法務委員会 第20号
- 発言数
- 179 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1999/07/13
会議録
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る六日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として海野徹君が選任されました。 また、去る七日、日出英輔君が委員を辞任され、その補欠として有馬朗人君が選任されました。 また、昨十二日、有馬朗人君が委員を辞任され、その補欠として佐々木知子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(荒木清寛君) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案、犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案及び刑事訴訟法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○世耕弘成君 自由民主党の世耕弘成でございます。 実は私は、日本電信電話株式会社、NTTに約十三年間勤務をしておりまして、去年の秋、参議院議員となっております。きょうここにいらっしゃるメンバーを見渡しますと、恐らく今話題となっています通信傍受に関する電話の交換機ですとかあるいは試験装置といったものにさわったことのある唯一の人間ではないかというふうに考えております。私自身、NTTの業務の中で試験業務ということで通話を聞くというような経験もしております。当然、通信の秘密を守るのが義務でございますからその中身を漏らすことはできませんけれども、そういう意味で通信の秘密は基本的に守られなければいけないということを長年先輩から体にたたき込まれて十三年間を過ごしてきた人間でございます。 また、国会議員としては恐らくこれもまた唯一になると思いますけれども、議員会館の事務所の中に自分のインターネットサーバー、人のところのサーバーに置かせてもらっている方は議員の中にもたくさんいらっしゃると思いますけれども、私は自分、世耕弘成のサーバーを自分の事務所に設置して、ルーターも自分のところに設置して、さらに専用の回線を引いて、スケジュールから後援会の名簿まですべてオンライン管理をして、またテレビ電話で地元の市町村長とも連絡を取り合う、そういう形で情報通信のヘビーユーザーの一人でもあります。 きょうは、その二つの立場から質問をさせていただきたいというふうに考えております。 ここまで過去約三周分になるんですか、各党の同僚議員の質疑を聞かせていただきました。いろいろ勉強になる部分が非常に多かったと思います。特に、薬物犯罪が深刻化してきていて、国家の存亡にもかかわりかねない状況になりつつあること、そしてまた、そういった密売組織を摘発するために最後の最後の手段としてどうしても通信傍受を行わざるを得ないということ、これは私は今回の質疑を通してよく理解ができたと思っております。 特に、傍受の対象を国民の生命や財産にかかわるような組織的でかつ凶悪な四つの犯罪に限定をして、厳しい要件をつけて捜査の最後の手段として通信傍受を行うということは、憲法が通信の秘密を保障しているとしても公共の福祉の観点から十分認められる行為であると、通信事業に十三年間携わってきた立場の人間として見解を申し上げさせていただきたいと思います。 しかし今、国会やあるいは世の中の議論の中で大変残念なことは、やはり議論が相当混乱しているんじゃないかということであります。これは、やはり技術的に難しいというところもあるでしょうし、また一部マスコミ報道や町で配られているビラなんかを見てみますと、あたかも普通に生活をしている一般市民の通話が捜査当局の思いつきで恣意的に傍受される、そういうような表現が行われていて国民の中にもそれを信じてしまっている人がたくさんいる、これはまともな議論をしていくに当たって大変残念なことであるというふうに思っております。 私は、国民の皆さんに対してまず明確にしておく必要があるのは、通信傍受法が認める通信傍受というのはあくまでも凶悪犯罪の犯人が行う犯罪通信を傍受することであって、一般の市民の日常の通話が傍受されることはあり得ないということをまず明確にしておきたいと思います。 そしてまた、今回の通信傍受法は、これもちょっと誤解されているんですけれども、別に捜査機関に対して新たに通信傍受という権限を与えるものではないんです。傍受法がない現行の法制下でも通信傍受は可能であって、現に行われてきている。共産党の緒方議員宅の残念なケースはちょっと横に置いておきますけれども、それを除いたとしても合法的な傍受というのは現に行われてきているんです。今回の通信傍受法というのは、今まで若干あいまいなファジーな形で行われてきた通信傍受について、逆に厳格な縛りをかけるものであるという理解をする必要が私はあると思っております。 まず法務省、警察当局にお伺いしたいのは、通信傍受法が今議論になっておりますけれども、まだ現に通信傍受法は通過していないわけですけれども、現状において過去何件の合法的な通信傍受を行われたことがあるか、まずお伺いしたいと思います。
○政府委員(松尾邦弘君) これまで覚せい剤密売の受け付け等に用いられておりました電話につきまして、検証として傍受を行った例が五件ございます。
○世耕弘成君 検証として傍受ということですが、もう少し詳しくお伺いしたいんですけれども、これら五件についてはどういう法的な根拠や手続によって傍受が行われたんでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) これらはいずれも刑事訴訟法の定める検証として検証許可状に基づき行われたものでございます。
○世耕弘成君 検証許可状というのは、具体的にどういう内容になりますでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 検証というのは、五官の作用によりまして物事の形状等を確認するという手続でございます。刑事訴訟法に検証ということで規定がございます。 今お尋ねの電話機、通話の傍受ということでございますが、事柄の性質上、現行法の刑事訴訟法を当てはめるとすると、この検証ということで行うということで、現実に五件について検証許可状の請求が行われまして、簡易裁判所の裁判官が発した検証許可状に基づき実施されたということでございます。
○世耕弘成君 刑事訴訟法に基づいたという形でおっしゃっていますけれども、刑事訴訟法の中に例えば傍受の対象ですとか時間ですとか範囲ですとか場所、そういうことを定めている文言はあるんでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 検証許可状による通信傍受でございますが、これは刑事訴訟法上では対象犯罪の限定がまずございません。それから二番目には、法律においてその具体的な要件等が定めてあるわけではございません。したがいまして、個々の事案ごとに令状の請求を受けた裁判官がそれぞれ請求書を見ながら判断するということになりまして、したがって運用も区々になるおそれがあるということでございます。 またそのほかに、不服申し立て手続あるいは傍受の実施の方法や記録の作成、保管、通知等の事後処置等、関係者の権利保護に関する規定等もございません。 その適正の担保のための処置についての規定がないために、その点では不十分ではないかといった問題点が常々指摘されていたわけでございます。今回の法案は、これらの点につきまして法の整備を図る必要があることから提出している次第でございます。
○世耕弘成君 ということは、もう一度繰り返しますと、今まで刑事訴訟法に基づいていたとはいえ、特に傍受の範囲ですとか手続ですとか期間ですとか場所というものに関して明確なルールも存在しないまま、基本的には裁判官の個別の判断にゆだねられて通信傍受が行われてきたということになるんだと思います。これは逆に申し上げますと、裁判官がぼんやりしていると何でも傍受ができる、あるいは傍受した後、それに携わった人に関して罰則の規定もない、あるいは市民の権利保護のための事後処置の手続も何も定められていないということになります。 今回の議論の中で、野党の皆さんやあるいはビラ、新聞の中で令状発付に当たっての裁判官の判断は信用できないという見解が数多く出されていますけれども、私はそうは思いませんけれども、その立場に立てばなおさら裁判官個人の判断に任せられている現状というのは逆に私は危険な状態にあるんじゃないかと思っております。 今回の法律は、こういう不安定であいまいな状況を解消するための法律ですから、別名盗聴法と呼ぶ方もいらっしゃいますけれども、私は逆に通信傍受規制法と呼んでもいいんではないかというふうに考えております。 また、私が以前勤めておりましたNTTの立場に立って申し上げさせていただきますと、過去五回この検証令状で傍受に入られたとき非常に苦しみました。というのは、令状一枚しか判断の根拠がないんです。NTTはそれを受けるか受けないか、受けたことによって万が一その傍受の対象となった方から通信の秘密を侵したというふうに訴えられたときにどうなるか、NTTの中でも本当にかんかんがくがくの議論をして、しかし犯罪捜査、薬物捜査のために技術的な御協力はしようということで、苦しいながらも二十四時間立ち会って、立ち会ったというのは技術的な立ち会いですけれども、技術的なサポートを行って傍受の協力をさせていただいたというケースがあります。 NTTとしては、過去、今までずっと困ってきたわけです。しかし、今回この通信傍受法ができることによって、少なくとも国会の審議を経たきっちりとした傍受の判断基準というのが明確になるということは、これはNTTにとってもありがたいですし、今回この法律を議論するに当たって私も何人ものNTTの方と話をしましたが、いろいろ意見はありますけれども、この部分については大変ありがたいという意見が多数存在するということをひとつ指摘させておいていただきたいと思います。 そしてこの関連で、最後に大変聞きにくいことをお伺いします。 万が一、今国会で通信傍受法案が通らなかった場合、廃案になった場合に、そしてその後やはり薬物犯罪等でどうしても警察として通信傍受を行わないと犯罪の摘発ができないというようなケースが起こった場合に、当局としてこの現行法制下と同じ対処が行われることになるのかどうかについてお伺いをしたいと思います。
○政府委員(松尾邦弘君) これまで検証として通信傍受がなされたわけでございますが、先ほど申し上げたような多くの問題点がございます。これまで五件にとどまっているということは、逆に言いますと、そうした多くの問題点が存在しているということもまたあらわしているということにもなろうかと思います。 この方法によることは必ずしも適当でないケースが多いということだと思います。まして、今回の法案で予定しているような、例えば薬物事犯の組織の解明、あるいはその中枢の者に対して捜査を徹底させるというねらいからいいますと、この検証によるということはいろんな面でやはり問題点がさらに多くなるし、技術的にもなかなか難しいということにもなろうかと思います。そんなこともありまして、本法案を提出しているところでございます。 犯罪捜査のための通信傍受を適正に行うための所要な法整備を行おうとするものでございまして、できる限り早期にこの法整備を実現させていただきたいと思っている次第でございます。
○世耕弘成君 法務省の気持ちはよくわかりました。できる限り早くこの法律をきっちりと成立させて、凶悪犯罪を根絶するということと市民のプライバシー、生活を守るということをきっちり両立していきたい、そういうふうに考えております。 さて、ちょっと話題を変えますけれども、今回のこの通信傍受法の議論というのは、世の中が今これからマルチメディアを迎えようとしている時期に議論が行われております。ですから、当然インターネット、マルチメディアに関する技術的な見地からの検証、これも非常に重要で、そこを避けて通ってはいけないと考えております。 また、電話のネットワーク自体も皆さんが想像 されるものから随分高度化されておりまして、電話といっても実質、電話機以外の部分というのはもうほとんどコンピューター化されている、こういう高度化されているという事実も忘れてはならないと思います。ですから、技術的な検証というのはきっちりやっていかなきゃいけないと思っております。 しかし私は、逆に技術にこだわるばかりに、木を見て森を見ずの状況になってはいけないと思います。今回の法律の本来の目的が、あくまでも凶悪な組織犯罪を撲滅するためのものであって、またその傍受について厳格な要件を設定するものであるというこの本質を忘れてはいけないと思います。 ただ、私もNTT出身の専門家として、きょうはちょっと技術の話をさせていただきたいと思っております。 まず、技術に関する議論を始めるに当たって定義をきっちりとしておきたいと思います。 この通信傍受法の第二条に通信というものの定義がなされております。読み上げますと、「この法律において「通信」とは、電話その他の電気通信であって、その伝送路の全部若しくは一部が有線(有線以外の方式で電波その他の電磁波を送り、又は受けるための電気的設備に附属する有線を除く。)であるもの又はその伝送路に交換設備があるものをいう。」という定義になっております。これは、言葉で読むと難しいですけれども、電気通信の観点からいけば非常に幅広い、ほとんどのものがひっかかるような幅広い定義になっております。 よく報道等では電話、ファクス、電子メールという例示がなされますけれども、この法案の定義でいけば、一部でも伝送にケーブルを使っているあるいは交換設備を持っているという定義がなされているだけで、その通信の技術自体がデジタルであるのかアナログであるのか、あるいは回線交換という形できっちりと線をつないでつなぐのか、あるいはパケット通信という形で情報を細切れにしていろんなネットワークの中を送っていくのか、あるいはその中でも、特に今普及しているインターネットプロトコルというインターネットで使われている手段が使われるのか、あるいは流れる情報が音声なのか文字なのか画像なのか、そういう技術的な要件というのは一切この法律の定義の中では規定されていない形になっております。 法務省にお伺いしたいと思いますけれども、この通信の定義において、あえて技術的な規定を置かずに非常に幅広になっているという理由は何でしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 今御指摘の法案第二条第一項に定める通信には、先生のおっしゃるようなさまざまな多様なものが含まれます。しかし、その技術的な差異にかかわらず、電気的な方法を用いて情報を伝達するという点にその本質がございます。 この法案は、情報の伝達という通信の本質に着目いたしまして、通信の秘密を最大限に尊重し、その制約を最小限の範囲にとどめるという観点から、犯罪捜査のための通信傍受に関して厳格な要件、手続を定める法整備を行うものでございます。 第二条第一項においては、このような厳格な要件、手続によらなければ傍受ができない通信の範囲について、その技術的な要素にかかわらず広く定めることとしたのは以上の理由でございます。
○世耕弘成君 私も、この通信という定義を余り技術的に細かく規定しないで、あくまでも電気的に情報の伝達が行われるという形で幅広くしておくという姿勢には賛成であります。まず技術的な定義が余りにも厳格に行われると、今度は逆に犯罪者からいろんな抜け穴を見つけられる形になってしまう、これは傍受できないだろうというような抜け穴を見つけられる形になってしまう。 また、もう皆さん御存じのように、今パソコンなんというのは買って一年もすればすぐ陳腐化してしまいます。非常に技術の進歩のスピードが速い中で、これまた余り技術的に細かい規定をしてしまうと、法律自体の寿命が短くなって、毎年毎年技術的なところをちょこちょこいじっていかなきゃいけなくなる。これまた社会の効率として一つ問題があるだろうと思っておりますので、私も、通信の定義はあくまでも電気的に情報の伝達が行われるということに規定をすることには賛成でございます。 今、答弁にもありましたけれども、もう一度改めて確認をしておきたいと思います。当然傍受をする範囲だけじゃなくて、傍受をするに当たっての法律がうたっている厳しい条件、傍受令状が発付される要件というのは、これもまた通信が用いている技術にかかわらず、あるいは技術的にできるかできないかにかかわらずきっちりと適用されると考えてよろしいでしょうか。念のため確認させていただきます。
○政府委員(松尾邦弘君) 御指摘のとおり、この法律案に定める厳格な要件、手続でございますが、通信に利用される技術の差異やあるいは技術的な可否にかかわらず適用されるということでございます。
○世耕弘成君 それではもう一つこの法律の中の話をお伺いしたいんですけれども、第三条で傍受令状の発付の要件というのがうたわれております。その中でこういう表現になっております。「電話番号その他発信元又は発信先を識別するための番号又は符号によって特定された通信の手段であって、被疑者が通信事業者等との間の契約に基づいて使用しているもの又は犯人による犯罪関連通信に用いられると疑うに足りるものについて、これを用いて行われた犯罪関連通信の傍受をすることができる。」という規定がなされております。これを少しブレークダウンしてお伺いしていきたいんです。 まず、電話の世界でお伺いしたいと思いますけれども、電話の世界でいうと、この発信元、発信先というのが一体どういう単位になるのかということをちょっと確認しておきたいと思います。 例えば今、議員会館なんかもそうです、役所もそうですけれども、大きな組織の場合は自前の交換機、アルファベットはPBX、プライベート・ブランチ・エクスチェンジという交換機をビルの中に置いて、そして、NTTの方からはそういう組織には組織単位である程度局番ごとぼんとまとめて電話番号をお渡しするという形をとっております。これは大企業もそうですし、ホテルもそうですし、役所もそうです。例えば、議員会館は三五〇八ですし、通産省は三五〇一、郵政省は三五〇四という形になっているわけです。 では、こういう大きな組織、電話番号は単位がはっきりしていて市内局番でくくられています大組織の中で、例えばある企業の中に明らかに組織犯罪に加担をしている中心人物がいるという想定で、その企業が入っている電話の市内局番ごと傍受をするというようなケースはあり得るんでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 御指摘のような、市内局番を単位としての傍受があるのかということでございます。 そうした場合には不特定多数の者が当事者となる通信をいわば無差別に傍受することとなりますので、犯人による犯罪関連通信に用いられる通信手段を特定したとは言えないということで、法的にそのような傍受の方法は許されておりません。
○世耕弘成君 そういうお答えに当然なるだろうと思っておりました。 では、今度はケースをもう少し限定してみたいと思います。 犯罪集団、例えばオウム真理教のようなものが、もうどこへ行っても追い出されるものですからいよいよ永田町にやってきたとしましょう。永田町のビルを一軒丸々借り上げて全メンバーをそこへ集結させて、そこに数千回線の電話番号を引き込みました。ですから、それはもうその犯罪組織のビルなんです。そして、そのビルに対してNTTが、議員会館の番号にして申しわけないんですが、三五〇八という局番を割り当てた。しかも、この三五〇八という番号はその集団以外に使う人は絶対にいないという状況になっていた場合に、三五〇八という局番ごと傍受をする可能性はあるんでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 結論は、その傍受は許されないということです。 御指摘のような事例でございましても、関係者の全員がその傍受対象の被疑事実に関連して共犯であるとか、あるいはすべての回線がこの犯人による犯罪関連通信に用いられるということを疎明できるとはとても想定できないわけでございますので、犯人による犯罪関連通信に用いられる通信手段を特定したとは言えないということになります。したがって、法的には傍受は許されないという結論になります。
○世耕弘成君 ということは、まず電話に限りますけれども、電話については、あくまでも末尾一けたまでの電話番号による特定ということが相当慎重に行われるというふうに考えたい。 逆に、国民の皆さんに御理解いただきたいのは、たとえ自分が働いている会社の中に重要な犯罪者がいたとしても、自分の電話が聞かれることはまずないということを御理解いただきたい、そういうふうに思います。(「大事なところです」と呼ぶ者あり)そうです。 続きまして、電子メールについてお伺いをしたいと思います。 今お手元にお配りしております資料の一番、これが実は参議院から付与をされております私の電子メールのアドレスでございます。hiroshige_seko@sangiin.go.jpが私のメールアドレスでございます。 このメールアドレスというのは、右の方から大きな組織がだんだん絞られてくる構造になっております。 一番右のjp、これは日本国を指しております。これは、アメリカを除いてほかの外国へ行けばそれぞれの国名の略号がここへつく形になります。 そしてgo、これは恐らくガバメントオーガナイゼーションだと思うんですけれども、これはそれぞれ国の中の組織のカテゴリー分けをしている記号でございます。参議院ですから、これは政府関連機関ということでガバメントオーガナイゼーション。教育機関ですとac、これはアカデミックの略だと思います。企業の場合はカンパニーの略のcoという形で、いろいろここはカテゴリー分けをされています。 そして最後に、ここは参議院ですから非常にシンプルになっていますけれども、もっと普通の企業の場合、この後二段三段の組織が入ってくるんです。参議院の場合はここでもういきなりsangiinという特定できる組織が入ってきて、そしてアットマークがついて私のアドレス、こういう構成になっております。 このアットマークより右側の部分はドメイン名という形でいわゆる組織の領域を定める名前、そして左側の部分を個人が定めるユーザー名という形になっています。そして、ユーザー名とドメイン名がセットになって初めて個人を特定できるメールアドレスというのが構成される。これがインターネットのアドレスの構成であります。 さて、ここで質問なんですけれども、例えば今このhiroshige_sekoという私が犯罪者であるとした場合に、この私の電子メールアドレスを傍受するに当たって、このドメイン名sangiin.go.jpが一つのサーバーに入っているわけですけれども、このsangiin.go.jpごと私の電子メールが傍受される可能性はあるんでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 一個のドメインの中には、この表にもありますが、多数のユーザー名が入っているということになります。多数のメールアドレスが置かれていると言いかえてもいいかと思いますが、ドメイン名を特定して傍受を行いましても不特定多数の者にあてた電子メールを無差別に傍受するということになります。したがいまして、犯人による犯罪関連通信に用いられる通信手段を特定したということが言えなくなります。法的にはそのような方法での傍受は許されないという結論になります。
○世耕弘成君 わかりました。ですから、電話だけではなくて電子メールについても、あくまでも個単位での特定された通信というものが極めて厳格に運用されるというふうに理解をします。これもまた、企業の中に犯罪者がいたとしても、それに関係のない一般の人の電子メールが見られることはない、傍受されることはないということを明確に指摘させていただいておきたいと思います。 それでは引き続き、技術的な検証に入っていきたいと思います。 まず、技術的な検証全般、ここまでもういろいろ同僚議員から電子メールや電話に関する技術的な質疑がありました。そこで私の今持っています印象は、技術的にできることとできないこと、この通信傍受法上やっていいことと悪いこと、これが混同された議論になっているんじゃないかなという懸念を持っております。 技術的に確かにできます、技術的にできるものだから法案が罰則までつけて禁止をしている行為にもかかわらず危険だ危険だという御指摘になる。逆に、今は技術的にはできないことです、だけれども法律は将来の可能性も含めて余り技術的に細かいところに踏み込まずにばくっと把握するようにしていることについて、今は技術的にできないんだから今後とも未来永劫に実行しないと約束しろ、そういうような議論になってきているんじゃないかなというふうに思います。私はこのあたりを、技術的な部分と法律上のやっていいことと悪いことというのは、技術的な検証も必要ですけれども、ある程度分けておく必要があるのではないかというふうに考えております。 特に、技術的に幾ら可能であっても法案で禁止をしている、これは警察がやられた場合、罰則を受けられるわけですね。そういうことは明らかにできないことだと判断をするべきではないかというふうに思っています。 我々は今、我々の生活の安全を守るために、警察官の皆さんにけん銃を持っていただいております。これだって悪く使おうと思えば幾らだって使うことができるわけですけれども、そこは警察官のきっちりとした倫理観でそういうことはめったに起こらないことになっているわけですから、法律が禁止していることはできないんだというのはもう明らかであります、この社会で我々が暮らしている以上。そういうふうに考えるべきではないかと思います。 それでは、ちょっと技術的な検証を行っていきたいと思います。 まず、資料の二枚目を見ていただいて、これはアナログの電話がつながる仕組みをちょっと簡単な絵にさせていただいております。技術的にわかり切ったこともお伺いしますけれども、技術的に可能かどうかと傍受法上できるのかできないかを明確に区分けをして御答弁をいただきたいと思います。 まず、このアナログ回線、左側にユーザー宅がありまして、これが電柱に一たん上がって、その後電柱を伝わってNTTビルの前で一たん地下に潜って、NTTの主配線盤、MDFといいますけれども、そのNTTのビルが管轄するユーザーの電話線がそれこそ一本一本導線の単位で入ってくるところであります。ここで配線をしてまとめて交換機へつなぎ込むという形、こういうのがアナログ電話のメカニズムでございます。 では、まずこの一番の引き込み柱、いわゆる電柱のところ、ここで傍受することは技術的に可能でしょうか、また法律上可能でしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 傍受の実施の方法及び場所でございますが、裁判官が発付する令状の記載事項、法案第六条にこれが規定されております。それで、傍受の実施の場所でございますが、個別の事案ごとに裁判官がその実施が可能な最適な場所を決定するということになっております。 したがって、傍受の実施の場所は、電話局等通信事業者等の看守する場所におきまして、通信手段の傍受の実施をする部分を管理する者等の立ち会いのもとに録音等の記録を行いながら実施するということを法案は想定しているわけでございます。 したがいまして、あえて電信柱の上というような、屋外に設置された引き込み柱において傍受することは、技術的には可能でございますが法的には許されません。
○世耕弘成君 この一番の野外の引き込み柱では、技術的にはできるけれども法律的にはできないんだからできないということであろうと思います。 では今度、二番の、NTTビルの中へ入った主配線盤、MDF、ここでの傍受は技術的に可能だと思うんですけれども可能でしょうか、あるいはここで法律上傍受をすることはできるんでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) この主配線盤における傍受でございますが、技術的には容易でございます。また、回線特定についても法的な問題はございません。アナログ回線の場合は、この方法によって傍受を行うことを想定しております。
○世耕弘成君 今度は三番、これは実は交換機をモニターする装置なんですけれども、試験制御装置というのがございます。これは後で朝日新聞の記事に言及する際に非常に重要になってくるんですけれども、この三番のポイントで傍受をすることは技術的に可能でしょうか、あるいは法律上可能でしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) この③の試験制御装置の端末における傍受のことでございますが、御指摘のとおり、アナログ回線の場合は、通話中の回線に割り込んで傍受することがこの機械を使いますとできます。しかし、あらかじめ特定の回線に接続して通話が開始されるのを待ち受けることは技術的にはできないようでございます。 したがって、傍受の方法としては技術上適当ではなく、このような傍受を行うことは想定されないということでございます。
○世耕弘成君 もう少し今の答弁に追加をして解説しますと、この試験制御装置というのはあくまでも電話回線が正常につながっているかどうかをチェックするものですから、二十四時間待っていることはできないんです。万が一、二十四時間挟み込んで待っていたら、そこへかけてくる電話は全部話し中になっちゃう、そういう装置なんです。 ですから、実効上、通信傍受のためには技術的に完全に使えないということをちょっと今皆さんも頭の中に入れておいていただきたいと思います。後での質疑が関連いたします。 さて、次は資料の三番、同じような絵になりますけれども、今度はデジタル回線、ISDNのつながる仕組み、設備構成を絵にさせていただきました。 まずお伺いしますが、これも非常にしつこい質問になりますが、一番の引き込み柱の部分では傍受はされますでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) デジタル回線の場合は、先ほどと違いまして、引き込み柱のところにおきます傍受は、一〇〇%不可能とは言いませんが、技術的に極めて難しいということでございます。ここで傍受をして内容を理解するところまでということになりますと、非常に莫大な出費が必要だということでございます。 ここで傍受を行うことは、先ほどのアナログ回線の場合と違いまして、まず法律的にも許されませんし、技術的にも非常に困難を伴うということでございます。
○世耕弘成君 そうなんですね。 ①、あるいは②のMDFの部分も①と信号の状況は一緒でございますので、ここはデジタル信号が生のまま通っております。それを録音して後で解析すればいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんけれども、デジタル信号というのはそういう単純なものではないんです。相手側の交換機との制御信号のやりとりですとか、細かいデータがデジタル信号の中には盛り込まれておりまして、それを単純に横から割って入って傍受をするということは、これは相当なお金をかけて電話局の設備並みのものをもう一つ常に警察がトラックにでも積んで動けるような状態にでもしない限りは、この①あるいは②での傍受というのは技術的に絶対に不可能なんです。 では今度は、先ほどのアナログの場合と同じような形でここにも交換機につながった形で試験制御装置がございますが、ここでの傍受は技術的に可能でしょうかどうでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) デジタル回線の場合は、今お示しの資料の試験制御装置によって傍受することを想定しております。 この試験制御装置の端末を使用して特定の回線に接続して傍受することは技術的に可能でございますし、また法律上問題はございません。
○世耕弘成君 ですから、デジタルの場合はこの試験制御装置の部分で傍受ができる。ただし、まだ全電話回線の九〇%以上を占めるアナログの方は試験制御装置では傍受ができないという整理になることを考えておいていただきたいと思います。 以上、技術的、法律的に両面から整理をしていただきましたけれども、もう一度申し上げますと、傍受ができるということは、まず技術的に可能であって、かつ傍受法が認めている部分である、そこに限られるということを御理解いただきたい。ですから、アナログの場合はMDF、そしてデジタルの場合は試験制御装置、こうやって自明の理のように答えが出てくるわけであります。 技術的な議論をもっともっと細かくやっていけば切りがありません。コストを一億も二億も十億もかけて何か装置を開発していいのであればまた新たな可能性を議論しなきゃいけないかもわかりませんけれども、そこは割り切って考えるべきであって、この部分で哲学論争を幾ら行ってもこれはもう時間のむだになると思います。 また、今後著しい技術の進展があって安いコストで何か新しいことができるというようなことがあった場合にこの法律を見直していけばいいんじゃないか、私はそう思っております。 では、引き続きまして、インターネットについても技術的な整理を行っておきたいと思います。 先週、インターネットについて随分、特に野党側の皆さんからの御指摘で議論がありました。私もいろいろ、ああそうか、そういう見方もあるのかなというところもありましたけれども、質疑と法務省の答弁がはっきり言ってかみ合っていなかったなと思っております。恐らく、あの質疑を見た方は一層わかりにくくなっちゃったんじゃないかなというふうに思っております。 ですから私は、国民がいたずらに不安を抱かないようにもう一度、このインターネットの傍受について、ネットワーク構成を踏まえた検証を行ってみたいと思います。 資料四をお開きいただきたいと思います。 まず、この想定をお話しいたしますと、左側に暴力団A組という事務所がありまして、ここの幹部がkanbu@a-provider.ne.jpというアドレスを持っています。Aというプロバイダーにダイヤルアップの接続の契約をして、電子メールアドレスを取得しております。そして、そこの構成員といいますか、そこの命を受けた売人がBという企業の中でひそかに社員として働いている形になっております。このBという社員は、bainin@b-sha.co.jpというアドレスを持っている。これで彼らは麻薬の売買についてのやりとりをしているという想定でございます。 そこで、幾つかお伺いしていきたい。 まず売人が、今度一グラムの注文が入ったのでひとつよろしくお願いしますというメールを打ちますと、売人のパソコンからこの会社のサーバー、サーバーの中でも送るときはSMTPサーバー、シンプル・メール・トランスファー・プロトコル・サーバーというところを通りまして、この会社が契約をしているプロバイダーを通ってインターネットに入る。そして、この暴力団の事務所が契約しているAというプロバイダーに入って、そこのPOPサーバー、ポスト・オフィス・プロトコルというサーバーに入って、電話交換機を通って暴力団A組事務所の方へ入っていくという形になります。 それで、またこれを一つずつ検証していきたいと思います。 まず、ここで一番と書かせていただいている部分、SMTPサーバーでの傍受、売人が一グラム欲しいよと打ったメールをSMTPサーバーで傍受することは可能でしょうかどうでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) このB社のSMTPサーバーにおきましては、不特定多数の通信が行き来しているということになります。それらを傍受することは、技術的には可能であったとしましても、メールアドレスで特定されるB社の密売人の電子メール以外の通信手段についても傍受することになってしまいます。 したがいまして、技術的には特定できないということになりますので、一における傍受はこの法律では許されないということになります。
○世耕弘成君 そうなんです。ここはこの会社のみんなのメールを見てしまうことになりますから、やはり法律上特定されないわけですから見てはいけない。また技術的にも、大きな会社の場合、一日に何万というメールが行き来するわけですから、その中から特定のメールをつかみ出すということ自体まず技術的に難しいということを申し上げておきたいと思います。 では二番、この会社がプロバイダーと結んでいる専用回線、ここは当然NTTあるいはほかの専用線の会社の中を通っていくわけですけれども、そこでの傍受はどうでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) これはB社とプロバイダーの間の専用線でございますが、不特定多数の通信が行き来しております。これを傍受することはまず技術的に非常に困難でございます。仮にそれを傍受することが可能であったとしても、メールアドレスで特定されるB社の密売人の電子メール以外の通信手段についても傍受することになりますので、この二における傍受は法的に許されないことになります。
○世耕弘成君 まず法的に許されない。当然ですね、いろいろ通りますから。そして、技術的にもまずここは不可能です。専用線というのは大変なスピードで大変な量の情報が飛び交っておりますのでここで傍受することは不可能ですし、あるいは傍受するための装置を挟み込むにはB社のインターネットのネットワークそのものを五分程度とめない限りできないということで、ここは非常に難しいということになると思います。 では三番の、このB社が契約しているプロバイダーのドメインネームサーバーあるいはメールサービスの機能の部分では傍受は可能でしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) このBプロバイダーのところにおきましても不特定多数の通信が行き来しておりまして、その傍受はまず技術的に非常に困難でございます。仮に技術的に傍受が可能であったとしても、先ほどと同様でございまして、この密売人のメール以外の通信についても傍受することになりますので、法的にはこれは許されないことになります。
○世耕弘成君 そうですね。ですから、法的に特定がまずできないということ、そして、BプロバイダーはB社とだけ契約しているわけではなくて、企業、個人、大量のユーザーを抱えています。大きなプロバイダーの場合何百万通というメールが一日に行き来をしますから、その中からまたメールをピックアップすること自体非常に技術的に難しいです。そういう問題があると思います。 そして四番、もうここは時間もありませんのではしょります。四番も全く三番と同じ、当然特定できないから法的にはできませんし、また先ほどのBプロバイダー以上に今度はいろんなプロバイダーからの情報が入ってくるわけですから、この中でピックアップをすることは難しいという形になります。 そうしますと、今度は五番、要するに今度は暴力団が契約しているプロバイダーの受信用のサーバー、このPOPサーバーにメールが入った場合の傍受はいかがでございましょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 五の電子メールを受信する側のプロバイダーのPOPサーバーでございますが、ここでは特定のメールアドレスあてに送信されてきました電子メールのみを取り出して傍受することが技術的に非常に容易でございます。また、法的にも許されます。 そこで、受信者であるA組のメールアドレスを特定し、AプロバイダーのPOPサーバー中のメールボックスにおいて傍受すべき通信が行われるか否かを見張りまして、メールが受信された場合にこれをコピーして傍受することをこの法案では想定しているということでございます。
○世耕弘成君 ということは、ここで初めて、この売人が幹部に対して打ったメールを個別に特定ができ、法律的にも問題がなく、そして技術的にも割と容易に傍受ができるということになるわけですね。 そうしますと、次は当然このPOPサーバーに入ったメールを幹部がとりに来るわけです、Aプロバイダーにダイヤルアップ接続をして。そのとっている間に、今度は当然NTTの一般の電話回線を通っていくわけですから、この電話交換機の部分、これをアナログ通信と想定いたしまして、これはちょっと細かく書いていませんが、先ほどの資料二でいえば②のMDFの部分に当たるところが六番になるわけですけれども、この六番のポイントで傍受をするということはいかがでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) この点では技術的にも可能でございますし、通信手段をまた電話番号で特定しているということでございますから特定性についても問題がないということで、これは法的に許されるケースになります。
○世耕弘成君 法的に許されるということですが、技術的にはいかがでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 先ほどの電話の場合に申し上げましたが、技術的にも容易でございます。
○世耕弘成君 そこはちょっと違うんですね。技術的に結構ここは難しいというふうに私は考えます。 当然、音声の電話であればMDFで簡単に傍受ができるわけです。データ通信の場合も技術的に恐らくできるんですけれども、現実問題として声の電話が来るのかファクスが来るのか、あるいは電子メールが来るのか。それで、電子メールが来るとしたらいろいろスピードがあるわけです、九・六キロから、今速いのですと五十六キロぐらいまでのスピードがあるわけです。一体どういうスピードで来るのか、あるいはこの組長のモデムがどういう設定になっているのかとか、相当な事前の情報がないと困難だ、ここは技術的に非常に難しいということを指摘しておきたいと思います。 そして七番、これは電柱でやるということはもう絶対にない、法律的に不可能だということを先ほど来明言されていますので、ここは割愛をしたいと思います。 そして、今度は逆に幹部の側から、わかった、じゃ一グラム包装紙に包んでどこどこの駅のベンチの裏に張っておくからというメールを送る場合は、これまた今の逆を伝っていくわけでありますからほとんど同じ話になるわけです。 ここでもう一回整理をしておきたいんですけれども、SMTPサーバーというのは町の郵便ポストだと思っておいていただきたい。ここにはいろんな人のメールが入るんです。そして、POPサーバーというのは家のポストだと思っていただきたい。ある家の、ひとり暮らしじゃないとだめですけれども、ある特定の人に対するメールが入ってくるポストだと思っていただきたい。ですから、先ほどの答弁をもう一回整理しますと、送るときというのはSMTPサーバー、町のポストへ入れるわけです。そこにはいろんな人のメールが入っているからそこでは法律的に見てはいけない。逆に、自宅のポストに届いた場合、それは明らかにこの人あてのメールだというのがはっきりしているわけですから見ていい、そういう技術的な整理。 ですから、もう一度整理しますと、電子メールを見る場合はこのPOPサーバーでしか見ることは技術的にほぼあり得ないと思っておいていただきたい。この間、サーバーとサーバーの間の専用線で見ることがあるかという質問があって、法務省は明確に答弁されませんでしたけれども、それは技術的にも法律的にもあり得ないということを明確に整理しておいていただきたいと思います。 そして、POPサーバーで見るということは個人のメールボックスでしか見ないわけですから、そのメールアドレスを特定できる状況じゃない限り傍受は行われない。逆に申し上げると、犯人が、このB社に売人が潜り込んでいたとしても、このB社の一般の善良なる社員のメールが傍受されることはないということを明確にしておきたいと思います。 しかし、じゃ今度、売人のメールだ、あるいは暴力団の幹部のメールだということが特定されたとしても、そこにもしかして恋人からのメールが来るかもわからない、いろんなメールが来るわけです。必ずしも犯罪通信だけとは限らないわけです。そして、電話の場合はそれはスポットモニタリングという形で対処されるわけですけれども、メールの場合は一たんコピーをして該当性の判断をしてそして要らないものは消すという形になるんですけれども、ここでの通信の秘密がきっちり守られるのかどうか、当局のお考えをお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(松尾邦弘君) 傍受の実施をしている間に行われました通信が傍受令状に記載されました傍受すべき通信に該当するかどうかの判断でございますが、その通信の技術的な差異に応じまして通信の秘密に対する制約が必要最小限度の範囲にとどまるような方法により行うべきものでございます。 電子メールのように傍受のときにその内容を知ることができないものにつきましては、通信にかかわる信号全体を一たん傍受いたします。法案の第十三条第二項ということでございます。これを文字に変換しました上で該当性の判断を行うことになります。この場合、該当性の判断は速やかに行わなければならないと十三条第二項後段にも書いてございます。直ちに復元することが可能なものにつきましては、立会人がいる傍受の実施場所において復元しまして、必要最小限度の判読を行って該当性判断を行うことになります。その結果、傍受すべき通信が含まれる場合はデータを傍受記録に残しまして、傍受すべき通信が含まれない場合はそのデータを傍受記録から消去することになります。捜査官が必要でないデータを手元に残すことはないということになります。 このような方法による該当性判断でございますが、通信の秘密に対する制約を必要最小限の範囲にとどめてこれを最大限尊重したものと考えている次第でございます。
○世耕弘成君 念押しをしておきたいのですけれども、その該当性の判断ということは、すなわちある犯人のメールを特定した、そしてプロバイダーかあるいは企業のサーバーへ行ってそれを見た、そしてそこのメールが通常の電子メールである、あるいは言語が英語程度である、あるいは暗号化が行われていたとしても市販の暗号化ソフトで割と単純な暗号化が行われている、そういう場合はその場で該当性の判断をして消去をされるということでよろしいでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 法十三条第二項後段の「速やかに、」「行わなければならない。」というのは、まさに御指摘のようなことを考えている次第でございます。
○世耕弘成君 今度は資料五に移っていただきたいと思います。これは犯罪組織が高度に情報化されていて、自前のLANを組んでしまっていた場合の絵をかいております。A暴力団でB支部とC支部があって、それぞれに自前のサーバーを置いているという形であります。 そして、この一番のケースのように、専用線で直結をしていた場合、これは専用線の中の傍受というのはまず非常に技術的に困難であります。特にこういう場合は、インターネット通信だけではなくて、音声の通信もあわせて符号化して送っていますから、その中からインターネット通信だけを抜き出す、あるいは音声だけを抜き出すということはもうほとんど技術的に不可能ですから、ここでは傍受は技術的に不可能だということを申し上げておきます。 また、企業によってはプロバイダーと契約をしてインターネットを介したLANを組んでいる場合があります。今イントラネットなどと言いますけれども、先ほどからるる御説明があるように、こういう通信もプロバイダー段階ではいろんなメールがたくさん来るから傍受ができないという形になるわけですね。となると、高度に情報化されたというか、自前で投資をしてLANを組んだ組織のメールを傍受するというのは技術的に非常に難しいなという印象がしております。 そうすると、傍受以外の手ということで、一つはメールの差し押さえという形があるわけですね。今資料四、資料五でお示ししている中でメールを差し押さえるとした場合、どの辺のサーバーで差し押さえをなさるおつもりか、まずお伺いしたいと思います。
○政府委員(松尾邦弘君) 資料五をごらんいただきますが、今委員御指摘のようにこの一、二、三のいずれの箇所におきましても、これを傍受することは技術的に非常に困難でございますし、また法的にもこれは認められないケースに該当するわけでございます。 そうした場合にはその捜査はどうなるのかということでございますが、御指摘のように既存の刑事訴訟法上の捜索、差し押さえという手がございます。その場合には、この資料五でごらんいただきますと、B支部、C支部に設置されたサーバーに蓄積されております関連情報の記録を差し押さえるということが一つ可能でございますし、場合によりますとサーバー自体を差し押さえることも選択肢としてはあり得るというふうに考えております。
○世耕弘成君 わかりました。ということは、高度に情報化された組織の場合は、そこを吸収してサーバーを物理的に差し押さえることによってメールを見ていくという形だというふうに考えたいと思います。 あるいはまた、過去のメールについては、差し押さえ令状によって、資料四のいわゆる一般企業に入っていた場合でも特定のメールを差し押さえていかれると思うんですけれども、こういうメールの押収の場合においても通信傍受法のとっているアドレスの特定ですとか、あるいは該当性の判断ということがきっちりと行われるのかどうか、お伺いしておきたいと思います。
○政府委員(松尾邦弘君) この場合、差し押さえの場合もそうでございますが、例えば手紙の場合でも、多数の手紙を差し押さえ、押収、捜索の場合では見るわけでございますが、やはり関連する手紙だけを差し押さえていくということでございます。 これは、今御指摘の、既にサーバーにたまっている、蓄積されている電子メールにつきましても、手紙の場合と同じようにお考えいただければよろしいかと思います。つまり、該当する電子メールだけを傍受記録に残すということで押さえてくるということになります。
○世耕弘成君 わかりました。ですから、該当性は尊重されるという理解をしたいと思います。 それでは、今度は資料六に移りまして、これは五月三十日付の朝日新聞の記事でございます。この間、福島議員の方からもこの資料をもとに質疑がなされたわけでありますけれども、この記事に関しては非常に大きな誤解があるということを御指摘申し上げておきたいと思います。 この記事の趣旨は、要するにPTT端末というのがあって、それを使えばNTTの外からでも、あるいは警察のビルの中からでも警察が通信傍受をすることが可能であるという報道なわけですけれども、これはちょっと誤解がありますのでここで明確にしておきたいと思います。 そもそも、このPTT端末というのは何のためにあるかというと、別にNTT社員が家に帰って電話のチェックをするためのものじゃないんです。あるいは出張中にどこかのホテルからチェックをするためのものじゃないんです。 今NTTは、交換の試験機能の合理化というのをどんどん進めています。今NTTには約三千の電話交換局がありますけれども、昔はそこにすべて試験ができる装置を置いて、装置が置いてあるということは人が行ってやっていたんです。あるいは人が常に勤務をしてやっていたんですが、それでは非常に非効率だということで試験装置の集約というのを行いました。実は、三千近い交換局のうち先ほど私がお示しした試験装置、試験制御装置というのがあるのは百局なんです。では残りの二千何百局はどうしているのかというと、基本的にはその百局にいる人が遠隔でそこの交換機を見に行って回線の状態をチェックするというのが今のNTTの仕事のやり方なんです。 ところが、どうしても試験装置のない二千何百局の方へ物理的に社員が出向いて配線をやらなきゃいけないこともあるわけです、時には。そのときに、配線をやった結果ちゃんと電話回線がつながっているのかどうかをチェックしようと思っても、その二千何百局の交換局には試験装置がないわけですから、試験のやりようがありません。そこでどうするのかということで、このPTT端末というポータブル型のノートパソコンで、電話回線でこの百局あるTWS試験制御装置につないでチェック、そもそもそういう目的のものなんです。 ですから、もともとそういう目的以外に使われることはありませんし、NTTも何回かハッカーに侵入をされていますので、セキュリティーも非常に気を使っております。 こういう電話回線でもって会社のシステムに接続する場合のセキュリティーシステムというのは幾つかあるんですけれども、今回このNTTのPTTの場合はコールバックシステムというのをとっておりまして、電話番号を登録してあるところからかかってきたものしか受けないし、さらにそれが本当かどうかわからないので、一たん切ってセンターの方からかけ直すという二重のセキュリティーをとっているんです。ですから、NTTがよほど警察に全面的に協力をして自分のところのTWS試験制御装置に警察の番号を登録しない限り、これはあり得ないということをまず申し上げておきたいんです。 また、いろいろ今おっしゃっていますけれども、技術的にもこの記事は致命的なんです。というのは、先ほど申し上げましたように、試験制御装置というのはアナログ電話の場合は待ち受けて聞くことはできないんです。既にできている通話を聞くことしかできないんです。ずっと待っていたら話し中になっちゃうんです。このPTTというのは、試験制御装置を延長して出ている無人交換局でチェックするための装置ですから、これを幾らつないだって技術的にそもそも傍受そのものができないということで、この記事は前提が大きく間違っているということを一つここで御指摘させておいていただきたいと思います。 そして、最後に二つほどお伺いしたいと思います。 まず、今回の立会人の問題であります。 今回の法律の中で立会人がうたわれている、そして立会人がいた方がいいということはよくわかりますけれども、この通信傍受に当たって相当通信事業者に対して金額的、人的な負担がかかるんじゃないかなということを私は懸念しております。 今、通信事業者といいましても、新聞報道で皆さん御存じのとおり、非常にグローバルな競争にさらされているわけです。どれぐらいの回数の傍受が行われるか、あるいは一回の傍受当たりどれぐらいの通信事業者の社員が立ち会う必要があるか、あるいはもしかしてどんなソフトを開発する必要があるか、その辺は現状では非常に不明確でまだ詰まっていないと思うんです。そもそも通信事業者というのは犯罪撲滅のための通信傍受にできる限り協力しようという立場であります。しかも、今までも逆探知ですとかあるいは過去五件行われた麻薬関係の傍受でも非常に協力をしているはずなんです。 こういう通信事業者にコスト負担を負わせるのはいかがなものか、適正なコスト負担をできる限り国として考えるべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 御指摘の点につきましては、通信事業者との間で傍受の実施方法等について十分な協議、検討を行いたいと思っております。今のコストの点も当然協議、検討の対象になるかと思います。今後も実際の運用の状況をそうした協議、検討を行いつつ見きわめてまいりたいと思っております。
○世耕弘成君 コストの負担はぜひやってあげてほしいということを重ねて申し上げます。 そしてもう一つは、やはり通信事業者の非常に高度な装置にいろいろな接続を行うわけですから、技術的な詰めをしっかりと行っておいていただきたいと思います。 例えば、先ほど、アナログ電話の場合はMDFに接続すれば簡単に傍受できるというふうに技術的な整理をしましたけれども、しかしこれは下手な装置を挟むと雑音が入るんです。普通に電話でこんにちはとか言っている分には多少の雑音が入ってもいいですけれども、ファクスの場合ですと横に線が入っちゃう、あるいは電子メールとかパソコン通信の場合だともう致命的につながらなくなっちゃうというような問題が発生する。 そして、問題が発生したときにその責めを負わされるのは通信事業者なわけですから、その辺の技術的な詰めを慎重に行っていただきたいと思いますが、その辺の御決意はいかがでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 先ほど来委員の御指摘のように通信技術は日進月歩でございまして、非常に高度化かつ複雑になってきていると思います。そういう点では捜査関係の者にとりましてわからない箇所、わからない点が多々あると思いますので、当然その捜査機関と通信事業者との間でいろんな技術的な問題について十分な協議、検討を行わなければいかぬと思います。 それは法案が成立後いろいろな一般的な形で行うと同時に、また個々の傍受令状の執行の段階におきましても個別事案としてまたさらにその詰めを行うというようなことで慎重に行いたいと思っております。
○世耕弘成君 それともう一つ、私NTT出身ということで、もと一緒に仕事をした仲間のことが心配なんですけれども、立会人となった通信事業者の社員が当然封印のためのサインをしたりするわけですから、後々、まず一つは刑事裁判の証人として呼ばれて尋問をされるとか、あるいはその封印のサインに伴って住所とか何かそういうものが公開をされて、後で暴力団から脅迫を受けるようなことになる、善良に二十四時間つき合うわけですからこれだけは最大限の配慮をお願いしたいと思うんですけれども、御見解はいかがでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 本法律案におきまして、立会人はその傍受する通信の内容を聞くというような建前にはなっておりません。つまり、捜査内容に関与することはぎりぎりまで避けているということでございます。 捜査として行う傍受の実施については捜査機関が全面的に責任を負うということになっておりますので、立会人に後日証人として尋問を受けるなどの手続的な負担をおかけするということはまずないと思っております。ただ、万が一御指摘のような脅迫行為が予想されるというような事案におきましては、その防衛のために万全の手だてを尽くすということだろうと思います。
○世耕弘成君 最後の質問をさせていただきたいと思います。 今回また一つ大きな問題点として言われているのが、報道機関が傍受の対象となるのかどうか、傍受の対象除外にならないのかという部分でありますけれども、私個人としては、今回の報道機関の扱いというのは通信傍受法の議論ではなくて、やはり刑事訴訟法全体の証言拒否をどうするかとか、そういった部分での議論をしないと、傍受法だけ突出した議論というのは非常に難しいのじゃないかと思っております。 また、個人的な見解ですけれども、マスコミというのをどう定義するのかという問題があります。大新聞、キー局なんという定義は法律的には存在しないわけですから、もしかして暴力団が雑誌を発行して、おれはマスコミだと言い張ったときに傍受ができないというようなことになってはいけないというふうに私は考えております。 新聞なんかでは、ドイツが何か傍受に関して歯どめがあるような表現になっているんですけれども、諸外国の状況とマスコミが傍受の対象になるかどうかということをお伺いして、質問を締めくくりたいと思います。
○政府委員(松尾邦弘君) 御指摘のように、通信傍受法の第十五条は、刑事訴訟法の百五条の押収拒絶権あるいは百四十九条の証言拒絶権と同様に、依頼人との個人的な信頼関係に基づいて個人の秘密を委託されることによって成り立つ特定の職業に対する信頼の保護を図るということで、その対象とする職業も極めて限定的に列挙しているということでございます。 報道機関には御指摘のようにさまざまな形態のものがあり得るところでございますし、報道機関による取材あるいは報道機関に対する情報提供を考えましても、報道に資することを前提としたものと考えられますので、個人の秘密を委託されることによって成り立つ医師や弁護士と同一に論ずることはできないものと考えております。 お尋ねの諸外国の立法例を見ましても、アメリカ、ドイツ、フランス、イギリス、イタリアでは、報道機関は通信傍受の禁止対象とはされておりません。 なお、ドイツにおきまして通信傍受の禁止対象になっているのではないかという議論も一部にはございますが、報道機関について一定の場合に証言拒絶権及び押収拒絶権を認めておりますが、通信傍受の禁止対象にはしておりません。なお、ドイツでは、報道機関が通信傍受の禁止対象とされている、こういった誤った報道があるところでございますが、ただ住居の中で行われた口頭会話については、報道機関が対象から除外されているということは事実でございますが、通信傍受については除外されていないということを申し上げておきたいと思います。
○世耕弘成君 以上です。
○海野徹君 おはようございます。民主党の海野であります。 まず、大臣にお伺いしたいわけなんですが、ジョージ・オーウェルの未来小説「一九八四年」、大臣はお読みになったことがございますでしょうか。私はこの法案がいろんな過程で審議されるところを見ていまして、これをふと思い出しました。ビッグ・ブラザーがいつもあなたを見詰めているという標語で、二十世紀末の市民が常に統治者の監視の目にさらされている、そういうことを見通している小説なんです。 私も親族に警察の関係者がおりますし、県議時代幹部と大変親しくしていろいろ話をしております。警察行政はどうあるべきかということを議論しております。そういう中で、どうしても彼らの主体的な善意が膨張するという可能性が非常に感じられるんです。彼らにとっては善意なんです。しかし、ひとりよがりの善意なんです。それがどうも膨張していくのではないかな、そんな思いが非常にするものですから、この法案の危険性が私はぬぐい去れないということなんです。 これから通信技術がますます普及する中で、二十一世紀の日本、世界というのはどういうふうに発展していくのか、どういうふうな姿ができ上がっていくのか、大臣のお話をまずお伺いしたいと思うわけなんです。 というのは、一九二〇年当時と今は経済学的にある意味では似ている状況があると私は思うんです。一九二〇年というと、電力がどんどん普及してきましたし、それに伴って全国的に産業が拡大していった。外資あるいは外国からの技術の導入があって非常に日本でそういった技術的な進展が見られている、あるいは資本形成が非常になされていった。あるいはその当時から、今で言う終身雇用というような形に雇用形態が変わろうとしていた。 それと比較しますと、今日、エネルギーの問題あるいは産業を発展させる一つにこの情報通信技術という非常に大きいものがあると思う。一方では、経済的には金融ビッグバンを初めとして金融関係のイノベーションがどんどん進んでいる。あるいは労働市場の流動性を含めてその法整備がこれからますますされていくだろう。 そういうようなところがありますから、この通信技術が発展していくことによって二十一世紀の日本、あるいはあすの我々の世界というものがどういうふうになっていくのか、その辺イメージされている部分を大臣からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(陣内孝雄君) 通信技術の発展には目をみはるものがございます。そもそも、インターネットが軍事技術として導入されてから今日の拡大、あるいはEメールにしても携帯電話にしても、本当に急速な進展をしております。 そもそも、技術というのは、当初開発したときには予想できないようなものが、その後の社会経済の変化の中でさらに利用の幅が広がっていく、その利用の幅がまた技術進展を促していくというような関係だろうと思います。 したがいまして、現時点でどうこうするということは非常に予測が難しいと思いますけれども、ただ、これから先インターネットの料金の低額化とかあるいは専用線の低廉化、こういうものが行われていくことを考えますと、これから先の情報通信というのはさらに高度化していくだろうということは当然想像できるところでございます。この点につきましては、平成十年十一月九日に高度情報通信社会推進本部が決定した「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」というのがございまして、これによりますと、高度情報通信社会となることによりまして、経済構造改革が推進し、真のゆとりと豊かさを実感できるような国民生活が実現するだろう、また多様なライフスタイルの実現と新たなコミュニティーの形成、全国規模での社会構造の変化、国際化の一層の進展等が期待される、このように分析しておりますが、私も同様の考えを持っております。 ただ、そういう中で、これから本当の豊かさを実現していく一方、情報通信の中に人間性というものが埋没されてはいかぬ、また倫理というものをどう確立させていくべきかという問題も当然あわせて真剣に考慮されるべき問題だ、このように考えております。
○海野徹君 生活面、産業面でも期待されているということだと思いますが、今月六日付の毎日新聞に、NTTの宮津社長のインタビュー記事が載っています。読ませていただきますと、「電話で勝負しようというなら全然話にならない。でも、インターネット時代で国際市場も変化し、これからが戦いだ。むしろツキが回ってきた。電話はもう相手にしない。」と述べています。 こういったことからも、今後の通信手段は電話からインターネットへ移る、それが中心になる、これはもう間違いない事実。 そこで、郵政省の方に聞きますが、先進国のアメリカにおいてそれがどの程度の人口なのか、アメリカの国民何人の割合でインターネット人口が今あるのか、数字だけ教えてください。
○政府委員(天野定功君) 今、アメリカのインターネットの利用人口というふうにおっしゃったのでございますけれども、ちょっと手持ちの資料で、日本の場合は通信白書で一千七百万というふうにこの前発表いたしましたけれども、これは人口利用率でいきますと日本の場合は一三・四%です。アメリカの場合は、まだ絶対数はちょっと、計算すればわかるのかもしれませんけれども、人口の約三割、三〇%というふうに理解しております。
○海野徹君 ちょっと聞き漏らしたんですけれども、日本は幾らと言いましたか、今。それで、今後どうなっていくか、その辺の見通しまで教えてください。
○政府委員(天野定功君) 日本のインターネット利用人口につきましては、先日、郵政省が通信白書で発表いたしております。対前年比で四六・七%と非常に急速な増加でございまして、約一千七百万。これは、十六歳から六十九歳までの男女のアンケート調査によって推計したものでございまして、十五歳から六十九歳までの人口の中で今一千七百万と推計いたしております。 今後、これがどのように伸びていくのかということでございますけれども、急速な伸びが、最近二けたの伸びを続けておりますので、具体的な数字を予測はいたしておりませんけれども、今後ますますふえるであろうというふうには予測いたしております。
○海野徹君 急速な伸びということですから、具体的な数字その他もある程度推計されているかと思うんですけれども、それじゃ警察庁に聞きますけれども、これぐらい急速な伸びを示していますインターネットですから、これが犯罪に利用される、当然あるわけなんです。インターネットを使った犯罪の事例が具体的にあるかと思うんですが、その辺を教えてください。
○政府委員(小林奉文君) インターネットを利用した犯罪のうち、特に薬物犯罪について御説明申し上げたいと思います。 最近の事例、二事例の形でございますが、まず第一件目は、インターネットを使用しまして強い幻覚作用のあるLSDや大麻を密売していたとして本年一月に向精神薬取締法違反等で検挙した事件でありますけれども、この事件におきましては、インターネット上の電子掲示板にLSDや大麻を販売する旨の内容を掲示して購入者を募ります、電子メールや携帯電話で注文をしてきた客に薬物を郵送する、その上で代金を売り手の名義の口座に振り込ませる、こういった密売の事件でございます。 二件目は、インターネットで知り合った元大学院生から向精神薬等を購入しまして、それをさらにインターネットを使用して密売していたとして本年三月に麻薬及び向精神薬取締法違反で検挙した事件でありますが、この事件におきましては、インターネット上のホームページに販売広告を掲載しまして向精神薬等の購入者を募り、注文してきた客に同じように薬物を郵送し、代金を架空名義の口座に振り込ませて密売したということでございます。 こういった例が幾つかあるという実態にございます。
○海野徹君 今御説明いただいたような例がますますこれからふえていくんじゃないかと思うんですが、インターネット上の犯罪というのは非常にある意味で特徴があるわけなんです。非常に匿名性が高い、不特定多数の人間がアクセスできる、被疑者を特定するのが非常に困難だということもあるかと思うんです。 そういう問題点がありながら、最近のインターネット上の犯罪について、その捜査の端緒、被疑者の割り出し、そういうような捜査過程、どうやって着手してどうやってその犯罪を摘発していったか、その手法、その点について御説明いただきたいんです。
○政府委員(小林奉文君) この場合も薬物の犯罪について説明させていただきたいと思いますが、まず、捜査の端緒をどう把握するかということでございますが、都道府県警察におきまして違法情報の検索等を行っております。また、ネットワークに係る相談があります。そういったところから端緒を把握する。あるいは民間団体、ボランティアあるいはインターネットのユーザー等からの情報の提供がございます。こういった形で捜査が始まるという形でございます。 その場合に、現実の捜査におきまして、インターネット上のものと、具体的に薬物を売買する、あるいは売買代金を送入するという面の捜査があるわけでございます。現在は後者の方がほとんどでございまして、当該取引に係る代金振り込みや薬物の送付の状況等についてその状況を把握して被疑者の割り出しを行っている、こういう捜査の実態にあるということでございます。
○海野徹君 それで、先日の質疑にもあったんですが、インターネット上の犯罪がこれだけふえて、今いろんな捜査の手法、被疑者の割り出し、その過程という説明を受けたわけなんですが、専門的にそれに当たる方々、それはどのくらいいらっしゃるんですか。
○政府委員(小林奉文君) 具体的な数字は持ち合わせておりませんが、それぞれの都道府県警察におきましてハイテク犯罪捜査班というのが設けられておりまして、その中で、ハイテク犯罪に関する知識を持っている、特殊な技能を持っている方々が特別に捜査官となりましてそれぞれの都道府県のそういう班の中でやっているということでございます。 現在、その数を少しずつではございますが増員するように私ども努力しているところでございます。現に具体的に何人おるかということにつきましては、ちょっと手元に資料がございませんので、御容赦願いたいと思います。
○海野徹君 それでは、そういう方々が日常活動しているわけなんですが、そういうインターネット上の犯罪を取り締まるために専門家の方々は具体的にどんな対策を今講じていらっしゃるんですか。
○政府委員(小林奉文君) 捜査をやる場合に最も重要なことは捜査の端緒の把握ということでございますが、それぞれいろいろとホームページ等がございますので、その中の違法情報を検索するということをやっております。また、その違法情報がございました場合に、それに基づいてどのような違法行為があるかということで、それぞれインターネットの中での行為あるいは現実の世界での行為、こういったものにつきましてそれぞれ捜査活動を行っていく、こういった活動を行っているところでございます。
○海野徹君 それでは、若干視点を変えさせていただいて通産省の方にお伺いしたいんですが、インターネットの利用方法、いろいろ考えられています。これはコンピューターに何をつなぐかということによって大分変わってくるわけですから。Eコマース、これが非常に現実的なものになっている。この間も新聞紙上で数字が発表されておりました。アメリカの市場規模がどのくらいあるのか、あるいは日本の市場規模が何年ぐらいにどの程度になるのか、数字がおわかりになると思いますから、御説明いただきたいと思います、Eコマースについて。
○政府委員(広瀬勝貞君) 私どもの方で去年の暮れからことしの初めにかけまして民間の調査会社と共同して調査をいたしたのがございます。それによりますと、一九九八年、暦年でございますが、日本の電子商取引の市場規模は八兆七千億円でございます。それに対しまして五年後の二〇〇三年には七十一兆六千億円ぐらいになるだろう、こう言われております。 アメリカの場合は一けた大きいわけでございまして、一九九八年現在では二十一兆八千億円、一ドルを百二十円で計算して二十一兆八千億円。それに対しまして五年後の二〇〇三年には百八十六兆六千億円という推計になっております。 全体的に言いますと、日本はまだ本格的な電子商取引の発展過程にありまして、五年後、十年後には非常に大きな規模でふえていくだろうというふうに考えております。
○海野徹君 先進国のアメリカで五年後には百八十六兆円、日本では二〇〇三年には七十一兆六千億円ですか、そうなるということなんですが、これが具体的にそういう推計数字に移行していくためには、あるいはもっと大きくなるかもしれないが、そのためにどういうようなことを担保しないとこの数字というのはできてこないんですか。どういう環境整備をすればこういう数字になっていくんですか、日本の場合は。
○政府委員(広瀬勝貞君) 私どもは電子商取引を発展させていくために三つのことが大事だというふうに考えております。 一つは、この取引は民間の皆さんがやるわけでございますから、民主導でぜひやってもらいたい。 第二の原則は、それにしましても国の環境整備みたいなことが必要でございますから、それはしかし必要な最低限度のことで、できるだけ民間の活力を活用していきたい。 三番目は、これは国際的な取引になるわけでございますから、国際協調が大事だというふうに考えております。 そういう中で、国がやるべきことはいろいろございますけれども、一つにはこの電子商取引を安全に行うためには暗号技術等が非常に重要なポイントになります。そういうものを利用して、取引の相手が真に本人であるかとか、あるいは中身を改ざんされないようにするというようなことが大事でございまして、そういう安定的な発展を図るための基盤整備。 それからもう一つは、本人であることを確認するための電子署名とか電子認証の制度を持っていること。それから、普通の取引と同じでございますけれども、しかし電子商取引という新しい形態を使いますから、特に消費者保護について十分な配慮が必要だと。それから、情報が電子商取引の中で非常に広く頒布されるわけでございますから、個人情報の保護ということが大事ではないかというようなことで、そういったことを中心に国としては環境整備をやっていく必要があるというふうに考えております。
○海野徹君 今、暗号技術が非常に重要である、国の環境整備の中で個人情報の保護、これも重要であると、これがお答えにあったわけなんですが、暗号技術のことについては後ほどまた質問させていただくとして、今通産省の方からそういうような説明がありました。 法務省の民事局長にお伺いしたいんですが、こういったインターネット上の取引、電子マネー、電子決済、Eコマースに関連して、法務当局としてはどういうような今検討を行っているんですか。
○政府委員(細川清君) インターネットを利用した私人間の電子取引等の円滑、安全を図るために、私どもでは専門家から成る電子取引法制に関する研究会を設けまして、ここで民事基本法上の問題点を検討するとともに、この研究会の報告書を踏まえて、商業登記制度に基礎を置く電子認証制度について早期に運用を開始することを目指して、現在システムの開発研究を進め、あるいは法制化の検討をしているところでございます。
○海野徹君 その辺の報告はいつごろ出てくるわけなんですか。
○政府委員(細川清君) これは既に公表してございまして、必要ならいつでもお届けいたします。
○海野徹君 それでは、その報告をいただきたいと思います。 それでは、暗号問題に入ります。 これは通産省と郵政省の方にお聞きしたいんですが、Eコマースをインターネット上で行う、非常に暗号技術の問題が重要になってくるという話がありました。これはセキュリティーの問題ですから、当然暗号を使用せざるを得ないわけです。この暗号技術の開発について今取り組んでいられるとしたら、その辺の取り組み状況をお答えいただきたいわけです。 また、現在の技術レベルで暗号が使用された場合、それを手がかりにして解読するということは技術的に可能なのかどうか。その辺についても両省から御説明いただきたいと思います。
○政府委員(広瀬勝貞君) 先ほども申し上げましたように、暗号技術というのは電子商取引の健全な発展のためにも非常に大事なキーになる技術だということで、私どもは情報処理振興事業協会を中心に民間に資金援助をしながら技術の開発をやらせていただいているところでございます。 それから、暗号技術の現在のレベルについての御質問でございましたけれども、暗号の解読については、暗号の設計といいますか、アルゴリズムと言っておりますが、これに弱点がある場合は別として、そうでないときには基本的には、暗号がありますと、考えられるかぎを総当たりして解読していくということになるわけでございます。したがって、そのかぎの長さが長ければ長いほど暗号はなかなか解読しにくいということになるわけでございます。また、解読するときに用いるコンピューターの技術、レベルというのもありますから、一概にこのレベルで暗号が解読できるのかできないのかと言うことはなかなか難しいわけでございます。 ひとつ御参考までにでございますけれども、今広く利用されております暗号の方式に、DESと言っておりますが、その五十六ビットの暗号というのがございます。それにつきましては解読のコンテストが行われておりまして、本年一月に行われました解読のコンテストでは、これを解読するのに二十二時間十五分を要しております。費用も二十五万ドルぐらいかかっておるというようなことでございまして、今のDESの五十六ビットというのは既に国際的にも自由に取引されているレベルでございますけれども、それでも二十二時間ぐらいかかっておるということでございます。 しかし、これは技術開発が非常に急速に行われておりまして、この二十二時間に至る前、九七年一月には同じ暗号を解読するのにコンテストでは九十六日かかっておるわけでございます。これが実に二年の間にこれだけになってきたということで、大変技術進歩の激しい分野でございまして、暗号をつくる方も解読する方もそういった中で懸命の努力をしておるというような分野でございます。
○政府委員(有村正意君) この暗号技術の関係につきましては、二つの側面から技術開発を進めていかなければならないわけでございます。一つは、一層解読が困難になるような暗号技術の高度化でございます。それからもう一つは、最新の技術を用いました際に暗号化された情報がどの程度の時間あるいはどんな装置で解読可能かといったような技術的な暗号の強度、これを評価する技術、この両方が必要でございまして、そういった面におきまして、郵政省といたしましては、一つは平成七年度から通信・放送機構の横浜リサーチセンターにおきましてこの両面の研究をしております。 具体的に申しますと、一つは、解読されにくい暗号化技術、それからもう一つは、データの送信者が当事者本人であることや通信データの改ざんがなされていないことなどを確認、判別する認証技術でございます。それからもう一つは、機密情報が流出するのを防ぐため、アクセスする権限のない人を排除するアクセス制御技術、こういったものにつきまして研究開発を進めておりますけれども、なお通信総合研究所におきましても、さらに基礎的な新しい技術につきまして研究開発を進めていくべく今準備をしております。
○海野徹君 DESの五十六ビットでも二十二時間かかる。私もインターネットのセキュリティーというものの専門誌を読んだんですが、大変早い形で暗号化を強度にする技術も進んでいますよね。解読するのも競争しているわけなんですが、非常に難しい、要するに時間がかかる問題だなと思っています。 それでは警察庁の方に聞きますが、こういうような技術がどんどん進んでいる、そういった中で、今までメールボックスなんかで押収したものがあるんではないか、インターネットの関連犯罪の中で暗号技術が使用された事例というのはありますか。あったら教えてください。
○政府委員(林則清君) ただいまお尋ねのインターネットを利用した犯罪で暗号を使用しておったという事例については私は承知をしておりませんけれども、例えば、これは参考になると思いますが、平成七年中に検挙された一連の例のオウム真理教事件、このオウム真理教関連事件におきましては、押収した光磁気ディスク、それからフロッピーディスク等に保存されていた自動小銃の設計図等の電磁的記録に大変高度の暗号化の作業が施されておった事例、それから平成八年七月に検挙された山口組傘下組員らによる逮捕監禁事件において、押収されたコンピューターに保存されておった同傘下組織にかかわる情報の電磁的記録に暗号が施されておった事例を承知しております。 そういう意味で、御指摘のように、インターネットの利用というものの通信がどんどん発展していくに従いまして、犯罪に関連した通信が暗号化されるという状況は当然想定していかなければならぬものというふうに考えております。
○海野徹君 オウムのことを言われたわけなんですが、解読したという実績を今おっしゃったわけなんですね。だけれども、それがフロッピーディスクだと。たまたま道交法違反で捕まえたら、それが信者だった、その信者が持っていた持ち物の中から全部割り出したというようなことを私は聞いたわけなんですが、そうしたら、通信傍受というよりも、やはり地道な真正面からの捜査活動の中で結果的に暗号が施されたものが解読されて一連の捜査につながっていった、それは間違いないですね。
○政府委員(林則清君) 今の御指摘の事例につきましては、通常押さえたものの中にそういう犯罪関連のものが暗号化されて存在したということであります。
○海野徹君 そうなりますと、やっぱり通信傍受というよりも、地道にこつこつと正面からやっていった方が、足で稼いだ方がいいんじゃないか、そういう捜査の方がすぐれているんじゃないかということになりませんか。
○政府委員(林則清君) 今は過去の事例を申し上げただけでありまして、今後犯罪がこういう通信手段の発展によって非常に進んでいくということにつれまして、過去やっておりましたそういった捜査技法、それに加えて傍受をしなければいけないという事例は今後どんどん出てくるものというふうに思われますので、議員おっしゃるように、もう通信傍受はいいではないか、過去オウムもそうであったじゃないかと。結果的にそうではありますけれども、それだから通信傍受は必要ないということは言えないだろうというふうに考えております。
○海野徹君 それでは、ちょっと違った聞き方をしますけれども、暗号のかけられたEメール、こういうものの暗号解読というのは非常に技術的に可能性が低い、不可能じゃないかというようなことになったとき、暗号が使われたものを例えば傍受した、でも解読できない。となると、この法案そのものが全く欠陥だらけじゃないかと思うんですけれども、刑事局長、どうでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 暗号の解読の問題というのは、確かにその暗号化の技術あるいはそれを解読する技術それぞれが競っている状況にございます。 ただ、先生の今の御質問は、暗号を解読できなかったらという前提でございます。捜査機関としては、その解読に努める、そのための技術あるいは装備、機材、場合によりますと、必要によっては専門家の援助を得ること、鑑定等という捜査手法を用いることになっていますが、そうした方法を駆使するということでこれに対抗していくということでございます。 この法案の十三条の第二項は、まさにそういったことを想定してその傍受の仕組みそのものを書いているというふうに御理解いただきたいと思います。
○海野徹君 十三条第二項に速やかな該当性判断を行うことが盛り込まれているわけなんですけれども、どうも立法過程でこのインターネット、特に暗号化された通信というものについて想定していないんじゃないかなと思うんです。いろいろ物理的に、例えばパソコンを押収したとしても、そのパソコンのハード自体に暗号がかけられていた、そうしたらかぎがなければ絶対に暗号を解読できない、そういうことも想定されるんです。もう彼らは要するにその道のプロですから、そういったことをどんどんやってくると思うんです。そういうことまで想定してこの法案はつくっていますか。
○政府委員(松尾邦弘君) 二つ申し上げたいと思います。 一点は、先ほど警察庁の林刑事局長からも、既に既存の捜査手法の中でも暗号の解読の問題というのが出てまいったということを申し上げました。それを解読した上で捜査の有効な資料としたということでございます。 それからもう一点は、一九九六年に、いわゆるリヨングループという国際的なハイテク犯罪のための上級専門家グループというのがございますが、ここで非常に高度の国際的な組織犯罪に対するハイテク面でのいろんな対策を講ずるということがございました。 その中でも、暗号の問題をどうするかということについてはいろんな議論が既になされております。つまり、国際的にもそういった議論がありますし、そういったことは当然この法案の立案過程ではにらみながら法案の作成に当たっているということでございますので、今言った事態を想定していないんじゃないかというのは当たらないということでございます。
○海野徹君 暗号政策のことについては今刑事局長の方からお話がありましたから、それでは質問させていただきますが、通産と郵政の方にお聞きします。 通信傍受法案によってインターネット通信がある意味では無差別に傍受される、そういう危険性があるんです。そういった場合、七十一兆円というようなものが想定されるわけなんですが、この法案というのは、結果的にそういうEコマースみたいなものを、こういった情報通信関連の産業全体を拡大させるということについてはその阻害要因になるのではないか、そんなことを感じるんですが、どうでしょうか。
○政府委員(広瀬勝貞君) 実は、今先生御指摘のような問題は国際的にも大変大きな問題になっているわけでございまして、OECDのガイドラインというのがございます。そこで、暗号についてユーザーがいかなる暗号手法も選択することを広く認めるべきだとか、そういった暗号の利用を皆さんに認めるべきだという原則も明らかにしながら、他方、国の暗号政策として、暗号化されたデータの平文とかあるいは暗号かぎへの合法的なアクセスを認めるということもまた書かれているわけでございます。 暗号につきましては、大変技術進歩の激しい分野でございますので、そういう中で、自由な利用ということと、それから国の政策としての必要性ということをともに満たしていくような努力が今から必要なんだというふうに考えておりまして、そういった意味で、今御指摘の法案についてはいろいろ配慮されたものではないかというふうに考えておるところでございます。
○政府委員(天野定功君) Eコマース、電子商取引につきましては、当事者同士が対面しない商品の受発注や決済といった重要な情報のやりとりをネットワーク上で行うわけでございますから、通信の相手方が本人であることや通信内容が途中で改ざんされていないことを確認することが必要であります。 そこで、電子文書における電子署名とかあるいは電子認証、こういったものが電子商取引の安全、信頼性を担保する手段として有用な技術であり、実際の取引活動においても既に利用されているものと承知しておりますけれども、このような電子署名や電子認証につきましてその法的な基盤を確立するために、郵政省では関係省庁と協力しまして、本年度中に制度整備に着手することが本年の四月に決定されました高度情報通信社会推進本部のアクション・プランにおいて決定されております。 そういった場におきまして、私どもは、電子商取引の安全、信頼性確保の観点から、関係省庁と協力しながら、電子文書におきます電子署名、電子認証に関する制度整備に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○海野徹君 両省の大変苦しい御説明があったわけなんですが、何となく印象としてわかるわけなんですけれども。 九七年三月にOECDで暗号政策のガイドラインが採択されている。警察庁で情報セキュリティ調査研究報告書が出されたのが九七年四月。情報セキュリティビジョン策定委員会の報告書、これが九八年三月。どうもそのあたりで暗号政策のこと、あるいは暗号をどうするかということが非常に議論されているわけなんです。 もう時間がありませんから、どうしても聞いておきたいんですが、メールの通信傍受にしろ押収、捜査にしろ、暗号がかけられた場合、捜査が進展しないという状況が出てきた、あるいは将来インターネット上で暗号技術に関する何らかの問題点が出てきたら、暗号については規制する、そういうような考えはありませんよね。パキスタンなんかでは電子メールは規制化しているわけなんですが、その辺について、暗号政策をどういうふうにこれから考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
○政府委員(松尾邦弘君) まず申し上げておかなければいけませんのは、この法案自体は暗号による通信を規制するものではございません。したがって、暗号に対してどうするというような姿勢を、この法案の中ではそれには関係していないというふうにまず申し上げておきたいと思います。 暗号の問題というのは、先ほど各省の御答弁にもありましたけれども、一面でプライバシーの保護あるいは取引の保護等に非常に有用、有効な手法であると同時に、OECDのガイドラインの中でも触れられておりますように、一たびこれが犯罪に悪用されますと、治安等に対しまして犯罪捜査に非常に悪影響を及ぼすという両面を持っております。そういったことでございますので、先ほどのリヨングループでも議論がされておりますし、各国でもこれをどうするかという問題は今議論している最中でございます。 我々としても、今指摘しましたような両面の問題があるということを踏まえながら、各国の議論あるいは国際的な議論等を参考にしながら、国内でもいろいろな議論がこれからなされるべき事項であろうかと思っている次第でございます。
○海野徹君 それでは今の刑事局長の答弁は、暗号技術に関しては何らの規制を考えていないということで理解してよろしいですか。
○政府委員(松尾邦弘君) 現在、暗号についての規制をするということは考えておりません。
○海野徹君 それでは、もう時間がないので、最後に大臣にお聞かせいただきたいんですけれども、これは東京大学の石黒教授が分析しているんですが、OECDの暗号政策のガイドラインが採択された、これはこういうことを言っているんです。アメリカは、表向きテロなど国際犯罪の阻止策、国境を越えた脱税の防止策として国際的暗号政策協調を訴えているようだが、アメリカの真のねらいは、電子マネー技術の心臓部とも言える暗号技術を握ることで引き続き二十一世紀においても米国の手で金融市場を押さえ、経済覇権を握ることにある、こういうような分析をされているんです。 こういうことをOECDの暗号政策のガイドラインとして採択しているんです。ある意味では、アメリカの情報覇権主義とかかわる形でこの通信傍受法案が使われていってしまう、あるいは検討されてきた、そういうようなことはございませんね。
○国務大臣(陣内孝雄君) 御指摘のアメリカの覇権主義というお話でございますけれども、どういうことなのか、ちょっと意味しているところが私には理解しにくいわけでございます。 いずれにいたしましても、この通信傍受法案というものは、具体的な犯罪行為が既に行われた場合にその捜査として行うものでございまして、いわゆる情報収集の手段として行うものではない。また、アメリカ合衆国の暗号政策等には何らかかわり合いを持つものではない、このようにも考えるわけでございます。 しかも、傍受の対象となる犯罪が、しばしばここで御説明申し上げますように、薬物関連犯罪とかあるいは銃器関連犯罪、組織的な殺人、それから集団密航の罪というふうに非常に限定されて、しかも厳格な要件のもとに裁判官の令状に基づきまして適正な手続に従って実施されるものでございますので、我が国の通信政策を害するというふうには考えられません。まして国家主権を侵害するというものでもないというふうに考えております。
○海野徹君 それでは、最後にもう一度大臣に聞きますけれども、これはCIAも言っているんですよ、アメリカの国家安全保障上の問題だからと、この通信傍受法案を。要するに、関与しているということを答えているんです。インターネットで調べたらわかりますよ、報告書が出てきますから。 さらに教授は、アメリカはこうした高度な国家戦略に基づいて暗号政策を推し進めているので、国際捜査共助の美名に乗せられてその政策に不用意に同調した場合、日本の当局が盗聴する背後で、米国政府が自国からそれを盗聴するという構図も将来当然予想される、こういうことまで指摘しているんですよ。 そこまでアメリカは、情報覇権主義を唱える中で、政策を遂行する中で考えているんです。それに対して、ちょっと気構えというか、政治家として姿勢が、その辺は余りにも私は問題があり過ぎるんじゃないかと思うものですから、いま一度大臣の答弁を求めます。
○国務大臣(陣内孝雄君) せっかくの御指摘でございますけれども、ただいま申し上げましたとおりでございます。
○海野徹君 もう時間がありませんから、終わります。
○大森礼子君 公明党の大森礼子です。 民主党の海野委員が冒頭でジョージ・オーウェルの「一九八四年」という小説に触れました。非常に懐かしく思いました。実は私が大学一年生のときに教材であったのがこのジョージ・オーウェルの「一九八四年」でございます。ただ、その「一九八四年」、善良な市民が監視される社会になるのではないかという御懸念からこの本を挙げられたのかもしれませんけれども、これはたしか私の記憶では、共産主義社会への警告という趣旨でジョージ・オーウェルが書いていたと思います。一九七二年には卒業しましたけれども、一九八四年、こんな恐ろしい時代になるのだろうかなんて思いながら無事に一九八四年を過ごしてほっとしたという記憶がございます。 私は、犯罪集団を監視する、こういう手段としてこの通信傍受法案をとらえております。 質問に入りますが、実は、きょうは通告しておりましたが、急遽予定を変更させていただきます。朝通告して申しわけございませんでした。 実は、きのうの夜、テレビをつけました。TBSです。そうしたら、「ニュース23」ですか、その場面に出会いました、たまたまつけたんですけれども。そうしますと、アメリカとの比較ということで、通信傍受法の特集をしておりました。これは途中から見たんですけれども、神保さんとおっしゃるんでしょうか、ジャーナリストの方なんでしょうね、その方と筑紫哲也さんが話をされておられた。 それで、私が見始めたところは、要するにアメリカのワイヤータップ・レポートから数字が引用されておりまして、要するに二百三十万件、件というのはこれは通話数なんですね、スポットモニタリングにとどまったものも含むという趣旨ですが、これだけのうち八割が犯罪と無関係の市民の通話であったと。これがまた相変わらず繰り返されておりました。 前々回でしょうか、私はこの点について質問いたしました。アメリカの制度と比較する場合には、外国の制度と比較する場合には、制度が同じであるという前提でなければ比較にはならない。そこで、犯罪対象が同じなのか、立会人制度があるのかないのか。それから傍受期間、アメリカの場合には三十日まで、延長も三十日まで、この延長には制限なしと。立会人がない。傍受対象も広い。こういうふうに理解しております。 それから、数字の読み方にしましても、傍受された通信のうち二割が有罪を示すものの平均数と、このワイヤータップ・レポートに書いてあります。その裏として八割が犯罪に無関係な善良な市民の通信であった、こういうふうにおっしゃる。そのことに疑問を持って私は法務省の方に質問したわけでございます。それにもかかわらず、また同じことが繰り返されておりまして、何か質問したのもむなしいなというような印象を持ちました。 それにしても、何かちょっと変だなと思いまして、そのときからビデオを入れました。したがいまして、これから述べることは、一〇〇%正確ではありませんけれども、反訳しておりますので再現することができます。それについて質問いたします。 まず、このジャーナリスト、神保さんという方と筑紫さん、日本の法案の問題点としてボードに三つ書かれてございました。令状発付の条件、最小化措置、報告義務、この三点です。そして、それぞれについて触れていかれたわけです。 まず、令状発付の条件として、この神保さんという方は、アメリカでも却下率は〇・一%以下と低いんだと。じゃ、歯どめになっていないかというとそうではなくて、傍受令状を請求する前提としてかなり厳しい基準があるんだということで、ニューヨーク州警察のデリーニーさんという部長さんにインタビューした部分が出ておりました。 そこで、デリーニーさんが、令状を請求する場合には、これまでどのような捜査方法を試みたか具体的に説明し、なぜその捜査では犯罪を立証できなかったのか、盗聴すればどのような証拠の入手が期待できるのか等を百ページを超える陳述書で一つ一つ具体的にしなくてはいけない、こういうインタビューが出ました。 それで、その後にこのレポーターと、ちょっと神保さんのことを言わせていただきます、日本ではおそれがあるというだけで令状が申請できる、申請したら出ちゃうと。要するに、日本のものは歯どめがきかないんだと言うんですね。おそれがあるというだけで令状が申請できるわけないじゃないかというふうに思ったんですけれども。 法務省、ここのところ、日本ではおそれがあるというだけで令状が申請できるのかどうか、これ、簡単で結構ですからお答えいただきたいと思います。
○政府委員(松尾邦弘君) 実は、私もそのテレビを見ておりまして唖然としたものでございます。 まず、令状の要件でございますが、これはもう何度も御説明しております。諸外国の例と比べましても、例えば、アメリカは逮捕状と同じ相当な理由があれば傍受令状が出るわけでございますが、日本はさらに厳格な十分な理由ということを挙げておりまして、この点からいいましても、アメリカよりも極めて厳格な、間口が狭い、あるいは抑制のきいた令状請求の要件を掲げているわけでございます。そのほかにも、何度も繰り返して、いろいろな厳格な要件、手続が設けられているということを申し上げてきました。 こういった点からいいましても、おそれがあるだけで令状の申請ができるという放送自体は、全くその前提について誤った、全く初歩的な誤りがある。 そのほかにも何点か誤りがございますので、法務省としては、この報道に対して訂正の申し入れを即刻行うつもりでおります。
○大森礼子君 日本で、おそれがあるというだけで令状申請ができる、これは次に生じたショックに比べればまだ小さい方なんです。 それから、いろんな陳述書、これは、日本の場合でも疎明資料というのを出しますので、事案によりましては百ページを超えることだってあるだろう、こういうふうに思います。 驚いたのは、次の最小化措置ということです。スタジオの方でこういう発言がある。ここは重要なのでしっかり説明したいとスタートするんですね。余分な会話を聞かないという最小化措置が日本でもアメリカでもあるけれども、日本の法案では、録音が終わっても聞いてもいいということになっている、法案ではなっていると言うんですね。私は、ずっとこれに携わってきまして、えっ、こんなことを見落としているはずないんだけれどもと思ってびっくりしたわけなんです。 これを前提としてインタビューをしているんですね、あのデリーニーさんという部長に。そして、このインタビューのところでは、時間の関係がありますからデリーニーさんのことは省略しますけれども、要するに、盗聴開始と同時にテープ録音する、それから数十秒間、捜査官が聞いて関係ないと判断したら法律で決められた最小化措置としてスイッチを切る、テープ録音がとまると同時に通話を聞くことができない状態となる。要するに捜査官が聞いた会話はすべてテープに入るということなんです。 そうしたら、このレポーターが対面してデリーニーさんに言うんです。日本の法案では録音がとまっても音を聞くことができますと言うんです。こんなことを言われたらびっくりしますよ。こうおっしゃっている。それではどれだけ聞いたかわからないわけですから、傍受したら絶対録音しなきゃいけない、これは当たり前のことです、こう聞かれたら。 誤った前提を差し込んで、それから答えを引き出す、これは、刑事訴訟法の尋問なんかでも誤導尋問といって一番やっちゃいけない尋問なんですね。フェアでない。誤った前提をしてどうですかと意見を聞いたって、正しい答えは出てくるわけないんです。 それから、場面がスタジオに移る。そして、レポーターの方が、何をしたか記録が残らないとやっちゃうのは当たり前、これは信用するしないじゃなくてだれでもやっちゃうということで、傍受したら絶対録音しなきゃいけないということを言っているわけですねと、こういうことがあるんです。 これは悪意ではないと思います。多分、不勉強なんだろうと思います。この点、非常に大きな間違いだと思うんですが、法務省、いかがでしょうか。明確にお答えください。
○政府委員(松尾邦弘君) まさに初歩の初歩のところについて全く誤った理解であるし、アメリカのその担当者に対して極端な誤導をしているということだと思います。 テープがとまってもその後聞けるということはありません。つまり、これまでも繰り返し説明しましたが、聞いたことはすべてテープに入る、テープがとまった後は傍受ができないというような仕組みの中で傍受をするということです。この点はもう全く明確でございます。
○大森礼子君 もう少し詳しく聞くんですが、十九条に「傍受をした通信については、すべて、録音その他通信の性質に応じた適切な方法により記録媒体に記録しなければならない。」と。「傍受をした通信については、すべて、」と書いてございます。それで、この「傍受をした通信」ですが、一方で十三条に「該当性判断のための傍受」、これが規定されてございます。ある人が、スポットモニタリングという言葉について、この法案にはモニタリングの規定なんかないと言っている人がいましたけれども、これがその規定だと思うんです。そして、この十三条の一番最後にも「当該通信の傍受をすることができる。」と、「傍受」という言葉がございます。 したがいまして、当然、該当性判断のためにスポットモニタリングをして聞いた部分、傍受した部分、これも十九条の「傍受をした通信」に入ると私は理解しておりますが、それで間違いありませんでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 御指摘のとおりでございます。 テレビの発言で、アメリカの担当者も、スポットモニタリングをアメリカはやっておりますが、我々の法案の中にあるやり方と全く同じことを言っておりました。その点は同一でございます。
○大森礼子君 要するに、これが一番大きな間違いであろうと私は思うんです。 この前、立会人のところで、常時立ち会いとした意味について私は質問いたしました。つまり、もし常時立ち会いでなくてもいいとなりますと、例外的に立会人がいなくてもいいと認めますと、立会人がいないときにどういう捜査をするかわからない、これは外形的でもですけれども。 ですから、六十分実際傍受しても、でき上がっている記録は四十五分かもしれない。常時立ち会いにすると、外形的かもしれないけれども、六十分傍受したら、実際耳にしたら六十分のテープができ上がる。それによって、事後チェックになりますけれども、変なことをしていないという、これが担保できるのですねと質問したわけですが、この理解でよろしいですね。イエス、ノーで結構です。
○政府委員(松尾邦弘君) そのとおりだと思います。なお、立会人の制度はアメリカにはございません。我が国では立会人を設けるということで、その点だけでも手厚くなっているということだと思います。
○大森礼子君 この説明を聞きますと、日本の法案の問題点、令状発付の条件、これもちょっと誤解があると思いますので、これが一つクリアできるのだろう。 最小化措置、ここで問題点として挙げていますが、アメリカと同じ、これもクリアしたことになりますね。むしろ、クリアすることによって肯定的になるのかなという気もするわけです。 それからもう一つ、報告義務のところで、アメリカでは情報公開の基準がある、捜査官にとっては非常に厳しい制約となっていると。報告書が出される、つくられるので、それによって捜査官が変なことをしていないかのチェックになる。これも事後チェックということだと思います。 時間の関係で詳しく触れられないんですけれども、また、デリーニーさんという部長が出て、どういうことを書くか、令状発付した裁判官の名前、盗聴期間、対象犯罪、盗聴方法、通信数、犯罪関連通信数、逮捕者数、有罪者数とか経費とか、これはワイヤータップ・レポートにも数字は出ているわけなんです。それで、デリーニーさんのインタビューが終わって、その後で、このレポーターの方が、いや日本の法案でもこういうのがあるんですよと言うのかなと思ったら、実は法案の二十九条のことに全然触れないんです。もしかしたら中身は多少違っているかもしれませんが、法案二十九条で「国会への報告等」の規定があるわけです、一応形としてと言ったら変ですけれども、中身はまたいずれ質問します。そして、デリーニーさんが言ったものとほとんど重なっているわけです。 日本の法案にもこういう国会への報告義務があるということに触れなかったら、知らない人は、この三点目の報告義務のところを聞いて、アメリカではそうなっているのか、日本にないのはおかしいじゃないかと、こういうイメージを与えるのではないかなというふうな気がいたしました。これは私そんなに悪意にとりません。ここの部分についてはもしかしたら時間がなかったのかもしれません。 それで、この方はアメリカの教訓として、一たん合法化されると権限は拡大する、歯どめがあっても乱用は起きると。一般論として私はそれはあり得るだろうと思うんです。否定するつもりはありません、そうしちゃいけないと思いますけれども。 それで三番目に、日本の法案の歯どめは問題がありと、こう締めくくっているわけで、その中身については詳しくお触れになりませんでした。三つの例を挙げて歯どめは問題があると言うのですけれども、問題として挙げたところが問題ありとなったわけでございます。 私は、悪意で間違ったことを流せば後でわかるわけですから悪意でとは思わないわけですが、あるいは見落とされたか、あるいはどなたかに聞いたら、その方から誤った情報が入ってきてそういうふうに思い込んでしまったのか、それはわかりません。大切なことは、やはりマスメディアの影響というのは大きいですから、正しい事実を国民の方にまずお伝えする、正しい情報をお伝えする。そういう正しい認識なくして評価というのはできませんので、ここを私は非常に残念に思うわけです。 TBSを責める云々ではなくて、やはり間違っているところは間違っているとして、訂正を申し入れるなりされたらいかがかと思うんですけれども、法務省はどのようにお考えでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 三点理由を挙げて、この法案について不十分であるという報道でございましたが、法務省としては訂正の申し入れというものを行いたいと思います。 また、三点目の、アメリカではいろいろなワイヤータップ・レポートということで報告をするんだということに対しまして、報道の中では、この法案の二十九条で国会への報告義務がございまして、我々としてはアメリカのワイヤータップ・レポートなども参考にしながら、ほぼ同じような事項についてかなり十分な報告をしたいと考えておるのですが、その点に何も触れなかったこともやはり問題があるのだろうと思います。その点もやはりTBSに対する申し入れの中では触れておきたいなと思っております。
○大森礼子君 その訂正によって三点の問題点がクリアできれば、これは逆にいい法案だということにもなりますので、ぜひしていただきたい。 時間の関係で、最後に一つ。 新聞の投書欄の記事を一つ読ませていただきます。七月四日の山陽新聞、地元の新聞なんですが、八名の方が通信傍受について意見を出して、賛成、反対、四人ずつです。非常に平等な扱いをしております。その中の一人、「法案成立で生じる利益大きい」という見出しですが、二十三歳の公務員の方がこういう意見を書かれております。読ませていただきます。 通信傍受法案が成立しようとしている。国家による一般人への盗聴の不安が懸念されているが、果たして廃案にすべき法案だろうか。 通信傍受法案への批判の大半が自分の通話を盗聴され、人権が害されるといった趣旨のものである。しかし、それをいうなら公権力を行使する者すべてを信用できないことになる。警察官による誤認逮捕も確かに存在する。しかし、当然ながら正当な逮捕の方が圧倒的に多い。公権力を行使するのが人間である以上、ミスが全くないということは残念ながら存在しない。 反対にミスを恐れて公権力の行使が行われない状況を考えてみたらどうだろうか。通信傍受法案を批判する人たちは、この法案が成立することによって生じる利益についてはほとんど論じていない。凶悪な組織犯罪に対抗するのに甘い対策で効果はあるのか。 この後はちょっと省略させていただきます。最後に、 悪行には悪行(盗聴や拘束)をもって対抗すべきだ。警察官は善人から慕われるべきだが、悪人からは慕われるべきではない。通信傍受法案を否定することは悪人にとって甘い状況を存続させることになるのではないだろうか。 こういう投書でございます。そのまま読ませていただきました。 また、別のところではこういう意見もあります。 この法案の論点は、人権の保護と犯罪防止をてんびんにかけて、どこに支点を置くかという問題にほかならない。 私はまさにそのとおりであると思います。 廃案を目指す、こういうお考えもありまして、そのとおりに行動されている党もございますけれども、そうであるのならば、組織犯罪対策をどうするのか、薬物犯罪対策をどうするのか、これについて答えを出すべきではないでしょうか。 国民の生命、身体、安全を守る、これは国会議員の仕事でございます。そして、国民の生命、身体、財産、これも考えなくてはいけない大きな人権であると考えます。 時間が来ましたので終わります。以上です。
○橋本敦君 最初に私は、保坂衆議院議員とテレビ朝日の記者との通話が何者かに盗聴されたおそれがあるという重大な問題について、大臣にお伺いしたいと思うのであります。 この問題は、一つは、テレビ朝日の調査によりますと、この通話が傍受されたのは国会内にある記者クラブであったということ。つまり、国権の最高機関である国会内の電話が何者かに盗聴された疑いがあるということ。そしてもう一つは、何よりも大事な言論の自由を尊重する報道機関のそういう通話であるという問題。そして三つ目には、国会議員の国政調査権にかかわるという問題であります。 そういう意味では、この問題は何者が何のためにやったのか、そういったことも含めて、事実の解明というのは極めて重大な緊急の課題だと思います。徹底的に厳正な捜査と解明が必要だと思います。 法務大臣の所見はいかがでしょうか。
○国務大臣(陣内孝雄君) お尋ねの件につきましては、東京地方検察庁において保坂議員からの告訴を受理し、捜査中であるものと承知いたしております。この件につきましては、検察当局におきまして適宜適切に対処するものと考えております。
○橋本敦君 国会の中のことですから、いきなり捜査といっても議長のもとで院内の警察権の行使ということの関係で重大な制約がありますから、そういう意味では議会の議長及び機関と適切な協議の上で、しかも厳正な捜査を検察庁としては絶対に速やかに行うという決意で臨んでいただきたい。 刑事局長、いかがですか。
○政府委員(松尾邦弘君) 捜査につきましては、今大臣から答弁申し上げたとおりでございます。 法務省としましても、法案を提出しているという立場がございますので、今回の事件につきましては、技術的な側面も含めましてそれなりに独自の調査も行っているところでございます。
○橋本敦君 国会は国会独自として調査をする責任とまた権限があると思いますから、国会も調査をすることになるでしょう。この問題での厳正な調査を要求して、きょうは次の質問に移ります。 次の質問は、十三条にかかわる必要最小限度の範囲で行うと言われておりますいわゆる事前試し聞きの傍受の問題であります。予備的盗聴という言葉でも言われておりますでしょう。 この通信傍受法案、いわゆる盗聴法案の市民にとっての第一の重大な危険性は、まさにこの部分から発生するわけです。なぜなら、電話というものは被疑者を特定し、また電話を特定しても、その電話には多くの友人、市民から、関係市民団体から、あるいはときには政党関係者であれば政党の後援会その他から、今日の市民社会における複雑なそういうコミュニケーションのすべてから電話がかかってくる可能性があるわけです。 だから、そういう意味では、本来、傍受すべき電話そのものを特定すること自体が、まさに令状で具体的に特定することが極めて難しいという条件がある上に、電話というものは聞いてみなきゃわからぬという本質を持っているわけです。だから、そのために十三条で今私が指摘をしたまさに該当性判断の傍受ということが許されるということにならざるを得ないという規定になっていると思いますが、趣旨はそういうことですね。
○政府委員(松尾邦弘君) おっしゃるとおりでございます。
○橋本敦君 まさに、そこに憲法二十一条とのかかわりにおいて重大な市民の権利が侵害されるという危険性がまず第一に出てくるわけであります。 私は、資料を配付させていただきましたから、その資料に基づいて法務省にお伺いをいたします。 アメリカのいわゆるワイヤータップ・レポート、これによりますと、一九九五年、この年度を一つの例として挙げておりますが、それ以下の一九九八年までのものがインターネットで取り得ましたので、それもつけておきました。 これによりますと、一つ明らかなことは、この実施された通信傍受というのが年々増加しているということであり、例えば一九九四年には一千件を超える、そして一九九八年には一千二百四十五件になるというように、年々増大している。この事実は間違いありませんね。
○政府委員(松尾邦弘君) 今いただきました資料の数字は、まさにそのようになっております。
○橋本敦君 そこで、表の三を見ていただきたいのですが、このアメリカのワイヤータップ・レポートから試算をして整理いたしますと、一九九五年に通信傍受を請求された件数は一千五十八件、そして却下されたのはゼロであります。一九九八年は請求件数が一千三百三十一件で、却下されたのはたった二件であります。 そこで、実施された通信傍受件数ですが、これは一九九五年には件数として一千二十四件、傍受された平均通信数は一件当たり二千二十八件、こういうように記録されておりますから、傍受された通信の総数は何と二百七万七千件に及んでいます。一九九八年には二百三十一万三千件の通信が傍受をされている。 こういう報告の記載があることは、局長、これも間違いありませんね。
○政府委員(松尾邦弘君) 数字は間違いないと思います。
○橋本敦君 そこで、二百万を超える通信が傍受をされる。一体そのうちどれだけが有効に刑事手続に利用されたのであろうか。いわゆるその問題について言うならば、表で言うところの傍受された通信のうち、有罪を示すものの平均数というのが書かれてあるわけであります。それは資料にございますが、その有罪を示すものというように書かれた以外、つまり有罪を示さないものとして出された数字が一体どれぐらいあるかを示してみます。 表三にありますように、有罪を示すものでない平均通信件数は、盗聴一件当たり千五百六十九件に及んでいるのが九五年。そういう意味で有罪の証拠とならない通信総数を計算してみますと百六十万六千件に及んでいる。だから、これは盗聴、つまり通信傍受をされた総数の中で七七・四%に及びます。九八年になりますとさらにそれがふえて、何と八一・二%が有罪の証拠とならない通信、こういうことで統計に出てくるわけであります。 これも間違いありませんね。
○政府委員(松尾邦弘君) 数字はそのようになっております。
○橋本敦君 だから、危険なことは、年々盗聴件数がふえるということ、そしてそれに応じて有罪を示すものでない通信がだんだんふえてきて八一・二%にまで九八年は及んでいるということであります。 ここの表示で、有罪を示すものでない、有罪の証拠とならない通信という言い方をこのレポートはしておりますけれども、その中にはもちろん全く犯罪と関連性がない通信もあれば、そして犯罪の関連性があると見られても有罪の証拠となり得ない、そういう程度の通信もあれば、つまり具体的に刑事手続に利用されない、そういう市民間の通話が何と八割以上がそういう通話だということが明らかになっているわけであります。 アメリカでもこの通話を傍受するについては必要最小限の措置ということがとられております。我々の今問題にしております通信傍受法案、いわゆる盗聴法案でもその点は十三条に言われているわけであります。 そこで、刑事局長に伺いますが、この必要最小限度の範囲で行う傍受という、必要最小限度のこの措置というのは具体的にはだれがどのようにどこで決めるんですか。
○政府委員(松尾邦弘君) これは、通信の傍受を実施する場所におきまして、傍受をする担当者が犯罪の該当性の有無というものを判断するためにスポットモニタリングというような手法によりまして、まず短時間聞きまして判断した上で、該当性がないと思われればその段階で切りますし、該当していると思えばその傍受を続けるということでございます。
○橋本敦君 この法案でそのことは規定されていない。だから、審査の対象にもならない。そして、立会人は切断権がありませんから関係のない通話だといって切断もできない、何の保証もありませんよ。 しかし、事後的に救済できるかというと、この通信について、刑事記録に記載された者にしか通知が行かないのですから、不服申し立てもできない。膨大な人権侵害あるいはプライバシー侵害が起こり、これが野放しになるという重大なおそれがあるわけでしょう。まさに警察の任意の判断と裁量によって該当性判断の通信傍受が行われるという、ここに憲法二十一条の通信の秘密にかかわる大問題があるということを私は指摘したい。 今、大森委員が指摘されましたが、きのうのJNNのテレビでも、警察に対して、適正にこの傍受が行われると思うかという問いに対して、国民の六一%が警察はそのような適正な傍受を行うとは考えられぬ、緒方事件に見られるように、そういった乱用が行われる、こう言っていますよ。 私は、こういう法案は徹底審議をして、国民のプライバシー権利を守るために断固として慎重審議を遂げねばならぬ、そういうことを指摘して、質問を終わります。
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。 橋本議員も質問してくださいましたが、私もテレ朝・保坂盗聴事件についてちょっとお聞きしたいと思います。 私は、保坂さんと党を同じくしますので、日に何度も彼の携帯に電話をかけておりました。しょっちゅう頻繁に連絡を取り合っていたわけです。ですから、彼の電話が盗聴されていたということを聞いたときに本当に判断停止状態に陥りました。緒方さんの話はしょっちゅう聞いておりましたが、盗聴されているかもしれないと思うことと、実際盗聴されていたという傍受記録を見ることの間には物すごい落差がありました。実際、保坂さんには一日何十回と電話があったのに、盗聴されていたという記事が出た途端に、ほとんど電話がかからなく、みんな怖がって電話をかけなくなってしまったということがあります。 保坂さんのはデジタル携帯ですから、本人も含めて一般の人、他人が盗聴は技術的にはできないだろうと言われております。 相手方は、自民党記者クラブ、テレ朝の電話であったということが今の段階で明らかになり、テレビ朝日側も刑事告訴をする、あるいはしたというふうに言われております。 この点について、進展状況、あるいは今後について、刑事局長に答弁をお願いします。
○政府委員(松尾邦弘君) まず、法務省なりに法案の提出者としまして技術的な側面を含めて、従来法案の立案の段階からいろんな技術面の検討をしておるわけでございますが、まず、今委員御指摘のように、携帯電話の場合は技術上非常に難点がありますので、傍受は難しいということでございます。いわゆる盗聴は難しいということです。 一方で、固定電話につきましても、今回のケースですとTWSにNTTの施設外から、つまり警察の施設からアクセスし、それで傍受しましたというような投書だったように聞いておりますが、技術的には不可能でございます。 したがって、今回いろいろ問題となっておりますケース、技術的な観点からだけ申し上げますと、投書者の言うような技術では盗聴はできないということです。したがって、法務省としてはまず盗聴なのかどうか、つまり通信を傍受したのかどうかという点も、これもまたそれを前提に議論するのは必ずしも妥当ではないのではないかと思います。 通信を傍受する以外にも、抽象的、一般的にはいろいろ傍受したと称して文書をつくることもまた可能でございますので、そういったことを総合的にいずれ東京地方検察庁の捜査で解明されるものと期待しているところでございます。
○福島瑞穂君 この事件が報道された後に、警察側は調査をする前に、絶対に警察がやったのではないという答弁をされて、調査をされないうちに答弁されることに、真相はわかりませんけれども、若干私は奇異な感じがいたしました。警察も含めてきちっと捜査をしてくださるということを約束してくださいますでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 今申し上げましたように、TWSに警察の施設からPTTという装置を使ってアクセスすることは不可能でございます。NTTの全面的な協力という前提がないと不可能だということでございまして、警察としてあのような発言をしたことは我々としても理解できるところでございます。 ただ、いずれにしても現に告訴がなされているわけでございますので、事案の真相はいかなるところにあったのかということは徹底的に解明すべき事項というふうに我々も思っていますし、検察庁も厳正、公平にやるものと期待しております。
○福島瑞穂君 NTTの協力があればできるわけですから、さまざまな可能性も含めてぜひ徹底的な捜査をお願いしたい。日本の検察庁がきちっとおやりになることを本当に期待しております。 ところで、盗聴する場所について、法案はどう規定をしているのでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 結論を言いますと、これは個々のケースによりまして最も適正に執行できる場所を裁判官が許可するということになると思いますが、基本的には通信事業者の施設、あるいは等とありますから、例えばホテル等交換機の設備を持っているそういう施設ということになります。
○福島瑞穂君 三条三項はただし書きがありますけれども、このただし書きは、「これらの者に代わるべき者の承諾がある場合は、この限りでない。」としてその前段を否定しておりますので、結局盗聴する場所について、この法案は特に限定をしていないということでよろしいですか。
○政府委員(松尾邦弘君) 法案の予定しているこの傍受をする場所というのは、今申し上げたとおりでございます。
○福島瑞穂君 私はこの質疑をしておりまして非常に奇妙な感じにとらわれるのは、法案の中身と答弁の中身が違うんです。答弁は限定をしておっしゃいますけれども、法案を読む限りにおいてはそういうふうには思えない。 では次に、先日の衆議院の法務委員会で、保坂議員の質問に対して松尾刑事局長は、携帯電話間の通信だが、NTTドコモでいうとネットワークセンターというのが全国に九カ所あるようで、そこの監視制御という大がかりな、新幹線の運行を制御する並みのコンピューターを使って、そこのところでは傍受することが可能だというふうにおっしゃっております。 携帯電話については九カ所あるセンターで傍受するというおつもりでいらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 携帯電話間の通信の傍受というのは、携帯電話と固定電話との場合に比べますとさらにいろいろ技術上の難しい問題があるようでございます。 今申し上げましたような九カ所にあるそれを可能にする施設というのは限られておりまして、今御指摘のようなところで傍受することが予定されているということでございます。
○福島瑞穂君 次に、盗聴する対象についてお聞きをいたします。 アメリカのワイヤータップ・レポートによりますと、さまざまなところが盗聴の対象として考えられております。自動車、ブリーフケース、携帯・自動車、ガレージ、刑務所、裁判所、学校、公衆電話、トレーラーハウスなどなどが挙げられております。 それでお聞きします。日本の場合に、公衆電話、例えば六本木のあるクラブの公衆電話でどうも麻薬の密売が頻繁に行われている。議員会館内の公衆電話、みんな自分の部屋で使うと危ないから、公衆電話でどうも怪しい話、犯罪に関連する通話をしているようだ。こういう場合、公衆電話は対象になりますか。
○政府委員(松尾邦弘君) 先日、自動車の中から傍受できるかという御質問もあったように思いますが、それと同じことでございまして、この法案は当然立会人がおります。対象でございますので、そういう立会人がおり、かつかなり大がかりな傍受の手続になりますから、そういった者がおれないような場所での傍受というのはこの法案では予定していないということです。
○福島瑞穂君 違うんです。盗聴する場所をお聞きしたんじゃなくて、盗聴する対象です。例えば、NTT内なのか警察内なのかどうかわかりませんが、公衆電話を盗聴できるかという対象をお聞きしたんです。
○政府委員(松尾邦弘君) 客体としては対象になります。ただ、この電話をだれがどういうことで使っているのかという利用の特定がまた必要でございますので、それができる限りという限定の条件をつけまして、それは対象になり得るということをお答えしておきます。
○福島瑞穂君 それでは、ビジネスホンなんですが、法人あるいは事務所など特にそうですが、五本十本同じ電話の回線であって、そこをみんなが使っている、しかし、その会社員の中に一人麻薬の密売をやっている人が明らかにいるように思える、この一本の電話を実はみんなが使っているんですが、そういう場合にこれは盗聴できますか。
○政府委員(松尾邦弘君) それは対象とする通信手段の特定の問題になろうかと思います。それを多数人が利用しているような状況で、あるAという対象の被疑者なら被疑者が使うということで傍受できる技術的な方法が確立していれば、それは可能だということになりますが、それができないということになりますと、先ほどインターネットのところでありました多数人の通話も同時に傍受せざるを得ないような状況になってくるのであれば、それは特定ができないということですから、傍受の対象にはならないということになります。
○福島瑞穂君 では、公衆電話はなぜできるんですか。
○政府委員(松尾邦弘君) それは、先ほど申し上げました、その公衆電話がいつだれによってどういう目的に使われるのかというところのぎりぎりの特定がないといけません。 したがって、そのときには、傍受令状にしましても二十四時間その公衆電話をずっと傍受するというようなことでは恐らくないんだろうと思います。この時間帯のこの人がこのときに連絡をとるとかいうところまでぎりぎりに詰めた上で傍受対象になるということでございますので、公衆電話一般が傍受の対象になる、あるいは二十四時間その傍受の対象になるというようなことは想定できないと思います。
○福島瑞穂君 ただ、しょっちゅう頻繁に公衆電話をイレギュラー的に使うということもあると思います。 それで、先ほどのビジネスホンのことなんですが、実際事業所で一つの電話をみんなが使うということは実はよく行われております。そういう場合は、いかに犯罪関連通話があると思っても、不特定多数人が使うから盗聴しないというふうにおっしゃったんですが、条文上それは何条何項に基づいてそういうことが言えますか。
○政府委員(松尾邦弘君) それは、先ほど申し上げました、その対象の通話を特定して傍受できるかどうかにかかっているわけでございますから、多数人が使うということを排除できない以上、それは傍受の対象にはなり得ないということです。
○委員長(荒木清寛君) 時間が来ておりますが、まだ質問されますか。
○福島瑞穂君 では、これで終わります。
○平野貞夫君 時間が限られておりますので、きょうは私が生まれた高知県の住民の立場から、当法務委員会の皆様に陳情をお願いする気持ちで質問をしたいと思います。 昨年秋に、土佐湾に大量の覚せい剤が流れ着いた事件が発生しましたが、この事件の概要を簡単に御説明ください。
○政府委員(小林奉文君) 御質問の事件は、昨年八月に警視庁、高知県警等の五都県合同捜査本部が取り扱った事件でございます。 この事件は、暴力団組長らが共謀の上、小型漁船を使用して東シナ海公海上において北朝鮮籍船舶と接触して、いわゆる瀬取りという方法によって覚せい剤約三百キログラムを受領して本邦内に密輸した事件でございます。その際、被疑者らは携帯電話を使用して陸の受け手と連絡をとりつつ陸揚げ地点へ向かう、こういうふうな作業をしていたわけでございます。その途中、周囲の船舶や航空機の動きを見て、警察等に本件瀬取りを察知されたと思い、後日回収するつもりで覚せい剤を高知県沖の海中に投棄し、証拠隠滅を図ったということでございます。 これらの事件につきましては、二百二キログラムの覚せい剤を押収するとともに、暴力団組員、組長ら被疑者六名を逮捕しております。 しかし、その逮捕した被疑者らはいずれも詳細についての供述を拒んでおりまして、海外の薬物密売組織と思われる本件覚せい剤の送り手や国内の売りさばき先については未解明のままでございます。現在、そういった面について鋭意捜査を進めている、そういう段階でございます。
○平野貞夫君 先週水曜日に、土佐清水市の消防長、小林さんという方ですが、この方が私の議員会館に久しぶりに見えまして、覚せい剤を海に投棄したこの漁船、その前にこの漁船が清水港に寄港して連絡用に使用した携帯電話を港の中に投げ捨てたということで、ダイバー四人ぐらいで相当大がかりな捜査をして、町じゅうが大騒ぎになったという話を聞きました。 私も、通信傍受法案を今審議中で、住民の人がそういうことについてどういう反応を持っているかということを聞きましたところ、大変不安がっているということでございましたのですが、そのときの事実関係をちょっと御説明いただきたいと思います。
○政府委員(小林奉文君) この覚せい剤の密輸入に使用した船の乗組員が陸で覚せい剤の荷受けをする者との連絡用に携帯電話を使用していたわけでございますが、その携帯電話につきましては、覚せい剤を海に投棄する前に寄港した土佐清水港へ向かう途中の段階で海中へ投棄した、こういうふうな供述をしております。 この供述に基づきまして、当時、高知県警の潜水班が投棄現場付近の海中を捜索したわけでございますが、その携帯電話の発見には至らなかった、こういう状況でございます。
○平野貞夫君 私は、港の中に投棄して、港の中をダイバーが捜索したと聞いたんですが、港に入る途中ということでございますか。わかりました。 今この事件の説明を受けますと、やはり携帯電話というのが非常に重要な役割をしているということがわかったんですが、この事件全体の中でいろんな捜査、捜索をしたと思いますが、そのほかの状況の中で携帯電話は押収しましたか。押収したとすれば、どのぐらい、どういう状況の中で押収されましたか。
○政府委員(小林奉文君) この事件につきましては、被疑者が乗船していた船舶のほか、潜伏地とか居宅とか、そういったところについて捜索をしております。その結果、被疑者五名からそれぞれ本件犯行に際しまして関係者との連絡に使用したと思われる携帯電話五機を押収しております。
○平野貞夫君 要するに、この事件、いわゆる覚せい剤の瀬取りといいますか、覚せい剤を我が国に流入させる、あるいはそれを密売へのコースに乗せる、そういうプロセスでやっぱり携帯電話が決定的に大きな役割をしているということが今の答弁でわかったわけでございます。 けさほど、世耕委員からこの携帯電話あるいはインターネットの活用について極めて明快なお話があり、私は大変勉強になったわけです。この通信傍受法案のさまざまな問題点というのは私も否定するものじゃございませんが、携帯電話のこれからの技術的発展、インターネットのこれからの技術的発展に今の法案が対応できるかどうかということは一つ問題があると思います。しかし、現実に私の生まれた土佐清水の港で起こっているようなこと、こういうことがある限り、現段階においてこの程度の法律をつくるということは、これはやっぱり必要不可欠のものだというふうに私は思うわけでございます。 土佐清水というところは、この覚せい剤の問題だけではなしに、一昨年、平成九年十一月には以布利港というところで集団密航事件が発生しております。この集団密航事件については、また次の機会に質問をしたいと思います。 要するに、四国の西南地域、高知県の半分西と愛媛県の半分南でございますか、宇和島から足摺岬、それから須崎というあたり、この地域というのは、黒潮の流れとかあるいは島が大変多うございまして、私らの子供のころから中国からの難民がしばしば来ていたところでございます。そういう事件に遭遇した記憶がございます。今や漁船を使った覚せい剤の流入あるいは集団密航の上陸の好適地になっておりまして、住民は極めて不安を感じております。きょうも午後、土佐清水の市長が私のところへ来ますが、市の幹部会議でも時々話題になっているようでございます。市関係者や漁業関係者からは、一日も早い組織犯罪防止三法案の成立の要請を受けているところでございます。 さて、にもかかわらずこの委員会の審議状況は、きょう現在で理事懇談会をやること二十五時間二十五分、委員会の審議時間がきょうの予定を終えまして十七時間五分。実に見事に民主党を中心に共産党、社民党が仲よく共闘されて、我々は非常に難渋しております。 このあり方というのは、私は国民の意思とかなり離れていると思います。NHKの世論調査によりますと、麻薬やけん銃の密売などの犯罪は電話などの傍受を認めないと取り締まりが難しいという意見がある一方でプライバシーが侵害されるおそれがあるという意見があることを踏まえて法案への賛否を尋ねたところ、賛成が四一%、反対が二九%、こういう結果が出ております。大きなテレビ会社、きょうも大森先生が話題にしましたが、TBSのあのような報道にもかかわらず、私は国民は非常に健全にこの問題を見詰めていると思っております。 そういう観点から、四国の西南端の住民の不安を除くためにも、一日も早くこの組織犯罪防止三法案を議了して成立させていただくことをお願いして、質問を終わります。
○中村敦夫君 第三条の三項に関連して質問します。 これは通信傍受基地、つまり盗聴する場所について規定したものでございます。三項には、「前二項の規定による傍受は、通信事業者等の看守する場所で行う場合を除き、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内においては、これをすることができない。」となって、その後ただし書きがあります。「ただし、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代わるべき者の承諾がある場合は、この限りでない。」ということなんです。 これまでの政府の答弁では、この通信傍受基地というのは通信事業者等の場所に限ると言明してきました。しかし一方では、やろうと思えば通信事業者の機能がある以外の別の場所でも傍受基地を設定することができるという技術的環境があるわけなんです。 先ほども世耕さんから例も引かれました。五月三十日の朝日新聞朝刊の問題ですが、これはノートパソコン型ポータブル試験端末、PTTを設置すれば通信事業者の場所の外でも盗聴できるのではないかという趣旨の疑問が出まして、それに対して法務省談話として、「そういう方法は聞いたことがないし、警察署で聞けるというのは全然考えていない。令状は実際に傍受する場所を書くのであって、電話局しかありえない」と。この電話局というのは、広い意味で通信事業者等の場所だというふうに理解します。 世耕さんからいろいろとNTT内部の運営事情などの説明もありましたが、結局のところ、技術的な問題としてはNTTの協力さえあれば可能だという証言になっていたわけだと私は受け取っています。にもかかわらず、それは別として、法務省は令状では実際に傍受する場所を書くのであって電話局しかあり得ないと答えているわけですから、これはもう別の場所ではやらないという一貫した言明だと私は思います。 そうなりますと、例外的な場所について触れているこの法文の中のただし書き、これはどういう状況を意味するのか、具体的な例を一つ挙げていただけませんか。どんな状況なんですか。
○政府委員(松尾邦弘君) まず、電話の通信の場合には、これまで申し上げておりましたが、通信事業者等のその場所以外の例というのはなかなか想定しにくいです。 このただし書きで恐らく考えられるのは、今具体的な例ということでおっしゃいましたので、パソコン通信の場合が例として考えられる。パソコン通信の場合も、基本的には通信事業者等のところで傍受を行う。技術的にも、また効率的にもそういうことになると思うんですが、このただし書きを置いた理由は、例えば次に申し上げるようなケースの場合はぎりぎり例外的にその事業者等の施設でないところで傍受することもあり得るだろうと。ただし、それはパソコン通信等で考えられるケース以外にはなかなか想定しにくいということです。 その例としてはこういうことです。ある者が趣味の仲間のグループに属する多数の者の間でパソコン通信を行っている、趣味が高じてといいますか、とうとうホストコンピューターを自己の業務のためでなく趣味として自分の住居に設置したというケースをお考えいただきたいと思います。 そのホストコンピューターを利用してパソコン通信を行っている者のうち設定者以外の特定の数人、複数ですね、二人ということでも結構ですが、犯罪関連通信を行っている疑いが生じたような場合、設置者と犯罪関連通信を行っている者とが趣味の仲間のグループとはいいながらも、この設置している者に傍受を行うことを知られたとしてもその犯罪関連通信を行っている者に漏れるおそれはないと判断されるような、さらにもう一つ特殊な状況があるということであれば、このただし書きを使いまして、設置者の承諾を得てその住居に設置されているホストコンピューターにおいて傍受を行うことも抽象的、理念的には考えられるだろうということでこのただし書きが置かれているということでございます。
○中村敦夫君 今のケースだと、二条三項で規定されている部分で十分できるんじゃないですか。
○政府委員(松尾邦弘君) この規定は、「通信事業者等」という定義の規定でございまして、今申し上げた設例は、そこのところもこういう表現をしましたが、自己の業務のためでなく趣味としてその住居にホストコンピューターを設置している場合が想定されておりますので、この二条三項では読めないわけです。
○中村敦夫君 通信事業者とみなさないという解釈だろうと思いますけれども、このただし書きがあるということは、実際は、その傍受基地は、盗聴機械を持ち込んで通信事業者から回線を引けばこれは可能だという意味ではないかと私は思っているんです。ですから、その場所の住居主などの承諾があれば傍受基地ができるということを言っているんじゃないんですか、本当は。
○政府委員(松尾邦弘君) 冒頭の世耕委員の御質問等にもありましたが、技術的に可能かという問題と法律的に可能かという問題とはやはり峻別すべきだろうと思います。今の委員の御指摘のものは、どうもお聞きしていると、盗聴する場合のいろいろな方法について触れておられるように思いますが、法律的には、今の御質問の内容は、この法律としてはそういう形の傍受はないというふうに申し上げておきたいと思います。
○中村敦夫君 そうしますと、このただし書きの延長線上で、警察施設、例えば警察庁の中に傍受基地をつくる可能性というものは、これは否定しているわけなんでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) それは一〇〇%ございません。
○中村敦夫君 これは法的にできないということなのか、技術的にあるいは経済的にできないということなんですか。
○政府委員(松尾邦弘君) 法的にできないということでございます。傍受する主体が警察というときに、その警察の施設で傍受するということはこの法案ではできないということで御理解いただきたいと思います。
○中村敦夫君 第四条の質問に移ります。 法務大臣による本法案の趣旨説明の中に「犯罪捜査のために強制の処分として行う電気通信の傍受」と明言しているわけですけれども、この第四条の令状請求者の資格には「警視以上」となっているだけなんですね。犯罪捜査というものが目的ですから、これは該当するのは警察庁で例にとると生活安全局と刑事局だけなんです。しかし、ただ警視以上ということになっていますから、これは例えば緒方事件などは警備局の仕事だったわけですけれども、あるいはほかの局でも警視以上ならば令状がとれるということなんでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) これは資格を定めたものでございまして、それぞれの都道府県警察の捜査を担当している者の中で警視の資格がある者が令状請求権者である、あるいは令状請求はそれ以上の階級の者に限られるということでございます。
○中村敦夫君 はっきり答弁していただきたいんですけれども、生活安全局と刑事局以外は警視であっても令状がとれないということですね。
○政府委員(松尾邦弘君) 今、資格を申し上げましたが、どの事件をどの部署が担当しているのかというのは、そのケース・バイ・ケースで変わります。例えば通常の集団的ないわゆる殺人ですと、刑事部がやる場合もあります。あるいは集団密航ですと、警視庁の場合でしたら恐らく公安部がやるんじゃないでしょうか。 必ずしもどこの部だけに限られるという問題ではなくて、その捜査をどこが担当しているかによります。
○中村敦夫君 時間がありませんので、質問を終わります。
○委員長(荒木清寛君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時五十四分散会