外交・防衛委員会 第5号
- 発言数
- 142 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1999/12/14
会議録
○委員長(矢野哲朗君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 去る十一月十八日、久保亘君が委員を辞任され、その補欠として松前達郎君が選任されました。 また、昨日、佐々木知子君が委員を辞任され、その補欠として岩井國臣君が選任されました。 ─────────────
○委員長(矢野哲朗君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に益田洋介君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(矢野哲朗君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。 外交、防衛等に関する調査のため、本日の委員会に内閣官房内閣情報調査室長杉田和博君、外務省総合外交政策局長竹内行夫君、外務省北米局長藤崎一郎君、外務省条約局長谷内正太郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(矢野哲朗君) 外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○吉田之久君 おはようございます。 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、主として河野外務大臣、部分的に瓦長官にも御質問をいたしたいと思う次第でございます。 まず、十二月一日から三日にかけて、日本国政党代表訪朝団と朝鮮労働党代表団との合意文書に、それぞれが自国の政府に会談の早期再開を促すとありますけれども、この合意について日本政府に対する報告はどのようになされ、またその合意を外務大臣はどのように受けとめて対応されようとしているのか、お伺いいたします。
○国務大臣(河野洋平君) お尋ねの訪朝団の方々からの帰国後の御報告は、帰国直後にまず小渕総理にございました。小渕総理に対しましては、北朝鮮側との話し合いの模様あるいは共同発表の内容について、村山団長及び数人の方々から御報告があったと承知をしております。 私はたまたま海外出張しておりまして、総理から帰国後直ちにお呼び出しがございまして、私も総理官邸に伺って、総理から、訪朝団の帰国報告を自分は直接聞いたけれども、外務大臣としても早急に帰国報告をよく聞いて、今後の取り組み方について十分検討するようにという御指示がございました。それを踏まえまして、私も直ちに村山団長及び野中代理に直接北朝鮮との話し合いの模様等をお伺いした次第でございます。 政府といたしましては、今般の共同発表にございます政党間の協議を通じ政府間の日朝国交正常化を円滑に行うための環境整備を目的とする村山訪朝団の成果としてこの共同発表を重く受けとめて、このフォローと申しますか、この後の対応をしなければいけない、こう考えておりますが、どういう段取り、あるいはどういう環境のもとでこれが進め得るかということ等を慎重に検討いたしておりまして、きょう、なおこうした状況を進めるための検討をいたしております。 政府部内におきます検討あるいは与党内におきます検討、それぞれをいたしておりまして、この問題については私としては早急に結論を出していただきたいものというふうに考えているところでございます。 一方、北朝鮮との協議の内容その他、引き続き私どもとしては分析をし吟味を続けているということも御報告申し上げたいと思っております。
○吉田之久君 そこで、若干お伺いいたしたいのでございますが、十二月三日の報道によりますと、村山訪朝団と金容淳書記ら朝鮮労働党との全体会議で、一九九二年以来中断している日朝国交正常化交渉を前提条件なしで十二月中に再開することで合意したと。政府交渉と並行して両国赤十字間で、一つは日本人の行方不明者の再調査、二つ目には食糧支援の実施、三つ目には日本人妻の一時帰国などを人道問題として協議していくことを確認した。交渉は北京、ピョンヤン、東京のいずれかで開催される。また来年早期の労働党代表団の訪日を招請し、金書記もこれを受諾されたというふうに伺っております。 ところで、共同発表の全文では、一、日朝政府間会談の再開はそれぞれ自国の政府に早期開催を促す。二番目に、日朝両国が関心を持っている人道問題解決の重要性について合意し、それぞれの赤十字に対し協力するよう勧告する。三番目には、双方は両国間に存在する不信を解消し、相互理解と友好を発展させるための交流と往来を強化するということで、村山さんと金書記さんとが署名をなさっているようでございます。 そこで気になりますのは、この正式な共同発表の中では、「人道問題解決の重要性について合意し、」という表現になっております。その中身については、日本人の行方不明者の再調査、食糧支援、日本人妻の一時帰国、これが人道問題に含まれているというふうに伝えられているのでございますけれども、しかし、果たしてこの拉致問題、日本人の行方不明者の再調査について、本当に先方がそれを認めてそして再調査しようとしているのかどうか。最終的には人道問題解決という言葉でくくられておりまして、その辺がいかにもあいまいな点を残しているように憶測されている部分が残っておるように思うわけでございます。この辺につきまして、外務大臣はどう御認識なさっておりますか。
○国務大臣(河野洋平君) まさに吉田議員が御指摘の問題が非常に重要だと思います。 村山団長に私、お話を伺いましたときにも、共同発表の文章はこの文章だけれども、これをつくるまでにいろいろな議論があったに違いない、そしてそうした議論を集約してこういう文章をおつくりになったのであろうと思いますから、そうしたことについてもお話を伺っておきたいというふうに私は思いました。 もっとも、この村山訪朝団は、各党の議員の方が参加しておられますから、恐らく各党議員の方々は各党にそれぞれ御報告もしておられると思いまして、私どもが伺いましたのよりもあるいはもっと深くあるいは違った視点で御報告を聞いておられるかとも思いますが、私どもは、今お尋ねの部分につきましては、まさに人道問題解決の重要性云々という第二の項目の中には今、吉田議員が指摘をなさった問題はすべて入っておると。というのは、この文章をつくるまでの間に具体的に食糧の問題あるいはいわゆる拉致事件と言われる問題等について双方で御発言があったということも伺っておりまして、それらを踏まえてこの第二項ができているというふうに伺っておりますので、この問題にはそうした問題がすべて含まれているというふうに私どもは了解をいたしております。 もっとも、この部分、この共同発表の内容の、役人的な物の言い方で言えば、この文章の有権的解釈は外務省にはないわけでございまして、訪朝された方々にあるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、御報告を伺いました私どもとしてはそういう解釈をしているところでございます。
○吉田之久君 この訪朝団には我が党の代表も加わっておりまして、その経過を伺いました点では、一九九二年十一月以降途絶えていた国交正常化交渉の再開のための環境準備としてはほぼその目的が達成されたと思うというふうには聞いておるわけでございます。しかし、北朝鮮側が九八年の六月に該当する行方不明者はいないとの調査結果を一時発表しておることが過去にございます。 あるいは七日の日に、北京に駐在される中国駐在の朱昌駿大使の記事によりますと、日本人の拉致問題が日朝間交渉で話し合われることはない、我が国には拉致された人などいない、拉致問題は日朝間の関係改善を望まない右翼勢力による捏造だと日本側を非難なさっているようでございます。 また、聞くところによると、大体拉致という言葉はまことにけしからぬ言葉遣いであると、そして、金大中さんが日本で拉致されたのをあなたたちは黙っていながら何を言うんだと。 何か気にしているようでありながら、拉致はないないと言っておるあたりが非常に私どもも不可解に思うわけなんでございますが、こういうすぐに別のところから拉致問題はないんだと、人道問題にそんなものが含まれるはずはないと打ち返してくるあたり、大変私どもも釈然としません。また何か先方で巧みな操作をやっているのではないかと。 結局、この問題は日赤に調べさせるとはいいながら、日赤がどの程度強権を行使して調べられるのかよくわかりませんし、結局は問題があるようなないような、そしてついにあいまいなままで送られはしないだろうかと、この点は日本国民のすべての非常に懸念しておるところでございまして、こういう他の大使あたりからのいろんな発言等をどう御解釈なさっておりますか。
○国務大臣(河野洋平君) これは我が国の捜査当局がこれまでの捜査結果を総合的に検討した結果、七件十名の事案については北朝鮮による拉致の疑いがあるという判断をしているわけでございまして、私どもはこうした捜査当局の判断というものの上に立って発言をしているわけでございます。 このことは、今、議員お話しのように、我が国の多くの国民の大変な関心事であると同時に、心配事でございます。この問題を我々はよけて通るわけにはいかないというふうに私は考えておりまして、この問題は極めて重要だという認識を持っております。 ただ、これは私、正確にはわかりませんけれども、日本とか中国とか韓国とか、北朝鮮もそうだと思いますけれども、同じような字句を使いながら必ずしも受け取る意味といいますか受けとめ方が違う場合も中にはあって、このことがそれに当てはまるかどうかはわかりませんけれども、我々は拉致の疑いがあるという捜査結果を踏まえて発言をするのに対して、先方がそうした言葉の意味について非常に日本と違った意味を持っているというふうにいって、それは行方不明者と言うべきだと先方はおっしゃっておられるということであるとすれば、我々とすればこの問題をとにかく解決するということが何より大事なことでありますから、我々は北朝鮮による拉致の疑いが極めて強いというこの問題を解決するためにこう発言をしても、先方がその問題についてどういう字句で受けとめるかということについてまでやりとりをしないというのも、一つの交渉のやり方であったのかもしれないと。 つまり、今度の共同発表の文章を見る限り、もしそういうことであるとすれば、それはこの共同発表の中に含まれている問題は我々の関心事がきちんと含まれていると考えていいと思っております。
○吉田之久君 今、外務大臣から大変心強い御見解を聞きましてうれしく思う次第でございますが、しかし今日までの経過を見ますと、とかくこの拉致問題はぼやかされて、そして我が方からも余りいきなり急所に触れないでまずはいろいろと外交を取り戻していこうというような姿勢が見え隠れいたしております。 現に行方不明になった人たちがおるわけでございます。それが韓国が拉致したわけでもロシアが拉致したわけでもないとするならば、想定される国は北の国しかない。この辺をいつまでもあいまいにされたままでは、肝心の共同発表の中に書かれております「両国間に存在する不信を解消し、」とか、あるいは相互理解を深めようとかいうことには全くならないと思うのでございます。だから、拉致という言葉を適当に向こうがどういうふうに変えられてもそれは向こうの勝手でございましょうが、もし何かそのような間違いがあったとするならば、それは大変でございますから我が国としても精いっぱい早急に徹底調査をいたしますというぐらいのことは返ってこないと話にならぬと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(河野洋平君) これは、今回の村山訪朝団の御努力によって、両国間で正規の話し合いと申しますか、政府間の話し合いをする環境を整えていただいたわけで、これからそうした話し合いの場で、今、議員御心配の点あるいは御指摘の点は、赤十字によります会談あるいは政府の直接の会談、二つのルートがこれから出てくると思います。 さらには、もちろん政府間の会談の前には予備会談ということも考えられると思いますが、そうした場を通じて問題は確認をされたり整理をされたりということになっていくのではないかというふうに考えているところでございます。
○吉田之久君 次に、食糧支援の問題について、時間が大分なくなってきましたので簡潔にお答えいただければありがたいと思います。 要するに、この時点で凍結を解除しようと積極的に外務大臣がお考えのようにもうかがえますし、やっぱりその点は今申しましたようないろんな前提条件がありますから、それをクリアしてからでないとそう簡単に解除すべきではないという慎重な御意見もお持ちのようでございまして、そういう揣摩憶測が走っておるわけでございますが、率直に今日の時点で外務大臣はこの食糧支援の問題についてどうお考えでございますか。
○国務大臣(河野洋平君) 北朝鮮との交渉といいますか接触といいますか、ということを始めようとすれば、それなりに我が方は心づもりをつくり、手続をきちっと踏んで、そして交渉に臨まなければならないのは当然だと思います。しかし一方で、食糧支援につきましては、仮に、支援を今まで停止していたものを仮に解除するという状況になったとしても、それが直ちに食糧支援を始めるということとは違うということだけははっきり申し上げておいていいと思います。
○吉田之久君 次に、ちょっと問題を変えまして、情報収集衛星推進委員会の問題につきまして内閣情報調査室長にお伺いをしたいと思うわけでございます。 二〇〇〇年度じゅうに設置される予定の情報収集衛星センターや二〇〇二年度じゅうに導入を目指している情報収集衛星に関連して、その進捗状況等についてお伺いしたいのでございますが、HⅡロケットがうまくいっていない現状において、二〇〇二年に必ず完璧にその衛星を打ち上げることができる見通しなのかどうかという点。 それから、そういうことが仮に成功したとして、それが例えば防衛庁などに、もちろん外務省にも大いに関係あり各省庁に関係あると思うのでございますけれども、どのような情報をおろそうとしているのかという点について、お伺いいたします。
○政府参考人(杉田和博君) まず、情報収集衛星の導入作業の進捗状況についてでございますけれども、現時点ではいわゆる研究段階でございますけれども、今年度中にはこれを本格的な開発段階に移行すべく、現在、衛星本体のシステム及び地上システムにつきまして概念設計、基本設計を行っておるところでございます。今後はこれがいわゆる詳細設計、さらにまた製作、施設の建設、こういうところに移行してまいる、こういうことでございます。 また、これと並行いたしまして、平成十四年度末に衛星が予定どおり打ち上げられた場合に直ちにこれが運用できますように、いわゆる衛星の管制または分析、やはりこういった要員の訓練にかかる必要があるということで、これは来年の春から要員を確保して訓練を進めていく予定でございます。 また、第二のお尋ねの、いわゆるHⅡロケットが先般失敗をしたということでございますけれども、これにつきましては、委員御案内のとおり、現在、宇宙開発委員会におきまして今後の宇宙開発の見直しということをなさっておられます。こういう中でもこの情報収集衛星につきましては予定どおり平成十四年度末に打ち上げるということは、今のところその方針を変更する必要はないというふうに考えております。 最後に、委員お尋ねの運用についてでございますけれども、全体の運用につきましては今後なお検討すべき事柄でございますけれども、現時点で考えておりますのは、まさに委員が御指摘なさったように、基本的には、まず内閣の官房に衛星の運営を管理するそういう委員会をつくりたい。そこでこの衛星のどういうところをとるかという画像対象、さらにまた優先順位をどういうふうにつけるか、そういうことを決定してセンターにおろして、そして所要の作業をさせる。そこから得られた画像の情報については、その委員会においてそこで最終的な評価をする。その評価をした結果を直ちにまたは随時に官房長官、総理に報告をする。 そうしますと、その段階でこうした画像の情報とその他のもろもろの集約された情報というものが総理のところで一つになります。そこで最終的な重要施策の判断をされる、こういうふうな形で今回の情報収集衛星が運用できればいいなというふうに考えております。
○吉田之久君 そういう状況を受けて、瓦長官、防衛庁としてこの情報収集衛星をいかに活用なさるべきであるかという点は私どもの大変深い関心事でございますが、その点についてお考えがあればお教えをいただきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) 吉田先生から私に対しましては、具体的にどのような情報が得られるかということにつきましての御質問でございます。 我が国の防衛政策は、御案内のとおり専守防衛を旨としておるわけでございまして、各種情報機能の充実は極めて重要でありますことから、我が国独自の衛星から得られる画像情報は極めて意義のあるものだと、こう考えております。 なお、政府が導入に取り組んでおります情報収集衛星でございますが、御承知のとおり光学センサーの分解能が一メートルと非常に精密でございますし、夜間や悪天候におきましてもデータの入手が可能な合成開口レーダー、分析能一メートルから三メートル、これを搭載する予定と、こうなっておるわけであります。 防衛庁としては、このような能力を持つ情報収集衛星を利用することによりまして、夜間や悪天候時も含め、弾道ミサイルサイトや艦艇、航空機の状況等につきましてより詳細な情報が得られる、入手できる可能性があることに期待をいたしておるところでございます。
○吉田之久君 ありがとうございました。私の質問はこれで終わります。
○海野徹君 民主党・新緑風会の海野徹であります。 何点か通告させていただいてありますが、数が多いものですから多分すべてできないと思いますが、外務大臣に御答弁をお願いしたいと思います。 私は、今、日本というのは大変危機的状況にあると。いろんな意味で、要するに改革が進み、しかも同時に解決されなくちゃいけないというような状況というのは、ある意味ではそれが改革できなくなったらこれはもう衰退しますよということのメッセージだろうなと私は思っているわけなんですが、じゃ日本の危機というのは何でそんなふうに起きたのかなといいますと、やはりわずかながらある程度の蓄えがありながら、国頼み、親頼みになって危機感というのが非常にある意味では弱いんじゃないかと、それが一つ。 もう一つは、タブーを回避しているんではないかと。タブーに挑戦してないということが思考停止を生んでしまって、それが危機感を欠落させている。もう一つは、戦後、ある意味では歴史の偶然性といいますか、時間の経過とともに我々、戦争がない状態が来たと、それが数十年続いたというような中で、私はやはりある意味では危機的な状況に陥ったのは今日が初めてじゃないかな、そういう意味での欠落があるのかなという思いがあるわけなんです。そういうような非常に危機的な状況にありながら、じゃいろんな諸外国とのやりとりを、どう見て分析して評価していくという作業を我々はやらなくちゃいけない。 そういう中で今回、訪朝団が合意文書を交わしたということなんですが、昨年の十二月の末に政府が金正日体制を容認したという記事が載りました。これは東京新聞で十二月二十九日だと思うんです。私はそのときおやっと思ったんですよね。 というのは、八月にテポドンが発射されている。それが冷めやらぬうち、というより、むしろある意味では防衛論議が非常に盛んになってきて、その脅威がますます増しているという状況の中でそれが容認された。それが今日、訪朝団が行くまで約一年あるわけなんですが、その間に不審船の問題があった。ペリー調整官が訪朝して、ペリー・プロセスというのが発表されるようなことになってきた。八月に北朝鮮の政府声明が出た。そして九月に凍結しますと、ミサイルの凍結の表明がされた。それで今日の訪朝団を迎えた。 そういう事実関係をずっと続けてきますと、あの防衛論議が非常に盛んであった時期にあの政府声明が出たという、しかも北朝鮮が外国に対する政府声明を出すということは極めて異例だと新聞にも発表されているわけなんですが、その持つ意味合いあるいは目的とか背景、今日の訪朝団に当然つながっていると私は思うわけなんですが、一九九九年、ことしの八月に北朝鮮政府が日朝関係に関する政府声明を出したことの意味合いあるいは目的、背景、それを大臣としてはどのように分析されていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 今日の北朝鮮を取り巻く状況というものは、必ずしも北朝鮮にとって心地よい状態ではないというふうに私は思います。日米韓、この三国は政策を協調して統合して北朝鮮政策というものをつくり上げた、いわゆるペリー・プロセスというものをつくり上げておりますし、ロシアも中国も必ずしもかつてのように北朝鮮を積極的に支援をするという状況ではないと私は見ています。 したがって、こういう状況の中で北朝鮮は北朝鮮なりに積極的に外交問題について活路を見出すといいますか、積極的な姿勢を示していくということが一つ考えられると思うんです。 今、議員お話しのように、あの政府声明は、北朝鮮が、昨今いろいろな動きがありますけれども、極めて異例な形で政府声明が出されたというふうに思います。この政府声明は、一九九三年三月以来出していなかった政府声明を今回出したものであって、かなり積極的な意図というものがあるだろうというふうに思うわけでございます。その声明の中は、今御質問はございませんから中身については申し上げませんが、こうした声明に対して我々がどう対応するかということは、やはりしっかり考えていかなければならないと思います。 北朝鮮は、アメリカとの間には米朝協議を行い、韓国との間には民間の経済活動が盛んになりつつあります。そういう中で日本との関係をどういうふうに考えるかということを北朝鮮側も非常に慎重に見ていると思いますし、我々もそういう中でこの問題、この政府声明にどう対応するか、政府声明をどう読むかということには相当なしっかりとした検討を加えるべきものというふうに思っているわけでございます。
○海野徹君 大臣、その内容が持つ意味合い、内容をどう分析するか、どう読むかということの重要性を大変認識していらっしゃるということだったんですけれども、私は、その意味、目的、背景というものをすべてお答えいただきたいという話をしたんです。 それで、読んでみますと、どうも関係改善とか正常化に対してそう積極的ではないんですね。大臣がおっしゃられた一九九三年の後の作業に向けて何かシグナルを送ってきているような意味にとれて、それはまさに補償と謝罪、それがすべてじゃないかなというような私は意味合いが込められていると考えているんですけれども、その点、大臣はどうお考えですか。
○国務大臣(河野洋平君) 北朝鮮が発出しました政府声明は、三つのポイントが示されております。一つは、日本は対朝鮮圧殺政策を放棄すべきだということが一つ。二つ目は、日本は誠実な謝罪と徹底的な補償を行うべきだということが二つ。三つ目は、日本が最終的に力の対決へと進むならそれ相応の対応策を選択するしかない。こういう三つを北朝鮮は政府声明で言っているわけであります。 それで、私はこの三つの中からどういうヒントと申しますか、我々が手がかりを見つけ出すかということが今極めて重要だと。これから政府間交渉をやるに当たっても、どういうことを読み取り、政府間交渉のときに我々がどういう主張をするかということは極めて重要だというふうには考えているわけでございますが、これから政府間交渉を始める前に、政府間交渉が仮にできるとすればどう対応するかということをここで申し上げることは、しばらくの間御勘弁をいただきたいというふうにお願いを申し上げます。 私の個人的な見解を申し上げれば、この第一、第二、第三は、いずれも日本にとって考えるべき手がかりがその中にはたくさんあって、我々の主張はもちろん我々の主張としてきちんと述べる、そして先方との話し合いができる部分もかなり多く含まれているのではないかというふうには考えております。
○海野徹君 ここで政府の意見を述べることは遠慮したいという話だったんですが、私はどう考えてもこの中で読み取れるのは謝罪と補償しかあり得ない。関係改善あるいは正常化に対してそんな積極的なニュアンスが伝わってこないんですね。それはやはり今、北朝鮮の置かれている国情とか金正日体制にもその原因があるんではないかなと私は思います。 歴史の本なんかをずっと読んでいますと、十九世紀後半、一八六〇年代の李朝の外交政策に同じような政策があるんですよね。それを考えますと、やはり私は、どうもよほど我々が分析して深く読んでいかないと政治家交渉まで行けないんではないか、入り口だけでもうとまってしまうんではないかな、そんな気がしてしようがないんですが、今、外務大臣としては、北朝鮮の国情とか金正日体制がどういう体制なのか、御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 北朝鮮の事情は、一言で言えば不透明な部分が非常に多くて、他の透明度の高い国と比較するデータその他が十分ございません。 しかし、一般論と申しますか総論的に申し上げれば、金正日総書記が国政全般をきちんと掌握しておられるというふうに我々は見ております。さらに、同書記のもとで恐らく引き続き軍が重視されて、経済の改革、開放という面には他国のような政策はとられていないというふうに見受けられます。したがって、最近では経済やエネルギーの面の政策というもののおくれというものが目立って、この点に力を入れなければならぬという状況が出ているというふうに思います。 全体に、依然としてかなり困難な、経済面において困難な状況が続いているというふうに見るのが一般的な見方だろうと思います。
○海野徹君 確かに不透明でなかなか我々の方へ情報が入ってこない国であることは事実なんですが、我々の情報はかなり向こうへ届いていると思うんですね。相当の分析をしているはずなんです。先軍政治ですから、軍事政権下にあります。 本来、経済を立て直すとしたら改革、開放をやらなくちゃいけないけれども、今の体制の崩壊につながるということで、それは選択肢としてとれないという状況にあるのではないか。としたら、やっぱり補償とか賠償という問題に当然行き着くんではないかなと。通常兵力は大したことないというような話もありますし、としたら核の開発、ミサイルに特化した予算の使い方をしていくんではないかというような話も当然出てくるわけなんですね。その国とのつき合いですから、当然大変慎重にも慎重を重ねた検討が必要ではないかなと思うわけなんです。 そういった中で、日本が昨年、テポドン以降、防衛に対する大変盛んな議論をするようになった。ペリー調整官、わざわざ調整官という新しい任務を帯びて、アメリカが、クリントン政権が北朝鮮へ訪問させて、それでペリー・プロセスを発表させた。今までもある意味ではクリントン政権のソフトランディング政策について点検をしたと思うんです。非常に厳しい報告書が出ていると思うんですね。そういう状況を考えますと総合的に、そして韓国がとってきた太陽政策、これも陰りが出ているというような報告書も結構ありまして、来年の国会議員選挙に向けてこの辺が争点になってくるんではないかなというような話もあります。 となると、我々がこれから国交を正常化する、あるいは政府間交渉を始める中で、基本的に入り口の問題としてとらえていかなくちゃならない問題が、一九九三年当時と同じ問題がまだあると思うんですが、その辺の問題点を具体的に外務大臣の方で整理していただいて御答弁いただきたいと思います。四つほど問題があると思うんです。
○国務大臣(河野洋平君) 日朝の政府間交渉が現在七年近く途絶えているわけでございますが、途絶える以前に双方で四つの問題というふうに問題を整理して考えていたわけでございます。 四つの問題は、一つは基本問題、一つは経済的諸問題、三つ目は国際問題、四つ目はその他というふうに四つに整理をして議論をしようとしていたわけでございます。この問題は引き続き、これは双方の主張がございまして、その双方の主張を整理して四つにくくったわけでございますから、今回もまた恐らく双方の主張をそれぞれが述べ合って、どういうふうにしていくかという議論がまず最初に行われることに、行われるとすれば、予備会談を始めるとすればそういうことも想定できると思います。 しかし、今我々はいかなる予断も持ちたくない、持つべきでないと。いかなる条件、前提もつけずにテーブルに着くという気持ちで現在考えております。余り予断を持って席に臨むということではなくて、前提を持たずに会談に出席をした方がいいというふうに考えているわけです。 しかし、そうは申しましても、それは何といっても日朝会談で、日本の国を代表して席に臨むわけでございますから、我が国の国益というものを踏まえて席に臨むのはこれはもう当然のことでございますが、新たに整えていただいた環境の中で我が国の手順、手続、考え方が整理されればと、そんな気持ちで会談に臨むべきだというふうに思います。
○海野徹君 予断を持たないで、要するに前提をつけないでという話だったんですが、やはり当然、再開ということになれば、その当時の問題認識、交渉の入り口として整理をする必要が私はあるんではないかなと。特に北朝鮮の今の体制を考えればその必要性は私はあると思うんです。 基本問題とか経済問題というのは彼らの主張であるわけです。国際問題あるいはその他の問題というのは、これは日本の、我々側の問題なんです。我々側の問題は、ミサイルであり核であり、南北対話、緊張緩和、あるいはその他の問題としては拉致疑惑というのがあるわけなんです。それをきちっと伝えて、この問題が交渉の入り口にありますよということを伝える必要が私はあるんではないかと思うんです。特に対話と抑止ということで言ってきたわけですが、対話があっても抑止が機能していなかったんではないかなというような話も私はよく耳にしますし、私も同感するところがあるものですから、この辺の問題はやっぱりきちっと整理して交渉に臨むべきだと。 交渉を再開することはこれは非常にいいことでありますから、そういうことを私は考えておりますが、いま一度、大臣の御答弁を聞きたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 村山訪朝団の共同発表には、両国が関心を持っている人道問題解決の重要性について合意をし、それぞれの政府の協力のもとで赤十字に対してこのためにお互い協力していくように勧告をするというくだりもありますし、それから国交正常化のための日朝政府間会談再開の重要性について合意して、この早期再開を促すというくだりもあって、いずれも政府の協力のもとで赤十字がお互いに協力をするための話し合いをする。それからもう一つ、国交正常化のための政府間の交渉を行う。この二つを早期にやれ、こういう共同発表になっているわけで、この共同発表を受けて我が方としては対応をするわけでございますから、今、議員がお話しのように、我々としては正常化交渉に臨む体制をつくるために今どういう問題点の整理をするかということは政府部内の最も重要な部分でございます。 いずれにせよ、この共同発表を受けて我々としては作業はしたい、こう考えておるわけでございまして、そのための準備の段階でございますから、まだその先のことまでここで申し上げることはしばらく猶予をいただきたいというふうに思います。
○海野徹君 最後に。これは私見を交えての御質問になるかと思うんですが、私は、長い道のりの中で正常化交渉がされるべきだと思いますし、結果として正常化になったという状態を早く迎えたいなと思います。 いろんな意味で、今回空中給油機を、近隣諸国の懸念だという話なんですが、我々は、ある意味では食糧とエネルギーと軍事力というのは近代国家の安全保障上三大原則でありまして、相手が持っていれば我々もある程度の準備をする必要があるんではないかなと私は思うものですから。 そういうことを考えますと、正常化になった状態というのは、やはり主権侵害であった拉致というもの、拉致されていると思われる人たちがすべて日本で正常な暮らしができるような状態に戻って初めて正常化という時期を迎えるんじゃないかなと私は思うんです。 そういった意味では、何人か向こうで元気に暮らしていらっしゃるという情報もあるわけなんで、その人たちが日本に帰ってきて、そして何年か、精神的な問題も全部片づけて、正常に暮らせるような状態になって初めて正常化が終わったと私は考えたいなと思いますが、その辺が正常化交渉の出口だなと思っていますが、大臣、その点どうでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 議員のおっしゃるのは、それはもう非常に完璧な姿と言っていいかもわかりませんが、そういう状況をつくるためにも正常化交渉が必要だと思いますし、そういう状況をつくるための土台をどうやってつくるかということも必要ではないかと思います。 交渉でございますから、どういう状況になるかわかりませんが、私も今、議員がお話しのような、本当に人道的な問題は解決をしなければならないという強い気持ちを私は持っております。そのために努力をしたいというふうに考えておりますが、これは双方ともども人道問題と、こういう主張を持っているわけでございますから、我々としては我々の主張する人道も解決をしたいし、先方の言う人道問題についても、これはまた我々として協力できる部分があれば協力をするということも、時に必要ではないかというふうに考えております。
○海野徹君 ありがとうございました。
○益田洋介君 まず私は、最初に日ロ外交について外務大臣の御所見をお伺いしたいと思います。 橋本前政権の対ロ外交によりまして、御努力によって日ロ関係は大きく前進するのではないかと国民の方々の期待を集めたわけでございますが、その過程として、一昨年、九七年ロシアのクラスノヤルスクでの日ロ首脳会談、そして引き続き昨年、九八年春の川奈会談、ここで、特に領土問題を中心として外交交渉が大きく前進をして、エリツィン大統領はみずから二〇〇〇年の平和条約の締結に向けて全力を尽くすんだというふうな声明まで発表されて、ここで一気に積年の北方領土問題を中心とした日ロの外交関係が大きく前進する、飛躍的に前進するのではないかと見られていたわけでございます。 しかし、ことしに入りまして四月に橋本前総理がロシアを訪れまして、その際予定されていたエリツィン大統領との会談が破談になったといいますか、実現をしなかった。電話での会談におきまして、エリツィン大統領は年内に再び訪日して、そしてさらに平和条約締結に向けての交渉を進めたいという約束を橋本前総理にされたわけでございますが、実際には訪日はほごにされたわけでございます。かわりに急遽訪中をした。中国の首脳とエリツィン大統領が、さしでさまざまな国際問題あるいは中国とロシアとの外交問題について話し合いを行った。 この背景には、当然のことながら、反米といいますか、対米政策に共同歩調をとろうとするロシアのそうした外交姿勢の変化というのが見られるわけでございますが、結果的にしてみると、日本の領土問題はまた大きく後退をしてしまったわけでございます。 この問題について、外務大臣はどのようにお考えなのか、そしてさらには、今後我が国政府として対ロ外交をどういうふうな姿勢で、また具体的な手段を持って臨んでいかれるのか、それをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) クラスノヤルスクにおきます日ロ首脳会談を初めとして、エリツィン大統領と橋本総理との話し合いは非常に積極的かつ前向きなものであったというふうに承知をいたしております。我々は、こうした話し合いの延長線上に問題の解決があるのではないかというふうに考えて、そういう努力をしてきたわけでございます。 今、委員御指摘のように、エリツィン大統領の年内訪日という私どもの心づもりが、残念ながら、ロシア側の説明によればさまざまな国内事情などあって困難になったという報道を受けまして、実は正直大変残念な思いをしておったわけです。しかし、そのエリツィン大統領の訪日が難しくなったという報道の後に、イスタンブールにおきまして、エリツィン大統領と我が政府代表との接触がありまして、ごく短時間の話だと聞いておりますけれども、その際にエリツィン大統領からは、来年春には日本を訪問したいという趣旨の言葉を聞いたということがございまして、私どもは年内訪日は実現しなかったけれども、それは来春に日程が延びたというふうに認識をしているわけでございます。 我が方とロシアの事務当局との間でいろいろな話し合いをいたしておりますが、ロシア側からは、終始大統領は訪日に強い意欲を持っておる、そしてそのためには周到な訪日のための準備を進めるように指示が出ているということの説明がございまして、それに対して我が方としても準備をしっかり進めなければならぬ、こう考えていたところでございます。 一方、ロシアのイワノフ外務大臣は、明年一月の二十五、二十六の二日間、日本を訪問するということを言ってきておりまして、私といたしましては、明年早々、一月には外相会談を行って、大統領の訪日に向けての地固めと申しますか準備といいますか、そうしたものをぜひつくりたいものだと、こう考えているわけでございます。 議員御指摘でございましたが、エリツィン大統領は日本訪問をやめて急遽中国を訪問したという御指摘がございましたけれども、これは、私どもといたしましては、エリツィン大統領の外国訪問については、ロシア政府内部において訪中、訪日の順で実現するということをかねてから考えていたというふうに私ども承知をしておりまして、日本訪問が年内に実現しないという報道の後、訪中をされたということで、大変残念な思いをする中で、また極めて近い国を訪問されたということで、これまたなぜだという思いを持たれた方も多いと思いますが、これはロシア政府内部での考え方は、日本訪問の前に中国を訪問する予定を持っておるというふうに私どもは承知をしておりまして、逆に中国訪問が終われば、次は必ずアジアにおける大統領の外国訪問は日本ということになるであろうという期待も高まっているということを申し上げていいと思います。 大統領の訪日は、繰り返して申し上げるようになりますが、日ロ間にございます問題を解決するためには、今やもう両国首脳の話し合い以外にないだろうと。とりわけエリツィン大統領の決断が両国に横たわる問題を解決する上で最も重要だというふうに考えておりまして、大統領の訪日、そしてその際行われるであろう問題点の処理について、私どもとしてはさらに事務的な詰めを進めたい、こう考えているところでございます。
○益田洋介君 外務大臣、私は外交というのは単なる内政の延長であってはならないと思うわけでございまして、国家の利益と国民の利益を追求する冷厳にしてかつ現実的な日常のやりとりの積み重ねが外交であるというふうに考えておりますので、順番が訪中、訪日ということであったとしても、それは既定のロシア政府の考え方であったとしても、年内に訪日してこの問題を詰めるんだといった国家首脳間の約束というのをほごにされたということ、これは現実でございます。その点をどういうふうに考えるのか、どういうふうに受けとめて対応していくのか。 これは、言ってみればアメリカの考え方なんかにしましても、コーエン国防長官なんかもやっぱりそういう考え方だというふうに伺っておりますが、日本は相当、領土問題というのは、ロシアは交渉の一つの手だとして考えてはいるものの、それほど深刻な問題として考えてはいないんじゃないか、そういう見方が結果的に、今現実にこういうふうな問題の推移を見る限りにおいてはなされるわけでございますので、その辺の問題を私はもう少し現実的に如実にとらえていく必要があるんじゃないか。外交というのは私は一般的な概念としてそういうものじゃないかと。 だから、先ほど申し上げたように、国政の延長であるという考え方じゃなく、しっかり国内政治と同じ、あるいはそれ以上の深い真摯な取り組み方が国家として求められている、そういう現実じゃないかというふうに考えるわけです。 この点についての、外務大臣の基本的なお考え方を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 議員の御指摘はよく理解できるのでございますが、これは私の推測でございますけれども、ロシアにおける今最大の関心事はチェチェン問題だろうと思います。チェチェンの問題をどう処理するか、解決するかということは、ロシア国内における恐らく最大の問題であり、これはロシア国内の問題であると同時に、国際的な問題としても大変重要な問題になってきているというふうに見ていいと思います。 ロシアは、プチン首相もエリツィン大統領もこの問題については大変大きな関心を当然払っておられるわけでございまして、この処理に当たって大統領がいろいろと考え、動かれておられるというふうに今私どもは見ているわけです。それは、例えばエリツィン大統領が中国を訪問されて共同声明を発表しておられますけれども、その共同声明の中にも、中国は、チェチェン問題が完全にロシアの内政問題であり、ロシア政府がテロ分裂勢力に打撃を加えるためにとった行動を支持するということを共同声明で中国ははっきりうたっております。これほど明確に、現在のチェチェン問題に対するロシア政府の対応をはっきりと支持できる国はそう多くはないように思います。 私は、大統領の訪中の中には、それはさまざまな目的があり、さまざまな成果を上げるべく努力をされたと思いますけれども、このロシアと中国の共通した認識というものをロシアは大変大事に、重要な問題だと考えていたというふうにも推測できるというふうに私は考えているわけです。 日本とロシアとの間には領土問題があります。しかし、ロシアはロシアで今申し上げたチェチェン問題を初めとしてさまざまな問題を抱え、そのチェチェン問題は今や国際的には大変な非難、批判の、あるいは関心の的になっているということもまた我々は考えなければならないというふうに思うのです。
○益田洋介君 次に、中国のWTO加盟の件について御所見をお伺いしたいわけでございます。 この問題の前に一つ横たわっている米中間の大きな問題というのは、李登輝台湾総統の訪米ということがございました。それから、ベオグラードにおける中国大使館の誤爆事件。大きな二つの解決しなければならない問題が横たわっていて、両方ともまだ解決がされていないままに、アメリカはスパーリング補佐官、それからバシェフスキー代表を十一月三十日のシアトル会談の前に急遽派遣しまして、外交交渉が行われた。これはバーガー大統領補佐官の意向を得て、こうした以前に起きた二つの問題と今回のWTO加盟の問題とを重ね合わせた上での江沢民主席との妥結策の糸口を探ったと、そういう見方を外交的にはされておるわけでございます。朱鎔基首相が相当この問題で中国側が妥協に傾いたということで国内的に批判を受けているということでございますが、全体として、我が国としてはWTOに中国が加盟してもらうということについては、もろ手を挙げてということまでいかないかもしれませんが、歓迎しているわけでございます。 この一連の米中関係について我が国政府はどういうふうな見解をお持ちか、それをお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 米中関係はやはり、二つの国、二国間関係の中ではあれだけの巨大な国家、二つの国家ですから、それぞれに相互依存の関係も大変大きくて、極めて重要な関係と双方が認識しているところがあると思います。 〔委員長退席、理事鈴木正孝君着席〕 アメリカにとってみれば、中国は大変大きなマーケットでありますし、中国にとりましても、経済の改革・開放路線を進めていく上でアメリカの存在というものは非常に重要だというふうに考えていることは想像できるわけでございます。さらには、国際社会の中における安定とか平和とか、そうしたことを考える上で双方は決して無視できない存在であろうと思うわけでございます。 今、議員がおっしゃるように、幾つかの問題点は双方持ってはおりますけれども、それらを超えて経済問題を進める、あるいは安全保障の問題について考えるということを重視しているという部分が大変多いのではないかというふうに考えているわけでございます。 他方、WTOへの中国の加盟は、我が国にとりましては多角的自由貿易体制の強化のために重要だというふうに私どもは認識しておりまして、かなり早くから中国のWTO加盟を支持してきたいきさつがございます。 これから先、中国がWTOに加盟するのにはまだまだ幾つかの問題が残されているわけでございますが、こうした問題を解決して、中国もまた早期にWTOに加盟をされることによって、さらに国際社会の中における自由貿易体制が安定し、推進されるというふうに考えているわけでございます。 〔理事鈴木正孝君退席、委員長着席〕
○益田洋介君 東政務次官がお戻りになりましたので、一問だけお伺いしておきたいと思います。 直近に仄聞するところによりますと、コーエン国防長官はNATOの首脳と電話で連絡をとって、どうやらテポドン二号の開発が終わり、完成に近い段階まで至っている、テポドン二号の開発の完成は時間の問題だというふうなことをNATOの首脳と心配げに話し合った。アメリカはこれに対して、テポドン二号が配備されるとアラスカを越えてアメリカの北西部のシアトルあたりまで射程距離が延びる、これに備えて約百基ほど地対空ミサイル、迎撃ミサイルをアラスカにアメリカは配備する必要があるだろうというような懸念までしているということが言われております。 この緊迫したアメリカの安全保障の状況というのは、我が国政府の外交・安保分野には及んできていないような、何だか遠い国の話を聞いているような、そういう印象があってはならないわけでございますが、実際にテポドン一号は我が国の青森県の上空を通過して太平洋まで至ったわけでございます。 こうした北朝鮮のミサイル、核開発が確認されたわけじゃございませんが、このミサイル開発、それから核開発について、我が国はこれからどういうふうな姿勢でこれを考え、また対応していこうとしているのか。その辺を政務次官に伺いたいと思います。
○政務次官(東祥三君) 日本全国民に大変な驚きをもたらしました昨年八月の弾道ミサイルの発射以来、北朝鮮のミサイル関連の動向については、米国を初めとする関係諸国と密接に連絡をとりつつ、極めて細心の注意を払って継続的にその情報の収集及び分析に努めているということをまず委員に御報告しておきたいと思います。 そして、今御指摘にありましたいわゆるテポドン二号と呼ばれる弾道ミサイルについても、開発中であるとされていることは承知いたしております。 結論は極めて明快だと思うんですが、北朝鮮は先般、米朝協議が続いている間はミサイルを発射しない旨表明しましたけれども、いずれにいたしましても、日本政府としては、今後とも北朝鮮が、発射のみならず、御指摘になりました開発、そして生産、配備、輸出等のミサイル活動全般を中止するよう粘り強く要請していく以外にない、求めていく以外ない、このように思っております。
○益田洋介君 もう一問、北朝鮮に関してでございますが、訪朝団が帰ってまいりました。多大の成果を上げてこられたという報道がある一方で、北朝鮮側の態度には大きな変化は見られなかったというふうにも言われております。その立場を変えることなく、北朝鮮側は雰囲気づくりだけをして日本からの食糧を中心にした援助だけを希求していこうという意図が見え隠れしていたという報道もなされていて、これは残念でならないわけでございます。 日本側として、私は率直に言って拉致問題やミサイル問題、それから工作船による領海侵犯、これらは国家と国民の利益に直結する問題でございますので、食糧支援だけの問題を先行させるようなことがあってはならないのではないか、こういうふうに個人的に考えるわけでございますし、多くの国民の方もそういうふうに考えていると思います。 これは大臣の御所見をお伺いしておきたいと思いますが、日米安保体制を堅持しつつも、有事法制ですとか領海警備、船舶検査、これは政務次官の専門の分野かもしれませんが、時間の関係でお二人にお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、それからTMDなど抑止の体制というのは、きちっと今我が国としては備えておかないと、北朝鮮の問題のみならず、二〇二五年には、アメリカの国防総省は、中国はGDPで恐らくアメリカと日本を抜いて世界一になるのではないか、その一方で軍事大国になるのではないかとの心配がありまして、中国、北朝鮮ともどもに日本の隣国でございまして、今、日本は非常に危険な隣人とつき合わなきゃいけないような立場に立たされているのではないかと思います。 大臣と政務次官の御意見を拝聴したいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 日朝関係を考えます基本は対話と抑止でございます。これは我が国は対話と抑止と言っておりますが、韓国におきましても、韓国の包容政策もまたこうした考え方に近い、あるいはもっと強い考えを持っていると申し上げてもいいかもしれません。こうした我々の考え方を十分に組み入れる形でペリー・プロセスなるものがつくられているというふうに私どもは考えて、ペリー・プロセスを支持しているわけでございます。御指摘のように対話が極めて重要だと思います。 しかし、その重要な対話をきちんと進める上で、一方で抑止についても十分な目配りが必要だというのが私どもの考え方でございます。
○政務次官(東祥三君) すべて外務大臣のお話に尽くされているんだろうと思いますが、委員おっしゃられるとおり、ある意味で、日本の周辺地域を見回した場合に何が起こるかわからない、そのように想像させるところもあるわけでございます。 それを踏まえた上で、日本の安全保障ということを考えたときに、言うまでもなく日米安保体制を基軸にした上でそして日本及び極東の地域の平和と安全を守っていく、この部分をどのように深くまた強化していくことができるのか、その一点に尽きるんだろうというふうに思います。 そういう意味で、今、外務大臣がおっしゃられたとおり、日本と米国そして韓国との間の連携強化をしていくこと、それ自体が抑止、委員が御心配されているところの抑止と深くかかわり合いを持ってくるというふうに私は思っております。
○益田洋介君 ありがとうございます。 一九九二年十一月に日朝国交正常化交渉の座において、日本側が李恩恵氏の問題を取り上げたことに腹を立てて北朝鮮は席を立って、自来七年間、日本側は常に交渉再開の門戸を開いてきたわけでございますが、常に北朝鮮側はこれを拒否してきた。そういう経緯がありますので、今回、日本側は訪朝団において交渉再開を要請するというのは外交的な常識としてはおかしいというか、常識に反するような交渉の姿勢を日本がとったというふうに、これはイギリスのインディペンデントという新聞に報道がされていました、社説に載っておりました。この辺について、外交感覚というのが世界の先進国から若干疑われているといいますか、正当な先進国同士の外交感覚というのを日本の政府が外交面で備えているのかどうかというふうな意見も出ているわけでございます。 私は、これは一国民として、また政治家として非常に残念でならないわけでございますが、この点について大臣と政務次官の御意見をお伺いして、質問を終わりにしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 繰り返し申し上げて恐縮でございますけれども、私どもは、我々にとって極めて近い地域に国交のない不正常な、正常でない関係の地域が、国があるという問題は、やはりできることなら正常な状況にしておくということが何より大事だと思っているわけでございます。 今回、村山訪朝団が各党の議員によって構成されて訪朝をされ、政府間交渉を行う環境を整備してきてくださったわけでございますから、この状況の中で、話し合いによってでき得る限り両国の理解、あるいは国交の正常化に向けてのもろもろの問題を克服しての努力というものを行わなければならぬ、こう考えております。 議員からいろいろ御指摘をいただきましたさまざまな問題にも十分配慮をしながら、我々として、できることであればそうした方向に向かいたい。これはまあ相手のあることでございますから、我々だけがどうこうというわけにいきませんけれども、条件が整えば話し合いに向けて努力をしたいと思っております。
○委員長(矢野哲朗君) 与えられた時間が過ぎております。簡潔に答弁願います。
○政務次官(東祥三君) 大臣の言われたことにつけ加えることはありません。
○益田洋介君 ありがとうございました。
○小泉親司君 私に与えられた時間が五十八分までで、十二時から本会議だそうでありますので、簡潔に御答弁をいただきたいと思います。 一つは、国連の平和維持軍、PKFの本体業務の凍結問題について質問をいたします。 いわゆる自自公の政策合意では「PKOのうちPKF本体業務の凍結を解除するための法的措置を早急に講ずる。」と言っておられます。 河野外務大臣はこの前の委員会でこう言っておられる。「あの当時のことを思い出しますといろいろな御議論があったわけでございますけれども、その中には、これからいよいよ始めると、始めるに当たって最初からいきなりあれもこれもというわけにいかないから、幾つかは凍結しておいてはどうかというような御意見もあったというふうに記憶」しているわけでございますと。 すなわち、PKOは若葉マークだから、少し運転になれてからPKFも凍結解除するんだと、こういうお話なんですが、これは国会の議論を非常に無視した見解で、私、そんな議論はされておらないというふうに思います。 そこで、外務大臣の認識としてお聞きしたいんですが、国連でもPKO活動についてはきちんと区分けがされておる。どのように区分けされておるのか、一般のPKO活動とPKFというのはどこがどういうふうに違うのか、まず外務大臣に御認識をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 当時の答弁がどういうことであったかちょっと正確にここで申し上げられませんが、少なくとも現在におきまして、いわゆるPKFの本体業務といたしましては、停戦・武装解除等の監視、駐留・巡回、武器の搬入・搬出の検査・確認、放棄された武器の収集・保管・処分、停戦ライン等設定の援助、捕虜交換の援助、これがいわゆるPKFの本体業務と認識しております。
○小泉親司君 「国連平和維持活動の50年」というパンフレットが出ているんですね。外務大臣はPKO法の御説明をしているだけで、私が質問したのは、国連でどういうふうに区分けされているかという質問をしているわけなんですが、「国連平和維持活動の50年」というパンフレットには、国連PKOというのは大別して二つの種類があるんだと。 一つは軽武装の監視団だと。もう一つはPKFで、PKFというのは、PKF自体が与えられた任務の実行を実力で阻止しようとする試みに対して最小限の軍事力を使用してもよろしいという部隊なんだというふうに規定しているわけです。つまり、PKFは武力行使が伴う部隊であるということを国連では明確にしているというふうに思いますが、そういう御認識は外務大臣はお持ちなんですね。
○国務大臣(河野洋平君) 今、議員がお話しになりましたPKF活動につきましては、委員も御指摘になりましたように、国連の資料によれば、伝統的な国連平和維持活動は、大きく分けると、原則として非武装の将校から成る軍事監視団と必要な後方支援要員を擁する軽武装の歩兵部隊から成る平和維持隊による活動に区分されるということになっております。 しかし近年、国連の平和維持活動の内容が極めて多岐にわたっておりまして、上記の区分が必ずしも当てはまるわけではないというのが私どもの認識でございます。
○小泉親司君 私は、PKFは武力行使が伴う部隊であるという認識は、外務大臣はそれでは国連というのはそういうふうに規定しているということをお認めになっているというふうに思いますが、そういうことなんですね、要するに。
○国務大臣(河野洋平君) 今御答弁申し上げましたように、必ずしも武力行使を伴うものというわけではないという認識でございます。
○小泉親司君 必ずしもというのは、それこそいわゆるTPOに関係するものだから必ずしもじゃないかもしれないけれども、基本的には武力行使もできる部隊だという御認識なんですか。そこの点をお聞きしたいんです。
○国務大臣(河野洋平君) PKO活動は基本的には武力活動はしないわけですね、ということで認識をしております。
○小泉親司君 私、質問通告しているわけですから、そこのところを正確に、よく研究され勉強されてくる必要が私はあると思うんですよ。 つまり、PKFというのは、国連の資料では、少なくとも武器使用だけについて、私たちは当然PKOについても軍事活動だから反対しておりますけれども、PKFについては、武器使用問題について、いわゆる正当防衛による要員の保護のためばかりじゃなくて、任務遂行を実力によって妨げる企てに対抗するために、つまり正当防衛以外の武器使用、このことも認めている部隊なんですね。これは平和維持活動のことでも正確にやられている。 この点、ちょっと外務大臣はおわかりにならないようですから、竹内さん、ちょっとその事実関係だけ確認してください。
○政府参考人(竹内行夫君) PKOの活動におきます武器の使用につきましては、小泉先生御存じのとおり、いろんな慣行、実践によって積み上げられてきているところでございまして、各PKO活動ごとにその部内規則として定められております。 先生御指摘の点でございますけれども、一般的に申しますと、国連のPKO活動におきます武器の使用につきましては、武器の使用は自衛のためのみに可能であるということが大原則でございます。 その場合に自衛ということの意味が二つあるということで、今まさに先生御指摘のとおり、一つは自己の生命等を防護するためということであり、二つ目は、国連としての任務の遂行を実力をもって妨げる企てに対しまして抵抗する場合ということでございます。 それで、実際に、先ほど大臣から御答弁申し上げましたけれども、武力の行使ということを行うわけではございませんで、また、今申しましたような二つの場合の武器の使用ということが認められておりますけれども、実際は、その使用に当たっては、使用の態様、程度等を必要最小限であると、それから説得ということに努めるということで、平和的手段を尽くすということとされております。さらにもちろん事前の警告ということも必要であるというふうに言われております。 したがいまして、自衛のための武器使用、これは申しました二つの意味でのでございますけれども、それは最後の手段として位置づけられている、こういうことでございます。
○小泉親司君 私、何遍も言うようですが、自衛のためというのは、侵略のためとはだれも言わないんですよ、だから自衛のためと言うのであって、問題は、武器使用のうち今おっしゃられた、河野外務大臣にお聞きしますが、今言ったのが私は正解だったと思うんです。一つは正当防衛、もう一つは任務を妨げる場合。ところが、PKO法では二つとも認められているんですか。それとも片方しか認められていないんですか。どっちなんですか。
○国務大臣(河野洋平君) PKO活動につきましては、通常、その武器は自衛のためにのみ使用することが許されておるということであります。
○小泉親司君 外務省、もう一回そのPKO法と今おっしゃったことの二つの違い、つまりPKO法にどっちが含まれていて、両方含まれているのかどうか、それだけでいいですから、時間がありませんから。
○政府参考人(竹内行夫君) 国際平和協力法第二十四条には、武器の使用につきましては、防衛の対象は自己または自己とともに現場に所在する我が国要員とされているということでございまして、その自衛のため、狭い意味での自衛のためということでございます。
○小泉親司君 ちょっとさっき正確に御説明したんですから、正確に答えていただきたい。前者、後者のうち、前者しか認められていないと思いますが、そのとおりでございますか。そのとおりかどうかでいいですから。
○政府参考人(竹内行夫君) 恐縮でございますけれども、後者の場合におきましても、任務の遂行をしている場合に、それを妨げる相手がいて、それが実力をもって迫ってきたという際にはこれは自衛、正当防衛と申してもよろしいかと思いますけれども、自衛ということでの武器の使用は認められるということは念のため申し上げておくかと思いますが、ただ、二十四条に規定されておりますのは、自己または自己とともにいる現場の者が危険にさらされたときに武器を使用する、こういうことでございます。
○小泉親司君 先ほども外務大臣もお話ありましたように、PKO活動の見直しが行われてきたというのは、確かに国連で見直しをされてきた。ところが、問題は、どういうふうに見直しをされてきたかという点でありますけれども、九五年、九二年に国連事務総長による平和の課題が出されて、PKOの見直しが行われてきましたが、九五年の十月にPKOに関する一般指針、ガイドラインというのができ上がるんですね。さらに九六年にブルーヘルメットのいわゆる三版というものが改定されたことは御承知のとおりだというふうに思います。 その二つの点で、主に武器使用の規定というのは同じ規定が準用されているというふうに思いますが、その点は間違いないでしょうか。
○政府参考人(竹内行夫君) 九五年の御指摘のガイドラインにおきましても、先ほど私が申しましたような自衛、二つの場合の自衛について武器が認められるということが記述されていると承知いたしております。 それから、九六年のブルーヘルメットの第三版、これは武器使用についてのガイドラインとか、その基準を定めたとか記載したというものではございませんで、それぞれの展開しておりますPKO等につきまして、その背景とか任務とかいうものを説明したものでございます。
○小泉親司君 十一月十七日の読売新聞で、PKF問題について、高村元外務大臣とそれから防衛庁の西元元統合幕僚会議議長がいろいろ対談をやっておられるんですね。 その対談の中で、西元氏はこういうことを言っているんです。「PKF凍結解除も重要だが、PKO参加五原則をどう考えるかの方が大事だ。」と。その理由は何かというと、いわゆるPKO活動というのは大変変化をしてきて、今第三世代にあるんだと。第三世代型はソマリアで挫折したけれども、ボスニア・ヘルツェゴビナで復活して、東ティモールもこの形なんだと。つまり、第二世代、第三世代がふえてくると、日本が五原則を堅持する限り、日本が得意とする通信、輸送、施設といった分野での貢献もできなくなるおそれがあるんだと。つまり、五原則を変えない限り、これからの第三世代のPKO活動にはそういうものが対応できなくなってくるんだというふうなことを言っておられるわけですね。 私、この点は大変重要で、今PKF凍結解除をするするとおっしゃっているけれども、その一方で五原則を堅持するというと、そこにはやはり非常に大きな矛盾が存在するというふうに思うんです。実際に、PKO法を堅持してこれからの第三世代の平和維持活動に対応できるというふうに外務大臣はお考えになっておるのかどうなのか。初めにその見直しをおっしゃったので、その点の見解をお伺いしておきたいというふうに思います。
○国務大臣(河野洋平君) 先ほどから申し上げておりますように、国際社会の中ではさまざまな問題が起きているわけです。 その問題を解決する方法、手段というものはこれまたさまざまな方法、手段をとられる。それは、介入するべきかするべきでないかという判断から始まって、介入する時期の問題もありましょう、それからそれが起こっている地域の問題もありましょう。したがって、これらの活動は、あれもこれもということを全部想定して議論をするという必要はありますけれども、しかし我々の想像を超えた作業というものも起こってくる可能性があるわけであります。 私は、そうした状況に日本として国際社会に貢献をするために、できることはきちんとしなければならないと思います一方で、我が国には我が国の憲法というものがあって、その憲法の規定を超えて行動するということは適当でないというふうに考えているわけです。 したがって、PKO五原則というものが憲法上の制約を超える可能性がある、あるいは超えるのではないかという議論というものを引き起こすという可能性があるというのであれば、PKO五原則は変えるべきでないというふうに私はかねてから考えているわけでございまして、PKF活動がこれではできないではないか、こうやらなければできないではないかということは議論としてわかりますけれども、それをやるべきかやるべきでないかということを決めるためには、我が国における憲法というものの持つ意味というものもまた極めて重要だ、こう考えるわけです。 もう一点私が考えておりますことは、与党三党におきますこの問題に対する議論の動きでございます。 連立与党三党の中でさまざまな御議論がありまして、このさまざまな御議論の中では、PKFについては三党の合意ができておりますが、PKOのくだりについては合意はできていないのが現状でございますから、これを受けても、私はこのPKO問題については、従来どおりこのPKO五原則を変えるというつもりがないということを御答弁申し上げているわけでございます。
○小泉親司君 同じ座談会で、高村元外務大臣は、大変最近のPKO活動には国連憲章第七章、つまり平和に対する脅威、破壊などへの武力行使を含む強制措置、こういうものに基づくPKO活動が非常に多くなってきているんだということを前提として、「こういう七章型PKOに出せるかどうかという問題は、むしろPKO参加五原則との関連でどうかという話になってくるのではないか。もっとはっきり言えば憲法との関係がどうなってくるかという話になる。」というふうにおっしゃっているんです。 ということは、こういう七章型のPKOには日本としては当然のこととして出せないということはこれは明確だと思うんですが、その点はいかがでございますか。
○国務大臣(河野洋平君) どういう状況であろうとも私どもは、PKO五原則というものが現に存在をして、我々はその五原則に従って判断をすると言っているわけでございますから、どういう状況かということは、この五原則に合致するかしないかということで判断をする以外にないというふうに思います。
○小泉親司君 実態としてお聞きしたいんですが、九二年の「平和への課題」が出てから、国連のPKO活動についてPKFというのが何回か出動しているんです。そのときには何回で、どういうところにPKF活動というのは、国連自体、日本とは別に国連ではどういうところに参加しておられて、そのうち七章に基づいてとられているというPKF活動というのはどのくらいあるんですか。
○政府参考人(竹内行夫君) まず、第七章に言及したPKFというものについては、手元の資料で恐縮でございますが、これまで九回であったと承知します。 それから、先生、今PKFへの出動と申されましたですけれども、国連のPKO活動というのは、それこそ我が国の法律もございますように、武装解除とか停戦監視とかいう本体業務的なものもあれば、同時に選挙監視であったり人道援助の支援であったりということでいろんな任務をあわせ持っているものでございますので、何件がそのPKFかということで数字を上げて申し上げるということがなかなか困難なことは御理解をいただきたいと思います。
○小泉親司君 七二年以来九回という意味なんですか。
○政府参考人(竹内行夫君) この第七章に前文とか本文で言及しましたのは、失礼しました、一九四八年以来九回ということでございます。
○小泉親司君 ちょっと正確にしていただきたいんですが、九〇年代に入って何回なんですか。私は、その点はそういうふうに質問通告していますので、その事実関係だけ正確にしていただきたいんですが。
○政府参考人(竹内行夫君) 九〇年以降でございますと、PKOは三十四設立されております。そのうち、先生御指摘の第七章に言及をしたのは八件でございます。
○小泉親司君 今の答弁はだから非常におかしいんですよ。四八年から九回だと言っておいて、九〇年からは八回だと。つまり言っている意味は、私が指摘している意味は、九〇年からほとんどと言っていいほど第七章に基づくPKO活動だということなんですよ、PKFは。よろしいですか。あなたが答弁しておるのは、四八年から九件だと言って、九〇年以降は八件だと言っておられるんだから、だからほとんどが九〇年以降だということでしょう。 だから、そこのところをちょっと私、後で正確にしていただきたいんですが、何しろ私の認識では、九〇年代に入ってのPKF活動というのはほとんど七章型なんです。今まで、このPKO活動、ブルーヘルメット活動というのは六章にも七章にも属さない六章半の活動だと言っていた。ところが、最近の第三世代型は七章型のつまりPKF活動、武力行使を伴えるような、強制措置を伴えるような行動になっているわけですね。 だから、実質的にこの七章の掲げたPKFに対して日本が参加五原則から参加することができるのかどうなのか。この点はひとつ外務大臣、もう一度答弁していただきたいと思います。 それからもう一つ、外務大臣と防衛庁長官に、時間がないのでまとめてお聞きしますが、いわゆる警備任務を今度のPKFの本体業務と同時にこれを改正しよう、つまりつけ加えようという意見がそちらに属する方々の中からも出されているやに聞いておりますけれども、この警護任務を加えるということは、日本以外の国連の要員その他の歩兵部隊に対する攻撃に対しても日本の自衛隊が武力を使用することができるというふうなことになるわけですので、これは、参加五原則を見直さないと言っている以上、この警護任務は加えることができないと私は思いますが、その点について外務大臣と防衛庁長官、それぞれお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 前段につきましては、我が国のPKOへの派遣に当たっては、いわゆるPKO参加五原則を規定した国際平和協力法上の要件を満たす必要があるということは先ほど申し上げました。 このいわゆるPKO参加五原則に沿って立案された国際平和協力法に基づいて参加をする場合には、武器の使用は我が国要員の生命または身体の防衛のために必要な最小限のものに限られること、及び紛争当事者間の停戦合意が破られるなどによって平和維持隊が武力行使をするような場合には、我が国が当該平和維持隊に参加して活動する前提自体が崩れた場合であるので、短期間にかかる前提が回復しない場合には我が国から参加した部隊の派遣を終了させることなどの前提を設けて参加することになるので、我が国が憲法第九条上禁止されている武力の行使をするとの評価を受けることにはならないということをまず申し上げます。 それから、後段のPKF本体業務について、これまた武器使用のあり方と密接に関連を有することもありまして、憲法上の問題を含めて、種々の観点から、これは慎重に検討する必要があるというふうに考えております。
○国務大臣(瓦力君) ただいま外務大臣から答弁がなされましたが、警護任務は国際平和協力法上規定されていないと、委員御指摘の点を踏まえまして、武器使用のあり方とも密接に関連を有することでございますから、さまざまな観点から慎重に検討する必要があると、かように考えます。
○小泉親司君 参加五原則を守ると言いながら慎重に検討するというのは、私は筋違いだと思います。参加五原則を守るのであれば、警備任務は当然のこととしてその中に含めることはできないというふうに思いますので、その点は後できちんと、また改めて議論をさせていただきたいと思います。 次に、横浜の上瀬谷基地の問題について質問をいたします。 横浜の上瀬谷基地はこれまで通信基地だったんですが、今、大変遊休基地となっておりまして、事実上、この前私どもの国会議員が現地の司令官にお会いをいたしましたら、二〇%しか使っておらないで、八〇%近くは現在すべて遊休地になっているというお話でありました。これがもし遊休地である以上、私たちは直ちにやはり返還すべきだというふうに思います。 時間がないので、一点の問題についてだけお聞きをいたしますけれども、地位協定の第二条の二項で、「日本国政府及び合衆国政府は、いずれか一方の要請があるときは、前記の取極を再検討しなければならず、また、前記の施設及び区域を日本国に返還すべきこと又は新たに施設及び区域を提供することを合意することができる。」というふうに規定されております。 という意味は、日米合同委員会で取り決められているこの上瀬谷基地の使用目的、これが変更ないしはこれに対してやる場合は、日本政府の側から発議することができるのかどうか、この点まず外務省にお聞きをしたいというふうに思います。
○政府参考人(谷内正太郎君) ただいま先生御指摘のとおり、日米地位協定第二条二項にはそのとおりの規定がございます。 そこにも書いてありますように、これは「いずれか一方の要請」でございますから、日本国政府がいろいろな条件を考えた上で要請するということは協定上は可能でございます。
○小泉親司君 協定上可能ということは、今回の上瀬谷の使用目的、これはどういうふうになっているんですか。 例えば、五・一五メモ、つまり沖縄返還の際に五・一五メモというのが提示されていることは御存じだと思います。御存じですね。──それは外務省としては私、大変失格だと思いますが。 沖縄返還のときに五・一五メモという日米合同委員会の施設分科会の発表があって、施設・区域について具体的にいろんなものを、使用目的その他使用区域というものを定めているんですよ。そういう使用区域を定めているものをこの上瀬谷でも当然、合同委員会の協定上結んでいると思いますが、それは間違いないでしょう。
○政府参考人(藤崎一郎君) お答え申し上げます。 先生お尋ねの上瀬谷基地につきましては、使用目的は通信施設ということになっております。
○小泉親司君 その通信施設が事実上埼玉県の大和田基地に移されているということはもう既に外務省も御存じだと思いますが、協定上日本側からその施設の返還について発議することができるのに、なぜ、そのことについて日米合同委員会で、使用目的が変更されているんじゃないかということを発議しないんですか。
○政府参考人(藤崎一郎君) お答えさせていただきます。 ただいま私どもの承知しております限り、上瀬谷通信施設につきましては、引き続き通信施設として使用されているというふうに承知しております。
○小泉親司君 私、そのことは認めますが、先ほど言いましたように、わずか二割しかないんですよ。あとの八割は全部遊休地だと司令官が言っている。これはやはり、もし日本側から発議するものであれば、日米合同委員会において当然発議すべきだというふうに思います。 その点、外務大臣に最後に、時間がありませんので簡潔にお答え願いたいんですが、やはり協定の二条二項に基づいて日本に発議権があるとすれば、少なくとも日米合同委員会に、この使用目的が合致しているかどうかということを発議すべきだと思いますが、その点を外務大臣に最後にお聞きして、終わります。
○国務大臣(河野洋平君) 御答弁申し上げます前に、先ほどの私の答弁に抜けているところがございましたので、訂正をさせていただきます。 先ほど、私は、我が国要員がいわゆる警護任務を実施することは国際平和協力法上規定されておりませんと申し上げるべきところを落としました。謹んで訂正をさせていただきます。 そして、上瀬谷通信施設の返還につきましては、地元の御要望を踏まえまして、日米安保条約の目的達成との調和を図りながら、日米地位協定に従って適切に対処してまいりたいと存じます。
○小泉親司君 終わります。
○委員長(矢野哲朗君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十八分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(矢野哲朗君) ただいまから外交・防衛委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、外交、防衛等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○田英夫君 外務大臣は、この国会終了直後、ベルリンのG8外相会議に行かれるそうで大変御苦労さまです。議題として紛争予防の問題を議論されるということで、いずれまたその内容などを教えていただきたいと思いますが、きょうは最初に空中給油機の問題を取り上げたいと思います。 実は、きょうの安全保障会議で予算に計上することを決めるという報道がありましたが、けさの報道によるとそれはどうも断念をされたということが伝えられておりますが、防衛庁長官、来年度は予算に計上しないと考えていいんですか。
○国務大臣(瓦力君) お答えいたしますが、田先生から、大変私も驚く発言でございまして、断念をすると、かようなことではなくて、理解を求めるべく今努力をしておると申し上げた方がよいのではないか、こう思います。
○田英夫君 私どもは、かつて一九七〇年代にF4ファントムを導入される際にこの問題について衆参で激論をしたことを覚えておりますので、結論としては、専守防衛という立場からファントムの給油装置まで取り外すという当時の田中角栄総理の決断を得まして今日に至っているという経緯があります。これはまさに私は決断だと思いますね。その状況は現在もいささかも変わっていない。つまり、憲法が変わっていないわけですから変わっていないはずなんでありまして、ぜひ良識を持って、日本の憲法の考え方にのっとった対応を今後も続けていただきたいと思います。 議論をされる、つまり導入ということを主張される議論の中に、例えば多くの国が、たしか二十四カ国現在保有していると聞いておりますが、そういう多くの国が空中給油機を持っているのになぜ日本が持てないのかと、こういう御議論があるようですけれども、その多くの国はいずれも軍隊を持ち、いざとなれば戦争をしようというそういう国であって、日本はそういう国ではないと、ここのところを明確にしておかなくてはいけないと思います。 そういう意味で、防衛庁長官、改めてこの問題についての基本的なお考えを伺っておきたいと思います。
○国務大臣(瓦力君) まず初めに、田先生からお尋ねの現在の状況についてでございますが、我が国は、専守防衛に徹して他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、かような基本理念に従いまして防衛力を整備しているところでございます。 よって、空中給油機能につきまして、政府とその取り扱い等につきまして検討している段階で、導入を前提とした御質問にお答えすることは、今なお、政府並びに官房長官の御発議にもよりまして三党間との調整もありますので、取り組んでおるところで、質問に直接お答えすることは必ずしも適当ではないと考えるわけでございますが、防衛庁といたしましては、空中給油機能というのは、最近におきましての航空軍事技術の発展に対応した要撃戦闘機の空中警戒待機、いわゆるCAPでございますが、の支援や訓練の効率化、また基地周辺に騒音問題というのはいろいろ問題を惹起いたしておりますので、それらの対策にかんがみましてもこの方が適当と。また、航空安全確保の観点からも有用である、効果のあるものと考えておるわけでございまして、さらに加えて、空中給油機の輸送機能というのは、国際協力任務におきまして人員でありますとか食糧、医薬品といった小型貨物の空輸にも効果的に使用できる、こういうような観点から取り組んでおるわけでございます。 なお、先生から例の田中内閣以来の経過、これはもう御説明するまでもないと思うわけでございますが、それらのことを踏まえまして、十五年三期における中期防を踏まえて検討をしてきたものでございまして、この仕事は、専守防衛に徹しまして他国に脅威を与えるような軍事大国にはならない、かような基本理念に従いまして防衛力の整備を図っておるところでございますから、私どもはこの政策をさらに進めるべく検討をさせていただきたい、かように考えております。
○田英夫君 今もお話がありましたが、近隣諸国に脅威を与えるようなものであってはならないということですが、瓦さんは日韓議連の幹事長でもあるわけですが、先日開かれました日韓議連、韓日議連の合同総会、その安全保障分科会で韓国側の議員から、最近の日本の動きを見ていると専守防衛を崩すような、そういう感じがする、ぜひ専守防衛の基本を守ってほしいという発言があったという事実があります。そういう意味で、この空中給油機の問題というのは一つの日本の安全保障政策の象徴のような気もいたします。 そこで、近隣諸国に対する影響ということからすれば、外務大臣はこの空中給油機の問題について外務大臣の立場からどういうふうにお考えになるか、伺っておきたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) まず、政府部内での議論は先ほど瓦長官が御答弁申し上げたとおりで、現在まだ政府部内で検討が続けられているというふうに承知をしております。 この問題は、田議員御指摘のとおり、これまでいろいろな経緯があったわけでございますが、いずれにせよ、専守防衛を含む我が国の防衛政策のもとで透明性を確保してこの問題に当たるということが必要であろうというふうに思っております。 近隣諸国の中では、この問題について関心を示している国もないわけではありません。今御指摘の韓国などはそうこの問題について否定的な反応があるというふうには聞いておりませんが、例えば中国などは空中給油機の導入には関心を示しております。しかし、一方で中国自身も空中給油機を持っているという事実もあるわけでございまして、いずれにせよ、先ほど申し上げましたように、我が国の防衛政策上の透明性といいますか、そういうものを維持することが大事だろうというふうに思います。
○田英夫君 この問題はこの程度にいたしますが、例のコソボの紛争のときにベオグラードの中国大使館がアメリカ軍に爆撃をされた。これに対して中国は非常に怒ったわけですが、私が中国側の責任者から直接聞いたところでは、あの爆撃をした飛行機はアメリカ本土から、いわゆるステルス爆撃機が空中給油を受けながら大西洋を渡って爆撃をして、また空中給油を受けながら本土に帰ったと、こう中国側は見ている、こういうことをはっきり言っております。つまり、攻撃的な用途に非常に使われる、こういうことでありますので、ぜひ今の両大臣の御答弁をひとつしっかり受けとめておきたいと思います。 次の問題ですけれども、この前、戦争に対する認識といいますか、戦争という異常な事態で何が起こるかということについて、体験者として戦争の語部になりたいということを申し上げましたが、そういう立場から最近感じたことを二つばかり申し上げたいんです。 一つは、最近の報道でお気づきかもしれませんけれども、朝鮮戦争の時に、韓国の一部、老斤里という場所ですが、そこで韓国人の避難民が米軍に誘導されながら逃げているところを、ちょうど橋を渡っているところを、アメリカ軍の戦闘機が空中から機銃掃射をやって数百人の人が死んだという事件が最近アメリカのAP通信が報道したことで明るみに出て、韓国の中では余り語られていなかったようですけれども、今、金大中大統領も調査を命じ、アメリカ側も改めて調査を進めるという、こういう事態が起こっているんですね。このことはそれだけ申し上げるだけにとどめます。 もう一つ、一九四八年に起きました済州島事件というのを外務大臣は御存じでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 概略、承知しているつもりです。
○田英夫君 これは、日本ではほとんど知っている人はいない。私も実はごく最近まで知らなかったんですけれども、第二次世界大戦が終わった直後のまだ朝鮮半島が南北に分断をする前、李承晩政権が韓国で誕生する以前の一九四八年四月三日に、自分たちの祖国が分断をされるという動きが出てきていることに抗議をして、済州島の島民が武装蜂起して反対闘争に立ち上がった。これに対して、占領していたアメリカ軍も関与したと思われるんですが、実際に手を下したかどうかはわかりませんが、朝鮮側の官憲がこの民衆を殺りくして、名前がわかっているだけで一万五千人、不明者を含めると恐らく三万人の島民が殺されたと言われている事件であります。 私がこれを詳細に知りましたのは、実は昨年の八月、その済州島で、平和と人権に関するシンポジウムというのを韓国の人たちが主催して、NGOが主催してやりまして、そこにラモス・ホルタという東ティモールの例のノーベル平和賞をもらった人と、なぜか私が呼ばれて基調演説のようなことをやらされたわけですが、そのシンポジウムの主な目的はこの済州島事件の解明ということにありました。 韓国でも、実は米軍が関与していたということもあってこの問題については長らくタブーになって触れることができなかった。それが、金大中政権ができたからとは言いませんけれども、そのシンポジウムには韓国の金大中さんの与党の国民会議の議員も数人来ておりましたが、そういう中でかなり詳細に現地の島民の人たちの証言も出てまいりました。明らかになってきたところであります。 きょう、私があえてこれを取り上げようとしているのは、今、韓国の議会でこの問題についての法案が審議をされております。したがって、このことはこれから申し上げますけれども、日本の政府に対しても相当大きな影響が出てくると思われますので、あらかじめそれを申し上げておきたいわけです。 当時の状況は、私ども敗戦の中で混乱状態にありましたから、私も既に社会に出て新聞記者をやっていましたが、全くこの済州島事件は知りませんでした。当時、日本が敗戦ということになりまして日本の朝鮮半島植民地支配が終わった直後の段階では、朝鮮半島全土で朝鮮建国準備委員会というのができて、これは民間から自然発生的にできたようですが、略称を建準と言っているようです。こういう組織ができて各地にその支部ができた。済州島にもそれができた。この人たちが中心になって蜂起をしたようでありますが、こういう背景の中で、同時に一方で李承晩政権が生まれようとしていた。ということは、李承晩政権が生まれれば朝鮮半島分断が現実化してしまう、このことにこの建準、建国準備委員会の人たちは反対をしたわけですね。 したがって、いきなり戦争が終わった直後にもう南北朝鮮が分断したんじゃなくて、朝鮮の人たち自身は自分たちの手で一つの国をつくろうとした。にもかかわらず、これに対して、占領していたアメリカ軍は、この建国準備委員会は左翼勢力であるという判断をしてこれを弾圧し始めたという経緯があります。そういうことの中で結局李承晩政権ができて、そして弾圧でさっき申し上げたような事態につながっていったようであります。 現在、韓国議会で審議をされております法律案は、済州島四・三事件真相究明及び犠牲者名誉回復に関する特別法案という名前の法案で、与野党が話し合った結果一本化して、与野党合意の上で一本化した法案になって現在審議が行われている、こういうことであります。 第一は、済州島事件というのは、四・三事件というのはどういうものかという規定をしている。それは、事件の起こる前の年の一九四七年の三月一日にいわゆる三・一事件、日本に抗議したあの事件の記念日の集会で青年が殺されたということから始まって、そしてずっと行って一九五四年、朝鮮戦争が終わった後の一九五四年の九月二十一日に、完全にその蜂起した勢力は平定されてしまうわけですが、それまでの間全部を済州島事件というというふうに規定をされています。 そして、これに対して、今までタブーで真相がわからなかったから、日本でいえば総理大臣、国務総理を委員長とする済州島四・三事件真相究明及び犠牲者名誉回復委員会というものを設置する。それから、その実際の活動をするために済州島知事を委員長とする実務委員会をその下に設置するというようなことが内容になっておりまして、現実には、結果をまとめた白書を出すとか、あるいは慰霊碑をつくり慰霊祭をやる、それから資料館をつくるというようなことがこの法案の中に入っているそうであります。 きのう、韓国側の人に電話で聞きましたら、もちろん与野党一致して出しているものだから、これは通るだろう、間もなく年内に成立する。となると、時間がありませんから申し上げますが、本法施行から三十日以内に韓国の在外公館は犠牲者及びその遺族に申告するように手続をとるべきである、とらなければならないという規定があるということです。 そうすると、日本に実は在日韓国人・朝鮮人、特に韓国の人の中に済州島出身者が非常に多い、これはそのときに逃れてきた人たちだと言われています。となると、その中から申請する人が出てくる、申告する人が出てくるだろう。ということになると、あの当時は、実は密入国者の扱いをしていた。実際はこれは政治亡命者として、あるいは政治難民として遇さなくちゃいけなかったんじゃないかということで、日本政府の対応を迫られることになります。 きょう、突然こういうことを申し上げて、お答えにくいと思いますが、お耳に入れておきますが、外務大臣のお考えを最後に伺って、終わります。
○国務大臣(河野洋平君) 私も最近、済州島へ参りまして、済州島の方から日本にはこの島から行かれた人が大変多いんだという話を聞いたばかりでございます。 いろいろな経緯で日本へ来られた方がおられるので一概に言えないことだと思いますが、今、田議員から済州島事件についてお話を伺いまして、もうすぐ五十年になるわけですが、五十年前のこうした事件についても、その歴史的評価をきちんとしようという韓国、そしてさらにアメリカも加わっての作業がどういうふうに行われるか、それもよく見させていただきたいと思います。 日本におられる方々を政治難民として扱うべきだという今の御指摘でございますが、これはどういうふうに対応ができるか、突然のお尋ねで、私、ここで御返事を申し上げる材料を持っておりません。今の御指摘を踏まえて、ちょっと研究させていただきたいと思います。
○田英夫君 終わります。 ─────────────
○委員長(矢野哲朗君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、岩井國臣君が委員を辞任され、その補欠として森田次夫君が選任されました。 ─────────────
○田村秀昭君 自由党の田村でございます。 ただいま私の最も尊敬する田先生から空中給油機のお話がありました。空中給油機は専守防衛に反し攻撃的であるという先輩の御発言でございますが、私は、全くそういう時代ではない、現在二十五カ国が保有しておりまして、特に航空自衛隊は警戒監視の任務を持っておりまして、ほとんど警戒監視をやっておりまして、それの継続性を高めるということで、一つもこれは武器を持っておりませんし、空中で補給することでございますので、将来は国際協力にも使われるのではないかというふうに思いますので、田先生のお考えを全く否定させていただきます。このことは、今、田先生がおっしゃったので申し上げました。 ことしの十月十日から一週間、ベルリンで百二回のIPUの会議が行われました。百二十八カ国の国会議員が集まっておりました。我が日本からは、衆議院の原田団長以下衆議院七名、参議院三名が参加いたしました。それで私は、本会議で原田団長と時間を分け合って一般演説を行いました。 それで私は、アジア太平洋地域の安全保障をテーマに特に北朝鮮問題を取り上げて、現在の北朝鮮のミサイル開発を初めとする対外戦略の問題点を五つ挙げました。一つは、北朝鮮の対外戦略は周辺諸国への恫喝を続けなければならないこと、ずっと続けていかざるを得ないということ。二番目に、この戦略の特性ゆえに周辺諸国の軍事力増強を招くことになる。三番目に、北朝鮮に対する経済援助も軍事力増強に使われざるを得ず、北朝鮮の経済的自立、経済力の強化の根本的な解決策にはならないということ。四番目に、周辺諸国との友好関係が樹立されず、孤立化政策の継続化をもたらすこと。そして五番目に、対応を間違えば重大な事態を招来する危険性があるということを指摘いたしました。 そして、そのような方向に進まないことを期待するということを述べましたら、五、六人後に、もう既に北朝鮮の代表は演説しないことになっていたのですが、急遽一分四十秒の時間を持っているということで反論権を行使して、テポドンは人工衛星であり日本の指摘に反対する、これは南北統一のプロセスを阻害する敵対行為である、日本はコリアに対してさまざまな行動を起こしているがネガティブな態度はやめるよう各国議会が断固糾弾するよう願うという旨の返答がありまして、これに対する反論は時間がありませんでしたのでできませんが、人工衛星であれば事前に通告するのが国際社会の通例であるし、何で通告しなかったのかということを言おうと思ったのですが、時間がなくて非常に残念でございました。 先ほど吉田先生も質問されておられましたけれども、質問というよりも危惧されておられましたけれども、ミサイル実験をやりながら人工衛星と言い張る、拉致をしておきながら行方不明だと言い張る、そして自分たちの言っていることは一切変えようとしないわけですね。 今回、村山元総理が十二月一日から三日間ピョンヤンに行かれましたけれども、向こうの金委員長は次のように述べていると聞いております。 我々の技術、資材、労力で人工衛星打ち上げに成功したにもかかわらず、日本はミサイルと言っている。ミサイルはどこの国でも持っている。もっと大きなもっと多くのミサイルを持っている。こちらから他人を侵すことはしないが、我々は侵すことを許さないとの立場を再三表明している。日本は米国のものは脅威でないと言っているが、本質は我々への敵視政策をとり続けていることにあると。 結局、ミサイルと絶対言わないで人工衛星だと言い張るところ、それで拉致もそうでないと言って行方不明だと言う。それを言い張っているわけですね。それで少しも変えようとしない。こちらは少しずつ変わっていく。拉致、いや行方不明だ、まあまだそこまでは変えていないと思うんですが、少しずつ変わっていくような気がするのであります。基本的にこういう共産主義の猛烈、強烈な国家であるし、軍事力で恫喝を続ける国家に対して、外務大臣にお尋ねしたいんですが、どういう考え方で日本の外交を展開されようとしておられるのか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 基本的に、近隣諸国との間には意思の疎通が行われるということが私は大事だというふうに思っているわけです。先方の考えがこちらに伝わり、こちらの考えが先方に伝わるということが基本的には大事じゃないかと。 ただ、その結果、こちらの意思がどうであれ、だれの意思がどうであれ自分の意思はこうだ、変えないということがいいかどうかということについては、これはまたその次の問題であって、それぞれが意思の疎通を大事にし合うということについて、私は基本的にはそのことが大事じゃないかというふうに思っているんです。 ただ、今、先生御指摘のように、武器をもって恫喝をし続ける、そういう状況の中で話し合い話し合いと言っていられるか、こういう御指摘でございますが、このことは、例えばそうしたことを乗り越えるために、我々は日米韓三カ国が集まってそれぞれの政策を話し合って、そして統合した政策というものをつくり米朝協議というものに持ち込んで、そして米朝協議は北朝鮮のいわゆるミサイルの発射はこの協議が続いている間はしないという状況をつくり出しているわけで、我々はそれぞれに考え方を述べ合って、そしてよりよい環境をつくっていくということが必要なんだというふうに思います。 私は、先生のこの演説の原稿も拝見をいたしましたけれども、先生もおっしゃっておられるように、今の政策を北朝鮮が変えないならば、北朝鮮はやがて自分自身で、方向を失うということに結果としてなるだろうということを先生もおっしゃっておられるわけですね。今の政策を続ける限り、この政策は決してとめどない、エンドレスに行かざるを得なくなる、あるいは経済についても相当疲弊してくるであろうということを先生も指摘しておられるわけで、私は、確かにこの指摘は正しい部分が多くて、このままで行くと思っておられないのだろうと思っているわけです。 したがって、近隣諸国はそれぞれの立場を大事にしながらお互いに話し合っていくというその道筋を探していくことが大事ではないか。中国は中国として話し合いをしておりますし、韓国は韓国として話し合おうとしていますし、アメリカはアメリカとして話し合いを既に始めているわけで、我々もまた話し合いのパイプをつくっていく、そういう努力が必要なんじゃないかというふうに思っています。
○田村秀昭君 外務大臣のおっしゃることもわかりますけれども、私は、この演説でも述べましたけれども、こういうのはエンドレスだと。それで向こうがそのまま疲弊するということはない、だからそのままほっておくと北朝鮮は自己崩壊するというようなことは私はないというふうに申し上げているんで、向こうが疲弊してポシャっちゃうという、そういうことは言っていないわけです。ずっと続くだろうと。そうすると、ずっと続くのに対話をすれば、物か金をとられるだけで、それ以外の何物もないのではないだろうかと私は思っているんです。 よく対話と抑止と言うことがあります。この前のこの委員会で大変多くの先生方が対話の重要性をお述べになりました。もちろんそれは重要なことでありますけれども、対話が尊敬されるのは抑止力が物すごくある人が対話をするから尊敬されるんですね。それはすばらしいことなんです、すぐやっつけないで話をするということですから。これは大変立派なことで、普通、面倒くさいからやっちゃうというのが多いのですけれども、そうしないでやる。 しかし、抑止力もないのに、我が国は、防衛庁長官にお尋ねしようと思ったけれども、私はよく知っているんで、抑止力ないんですね、ミサイルについては。そうですね、ちょっと防衛庁長官に。
○国務大臣(瓦力君) お答えいたしますが、極めてデリケートな問題でございますから、明確に返事をしない方がいいと思います。よろしゅうございますか。
○田村秀昭君 はい、結構です。 私の申し上げたいのは、韓国も物すごい抑止力を、安全保障に力を入れているわけです。それで対話をしようとしているわけですね。だから対話ができるので、抑止力もないのに対話をしたら、これは念仏を唱えているにすぎない、だから相手は何も相手にしない、そういう国を、と私は思うんです。だから、お金があったらお金をとる、物があったら物をとるにすぎないんではないかというふうに思っておりますので、そこのところも十分にお考えの上、日本外交に誤りなきをお願いしたいと思います。 以上で終わります。
○山崎力君 それではまず、外務省の方からお伺いしたいと思います。先般のWTOの閣僚会議、これは決裂という格好、事実上そういう形で、極めて異例な形で終了したわけです。 我々国民とすれば、下手な妥協をしてアメリカにおもねるよりはいい状況だろうとは感じているんですが、いろいろ国内事情あってのことだと思いますけれども、アメリカがいわば世界から孤立した形で、今回、議長国でありながらああいう対応をとったということについてどのように外務大臣はお考えになっているか。それと同時に、今後どういうふうにやっていくのか、悪い影響が出るのではないかという危惧もあるわけですけれども、その辺どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(河野洋平君) 山崎議員のお尋ねでございますが、私はWTOの会議に参加をしておりまして、私の感じを申し上げますと、新聞各紙はWTOの閣僚会議は決裂したと書きましたけれども、私はどうも現場にいて決裂という感じは余り受けなかったんです。非常に各国の閣僚が努力をして、少しずつ主張の乖離は狭まってきていたんですけれども、時間的制約があってこれ以上もう議論ができないということで凍結ということになって終わった。 したがって、あのままの状況で、いずれ場所を変え、少し時間を置いてあのままの状況から始めよう、こういうことをしきりに議長は言いました。実際問題としてそうなるかどうかについては若干の疑問なしとしませんけれども、少なくともあの会議の終わり方はそういう終わり方で終わったものですから、決裂したというふうには私は感じなかったということをまず最初に申し上げたいと思います。 それから、議長国でございましたアメリカが相当にまとめるべく努力をしたことは事実でございますけれども、所定の時間内にまとめ切れなかったということについてはやはりいろいろ問題があるということは考えざるを得ません。ただ、アメリカにはアメリカの主張があったのと同じように、EUにはEUの主張があって、例えばヨーロッパには農業問題、農産物の輸出補助金の問題など、譲れと言われてもなかなか譲れない問題もありましたし、それぞれの国にはそれぞれの問題を抱えていて、必ずしもアメリカにだけ問題があったというふうには思いません。 しかし、アメリカに非常に大きな問題があったと。例えばアンチダンピングの問題でございますとか、アメリカに非常に大きな問題があったことは事実だと思いますが、その結果、議長としての責任という意味では議長国たるアメリカは非常に孤立をして責任があるなという感じは正直いたしましたけれども、アメリカだけが孤立をして会議が決裂したという感じではなかったというふうに思います。
○山崎力君 今の御答弁でございますが、それはそういったことであれなんですが、前の質問にもちょっとあったんですが、今後の問題として、今、大臣もおっしゃられたけれども、そのままの形で次の閣僚会議ができるのかというのが大きな僕は問題だろうと思っております。 ほとんどの国は包括的にもう一回やりなさいというのでいいと思うんですが、アメリカは自分の都合の悪いアンチダンピングのところはのけておいて、個別的なあるいは農業であるとかそういったところで次やりたいというような報道もあるんですが、逆に言うと、そこのところが将来のWTOの会議の存在意義そのものが問われる可能性もあるなというような気がしているんですが、その辺のところの御感想は、いかがでございますか。
○国務大臣(河野洋平君) 今申しましたように、会議の終わり方を見ますと、議長からここまでやってきた議論の積み重ねはそのまま崩さないようにして次につなげようということが一つ。それからもう一つは、農業とサービスの分野については別途の規定があるのだから、これは二〇〇〇年の初頭から農業とサービス部門については議論をスタートさせるということはもう決まっているんですよということを繰り返し言って、まさに今議員が御指摘になったような感じも若干はいたしました。 しかし、そうはいっても、私どもは多角的自由貿易体制というものを大事にしていかなければ貿易立国たる日本はやっていけないわけですから、やっていけないというのは大げさですけれども、我が国にとって大事なことでございますから、やはり我が国も積極的に新しいラウンドの立ち上げのためにこれから先も努力をする必要がある、そして一日も早くラウンド立ち上げの交渉が始まるようにしなければならない、そのことが包括的な交渉をするというためにも必要だというふうに我々は思っているわけです。
○山崎力君 次に、ちょっと離れまして、時間の関係でちょっと大まかな質問になるかもしれません。 今、東ティモール、西ティモール、自衛隊の協力もあっていろいろ活動されています。インドネシア自体で、別のアチェというところで独立運動も出ている。今までのそういった一応独立した国の中の独立運動といいますか、そういったものが宗教とかあるいは民族、歴史、そういったいわく因縁からきていろいろな問題が起きているというのは、インドネシアのみならずコソボでもそうですし、チェチェンでもそういうことだし、あと幾つかそういったところも、おさまったとはいえそういうところがある。 古くはカンボジアの問題、ポル・ポト政権の問題がそういったところの背景にあったと思うんですけれども、今まででしたら国内問題である、いわば外国からの干渉は受けつけない、自国民のことであるならば、非常に下世話な言い方をすれば、煮て食おうと焼いて食おうと他国の人の口を出すものではない、こういう考え方がかなり強くあったと思うんです。 それが今、人道問題という形で、そういうのは国際社会として放置できないというような形での介入、それは国連という部分がどれだけそこに入ってくるかの問題は別として、簡単に言えば、そこを突き詰めて言えば国連なら内政干渉できるのか、こういう考え方も可能であろうと思うんですけれども、その辺が非常に今流動的になってきているというふうに思うわけです。 先ほどの質問にありましたけれども、ロシア・中国の首脳会談が行われた。その背景にあるのは何だといえば、ロシアはチェチェンであり、中国は台湾問題、あるいはチベットも含めているかもしれませんけれども、そういう火種を、現実に火を噴いているところもあるわけですけれども、そういったところに対する国際社会の介入の牽制ではないかという報道もなされているわけです。 そういったときに、将来、方向として日本の外交をどのようなスタンスで持っていくのかということを、この際ちょっとお考えをお述べいただければと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 大変難しい問題を御指摘になりました。 人権といいますか人道といいますか、この種の問題についてはいろいろな議論があると思います。例の天安門事件の際に、中国に対して欧米各国は大変厳しい対応をいたしました。当時、アジアの国々は比較的理解を示すという場面もありました。つまり、それぞれの国にはそれぞれの国の物差しがあるという時代もあったわけですが、だんだんそれが時代が進んできて、そういう人道問題といいますか人権問題にはそれぞれの物差しがあるというのはおかしいではないかという主張が先進国の中の主流になってきていると言っていいんだろうと思います。 現に、今最大の問題はチェチェンであり、コソボであり、東ティモールでもあったと思いますが、御指摘のとおり、コソボの問題は少し込み入っておりますけれども、他国の国内における問題を当該国でない国々が介入をしていくということについての正当性がどこにあるかという問題については、大変いろいろ議論があると思います。 そういう中で大事なことは、一つは国連の判断というものが重要だろうと思っております。我が国の外交はやはり国連を非常に大事にしてきたわけでございますから、国連の判断というものが我が国の外交の一つの物差しになるということが一つあると思います。 それから、他方、先進諸国との議論をいたしますれば、人道的な問題には極めてセンシティブな考え方が強いですから、そういう考え方というものにどう我が国が対応するか。それはともすれば、例えば経済的に非常に貧困な状況にある国は豊かな国よりもやはりこの問題についての感度は低いと申しますか、そういう感じなしといたしません。しかし、人間としてどんな状況であれ、その人権というものは守られるということが重要だということもまたあると思います。それは宗教的背景を持ってさらに我々よりももっと強くそう感ずる国もあるかと思います。 したがって、この問題をこれから外交政策上どういうふうにとらえていくかということについては我々は本当に考えなければならない問題だというふうに思っておりまして、今、議員のお尋ねに一刀両断でこうだというふうにお答えできないことを申しわけなく思いますが、今そんな状況でございます。
○山崎力君 我々、政府側だけでなくて、国民の代表としての我々の方の意見もどういうふうに反映させていくかということもあろうかと思うんです。やはりある程度、国民からして我が政府はこういう感覚でこういう基本方針でやっているんだなというのが事この問題に関しては余り見えてきていないという感じもしますので、国連中心主義というのが、言葉だけは言っているんですが、実態としてはなかなか難しいところはあろうと思いますが、一層の御健闘をお願いして次の質問に移らせていただきます。 防衛庁長官にお伺いしたいんですが、北朝鮮の問題、いろいろこの間の訪朝の問題はありますけれども、ペリー報告書以降、軍事面、要するに我々が一番心配している軍事面において北側にどのような行動といいますか対応が見られているのかというような点について、どのように分析されておられるでしょうか。
○国務大臣(瓦力君) ペリー前国防長官が昨年十一月に北朝鮮政策調整官に任命されたわけでございますが、いわゆるペリー報告が本年十月に公表された。この報告書においては、包括的統合されたアプローチ、実質的には日米韓が緊密に協議して共同でつくり上げたものでございます。この報告書において、北朝鮮のミサイル開発に対する我が国の懸念はもちろんのこと、日本人の拉致問題に対する我が国の懸念等が適切に取り上げられていると考えております。 本年九月に北朝鮮は、米朝間の協議が継続している間はミサイルの発射は行わない、この旨の公式表明をして、一連の米朝関係の進展をこれは反映いたしておりまして、日米韓と北朝鮮の関係を肯定的な方向に進め得る動きである、かように認識をいたしております。 他方、委員から北朝鮮の軍事情勢についてのお尋ねでございますが、軍事面に資源を重点的に配分をしておりますこと、陸上兵力の三分の二を非武装地帯沿いに前方展開していること、我が国のほぼ全域を射程におさめ得るノドンの配備を行っている可能性が高いほか、弾道ミサイルの長射程化のための研究開発を行っている、かように見られております。これらの点を踏まえれば、現時点においても我が国を含む東アジア全域の安全保障にとって重大な不安定要因となっておることも事実でございます。 我が国の安全を第一義的に考えるべき防衛庁といたしましては、今後とも北朝鮮の動向について細心の注意を払っていく必要があると考えております。なお、詳細につきましては、なかなか事柄上、北朝鮮はつかみ得ないところがございますが、包括して申し上げますとこのような状況かと思います。
○山崎力君 結論として、ペリー報告書以前の我々が軍事的に脅威を感じていたのと軍事面から見れば変化はないというふうに受けとめてよろしいというような御答弁だったと思います。 時間の関係で、僕もちょっと空中給油機のことをやりたかったんですが、議論もあったことですから、詳細な意見は次の機会に譲るといたしまして、装備品関係が主だとは思うんですが、一部報道に、防衛予算について、円高が進んでいるということである程度装備品の単価も下がるのではないか、輸入関係のドル建ての単価が下がるのではないかということで、防衛庁予算を少し、この厳しい折、削ってもいいのではないかというような考え方が、大蔵省を中心でしょうか政府の一部にあるやの報道がなされているんですが、この辺についての来年度の予算を目前とした防衛庁のお考えはいかがでございましょうか。
○国務大臣(瓦力君) 平成十二年度防衛予算関係費の概算要求は対前年度一・六%増の四兆九千九百九十五億円、これはSACO関係経費を除くわけでございますが、かような概算要求となっております。 その後の円高でありますとか、人事院勧告などの諸事情によりまして、これら関係する経費は減少する見込みでございます。対前年度伸率等におきまして現在調整中でございますが、具体的に申し上げられる段階ではございませんが、防衛庁としては、今後の予算編成に向けまして所要の金額、これを確保すべく努力をしてまいりたいと考えております。
○山崎力君 今の御答弁ですと、要するに外形的な円高等のあれで、あるいは人事院勧告の給与ダウンということで減ることはあっても実質的な内容は変わらない予算を確保、当初のあれと比べて変わらない予算を確保する決意であるというふうに受けとめてよろしゅうございますでしょうか。
○国務大臣(瓦力君) 委員から御指摘のとおり、防衛関係費につきましては所要のものを確保してまいる、そのことで努力をしてまいりたいと考えております。
○政務次官(依田智治君) ちょっと補足をさせていただきます。 今、大臣から報告がありましたが、来年から防衛庁の自衛官の退職人数が相当ふえてきまして、そういう関係で人件・糧食だけでも数百億ふえるというような状況がございまして、円高等による減り方とかいろいろそういうのを差っ引いてもまだふえる方が多いというような事情がありまして、このままへこますということになりますと、どうしても一般物件費とか訓練とか老朽装備品の更新とか、そういう方に響きますので、私ども、何らそういう面に支障ないように努力していきたい、こんな考えでおる次第でございます。
○山崎力君 終わります。
○佐藤道夫君 私からは、大変恐縮ですけれども、またまたペルー問題を取り上げさせていただきたいと思います。 これで、当委員会でこの問題を取り上げるのは四回目であります。我ながらよく飽きもせずと考えておりますけれども、しかし私、この問題が極めて大事な問題だという考えがあるものですから、飽きもせず取り上げておるわけであります。 もう事案の内容は前にも申し上げましたけれども、一昨年十月、ペルー国内を旅行中の早稲田の学生二名が職務執行中のペルー国軍によって見るも無残に惨殺をされまして、身ぐるみ一切を奪われたと。これは、私の考えでは、職務執行中の軍隊が殺したんですから、ペルー国が殺したんだと。他国の国民を軍隊を使って殺すということについてはもう重大な主権の侵害だと言っていいわけですよ。 ペルー国軍がある日突然我が国の領土に上陸いたしまして領土の一角を占拠する、これは主権の侵害でありましょう。大変な問題でありましょう。それと全く同じか、しかしたかだか土地、こっちの場合は命ですから、国民の命ですから、主権侵害の程度もまるっきり違うと思うんです。国の尊厳がこれほど損なわれたことがあるんだろうかと。一体そこまで政府あるいは外務省は考えているんだろうかと。なに二人ぐらい殺されても大したことはないよ、日本とペルー国の友好の方が大切だと、こんな考えを持っておるとすれば大変な心得違いである。国民の生命の安全を確保できない政府はもはや政府ではないと、こう言ってもいいと思うんですよね。 しかし、事件の発生以来、外務省というか政府は極めて冷淡そのもの。最初は何と言ったかというと、殺された本人たちの不注意だ、殺されたやつが悪いんだと言わんばかりでありました。それから、ペルー国を訴えたきゃ訴えなさいと、弁護士ぐらいは紹介してやりますよと、しかしあの国は遺憾ながら国家賠償制度がありませんから訴えてもむだですよと、こんな言い方をしておる。 そのきわめつきが、予算委員会でも取り上げましたけれども、この五月、フジモリ大統領が来日されて一週間ぐらい滞在していた。そのとき外務省は何をしたか、何もしていないじゃないかと。フジモリ大統領に対して、あなたはお忘れかもしらぬけれども、あのとき二人の学生が、日本人が殺されたんですよ、やっぱり遺族を呼んで直接言葉をかけて謝罪をしなさいと。それから、遺族の気持ちを聞いて、どうしても損害賠償をしてもらいたい。これは当たり前のことですけれども、それなら、ペルー国としても貧乏は貧乏だけれども考えさせてくださいよと、それぐらいのお言葉は賜ってくださいよというぐらいのことを言うのが政府の務めであり、外務省の最大の任務じゃないかと思うんですけれども、これ何もしていない。ペルー国も終わったと思っている。日本の外務省も、何だあんなものはもう終わりだと、うるさいのは佐藤議員一人だけだと、そんなふうに考えておられたんだろうかなと思うわけであります。 しかし、決してむだではないのでありまして、前回、私がこの問題を取り上げたときに、現在の外務大臣で早稲田のOBの河野さんは、重く厳しくこの問題を受けとめておる、政府としてどう対応すべきか、この委員会で十分協議をして方向を示していただければ幸いであるという趣旨の御発言がありまして、まさしく大変な事態の前進だろうと、こう思いまして、私もほっと一安心していたわけであります。 その後、八日に予算委員会で私、この問題を取り上げまして、小渕総理に対して、彼もまた早稲田のOBですから、後輩のことについてはもう嫌になるぐらい考え、悩みに悩んで夜も寝られないのだろうかと思いましたら、何と何とそんなことはないのでありまして、御遺族が損害賠償で努力をなさるならば、政府としても全面的にバックアップすると。これは要するに人ごとなんですよ。あなた方、損害賠償の訴え起こしなさいよ、弁護士ぐらい紹介しますよと、その程度の話なんですよ、全面的にバックアップするなんてことはね。これはまた一国の総理の果たして言葉なんだろうかと、私は疑ったわけですよ。 それから、早稲田のOB、あれは本当なんだろうかと。これは卒業証書を見たわけじゃないものですから何とも言えないんですけれども、本当かうそかよくわかりません。本当に同じ大学のOBなら決してあんな言い方はしないのだろうと思うんですが、現にそういうことを平然と言って澄ましておる。大変悲しいことであります。 やっぱりこの問題はペルー国対個人の問題、遺族の問題、ペルー国対日本国の問題ではない、主権侵害、そんな大げさなものではない、こういう意識があるから、外務省がまた小渕総理にああいうことを説明して、それが小渕総理のああいう答弁になったんだろうと思いますよ。遺憾ながら、河野外務大臣のそのお考えは外務省の事務当局の方に浸透していないのかなと、こういう気もするわけですよ。 もし、きちっと浸透しておれば、あんなことを総理大臣が予算委員会の場で言うことはないと思います。これは国の問題として、重く厳しく受けとめさせていただきたいと、そういう趣旨の発言は既に河野外務大臣もしておられるから、自分はそれに沿ってなお努力をしていきたいと、こういう答弁が普通だろうと思うんですけれども、当たり前の政治家ならばそう答えるだろうと思うんですけれども、そうじゃない。あくまでも人ごとなんですね。 それで、沖縄の話をしてみましょう。 沖縄で、基地から米兵が私用で外出いたしまして、日本人を襲って殺害して金品を奪う、あるいは通りがかりの婦女子をつかまえていたずらをする、つい昨年もこんな話がありました。そうすると、沖縄の反米感情というのはいやが応でも高まる、けしからぬと。 日本政府はどうするかというと、アメリカ、米軍にかけ合って、何とか慰謝料ぐらい払いなさい、そうでないととてもじゃないけれどもおさまりがつきませんよと。これは地位協定にそういう協定があることも確かなんですけれども、そんな協定があるなしの問題じゃなしに、政府とすればそれぐらいのことを相手国に申し入れるのは当たり前のことなんです。ただ、これは米兵が私用で外出した場合ですから、米軍にまでそういう責任があるのかどうか法律的に若干疑問はありますけれども、いずれにしろ日本政府が間に入ってきちっと損害賠償をさせる。よってもって反米基地感情も静まる。しかし、何かこの賠償金は日本政府が立てかえているんだという報道があります。本当かうそか知りません。あるいはそうかもしれません。いずれにしろ、それだけ重く沖縄の場合は受けとめておる。 ところが、ペルー国に行って殺された学生については、だれ一人こんなことを考えようとしない。だれ一人というのは、早稲田OBがですよ、私は別ですから考えておるわけでありますけれども、一体これはどういうことになっているんだろうかという気がいたしまして、この前、外務大臣からああいう御答弁をいただきましたので、それをこの委員の間で寄り寄り協議いたしまして、きょう、差し支えなければこの委員会で委員会の決議として上程いたしまして、そして政府のしりをたたこうと、こういうことにもなっておるわけであります。 今、決議案の案文が配られておるようでありまするけれども、ごらんになられた上で、河野外務大臣の格別のまた御所見を賜ればありがたいと思います。
○国務大臣(河野洋平君) 先般来、佐藤議員から繰り返しこのペルーにおきます早大生殺害事件についてお話がございました。 私としては、当委員会からいろいろとこの問題の解決に向けてのお知恵も拝借をしたい、何か御示唆をいただければありがたいという旨申し上げてきたところでございます。 その後、当委員会、いろいろと御相談をされているということは伺っておりますが、その間、本委員会が開かれますまでの間に、予算委員会等で佐藤議員からこの問題について御指摘がありまして、今お話しのとおり、総理大臣からも御答弁があったわけでございます。 総理大臣の御答弁のありました後、総理からは私どもに、御遺族の方々に対してお見舞いをする方法は何かあるかというような御下問があったりしておりまして、私からは、実は大学当局にもそうした趣旨のことは伝えたところでございます。 御遺族の方々とは外務省事務当局が接触をいたしまして、御遺族のお気持ちをお伺いすると同時に、御遺族が今何を考えておられるか、何を求めておられるかということについてもお話を伺い、私どもとしてできることのお手伝いをさせていただくということを申し上げてきたところでございます。 御決議の案文は、今拝見をいたしまして、これは委員会においてお取り計らいがあると思いますので、私は今の段階ではこれだけ申し上げておきたいと思います。
○佐藤道夫君 よくわかったつもりですが、なおわからない。かなり抽象的なものですから、具体的にどういう措置を政府として講じたいのか。この前も私、申し上げましたけれども、直接ペルー国と日本国との問題として取り上げて、ペルー国に交渉しまして、そして、もし金がないというんなら、この前も言いましたけれども、ODAから少しぐらい差っ引いたっていいだろうというわけでもありますので、できたら、そういう具体的な方法を示していただきたかったわけであります。 私も多少くどい方で、しつこい方でありますけれども、もうこれをこれ以上六回、七回と取り上げるだけの勇気もございませんので、これをもって最後にしたいと思っておりますので、できましたら可及的速やかに、もう二年間もほっておいたわけでありますから、御遺族へ十分な慰謝の方法を講じていただきたいと思います。 ペルー国に責任を痛感させることがその第一歩であるということもまた理解していただきたい。フジモリさんの評判、余りペリー国を責め立てるとフジモリ大統領の評判が落ちる、それは同じ日本人の血が流れている同士として見るに忍びないなどと言う人もいるんですよ、本当に。それとこれとは問題が全然別でありますから、フジモリさんをどうやって支えていくかということと、無残にも子供を殺されて日本国の主権が侵害された、こういう事態に対してどういうふうに対応するのか、全く問題は別ですから、絡ませないで考えていただければありがたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。 それから、若干時間がありますので、日本の政府というのか外務省がいかにまた国民の命を粗末に考えているかという、これまた具体的な例を挙げてみたいと思いますが、先般のキルギスの拉致事件でありまして、JICAの職員四名が拉致されまして、数カ月で幸い無事解放されたということで、ほっと一息はついているわけでありますが、一体あのケースを防ぐことができなかったのか、なぜあんなことが起きたのか。 これは御案内とは思いますけれども、事件発生の十日前とその前日と二回にわたって、アメリカのキルギス大使館は自国民に対して、大変危険が迫っていると、速やかに危険地帯から退去するようにという警告を発しておるわけであります。 ところが、日本の外務省は何をしたか。これまた何もしていない。新聞などによりますれば、キルギスには遺憾ながら在外公館がないから仕方ないんですよと、こういう言い方なんです。在外公館のない、安全の確保ができないようなそういうところに、JICAの職員というのは準公務員と言ってもいいわけでありますから、政府の命令的なものであって、上の命令で派遣されまして、そして命の安全は保証しないよと言われているようなものなんですね。 なぜアメリカと、もし在外公館がなければ、アメリカと緊密な連絡をとって、申しわけないがいろんな情報が入ったらぜひ当方にも回していただきたいと言って、そういう情報ならアメリカだって別に隠し立てする必要は全くないわけですから、幾らでも提供してくれたんだろうと思います。それに基づいて、JICA職員に対して速やかに退去するようにと一言言えば済む話ですからね。そういうことを一切しないで、パーティーばかりやっているとは決してそういうことは言いません、いろいろお仕事が忙しいんでしょうけれども、これが日本の、日本人の、我々の命を預かる外務省の本当のありのままの姿なんだと私は思わざるを得ないんです。一体この件についてどういうふうな反省を外務省はしているんだろうかと。 一つの例を出しますけれども、二年前にペルー事件がありまして、ペルー大使館で天皇誕生日にパーティーをした。これはあの当時、ペルーは世界でも一番危険な国だと、反政府ゲリラが横行しておる、そう言われている国で、何を考えたのか、夜、政財界の大物千人近くを集めて大パーティーをやったと。これは襲ってくれと言わんばかりだったんですね。案の定襲われまして、ああいう事態になって、何人かの犠牲者が双方に出たと。 こういうことについて、外務省はどれだけ反省したんだろうか。まあ仕方ないや、襲われたんだからと。あのときの青木大使は、記者会見か何かで、巻き込まれましたと、不幸なことでしたが巻き込まれたんですよというふうな言い方をしている。とても当面の当事者の言とは思えない。私、当委員会でもおかしいじゃないかということを言ったことがあるんですけれども、こういうふうに外務省の、国民の命を自分たちが命がけで守ると、そういう気概が全く感じられない。一体何だろうかという気がして仕方がないんです。 どうか新しい、新しいといっても、前にもおやりになったわけですけれども、外務大臣といたしまして、こういう体質で、果たしてこれでいいのかどうか。外務省の第一の仕事は何だといえば、やっぱり在外邦人の生命、身体、財産の安全を確保する、これに始まるわけですから、それに始まりそれに終わると言ってもいいぐらいですから、もう少ししっかりとおのれの仕事を見詰めて歩いていってほしいということを機会あるごとに訓示していただきたいと思います。 これらは要望ではなくて、これにつきましての外務大臣の御所見をいただきたい。
○国務大臣(河野洋平君) 御心配をおかけをしておりまして、まことに申しわけなく思っております。 キルギスの問題は、大変幸いにして四名無事に帰ってまいりまして、本当にほっとしております。しかし、これも運よく四人がたまたま帰ってきたわけではなくて、当事国あるいは周辺国の大変な御協力があったことでございまして、御協力をいただいた国々には心から感謝を申し上げているところでございます。 未然にああした問題が防げなかったかという御指摘でございまして、確かにあの地域、アメリカの人たちもいて、それは事前に退去して難を免れたということは事実でございます。一方、技術協力、技術支援に参ります日本の技術者たちは、やはりかなり安全については、一〇〇%安全だという場所にしか行かないというわけにいかない部分も若干あると思うんですね。特に、今回キルギスでああした事件に遭遇をしてしまった四人の人たちは、いわゆる鉱山の中で新しい地下資源を見つけるという仕事に当たっていたわけですから、人里から相当離れた地帯にいて、そして国境を接する隣の国から、隣国との間を行ったり来たりするようなゲリラに遭遇をしたということもございまして、なかなかこれを未然に防ぐことの難しさというものを私どもは痛感をしております。 しかし、アメリカがいち早く情報を持っていたということも事実でございますから、そうした情報を、お互いにそうした相互の情報が交換できるようなそういう仕組みというものも考えていかなければならぬというふうに思っております。事態は、もう前日アメリカが退去する、我が方もその日には場所を変えるべく準備をしていたところを一瞬行動がおくれて人質になってしまったということでございまして、こうした動きについては我々もさらに一段と方法を考えていかなければならないというふうに思っているところでございます。 いずれにいたしましても、我が国大使館あるいは領事館、出先の機関はそれなりに危険と隣り合わせの場合も多いわけでございまして、できる限り緊張感を持って、あるいは当該当事国との連絡あるいは情報収集というものに一層十分な配慮をしていかなければならない。そういうことによって、邦人の安全、みずからの安全、そうしたことも考えて仕事をするということが大事だというふうに思います。
○佐藤道夫君 最後ですけれども、もう一つ国民の命の問題を取り上げさせてください。北朝鮮の拉致問題であります。 これにつきましては、もう論ずるまでもなく、横田めぐみさんほか七件十一名、人によっては約五十名近くが拉致されているんだと言う人もいますけれども、国民が北朝鮮に拉致されておる。その人たちが生きているのか死んでいるのか、もう命の安否すら確かめようもない状態であると。 今度、村山訪朝団が帰ってきまして、私、最初から予期していたんですけれども、案の定というべきか、行方不明者、被拉致者がいつの間にか行方不明者にすりかわっていますけれども、その問題は棚上げして、国交の正常化と人道問題の食糧支援を行いたいというふうなムードが高まりつつあるようにも見えているわけでありますけれども、やっぱり国民の命が一体どうなっているのか、政府とすればこれはもう最大、最善の努力をして安否を確かめて、その解放に努力すべきではないか。しかし、何しろ相手がある、相手が相手ですからどうしてもしようがないんですよ、言ってみたってどうなることでもありませんと、そういう思いがどうも心のどこかにあるようで、余り真剣に取り組もうとしない。 私、実はこの委員会でも申し述べたんですけれども、一九七〇年代にレバノンの女性数名が北朝鮮に拉致されまして、それをレバノン政府はどうしたかというと、もう真剣に厳しく重くこの事態を受けとめて、熱意を持って北朝鮮政府と折衝をして、数年で全員解放に成功したんです。ですから、あんなちっぽけなレバノン政府にできて日本政府にできないことはないと私は思うんですけれども、それで外務省に対して、一体当時レバノン政府がどんな手段を尽くしたのか、どんなことをやったのかと。 マスコミによると、何か身の代金を払ったんだという説もあるようですけれども、身の代金にしろ、ああいう捕らわれた人たちを解放するためには国民は別に反対はしないと思います。それも一つの方法だろうと思います。そういうことを真剣に考えて対応をする、レバノン政府と非公式にしろノウハウを教えてもらいなさい、彼らだってもう時効、もう大分たっている話ですから、こんな努力をした、北朝鮮のここと折衝をした、あそこの人によく頼んで成功したんだとか、そういうノウハウを教えてもらいなさいよと言ったら、これも余り熱心じゃなさそうで、外交上の問題もこれありまして云々云々と。 そんな、問題でも何でもないんであって、これはまさしく人道上の問題、人道そのものでもありまするから、今からでも遅くはない、やっぱりレバノン政府にお願いして、そういうノウハウがもしあるならば聞いてそれを活用していくということも、要するに考えられるあらゆる措置を講じてほしいと、こういうことなんです。その中の一つとしてレバノンを取り上げただけであって、それがすべてだなんとは言っておりません。 いずれにしろ、もう少し積極的に厳しくこの事態を打開するために全力を挙げて対応してほしいと思う。 福田赳夫総理の言葉をもう一度繰り返しますけれども、国民一人の命は全地球より重いと、こういうわけでありまするから、これは笑い事じゃないんですよ、大変大事なことなんです。それぐらいの心構えは政治家に必要だということを私は言っているわけでありまして、最後に外務大臣にお願いいたします。
○国務大臣(河野洋平君) かねてからレバノンの問題についても佐藤議員から御指摘をいただいておりまして、私、外務省に参りましてこの問題について説明を受けております。議員からはおしかりをいつもいただいておりますけれども、外務省当局は外務省当局としてこの問題にも真剣に取り組んでおりまして、レバノン当局とも、非公式ではありますけれども、接触をして話し合いをしたこともあったというふうに私は承知をいたしております。 国と国との関係が友好的な関係であるか、あるいは国交もない状況であるか、その他いろいろな関係があるということも考えなければなりません。しかし、いずれにいたしましても、佐藤議員が御指摘になりましたように、我々は我が国国民の生命、財産、こうしたことについては何よりも重く考えて仕事をするということは重要なことでございます。それは、ひいては我が国だけにとどまらず、地域あるいは世界全体の平和と安定というふうにつながっていくわけでございますから、こうした問題、なおざりにせず、もちろん真剣に取り組んでおりますし、これからも真剣に取り組んでまいりたいと思います。
○佐藤道夫君 終わります。
○委員長(矢野哲朗君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 この際、便宜私から、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党、参議院の会及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案によるペルー国軍人による日本人学生殺害事件に関する決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 ペルー国軍人による日本人学生殺害事件に関する決議(案) 平成九年十月、ペルー国軍人十数名によって、日本人学生二名がアマゾン川流域で殺害され所持金品を強奪された。 本件については、ペルー国政府により迅速に事件が解明され、司法手続による刑事罰及び民事賠償の判決が確定し、未だ賠償金は支払われていないが、厳罰が適用されたところである。 しかし、殺害者はいずれもペルー国軍所属の正規の軍人であり、その任務執行中に敢行された本件犯罪は、ペルー国政府が責任をもって誠実に対応すべきものである。 よって、政府は、日本・ペルー間の友好関係に特段の配慮を払うとともに、在外邦人保護の趣旨を十分に踏まえ、外交上の適切な措置を講じ、ペルー国政府による相応の慰藉の措置が遺族に対し速やかになされるよう最善を尽くすべきである。 右決議する。 以上でございます。 これより本決議案の採決を行います。 本決議案を本委員会の決議とすることに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、河野外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。河野外務大臣。
○国務大臣(河野洋平君) ただいま御決議のありましたペルーにおける早稲田大学探検部員殺害事件は、前途ある若者がペルー軍人によって殺害されるという極めて遺憾な事件でありました。 ペルー政府は、フジモリ大統領から犠牲者の方々に哀悼の意を表するとともに、御遺族に対しても丁重な弔意を伝えており、また本件の真相究明、犯人の逮捕及び迅速な裁判を行うなど、誠意を持って対応しております。 しかし、御決議にありましたとおり、御遺族への慰謝の措置は必ずしも十分になされたとは言いがたい状況であります。 政府としては、ただいま採択されました御決議の趣旨を十分に体し、今後、御遺族の方々の御意思を踏まえ、我が国とペルーとの二国間関係をも考慮し、本件の円満かつ迅速な解決に向け適切な措置を講じていきたいと考えます。 ─────────────
○委員長(矢野哲朗君) これより請願の審査を行います。 第一号核兵器の廃絶等に関する請願外三十六件を議題といたします。 まず、専門員から説明を聴取いたします。櫻川専門員。
○専門員(櫻川明巧君) 御説明申し上げます。 今国会中、当委員会に付託されました請願は、四種類、総計三十七件でございます。 まず、資料一枚目の一号外三十一件は、核兵器完全禁止・廃絶国際条約の締結に向けて日本政府は先頭に立つこと、非核三原則を法制化することを求めるものであります。 次に、五号外二件は、同じく核兵器廃絶国際条約の締結の促進を求めるものであります。 次に、資料二枚目の三四号は、陸上自衛隊宇都宮駐屯地への第六地対艦ミサイル連隊配備を撤回することを求めるものであります。 最後に、七二三号は、AWACSの飛行を中止し廃棄すること、空中給油機の導入を中止すること、TMD研究を中止すること、新ガイドラインを廃棄し有事法を制定しないことを求めるものであります。 以上でございます。
○委員長(矢野哲朗君) 以上で説明の聴取は終わりました。 これらの請願につきましては、理事会において協議の結果、第一号核兵器の廃絶等に関する請願外三十六件は保留とすることに意見が一致いたしました。 以上のとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(矢野哲朗君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りいたします。 外交、防衛等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ─────────────
○委員長(矢野哲朗君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りいたします。 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱いを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後二時二十八分散会