二十五日にG7で私は四つのことを申しましたが、そこで言ったこととその後の記者会見で言ったこと、いずれも変わってはおりません。表現は多少変わっております。だから、G7の国々の人たちと話し合う必要もあって出したステートメントでございます。 二十五日のステートメントは、 一、日本銀行は、ゼロ金利政策のもとで潤沢な資金供給を行っている。 二、日本銀行としても、最近の急激な円高の進行が、企業収益等を通じて景気や物価に与える悪影響を懸念しており、この見方は、政府とも共有されている。 三、金融政策運営については、引き続き、現在のゼロ金利政策のもとで、豊富で弾力的な資金供給を行い、為替変動の影響も含め、金融経済情勢に応じて適時・適切に対応していく方針である。 四、ゼロ金利政策の効果浸透をより確実なものとする観点から、調節手段の拡充についても検討していく。 この四つ目の調節手段を拡充していくというのは何なのかというようなことが多少問題にされたわけでございますけれども、それについては、十月に入ってからオペの対象を少し拡大したり、あるいはコンピューターの二〇〇〇年問題に対応するために非常事態に備えて資金を供給する方法をつけ加えたり、そういう政策の調節はやりましたけれども、中身は、特に考え方は全く変わっておりません。 十二月一日に、介入の二日後でございましたので、大量の円売りドル買いの資金が円市場にばらまかれたものが不胎化されるのか非不胎化なのかといったようなことを市場関係者あるいは内外のエコノミストの方、評論家の方々が注目しておられたわけで、たまたま二日目に決済をいたしますので十二月一日になったわけですけれども、その日の朝、毎朝金融市場局長がその日の積みの見通しを発表するわけですが、それが高くなるか低くなるか、そのままになるかということを皆が非常に注目しておりました。 そういう情勢もございましたので、十二月一日に一兆円という数字が変わらないということを発表すると同時に、総裁談話として短いステートメントを出したわけですが、その中で「日本銀行は、大蔵省の行動を支持し、為替市場が早期に安定を回復することを強く期待している。」、大蔵省の行動を支持していくということと、「日本銀行は、介入資金も利用して豊富で弾力的な資金供給を行っており、本日も、この方法により大量の資金を市場に残す調節を実施した。」、介入資金も大量の資金の中の一部としてやっておるのであって、特にゼロ金利のもとでは不胎化とか非不胎化とかいうようなことは議論をしても余り意味のないことだというふうに考えております。
○池田幹幸君 時間が少ないので簡潔にお願いしたいと思っておったんですが、最初の一問で随分時間をとってしまいました。 いろいろおっしゃいました。結果的に不胎化、非不胎化というのは意味がない。なぜならば、ゼロ金利政策のもとでもう資金はじゃぶじゃぶ供給されているということだと思うんですね。意味がないということの前に、そうするともう既に非不胎化と言えるような政策を介入問題ではとってきたんだということですね、日銀は。 だとすれば、十二月一日の日銀総裁談話というのは、これは相当私はぐらぐらぐらついたものだというふうに思うんです。既に非不胎化と言われるような政策をとってきているのであれば、なにゆえに、だれが読んでも、「介入資金も利用して豊富で弾力的な資金供給を行っており、本日も、この方法により大量の資金を市場に残す調節を実施した。」ということをわざわざ言ったということは、だれが見ても非不胎化路線に踏み切ったなと考えるわけで、事実、各紙ともそういう形で報道しました。 結局、今の御説明を聞きますと、日銀としてはそういう政策をとってきた、そういうことをそのまま受け取ったとしても、だとすると、ますますぐらぐらしながら、こういった発言の繰り返しを見ていますと、アメリカの圧力に屈してじりじりとインフレ政策への傾斜というものがその中に見られるのじゃないかというふうに私は思うんです。そういう点で非常にぐらついているんじゃないか。 また、さらに言いますと、日銀は大蔵省との間で郵貯の大量流出対策という名目で資金運用部保有国債の買い入れに合意したというふうに言われております。時限的な措置ということですけれども、緊急事態があれば一層の対応を検討するということになっております。結局、これは形を変えた日銀による国債の引き受けにもつながっていくんじゃないか、これが懸念されているわけですね。ここまでどんどん進んでいきますと、やはり日銀による国債引き受けにどんどんと進んでいくおそれが十分にある、私はそのことを指摘したいと思うんです。また答弁いただいても今と同じようなことになると思いますので、これについてはもう答弁は求めません。そのことだけ指摘したいと思います。 一つだけちょっと変わった問題で伺っておきたいんですが、十一月二十四日に発表されました生活意識に関するアンケート調査というのがございます、日銀でやられました。これによりますと、一年前に比べて支出を減らしていると答えた人は四一・三%に上っております。その中で、どのようなことが実現すれば支出をふやすと思うかという問いがあります。それに対しては、消費税の引き下げ、これが四九・五%でトップ、二番目が雇用や収入の不安の解消、これが四五・二%なんですね。 他方、十一月十六日にNHKが放送しました世論調査の結果を見ますと、ここでは同じような結果が出ています。政府に最も強く望む政策は何かという問いに対して、雇用安定が三〇%、消費税引き下げ二二%、中小企業対策一六%、そういう順になっています。公共投資は六番目、四%と。 日銀調査、NHKの世論調査、どちらから見てもわかりますように、消費税の減税を求める声が断トツなんですね。これは、個人消費の拡大に直結する政策が今求められている、こういうことを如実に示すものだと思いますが、日銀はこういったアンケート調査は政策・業務運営の参考にするために行っているというふうに説明しておられますけれども、そうしますと、その金融政策面から景気、物価対策の責任の一端を担っておられます日銀、その総裁としてこのアンケート調査の結果にどういう感想をお持ちなのか。もうあと二分しかございません。答弁を求めて、終わりにしたいと思います。
○参考人(藤原作彌君) 私から答弁させていただきます。 先生今御紹介くださいましたように、日本銀行では政策・業務運営の参考とするために国民各層の意見や要望を幅広く聴取するよう努めておりまして、このアンケート調査もそうした一環であります。 最近の結果については御紹介いただいたとおりですけれども、家計部門の状況については、私どもは雇用・所得環境に目立った改善が見られない中で回復感に乏しい状況が続いているということを調査の中からも受け取りました。アンケートの今御指摘なさった部分も、家計を取り巻く情勢の厳しさを端的にあらわしているものだと考えます。 日本銀行としましては、こうした情勢を十分に踏まえながら、金融面から経済活動を支えることによって家計の先行きの不安を和らげるよう努めてまいる所存ですが、ただいまおっしゃいました個人消費の拡大、設備投資の拡大といった面に及ぶよう金融政策をさらにきめ細かく運営していきたいと考えております。
○池田幹幸君 さっき伊藤委員の質問の中にあったように、ゼロ金利政策のそういったことも見直して、特に年金生活者に対する金利問題でも考え直さなければいけないなという感想をお持ちじゃないかなと思って私は伺ったんですけれども、全く的外れでした。 終わります。
○三重野栄子君 社会民主党の三重野栄子でございます。 まず、総裁にお伺いしたいんでございますが、財政投融資改革をめぐる議論の中で、大蔵省は政府短期証券を短期の財投債として発行する方針であるとの報道が、十一月中旬だったと思いますけれども、されております。そういうことになりますと、郵貯、年金等の公的セクターに加えまして日銀にも引き受け要請が高まることは当然予測されることでございます。こうした動きに対し、日銀としてはどのように対処をされるのか、仮定の話で恐縮ですけれども、総裁の御見解をお伺いしたいと存じます。
○参考人(速水優君) 国債の引き受けとか長期国債の買い増しということは、私どもとしては全く考え方は変わっておりません。それは政府から言われましてもお断り申し上げたいと思っております。 それで、今おっしゃった財投改革、それから新しい財投債ですか、どういうものが出てくるのか私まだよく聞いておりませんけれども、預金保険機構の預保債と同じように市場消化の扱いで考えていくべきものかなというふうに思っております。いずれにしましても、できることならすべて市場で売買が行われていくというのが最も望ましい方法だと思いますし、期間も、短期のものも出すというふうに伺っておりますが、その辺も流動性のあるものを出していただいて、市場がそれを吸収していくということが望ましいと思っております。 御承知でしょうけれども、本年の四月にFB、ファイナンシングビル、これが日銀引き受けから市中公募に切りかわりまして、それ以来ずっとFB、それからTBがどんどん市場に流通してふえてまいりまして、今既に四十兆円という数字になっております。来年三月には恐らく六十兆円ぐらいになるでしょう。このことだけでもこの一年で非常に大きな変化であったと思うんです。国債というものは市場で吸収し、調達し、売買していくものだというふうに変わってきておりますので、その考え方は今後も続けてまいるつもりでおります。
○三重野栄子君 ありがとうございました。 次に、郵貯の問題につきましてお伺いしたいのでございます。 集中満期が間もなく参りますけれども、資金運用部の資金繰りに対しまして、日銀は資金運用部の保有国債を現先取引という手法を活用してサポートすると承知をいたしております。この決定自体は緊急避難的なものとしてやむを得ないものであると私も考えますが、ただしこれはあくまでも緊急避難的なものでありますから、その延長は決してすべきではないと考えます。現先取引を二年ですべて打ち切るのは難しいとの指摘も一部ではあるようでございますけれども、財政規律を守るという意味でも、日銀総裁は二年という時限を延長しないと断言をされるというふうに考えておりますが、本件に対する総裁の御決意をお伺いいたします。
○参考人(速水優君) 郵貯の集中満期の問題は、御承知のとおりもうかなり前から懸念されていたことなんですね。これを出したのは十年前、バブルの真っ最中で、六%以上のものを郵便局が随分一生懸命売ったわけです。売ったといいますか、郵貯を集めたわけです。明年度とその次の二年間で恐らく百兆を超える定期の貯金の期日が来て、それがどれだけロールオーバーされるか、今の低金利に切りかえられていくかどうか非常に見通しが難しいんですね。 しかし、金額が大きいだけに、仮に三、四割この資金がショートすることだって十分考えられるわけで、運用部としてはかなり真剣に、この資金をどういうふうにして調達していくのかということをかなり早い時期から日銀にも相談に来ておられたわけです。両方でいろいろ話し合った結果、これは新しい金をどうやって出すかという問題でなくて、既に十年も前に決まっていた資金の期日が来て、それが金融市場あるいは私どものやっている金融調節に非常に大きな波を立てる可能性がある。それに対してどういうふうに起こってきたときにやっていくかということは両者の間で話し合いがついたわけでございまして、一番大事なことは、日本銀行として円滑な金融調節の実施という観点から協力をしていくということであり、お金を出すということを言ったわけじゃございません。 二つございまして、資金運用部を含めて政府の資金繰りが中央銀行の資金に依存することは本来望ましいことではないという原則のもとで、今回の対応は、一つはその集中満期が到来する二年間に限定するということと、もう一つは資金運用部みずからが市場から資金調達することを原則としながら、日本銀行は必要と認める場合には一時的な流動性を供給することがあると。だから、これは原則として運用部が手持ちの国債を市場で売却するなりなんなりして資金を調達する、どうしても足りなくてどうにもならないというときには期限を限り日本銀行が売り現先に応ずるということを決めたわけでございまして、これも期間が限られておりますし、金額もいずれ限られることになると思っております。 そういうことですから、これが国債の買い入れとつながっていくんだということとは全く別のことだというふうにお考えいただきたいと思います。
○三重野栄子君 実は私も一口入っているんです。当時無職でございましたものですから大変楽しみにはしていたんですけれども。 最後に、ペイオフにつきまして御意見いただきたいと思います。 ペイオフについては、現在、金融審議会で最後の詰めが行われている段階でございますが、米国のPアンドA方式を導入するなど大きな方向性は既に示されておるわけでございます。日銀総裁もペイオフについては強い関心をお持ちになっておりまして、独自の見解を国会でもお示しになられたところでございます。 これまでの金融審議会での議論の流れも踏まえまして、ペイオフに対する日銀総裁の御見解をお伺いして、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○参考人(速水優君) ペイオフに関しましては、この債務を全額保護するといった特例を終了する時期をどうするかと、こういったことは最終的には立法府を通じて国民の判断にゆだねられるべきものだというふうに考えております。 ただ、私どもとしては、この現状の特例措置を延長するということは次の点で適当でないというふうに思うんです。一つはやはりモラルハザードの発生を呼ぶだろうと。二番目にはコストの増大です。これは長くなればやっぱりコストがかかってきます。それから、三つ目は我が国金融システムに対する国際的な信認の回復とか不良債権問題の克服のおくれを招きかねない。この三つのことを考えて私どもはペイオフの延長には反対をしておるわけですが、特例措置を廃止した後の金融機関の破綻処理につきましては、これまた早い時期から、社会的、経済的なコストを最小限にとどめながら迅速な対応、セーフティーネットをつくっていかないとだめだと、このことは一番大事なことだと思っております。 この点、先般、金融審議会から公表されました「特例措置終了後の預金保険制度等に関する基本的な考え方」というペーパーで見ますと、ペイオフはできるだけ回避して、いわゆる日本版PアンドA、パーチェス・アンド・アサンプション、アメリカにあるこの方式をまねて日本的なPアンドAをつくっていくということが破綻処理の基本だというふうに位置づけられておりますし、二〇〇一年四月以降の新たな破綻処理制度の基本的な枠組みを示すものとして、これは私どもも極めて妥当なものだというふうに考えております。 現在、金融審議会で各界から寄せられたいろんな意見を踏まえて最終的な報告書がつくられているところだと思いますけれども、もう本当に一年余りしかございませんのでこれを急いでやる必要があると思いますが、最終的な報告書の作成に向けて検討作業には日本銀行としても積極的に協力してまいりたいというふうに考えております。
○三重野栄子君 ありがとうございました。 終わります。
○菅川健二君 委員会をかけ持ちしておりましてばたばたして申しわけございません。自民党の理事さんから四時には終わるようにと言われたんですけれども、もう既に四時が過ぎておりますので、若干の質問にとどめさせていただきたいと思います。 日銀は、ここ数年間、金融不安を解消いたしますために打ち出の小づちのごとく日銀特融を出してきたわけでございますが、その後の処理の状況はいかがなっておりましょうか。
○参考人(小畑義治君) お答え申し上げます。 私ども日本銀行は信用秩序の維持という使命を果たすために先生御指摘のとおり特融を実施してきているわけですが、最初に貸出残高の推移を若干申し上げますと、十一月末時点では一兆一千二百七十三億円でございまして、その後十二月に入りまして特融先の資金繰り等によって変動がございますが、現在十二月九日時点では約七千五百億円と減少をいたしております。 やや長い目で特融残高の推移を見てみますと、平成十一年三月末には約六千億円であったのが、約一兆円前後の水準まで最近ふえてきている。これは、御案内のとおり、再生法に基づきまして管財人方式で、いわゆる第二地銀と言われております国民銀行とか幸福銀行、あるいは東京相和銀行、なみはや銀行、新潟中央銀行という、不幸にしてこういう地域の金融機関の破綻が相次ぎましたためにふえてきているところでございます。 その後の特融の傾向的な動きはどうかということでございますが、こうした破綻金融機関に対します特融については、私どもは四原則というのを設けておりまして、そういう四原則に基づきまして適切であるという判断であれば融資しているわけですが、特融のその後の回収状況ということで見てみますと、過去実施したものは順調にすべて回収されてきているというふうに認識いたしております。破綻金融機関の資産売却による回収資金とかあるいは預金保険機構による資金援助によりまして、私どもが過去に実施いたしました特融については回収されるべきものは回収されているということでございます。 今後とも、適時適切に日本銀行の信用秩序維持の使命を果たしながら特融の運営にも努めてまいりたいというふうに思っております。
○菅川健二君 今お聞きいたしますと、順調に進んでおりまして特に問題はないということですか。どうですか。
○参考人(小畑義治君) 結論から申せばそういうことでございますが、一点だけ申し上げておけば、今後、特融に関しましては、山一証券向けの特融というのが現在三千三百億円ぐらいございますけれども、これについては少し時間がかかるかなと。 ただ、誤解のないように申し上げておけば、これは大蔵大臣談話を私どもは前提にしているわけでございまして、最近、宮澤大蔵大臣も国会等では大蔵大臣の責任において山一特融は対応するとおっしゃっておられますので、私どもは何ら回収に懸念を持っているわけじゃございませんけれども、特融の回収テンポという点から見れば山一がやや問題といえば問題かなということだけは指摘できると思います。
○菅川健二君 ぜひ今後とも適正に処理していただきたいと思うわけでございます。 先ほど来話がございますけれども、御案内のような赤字財政で長期債務残高も六百兆を超えるという大変異常な事態になっておるわけでございまして、今後さらに国債発行がどんどんふえていくのではないかと思うわけでございます。経済が回復したところで、その償還財源を賄うにはとても賄い切れないという状況に間もなくなるのではないかと私は思うわけでございます。 その場合に、やはり日銀が一番頼りにされて国債の日銀引き受けということになりますとこれまた大変な問題になりますので、ひとつその際には政府からの強い圧力があっても断固拒否するような姿勢で望んでいただきたいと思います。 回答を求めますとちょっと時間が長くなると思いますので、要望でとどめさせていただきます。 どうもありがとうございました。
○委員長(平田健二君) 本件に対する質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。 午後四時十三分散会