法務委員会 第10号
- 発言数
- 156 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1999/12/01
会議録
○武部委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、民事再生法案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査のため、来る三日午前十時から、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 次に、お諮りいたします。 本案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長細川清君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○武部委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所千葉民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○武部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村哲男君。
○北村(哲)委員 民主党の北村でございます。早速、この民事再生法案についての質疑を行っていきたいと思います。 まず、私は、主としてというかほとんど大臣にお尋ねすることになりますが、この民事再生法は和議法の全面的見直しであって、これまで再生手続が不十分であった中小企業あるいは零細企業及び個人の再生に資するとの目的でつくられたものであります。 そこで、この点について、再生法制定の経緯をまず伺い、そして、和議法がどういう理由で廃止されるということになるのか。さらに、他の倒産法制の予定はどういうふうになっているのか。あるいは、最後に、残された課題は何かということを順次お聞きしたいと思います。 まず、一番最初の、再生法制定の経緯についてお伺いしたいと存じます。
○臼井国務大臣 法務省におきましては、平成八年十月に倒産法制の見直しの作業を開始いたしまして、平成九年十二月には、倒産法制全般についての見直しを考えられる具体的な事項を取りまとめたのでございます。すなわち、倒産法制に関する改正検討事項を策定いたしまして、これを公表するとともに、関係各界に対する意見照会を行いました。その後、この意見照会に対する各界からの意見を踏まえまして、倒産法制全体についての統一的な見直しというものを図るべく作業を進めてまいったのでございます。 しかしながら、昨年九月に、経済情勢にかんがみまして、特に緊急の対応を必要とする中小企業等に利用しやすい再建型の倒産処理手続の整備につきまして、他の検討課題と切り離しまして、最優先の課題として検討することといたしまして、それ以降、法制審議会におきましてこの課題について集中検討を進めてまいってきておりまして、本年八月二十六日の答申に基づいて、民事再生法案の提出に至ったものでございます。
○北村(哲)委員 今の流れはよくわかりました。 多くの倒産法制の中で、和議法廃止を伴う全面見直し、ただいま簡単な説明がありましたけれども、特別にこの和議法廃止ということをされる。特に突出してこれだけをするということについての特別の理由ということを言っていただきたい。この和議法を特別に他の倒産法制よりも突出してしなけりゃいけない。すなわち、現在の和議法はどういうところに欠陥があり、使い勝手が悪かったのか。 なぜかといいますと、司法統計によりますと、平成十年の和議法の新件は三百六十一件もあるんですね。それで、継続案件を加えると五百四十三件という、かなり高率で利用されておる。ここ数年でも二百件から三百件の高水準で国民に利用されておるわけですけれども、それに比べて、他の倒産法制の、会社更生法は昨年で八十八件あります。本当にその何分の一かにすぎません。あるいは、会社整理という他の倒産法は二十四件と極めて利用頻度が少ない。 そういう中で、全体から見ると相当利用されているはずのこの和議法を特に廃止して再生法にいかなけりゃならないというのは、どういうところに欠陥があり使い勝手が悪かったのか、この点についての御説明をいただきたいと存じます。
○臼井国務大臣 本法案は、経済的に窮境にございます債務者について、その事業または経済生活の再生を合理的かつ機能的に図るために、和議手続にかわる新しい再建型の倒産処理手続を設けるために立案されたものでございます。 そのため、再生手続は、従来、和議手続に対して指摘されておりました問題点を解消するとともに、和議手続と比べて中小企業等にとって再建しやすい法的枠組みを提供いたしまして、債権者等の利害関係人にとりましても公平かつ透明であり、現代の経済社会に適合した迅速かつ機能的な手続となっているのでございます。 したがいまして、再建型の倒産処理手続として、もはや和議手続を存続させる必要は認められないことから、和議法を廃止することにいたしたものでございます。
○北村(哲)委員 確かに、再生法ができれば、和議法はほぼ重複していますから必要はなくなると思うんですけれども、今おっしゃった中で、どういうところが和議法について使い勝手が悪いのか、不便だったのか、中小企業あるいは零細企業に、あるいはそれに類する個人に適用しにくかったのかという点についてお伺いしたいと思います。
○山本(有)政務次官 和議を申し立てました後に、例えば、保全手続を活用して手形の不渡りを回避し、その後申し立てを撤回する等による、いわば和議法を活用したモラルリスクというものがございます。そしてまたさらに、和議が成立し、債権者が納得しましても、その後の履行という問題につきましては何の強制力も担保もございません。 そのような意味におきまして、和議法というのは極めて使い勝手の悪い法律ということでございます。
○北村(哲)委員 わかりました。そのあたりかと思います。 それでは、その次に、そのほかの倒産法制の提出の予定、特にこれから続くのは、関連するのは破産法だと思うんですけれども、それについての法案作成あるいは提出予定というものはどのようになっているんでしょうか。
○臼井国務大臣 今委員、残された法制、特に倒産法制の見直しについて御質問がございました。 倒産法制の見直し作業のうち、残された課題につきましても、現在、法制審議会倒産法部会において審議を継続いたしているところでございまして、この改正につきましては、でき得る限り早く成案を得まして関係法案を提出いたしたい、このように考えております。
○北村(哲)委員 特に破産法については、この再生法でうまくいかなかった場合は破産に移行するわけですから、その間にいろいろな空白期間が生じます。今の破産法ではなかなか受け入れがたい、対応しがたい問題が残されていくことがあるわけですから、この破産法の改正については早急に手をつけていただいて、空白期間というものがないようにしていただきたい。後ほどまた問題点も指摘したいと思いますけれども、そのあたりが急務だと私どもは思っております。 さて、それでは次に、大体、私はこれからについては、民事再生によって確かに再生債務者は再建されるということについて一番大きな関心事は、一つの企業がつぶれると、そこに働く労働者の方々が路頭に迷う、職を失うという、今の社会情勢で一番大事な雇用不安というのを巻き起こす、それを救うためには、雇用の確保とそれから賃金債権の確保ということがいかに大事かということ、その目的というのはこの再生法をつくる大きな目的であろうと思っておりますので、特に賃金債権はどのように位置づけられているのだろうか、そういう観点から多く質問してまいりたいと思っております。 労働債権という中の賃金債権ということです。ですから、質問としましては、再生法の中でこの賃金債権はどのように位置づけられているのだろうかと。すなわち、和議法との比較あるいは更生法との比較上で述べていただきたいと思います。
○臼井国務大臣 再生手続におきましては、再生手続開始後の再生債務者の業務等に関する費用の請求権を共益債権といたしまして、この手続の制約を受けないものといたしております。再生手続開始後の賃金、退職金等の労働債権は共益債権に該当いたしますので、随時、自由に弁済を受けられるということになっておる次第であります。 また、再生手続開始前の労働債権につきましては、この手続の主たる利用者として想定しております株式会社、有限会社に関しては、商法及び有限会社法により労働債権の全額について一般先取特権が認められておりますので、再生手続上も一般優先債権として、その全額につき手続の制約を受けることなく随時、自由に弁済を受けることができるのでございます。 他方で、株式会社及び有限会社以外の再生債務者に関しましては、民法により、最後の六カ月分の賃金に相当する労働債権につきまして一般先取特権が認められておりまして、その範囲においては一般優先債権として随時、自由に弁済を受けるということができることになっております。 このように、再生手続におきましては、手続開始後の労働債権についてはその全額を、手続開始前の労働債権につきましては法律で優先弁済権が認められている範囲で、いずれも最優先で弁済を受けられるもの、こうなっておるのでございます。 そこで、再生手続における労働債権の取り扱いと、今御指摘の和議手続における労働債権の取り扱い、これは同一でございます。 しかし、この和議手続におきましては、共益債権という概念が存在いたしておりません。再生手続においては、共益債権の範囲や取り扱いについて明文の規定を設けておりますので、共益債権に該当する手続開始後の労働の対価である賃金につきましては、手続上の位置が明確になっておるのでございます。 この労働債権の取り扱いにつきましては、会社更生法との手続の相違点につきましても御指摘がございました。 手続開始後の労働の対価である労働債権が共益債権に該当しておりまして、随時、自由に弁済を受けることができる点は、再生手続も会社更生手続も同様でございます。 手続開始前の労働の対価でございます労働債権については、再生手続と会社更生手続とで、その取り扱いに相違がございます。 まず、会社更生手続におきましては、優先権がある租税債権、労働債権等のすべてが手続に取り込まれ、株式会社をめぐるすべての権利関係が更生計画により変更されることになります。したがいまして、会社更生手続においては、手続開始前の労働の対価となる労働債権は更生債権となりまして、更生計画の定めにより権利変更された上、更生計画によって弁済を受けることになるのでございます。ただし、手続開始前六カ月間の給料等を共益債権とすることによりまして、労働債権のすべてを更生債権とすることにより生ずる不都合というものを回避いたしております。 他方、再生手続におきましては、手続開始前の労働の対価となる労働債権というものは一般優先債権に該当いたしておりまして、共益債権と同様、随時、自由に弁済を受ける、こういうことになるのでございます。
○北村(哲)委員 大変詳しく説明されて、これから質問すること、個々的にかなり中に入っておられましたけれども、また個別的にも聞いていきたいと思います。 ところで、具体的な条文の話になりますが、四十二条というのがあります。四十二条は「営業等の譲渡」という条項でありますけれども、この四十二条というのは、会社更生法の五十四条というところに同じような規定があります。すなわち、その前の四十一条で、「財産の処分」から「財産の譲受け」とか、ずっと十項目ぐらいありまして、それを行うには裁判所の許可を必要としなくてはならない、これは会社更生法五十四条も同じような規定があるんです。 それで、会社更生法の解釈としては、この一番最初の「財産の処分」という項目が、会社更生法の中には「会社財産の処分」というふうに同じような規定があるんですけれども、営業譲渡もその中に含まれているんです。この「会社財産の処分」の中に営業譲渡も含まれているというのが普通の解釈なんですけれども、再生法でわざわざ四十二条を四十一条の「財産の処分」の中から分けて営業譲渡という項目を、それを分けた、創設した理由は一体何だろうかということについてお伺いしたいと思います。
○臼井国務大臣 企業が倒産をいたしました場合には、その営業等を譲渡することによりまして、譲渡先において事業の存続を図るとともに、倒産した企業の債権者に対する弁済率の向上が可能となる場合が少なくございません。その反面、必要性や相当性を欠くような営業等の譲渡がされるときは、結果として債権者の利益が害されることにもなるのでございます。 このような意味から、営業等の譲渡をどうするか、どのような範囲で営業等を譲渡するか、全部するのか一部するのか、譲渡の対価その他譲渡契約の内容をどうするか、こういった問題につきましては、再生債権者の利害にかかわる大変重要な問題でございますので、事業再生の基本的枠組みを決定するものでもございます。 そこで、再生手続開始後に行われる営業等の譲渡の必要性及び相当性を担保するために、法第四十一条のほか、第四十二条におきまして、営業等の譲渡をする場合には必ず裁判所の許可を受けなければならない、このようにいたしたものであります。
○北村(哲)委員 私が聞きたかったのは、従来のこの種の法律の改正ぶりは、同じような理由で財産の処分ということを掲げておれば、財産というのは、確かに個々的な財産と、営業権も会社の財産ですから、一つで十分ではないか、そういう解釈をしていたわけですよ。わざわざ別個にしたのは、今の理由でいいかと思うのですけれども、立法経過の中では、私どもの聞いておるところでは、本来なら四十一条だけで十分かもしれないけれども、特に有機的に動いている会社財産が、その価値が下がる前に優良部分を他に移すということによって会社再生を図ることがよくあるんだというふうな目的でこの条文を特につくりたいといういろいろな筋からの要求があったと。 しかし、そうなると逆に、いい部分だけよそにやってしまうと、残ったものは空になってしまって、そこに働く労働者の人たちは一体どうなるんだ、置き去りにされてしまうんではないかということの反論が当然出てくるわけですね。そういうことの意味を酌んで、四十二条では、特に四十二条一項は今大臣のおっしゃったような目的でつくったけれども、二項、三項によって、特に三項によっては、労働組合の人たちの意見もきちっと聞かなければならないんだということ、それは特に雇用確保に資するという観点が必要であろうという目的からこういう四十二条の一、二、三というものができたというふうに聞いておるんですけれども、それはそういうことでよろしいんでしょうか。
○臼井国務大臣 もちろん雇用の不安を招かないということも、結果としてそういうことになるわけでございますが、四十二条を設けたその主たる趣旨というのは、それらの譲渡をする必要な条件として裁判所の許可が必要である、こういうことを明文化したのでございます。
○北村(哲)委員 私は、会社の中で一番大事な部分がひょいと営業譲渡されてしまう、残ったところは空になって結局消滅してしまう、労働者たちも置き去りにされてしまう、こういうことがここにわざわざ書いたことによって浮き彫りにされてはいないんだろうかという心配をして、こういう質問をしているわけです。ですから、そこがないように、これについては相当注意深く解釈、運用していかなくちゃいけないということが私の質問の目的なんです。 それは恐らく、この法律の目的が、一番最初の「目的」にありますように、この法律は第一条で、再生計画を定めることによって、「もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。」とありますから、それに沿ってやられることは当然のことだと思うんですけれども、そのあたりをさらに注意深くする必要があるんではないかということで質問したわけです。 ところで、そういう目的を定めるについて、四十二条、四十三条に同じような規定がありまして、四十三条の一項のただし書きに、これは営業譲渡に関することなんですが、株主総会の決議にかわる許可を裁判所は与えることができるんですけれども、一番最後に、「ただし、当該営業の全部又は重要な一部の譲渡が事業の継続のために必要である場合に限る。」というふうに限定してこの許可を与えることにしているわけです。そういうふうにして、四十二条も同じ趣旨で、営業の全部または重要な一部の譲渡が事業の継続のために必要な場合に限って許可を与えなくちゃいけないんだということは、一条の趣旨から当然わかることはわかるんだけれども、この四十二条にも同じような趣旨を付す必要があるんじゃないかというふうに思っています。 そこで、まず四十二条と四十三条の関係といいますか、その点についてお伺いをしたい。 四十三条にはただし書きで事業の継続のために必要な場合に限るというふうにわざわざ規定してあるということ、それは四十二条にはないということの違いはどういうところにあるんでしょうか。
○臼井国務大臣 第四十二条第一項というのは、再生手続開始後の営業等の譲渡につきまして、その重大性にかんがみまして、必ず裁判所の許可を得なければならない、こういうことになって明文になっておりますが、その許可要件というものを明文で定めているわけではございません。これは、特定の行為が倒産手続の開始後に裁判所の許可等を要するものとされる場合には、許可要件に関する明文の規定がなくても、先ほど委員お話しのとおり、倒産手続の目的に照らしましてその許否等の判断をすべきことは当然なことであるということからでございます。 四十二条第一項の許可につきましても、裁判所が、第一条の定める再生手続の目的に照らして、当該営業譲渡が再生債務者の事業の再生のために必要かどうか、再生債権者の利益に反しないかどうか等々を判断すべきであることは解釈上明らかでございますので、あえて許可要件を明文で規定するということはしておらないのでございます。 法第四十三条一項のただし書きのお話がございましたけれども、営業譲渡における営業の価値というものは、倒産状態に陥ったことが公表されますと急速に劣化するというのは委員御指摘のとおりでございます。営業譲渡は迅速に行う必要性が高いということになるわけであります。 ところで、再生債務者が株式会社である場合は、営業譲渡をするということは、法第四十二条に基づく裁判所の許可を得ることに加えまして、株主総会の特別決議を得る必要がございますが、倒産状態に陥った株式会社の株主は会社経営に対して関心を失っておる状態にありまして、株主総会決議の成立が一般的に困難である、こういうふうに言われております。他方で、債務超過の状態にある株式会社の株主の株主権は、実質的には価値を喪失していると見ることができます。そこで、このような場合には裁判所が株主総会の決議に代替する許可をすることができるものといたしましたのが、四十三条一項でございます。 このように、第四十三条一項の規定による代替許可は、再生債務者の事業の効果的な再生を図るため、株主の権限を制約いたしまして、本来ならば必要な手続を省略するというものでございます。そこで、株主の利益を保護するために、当該許可をすることができる場合を事業の継続のために必要な場合に限定をいたしているわけでございます。その趣旨で、四十三条一項にただし書きをつけた、こういうことでございます。
○北村(哲)委員 四十三条一項ただし書きはとても親切な規定でありまして、普通の今までのような書き方では、なくたって当たり前なんですよね。わざわざここへ規定したということに相当意味があるというふうに私も思っております。 そうであるならば、四十二条も、営業の譲渡、確かに目的に沿えばそのとおりであるけれども、もろ刃のやいばみたいなもので、場合によっては残された企業の一番いい部分を売り逃げしてしまうということもなきにしもあらずというか、法的に見るとあり得るわけですから、やはりそういうふうな制限をあえて課す必要があると私は思っておりますので、またこの点についてはさらにいろいろな点で追及というよりも議論をしていきたいと思っております。 ところで、質問が前後して、混乱させて申しわけないんですけれども、四十二条の許可の要件というのは、再生債務者の事業の継続あるいは再生ということが一つの基準になっているということはそのとおりだと確認してよろしいわけですね。
○臼井国務大臣 御指摘をいただきました四十二条第一項の規定による営業譲渡に関する裁判所の許可につきましては、第一に、当該営業譲渡をすることが再生債務者の事業の再生のために必要かどうかということ、第二に、譲渡対象となる営業の範囲、譲渡の対価などの譲渡契約の内容が相当であるか等の点を審査いたしまして判断がされる、こういうことになっております。
○北村(哲)委員 次に、この点で若干の問題について聞きます。 この四十二条三項に「再生債務者の使用人その他の従業者の過半数で」云々とありまして、「使用人その他の従業者」というふうな表現が用いられております。これは労働法制によると、労働基準法あるいは労働組合法なんかにいわゆる労働者というふうな概念がありますが、それと同じ概念と見てよろしいでしょうか。すなわち、労働者と読みかえてよろしいのでしょうか。
○臼井国務大臣 本法第四十二条に言います「使用人その他の従業者」というのは、労働基準法第九条の「労働者」を指すものでございます。
○北村(哲)委員 それから、この四十二項三項は、「過半数で組織する労働組合」云々ということで、過半数ということをきっちりとうたってあります。しかし、現実の会社、特に中小会社については、過半数を擁する労働組合がない場合が多い。すなわち、少ない人数が労働組合をつくったり、あるいは上部団体に加盟したりして、労働組合がたくさんあるような場合がたくさんあります。そういう人たちの意見も聞かなければならないと思うんですけれども、そのあたりはどのように理解すればよろしいのでしょうか。
○臼井国務大臣 第四十二条三項による意見聴取は、労働者の過半数で組織する労働組合等から、営業譲渡の必要性、譲渡代金を初めとする営業譲渡契約の内容の相当性に関して有益な情報の提供が期待されるという観点から行われるものでございます。したがいまして、このような労働組合等からの意見聴取がされておれば、その労働組合等を構成する労働者と営業譲渡により譲渡先に移転する労働者が合致しないとしても、意見聴取の有用性は失われず、問題はないものと考えております。
○北村(哲)委員 ちょっとよくわからなかったのですけれども、要するに、過半数の労働者組織があればそれは聞かなくてはいけないと必要的に書いてあるんですけれども、しかし、千人いれば、五十人とか百人の組合というのはいっぱいあるわけですね。そういう人たちの意見はこの法律によってどうされる予定なのか、きちっと聞いてくれるのかということなんです。イエスと言ってくれればいいのです。その問題なんです。
○細川政府参考人 この点は、労働組合が過半数に達するものがなくても、裁判所から意見を聞かれたときに改めて過半数の人による代表者を選んでいただければいい、そういうふうに条文になっておりますので、改めて過半数の従業者による代表者を選んでいただければそれでよろしいということが法律上明定されておるわけです。ですから、先ほど御質問のような例の場合には、ほかの方も入れて、裁判所にこういう意見を出そうということで代表者を選んでいただければ、それで裁判所が意見を聞くということになるわけでございます。
○北村(哲)委員 それはおかしい。かえっておかしな答えになってきたのだけれども、そうじゃないのですよ。そういう意味じゃなくて、それはできないことが多いのですよ。選んでもらえばといったって、組合が幾つもあったり、上に上部団体が入っていたり、三人が入っていたり、十人でつくっていたり、あるいは百人でつくっていたりといっぱいある場合に、では、皆さんで協議して過半数に達するものを選べというのは無理な話なんですね。ですから、私は、過半数を擁する労働組合がある場合は、これは必要的に聞かなくてはいけない、しかし、小さい場合でも、やはり賃金債権者たちであるわけですから、当然そのグループの意見は誠実に聞くということを言っていただけばいいわけで、選べという答えはないと思うんですよ。
○細川政府参考人 現在の規定ぶりは会社更生法と同じですが、要するに、少数者の意見だから聞く必要がないということではなくて、必要的に聞かなければならない場合を決めているのだということでございますので、そのほかの点については北村先生御指摘のとおりでございます。
○北村(哲)委員 そういうことですね。今の労働界というか、それはなかなかこういう実態がないわけですから、形式論だけでは済まないということですから、必要的に準じて、そういうものについては聴取しながら、再生を図っていかなければ決してうまくいかないというふうに思います。 ところで、四十二条では今の、意見を聞かなくてはいけないというふうにあるんですけれども、四十三条については意見聴取の規定がないのですけれども、これは四十二条三項の規定の準用はあると理解してよろしいのでしょうか。
○山本(有)政務次官 四十三条の場合は、先生御案内のとおり、株主総会の代替措置でございます。すなわち、株式会社における株主の権利保護が主眼にございます。したがいまして、その意味においての株主権の制限をできるだけ最小限にしようというような趣旨が込められておりますので、この条文におきましては、有益な御意見を労働組合から聞くというよりも、株主保護という観点に限定されているから、したがいましてこの部分には置かなかった、こう御理解いただきたいと思います。
○北村(哲)委員 先ほどの説明では、会社が傾いているから、株主がもう興味を失っているだろう、だから要件を課しても、参加しなかったりして、三分の二の要件を満たすことができないというふうになってしまう、だから裁判所がかわってやるのだとおっしゃるわけですね。 しかし、そうはいっても、法律上は株主にとって最も大事な、一番大事な財産がよそに移るについて、自分たちの権利を奪われてしまう、飛ばされてしまうわけです、裁判所の許可によって。そのときに、株主の意見は聞かない、中にいる従業員の意見は聞かない、裁判所だけが、営業の継続のために必要であるというふうに限るとは言っているものの、その許可をする。それでは、だれの意見も聞かなくたって裁判所が勝手にできるということになるので、そこのところは、やはり株主だけではなくて、そのときも同じように、あの三分の二の権利を飛ばすことについて、意見はいっぱい言わせていただきたい、困るということは幾らでもあると思うんですよ。その点はどうなんですか。やはりこれはやるべきですよ。
○山本(有)政務次官 四十三条に限定して御答弁申し上げたわけでございまして、現実の営業譲渡をする場合には、四十二条、四十三条両方の要件を具備しなければならない、こういうことになりますので、先生御指摘のとおり、営業譲渡すべて、全部労働組合の側の意見を、過半数の場合は必要的、そうでない場合は運用によりまして意見をできるだけ聞いていくということにおいては変わりございません。
○北村(哲)委員 わかりました、そういうことだと。営業譲渡という大きなものがあって、その一部が四十三条ということですね。だから、そういう大きな意味ではかぶさっているのだということで、規定は置かなくても当然として必要だというふうに理解したいと思います。 次に、申し立ての要件という二十一条の問題になりますけれども、これは申し立ての要件に「破産の原因たる事実の生ずるおそれがあるとき」ということがあります。破産の場合の要件は、支払い停止と支払い不能というふうにきっちりと決まっております。それから、更生法の場合は、二十一条の後段の「事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないとき」という項目があります。しかし、この「破産の原因たる事実の生ずるおそれがあるとき」という抽象的な文言は今までの倒産法にはないと思うんです。 というのは、これは逆に利用するというか、おそれがあるということによって、破産法なんかだと特にあるんですけれども、正常な企業が破産攻撃をされる、破産申請をされてしまうというと、一挙に会社の信用を失うわけです。ですから、破産法については支払い不能とか支払い停止という客観的な基準を決めてある。それがない限りは破産にはならないんだと。 ところが、おそれなんていいますと、意地の悪い債権者が破産申請してしまう。これは危ない、おそれがあるというので、抽象的な理由で破産申請をしてしまう。それで会社は、あ、破産申請されたんだということでかえって危機に陥る。今回の場合も同じようなことが逆に、こういう抽象的な、おそれということにするならば、おそれがあるというだけで、大した理由なしに再生申請をされてしまうんじゃないか。 そういうことで、このおそれというものの基準は一体何なのか、もうちょっと、もうちょっとというよりも、はっきりと決めておかないと、逆にそういう攻撃にさらされてしまうのではないか。無実というとおかしいんですが、健全な会社が意地悪な債権者に攻撃される、このおそれという理由によって攻撃されるんではないか。その点について基準をはっきりさせていただくなり、理由を言っていただきたい。
○臼井国務大臣 本法第二十一条に申し上げます「破産の原因たる事実の生ずるおそれ」とは、事態がそのまま推移いたしますと、支払い不能または債務超過に陥ることが客観的に認められる事情が存在する状況というものを意味しておりまして、開始原因を無限定に緩和するものではございません。 会社更生手続におきましても、同一の手続開始原因が定められております。これにつきましては、要件が抽象的過ぎるという、これを御批判する見解は見当たりません。 したがいまして、第二十一条の定める要件が抽象的であるということによって債権者から不当に不利益な申し立てがされまして、再生手続が開始されるというおそれはないと考えております。
○北村(哲)委員 私は、この点は必ず実務上問題になってくると思います。うわさとかそういうものでも、不安に駆られた債権者たちが、これはもう早く手を打たなくちゃだめだと、実際の倒産は気がついたときはもうめちゃくちゃになっているのが実態なわけですから、うわさ段階でやらなくちゃいけないこともあるかもしれません。 ですから、そのおそれというのはどこかで、恐らく裁判所の判例なんかで確定していくんでしょうけれども、相当に厳格にされないと、かなり乱用のおそれが出てくるような感じがします。 さて、次に参ります。これは最高裁にお聞きします。 手続の開始の際に、会社更生手続では、東京地裁や大阪地裁の実務では、労働協約書とか就業規則の添付を義務づけております。この点について、民事再生手続については考え方は同じであるべきと思いますけれども、何か手だてを考えておられるかどうか、その点についての御見解をお願いしたいと思います。
○千葉最高裁判所長官代理者 再生債務者の中における労働契約関係がどうなっているか、これを早期に把握するということは、手続の円滑な進行の点で大変大事なことだと考えております。 現在準備を進めております民事再生手続に関する最高裁判所規則におきまして、再生債務者が労働契約を締結し、または就業規則を制定しているときには、その労働協約または就業規則を申立書に添付するということを求める、こういう方向で検討しているところでございます。
○北村(哲)委員 再度ですが、最高裁に、何か規則とか、あるいはどういう形式でおやりになろうとしているのか、その方向についてお願いします。
○千葉最高裁判所長官代理者 申し立て手続の具体的な細則につきましては、最高裁判所規則で定めるということを考えておりますので、この規則の中でその点を明確に定めたいと考えております。
○北村(哲)委員 次に、確認をしておきたいんですが、民事再生手続の開始後、労働協約や労働契約の扱いに制約が生ずることがあってはならないと考えます。そこで、その点について制約がないということについての確認をまずしておきたいということと、そして、同様に労働組合や労働者代表の交渉権は、再生手続の開始後は一体どうなっていくんだろうかという点についての確認をお願いしたいと思います。
○臼井国務大臣 再生手続が開始されました場合には、再生債権者が再生債権に基づく強制執行等をすることができなくなるという法的効力を生ずるわけでございますけれども、労働協約や労働契約のような契約関係そのものにつきまして制約や変更が加えられるということはありません。 また、再生手続は、債務者と債権者との間の民事上の権利関係を調整することによりまして債務者の経済的再生を図る手続でございますから、労働組合等の団体交渉権を初めとする労働法上の権利関係に制約や変更を加えるものでもございません。
○北村(哲)委員 再度最高裁にお伺いしたいと思います。 民事再生手続においては、労働組合の意見聴取とかあるいは労働組合への通知がいろいろと織り込まれております。就業規則なんかの届け出の場合は、労働組合の意見聴取は書面でやっておりますね。それを義務化するといろいろな支障が生ずるんですが、労働組合が文書なんかで意見をまとめた場合は裁判所はきちっと受理をされるべきだと思いますけれども、その体制というか、そういうふうなことは一応慣習化している、あるいは実務上そのように取り扱っているというふうにお聞きしてよろしいでしょうか。
○千葉最高裁判所長官代理者 企業が倒産した場合に、その企業で働く従業員等の利益保護、これは重要な問題でございます。また、事業の再生を図る上で従業員の協力が不可欠であります。 そういうことから、民事再生手続においても従業員や労働組合の意見を十分聞く運用が考えられるところでございます。労働組合の意見聴取が義務づけられている場合も含めまして、労働組合から意見書が提出された場合には、裁判所はその書面を受理するというのが相当であるということになるものと思っております。
○北村(哲)委員 今のはそれで結構でございます。ぜひそのあたりはきちっと取り扱っていただきたいと思います。 次に、債権者集会あるいは債権者委員会という規定があります。そこにおいては、労働組合、特に、組合員だけではなくて、組合員が所属する上部団体の労働組合とか、あるいは労働者代表が賃金債権者の立場を代表して参加を求めた場合は、拒否をされず、通常に入れていただけるのかどうか、入れるようなシステムになっているかどうかについての御説明をお願いします。
○臼井国務大臣 再生債権を有しない労働組合あるいは労働者代表というものは、債権者集会の本質的な構成員ではありませんが、事業の再生を目的とする再生手続の帰趨について重大な利害関係を有すると考えられますことから、特に労働者の過半数で組織する組合等の債権者集会への出席及び意見陳述を認めているわけでございます。 債権者委員会の制度というものは、再生手続外で任意的に組織される委員会で、一定の要件を満たすもの等につきまして裁判所が承認を与えるという制度でございます。実際にどのような債権者が手続外で組織される委員会の活動に参加することになるかということは、事案ごとにさまざまであろうと考えられますけれども、労働組合や労働者代表が賃金債権者の立場を代表して参加するということも当然あるものと考えられます。 労働組合が企業の外で組織されており、その支部が企業単位に組織されているという場合には、当該企業の従業員でなくても、労働組合の役員として債権者集会に出席することができます。 他方で、単に企業内組合の上部組織である場合には、その役員は法律上は債権者集会への出席権や意見陳述権を有しないこととなっております。
○北村(哲)委員 そのあたりは法律上の問題と事実上の問題がさまざまありますので、なるべく労働者の利益を代表するという意味で柔軟にやるべきだと私は思っております。 次に、法二十一条二項の債権者という項目があります。この債権者の中には当然賃金労働者は入ると思いますけれども、無条件に入るかどうか。すなわち、一カ月前の給料が滞納されておった、そうすると確かに賃金債権者であるわけですね。そういう場合はこの申し立て権者の中の債権者に入るかどうか。そのあたりの基準といいますか、賃金労働者はすべて入ると理解していいか、あるいは、場合によっては入る、場合によっては入らないということがあるのかという点についてのきっちりした説明をお願いします。
○臼井国務大臣 再生手続は、再生債務者と再生債権者との間の民事上の権利関係を調整いたしまして、再生債務者の事業等の再生を図る手続でございます。 法第二十一条第二項は、再生手続において権利関係調整の対象となる債権を有する者に申し立て権を認めているものでございます。すなわち、第二十一条第二項で言う債権者とは、再生手続が開始された場合に再生債権者となる債権を有する者を意味しておるわけであります。 賃金労働者の有する賃金債権につきましては、再生債務者が株式会社または有限会社である場合には、その全額について一般先取特権が認められまして、再生手続における一般優先債権として権利調整の対象から除外をされております。したがいまして、賃金債権に基づく再生手続開始の申し立てはできないのでございます。 それ以外の、株式会社、有限会社以外の再生債務者の場合には、最後の六カ月分の限度で一般先取特権が認められておりますので、申し立て時点におきまして六カ月分を超える未払い賃金債権を有している場合には、第二十一条第二項に言う債権者に該当するということになります。したがって、出席できると。
○北村(哲)委員 今の説明で大体いいかと思います。 次に移ります。 共益債権の中での労働債権の扱いなんですけれども、再生手続申し立て後あるいは開始前等の労働債権の扱いというか、共益債権の中にどのように組み入れていかれるのかということについて、先ほどから何回か言われておるのですけれども、ちょっとその点についての再度の整理といいますか、お願いできますか、簡単で結構ですが。
○臼井国務大臣 共益債権は、それが再生債権者全体の利益に資する共益的費用の性格を有することから、再生手続によらないで随時弁済を受ける地位を与えられている、こういうふうに理解をいたしております。 手続開始後の労働債権は、事業再生という手続の目的を達成するために不可欠な労働を提供した対価でありまして、再生債権者全体の利益に資する共益的費用の性格を有することから、共益債権とされておるのでございます。
○北村(哲)委員 この法律の共益費用というのは、破産法における破産財団の概念とやや似ているところがあると思います。とにかく何物よりも先に弁済していく、必要とあればいつでも弁済していくというふうな債権なんですけれども、その違いについては、聞こうと思ったのですが、時間がありませんので次に移ります。 再生手続では過去の賃金債権は一般優先債権に位置づけられておりますけれども、これが再生手続の関係だけならばそれはそれでよろしいのですが、再生手続がだめになって破産手続に移行した場合には、これは法律上当然に、いわゆる破産上の財団債権とならないために、優先権がなくなってくるということになります。したがって、せっかく再生手続では優先権が与えられたのにかかわらず、その後については優先権はなくなるということで、賃金の確保に支障が出ることになるんじゃないかと思いますけれども、それについてはどのように考え、どのような対応を考えておられるのかという点についての御質問をしたいと思います。
○臼井国務大臣 再生手続における一般優先債権は、手続による制約を受けずに随時弁済するものとされております。このため、一般優先債権に該当する賃金債権は、再生手続が継続する限りにおきましては、破産手続における財団債権と同様に、他の債権に優先して随時弁済を受けることができることになっております。 しかしながら、破産手続における財団債権について随時弁済が認められる理由は、債権者全体の利益に資する共益費用としての性格を有すること等に由来するのに対しまして、再生手続における一般優先債権というものは、手続の構造を簡易にするために、一般の優先権のある債権を手続の対象に含めないとする、そういう政策的な理由に由来するものでございます。 したがいまして、再生手続が不成功に終わり、破産手続が開始されました場合には、再生手続においては随時弁済の対象となっておりました一般優先債権も優先的破産債権としての処遇を受けるにとどまるということになるのでございます。 このような取り扱いは、破産手続における一般の優先権のある債権の取り扱い自体に起因するものでございまして、この点につきましては、法務省における今後の倒産法制の全面的な見直し作業において引き続き検討を行っていく予定でございます。
○北村(哲)委員 最後のところをお聞きしたかったわけです。 すぐに破産手続がきっちりと受け皿になればいいのだけれども、今はまだ旧破産法ですから、どうしてもそのあたりで空白期間が生じるわけですから、破産法の改正のときにはぜひきっちりとやっていただきたい。そのあたりについて大臣にもう一回、破産手続改正の際にこの点の格差というか空白を埋めるような形、そして移行後に別に置かれるようなことがないということをきちっとやることについて、大臣のいわゆる御決意というか御方針について再度お伺いしたいと思います。 それから、どのくらいのところでこの改正法をやっていこうとしておられるのか、その点についていかがでしょうか。
○臼井国務大臣 先ほどお答えをいたしましたとおりでございますけれども、今後全体的な改正作業の中で引き続き検討いたしてまいりたいと思っております。 破産法につきましても、今後全面的な見直しというものを行う予定でございますが、その中で検討すべき主な課題といたしましては、労働債権、租税債権等の各種債権の優先順位の見直しを初めとする倒産実体法の規定の整備、急増する個人破産に対応するための規定の整備、国際倒産に関する規定の整備などがございます。 これらの課題につきましても、現在、法制審議会の倒産法部会におきまして審議を継続していただいているところでございまして、できるだけ早い時期に成案を得まして、関係法律案を国会に提出いたしたい、このように考えております。 以上であります。
○北村(哲)委員 ただいまのお話の中にも若干出ておりましたけれども、日本の倒産手続では労働債権が、ある程度優先権は与えているけれども、今一番問題になっているのは、租税債権よりも劣後に置かれているという事実があります。ですから、倒産しても余りお金が残っていない場合は、租税でみんな持っていかれてしまって労働者は後回しにされるということがあります。 ドイツ倒産法では、既に旧ドイツ法でも、租税が優位というよりもかなり同等に置かれておるし、さらに最近の新倒産法では、倒産法自体では劣位に置かれていないけれども、別の法律で租税よりも優位に置かれているというところまで進んでおるわけですね。ですから、その点も視野に入れて、制度の見直しを相当図っていかなければいけないと思うのですけれども、そのあたりについてはいかがでしょうか。
○臼井国務大臣 企業が倒産をいたしました場合には、労働債権のほか、一般の取引債権、租税債権、公課債権等のさまざまな債権の間の優先関係が問題となるわけでございますが、このような各種債権の優先関係というものは、国税徴収法、地方税法、国民健康保険法、民法、商法等々の実体法により定められております。そして、各倒産手続におきましては、各種の債権につきまして、実体法上の優先関係を前提としつつ、その範囲内におきまして、各手続の目的や性格に応じてその手続上の取り扱いを規定いたしております。 今議員御指摘の労働債権と租税債権との優先関係の問題につきましては、倒産法制のあり方のみにとどまらず、各種の債権者の利益の調整という実体法のあり方にもかかわる極めて大きな問題であると認識をいたしておりまして、さらに十分な検討が必要である、このように考えております。 本年一月から施行されておりますドイツの新倒産法におきましては、委員御指摘の租税債権のほか、労働債権も含めて一般の優先権のある債権に関する優先的取り扱いがすべて廃止されたものと承知をいたしております。しかしながら、我が国におきましてこのような制度を導入することが相当であるかということにつきましては、倒産法制のあり方にとどまらず、先ほど申し上げましたように、労働債権を含む各種の債権の保護に関する法制全体のあり方にかかわる極めて重大な問題であると考えておりまして、慎重な検討が必要であると考えております。
○北村(哲)委員 ただいまの慎重な検討は、積極的な意味で慎重に進めていくというふうに理解したいと思っております。 そろそろ終えたいと思いますが、ところで、この大型の基本法は大変条文が多く、今までの知識というか倒産法制から見ると随分新しい問題がたくさんあって、しかも、これから使ってみなければ、果たして有効かどうかという点がわからない条文もたくさんあります。そういうことで、現実に施行してみて、使い勝手のいいところ悪いところということを見て、不断の見直しが必要と思うわけでございますけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
○臼井国務大臣 倒産処理は経済社会情勢と極めて密接な関係を有するものでございますので、再生手続が経済社会の要請にかなった、真に再生債務者の再建に役立つものであるためには、委員御指摘のとおり、法施行後の利用状況等を踏まえまして、適宜見直しを行っていくことが必要であると考えます。
○北村(哲)委員 最後になりますが、民事再生法が中小企業等の再建に利用されるためには、この法律だけではなくて、関係省庁を含めて関連施策の強化が必要であろうと思います。そういうものについては、あわせて実効性あるものが装備されているかどうかについて、どのようにお考えでしょうか。
○臼井国務大臣 再生手続が中小企業の再建に活発に利用されるためには、民事再生法の制定に加えまして関連施策の整備充実が重要であるということは、委員御指摘のとおりでございます。 民事再生法の施行後、実際の運用状況等も踏まえまして、関係省庁とも協議をしつつ、適切に対処いたしてまいりたいと考えております。
○北村(哲)委員 それでは、これで最後の質問にします。 本法案を含めて、企業組織の再編を促進する立法が連続して、既に行われているし、これからも行われようとしております。その中で、労働者の権利や労働条件の承継など、労働契約の保護を図ることが必要であろうと思っております。それが切り捨てられてはならないと思っております。したがって、営業譲渡あるいは企業合併、分割など、企業組織再編に伴って、そういうことに共通する労働者保護立法というものが必要であろうと考えております。労働者保護立法に関しては法務省の所管ではないと思いますけれども、そういうものと関連しなければならないと思っております。大臣は、その点についてどのようにお考えでしょうか。
○臼井国務大臣 今委員御指摘をいただきました、企業組織の変更等に伴って生ずる労働関係上の問題につきましては、法務省といたしましても認識をいたしておりますし、労働省においても検討なされていると承知をいたしております。法務省といたしましても、労働省等の関係省庁と十分連絡をとりつつ、適切に対処してまいりたいと考えております。
○北村(哲)委員 終わりますが、今、私が、あえて企業組織の再編というふうに申しまして、大臣が企業組織の変更とおっしゃいました。これは言葉の問題、恐らく理解は一緒だと思いますが、企業組織の変更というと、株式会社から有限会社に変更というふうに普通言うものですから、むしろそうじゃなくて、組織が変わるというふうに理解をして、そういうお話だったということで理解しまして、私の質問を終えたいと思います。
○武部委員長 日野市朗君。
○日野委員 非常に大部の法律を用意なさいまして、御苦労さまでした。 私も、決してこの法律に異を唱えるものではありません。賛成という立場で物を伺っていくわけでありますが、しかしそれにしても、やはりいろいろ気になることがございます。 そこで、この民事再生法を見ますと、裁判所の関与というのが非常に大きいわけですね。私は常々思っているのですが、司法というのはやはり回顧的なものです。後ろを振り返って見ていく、そういうものですね。原則としてそういうものでありますが、この法律では、これから企業を再生させていこうという前向きの方向性というものが与えられるということがあります。 私は、そこで、現在の事態がどういう事態なのかということをやはり十分、もちろん法務省も、それから国のすべての機関がこれを認識しながら、裁判所も含めてそれを認識しながらこの法律の運用に当たらなければならないのではないかというふうに思います。 そこで、現代というのはどういう時代かというものを経済的に見てまいりますと、これはいわゆる変化の時代である。これは非常に大きな構造的な変化が現在起きているのですね。今までとは大分世の中の様相が変わっています。先ほどの議論も聞いていまして、企業の合併だとか分社化だとかいろいろな、これは当委員会でも取り扱ってきた問題ですが、そういうふうに企業のあり方そのものも違ってきている。 それから、これからの企業が生き残っていくためには、新しいニーズを積極的に取り込んでいかなければならないというような、社会の構造的変化、経済構造の基本的なところに踏み込んだ変化、こういうものもあります。 一方では、中小企業なんかには非常に気の毒なのですが、金融制度に対する大変革なんかがありまして、貸し渋りというような事態も進行しているわけですね。これもやはり企業の倒産には大きく影響していると思うのですよ。銀行の貸し渋りはけしからぬと言ってみたところで、銀行だって利益を上げなくちゃいかぬ、それからあとは自己資本率も上げなくちゃいかぬ、こういう要請もありまして、これは銀行ばかり責めるわけにいかぬのだと私は思っています。 そういうこともありまして、中小企業の方に資金が流れない、こんなこともありますし、全体的には、結局これまでの経営者のモラルというものも指摘されなくちゃいかぬ点でありましょう。 今までは、銀行のみならずどの業界でもやはり護送船団方式というものがとられてきた。しかし、その護送船団方式はもうとられないのですよというところで、いろいろな経済的な要因というものを加味しながら、これから企業をどのように運営していくのかということを企業家は考えなくちゃいかぬ。そして、その中に今我々はこの民事再生法というものを新しい再生のための法律ということに位置づけてやっていこうということなので、この法律の運用のためには、これは法務省も非常に苦労してやってこられたのですが、裁判所のこれからの勉強というのは大変なものであるだろうと私は思っているのです。 裁判官の世界というのはいわば密室でありまして、ちょっとあえて密室という言葉を使わせていただきますが、裁判官が何を考え、何をどのように発言をしというのは、裁判書の上から、またはいろいろな会同の中で訓示がどうだったとか、そんなことからしか判断できない。このごろ何か小さな声が、裁判官フォーラムと言ったかな、何か名前ははっきり覚えていませんが、このごろ本を出したのが新聞の広告なんかに出ておったりして、買ってまだ読んでもおりませんが、これから読もうかと思っているのですが。 私、まず最初に裁判所に伺おうと思うのです。 このような変化の時代にあって、今まで回顧的な作業になれてきた裁判所が、これから新しい経済秩序の中で企業を営んでいこう、何とか倒産させないでやっていこうという企業に対して、的確な指示ができるものかどうか。 私は、後で問題にしますが、この法律の二十一条なんかを見ますと、これはかなり積極的な法律だ、かなり前向きに多くの企業を救済していこうという意欲がうかがえる法律だ、こう思っています。そのような中で裁判所は重大な役割を果たされるので、それだけの覚悟がおありかということを私聞きたいのですが、現在どんな準備をやっておられますか。それから、これからどんなふうにこの法律に対処していき、これからどのように日本の経済の流れの中に向き合っていこうとしておられるのか。どうぞ、おっしゃってください。 〔委員長退席、横内委員長代理着席〕
○千葉最高裁判所長官代理者 企業の再建を図る手続、いろいろなものがございます。会社更生もそうでございますし、整理もそうでございますし、それから和議もそうでございます。それぞれの経済情勢に応じまして、いろいろな事件が裁判所に申し立てがあるわけでございますが、これまでも裁判所に提起されました事件の適正な処理に努力しているところでございます。 今回の民事再生手続の関係でございます。 この中身を詳細に見てみますと、この手続においては、債務者本人、それから管財人などの機関が中心になって手続を進めていく、裁判所としては主としてこれらの人たちが行う活動を監督する、そういう手続構造になっておりますので、裁判官に対して経済的あるいは経営的な感覚が必須なものとして求められているわけではないだろうと思います。 ただ、事件の中には、裁判所が適切な判断をするために、経営感覚等が必要とされるというものもございます。そういう場合にどうするかということでございますけれども、そういうような事件の場合には、専門的知識を有する者の中から監督委員などの機関を選任して、それらの方の意見を十分考慮して判断をしていくということになるわけでございます。 ただ、一般的に申し上げますと、今の経済の問題もそうでございますけれども、専門的な分野を扱う裁判官の養成、これは重要な課題の一つであるというふうに考えております。社会経済がいろいろ動いてきておりまして、裁判所も、それを反映した事件に適正に対処するためには、そういう専門分野についても十分知識、経験を持っていないといけない。裁判官の専門性を高めるということも大事かと考えております。 この点につきましては、裁判所としてもいろいろな配慮をしているところでございます。裁判官に対する研修などにおきましても、倒産事件に関する裁判官の専門性を高めるカリキュラムというものも入っておりまして、それを実施して、倒産事件の専門部の裁判官を交えた共同研究などもやっておるところでございます。また、少し人員配置等の問題の観点から申し上げますと、裁判官の配置に関しましても、専門部で経験を積んだ裁判官が将来再び同じ専門部に配置されるというような配慮をして、裁判官の専門性をどんどん蓄積していく、高めていくというような点につきましても配慮をしていきたい、現在もそういうことをしているということでございます。
○日野委員 私は、この法律は非常に意欲的な法律であるというふうに先ほど高い評価を与えたわけですね。私、実際そう思っているのです。本当にうまく使えればいいな、こういうふうに思っているのですが、一方で、この法律を十分に使いこなせるような一般的な状況、経済状況があるのかなということになりますと、やはりいろいろ問題を指摘するといいますか、私自身感じておりますので、それについてちょっと伺いたいと思います。 まず、倒産という言葉がかなり安易に使われているというふうに私は思うのですよ。法制審の中でも、こういう作業をやっているのは倒産法制小委員会ですか、そこでも倒産法制という言葉が使われている。それから、大臣の提案理由説明の中でも、「現行の倒産法制におきましては、」こういうふうな倒産という言葉を使っておられる。それから、「経済状態の悪化した債務者がその再建を図る倒産処理手続として、」ということで、この再生法が使われるのは倒産した場合、こういうふうに読めるわけです。果たしてそれでいいのであろうかというふうに実は私は思っているのです。 例えば、ああ、あそこは倒産だということになりますと、現在の情報時代ではあっという間にそのニュースが全国にファクスで駆けめぐるわけですよ。そうすると、これはもう立て直そうと思っても大変だ。それだけでもう信用は失墜してしまうわけですから、取引先、それから特に銀行などからの融資を得るなんということは非常に難しくなってくるのだろう、こう思います。今、銀行の融資は共益債権でございましてと、恐らくそんな答えが来るだろうと思うから、そのことはまた後で聞きます。そういう非常に難しい状況に倒産した企業というのは置かれる。 そこで、倒産という安易に使われている言葉の内容、これについて少し議論をしておきましょう。 これについて、通産省なんかもうしょっちゅう倒産についての統計や何かも扱っておられますね。そして、いろいろな指導や何かもしておられるのでしょうが、倒産という言葉にどのような意味を与えますか。定義を述べてください。
○茂木政務次官 通産省としてどういう解釈をするか、こういうことでございまして、そうなると当省所管の法律の中から回答させていただくということになると思うのですが、当省が所管しております中小企業倒産防止共済法というのがございます。ここにおきましては、まずその会社について破産、更生手続開始の申し立てなど、いわゆる裁判上の倒産手続の開始の申し立てがなされたこと、もしくは、その会社が振り出した約束手形などについて、手形交換所において金融取引の停止の原因となります不渡りが発生し、これが公表されたという定義がこの中小企業倒産防止共済法においてはなされております。 また、例えば東京商工リサーチであったりとか帝国データバンクといいます民間の機関による倒産に関する調査等におきましても、同様の取り扱いがなされているものと承知をいたしております。
○日野委員 そういう答えになるだろうと思ったのですが、官僚が書いた原稿を読むとそうなるわけなので、じゃ、少し政治家同士でちょっと話をしましょうか。 この倒産ということが企業の経営に対して非常に大きな影響を与えること、これはあなたも当然お認めになるわけだ。そして、非常に苦労するのは、そういう裁判所に対する申し立てがなくても、例えば手形の不渡りで銀行取引停止になるというような場合、または特定の債権者が非常に厳しい取り立てをやって、そのために企業の経営者が姿を隠したとか、そういったニュースがどっとファクスで広がるわけですよ。こういう事態について、ファクスでずっと知れ渡るということはプラスの側面もあるという説明をする人もいるわけです。そうでないとこれは早い者勝ちになってしまう、そういう説明をする人もいる。しかし、それより私は、信用の失墜の方がもっと大きい。 でありますから、私は、こういう倒産ということは、こうこうこういう場合に限って、ファクス等による周知行動、こういったものは抑えるべきだと思う。あなたはいかがお考えになりますか。
○茂木政務次官 倒産の定義につきましては先ほど答弁を申し上げたとおりでありますが、先ほどから委員御指摘いただいておりますように、まさに今、日本経済は大きな構造転換の時期にありまして、そこの中で、例えば中小企業でいいましても、開業率を廃業率が大きく上回る、こういう状況が十年以上続いている。そういった中にあって、一度事業に失敗した人間においても再挑戦できる、そういった起業家精神を育成していく、涵養していく、こういうことは大変重要だと考えておりまして、今回の法案でありますけれども、そういった起業家精神を高める、同時に、倒産した会社の人材や営業資産といった経営資源を有効に活用していく、こういうことが極めて重要な課題だ、こういうふうに考えております。
○日野委員 この法案としてその評価はよろしいのですが、これは確かにあなたが言うとおりにいろいろ使える法案です。 ただ、現在のような、企業の倒産が非常にふえてきて雇用が非常にタイトになって、そして、じゃ失業した人を受け入れる受け皿があるのかというと、それもなかなか育たぬというような状況の中で、今倒産というのは、できるだけ倒産させないように努力をする、これはもう私たち政治家それから政府も努力を随分やっているところですよ、そっちこっちからいろいろ批判を受けながら。 ですから、私はこの中で、この倒産という言葉の意味ということであなたに来ていただいたけれども、安易に使ってもらいたくないというふうに私は思います。特に中小企業なんかはあなたのところの所管ですから、私はあなたにこのことを注文しておきたいというふうに思います。あとは法務省との間でいろいろやりますから、あなたには御退席いただいて結構です。もし何か、いやもっと、ちょっと言っていきたいことがあるということだったら、どうぞおっしゃってくださって結構ですよ。
○茂木政務次官 せっかくもう一度というお話でありますので。 この民事再生法案は、事業の円滑な再建のための迅速かつ効果的な倒産手続を定めるものであります。したがいまして、この民事再生法の手続が導入されることによって直接倒産というものが防止されるものではない、こういうふうに理解しておりますが、通産省としても、例えば貸し渋り対策を実行する、そして今、中小企業基本法を改正させていただき、それに続く中小企業対策等々を通じてできるだけ倒産を減らしていきたい、同時に、この法案におきましては事業の円滑な再建を図るための新たな手段、こういうことでバックアップできれば、こんなふうに考えております。
○日野委員 じゃ、今度は主として法務省に伺いましょう。あと、裁判所もまだ聞くことがありますから。 私も、この法律というのはできるだけ広く、この法律の適用によって企業、また個人も含めて、これから企業という言葉を使います、企業を生き延びさせたいという思いが込められている、できるだけ広くこれを適用していきたいということなんでございましょうね。いかがでございますか、そこのところは。
○臼井国務大臣 御指摘のとおり、現下の経済情勢の中で中小企業等も大変厳しい環境にございます。特に、ここ数年間を見ましても、倒産件数の総数というのはウナギ登りにふえている、こうした環境でございますので、この法案を一日も早く成立させていただきまして、幅広い運用によって、今困っていらっしゃる、しかも再生意欲のある方々に対する援助の力というものを発揮するような法案として成立させていただきたい、このように考えております。
○日野委員 私も、ぜひこの法律で、生き延びられるものは生き延びさせていく、そして新しい可能性を与えていくということは必要だと思うんですが、実は私、こういうレベルで、まだこれから生き延びていこうというんですから、倒産だと言わせたくないんだよね。まだ生き延びられる可能性があるからこの法律で生き延びさせていこう、こういうことなので、茂木さんが今通産省の政務次官としておっしゃっていかれたこと、大体これはそのとおりではあるんです。 まず、一般的に言われているのは、不渡り手形、それで銀行取引停止、それから会社更生法の申請、それから会社の整理ですな、商法三百八十一条。それから、これはよくあるんです、債権者会議を開いて内整理を始める、法律的な手続じゃ面倒だから内整理にしましょうと、なあなあでやるわけですな、そういう場合。それから、和議の申請。こういうものを大体倒産だ、こう言っているんです。 ただ、こういうことで倒産だという、大体大きな情報機関、調査機関というものは、さっき名前が挙がった何とか興信所とか、大きいところはまだいいが、小さいところがだあっと流すファクス、これは非常に害をなすと私は思っているんです。ここで倒産という言葉を使ってしまったからしようがないじゃないのと言えばそうだけれども、これはもっと前向きに、企業、特に中小企業、個人企業、こういったものを立ち上がらせるためのものなんだということを少し積極的に法務省も裁判所もこれは言うべきなんだろうというふうに思います。この適用の申請をしたから、ああ、あそこはだめだ、こうなったら銀行なんか金を貸しません、もう今の銀行は。今でさえ、ちゃんと仕事をやっていても貸さないんですからね。そういうことも考えなくちゃいかぬだろうし、それから、みんな戦々恐々としている取引先なんかに悪いイメージを与えてしまうということは何としても避けたいと私は思う。 こういう点について、そこのところはやはり強く法務省としても、これはつぶすんじゃないんで生かすんだ、まだ倒産になっていないんだ。現にそうでしょう、第二十一条の要件を見れば、破産原因があって当然破産申し立てという場合であったって、これは生かそうというんでしょう。破産の申し立てがあったにしたって、それをとめようというんでしょう。ぜひ、そこいらの積極的な姿勢が私は大事だと思うので、少し何か言ってくださいよ。 〔横内委員長代理退席、委員長着席〕
○臼井国務大臣 委員御指摘のとおり、倒産ということが実態に先行して流されるということによって、さらにその企業は加速的にダメージを受けるということはよくある例でございまして、そういうことはできるだけ避けたいものだというふうに考えております。 従来使っておりました和議法というものがやはり使い勝手が悪い、こう言われるものの理由の一つとして、申し立ての手続開始の原因とされるものが、破産原因というものがあるわけでございます。したがって、極めてその手続開始がおくれるということによって再生の道が閉ざされるということが一番大きな問題点であるわけでございまして、今法律はまさに再生という名前を使っているわけでございますが、再建の意欲のある経営者に対してその道をしっかり開いていくということで、その手続開始というものも、できるだけ破産に至る前の早い時点でもって手続開始ができるというふうにいたしておりまして、ぜひともそういう点を御理解いただきたい、このように思います。
○日野委員 大臣に注文をしておきたいというふうに思います。 倒産という言葉が安易に使われ過ぎている。これを政府部内で、法案の名前にしても、さっき通産の方で倒産防止何とかという、そんな安易にこれを使うべきではないのであって、それからあとは、そういった信用調査機関なんかもこれは安易に使うべきではないのであって、また、ファクスでばあっと流したりすべきでもないのであって、この問題というのはきちんとやはり政府としても一つの指針を出した方がいい、私はこう思いますので、ひとつしかるべき場所で、こういう問題の提起があったということはどうぞ内閣として検討することを努力してもらいたいというふうに思うわけです。 では、今度はまた裁判所にちょっと伺います。 倒産する企業というのは、やはり倒産するだけの理由はあるんですな。まず、その倒産原因として、やはり一つは不景気を挙げました。しかし、不景気で倒産するところもあるが、ちゃんとやっているところだってある、一方もうけているところだってあるわけでして、だから、不景気なんだということで企業としての、経営者がファイトをなくすようなことであっては困ると私は思うんですが、まあ、一つこの不景気というのは個々の企業ではどうにもならないこともあるんだろうと思います。それから、さっきから私は言いましたが、社会の、特に経済の構造的な変化、こういうものがずっとあるわけですね。それから、経営者の態度というものもある。 一方で、会社更生法でこの会社が更生できるかどうかということについては、やはりそれは更生管財人の力量にかかりますという議論がありました。実際、私もそうだと思う。やはり、更生管財人でございますなんといったって、つまらないのが銀行に行って金を貸してくれと言ったって、これは貸すものじゃありません。やはり、ああ、この人なら貸してもいいなと銀行が思うような人でないと、これは更生管財人というのはなかなか務まらぬのでしょう。そして、この更生管財人というのは、やはりかなりの、それなりの人物、人材が充てられていたわけですね。 さて、そういう私がさっき述べた経済状況の中で、今度のこの法律で定めている機関、調査委員はまあとしても、監督委員それから管財人という職務がありますね。調査委員も含めて、こういう人材はどういうようにして選ぶのか。今までの更生管財人なんかの例もおありでしょうから、おっしゃられれば更生管財人の例なんかも引きながらやっていただければありがたいんだが、そこはあえて要求はしませんが、どういうところからどうして選んでいくのかということを話してください。
○千葉最高裁判所長官代理者 民事再生手続が円滑に動くためには、各機関どういう人を得るか、大変重要なことであろうかと思います。それぞれの機関に必要なといいますか、それぞれの機関に当たられる方の知識、経験というのが大きな問題になってまいります。 具体的に申し上げますと、従前の会社更生手続や和議手続の運用などもございますので、それらの運用に照らしますと、監督委員というのは、やはり法律的な側面からのチェックが職務の中心になりますので、弁護士の方から選ぶということになろうかと思います。この点につきましては、それぞれ各庁がいろいろな過去の処理例などを持っておりますので、そういうようなものを中心に選任していくことになろうかと思います。 調査委員につきましては、再生債務者の財産調査が職務の中心になりますので、公認会計士や税理士を選ぶ。 管財人は、これは委員御指摘のとおり企業の再生にとりまして大変重要な地位を占めるわけでございます。これは、業務の遂行を行う、それから法律的な事務を行いますので、やはり弁護士の方、それからやはり事業経営に精通した実務経験豊富な方、これらをいずれかまたは双方、これを選んでいくということになろうかと思います。 具体的にそういう管財人をどういうふうに選んでいくかということは、会社更生事件などにつきましても随分そういう先例等もございますので、そういうものを前提にして各裁判所が適正な処理をしていくのではないかと考えております。 ただ、再生債務者の個性というものもございます、それから地域の実情などもございまして、給源となる専門家が十分いるかどうか、そういう点もありますので、今弁護士というようなことを申し上げましたけれども、それ以外の者にも給源を広めていく必要も出てまいります。それぞれの実情に応じて、適切な管財人、機関を選ぶというふうに努力をしたいと考えております。
○日野委員 会社更生法の更生管財人というのは、やはり会社更生を申し立てる会社、その対象になる会社というのはスケールがあるんですよね、規模が大きい会社だ。だから、更生管財人も、では、あの会社は面倒を見るかというようなことで、管財人も割と選びやすいというか、そういうことはあったんだろうと思いますが、この民事再生法における管財人ということになると、それより私は規模は下がるだろうと思います。ぐっと下がってくる。そういうときに、では、管財人を選ぶということになると、これは実は容易じゃないのかなというふうに私は感ずるわけですね。 先ほど答弁の中にもありましたけれども、地域性というのも出てくるだろうし、地域の経済界の顔みたいな人とか、そういう人もいろいろ出てくるんだろうと思うんです。そこいらは非常に私も、その選任にも御苦労はあるだろうなと思っておりますが、しかし、きちんと再生できるかどうかというのは、かなり管財人の手腕、力量によるところ大だと思います。そこらはひとつ十分に意を用いて人選に当たっていただきたいというふうに思います。 それから、先ほどの答弁の中でもちょっとお触れになりましたが、専門部制をとるのか、それから、地方の裁判所になると、必ずしも専門部というようなわけにもいかないんだろうと思います。それに、これは簡易な手続もありますから、比較的事件数としては見込めるんじゃないか、そんな感じもするんですね。その部を特別におつくりになるのか、また、場合によっては保全をやっているところに兼務させたり、そんなこともなさろうとするおつもりなのか、この部の編成なんかはどういうふうにお考えですか。
○千葉最高裁判所長官代理者 民事再生手続は、和議手続と会社更生手続、両方の利点を生かしてその問題点を解消するために制定される手続でございますので、和議が廃止されるということとか、今度の手続が非常に利便性があるということなどを考えますと、従前の和議事件よりも多くの事件が多分申し立てがされるのではないかというふうに考えております。ただ、現時点では、なかなか事件数の見込みを立てることは難しいわけでございます。 ただ、裁判所ではこれまでも、倒産事件について、ある程度まとまった事件数がある場合には専門部あるいは集中部を置きまして、そこで蓄積されたノウハウを生かせる処理体制をとってきているところでございます。 民事再生手続につきましては、和議手続を基本として、会社更生手続を参考にした改正が加えられたものでございますので、現在の専門部ないし集中部による処理という事務処理体制におけるノウハウを活用することができるわけでございまして、全国それぞれのところで、専門部は余り多くございませんが、集中部的なものもございますので、そういうもので得られているノウハウを生かしながら処理をしていきたいと考えております。 ただ、事件数の予測でございますけれども、これが急増するということになりますと、そういう事態になれば、やはり的確な事件処理が図れるように機動的な、人的な体制を検討していきたいというふうに考えております。
○日野委員 裁判所も大変でございますね。これは、裁判をやっていればいいようなものを、本当は行政がやるべき部分まで司法のところにいろいろ押しつけられるという側面がこのごろ非常に多くなってきまして、しかし、やはり果たすべき役割はちゃんと果たしてもらうようにお願いをしたいというふうに思います。 今度は法務省に伺いますが、先ほどから私が気にしている点について、まだはっきりしたお答えがいただけていないのです。 二十一条について聞きます。再生手続開始の申し立てについてです。 先ほど北村委員も話していたんですが、「破産の原因たる事実の生ずるおそれがあるときは、」こう書いてありますね。そして、こうこうこういう場合は申し立てができるんだ、こういうふうになっています。これは、従来のいわゆるこの種の法制度と比べてみますと、要件が甘いんです。甘いというか、これは要件を拡大して広く窓口を開いているというか、私は窓口を開いているんだろうと思います。そしてまた、二十五条を見てください。こういう場合は申し立てを棄却しなければならない、こう書いてありますね。そして、その棄却すべき事由というのは、これは非常に限定的なんです。 つまり、これは、非常に広い門戸を開いているんだ、こういうふうに読んでよろしゅうございますね。
○臼井国務大臣 今委員御指摘の法第二十一条は、和議手続において手続開始原因が破産原因と同一とされていることが再建型の倒産処理手続としての実効性を損なっているとの指摘を踏まえまして、会社更生法第三十条に倣いまして、和議手続よりも手続開始原因を緩和いたしておるのでございます。 一方、法第二十五条は、再生手続開始の申し立てを棄却すべき事由を定めるものでございますが、同趣旨の規定である会社更生法第三十八条を参考といたしながらも、より迅速に判断することができるように配意した棄却事由を定めておりまして、手続開始の条件を緩和いたしております。 このように、第二十一条及び第二十五条は、再生手続ができるだけ幅広く利用されるよう、手続開始原因及び手続開始の条件を緩和いたしております。 以上であります。
○日野委員 一般的にそういうふうにお答えいただいたところで、ただ、ここで、先ほどから私、産業の構造、経済の構造が変わってきている、こう言いました。例えば、信用保証協会がむやみやたらと信用保証することがいいのか悪いのかなんという議論もあります。だから、ここのところはきちんと、企業が再生できるかどうかということを判断するというのはかなり難しい。かなり経営に通じ、経済に通じ、そして金融関係などにも通じ、場合によっては科学技術なんかにも通じ、そういう総合的な判断が求められる場面なんですな。 二十五条の棄却事由の中に、「その他申立てが誠実にされたものでない」こととか書いてありますが、そこいらについては、やはりこれは裁判所なんかも、きちんとした識見を持った人物がこの要件の判断に当たる必要があると思いますが、裁判所としてはどうお考えになりますか。
○千葉最高裁判所長官代理者 民事再生手続の円滑な処理のために、裁判所といたしましては、この法律の趣旨を十分踏まえまして、適正な処理をするように努力したいと考えております。
○日野委員 これは広く使える法律だということで、どんどんこれは、ここで倒産して出直した方がいいんだがなと思われる企業まで駆け込んでこられても、これもまたいかがなものかなというような思いがいたしますので、その運用については、ひとつ関係する皆さんの見識に期待をしておきたいと思います。 それから、ここで私、実務的なことをちょっと聞いておきたいんです。まず、費用の予納の点です。 まず、費用というのは、これは裁判所が命令するわけです、どのくらい納めなさいと。大体、実務では、何ぼ納めなさい、こう言ってくるわけで、例えば破産手続の場合でも、予納は何ぼです、切手代、印紙代、いろいろ内容はあるんでしょうが、何ぼ納めなさい、こう言ってくるわけです。これは、どういう科目がその費用の内訳になりますか。
○千葉最高裁判所長官代理者 予納金と申しますのは、手続に要する費用をあらかじめ納めていただくということでございます。 中身的に申し上げますと、監督委員などの機関に対する報酬、官報公告費用、それから各種通知費用、これは郵送料等でございます。そういったものが引き当てとして予納されて、事件ごとに納めるということになりますが、機関に対する報酬というのが大部分になろうかと思います。
○日野委員 これは申し立てのときに納めることになりますな。いかがですか、そこのところは。
○千葉最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおりでございます。
○日野委員 報酬も含むものですから、破産手続でも、管財人に対する費用なんかも入りますから、報酬なんかも入りますから、割と大きい額になります。この額が納められないために再生手続が申し立てられない、手続の開始がしてもらえないというようなことになるというのも、やはりいささかの違和感を感じます。 破産したいんだと言ってくる。費用は大体あそこの裁判所だったらこのくらいかかるよと言うと、ええ、そんなにかかるのといってみんなびっくりするわけですね。そして、何とかその金をつくってこいということになると、親から借りたとか何かしてつくってくるわけですね。銀行はこんなもの出すわけないわけですから、どこかで何か苦労してつくってくる。この金が、この手続でも一般の再生債権となることについては、いささか私としては違和感を感ずるわけですな。 これは何かもっと別の取り扱いはないんでしょうか。申し立てをするための費用、そしてそれがうまくいけば一般の債権者にも利益になることですから、これは共益費用とかなんとか、そんなふうに扱える道はないものかというふうに私は思うんですが、これは法務省だな。
○臼井国務大臣 正確にお答えできるかどうかわかりませんが、再生債務者に対して再生手続開始前の原因に基づいて生じた請求権は、原則として再生債権となります。したがって、再生債務者が手続費用を予納するために借り入れをした場合には、その借入金の返還請求権は再生債権となり、再生計画に基づいて弁済される、こういうことになるわけでございます。 再生手続の申し立て前に借り入れがされた場合に、借入金の使途が手続費用の予納であるかそれ以外のものであるかによって再生手続上の取り扱いを異にする合理的な理由はないものと考えております。 いよいよこれから再生が始まるわけでございまして、予納金が払えない環境というのはなかなか難しいんじゃないだろうか、こういうふうに感じております。
○日野委員 いや、これは小さな企業なんかの場合は、よく予納金が払えないということはあるのですよ。ですから、そういうところは最初からだめよというようなことを言われると、最初からだめだとおっしゃったわけではないのだろうけれども、そういう言い方をされると、この使い道というのは非常に限られたものになってきてしまうな、そういう感じがするわけですね。これは、実務を続けていく中で、やはりいろいろ考えてみるべきことだと思います。 今のおっしゃり方の中に、私はある問題点を感ずるのですね。つまり、公に使うのは最優先よという考え方。それは、先ほど北村委員も言っていた、労働債権をどのように位置づけるかということです。今、どのように位置づけるなんて細かいことを聞かなくたっていいです。問題は一点、いわゆる公租公課。 いわゆる公租公課は最優先だ、それは常識、我々はこうやって何十年も生きてきました。だから、その問題点について余り意識しないで来ているんだけれども、現実には、先ほど北村委員も言ったように、この公租公課を先にぼんと持っていかれてしまうとろくなものは残らぬ。ですから、再生手続を開始した後に銀行が金を出して、それは共益費だと言ったってだめですな、これは。公租公課、先にぼんと持っていかれてしまう。こういうあり方というのは、我々もずっとそれに親しんできたから、まあそんなものさと思っている向きはあるのです。 ところが、外国の立法例、先ほど西ドイツの破産法の話で、公租公課ももう優先的なものじゃなくなったというお話をしました。私は、これは恐らくILOの九十五号条約にのっとっていると思うのですね。ILOの九十五号条約は、こういう公租公課と労働債権を比較して、公租公課の方が優先というのはおかしいよ、こう言っている。残念ながら、日本ではまだ批准していないのですが、このILO九十五号条約というのは一九四九年の条約です。四九年、もう何年前ですか。それをまだ日本では批准していない。私は、これだけでもかなり国辱物だなとは思うのです。 こういうように、公租公課である、租税債権であるということだけで当然の優先権を主張できるべきものとする、我々が今までずっと実務上やってきた考え方というのを改めなければならないのではないかと私は思いますよ。 この点については、先ほどから北村委員も問題にし、これはしかるべき場で、法制審の場でもいろいろ議論になるであろうというふうに思います。ですから、公租公課は最優先だという今までの常識の枠、これからはみ出した議論をなさるように、ひとつ法務省の中でも、公租公課が最優先、それは当然じゃないの、裁判所の中でも公租公課が最優先、それは当然じゃないの、こういうふうに思っているが、その枠をぜひ破って考えてみていただきたい。これから小さな政府になろうというんでしょう。そうすれば、そういった民間と政府との間で当然政府が最優先を主張すべき根拠というのは、そもそも社会的な実態からも失われてきているんです。そういうことをひとつ努力したいというふうな答えをいただきたいですね。
○臼井国務大臣 先ほど北村委員からお話をいただきましたドイツの法律というのは、まさに公租公課あるいは労働債権、一般債権を同一に扱おうとするもので、そういった意味では大変画期的なものだと思いますが、我が国日本の場合には、そのまま適用できるかということは大いなる議論が必要だ、こういうふうに思います。 企業が倒産をいたしました場合には、労働債権のほか、一般の取引債権、租税債権、公課債権等のさまざまな債権の間の優先関係が問題となるわけでございますけれども、このような各種債権の優先関係は、国税徴収法、地方税法、国民健康保険法、民法、商法等々の実体法により定められております。 各倒産手続においては、各種債権について、実体法上の優先関係を前提としつつ、その範囲において各手続の目的や性格に応じてその手続上の取り扱いを規定いたしております。このような各種債権の手続上の取り扱いのあり方につきましては、現在法務省が行っている倒産法制の全面的な見直し作業の中においても検討を行っているところでございます。 今後とも、各省庁とよく連絡をとりながら、こうした点についても検討をさせていただきたいと思います。
○日野委員 終わります。
○武部委員長 坂上富男君。
○坂上委員 私、少し風邪を引いておりまして、せきが出ますので、あるいはお見苦しいことになるかもしれませんが、御容赦いただきたいと思っております。また、北村先生、日野先生の質問、結構同じことを、ダブるような質問が出るものだなと思って、私も感心をして聞いておりました。ちょっとダブる部分もありますけれども、また別の観点から質問させてもらいたいと思っております。 まず一つは、私の質問というのは技術的なあるいは解釈的な質問が多うございますから、どうぞ事務方で御答弁いただいて結構でございますから、そのかわり、的確な御答弁をいただきたいと思っておるわけでございます。 そこで、さっき出た問題ですが、民事局長、倒産という概念をどんなふうに解釈されていますか。
○細川政府参考人 私どもの所管の法律には倒産という言葉は使っていないわけですが、一般的に学者の間では、破産法、商法の特別清算、会社整理、それから和議、会社更生を含めて倒産法と言っております。一般的な用語といたしましては、倒産というのは、債務者が債務を弁済することができない状態になったというのを倒産と言っていると思いますし、また、マスコミ等では、不渡り手形を出したというのを倒産という言葉を使っているように思われます。
○坂上委員 この再生の申し立てをした企業は倒産ですか、あるいは倒産の一歩前というふうに理解していいか、どっちですか。
○細川政府参考人 申し立ての原因は、破産原因が生ずるおそれがあるということ、または通常の努力では債務を弁済することができない、債務の弁済が著しく困難な状況にあるという状況でございます。ところが、そういう状況にはまず不渡り手形を出していない場合もあるわけでございますから、いわゆる一般の倒産に当たらない場合もあるのではないかなというふうに思っているわけでございます。
○坂上委員 立法の目的というのを、こうあなたたちは言っているんですね。経済的に窮境にある債務者について、その事業、経済生活の再生を合理的かつ機能的に図るためにいわゆる再建型倒産処理手続の基本法を制定する、こう言っているんですね。どうもこれを見ると、再建型倒産処理というとやはり倒産なのか、こうも思われるわけでございますが、中小企業等に再建しやすい法律的枠組みを提供し、債権者らの利害関係人にとって公正かつ透明で、現代の経済社会に適合した迅速かつ機能的な再建型倒産処理手続を新設する、こういうふうに言っているんですね。 そこで、普通、会社更生を申し立てる、和議を申し立てる、会社の特別清算を申し立てる、こういたしますと、新聞の記載の仕方がどうなるかおわかりですか、どう言うか、極めてよく書いてあるんですよ。まあ私から申し上げますが、A会社は会社更生を東京地方裁判所に申し立てて事実上倒産した、こういうふうに、全部倒産なんですよ。 そうしますと、この場合、私はやはり倒産とすべきじゃないだろうと思っているんです。再建しなければならないし、再生してもらわなきゃならぬものでございますから、私は法務省が、再生法はやはり倒産なんだ、したがって、おまえらはやはり立ち上がってこい、こう言うのか、もう一歩足を踏み外すと地獄へ落ちるが今のうちなら頑張ろうじゃないかという趣旨なのか、その辺ひとつきちっと。
○細川政府参考人 申し立ての原因でございますが、これにつきましては、破産原因が生ずるおそれがあるということになっておりますが、実はこれは既に破産原因がある人も含まれておりますし、また現実に破産宣告を受けた人もこれは適用の対象になるわけです。これは、要するにそういう人たちでもこれから再生の可能性がある場合にはこの再生手続によって再チャレンジをお助けしよう、こういう思想でございます。 提案理由説明で再建型の倒産法制という言葉を使いましたのは、これは学者の世界で一般的にそう言われておりますし、現在それにかわる適切な用語がないものですから、そういう言葉を使わせていただいたわけです。 ですから、私どもとしては、今後、民事再生法が申し立てられたからもう既に倒産したんだというふうには余り言われたくないなとは思っているわけでございます。
○坂上委員 だけれども、法務省の公文書には書いてある、倒産処理手続だ、こう言っているんですね。これはやはり問題ですよ。これはやはり一考すべき問題だろうと私は思うんです。でありますから、倒産じゃないんだ、ぜひひとつこれは御検討いただきたいと思っていますが、これは政治的な判断ですから、大臣いかがです、答弁。
○臼井国務大臣 今参考人の方からお答えいただきましたとおり、手続申し立て者の中には、既に倒産状態にある者、そうでない者、両方あろうかと思っております。そういう意味におきまして、再生の決意のある企業者がしっかりと再生できるようなものにしっかりいたしてまいりたいと思います。
○坂上委員 やはり報道とかそういうようなものによってばんと影響を受けるわけですよ。そこで、やはりこの再生法は倒産手続ではないんだという理解の上に立ってこの問題を処理しなきゃならないんじゃないか、私は、ぜひ修正をひとつお願いできないかと思っております。 でありますから、この辺もひとつ御配慮いただきたいと思いますし、中には、倒産でないけれども再生の申し立てをしたとき、報道機関がどう書くかということなんですね。再生申し立てをして事実上倒産したと書かれたら、これもまた身もふたもないという感じなんじゃなかろうかと思いますが、ぜひ法務省の方、かつて私たちが盗聴法をやったとき、盗聴法じゃないんだと言ってみんな報道のところへ飛んで行かれましたが、それぐらいの対応をして、本当にこの法律を守るんだ、企業を守るんだという立場に立つならば、今言った問題は私は基本的に最も大事なんじゃなかろうか、こう実は思っておるわけでございます。 そこで、何で和議法を廃止しなきゃならないんですか、和議法も残しておいたらどうでしょうか。和議法とこれとを併用してまた使うというのも一つの手なんでございまして、和議法があると社会に迷惑になっているんだ、こうならこれは廃止すればいいんでございますが、そうでないとするならばこれはやはり廃止すべきではないんじゃなかろうか、こう思っております。いかがですか。
○細川政府参考人 和議法につきましては、従来さまざまな問題点が指摘されております。 まず、申し立ての原因が破産原因がある場合に限られているところが狭過ぎるので、もっと早い段階での再生に使うことができないということです。それからもう一つは、保全処分等で担保権の実行をとめることができないという問題がある。さらには、開始した後でも担保権が実行される場合にはそれをとめる方法もない、担保権を消滅させる方法もない。さらには、計画が裁判所に認可された場合でもこれの履行を強制する道が不十分であったということですから、専門家の皆さんあるいは利用者の皆さんの御意見を伺いまして、そういった欠陥を直したわけです。こういったものは基本的には和議法の基本的な性格を変えるものでございまして、したがいまして、これは新しい法律をつくらなければならないということになるわけでございます。 そういたしますと、和議法というもののよいところは生かしながら欠陥を直したというのが今回の民事再生法案でございますので、多数の手続があるということは非常に法律の体系を複雑にいたしますので、やはり和議法は廃止した方がいいということになったわけでございます。
○坂上委員 どうもちょっと、明敏な民事局長の答弁としては私は納得できかねます。 これは、やはりこのもの自体が弊害を及ぼしているというならそれは廃止すればいいんですが、私は、実害なんか余り及ぼしていないんじゃなかろうかと思っておりますから、残しておいていいんじゃなかろうかと思いますので、これもひとつ御検討いただきたいなと思っております。 それから、最高裁、私も聞こうと思ったんですが、予納金というのは、この間法務省の方から御答弁いただいているんです。だけれども、裁判所はどの程度のことをお考えになっているのか、それもひとつお聞かせをいただきたい、こう思っておるわけでございます。 いま一つ、実は予納金は一応最終までの予納金なんですね。だから、最初は半分ぐらい、そしてみんながこれに協力するようになれば後から納入ということもあり得るんじゃなかろうか、こう思うんです。そういう点は私はもっと弾力を持ってやっていただきたい、こう思っておるわけでございます。倒産じゃないんですが倒産しそうな人が金のやりくりなんというのをやるのはなかなか容易じゃありません。でありまするから、できるだけ裁判所の方で、せめて予納金の半分ぐらいはあれして、あとの半分をいついつ納めろというときに納めなければそれは却下すればいいんでございまして、そういう弾力性を持っていただいたらどうかな、こう思っておりますが、これはいかがか。 それからいま一つ。確かに会社更生法で、労働組合の規約あるいは労働組合の協約があったら添付せよ、こう何か最高裁規則に書いてあるそうでございます。またこの場合も書いていただくように今お話しでございました。それはそれで結構ですが、私はさらに申し上げたいのでございますが、これは場合によっては組合が二つ、三つあるところがあります、少数組合と言われるところがあります。こういう人たちのもつけるようになるんでしょうか。この辺も心していただきたいと思いますが、いかがですか。
○千葉最高裁判所長官代理者 まず最初に、予納金の額でございます。 具体的な予納金の額につきましては、各裁判所が再生債務者の事業の内容、財産の状況それから債権者の数等の諸事情を考慮して定めるということになります。具体的にどの程度の額になるかはちょっとわからないところでございますけれども、先ほど申し上げましたような機関に対する報酬というのが大きな割合を占めるということになろうかと思います。 二番目に、分割の納付ができないかという趣旨の御質問がございました。 この点は、各裁判所の判断でございます。一般的に申し上げますと、機関の報酬を確保する必要があるということでございまして、ある程度の、ある程度のと申しますか必要な費用はやはり最初に納めていただく、そういうような一括納付ができない程度にまで資力がないという場合には、これは事業の継続すらできないという場合も多かろうと思います。この点は、基本的には各裁判所の判断かと思いますが、恐らく一括納付という扱いが多くなるのではないかというふうに考えております。 それから、三番目でございますが、労働協約や就業規則の関係でございます。 再生債務者におきましてそういうものが制定されている場合につきましては、そういうものをすべて申し立ての段階で添付するというような形での規則を今準備しているところでございます。
○坂上委員 全部ですね、小さい組合も。 法務省、予納金の金額、この間おっしゃっていたんですが、もう一度おっしゃって、それと間違いないか。
○細川政府参考人 予納金は、ただいま御説明がありましたように種々の費用に充てられるものでございます。ですから、具体的な事案によって差があるわけですが、現在の和議事件の運用について例をとりますと、東京地方裁判所の例では、予納金の額は、債務者の負債総額を基準としまして、負債総額が五千万円未満の場合で二百万円程度、負債総額が百億円にも上る場合には九百万円程度だと言われております。 再生手続は、すべての法人及び個人を対象とするものでございまして、監督委員あるいは管財人等の機関の選任は必要的なものとなっておりません。また、簡易再生、同意再生といった手続を簡略化したものもございます。したがいまして、再生手続にはさまざまな態様なものがありますので、予納金の額についても非常に差が出てくるわけですが、少なくとも和議の場合には整理委員、管財人の二つの機関を必要的に選任しなければならないわけですが、再生手続の場合はそうでもございませんので、総体的には低くなるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○坂上委員 私は、ぜひ裁判所も、前半分、後半分、これは分けていいんじゃなかろうか。後半の分を納めなかったらこれは却下すればいいことでございますから、それぐらいの配慮をしていただきたいと思っております。 今お話を聞いても、予納金が二百万円である、九百万円であるということになると、私たち田舎の中小の人たちがこういう法律の適用を受けようとするならば、九百万とか二百万にはならぬだろうと思いますけれども、それでも五十万、百万という金額になったらこれはなかなか用意できません。そうだとしますと、何をするかといえば、倒産しますとちゃんと張り紙を出して、そして何々弁護士が管理しておりますのでだれも手をつけないでください、そして債権者会議を開いて、ある財産を債権の割合によって分配する、これが一番簡便なことだ、こう言われておりまして、そういうようなことになっているのですね。できるだけそういうことのないように、再建ができるならば再建の方法をやろうじゃなかろうか、こういう意味も持っておるわけでございますから、その辺も今後また検討もしていただきたいな、こう思っております。ぜひ私の意のあるところも御理解いただきたいと思います。 裁判所はもう結構でございます。 そこで、法務省の方から聞きたいのです。さっきも北村先生から聞かれたのですが、もう一度はっきりと、労働者の賃金のこの法律上の地位についてきちっと答えてください。
○細川政府参考人 まず、再生手続の開始後の労働者の賃金でございますが、これは共益債権でございます。ですから、随時、自由に弁済してもらうことができます。再生計画による必要はありません。そして、支払わなければ強制執行もすることができます。 それから、開始前の賃金でございますが、この制度の主要な対象として予定しております株式会社及び有限会社におきましては、これはそれぞれ規定がございますので、労働契約に基づく債権は全額一般先取特権がございます。したがいまして、再生手続上は、一般優先債権として共益債権と同じように随時、自由に弁済を受けることができて、かつ強制執行もできる。この点については租税債権、公租公課の債権と全く同じ扱いでしております。 そういうことで、労働債権の確保が図られているというふうに考えております。
○坂上委員 そうしますと、賃金を支払われないため差し押さえをしているというような場合、再生申し立てがあってもこれは何らの影響がないということになるのでしょうか。それから今度は、開始決定が出たのだけれども支払わない場合、差し押さえをしてもよろしい、これでよろしゅうございましょうか。それから、包括禁止命令ですが、これは賃金に関する限りはその対象にならないというふうに書いてあるのですが、念のためにお聞きをしておきたいと思います。
○細川政府参考人 開始前の保全処分で差し押さえ等の執行を停止することができるのは、再生債権についてに限られています。ですから、賃金債権は、先ほど申し上げましたとおり、一般先取特権があり一般優先債権として扱われておりますので、差し押さえ等は包括禁止命令等によっても中止することはできません。開始後についても同じです。 一つだけ申し上げておかなければいけないのは、百二十二条の第四項をごらんいただきたいと思いますが、百二十二条の第四項で「前条第三項から第六項までの規定は、一般優先債権に基づく強制執行若しくは仮差押え又は一般の先取特権の実行としての競売について準用する。」ということになっております。百二十一条の第三項をごらんいただきますと「共益債権に基づき」と書いてありますが、準用でございますから、これは一般優先債権に基づき「再生債務者の財産に対し強制執行又は仮差押えがされている場合において、その強制執行又は仮差押えが再生に著しい支障を及ぼし、かつ、再生債務者が他に換価の容易な財産を十分に有するときは、裁判所は、再生手続開始後において」云々「中止又は取消しを命ずることができる。」ということになっています。 ですから、賃金について差し押さえをとめることができるのは、容易に換価できる財産が他にあってそれによって弁済を受けられる、しかし、この差し押さえ財産が事業の継続に必ず必要であるもので、それを差し押さえられたら事業が継続できない、そういう二つの厳しい要件があるときだけとめられることになっておりまして、それ以外の場合にはとめられることは一切ございません。
○坂上委員 そうしますと、賃金で差し押さえをした場合、その差し押さえ物件が営業上どうしても、差し押さえを受けたら営業を継続するのに重大な影響がある、こういう場合はだめだというのですか。具体的にどういう場合を指すのでしょうか。 そういう場合は、担保権と同じように、現金を出して解除させるということはできないのですか。
○細川政府参考人 二つ御質問がありました。 営業の継続に必要なものであれば差し押さえができないかということですが、それは、その物件だけではだめでございまして、もう一つ、他に換価の容易な財産を十分に持っているということを証明しないとできない。 したがいまして、二番目の御質問で、他に現金があるから払うといえば、それは全額払ってもらって差し押さえを解除するのは全然差し支えないわけです。 一般優先債権は随時弁済できるという意味は、再生計画によらないで、かつ、再生計画が裁判所に認可される前でも弁済を受けられる、こういう意味でございます。
○坂上委員 さて、その次、法律的にはもう同じ、繰り返しなんですが、退職金はどうなるか。それから、希望退職募集条件として退職金の割り増し条項が定められた場合、割り増し条項は、いわゆる一般優先債権、先取特権としての該当に当たればそれに該当するのか。それから、社内預金はどういうふうに理解したらいいか。解雇予告手当はどういうふうに理解したらいいか。これをひとつ御答弁いただきたいと思います。
○細川政府参考人 退職金に関するお尋ねでございます。 まず、再生手続開始の申し立て後に退職した労働者の退職金の再生手続上の扱いは、退職の時期や理由または先取特権の有無によって、共益債権として扱われる場合、一般優先債権として扱われる場合、再生債権として扱われる場合に分かれることになります。 まず、再生手続開始後に使用者側の都合により退職があった場合、例えば整理解雇になった場合ですが、退職金請求権の全額が共益債権となります。ですから、随時、自由に弁済を受ける、計画によらないでも弁済を受けることができるということになります。 次に、再生手続開始後に被用者、つまり労働者の自己都合によって退職があった場合には、退職金請求権のうち、再生手続開始後の従業に対応する部分は共益債権となり、その余の部分については、民法または商法等の規定により一般先取特権がある部分は一般優先債権に、ない部分は再生債権になります。 先ほど申し上げましたように、株式会社、有限会社の従業員については、退職金についても、これは雇用関係に基づき生じたる債権でございますから、全額一般先取特権がございますので、全額一般優先債権となります。 さらに、再生手続開始前に退職があった場合でございますが、退職金請求権のうち、先ほど申し上げましたようなことで、一般先取特権がある部分は一般優先債権に、それから一般先取特権がない部分は再生債権になるということでございます。 次に、退職金の割り増し条項が定められた場合の割り増し条項部分について、一般優先債権として取り扱うことができるかという御質問でございます。 これも先ほど申し上げました退職金の一般的な取り扱いと全く同じでございまして、割り増しの対象となる退職金の先ほど申し上げましたような法律的性格に応じて共益債権なり一般優先債権や再生債権になるということでございます。 次に、社内預金でございますが、社内預金の取り扱いにつきましては、預け入れの時期や先取特権の有無によって、これも共益債権として扱われる場合、一般優先債権として扱われる場合、または再生債権として扱われる場合に分かれます。 まず、再生手続開始後に預け入れたものについては、これは全額が共益債権となって随時弁済を受けることができます。 次に、再生手続開始前に預け入れられたものについては、先ほど申し上げました雇用関係に基づき生じたる債権だというふうに解釈されるものについては、一般優先債権となります。その一般先取特権がない部分は再生債権となり、再生計画によって弁済を受けることになります。 社内預金は、会社と使用人との間の雇用関係に基づき生じたる債権というのが株式会社、有限会社に関する規定でございますから、要するに、労働契約に付随して合意されたとか、あるいは事実上、労働契約に関連して強制的に給料の一部が預かり金等の名目で会社側に預けられているという場合には、この規定の適用があって、一般先取特権があり、一般優先債権の扱いを受けるということになろうと思います。
○坂上委員 そうしますと、法務省の方は大体どういう規模の事業体を対象にされているのか。 それから、再生計画というのは何年以内に完了できるのか、その見通し等はどんなふうな御理解をしておられるのか、これもお願いします。
○細川政府参考人 御提案申し上げております民事再生手続は、私どもといたしましては、中小企業に利用しやすい枠組みを設定するということでございますが、法律上は対象を限定しておりません。ですから、大会社でも、利用しようと思えば法律上は可能でございます。 ただ、どういう場合に会社更生法が適当であり、どういう場合には民事再生法の手続が適当であるかという問題が生ずるわけですが、本法案では、中小企業等に利用しやすい手続とするために、担保権者、優先債権者それから株主は手続外としております。 ですから、まず端的には、ほとんどの債権者が担保権者であって、それが非常に巨大な額になっているというような場合には、そこのところを何とか変更しないと、期限の猶予等をしないと再生ができないという場合があります。そういう場合には会社更生の方がより適当であるということになります。 それから、株主の権利を変換しなければならないということがある場合には、これはやはり会社更生法が適当だということになります。 それ以外の場合には、民事再生法は従来の経営者がそのまま経営を続けることができるというのが原則でございますので、それを利用してやりたいという場合には、民事再生の手続が実施をされるということになろうかと思っております。 それから、どのくらいの期間でということでございますが、これはこれからの具体的な予測ですから確たることは申し上げられないわけですが、和議の場合でも、申し立てから半年以内に和議の開始決定があるというのが普通でございます。今回の手続はいろいろ改善しておりますので、私どもとしては、もっと早い段階で結論が出るようなことを運用いたしたいと考えている次第でございます。
○坂上委員 やはり一般の人の聞きたいのは、再生計画というのはいつ完了するのかということを実は聞きたいわけですよ。中小は、十年先だとかではもう意味がないわけです。そういう点について、立法者としては、大体再生計画は、例えば二年以内に解決するとか三年以内に解決するとかという、何かめどはありませんか。
○細川政府参考人 計画が認可された後に、その全部の計画に従って履行完了までどのくらいかかるかという御指摘でございます。 実は、会社更生法ではこの計画は二十年以内でなければならぬということになっているのですが、これは現在の社会情勢においては余りにも長過ぎるので、これではちょっと時代にそぐわないということで、本法案では法律上の上限として十年ということを設定しているわけです。 ただ、一般的に、常識的に言いますと、後の一千万円より今の百万円という話もございますものですから、これが余り長いと、結局は債権者の多数の同意を得られないということになります。ですから、債権者の多数の同意を得るためには、それなりの早い機会に相当の割合の弁済をするということが当然必要になってくると思います。この辺は、やはり再生債務者あるいは管財人と再生債権者との事前の話し合いということが大事になってくるところでございます。
○坂上委員 ちょっと話を進めます。営業譲渡のことについて聞きます。 営業譲渡によって、会社の優良事業部門や資産がそれに伴って売却されるあるいは随伴している等、明らかに近い将来、会社が破産に至ると見られるおそれもあるわけであります。こういう場合に、会社に退職金原資が残らないという事態が推定されるような場合、裁判所はこういう営業譲渡についてはどういう見解を持っておられますか。
○細川政府参考人 退職金支払い請求権の性質については先ほど御説明申し上げました。したがいまして、再生債権よりも優先して支払わなければならないということになるわけです。 そういたしますと、こういった共益債権または一般優先債権なる退職金支払い請求権が、これが弁済することができないということになりますと、再生債権者には一銭も払えないということになります。ですから、そういう場合には再生手続の目的を達することができませんから、手続を廃止せざるを得ない。ですから、そういう場合にはそもそも営業譲渡の許可ということが問題になり得ない、裁判所は営業譲渡の許可はしないということになろうかと思います。
○坂上委員 さて、営業譲渡で、例えば営業が二種類あって、一つは会社に残す、一つは営業譲渡をする、そういう場合もあり得るだろうと思うのですが、そういうことはそれでよろしゅうございますか。
○細川政府参考人 そういう事態も当然、法律上の枠組みとしてはあり得るというふうに理解しております。
○坂上委員 そうした場合、例えばそこの会社の従業員が二百名いた。そして、この二百名のうち百名の人はいわゆる営業譲渡の方に身分を引き継ぐ、そして百名は残る、こういうこともあり得ることでしょうか。
○細川政府参考人 営業譲渡の場合に、今御指摘のような場合に、労働者が先に転籍するという点の問題でございますが、そういう場合ですと、民法には、労働関係に関する債権というものは債務者つまり労働者の同意がなければ移転することはできないという規定があるわけでございます。ですから、そういうような事例でございますと、個別的労働者の同意がある、あるいは当初の労働契約の中に転籍等あるいは出向等を命ずることができる合意がある、あるいは就業規則の中にそういう規則があるというようなことでなければ、当然にはいかないということになろうかと思われます。それは私どもの直接の所管でございませんが、一般的には、学説上はそういうふうに言われていると考えております。
○坂上委員 さて、そこで、営業譲渡に絡まって、労働者は非常に大変な状況にあるのです。 まず、通産省お出かけでございまして、わざわざ政務次官にお出かけいただいておるそうでございます。大変恐縮でございます。 通産省は、この営業譲渡について、この条文については、相当営業譲渡はあり得るというふうに見てこの問題に対処されておるのでしょうか、もうほとんどないだろうというふうに見ておられるのか、その点だけが一つお聞きをしたい点でございます。
○茂木政務次官 営業譲渡がこれからふえるか、多くあるかという質問でございますが、まず、基本認識としまして、最近の企業経営において、集中と選択ということが一つの大変重要なキーワードだ、私はこんなふうに考えております。 委員御案内のとおり、アメリカでは既に、コアコンピテンスという言葉を使いますが、八〇年代、例えばGEのジャック・ウェルチだったりとか、いろいろな形で、自分の会社にとってどの事業が必要であるか、こういう観点から事業の再構築を行ってきております。これは、事業の健全な再構築においても、また法的な手続によります再建においても、だれが、そしてまたどの会社がその事業を行えば最も経営資源が有効に使えるか、こういう観点が最近の経営においては非常に重要なんだと考えております。 そういう観点から、再建型の倒産手続におきまして、早期に営業譲渡を行うことにより、信用の低下等による営業資産の劣化が防がれ、事業の再建が可能となる場合には、営業譲渡を行うことが経営資源の有効活用につながると考えております。これまでも、現行の倒産手続においても営業譲渡は行われてきているわけでありますが、この民事再生法におきましては、このような観点から、営業譲渡を法律上明記することによりまして、企業の再生に向けた多様な方策を用意させていただくということでございます。 ただし、この民事再生法案では、第四十二条の三項におきまして、裁判所が営業譲渡の許可を行う際には、労働者の代表に意見を聞かなければならないこととするなど、営業譲渡に係る手続を法律上明記しており、委員の御質問でございますが、必ずしも、営業譲渡が安易に行われるケースがふえる、そのようなものではないと考えております。
○坂上委員 裁判所が形だけ意見を聞いて、わかりましたと言われてやられる場合だって、結構我々の実務であるのです。 だから、私は、これは労働組合の同意に近い意見が採用されて運営されなければならぬ、こう実は思っております。これは裁判所の運用の問題ですからどうだとは言いませんが、とにかく、今おっしゃるとおり、労働者の地位が危うくなる、そういうことをできるだけ防止しよう、こういうことが目的でございますから、裁判所が労働組合から、労働者から意見を聞いても、聞きおくだけではだめなんでございまして、実質的に効果が発生するような対応をしていただかなければならぬ、こう思っておるわけであります。 そこで、労働省お出かけでございますが、今大変有名な労働問題が出ております。大阪の信用金庫、信用組合に関する営業譲渡によるところの地位の承継がどうなるかということでございます。一つの方は、営業譲渡をするに当たってはもう従業員は雇用しない、こういう営業譲渡が行われているんですね。もう一つの方は、結局裁判になっておるそうでございますが、この辺、労働省の方では御理解していただいておるでしょうか。 そうして、こういうような場合、営業譲渡というのは、法務省の答弁によりますと、これは労使の問題だから労使の間で議論をすべきであって、当然身分は付随してついていくということにはどうもならない、こんなような感じに実は私は見ているのでございます。 まず、営業譲渡に関連をして判例が区々に分かれております。こういうふうな観点からいうならば、もうそろそろ判例を統一しなければだめだ、判例が統一できないならば、法律でもってきちっと身分を確定するようにつくらなければならぬ、こう思っておりますが、労働省、どんなでございましょうか。
○長勢政務次官 今、個別の事案については意見を申し上げることは差し控えさせていただきますが、営業譲渡の際の身分、雇用の継続等について、今までもいろいろな議論、判例等があります。御案内のとおり、当然承継とするものもあれば、労働者の同意を必要とするという趣旨の学説、判例等々、区々にまたがっておることは御案内のとおりでございます。 基本的にこの問題は労使間で決定されるべきことと思うことが一つでございますけれども、具体的にいろいろな事案も生じておることでございますので、法的措置を講ずることが必要かどうか、また合理的かどうかということは、十分見きわめて、法的措置も検討しなければならない時期に来ておるかなと思っております。 労働省といたしましても、さきの通常国会におきまして産業活力再生特別措置法に対する附帯決議もあったところでございますし、今後、企業の組織変更に伴う労働関係について、いろいろなケースも想定されますので、それらを踏まえ、必要な検討を今進めておるところでございます。ぜひ、この検討を進めたいと思います。
○坂上委員 法務省、いかがですか、この問題は。これからまた通常国会になって、たくさん問題が起きてくるわけです。分社するというのでしょう。分割するというのでしょう。そうした場合の労働者の身分はどういうふうになるかというのです。どうも、皆さんから文書で回答をいただいたのを見ると、あくまでも労使の間で協議されるべき問題だということが終始一貫流れているんです、私はちょっと不満なんですが。 何はともあれ、いわゆる営業譲渡というのは、その営業と従業員が一体となっていたわけです。それで、それに必要な人数がそれに随伴して一緒に職場が動くというのは当たり前だろうと思うのです。それが、労働協約によって採用するかしないかみたいな事態があったら、これは私は賛成できません。私は本当に、この法律はまかり間違いますと労働者弾圧立法になるな、実はこういう心配をしているんです。しかし、うちの二人の先生がおっしゃったとおり、民事再生をしようというふうな気持ちがあるものだから、できるだけ努力はしているんでございますが。 本当に、身分の関係からいって、私はやはりこの辺で、営業譲渡の場合、従業員が随伴した場合においては、当然その先に身分は継続するということは、これはうたわないといかぬと思っていますが、いかがですか。
○細川政府参考人 営業譲渡と労働契約の関係につきましては、坂上委員が御指摘のとおり、実は、最高裁判例がなくて、下級審の判例がいろいろ考え方が分かれている、それから学説も同様に分かれているということで、さまざまな考え方があるんです。 ただ、一つだけ申し上げられることは、営業譲渡だからすべての労働者を全部承継しないということが争われているわけではなくて、問題になっている事案はすべて、特定の労働者を排除したときに、合理的な理由がないのに排除していいかどうかということが裁判の上で争われているわけなんです。そこにつきましては、結局、理論の組み立て方によって議論の仕方が変わってくるわけなんですが、いろいろな学説を見ましても、当然、合理的理由がないのに承継しないでいいんだというふうに言っている判例も学説もないように私は理解しております。 つまり、当然承継説でございますと、譲り受け人が承継しない場合には解雇になりますから、その解雇の正当事由があるかどうかと争われるわけですね。いわゆる非承継説ですと、これは要するに整理解雇の要件があるかどうかという問題になってきまして、整理解雇については判例が確立しておりまして、四条件があるわけですから、そういうものを適用するという状態であろうと思っています。これが現状でございます。 次に、企業再編に伴う一般的な労働者の地位の保護というのは極めて大事な問題でございまして、私どもも、こういう問題があるということは十分認識しております。 先ほど北村委員の御質問に対して法務大臣からお答えしましたように、私どもとしては重大に受けとめており、かつ、先ほど労働政務次官からもお答えがございましたように、労働省もこの点については検討しておられるということでございますので、私どもも、労働省と協力して、よい法律ができるようになればいいなというふうに思っておりますし、協力は惜しまないつもりでございます。
○坂上委員 私は、質問事項を四十ぐらい出しているのでございますが、まだ半分もいかないのでございます。また時期を見て質問させていただきますが、きょうはできるだけ質問を続けさせていただきます。 まず、今度は小さい話ですが、労働賃金が共益債権になる条文というのはどれですか。
○細川政府参考人 再生手続開始後の従業の対価である賃金債権は、百十九条第二号の再生手続開始後の再生債務者の業務に関する費用の請求権に該当するという解釈でございます。これは会社更生法にもほぼ同様の条文がございまして、そちらの方でこのように解釈されておりますので、この点は問題ございません。
○坂上委員 その次、少額債権とか言われておりますが、これは大体幾らぐらいを指すのでございますか。
○細川政府参考人 御質問は、法案八十五条第五項の少額債権の意味をお尋ねと思われますが、どのような債権が少額債権に該当するかは、客観的な金額によって一律に定めるものではございません。それぞれの事案ごとに、再生債務者の負債総額、弁済の資力、債権者一人当たりの債権額の分布等の関係において相対的に決せられるものでございます。 実は、この点についても会社更生法百十二条の二第四項に同様な規定がございまして、その点の解釈が参考になるのではないかというふうに思います。
○坂上委員 その次、この法律の中に「中小企業者」、こう書いてありますが、中小企業者というのはどういうものを指すんですか。
○細川政府参考人 法案八十五条第二項に規定する中小企業者は、再生債務者と当該債権者のそれぞれの規模から相対的に判断されるものであります。そして、この中小企業者は、再生債務者よりも規模が小さいものであることを念頭に置いております。 この点につきましては、同趣旨の規定である会社更生法百十二条の二第一項についても同様に解されているところでございます。
○坂上委員 その次、百五十五条一項、二項、三項、再生計画による権利の変更について具体的に聞きたいんですが。
○細川政府参考人 百五十五条全体は、再生計画による再生債権の権利の変更、例えば期間の延長とか減免とか、そういったことを定める規定でございます。 まず第一項は、再生計画による権利の変更の内容は原則として再生債権者間で平等でなければならないというふうにしておりますが、債権者の同意がある場合や公平を害しない場合には、例外的に一部の債権者を有利または不利に扱うことも許されるということを定めるものでございます。例えば、不利に扱う例としては、親会社が子会社の倒産に責任があるとすれば、親会社の債権を若干不利に扱うということもございます。また逆に、少額債権とかそういう場合については若干有利に扱うということもあり得るわけでございます。 それから第二項は、再生計画によって債務が負担されたり債務の期限が猶予されるときは、その期間は原則として十年を超えない範囲内で定めるべきことを定めるものでありまして、この点については先ほど御答弁申し上げました。 次に第三項でございますが、再生手続開始前の罰金等につきましては、制裁として科される支払い義務であるという特性にかんがみて、減免その他の権利を変更することはできないことを定めるものでございます。
○坂上委員 その次に、第二十五条第一項四号、「誠実」という意味ですが、これは信義誠実の原則という、私らは基本的な解釈としては知っておるのでございますが、あとはほとんど法律の中に出てくる言葉ではありません、誠実というのは。これはどういうふうに解釈したらいいですか。
○細川政府参考人 お尋ねは、法案第二十五条第一項第四号の、許可しない条件の中にある申し立てが誠実になされていないということだというふうに理解いたしましたが、この「申立てが誠実にされたものでないとき。」とは、真に再生手続の開始を求める意思や真に再生手続を進める意思がないような場合を指すものであります。 具体的には、専ら債権者からの取り立てに対して時間稼ぎを図るために申し立てをした場合のように、事業または経済生活の再生以外の目的のために申し立てをした場合などが考えられます。 これをもう少し具体的に御説明しますと、和議法の一つの欠陥と言われておりますのに、保全処分の乱用ということが言われまして、和議を申し立てまして弁済禁止の仮処分が出ますと、実は手形を支払わなくても不渡り処分を受けないわけです。そうやっておいて時間をつないでおいて、適当な時期に取り下げてしまうということがあったものですから、それはいけないということで、実は申し立てが誠実でない一つの例なんですが、先ほど申しましたような弊害につきましては、保全処分が出た場合には裁判所の許可を得なければ取り下げることはできないという規定を置いたわけでございまして、そういうことも実は和議法を廃止した一つの理由でございます。
○坂上委員 聞いておきます。 それから、大事なことの一つですが、再建計画の取り消し申し立て権者、これは従業員または労働組合も含ませるべきじゃないかと私は思っておるんです。いわゆる再建計画の上に立って労働者が働くんですね。ですから、一番知っているのは労働者諸君なんですね。それが、計画はあるんだけれどもどうもおかしいというような事態だって起きかねないものですから、私は、申し立て権者はいいですが、この取り消し申し立て権者は、いわゆる従業員や労働組合が申し立て権を付与してもらうべきなんじゃなかろうか、こう思っておりますが、これはいかがですか。
○細川政府参考人 再生計画は、債務者と再生債権者との間の民事上の権利関係を調整するために、再生債権者の権利の全部または一部を変更する条項を定めるものであります。一般的には、全体の何割しか払わない、その余は免除する、そういうような条項が定められるわけです。 再生計画の取り消しの制度は、計画の履行がされない場合等において、計画によって変更された再生債権を原状に復させる点に主たる効果があります。ですから、再生計画で免除したものが、再生計画を取り消しますともとに戻るということになるわけです。 したがいまして、労働者の賃金債権、退職金等は、先ほど来申し上げておりますように、もともと全額行使できるものでして、再生計画によって減免という効果は生じないわけです。ですから、それを取り消しても、減免がもとへ戻る、原状に復するということはないわけですから、再生計画の取り消しによって権利に何ら影響を受けないということから、これは、一般優先債権のある人については、あるいは共益債権については再生計画の取り消しの申し立てをすることはできないということにしたわけです。 もっとも、先ほど来申し上げておりますように、従業員や労働者が、要するに優先権のない再生債権を持っている、そういう場合には、これは当然再生債権者ですから取り消しの申し立て権を有するということになるわけでございます。
○坂上委員 それはそれで聞いておきましょう。 その次に、法人役員の損害賠償請求権、これはどのような請求原因、発生原因になっておるのでございますか。どういう点を満たしているんですか。
○細川政府参考人 法案百四十三条の規定による法人の役員に対する損害賠償請求権とは、当該法人が役員に対して、委任関係等に基づき責任を追及することができる場合における損害賠償請求権を意味するわけでございます。 民法の規定でいいますと、六百四十四条で受任者の善管注意義務という規定がございますから、この規定に違反した場合、あるいは株式会社の取締役でございますと、これは委任関係ですから、先ほどの民法の規定が適用されるほか、さらに、取締役の忠実義務の規定がございますので、こういった違反に対する損害賠償請求権、あるいは、監査役についても商法上は同様の規定がございますから、こういった委任関係に違反し、あるいは忠実義務に違反した場合のその会社の当該の役員等に対する損害賠償請求権というのがこれに当たるわけでございます。
○坂上委員 損害賠償をとれた場合、これはどうなるんですか。だれが使うんですか。
○細川政府参考人 これは本来、再生債務者に帰属すべきものですから、会社の役員等が損害賠償を支払った場合には、それはこの法律で言う再生債務者財産になりまして、まず共益債権や優先債権のある人に対する弁済に充てられ、残りは再生計画に従って再生債権者の弁済に充てられるということになるわけでございます。
○坂上委員 民事再生手続における労働組合等従業員の手続関与について文書をいただいておるわけでございます。 まずその一つは、営業譲渡の許可をする場合、意見を聴取する、四十二条第三項。債権者集会を招集する場合、裁判所から組合員に期日通知をする、百十五条三項。財産状況報告集会において労働組合が意見陳述をする、百二十六条第三項。提出された再生計画案について、裁判所が労働組合から意見を聴取することができる、百六十八条。可決された再生計画の認可、不認可について、労働組合が意見を陳述することができる、百七十四条三項。再生計画の認可、不認可の決定があった場合は、裁判所から労働組合等へ通知がある、百七十四条第五項。簡易再生または同意再生の申し立てをする場合には、再生債務者等から労働組合にその旨を通知する、二百条第二項、二百六条第四項。 こういうふうに今あるわけでございますが、これは形式的な、ただ聞きおくだけではやはりいかないわけでありまして、名実ともに実態的にお聞きをいただくということを期待したいと思っているんですが、まず民事局長、それから大臣からもお聞きをしたいと思っています。
○細川政府参考人 民事再生法案におきましては、ただいま坂上委員御指摘のように、労働組合にいろいろな通知を申し上げ、あるいは意見をいただくということを相当多数にわたってしております。 これはなぜかと申しますと、やはり会社が再生するには、その会社の従業員、労働者の協力が必要不可欠でございまして、この会社はだめだと思って従業員の人が皆さんやめてしまえば、その再生はできないことは明らかでございます。そういう意味で、また労働者の地位にも再生計画が間接的ではありますけれども影響を及ぼすわけですから、やはり最も利害関係の大きい労働者の人たちの意見を聞かなければならないという趣旨で設けたものでございます。 ですから、それは裁判所も、当然のことながら、これは形式的に聞くということでは裁判所の責務を果たしたことにならないと思いますから、私としては、そういう意見がございましたら、裁判官は当然これを十分に尊重して御判断をされるというふうに考えておる次第でございます。
○坂上委員 大臣、いかがでしょうか。
○臼井国務大臣 今参考人がお話し申し上げましたとおり、手続を進める上でもって当然のことながら尊重されるべきだと思います。
○坂上委員 時間が来たからこれでやめますが、働いておる従業員の方、労働者の方々は、もう本当に自分らの職場がだめになるかどうか、そして職場を守るために必死になって努力をしているわけでございます。 したがいまして、例えばこの法律が出ることによって、まさに根こそぎひっくり返されるというような事態があったのでは大変でございます。何としても、自分たちの職場をどうやったら守ることができるかという、働く人たちの心情というものを十分踏まえていただきまして、この法律の運営に当たっては、そういう観点から対応していただきますことを期待いたしまして、私の質問、本日は一応終わらせてもらいます。 ありがとうございました。
○武部委員長 御苦労さまでした。 次回は、来る三日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時五分散会