本会議 第26号
- 発言数
- 8 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1999/06/07
会議録
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。 日程第一 軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定の締結について承認を求めるの件(趣旨説明) 本件について提出者の趣旨説明を求めます。高村外務大臣。 〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(高村正彦君) 軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー開発機構との間の協定につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 政府は、我が国が直面する安全保障上の重大な懸念である北朝鮮の核兵器開発問題に対応するため、朝鮮半島エネルギー開発機構、KEDOの軽水炉プロジェクトを推進するとの観点から、我が国からKEDOへの同プロジェクトの実施のために必要な資金供与の枠組みを確立するための協定の締結につき、平成十年十二月以降、協議、交渉を行いました結果、平成十一年五月三日にニューヨークにおいて、我が方大塚在ニューヨーク総領事と先方アンダーソン事務局長との間でこの協定に署名を行った次第でございます。 この協定は、KEDOの軽水炉プロジェクトの実施のため、千百六十五億円までの円貨による貸し付けが日本輸出入銀行または同銀行を承継する国際協力銀行からKEDOに対して行われることとなること、我が国政府がKEDOに対しKEDOが支払う利子の総額に相当する額の贈与を行うこと等を定めております。 この協定の締結により、早期に軽水炉プロジェクトの本格工事が開始され、KEDOの枠組みへの信頼性を高めるとともに、我が国の安全保障及び北東アジア地域の平和と安定に資することが期待されます。 右を御勘案の上、この協定の締結について御承認を得られますよう、格別の御配慮を得たい次第でございます。(拍手) ─────────────
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。発言を許します。本田良一君。 〔本田良一君登壇、拍手〕
○本田良一君 私は、民主党・新緑風会を代表して、軽水炉プロジェクトの実施のための資金供与に関する日本国政府と朝鮮半島エネルギー機構との間の協定について、小渕総理並びに関係大臣に質問をいたします。 私は、この協定の成立経過については、既に議員各位におかれましては御承知のことでございますので、省略をいたします。 この協定締結の意義について、機構は、我が国が直面する安全保障上の重大な懸念である北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国の核兵器開発問題に対応するための最も現実的かつ効果的な枠組みである、本協定の締結によって、我が国からの機構への資金供与の枠組みが確立をされることにより、合意された枠組みの中心となっている軽水炉プロジェクトが推進され、我が国の安全保障及び北東アジア地域の平和と安定に資することが期待されるとしております。 そして、金額にして総経費見積額四十六億ドルのうち十億ドル、千百六十五億円を我が国が国会の手続を経た上で負担することが決定され、これを受けて政府は、早期の資金供与を実現するようKEDOとの間で本協定の交渉を行い、平成十一年四月に実質的に合意し、五月三日にこれに署名したのであります。 一方、ここで日朝関係の現状を概略申し上げますと、昨年八月末の北朝鮮によるミサイル発射を踏まえ、政府は日朝国交正常化交渉の再開や食糧などの支援を当面見合わせることとし、現在もその方針を維持しているところであります。 本年一月十九日、小渕総理及び高村外務大臣は国会演説の中で、北朝鮮がミサイル発射や秘密核施設疑惑をめぐる国際的な疑念の解消並びに日本人拉致問題を初めとする日朝間の懸案事項の解決に建設的な対応を示したのであれば、我が国として対話と交流を通じ関係改善を図る用意がある旨の呼びかけを行ってきました。にもかかわらず、これまでのところ、北朝鮮の反応は我が国が前提条件を付しているとして非難している状況であります。 三月十六日に秘密核施設疑惑に関する米朝協議が妥結したことは、日朝関係にとっても一つの好ましい材料であり、歓迎すべきものであります。この合意に基づき、十八日より米国技術専門家チームが北朝鮮を訪問しております。 他方、先般、北朝鮮当局が工作船事件を引き起こしたことは、日朝関係に水を差すものと言わざるを得ないものであります。政府は、数々の情報などを総合的に勘案した結果、本件船舶が北朝鮮当局の工作船であり、北朝鮮北部の港湾に到達をしたものと判断し、北朝鮮に対し抗議を行っております。 また、近々の現状をつけ加えますと、五月二十九日、ウィリアム・ペリー米国北朝鮮政策調整官はソウルでの日韓両政府高官協議終了後に記者会見をし、北朝鮮高官に対して日米韓三国の懸念をはっきりと伝えたことを明らかにしました。さらにペリー氏は、包括的アプローチを持ち出す対北朝鮮政策見直し報告について数週間以内にクリントン大統領に行うと発表しました。これをとらえて日本の一新聞はこれを評価し、「「北」はペリー訪朝を転機にせよ」との見出しで、北朝鮮指導部に対しても、よい雰囲気で終わったペリー訪朝を日米韓に対する敵視政策から足を洗う転機とすることを可能とするよう社説で述べております。 我が国は、国際社会の中で自由と正義を誇り高く掲げ、この中で生き、存在価値を示し、またこれをリードするための一翼を担う先進国として、さらに我が国そのものの安全保障上の重大な懸念を払拭するため、時間をかけ忍耐強く北に当たるという国家判断がこれまでも、またこれからも続くものと思います。 そこで、小渕総理に質問をいたします。 北朝鮮という国はいかなる国家か、また、隣国日本に対してどういう国家か、そして今後いかなる対応が必要な国か。 次に、日米交渉の中でクリントン大統領とKEDOについて話を持たれておりますが、いかなる内容でありましたか。 KEDOに対する資金対応のみが北朝鮮の核施設建設、ミサイル発射などの中止を求める外交政策でしょうか。そしてこれは担保されているのか。 これまでの北朝鮮政策については、政府としては十分であったと思うか、十分でなければどういうところが不十分であったのか、外交政策のなさ、弱腰という批判があるが、これに対して小渕総理に伺います。 次に、高村外務大臣にお伺いいたします。 まず、ケルン・サミットで議論になると予想されます重債務貧困国に対する債務救済では、まず、日本政府が基本方針を示した上で、日本はいかなる額の債務を帳消しにするのか、金額と主な国を、そしてその動向について、さらにこれからも理念なき金銭による援助を続けるのか、見直しの考えはあるのか、またKEDOに対する元本返済の見通しについてお答えください。 また、北朝鮮がアジア地域の中で債務救済イニシアチブの対象国に入っていないのはなぜでしょうか。 次に、KEDOに資金供与すれば北朝鮮は核開発疑惑、ミサイル発射及び他の平和を脅かす誘発行為を中止する証明は何によって国際間で日本国民に示し得るのか。 軽水炉完成後に軍事目的転用が懸念されるが、これをどう払拭するのか。 今回成立したばかりのガイドライン法は、今後北朝鮮が、KEDOが支援をしたにもかかわらず、核開発、ミサイル発射などの挑発行為などを行った場合、いかなる効果を発揮するのか。また、この行使はあり得ると思うか。 さらに、アメリカの外交ルートのみに頼っているが、日本独自で民間人などの外交ルートの開設をあらゆる英知を発揮して行うべきと思いますが、いかがでしょうか。 これまでの食糧支援の効果について、また、これを再開する考えはあるのか。この食糧支援はどのような理念を持って行ってきたのか。また、これからの理念についてはどのようにお考えか。外交政策の立案に重要なのは、目的と手段を明確にすることであります。食糧援助を仮に行うとして、いつまでも人道支援一本やりということで果たしてよいのでしょうか。我が国の対北朝鮮食糧援助の理念を明らかにしていただきたい。 野田国家公安委員長には、挑発行為や拉致事件などを日本国内で引き起こさせないための警察の海岸線対策についてお伺いいたします。 以上、るる申し上げましたが、我々政治家も国民も次の事実は否定できません。すなわち、我々の隣国に北朝鮮という国家が存在をしているということであります。この隣国と今後いかにつき合っていくのか、いかに平和で安定的な関係を構築していくのかが二十一世紀の日本外交の最重要課題の一つであります。 繰り返しますが、これは我々自身の問題であり、他国との協調は必要でありますが、他国に任せっきりの問題であっては断じてなりません。国民は日本政府の主体的外交を期待いたします。 このような国家に対する今回の資金供与をするとき、確固とした平和理念を持って、いつの日にか北朝鮮が文字どおり隣国の友人として交流のできる国家になることを願うものであります。 そして、一方、これを決断するに、我が国が自由と正義を国家理念として、常に揺るぎない自由国家体制を恒久的に発展維持させ得る国であることの信念を国民が自覚し、決断するものでなければなりません。 以上、申し上げ、質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 本田良一議員にお答え申し上げます。 まず、北朝鮮についてお尋ねがありました。 北朝鮮事情には大変不透明な部分が多く、正直確たることは不明でありますが、金正日総書記が国政全般を掌握し、軍重視かつ自由経済化を排した政策をとっているものと見ております。我が国といたしましては、不安感をぬぐえない面もあります。政府といたしましては、緊張緩和のための対話と不測の事態を防ぐための抑止をバランスよくとりつつ対応する考えであります。 私の訪米の際のKEDOに関するやりとりについてのお尋ねでありましたが、私からは、北朝鮮との諸問題について国内に厳しい世論はありますが、KEDOは北朝鮮の核開発を封ずる最も現実的かつ効果的な枠組みであり、我が国の安全保障にとって重要であるので、今般のKEDOとの協定に署名した旨述べました。クリントン大統領よりは、KEDOへの日本の継続的な支持を多とする旨の発言がありました。 北朝鮮の核及びミサイル問題に対する政策についてのお尋ねですが、核開発問題は、米朝間の合意された枠組みを踏まえ、KEDOを通じ対処するのが最も現実的かつ効果的であると認識をいたしております。 他方、ミサイル問題はKEDOと直接の関連はありませんが、政府としては、米韓等と緊密に連携しつつ、北朝鮮にミサイル活動全般を中止するようさまざまな機会をとらえ粘り強く働きかけていく考えであります。 対北朝鮮政策に関するお尋ねでありましたが、政府は、対話と抑止の双方をバランスよくとることにより対応するとの基本方針のもと、対話を進めるとともに、安全保障の備えを確固たるものとするべく努力してきており、政策がないとか弱腰とかという御批判は当たらないと考えております。 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手) 〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕
○国務大臣(高村正彦君) 重債務貧困国に対する債務救済についてのお尋ねでありますが、我が国は、先般、既存の債務救済措置の内容を改善、拡充するとの提案を行いました。債務救済措置の具体的な対象国及び金額については決まっておらず、政府といたしましては、我が国提案に基づき、ケルン・サミットに向けて引き続き各国と協議していく考えでございます。 我が国は、自助努力支援を旨とする我が国の援助理念に照らし、安易な債務の一律削減はかえって途上国の開発問題の解決に資さないとの基本的立場を堅持しつつ、自助努力を行う最貧国に対しては、真に必要な範囲において債務救済を行っていく考えでございます。 KEDOに対する元本返済についてのお尋ねでありますが、日本輸出入銀行がKEDOに対して行う貸し付けは、原則として北朝鮮からKEDOへの軽水炉建設費用の返済を原資として償還されることになります。 北朝鮮は、KEDOとの国際約束において、KEDOに対し費用の返済を法的に約束しております。また、我が国とKEDOとの資金拠出協定においては、KEDOは輸銀への返済を確実にする旨我が国政府に対して約束しております。これらの点にかんがみ、輸銀のKEDOへの債権は償還されるものと考えております。 北朝鮮が債務救済イニシアチブの対象国に入っていない理由についてのお尋ねでありますが、現在行われております債務救済イニシアチブは、世銀、IMFの加盟国のうち一定の条件を満たす国を対象としており、北朝鮮は世銀、IMFの加盟国でないため、債務救済イニシアチブの対象となっていないと承知をしております。 北朝鮮の核開発、ミサイル発射等についてのお尋ねでありますが、北朝鮮の核兵器開発問題については、我が国がKEDOに資金を供与することによりその軽水炉プロジェクトが進展すれば、北朝鮮はIAEAとの保障措置協定を完全に履行する義務を負っており、これにより北朝鮮の核疑惑が解明されることが期待されます。 また、ミサイル問題については、KEDOとは直接関係ありませんが、今後とも米韓等と緊密に連携しつつ、北朝鮮に対し、ミサイル活動全般を中止するようさまざまな機会をとらえて粘り強く働きかけていくこととしており、北朝鮮が前向きな対応をすることを強く期待しております。 軽水炉完成後の軍事目的転用の問題についてのお尋ねでありますが、北朝鮮は、KEDOとの国際約束において、軽水炉、関連技術及び核物質を専ら平和的かつ非爆発的目的のために使用することを法的に約束しております。また、KEDOより供与される軽水炉はIAEAの査察を受けることになるので、不拡散上の懸念も手当てされます。 周辺事態安全確保法についてのお尋ねでありますが、先般成立した同法は、日米安全保障条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和と安全に寄与することを目的としており、我が国に対する武力攻撃の発生等を抑止することに資するものでございます。 他方、この法は特定の国や地域における事態を念頭に置いたものではありません。ある事態が周辺事態に該当するか否か、周辺事態に際していかなる措置を実施するかについては、日米両国政府がおのおの国益確保の見地から、その時点の状況を総合的に見た上で主体的に判断することとなります。したがって、御指摘のような仮定の事態に関する御質問につき、確定的にお答えすることはできません。 外交ルートに関するお尋ねでありますが、我が国は北朝鮮との間で外交関係を有しておらず、また、日朝国交正常化交渉は中断した状況にあります。さらに、昨年の北朝鮮によるミサイル発射を踏まえ、国交正常化交渉の開催を当面見合わせております。 このような中で、我が国政府は、北朝鮮が諸問題に建設的な対応を示すのであれば、対話を通じ関係改善を図る用意があることを明らかにしてまいりました。また、種々の機会をとらえて北朝鮮との間で非公式な接触を行っております。 他方、日朝当局間において十分な形で対話がなされていないことは否めません。こうした中、我が国の国会議員や民間の方々が多様な形で北朝鮮との対話や交流を進めることは基本的に好ましいことだと考えております。 対北朝鮮食糧支援についてのお尋ねでありますが、我が国は、北朝鮮に対する経済協力は国交正常化交渉の妥結が前提となるとの方針ですが、以前に緊急及び人道上の観点から例外的に北朝鮮に対する食糧支援を行っており、食糧不足に苦しむ人々を救済する上で一定の効果があったと考えております。他方、政府は、昨年八月の北朝鮮によるミサイル発射を踏まえて、当面、食糧支援を見合わせることとしております。 北朝鮮に対しては、諸問題につき建設的な対応を示すのであれば、対話を通じて関係改善を図る用意がある旨呼びかけておりますが、現時点においては北朝鮮側より十分前向きな反応は示されておらず、食糧支援を再開するといった状況にはないわけでございます。(拍手) 〔国務大臣野田毅君登壇、拍手〕
○国務大臣(野田毅君) 拉致事件などに対する沿岸対策についてのお尋ねでございます。 我が国におきましては、北朝鮮による日本人拉致の疑いのある事件を初めとする対日有害活動が発生をいたしておるところであります。こうした北朝鮮による活動は、我が国の国益を害し、国民の生命・身体にも危険を及ぼす治安上重大な問題であると認識をしております。 警察といたしましては、こうした事案の防止及び発見、検挙のため、関係機関との連携を図るとともに、沿岸住民の方々の御協力を得ながら、我が国沿岸における警戒警備を徹底するなど、今後とも各種対策の推進に努めてまいることといたしております。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十五分散会 ─────・─────