科学技術委員会 第3号
- 発言数
- 261 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1999/11/17
会議録
○北側委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、原子力災害対策特別措置法案及び内閣提出、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 この際、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、政府参考人として科学技術庁科学技術政策局長青江茂君、科学技術庁研究開発局長池田要君、科学技術庁原子力局長興直孝君、科学技術庁原子力安全局長間宮馨君、資源エネルギー庁長官河野博文君及び運輸省自動車交通局長縄野克彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 引き続き、お諮りいたします。 両案審査のため、本日、参考人として核燃料サイクル開発機構理事長都甲泰正君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○北側委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 —————————————
○北側委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤昭一君。
○近藤委員 おはようございます。民主党の近藤昭一でございます。 原子力災害対策特別措置法案、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案ということで、質問をさせていただきたいと思います。 私ども民主党は、以前から原子力災害対策基本法というものを考えてまいりまして、科学技術というのは確かに大切であり、資源のない日本にとって、とにかく人というのが財産であり、そういった技術開発をしていくことで国を経済的にも富ませ、また国際貢献をする中で海外との友好も深めていくということで、大変重要であるというふうに思っております。しかしながら、それだからこそ科学技術に対しては、科学が万能だということではなくて、謙虚な気持ちを持って、万が一のことが起こるかもしれない、そういったことも考えておくべきだということで、御承知のとおり、今回もそうでありましたが、放射性物質というものは目に見えない、そして人間の体に、遺伝子に直接害を及ぼす、それが御本人だけではなくまた子供さんにも出てくるということで、大変に重大な事故につながるということでありまして、その意味でもしっかりと対策をとっていくべきだということで、原子力災害対策基本法というのを私どもは考えてまいりました。 そういう意味では、今回政府の方からこういった法案が出てきたことは、一面歓迎すべきことでありながら、残念ながら、そのきっかけとなりましたのは今回の東海村の燃料加工工場ジェー・シー・オーの事故。それも、起こりましてからしばらくたつわけでありますが、この間わかってきたこと、なぜこういうことが起こったとかいうことを聞いておりますと、本当にこんなことがあっていいのだろうか、あってはならないのではないかというようなことが原因であったような気がいたします。そういう意味では、技術的な原因究明はある種容易なのかもしれませんが、本当にこういった事故が起こらないようにする、そのためには大変に難しい問題を幾つかはらんでいるのではないかと思うわけであります。 そして、そういう中で今この法案が出たことの背景。あってほしくない事故だったわけでありますが、こういうことを申し上げると大変に申しわけないのですが、また、一昨日ですか、科学技術庁が関係する宇宙開発事業団のHIIロケット八号が残念ながら失敗をしてしまったわけであります。 このことについての原因はこれからさらに究明はされていくんだと思いますけれども、今申し上げました科学的な技術、例えば一段目のロケットのここがこういうふうでおかしかった、だからこういう事故が起きたんだという究明はできるのかもしれません。しかしながら、どうもそういうことばかりではない。ジェー・シー・オーの事故も、日本の原子力開発史上最悪とまで言われている。また、今回のHIIロケットにつきましても、新聞によっては、我が国の宇宙開発事業史上最悪の事故であると。中曽根長官におかれましても、現地におかれまして大変に悲痛な思いをされたのではないかと思うのです。 それで、非常に漠然とするのかもしれませんが、この一連の、HIIロケットの事故、そしてまた東海村、こういったことが起きている、そういう技術的な原因だけではなくて、何かもっと違う原因が、大きな意味での原因があるのではないかということを感じたりするわけでありますが、長官、そのことについてはどうお考えでしょうか。
○中曽根国務大臣 今回のHIIロケット八号機の打ち上げは、本年九月の打ち上げ作業におけるトラブルの発生等を踏まえまして、宇宙開発事業団におきましては、現場特別点検を行いまして、念には念を入れて準備をしてきたものでありますが、このような事態に至りまして、大変残念に思っておりますし、大変遺憾に存じております。 原子力や宇宙開発のような大型のプロジェクトを実施していくためには、細心の注意を払って、事前に幅広い事態を想定しながらミスやトラブルの発生を未然に防いでいく、これが大変重要であるわけでございますけれども、ジェー・シー・オーの事故、そして今回のHII八号機の打ち上げの失敗と事故が続いているということにつきましては、本当に私どもは重く受けとめ、また反省をしなければならないと思っております。 委員もおっしゃいましたけれども、原因究明は当然のことでありますけれども、その中から将来の開発に生かすべきものを酌み取りまして、今後の科学技術の研究開発に反映をさせてまいりたいと思っております。 構造的な欠陥とか問題があるのではないか、そういう御指摘でありますけれども、そういう点まで含めましていろいろ検討してみたい、そういうふうに思っております。
○近藤委員 ありがとうございました。 今おっしゃった中にあるいは含まれているのかもしれません。また、この間、この科学技術委員会でも何回もジェー・シー・オーの事故に関しましては質疑が行われているわけでありますが、長官、もう一度、今回のHIIロケットのことも含めまして、ジェー・シー・オーの事故、事件と言ってもいいのではないかくらいまで思うわけでありますが、そのことについても、何かお感じになっていらっしゃることはありますでしょうか。
○中曽根国務大臣 先ほど申し上げましたように、原因の究明がまず第一であり、また、今後の再発防止策をとるということで、今委員会におきまして法案の御審議をいただいているわけでありますけれども、その背景にあるいろいろな問題点を見つけ出して、これらを今後の対策に生かしていくということ。また、その中で感じますことは、いろいろ、従業員に対する日ごろからの教育訓練の問題、あるいは経営者のモラルの問題等、社会的な大きな問題も含んでいるのではないか、私自身はそういうふうに思っております。
○近藤委員 長官、ありがとうございます。 ただ、せっかくこうして委員会に私も出させていただいておりまして、とにかく、今臨時国会からクエスチョンタイムも始まりました。できる限り政治家が議論をしていこうということでございまして、もちろん大臣のお立場もあるでしょうし、いわゆる大臣としての公の立場、また一政治家としての立場もあると思うのですが、私は、科学技術委員会で大臣がこう言ったんだ、だから内閣としてもこうじゃないか、内閣不一致だ、そういうことではなくて、いろいろと生のお声をお聞きしたいというふうに思うわけであります。 そういう中で、今大臣もおっしゃられました。このジェー・シー・オーの事故でも今原因究明をしているんだ、その原因の追及、究明を待ちながら、また、どうも従業員の人に対する教育というか訓練とかそういうものも、ちょっと言葉は違うかもしれませんが、足りない部分もあったのではないかというようなこともおっしゃられたわけであります。 それで、私もこれは私見というか、まあ本当に結論とかそういうことではないのですが、この一連の事故を見ておりまして、特にジェー・シー・オーの事故ですと、裏マニュアルがあった、裏マニュアルさえも逸脱していたような作業が今回行われてきた、そういうことをまさしく何か許してしまった体質というか現場の雰囲気、そういうものがあったのではないかなというふうに思うわけであります。 例えば、その現場で責任をとっていらっしゃる方は、内心ではこんなことはしてはいけないのではないかと思っていらっしゃったと思いますし、あるいは、してはいけないのだとは思いつつも、例えば効率を上げるためには、あるいは周りの雰囲気からはこういうふうにせざるを得なかったのだとか、そういったようなその場の雰囲気といいましょうか、そういうものはわからないわけでありますが、何か、まあまあこれでいいんじゃないかというような甘えといいますか、甘い見通しみたいなのがあったのではないかなと思うわけです。 そうすると、やはりかなり基本的な部分では、それぞれの作業をする方が、もちろん原子力の安全に対する教育をしっかり受けながら、しかし、自分がその場で持っている責任というものを、きっちりとどんなことがあってもやっていくんだ。例えば上司がこう言った、あるいは、自分のスタッフがこんなのでもいいんじゃないでしょうかというような声があっても、かたくなに、愚直にというか、やっていくという、ある種技術的な理解と、そういう中でも、ある種職人的な気質と申しましょうか、これだけは守っていくんだというようなことが、残念ながら日本人の中に少々失われつつあるんではないかな、そういうようなことも感じたりするわけであります。 そういったある種日本人の気質みたいなもの、また、それはもしかしたら教育ということにつながっていくのかもしれませんが、その辺については、大臣、何かお考えになっていらっしゃることはありますでしょうか。
○中曽根国務大臣 お話ありましたような裏マニュアル等の存在を見抜けなかったということは大変残念に思います。 今回の事故の背景には、経営上の問題あるいは労働上の問題等々あろうかと思いますし、先ほども申し上げましたように、現場での教育等かなり大きくクローズアップされておりますが、これらは一番大切な問題だ、そういうふうに思っております。
○近藤委員 大臣としても、その原因の背景にあるものを簡単に申されることはなかなか難しいのだとは思うのですが、私は、私の私見としまして、考えとしまして、かなり基本的に、教育、あるいは大げさに言えば日本人そのもののあり方みたいな、働き方みたいなものにも随分と関係してきているんではないかなと思うわけであります。そういう意味で、総括的に大きくくくってしまうのはよくないかもしれませんが、教育の問題につきましても大きく関連をしているんではないかなと思います。 ただ、そういう中で、そういうことはあるにしても、今大臣もおっしゃられましたように、そういう裏マニュアルがあった、それを見抜けなかったということがあったのだと思いますが、そういう意味では、今回の法改正でも、ある種、チェックをどうしても抜けていくところがある、だから今までよりもそういう検査体制を強くしていこう、見抜いていこうということではないかと思うのです。 それに関連いたしまして、とにかく私は人間というものを信じてはいきたい、しかし万が一のことがある、そういう意味でも、チェックというものはきっちりとやっていかなくてはならないんだと思うわけでありますが、せっかくチェックを厳しくしていくということですと、やはりこれは徹底的なチェックというものをしていかなくてはならないんだと思うのですよ。 これはいろいろなところで、今までのこの科学技術委員会なんかでも、原子力関係の事故があるたびに言われてまいりました。今、原子力安全委員会というのは総理府に所属をしている、しかしながらその事務局が科学技術庁の中にある。つまり、原子力開発というものを進めていこうといういわゆる推進の部分と、その規制の部分といいましょうか、原子力は危険なものだからその危険性を十分に認知して規制をしていこうという部門が明確に分かれていないのではないかという議論がよくあるわけであります。 そういう意味では、今回の法改正でも、その辺は考慮をされているわけであると思いますが、私ども民主党では、とにかく原子力安全委員会を、今八条委員会であるわけでありますが、三条委員会に格上げをする、そして、推進部門とはきっちりと明確に分けて行動していくべきだというふうに考えておるわけでありますが、大臣、どうですか。今の、見抜いていく、チェックという部分でいうと、今回の法改正で本当に十分なんでしょうか。
○中曽根国務大臣 事故の反省から、安全委員会の機能を強化することが重要、そういうふうに考えております。 今、安全委員会の位置づけについてのお話もございましたけれども、我が国では原子力の規制と推進の機能を効果的に分離をしつつ、科学技術庁または通商産業省が法令に基づく安全審査を行いまして、さらに原子力安全委員会がダブルチェックをする、そういう仕組みになっております。委員も御承知のとおりであります。 原子力安全委員会は、みずから擁する二百名に及ぶ専門家を動員して安全審査に厳正に臨んできたところでございます。安全委員会の審議会としての活動の柔軟性を生かしまして、行政庁の一次審査と、それから安全委員会のダブルチェック、これを組み合わせた現行の安全規制体制は、我が国のシステムとしては十分に意味があるものと私は考えております。 安全委員会につきましては、今般の臨界事故を非常に重く受けとめまして、これまでの設置段階での現地調査に加えまして、建設や運転の段階でも随時に立入調査を行うことによって、一次規制庁の安全規制のあり方を中立的立場からチェックする機能の強化を図ることといたしております。 科学技術庁といたしましても、これら強化策の実効性を上げるために、安全委員会の事務局機能の強化等、一層の体制整備を図っていきたい、そういうふうに思っております。
○近藤委員 大臣おっしゃるとおり、これをチェックして厳しくしていくということだと思うのですが、もう少し具体的に、今度この原子力安全委員会は規模がどの程度大きくなるのか、あるいは、大きくなる予定はない、とにかく今の体制を基本的に持って、今大臣おっしゃったような過程でもっと厳しくやっていくんだということなのか。 もっと規模、予算も多くしていく。そしてまた、今は原子力安全委員会は諮問機関でありますので、もし万が一原子力発電所で事故が起きた場合に直接原子力発電所をストップさせることはできないと思うのです。意見を出して、それは通産省ですかね、基本的にはそこが命令をして原子力発電所をとめるということになるんだと思いますが、この辺のチェックする段階を今まで以上にふやすということではなくて、先ほど申し上げました八条委員会から三条委員会に格上げをするとか、そういった、ある種権限をより強化していくということについてはどうなんでしょうか。
○中曽根国務大臣 機能の強化もいろいろな方法があろうかと思いますけれども、人数の面における、人員の増強による強化もありますし、それから、先ほど申し上げましたように、それぞれの要所要所におきます検査体制を強化する、そういう方法もあろうかと思いまして、総合的に強化を図っていこうと思っているところでございます。
○近藤委員 もちろん、そういうふうに総合的に強化を図っていただきたいわけでありますが、政府から出ております資料等も読ませていただいているんですが、今お伺いしましたように、規模的には大きくなって、原子力発電所を直接とめられるような機能を持った、大変に大きな権限といいましょうか、そういった権限についてはどうなんですか。
○斉藤政務次官 現在、原子力安全委員会に、例えば事故が起きたときに原子力発電所をとめさせるというふうな権限はございません。しかし、諮問委員会として、その諮問に対してはそれを総理大臣は尊重しなくてはいけないという規定もあるわけでございまして、現在の原子力安全委員会の体制で十分とは申しませんけれども、機能を強化することによって十分その使命を達することができると私は思っております。 また、よくNRCの三千人の陣容と比較して、日本の原子力安全委員会及びそれを補佐する事務局は余りに少ないではないかというふうな議論もあるんですけれども、例えばアメリカのNRCの場合、いろいろな規制のための研究機関を持っております。日本は、例えばその研究機関として日本原子力研究所がそれに相当するというところもございまして、一概に日本の規制がアメリカに比べて極めて劣っているということは言えないのではないかと思っております。
○中曽根国務大臣 今、総括政務次官からもお話を申し上げましたけれども、御案内のとおり、平成十三年の省庁再編、これに伴いまして、原子力安全委員会は内閣府へ移管をいたしまして、事務局も法定化をし、中立性の一層の強化を図っていくこととしております。そして、原子力のエネルギーとしての利用に関する安全規制は経済産業省へ一元化をする、そういうこととしておりまして、これらは、原子力安全委員会の機能強化と相まって、ダブルチェック体制をより有効に機能させることになる、そういうふうに思っております。 それから、今も申し上げましたけれども、この安全委員会は、申請段階のみならず運転段階も含めまして随時に原子力事業者の事業所等において調査を実施することができる、今後そういうふうにも法案でいたしております。また、その調査の結果等を踏まえまして、今総括政務次官からもお話しいたしましたけれども、一次規制庁に対して適切な措置を講じるよう求めることもできる、そういうふうにして強化を図っているところでございます。
○近藤委員 済みません、ちょっと整理をしたいんですが、そうしますと、この法改正によって、原子力安全委員会の所属そのものは今までと同じような形になるんですか。それとももっと推進、規制で明確に、所属も——今までは確かに、規制と推進、外から見るとわかりにくい部分もあったけれども、しっかりとやってきたということだと思うんですが、それでも、その中でこういう事故が起きてしまった。外から見たという言い方はよくないとは思うんですが、中身でもしっかりやっていく、またあるいは、外から見たときでもなるほどと思えるような形にすべきだと思うんですけれども、そういう意味では、今度は原子力安全委員会というのはどういう成り立ちになるんでしょうか。
○斉藤政務次官 今回の原子力二法におきましては、原子力安全委員会の位置づけにつきまして言及はございません。二〇〇一年一月一日、省庁再編までは、基本的には現状の体制で進むということでございます。 二〇〇一年一月一日からは原子力保安院という形になりまして、機能も強化した形で、この原子力安全委員会が機能いたします。しかし、二〇〇一年一月一日まで、この省庁再編までにおきましても、現在の機能をもっと強化すべきだということで、人員の増強等、今計画をしております。
○近藤委員 省庁再編等もあるわけで、そういう意味ではなかなか手をつけにくい、やりにくいところもあるのかもしれませんが、冒頭、大臣にもお伺いをしましたように、この一連の事故の原因がなかなか難しい、それも調査中だということ。ただ、そういう中でも、できる限りチェックをしながら事故が起こらないようにするんだというお考えではないかなというふうに思っているわけであります。 そうしますと、原子力安全委員会にもちろんすべての原因があるのではないかもしれません、しかしながら、やはりこの原子力安全委員会がそういった原子力の規制について大きな部分を担っているということで考えれば、この機にもっと原子力安全委員会を強化する必要があるのではないかと思うんですけれども、どうでしょうか。今のことでいうと、確かにチェック体制は厳しく、段階がふえるのかもしれませんが、どうも不十分であるようにしか思えないんですけれども。
○斉藤政務次官 基本的な考えは、私どもも近藤委員と同様でございます。 今回の原子力二法、原子炉規制法の改正につきましても規制の強化を図りましたし、その規制に対して人員の増強が必要であるという状況も生じてきております。 先ほど原子力保安院の話をしましたけれども、これはあくまでも、私ちょっと間違ってしまいましたけれども、一次規制側、行政庁としての組織でございます。原子力安全委員会はそれとは独立した形で存在をするわけですが、この一次規制庁としての規制も強化するということであれば、ダブルチェックをする安全委員会の機能も強化しなくてはならないわけでございまして、基本的な考え方は一緒でございます。 ただ、八条諮問委員会にするのか、三条組織にするのかという点につきましては、今後いろいろ議論を重ねていかなくてはならない問題だと思っております。
○近藤委員 政務次官からお答えいただきましたように、この原子力安全委員会の機能強化については、ぜひまたこの科学技術委員会で議論をさせていただいて、今回のような事故が二度と起こらないように、規制といいましょうか、チェックを進めていきたいというふうに思うわけであります。 ですから、そういう意味では、私の考えとしては、原子力安全委員会の権限強化、機能強化というのはもっと検討していくべきだというふうにちょっと要望をさせていただいて、次の質問に移りたいと思うわけであります。 実は、今回の事故、私も現場の調査に科学技術委員会のメンバーとして行かせていただきましたけれども、本当に閑静な町の中にぽつんとある工場。周りの方でも、当初できたばかりのときは違ったかもしれませんけれども、ごく最近ですと、ここでそういった燃料が加工されているのも忘れてしまうのではないかなというような、本当に静かなところだったというふうに思うわけであります。 そういう意味では、周りの方にも住民の方にもそういった危機意識みたいなものがちょっと薄らいでいたのかなと思うわけでありますが、そういう中で、何人かの方から、こういった町の中に工場があったのか、そしてそこで本来ならばあってはならないような事故が起きたんだけれどもということで心配をされたということが一つございます。 それは、いわゆる核燃料というか、原子力発電関係のところから出てくる廃棄物あるいは原子力発電所で使う燃料、こういったものが町中を輸送されているということであります。これも多分、まず事故はないんだ、事故が万が一あっても放射性物質が飛び散るような状況にならないように、きっちりと防護というかチェック体制あるいは安全対策をとっているんだということだと想像はするのですが、ただ、やはり今回のような事故を聞きますと、改めてそういった燃料とかそういう放射性物質関係の輸送はどうなっているんだ、自分の知らないときに本当は近くを通っているのではないかということが自然に何人かの方から私の方にも疑問として寄せられました。 それで、それに関連してお聞きしたいのでありますが、こういったものの輸送についてルートはどうなっているのか。運んでいるものの関係上なかなか公開をされていないのかもしれませんけれども、それについてのルートの公開等についてはどうなっているのかということをお伺いしたいと思います。
○斉藤政務次官 こういう核燃料物質の輸送につきましては、核不拡散上の観点から、国際テロ組織による盗難、また妨害、破壊工作を未然に防ぐという観点から、IAEA、国際原子力機関の核物質防護指針というものがありますけれども、この防護指針の中においても、情報の公開については慎重に取り扱うことということになっております。この指針を受けまして、日本においても、核物質防護の実効性を損なうおそれのある輸送ルートの公開についてはこれを控えるという形をとっております。 ただし、近藤委員おっしゃいますように、核物質防護に名をかりた不必要な情報の管理は厳に慎むべきでございまして、核物質防護上問題のない安全性にかかわる情報については、これは公開していかなくてはならない、このように考えております。
○近藤委員 そのとおりなんだというふうに思うのですけれども、物質の性質上非常に注意すべきところがあるのだと思うのですが、ただ、どうなんでしょうか、今回の事故もそうだったのですが、あり得べきことでないことが起こってしまった。そうすると、万が一を想定して、万が一のことが起きた場合どういうふうにするのか。例えば今回のように、作業員の方が被曝をされたわけでありますが、その輸送を担当している方はどういうふうに身を守るのか。あるいは万が一の事故のとき、最近でも非常に危険な物質を積んだトラックが横転をして事故が起きたとかということがあるわけでありますが、そういった、事故がまさしく起きた近くの住民の方の安全をどういうふうに守るのか、この辺についての対策はどのようになっているのかお聞きしたいと思います。
○斉藤政務次官 まず大もとの規則といたしましては、IAEA、国際原子力機関の放射性物質安全輸送規則というものがございます。これに基づいて、国内におきましても安全基準を定めて、国がその確認を行っております。輸送時には、核燃料を搭載した車とともに、輸送事業者、それから核燃料に知識を有する同行者、警備員等が乗った車が隊列を組んで輸送をしております。そして、輸送中に事故が発生した場合、原子炉規制法によって危険時の措置が定められております。 これによりますと、まず、原子力事業者及び輸送事業者は、警察や消防機関に通報すること。それから、核燃料輸送物を安全な場所に移す余裕がある場合は、必要に応じて安全な場所に移し、その場所の周辺に縄や標識により関係者以外が立ち入ることを禁止すること。それから、放射性物質による汚染の拡大の防止及び除去を行うこと。それから、放射線障害の発生を防止する必要がある場合は、輸送に従事する者や付近にいる者を避難させること。放射線障害を受けた者やおそれがある者がいる場合は、その者を救出し避難させる等緊急時の措置をとること等が決められております。このために、核燃料の輸送に当たっては、事故時マニュアルを携行するとともに、サーベイメーター、ロープ、標識、保護衣、ビニールシート等の資機材を携行させるようにしております。 さらに、事故が発生した場合には、関係省庁により放射性物質輸送事故対策会議を開催するとともに、専門家と係員を現地に派遣することとしております。 このように、万が一の事故のために、住民や輸送に従事する者の安全対策に万全を期しているところでございます。 なお、この事故が原子力災害に至るような事態になれば、今回の新しい法律によりまして、内閣総理大臣による原子力緊急事態宣言や本部の設置がなされ、本部長のリーダーシップのもとで、原子力災害特別措置法に基づくさまざまな措置が講じられることとなります。
○近藤委員 話をお聞きしておりますとなるほどというふうに思うわけであります。ただ、今ちょっとお話を聞いておりまして、どれぐらいの輸送距離があるのかわかりませんけれども、かなり広範囲になると思うのです。そうすると、万が一、そういった場合に例えば沿線の地方自治体みたいなものがかなり関連してくるところもあるのではないかなと思うのですが、これはどうなんですか。 先般の事故のときにも、いわゆる放射能防護服でしたか、放射能を防護するような、そういった装備もほとんどなかったようなお話も聞いております。また、事故のときに消防隊員の方が駆けつけられて、そこでちょっと押し問答というかやりとりがあった。多分、マニュアルがあったけれども、どうもマニュアルが十分理解されていないようなところも現場であったのではないかなというふうに思うわけでありますが、その辺はどうなんですか。 事の性格上、余り大々的にこういうことの対策、例えば訓練とかというのは今までにもやってこられてはいらっしゃらないのではないかと思うのですが、一つには、そういった装備の面ではどうなのかということ、そして、マニュアルがあるのかもしれないですけれども、そういった例えば訓練なんかでもやっていらっしゃるのかどうかということをちょっとお聞きしたいのでありますが。
○斉藤政務次官 核燃料の輸送に当たりましては、先ほど申し上げましたけれども、事故時マニュアルが用意されておりまして、これを携行することとなっております。 また、輸送そのものはそう頻繁にあることではありませんので、輸送時にはかなり関係者が緊張してこれに当たっているということが実際ではないかと思います。この輸送に当たっての事故時の対応も含む教育訓練についても実施するよう指導しております。 訓練はどうなんだという御質問ですけれども、聞くところによりますと、この五月に東京電力それから加工事業者などが、事故時を想定した訓練を実行しているということだそうでございます。
○近藤委員 そういった、万が一のことだと思いますが、万が一の事故時のマニュアルがある、また訓練もされているということでありますが、その事故時のマニュアルみたいなもの、これは公開というか、見せていただくことなんかはできるわけでしょうか。 そしてまた、今回のジェー・シー・オーに関連しての事故を見ておりますと、どうも作業をされる方の中にでも、あんなことが起こることはないのではないかというような、非常に危機意識なんかが、それはジェー・シー・オーの中での安全教育なのかもしれませんが、そういったことが随分不十分ではなかったかと思うわけであります。 そうすると、今政務次官おっしゃられましたように、本当にたまにしかそういう輸送がないとなると、どうしてもそういった教育が、だからおろそかになっているという言い方はよくないのかもしれませんけれども、どうなんですか。先ほどの話を聞いていますと、きちっとした知識を持った方が必ず、同乗というか、伴走といいましょうか、一緒に走っているということでありますが、そういった場合でも、しかしながら、運んでいらっしゃる方自体にそういった教育というのはしっかりなされているんでしょうかどうでしょうか。
○斉藤政務次官 事故時対応マニュアル、これが公開かどうかにつきましては、今ちょっとすぐ調べて御報告いたします。 輸送時の対応がきちんとなされているかどうか、事故が起きたときの対応、十分な体制で輸送がされているかどうかという御質問でございますけれども、事業者が、核燃料の輸送に当たりましては、通過する都道府県公安委員会に届け出ることになっておりまして、その指導も受けながら万全の体制がしかれている、このように認識しております。
○近藤委員 ぜひそのマニュアルを見せていただけるものなら見せていただきたいな。 それは決して、大丈夫かそういうものはというようなことではなくて、本当に何があるかわからないというのは、広く情報は公開して、できるだけ多くのものでチェックというか、広く意見を求めるところもあるべきではないかなという思いでありまして、そういう意味で、ぜひ公開というか見せていただければなと思うわけであります。
○斉藤政務次官 マニュアルそのものは核物質防護上の観点から公開はされていないそうでございますが、その指導要綱については公開されているそうでございます。 それから、消防庁にも放射性物質輸送時事故対策マニュアルがございまして、消防機関に対して指導が行われている。このマニュアルについては公開されているものと思います。
○近藤委員 これも核防護上の意味合いから、できるものとできないものというのがあるのかもしれませんけれども、これは、まさしく事故があったときに、ある人が、こういうふうに対応するんだ、こういうふうに逃げるべきだとかというようなことを指示するんだと思うんですよね。そうしますと、そういった公開できない部分もあるかもしれませんが、まさしく避難しなくてはならない人が万が一の場合はいるわけでありまして、これはできる限り、これはまた別個のことで、事故マニュアルとは別の避難マニュアルみたいなことになるのかもしれませんが、そういったものは公開されてしかるべきだと思います。 そうすると、今の私の質問の中では、そういった事故が起きたときにどうするんだというマニュアルのことを念頭に置いたんですが、こういうことが起きたら、ではどういうふうに逃げるんだみたいなことはマニュアルはないんだと思うのですが、自治体の方には、そういった事業者の方に事故が起きたときのマニュアル、関係する地方自治体とも連絡をとって備えていらっしゃると思うのですが、そういった地方自治体の方のマニュアルなんかもきちっとあるんでしょうか。
○斉藤政務次官 地方自治体にマニュアルがそれぞれ用意されているかどうかについては、ちょっと今わかりませんので、すぐ調べますけれども、基本的には、輸送事業者及び公安委員会また消防庁がマニュアルを持っておりまして、輸送時ごとに地方自治体と綿密な打ち合わせをするという形になっていると思います。
○近藤委員 これは、事業者の方だけが知っていて、その事業者、いわゆる当事者の中での教育も本当に大事だと思いますし、そういった事故が起きたときに対応するやり方だけではなくて、それは綿密に、内と外という言い方が適当ではないかもしれませんが、事業者の方が内であれば、外の側のマニュアルというか、こういったものが大変に重要だと思うのですよね。 そういう意味では、そういうものも細かいところまではなかなか決められないので、指針みたいなものになるのかもしれませんが、そういうのはぜひとも必要だというふうに思います。次官、何か。
○斉藤政務次官 各自治体ごとのマニュアルが必要かという御指摘に対しましては、これから検討させていただきたいと思います。 科学技術庁といたしましては、昭和六十三年から十一回、各地で、消防機関を含む地方自治体職員に対して核燃料安全輸送講習会を開催しております。また、運輸省も放射性物質安全輸送講習会を実施しておりまして、科学技術庁としてもこれに協力をしております。 こういう形で地方自治体と連携をとりながら安全の実を上げていきたい、このように考えておりますが、先ほどの御提言につきましては、検討させていただきます。
○近藤委員 ぜひ、検討だけではなくて、実施をしていただければなと思うわけであります。 それで、今回の事故で、聞いておりますと、現場の市町村、東海村では随分と混乱があった。混乱というか、どういうふうにしたらいいんだろうというようなところがあったふうに聞いております。それにつきましては、法案あるいは関係資料を読んでおりますと、非常に国の責任を明確にし、もちろん市町村あるいは都道府県と連携をとってしっかりとやっていくということなんですが、今回も、東海村の方では、事業所からなぜもっと早く通知が、通告がなかったんだというようなことに対する不安みたいなものがあるようです。もちろん、事業所そのもので放射性物質に対する測定をしているんだと思うんですが、これは、放射性物質が飛散したとか、こういった事故については、とにかく早く逃げれば早く逃げるほどいい。 そしてまた、その日の天候。放射性物質は、やはり雨が降っていると、まず外に出てはだめだとか、そんなようなことも聞いたことがあるんですけれども、そういった天候の状況。その天候の中に、雨が降っているかどうか、あるいは風向きとか、いろいろな状況があると思うんですが、そういった状況を考えながら、しかしながら、なるべく早く逃げた方がいいのではないかなというふうに思うわけであります。 そういった意味では、事業所だけではなくて、今後の事故に対応する体制ということで申し上げれば、市町村そのものが、通報を受けるということではなくて、同時に事業所そのものあるいはその周りの放射性物質の状況をモニタリングできた方がいいのではないかなというふうに思うんですが、このことについてはどうお考えでしょうか。国としても、例えば、市町村がそういうことを望む、では、全面的に、技術的な問題、あるいは、これは資金的にも随分かかってくると思うのですが、そういった資金的な問題をバックアップするとか、そういったことに対するお考えはいかがでありましょうか。
○斉藤政務次官 現在におきましても、原子力施設の周辺での放射線監視は地方自治体の責任で行われておりまして、国としても、その地方自治体に対して交付金を交付している、その交付金によってこの監視システムの整備、運営が行われているということでございます。 したがいまして、立地地域住民に身近なところへの表示盤の設置、モニタリングポストの設置等、その希望が地方自治体から寄せられた場合には、国としても、これらの実現に向けて交付金等で支援をしていく、そういうシステムになっておりますし、また、今後もその姿勢で臨んでいきたいと思っております。
○近藤委員 そうしますと、交付金で、全面的ではないのかもしれませんが、それなりのバックアップを今もしているということだと思います。 今回の東海村は、たしか東海村独自のモニタリングシステムみたいなものはなかったと思うのですが、東海村はなかったのですね。
○斉藤政務次官 県のシステムはございましたが、東海村自体は——県のものとしてございました。
○近藤委員 そうすると、県のものとして地理的には東海村のところにもあったという理解でよろしいでしょうか。ちょっと私が気がつかなかったのかもしれませんが、そうすると県は、かなり早い段階で、もしかしたらジェー・シー・オーのあるところでそういった事故が起きているのではないかという認識はあったのでしょうか。感知していたのかどうか。あるいは感知するレベルになかったのか、あるいは、こういうのは多分モニタリングする場所が多ければ多いほどいいのだと思いますが、そういった意味では体制がまだ不十分だったとか、その辺はどうだったのでしょうか。
○斉藤政務次官 現実に起きたことは、後から見ますと、監視モニタリングポストにおきましてガンマ線の線量値が上がっているということがわかりましたけれども、それによって即座に対応するということは、現実には検討してはおりませんでした。
○近藤委員 これは切りがないことではあると思うのですが、ただ、どうなんですか、ジェー・シー・オーに限らず、事業所そのものがモニタリングをしていると思いますので、これを通報するということではなくて、例えば、今の技術を使って、そこの事業所内で測定している情報を地方自治体にも同時に見られるようにする。もちろん、地方自治体の方でも、その出てきた情報、データを分析というか、いたずらに、何かこれは危ないのじゃないか、おかしいのじゃないかということではいけないと思いますので、そういった情報を分析できないといけないと思うのですが、そういった独自のモニタリングシステムだけではなくて、事業所内のそういった状況について同時に知るというような、こういったことはどうでしょうか。
○斉藤政務次官 事業所の中にありますそういう放射線観測装置、また事業所の外にあります、これは主に地方自治体が持っておりますモニタリング施設、この両方を有機的に結びつけて対応すべきではないか、そういう御指摘でございますけれども、現在でも、この事業所内の観測施設においてある一定以上のデータが、放射線等の検出がされた場合には、それを地方自治体に連絡して、一緒にそれに対応していくという体制になっております。
○近藤委員 それは、ある値を超えたら相談をしていくということですか。それとも、計器そのものが、例えば、一とか十とかそんな数字ではないと思うのですが、そういった数値をあらわすディスプレー装置みたいなもので、関連する地方自治体にも刻々と出てくるとか、そういうことでしょうか。同時にやれるかどうか。
○斉藤政務次官 御質問は、例えば、施設内、施設外、それらの観測データがオンラインで常時公開されて、だれもが知れるようなシステムにすべきではないか、こういう御趣旨でございますか。 基本的には、モニタリングポストのデータ、また事業所内でのデータは、地方自治体におきましても常に観測される状況にあるべきだと思います。ただ、現在の技術からいたしまして、それを常にオンラインで表示するというところまでまだいっておりません。現在は、記録をして、その記録を公表するというところでございますが、できるだけそういうシステムになるように、これから技術開発等を進めていかなくてはならないと思っております。
○近藤委員 技術的にそれが難しいとはちょっと思えないのですけれども、質問時間もあと数分になりましたので、これは、また繰り返しますが、とにかく、当面の課題としては、いかにチェックを厳しくしていくかということだと思いますので、これについてはぜひ実現を、前向きにというか、より同時に、より広くチェックできる体制が必要であるというふうに思いますので、そのことを要望させていただきたいと思います。 それで、今回、例えば、私がそういった事故が万が一起きたときのそこの住民であったときにどうしたらいいのかなというようなことでちょっと考えたのですよ。そうすると、自分が住んでいるところの近くで事故が起きた、いかに情報を集めるかということだと思うのです。そういう意味では、市町村あるいは県ということになるのでしょうか、とにかく行政、自治体からの連絡、指示を待つということが基本なのかなとは思います。 もちろん、それに関連して、ふだんの訓練なんかもあった方がいいなとか思うわけでありますが、訓練といってもかなり千差万別の状況にあって、どういうふうにするのかということがあると思うのですね。事故の規模によっても違うと思います。例えば、自分の住んでいる市町村のすぐ隣の市町村で事故が起きた、風向きによってはすぐこちらにも来るかもしれない、あるいは風向きによっては来ない、あるいは事故の規模によっては、まあ何キロ離れているから大丈夫だ、こういったいろいろな想定があって、事故の規模でいえば、小規模な、中規模な、あるいは大規模なということによって対応も違うと思います。そういう意味では、基本的にはある程度の知識を持ちながら、しかしながら、自治体、しかるべきところの指示を待つのだろうなというふうに思うわけであります。 ただ、そういう中でも、自分たちがとりあえず、先ほど申し上げましたように、できるだけ早く逃げた方がいいところもあるとなると、自分たちでできるところはやってしまいたいとか、あるいは、やってはいけないことでも、どうしてもそういった不安に駆られて焦ってやってしまうかもしれない。 例えば、自分の子供が学校に行っているとなると、親の気持ちとして、やはり子供を迎えに行こうと思ってしまうかもしれない。ところが、目に見えない放射性物質が飛散しているとなると、もしかしたら危険なところに突っ込んでいってしまうことになるかもしれないし、子供を迎えに行くことによって道路が混雑してしまって、かえって事故に対応する対策を妨げることになってしまうかもしれない。 だから、これはちょっと個別の細かいことになって申しわけないんですが、例えば万が一そういう事故が起きても、子供を迎えに行かないでください、そのかわりきちっと、落ちついたときといいましょうか、学校が責任を持って避難させる、そして、ここに連絡してくれればあなたのお子さんの所在のことはわかりますよとか、一種マニュアルだと思うんですが、こういったことはどうなんですか。 これから国、市町村、県が協力をして、そういった大変に詳しいマニュアル、事業所によっていろいろ、発生する放射性物質の性格とか、その事業所の性格、構造みたいなものは違うと思うんですが、そういったことはどういうふうに責任を持ってやっていかれるのか、そのことについてお伺いをしたいと思います。
○斉藤政務次官 今回、新しい法が施行されますと、それぞれ市町村、県、国、事故対策本部が設置をされます。それぞれ事故時の対応について防災計画を立てなくてはいけないわけでございますけれども、その防災計画の中で、先ほど近藤委員おっしゃったような、いろいろなきめ細かい対応をこれから決めていかなくてはならないかと思います。 現災害対策基本法におきましても、例えば自然災害があった場合は、こういう自然災害があった場合にはこの地域の人はここに避難しましょうというふうなことが決められているわけでございますが、それに相当するものをつくっていかなくてはならないと思っております。
○近藤委員 もう時間が来ましたので質問を終了しますけれども、本当に、多分随分と細かいこと、でも、その中でもきちっと、初期に迅速に行政あるいは事業所が対応することだと思いますし、また、その地域の住民もきちっと、できること、正しいことは早くやるべきだというふうに思いますので、そういった対応をしっかりしていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○北側委員長 川内博史君。
○川内委員 おはようございます。民主党の川内でございます。 科学技術委員会に今国会から所属をさせていただきまして、私は、政治家のことを格好いいと思う人は余りいないんですけれども、中曽根大臣はすごく格好いい人だなと、この前、所信表明を聞いておりまして思いまして、大変光栄に存じますし、また所信表明の冒頭で、科学技術創造立国を目指して全力で頑張るというふうにおっしゃっていらっしゃったわけでございますが、大臣がそのようなお気持ちでお仕事をしていただく上では、私も、民主党のほかのメンバーはわからないですけれども、積極的に御協力を申し上げたいというふうに思っておりますので、どうぞ前向きな御答弁をいただければというふうに思うわけでございます。 早速質問に入らせていただきますが、今回審議の対象になっております二法案は、ジェー・シー・オーの東海事業所の事故を教訓として制定しなければならないということで出されてきた法案でございますが、一昨日はHIIロケットの打ち上げの失敗というものもございまして、ここのところ、科学技術創造立国を目指すというその目標に対して、科学技術庁の若い方々やあるいは宇宙開発事業団の若い方々とも若干お話をさせていただいたんですけれども、どうも自分たちも自信を喪失ぎみであるというような、大変に私としても心配な状況であるわけでございます。 まず、このHIIロケットの失敗というのは、今まで実績があり、大変に自信を持っていたはずの第一段エンジンが、きょうの新聞では、配管が何かどうにかこうにかなって燃料が漏れてというふうなことが書いてあったわけですが、どのような事態でこの第一段エンジンが途中で停止をしてしまったのかということについて、斉藤総括政務次官の方から詳しい御説明をいただきたいというふうに思います。
○斉藤政務次官 HIIロケット八号機の打ち上げ失敗につきましては、直ちに科学技術庁に事故対策本部を設置いたしまして、宇宙開発事業団に対しましても、徹底的な原因究明及びその対策に全力を注ぐように指示したところでございます。 また、宇宙開発委員会におきましても、打ち上げ当日に臨時会議を開催し、宇宙開発事業団から報告を聴取したほか、昨日には技術評価部会を開催いたしまして、原因究明についての審議を始めているところでございます。 この昨日の技術評価部会において行われた宇宙開発事業団の報告によりますと、打ち上げ後二百三十八・五秒、約四分でございますが、この二百三十八・五秒後に第一段エンジンにおいて主燃焼室圧力が急激に低下した、そして、ほぼ同じタイミングでロケットの加速度がほぼゼロに落ちた、これらの異常現象について解析を行ったところ、第一段エンジンに破損が生じたことが考えられるとのことでございました。今後、さらにその原因等を調査することとしております。 全部種子島でテレメトリーのデータがとれておりますので、かなり詳細なデータがとれておりますので、この原因についてもできるだけ早い段階で発表したい、このように考えております。
○川内委員 私は、きのう科学技術庁の宇宙政策課の方とお話をしているときに、途中でエンジンが停止したというのは燃料が漏れたんじゃないのと言ったんです。途中でエンジンが突然とまるといえば大体そんなことぐらいが原因だったんだろうというふうに、私は素人ですけれども、エンジンがとまるというのはそういうことじゃないかなと思って申し上げたわけですが、その宇宙政策課の方は、いや、ちょっとデータを分析しないとよくわからなくてというようなことを一生懸命説明されていたんですけれども、その道の専門家がたくさん集まって、詳細なデータをとりながら今までも打ち上げをしてきたわけですし、そのデータと今回失敗した打ち上げのデータを専門家が見れば、もしかしたら何が原因かぐらいは一目瞭然でわかるんじゃないかなというふうに思うんです。 技術評価何とかとか、慎重に慎重にやられるのはわかるんですけれども、失敗したのは失敗したわけですから、もうちょっと、大体こんな感じで失敗したというようなことは積極的に発表して、それを前向きの発奮材料に変えていくという姿勢が必要だと思うんですね。お役人は失敗は認められないですから、失敗の原因なりその議論の経過というのをなかなか公表したがらないでしょうけれども、私たち政治の立場にいる人間は、迅速に行動して、そしてまた、それを次の実績につなげていくという姿勢が必要なんじゃないかというふうに思っております。 そういうことを含めて、今回、HII五号機ですか、それと一昨日の八号機と二回続けて打ち上げに失敗した、これは、ただ単に技術的な問題だけではなくて、宇宙開発技術が今抱えている根本的な、構造的な問題があるというふうに私は思うのですけれども、大臣、その辺についてはいかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 今、原因はもっと早く解明できるのではないか、あるいは想定できるのではないかというお話がまずございました。 専門家の方であればある程度の想像は即座につくのではないか、私は素人ながらにそういうふうに思うわけでありますが、やはりこれだけの大きな事業でございますので、一昨日から徹夜でデータを解析いたしまして、昨日の午後の会議でこれを公表したところでございます。会議は公開でやっておりますので、これはすべて公式のものでございますから正確を期さなければならない、そういうことから、さまざまなデータの分析から始めたものでありますので、急いでやったことは御理解いただきたいと思います。 それから、今、昨年二月の五号機の事故に続いて今回失敗したということで、構造的な問題があるのではないかというような御指摘でございます。 ここのところの事故は、一つはロケットの方の事故、それから、ロケットは予定どおり機能したけれども衛星の方にふぐあいが生じたというような事故と二種類あるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、この数年の一連の事故等を背景にいたしまして、宇宙開発委員会は、我が国の宇宙開発全般にわたって構造的な問題があるのではないか、そういうふうに考えまして、宇宙開発基本問題懇談会において検討を行ってまいりました。そして本年五月には、事業団の経営等に関する提言を取りまとめております。その中には、品質管理システムのこととか、あるいは事業団の職員の士気とか、あるいはそのほかの、教育の問題とか技術開発能力の問題とか、いろいろ提言がありますけれども、今回の原因究明をまず私どもも徹底的に調査いたしまして、そしてその中で、宇宙開発事業団において今申し上げました提言に沿って適切な対応がなされているかどうか、そういう点を十分に検証いたしまして、背景にあるものまで探りながら、今後の対策にこれを役立てていきたい、そういうふうに思っているところでございます。 おっしゃるとおり、構造的な面まで含めて調査する必要があると私は思っております。
○川内委員 構造的な面というのは、要するに人も予算も足りないということだと私は思うのですね。人類に残された最後のフロンティアが宇宙なわけですけれども、科学技術創造立国を目指すという割には、そこに割く研究者なりあるいは予算なりがアメリカ等に比べても圧倒的に劣っているというところで、まだ日本では宇宙開発は研究開発の段階だろうと思うのですけれども、そういう段階で、ロケットの打ち上げに関してコストダウンをしよう、なるべく安くロケットを打ち上げようとしているわけです。関係者のその御努力には敬意を表しますが、しかし、大臣、コストダウンというのは、例えば二十機ロケットを打ち上げるのを受注したから一機当たりのコストがダウンするというのがコストダウンであって、年間一回か二回しかでかいロケットを打ち上げないのに、そのロケットの打ち上げにかかる費用をなるべく安くしようというのは、単なる、けちって、手間を省略して粗悪品を上げるということにつながるわけでございます。 そういう意味では、今コストを削減するというようなことは考えるべきではなくて、今はどれだけでもお金をかけてしっかりしたものを打ち上げて、それこそデータをしっかりと収集して量産体制につなげていくということが必要なのだろうというふうに私は思うわけでございまして、大臣が全力で頑張るというのは、全力で予算をとるということだろうというふうに思っておりますので、頑張っていただきたいというふうに思うわけでございます。 私は、本日お見えになっていらっしゃいます谷垣先生が科学技術庁の長官のときにも申し上げさせていただいたのですけれども、どうも日本の宇宙開発というのは大きな目標がないのですね。大きな目標がなくて、ただ短期的な目標だけで推移しているから、なるべくロケットを安く打ち上げようとか、せせこましいロケットになってしまって、夢がなくなってしまっているのではないかというふうに思うわけでございます。 ケネディがアポロ計画を唱えて、レーガンは宇宙ステーション計画、ブッシュが二〇一九年に火星有人探査を打ち上げるというふうに、合衆国は、常に大衆から支持される、わかりやすい宇宙開発の目標というものを掲げて、幾たびかの失敗を乗り越えて今日があるのだろうというふうに思うわけでございます。そういう意味で、日本はエコノミックアニマルですから、宇宙人に初めて物を売りつける国になるというくらいの目標を設定して宇宙開発をおやりになったらどうかというふうに私は思うわけでございますが、大臣の御意見というものを。これをばかなことだと思っていたら、いつまでも宇宙開発は進まないと思うのですね。なるほど、それはいい考えだ、早速それを採用しようというくらいにおっしゃっていただけると、宇宙開発も進むと思うのです。 私は鹿児島ですから、鹿児島で、青年会議所という団体でコスモフェスタとか宇宙関連のいろいろなイベントを毎年開催したりして、子供たちあるいは青年の方たちにも宇宙に対する理解とか宇宙開発に対する理解というものを深めていただこうというようなことを地元ではやっているのです。そういう方たちにも、日本というのはこういうことを目指しているのだよ、そういう大きな目標というものを与えていただきたいというふうに思うわけでございますが、大臣の御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 委員は鹿児島県御出身で、種子島もございますけれども、日ごろからこういう宇宙開発に大変な御理解をいただき、また御支援いただいておりまして、本当に感謝をいたしております。 宇宙開発も夢が必要だ、夢がなくなっているのではないかという御指摘でありますけれども、おっしゃるとおり、国民、特に若い世代に対して夢を与えるということは大変大事ですし、そういう意味で、宇宙開発というのは格好の材料ではないかと思っております。また同時に、我が国の発展にも欠かせないわけでありますし、これは単に経済的発展のみならず、平和、繁栄にとって大事なことでありますので、我々も全力で取り組んでいるところでございます。 夢ということになるかどうかわかりませんが、人類の本当に質の高い、知的なフロンティアの拡大あるいは豊かな生活の実現のためにももちろんなりますし、それから新しい技術の開発にも大きく貢献できますし、また、宇宙開発の技術が進むことによっていろいろな、すそ野が広いわけでございますから、新技術、新産業も発展をしてくるでありましょうし、また、これを進めることによって技術者も養成できると思いますし、いろいろな効果があります。大変な大きな貢献をするものと思っております。 そういうことでございますので、おっしゃいますように、宇宙開発の将来展望というものを国民の皆様方にもお示しをいたしまして、そして長期的な構想をきちっと打ち立てて、そして研究開発を実施するということが大事ではないか、そういうふうに思っております。
○川内委員 来年は二〇〇〇年でありますし、本当の世紀末に入って、新しいミレニアムを迎えるわけですけれども、日本の政府も二千円札の発行くらいで満足しないで、もっと大きなことをぜひお考えいただきたい。中曽根大臣の方から総理に、二千円札の発行ぐらいで満足しておったらいかぬよということを申し入れていただいて、それこそ、どんと打ち上げていただくということをお願いしておきたいというふうに思います。 それでは、本題でございます原子力防災に関する法案の審議に移らせていただきますけれども、まず最初にお尋ねをさせていただきますのは、今回のジェー・シー・オーの東海事業所での臨界事故で被曝をされ、今現在入院されて治療を受けていらっしゃる三人の方々が現在どのような容体であるか、どのような病状でどのような診療を受けていらっしゃるのかということに関して、斉藤さんの方から御答弁をいただきたいと思います。
○斉藤政務次官 今回の事故で重度の被曝を受けた作業員三名につきましては、事故当日、放射線医学総合研究所、いわゆる放医研に搬送され、感染症対策、白血球増加薬剤の投与等の治療をまず行いました。 このうち、最も症状の重い三十五歳の男性につきましては、放射線の照射によるリンパ球数の激減など造血機能の障害が見られましたため、十月二日、東京大学附属病院に移しまして、二回にわたる末梢血幹細胞移植が行われました。その結果、十月十七日には、移植した血液幹細胞の生着が確認されまして、白血球数が急激に増加をいたしました。しかしながら、依然、大変厳しい、予断を許さない状況が続いております。 それから、三十九歳の男性につきましても同様に造血機能の障害が見られましたため、十月四日、東京大学医科学研究所附属病院に移送し、十月九日に臍帯血移植が行われました。その結果、十月二十一日には、骨髄に患者本人と臍帯血由来の両方の細胞が共存していることが確認されました。しかしながら、この三十九歳の方につきましても、依然予断を許さない状態が続いております。 残る五十四歳の男性につきましては、放医研において治療が続けられておりまして、現在は、全体として容体は安定し、回復の兆しが見られるということでございます。
○川内委員 今、斉藤総括政務次官の方から、お二人の方については予断を許さない状況、お一人の方については回復の見込みがついたという御答弁があったわけでございますが、予断を許さない状況というのは、すなわちまだ回復の見込みが立っていないということというふうに理解をさせていただきますが、それほど原子力事故というのは恐ろしいものなんだなと。一部の週刊誌等で、まだ予断を許さない状況にあるお二人の方々の病状について報道があったりしておりますが、本当に恐ろしい恐ろしい事故なんだなというふうに私も今改めて感じているところでございます。 そこで、原子力あるいは原子力エネルギーというのは、私たちの生活には欠かせないものであるし、これからも、代替エネルギーが開発されない限り、ふえていくことはあっても減ることはないというふうに思うんですけれども、だからこそ、原子力あるいは放射線の持っている恐ろしさ、怖さというものをもっと国民の皆さんに広く周知しなければならないというふうに私は思っております。 例えば、科学技術庁の中には原子力局と原子力安全局というのがあります。また、原子力安全委員会というのもありますし、原子力について毎年出される白書で、原子力安全白書というのもございますね。なぜかその原子力について安全という言葉をつけて、その危険さを糊塗しようとしているというふうな思いを私はぬぐえないんです。原子力エネルギーというのは必要だけれどもとても危険なエネルギーなんです、だけれども、それを一生懸命みんなで知恵を絞って使っていきましょうねというような、今私が長い長い日本語で申し上げましたけれども、それをもっと一つの言葉で凝縮するような局の名前にすべきだし、白書の名前にすべきだし、委員会の名前にすべきなんじゃないか。安全という名前をつけることによって、原子力の持つ本質的な恐ろしさというものが、やはり人々の意識の中から、あるいはその仕事に携わっていらっしゃる方からも、どこか抜け落ちていく危険性があって、それが今回のこういう事故につながってしまっているのではないかというふうに私は思うんですけれども、大臣、それについて、いかがお考えになられますでしょうか。 〔委員長退席、西委員長代理着席〕
○中曽根国務大臣 今委員おっしゃいましたように、原子力はエネルギーとして欠かせないものでありますし、代替エネルギーの開発も進めておりますけれども、なかなか原子力に取ってかわるほどにはまだ発展をいたしておりません。そういう意味で、原子力の事業というものは現在欠かせないものでありますけれども、一方、放射線の発生を伴うわけでありますので、その利用に当たりましては、今、原子炉等規制法などで安全の確保に最善の努力を払っているわけでございます。 このように、原子力を我が国のエネルギー源として利用するか否かということにつきましては、広く国民一人一人がみずからの問題として考えていただくことが必要ではないかと思いますし、また、政府も国民の皆様に対してそれなりの情報を提供することも必要ではないか、そういうふうに思っております。 このため、政府といたしまして、この原子力エネルギーについてのメリット・デメリット、こういうものについて原子力政策円卓会議という場で議論をしていただいておりまして、その会議を通じて積極的な情報の提供に努めてきたところでございます。 また、原子力委員会におきましても、外部の有識者の皆さんの御参加をいただいて、長期的な原子力の開発利用の計画作成のための審議も行っているわけでございますけれども、この審議におきましては、国民それから社会にいかに原子力を受け入れてもらうか、それから、原子力発電をいかに安定したエネルギー源とすることができるか、それから、先端的研究開発をいかに進めるか等、幅広い見地から原子力開発利用のあり方について掘り下げた議論もしていただいております。 委員がおっしゃいましたように、安全という名前がついているということについていかがかというお話でございますが、私ども、今の委員の御意見もまた参考にさせていただきたいと思っております。
○川内委員 省庁再編もあることですし、局の名前とかも、あるいは委員会の名前もその際に見直して、国民の皆様方にしっかりと原子力に対する認識というものを周知していく必要があるのではないかというふうに思っているところでございます。 私は、なぜ今回のこういう事故が起こったのかというところに、私たちの認識自体に根本的な問題があるからではないかということを今申し上げさせていただいているわけでございます。 そこで、今回のこの法案のことなんですけれども、今申し上げた、科技庁の中には原子力局と、原子力の安全規制をする原子力安全局というのがあるわけですけれども、原子力に対する認識がどうもみんな甘い部分があって、だからこそ今回のこの法案というのは、私が聞くところによりますと、原子力局でつくられている、作成されたというふうに聞いております。 原子力防災を規定する、原子力の危険性に対してどう対処していくかという法律をつくる局は、科技庁でいえば原子力安全局でなければならないはずなんですけれども、しかし今回それが原子力局でつくられたということに関して、私は、この原子力に対する認識の甘さがやはりあらわれてしまったのじゃないのかなというふうに指摘せざるを得ないわけでございますが、その辺について、大臣、いかがお考えか、御答弁をいただきたいというふうに思います。
○斉藤政務次官 私の方からお答えさせていただきます。 今回のこの法案は、原子力局でつくったというよりも、政府一体となった特別チームとして原子力安全・防災対策室を設けまして、その対策室に、通産省、国土庁、消防庁、警察庁、防衛庁、文部省といった関係省庁から職員に来ていただいて、政府一丸となってつくり上げたものでございまして、原子力局でつくったという御指摘は当たらないかと思います。 また、今回の二法案は、あのジェー・シー・オーの事故を受けて、原子力防災対策に万全を期して、また、安全規制対策を強化するための枠組みを構築するためのものでございまして、いわば原子力開発利用のインフラ整備に当たりまして、原子力の推進そのもの、あるいは規制そのものとは性格を異にするものだと思っております。
○川内委員 今の政務次官の御答弁は、私もなるほどそうなのかなというふうにも思うのですけれども、私が申し上げているのは、そういう専門的な議論ではなくて、私どもは科学技術あるいは原子力の面からいえば素人ですし、国民の皆様方も素人ですよね。李下に冠を正さずという言葉がありますけれども、素人から見たときに、国民の皆様から見たときに、結局この法案をつくったのは、原子力局のもとにその委員会が置かれてつくったわけですから、やはりそういう誤解を受けるような行為そのものが原子力に対する認識の甘さを象徴しているんだと思いますよということを私申し上げたわけでございまして、その辺をしっかり今後認識していただいて、峻別していただくということをおやりいただけばいいのかなというふうにも思うのです。 しかし、そこで次の論点なんですが、どうしても、同じ役所の中に推進する部門と規制する部門があるというところが問題なのかな。人事の交流もあるでしょうし、同じ職場ですからしょっちゅうしゃべって、人間関係もあるでしょう。それに対して政府は、原子力安全委員会というのが別組織としてあるから大丈夫だというふうにおっしゃるかもしれないけれども、しかし、この原子力安全委員会というのも、政策やあるいはガイドライン、指針を出すのみで、実質的な規制とかは科技庁と通産省がやっていらっしゃるわけでございます。 これは私たち民主党の主張でもあるわけですけれども、実効性という点から見ると、原子力の安全規制という部門はやはり独立をさせて、そこが責任を持ってやるというふうにする方が今後はいいのではないかというふうに私は思っておるわけでございます。 政府からは、原子力安全委員会が省庁再編後は内閣府に移り、事務局を拡充してしっかりやっていきますということでございますが、しかし、これから原子力発電所がふえていく、あるいは研究も盛んになる。そうすると、核燃料施設ももしかしたらふやさなければいけないというような事態が想定されるときに、果たしてそれだけで十分なのかどうかという点まで含めて、推進と規制の部門を切り離し、規制の部門を独立させた方がいいのではないかという私どもの意見に対して、しつこいようで恐縮ですけれども、御答弁をいただきたいというふうに思います。
○中曽根国務大臣 今、推進と規制の部門を分離すべきであるという御意見でございました。我が国の原子力行政におきましては、今まで私どもは規制と推進の機能は効果的に分離をしつつやってきた、そういうふうに思っております。 お話にもありましたように、科学技術庁とそれから通産省が法令に基づく安全審査を行って、そしてまた、今度はさらに原子力安全委員会がダブルチェックをするという仕組みでございまして、また、その原子力安全委員会は、約二百名に及ぶ専門家を擁して、安全審査に厳正に臨んできたところでございます。 今後、安全委員会の機能の強化を図りつつ、さらに安全の確保に努めていきたいと思っておるところでございます。
○川内委員 ぜひ頑張っていただきたいというふうに思います。 今回の法案のポイントとして、原子力防災法の中ではオフサイトセンターを設置するというのがあるわけでございますが、これは、私は原子力災害時の政府の対策本部の最前線の基地だというふうに認識をいたします。 そこで、実際に原子力災害が発生をした場合に、どなたがセンターの責任者となるのか、またどのような権限を持ってその対策本部を切り盛りするのか、総理が設置するとされているこのオフサイトセンターに設置される現地対策本部の権限というものを総理がどこまで委譲するのかというようなことについて、詳しく御説明をいただきたいというふうに思います。 それと同時に、一たび原子力災害が起こったときに、首相による緊急事態宣言後の国の原子力災害対策本部、規制省庁の事故対策本部、都道府県及び市町村レベルの災害対策本部、オフサイトセンターに設置される現地災害対策本部、原子力安全委員会の事故対策本部、対策本部がいっぱいできて、どこがどういうふうに権限を持ち、どういう指揮命令系統で動いていくのかということがいま一つ不明確でわかりにくいのですね。 だからこそ、情報が錯綜して、いつも災害が起こるたびに、状況がよくわからなかったという言葉が繰り返し繰り返し言われるのですね。状況がよくわからなかった、したがって対策を打つのがおくれたと。一生懸命やったんだけれども状況がわからなかったと。これはいつも災害のたびに繰り返される。 そういうことがないように、その対策本部相互の位置関係等についても明確にしておく必要があるのではないかというような点について御答弁をいただきたいというふうに思います。
○斉藤政務次官 まず最初の、現地対策本部長には一体だれがなるのかという御質問でございますが、オフサイトセンター、前線拠点に国の対策本部の現地対策本部がまず設置されます。これはあくまでも国の対策本部でございます。また、このオフサイトセンターには、県また市町村の対策本部、これはそれぞれに設置されているわけでございますけれども、その代表者といいましょうか、そこからも派遣をされて、このオフサイトセンターで現地対策本部、これは、国そして市町村の対策本部、県の対策本部が一堂に会するということになります。 そして、まず最初の御質問は、国の現地対策本部長はだれが充てられるのかということでございますが、これは、その現場で陣頭指揮をとるわけですから、総理大臣が最適の者と判断した人が指名されるということしかここでは言えませんけれども、例えば政務次官でありますとか、省庁再編後は副大臣、こういう形になるのではないかと思います。 そして、このオフサイトセンターにおける三者の位置関係はどうなのかということでございますけれども、これは、あくまでもオフサイトセンターにおいて合同協議会を持って、その合同協議会で情報の交換と相互の協力を行うということでございます。それぞれのいろいろな現場への措置等は、国の現地対策本部が地方自治体また県や市町村の対策本部に指示を出せるということにはなっておりますけれども、実際にはその地方自治体の対策本部がその権限でいろいろな指示を出されるということもございまして、ある意味ではこの合同協議会はその三者の情報共有また協力のあり方の協議の場、こういう位置づけでおります。
○川内委員 参謀がいっぱいいて会議を繰り返して戦争に負ける、戦に負けるというのは日本が経験をしたことでございまして、ある種非常事態あるいは緊急事態において、だれか一人がすべての責任を持って指示命令を発していく。 それで、今回のジェー・シー・オーの東海事業所での臨界事故において、私たちはたくさんの教訓、経験を得たわけでございまして、これに基づいて、臨界事故等が発生した場合にどのように対処すればいいのかというのは、ある一定の情報というものを今回収集することができた。それに基づいて、今後万々が一不幸にして原子力災害が発生したときにどのように行動すべきかということについては、私はもう、この現地の災害対策本部の本部長になる副大臣なり総括政務次官なり、その方が全権を持って、総理にも命令するぐらいの指揮権を持っていただいた方が、より迅速に事態が収拾できるのではないかというふうに思っています。 余り協議、会議を非常事態に繰り返しても、結局そこが状況がよくわからないというところにつながってしまうのではないかなというふうに思うわけで、危機管理においては、責任者に、親方に正確な情報が素早く入るということが重要なポイントだと思います。原子力災害が発生をしたときに、その瞬時に緊急事態宣言を発するのは総理ですから、総理に情報が入る、あるいは主務大臣に情報が入るということが大事なことだろうというふうに思うわけでございます。 同僚の近藤議員の質疑の中でもございましたが、一定水準以上の放射線が事業所外に放出されるという事態をモニターが感知した場合には、事業者は国、県、市町村に対して通報の義務を負うというふうになっているわけでございますが、まず、この一定水準というのはどのくらいの水準なのかということと、私は、情報伝達の速さという点で言えば、このモニターの設置は事業者が設置義務を負っているわけでございますが、このモニターをする機器については国が設置をして、主務官庁なりあるいは官邸なりで、放射線が漏れているという場合にはビービー鳴るぐらいの、災害の対策をとるのは国なわけですから、その原因となる放射線の漏出について、今どうなっておるのかということを常にモニターするのは国がやるべきではないかというふうに思っております。 事業者にやらせるとどうしても、事業者は経営がやはり一番ですから、ずさんになってしまうのではないか。そのとき機械が古くて動いていなかったとか、そういうことだって十分に考えられるわけですから、モニターの機器の管理、設置は国が責任を持ってやり、そして国がそれを監視するということが、緊急事態宣言を発する総理に一番情報が早く入る方法なのではないかというふうに思うわけでございますが、この点についていかがお考えになるか。大臣、いかがでしょうか。
○中曽根国務大臣 今御質問の放射線量やモニターのことにつきましては、総括政務次官から私の後に説明をしてもらいますけれども、その前に、先ほども総括政務次官から御説明いたしましたけれども、対策本部がたくさんできて、指揮命令系統等をもっとすっきり、きちっとした方が、こういう事態のときはいいのではないかというお話でございました。 多少政務次官の御説明と重複いたしますが、委員も重々御承知のとおり、緊急事態のときには、これは放射線量等の数値によるわけでありますけれども、一定のレベルに行きますと緊急事態宣言が発せられる、そして、総理大臣を本部長とする政府対策本部ができる、そして、現地にこの対策本部ができて、そこに、今申し上げましたように中央からそれなりの人物が現地対策本部長として行くわけであります。 そこの現地対策本部長の権限というのは、地域にできます市町村や県の災害対策本部あるいは公共機関、原子力事業者等に対する総合調整や指示を行うのが仕事でございます。そういうことで、総理権限、つまり政府の対策本部長のかなりの権限が現地対策本部長に委譲されますので、責任あるいは命令権限という意味では、それなりの機能をきちっと果たせるもの、私はそういうふうに思っております。そして、それぞれの対策本部が一体となりまして原子力災害合同対策協議会を組むわけで、これがオフサイトセンターにできるわけでございます。そういうことでございますので、私自身は、これらが十分に機能できるもの、そういうふうにも思っております。 放射線量については総括政務次官から御報告させていただきます。
○斉藤政務次官 通報義務がかかる放射線量はどの程度なのかという御質問でございますが、この値につきましては、今後政令によってその詳細を定めるというふうに法令で決めております。放射線量それから事象についても、この政令によって定めてまいります。アメリカ等諸外国における規定、それから内外の過去の事故等を参考にしつつ、原子力安全委員会の意見を聞いて早急に検討を進めたいと思っております。 それから、放射線の測定器でございますけれども、これは国自身は持ちませんけれども、その測定器の検査は国が行ってまいります。
○川内委員 ここが基本的なところなんですけれども、先ほど冒頭に、私が法案の審議に入るときに申し上げた、原子力というのは、原子力エネルギーというのは必要なんだけれども、しかし非常に危険な側面も持っているんだということを私たち全員が認識をするとすれば、事業者に放射線量のモニターの設置義務を負わせて、そしてまた、そのモニターが異常を示したときに通報義務を負わせるというのでは、結局、アクセルとブレーキを同時に踏むというか、意味がないと思うんですね。 事業者は事業者として、もちろん原子力エネルギーの危険性は認識しつつも、事業を営む上で必要な安全対策については講じる。しかし、万々が一放射線が漏れたというときに、その漏れているということをいち早く察知しなければならないのは、国が一番先に察知をしなければならない。だって、緊急事態を宣言するのは首相なわけですから。緊急事態を宣言する人が一番先にそれを知らなければならないと思うんですけれども、だからこそ、モニターの機器を設置して管理してオンラインで、これは近藤さんもおっしゃっていましたけれども、オンラインでつないでしっかりとそれを把握するということが必要なんじゃないかというふうに私は申し上げたんですけれども、この点に関しては大臣、どうでしょうか。 〔西委員長代理退席、委員長着席〕
○中曽根国務大臣 おっしゃるとおり市町村等にはモニタリングシステムができるわけで、それによる放射線量の数値があらわれるわけでありますが、現在、市町村から数値の異常の場合に国の方にその通知が行くということではないかと思います。 おっしゃいますように、これは、同時に国がこの異常を察知するといいますか、そういう体制ができれば好ましい、今お話を伺っていまして私そういうふうに感じていたところでございますが、もし間違っているといけませんが、そのようなお考えがよろしいんではないかと私は思っております。
○川内委員 今大臣から前向きな答弁をいただきましたので、役所の人たちも来ていますので、大臣がおっしゃったことは非常に重いことでございますので、どうぞそのようにお願いをしたい。これは、危機管理という面ではやはりさすがに大臣はよくわかっていらっしゃるというふうに私も今感服をしたところでございます。 ところで、大臣、米国にFEMAという組織があるんですけれども、FEMAについて大臣の認識並びに評価というものを簡単にお聞かせいただきたいんです。
○中曽根国務大臣 FEMAは、アメリカの連邦緊急事態管理庁をFEMAと称しておるわけでありますが、大規模災害、それから緊急事態に対する連邦支援の総合調整等を行うことを主な任務といたしておると承知をしております。原子力災害におきましては、その特殊性から、原子力規制委員会やエネルギー省が主導的立場に立ちまして、それらからの支援要請に応じまして、FEMAはサイト外活動における関係省庁の総合調整を行う、そういうふうに聞いております。 FEMAの迅速な対応の特徴といたしましては、大統領から指名を受けた連邦調整官を中心とするチームが災害の比較的早い段階で現地に派遣されることによりまして、連邦の州政府に対する支援が迅速かつ効率的に行われることがあるわけでございます。 以上でございます。 それから、先ほどの放射線量の御質問についてでございますが、私も私の考えを述べました。今席に座ってじっくり考えてみますと、全国のありとあらゆる原子力関係施設、あるいは燃料関係、加工関係等の施設、今回のこの法案の対象となるモニタリングの設備を置くところのすべてのデータが中央に集中的に来るようなことができるのかどうか、一方で。それと、現地できちっと数値を感知して、即刻それが通知できるようになっていればいいのではないか、そういう考えもありますし、どちらが現実的で、またどちらが効率的かという点はよく考えなければならない、そういうふうに思っております。
○川内委員 緊急事態を宣言するのが総理であるとするならば、まず主務大臣なり総理が、だって、例えば中曽根大臣が、大臣、大変なことが起きました、ビービー光っていますというのを見たときの御自身の緊迫感と、電話あるいはファクスか何かでどうも起きているらしいですというのでは、そうかい、状況をよく把握しろということになると思うんですよね。そこがやはり時間のずれになっていくと思うんで、それこそ科学技術創造立国を目指しているわけですから、どこでどういうことが起こっているかということを、特に原子力については大臣がしっかりと把握をされていくべきだろうというふうに私は思っておりますので、大臣も一時期はちらっとそうだなと思われたわけですから、ぜひ、そうしろとは言いませんから、研究課題として、こういう議論をしたなということを腹の中に入れておいていただければ結構でございます。——いや、いいです。僕はそんな無理強いしませんから。大変物わかりのいい男なんで。 それから、最後に防災訓練のことについてお伺いをしたいんです。 私、鹿児島の桜島がありまして、爆発の防災訓練なんというのもよくございまして、そういうことが好きなものですからよく参加をするんですけれども、火災とか地震とか火山の爆発というのは、訓練のときには実際には火事も起きていないし、地震も起きていないし、火山も爆発していないから、実感がないんですね。実感がなくて、例えば消防車が来て放水したりすると、実際には避難をしているとされている我々が、放水しているのを見て、わあとか言って拍手したりすることもあるぐらいに割と間延びした訓練になってしまうんですけれども、放射線の事故というのは目に見えないですから、通常の、私たちが生活している、全く何も壊れていない、何も燃えていない状況で放射線の事故だといって抜き打ち的に訓練をすると、これは非常に緊迫感のある、真に迫る訓練ができるだろうというふうに思うわけでございます。 毎年、月日を決めて、その日に防災訓練をするというようなことではなくて、総理なんかにも知らせずに夜中に急に訓練をしてみる。これは中曽根大臣が責任を持っておやりになればいいと思うのですけれども、ある日、夜の夜中にどこかの原子力発電所で事故が起きて放射線が漏れている、大変なレベルに達しているというようなことで、夜中に、関係者にも訓練とは一切言わずに、全員を集合させて、どのくらい迅速に事態に対応できるか、訓練を繰り返しやっておくということは非常に必要なことだというふうに思うわけでございます。 夜中にやるというのは極端かもしれないですけれども、とにかく、訓練の効果という意味では非常に確かなものになると思うので、抜き打ち的に、原子力災害に対して防災訓練をだれにも言わずにやるということを、大臣の任期中に一回やるということをお約束していただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○斉藤政務次官 すばらしい御提言ありがとうございます。 抜き打ち的にやるということになりますと、社会的な影響もございます。大規模なものはできないかと思いますが、小規模なものについては、御提言ございましたので、考えていきたいと思っております。
○中曽根国務大臣 委員おっしゃいますように、防災訓練は大変重要でありますし、そういう意味では、国、地方自治体、事業者が一体となって日ごろからこのような訓練を行うということは、防災体制の実効性を高めていく上で大変効果があると思います。 抜き打ち的な訓練ということでありますが、そういうようなことも意味のあることだ、そういうふうに思っております。
○川内委員 大臣、前向きな御発言をいただきましてありがとうございます。ぜひ、大臣の在任中に一度おやりいただくと、みんな非常に勉強になると思いますし、それが後々、万々が一本当の事故が起こったときに、これは訓練ではないといって、全員が訓練のときと同じように行動できることにつながるというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをしたいというふうに思います。 終わります。ありがとうございました。
○北側委員長 桑原豊君。
○桑原委員 民主党の桑原でございます。 原子力関係、特に防災の問題というのは、本当に今までいろいろな角度から議論をしてきたわけでございますけれども、今回、法案の提出ということで、実効のあるものに、本当に現地の住民の皆さんにとって頼りがいのある、信頼の置ける、ぜひそういうものにしていかなければならない、こういうふうに強く感じておる一人でございます。 一九九五年の「もんじゅ」の事故以来、毎年のようにいろいろな事故が起きて、そのたびに、考えられない事故だったとか、思っても見ないことに遭遇をしたような、そんな議論が行われてきたわけでございますけれども、事故というのはまさにそういうものであって、そういうものが起きるということを前提にしてどうしていくのかというのが防災対策の一番大事なところだろうというふうに私は思うのです。 私もこの「もんじゅ」の事故に大変関心を持っていた一人でございますし、国会議員になって以来、民主党には辻先生という、この問題一筋に取り組んでこられた方もおられまして、その辻先生のいろいろな提言もあったりして、私なりにこの問題にはかなり関心を寄せてきたわけでございます。 特に、この数年の間、何とか原子力の特別防災の法律をつくってほしいということで、事故のたびに政府に対して要望もしてまいりました。私たちの要望というのも、単なる要望ではなしに、現地の皆さんの意向も踏まえて、現地ともいろいろ議論をして、こういうことで、中身としてはこんな内容を踏まえた法案をぜひつくるべきだということで、かなり具体的にいろいろと提言もし、質問もしてきたわけでございますけれども、一向に政府はそのことについて、話はもちろん聞きますけれども、その必要性は今のところないということでずっと来たわけですね。 今回、こういう大変な事故になって、直接住民あるいは従業員に被害が及んで初めて立ち上がった、こういうことですけれども、私は、このことの中に、いろいろな事故が次から次へと起きてきたことの一つの大きな原因があるのではないか、こういうふうに思うのです。 今回の事故を契機にして法律をつくるということは、ぜひやってほしいし、それは必要なことだと思うのですけれども、ここまで至らないとできなかった、つくれなかった。安全文化だとかいろいろなことを、そのたびにそれを徹底するんだということを盛んに主張していますけれども、ここまで至らなければできなかった、結局、泥棒を見て縄をなうような話にしかならなかったことの中に、大変、安全あるいは危機管理というものに対する問題点があるのではないか、私はこういうふうに思うのです。 ですから、通り一遍のこの事故に対する反省ではなしに、そういったことも含めて厳しい自己反省をして、その上で、この法律をぜひつくっていかなければならないのだ、こういうかたい決意を大臣に披瀝していただきたい、そういうことをまずお願い申し上げたいと思います。
○中曽根国務大臣 原子力防災に関しましては、原子力施設の立地自治体の御意見等をお聞きしながら、原子力安全委員会防災専門部会等において精力的に検討を行ってきたところであります。それから、今委員お話がありますように、各政党におきましても防災の強化等についての検討がなされてきたところでございます。 今般、これらの検討結果を実施に移しつつある、また参考にしながら検討している、そういう状況の中で事故が発生をいたしました。その結果、初期動作の問題、あるいは国と地方公共団体との連携の問題、また原子力災害の特殊性に応じた国の緊急対応体制、それから原因者たる原子力事業者の責務等、従来からの取り組みまたその改善だけでは十分には対応できない課題が顕在化してきたもの、そういうふうに受けとめております。 したがいまして、これらの課題を法制度として整備することにより、原子力災害対策の抜本的強化を図ることとしたものでございます。 私といたしましては、原子力の安全の確保には従来にも増して努力を傾注するとともに、この法律及び関連する予算措置等によって原子力防災体制の強化に努めてまいりたいと思っております。
○桑原委員 大臣の決意は承りましたけれども、原発などを立地している現地の県や市町村は、ぜひ防災対策法をつくってほしいと相当前から常に要望を繰り返してきたわけでございまして、今回のこの反省の中では、現地の声をしっかり常に聞いておく、そして、そのことがなぜ起きてきているのかを常に研究し、調査をし、受けとめていく、その姿勢が必要だということを改めてはっきり見せつけたと私は思うので、ぜひそういったことに心がけて、政府の都合よりも現地の声をしっかり踏まえていただきたいというふうに思います。 そこで、東海村のあの事故は、法令に基づくマニュアルそのものが違法だったということに加えて、法令にもとるマニュアルすら守られていなかったということで、今度の炉規制法の改正では、保安規定の部分も認可の対象にしていくというような形でその部分に一歩踏み込まれたわけですけれども、私は、そういった実際に行われている手順のマニュアルも含めて、ちゃんと事前の審査の中でしっかりとした点検を受けていくという仕組みが必要ではないか、こういうふうに思うのですけれども、今回の改正の中ではそのことがちゃんと保障されるのかどうか。その点、お伺いをしたいと思います。
○斉藤政務次官 お答え申し上げます。 従来、事業者の社内文書のうち、保安規定については国の認可の対象としてきたところでございますが、その下にある下部規定としての事業者のマニュアルについては必ずしも十分に点検が行われてきたわけではございませんでした。今回事故を起こしたジェー・シー・オーにおいて許可の条件と整合していない手順書が作成されていた事実を踏まえまして、緊急総点検では手順書についても調査をしたところでございます。 今回の原子炉規制法改正案では、保安規定の遵守状況にかかわる定期的な検査制度を設けることとしておりまして、この検査によって、保安規定に従って適切に安全教育、臨界管理などが行われているかを確認することとなります。したがいまして、下部規定のマニュアルについても検査の手が行き届くということでございます。
○桑原委員 それと、三百五十メートル以内の方々には避難勧告、そして十キロ以内の方々には屋内退避というようなことで、大変多くの住民の皆さんを大変な不安の状態から何とかあれしようということでいろいろな手だてが講じられたわけですけれども、放射線の被害というのは、単に現在どうかということだけではなしに、極端なことを言えば、将来的にもこの被害が子々孫々にまで及ぶ、こういうような非常に恐ろしいものだというふうに私は思うのです。 そういう意味では、既に二千人に近い方々の健康診断など調査が行われたようですけれども、将来的にこういったエリアの皆さんについて追跡的な調査を行って、この方々の不安というものをできるだけ解消していく、こういう努力が必要だと思いますし、そのことはぜひやっていただきたいと思うのです。 あわせて、こういった事態のときにそういうものが常にちゃんと行われるような仕組みを法律的にどうつくっていくのか、制度的にどう保障していくのか。そのこともこの機会にしっかりと据えておくということが必要だと思うのですが、その点についての御見解を伺いたいと思います。
○斉藤政務次官 御指摘のとおり、長期的な健康不安が問題になっております。特に今回、六十九名の被曝が確定された方以外にも、周辺の放射線量推定値が出ましたことによりまして、不安を抱えていらっしゃる方がたくさんいらっしゃるということで、原子力安全委員会の中に健康管理検討委員会を設置いたしまして、推定被曝線量に基づいた健康管理のあり方について検討していくこととしております。 科学技術庁といたしましては、この検討委員会の検討結果を踏まえて、現在でも、事故直後から窓口を開いて、体、心ともに専門家を配してケアをしているところでございますが、今後も、現在実施されている心のケアを含めて、関係機関と協力の上、周辺住民の健康管理に万全を期していきたい、このように考えております。このことにつきましては、私は被曝したのではないかという方の個人行動調査を行いまして、推定被曝線量を出し、きちんと対応していきたいと思っております。 それから、心のケアについて法的にきちんと決めるべきではないかという御質問でございますけれども、事後対策というところに、これは緊急宣言が発出した後でございますけれども、健康また心のケアについて国は責任を持たなければならないという形になっておりますので、今回の法律で法的にそれが決められております。
○桑原委員 ともかく、そういった意味での不安を解消し、異状が発見された時点ではしっかりそのことに対応できるような措置に万全を期していただきたい、そのことを申し上げておきたいと思います。 次に、やはり、事故通報がいかに迅速に的確に行われるかということが、その後の対応を決定づけていく最大のポイントだろうと私は思います。今まであったいろいろな事故も、結局その迅速性が問われておるものが非常に多かったわけでございまして、ぜひこの機会に、今回の事故もそういったことでいろいろと問題点が指摘されておるわけでございますから、この迅速性の問題について踏み込んで対応していくということでやっていただきたいと思っております。 そこで、今度の法律では、原子力事業所の区域の境界付近において政令で定める基準以上の放射線量が政令で定めるところにより検出された場合に通報義務がある、それとまた、その他の政令で定める事象の発生した場合に通報義務がある、こういうふうに定められておるわけです。 まずお聞きしたいのは、「その他の政令で定める事象」というのはどういうことを指しているのか、考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○斉藤政務次官 その御質問にお答えする前に、前の質問で、法的に健康診断、心身の健康に関する相談、枠組みが決められているかという御質問に対しまして私すぐ出てこなかったのですが、第二十七条第二号に、「居住者等に対する健康診断及び心身の健康に関する相談の実施その他医療に関する措置」として、事後対策としてとらなければいけない項目が法定されております。 それから、御質問でございますけれども、「その他の政令で定める事象」はどういうものが念頭にあるかということでございますが、これは、今後原子力安全委員会の意見を聞いて早急に政令で定めることとしておりますけれども、考えられるいろいろな原子力施設内における事故、種々のものが考えられるかと思いますが、そういうものをきちんと具体的に挙げていきたいと思っております。
○桑原委員 私は、事故が起きたらすぐに早く通報するというのももちろん大事なんですけれども、できるだけ早い段階で事故を認識、認知するような、あるいは事故に至る手前ででも、未然に防げるような段階で事故を察知する、こういうことが迅速性の中では非常に大事だと思うのです。 そういう意味では、この法律では、事業所の区域の境界付近で異常値が出た、こうなっておるのですが、境界まで行った段階で察知したのではある意味では遅い、こういうふうにも言えるかと思います。そういう意味では、事業所の建屋の中で異常値をつかむ、そういうことが必要だろうと思いますし、また、原発ですと、原子炉の異常な稼働というようなものを特定して、ある程度想定して、そういう段階での情報をちゃんと伝えるというようなことも含めていくことが必要ではないかと私は思うのです。 そうすれば、いわゆる迅速性ということにある意味ではつながっていく、こういうふうに思いますので、そういったことをこの「政令で定める事象」の中にぜひ入れていただきたいと思うのですけれども、その点についてどのようにお考えでしょうか。
○斉藤政務次官 桑原委員おっしゃるとおりに、この敷地境界の放射線量だけではなくいろいろな事象を入れるべきだ、私も同感でございます。 法案第十条に基づいて、事業者が主務大臣に報告しなければならないということになっております。その事業者がその事業所の中で異常を検知する、その異常を検知するシステムについても今回いろいろ我々チェックをしていくわけでございまして、御指摘のあったような形で政令の中に取り込まれるようにしていきたいと思っております。
○桑原委員 ぜひそういった政令の内容にしていただきたい、重ねてお願いをしておきます。 それと、アメリカでは、事故が起きて十五分以内に通報するというようなことが、法令かマニュアルかはよくわかりませんけれども、一応時間的な制限というものが義務づけをされている、こういうふうに聞いておるわけですけれども、これは、旧式のコンピューターの処理時間というようなことでそんなふうな時間取り決めがあるようです。 この法律では「直ちに、」こうなっているわけで、法律用語からすれば、直ちにというのが一番直ちに、要するに時間的には短い、瞬時、そういうふうなことだと言われているのですけれども、直ちにがあっても直ちにになっていないのが日本の現在の法律の実態ではないか。多くの場合、直ちにが直ちにになっていないというのが見られるわけですけれども、事こういう事故に関する問題ですから、できればやはり時間的な制限というものを盛り込むというようなことも、アメリカの場合はどうなっているのか私も詳しくはよく存じませんけれども、アメリカのそういうものを参考にして考えていく、規定をしていく必要があるのではないかと私は思うのですけれども、これはどうでしょうか。
○斉藤政務次官 桑原委員おっしゃるとおり、アメリカでは、10CFR、コード・オブ・フェデラル・レギュレーション、法律のもとの規則、ですから政令なんでしょうか、そこにおいて、事業者は異常事態の認知から十五分以内に州及び自治体の責任機関に通報連絡する能力を保有しなければならない、こういうふうに規定されております。 今回の法案では、第十条第一項におきまして、事業者が異常を見つけたときには、直ちに国、地方自治体に通報しなければならない、こういうことにしております。この直ちにという言葉は、何か法律上、一切の遅延が許されないという場合に用いられるものだそうでございます。そういう意味では、時間を指定するよりも強い規定ではないか、このように考えております。 今後、通報に関する具体的な手続については、可能な限り速やかに通報するという観点を考慮しつつ、省令または原子力事業者防災計画に定めるべき事項の中で検討していきたい、このように考えております。
○桑原委員 直ちにと書いてあってもそうならないのが現実だというふうにお話もしました。法律の中でそういうふうなことを明記することは難しいとしても、具体的な運用の中では、遅くとも何分以内にというようなことぐらいはやはり目標として書かないと、いろいろな日本語のすり抜けの議論がまた行われてしまうということになりかねないと私は思いますので、ぜひそのことも含めて御検討をいただきたいと思います。 それから、事業者の通報義務なんですけれども、いわゆる事故に気づいたときに、異常値に気づいたときに通報するというのがこの法律の書きぶりなんですけれども、私は、もうある意味では、もちろん人間の感覚でそれを見て通報するという仕組みも大切なんですが、あわせてやはり、異常値になったら、監督官庁ですとか自治体ですとか関係方面に自動的に送信する、連絡をするというようなシステムがどうしても必要になるのではないか。 と申しますのは、もう事故が起きた段階で、事故の発生に気づかなかったりというようなことは余りないのかもしれませんが、人間のやることですからそういうことだってあり得るわけですし、また、事故対応に追われてなかなか瞬時にそういう通報というのができないということだって考えられるわけですから、人間の活動と同時に、そういう自動的な異常値の送信システムといいますか、そういうものをオンラインで送信をするようなシステムをちゃんとつくっておくということが迅速性の中では極めて大切だ、こういうふうに思うのですけれども、その点についてどうでしょうか。
○斉藤政務次官 例えば放射線量というふうに、ある意味で定量的にきちっとはかれるものにつきましては、かなりオンラインで、あるところまではすぐ報告が行くといいましょうか、アラームが鳴るというふうなシステムには現在でもなっているかと思います。ただ、そのアラームが、例えば県の中央でありますとか国の中央まで行くところにはまだなっておりません。今後の技術的動向等を踏まえながら、この点について検討していきたいと思っております。 現時点では、ある一定値にアラームが鳴るシステムをつくっておきますと、何かしょっちゅうアラームが鳴って、オオカミ少年みたいになってしまうおそれもまだあるということで、そういうことの技術的な検討も含めて今後検討していきたいと思っております。
○桑原委員 オオカミ少年になるということを恐れる前に、やはり万が一ということの危険に備えてどうしていくのかということを私は考えてほしいと思うのです。 また、私は、このことに関してオオカミ少年になっても国民から非難を受けるべき問題ではない、こういうふうにも思いますので、ぜひそういう仕組みをやはり一方で考えて、人間もそういうことでやるという、両方の仕組みをぜひこの機会に考えていただきたいというふうに思います。 それから次に、新しい防災法案と災害対策基本法との関係なんですけれども、災害対策基本法の特別法だと。この災害は、災対法に定められているいろいろな災害の中でも際立っていろいろな意味で特徴がある、五感で感じられないというようなことを含めて、あるいは大変な影響の出る事故だというようなことも含めて、それに対応するために、新たにその上に特別法という形で対応策を考えていくんだ、こういう仕組みだと思うのです。 そこで、まず住民避難の問題についてお伺いしたいのです。 この法案では、事業者から事故通報があって、主務大臣が初期的な対応をする、そして、ある一定の段階で総理大臣が緊急事態宣言を発して、その上で、市町村長及び知事に、住民に対する避難の勧告や指示、そんなものを行う、それを市町村長や知事が受けて実際に発動する、こういう仕組みになっておるわけでございます。この住民避難という問題は、緊急事態宣言が発せられて、それが解除されるまでの間はそういう仕組みでいく。しかし、それ以前とかそれ以後とかの段階で、知事や市町村長が、災害対策基本法に基づいて住民に避難勧告をしたり指示をしたりするというのはできるというふうに私は解釈しておるわけですけれども、そういう解釈でよろしいのかどうかということをお聞きしたい。
○中曽根国務大臣 本法案では、今委員御説明くださいましたように、総理による緊急事態宣言の発出の際及びそれ以降、原子力災害対策本部長たる総理は、市町村長及び都道府県知事に対して、避難の勧告等の指示をすることができる、そういうふうになっているわけでありますが、市町村長は、この総理の指示を待たずとも、みずからの判断によりまして、災害対策基本法第六十条の規定に基づき、住民に対する避難の勧告及び指示を行うことは可能でございます。
○桑原委員 もう一度確認しますが、そういう緊急事態宣言が発せられて、それが収束されるまでの間でもそういうふうなことができるというふうに解釈してよろしいのですか。
○中曽根国務大臣 そのとおりでございます。
○桑原委員 そうしますと、考え方としては、災害対策基本法とこの法律が、その部分に関しては両立しているということで、お互いに補完し合うといいますか、そんな関係でとらえるというふうに考えてよろしいのですか。 というのは、新聞の報道だとか一部の中には、避難勧告とか指示は総理が言うまでできないんだ、今まで市町村長や知事が独自の判断でやれたのに、何か窮屈なことになってしまうのじゃないか、現実の対応がおかしくなるのではないかというような錯覚、誤解みたいなものも私はあるんじゃないかと思うので、そこは明確に、そういうふうに理解してよろしいわけですね。
○中曽根国務大臣 委員のおっしゃるとおりで、そのように理解していただいて結構でございます。
○桑原委員 それともう一つ、防災訓練もそうなんです。これも、今度の法律では、主務大臣が計画をつくって、そのもとで防災訓練をやるんだ、被害想定もちゃんと国がやって、行うんだ、こういうふうになっておりますけれども、そうすると、この防災訓練も、同じように、市町村、知事独自の判断で、独自の考え方で、一方で防災訓練をやるということは可能なのかどうか、そのこともあわせてお伺いします。
○中曽根国務大臣 原子力災害に関しまして、国や地方自治体、また原子力事業者が連携を図りながら防災対策を講じていくことが重要であることにかんがみまして、本法案第十三条で、主務大臣が作成する計画に基づき、国、自治体、事業者が共同の訓練を実施する規定を設けているところであります。 また、このような国の計画に基づき実施する共同訓練のほか、災害対策基本法第四十八条の規定に基づきまして、地方自治体が独自の訓練を実施することは可能でございます。
○桑原委員 そこで、ひとつ基本的な考え方についてですけれども、今度の事故があって、国が原子力防災については前面に出て、住民の避難や訓練なども含めて、すべて国が第一義的な責任を持って対応するんだ、むしろ県や市町村はその指示を待って、その助言を受けていろいろな行動を考えればいいんだ、こういうような受けとめ方があるんじゃないかと私は思うのです。 いや違うんだ、今までどおり県や市町村は、そこに生活をする県民や住民にとっての生命や財産、そういうものを第一義的にしっかりと守り抜いていく、そういう事故を防いでいく責任があるんだ、そして原子力の場合には、それを補完する意味で、国がいろいろな能力を持っているわけですから、それをフルに活用するということで、国がそのことをバックアップするんだ、そんなふうに私はとらえなければいけないと思うのですよ。 いろいろな問題に対する迅速性からしても、まず現場の県や市町村が住民のためにどう対応できるかということが私は先決だというふうに思うので、そんなふうに組み立てられているんだというふうにしなければならないし、そう思うのですけれども、どうも原子力については国がやるんだ、こんなふうなことであっては弱るわけでして、そこら辺の考え方をちょっとお話をしていただきたいと思うのです。
○中曽根国務大臣 一般に、災害に対しましては、地域住民の皆さん方の生命、財産を守るために、地域の実情に熟知した市町村及び都道府県が果たす役割は大変重要なものでございます。 原子力災害では、御案内のとおり、五感に感じることなく被害を受ける可能性があるわけでありまして、適切な対応を行うためには専門的な知見が求められるという特殊性があります。そういうことから、関係自治体からの御要望も踏まえ、国としての緊急時対応体制を強化した上で、国と地方公共団体との有機的連携を図ることが重要と認識をしております。 本法案におきましては、このような国の役割を明確にするとともに、災害発生時に、緊急事態応急対策拠点施設、いわゆるオフサイトセンターに組織される原子力災害合同対策協議会の構成員として、都道府県や市町村の災害対策本部長等を規定しております。また、主務大臣によるオフサイトセンターの指定に当たりましては都道府県知事、市町村長の意見を聞くこととする等、本法案では、各種の対策を講じる自治体の役割についても明確に位置づけているところでございます。 国が前面に出る形になりますけれども、地方自治体等が十分にその役割を果たせるようにも配慮をしているところであります。
○桑原委員 私も、党内で法案づくりをする過程で各県の方々ともいろいろなお話をしたわけですけれども、やはり県や市町村、特に市町村の段階になるともっと強いのですけれども、特に原子力発電所などは国策で、我々にはいろいろな思いがあったけれども受け入れたんだ、それが事故を起こしたんだから、これはもう国の責任できちっとやるというのが当然なんだと。何か、建設するまでは国が前面に出ていますけれども、そこでいろいろなことが起きたりすると、すべての責任が自治体におっかぶされるようなことではとても弱るんだ、こういうようなことで、特にこの事故等の問題については国がやってほしい、こういう思いが非常に強かったわけですね。 しかし、私どもは、それはあるけれども、一たん受け入れて稼働している以上は、その現地の責任においてこの問題をどう扱っていくのかということがやはり大事なんだ、特に、住民に一番近い自治体がこのことにまず真剣にならなかったら、これはもう時間との勝負ですから、決して適切な対応はできないんだから、国にやってくれというふうにおっかぶせるんじゃなしに、市町村も県も一緒にやるんだ、そして、我々もちゃんとした責任を持って対応するんだというふうなことがやはり必要ではないかということで、一番の議論になったのはその部分なんですよ。この部分で、国にやってほしいという方と、いや、国はもちろんこんな問題だからやるけれども、市町村や県がまず前面に立ってやっていく必要があるんじゃないかということで、一番議論になったところなんですね。 現在の能力からいえば、確かに、県なんかでも相当進んだところもありますけれども、まだまだのところもあります。市町村でもいろいろなばらつきがあるわけですけれども、現在の能力からいえば、確かに、自治体が前面に立つというのは非常に問題のあるところは多いと思います。 しかし、基本的には、国や県が、その自治体がちゃんとした対応ができるような技術的な援助であるとか体制をどうつくっていくかというようなことで、私は、そこにやはり力を注いでいかないと、今まで議論してきたような意識の中で、国が前面に出ていくということになれば、逆に自治体の方が、これは国の責任だというようなことにやはりなりかねませんので、そこはちゃんとした役割分担といいますか、そういうものを踏まえて運用をしていかないと、今度はもう原子力災害は国になったというようなことにやはりなりかねないと思います。私は、例えばこの避難という、住民の生命にかかわる、自治体にとって一番大事な問題、訓練の問題、そんな問題はむしろ自治体が中心になってちゃんとした判断ができるようにどうサポートしていくかというところを、ぜひ見えるような形でこの法案の中で仕組んでいく必要があるのではないかと思うのです。 後でまた、防災専門官の議論などともちょっと絡んでくるんですけれども、その点、もう一回認識をお示ししていただきたいと思います。
○中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたように、地域のことは地域の方が一番よく御存じだと思っております。そういうことから、地域の実情を熟知した市町村及び都道府県が果たす役割は大変大きいものがございます。 委員も御心配されておりますように、いかに連携をとっていくかということが最も重要でありまして、今後、国、市町村、県等関係諸機関が災害時の対応について十分協議をしていただければ、そういうふうに思っております。
○桑原委員 それでは、次に進みます。 今申し上げたような問題とも少し絡んでくるんですけれども、いわゆる緊急事態応急対策拠点施設、まさに事故が発生をした場合の対応の拠点となる施設、オフサイトセンターがあらかじめ設置をされる、指定をされるということでございます。 これはぜひ必要なことだと私は思うわけですけれども、このオフサイトセンターが事故時に対応の拠点となる、そして現地対策本部がここに置かれて、いろいろな関係者がここに集合して、密接な連絡をとって対応をしていく、こういうことはイメージがわくのですけれども、まず、日常的にこのオフサイトセンターというのはどういう役割を果たしていくのか。その運営というものはどのようにされていくのか。事業所ごとにオフサイトセンターが設置をされる、指定をされるということですけれども、それでは、全国的にどれだけの数のオフサイトセンターというものが一応想定されているのか。そういったものの維持管理資金、資金なども含めてどんなふうに考えておられるのか、お聞きしたいと思います。
○斉藤政務次官 日常時におきましては、このオフサイトセンターは、緊急時に必要ないろいろな書類でありますとか図面でありますとか、その他緊急時に役立つであろう情報をそこに備えておくということが日常時の役割でございます。 この維持管理主体はだれかということでございますが、これは、各原子力事業所ごとに事情に応じて決められるものでありまして、事業者、地元自治体で協力してなされるもの、こういうふうに考えております。 また、緊急事態発生時に利用できる形で使用されていれば、平常時における利用の制限は特段設けないこととしておりまして、公民館や役場といった既存の施設をもって充てることも可能でございます。 オフサイトセンターについては今後順次整備する必要があると考えておりますけれども、その設置、維持、管理については、国としても必要な支援をしなければならないと考えておりまして、補正予算において所要の要望を行っているところでございます。 また、全国で何カ所かという御質問がございました。 これは、各事業所に一カ所ということではなくて、例えば、事業所が固まってあるようなところにおいてはそこに一カ所、こういうふうなこともございまして、全国で二十一カ所を今予定しております。
○桑原委員 公民館とかそういうところも指定するということですけれども、やはりここにいろいろな情報が集中して、そしてここが管理センターのような形になるとすれば、常々そういった機器なども含めて常備できるような、そういう仕組みでないといけないんじゃないかと思うのですが、公民館とかそういうことになるとなかなかそういうことにならぬのじゃないですか。それはどうなんですか。
○斉藤政務次官 必要な書類、情報以外にも、そういう必要な機器についてもここに置かなければならないと思っておりまして、これは各地域地域の実情に応じて、事業者、各地方自治体で決めていただくということで、そういう機器も装備できるところが当然選ばれると思います。
○桑原委員 それとあわせて、今度新しく、原子力防災専門官、通産省そして科技庁に属するそういう新しい制度がつくられることになりました。私は、この制度は中身的にどういうことになるのか、今からお聞きしたいと思うのですけれども、大変重要な役割を果たす、そんなものではないかというふうに思っておるのです。 そこで、先ほど地方と国の役割分担のようなお話をいたしましたけれども、現実、この原子力防災専門官は、そういう地域、現地に常駐をして、常々、いろいろな情報を収集をして、そして事業者や自治体とも接触をしながら、いろいろなアドバイスをしたり、そんな役割をするのではないかと思うのです。 法案上、事業者に対する助言とか指導とかというのは明記されていますし、それから、もちろん自分の属する監督官庁との連携というのは、これはもう当然のことなんですけれども、肝心の自治体とこの防災専門官というのはどういう関係に立つのか。防災専門官は自治体にどんな働きかけをし、自治体は防災専門官に何を期待できるのか。そこら辺がどうもはっきりしていないわけですね。 私は、やはり自治体が一義的に現地対応を素早くやっていくということになれば、この防災専門官のいろいろなアドバイスとか役割というのは非常に大きなものになっていくのではないかというふうに思うんです、特に市町村のような場合。そういうことで、ここら辺が法律にどうもはっきりしていないので、その点どんなふうに考えているのかということをまずお聞きしたいと思います。
○斉藤政務次官 今回、特別措置法第三十条で原子力防災専門官が規定されております。この原子力防災専門官は、原子力事業所の所在する地域に駐在して、平常時においては、原子力事業者に対し防災業務計画の作成等の予防措置に関する指導助言を行う。それから緊急時においては、事業者からの通報があった場合に、直ちに現場においてその状況の把握のために必要な情報の収集に当たるということになっております。 御質問のいわゆる地方自治体との関係でございますけれども、平常時から原子力事業者の防災対策に関して情報交換等を行うほか、緊急時においては、特に初動期において、現場の状況等の情報伝達を行うなど、原子力事業者の行う対策と、国、自治体の行う対策の相互の連携を図るような役割を果たすことになるかと思います。 その条文ですけれども、通報があった場合ですけれども、「その状況の把握のため必要な情報の収集その他原子力災害の発生又は拡大の防止の円滑な実施に必要な業務を行うものとする。」ということで、この「円滑な実施に必要な業務」というところで、地方自治体との平常時における情報交換ということが含まれていると考えております。
○桑原委員 監督官庁、事業所、自治体、それを結ぶ連携の役割を果たすとか、連絡調整、情報伝達、そういうのは私は読み込めると思います。しかし、自治体にとって、やはり何らかの措置をしなきゃならぬとか、あるいは何らかの対応を自己決断でやらなきゃならぬというようなときに、一番ある意味では頼りになるのは、現場におられるわけですから防災専門官だというふうに私は思うんですよ。 そういう意味では、自治体との関係においては何らかの形で、助言指導を行うとか、はっきりしたものをやはり明記していないと、防災専門官というのは単なる連絡役になってしまうこともあり得るし、あるいは過大な責任を負わされて、防災専門官のおかげで大変なことになったというようなことにもなりかねませんし、そこら辺は、私は、特に自治体との関係においては、ある程度、もう少しはっきりした役割を与えておかないと、これはいざというときにあいまいなことになって、責任の所在などを含めていろいろ問題が生じるのじゃないかと思いますので、その点、やはりもうひとつ突っ込んではっきりさせていただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○斉藤政務次官 この原子力防災官の地方自治体との連携について、桑原委員おっしゃるとおりだと思います。 この原子力防災官のいわゆる地方自治体との関係の明確化について、十分可能だと思いますので、今後検討させていただきます。
○桑原委員 ぜひ御検討をお願いしたいと思います。 それでは最後に、原子力レスキュー隊というふうに言えばいいのか、機能と言えばいいのかわかりませんが、考え方としては、そういう常設の特殊部隊をつくるということではなしに、何かあったときにそういった機能を持ったものを編成して、そして対応するんだ、こういうことでこの問題を受けとめているということはお聞きしておるわけですけれども、どうも具体的なイメージがわかないんですね。 ところが、議論としては、ひとり歩きしているのは、どうもその部分は自衛隊が担うんではないかと。例えば、化学防護隊のようなものが臨機応変といいますか、臨機にそういうものに対応していくというようなことを考えているんではないかとか、いろいろな議論があるわけですけれども、その点について、具体的にその機能、編成というものをどんなふうに考えておられるのか、まずそのことをお聞きしたいと思います。
○中曽根国務大臣 原子力緊急事態が起きますと、程度に応じまして緊急事態宣言が行われるわけでありまして、その後、関係省庁、地方公共団体、また原研の関係者あるいは原子力事業者等関係者がいわゆるオフサイトセンターに集まります。そして、原子力災害現地対策本部長がこれらの者に対して一体的に指示を行うことによって、原子力事業者の原子力防災組織、原子力防災専門官、それから原子力研究所やあるいは原子力専門家、自衛隊、消防、警察、医療チーム等々が連携をとりつつ、総力を挙げて緊急事態応急対策を実施する、そういうことになっております。 この法案におきましては、特別の措置として、委員も御承知のとおり、原子力災害対策本部長は防衛庁長官に対して自衛隊の派遣要請を行えるということにしております。さらに、自衛隊、消防、警察、医療機関等は、原子力災害に対応するために、当然のことでありますが、必要な装備等の充実を図るとともに、また、国が定める計画に基づきまして関係者で共同で防災訓練を実施するということによりまして、緊急事態応急対策への対応機能の強化を図ることとしております。
○桑原委員 それはそのとおりなんですけれども、このレスキュー隊というのは青森県などからも強い要望があったわけですし、我々も、今回の事故のような場合に、今回は不幸にしてそういうものがございませんでしたから、例えば従業員の中から、ある意味では決死隊のような形で水抜きであるとかあるいはいろいろな対応を余儀なくされたわけですけれども、問題は、そういう事故現場に入っていって、そしてある意味では大変な危険を顧みず厳しい状況に対応していくようなものをどうするかということでもあるわけですね、レスキュー隊、レスキュー機能というのは。 ですから、一般的にいろいろなところを編成して対応するんだということではなしに、やはり特殊なそういう現場というものにどう踏み込んでいくのかということだと思いますので、もう少しイメージをはっきりさせないと、今のようなお話ですと、それは今までだってそうじゃないかということになりかねないと私は思うんですけれども、その点、どうなんでしょう。
○中曽根国務大臣 まず、事故が起きますと、やはり原子力事業者が原子力災害に一義的に責任を持っているわけでありまして、国や自治体に通報しなければならないような事態が発生した場合は、みずからの原子力防災組織に外部への被害を防ぐために必要な応急措置を行わせなければならない、これは当然だと思っております。 そして同時に、国や地方公共団体が行う緊急事態応急対策、今委員が御質問のところでございますが、これが円滑に行われるようにするために、事業者は原子力防災資機材の貸与等を行わなければならない、そういうことにしております。 それで、消防や自衛隊等の関係機関につきましては、原子力災害に対応するために必要な装備等の充実を図ることは当然でありますが、その上で、消防法や自衛隊法、それぞれの法令に基づく任務を着実に果たす、そういうことであろうと思います。
○桑原委員 事業所に防災組織というものが編成をされるというふうになったわけですから、事業所で起きた事故にまず対応するのはその組織なんだろうと私は思います。 しかし、原子力災害という特殊な厳しい事故を想定しますと、それだけで足りるのかという問題も当然起きてくると思うのですね。その際に、二義的といいますか、その次に責任を負うべき立場は、やはり監督官庁の責任はあると思いますね。 そういう意味で、国と事業者が何らかの形で一つのそういうものに対応するあり方というもの、例えば、一事業者でなしに、事業者の連合体といいますか事業者連合といいますか、そういうものの中で考えていくとか、それを国とどう一緒になって対応していくかとかということでないといかぬのじゃないかなと私は思うのですよ。自衛隊とか消防庁はそれぞれの法律のそれぞれの任務でこの問題について対応するということになるわけでして、いわゆるイメージとして考えているレスキュー隊のようなものは、どうもまず事業者や監督官庁がそういったものをどう構想していくかということでないとだめなのではないかなというふうに思うんですけれども、その点、どうでしょうか。
○中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたし、また委員からも御発言ありましたように、一義的には、事故を収束させるための作業というのは、とにかくその原因に責任を有する原子力事業者が行うべきものでございます。実際には、そのときの具体的な事故の状況に応じまして、必要な装備や要員等を勘案して、関係機関、先ほど申し上げましたようないろいろな機関が事業者に協力して、適切な被曝管理のもと、総力を挙げて対応に当たることになる、そういうふうに考えております。
○桑原委員 どうもはっきりしたイメージがわきませんけれども、非常に大事な部分ですので、今後も議論をやはり詰めていただいて、もっと国民に、ああ、そういう形でいざとなれば対応するのかということができるだけ見えるように詰めていっていただきたいということを御要望としてお願い申し上げて、質問を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○北側委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○北側委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。吉井英勝君。
○吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。 私、きょうは、今度の防災関係の二法について、やはり立法府として新しい法律をつくる、あるいは一部改正にしても、法律ができてしまいますと法律がそのまま生きてきますから、いわば逐条解説的に、大事な部分についてはしっかりその部分ごとに議論をして、将来、法が執行されるときに生きてくるような、そういうことが大事だなと思いまして、それで最初に、原子炉規制法の六十六条の二に関連して、ここは、主務大臣に対する申告、いわゆる内部告発の問題ですが、この問題について伺っておきたいと思います。 国内では、この内部告発という考え方ですが、どういうふうな法律とか理論に基づいて大臣として御提案をなさったのかということと、また、国際的にこの問題はどのように扱われているのか、大臣の方で御検討なさっていらっしゃるところについて最初に伺っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 今回の事故は、法令等に違反した危険な作業が組織的に行われて、そのことが通常想定しがたい重大な事故を引き起こしたものでございます。 このため、改正案におきましては、事業者等が原子炉等規制法に違反する事実がある場合には、その従業者から主務大臣に対し申告することができる規定を設け、主務大臣による法令遵守状況の検査等をさらに実効あるものとすることとあわせて、事業者等による組織的な法令違反行為を未然に防ぐこととしたものでございます。 国際的な状況については、総括政務次官から御説明させていただきますが、よろしゅうございますか。
○斉藤政務次官 この新しい制度は国際的にはどのようになっているかという御質問でございますが、国際労働機関、ILOにおきまして、一九二三年の第二十号勧告、「労働者保護を目的とする法令及規則の実施を確保する為の監督制度の組織に付ての一般原則に関する勧告」におきまして、労働者が事業所における欠点または法令違反について監督官に自由に通報するための便宜が与えられるよう勧告しております。 アメリカにおきましては、特定の公衆政策に対する不法を防止する観点から、環境やエネルギー等に関する各事業規制法と申告者保護法、ちなみに、ホイッスルブロアーズ・プロテクション・ローという英語が書いてございますが、これにより申告に関する制度を定めており、原子力発電所等の従業者も、エネルギー再構成法、エナジー・リオーガニゼーション・アクトに基づき申告を行うことができることとされております。
○吉井委員 政務次官は技術屋さんで御専門なので、また技術の方はよく議論したいと思っているんですが、大臣の方は、逆にまたそういう法律、経済その他、それは非常にお詳しい御専門家というふうに伺っておりますから、そういう観点から、きょうは主に大臣の方にお伺いしたいと思っています。また技術的なことになったら、政務次官の方にも伺いたいと思います。 この申告、内部告発という問題ですが、住民の生命、健康、安全を守る活動をしようとしても、今度の六十六条の二の二項で書いているぐらいのことで、内部告発をやる方が本当にできるのか。つまり、従業員の内部告発ができる条件というものについてどういうことを整えておくのかということが、もし大臣の方で、それは政令等も含めてお考えのものがあるならば、そのお考えというものを伺っておきたいと思うのです。
○中曽根国務大臣 原子炉等規制法に新設することとしております、今委員お話しの申告制度は、事業者等がこの法律に違反する事実がある場合に、従業者の協力を得てこれに早期かつ的確に対応できるようにすることによって原子力施設の一層の安全確保を目指すものでございます。 従業者から申告がなされた場合には、国はその内容を速やかに確認することとなりますけれども、その際には、従業者のさらなる協力を得るため、申告者の身分、地位等に影響がないよう配慮することが必要でありまして、申告を逐次公表するようなことは予定いたしておりません。この運用は、類似の規定がある他の法令でも同様であると承知をしております。 また、改正案におきましては、申告を理由とした従業者に対する解雇等の不利益取り扱いを禁止し、これに違反した事業者等については罰則を科すこととしており、法律上も従業者の身分の担保に十分配慮をしているところでございます。
○吉井委員 アメリカにしてもそうですし、オーストラリアのクインズランド州などでは、八九年に内部告発者保護法というのを考えていっているということなんですね。それは、告発者にもし制裁を加えると、制裁を加えること自体を犯罪だとする。つまり、そこまでいかないと、本当に公衆の生命とか健康や安全にかかわる問題を従業者が告発するということはなかなかできない。 日本では、この六十六条の二について、告発者に制裁を加えることを犯罪とするような、そこまで国際的にいろいろ検討されていることについてお考えになってこられたのかどうか、これを伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 申告制度によって禁止される不利益取り扱いといたしましては、事業者等が申告をした従業者に対しまして、当該申告を理由として、先ほど申し上げましたけれども、解雇また配置転換その他の不利益な取り扱いをすることは、該当すると罰則となるわけでございます。
○吉井委員 もう一遍伺っておきますけれども、世界で、内部告発を保護するという法律を組み立てていくときは、その内部告発をした人について、もちろんその告発の内容の当否は別に審議、検討するわけですが、その内部告発をしたことをもってさまざまな不利益、制裁が加えられることについては、その制裁を加えること自体を犯罪だとみなす、そして保護をする。そこまでの立場を貫かないと、これは簡単に、今の企業社会なりなんなりの中で告発者というものが本当に勇気を持って告発していくということにならないのですね。 それが国際的にも考えられている流れにあるのですが、今度の場合、そういう御検討をなさったのか、あるいは、これからの実際の法の運用の中ではそのことも念頭に置いての法の執行ということを考えていくのか。そのことについて伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 ただいま委員が制裁をとおっしゃいました。それは、事業者が従業者に対してということで理解してよろしゅうございますか。 先ほども申し上げておりますけれども、今回の原子炉等規制法の改正案におきましては、従業者が事業者等の法令違反を主務大臣に申告した場合、事業者等はその従業者に対し解雇等の不利益取り扱いをしてはならないこととしておるわけでございます。禁止される不利益取り扱いを行った事業者に対しましては、六カ月以下の懲役または五十万円以下の罰金を科すこととしております。 この罰則は、他の多くの類似制度における罰則ともおおむね同水準のものでありまして、事業者等による違法な不利益処分は、これにより十分抑止し得るものと考えております。
○吉井委員 アメリカやオーストラリアなどでこういう内部告発者保護ということを考えた場合には、まず法案の目的の中で、内部告発者を勇気づけ保護することにより、公的領域における不法、不正な活動及び公衆の健康または安全に対する危険の暴露、捜査及び是正を促進すると。 こういうことから、その法の目的の達成のために、例えば、一つは、危険の暴露を容易にし、かつ奨励する手続と機関を設ける。それから二つ目に、報復から告発者を保護する内容を設ける。三つ目に、告発して報復を受けた場合、その報復を受けた者に対する補償を考える。それから四つ目に、暴露された事柄が適正に捜査され、処理される。それから五つ目に、今度は、役所の方に通報しようかなどといろいろ考えたときに、直接の、その企業の一番トップじゃなくて、とりあえず自分の上司に相談をしたりしたときに、不正の仲間に加えて告発をやめさせようと、その告発者を逆に上司が犯行の仲間にしようとした場合には、上司の企てに抵抗したゆえになされる報復から保護をする。そして六つ目には、そういう報復措置を受けた告発者に対しては補償する。 こういうことなどが内部告発者を保護する法の目的達成のためにいろいろ規定されたりしているわけですが、今度の法案を読んだ限りは、そこまではないわけです。 そうすると、それは少なくとも政令なりなんなりの形で、やはりそういうことをきちっとしておく必要があろうかと思うんですが、お考えになっていらっしゃるのだったら、そこをお聞かせいただきたいし、法を実際に施行するまでにそういうことはきちっと整備するんだということならそれでも結構ですし、その辺ちょっと伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 申告制度につきましては、申告しようとする従業者の便宜を考慮した柔軟な運用を行うことが必要であります。 申告制度を定めた他の法律の制度等を参考にいたしまして、今後、主務大臣への窓口部局を定めるなど申告に係る具体的な手続を定め、これを公表することと予定しているところでございます。
○吉井委員 申告に係る手続や窓口だけじゃなしに、本当に告発者を具体的に保護する仕掛け、それはぜひ、どういう形で規定するか、この辺は本当は法律でかなり書いた方がいいと私は思っていますが、とりあえずは法ができたときに、内閣としてそういうものをきちっと定めて執行するという、そのお考えを持っていらっしゃるかだけ、もう一度伺っておきたいと思います。
○中曽根国務大臣 今お話ありましたように、具体的なことをということでございますが、窓口部局を定めるなど申告に係る具体的な手続を定めということで、具体的な点についてもこれから検討していきたいと思っております。
○吉井委員 その、などの中が大分大事ですから、ぜひそこは今私が申し上げましたようなことをきちっと御検討いただいて、法はつくったが生きてこないというものでは余り意味がありませんから、やっていただきたいと思います。 次に、今も斉藤政務次官からもお話がありましたように、ライト・ツー・ブロー・ザ・ホイッスル、口笛を吹く権利、これが非常に大事な権利として重視されているところなんです。 この内部告発の投書をやった場合でも報復を受けちゃならないということで、アメリカの場合は連邦憲法修正第一条で、その場合は言論の自由ということでそれが保護されるんだとか、いろいろな議論の経過があったようですが、今回の内部告発を奨励して権利保護を図る場合、アメリカの場合は連邦憲法修正第一条を根拠にしているということですが、我が国の場合は憲法上の根拠をどういうところに置いて、この内部告発というものが、本当にこの制度が生かされるように、あるいは告発者を保護するように進めていこうとお考えになっていらっしゃるのか、その点も伺っておきたいと思います。
○斉藤政務次官 憲法上の根拠という御質問でございますが、我が国におきましては、労働基準法、昭和二十二年、それから労働安全衛生法、昭和四十七年、労働者派遣事業法、これは平成十一年でございますが、これら制度に関する同様な規定が整備されているところでございます。 したがいまして、他法令との関係性といいましょうか、そういうところに今回の法令の根拠がある、このように考えております。
○吉井委員 これは、国民の生命、安全、財産を保護するという問題もあれば、基本的人権を確保するという問題も、さまざまな角度があると思うんですね。やはり一番最初に、立法に当たって我が国憲法のどういうところに基づいて考えていくかというのが一番の根拠になったと思うんですが、特に内部告発者の保護ということになりますとその点は非常に大事だと思いますので、これは次回で結構ですから、ぜひ大臣の方で御研究いただいて、次回に御答弁をいただきたいというふうに思います。 これまで原研や動燃などで内部から問題提起した人の例というのは過去にもたくさんありました。しかし、その結果処分を受けたりとか、あるいは不利益扱いを受けたりとかいうこともありましたし、あるいは、例えば複雑な再処理の工程などで問題になるところがあっても、運転開始に先立ってそれは公表したくないと当局の方は思っていても、労働組合として数十項目それを提起して、これで強行しては危ない、こういうことをやったこともかつてあるんですね。そうすると、今度はその労働組合そのものを当局の意のままになるようにつくりかえていくとか、そういうふうなことをやってきて、結果として「もんじゅ」であるとか再処理工場の事故とかさまざまなことを起こしてしまっておりますから、私は、今度の規定というのは非常に大事な意味を持っているというふうに思うわけです。 この法律をつくるに当たって、今回のジェー・シー・オーの問題だけじゃなしに、これまでにこういう問題があって、内部告発の告発者がその後、例えば昇進とかあるいはその他の面でも不利益なことにならないようにということでお考えになった事例が何かおありなら今お聞かせいただいたら結構ですし、なければ後ほどまた資料をいただくということで結構ですが、この点、大臣、わかっていることはありますか。
○中曽根国務大臣 今、手元に事例について持ち合わせておりませんので、調べてみたいと思います。
○吉井委員 それはまた後ほどいただいたら結構ですから。 六十六条の二では、加工等の事業者、使用者についての規定です。同時に、今度のジェー・シー・オーでもそうですが、それまでのいろいろな問題も、なぜそういうことをきちっと科学技術庁などが早くにつかむことができなかったのか、本当はつかんでいる人もいたはずじゃないか、だけれどもそれが内部告発ができなかったのじゃないかという、国民の皆さんの間ではやはりそういう不信の目もあるわけですよ。 とにかく最初は、動燃で何かあると科学技術庁の方がむしろ弁護に回っていらっしゃったことが多かったわけですから。だけれども、みんながみんなそうではなくて、やはりこれはおかしいよと思っていた人もいるはずなんですね。なぜそれが、今度は逆に科学技術庁内部では内部告発ができなかったのか。 最近の小説なんかでいいますと、これは民間になりますが、そういうことをやるとアフリカに飛ばされてしまうとか、将来科学技術庁の本庁に戻ってきて昇格ができないということになると、なかなか優秀な方で、優秀な科学者であったり技術屋さんであったりして、書類を見ておったらこれはおかしいと思う人がおっても、おかしいと思ったんだが妙なまま通っちゃった。しかし、その人は内部告発をやるとやはり不利益を受ける。 私は、科学技術庁内部でも、自己規律が働かないというか、やはりそういうことがあったのじゃないかと思うのですが、今度の法律というのは事業者、使用者だけの規定なんですね。ですから、科学技術庁やあるいは原子力安全委員会、専門委員会の委員なり、そこをパートタイマーで支えている、協力している人たちの内部告発の方の保護の扱いについては、これはどういうふうになるんですか。この法律が準用されるということですか。
○中曽根国務大臣 原子炉等規制法の対象だけでありますから、今委員おっしゃった科学技術庁とかその他の省庁には関係がございません。
○吉井委員 しかし、炉規制法に基づいて審査をする側、その審査の過程で見逃していることがあるよとか、あるいは、自分は、ここは炉規制法に基づいて、出てきた書類については突き返してその事業者においてきちっと適正に処理させなければならないと主張したんだがそのまま行っちゃったという場合に、その人がもしそのまま沈黙してしまったら、国民はだれもわからないわけです。しかし、やはりそのときに勇気を持って、今度の場合、その人が主務大臣に申告するのがいいのか、科学技術庁の場合であれば総理大臣がいいのか、そういうことがあるにしても、内部告発をやったときに、あるいは新聞等に投書して明らかにしたときに、その人の身分が保障されないということになりますと、これは内部告発者の保護という点では明らかに片手落ちではないかと思うのですね。 そうすると、炉規制法の範囲であったとしても、炉規制法に基づく申請が出てきたものについてという、仮に範囲を限ったものであったとしても、またその分は別な法律で考えることにしても、やはりそういう仕組みというものを考えておかないと、民間についてはこうだけれども、役所の方は内部告発者に制裁を加えてもいいんだ、これはやはり私はおかしいと思うのですが、この点、大臣、どうなんですか。
○中曽根国務大臣 役所の内部の体制につきましては、私は、公平公正に公務員としての務めを果たしている、そういうふうに思っております。そのような心配はないと思います。
○吉井委員 それは、じゃ、大臣、アメリカの場合どうなっているか御存じですか。いわゆる口笛を吹く人の権利ですね、これがさっき言ったものですが、アメリカの場合は、公務員と企業等の従業員と両方定めているのではありませんか。
○中曽根国務大臣 大変申しわけありませんが、その辺までちょっと調べておりません。調べてみたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
○吉井委員 それはぜひ調べていただきたいと思うのですが、私がなぜこれを提起するかというと、せっかくこの内部告発者の保護ということを新しく立法するからには、世界の流れがどうなっているのかとかそういうことをやはりきちっと調べて、そして、よく国際水準とかいろいろ言われますが、こういう分野でこそ国際的な水準に立った人権保護の規定、そのことを通じて公衆の、国民の安全とか生命、財産の安全が保たれるようにするというのが一番大事なことだと私は思うのです。 一つ御紹介しておきますと、アメリカの場合には、もともと公務員の不正告発者を保護する、これが出発点なんじゃないですか。七〇年代のラルフ・ネーダー氏らの消費者保護運動の出発というのは、もともとは、公の機関が不正を働いてもそれに対して公務員の方がそれを明らかにして、内部告発することによって消費者利益の保護を図っていく。だから出発はむしろ、今回のように民間の従業員の内部告発を保護しようというよりも、始まりは公務員の内部告発を保護する、そういうところから民主主義の問題、人権の問題として広がっていったと思うのです。 ですから、私はこの点では、今度の法律に公務員についても加えるということをやはり考えるべきじゃないかと思うのですが、これは大臣、どうですか。
○中曽根国務大臣 今委員のおっしゃいましたアメリカにおける状況でございますが、手持ちの資料によりますと、原子力発電所それから核兵器工業の従業員もエネルギー再構成法第二百十一条に基づき保護されており、ホイッスルブロアーズ・プロテクション・ローに基づき米国労働省の保護下にある。ここにおいて保護される申告者は、民間、地方自治体、州、連邦の従業員であり、NRC、DOEの規制下にある許認可取得者、事業者、契約者、下請、代理人の従業員のほとんどが対象とされるとしております。 それと、上記と同様に、多くの州においても申告者保護のための法律が発効しており、連邦法を上回る申告期間と便益が図られるよう手当てされているとなっておりまして、この文からは、公務員のためがスタートかどうかは判断することができません。 それから、今の委員の、この事故に関してのことでございますが、今回の法律では、事業所におきます申告制度について規定しているものでありまして、その他のところについて規定しているものではございません。
○吉井委員 ですから、二つ問題がありまして、一つは、これは公務員についてもそういう内部告発の保護が大事だということが一つ。もう一つは、今回は事業所の問題について扱ったから一応除外しているという立場をとったとしても、その事業所から出てくる申請図書について、公務員の皆さん方は当然かかわってくるわけですから、そのときに、これはおかしいと自分は思ったんだけれども通ってしまった。これは私、昨日も本会議で取り上げましたけれども、指針の十に照らして、みんなが何も気がつかなかったら仕方がないですよ、たった一人でも、これは沈殿槽の百リットルの容積に比べて臨界体積が十六・五リッターということであれば、一升瓶九本分ぐらいの硝酸ウラニルでもって臨界事故を起こしてしまうということになれば、それで通すのはおかしいのじゃないかと。たった一人でもそういう人がいた場合、しかし通っちゃった。しかしこの方がもっと早くに内部告発をやっておって公になっていた場合、私は、改めてそういう審査でいいのだろうかという議論が発展し得たと思うのですね。そうすると、今回のようなジェー・シー・オーの事故を食いとめることはできた可能性はないことはないと思うのですよ。 だから、そういう点では、なるほど大臣おっしゃったように、今度は事業所の問題だけに限っているにしても、その事業所から出てきたものは、既に役所の問題なんですから、そこに役所がかかわってくるわけですから、やはり改めて、そこについても公務員の内部告発者の保護というものを考えるということを少なくとも考えなきゃいけない問題じゃないですか、どうですか。
○中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、今回の法律におきます申告制度は、原子炉等規制法に違反する事実がある場合に限定をしております。委員がおっしゃるような、公務員の制度とか、その他の部署といいますか、原子力の事業所以外におきますお話のような点につきましては、また別の場所で議論をされるべきものではないかと思っております。
○吉井委員 私は、この問題についてはこれで最後にしておきたいと思うのですが、そうすると、別な法律できちんと考えられるのですね。
○中曽根国務大臣 当該事業以外には考えておりません。
○吉井委員 私は、率直に申しまして、世界的な水準からしてもそれはおくれていると思いますし、それから、東海事業所の事故が起こったからということで、今回仮にそれに限っておったとしても、しかし、民間の従業者には内部告発の保護を考えるのだけれども公務員は考えないのだ、そのやり方というのは、明らかに、片手落ちなんというようなことで済むような話じゃないと思いますね。私は、この点については、きちっとやはり政府として深い検討を行われることを求めておきたいと思います。 次に、各国の防災の状況でありますが、アメリカの原発防災の方では、原発の運転許可の条件に、オンサイト計画に加えてオフサイト計画の整備が条件として付されておって、そして、このオンサイトやオフサイトの計画があり、NRCの最終的審査が通らなければ原発をつくったとしても運転が認められない。これがアメリカの場合の原発を実際に動かす段階での原発防災の考え方ではないかと思うのですが、これは科学技術庁の方で既におつくりになった資料の中にもそういう趣旨のことが書いてあるのですが、そういうことで理解しておいてよろしいですね。
○中曽根国務大臣 各国の原子力防災対策は、各国の行政組織等の個別の事情によって異なってくる面もありますが、諸外国のすぐれた方策は積極的に考慮する必要がある、そういうふうに考えております。
○吉井委員 昨年七月十四日に、科学技術庁の方でおつくりになった資料の中に今のことは出ております。ですから科学技術庁も、アメリカではこういう原子力防災に係る法的枠組みをつくってやっているのだなということはよく大臣も御存じのところだと思いますので、やはり新しく立法をしていこうというときに、そういうすぐれたものは、いろいろなものを取り入れながらやっていくということが大事だと思うのです。 その点で、私、これは政務次官でも結構ですし政府参考人でも結構なのですが、アメリカのショーラム原発、これが工事完了直前に、地元サフォーク郡とニューヨーク州の方で、緊急時避難計画は実現不可能であると発表して、電力会社がNRCから運転許可を受けるための必要条件である地元自治体の同計画への参加を拒否したということなどがあり、その後政府の方で、つくれるようにしようというふうに一部規定を変えたりいろいろやったけれども、最終的には結局、原発はできたけれども運転できないまま終わってしまった、こういう例があるように聞いているのですが、この点は、今のオフサイト計画の整備の問題などとあわせて、つかんでおられたら伺っておきたいと思います。
○斉藤政務次官 アメリカにおきまして建設された原子力発電所が、そういう防災の関係で、建設されたけれども運転できなかったという例については私も存じ上げておりますけれども、その個別具体的な理由についてはちょっと調べさせていただきます。
○吉井委員 名前はお忘れになったとしても、ショーラム原発もその一つであったというふうに多分お聞きになっていらっしゃると思います。 そこで、原発防災の措置法を今度つくるわけですから、第七条ではオンサイトの計画を今度触れているわけですね。第十二条ではオフサイトセンターを置くということがあるわけですが、当然その場合はオフサイト計画も必要になってこようかと思うのです。以前この委員会で別な件で質問しましたときに、資源エネルギー庁長官が、当然その地域における原発防災計画というものがなかったら運転するということはあってはならない、それは、そういうことのないようにしているのだ、実態としてはそういうことをやっているのだという御答弁がありましたけれども、今回、この七条、十二条で、名前の上ではきっちりアメリカで言っているオンサイト計画やオフサイト計画に照合するかどうかは別として、精神は大体そういうところなんだろうと私は酌み取っているのですが、その計画がないと原発をつくっても運転は認めない、こういう点はきちっと貫いていかれるのかどうか。やはり、防災を言うからには、防災計画その他がないままにどんどんやっていったら、後から、事故やってから計画をつくったって意味がないわけですから。それは、そういう立場で臨むというのがこの立法に当たってのお考えですか。
○興政府参考人 御説明申し上げます。 ただいま御紹介の許認可とのかかわりの問題でございますが、今回、これによって定められます事業者の業務計画でございますとか、あるいは防災対策でございますとか、このようなものと原子力発電所の設置許可、運転の認可、この問題とは全く関係がございません。しかしながら、原子力施設についての、運転についての御理解を得る観点からは、もとより防災対策に十全を期することが必要でございますので、当然、所要の対応策をとって手だてが講ぜられる、このように考えてございます。 また、先ほど御紹介のございました、まことに恐縮でございますが、ショーラムの原子力発電所の件でございますけれども、緊急時計画が十分でなかったものとしてこれが認可されなかった事例が報告されてございます。百万人以上の居住者がいるにもかかわらず、避難道路が不完全であり、十分に安全が確保できないとニューヨーク州、郡が判断されたためと聞いてございます。
○吉井委員 今、政府参考人の方からも御紹介がありましたように、ショーラム原発でそういうことがあったわけですね。日本の場合は、いわば今度の法律というのはおくればせながらなのですよ。だから、おくればせながらのものについては、原発が既にある、その上に立っての防災計画ということになるのですが、もちろん、私たち自身は、現在の日本で、こういう今のやり方で未成熟な原発を増設するということは反対です。 しかし、政府の方は二十基増設を考えていらっしゃるわけですね。私はそれに反対なんだけれども、政府が仮に原発をつくろうというときにも、防災計画がないのに、しかし運転は認めてしまう。計画も何もない間に運転をやって事故をやっちゃったとなるともう遅いわけですから、その場合には、アメリカのショーラム原発の経験、教訓というものが非常に大事なものになってくる。つまり、その場合は、避難道路計画とか、地域の住民の避難距離だって問題になるでしょう、幾ら避難距離をとっておくかと。 非常に過酷な条件のもとでの過酷事故、そういうものを起こした場合にどういう災害防止ができるのかというオフサイト計画、防災計画なしには運転は認められない、アメリカはそういう立場をとって、結局、原発はつくったけれども動かさないということで終わったのがこのショーラムなんですが、そういう立場をおとりになるのか、計画は計画でとりあえずつくったんだがそれとは別だということでいくのか。これは、政府参考人じゃなくて、大臣の方からお答えいただいておいた方が私はふさわしいと思うんですが。
○中曽根国務大臣 本年の四月に原子力安全委員会の防災専門部会におきまして、原子力防災対策の実効性の向上について報告書が取りまとめられました。 報告書では、具体的に事故から災害に至る想定を一般的な形で示すことは困難であるとしております。しかしながら、同報告書では、地域防災計画の策定等のために、各原子力施設ごとに災害の及ぶ範囲等について何らかの災害想定が必要であり、このような個別の災害想定が必要とされる場合には、地域、施設の特性を踏まえ、何らかの仮定を置いて、地方自治体、国、事業者が連携して検討することを提言しております。 この報告書の提言、また今回の事故の経験を踏まえまして、一層の原子力防災体制の充実強化に取り組んでまいりたいと思っております。
○吉井委員 そこで、次に災害想定について少し伺っておきたいんですが、つまり災害想定を行って、それに基づく防災対策というのが出てくるわけですね。この点では、きょう核燃料サイクル機構の方にお越しいただいておりますので、プルトニウム製品を扱うサイクル機構で、その扱っているプルトニウムの臨界体積は幾らなのか、その点を最初に確認の意味でお聞きしておきたいと思います。
○都甲参考人 お答えいたします。 私どもの再処理施設で扱う代表的な塔類あるいは槽類では次の三つの機器がございますが、一つは、濃縮ウランの溶解槽でございます。二つ目が、ウラン濃度や酸濃度を調整する調整槽でございます。三つ目が、できましたプルトニウムの製品をためておきます貯槽でございます。 最初の溶解槽におきましては、容量は約八百五十リッターで、溶解液の濃度は約五百グラムウラン・パー・リッターでございます。これは、濃縮度四%の硝酸ウラニル溶液の濃度五百グラムウラン・パー・リッターにおける臨界質量は約百八十キログラムウランでございまして、このときの体積は三百五十リッターでございます。 この臨界体積三百五十リッターというのは、ウランをほとんど球状に集めたときの臨界容積でございまして、このために溶解槽では、直径二十二センチという非常に細長い二本の円筒状の溶解部と、それから幅が十二・五センチという非常に薄べったい平板状の貯液部とから構成することによりまして、表面積を非常に広くとるということによりまして臨界を避ける形状になっております。 それから、もう一つの調整槽でございますが、こちらの方は、容量は約三立方メートル……(吉井委員「プルトニウムの製品貯槽を言っていただいたらいいです」と呼ぶ) それでは、三番目のプルトニウム製品貯槽について申し上げますが、こちらの方は、容積は七百リッターのものが三基と五百リッターのものが四基ございます。七百リッターのものは、プルトニウム溶液濃度でございますが、二百五十グラムプルトニウム・パー・リッター以下で貯蔵いたします。一基当たりのプルトニウムの質量は百七十五キログラムまたは百二十五キログラムとなっております。プルトニウム239一〇〇%の硝酸プルトニウム溶液の濃度、二百五十グラムプルトニウム・パー・リッターにおきます臨界質量は約二・一キログラムでございまして、そのときの体積は約八・六リッターとなります。 このために、プルトニウム製品の貯槽は中空状の円筒といたしまして、液の厚さを四・五センチメーターまたは五・五センチメーターという非常に薄べったい円筒、ドーナツ状の形状をいたしました容器といたします。 それと同時に、中性子吸収材としてカドミウム金属の板を張りつけることによりまして、機器として臨界になり得る濃度は四百二十グラムプルトニウム・パー・リッター以上となるように、濃度を制限すること、それから形状を制限することによって臨界になることを避けております。 それと同時に、また、液を送る元側、送液元からプルトニウム製品貯槽へ液を送る場合に、事前に密度計並びにサンプリング分析によりまして濃度を確認した後に液を送ることといたしております。 以上でございます。
○吉井委員 今お答えいただいたように、もちろんさまざまな臨界対策というのはとっているのは当たり前の話なんですが、ただ言えることは、五百リットルにしても七百リットルの貯槽にしても、これは臨界体積八・六リッターの五十八倍から八十一倍。この間のようなジェー・シー・オーの沈殿槽とは、槽の形状とか装置そのものでの臨界管理の仕方はもちろん違うというのはわかった上の話なんですが、大きさからいうと、体積の面では、この貯槽の場合は臨界体積の五十八倍から八十一倍。ジェー・シー・オーのあれどころの、もう物の比じゃないですね。この間のは、十六・五が臨界体積に対して百リットルですからね。 そういう点では、通常は管理しているんだけれども、ここで臨界事故をやったときにどうなるのか。それに対しては、もちろん、少なくともジェー・シー・オーとは違って、あんな町工場のようなものじゃなくて、当然、分厚いコンクリートの壁等で遮へいするのは当たり前のことなんですが、一体何メートル厚のコンクリートで遮へいしているのかということと、それから、それが破れたときに、最悪の状態のときに、これは大体どの規模での災害を予想していくことになるのか、もしそれを検討されたことがあるのならば伺っておきたいと思うんです。
○都甲参考人 お答えいたします。 再処理施設におきましては、まず、臨界に対しましては、臨界警報装置、これが十二機設置されております。それからまた、再処理施設内には、中性子線エリアモニター七機、それから可搬式の中性子線サーベイメーター十機を常備いたしております。 それから、今御指摘の、もし臨界事故が起こったときのことでございますが、これは、再処理工場では、想定事故、つまり想定する最大の事故として臨界事故を想定しておりまして、その影響を評価しております。具体的には、セルのコンクリートの壁は四十センチぐらいでございますが、これは地下にございますし、それから建屋のコンクリートの壁等も全部考慮いたしまして、その影響を評価いたしております。
○吉井委員 万一の場合は、原発の場合の格納容器と厚みが全然違って、あれからすると非常に薄いものなんです。 そして、大体再処理工場で原発一基一年間運転した場合の放射能総量に匹敵するぐらいのものを扱っているわけですから、私は、そういう点では本当に、ここで臨界事故をやったときに、そしてもちろんその四十センチのものを透過するということもあるでしょうけれども、その四十センチが破れたときにどれぐらいの規模の災害になるのか、それを想定した防災対策というものをやはり考えておかないと、本当の意味での防災対策ということを考えていくことにならないんじゃないかと思うんです。 大臣、最後に一言で結構ですから、やはり個々の施設についてそれを考えた防災対策に取り組むべきじゃないか、この点について質問をして終わりにしたいと思います。
○中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、本年の四月に原子力安全委員会の防災専門部会におきまして、原子力防災対策の実効性向上について報告書が取りまとめられたところでございます。 報告書では、具体的に事故から災害に至る想定を一般的な形で示すことは困難であるとしております。しかしながら、同報告書では、地域防災計画の策定等のために、各原子力施設ごとに災害の及ぶ範囲等について何らかの災害想定が必要であり、このような個別の災害想定が必要とされる場合には、地域、施設の特性を踏まえて、何らかの仮定を置いて、地方自治体、国、事業者が連携して検討することを提言しているわけであります。 原子力の開発利用に当たりましては、安全の確保に細心の注意を払い万全を期すことを大前提に、これまでも最新の科学的知見に基づいて安全審査を行ってまいりましたが、今回の事故が起こったことを重く受けとめまして、また事故調査委員会の緊急提言等を踏まえまして、安全審査についても見直しを行っていきたいと思っております。
○吉井委員 時間が参りましたので、終わります。
○北側委員長 小野晋也君。
○小野委員 まず、委員長に一つ許可をいただきたいのでございますが、自由民主党電源立地推進調査会で行いました原子力施設管理体制の徹底ということについての報告書でございますが、配付について御許可をいただきたいと思います。
○北側委員長 はい、どうぞ。
○小野委員 この原子力災害対策特別措置法案、また、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の審議の委員会でございますけれども、この審議で質問に立たせていただきますに当たりまして、一言私の基本姿勢を語らせていただきたいと思います。 実は、これまでは、日本のエネルギー政策の中におきます原子力というものの位置づけの重要性にかんがみまして、いろいろなトラブルが存在したとしても、原子力の研究ないし発電所等の立地については推進すべきであるという立場でこの問題にかかわってまいりましたが、今回の事故を通しまして、必ずしもその安全が守られなかった、一般の住民にその被害が及んだということをもって、これまでの立場を改めざるを得ない、安全であるから推進の立場に立てたということについての基盤が崩れたということを率直にお話を申し上げねばならないというのは非常に残念なことであります。 これからは、この原子力問題ということに関しまして、是々非々で、中立的立場でその是非を判断する立場で考えさせていただきたいと思っておりますので、まず自分の立場の表明をさせていただいた次第でございます。 まず第一点目の問題でございますけれども、率直に申しまして、私は原子力にかかわります行政、さらに業界の動きというものをじっと見せていただいてまいりまして、非常に時間感覚が緩いような気持ちがしてならないんですね。扱っておられる物質が、例えばプルトニウムのように半減期が二万四千年なんて、こういうふうな時間感覚が反映されているところがあるのかもしれませんが、もっと早く対応すべきところでなかなかその対応があらわれてこないというようなもどかしさを感じてまいったのは事実でございます。 例えば、私自身のことで申し上げますと、平成十年四月十日、衆議院の科学技術委員会において、原子力基本法及び動燃事業団法の一部を改正する法律案、通称動燃改革法案と言われるものでございますが、この締めくくりの質疑において、橋本総理に対して質問をいたしました。それは、こういう質問でございました。 最も国民にとって、また近隣住民にとって大事な情報は何かというと、内部情報でもなければ技術情報でもなくて、あくまで安全情報というものだと思うのです。特に放射性物質が外界に放出されたということが即座に伝えられる仕組みをきちんと確立するということが何よりも大事なことだということを考えましたときに、ひとつ提案でございますけれども、原子力施設の周辺には、モニタリングポストということで、大気中の放射線のレベルを示すようなモニターがついているわけでございますが、この情報を加工せずに直接インターネット上に流すことを通して、いつでも、いかなる人でも、どこでも施設の周りの放射線レベルというものを知ることができるという体制を整えることが安全ということに対する公開の姿勢を明確に示すことではなかろうかという気持ちがいたしております。 ということでございまして、こういうことを説明した後、総理の御見解をお問い申し上げましたところ、総理の御答弁が、 今議員が御指摘になりましたような手法、これは確かに情報公開の方法を多様化するという視点から意義のあるものだと考えます。その上で、その実施に当たりましては、関係される地方自治体等の御要望を踏まえて前向きに対応していきたい、そのように思います。 こういうふうに比較的明快に、こういう提案に対してきちんと答えて、対応していきたいというふうに出ているわけでありますが、それ以来、ここまでの期間ということで考えますと、一年半余りの月日が流れているわけでございます。現段階においても、直接インターネットに生情報が流れるというふうな体制がとれているとは聞いていないのでありますが、なぜここに至るまで実現がされなかったのか、その理由についてまず御質問したいと思います。
○斉藤政務次官 昨年四月十日の衆議院科学技術委員会におきまして、小野委員より、動燃の体質転換を明瞭に示すものとして、モニタリングポストの情報を加工せずに直接インターネット上に流すべきという趣旨の御指摘があり、これに対して、橋本総理より、前向きに対応していきたいという答弁があったのは御指摘のとおりでございます。 これを踏まえまして、科学技術庁におきましては、情報公開の方法を多様化するという観点から意義あるものと考えまして、核燃料サイクル開発機構となった昨年十月一日に、同機構のモニタリング情報のインターネットを通じた公開を開始するに至ったと承知をしております。 今後とも、議員御指摘のとおり、地方自治体すべての情報をということでございますけれども、その方向に向けて、安全に関する情報の公開に一層努力してまいりたいと決意しております。
○小野委員 先ほどの政務次官の答弁でございますけれども、インターネットを通してこの情報を流しているというのは、生データではなくて加工された上でのデータ、しかも、しばらく時間を置いたデータというふうに私は理解しておりますが、その事実関係はいかがでございましょう。
○斉藤政務次官 生データではございません。環境放射線モニタリングデータをある程度わかりやすくしてインターネット上で公開しているということでございます。
○小野委員 その点は、公開姿勢をめぐって非常に基本的な問題を提起する部分でございまして、見やすく加工されることは、これは当然結構なことでございますが、時間的にそれがおくれるということがあれば、その効果というのは非常に減ぜられるものがあると認識しているわけですね。この時間的なずれという点についてはいかがでございましょうか。
○斉藤政務次官 技術的なデータを生のまま公開するということの意味についてもう少し検討させていただきたいと思いますけれども、技術的にわかりやすい形で加工するというのは、ある程度いたし方ないのかな、こういうふうにも思っております。
○小野委員 この点はもうここまでのことだと思いますけれども、先ほども御答弁ありましたように、ほかの施設等への展開ないしはより即時的な形での情報の流通という問題について御検討を進めていただきますことを御要望させていただきたいと思います。 引き続きまして、次は、先ほど資料を配付させていただいた件でございますけれども、私ども自由民主党の内部におきまして、原子力をめぐりましていろいろなトラブルが続出するような状況に対して、基本的に管理問題というところに問題の所在がありそうであるという認識のもとに、ここにおられます細田政務次官を主査といたしまして、半年間余りの検討を行いました上で、この原子力施設の管理体制徹底という形の報告書をまとめさせていただいたわけでございます。 この報告書でございますけれども、日時が書いてありますのを見ていただきますと、平成十一年六月十五日でございますから、本年の六月半ばということになるわけでございますが、議論自身が集約されたのは三月末から四月ぐらいだったと私は記憶しておりますから、それから考えますと、事故が発生した段階で約半年の月日がたっているというふうなことになってくるわけでございまして、党内でもいろいろな議論を行う中で、私どものこの管理体制徹底ということについての考え方が広く皆さんに理解され、それが運用の面で生かされていたならば、今回の事故は恐らく起こり得ない事故であっただろうということから考えると、この我々の報告書に対する対応のおくれということは非常に今回残念な点であったわけでございますけれども、この報告書が出まして以降、各省庁といいましても科学技術庁と通産省ということでございますが、それぞれにおいてどのような作業を展開しておられたのか、このあたりについての様子をお聞かせいただけたらと思います。
○細田政務次官 このたびの問題については、主として科学技術庁から後ほどお答え願いますけれども、ただいま小野委員がおっしゃいましたように、特にキャスクのデータ改ざん問題が起きまして、実際は放射線に対しては十分な品質があったようでございますが、その検査が全くずさんで適当に出していたという事件があったのは御記憶のとおりでございますし、その他、発電所用の部品等が亀裂を起こすとか、いろいろな管理体制が問題であるとの観点から、自由民主党電源立地調査会では、管理体制プロジェクトチームをつくりまして検討を重ねてまいりました。 そして、この六月に報告を出したわけでございますが、きょうお配りいただいておりますからお読みいただくとおわかりのように、何が必要かといえば、モラルの醸成、組織風土の改革が第一点、第二は品質保証体制の構築、第三は適切な通報連絡と情報発信、簡単に申せばそういうことでございます。その三本柱を取りまとめたわけでございます。 モラルの醸成、組織風土の改革につきましては、電気事業者さらには原子力産業界全体において改善への取り組みが行われるとともに、今回の原子炉等規制法改正案において安全確保改善提案制度を創設するなど、風通しのよい組織の構築に努めておるわけでございますが、どうもその後、あらかじめきちっとやっておればもうちょっと対応のしぶりがあったのになと私は思っておるところでございます。 それから、品質保証体制の構築につきましては、保安調査を開始いたしますとともに、今回の原子炉等規制法の改正案において保安管理検査を創設するなど、事業者における品質保証活動を適切に確認するシステムの確立に努めておるわけでございます。 また、適切な通報連絡や情報発信につきましては、トラブルの際に迅速かつ徹底した情報公開に努めるとともに、今回の原子力災害新法においてモニタリングポストのデータの公開を義務づけるなど、適切な通報連絡や情報発信が行われるように取り組んでおるところでございます。 ちょっと、この報告書を我々が取りまとめまして以来半年以内にこういう大事件が起こったということは残念ではございましたけれども、行政庁の方でもいち早く、こういったことがございますことも背景にいたしまして今回の立法措置に至るという点が否めませんので、その点では、私どもは早急に体制を整備する、そして民間の関係者の皆様方にもこの管理体制の重要性により一層認識を深めていただきたいと思っております。
○斉藤政務次官 管理体制プロジェクトチーム、このような報告書をまとめられたことに対して大変敬意を表したいと思います。 この報告書の中にあります三点につきまして、科技庁としてどのように取り組んでいるか御報告させていただきますが、まず、「モラルの醸成、企業風土の改革」というところでございますけれども、電気事業者の取り組みとあわせ、加工事業者等も改善の取り組みをしております。例えば、原燃輸送株式会社や日本原燃株式会社は、企業行動憲章を制定するなどによって取り組んできているところでございます。また、今回の原子炉等規制法改正案において安全確保改善提案制度を創設するなど、風通しのよい組織の構築に努めております。 それから、二番目に挙げられております「品質保証体制の構築」ということに関しましては、核燃料輸送容器の安全規制に関して、ことし二月二十四日に、ISO9002に準拠した核燃料輸送容器の製作に係る品質管理審査指針を策定するとともに、輸送物安全技術顧問会に品質管理の専門家を加え審査することとしております。また、今回の原子炉規制法の改正案において、事業者における品質保証活動を適切に確認するシステムの確立に努めております。 それから三番目の、「適切な通報連絡と情報発信」ということでございますけれども、先ほど申し上げました、核燃料サイクル開発機構において昨年十月一日からモニタリング情報のインターネットを通じた公開を開始するなどの情報公開に努めるとともに、今回の原子力災害新法においても、モニタリングポストのデータの公開を義務づける等、適切な通報連絡や情報発信が行われるよう取り組んでいるところでございます。 以上のとおり、このプロジェクトチームの報告書の中から、可能なものから鋭意実現に努めております。 〔委員長退席、西委員長代理着席〕
○小野委員 通産、科技庁からそれぞれ御報告をちょうだいしたわけでありますが、それぞれいろいろな検討事項があろうかと思いますから、これからのさらなる検討、また推進を御要望申し上げたいと思います。 これからは、先ほどの三点、この報告書の中で取り上げた三つの点でございますが、これらを中心にいたしまして、象徴的な部分についての議論をやらせていただきたいと思います。 まず第一点目、第一原則として、このような原子力機関というのはデータ改ざんや虚偽報告は許さないということについての明確な決意を示さねばならないということが、この報告書に盛り込まれた思いでございます。 その部分は、では単に決意があれば実現できるのかということになると、先ほど来もいろいろな議論が展開されておりましたが、やはり関係者全員にこの意識が共有されるということ、それからさらに、環境面で、それが皆さんの行動を制約しないという環境が整えられるということ、この二点が必要でございます。 それを広く御認識いただくためには、原子力関係者皆さんの中に一つの意識形成が必要だと思うのですね。それは何かというと、今、自動化だとか機械化だとかいうようなことが言われてまいりまして、こういう巨大システムというものに多数のセンサーを備えつけて、それらをコンピューター上で管理をするということが行われているわけでありますが、幾ら多数のセンサーが備えられたとしても、想定されたトラブルにはそのセンサーの情報で対応ができるけれども、想定外の事態が生まれた場合にはこれらセンサーは余り役に立たない、これはいろいろなトラブルでもう既に各皆さん方が認識してこられた点であろうと思います。 そうすると、その部分について非常に大事な役割を果たしてくる最高のセンサーというのは何かというと、やはり現場の人だと思うのですね。ですから、そういう人たちが異常に気づく、また不審な思いを持つ、そういうことが、フィードバックがうまくかかりながら是正されていくということになって初めて安全管理ができてくるということでございまして、この認識を広く共有していくことが必要ではないだろうか。 しかしながら、そういうことを果たすためにはまた条件が二つありまして、一つは、現場作業者を含む原子力関係者が安全危機を見分けるに足る知識、判断能力を備えるような教育が展開されるということ。それから第二点目は、組織の枠を超えて安全情報を共有し合うという気風が生まれるということの二点だと思います。 今回の法律案の中に、これらについて触れられているわけでございますが、ジェー・シー・オーの事故等を見ておりますと、これらの点が強調され過ぎることはない、この部分においてきちんとした対応をしていかないと、安全が確保されるということは不可能だろうというふうに思えるわけでございますが、今後科技庁において指導に当たられる中でどう対応していこうとしておられるのか、このあたりのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○斉藤政務次官 小野委員おっしゃるとおり、職場における緊張感が欠けているということを我々も認識しております。 昔は、昔はという言い方はいいかどうかわかりませんけれども、一人の従業員がその事業所全体の業務をよくわかっていて、自分がやっている仕事は全体の仕事の中のどこに位置するのだろうかということをわかりながら、しかし全体に目くばせをしながら仕事をしていた。だから、自分に直接関係しないところであっても、異常なものが見つかれば、それをみんなで話し合い、危険の芽を一つ一つ摘んでいった。それが最近、最近と言っていいのかどうかわかりませんけれども、自分が関知しているところ以外は知らない、こういう一つの風土が今回の事故の遠因の一つではないかということで、今回、法改正に当たりまして、現場における緊張感を維持し、そして事業所全体の安全というものについて目くばせできる、そういう従業員教育、保安教育を義務として明確に位置づけております。 また、こういう教育、また保安規定についても、これまではこういうソフト部門についての国の関与、検査はなかったわけですけれども、この項目についても関与するという規定を設けました。
○小野委員 今御指摘のとおり、現場作業者の緊張感、そして広い範囲を見ながら問題点を抽出する能力、こういうものが基本的に大事だという御指摘はそのとおりだろうと思います。 そこで、その資格を現実に持っているかどうかをどう判断するかという問題が出てくるわけでございますが、今回の法律案の中には教育の義務を課するという項目は入っておりますが、それは、教育をしたということを報告すればそれで終わってしまうということでございまして、本当にその任に当たる人が放射性物質を取り扱うに必要とされる基本的な考え方と最低限必要とされる知識を備えている人間であるか否かということは判定されないということになるわけでございましょうから、私どもが提案したいと思いますのは、この最低限の放射性物質を扱う資格を持つ人であるかどうかを免許制度において認定するということを考えてみてはどうだろうか、こんな気持ちがするわけでございます。 この点については、御見解はいかがでございましょうか。科学技術庁、お願いします。
○斉藤政務次官 小野委員おっしゃるとおり、今の国の資格制度は大変取得が困難。例えば、核燃料取扱主任者にいたしましても原子炉主任技術者にいたしましても、それから放射性物質取り扱いでは放射線取扱主任者第一種、二種等ございますけれども、いずれも極めて難しい国家試験でございます。現場で実際に働いている技能者の方が簡単に取れるというものではございません。 そういうことで、小野委員の指摘にあったような現場風土ができてしまったのではないかということでございますが、このウラン加工工場臨界事故調査委員会、吉川先生が委員長をしていただいている調査委員会が五日に取りまとめた緊急提言・中間報告の中でも同様の御指摘があります。能力の認定制度や資格制度を設ける等の措置を講じて、原子力関係事業者における安全確保の徹底、従業員への安全教育を徹底すべきだ、こういう提言が盛り込まれております。 具体的にどういう形でこの能力認定制度、資格制度をつくっていくかは今後議論していかなくてはなりませんけれども、こういう中間報告が出たことでもございますし、その御提言を重く受けとめて、前向きに取り組んでまいりたいと思っております。
○小野委員 この点は、類似の問題として考えますと、自動車を運転する人が、決してレースをやるわけじゃないから非常に高度の運転テクニックだとかメカニックな知識を持たなくても、最低限自動車を運転するに必要な技術的な知識ないしは交通法規等のソフト的な面における知識、こういうものを習得しないと路上に出ていけない。これと同じように、やはり他人に危害を及ぼす可能性のあるものを扱う部署については、この人が扱うのだから一定の基礎知識を持っていて基本的な安全が確保されていますよということを示しておくというのは、ある意味で当然のことだろうと思うのですね。 ですから、今までの原子力行政の中で放射性物質という危険なものを扱うということに対する認識が少し甘い部分があったということは厳しく御指摘をさせていただいて、先ほど吉川先生のところでの検討会でもこの提言が出ているということでございますから、ぜひこの御検討を進めていただきますように要望をさせていただきたいと思います。 それから、第二原則に移らせていただきたいと思うのでございます。 この第二原則で提起をさせていただきました基本的な考え方は、原子力というものが非常に巨大で複雑なシステムであるということを前提に、どのような管理システムを構築することが最も安全を担保できるものになり得るのかという観点に立ちましたときに、その全プロセス、つまり計画段階から建設、運用、廃棄、また枝葉がいろいろとその周りにくっついてくるわけでありますが、その全プロセスに一貫する基本思想というのがやはり必要だろう。そしてまたその基本的なルールというものも必要なのだと。 だから、他の分野にいた人が事故が起こったからといってそこに駆けつけた場合でも、ある一定の理解というものは十分得た上で対応ができる。全く全部システムが違って、保安基準も違って、何もかもばらばらだということになると、その部署にいる人しか、一たん事があった場合に対応ができない。こういうシステムではこれだけの巨大システムを維持管理する上に問題があるのではないか、こんな考え方のもとに提起をさせていただいたものでございます。 しかしながら、現実の姿をこれまで拝見をさせていただいてまいりますと、やはり事故が起こるたび、トラブルが起こるたびにやってきたのは、枝葉におけるトラブル解決を図ろうというような姿勢でありまして、これを積み上げていったがゆえに、進めば進むほど、その内容は精緻複雑なものになっていって、緊急時にはなかなか役に立ちがたいものになってしまった、こういう印象があるのでございます。枝葉の部分というのは目に見える部分でございますから、対応も非常にしやすいでしょう。しかしながら、それらを統合するしっかりした幹を太らせるということの方が実は大事であり、より大きなエネルギーを要する部分であるということを改めて我々は認識しなければいけないのではないでしょうか。 振り返りますと、日本の原子力というものはおおむね外国から基本的なものを導入して始まった作業であります。ですから、細かな技術面については、例えばどういう材料を使うだとかシステムを少し改良するとか、こういうふうな技術は随分この日本の国の中で生み出されたものがございましょうし、蓄積も見ているのでありますが、原子力システムというものの管理をどのように行っていくかというような根幹部分については輸入したものをそのまま入れて使ってきたというようなところが、この管理問題に対する皆さんの関心の薄さであり、またその部分における蓄積の少なさというものにつながってきているような気持ちがしてならないのであります。 先ほど斉藤政務次官の方から、現場の人も、マニュアルというようなものだけでなくて、もっといろいろなものを感じ取るような従業員にならなければいけないというような指摘をいただきました。細かなマニュアルを積み上げるということも、これは現場の作業上は必要でありますが、安全管理という意味では、それに加えてやはり一貫した基本思想とルールというものが確立をされ、それが広く皆さんに周知徹底しているという状況が必要だと考えているわけでありますが、細田次官、この点についてはどのような対応をお考えでございましょうか。
○細田政務次官 特に通産省の現在の所管関係でいいますと、原子力発電施設は巨大なシステムでございます。その巨大なシステムの安全管理を行う上で、設計から建設、運転等全プロセスに一貫する基本思想とルールとして、品質保証体制の構築が重要であると認識しております。それを取りまとめたものが先ほどお配りいただきました報告でございますけれども、品質保証活動につきましては、通産省としても、例えば昨年発生した使用済み燃料輸送容器データ問題の教訓も踏まえまして、事業者に対して説明書類の提出を義務づけるとともに、その実施状況を確認する保安調査を開始するなど、徹底に努めております。 また、今回の原子炉等規制法の改正案におきましても、保安管理検査制度を創設しましたけれども、これは、保安規定に基づく事業者の諸活動をチェックするものであり、広い意味で品質保証体制の構築につながる重要な取り組みの一つであると考えております。 品質保証体制と一口で言いますけれども、全システムとかかわるものでございますから、絶えず関係する者が気がついたことを提案し合ってよりよきものをつくるという体制がなければ、小野委員のおっしゃったように、従来のマニュアルどおり、外国ではこうしておる、このスイッチがこうなればこうなるはずだからこれでいいんだ、そういうような観念では十分な品質保証体制確立につながりませんので、その点、関係者の合意に基づく体制整備が必要だと思っております。
○小野委員 細田次官から基本思想とルールの重要性についての御答弁、本当にありがとうございます。 そこで、この基本思想とルールという問題でございますが、いろいろとこれまでも検討がされなかったわけじゃないと思うんですね。いろいろな報告書も私は拝見をさせていただいたことがございますが、ただ、実際の場においてそれがうまく運用されてこなかった部分があったればこそトラブルが起こってきたという事実があるのもこれは事実であります。 そうすると、そこに何が問題だったのかというと、やはり基本思想やルールというもの、この徹底のためには莫大なエネルギーが要るということなんだろうと思うんです。こういうものを決めて文章をつくったからそれでこの問題が終わったということではなくて、常に現場に緊張感を持たせる、そしてまた、問題の所在がありそうなところについては常にチェックが入りながら是正を図っていく、これを繰り返していってこそ初めてこの基本的な思想というものが末端まで徹底もできればルールも守られてくる。 例えば、例が卑近でございますけれども、税務関係でも、税務署の側から税金が幾らだというようなことはルールとして示されるわけであります。国税庁と言った方がいいですね。国税庁からそういうルールが示される。それで、事業をやっている人たちはもうそれは十分承知の上で対応をするわけでありますが、それでも脱税事犯というものが次々あらわれてくる。ならばそれをどうするのかというと、縦の系列というのは、実務がその中で動いているだけに、ある一定の限界があると思うんですね。ですから、その縦系列と別のところに、マル査のような、横からその問題の所在のありそうなところへチェックする組織というものが設置されて、そして随意にそのチェックに入っていくというものが機能すればこそ脱税という問題を抑制することができる。 こういう社会的なシステムを考えてまいりました場合に、やはり、これはもう既に随分議論をやられてまいった点ではございますが、この原子力行政の中においても、行政の一つの流れとしての縦のチェック機関というものと別に、横の立場から随意に問題に対してチェックに入っていける第三者性の非常に強い機関というのが必要だ、こういうふうに私どもは考えておりますが、この点についての御所見はいかがでございましょうか。 通産省の方からお願いします。
○細田政務次官 我が国の原子力安全規制におきましては、規制機関であります科学技術庁、そして通産省に加えまして、これらから独立した組織である原子力安全委員会が行政庁の行う規制をチェックするというダブルチェックを行っているわけでございます。 また、二〇〇一年からの省庁再編後におきましては、経済産業省に新設されます原子力安全・保安院におきましてダブルチェックの一次的機能がほぼ一元的に集約されることになっており、また、原子力安全委員会は内閣府に置かれましてその独立性をより高めるわけでございますが、この安全委員会も現在飛躍的な拡充強化が検討されておりますけれども、こうした方策によりまして、これらの機関同士の緊張関係をより高め、ダブルチェック体制をより有効に機能させることとしております。
○小野委員 この問題は、現状の原子力安全委員会の形でありますならば、推進体制であります科学技術庁の職員が収集してきた情報というものをもとに、原子力安全委員会がその書類に基づいて安全か安全でないかの判断をするという意味で、現状の延長線でいくならば縦系列のチェック機関に終わってしまう可能性がありますので、ぜひ、今後の検討課題ではございましょうけれども、できるだけ第三者性を強く打ち出せる体制というものを御検討いただいて、実現をいただきますようにお願いを申し上げたいと思います。 引き続きまして、先ほどの報告書の第三原則ということになるわけでありますが、この第三原則のところに流れている考え方というのは何かといいますと、安全情報というものは決して事業者や監督官庁だけで独占されるものであってはならないという考え方でございます。それで、原子力に関連する、被害を受ける可能性を有するところの地域住民や、場合によれば反対運動を展開される人たちにおいてもこれら情報が共有され、ともに冷静、客観的にその情報を分析しながら安全を高めていくというような考え方が原点にあってこの提案が取りまとめられたわけでございます。恐らく、この点については、現在いろいろなアンケート調査も出されておりますけれども、多くの国民意識もこの考え方に賛同されるものであろうというふうに考えているわけであります。 そうなってまいりますと、情報公開のルールという問題になりますが、これは、動燃改革法のときに随分議論をして情報公開のルールというのもある程度作成されてまいりましたが、この際には、外部の機関によってどういう情報公開を実現すればいいのか、住民の立場に立つ情報公開というのは一体どういう形のものになるのかというようなことにも踏み込んだ対応をしてみてはどうだろうか、そのためには、もう内部の検討ではなくて外部機関、非常に国民から見てその客観的立場を理解をいただけるような機関が作成する方がいいのではないか、こう考えるわけでございますが、御見解はいかがでございましょう。
○茂木政務次官 小野委員御指摘のとおり、外部の有識者からの助言も得ながら今後の情報公開についてさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えておりますが、原子力の開発利用に関して、今後、トランスペアレンシー、そしてアカウンタビリティーを高めていく、非常に重要な御指摘でありまして、原子力開発利用を進めるに当たりましては、国民の理解と協力を得る、これが大前提、必要不可欠だと我々も考えております。審議会の公開など政策決定の透明性確保に努めつつ、同時に情報公開を徹底していくことが重要であると認識をいたしております。 また、当省といたしましては、核物質防護などの慎重に取り扱わなければならない情報を除きまして原則として公開するとの基本方針に基づきまして、既に、原子力発電所に関する各種許認可関連資料、トラブル報告書等を、常設の情報公開施設、これは原子力発電ライブラリーと呼んでおりますが、こちらにおいて公開しておりますほか、原子力に関連する審議会に関する情報、原子力発電所の運転に関する情報等を、委員も大変お得意でありますインターネットを利用して公開するなどの取り組みを進めているところでありまして、今後も、原子力に対する国民の理解促進のために情報公開に努めてまいりたいと考えております。
○小野委員 今回のジェー・シー・オーの事故というのは本当に残念な事故でありました。原子力を推進してこられた多くの方々にこの思いは共有されるものであろうと思います。しかしながら、もう起きたものはもとに戻すわけにいかないわけでありまして、この起きた事態に対してどのように私たちは教訓をその中から酌み取り、そして、次の時代を切り開くエネルギーにしていくかということが基本的に問われる問題だろうと思っております。 そんな観点から考えてまいりました場合に、私は、やはり今回重大な問題として提起された、これまで述べてきた管理問題ですね、この問題の重大性ということを改めて考えるべきではないだろうか、こんな気持ちがいたします。 日本の科学技術の取り組みというのは、木に例えますならば、これまで、枝葉の部分を広げるということについては随分皆さんが力を入れて成果をおさめてきました。これは、具体的な応用技術であり、製品をつくる技術というふうな分野でございましょう。見かけの非常にいい部分でございます。それではこれからの日本の科学技術が成り立ちいきにくいというような反省に立って、科学技術基本法等を制定して、基本的な科学というものをこれからもっと予算をつけて研究を進めようではないかと言われるようになりました。これは恐らく、私は、木に例えると根だと思うのですね。根を強く張ろうじゃないか。 ここに至って気づいたのは、この基本、基礎科学と、応用技術でありますところの枝葉、この間をつなぐ部分が実は欠けていたんだなということなんです。つまり、基本的な基礎科学の知見に基づいてさまざまな応用的な技術が枝を広げるわけでありますが、それらの多数の技術を統合し、総合化し、そして、それをきちんと機能させてくるという部分の技術が弱いということを今改めて認識をするわけでございまして、ここに思い切って予算をつけて、二十一世紀の巨大な科学技術ないし社会システムというものを管理できるものを開発していくという必要性があるのではなかろうか。 ここに予算をつけるということについては、これまで実績がないからという声がありますけれども、例えば、先ほど来も議論があったHIIの失敗が、三百四十三億円の国費をロスする失敗であったということでございましょうし、「もんじゅ」の事故等においても、その後の維持管理費が年間百億円内外のお金をずっと投入して何の成果も得ていないということから考えますと、一つ大きいトラブルを起こせば何百億円というお金がむだになることを考えますと、管理技術の開発のために何十億円ないしは何百億円のお金を投じても、決してむだではない。 さらに、この基本的な知見というものが、単にビッグプロジェクトをどうするかということだけではなくて、民間の企業活動にも展開できるものであるはずでありますし、ないしはグローバル化する国際社会をどう維持管理していくか、社会的な部分においても応用できる問題になるはずであります。 そんなことを考えますと、全世界の英知を日本の国に集めて、この巨大な複雑なシステムというものをどう管理していけばいいのかということについての取り組みを進めるということは、日本にとって極めて重大であり、世界人類への大きな貢献になる、こう考えて、これはぜひとも推進いただきたいと願っている点でありますが、斉藤次官、いかがでございましょうか。 〔西委員長代理退席、委員長着席〕
○斉藤政務次官 大変大きな問題提起をしていただきました。基本的に私も同じような問題意識を持っております。 これまでの日本の科学技術、研究開発は、ある意味では一つの時代精神のようなものがあって、その時代精神がみんなのベクトルを合わせていた。しかし、その時代精神的なものがなくなった今、どうすればいいのかという問題意識かと思います。 日本の技術は、一つ一つの要素技術については大変強いけれども、その要素が何千、何万、十数万集まった巨大システムとなると、その全体を管理するのにはすこぶる不得意だ、こういうお話がございます。 そういう意味で、これからの巨大科学、そのたくさんある要素を統合して、例えば、川下の情報がリアルタイムで川上にフィードバックできる、そして全体を一つの思想性で統御していける、また情報を共有していける、こういう研究開発体制をつくることが、これからの日本の研究開発が成功する最大に重要な点だと私は思っております。その点については同じ問題意識でございますので、一緒に頑張っていきたいと思っております。
○小野委員 最後に、質問としてセットさせていただいたのですが、時間の関係がございますから要望だけにさせていただきますが、国会における評価会議の設置の問題でございます。 これは、斉藤次官もこれまでこの問題に理解を示され、さらに推進の取り組みをしていただいていたわけでございますが、今回のさまざまな事故を通しまして、やはりこれはやるべき問題であるというのが私たちの認識でございまして、ぜひ政務次官のお立場において、科技庁内の意見集約等のことに御協力をお願い申し上げたいと思います。 いよいよ最後になりましたけれども、一言コメントをさせていただきたいと思います。 今の科学技術全般の問題としまして、科学技術創造立国のかけ声の中で、非常に順風の中、予算的にも、また具体的なプロジェクトの展開もなされてきたと思われた今の科学技術推進体制でございますけれども、このしばらくの事故によりまして、足元が随分揺らぎ始めているような印象がございます。特に原子力をめぐっては、国民的な不安感、または不信感、こういうものの中で極めて厳しい環境が生まれつつある、こういうふうな気持ちがするわけでございます。 この問題を歴史上で振り返ってみました場合に、ちょうど私のふるさとにおいて同じような問題がかつて展開されたわけであります。 それは何かというと、別子銅山の煙害問題や、さまざまな自然環境が失われるという問題でございました。明治の中ごろ、ちょうど富国強兵策が展開される中で、日清戦争が起こり始めたころに、日本の国力を増強する、また軍事物資を生産せねばならないということで銅の大量増産をやり始めたものでありますから、煙害、亜硫酸ガスの被害が出て、農業被害が広がる。ないしは、木を切って、その木で熱源にしたようなことがあるものですから、山が丸裸になって、自然災害が起こる。それで、農民暴動が起こり、労働争議が起こり、もう大混乱の中でおさまりがつかなくなってきた状態の中で、別子銅山に派遣されたのが伊庭貞剛という人物でございます。 伊庭貞剛は、国としてこの銅を増産するという非常に強い使命感を一方に持たれる。しかしながら、一方で、その陰で苦しみ嘆く人たちがいるということは、やはりこれは本当の姿ではない、この両者を乗り越えながら、いかに解決を求めるかということで、五年間、新居浜の地で闘いを展開されるわけであります。 これがちょうど今原子力が置かれている状況と非常によく似ていると私は思うのですね。国の将来のエネルギー政策の中において、原子力は推進せねばならないようだ。しかしながら、それを推進するには、いろいろな批判のあらしが巻き起こってきて、これを乗り越えねばならない。そういう中をどう越えていけばいいかということで、この伊庭さんという方を扱った本を、私たちもちょっと後押しさせていただいて、再発行させていただいたわけなんです。「伊庭貞剛物語」、こういう本でございます。皆さん方、ぜひ、今多くの方が悩んでおられると思いますが、先人も同じような悩みを抱えながら、それを乗り越えるためにどんなに苦労をしながらその解答を求めていったか、この生きざまを振り返ることが今の原子力行政を見直す上に極めて大事なことなんだろう、こんなふうな気持ちがいたします。 宣伝のような形になってしまったわけでございますが、こういう困難な時期に、ともすれば目の前の問題に振り回されてしまう傾向というのが強まってくるだろうと思いますが、目前の問題を処理されれば、次は長期的なビジョンに立ってこの問題への対応をどうするかということが問われるわけでありますが、そういうときにはぜひ、こういう人に学び、昔の歴史に学び、そんな中から、長期的視野に立ってどうあればいいかというふうな解答を出していただくということを御要望させていただいて、質問を閉じさせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。
○北側委員長 山中あき子君。
○山中(あ)委員 山中でございます。 日本の国民は、専門家によって、安全な技術、安全な管理に信頼を寄せていたわけでございます。しかし、今回の東海村の事故に際しましては、国の管理の甘さ、会社の認識の甘さ、従業員の自覚の甘さ、そういったものが指摘されております。この一連の甘さというのは、日本のすべての面で現在のずさんさを連想させて、これが必ずしも国内的だけではなくて、国際的にも日本への信頼を著しく落としてしまった、そういう現状を私たちは認識しなければいけないと思います。 実は、中央公論の九九年十二月号で有馬前科学技術庁長官が、対策本部のメンバーも必ずしも原子力の専門家ではないということをインタビューでおっしゃっていて、私はこれを読みまして、さらに愕然といたしました。そこの対策本部まで専門家がいないとしたら、専門家は一体どこにいるのでしょうか。日本は十分な専門家を育ててきたのだろうか、そういった疑問がわいてきまして、それまではフェールセーフというふうに思っていたんですが、このごろはフールプルーフにならなきゃいけないかなというふうに思っています。 そんなことではありますけれども、しかし、考えてみますと、現在のエネルギー事情を考えて、そして十分な供給量とそれに見合うような価格で安定して提供できるようなクリーンエネルギーが十分まだ開発されていない、今途上であるという現状を見ますと、今はとにかく原子力発電の安全性をより高める、そういうことしかないのではないか。そして失った信頼をどう回復していくか。そこが最大の問題ではないか、そういうふうに思っておりまして、電力発電の三四%を占めておりますこの原子力発電の安全性を高めるという意味で、少し具体的に意見交換をさせていただきたいというふうに思います。 まず、せっかくこういう機会ですから、当然、原子力災害対策特別措置法について幾つか質問させていただきます。 質問の前に、第一章の第一条のところですけれども、「原子力災害から国民の生命、身体及び財産を保護することを目的とする。」この目的にすべて立ち返ってチェックをしてみたいというふうに思っております。 それで、早速でございますが、第九条の一項のところの原子力防災管理者というものを今度きちんと設置するということで、これは当然のこととはいえ大変いいと思いますけれども、どういう構成になっているかというのがどうもよくわからない。 それで、今回の事故の後、ワシントン州にありますシーメンスの原子力加工燃料工場を私が訪れましたときに、これはプライベートの工場ですが、危機管理の専門官としてそこに出てきたのは、担当副社長と工場管理の部長と緊急事態の対応の準備安全対策部長、そのほかに、危機管理対応の対策部長、そして広報、コミュニケーションの担当の安全部長ということで、安全部長が三人出てきている、そういう現状でございます。 ですから、もしこれから政令、省令によってこの管理者というものをどういうふうな構成にするかということを考えるときには、たとえ一つの私企業であって、しかも加工工場とはいえ、今のこのシーメンスは、常駐で四十五人の安全の専門官、それも火災の安全の専門官、産業の問題、臨界の問題、化学の問題、放射線分野、関連する不測の事態に対応する人、そのほかに健康面の安全性の分野の専門家というのをチームとして設けているという現状がありますので、ぜひこれから具体化していく上でチームを考えていただきたいと私は思いますが、その点についていかがでいらっしゃいましょうか。
○斉藤政務次官 各事業所におきまして防災計画を事業所ごとに立てることになっております。その中でも、組織立った実効性のある防災業務をということで、チームという考え方が取り入れられております。実効性あるものになるように指導していきたいと思っております。
○山中(あ)委員 実際の政令とか省令とかというものと抱き合わせでないものですから具体的なものが見えないので、ぜひその辺は、今申し上げたことも参考にしていただいて、いいチームをつくっていただきたいと思います。 それから、同じこの法案ですが、十条の二項の中に「通報を受けた都道府県知事又は市町村長」という項目があるんですが、事故が起きた通報を受けてからその知事あるいは市町村長が国に対して専門家を派遣してもらうということを要請するとなっていますが、これではまずいのではないかと私は思います。 なぜかと申しますと、今でも東海村は事故が起きた後不安なわけですから、例えば、平時にぜひこういうことを勉強したいとか、どういうふうな対策をしたらいいかということも含めて、平時でもいつでも、そういった当該の関連工場あるいは電力の発電所などがある地域の市町村長それから都道府県知事が、常に科学技術庁あるいは担当の国の機関に専門家の派遣を要求できる、そして要請して、例えばある一定の期間駐在してもらう。そういうことであって、万が一何かあったときも当然のことですという意味で、この「通報を受け、」というところを削除して、平時からできるように少し検討していただけないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○斉藤政務次官 この十条で、都道府県知事または市町村長は専門的知識を有する職員の派遣を要請することができるとなっておりまして、これはこういう非常事態の場合でございます。 平常時におきましては、三十条に「原子力防災専門官を置く。」となっております。この原子力防災専門官は国の専門官でございまして、オフサイトセンター、事業所に対してこの防災専門官が担当するという形で、これは平常時からその地域に常駐をしております。そして、防災上、安全上のアドバイスをするということになっておりますので、山中委員御指摘の点についてはこの防災専門官が担当するということで対応できるかと思っております。
○山中(あ)委員 防災専門官と専門的知識を有する職員とはどういうふうに違うかというのは、これもまた議論していくと非常に詰めていかなければいけないのですけれども、私は、危機対応の管理者とかそういった人だけでなく、可能な限りさまざまな分野の専門官も、例えば今回の場合、健康に関する専門官を派遣してほしい、放射能に関する専門官を派遣してほしいということがあると思いますので、ここのところを再度御検討いただけませんでしょうか。
○斉藤政務次官 今回も、東海村の村上村長から、自分が判断を下したいときにそれぞれの専門家が自分のそばにいてほしかった、こういう御意見がございました。その御意見も一つ取り入れてこういう形にしたわけですけれども、いろいろな分野の専門家がその要請に応じてすぐ派遣できるような体制にしていきたいと思っております。
○山中(あ)委員 ぜひそのようにお願いいたします。平時にいかにコミュニケーションをとっておくか、平時にいかに知識を普及して、そして普通の人たちも、住民の人たちも納得していくか。国がどれだけやってくれているんだろうということは非常に大事な点だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。 それから、続きまして、第十二条の第一項になりますが、いわゆるオフサイトセンターの機能というのがまだ私には十分のみ込めないのです。しかし、一体どんな陣容でどのような情報をどのような時間内に収集し、分析し、判断していくのかということを考えますと、例えばカリフォルニアにありますパシフィックガスアンドエレクトリック・カンパニー、これは発電所ですが、そこの場合ですと危機対応のチームというのが常時二十人ぐらいそこの中にいるわけで、その人たちに加えて、日本でいいますと県と都道府県と市町村の間の郡、それから国、そしてそれぞれの地方の医療センター、消防署、警察署、その人たちが一堂にオフサイトセンターのようなところで情報交換をして、そして非常に早い時間に、例えば屋内退避させるのか、それとも別の場所に避難させるのかということを決めているわけです。 ですから、国に全部決めてもらうということになりますと、国の決める人がその辺の地勢とかそういうことも大変難しいということもありますので、私は、オフサイトセンターをせっかくつくるのですから、ここで何か起こったときは有機的なネットワークで判断して、そして実際の避難活動を含めて住民の人がすぐ動ける、そういうふうな強化をすべきだと思いますので、そういったことについての御見解を伺いたいと思います。
○斉藤政務次官 まさしく、我々が考えておりますオフサイトセンターは、先ほど山中委員おっしゃった趣旨のものでございます。 国、県、市町村、それぞれ事故対策本部を設けております。その三者、そしてもろもろの公共団体、地方公共団体でございますとかいろいろな国の出先機関等の者がオフサイトセンターに集まって、情報を共有し、共同でその事態に対処していこうというものでございますので、委員おっしゃった対応ができると考えております。
○山中(あ)委員 せっかく科学技術庁の開発したSPEEDIというのがございますので、こういうものを活用すればその地域地域のオフサイトセンターですべて判断ができるというふうに、大変多角的な分析のできる機械のようでございますし、六時間までの予測ができる、六時間後までのシミュレーションができるというふうに聞いておりますので、ぜひそういう対応をきちんと枠組みとしてつくっていただきたいと思います。 それでは、時間が余りございませんので、次に移らせていただきます。 アメリカのいわゆるNRCそれからFEMA、連邦の緊急事態管理庁それから米国の原子力規制委員会の両方がつくりました、いわゆる原子力に関するナショナルスタンダードと呼ばれているものを見ますと、その一番最初に、危機対応の計画を立てる際に重要なのは、計画を立てる避難活動のゾーンに関して、事前にきちんとした下準備をしておくことである。緊急事態に対応する、実行する区域、事故発生から何キロ圏というのが、アメリカの場合には何マイルというマイル数でございますけれども、そういったものがあるわけですが、実はそういった同心円のいわゆるゾーニングというのは日本でもされています。しかし、もう一つここで一緒にぜひつくっておかなければいけないものとして、いわゆるPAZと呼ばれているものですけれども、プロテクティブ・アクション・ゾーンというのを、エマージェンシー・プランニング・ゾーンというのが同心円だとしたら、その中にもっと細かいゾーニングをきちっとしておくべきであるということが一番最初に出ているのです。 それで、それに従いまして、先ほどのパシフィック・カンパニー、カリフォルニアの方も、まさに自分たちの原子力発電所の危機管理の第一としてその両方のゾーニングということがうたわれておりまして、その例をちょっとお見せいたします。 こういうふうな形になっておりまして、この円に沿っては日本ももうできているわけですが、その中に細かく一から十五までのゾーニングができております。見えますでしょうか。 このゾーニングというのは、実は、地勢とか人口密度、そしてそこにどのくらいの交通網が発達しているか、それから住居区域がどういうふうになっているか、森林地帯がどういうふうになっているか、そういったことに気象を加えて、どういうふうにしたら避難をさせやすいか。そうしますと、先ほど斉藤政務次官がおっしゃいましたように、風がどちらから吹いているかによって、どのゾーンはどういうふうにするかということが一目瞭然、住んでいる人たちもわかるわけです。 このゾーニングというのを、私は、調べたところ、まだ電力会社にしてもこういう細かいゾーニングというのができていないということを聞いておりますので、すべての燃料工場も貯蔵所も含めて、これからぜひこれをつくっていただきたいと思うのです。それがこの法律を実効あらしめる一つの大きな要素と思いますが、いかがでしょうか。大臣にお伺いしたいと思います。
○中曽根国務大臣 米国やフランス、ドイツなどにおきましては、避難、退避等を迅速に行うため、防災対策を実施する範囲の中で、あらかじめ、今委員のおっしゃいましたゾーニングを行い、内側のある狭い領域に限りまして避難等の措置を準備するなどの対策がとられていることは承知をしております。 我が国におきましては、原子力安全委員会の防災指針におきまして、防災対策を重点的に実施すべき区域の目安として、原子力施設を中心に約八キロから十キロメートルの範囲を示しておりますけれども、実際に地元の地域防災計画を策定する際に、各サイトごとに自然的また社会的状況を勘案して防災対策の実施区域を考えることとしているところでございます。 具体的かつ実践的な地域防災計画の策定に当たりましては、何らかの放射性物質の放出を仮想し、委員御指摘のような基本的な防護対策区域の範囲を想定して、具体的な避難場所や避難経路等をあらかじめ指定するなどの方法も一案と考えております。 なお、地域防災計画の策定に際しまして、個別の災害想定や避難計画等の検討が必要とされた場合には、国が自治体に対して専門的知見の提供や技術的支援を行ってまいりたいと思っております。
○山中(あ)委員 必要とだれが判断するのか私はわかりませんが、今回の事故を考えてみますと、もうこれは必要とされているというふうに判断していいのではないかというふうに思っているわけです。 先ほどSPEEDIのことを申し上げましたけれども、こういったシミュレーションができる能力がSPEEDIにあるのかどうかわかりません。あるのであれば大変いいと思いますし、なければ、これは、アメリカはもちろん核兵器に対応する三千人規模の監督庁も持っているわけですから、そこで非常に綿密な、そういった精度の高い機器を備えておりまして、これはヨーロッパ各地と結構コントラクトで結ばれております。ですから、もし日本の国内で難しければ、アメリカとコントラクトを使ってもいいと思いますが、ぜひ、これから一年かけて、日本の長い国土の上で、風が北から吹いた場合、南から吹いた場合も含めて、今お見せしたようなゾーニングをきちんとどこもつくる。 なぜそれが必要かというのをもう一度申し上げますと、この各ゾーニングの中に測定器をどういうふうに配置するのか。先ほどのモニタリングのスポット、これはその各ゾーンの中に入っているわけですから、そのゾーンは確実に幾つかずつモニタリングができる。そして、例えばシーメンスの場合は、その中の三つが感知したらサイレンが鳴るというふうになっています。そして、そのサイレンも各地域に全部配置されていて、これは十マイルですから、アメリカの場合には住宅地としては十六キロまででございますけれども、その間に幾つかの最初からの輪というものはあるわけですが、そこの中で、避難方法と、解毒剤の配布をどういうふうにするかとか、そういったことがこのゾーニングの単位の中で行われる。そういうこともあるわけですから、それがどれだけ住民にとって安心感を高めるかということと、現実の退避が万が一起こった場合にやりやすいかということがあるわけです。 ですから、これは一年かけてそれぞれの地域でシミュレーションをやりながら、こういう理由づけでこういうふうな形でゾーニングをしました、あなたはこのゾーンですと。 これは、カリフォルニアの電力会社がお金を出して、そしてそのカウンティーがつくったカレンダーですが、このカレンダーに全部載っております。そして、自分が一体どこのゾーンにいるかということが常にこのカレンダーを見ながらわかる。しかも、この中に、実はどういう仕組みで原子力発電が行われているかということも書いてありますし、もっと具体的に言えば、ここのところに、サイレンが三分から五分鳴った場合はAMだとチャンネル八十二に合わせなさいとか、そういった細かい情報が、人間は忘れますけれども、常に手元にある。 こういう状況がございますので、私は、必要があればではなくて、ぜひ日本の持っているSPEEDIも生かしながら、その情報も生かしながら、全体のゾーニングではなくて細やかなゾーニングについて、もう一度長官の御見解を伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 ただいま申し上げましたように、基本的な防護対策区域の範囲を想定して、あらかじめ避難場所や避難経路等を指定するということは大変に意義のあることだと思っております。それぞれの地域において、自治体や関係団体等が、地域に応じた避難方法、避難場所等もまた策定されることと期待をしております。
○山中(あ)委員 期待をするのではなくて、国としてやはりそういう方向である程度バックアップをする、そして科学技術庁の持っているノウハウを提供するということでないと、地方自治体がそれぞれどうするかということになってもなかなか難しいのではないかと思うので、私は、国の姿勢として、長官のそういう後押しをする方向性、そして全体にそういうことの必要性ということをきちんとこの際、アメリカでも、私が聞いたところによりますと、スリーマイルの事故が起こった後でこういったことになってきた、つまり、それまでずっとやっていたわけではないということですから、日本もこの不幸な事故をこの次起こさないために、思い切った、細やかな、きちんとした仕組みをつくっていくという意味で、国として積極的に後押しあるいは先導なさるかどうか、もう一度長官の御意思を伺いたいと思います。
○中曽根国務大臣 委員がアメリカに行かれましていろいろとお調べになられてきて、大変に敬意を表しております。各国の状況等もこれから大いに参考にしながら防災対策を図っていきたいと思っております。
○山中(あ)委員 それ以上申し上げても同じお答えが返ってくるのかもしれませんが、このチャンスを私はぜひ国として生かしていただきたい。しかも、日本の持っているSPEEDIにしても、あるいはアメリカとのネットワークにしても、それを活用しない手はないんじゃないか。そして、それが住民にとって安心感を与えて、自分たちはちょっと危ない、リスクを負ったところに住んでいるけれども、そのかわり避難場所としてこういうところとこういうところが公園として使えるところができてきている、これはほかのところよりももっと予算もつけて、だけれども住み心地はいいんだということで、そこの場所に住むことのメリットとデメリットを両方共有できるということがある意味でイコール、つまり、負荷をかけたところに対して国として手厚くしていくということがイコーリティーではないかというふうに思うものですから、私は、やりますというお答えをいただけなくてとても残念です。ぜひその方向というのをもう一度要請させていただくということで、それができないのであれば、同じことが起こってくる可能性、つまり、すべての組織ができても機能しない、実際のときになると混乱するということが起こらないことを願っております。 あともう一つの点は、これは日本でも、原子力安全委員会の緊急時環境放射線モニタリング指針という中で、航空機により放射性プルームの上空を横断してモニタリングをするということについての記述があるわけですけれども、これは、現在は事故が起こった場合に空中からモニタリングをするという発想であるというふうに理解してよろしいでしょうか。
○中曽根国務大臣 ヘリコプターを用いた空中放射線サーベイシステムにつきましては、原子力発電所等の事故時におきまして、放射性物質の拡散状況を迅速に把握するための有効な手段の一つとして開発を行っているものであります。このサーベイシステムにつきましては、防災訓練等にも活用し、住民の原子力防災体制への理解や安心感の醸成に努めていくこととしたいと思います。
○山中(あ)委員 実は、ヘリコプターの使い方で発想の転換をしていただけないかと思っております。 これもちょっと図をお見せしますけれども、こういうヘリコプターでございまして、これは日本にももう入っております。例えば、電力会社ですと東電、中部電力、東北電力などに入っておりますが、東北電力は何に使っているかというと、高圧電線の保守点検というようなものに使っているわけでございます。 ヘリコプターだけだとそういう役割が果たせるわけですけれども、これにさまざまな装置をつけまして、実は私が聞いたところでは、アメリカは、最初はウラン鉱脈の発見のために放射線探知パッドというものをつけていたそうですが、そこにレーダーですとか放射線探知パッドですとか方向指示器、そういったものをつけまして、データバンも中につけまして、そして、すべての放射線を放出する可能性のある施設、つまり病院も含めてということを言っていましたけれども、そこの上空を年に二回サーベイして、今回の事故とはまた別ですけれども、放射線漏れがないかどうかということを探知して解析していくということをやっているそうです。日本にもヘリコプターそのものは入っておりますけれども、これはヨーロッパのヘリコプターですけれども、アメリカでこういった機材をつけることが開発されたというふうに聞いております。 これは一機約二億七千万円ぐらいのものだそうですが、一千億を超す今回の緊急の予算の中で、国としても、こういうヘリコプターに、今あるとすればそれに装置をつけていくということを含めて、やはり平常時に、常に自分たちが住んでいるところの上を六カ月に一回ヘリコプターがずっと検査をして、何にも放射線漏れがないというのは物すごい安心感なわけですし、もし何かあった場合はその時点で大きな事故の前に処理ができるという利点もありますので、そういったことで、ヘリコプターの使い方の発想を変えて、ぜひそういった平時のモニタリングというものの中に組み込んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○間宮政府参考人 御説明申し上げます。 今大臣の方からお答えいたしましたように、いわゆる事故時であるとかそういうときは非常に威力を発揮するかと思います。 平常時の放射線監視につきましては、原子力施設が立地する道府県が設置しておりますモニタリングポストがございまして、その情報につきまして、住民の方々に対して積極的に公開を進めているところでございまして、今後また、そういうモニタリングポストの充実を図ってまいりたいと思っておりますので、そういう取り組みによりまして、住民の方々に安心感を持っていただき、また、原子力に対する信頼回復に努めてまいりたいと考えております。
○山中(あ)委員 今後というのが、先ほどの小野先生の質問のように六カ月とかたつんじゃなくて、できるだけ早い機会に実現をしていただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。 最後の質問でございますけれども、事故当時の濃縮度の高い高速増殖炉の実験炉について、九九年十一月十五日の電気事業連合会の機関誌の中で、これは一八%の濃縮度であった、原子力発電所で使うのは五%以下であったというようなことで、だから大丈夫と言うかどうかは別として、そういうことがわざわざ述べられております。 私が行きましたシーメンスの燃料工場で、この事故が起きてすぐ、一体自分たちはどうすればいいかということで、わかる範囲でサーベイした結果、その燃料工場では日本と同じような事故は起こらないという結論をつけた。一つには、ウランの濃度を五%以下ということに保っている、それから、もちろん二重の安全性の作動がきちっと行われているからだということを言っているんです。 私は、能力の限界に迫る、経済的な効率を追求した原子力発電所が必要かどうかということを改めて疑問に感じ始めました。ですから、この高速増殖炉というのは、私が申し上げるまでもなく、八〇年代に、海外の各国では、ずっと検討してきたものを、そこまでの効率性を追求しないということで普通の原子力発電のシステムに戻してしまって開発をやめたという経緯があるわけですが、私は、今回の事故を機にして、これはもうこれ以後つくらないというぐらいの気持ちを持った方がいいのではないかと思います。 逆に、それだけの費用をかけるのでしたら、これからのエネルギーの中で、現在クリーンエネルギーと言われております、風力発電も含めて、太陽発電その他、今、マグネットという磁力発電というようなものも検討されておりまして、NASAも日本にいる磁力発電の研究者の方の方にまでいろいろ接触をしてきているという事実も聞いておりますので、これからのエネルギーの方向といたしましては、ひょっとしたら、インターネットのように、高いと思っても、そんなことはあり得ないと思っていても、二十年後ぐらいに個別の住宅でかなり電力発電をする方向にいくという可能性もないとは言えないので、そういった意味で、そのときにエネルギー源のない日本が十年海外からおくれないように、そういった方の研究に国としても、また電力会社としてもかなりシフトしていただきたいと思うのですが、この点について御見解を伺いたいと思います。
○斉藤政務次官 高速増殖炉開発はやめて新エネルギーまた革新的なエネルギーに力を注ぐべきではないかという山中委員の御意見でございます。 新エネルギーまた革新的なエネルギーについて全力を挙げる、これは、私ども科学技術庁としても、そのような思想のもと、今一生懸命頑張っております。太陽光や風力だけでなく革新的な新エネルギー、例えば波力エネルギーでありますとか、宇宙太陽光発電衛星技術等についても研究をしております。また、これからいわゆる分散型の革命的なエネルギー源が出てくるかもしれませんので、その可能性を見捨てることなく、少なくとも二〇一〇年度までには今の新エネルギーの比率一%を三%程度に持っていこう、こういう考え方で進んでおります。その点については、山中委員と我々は全く同じ姿勢でございます。 ただ、高速増殖炉開発につきましては、高速増殖炉懇談会の結論として、一つの日本の将来の選択肢という結論が出されたところでもございますし、もしこれが実現すれば、私は、人類にとってまさに夢のエネルギー源になるわけでございまして、これについての基礎研究を進めていくということについてもぜひ進めていきたいと考えております。
○山中(あ)委員 温かい思考と丁寧な、きめ細やかな施策をして、備えなくて憂いありというようなことは二度と起こらないようにしていただきたいと思います。 これで私の質問を終わります。
○北側委員長 菅原喜重郎君。
○菅原委員 質問の前に、中曽根大臣に緊急に要望いたしたいことがあります。 HIIロケット八号機の打ち上げ失敗は、またもや、二度も続けて膨大な国費をむだにしてしまいましたし、運輸多目的衛星、MTSATを軌道に送り得なかったことによる日常の社会的業務への影響、ロスも莫大なものとなりました。 本来、公の機関、その組織にとって、目的達成ということが本分であり、至上命令であります。その機関、その組織が使命である目的を達成できなかったときは責任をとる、とらせる、これは理屈なしの結果責任なんです。各責任者がこのような緊張感、責任感で事を運んでいると汚職も起きないのですから、この責任感の喪失の方は罪が重いのであります。 こういうことわり、事理から、例えば、昔は公安上の事件が起きるとその省の大臣の首が飛んでいたのに、最近起きている諸問題、公的企業内での事故、事件はどこに責任があるやら、現象面のみで対処です。これでは、国家責任、国家モラルがだめになり、国を滅ぼしますので、続けての今回の失敗には、公金を使っての目的達成という本分違反に当たるくらいの厳しい認識で、これは大臣の力量も問われることなんですが、人と組織の徹底的洗い直しということになるとしても、結果責任を重んじる対処を厳格になしていただきたいことをまず強く要望いたします。 それでは、質問に入ります。 私は、前回の十一月十日の科学技術委員会においても、今回の東海村のジェー・シー・オー核燃料加工施設で起きた事故について、事故原因と今後の対策等について質問いたしました。今回の事故を踏まえて、原子炉等規制法の一部改正と原子力災害対策特別措置法という対応が図られたことに一応敬意を表する次第であります。 しかし、そもそもこのような事故が起こって初めて規制を強化し、原子力災害に関する新たな法律を制定しなければならないということは非常に残念なことであり、事故を起こしたジェー・シー・オーが一義的な責任を持つことは当然でありますが、これまで築き上げてきた日本の原子力に関する信頼性を完全に崩壊させ、国民に原子力に対する不安感を与えてしまった責任は重いものと考えます。これまで長い間築き上げてきた原子力に対する信頼を取り戻すためにも、関係省庁には生まれ変わったつもりで出直していただきたい。 こうした観点から、まず原子力災害対策特別措置法について、基本的な事項について何点かお伺いいたします。 これまで原子力防災については、事故はまず起き得ないことを前提としているような対策が講じられていたように認識しています。しかし、今回の法案を見ますと、例えば十三条第二項において、防災訓練の実施のために原子力緊急事態の想定に関することを主務大臣が定めることとしたり、第十五条において、一定の基準以上の異常の事態においては原子力緊急事態宣言が発せられることとするなど、原子力においても、人間が使う技術である以上間違いが生ずるという考えに転換したものであると思われます。 そこで、このような思想転換も今回の法案にはあるのだと見ておりますが、そして私は、この法の運営に弾力性が出てきたものと同感しているわけでありますが、今回の事故対応の法案への反映に関する大臣の認識、このことを質問いたします。
○中曽根国務大臣 当科学技術庁所管の中で、原子力関連施設の事故に続きまして、宇宙開発事業団のHIIロケットの打ち上げが失敗いたしました。このロケットの打ち上げにつきましては、国民の皆様の期待も大きく、期待に沿えない結果になりまして、また運輸省を初めとする関係の諸機関に対しても大変な御迷惑をかけまして、こういう事態が発生いたしましたことについて大変厳しく受けとめておるところでございます。 今委員の御質問は、今回の法案は、これまでの原子力災害は起き得ないという発想から、原子力もきちんと管理をしないといけない危険なものであるという発想に転換したものか、そういうような御質問であったと思いますけれども、原子力に関しましては、従来より、原子炉等規制法等に基づき厳格な安全管理を行うとともに、万が一の事故に備えた災害対策を講じてきたところでございます。 具体的には、防災基本計画に原子力災害対策編を追加いたしましたほか、原子力安全委員会防災専門部会における検討を踏まえ、防護資機材の整備など所要の取り組みを行ってきたところでございます。 しかしながら、今回の事故により、従来の取り組みでは、迅速な初期動作、国と地方公共団体との有機的連携、原子力災害の特殊性に応じた国の緊急時対応体制、また原因者たる原子力事業者の責務につき、十分には対応できない課題が顕在化したことから、これらの課題に対処するための法制度を整備することにより、原子力災害対策の抜本的強化を図ることとしたものでございます。
○菅原委員 今回の事故で教訓となったことは、原子力災害に対応するためには国が前面に出て判断を行い、地方自治体、関係行政機関、関係団体等を指揮しなければならないということに対して、やっと国家責任体制のはしりができたと私は高く評価しています。 そこで、今までの、法案のベースとなっている災害対策基本法は、災害から住民を守るのは一義的には地方公共団体の責務であるという思想に基づいていたが、今回の法案で国が前面に出るという思想を反映しているとすれば、それは具体的にどのようなことか説明を願いたいと思います。
○斉藤政務次官 今回の法律は、災害対策基本法をベースにして、原子力災害という特殊性を考えて特別措置法という形で上乗せをするという構造になっております。 原子力災害による放射線や放射能については、五感に感じることなく被害を受ける可能性があります。また、適切な対応を行うためには専門的な知見が求められるといった特殊性があることから、国が果たすべき役割と責任は、いわゆる災害対策基本法がカバーする自然災害と比較して大きいものと認識しております。 このようなことから、本法案におきましては、緊急事態応急対策の実施に関し、例えば、一定の異常な事象が生じた場合には内閣総理大臣が原子力緊急事態宣言を発出する、これは第十五条でございますが、とともに、直ちに総理みずからが本部長となる原子力災害対策本部を設置するとなっております。これが十六条です。そして、本部長は、関係行政機関、地方公共団体、原子力事業者等に対し必要な指示を行うとともに、自衛隊の派遣を要請できる、これは第二十条でございますが、このように規定しているところであり、国が前面に立った対応を行うこととしております。この点が違うところでございます。
○菅原委員 国が前面に出るという意味では、今回、原子力災害対策本部長が防衛庁長官に対して部隊の派遣を要請できるという規定は極めて重要であると考えられます。このこともまた、国家が総力を挙げなければならない事態への対応としての、健全な国家的安全保障への認識を国民に喚起していくものと思い、私は高く評価するものであります。 そこで、防衛庁へお伺いしますが、本部長が自衛隊に直接派遣要請ができることとした趣旨をどのように受けとめているか。このことへの決意と、また実際には、原子力災害が起こったときに自衛隊はどのような役割を果たせるのか、果たすのか、現状ではどうなのか。今まで消極面にあった民間防衛という問題への機会も出てくる節目になると思いますので、この点について忌憚のないお考えをお聞きいたしたいと思います。
○西川政務次官 菅原委員のお尋ねにお答えをしたいと思います。 原子力災害というものは、一たん起こりますと非常に広範囲に急速に広がるという性格もございますし、また、これに対処するには専門的な高度な知見を有する者を対応させなければならないということもございます。したがいまして、委員御指摘のとおり、国を挙げて一体化してこの問題に当たるということにしっかりと対応してまいりたい。そのためには、本部長たる内閣総理大臣から防衛庁に可及的速やかに出動を要請されるということは、この法の基本的な部分ではないかというふうに存じます。 また、現状ではどうかというお話でありますが、被害地近傍のいわゆる駐屯地から、早急に班を準備的に現場に出します。しかる後に、本部長からの御下命をいただいて直ちに対応するわけでありますが、忌憚のないところを申し上げますと、中性子線に対する対策が今一番おくれておりまして、このことに対する対応も今次の予算編成に向けて、大体二十五億円くらいでありますが、要求をしていきたい。そして、本会議でもここにおいでの諸先生からも御指摘がありましたとおり、二次災害に隊員をさらすことがないように十二分に配慮をしていきたい、こんなふうに思っております。 そのほか、いろいろ申し上げたいことはありますが、時間の関係でこの程度にさせていただきたいと思います。
○菅原委員 どうもありがとうございました。 次に、今回の事故で、例えば東海村の特産品の乾燥芋の販売が大きな打撃を受けるなど、一度原子力災害が起きますと、地元は長い間にわたって風評被害を受けることになります。 そこで、今回の事故は茨城県の農林水産業にどのような影響を与えたか、また、このような影響に対してどのような対策を講じたか、前回に続いて農林水産省の方にお伺いいたします。
○金田政務次官 ただいまの委員の御質問に対しまして、まず影響でございますが、茨城県産の農林畜水産物につきましては、主要卸売市場等におきます入荷量そして取引価格が、事故後二、三日の間は一部の品目、例えばレンコン、カンショといったものを中心に入荷量の減少、価格の低落が見られましたものの、十月五日以降は事故の前の水準に戻っておりまして、ほぼ平常どおりの取り扱いが行われております。 また、一部の加工食品、例えば干し芋、納豆、豆腐、しらす干しといった加工食品でございますが、こういったものにつきましては荷動きの悪いものも見られましたが、現在はほぼ改善している状況にございます。 そこで、委員ただいま御指摘の、農林水産省として、今回の事故に関しましてどのような対策を講じたのか。 風評被害といったもの、これを防止しなければいけないという考え方は同じでございますが、今回の事故に関しまして、我が農林水産省といたしましては、九月三十日に事務次官を本部長といたします対策本部を設置しますとともに、茨城県、厚生省と連携いたしまして、農林畜水産物の被曝に関するサンプリング調査と分析を実施しております。そして、十月二日に政府として安全宣言を行ったところでございます。 また、国民や流通業界などの関係者に、茨城県産の農林畜水産物につきましては安全性に何ら問題がないということについて十分理解を得て、風評被害の発生を防止する。このために、風評被害防止のための広報、そしてまた関係業界への指導を行ってきております。さらに、農家等への影響の実態の把握、そしてまた、被害を受けた農家等に対します資金の融通の円滑化等、いろいろな指導を、関係金融機関への指導も含めて行ってきているところでございます。
○菅原委員 どうもありがとうございました。 次に、科学技術庁の方にお伺いしますが、このことに関連するのですが、このような農林水産業あるいは風評被害等に対する影響に対応するため、今回の法案ではどのような措置が講じられているかいないか、この点をお聞きいたします。
○斉藤政務次官 講じられております。 第二十七条第三号に、原子力災害事後対策といたしまして「放射性物質による汚染の有無又はその状況が明らかになっていないことに起因する商品の販売等の不振を防止するための、緊急事態応急対策実施区域等における放射性物質の発散の状況に関する広報」と、非常にわかりにくい文章になっておりますけれども、汚染の有無、つまり災害との因果関係が明らかになったものについては原子力賠償法の世界で対処されますけれども、この因果関係が明らかになっていないものに対しても国が事後対策として措置をすることになっております。ここにございますように、農林畜水産物等商品の販売不振を防止するための広報を行うと規定をしております。 また、本法案によって適用される災害対策基本法第九十六条によりまして、この広報等事後対策に要する費用の一部または全部は予算の範囲内において国が補助できることとなっております。現実に、今回のこの茨城県のケースにおきましても、いろいろなメディアを使って広報したところでございます。
○菅原委員 前回の質疑でも指摘しましたが、今回の事故は、単に原子力産業のみならず、日本の産業界全体に対する信頼性を揺るがせ、日本の産業の将来に対して警鐘を鳴らす事故であると認識しています。 このような事故を契機として、まず原子力産業が率先して日本の産業の品質管理や技術者の職業倫理の再生に向けた万全の取り組みを示すことをお願いして、質疑を終わります。 どうもありがとうございました。
○北側委員長 辻元清美君。
○辻元委員 社会民主党、社民党の辻元清美です。 私は日ごろは元気なんですけれども、このところ元気がなくて、なぜかといえば事故続きということで、この委員会に配属されてから、きのうの本会議上でも、失礼ながら、科学技術委員会は事故処理委員会になってしまったのではないかという発言をさせていただきました。 この三年間、ほとんどの時間を事故の処理についての審議に費やしているというこの現状で、おとといもまたHIIロケットの事故があったということで、きょうは元気なく質疑をさせていただきたいと思います。もうええかげんにせいよというのが一般の国民の率直な感想ではないかと思うんです。 さて、その中で、今回のこの原子力災害対策特別措置法案などについて何点か確認をさせていただきたいのですが、まず最初に基本的な点で、先ほどからの質疑の中にも各委員が指摘した点でありますけれども、現行の災害対策基本法と一体どこが違うのかという点については、先ほどから御答弁もありましたが、その点も含めまして、何が不十分だったのか、現行の災害対策基本法では何が不十分だったから今回特別立法するのかという点について、まず長官にお聞きしたいと思います。 〔委員長退席、西委員長代理着席〕
○中曽根国務大臣 政府といたしましては、原子力災害について、これまでも災害対策基本法の枠組みの中で、防災計画の作成、防災資機材の整備など所要の取り組みを行ってまいりました。しかしながら、今回のジェー・シー・オーの臨界事故への対応に当たりましては、迅速な初期動作、また原子力事業者の防災対策上の責務の明確化などの課題が顕在化したところでございます。 このような認識のもと、本法案は、原子力災害の特殊性を踏まえまして、災害対策基本法をベースとした特別措置法として制定するものでありまして、本法案第二十八条により災害対策基本法のかなりの規定を読みかえ適用することに加え、原子力事業者の義務、原子力緊急事態宣言、原子力災害対策本部等について原子力災害特有の措置を規定することにより、原子力災害対策の抜本的強化を図ることとしたものでございます。
○辻元委員 今、初期の対応などおっしゃったのですが、非常に長く答弁していただいたのですけれども、政務次官にお聞きしたいのですけれども、政務次官が、今回の対応で一番ここがまずかったとか、ここが一番反省点で問題点だったと率直にお考えのところを一点示していただけますか。
○斉藤政務次官 事故の状況把握が非常におくれたという点でございます。
○辻元委員 その状況判断のおくれは何に原因したのだろう、これは非常に大事な点だと思います、この法案を審議するに当たりましても。その対応をどうしていくかという法案を私たちはこれからつくるかつくらないか決めていくわけですから。どういう点だったと思われますか。
○斉藤政務次官 これは私の個人的な感想ですけれども、これは前回の委員会でも辻元委員にお答えいたしましたけれども、技術者の知見が私も含めて非常に低かった。臨界ということについては、臨界の可能性は最初から言われていたわけですけれども、ああいう溶液の臨界の場合に、即発臨界で、臨界そのものはすべてストップしているんだろう、だから事態はもう進んでいないという思い込み、これが一番大きな原因ではないかと個人的には思っております。
○辻元委員 この対応というところで二つに大きく分かれるかと思うのですが、その状況がどういう状況にあるかということを専門的に分析して、そしてその対応策を練るというのが一つのグループとして必要だと思います。 今、政務次官はきっとその部分を、やはり分析したり臨界ということに対しての即時の対応がなかなかできなかったという点だと思うのですが、この点を強化するのと、もう一つあると私は思うのです。住民の皆さんに対してどうアクセスしていくか。これも、判断をするのと同時に、もう一分一秒を争う問題になってくるかと思うのですが、その住民の皆さんに対する対応として、特に原子力関係の事故の場合の基本はどういうこととお考えでしょうか。いかがでしょう。原子力関係の事故の場合、起こったといったら、住民の皆さんにまず何をさせなければいけないとお考えでしょうか。
○斉藤政務次官 まず、何が起こっているかを認識し、その結果によって、もし住民の皆さんに被害が及ぶような事態が想定されれば早急に避難等必要な措置をとるということが一番大事だと思います。
○辻元委員 避難という言葉が出て、私もそのとおりだと思うのです。この原子力関係の事故の場合は、基本はどんどん遠くへ逃げるということですよね。結局はそれに尽きると思うのです。じゃないと、一つ判断を間違えて、この範囲は屋内退避と言われても、それを超える災害が出る場合もあるということで、まずいかに住民に的確に情報を伝え、かつ住民の皆さんを避難させるプロセスをしっかりつくっておくかということだと思うのです。 そのときに、前からこだわっているのですが、住民の方だけではないと思うのですね。そのときたまたまそこに行っているとか、そのときたまたま旅行者がいたり、そのときたまたま仕事でちょっと一、二時間その現場の近くにいたという方。そういう方々に対しては、住民の皆さんのおうちに通報するいろいろなシステムをつくったとしても、人間は動きますから、さまざまな人たちがいる、その中でどういう体制をとるかということは、私はとても大事だと思うのです。今は住民中心ですので、その部分についても考えていただきたいのです。これはちょっと後で取り上げさせていただきたいのですが。 さて、先ほどの大臣の御答弁の中に、原子力災害の特殊性にかんがみという言葉がございました。特殊性があるので、今回、災害対策基本法ではなく、もう一つ特別法をつくろうと。この特殊性というのはどういう意味と理解したらいいんでしょうか。政務次官に。
○斉藤政務次官 一つは、放射線及び放射能、いずれも目に見えないという特殊性があろうかと思います。それから、事故時の措置を判断するのに高度な専門的知識を要するということがあろうかと思います。
○辻元委員 一点目の目に見えないということにまず最初触れさせていただきたいんです。 そうすると、目に見えないので、自分が被曝したかどうかとか、自分は逃げていいのかどうか、これは判断できませんですよね。専門家の人でもデータを見て判断できるのであって、その場所にいただけでは判断できません。そうすると、目に見えないものをはかる基準といいますか、例えば、私たち通常の生活者の被曝許容量と言われている年間一ミリシーベルト、そういう数値が非常に大事になってくると私は思うんです。例えば、あなたは逃げなさい、ここは何ミリシーベルトという被曝の可能性があるし、だから危険ですよとか、だから安全ですよという、この基準というのは非常に大事になってくるんです。 さてそこで、私は、非常に素朴な疑問なんですが、私たちの被曝量は生活者レベルで年間一ミリシーベルトと言われ、そして、事故対応のときは、この間も、決死隊と言われる人たちに対しては最初二十ミリだったですけれども、五十ミリシーベルトに第二部隊から上げたと思います、一分間でアラームが鳴ってしまったということで。そうすると、普通一ミリシーベルトでも許容量と言われているのに、五十ミリというと五十年分ですね。そして、例えば処理する人は一挙に被曝するわけですね、一分とか二分の間に。私たちから考えると、一ミリと言われているのに、二十ミリとか五十ミリとか、いや、線量計によっては百ミリシーベルトを超えている人もこの間いました、ホールボディーカウンターでは四十四か何かだったと思いますが。そうすると、一体この基準というのは何を根拠に決めているのか、この点はいかがなんでしょうか。
○斉藤政務次官 まず、一ミリシーベルトは何を根拠に決めているかという御質問でございますが、これは、国際放射線防護委員会、ICRPでございますけれども、一九八五年のパリ声明で、公衆の線量限度を一ミリシーベルト・パー・年とするというふうに勧告がされておりまして、そこからとってきております。 この一ミリシーベルトを導き出したICRPとしての根拠に二つあると聞いております。一つは、ラドンを除く自然放射線源からの年の実効線量、我々が自然界から受ける放射線量、これが一ミリシーベルトであるということ。それからもう一つは、いわゆる確率的な放射線影響、つまり、放射線を浴びることによって将来がんになるとか、そのがんになる確率は放射線を浴びた量、低線量ですけれども、浴びた量に比例する、こういう確率論的な推定値として、がんになる確率が十のマイナス五乗。これは、当然実証論的には出てこないわけですけれども、もっと高い値からずっと外挿しまして導き出した数字ですけれども、このがんの発生率十のマイナス五乗というもの、これが他のいろいろな社会的な活動からくるがんの発生率と比較して受容できる値ということで、この一ミリシーベルトという値。この二つの根拠からICRPはこの数字を勧告したと聞いております。
○辻元委員 そうしますと、一たび事故が起こったときに、避難、今回は三百五十メートル圏内ということでしたが、この枠を決めるときに、根拠として、どれだけの放射線が出ているかということが一つの根拠になるわけですが、その根拠の数字は幾つなんでしょうか、幾らなんでしょうか。何ミリシーベルト以上出る可能性があるところ、浴びる可能性があるところは避難であったりもしくは屋内退避であったり、この基準は具体的に幾つかということ。 もう一つは、今回決死隊と言われる人が事故処理に入りました。あれも私、もう一回り大きい事故だったらだれも入れなかったと思うんですね。そして、放置するしかなかったというようなことであるかと思うんですが、そのように作業員を入れるというのは、一体具体的には何ミリシーベルトまでの可能性というか、判断の基準の数字は政府の中で統一されているんであれば教えていただきたいと思います。
○斉藤政務次官 まず、今回、臨界が続いていると判断した時点で溶解槽の周りにある一定の放射線量分布があるということがわかっておりました。したがいまして、当然、余計な被曝を避けるためにその周辺から全員が避難するという措置はとられました。 そして、いわゆる臨界をとめるための作業員の計画被曝という考え方がございまして、この計画被曝につきましては、ある意味で、二十ミリでありますとか五十ミリという形で設定をして、事故の拡大を防ぐためにその仕事をするということが認められております。その計画被曝の考え方で今回作業員がその仕事に従事したということでございます。 なお、屋内退避及び避難に関する指標といたしましては、住民の方が屋内へ退避するという基準としては十から五十ミリシーベルトの被曝が予想される場合、また、コンクリート建屋の屋内に退避するかもしくは避難する場合は五十ミリシーベルト以上の被曝が予想される場合というふうに指針で決められております。
○辻元委員 そうしますと、きのう私は、一般の事故の場合も含めまして、避難など、要するに物すごく住民に迷惑をかけるわけですが、その基準以上の放射線を放出した事故を起こした場合の刑罰等について質問をしました。ここをはっきりしておかないと、幾ら出しても罰則規定がきっちりしていないと罰せられないというようでは困るわけです。そのときの御答弁の中に、これは原子炉等規制法の七十六条の二だと思うんですが、「特定核燃料物質をみだりに取り扱うことにより、」云々かんぬんで「その放射線を発散させて、人の生命、身体又は財産に危険を生じさせた」場合の罰則は決まっていますが、これが適用されるということをたしかきのう大臣が答弁されたと思うんですね。 さてそこで、今回のケースは、今いろいろな調査をしておりますけれども、率直なところ私はこれに当たると思うんですね。「みだりに取り扱うこと」に当たると思うんですが、いかがでしょうか。
○斉藤政務次官 第七十六条の二に「みだりに」という文章がございまして、今回の場合は故意にということではありませんので、この七十六条の二は適用されないということでございます。
○辻元委員 ひしゃくとバケツで作業をしていて、そしてあれだけの多くの人たちに迷惑をかけて、そして許容限度を超える放射線を出して。そうすると、この罰則の七十六条の二以外にどういう措置がとられるわけですか。というのは、あれだけ大きなことをして、現行法では罰則がないという理解なんですか。
○斉藤政務次官 過失による場合でございますけれども、過失により人に健康被害を与えるに足る一定線量以上の放射線を放出させ人を死傷させた場合においては、刑法の業務上過失致死傷罪が成立することとなります。
○辻元委員 それもきのう御答弁をいただいたとおりなんですが、先ほどの原子力災害の特殊性にかんがみというところで、刑法の場合は、例えばトラックが居眠り運転をして隣のたばこ屋へ突っ込んで死傷させたとか、極端に申し上げればその手のもので、私は、原子力はちょっと違うように思うのですね。特殊性が非常にあるように思います。そうすると、一方に今までの現行法。ところが、この刑法の現行法では、原子力発電所や原子力災害を想定せずにこれは規定されているのではないかと私は思うのです。 そこで、私は今びっくりしました。今回のような大事故が起こっても、炉規法の七十六条の二、この罰則が適用されないというような状況で一体、それこそ住民の皆さんだけじゃなくて、国民が納得するんだろうかと私は思うのですが、もう一度その点。今度の特措法にも罰則規定がありません。現状のままでいい、これで納得するとお考えなんでしょうか。
○斉藤政務次官 現状の法体系におきましては、先ほど申し上げましたとおり、過失によりでございますので、人に健康被害を与えるに足る一定線量以上の放射線を放出させ人を死傷させた場合でない限り、適用はないということでございます。
○辻元委員 そうしますと、もう一点お伺いしたいのですが、最近では、安全神話という言葉から安全文化という、報告を見ましたら変わった言葉がまたあらわれているわけですが、住民の皆さんの理解を得たいというようにおっしゃるためにはいろいろな裏づけが必要だと思うのであります。 その際、普通考えますのは、例えば、安全審査はだれがしたんだ、かつて安全審査をした人の責任はどうなるんだ、それは具体的な形で問われるのかどうか。これは地元の住民の皆さんだけではなくて、普通の国民感情であると思います。 私も、安全審査をした人までもさかのぼってある程度の、処罰と言ったらきついかもしれませんけれども、責任を問う体制であったり姿勢をつくっていかないと、これだけの事故を起こして納得されないと思うのですが、その点はいかがですか。今回のケースは、当時安全審査をした人たちに対しては、科学技術庁は、話し合いを持とうとか、事情を聞こうとか、責任をどうするという話は省内で何か出ているのでしょうか。
○斉藤政務次官 安全審査は安全審査指針に基づいて行われます。今回は安全審査指針そのものを、実際に事故が起きたわけですから、見直していこうということで炉規法の改正等を行っているわけでございますけれども、基本的に安全審査は法にのっとって行われた、このように理解しております。
○辻元委員 先ほどの原子力災害の特殊性にかんがみて特別立法をという御趣旨、何回も繰り返させていただいているのですが、私は、この原子力関係については、責任の所在、事業者に責任を集中するといつもそういうふうにおっしゃるわけですが、そうすると、それの監督官庁の科学技術庁の責任の所在とその責任のとり方というところが不明確で、ここのところについても、今回これだけの事故が起こっていますので、大きな事故ですので、またあさってありますから、別の質問もありますので、これはあさってまた深めさせていただきたいと思うのです。きょうはここまでにして、さらにきょうの御答弁をよく分析して、あさってまた質問を深めさせていただきたいと思います。 さて、次に幾つか具体的な点をお伺いしたいのですけれども、事故が起こってからの対応と事故が起こる前の対応、この起こる前の日々の対応が非常に大事だということで、オフサイトセンターの活動などさまざまなことが規定されていますが、ちょっと現状を教えていただきたいと思います。 これは科学技術庁の方と通産省からお越しいただいている方にお伺いしたいのですが、今まで、運転管理専門官の方、これは「もんじゅ」の事故の後配置されましたが、この人数と、それからどのような人たちがどのような場所に配置されていたのか、まず科技庁からお答えいただけますでしょうか。
○間宮政府参考人 御説明いたします。 主要な原子力施設につきまして運転管理専門官あるいは施設管理専門官を配置することといたしておりまして、現在、青森県に四名、茨城県に一名、福井県に二名、合計七名を配置しております。(辻元委員「どういう人ですか」と呼ぶ)いわゆる原子力の行政または地域においてある経験を有している者ということでございます。
○河野政府参考人 お答え申し上げます。 通産省の運転管理専門官制度でございますけれども、これは昭和五十五年に発足した制度でございます。私どもの職員を原子力発電所の現地に派遣いたしまして、運転管理の監督をさせていただくということでございます。 配置場所でございますけれども、現在全国に、サイトというふうに呼んでおりますが、十七カ所、発電所の数は五十基以上あるわけでございますけれども、箇所としては十七カ所の原子力発電所すべてに対応するように十三の事務所を設けておりまして、合計で、併任者もありますけれども、四十六名の運転管理専門官を配置しております。 具体的な配置箇所でございますが、泊事務所二名、女川事務所二名、福島事務所六名、柏崎刈羽事務所七名、東海事務所三名、浜岡事務所四名、志賀事務所二名、敦賀・美浜事務所五名、大飯・高浜事務所五名、島根事務所二名、伊方事務所三名、玄海事務所三名、川内事務所二名という配置状況でございます。 運転管理専門官の経歴でございますが、一般に、原子力あるいは電力保安にかかわる行政経験、規制経験のある者ということで選任いたしております。
○辻元委員 ここに原子力安全委員会の第五回目、十一月五日の会合の速記録があるのです。この中で岡本委員が、この運転管理専門官について、私が話を聞いたところでは専門官も電力業界からの出向の方とかいろいろな方が回っておられると。 今の御答弁でしたら、出向の方はいらっしゃらないわけですね。
○河野政府参考人 出向者はおりません。
○辻元委員 確認させていただきました。もしもいたら、電力会社の体制をチェックするのに出向してきている人がというのは、これはちょっと理に合わないのではないかと思いましたので、あえて確認させていただきました。 さて、次に原子力防災専門官の方、これはどういう立場の人がつくということなんでしょうか。
○斉藤政務次官 原子力防災専門官は、原子力事業所の所在する地域に駐在し、平常時においては、原子力事業者に対して、防災業務計画の作成、それから防災組織の設置等の予防対策に関する指導助言を行うほか、緊急時においては、事業者からの通報があった場合に、直ちに現場においてその状況の把握のために必要な情報の収集に当たることとしております。 これまでの運転管理専門官は、原子炉施設の巡視、定期自主検査等の立ち会い、保安規定の遵守状況の調査、通常時及び異常時の運転状況等の連絡等に従事する、こういうことで、この二者は違うというふうに理解しております。
○辻元委員 これは、兼ねる人もいるわけですか。
○斉藤政務次官 原子力防災専門官は、防災に関する業務を的確に実施するために、施設の安全管理等についても熟知していることが肝要であり、防災業務とあわせて安全確保に関する業務を行うこともあるものと考える、つまり、最もその施設について熟知している人が防災専門官になるのが一番ふさわしいということで、兼務もあり得ると考えております。
○辻元委員 そうしますと、万が一事故がまた再発したような場合のこれらの立場の人の責任というのはどうなるのか。 先ほどから、私、責任にこだわっているんですが、結局は人だと思うんです。今までの運転管理専門官も、以前も委員会で申し上げましたが、東海村の村長さんとは年に一回ぐらいあいさつを交わす程度だというように村長さんがおっしゃっていた。結局、事故というのは、システムもつくりますけれども、そこでいかに責任感を持って人間が日々対処しているかということだと思うので、私はここにちょっとこだわらせていただいたんです。 さて、事故などが再発した場合、もちろん原子力防災専門官などには責任がある、責任の所在の一つになるわけですね。どうなんでしょうか。
○斉藤政務次官 その責任というのは、事故が起きたときのいろいろな判断、その判断に対する責任という意味でしょうか。
○辻元委員 そうです。
○斉藤政務次官 緊急事態が発せられまして、オフサイトセンターに合同協議会、つまり国、県、市町村のそれぞれの事故対策本部の代表者が集まって協議をする、こういう事態におきましてはそれぞれ責任者が定まります。その緊急事態が発せられる前におきましては、この防災専門官は、現場におきまして、それぞれ市町村や県の責任者のアドバイザーとして働くことになるかと思います。 そういう意味では、アドバイザーとしての責任、これは当然あるかと思いますけれども、一義的には、既にできております県、市町村の事故対策本部長、これが第一義的な責任者になるのではないでしょうか。
○辻元委員 きょうのところ、最後に申し上げたい点は、運転管理専門官の方も回っていらっしゃったのに何をしていたんだと言われかねない状況が起こったわけですね。アドバイザーだ、アドバイザーだといったって、いっぱいアドバイザーはいるんですよ。そうしたら、責任者はだれなんだと。一たび事故が起こったら自分は責任をかぶらなきゃいけないと思う人が、事業所だけなのか。それでいいのか。科学技術庁から直接配置している人たち個々人です。今回、事故を起こしたときの、この間、運転管理専門官として回っていらっしゃった人に私はここに来てほしいぐらいです。 その責任の所在を事業所以外どういうふうな体制をつくるのか、だれが責任をとりますというふうなことをつくるのかということを、幾ら法律を整備しても、そこを明確にしない限り事故対応というのは、人が動かしますので、私はなかなか責任を持った対応ができないのじゃないかと思います。 また、ロケットの話も集中審議などがあると思いますけれども、この際も責任の所在がどこなのかというのがあいまいにされては困りますので、またあさって、きょうの御答弁をさらに深めていきたいということで、きょうは幾つかの点、特に責任の点について確認をさせていただきました。 ちょっと運輸省の方、来ていただきまして、時間が切れてしまいまして申しわけありませんでした。 それでは、これで質問を終わります。
○西委員長代理 次回は、来る十九日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五分散会