労働・社会政策委員会 第14号
- 発言数
- 43 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1999/06/29
会議録
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 本日、大脇雅子君が委員を辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。 ─────────────
○委員長(吉岡吉典君) 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(第百四十三回国会閣法第一〇号)、職業安定法等の一部を改正する法律案(閣法第九〇号)(いずれも内閣提出、衆議院送付)並びに労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(参第一八号)及び職業安定法等の一部を改正する法律案(参第一九号)(いずれも吉川春子君外一名発議)を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○今泉昭君 おはようございます。民主党・新緑風会の今泉でございます。 きょうは、これまでの論議を踏まえまして、最終的なこれまでの論議の確認を行う意味で、大臣に対して七項目にわたりまして確認の答弁をいただきたいというふうに思っております。 まず第一点でございますが、衆議院の修正により加えられました派遣先によるところの派遣労働者を特定することを目的とする行為の制限の規定の実効を確保するために、派遣先による事前面接とかあるいは履歴書提出の要請の禁止など、その内容の明確化を図るべきではないかというふうに私どもは考えております。特に、合理的な理由のない性別、年齢等の定めを労働者派遣契約に置くことのないようにすべきではないかと考えておりますが、この点についての大臣の確認の答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 派遣労働者を特定することを目的とする行為につきましては、指針において具体化をいたしまして、必要な指導に努めることといたしたいというふうに考えております。
○今泉昭君 第二点でございますが、医者とかあるいは看護婦の業務については、国民の生命に直接関係する業務であるというふうに考えております。また、タクシーであるとかバスの運転手の業務については、旅客の安全が任されている業務であろうと考えます。それぞれ適用除外業務とすべきではないかというふうに考えるわけであります。また、特に林業関係の業務についても適用除外とすべきものがあるのではないだろうかというふうに考えますが、この点についての大臣の確認答弁をいただきます。
○国務大臣(甘利明君) 御指摘の点でありますが、医師であるとかあるいは看護婦の業務は人命に直接関係するものでありまして、医師等の医療従事者が緊密な連携のもとにその業務を適切に遂行するということが求められるというふうに考えております。したがいまして、これらの業務の取り扱いにつきましては、このような業務の特性を十分に踏まえつつ検討を行いまして、中央職業安定審議会の意見を聞きまして適切に対処したいというふうに考えております。 それから、タクシー、バスの運転手の業務の取り扱いにつきましては、旅客の安全、利便等を含め、運輸省と連携しつつ検討を行いまして、中央職業安定審議会の意見を聞きまして適切に対処したいというふうに考えております。 それから、林業関係の業務のうち建設業務に該当するものとして適用除外となるもの以外の業務の取り扱いにつきましては、林野庁と連携いたしまして検討を行いまして、中央職業安定審議会の意見を聞いて適切に対処したいというふうに考えております。
○今泉昭君 中央職業安定審議会の結論を早く出していただきたいというような考え方でございますが、大体いつごろをめどに考えておけばいいでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) できるだけ迅速に対処したいと思いますが、年内をめどにしたいと思っております。
○今泉昭君 第三番目の問題でございますが、労働者派遣法の法違反の取り締まりに関してでございます。 派遣労働者の苦情であるとか、いろいろな問題につきましては職業安定所が窓口となっていろいろな対応を考えていかれるという答弁をこれまでいただいておりますが、派遣労働者の保護など派遣法の実効性を確保するためには、司法警察官と言われているところの労働基準監督官が本法の執行を担当すべきではないかと考えておりますが、この点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 御指摘の点でありますけれども、都道府県労働局におきまして職業安定行政と労働基準行政とが統合されるということを念頭に置きまして、使用者責任の遵守の観点から両行政の連携のあり方も含め、今後検討していくこととしたいと考えております。
○今泉昭君 四番目の確認でございますが、派遣事業者の売上高の規模を見てみますと、とにかく小さな事業所が多いわけでございまして、年間五千万円以下の事業所が約六五%を占めているという実態が明らかになっております。このような中小企業そのものが十分な派遣労働者の管理であるとか教育であるとか、法の遵守ができるものかということが一番心配でございますが、この点についての見解を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 現行制度におきましても一般労働者派遣事業の許可に当たりまして、許可要件として派遣元事業主の教育訓練に関する能力であるとか実施体制等の厳正な審査を行いますとともに、教育訓練の実績を事業報告において記載させまして、その実施状況を把握しているところであります。 また、派遣先につきましては、今回の改正法案におきまして派遣労働者の適正な就業環境の維持等の必要な措置を講ずるように努めなければならないということを明記したところであります。 さらに、衆議院の修正によりまして、派遣元の許可要件といたしまして個人情報の適正管理に係る要件が追加されたところであります。 これらに加えまして、派遣労働者の苦情の処理等を行わせるため選任が義務づけられています派遣元責任者について、その雇用管理の能力を高めまして適正な派遣就業が確保されるよう定期的に派遣元責任者研修というのを行っているところであります。 さらに、衆議院の修正によりまして派遣元責任者の業務として追加をされました派遣労働者等の個人情報の管理につきまして、派遣元責任者研修の内容に盛り込むことといたしているところであります。 これらの措置によりまして、中小規模の派遣元事業所におきましても十分な雇用管理が行われるものと考えているところでございます。
○今泉昭君 第五問でありますが、ネガティブリスト化を臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策と位置づけておられるわけでございますが、拡大される業務というものは臨時的、一時的派遣に限定すべきというふうに法文にむしろ明記すべきじゃないかというふうな意見を我々としては持っているわけであります。こういう明記がない中で常用雇用の代替が十分に防止できるのかどうか、こういうことについての見解を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 今回の改正法案におきましては、派遣期間一年の制限という客観的かつ明確な基準によりまして臨時的、一時的な労働者派遣を確定するものでありまして、さらに一年の制限期間の遵守を徹底するために、もう既にお話をさせていただいていますとおり、まず一点としてこれに違反した派遣元には改善命令を出しまして、なお改善されない場合には罰則を適用する。二といたしまして、一年を超えて派遣を受け入れた派遣先は勧告、公表の対象とすること。そして三点といたしまして、一年間派遣を受け入れた派遣先には派遣労働者の雇用の努力義務を設けること等の措置を講じておりまして、さらに、衆議院の修正によりまして、一年を超えて派遣を受け入れた派遣先には雇い入れ勧告を行うこととされ、派遣元には直接罰則が適用されるということとなったことから、常用雇用の代替は十分防止できるのではないかと考えております。
○今泉昭君 次に、六番目の確認でございますが、一年を超える継続派遣の違反に対しまして、大臣の勧告、そしてまた企業名の公表だけでは派遣労働者の雇用の救済、保障はないのではないかという危険性がございますが、この点についてはいかがでございますか。
○国務大臣(甘利明君) ただいまの点でありますが、衆議院の修正におきまして、一年を超えて派遣労働を受け入れた派遣先への雇い入れ勧告、公表の制度を設けることとされたわけでありますが、今回の改正により設けられる公共職業安定所における苦情処理や違法事案の申告制度の適切な運用とともに、定期監督や臨検監督を的確に実施することによりまして、この勧告制度を適切に運用し、常用雇用の代替防止、派遣先での直接雇用の促進に十分効果を上げてまいりたいと考えております。
○今泉昭君 最後の確認になりますが、有料の職業紹介事業につきましては中立公正な事業運営が求められまして、これが確保されないおそれのある事業者やリストラ支援を主なる目的とする事業者は参入をむしろ排除する必要があるのではないかと思います。したがって、採用側、求人側である経営者で構成されている団体に対し事業の許可を行うことは適当ではないのではないだろうかというふうに考えるんですが、労働大臣の見解を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 有料職業紹介事業の許可をめぐりまして、御指摘のような中立公平性の担保に欠ける可能性のある事業者の是非について慎重な意見があるということはよく承知をいたしております。 いずれにいたしましても、法案成立後に中央職業安定審議会における許可要件の具体的な検討であるとか、あるいは許可案件の個別の審査等の結果を踏まえまして、適正に対処してまいりたいと考えております。
○今泉昭君 以上で確認の質問は終わります。 ありがとうございました。
○市田忠義君 日本共産党の市田です。 私は、この間の法案の審議を通じて、常用代替を本当に厳格に禁止するというのなら、少なくとも人員削減を行った企業については一定の期間派遣労働者の受け入れ制限を行うべきだと。日本共産党の対案では、リストラで人減らしをやった企業については、少なくとも一年間は派遣の受け入れ制限を行うべきだと、こういうことを主張しました。それに対する本会議での小渕総理の答弁は、「リストラで人を減らした企業への派遣に対するお尋ねでありました。 このような企業への派遣を一律に禁止すればその企業への派遣を希望する労働者のニーズに的確に対応できなくなり、不適当であると考えます。」、こういう答弁で、あたかも派遣労働者が派遣先を自由に選べる権利があり、それを阻害するから認めがたい、こういうものでした。 この点について、労働大臣に対して同じお考えかということを尋ねたところ、大臣は総理答弁の内容に加えて全く新しい見解を出された。これは重大な変更に当たるということで、私は質問を留保しましたが、改めて労働大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(甘利明君) この件に関しましては、若干言葉足らずで御迷惑をおかけしたことは遺憾に存じております。 改めて私の考えを答弁させていただきます。 人減らしをした企業への派遣を禁止することは適当ではなく、その最も大きな理由としては労働者のニーズに的確に対応できなくなるということでありますけれども、これに次ぐ大きな理由を挙げるとすれば、企業経営の観点をあわせて考えても同様に適切ではないというふうに考えておりまして、このような意味で私の答弁は過日における総理答弁と同じ趣旨であるというふうに思っております。
○市田忠義君 私は、今大臣が挙げられた二つの理由とも全く納得できない。 一つ目の、人減らしをした企業への派遣を禁止することは適当でないその最も大きな理由としては、労働者のニーズに的確に対応できないと。しかし、労働者のニーズが仮にあったとしても一定の政策的な判断に基づいて法律で禁止している例は幾つもあります。例えば、建設業や港湾運送業、警備業、これは、たとえ労働者が望んだとしても法律で一律に禁止している。あるいは今度の改正案でその他法令で定める業務というのも加えられる。また、公序良俗に反する派遣などについても派遣元はそれに応じてはならない。さらに、同一就業場所、同一業務についても一年以上の派遣については、どんなに派遣労働者の希望があってもこたえてはならないことは政府案でも認めているということであれば、たとえ労働者が人減らしをやった企業を望んだとしても、それは常用代替になるんだから禁止をするという政策的判断をして、そういう法律の条項を加えれば幾らでも禁止することは可能じゃないか、現に禁止している例はあるじゃないか。 その点について、大臣、いかがですか。
○国務大臣(甘利明君) 新しい法律を出す、あるいは法律改正をするときには、その法律が期待していることと、あるいは逆に期待していない懸念も当然議論をされることだと思っております。そしてその中では、できるだけマイナス部分を排除してプラス部分が生き残るようにどう手を加えていくかということもあろうと思います。それは提出前にいろいろ各方面の意見を聞いてそういうふうにベストな状態で出せることもありますし、政府側がベストと思っていても、委員会審議を通じてこういう点はもっとこう改善した方がいいという御意見も出されると思います。衆議院でも修正がされました。常用代替の防止につきましてもいろいろと二重三重に手が加えられたというふうに思っております。 これらを通じまして、むしろプラスの面がしっかりはっきりして、マイナスの面はできる限り減殺をされたというふうに思っております。
○市田忠義君 今の答弁は全く納得できませんが、時間がありませんから、二つ目の理由に挙げられた大臣答弁についてお伺いします。 労働大臣は、人減らしをやった企業に派遣を一年間禁止することができない理由として、当該企業の経営の立て直しに支障をもたらす、当然その企業も経営戦略の中で勝ち抜いていかなければならないわけでありますから、ある手段は有効に使えるということは企業側の論理としては当然働くと、すなわち経営の立て直しや経営戦略のためには常用雇用労働者の人減らしをして派遣に切りかえることを是認する答弁をこの委員会で行われた。 しかし、本来、リストラで人減らしをやるというのは、当該労働者の仕事がなくなったから減らす、あるいは企業がその人減らしをやらなかったら立ち行かなくなる、だから人減らしをやるんであって、にもかかわらずその当該の業務に、常用雇用労働者を首切っておいて、そのかわりに派遣労働者を充てるということになれば、その人減らしそのものに合理的な根拠はない。あるいは、この委員会の答弁の中でも、労働者派遣の自由化によって常用代替、すなわち常用労働者が派遣労働者に置きかえられていくんじゃないか、そういう心配の声が各方面から上がっている、そういう質問に対して、常用代替については厳格に禁止するという方策をとる、こういう答弁でした。常用代替を厳格に禁止するという答弁をしながら、事実上の常用代替の奨励になっているじゃないか。 いかがですか。
○国務大臣(甘利明君) 全く誤解をされているのでありまして、リストラというのは人員削減だけではありませんが、人員削減も場合によってはあり得ると思いますが、常用雇用をカットした企業に対して常用代替が行くということであるならば矛盾をしているのは確かでありますけれども、常用代替を、その削減せざるを得ない企業が臨時的な戦力として残りの常用雇用を守っていくために武装するという選択肢はあっていいと思いますから、そういう意味でこれが使えるといったものでありまして、常用雇用をリストラしておいて常用雇用を採用するということであるならば明確に矛盾をしておりますが、そうではありません。
○市田忠義君 全く大臣わかっていないですよ。常用雇用労働者を首切って、そのかわりに安上がりな派遣労働者を雇うことを常用代替というんですよ。そのことを厳格に禁止すると答弁しておきながら、一向に構わない、企業戦略上そういう要求にこたえなければならないと。一方ではあたかも労働者の要求にこたえるというふうなポーズをとりながら、企業の要求にこたえるためにそういうことをやってよろしいと言っているのと同じじゃないですか。誤解どころか、大臣の見解は全く違いますよ。常用代替そのものだというふうに思います。 あなたがそういう答弁を繰り返している間に現実にどういう事態が進行しておるか。衆議院でこの改悪案が通過のめどが立った五月十八日、三菱商事で新人事制度の基本骨格が示された。私、ここにその「新人事制度について(基本骨格案)」、これは三菱商事のものです。これにどういうことが書かれているか。もうその法案が通ることを見越して恐るべきことが計画されているんです。 これによりますと、女性労働者を中心にした事務職掌、一般事務ですね、事務職掌と呼ばれる人たちの行っている業務は今後派遣社員、分社等への業務委託に切りかえて、今この仕事に携わっている人たちについては、転勤を伴うスタッフか、それが嫌なら分社や派遣会社への転籍による現職継続ということにしよう、これが計画ですよ。常用代替どころか、常用労働者の派遣労働者化そのものなんです。 こんなことが、労働者のニーズにこたえる、あるいは企業再建の手段として合理的と言えるか。私は、こういう実態についてよく調べた上で政府として明確な指針を示すべきだというふうに思いますが、大臣、最後に答弁を求めます。
○国務大臣(甘利明君) 法律の中身に抵触するようなことはきちんと調査をし、厳正に対処してまいる所存でございます。
○市田忠義君 時間が来ましたので、まだまだ質問したいことがありますが、終わります。
○委員長(吉岡吉典君) 他に御発言もなければ、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(第百四十三回国会閣法第一〇号)及び職業安定法等の一部を改正する法律案(閣法第九〇号)に対する質疑は終局したものと認めます。 これより両案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、政府提案の労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案及び職業安定法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。 そもそも職業安定法は、職業選択の自由、生存権や勤労権の保障をうたった憲法の理念を実現するものとして制定されました。それ以来、職業安定法と職業安定行政は、各人の能力に応じて適切な職業につく機会を与え、職業の安定を図るために、職業のあっせんに営利を持ち込むこと及び人貸し業である労働者供給事業をかたく禁じ、国による無料の職業紹介を原則としたのです。これは労働関係の近代化と労働条件の向上、安定的な雇用の発展に大きな役割を果たしてきました。ところが、一方の柱である労働者供給事業は、労働者派遣法の制定によってほぼ全面的に骨抜きにされました。そして、もう一方の柱である無料職業紹介の原則も本改正案によって放棄され、民営職業紹介事業を自由化するものであります。こうして本改正案は戦後打ち立てられた国民の基本的権利をないがしろにするものであり、到底容認することはできません。 以下、具体的に反対の理由を述べます。 まず、労働者派遣法の改正であります。 第一に、これまで二十六業務に限定していた対象業務を、港湾運送、建設、警備以外のすべての業種に広げたことは、大量の低賃金、無権利の派遣労働者をつくり出さざるを得ないからであります。本委員会でも、派遣労働者の賃金が競争原理で決められ、際限のない引き下げ競争にさらされることは、政府自身による派遣料金の入札から明らかになりました。 第二に、常用労働者の派遣労働者への置きかえが加速するからであります。本案は、常用代替を防止するとして、一年間の派遣制限期間を設けておりますが、同じ事業所の中でも課をかわり、係をかわれば期間制限が適用されないという、しり抜けの規定であります。重大なのは、審議の中で、リストラ手段として派遣を認めるという見解を労働大臣が明らかにしたことであります。ここにこそ本改正案の本質があると言えます。また、特定の会社に対して労働者派遣を行ういわゆる専ら派遣は、現在の法律でも規制されていながら、勧告された事例は一件もありません。ある事業部門の労働者を丸ごと派遣会社に転籍させてもとの企業に派遣させる丸ごと派遣も同様であり、こうしたリストラの手段を政府自身が野放しにしたままで、どうして国民の納得が得られるでしょうか。 第三に、派遣契約の中途解除、個人情報の保護にかかわる規定、派遣労働者の賃金、社会保険等の加入義務にかかわる派遣先の連帯責任、派遣労働者の団結権の保障など、派遣労働者の保護にかかわる規定が極めて不十分であるからであります。 第四に、請負という名で大規模に派遣労働者化が進められている実態について、何ら有効な措置を講じていないからであります。派遣と請負の区別という大臣告示を労働省自身が悪用して、違法派遣を偽装請負にするよう指導していることが告発されています。このようなことが今後も続けられるならば、製造業の適用除外は全く意味がないものになります。 次に、職業安定法の一部改正についてであります。 職業安定法の一部改正案は、有料職業あっせん業を全面的に解禁することとしています。これは職安法の性格を根本的に変え、営利を目的に職業のあっせんを行うというものであり、容認できません。有料職業紹介が、紹介件数の効率を競い合い、そのことが長期安定雇用をないがしろにするであろうことは容易に想像できるところであるからであります。職業紹介の原則は、自由、的確、公益、公平、中立、労働条件の明示の六原則ですが、有料職業紹介では、恣意的な求人情報の公開が行われ、求職者の権利が著しく侵害されるおそれがあります。今政府がやるべきことは、職業紹介の営利事業化ではなくて、職業安定行政の職員を大幅にふやし、労働者の雇用確保に全力を挙げることであります。 これらの法案が、国民主権の憲法をじゅうりんし、雇用不安、社会不安に一層拍車をかけることは明白であります。衆議院段階で派遣労働者の要求を一定限反映した修正が行われましたが、原案の持つ根本的な問題点は残されたままであり、派遣労働の矛盾が集中する登録型派遣に至っては、労働団体の要求にこたえるような改善は一切行われていません。 当委員会においても、各委員や参考人から出された数多くの法案の問題点が解明されないまま積み残しとなっていることも指摘せざるを得ません。 私は、本委員会で政府案と一括で審議された日本共産党の提案している派遣労働者保護法案、職安法改正案の成立こそが労働者、国民の声にこたえる抜本的な改正の道であることを申し上げるとともに、引き続き、派遣労働者の保護と労働法制、労働行政の改悪、後退を許さず、あらゆる労働団体、労働者と連帯して、最後まで奮闘することを表明して、反対討論を終わります。
○山本保君 私は、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、自由党及び参議院の会を代表して、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案及び職業安定法等の一部を改正する法律案について、賛成の討論を行います。 近年、労働者の就業形態や就業意識の多様化が進み、労働力需給の形は大きく変わっています。この中で、雇用の安定を図るためには、新しい雇用の創出に加えて、労働力需給のミスマッチを解消し、多様な選択肢を確保するための対策が重要であります。 そのためには、従来の公共職業安定機関の機能を充実強化するほかに、民間の職業紹介事業や労働者派遣事業の活力や創意工夫を生かし、新しい労働力需給の調整の役割を果たせるようにすることが重要であります。 また、あわせて、これらの労働者の権利の保護が十分に確保されるよう、労働市場のルールの整備充実とその厳格な履行を確保することが必要であります。 労働者派遣法及び職業安定法の改正案は、これらに対応するものであると思います。また、民間の労働力需給調整事業に関する国際基準としてのILO第百八十一号条約を踏まえて、労働力の円滑、的確な需給調整を促進するとともに、労働者の保護措置を強化することを内容とするものであります。 まず、労働者派遣法の改正案は、第一に、労働者に多様な選択肢を確保し、就業機会の拡大を図るため、我が国の雇用慣行との調和等にも配慮した上で、臨時的、一時的で、かつ広範な業務分野について、労働者派遣事業を行えることとすること。 第二に、派遣期間を原則として一年以内とし、また、一年間継続して派遣就業した労働者については、派遣先に雇用の努力義務を課するとともに、派遣期間が一年を超えた場合の派遣先に対する雇い入れ勧告制度及び派遣元事業主に対する罰則を設けるなど、常用雇用の代替防止と、派遣先での直接雇用を図る措置を設けること。 第三に、個人情報を保護するため、申告制度を設け、派遣労働者を特定することを目的とする行為を制限し、さらには、セクシュアルハラスメント、母性保護に関する雇用機会均等法の規定を派遣先に適用するなど、労働者保護措置の拡充を図ること等を内容としております。 次に、職業安定法の改正案は、有料職業紹介事業の取扱職業種別の自由化、個人情報の保護等、労働者保護等のルールの整備、公共職業安定所機能の強化等を内容とするものであり、ミスマッチを解消し、失業期間の短縮をもたらすものであります。 このうち、労働者派遣法の改正案については、審議会における検討を経て取りまとめられた政府案について、労働者の権利を一層確保するため、衆議院において適切な修正が加えられており、両法案とも時宜を得た内容と考えるものであります。 以上の理由により、私は、労働者派遣法等の一部改正案及び職業安定法等の一部改正案について賛成するものであります。 以上で討論を終わります。
○委員長(吉岡吉典君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 まず、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(第百四十三回国会閣法第一〇号)の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉岡吉典君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、笹野君から発言を求められておりますので、これを許します。笹野貞子君。
○笹野貞子君 私は、ただいま可決されました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。 一、適用除外業務を政令で定めるに当たっては、その業務の実施の適正を確保するためには労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務について、中央職業安定審議会の意見を踏まえ適切に措置すること。 二、今回の改正により新たに対象となる業務における登録型の派遣労働者については、この法律の施行三年経過後における労働者派遣法の規定についての検討に際し、その就業の実情、労働条件の確保等の状況を把握、分析し、必要な検討を加えること。 三、請負等を偽装した労働者派遣事業の解消に向けて、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準について一層の具体化、明確化を図るとともに、周知徹底、厳正な指導・監督を行うこと。 四、派遣期間一年の制限に係る「同一の業務」及び「継続」の判断基準について、中央職業安定審議会の意見を聴き指針に可能な限り明確に定めること。 また、派遣期間一年の制限に違反して労働者派遣の受入れを行っている場合における労働大臣による派遣先に対する雇入れ勧告について、実効性を確保するためその適切な運用を図ること。 五、派遣元における派遣労働者の個人情報保護の実効性を確保するため、派遣元事業主が収集、保管、使用する個人情報の範囲並びに許可基準中の個人情報の適正管理等に係る要件及び派遣元責任者の業務の内容について、中央職業安定審議会の意見を聴き可能な限り明確に定めること。 六、派遣先におけるセクシュアルハラスメントを防止するため、派遣先に対し必要な指導等適切な措置を講ずること。 七、派遣先は派遣先の責に帰すべき事由により労働者派遣契約の中途解除を行おうとする場合には、派遣労働者の新たな就業機会の確保を図ることとし、これができないときは契約解除の少なくとも三十日前に派遣元事業主にその旨の予告を行わなければならないこととするとともに、この予告をしない派遣先は派遣労働者の三十日分以上の賃金に相当する損害賠償(解除の三十日前の日と予告をした日との間の日数が三十日未満の場合はその日数分以上の賃金に相当する損害賠償)を行わなければならない旨を指針に明記し、その履行の確保を図ること。 八、派遣先は当該派遣先における労働者派遣契約の定めに反する事案を知ったときは、これを早急に是正すること、労働者派遣契約の定めに反する行為を行った者及び当該派遣先責任者に対し労働者派遣契約を遵守させるために必要な措置を講ずること、派遣元事業主と十分協議した上で損害賠償等の善後処理方策を講ずること等適切な措置を講ずべき旨を指針に明記し、派遣先による労働者派遣契約違反の防止等のための指導の徹底を図ること。 九、派遣元事業主は社会・労働保険に加入の必要がある派遣労働者について加入させてから労働者派遣を行うべき旨及び派遣先は社会・労働保険に加入している派遣労働者を受け入れるべき旨を指針に明記し、その履行の確保を図ること。 また、派遣労働者を含む短期雇用労働者に係る社会・労働保険の在り方について、早急に検討すること。 十、派遣労働者の職業能力の開発・向上を図るため、派遣元事業主による一層の教育訓練の機会の確保が図られるよう、適切な指導等に努めること。 十一、派遣労働者の保護の実効性の確保について、都道府県労働局において職業安定行政と労働基準行政とが統合されることを念頭に置き、使用者責任の遵守の観点から、労働基準監督官との連携の在り方も含め、検討を行うものとすること。 十二、この法律の施行三年経過後における労働者派遣法の規定の検討に際し、派遣労働者の保護や職業能力の開発等労働者派遣事業の制度の在り方について総合的に検討を加えること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
○委員長(吉岡吉典君) ただいま笹野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉岡吉典君) 全会一致と認めます。よって、笹野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 次に、職業安定法等の一部を改正する法律案(閣法第九〇号)の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉岡吉典君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、笹野君から発言を求められておりますので、これを許します。笹野貞子君。
○笹野貞子君 私は、ただいま可決されました職業安定法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明党、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 職業安定法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、次の事項について適切な措置を講ずべきである。 一、現下の厳しい雇用・失業情勢の下で、公共職業安定所その他の職業安定機関が働く人々の雇用の安定及び多様な職業選択の機会の確保のためのセーフティネットとしての役割を適切に発揮できるよう、また、民間の事業者がその活力や創意工夫を活かし労働力需給調整の役割を適切に果たせるよう、職業安定機関の職業紹介、職業指導等の機能の拡充強化、民間職業紹介事業者、労働者派遣事業者等に対する指導監督の強化、求職者、派遣労働者等からの苦情等への対応の充実等を図るとともに、必要な体制整備に努めること。 二、この法律の施行三年経過後における職業安定法の規定の検討に際し、短時間・短期労働者に対する職業紹介等職業紹介事業の制度の在り方について総合的に検討を加えること。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。
○委員長(吉岡吉典君) ただいま笹野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(吉岡吉典君) 多数と認めます。よって、笹野君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの両決議に対し、甘利労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。甘利労働大臣。
○国務大臣(甘利明君) ただいま決議のありました両法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存であります。
○委員長(吉岡吉典君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十時四十四分散会