労働・社会政策委員会 第2号
- 発言数
- 186 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1999/03/09
会議録
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨八日、今泉昭君が委員を辞任され、その補欠として長谷川清君が選任されました。 ─────────────
○委員長(吉岡吉典君) 労働問題及び社会政策に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○大島慶久君 おはようございます。通告に従いまして質問をしてまいります。 まず最初に、労働大臣にお伺いをいたしますが、先日の甘利労働大臣の所信におきまして、大臣が国民が抱いている雇用に対する不安を払拭するため並々ならぬ決意で臨んでおられるその姿勢を知りまして、大変私も心強く思っている次第でございます。 予算委員会の合間を縫って、先月ワシントンで開催されました雇用サミットに参加され、大変御苦労なされましたが、その際、雇用情勢が比較的安定しているアメリカやイギリスは別といたしまして、ドイツなどの国々の首脳と高失業率問題と雇用対策についてお話し合いをされたことと思いますが、その中で我が国が参考にしたいというような施策あるいは何か感想をお持ちかと思いますが、まずそこら辺からお伺いをいたします。
○国務大臣(甘利明君) 委員長初め委員の皆様の御理解のもとに、国会が大変にタイトな日程の中をG8労働大臣会合に出席をさせていただきました。心から御支援を感謝申し上げます。 ただいま大島先生から、その会議の席上各国の施策の中で参考になるようなことはあったかどうかというお話、御質問であります。 会議に参加をいたしまして、雇用問題に取り組む各国の施策で、実は日本と欧米が随分違うなと思った点が何点かございました。 一番大きい点は、若年者雇用の問題でありまして、欧米で非常に関心の度合いが高いのは、学卒者が就職できない。日本でも学卒者の内定率が例年より数ポイント同時点で低いということはもちろん深刻なことでありますけれども、そのけたが違うという状況でありました。それは、雇用形態がもちろん違うということによると思います。学卒一括採用というのと、通年雇用で職業能力のある者から就職が決まるという雇用制度の違いがあると思いました。 彼らは、例えばイギリスがニューディール政策と呼んでおりますのは、学校を出まして職につけないと、それは福祉予算的な意味合いが強いんだと思いますが、失業給付がなされる。しかし、いつまでもだらだらと受給だけさせていない。半年を過ぎたらもうボランティア活動に入るかあるいは政府の職業訓練に強制的に入れるか、さもなければ失業給付を切ってしまうという決断を迫るというようなものがニューディールと称して発表されておりました。欧米ではなかなかそれが大きな話題になっておりましたが、どうも私どもの方からすると視点が少し違うかなという感じがいたしました。 そのほか、例えばフランスでは時短によるワークシェアリングということを、フランスは政務次官だったと思いますけれども、発表をされておられました。アメリカは、殊さらバウチャーを強調はしておりませんでしたけれども、本年の七月以降だと思いますが、実施されるというふうに承知をいたしております。 総じて感じましたことは、我が国の雇用対策はかなり広範に各国の施策を既に網羅してカバーしているなという感じがいたしました。ただ、めり張りのつき方が各国違うようでありましたが、特にこれはすばらしい、特に目新しい、ぜひとも我が国で採用すべきだと感銘するような策はございませんでした。
○大島慶久君 労働問題とWTOの関係について、今後の取り組み方をお伺いしたいと思います。 従来の我が国と今では、まさに雇用情勢というものはアメリカと逆転している。今回の開催はそういう社会背景の中でアメリカで開催されたわけでありますから、アメリカのペースで会議が進められるのじゃないか、こんな懸念をいたしておりました。アメリカが求めていた労働問題を世界貿易機構と関連づける案が採択されるかどうかについて、保護貿易への強化を警戒しているアジア諸国、そのアジア諸国を代弁する立場から我が国が欧米との間で孤立することも予想されたわけでありますけれども、幸い甘利大臣の御努力のかいもありまして、その欧米の要求が議長総括に盛り込まれなかった。私も、そういった観点で今回のサミットの成果というものを高く評価をしているものでございます。 そこで、その交渉に当たって大臣がどのような主張をその場で展開されたのか。また、労働条件の改善と貿易問題を絡める欧米側の主張は今後のサミットでも引き続き提起される課題だというふうに考えられます。大臣の御努力のもとでアジア諸国の協議の場を設けることが私は必要じゃないか、こんなことも思うわけでございますけれども、どのように今後対応していこうとされておられるのか。また、大臣は欧米の主張されている真意についてどのように受けとめられているのか。そして、そのテーマに今後どのような角度から検討していかなければならないかと思っておられるのか、御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) さきの雇用サミットの第一セッションは関係各国が自分の国の雇用政策、戦略を披瀝し合うという場でありまして、第二セッションの方がILOと国際機関の連携のあり方、中核労働基準を徹底させていくためにどういう取り組みがあるか、主に国際的な機関連携についての議論でありました。 実は、第一セッションは各国の取り組んでいることを発表し合うところでありますから、何がいけないとかいいとかいう議論はないのでありますけれども、第二セッションに関しましては大きく意見が対立するところでありました。アメリカやフランス、EUというのは、中核的労働基準、コア・レイバー・スタンダードを徹底させていくためにはWTO機関との連携が必要である、つまり途上国が低労働基準を背景に輸出攻勢をかけてくる、それは貿易制裁を通じて制御しなければならない、そのことがペナルティーによって中核労働基準の履行を迫るべきであるという主張でありました。 私は、日本の代表であると同時にアジアの代表でもありますから、むしろ規制的措置、ペナルティーでやってもこれは一時しのぎにしかならないんじゃないだろうかと。先進国というのは生まれたときから先進国ではなくて、途上国が発展をして先進国になってきたわけでありますから、それぞれ自分たちが胸に手を当ててみればたどってきた経緯でもある。だから、ペナルティーで締め上げるというよりも、環境整備のために手をかすことこそむしろ抜本策になるんではないだろうか。そういった意味では、WTOと組むということではなくてむしろ支援機関と組むということが大事である。もちろん、モラルとしての中核労働基準を履行させていくというのはILOの非常に大きな役目でありますし、その責任機関でもありますけれども、これを助けるために支援がどうあるべきか、環境整備がどうあるべきか、そのことを議論しないと一時しのぎの策になってしまうということで主張をさせていただいたわけであります。 当初、こちらを立ちますときに新聞は、日本が孤立する可能性ありということを随分書かれました。しかし、この点は私は引けない主張でありましたので、孤立しようとも主張は貫き通すというつもりで会談に臨み、随所でその発言をいたしました。私の発言の後に、ドイツがそのとおりだという発言をしてくれまして、日本の発言に賛意を表するというようなお話がありました。またイギリスも、日本の主張が妥当な線であるというような話も個別にもしてくれたわけであります。そういうことがありまして、日本の主張にほぼ沿った形で、むしろ支援措置で取り組んでいくべきである、制裁措置と組み合わせるべきではないという内容になったわけであります。 そして、アジア諸国との今後の連携でありますが、いろいろな国際会議が、APEC等の会議が開かれますので、そこでアジアに対して我々の考え方を徹底させていきたいと思いますし、これは中核的労働基準を、猶予を与えたということではなくて、積極的に取り組んでいくべきだと。そして、その意思を支援してあげるという枠組みですよということは趣旨徹底をしたいというふうに思います。六月にはILO総会がありますし、七月の二十九、三十にはワシントンにおいてAPECの人材養成大臣会合等がございますから、いろんな機会をとらえて緊密な連携を図っていきたいと思います。 それから三点目の先生の御質問の、米国が強く主張した真意はどういうふうに受けとめているかと。ちょっと先ほど御説明も申し上げましたけれども、低い労働基準による生産物が低価格で輸出攻勢をかける、そうするとそれによって米国の国内市場が荒らされる、国内産業がダメージを受ける、それは失業につながると。だから途上国の低労働水準はすなわちアメリカへの失業の輸出であるという主張が根底にあるわけであります。 それと、アメリカは、外に向けて中核労働基準を制裁をもって守らせる強い姿勢があるということを出すことによって、内なる国内政治に向けて逆にアピールをしているのではないかというふうに思いました。 アメリカのワンストップ・キャリア・センターを視察させていただきましたけれども、そこでは、職業紹介と職業訓練と軽度な福祉とを組み合わせたようなところであるのでありますが、そこでの職業訓練の水準を見まして、アメリカはいかに悩み多き国かなということを痛感いたしました。職業訓練をパソコンに向かって行っておりますけれども、中高年の失業者が動詞の変化形を勉強しているのであります、英語の。もちろん我々から見ると中学生ぐらいの勉強だと思いますけれども、アメリカ人でありますから、アメリカ人が英語の単語の変化形を一生懸命こうやって勉強している。その隣のブースでは算数の勉強をしていました。八割る四ということの画面を見詰めて、答えが出ないでじっと数秒間見詰めたまま。マウスをクリックして二という答えが出るということでありましたから、アメリカの悩みは大変深いものだなというふうに思いまして、そういう悩みを抱えていることもこれあって、外に向けて我々はこんなに人道的である、民主的であるということのアピールは、そっくり内なる悩みに対しての姿勢なのかなということも感じた次第でございます。
○大島慶久君 大変慌ただしい渡米でありましたけれども、今、大臣のお話を伺っておりまして、極めて成果に手ごたえを感じてお帰りになられたことも大変よろしかったと思います。 それでは、政府の七十七万人新雇用創出計画への取り組み姿勢について次にお伺いをいたします。 先週の金曜日ですから五日でありましたでしょうか、産業構造転換・雇用対策本部を開催し、昨年十一月の百万人雇用創出・安定策に続いて、施策の一層の具体的推進を図るため七十七万人雇用創出計画を明らかにされました。 今月初めの発表では、今年一月の完全失業率が四・四%、有効求人倍率が〇・四九倍と、三カ月続きで最悪という厳しい状況にあります。また、新聞報道等ではNECやビクターなどの、連日のごとく各企業のリストラ計画が発表されるなど、国民の雇用に対する不安感は日増しに高まっていると言っても過言ではないと思います。今回の七十七万人雇用創出計画はまさに時期を得たタイミングと思います。しかし、これが計画倒れでは何の意味もないわけでありまして、今回の計画は全閣僚が出席をされた中で決定されてあるものであります。これを実効あらしめるために、労働大臣は積極的な取り組みや各方面への働きかけにかかっているところが極めて大きいわけでございます。 そこで、本計画実現についての労働大臣の所見と豊富を明らかにしていただきたい。また、特に厚生省、建設省、運輸省、郵政省にかかわることが多いことからも、各省庁との折衝を労働大臣は所管大臣としてどのようにお進めになられるおつもりなのか、所見をお尋ねいたします。
○国務大臣(甘利明君) さきに、政府は十一月の緊急経済対策の中において雇用活性化総合プランを発表させていただきました。その中では、百万人の雇用創出・安定を打ち出させていただきました。その後、当委員会あるいは予算委員会等におきまして、その中身について、創出部分がまだまだ弱いのではないか、それからGDP押し上げ効果というその計算方式ではいかにも漠としているから、個別分野について子細な検討ができないのかという御指摘もいただいてきました。 私はその質問に答える際に、十一月の時点で具体的な算定ができる分野について書かせていただきましたと。その後産業再生計画あるいは新ゴールドプランが具体的に最終年度の落とし込み等明確になってくる、あるいはその他の分野でも雇用という面からいろんな模索がなされるんではないかと期待するというお話をさせていただきました。閣僚懇等で具体的な詰めを雇用という観点からしてもらいたいというお話を何度かさせていただいたわけでありますが、今回、総理が主導で、一両年のうちに雇用創出が具体的に計算できると思われる分野について至急算定せよという指示がなされまして、そしてこの七十七万人という数字を提出いただいたわけであります。 予算が具体的に雇用の数字にはね返ってくる、例えば保健・福祉分野は割と計算がしやすいのでありますけれども、それ以外の部分についてはなかなか明確な計算式というのがないようであります。 そこで、例えば住宅及びその関連分野においていうと、融資あるいは税制あるいは予算措置によって戸数増が約二十万戸見受けられる、そうすると、こういう効果が周辺効果を含めて一両年でこのぐらいあるんではないかというような、物すごく厳密な計算式ではないと思いますけれども、想定される数をはじかれてそれに向かって施策の執行をきちんと行っていくという等々の努力がなされているわけであります。 先般開かれました産業構造転換・雇用対策本部で各省担当大臣から発表されたわけでありますが、同時にたしか大蔵大臣からの発言がありまして、このフォローができるのかできないのかと。短期的にはなかなか難しいかもしれないけれども、一年単位くらいのスパンでいえばフォローアップといいますか、確認をしていくことができるんではないだろうかというようなフリートーキングがございました。それに向けて幹事会を設置するというところまでが確定したところでございます。
○大島慶久君 それでは次に、労働省にお伺いをいたします。 医療・福祉分野の雇用創出におけるパートタイム労働者の積極活用という観点からお伺いをいたします。 平成九年の五月に閣議決定をされました経済構造の変革と創造のための行動計画において、新規産業創出環境整備プログラムを提示し、そこでは新規・成長十五分野、医療・福祉、情報通信、環境、生活文化、ビジネス支援等が挙げられ、雇用規模で一九九五年時点の千六十万人が二〇一〇年には約千八百万人にふえる。全体で約七百四十万人の雇用創出を見通しされているわけであります。そのうち、医療・福祉の分野で二〇一〇年に向けて百三十二万人の雇用が創出されると見込まれているわけでありますが、今大臣から説明をいただきました七十七万人雇用創出計画でも平成十一年度のみで約十万人を計画されているわけであります。 私は、医療・福祉の分野の百三十二万人の雇用創出の一翼を担う意味から、パートタイム労働者の積極的な活用を提案させていただきたい、こう思うわけでございます。 高齢者や女性の中には、フルタイムではなくてパートとして福祉・介護業務に携わりながら、生きがいを持って社会参加を果たしていこう、こういう考え方の方も私は極めて多いと思います。こうしたニーズにこたえ、公共職業訓練施設での介護科コースの増設、介護関係の職業講習、再就職講習の実施等により、介護の技術と技能を持った人材を数多く養成するとともに、フルタイムではなくてパートとして雇用されていくような環境整備を図っていくことが施策の選択肢をふやすという意味でも私は大切であろうと思うわけでございますので、その辺に関して労働省の見解を明らかにしていただきたい。 ちなみに、現行のパートタイム労働法第十一条には、短時間労働者への職業訓練の実施についての国、地方公共団体の特別配慮を規定しております。これについての取り組み方をお伺いしたいと思います。ちょっと時間がなくなってまいりましたので、恐縮でありますけれども、簡潔な御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(日比徹君) ただいまいわゆる医療・福祉分野ということでのお尋ねでございますが、御案内のように、福祉あるいは介護に従事する方々につきましては、介護福祉士につきましては一定の厚生大臣の指定する養成施設、あるいはホームヘルパーにつきましては都道府県、政令指定都市等で養成、研修施設を設けております。それに加えまして、私ども労働行政の分野におきましても、一つには、今先生御指摘の公共職業能力開発施設におきまして介護サービス科あるいは福祉ヘルパー科等の訓練科目を設けてやっております。 それで、介護あるいは福祉従事者の方々というのはそういう各般の実は養成施設がございます。その中で、地域事情等をも含みまして能力開発施設においてもやっておりますが、今御指摘のように需要がふえるということでございますので、これの拡充のために努めてまいりたいと思っております。 また、パートの方々に対する今御指摘ございました能力開発といいますか、職業訓練の実施についてどういう配慮をしておるのかということでございます。私どもの能力開発におきましては、パートで働く方、あるいはそうでない働き方、まず一般的には区別せずに訓練を設定しておりますが、ただそれでは現実に、家庭に今現におられる方、あるいはパート的な形で働くというのを前提にして、パート的な能力開発の受け方ということも大切でございますので、現在事業団の施設あるいは都道府県立の能力開発施設におきまして、一日置きのコースを組んだり、あるいは短期集中型の十日間集中でやるとか、そういう訓練の実施方法について配慮をするということで、現時点もやらせていただいておりますが、今後ともその拡充といいますか、強化に努めてまいりたいと思っております。
○政府委員(渡邊信君) 高齢者等の方々の福祉事業へのパート的な就労の問題でございますけれども、これから介護労働、ますます需要がふえていく中で、いろいろな働き方が必要ではないかというふうに考えております。例えばシルバー人材センターにおきましては、従来から軽易な介護といいますか、こういったお手伝いをすることを積極的にやっておりまして、例えば食事の支度の世話とか住居の掃除ですとか、あるいは通院をされるときの介助とか薬とり等の介護関連サービス、こういったものをシルバー人材センターが従来から取り組んでおりますし、またシルバー人材センターの高齢者等の方について、ホームヘルパー三級の資格取得のための講習などもやっております。 こういったことで、これからますます増大します介護労働については、フルタイムだけではなくてパート的な働き方も加味しながらその需要にこたえていくことが必要じゃないかというふうに考えております。
○大島慶久君 時間が参りましたので、先月、二月十八日の朝、労働大臣が現職の大臣としてホームレスの視察に入られました。新聞でも報道されておりました。その件に関してお伺いをする予定でございましたけれども、時間が来ましたので次回に譲ることにいたしまして、私の質問を終わります。
○川橋幸子君 民主党の川橋幸子であります。 一時間時間をちょうだいしておりますので、きょうは大臣の所信に対する質疑ということでございますので、余り細かい技術的な問題よりもむしろ労働行政ないしは労働政策というのはどうあるべきか、あるいは非常に大きな環境変化のある中で労働分野における政府の役割はどうあるべきか、もちろんそれぞれの考え方が違う、あるいは価値観が違うことによってどれが正解ということはないのかもわかりませんが、現在、労働省では、あるいは大臣は、政治家としての大臣の視点からごらんになられましたら政府の役割、労働政策の点からこうしたいというようなそういう所信をお伺いしながら議論をさせていただきたいと思います。 ここに、「転換期の労働政策」というタイトルの座談会の記事がございます。日本労働研究雑誌というところでございますのでもちろん労働省でも十分お読みになっていらっしゃるものではないかと思います。有識者と言われる方々の座談会でございまして、戦後といいますよりも二十一世紀に向けまして二十世紀後半から始まりました労働政策の過去を振り返りながら、見ておりますと、私も労働省に三十年間仕事をさせていただいた人間でございますので、それぞれのステージの中での労働政策の課題というのはこんなに変わってきたというのを自分でも自身の仕事に関連いたしまして思い出すわけでございます。二十一世紀へのかけ橋、これは小渕総理がよく言われる言葉でございます。二十一世紀に向けて労働政策をどのように展開していくべきかというようなそういう観点の座談会の記事でございます。 そこで、この座談会の口火の切り方は、三つのKという特徴を挙げて今日的な労働政策の課題を議論の口火を切るためのテーマにしているわけでございます。三つのKといいますと何かといいますと、高齢化、国際化、規制緩和というこういう切り口でございました。三Kといいますと、汚いとか嫌われるとかというあの三Kがありますけれども、そうではなくて、社会の構造変化をあらわす、あるいはグローバルな経済構造の変化をあらわす三つのKとして日本の場合は高齢化、国際化、規制緩和というものを挙げているわけでございます。 そして、高齢化、国際化の場合は、いずれも人件費を上げる要因が非常に大きくなる、そういう中でやはり国際的な競争力を高めるにはコスト減、コストダウンを図らなければならない、規制緩和はまさにそのコストダウンの方向で有効に機能させなければいけないというような、そういう認識から入っているわけでございます。こういう三つのKにちなんでといいますか、この要因に絡まって日本の経済というのが今後競争力を高めていく、維持していくというための人件費ダウンのこういう認識につきまして、まず大臣の御認識を伺いたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 高齢化も国際化もこれは世の中の必然的な流れでございまして、これを押しとどめるということはできないわけであります。そして、環境変化の中でも日本が引き続き高い質の福祉施策を保っていくためには、いずれにしても競争に勝っていかなければ成果の配分はないわけでありまして、そのために規制緩和が必要である。特に規制緩和というのは、経済面での規制緩和というのは避けて通れないというふうに考えております。 私は、歴代労働大臣の中で非常に鮮明に思い起こすことがあります。それは石田博英労働大臣の件に関してある先輩議員から伺った話であります。石田博英労働大臣の業績の中で最も顕著なものは、かつて日本が高度成長に入った時期に労働賃金が上がってきた、これはいいことであります、当然のことでありますけれども、その際に経済団体側から、高い労働コストでは国際競争に打ちかっていけない、だから低賃金労働を可能にするようにいわゆる単純労働に外国人を入れたいという話があったときに、労働大臣は頑としてこれを受け付けなかった。事実を私は承知しておりませんが、そういう話があったんだということを聞きました。そこで、経済側は高い賃金でもやっていけるような生産性を上げるために大変な技術革新に取り組んだ。それが今日の技術立国をなし得ているんだという話を聞いたことがありました。 このコストプッシュ要因、それぞれ三つのKに対処するためにコストプッシュ要因を排除するという議論が行われているやに聞きますけれども、私は、生活水準を維持していくために生産効率を上げていく、技術革新に取り組む、これは不断の努力としてやっていかなければならないと思いますし、競争に勝つために賃金を引き下げるということは極力選択すべき選択肢ではないというふうに思っております。 先生の御質問について的確にお答えになったかどうかわかりませんけれども、私の所感を申し述べさせていただきました。
○川橋幸子君 大変リベラルな御回答をいただいたように思います。 私は民主党に所属しておる人間でございますけれども、どちらかと言えば、むしろ高齢化、国際化、これはコストプッシュ要因になる。コストというのは人件費だけではなくて設備投資やら金融やらさまざまなコストがあるわけでございますけれども、むしろ人件費だけで解決すべき話ではございませんけれども、今までのように高コスト・高パフォーマンスだけではどうも日本の経済というのは乗り切っていけない非常に難しい時代に入ってきている。 そういう時期に、やり方はさまざま、やり方というとちょっとどぎつい感じがいたしますけれども、賃下げという意味ではありませんけれども、賃金コストというのをいかに抑制できるのか、それが公正であるのか、あるいは働く人々の納得が得られるのか、そちらの方に私は意を用いることが大事ではないかなという感じを私自身は持っておりますことをまず最初に申し上げさせていただいて、次に入らせていただきます。 人件費の抑制といいますか、ダウンというものをやる方法には幾つかあるんだろうと思います。ここにエコノミストの二月十六日号、たまたま手元にありましたので私は今これを紹介させていただきますが、大久保さんとおっしゃるリクルート・ワークス研究所というところの方が書かれているものでございます。 一つは、ワークシェアリングによって賃金を下げるオランダ方式というようなお話。それから二番目は、雇用形態を多様化することによってコストを抑える話。それから三つ目の方法といたしまして、ペイ・フォー・パフォーマンスを上げるという、片仮名文字で書いてございますが、言ってみれば賃金の決め方を合理的にしていく。年齢とか勤続とかそういう今までの慣行的な賃金管理ではなくて、やはり能力、仕事の成果、業績で決めていく、そういうパフォーマンスでもって、成果主義でもって賃金を決めていく。この三つの方法がこの方の整理によりまして挙げられております。私も同感なのでございますが。 現在、春闘でございます。一部にも、会社の名前はちょっとど忘れいたしましたけれども、大きな有名な製造業の企業、非常に現在の不況を乗り切るために苦慮しておりまして、フルタイムの方を解雇するかわりにパートタイムとして再雇用してワークシェアをする、これを選ぶのか、それとも人員整理に踏み切るのかというような強い問題の投げ方がさせられている、こんな例もあるやに聞いております。 このケース自体についてどう対応するかというのは労使のさまざまなこれからの交渉事になるかと思いますけれども、人件費の削減といいますか、人件費プッシュを抑えるためには、どうも量的な問題ではなくて質的な解決、いわば構造改革に入っていかなければいけないのではないか、こんな感じがいたします。 質問が大変長くなって恐縮でございますけれども、政府の今回の予算案を見ますと、七十七万人雇用創出という一番最近の案が出ましたので、企業の責任において、内部労働市場において失業を吸収していく、一過性の不況ならそれで耐えられるわけでございますけれども、そういう予算案では不満だということで雇用を企業内でもって維持する、失業を顕在化させない、こういう時代から、雇用創出をつくるというこんな時代に入ってきていると思います。 ただし、予算案の中では、まだどうも量の問題、それも企業の責任において解決する問題としてとらえられていて、どうやったら構造改革をやって質的に解決していくかという、こんな解決の視点が足りなかったように私は思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。
○国務大臣(甘利明君) 現在の経済情勢下で企業が引き続き存続していくために労使でどういう話し合いが行われるか。今の先生の、ワークシェアリングによって個々の賃金水準が下がるか、あるいは賃金水準を下げずに人員整理ということでいくかというお話がまずありましたが、これは、先生の方の今御指摘にありましたように、基本的に労使の話し合いでありますから、労働大臣がこっちがいいと言うべきことではないと思います。ただ、個人感情からいえば、やっぱり雇用は守ってもらいたいという思いがいたしますが、これは個人的な心情でございます。 先ほども申し上げましたけれども、日本という国は困難にぶつかったときに生産性が向上しているわけであります。例えば、かつて排ガス規制というのが行われました。同時期に日本、アメリカでも行われたわけでありますけれども、アメリカは産業界の要請が非常に強くて、こんな数値はクリアできないということでジャンプしてしまったわけであります。日本は、クリアできなければつぶれるしかないという強い姿勢が最終的に打ち出されました。企業は生き抜いていくために何とかそれをクリアするための技術開発に専心をいたしました。そして新しい技術が生まれた。そういう経緯がございますから、あくまでも構造改革によって困難を乗り切っていくというのが一番最初のことだと思います。私は、物には順序がありますから、雇用に手をつけるのは最後の最後にしてほしいという思いがいたします。 リストラといいますとすぐ人員整理みたいな印象がありますけれども、リストラクチャリングでありますから、企業のまさにすべての分野での立て直しであります。ですから、生産性を上げる、むだを排するというのは、何も労働力の余剰を排するということだけではないというふうに思っております。
○川橋幸子君 構造改革が課題というふうにおっしゃってくださったこと、あるいはピンチこそチャンスという趣旨のことをおっしゃっていただいたこと、大変私も同感でございまして、そのように労働行政を引っ張っていっていただきたいと思うわけでございます。 これは大臣に申し上げる話ではなくて労働行政全体の中で考えるべきことかななんて私は個人的に思うのでございますけれども、先ほど大臣が、雇用サミットにおいでになられて欧米のさまざまなお話をお聞きになられて、話を聞くと、ああ、そのアイデアなら日本もやっている、これならもうやっている、どれも失業に対しての妙案はないかもしれないけれども日本もよくやっているという、そういう感想が述べられました。 実は、私も前から、日本というのは、行政の中に大体そこに並んでいらっしゃる優秀な方々がメニューとしては取り入れていらっしゃるけれども、これからの労働行政というのは多分、非常にシビアな状況になっているとすると、メニューをそろえることではなくて、メニューの中でどれを選択するか。右上がりの経済の場合には、さまざまな労働上の問題、労働政策の問題、これは経済政策の後始末であったり非常に難しい問題を抱えるわけでございますけれども、今までは総花的にやってこれたかもわからないけれども、これからはもっと優先順位、めり張りをつけなければいけない時代に入ってきているのじゃないかなと思うのでございます。 これは私の感想でございますので、はた目から見た、おか目八目と申します。かつて労働行政の中で働いた人間が外に出ましておか目八目で見る印象、これはそうばかにならないものがあるのではないかと私は思うのでございます。ただ、その優先順位のつけ方というのはかなり、どちらにもいい顔ができなくて、どっちを選択するかというのは、非常に難しい問題に行政は悩まされていくのではないかと思います。 ところで、規制緩和の話に入らせていただきたいと思いますが、俗にアメリカモデルとかヨーロッパモデルとかいうことが挙げられるように私は思います。アメリカモデル、アメリカンスタンダードというのはグローバルスタンダードではない、アメリカ流儀を日本に押しつけて日本がそれをそのまま適用するには無理があるというような、またこれも反論における俗説であろうかと思いますが、俗説にも真があるのではないかと思います。 非常に大ざっぱな言い方で結構でございますので、一般の方々にわかりやすいように、いわゆるアメリカモデルあるいはいわゆるヨーロッパモデル、アングロサクソンモデルないしは大陸モデルと言われるものの相違点と共通点をどのように認識していらっしゃるか、御紹介いただければと思います。
○国務大臣(甘利明君) 私も川橋先生ほど詳しくはないのでありますけれども、大ざっぱに、アングロサクソンモデル、これはいわゆるアメリカ・イギリス・モデルとでも言うんでしょうか。それからヨーロッパモデルといいますとドイツ・フランス型というふうに言われています。アングロサクソンモデルが市場原理に任せるスタイルであるとすると、ヨーロッパモデルは国が適切に介入していくんだという違いがあると思います。 米国や英国における労働政策についてよく言われているアングロサクソンモデルは、解雇の規制とかあるいは労働市場制度に係る規制のあり方について法律上の規制はうんと少ない。イギリスにおきましては、解雇規制等は存在するものの、他の欧州大陸諸国に比較するとこれはかなり緩い。 それから、先ほどの、国の介入はあるべしというヨーロッパモデルでありますけれども、解雇制限が細部にわたって規定をされている。職業紹介や派遣業も許可制となっている国等があると。労働市場における法制度の介入はかなり重視をされているというふうに承知をいたしております。
○川橋幸子君 ありがとうございました。 俗に言うアメリカモデルは小さなモデルで競争重視、大陸といいますかヨーロッパモデルは、大きな政府といいましょうか、政府の介入があってソーシャルな公正を保とうとするというふうに言われているわけでございまして、大臣が御紹介いただきましたとおりでございます。 私はそこで一つ忘れてはならないことがあるように思います。大きな政府、小さな政府と言いましても言葉の上の切り口でございまして、その中身が何かということが日本ではまだ余りよく議論されていないという、そのことが一つでございますね。 それからもう一つは、非常に違うように言われているけれども、英米、キリスト教文化といいましょうか、ある種の社会の底辺といいますか、インフラストラクチャーとしてはどうも共通なものがありそうだ。それは何かといいますと、人権といいますか、性ですとか人種とかあるいは年齢ですとか、さまざまな持って生まれた属性によって、人が努力して変えることができないようなそういう属性によって差別してはならないという、そういう人権概念は労働政策の中にアメリカといおうとあるいはヨーロッパといおうと非常にしっかりしたものがあるように思われるわけでございます。 そこで、次の質問でございますが、日本は日本モデルと言われまして、今まで終身雇用、年功賃金、企業内労使関係、かつては三種の神器なんて言われまして、これが日本経済の発展の秘訣のようなもてはやされ方をしたわけでございますけれども、この日本モデルというのも今や修正、見直ししていかなければならない、こんな時代になっていると私は思うのでございます。終身雇用制度ないしは慣行というものの見直しの必要性とこれからの方向性について、大臣としてはどうお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 御指摘のいわゆる日本モデルとでも言うんでしょうか、終身雇用、年功賃金、そして企業内労使関係、この日本的な伝統的な雇用形態、雇用慣行に関しまして、その時代の変化に即して変わらざるを得ないところもあると思います。 ただし、私は全部変える必要はないんだと思います。じゃ日本型の雇用慣行が役に立たなかったかといえば、私は大いに役に立ってきたと思うのでありまして、学卒を春に一括採用して企業内訓練をする、長期計画に従って職業能力を付与していって、それが企業の長期戦略につながっていくと。製造業などはこれがあったからこそ今日の国際競争力を保てたんだと私は思うのであります。 それから、もちろん能力主義はこれからどんどん入ってきます。それは決して悪いことではないのでありますけれども、まじめに一生勤める意思があれば勤めることができる、こつこつ不器用だけれども努力を積み上げることが評価をされるという社会がある面ではあってもいいんだと私は思います。もちろん、大競争時代でありますし、先ほどから内と外の壁が取っ払われて国際化、グローバル化というのが進展していくという御指摘がありましたが、そのとおりでありますから、そういう中で戦い抜いていけるように柔軟な制度が入ってくるということは、これは時代の要請だと思います。 ですから、日本の伝統的な雇用形態を柱としつつ、新しい雇用文化ということと両々相まって日本が国際競争に勝ち抜いていき、しかも国民生活の安定と向上も図れるという体制をとっていく必要があるというふうに考えております。
○川橋幸子君 いわゆる日本の戦後のといいますか、六〇年代以降、六〇年代、七〇年代の高度経済成長期、驚異の成長を遂げて奇跡と言われたわけでございますが、そのときにどういうシステムが生まれて、どういうシステムが効率的であって、どういうシステムであったからメリットがあったということに、過去のメリットを私も否定するつもりはございませんし、過去にはそういう意義があったことは十分わかるわけでございます。 しかし、逆に今の冒頭申し上げました三つのKというものはそれの存立基盤を無にしているというふうに私は考えております。全部なくすなどということは、これはあり得ないといいましょうか、日本的な土壌文化の中で労使が育てていったシステム、みんながつくってきたシステムでございますから、修正を加えながらやっていく必要があるわけでございますが、過去に成功しただけに、成功した記憶が強いだけに、これからはこれではやっていけないんだというその転換がとても難しい。過去のプラスがこれからマイナスになるというときに、過去のプラス面を評価しつつマイナスに変えるというのはこれは大変しんどい話でございますが、やらなければいけないのではないかというふうに私は思っております。 例えば、こうした終身雇用の中のフルタイムの職員、今、正規社員という呼び方をするようでございます。労働白書なんかを見ましても、正規社員ないしは正規従業員、場合によっては正社員という表現があります。これに対して、非正規社員ないしは非社員という言葉で分析されておりまして、終身雇用慣行の中にある内部労働市場ではない外部の労働者のことを非正規社員ないしは非正社員と言う。この呼び名自身を私は、正しい社員と正しくない社員というふうな感じで、何か言葉の上でもっと工夫できないものかと思っておりますが。 その名前の話、呼称の話は別にいたしまして、最近は正規社員が非常に減少して非正規社員の増大が多くなってきている。この不況の中で求人は非常に少なくなっておりますけれども、パートタイマーですとか派遣労働ですとか契約社員と言われる方々、非正規社員の需要は高い。ただし、需要が高くても賃金は必ずしも上がっていかない。需要が高いと労働条件は改善されるというのが今までの私たちの経験則でございましたけれども、需要が高くても賃金が上がっていかない。こういう問題を抱えているわけでございます。 おととしの国民生活白書で紹介された、企業の変貌というような項目に、大企業はこれからのホワイトカラーの六割は非正規社員、非正社員でもって雇用管理をやっていきたいという、こんな調査結果もあるわけでございます。 まず一つ、これは初めの方は労働省の事務方にお伺いしたいと思いますけれども、定性的な変化というのはわかるのですが、こういう雇用管理の話というのは即、働く人々、新規学卒が、自分がどんな働く人生を選ぼうか、どんな生涯を選んでいこうかと、自立した労働者ならばそのようにやっていかなければいけないわけですが、自分の将来設計をするときには一体労働市場がどうなっていくのかという点では、ある程度量的なものがないと個人の生活設計の助けにはならないような感じがいたします。この量的な変化というのはどのように考えておられるのでしょうか。
○政府委員(坂本哲也君) 正規社員、非正規社員、この増大の状況を私ども労働力調査の特別調査で見てみますと、確かに近年ずっと非正規雇用者の伸びの方が正規雇用者の伸びを上回っておるのは事実でございまして、一九八五年と直近の九八年とを比較してみますと、正規労働者に対する非正規雇用者の比率が、八五年では一六・四%でございましたけれども、九八年ではこれが二三・六%というふうにかなり高まってきておるところでございます。 また、賃金の状況についても若干御説明させていただきますと、一般労働者といわゆるパートタイム労働者の方の時間当たりの所定内給与、これを見てみますと、この格差は大体産業計で見まして、一九八五年が一般労働者を一〇〇とした場合にパート等七三ぐらいでございましたのが、九七年の数字ではこれが六八というような形で、若干拡大をしてきてございます。ただ、男女別の賃金格差がよく問題にされておりますけれども、賃金構造基本統計調査で標準労働者同士で比較をいたしますと、近年この格差は徐々に縮まってきておるといった傾向があります。
○川橋幸子君 個々の新規学卒者が自分の職業人生をどういうふうに選ぶか考える上でも、将来の労働市場の変化、こういう仕事につけばこうだよとか、選択をするわけでございますよね。私は、むしろ定性的な将来の見込みを量的に置きかえた場合にはどこまでこの非正規社員というのは伸びていくのだろうか、あるいはその場合は、賃金というのはいろんな前提条件もありますけれども、正社員の場合の賃金水準、賃金格差というのはこの程度、一般の方に比べればこのぐらいの所得しかないんだよというような、これの将来はちょっと難しいでしょうか、せめて就業者数の将来の量的な推計というのは何かないものでしょうか。
○政府委員(坂本哲也君) 一般的には、非常に雇用形態、就業形態が多様化していく、また、ライフスタイルあるいは意識の持ち方が非常に多様化してくるということで、非正規雇用者の増加が今後とも傾向としてはある程度続いていくのだろうと思っておりますけれども、定量的にどのくらいまでといったような推計については、私ども現在のところそういった試算はやっておりません。
○川橋幸子君 何とかそのあたりを工夫してもらえないものかというのが私の希望でございます。 先ほど、男女賃金格差はフルタイム同士で比べれば縮んでいるというお話がございました。それはもちろんそうであろうと思いますし、そうならなければならないと思いますが、むしろ最近の男女賃金格差の論じ方は、フルタイム同士を比べることではなくて、フルタイムもパートタイムも全体含めまして男女間の賃金格差というものが世界的には問題になるというのでしょうか、どこの国でも、先進国の場合でも、パートタイマー等々の働き方、フルタイムではない働き方は女性の方が多いものですから、賃金格差というのがあるわけでございます。それにしましても、男女の賃金格差は大体八割ぐらいというような、非常に大ざっぱな数字で申し上げますとその程度。 日本の場合は五割とか六割とかと、パートタイムを含めますと男女賃金格差というのは非常に大きくなるわけでございます。それらは、全部女性が働きやすい就業環境だからパート等を選んだ、個人の選択の結果なら問題はないのかもわかりませんけれども、このごろジェンダーという言葉がございまして、文化的、社会的に形成された性差、つまり女性の方は男性の補助的な社会参加という、そのこと自体を問題にすることが非常に大きくなってきているわけでございます。 言いたいことは、社会的公正というのはどうやったら保たれるのであろうかということを絶えず労働行政の中では考えていただきたいということ。それと、賃金というのは需給で決まる、あるいは雇用も需給で決まる、経済次第ということで経済の自由放任に任せてしまいますと、どうも高い賃金のフルタイムの終身雇用の中のそういう人たちを減らして、解雇も自由、あるいは労働条件もフルタイムに比べれば非常に安くて済む。企業の競争力を保つというだけで動きますと、労働市場が非常に質の悪い雇用機会を増幅していく悪循環にとらわれる。経済学的に見てもこれは問題ではないかということが考えられるのでございますけれども、このあたりはいかがでございましょうか。大臣に何かお考えがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 正規社員と非正規社員の比率について、非正規社員が増加傾向は多少なりとも続くであろうというコメントがありました。働き手の要望と人を必要とする企業のニーズとがどんぴしゃで合えば一番いいんだと思いますが、企業の方はできるだけ安いコストで人を使いたい、働く方はできるだけ高い賃金で働きたい、利益相反する部分があります。 ただ、言えることは、能力と成果に見合った賃金が支払われるということが大事だと思います。それを客観評価し、あるいはそれをサポートしていくための法律を初めとする行政の整備というのが、今までもそうでしたし、これからも求められるというふうに思いますので、そこの部分にきちんと目配り、気配りをしながら労働行政に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○川橋幸子君 ありがとうございます。 今、大臣がお答えいただいたのと私も同趣旨でございますが、多分そのあたりの問題ですね。労働市場と申しましたけれども、労働市場の、悪貨は良貨を駆逐するじゃありませんが、質の悪い雇用機会が悪循環でふえていくというのは経済のデフレスパイラルが労働経済面にあらわれることと同じことでございまして、どこかでてこ入れしていく必要がある。それから、どこか身を切らなきゃいけないときには、そこに人々が納得できるような公正の概念がちゃんと敷衍されていなければいけないという、そういう時代に入って、私は労働政策というのは新たな課題に対応しているんだろうと思います。 これまでは、パイが大きくなれば人々の個人の生活も豊かになる、それから企業が発展すればその企業の従業員の生活は豊かになる、その産業、ビジネスが発展すればなるということで、むしろ集団、グルーピングで考えてきたのが日本の社会のあり方だったのではないかと思います。そこに個人というものをどうやってエンパワーメントしていくか、個人をどうやってサポートしていけば個人の力が強くなって、寄らば大樹の陰ということではなくて、さまざま産業構造が変わったり、職業構造が変わったり、あるいはビジネスが環境が急変したときにも個人が自分の力で生きていける、こういう労働者をつくっていくという時代に入ってくるわけでございます。 もともと個人のエンパワーメントというと、強い個人をつくることによって競争させるというアメリカ型の考え方があるというふうに言われておりまして、人間そんなに強いものじゃないよと。それは、強い人はたくさんいらっしゃって、多分このお部屋の中にも強い方がいらっしゃって、どんな不況な時代にでも強い人間は生きていく、どんな苦境にあってもサバイバルしていくということがあるかもわからないけれども、人間というのはそういうものじゃなくて、自分の責任ではないことから来るかもしれない病気とかけがとかということもあるわけでございまして、予期せぬものに対してどうやって個人が対応できていくかという、これが私は新しい労働省の役割ではないかというふうに考えているところでございます。 労働白書なんかを拝見いたしますと、どうやら個別化への対応というような言葉が使われているようでございまして、多様化への対応と並べて、多様化、個別化への対応ということが並べて書かれるときもありますが、多様化というのと同義ではないかと思います。個人の選択をしっかりさせる、個人の選択がしっかりできるように個人をサポートするということになるわけです。 そこで、能力開発というものが非常に大きくなってくるかと思います。今までは終身雇用の中ですと、企業が色のつかない新規の学卒を雇って、そして高度熟練者に企業内でもって投資をしながら能力を開発していくという、こういうやり方ではない、個人のエンパワーメント、能力開発が必要になってくる。労働行政もどうやらそこを志向しておられるようで結構なんですが。 さて、そこで伺いたいことが一つございました。総理の諮問機関であります戦略会議の提唱の中で、バウチャー制度、百万円を限度にして失業者の方に必要な経費を支給して能力のバージョンアップを図るというのでしょうか、予算が決まりました後で、そうした戦略会議のバウチャー制度というのが何かとても夢のあるような言葉のようにマスコミでは取り扱われているような感じがいたします。 この戦略会議が提唱なさっているバウチャー制度なるものを大臣はどのように受けとめておられて、労働行政の中ではどのようにこれが展開可能なのかなと。総理の諮問機関でございますから、大臣が、総理がおっしゃってくれれば労働行政も一般会計からお金がもらえるいいチャンスなんで、何かやっていくアイデアかなとは思うんですが、どうも労働省がつくっている予算編成と、後の戦略会議の中から出てくるバウチャー制度との整合性というのがはっきりわからないのでございます。そのあたりを御説明いただければと思います。
○国務大臣(甘利明君) 労働政策には片仮名が多いという指摘をさきの予算委員会でされたのでありますが、エンパワーメント、強い個人をつくるという話からスタートされております。 私の好きな言葉に、強くなければ生きてはいけない、優しくなければ生きる資格はないという言葉がありますが、つまり強い個人というのは相手の痛みをちゃんと敏感に感ずることができる人、そういう人こそその資格があるということなんであります。 まさに強い個人をつくるためにバウチャー制度がどう資するかという御質問でありますけれども、個人が職業能力をつける、バージョンアップをするために十二月一日より教育訓練給付という制度をスタートさせております。これは、バウチャー制度と似ている部分、非なる部分がありますけれども、個人の職業能力をつけていく、バージョンアップをしていくという点に関しては同じ目的であります。アメリカでもことしの夏以降スタートをするということでありますし、経済戦略会議でも、労働省案件の中の一番の目玉として御提言をされているものでありますから、プラスマイナスどういう点があるかを今実施している制度と比較をして検討せよという指示をすぐに出したわけであります。 そこで、いい点というのは非常にフレキシビリティーに富んでいる、自分の自由意思で利用時間、利用範囲、いかようにもなるという点はいいんだと思います。 ただ、幾つか心配な点がありますのは、十年間雇用保険下にある失業者、失業した人ということで、そうすると、これは職安云々ということと離れて自由にということなんですが、長期の職業能力開発に従事すると。そうすると、その間の生活はどうするのかなとか、あるいはバウチャーでありますから金券を渡すんだと思いますが、そうすると、今の教育訓練給付ですと完了して確認されて八割が支給されるという成果の確認がありますけれども、金券ですと、行こうと行くまいと、意思表示があれば渡さなきゃならないんだと思いますし、行くふりをして誰かにあげちゃったとか、あるいは甚だしいときには安く売っちゃったとか、そういうことにはならないのかなとか、既存の制度でどこが対応できないのだろうか、対応できるんではないだろうかという思いがありますので、なおこれはもうちょっと勉強させていただきたいというふうに思っております。
○川橋幸子君 私も細かいことを知らないわけでございますけれども、この戦略会議の提唱を見た途端に、今は景気を上げるため、あるいは雇用不安を、不安感を除去するために何でもありといいますか、思いつくことは何でもやるというふうに総理も言っておられるわけでございますけれども、思い切った案を出したということなのかもわかりませんが、私は雇用の問題というのは、何か夢のありそうなことを思い切ってアドバルーンを上げるのが必ずしも労働者の不安解消にはならない。むしろ地道な点で確かな手ごたえのあることを考えていただく、これが不安解消にもなるし、個人のエンパワーメント。私も言葉が片仮名が多くて恐縮なんですけれども、片仮名でないと通じない。日本の中にはない概念がよその国に生まれて、これはいいよというようなことで国際化とともに国連なんかを通じて入ってくる場合には、どうも片仮名の方が便利なもので相変わらず使わせていただきますが、もっと身近なところでやっていただきたいということを考えます。 これはお答え結構ですけれども、私の自治体にいたこともあったという自分自身の経験、それから女性の問題にずっとかかわってきたという問題から考えますと、やはり地域の中でニーズに沿った能力開発、訓練がされて、そこに求人が来ると。やはりトレーニング、訓練と求人というのがしっかり結びつき、しかも地域の中に根づいていくということが大事かなと思います。 文部省の中で生涯学習局というのがありまして、各地、都道府県内では社会教育というのがあります。それから、自治省ベースではコミュニティーセンターですとかさまざまなコミュニティー施設があるわけでございますけれども、今回労働省は厚生省とは一緒になってそのあたりの連携はよくなるのかなと思いますが、逆に能力開発の面あるいは地域に入っていく面では一工夫していただきたいと思いますので、これは私の要望とさせていただきます。 さてもう一つは、能力開発について労働省が支援する、政府が支援するという、こういう一つの役割と同時に、私は先ほど規制緩和に絡めまして、アメリカモデルといいあるいはヨーロッパモデルといい、一番のミニマムのところ、国としてなすべきミニマムのところのインフラ整備として、いわゆる差別の禁止という社会のルールを非常にはっきりと確立していることが必要であって、日本も今こそこれが必要な時期に来ているんではないかというふうに考えております。 連合などではワークルールというような言い方をしておりますが、私は人権概念に基づいて人に優しい、強いだけではなくて優しい人間、支え合うことによって人間というのは優しくなれるわけですが、そういう社会の概念を育てていく必要があるというふうに思うわけでございます。 三点まとめて申し上げたいと思います。 まず、差別の禁止といいますと、性差別の禁止あるいは年齢差別の禁止、それから障害の有無による差別、障害の有無がその仕事の遂行にとって本当に障害になるという合理的な理由がある差別だけではなくて、障害者に対する偏見による差別を除去しようという、そういう差別の禁止のやり方が一つ。 もう一つは、先ほど正規従業員、非正規社員というふうに、非正規従業員という呼び名を申し上げましたけれども、諸外国でも典型的に言えばフルタイム労働者とパートタイム労働者の間の賃金の均衡を図ると。それぞれ違う職種なのでそれぞれの労働需給に任せて賃金相場が決まっていけばいいということではなくて、同じような仕事をして同じような拘束を受ける場合に、やはり社会的な正義、社会の公正としてそれが均衡のとれたものにならなければいけないという均衡条項を求める法律ができてきております。差別禁止とちょっと違うんだと思うんですが、公平性の確保、エクイティーの確保という点の均衡の確保についてどう思うかということが二点目です。 三点目ですが、日本の場合は企業内労使関係ということもありまして、企業の中の労使が決めれば、それは当事者同士が決めたことなんですから結構でございますよ、お決めになったとおりに労使自身の原則に沿って雇用管理がなされていけばよいということになっておったわけですが、私はどうも考えるところ、企業自治の中に人権というものを確保する、差別を禁止するという、そういう理念をちゃんと労使自身の中に定着させること。それから、フルタイムとパートタイム間、例えばその典型的な例ですからパートのことを言うわけでございますが、正規社員、非正規社員間の均衡の確保というのはむしろ労働協約の中で図るべきことなのではないかと思います。労使自治の中にそうしたワークルールというものを尊重すべきことをはっきりと書くような法整備が必要ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。技術的なこともございますので。
○国務大臣(甘利明君) 御質問が大変各般にわたっているものですから、どう整理をしていいかと今相談をしておったところなんですが。 まず、差別に関しての御質問があったと思いますが、性、年齢、障害による差別の禁止、これは御案内のとおり、四月から改正均等法でここのところは法律で性差別は禁止をされるわけでありますし、障害について言いますと法定雇用率というのがございます。そこで企業に法的な努力を課しているという点があると思います。それから年齢についてでありますが、昨年の四月から六十歳定年制が法定義務化されたわけでありまして、これ以下の定年というのを打ち出すことができないようになりました。 あと、日本は雇用慣行の中で長期雇用そして年功賃金というのが賃金制度の中にあるものでありますから、年齢で採用を規定してはいかぬということはなちょっとしづらい部分がありまして、今いろいろと各企業が取り組んでいただいている努力を見守りたいというふうに考えております。 それから、正規、非正規の賃金格差の問題であります。これは先ほども申し上げましたけれども、あくまでもその成果、能力に応じてその待遇が適切に図られるべきであるというのが基本的な姿勢でありまして、私どもは労働行政としてこれが適切に進んでいくように努力をしたいというところでありますが、残余の質問に関しましては事務方からお話をさせていただきます。
○川橋幸子君 もう時間がないので、私の方から。時間がなくなりましたので。 こうした問題を私、労働・社会政策委員会に所属させていただきまして、これから議論をする機会があれば大変ありがたいと思います。 大臣には本当に、きょうは原則大臣と議論したいということをあらかじめ申し上げまして、政府委員答弁は結構ですというようなことを申し上げまして、大変御負担をかけましたが、今後ともぜひよろしくお願いしたいと存じます。 一分間ばかりありますので、なお申し上げさせていただきますと、年齢差別というのは、日本の場合は定年制自体が年齢差別であって、欧米のような年齢差別というのはもう日本の労働市場、雇用管理に合わないんだというような話がずっとありまして、私も大体定年制自体がある国だからと思っていたんですが、最近の話になりますと、男性の中でも年齢によると非常に再就職にハンディがあるという話を聞くんですね。以前は女性の中から、男女雇用機会均等法もこれも欲しいけれども、パートタイマー募集上限三十五歳とかフルタイマーなら二十歳とか、そういう年齢制限をやめてほしい、ぜひそういうところも手をつけてほしいというような希望が強かったんですが、最近は男性の方から、再就職に当たりまして年齢制限というのが非常に障害になると。 むしろ経験、能力があるはずなのに、それから労働条件は若い子と一緒でいいのに、賃金水準を下げてもなお年齢制限というのはハンディであるという、こんな声が聞かれるところから見ると、日本的な問題として年齢の問題というのはもう一回考える必要があるのではないかということを申し上げさせていただきたいと思います。 それからもう一点は、質問項目に挙げまして討議ができなかったことでございますが、個別化に着目しまして労働政策を展開する場合に、それでは個人の相談なり苦情なり、それから不服なり、あるいは紛争なりにどういうふうにこたえていくんだろうかと。今までは集団的な労使関係ばかり言われておりましたが、個別の労使関係、労使関係といいますよりもむしろ労働組合にも入っていない一人一人の働く人々の相談に対して、あるいは苦情申し立てに対して、どういうサービス提供を政府はすべきなのか、そこのところが大きな課題かと思いますので、また機会がありましたら質問させていただきたいと思います。 本日はありがとうございました。
○市田忠義君 日本共産党の市田忠義です。 今日、雇用失業問題というのは極めて深刻な事態にあります。一家の大黒柱が突然職を失う、どの家庭にも他人事でなくなってきた、そういう事態が今進行しております。 こういう深刻な雇用失業問題が消費マインドを冷やして一層景気の足を引っ張っている。これはほとんどの人が認める常識的なとらえ方でありますが、経済企画庁が発表した「平成十年経済の回顧と課題」の中でも繰り返しこの点は強調されています。労働省の労働経済の年間分析によりましても、消費者心理を慎重化させている要因に年金問題などの将来不安と雇用不安を挙げています。 この雇用不安と消費マインドの冷え込みの関係について、まず初めに大臣の基本認識をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 以前にも答弁したと思っておりますけれども、御指摘のとおり、年金問題等の将来に対する不安や、あるいは雇用問題もいつ我が身に起こるかもわからないという近未来の不安、これが消費マインドを湿らせていることは事実だと思います。自己防衛に走って、まさになけなしの金をはたいて貯蓄するという方向に向かっている、それによって消費経済が停滞をし、さらに景気の足を引っ張る、そういう循環にあることは事実だと思います。
○市田忠義君 甘利労働大臣、衆議院の予算委員会だったと思いますが、リストラの名による大量の人減らし、これを放置しておいて家計消費の回復は可能だと思うかと、こういう質問に対して、具体的に何人リストラ、何人解雇というようなこういう数字が躍りますと、やはりそれを見た人はあすは我が身ということを必ず考えるわけであります、それが当然消費マインドにはね返ってくることは御指摘のとおりでありますと、こういうふうにおっしゃいました。 また通産大臣は、合成の誤謬という言葉を使われて、一つの企業にとっての真実、しかしそれがすべての企業に重なり合うと合成の誤謬ということになる、こういうこともおっしゃいました。 そこでお伺いしたいんですが、今、次々に起きている大企業の人減らしについて何らかの対策が必要だと思われるかどうか、その点について大臣の考え方をお聞きしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 私は、経済界というよりも、マスコミと話し合う機会がありましたら、何人リストラということを正確に伝えてもらいたいと思うという話をしたいと思っておるんですが、何々企業が何年までに二千人リストラというとすぐ、そのときまでに二千人の生首を切るように映るんであります。しかし私の知る限り、需給関係の調整、つまり、採用を抑えながらやめていく人との比率で総人員を減らしていくとか、あるいは出向、転籍等々いろんな措置をしてこれだけの分を対処するというのが中身でありまして、紙面から受ける印象は、何千人リストラというと直ちに何千人首を切るというふうにとるというのが読者の自然な形なんですね。それが余計不安をあおっているようなところがありますから、生首を何千人切るんではないということが伝わるようにしてもらいたいなと思っているわけであります。 私は、前のどなたかの質問の際にも、リストラというのはしてはならぬということは言えない、それはそうしないと企業全体が立ち行かなくなっちゃうから、生き残れる人まで巻き添えになって企業が倒れるということにつながりかねない。だから、企業が存続するということは残っている雇用を守るということでありますから、これは存続してもらわなきゃならない。そのためにリストラクチャリング、これは人員の最終的削減だけではなくていろんな企業内のシステムの見直しをするわけでありますが、それは避けて通れない。ただし、失業率という形に極力はね返らない方法を幾つも我々の方からオファーしているわけですから、それらを極力駆使してもらいたい。最後の最後に整理解雇という手段があるんであって、最初からそれを念頭に置いてやってほしくないという思いが強いんでございます。
○市田忠義君 まるでマスコミが騒ぎ過ぎだと言わんばかりの答弁だったと思うんですが、私実際はそうではないと思うんですね。 例えば、東京商工リサーチの調査によりますと、東証一部上場企業でこの三年間に五十一万三千人人減らしがやられているんです、現に。これはもう公表されている事実です。この半年間に限っても、調査企業千七百二十五社のうち実に七四・四%の企業で十六万六千五百人の人が現実に減らされているんですね。こういう事実について御存じですか。
○国務大臣(甘利明君) 個別案件について精査はしておりませんが、今先生のマスコミが騒ぎ過ぎと言わんばかりだというお話でありますが、私が言いたいところは、正確に中身が伝わるような発表にしてもらいたいということであります。 私が選挙区で聞く限りは、三千人リストラというと三千人首切られるんですねという反応しか返ってきません。実はそうじゃなくて、生首を切るというのはこの場合、個々の例を挙げて、ここの会社の場合はほとんどありませんよ、会社に確認をしましたという話をしますと、ああ、じゃ実際行われる中身と報道される中身が、衝撃波が全然違うなと。だから、先生がさっきおっしゃった消費マインドにはね返るじゃないかというのは、不必要に不安をあおるという、その効果が働いてしまって余計不安感をあおり立てて消費を余計減退させる、そういう意味で申し上げたのでありまして、大したことじゃないというようなことは一切申し上げておりません。
○市田忠義君 大量の人減らしがやられているということはもう否定できない客観的な事実だということを重ねて述べておきたいと思うんです。 それから、大臣が今、企業が立ち行かなくなると困るのでリストラ一般は否定できないというふうな意味のことをおっしゃいましたが、これは後でも触れますが、内部留保をいっぱいため込んで、むしろ内部留保がふえているような企業で現実に人減らしがやられているところもいっぱいあるわけですね。これはまた後で触れたいというふうに思います。 今私が質問した趣旨は、これほどリストラが、人減らしがやられているもとで、何らかの対策が必要だとは思いませんかという質問に答えて、マスコミは生首がすぐ飛ぶようなことを言う、こういう答弁で、一言もどういう対策が必要かということについてはおっしゃらなかったんですね。それについて大臣として、これはもう野放しにするのか、どういうことを政治の責任としてやろうというふうにお考えなのか、その基本的な考え方をお聞かせください。
○国務大臣(甘利明君) 前後の答弁でその趣旨はお答えしたかと思うんですが、リストラが企業が立ち行くために避けて通れない、これは認めざるを得ないと。ただし、雇調金とか労働移動支援金とか、あるいは特定求職者雇用開発助成金等々、いろんな施策がありますので、それらを駆使して、極力、企業の構造改革が生首を切るという方向に行かないような手法を提供しておりますので、それをいろいろと使ってもらいたいということを申し上げているわけでございます。
○市田忠義君 二月二十六日に発表された経済戦略会議の答申、これによりますと、雇用問題について何と書いてあるか。私、読んでいて本当に驚いたんですが、「個別企業・業種に雇用を抱えさせることを奨励する従来型雇用政策から脱却し、」云々、こういう箇所がありました。これは結局、解雇の勧めとも読み取れる。 小渕総理は戦略会議の答申を積極的に受けとめるという旨のことを述べられたわけですが、今後は雇用維持政策を放棄するということなのか、その辺について労働大臣、どうですか。
○国務大臣(甘利明君) 総理が戦略会議の提言を積極的に取り入れるという発言をなされたとしたら、いいものは取り入れるということだというふうに思います。労働省の今まで取り組んできた雇用維持政策を放棄するつもりはありません。
○市田忠義君 いいものは取り入れ、まずいものは取り入れない、雇用維持政策は放棄しないということを改めて確認しておきたいと思うんです。 そこで、今日の雇用情勢の深刻化の原因には私二つの要因があるというふうに考えます。 一つは、消費大不況あるいは大銀行による貸し渋りによる打撃を受けて中小企業の経営が悪化をして、これまでのようにいわば大企業のリストラをやられてもそれを中小企業がカバーする、もうそういう時代では今日なくなってきているわけです。これまでのように中小企業自身が雇用を確保できなくなってきた。これに対しては、消費税の減税やあるいは大銀行による無法な資金回収を規制する、中小企業の経営を援助する、こういう真剣な対策が求められると思うんです。 もう一つの問題は、大企業が不況のもとで内部留保をため込みながらリストラのかけ声で猛烈に人減らしをやっている。 先ほど東京商工リサーチの調査結果について私紹介しましたが、こうした行為を実は合理化するのが経済戦略会議の答申だと私は思うんです。次々とリストラをやっている大企業を喜ばす。逆に労働者には、自分で転職先を探すだけの力量を身につけよと。こういうことだけで、労働者保護という精神に全く欠けている。私は、こういう考え方が雇用不安を一層拡大しているというふうに思うんですが、具体的な問題について一、二お聞きしたいと思います。 調べてみますと、この間、一番人員削減をやっている大企業はNTTです。二番目に多いのが東芝であります。東芝は昨年八月に六千人削減の大リストラ計画を発表しました。これは新聞紙上でも大きく取り上げられました。そのうち、エアコン製造の主力工場である富士工場、これがアメリカのキヤリア社と合併して新会社に移行する、こういう計画なんですが、すさまじい人減らしがやられようとしている。どういう計画になっているか、つかんでおられますか。
○政府委員(伊藤庄平君) ただいま御指摘ございました東芝の具体的なケースにつきましてでございますが、私ども、こうした大量の雇用の変動ないしは労働条件にかかわる問題がある場合には、労働基準法関係の指導をすべき点がないかどうか、あるいは相談があった場合に的確に対応できるように事前の情報収集に所轄の労働基準監督署が努めているところでございます。 もし必要であれば、労働基準監督署の方から私ども詳細な情報については把握してみたいと思っております。
○市田忠義君 私、この間、東芝の富士工場に実際に行ってまいりました。そこで働いている労働者の皆さんから直接話を聞いて調査をしてまいりましたが、若干紹介しますと、ラインで直接製造に携わっている直接員と呼ばれる人、五十歳以上を中心として二五%の人を新しくつくる下請会社にことし四月から出向させて、一年後には転籍させる。要するに、一年後には解雇して新しい会社の社員にすると。その際、賃金は従来の七割、すなわち三割カットする。残りの全員は日米合弁の東芝キヤリア社に出向させて、これも三年後には解雇、転籍と。 労働者の猛反撃で、賃金カットを三割すると言っていたのを二割まで縮小するという話も今は出ているようですが、一方的な賃金の切り下げであることには違いありません。 事務、設計部門の人はどうなるか。これは、横浜にある人材開発センターに転勤をさせて、そこで一年以内に自分で転職先を見つけるか、自分で一年以内に転職先が見つからなかったら東芝がつくった人材派遣会社に転籍させる。 要するに、三年間のうちに、東芝富士工場で働いている人の事実上全員を解雇するとの本当にひどい計画であります。 私が直接話をした五十二歳の人は、工業高校を出て勤続三十四年、設計部門にいる大ベテランです。人材開発センターに行くことを拒否した。そうしたら、下請新会社へ直接員としての出向を言い渡されたと。この人は子供が今三人いるわけですが、幾ら給料をもらっているかと聞いたら、税込みの名目賃金で三十一万円、手取りで二十数万円です。これが世界の東芝の実態であります。しかも、この低い賃金から二割カットされたら、名目で二十五万円、手取りで二十万円になるかどうかだと。 こういうひどいことを押しつけて、私が懇談した人の中には、自分がもし人材開発センターへ行くことを拒否したら自分よりも年齢の若い人にそれが押しつけられる、それが耐えられないと、やむなく受けることにしたという人もおられました。あるいは、これまで本当に会社のためにということで一月数十時間もただ働きのサービス残業をして会社に尽くしてきた、しかしもう我慢の限界だ、そう言って出向を拒否したら、解雇するとおどされたと。全く横暴無法そのものが行われている。 しかも、これは、たまたま私が調査に行った東芝だけの実態ではなくて、多くの大企業でこういうことがやられている。そういう実態、把握していますか。
○政府委員(伊藤庄平君) 先ほど答弁申し上げましたように、個々のケースにつきまして所轄の労働基準監督署が的確に対応していくために事前の情報収集に努めておりますので、そういった情報、もし必要であれば私ども、個々の事案、御指摘のあった点についても把握してまいりますが、今具体的に御指摘がありました東芝の富士工場につきましては、御質問の通告をいただきまして私ども概要については把握をいたしてまいりました。 アメリカのエアコン会社との合弁会社をつくる、そのために現在の工場を閉鎖して別会社二つをつくる、その関係での労働移動の問題、将来における転籍、出向の問題等でございますが、この点につきましては現在労働組合とも種々協議中と承っております。そうした中で、労使、適切な労働条件、また移動に伴ういろんな手順等について真剣に話し合われることを期待しているところでございます。
○市田忠義君 大規模なリストラ計画が発表された場合、労基法の違反だとか人権侵害が行われていないかどうか、労働者からの申告がなくても臨検監督する、積極的な対応が必要だと思いますが、いかがですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のあったような事案につきまして、とりわけ労働組合と使用者との間で協議に入っている段階でございますので、そうした労使間の交渉に私ども影響を与えていくということは慎重に対応しなくてはならない問題でございます。もし労働基準法あるいは人権等々の問題等について事前の情報把握の中であれば、これは適切な対応をとってまいりますが、まず、そうした労使の協議が行われている段階におきまして、私ども情報収集に努めながら、その動向を関心を持って見守っていきたいと考えているところでございます。
○市田忠義君 労使間の話し合いだけにゆだねていたら現実にこういうひどいことが進行しているわけですから、私は、大企業の人員削減計画が発表されたら何をさておいても実態をつかんで雇用を守るように指導するというのが、労働省というのは雇用を守る、新たな雇用を創出すると同時に、現実に働いている人があしたから仕事がなくなるというような事態にならぬように政治の責任を果たすというのが本来の任務でありますから、単に労使の話し合いにゆだねるということにとどめない積極的な政治の責任の発揮の仕方をやっていただきたいということを述べて、次の問題に移ります。 私は、大企業での人減らしの代表的なやり方の一つが東芝に見られる転籍問題だと思うんです。そこでお聞きしますが、転籍出向というのは、一たん解雇するわけですから、幾ら労働組合が合意しても本人が同意していないのに強要できない、あくまで本人の同意が原則だと思いますが、いかがですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました転籍の出向の場合、今までの判例法理の積み重ねを見てまいりますと、いわゆるこうした転籍出向についてはもとの労働契約関係を終了させて新たな労働契約関係のもとに入らせていく、こういうことでございますので、労働者の同意が必要とされているところでございます。
○市田忠義君 今言われたように、転籍の場合は労働組合が合意していても本人の同意がなければそれを執行することはできないということを今答弁でおっしゃって、確認しておきたいと思うんですが、ところが実際には東芝の例で示したように無理やり同意させられているというのが実態なんですよ。だから、同意なしに転籍がやられる。実態を調査して、そういう事態があれば直ちに是正する、いかがですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 私ども、こうした判例の積み重ねによってある程度確立されている法理につきましては、パンフレット等を大量に作成いたしまして労使の方に周知を図ってきているところでございます。 こうした事案につきましても、そうしたパンフレットの活用を現地においては図っているというふうに思っておりますが、そうした中で個別の紛争、同意等をめぐる紛争がもしあれば、私ども、先般改正させていただきました労働基準法の百五条の三によりまして、そうした労働条件をめぐる個別の紛争につきまして都道府県の労働基準局長が申し出を受けて適切な助言、指導を迅速に行っていく、こうしたシステムの活用も考えていきたいと思っております。
○市田忠義君 転籍の場合は本人の同意が必要だということを周知徹底させるためにパンフレットをつくっているということをおっしゃいましたが、これは、事業主だけではなくて労働者のだれもが見えるようなところへ何かを張り出すとか、そういう周知徹底の仕方をやっておられるんですか。
○政府委員(伊藤庄平君) これは労働基準監督署の窓口に備えておりますので、労使の方、もし希望があればどなたにでも交付できる体制をとっております。
○市田忠義君 私、それでは不十分だと思うんですよ。多くの労働者の方が、転籍の場合は本人の同意が必要だなんということは知らない人の方が圧倒的なんですね。ですから、これは周知徹底するのが当然のことであって、私、リーフレットをつくられたというのは知っています。しかし、それは事業主やら、今言われたように労働基準監督署の窓口にあるだけの話であって、やっぱり工場の労働者に全部わかるようにポスターにするなりみんなに知らせる。これ知らせたらまずいということはないわけですから、当然知らせる必要があると思うんです。もっと労使の両方に、とりわけすべての労働者にそういうことがわかるように周知徹底する必要があると思いますが、ぜひそういう方向で改善していただきたいと思いますが、もう一度よろしくお願いします。
○政府委員(伊藤庄平君) このリーフレット、パンフレットにつきましては、かなり大量の部数を印刷して私ども配布し、労使の方への周知徹底に努めているつもりでございます。特に使用者の方々に対しましてはいろんな団体あるいは会合等の場を活用して配布を図ってきておりますし、御指摘あったような事例、労働組合があるケースにつきましては労働組合の方等にもこういったものが渡っているケースが多いわけでございますので、一人一人の方にまで渡るとなりますと、これは費用その他の点で限界がございますが、そうした労働組合の方の協力も得て、多くの方にそうした判例法理というものが周知されるように私ども引き続き努力してまいりたいと思っております。
○市田忠義君 全労働者に配るのにお金がかかるというのなら、例えばすべての労働者の目に触れやすいような場所にポスターをつくって張る、いろんな方法があるわけですから、ぜひ周知徹底を図るようにしていただきたい。 もう一つ、本人の同意権を担保するための具体的な措置ですが、日本の場合無理やり同意させられるというケースが大変多い。その場合に、一たん同意した場合でもそれを取り消す権利を制度上認めるべきではないかというふうに私は思います。 そこで、経済企画庁にお越しいただいていると思うんですが、消費者保護のためのクーリングオフの制度についてわかりやすく簡潔に御説明していただけますか。
○政府委員(金子孝文君) クーリングオフについて御説明いたします。 クーリングオフは、消費者が自宅など営業所以外の場所で契約する場合、そういう場合にはセールスマンとかあるいは外交員などが強引な勧誘によって勧誘されるわけですけれども、それによって消費者自体自分の意思がはっきりしないままに契約の申し込みあるいは締結をしてしまうことがある。そういう状況にかんがみましてクーリングオフ、つまり頭を冷やす制度、時間を与えて消費者に再考の機会を与えるということがこの制度のねらいであります。クーリングオフ制度では、消費者は一定の期間内に限って損害賠償または違約金の請求を受けることなく申し込みの撤回や契約の解除を行うことができます。
○市田忠義君 今説明がありましたように、物品の売買契約でも、消費者の立場は弱いから、消費者保護のためにクーリングオフの権利が認められている。 私は、転籍に伴う労働契約の解消、この問題も何か物を買う買わないといった問題以上に、それとはある意味ではもう比べものにならないぐらい働く人にとっては死活的な重大問題であります。しかも、労使の関係というのは当然労働者が弱い立場にあるわけですから、転籍や早期退職の同意などというのは多くの企業でやられていますが、一人だけ上司のところに呼び出されて複数の人から執拗に迫られる、心ならずも同意をする、事実上の同意の強要が行われる場合がしばしばある。 東芝の場合でも、先日調査に行きましたら、面接の席で、出向に応じなければ解雇する、こういうおどしまで受けてやむなく同意をせざるを得ない。ですから、本人同意のこの精神、趣旨を生かすという立場からそれを取り消す権利を法制化する。私は、生存権や勤労権の保障、こういう憲法の精神からいっても、いわば売買契約でも認められているクーリングオフの精神を労働契約の分野でも取り入れるべきではないか、少なくともこういう方向で検討すべきだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 個々の東芝等のケースについてはともかくといたしまして、一般的な議論として答弁させていただきたいと存じますが、こうした転籍出向の場合に労働者の方の同意を必要とするということは判例法理上が積み上げられてきていることでございますが、そうした同意が本人の意に反したいろんな形でもし強制されている事実があるとすれば、これは民事上の契約法理として、本人の自由意思でないそうした契約の効力というものは当然民事法上いろんな形で問題になるケースはあろうかと存じます。 私ども、もしそうしたケースがあるとすれば、先般の労働基準法改正の中で設けさせていただきました、そうしたトラブル、紛争について本人からのお話があれば、それを受けて弁護士の方等々、関係の方との意見を聞きつつ、今までの積み上げられた判例法理等に照らして迅速に助言や指導を行って問題解決に当たる、この仕組みの活用によって対処していけるものと考えております。
○市田忠義君 その仕組みでは対処できないから私は言っているわけです。事実上の同意の強要が行われているわけで、それを取り消す取り消し権を法律上制度化するということを前向きに検討していただきたいということを要望しておきたいと思います。 次に、三月五日のこれは朝日新聞ですが、「全員解雇、年収一五%カットで再雇用 大阪の京阪交通社 窮余の人件費削減」というショッキングな記事が載っておりました。これは、大阪の京阪電鉄の子会社、京阪交通で社員五百三十人を一たん解雇した上で給与水準を一割強カットして再雇用する、こういう方針を出したことが報じられています。こういうことについて調査はしていますか。
○政府委員(伊藤庄平君) 先ほども申し上げましたとおり、こうした大量の雇用の変動あるいは大量の働く方々についての労働条件の変更等の事案があれば、所轄の労働基準監督署におきまして、相談等があった場合に的確に応じられるよう事前の情報収集に努めているところでございます。もし大量の雇用変動等のケースであれば、公共職業安定所においても同様かと存じます。 所轄の労働基準監督署から詳細について報告をさせ、個々の事案についてもし把握せよということであれば、そうしたことで所轄の労働基準監督署から現在把握している情報について収集をしてみたいと思っております。
○市田忠義君 三月五日付の記事ですが、まだ調査には入ってないんですか。こういうショッキングな報道がされているわけですが。
○政府委員(伊藤庄平君) 所轄の労働基準監督署においては既に情報把握に努めていると考えております。
○市田忠義君 私は、なぜこういう野方図なひどい解雇が横行するのか、その原因をどうとらえるかということでありますが、先ほどの他の委員の質問の中で大臣も答えられましたが、ヨーロッパの多くの国々では社会的なルールの一つとして、正当な事由のない、理由のない解雇を厳しく制限する、特に法律で規制するということをやっておりますが、日本には解雇を規制するいわゆる法的規制が全くない。このことが私は野方図な解雇を許している一つの原因だというふうに思いますが、こういう解雇について、こういう条件が整わない限り解雇はできない、いわゆる整理解雇の四要件として定着している内容について御説明してください。
○政府委員(伊藤庄平君) いわゆる整理解雇につきまして多くの裁判例において示されている考え方についてのお尋ねでございますが、これを御説明申し上げますと、四要件というものが通常言われておるわけでございまして、一つは人員削減の必要性があるかどうか。それから二つ目に、人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性、いわば配置転換などの、あるいは他の場での雇用の確保等の余地がないかどうかというような問題。それから三番目に、整理解雇対象者の選定の妥当性があるかどうか。それから解雇手続、例えば労使の協議などを踏んでいるかどうかといった解雇手続の妥当性。この四点が挙げられておりまして、こうしたものを基準として、こういうものを逸脱していく場合には、判例法理上そうした整理解雇について無効であるとされるケースがあるわけでございます。
○市田忠義君 今説明がありましたように、日本においても司法の世界では、最高裁の判決とかその他で既に、一方的な解雇や、だれが見ても合理的な理由がある場合でなければ解雇はしていけない、そういう基準が示されているのに、社会的なルール、法律の世界ではこれが定められていない。私は、これを社会的なルールにしていく責任は政治にあるというふうに考えるわけです。 そこで、労働大臣にお聞きしたいんですが、こういう問題について司法がこういう見解を示しているときに、政治が乗り出して社会的なルールにしていく。ここに全く手をつけていないのは私は政治の怠慢だと思うんですが、その点について労働大臣の見解をお伺いいたします。
○国務大臣(甘利明君) 法律をつくる際に、その副作用ということも必ず検討しなければならないわけでありまして、ヨーロッパの一部の国でそういう法律がある。それをむしろ、ILOがいかがなものかという指摘もあって、というのは、そういう法律があるがためにむしろ採用に非常に臆病になって、採っていい企業が人を採らないという副作用もあるようであります。 私どもは、その辺の間合いのとり方といいますか、そこが非常に大事だと思っておりまして、たしか先ほどのお話は昭和五十九年の東京高裁の判例だと思いますが、そういう判決が出て、それの積み重ねによって世の中に定着をしていくというのが、企業が新規採用にも臆病にならずに、しかも解雇についてちゃんと正当事由、手続を踏むというその二つの部分の間合いを一番うまくとっている方法ではないかというふうに考えておりまして、これをちゃんと定着させる努力を我々はすべきだというふうに思っております。
○市田忠義君 私は、司法の世界でそういうことが示されているのに政治は何もしないのかということを尋ねているわけで、何でもかんでも法律で縛れということを言っているわけじゃないんです。先ほどの整理解雇の四要件、これは極めて常識的な当たり前のことなので、これを法制化すべきじゃないか。 法律上の根拠を与えないままで判例だけでやろうとしたらどういうことになるか。労働者は一々裁判に訴えなければならないし、大体訴えた場合でも、長い場合には十年、二十年時間がかかる。いわば自分の勤労人生の大半を裁判に費やすということになりかねない。そういうことをなくすためにも法制化する必要があるんじゃないか。そうでなかったら労働者は自分の権利を守るために人生の大半を裁判闘争に費やさなければならないということになるじゃないかと、そういう点についていかがですか。
○国務大臣(甘利明君) ですから、政治や行政は何もしないのかという御質問に答えて、法改正をしまして、都道府県の労働基準局長が個々の事案について間に入る、相談に乗ると。企業にとって強力な監督権を持っている基準局が個々の案件に相談に乗るというのはかなり踏み込んだ話だというふうに考えております。
○市田忠義君 それは解雇の法的規制とはまた別の問題だと思うんですよ。私は、労使にゆだねていては首切りはなくならないし雇用は守れないということはもう日本の現実が明確に示しているというふうに思うんです。本人の同意の原則ですら現実には、これはもう明白に本人同意なしには転籍はやれないとなっているのに、それすら守られていない職場がいっぱいある。私は社会的なルールづくりに本格的に取り組むべきだということを厳しく指摘しておきたいというふうに思います。 日本共産党は既に解雇規制法案を前国会に提案し、今度の通常国会にも参議院に既に提出しています。日本共産党が提案している解雇規制法案というのは、第一の柱は解雇については正当な事由がある場合以外は原則禁止する。正当な事由という場合、勤務成績が著しくよくない場合、心身の故障のために職務の遂行にたえない場合、その他職務に必要な適性を著しく欠く場合、労働者が企業の秩序を著しく乱した場合、ユニオンショップ協定による場合のほか、企業の経営上の理由による場合にはいわゆる整理解雇の四要件を満たさなければならない。すなわち、極めて当たり前の、むちゃな要求じゃないんです。解雇一般をやめさせなさいということを言っているんじゃなくて、今述べたような正当な理由がある場合以外は原則禁止する、これが第一の柱です。 第二に、解雇手続について、解雇予告期間を勤続年数により延長する。すなわち、長年同じ企業で働いてきた労働者ほど再就職の準備に時間がかかるわけですから、具体的には、二年以上五年未満継続勤務した労働者には九十日、五年以上十年未満の労働者は百二十日、十年以上十五年未満の労働者は百五十日、十五年以上の労働者は百八十日に延長する。 第三には、雇用に関する労働者の権利を明らかにするために、使用者が労働者を雇用する際には、文書による労働契約を個別に結ぶということを義務づけるべきだと。具体的に、その契約文書には、賃金、就業場所と従事する業務、労働時間、退職などの労働条件について明記する。 第四に、先ほど問題にした出向及び転籍についても解雇類似行為として規制の対象とする。本人の個別の同意を得ることとして、その内容を書面によって交付する。 それから第五に、期間を定めて雇用されている労働者のうち、一年以上継続勤務した継続期間労働者については、使用者による契約更新の拒否は解雇における正当事由の場合に限る。それ以外は自動的に更新したものとみなす。 いわば極めて当たり前な当然の、先ほど最高裁の判例なんかで整理解雇の場合の四要件、全くそれに合致したこれを法制化すべきじゃないかということを要求しているわけで、こういう立場で前向きに改めて検討されることを要望して、労働大臣の御意見を最後に伺いたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 先ほど来答弁申し上げておりますとおり、先生が御主張の法律を持っている国に関しても、賛美の声ばかりかというとそうではないという、副作用もあるという当然批判もあるわけでありまして、なかなか双方にとって百点満点という立法の仕方というのは難しいんだと思います。 企業が活力に応じて積極的に新規採用に取り組む、あわせて不当な解雇を行わない。そのうまい間合いを見定めていくということは私は大事だと思いますし、今の判例に従って指導するというやり方をしっかりと徹底する、これを見守りたいというふうに思っております。
○市田忠義君 時間が来ましたので終わりますが、私はやっぱり労働大臣がそういう態度、考えだから大企業の人減らし、首切りが野放しにされているということを指摘して、終わります。
○委員長(吉岡吉典君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時十五分まで休憩いたします。 午後零時十六分休憩 ─────・───── 午後二時十六分開会
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を再開いたします。 この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、長谷川清君が委員を辞任され、その補欠として今泉昭君が選任されました。 ─────────────
○委員長(吉岡吉典君) 休憩前に引き続き、労働問題及び社会政策に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○今泉昭君 民主党・新緑風会の今泉でございます。 午前中の同僚議員に引き続きまして、限られた時間ではございますけれども、労働大臣を中心に質問をさせていただきたいというふうに思います。幾つか質問の項目は連絡しておいたんですが、限られた時間でございますので恐らく半分ぐらいしかいかないんじゃないかと思いますが、前後はばらばらになりますがひとつ御容赦賜りたいと思います。 最近の我が国の経済情勢をずっと見てみますと、依然として大変厳しい経済情勢が続いているわけであります。国の財政はもう言うまでもなく大赤字でありますし、企業の決算状況、特に三月期決算を予測いたしましても大変な赤字が予測されている。一般国民の家計を見ましても、収入は減少するというような形で、ちょうど戦後第一回目の経済白書が出されたときの文章に似てきたような気がしてならないわけであります。昭和二十二年に第一回の経済白書が出されたときの文章の中に、国も赤字、企業も赤字、家計も赤字というような表現があったはずでございまして、それぐらいに厳しい実は今経済実態の中にあるわけであります。 その中で私どもにとりまして一番気になるのは、今後の雇用情勢というものでございます。毎日の新聞に、冗談じゃないんですが、カラスが鳴かない日があっても新聞にリストラの記事が載らない日はないぐらいに、毎日のようにリストラの記事が出るわけであります。数字も発表されていますが、そのリストラの数字そのものがすぐ失業というわけではないにしても、決して明るい情勢ではない。 一方、経済企画庁の言によりますと、景気は底を打って、やや上向きとは言われませんけれども、どうやら最も暗い時期は越したというような表現はありますけれども、どうもマスコミの雇用に関する報道に関しましては決してそういう状況にないのではないかというふうに私は認識しているわけであります。そこで、この認識次第によってやっぱり労働行政として打つ手もいろいろ違いが出てきてしかるべきだろうと思うんです。 実は振り返ってみますと、私一九九五年の参議院選挙で初めて参議院の禄をはむようになったわけでありますが、ちょうどそのときは円高が急激に出ているときでございまして、一時八十円台を割るというような時期もあったぐらいでありまして、物すごい雇用不安があった時期でございました。そのとき言われていたのは、企業内失業者というものが大企業を中心として三百万人ぐらい今、日本にあるんだと。ところが、幸いにしましてそのときは、御存じのように九五年の後半から景気が回復してまいりまして、九六年には三%台の経済成長を記録したぐらいでございますから、そのときの雇用不安が一挙に消えてしまったような状態になりました。潜在的には経済の構造変革をしなきゃならないというかけ声はありましたけれども、計画はいっぱい出たけれども、恐らくそのまま手放しになったんじゃないかと思うわけであります。 そこで、今後の経済情勢を占う上で、いろいろとリストラが出されていますけれども、労働大臣としては、現在我が国の企業が抱えている企業内失業者というんでしょうか、失業予備軍とでも言っていいと思うのでありますが、何かがあったときには、がくんときたときにはそういうところがごそっと失業者の中に出て行かざるを得ないわけでありまして、今の労使慣行からいって企業内失業者というのを大変多く抱えているのは事実だと思うんですが、それをどれぐらいに見るかによって私は雇用対策の打ち方も違ってくるんじゃないか、雇用対策を打つ際の非常に大きな検討の課題だろうと思います。 もう一つは新しい産業をつくるという課題もあるでしょうけれども、その辺を踏まえて、労働大臣として現在の企業が抱えている企業内失業群というものをどのくらい考えていらっしゃるのか。そして、そういうものとの絡みで、今のこの四・四%という失業の指標というのは遅行指標ですから景気が回復してもなかなか回復はしないと思うんですが、どういうようなこれからの見込みを立てているのか、まず最初にそのことをお伺いしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 私みずからがこれくらいが企業が抱えている余剰労働力だということを発表するのはいかがかと思いますが、雇用調整助成金の対象人数は二十五、六万だというふうに思っております。そして、それがこれから先労働市場に吐き出される人数であるかないかはちょっと私の口からは言えないし、わからないところであります。 ただ、先生御指摘のとおり、失業率というのは遅行指標であることは間違いありません。そして私自身、現在がもう既に景気が底を打って反転に転じているのか確認ができませんので、仮に底を打ったとしても数カ月はさらに厳しい状況になるというのは過去の経験的な数値でありますし、ここしばらくは予断を許さない状況が続くというふうに思っております。
○今泉昭君 そういう意味で、政府を中心として雇用対策のために苦労をなさって次から次へといろんな手を打っていらっしゃる。これは評価をしたいと思いますし、こういう時期ですから何でもやってみなきゃいけないだろうというふうに私も思っております。 ところが、いろいろ発表されている数字を見回してみますと、どうもちぐはぐな面が多いわけです。例えば、つい最近出された七十七万人の雇用創出の中身を見てみますと、保健・福祉分野で十万人、情報通信分野で十八万人、住宅及びその関連分野で四十万、観光分野で九万人というようないろいろな計算をなされているわけです。 ところが、平成九年五月に閣議決定がなされた経済構造の変革と創造のための行動計画というのがあるんですが、ここにおきましていろんな形で各産業分野の雇用創出、どれぐらいの産業の需要があってどれだけの新しい雇用創出の可能性があるかというのを、実はこれは二〇一〇年までの長いスパンで計算をされているわけであります。いろんな委員会、審議会の検討を通じてこういうのを積み上げてこられたと思うんですが、これは二年前ではありますけれども、余りにも違い過ぎる一面が出ているんですね。 例えばここでは、七十七万人という形で出されました住宅及びその関連分野で四十万人と見込んでいらっしゃるんですが、この二年前のときには、住宅関連を見てみますと実はこんなに大きな金額じゃないんですね。見てみますと、何とそれこそわずか六万人の増加しか見込んでいないんです。これはしかも、二〇一〇年までの長いスパンで住宅関連産業の見込みというのはその程度しか見込んでいないにもかかわらず、つい先日出されましたこの七十七万人構想の中では、一両年中に実現をするという計画なんですが、四十万人と膨れ上がっています。 そういう意味で、気持ちはわかるんですよ、何でもやっていかなきゃならないし、わかるのでありますが、この違いというのは一体どういうふうに受けとめていいんでしょうか。私どもとしましても、余りにも違い過ぎるものですから、ただ単にアドバルーンにすぎないのかなというふうにしか受けとめられないんだけれども、どういうふうに受けとめたらいいですか。
○国務大臣(甘利明君) 平成九年の閣議決定をされた行動計画によりますと、先生今お話があったとおり、二〇一〇年までに新規で成長する十五分野七百四十万人。そして、それがどういう算定根拠があるのか私は当時閣僚ではありませんからよくわからないのでありますけれども、それを具体的に短いタームに落とし込むとどのくらいになるのかなというふうに常々思っておりました。 その数字が正確にはじけるんではないだろうかと思っておりましたが、実はそう精緻な計算ができないようであります。期待値を込めて、こういうふうにこの分野が、例えば情報通信であれば、アメリカがこんなぐあいで伸びていった、我が方もそういう経緯をたどるだろう等々の期待値が込められているんではないかと思います。私の推測ですよ。加速度的に雇用創出効果というのは上がっていきますから、立ち上がりの年というのは本当に地をはうように行って、産業が軌道に乗るといきなりばあっと上に上がってくるという面があるから、短いスパンで言うとなかなか数字がはじけないというのがあるかもしれません。 そして、住宅の関連分野六万人が四十万人、これは何かいい方の誤差なんでしょうけれども、本当にこれができるのであるならばという意味なんでしょうが、当時は住宅の建設戸数が今ほど落ち込んでいなかったんだと思います。 ですからこの数字は、十年度が年間百十万戸で、それにどのくらい乗るかという計算をしているわけです。今の雇用失業情勢の厳しさというのは、住宅建設関連がかなり失業を出しているわけでありますから、それが百十万を土台として税制や金融策がとられて立ち上がっていく。そうすると、百三十万戸ぐらいには乗るんじゃないだろうかと。建設大臣は、予算委員会では百二十万の後半台にはどうしても乗せたいという答弁をされておられました。仮に百三十万戸に乗るとすると、そこから計算すると二十万乗っかると。そうすると、その二十万戸の周辺効果を含めて四十万人くらいの雇用創出効果になるという計算を建設省はされているようであります。
○今泉昭君 確かにそうだろうと思います。具体的に一つ一つ積み上げて出す目標と違って、経済効果が波及的に雇用創出を生み出していくというような大ざっぱな算出ですからこれはやむを得ないことだろうと思うんですが、ちょっと余りにも違い過ぎなものですから。これ以上私は申し上げません。 ですから、申し上げたわけですが、もっと今必要なことは、具体的に算出できるようなものにひとつ手をつけていったらどうだろうかと私は思っているわけです。そういう意味では、この七十七万人構想の中の最初の保健・福祉分野の十万人なんというのは実に具体的に、例の新ゴールドプランに基づいてどうのこうのというのは明らかに数字がもう出ているわけでございますから、この十万人というのは確かに具体的な現実性があるものだと思うんです。 そういう意味で、もっと別な道がないだろうかということで、労働大臣のひとつこういう点に関してはどういう感覚をお持ちなのかお聞きをしたいと思うわけです。 それは、二つ私は考えているわけでございますが、今失業者の中をずっと数字的に年齢別に見てみますと、一番失業者の数が高いのが二十五歳から三十歳ぐらいの若い一群と、それから五十歳から五十五歳、四十五歳からぐらいですかね、高齢者の一群、これが最も年齢別に見て失業者の数が多いところではないかと思うわけです。 そこで、まず具体的にこれだけの数が生まれるんだということを考えるとするならば、若い人を対象にして雇用創出を図るとするならば、どうでしょうか、ODAを少し活用しまして青年海外交流隊十万人構想ぐらいつくってみたらどうですか。 今いろいろ聞いてみますと、二千数百人しか海外に派遣されていない。わけのわからないODAで金をばらまくよりも、常時十万人ぐらいの青年行動隊、青年協力隊を、国によっていろいろ違うようですけれども、これは平和部隊というところもあるでしょうし、そういうものを国内で常時訓練して、そして特に発展途上国の方々に対して人的な貢献をする。そういうことを通じて、我が国と海外との関係をよくしたり、あるいは我が国に対する関心を高めてもらう。これは外交的にも大変いいことではないかと思うわけであります。 そういう意味で、どんなに多く見積もっても十万人構想といったら一兆円にもならないと思うんです。そういう意味で、多額のODAをたとえやってもありがたいとも思われない国があって、かえって日本を批判するような国もあるぐらいですから、金をやるよりも人でもって貢献をしていくという体制づくりというのは、具体的にこれは若い人たちの雇用の改善にもなるんじゃないでしょうか。これが一つ。 これはぜひ、きょうは外務省の方も来ていらっしゃると思うものですから、海外協力隊の実態はどういうふうになっているのか、予算的にどのぐらい使っているのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(大島賢三君) 青年海外協力隊の事業でございますけれども、現在、平成十年度でこの協力隊に関します経費は百六十六億円でございます。大体二年間平均的に派遣をされておりますが、新規に派遣をします隊員数が約一千九十八名ということになっておりまして、ある時点で切り取ってみますと派遣者数が大体二千百名強の規模になっております。 平成十一年度におきましては、ODA予算全体がほぼ横ばいという状況の中でございますけれども、青年海外協力隊につきましては、ただいま先生の方からも御指摘がございましたように、顔の見える援助の典型的な例でございますし、かつ大変に高い評価を得ているといったようなことでございまして、協力隊予算につきましては三%増をお願いいたしております。派遣人数も平成十年度、十一年度につきましては千三百五十人というふうに約二百五十名程度ふやすように措置をいたしております。 これを十万人計画とするかどうかは別といたしまして、長期的には国内の支援体制、それから相手国、受け入れ先の状況等いろいろ勘案する問題はございますけれども、基本的には私どもはこれは大変にすぐれた事業だと思っておりますので、ODA全体の中でできるだけ数も伸ばし、質も向上させていくように努力をしたいと思っております。 御支援をよろしくお願いをいたします。
○今泉昭君 もう一つお答え願いたいんです。例えばアメリカの平和部隊などいろいろあります。海外の先進国の数をちょっと簡単に教えてくれますか。
○政府委員(大島賢三君) 私どもが把握しております諸外国の類似のボランティア団体の状況でございますが、アメリカの平和部隊が現在六千三百名強というふうに承知しております。それから、イギリスの海外ボランタリサービスが約千七百名、韓国の海外奉仕団二百六十名、フランス、発展ボランティア協会三百二十二名、ドイツ、開発奉仕事業団約九百六十名、カナダ、大学海外奉仕会二百名強、あと国際連合が国連ボランティア計画というのをやっておりますけれども、これが二千百名、大体こんな規模でございます。
○今泉昭君 大臣には後でちょっとお答え願いますけれども、お国によっていろいろ違うと思うんですが、これから我が国が平和的な国家として世界に顔を見せるためには、私はこの平和部隊というか青年海外協力隊というものを常時多数国内に訓練をしていくという体制は大変重要なことじゃないかというふうに思っているところであります。これが若い人向けの一つの具体的な数を言った雇用対策を側面から申し上げました。 もう一つ、高齢者向けの雇用対策ということで、これは残念ながら新しい仕事をつくって高齢者をこれに充てるというのはなかなか難しいことでありまして、むしろ私はセーフティーネットということに関して高齢者に対しての対応策というのが大変重要じゃないかと思うわけです。特に先ほど申し上げましたように、四十五歳以降の方々というのは大体教育費のかかる年代でございます。そしてまた、住宅ローンも大変負担が多い時期であります。 ところが、具体的な企業の中の実態を見てみますと、ほとんどこういう方々に肩たたきが始まっているわけです。実は最近のリストラの動向というのをちょっと調べさせていただいたんですが、最近のリストラの傾向が変わってきているわけです。例えば、過去一、二年前までのリストラというのは転籍出向が中心だったわけです。これが一番多かった。その次に多かったのが早期退職優遇制度の充実という形のリストラが大変多かったわけであります。ところが、最近の動向を見てみますと、これが逆転しているわけです。明らかに早期退職優遇制度を使いながらリストラをやり始めた。要するに肩たたきをそういう方々に対して積極的に企業がやらざるを得ない立場に陥っている。こういうことは高齢者に対するリストラの波が大変強いということであります。 一番家計、生計を営む上で苦労されている方々が、これまで苦労してきた方々が、年をとっているから、企業のこれまでの労使慣行上年功序列型の賃金が上がっていくのはコスト負担がたまらないという企業の考えもあるんでしょう。そういう意味で、できるだけ年をとって比較的賃金コストが高い人をどんどん追い出していこうという流れがあるわけです。これは私はとてもじゃないけれども問題があるんではないかと思うわけです。 これまでいろんな形の均等法というのができてきております。男女機会均等法というものが大変な年月をかけて一定の水準まで近づいてまいりました。諸外国の実態を見てみますと、例えばアメリカでは、年齢別差別の実は均等法じゃありませんけれども法律がちゃんとでき上がっているわけでありまして、年齢別に雇用を差別してはいかぬと。 そういうような意味で、特にこれから我が国の経済構造を変えなきゃならない、経済構造が転換をするためにはこれまでの労使の雇用慣行を変えなきゃならないという一連の波がばっと押し寄せてきているわけでありまして、そういう中の一つの防波堤にするためにも、私はこの年齢別雇用差別の禁止法案というものを我が国もそろそろ検討する時期に来ているんじゃないかと思うわけであります。私は、そういうふうに具体的にむしろ雇用対策というものを積み上げていくのが、大きな数字をぶち上げるよりも具体性のある雇用対策となると思うんですが、この二つの点につきまして労働大臣はどう考えていらっしゃるか。 これは、青年海外協力隊のことにつきましては労働省だけでできるものではございません。でありますから、労働大臣の考え方、個人的にどう考えているかでも結構でございますから、含めて二つのことについての所見を伺いたい。
○国務大臣(甘利明君) 二点のお尋ねであります。 まず最初の、青年海外協力隊の常設隊としてもっと規模を大きくしてはどうかという話であります。 外務省からの答弁にもありましたけれども、あるいは先生のお話にもありましたが、大変に海外でこの青年海外協力隊員の活躍が評価が高いと。そして、御指摘のとおり、日本の若者が我が国を応援してくれている、復興を助けてくれていると具体的に相手の国民に目に見える形で印象づけられているものでありますから、費用対効果と申しますか、そういう点でいえば非常に高いと思います。 そして、瞬間風速で言うと二千百名ちょっとという外務省からのお話であります。これも、じゃ、今よりも多い方がいいのではないかと。それは私もそのとおりだと思います。どの辺の規模が適切な規模なのか。これはもちろん予算との絡みもあるし、あるいはシステム運営といいますか全体をハンドリングして効果あらしめるようにする規模の上限、あるいはその上限への推移の時間というのも必要でありましょうし、私個人は今より多い方がいいと思っておりますが、それが幾らぐらいが適切かというのはちょっと即答できないというところであります。 それから、年齢別雇用差別の禁止をそろそろ考えてはいかがかという話であります。 これは先生がもう既に御指摘のとおり、日本の雇用慣行と密接に関連している問題でありますから、年功賃金といいますか年齢給といいますか経験給といいますか、そういうところと密接な関係がありますので、なかなかすぐどうということは難しいのかなというふうに思っております。これから日本の雇用慣行がどういうふうに変わっていくのか。日本型長期雇用というのはこれからも雇用の中心に据えていかなきゃならないと思いますが、能力給というものがどこまで労使で検討されていくのか、その辺のこととあわせての将来の課題かなというふうに考えております。
○今泉昭君 幾つか大きな問題をお聞きしたいんですが、一つの問題を聞きますと五分ぐらいかかってしまうもので、少し早くなりますけれども、きょうはこれぐらいで少し時間を早目に切り上げまして、次回の機会に引き続きお聞きすることにしたいと思います。失礼しました。
○山本保君 公明党の山本保です。どうぞよろしくお願いします。 今、今泉先生から相当本質的なお話がいろいろありました後でちょっと細かい話をするのは心が引けるところでありますけれども。 最初に、今回といいますかこの間、大臣には予算委員会でありますとかその前の決算の本会議質問で突然ちょっと振ったりしましてお聞きしました。 私としては、今の雇用構造に大きなファクターは二つあって、一つは福祉であるとか環境、ごみという、これまで汚い仕事というふうに俗称され、よって公務員が行う仕事である、こう言われてきた分野をいかに民間が担っていくのかという、こういうファクター。もう一つは、ミスマッチにも対応するということは非常に結構ですが、実はミスマッチを生み出しているのが今の学校制度である。学校の教育内容であり、また二十ぐらいまでで労働者形成は終わるとする今の学校教育に問題がある。これに対して労働省はぜひ声を出してほしいというのが私の願いなわけであります。 その後半の方については今度の予算でもまたやらせていただくつもりでおりますので、きょうはもう少し細かい話をお聞きしたいと思っております。 今の今泉先生のお話にも出てきたことでございますが、最初に、九九年度にホームヘルパー、保健・福祉分野で十万人の雇用創出をしようという、これはけさ方から保健・福祉分野については相当明確なとかまたしっかりしたものだ、こういう言葉が出ているわけですが、まず私は本当にそういうしっかりしたものかどうか、厚生省にこの十万人創出ということについてどのような今見込みがあるのかどうか、これをお聞きしたいと思っております。
○政府委員(真野章君) 平成十一年度の十万人ということでございますが、先生御案内のとおり、新ゴールドプランの関係の高齢者の関係、保育の関係、それから障害者の関係、この三つの柱立てになっておりまして、高齢者の関係につきましては、今後の平成十一年度が最終年度でございます新ゴールドプランの目標値を上回る水準を確保したいということで、それを着実に推進するための人員を見込んでおりますし、また緊急保育対策等五カ年事業、これも平成十一年度が最終年度でございますので、この緊急保育対策等五カ年事業が確実に実施されるというための人員を見込んでおります。また、障害者プランにつきましては、平成十四年度が最終年次でございますが、それに向けましての必要な事業ということで、平成十年度、今年度の三次補正なり十一年度の当初予算に施設整備その他を勘案いたしまして計算をした人員を見込んでいるところでございます。
○山本保君 この委員会ではその中身の実現性についてはそれ以上お聞きせずに、まずそれを前提としてお話を進めたいと思いますけれども。 今お聞きしておりますと、はっきり申し上げれば、それは厚生省が独自にこれまでの計画でやってきたことであって、労働省としてそれに対してどういう言うなら支援をしているのか、私ここをちょっときょうはお聞きしたいわけであります。先般、十二月の第三次補正のときの予算委員会で実はお聞きしたことをもう一度きょうはちょっと時間をかけてお聞きしたいわけです。 つまり、保健・福祉というような分野が、こういう数字が上がってきましたように、これから雇用という面でも大変重要なものである、こういう段階にあり、一方で労働省は中小企業等の新規雇用についてはさまざまな賃金助成制度を充実させている。しかしながら、今お話が出たようなこういういわゆる社会福祉と言われている分野についてどういう労働省の支援があるのかということなんです。 まず、ちょっと細かくお聞きいたしますけれども、例えば社会福祉法人がこういう新しい方を、それは専門職としてというよりもこの場合一般的な実務、現業につかれる方というふうに考えてもいいんですが、こういう方も含めて雇用する、こういう場合この雇用保険なりさまざまな雇用対策の方からどういう支援があるのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 社会福祉法人が事業主として常用の労働者を雇用されるといった場合に、現在の例えば四十五歳以上の方を採用されたときの助成金、こういったものは事業主の立場で労働行政の助成の対象になるというふうに、この点はほかの事業主と同一の立場において助成の対象になります。
○山本保君 今その場合に、もう少し確認いたしますが、そのときの助成対象というこの制度の財源というのは雇用保険というふうに考えてよろしいでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 雇用保険の特別会計から助成をしております。
○山本保君 もう一つお聞きしますが、この場合今度は、社会福祉法人になっていないさまざまな、これを本来のNPOというふうに私は言っておるわけでございますが、これは世界的にもそういうふうに言われていると思うんですが、どうも日本ではNPOというとボランティアというイメージを先行させられているので違いますが、しかし、言うならば日本の今法的にはいろんな優遇が受けられていないけれどもさまざまな形でやっております例えば無認可の保育園があります。いろんな障害者が集まってやっておられる小規模な作業所などがあります。そのほかにたくさんのものがありますし、先ほど私が申し上げましたようにこれから今後そういう形でふやしていかなければならないと思っているわけですけれども、こういう団体なり個人が同じように新しい方を雇うというときにはこの助成制度の対象になるのでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) NPOは非営利法人でございますけれども、NPOが例えば事務局の職員を雇うとかあるいはそのほかにも事業主としての立場で人を雇うといった場合には、先ほどお話のありました社会福祉法人等と同等の立場で助成の対象になり得ます。
○山本保君 そうですか。私が先回お聞きしたりまた今回お聞きしたのとちょっと違うような気がするので、確認をしておきたいと思います。 新規雇用創出対策ということで、雇用保険の受給者等が一般労働者を雇い入れた場合に大体賃金の三分の一を一年間助成する、そして九月末までは賃金の二分の一を助成する、こういうのがこの前の第三次補正から始まりましたですね。これに当てはまるというお答えですか。
○政府委員(渡邊信君) ただいま申しましたのは、私どもが一般的にといいますか事業主に対するいろいろな助成として行っているもの、特に中高年齢者を雇用した場合のようなものについて申し上げましたが、今先生御指摘はさきの臨時国会で改正をさせていただきました中小企業労働力確保法に基づく助成のお話かと思います。 これは、この法律の中に中小企業というものの定義をいたしておりまして、その定義に当てはまる中小企業が異業種に進出をするあるいは新たにそういったものを創業する、こういうときに助成措置を加えるということで、これはこの法律の中にはっきりと定義規定があるわけでございまして、この定義によれば、事業を営む会社または個人、こういったことになっておりまして、この事業を営むという解釈は従来から営利事業を行う者であるというふうになっておりまして、先般大臣の方からお答えを申し上げましたのは、この中小企業労働力確保法の対象にはNPO等は含まれないと、こういうことでございます。
○山本保君 もう一度確認しますよ。今おっしゃった今度新しく始まったその事業、これの財源はどこから出るんですか。
○政府委員(渡邊信君) これはやはり雇用保険の特別会計でございます。
○山本保君 大臣、よろしいですか。整理して言いますと、つまりお金は両方とも事業主とそして労働者が実際負担している雇用保険のお金を払っているわけです。その事業でありながら、片方は、今までのやっていたのはよろしいんだ、しかし今度新しく始まったものはだめなんだと。これはおかしいんじゃないですか。差別じゃないでしょうか。このお金をどうして、じゃNPOと言われるそういう団体は雇用保険の額を少し下げるのか、割合を下げるのかと、こういう議論をしてよろしいんでしょうか。大臣、どう考えられますか。
○国務大臣(甘利明君) 中小労確法の改正による今回の措置でありますけれども、中小企業の振興ということが入っておりまして、私は産業政策を支援するための一つの措置というふうに理解をいたしております。つまりそれは、中小企業政策というのは、今は力が弱いから助けるけれども、大きくなったら利益を上げて税金で国に返してくださいねという奨学金的な発想があるんだと思います。つまり、その点に関しては純粋雇用政策というよりは雇用を拡大するような産業政策といいますか大きくさせる政策で、後でしっかりと国に貢献してその分はきっちり返していただく、それを支援する政策というふうに理解をしております。
○山本保君 大臣、そこで理解していただいては困るわけでありまして、理解はできないけれども現状はそうなっていると、私はぜひそう言っていただきたいわけです。確かに法律ではそうなっている。しかし、これまでも話がありましたように、雇用を何とかしようと言って頑張っておられる大臣が、これは中小企業の方であって事業主の方だと、そんなことを言ったって、例えば労働省の出した一番最初のところにこれが出てくるわけでして、それなら最後に注書きぐらいにしてこれは労働省じゃありませんがぐらいを書いてあればまあわからないでもないんですけれども、まさに一番重要な、これは皮肉を言ったわけじゃないんですけれども、五百億使って大変ないろんな事業として出したわけです。 ところが、今局長の方からお話がありましたように、それは中小企業基本法というところにひっかかるんだと。そこには個人とか会社と書いてあるんですよ。ところが、これができたのは昭和三十八年です。そのときに、そんな今のNPOというような非営利でしかも公的な助成だとか補助金をいただかずにやるという、こういう状況はなかったわけです。決して中小企業基本法ができたときにそういうのを排除するんだと決めたわけじゃないでしょう。だって、会社と個人がいいと言っているのに、どうしてその中間形態みたいなのがだめになるんでしょうか。これはもう論理的に言ってもまたは今の実際の必要性からいっても、ぜひこれを含めるべきだと私は主張しているわけです。 だから、ぜひここは労働省として、今特に緊急的な対応をしているわけですから、しかも財源は同じなんでしょう、さっき言いましたように。特別に一般会計か何かから持ってくるというならまだわかるんです。そうじゃないんです、これ、雇用保険なんですよ。みんな出しているんですよ、自分で。なのに、お金を取っておいて、いやここはだめなんですよと、こんなのはおかしいじゃないですか。訴えられるんじゃないですか、これは。法の下の平等に反しませんか。どうでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 雇用保険の特別会計から特に事業主に対していろいろと助成をしている制度が現在ありますけれども、例えば年齢でいいますと、従来は五十五歳以上の方を雇ったときに助成金が出ておりましたが、これを現在では四十五歳まで下げるというように、やはりその目的に応じてこの助成もいろいろと施行しているところであります。 例えば、同じ保険料を出しております失業者でも、自発的失業の場合と非自発的失業者を雇った場合とで助成が違うというふうに、助成にもいろんなそれぞれ目的に応じた扱いがあるわけでございまして、この中小企業労働力確保法は、先ほど大臣から申し上げましたように、産業政策と連携をして我が国の中小企業を育成する、そういった政策の一環として行っているわけでありまして、この法律の目的の中に、中小企業というのは会社や個人でありますが、鉱業、運送業その他の事業を行う者等々というふうに具体的に営利事業を行う者を規定しているわけでありまして、そういった産業政策の一環としての助成の措置であるということで、そういった目的で助成がなされているというふうに考えております。
○山本保君 もう終わろうかと思ったんですが、局長がまた蒸し返したことを言われたので、じゃもう一回言いますが、中小企業基本法にはちゃんとサービス業も入っているじゃないですか。そこだけ意識的に除いて読み上げちゃ困りますよ。サービス業が入っているんですよ。そして、今や人的なサービスというのはこれはこれからの社会に一番大事だって、みんな知っていることじゃないですか。今の局長のお話では、最初そんなのはもともと営利だと。中小企業基本法にどこを読んでも営利なんて一言も書いてないですよ。業を営むと書いてあるんですよ。業を営むと言えば、法律をやった方ならみんなおわかりでしょう、これは継続して反復をすることを業を営むと言うので、非営利では業を営むとは言わないなんて、そんな解釈どこにもありませんよ。どうですか、局長。
○政府委員(渡邊信君) これは中小企業基本法あるいは中小企業労働力確保法に言います事業を営むの解釈であろうと思いますが、従来から営利事業を行う者というふうに解釈をしていると思います。
○山本保君 そういうふうに丁寧に言っていただければそのとおりです。 確かにそういうふうに解釈されてきた。しかし、これはもともとできたときにそういうものを意図していなかったんだから、ここで解釈を変えたらどうですか。それは中小企業庁の向こうの方の大臣がやるのかもしれないけれども、あの大臣なかなかちっとも話がわからぬようですから、ぜひ話のわかる甘利大臣にここで労働者の側に立って言っていただきたいなと思っているわけです。 この議論はこの辺にしますが、一つだけ、せっかく経済企画庁に来ていただいておりますので、NPOについての今どんな優遇があるのかということについて確認的に簡単に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(金子孝文君) 先ほど委員おっしゃったように、そのNPOといってもいろいろな言葉がありますけれども、私どもが担当しておりますのは、特定非営利活動法人であります。特定非営利活動法人に一体どういう優遇措置があるかということですけれども、これは一つは人格のない社団等並みの扱いになっていまして、収益事業からの所得が八百万円以下の場合には法人税率が低くなっているということでありまして、それ以上について特に優遇措置があるということではありません。
○山本保君 何か聞いているとすごく優遇されているようだけれども、そうじゃなくて、人格なき社団というのは、勝手に皆さんが自分で同窓会をつくったりそんなものやればそれは全部そうなんでして、何も優遇されていないのと実際にはほとんど同じだというふうに私は思います。 この問題についてはぜひ、これは大事なことだと思います。ですから、私は厚生省には実は社会福祉法人自体をもっと下げてくださいとこの前の予算委員会でも言いましたようにそう言っておるんですけれども、あれもなかなか時間のかかることではありますし、ぜひその間だけでもここは何とか労働省頑張っていただかないと。 実際現場で今いろんなサービスをやっている方がどう言っているかというと、これだったらもう有限会社をつくった方がいい、そういうふうになってきているんですよ。有限会社つくろう、しようがないから。有限会社つくればこのお金いただけるんですよ。ところが片方では経済企画庁、NPO、NPOと言っておるのに、NPOに届け出たら出ないんですよ。 そんなばかなことはおかしいです。同じ内閣で何をやっているんだということでございますから、ここはどちらかで整理されて、NPOの方をもっと優遇するなら優遇する、もしくはその間だけでも雇用という面から、労働者が働くんですから、十万人これから雇用しようというんでしょう、そのときに労働省何もしないというのは、余りくどいことは言いませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。 じゃ、次に移りまして、またもう少し細かい話ですが、さっき局長の話にもちらっと出たんですが、中高年求職者就職支援プロジェクトというのが今度できるそうでして、これを見ていましたら、あれっと思ったのは、そこに非自発的な離職者についてさまざまなこういう相談をやったりと書いてあるんですよ。 でも、非自発的離職者とおっしゃいますけれども、実際考えてみますと、つまり非自発的離職者ということは自発的ではだめなんですね。会社からあなたはもうそろそろやめてくださいよと言われるまでぼうっと待っているといろんなことがあって、自分の将来や会社の将来を考えて自分からこれはだめだなと思って出ていった人だとか、もしくは反対に、さっき市田先生からいろんなかわいそうなとか大変なありましたけれども、周りの状況を見て、みんなのために私は身を引こうなんて思う人はこれは当たらないとなるんですね。何かおかしいんじゃないかというように思うんですよ。 つまり、自発的か非自発的かなんていうときは、今こんな経済構造が変わる雇用構造が変わるというときに、どうしてこんなことを分けてここは非自発的の人しか対象にしないんだと、こんな事業をつくったんでしょうか。御説明をお願いします。
○政府委員(渡邊信君) 今般の雇用活性化プランに基づきまして中高年求職者就職支援プロジェクトという事業を行っております。これは今おっしゃいましたように、四十五歳以上から六十歳までの非自発的失業者の方十万人くらいに一カ月間の職場実習のようなものをしてもらおうということで、これから取り組もうという事業でございます。 この対象を、少しこれは説明不十分であったかと思いますが、非自発的離職者等というふうにしておりまして、まずは会社の倒産とか解雇とかリストラとかそういうことで、自分の意図しないことによりまして離職を余儀なくされた、急に生活の糧がなくなった、こういった人をまずは事業の対象にしようということで基本には据えておりますが、例えば自発的失業でありましても、これは雇用保険が三カ月間待機期間があるわけですが、三カ月間たってもなお再就職できないという方は、これは再就職はなかなか困難であるということで、そういった方はこの事業の対象に加えようということにしておりまして、基本は非自発ですが、自発的失業者も場合によっては対象にするということにしております。
○山本保君 予算獲得のいろんなテクニックじゃないかという気はするんですけれども、今おっしゃったのであれば何もここで大きく非自発的ということを書かずに、なるべくそのニュアンスは外して、要するに職を求めている方であれば使えるようなということをもっと打ち出すべきではないかなという気がいたしますけれども、ぜひ御検討いただければと思います。 次に、それと同じような形で今度ホワイトカラーの方の職業能力開発ということを新しくポリテクセンター等で行われるということで、大変結構なことだとは思うんですけれども、予算を見ますと一年間で千二百人が対象であるというふうに載っております。今こういう状況で千二百人の方だけそういうことを行うという何か意味があるのでしょうか。お答えいただけますか。
○政府委員(日比徹君) ホワイトカラーの職業能力開発の問題でございますが、現在、私どもの能力開発の場面では、ホワイトカラー何人分というような立て方はいたしておりません。委託訓練等も大幅に用意しておりますので、数量的には御希望がある限り相当の程度応じられると思っております。 今御指摘の千二百人という数字につきましては、実は平成十一年度に、雇用促進事業団の職業能力開発促進センターというものがございますが、これを活用して生涯職業能力開発促進センター、通称アビリティガーデンと言っておりますが、そこで開発したコース、そういうアビリティガーデン方式といいますかそういうものを、アビリティガーデンだけでは足らないということで、従来全くそういうことをやっておりませんでした能力開発促進センターにおいて十一年度行おうということで、その数が千二百人ということでございます。 なお、ちなみに、こういう御時世になりましたので、これは全体としての訓練の枠の問題でございますので、実は前倒し的にことし一月—三月から、全国で十カ所前後でございますけれども、既に部分的に開始いたしております。
○山本保君 確かにこれまでの、手に職を持つといいますかいわゆる技能者、技術者というものに比べてホワイトカラーと言われる方が、実際には職場の中での管理業務を行うというようなことから大変新しい職場ということが難しいということに着目されて行われたということだと思いますので、結構な施策だとは思いますけれども、これからこの辺についてももう少し重視していっていただけるのではないかというふうに期待しておきます。 それから次にまた問題変わりますが、先週ですか、三月三日に、労働基準法の施行規則で例外が認められておりましたいわゆる中小企業とか環境衛生関係とかさまざまなそういう小さな業種について、その例外措置をもう少し続けるということでしょうか、その場合、四十四時間ということで新しい方針を労働大臣が諮問をされたというふうに聞いております。この内容について御説明いただけますか。
○政府委員(伊藤庄平君) 各事業所につきまして、労働基準法で定めております所定労働時間、法定の所定労働時間でございますが、これにつきましては、平成九年四月に、一般の事業所につきましては週四十時間ということを全面的に実施いたしたわけでございます。 ただ、制度の中では、十人未満の商業あるいは環境衛生関係の事業者等につきましては特例事業所という扱いがございまして、一般の事業所が所定労働時間四十四時間となっておりました時代に四十六という水準で特例措置を講じておりました。全体が四十になる中で実はこの四十六時間という水準がそのまま据え置かれた経緯がございます。しかし、その間、既に週四十四時間の所定労働時間制を採用するいわば特例事業所が次第にふえてまいりまして、現在では七七・五%の事業所が既に四十四時間という水準を達成している状況にございます。 そういう状況で、中央労働基準審議会の方でも、四十六というのがいわば四十四時間に対応していたものでございますから、この四十六の次のステップとしての所定労働時間の水準とその実施時期をこの三月末までに決めましょうということが公労使で一致した形で出されておったわけでございます。 私どもそれを受けまして、お話ございましたように去る三月三日労働大臣の方から審議会の方に諮問させていただいたわけでございますが、その内容は十人未満の商業等についての特例扱いの所定労働時間を四十四時間とする、その実施時期は平成十三年の四月一日とする、この点につきまして諮問をさせていただいたものでございます。現在、審議会の方で御審議をお願いしている最中でございます。
○山本保君 七七%が達成しているというようなお話でありますけれども、しかしながら考えますに、残りの二三%ですか、それはなかなか実際に厳しいもっと大変なところじゃないかなという気もするんです。そのときに、今度の施策、今おっしゃいませんでしたけれども、新規雇い入れでその業者に五十万円までお金を出すとか、またはそのいろんな業種団体に十万円コンサルタントの費用などを出すというようなことで、私、この問題は大変難しい問題だとは思いますけれども、労働省の全体の方針がどうもわからないんですよ。つまり、四十が難しいから四十六の間をとって四十四かというような、それで少しお金を上げれば何かやるんじゃないか、そんなようなニュアンスがあるような気もするんですけれども、この辺について、難問だとは思うんですが、どんな方針を持っておられますか。
○政府委員(伊藤庄平君) 今まで、一般事業所の週四十時間制に向けての動きとこの特例扱いになっている事業所の所定労働時間とは、並行して両方短縮されつつ四十時間に向かってきたわけでございます。一般事業所が四十時間となる中で特例事業所の扱いが四十六時間のままで据え置かれたわけでございまして、私どもとしては、特例事業所の所定労働時間数が四十四になることをもって全体としての週四十時間労働制が完成するという認識を持っておるわけでございます。 ただ、こういう厳しい経済事情のもとで小規模事業所の所定労働時間の短縮を進めていくわけでございますから、いろんな実情を考慮したやり方、手順を踏んでいかなければならない。そういうことから今回、週四十四時間に短縮していただくけれども、その実施時期は経済の回復ということを見通して平成十三年の四月一日から実施するということで、ある程度の期間を置かせていただきました。その期間中に今御指摘ございましたように総額約五十億円の予算を措置いたしまして、こうした生産性を上げにくい小規模事業所が省力化投資をしたりあるいは人をふやしたりした形で労働時間を短縮する場合のその費用の一部を助成していこう、こういう制度もあわせて用意いたしまして、この残り二割強の難しい事業所が少しでも四十四時間というものにこれからの二年間で近づいていけるように応援をしていこう、こういう配慮をいたしたわけでございます。
○山本保君 この問題はこれで終わりますけれども、私は、こういう雇用の状態、労働のスタイルというようなものを、数字を四十に決めてあるから四十にするんだというよりは、何かもっとあっていいんじゃないかなという気がするんですけれども、私も少し勉強しながらまたこの議論を次にしたいと思います。 次に、今度はまた問題を変えまして、介護休業制度が今度導入されるわけですが、これについて少しお聞きしたいんです。 お聞きしますと、百三十億円で四万四千人をまず対象としているというふうに担当の方から聞きました。この四万四千人という方が介護で職を一時抜けられるという、この根拠というのはどういうふうに考えられたんでしょうか。
○政府委員(藤井龍子君) 四万四千人は、一応介護休業給付がこの四月一日から介護休業制度義務化に伴いまして支給される、その支給される予定といいますか予算上の積算根拠は四万四千人ということになっておるわけでございます。 この四万四千人につきましては、私どもで行っております女子雇用管理基本調査によりまして、介護休業制度を既に制度化しております事業場の全従業員に占める介護休業取得者の割合が〇・〇七%という結果が出ておりましたので、これを根拠に推計をしておるものでございます。
○山本保君 一方、何か総務庁の方の調査を見ますと、介護等で平成九年の一年間に離職された方の数が八万七千人というデータがありますね。それから、もちろんこれを全部カバーするかどうかとか、そういうところをどのように考えられたのかなということをお聞きしたかったわけです。四万四千が多いとか少ないということの議論の前に、一体どんな形で介護というものの中に、給付をいただきながら休業するというのがどういう位置づけになるのかなということをまずちょっと議論してみたいと思います。 それで、これは実は前の大臣のときにもたしか私は申し上げたことがあるんですが、大臣おかわりになられましたので、もう一度させていただこうと思っているわけです。 今度、来年の四月から介護保険が導入されますね。介護保険が導入されたときに、言うなら有給の介護休業をとられている、給付を受けている、こういう方は介護保険制度の中でどういうふうな位置づけになるのだろうかということをまず厚生省の方から説明していただきたいと思っております。
○政府委員(近藤純五郎君) 介護休業制度は、私の方から言うのはなんでございますけれども、連続する三カ月の期間を限度といたしまして必要な介護の対応ができる、こういう制度と理解しているわけでございまして、一方、介護保険制度は、長期にわたりまして家族にとって非常に重い負担となっております高齢者の介護を社会全体で支える、こういう制度であるわけでございます。端的に言えば、介護休業を受けられている方は、家族労働といいますか家族介護力がその分その期間だけできてくる。こういうことで、両々相まって介護の仕組みが動いてそれで国民の負担を軽減できる、こういうふうに考えております。
○山本保君 それで、そうなってくるとやっと問題が明らかになってきたわけです。つまり、今のお話ですと、例えばお母さんが倒れられた。そうしますと、そこで介護休業をとられる。三カ月間だけこれはフルタイムずっと休めてお金がいただけるわけですよ。そうしますと、今度福祉の方は、ちょうどここは家族介護が充実していますね、二十四時間いるわけですから。こうなりますと、これすっと考えれば、その間、専門家の応援だとかそういうものはどうしても手薄といいますか、当然不要であろうというふうになるんじゃないかなという気がするんですね。いない方に比べれば軽くなりますでしょう。それで、三カ月たったら今度はもとへ戻ってという、こういうのはいかにも機械的じゃないかと思うわけですよ。 前回のときにここを何とかなりませんかと申し上げたのはそこなんでして、最初の三カ月間だけ家族が見た方がよろしいというような何かそんな理論的根拠がまずあるんでしょうか。
○政府委員(藤井龍子君) 介護休業制度は育児・介護休業法におきまして最長三カ月ということで定めておるわけでございますが、この場合は、家族による介護が突然親御さんが倒れられたりというような状態でどうしても必要である、症状が安定するなりあるいは長期的な介護体制を整えるために必ず家族の手が必要であるという期間につきまして、専門家の方々にいろいろ検討していただきました結果、三カ月というのが出ておるわけでございます。 実は介護というのは育児と違いまして、よく御承知のとおり、病気の種類あるいは要介護者の状況等によりまして介護の態様あるいは期間というのは非常に多様であるかと存じます。そこで、最も典型的な介護が必要になる病気、脳血栓等でございますが、そういうものについて、先ほど申し上げましたように、症状が安定するあるいは長期的な介護体制を整えることができる必要最小限の期間ということで三カ月というふうに定めたものでございます。
○山本保君 どうですかね。私も子育ての方が専門ですから強くここでは言いませんけれども、お医者さんもたくさんおられるので、どうだろうなというような顔をされていると思うんですよ。 私は、確かに倒れられたときにまず必要なのは家族に対する心理的な支援だとは思うんです。そういう方が出てきて、突然今まで元気でよかった方がなるとこれは大変なショックですから、そのためにいろんなことが要るだろうとは思いますよ。そういう説明があるのかなと思ったんですが、どうもそうでもないようでして、私はこの三カ月間最初にとるなんということは全然実情に合っていないと思いますよ。これはぜひ九十日間というふうに解釈していただいて、そしてそれを週一回なり週二回、プロ、介護の専門家の方がこれからはたくさん来られるわけですから、そういう方とちゃんと連携して仕事を休まれる、こういう形で使った方がよほど介護休業としては意味のあるものだというふうに思います。 ここは大臣に少しお考えいただくことにしまして、大分時間が来ましたので、ちょっとまだいろいろやりたいことがあったんですが、最後に労働外交について、きょうは一番最初から大島先生からも質問がありまして、私もお聞きしようと思っておったので、大臣にちょっとお話をしていただこうと思うんです。私も意義は非常に説明を伺いましてあると思うんですが、質問として、ちょっと一つだけわからないところがあるのでお聞きしたいんです。 所信表明の中にも「アジアの代表としての役割を果たしていくことが」ということで、そしてけさ方もそのために、例えばアメリカなどを代表として非常にアジアのいろんな雇用情勢について規制やペナルティーをやろうというものに対して、いやいやもっと積極的に応援するんだ、こういう立場で働かれたと。大変結構なことだとは思うんですけれども、ちょっとここでお聞きしたいのは、一体アジアの雇用というのはどういう特徴を持っておるというふうに思われ、そしてそれは日本の現状とどういう関係にあるのか。ここなんですよ。 何かお聞きしていますと、アジアというのは失業保険もない、職業紹介もない、言うならば非常におくれた状況なんだ。日本はその中では唯一まさに先進国であって進んでおるんだ。その日本がアジアを守ってあげているんだというような感覚なのかなと。だけれども、それならそれでよろしいんですが、それは多分アジアから見れば、日本はアメリカの手先だという、これはどこかの党の話じゃないんですが、そういうふうに見られたって仕方がないようなことになるんじゃないかという気がして、これは杞憂ならいいんですけれども、でも、私も寡聞にして一体アジアの雇用、アジアのなんというのがあるとは多分思わない、アジアは多様性のところですから。だから、少なくともこの何カ国かと非常に深い関係があるようでございますけれども、一体こういう国々の雇用というものはどういう状態にあって、どんなようなモデルで進んでいき、そしてそれに日本はどのような形で応援すると、こういうふうに考えられているのかお話しいただきたいと思っております。
○国務大臣(甘利明君) 私が雇用サミットに出席する際、アジアから特に第二セッションの中核的労働基準と貿易制裁との関係がどうなるのか非常に注視をしているという情報が入りました。この雇用サミットの最中に、アジアの金融危機に関してIMFが入っていったときに、雇用政策上のセーフティーネットの完備がされていないという指摘が出席者から随分ありまして、例えば失業保険制度も完備をされていないというようなことが出席者からの発言でありました。そういう最低限のことを完備させていくためには、IMFが道義的にこれをやらなくちゃいけないということを声高に叫んだだけじゃなかなか進まないんだという議論でありました。 私は、それはやりたいんだけれどもできないのか、やれるけれどもやるつもりがないのか、ちゃんと見きわめなくちゃいけないんじゃないでしょうかと。やりたいんだけれどもできないという事情がかなりありはしないのか。それだとしたら、やりたい国には積極的にできるような環境整備をするということこそ抜本的解決策じゃないんでしょうかということを申し上げたわけであります。そういう意味では、ILOとWTOではなくてむしろIMFとか世銀とかが連携をしてそこの国の経済状態、国民生活を引き上げていく、その中において労働条件の改善を抜本的に図っていくということが大事ではないでしょうかと。国際機関と連携するというのはわかるけれども、相手がWTOというよりはIMFであり世銀ではないんだろうかということを主張してきたわけであります。
○山本保君 大臣が各国の意見を聞かれて、そしてそのときに、議長国だそうでございますから、日本がこの地域のリーダーシップを発揮されましてその意向が生きるようなことで活躍されたというふうにお聞きしまして、私は、大変結構なことで、本当に御苦労さまと申し上げたいわけでありますが、今まで私も本当に不勉強で、労働外交という言葉も今回実は初めて大臣がおっしゃったものですからなるほどとこう考えてみたわけです。 そうしますと、やはりアジアは、インドも行ったこともありますが、見ましても、言うなら、先ほど午前中にありましたように、いわゆる仕事人間的なこういう日本の状況というものと全然違う価値観で動いている国じゃないかなという気もするわけです。一般的に文化論などでそういうことをよく言われるわけですよ。ところが、この雇用問題については、今お聞きしましても、いや、そうじゃなくて、まさに賃労働で行う中で労働者の権利がどのように守られるかということがこれが世界の原則なんだというようなことで、そしてそれにおくれているんだから何とかというような発想にどうも聞こえるわけです。 ですから、私はこれはこれ以上はもう学者の方にでも聞くしかないなと思っておるんですが、そこで、どうなんでしょうか、もう少しアジア諸国とこの雇用ということで緊密にその辺の、出てくる外交官というのはエリートですから、そうじゃなくて、例えば現場の組合の方とかまたは働いている方とも一緒になって議論をしていくというようなことが必要じゃないかと思いますけれども、もう計画されているのではないかとも思いますが、その辺について一言いただけますか。
○国務大臣(甘利明君) APECの各種会議等の場をとらえて、労働政策、雇用政策に関して地に足のついた議論をしたいと思っておりますし、そういう会議に際して情報収集をしっかりやって、あるいは意見交換、情報交換をしていきたいというふうに思っております。
○山本保君 何か六月にまたシンポジウムもあるというようなことも聞いております。ぜひできましたら、私がちょっと申し上げたような、素人からのあれではありますが、まさに職業人たるということの意味、これがどうもアジアとでは違うのではないか、また日本においてもそれが今問い直されているのではないかという気もするわけです。 ですから、各国における雇用というものを、単に経営者との間のそこだけに、非常に抽象化された形で見ればそれはどこだって同じでしょう。しかし、それは生活文化の中にあるわけですから、ぜひそういう意味でもう少し血の通ったような何か話し合いがされるのが必要ではないかなということを最後に申し上げまして、終わります。 どうもありがとうございました。
○大脇雅子君 失業情勢の見通しについてお尋ねをしたいと思います。 失業率は今四・四%という形で、潜在的失業率を加味すればもう一〇%近くなっているんではないかということが言われています。とりわけ、三月期決算を控えてその後さらに大企業のリストラが進み、アジアへの輸出が低迷し、それから今までは中小企業が失業者の受け皿になっていたという状況が消失して、さらに失業率が上がるというふうに言われています。 労働大臣にお伺いしたいんですが、労働省としてはこの失業情勢を全体としてどのように見ておられるのか。とりわけ若年、中高年、女性に対して非常に厳しい状況が現出すると言われており、地域差もかなりあるということに対してどのように実情を把握しておられるのか、お尋ねいたします。
○国務大臣(甘利明君) 直近の完全失業率の数字は四・四%、これは過去最悪の数字であります。そして、有効求人倍率も〇・四九と、二人の失業者に一つの仕事もないという状況でありますから、非常に厳しいというふうに認識をしております。 特に、二十四歳までと六十歳以上がともに八%を超えている失業率でありますから、若年層、中高年層にさらに厳しい状況であると。それぞれ個別にいろいろな対策は打っているつもりでありますけれども、なかなか目に見えて効いてこないというのは正直歯がゆい思いはいたします。 そこで、失業率というのは景気の遅行指標でありますから、経済全体を持ち上げるということは政府全体で今懸命に取り組んでいることでありますし、雇用情勢の改善に関しても、先般産業構造転換・雇用対策本部の会議で具体的な数字が示されて、それぞれの担当する省庁がそれに向かって最大限の努力をしていくということも確認をされておりますので、とにかく今一番厳しい状態であることは間違いありませんけれども、政府を挙げて改善に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○大脇雅子君 その失業率のいわば現状把握について、労働省としてはよく雇用のミスマッチということを言われるわけですけれども、このミスマッチというだけではもう今の現況の失業状況を基本的に説明することにはならないのではないかと思います。とりわけ雇用のミスマッチは、産業におけるいわゆるミスマッチというよりも、それもありますけれども、構造的には性差別とか先ほどさまざまに言われております年齢差別とか、今までのそうした労働市場における差別構造というものが失業を非常に増幅させているというふうに考えられるのですが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) いわゆる雇用のミスマッチというものがかなりの数字に上がっているということは常々御指摘をされているとおりであります。特にその中で女性に対する性差別であるとか、あるいは中高年齢が厳しいということは年齢差別、これが起因しているのではないかという御指摘でありますが、確かにないとは言えないと思います。 そこで、女性に関しましては、均等法の改正で募集、採用、昇進、配転等あらゆる分野で差別をしてはいけないというのを法定義務にされるわけでありますから、改善をされてくるだろうというふうに思います。 中高年齢層に関しましては、募集の際の年齢要件はけしからぬというお話もかねてから随分御指摘をいただいておりますが、先ほども申し上げましたように、日本の雇用慣行といいますか雇用文化というのはどうしても年齢と密接な関係がある、あるいは勤続年数と密接な関係がある、待遇がですね。そういうところから出てきているということもありますので、その辺の日本的雇用形態がどういうふうに変化をしていくかということと年齢の関係はリンクをしてくるのかなとも思う次第であります。 もちろん労働省といたしましては、中高年齢層にターゲットを合わせた雇用の開発プロジェクトというのも推し進めておりますし、いろいろな政策効果を期待しながら、御指摘の点の解消に努めていきたいというふうに思っております。
○大脇雅子君 失業をできるだけ回避するためには、もちろん現状の雇用維持・安定政策というのは非常に重要ですけれども、今言われております雇用機会創出の戦略として、さまざまな二十一世紀への分野、希望の分野に対しての雇用の創出が言われているわけです。数値目標などさまざまな数字が飛び交っておりますけれども、労働省としてはどの数値目標を掲げられ、しかもそれの具体的な効果の戦略というのをどのように組み立てておられるのか、お尋ねいたします。
○国務大臣(甘利明君) 私が就任しまして十一月の緊急経済対策の雇用部分を担当させていただきました。そのときに初めて具体的に百万人という数字を掲げまして、これを目指すということを発表させていただいた次第であります。ただ、その後の質疑で、百万人はいいとしても従来政策の雇用維持政策が大部分ではないか、つくり出すという部分については数がまだまだ少ないし、しかもその内容についてはいわゆるマクロ経済に資する部分が雇用にはね返るという発想からの域を出ていないではないかというおしかりをいただきました。私はそのときに、これで全部終わりですと言うつもりはありません、具体的に各省が雇用創出が期待される各分野に重点的に予算を配分しあるいは規制緩和をし取り組んでいくという努力が残っていますから、それを誘発する効果はありますからというお話をさせていただきました。 閣僚懇等の場で、百万人の創出部分が三十七万だけれども、できるだけ百万人そっくり創出効果になるように、各省は雇用の創出という切り口から施策の推進を図ってもらいたいということを何度か申し上げました。他の閣僚からも賛同の御意見もいただいた次第であります。 そこで今回、総理が主宰をされる産業構造転換・雇用対策本部、ほぼすべての閣僚が参加している会議でありますが、そこで具体的な項目を挙げて各省がこのぐらいの努力は可能であろうという数字をはじいてきてくれました。これは一歩前進だというふうに思っております。その分野につきましては、先般発表されましたように、保健・福祉分野、情報通信分野、住宅及びその関連分野、そして観光の四分野でございます。これは我が省の中小労確法の改正による創出分野とまた別な分野で当然ございます。
○大脇雅子君 そうすると、数値としては一応百万人というのが目標数値と考えてよろしいんでしょうか。 それで、それがいつまでどんなステップで、それからどうやってフォローアップしていくのかという、そういう機構の中の作業といったものはどんな打ち合わせになっているでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 百万人がそっくり雇用創出にいつまでになるかということはまだ確定できませんけれども、百万人の当初の数字の中には三十七万プラス六十四万という創出と安定がありますが、創出だけで百万に近づくように努力を政府としてしているわけでありまして、具体的な数字で七十七万、一両年のうちと。一両年というのは、保健・福祉分野は予算ではじけますのでこれは単年度、十一年度でありますが、他の分野は一両年、二年間にわたるという意味であります。 これを、この間の雇用対策会議の席上でたしか大蔵大臣からの発言だったと思いますが、具体的にフォローアップしていく作業はできないのかという質問がありました。これは例えば半年ごとにフォローアップするということはなかなかできない、追っかけるのはなかなか大変なようでありますが、もうちょっと長いスパンであるならばある程度その確認ができるんじゃないだろうか、その作業を関係省庁で努力をしてみてくれという話になりました。そこで、雇用対策本部のもとに幹事会を設置して具体的なできる作業をしていこうということに先般の会議ではなったわけでございます。
○大脇雅子君 東京、大阪ではハローワークなど休日とかあるいは時間を延長して行われるということですけれども、地域的に見ると北海道とか沖縄あるいは近畿が非常に悪いという数字が出ているわけですけれども、そうした地域におけるハローワークの東京、大阪のような事業というのは考えておられるでしょうか。
○政府委員(渡邊信君) 現在土曜日と平日夜間開庁しましたのは大阪二カ所、東京一カ所の交通の便利のいいハローワークでございますが、それ以外の地域につきましては、来年度から各県最低一カ所は経済団体の情報等も取り入れました情報プラザというものを設置しようというふうに今計画をしているところでありまして、ここにおきましては土曜日とそれから平日の夜間も開くというふうな計画にしております。
○大脇雅子君 情報プラザは、ことしの四月ですか、来年の四月ですか。
○政府委員(渡邊信君) ことしです。
○大脇雅子君 ことしの四月から。各県一カ所ぐらいずつは御検討していらっしゃるわけですね。ぜひこれは早急にやっていただきたいというふうに思います。 雇用の創出に並びまして今雇用の流動化政策ということが非常に進歩というか進めておられまして、転職しやすい市場の形成の整備ということがさまざまな形で進んでいると思うんです。ただ私は、そういう流動化も、労働条件を切り下げたりあるいは不安定雇用化して雇用が確保されたということであっては非常に問題であろうというふうに思うわけです。だから、非常に不安定な雇用の中で働いている人たちがふえているという場合に、そういう人たちの労働条件の向上ということもあわせ考えていく労働政策が必要だというふうに思います。そうしないと、雇用の流動化政策というのはリストラの支援策のような効果となってしまうのではないかという危惧を持つんですけれども、そうした雇用の流動化政策に対して、労働条件の切り下げとかあるいは不安定雇用化に対してどういうふうに歯どめをかけていかれようとしているのか、お尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 雇用の流動化に関しては、労働者の意思、つまり新しいところに挑戦をしていきたい、あるいは今の仕事がどうしても自分のやりたいことではないということに気がついた、その際に生きがい、やりがいが持てる仕事に新たにつける権利を確保してあげなくてはいけないわけであります。一方今、雇用の受け皿として新産業創造ということが叫ばれていますが、新しい産業の分野に優秀な労働力が適宜適切に供給をされないとその産業はもちろん育たないわけであります。両々相まって活力ある経済社会が生まれていくんだと思いますが、その際に、いろいろな移動する際の労働者の権利がちゃんと保護されていかなきゃならないし、あるいは年金制度等についてもそのポータビリティーを確保しなければならない、それはおっしゃるとおりであります。 長期安定雇用とそれから労働移動とがうまくかみ合った雇用体制というのがいずれ構築をされるであろう、その間に不安定雇用だけが助長されることのないようにしっかりと監督をしていかなければならないというふうに思っております。 先生の御指摘に的確に答えているかどうかちょっと自信がないのでありますが、いろいろな個別の質問をいただく中でまた再度お答えさせていただきたいと思います。
○大脇雅子君 ぜひ、雇用の流動化政策の中で、訓練によって資格を取って新しい職場に挑戦していくということがあればやはりその資格というものをきちっと尊重するような社会の仕組みが必要であろうと思いますし、それから例えば再就職をしていく場合に職場が悪化しないような形でさまざまな能力、職務等のそれこそミスマッチがないような流動化のための仕組みが必要であろうと思います。 また、不安定雇用化に対しては、一つの正社員がなくなって二つの不安定雇用が生まれた場合に二つの職業の創出だということでは本当の意味の雇用の流動化ということにはならないと思いますので、でき得る限り私は不安定雇用に関しては労働条件の低下を来さないような、均等処遇の原則などを基礎としたパートタイム労働者のための法案の改正が必要ではないかというふうに考えるものです。 さてしかし、緊急に失業がふえた場合の対策というものはまた非常に必要でありまして、今では雇用保険を受け取って、手当を受け取ってしまって、期限が切れても求職が十分ではないというような状況もあるということがちまたではさまざま言われていて、それが非自発的失業であればなおさら家族の貧困化というのは避けられないわけですから、そういう意味ではどういう形で失業手当の、私は延長しなきゃいけないと思うんですが、何か考えていられるでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 失業給付の延長措置についてはときどき御指摘をいただくところでありますが、私はこう考えるんです。 例えがいいかどうかはちょっとわからないんですが、トレードを待っている選手みたいなもので、待っている間にやっぱりトレーニングをしておかないと、トレード先が決まったときにすぐ一軍登録ができないということになると思います。だから、待っている間はやっぱり能力を鍛えていく方が即戦力としてすぐ登録されやすいというふうに思うのであります。 それで、今の失業給付が九十日から三百日という設定をされておりますが、延長給付の中にはいろいろ個別案件に対応してかなり柔軟性がございます。その中で、職業能力をバージョンアップしていくための訓練延長給付という措置がありますから、それをぜひうまく使っていただいて、待機している間も職業能力をなまらせない、むしろパワーアップさせていくということで待機をしてもらう。その方がより条件のいいところに就職しやすい。ずっと滞留しているのが目的じゃなくて、要するに最後は職につくということが最終目的でありますから、そのときに有利なように体を鍛えておくといいますか、職業能力をアップしておくということが大事だと思います。 私は、就任以来、職業訓練に関しましてはもう幅広に、そして新しいことをどんどん取り込んで、しかも利用しやすいように見直してくれということをずっと言ってまいりました。ですから、訓練延長給付もその対象を拡大する等の措置をいたしましたし、これを十分に御活用いただきたいというふうに思う次第です。
○大脇雅子君 大臣が教育訓練手当の積極的な活用にかけられる御意思は本当にあちこちで伺っておりますので、ぜひそういう形で労働者の使いやすい手当にしていただきたいと思います。それからまた、そのほか個別延長給付というシステムも流動的に使えるような形で御検討いただけると皆助かるのではないかというふうに思います。 ちょっと失業問題と外れて二問ほどお尋ねをしたいのですが、一つは深夜業の問題であります。平成十年十一月二十七日に「深夜業の就業環境、健康管理等の在り方に関する研究会中間報告」というのが出まして、さまざまな深夜業の働く職場ないしは健康に対する影響ということが議論されているわけであります。 その中で、労使の間のガイドラインの策定ということが言われているわけですけれども、これは研究会の中間報告でありますが、これのいわゆる正式報告への道筋と、それから衆参両議院で労働基準法改正のときに附帯決議がついておりまして、とりわけ参議院ではILO百七十一号条約の趣旨を踏まえた深夜労働の抑制について検討するというふうになっておりますが、これは今後どのように進められるおつもりでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 深夜業の問題につきましては、まず御指摘ございました第一点、自主的な労使の間によるガイドラインの作成に向けてでございますが、御案内のように、深夜業は業種等々によりましてさまざまな態様を持っております。したがいまして、それぞれの業種の労使の方が自主的な取り組みによって実情を反映した中で、適切な深夜業のあり方というもの、秩序をつくっていくことが大事かと思っておりますので、この自主的なガイドラインの作成を今回予算措置の中に織り込んでおりますので、予算が成立いたしましたらそうした事業を展開できますように、今関係の労使に対して、こうした国が、労使をテーブルに着いていただいて、自主的なガイドラインの作成に向けて作業し、その普及に努めるような事業に乗っていただくようにいろいろサウンドを開始しているところでございます。これは、先ほどの報告書の中間報告を受けて、直ちに事業化をしてまいりたいと思っておるところでございます。 それから、ILO百七十一号条約を踏まえた深夜業の抑制のあり方でございますが、深夜業に従事する労働者のもう一つの問題としては健康への影響の問題でございますので、私ども深夜業に多く従事する労働者の方が、定期健康診断のほか、自発的に健康診断を受け、そこで何らかの所見が出た場合につきましても、事業主は医師の意見を聞くことを義務づけ、それを勘案して従来からございました作業転換等のほかに深夜業の回数の減少等の措置を講じなければならない旨を明らかにする労働安全衛生法の改正を今国会に提出させていただきたいということで考えております。 そうしたことによりまして、ILO百七十一号条約の少なくとも健康管理の部分については、かなり近づくことができるのではないかというふうに思っておるところでございます。
○大脇雅子君 ILOの場合は、回数の制限とかその他さまざまな健康以外の一般的な規制ということも視野に入れていると思いますので、それについてはなおどのような形で進められるのか、また後日お伺いしたいと思います。 最後に少し伺っておきたいのは、このところ中国人の実習生の賃金のピンはね事件というのがあちこちで起きております。とりわけひどいなと思うのは水産加工に従事する研修生で、全国生鮮食品ロジスティクス協同組合というのが実習生を受け入れて、月給十二万四千六百円のところを月に三万六千円しか支払わないという形で、長い間労働基準法の賃金直接払いの制度という最も基本的な法律さえ守られていなかったような状況があり、これがこうした研修生受け入れ機構の委託を受けて行われて、そうした委託を受けた団体が五百ぐらいあって、そこにおいてはもうどういう労働条件で働いているかわからないような状況があります。 これは、ひとつ、本当に初めて出たようなケースですけれども、今後こういった問題についての、調査というものを今しておられるかどうかということについて御質問をしたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました水産加工の協同組合、いわば外国人技能実習生の受け入れ団体である協同組合の中間搾取事件につきましては、私どもも大変残念、遺憾な事件だと存じております。昨年の六月に強制捜査を実施いたしまして、この容疑内容を固めまして逮捕し、十一月には千葉の地方検察庁に送致いたしまして、現在裁判中でございます。 こうした残念な事件が繰り返されることのないように、私どもはまず、全国の労働基準局長に、こういった受け入れ団体につきまして早急に総点検をさせていくような指示をいたしました。また、全国の技能実習生のいろんな問題について扱っております国際研修協力機構につきましても、こういった観点の事件が繰り返されることのないように指示をいたしまして、やはりそういった観点からの受け入れ団体また関係事業主への啓発等を展開させていただいておるところでございます。
○大脇雅子君 そのような指示を出されていると伺って少し安心いたしました。 その点検の結果、あるいはもうたくさんそういう苦情が外国人労働者の権利救済弁護団の方に寄せられておりますので、どうかその点検の結果をおまとめいただきまして、また時を見て質問させていただきたいと思います。 ありがとうございました。終わります。
○鶴保庸介君 長い時間、最後の方になってきましたので、各委員の方からもお話、質問がありまして、私も幾つか通告をさせていただいた質問については重複がありました。 何度も何度も聞くようで申しわけないんですけれども、きょうは自由党が与党になって初めての質問ということでありまして、立場が変わりまして、非常にやりにくいということはないんですけれども、あります。ただ、立場は変わっても、この雇用情勢について追及というわけじゃありませんが、大臣に頑張っていただかなければならないこの状況は本当に深刻なものがあります。 耳に痛いとは思いますが、今日のまず雇用情勢の悪化について、もう何度も聞かれていることですけれども、手短にお願いをしたいんです。 製造業なんかでも、昨今のさまざまな指標などによりますと設備投資も減り、また再び雇用調整なんかが強化しておられます。先ほどのお話にもありました。また、翻って見まして、今までであればそういった製造業のマイナス部分を非製造業の業種が雇用を吸収し続けてきたというような現状がありましたけれども、そういったところでも、デフレ圧力が強まって個人消費が非常に減っている中で過剰雇用が目立つ。 物の試算によりますと、先ほど、野村総研は一〇%と言ったそうですけれども、七%近くに上昇するおそれもあるというような指標もさまざま出ております。また、九九年度からは法人税の引き下げが始まります。したがって、体力のある企業であれば三月期決算などにおいて一気に赤字損失を計上するでありましょう。そこで、前半は景気のデフレ圧力は本当に深刻なものになるというふうに予測されております。 こんなことをさまざま言いますと非常に悲観的になるわけでありますが、失業率においても非常に悲観的な予測がされます。大臣はそう思われますか。どうぞよろしく。
○国務大臣(甘利明君) 週末に選挙区に帰りますと地元の方から、大臣、テレビに出るのはいいんだけれども、もうちょっとしかめ面しないでにこにこしてテレビに出られませんかということを言われるんですが、雇用情勢がこれだけ深刻で、担当する大臣がにこにこしてテレビに映っているのはどうかと思うんだけれどもという話をしたのであります。しかし、厳しいときに厳しい顔をするのは当然でありますけれども、余り深刻な顔をして余計みんなを下向かせてもいけないと、複雑な心境であります。 今現在は失業率が過去最悪で、有効求人倍率も非常に悪いところで低迷をいたしております。ただし、これも景気が底を打って上向きに転ずれば、半年後にはいい方に転じてくる。ただ、その間に実はさらに悪くなるという特性がありますから、そのさらに悪くなるなり方を最小限に食いとめたいというのが私の思いでありまして、タイムラグをできるだけ小さくしたいというふうな思いで各施策に今取り組ませていただいているところであります。 政府も、名実ともに雇用が非常に大事だということを掲げておりますし、先般、そういう観点から総理みずから雇用対策本部の席上で具体的な数字を挙げて各省が努力するようにということで今日に至っているわけでございます。
○鶴保庸介君 ここでちょっと、全く通告には入れていなかったことなんですけれども、先ほど大脇先生の方からもお話がありました、地域によって失業率が全然というか多少違いがあると。非常にそれが興味があるものですから、これ、北海道はよく言われますけれども、近畿地方が悪いのはなぜなのか。商売人が多いからだというような話。わからなければわからないで結構ですから、大臣以外の方でよろしくお願いします。
○政府委員(渡邊信君) 地域別に失業率の悪い地方を見てみますと、近畿地方だけじゃなくて南関東などもそうであります。これは、特に現在製造業、ずっと雇用者の人員の減少が見られますように、製造業が非常に落ち込みが厳しいことと、それから特に昨今はホワイトカラーの雇用情勢が大変厳しくなっている、あるいは金融業における雇用情勢が厳しいというようなことで、製造業やホワイトカラー、金融業、あるいは若年の失業者は高いんですが、こういった都市部には若年者の方も多いと。こういったことがいろいろ重なりまして、南関東地域や近畿では失業率が他の地域に比べてかなり高いというふうな状況になっているんじゃないかというふうに推定をしております。
○鶴保庸介君 お話にありました、そうしますと、その若年層の方なんかの雇用状況が非常に悪いという話であります。ただ、その若年層について目を向けてみますと、雇用活性化総合プランという労働省の出されたプランの中に若年者対策という一項目があり、その中には新規学卒就職者を対象にしての話がいろいろと書いてあります。 ただ、私も思いますに、学卒者ということの範囲分けをすることはどうかという気が実は私はいたしております。履歴書などにも新卒と既卒の欄があって、どっちに丸をするかというようなところなんですけれども、既卒であっても現実問題としては一年浪人、二年浪人というような形でまだまだ同じような体力、そしてまた同じような能力を持った方々もいらっしゃる。そういったところでそういう区別をなくしてはどうか。ある意味では大胆な提言なのかもしれませんが、その辺についてどうお考えでいらっしゃいますか。
○政府委員(渡邊信君) 私ども、特に大学や高校を卒業してすぐ職につけないということは、これから社会に一歩を踏み出す方たちにとって大変不幸なことであるというふうに思っております。まず、学校を出ればすぐ就職ができる、こういったことでいろいろ集団面接会でありますとかきめ細かな、例えば高校と安定所がよく連携をとりながら職業相談、職業紹介をするというようなことをやっておりますが、今先生がおっしゃいましたように、学校を出ましても特に若年の間の離転職はかなりあると思います。 中学、高校、大学というふうに見ますと、就職後三年以内に転職する方がそれぞれ七割、五割、三割というふうに、例えば高卒では三年間に半分の方が離職をするというふうな状況になっているわけでありまして、こういった方たちが再就職をするということも必要ですし、それから就職される前に十分な職業意識を持って職を探される、こういったことも重要かと思っております。学卒の方だけじゃなくて、これから少しずつ、既卒の方で離職はしたけれどもなかなか再就職できない方々への対策を広げなければいけないというふうに考えておるところであります。
○鶴保庸介君 私が申し上げたかったのは、既卒の方で一たん就職をしたという方でなくしてという意味で申し上げたんですが、新卒、既卒のそういった区別なくしてできるだけ幅広い層に手を差し伸べていっていただきたいというふうに思います。 質問事項がたくさんありますので、まだまだ聞きたいことがありますものですから、先へ進ませていただきます。 雇用情勢の悪化についてすごく関連しますが、もっと大きく考えますと雇用の流動化ということであります。労働省の方でも、教育プログラムの設定であるとか設置でありますとかさまざまな施策がされております。以前私は大臣に質問させていただきました、終身雇用制についてどういうふうにお考えかと。大臣は、その維持について物すごく大事なことであると明確にされました。 しかしながら、歴史的に見れば、英国では十八世紀半ば、地主に土地を追われた農民が工場労働者として流入し、その後の産業革命の原動力となったと。歴史は繰り返すと言いますが、それから二百年余り、ある意味では産業構造自体の変革時期に来ているのかもしれないというふうな気もいたします。今までは、その時々の成長産業に若者が就職をしてきて産業間の労働力再配分が行われてきたわけであります。しかし、まさにその調整弁であった若者の人口が激減しております。既存の労働者がほかの企業、産業間で移動しなければ産業構造の転換は実現し得ないというふうに確信できるのかと思いますが、このことについて大臣の所感をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 産業にはそれぞれその時代を担っていく主幹産業というのがあると思います。未来永劫一つの産業分野がその国の産業の中心として国を引っ張っていくということはあり得ないのでありまして、常に新しい業種がその時代のスターになっていくんだと思います。また企業は、設立したときの業務に固執することなく、新しい分野にどんどん挑戦をしていってこそ初めて活力が得られ、企業三十年説なんというのは吹っ飛ばすことができるんだと思っております。 その際に、職業能力を持った労働者あるいは職業能力を磨くことができる労働者が適宜適切にその新しい分野に供給をされていくということは不可欠な要件であります。日本型の長期雇用制度というものが、それ自体は決して悪いことではないんだけれども、必要以上にコンクリートしてしまうと労働移動がスムーズにできない、ということは新しい産業をはぐくんでいくマンパワーの供給がうまくいかないということになる、それは御指摘のとおりであります。 ですから、社会の安定要因たる長期雇用とそして新しい活力たる労働移動、これがうまくかみ合っていくことが大事なんだと思います。その際に、どういうケースの場合でも労働者の雇用条件あるいは人間性がしっかりと担保されるという周辺整備が欠かせないというふうに思っております。
○鶴保庸介君 おっしゃるとおりだと思います。その両方を維持しなければいけないという施策、また大変にこれは難しい問題だろうと思いますが、ぜひとも御努力をいただきたいし、私も知恵を絞りたいというふうに思います。 そんな中で、高齢者の雇用の問題もそのうちの一つの目を向けられる分野であろうかと思います。端的に言いまして、私が言いたいのは定年制の延長問題についてであります。 年金などでは六十五歳からの支給ということ、段階的引き上げというようなことも議論されておる世の中でありますが、六十歳定年が一応原則になっておるというふうにお伺いをいたしました。大臣も所信の中で、六十五歳までは現役として働くことができる社会の実現というようなことをうたっていらっしゃいます。具体的に労働省としてその方策、その取り組みをお伺いしたいとともに、例えば六十五歳まで雇った企業を企業報賞というような格好で進めるといったような施策についてどう思われるか、あわせてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(渡邊信君) 現在、六十歳定年はようやく普及をいたしまして、昨年からはいわば義務化も法律上されたわけでございますけれども、やはりこれからは六十五までは希望する方は働ける、そういった環境をつくるということで現在努力しているわけでありまして、具体的には、六十五までの継続雇用についての企業の指導とか、それから雇用保険によります六十歳以上の方の賃金助成というふうなことで雇用の促進を図っているところであります。 今、先生おっしゃいました六十五歳まで雇うときの企業の表彰制度等ですが、これは高齢者をたくさん雇っている企業につきましては、秋の高齢者の雇用促進月間というときに表彰制度などを既に設けております。こういったことも加えながら機運の醸成というものをやっていかなきゃいけないと思いますが、特にこの景気も反映して、働ければ六十五歳まで働く企業の割合というのはここ数年なかなか伸びていかない状況でありますので、今おっしゃったようなことも考えて、さらに努力をしないとなかなか難しい課題かというふうに思っております。
○鶴保庸介君 それでは、七十七万人の雇用創出のプランについて、先ほど大臣もちょっと触れられましたけれども、労働省としてどういうコミットをされたのか、まず冒頭、簡単にお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) 先ほども少し答弁をいたしましたが、百万人のプランをつくりましたときに、できるだけその数に近いその創出部分を各省が個々に検討してほしいということは閣僚懇その他で他省の閣僚に要請をしてきたところでございます。 政労使雇用対策会議の事務局会議におきましても、当初の百万人の雇用創出・安定の中身以外に、具体的に成長が期待される十五分野において近年のうちに具体的にはじけないのかということで、事務局の各省ヒアリングをやりました。そうした中でも、部分的に七十七万人を構成する幾つかの数字が出てまいりました。私は答弁のたびに、近々各省が雇用創出という観点から施策を考えているので、具体的な数字がやがて出てくるのではないでしょうかという答弁をさせていただきました。そうした経過もありまして、さきの雇用対策会議の席上で、各省に総理から可能な限り具体的に算定してみよという指示が行きまして、それで七十七万の具体的な積算になったわけであります。 我が省といたしましては、これが具体的に着実に進行していくために、幹事会等が設置をされるということでありますから、その会議の席上でいろいろと発言をしていきたいというふうに考えております。
○鶴保庸介君 遠回しな言い方をして本当に申しわけなかったんですが、これは新規の雇用創出を期待されるということでコミットされたというお話でありました。 ただ、私が言わんとしたことは、お年寄りの労働の問題において、例えば高齢者の雇用についてでも雇用創出が期待される分野も中にはあるのではないかというふうなことを申し上げたかったわけであります。新規雇用といいますとどうしても若年層、青年層というふうにイメージされがちでありますけれども、お年寄りであるからこそ向いている職業、向いている分野というのがこれから新規の分野としてあるのではないかというようなことも思うわけであります。 学校教員というのは新規分野ではないと思いますが、例えば日本でよく言われることですけれども、大学における教員などというのは最先端の技術について研究する機関なんだから若い人でなきゃならない。若い人が実は小学校の先生、小学校の低学年の学校の教師などというのは、今学級崩壊なんかが叫ばれておりますが、中には人生経験をよく積んだ老人の方がいいというような議論もよくされることもあります。 そういったことで、文部省などにもぜひこういうコミットの中に入っていていただきたかったなというような思いがあるものですから、ちょっと苦言を呈しましたが、その辺について大臣、ちょっとお伺いをいたします。
○政府委員(渡邊信君) 現在、小中高校の非常勤講師につきましては、教員免許がなくてもそれぞれの知識とか技能とかこういうものを生かして講師につけるという制度が既にありまして、現在でも五千人ぐらいの社会人の方がそうやって非常勤講師として小中高校で活躍しておられるというふうに聞いております。 今、先生まさにおっしゃいましたように、高齢者の方が今までの経験を生かして子供たちのこういった面での指導に当たるということは、高齢者の働きの場としては一つの場ではないかというふうに思います。
○鶴保庸介君 ぜひお考えをいただきたいと思います。 これまでは雇用情勢の悪化について見通しであるとか流動化であるとかということを聞きました。これからちょっと、残った時間が余りありませんけれども、多少最近気になった事項について関連しながら、労働省としてはどういうふうな取り組みをされているかというふうなことを単発的に個別的にお伺いしたいと思うんです。 実は今国会、サマータイム制の導入についての話が議論をされております。夏時間の導入に賛成か反対かというようなことで、いろいろと国民の世論もようやく賛成の側が大きくなったというようなことも言われておりました。 ただ、私この間、実はある人にこの話をしましたら、君たちは若いからこのサマータイムは導入しても大丈夫なんだよと。つまり、以前も、過去にこのサマータイム制を導入したときに廃止した経緯がある。そのときは、夏になると一時間ずれることが年をとってくるとどれだけきついかわかるかというようなことを言われまして、そんなものなのかなというふうに思ったわけであります。 これは労働という観点から見ても多少影響力のある話だろうと思います。労働省として、大臣、このサマータイム制の導入についてどのような立場でお考えでいらっしゃいますか。
○国務大臣(甘利明君) 実は、私は何を隠そう衆議院のサマータイム議連の発起人の一人でございまして、ただ、これは頼まれてなった経緯がございまして、衆議院の方の議連では会合を二回ぐらいやって、後は全然やりませんでした。 省エネの観点からぜひ進めるべきだというような話があって会をつくったと記憶しておるのでありますが、その後いろいろ議論をしましたときに、サマータイム制の導入は夏冬の間の昼夜間の差が大きければ大きいところほど効果的だという結論でありまして、日本の場合はヨーロッパ等と比較すると緯度の関係でそこまでのメリットはないんじゃないかというような意見があったのを記憶いたしております。 ただ、聞くところによりますと、参議院ではこの問題がさらに真剣に議論をされて法案が提出をされる準備段階であるというふうに伺っておりますので、国会の審議を通じて、効果が大であるということであるならば、それは国会の御意思として導入をされればというふうに思っております。
○鶴保庸介君 実は私もサマータイム議連の一員、メンバーでありまして、積極的にできれば進めたい側の個人的な思いがあるものですから、どんなものかなというふうに聞いたんですが、ぜひ応援をいただきたいなというふうに考えます。 ちょっと話は全然また変わります。今度はコンピューターの二〇〇〇年問題についての話であります。 二〇〇〇年問題は国家的取り組みが必要な本当に重要な問題であるというふうに位置づけられているにもかかわらず、日本は御存じのとおり不名誉にも格付でいえばABCのCランク、最悪ランクに位置づけられているというふうなことであります。 さまざま考えられる問題点はあろうと思います。労働の関係でいえば、コンピューターの誤作動によって、また例えばシステムダウンによって誤作動による事故なんかが生じた場合、労働災害はどうなるんだろうかとか、あるいはその適用について、その混乱について、そういう労働省内での取り組みはどうなっているんだろうかというようなことでありますけれども、国民への喚起という意味も含めて大きな視点からでも結構ですから、一言お願いをいたします。
○政府委員(坂本哲也君) コンピューター西暦二〇〇〇年問題についての労働省としての取り組みの全体について御説明をさせていただきたいと思います。 労働省といたしましても、政府で決定をいたしました「コンピュータ西暦二〇〇〇年問題に関する行動計画」に基づきましていろんな対応を行っているところでございます。労働省で保有しておりますシステムはいろいろございますけれども、そのうち国民生活あるいは企業の活動に大変かかわりの深い、例えば職業紹介ですとかあるいは労働保険、こういったものに関するシステムにつきまして、六本ほどございますけれども、既にもう対処をしておるところでございます。それ以外の、例えば統計関係などの四つのシステムにつきましてもことしの六月までにすべて対処する予定でございます。 そしてまた、万が一これらのシステムにトラブルが発生した場合を想定いたしまして、それぞれのシステムについての危機管理計画を現在策定中という状況になっております。
○政府委員(伊藤庄平君) 先生の御質問の中で労働者の安全の問題についてちょっとお触れになりましたので、その観点でお答えさせていただきます。 この二〇〇〇年問題に起因いたしまして、機械を動かすシステムあるいはそこに組み込まれているチップ等の異常によりまして労働災害に結びつくような誤作動なり機械の停止というようなことがあってはならないということで、私ども現在、そうした機器やシステムのメーカー団体あるいはユーザー団体にヒアリングを組織的に開始しているところでございます。問題のありやなしや、問題がある場合の対応状況等についてヒアリングを行っていますので、その結果をもとに、また関係業界に対して要請すること等があれば、その結果を踏まえて公表してまいりたいと思っております。 もちろん、こうしたことでもし労働者の方に何らかの影響、事故等があった場合に、それによるけが等は業務上、あるいは通勤途上であれば通勤途上によるものとして労災保険の対象にはなるわけでございますが、そうしたことがあってはならないわけで、まず十分事前の手を尽くしてまいりたいと思っております。
○鶴保庸介君 伊藤局長のお話の中で、私も本当に言いたかったことは、周知をしてほしいということなんです。先ほどヒアリングをされているというふうに話がありましたけれども、二〇〇〇年問題というのはその取り組みの内容もさることながら、金融機関の格付などに象徴されるように、その取り組みの有無そのもの、取り組みのやり方、態度そのものが国際的に評価をされ、その中で大きな影響があるということも二〇〇〇年問題のうちの一つなんです。ぜひ労働省として積極的に取り組みをしていただきたいというふうに思います。 残余の質問は本当にたくさんいろいろあったんですが、あと一分だけなので、一つだけお願いをいたします。 SOHOについてです。 最近はいろんな労働形態があります。スモールオフィス・ホームオフィスと言われるいわゆるSOHO、コンピューターのプログラムをするために家庭で、一つの家の中で、一室でずっと事務をやったりしていらっしゃる方などですけれども、まだまだこういった方々に対して労働者としての位置づけも、あるいはその保護の態様といったものは進んでいないというふうに聞いております。中には労働対価についての価値づけなんかも求めずに就業する者もあって、いろいろとこれからトラブルも起きてくるであろうし、現に起きているというふうに聞いております。 労働省としてはこの点をどういうふうに対応されておられるか、よろしくお願いいたします。
○政府委員(藤井龍子君) SOHOといいますか、私どもではワープロやパソコン等を利用して自宅で在宅就労を行っている方々ということでとらえてございますが、そういう方々が先生御指摘のとおり最近増加傾向にございまして、新しい働き方として注目を集めております。 特に、子育て中の女性の方々の希望が大変多くなっているところでございます。 ただ、口頭契約が多いということもございまして、契約条件についてトラブルが起きたり、あるいは工賃の不払い、遅払いといったようなトラブルが一部生じているというところでもございます。また、在宅就労者の方からは、仕事の確保が大変難しいとか、あるいは単価が低下する傾向が見えるといったような問題点も指摘されているところでございます。 そこで、私ども労働省といたしましては、平成九年度に実態調査を実施いたしまして、昨年七月からそれらの調査結果等を踏まえまして、実際に在宅就労の経験者の方、それから学識経験者の方々にお集まりいただきまして、在宅就労の特質といいますか問題等の分析、把握、さらには在宅就労者の方々の保護という観点も含めながら、どういった在宅就労対策を講じていくべきかということについて検討を進めていただいているところでございます。この研究会の検討結果を待ちまして、私ども必要な施策を早急に講じてまいりたいと思っておるところでございます。
○鶴保庸介君 有識者会議の中での検討結果というのがどういう形で出てくるのか、おおよそのアウトラインでもわかれば、また後日お話をお伺いしたいと思います。 ぜひこの点においても前向きに検討をお願いして、質問を終わります。
○山崎力君 参議院の会の山崎でございます。 私、労働関係の委員会に所属するのは初めてですし、今まで、かつてのいろいろな新進党その他の党内でも余りその辺のところに首を突っ込むことがなかったわけで、そういった意味で、初心者として大臣の所信表明に対して素直に読んだ感想から始めまして、私なりの問題意識を持ったところをお尋ねしてまいりたいと思います。 そういった意味で、非常に初歩的で苦笑されながらということも覚悟の上でございますが、その辺は御勘弁願いたいと思うわけでございます。 まず最初に、第一印象ですけれども、全体として問題意識、それから問題の解決の方向性というものはかなりよくできているなと思ったんですが、具体策あるいはその具体的な効果というものがこの所信表明の中ではなかなか見えてこない、不明瞭である。 どうなんだろう、どうしてなんだろうというふうに私なりに考えてみたところ、やっぱり従来の労働行政のあり方、位置づけというものが昨今の状況の中で変わってきているのにもかかわらず、そこのところをどこまでどうやったらいいかというのが労働省自体余りはっきりしていないんじゃないか、模索中なんじゃないかなというところに原因があるのではないか。特に、他省庁との関係をどういうふうにやっていくんだと。労働行政だけでこの問題を解決できないということをにおわせながらも、それ言っちゃうとなかなか役所としての立場もあれなんで、ただ課題だけぽんと置いてあるというような意味合いを私は感じ取ったわけでございます。 そういった意味で、逆に言いますと、こういう大きな変化の中で労働行政が国民の理解を得るためには言葉遣い一つも重要だと思うんですが、その辺の言葉遣いのところから私なりに幾つか質問をまずさせていただきたいと思うわけです。 というのは、いただきました所信表明の書類の二ページにあるんですが、真ん中の下の方で「雇用の創出・安定という堅固な礎」、こういう表現になっています。「雇用の創出」はともかくとしまして、「安定」という言葉からは今言われている労働流動性、これをどうするんだということに対して、労働省としては従来方式の一生涯一企業というか、そういった形の方にやはり国民のニーズ、要望というものがあるんだ、その方向で労働省としてはやるんだというふうにしか読めない表現なんですけれども、その辺いかがでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 確かに百万人は、雇用の創出が三十七万、安定が六十四万となっております。そして、その安定というのは、ほっておけば外部労働市場に出てしまう労働者を企業が支えることによって失業にしないという効果、これは雇用の創出、生み出す効果に準ずる準創出効果であるという思いでそういうふうに書いたわけであります。 ただ、先生御指摘のとおり、今後は新産業がどんどん育っていってそこに適切な労働力が供給をされないとその業が育っていかない、そうしないと旧態依然とした産業が日本の二十一世紀を支えていけるかということになればこれは甚だ疑問であると。おっしゃるとおりであります。 そこで、安定効果はすなわち流動性を否定したということではないということはぜひ御理解をいただきたいと思います。 私は、今後の労働行政というのは新しく次代を担っていく産業にもう時代を担い終えた産業からちゃんと労働力がスムーズに失業という形態を極力経ないで移行していく、しかもその間に職業訓練という過程があって、職業能力がバージョンアップされた人がちゃんとそこに移動するという体制をしっかりとることだというふうにはよく承知をいたしております。 ただ、雇用不安を起こさない、つまり失業率を必要以上に拡大しないという意味で、この安定効果をねらったというつもりでございます。
○山崎力君 今はしなくも大臣の口から出たんですが、後から言おうと思ったんですが、出たついでにと言ってはあれですが、どうも私はパソコンが苦手でございまして、そういった人間からしますと、六ページの「アクセスできるネットワークを整備する」とか、十ページにある「バージョンアップ」という言葉、これ日本語として定着しているとは思えないんです、パソコンをやっている人たちはそうなんでしょうけれども。それで、十ページにある「アビリティガーデン等」、こうなっているんです。 こういう言葉遣いすること自体が、労働行政に知悉したといいますか、よく知っている人間はそれはそれでわかる、ある程度の概念が決まっているわけでしょう。そうじゃない人たちから見ると、これは何なんだろうと。 まさに私が最初に言ったように、今までのように労働関係者だけがこの問題をやって、いかに労働者の権利を守るとか、あるいはそういった人たちのためにどういう制度をつくるかといういわば仲間内だけの状態から、今のこの時代というのは労働省、国民全体のこういう大不況の中で、それからもう一つ言えば企業形態あるいは産業形態の大変針をするときに、変針というのは針を変えるという意味で、その時代にこういう言葉遣いを使っていいとするという。私は、非常に狭いところから、細かいところからおこがましいんですけれども、その辺のところから考えていただかないと、本当に国民に浸透した労働行政はできないんじゃないかなと思っているんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 私もパソコン余り得意じゃありませんで、語学にもそんな強くないんですが、そういうやつに限ってこういうものを使いたがるとよく言われるのでありますが、私が大臣に就任をしてまずこういう言葉を覚えるのが最初の仕事でございました。 アビリティガーデンというのは正式名称で言いますと生涯職業能力開発促進センター、何か余計わからなくなっちゃうような感じがしますし、生涯というものをとったもう一つのセンターがございまして、職業能力開発促進センターというのはいわゆる職業訓練、ポリテクセンターと言われているところであります。日本語だけ並べて書いても、どこがどう違うんだか正直私わかりませんでして、それでむしろ全く違う言葉で逆に理解しやすくなったようなところがございます。 バージョンアップにつきましては、これは私の前にもう使われていたのか私が使い始めたのかよくわかりませんが、これはパソコンのソフトの能力アップといいますか、そういうものをイメージして、今の世代には感覚的にわかりやすいんじゃないかと思ってよく使っているのでありますが、確かに一言で意味が理解できるような日本語があればその方がいいのかとも思いますけれども、日本語に直した方が余計わからなくなっちゃうような部分もありますので、約束事の言葉として定着しているものはそれで耳にきっちり入ってくるんではないかなというふうに思いますが、確かにちょっと片仮名が多過ぎるかなという思いもしないわけではございません。
○山崎力君 その辺でいけば、例えば雇用活性化総合プラン、これをプランと、なぜ片仮名にして計画にしなかったんだとか、カウンセリングというのは相談窓口の充実でいいじゃないかとか、ミスマッチは不適合。あるいは、アクセスするネットワークというのはこれは大分よくなっていますけれども、アクティブエージングなんという言葉を普通の人に聞かせて、労働行政、これがわからなかったら全然話になりませんよという態度が僕は一番問題じゃないかなと思うわけです。 言葉のところはあれなんですが、一番そこのところで私自身ひっかかっているのはセーフティーネットという言葉なんです。これは、もともとのセーフティーネットとは違った意味合いで、労働省としての労働行政の中の言葉で使われているんだろうということはよく想像はつくわけです。ところがこの場合、失業中のセーフティーネットというのは何だと言ったら、素人で言えば、要するに失業保険の充実、それから次の雇用機会への拡大ということなんだろうというふうには思うんですが、それ以外何か初心者向けに意味するところがあれば教えていただきたい。
○国務大臣(甘利明君) セーフティーネットは、私の解釈するところ綱渡りの綱から落っこちたときに下に敷いてある網でありますけれども、これはいろんな意味で使われると思います。安全措置といいますか防御措置といいますか、これは厚生行政でも使われていますし、労働行政でも、そして最近では産業政策上も競争政策におけるセーフティーネットとは何ぞやと。これは再チャレンジを容易にするシステム、つまり一回失敗したらもう市場からはじき出されるんじゃなくて何度も挑戦できるシステムというのは競争政策上のセーフティーネットであるというような表現も使われておりまして、つまり一度踏み外してしまってもちゃんとカバーしてくれる仕組みというふうに考えております。
○山崎力君 一応その程度のことは私の頭でも想定がつくわけですが、その辺のところをこういうふうな形で「万全を期すとともに」と、こうなっているわけです。非常に広いあいまいもことした概念で「万全を期すとともに」と、こうなっていて、「とともに、就職支援策を一層強化する」と。そうすると、就職支援策というのはセーフティーネットの確保には含まれないんだな、こういうふうな文章になるわけですね。そうすると、さっきの理解が違ってくるのかな、こういうふうに思わざるを得ないわけです。 そういった言葉遣いの問題だけ取り上げていくのもなんですから申し上げますが、例えば今度のセーフティーネットの問題は、ある意味においては、最後の段階に行けば、厚生省のいわゆる生活保護、そこのところとの境目はどうするつもりなんですかという問題がございますね、失業保険との絡みでいけば。切れた後どういうふうにつなげるのか、つながらないのか。それは、労働省がそこまで踏み込んでやるんですか、やらないんですかという、そこまでこの問題は行くと思います。 それで、もう一つ行きますと、新規学卒者の就職問題。この問題でいくと、「学校等との連携を図り」となっている。就職について図るというところからいけば、我が国の状態から見て、今まで明らかに違ってきているわけです。今までのホワイトカラー、ブルーカラーにしろ何にしろ、そのまま使えるというのはごくごくわずかな職種でございまして、それこそ町工場から始まって大企業まで、本来の意味での適当な人たちを集めてきて、そこで再教育をして職業人としての技術と自覚を持たせるという制度があったんですが、それは欧米とちょっと違うところだと。前に同僚議員からもありました。 そういった中でこの問題を考えたときに、いわゆる職業教育をどうするんですかというときに、新卒者の場合に関してみれば、文部省と相当程度協議しなければ出てこない問題だと。ところが、そこら辺についての話がどうなんだろうとなったときに見えてこない。私が最初言ったときの具体的な話になってくると不明瞭な部分が出てくるということになるんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 職業教育、学生の職業教育というのか職業意識の高揚といいますのは、学卒者が就職をしてその方々が三年以内に離職をしてしまう比率というのが三分の一近くあるんです。それは、いろいろ言う人がおられます。こらえ性がなくなったとか飽きっぽいとか、いろんな話がありますが、結局、要するに自分の適性と合わない仕事だと思う人なんだと思います。そうしますと、学生の時代から職業についての認識を深めておく。また怒られますけれども、そういう意味でも、ミスマッチといいますか、自分が考えていることと現場との整合性をちゃんと合わせていく。そして、職業というのは、アルバイトと違って、もうちょっと気合いを入れて取り組んでいくものなんだという意識をやっぱり学生に持ってもらわなくちゃならない。 そういう意味で、インターンシップ制度というのは、学生でありながら実体験ができる、しかもそれで単位が取れるということでありますから、もちろん文部省と通産省と労働省と連携をとって、アルバイト感覚で入りました、気に入らないからはいやめたということにならないように、働くということは自己実現をする手段ですから、だからそういう面で真剣に取り組んでいけるように、自分の思いと現場の仕事とがすれ違わないように、学生時代からその意識高揚をし、機会を持っていくということだというふうに思います。
○山崎力君 ですから、そうなってきた場合、文教の方からいけば、かつてであれば、地方の中核のところの大きな商店の跡取り息子が商業学校へ行ってそこから大学へ行かないで就職する人もいたし、町工場の息子さんは工業学校へ行って、技術が、ある程度設計図が引けて、旋盤くらいもちょっと引けて、それで手伝う。これが当たり前の時期があったんですよ。ところが、もうそういった学校間の格差が、そういう実業学校、そういった学校では、要するに落ちこぼれが行くんだと。もちろん例外がたくさんありますけれども。そういうふうなところに普通高校へシフトしてきて、それでそういった人たちが大学へ大勢入ってくる。こういう時代背景のもとで、今おっしゃられたことを言っても、その話はもう十年も前から決まった問題ですよ。今さらそういうふうなことをおっしゃったところで何か新しいような政策に見えますかと言ったら、見えないというふうに私は思うわけです。 そこのところで踏み込むのであれば、まさにその辺を文部省としてどう考えるんだというところを労働省としてけんけんがくがくやって、その結果をこういうふうな形の所信の中に、話し合いの結果こういう方向性が見えていますからこういうふうな形で我が省としてはやりたいと思いますという言葉を私は聞きたいということなんですが、その辺の感覚というのはいかがなものでしょうか、大臣。
○国務大臣(甘利明君) インターンシップ制度というのはもう既に私が就任する前から取り組んでいる問題でありますし、職業意識というのは、職業高校、技術高校から普通高校へ、あるいは大学へという学生のシフトによるもの、つまりそういう経過を通じて職業意識がなくなったということではなくて、もともと普通高校あるいは大学に進む人たちの中にどうやって就職するということについて、こんなはずじゃなかったという思いを持たせないように認識をさせていくかということが大事だというふうに思っております。 このインターンシップ制をスタートさせるに当たりましては、当然労働省と文部省あるいは通産省とある程度の打ち合わせはした後に大学関係者と協議をしてこういう制度を仕組んだわけでありますし、しかも単位として取得することができるということは大学側もかなり踏み込んで協議をしているというふうに思っております。
○山崎力君 今のは新卒者のことでしたが、もう一つのあれでいけば、十ページにある先ほどのバージョンアップの話になるんですが、この前提として、時代のニーズ、要請の変化に合わせてとなっておるんですが、その時代の要請の変化を、どういう将来になるんだということを予測するというのは、産業の中でも、非常に関係者の中でも難しい部門ですね。次の世代の産業は何だ、今の要請は何だと、それを労働省がやるのかそれとも通産省がやるのか、その辺協議だろうと思うんですけれども、だから先ほども言いましたように、これはいいんですよ、バージョンアップかどうかわかりません、これは。 例えば、先ほどの雇用創出がつくり出されるというような形のときに、住宅及びその関連分野というのはこれは旧来の問題でいいわけですが、保健・福祉分野十万人、情報通信分野十八万人と、こうなっているわけですが、保健・福祉の場合の一番今現場サイドで問題になっているのは、介護をやれる人たちがどれだけいるか、その教育をどういうふうにしたらいいか、それからもう一つ言えば、都会部はいいけれども田舎に行ったらどうするのと、こういうのが問題になっているわけです。まさに創出された労働者をどういうふうに確保するかというところが現場サイドでは問題になっているわけですね。資格を緩めるのか、資格制度にするのかと。 その辺のところは厚生省がこれから地元等と考えてある程度のラインがおいおいできてくると思うんですが、その辺のことに対して、労働省として、労働行政としてはどこまで入るんですか。どこまでサービス提供を一般の労働者にするんですか。端的な表現をすれば、その介護に関する人たちの教育の内容まで入り込むんですかということなんですが、そういった点での他省庁とのかかわりと、労働省がどこまで自分たちのテリトリーとして、役割分担としてやるんだということが私はむしろこれからの具体的施策としては重要だと思うんですが、その辺がどうも所信の中では見えてこなかったということなんですけれども、大臣、お考えいかがでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) この分野に関しましては、厚生省と労働省、いずれ一緒になる役所でありますが、それに向けて協議項目というのを持っております。労働省は何を担当するのか、厚生省はどう対処するのか、両省で今協議をしております。 介護の分野におきましては、私どもは職業能力開発を担当しておりますから、言ってみれば職業訓練の講座というものがありますが、カリキュラムがありますが、そこに介護人材を育てるというそのカリキュラムを入れていく等々の受け持ち分担をさせていただいているところでございます。
○山崎力君 その辺のところで、また別の方でいけば、今度は情報通信のところの専門家というか、そこに従事する人を教育すると。一番問題なのは、そういった人たち、要望がある人たちに対して教育する立場の教師、その人たちの人材をどう養成してどう確保するかということがそういった意味でのバージョンアップのためには必要なわけだと思うんですが、その辺の施策が労働省の担当なのかそうでないのかも見えてこないというところがあろうかと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○国務大臣(甘利明君) 職業訓練施設の教師を育てる学校というのが訓練大学校、もとの私の選挙区の相模原というところにあります。ここでは、先生を養成する学校でありますから、そこで近未来に必要とされる人材を養成する中身のカリキュラム、これを適宜見直して、教える先生の養成も、旧来型のカリキュラムを教える人だけではなくて、新しい要望に添った授業をできる人を養成しているというところでございます。 もちろん将来成長が見込まれる十五分野というのがあります。情報通信とか介護とか環境とか新製造技術だとかいろいろ可能性が大きい分野についてそれを職業訓練にどう生かしていくか。これは全部公共がやってしまうということではなくて、情報関連について言えば民間でも十分能力がありますから、最低限公として果たすべき使命の役割は担っていく、そこに新しい要望にこたえられるような教育内容にしていくということは常時見直しているところでございます。
○山崎力君 そういった点での具体策が、先ほども言いましたように問題意識と方向性は間違っていないと思うんです。だから、それをどう切り分けて具体的に時代の変化の中で適合させていくか、労働者をそれなりに適合させていくかという具体的なところになると、これは質的な面と量的な面があろうと思うんですが、その辺が見えてこないから、ある意味では一般の人たちは不安でたまらないんだと。要するにセーフティーネットは、皆さん方の立場で言えばセーフティーネットを張っているかもしれないけれども、その張っていることは確かだけれども、その網の目が非常に細かいのかもしれないけれども、細かいことは見えない、落っこちたらそのまますとんと地面まで落ちちゃうかもしれない、そういう不安感を私は一般の労働者が現時点で持っているということが一番の問題じゃないかなと。今のお話でもそういうふうな感じをぬぐえないということを御理解願いたいと思います。 もう一つ、非常に大きな問題で最後に大臣のお考えを伺いたいんですが、いわゆる全世界的な中で、ILOの問題もあるしWTOの問題もありますけれども、いわゆる国際社会の競争をどうしたらいいのかという問題があろうかと思うんです。各国間のいろんな事情の中での条件、賃金もあれば勤務時間もあれば政府の助成措置もあれば、そういった中でつくる品物の価格が当然違ってくるわけですが、そこのところで競争していくよと、それをダンピングだという問題もあれば、非常に劣悪な労働条件の中でこれができているんだから問題だとか、そういったこともたまにといいますか漏れ聞くわけでございますけれども、そういった中での世界の労働条件と通商貿易の関係について、どのような流れに今なっているのか、あるいは日本国労働省としてどのようにその辺のところを意識なさっているのかということをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(甘利明君) アメリカやEUやフランスは、労働条件が先進国よりも悪い国でつくった製品はダンピング輸出であるという認識を持っているんだと思います。 しかし、国が発展する歴史的過程を振り返ってみれば、労働集約型といいますか、賃金が安いことをもって生産能力に反映をさせるという経緯は当然どこの国もとってきたわけであります。そして、生産性が向上していないのに無理やりに力で賃金を引き上げてしまったらこれは道理にかなわない。生産性が上がってくる過程で労働賃金というのは当然上がってくるわけでありますし、その間の努力を通じて国というのは発展をしていくわけでありますから、一つの国が発展してきた歴史を振り返ってみて、自分はもうここに到達しているからよその国もこうあるべきだという議論は正論ではないと思うのであります。労働賃金が安いがための、安いことがその国の輸出力になっている部分も、どこの国も経験はしてきているのでありますから、それを貿易制裁措置として処理をするというのは正義ではないと思います。 そこで、その国が労働条件を上げようとしていることを金融面あるいは人的な支援でどう応援をしてあげるか。そのことによって自立的に条件を改善させていく。その努力を誘導するような措置が我々がとるべき道だというふうに考えておるわけでございまして、そういう考え方のもとに先般のG8労働大臣会合に臨んだ次第でございます。
○山崎力君 終わります。
○委員長(吉岡吉典君) 本件に対する質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時二分散会