法務委員会 第8号
- 発言数
- 175 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1999/11/24
会議録
○武部委員長 これより会議を開きます。 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。 この際、お諮りいたします。 各件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣内政審議室内閣審議官石井信芳君、警察庁長官関口祐弘君、警察庁長官官房長石川重明君、警察庁生活安全局長黒澤正和君、警察庁刑事局長林則清君、警察庁交通局長玉造敏夫君、科学技術庁研究開発局地震調査研究課長野村文昭君、国土庁防災局長生田長人君、法務省刑事局長松尾邦弘君、法務省人権擁護局長横山匡輝君、法務省入国管理局長町田幸雄君、郵政省電気通信局長天野定功君、建設省河川局長竹村公太郎君、自治省財政局長嶋津昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○武部委員長 次に、お諮りいたします。 本日、最高裁判所千葉民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○武部委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○武部委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡宗也君。
○福岡委員 民主党の福岡宗也でございます。 本日は、犯罪被害者の支援対策について御質問を申し上げたいと思います。 まず冒頭に、法務大臣に対しまして、被害者対策の基本的な考え方についてお伺いをいたしたいと存じます。 近時我が国では、サリン事件のような無差別大量殺人、駅構内における通行人の殺害事件、毒物カレー事件などの薬物によるところの殺傷事件、さらには、通り魔事件とか性犯罪事件等が多発をいたしております。国民のだれもが、いつどこで凶悪な事件に巻き込まれて、幸せな生活を奪われて、甚大な損害を受けるか全くわからないような世相になってきておるわけであります。 もちろん、これを抜本的に抑止するためには、教育等によるところの倫理、道徳観の確立、さらには、犯罪に対処するための治安維持のための方策ということが必要ではございます。しかし、犯罪の要因というのは、予測しがたいいろいろな原因がございます。歴史的に見ても完全抑止ということはできないわけでございます。 このような社会的病理現象ともいうべき犯罪被害者に対して、単に運が悪い、また、犯罪に巻き込まれた責任が一端あるんじゃないかとか、こういうようなことでもってこの問題を放置する、これは問題がある。むしろ、これは社会現象のひずみとして、国または地方公共団体が犯罪被害者に対して十分な支援をなすべき責務があるんだ、こういう声が大きくなってきているわけでございます。 すなわち、犯罪被害者は、その救済の手続というものを含めて、単に被害者の個人的な問題、また被害者と加害者との間の私人間の問題ということではなくて、社会のマイナス、病理的現象から生ずる社会的損失だ、したがって、これをカバーするのは社会全体としてカバーをしていく、補償していく、こういうことが基本的に近代国家としてはなされなければならない、かように考えているわけであります。 我々、立法に携わるところの者といたしましては、やはりこのような要請を真摯に受けて、このような、社会全体で支えようとするような被害救済制度というものを確立しなきゃならぬ、かように考えておるわけであります。 また、国際的に見ても、一九八五年に国連の犯罪防止会議は国連被害者の人権宣言を採択いたしております。犯罪被害者の権利保障についての詳細なルール、基本原則を明記しております。そして、各国に対してこの原則に従った政策の実施を求めておるわけであります。 簡単に言いますと、欧米を中心として、これらの政策を具体的に実施している国がたくさんあります。それはまず第一番に、刑事手続において被害者の地位というものがどういう立場なんだと。直接の当事者ではありませんけれども、やはりどうしても不可欠な要素、準当事者ともいうべきものであって、その権利擁護も十分に手続上図る必要があるということであります。それから、経済的なものですね。やはりそれによって一挙に、本人はもとより家族を含めて生活困窮に陥る。それからさらに、被害の直後からのいろいろな医療であるとかカウンセリングであるとか、家を失って直ちにそれに対して対応するとかという、危機的な支援体制というようなものも必要だということが具体的に明示されているわけであります。さらに、社会全体ということの中で、やはり、イギリス、ドイツ、アメリカ、これはいずれもボランティアの大きな組織というのができております、民間団体で。そういったものの制度でもっての支援というものができているわけであります。 振り返ってみますと我が国の実情はどうなんだということなんですけれども、具体的な施策としては、五十五年に犯罪被害者の給付金の支給法というのが制定されております。これによって具体的な経済的な損失というものをカバーしようということでありますし、それから刑事事件においても、証人の地位の問題なんかを、やはりその安全を保証するとか、それから威迫から免れるための新しい罪を新設するというような問題、それから警察庁の方でも、カウンセリングの問題であるとか、対策室についていろいろな相談を受けるというような対応は一応はされておりますけれども、それは本当に個々ばらばらの不十分なものであるわけであります。 したがって、やはり基本的に、犯罪被害者の権利憲章ともいうべき、国連の規定にのっとったようなものを制定する、それから被害者の法的救済も体系的にきちっとした形のものを整備していく、そしてそれによって被害者救済に万全を期す、こういうようなことが必要だろうというふうに思っております。 特に我が国の憲法を見ましても、十三条の個人の尊重であるとか生命身体の自由、それから幸福追求の自由、また二十五条の生存権の保障というのは規定があるわけでありますけれども、これらの規定は、やはり国家に対してこういうものを守るべき施策を求めているわけであります。この憲法の規定だけでは具体的な請求権の根拠にはなりませんので、直ちに立法してこれを施策せよということが要求されているわけであります。我が国の経済情勢、さらに欧米諸国の情勢等から見れば、我が国といたしましては、これらの実施を強く要請されておると考えざるを得ないわけであります。 その意味で、遅きに失したこれらの対策、法務大臣としてはどのような対応を考えられ、また、どのような理念を持ってこれに対応されるのか、まずお伺いをしたいわけであります。
○臼井国務大臣 今委員御指摘のとおり、犯罪被害者に対する対策、日本ばかりではなくて国際的に大変大きな関心を呼んできているわけでございます。近年の刑事法におきましては、犯罪被害者には犯人に対する報復等の私的な制裁は認められておらないわけでございまして、法秩序を維持して社会における正義の実現をする、そうした観点から、国家が刑罰権の行使等の措置を行うことによりましてこれに対処するということにいたしておるわけでございます。 犯罪被害者の救済の問題につきましては、種々の分野におきまして検討課題もあるところでございますが、とりわけ刑事司法におきましては、被害者は現実には事件により被害を受けた当事者でありますことから、その立場を尊重して、その心情、名誉あるいは被害回復につきまして十分な配慮が図られるべきものでございます。また、そのことが刑事司法における国民の信頼を一層確保することにもつながるもの、このように考えております。
○福岡委員 基本的には、やはり被害者のこういう救済というものが権利として、特に基本的人権の延長線上にある問題だというとらえ方をしていただきたいというふうに思うわけであります。 そこで、不十分ではあると私申し上げましたけれども、現在の我が国においてもいろいろな形で、先ほど指摘しましたように、救済方法がとられておりますので、その現状を正しく把握するために、現在の制度が大体どのようなものがあるかということを簡単にまず御説明をいただきたいというふうに思います。まず法務大臣の方からお願いいたします。
○臼井国務大臣 現在、犯罪被害者の保護、救済のための施策につきまして、いろいろなものがございますが、法務省におきましては、現在は、刑事手続に関して早急に手当てを求められているものを中心にいたしまして検討を行っているわけでございます。 現在行っております施策については、法務省の所轄事項のものについて申し上げたいと思いますが、例えば平成十一年度から、全国統一の制度として、検察庁における事件の処理結果等を被害者等に通知する被害者等通知制度を導入いたしたところでございます。 さらには、被害者が被害相談、事件処理の照会等を地方検察庁に対して行う際の身近な相談照会先として、全国の地方検察庁に被害者ホットラインの名称で専用電話などを設置いたしております。 以上、申し上げたような施策を現在進めているところでございます。
○福岡委員 それでは、引き続きまして、警察庁の方からその点について対策をお伺いしたいと思います。
○石川政府参考人 警察庁が行っております犯罪被害者対策の現状でございますが、犯罪の被害に遭われた方々、特に殺人事件などの凶悪事件あるいは性犯罪の被害に遭われた方々につきましては、体とか財産などの直接被害のみにとどまりませず、精神的にも大きな打撃を受けておられるわけでありまして、そういう意味で、委員御指摘のとおり、社会からの支援を必要としているという認識を持っております。 そこで、こうした被害者の厳しい現実に現場で最初に接するのが警察でございまして、しかも、そこでの対応いかんが被害者の社会的な立ち直りに極めて深くかかわっている。こういう認識のもとに、警察庁におきましては、平成八年二月に、全都道府県警察に対しまして被害者対策要綱というものを示しまして、現在、全国挙げて、被害者への情報提供、それから相談・カウンセリング体制の整備、それから捜査過程における被害者の負担軽減の措置、あるいは被害者の安全の確保といったようなことについて、活動に取り組んでおるわけでございます。 とりわけ、被害者のニーズが大変高うございます情報の提供に関しましては、刑事手続等をわかりやすくまとめました被害者の手引を態様別に作成いたしまして配布する。あるいは、殺人、性犯罪等の身体犯それからひき逃げ事故、交通死亡事故の被害者や遺族の方々に対して、捜査状況等の連絡を行うための被害者連絡制度を実施しております。また、性犯罪被害者への対応のために女性警察官による相談窓口の開設、あるいは事情聴取などの被害者の心情に配意をした捜査活動を推進しておるわけでございます。また、被害直後に被害者に寄り添って支援を行う被害者支援要員制度というものを導入しておるところでございまして、こうした観点から、被害者支援のための施策を組織的、総合的に今推進しているというところでございます。 さらに、被害者のニーズが非常に多岐にわたっておるものでございますので、関係機関や民間ボランティア組織とのネットワークの構築といったようなことにも今努力をしておる、そういう状況でございます。
○福岡委員 わかりました。 そのほかに、先ほどちょっと私が触れました犯罪被害者給付制度の内容について、特に、一人当たりの平均支給額がどの程度になっておるかということと、それから十年度の支給額の予算総額ですね、実際に支給した金額、総額がどの程度のものであったか、これを御説明をお願いいたします。
○石川政府参考人 ただいまお尋ねの犯罪被害者給付制度の運用状況でございますが、これは、昭和五十六年に施行されました犯罪被害者等給付金支給法に基づきまして、不慮の犯罪被害に遭われ死亡した方の御遺族あるいは重い障害が残った被害者の方に対しまして、社会の連帯共助の精神にのっとって、国が見舞金的性格の給付金として支給を行うという制度でございます。 平成十年中には、二百二十八人の遺族あるいは被害者の方々に約五億八千万円を給付してございます。一被害者当たりの平均支給裁定額は約三百八十二万円となっておるわけでございます。 参考までに、昭和五十六年の制度発足以来、平成十年末までの十八年間の累計でございますけれども、三千九百六十二人の遺族、被害者の方々に合計で約九十二億六千万円の給付がなされております。これで一被害者当たりの平均支給裁定額を見ますと、約三百六十六万円という状況にございます。 今後とも、この制度の適正な運用に努めてまいりたいというふうに考えております。
○福岡委員 どうもありがとうございました。 そこで、次の質問ですけれども、本年の十月二十六日に、刑事手続における被害者の保護、救済という面から、法務大臣から法制審議会に対して諮問がなされたというふうに聞いております。 その諮問内容と、このような諮問をなしたその理由等について、簡単に御説明をいただきたいと思います。
○臼井国務大臣 近時、国民の間で、犯罪による被害者に対する配慮を求める声が一段と高まってきております。犯罪被害者の保護の問題は多岐の分野にわたるものでございますけれども、とりわけ、刑事手続の分野におきましては、被害者は、刑事司法の過程でいわゆる二次的被害を受けることがあること、刑事訴訟手続への十分な関与の機会が与えられていないこと、的確迅速な損害の回復を受けることが困難であること等々が指摘をされているところでございまして、刑事手続において被害者に対し適切な配慮を確保して一層の保護を図ることは、司法制度に対する国民の信頼というものを確保する上でも喫緊の課題となっております。 このようなことから、本年十月二十六日に法制審議会に対しまして、刑事手続において犯罪被害者への適切な配慮を確保し、その一層の保護を図るための法整備について諮問を発出いたしまして、現在、法制審議会刑事法部会におきまして御審議をいただいているところでございます。 同審議会におきましては、十分な御審議がなされた上で答申をいただきまして、来年の通常国会に法律案を提出できるように鋭意努力をいたしてまいりたいと考えております。
○福岡委員 これらの諮問というのは、やはり犯罪被害者に対するいわゆる刑事裁判におけるところの地位というものをはっきりと位置づけるということで大事なものだと思いますので、早急な答申を得て、ぜひとも早く実施をしていただきたいというふうに思っています。 しかしながら、これを実施するについてはやはり四つのことに留意していただきたいと思うのであります。 その第一は、被害者のプライバシーを尊重して、くれぐれも第二次被害的なものを発生しないような配慮、特に報道等によるところの第二次被害が非常に問題になっておりますから、そういうものに対する対応ということが第一番です。 さらに、捜査段階において、犯罪被害者に敬意と共感を持って接して、被害者と加害者との関係、いろいろな関係がありますね、肉親であるとか取引の関係とか、そういうものによるところの偏見なんかを持った取り調べをするということについての苦痛の除去とか配慮というものが必要であるということ。 さらには、いろいろな考え方があります、信条であるとかさらには宗教の違いであるとか、いろいろな問題がありますけれども、そういったものの偏見取り調べというのが非常に問題になっておるわけでありますので、そういったものの配慮が必要です。 さらに、四番目としては、そういう被害者のことを強調すると、だからといって、被疑者や被告人の利益のことはいいんだというふうになっては困るわけなので、あくまでも、反対尋問権の保障等を含めた十分な被疑者、被告人に対する配慮というものとのバランスを忘れてはいけない。 こういう四点がありますけれども、これをぜひとも守っていただきたい、法制審議会の討議の中においても十分に議論をしていただきたいということをちょっと注文いたしておきたいというふうに思います。 次に、当面問題になっておる被害者対策として、緊急の要請のことはどういう点だという点についてちょっと御質問をいたしたいわけであります。 私の考えるのに、現在言われておる一番緊急の要請というのは、被害直後におけるところの危機状態、それによって医療にかかるとか、家を失って路頭に迷うとか、それから生活費があすからのものまでなくなってしまうというような状況に追い込まれるとかという緊急状態に対する対応というのが現在は十分にされていないということが一点あります。 それから、先ほどからもちょっと問題になっていまして、警察庁の方も対応はされておりますけれども、医療と精神的なカウンセリングの問題、これについてもまだまだ不十分であるわけですし、それから報道被害とか第二次被害のようなものに対して、やはり的確にそれに対応し、避難をするような施設とかそういうものも十分ではないということであります。 それからさらに三番目が、先ほどから私も質問いたしました、経済的な被害の回復の問題。今、給付金制度がありますけれども、これは最高額は一千万ちょっとであります。そして、先ほどのお話ですと三百六十六万というのが平均ということになっておりますし、要件もかなり厳格で手続しにくいという声が多いんですね。したがって、先ほど言いましたように、非常に利用者が少ないというのはそういうようなところから来ておるわけであります。 特に、交通事故の強制賠償、これは三千万なんですね。保険という面はありますけれども、ともかく社会全体で補てんしていこうという考え方で交通事故の場合は三千万という形が最高限になっていますけれども、それよりも三分の一以下、こういうような状況というのが本当の意味で国家的、また地方公共団体なんかの公的機関の負担としていいのか、こういう問題になっているわけであります。 ちなみに欧米では、国民一人当たりで大体五百円前後ぐらいの負担でそういった被害者救済なんかやっているようですけれども、日本はわずかに五円ぐらいのものだということで、百分の一ぐらいだ。しかも、没収であるとか追徴とか罰金なんか、そういったものが財源に充てられておるというわけでありますけれども、日本ではそういったところがないということがあるわけであります。 したがって、財源もそういうようなことを考えれば十分に賄えるし、年間、十年の総枠が五億何千万というのですよ。本当に微々たるものですね。だから、これを充実させてふやしても、国家予算からすれば本当に微々たるものというふうにもとれるわけであります。それによってある程度生活が安定し、家族の一人が、特に中心になる人が亡くなられた場合においても、ある程度の補償というもので生活の足しになるというような形になってくるというふうに思うわけであります。 したがって、これらの点については早急に抜本的に見直しを図る。先ほども警察庁言いましたように、見舞金としてとおっしゃいましたね。まさにこの制度はそうなんですよ、見舞金、恩恵です。そうではない、権利としての制度というふうに考えれば、少なくとも自賠法の三千万を超える金額という補償をする。しかも、それは損害に応じてですから、何も常に三千万払うということではありませんよ。三千万を超えるものにすれば、平均は数百万円ぐらいか一千万近くぐらいになるかもしれませんけれども、それでも大した予算ではない。 ぜひともこれは早急に着手をしていただきたいと考えますけれども、この点についてはどのように考えておられるのか、法務大臣の御所見をお伺いしたいわけであります。
○臼井国務大臣 ただいま御指摘いただきましたとおり、犯罪被害者の場合はさまざまな被害というものを受けるのでございます。このように、犯罪被害者支援の問題につきましては広範多岐にわたるものでございます。法務省におきましては、現在、刑事手続に関して早急に手当てを求められるものを中心として検討を進めておるわけでございます。 なお、先般、犯罪被害者対策を検討するため、犯罪被害者対策関係省庁連絡会議が設置をされたところでございますけれども、法務省といたしましても、これにできるだけ協力してまいりたい、このように考えております。
○福岡委員 今、給付金の制度の問題は警察庁の方の管轄という形でやっておられますけれども、それはそれでもいいんですが、やはり法務省として抜本的に総合的に見直しをする、しかも目的も、先ほど言いましたように権利というものに位置づけてきちっと体系的に見直すということになると、やはり責任は法務省の方においてそういう制度を考えてもらう。したがって、今の給付金制度は廃止をして新しい観点からの制度を構築していただきたいというふうに思いますので、ぜひともそれは早急に御検討をいただきたい。すぐにでも法制審議会に、刑事裁判上におけるところの地位の問題だけじゃなくて、総合的な救済について直ちに諮問をしていただいて、御検討を始めていただきたいということを要望しておきます。 最後になりましたけれども、結局のところ、この被害者の救済の制度というものは、私が今まで述べておりましたように、その都度、問題があることごとに個別的に対応するのではなくて、総合的に理念、目的というものを明確にする、犯罪被害者というものはどういうものなんだと。だから、そういう点をきちっと踏まえて基本的な対応をしていくという、いわゆる基本法を制定していかなきゃならぬというふうに思うわけであります。 すなわち、その基本法の中身は、今も言いましたように、目的とか理念というものをここで明確にする。それはどういうことかといえば、憲法上の生存権等の基本的人権に基づく権利であるということを明確に位置づける。さらに、その具体的な対応としては、先ほど私が言いました国連の被害者の人権宣言の基本的な原則に定める内容をやはり具体的に盛り込むべきだというふうに思います。 その第一番は、被害者はやはり個人として、先ほど言いましたように、捜査の段階、あらゆる場面において尊重される存在であるということが一つであります。それから、物質的、精神的、心理的、社会的支援を受ける権利があるということ、さらには被害の回復を求める権利もある、それからさらに加害者の刑事手続に関与して、知る権利もある、こういうようなことを十分に保障するという内容を体系的に基本的に盛り込んで制度を構築する、こういうことがぜひとも必要だというふうに考えるわけであります。 かような考え方に基づいて、基本法の制定の御意思ありや否や、法務大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
○臼井国務大臣 御指摘をいただきましたとおり、犯罪被害者の支援の問題につきましては、精神的、経済的な支援を含めまして、多岐の分野にわたるものでございます。 先生御指摘の、いわゆる被害者対策基本法を制定すべきではないかとの御意見があることは承知をいたしておりますが、それらの必要性といった事柄等につきましては、既存のさまざまな対策というものを改善していく、あるいは新しい具体的な施策を講じていく、そうした中で総合的な見地から検討していただくのが適当ではないか、このように考えております。 私ども法務省といたしましては、その所轄する事項についてどのような施策を行うのが一番適当か、今後ともしっかりと検討してまいりたいと思います。
○福岡委員 検討をしていただけるということなんですけれども、私が申し上げたいのは、先ほど触れましたように、憲法上の要請やら、それから国際的な要請というものも強くあるということですから、そういった理念をきちっと踏まえた総合的対策というものに着手を早急にお願いしたいということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。
○武部委員長 次に、枝野幸男君。
○枝野委員 私は、一連の神奈川県警不祥事に関連してお尋ねをさせていただきたいと思います。 クエスチョンタイムのときに我が党の鳩山代表も総理に申し上げましたが、結局、偉い人は捕まらないよねという国民の声というのは、これは否定しがたいものがあるというふうに思います。 端的にまずお伺いしますが、法務大臣には検察に対する指揮権がございます。指揮権発動などして身柄をとるべきじゃないかというようなおつもりはありませんか。
○臼井国務大臣 ただいまお尋ねをいただきました一連の神奈川県警の関係事件につきましては、本来、違法な行為を取り締まるべき立場にある警察官による犯罪でございまして、重大な事案であるということは認識をいたしております。 検察といたしましても、これまで、厳正、公正、不偏不党というものを旨といたしまして、法と証拠に基づき厳正に対処してきたところでございます。現在捜査中の事件についても、同様に厳正に対処するものと承知をいたしております。 ただいま、検察がいわゆる強制捜査を行うかどうかを含め、具体的な事件の捜査の内容、方法にかかわる問題についてはお答えを差し控えさせていただきたい、このように思います。
○枝野委員 指揮権についてお尋ねをしたので、指揮権というのは法務大臣の政治的な問題ですから、それは国会でお答えになるべき種類だと思うのですが、いかがですか。
○臼井国務大臣 検察に対しての指揮権ということだと思うわけですが、私といたしましては、検察は適正にそれらのものに対して対処していく、このように信頼をいたしておりますので、その推移を見守りたいと考えておりまして、本件については指揮権を発動する考えは持っておりません。
○枝野委員 私は、結論として、指揮権を発動することがいいということを申し上げたいのではありませんで、二つ問題がございます。 一点は、身柄をとるのはどういった事件かということについて、今回のようなケースを前例とすることでよろしいのかどうか。 つまり、犯人隠避という罪証から考えて、これは一般的な実務では、犯人隠避について身柄をとらないというようなことというのは、常識的には普通考えられないわけですね。抽象的にも、罪名からして、証拠隠滅等のおそれのある罪名であります。警察のトップをやった人間だからということで特に身柄をとらなかったということでないのだとしたら、これから一般的な刑事事件は、これと同じ横並びで物事を考えていったら、身柄をとれる事件の方が圧倒的に少なくなるのじゃないか。 それはそれで一つの考え方です。日本の場合は、身柄を拘束して捜査をするということが多過ぎる、在宅を原則でやるということでなければならないというのも考え方としては非常に強くありますので、そういう方向でこの国はいくんだ、今までのように何でもかんでも逮捕するというやり方をやめるんだというんだったら、一つの大変立派な前例を今回つくっていただくということになりますから、これはこれで、そういうことでいきますと言っていただければそれで結構であります。 もしそうでないのだとしたら、まさに検察の行動の公平さ、それに対する社会的な、国民的な関心、それに対する国民的な怒りというものに対して、もし法務大臣の指揮権というものが動かないのだとしたら、これまた、検察に対する法務大臣の指揮権というのは過去に一回だけ発動されたことがあるようでございますが、実際には私はこの法務大臣の指揮権というのは、憲法四十一条などとの兼ね合いで、検察に対して法務大臣が、内閣が何らかの影響力を持っていないということになると憲法上の問題があるから、一応名前だけ書いておくというものであるべきで、政治が検察に介入してはいけないとも思うのですが、これまた前例として、こういった国民の怒り、関心の強いテーマについてまで現場に任せておくということだったら、今後は指揮権発動などということが行使されるということはほぼ考えられないと考えていいのか、これまた前例になるのかなというふうに考えています。 そうした意味で、二つ、在宅を原則とするという前例をおつくりになるのか、そして、指揮権を発動しないという前例をおつくりになるのか、そういうおつもりで今おられるのかどうか、それをお尋ねさせていただきたいと思います。
○臼井国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、今回の事件については指揮権を発動する気持ちはないということは、既にお話をいたしております。 こうした問題につきましては、私どもは現場を強く信頼いたしております。したがいまして、これらのことも含めて、現場において適正かつ慎重にこうしたものは対処していただけるもの、こういうふうに考えておりまして、その考えは変わっておりません。
○枝野委員 お尋ねにお答えいただきたいのですが、今回の在宅でやっているということを前例と考えてよろしいのですね。
○臼井国務大臣 こうした問題は、一つ一つ具体的な例に従って判断をすべきものでございますので、これらの例を今後参考事例とするということではございません。
○枝野委員 いや、参考にはしないとまずいんじゃないですかね。 つまり、公平でないといけませんから、あるケースとあるケース、全部具体的事例が違いますから、同じケースはありませんから、同じことが当てはまることはないですけれども、今回のは参考にしていただかないと、あんな偉い人だったらこういう事件だと捕まらないんだと。ほかの事件について、参考にはしていただかないと困るんじゃないんですか。
○臼井国務大臣 これらの問題については、それぞれの事件に対応してケース・バイ・ケースでもって判断をすべきもの、このように思います。
○枝野委員 言い方が変わりましたが、参考にしないというのは取り消しされるということでいいですね。
○臼井国務大臣 そのとおりでございます。
○枝野委員 大変いいお答えをいただいて、ありがとうございます。 関連して、実は前の国会で、前の大臣の時代でありましたが、何度か私、警視庁の裏金疑惑というものを追及させていただきました。ある週刊誌がかなり連載して、強力にやっておる事案であります。 そのときには、内部でいろいろと検査、チェックをしたけれども、そんな裏金疑惑というようなことはないというようなお答えがございましたので、一たんそこでは、それを信頼するということかなというふうに思っておりましたが、今回の神奈川県警の事件が出て、組織の中におかしな人間がいたということについてですら組織ぐるみで隠したという事例になっているわけです。 当然のことながら、組織の中にちょっとおかしな人間がたまたまいたということについて組織ぐるみで隠すという例から考えれば、裏金疑惑だなどというのは組織ぐるみで犯罪をするということでありますから、そういったことについてさらに一層組織ぐるみで隠すであろうということは、当然推定が働くということになります。 そうした意味では、警察が警視庁の内部あるいは警察庁の内部で警視庁裏金疑惑についてチェックをかけたということでありますが、このごろの神奈川県警のもみ消し事件の例を見ますと、これはやはり、内部でチェックをしましたということだけでは納得がいかないという結論が出てきてもやむを得ないのではないかなと。 当然のことながら、検察庁にはこうした犯罪について捜査の権限がございます。一連の報道されている、そして前の国会で私が追及させていただきました警視庁の裏金疑惑について、検察庁として捜査をすべきであるというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○臼井国務大臣 どのような事項につきまして捜査を行うかにつきましては、捜査機関の活動内容にかかわる問題でございますので、法務大臣としては申し上げるべき性格のものではないと考えます。 しかし、あくまでも一般論として申し上げれば、検察当局においては、常に法と証拠に基づきまして、刑事事件として取り上げるべきものがあるとするならば適正に対処しているものと承知をいたしております。
○枝野委員 では、一般論としてお伺いします。 御存じのとおり、神奈川県警の覚せい剤もみ消し事件というのは、神奈川県警の九九%のお巡りさんは一生懸命まじめになさっているのだと思いますが、その中にたまたま一人覚せい剤を使ったような警察官がいた。そういった事件ですら組織ぐるみで隠す体質であるならば、当然、ある一定の会計関係のところの組織だけかもしれませんが、裏金づくりをしていたというようなことがあった場合にはより一層組織ぐるみで隠すことに走るであろうという一般論は、そうお思いになりませんか。
○臼井国務大臣 大変申しわけございませんが、そうした所轄外のことにつきましては、御答弁は控えさせていただきたいと思います。
○枝野委員 所轄外なんですかね。一般的に、犯罪法治国家のあり方として、つまり検察官を掌握して、先ほども申しましたとおり抽象的、あるいはある意味では美麗的な話かもしれないけれども、検察に対する指揮権を持っておられるお立場、日本の治安を守るという、ある意味での最高責任者でおられるわけですから、当然のことながら、こういうケースがあれば、こういうケースについてはさらに疑わしいだろうなというふうにお思いになりませんかということについては、所管外とは思わないんですが。
○臼井国務大臣 冒頭にお答えをいたしましたとおり、そうした一般論とはいいながら特定のことにつきましては、捜査機関の内容あるいはそれに類するものでございますので、法務大臣としてはお答えを差し控えさせていただきたい、このように考えております。
○枝野委員 聞き方を変えます。 この間も少しお尋ねをしたかと思うんですが、警察がおかしなことをしたときに、警察の犯罪についてそれを捜査できる機関、することが可能な機関というのは、事実上は検察庁しかないというふうに思うんですが、それはいかがですか。
○臼井国務大臣 それはそのとおりだと思います。
○枝野委員 そして、現に神奈川県警でこういった不祥事が相次いでいるということだけでも、多分、このもみ消し事件がなかったとしても、これは国民的には大変な怒りをもって迎えられる事件であり、残念ながら、神奈川県警が幾つも出てきたらほかのところでも幾つも出てきているという状況の中で、さらにもみ消し事件があるというような状況の中では、まさに国民的な強い関心と期待として、警察の内部犯罪については、それは恐らく国民的なということだけではなくて、九九%のまじめにやっている警察官の方、特に神奈川県警などでは、取り締まりをしたら、おまえらのところだっていろいろやっているじゃないかといって取り締まりが非常にしにくいという声が報道されています。警察官の方からしてみても、まさにこういった状況のときには、内部のうみを全部出さなきゃいけない。 そういった意味では、少なくとも一般論として、検察庁として、そしてそれを所管する法務大臣として、一連の警察不祥事については積極的に行動しなきゃならないというふうに思いますが、それはいかがですか。
○臼井国務大臣 今お話しのとおり、先ほど来申し上げておりますが、こうした警察官の一連の事件というものは、一部のそうした出来事によって、多くのまじめに職務を果たしている警察官にとって大変な出来事であって、そういうことがあってはならないという気持ちでございます。 今後、検察といたしましても、少なくとも警察と検察がお互いになれ合いになっている、そうした印象というものを国民に与えるということは、決して望ましいことではございません。
○枝野委員 言えること、言えないことがあるのかもしれませんが、まさに今、ある意味では法務省、法務大臣あるいは検察庁というのは、国民の期待に物すごくわかりやすくこたえるチャンスだという意識を持っていただいて、どちらを向くのか、行政という内側の方を向くのか、国民の側を向くのかということが問われている。まさに大臣の腕の見せどころだというふうに思いますので、よろしくお願いしたい。 最後に一点だけ。 前国会で盗聴法、いわゆる通信傍受法が成立をいたしました。我々、最後まで反対をいたしましたが、最終的に国会を通ったということは客観的な事実としてあるのでしょう。 ただ、あの審議の中でも幾つか出てきましたが、あれは警察がちゃんと使ってくれる、おかしな使い方をしないで、警察性善説の前提に立っているから、ある意味では認められる。変なことを盗聴して変なことに使われるということになったら、本当に大濫用の問題になってしまう。そして、あの法律が強い反対の中で通った直後、今回、こうやって相次ぐ警察官の不祥事と、そして隠ぺい工作が認められた。 こういう客観状況を考えますと、少なくとも、警察のこの一連の不祥事は全部けじめがつきました、もう皆さん信用してください、そして国民も信用できますという状況になるまでは施行を停止すべきではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○臼井国務大臣 組織的犯罪対策三法は、組織的な犯罪をめぐる国内外の情勢にかんがみまして、この種の犯罪に適切に対処するために必要不可欠な法整備を図るものでございまして、組織的な犯罪と戦う上で極めて重要であるということは認識をしていただければ、こう思います。 通信傍受法というものは、厳格な手続というものをいろいろ準備しているわけでございます。また、それらの制度的なものに加えまして、傍受を適正に実施するための方法その他の事項を国家公安委員会規則で定めるほか、警察庁において、都道府県警察に対して必要な指導を行う予定であると承知をいたしております。 したがいまして、警察においては、当然、法律の定める要件と手続を厳守した適正な運用を行うものと考えておりまして、通信傍受法の施行を停止する必要はないと私は思います。
○枝野委員 時間なので終わりますが、暴力団よりも、あるいはオウムよりも、ある意味では一番許されない組織的犯罪というのは、警察というか公権力による組織的犯罪ではないかということを最後に申し上げて、終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○武部委員長 坂上富男君。
○坂上委員 坂上富男でございます。 きょう私は、十五分だけ時間をいただいたわけでございます。 そこでまず、委員長にお願いでございますが、きょう質問を私、用意してこなかったものですが、これだけ取り寄せてください。 きょうテレビで、新聞にはどう出ているか私はわかりませんが、テレビを見て、大変ゆゆしき問題だと思って聞いておったのでございますが、神奈川県警の、不祥事が起きたら慎重に対応して発表するなというマニュアルができておった、こういうとんでもないことが出ておりました。ぜひ、これは証言法に基づいて、この文書をひとつ、警察庁を通じまして取り寄せするように要請をしておきたいと思いますが、どうですか。
○武部委員長 理事会で協議させていただきます。
○坂上委員 これはもう本当に、さっき枝野先生、あるいは私の後からほかの先生方からも厳しい質問もあるんだろうと思っておりますが、やはりこれは材料があった上で追及したいと私は思いますので、ひとつ取り寄せは必ず実現するように、特にお願いをいたしたいと思います。 さて、その次に、交通事故の逸失利益の算定についての裁判上の統一問題でございます。 これは読売新聞ですが、「交通死亡事故の逸失利益 東京地裁方式に統一 大阪、名古屋 来年一月から」、それから今度は「未就労者の逸失利益算定基準 「東京方式」軸に統一 三地裁合意 被害者有利に」、それから「逸失利益の統一算定 来年一月から実施」、これは毎日新聞。さっきのも毎日新聞でございます。 これによりますと、未就労の十八歳の男子が死亡した場合の逸失利益は、東京方式では約五千二百万円になるのに対し、大阪方式は三千万円と、約二千二百万円安くなる。逆に、年収一千万円の三十五歳男子会社員なら、東京方式は約一億一千万だが、大阪方式は約一億三千百万円で、約二千万円高くなるなど賠償金額に差が出ていた、こういう報道でございます。 しかもまた、東京方式は、中間利息のことだと思いますが、いわゆるライプニッツ式を採用し、それから大阪方式はホフマン式というのが一部利用されていたというようなことが報道されているのでございます。 これは、いわゆる裁判官独立の原則とかそういうようなこととのかかわりにおいて、一体、最高裁はこれをどう見ておられるのか。簡単でいいですから、御答弁いただきたいと思います。
○千葉最高裁判所長官代理者 お尋ねの交通事故の損害賠償額についての提言の経緯は、次のようなものでございます。 交通事故による損害賠償請求訴訟を専門に扱っております東京、大阪、名古屋の地方裁判所の三カ部の裁判官が、交通事故における逸失利益の算定の際に採用されている方式の違いが地域格差を生じている、こういった問題につきまして自主的な共同研究を重ねました。その結果、よりよい逸失利益の算定方式についての意見の一致を見ましたので、この三カ部につきましては、可能な限り意見の一致した方式を採用するという方向で合意をした、これを共同提言という形で発表することにしたものと聞いております。 この共同提言は、研究を行った裁判官の個人的な意見を表明したものにすぎないものでございまして、研究に参画した裁判官についても、事案によってはこれと異なる判断をするということは妨げませんので、その意味では、裁判官の判断を事前に、一律に規制するとか拘束するというようなものではございません。ましてや、他の裁判官の判断を拘束するものでないことは当然のことであろうと思っております。したがいまして、裁判官の独立との関係では何ら問題がないものと考えております。 ちなみに、この共同提言の中でもこのような趣旨が述べられておるところでございます。
○坂上委員 これは、私は聞きおくだけにしておきたいと思っております。 それから、時間がありませんので、私たち地元におきまして大変心配をいたしておりますものですから、また、これが事実で万一大地震でもありますと、裁判所あるいは法務省、法務局全部が倒壊したり問題が起きたりしたら大変でございますのでお聞きをするわけでございます。 私たちの県に糸魚川がありますが、「糸魚川—静岡構造線、危険度一位 科技庁の技官発表 全国の活断層順位付け」、こういうことになって先般十一月十九日の朝日新聞に掲載をされておりました。ちょっと読ませてもらいますと、 長野県松本市などを通って南北にのびる糸魚川—静岡構造線活断層帯の地震発生危険度は、日本の内陸部にある大きな活断層約四百の中で最も高い、との試算結果を科学技術庁地震調査研究課の林豊技官が十八日、仙台で開かれている地震学会で発表した。 それからちょっと省略して、 同活断層帯は、約千年おきに動いて大地震を起こしてきたが、約千二百年前を最後に、地震を起こしていない。このため、阪神大震災の後、総理府に設けられた地震調査委員会は一九九六年、「現在を含めた今後数百年以内にマグニチュード八程度の地震を起こす可能性が高い」との評価結果を発表。九八年には「今後三十年以内に大地震を起こす確率は一四—三二%」との数字を公表している。 そして林さんは、「全国でトップクラスの確率と考えるべきだ」、こういうふうなことを学会でおっしゃったそうでございます。これはこれで大変貴重な、本当に私たちが真剣に検討すべき提言、発表だろうと思っております。 そこで、たまたまこの日の新聞発表になりましたとき、私たち、石川県それから富山県、新潟県の国道に関連する皆様方の東京の集会がございまして、その席上で、自民党の高鳥先生からも、高鳥先生は糸魚川の隣の町でございますが、この発表につきまして、これに対する検討もしなければならぬという提言がありまして、皆さん方も本当に、新聞を読んでおるものでございまするから、大変な心配をなさっておるわけでございます。 私たちにとりましても、新潟地震の経験もありまして、新潟地震というのは大変な被害を及ぼしたこともよくわかっておるわけでございます。しかもこれは、いわゆるフォッサマグナと言うんだそうでございまして、ここは大変な地盤が悪い場所になっているんだそうでございまして、万一もし指摘されたような事態が迫っておるとするならばこれは大変なわけでございますが、この辺ひとつ専門家の立場で御答弁をいただきたいなと思っておりますし、また、説明もいただきたい、こう思っております。
○野村政府参考人 お答えいたします。 今回の新聞記事では、糸魚川—静岡構造線、このようになっておりますが、総理府の地震調査研究推進本部におきまして、その活動が社会的、経済的に大きな影響を与えると考えられる活断層というようにしておりますのは、この付近でございましたら、長野県小谷付近から山梨県櫛形付近までの糸魚川—静岡構造線活断層系、このように総称しているものでございまして、約百五十キロ程度の範囲でございまして、記事の書いてございます糸魚川—静岡構造線全体ではございません。 この断層系につきましては、記事にもございますが、平成八年に、地震調査研究推進本部の地震調査委員会というのがございますが、ここにおきまして評価を行っておりまして、実は、この断層の中に、松本市付近にございます約十キロ程度の活断層でございまして、牛伏寺断層というのがございますが、この牛伏寺断層を含む区間につきまして、現在を含めた今後数百年以内にマグニチュード八程度の規模の地震が発生する可能性が高いという結果を公表しているところでございます。 一方、今回の学会の発表でございますが、この学会の発表の内容は、こういう活断層から将来地震が発生する可能性につきましてそれを高い順番に並べた場合、特定の断層が何番目に該当するかということを一定の仮定のもとに統計的に推定する手法を研究したものでございます。 この推定手法を説明するに当たりまして、その一例といたしまして、ことしの一月にその地震調査研究推進本部の方の部会で「長期的な地震発生確率の評価手法について」という試案を発表しております。この中で、先ほど申しました牛伏寺断層につきましての今後三十年間の地震発生確率をこの研究いたしました推定方法に当てはめてみました。その結果、記事にございますが、その地震発生確率がほかの断層に比べてトップクラスに属すると推定される旨言及したということでございますが、この推定方法自体、まさに学会に発表しているレベルのものでございますし、また、その例として用いております地震発生確率の試算につきましても、今後引き続き検討していくべきものと考えております。 このように、学会の発表は各個別の活断層の具体的なランクづけではございませんで、その推定方法につきまして学会の意見を聞きたいということで行ったものでございます。 地震調査研究推進本部では、全国の活断層の調査結果の評価を継続的に行っておりまして、今後とも、この推定方法あるいは個別の地震発生確率を含めて引き続き審議していくこととしております。 よろしくお願いいたします。
○坂上委員 時間がなくなったそうでございますが、ちょっと整理させてもらいます。 今のお話によりますと、牛伏寺断層、これは松本市中心にあるんだそうでございますが、ここで三十年以内は一〇から三六%の確率、ある方法では一四%の確率、こういうふうに言われておるようでございますが、この点はいかがでございますか。 それから、この牛伏寺断層に活断層があって、ここがもしも万一のことがありますと、いわゆるこの糸魚川—静岡の構造線にもう端的に影響が及ぶんじゃなかろうかとも思っていますが、これはどうですか。 それから、この研究は林さんと東京大学地震研究所の島崎邦彦教授との共同研究だというふうにも聞いているんですが、この三点、お答えください。
○野村政府参考人 お答えいたします。 一番最初の先生の御質問の、先ほど申しました牛伏寺断層につきましての地震発生確率三十年が一四%、または一〇から三六という数値が示されているが、それについては本当かということでございますが、これは、先ほど申しました、ことし一月の試案として公表しております長期的な地震発生確率の評価手法の中で一つの試算としておりまして、一つの手法でやりますと一四%、あるいはもう一つの違う手法でやりますと一〇から三六%という数字が出ておりまして、この数字につきましては今後引き続き推進本部の方で検討していく必要があると思っております。 それから二つ目の御質問でございますが、今回もしこの地震が動いた場合に、それがすべての構造線に影響するのかという御質問でございますが、冒頭に申しましたが、地震調査研究推進本部で活動した場合に大きな影響があるというように考えておりますのは、糸魚川—静岡構造線活断層系ということ、百五十キロの範囲でございまして、一応推進本部が今評価しておりますのも、中心となりますのは牛伏寺断層を含む区間ということで、その範囲はちょっとわからないのですが、その最大の範囲が百五十キロということでございます。それ以上につきましては、現在のところ、現在の知見では一緒に活動するようなことまでは想定しておりません。 それから、三つ目でございますが、これは東京大学の地震研究所の島崎教授との共同研究だということは事実かということでございますが、まさにこの地震調査研究推進本部でいろいろな手法を検討する場合には大学の先生等のお知恵をかりながらいろいろやっておりまして、今回地震調査研究課の職員と、もちろん地震調査研究課が一緒になってでございますが、先生のお知恵をかりながら一緒に研究したというものでございます。
○坂上委員 大変ありがとうございました。ぜひひとつ、本当に濃密な研究、そして我々国民に対する配慮、それらもよく、十分お考えをいただきまして、よろしく対応していただきますことをお願いいたしまして、時間が来たようですから、ありがとうございました。
○武部委員長 木島日出夫君。
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。 神奈川県警の元警部補の覚せい剤取締法違反事件が県警の組織ぐるみで隠ぺいされたゆゆしい事件が発生しておりますので、その問題に集中してお聞きしたいと思います。 最初に、法務省にお聞きしたいのですが、今月十一日に神奈川県警から横浜地検に対して、渡辺泉郎元県警本部長ら九名が犯人隠避罪、証拠隠滅罪によって書類送検されたと報道されております。その被疑者と被疑事実を明らかにしてほしい。
○松尾政府参考人 ただいまお尋ねの事件でございますが、神奈川県警の警察官による覚せい剤取締法違反事件というのがございます。これは同県警の本部警察官が覚せい剤を使用、所持していた事件でございまして、これは現在横浜地検において被疑者を勾留して捜査中でございますが、今お尋ねの件は、今申し上げました覚せい剤取締法違反事件に絡みまして、同県警本部長らが、申し上げた覚せい剤事件を隠ぺいして、同事件の被疑者である警察官の処罰を免れさせようとした犯人隠避、証拠隠滅事件ということでございます。
○木島委員 えらい簡単過ぎて質問に答えておりません。被疑者全員と二つの事件の被疑事実の要旨をもっときちんと答えていただきたい。
○松尾政府参考人 大変申しわけございません。概要は今申し上げたところですが、具体的な被疑事実等について、たまたま私、手元に資料がございません。今用意させておりますので、入手次第御答弁申し上げたいと思っております。
○武部委員長 どのぐらい時間を要しますか。
○松尾政府参考人 申しわけございません。遅くなりました。 まず、被疑者から申し上げますと、九名でございまして、渡辺元本部長、それから原元警務部長等九名でございます。 被疑事実でございますが、被疑者は神奈川県の県警本部長であった者等で、被疑事実の要旨は、その後に、各九名のそれぞれのこの事件当時の官職が記載してあるわけでございます。具体的な犯人隠避の内容でございますが、平成八年十二月十二日ころ、県警本部警備部外事課第三係警部補であった酒寄という者が田村という女性を同道して同県警本部に出頭し、外事課警察官に対し、同女とともに覚せい剤を使用したこと及びイラン人から購入した覚せい剤を張り込み中の警察官に発見されるのを恐れて埼玉県内に捨てた旨申告した。そのため、被疑者永山、同高松ら、これは九名のうちの二名ということでございますが、において調査したところ、右酒寄の腕に注射痕があり、同人の言動が要領を得ないなど、覚せい剤中毒と思われる症状を見せていた上、同人の供述どおり、捨てたと言うところから覚せい剤と思われる銀紙二包みを発見したのであるから、同人らを覚せい剤取締法違反の被疑者として立件して捜査を尽くすべきであったにもかかわらず、被疑者らは共謀の上、右酒寄らの処罰を免れさせようと企て、平成八年十二月十六日ころ、同県警本部において、右酒寄の尿から覚せい剤が検出されなくなってから右被疑事件が発覚しこれを同県警が捜査に着手することにし、同月十三日から同月十九日までの間、連日にわたり右酒寄から採取した尿から覚せい剤が検出されたのに、正規の鑑定手続をせず、同月二十日、右酒寄の尿から覚せい剤が検出されなかったことから、同人が同日に至って初めて覚せい剤の使用等の事実を外事課警察官に申告したので同事実を生活安全部に通報する旨の内容虚偽の報告書を作成し、その後、生活安全部において右通報を端緒として捜査に着手したかのごとき体裁を整え、同月二十五日ころ、横浜地方検察庁において担当の検察官に尿検査の反応が出ないなどとうそを言って、同検事から、事件送致するか否かは同県警本部の判断にゆだねる旨の回答を得、そのころ、同本部において、右酒寄及び右田村両名に対する覚せい剤取締法違反事件を検察官に送致しないことに決定し、もって右両名を隠避させたものである、これが被疑事実でございます。
○木島委員 送検された被疑事実は犯人隠避の共謀共同正犯だとお聞きをいたしますが、送検された九人の中で、共同謀議に加わったのみで犯人隠避の実行行為に関与していない者もあるとお聞きいたしますが、その区分けを述べてください。答弁では、私は九人の被疑者の名前を求めたのですが、全部述べないので、改めて私、聞きます。共同謀議だけに加わって犯人隠避の実行行為に加わっていない者が、送検された被疑事実の要旨からはっきりしておると思うので、それだけは答えてください。
○松尾政府参考人 先ほど被疑事実について御答弁申し上げましたが、それ以上の内容ということになりますと、現在捜査中の事項でございまして、私からその内容に立ち入ってさらに細々と御答弁申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っております。
○木島委員 そんな答弁では国民は納得しないと思うのです。 では私、聞きます。 犯罪を摘発すべき警察が身内の重大犯罪を県警のトップ以下組織ぐるみで消し去ったという、まことに前代未聞のゆゆしい警察犯罪であります。法務大臣からの答弁もありましたが、真実の徹底的な解明と厳正な処罰が求められる事件であります。 そこで、では法務省に聞きますが、検察はなぜ被疑者らを逮捕せず、在宅のまま捜査をしているのか、そこに答えてください。
○松尾政府参考人 これは再三法務大臣からも御答弁申し上げているところでございますが、具体的事件におきましては、強制捜査という手法をとるかどうかというのは個々、ケース・バイ・ケースでございます。 本件につきましては、検察庁といたしましても、当然その送致を受ける段階で、あるいはその前に、警察と必要な協議はしていることと思いますが、その中で現在のような送致を受けるということになったものと推測されますが、その具体的な判断につきましては、検察にかかわることでございますので、私から申し上げるのは適当ではないと思っております。
○木島委員 先ほども同僚委員からその問題について質問されておりましたが、強制捜査をするかどうか、まさにケース・バイ・ケースであろうとは思いますよ。本件についてなぜ強制捜査をしないで済む事案と考えたのか、私はまことにおかしな捜査の方法だと思うので質問しておるのです。 そこで、先ほどの被疑事実の要旨の答弁あるいはこれまでマスコミで既に表に出ているいろいろな事実から見て明らかなんですね。犯人隠避の実行行為をした者も当然送検されていると思います。しかし、県警本部長は犯人隠避の実行行為に関与していないと思うんです。指示したということだと思うんですね。ということは、それは共同謀議だけだと思うんです。そうすると、犯人隠避の共謀共同正犯の立証のためには、共同謀議の厳格な立証とそれに基づく犯人隠避の実行行為の厳格な証明と、両方証明されて初めて犯人隠避の共謀共同正犯が成立する、これは当然のことですね。そうすると、問題は何か。共同謀議の事実は、被疑者らによって口裏を合わされてしまえば容易につぶされてしまう性格のものでしょう。これは法務・検察の当事者から見たら当たり前のことですよ。犯罪捜査のイロハですね。 本件は、九六年十二月に被疑者らによって当該警察官の覚せい剤使用の事実が隠滅され、三年間秘匿され続けてきた事件でしょう。これはもう参議院の質疑によって明らかになっているんですが、発覚したのは、九九年、ことし九月二十二日のマスコミ報道が端緒となって、今日に至るいろいろな事実が発覚されてきているわけですね。 ですから、この送検された事実を本当に厳格な証拠によって証明するために決定的に大事な一番のポイントは、口裏合わせを封じることなんです。それには、在宅のままほうり出しておいたのでは、もう口裏合わせを自由自在にやってくださいと言っているようなものじゃないんでしょうか。だから、当然捜査の常道として、こういう共謀共同正犯である、しかもその共謀にのみかかずり合った神奈川県警のトップの被疑者に対する犯罪事実の厳格な確定のためには、当然それらの被疑者を逮捕してお互いの横の連絡を断ち切る、当たり前じゃないですか。それが行われていない。だから質問しているんですよ。余りにも異常な捜査の方法をとっているから質問しているんです。答えてください。
○松尾政府参考人 本件が大変重大な事案であるということにつきましては検察も当然そのように判断していると思いますが、具体的に、先生御指摘のような点も含めて、検察がどういう捜査手法をとり、また現在に至っているのかということにつきましては、検察の具体的な事件における具体的な判断ということでございますので、法務当局、私の方からその当否等につきましてあれこれ申し上げるべきものではない、このように承知しております。
○木島委員 ですから、私が言っているのは、その具体的な判断が間違っているのじゃないか、そんなことでは厳格な犯罪事実の立証ができないのじゃないですか、口裏を合わせられて、それに都合のいいような事実が塗り固められたものしか検察には上がってこないのじゃないか、こう言っているんですよ。どうなんですか。
○松尾政府参考人 お尋ねの件につきましては、現在横浜地方検察庁におきまして、神奈川県警から送致を受けて、それ相応の捜査態勢を組みまして捜査をしているということでございます。その中で、事件の捜査手法あるいはこれからの捜査処理につきましても適正に行われるものというふうに私どもは考えている次第でございます。
○木島委員 ちょっと角度を変えて質問をしますが、先ほど答弁の中に、覚せい剤を使用して、覚せい剤取り締まり容疑の警察官と女性一人は横浜地検において勾留中であると答弁されました。こちらの方は、送検される前に、既に神奈川県警、当該所轄署ですか、逮捕され、身柄が拘束されていると思うんですね。では、こちらの二人に対する逮捕の必要性は、また今勾留をしているというんですから、勾留の理由、勾留の必要性をどう認定して勾留を続けているんですか。
○松尾政府参考人 お尋ねの件につきましても、被疑者二名による覚せい剤取締法違反という具体的な事案でございます。これについての捜査手法等につきましては、私からその内容あるいは判断等に言及することは、同じような理由で、大変申しわけありませんが、御答弁いたしかねるところでございます。
○木島委員 私は、本当におかしいと思うんですね。先ほど被疑事実の要旨を詳しく答弁を求めたのも、それにかかわってくるんです。 被疑事実の要旨に関する答弁の中でも明らかですね。この二人は、九六年十二月十二日ころですか、覚せい剤の使用を神奈川県警外事課にもう既に自供している。そして、注射痕もあった。覚せい剤も発見された。証拠品も押収されている。もうこれはマスコミに出ていますから、ほぼ事実だと思うんですが、尿検査も行われ、さっき言いましたね、既に陽性の結果が出ている。九六年十二月十三日から十九日まで、検査の結果、陽性が出ている。二十日になって初めて陰性になった、そういう証拠もある。 こちらの二人については、二人といいますか、特に覚せい剤を現実に使用した男性の方ですが、県警の外事課の職員の方はもう完璧に近い物証があるんですね。今さら、こちらの方は本人を身柄拘束しなければならない証拠隠滅のおそれなんというのは基本的に何もないじゃないですか、もう物証は全部神奈川県警なり横浜地検は持っているんですから。こっちの方だけ身柄拘束する理由は何ですか。 そして、むしろこれから共同謀議という事実、言ってみれば、県警本部長から監察官にどういう指示があったのか、その指示が監察官から下にどう伝えられたのかといういわゆる謀議のところですね、これは基本的には物証は何もないでしょう。そっちの非常に困難な共同謀議の事実をこれからつかまなければならない。そっちの方は身柄を拘束しないでおいて、物証がほぼ完璧に整って、これから先、証拠隠滅のおそれなんて全く考えられないような当該警察官と女性についてのみ身柄をとっている。逆立ちしているのじゃないですか。どうですか。
○松尾政府参考人 今委員お尋ねの点、あるいは御指摘いただいた本件事案にかかわるいろいろな事項ということにつきましては、検察庁としても、送致を受けた関係書類、あるいは検察庁が現在捜査中でございますので、その後入手したさまざまな証拠等の諸状況等について詳細に把握していることと思います。そうした中で、検察としては、その事案ごとにそれぞれ適した捜査手法を採用するということでございまして、その理由というのは、一般的に言えば諸般の事情という言葉で言われるわけでございますが、今申し上げましたように、個々具体的事件の中で現実に証拠その他で把握される事項というのはさまざまでございます。そうしたことを諸事勘案いたしまして、検察としては適正に判断しているというふうに承知しております。
○木島委員 全然答弁になっていませんね。土本教授も、神奈川県警の元幹部ら九名に対して身柄をとらないというのはまことにおかしいとマスコミで指摘していますよね。 ちょっと法務大臣にお聞きしますが、そういう状況ですよ。身柄のとり方が逆立ちしてはいませんか。そう思いませんか。完全に物証が握られている、そういう者に対しては身柄を拘束する、物証がなくてこれから共同謀議をしっかりつかまなきゃならぬ、横の連絡をとられたら事実が崩れ去ってしまうんですね、そういう者に対しては身柄をとらない。これは、私も法律家の一員でありますが、だれが考えたって逆立ちしていますよ。そうは思いませんか、法務大臣。
○臼井国務大臣 ただいま委員お尋ねの一連の神奈川県警の事件につきましては、本来違法行為を取り締まるべき立場にある警察官による犯罪でございまして、重大な事案だということは認識をいたしております。 検察といたしましても、これまで、厳正公平、不偏不党を旨といたしまして、法と証拠に基づき厳正に対処してきたところでございます。現在捜査中の事件についても同様に今後厳正に対処していくものと承知をいたしております。
○木島委員 いや、国民がこの事件を怒っているのは、当該神奈川県警ぐるみの隠ぺいということに怒っているのは当然です。しかし、その後の捜査の仕方がまことにおかしい。検察も、県警のトップ幹部に対してはまことに手ぬるい、これでは真相は発見できないじゃないか。そして、実行行為をした、当該覚せい剤を使用した者に対してのみ逮捕しておる、身柄をとっておる、まことにおかしいじゃないか。ここを怒っているんですね。 それは当然だと私は思うんです。私は、こういう捜査のあり方を見ますと、覚せい剤を使用した元警察官の身柄をとっているのは、証拠隠滅のおそれがあるからじゃなくて、この人物に表でいろいろなことをしゃべられたら神奈川県警にとって大変だということで、事実を隠ぺいするために身柄をとっているんじゃないかとしか思えないんですよ、本当に。そうじゃないんですか。どうですか。
○松尾政府参考人 委員がそういうお考えをお述べになりましたけれども、そのような事実はないものと私は確信しております。
○木島委員 もう一点、問題を指摘したいと思うんです。 今の捜査のあり方ですが、検察庁はなぜ県警から送検を受ける前にみずから捜査に乗り出さなかったんでしょうか。
○松尾政府参考人 事件の送致、あるいは検察庁が独自に送致の前に捜査をするかどうかというのは、これまたケース・バイ・ケースでございます。 本件事案について検察が大変重大な事案ということで対処していることはこれまでいろいろな御答弁を申し上げましたが、具体的にどんな形で検察が捜査をするのかというのもまた、この事件のいろいろな諸状況を判断した上で検察が決定したことと思われます。その具体的な判断の内容については、私から御答弁いたすのは控えさせていただきたいと思っております。
○木島委員 先ほどの被疑事実の要旨に関する答弁の中からも明らかですが、実は横浜地検の検察官は、三年前、県警から当該被疑者について、これは酒寄ですが、尿検査の結果覚せい剤が検出されなかったとうその報告を受けているんでしょう。そして、送致するかどうかは、では県警にお任せします、こういう態度を、重大な誤った態度を当時の横浜地検の検察官はせざるを得なかったんでしょう。三年前、だまされたんでしょう、横浜地検の検察官は神奈川県警から。 それで、神奈川県警が身内に甘い、そして身内をかばうためには平気で証拠隠滅する、これは今回に始まったことじゃないわけでしょう。我が党の緒方宅の電話盗聴事件、それはまさに本件と同じですよ、組織ぐるみで証拠隠滅したんですからね。裁判官が現場に入って証拠を固めようとした、そういうことすら現場では妨害されたんですからね、緒方電話盗聴事件では。そういうことを検察は思い知らされていたじゃないですか。なお、ことしの九月二十二日以降は、マスコミ報道等によって、三年前横浜地検の検察官が神奈川県警によってうその報告をされた、そういう前歴もあったじゃないですか。 それであるならば、今回、三年前の報告がうそだったというんだから、もうこれは何事にもさておいて、検察は、第一次捜査権は県警が持っているというようなことで捜査を手控えるんじゃなくて、まさに検察官が第一線に乗り出していって、第一次捜査権を検察は行使すべきだったんじゃないか。当然だと思うんですよ。それをしなかったのはなぜかと聞いているんです。
○松尾政府参考人 具体的な事件の捜査手法についての言及というのは避けたいと思いますが、検察としては、第一次捜査機関に被疑行為等があった場合にどう対応するかということについては、その事案ごとに適切に対応していると承知しております。 本件につきましても同様に、重大な事案である、刑事司法に関する国民の信頼を揺るがしかねないというような受け取り方で、事件の当初から重大な関心を持ってこの事件に対応してきているものと承知しております。
○木島委員 新聞報道によると、検察庁は特捜検事を横浜地検に送り込んで本格的な捜査態勢をしいたとおっしゃっておりますが、検察庁が、実は三年前の県警の横浜地検に対する報告がうそだったということを知った端緒というのは何ですか。そして、真実かどうかはともかくとして、そういうことを知ったのはいつになるんですか。
○松尾政府参考人 この一連の具体的な事件について、どういう形で検察が最初に情報を入手し、また、どのようにかかわりを持ったかということにつきましては、まさに具体的な事件の捜査過程の話ということでございますので、今この段階で私から言及するということは適当でないと思っております。
○木島委員 二つの問題を私、提起しました。法務大臣にお伺いしますが、一つは、県警からの事件送致を待っての捜査開始という検察の捜査のあり方、二つ目は、逮捕せずに在宅での捜査という捜査のあり方、これは国民から見れば、県警に対する、警察に対する検察の弱腰としか映りません。こんなことでは、緒方宅の電話盗聴事件のように、厳正な捜査を遂げて起訴することができないんじゃないかと国民は心配しておると思うんです。法務大臣の決意、どうでしょうか。
○臼井国務大臣 先ほどもお答えをいたしましたけれども、今回の警察官の犯罪、まさに重大な事案である、こう考えております。検察といたしましても、これまでどおり厳正、公正、不偏不党を旨といたしまして、証拠と法に基づきまして厳正に対処をしていくものと私は信じております。
○木島委員 今後の捜査のあり方について法務大臣に一点お伺いしておきたいと思うのですが、御承知のように、警察による不祥事が全国で頻発しています。警察に自浄能力が全くなくなっているということも明らかです。警察には監察官室というのを置いておりますが、今回の事件を見ても明らかです。全く機能していない、機能していないどころか監察官室の幹部が先頭に立って証拠隠滅に走っておる。そして、ある事件では一般国民を警察官がおどしに使う材料として、おまえを監察官室に連れていくぞという、そういうまさに犯罪行為のだしにまで監察官室というのは使われている、要するに自浄能力が一〇〇%失われているということは明らかであります。 そこで、検察には贈収賄事件とか金融犯罪のように特捜部があって、これは第一次捜査権を行使しているわけなんですね。先ほど刑事局長の答弁の中に、警察による犯罪に関して第一次捜査機関としての捜査に当たるかどうかについての論及もありましたから、私は、こういう現下の警察官の不祥事が続いていて、警察内部の自浄能力が一〇〇%失われてしまっている状況にかんがみ、ここは贈収賄事件、金融犯罪と同じように、警察官による犯罪の捜査は検察が第一次捜査権を行使するということに根本的な仕組みを、運用のあり方を変えるときじゃないかと思うのですが、法務大臣、どうでしょうか。これからの問題です。
○臼井国務大臣 今委員御指摘のとおり、今回の一連の警察官による不祥事というのは大変重要な事件でございます。私どもも、先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、こうした問題について警察と検察が癒着をしているというふうに国民にとられるということは決してあってはならないと思います。 私は現場を信頼いたしておりますので、今後とも法と証拠に基づき厳正に対処してくれるものと確信をいたしております。
○木島委員 私の問題提起は、警察による不祥事、いろいろな犯罪については警察に第一次捜査を任せておいたのでは厳正な捜査はできないじゃないか、まさに身内ですから。そんな刑事事件こそ検察が、特捜部が入って、汚職事件と同じように第一次捜査権を敢然と行使するということが今求められているのじゃなかろうかと思うのです。その一点についてですが、どうでしょうか。
○臼井国務大臣 ただいま私もお答えをしたつもりでございますけれども、検察がどのような手法でもって捜査を行うか、個々の事件につきましてはそれぞれの検察の立場でもって法と証拠に基づき判断をしてもらうもの、このように思います。
○木島委員 それでは次に、警察庁をお呼びしておりますからお聞きします。 このような警察ぐるみのゆゆしい事件が起きた背景、原因、どんなふうに認識しておられるか、答弁願いたいと思います。
○石川政府参考人 今お尋ねの事件につきましては、現在、横浜地方検察庁において捜査中でございますが、神奈川県警察の捜査からの話でございますが、当時全国的に覚せい剤の乱用防止キャンペーンが進められておった、元警部補が覚せい剤を乱用していたということが明らかになると県警組織が大きなダメージを受けるという考えがあったために、元警察本部長らが事件を適切に処理せず犯人隠避等の行為に及んでしまったものであるという報告を受けているところであります。
○木島委員 本当にゆゆしい事件が起きた、今後二度とこういうことがあってはならぬという決意がほとんど伝わってこないと思います。 私は、こんなことがもうあっては断じてならぬということで、警察官による不祥事防止のための三つの提言をしたいと思うのです。 一つは、何といっても警察の秘密主義を改めなきゃなりません。こういう警察官の不祥事と処分結果を公開すること。情報公開ですよ。 二つ目は、監察官室に何らチェック機能がなかったということが明らかですから、監察官室を初め内部のチェック機構が機能しなかったということの根本的な反省を踏まえて、これからは警察官の不祥事に対しては第三者による調査と処分を行うこと。当然その一環として、警察官による犯罪行為に対しては警察は捜査権を行使しない、すべて速やかに検察に捜査をゆだねること。 そして三つ目は、下級警察官の人権が事実上保障されていない、これは労働基本権がないということが背景にあるわけです。こういうことが不祥事頻発の背景にあると指摘されております。もうG5の国で警察官の労働基本権、結社の権利がないのは日本だけ。アメリカでもイギリスでもドイツでもフランスでもどこでも結社権があるわけですから、こういう不祥事の再発を防止するためにも警察官の結社の権利、労働基本権を保障すること、これが大事ではないか。 三点が非常に必要だと思います。警察庁長官、こういう私の提言に対してどう受けとめるか、お聞きをしたいと思います。
○関口政府参考人 このところ神奈川県警におきまして一連の不祥事が発生をしておりますこと、まことに遺憾でございます。中でも、当時の警察本部長、そしてまた多くの幹部の警察官が犯人隠避あるいは証拠隠滅という事案に関与いたしまして、刑事事件として立件送致をされるということに至りましたことは前代未聞でございまして、まことに許しがたき事態であるというふうに考えております。 こうした事態が、特に犯人隠避につきましては、当時の警察本部長なりあるいは監察官の職にある者が大きな判断の間違いをいたしたということを強く考えるわけでございます。そうしたことで、私ども警察庁としても、このたびの事案から抽出される反省、教訓というものを今後の適正な組織運営に生かすべく全国警察に対する指導を徹底し、国民の警察に対する信頼の回復に全力を挙げてまいりたいというふうに思います。 今委員御指摘の三点でございますけれども、一つ、情報公開という問題でございますけれども、この点につきましては、今や情報を開示するということが時代の要請であると思います。そうしたことで、不祥事案を含めまして公開すべき情報というものは、関係者のプライバシーの保護等に十分な配意をしつつ公開していかなければならない、そのように努めてまいりたいというふうに思います。 それからまた、第三者機関云々ということでございますけれども、今回の事案では監察というものが機能しなかったではないか、まさにそのとおりでございます。しかし、こうしたものの反省に立ちまして、監察機能というものを本来持たせるべく、人の配置等、あるいはそれにつく者につきましての教育訓練等を徹底していきたいというふうに思います。 それからまた、第三者機関ということでございますけれども、私どもは、各都道府県警察、公安委員会というものの管理のもとに置かれているわけでございます。公安委員会というのは、ある意味で国民的な立場から警察に対するチェック機能を果たすというふうな重要な任務を帯びているということを考えるわけでございまして、そうした機能が発揮されるように、私ども警察当局としても最大限の力を尽くしてまいりたいというふうに思います。 それからまた、現場の第一線の警察官というものが報われていないではないかというふうな御指摘でございます。我が日本の治安というものが第一線で働く警察官の血と汗と涙で支えられているということを、私は常々思っているわけでございます。そうした人たちが働きやすい環境、そしてまた処遇の改善というものにつきまして、今後とも最大限の力を尽くしてまいりたい、かように考えているところでございます。
○木島委員 もう時間ですから、最後に一点だけお聞きします。 情報公開についての答弁がありました。きょうの読売新聞のトップ記事に、九一年に、神奈川県警において警察官の不祥事に対する対応マニュアルがあって、百数十部つくられ、署長らに配布されていたということが指摘されております。もう一点だけですが、こういう文書をつくられたことは事実ですか。そして、それを国会に出していただけますか。
○石川政府参考人 御指摘の資料は、神奈川県警察におきまして、平成三年に作成されて、一年間使用したというふうに聞いております。執務資料でございます。現在は、そのものについては使用されていないという報告を受けております。内容について、一部誤解を招くような表現があったということも事実のようでございます。 ただ、このものにつきましては、そういうことで効力を失っておる。私ども、今、監察がどういう形で機能するかということについては、適正処理ということを徹底しているところでございまして、この資料について、提出することは差し控えさせていただきたいと思います。
○木島委員 私は、警察庁長官の答弁に反することだ、できる限り、個人のプライバシーに反しない限り情報公開したいと。こんなの、個人のプライバシーと全然関係のないこと。それで、新聞によれば、今も署長室などに残って引き継がれている可能性については否定していないと言っているんですから、これは当然今の答弁は私は承服できません。 これを委員会に提出することを求めたい、理事会協議を求めたいと思いますが、委員長、どうでしょうか。
○武部委員長 理事会にお諮りいたします。
○木島委員 終わります。
○武部委員長 保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。 ただいまの木島議員の質問にも出ました、また坂上委員からもありました、本日の読売新聞の神奈川県警対応マニュアルというものが、今警察の官房長よりこういうものがあったという答弁がございました。あって、現在はその効力を失っているんだということなんですが、とりあえず架空のものではなかったようなので、官房長に確かめる意味でお願いしますが、よろしいでしょうか。よく聞いてください。 まず一番目の「適切な報道対策」という五項目めのところで、「組織防衛を最優先に考える」というのはどういう意味でしょうか。
○石川政府参考人 このマニュアルと称するもの、職員のプライバシーの保護や捜査上の支障への考慮を怠ることによって組織管理運営上の問題を生じさせない趣旨が主でありますが、ただ、表現として不適正なものであった、こういう認識であります。
○保坂委員 では、二点目に聞きます。 今度は、同じ「適切な報道対策」の項目から、「不祥事は積極的には公表すべきでない」、これはどういう意味でしょうか。
○石川政府参考人 一つ一つについて御説明するのはなかなか難しいわけでございますが、いわゆる「保秘の徹底」というような項目もあったことは私ども承知をしております。それは、事案の厳正な処理、重大事案の公表を前提としつつ、事案の全容を解明するための調査や捜査への支障を防ぐために、不必要な情報の拡散を戒めたというような位置づけであるというふうに承知をしております。
○保坂委員 「保秘の徹底」というのはその後僕が聞こうと思っていたところで、違うんですね。それは、「知る者を最少人員に限定する」ということについて、私が質問する前に先にお答えになっちゃったんですが、もう一度戻ります。 このマニュアルは、報道対策として、「不祥事は積極的には公表すべきでない」と言っているわけです。こういう姿勢は間違いじゃないですか。神奈川県警の事態の根底には、こういう姿勢があるんじゃないですか。もう一度お願いします。
○石川政府参考人 先ほどは失礼しました。 不祥事を積極的に公表しないようにという内容があるようでありますが、これは、先ほど申しましたように、不祥事案が発生した場合には、事案の全容を解明して、厳正な措置をとるということを全体的には前提としつつも、その不祥事を積極的に公表することについていろいろな影響があるということで、この点について誤解を生じやすい表現がここにあったというふうに考えております。
○保坂委員 では、項目別には最後になりますが、官房長に、最後に、「免職した職員には、再就職斡旋に努め、警察の目の中に入れておくことが必要」、これはどういうことですか。
○石川政府参考人 これは、身内をかばうという観点での報道がなされていることは承知しておりますけれども、この措置要領なるものは、いろいろな形態の不祥事についてのことをすべて包含して、対処要領の留意点というようなものが決められておる。そういうものの中に、私的なトラブル等で職場を去らなきゃならないような者もおる、そういうようなときに、組織としてその人々の行く末というものについてもよく見ていく必要があるんじゃないかといったような観点の記載であるというふうに承知をしております。
○保坂委員 それから、法務大臣に伺いますけれども、今の官房長の答弁だと、全部誤解なんだ、例えばきょうの読売新聞のこういう報道は、みんな誤解です、趣旨は違うんです、こういう答弁ですよね。 ただ、これはどう考えても、こういうものが百部以上作成された、そして署長やそれぞれの責任者の机の中に今もあるかもしれないのですね。こういうものはやはり適切ではなくて不適切じゃなかったんですか。これは法務大臣として、例えばこういうマニュアルが存在したということについて、入手されましたか、大臣は。
○臼井国務大臣 そうした報道がなされているということは承知をいたしております。しかし、警察内部のことでもございますので、この件につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○保坂委員 政治家同士の議論ということで、ぜひ大臣の肉声で御答弁いただきたいと思います。 マニュアルの作成自体が、犯罪を認知した場合の届け出、告発義務を公務員に課している刑訴法や公務員法違反じゃないかという指摘もありますが、どうですか。違反行為をそのまま奨励するようなマニュアルを放置できますか、法務大臣として。
○臼井国務大臣 今お答えをいたしましたとおり、警察内部のことでございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○保坂委員 いや、警察内部でこういうマニュアルがあったから問題なんですよ。だから、そのことを、法と秩序に責任を持つ大臣が、こういうマニュアルがあったと見たらすぐ取り寄せる、これが大臣の務めじゃないですか。いかがですか。
○臼井国務大臣 申しわけありませんが、この書類はまだ入手をいたしておりません。
○保坂委員 それでは、大臣、この新聞記事は読みましたか、きょうの読売新聞。
○臼井国務大臣 拝見をいたしました。
○保坂委員 速やかに入手をして、我々委員にも、国会全体でも政府部内でもこれは検証していただきたいと思いますが、いかがですか。
○臼井国務大臣 御指摘でございますが、当委員会としてもお考えをいただけるということになっておりますので、その御判断をお待ちいたしたいと思います。
○保坂委員 それは、委員長に私も要請したいと思います。 では、理事会で取り計らっていただけますか。
○武部委員長 理事会にて協議いたします。
○保坂委員 法務委員会は取り寄せるということをこれから議論するんですよ、協議するんです。法務大臣としてこういうものを取り寄せるということをなさるんですか、なさらないんですかと聞いているのです。
○臼井国務大臣 御指摘のものを入手するように努力をいたしたいと思います。
○保坂委員 では、もう一度官房長に伺いますが、今回の一連の不祥事は、こういうマニュアルどおりに従って処理をしたがゆえに起きた一体的な不祥事じゃないかということを私ども感じるわけです。 それで、今、マニュアルは、署長室だとかあるいは各責任者の手元にあるんですか、それとも廃棄されているんですか。
○石川政府参考人 先ほどのお話で、不適切な表現があるということは、私どもの認識です。 それから、何か犯罪の告発義務を免れるような中身があるというふうには思っておりません、中身として。 それから、このマニュアルなるものについて、回収をしたかどうかということについては承知をいたしておりません。具体的には承知をいたしておりません、今の段階で。
○保坂委員 それでは、大変重要な事案だということについては、大臣からもそういう前向きな答弁があったので、ぜひ早急に検討を、これは本当に一県警本部長の判断ということだったのか、それとも連綿と引き継がれてきた体質だったのか、これは分岐点になると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 続いて、警視庁の漏えい事件について。警察庁の刑事局長にも来ていただいていますので。 前回、この法務委員会で、これは重大な権利侵害でもあるし、また捜査権の濫用であると。警視庁の警察官の方がNTTのデータ、それから犯歴情報、この二つについて再捜査を始めたという報道がございますけれども、再捜査に踏み切るに至った前提となる認識ですね、何を核としてこの問題をとらえられているかということについて、簡潔にお願いします。
○林政府参考人 一定の処分をした、あるいは判断をしたときに十分な証拠が得られていなかったということで、もう一度十分な証拠をさらに得る必要があるのではないかということで、さらに調査を続けるというか、徹底するというふうに考えております。
○保坂委員 林局長の答弁はいつもわかりやすいのですが、今ちょっとわかりにくかったのですけれども、要するに、前国会でさんざんやりとりがありました。警察官が法に従って、捜査情報などまかり間違っても悪用したりしてはいけないんだ、通信傍受法、盗聴法の議論の中でありましたよね。これはそういう大切な問題だというふうに指摘をしていたのですが、そういう趣旨は踏まえていただいていますか。
○林政府参考人 今先生御指摘のように、前国会においても私も、国会を初めいろいろな場で、情報というものは絶対漏れないんだということを明言しただけに、今この席でお答えするのは針のむしろのような気がしております。 したがいまして、先生御指摘のように、そういったことの今後絶対ないように、また、捜査といいますか、警察官も人間でありますから、万が一にもそういう間違いがあった場合には、適切に厳正に措置をするということでやってまいりたいと思います。
○保坂委員 大変厳しい条件の中で、捜査現場、あるいはさまざまな国民の安心のためにまじめに働いている九九%の現場警察官のためにも、ぜひそれは徹底していただきたいと思います。 思いますが、お休みの間の新聞資料を取り寄せただけで、またいろいろあるんですね。その中に、全部列挙しませんけれども、奈良県警の問題がございます。 奈良県警では、やはりNTTドコモに対して、にせの捜査書類を作成して携帯などの情報、住所、名前等を照会したというケースが、これは一回立件を見送ったが、やはりもう一度立件するというふうに推移しているそうですが、これは簡潔に言ってどういう事態なんでしょうか。
○林政府参考人 奈良県警の事案の御指摘がありましたが、これは、同県警刑事部暴力団対策課の四十一歳の元警部補が、在職中の昨年末から本年五月までの間、二回にわたり、知人から依頼を受けて、捜査関係事項照会、いわゆる刑訴法百九十七条の二項による照会書を捜査目的以外の目的で作成して電話の契約者照会を行って、その住所、氏名という回答を自分に頼んできた依頼者に教示したというものであります。 それで、今先生の御質問の中に、捜査は中断しておったというか、やっていなかったのだけれどもまたやり始めたという御指摘がありましたけれども、これは、この問題になった人物は、途中、プライバシーがあるので言えませんが一種の病になりまして、病で職務が遂行できないということで、調査中に職を辞しておるわけです。何回か入院したりもしております。それで、ある程度治ったということで、捜査がおくれたけれども調査しておる。その調査の過程で、法に触れる部分があるということであれば厳正にということで、今回の逮捕に至ったということでございます。
○保坂委員 それでは、松尾法務省刑事局長に伺います。 先ほど林局長は、前国会のやりとりを踏まえると針のむしろに座っているような気持ちで答弁すると厳粛におっしゃったのですが、これはもう何回も繰り返すまでもありませんけれども、前国会の議論の中で、先ほど枝野委員からも出ていたように、警察があくまで法に従って適正かつ厳格にルールを遵守するということが、やはり最低限の前提だったはずです。けれども、にせの捜査照会書など、あるいは、神奈川県警の事例も一々言いいませんけれども、捜査情報の中から恐喝の材料を持ってきたりとか、こういうことが続出していることについて、法務省刑事局長としてどういうふうにとらえているか。これは大変深刻な事態だと思いますが。
○松尾政府参考人 御指摘の情報に関する事件、私としても大変遺憾な事件が連続しているというふうに承知しております。 ただ、通信傍受法につきましては、先ほど大臣からも申し上げました、大変厳格な要件のもとに実施されるということでございます。 それにまた、警察庁の刑事局長の答弁もございましたが、やはり警察に対する、現場の一線に対する指揮指導ということにつきましても、警察において徹底してやっていただけるものと我々は期待しているところでございます。
○保坂委員 こういう不祥事が秋以降続々出てきちゃったわけですね。ですから、こういうことを正してから本当に厳格な執行体制ができるというふうに、国民みんな納得すると思うので、我々は通信傍受法案に対しては反対をしました。ただ、そういう立場を超えて、大変深刻な事態だということは踏まえて、検察当局も含めて対処願いたいと思います。 郵政省の局長に来ていただいていますけれども、素朴な国民の疑問として、例えばNTTドコモも顧客情報を出しているわけですね。顧客情報ということなんですが、前回もちょっとお聞きをしましたけれども、いわゆるNTTあるいはNTTドコモなどの顧客情報と称するものは、住所と氏名と電話番号以外にも存在するんじゃないですか。私の質問は、それ以外に例えば課金情報などの、相手先の電話番号とか何分話したかとか料金は幾らだったかとか、こういう情報も含まれているのが顧客情報というふうには言わないんでしょうか。 あるいは、そういう情報が絶対出ないと。捜査当局から求められたときに、郵政省としてはどういう基準を示しているんですか。これは重大だと思うので。
○天野政府参考人 お尋ねの件は、言葉の用語の意味合いなんでございますが、通常私どもが個人情報保護というときに使っておりますNTTの電気通信関係の情報につきましては、NTTがいわゆるCUSTOM端末、営業窓口で職務上行っておる端末でございますが、そこから得られる情報でございまして、それは電話番号、契約者氏名、設置場所、口座番号、料金の支払い状況など、これは具体的な通信とはかかわりなく、お客様、契約者のリスト上の情報でございます。 それで、今先生おっしゃいました、課金情報のように具体的な通信にかかわる情報は区別しておりまして、これは別な扱いになっているわけでございます。
○保坂委員 そうすると、今回郵政省の方では、例えば課金情報などの情報については、このにせの捜査照会などでは出していない、こういうふうに把握されていますか。どうでしょう。
○天野政府参考人 今回の具体的な事案につきましては、現在警察当局において調査ないし捜査が行われているわけでありまして、私どもとしては、新聞報道以上の情報を持ち合わせておりませんので、今の御質問についてはお答えしかねるところでございます。
○保坂委員 法務大臣、こういう事例が出てきているわけですから、警察が捜査照会をしたときにも、きっちり基準をつくるということに努めていただきたいと思うんですね。その答弁をお願いします。
○臼井国務大臣 今まで委員御指摘のとおり、警察官が捜査上知り得た個人情報を外部に漏らすということは大変重大な問題であると考えております。警察の情報等につきましては、私は、警察において当然のことながら御処理を願うべきもの、このように思っております。
○保坂委員 警察が処理をするための基準、例えば個人情報保護の法制についてやはりきちっと示すべきではないのかという意味なんですが、ちょっと時間がありませんので、次に行きます。 私、この委員会で交通事故の問題を何度も取り上げてまいりました。片山隼君という男の子が亡くなったケースについても何度か取り上げてきました。 今回また、これは神奈川県警の一連の不祥事の一環として言われていることではあるのですが、ひき逃げ事故をひき逃げと知りながら、いわゆる一般の事故として処理をしてしまったというケースが明らかになりました。これは民事裁定でこの事実が確認をされながら、あえてそこのところを詰めなかった。 これも警察の交通局長に、一回だけになりますが伺いますけれども、これは私ども、被害者の方から、事実はこうだ、うちの娘は亡くなって、もう証言できないけれども、あらゆる証拠をいろいろ洗ってみると違うんだとか、あるいは大阪の小学生たちもそうでしたけれども、警察が処理した、その処理の仕方が違うんじゃないか、調書のとり方が違うよという、さまざまな被害者からの訴えが本当にあるんですね。こういうことを踏まえて、実況見分調書なども事実と違うことが、ずさんにつくられたということが明らかになった以上、被害者からこういった訴えがあったときに速やかに対応する、もう一回調べる、そういう制度をつくるべきじゃないでしょうか。
○玉造政府参考人 お答えいたします。 昨年来、警察としましては、いわゆる被害者に対する十分な情報の提供、そして事件についても、特に死亡あるいは重傷事故を重点とするわけではございますが、徹底した真相の究明ということを指示してまいりました。 その中で、事実はこれと違うのではないか、要するに、被害者と加害者と申しましょうか、両当事者の間で意見の食い違いが見られるような事案、これについても重点として捜査するようにという指導をしてまいりました。 その受け皿という問題が一つあるわけでございますが、受け皿につきましては、各県警本部の捜査担当課、通常、交通指導課と呼ばれるところが多うございますけれども、ここに捜査指導官をそれぞれ設置いたしました。この指導官が各署で起きた死亡事故あるいはひき逃げ事故あるいは重傷事故等々につきまして直接これを指導する、とりわけ両当事者の主張に食い違いがあるようなもの、これについては特に重点的に指導するという体制をとっています。 一方で、交通事故につきまして、当事者等々からいわゆる交通事故相談の窓口にいろいろと意見が寄せられます。また、現在行っております被害者に対する各署における連絡の中でもいろいろと情報が上がってまいります。このような情報につきまして、この捜査指導官を中心にしまして徹底的に洗い直すという体制をとっておるところでございますけれども、現在のこの事案、あるいは委員の御指摘を踏まえまして、この活用に努めたいと思っております。
○保坂委員 臼井法務大臣、今警察の当局から、体制は充実を図ってきているけれども、被害者に対する告知の問題も含めて。ただ、この方は一命を取りとめたのですね。取りとめたからまだ証言もできるのですけれども、亡くなる方はもう証言できないわけです。虚偽調書作成という容疑で書類送検ということになっていますよね。こういう事態を踏まえて、今当局の方は、被害者の方からおかしいんじゃないかという指摘があればもう少しスピーディーに取り組めるような対応を考えていきたいという答弁だったんですが、法務大臣としても決意を伺いたいと思います。
○臼井国務大臣 そうした被害に遭われた方に対する配慮というのは大変大切なことだと思います。 現在、公開の、いわゆる被害者に対する通知制度等もございます。そうした方々に対して情報を的確に開示をする、そのことによって、不審な点等があった場合には検察官に対して状況をお聞きいただくということもできるわけでございます。 しかしながら、現にこうしたこともございましたので、より的確な正確な処理ができるように、私ども心がけてまいりたいと思います。
○保坂委員 その的確で正確な処理というのは、遺族の方が、こんな証拠があるんだけれどもどうですかといったときに、もう少しスピーディーに、もう一回調べをやり直してもらうぐらいのことも含めて要望があると思うんです。その点はいかがですか。
○臼井国務大臣 被害者の立場に立ってしっかりとやるようにさらに指示をいたしたいと思います。
○保坂委員 それでは、時間が本当に限られていますので、入管の問題を最後にお聞きをしたいと思います。 御存じと思いますが、法務大臣のところに今瀬戸際の判断が迫られていると思います。いわゆる不法滞在二十一人の外国人の方が、もう帰る国はないんだ、自分らの、いわば捨て身で入管当局に大臣の在留許可を求めて出頭する、こういうことが九月にございました。 そしてその後、六百人の学者の方が支援声明を出される。この支援声明に賛同する方として、ヨーロッパの移民政策の研究者のトーマス・ハンマー・ストックホルム大学名誉教授や、アメリカの移民政策の第一人者であるカリフォルニア大学のウェイン・コーネリアス教授なども支持を寄せている。国際的に注目されている事案なんですね。 これは、入管局長、今どんな実情にあるのか、簡潔にお答え願えますでしょうか。
○町田政府参考人 今お尋ねの二十一人につきましては、退去強制手続という手続の過程で、本人たちの在留を希望する理由とか家族状況、それから内外の諸情勢その他、いろいろな諸般の事情、情勢について検討しているところでございます。
○保坂委員 何か昨日は、新聞によると、署名運動、二十七万人不法滞在の人がいる、これは推定でしょうけれども、二十七万人分集めると。 これまでの日本の入管政策ではこれを認めるのはなかなか困難だということを私今までの経緯を踏まえてよく知っていますが、この申請者の中に子供たちもいる、学校にも通っている、あるいは保育園の子もいるなど、大変海外から注目をされているし、大体十年近く滞在されている方が多いということで、恐らく現在はこの二十一人はもう保証金を払っていわば収容を一時的に免れている状態、もう口頭審理も終えて、あとは大臣の裁決を待つのみという状態と思います。 国際世論、それからこういう入国管理行政と外国人の人権、こういうはざまで、大変難しい問題だとは思いますけれども、しかし、日本が他の国から、やはりこういう問題について各国の扱いと著しく違う、例えば人権抑圧国などと言われることがないように決断をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○臼井国務大臣 今入管局長の方から御報告をいたしましたとおり、現在、退去強制手続の中でもって調査を進めているということでございます。 これは、二十一名それぞれ状況が違うと思います。それらの希望する理由等もしっかりとお聞きをしながら、内外の情勢等も考慮しつつ慎重に検討を行ってまいりたいと思います。
○保坂委員 一問だけ。 海外からも注目されているということを十分意識されているかどうか。
○臼井国務大臣 承知をいたしております。
○保坂委員 では、終わります。ありがとうございました。
○武部委員長 左藤恵君。
○左藤委員 二月の十日の本委員会の段階におきまして、私質問をさせていただきました。そのときにもいろいろとお話がありましたけれども、野宿生活者の対策、いわゆるホームレスの問題です。 これについて、その後、八月の通常国会末にも私質問させていただこうと思っておりましたが、時間の関係ですることができなかった。それで今日まで延び延びになっているのですけれども、まず、小渕総理の御発意によりまして、内閣審議室が中心になってことし七月に、ホームレスの自立支援方策に関する研究会というものの委員を人選をされて、そして審議が始まっているというふうに聞いております。 これが一体いつごろまでに行われて、そして答申というような形が出てくるのかどうか、この進捗状況について、何か私が伺うと、お忙しい方ばかりなのでしょうか、月一回ぐらいのペースで会合が開かれているようなことを聞いておるのですけれども、その間にもホームレスがどんどんふえている、これに対する対策は私は急がれなきゃならないと思いますが、その審議状況について、これは内閣審議官の方でお答えいただきたいと思います。
○石井政府参考人 ただいま、ホームレスの自立支援研究会についてのお尋ねでございました。 こちらの方は、厚生省におきまして来年度からの実施を予定しております自立支援事業、この自立支援事業を効果的に、どのようにやっていけばいいのかということを学際的な観点から研究をいただいておるものでございます。したがいまして、厚生省におかれては、大体年度内に結論をいただき、来年度から実施をいたしますこの自立支援事業について生かしていきたい、こういうふうな考え方であると伺っておるところでございます。
○左藤委員 確かに、厚生省の自立支援というのが一番基礎になることは事実だろうと思います。しかしながら、それに関連しまして、地域の住民の生活の問題とかいろいろなことが、ホームレスがどんどんふえていくことによっての問題点を次々と起こしておるのではないか。それに対する解決はなし、すべて厚生省の研究会の答申待ちというようなことであっては困るわけで、しかも、この問題については、厚生省だけで片づく問題ではないということはもう御承知のとおりだと思います。 そういった意味において、厚生省の方でおやりになっているこの研究会のことについて、やはり内閣としてどういうふうにそれを取り上げていくかということについてもっと真剣に考えていただくことはできないか。そこにつきまして、例えば中間答申というものが出てくるということもあって、そしてそれに基づいての緊急対策をする、そして抜本的な対策は答申が全部終わってからそれに対して手を打っていく、こういうことを考えなきゃならないのではないかな、私はこのように思います。 ところで、御承知のとおり、もう何年来でしょうか、大阪市では、十二月の二十八日から一月の六日まで、野宿者をその間だけ収容するという施設があるわけです。昨年末は、定員二千名以下、千何百ぐらいのところだったと思いますが、二千三百人も集まってきて、収容定員をオーバーしたということが言われておるのです。この前の質問のときにも申し上げましたけれども、こういった施設があるということで、大阪市に他の都市からどんどん移ってくる、その間だけでも来る、こういうような状況があって、この数も年々ふえていく。ことしどうなるかということも心配をするわけなんです。 そういうことで、この間だけでも居心地がいいところで年を越すことができる。そうすると、その人たちは、大阪の方がいいだろうということで、大阪に滞留して帰っていかないということもありまして、どんどんふえていく。サービスをよくすればそれだけそういった野宿生活者は帰っていかないからふえていって、その対策がいよいよ後手後手になってしまうような感じがします。 それで、抜本的な対策を待っておれないということもありますので、これは自治省の方にお伺いしたいと思いますけれども、お金がかかるというような問題もありますから、こういうことで緊急的な問題として、例えばそういった施設を増設するとか、これもお金がかかるわけであります。それから、日雇いの労働者に対する緊急対策、前にありました失業対策ですか、ああいったようなものを緊急にやる必要もあると思います。自治省として、これに対して、例えば地方交付税交付金の中の特別交付金、こういったものを出すとかいうふうなことについての予算措置を考えていただきたいと思いますが、この辺の御意見があったら伺いたいと思います。
○嶋津政府参考人 お答えいたします。 今委員が御指摘のホームレス対策につきましては、地方団体は非常に深刻な都市問題としていろいろな対応に悩んでいるわけでございます。現在は、ホームレス問題連絡会議で、今委員が御指摘のように、関係各省で総合的な対策をまとめようというふうにしているところでございますが、従来から、それぞれの団体が工夫しまして、いろいろな施策をやっております。 大阪地区におきましても、仮設入所施設とか緊急援護対策とかそれぞれやっておりますので、我々は、自治省の責務といたしまして、それぞれの個別の団体がやっております事業につきましての財政需要を的確に把握しまして、それぞれの団体からこういう施策をやっているということにつきまして、特別交付税での財政措置を今までも講じてまいりました。これからもいろいろ工夫しまして、いろいろな施策をやっていくということになると思います。 御指摘の中に、失業対策事業という御指摘がございましたが、いわば国策としての失業対策事業というよりも、機動的、弾力的に雇用をつくるというようなことをそれぞれの団体も工夫してやっておられます。そういうことも含めて、財政措置につきましては、今御指摘ございましたように、それぞれの団体から地域の事情をよく聞きまして、財政措置を十分にしてまいりたいと考えております。
○左藤委員 各省庁がそれぞればらばらにいろいろなことをやっておられるけれども、その連絡会議といいますか、こういうものをもっと拡大して、そしてまたやっていく必要があるんじゃないかと思います。 前回の質問のときに、私は、例えば連絡会議ならどうして法務省の人権擁護局長とかそういった人をその中へ入れないのかということについて内閣審議官の方にお尋ねしたんですが、結果的にはいまだに入っておられないようなんです。一番の問題は、これからホームレスの人たち、野宿生活者の実態調査というものをやるときに非常に大きなトラブルがあると思うんですが、この辺について、どうして法務省の人権擁護局長あたりを入れられなかったか、これを伺いたいと思います。
○横山政府参考人 お答えいたします。 ホームレス問題の対策につきましては、関係省庁等が、雇用、福祉、住宅等の分野からいろいろ取り組んでおると承知しております。この対策そのものにつきましては、法務省あるいは人権擁護局は直接的にかかわる立場にはない。ただ、やはりこの問題、人権という関係ではいろいろかかわっておりますけれども、対策あるいは具体的な施策をするというところでは、そういう意味では直接かかわっていないところから、このホームレス問題連絡会議の構成メンバーには入っていないのではないか。入っていない方からの立場ということを、私どもはそういうような理解をしているところでございます。
○左藤委員 ことしの夏に大阪市内のホームレスの実態調査というのを自治体がやったらしいんですが、学生か何かに、どこかに委託いたしまして、そしてどのくらいの現状であるか、どんな小屋といいますか、そういうところで生活しているかというような実態調査をしておって、今集計中であると思います。 一番大きな問題は、氏名を名乗らない、それから、どこから来たかとか、そういうようなことも一切言わないということで、協力してくれない人が非常に多いというので、実態調査をしましても、ただ外から見ただけのことしかわからないということです。どんな仕事を求めているのかとかいうふうなことまでわかればもっといろいろな対策ができるだろうと思いますが、問題は、いろいろなことで、そういうふうなことは言いたくない人が多いものですから、調査というものを行政対策に生かすことができないような実態ではないかなというふうに伺っています。そしてまた、町を汚すだけ汚して、それでそこが暮らしにくくなったら移動するというふうなケースもありますので、実態の調査というのは実質的に意味のあるものにすることができないんじゃないかなということがあるわけです。 その中の一つに、ことしはそんなに雨が降ったりなんかしなかったことで大きな危険にはならなかったんですが、淀川区の淀川の河川敷のところにホームレスが小屋を建てているということで、これは新聞にも取り上げられた問題なんですが、そこにビニールのテントみたいなものを張って、そこに生活しているということがどんどんふえてきまして、そういうことになっているんです。そのときに、急に集中豪雨が起こり、あるいは高潮のときに当たるとか、こういうふうなことになったときには非常に危険な状態になりまして、よく釣りで中州で雨に遭ってヘリコプターで救出されるようなケースがあるんですが、ああいうふうな事態のところに住む。そういうところしか住むところがないじゃないかというようなホームレスの主張かもしれませんけれども、これは河川法上の問題もいろいろあるんですが、そういうような実態があって、そういう調査というものは非常にやりにくいわけなんです。 その一番根本に、名前を名乗りたくない、ちょうど黙秘権を行使するとかいうふうな問題がある。これは当然、法務省の人権の擁護というようなことの考えがある。そういうことからいえば、この人たち、ホームレスの人権と、それから付近の住民の人権とどちらが大切なんだ、こういうふうに聞かれたら、この前にも私はそのことをお話ししましたら、当時の中村法務大臣からも、とにかくよく考えなければならないという問題があったんですが、何かこのことについて法務大臣のお考えがあれば伺いたいと思います。
○臼井国務大臣 今委員御指摘のいわゆるホームレスの方々の問題でございますが、私も千葉市におりますので、その問題の重大さというものを感じておる一人でございます。こうした方々が健康で文化的な最低生活が営まれているのか、健康上の問題等々いろいろあるわけでございますが、他方、地域住民の方々の平安な生活というものが阻害されていないか、そうした面からの人権問題があるわけでございます。 したがいまして、この問題を考えるに当たりましては、ホームレスの方々の人権に配慮しながらも、地域の方々の人権をも十分に配慮することが必要であると考えておりまして、この問題につきましては、先ほど来人権局長の方からお答えいたしましたとおり、我が法務省はこの問題連絡会議に入っておりませんが、人権という立場でこれからもしっかりと連絡をとりながら対処していきたいと思います。
○左藤委員 こういった基本的な問題とのかかわりの問題もありますが、当面のいろいろな問題につきましては、実効性のある雇用対策、それから、こうした住民のいろいろな実態というので、どこへどうした形で住んでいくかということについての問題とのセットにしなければならないと思います。公園や道路などの不法占拠、こういったことにつきまして、根本的な解決というのは、やはり今のような応急対策ということだけではとてもやっていけないと私は思いますし、その間にそういった実態の調査というようなものを基本的にやる必要もあるわけだ、私はこのように思います。 そういったことが結論が出るまでの段階におきまして、やはり暗い公園とか、付近の住民にとりましては非常に治安の心配があるわけでありまして、そういったことについて感じておることは、例えばパトロールを強化するとか、今もある程度やっていただいていると思いますが、事故の起こる前にもう少しこのことについて十分な対策を講じていただきたいと思いますが、警察庁の方から伺いたいと思います。
○黒澤政府参考人 ホームレス問題につきましては、警察として大きな関心を持っておるところでございまして、関係行政機関で構成されておりますホームレス問題連絡会議によりまして本年五月に取りまとめられましたホームレス問題に対する当面の対応策に沿って対応しているところでございます。特に、警察といたしましては、地域社会の安全確保のためのパトロール活動を行いますとともに、地域住民に危害を与えるような事案につきましては検挙措置等を講じているところでございます。 また、公園等の不法占拠の問題につきましては、関係機関、自治体等との緊密な連携のもと、ホームレスの居住場所の確保状況というものを勘案しながら、公園等の管理者等が行う退去指導活動等に伴って発生する不法事案の防止等の安全対策を推進してまいりたいと考えておるところでございます。
○左藤委員 いろいろな方面からこの問題を考えなければなりませんが、どこか一つ取りまとめるということがこの問題の解決に前進する大きな推進力になっていくと思います。言ってみれば、お役所でも、強い権限を持つことについてはお互いの権限争いみたいなことがありますけれども、嫌なことはよそへ責任を持っていくような傾向があります。前にも、何か伺っていましたら、猫の死骸をどこが扱うかということについて役所の所管で争いがあって、権限じゃなくて職務のことについて、最終的には結局総理府か何かの方が引き受けられたというような話があるんですが、このホームレスの対策については、みんな責任をよそのところになすりつけていきたいような、自分のところで責任をとりたくないような、そういうことが非常に往々にありますので、なかなか推進することが阻害されていることは事実だと思います。 私は、先ほどの研究会の最終的な審議というようなものも待たなきゃならないかとも思いますけれども、それに関連して、人権の問題と調査の権限の問題とか、いろいろな基本的な問題、こういうものを何か、基本法ということまではないんですけれども、まとめた一つの特別立法というものをやる必要があるんではないかな、このように思います。そういうことによって、このホームレス対策は、先ほど申しましたように、総合的ないろいろなことをやって初めてその成果を上げることができると私は思うし、ホームレスをなくしていくことができるんじゃないかと思います。 ただ、仕事も与えないし、もう生活もできないということで困ってやむを得ずやっているんだ、何が悪いんだということになって開き直られても困るわけなんでして、お役所の責任でして、これは例えば労働省が対策を講じて仕事を与えないからそうなってしまうんだということも困るわけだし、自治体にしてみても、その人たちが調査を拒んでいるからその人たちは市民として扱うことができない、市民ならば例えば生活保護を与えていくとかいうふうなことで、仕事も与えるし、住むところもできていくということで与えられるけれども、そんな、不法に占拠して自分の名前も言わないような人たちには何もできるか、こういうようなことで理屈をつけて、解決していくんじゃなくてそれを断っていくような、そんなことをやっていたらいつまでたっても解決ができないだろう、私はこのように思いますので、ひとつ、連絡会議ですか、そこでもって十分推進していただいて、ぜひいろいろな基本的な問題についてのどんな問題があるかということを考えて、それにはお金もかかるわけでありますから、国もそれから地方自治体もということで自治省が中心になって、そういった財政の問題もあわせて一つの特別立法を立てる必要があるのではないか、私はこのことを提言しておきたいと思います。 これにつきまして、その取りまとめをしていただく立場の審議官の、内閣の方の御意見を伺っておきたいと思います。
○石井政府参考人 ホームレス問題の対策につきましては、今御指摘ございましたように多方面にわたる問題でございます。私ども、そういうことから、関係省庁、また関係地方公共団体にもお入りをいただきまして、ホームレス問題連絡会議を発足させたわけでございます。 現状で申し上げますと、このホームレス問題連絡会議、五月に当面の対応策ということで総合的な対応策を取りまとめてございます。また、これをそれぞれ着実に実施しようということで取り組みを進めておるところでございまして、例えば、福祉事務所の窓口での相談に応じるということにとどまらず、街頭で相談に応じる体制を実施する、あるいは、そういう場合に保健婦さんにも御同行いただいて健康診断、健康相談というようなことも対応できるようにしよう、一例でございますが、そういったことも現に進めてございます。 それから、先ほども少し触れたわけでございますが、自立支援事業ということで、一定期間の宿泊、これに健康診断や生活相談さらには職業相談、こういったものを実施する事業を進めていこうということで、これは厚生省で所要の予算要求ということも行っておられますし、また、自治体におきまして個々具体的な実施の方法というようなことも進められておるところでございます。 したがいまして、私どもとしましては、五月に取りまとめましたこういった当面の対応策、これを着実に今やっておるところ、こういう認識でございますので、先ほど特別立法、基本法という御提言がございましたけれども、まずはこの当面取りまとめました対応策の実施、こちらに取り組んでまいりたい、こういう考えでございます。
○左藤委員 諸外国ではそういった特別立法もあるようでありますが、外国の事例をどうだということではありませんけれども、そういったものも研究していただいて、基本的な問題、先ほど言ったそういう人権に関連する問題だとか、それから仕事の与え方といいますか、そういうものに対して、実際の仕事の問題については労働省が主体になってやられるんでしょうけれども、それから関連の衛生の関係の、そういったホームレスの人たちの健康の問題とかいうようなものを、ばらばらにやったのでは効果がないだろうと思うんですが、どういうふうにしてまとめていくのか、基本は何なんだということについての、連絡会議がそういうことについての最終的な結論を出されるのを、先ほどの研究会の答申というものの時期もあるでしょうけれども、できればそれを十分生かすことができるような形での取りまとめというものをしていただいて、それで強力に推進していただくということを特に私は希望しておきたいと思います。 時間も余りありませんので、私は、きょうは、この前に質問申し上げて、その後余り進んでいないような感じ、実態がありますから、このことについて特に各省庁が十分連絡をとってやっていただくということを希望いたしまして、質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○武部委員長 西村眞悟君。
○西村(眞)委員 四時までで終えるように努力いたします。 前回、治安維持は国内だけの問題ではなくて国際化という前提を見て対応しなければならない、その意味で、出入国管理についての、だれが国内に入ったかの情報は速やかに一元的に集計できる体制が必要であるということを申しました。本日も、この情報収集という観点から二点、情報に関して二点ほどお聞きいたします。 我が国が、将来の危機よりも現にある危機で国民が忘れ去っているのは、例えば銀行の副頭取、また支店長が射殺されて杳として犯人がわからない。前回も指摘しましたけれども、送電線鉄塔が倒されて、だれがやったのかわからない。それから、朝日新聞の記者が射殺されて、だれがやったのかわからない。日本人が拉致されて、だれがやったのかわからない。これは今現に起こっている危機ですね。 だから、本年、組織対策法等情報収集のための通信傍受が成立しましたけれども、果たしてそれだけで、治安を維持し国民の生活を守るという意味でも、現在の情報収集能力が十分果たせるのかと私は危惧しております。私の大阪では、片言のカネ、カネという言葉だけで集団強盗があって、留守番の女性が殺害されたまま、今はその集団強盗の事件はとまっていますけれども、ある意味では非常に治安維持上ゆゆしき問題が起こっております。 そこで、大臣にお聞きしたいのは、やはり警察の情報収集能力の強化という面については不断の点検が必要であるのではないか。私の認識では、いまだに今例示したようなことが起こっておりまして、杳として犯人が知れない状況が放置されているわけですから、制度また予算、またその制度のもとに動く方々の行動を根拠づける法的根拠も含めた検討が真剣に開始されてしかるべきであろうと思いますが、大臣の御所見はいかがでしょうか。
○臼井国務大臣 今委員御指摘をいただきましたとおり、社会秩序を破壊しようとする不正の侵略行為に対しては、情報活動の重要性を見逃すことはできないと考えます。 情報収集能力の強化につきましては、国際的な広がり及び関係機関相互の協力に留意するなどして、今後とも鋭意努めてまいりたいと思います。
○西村(眞)委員 ぜひそのようにお願い申し上げます。また、我々国会議員の方もそのような検討を勉強していきたいと思います。 さて、情報というのは管理することが必要でございます。今回、その管理に関して情報公開ということに焦点が当てられておりますけれども、情報というのは公開するのも管理です。管理ができておらなければ適切に公開はできません。その管理のもう一つの側面に、必要な情報を秘匿する、守る、保護ということも必要なのでございます。したがって、情報の公開と情報の秘匿は車の両輪でございまして、不可分一体だと私は思っております。 ところで、我が国には、例えば為替政策、公定歩合、これ一つとってもこれが事前に漏れれば国民経済に重大な惨害が及ぶわけでございますし、産業技術、ノウハウ、産業立国にとっては大変な保護すべき情報でございます。また外交、防衛、治安、今申し上げている治安に対しての情報秘匿も必要です、どこの部分について手薄であるという情報が漏れればそこをねらい撃ちされるわけですから。また、国民のプライバシーについての情報の保護がどうしても必要でございます。 ところで、レフチェンコ証言というのがありまして、結局、我が国はスパイ天国であると。そして、ソ連のスパイであるレフチェンコはアメリカに亡命して、アメリカの委員会で、我が国はスパイ天国である、数百名が協力しているという意識なく私どもに協力したと言っておるわけです。また、ソビエト崩壊後はクレムリンの文書が明らかになりまして、これは中公新書に「クレムリン秘密文書は語る」というタイトルで本が出ておりますけれども、これを読めば、クレムリンの文書では、民主主義の根幹に対する工作活動が日本に対してなされて、そして現実にそのことを感謝する日本の政党がおったということが書かれております。 さて、これは民主主義の根幹にかかわることをも、レフチェンコが言うスパイ天国の我が国にはなされていたということでございます。したがって、情報の公開とともに情報の秘匿、今申し上げた具体的に為替であれ公定歩合であれプライバシーであれそれを秘匿する、いわゆるこれはスパイ活動防止法とか情報秘匿法とかいう名前で呼ばれる法律の分野ですけれども、これの整備は法務省が主導して、通産省も防衛庁も関係しましょうけれども法務省が主導して、大臣において問題意識を提起されていかれればいかがかなと私は思っておるのですが、大臣、いかがな御見解をお持ちでしょうか。
○山本(有)政務次官 先生の御指摘のように、今日の国際社会の中では極めて国益を守るのが困難であるというような分野もございます。その一方で、民主主義の原則からいえば、すべて国民主権主義のもとからはガラス張りであるという国家機関のまた理想像もございます。そのはざまの中で、できる限りガラス張りという点を重要視しながら、国益を守るための情報保護というものに鋭意努力を重ねていきたいと思っております。
○西村(眞)委員 民主主義の国家では、御答弁されたとおりの両者の切り結ぶところに我々の国家体制を築かなければならない。ただ、民主主義国家であるがゆえに私は強調したいのは、我が国の政策決定のプロセスに対してスパイ活動が行われ、クレムリン秘密文書にあらわれたような影響を我が国民主主義のプロセスが受けてはならないのだ、その意味で、民主主義を守るための急務として、また我が国国民経済を守るための急務として、国民のプライバシーを守るための急務としてスパイ活動防止法、これは名称はいかなるものでもよろしいですけれども、これの検討が必要であろうと思います。今お答えになっていただいて、結構でございます、それで十分でございますから、これから検討を始めていっていただきたいし、私どももまたその問題意識を持ちたい、持って具体的に進みたいと思っております。 さて、これも情報の収集にかかわるのです。つまり、警備というのは情報の収集にかかわりまして、治安が乱れるのか乱れないのか、乱れるとしたらどの方面でいつ乱れる可能性があるのかという問題でございます。 これは、警察の警備力、情報収集力の中の一環ですが、ここから見ますれば、我が警察官はピストルを持っておりますが、このピストルで対処し得ない武装をした国籍不明の部隊が我が国に上陸した場合に、我が国の治安を維持するためにいかになすべきかという課題が現実的に浮上するわけですね。 数年前、韓国沿岸で座礁した潜水艦の腹にはテトラポッドによる傷がついておりました。テトラポッドは日本の沿岸にまかれているものでございまして、あの船は日本の沿岸に来ただろうという報道もなされておったわけです。 もし日本沿岸で座礁したならば、韓国であのとき起こったがごときの状況が起こったであろう。あのとき韓国でいかなる事態が起こったかといえば、二名の上陸した工作員が六十数日間逃走して、その鎮圧のために要する韓国正規軍が延べ百五十万人を超えた。そして韓国正規軍が十数名射殺されておる。それだけの武器と能力を備えた工作員であった。仮に彼らが日本に上がっていた場合には、警察で一応の対処に行きますけれども、韓国正規軍のように、多くは亡くならねばならない。そのときに治安出動の要請を、警察から連絡を、内閣にその情報が上がってくるだろうけれども、そのときに閣議というプロセスを経なければならない。その時間差をどうするのかという問題が浮上してまいります。 ここで、警察の能力を上げる、その体制がどうしても必要だという観点と、自由党は、自衛隊の領域警備法を整備して警察との調整に入らねばならないという段階に来ておりますけれども、結局、領域警備法がない現在では治安出動で自衛隊が出てくるまで警察が耐えねばならないのですね。そのときの警察と自衛隊との相互調整、そして相互連携、マニュアルの検討等がどうしても必要だと私は思います。 大臣におかれましては、今の事態は想定外の事態ではないわけですね。現実に日本人が工作員によって拉致されている我が国ですから、想定外の事態ではない。十分想定し得る事態である。したがって、警察も武器を含む能力の強化と、警察で対処し得ないときに来る自衛隊との連携、そしてまた、治安を維持するという観点から、主導して自衛隊に領域警備法の検討を、陸上では国民の権利義務に重大な影響を及ぼす領域ですから、法務省が主導して、防衛庁との間になされるべきであろう、このように私は思っておりますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。政務次官でも結構ですから。
○臼井国務大臣 今、委員御指摘をいただきました件につきましては、常日ごろから関係当局が考えておくべき点の一つの御意見としてお伺いをいたしておきたいと思います。
○西村(眞)委員 非常に重要なことでございまして、私ども、質問するだけではなくて、ともに問題意識を持ってまいりたいと存じます。 本日は、お答えいただいてありがとうございました。これで終わります。
○武部委員長 次回は、来る二十六日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時一分散会