国際問題に関する調査会 第2号
- 発言数
- 34 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1999/02/10
会議録
○会長(村上正邦君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。 国際問題に関する調査を議題といたします。 本調査会の議題は「二十一世紀における世界と日本」ということで、いろいろ参考人から御意見を承っておりますが、本日は、そのうちの我が国外交のあり方ということについて参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。 本日は、株式会社岡本アソシエイツ代表取締役岡本行夫参考人に御出席をいただいております。また、東京大学東洋文化研究所教授猪口孝参考人にも御出席をいただく予定でございます。 猪口参考人は渋滞に巻き込まれておりますようで、御出席がおくれておりますけれども、岡本参考人には時間どおり御出席いただいておりますので、岡本参考人から意見をお述べいただきたいと思っております。 この際、一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、岡本参考人におかれましては、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。 本日は、どうぞ忌憚のない、御遠慮なさらずに思い切って、申されたいことをひとつ私どもにお聞かせいただければありがたいと存じます。何とぞよろしくお願い申し上げます。 本日の議事の進め方でございますが、まず岡本参考人、猪口参考人の順にお一人三十分以内で御意見をお述べいただいた後、おおむね三時間、四時ごろまでを目途に質疑を行いますので、御協力をお願いいたします。 なお、意見、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。 それでは、岡本参考人から御意見をお述べいただきます。岡本参考人。
○参考人(岡本行夫君) お招きいただきましてありがとうございました。大変光栄に存じます。 今、村上会長から、考えていることはすべてそのまましゃべってよろしいというお許しをいただきまして、きょうは若干皆様の耳ざわりになる点があるかもしれませんが、私が日ごろ考えておりますことを、テーマは大変に膨大なテーマでございますからほんの一面しかカバーできないと思いますが、述べさせていただきたいと思います。 まず第一番目に、我が国外交のあり方ということになりますと、当然、現在の日本外交を取り巻く世界情勢の変化ということを考えざるを得ません。九一年のソ連邦の崩壊の後の世界はさま変わりに変わっております。 私ごとになりますけれども、九二年にアメリカのアスペン研究所というところへ招かれまして、これから世界はどうなるんだということを一週間ぐらい欧米の学者や政治家と缶詰になってかんかんがくがく議論をするという機会がございました。そのときに彼らが言っておりましたのは、現在は過去五百年間で三回目の大きな転換点であるということでありまして、大変に私は驚きました。第一回目がルネサンス、第二回目が市民革命から産業革命へかけての時期、そして現在は第三回目だというわけです。 それは、単にソ連邦が消失したからということだけではございません。国家というものが唯一の国際政治におけるプレーヤーであったのが、これからはそうではなくなっていく。一番重要なプレーヤーではあり続けるけれども、これからは地域機関とか国際機関、そしてNPOさらには個人といったものが同じように国際政治の主体になっていくのだ、これから百年間ぐらいそういう時代が続いていくのだ、現在はその劈頭に立っているという認識でございました。大変大時代的な認識でございますけれども、現在起こっております地殻変動的な構造変化というのは、私はそのくらいの大きな規模のものではないかと思っております。 ただ、残念ながら、日本はその冷戦構造というものの打ち壊し作業に主体的に参加をしてこなかった面がございます。それから、もちろんバブル崩壊過程後、日本は自分たちのことを考えるのに精いっぱいになりました。したがいまして、世界で今起こっているそれだけの大きな規模の変化ということをどうも迂遠なものとしてしか感じていない、非常に鋭敏にとらえていないのではないかという気がしてなりません。 先ほどのアスペン会議で総括されましたような国際政治のプレーヤーたちの変化ということにも加えまして、もっともっと目につくことが出てきているわけです。 第一番目には、もちろん当然、東西対立のたがというものが外れて、かえって地域紛争が出てきていたり宗教や民族主義に根づく対立が激化していたりして、世界が不安定になっている面もあるということでございます。それは東アジアも例外ではないと思います。 第二番目に、当然のことながらアメリカの力が突出いたしました。これは、冷戦時代には、アメリカが余りにむちゃをやりますと、その相手国はソ連の方に行ってしまうというゼロ・サムの関係にございましたから、アメリカにはおのずから一定の制約が働いておりましたけれども、今はそれがなくなりましたのでかなりアメリカが傍若無人になってきている、やはりそういう面があるということは否定できないと思います。 第三番目には、中国の躍進でございます。これは、二十一世紀の大きな要素になっていくと思います。アメリカは、冷戦構造は打ち壊しましたが、その後、異なる体制、価値観を持った国々が同格で併存する、そういう世界に対してどのように臨むかという、いわゆるグローバルストラテジーというものを十分に持っていなかった。アジアに対してもそうであります。したがって、今のアメリカの中国に対する政策というのは首尾一貫していない、統一的なストラテジー、戦略に基づいていないというところがあると思います。 それから、経済的な現象というのも外交に影を落とさざるを得ません。市場経済の規模が突然に拡大いたしました。中国やベトナムや旧東欧諸国や旧CIS諸国、それに今まで外資というものに敵対的であったインドとかインドネシアまでが一斉に開放政策に転じて、市場経済の規模が人口をベースに考えますと二倍以上に、あるいは三倍近く膨らんでしまったということで、光と影の現象も出てきていると思います。 光というのは、言うまでもなく、規模の経済が実現したわけでございますから、世界はやはりマーケットも大きくなり豊かになる素地が出てきた。アジアでの中産階級の興隆というのはそのことの結果だと思います。 それから、影の方の部分というのは、やはり世界がこれでデフレ基調になってしまった。非常に大量の安価で働く労働力というものが激増したがために、どうしても世界にデフレ傾向が出てきている。つまり、そのことは日本のような国にとってみれば、アジアの諸国というのはそれぞれのバブルに至った個別的な経済政策の失政もございますけれども、やはり構造的な世界経済の変化の中で皆ひとしく大きな問題を抱えている、それに対して統一的な解答というのはかなり用意しなければいけない。日本は、その点は大いに知的に貢献できるはずでございます。 それから、情報通信革命が九〇年代に急速に進展してきておりますことも、外交にも影響を及ぼしてきておると思います。 一つは、先ほど申し上げたデフレ経済化というのは、主として物づくり経済に一番打撃を与えます。情報通信型の経済構造に移行している国はそこからうまく逃げおおせたといいますか、それよりも一歩先に行った。したがって、今世界の中で、アメリカだけがこの世界デフレにつかまらずに経済成長を続けておる、アメリカの力を一層増しているということが一つ。 それから、いわゆるCNN現象といいますか、世界じゅうの映像が瞬時にして家庭に配信される、そのことによって人々の意識というのはかなり均質化してきている。例えば人権問題などというのは、主権国家が自分の国内の問題は自分でいいように処理するんだというような体制はもう許されなくなってきている。これは北京の天安門事件の例を引くまでもなく、世界じゅうが、やはり人権問題というのは主権国家の枠を超えて普遍的に律すべきものではないかというような意識が出てきておるというようなことが背景としてあると思います。 それで、具体的に幾つかのテーマについて日本が直面している問題について申し上げたいと思います。ただ、前回の本会におきまして岡崎参考人と船橋参考人がかなり所見を述べられておりますので、私は、同じ問題を何度も申し上げることは差し控えようとは思いますが、二、三の点だけ申し上げたいと思います。 一つは、朝鮮半島情勢でございます。 北朝鮮の核、そしてミサイル開発の問題というのは、我が国にとって極めて重要かつ深刻になり得る問題でございます。短期的には我が国の外交にとって最も緊迫した正面になるかと思われます。もちろん、北朝鮮の軍の動きには特段の侵略準備をしているような節が見られないということのようでございますし、それからアメリカも北朝鮮の核施設を先制攻撃するのではないかというような、そういう風評もございますけれども、それは直ちに戦争につながることでございますからアメリカはやらないと私は思っております。しかし、それにもかかわらず、政治的な危機は相当深刻なところまで行くんだろうと思います。 現在、枠組み合意のもとでアメリカが北朝鮮の核疑惑施設というものを査察するという段階になっているわけですが、これを北朝鮮がたとえ受け入れたとしても、アメリカの議会が納得するような広範な査察、すなわちクムチャンニを初めとする一つか二つの施設の査察というのがたとえ実現したとしても、北朝鮮すべての核疑惑施設ということの査察にまでは行かない。それから、現在の枠組み合意というのは、御承知のとおり核疑惑に対応するだけのものでありまして、ミサイル開発の方については特段の縛りはございません。テポドンの発射というものが日本の直接的な安全保障上の脅威として、日本は大変に明確な抗議の行動をとりました。私は正しかったと思います。 それで、アメリカが、自分たちは核の問題だけを北朝鮮と話をしていたのではだめだ、やはりこれは日本と韓国とともにやっている話なのだから、日本がミサイル問題というものに対してこれだけの懸念を示しているのだから、アメリカもこれを単なる核拡散の問題だけではなくて東アジアの脅威の問題そのものとしてとらえなければいけないというふうに意識転換がされてきた。私は、これは最近の日本外交の大変にうまくいった点だと思います。ただし、これでミサイルにまで北朝鮮との話し合いの枠組みを広げることができるのか。現在の枠組み合意のもとではできないわけで、その場合には包括的な合意というものをまたアメリカが模索しなければならないわけでございます。北朝鮮の国家というものに対する安全を保障するかわりに、北朝鮮が核開発というものを一、二の施設にとどまらず全体としてやらないというところまで実効的な査察措置を伴った合意ができるのか、さらにミサイルの外国への移転等何らかの規制というものがかけられるのか、これは正直言って大変難しいことだと思います。 テポドンの第二回目の発射というものが根強くささやかれているところでございます。勝手な推測ではございますが、今度北朝鮮がテポドンを発射するときには、恐らく人工衛星の発射だということで、国際的に確立しております慣行に沿った手続をとる可能性が強いと私は思います。その場合に、一体どういう対応を日本がとれるのか、大変これから難しくなってくる。六月一日までに納得のある核疑惑というものが晴れなければ、アメリカ議会としては二千万ドルのKEDOの支出というものを凍結するという期限を乗り越えるのは、実は容易なことではありません。拡大した合意でうまくやっていけるのかどうか。 私は、日本は北朝鮮との間でみずからの防衛体制を北朝鮮とは直接関係がなくてもきちっと維持し、さらに強化するということは、いずれにしても必要だと思います。後ほど述べますが、日本の防衛体制の問題というのはきのうきょうに始まったことではありませんで、いずれの状況にも対応できるような体制をとっておかなければいけない。しかし、そのこととは別に、やはり北朝鮮とは、私は対話とはあえて申しません、しかし少なくともメッセージを伝達するようなチャネルというものを維持しておく必要があると思います。そうでなければ、アメリカを通じての北朝鮮へのメッセージの伝達ということしかなくなってしまうと思います。 中国につきましては、二十一世紀前半、少なくとも三分の一ぐらいの期間は大変に深刻になるかもしれない。東アジアにとっては最も重要な問題だと思います。朝鮮半島問題というのは、長期的に見れば私は緊張は減じていくのだろうと思います。ことしよりは来年、来年よりは再来年とは申しません。しかし、ことしよりは五年後、五年後よりは十年後の方がより安定的な環境の中に朝鮮半島情勢は置かれておるのではないかと思いますが、逆に中台関係というものは、今よりは五年後、五年後よりは十年後の方が深刻の度を増していくのではないかというおそれがございます。 その前に、日中関係でありますけれども、中国は、日本に対してはできるだけ政治的には過去の問題というものを中心に抑え込み、安全保障上は日本をできるだけ小さな脅威にし、そして経済的には日本から最大限の権益をとるという政策をとり続けると思いますが、これは中国の立場からしてみれば当然のことでありまして、我々はそれに対して感情的に反発する必要はないと思います。日本がそれに応じてどのような対応をとっていくかという日本自身の戦略を持つことが必要であります。ただ、一つ中国との間で厄介な問題は、この間の江沢民主席の訪日のときにも明らかになりましたが、中国というものが民主主義というものに対して信をおいていないどころか、国内的にも民主主義と敵対している。そうしますと、日本が再び侵略者にならないということは、日本の民主主義を見れば多くの人が納得してくれる。金大中韓国大統領はそうだったと思います。しかし、民主主義に信をおかない以上は、現在の民主主義を見ても、日本人の血の中に軍国主義の血が流れている、DNAの問題であるというふうに思い込んでしまったら、それを取り除く手だてというのはなかなかございません。ですから、過去の問題というのは、現在の問題であり、未来の問題であり続ける。したがって、私は、中国の民主化というものを日本が、もちろん国際的な慣行、国際法にのっとったやり方でなければいけませんが、どのようにして中国が国際的なルールを守り、そして世界の潮流である民主主義の方向へ行くかということを支援していく、それがやはり日中関係改善の最大のポイントであろうと思います。 台湾問題については、一言で片づければ、どのような統一のやり方であれ、両岸の中国人同士が、つまり中華人民共和国の中国人と台湾の中国人が相互に納得するやり方で統一するのであれば、これは日本としてはどれでも支持できるということであります。もちろん、武力行使ということは台湾側の中国人が絶対に認めないでしょうから、これは今申し上げたフォーミュラの中に入ってこないわけでございますけれども、双方の中国人同士が納得する解決というものができるような国際環境づくりに、もし可能であれば日本も支援していくべきだと思います。 時間がございませんので相当の部分を省かなければいけませんが、一つ日本の外交で私がいつも思いますのは、日本自身が国を守るという明確な姿勢を各国に対して示しているかどうかということが、実は日本の外交の力の相当重要な問題であるということであります。 国際紛争を平和的に解決する、それは国連憲章も第六章では平和的な解決ということをうたうわけですから、まずそれを目指さなければいけないことは当然でありますけれども、それだけしかオプションがない国家ということは、やはり外交でも十分な役割を果たし得ない。なぜかといいますと、私は三つ理由があると思います。 平和的解決ということに日本が固執すれば、平和的でない部分はだれか他人がかぶらなければいけなくなるわけでございます。例えば海外における邦人の救出、今度のガイドラインで艦船の出動というのが認められることを念じておりますけれども、現在は日本は自国民の救出のために非武装の艦船、自衛隊の船舶を使うことすら許されていない。しかし、その分はだれかほかの国がかぶらなければいけない。 ペルーで人質がとられる。そこでテロには屈しないということを一つ日本政府は言う。それは結構でございますが、同時に、犠牲者も絶対出さない、平和的解決ということしかないと言ったって、それは犯人たちが全面降伏するということ以外には解答はなくなる。結局、あの場合はペルー政府でございますけれども、だれかが平和的でない解決方法ということを、強硬措置というのをとらなければいけなくなってくる。 二番目は、やはり平和だけでやるということは、日本が人命は地球よりも重しというレトリックを湾岸戦争のときに使いましたけれども、そういたしますと、その地球よりも重い人命を危険にさらしてでも湾岸に技術者や看護婦さんやお医者さんを、もちろん兵士もそうでございますけれども、送った二十六カ国か二十七カ国の国々の方が、お金だけを出した日本よりも偉いということになるわけであります。地球よりも重いわけですから、日本が出した百三十億ドルよりは当然重いということで、日本が二流国扱いされてしまう。結局、平和的、絶対に安全ということを言う限りは、百三十億ドルという巨額な国民の負担を払ってでもまだ国際社会であのときには評価されなかったという、大変にコストが高くつくわけでございます。 三番目に、平和的な解決、平和的な解決と言いますと、結局、平和と非平和という差が通念上は軍事と非軍事ということに重なってしまうために、平和的な軍事、自衛隊は憲法上もちろん軍隊ではございませんけれども実力行使をし得る部隊でございまして、そういうものの平和的な使用すらだめになってしまうという、そういった問題を十分考える必要があると思います。 安保体制についても一言だけ申し上げます。 今、日本は、消去法からいっても結局日米安保というのが唯一現実的な安全保障の手段であると思いますが、我々が忘れがちなのは、この日米安保が実際に動くかどうかということは、我が国自身にとってと同様に、周りの国々にどのように思われるかという点においてこそ重要性があるということであります。 つまり、日米安保条約がうまく作用するかどうかということを周りの国がどのように認識しているか。極端な話、日本自身がこれはうまく動かないなとどこかで猜疑心を持っていても、周りの国が、いや、日米安保というのは強固なアメリカとの同盟の枠組みであって、日本という国にちょっかいを出せば自分たちは大変なやけどをすると思っている限りは、日本の周りには平和が保たれるということでございます。 周辺諸国に対する印象というのがいかに大切か。ですから、TMDも、まだ共同配備とかそういう話をしているわけではありません。アメリカとの共同研究ということは、私はそういう意味で重要なことだと思っております。 最後に一言だけ、外交を支える体制でございます。 まず第一に、外務省の点でございます。これは私が二十数年間奉職したから申し上げるわけではございませんが、やはり今の外務省というのは、いろんなところでお聞き及びと思いますけれども、余りにもほかの国に比べて体制が小さいと思います。外務省員の数、アメリカの二万人以上という数と比較するのもなんでございますけれども、ドイツやフランスといったところの一万人と比べましても、日本がその半分の五千名しかいない。在外公館の数もそうでございます。 それでも外務省はちゃんとやっているじゃないかというふうに思われるかもしれませんけれども、これはやっぱり目に見えないところでいろいろな障害を出していると思います。情報の収集やその分析、そして何よりもそれをいかに外交政策に取り込んでいくかということ、それから海外の邦人の安全確保、支援、そういったことは、外務省自身の努力がもっと必要だというのもあるかもしれませんが、やはり絶対数がこれだけ少ないという中で大変な苦労をしている。そして、それがやはり目に見えないところで日本外交の弱さになっているということはぜひ御認識いただきたい点でございます。 それから、国会でございますが、失礼ながら、日本の国会での議論というのも私はもっともっとやっていただきたいと思うわけでございます。もちろん、日本とアメリカとを比較しても、議会制度が三権分立制かどうかということで違いますから厳密な比較はできませんけれども、例えば、本院におきましては、外交関係の委員会は外交・防衛委員会と国際問題に関する本調査会だけでございます。アメリカは、上院の場合には、外交委員会と軍事委員会と情報特別委員会、三つでございますけれども、それぞれ外交委員会には六つ、軍事委員会にも六つの小委員会がございまして、非常に活発に活動しております。下院の方も、国際関係委員会の下に五つ、軍事委員会の下に七つの小委員会がございます。そして、それを支える膨大な委員会づきのスタッフがおります。上院の場合には百四十名ぐらい、下院の場合には百二十名ぐらいのスタッフが日夜国の外交ということを考えている。 もちろん一朝一夕に実現する話ではありませんけれども、やはり国会が外交というもの、特に日本のような国会にとって、これほど枢要な機能を考えるに当たって、インフラの整備といいますか、機構的な整備というものをもう少しやっていただければ国民としてはありがたいと存じます。 ありがとうございました。
○会長(村上正邦君) ありがとうございました。 本来でしたら猪口参考人の御意見を聞いてということになりますが、まだ御到着ではございませんので、変形ですが、このまま岡本参考人の御意見に対して質疑を行ってまいりたいと思います。 前回同様、本日も自由に質疑を行っていただきます。 前回も全議員がほとんど御意見を、また質疑に参加していただきました。きょうも恐らく皆さん方全員のいろいろ御質疑があろうかと思いますが、ひとつ三分以内にまとめていただいて、御協力を願いたいと思います。 それでは、質疑のある方は挙手で、この前は与党から行きましたから、きょうは野党から参りましょうか。
○内藤正光君 民主党の内藤正光でございます。 一つ質問をさせていただきたいと思います。国益とは何かについて岡本さんの御見解を伺いたいと思います。 特に、これから日本が主体的に国際貢献をしていく上で、冷戦崩壊後の国益というものをしっかりと定義しなければいけない。それは、例えばよく言われているように、世界平和というものが結局は日本の国益にかなうとかいう漠然としたものではなく、もっと明確なものをこれからは組み立てていかなければならないのじゃないかと思います。 と申しますのも、冷戦時代はアメリカの国益というその円の中に日本を守るというものがあったかと思います。しかし、冷戦崩壊後は何が何でも日本を守るというのがアメリカ側の国益として含まれているかというと、必ずしもそうでもなさそうだ。あるいはまた、目を世界に転じてみますと、日本はそこから原油をもらっているから中東を守ることが国益だと言うのですが、今のようなグローバルな時代、それを言ったらもうどこでも関係のない国はないぐらい、つまりどこで何があっても日本はそこに関与しなければいけないというような話にまで発展してしまうと思います。 そういった意味で、明確な日本の国益とは何かということについて岡本さんの御見解をお伺いできればと思います。
○参考人(岡本行夫君) 国家というのは個人と違いまして、みずからが窮乏化してでも世のため人のためということは私はないと思います。世のため人のためというのは、つまり世界のためほかの国のためと。国家の目的は、やはり中に構成員たる国民を持っているわけですから、その国民の利益の極大化に尽きると思います。つまり、国家というのは自己利益の極大化を目指すものという原点、私は常にそこに立ち返るべきだと思います。 したがいまして、アメリカとの関係を例に挙げれば、日米の政治協調が大変に重要だということは一般的なステートメントとしてはわかりますけれども、やはり個別具体的に一つ一つこれを、アメリカと協調することが国益にかなうかどうかと。大半のものは私はアメリカとともに行動することが国益にかなうと思いますけれども、必ずしも一〇〇%そうであるかどうかということは自信がございません。結局は、国の安全保障、経済繁栄、そして国内の規範、規範というのは、例えば人権擁護のようなものがどのように自分の国のために返ってくるかということを考えての行動が必要と思います。 ちょっと一般的な形に過ぎましたけれども、私は、例えばミャンマーなどに対しては日本は独自の政策を持ってもよろしいと思いますし、イランに対してもアメリカに遠慮をし過ぎることはない、むしろ日本がイランとの関係ということを強化することが日米という全体で見れば結局はより大きな利益につながることになっていくのではないかと思っております。
○内藤正光君 ありがとうございます。
○常田享詳君 自民党の常田でございます。きょうはありがとうございます。 今、先生の方から図らずも出たんですが、一昨年、私もミャンマーに参りました。ちょうどASEANに加盟するかしないかという直前でありまして、そのときにキン・ニュン第一書記が図らずも言いましたのは、日本がアメリカに同調してミャンマーをASEANに加盟させないということであれば、それはミャンマーに中国の方へ行けということですよ、そういう長期的な展望に立って日本は言っておられるんですか、それとも、アメリカがだめだだめだと言っているからだめだだめだと同じように言っておられるんですかと。そのあたり、やはりこれからの日本のアジア外交というものをきちんとしなければ、日米同盟は基軸にあるべきではあるけれども、アジアと日本とのそういう外交のあり方というものは、今図らずも先生もおっしゃいましたけれども、二国間でやらなきゃならないことは責任を持って日本がやるべきだと、こういうお話があったわけであります。 そういう中で、最近、ODAの問題でも、今まで取り組んでいなかった麻薬・覚せい剤等の問題でミャンマーとの間でこのたび初めて二億円の予算もつけてやっているわけですけれども、そういうアジアのODAのあり方等について、従来型に対する先生のお考え、従来やっていることに対する改革等でお考えがありましたら一点。 それからもう一点、簡単に申し上げますけれども、北朝鮮の問題で、昨年行きましたときに金容淳書記と会いましたら、金容淳書記は、最終的には日本の国家賠償だと、日本が北朝鮮に対して国家賠償をする気があるのかどうなのか、韓国に対しては済んでいるけれども我が国に対しては済んでいないんだということを我々に言われたわけであります。このことが非常にいまだに私はひっかかっているんですが、北朝鮮の最近の流れといいますか動向、それから、将来の日本との二国間の問題の中でこの国家賠償というのはどういうふうな意味を持つのか。金容淳書記が言ったようなことが本当に北朝鮮の底にあるのか、それとも、あくまでもそれは我々に対してちょっと言ったというだけのことなのか、先生はどういうふうに思っておられるか。 以上二点、ちょっと。
○参考人(岡本行夫君) ミャンマーについては、私も先生のおっしゃるような思いを持っております。 ODAの使い方、その態様についてでございますけれども、日本が安全保障上の支援というものをアジア各国に行っていくことは、これは歴史的にもそれから現在の体制としても無理な話でございまして、ODAという手段によってその国を日本の同調者にしていく、日本の大きな輪を広げていくという意味では私は大変に有効な具だと思います。ただ、かわいそうだから人道主義的に日本の国民のポケットが寒くなっても対外援助をするんだという理論は、なかなか国民的には納得できない。結局は、それによって日本に対してどのような見返りがあるか、どのような利益があるかということを考えていくべきだと思います。そういう意味では、ODAという政策だけを切り離して考えることはできないと思います。やはり、日本が重点的に支援すべき国ということを考えまして、そういった国々に重点的に支援していくということが必要だと思います。 ついでに申し上げますと、インドとの関係をこの間のNPTの法理からだけであれだけ悪化させてしまったのは、私はやはり失敗だったと思っております。NPTでインドに抗議の姿勢を示すこととODA支援というものを制約することがそのままつながっていいものかどうか、私は大変に疑問に思っております。 〔会長退席、理事岡利定君着席〕 北朝鮮との関係につきましては、当然、北朝鮮は日本からの食糧支援を含めまして経済利益というものを引き出そうとしている。国家賠償ももちろんその一環でございましょう。私は、戦後の日本が北朝鮮に対して国家賠償をすべきだということは、国民的にはなかなか納得が得られることではないと思います。ただ、韓国や中国との横並びで北朝鮮に対する賠償というものを過去の問題として切り離して議論していくということは、それは私は避けられないことかと思っております。 〔理事岡利定君退席、会長着席〕
○山本一太君 三分間ということですから、少し早口に二問だけお尋ねしたいと思います。 岡本さんのお話の中で、アメリカを経由するものに加えて、やはり北朝鮮に対する二国間のチャンネルを模索する努力が必要だろう、こういうお話があったと思うんですけれども、非常に難しいという感触を持っております。 例えば、議員外交というものが、失敗してきたと言うと言い過ぎかもしれませんが、議員外交というものがほとんどできない国、しかも、先ほどお話が出ましたが、金容淳が本当に影響力があるのかも最近疑念があるということで、金正日と会わなければ実は何も変わらないんじゃないかという話もある。何が起こっているのかよくわからない。こういう中で、日本がいわゆるセカンドトラックみたいな、北朝鮮、ピョンヤンとパイプをつくることについて、まず何かお知恵があればと思うんです。 アメリカは、NGOを使ってバレーボールチームの交流とかいろいろ何か知恵を使っていまして、最近、ピョンヤンの国連機関からちょっと得た情報では、アメリカのNGOがピョンヤンの国連機関の事務所の中に連絡事務所をつくるという交渉を今進めていて、もしかしたら実現するかもしれないという情報をおととい得たんですけれども、何かチャンネルづくりについて岡本さんのアイデアがあればお聞きしたいということが一つです。 もう一つ、NPTのお話があったんで、それに関連してなんですが、岡本さんがいろいろ書かれたものの中で、外交の構想力を持つべきだというお話をよく耳にするんですが、私は、特に核についてはやはり日本外交はもう少し踏み込んだ理念、メッセージを外に出すべきだと思うんです。 しかし、例えばインドとかパキスタンの核実験について、そういう人たちと話すといつも出てくる理屈がありまして、あなたたちはアメリカの核の傘のもとにあるんでしょうと、例えばパキスタンが、アメリカが核の傘で我々を助けてくれるんだったら核実験をしないと。この理屈は一見筋が通っているところもありまして、なかなか公式に反駁するのが難しい。例えば、インドとパキスタンが持つのが心配で、アメリカが持っている方が安全なんだとは口が裂けても言えない。しかも、日本みたいな大事な国になればいいんだということも言えない。アジアの皆さん、感謝してください、日本がアメリカのジュニアパートナーとしていることで安全なんですよということも言いにくい。これはどうやって説明をしていけばいいのか。 この二点について伺いたいと思います。
○参考人(岡本行夫君) 北朝鮮とのパイプというのは、私は言うはやすく行うは難しいものだろうと直観的には思います。 しかし、拉致疑惑に対して日本側が、当然のことではありますけれども、北朝鮮に対して非常にきちんとした対応をしたことによって彼らが門戸を閉ざしてしまったということは、このままああいう国とやっても仕方がないんだということで一切放置してよいことには私はならないと思うんです。時間がかかるやり方であっても、今、山本先生がおっしゃったようなスポーツとかあるいはビジネスとかNPOとか、何かやはり我々のメッセージというのを第三国以外のルートで北朝鮮に日本人の口から伝えるパイプというものは、連絡の手段というものは、私は細いものであれ依然として必要だと思っております。 それから、インドのお話でございますけれども、今の御指摘の点は、おっしゃるとおり我々が直面するジレンマのようではありますけれども、私はもう割り切ってこう考えております。 日本は、アメリカの核の傘から出ることは可能だと思います。ただし、大前提がございます。それは、アジア地域から核がなくなることでございます。これは、NPTに入っている国の所有する核も含まれるわけでございます。核問題に対して、日本が唯一の被爆国として強い反感と反対の意を示すのは当然でございますし、それはこれからも行うべきでございましょう。しかし、それをすべてNPTというホールの中だけに入れていいものかどうか。 例えば、日本はインドに対しては非常に強硬な措置をとりました。しかし、中国が所有している核に対して日本は反対の意を表することはできない。なぜかといえば、中国の核は、国際レジームからいえばNPTの中にありますから、合法的なわけでございますね。 そこで、よい核と悪い核というものを日本の周りで区別をして、悪い核に対してだけやめろやめろと言う。よい核も悪い核も含めて、日本に直接的な影響を及ぼし得る物理的な距離のところにある核がすべて廃絶されるのであれば、日本もアメリカの核の傘から出てよろしいということになります。 NPTということのタコつぼだけに、タコつぼと言うとお怒りになるかもしれませんけれども、そこの世界だけに入りますと、結局日本が世界に向かって言えることは、世界のすべての核廃絶という、より一層実現性の難しいことだけになってしまうということになると思います。
○山崎力君 二点プラスアルファでお伺いしたいんです。 一つは、先ほどの中ではちょっと抜けた感じがあるんですが、ペーパーの中に座標軸という言葉があります。それと、いわゆる国益という言葉も出てまいりました。そういうふうなものを国として持つ、漠然とでもいわゆる外交上持つということは、これはある程度必要だろうと思うんですが、そこのところに正義という感覚があるのかないのかという点を、非常に抽象的ですが、お伺いしたいと思います。これが今、正義というかわりに人道という言葉が非常にはやっておりますけれども、若干言葉としてずれている意味もある。その辺のところをどういうふうにお考えかということを一点お伺いしたいと思います。 それからもう一点は、これはいわゆるヨーロッパ的といいますか、アングロアメリカ的ということなんでしょうが、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間のヨーロッパのいわゆるエスタブリッシュメントの考え方、それに伴うミュンヘン協定からヒトラーの台頭を許して第二次世界大戦に入ってしまった。そこのところが、向こうの方々の上層部には、いわゆる目先の平和よりは恒久的な平和のためにむしろ戦力を使った方がいいのだという考え方がありまして、それがいわば第二次世界大戦以降のアジアの人たちと大きく違うところではないかというふうに私は思っているんです。その辺での外交上の、コンフリクトというか、そういう摩擦があるのかないのか。その辺のところで大きなそごが、日本外交と、協力すべきアメリカあるいはヨーロッパの主要各国との違いが出ているんじゃないのかというふうに思っているんですけれども、その辺の私の考え方を含めて、お考えを伺えればと思います。
○参考人(岡本行夫君) 座標軸の問題につきましては、今、正義ということをおっしゃられました。私は、それが大変に大事な意味を持つと思います。 いい例は、湾岸戦争のときでありまして、山崎先生は人道ということをおっしゃいましたが、日本はあのときにはさらに対話あるいは平和、協和、話し合い、そういったことを非常に重要視して、そして小学校では先生たちが子供に、皆さん、フセインというのは悪い人ですね、暴力で人の家に侵入しましたね。だけれども、皆さん、ブッシュというのも悪い人ですね、話し合いではなくてけんかで解決しようとしましたね。皆さん、大人になったらこういう人たちにならないようにしましょうねという教育をして、どちらが正しいか正しくないかという正義のところの判断というのは捨象したまま、話し合い、対話といったこと、そのこと自体が一番大事な価値であるということを行われたケースもあると聞いております。やはり、価値判断というものを避けてはならない、それが私は座標軸の一番の基本だと思っております。 それから、後半の御質問の世界大戦のはざまのお話は、これは恐らく岡崎参考人もお話しになられたのではないかと思いますが、やはりあのときの集団安全保障体制というのは国際的にうまくいかなかった。きちっとした同盟関係による抑止、これは冷戦が終わった後は時代おくれなんだという意見もございますが、私は、残念ながら、今の国際政治の冷厳な現実というのは依然として抑止というものが平和を保つ基本にあるという状況が変わっていないと思います。早くそうでなくてもよい世の中になってほしいと思いますが、残念ながら今はそうではない。ということになりますと、日本の場合には、やはりアメリカとの安全保障体制ということの堅持しかない。 しかし、これも、日本とアメリカの間では双方に対する相当の思いのずれのようなものがございます。日本にとってみれば、アメリカは世界でただ一カ国、自国民の血を流してでも日本を守る義務を法的に、政治的にではございません、法的に条約上負っている唯一の国であります。ところが、アメリカは世界じゅうで多くの国々とそのような同盟関係を結んでおりまして、日本はその一つにしかすぎません。その中で、やはり不断に、日米安保体制というものの重要性、それがいかにアメリカにも裨益しているものかということを言うのは日本の責務だと思っております。 日米安保体制というものが東アジアの安定性の基礎の枠組みであるという今の現実というものをなお当分の間維持することが、あの大戦のはざまの、結局、集団安全保障体制というものがうまくいかなかったレジームの反省からも必要だと思っております。
○今井澄君 民主党の今井澄です。 二点お尋ねしたいんですが、確かに二国間にしろ多国間にしろ平和な体制を築いていく上で大事なことは、不信感の増幅とか知らないことによる疑心暗鬼の増幅とか、こういう悪循環を断ち切る意味で、先ほどもチャンネルをつくることの重要性の御指摘があったと思います。先ほどのお話の中で、一つはODAとかさらに推し進めれば経済制裁の問題があると思うんですけれども、ODA三原則でしたか、核、人権、何とかといろいろある。私もあの辺についてはもう少し柔軟にやった方がいいんじゃないかとかねがね思っていました。 例えば経済制裁に至っては、確かにその国の経済が危機的になることによって指導体制が崩れるということを期待しているんだと思うんですが、往々にしてそうならない。むしろ苦しむのは国民だけだということがあると思いますので、この辺の柔軟性をもう少し拡大した方がいいんじゃないかというふうに御主張しておられるのかなと受け取ったのですが、その辺、もう少し具体的に何か方策があればお聞きしたいということ。 それとの関係で、先ほど外務省の人数が少な過ぎると。私もそうだと思うんです。今の行革が横並びでとにかくやっちまえということで、非常にこれは問題があると思うので、私は外務省はもっと体制を強化しなきゃならないと思うのですが、しかし外務省の行う外交は、基本的にやっぱり国益を増進する外交ということになるわけですね。ですから、それ以外のチャンネルもあわせていかないと、いろいろ問題が起こると思うんです。例えば戦後補償の問題でも、外務省ではもう解決したということで済んでいますが、解決していない現実問題が随分たくさんあると。そうすると、こういうところを、NPOなり議員外交なり、いろいろそっちの方への支援が必要だと思うんです。 そうすると、先ほどのODAの問題なんかにも関連するんですが、例えばODAでは草の根無償というのがありますが、わずか五十億ドルですね。非常に少ない。そして、私どもも何か援助ができないかいろいろやろうとするときに、それは自力で金を集めて援助すればいいんですけれども、ある程度国の中にあるもの、あるいは国のシステムの中にあるものを活用しようとすると大きな壁があると。その辺を外務省が中心となりつつも、議員外交なりNPOなり、そういう民間外交を拡大する意味で、余りしゃくし定規じゃなくてもう少し緩めて、お互いに協力し合っていく方策があるんじゃないかと思っているんですが、何かお知恵がありましたらお願いしたいと思います。
○参考人(岡本行夫君) もう私の方から申し上げることは余りございません。今井先生のおっしゃるとおりだと思います。 結局、日本がどのような見返りを受けるかということがODAの基本であるべきだということを先ほど申し上げましたけれども、それはやはり、飢えた人々がいるという人道的な考慮だけではなくて、そこに日本の重要な友好国を国民的なレベルから涵養していくんだという明確な目標が必要だと思います。 今、アジアの中で日本の友人というのは実は余りおりません。冒頭の陳述では時間がなかったので申し上げられませんでしたけれども、我々は特にアジアとの関係で八〇年代はかなり自己満足に浸り、そして欧米とアジアの橋渡しを日本がやるんだと。例えばG7なんかでも、日本がアジアの利益代表として彼らのためにやってやるんだということでみずからを位置づけようとしていたわけでございますけれども、アジア諸国の方は実は日本の助けを必要としていなかったというところもかなりあると思います。EAEC問題なども典型でございましたけれども、日本は結局はアメリカと一緒じゃないかと見られたこともあって、アジア諸国は今欧米と直接にやっている。政治的に言えばASEMなどが典型でございます。 そういった中で、やはり日本のアジア諸国との関係というのは、日本がその国とどういう関係を打ち立てるべきかというところから議論をもう一度し直さなければいけない。ODAというのはまさにそのために一番重要な道具であり、そして政策手段であると思っております。 それから、今井先生の方から議員外交ということを一言おっしゃられました。外交というのは、外務省は外交の一元化ということを言いまして、国としては一元化がもちろん必要でございますが、それは外務省だけが外交を独占するということではございませんで、できるだけ重層的な他国とのかかわりというのが必要と存じます。そういう意味で、私は、議員外交というものは本当に積極的に推進していただきたいとかねがね思っております。 ありがとうございました。
○吉岡吉典君 日本共産党の吉岡です。 たくさん聞きたいことがあるんですけれども、一点に絞ってお伺いします。それは、日本外交が基本に据えるべきものは何かという問題になると思います。 かつて日本は国連中心外交ということを言い続けてきましたし、私は日本外交の基本に据えるべきものは国連憲章だと思っているところです。そして、そのことは、日米安保条約に対する評価がどういう立場の人であろうと、そういう基本については一致できるんじゃないかと思っております。 それは、安保条約十条で、国連による安全保障の効力が発するまでの間の取り決めということに安保条約がなっている点からいっても、私はそうだと思うんです。それが、今は国連の集団安全保障体制の失敗によって、そういう目標自身、そういう考え方自身がもう無効になっているという議論もあるいはあるかもしれませんけれども、そこら辺がどうかという問題。 それと関連するんですが、もし国連憲章を日本外交の中心に据えようとするならば、やはり日本政府は、特に対外的にも明らかにする国連憲章についての解釈は非常に厳格であるべきであって、そこをあいまいにしてはならないと思うんです。 それは最近、昨年末のアメリカのイラク攻撃をめぐって、欧米諸国でもアメリカ内部でもいろいろ論評があるというんですが、日本政府は支持を表明するだけでなく、国会答弁で、私から言わせればかなり無理な国連憲章の解釈によってこれを理論化までしている。私は、日米同盟を大事だとする人でもそこまでやる必要はあえてなくて、言うべきことは言って、国連憲章についての日本政府の考えはあいまいさのないきちっとしたものだということを内外に示さなければならないんじゃないかというふうに思っているんですけれども、どのようにお考えになっているか。
○参考人(岡本行夫君) 私は、国連というものがもっともっと強化されて、やがては集団安全保障の体制に世界全体が二十一世紀のどこかの時点で移行していけば、それは理想型だろうと思います。 しかし、それまでの間は、国連憲章があるから世界は平和であるということには残念ながらなっておりません。イラクも北朝鮮も国連の加盟国でございますけれども、依然として周辺諸国に対する脅威というものが去らない。私は、吉岡先生のおっしゃる国連憲章を厳格にということが具体的にどの点を示しておられるのか存じませんけれども、日本が見果てぬ夢といいますか、国連憲章の追っている夢というものを追求していくのはいいことだと思います。 ただ、国連憲章も、第六章だけを見ますと本当に紛争の平和的解決ということになるわけですけれども、第七章の方は必ずしもそういう考え方ではございません。国連憲章は、やはり全体としてそれが実現せんとしているその方向性というものを見失うべきではないと思っております。
○田英夫君 先ほど日米安全保障体制のことに触れられましたが、これに関連をしまして、最近、日米中トライアングルという考え方がアメリカでも中国でも言われ始めております。 アメリカの場合は、ブレジンスキー氏とかワシントン・ポストの記者だったオーバードーファー氏とか、非常にはっきりこのことを主張しておるんです。中国でも、日中民間人会議という後藤田さんが中心になっておられる、私も参加しましたが、そこに出てきた中国の国際政治学者数人が同じ主張をしておりました。 それから、日本では松永信雄元駐米大使がこの構想を主張しておられるわけですが、岡本さんはこの日米中トライアングルという考え方をどう思われますか。
○参考人(岡本行夫君) 日米中というのは三カ国存在するから、その間に三カ国の関係があるという意味でのトライアングルというのはそうだろうと思いますが、ただ、それが正三角形であるというような表現がされる、つまり日本にとってアメリカに対する距離と中国に対する距離、アメリカにとって日本に対する距離と中国に対する距離が等しいというのは、私は余り賛成しかねるところでございます。日本とアメリカというのは極めて特殊な、つまり同盟条約によって、日本をどこかの国が攻撃すればアメリカがそれに対して共同対処行動をとるという、こういう歴然と米中、日中との関係には存在しない関係があり、それに日本が今まで国全体としては安全保障をゆだねてきているということでございます。 ですから、それを踏まえた上での日米中という関係で、私は、中国という国が日本にとっていかに重要であるかというのは言うをまたないわけでございますから、それはあらゆる面で中国との関係の強化ということを模索するべきだと思いますが、ただ、そのために、中国の人が嫌がるからといって日米間の特殊な安全保障関係というものを殊さらに目立たないようにつき合うということは、かえって後で問題を大きくすることになると思っております。
○魚住裕一郎君 公明党の魚住でございます。 岡本先生の先ほどの陳述の冒頭の方で、国際政治の地殻変動というようなお話がございました。今後百年ぐらい続くであろうということであります。国際政治のプレーヤーが、国家だけではなくして、NPOであるとか個人とかが主体となっていくというお話でございました。そういう状況であるならば、日本において民間あるいはNGOあるいは個人というものを国際関係の中においてどう育てていくのかという、政府側の取り組みはどうあるべきかということと、それから、国際連合は主権国家の集まりでございますので、国際連合もNGO総会とかいろんな取り組みをされていると思いますけれども、それとのかかわりをどう考えていったらいいのかということが第一点であります。 第二点は、先ほど日中の問題につきましてDNAの問題だというようなこともございました。前回の、先週のこの調査会において船橋洋一参考人が、国益としての過去の問題についてもしっかり議論をしていくべきではないのかというような意見陳述もありました。私もそう思っております。先ほどの先生のお話の中でも、過去の問題を中心に中国は日本を抑え込んでくるんではないかというようなお話もあったと思いますが、あえて日本からも、逆に主体的にこの問題に取り組んでいくべきではないかと私は考えておりますが、この点について参考人の御意見をいただければというふうに思います。
○参考人(岡本行夫君) 前段の御質問については、私は、日本はまだまだNPOに対する社会全体の利益もそれに対する啓発活動も少ないと思っております。特に、教育の場でボランティア精神といったものを子供たちに教えるかどうかというのが基本なんだろうと思います。 この間行われたある新聞社の調査でも、日本の若者のボランティアに対する意識というのは残念ながら各国の中でも一番低いという結果が出ておりましたけれども、結局NPOというのは、その名の示しますとおり、みずからの利益というものを離れまして、もう少し公益のために奉仕をするということが基本でございます。それがもちろんいろいろな制度面での、例えばボランティアで奉仕する人たちに対してボランティア休暇を制度化するといったようないろいろな問題も含めまして、できるだけ人々がまずボランティア活動に行けるようにしてやる、そしてそれがNPOにつながっていくという体制をぜひ支援していただきたいと思います。 もう有名な話で御承知と思いますけれども、ジョディ・ウィリアムス女史の始めた対人地雷禁止運動というのは、最初は各国の政府、特にアメリカ政府の強烈な抵抗と反対を受けたわけでございます。その中でただ一カ国、カナダだけが彼女たちの運動を全面的に支援し、結局は対人地雷禁止条約の締結にまで持っていった。結局、NPOも声を上げているだけでは不十分でありまして、それを政府やあるいは国会といったところがどれだけ制度としてバックアップしてやるかということが大事かと思います。 それから、日中関係の話につきましては、私も、過去のことをまるでじゅうたんの下にごみを掃き込んでしまうように、もう済んだこととして一切国民に対しても教えないというのはいかがかと思います。南京事件の犠牲者というものが三十万人なのか三万人なのか三千人なのか、いろいろな議論があって一体どう考えていいかも国民としてわからないということは、やっぱり不健全な状況だと思います。 ただ、私が先ほど申し上げましたのは、今、中国とその議論をするということが本当に実りある結果に結びつくのかどうか。今の日本人はそういった侵略性とは無縁のものである、あくまでも過去の忌まわしい事件である、そういう認識の上に立った話し合いというものを中国もやってくれるならば日本も胸襟を開いて率直な議論をすべきだと思いますが、残念ながら今そういう時期にあるかどうかということについては私は自信が持てません。
○高野博師君 二つ、お伺いしたいんです。 一つは日米関係なんですが、日米関係の微妙な変化というところはお話をされなかったんですが、そこのところを簡単にぜひお伺いしたいのと、日米関係が日本の外交の基軸だということを一貫して政府は言ってこられているんですが、日米安保体制の重要性は否定するものではないんですが、まさにこの日米関係というのがある面で日本外交のネックになっているんではないか。僕は、対米自主性というものを確保できれば日本の外交というのはもっとダイナミズムを持てるのではないかなと思うんですが、そこをどうお考えかお伺いしたいと思います。 もう一つは米中関係なんですが、アメリカが二十一世紀の最大の外交課題は対中関係だと、こういう位置づけをされているんですが、中国は民主主義に信をおかないということであれば、中国に民主化が成らない限りは米中関係が劇的に好転するということはないのではないか。したがって、アメリカが対中関与政策とかあるいは封じ込め、いろいろな形をとるにしても、基本的には米中関係はベースとしては対立関係がずっと続くのではないかと思うんですが、その辺はどのようにお考えかお伺いします。
○参考人(岡本行夫君) 対米関係の微妙な変化というのは、やはり冷戦構造が終わって日米安保体制の、特にアメリカにとっての意味も変質してきている。新しい事態を踏まえた話し合いが必要だと思います。ただ、そこの基盤的な部分というのは、私は日米間は揺らいでいないと思います。 問題は、その上に積み上げられております日米の政治関係、これは、先ほどの常田先生でございましたか、ミャンマーのお話もございましたけれども、私はすべての面でアメリカと同調していく必要がアプリオリにあるとは思っておりません。あくまでも具体的に一つ一つのケースに着目して、これが日本の国益になるかどうかという判断でいくべきだと思います。 それから、冷戦が終わってアメリカが、傍若無人という強い言葉を先ほど使いましたけれども、ソ連とのゼロ・サム関係がなくなったがゆえにアメリカのエゴが強く出てきている部分というのは、私はつき合う必要は必ずしもないんではないかと思っております。 ただ、御想起いただきたいのはアメリカとカナダの関係でございます。カナダは、アメリカと極めて緊密な同盟国でありながら、アメリカに対しては相当歯にきぬを着せずに批判し、自国の国益を押し通してきております。米加サーモン紛争とか、それから米加トラック紛争とかいろいろございましたし、先ほどの対人地雷なども典型でございますけれども、カナダがどうしてあんなにアメリカに強く物を言い、アメリカもそれを聞かなければいけないかというのは、カナダが世界最大のPKOの派遣国であり、カナダがみずからの立場での国際平和への貢献ということを非常に国際的に認知される格好でやっていて、アメリカもそれは認めざるを得ないといったようなことがいろいろございます。 私は、日本がただアメリカに言われたから反対するということは反対でございまして、あくまでも日本がみずからやるべきことをやった上でアメリカに物を言うべきだと思っております。 それから、米中関係の方は、戦略的なパートナーシップという共同宣言が米中間でこの間出されたわけでありますけれども、私は、高野先生御指摘のとおり、米中というのはその名に値した関係になっているとは思っておりません。あれはむしろレトリックであり、米中間というのは依然として緊張関係が続くと思います。その最大の根っこは台湾問題であります。 アメリカは台湾関係法というものを米中の三つのコミュニケ以上に重要な基本文書とみなし、そして台湾の自由、民主主義というものを守るための国内の今の仕組みというものを持ち続ける限り、米中関係に彼ら自身が相互にうたうような戦略的なパートナーシップというものが果たして生まれるのかどうか、私はこれは疑問に思っております。
○田村秀昭君 自由党の田村でございます。 岡本参考人は大変沖縄で御苦労されたと聞いておりますが、知事さんはおかわりになりましたけれども、普天間基地の代替基地等について今どのようにお考えになっておられるか、お聞かせください。 もう一点は、お話の中で中台関係はこれから五年、十年、非常に情勢は悪くなるというふうにおっしゃいました。そのときにアメリカはどうするのか、日本はアメリカと同じ歩調をとるのか、どうするのか、お聞かせください。
○参考人(岡本行夫君) 普天間の問題につきましては、これからの道も決して容易なものではないと思います。 沖縄の県民の皆さんの間に段階的縮小、まず普天間の事故の危険性と騒音というものを今の人口密集地域から出す、最終的には普天間の基地というのを沖縄の県外に移設するという、その県民の皆さんの気持ちはわかりますけれども、今の段階としては、緊急避難的に事故の危険性も騒音も大幅に減少できるどこか別の場所に移すんだという感情ができることがどうしても必要だと思います。そのためには、じゃそのままにしておくのかと言われるのかもしれませんけれども、私は余りに無理に性急な動きというものはできないと思っております。 〔会長退席、理事岡利定君着席〕 それから、中台関係でございますけれども、中国と台湾というのは、中国が武力行使という可能性を捨てない、それが緊張の原因になり続けるわけでございます。 中台関係の情勢の悪化というのがそのまま招来すると思いませんけれども、しかし、九六年三月のミサイル危機のときには二つの要素によってそれが紛争に発展しなかった。一つは中国が台湾を侵攻する実際の軍事能力を持っていなかった、二つ目は侵攻する意図を指導部が持たなかったということでありますけれども、その二つの安全弁のうちの一つが崩れ去るときが遠からず、専門家によって意見は違いますけれども、十五年とか二十年とかいう期間のうちにはやってくるということによって、やはり武力紛争の危険性というのが現在よりは高まってしまうということを恐れるわけでございます。 〔理事岡利定君退席、会長着席〕 ただ、これは中国側の考えがこれから三十年、五十年先も同じなのか、やがて世代交代もある、そしてそれを取り巻く世界情勢も変わってきましょう。そういった中で中国がまた新しいことを考えるのかどうか。今、中国が統一と言うときには、中華人民共和国への台湾の吸収という形での統一なのか、あるいは中華人民共和国と台湾が新しいもう一つの別の中国というものをつくる統一ということを考えているか、私はそこが大変に重要なかぎだと思います。中国の中にはこれから後者の考え方も、内政干渉になるといけませんけれども、やがては出てくるのではないか、その場合には今とまた雰囲気も随分変わってくることになると思っております。
○島袋宗康君 岡本先生には、しょっちゅう沖縄にいらして沖縄の基地問題について取り組んでいらっしゃることに対して、敬意を表します。ありがとうございます。 二十一世紀における唯一の超大国米国と二十一世紀において超大国となることが予想されている中国、このはざまにある日本、この両国との外交関係は国の死命を制するほどの重大問題だと考えております。この両国にとっては、日本が軍事大国になることに対する警戒心というものが一致することになっているんじゃないかというふうに思われます。そこで、両者から見れば、日本を自分の陣営に取り込むか、さもなければ敵に回さないで中立の立場をとらせることが国益につながるのではないかと。我が国としては、この両者の一方にくみするのと両者の確執に対しては中立の立場をとるのといずれが国益なのか、十分に検討さるべきものではないかというふうに思っております。 かつて、米ソ冷戦の時代には我が国の中立論に対しては一定の現実感がありましたけれども、冷戦の終えんとともにこれが雲散霧消しているような感じもいたしております。しかし、私は、来る二十一世紀において米中両国が屹立するはざまで我が国は中立を守るのが国益にかなうような気がしております。そのことは我が日本国憲法の精神にも合致するものであります。 したがって、今進められている、米国と軍事的に一体化を強めつつある我が国の外交政策というものは得策ではないんじゃないかというふうに考えておりますけれども、この問題について参考人の御意見を承りたいと思います。
○参考人(岡本行夫君) 島袋先生の御意見に対する私の感じというのは、まず国益ということを考えれば、日本は、アメリカのことでもない、中国のことでもない、自国のことを考えるべきだと思っております。すなわち、自国の領土、国民の生命、財産の保全でございます。これをどのように一番有効的に、そして現実的に確保することができるのか。いろいろな選択肢を考えてみますと、今、日本が非武装中立になるというやり方は国民的な支持も得られないような気がいたします。 我が国は、例えば陸上自衛隊は十五万人でございまして、タイの陸軍よりも、ミャンマーの陸軍よりも少ない国家でございます。これで一億二千万の生命が守れるのか。結局は、どこかの国と同盟するか、それとも日本が武装中立の道をとって自衛隊も数倍の規模に拡大し、そして憲法も変えて自己完結的な防衛能力を持つか、どちらかだと思います。 当然、後者は、私はくみするところではございませんし、国民的にも考えられない。となると、どこかの同盟と組んでやっていくということが今の日本を取り巻く状況の中では唯一の選択肢になるわけだと思います。じゃ、その組む相手としてどこがあるのか。ロシアか中国かということを考えますと、やはり自由と民主主義という一番基本的な価値を共有しているアメリカ以外には私はないと思っております。先ほど来申し上げておりますように、アメリカとの同盟関係も必要なくなるような、そういった集団安全保障体制ということが世界の中に確立することが私は理想だと思いますけれども、ただそれまで何十年かかるかわかりませんけれども、私は今の日米同盟関係というのが日本にとっての唯一の選択肢だと思っております。 そういたしますと、おのずから島袋先生の御提起に対しても、我が国が中国とアメリカのはざまで中立的なというのは、国の保全ということを考える限りは賢明な政策ではないのではないかと思っております。
○井上美代君 岡本参考人にお聞きしたいと思います。先ほどのお話の中で、冷戦構造がなくなってからアメリカは非常に傍若無人になったということを言われました。その辺について具体的にお話が伺えたらいいなというふうに思っております。 去年あたり、アフガンとか、そしてイラクへの攻撃も、あれは国連で話し合いをしている最中にアメリカの判断で、国連の決議ではなくてアメリカの判断で攻撃をかけたということがありました。だから、そういうことを考えますときに、やはりアメリカの今日のやり方ということについて日本はとてもついていけない、そういうものだと思っているんですけれども、いかがでしょうか。
○参考人(岡本行夫君) アメリカという国が傍若無人になったとは決して私は思いません。ただ、幾つかの政策の中で、アメリカが先ほど申し上げたソ連とのゼロ・サム関係というものがなくなったことにより制約が一つとれ、その分が無遠慮になった、そういう案件もあるということを申し上げたかった次第であります。 主として私の念頭にございましたのは経済政策でございまして、例えばインドネシアやタイに対するIMFのコンディショナリティーということをアメリカが主導してあそこまで強く押しつけることが果たしていいのかどうかといったようなことについて、私は念頭にあって申し上げた次第でございます。 安全保障問題については、やはり個別に一つ一つ考えていかなければいけない。それは、湾岸戦争が起こったのもまだソ連邦の崩壊前の問題でございましたし、その面で突然アメリカの振る舞いが荒々しくなった、アメリカが一方的な行動をとるようになったとは思っておりません。 ただ、アメリカのイラクの核施設の攻撃につきましては、これは私は、全くの一民間人としての立場からの感想でございますけれども、もう少し手順を踏むことがあってもよかったのだとは思っております。
○服部三男雄君 岡本さんにお尋ねしたいんですが、岡本さんは外務省の経験も長いし、特にアジアの国にも行かれたと思うんですね。世界で日本のように憲法九条で軍事力行使を禁止しているというのはほとんどないわけです。日本では今までのいきさつでそうなったのはやむを得ぬそれなりの意味はあるんですけれども、諸外国から見ますと、非常に日本というのは変わった国に見えるんじゃないか。自分の国も自分の力で守ろうとしないのか、憲法というのがあるらしいがと。向こうから見ればその程度だと思うんですよ、日本の憲法というのは。変な国だな、くみしやすい国じゃないかなと。もちろん、日米安保というのがあってアメリカのパワーがあるからそれは口には出さないが、どうもそんな雰囲気を持っていやせぬか。 僕らは議員外交で行きますけれども、自分の国のことを、おまえら、なめているのかとは聞くわけにいきませんからね。彼らはそういう意識がやっぱり底流にあるんだろうか、あなた自身が外務官僚としていろいろな人と会ってそういう意識を持ったことがあるかどうか。変わった国だな、国防の気概もない国かと、ある意味ではなめられやすいというか、そういう意識が日本の周辺国の間にあるかどうか。これが一点です。 第二の、座標軸のことですが、憲法で軍隊を持てないというんだから、今おっしゃったように同盟というのは非常に大きいわけです、集団安全保障はまだ完璧じゃないんだから。岡本さんとか古くは猪木さんとかいろんな人たちが、世界の安全保障というのは軍事力で守るんですよ、同盟体制で守るんですよということを戦後ずっと一貫して言っていただいて、国民にも啓発してもらったから、だんだんそういうのは定着してきたと思うんですよ。非武装で中立、そんなものは無意味だということは国民の多くがわかってきたと。でも、現実には十数万の自衛隊しかいないんですから、大した危機的なものではないわけです。中国が言うほどのそんな危機があるはずはない、民主主義国家ですからないんですけれども。 そうすると、最後に日本が目指す座標軸は何だというと、自由貿易体制だろうと思うんです、日本は輸出しなきゃ食えない国ですから。自由貿易体制を守るためにはやっぱり世界が平和でなきゃならぬと。自由貿易体制とは何だというと、日本の輸出をのんでくれる国を多くつくっていくことだということになるわけですね。そのためには経済外交が一番大事になる。経済外交というとすぐODAとなるんだが、こんなものは三兆円、四兆円で大したことはないわけですよ。それはもらう国にとってはありがたいけれども、そう大して効き目があるとは思わない。やっぱり、かつてアメリカが日本の輸出をがぶのみしてくれたように、今のNIES、ASEANの新興国の輸出を日本が引き受けてやることが大きな経済外交になるわけです。 ところが、それをやろうとしますと、今いろんな外交問題が起こる。外務省は必ずしもそういうものに強くないから、通産省だとか農水省が前面に出ていくわけです。そうすると、彼らは個別の国内業界の保護にどうしても行かざるを得ない、それは役所の性質上そうならざるを得ないわけです。そうすると、外務省の言う自由貿易体制とは必ずしも合わない、ミスマッチする部分がいっぱい出てくるわけです。こういったところを、今度内閣府を強くして総理の力を強くしていきますから、首脳外交である程度は調整できるようになるんでしょうけれども、外務省はもっとコミットしないとできないんじゃないか。それが経済一元外交といえば簡単かもしれないけれども。 そういう意味で、外務省の体制というのは必ずしもいいとは思わない。それをどういうふうにやったらいいのか。アメリカにも国務省と財務省、違いはあります。それをアメリカなんかはどういうふうに調整するのか、あくまでも大統領のリーダーシップで調整しているのかどうか。それは日本ではできるのかどうか、内閣府をつくることによってできるのか、二〇〇一年からつくりますが。この問題があります。 特に、産業国家から金融国家に日本はだんだん移転していくわけです、これから。それは千数百兆の金融ストックがあるわけですから。そうすると、今ちょっとお話しになったIMFの問題が出てくる。IMFは八五%の拒否がないとできない。アメリカは二割の比率を持っていますから、実際はアメリカが独占体制をとれるようにつくってあるわけです。これはまあしようがないんです、アメリカは力があったから。それにユーロが出てきたことによって、円の国際化を小渕さんは言っているわけだけれども、日本はこういう形でどんどん行かないとまずい要素がいっぱい出てきます。アメリカのキーカレンシー制の強さを縦横無尽に振るわれたら、日本なんか幾らでも振り回されますからね。こういった問題がある。 要するに、自由貿易体制と国際金融との絡みを日本の場合はだれがするのか、外務省がすればいいのかどうか。今はそういう体制になっていない。それはどういうふうにつくっていったらいいのか。 この二点、ちょっとお聞きしたいと思います。
○参考人(岡本行夫君) 第一点は、日本はみずからの防衛に対してかなり特異な制度と考え方を持っている国だと思います。これは憲法が、我が国は我が国の生存と安全を、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して保持しようと決意していることからの系だと思います。基本的に日本の周りは公正と信義の人たちであって、日本人さえ悪いことをしなければ世界の、我が国の平和は保たれるという戦後の長い考え方の中で、安全保障とか防衛というものがタブー視されてきたということは私は否定できないと思います。そのためにかなり国際的なレジームから考えれば異質な国になってしまっている。 我が国の周りに国籍不審船が頻々と出没する、日本人の男女が海岸から蒸発して杳として行方が知れなくなる。そういったときに、その国籍不審船に対して、海上保安庁の人たちは大変に職業意識に殉じた使命感のある人たちでありますけれども、あの人たちに一体どういう法的な権限が与えられているのか。不審船の取り締まりの根拠になる法律というのが領海の中においてすらないわけでございます。幾つも幾つもそういう例はございます。 そして、そのことが、日本という国がみずからの防衛に対してああいう考えを持っているときに、国際の自由と正義を守る行動に非常に強い支持表明をするということにどれだけの説得力が、その支持表明自体は正しいこととしても、あるのかと私は思ってしまうことがございます。やはり、国を守るということがタブー視されている現状というのは、今の世界の中では余りないというか、恐らく日本ぐらいなのだろうと思います。 それから、二番目の御質問の点は、我が国の外交の体制というのは、必ずしも今まで最大限の力を発揮してこれなかったケースがあった際に、各省間の足並みのふぞろい、そしてそれを統合するところの不在というのがやっぱりあったような気が私はいたします。外務省とて二十三省庁の一つでありまして、外務省がほかの役所に対して優先的に政策を通す立場にあるわけではございません。 結局は各省を統合し国全体のバランスということで見ていく力。今回は金融は守らなければいけないから通産物資で譲歩をするんだとか、例えばそういったような各省の全体の利害というものを踏まえた上で、なおかつ国としての優先順位というものを経済交渉に対して付していくというものが必要だと思います。 かつて安倍元外務大臣は、外務省は外交の総攬者という言葉をお使いになりまして、私はそれは大変に正しい考えだと思いますけれども、それをただほかの関係機関にそういうものと思ってくれと言ったって、それは無理であります。結局はやはり総理、そして私は国会の御意向というのも大変に重要だと思うのでございますけれども、そういったところを踏まえて総合的に国益を判断していく。それで、外務省がその中で私は最も重要なプレーヤーたるべきだと思っておりますけれども、ただ外務省だけではやっていけない、それを日本の国益に収れんさせるためのメカニズムというのが一つ必要だと思っております。
○会長(村上正邦君) 大体協議の上で予定いたしました時間が来ておりますが、今の服部委員の質問とお答えについて、異論のあるところだと思いますね。私どもはそうだと思いますけれども、野党の皆さん方においては多少これには議論があるところだと思います。これについてお一人から追加質問をいただきましょうか。どなたか。
○今泉昭君 今の服部先生の質問と回答についての関連はございませんが、前々からちょっとお聞きしたいと思っていたことですので、お許しをいただいて、岡本参考人にお聞きしたいと思います。 国益という立場に立って外交を展開していく、これは当然のことだろうと思うので、そういう意味で我が国がどのような外交戦略を持つべきかという点から御質問をしたいと思うんです。 先ほどからもいろいろお話が出ておりますように、二十一世紀において我が国の国益や安全を守るためには、日米関係、日中関係をどのように持っていくかというのは大変重要なことだろうというふうに思っておりますが、私は、日中関係と日米関係というのは基本的に違う問題だろうというふうに思っております。 と申しますのは、日中というのは非常に地理的にも近い隣の関係があるわけでありまして、日常、いろんな意味での利害の対立はこれは避けられないお国だろうと思います。それから、日米関係は、同じAPECの加盟国ではありながら太平洋の向こうの遠い国でもあるし、経済という面に関しましてはいろんな意味での利害対立はありますけれども、日中関係に比べて比較的利害対立の少ない国だろうと思うわけです。 そういう中で、二十一世紀において中国というものが大変大きな存在になってくる場合に、我が国が国益を守り生き延びていくためにこの問題にどのような我が国としての外交戦略を持っていくか、大変重要だろうと思うわけであります。 特に、外交というのは交渉の要素も大変多いわけでありまして、具体的に言葉で交渉するのもあるでしょうし、いろんな意味で圧力をかける交渉もあるわけであります。基本的には、お互いの国が平和でトラブルもなく関係を持っていくというのをベースに置きながら、やっぱり相手の弱点をそれぞれ見透かしながら交渉してみずからの国益につなげていくという形がどうしてもとられざるを得ないだろうと。 その関係で見てみますと、我が国と中国との間には、海洋上の資源の問題についても、尖閣列島に見るような土地の問題においても、また東南アジア諸国に対する影響力、それらの国々との関係においても、事ほどさように国益が対立しなきゃならない、これはもう宿命だろうと思うわけです。そういう中で良好な関係をもっていくためにはどうしたらいいのかということが大変重要だろうと思いますね。 中国の立場に立ってみれば、何とかそういう意味で我が国の、言葉は悪いけれどもやっぱり弱点なり弱みをつかみながら自分の外交を有利にしていくでしょうし、もう一つは、中国の立場に立つならば、日米が余り仲よくし過ぎて中国の封じ込めなんかやられちゃ困るという恐怖心も一つあるでしょう。そういう意味で、アメリカに行っては日本の悪口を言う、それはもうわからないことではないわけです、外交の常道でありますから。中国が日本に直接交渉のときに言うのと違って、海外で言っていることは全く違うことを言っているわけです。これも外交の常套手段だから当然だろうと思いますね。オーストラリアに行っては二十一世紀になれば日本なんてもうなくなってしまうよなんてことを平気で言っても、これは問題ないんでしょう、あの国にとりましてはね。それは外交の一つだから当然だと私は思うんです。 我が国は、これまで東南アジアの中で、各国との関係を保つ意味でいろんな援助をやってまいりました。どちらかといえば、日本からの援助というのはもう東南アジアから見てみるならば空気や水のような存在になりつつあるわけでございますが、むしろ東南アジア諸国にとりましては、これからますます強大化してプレゼンスを大きくしていく中国の方がいろんな意味で関心の度合いが高い、恐怖心もある。そういう意味では何かあちらの方に顔を向けなきゃならない、こういう状況があることも重々我々は承知しているわけですね。 そういう中で我々がまず有利な交渉条件をつくるためには、アジアの中では中国と我が国は巨大国という一応の周囲からの位置づけをいただいているわけですから、そういう意味での交渉条件を高めるためには、アジアを見回した場合に大きな力があるならばそこともう少し強い関係を持って、いわゆる牽制力というんですかね、カウンターパワーとしての交渉条件を高めていく必要があるのではないか。 具体的にはインドですよ。地勢的にいっても、それから人口的にいっても資源的にいっても将来性からいっても、大変強い大きな力を持っている国だろうと。ところが、我が国はインドとの関係というのは余り目立たないわけですね。例えば、先ほどのお話にありましたように、核実験の問題にしてしかりであります。こういうことを考えていった場合に、中国に対する牽制という、言葉だけの使い方じゃこれは悪いかもしれないけれども、そういうことは当然考えておくべきであって、我が国の外交戦略として、インドに対する今後の対応の仕方をどういうふうにお考えになるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○参考人(岡本行夫君) まず、中国との関係でございますけれども、日本とアメリカ、中国とのやはり決定的な差というのは、東アジアの現在の境界線、つまりステータスクオというものを認めるかどうか、そしてその変更に武力の使用を容認するかどうかというところだと思います。日本とアメリカはそれに反対しますし、中国は台湾の統合の際に武力行使というのを放棄はしていないということは御案内のとおりであります。明らかにそういう意味では、中国への取り組み方というのは、戦略的に日本がどのように対応するべきかということをベースに置いて考えていかなければいけない。 その際に、例えばガイドラインの件でございますけれども、私は、その根っこにございます日米安保条約に言います極東の範囲が台湾を含む含まないということを余りにも断定的に言い過ぎているという気がいたします。 あれはもともと、昭和三十五年の政府統一見解にさかのぼってみれば、在日米軍が日本にある施設・区域を使用して攻撃に対する防衛に寄与し得る区域というふうに定性的に書いてあるわけでございます。つまり、アメリカがそのときに判断して、行動するところは極東だよということでありまして、それがいわゆるアメリカの言う戦略的あいまいさであります。今のは日本の政府統一見解でございます。もともとはそういうことだったんだろうと思います。フィリピン以北云々というのはそのときにいわば例示としてついた話でございます。 つまり、その時々に日本がどう対応するかというのはそのときの日本の判断だということをきちっと言う、いわば毅然たるあいまいさとでも申しましょうか。私は、そういうことによって、中国との関係に対してもすべてが予見可能だということは言わない、日本と常にいい関係にしておかなければ日本がどのようにそのときに判断するか、それは中国の国益に反するかもしれないじゃないかという、そういうやっぱり余地ということを日本の外交というのは残しておくべきだと思うのでございます。 したがって、この安保条約の適用ということも固定的に考えるべきではない、固定的といいますか、極めて局限された、かつ具体的な地域として考えるべきではないというふうに私は思っております。 インドの件は先ほども申し上げたとおりでございまして、私は、NPTに反したからけしからぬということで、インドとの関係を今世界じゅうで、アメリカはまた後でインドと修復するのでございましょうけれども、日本が一番悪くしてしまっているような感じがいたします。それが本当に日本全体の、インドとの二国間関係を考えてみても、それから世界全体のバランスということを考えてみても、賢明な策かどうかということは再考を要するところだと私は思っております。
○会長(村上正邦君) ありがとうございました。 本日の質疑はこの程度といたします。 なお、猪口参考人が先ほどお見えになりましたけれども、手違いがありまして、大変皆さん方に失礼を申し上げたということでしたので、次の機会にお出ましをいただくようにお願いを申し上げておきました。 岡本参考人におかれましては、二時間にわたりまして大変貴重な御意見をお述べいただき、また、十四名の活発な委員の御質疑に対しましても、有意義な、的確なお考えも御披瀝いただきまして、大変ありがとうございました。 本来でしたらきょうは参考人お二人のお話を聞いて質疑にお答えいただくところを、お一人で本当にお疲れさまでございました。 岡本参考人の今後のますますの御活躍を御祈念申し上げて、本日のお礼といたします。ありがとうございました。(拍手) 本日はこれにて散会いたします。 午後二時五十一分散会