労働・社会政策委員会 第12号
- 発言数
- 329 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1999/06/08
会議録
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。 理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に山崎力君を指名いたします。 ─────────────
○委員長(吉岡吉典君) 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(第百四十三回国会閣法第一〇号)、職業安定法等の一部を改正する法律案(閣法第九〇号)(いずれも内閣提出、衆議院送付)並びに労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(参第一八号)及び職業安定法等の一部を改正する法律案(参第一九号)(いずれも吉川春子君外一名発議)を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○斉藤滋宣君 おはようございます。自民党の斉藤でございます。 ただいま議題となりました派遣法並びに職安法に入る前に、昨今の雇用情勢についてまず労働大臣にお伺いしたいと思います。 先日、堺屋経済企画庁長官は談話の中で、この景気の最悪期は昨年の十月ごろで、最近は底打ち感が見えてきた、そういうお話をされておったように新聞で拝見いたしました。 いつも言われることでありますけれども、失業率というのは景気の遅行指標でありますから、そろそろこの失業率が改善の方向に向かうのかなという期待があるわけであります。大変残念なことでありますけれども、四月の完全失業率は三月期と同じ四・八%ではありますけれども、男性の失業率が五%を見るに至った、そういう大変厳しい状況にあるのは大臣御承知のとおりであります。 その中身を見てみますと、完全失業者数が三百四十二万人、前年同月比で五十二万人ふえている。そしてまた、非自発的離職者数にしても百十五万人、前年同月比二十四万人の増となっております。有効求人倍率は〇・〇一ポイント低下いたしまして、〇・四八倍になっております。 四月七日付の日経新聞によりますと、日本人事行政研究所の調査によりますと、常用雇用の過剰感を覚えている企業が大変ふえてきている。今後雇用を圧縮していきたいという企業が常用雇用で七〇%を超え、非常用雇用者でも三五・一%に上っているという報告もあります。同じ日経新聞によりますと、過剰の雇用数は約五百六十万人にも上るのではないか、そういう発表もなされております。大変厳しい雇用失業情勢であると言わなければならないわけであります。 こういう現下の経済情勢、まずこれに対する大臣の認識と、それからこの雇用情勢に関する今後の見通しにつきまして、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 堺屋経企庁長官が景気は下げどまりつつあるという発言をもう大分以前にされておりますけれども、下げどまったというところの発言までには至っていないわけであります。つまり、下降していくスピードがだんだん弱くなってそろそろ底につくかな、それがまだ完全に確認はされていないけれども、何となくそのまま横ばい状態に近い形で推移しているんじゃないだろうか。反転上昇に転じますと、この時点が下げどまりだということが後でわかるんだと思います。 普通、景気の下降と回復というのはかなり鋭角なカーブを描くのでありますけれども、今回、反転に至るカーブがなかなか見えてこない。今の状況を端的に申し上げれば、上げ圧力と下げ圧力が戦っている状態だと思います。ですから、私も必要以上の不安をマインドに与えないように、どう発言をするかということに非常に気を配っているわけであります。 経済の中身を申し上げますと、プラスの要素は公共投資と住宅建設であります。例えば住宅建設でいいますと、三月は年ベースで百三十万戸ぐらいでありまして、百二十九万何千戸だったと思いますが、四月で百二十五万戸ぐらいであります。昨年同月が百十三万ぐらいでありますから、これはかなりプラスであります。ただし、四月の住宅建設で申し上げますと、公庫締め切り間際の駆け込みが多いということは、かなり住宅購入者、建設者の心理が揺れている状態をあらわしている、つまり、ことし、来年が一番有利なことはわかっているけれども、景気の先行きが大丈夫かしらという、揺れながら最終的に決断をしているというところでありまして、そこの揺れながらというところが将来不安だと思います。 マイナス要因としては、GDPの大宗を占める消費が湿っている。下げどまり感は出てきているのでありますけれども、実質所得が減っている分がやはり影響しているんだと思います。 それから、一番深刻なのは設備投資だと思います。これは二けたのマイナスが続いている。この前提となる在庫調整というのは昨年水準をかなり下回ってきましたので、かなり調整局面に入ってきているというふうに思っておりますので、経済の要素がしっかりかみ合って上昇気流に乗れば力強い反転になると思うのでありますが、先ほど申し上げましたように、下げ圧力と上げ圧力がかなり拮抗している。だから、ここは非常に微妙な時期だと思いますし、いかに不安感を取り除く対策を打つか、いかに信頼感を醸成するメッセージを国内外に出していくかというところが大事な点だというふうに思っております。 景気がそういう非常に微妙な時点でありますから、失業率はそれにタイムラグを置いてついてくるということでありますから、景気が底を確実に打ちましたというところからは見通しが数えられるんだと思いますが、まだ底ばい、横ばい状態が続いているということですので、私も確実に大丈夫ですということをいま一つ自信を持って言えないのでありますけれども、各般の努力をいたしておりますし、この十一日にも総理の命を受けた対策を発表しますので、何とかそうした政策効果をしっかりと表に出していきたいというふうに思っております。
○斉藤滋宣君 今、後半で労働大臣がおっしゃったとおり、私も労働大臣を初め労働行政に携わる皆さんの労を多とするものでありますし、こういう言い方をすると大変おしかりを受けるかもしれませんけれども、今までも昨年十一月に百万人規模の雇用創出計画、そしてことしになりまして三月に七十七万人の雇用創出効果に対する発表があって、大臣の言葉をかりますと歴史に名前の残る労働大臣であるかどうかは別にしましても、この間の御努力に対しましては大変私も評価いたしております。 そして、今お話がありましたとおり、四月二十三日に現下の厳しい雇用情勢にかんがみて、総理から関係閣僚に雇用対策を打ち出せという指示があって、この十一日に新たな雇用対策を打ち出すことになっておりますけれども、この基本的なお考えについてお伺いしたい。 特に、今回の雇用情勢の発表を見ますと、失業率では若年層、そしてまた高年齢者層の失業率が大変高くなっております。若年層では一〇・一%、高年齢者層では八・三%となっています。 さらに危惧されますのは、新規学卒者の就職状況がやはり改善されないままになっている。大学生では、男性の九〇・七%、女性の八四・七%が就職できない状況にあります。そして、それをさらに分析してみますと、大学卒業予定者五十三万七千人、就職希望者数三十七万三千人、その差約十六万強となっているわけであります。この十六万の中には、就職せずに大学院に行ったり留学したり、ほかの大学に行く方もおられるでしょうけれども、やはりこの数字の中のかなりの部分は就職できない数字であると私は思います。 さらには、高校生について見てみますれば、卒業者数が百四十四万、進学者百万人、就職者数が三十二万人、その他十一万四千人となっています。このその他も恐らく大学卒業予定者のところで見たその差の十六万人とほぼ変わらない状況にあるのかなと想像するわけでありますけれども、雇用対策の基本的な考え方の中にも入っておると思いますけれども、この新規学卒者の就職促進、さらには高年齢者層の失業対策というものを早期に、また強力に進めていく必要があろうかと思いますけれども、大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 斉藤先生御指摘のとおりの状況であります。 若年者層でも、特に新規学卒者の未就職者が昨年よりもさらに大きくなっておりますし、御指摘のとおり就職を希望しない方の中にも可能ならば実は職を探したいんだと思っていらっしゃる方もいらっしゃると思いますから、そういう人もカウントするともっと大きい数字になるだろうと、おっしゃることも事実だと思います。 そこで、若年者対策、学卒未就職者対策につきましては、先般登録制度というのを設けました。これはかつては障害者の方だけに対処していた方法でありますが、情報をきめ細かに提供し、就職面接会のようなものを開きフォローしていくというシステムでありますが、これを学卒未就職者にも適用して対応しようと。 それから、まだこれは発表前でありますけれども、新規の対策に学卒未就職者の職業訓練を考えていったらどうかというふうにも考えておりまして、これも検討を今しております。本来、雇用保険に入った経験のない人を対象とするわけでありますから、従来の仕組みと大分変わるのでありますが、現下の厳しい状況にかんがみてそれにも踏み込んだらどうかということを部内で今検討しているところであります。 それから、中高年齢者の非自発的失業者は深刻の度合いが一番大きいところでありますから、ここに対してきめ細かく手当てをしていこうと。これは十一日に発表させていただく中の主要な柱の一つとしてとらえておりまして、失業してしまったという出口から再就職の入り口までを系統的に本人の自由意思を尊重しながらやっていくと。 さらに、近未来で発生が予測されるニーズに対して、どう企業側に要請をしていくか、あるいはそれに対してどう訓練をかみ合わせていくか、その辺のところも今検討しているところであります。 景気が完全に回復しない中で失業リスクだけ顕著に改善をするというのはなかなか至難のわざではありますけれども、ミスマッチを解消するということについては我々の努力でかなりの部分はできるわけでありますし、そのことを通じて失業率を改善する、〇・一でも改善するという努力を続けていきたいというふうに思っております。
○斉藤滋宣君 大変きつい言い方になりますけれども、百万人の雇用創出計画でも、これから発表されます新たな雇用対策にしてもそうだと思いますけれども、こういう計画をどんどん立てていただき、そしてそれが実効を上げれば大変いいことでありますけれども、やはり笛吹けど踊らずといいますか、その効果というものが大いに期待されているわけでありますから、皆さん方いろいろな御意見もあろうかと思いますけれども、そういう意見をしんしゃくしながら実効あるものにぜひともお願いしたい、そのように思います。 そして、いみじくも今、大臣が最後のところでおっしゃいましたように、労働行政の中でいわゆる需要不足の部分はなかなか対応できない、ミスマッチの部分については努力していきたいという御発言がありました。まさにそのとおりだと思います。今回の失業率四・八%のうち約一・五%が需要不足によるもので、残りの三・三%がいわゆるミスマッチによるものだとも言われています。これを単純計算しますと、約二百三十五万人の方がミスマッチによる失業者かなというふうに思うわけであります。 そこで、今、大臣のお言葉にあったように、このミスマッチを解消するためには、法律の改正案にも関係があるわけでありますけれども、公共職業安定所の機能強化というものを図っていくこと、また安定所が持っている能力を十二分に引き出していくことがこのミスマッチの解消に大きな威力があるのかなというふうに私は考えております。 特に今、先ほど卒業者の未就職者の話をしましたけれども、それをさらに調べてみますと、学校を卒業して就職する、そして就職してからすぐに離職する方が大変ふえております。大学卒の場合ですと、卒業して就職し、三年以内に離転職するのが約三割になっています。そして、高校卒では何と半分の方が三年たつと最初の就職先をやめて離転職している、これが現実であります。大臣のお言葉にもありましたけれども、やはり需要と供給のミスマッチを早期に解決することが失業率の改善につながることであろうかと私は思います。 そこで、さっきも申し上げたとおり、公共職業安定所の今持っている能力を十二分に引き出すと同時にさらにその機能をアップさせていく、そういうことが必要かと思いますけれども、労働省のお考え方をお聞きしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 現在の大変な雇用失業情勢の中におきまして、全国の五百近い公共職業安定所が今フル稼働しているわけであります。 安定所の機能の強化につきましては、従来から定員の充実に努めてきましたほか、例えばいろいろな機械化を進めて求職者に利用しやすい制度を導入する、あるいは求人開拓を積極的に行うようにするというふうないろんな改革をしてまいりました。 労働市場の変化に対応して、的確な情報が求人求職者それぞれに行き渡るような努力をしてきたところでありますが、今般の職業安定法の改正におきましても、民間の活力も活用していくと同時に公共の職業安定機関の機能をアップするということで、従来からいろいろ取り組んでいることでありますが、これをさらにこの改正法の中に条文としてその任務、業務といったものを明確に位置づけるというふうにしまして、さらにその機能のアップというものを図ろうというふうにしております。 例えば、今いろいろとお話のありました学生生徒に対する職業紹介につきましても、試行的に始めておりますインターンシップ制度などをこれから系統的に行うというふうな位置づけのもとに、「公共職業安定所は、」「学校その他の関係者と協力して、職業を体験する機会の付与その他の職業の選択についての学生又は生徒の関心と理解を深めるために必要な措置を講ずるものとする。」、こういった規定も新たに設けようというふうにしているわけでありますし、あるいは公共職業能力開発施設との連携を図る、あるいは労働団体、経営事業主の団体との連携を図る、あるいは求人を積極的に開拓する、こういったことを四項目ぐらいにわたりまして公共職業安定所の機能の強化というふうなことで改正法の規定を置いております。 今御指摘ありましたように、公共の安定機関の機能を強化していくということは大変重要な課題であるというふうに認識をしております。
○斉藤滋宣君 今の局長の御答弁にも関連するわけでありますけれども、今、公共職業安定所経由で入職者数の状況を調べてみますと大体一九%、そして民間職業紹介所が約八・四%となっています。歴代、ずっと見ますと、職安を経由して入職した数というのは多いときで約二割ちょっと、大体この数字のあたりを行ったり来たり上下しているわけであります。 今、局長の答弁にありましたとおり、この法律改正もそうでありますけれども、民間のそういう職業紹介ですとか広告等を利用して、いろんな選択肢を広げながら、いろんなチャンネルを使いながら職を求めていく、そういうことは大変必要なことであると思いますけれども、その中でもきちっと中心的な役割を果たすのが安定所ではなかろうか。また、それだけの蓄積もありますし、それだけの人材、それだけの能力、そしてまた全国的に張りめぐらしているネットワーク等を考えたときに、やはり私はこれからも職安がその中心的な役割を担っていくのは当然ではないかなというふうに思っているわけであります。 ところが、残念なことでありますけれども、よく耳にすることでありますが、職安に行って、ハローワークに行って求職の御相談に行く、二、三時間待って数分で相談が終わってしまう。結局、自分で検索したり自分で資料を集めて検討しなきゃならぬ、そういう状況にあるのもまた事実かなと思います。やはり私は、一つには公共職業安定所の機能をアップすることによって、安定所にはいろんな仕事があるわけですけれども、その中でももう一つは就職率といいますか、ここのところをいかに高めていくか、安定所がその能力を十二分に発揮しながらいかに就職率を高めていくかということが大きな課題でもあろうかと思います。 その辺の対応策について、今答弁の中にも大分触れられてはおるわけでありますけれども、さらにお考えがありましたら教えていただきたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 平成九年の雇用動向調査によりまして、入職経路別の入職者の割合を見ますと、安定所の紹介を経由して就職したという方が御指摘のとおり一九%というふうになっておりまして、大体近年このぐらいの割合で推移をしております。縁故とか就職情報誌等々による経路のものもかなりもちろんあるわけであります。 安定所の機能につきましては、安定所は全国五百近い安定所の組織、一万五千人の職員を配置しまして、無料ですべての求人求職に対応するということになっているわけでありまして、職業紹介機関の中では最も基礎的なものであるし、その役割も中心的なものであろうというふうに考えております。今御指摘ありますように、その機能をますます強化していくことが重要であろうかというふうに思っております。 ただ、現在の状況を見ますと、大変な状況の中でなかなか職業相談というのは十分にできないというふうないろんな問題もあるわけであります。公共職業安定所に寄せられる求人は年間五百万ぐらいはあるわけでありますが、大変残念なことに、これが就職に結びつきますものは二五%ぐらいであるというふうに見ております。この中にはいろいろなミスマッチの状況があるわけで、安定所もさらに努力をしまして求人求職の結びつきという比率をもっと高めていくということが必要ではないかというふうに思います。 また、民間は民間で得意な分野でそれぞれ能力を発揮していただいて、その分野で民間にお任せできるところは民間で大いにやっていただく、こういったことで全体としての労働市場におけるミスマッチの解消が進むということを希望しているわけであります。 ただ、先ほど申しましたように、安定所は全国あまねく張られたネットワークとしまして大変多くの求人を受け付けながら、充足率というものはまだまだ低いということは大変大きな問題であるというふうに私ども認識をしております。 例えば、職業相談というものをもう少しきちんと時間をかけてやれるということになれば、職業選択がきちんとできて、もっと就職できる方も多くなるのではないかというふうに思っていまして、今大変な多忙の中でありますが、限られた定員の中で、本当に再就職の緊要度の高い人を重点にして、いかにそういうことに応じられる体制をつくるかと大変腐心しているわけでありますが、この職安法の改正も機にいたしまして、一層その辺についての工夫をしていく必要があろうかというふうには考えております。
○斉藤滋宣君 今、局長の御答弁にありましたとおり、今ある意味では行政も民間もリストラ時代に入ってきておるわけでありますけれども、でもこの雇用の問題というのは少なくとも国民にとって基本的な部分であります。ですから、今もそれでなくても大変人手が限られた中でいろんな御努力をされておるのは承知しておるわけであります。しかし、どうしても人手が足りないのであれば、こういう時代だって必要なものは必要なものとして求めていく、そして国民の基本的な権利を守っていく、そういう姿勢も必要ではないかとあえて申し添えておきます。 そこで、有料職業紹介事業の今回の法律改正の中での問題に触れさせていただきたいと思います。 今回、原則自由化ということになりました。これはILO第九十六号条約、いわゆる有料職業紹介所を禁止もしくは抑制していくという条約から、それを認めていく形での百八十一号条約に移行した、そのことによる今回の措置だと思います。この有料職業紹介事業の原則自由化にした考え方、こういう言い方をすると語弊があるかもしれませんが、九十六号条約が現代にマッチしなくなってきている、有料職業紹介所が懸念されるいろんな危惧がなくなってきた、だから今度はそういうのを認めていきましょうということはよくわかるわけでありますけれども、そこの切りかえに対する考え方とか自由化に対する考え方をまずひとつお伺いしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 民間の有料職業紹介事業につきましては、職業安定法が制定された当初からこれを許可にかからしめて原則禁止というふうな思想のもとに運営してきたわけであります。安定法の施行時あるいは施行以前においていろいろとこの事業において弊害があった、そういったことにかんがみましてそのような制度を我が国では採用してきたわけでありますが、国際的にもそういった認識でありまして、今御指摘の九十六号条約は、有料職業紹介事業というものは漸進的に廃止をしていく、あるいは厳しい規制を加えていくんだということになっておりまして、我が国はその規制する方を批准していたわけであります。 職業紹介のあり方につきましては、戦後の我が国の経済発展あるいは労働法制の定着等を背景といたしまして弊害というものは随分と減少してきたと認識しております。また、九十六号条約も一昨年のILO総会で百八十一号条約に取ってかわる、民間の労働力調整機能というものは大幅にこれを認めて、一方で労働者の保護を強化する、こういった方向に国際的にも大きな転換がなされたわけであります。 こういった我が国における経済社会あるいは労働法制の定着等々を背景とし、あるいは国際的な潮流の変化を背景といたしまして、今般、有料職業紹介事業につきましてはその取り扱い業務を原則自由とするという改正案をお出ししているわけであります。 先ほどからいろいろと御指摘ありますように、我が国においては近年とみにミスマッチによる失業というものがふえてきておりまして、そういったものを解消するために公共と民間がそれぞれ得意の分野で持てる力を十分に発揮して、そのミスマッチの解消に努めていくことが大変大きな課題であるというふうに思います。この職業安定法の改正によりまして民間の活力が一層引き出されるということを期待している、そういった観点からの改正をお願いしているわけでございます。
○斉藤滋宣君 今回の改正の中で手数料の改正も行われておるわけでありますけれども、この中で原則として求職者から受付手数料、そしてまた届け出手数料を取ってはならないとされておりますけれども、その中には例外が両方とも認められております。この例外規定について少し御説明いただきたいことと、それとなぜ例外を認めるのか、そこのところについて教えていただきたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 従来、有料職業紹介事業の手数料につきましては、求人求職からいわゆる手数料として徴収する金額を今六百七十円というふうにしておりますが、それと求人の方から徴収する金額につきましても労働大臣の定める上限の中でこれを手数料徴収を認める、あるいは最近改正を行ったわけでありますが、第二種手数料と申しまして、講習等を行った場合にはそれについては料金を徴収できるというふうな仕組みにしておりまして、これは従来、この手数料の取り扱いにつきましては、いろいろと中間搾取といいますか、そういった弊害もあったということで、手数料についても厳しい規制を加えてきたわけでありますが、今般の民間の職業紹介機関の活力を大いに生かすというふうな方向の中で、この手数料の仕組みについても大きく転換をするということにしているわけであります。 この改正法におきましては、この手数料につきましては、求人側から徴収する手数料については労働省令で定める上限の範囲内でこれを徴収するか、あるいは事業主、事業者が届け出た手数料の範囲の中でこれを徴収するというふうにいたしまして、いわば料金設定も基本的に自由にするというふうにしたわけでございます。 ただ、この中で非常に不当なものがあるという場合につきまして労働大臣による変更命令の制度を設けておりまして、例えば特定の者だけに不当な差別扱いをするようなものとか、労働大臣が定める基準から見ていかにも不当に高いというふうなものについては変更命令を発する余地を残しましたが、そういったものを除きましては基本的に手数料設定も自由にして、この手数料の妥当な額というものは、これから大いに競争も出てくるでしょうから、その市場の競争の中で妥当なところに落ちつく、そういったふうにしまして、むしろ手数料も自由設定をし、本当に力のある信頼できる職業安定機関が今後伸びていく、その範囲では大いに事業を伸ばしていく余地もあるというふうな仕組みに変えていくというふうにしているものでございます。
○斉藤滋宣君 ちょっと私の理解が足りないのかもしれませんけれども、ちょっと理解しづらいので教えていただきたいのですけれども、例えば求人者による届け出制の手数料については、手数料表によって大臣に届け出をして、その手数料表によって徴収することになっているわけですね。ここで言う変更命令制度というのは、その届け出を出したところで変更命令をかけて変えるという意味なんですか。それとも、実態として始まっておって、それでいろんな届け出手数料を求人からもらう、その場面でこの変更命令制度を活用する。これはどちらになるのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 先ほど少し触れましたけれども、これは届け出制ということにいたしますが、その際に審査をいたしまして、労働大臣が一定の基準等を例えば定めておりますので、それに照らして著しく不当に高いというふうなものは届け出の段階でチェックをするということに考えております。
○斉藤滋宣君 ありがとうございました。よくわかりました。 それともう一つは、求職者の手数料の方でありますけれども、今の説明だとちょっとまだ理解しづらいのでありますけれども、もう少し具体的に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) ILO百八十一号条約におきましては求職者からは原則として手数料を徴収してはいけないというふうに規定をされておりまして、ただ求職者の利益になるときにはこれを徴収していいというふうに規定しておるところでございます。 求職者の利益になるというふうな場合は、例えば俳優さんとかモデルさんとか、手数料を払っても自分を売り込んだ方がいいんだというふうな人については手数料の徴収を今後は認めていくということになると思います。 ただ、先ほど申しましたが、現行制度におきましては、求職者からも例えば六百七十円というふうな額を実費的なものとして徴収を認めておりますので、これをいきなりなくするということになると問題も生じると思われますので、暫定的な措置としてはそういったものを認めながら、将来的にはこれは求職者からは原則として徴収できないようにするというふうな方向で考えているところであります。
○斉藤滋宣君 受け付け手数料の方のいわゆる激変回避措置として、家政婦、マネキン等の紹介事業には手数料を認めていく、そこの部分は理解できるのですけれども、その届け出手数料の方の、今局長のお話にもありましたけれども、モデルだとか芸能家だとか俳優とか、そういった特殊な仕事についている人たちということのようでありますけれども、ここで言うモデル、芸能家等の等というのはどこまで入るんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 有料職業紹介事業につきましては、あくまで求人者から手数料を徴収するということが原則でありますが、ILO百八十一号条約にもその求職者自身の利益になる場合にはいいということで、今申しました範囲が例えばモデルさんとか俳優さんとか、そういうもののほかにどういうものが含まれるだろうかということは法改正後に関係審議会の意見を聞いて定めるということになるのではないかというふうに考えております。
○斉藤滋宣君 大変こだわって申しわけないのですけれども、局長の今の御答弁でもそうですし、それから衆議院の労働委員会でも局長の答弁の中にありまして、それでちょっと私引っかかっているんですけれども、答弁を読ませていただきますと、今と大体同じなんですが、「例えば芸能関係の仕事とか、求職者自身にとって手数料を払っても就職したいというふうに、そのことが求職者の利益にもなるような場合、」「手数料を徴収してもいいということになっている」、こういうぐあいになっているわけであります。今のお話と同じなんですけれども。 私が気になるのは、例えば一般に仕事をしたい人でも、手数料を払ってでも就職したいと思う仕事はないのかなと。例えば雇用環境が大変悪化してきたときに人を押しのけてでも私は就職したいというときに、手数料を払うことによって特別な利益というのは、大した金額ではないにしても、例えば優先的にしてもらえるとか、そういう中に一般の求職者というものが含まれることがないのかなと危惧するわけでありますけれども、その辺のお考えはいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 現行の職業安定法におきましても、民間の有料職業紹介の例えば平等取り扱いの原則というふうなものはあるわけでございまして、失業者の中で高い手数料を払った人が優先的に紹介を受けるというふうなことはいかがかと、こういった思想なのであろうというふうに思います。 そういったことで、原則として条約におきましても現行法におきましても手数料というのは基本的には求職者からは取らないんだ、こういう思想ではないかというふうに理解しております。
○斉藤滋宣君 ありがとうございます。 そして、最近アウトプレースメントですとかヘッドハンターという言葉をよく耳にするようになりました。このアウトプレースメントですとかヘッドハンターに対する職業紹介事業の許可というものはどのようになっているのか、実績等含めてお聞きしたいということと、それと、これを職業紹介事業の中ではどのように法的に位置づけているのか、そしてまたこういうものを今後どのように労働省は考えていかれようとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 社会経済の変化というふうなことの中でいろいろな職業が生じてくるわけでありますが、今御指摘になりましたアウトプレースメント、これは何らかの事情で企業におれないという方について再就職のお世話をする、あるいはそのための技術講習をするというような仕事でありますし、またヘッドハンターというのはどこかに勤めている在職中の方を引き抜いてくるというようなお仕事でありますが、これらはいずれも、職業紹介と結びつくというふうなときには労働大臣の許可をとって有料職業紹介として行うということになっておりますし、また、必ずしも現在特定求職の意思がなくても求職の意思を起こさせるというふうな行為、その結果求職活動に入るというようなときについてはやはり職業紹介事業になるんだというふうな最高裁の判例もあるわけでありまして、アウトプレースメントやヘッドハンターの事業というものが職業紹介を行っているときにはあくまで許可を取得していただくということにしておりますし、今後もそういった運用にすることにしております。 ただ、有料職業紹介の許可の中で例えば何件がこれに該当するかという、そういった統計は今とっておりませんので、そういう具体的な数字の実態というのは把握しておりません。
○斉藤滋宣君 そうしますと、今言ったアウトプレースメントですとかヘッドハンターというものも先ほどの手数料に該当するという判断でよろしいわけですね。 そこで、そうなりますと、こういう仕事についても大変紹介料が高いやに聞いておりますけれども、そういうことから考えれば、上限手数料制の方ではなくして届け出制の手数料という方になるのかなと思うんですが、そういう手数料関係については何かお考えがあるのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 今後は手数料は届け出制になるということで、特にアウトプレースメント等は現行におきましても相当の金額を企業から受け取ってされておる、これはもちろん途中で職業講習とかいろんなことをやっておられるせいもあると思うんですが。今後とも、上限の中でというよりは届け出られた金額の中で手数料を徴収するというふうに恐らくこういった業界は動くと思いますが、その辺がどうなるかということは市場の競争の中でそれぞれ金額というものは決まっていくのではなかろうか、優秀な業者であればやはり高い手数料を徴収できるというふうになっていきまして、恐らくこれは競争原理の中で料金というのは決定されていくというふうに見ております。
○斉藤滋宣君 そこで危惧するのは、今おっしゃったように競争原理の中で料金というのは設定されてくる、想定されるということですけれども、でも届け出制の場合には、例えば大臣に手数料表を出して届け出をしたときに、変更命令制度があるわけですから、労働省として今言ったヘッドハンターとかアウトプレースメントについてもある程度の妥当な、例えばこういう仕事を紹介したらこの程度の手数料が妥当だという考えがなければ、ここで変更命令がきかなくなるのではないかということを危惧するわけであります。 ですから、市場原理ということも当然あるでしょうけれども、それと同様に、ここで変更命令を大臣がかけるわけでありますから、労働省としてこういう仕事についてはこの程度の手数料とか、それからこういう業種については今世間の相場がこうなっているというところがきちっと把握されていないと、ここでの入り口の部分で変更命令がかからなくなってくるということを危惧するんですけれども、それに対する対応というのもお考えになっているでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) この届け出制のもとにおきましてもどんな手数料でもいいというふうには考えておりませんで、先ほど少し触れましたけれども、非常に差別的な手数料表をつくっているとかあるいは著しく高いものであるというような場合には変更命令を出すということにしておりまして、今御指摘ありましたけれども、一定の基準というものは定める考えでおります。
○斉藤滋宣君 よろしくお願いいたします。 次に、労働者派遣法関係の方に移りたいと思います。 今回、二十六業種のもとで行われていた派遣を原則自由化する、そういう格好にネガティブリスト化されたわけでありますけれども、二十六業種のもとでもかなり労働者派遣事業が行われてきまして、もう言うまでもないところでありますけれども、八十六万人の派遣労働者数があり、年間売り上げが一兆三千三百億、そういう規模になってきました。 ここで、この二十六業種からさらに業種を広げることによって新規雇用の創出効果が大分あるのかなと考えますけれども、そういう雇用創出効果を今回の改正によってどの程度見ておられるのか。さらには、派遣法改正によって職業選択、就職機会の増大が言われるわけでありますから、先ほど来話にあったように、ミスマッチの解消にこういう改正がどういう影響、効果があると考えておられるのか、お伺いしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 現在の派遣労働者は、複数登録をしている方も入れてといいますか、それはそれぞれに数えて八十六万人くらいおられますし、複数登録、ダブりをなくするというようなことを考えましても三十数万人ぐらいおられる、恐らく五十万人ぐらいの方が派遣労働で今働いておられると思うんですが、これが原則自由になるということですから、かなりの方が派遣労働で働くということになると思いますが、ただ、派遣労働というのはおのずから一定の、どんな労働でも派遣になじむというものではないでしょうし、特に今般は一年という厳格な期間もついているわけですから、なかなかこれによってどのくらい飛躍的に伸びるかという算定は難しいでしょう。今御指摘がありましたように、かなりの派遣労働に対する需要が見込めると思いますし、また労働者の方でも、派遣労働をしている方の意識調査によりましても、積極的な理由で派遣につきたいという方が相当おられるわけですから、需給のミスマッチがこれによって相当部分解消されるものがあるだろうということは想像できるところであります。 また、雇用の創出効果と申しましても、例えばなかなか高齢者の方の就業が難しいというときに、この派遣を通じて正規職員への就職の道も開けるというようなことがあると思いますし、あるいは、派遣という形態ですから、事業を新しく起こすというふうなときに、専門的な能力を労働市場から調達いたしまして企業を起こす、これについて対応していく、そのことによって企業が大きくなって雇用の吸収力がふえるというような効果も当然このことによって想定されるのではないか、こういったふうに考えております。
○斉藤滋宣君 今回、改正によりまして、いわゆる業務限定方式から期間限定方式に変わりました。これはなぜ期間限定方式にしたのか、さらにはその期間というものを一年にした理由についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 従来は専門的業務等の限定をつけておりましたので、これが常用労働の代替にはなりにくいのではないかという理解であったと思いますが、今般、派遣労働の対象を原則自由とするということに当たりましては、特に我が国の雇用慣行等を考慮し、常用労働の代替の防止ということがそれぞれ強く意識をされました。ILO百八十一号条約では、派遣労働について期間限定というような条件を付しているわけではありませんが、我が国の事情も相当あると思いますが、常用代替の防止をするんだという、そのためにいろんな措置もするということで派遣労働を広く広げていくという措置になっているわけであります。したがいまして、今般拡大される業務はあくまで臨時、短期的な労働市場における派遣の制度の創設ということになるかというふうに思います。 これが一年というふうになっておりますのは、労働基準法で有期の契約期間を定めるのは上限が一年というふうになっていることも参考になっていると思いますし、一年間ぐらいで切れば常用代替ということも防げるのではないか、諸外国の制度なども参考にしながら一年という期間になっているというふうに思っております。
○斉藤滋宣君 先日の当委員会の参考人質疑の中でこういう御意見がありました。労働者派遣法制定時に参議院の修正で追加された第二十六条第二項の趣旨を労働省が運用によって骨抜きにしてきたのではないか、そういう御指摘がありましたけれども、このことに関して労働省の見解はいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 現行の専門的な知識、経験等を必要とします二十六業務につきましては、専門的とはいいましても、常用雇用の代替防止の観点から、その派遣期間が三年を超えることがないように指導しているところであります。 ただ、そうは申しましても、業務を変えれば継続していいのかというふうな議論もありますが、この点につきましては、二十六業務は政令でそれぞれ個別に定められているわけでありますから、まず号が変わっているかどうか、あるいは同じ号の中でも通訳、翻訳、速記というふうに幾つか並べて書いてあるのがありますから、それぞれ別のものであるというふうに理解をして運用するということによりましてこの業務の範囲をあいまいにはしないように従来から運用しているところでありまして、このことによって決して骨抜きになっているというふうなことはないと考えております。
○斉藤滋宣君 今のお言葉にありましたけれども、ちょっと今回わかりづらい。特に期間限定方式になったことによって、同一業務ということをよく使われるわけでありますけれども、局長はどこでも何回も聞かれまして答弁するのも大変でしょうけれども、この同一業務についてどういうお考え方なのか、御意見をお伺いしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) その業務という概念は、今回の代替防止という点からも大変大事な概念であるというふうに思っているわけであります。ただ、業務という言葉自体が大変抽象概念でありまして、仕事というふうに置きかえてもおかしくないような言葉であります。そういうことで、従来の二十六業務につきましても、先ほど申しました例えば通訳、翻訳、速記の業務とか、受付、案内の業務というふうに、何か修飾語をつけて範囲というものを確定するというふうにしているわけであります。今般、そういう職務限定というふうな考え方から期間限定に切りかえているわけで、したがって、そういったことも反映をして、同一の業務について一年を超えて派遣を受け入れてはならないというふうな規定になっているわけであります。 この同一の業務の解釈ですけれども、極めて単純に言えば、前任の派遣労働者が行っていた業務をそのまま引き継いでやるような場合には同一の業務というふうに言えると思うんですが、そういった解釈では常用代替の防止という今回の改正の趣旨に照らして余りに狭くなり過ぎるのではないかというふうに考えております。この同一の業務の解釈につきましては、企業におけるその企業の活動の最小単位、班とか係とかそういったものの中に行われている業務はこれはすべて同一の業務ではないかというふうに解釈をし、運用していきたいというふうに考えているところでございます。
○斉藤滋宣君 それで、もう一つ前の質問のところにまた戻るわけでありますけれども、私は、従来の二十六業種と今回新たに認められる適用業種、この期間の二重構造というのが非常に今回の改正をわかりにくくしている面があるのではないかと思います。 言うまでもないことでありますけれども、いわゆる二十六業種については、一年間という制限はあるにしても、二回更新、三年まで認められる。そしてさらには、派遣元を変えたり、契約を変更したり、そして派遣労働者が入れかわればさらに延長できるという制度になっているわけであります。それに対して、今回新たに加えられる適用業種については、今、局長のお話にあったように一年間で終わり、派遣元を変えようと契約を変えようと、それはだめですよということになっているわけであります。 そうすると、現場という言い方は大変失礼かもしれませんけれども、そこでこういう二重構造になっていることで、二階建てになっていることで混乱が生じないのかな。これはいろんな議論がありますから、すべてを一年にすべきだという議論もあれば、すべてを二十六業種のようにしたらどうだという議論もあろうかと思いますけれども、私は、二階建てということでいいのかなと非常に疑問を感じますし、今回の法改正をわかりにくくしているのではないのかなと思うわけであります。 例えば、こういう言い方をすると大変失礼かもしれませんけれども、二十六業種のとき、いわゆる専門的な能力を持った人を派遣するんだ、そのことによって常用代替は進まないんだということを言ってきましたけれども、でも実態はどうかといいますと、専門的業種しか認められていない労働者派遣の中にそうではない一般事務的な人たちもかなりいるという話があることも事実であります。 そうすると、じゃ、今度はこの二十六業種とそれ以外の適用業種という中にそういう差が出てきたときに、働いている人が二十六業種で来ているのか、またはそれに該当しない方で来ているのか、そこの判断というのがなかなか難しいのではないのかな、今でもそういうところがあるわけですから。ですから、こういう二重構造でいいのかなというふうに私は思うわけでありますけれども、労働省のお考えはいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 労働者派遣法というものをこれからつくるということにもしなるとすれば、恐らくこういう二重方式にはならなかったのではないかというふうに思いますが、出発が専門的な業務から始まっているということで、先ほどからお話もありましたが、既に社会にこれは定着しておる、数十万の方がこの派遣労働で働き、また企業の需要もある、専門的能力を市場から迅速に調達したいという需要も十分ある、こういったことを考えますと、今般の改正に当たって、やはり従来のものはそういったものとして存置し、新しくつくるものについては広くする一方で期間限定をするということになりまして、確かに構造としてはわかりにくい面があると思いますし、実際に混乱の生じる余地もあるのではないかというふうに思います。 したがいまして、その対応といたしましては、派遣契約の中でどういう業務に従事するか規定をすることになっておりますが、その規定の仕方としては、現行の二十六業務、政令でいう何号に当たるのか、あるいはそれ以外の今般拡大したものであるのか、それを厳密に書いていただくという指導はもちろんしたいと思いますし、それから、二十六業務と今回拡大される業務と合わせて一人の派遣労働者を行うというときには一年間の限定の方の制約を受けるということで運用したいというふうに思っていまして、現場における混乱、そういったものはできるだけ避けていくような努力はしたいというふうに考えているところであります。
○斉藤滋宣君 ぜひともそのようにお願いしたいと思います。 次に、クーリング期間についてお伺いしたいと思います。 三カ月程度クーリング期間を見ていきたいということのようでありますけれども、この三カ月というのはなぜ三カ月なのか、それが一つあります。それともう一つは、ほかの国でも例があるようでありますけれども、例えばこのクーリング期間の三カ月というのを使いまして、リストラを行った企業がその三カ月間労働者派遣を受けることができない、そういうような立法例もあるようでありますけれども、そういうお考えはないのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 三カ月といいますのは、これはあくまで解釈ということでございまして、同一の業務について継続して一年を超えて派遣を受けてはならないという、その継続しての解釈でございます。三カ月も期間をあければ、常用労働がなくてもやっていけるということでは無理があるのではなかろうかというふうなことで、いろんな御議論を踏まえまして三カ月というふうに考えているわけでございますけれども、なお、法制定後にはもちろん関係審議会の意見もさらに聞く必要があろうかというふうに思っているところであります。 実際問題としては、一カ月では余りにも短い、その間は何とか企業の方がやりくりをして一カ月ぐらいしのげるのではないかというふうなこともあろうと思いますが、三カ月ぐらいをあければ企業が何とかしのぐというには限界があって、本当に必要であれば常用労働者をそこに配置するのではないか、こういったことを考えて、継続しての解釈として三カ月というふうに現在は考えているところでございます。 過去にリストラのあったところにどうかという御質問ですけれども、過去にリストラをやったかどうかということはなかなか外部からはわかりにくい面もありますし、また、そういった企業が実際に確かに本当に人が欲しいんだと、事業がまた軌道に乗ったというふうなときにこれを禁止するということになれば派遣労働を活用するという道もふさがれるわけでありますから、そういったことは適当ではないのではないかと考えております。
○斉藤滋宣君 今回の改正案で、当分の間、製造業における労働者派遣事業を禁止するということになっておりますけれども、これはなぜでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 製造業の生産工程、いわゆる現場におきましては、大変遺憾なことですが、現在でも偽装請負というふうなことが間々まだ見られるわけで、行政としても指導しているわけでありますが、そういった形態がある、あるいは、複雑な臨時工とかそういった仕組みもまだまだあるというふうな中で、これにさらに派遣労働が制度として乗っていくということになりますと、現場における指揮命令系統あるいは労働者への責任、そういったものがあいまいになるおそれがあるのではないか、こういった懸念がありますために、これについては今般は除外するというふうにしているところであります。
○斉藤滋宣君 大変失礼な言い方になるかもしれませんが、私は今の答弁自体は理解できるのでありますけれども、その議論が正直申し上げて本末転倒じゃないかなと思うんです。 というのは、偽装派遣があるから製造業に派遣してはならないということになれば、言ってみると違法状況をまず認めておって、それがあるからそういう派遣は認めないんだということになるのではないかなと。そうではなくして、やはり違法なものをきちっと取り締まって、そういうものがなくなるような状態にしていくことが私は労働省の指導ではないのかなと思います。 ですから、やはりそういう偽装請負というものに対する取り締まりがきちっと行われ、そういうものができない状況というものをつくることがまず前提であって、そういうのが危惧されるから製造業では労働者派遣を認めないんだというのはちょっと本末転倒の議論じゃないのかなというふうに、大変失礼な言葉でありますけれども、私はそのように思います。 中央職業安定審議会からも、この偽装派遣については明確な基準を立てていく必要があるということを指摘されているときでもありますから、やはり労働省としても派遣と請負の区分について、今後どのように対応策を持ってこの区分をどう明確にしていくのか。そしてまた、労働者派遣法違反の取り締まりについてはさらに強化して、そういう違反が起こらないように指導していく必要があると私は思いますけれども、労働省の方としてはどういう対応をお考えになっているでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 製造業の生産工程の除外につきましては、今般の改正の附則におきまして「当分の間、労働者派遣事業を行つてはならない。」というふうにしているわけでありまして、未来永劫に除外されるということは法律も想定していないわけであります。 今、委員御指摘のように、派遣と請負との区別につきましては、現在ももちろん基準をつくって運用しているわけでありますが、中央職業安定審議会からも御意見をいただき、国会審議でもいろいろ御意見をいただいておりますので、改正法の成立後におきましては、区分をさらに明確にして、それに基づいてさらにきちんと行政としても指導し、この「当分の間」というものが、法律でこう書きますと随分長い間置かれていることがあるんですが、決して行政の怠慢でこれがいつまでもこうなるというふうなことのないように心がける所存でございます。
○斉藤滋宣君 ぜひとも偽装請負につきましては、実際に労働法違反でもありますし、それから職場に与える影響も非常に大きいものがありますから、厳重に取り締まって指導していただきたい、そのようにお願い申し上げておきます。 それともう一つは、専ら派遣の件でありますけれども、専ら派遣も最近いろんなところで議論になっておりますし、特に最近、金融業界等でこの専ら派遣の話題が多くなってきております。 やはりこの専ら派遣は禁止されているわけでありますから、その禁止されている趣旨をきちっと生かして、こういう専ら派遣が行われないような対応を労働省としては指導していかなければいけないと思いますけれども、この専ら派遣につきまして、局長の御意見をお伺いいたします。
○政府委員(渡邊信君) いわゆる専ら派遣につきましては、これは労働力の需給調整ということではなくて単にリストラ策に使われているというふうなことでございまして、従来からもこのような専ら派遣については、労働大臣は改善の勧告ができるというふうにされていたところであります。 今般の改正におきましても、許可の基準におきまして専ら派遣についてはこれを許可しないというふうにしているところでありますし、また改正法の成立後は専ら派遣をしてはならないということを許可の条件として付すということを考えております。したがって、運用におきまして、許可された後でありましても、条件違反があったという場合には最終的には許可の取り消しや事業停止命令をかけるということで対応することを考えております。
○斉藤滋宣君 私は、専ら派遣について、今そういう法的な縛りをつけたことは大変評価するのでありますけれども、では実態の取り締まりとなると、なかなか取り締まれないのが現状じゃないのかなと。例えば、定款の中に専らでない定款をつくっておけばいいとか、実際にはAという会社にしか派遣していないけれども、営業が、Bという会社、Cという会社に行ったけれども仕事がとれなくてAになっているんですということであれば違反ではないということのようであります。 これは取り締まる側としてもその判断基準が大変難しいところだと思いますけれども、やはり今これだけ第二人事部、リストラ策という格好で社会的にも批判される、そういう目で見られている派遣形態でありますから、もう少し今後の課題として基準をどこに置いて、そしてこの専ら派遣というものをしっかりと取り締まっていくんだという格好での労働省の考え方を今後まとめていく必要があるんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) なかなかはっきりした実態というのは把握していないんですが、従来からの公共職業安定機関によります事業所への指導監督結果によりましても、そういったものの存在が報告されております。今般、特にこの点に関する規定の整備もし、許可の条件にも付そうというふうに考えておりますので、この点については指導監督をさらに強めたいというふうに思います。 また、派遣労働者からの申告権とかあるいは公共職業安定所がそういった派遣労働者からの相談に応じるというような規定も整備いたしました。そういったルートを通じましても、この専ら派遣が行われることのないように監視していきたいというふうに思います。
○斉藤滋宣君 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。 次に、今回の改正によりまして高齢特例と育児・介護休業特例が廃止になります。育児・介護休業特例につきましては一年間を超えて派遣できるように措置されておりますけれども、高齢特例労働者派遣事業の方についてはほかの適用業種と同じように一年間を超えて派遣してはならないということになっております。 私は、先ほども冒頭で申し上げたとおり、今高齢者の皆さん方の求職要望というのは高いものがあるにもかかわらず求人という面では非常に少ない、実際に職についている方も少ないというのが現状であります。やはりこれからの少子高齢化時代を見たときに、労働力が減少する中でいわゆる良質でそしてまた経験豊かな労働力をいかに社会に活用していくかということも一つの大きな視点だと思っているわけであります。そういう中で、せっかく派遣であっても高齢者の方が職についた、でも一年たったらやめなきゃいけない、そういうことであれば今度再度職につこうと思ってもなかなか難しいというのが現状ではないのかなと考えるわけであります。 ですから、六十歳以上、例えば六十五歳ぐらいまではこの一年という期間限定を外して何年間か勤めることができる、そういうような格好に持っていくことができないのかなと思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 育児休業の代替派遣につきましては、育児休業が産前休業と合わせて取得されるケースが多いものですから、一年ではおさまり切らないというふうな特殊事情もあって今般例外を認めることにしておりますが、高齢派遣につきましては、御指摘のように常用労働代替の防止というふうな観点から一年間と制限をする、従来どおりの措置としているわけであります。 ただ、今御指摘ありましたが、高齢者の方の再就職というのは大変厳しい状況にあります。若い人の求人倍率より一けた違うというふうな、極端に言えばそんな状況でございます。また一方、高齢者の方は働くニーズとしても時間の合ったときに働きたいときに働きたいという方も多いわけでありまして、そういった意味では高齢者の方にとっての派遣というのは相当有意義なものではないかというふうに思います。また、少しずつではありますが、高齢者派遣の実績もふえてきているわけであります。 今御指摘の問題は、今後の実施状況を見まして、三年後の見直し規定もございますので、そういうときに十分検討する課題ではないかというふうに思います。
○斉藤滋宣君 ぜひとも御検討いただきたいと思うんです。お言葉を返すようでありますけれども、私の認識が間違っておるのかもしれませんが、高齢特例と育児・介護休業特例、この一年間の実績を見てきますと、育児・介護休業特例については実績九件、高齢特例については一年間の実績三十五件、徐々にふえておると言う割には非常に寂しい数字だなと私は思うわけであります。 この制度そのもの、事業がなくなって今回の派遣法の中に組み入れられることになりますけれども、でもその趣旨そのものは、私は決して悪い制度ではないし、ぜひともこれを活用してもらいたいなというふうに思うわけであります。しかし、この実績を見ると余りにも低いのでちょっとびっくりしたわけであります。私の持っている数値が間違っているかもしれませんが、もしこの数値が正しいとするならば、こういう制度がうまく利用されないというのは、一つにはそういう制度があるということがよく理解されていないのかなと。やはりこういう制度をきちっと広く広めていく、そういう必要があるのではないかと思います。 実績の数字が間違っていてこういう議論をするのは大変失礼かもしれませんが、もし間違っていたらお許し願いたいと思いますが、私の調査ではそういうことになっているものですから。 ぜひともこの制度を活用できる、そしてまた今回の派遣法の改正によって育児・介護休業も認められ、高齢者も認められているわけですから、さらにこういうものを活用できるような啓蒙活動というものも今後していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 平成九年度の私どもの調査によれば、高齢者派遣の実績は千三百六十五件ということになっていまして、前年度の倍近くになっているわけですが、いずれにいたしましても、高齢者にとってこの派遣というのは大変意味のある制度だというふうに思いますので、まだ極端に少ない数字だというふうに思います。 また、今回対象業務が拡大して、需要先としては営業とかそういったところが大変伸びていくのではないかというふうに想定されておりますが、そういった分野は特に高齢者が培ってこられた経験というのを大いに発揮できる分野でもありますから、そういったところに派遣が広がっていく中で、例えば高齢者の方についてもあわせて広がっていくというようなことも期待したいというふうに思っているところであります。
○斉藤滋宣君 どうも済みません、私の数字が間違っておりまして、申しわけございません。おわび申し上げます。 それともう一つ、派遣についてですけれども、ジョブサーチ型の派遣はただいま禁止されているわけでありますけれども、常用雇用の確保という点から考えればやっぱり一つの選択肢ではないかと私は思います。ですから、労働力の需給調整機能を高めるためにも、こういうジョブサーチ型の派遣というものも今後認めていく必要があるのではないかと思いますが、労働省はいかに考えておりますでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 職業紹介を目的としますいわゆるジョブサーチ型の派遣は、これは法律ではなくて運用において禁止をしているわけであります。これは、派遣法が制定された当時、雇用者責任があいまいなものになるのではないか、こういった懸念のもとにこういった措置がとられたというふうに承知をしております。 これを今後どうするかということにつきましては、この法律改正について審議をいただきました中央職業安定審議会でも積極、消極両論があったところでありまして、法改正が成りました後にさらに審議会でいろいろ御議論していただきたいというふうに思っておりますが、今委員おっしゃったような積極的な意味合いがあることも確かではないかというふうに思います。
○斉藤滋宣君 ありがとうございます。 最後に、大臣、最初と最後で申しわけございませんが、質問させていただきたいと思います。 今中央省庁の再編ということが言われておりますけれども、その中で、厚生労働省への移管に伴いまして労政局の廃止ということを聞いております。今までの労政局そのものの機能、位置づけ、やはり労働者、そしてまた使用者団体等から政府が幅広く意見を聞きながら十分に労使の意思の疎通を図っていくということはまだまだ大変重要なことだと思いますし、またこれからの社会情勢並びに雇用情勢等を考えたときに、労政局の持つ機能というものが高まることはあったとしてもその必要性が低くなるということは私はないのではないのかなと思っているわけであります。決まってしまったことを今とやかく言うことはあれなんでしょうけれども、やはりこれからの新たな労使関係の枠組み等を考えたときに、この労政局の持つ機能というものを私はさらに強化して再編される厚生労働省の中にきちっと生かしていかなきゃいけないと思うものであります。 そういう十分な体制整備というものはもう労働省の中できちっと検討されていると思いますけれども、労働大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 現在、審議をされております中央省庁の再編法で、全体として局の数を大幅に減らします。そういった中で、現在あります労政局に該当する局としての設置は行わないこととされているわけであります。 労使が対立の極にあって激突をしていた時期は、これをどう調整するか、労政局というのはまさに労働行政の中核的な存在でありました。現在は労使が協調して物事に取り組んでいくという日本型のいい意味での伝統がつくられてきたわけでありますけれども、先生御指摘のとおり、だからといって労政局が必要なくなるということではもちろんございませんで、政府側が労働組合であるとかあるいは使用者団体等から幅広く意見を聴取いたしまして、そして十分に意思疎通を図っていくということは今後とも変わらぬ重要な課題であります。 労政局が従来から担ってきましたこの役割につきましては、新しい省、厚生労働省の所掌事務として明記をされているわけでありますが、どういう位置づけにしていくか、私どもはできるだけ局に横並びするようなポジションといいますか、局長級のポストとして考えてもらうように今要請をしているところでありまして、先生の御指摘を踏まえて十分に主張していきたいというふうに考えております。
○斉藤滋宣君 どうもありがとうございました。 終わります。
○小宮山洋子君 それでは、続きまして、民主党・新緑風会を代表いたしまして、私は派遣法改正の方を中心に幾つか質問をしていきたいというふうに思っています。 まず大臣に伺いたいんですけれども、今回の派遣法改正、これは労働基準法の改正とともに労働分野での規制緩和の柱の一つと言われておりますけれども、このねらいを改めて伺いたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 今回の労働者派遣法の改正案は、広範な業務分野におきましていわゆる臨時的、一時的な労働力需給の迅速、的確な結合を促進するために、労働者派遣事業を行うことができることとすることによりまして労使のニーズに対応した多様な就業機会の拡大に資するものであるということが改正のねらいなのであります。 要するに、選択をするのは当事者の意思でありますが、いろんな働き方を用意しておく、そして柔軟に対応ができるようにする。これはもちろん、働く側にとってのニーズとそれから求人側にとってのニーズ、両方をそんたくしたものというふうに理解をいたしております。 ただ、この規制緩和をいたすに当たっては、懸念される点が確かに指摘されているわけでありまして、その点を防止しながら有用性をできるだけ引き出したいというふうに考えておりまして、常用雇用の代替の防止や労働者保護のための各般の措置を講ずることとしたわけであります。 先ほど来失業率の話が出ておりますが、ミスマッチの問題がその大宗を占める。ミスマッチの解消に資する一つとして今回の法改正をお願いしているところであります。 いろいろと御指摘をいただいておりますことを踏まえまして、遺漏なきを図っていきたいというふうに考えております。
○小宮山洋子君 先日の参考人質疑の際にも参考人のお一人の古川弁護士などから指摘された点ですけれども、例えば韓国の派遣法には労働者保護ということがはっきりと明記されているのに対して、今回の派遣法改正は労働者保護の視点が足りないのではないかという指摘が参考人からもございましたし、私もそう思うのですけれども、その点については大臣はどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 私どもの今回の改正案が韓国の法律より労働者保護という点で劣っているとは全体としては考えにくいというふうに思っております。 従来からの労働者保護措置に加えまして、派遣労働者等の個人情報の保護であるとか違法事項があった場合の労働大臣への申告制度、そして派遣先における適切な就業環境の維持等、これら労働者保護措置の拡充を行っているところであります。それから、衆議院での修正におきまして、派遣先が派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないように努める義務であるとか、あるいは派遣先におけるセクシュアルハラスメントの禁止規定等が設けられたところでありまして、全体としてはかなり労働者保護措置に配慮をした仕上がりとなっているというふうに思っております。
○小宮山洋子君 今回の派遣法改正で非常に大切な視点としては、今大臣もおっしゃいましたけれども、やはり常用雇用の代替にならないようにすることと派遣労働者の労働条件の確保、権利の保護、この二つの視点が欠かせないというふうに考えます。 まず、常用の代替防止の観点から幾つか伺いたいと思うんですけれども、一つは、私は派遣事由を臨時的、一時的業務に限ると限定することが必要なのではないかと思うのですが、その点はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 派遣事由を臨時的、一時的業務に限定してはどうかという御意見でございますが、各国の例を見ますと、アメリカやイギリスのように派遣についてほとんど何も規制を設けていない国もあるわけですが、多くの国では常用代替の防止というふうな観点からいろいろな制限をつけております。ドイツのように派遣期間の制限を行う国のほか、御指摘のようにフランスにおいては派遣事由による制限というものを現在行っております。どういった規制を行うかということは、各国の労働市場の状況あるいは雇用慣行等いろいろなことが考えられてそういった規制になっているというふうに思います。 派遣事由による限定を行っておりますフランスについて見ますと、まず派遣事由の事実認定、これはなかなか実際には難しいようでありまして、その運用にかなりの人的、経済的コストがかかっているというようなことも指摘されているようでありまして、必ずしも十分な実効が上がっているというふうには承知をしておりません。 こういった事情や、あるいは関係審議会の御意見をお聞きしまして、比較的客観的に明らかになる期間による代替防止というものを今回の改正法では採用しているところでございます。 いずれにいたしましても、三年後の見直しということがありますから、運用の実情等を見ながら、代替防止に実効を上げるためにどういった措置が必要かということはその時点において検討する必要があると思います。
○小宮山洋子君 今ありましたように、例えばフランスでは空きポストが一時的であること、あるいは業務の予期できない一時的な増加、それから季節的な業務に限定をしているわけです。コストが上がってなかなか実効性が上がらないというお話もありましたけれども、私は一つの考え方してはこのフランスのような形、事由で限定することは可能なのではないかというふうに思うんですけれども、重ねて伺いたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 常用雇用の代替防止ということは今回の改正の大きな柱でございまして、派遣対象業務を広くすると同時に、これについてはきちんとした歯どめをかけるということが今回の大きな改正の趣旨の一つであります。どういった方法を採用するかということは、国情にもよると思いますし、先ほど申しましたようなコストというふうなこともやはり考慮の対象にはなるんではないかと思います。 先ほど御答弁申し上げたとおりですが、期間というのは比較的客観的にこれを明らかにできるというふうなことで、特に今般は派遣先を変えても派遣労働者を変えても派遣を始めたときから通算して一年、一月からであれば十二月末日までというふうに暦日でこれが客観的に明らかになるというふうなことでございまして、そういったことをいろいろ考えますと、現行においては少なくとも期間による制限が一番ふさわしいのではないかというふうに考えております。
○小宮山洋子君 常用雇用の代替にさせないということについては、日経連もそういう派遣は認めないということを言っているわけですけれども、例えば常用代替と考えられるような派遣は認めないということを法文上明らかにすることは難しいのでしょうか。例えば、部門を丸ごと派遣会社に移籍してそこで派遣労働者として同一業務をさせるとか、あるいは正社員を解雇した後に派遣を使うというような、常用代替と考えられる派遣を認めないということをもっとはっきりした形で明らかにすることはできないのかどうか。
○政府委員(渡邊信君) 今御指摘のありました点は、いろんなケースがあると思うんですが、それを通じる仕組みとして一年間の期間というものを使って常用労働の代替を防止しようというふうにしているわけであります。 例えば、今御指摘のあった専ら派遣につきましては、今般の改正によりましてもこれを禁止する、あるいは許可を与えた後でも条件違反として許可の取り消しをするというふうなことで、別途の制度として仕組んでおります。 解雇した後に派遣を使うかどうか。これは常用労働が必要な分野であれば解雇した後にやはり常用労働者を雇わないとその企業の仕事が進まないということでしょうし、派遣で間に合うということであればそれはそういう仕事に切りかえたということでしょうから、必ずしも解雇した後に派遣を使うということが一般的に言って許されないということはなかなか難しいのではないかなというふうに考えております。
○小宮山洋子君 衆議院で、改正法施行三年後に派遣事由の限定などを含めて派遣法の規定について検討を加えるということを答弁されていると思うんですけれども、その点をもう一度確認させていただきたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 今般の派遣法の改正は、先ほども御指摘がありましたが、いわゆる二階建てといいますか二重構造になっているような問題がありますし、それから対象業務を大変広く拡大して、一年という縛りをかけるということも初めての制度でございますし、施行に伴っていろいろな問題も生じてくるかと思います。そういったことで、改正附則におきまして三年後の見直しということを規定しているわけであります。 施行の実情を見て、その時点において御指摘されているようなもろもろの問題点を含めて検討する必要があるというふうに考えております。
○小宮山洋子君 今回こういう形で歯どめをしたと言われている期間の限定が実効性のあるものにならなければいけないと思いますので、その点で幾つか伺いたいというふうに思います。 一年を超えたら正規に雇うよう努めるというふうになっていまして、衆議院での修正で、雇い入れ勧告をして従わなければ公表をするということになったわけです。これは一歩前進ではあると思いますが、相変わらず努力義務のままでありまして、監督官庁が監視できる仕組みにはなっていないのではないかと思うんですけれども、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 確かに雇い入れ勧告の制度はこれは努力義務ということでございまして、勧告に伴って労使の意思が合致したときにこれを正規雇用といいますか常用雇用として雇い入れるというふうな制度でございます。 ただ、その監視に実効性が上がるかどうかという御質問ですけれども、派遣につきましての監督機関は全国の公共職業安定所でございまして、定期の監督やあるいは派遣労働者からの申し出による監督というものを年間かなりの件数を行っておりますし、また今般、派遣労働者からの申告の制度とかあるいは安定所が派遣労働者の相談に応じるというような規定も置いてこれを明記したというふうなことでございます。また、派遣労働者自身にこの法律の趣旨を徹底するということも大事なことであると考えておりますので、そういったいろいろな仕組みを活用してこの違反がないように、あるいは一年を超えた場合の勧告の制度が適正に発動できるように大いに努力をしていかなければならないというふうに思っているところであります。
○小宮山洋子君 例えばドイツなどのように期間を超えた場合にはユーザー企業である派遣先への雇い入れが強制されるみなし雇用の制度を持つ国も多いと思うのですけれども、この点については日本では取り入れられないんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 先ほどの議論にもありましたが、各国においていろいろな派遣の制限という措置がとられているわけでありまして、それぞれの国情とか法制度とかそういったものがいろいろと背景にあろうかというふうに思いまして、各国の制度、必ずしもすべて理解しているわけではありませんけれども、我が国においては努力義務ということで規定しているわけであります。事業主の方には、一方で憲法上の権利として営業の自由というふうな、これには採用の自由を含むと思うわけでありますが、そういった権利もあり、一方で雇用に対する規制法制としては雇用機会均等法による男女の差別扱いの禁止というふうな規定、あるいは障害者について一定の割合を採用しなければいけないという雇用に関する規制の立法も一方であるわけであります。 そういった中で、特定のこの人を採用しろ、あるいはみなし雇用だというところについてまで強制をするということが果たして日本の法制度にかなうものかどうか。あるいは、雇用という長い契約関係においてそういう雇用の強制というものがあって雇用関係が円滑にいくものかどうか。そういった点については大いに議論の余地がまだあろうかと思いますし、雇用の強制ということについて、あるいはみなしということについて、必ずしも現時点で社会的なコンセンサスが得られているともなかなか考えにくい。こういった状況から、雇用の勧告というのはどうもぎりぎりの調整規定ではないかというふうに理解をしております。
○小宮山洋子君 例えば、一つの班とか係に複数の派遣労働者を数カ月単位で異なる派遣会社から受け入れたというような場合、その同一業務の派遣の上限一年というのはどこに当てはまって、どのようにして特定されるのかということをちょっと伺いたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) これは、同一の業務について一年を超えて派遣を受け入れてはいけないということでありますが、今申されたように、複数の派遣会社から複数の労働者を受け入れているというときに、これもやはり「同一の業務」の解釈に係るものであると思いますが、企業の最小の活動単位の中において行える業務というものは同一の業務であるというふうに解釈をしているところでありまして、係の中で隣の席に移ったからもう同一の業務ではないんだ、違う業務をやっているからいいんだというふうなことにはならないというふうに考えているところであります。 したがいまして、違った係や班において違った派遣労働者を受け入れているというときについては、それぞれを別々の業務と見るというか、それぞれが違った業務に従事しているというふうに一般的には判断されると思いますが、ただ組織の形態というのはいろいろありますから、単に形式的に組織を分けているというようなところについては、実態を見てそれがやはり同一の業務に当たるというふうに解釈される余地ももちろん十分あると思います。
○小宮山洋子君 やはりこの期間の限定に実効性がありませんと、常用雇用の代替になりまして不安定な働き方を増すことになると思いますので、ここのところの実効性というのはぜひ確保されるように努力をしていただきたいというふうに思います。 先ほどの質問で同一業務のことにも触れたわけですけれども、やはり同一業務の定義、これがしっかりするということがひとつぜひ必要なことだというふうに思っています。 今回、ネガティブリスト方式で原則自由化になりますと、本当に多種多様な業務で派遣ができるようになりまして、そのあたり境界線がかなりあいまいになるケースもあるのではないかというふうに思います。先日、この委員会で派遣会社に視察に参りましたけれども、そこでもかなり複合的な仕事が多いという話がその派遣会社の方からありました。 その同一業務の定義というのをどのようにするのかを伺いたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) まず、業務という言葉自体が大変抽象的な言葉で、先ほども御答弁しましたが、仕事というのとほとんど同義のような言葉ですから、それ自身ではなかなか境界を画定することは難しいと思います。やはり今回の改正の趣旨、そういったものも加味しながら解釈をしていく必要があるというふうに思います。 極めて単純に言えば、前任の派遣労働者が行っていた業務がいろんな業務があったとして、それが同一の業務になって、その派遣労働者がいなくなったので後任にまた別な派遣労働者を入れるというような場合は、典型的に同一の業務について派遣を受け入れたということになると思いますが、先ほど申しましたように、法改正の趣旨から申しますと、やはりそれでは余りに狭いというふうに考えておりまして、企業の最小単位において行える業務はそれが全体として同じ業務ではないか、同一の業務であろうというふうに解釈、運用していきたいと考えているところであります。
○小宮山洋子君 先ほどの答弁にもありましたし、衆議院の審議でもそのように答弁をされていた班とか係を基準とするということで、これで十分なんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 班や係と申しますのはあくまで一つの例示でございまして、企業の活動の最小単位が一般的にそういうふうに呼称されている場合が多いのではないかということでございます。企業の実態はもちろんさまざまでありましょうから、いろんな実態に応じた考え方の基準というものをはっきりさせることが必要であると思います。その点は解釈の問題でありますが、審議会の御意見等も十分お聞きしながら、これは客観的に明らかになるようにする必要があるというふうに考えております。
○小宮山洋子君 同一の事業所内で異動、先ほど隣の席はという話があって、隣ということはないかもしれませんけれども、同じ事業所の中で異動をさせていわゆる転がしをしていくということを防ぐためには、事業所ごとの同一業務という中に業務の一部が同一ということも含む必要があるんじゃないかというふうに思うんですけれども、その点はどうでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 企業の組織単位として複数の単位があるというときに、それぞれの単位の中に類似の業務があるというふうなことは当然あると思いますけれども、それはあくまで一部の類似であるというふうに思います。原則的な解釈は、一つの係や班、企業の最小単位で行えるものを一つの業務とみなし、その中の異動は同一の業務内の異動というふうに判断をし、企業の活動単位を超えて別の仕事につくということになると、これは基本的には別の業務に従事をするということになろうかと思います。 ただ、いずれにしましても、これは抽象的な話でございますので、企業の実態に応じてそこのところは判断されるべきだというふうに思いますし、単に規制を逃れるために係を複数に分けて実態は一人の指揮命令権者でやっているというようなところについては、それ全体が同一の業務と見られる余地ももちろんあり得ると思います。
○小宮山洋子君 やはり業務の中のかなりの部分は、先ほどから複合的な業務がふえているという中で、どこの部分までが重なったら同一であって、どれだけずれたら同一でないのかというのは非常にこれは難しいと思います。先ほども、審議会でなるべくそのあたりのところを明確にと言われました。そのことを実際にぜひやっていただきたいと思うんです。そうしませんと、ちょっとずつずらしていったら、ずっと違う業務で続いてしまうということもあり得るのではないかというふうに考えます。 それから、先ほど斉藤委員の質問にもありましたけれども、インターバル、クーリング期間をどの程度に、三カ月というお話がありましたけれども、そのあたりのチェックはどういうふうにするんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) これは「継続して」という規定の解釈になるわけですけれども、例えば一カ月では短いのではないか。一カ月ぐらいだと、何とか手持ちの労働者でやりくりをして、一カ月たったら新しい派遣が受けられるというのではこれは余りに、継続しての解釈としては短いのではないかというふうなことは言えると思います。 確かに、継続しての解釈がイコール三カ月であるというのはかなり大ざっぱな解釈ではあるかと思いますが、その点は、三カ月ぐらいあれば常用労働の代替にはならないのではないかという、大体のそういう意見ではないかというふうなことを考慮し、国会でのそういった御議論も考えまして、三カ月以上あけば継続してとは言えないんではないかというふうに考えているところであります。 このチェックと申しますのは、これは安定機関におきます監督指導等の中でそういったことを十分指導する、あるいは事業主の団体等を通じて周知を図る、こういった方法が考えられるのではないかというふうに考えております。
○小宮山洋子君 今安定機関でというお話がありましたけれども、安定機関でこのことを担当する方はどれぐらい人数がいらっしゃるんですか。その皆さんに行き渡るようになるんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 職業紹介とかそういったことが基本ですから、なかなかこの指導監督に割ける人数というのは限られておりますが、それでも年間千件を超える単位で指導監督の業務を実際に行っております。 今後は、派遣労働者からの申告とか、安定所が相談を受け付ける権限といいますか、業務規定をはっきりと法律に置いておりますので、そういったことも活用できるのではないかと思いますし、民間の方に協力員というような形で御協力を願っていますので、活動が不十分じゃないか、手当が少ないというような御意見もありましたが、その辺の充実を工夫するというふうなこともあり得ようかと思っております。
○小宮山洋子君 今民間に協力員とおっしゃいましたが、これはどういう仕組みで、どの程度実効の上がる仕組みなんですか。
○政府委員(渡邊信君) これは、派遣労働に詳しい民間の労使の方にそれぞれ委託をいたしまして、派遣に関する相談とかあるいは制度設計とか、そういったことの相談に応じ指導をしているというふうなことでございまして、現在では全国で約九百五十名の方に委嘱をしております。
○小宮山洋子君 ぜひいろいろな形で実効性のある形をとっていただきたいというふうに思います。 それともう一つ、業務のことでなんですけれども、今ある二十六の専門的業務とそれから今度新たに原則自由化されるものとの明確に区分できる業務指定が必要なのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 従来の二十六業務に加えて、期間制限のつく一年間の派遣ということでございまして、派遣が行われるときには期間制限がかかるかからない、二十六業務は三年までの運用ということでやっておりますが、それぞれ違った仕組みでありますから、そこのところは明確にやはり区別をする、はっきりさせるということが必要だと思います。 派遣契約において従事する業務というものを規定することになっておりますが、その際には、二十六業務であれば政令のどこに定める業務であるというようなことをはっきり規定していただく、あるいはそれ以外のものであれば、これは指揮監督者の氏名等も書くことになっておりますから、そういったことできちんとこれは区分できるというふうに、できるだけ具体的、明確に派遣契約において規定していただく必要があるというふうに思います。
○小宮山洋子君 先ほどからどうやって実効性を上げるのか、どうやってチェックをするのかということを伺っているわけなんですけれども、常用代替を禁止するということについては、特に監督の体制がきちんとしていないと守られないのではないかという心配を持ちます。 先ほどからどうもそれでは不十分だ不十分だという話ばかりしているように聞こえるかもしれませんが、今派遣で働いている人の実態のデータを私はかなりいろいろなルートから入手をしておりまして、それを見ると心配なことばかりなんです。 そういう意味からしましても、きちんとした監督体制が必要だと思うのですが、例えば労基法上の労働基準監督官のような権限、そこの法違反につきましては刑事訴訟法に規定する司法警察官の職務を有する労働基準監督官のような権限を持つ、そういうような立場の人が必要なのではないかというふうに思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) この派遣労働は労働力の需給に係る事柄でありますから、公共職業安定機関においてこれを所管しているわけでありまして、職員が事業所の監督等をやっているわけであります。これについて、一挙に司法警察職員のような権限を与えるかどうかというのはかなり大きな問題であると思いますが、法違反があるというふうなとき、あるいはそれが刑事罰に触れるというようなときには、現行におきましても検察への告発を含め厳正な対処をしているところでありまして、現行のこの制度によって派遣法が守られる、遵守をされるというふうな努力を重ねる必要があろうかと思っております。
○小宮山洋子君 先ほど、職安のところでも年間千件を超える単位でいろいろ受けてやっているというお話がありましたけれども、これからこの派遣についても広がり方、ふえ方というのが非常に急激になると思うんです。 そういう中で、職安の中で今までのようなやり方だけで十分いくかというと、私は心配な点が多いと思いますので、この監督体制についても、三年後の見直しになってしまうのかもしれませんけれども、もっと権限を強化する必要があるというような実態が私は出てくるのではないかと思いますので、そのあたりの検討もぜひしていただきたいというふうに思っています。 それから、先ほど業務の区分のところでも伺ったんですけれども、現在、二十六の業務は専門性が確立されたという形で派遣労働者がある程度の一定の労働条件の中で働いているわけですが、今回、原則自由化になってほとんどの職種でできるようになることによって、この二十六業務に従事しているスタッフの専門性が失われていくとか、今の二十六業務でやっている派遣労働者に不利益が生じるのではないかという心配もあるのではないかと思います。 今の二十六業種も、派遣先の要望によりまして附帯業務としていろいろな仕事に従事するということが現状としてあるわけです。そのあたりで、二十六業務を行っているスタッフに不利益が生じないようにするためにはどうしたらいいというふうにお考えでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 現行でも二十六業務のどれかとあわせて附帯的な仕事が行われ、それが派遣労働者からの苦情というような形であらわれてくることはいろいろあるわけでありますが、今回の改正で、二十六業務のほかに、これとあわせて一年の期間制限を受ける派遣労働を広く行えるようになるわけですから、いわば合法的にこれからはそういうことができるようになるわけであります。その結果、専門業務と別の業務をやることによって専門性がいわば薄れて、例えば賃金等の労働条件の低下が生じるんじゃないか、そういった問題はもちろんあり得るかというふうに思います。 ただ、派遣労働は、事業主の方にしましても、例えば現行の業務ですと、専門的な能力に着目して即戦力として派遣をお願いしているということでしょうから、本来の仕事のほかにいろいろな仕事をして専門性が薄れるということは、果たして効率的な労働力の使用と言えるのかどうか、そういったことがあると思います。 また、例えば添乗の仕事なんかですと、添乗はできるんですけれども、予約をとったりほかのセールスをしたりということは今できないために非常に仕事が限定されていてやりにくいという面もあって、附属のそういった営業の仕事もできるようになれば、派遣の方の仕事の量もふえていく、かえって賃金がトータルとしてはふえるというようなこともあるかと思います。 いずれにしましても、これは使う方、使われる方、そういった取引の中で市場の法則の中でどういう使われ方をするか、どういう賃金決定が行われていくか、市場原理の中でそういったものが決定されていくのではないかと思いますし、あわせて行った結果、労働条件が非常に不利になるというようなことがあれば、もちろん、派遣労働者の方からも派遣先については希望を出す、選択をするということもあるわけでありまして、それぞれの競争関係ではないかというふうに考えております。
○小宮山洋子君 今まで専門性があることである程度賃金の一定の水準が保たれてきたということがあると思うんです。それでもその専門性があっても賃金が今下がってきているような状態にある。例えば派遣労働ネットワークの調査では、九八年より九九年、平均しますと一時間あたり千六百円台から千四百円台に二百円ぐらい下がっている。やはり二十六業務の専門性というのは私はきちんと評価されるべきだというふうに思っております。 こういう現状も踏まえまして、臨時的・一時的派遣と専門業務派遣の区分につきまして、例えば就業条件明示の様式を明確に異なるものにするというような配慮も必要なのではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 今般、対象業務が格段に広がるわけでありますから、その広がる中でもそうでありますし、また、従来の二十六の業務とあわせて行うというときには特別そうであると思いますが、従事する業務というものは派遣契約において派遣元、派遣先で明確に定める、そのためにどういうふうな定め方をしていただけばいいか、恐らくこれについてはモデル様式というふうなものも行政で示す必要があるのではないかというふうに考えております。
○小宮山洋子君 次に、適用除外業務について伺いたいと思います。 附帯決議で、「その業務の実施の適正を確保するためには労働者派遣により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務について、中央職業安定審議会の意見を踏まえ適切に措置する」ということになっておりますが、この点を確認させていただきたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 派遣によって行うことが適当でない業務、これは適用除外業務とすることについて政令で定めることとされているところであります。 具体的にどのようなものをこういったものとして定めるか、それは中央職業安定審議会の御意見を十分に聞いて判断をする考えであります。
○小宮山洋子君 この委員会の前回の質疑の中でも、同僚の谷林委員の方から、タクシーやバスのドライバーについて安全の確保の視点などからの質問をしていますけれども、派遣が適当でない業務に私は医療とか介護も入るのではないかと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) バス、タクシーあるいは医療、介護、いろいろな御意見が出ておりますが、いずれにしましても中央職業安定審議会の御意見をお伺いすることになると思います。 介護につきましては、かつて派遣の専門業務について範囲を拡大するときに議論になった経緯があり、労働省としては介護を派遣の対象にしたいという意思決定をした経緯もあるわけでありまして、こういった過去の経緯等も勘案しながら十分検討を加えたいと思っております。 医療に係る業務につきましては、生命、健康に直接関係する業務でありまして、これについて派遣を認めるということについてはいろんな方面から慎重な意見も出されているというふうに考えております。 こういった御議論を十分尊重しながら、中央職業安定審議会で御議論をしていただきたいと思います。
○小宮山洋子君 今おっしゃったように、医療は命にかかわるものですし、介護の場合ですと派遣先が介護を受ける対象の人になるわけですので、指揮命令を派遣先がするといっても、例えば痴呆の高齢な方のところに行った人がどのようにして指揮命令を受けるのかとかいろいろ問題があると思いますので、私は医療、介護というのは適当ではないのではないかというふうに思っています。ぜひ審議会の意見も踏まえて、きちんとした形をとっていただきたいと思います。 もう一つやはり適用が難しいのではないかと考えるものに、労務とか人事があるんですけれども、これはいかがでしょう。
○政府委員(渡邊信君) 企業の人事や労務管理、そういった業務について派遣を認めるということになると外部の人間がその企業のリストラを進めることになるのではないかということで、いろいろな不安とか懸念が表明されている、そういった事実もあるわけでありまして、そういった部分が適当なのかどうか、我が国の雇用慣行等も十分に考えながら御議論いただくことになるかと思います。
○小宮山洋子君 ぜひ慎重な検討をよろしくお願いしたいと思います。 次に、派遣労働者の権利、労働条件などを守るという観点から幾つか伺っていきたいと思います。 今の派遣の仕組みというのは、派遣元と派遣先の責任が労基法につきましても分かれていまして、それが派遣労働者の権利が守られにくくなっている原因なのではないか、これは働いている方などからいろいろ御意見を伺ってもそういうふうに思います。 例えば、一覧表がありますけれども、労働時間につきましては、労働時間、休憩、休日というのは派遣先の責任で、時間外や休日労働の協定、それから時間外、休日、深夜の割り増し、年次有給休暇については派遣元の責任になっている。そういうようなぐあいになっているわけです。そうすると、働いている人は一々このことはどっちへ行ったらいいのか、どっちの責任になるのか、なかなか現場では難しいのではないか。それからまた、女性の産前産後休業は派遣元の責任で、育児時間、生理休暇は派遣先の責任になっている。 こういうようになりますと、なかなか労働者が自分の権利を守るためにどうしていいのかわからなくなってしまうのではないかと思うんですけれども、この点についてはどういうふうにお考えでしょう。
○政府委員(伊藤庄平君) 労働者派遣事業法におきましては、派遣という仕組みを通じて働く方々の保護のために使用者責任について一定の派遣元、派遣先の関係を明らかにいたしておるところでございます。 基本的な考え方は、まず雇用する派遣元が包括的に使用者責任を負うことを前提としつつ、ただ実際には派遣先において具体的な業務の指示を受け、あるいはそこで働く場合の施設、設備等の管理も派遣先が行うわけでございますので、そういった観点から来る必要な使用者責任というものは派遣先にも負わせていく、こういった仕組みにいたしておるところでございます。 具体的に御指摘ございました労働時間関係について申し上げれば、まず時間外労働あるいは休日労働をするための三六協定といった枠組みにつきましては派遣元が基準法上の使用者責任を負うわけでございますが、ただ具体的に業務を指示して、実際に超過勤務をさせ、あるいは深夜業等をさせていく、そういった具体的な業務指示に伴う労働基準法上の責任というのは派遣先が負っていく、こんな仕組みでその点を明らかにいたしておるところでございます。 さらに、実際の労働者派遣契約を定める場合に、その労働者派遣契約どおりに派遣先で働いた場合には労働基準法等の違反が生ずる、こういう形になる場合には、派遣先について、そのような派遣はしてはならないということを労働者派遣事業法で定めております。さらに、労働基準法等との関係におきましては、そういう派遣契約を定め、実際に労働基準法違反の状態が生じた場合には、派遣元も労働基準法上の使用者として労働基準法違反の責任を負う、こういったことも定めておるわけでございます。 そういった働き方の実情に合わせて、漏れのないように使用者責任というものを派遣元、派遣先にそれぞれ一定のルールに従って負わせておりますので、そういった点の周知というものにつきましては、これからも派遣という仕組みを通じて働く方々がふえることに伴いまして、私ども十分力を入れてその辺の周知に努めますとともに、指導監督の点でも十分万全を期してまいりたいと思っておるところでございます。
○政府委員(藤井龍子君) 基本原則は今労働基準局長がお答えしたとおりでございますが、女性の産前産後休業につきましては派遣元事業主の義務としているわけでございますが、これは産前六週間、産後八週間という大変長期の休暇でございますし、分娩予定日というのがわかりますので計画的に取得できるというようなことから、派遣元事業主の義務にしているところでございます。 一方、育児時間というのは、一歳未満の子供を育てている女性労働者が授乳などその他さまざまな世話をするために一般の休憩時間とは別に請求をして与えられるものでございますし、また生理休暇というのは生理日の就業が大変難しい女性に対する配慮の一環として就業させてはならないということになっているものでございますから、いずれも実際に仕事をしている現場、派遣先において請求することにした方が働いている女性の方の便宜にも資するということ。それから、生理休暇において、就業が困難であるかどうかの判断というのも、その実際の就業の状態を踏まえて判断すべきものであるということで派遣先事業主が責任を負うことになっているものでございます。 言ってみれば、産前産後休業は、先ほど労働基準局長が申し上げましたような枠組みの設定に該当するものであろうと思われますし、育児時間それから生理休暇というのは具体的運用というようなことで分類できるかということで、こういうような整理をしておるものでございます。 なお、御質問にはございませんでしたが、御承知のとおり、男女雇用機会均等法の母性健康管理に関する措置、これについては枠組みそれから具体的な運用の両方とも重要であるということで、派遣元事業主それから派遣先事業主にも責任を課しておるところでございます。
○小宮山洋子君 お昼ですが、関連してもう一問だけ伺って午前中の質問を終わりたいと思います。 今母性に関するものについてはともに責任を持つというお話がありましたけれども、私は、本来でしたらこうしたものはともに責任を持つ体制が必要なのではないかと思いますので、こういったこともぜひ御検討いただきたいと思います。 もう一点伺いたいのは、今十人以下の派遣労働者がいるところでは就業規則の作成義務がないわけですけれども、今度これだけ広がりますと、もっと小さい規模で派遣労働者を使うところもふえてくると思うので、十人以下で作成義務なしというのを見直すおつもりはないのか。就業規則の明示それから業務範囲、業務の指示、これの責任の明確化がぜひ必要だと思いますので、その点についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) ただいま就業規則につきまして、現在の労働基準法は十人以上の事業場に義務づけておるわけでございますが、これについて小規模の派遣事業者も出てくることを考慮してさらにその基準を緩和するといいますか、見直しをしていけないかという御指摘でございます。 実は先般の労働基準法改正の際にも、中央労働基準審議会の方でそうした点について御議論を願いました。ただ、その際には、労働条件の基本的な事項については、新たに労働基準法において雇い入れの際に書面で明示することを義務づける、こういうことで小規模事業場においての労働条件も明確化を図るということで審議会の方の御意見をいただきまして、そちらの方で対処をいたしたわけでございます。 したがいまして、この派遣労働者の場合につきましても、こうした基本的な労働条件の明示というものにつきましては、小規模の派遣事業者であれ必ず派遣労働者に対して的確に行われていく、まずこういうことを徹底させてまいりたいと思っております。 同時に、就業規則につきましては、私どもはモデル就業規則というものをつくりまして、小規模事業場に普及させていく事業もあわせて行っておりますので、そういう際にも、こうした派遣事業者というものも念頭に置いて事業を展開してまいりたいと思っております。 それから、業務範囲それから時間外労働を含むそうした業務指示につきましては、先ほど申し上げましたように、労働者派遣契約において業務範囲をきちんと明確にし、そうした範囲で業務を派遣先で行っていく、もしそういったことが派遣先で十分意識されず、時間外労働等についても野方図になるようなことがあれば、これは現在の派遣事業法におきましても、そうした時間外労働等の業務指示に伴う労働基準法違反というような責任が出れば、それは使用者、派遣先にもそういう責任を負わせていくということを明示しておりますので、そういったことにのっとって的確な対応をしてまいりたいと思っております。
○委員長(吉岡吉典君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午後零時二分休憩 ─────・───── 午後一時二分開会
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案(第百四十三回国会閣法第一〇号)外三案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小宮山洋子君 それでは、午前中に引き続きまして、派遣法改正について質問をさせていただきます。 社会保険、労働保険について伺いたいと思います。 派遣労働者の保険加入につきましては、九七年に会計検査院も加入率の低さを指摘しております。また、派遣労働ネットワークの九八年の調査では、雇用保険は六三%、社会保険は三九%しか加入をしていないという結果が出ています。労働省の調査でも雇用保険は同じく六三%、健康保険が四九%、厚生年金が四六%と、ネットワークの調査よりは少し高くなっていますが、いずれにしても低いと思います。 衆議院での修正と附帯決議で、派遣元が加入をさせ派遣先に通知をする、そして派遣先は加入している労働者を受け入れるべきだと指針に明記するということになっておりますが、この点を確認したいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 衆議院におきます修正によりまして、委員御指摘のような修正を行われ、また附帯決議におきまして派遣元、派遣先についてそれぞれ今御指摘のようなことを行うということが付記されているわけでございます。 労働・社会保険の適用につきましては、改正法案にもこれらの法律の適用について処罰を受けたときにはこれを欠格事由とするという規定もあわせて盛り込んでいるところでありまして、こういったことの徹底によって社会・労働保険の適用促進の実効を上げてまいりたいと思います。
○小宮山洋子君 これは労働保険は労働省、社会保険は厚生省ということで別々にお答えいただかなければいけないのだと思いますが、派遣を含む短期労働者の労働保険のあり方について根本的に検討する必要があるのではないかと思いますが、まず労働省の方の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 労災保険は当然ですけれども、雇用保険につきましても、一定の要件を満たす場合にはいわゆる登録型派遣労働者についてもこれに加入するということにもちろんなっているわけでありますが、登録を繰り返すというようなときに、なかなかこれに加入しにくい実情にあるということも事実かと思います。 衆議院でも附帯決議もいただいているところでありまして、雇用保険制度の検討をするということにしておりますが、その中におきまして雇用保険のこういった短期労働者への適用について検討することとしております。
○小宮山洋子君 厚生省にもおいでいただきましたけれども、健康保険につきましては特例で日雇い保険者制度というのがあって、短期であっても加入することになっているのだと思いますが、実態としてはまだ加入していない人がかなり多い。それからまた、厚生年金の場合は二カ月未満の短期にしてしまうと適用にならない。こういうことについて厚生省としてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(羽毛田信吾君) 厚生省関係の社会保険の適用関係でございますけれども、先生も今御指摘ございましたように、健康保険あるいは厚生年金保険におきましては、被用者の方々の生活を安定させるという趣旨から、派遣労働者を含めまして法人事業主に使用されておられます被用者の方々については、その業種のいかんにかかわらず、これも歴史的経過の中でだんだんに広げてきたという経緯はございますけれども、強制的に社会保険を適用するという建前になってございます。 しかし、一方において、今御指摘がございましたように、実態においてまだ十分な加入状況でないではないかという御指摘もいただいておりますので、私どもとしては、まずもってそういった派遣労働者の社会保険への適切な加入を図るための、事業主を初めといたしましてまた被保険者御自身、こういった全体に対しまして、各種の広報媒体でございますとか、あるいは事業主の説明会等を通じまして、あらゆる機会をとらえて制度の啓発を行って、そういった本来適用すべきところが適用漏れになるというようなことのないように、今後ともそういった機会を活用して啓蒙啓発活動に努めますとともに、被保険者の資格取得等の適正な届け出をしていただくように、これは主として事業主ということになりますでしょうか、円滑な運営に向けて努めてまいりたいというふうに思います。
○小宮山洋子君 今事業主、労働者への啓発も含めてと言われましたけれども、今度原則自由化になりますと非常にふえるのではないかと予想されていまして、そうすると今の人手で今でも不十分なところがさらにということがありますと、よっぽど腰を据えてやっていただかないと徹底しないのではないかと思います。 その点ともう一つ、先ほど労働省にも伺いました派遣を含む短期労働者の社会保険のあり方について、これもやはり根本的な検討が必要ではないかと思いますので、その点を伺いたいと思います。
○政府委員(羽毛田信吾君) 先生御指摘のとおり、今回のこういった法改正を契機にいたしまして、ますますそういった点の指導徹底、そして私どもとしてのPRに努めてまいるという点については一層の促進を期してまいりたいというふうに思っております。それが一点でございます。 それから、制度的な問題につきましては、歴史的経過の中でも申し上げましたように、パート労働者といったような場合につきましても、できるだけ常用雇用者をなるべく被用者保険の被保険者にするという基本的な考え方に立って今日までやってきております。 しかしながら、具体的にパート労働の方に被用者保険を適用する、どこまでをそうしていくかということを具体的に検討する際には、やはり労働時間あるいは賃金、雇用期間等、いろいろ多様化してくる中で、常用雇用者の範囲をどのように考えるのがいいか。それは場合によりますと、パート労働者本人あるいは企業の御負担というようなことも含めて検討してまいらなきゃならないところがございますので、方向としてはそういう方向で考えたいと思いますけれども、やはりそこらあたりのことの総合的な検討が要るのかなというふうに考えております。 いずれにしても、今医療保険にしろ年金保険にしろ制度全体のいわば構造的な改革に取り組んでいる最中でございますので、そういった中でどのように被用者保険のあり方、また社会保険の場合は皆保険でございますからどこかの保険に入っていただくということになりますけれども、どの保険に入っていただくのがいいかということにつきましては、そういった総合的な視点からさらに考えていくことが必要であろうというふうに考えております。
○小宮山洋子君 今度の派遣法も、多様な働き方を用意するということでもありますけれども、そのためにどういう働き方をしてもやはり守られるべきものは守られるべきだと思いますので、そういう意味からしまして保険の問題もしっかりと取り組んでいただきたいというふうに思います。 次に、個人情報について伺いたいと思いますが、法案に「業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」という条文が入っていますが、取り扱ったものをもちろん漏らさないというのは当然なんですが、派遣元が収集できる情報を派遣就労に必要な事項、例えば職務経験などに制限する必要があるのではないか、要らない情報まで今集め過ぎているのではないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 今回の改正の大きい特色は労働者の方、特に労働者のプライバシーの保護等についてこれを充実したというところにございますが、今御指摘の個人情報に関するその収集、保管等についてでございます。 今回の改正規定によりまして、派遣元はその事業目的の範囲内で派遣労働者等の個人情報を収集、保管、使用すべきこと及び派遣労働者等の個人情報の適正管理のために必要な措置を講じなければならないとの規定が新たに設けられたところであります。 この規定を受けまして、その収集できる個人情報の範囲と具体的な内容等につきまして、関係審議会の意見も十分聞きまして、指針においてこれを具体化してまいりたいと考えております。
○小宮山洋子君 指針でということがありましたけれども、そのあたりはぜひ細心の注意を払ってお願いをしたいと思います。中には妊娠をしているかどうかとかかなりプライバシーにかかわる、特に女性のいろいろなことにかかわることを聞くケースもこれまではあったと聞いております。 それから、個人情報の保管とか利用の仕方についてもう少し規制を強化する必要があるのではないかという意見もありますけれども、その点はいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 先ほど御答弁申し上げました後段の方で、その保管等につきましても適正管理のために必要な措置を講じるというふうにされているわけでありまして、秘密を漏らしてはならないという規定と相まって労働者のプライバシーの保護に努めるとされているところであります。その具体化につきましても同様な検討をしてまいりたいと思います。
○小宮山洋子君 次に、派遣労働者を含む短期雇用者の労働と家族的責任、育児、介護の両立について伺いたいと思います。 短期雇用者には産休は実際にあっても特に派遣の場合はなかなかとれない、とった場合にまた戻れない、なきがごとしというところがあります。今の仕組みの中では育児・介護休業はないわけですけれども、短期雇用で都合のいい期間働くからいいのではないかという言い方がこれまでされましたが、例えば九七年の労働省の実態調査を見ましても、派遣期間、現在の派遣先に初めて派遣されてからの期間では一番多いのが五年から十年なんですね、それが二二%。次いで三年から五年の一二%の順で、これは決して短期とは言えないのではないかというふうに思います。 今度の部分は一年で切るとは言っていますけれども、実態上どうなるかというのは、午前中から伺っているようにまだまだいろいろ抜け穴があるのではないかと私は思っております。多くの業務に広がって派遣で働く人がふえる中で、幾ら短期雇用者と言いましても、家族的責任との両立というのはこれから確保されるべき課題なのではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○政府委員(藤井龍子君) 派遣労働者につきましては、その派遣期間の長短にかかわらず、当該派遣労働者と派遣元事業主との間の雇用契約によりまして育児休業法等の適用あるなしの判断が出てくるわけでございます。 育児休業法に基づく育児休業につきましては、一年にわたる長期の休業の権利ということでございますので、期間を定めて雇用される者である場合には、派遣労働者に限らず他の労働者につきましても法律上の育児休業の適用からは除外されるということになっておるわけでございます。もちろん、派遣元事業所等でこれを上回る制度を設けられまして、有期の労働者も入れられるような制度を設けられるということは可能なわけでございます。 それから産前産後休業につきましては、母性保護ということで派遣労働者を含めましてすべての女性労働者に適用されるものでございますので、これにつきましては必要な指導等行いましてその遵守を図っているところでございますし、今御指摘のような状況がもしあるのであればその指導に一層の徹底をしてまいりたいと存じているところでございます。 いずれにいたしましても、派遣労働者の仕事と家庭の両立につきましては、派遣元事業主が責任を持つというものでございますので、派遣元事業主に対する指導の一層の徹底に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
○小宮山洋子君 修正の中で、妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置の規定を適用するものとするということになっていますが、例えば六カ月更新で六年間派遣で働いてきて、産休後職場復帰をしたいが契約更新をしてくれないというようなケースも現実にあります。今指導を徹底と言われましたけれども、こういうようなケースの場合、これからはどういうふうに対処していかれるのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 産後の休業というのは八週間保障されているわけですが、特に今回新しく拡大される派遣期間は一年間ということで、派遣労働者を使う派遣先事業主の方も短期即戦力として期待をして派遣労働を使用するということになりますから、かなり長期間にわたって産休に入られたということになると、その間その労働者なしで事業が進むということには実際問題はならないでしょうから、別の派遣労働者を受け入れるとか、そういった対応もあり得るかと思いますし、またそのこと自体は派遣先企業にとってはやむを得ない措置であるかなというふうにも思います。 ただ、派遣元との関係ではもちろんそういった権利は保障されているわけでありますから、そのことによって解雇するとか、そういうことはもちろん禁止されているわけでありまして、そういったケースについては、特に今回広がる短期派遣というケースについては、三者間でのそういったケースについてのよく話し合いが行われる、そういった指導になるのではないかと思います。
○小宮山洋子君 平成七年の通達で、「労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、経済的事情の変化による剰員の発生等特段の事情のない限り当然に更新されることとなっている場合は、実質上期間の定めなく雇用されている者として育児休業や介護休業の適用対象となり得る」とされているわけです。でも、これはやはり義務を負わせない限り権利が確保されないのではないかと思うのですけれども、重ねて伺いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(藤井龍子君) 先ほども申し上げましたとおり、派遣労働者は派遣元事業主との間で労働契約関係にあるということでございますので、育児・介護休業につきましても派遣元事業主との間で権利義務関係が生ずるというわけでございます。したがいまして、先ほどの通達の趣旨等も、この派遣元事業主に対する指導といいますか周知徹底に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
○小宮山洋子君 この問題は何回お聞きしてもなかなか歯切れのいいお返事をいただけないのですけれども、やはり私は派遣労働者を含む短期雇用者についてその家族的責任との両立ということはこれから課題だと思っているので、検討をするということはお約束いただけるでしょうか。
○政府委員(藤井龍子君) 育児・介護休業法というのはすべての民間事業所が守らなければいけない最低基準というものを定めたものでございますし、その内容は、労働者が申し出れば事業主の承認などは必要なく休むことができるという非常に強い権利を与えたものになっているわけでございますので、なかなか今おっしゃったようなことは難しいところがございます。 育児休業というのは一年にわたる休業でございますし、介護休業も三カ月という大変長期にわたる休業ということでございますので、その事業所で、六カ月とかあるいは一年というのもあると思いますが、そういうふうに期間を定めて雇用される労働者の方々に法律上の当然の権利としての育児休業、介護休業の権利を与えるというのはなかなか難しいのではないかと私どもは考えているわけでございます。 ただ、先生の御指摘のような問題提起というのは私どもにもしばしばいただいているところではございます。しかしながら、先ほども何度も申し上げましたように、最低基準を定めているもので、それを上回る部分についてはそれぞれの事業場の御判断、それぞれの事業場の労使によってより労働者に有利な制度というものを設けていただく、それがまた望ましいというような趣旨で私ども御指導申し上げているところでございますので、その最低基準の権利を法律上当然に期間の定めのある労働契約を締結している労働者にも等しく認めるということについては、私どもは慎重であるべきと考えているところでございます。
○小宮山洋子君 次に、中途契約解除のことについて伺いたいと思います。 相変わらず相談で一番多いのが契約の中途解除で、昨年九八年の東京都の実態調査でも、中途で打ち切られたことがあるという人が五七%ということです。大体どの相談を見ても三分の一ぐらいが中途解除についての相談になっています。 附帯決議で、予告をしない派遣先は三十日以上の賃金に相当する損害賠償を行わなければならないことを指針に明記することとなっていますが、これで中途解除が防げるとお考えでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 今御指摘の指針に明記するという話は、派遣先の事情で中途解除をしようとするときには三十日分以上の賃金を支払うこととするか、あるいは三十日以上前に予告をするかということですが、これはできれば一番避けたい方法であります。 中途解除というふうなことが行われることがないように派遣元も適格派遣労働者を派遣するし、派遣労働者もその職場で十分能力を発揮する、あるいは派遣先も適正な就業環境を整える、こういったふうにすることが最も望ましいわけで、これは派遣労働というものが成熟するにつれて徐々になくなっていくというものではないかと思います。 先ほどのようなケースに至るのはあくまでも例外的ということで指導していきたいと考えております。
○小宮山洋子君 均等法の差別待遇禁止規定に反するような中途契約解除、例えば妊娠とか出産などによる中途契約解除というのは派遣法の二十七条により禁止されていると考えられますけれども、この点はどうでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 法の明文に明確には規定しておりませんが、類似の合理性のない中途解約については、趣旨としては禁止されていると読むべきではないかと解釈しております。
○小宮山洋子君 それから、事前面接というのも当たり前のように現在では行われていまして、中には採用試験をする派遣先まであると聞いています。何件歩いても交通費も出ないということもあるということなんですね。労働省にも何回もこういう申し入れを派遣労働者の側からしているけれども、なかなか方策が講じられていない。この事前面接の禁止という点については、今度の改正法の中ではどのように位置づけられているでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 事前面接等の派遣労働者を特定する行為につきましては、従来から指導でもってそういうことをしてはならないというふうにしてきたところでありますが、今回、衆議院における修正によりまして、労働者派遣を受けようとする事業主は派遣契約の締結に際して事前面接、はっきりそうは書いておりませんが、締結に際して「派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。」というふうにされました。 従来からの指導に合わせましてさらに法律上の根拠が置かれたわけでありますから、これに従いまして、そういうことを行わないよう厳に指導する必要があるというふうに考えております。
○小宮山洋子君 それから、年齢ですとか容姿による差別的な選択というのも、これまでもしてはいけないはずでしたけれども、今回の場合はそのあたりを防ぐためにはどういうふうになっているでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) もともと、派遣契約に基づきます派遣労働者の派遣といいますのは派遣元が決定をすることでありまして、先ほど申されました派遣法の二十七条にも国籍、信条、性別等々を理由にして派遣労働契約を解除してはならないというふうな規定もあるわけであります。したがいまして、今御指摘のような点についても、こういった規定の趣旨も考えながら、十分そういったことを行わないように指導する必要があろうかと思います。
○小宮山洋子君 それから、午前中の審議の中でも、新卒の人たちの就職難というお話が出ていましたけれども、そういうこともありまして新卒の派遣ということも最近ふえているということなんですが、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 新卒の方が派遣会社で語学とかあるいはOAの実務とか秘書業務について研修を受けまして、その研修を受けて派遣労働者として働くということは、大手の派遣会社を中心にしましてかなり行われている実態にあるようであります。 そういったことで、派遣の道を選んで一定の能力を備えて派遣労働者になるということであれば、それはそれとして一つの選択であると思いますし、なかなか正社員になる道がうまく開けなかったので、とりあえずそういったことで研修を受けて派遣で働きながら正社員の道を探すということも一つの選択であろうかと思いますが、正社員になれなかったのでやむなく派遣で働くということは本人にとっても本来の選択ではないでしょうから、そういった方はできるだけ速やかに職業紹介等を通じまして正規社員につかれることが望ましいと思いますが、ただ若い人の中にいろんな選択肢、働き方を選ぶ方がふえているということも事実でありますから、今おっしゃったような道を通じて派遣労働者として働くということも、それはそれとして人生の一つの選択ではあろうかと思います。
○小宮山洋子君 それから、まだ卒業する前というんでしょうか、いろいろな働き方の中でインターン制度というのが今普及をし始めていますけれども、ビジネスインターン制度による派遣というのも行われていて、これは一般よりも二割程度低額で働いているということもあると聞いていますけれども、そのあたりの実態は把握していらっしゃるでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 今おっしゃいましたようなビジネスインターン制度というものが実際にあるということは承知しておりますが、具体的にその実情はどうなっているかという把握はしておりません。
○小宮山洋子君 中には、正社員への登用の可能性ということをキャッチコピーにしてビジネスインターン制度を取り入れている派遣の会社があるということです。 今、実態は把握していないとおっしゃいましたので、そのあたりで実際に本当に正社員になった人はじゃどれぐらいいるのかとか、そのあたりがきちんとしないと、これは虚偽の広告をしてビジネスインターン制度を取り入れているということにもなるかと思うんですけれども、そういった点についてはいかがでしょう。
○政府委員(渡邊信君) なかなかまだそこまでの実情把握を組織的に今やっていないわけでありますが、先般御視察をいただいた中にも、そういった研修を受けた後に派遣をされて、余り早い時期に正社員になってもらうと投資効果がなくなるというようなお話もございましたけれども、一定の期間を経た後に正社員として派遣からそちらへ移っていくということはあり得るというふうなお話でございました。 御指摘でございますので、今後そういった実態についても少し調査をしてみたいと思います。
○小宮山洋子君 先ほどお答えにもありましたけれども、もちろん働き方の多様な選択として派遣で働くということは、その権利がきちんと保障されて働くのであれば、それは一つの考え方だと思うんですけれども、特に新卒でこれからずっと仕事をしていこうという人がなかなか職業が見つからない中でどちらかというと不安定な雇用の派遣に行かざるを得ないというのは、私は全体の雇用政策の中でもとても問題があるのではないかと思っていますので、先ほどおっしゃった実態調査をぜひお約束いただいて、そのあたりの厳格な指導が必要ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 実態調査はしてみたいと思いますが、よく言われることですが、正社員になれなかったので派遣で働いているんだという中には、気に入った正社員の職がないということもあろうかと思います。 先ほどから申し上げておりますが、公共職業安定所一つをとってみても、求人数そのものはかなりあるわけでありますが、派遣と正社員の道と比べてみてまあ派遣の方がというふうな選択もあるかと思いますし、したがいまして、恐らくそれは自分の目から見て気に入った正社員という道だろうというふうに思います。確かに、何が何でも正社員であればいいというふうにはもちろんなりませんので、そこのところはその御本人の選択であろうかというふうに思いますが、派遣社員として専門能力をつけて働くということももちろん一つの選択ではあろうかと思います。
○小宮山洋子君 今回、この派遣法改正それから職業安定法の改正というのは、ILO百八十一号条約の考え方をかなり取り入れていると言われておりますけれども、この百八十一号条約では派遣の自由化促進だけではなくて、その前提として労働者の保護の徹底を求めていると思うんです。また、一番最初に伺った質問とも重なるかと思いますけれども、このあたりの考え方について大臣に伺いたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 御指摘のとおり、ILO百八十一号条約は、民間職業紹介事業であるとかあるいは労働者派遣事業といった民間による労働力の需給調整事業の運営を認める、そしてこれを利用する労働者を保護するということを目的とするものでありまして、民間の労働力需給調整事業の運営に係る新たな国際基準とも言えるものであります。 そこで、先ほども一部お答えをさせていただきましたけれども、今回の労働者派遣法の改正案におきましては、従来からある労働者保護措置に加えまして、例えば個人情報の保護であるとか、労働大臣への申告制度であるとか、あるいは派遣先での就業環境の整備、福利厚生施設の利用等、あるいはセクハラの禁止、これらのものについても踏み込んで規定を設けているわけでありまして、労働者保護という点もかなり強化をされているというふうに考えておりまして、この百八十一号条約が求めている趣旨を十二分に生かして取り組んだ法改正であるというふうに考えております。
○小宮山洋子君 そのことに関しまして、余り個々の細かい点でなくても結構なんですけれども、ちょっと何点かその百八十一号条約の労働者保護の観点から大臣のお考えを伺いたいと思います。 再三お話をしている、臨時的、一時的に厳格に制限して常用代替を禁止する、そういうこともこの百八十一号条約の精神にあると思うんですけれども、この点からして大臣は今回の改正派遣法というのは十分だというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 百八十一号条約には厳密に言いますと常用代替の防止の規定は入っておらないのでありますけれども、臨時的、一時的、期限を切りまして、とにかく常用としては必要がないけれどもしかし企業側からして戦力として必要である、あるいは働く側からしても、ずっと拘束をされるのは困るんだけれども期間限定あるいは職種限定で働く分にはそういう道を開いてもらいたいという、双方のニーズにこたえているというふうに考えております。 そして、先ほども申し上げましたように、それによって懸念をされてくる弊害についてはその道をきちっとふさいで、本来の両方のニーズにフォーカスを絞って対応できるように極力きめ細かく対応したというふうに承知をいたしております。
○小宮山洋子君 それから、この派遣法に違反した場合に派遣先が雇用の責任を持つ、この点では私は今度の改正法の中では不十分ではないかと思っているんですけれども、その点については大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
○政府委員(渡邊信君) 違反があった場合の雇用責任については、特にこれは条約上の要請ではないと思いますが、今回の改正法では期間を超えたときについては、雇用の努力義務ですが、そういったことを設けておりまして、その規定の適用で対応するということになろうかと思います。
○小宮山洋子君 大臣、それでよろしいでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) そのとおりでございます。
○小宮山洋子君 それから、やはり労働者の保護という意味では、もちろん個人情報もそうですけれども、プライバシーそれから人権の保護という面で、どうもこれまではこういう便利な労働者として派遣労働者などが使われていた経緯から、そのあたりが依然として心配なんですけれども、このあたりについては大臣はどういうふうにお考えになっていますか。
○国務大臣(甘利明君) 労働者のプライバシーにつきましては相当厳格に対処をしているというふうに確信をいたしております。 それから、もう一点何でしたか。
○小宮山洋子君 人権です。
○国務大臣(甘利明君) もちろん人権に関しましても十分な対応をしているというふうに承知しております。
○小宮山洋子君 もう一点伺いたいんですけれども、一番最初に規制緩和をしてミスマッチを防いでいくというお話の中で、働く側にもいろいろな選択肢があった方がいいというお話があったと思うんですけれども、その場合に、選択する側が、使う側が都合よく使うのではなくて、働く側がなるべく多様な働き方ができるという考え方からしますと、欠かすことができないのは、やはり同じ一時間働いたなら、その同じ価値の仕事に対しては同じだけの報酬がもらえるというような均等待遇の考え方というのが私はこれからぜひ必要ではないかと思うんですけれども、この点については大臣はどういうふうにお考えになっているでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) それは正規雇用と派遣と同じ職務についている場合ということですね。 これは当然派遣は、派遣労働者の収入だけじゃなくて、派遣業としての運営をコストに乗せていなければならないわけでありますから、当然業として営んでいく以上、その分の経費が引かれるという点はこれはいたし方がないんだと思いますけれども、もちろん使う側にとって正規雇用として長い間使うコストを考えれば、この期間多少は、時間で切った場合には、あるいは期間で切った場合には割高になってもその方がいいという選択は働くこともあろうかと思います。
○小宮山洋子君 このことは派遣だけの問題に限らないと思いますけれども、今のリストラとか効率化の中で、ともすると企業の中の基幹の部分の中心になる労働力は少数の男性であって、派遣は今八割から九割女性が働いている、登録型ではやっているわけですけれども、女性は派遣だったり契約だったりパートだったり、どんどん周辺の働き方に追いやられている、本来あるべき方向とは私は逆に進んでいるんではないかという危惧をずっと持っています。 そういう意味からしますと、今回の派遣法の改正が、働きやすい多様な選択肢をふやすと建前としては言われていますけれども、実際にはますますそういう傾向になってしまうのではないか。その場合に、これから二十一世紀に向けて質のよい労働力が足りなくなっていく中で、女性も、いろいろな状態にある人たちも一番よく能力が発揮できる働き方を確保される必要がある、そういう全体の流れの中でどうも逆の方向へ行ってしまうのではないかということが非常に心配なんです。 そういう意味からしましても、いろいろな意味での均等待遇をどういう働き方をしても受けられるということがそのあたりの歯どめになる考え方でもあるのではないかと思いまして、雇用の全体の仕組みの中での女性と男性の今置かれている関係からしても今回の派遣法改正についてはぜひ必要な視点ではないかと思うんですが、最後にこのことをもう一度大臣に伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 確かに、派遣労働者は女性の比率がかなり高いと承知をしております。 ただ、性での差別というのは均等法で禁止をされておりますし、有能な女性は幾らでも進出するチャンスはむしろ過去よりも現在の方が開かれてきていると思います。 これは、女性だからこうということではなくて、派遣に関しましては男性もいるわけでありますし、有能な人たちがちゃんと能力に見合った給与が受けられるような道を開いていくということが大事だというふうに思っておりますし、能力や適正による差がつくということは当然認められることでありますから、大いに女性も職業能力を身につけていただいて重要な場所についていただきたいというふうに思っております。
○小宮山洋子君 一言だけ。 もちろん女性が能力をつけるのも必要でしょうけれども、置かれている状況が余りにもまだ、建前上はもちろん均等法で禁止されていますけれども、実態としてはなかなかそうなっていない。その中でこの派遣法改正がまたまた逆風にならないように、ぜひそのあたりは実施をしていく上でいろいろな点で最大限の努力をしていっていただきたいというふうに思っています。 以上で終わります。
○但馬久美君 公明党の但馬久美でございます。 今、小宮山議員からの質問とダブるところもありますけれども、随時確認の問題もありまして質問させていただきます。 労働者派遣法改正法案に対しまして、派遣労働のあり方、そしてまた派遣労働者の保護について、そしてまた個人情報の保護、また均等待遇、セクハラ、母性保護に対する責任明示について、また派遣労働契約の中途解除に対する保護措置について順次いろいろと質問させていただきたいと思います。 まず、大臣にお伺いいたします。 今回の労働者派遣法改正案は、中央職業安定審議会の建議に基づいて、平成九年のILO百八十一号条約の採択などの国際基準の制定、そしてまた社会経済情勢の変化への対応、労働者の多様な選択肢の確保などの理由によりまして労働者派遣制度の改正を行うということですけれども、その中央職業安定審議会の建議によりますと、労働者派遣事業制度の位置づけを常用雇用の代替のおそれが少ないと考えられる臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策としておりますけれども、ここでお伺いしたいのは、この中央職業安定審議会は常用雇用の代替のおそれが少ないと考えておられるようですけれども、その根拠は何なのか。 またもう一点は、この臨時的、一時的という言葉の意味ですけれども、単純に考えますと、社会経済情勢の変化に対応するための、いわゆる構造不況から起きている失業増大に対する臨時的、一時的に行う制度改正であるととらえることができますけれども、この構造不況が改善された場合にはこれはもとに戻すというふうにもとられるように思います。この臨時的、一時的という言葉の意味、どのように使用されているのか。この二点をお伺いいたします。
○国務大臣(甘利明君) 社会の各般にわたる構造変化の中で、いわば労使双方からのニーズにこたえるという形でいろんな働き方を用意する、そしてミスマッチの解消に資する一つの方途として改正を準備したということを考えております。 広範な業務分野において臨時的、一時的な労働力需給の結合を促進するということに資するわけでありますけれども、今回の改正によりまして新たに労働者派遣事業を行えることとなる分野については、まず派遣の期間を原則一年に制限する。そして、これに違反した派遣元には改善命令を出して、なお改善をされない場合には罰則を適用する。そして、一年を超えて派遣を受け入れた派遣先は、勧告、公表の対象にする。この種のいろんな措置を設けたわけでありまして、世の中の変化に対応して社会のニーズにこたえるために用意をした、そしてそれが懸念される弊害がないように極力防止策に努めたということであります。 臨時的、一時的という表現は、期間制限つまり一年以内の派遣を指すということでありますけれども、別に構造不況があってこういうものを準備し、それがなくなればやめるということではないんだと思います。必ずこの働き方をとらなければならないということではなくて、いろんな働き方を用意する中で企業側あるいは雇用者側が選択する選択肢をふやしておくということだというふうに考えております。
○但馬久美君 どうもありがとうございました。 このILO百八十一号条約は、九十六号条約、有料職業紹介所条約を改正してできたもので、民間職業事業所の条約のことを指しますけれども、この改正点に、新たに労働者派遣事業その他の求職関連サービスも条約の対象として取り扱い職業の範囲については原則として制限を設けないという内容になっております。 こうした国際基準に基づいて、今回の法改正において派遣業務の範囲を原則自由にしたわけですけれども、従来の労働者派遣法施行令第二条に定められている二十六業種と今回の原則自由化されたこの追加された業務について格差を設けた、二本立てにしたわけですけれども、これはどういう理由があるのでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 先ほど申し上げましたように、労使の多様なニーズに対応した臨時的、一時的な労働力需給の迅速、的確な結合を促進するために労働者派遣事業を行うことができることとするものでありまして、この趣旨から派遣期間を最大一年に制限したわけでありますが、これに対して、今御指摘の現行二十六業種は、いわゆる専門的な知識、技術または経験を必要とする業務、あるいは特別の雇用管理を必要とする業務でありまして、現にこれらの業務に従事をしている派遣労働者の雇用の確保であるとか専門的な能力等の活用の観点から、引き続き現行の枠組みを維持するということとしたものでございます。
○但馬久美君 では次に、派遣労働者の保護についての問題点についてお伺いいたします。 今回の労働者派遣法改正では、原則自由化で適用対象業務が拡大されました。新たに追加された業務は、その派遣期間の上限を今お話しのように一年として更新を認めないものとしております。 この意味では、同一の職場で同一の業務で一年を超えて派遣労働させてはいけない、もし一年を超えて労働させる場合は正規労働者として採用すべきであるということですけれども、その裏を返せば、職業と業務をローテーションで切りかえて何年でも派遣労働ができる、決して正規の労働者としては採用されることがないということになるんです。また別の観点から見て、同一の業務に異なる派遣労働者を交代で充てれば、そのポストについては常に派遣労働者を使うことができて、むしろ逆にそれが促進剤になるのではないかというふうに危惧されております。 こうした点をあわせて、同一業務及びその継続の判断基準を定める指針の取り決めについてはどういうふうに考えておられるのか、お伺いいたします。
○政府委員(渡邊信君) 今回の改正では、一年間の派遣契約を新たに拡大するということでございまして、その一年間につきましては派遣元をかえてもあるいは派遣労働者をかえても、これは通算して一年間ということで縛っているわけでございます。この同一業務について継続して一年を超えて派遣労働者を受け入れた派遣先については、これはそういうことをやめるように勧告や公表の対象となりますし、あるいは雇用の勧告の対象にもなる。それから派遣元につきましては、改善命令、その違反に対する罰則あるいは許可の取り消し等大変重大な効果がこれについております。そういった措置をとりながらこの一年間の派遣ということが担保されるようにもまた措置をしているわけであります。 そういった意味からも、この同一業務の概念あるいは継続してという解釈、それぞれ大変重要な概念であると思いますので、その解釈、運用につきましてはこれが明確になるように指針において具体的に判断基準を示していく考えでございます。
○但馬久美君 ぜひ判断基準をしっかり示していただきたいと思います。 労働省は一九九七年五月から六月の一カ月間に労働者派遣事業の実態調査をされました。その結果によりますと、現在の派遣先に初めて派遣されてからの期間が通算三年以上が一般派遣労働では二四・一%、特定派遣労働では五一・二%の方々がいらっしゃいます。このことは何を意味するかと申しますと、現行の労働者派遣法においては二十六業種のうち二十二業種については派遣期間の上限を一年に制限して、一九九〇年からは契約を更新しても三年を限度とするよう行政指導がされております。しかしながら、一般的にはそうした行政指導が守られていない、またもちろん切りかえられて正規労働者として処遇されているかというと決してそうではないというのが現状であります。 そこで、衆議院での修正案では、罰則として派遣先の公表や派遣期間の制限のオーバーとなる日を通知しない派遣先、また派遣労働契約の締結を禁止するなどの措置はされたのですけれども、それだけでは派遣労働者の保護にならないのではないかと思います。例えば、派遣労働者を正規労働者として雇用した場合の報奨金などの制度も考慮すべきではないかと私は思うんですけれども、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 派遣労働は一般的に言いますと派遣労働にいろんなメリットを感じてこの職業についておられる方が多いわけですし、また正規労働といいますか正社員としての採用ということは一般の企業でこれは日常的に幾らも行われているわけでありまして、特に派遣労働者を常用労働者として採用したというときに報奨金の制度まで設けるということは派遣制度の趣旨に照らしていかが、あるいは一般の企業における採用というふうなこととのバランスについてもどうかと思います。なかなか難しいのではないかと考えております。
○但馬久美君 私は、原則自由化ということになれば俗に言うあめとむちを厳格にしておかねば派遣労働者の権利が完全に剥奪されてしまいかねないというような心配があるわけで、つまりあめの部分が抜けているんじゃないかというふうに思うので今の質問をさせていただきました。 次に、新卒者を採用する際に、企業側及び学生側の双方がその仕事に対する適性か否かを判断するためにインターンシップという制度がありますけれども、それと同じように派遣労働者などにも使われるトライアルターム、お試し期間があります。これは一週間や一カ月ぐらい働かせてみて適性度を見るという企業がよく使う手でありますけれども、さらに進んで最近では新卒者を派遣で一年ぐらいトライアルタームしてから採用するという方式も生まれていると聞いております。これでは、採用された人はいいけれども、採用されなかった人、次の職場へは新卒者としての権利が奪われるわけで、一度リストラされた人と同じようにレッテルを張られる、大きな傷を持つということもなきにしもあらずです。このような新卒派遣労働者に対するトライアルタームに対しては労働省はどういう御意見あるいはまた対応をされているのか、お伺いいたします。
○政府委員(渡邊信君) 今御指摘の新卒者がトライアルタームとして派遣でどのくらい就業しているかという実態については、先ほど申し上げましたが、詳しくは把握していないところであります。ただ、昨今、そういった形態で派遣元会社で一定の研修を受けて派遣をされ、さらにそこから正規就労者として就職をしていくというケースもあるとは聞いております。 ただ、一般的に言いますと私ども、新規学卒、大変雇用状態が厳しいわけでありますが、その方たちの就職につきましては、例えば登録制度も開始をし、先ほど大臣も御答弁されましたが、そういった方についての職業講習、職業訓練ということも始めようということで、新規学卒者の就職ということには労働行政としても大変力を入れているわけであります。したがいまして、正規労働に行くということであれば、そういう採用活動に乗っていただくということが本来の道筋であろうと思いますし、また派遣としての道を選ばれるということはそれは一つの選択肢ではないかというふうに考えております。 先ほどもちょっと御答弁したことですが、正規社員と派遣とこれは単純にはやはり比較できないので、どうも気に入った職がないのでとりあえず派遣ということも中にあろうかというふうに思いますし、人生のスタートにおいて当然正規社員でスタートを踏み出すんだということであれば、先ほど申しましたような紹介ルートといいますか、そういったことによって正規社員として就職していただく。道はもちろん開かれているわけでありまして、そこのところは基本的には個人の選択ではないかというふうに考えておりますが、昨今、新規学卒者の就職状況が非常に厳しいということももちろんであります。そういったことについては、学卒就職対策については今後とも万全の対策を講じていきたいというふうに考えておるところであります。
○但馬久美君 しっかり対応をよろしくお願いいたします。 米国でのリストラの一つの手段といたしまして普及していると言われている、従業員を派遣会社に移籍させて、そしてまた派遣社員として再契約をして働いてもらうという方式が日本でも採用する企業がふえているようです。新聞にも載っておりましたけれども。しかし、従業員に知らせもせずに勝手に企業がそうした手続をとりまして、ある日突然自分が働いている会社を既に解雇されて派遣会社の社員として派遣されてきた労働者として従事しているという事実を後から知るわけなんです。これは人権無視も甚だしいことでありまして、そうしたことのないように、移籍させる場合は本人の了解を得るということはもう何よりも必要なことだと思います。同様に、派遣元が労働者を派遣労働者にしようとする場合においても、その労働者から同意が得られなかったとき、派遣等の制裁を行わないような措置を明確にすべきだと思いますけれども、この点、労働省の対応はどうなのか、教えてください。
○政府委員(渡邊信君) 派遣法の三十二条の二項でございますが、この規定によりまして、派遣元事業主は自己の雇用する労働者を派遣労働者にしようとするときは、あらかじめその旨を労働者に明示して同意を得なければならないという当然の規定が置いてあるわけでありまして、その旨の指導の徹底を図ってまいりたいと思いますが、今後におきましては、同意しなかったことを理由として制裁を行うというふうなことを行わないように、指針にそういったことについてこれを明記して指導してまいりたいというふうに考えております。
○但馬久美君 指針以上にやはりもう少し厳しくやっていただきたいというような思いもあります。 次に、個人情報の保護の問題点についてお伺いいたします。 この個人情報の保護についての国際的な水準として、日本も加盟しておりますOECDのプライバシー保護と個人データの国際流通についてのガイドラインに関する理事会勧告で、これは一九八〇年に採択されております。また、おなじみの百八十一号条約もあります。でも、我が国においては派遣会社から派遣先へ渡してはならない履歴書が流され、それが派遣先ではファクスで次々に職場に回されて、技能や経験等とは関係のない家族関係なども知れ渡って、プライバシー権利などがなきにしもあらずという状況がもう日常茶飯事に事実化されているということなんですけれども、それのみならず、容姿ランクつきの名簿がインターネットで売買されるなど、国内法がいかに不備、欠陥であるか、これを聞いて唖然とするんです。 このたびの改正では、衆議院でようやく修正案に派遣事業認可基準として個人情報の適正管理と秘密を守るための必要な措置にかかわる要件を追加されるなど対応がとられました。そこでお聞きしたいんですけれども、派遣元が派遣労働者の個人情報を管理する範囲はどこまでやるのか、また派遣先にはどこまでの個人情報を伝達するのか、その枠組みをしっかりしておくべきだと思いますけれども、この辺、労働省、どうでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 派遣労働者のプライバシーの保護等につきましては、今御指摘ありましたが、ILO百八十一号条約にも明記をされているわけでありまして、今般、派遣元の秘密漏えいに関する規定あるいは個人情報についてこれを収集、管理する規定を設け、また先ほど御指摘のあった衆議院での修正もなされたわけであります。 個人情報の収集につきましては、あくまでもその業務に必要な範囲でこれを収集、保管するということが原則でありまして、その運用につきましてはこれが客観的にも明らかになるように、改正後は指針においてこれを具体的に明記したいというふうに考えております。
○但馬久美君 この辺の枠組みは本当にしっかりと指針で明記していただきたいと思います。 先ほども言いましたけれども、派遣労働者が雇用契約を結ぶ前に、ほとんどのケースで派遣先で事前面接が行われているということなんです。この事前面接を行うことによって採用するか否かを判断するんですけれども、本来派遣に必要な技能や経験とは別の、先ほど言いましたように容姿、性格、障害の有無とか年齢などの採用の差別を行っているということも聞いております。さらに高じては、最近では事前面接のみならず、入社試験まで行う派遣先がふえてきていると伺っております。 これに対して修正案では、派遣契約や変更を行うに際しては派遣労働者を特定することを目的とする行為を行わないよう努力義務を課しているとしておりますけれども、実情からして、これで派遣労働者の個人情報が保護されるに十分であるかということを危惧するわけでございます。 このように派遣先が派遣労働者の特定を目的として履歴書の提示を求めたり、また事前面接や入社試験を行うことは断固禁止すべきだと考えますけれども、この点、どのようにお考えでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) もともと、現行の派遣法におきましても二十七条で、派遣先事業主は派遣労働者の国籍、信条、性別等々を理由として派遣契約を解除してはならないという規定がありまして、これを事前にチェックして派遣契約を結ばないことがあるというようなことは、もともとこの二十七条の脱法行為になるというふうに考えられますし、また、従来から事前面接あるいは履歴書を回す、そういったことは行わないように指導してまいりましたが、衆議院での修正によりまして、派遣労働者を特定するようなそういう行為を行わないようにすべきであると努力義務規定が盛り込まれたところであります。 今、御指摘のありました履歴書が回るというような点、そういうことも仄聞することもあるわけでありますが、あるいは入社試験といいますか面接、こういった事前に派遣労働者を特定する行為が行われることがありませんように、具体的にこうしたことはしてはいけないんだということを明確化するというふうにしまして、これも客観的に禁止される行為というものを明らかにしていきたいというふうに考えております。
○但馬久美君 派遣先のそういう行動というのはまだまだ隠れた部分があるということをよく話を伺って感じておりますので、ぜひその点しっかりとしていただきたいと思います。 派遣先で行っている派遣労働者の履歴書の提出は、いわゆる性別や年齢によって差別採用を行おうとする目的が明確であり、そのために、合理的な理由がなければ性別や年齢による差別採用をしてはならないと徹底すべきである。 さらに、派遣契約を結ぶ際には、合理的な理由がなければ性別を記載することは職業安定法の第三条に抵触して禁止されていることを明確にするための措置が講じられなければならないと考えております。また、年齢についても、合理的な理由がないのに派遣契約書に記載させることは同様に不適切であることを徹底すべきである。 これらの点について、もう一度御答弁をお願いしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 先ほど申しました現行の派遣法の二十七条におきましては、派遣先は派遣労働者の国籍、信条、性別等を理由として派遣契約を解除してはならないというふうに定めているところでございまして、この趣旨に照らしますと、事前に派遣労働者の性別等を特定することも適切ではないと考えられます。また、従来からそういうふうな指導も行ってきているところであります。 年齢につきましてはこの二十七条には列挙されていませんが、この規定の精神から考えますと、およそ合理性のない事前特定というものは不適切でありまして、合理的な理由のない年齢要件の設定が行われることのないよう指導してまいりたいと思います。 また、合理的な理由がなく性別を記載したりあるいは当該派遣契約に基づいて派遣することは、御指摘の職業安定法三条に抵触することになりますので、このことにつきましても周知、指導に努めてまいりたいと思います。
○但馬久美君 派遣元が派遣労働者の個人情報の保護にかかわる義務違反をした場合、つまり、今後、労働省が派遣労働者の個人情報の保護に関する管理をするため打ち出されるであろう指針や通達に対して、規定違反をした場合の措置も明確にしておくべきだと考えます。 許可の取り消し、事業停止命令、改善命令等の行政処分など、あるいはまた改善命令に従わない命令違反に対する罰則など適用の徹底を図るべきと思いますけれども、これもあわせてお伺いいたします。
○政府委員(渡邊信君) 個人情報の保護の規定の趣旨が徹底をするといいます場合には、今申されたような行政措置の徹底ということが不可欠であると思いますので、これについては厳正に運用してまいるつもりであります。
○但馬久美君 ぜひよろしくお願いいたします。 派遣元は、派遣先の企業は大事なお客様でありますから、対等な契約はなかなか難しい関係にあるということは理解できます。だからといって、派遣労働者の人権、いわゆる個人情報を勝手に流したり、また派遣労働者の権利を侵害していいというわけでは決してありません。 したがって、派遣元には派遣先による派遣労働者の特定を目的とする行為に対して決して協力させないように、協力行為の禁止措置を明確にすべきだと考えますけれども、さらにその禁止措置について指導を徹底すべきであります。その点は、労働省はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(渡邊信君) 派遣先につきましては、衆議院におきまして、事前特定の行為についてこれをしてはならないというふうに規定をされているわけでありますが、派遣元の方も、今おっしゃいましたように、派遣先のそういう要請行為があったときにこれに協力するということではなかなかこれが徹底されませんので、派遣元がそういった行為に対して協力することのないよう指針にこれはきちんと明記をした上で、それにのっとって指導してまいりたいと思います。
○但馬久美君 ありがとうございます。 それでは次に、均等待遇、セクハラ、母性保護等に対する責任の明示について順次お伺いいたします。 まず、東京都が一九九八年に調査しました登録型の派遣労働者の年収の実態を見ますと、百万円未満が何と二割もいらっしゃる実態があり、二百万円未満ですと三五%、三百万円未満では七〇%で、派遣労働者の年収が非常に低いという実態が見られます。もちろんボーナスや通勤費込みの時給であり、正社員の食堂や休憩室や福利厚生施設などが利用できないという格差も浮かび上がっております。さらに、派遣先を変えるたびに賃金が低く値切られて、生活維持が困難になっていく人がふえているということも今世上では言われております。 我が国では既に十四年前に男女雇用機会均等法が施行されております。雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律に規定されている事業主の責任は、当然のこととして派遣元がその責めを負うことになります。このことをしっかり派遣元事業主が認識するよう徹底することが求められておりますけれども、このことをどう指導していくか。また、派遣先の事業者にも責任を持ってもらわなければ確実な法の実効性は図れないと思います。 例えば、ILO百八十一号条約の五条には、差別なく労働者を取り扱うよう定めております。せめて同一業務の正規社員と均衡ある賃金体系の整備は必要不可欠ではないかと思いますけれども、これは派遣元と派遣先とともに協議して対応すべきだと思います。この点、労働省はどういうふうにお考えですか。
○政府委員(藤井龍子君) まず、男女雇用機会均等法の適用の関係でお答え申し上げたいと思います。 但馬先生御指摘のとおり、男女雇用機会均等法上の均等待遇についての事業主責任というのは派遣元が負うということでございます。 そこで私どもは、派遣労働の特性ということも踏まえまして、均等法の解釈におきまして、登録型派遣というような場合は登録という行為を均等法五条に言う採用行為であるというふうに位置づけまして、この登録の際の女性差別を禁止する。もちろん女性のみ登録といいますか、女性のみ採用を禁止するということでございまして、こういうことを通じまして男女均等取り扱いの確保が十分図られるよう運用を行っているところでございますので、今後とも派遣元事業主が均等法上の責任を負うのだということにつきましては周知の徹底を図ってまいりたいと思っております。この均等法に違反する派遣元事業主があります場合は、法律に基づき必要な行政指導を行ってまいりたいと考えております。
○政府委員(渡邊信君) 派遣労働者の賃金の問題でありますけれども、賃金につきましては派遣元事業主が使用者としての全責任を負っているわけであります。そこで、賃金についてあるいはその賃金の均等というふうなことにつきましては、派遣労働者と派遣元事業主との間において決定されるものであります。 派遣先の企業の労働者との賃金の均衡というふうなことにつきましては、これはもともと事業主が違うところの賃金の比較でありますし、また一方の労働の形態は、登録型をとってみれば登録というふうな短期の働き方であります。この問題はパート労働等についてもよく議論の対象になる問題でありますが、我が国において一般に長期雇用慣行のもとで、勤続年数とかあるいは年齢とか学歴とか、こういったものが賃金決定において一定のウエートを占めている、こういった賃金体系、労働条件体系のもとで登録労働者と派遣先の常用労働者との賃金比較を行うということはかなり難しい面があるというふうに思います。派遣労働者の賃金は先ほど申しましたように派遣元事業主との交渉において決定をされていくものであろうというふうに思います。
○但馬久美君 どうもありがとうございました。 男女雇用機会均等法の二十一条のセクハラ防止についての事業主責任や、また二十二条や二十三条の母性保護についての健康診断等の時間の確保についての事業主責任等について、それぞれ派遣元のみならず派遣先事業者にも適用すると衆議院で修正案が出されて通過いたしました。そこには特例規定を設けるとうたっておりますけれども、具体的にはどういうふうに進められていくのか、お伺いいたします。
○政府委員(藤井龍子君) 衆議院におきます修正は、派遣労働者が実際に労務提供を行うのが派遣先においてであるということ、それからその労働時間や作業の管理を行っているのも派遣先であるということを踏まえまして、派遣労働者に対するセクシュアルハラスメントの防止及び派遣労働者の母性健康管理が適切に確保されるため、派遣元に加えまして派遣先についても均等法上の事業主責任を課することが適当と考えられたものと承知をしているところでございます。 具体的に派遣先においてどのような措置を講ずることが必要であるかということにつきましては、本法案の成立後、通達等において明らかにしてまいりたいと考えておるところでございまして、それに基づきまして、派遣先事業主につきましても派遣労働者に対するセクシュアルハラスメントの防止、それから派遣労働者の母性健康管理に関しまして均等法上の事業主責任があるということを女性少年室を通じまして周知徹底してまいりたいと考えておるところでございます。
○但馬久美君 ありがとうございました。 次に、育児・介護休業特例労働者派遣事業という制度があります。いわゆる育児休業や介護休業をとろうとする労働者にかわってその業務を派遣労働者が代行するもので、育児休業や介護休業等の取得の促進を図る意味でこの制度ができていると聞いております。あらゆる業務に適用できるかといえば、そうではなくて、建設、港湾業務、また警備業務についてはその適用はできない。 そこで問題なんですけれども、従来派遣が認められていた製造業務は今回の改正でネガティブリスト化されましたので、連動して育児・介護休業もだめなのかということです。製造業でも直接生産工程の業務については派遣適用外になりましたけれども、この育児・介護休業の代替の要員に係る労働者派遣を認めるべきではないかと、そういう動きが今出てきているんですけれども、特例として認めるべきではないかと私は思いますけれども、この点、労働省はいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 育児・介護休業の代替要員に係る労働者派遣についてのお尋ねでございますが、この派遣につきましては、従来、これは製造業の直接生産工程についても行えたわけでありまして、今般、当分の間製造業の直接生産工程については省令で定めるところにより派遣をできないというふうに除外をしておりますが、従来からこの育児・介護の代替については派遣を行ってきて特に問題はない、さらには、育児・介護休業というものを取得しやすくする、両立支援として不可欠の制度であるということ等を考えますと、この点につきましては、省令において育児・介護の代替についてはこれを除外し、従来どおり製造業の直接生産工程については派遣が行えるというふうに措置をしたいというふうに考えております。
○但馬久美君 次に、派遣労働契約の中途解除に対する保護措置についてお伺いいたします。 東京都の派遣労働に関する一九九八年の実態調査によりますと、派遣先による派遣契約の中途解約の経験者は約六割の方がおられます。そのうちの約四割は中途打ち切り通知が一カ月未満という実態があります。しかも、そのための損害賠償請求ができる契約を結んでいるのはわずか三割にすぎない。 そこで、一九九六年十二月の労働省の告示では、派遣元と派遣先との間で契約解除の際にあらかじめ派遣先の損害賠償についての規定を義務づけていたはずであります。労働省は改善指導していると思いますけれども、その成果が今のこの数値で見えておりません。今回の改正では損害賠償の附帯決議が付されていると伺っておりますけれども、本気になって派遣労働者の保護をしていただきたいと思いますけれども、今後どういう対応をされるのかお聞かせください。
○政府委員(渡邊信君) 派遣先の事情によって派遣契約が中途解除されるというケースはまだまだ御指摘のようにあるわけであります。従来は指針におきましてそういったときの損害賠償についての定めをするというふうに規定しておりましたが、今般さらに衆議院の附帯決議におきましてそれを具体化いたしまして、三十日分以上の賃金相当額の損害賠償あるいは三十日以上前の通告というふうなことを指針で明らかにすべきであるというふうに附帯決議でなされているわけであります。 指針におきましては、この附帯決議を踏まえまして、さらにこれを具体的に記載するということを考えたいと思いますが、基本は、こういったことに至る前に三者間での話し合い等を踏まえて中途解除が行われないようにすることがまず先決であろうと思いますので、そういった点についても指導していくということを基本にして対応していきたいというふうに考えております。
○但馬久美君 しっかり指導をお願いしたいと思います。 ちょっと矛先を変えて、ドイツやフランスの派遣先の雇用責任はかなり厳しいものがあります。先ほど小宮山議員からの話もありましたけれども、ドイツでは派遣規制に違反した場合、派遣元、派遣先ともに過料、罰金、自由刑を科され、過料は年間二万五千件にも上ると伺っております。またフランスでは、派遣先に対して派遣期間違反や派遣契約の義務違反等の八項目の違反に対して刑事制裁が科されていると伺っております。 こうした諸外国の例を見ますと、派遣労働者に対する保護が行き届いている様子がはっきりと見受けられるんですけれども、ドイツやフランスのこの例を通して、我が国にもやはりめり張りのついた対応が必要ではないかと思いますけれども、この点いかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 派遣先が派遣契約に違反をしたというふうな場合、その違反の内容が労働基準法等の適用の特例規定を含みます派遣法違反であるというふうな場合には、派遣元はその派遣を停止したりあるいは解除できるというふうに現行法の二十八条に定められておりまして、こういった違法行為を是正するために許可の不更新というふうな措置も講じることにしておるわけであります。 ただ、派遣契約違反、これは契約違反ということですから民事上の問題ということで、これに対して刑事制裁を科するというふうなことはなかなか法制度のあり方としては難しいというふうに思いますが、違法なといいますか、派遣契約の違反のあったときの是正あるいは防止を図るという観点から、法律の三十九条に言います指針に基づきまして、この中身について一層これを具体化、明確化することによって派遣先による契約違反の防止に努力をするという方針で臨みたいと考えておるところであります。
○但馬久美君 民間のある団体から次のような派遣労働を守ろうとする意見が出ております。 次の三つのケースの場合では派遣先に雇用責任を課さなければならないということなんですけれども、一つは、事前面接やそれから試用期間を設けて採用を決定した派遣先、二つ目には、二重派遣や適用対象業務外あるいは偽装請負によって労働者を受け入れられた派遣先、三つ目には、制限期間を超えて継続して派遣労働者を受け入れた派遣先、以上の三つのケースにおける派遣事業者にとってきちっと雇用責任をとってもらおうという意見だと思います。 こうした場合、派遣先に制裁として雇用責任をとってもらうことは決して無理なことを言っているわけではないと思いますけれども、この点、労働省はどういうふうにお考えでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 今御指摘のいろいろなケース、例えば事前面接の問題あるいは試用期間として派遣を使うような問題、あるいは二重派遣、許可を受けないで派遣をする、二重に派遣するという問題、あるいは偽装請負の問題、これらについてはそれぞれ、事前特定行為の禁止の努力義務でありますとか、あるいは偽装請負についてはもともとこれは違法な行為ですからこういったものは厳に取り締まるとか、それぞれに対応策が現行法あるいは改正法においてとられるというふうに考えておりまして、御指摘の個々のケースについてそれぞれの対応をしていく考えでありますが、それに対しまして包括的に例えば雇用を義務づけるというふうなことにつきましては、我が国の現在の法体系、そういったものに照らしてなかなか困難な問題が現状では多いのではないかというふうに思います。 先ほども申しましたように、個々のケースについてそれぞれに対応するということで臨みたいと考えております。
○但馬久美君 少し早いですけれども、終わります。ありがとうございました。
○市田忠義君 日本共産党の市田です。きょうは職業安定法の改正問題に絞ってお聞きしたいと思います。 今度の改正案の一番の問題といいますか一番の特徴は、有料職業紹介事業を原則自由化する、これは原則として有料職業紹介事業を禁止していたこれまでの職安法といわば百八十度転換といいますか、根本的な変化だと思います。 そこでお聞きしたいんですが、これまで有料職業紹介事業を原則禁止してきた理由は何かということについて御説明ください。
○政府委員(渡邊信君) 職業安定法は昭和二十二年に制定、施行されたものであります。戦後すぐに制定された法律ですが、その当時の状況といたしましては、民間の有料の職業紹介事業というものが時に強制労働に当たり、あるいは中間搾取等の弊害を生じさせていた、こういった実態があったことを踏まえ、あるいは国際的にも、ILO九十六号条約は民間の有料職業紹介事業についてはこれを漸進的に廃止する、あるいは厳しい規制をかける、こういった態度で臨んでおり、我が国もこれを規制するという部分を批准していたわけであります。 こういったことを背景としまして、今日に至るまで民間の有料職業紹介事業については原則禁止という建前で推移をしているものであります。
○市田忠義君 今回それを百八十度根本的に転換させた理由、原則自由化した理由について御説明ください。
○国務大臣(甘利明君) 今も若干説明がありましたように、要するに社会環境が全く違ったということだと思います。ILO条約におきましても、九十六号から百八十一号、つまり禁止からむしろそれをどう活用しつつ労働者の保護を図るかという方に方向転換をしてまいりました。 職業安定法が制定、施行された昭和二十二年当時におきましては、先ほど局長から説明をさせていただきましたとおり、各種弊害も存在をしまして原則禁止ということにしたわけでありますが、その後における我が国の経済社会の発展や、あるいは労働法制がきちんと定着をしてきまして、取り巻く環境も大きく変化をしてきて、かつて頻発したような事態も起こらなくなったと。 そうした事情を踏まえて、有料職業紹介事業の取扱職業について、本年三月の中央職業安定審議会の建議を踏まえまして、民間の職業紹介事業者が活力及び創意を生かして労働力のいわゆる需給調整の役割を適切に果たしていけるようにする観点から、今回の改正に至ったというところであります。 さらには、有料職業紹介事業につきましては、不適格な業者を排除することによりまして事業の適切な運営を確保して求職者の利益を保護するために許可制を維持するということとしておりまして、これらによりまして従来の懸念、弊害は生じ得ないというふうに考えております。
○市田忠義君 有料職業紹介が常に惹起する弊害について、最高裁の判決、昭和二十五年六月二十一日付の判決ですが、その内容について簡潔に説明をしてください。
○政府委員(渡邊信君) 昭和二十五年六月の最高裁判決でございますけれども、これは有料職業紹介を禁じることが問題とされた事例であります。 この中では、少しく読み上げますと、「在来の自由職業紹介事業においては営利の目的のため、条件等の如何に拘わらず、ともかくも契約を成立せしめて報酬を得るため、更に進んでは多額の報酬を支払う能力を有する資本家に奉仕するため、労働者の能力、利害、妥当な労働条件の獲得、維持等を顧みることなく、労働者に不利益な契約を成立せしめた事例多く、これに基因する弊害も甚しかつたことは顕著な事実である。」としまして、「その目的のために従来弊害の多かつた有料職業紹介を禁じ公の機関によつて無料にそして公正に職業紹介をすることにしたのであり、決して憲法の各条項に違反するものではない。」と、こういった判示を最高裁は昭和二十五年六月二十一日にしております。
○市田忠義君 今紹介があったように、「営利の目的のため、条件等の如何に拘わらず、ともかくも契約を成立せしめて報酬を得るため、更に進んでは多額の報酬を支払う能力を有する資本家に奉仕するため、労働者の能力、利害、妥当な労働条件の獲得、維持等を顧みることなく、労働者に不利益な契約を成立せしめた事例多く、これに基因する弊害も甚しかつたことは顕著な事実である。」と、最高裁の判決でそういうふうに述べているわけです。 先ほど大臣は、時代の変化もある、労働法制も確立されてきた、そういう弊害は今日なくなったと、そういう意味の答弁をされました。ここで述べられているような弊害は完全に払拭されたというのが大臣の認識ですか。
○国務大臣(甘利明君) 昭和二十五年ですから、私が生まれた次の年でありますが、この判決文を読んでみても、今から考えれば当時はそんなすさまじい状況だったのかなと、古色蒼然たる判決文であるというふうに思いますのは、現在はそういうことがほぼなくなった、そしてそういう事業者が存在し得ない適正な競争社会になっているというふうに理解をいたしております。 当然、基本的人権にかかわるような、あるいは基準法違反にかかわるようなことは現在ある労働法制できちっと対処できているわけでありますし、とにかく許可制でありますから、その種のことが行われるような事業者は許可をしないし、あるいは許可を取り消すということでありますから、そういうことは現在ではあり得ないというふうに考えております。
○市田忠義君 判決が昭和二十五年のものだから古色蒼然だという意味のことをおっしゃいましたけれども、これを原則自由化するのは今回でしょう。これまで原則として禁止してきたということは、それだけ弊害があったということを政府も認めてきたからこれまで原則禁止してきたんじゃないですか。そんな、判決が二十五年だから古色蒼然たる判決を持ち出してなんという言い分は私は成り立たないと思うんです。 では聞きますが、許可条件を厳しくしたらそういう弊害はなくなる、絶対起こらないと言い切れますか。
○国務大臣(甘利明君) それはいろんな人がいますから、この世の中は善人ばかりじゃありませんから、一〇〇%ということは言い切れないと思いますけれども、それに近い状況でありますし、そういうふらちな業者が出た場合には直ちに対処するということになっております。つまり、その当時、昭和二十五年当時のような事態はあり得ないと思いますけれども、しかし問題のある事業者がゼロとは言い切れないと思います。しかし、だから一切規制緩和を行わないんだと言いましたら、デメリットの方がはるかに大きいと思います。別にそれを犠牲としていいとは決して言っておりません。 しかし、懸念されることがコンマの一ミリでもあれば一切何もしないという姿勢では全く世の中は動いていかないというふうに思いますし、ミスマッチを解消する、働く側あるいは使用者側にとっていろいろなニーズにこたえるという意味ではそっちのメリットの方がはるかに大きいと思っておりますし、デメリットの出ないように万全を期したいというふうに思っております。
○市田忠義君 一〇〇%大丈夫だとは言い切れないということをお認めになりましたし、たとえ割合が少なくても犠牲にしていいというわけではないと。これは確認していいと思うんです。 では具体的に聞いていきたいと思いますが、職安法の第二条は職業選択の自由について次のように定めています。「何人も、公共の福祉に反しない限り、職業を自由に選択することができる。」と。これは言うまでもないことですが、憲法第二十二条一項、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」。この憲法の規定に基づく、いわば基本的人権として侵すことができないそういう権利として職業選択の自由を定めています。 職業安定法施行規則第二条だったと思いますが、この職業選択の自由を実質的に保障するために国は何をしなければならないか、どう定めているか、御説明ください。
○政府委員(渡邊信君) 職業安定法施行規則第二条ですけれども、「公共職業安定所は、できるだけ多くの職業について求人開拓に努めると共に、求職者に対しては、できるだけ多くの適当な求人についての情報を提供し他に、より適当な求職者がない場合においては、その選択するいかなる職業についても紹介するよう努めなければならない。」というふうに規定しておりまして、今申されましたように、職業安定法二条で定める職業選択の自由を実質的に保障するという趣旨の規定を置いておるところであります。
○市田忠義君 今、局長が読み上げられたように、「できるだけ多くの職業について求人開拓に努めると共に、求職者に対しては、できるだけ多くの適当な求人についての情報を提供し他に、より適当な求職者がない場合においては、その選択するいかなる職業についても紹介するよう努めなければならない。」ということですが、職業選択の自由という憲法で保障された労働者の権利を確保する上で、できるだけ多くの求人情報を提供するというのは極めて大切な職業安定法の根幹をなす規定だというふうに私は考えます。 そこでお聞きしたいんですが、この条項は無料職業紹介事業にも有料職業紹介事業にも現在適用されているのか、そして今後も適用されるのか、これについて御説明ください。
○政府委員(渡邊信君) 直接には適用されておりません。
○市田忠義君 直接には適用されないとはどういうことですか。
○政府委員(渡邊信君) 先ほど読み上げましたように、公共職業安定所はこれこれというふうに規定しておるところです。
○市田忠義君 では、先ほどの規定は有料職業紹介事業には適用されない、こういうことですか。
○政府委員(渡邊信君) いずれも職業安定法の適用を受けているわけですから、精神は適用になっているといいますか、精神については適用はあると思いますが、施行規則の二条は直接的な公共職業安定所を指しておるものでございます。
○市田忠義君 精神は共通だけれども、公共職業安定所に適用される、そういうものだということですね。わかりました。 次に、求職者にとっては求人情報がどれだけ公開されるか、この問題は先ほども言ったように職業選択の自由との関係で根幹をなすものであります。一方、有料職業紹介事業にとって最大の営業は求人の確保、効率のよい就職のあっせんであります。だから、苦労して集めた求人を全部公開すれば他社に求人情報が流れるおそれが当然あるわけですから、求人情報の公開が行われないおそれが十分に生ずると私は思うんですが、求人情報の公開を義務づけているのかいないのか、これについて御説明ください。
○政府委員(渡邊信君) 先ほど申しましたように、求人情報を公開するということを有料職業紹介事業については法律上の規定としては義務づけておりません。
○市田忠義君 法律の規定としては義務づけていないけれども、先ほど読み上げられた規則にもあるように、できるだけ多くの求人情報が示されない限り、「求職者に対しては、できるだけ多くの適当な求人についての情報を提供し他に、より適当な求職者がない場合においては、その選択するいかなる職業についても紹介するよう努めなければならない。」、こういう職業選択の自由が保障できなくなると思うんですが、その点いかがですか。
○政府委員(渡邊信君) 職業選択の自由は、国が全国にあまねく無料で設置をして紹介事業を行っております公共職業安定所においてこれを行うというのが基本であろうかと思いますし、将来ともそういったセーフティーネットといいますか、そういったシステムはこれを基本として維持していく必要があると思いますし、安定所に来られる求職者についてはすべての情報を無料で見ることができる、知ることができるというふうになっているわけであります。 これに対しまして有料職業紹介事業は、職業紹介の事業でありますが、もちろんこれは営利を目的とした有料のものでありますから、御質問の趣旨がその職業紹介所に来る人以外にもということであれば、これは当然そういった情報は秘匿をしておるということになると思いますが、当該職業紹介所に来られる求職者の方については、これは事業でありますから、積極的にできるだけ多くの求人情報を当該求職者に当然与えているというふうに思います。
○市田忠義君 では、その有料職業紹介所に来る求職者については、全部の求人情報が公開されるんですか。 先ほど、そういう扱いではないと、精神は一緒だけれども、公共職業安定所に限りこの条項は適用されるのであって、直接に有料職業紹介事業にもそれが適用されるわけではないというふうに御説明になったわけでしょう。ところが、今の話、ちょっと違うじゃないですか。
○政府委員(渡邊信君) 条文の規定としてはそういう規定はございませんけれども、有料職業紹介所は現在は特定の分野において、例えば看護婦さんですとか家政婦さんですとかそういった特定の分野においてこれが営業として行われているわけでありまして、そういったところについては、求職者に対して求人情報は提供していると。実態をすべて把握しているわけではもちろんありませんけれども、当該有料職業紹介所を利用される範囲において提供はなされているというふうに見ております。
○市田忠義君 私は、そういう職業紹介を業として認める、それを原則自由化するということをやれば、その求人情報が他社に漏れたらいわばもうけがそれだけ少なくなるわけですから、商売として成り立つためにはできるだけ有利な求人情報は特定のところだけに紹介しようという思いが生ずるのはある意味で商取引としては当然だと思うんです。だから、こういう分野をいわば民間に何にでも原則自由化するというやり方をとる限りそういう弊害が私は起こると思うんです。 それで、実際の労働行政でどうなっているかお聞きしたいんですが、無料職業紹介については公共職業安定所と同様に職業を自由に選択できるように取り扱いされているというふうに思うんですが、有料職業紹介についてはそこまで厳密にやっていないと思うんです。その辺はいかがですか。
○政府委員(渡邊信君) 有料も無料も今おっしゃった点についての基本原則は同様でございます。
○市田忠義君 全く同様ですか。きのういただいた資料によると明確に違うガイドラインが示されていますが、いかがですか。
○政府委員(渡邊信君) 大変失礼しました。ちょっと調べております。済みません。
○市田忠義君 きのうレクで資料ももらって、どこが違うかということで指摘しているわけですから、ちゃんと説明するの当たり前ですよ。
○政府委員(渡邊信君) 大変失礼いたしました。 有料職業紹介につきましては、特にこれが有料で行われるというふうなことにかんがみまして特別のガイドラインというものをつくりまして、職業紹介行為に関する指針等々をこのガイドラインにおいて具体的に定めております。例えば、労働争議に対する不介入でありますとか手数料についてどうだ、こういったことを具体的に定めております。
○市田忠義君 ちょっと尋ねている趣旨と違う答えですね。 例えば、「無料職業紹介事業の運営に当たり留意すべき事項」という労働省が出しておられる文書の中に、「職業選択の自由の保障」、これについては、無料職業紹介事業の場合ですよ、「何人に対しても、公共の福祉に反しない限り職業を自由に選択できるようにしなければならない。」と、明確に公共職業安定所と同じ扱いのガイドラインを示しているんです。有料職業紹介事業についてはこの職業選択の自由の問題についてどうガイドラインを示しているかというと、「有料職業紹介所は、求職者の意思に反して特定の職業を強制するような接し方はしないこと。」と、極めてやわらかなんです。 無料の場合は明確に「職業を自由に選択できるようにしなければならない。」、職安の規定と一緒ですよ。有料の場合はそうでない、やわらかな規定になっているじゃないですか。きのうもらった資料にそうなっていたから、そこを説明してくれと言ったんです。そこは間違いないですね、今読み上げたのは。
○政府委員(渡邊信君) 先ほど申しましたガイドラインにおきまして、今、委員御指摘のように、「有料職業紹介所は、求職者の意思に反して特定の職業を強制するような接し方はしないこと。」というふうな規定をしてございます。
○市田忠義君 だから、無料の場合と有料の場合と明確に違うんですよ。別の取り扱いになっているということは、結局、有料職業紹介では労働者の保護よりも事業者の利益を優先することになるということをこれは私は示していると思うんです。 これは、業として成り立つためには当然そういうことになるでしょう、営業としてもうからぬ限りは有料職業紹介事業というのは成り立たないわけですから。私は、有料職業紹介事業が本質的に持っている問題だと思うんですよ。有料職業紹介が業として行われる限り、紹介の制限や選択が事業者によって行われることを防ぐことは不可能だと思うんです。求人情報の公開を義務づけない限り、これは私は不可能だと思う。 先ほど、それは精神は一緒だけれども同じような義務づけはしてはいないということを言われた。求人情報の公開を義務づけなければ恣意的な職業紹介が強要されることになりかねない。私は、それができなければ有料職業紹介の自由化そのものをやめるべきだと思うんです。大臣、いかがですか。
○国務大臣(甘利明君) 憲法の規定は、国が最低限の一つの基準としてちゃんと担保しなければならないというところだと思うんです。それから先のことにつきましては、業として営んでいくということに対して、そこの公共の用に供する部分を全く同じようにしろと言ったら、世の中、すべての業は成り立たないのでありまして、そこまでこうしなければならないということになりますと、職業紹介だけじゃなくて、いろいろ憲法の規定から考え方を延ばしていけば世の中に業は成り立たなくなっちゃうんじゃないですか。
○市田忠義君 そういう答弁を開き直りと言うんですよ。 私は、憲法で規定されている最小限の規定すら守られていないから言っているんです。あなた方自身が原則禁止とこれまでしてきたんですよ。では、それは憲法の精神をこれまで政府は守っていなかったと、そういうことにはならないでしょう。そういうことを私は聞いているんですよ。いかがですか、もう一回。
○国務大臣(甘利明君) 従来はいろいろ懸念をされることがあったと。それは、関係法律の周知徹底も至っていなかった、あるいは部分的に法整備もおくれていたかもしれません。今日はそういう状況ではなくなったということでありますから、規制緩和をすることによってお互いに、働く者も使用者側もメリットが大きいということで、特に現在はミスマッチが問題になっているわけでありますから、そこでそのニーズにこたえたということであります。 憲法の規定云々というのは、国家が果たすべき役割としてそこに明示をされているものに対して、国家が最低にやらなければならないこととして全国一元的にとり行っているということだと思います。
○市田忠義君 私は、一切の業を成り立たなくせよと、そんなことは全く言っていないんですよ。弊害が多いからきちんと労働者の権利を守れるように、憲法で規定された最小限のことぐらいはきちんと守りなさいということを言っているわけで、業を一切禁止せよなんて、そんなばかなことを言っていません。 次の問題に移ります。 私は本会議で、職業紹介が業として成り立つためには、どうしても職業紹介の成立数が競われることになると。これはある意味で当然だと思うんです、そうでないと商売が成り立たぬわけですから。そのためには、紹介の効率が追求されることはあっても適切な職業紹介の原則は顧みられなくなるでしょう。その結果、不本意な就職と、それを理由とする離職が急増する。ミスマッチの解消どころかそういうことが起こる。職業紹介がエージェンシー化され、独立採算的な業績主義が持ち込まれたイギリスで実際にそういうことが起こっている。紹介件数をふやすためには、長期安定雇用の紹介より短期雇用を繰り返すことが重視されることになるじゃないか、こういうことを本会議で総理に質問しましたが、これに対するまともな答弁はありませんでした。 そこで、具体的にお聞きしたいんですが、公共職業安定所、それから公共職業安定所以外の者が行う職業紹介のうち、求人及び求職について、臨時日雇いと一般の比率がどうなっているか、御説明ください。
○政府委員(渡邊信君) まず、常用についてでございますけれども、平成九年度の公共職業安定所の常用就職件数は約百四十万件で、民間の職業紹介について言いますと、有料職業紹介事業では常用が二十八万六千四百件、無料職業紹介事業が五万六千九百件余というふうになっているところであります。 ちょっと常用以外について調べていません。まことに申しわけありません。 大変失礼いたしました。平成十年度について改めて申し上げたいと思います。 公共職業安定所の実績でございますが、就職件数で、常用が先ほど申しました百三十九万八千、臨時が二十六万九千、日雇いは四千というふうになっておりますので、常用と臨時日雇いの比が約五対一ぐらいかというふうに思います。 それから、公共職業安定所以外の職業紹介実績でございますけれども、有料につきましては、就職件数ですが、一般が二十八万六千四百、臨時日雇いが二千六百九十四万七千五十四人日というふうになっております。無料につきましては、就職件数で、一般が五万六千九百余に対しまして、臨時日雇いは約二百二十九万八千人日というふうになっております。
○市田忠義君 労働省からいただいた資料で、公共職業安定所の職業紹介状況を見ると、常用というのが全体の中で八三・七%、臨時が一六%、日雇いは〇・二%。ところが、公共職業安定所以外の有料職業紹介で見ると、いわゆる常用が一・〇五%、臨時日雇いが圧倒的に多いという数字が示されているわけです。 それで、公共職業安定所に比べて、それ以外の職業紹介所が扱う件数を見ると圧倒的に臨時日雇いが多い。これは私は民営職業紹介の傾向が数字的にはっきり出ていると思うんです。 こうしたことに今後ならないと断言できるのか、またそうならないための具体的な措置は法律のどこに明らかにされているのか、これについて御説明ください。
○政府委員(渡邊信君) 我が国におきましては、常用労働のほかにも臨時や日雇いの労働市場というのがもちろんあるわけでありまして、現在、そういった面において民間の職業紹介機関が一定の役割を果たしているということは言えるかと思いますが、臨時日雇いの紹介そのものがそもそもいけないというふうなことにはならないというふうに思っております。 また、公共につきましては、確かに臨時日雇いの紹介に割く努力というものは、需要にも応じているわけですが、だんだん少なくなっている傾向にあることは事実でございます。
○市田忠義君 私は臨時日雇いの雇用が一切だめなんて全然言っていないですよ、局長。公共職業安定所に比べて、それ以外の職業紹介所の扱う就職件数を見ると余りにも常用が少なくて臨時日雇いが圧倒的に多いじゃないかと。それは有料職業紹介が持つ本質的な問題と結びついているんじゃないか、数字があらわしているじゃないかと。 そうならないと言うのなら、そうならないための具体的な措置、法律はどういうふうにそこを規定しているのかおっしゃってくださいということを言っているんで、一時的、臨時的な雇用が一切だめなんというようなことを全く言っていないですよ。 その言っていないことについてそんなことおっしゃったらだめで、こういうのが数字であらわれているじゃないですか。あなた、労働省が出している資料でそういう数字があらわれているんですよ。そのことについて、そういう弊害が絶対に起こらないと言い切れるのか。起こらないと言うんなら、法的にどう規定されているのかおっしゃってください。当たり前のことを聞いているんですよ。
○政府委員(渡邊信君) 臨時日雇いの紹介ということと弊害ということとの関係がよくわからないのでありますけれども、臨時日雇いの職業紹介が民間によっていろいろと行われる、そのことによって何か弊害が生じるということになれば、職業紹介事業の許可等によって対応するわけでありまして、必ずしも臨時日雇い市場における職業紹介が民間機関によって多くを担われるということ自体がイコール弊害であるというふうにはとらえていない、こういったことを申し上げたわけでございます。
○市田忠義君 なぜ民間の有料職業紹介所が取り扱う雇用の内容が短期、一時が多いのか。それは民間有料職業紹介が持つ本質的な問題と関連しているんじゃないですか。紹介件数を競わないと業として成り立たないんだから、常用のものよりもそういう細切れのものをいかに数多く紹介していくかということにならざるを得ないんじゃないですかということを私は聞いているんです。
○政府委員(渡邊信君) 臨時日雇い市場につきましても、一定の需要があるのでそういった職業紹介が有料として成り立っていると思うわけでありまして、そういったことによって特に労働者のピンハネが起こるとか強制労働が起こるとか、そういったことがあれば法に基づいて厳正に対処するということでありますから、そういった市場において民間機関が紹介事業を行うということ自体が特に問題がある、非難されるということではないんではないかというふうに思います。
○市田忠義君 全く納得できません、その答弁については。 時間の関係で、ちょっとほかのことも聞きたいので次に進みますが、求人者が複数の有料職業紹介業者に求人をすることは妨げられていませんか。
○政府委員(渡邊信君) 特に妨げられておりません。
○市田忠義君 その場合、これもある意味で当然だと思うんですが、商売ですから、複数の職業紹介事業者によって当然競争が行われる。そうなれば、労働条件の低い方で就職が決まるということが起こり得ると思うんです。同じ質の労働者であれば、求人側、企業の側は安い方の紹介を受けるのが当然だと思うんです。 そうなると、結局労働条件の切り下げ競争を強いられることになるではないか。そうならない保証はあるのかという問題について、いかがですか。
○政府委員(渡邊信君) 今おっしゃった趣旨は、労働者の方ももちろん労働条件のいい方を選択するわけでありましょうから、そういうことによって何か必然的に労働条件の切り下げにつながるというふうにはならないのではないかと思います。あくまで市場における競争原理ではないかというふうに考えております。
○市田忠義君 私、それは前の委員会で、派遣元と派遣先との間で交わされる派遣契約、その契約料金、これが競争にさらされることになれば、現に特許庁がそういう形で入札をやって、たしか一番高い値段は二千数百円でしたか、一番低いところの千何百円ぐらいで落札したという話を紹介して、そういう形で契約料金が競争にさらされたら、必然的に切り下げられるじゃないかと。 しかも、派遣労働者の派遣賃金というのは契約料金の枠内に全部おさまる、そうじゃなかったら派遣業者というのは成り立たないわけだから。そういうことになれば、派遣労働者の派遣賃金というのは絶えず契約料金に規定されて競争にさらされるということなれば、結局際限のない賃金切り下げ競争が行われるじゃないかということを聞いたときに、そういうこともあるだろうけれども労働者はいいところを選ぶ権利もあるじゃないかと、同じようなことを言われました。 確かに選ぶ権利はあるでしょう。しかし、登録しても紹介してもらえなければ何にもならないんだから、安く紹介するところしか紹介実績が上がらない、結局安い紹介に行かざるを得なくなる、これが競争原理の行き着くところじゃないですか。それについてはいかがですか。
○政府委員(渡邊信君) 今派遣についての御指摘でございましたけれども、派遣労働もこれから対象業務が相当広く広がるということで、いろんな業者の参入ということも、あるいは派遣労働者の参入ということも当然考えられるわけでありまして、そういったところでは、必ずしも料金の引き下げ競争だけではなくて、いい派遣労働者を迅速に提供できる、こういった派遣元企業につきましては需要も多くなり派遣料金も高くなる、そういった状況に移行するということももちろんあるし、その水準に達していない業者についてはなかなか注文が来ない、こういったことで、全体がともかく引き下げられるんだというふうなことにはならないというふうに思います。
○市田忠義君 それは例外的には若干高いところもあるでしょう。しかし、競争原理というのはそういう低い方に落ちついていくのが当たり前の商取引の原則じゃないか。あなた、そんないいかげんなことを言ったらだめですよ。 次の問題に移ります。 この有料職業紹介事業について、法案三十二条の十二の中で、有料職業紹介事業者が取り扱う職種の範囲等の限定をすることができる、そのように定められていますが、これはさきに挙げた職業選択の自由に反する規定だと私は思うんですが、どういう範囲で限定を認めるのか、説明してください。その職種の範囲等の限定、これを定めることができるという条項があるわけですが、どういう範囲で限定を認めるのか。
○政府委員(渡邊信君) 職業紹介事業につきましては、公共職業安定所と同様に求人求職の申し込みについてはすべてこれを受理しなければならない、こういった職業紹介に関する一般原則が定められ、職業紹介事業もこれは適用になっているわけであります。 ただ、民間の有料職業紹介事業はあくまで営利の事業でございまして、そういった意味ではそれぞれ得意の分野において、例えば現在でありますと家政婦さんとか看護婦さんとか、そういった分野において職業紹介を行っているわけでありますから、これをすべての求人について業務を広げろといってもなかなか営業として成り立たないであろうというふうに思われますし、それは今後も同様であろうかと思います。 そこで、改正法案におきましては、こういったことを踏まえまして、今おっしゃったように事業者が取り扱い業務の範囲を定めることができる。また、先ほど申しました、原則はその範囲内において適用されるというふうに規定しているわけであります。 この場合の取り扱い範囲の設定の方法ですが、これは例えばでございますけれども、一定の職種について取り扱う、あるいは一定の対象地域、一定の対象産業、あるいは高齢者等だけ扱う、こういったふうなことが考えられると思いますが、いずれにしても具体的な範囲の設定等につきましては関係審議会の御意見をお聞きすることになると思います。
○市田忠義君 中職審の建議の中で、今局長が言われたように、「職種等の取扱範囲」というところに、「この場合の取扱いの範囲の設定の方法としては、例えば、職種、対象地域、対象企業、」、局長は賃金を飛ばして読まれましたが、高齢者等と言われたが、中職審の建議では、「職種、対象地域、対象企業、賃金、高齢者等が考えられるが、どのような設定方法を可能なものとするかについての具体的な基準等は、引き続き検討するものとする。」とあるわけです。 そこでちょっと聞きたいんですが、この賃金の限定というのはどういうことになるんですか。
○政府委員(渡邊信君) 例えば、一定の年収以上の者についてこれを紹介の対象にしようというふうなことで、これは年収が高い人については高い報酬も得られるかというふうに思いますが、エグゼクティブとか、そういったものについてこれを対象としよう、そういった趣旨であろうと思います。
○市田忠義君 そうすると、一定の年収以上、あるいは逆に低賃金の人たちだけを対象にした職業紹介事業を認めると。 そういうふうになると、求職の段階で既に賃金差別をすることに行き着くわけで、これは私は絶対に認めてはならないと思うんですが、大臣、どうですか。求職の段階で年収一千万以上の人しか例えば扱わないとか、逆に賃金の低い人だけ扱うというふうなことが可能となれば、これは中職審でこれから論議してということじゃなくて、もうそんな段階以前に、そんな賃金差別を求職の段階から認めるというのはやめるべきじゃないか。いかがですか。
○国務大臣(甘利明君) 今後、中職審で検討することになると思います。
○市田忠義君 検討するまでもなく、こんな求職のときから賃金差別を認めるなんというようなことをやめるべきだということについてはいかがですか。
○政府委員(渡邊信君) ただいまの御意見はもちろん十分審議会に伝えたいと思います。
○市田忠義君 ぜひそういう方向で、それこそ労働大臣がイニシアチブを積極的に発揮していただきたいというふうに思います。 次に、企業で限定するということについても中職審の建議では書かれているわけですけれども、これを許すと特定企業専門の職業紹介事業が営めることになるんじゃないか、あるいは特定企業グループ専門の職業紹介業が営める。そうなると、求人側である事業主というのは、常に現在の従業員と取りかえ可能な労働者予備軍を持つことができるわけですね。有料職業紹介業者は求職者について常にスキルチェックを行う。在職者と求職者が永続的に競争させられることにならざるを得ない。そうなると、これまた常に労働条件切り下げの危機に直面せざるを得なくなる。私、これは職業の安定という立場から見て真っ向から反するものになるというふうに思うんです。 大臣は、衆議院のたしか寺前議員の質問にだったと思いますが、有料職業紹介に対する懸念を幾つか挙げたときに、それは究極の悲観論だということをおっしゃいましたが、私が今指摘したようなことが絶対に起こらないと断言できるのか。もし断言されるとすれば、逆に大臣は究極の楽観論だというふうに私は思うんですが、その点についていかがですか。
○国務大臣(甘利明君) いろいろな懸念がこの委員会でも御指摘されておりますし、それは正面から受け取るものもありますれば、そこまではどうかしらというものもございますので、中職審等でその辺の議論を精査し、御懸念はきちっとお伝えをしたいと思います。
○市田忠義君 時間がもうなくなりましたので、あと一問だけ、委託募集についてお聞きします。 現在、委託募集は、職安法の第三十七条で「労働大臣の許可を受けなければならない。」と。なぜそうした規定が行われているのか説明してください。
○政府委員(渡邊信君) これも主として職業安定法施行前の状況だと思いますけれども、委託を受けて募集を行う者が労働者の無知に乗じて募集を行ったようなケース、あるいは労働条件を伝えるときに明確性を欠いて募集を行った、そういったふうに労働者保護の観点からいろいろ弊害があったようでありまして、そういったことを踏まえて、委託募集については労働大臣の許可が要るという制度になっておると理解しております。
○市田忠義君 この職安法のコメンタールを読みますと、「委託募集においては報償金を受けて募集行為を業としている者を中心として行なわれるので、募集行為を業とする者は、いわゆる他人の就業に介入して利益を得る典型的な労働の中間搾取を行なう者であり、報償金を目当として無責任かつ無計画な募集を行ない易くその弊害は甚しいものがあった。」、そのために、厳重な規制を加えて認めるということにされたと。だから、「委託募集は公正明朗なものとして中間搾取、強制労働等の弊害の伴わないよう厳重な規制を加えて認める」。報償金についても、「他人の就業に介入して利益を得るものであるから、」許可制として規制を加えていると。 ところが、今度の改正を読みますと、報償金について報酬という言葉に変わっているのと、それから許可制を認可制に改めるというふうになっている。これは報償金が報酬と変わっても委託募集が他人の就業に介しての利益であることには間違いないわけで、許可制が認可制に変わったというのはどういう理由ですか。
○政府委員(渡邊信君) 報償金が報酬に改まったのは、これは単に最近の用語例によるものでありまして、特に意味はございません。 それから、従来この報償金については省令におきまして月額幾らというふうに上限を定めて、さらにその報償金について労働大臣が許可をするという仕組みにしておりますが、これが御指摘のように今回報酬について認可をするということになりました。 これは、委託募集を行う者の届け出額を労働大臣が認定するという認定制度に改めたものであります。一般的な禁止を解除する許可から、届け出のあった料金、報酬についてこれを認可をする、公の権威でもって認定をするという仕組みに変えました。許可からいわば自由設定というふうな方向に転換をしているわけでありますが、これは冒頭、職業安定法の今回の改正について御質問がありましたと同様の思想でございます。 かつて、いろいろと法律制定当時見られた弊害がその後五十年余を経、あるいは労働法制もいろいろと社会に定着をした、こういった大きな環境の変化を踏まえて、今般、職業紹介を原則自由にするということに伴いまして、その報酬についてもこれを基本的に自由に設定させる、こういうふうに基本的に切りかえるというふうにしたわけであります。 いろいろ御議論はありますが、むしろ安定法の改正というのが時代の流れに比べると大変遅きに失しているのではないかという感も深いわけでございます。
○市田忠義君 時間が来ましたので終わりますが、委託募集の問題についても、以前と比べて問題はもうほとんどなくなったかのような説明でしたが、さまざまな弊害がいっぱいあるという事例も紹介して話をしようと思っていましたが、次回にまた議論をしたいと思います。 以上で終わります。
○大脇雅子君 派遣法に関して質問したいと思います。 まず、派遣先の事業主の雇用責任についてお尋ねをいたします。 派遣の継続受け入れに関するいわゆるクーリング期間というものを三カ月とし、指針で定めるということに衆議院の審議ではなっておりますが、私は三カ月よりも長くすべきではないか、そして指針ではなく命令で規定すべきではないかというふうに考えるものです。この点についていかが解釈されるでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 今回の改正で一年間を超えて継続して派遣を受け入れてはいけないという規定になっておりまして、三カ月というのはいわゆるクーリング期間の解釈の問題でございます。そういったことで、命令ではなくて指針で定めるというふうにしているわけでありますが、この三カ月が長いか短いかということで、これはあくまでも解釈ですから、解釈として三がいきなり出てくるのはどうかという議論はもちろん十分あろうかと思いますが、一カ月では幾ら何でも継続してに入るのではないか、こういったいろいろな御意見もあろうかと思います。 そういったことをいろいろ考えまして、三カ月間あければこれは継続したことにならないというふうなところが妥当ではないかと判断しているところであります。
○大脇雅子君 そうしますと、一年間同一業務の派遣労働者を受け入れた派遣先が、同一業務に三カ月の期間を置かずに新たに派遣労働者を受け入れた場合は四十条の二第一項違反として取り扱われるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 改正法案の四十条の二第一項は、一年を超える期間を継続して受け入れてはならないというふうに規定しているわけでありまして、三カ月を置かずに受け入れた場合には継続してに該当し、違法になる、違反になるというふうに解されます。
○大脇雅子君 四十条の三の法案によりますと、派遣先は、一年間継続して労働者派遣の役務を提供された場合に、引き続き同一業務に労働者を従事させるため、派遣の一年間が経過した日以後労働者を雇い入れるときは、同一業務に継続して一年間従事した派遣労働者を遅滞なく雇い入れるように努めなければならないと書いてあるわけですが、この遅滞なく雇い入れるという場合はどのような解釈になるのでしょうか。言いかえれば、派遣先の努力義務というのはずっと永久にあるわけではないんでしょうから、どのぐらいの期間を想定するのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) まず、この規定が適用される要件として法律自身が、労働者が雇用されることを希望しているというようなことを書いておりますが、二重契約というようなことはあってはならないことですから、派遣元との雇用関係が終了しているような場合というふうなことがあって、そういったことの影響も今の御質問は受けるかと思いますが、一年間を超えて受け入れていていつまでも勧告をしないというふうなことでは法の趣旨が生かされないということで、法律の条文にも遅滞なくというふうに規定をしているところであります。 実際にはいろいろな事情があると思いますが、一定の猶予期間は必要だと思いますが、これはあくまで法文の趣旨に従い遅滞なく受け入れるように努めるようにということであると思います。実際にはいろんなケースについてさらにこれを想定してみたいというふうに思います。
○大脇雅子君 衆議院の修正によりまして雇い入れ勧告制度が導入されました。 雇い入れ勧告をする場合は、まずあらかじめ指導、助言を行うということになっておりますが、この指導、助言の契機というのをどうとらえておられるのか。それから、指導、助言から勧告までの期間、期限というものをどのように運用されるおつもりか、お尋ねをいたします。
○政府委員(渡邊信君) 指導、助言の契機というのは、これはやはり一年を超えて受け入れたというそういう事実があったときということになろうかと思いますが、指導、助言から勧告まで、これは指導、助言を受けましていろんな労働者を例えば受け入れるための措置というものも、派遣先事業主に事情はあろうかと思いますから、なかなか一律には言えないんだろうと思いますが、既に法に定める要件を満たしているわけですから、指導、助言を行って勧告までというのはそう長くない期間が当然想定されるものと思われます。
○大脇雅子君 大体実務で指導、今までさまざまな法律、例えば雇用機会均等法などで指導、助言というものは何回か繰り返されるわけでありまして、なかなか勧告までいかないということですから、受け入れ勧告制度に至るまで一律にいかないといいながら指導、助言を繰り返されていたのではこの制度の運用上非常に困ると思うわけですが、大体指導、助言、勧告までどのような期間を想定されておられるのか、お尋ねをします。
○政府委員(渡邊信君) 先ほど申したことですが、指導、助言を行った結果事業主の方でいろいろな対応をする、善意に解釈すればどういった部署に受け入れようかとかいろいろと考慮することもあろうと思います。そういった相手方の対応によっても期間は異なってくるのではないかというふうに思いますが、先ほど申しましたように、指導、助言を行ってこれがだらだらとそういう状態が続くというふうなことでは法の趣旨が生かされないのではないかと考えております。
○大脇雅子君 だらだらと重ねる期間ではだめだと言われると、具体的にどのくらいを想定されているんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 現在の時点でそれが一週間とか二週間とかなかなか明確に申し上げることは難しいと思いますが、あくまで相手方の対応にもよると思いますが、法の趣旨を生かすためにはできるだけ迅速にというふうに考えています。
○大脇雅子君 多少弾力的に指導、勧告で実効性をまず挙げていくということはこれは大切ですが、くどいようですけれども、そこが実務上一週間なのか二週間なのか、あるいは一月の単位なのか二月の単位なのかということは非常に大きい問題があるので、重ねてくどく御質問するんですが、どのくらいをめどと考えたらよろしいんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) これも繰り返しのお答えになるわけですが、派遣先の対応にもよると思います。およそ指導、勧告を受けて、受ける気がないというふうな反応が見られれば、これはもう遅滞なくということになると思いますし、何らかの準備を実際に着手されたというふうなことになれば、それはその様子を見るというふうなことになるのではないかと思いますが、いずれにしましても、指導して、指導から勧告をするという一連の行為ですから、これが実効性がなくなるようなそう遠いものというものは当然想定できないというふうに考えております。
○大脇雅子君 そうしますと、雇い入れの勧告を遅滞なく行うといいますと、雇い入れの勧告を行う要件というものはどのように理解したらよろしいんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) これは先ほども少し申し上げたことですが、まずその派遣労働者自身が当該派遣先に雇用されることを希望しているということはもう大前提であろうというふうに思いますが、二重契約ということは避けなければいけませんから、派遣元事業主との雇用契約は既に切れている、あるいは近いうちにそれを切るんだというふうなことが明確になっているというふうなことは最低の条件として必要かというふうに思っております。
○大脇雅子君 派遣先に雇用を派遣労働者が希望する、これは当然よろしいと思いますが、派遣先がその派遣労働者を雇い入れるという意思表示はない、意思は示さないけれども、しかし指揮命令でその労働者を指導して使っている、こういう場合には派遣先の意思というのは要件にはならないでしょうね。
○政府委員(渡邊信君) これは要件としては、法律上はこの一年間の規定を超えて雇っているという客観的事実でありますから、そういうときには雇い入れ勧告の対象になるということで、そのときに派遣先が雇用する希望を持っておればこれはもう速やかに、例えば勧告がなくてもそういうことが実現するんだろうと思いますが、通常はなかなか難しいというケースでありますと、客観的に法に定める期間を超えて派遣を受け入れたときにはこれはまず勧告の対象になるということだと思います。
○大脇雅子君 そうすると、勧告の内容というのは大体具体的にどういう形で勧告をされるわけですか。
○政府委員(渡邊信君) まず、当該労働者を雇い入れるように指導、助言を行うわけでありますが、それについてはかばかしい結果がないというときに当該労働者を雇い入れるように労働大臣から勧告をする、さらにこれが公表にまでつながっていく一連の行為の一環としてそういったものを行うという過程かと思います。
○大脇雅子君 そうしますと、私がお尋ねするのは、勧告をする場合には期限の定めのない契約として雇用を継続するようにというふうに勧告されるのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 通常でありますと一年とかそういうことについてなかなか根拠がないと思いますから、通常は通常の労働者として期限のない雇用としての勧告ということになろうかと思います。
○大脇雅子君 それでは、勧告をして従わなかった場合、企業名の公表という制裁措置があるわけですが、この制裁措置である企業名の公表までは勧告をされてからどのくらいの期限でなされるのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) この企業名の公表といいますのは、いわゆる罰則ではありませんけれども社会的制裁としての強い性格は持っているわけでありますから、勧告をした後に企業名の公表に至るということになれば当該派遣先においても雇用の意思を生じるというふうなことは十分あり得ると思うわけでありますから、機械的に勧告に従わないときに直ちに公表ということは適当ではないかというふうに思いますが、全く意思が見られないときにこれをまたいつまでも公表しないということももちろん適切でないと思いますから、やはりこれは派遣先の対応等を見ながらその期間なども考える問題かなというふうに考えております。
○大脇雅子君 指導、助言、勧告、それから企業名の公表というわけですが、遅滞なくということですけれども、やはりこれは最大二週間とか三週間とか、一カ月を超えてはいけないと思うんですが、運用されるときの決意というか姿勢というものは一体我々としてはどう考えたらいいのか、お尋ねしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 法の趣旨は派遣先に雇用してもらうということが趣旨でありましょうから、公表に至るという制裁が目的ではないというふうに思います。できるだけ懇切なといいますか、指導をし勧告をして、派遣先が自発的に当該労働者を雇用するということが一番望ましいわけで、最後の公表ということまでかけながら、いわばかなり強制をして勧告、雇用というふうになりましても、当該雇用が引き続いてうまくいくかどうかという問題もあろうかというふうに思います。 あくまで法の趣旨が達成されるように粘り強く説得をするというふうなことがこの制度の根幹には必要かというふうに思いますから、勧告をしてすぐ制裁的な公表だというふうにもいかないし、また相手方に全然そういう気持ちが見られないときには直ちに公表するということも、いろんなケースがあるのではないかというふうに思います。
○大脇雅子君 衆議院で修正されて、この法案の最も重要な派遣先事業主の雇用責任の言ってみれば魂の部分において、私はできるだけ速やかにということはわかるんですけれども、大体、指導、助言、勧告、企業名公表というのは、今までの事例などを見ていますとほとんどもうだらだらとしていて効果がないので私はくどく御説明をお願いしているわけです。でき得る限り、最大二週間あるいは遅くとも三週間というぐらいの期限の間に雇い入れの勧告をきちっとしていただいて雇用責任を確定していただくというしっかりとした決意が大事だと思います。 それで、指導、助言をして勧告をして、企業主が、それでは切りますと、こう言った場合に、安定所の方としてはどういう態度をとられるんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 先生、今、それでは切りますとおっしゃったんですか。
○大脇雅子君 解雇するというか、もうやめますと。
○政府委員(渡邊信君) これは、違法状態があって、法に従った勧告も全く相手にされないということですから、それは企業名の公表に至ると思います。
○大脇雅子君 そうしますと、一年を超える派遣が継続しているとき、雇い入れ勧告制度が最も法的な効果を、法的というか行政上の効果を持つためには民事的な効力というものが実はしっかり明文化されていないと私は効果がなかなかに出ないのではないかと恐れるものであります。 そうした違法状態となった場合に、雇用関係にあるものとみなすとか、あるいは雇用関係にあることを推定するという法政策を私はとるべきではないかということを主張しているわけであります。したがいまして、その法政策についてどのような御見解かということをお尋ねします。 そして、仮にそのような法規定がない場合であっても、派遣が継続して雇い入れ勧告がなされるようなケースにおいては、労働省としては民事的な効力はどのようにお考えなのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) みなし雇用等の制度を設定することは現行の法体系等から考えて難しいと思いますが、実際に派遣契約の受け入れ期間を経過していわば違法状態に入っていて、なお派遣先が派遣労働者を受け入れてこれを使用しているというふうな場合については、これはもう労働関係は特に実態を重んじる世界でありまして、実態の判断、解釈になろうかと思いますが、仮にそういった場合に、違法状態があるときに、派遣元と派遣労働者の雇用契約が既に切れていた、それにもかかわらず派遣先が当該労働者を指揮命令していたというようなときには、事実の問題として、実質的な問題として派遣先と派遣労働者に新たな雇用関係が成立したと見られると解釈されるという場合もあろうかと思いますし、仮にその時点では派遣元と切れていなくても、近いうちに切れる、その後また継続して派遣先が使用していたというときには、その時点において雇用関係が成立したとみなされる、見られる、そういったことはケースとしてはあり得るのではないかというふうに思います。
○大脇雅子君 そうしますと、ケースとしてあり得るということですが、そうした民事的な効力というのは、ケース・バイ・ケースというよりは、まさに雇用関係が継続するというそういう事実、違法な事実に基づいて法律関係を認定するわけですから、裁量的なところが入っては私はいけないというふうに思います。そのような雇用責任あるいは雇用関係が継続している、派遣先と派遣労働者との間に成立しているものとみなされるということが一般的だというふうに解すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 一年を超えて派遣労働者を受け入れたときの勧告というのは、これは例えば一年間継続でなくて、たまたま十日間派遣を受け入れたら途中で一年を超えてしまったというようなケースも勧告の対象になるわけで、例えばそういった短期の間派遣されて働いて、派遣契約期間を通算すれば超えてしまったというふうなときに、派遣先と派遣労働者との間に雇用関係が成立したと見るというふうなこともなかなか難しいケースがそういったときにはむしろ多いと思います。一人の派遣労働者について大変長い期間もう派遣契約なんか関係なしに指揮命令が直接といいますか、派遣先と派遣労働者の間に雇用関係が成立していると思われるようないろんな事象があったというときには、それはむしろ派遣先と労働者との間の雇用関係が成立している場合も見られるというふうに、これはやはりケースによって、実態によって判断される問題ではないかというふうに思いますので、単純に一年の通算期間を超えて派遣を受け入れれば直ちに新しい雇用契約が成立したと見るケースが多いというところまではなかなか一般論としても言えないのではないかと思います。
○大脇雅子君 そうしたら、雇用関係があるというふうにみなされる場合には、派遣労働者としては、雇用関係の存在確認の請求とか、あるいは派遣先に対する賃金請求とか損害賠償請求というものができると解されますが、いかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) そういったケースでは当然そういう訴訟が起こせると思います。
○大脇雅子君 先ほど来同一業務の解釈についてさまざまな質疑が交わされております。現行の二十六業務については、第二十六条第二項の規定に係る同一業務の解釈というものがされまして、それが同一業務でない、就業時間を少し変えるとか、あるいは業務を付随的なものをつけ加えるとか、かなりルーズに同一業務が解釈されていたために、現行では派遣労働者が法的に一年ないしは三年を超えてもなおかつ何年か継続していたわけですが、今度ネガティブリスト化するということになりますと、係や班ということを基本として判断すると言われますけれども、この同一業務の解釈というのは、現行の場合とさらに改正後の場合と具体的にはどのように違うということになるのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 現行の専門的等の二十六業務は政令によりまして一々列挙しているわけでありますから、例えば派遣契約に就業する業務というふうなことを記載するときにも政令の何号の業務であるというようなことを具体的に書くということになると思います。 したがってこれは、例えば通訳なら通訳の業務がどのようなものかという解釈があるにしても、通訳なら通訳の業務というふうにはっきり特定をすることになると思いますが、今般は期間制限の派遣ということで、特に専門職種とかそういったことで限定しているわけではありませんから、先ほど来申し上げておりますように、同一の仕事というふうなかなり抽象的な概念でございまして、これについての解釈は今回の法改正の趣旨、そういったもの等から総合的に判断する必要があると思います。 二十六業務については、先ほど申したような具体的な政令に書かれたそれぞれの業務ということになると思いますし、今般新しい改正法による同一業務につきましては、これだけですと同じ仕事というようなことでございますが、法の趣旨等々を考えて、先ほど来申し上げておりますように、企業の最小単位における活動、そこにおける業務というふうに解釈を運用したいというふうに考えているわけであります。 これは、具体的に二十六業務を定めた従来のやり方と期間制限というやり方で同一業務というふうなものを規定したところから来る必然的な差ではないかというふうに思います。
○大脇雅子君 常用労働者の代替の防止ということが言われておりまして、それをするのが勧告制度の実質的ないわば効果と、それから同一業務の判断というものにかかってくるというふうに私は解釈いたしますので、この二つの点がいかなる効果を持つかということが重要だということを指摘いたしまして、これに関連する質問を終わりたいと思います。 最後、まだ少し時間がございますので、法第四十九条の三の労働大臣に対する申告というものは具体的にどのように行われるのか。とりわけ、労働基準監督官と違いまして司法的な権限がないということから、事実関係の調査ということにも困難が生ずるのではないか。どういう権限に基づいてさまざまな事実関係の調査をし、その申告を審判されるのかということについてお尋ねをいたします。
○政府委員(渡邊信君) 法律上は労働大臣に対する申告でございますけれども、実際にはその申告を受ける権限というものを下部機関におろすことになると思います。 具体的には、公共職業安定所の職員においてこれを受けるということになろうかと思います。また、特に司法警察職員としての権限等を安定所の職員は有しておりませんし、そういった規定もないわけであります。実態的にはこれは指導ということになりますし、刑罰法規に触れるような違反があれば検察組織への告発というふうなことによってこれをとり行うことになると思います。
○大脇雅子君 将来、労働基準監督官における調査などを検討することが必要だと思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) この派遣法の施行事務というのは本来労働力需給調整に関する事務でございますから、公共職業安定機関、この系統によって所管するのが本来の姿であろうかと思いますが、いろいろと派遣法違反、強制法規違反等の問題にわたるということもないわけではないわけであります。 将来、労働行政の地方組織が労働局というふうな形で一体化をするというときには、監督機関との連携とか、そういったことについても体制の整備の一環として検討する必要があるのではないかというふうに思っております。
○大脇雅子君 さまざまな権利を派遣労働者が行使する場合に不利益な処遇が行われては権限行使というのができないということでありまして、例えば雇い入れ勧告の実施を希望して、そしてそのことによって派遣元が派遣労働者に対して不利益な処遇を行わないように指導すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 法に基づく申告を行って不利益扱いをされるということになりますと、これはなかなか権限が適正に行使されないわけでありますから、そういった扱いがされないように指導していくことが必要かと思います。
○大脇雅子君 申告に対して解雇その他の不利益な取り扱いをしないというふうになっておりますが、これの具体的な運用方法というものはどのようにされるのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) まず、どういったことが不利益扱いに当たるかというようなことは具体的に示していく必要があると思いますし、解雇のほかにも賃金の切り下げでありますとか、そういったことはこれに当たるかというふうに思います。具体的な運用についてはさらに検討させていただきたいと思います。
○大脇雅子君 最後に、雇い入れ勧告に従わない場合の企業名の公表というものはどのような方法により行うのか、あるいは公表の機関などどのようにお考えなのか、お尋ねをいたして、私の質問を終わります。
○政府委員(渡邊信君) 現段階では新聞発表という方法が一番ふさわしいのではないかと思っております。
○鶴保庸介君 自由党の鶴保庸介でございます。 質疑はもう最後になりました。私の用意した質問は前の方でほとんど終わってしまいました。したがいまして、本当に持ち時間の三十分もたないものですから、ポイントだけ、質問通告外のことがほとんどになってしまいます。御了承いただきたいと思います。 先日の当委員会での参考人質疑の中で、韓国の派遣法をアジアのスタンダードとして我が国も見習うべきではないかというような指摘がございました。 大臣、こうした指摘に対してどういう御感想をお持ちになったでしょうか。冒頭、ちょっとお聞きをしておきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 先ほどもちょっと触れましたけれども、韓国の派遣法について言いますと、例えば一年の期間制限はありますけれども、我が国の今回の法改正のような同一業務での労働者派遣を受ける期間の制限とはなっておりません。派遣元を変えれば期間制限の対象外というようないわゆる抜け道があるのでございまして、我が国の実情から見ますと、常用代替防止の面では今回の改正案の方が明らかに効果が大きいというふうに考えられるわけであります。 いずれにいたしましても、各国ともその国の労働市場の実情であるとかあるいは雇用の制度、慣行を踏まえた派遣の制度や仕組みを設定しているところでありますし、我が国にとっては今回の改正案が一番適切ではないかと考えております。
○鶴保庸介君 失礼しました。この質問も実はどなたかが聞かれたと思います。 ただ、参考人質疑のときに私も申し上げましたが、常用雇用の視点とそれから派遣労働者の保護の視点が欠けておるというふうな指摘がございました。その是非については議論のあるところだと思いますが、もしそうであるならば、その両方について考える必要があるんだということなんです。 そこで、またこれも重ねての質問、とりあえず前提としての質問になるわけですが、常用雇用について、代替雇用の禁止といいますか、そういう視点から、先ほどの答弁の中では、今回の派遣法は派遣期間の限定によって何とか防止をしよう、派遣事由の限定ではなくしてそういうふうに防止をしようということであるというお話がありました。 諸外国の例を見ておりますと、派遣事由の限定、期間の限定といったこと、それからその両方の限定、さまざまな組み合わせがあるんだというふうなお話でありましたけれども、なぜ我が国は期間の限定のみの方式を採用したのか、もう一度お話をいただけますでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 常用労働代替防止という点からいいますと、常用労働と申しますのは通常は期間の定めがなく雇用されている労働者を言うわけでありますから、そういった点からいっても、期間で限定することが常用代替の防止になるというふうに思います。また、先ほども御議論あったわけですが、フランスにおいては事由限定が行われておりますが、費用と効果の点からいって問題が多い、なかなか客観的にその事由というのを見つけにくい、出しにくいというふうなこともあるようであります。 そういった意味からも、暦日方式といいますか、期間方式によって、これであれば相当客観的に簡易に簡便にわかるというような効果もあると思います。特に常用代替の防止といえば、期間で区切るのが一番自然なやり方であると同時に客観的にも明らかになりやすい、そういったことから今般期間による常用代替防止措置を講じているものでございます。
○鶴保庸介君 その一年の期間というものの合理性は衆議院の方でも大分議論があったようであります。そしてまた、後半部分の理由、客観的に判断できるのは期間が一番適当だろう、それしかないじゃないかというような、ある意味ではちょっと消極的な理由なのかなというふうに私はお見受けするんです。 例えば、客観的に判断するようなやり方として、この間の質問でもちらっとお話をさせていただきましたけれども、派遣先企業と派遣元企業との間での契約で、派遣先から支払う料金の算定を、派遣先企業内の従業員に対して支払う給料を基準にしてというか、それよりも上であるということ、派遣先企業内の従業員に対してよりもっと支払わなきゃいけないということが前提としてなければ、どんどんと派遣先の従業員を入れてしまう。簡単に言えばそういうことになっていくと思うんです。 そういうことも制度のうちの一つとしては考えられるのかななどと思ったりもするわけですが、さまざま議論があったのかなと。その辺はどんな議論があったのか。全く考えていなかったのか。諸外国の例を見てこれしかなかったというふうに考えていらっしゃったのか。その辺、もし事情があれば説明していただきたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 派遣先労働者と派遣労働者との特に給与による比較によってこれを制限等々というふうなことは、恐らく立法過程の議論としては強くは意識されなかったのではないかというふうに思います。 実際にも、現行の派遣労働者の賃金は、専門的な職種が中心ですから、例えば通常の社員にはボーナスがあってこれをどう日額に換算するとかいろいろあるかと思うんですが、実態としては、専門職種なものですからかなり時間当たり賃金は高い派遣労働者が実際には多い、もちろんボーナスがないとかそういったことを割り引いて考えなきゃいけませんけれども、というふうなことはあるかと思います。 ただ、今般、これを拡大するについて、必ずしも専門的業務だけではないわけですから、そのことによる賃金の変動、そのことによる代替防止というところまでの踏み込んだ議論は恐らくなかったのではないかと思います。
○鶴保庸介君 そこで、要望といいますか、労働省にも気構えをお伺いしたいわけですが、これから自由化になりまして、見ていくと言ったらあれですけれども、これから注視していくというような取り組みがあるのかどうか。その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 今、お尋ねの件が特に賃金ということでありますと、当然新しい派遣による労働条件、賃金等がどういうふうに設定をされるのか、あるいはどういうふうに推移するのか、これは恐らく毎年調査をすることになると思います。
○鶴保庸介君 ぜひよろしくお願いをしたいと思います。 それでは、ちょっと視点を変えまして、派遣期間のみの方式を採用したという理由が、一年というのが客観的だというふうなお話でありました。ただ、先ほど委員の方からも質問がありましたけれども、一年間というその認定、これはだれがどのように認定をするわけでしょうか、ちょっと技術的なことになるんですが。つまり、派遣労働者が申告をしなければいけないのかということなんです。その辺はいかがなんでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 派遣労働につきましては、派遣先、派遣元にそれぞれ責任者を置くというふうなことになっておりますし、派遣契約で派遣期間をもちろん書き込むというふうなことになっていまして、まずは派遣元と派遣先との間で自主的にそこのところは、法律は守られていくんだろうというふうに思います。 派遣労働も、これが制定、施行されてかなりの歴史を経て、不適正な業者というのは市場から排除されていっている、将来またそういうふうになっていくというふうに思いますので、これは基本的には、派遣先、派遣元、派遣労働者、この三者がほとんどのケースについては自主的にそういうことを実行されるのではないかというふうに思います。 安定所が行います監督とか称しておりますが、そういった訪問指導、監督、こういったものによってもその辺は十分、特に制度発足当初は重点的に指導監督することになると思います。
○鶴保庸介君 そうしますと、派遣労働者の申告がなければだめだということになりますと、かなり知らない間にずっと雇用されておるというようなことというのはあり得ないことではないということになろうかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) これは、ただいま申しましたように、派遣元事業主がまずチェックをするということになりますから、そういった派遣契約をそもそも結ばないと思いますし、契約の期間は恐らく遵守をする、そういったことで派遣業界も健全な業界として育っていきませんと生き延びることはできないというふうに思いますので、恐らく自主的チェックというのが基本になろうかと思います。
○鶴保庸介君 派遣労働者の人権が侵害されるときといいますのは、もともと派遣元というのは性善説に立ってはそもそも前提がならないわけで、契約が一年以内であるから、それを労働者が知っていようと知っていまいと、もちろん契約を変えていけばその派遣労働者に対する人権は知らないうちに侵害されていくという可能性はあると思うんです。 私、以前お話をさせていただきましたが、自分が派遣労働者であったことがあるという経験の中で、私は全然知らなかったけれども、知らないうちに恐らく請負をさせられておった。そういう事情というのは多分あると思うんです。 そこで、前回も言いましたけれども、これがぜひ言いたいことですが、派遣労働者からの申告権といったものを実効性のあるものにぜひしていただきたいというふうに思うんです。この点について派遣労働者自身が、自分にはそういう権利がある、権利があるといいますか、そういう情報を持っているということがやっぱり必要であろうと思うんです。 この間、当委員会の視察で職安へ行ったときにこういうパンフレットをちょっともらってきたんですが、そこの裏にも相談、苦情処理と書いてあります。小さな字で書いてあって、多分ほとんどの方は読まないだろうなと私は思います。派遣スタッフとして働く上でわからないことや困ったことなどは遠慮なく派遣会社、派遣先の担当者や最寄りのハローワークに相談してくださいと、こうしたところに一行、二行書いてあるわけです。ただ、先ほど言いましたが、具体的にこんな事例はやはりいけませんよ、例えばこんな事例の場合はあなたの権利は守られていますよというぐらいのことはあってもいいのかなという気がいたします。 そういった意味でも、労働省としてその周知徹底あるいは啓発ということについて、取り組みあるいはその指針についてもしあればお話をしていただきたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 派遣労働につきましては、労働者の保護を図るというような観点からいろんな規制がありますし、また今回の改正によってもそういったことがさらに充実したと思うわけでありますが、肝心の派遣労働者がそれについて全く知らないというふうなことでは権利を適正に行使することはもちろんできないわけでありますから、行政としても、例えばモデルパンフレットを作成するというふうなこと、これを業界団体を通じて例えば配布する、直接本人に渡るようにするというようなことはいろいろと具体的にこれから考えたいと思います。
○鶴保庸介君 それでは、今常用雇用の話から派遣労働者の保護の方の話へ走っておりますが、これが最後の質問であります。 派遣労働者の雇用実態とか労働条件から見ましても、そのいわゆる罰則規定といいますか、それを事後的に担保する規定といったものを明確にすることが明らかに重要であろうと思います。そうした意味において、いろいろ衆議院の修正であるとか附帯決議であるとか、そういったところで各種修正が入っておると思いますが、総括して、派遣労働者のまず人権の保護のために罰則規定について労働省としてはどのように取り組んでおられるか、総括として最後にちょっとまとめていただきたいというふうに思います。
○政府委員(渡邊信君) この派遣法におきましても、業を適正に執行していただくという観点から、労働大臣が勧告をしたり改善命令をしたり、あるいはその改善命令が守られないときには罰則を科するというふうにしたり、あるいは直接違反に対して直ちに罰則がかかるというようなことがいろいろとありまして、総体としてこの派遣就業が適正に行われる、そういう担保措置というふうになっているわけであります。 この罰則の適用については、今後とも厳正に適用に努めていくという考えでおります。
○鶴保庸介君 ありがとうございました。
○委員長(吉岡吉典君) 四案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時五十四分散会