行財政改革・税制等に関する特別委員会 第3号
- 発言数
- 232 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1999/06/15
会議録
○委員長(吉川芳男君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を開会いたします。 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。野田自治大臣。
○国務大臣(野田毅君) ただいま議題となりました地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。 まず、この法律案を提案する背景について御説明申し上げます。 地方分権の推進は、二十一世紀を迎えるに当たって新しい時代にふさわしい我が国の基本的な行政システムを構築しようとするものであります。 これまでの行政システムは、全国的統一性、公平性を重視したものであり、我が国の近代化、第二次大戦後の復興や経済成長を達成するために一定の効果を発揮してきたものでありますが、今日においては、国民の意識や価値観も大きく変化し、生活の質の向上や個性的で多様性に富んだ国民生活の実現に資するシステムの構築が強く求められています。 このためには、国は本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方公共団体にゆだねること並びに地方公共団体の自主性及び自立性が十分発揮されるようにすることを基本とする国と地方の新しいシステムに転換する必要があります。 このような趣旨は、既に平成五年六月に衆参両院において行われた地方分権の推進に関する決議において明らかにされております。これを受けて制定された地方分権推進法に基づいて地方分権推進委員会の勧告が行われ、昨年五月、政府として地方分権推進計画を作成し、国会に報告したところであります。 この法律案は、地方分権推進計画を踏まえ、さらに地方分権を推進する観点から検討を進め、地方自治法を初めとする関係法律四百七十五件について必要な改正を行おうとするものであります。 次に、この法律案を提案する理由について御説明いたします。 各般の行政を展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にし、かつ地方公共団体の自主性及び自立性を高めることにより、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図る等のため、機関委任事務制度の廃止及びこれに伴う地方公共団体の事務区分の再構成、国の関与等の縮減、権限移譲の推進、必置規制の整理合理化、地方公共団体の行政体制の整備確立等を行い、もって地方分権を推進する必要があります。 これがこの法律案を提案する理由であります。 次に、法律案の内容について、その概要を御説明いたします。 第一に、国と地方公共団体との関係について、新しい関係を築くため、都道府県知事や市町村長を国の機関として国の事務を処理させる仕組みである機関委任事務制度を廃止することとしております。これに伴い、地方公共団体に対する国の包括的な指揮監督権等、機関委任事務に係る根幹的な制度を定める地方自治法の改正を行うとともに、個々の機関委任事務を定めている関係法律の改正を行い、地方公共団体が処理する事務を自治事務と法定受託事務とに区分することとしております。 また、機関委任事務制度を前提として成り立ってきた地方事務官制度は、これに伴い、廃止することとし、地方事務官が従事することとされている事務については、厚生事務官及び労働事務官が行うこととし、そのため、国の地方出先機関を再編することとしております。 第二に、法定主義の原則、一般法主義の原則、公正、透明の原則に基づき、地方公共団体に対する国または都道府県の関与の見直し、整備を行うこととしております。このため、地方自治法において、関与に係る基本原則、新たな事務区分ごとの関与の基本類型、関与の手続及び関与に係る係争処理手続を定めるとともに、個々の法律における関与は基本類型に沿った必要最小限のものにするべく所要の改正を行うこととしております。 第三に、国の権限を都道府県に、また都道府県の権限を市町村に移譲するため、関係法律において所要の改正を行うこととしております。これに関連して、地方自治法等の改正により、二十万以上の人口規模を有する市を当該市からの申し出に基づき指定することにより、権限をまとめて移譲する特例市制度を創設することとしております。 第四に、地方公共団体の自主組織権を尊重し、行政の総合化、効率化を進めるため、必置規制の廃止または緩和を行うこととしております。 第五に、市町村合併の推進、地方議会の活性化、中核市の指定要件の緩和等、地方公共団体の行財政能力の一層の向上と行政体制の整備確立を進めることとしております。 この法律案は、以上のとおり、地方分権の推進を図るため、二十四府省庁・委員会、四百七十五法律にわたる改正を取りまとめたものであります。 なお、これらの改正は、一部を除き平成十二年四月一日から施行することといたしております。 以上がこの法律案の提案理由及び内容の概要であります。 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(吉川芳男君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員虎島和夫君から説明を聴取いたします。虎島和夫君。
○衆議院議員(虎島和夫君) ただいま議題となりました地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、衆議院における修正の理由及びその内容を御説明申し上げます。 政府原案においては、都道府県知事や市町村長を国の機関として国の事務を処理させる仕組みである機関委任事務制度を廃止することとし、地方公共団体が処理する事務を自治事務と法定受託事務に区分することといたしております。 しかし、この新たな区分による機関委任事務の振り分けによって、国の関与の余地が大きい法定受託事務が半数近くを占めることとなっており、地方公共団体の自主性、自立性を高めるべく国と地方公共団体の間を上下の関係から対等の関係へと転換を図るという地方分権の趣旨にかんがみれば、法定受託事務は極力限定すべきであると思料されます。 さらに、政府原案においては、機関委任事務制度を前提として成り立ってきた地方事務官制度を廃止することとし、社会保険関係の地方事務官が従事することとされている事務については厚生事務官が行うこととしておりますが、地域の医療、保健、福祉等の施策と密接にかかわる社会保険関係の業務については、住民の利便性の確保、事務処理の効率化等の観点から、地域における総合的な行政主体である地方公共団体の果たすべき役割は大なるものと言えます。このため、社会保険関係の地方事務官が従事する業務については、その事務区分及び職員の身分等について見直しを行うことが必要であると考えられます。 また、地方公共団体の自己決定、自己責任による行財政運営は地方分権の推進に不可欠であることから、地方公共団体の税財源の充実確保については、その実現が切に望まれるものであります。このため、今後、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について検討を行うことは極めて重要であります。 こうしたことを踏まえ、今回修正を行ったものであります。 以下、その内容について申し上げますと、第一に、第一号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜適切な見直しを行うものとすること。 第二に、地方社会保険事務局または社会保険事務所の職員について、新たに厚生省社会保険関係共済組合を組織することとし、また本法の施行日から七年間に限り、当該者の勤務地の所在する都道府県の職員団体に加入し、当該職員団体の役員として専ら従事することができるものとするとともに、政府は、社会保険の事務処理の体制及びこれに従事する職員のあり方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処理の効率化等の視点に立って検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。 第三に、政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしております。 以上が衆議院における修正の理由及び内容であります。 何とぞ、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(吉川芳男君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。 ─────────────
○委員長(吉川芳男君) それでは、内閣法の一部を改正する法律案、内閣府設置法案、国家行政組織法の一部を改正する法律案、総務省設置法案、郵政事業庁設置法案、法務省設置法案、外務省設置法案、財務省設置法案、文部科学省設置法案、厚生労働省設置法案、農林水産省設置法案、経済産業省設置法案、国土交通省設置法案、環境省設置法案、中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案、独立行政法人通則法案及び独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案並びにただいま趣旨説明を聴取いたしました地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案を一括して議題といたします。 なお、本日は、理事会協議により、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案を中心として質疑を行うこととなっておりますので、よろしくお願いいたします。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○石渡清元君 私は、自由民主党、神奈川選挙区の石渡清元でございます。 ただいま議題となりました一括法案のうち、地方分権を中心に御質問をさせていただきます。 戦後五十四年、我が国は国家の再建と国民生活の安定を最大課題として、勤勉な国民のもとにエネルギーを結集して、行政においてもこれを達成すべく中央行政システムの形が形成をされ、ある程度の経済成長をなし遂げてまいりました。 しかし、二十一世紀を指呼の間に迎えた今、経済社会のグローバリゼーション化や、あるいは深刻に忍び寄る少子高齢化社会を考えたときに、我が国の構造改革はもはや待ったなしの状況でございます。そして、この我が国の構造改革の先導役を担うのが中央省庁再編や地方分権の諸課題から成る行政改革でございまして、その大胆な実行が急がれております。 そういう中で、いよいよ本院におきましてこの法案の審議を迎えたことは、大変意を強くしておるものでございます。国民の多くは真の豊かさを実感できるように生活重視の政策への転換を求めておるわけでございまして、数年前にオランダ出身のジャーナリストのカレル・ファン・ヴォルフレンという人のベストセラーに「人間を幸福にしない日本というシステム」というふうにやゆされる、そういうことがないように、今や生活に身近な地方公共団体の果たす役割への期待、そして地方公共団体が自立的、総合的に行動し、生活の向上と魅力ある地域づくりを行う機能を有し、その条件整備をしていくことが肝要となっておるところでございます。 また、政府・与党は行政改革に真剣に取り組んでおりますけれども、この小さな効率的政府実現には地方分権の推進が不可欠であり、日本の活力を切り開く自主的、自立的な地方行政システムの形成が急がれております。地方分権については、一連の分権推進委員会勧告、分権推進計画を受けた関連法の中で、機関委任事務の廃止や一定の国の権限の地方移譲が明確化されており、永年の課題であった地方分権の一つの到達点であると評価いたすものでございます。 そこで、総理にお伺いをいたすわけでございますけれども、総理の発案、指導のもとに設置されました経済戦略会議で提言する自己責任と自助努力、選択の自由の保障、健全で創造的な競争社会等々、あるいは総理は二十一世紀のあるべき国の姿を討議する有識者懇談会を設置されておりますけれども、総理の言う憲法に定めた地方自治の本旨に照らして二十一世紀における地方自治の姿をどう見るのか、まずお伺いをいたします。
○国務大臣(小渕恵三君) 私は、総理就任以来、経済戦略会議、また二十一世紀日本の構想懇談会を設置いたしまして、国民の英知を結集して、我が国のあるべき将来像を描くべく努めておるところでございます。 中でも、地方分権の推進は明治維新、それから戦後改革に続くいわば第三の改革とも言えるわけでありまして、我が国の政治、行政の基本構造を大きく変化させるものでありまして、二十一世紀を迎えるに当たりまして、新しい時代にふさわしい我が国の基本的な行政システムを構築するものと考えております。 国は、本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方にゆだねるとともに、地方公共団体の自主性、自立性が十分発揮されるようにすることが必要であり、経済戦略会議が答申いたしました地方主権の確立も基本的には同様の趣旨に基づくものと考えております。我が国が国際社会における責任を十分果たすとともに、活力に満ちた地域社会を維持発展させることができるよう、国、地方相協力して引き続き最大限の努力をしてまいらなければならないと考えております。 いずれにいたしましても、二十一世紀を前にいたしまして、明治以来の中央集権的な行政システムをまさに地方分権という形で地方に大いに担っていただきたいという、こういう覚悟のもとに今回の改革をお願いいたしておるところでございます。 行政、政治も中央集権的な明治以来のシステムにややなれ切ったところもございますし、片や地方におきましてもそうしたシステムの中での範囲において地方行政を運営してきたという嫌いなきにしもあらずでございまして、そうした観点に立ちまして、新たに縦の関係から横の関係へ、中央、地方が相協力していく、そうした関係をつくり上げるまさに絶好の機会と心得まして、今回こうした法律の改正をお願いいたしておるところでございます。 そのことによりまして、中央は中央としての責任を果たし、同時に地方は地方としての責任を大いに発揮していただく体制ができれば、新しい世紀における日本の行政は大いに発展できるものと確信をいたし、お願いいたしておるところでございます。
○石渡清元君 行政の流れとしては今の総理の御答弁でよろしいかと思うのでございますけれども、むしろ地域の方々は、地方分権によってどういったような利便性、便宜の向上が図られるか、そういったような視点から期待をしている傾向が非常に多いわけでございます。例えば、地方分権によって処理時間がもっともっと短縮するのか、あるいはもっと身近に相談をしやすいような、そういう体制になるのか。もっと言うならば、出前サービスとか、あるいは総合的な相談窓口ができるのかとか、そういったような期待というのも一方で非常にあるわけでございます。 そういう面でいきますと、今回の地方分権というのは都道府県と市町村、この二層制を前提として作業が進められておりますけれども、都道府県と市町村との区別の意識、認識というのは余りないようでございまして、これからどういうように具体的にこの作業が行われていくかということは非常に大事な点ではないかと思いますけれども、この地方分権改革というのは地域経済にどういったような活性化をし、国民にどうメリットがあるかという点で、もう一度御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(小渕恵三君) 地方分権の推進は、地域の行政は地域の住民がみずから決定し、その責任もみずからが背負う、自己決定、自己責任の行政システムを構築するものでございます。このことによりまして、成熟社会を迎え、国民の価値観が多様化する中で、地域の実情や住民ニーズに合った個性的で多様な行政を地方公共団体が展開できるようになり、住民にとっても自分たちの意向が行政により反映されやすくなるというメリットがあると考えております。言いかえますれば、地方分権を推進し、地方公共団体が地域の住民の意向を踏まえた特色のある行政を行うことを可能にすることにより、それぞれの地域がより活性化していくものと考えております。 地方分権は今や実行の段階を迎えていると認識をいたしておりまして、まずは本法案を今国会においてぜひとも成立させていただき、地方分権を具体的な形で進めてまいりたいと思っておりますが、石渡委員御指摘のように、中央、地方、特に地方も都道府県あるいは市町村、こうした二層、三層の問題もいろいろ議論をされております。要は、この法律案が通過したことですべて解決するわけでありません。おのずと住民の意識によりまして行政がそれにこたえ得るような活動がし得るかどうかにかかっておるのではないかというふうに考えております。 いずれにしても、その前提となりますこうした法律案が通過することによりまして、おのおの十分地方自治団体におきましても知恵を絞り、住民にいかにサービスするかという観点に立ちまして考え方を新たに進めていかなければならない、そのスタートになる、このように考えておるところでございます。
○石渡清元君 多くの市町村の場合は財源手当てが不明確ということでやや消極的になっている、そういう面もございます。そして一方、住民ニーズの行政サービスの点について、それほど財源がかからない、そういったようなすぐできるような権限移譲もございますので、ぜひその辺のところの促進方をお願い申し上げる次第でございます。 次に、地方公務員の削減についてお伺いをいたします。 国、地方とも非常に厳しい財政状況にあるわけでございますけれども、特に民間において血のにじむようなリストラが断行されております。今後、地方への権限移譲や地方税の充実を図るにしても、地方公共団体がみずからの意思で行政改革を進めることが国民の理解を得るためにも非常に重要なことだと考えております。 現在の地方公共団体における行政改革への取り組み状況と地方行革についての自治大臣の御所見をお願いいたします。
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、国も地方も今現在非常に厳しい経済状況を反映して財政状況も大変厳しいところに直面をいたしております。そういったことも背景にありまして、今、国、地方を通ずる行財政改革というのは最優先の重要課題であると認識をいたしております。 そこで、自治省としては、一昨年、平成九年十一月でございますが、地方自治体に対して地方行革の指針というものを策定して協力要請をいたしました。その中では、公務員の定員管理について数値目標を設定することなど、その取り組みの内容をしっかり充実してもらいたいということと、それからこれらの内容を広く住民にわかりやすい形で公表していただく、そういう形をとりながら積極的な行革の取り組みを進めてもらいたい、こういう要請をしたわけであります。 そこで、各自治体ではそれまでにもそれぞれ独自に地方行革大綱をつくってやっていただいたんですが、このガイドラインの後、さらにこの線に沿って主体的な数値目標を定めた定員適正化計画を策定されて、現在、着実、計画的に取り組んでいただいておるところであります。 昨年四月一日現在でありますけれども、地方公務員総数は平成七年から四年連続して減少でございます。四年間で約三万三千人減少いたしておりまして、昨年の四月一日現在で地方公務員数は約三百二十五万人ということであります。対前年比較では過去最大の約一万七千五百人の削減ということになっておるわけです。それから、給与水準の方でありますが、これも平成九年四月のラスパイレス指数で全地方公共団体の平均が一〇一・五ということになっておりまして、二十三年連続して低下しているという状況下にあります。 したがって、私としては、今後とも自己決定、自己責任という原則に基づいて地方公共団体が住民の監視のもとで主体的にみずからの行政改革に取り組んでいただくように要請をいたしておるところでございます。また、主体的な地方行革を促すための行財政支援ということも積極的に行ってまいりたいというふうに考えております。
○石渡清元君 地方公務員の数が今、大臣お話しのとおりに約三百二十五万、国家公務員の四倍に上るわけでございますけれども、数値目標というからには、国が国家公務員定数の十年二五%という削減目標を出していることから、地方に対する数値目標というのは具体的にどのような指導、考え方を示されたのか、もう一度お願い申し上げます。
○国務大臣(野田毅君) 国家公務員の場合と異なりまして、地方公務員の場合、特に国の方から法律などでいわゆる必置規制という形で決められておるケースがございます。特に、学校の先生、それから警察、消防、こういったものが圧倒的に多い割合を占めております。したがって、なかなか地方自治体独自では決めにくいところがあることも現実です。 そこで、それぞれ自治体の中で定員適正化計画というものを独自に策定していただこうと。それは、それぞれ行政部門があるわけですが、それを画一的に自治省の方から自治体に云々ということではなくて、それぞれ自治体において独自にそういった定員適正化計画というものをおつくりいただく、その際のガイドラインをお示ししたということであります。
○石渡清元君 次に、機関委任事務の廃止についてお伺いをいたします。 今回の地方分権一括法では、国は、国際社会における国家としての存立にかかわる事務や全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動に関する事務等を重点的に担い、住民に身近な行政はできる限り地方にゆだねることを基本とし、これに伴い機関委任事務を廃止し、これを法定受託事務と自治事務に振り分け、国立公園の管理や信用協同組合の認可等一部を国の直接執行事務としております。 特に、安全保障上の問題でもあることから、現在知事や市町村長が代行している駐留軍用地強制手続の事務を国の直轄執行事務とする改革が示されております。これは、国から地方へという分権の理念を十分に踏まえた上で、国の役割論の立場から示されたものと受けとめておりますが、この扱いも含め、機関委任事務廃止及びそれに伴う事務区分の再構成について基本的なお考えを総理にお伺いいたします。
○国務大臣(小渕恵三君) 今回の法案におきまして地方自治法第一条の二を新設いたしまして、地方公共団体において地方における行政を広く担うこととする一方、国においては、国が本来果たすべき役割を重点的に担うことといたしまして、国と地方公共団体の役割分担を明確にいたしたところでございます。 これに伴いまして、一部の事務については国が直接執行することといたし、その他の事務は地方公共団体が処理することといたしたものでございます。さらに、地方公共団体の事務につきましては、これを事務の性質に応じて自治事務と法定受託事務に区分し、それぞれふさわしい関与のルール等を定めることといたしております。 以上、全体として見ますれば、従来の制度に比べ国と地方の役割と事務の分担が明確に整理をされ、かつ地方の事務に対する国の関与が大幅に縮減されることとなるものでありまして、石渡委員御指摘のように、まさに今回の改正の中心的課題が機関委任事務制度の廃止とこれに伴います事務区分の再構成に置いておるところでございまして、そうした意味合いにおきましても、従来の集権的な形での縦の関係を排除するものと考えております。 なお、特措法について御指摘がございましたが、まさに特措法につきましても、委員御指摘のような趣旨において今回の改正を行わせていただくものと理解していただきたいと思います。
○石渡清元君 地方分権といい、地方自治といい、国の役割をみずから矮小化するということは正しい姿ではないと思うわけでございまして、国と地方は適切な役割分担のもとに国民福祉の向上等をいかに図っていくかという共通の目的達成に向けて協力する関係になければいけないと思います。その観点からも、明治以来、我が国の基本的な行政システムを形成し、いわば中央集権型行政の象徴でもあった機関委任事務制度を廃止し、包括的な指揮監督にかわる新たな関与のルールが設けられたということはまさに特筆に値するものであろうかと思います。 また、本法案では、地方自治法だけでなく、我が国の法律の三分の一にも及ぶ個別法について、自治事務や法定受託事務への振り分けや許認可等の個別関与の廃止等や縮減が行われております。これなどは一朝一夕になし得るものではございません。複雑に絡み合っている諸制度を一つ一つ解きほぐした上で、新たなルールに基づいて順序よく設計し直すものと評価しておるところでございまして、きのうの総理の本会議の答弁にも、事務区分の再構成についてもう一回見直すという御答弁がございましたが、具体的に何かございますればお願いをしたいと思います。自治大臣。
○国務大臣(野田毅君) 今回、率直に言って、地方分権推進委員会で大作業をしていただいて、かなり網羅的に一通り一応交通整理をしたわけでございます。したがって、この同じような作業を毎年毎年というわけにもなかなかいくまいとは思います。 ただ、その中で、いわゆる法定受託事務について、これは今後においても極力抑制をしていくべきところであると。そういった点で、それらについて常時、もちろん新たにそういった事務が設けられるときに国会における審議でチェックを受けるというのは当然でありますが、それだけではなくて、どこかの時点で常時継続的にチェックをしていくべきことがあるのは当然であると思っております。 その点で、これから後、この法案を成立させていただいた後においても、そういった常時チェックの一つのテーマとして、いわゆるメルクマール、これは閣議決定でいたしておるわけでございますが、それらが政府部内における交通整理の大きなチェックとしては働いておるものと思います。そのほかに、どこかの時点でまた常時監視をしていくことがあってしかるべきではないかというような趣旨で申し上げたということでございます。
○石渡清元君 次に、地方事務官についてお伺いをいたします。 地方分権法案の中で大きな論議を呼んでおるテーマの一つに地方事務官の廃止問題がございます。 この地方事務官制度は、御案内のとおり、戦後改革の一環として昭和二十二年の地方自治法制定の際、当分の間の暫定的な措置としてとられた制度であり、国が予算、任命権を握ったまま事務の執行については知事が指揮監督権を持つという変則的な制度でございまして、その責任の所在の不明確さからも廃止をも含めその見直しが永年指摘されてきたものでございまして、分権推進委員会勧告を受けて、今回の分権一括法では地方事務官が従事することとされている都道府県での社会保険関係業務、職業安定関係業務などに係る機関委任事務はいずれも国の直接執行事務とし、これに伴いその職員の身分も厚生事務官、労働事務官とすることとされております。 しかしながら、地方の側からいいますと、地方事務官が処理する事務の中には住民に身近な行政も含まれることから、可能な限り地方が執行する方向で、従事する職員も地方公務員とすべきとの指摘もされているところであります。 今回の改革方向は、新たな国と地方の役割論に立脚しつつ、その事務の広域性や一元的管理の観点からのものと理解をいたしておりますけれども、改めて地方事務官制度の廃止、その身分を国家公務員とした理由について、国民に理解を得るためにも厚生大臣、労働大臣の御説明をお願いいたします。
○国務大臣(宮下創平君) 地方事務官が従来従事していただいておりました社会保険事業でございますが、これは私どもの社会保障の根幹であります国民皆保険あるいは国民皆年金というものを確保するため国の責任で実施しているものでございます。 社会保険関係事務につきましては、地方分権推進委員会の第三次勧告におきましても、国が保険者として経営責任がございます。そしてまた、財政収支の均衡確保のための不断の経営努力を必要とするというような視点、それから全国的規模の事業体として効率的な事業運営をやる必要があるということで一体的な事務処理による運営が要請される、こうした主として二点から従来地方事務官が従事する社会保険関係事務は国の直接執行事務といたしまして、地方事務官は厚生事務官とすることとされているところでございます。 なお、現行制度のもとにおきまして、委員が今御指摘のように、二十二年の地方自治法の改正によりまして設置された変則的なと言えるような状況でございまして、実際は地方事務官といいながら国家公務員試験の合格者から採用された国家公務員でございます、実質は。そして、給与あるいは事務経費等は国が全額を負担いたしておりますし、出先機関である社会保険事務所、三百十幾つかございますが、これも国有財産として管理をしておるところでございます。 こうした実態から見ても、今回の地方分権推進法によりまして、まさに名実ともに国の事務として整理することが極めて適切であるということで国の直接執行事務とし、地方事務官は厚生事務官としたものでございます。
○国務大臣(甘利明君) 行政改革、地方分権の大きな柱の中に国と地方の役割分担を明確にするという項目がございます。そして、それはそのまま責任の所在を明らかにするということにつながると思います。 そこで、雇用保険の給付と一体となった無料の職業紹介をどこがやるべきかという議論になりますけれども、憲法の二十七条には国民の勤労権が規定をされておりますし、同じく二十二条には職業選択の自由がうたわれているわけであります。国は、この憲法にうたわれていることを担保、履行していくために、一元的に保険給付と一体となった無料の職業紹介を行うということとしたところであります。 仮に、これが一元的に行われませんと、各県ごとに失業給付の水準が異なってしまうというような事態も発生をするかと思います。現在は労働省本省がありまして県の出先部分がある。その下に現場の公共職業安定所というのがあります。この中間部分が仮に地方自治体の身分として、組織として組み込まれることになりますと、地方公務員が国家公務員を指揮命令するという異常な事態が発生しますので、これは一元的、一体的に行うべきものというふうに考えております。
○石渡清元君 地方事務官の国家公務員化、国寄りの一元化、よくわかりました。 次に、広域行政、市町村合併関係についてお伺いをいたしますけれども、例えば、都市の規模に応じて分権を進めるために中核市が誕生して三年になりました。神奈川県でいえば横須賀市、大阪府の堺市、栃木県の宇都宮市など二十一市が指定を受けておりますけれども、これは保健所の運営や公害規制などの市民に身近な業務を府県から移譲を受けてサービスが充実し、市民の評判がよいというふうに聞いておりますけれども、地方分権の推進のもとで、中核市の指定要件のうち人口三十万から五十万未満の市について必要とされている昼夜間人口比率の要件を廃止し、新たに五市が中核市の要件を満たすことになるようでございます。ただ、中核市の権限は一般市より大きいものの、政令市とは大きな差があり、特に地方交付税をもらっていない市では格上げになっても財源の保障が十分でないという問題がございます。 こういったような広域行政が一段と重要となる中で中核市はその中心としての役割を期待されていますので、現在の権限をさらに拡大し、必要な財源を持つ方向での移譲の必要はないかどうか、まずお伺いをいたします。
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、そういう地方自治体が自分たちの地域の抱える課題、行政についてより従来よりも自立性、自主性を強めてみずから運営をしていかれるということをどうやってバックアップするか。そういう中で、特に中核市という形で今御指摘のような制度をつくってきておるわけでございます。 そこで、一つの側面として、もっと権限を移譲すべきであると。この点もそのとおりでございまして、今回の法案の中で七法律八事項について中核市に対してさらなる権限移譲を行ったところでございます。 それから、今度は財源面における手当てをしっかりとすべきであるという点についても御指摘のとおりでございます。現在、中核市におきましては、普通交付税の算定を行います場合に事務権限の移譲に伴う経費を基準財政需要額に算入している、そのことによって事務権限移譲に伴う所要経費についての財源措置を行っておるということでございまして、今回の場合もそういう形の中で必要な財源手当てを行ってまいりたいと考えております。 今後とも、なお一層の地方分権の推進に向けて、中核市への事務権限の移譲、それに伴う財源措置の手当てについても取り組んでまいりたいと考えております。
○石渡清元君 中核市をまずお伺いしたのは、中核市のようにある程度の規模のある、あるいは財政力を持った自治体はいいのでございますが、それ以下の自治体もかなり多いわけでございまして、したがって中核市だけでなく、もう少しきめ細かい人口規模あるいは自治体財政力の強い弱いに応じた具体的な分権の受け皿づくりの指導が私は必要じゃないか。そういう面で、特例市制度、神奈川県では相模原市を初め七市がなっておりますけれども、あるいは広域連合、広域行政の促進の意味で、そういったような人口規模に応じたきめ細かい指導というのをされるお考えがあるのかないのか、ちょっとお伺いします。
○国務大臣(野田毅君) まさに御指摘のとおりでございまして、中核市だけでなくて、中核市に至らないところでも人口二十万ということで今御指摘ございました特例市という制度を今回新たに創設をする。特例市については、他の市町村よりも手厚い権限移譲、そしてそれに伴う今申し上げた交付税の算定要素の中に算入をすることによって財源的な裏打ちもする、こういう仕組みを今回導入したということでございます。
○石渡清元君 今の市町村、数で言いますと平成十年で全国で三千二百三十二、そのうち市が六百七十でございます。六百七十の市のうちに人口が五万以下の市が三三%、十万以下が三三・六%でありますので、十万以下が六六・六%と圧倒的に多いわけでございます。十万以上のある程度の規模を持った市ならいいのでございますけれども、この市の受け皿あるいは市町村合併についてどういうふうに考えていくか。 町村で申し上げるならば、人口一万人以下の町村が五九・五%、約六割でございまして、二万以下が二七・四%でありますので、もう二万以下の町村の数が全体の八七%近いという状況でございます。 したがって、市町村合併というのはこれから地方分権を推進するに当たってどうしても避けられない、そういったような状況でありますけれども、なかなかこれが考えているように進まないのが現状でございまして、そういう面で国も県も何かリーダーシップ、インセンティブを持たせながらそれを図っていかなければならないのではないかと思いますけれども、大臣の御見解をお伺いします。
○国務大臣(野田毅君) おっしゃるとおり、そういう国、地方の役割分担の中で、従来以上に地方公共団体のなすべき事務量がふえていく、しかもさらに自主性、自立性をより強化して自己決定していっていただくというような分野が広がっていくということになりますれば、当然のことながら、自治体としての組織力なり財政力なり、そういったいわば受け皿としての基礎的な体力、能力というものをどうやってレベルアップしていくのか。一方で、行政需要そのものも、福祉の分野であったりいろんな専門的な知識を有するような職員も自前で確保するという、そういうような行政サービスそのものの充実、高度化というようなことも考えていかなければならない。 そういうことを考えれば、今御指摘のような小規模な人口で果たしてどこまでそれだけのことの対応ができるのかということを考えるとなかなか厳しい状況にある。 そういった点で、今まで一部事務組合なりあるいは広域市町村圏なり、あるいは広域連合なり、そういう形でテーマごとに共同して処理をしていこうという試みというか、そういうことも現にやっていただいておりますが、より総合的な形での自治体そのものとしての普通公共団体としての姿として市町村の合併という形で総合的な能力、レベルアップといいますか、そういったことを目指していくということは非常に大事な一つの視点であると考えております。 そういう点で、今回この法案の一つの柱として国と地方の役割分担をはっきりさせる、そういう中で機関委任事務というものを廃止して地方自治というものをよりしっかりと位置づけていくということのほかに、その受け皿としての市町村合併の推進、そのための合併特例法の改正ということも盛り込んだわけでございます。そういう点で、今御指摘のとおり、合併の問題というのは非常に大きなテーマの一つであると考えております。 ただ、この合併は、まずは地域の住民が主体的に進めていただくということが基本ではございます。しかし、ただそれだけで、ゆだねているだけで本当にいいのか。そういう点で、さらにそれを強力に推進し、バックアップ、支援をしていくような体制ということも必要ではないか。そういう点で、今回の合併特例法改正の中で都道府県が果たすべき役割も非常に強いわけでございますし、そういう意味で市町村に対する、合併協議会に関する都道府県の関与というもの、あるいは特に合併に際して小さな自治体が立ちおくれるのではないかというか、取り残されるのではないかとか、その種の懸念も現にあるわけです。 そういったことに配慮して、そうならないように、旧村といいますか、旧自治体の地域において地域審議会というものを設置して、そこで必要な行政ニーズをどのように自治としてとらえていくのか。また、その地域のいろんな行政サービスなり社会資本の整備なり、そういったことのためにどういうふうにそれをバックアップしていくかということを含めた形での地域審議会の創設、それからさらに、合併特例債というような形で財政的な支援措置を講じていこう。さまざまな支援措置を今回この中に含めて御提案を申し上げているということでございます。
○石渡清元君 地域の自主性を十分尊重し、自己決定のもとでというお話はよくわかりました。 ちょっと細かい具体的なお話になりますけれども、この前、自治省の市町村合併研究会が合併後の人口規模に着目した市町村合併の五類型を報告として出しておりますけれども、この五類型、特に人口が小規模の類型、なかなか難しいと思いますけれども、具体的にこの五類型については政府はどのような方針でお取り組みをされるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) これは、市町村合併について、それぞれ地域の実情を考えますと、一律の基準で適正規模を示すというのは、なかなかそれぞれの置かれている歴史的あるいは経済的、人の交流、さまざまな文化的背景等々もあるわけで、そういう意味で一律の基準はなかなか難しいのかな、こういうことは言えると思います。 そういう中で、先日、市町村合併研究会から報告をちょうだいいたしたわけでございます。そこでは、中核市、特例市への移行を目指した人口三十万人あるいは二十万人程度の類型。それから、本年四月一日に兵庫県の多紀郡で四町が合併をされまして、篠山市というのが誕生したわけです。こういうような市制移行を目指した人口五万人前後の類型など、合併後の人口規模に応じた市町村合併の類型が示されておるわけでございます。 今後、都道府県において市町村が合併を検討する際の参考や目安となる合併のパターンを作成するに当たって、これらの類型を基準として、一つは通勤通学圏、商圏等といった住民の日常社会生活圏や広域市町村圏等による結びつき、あるいは自然的、地理的結びつき、歴史的、文化的結びつきといったさまざまな市町村の結びつきなどについてもあわせて考慮することが必要でございます。 今後、これらの研究成果を踏まえて、自治省としても、地方公共団体に対して市町村合併推進のガイドラインをできるだけ早くお示しする予定でございます。
○石渡清元君 なかなか小さい市町村というのが、いろいろネックがあろうかと思います。この前の経済戦略会議で、全国三千二百ある市町村を少なくとも千以下に減らすというようなそういう目標の答申が出ておりますけれども、そのためには、小規模自治体の不利な点はこうだとかある程度具体的に指摘したり、合併しないと不利ですよというような具体的な話をしていかないとなかなか難しいんじゃないか。 そこで、全国の市町村数とかあるいはそれぞれの規模というのを何か自治省ではお持ちなのかどうか、その辺についてはいかがなんでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) 先ほども申し上げたんですが、市町村合併について、それぞれの歴史的、文化的あるいは地理的な背景、人の交流、いろんな諸条件が重なっておりまして、なかなか画一基準でもって対応することは難しい。そういう意味で、機械的にようかんを切るようなわけになかなかいかぬところもあるということで、数についての対応であらかじめ数字を決めてどうのということはなかなか言いがたいところではあると思っております。 しかし、実際、戦後、市町村の合併を言うなら国策として推進したとき、約一万ぐらいありましたものが三分の一に減ってきた。それから、それぞれ政党においてこの問題について御議論をいただいている中で、自民党においても自由党においても、政策担当者の中で意見交換をしていく過程の中で、現在おおよそ三千三百あるものを当面今御指摘がございましたような千程度にするというのも、大方そんなところかなというような雰囲気もあるというふうに承っております。中には、いずれそれを三百まで持っていくんだということを主張している、基本政策としている政党もございます。 ただ、一足飛びにそこに行くのはなかなか行きにくいかとは思いますが、少なくとも当面そういった形で、千程度というのはおおむねの方向性として各党の中でもほぼそういう形に話が進んでいるのではないかというふうなことを念頭に置いておることも事実でございます。 しかし、大事なことは、やっぱり住民自身がこの点について、自分たちの主体性によって進めてもらうということが本当は一番大事なことなので、何とかそこを理解していただいて、そういう手順で進められればなというふうに考えております。
○石渡清元君 規模論議はもうこれで終わりたいと思います。 それでは、厚生大臣、来年の四月から実施される介護保険制度でございますけれども、広域行政を推進することによって、いずれは合併という可能性を探る上でもいいチャンスと思っておるわけでございますけれども、広域での事業が、ことし三月現在で四百四十二市町村で全体の一三%程度しか広域で介護保険をやろうというような数字は残っていないのでございまして、もっと私は広域処理を積極的に介護保険導入に当たってすべきじゃないかと。いろんな問題はありますよ、財源の問題。と思いますけれども、広域行政、市町村合併等々の観点からは、介護保険を軸にしたときにどのようにお考えになっているか、ちょっとお伺いをいたします。
○国務大臣(宮下創平君) 介護保険制度の実施につきましては、法定されているとおり来年の四月からこれを実施する方針はいささかも変わってございません。市町村その他保険者の大変な御協力、あるいは事業者の関係者の御協力等をいただいて、これが積み重なってきて努力がなされておるという現状でございます。 そのうち、認定につきましては、本年十月から正式な認定が開始されますが、この認定事務につきましてはかなり広域化をしようという市町村が多うございまして、これは、介護認定審査会の委員の確保がなかなか困難であるというような点、医師、看護婦等でございますが、効率的な事務処理をやるためには一部事務組合等で広域化した方がよかろうということ、それから公平な認定を各市町村間でやる必要があるというような観点から私どもとしても望ましいものと考えておりまして、認定はかなり進んでおりまして、今、全国の四百五十一地域で二千五百以上の市町村で広域化の認定をやろうということに相なっております。 一方、今御指摘の点は、介護保険財政面における介護保険の事務全般を広域化することについてだと存じますが、これは広域化いたしますと、市町村間の保険料の格差が解消できる、それから安定的な財政運営が比較的容易に行われ得る、それから施設とか在宅サービスに関する介護保険事業計画を定めることになりますが、これを共同で作成することによりまして広域的な区域で均衡のとれたサービス基盤を効率的に整備できるというような利点がございますので、私どもとしては、法律の建前はあくまで保険者は行政主体である市町村にお願い申し上げておりますが、その広域化も否定するものではございませんので、そういった見地から、広域化についてはなお一層地方の選択が行われればこれを積極的に事務体制の整備その他で御支援を申し上げ、広域連携のシステムを充実させていきたいというように考えておるところでございます。
○石渡清元君 確かにこの介護保険というのは国からの事務や権限の移譲ではございませんけれども、非常に市町村にとっては大きな仕事になるわけでございまして、特に新たな住民負担も加わってくるわけでございますけれども、市町村によっては、とにかく今までの、これから行われるであろう介護保険のレベルよりももっと自己責任において充実したものにしようという市町村もこれあり、一方では、全部介護保険というのは国民同じレベルじゃなくちゃいけないんじゃないか、そういったような議論がございまして、これをどう調整するかというのは非常に難しい問題かと思います。僕は、この介護保険というのは、やり方次第ではこれからの市町村のあり方を変えていく可能性が非常に大きい大きな制度ではないかと思うわけでございます。 そこで、よりすばらしい、よその市町村よりもいいサービスを行おうというそういう市町村と、片や介護保険というのが全国一律横並びのものじゃなきゃいけないという考え方、そこに保険料の差も出てくるわけでありますけれども、この双方の考え方については、厚生大臣としてはどういうふうに考えられるのか。
○国務大臣(宮下創平君) この制度をつくるときの基本的な考え方といたしまして、保険者を全国一律にしたらどうかという議論が立法過程であったようにお伺いしております。しかし、また介護というのは地域住民と極めて密接な関係を持っておる行政でございますから、これは地域に任せた方がいいということで、保険者を行政主体に任せた方がいいという両論があったようでございますが、結論として、国会の御意思も市町村を単位として保険者とするということになりました。 しかし、これは強制保険でございますし、一応国が基準を定めてやる保険でございますから、余り地方団体によって格差があることは好ましいことではございません。したがって、格差のあることは前提としつつも、つまり今の福祉政策でやっている介護の実態が市町村によってばらつきがございますから、それを前提とした場合には当然保険者が市町村であればばらつきはある程度生じますが、将来的には保険料とそれから給付の関係のバランスがとれて、委員のおっしゃるようにある程度平準化していくことが極めて望ましいと思います。これは将来の課題だと存じます。 一方、今行われておる広域化の問題は、一部事務組合ないし広域連合の形で行われておりますけれども、これによって地域間で自発的に協定していただいてその機能を広域化の中で果たしていただけるということであれば、私どもとしてはこれは否定すべき問題ではなく、むしろ歓迎したいというようなつもりでございますから、一部事務組合、広域連合による保険者の統合運用も大いに歓迎はしたいと思います。 一部の県におきましては、政令指定都市を除きましてほとんど広域連合でやるという動きすらございますけれども、ある程度適正な規模でやる必要もございますので、府県単位で全部統一するというような考え方はございませんが、ある意味で広域化を進めていただくことに対しては、いろいろの面で先ほど申しましたような助成策を講じていきたいというように考えておるところでございます。
○石渡清元君 いずれにいたしましても、行政サービスの受け手である地域の方々の選択にもよろうかと思いますけれども、結局は、合併等々は財源措置をどう手当てしていくかということに相なろうかと思います。 今回の一括法において、普通交付税の算定において、合併しなかった場合の交付税を十年間全額保障、あるいは合併特例債の発行が認められ、その元利償還金を基準財政需要額に算入するという措置が盛り込まれております。今後、優遇措置の内容を強化して、ぜひひとつ総理がリーダーシップをとって市町村合併、いわゆる広域化を推進していただきたいと思いますけれども、総理の御決意をお願いいたします。
○国務大臣(小渕恵三君) 市町村合併のインセンティブを高めるための優遇措置として、本法案中に市町村合併特例法の改正といたしまして、第一に、合併市町村の一体性の確立のための公共的施設整備事業や、旧市町村単位の地域振興等のための基金を積み立てるなどの財政需要に対応するための合併特例債の創設が含まれておるわけであります。 第二に、合併後につきまして、合併前と同程度の普通交付税の額が保障される算定特例期間、合併算定外の期間の延長でありますが、従来五年のものを二倍の十年に延長するなど思い切った措置を盛り込んだところでございます。 このほかにも、合併後の町づくりの支援や合併の障害の除去などのためのさまざまな支援措置を検討しておりまして、これらの措置によりまして市町村合併を積極的に推進してまいりたいと存じます。石渡委員御指摘のように、せっかくのことでございますので、ぜひそれが助長できますように政府といたしましてはあらゆる手段を講じて努力をいたしてまいりたい、こう考えております。
○石渡清元君 次に、地域共生社会は地方分権の推進にとって非常に大事であるということについてお伺いをいたします。 地方分権によりまして地方が主体的、自主的に多様化する住民のニーズに即応していくためには、地方公共団体が中心となりつつも、行政では手の届かない点を補完する意味でも、NPOやシルバーバンク、民間企業のフィランソロピーを活用し、またその連携のもとに各種サービスの供給体系を整備していくことが肝要であり、いわば地域共生社会を形成していくことが非常に重要かと思います。特に、今や地方では少子高齢化問題への対応や環境問題、青少年の非行等々の深刻な問題を抱えていることからも、これは急がれると考えております。 特にNPOについては、アメリカではGDPの七%を占めるなど、市民的な公共性を基盤としつつ、公的で社会的な分野で大きな役割を果たしております。我が国においても、地方分権を推進し、行政やNPOによる相互の緊密な連携協力で、高齢社会、少子問題へ積極的に対応していくための地域共生社会の形成が必要と考えておりますけれども、総理の御所見をお伺いいたします。
○国務大臣(小渕恵三君) 全く石渡委員の御指摘のとおりでございまして、政府は政府としての与えられた責務を遂行いたし、国民の生活安定のために全力を挙げておりますが、いかにして政府のみにおいてこれを行うかということにかんがみましては、このNPOの存在というもの、これは大変高く評価しておるわけでございまして、特定非営利活動促進法が昨年の三月二十五日に成立をいたしまして、十二月一日に施行されております。 施行以降、この申請が極めて多く出てきておりまして、現在六百九十二、各都道府県に申請がされ、認証は現在二百三十二でございますけれども、不認証はわずかに一、こういうことでございまして、そうした意味で、このNPOは今後ますます重要な役割を果たすものと認識いたしております。 今後とも、NPO法の普及など活動を促進するための環境整備に努めてまいりたいと思っておりますが、もし必要があれば、経企庁長官、現在の状況等につきまして御答弁をいただければありがたいと思います。
○国務大臣(堺屋太一君) NPOにつきましてはその範囲がいろいろとございまして、非常に広義に言いますと、医療法人、宗教法人等を含めて広義に言われております。これで言いますと、日本のGDPの約三%ぐらいを占めているということになります。一般に言われている非常に狭義な部分で申しますとまだごくわずかでございまして、ようやく今その受け付けを始めて、幾つかの、複数の都道府県にまたがるものは経済企画庁で、一県のものは知事で受け付けておりますが、まだ少数でございまして、それほどではございません。 しかし、将来につきましてはこれはかなり期待される項目でございまして、NGOと言われるノンガバメントオーガニゼーションもございますし、善意の団体もございます。こういった多様な対応が今これから進められていく必要があろうかと思っております。 これからの見通しについて言いますと、やはり少子高齢化社会を迎えますとこういった善意の活動というのは大変重要な部分だと考えておりまして、いろんな形で育成していく。ただ、政府が余り干渉することは善意でやっていただくことに問題がございますので、これが育っていただけるように考えている、考えていかなきゃならないと思っております。
○石渡清元君 今、私がそれを強調したのは、これから進んでいくであろう少子高齢化、これが非常に深刻でありまして、既にゼロ歳から十四歳までの年少人口のピークは昭和五十五年にもう過ぎておりまして、そして生産人口が平成七年をピークにもう今下っておるところでございます。そして一方、老齢人口というのはどんどんふえてきておりまして、平成二十七年には老齢人口比率が二五・二%になるということで、したがって国や地方自治体だけでなくてNPOやあるいは民間の企業が総力を挙げて地域の共生社会をつくらざるを得ないというところに今私どもは立っているというふうに考えていいんじゃないかと。 そこで、今の少子化、合計特殊出生率一・三九というのをもう少し上げるような、これはいろんな場面で国会においても議論をされておるところでございますけれども、ただ子育て環境を整備するというよりむしろもう少し、子供さんを二人以上産もうとか、特に女性が産もうという精神的な意識を変えるような人口政策的なことも国においてぜひひとつお願いをしていきませんと、今の日本の国の力自体がどんどん減少していくような方向に見えておりますので、ぜひこれもお願いを申し上げる次第でございます。 次に、人材育成についてお伺いをいたしますけれども、地方公共団体が地方の特性を踏まえて地域住民のニーズに即応した行政サービスを実施していくためにはやはりマンパワーがどうしても必要でございまして、この人材育成・確保の一つの方策として国の天下りではなくて地方公共団体とのバーターの人事交流、これが有効であろうかと思います。また、ある市町村では具体的にそういったようなこともやっておるところもございますけれども、国家公務員と地方公務員の人事の交流、この問題について、地方の人材育成の観点でこういう方式をさらにいろんな省庁に広げていくことについて御見解をお伺いいたします。
○国務大臣(野田毅君) 国と地方公共団体との間の人事交流につきましては、御指摘のとおり、人材育成の観点や相互理解の促進、それから組織の活性化など、さまざまな面で意義があるものと考えておりますが、具体的な対応につきましては地方分権の推進という考え方を踏まえて行わなければならぬという御指摘が今ございました。そのとおりでございまして、あくまで相互・対等交流という、これを原則として行うべきものであると考えております。 この点につきまして、昨年、地方分権推進計画におきましても「国と地方公共団体との人事交流については、相互・対等交流の促進を原則として、交流ポストの長期固定化により生ずる弊害の排除に配意しつつ、人事交流を進めることとする。」ということを閣議決定いたしております。 また、これは総務庁長官からお答えいただくべきことかとは思いますが、平成十一年度における人事管理運営方針という中で、この国と地方との間の人事交流の問題についてかなり具体的に今申し上げた相互・対等交流の原則というものを詳しく敷衍して方針として決めておられるということでございます。
○石渡清元君 総務庁長官、ある省では十数年前から入省三年目程度の若手を二年間、市町村の地方公務員として十人前後派遣をし、その市町村からも若手を国家公務員として農林省に受け入れ、そういう経験を積ませて帰していると。非常に効果が上がっておるというふうに聞いておりますけれども、そういったような点について、その人事交流、人材育成のあり方について、何か。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。 今お話しの点は、事業を担当しております省において、お話しのような国と地方との間の公務員の人事交流が行われており、それなりの成果を上げていると承っております。
○石渡清元君 次に、地方自治体の二〇〇〇年問題への対応状況についてお伺いをいたします。 二〇〇〇年問題は、世界各国にさまざまなグローバルな大問題であるというわけでありますけれども、我が国においてもさまざまな問題を発生させるリスクがあると言われております。この問題の難しさは、具体的にどういったコンピューターの誤作動がどういう分野で起こるのかという、これが正確に予測できないことでございます。しかも、二〇〇〇年問題が起こらないこともあり得るわけでございまして、こうした甘い観測が各主体の対応をおくらせている、あるいはいいかげんにさせている面があろうかと思います。 しかし、世界各国の中でも、アメリカやヨーロッパ先進各国は、我が国よりもはるかに早く、しかも十分に起こり得るであろうあらゆる事態を想定して準備対応を進めておるわけでございまして、問題が発生した後ではその事後処理に多大のコスト、労力がかかり、また対応を誤った主体に対して国民の不安感、不信感が高まり、容易にぬぐい去り得ないことになりかねません。ですから、我が国でも、官民挙げてあらゆる事態を想定して、必要と考えられる対応を進めるべきであろうかと思っております。 金融機関など、大企業を初め、民間の二〇〇〇年問題対応はかなり進んでいると言われておりますし、また中央省庁も十分準備を進めていると言われております。心配なのは、中小企業と地方自治体の対応状況でございまして、地方分権とも関係をして、地方自治体の二〇〇〇年問題対応に関して幾つかお伺いをいたします。 まず、地方自治体関係の業務では、支障が起きそうな問題点を挙げますと、税金などの徴収業務で納付期限の誤認や延滞金の処理に問題が発生しないか、年金関係で年金見込み額の算定が正確に行われるかどうか、住民票や外国人登録など、転居年月日、入国年月日に誤認が生じないか、年齢算出に誤った処理がなされ児童手当の算定や支給などに支障が出ないか、上下水道の制御システムが正常に機能するか、消防・救急指令システムに問題が生じないか等々、心配される事態が数多くございます。 そこで、自治大臣にお伺いをいたしますのは、地方自治体の関係業務で、二〇〇〇年問題に関してどのような支障が発生する可能性があるのか、現状の対応状況を御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 二〇〇〇年問題に適切な対応がなされない場合に、特に日付処理を伴うような業務についての期間の計算が正確に処理されなくなってしまう、このことがもたらすさまざまな弊害は、今、石渡先生がいろいろ例示を挙げていただいたそのとおりでございます。また、別途言うなら危機管理と言った方がいいかもしれません。交通あるいは消防その他、そういった業務にどのような支障が生ずるのか。いわば二〇〇〇年問題というのは、自治体の業務運営の中でさまざまな、そういったうまくいかなかった場合の懸念材料というのは当然あるわけでございます。 そういった点で、既にこれらについては、高度情報通信社会推進本部において、コンピュータ西暦二〇〇〇年問題に関する行動計画、これが決定されたわけですが、これに基づきまして地方公共団体に対して、二〇〇〇年問題対策について早急に対応するよう要請をしてまいったわけでございます。 地方公共団体の対応状況について、四半期ごとに調査を実施して結果を公表してきておるところでございます。 本年三月一日現在の調査では、都道府県、市町村、ほぼ一〇〇%の自治体が修正作業に着手している。この中で、既に六割の都道府県で修正作業が完了している、進捗率八割以上であるということの調査結果になっております。こういうふうに、自治体における二〇〇〇年問題対策というのは着実に進められておるものと認識をいたしております。 さらに、自治省として本年四月に、これに加えて危機管理計画策定の手引というものを作成いたしまして、これをすべての都道府県と市区町村に配付いたしたわけでございます。そこで、みずからが保有するシステムが問題を起こした場合の対応、それから民間等が保有する社会インフラに係るシステムが問題を起こした場合における対応、この二つのケースについて危機管理計画を策定するよう要請をしたわけでございます。 今後とも、地方公共団体に対する指導、助言に努めて、遺漏なきように期してまいりたいと考えております。
○石渡清元君 今、大臣から、進捗状況八〇%等々、かなり進んでおるという御答弁がございました。 ただ、自治省の四月九日に発表された調査結果を見ますと、コンピューターが誤作動した場合に手作業などの代替手段で業務を継続する危機管理計画を作成しているのは、都道府県の全システムの二〇%、市町村では一二%にとどまっているというふうに結果が出ておるわけでございます。 また、御答弁にもございました危機管理計画策定の手引、これも非常に有効であろうかと思いますけれども、かなり市町村によって対応状況あるいは対応水準に誤差があり、ばらばらなところがございますので、ぜひひとつこれからも自治体事情を考慮したきめ細かい指導、助言をお願い申し上げまして、今度は吉村議員にかわらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○委員長(吉川芳男君) 関連質疑を許します。吉村剛太郎君。
○吉村剛太郎君 自民党の吉村でございます。 石渡委員の質問に関連をいたしまして、主として地方分権問題に関しましての質問をさせていただきたい、このように思います。 なお、委員長、本日はテレビで放映されておりまして、午前の放映が十一時五十四分までということになっております。ほかの方々に御迷惑をかけてはなんでございますので、与党である自民党の方で六分間は協力をさせていただきたい、冒頭にこのように申しておきたいと思います。 さて、申すまでもなく、我が国は百三十年前に明治維新を経て近代国家の仲間入りをした次第でございます。しかしながら、その当時の国際情勢、なかんずくアジア状況といいますのは、まさに列強が進出をしておりまして、アジア各国を植民地化するというような時代であったわけでございます。そういう中で産声を上げました近代国家、明治政府は、早急に富国強兵策をとらなければならないという立場であったわけでございます。その当時のアジアの状況、そしてなかんずく中国やその他の国々の現状をつぶさに見たその当時の若いリーダーたちは痛切にそのことを感じたんだろう、このように思うわけでございます。 しかしながら、その当時、長い間の鎖国から解き放たれた我が国は、まだ民力において、またそれぞれ財政の面、また人材の面でもおくれをとっておったわけでございますが、その中で、今申しましたように、早急に富国強兵策をとらなければならないというときに、どうしても一部のエリート、また中央にそういう人たちを集めまして中央主導型の体制をとってきたわけでございます。 それは歴史的背景の中で決して間違っていなかった、私はこのように思っておりますし、そういう中で日清戦争、日露戦争をしのいでやってきた我々の先輩諸氏には大変私は敬意を表したい、このように思っている次第でございます。 そして、戦後、あの瓦れきの中から早急にまた立ち直らなければならないというときに、やはり効率的な中央主導型という体制の中で進んできたわけでございます。 それぞれその時期に応じた体制でございまして、申しましたように、歴史的には評価できることだ、このように思っております。 そういう中で、いよいよ経済大国となり、価値観も、また国土も、またそれぞれの地域の住民の意識も大きくレベルアップした今日、もう中央主導型の体制では行き詰まってきた。会社でもしかりでございますが、草創期の会社といいますのはワンマン社長がぐいぐいと引っ張っていく。そこにそれなりの効率というものがあるわけでございますが、しかし会社がだんだん大きくなってくると一人のワンマン社長では限界がある。やはり権限を部下や各支店に移譲して、そしてその人たちがやる気を起こし知恵を絞っていって、また会社が次のランクに大きく成長していく。 国もまたしかりであろう、このように思いますときに、今まさに地方分権という時代に差しかかりまして、二十一世紀、これはもう我々日本国民がどうしてもなし遂げなければならない一つの大きな役割だ、このように思う次第でございます。 この件につきまして、総理の所見、理念なりをまずお聞かせいただきたい、このように思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 行政改革が国の行政組織、事務事業の運営を簡素かつ効率的なものにするとともに、その総合性、機動性、透明性の向上を図り、これにより戦後の我が国の社会経済構造の転換を促し、自由かつ公正な社会の形成を目指そうとするものであります。 御審議をいただいております現在のこの法律案による中央省庁等改革や地方分権は、行政改革の大きな枠組みの重要な一部として位置づけられるものであり、これらの改革を速やかに具体化させるため、法律案の一刻も早い成立をお願いいたしておるところでございます。 私といたしましては、国政の最重要課題として、また二十一世紀に向けた我が国経済社会の繁栄へのかけ橋として、行政改革に今後とも積極的に取り組み、その推進のために全力を尽くしてまいりたいと思います。 今、吉村委員が御指摘をされました明治以降の我が国の行政政治のあり方についての御指摘は、私も同様に考えております。 明治時代を迎える以前の近世におきまして、このアジアをめぐる諸情勢にかんがみましても、特に中国、清の国がいかに傾いていったかというようなことをよく見てみますると、まさに西欧列強が植民地政策をとってまいりました。その中で、太平の鎖国の夢を破られた日本としていかに近代国家に変貌していくかという中で、お話しのように富国強兵という政策をとり、あるいは一方では鹿鳴館その他西洋の文明、文化を取り入れる形で日本の国を近代化してきたという歴史があったというふうに思っております。 そういう意味で、行政も中央集権的な制度がより効率的なものとして取り上げられてまいったわけでありますが、戦後新しい日本国憲法のもとにおきまして、特にこの点、地方自治という項目が入れられまして、やはり地方の力というものを大いに発揮していただきたいということだと思っております。 しかし、なかなか明治以来の大きな流れの中で国民自体も中央に頼ると言ってはいかがかと思いますが、依頼心もあり、中央もまたそうした指導性を発揮することがより効果的であるという認識でそのままにある意味では戦後も過ごしてきたという感じがいたしております。 今やまさに二十一世紀を前にいたしまして、中央は中央としての責務はもちろん果たしていかなきゃなりませんが、同時に地方もみずから自立性を持っていく、責任を持っていくという形をとり、中央に対しましてもしっかりとした横の関係をつくり上げることによって大いに自治の精神を発揮していただくことが極めて重要な時点に来ておるんだ、そういう意味で今回のこの法律改正は大きな意義あるもの、国民の理解を得られるものと、こう考えておる次第でございます。
○吉村剛太郎君 私は、昭和五十年から約十二年間ばかり地方議員、県会議員を務めた経験を持っております。その当時なぜ私が地方議会に参画をしたかと申しますと、今まさに総理がおっしゃったように、これからの日本の社会といいますのは地方が主体となっていかなければならないというような思いで、まず地方政治に参画したわけでございます。しかし、その当時、地方分権といいましても、有権者の方々はほとんどぴんとこない、まさにそれが票につながるなんということはもうほとんどなかったんではないかな、このように思っておる次第でございます。 そういうときから考えますと、今日は随分と地方分権に対する国民の意識また理解といいますものも深まってきたな、このように思っておりますが、なおかつ、やはり今我々がこうやって審議をしております中央また地方の自治体の行政部門、議会、そのあたりまでの理解にどうもとまっておるんではないかな、国民の全般まで地方分権の意義といいますのがなかなかまだ浸透していないんではないかなという感じが実は私は個人的にしておる次第でございます。 まさに二十一世紀を迎えるに当たっての大改革がこの地方分権、これはまさに国民こぞってこれに参画するということが何よりも大切であろう、このように思う次第でございます。今、総理からるるおっしゃっていただきました、まさにそのとおりだろうと思います。きょうはテレビが放映されております、テレビを通じて今の総理のお気持ち、それから決意といいますものをぜひきょうは国民の方々にも御理解していただきたい、このように思う次第でございます。 さて、各論に入らせていただきます。 石渡議員がそれぞれ質問をされましたので、なるべく重複を避けて質問させていただきたい、このように思っております。 今申しましたように、私は地方議会、県議会議員を経験いたしました。福岡市選出の議員でございます。福岡市というのは、御存じのように政令市でございます。福岡県には二つの政令市がございまして、北九州市と福岡市でございます。今、ここに弘友議員がおられまして、実は一緒に我々は選挙をした間柄でございまして、弘友議員の票に私は及ばず、二位で当選したわけでございます。 それは別といたしまして、現在福岡県の人口は五百万に達しております。ここに統計がございまして、これは平成十年の統計でございますが、北九州市が百一万、福岡市が百二十六万、合わせて二百二十七万でございます。そして、福岡県全体の人口が四百九十四万でございまして、両政令市で四五・九七%、四六%を占めておるわけでございます。 全国には十二の政令市がございますが、例えば、ただいま質問されました石渡議員は神奈川県選出でございまして、横浜市と川崎市がございます。これは平成十年ですが、横浜市の人口が三百三十二万、それから川崎市が百十九万でございます。合わせて四百五十二万。そして、平成十年度の神奈川県の人口は八百三十六万でございまして、両政令市で五四%を占めておるという形になっております。 また、きょうは野中官房長官がいらっしゃいますが、京都府、これは京都市が一つ政令市でございまして、平成十年度で百三十九万。そして、京都府全体の人口が二百五十五万でございまして、一政令市京都市の人口が五四・三一%を占めておる、このようになっております。 そして、予算を見てみますと、私の地元福岡県へいきますと、これは一般会計と特別会計を合わせまして言わせていただきますと、福岡県の予算が一兆六千三百万でございます。北九州市が一兆一千四百万、福岡市が単独で一兆八千万を超しておりまして、福岡市だけの予算が県の予算をオーバーしております。さらに福岡市と北九州市を合わせますと三兆に達するわけです。 それから、神奈川県を見てみますと、神奈川県全体の一般会計と特別会計の予算が二兆一千万。横浜市が二兆五千万で、これは単独で神奈川県の予算をオーバーしておる。さらに川崎市がありまして一兆一千五百万の予算でございますから、三兆六千万。神奈川県の予算を大きくオーバーしておるということでございます。 そして、京都でございますが、京都府の予算が約一兆ちょっと、この当時超しておりますか、既に京都市一市で一兆一千五百万という形になっております。 そして、十二政令市の人口を合計してみますと一千九百万です。東京都が一千三百万ぐらいですか、東京都と十二政令市を合わせまして既に三千二、三百万になるという形になっております。 そういう中で、政令市といいますのは、昭和二十二年の自治法改正のときには一応特別市制として規定をされて、これをいわゆる特別市とするという論議がなされたわけでございますが、その当時は、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸という五市だったと思いますが、その当時のいろいろな論議の中で、恐らくはその当時の県の大変な抵抗によりましてこれが成立をしなかったということでございます。 御存じのように、私も今申しましたように政令市選出の県会議員をしておりまして、大変いろいろと悩みも多かったわけなんです。政令市がほとんど権限を持っておるということでございまして、私も警察か高校ぐらいかというようなことで、非常に悩みも多かったわけでございます。 そういう中で、先ほどからお話がありましたように、地方分権を進めていくためには、どうしても効率的という面からいきますとやっぱり市町村合併をしていかなければならない。これは大くくりに幾つかということは私はわかりませんけれども、人によっては三百だ、人によっては八百だ、人によっては千ぐらいだと、いろいろとありますけれども、これは必然的にそのような形に持っていかなければならないことであろう、このように思うわけでございます。 そして、先ほど石渡議員の質問にもありましたように、中核市、特例市というようなこともこれから育てていこうという自治大臣のお話もございました。東京都と政令市で三千三百万、それから中核市、特例市、大ざっぱにいきますとこれで二千万ぐらいになりますか、五千万から六千万がこういう形で、そして権限を移譲していくというような趨勢になってくるときに、じゃ県の存在はどうなるんだ、県の行政が空洞化してしまうのではないか、このような気もするわけでございます。 そういう中で、自治大臣、政令市の位置づけというものについてお考えをまずお聞きしたい、このように思います。
○国務大臣(野田毅君) 率直に言って大変難しい問題だと、トータルとして言えば。 現在、やはり明治以来の廃藩置県以降、地方行政の組織としての県というものがかなり定着してきている、住民サイドから見ても。そういう県内における、県庁所在都市が主として政令指定都市的なもの、ほとんどそういうものが多いわけでございますけれども、そういう中で、県内の一体的な行政事務なり住民のニーズから見て、いろんな施設等々の県内における適正配分、よく国土の均衡ある発展という言葉もあるんですが、一方で、県内における一極集中をどういうふうに乗り越えていくかという意味で、県内における調整の作業というのは今後においてもやはり行われていかなきゃなかなかうまくいかないだろうという側面が現にある。 しかし一方、そういう中で、だからといって県が権限を握って常に政令指定都市の上位にランクするということでは、国と地方だけでなくて、県内における県と指定都市の間の問題もあるのではないか。 そういう意味で、極力、県が権限をすべて統括していくという形ではなくて、政令指定都市については大幅に権限を移譲していくということが結果において住民自治を達成していく大きな原動力、推進力になっていくのではないか。そういう角度の中で、今日まで特に社会福祉、保健衛生、都市計画、土木行政、こういった市民生活に直結した事務を移譲してきたわけでございます。同時に、行政監督上の特例も設けて、現行の都道府県制度のもとにおいての大都市行政の合理的、能率的な処理、あるいは市民福祉の向上を図ろう、こういうことでございます。 そういう点で、位置づけについてはやはり県における中核、県庁所在都市ということですから県内における非常に大事な都市ではございますが、独立という形になるとちょっと問題があるだろう、並列的な存在という形には問題があるのではないか、しかしそういう意味で、後段で申し上げましたが、権限移譲は積極的に行っていくべきではないか。 そういう考え方のもとで、今回の法案の中で、例えば都市計画の決定など幾つかの項目について、厚生省関係であったり、あるいはそのほか文部省関係、埋蔵文化財関係のこともございますが、権限移譲を行ったところでございます。 そういう意味で、地方分権のさらなる推進に向けて、こういった考え方でこれからも臨んでまいりたいというふうに考えております。
○吉村剛太郎君 地方分権関連法案を一生懸命成立させようという現時点でございますから、自治大臣の今の御答弁、それをはみ出すということは大変難しいであろう、このように思っております。 しかしながら、今、福祉政策などについての県と政令市の関係をおっしゃいましたが、現実は、老人福祉施設、身障者更生援護施設、児童福祉施設の設置、認可、監督は政令市となっております。しかし、それらの施設の設置と経営を行おうとする社会福祉法人の設立、認可は、これは社会福祉事業法で知事の権限になっている。また、そうした社会福祉施設への補助金の決定は厚生省でやる。二層、三層になっておりまして、一つの仕事をするのにこれだけ二層、三層になっておるということであれば、これは現時点においてもやっぱり整理していかなければならない問題であろう、このように思います。 その辺についての自治大臣のお考えと、さらに一歩踏み込んで、将来的にはこの政令市というのはどういうふうな位置づけがよりベターなのか。これからのいわゆる二十一世紀の地方分権の時代を迎えて、政令市というものの存在、これはまだふえていくかもわかりません。ふえていくかもわからないが、その位置づけについて、個人的な考えでも結構ですがお聞かせいただければと、このように思います。
○国務大臣(野田毅君) 現在でもかなり、いわゆる都道府県の権限とされる事務が、政令指定都市についてはその都市の権限という形に移譲されている、これはもう申し上げたとおりです。しかし、その中でもさらに、今のままで満足するのではなくて、さらにもっと権限移譲のために努力をしていこうということは、私は方向としてそのとおりの努力をいたしたいと考えております。 その中で、先ほど申し上げましたが、都道府県の制度というものは現在定着しておることも事実でございまして、政令指定都市がその府県の中に存在しておるということも事実でございます。そして、その県内における広域的ないろんな調整ということも、一方で地域としては必要な部分もあるのではないか。そういう意味で、全く県から独立した存在としてひとり歩きしていくということになると、地域における調整の問題が、大きな意味での住民福祉ということからいえば逆にマイナスになる面もなくはないのではないかと懸念されておる。したがって、そこまで一気に行くのはいかがかと。 ただ、将来に向かって、現在のままで市町村があるわけではない。特に、基礎的自治体としてもっと大きな規模の市に整理されていく、あるいは統合されていくと、現在ある五十万以上の政令指定都市という基準、それに該当するような形でそれぞれの基礎的自治体に日本列島全体が整理されていくという過程であれば、そのときにおける都道府県という役割というのはいかがなものかということは当然問われなければならないことだと思っております。 そういう点で、将来的に地方自治体というものが、現在の都道府県と市町村という二層構造というものがより整理されていくならば、逆に一層構造でも済むのではないか。その際に、地域の間の調整機関として、じゃ都道府県にかわってどうするのかというような議論も当然行われていくのではないか。しかし、今その議論をここでやりますと、幼稚園に入る段階から大学入学試験の話をしておるような感じがありまして、ちょっとそこへ一足飛びに行くのは混乱をすることになりかねないということもございます。 いずれにしても、基本は、その地域における住民福祉のためにどういう形で自主性、自立性をより強化していくか。そして、それを運営していく主体というものが単なるコミュニティーということだけではなくて、行政主体としてどれだけの財政力なり組織力なり対応力というものを保持できるかという角度の中から市町村合併というものは見ていくべきだろうと考えておりまして、今ここでいきなり一層構造、二層構造についての画一的な結論を出すのはちょっと早いのかなというふうには考えております。
○吉村剛太郎君 よくわかります。確かに今の府県制といいますのは定着をしておりますし、そこに住む県民、府民といいますのも県民愛、郷土愛、そういう精神的ないわゆる一体感といいますものを持っておりますし、確かに今後の課題であろう、このように思っております。 ただ、しかし、やっぱり地方分権といいますのは、どうしても今の三千三百の自治体そのままでこれを受けるということはこれはかえって効率が悪いという、これはもうだれもが認めるところです。これをやはり幾つかにくくっていくということの中に先ほどから話がありました特例市、中核市、政令市といいますものがあるということになれば、先ほど申しましたように、そこに権限が順次移譲されていくと、県の存在というものが空洞化してくるということになってくるわけですね。 それと、私と自治大臣は熊本県と福岡県で隣同士でございます。福岡県の大牟田市、国道を通ってずっと行きますと熊本県の荒尾市に入ります。ただ車で走っているといつ入ったかわからない。ずっと歴史的に一緒にやってきた。今度、一昨年、三井鉱山が閉山になりました。その痛みも一緒に味わってきた。お祭りもほとんど町並みで一緒にやってきておるというときに、県のくくりの中で調整するのを越えて、もう県境をまたいで中部九州として何らかの施策なり、合併とは申しませんが、そういうことも視野に入れていいんではないか。このように思いますときに、今申しましたように地方分権の必然はやはりこの自治体のくくりにある、そして権限移譲にあると。 これをずっといきますと、やはり広域府県を越えた合併ということ、それからさらに道州制ということまでも視野に入れて論じていかなければ、確かに今は幼稚園の話です、しかし成長して大学に行って大学を卒業する、日本の二十一世紀の形といいますものを論じるときに、幼稚園だからといってこれを視野に入れないというのはいかがなものか。自治大臣のお考えを。
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおりでございまして、全く視野に入れないというわけではございません。この点は地方分権推進委員会においても指摘もされておりますし、計画におきましても都道府県の合併という問題も中長期的な視野において検討するようにということも現に指摘もされておるところでございます。特に、今御指摘のございました大牟田市と荒尾市、まさに私の選挙区でもございまして、石炭問題で本当に一体的に共通の課題、苦しみ、テーマを抱えている地域でもございます。本当にこういうところを見ますと、一体これをどういうふうに対処していくのか。そういう点で、今言いましたいずれ府県間の合併問題というのはかなり真剣に行われなければならぬなと。 その際、役割分担というものが、先ほどちょっと申し上げたんですけれども、どういう形であるにせよ、それぞれの自治体間の調整ということは当然必要になる作業でございます。そういう意味で、都道府県が今県内の市町村に対して行っておりますいろんな権限がございます。これが、今政令指定都市なり、あるいは中核市なり特例市ということになれば大幅にそれぞれの市に移譲されていくんですが、独自で、他の自治体と無関係に自分で決定していくという範囲における自主性、自立性を高めていくというのは、これはこれで大いに促進すべきだと。問題は、それぞれの自治体間の調整作業みたいな、一緒にやらなければ意味のないというか、かえって混乱をするとか弊害を招くというような事務事業というものも現にあるわけで、そういった意味での都道府県の役割というものは、名前がどうあろうが、何らかの形で調整作業というものは必要になっていく側面は残るのではないか。そんなことはイメージとしては当然予想されるわけでございます。 道州制につきましても、随分昔からいろんな議論がございますが、ではその道州にどういう権限を付与するのかということについては、まだ必ずしも画一的な議論に収れんしているわけではないようにも思います。そういう点で、視野には入れつつも、まだ今ここで結論を出すわけになかなかいかぬのじゃないか。 ただ、大きな方向性として、まさに基礎的な自治体を強化する、その権限を強化する、その自主性、独立性をより十分に保障していくということを一つの原点として、それを基礎にして物事を展開していくという発想法というのは非常に自治の本質と私は考えておりまして、トータルの方向性は大体共通認識があるのではないかというふうに考えております。
○吉村剛太郎君 よくわかりました。今後の大きなテーマとしてこれから我々国民全体がこの地方分権に取り組み、そして将来の課題として考えていかなければならない問題であろう、このように思っております。 そこで、たまたま荒尾市、大牟田市の話が出ました。ともに炭鉱が閉山になりまして、大変今苦しい立場にあるわけでございます。石炭産業につきましては特別立法がございまして、累次にわたり延長をし、しかしながら平成十三年にこれが終息をするという宿命に今立たされておるわけでございます。私は、これはこれとして、それぞれ自治大臣もお地元のことだし、我々も地元のことですから真剣に取り組んでいかなければならない、このように思っております。 そういう基幹的な産業については法律もつくり、そして国を挙げて、また国会の場でも論じられてきた課題であるわけでございます。なおかつ、それぞれの地域、産炭地は苦しい立場にありますけれども、そういうやはり国の施策、法律の目が届いた分野だ、このように思っております、まだまだ苦しいものはありますが。 しかしながら、地方分権という中で、身近なことは地方がやるということでございますが、身近な地場産業が今非常に苦しい立場に置かれておる。地元のことだから地元の自治体がやればいい、こういうことかもわからないけれども、しかし今日の財政状況の中で、地方も手いっぱいだと。まあ役所でいろいろ知恵を絞る程度で、実際に財政支援とかやることができないということを考えますときに、中小企業対策としては押しなべた施策を累次にわたり施してきております。例えば、信用保証制度枠をとるとか法人税の減税、これは大企業もそうですが、いろいろな施策をやってきております。 例えば、福岡県のことをとりますと、大川市というのは家具産業で成り立った、まさに家具だけで成り立ったところなんです。それがこの不況の中で大変苦しんでおる。ではどうするか。なべた施策でやればいいということだけではなかなか行き届かない。 そういう中で、ミクロのそういう地場産業、物産を何らか救う手だてがないものだろうか。もちろん、地元のことだから地元の自治体でやれ、こう言ってしまえば終わりなんですけれども、それがうまくいかないという現実がある中で、どういう方向づけをすればいいのか、私もちょっと知恵がわきませんし、この問題は自治大臣か通産大臣か、お考えなりをお聞かせいただければと、このように思います。
○国務大臣(野田毅君) 中小企業政策、地場産業という観点からいえば、通産大臣、後でお話あろうかと思います。 御指摘のように、本当に頭の痛いテーマでございまして、今ちょうど産業構造が大きく変わろうとしている。そういう中で、今までの日本の経済を支えてきた、地域を支えてきた地場産業がだんだん入れかわっていく。したがって、衰退産業という言葉を使っていいのかどうか、成長産業ということに対して。石炭でもやはり黒いダイヤと言われた時代が現にあったわけでございます。そういった点で、地域を担っていく産業の中身が変わっていく、それにどうやって地域としてキャッチアップしていくのか、これにどうやってダイナミックに取り組んでいくのかというのは本当に大変な課題でございまして、すぐ一朝一夕に、ではこういうような手法でやればいいんですよという答案はなかなか出てこない。 特に、それぞれの地域の技術にせよ人にせよ、かなりそういったものの総合力というものが背景に現にあるわけでして、そういったことを思いますと、やっぱりその地域の長所短所、個性というものをしっかりわきまえている住民というか地元の自治体が、より主体性を持って自分たちの地域をどのように発展させていくかということを、まさに主役は自分たちなんだ、メニューは自分たちがつくるんだという本当にそういう意識に燃えて、そういう活力をどうやって引き出していくかというのが今大事なところだと思っています。 そういう点で、放置するわけではありませんが、ややもすれば今日まで、国の方でメニューをいろいろ用意して、そしてこのメニューをおやりになるならば補助金をつけますよ、何をしますよというやり方をしてきて、ついついそれに飛びついて、結果はうまくいかなかったというケースが多いようにも思います。そういう点で、これからはまさに地方自身がメニューは自分たちがつくるんだ、そのメニューづくりをするための人材育成であったり、いろんな情報というものは国としても積極的に支援をしていかなければいけないというふうに考えています。 そういう点もございまして、本年度、自治省は新たな試みとして地域活力創出プランというのを、これはハード、ソフト両面で、起債と交付税の裏打ちと両面で、総額一兆円で地域活力創出プランという形で事業計画をスタートしたところでございます。 私どもも全力を挙げて、地域が今特にこういう経済状況の中で非常に苦しんでいる、苦しんでいる中で何とか自分たちの力で地域を守り立てていきたいというその熱意、願望だけは従来以上に高まっていることだと思っておりますので、私どもも一生懸命これをバックアップしてまいりたいと考えております。
○吉村剛太郎君 テレビを通して、全国のそれぞれ地場の苦しんでいる産業に携わっている人々に自治大臣の今のお考えは十分に伝わったことと、このように思っております。 いずれにしましても、国に頼るだけではならない時代に今入ってきておるわけでございまして、今おっしゃいましたように地元がメニューをつくるということと同時に、やっぱりその自治体、地域が財政力も持たなければならない、このように思っております。 そういう中で、では自治体税収、地方の税収をどう確保していくかという問題、税財源の問題があるわけでございますが、その中で今論じられております外形標準課税ということでございます。 これにつきましては、今日多くの企業、特に中小企業が苦しんでおるという中で、外形標準課税ということは今日では大変難しい問題だ、私はこのように思っております。 しかしながら、地方財政がどうしても安定しないという一方の悩みがあるときに、この問題もまた避けては通れない問題なのかなという気はしておるわけでございます。現時点ではとても私も標準課税を適用するというようなことは賛成できないわけでございますが、論ずることをタブー視してはならない、こんな感じもしておるわけでございます。 この点についての大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
○国務大臣(野田毅君) 国税、地方税、それぞれどういうような税を仕組んでいくかというのは非常に大事なテーマでございます。 その中で、地方自治を本当に裏打ちしていく、地方の自主性、自立性を保障していくには、権限の移譲とかいうことだけでなくて、やはり財政的な自主性というものを保障できる仕組みというものが必要である。そういう点で、まず地方財政を支える中心的な柱というのは地方税である、言うなら財政自主権というものをどうやって保障するかということだと思います。 そして、その地方税だけではどうしても地域間における経済構造等も違うわけで、そうなりますと、税源が必ずしも満遍なく存在しているというわけではない。その税源の偏在をどう乗り越えていくかというテーマが一つございます。 そういったこともあって、どうしても自治体間の財政力を多少補完し合うというか、財政調整をしていくような制度というものが必要である。そういう意味で今地方交付税がそれを補完する形で存在をしていて、その交付税もひもつきということではもちろんありませんで、いわゆる一般税源として自治体の自主性に基づいてその使い道が決定される、こういう仕組みになっている。 その中で、事業税というのは御案内のとおり現在の都道府県の財政収入の中で非常に中核的な税目でもございます。これについて、現在はいわば所得を課税標準にしてとらえていると。したがって、考えてみれば、法人住民税の法人税割というのも、これもある意味では所得課税みたいなところになっている。果たして一体どうなんだという側面もございます。 そういった点で、地方自治体のサービスというのは景気変動にパラレルに行われるものではないのではないか、より基礎的な、景気変動に余り関係のないサービスというのが基本になっているのではないか。 特に、人を雇用する、あるいは事業所を設けるということであれば、警察のいろんな働きにも負うところも多いだろうし、あるいは学校、消防、さまざまな意味でそういったところもあるのではないか。必ずしも所得の多寡だけではないのではないか。それから、税収の安定性ということを考えますときに、やはり地方税収が安定的なものでなきゃいけない、そういう制度としての仕組みはどうなのか。 そういう意味で、かねてから事業税について、これはもう戦後直後から安定的な、根幹的な税としてありたいという意味で外形的なものを標準にする、所得を課税標準にするのではなくて、その方がすぐれているし、そうすべきではないかというのが積年の課題でもございます。 御案内のとおり、この点については政府税調においても地方法人課税小委員会でいろいろ御勉強いただいておるところでございまして、その時期あるいは具体的な方法については別としましても、おおよその方向性については既に出していただいておることだと私は考えております。 この点は中小企業の皆さんにも非常に大きく影響するところでございますが、やっぱり自分たちの地域を自分たちで支えていくんだという基本原則、特に昨今のように赤字法人割合の方が黒字法人割合よりかはるかに多いみたいになってしまったら、本当にそれでいいんでしょうかと。そういった意味で、より安定的な形というものが本当はいいのではないか。 ただ、一気に今までの課税標準のあり方をごろっと変えてしまうというのはなかなか、激変ということは避けなければならぬところもあるかもしれません。そういった点で、経過的な形としてのことをも含めていろいろ知恵を出していかなければいけない、私はそのように考えております。 トータルとして増減収のことも考えていかなければなりませんが、本年の税制改正の中で事業税の減税が先行して行われておるんだということも念頭に置いてぜひ御議論もいただきたいし、特に社会保障とのかかわりも、この際あわせて外形標準という場合にどうあるべきかということも念頭に置いて御議論をいただければありがたいというふうに考えております。
○吉村剛太郎君 私も県会時代からこの問題は常に一つの大きなテーマでございまして、悩みが多い課題であった。一方ではこれから地方の時代に安定したサービスを住民に提供しなければならない、それには安定した財源が必要だ、これで今まで堂々めぐりで、ではこの不況の時期にどうなんだと、大変悩ましい課題であったわけでございますが、これからも慎重にいろいろと検討していかなければならない課題であろう、このように思っております。 そういう中で、民間の資力また知恵、ノウハウ、これを活用して公共的なサービスの充実を図っていくという、PFI方式といいますか、これは先進国がイギリスであるということでございまして、病院や学校や橋や消防車、そういうものに対して民間の資力、ノウハウを活用するということのようでございます。 この法案が、衆議院の方ではもう成立したんですかね、間もなく参議院の方にも回ってこよう、このように思っておりますが、このPFIというのはどうもまだ耳なれないことでございますので、まずPFIについての御説明をお願いしたい、このように思います。
○国務大臣(関谷勝嗣君) 先生御指摘のPFIでございますが、これは衆議院では成立いたしまして、今参議院へ送られておるところでございます。 PFIはプライベート・ファイナンス・イニシアチブと言うわけでございまして、民間の資金あるいは能力などを活用しまして、今までは国が公共施設等の整備を促進しておったわけでございますが、この財政資金の有効活用を図るとともに、効率的かつ効果的な社会資本整備を民間の方にも入っていただいて、それを整備していくというわけでございます。 昨年三月に閣議決定されました全国総合開発計画におきましても、イギリスのPFIのような、諸外国の先進事例を参考にした民間活力の積極的な活用を提唱しているところでございます。 PFIは、先生御指摘のように時代の変遷、またいわゆる地方分権にも関連もしてくると私は思うわけでございますが、ただ、このPFIが成功するかどうかというのはやはり景気というものがいい状態になってこなければなかなか難しいと思うわけでございまして、景気が悪い場合はどうしても国主導の整備ということになるわけでございますから、そういう意味におきましては今いい方向に進んでいる。そのときに、このPFIがいずれこの参議院でも御審議をいただいて成立すれば、これはちょうどタイミングもいいときにでき上がるのではないかなと期待をいたしておるところでございます。
○吉村剛太郎君 非常に画期的なアイデアだな、このように思っております。 これは私もまだ勉強不足でございますが、イギリスで始められたということでございますが、イギリスにおいてはかなり成功をしておるんですか。イメージがまだいまいち私はわいてこないんですが、ひとつ具体的に例でもあれば教えていただきたいんですが。
○国務大臣(関谷勝嗣君) イギリスでは大変成功しておるようでございまして、例えば、今まで刑務所などは国が管理をしておるわけでございますが、こういうような刑務所を民間につくることも依頼するというようなケースがあるようでございます。
○吉村剛太郎君 なるほど刑務所、まさか囚人から家賃を取るわけじゃないでしょうけれども。しかし、アイデアとしてはそういうことも何も枠をはめる必要はないと思いますが、交通刑務所ぐらいだったらそのぐらいのことはしてもいいのかなという気がいたします。 今の刑務所は、どんな形にして成り立っておるんですか。
○国務大臣(堺屋太一君) 私どもの方に調査費がついておりまして、今後私どもの方も内閣を補佐してやることになっております。ちょっとお答えさせていただきます。 今の刑務所の例もございますが、もうちょっとわかりやすいのを言いますと、エリザベス橋という有料橋がございまして、つくるのは民間企業のお金でつくりまして、それでこれは有料橋ですから料金を取って返すわけなんです。そのときに、地方公共団体とそれから民間企業の業者との間に最初に契約を結びます。この橋の大きさとか修理の状況とかそういうことの契約を結びまして、料金はこれこれ以内というような形をいたします。そして、民間企業でございますからいろいろ工夫をいたしまして、その橋の地域を開発するとか、あるいは新しい技術で朝は都心行きを広げて夕方は帰りを広げるとか、そういうことをやりましてかなりいいサービスを安い料金でできているというような例がございます。 それで、今、関谷大臣の説明されました刑務所なんかにも広がっておりますし、いろんな多様なサービスに使われております。例えば、公営住宅を半分は公営住宅にして半分は民間のビルにするとか、いろんな工夫をしております。 今、私どもが調査いたしましたものにも、日本の都道府県から、美術館をつくりたいとか、庁舎をつくりたいとか、あるいは公営住宅をつくりたいとか、それからごみ処理場をつくりたいとか、いろんなことが出ております。日進月歩の技術を民間企業が取り入れていただくので、同じ公共サービスを安い料金で、あるいは同じ料金でよりいい公共サービスがいただけるというような事例が多いようでございますので、大いに発展させていきたいと思っております。
○吉村剛太郎君 では、同じ橋でも運営その他はそれぞれ違う、アイデアによって違ってくる、こう解釈すればいいわけですね。はい、わかりました。 きょうは先ほどから何度も申しましたようにテレビで放映されておりますし、これはまさに民間の皆さん方の協力を得なければならないことだ、このように思って、テレビを通じて大いにこれはPRし、参画をしていただき、その知恵を出していただければと、このように思うところでございます。 続きまして、今まで行政改革とか地方分権、また規制緩和、そういうことを論じてまいりました。これはある意味ではソフトの分野でございます。分権をする、しかし分権はしたけれどもその地域は何もないということではどうしようもないわけで、分権と同時に、ソフトが浸透していくと同時に、やっぱりハードの面も充実していかなければならない、このように思っております。 そのハード面の充実の一つの柱が、新しい全国総合開発計画にも書かれておりますように、一つの柱、まさに柱でございますが、新しい国土軸の形成ということになってくるんではないか。これがまさに日本国土の分権の背骨、実質的な背骨になってくるわけでございます。 具体的には、北東、日本海、太平洋、西日本の四つの国土軸が想定をされておるということでございますが、この点につきましてちょっと御説明をいただきたい、このように思います。
○国務大臣(関谷勝嗣君) 昨年の三月でございますが、閣議決定をされました新しい全総計画で、副題といたしまして「二十一世紀の国土のグランドデザイン」というふうにつけておりますが、今までは、言うまでもなく太平洋ベルト地帯に東京を中心といたしまして人口であるとかあるいはいろいろな諸機能が集中している、いわゆる一極一軸の国土の構造になっておるわけでございますが、これからは、先ほど先生御指摘ございましたように、日本海国土軸など四つの大きな国土軸、いわゆる多軸型の国土構造に転換をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。 過般の阪神・淡路大震災におきましても、今大きな軸は現在の東海道を中心にした軸でございますから、それだけ情報も大変おくれました。また、対策もおくれるというようなことでございますから、多軸型の国土形成にしていきたいということでございまして、このような多軸型国土構造の形成の基礎を築くためには、自立の促進と誇りの持てる地域の創造ということを基本的課題として挙げ、多様な主体の参加と地域間の連携によりまして国土づくりあるいはまた地域づくりを進めていきたいと考えておるわけでございます。
○吉村剛太郎君 まさに分権時代でございます。制度としての分権といいますものが浸透をしていく、一方では現実のハード面でこれが国土軸を中心にして浸透していく。これが両々相まって初めて日本の地方分権というものの姿が成り立ってくるのではないかな、このように思う次第でございます。 ただ、今、大臣がおっしゃいましたように、かつて列島改造のときに乱開発とか、また環境についていろいろと問題が起きたとか、そういうものも付随してくる懸念は捨て切れないものがある、このように思っておりまして、そういう面も含めて、まさにこの日本列島が分権が行き渡り、そして住みやすい自然と調和した国土になっていくということが我々の分権の最終目標ではないかな、このようにも考えるわけでございます。 さて、時間ももう余りございませんが、最後に、私も地方政治に参画をさせていただいて一番戸惑いましたのは、地方自治体の実態がわからない。要するに、予算書を見ても実態がわからない。これがまさに企業であればバランスシートがありますから、資産がこれだけある、借金がある、こうわかるわけですけれども、自治体の場合はわからない。したがって、新しく首長になられた、市長なら市長になられた人が、じゃ、おれが担当するこの市はどうなっているんだということは一目瞭然にはわからない、もちろん資産台帳をいろいろ見ればわかるけれども。やっぱりそういう面では、自治体経営に企業感覚を持つということが二十一世紀のまさに分権の時代には必要なことではないか、こういう気がするわけでございます。 現に幾つかの都府県ではバランスシートを作成しておる、また公表しておるというようなことも聞き及んでおるわけでございます。自治体経営と企業経営というのは本質的に違うわけでございまして、なかなかこれは難しい問題も多々あろうかと、このように思っております。しかし、難しいからといって私は触らないということでは何ら進歩がないのではないか、このように思いますときに、自治体の経営にもそういうシステムといいますものを取り入れるということは大切ではないか、このように思っております。 現にそのような実績を持った自治体もある、このように思っておりますが、現状はどうなっているのか、そして今後どのような方向に進んでいきたいと思っておられるのか、その辺をお聞かせいただきたい、このように思います。
○国務大臣(野田毅君) 地方自治体がみずからの財政状況を正確に把握して責任ある財政運営をしていこう、あるいはそれを住民にも公表して、そういう意味での住民の監視なりチェックというものをやりやすくしていこうということは非常に大事な手法の一つだと考えておりまして、それぞれの地域が自主的な判断でおやりになっていただくということは大変有意義なことであると考えておりまして、私はそういう努力ということは評価をすべきことであると考えております。 今日まで、水道とか交通事業とか、そういう公営企業のような分野いわゆる第三セクターにつきましては、既に商法とか地方公営企業法、こういった規定に基づきましてバランスシートはもう導入をされているわけですが、これを言うなら普通会計分野、一般行政分野にどのように導入していくのか。特に、これはそういうバランスシート、財政面のことだけでなくて、最近はいわゆる行政評価というか、そういったものをも含めていろいろ試みを強めておられる自治体がふえてきておりまして、そういう意味では大変いい傾向であるし、大いにその努力をしていただきたいと考えております。 一般会計におけるそういうバランスシートの導入という問題、これは国は国でいろいろ研究をしていただいておることだと思っておりますが、自治省でもかなり古くからいろいろ勉強だけは積み重ねてきたんですが、実際なかなか難しい部分もございまして、いわゆる確立されたこれだというものがまだでき上がっていない。したがって、各自治体にこれに見習って云々というところまではいっていないというのが今日までの現状でございました。 そういう点で、今現在、特にこのままいつまでもずるずるというわけにもいかぬということもございまして、特に今年度から地方公共団体の総合的な財政分析に関する調査研究会をつくりまして、ここで精力的に地方財政の状況に対する分析の手法ということを研究してもらうということに改めて対応をいたしておるわけで、その際、バランスシートのつくり方などについても突っ込んだ検討をしていただくことになるわけでございます。 いずれにせよ、今申し上げた方向でそれぞれの自治体が既に先行しておやりいただいております。 答弁が長くなって恐縮ですが、取り組み状況いかんということでございますが、例えばバランスシート作成団体で既に作成して公表している団体、これは熊本県が昭和六十二年度、それから三重県が平成九年度、宮城県平成十年度、藤沢市が平成九年度、古川市が平成十年度、四日市市が平成十年度、臼杵市が平成十年度、宗像市が平成十年度。作成予定をしておられる団体は、東京都とか八王子市とか武蔵野市、宇治市、上越市、新津市というのが報告として来ております。
○吉村剛太郎君 時間が参りましたので、このあたりで質問は終わりますが、冒頭申しましたように、まさに明治維新そして戦後の大改革に匹敵する中央省庁の改革並びに地方分権でございます。閣僚の皆様方は当然のことながら、やはりこれは国民的仕事、課題だ、このように思っておりますので、きょうは全国にテレビが放映されておりますが、国民の皆様方には地方分権に対しての一層の御協力を私個人としてお願いをさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○本岡昭次君 民主党・新緑風会を代表して質問をさせていただきます本岡でございます。 まず、地方分権について私の基本的な考え方を申し上げ、小渕総理の御見解を承ってまいりたいと思います。 地方分権は、二十一世紀を展望して動かしがたい時代の趨勢であると私は考えています。明治維新、戦後の民主化に次ぐ第三の改革であるというふうに私は認識しております。本日からこの参議院の本特別委員会で審議が始まりました地方分権推進一括法案の審議は、一九九三年六月四日、参議院における地方分権の推進に関する決議を受けて以来、地方分権社会実現へ大きな期待を担ったものでありますが、その内容は残念ながら地方分権推進委員会が行った勧告から大きく後退したものになっていると私は見ています。しかも、その一部には将来に禍根を残すような内容の制度が盛り込まれております。衆議院で一部修正されましたが、参議院でも慎重な審議により問題点をさらによりよく修正し、我が国の重要な改革目標である分権型社会への誤りのない第一歩を踏み出さなければならないと考えます。 こうした法案審議に対する基本的な考え方について、総理の見解を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 地方分権につきましての基本的認識ということで問われました。 最重要課題であります行政改革を推進し、簡素で効率的な行政システムを確立するためにも、地方分権を強力に推進していくことが重要であると考えております。 地方分権は、明治以来形成されてきた国、都道府県、市町村という縦の関係である中央集権型行政システムを変革し、対等、協力の横の関係を構築するものでございます。地方分権は今や実行の段階を迎えていると認識いたしておりまして、まずは本法案を今国会においてぜひとも成立させていただき、地方分権を具体的な形で進めてまいりたいと思っております。 今後とも、地方分権の一層の推進に向けて、地方分権推進計画等を踏まえた国からの地方への事務権限の移譲や地方税財源の充実確保に積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 本岡委員御指摘のように、明治時代の改革、そしてまた戦後の改革に匹敵する改革ではありますが、明治時代はいわば中央におきましてそうしたシステムをつくろうという形でありましたし、戦後も、憲法の中には地方自治が取り入れられておりまするけれども、新憲法におきましても、その当時アメリカの占領下においてそうした形が理想として取り入れられた形の中で、今回はまさに国民のサイドからこれを取り入れていこうというのが主体でございまして、委員が今御指摘のように、両院における決議というものからスタートいたしまして分権推進委員会がこれを決めてきた。明治そして戦後に比べますと、まさに国民が主体としてこれをつくり上げようという新しい私は体制のもとでの今回のこの改革であるという認識をいたしております。 したがいまして、委員が今御指摘のように、まさに政府といたしましては、取りまとめをいたしまして法案を提出させていただいておりますが、両院におきます十分な御審議の中で、二十一世紀に向けたすばらしい、地方自治のあり方も含めまして種々御意見を承りまして、政府としては対応していきたい、こう考えており、衆議院における修正につきましても、これを政府といたしましては十分取り入れさせていただきながら対応していきたい、このように考えておりますので、参議院におきまする御審議も期待を申し上げておるところでございます。
○本岡昭次君 参議院の審議も期待をしている、このように今おっしゃいました。しかし、最近の状況は、衆議院で修正されれば参議院はもうそれで終わりなんだというふうな風潮が全体にあるわけでありまして、今回のこの法案も、衆議院の修正は修正として私たち評価しますが、なおそれでも、先ほど言いましたようにここはどうしても変えなければ将来にこれは禍根を残すよというものがあるわけでありまして、そうしたものを十分審議して、そして参議院においてもよりよい法案に仕上げていく、将来の分権型社会を目指して誤りのない道筋をつくるということについて、参議院において修正ということにつきましても、衆議院でやったんだからもう参議院は必要ない、そういうふうな乱暴な形をとらないようにというのが私の気持ちであります。 もちろん、これは総理のどうこうする問題ではありませんけれども、これは政府として、内閣として、参議院における審議そのものについて十分そうした修正の問題も含めてやることの期待があるんだということについてのお考えを私は聞いたわけでありまして、再度そのことについていかがでございますか。
○国務大臣(小渕恵三君) 参議院の審議につきまして政府としてとやかく申し上げる立場にはありません。十分な御審議をお願いいたし、要は、国家と国民にとって新しい時代における地方自治のあり方についてよりよいものを目指していくということにつきましては、国民の期待しておるところであろうと考えております。
○本岡昭次君 それでは、具体的な中身に入ってまいりますが、時間が限られ、そしてしかも休憩を挟んでの審議でございますので、事前に通告したような質疑がちょっとできませんで、ばらばらになりますがお許しください。総理は何でも答弁できると思いますので。 それで、まず憲法上の国と地方の関係について伺ってみたいと思います。 私たち民主党の菅直人代表が一九九六年十二月の衆議院予算委員会で、「行政権は、内閣に属する。」という憲法六十五条をめぐって政府と論争しています。そのときに、大森内閣法制局長官が次のような答弁をなさっているのです。それは、六十五条の意味は、「行政権は原則として内閣に属するんだ。逆に言いますと、地方公共団体に属する地方行政執行権を除いた意味における行政の主体は、最高行政機関としては内閣である、それが三権分立の一翼を担うんだという意味に解されております。」と言うんです。「地方公共団体に属する地方行政執行権を除いた」ということをここでおっしゃったのであります。 つまり、内閣の行政権は自治体の行政権を除いたものであり、逆に言うと、自治体は、地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有するという憲法第九十四条によって、みずから自立した行政権を有するということなのであります。ここではっきりさせなければならないことは、自治権は国から与えられた自治権ではないということではないかと私は思うんです。 総理並びに大森法制局長官のこの見解についても、ひとつ見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 憲法第六十五条が「行政権は、内閣に属する。」と規定いたしております趣旨は、三権分立の原則のもとで、国家作用のうち行政権の行使の主体は原則として内閣であることを明らかにしたものでございます。 委員御指摘の憲法第九十四条におきまして、地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有する旨規定いたしており、地方公共団体の行政執行権を定めておるものでございます。 したがいまして、このような地方公共団体の行政執行は基本的には内閣に属するものではないことになりますが、内閣が、法律の定めるところにより、行政権の行使として地方公共団体の行政執行に関与することがあり得ることは当然のことである、こういう認識でございます。詳しくは法制局長官から答弁いたさせますが、最後に申し上げましたように、法律に定めるところによりまして、行政権の行使として地方公共団体の行政執行に関与することがあり得ることは当然であるというのが政府の基本的な立場でございます。
○政府委員(大森政輔君) 先国会における菅直人衆議院議員に対する私の答弁に言及してのお尋ねでございますので、当時私が申し上げました発言の趣旨を少し敷衍して御説明いたしたいと思います。 当時、菅直人議員に対してただいま御引用いただきましたような答弁をいたしましたが、この答弁の趣旨と申しますのは、地方公共団体は包括的な行政権能を有している、そして現に地方公共団体の執行にゆだねられている事務自体は、国、言いかえれば内閣またはその統括のもとにある国の行政機関が執行するものではない、そういう意味で内閣が行政の主体でないということを述べたものでございまして、それ以上に、内閣は地方公共団体が行う事務について一切責任を負わない、あるいはかかわりを持たないということを申し上げたものではございません。 憲法の地方自治の章を眺めますと、まず憲法第九十二条におきまして「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」、このように規定しております。したがいまして、地方公共団体の行政権能がどのように認められるかということにつきましては、その行う事務について地方自治の本旨を十分配慮しながら、どのように国が関与するかということを含めまして、いわゆる立法裁量の問題として国会の判断にゆだねられ、その制定する法律の定めるところによって定まることになるということでございます。 したがいまして、地方自治の本旨に十分配慮しながらも、法律またはこれに基づく命令において、地方公共団体の行う事務について国が一定の関与を行うことを法律で定めるということは憲法上当然のことであるという考えを持っている次第でございます。
○本岡昭次君 この問題は、民主党は引き続き各委員が論議して、国と地方公共団体との関係、いわゆる地方自治の本旨ということは一体何なのかという問題はぜひともきちっとしなきゃいかぬと思う。 しかし、それにしても、大森法制局長官は極めてすぐれた見解をされたと私は評価しておるんです。「地方公共団体に属する地方行政執行権を除いた意味における」というふうにはっきりと、行政の主体は最高行政機関として内閣であるけれども、それは「地方公共団体に属する地方行政執行権を除いた」ということを前提にしておっしゃっているわけで、この考え方が地方分権推進の一括法全体と、そして地方自治法の改正とどういうふうにかかわるかということが私は極めて大事な問題点であると思いましたので、この点を取り上げたのでございます。 きょうはもう時間がありませんので問題提起にとどめておきたいと思いますし、今の総理並びに法制局長官の答弁では私は納得できません。 それから、あと五分ですか、五十五分に終わらなければなりませんので、質問の中身をあれこれ整理しております。それで、一点、これは総理にお伺いしておきたいんです。 ヨーロッパ十一カ国の超国家機関として発足させたEUがございますが、このEUが補完性の原理という行政理念を確立して国と地方自治体の役割と関係を根源的に整理しております。今言いました憲法の論議とよく似たもの、それを、もう御存じだと思いますが、一応読み上げてみます。 補完性の原理とは、民主主義国家のもとでの個人が所有する社会的権利・義務は、本来、その個人に最も身近な市町村や都道府県という基礎的な自治体に帰属すると考えるべきです。ただ、その基礎自治体よりももっと広範囲か上位の州や国に帰属させた方が望ましい個人の権利や義務については、基礎自治体より上位の州や国に移譲されるべきである。したがって、州や国は市町村や都道府県の本来機能を補完するだけであり、ましてや規制、コントロールすべきでないというものであります。この最後に書いてありますように、州や国は市町村や都道府県の本来機能を補完するだけであり、ましてや規制、コントロールすべきでないというふうにまとめ上げたのが補完性の原理という行政理念でございます。 それで、私はこの補完性の原理というのは大いに学ぶべきものがあると考えますし、本委員会でのこれからの審議は、ぜひともこの補完性の原理という行政理念の実現を目指して本源的な論議をやっぱりやるべきではないかというふうに考えます。 総理、補完性の原理と言われている行政理念について、総理の所見を伺っておきたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 今、本岡委員御指摘の補完性の原理は、ヨーロッパにおきまして、EUと構成国との関係を規定する原理として、あるいはヨーロッパ地方自治憲章において基礎的な地方公共団体に対する事務配分の優先の原理として言われておるものと承知をいたしております。 実はこれは、古くはファシズムやナチズムの台頭に際して、個人の権利が奪われないようにより下位の社会集団に問題の解決を任せるべきであるという考え方として提唱されたものと、これまた承知をいたしております。 そこで、この補完性の原理の考え方は、今回の地方自治法の改正におきましてもその趣旨を踏まえたものとすることといたしておりまして、すなわち、地方公共団体は、住民福祉の増進を図ることを基本とし、地域における行政を自主的かつ総合的に広く担うものといたしております。このため国は、国が本来果たすべき役割を重点的に担い、住民に身近な行政はできるだけ地方公共団体にゆだねることを基本といたしまして、地方公共団体との間で適切に役割を分担することといたしておりまして、新設の国と地方の役割分担の規定、また市町村と都道府県の関係におきまして市町村は基礎的な地方公共団体として一般的に事務を処理するといういわゆる市町村優先の原則の規定にそれぞれ趣旨が反映されていると考えております。 このような地方自治法の規定の趣旨が御指摘の補完性の原理とも相通ずるものでありまして、今後ともこのような考え方を基本として地方分権を一層推進してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
○本岡昭次君 そのようになっておればまことに結構なんです。しかし、自治事務と法定受託事務の法文上の関係を見ても、今、総理がおっしゃったような関係には我々とても読み取れないのであります。これは午後、そこの点について十分私は議論をしてみたい、このように思います。
○委員長(吉川芳男君) 残余の質疑は午後に譲ることといたします。 午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 ─────・───── 午後一時開会
○委員長(吉川芳男君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、内閣法の一部を改正する法律案外十七案を一括して議題とし、質疑を行います。
○本岡昭次君 それでは、まず初めに、将来禍根を残すような制度がこの法律の中にあるということを冒頭申し上げました。その最大の問題が自治事務に対する国の是正要求と自治体の改善義務規定であると私は見ています。この問題で質問をいたします。 自治事務は自治体の事務です。これはもうそれ以外の何物でもないわけです。地方分権の骨格であるべき自治事務に対して、今回の法律案には驚くべき規定が盛り込まれております。それは勧告時点でだれもが想定していなかったこの是正要求に伴う是正義務が発生する規定、改正地方自治法の二百四十五条の五第五項であります。 自治事務というそもそも国が要求する権限を持っていない事務に対して、これは先ほど大森法制局長官とも若干の議論をした部分にかかわるのでありますが、そういう自治事務にまで是正義務が伴う是正要求を行い得るということは、これは地方分権推進に逆行する重大な問題であると考えます。 なるほど現行法にも内閣総理大臣の是正の要求制度が認められています。しかし、これは一九五六年の地方自治法の大改正の際に盛り込まれた規定で、創設時にも随分激しい批判を浴びている内容であります。 当時の衆議院地方行政委員会を振り返って、鈴木俊一政府委員の答弁を紹介してみたいと思います。 鈴木政府委員は、このような答弁をしているんです。「内閣総理大臣がこの問題を取り上げますまでの段階におきましては、現在の地方自治法の中にございます各種の監査の規定でございますとか、あるいは議会におきますいろいろの調査の問題でございますとか、いろいろの方法による内部的な監査、調査等が行われて、それでなおかつ問題が解決しない、」「こういうようなよくよくの場合におきまして、主務大臣から発動して総理大臣の措置を求めてくるわけでございまして、総理大臣がその主務大臣の請求を至当と思った場合において、初めて総理大臣からこういうような法令違反の事実があるが、これを一つ是正してもらいたいということを、自主的な措置を求めるわけでございますので、これは総理大臣に全く自由、自在の監督権を与えるというような趣旨のものでは全然ない」と。 このように言って、今度は住民サイドの立場から次のように答弁しているのであります。地方自治体が「法律上執行すべき仕事も執行しない、そのために困るのは住民でございまして、」、そのとおりです、「住民の福祉が非常に阻害をされる、あるいは不当な経費の支出があって、そのために住民が将来不当な債務を負わねばならぬ、」、このような事態になったときにこの総理大臣の是正要求というものが出るんだということをはっきり言っているんです。 そして、結論として、「地方自治がほんとうに住民の福祉になるようにするために、むしろ必要な最後の保障になる規定ではないか、」、このように言っているんです。「地方自治がほんとうに住民の福祉になるようにするために、むしろ必要な最後の保障になる規定」だと、この総理大臣の是正措置が。 こういう考え方で、質問者はそれでもまだ納得しないで質問を続けていますけれども、一応こういうことが規定になって内閣総理大臣の是正要求というものが一九五六年の地方自治法の大改正のときに認められた。しかし、今のような政府委員の答弁が根底にずっとあったものですから、この規定は今日まで実態として動かなかったということのようであります。事実かどうか知りませんが、本当に内閣総理大臣は一度もこの規定に従った是正要求をしてこなかったというふうに私は聞いているんです。というのは、鈴木俊一政府委員が答弁したそういう中身がきちっと根底にあったからだと私は思います。 ところが、今回の改正、今度は総理大臣じゃなくて「各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるとき」是正要求ができる、こういう抽象的な規定があるんです。一体なぜ総理大臣でなくて各大臣になったのか。また、その担任する事務に関しいろいろ書いてあることは非常に抽象的であります。鈴木俊一政府委員が当時言ったような、細かく何のためにこれがあるのかという解説はどこにもないのであります。 この抽象的な規定の上に、各大臣が内閣総理大臣の判断を省略して自分でできることとなっている。これは自治体の事務執行に対して各省庁の直接的介入を招くという私は危惧を持つんですが、これはむしろ当然じゃないでしょうか。これは各大臣に地方自治体の監督権を与えることになると私は見ます。 先ほど言いましたように、一九五六年の改正でさえ慎重であった自治体固有の事務に対する是正要求制度、これをなぜ今回はさらに義務規定まで置いて、改善する義務があるんだという義務規定まで置いて、従来の注意喚起というふうなところから改善をしなければならないというふうな義務規定まで置いていったのか、全く理解ができないのであります。 地方分権を推進するということから、根幹にかかわる極めて重要な問題であり、なぜこれが削除されなかったのか。衆議院において議論になったにもかかわらず、このまま参議院に送られて、原文のまま来ております。 私は、参議院ではぜひともこの自治体の是正改善義務、これを規定から削除するということを軸にしながら議論を徹底して行って、しかるべき修正を行わなければならないというふうに考えております。 総理並びに自治大臣の見解を求めたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 二点に分けてお答え申し上げたいと思いますが、一つは自治事務に対する国からの是正要求に関する部分です。 地方公共団体が自治事務といえども法令に従って適正な処理を行っていただく。そのことによって国と地方が役割を相分担して住民の福祉のために仕事をしていくということになるわけです。残念ながら法令に違反して違法な事務処理が行われている、そういうような場合は、本来、まず、みずから自治体自身が議会なり何らかの機関によって是正をされる、あるいはみずから住民の手によって自主的に是正をされる、これが本来のあり方として当然の姿だと考えております。 しかし、ほとんどはそういう自立的な作用の中で問題解決を図られるとは思うのでありますが、例外的に、残念ながらそのような是正がなされないで、その結果、その自治体の行財政の運営が混乱をし、停滞をして著しい支障が生じているような場合に、ではこれをそのまま放置して知らぬ顔をしていいんでしょうかということになりますと、そういうわけにもいかない。そこで、国が何らかの形で関与をして、そこで適正な行財政の運営をやっていただくための実効性のある措置を講ずることが必要だ、そういう中から是正の要求という規定が設けられておる。この点は、改正前に是正措置要求という条項があった、これは総理大臣が行うということになっておったことは御指摘のとおりでございます。今回は、各大臣がこれを行うということになったわけでございます。 そこで、各大臣が行うこととしたという理由について、いろいろな理由があるんですが、まず第一に関与、つまり是正の要求というのは国の自治体に対する関与の一類型でございます。そういう意味で、その関与を行うのが、総理大臣が行うのではなくて各省の大臣が所管の事務に関して関与を行っていくわけでございますから、そういう意味で、行政事務を分担、管理する各大臣が行うのが原則として望ましい。 それからいま一つ、同時に、そのことによってもし何らかの不服なり従うわけにいかないというような場合には、国地方係争処理委員会というものを今回新たに設置をしたわけでありますので、そういう意味で、国地方係争処理委員会でできるだけ早く迅速な結論を、しかもそういう第三者機関によって出してもらうという形をつくるためにも、総理大臣ではなくて各省大臣に、その事務を所管する大臣にしたというのが背景でございます。 なお、是正の要求の内容そのものにおいても、自治事務であるという性格に基づいて、具体的な個別の指示みたいなことはしない、あくまで具体的な措置そのものに関しては自治体自身の裁量にゆだねられる、こういう形になっておるということであります。
○本岡昭次君 総理、今までの法律は総理大臣がそれをやることになっていたんですよ。今の答弁を聞くと、係争機関を置いたので総理でなく各大臣にした、こういうことをおっしゃいました。 どうして、従来、総理が直接やるんじゃなくて、各大臣が持ってきたものを最後は総理が適当であるかどうかという判断をする、そういう慎重な配慮というものがあったのを、今度は、大臣がやってだめなら係争機関に持っていけと。こういうやり方は国と地方自治体の関係において余り上手なやり方ではないと私は思うんです。 だから、従来の、総理大臣がこの問題に対して注意を喚起する、是正をしなさい、それでは住民の福祉にもとるではないか、住民が困るではないかということ──僕はそもそもそういうことは起こらないと思うんですよ。それを黙っておる住民であればどうしようもないじゃないですか。国から言われなけりゃ自分たちは損害をこうむる、自分たちの福祉が侵害される、生活が危機にさらされておってもなおかつ黙っておる住民なんというのは、そういうほど地方はおくれていない、もっと進んでいると私は見ています。にもかかわらず、なぜこういうふうなことをしなければならぬのか。何か各省庁の地方自治体に対する最後のあがきのような気がするんですよ、これは。 だから、総理、現行法の総理大臣のままでなぜいけないんですか。なぜ総理大臣とあったものを変えるんですか。総理大臣のひとつ見解を求めます。
○国務大臣(小渕恵三君) 内閣は、総理大臣を首班といたしまして成立をしておるわけでございます。したがいまして、それぞれ所掌する大臣は責任を持って対処することといたしておるわけでございまして、内閣総理大臣がそれを実行することも従来の法律の指し示すところでありますが、よりそれぞれ担当の大臣がその実態を十分認識いたしておりますので、そうした責任において対処するということもこれまたあり得ることだと考えております。
○本岡昭次君 我々、地方分権推進の議論をしているのであって、地方分権を後退させるための議論をしているんじゃないんです。 従来は、総理のところでそういうことが起こらないようにと、もし起こればきちっと総理が言います。しかし、そのときは、各省庁から上がってこなければ総理はわからないわけですよ。ここの条文を読みますと、「違反の是正又は改善のための必要な措置を講じなければならない。」、「講じなければならない。」というところが、この是正の義務を生じさせたということになっているんです。従来は、注意を喚起して、そして地方自治体が自主的に是正をしていくということが基本にあった。このことはあくまで正しいと思いますよ。結局、自治体を信頼していないというところからこういう「講じなければならない。」ということが生まれてくるわけで、総理、それほど地方自治体が信頼できませんか。こういう要求をして、そしてそれを義務規定を置かなければならないほど今の地方自治体は信頼できない、危なっかしくて仕方がないということなんですか。総理のひとつ見解を率直に聞かせてください。 こういうところが、だから私はさっき補完性の原理なんていうものを最後持ち出したのもやっぱりそのことなんですよ。そういうことを我が日本でもきちっとやれるようにしたいというために、いつまでも過保護と言われるような形、過保護ならまだいいけれども、そうじゃないんですよ、これは。どうですか。
○国務大臣(小渕恵三君) 先ほど自治大臣から詳細に御説明を申し上げたと思いますけれども、この地方公共団体の違法な事務処理について、まずは住民のみずからの手で自主的に是正される、これが前提でございまして、にもかかわらず是正がなされずに公共団体の行財政の運営が混乱し、停滞し、著しい支障が生じたような例外的な場合にはこれを放置することはできない云々でございまして、それに対してそれぞれ担当の大臣がその問題について責任を持ってその処理に当たるということでありまして、いささかも地方自治を阻害するものではないと思いますし、また同時に、内閣総理大臣をしてということでありましたけれども、先ほど申し上げましたように、内閣は一体としてそれぞれ所掌する大臣がより責任を持ってそれぞれ担当しているわけでございますので、内閣総理大臣以外の大臣がそのことに対して対処することをもってして地方自治を阻害するというようなことは、それはあり得ない、こういう考え方であります。
○本岡昭次君 この議論ばかりしておりますと平行線のまま私の大事な時間が過ぎますので、後は次々とバッターが立ってこの問題を連日議論させていただきたいと思います。 そこで、私はこの問題を一応終わるに当たって、このことは確認できますか。先ほど、わざわざ古い昭和三十一年のこの大改正のときの鈴木俊一政府委員の国会答弁を朗読しました、肝心なところだけ。最低このことは変わっていませんか。先ほど私が朗読しましたね。鈴木俊一、当時の政府委員がこの大改正したときにここで答弁したことをずっと言いましたね。 私は、この中で特に大事だと思ったのは、地方自治が本当に住民の福祉になるようにするために、むしろ必要な最後の保障になる規定だと、とりでを政府が置いたんだと、こういう意味ですよね。あとずっとまだありましたが、最低ここの答弁、これは今も変わりないということは、きょうここで確認させていただけますか。そうしたら、私、次に行きます。
○国務大臣(野田毅君) 詳細に全部逐一今チェックしておりませんが、基本精神においては、その考え方はそのとおりでございます。 そこで、ぜひこのことをあわせて申し上げたいと思うんです。先ほど一つつけ加えればよかったと思ったんですが、各大臣の権限にするということが、総理大臣から各大臣になったということが何か後退したような感じのお話だったんですが、私どもは、なぜそうなったかというのは、個別の法律において国の関与を行うわけですから、そういう意味でその法律の所管大臣が関与を行う、そしてそれに問題がある場合は国地方係争処理委員会でお裁きをいただこう、これが一つでございます。 もう一つは、今回の法改正におきまして、従来は個別の法律の事前の関与、自治事務といえども事前に指示したりというような関与が実はあったわけです。今回は、そういう事前関与というようなやり方はもうやめようじゃないか、むしろそういう関与は大幅に縮小、廃止、整理をしていこう、そして一般ルールである自治法に基づいた事後の関与という形に切りかえようじゃないかということにしたわけでございます。そういう意味で、各省大臣に切りかえたこともその一環であるということもこの際あわせて申し上げて、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○本岡昭次君 行政の一貫性、政府の継続性、そういう意味において、昭和三十一年のこの鈴木俊一政府委員の答弁は最低確保できる、この線を維持するというふうに私は受けとめます。 しかし、今おっしゃったように、各大臣が担任するということの中で、四百七十五の法案がずっとありまして、我々はそれを全部精査するだけの時間もないんです。ただ、抽象的に言えることは、基本的には政府の機関委任事務と言われたものの九割までが自治事務になるのではないかという期待を持っておりました。 ところが、そうでなくて、各省庁が個別の法案のところに、自治事務にしてもいいようなもの、本来自治事務であるべきものまで法定受託事務という自分たちの囲い込みをどんどんやっていったという事例もあるわけでありまして、今、自治大臣が、各担当大臣が担任しているその問題についてとおっしゃるけれども、そこが依然として上意下達の形をいろんなところに残すために懸命の涙ぐましい努力をやったということがあちこちにあるんです。 だから、私は、法定事務で自分たちが囲い込んでおいて、なお自治事務にも国からの中央集権的な干渉、介入ということをやれば、まさに各大臣の監督権というものがそこに留保できるというようなことになるという心配をしているから、声を大にして申し上げているわけであります。 だから、今の大臣の答弁には納得できませんが、これは後に譲ることにしまして、あと一、二申し上げて終わりたいと思います。 次に、地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正について最後に申し上げて、総理並びに文部大臣にお答えをいただきたいんです。 この法律は地教行法と呼ばれて、本来憲法が保障する地方自治の本旨のもと自立し自主的であるべき地方教育行政を中央集権的国家権力のもとに従属させてきた悪法なんです。その最も象徴的なものが、今回の地教行法改正で廃止が提案されています悪名高い教育長任命の承認制度であります。 私は、一九八一年十一月、第九十五回国会の参議院行財政改革特別委員会で、当時の鈴木総理、田中文部大臣に対して、この教育長任命承認制度の廃止を求めて二日間にわたって激しく議論をして頑張ったことをきのうのことのように思い起こすんです。この問題は、既に一九六四年の第一次臨調の答申において、文部大臣が都道府県の教育長を承認するというふうなことはやめようという答申はもう出ておりましたし、それから一九六五年の地方制度調査会でも同じようにこの教育長承認制度を廃止することということを答申したんです。 にもかかわらず、当時の政府は頑としてそれを実行しなかった。そして、廃止せよという私の要求に対してこういう答弁をしたのであります。 文部大臣は、地方教育委員会の教育長の任命制度というのは、国と地方との行政を一体的に運営するという一つのくさびとして重要なものだ、くさびなんだ、だから本岡さんが言うように外すわけにいかぬと。くさびとは何かと言って議論を二日間やったんです。くさびか、鎖か、かなめかとかいろいろ言ったんですけれども、結局くさびなんですよ。それほど重要なものであったんです。 ところが、二十年たってやっと国、文部省のくさびから地方自治体の教育行政が解放されようとしているんです。私はほっとすると同時に、ああやっとここまで来たかという感慨を覚えるんです。 しかし、考えてみると、こうしたことが二十年もかからなければ本来の姿に戻れないという、ここに地方分権推進の困難さがあるんだということを思うし、私も、二十年かかろうが三十年かかろうが、一たん言い出したことはとことん最後までやり切らなければ、とても今の中央省庁というようなものを切りかえることはできないという覚悟も一方では持っておるんです。 そこで、このくさびが解き放たれた地方教育行政、どのようにして子供たちの本当の教育をこれから推進していけばいいのか、あるいはまた政府、文部省はこれをどのようにして支援していこうと考えているのか、地方教育行政について総理並びに文部大臣にお伺いして、私の質問は終わりたいと思います。
○国務大臣(有馬朗人君) 今回の地方分権一括法案におきまして、主体的かつ積極的な地方教育行政の展開を促進するという観点から、国、都道府県、市町村の役割分担をより一層明確にし、まず第一に、今御指摘の教育長の任命承認制度を廃止して、都道府県及び指定都市の教育長を市町村と同様に県会あるいは議会の同意を得て首長が任命する教育委員のうちから任命することになるなど、教育委員会制度のあり方の見直しを行いました。 次に、都道府県や市町村に対する指導、助言、援助に関する規定を改正し、指導行政の改善を図ることなど、教育行政における国、都道府県、市町村の新たな連携協力体制を構築する。 第三に、機関委任事務の廃止や必置規制の整理合理化など、国の関与等の縮減を図るなどの教育行政における地方分権の推進を図るための所要の改定をお願いいたしております。 これらの法改正とあわせて、今後、学校が自主性、自立性を確立し、校長の権限と責任のもとに特色ある教育活動を展開していくことができるよう、学校の運営組織の見直しなどに係る制度の改善や運用の弾力化などに努めてまいりたいと思っております。 また、地域の教育力の向上や地域コミュニティーの育成に教育委員会が積極的に寄与していくとともに、学校や公民館等の地域の教育施設の運営に地域住民の意向を反映し、その参加、協力が得られるよう必要な制度の改善やそのための支援に努めてまいりたいと思っております。
○国務大臣(小渕恵三君) このたび教育行政における地方分権を進め、各教育委員会におきまして主体的かつ積極的な教育行政を行うことができるよう、今回の地方分権推進一括法案におきまして委員御指摘のように教育長の任命承認制度の廃止及びその選任方法の所要の法律改正が行われるわけでございます。 そういった意味におきまして、この法律が改正されました暁におきましては、より教育行政の地方分権が進み、これが積極的に進められ、もって文部大臣が御答弁申し上げましたような所要の方策をさらに推進していくことができるものと確信をいたしておる次第でございます。
○委員長(吉川芳男君) 関連質疑を許します。輿石東君。
○輿石東君 民主党の輿石東ですが、本岡委員に続いて質問をさせていただきたいと思います。 今、本岡委員の質問の中で、自治事務の是正要求を義務づける、こんなことをして一体この一括法、本当の分権推進が図れるだろうか、入り口でそう思うわけであります。この問題は、五次にわたる分権推進委員会の勧告にも出てこなければ分権計画にも出てこないものがどうしてこういう形で出てきてしまうんだろう、そう思わざるを得ません。したがって、私はこの分権一括法が出てくる経過について、もう一回お互いに考えてみたいと思うわけであります。 地方分権という言葉が言われて久しいわけですけれども、今回の分権一括法の歴史的な位置づけというようなものについては、既に衆議院でも多くの皆さんから、明治維新、そして敗戦後の改革を受けて、それに並ぶ第三の改革だというふうな言い方をされているわけであります。今、私たちは、新しい世紀に向けて、この国の形をどうつくっていくのか、この国の姿をどう描いていくのかということが問われているんだろう、こう思うわけです。 こうした中で、六年前には、御承知のように平成五年、地方分権推進の国会決議もされてきょうに至っているわけですけれども、この間、平成七年五月には五年間の時限立法という形で地方分権推進法が制定をされ、平成八年三月に地方分権推進委員会の中間報告という形をとって、その中で初めて、地方自治法が成立して五十二年、機関委任事務というもので中央集権的な形をつくってきたこの形を根本から見直そうということでこの機関委任事務の制度を廃止するということを決定したわけであります。この間、五次にわたる分権推進委員会では、三百九十二回ですか、四百回にも及ぶ議論がされて今日に至っているというふうに理解をしているわけです。 そこで、小渕総理にお伺いしたいわけであります。 総理御自身は、富国有徳というような言葉も使われましたし、五つのかけ橋という言葉も使われたかのように思います。したがって、我が国のこれからの国のあり方、姿をどのように描いておられるのか、その中で今回のこの分権改革の意義をどのように位置づけておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 私は就任以来、富国有徳とよく申し上げてまいりましたが、これは何よりも住みやすい地域社会を建設することが必要であると考えたものでございます。これを実現するために、地方公共団体が地域の実情やニーズに合った個性的で多様な行政を展開のできますよう、地方の自主性、自立性を高め、住民に身近な行政はできる限り住民の身近な地方公共団体が責任を持てる体制をつくっていくことが必要であると考えておるところでございます。そのために、地方分権を推進いたしまして、明治以来形成されてきた国、都道府県、市町村という縦の関係である中央集権行政システムを変革いたしまして、対等、協力の横の関係を構築してまいりたいと考えております。 私といたしましては、本法案を今国会でぜひとも成立させていただき、国政の最重要課題として、また二十一世紀に向けた我が国経済社会へのかけ橋として、今や実行段階を迎えておる地方分権を具体的な形で進めてまいりたい、この決意でおる次第でございます。
○輿石東君 ただいま総理の方から、この地方分権推進一括法によって二十一世紀へのかけ橋ともしてみたい、こんなお話があったかと思うわけであります。 そこで、お伺いをしたいわけですが、昨年五月に閣議決定をされました地方分権推進計画、これは、先ほど私も申し上げましたけれども、五次にわたる四百回にも近い審議を経てきたものを最大限に尊重するという立場で策定をされたのだとお聞きをしているわけですけれども、今回の一括法案について本当にこれらの勧告の趣旨が生かされているとお思いになっているのかどうか、お伺いをしたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) そのような答申を受けまして、政府といたしましてはその実行方につきまして最善の努力をし法制化いたしたものでございます。
○輿石東君 そこで、この分権計画の中で最も強調している点、その中身は言うまでもなく、国と地方が新しい対等、協力の関係を築くために今まであった機関委任事務制度を廃止する、それを決め、それが一つの理念となって、地方自治体の処理する事務を自治事務と法定受託事務に再構成をし直したというのがこの地方分権推進計画の中身であろうと思いますけれども、そのように理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、いろんなことがございますが、最大のポイントは、これまで機関委任事務、これはすなわち地方公共団体を国の下部の行政機関と位置づける、その位置づけにおいて包括的な指揮監督権というものがあり、そういう形で上下関係の形になっていた。今回はこの機関委任事務というのを廃止して、地方自治体が法定受託事務という形で、自治事務として行わないものであっても法定受託事務、言うなら横の関係、対等、協力の関係で受託をするという形の位置づけにいたしておりまして、これを核としてさまざまな役割の見直し、あるいは国と地方の間の係争処理の手続、国の地方公共団体に対する関与のあり方についての原則を確立したということが最大の特色の一つでございまして、これがやはり地方自治をこれから進展させていく上で大きなステップになっていくというふうに考えております。
○輿石東君 今、自治大臣から、それは間違いないという御答弁もいただきました。 そこで、今、自治大臣の方でもありました、この機関委任事務というものを使って地方にこれまでは包括的な指揮監督権、乱用したという言い方は少し言い過ぎかもしれませんけれども、そういうものをやってきた。それを今度は、新しい国と地方の関係をつくるために廃止をした、こういうことだろうと思います。そこで、その包括的指揮監督権というものの中身についてちょっと教えていただきたいと思います。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。 包括的な指揮監督権の内容でございますが、主務大臣は指揮監督のためにみずから必要と認める適切な手段、方法をとり得るということでありまして、そのとり得る方法、手段に関しましては特に法令の規定のあることを必要としないというふうに解されております。したがいまして、具体的な手段、方法につきましては一様に論じることは困難でございますが、一般的には、認可権、訓令権、監視権、取り消し停止権などが挙げられております。
○輿石東君 今、中身を教えていただいたわけですけれども、法令に基づかない形で許可もできた、こういう話になりますね。
○国務大臣(野田毅君) そういうことでございます。
○輿石東君 そういうあいまいなやり方で地方を国の下部機関という見方でやってきた、それを根本から今回は考え直していこう、それでは地方自治の精神にも反する、これが地方分権一括法の理念であり、根底に流れている精神だろうと思いますが、そのように理解してよろしいかどうか、お聞きをしたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) そのとおりでございます。 先ほど局長からも申し上げたんですが、今までの古い地方自治法百五十条あるいは百五十一条に基づいて、認可権、訓令権、監視権、取り消し停止権など手段、方法について法令の規定は要らないということで関与をしてきたわけでございます。 今後は、この機関委任事務そのものがなくなるということによって、包括的な指揮監督権そのものもなくなるということでございまして、法定受託事務といえども国が自治体に関与をするという場合には法律または政令に基づくという意味での関与に関する基本原則というものを明らかにし、法定主義、公正、透明の原則という形に基づいてルール化したということでございます。
○輿石東君 今、野田自治大臣から御説明をいただいて、本当にそうなってくれればいいな、こう願わずにはいられないわけです。 しかし、先ほど同僚の本岡委員から指摘がありましたように、法定受託事務でない自治事務にまで是正要求という形で義務づけをしていく、それはまた先ほどの議論に返ってしまいますからこれ以上やりませんけれども、そういう問題点がこの分権一括法にはあるんだということをお互いに理解できるのではないかと思います。 そこで、午前中の議論にもありました、みずからの県議会の経験も踏まえた御発言だったと思いますけれども、県議会におられたときには地方分権と言っても票にならなかった、しかし今はそういうときではないという意味もあったかと思います。しかし、今、国民の皆さんが、地方六団体を初め行政にかかわる皆さんがきょうのこういう議論や分権一括法にどれだけ関心を持っていただいて、これなら期待できる、そんな意識があるだろうかどうかというような心配が午前中の委員からも指摘があったと思います。 衆議院におけるこれまでの審議やマスコミ論調を見ても、市町村への権限移譲とか地方税財源の充実確保、さらには住民自治の視点でというような言い方で議論をされてきたわけですけれども、そうした財源の問題も一向に触れていない、住民自治の視点からも不十分ではないかというような指摘もあって、国民や地方公共団体の関係者は今回の一括法をどのように評価し、どう見ているのか、また何を期待していると思うか、その辺を総理にお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 地方分権の推進は地方公共団体が長年要望いたしてきたものでございます。これによりまして地方公共団体の自主性、自立性が高まることによりまして、地方公共団体が住民の意向を踏まえて行政を進めることができるようになり、住民にとりましても大きなメリットがあるものと考えております。 本法案は、明治以来形成されてまいりました国、都道府県、市町村という縦の関係である中央集権型行政システムを変革し、対等、協力の横の関係を構築しようとするものでございます。その意義につきまして、地方公共団体や国民から相応の評価をいただけるものと考えております。また、この新しいシステムのもとで、関係者の御努力によりまして真の地方自治行政が展開されることを期待いたしておるわけであります。 ただ、私も、これをもって地方分権が完成したとは考えておりませず、今後一層の地方分権の推進に向けて、地方分権推進計画等を踏まえた国から地方への事務権限の移譲や地方税財源の充実確保に積極的に取り組んでまいらなければならないと考えております。 先ほど、午前中の御質疑にもありましたように、この法律がまだ制定されません現行におきましては、もともと中央集権的な考え方を、地方の住民の皆さんにおかれましてもそうした感覚をやや持っておりまして、上へ上へといいますか、そうした形で、住民の要望というものを解消していただけるものは究極的には中央の官庁であり中央の政治ではないかという認識が、やや染まっておった感は否めないことであります。 しかし今回、こうしたことで、自己決定、自己責任、こういう形でみずからが地方自治団体をつくり上げていくという方向性が定められてまいりますれば、必ずや住民自身もその認識に基づいて、みずからの町、村、こうしたものをつくり上げていく感覚が増大してまいりましたときに真にその方向は定まっていくものと、そう考えておりまして、そうした意味で改めてこの法律を制定する意義も大きいものと考えておる次第でございます。
○輿石東君 総理は、自己決定、自己責任という意識を住民が持っていただいて、これから必ずや我が村、我が町の町づくりに専念をしていただけるだろう、こういう希望的なお話であるわけです。 そこで、私は、自治体の分権に向ける姿勢ということで、朝日新聞が四十七都道府県、全国三千三百ぐらいいる首長さんにアンケートをとった結果があるわけであります。 九七年、二年前の四月に実施をされて、少し時間の経過はあると思いますけれども、それによりますと、機関委任事務の廃止を求めた第一次勧告への評価というものは大変高くて、首長さんの七二%が積極的に評価をする、こう言っているのであります。その理由が、国と地方の対等の関係が示されたからと。この辺では大変大きな期待を持ったということが言えるんだろうというふうに思います。しかし、この時点でも、この考え方が住民の声を反映している仕組みになっているかどうかという問いに対してはたったの六%という結果になっております。 今、総理は、住民の自己決定権で、自己責任でこれからは国との対等の関係の中から地域をつくっていく、こういうものが期待されるだろう、こう言ったわけですけれども、その地域住民の自己決定権を拡大することが、総理もおっしゃいましたけれども、地方分権の最大の課題であると位置づけているにもかかわらず、残念ながら住民自治の強化の道筋はこの調査からは出てこない。一体これはどういうふうに分析したらいいだろうか。 この点について、総理はどのように考え、分析をされるか、お答えいただきたいというふうに思います。
○国務大臣(野田毅君) 率直に申し上げて、住民という立場でこの地方分権という問題についてどういう評価を下していくのか、率直に言って日常生活の中で実感としてわきにくい部分はございます。 そういう点で、国、地方を含めた政府部門とそれから民間部門ということでいえば、許認可が減ってきたとかいろんな形でまさに直結してくるわけでございます。国と地方の間の役割分担であったり、権限配分ということは、地方自治体の仕事と国の仕事との配分関係でございますので、住民生活の中に直接入り込む余地は多少は少ない。そういう意味で、地方自治体の自主性、自立性が従来以上により強固に前面に出てくる、そういった中で住民の考え、意思というものが今まで以上に自治体の行政の中に反映されていくという、その過程を通じて実は実感されていくということが強いと思います。 そういう点で、特に今回の法案を契機にして行政に関する自主性、自立性がより強化されていくと同時に、ちょっと一足おくれになろうかとは思いますが、財政的な側面における自主性、自立性を裏打ちしていくということが相まって、自治体自身の自己決定権ということが実感されていくということにつながっていく、そう考えております。
○輿石東君 冒頭に野田自治大臣がおっしゃいました。これは考え方はわかった、しかしなぜ分権が一歩進まないのか、それはやっぱり財政面でのサポート、支援も必要だ、それも考えていると、こう言われたわけです。 したがって、今回の分権一括法の提起の中で最も落ち込んでいるのが税財源の充実、地方への税源移譲、この課題だろうと思うわけであります。まさに、片肺飛行でこの分権一括法はスタートをした、もしかすればこれは落ちてしまうかもしれない、こういう危険もはらんでいることをみずから認められたようにも思うわけです。 そこで、財源移譲、地方への財源配分ということで御質問をしたいと思いますが、この問題については、宮澤大蔵大臣は衆議院の審議の中で、今は大変国、地方とも財政が厳しいゆえにそういうものを考えられる余地はないけれども、好転した暁には必ずやこの問題は考え、税配分の問題についても手をつけていきましょう、こんな御答弁があったかというふうにお聞きをしているわけですけれども、宮澤大臣にその辺の今後の取り組みについての手順や考え方を教えていただいて、この問題は総理並びに自治大臣にもお聞きをしておきたいというふうに思うわけであります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 近間の問題といたしましては、地方分権一括法案におきまして国から地方への権限移譲がございますと、その必要な経費がございますから、それは毎年度の地方財政計画の策定等を通じて所要財源を確保する。これは御承知のとおりのことでございます。 それはそれといたしまして、実は今年度の予算を編成いたしますときに自治大臣と何度も御相談をいたしましたが、地方財政も非常に悪い姿になっておりまして、殊にかつての富裕団体が大変な財政窮乏に陥っているということがございます。今年は両大臣で相談いたしまして、ともかくやや異例のいろんな措置をいたしましたけれども、これは言ってみればいっときを糊塗すると申すような措置でしかございませんで、こういう状態を長くは続けられないと思っております。国におきましても、これも何度も申し上げましたが、今年度の国税の歳入予定は四十七兆円ぐらいでございますが、平成の初めには六十兆になっておりましたから、これも申し上げるまでもなく大変な高い国債依存をせざるを得なくなっております。 これはしょせんはやはり日本の経済が大変に異常であるということでございますので、この異常な状態のもとで国と地方をあわせて行財政の再配分をするということは恐らくいろいろな間違いを犯すことになろうと思います。 この経済成長が正常なサイクルに入りましたと判定されましたときには、国の財政もそうでございますが、どうしても地方の財政も根本的に見直さなければなりませんで、それは恐らく間違いなく中央、地方を通じての行財政の再配分ということにならざるを得ない。それで、二十一世紀初頭の我が国の国、地方を通ずる財政の姿、それから国と地方とのかねての懸案であります行政の再配分ということができますし、またこれを避けて通れないように私は思っておりますので、どうしてもできるだけ早くそれに取りかからなければならないと考えておるものでございます。
○国務大臣(野田毅君) 今、大蔵大臣が申されたことと全く私も同じ考えを持っております。 そういう意味で、国、地方を通じてまず経済が立て直る、その上で初めて国、地方とも財政基盤が安定する。やっぱり税収自身が安定してこなければ何事もできないわけでございます。 それから、特に地方の場合に、地方の財政をどうやって安定させ強化していくか、しかもその中で財政自主権といいますか、これをどうやって強化していくかということを考えれば、まず第一に、基本的には地方税自体をどう強化するかということがございます。その次に、どうしても地域間のバランスがうまく保てないということもございますので、交付税という形での財政調整の仕組みというのは、これは不可避の部分であると思います。いずれにせよ、地方税及び交付税を含めた一般財源をどうやって安定的に確保していくかということが最優先のテーマの一つでございます。 さらにつけ加えるならば、今日までのいろんな国庫補助負担金等の整理合理化、それに伴って特に、ただ切るだけではなくて、地方の一般財源化をどうやって果たしていくかという問題もございますし、それから補助金自身も個別という形ではなくてできるだけ統合補助金という形に持っていかなければならないというテーマももちろんございます。いろんな課題を抱えております。 そういう中で、特に都道府県にとって最重要課題、積年の懸案でございます事業税のあり方については、これらの総括的な議論とその結果を全部待ってからというのではなくて、その結論が出る前にでも取り組んでいかなければならない大事なテーマである、私はそう認識をいたしておるわけでございます。
○国務大臣(小渕恵三君) 大蔵、自治両大臣の御答弁に尽きるかと思いますが、改めて申し上げれば、地方分権の進展に応じまして地方公共団体がより自主的、自立的な行財政運営を行えるようにするために、地方公共団体の財政基盤を充実強化していくことが改めて重要と考えております。 地方分権推進計画におきましても、「国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保を図る。」こととされておるところでありまして、地方税財源の充実確保につきましては、地方分権推進計画を踏まえ、経済情勢の推移や税制の抜本的改革の方向も見きわめつつ総合的に検討すべきものであると考えております。 ただ、現時点における実態につきましては、大蔵大臣も御答弁申し上げましたように、極めて国自身の財政も危機的な状況にあるわけでございまして、そういった中で、この厳しい状況を中央、地方とも乗り越えていくための単年度の、例えば十一年度の話し合いは済んでおりますけれども、今後とも考えていかなきゃならない大きな課題であると思います。 現時点におきましても、御承知のように、消費税におきましても五%のうち四三・六%だったかと思いますが、いずれにしても二%引き上げのうち一%は地方財源に振り向けるというような形でその配分については苦慮いたしておるところでありますし、また将来におきましては、自治大臣もお話しされておりました、ここでも今も御論議がありました外形標準課税の問題等々重要な課題を含んでおるわけでございます。 そういった意味で、今般の法律を制定すると同時に、御指摘のようにこの財源配分につきましても十分考慮し、その財源が確保できるような種々の方策について考えていかなきゃならぬ、またそういう深い責任を負っておる、こう考えておる次第でございます。
○輿石東君 ありがとうございました。 ただ、先ほどアンケートでも触れましたけれども、そういうふうに地方の財源を充実していく手法として課税自主権、現行でもあるわけですけれども、これをなかなか地方でやってくれない、そういう実態があると思います。それは端的にアンケートにもあらわれていることでありまして、新たな地方税をつくったり独自に税率を高める、こういうものを望んでいるかどうか、こういうアンケート調査によりますと、首長さんや関係者でそういう道筋を選択しようという人のところは三%しかない、ここに一つ大きな課題があるだろう。 これは裏を返せば、今までの論議からもわかるように、国は権限を奪われたくない、地方は国に頼りたい、この意識がある間は決して地方分権は前へ進んでいかない、そういう理解をお互いにしなければいけないだろう。であったら、その意識改革はどうしていくのか、これが最大のネックになるだろう、こう思うわけですけれども、その点について自治大臣、どうお考えですか。
○国務大臣(野田毅君) まことに本質に迫った御議論だと思っています。 これは地方自治に関連することだけではございませんで、日本人の特性なのかもしれません。非常に横並び意識が強いわけでございます。そういう点で、自立自治ということは、言うならある意味では横並びを否定するというところからスタートするのかもしれません。しかし、地方自治、地方行政の中に幾ら個性、それぞれが自主性があるとはいっても、やっぱり国として最低限賄わなければならないその種の行政のサービス需要というものも別途存在しておること、これも事実でございます。そういった意味で、今の課税自主権のみならずいろんな行政ニーズにこたえていく中で、ややもすれば近隣の市町村、自治体との比較の中でついつい行政ニーズが高まっていくことでみずからの能力を超えた形が行われやすい嫌いがあるのではないかということの反省もしなければなりません。 そういった点で、ここはそういう意味で、地方自治ということは住民自身がみずからの、自分たちの自治体なんだ、自分と別にあるものではないんだという意味で、本当にそういう意味での自立性というか、そういったものをスタートにして考えていかなければならない。 課税自主権の問題については、そういった中でいろいろ御議論ございましたが、今回の法改正の中で、いわゆる法定外の目的税を創設することについて、これは同意を要することでありますが協議の対象にした、こういう形になっておるわけでございます。超過課税などにおいても、基準財政収入を計算していく中で、十分そういう自主的な財政収入の努力をしている団体について、その財政収入がふえた部分だけ交付税が減ってしまうということでは困りますので、そういう意味での自助努力を裏打ちするような方策を既に講じてはおりますが、なおこれからもその方策をさらに強化していかなければならないと考えております。
○輿石東君 現在はそういう意識にあり、そういう結果が出ていても、私はもうこの際、国は中途半端な関与はすべてやめて、もう少し地方公共団体、地方自治体を信頼して、自治事務の是正要求などという、表現が悪いかもしれませんけれども小細工はやめて、きちっと任せて、そこから大きく国と地方の対等、協力関係をつくっていくことが基本になろうと思うわけであります。しかし、これまでの議論の中でどうしてもそういうことをやりたいという国の体質もまだ変わっていない、こう指摘せざるを得ないというふうに思います。 そして、もしその自治事務の是正要求に、または法定受託事務にかかわって国と地方が争いになったとき、あるいは都道府県と市町村が争いになったときには、新たに係争処理委員会という機関を設けてこれに対処していくというのが先ほどの自治大臣の御答弁だったと思います。 一つだけ、大変個別な質問になろうかと思いますけれども、自治紛争処理委員会の制度が適用される場合に、都道府県と市町村の間の争いについてこういう委員会が設けられるというふうに思いますけれども、都道府県の関与がもし自治大臣の指示によって行われた場合に、自治大臣によってその処理委員会の委員は任命をされるという形になっているわけでして、そこに中立的な審査が期待できるかどうか、大変心配ではないか、こういう指摘が既に出されていますけれども、自治大臣、その点についてはどのような御見解を持っておられるか。
○国務大臣(野田毅君) 自治省はどちらかといいますとむしろ地方自治を推進するサイドの行政を担ってきておりますので、そういうような対立関係は基本的には発生しないと考えております。制度といたしまして、自治紛争処理委員会の委員というのは市町村に対する都道府県の関与に関する係争を扱うわけでございまして、公平中立な立場から審査し、勧告などを行う機関であると位置づけられております。したがって、このような性質上、具体的な事案の処理に関して自治大臣が自治紛争処理委員を指揮監督するということはできないものと考えております。 また、国地方係争処理委員会の委員と同様に、心身の故障、職務上の義務違反など、一定の場合以外には罷免されない旨の規定を置くことによって委員の身分保障も図っておるところでございます。 また、委員の構成につきましても、その過半数が同一の政党その他の政治団体に属することのないようにするとともに、在任中、政党その他の政治団体の役員になり、あるいは積極的な政治運動をすることを禁止する規定など、国地方係争処理委員会の委員に関する規定を準用するということにいたしておるわけでもございます。 今申し上げましたようなことから、委員の職権行使に関する独立性あるいは中立性、公平性ということは十分に確保できるものと考えております。 したがって、委員がその任務を忠実に遂行する過程におきまして、審査の対象となった都道府県の関与が、任命権者である自治大臣の関与をきっかけとするものであるとの理由で都道府県の側に手心を加えるというようなことはあり得ないことだと考えております。
○輿石東君 今、自治大臣が最後に言われた、県と市町村の間で、県側に立ってその委員たちがいろいろ議論をするという心配はない、こういう意味かと思います。しかし、大臣、都道府県と市町村で争いが起きたその原因が、自治大臣が都道府県を通してあの市町村の問題について是正をしなさい、こう指示してその争いが起こる、そういう可能性はありませんか。
○国務大臣(野田毅君) 論理としてぎりぎりいけば、それはなくはないのかもしれません。ただ、おおよその場合、例えば教育行政であれば文部省、あるいは福祉行政であれば厚生省、それぞれ仕事のあるいは法律の所管関係に基づいて、中央省庁におけるそれぞれの仕事の役割分担の中で国と地方の仕事の配分が行われていくわけでございます。 そういった点で、現在地方自治体が行っているほとんどの仕事というのは、実際問題いろんな根拠法令に基づいて行われているわけで、自治省が所管をして具体的なそういった行政事務をやるというのは、率直に言うとそんなにたくさんはないんじゃないか。私は、実際問題、実践論としてそのように受けとめております。ぎりぎりの論理からいえば確かにそういう部分はあるかもしれません。それは否定はしません。先ほど申し上げました、自治大臣の指示に基づいて都道府県が市町村に対して関与をする、その都道府県と市町村の間の関与の内容について係争が発生する。 ただ、原則は、自治大臣が行った都道府県に対する指示という関与そのことが、都道府県自身の主体的な判断において、不満がある、おかしいんじゃないかという場合には、指示をする前に、今度は国と都道府県の間の係争処理という形で第三者の国地方係争処理委員会の公正な判断を仰ぐということになるわけでございます。 そういった意味で、都道府県が市町村に対して行う関与というものはあくまで都道府県自身の主体的な判断で行われるものであるというこの位置づけだけは大原則としてしっかり、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
○輿石東君 都道府県の主体性において処理されるという原則、そこはわからないでもないわけですが、大臣が今言われたように、制度としては、数が多いか少ないかという問題ではなくて、めったにないだろう、こういう御答弁ですけれども、数が多いか少ないかという問題ではなくて、制度的にそうした欠陥を持っている、こういう言い方もあろうかというふうに思います。その点、これ以上やりませんけれども、その辺は確認ができたというふうに思います。どうか皆さん、地方分権を進める上では、国や政府がもう少しおおらかな気持ちで、任せるものはすっきりと地方に任せる、こういうことをぜひ理解していただかなければ、この分権一括法も前へ進まない、そう申し上げておきたいと思います。 それからもう一つ、権限と財源と人間、三セット、こういう言い方をする人もありますけれども、今回の分権一括法は、権限は少しは移譲できたかもしれない。ところが、財源に触れていない。人間、人材については全く触れていない。やはり資源のない我が国が二十一世紀に世界の中の日本として生きていくためにどれだけすばらしい人材を輩出できるかもまた大事な問題だろうと思うわけであります。 そういう点で、最後に文部大臣に、二十一世紀へ向けての人づくりについて、教育は未来への先行投資である、教育こそ二十一世紀をつくるという言葉もあるわけであります。そういうものを踏まえて、簡単で結構ですから、どのように考えていられるか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(有馬朗人君) 大変難しい御質問でありまして、さまざまな観点から見ることができると思います。しかし、現在一番重要な問題というのは、まず子供たち一人一人の個性を尊重していくということだと思っています。そしてまた、基礎、基本を十分学んだ上で、みずから学び考える力を養成する、そしてまた思いやりやしつけなどをしっかり持って、また倫理観を十分持ち、美しいものは美しいとする、そういうふうな豊かな人間性を持つ、すなわち生きる力を教育ではぐくんでいくということが一番大切なことかと思っています。 また、それ以外にも、さまざまな観点、特に高等教育についての観点もございますけれども、きょうは特に義務教育で考えなきゃならないことを申し上げた次第であります。
○輿石東君 先ほど本岡委員の方から、義務教育費国庫負担法や、中央統制の象徴である県の教育長を承認するなどということを文部大臣の権限にしていたという、こういうものは多少改善をされたと、そんなお話は既にありましたから繰り返す必要はないと思います。 ただ、私の山梨の櫛形町という町では大変な努力をしているわけであります。子供たちの非行やいじめの問題にこの四月から、櫛形町には四校の学校があるけれども、四十人のすし詰めだ、それを解消するために教育指導員という形で若い女の先生を自前で九百万予算化をして配置する。こんな努力も国の方でも真剣に考えていただきたい、そう思います。 最後になりましたけれども、これは分権一括法にかかわる問題ではありませんけれども、川崎運輸大臣に一つだけお願いをしておきたいと思います。 山梨ではリニアの実験線、この実験線はJR東海の社長がどうでもいいぐらいのお話をしたようですけれども、このことについて御見解をいただきたいと思います。
○国務大臣(川崎二郎君) リニアの実験については、十一年度末で、長期耐久性、経済性の一部を除き技術のめどが立てられるものと、こう考えております。引き続き、長期耐久性、コスト低減技術、車両の空力的特性を改善するための実施方針を示すということで、平成十二年度以降、先行区間十八キロでの走行試験を実験する予定と聞いております。 なお、具体的な進め方については、今、関係者間で協議中でございます。
○輿石東君 ありがとうございました。(拍手)
○魚住裕一郎君 公明党の魚住裕一郎でございます。 中央省庁の改革、また地方分権ということで一括して、きょうは総括でございますが、若干質問をさせていただきます。 先ほど来、明治、あるいは戦後の改革期、三番目の大改革だと、そういう御発言もございました。本当に私もそうだなと思う反面、実際には明治以来の大改革ではないかというふうに私は思っております。 ある学者の方が日本の体制を評して、一九四〇年体制と言った方がおられました。つまり、国家総動員の体制が今日までずっと続いてきてしまっている、その体制のままに戦後の荒廃の中から経済復興にかけて一生懸命働いてきた、これが今の日本の姿であり、また問題の所在もそこにあるんではないか。そうすると明治以来の大改革ではないか、そのように私どもは考えているところでございます。また、ある作家の方だと思いますけれども、日本の姿を称して中央集権土建国家というふうに評した方がおられましたけれども、これを大きく変えていくのかなというふうに思うわけであります。 また、私ども公明党は、「地域から日本を変えます」、こういうフレーズをつけてさきの統一選も戦ったわけでございますけれども、この改革によって、ああ、日本はこういうふうに変わったのか、あるいは国民にとってどういうメリットがあるのか、総理の富国有徳という理念もございますけれども、この辺、わかりやすく説明をしていただければというふうに思っております。 総理、お願いします。
○国務大臣(小渕恵三君) 総理大臣に就任させていただきまして以降、二回の所信表明並びに本年の施政方針演説におきまして富国有徳ということを申し上げさせていただきました。 特に戦後は経済の発展ということが最大の政治課題でございまして、我が国として、あの廃墟になった我が国を立て直し、何はともあれ経済を安定させ、国民生活を向上させるということでございました。 そういった意味で、ある意味では物優先といいますかお金中心といいますか、そういう形でお互い汗をかいてきたわけでございますが、その結果、九〇年代初頭に、それこそ大バブルの崩壊という形になりました。そこで、国民の皆さんもいま一度、そうした物、金の社会と同時に、やはり心の問題、志の問題ということを考えてきておる時期ではないか、こう考えまして、物と心の調和というようなことを中心に、富国、すなわち物で繁栄し、有徳、すなわち志の高い国家を目指したい、こう申し上げさせていただいておるわけでございます。 そういう意味で、今般のこの法律を期せずして国会に提出させていただきましたのは、言うまでもありませんが、平成五年の両院における決議によりまして、やはりこの際地方の分権というものをしっかり考える。そのことは、国民一人一人がみずからの自己責任においてその地域の発展も考えていかなきゃならぬ、こういう声にこたえてであろうと思いますが、そうしたことを受けまして分権法が成立し、今初めてこうした集大成として二十一世紀前にこの国会にお出しさせていただいたということでございます。 この法律が制定されることによりまして、明治以来の、どちらかといいますと日本人は中央集権になれておったと言っては語弊があるかもしれませんけれども、中央の指示に従い、中央に財源を求めていけばそれなりに発展してきたという形でなくて、地域は地域としてみずからの力で立つという形の国づくりを目指すことができれば、こう考えて、今回お出しいたしております法律もそうした基本的考え方に基づいておると私自身は確信をいたしておるところでございます。
○魚住裕一郎君 それで、中央省庁の再編に際して、国民は本当に日本は大きく変わるんじゃないかということで期待はしていると思いますが、漏れてくることは、役所の名前であるとかあるいは所管事項あっちこっちというような、大事な問題ではありますけれども、そういうことしか聞こえてこないわけであります。何かこの改革によってこう変わるんだという夢がなかなか見えてこないなというふうに思う次第であります。 また、衆議院の段階で議論のございました森林行政ですか林野行政、これを思い切って環境省の方に移行したらどうか。確かに公益的機能を八〇%に上げる、そういうことでございますから、思い切ったやり方だな、これ自体すばらしいものだというふうに思うわけでございますけれども、ただ、見方によっては、この森林行政というものを農水から環境省へというような、何か縦のものを横に移動したようなイメージになるんです。もっと、何といいますか、発想を変えていくべきではないかというふうに思うわけであります。 それで、私は最近、人から教えてもらって知ったんですけれども、南アメリカのボリビアという国がありますけれども、そこに持続開発・企画省、そういうような役所があるようでございます。外務省に確認をしてもらったんですが、ミニステリオ・デ・デサローロ・ソステニーブレ・イ・プラニフィカスィオンという、スペイン語だからちょっとなかなかあれなんですが、そういうような、要するに目先の利害にとらわれずに自然環境そして人間の調和を図る、文字どおり人類的課題にも対処しながら省庁横断的にやっていくという役所をつくる。こういうようになりますと、まさに第三の千年を迎えた日本の新しい体制をつくるんだ、そういうような見通しが出てくるのではないかなというふうに思うわけでございますが、これにつきまして、こういうような発想があってもいいのではないかという思いで、総理あるいは総務庁長官ですか、御答弁をいただきたいと思います。
○国務大臣(太田誠一君) お答えをいたします。 ボリビアの持続可能な開発計画省というものは大変幅広いテーマ、まさに先生おっしゃるとおり横断的なテーマに取り組むことで、女性のことも、日本でいえば男女共同参画局などもそこに入っておるということでございまして、まさに横断的な組織でございます。 この中央省庁改革の方ではそこまで勇気がなくて横断的にはなれなかったわけでございますが、さまざまな方角から、今までのように縦割りではなくて、一つのそれぞれの対象に対して複数から光を当てるというふうな、権限から任務へというふうに物事の取り組み方を変えるという改革を考えているわけでございます。
○魚住裕一郎君 では、次に行きます。 今回の改革、今までの官僚主導ということではなくして政治主導ということで言われております。かつて日本の政治は三流だみたいなことを言われました、官僚は一流だけれども。確かにお役人さんの勤務ぶりを見ますと、能力はあるし知識は豊富でありますし勤勉ではございますけれども、密室行政とかいろんなことを言われております。裁量行政、あるいは業者との癒着とか、最後はしゃぶしゃぶ屋まで出てきたということがございましたけれども、だからといって、今度政治任用で副大臣また政務官、大量の政治家が行政府の方に乗り込んでいくというような形になるわけであります。 そこで、かつてというか、今もそうかもしれませんが、政官業癒着という、そういうトライアングルというような言われ方をしました。これが諸悪の根源だというような言い方もされたわけでございます。そうすると、やはり政治倫理というか、これがまさにこれからももっともっと大事になっていくんではないかなと。私どもも、国会議員の地位利用収賄罪というものを参議院の方に出させていただいておりますけれども、この政治倫理について、特に新しい副大臣あるいは政務官という制度のもとでどのようにお考えなのか、総務庁長官、総理の方がいいですか。
○国務大臣(野田毅君) 政府委員制度廃止、副大臣制度導入の担当を命ぜられておりますので、私から申し上げます。 政治資金の問題につきましては、平成六年の政治資金規正法の改正により規制が強化され、さらに改正法附則により施行後五年を経過した場合の取り扱いについて定められておるところでございます。 政治倫理の確立についてはかねてから各党各会派においても御議論がずっと行われてきたこともよく承知しています。今言及がございました法案なども提案をなされてもおるわけです。これらの問題はぜひ各党会派において十分御議論いただいておまとめをいただければ大変ありがたいし、またそうしなければならないテーマであるというふうに認識をいたしております。 特に、今御指摘がございました副大臣、政務官という形で政治家が政治家自身の責任を果たしていく、役所におんぶしないというような形の形態をつくっていこう、このこと自体極めて大事である。大事であるがゆえに、そういった側面においてもなおさら、そういった政治倫理面においてもきちんとした、李下に冠を正さずといいますか、そういったことが目に見えるような形で行われていくべきであるという御議論は、傾聴いたしておりまして私もまことに同感でございます。
○魚住裕一郎君 この政治倫理の問題はしっかりまた後ほども議論をしてまいりたいというふうに思います。 さて、きょうは分権法中心にということでございます。 国と地方を対等、協力の関係に持っていくということで、機関委任事務が廃止となりました。法定受託事務、自治事務というふうに変えていくわけでございますけれども、やはり先ほど来から問題となっております国の地方に対する関与の仕方、その中でも特に是正要求あるいは是正改善義務について言及せざるを得ないわけでございます。自己決定、自己責任で自治体の裁量でやるべき、それが自治事務、これに何で国が関与してくるのかということでございます。 是正改善義務ということでございますけれども、義務に従わなかった場合は、その先はどうなるんでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) 自治事務についての是正の要求、今回この是正の要求についてその要求に従うべき法的義務が明文化されたわけでございます。 ただ、その際、要求の内容というのは必要最小限度にするべきことであって、具体的な案件に関する具体的な処理ということを極力避けるという意味で、そういう要求があった場合にどういう具体的な事務という形であらわすか、具体措置については自治体自身の裁量にゆだねられているということでございます。
○魚住裕一郎君 答えになっていないと思うんです。 それでも従わない場合どうするかということなんです。国地方係争処理委員会があります。これに各大臣が、恐れながらと言って、提訴ということじゃないでしょうけれども、お伺いを立てるんでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) あえて従わなかった場合に法的にどうなるかということに私が言及しませんでしたのは、それは規定をしていないからでございます。 ということは、そこから先は基本的に、そういう法令に違反した処理が行われている、そのことが著しく適正を欠いて公益に反している、本来ならばそれは自治体の住民自身の手によって、自己規律という中で是正されなければならない事柄である。不幸にして要求がなされ、その要求がなされてもなおかつ放置されたままであるということは、最終的には自治体住民がそれをどう判断するか、こういうことにならざるを得ないということであります。
○魚住裕一郎君 それはすなわち市長さんとか首長さんの政治的な責任という形で持っていくということになると思うんですね。 現行法制は、国を代表して総理大臣が是正の要求をするという形になるわけです。これは実は、各大臣ではなくして、総理大臣がその政治的責任において国を代表して是正の要求をしていく、こういうようなスタイルだったんじゃないですか。今回の改正案というのは、それを大幅に後退させてしまったというふうに言わざるを得ないと思うんです。最後の詰めの部分はやはり政治責任なんですよ。現行法は、内閣総理大臣の政治責任において地方団体に対して是正の要求をしていくというスタイルをとっていると思うんですがね。
○国務大臣(野田毅君) 今回の是正の要求というのは、政治責任において行うというのではなくて、むしろ法令を所管している各大臣が、その法令の適正なる執行という背景の中において是正の要求を行うわけでありまして、それはむしろ政治責任というよりも法的責任というか、そういう背景があろうかと思っております。 問題は、その要求に従わなかった場合にどういうことになるか。それは、いわゆる住民がその政治的な責任をどうとらえていくのかという住民サイドから自治体の首長に対する対応の中で政治的責任ということになっていこうかと存じます。この点は、是正の要求に従われなかった場合に代執行ということは行えないわけでございますから、結局はそこにゆだねざるを得ないということになるわけです。
○魚住裕一郎君 結局は、その義務に従わないとなれば、サンクションがないわけですから、これはもう政治責任の方でしかないなということになると思います。この点につきましてはやはり最終的にはこの規定の削除を求めざるを得ないのかなというふうに考えておりまして、引き続きこの点につきましてもしっかり議論をさせていただきたいと思っております。 続きまして、財源の問題をちょっと次に取り上げたいというふうに思います。 その前に、今、地方の財政状況というものが大変厳しいことになっております。平成十一年度の地方財政対策についても十三兆の財源不足が出ました。そして、八兆四百億ですか、交付税特別会計の借り入れが起こされて、その半分を地方が負担する、そういう形で推移をしてきましたけれども、平成八年以来ずっとこのスタイルで来ているんですね。もうこれは限度ではないかというふうに思うわけでございます。 昼のニュースを見ておりましても会期延長の問題とか報道されておりましたけれども、それが終わってもさらに秋から年末にかけて、大型補正をやるのかどうかわかりませんけれども、そうなってくると、また公共事業の追加とかいうのが出てくるのではないかというふうに懸念されるところであります。そうすると、また地方の負担というものが大きくなっていくのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。 地方財政事情は本当に逼迫しているところでございますけれども、自治大臣として、この大型補正の可能性、この法案とはちょっと離れますけれども、その場合の地方団体の財源問題というものをどのようにお考えなのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 大型補正の可能性については、私から申し上げるのはちょっと僣越なことであろうかと存じます。 ただ、先般、十一日でございますが、緊急雇用対策それから産業競争力の会議がございまして、そこでその関連の内容が決定をされたわけでございます。その内容を見ますと、いろんな柱が立っておるわけですが、その本部決定に盛り込まれました地方団体関係に関連する施策というのが大きく分けて二つあると思っております。 そのうちの一つは、国、地方公共団体による臨時応急の雇用・就業機会の創出のための緊急地域雇用特別交付金というものをスタートするということでございますが、これは、実際にいろんなアイデアを出して地域における雇用を拡大していく、そういうことで行政事務そのものは自治体が執行していくわけですが、その財政的な裏づけとして全額国費で、交付金として都道府県に交付するという対応をすることになっております。それから、いま一つは、緊急少子化対策として、実際の事業実施は自治体が行うわけですが、これも全額国が自治体に交付をするという形で対応するということになっております。 現在のところ、先般決定されました内容を実現していく過程の中で、いわゆる地方負担といいますか、これは想定はされておらないことだというふうに認識をいたしております。 今後、補正予算がどういう形で組まれるのか、このことだけに限定されるのか、あるいはその他のことまで含めて組んでいくのかどうかということは、これは私から申し上げるのはちょっと僣越なことであろうかと思います。
○魚住裕一郎君 今のは、新聞で報道されていることではありますけれども、その先です、僕が聞きたいのは。 秋から年末にかけてかなり大型補正を組まないと経済が、今一・九%というような数値も出ましたけれども、息切れしてくるのではないか。そうすると、やっぱり大型の補正を組んでしっかり経済を支えなきゃいけない。そういうふうになった場合の地方の財源問題をどうするんだろうか、そういう問題でございまして、総理、その辺いかがでしょうか。
○国務大臣(小渕恵三君) 今内閣の最大の責務は、経済再生内閣と銘打たせていただいております。そういう意味で、現下の経済の動きというものを極めて注視をいたしておるわけでございますが、御承知のように、一—三月におけるGDPの問題につきましては一・九という数字が出てきております。 いろいろの政策も積極的に取り組ませていただいておりますが、まだまだ不足の点もあるかと思いますが、それを含めまして将来にわたっての補正予算を立てていくかどうかという問題については、現段階ではこれは申し上げられることはできません。九月ごろ四—六の数字もまた出てくるかと思いますから、そうしたものを万般見通しながら、将来にわたって検討していくべき課題だろうと思います。 ただ、公共事業について私が知る範囲では、確かに本年度予算につきましては両院の御理解を得まして三月中に戦後最速で通させていただきました。そのおかげをもちまして、四月一日から公共事業につきましても計画が立ち得ることでそれぞれが積極的に取り組んでおる。このことが、やや公共事業が早目に消化されてしまうのではないかという不安を持っている向きもあるようでございますが、実質的には金の支払いその他につきましてはかなり時間的なおくれもございまして、早く執行が始まったからといって息切れするというようなことにも必ずしもつながらないというようなことも言われております。 その他、経済ですからそれに限らないことでございますので、全体の動きを十分見通しながら、将来日本の経済が、さらに一—三月のこうした数字をもとにして上昇し得るようなことのための施策をとりつつ、一方、先ほど自治大臣お話しのように、雇用の問題が極めてこれまた重大な問題でございますので、願わくばこれを補正予算として編成をし、できる限り早い時期に国会の御審議を得たい、こういうことを考えつつおるわけでございます。それに対しての地方自治団体における負担の問題につきましては、先ほど自治大臣から御答弁申し上げましたが、いずれにいたしましても、全体の景気を回復し、そして財源も確保できるようなために政府としては全力で努力をしていきたい、こう考えておるところでございます。
○魚住裕一郎君 だんだん時間がなくなってきたので、次に行きたいと思います。 今、国と地方を考える場合、特例交付金は合わせて約二十一・五兆ですか、そういうような今金額になっております。それで、地方財政計画の歳入総額が八十八兆ですから、約四分の一が地方交付税で占められているという状況になってきておりまして、平成十年度の普通交付税の不交付団体は百二十団体なんですね。全部で三千二百八十あります。大体三・七%というこれが今の実態の姿でございますが、これは自治大臣として三・七%という数字が適当と思われているのか、あるいは適正な不交付団体の割合とは一体どのぐらいをお考えなのかということをお示しいただきながら、この財源の配分というのが最優先で行われないと、地方分権といっても現場は困るんではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、平成十年度で不交付団体が百二十団体ということになりました。過去十年において、不交付団体のピークが昭和六十三年度で百九十四団体でございます。つまり、六十三年度の不交付団体の割合約六%がピークだったわけです。 では、どの割合が一番いいんだろうかというと、まあ率直に言ってなかなかどれがいいということは一概には言いにくいところはございます。ちなみに、昭和四十四年度から五十七年度ぐらい、この四十年代の半ばごろから五十年代の半ばごろまで、この間は不交付団体の数は実は二けたでございました。そういう点で、なかなか割合のことについて申し上げるのは難しいとは思っております。 ただ、できるだけ自主財源、財政の自主性ということを考えれば、この不交付団体がもっと出てくるということが望ましいし、またそういうような財源配分なりそういう税の仕組みなり、地方財政の仕組みを考えていかなければならないというふうに考えております。それが目指すべき方向であると。基本は、たびたび申し上げておりますが、地方税による自立的な財政運営ができるような仕組みをどうやってつくっていくかということにさらに努力をしてまいりたいと考えております。
○魚住裕一郎君 地方の財源を豊かにする、やはり税源移譲が最も望ましいというふうに思うわけであります。 先行委員の質問の中で、事業税の外形標準課税という質問がありましたけれども、そのほかにもいろいろアイデアがあると思うんですね。 例えば地方消費税の税率アップ。もう消費税じゃなくして地方消費税にしていくべきだと。普遍性があり、また地域偏在性が少なくて税収も安定していると。これから高齢社会への対応というような観点から見てもそういう方法があるんではないかというアイデアも出されております。 また、個人住民税の充実ということも考えられるのではないか。今、所得税がありますけれども、所得税から個人住民税に移譲するというやり方。例えば一〇%部分を地方に持っていく、こういうこともアイデアとして出されているわけでございます、もちろん個々の納税義務者にとって実質的な増税にならないように配慮していかなければなりませんけれども。 この地方消費税の問題と所得税から個人住民税への移譲という問題につきまして、自治大臣また大蔵大臣、御所見をいただきたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 基本的に地方の自主的といいますか、課税自主権といいますか、そういったものをいかに強化していくか、そういう中で国、地方の間の税源の再配分ということは避けることのできないテーマであると思っております。 ただ、国と地方を税源問題について対立的な関係でとらえるというのもいかがかと。国も今、財政状況が極端に異例な形で、極端な悪化した状態にあることも事実です。地方自治体も同じです。 そういった点で、基本的なところは大蔵大臣がたびたび答弁で申し上げられておりますけれども、経済の情勢が今の異例な姿を脱してノーマルな姿になったときに、きちんとした安定的な国と地方の税の権限の配分と同時にこの税源の見直しということもやる必要があると言われているのはそのとおりでございます。 そこで、所得税もそういう発想としてあることは十分承知をいたしております。ただ、所得税と住民税、似ているんですけれども、課税最低限も違っております。そういったこともやっぱり頭に置いてどう仕組んでいくのかということも検討していかなければならない、例えばでございますが、そういうテーマもあります。 消費税については、今五%のうちの一%が地方消費税という形で位置づけられておりますが、単に国や地方の一般的な財政需要といいますか、行政需要を賄っていくというだけで消費税の役割はいいのか、むしろこれからの少子高齢化に対応する社会保障というものを安定的に構築していくために連動してどうとらえていくのかということも含めて検討されなければならない課題の一つであろうかと思っております。 発想としてそういった点があることは十分承知をいたしておりますが、この点は税調においても十分御議論いただいて検討していただくことであろうと思っております。
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、自治大臣が言われましたように、国の財政と地方の財政を対立的に考えるというような今の状況ではございませんで、先ほども申しましたが、地方財政のことをいろいろ自治大臣から伺いますと、これはまことにお互いに同情し合うような状況でございます。 そこで、これは両方が争っておってもどうにもならぬことでございまして、公共事業一つするのでも、地方の本当に心からの協力がありませんともうできなくなっておりますから、再配分のときには、今までのようなそういう頭ではなくて、お互いにどうやったら両方合わせて一番マキシマムの税が取れるかというような頭から考えていくことがいいだろうと。 そういう意味では、何が困るということは余り申し上げない方がいいと思っていますけれども、所得税だけは、これはもしかしますと国のベースで、いろんな意味で、所得の再配分でございますとか、そういう機能がございますから、これはなるべく国が持っていた方がいいかもしれない、住民税はまた別でございますが、というぐらいなことは申し上げますけれども、それ以外は余り予断を持たずに両方で考えていきたい。かつて、国の税源と地方の税源は二対一ぐらいでございましたけれども、今は三対二ぐらいになっておるんだろうと思いますが、一緒に考えてまいりたい。
○魚住裕一郎君 先ほど大蔵大臣は先行委員の質問に対して、平成の頭ころにはいっぱい税収があったというふうなお話がございましたけれども、平成の頭ころというのはバブル期でございまして、バブルの最中といいますか、最終末に近いころでございまして、それの再来を待っていたら切りがないなと。今お話がございましたけれども、しっかり議論を深めていきたいと思っております。 時間がなくなってきましたけれども、地方債の発行が事前協議制になった。本来、きちっと使用目的も決まっている、また地方議会の審議を経ている地方債でございますけれども、当分の間ということで約六十年近く許可が必要であったわけでございます。 今回、それをやめて事前協議制というような形に変えるようでございますけれども、ただ、これは自治大臣等の同意を得ない場合、政府資金が使えないというような状況になる。十一年度の地方債計画で見てみますと、地方債発行額のうち約五割近くが政府資金なわけですね。そうすると、自治大臣等の同意がなければ長期低利な政府資金に引き受けてもらえないという結果になるわけでございます。そうすると、どこでも出していいですよと言うけれども、実際には許可制とほとんど変わらないのではないか、こういう疑問を持たれているわけでございますが、この点については自治大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、現在、当分の間ということで地方債を発行する場合に自治大臣の許可を必要とするわけでございますが、今回これを原則として協議制度に移行するということであります。 今お話がございましたが、この新制度で地方団体は協議という手続を経るわけですが、協議を経れば国または都道府県の同意がなくても地方債を発行し得るということになるわけで、そういう点で自治体の自己決定を尊重するという内容になっておる。 そこで、政府資金を欲しいという場合にはどうなのかということですが、ここは政府資金にも限りがあるわけでございます。そういう点で、政府資金をどの団体にどういう事業でどれぐらいの額をということをやっていこうとする場合はどこかで調整せざるを得ない。これはもう当然のことだと思います。 そういう点で、この協議制度を通じて国または都道府県が同意をしたような地方債については、公的資金の充当とか、あるいは地方財政計画上の交付税制度を通じて財源措置を講ずるというような形をとっておるわけでありまして、これによって地方債の信用を言うなら制度的に保証できる、そしてボンドについても国債に準じた発行条件が確保される仕組みとなるというふうに考えておりまして、協議制度というのは、財源保障や円滑な資金調達、地方自治体もやはりいろんな体力の自治体がございますから、そういった意味で、財政力の弱い自治体でも円滑な資金調達が行えるようにするには不可欠な手続であると考えております。
○魚住裕一郎君 まだまだ問題はいっぱいあると思いますので、また引き続きしっかり議論をさせていただきたいと思います。 ありがとうございました。(拍手)
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。 地方分権一括法について質問をいたします。 その地域に住んでいる人たちが身近な行政を自分たちで決め、実行する地方自治は、日本国憲法の最も重要な要素の一つであり、地方自治の発展とさらなる前進が求められています。 そこで、総理に改めて伺います。国と地方の関係は、国が上で地方が下とか国が主で地方が従うという関係から大きく転換して、住民に身近な行政は地方が自主的、自立的に行う、これが地方分権の考え方で間違いございませんね。
○国務大臣(小渕恵三君) 一概にそう規定することはいかがかと思いますが、いずれにいたしましても、中央集権的なこの国、都道府県、市町村という縦の関係である中央集権システムを変革して対等、協力の横の関係をつくり上げるということでありまして、相協力して中央と地方がそれぞれの地域の発展に努力をしていくということであるとすれば、そのとおりだと思います。
○八田ひろ子君 今御答弁をいただいたように、国と地方公共団体の関係を大転換して、対等、協力の関係、相協力して築くというのが地方分権。私も全くそのとおりだと思います。問題は、本当にそうなるかどうかということです。 そこで、幾つかの具体的な問題でただしたいと思います。 まず最初は、乳幼児医療費に対する助成についてです。 愛知県のお母さんから手紙をいただきました。そこには、こう書いてあります。 私の子供は生後五カ月に突然発病し、現在治療中です。発病してから病名認定されるまで約二年間を費やしました。原因不明で、血液検査やMRIなどの検査を繰り返し、時間のかかる母子ともにつらい検査。検査料も高額で、一回が八千円近くもかかる。下の子供を出産して間もなくのころ、入院検査が必要と言われ、生後一カ月の子供を連れての入院となりました。病気の不安や心配のほかに、高い医療費の支払い。入院中は母親がつきっきりで介護するため、ほかの兄弟は預けたりと。せめて医療費が無料だったら、どんなに親の苦しみは軽減されるでしょう。私の子供は、病気の苦しみはありますが、現在医療費は無料になり、どんなにありがたいと思ったことでしょう。病気は早期発見、早期治療が大切です。未来を担う子供たちを健やかに育てることができますよう、医療費無料の制度を拡大していただきますよう、心からお願いします。 この方のような特別な病気でなくても、子供は小さければ小さいほどちょっとした風邪でも脱水状態になり、肺炎にまで進む、命にかかわります。私も三人の子の親としてお母さんの気持ちはよくわかります。子供の病気は待ったなしですから、お金の心配をせずにお医者様にかかれるようにとの願いは切実で、そんな思いを地方自治体が受けとめて、一九六一年四月に岩手県の沢内村で乳幼児の医療費無料制度が始まりました。赤ちゃんの死亡率が高い、何とか子供の命を守りたいとスタートして効果が上がりました。 私も自分の住んでいる町で、乳幼児の医療費無料化を進める運動、新日本婦人の会のお母さんやお医者様、たくさんの皆さんと力を合わせて運動してきました。ところが、大きな障害があった。国からのペナルティーがある、国からのお金が削られるから困ると地方自治体から声が上がるんです。 市町村の行っている乳幼児に対する医療費の助成は、ペナルティーをかけなければならないほど悪いことなのですか。厚生大臣に聞きます。
○国務大臣(宮下創平君) 乳幼児医療につきましては、現在、今お話しのように、国としては、難病の子供、これは十八歳未満の者でございます、それから未熟児、これは一歳未満で母子保健法に基づく者です、それと障害児、これは児童福祉法に基づく十八歳未満の方々、こういった方々に対しては手厚い援護が必要な児童だということで、その疾病につきましては既に医療費の公費負担を実施しているのは御案内のとおりだと存じます。 そこで、今申しましたのは、例えば小児がん等の小児慢性特定疾患という場合は、小児慢性特定疾患治療事業といたしまして医療保険の自己給付を公費で負担いたしておりますし、未熟児も入院医療費につきまして公費負担をしておる。それから、障害児の育成医療の面でも医療保険の自己負担分を給付するというような制度を実施しているところでございまして、乳幼児の医療費一般につきまして、国として地方公共団体の支援のために新たな特別な対策は現在講じてございませんが、今お話しのように、各地方自治体におきましては、公費負担の事業を独自に実施しておるのは委員の御指摘のとおりでございまして、これは各地方団体で、それぞれ所得制限あるいは年齢、費用負担の問題等、さまざまでございますけれども、地方で負担をしている実施状況は我々としても掌握はしております。 しかし、医療保険ということになりますと、国民健康保険一つとりましても調整交付金制度というのをしいておりまして、原則五〇%の補助率でございますが、そのうちの一〇%を調整交付金としております。医療費は一般的には制度として定立をいたしておりますから、それからいわばはみ出てといいますか、それ以外の給付を独自にした場合は、それを認めてまいりますと医療費全体の均衡を失してしまうと、やっていないところは負担増になるという問題がございまして、調整交付金で減額調整等もしておる、そのことを委員は御指摘だと思いますけれども、これは医療保険制度の公平な運営ということから当該措置をとっているものでございまして、御理解はいただけるものと思います。 そんなことで、委員の今の御主張は乳幼児一般について全部公費負担をすべきであるという御要求に聞こえますが、現在のところそういうことは考えておりません。
○八田ひろ子君 いろいろ御説明いただいたんですけれども、結局、乳幼児に対する医療費助成、地方自治体がこれを無料にするために行う、あるいは半額助成する、こうしますと国からの負担金を減らされるということですね。どの自治体でも、だから制裁措置だ、ペナルティーだと受けとめています。結局、あなた方は乳幼児の医療費を地方自治体が助成することは悪いことだ、やるなということを実際的にしてきたんじゃありませんか。それを私は聞いているんです。
○国務大臣(宮下創平君) これは、そういうことが悪いことだからペナルティーを科するという意味ではございませんで、医療保険はやはり制度として国民全体に均等に給付が補てんされるということが必要でございまして、その制度からさらに大幅に有利な扱いをされますと、ほかの一般の方々との均衡も失するという医療費全体の性格からくると思うんです。 そういう意味で、特にこれが悪いことだからペナルティーを科すということではなしに、国庫補助の五〇%のうちの何がしかを減額調整するという制度を今とっておる、こういうことでございます。
○八田ひろ子君 結局ペナルティーじゃないですか。 それでは聞きますけれども、大臣、全国でこういった乳幼児の医療費助成制度というものを実施している市区町村の数は幾つあるんですか。
○国務大臣(宮下創平君) 先ほど申しましたように、その態様はさまざまでございますが、何らかの意味で乳幼児医療費を市町村で実施している数は、市町村数で申しますと入院で三千二百五十五、通院で三千二百五十三ということに相なっております。
○八田ひろ子君 今お答えいただきました。さっき公平とか何かおっしゃったんですけれども、全国の市区町村は幾つかと言えば三千二百五十五ですよ。入院の場合は三千二百五十五と言えば全国すべての市区町村じゃありませんか。通院でも二つ除いて全部です。つまり、それだけ住民要求が強いということです。厚生大臣も前に中長期的にはこういう乳幼児医療費の助成は検討すべき課題だとお答えになっていますよ。 今、少子化が深刻になって、世代を超えて支持されて、もう子育ては終わった人でもこれをやってほしいということで運動を一緒にやっている。みんなが笑顔になるような地方の施策に国は本当なら評価をして応援する。正反対じゃありませんか。こういうペナルティーのようなことはやめるのが当たり前だと思うんですけれども、いかがなんですか。総理に伺いたいんです。
○国務大臣(宮下創平君) 私は、先ほどこの乳幼児医療費の問題につきまして、乳幼児医療費一般については現在のところ考えていないということを申し上げたわけで、今、委員も御指摘のように、中長期的な課題としては検討に値するということを本院でも申し上げたことがございます。今でもその点は変わっておりません。
○国務大臣(小渕恵三君) 厚生大臣の答弁のとおりでございます。
○八田ひろ子君 そういうことを私は聞いていませんよ。乳幼児の医療費を無料にすることは、先ほど御紹介したように住民の切実な声なんですよ。こういうことにこたえるのが地方自治の大事な原則の一つじゃないですか。 それぞれの市町村にとっては財政的な負担が重いし、さっき言われたようにペナルティーも打撃になっている。だけれども、どうしてもやらなければいけないから、すべての市区町村、厚生大臣がお答えになったように三千二百五十五の全部が行っている。本来国がやるべきことをやらない、そこで住民の人が立ち上がってこの三十有余年の間にすべての自治体に広がっている。こういう国からの不要な関与、干渉、国と地方の関係を大転換する地方分権だと言うんだったら、私はこういうところをどうしても改めてほしいというふうに思うんです。こういう問題は乳幼児の医療費の助成制度だけではないんです。 もう一つ、公立高校の授業料について伺います。 現在、不況の中、教育費の負担は重くのしかかっています。中には授業料が払えなくて高校を中途退学せざるを得ない、そういう子供たちも少なくありません。私も関係者にお話を伺いました。親御さんがリストラされたり勤め先が倒産したり、中には親御さんが自殺に追い込まれる、そんな家庭の事情から入学金や授業料を払えない生徒がふえていて、先生方も胸を痛めています。 その窮状を少しでも救おうと、高校の先生が自分たちの主任手当を拠出して修学奨励資金づくりさえ行われているんです。ところが一方で、公立高校の授業料、ある県では二十三年連続毎年値上げ、ある県では二十七年連続値上げ、なぜこんな同じように値上げされているのか。 自治省の内簡を私はきょうここに持ってきましたけれども、毎年自治省から出されている、全国に予算編成上留意すべきとして示される内簡、この一番後ろに新旧対照表が載っていますね。こういう内簡で指示されているんじゃありませんか。自治大臣に伺います。
○国務大臣(野田毅君) 内簡というのは、地方財政計画の策定、あるいは交付税の算定を行いますときに、標準的な歳入を見込むに当たって、従来から公立学校の授業料などにつきまして定期的に社会経済情勢の推移に即して改定を行ってきておるわけです。その改定額は、人件費やあるいは物価の動向など、それから国立学校の授業料などの改定状況を勘案して決定してきておるわけです。 そのようにして見込んだ単価について、御指摘のとおり、これは自治省の財政課長の内簡という形で、それぞれの自治体が予算編成の参考に資するように情報提供として地方団体に示しているわけでございます。何らかのそういったものがなければ、地方自治体として何を基準にしてそういったもののめどをつけるかということがやりにくいわけです。 各自治体では、このような標準的な地財単価をベースにして、それぞれの地域の実情を考慮して条例において独自に単価を設定しておられるということであります。
○八田ひろ子君 私は、これはとんでもない御答弁だと思うんです。 これを見てください。(図表掲示)右へ倣えで内簡どおりに授業料の値上げが行われているという表をつくってきました。お手元の資料にも一枚目にあるんですけれども、「自治省「内かん」と公立高校授業料値上げの変せん」、これは全日制だけつくってきたんですけれども、一番上は西暦の年数です。次が、クリーム地で赤で書いてあります、「「内かん」提示授業料」。これは例えば一九八三年ですと、内簡で六千二百円に値上げというふうになっているんです。その次が「都道府県数 一年目」。 その一年目、八三年に内簡どおり上げたところが十七県あるんです。二年目と書いてあるのは、二年目にこの内簡どおりに値上げしたのが十八県です。だから合わせて三十五県になります。三年目にはどうかというと、十二県またふえて、全部で四十七都道府県、全部の都道府県が内簡にそろえるんです。 次は八六年で、六千九百円に値上がりになると、同じように一年目、二年目、三年目となって、三年目には四十六都道府県が内簡どおりに上がっていく。その次、七千四百円になる。これも同じように、三年目には四十七都道府県が内簡どおりの金額になっているんです。一番右側、一九九八年は九千円になりましたけれども、これも一年目、二年目で、三年目は来年のことですから、来年のことは私はわかりません。 しかし、この三十年間一貫して内簡が出るまでにほとんどの都道府県が、全部のところも多いですけれども、値上げしているんです。こういう見事な右へ倣え、同じ額ですからね。これのどこに住民自治があるんですか。総理、どうお思いになりますか。地方分権と言うのだったら、こういうことはこれからなくなる、おやめになるんでしょうか。
○国務大臣(野田毅君) 公立高等学校の授業料などにつきましては、住民負担の公平確保の観点、さらに受益者負担の原則に立ちまして、経済社会情勢の推移に即応して、必要な見直しを行い、その適正化を図る必要があると考えております。 なお、先ほどいろいろ授業料を払えない生徒云々の話もありましたが、こういう場合、各地方公共団体において、経済的理由により授業料の負担が困難な生徒に対し、生徒が勉学を続けていくことができるよう授業料の減免措置が講じられておるわけでして、これに対しては自治省としても適切な財政措置を講じておるところであります。
○八田ひろ子君 地域の独自性というのはどうなるのでしょうか。また、さっきお示しした高校の先生たちというのは、そういう助成制度に当たらない子供たちに何とかしなくてはということでやってみえることなんです。 結局、今のお答えでいうと、公立高校の授業料の値上げの強制の仕掛けというのは変わらないんだ、自治省が値上げの文書を出しますとそのとおりになるというのはこれで明らかじゃないですか。しかも、これ内簡の枠内ですよ、内簡の枠内で結局全部同じになっている。こういうことまでどうしてそろえる必要があるんですか。三十年間一貫してこうやって行われているんです。これは生きた証明なんです。何遍も同じ答弁ばっかりですから要りません。
○国務大臣(野田毅君) それぞれの自治体において自主的にいろいろ御判断いただくのは結構でございますが、しかし、その財源的な穴埋めについて、国からの財源措置を前提として行われるということになればまた話は違うわけでございます。 そういう点で自治省としてやっておりますのは、地方財政措置の中で、先ほど来申し上げておりますが、交付税の算定基礎の中でどういうものを基準財政収入に見込むのかということが前提でありまして、その中で、当然それを前提にして自治体が独自で御決定になる世界であります。 その点で、先ほどお示しになったその表も、一年目でやっているところもあれば二年目でやっているところもある、三年目が終わってもまだやっていないところもある。それぞれ自治体の中で自主判断で御決定をいただいていることであります。
○八田ひろ子君 これは自主判断じゃないでしょう。だって、この内簡どおりにしかできないんですから。 今後もこういうことをお続けになるのかどうかというのを私は伺っているんです。もう一度立ってください。
○国務大臣(野田毅君) これは、国の予算や地方財政計画などの関係するものがまだ立法府の判断を経ていない、つまり予算ができ上がっていない、地方財政計画が閣議決定されていない、そういう段階で地方自治体からの照会がございます。地方自治体は自分たちで独自にそれぞれ議会での予算等々を見積もっていかなければならない、そういうときにどういうふうな金額を見込むべきか、こういう照会があるわけです。 そういう場合に、地方団体の予算編成の便宜に資するために、国の予算案の概要や閣議決定見込みの地方財政計画の概要、それから予定されている地方税財政制度の変更などについてあらかじめ連絡することを目的として出しておるわけであります。そういう性格のものであります。そのために文書番号を付さずに書簡の形式をとっているものでありまして、その内容も予定される制度改正内容の伝達などの事実関係の記述を中心としているものであります。 なお、財政課長内簡というのも、私的な書簡ではございませんので、公文書として地方自治法第二百四十五条に基づく助言または勧告の一環としてなされておるものでありまして、この地方分権推進一括法の成立後におきましても地方自治法の第二百五十二条の十七の五に基づき地方団体からの照会などがあった場合には、適切に対処してまいりたいと考えております。
○委員長(吉川芳男君) 追加答弁があるそうですから……
○八田ひろ子君 いいです、委員長。 結局、自動的に値上げするという仕掛けは変わらない。これは、乳幼児の医療費助成を抑えることでも公立高校の授業料にしても国による地方自治体への干渉、介入はなくなるどころか一つも変わらない。これでどうして転換だと言うんですか。がんじがらめの統制は全く変わらない。こういう今まで見てきたようなやり方、これは個々の事業に圧力をかけて、さらに地方財政全体にも圧力をかけて、地方がやりたいこともやれないようにしてきた国の責任は大きいと思うんです。 そこで、私は次の質問なんですが、今日の地方財政の深刻化の上で、国による公共事業の押しつけとともに見逃せないのが、自治体の公共用地の先行取得に巨額の資金がつぎ込まれていることです。 そこでお尋ねするんですが、過去八回の景気対策が行われましたけれども、自治体による公共用地の先行取得の中心になってきた土地開発公社、これはどれだけの土地を購入してきたのか、九一年から九七年、面積と投資額、七年間の合計でお示しください。
○委員長(吉川芳男君) 八田君に申しますが、先ほど来、野中内閣官房長官から要求がありますから……(「質疑者が要求していないじゃないですか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)いや、要求していますよ。さっきから手を何度も挙げているんです。
○八田ひろ子君 私は自治大臣に伺っているんです。
○委員長(吉川芳男君) ちょっと聞いてください。(「聞いていないじゃないですか」と呼ぶ者あり)御静粛に願います。
○国務大臣(野中広務君) 委員長の御指名をいただきましたので、お答え申し上げたいと思います。 先ほど来、公立高校の授業料について八田委員からそれぞれ御指摘がございます。私は、御質問と申し上げるよりも御意見だと思っておるわけでございますけれども、小中学校は義務教育でございますが、公立高校につきましてはそれぞれ都道府県なり政令市等がつくっておるわけでございますけれども、それにはそれなりの授業料を徴収して経営をしておるわけでございます。けれども、それではできませんから一般県費を入れておるわけでございまして、先ほど野田自治大臣から御答弁がございましたように、それぞれ当該年次の授業料はこの程度を基準財政収入額で見込みますよという目安を内簡という形で示しておるわけでございます。 ずっと各都道府県をごらんになりましたら、都道府県会議員を経験された人たちもいらっしゃると思いますけれども、大体私ども、卑近な例を申し上げますと、統一地方選挙がある前になるとなかなか授業料というのは上げにくいんです。だから、知事の選挙とか都道府県会議員の選挙の前に基準となるべきそういう授業料を適正に上げるような仕組みというのを常にしておかなければ、それは地方自治の本旨を傷つけてしまう、本旨を曲げてしまうわけでございます。 したがって、皆さん、そういう点について十分お考えをいただいて、都道府県の授業料というのは公立高校のそういう全体のあるべき姿を示しておるということを御理解いただきたいと思います。
○八田ひろ子君 委員長、野田大臣と全く同じ答弁じゃないですか。時間がありませんので続けます。もうこういうのは困ります。 九一年から九七年度の土地開発公社、これの購入を教えていただこうと思ったのですが、時間がありませんので聞きました金額を言いますが、四億七千六百四平方メートル、金額で十六兆一千百六十六億円というふうに伺いました。これは、東京ドームで言いますと一万個以上の広さになるんですね。このほかにも、地方では特別会計の借金で買っているものがあります。なぜこんなに莫大な土地を地方が買うことになったのか。自治省が率先して奨励してこられたからなんですよ。 例えば、九一年六月六日の自治省財政局長通達では、「基金の運用に工夫をこらし、積極的に公有地の確保に努めること」と書かれております。九二年十月一日の自治省事務次官通達では、「地方債等に係る金利負担の一部について交付税措置」、「公共用地の計画的な先行取得を積極的に推進されたい。」、こういう指示になっておりますけれども、自治大臣、どうですか。
○国務大臣(野田毅君) 一般に土地は、必要なときにいつでもすぐに取得できるというものではございません。そういう点で、公共事業などを円滑に推進しようという場合には、当然のことながら、そういった公共施設の計画がある程度固まればあらかじめ確保しておく必要があることは、だれしもおわかりいただくことだと思っております。 土地開発公社によって先行取得される土地は、設立団体である地方公共団体などの依頼に基づくものでありまして、その必要性、将来の土地利用計画などについては十分な検討を経ているものだと考えております。
○八田ひろ子君 必要な公有地の確保を否定するものではありません。 ところが、実態はどうかというと、計画的な町づくりに役立っていないことが問題だと思うんです。景気対策、経済対策、そう言って土地を買えとか借金をしてでも土地を買いなさいという通達が出されていますけれども、結局、民間の不良債権を地方自治体に買わせただけ、こういう通達が私は問題だと思うんです。実態調査はされていないというふうに私は伺っているんですけれども、もしそうなら、自治省というのはこれだけ毎年毎年通達を出されて無責任だと思います。 私、調査してみましたら、大変ひどいということで、川崎市のことを持ってきました。 これは、川崎市では公共用地として買ったんですけれども、利用できていない土地というのが四十二件、約十二万平方メートル、投資した金額が五百十四億二千万円。この中に、全天候型ドームを予定していたんですけれども、計画中止という土地もあります。 これは先ほど挙げました通達の一つですが、九二年十月一日の自治省事務次官通達どおり、これは国鉄清算事業団用地を買ったんです。この通達は、国鉄清算事業団用地について、「地方債等に係る金利負担の一部について交付税措置等を講ずる」、こういうふうに言っているんです。こういうがけ地も買っているというので、これはテレビでも大変問題になっていました。 川崎だけじゃないんです。埼玉県の大宮でもそうです。大宮では取得した面積が五十四万平米、約一千億円で、この購入資金はほとんど起債、つまり利息のつく借金です。そのために、市の公共用地を取得するための特別会計の借金というのが、九一年度五十四億五千八百万円が九六年度に四百八十億円と、八倍なんです。 その土地がどうなっているかというのを、私は一枚だけ写真を持ってきました。(図表掲示)これを見てください。これは使いようがなくて残っているんですけれども、この空き地は大宮市が九六年にあの富士重工から買いました。こういうように、各地で自治省の通達どおりやったら大変なことになっている。 確かに自治体の責任もあります。しかし、国の責任が重大じゃないでしょうか。私はそれを伺いたいんです。
○国務大臣(野田毅君) お伺いしていますと、自治省が何か要らない土地を無理して買えという通達を出しているようなあなたの発言ですが、それはとんでもないことでございます。 例えば、本年度、さっきは内簡の話がありました。正式なこれは自治省の「平成十一年度地方財政の運営について」、これは毎年度この種のことをずっと出すわけです、各地方自治体に。 本年のこれに関連してのところをちょっと言いますが、「土地開発公社及び地方道路公社については、特に次の事項に留意されたい。」、その中で、 土地開発公社の運営に関しては、事業計画、土地利用の状況、地域の発展方向等を総合的に勘案しつつ、適切かつ効率的な業務運営が確保されるよう、指導監督を徹底されたいこと。 特に、土地の取得については土地利用計画等を十分に検討し、また、土地開発公社が現に保有している土地については事業計画等の見直し等を含めて処分の促進に努める等適切な措置を講じられたいこと。 むだなものを買いなさいとは一言も言っておりません。(「処分は後からにすると言っているんじゃないですか」と呼ぶ者あり)
○八田ひろ子君 そうなんですよね、私は後でそれを伺いたかったんです。九一年も九二年も、それから毎年毎年こういうふうに、出される方は財政局長通達とか事務次官通達とか名前は違いますけれども、通達で、積極的に公有地の確保に努めることにされたい、あるいは先行取得を積極的に推進されたい、利息も持ちますよというふうにどんどん出されて、今読まれたのはことしの四月二十一日ですね、今度は土地処分の促進に努めるという通達です。これは伺いましたら、民間にも売れということなんですね。 しかし、今、土地というのはそうそう売れるんでしょうか。これだけ地価が下がっている中で、今おっしゃった通達、もしこういうふうに売りますと、地方自治体というのは大変な減額、損失をこうむるということになるんです。 買え買えと言うのも私は本当に大変無責任だと思うんですけれども、今度は売れ売れと言う、そういうのも私は無責任だと思うんですが、いかがなんですか。
○国務大臣(野田毅君) すごく極端にばかりおっしゃるんですね。今、売れ売れとばかり言っているわけじゃないことはさっき読んだとおりでございます。もう一遍読みましょう。 土地開発公社及び地方道路公社については、特に次の事項に留意されたい。 土地開発公社の運営に関しては、事業計画、土地利用の状況、地域の発展方向等を総合的に勘案しつつ、適切かつ効率的な業務運営が確保されるよう、指導監督を徹底されたいこと。 特に、土地の取得については土地利用計画等を十分に検討し、また、土地開発公社が現に保有している土地については事業計画等の見直し等を含めて処分の促進に努める等適切な措置を講じられたいこと。 だから、売れ売れとばかり言っているわけじゃないんです。基本は、まず取得について、当然のことながら土地利用計画を十分に検討した上で取得をする。そうであれば、その計画に基づいてきちっと適正な執行を行いなさいというのは、これは当たり前の話であります。その中で、いつまでももたもたするのではなくて、必要に応じて事業計画を見直すことは、これはまた当然のことであって、その結果処分をした方がいいと思うものは処分をしなさいということであって、何か話を聞いていますと、極端に買え買えと言って今度は売れ売れと言う、何を言っているんですかということになるんじゃないですか。
○八田ひろ子君 東京ドームでいいますと一万個以上もの広さのものが今売ることもできない、動かすこともできない。北海道の例でいいましても、八年間で全く動くことがない、売れないし使えないというんです。 今これは塩漬けだということでマスコミでも大変問題になっているんです。通達がどんどん出されてやられている。通達で土地を買わせて、通達で借金してでも土地を買えと奨励して、さっき読んだけれどもそのとおりです。金利負担についても面倒を見るというふうな通達が出ています。今度は処分の促進です。地方自治体の自主性を奪う干渉というこの通達行政の仕掛け、こういう悪さを変えようとはされない、全く反省がないんです。 それに加えて、地方財政の悪化をこれほどまでに深刻化させてきた干渉の中身、きょうは時間がないので本当に数例しか出しませんけれども、その中身が悪いという二重の弊害があるのじゃないでしょうか。 政府は最初に、不承不承というんですか、地方の自主性、自立性を高める、上下主従の関係から転換だというふうにお述べになりました。ところが、実態がこういうことでは全然転換されるというものじゃないんじゃありませんか。先ほど来、朝からもそうですけれども、国の統制、関与の部分というのはきちんとある、それなのに実際の地方分権というのが進まない、こういう法案というのは認められないということを表明して、本日の私の質問を終わります。(拍手)
○日下部禧代子君 社会民主党・護憲連合の日下部禧代子でございます。 冒頭に資料請求をさせていただきたいと存じます。 一括法案の委員会審議に入るに当たりまして、地方分権推進委員会の指針勧告や地方分権推進計画からの変更点を明らかにすることが必要だというふうに思います。衆議院におきましても、法定受託事務の定義の変更などいろいろと勧告あるいは計画との相違点が指摘されております。 そこで、地方分権推進委員会でこの法案をまとめるに当たっての議事録をぜひともお出しいただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(保坂榮次君) お答えいたします。 地方分権推進委員会におきましては、委員会の開催ごとに議事録を作成しまして、作成作業が完了次第、順次公表しているところでございますが、御指摘も踏まえまして、当該部分につきましては速やかに公表するよう努力してまいります。
○日下部禧代子君 よろしくお願いいたします。 今回の法改正というのは、皆様がおっしゃっておりますように、国と自治体の上下関係、主従関係を象徴する機関委任事務が全面廃止される、明治以来の日本の行政システムが大きく変わる、大変画期的なことだというふうに言われております。 しかしながら、一般の方々にとって、この法案によって自治体と市民、自分の関係が一体どう変わるのか、窓口に行くとどういうことがどう変わるのかというふうなイメージがなかなかわいてこないのではないかというふうに思います。それは、今回の法改正では国と都道府県の関係というものが主になっております。住民の身近な市町村への権限移譲というのが非常に不十分だというふうに思うわけでございます。地方分権改革の究極の目標というのは市民の参加と創造性が生かされた地域自治、市民自治の実現にあるわけでございます。 そこで、総理に、本法案の持つ意義というのを、我々国会議員とか官僚の皆さんの視点ではなく、市民の日常生活、市民の暮らしという視点に立って御説明をいただきたいのであります。住民の側から本当に燃えるような参加の意思が沸き立つようなプレゼンテーションをぜひお伺いいたしたいのでございます。 それとあわせまして、総理が政治信条となさっております富国有徳という中身でございますが、これは地方分権の時代に照らして考えてみますと、どうも主役が国というふうにとられるわけでございます。国富んで民貧しという言葉もございます。しかし、地方分権というのは主役は地方である、市民であるということでございます。国が富んで地方が富むのではなくて、地方が富んで初めて国が富むというふうに、今その行政システムを変えようとしているわけでございます。物差しを今変えるときであります。大胆な発想の転換とシステムの転換が今問われているわけでございます。 そのことをあわせて、総理、どうぞよろしくお願いいたします。
○国務大臣(小渕恵三君) 地方分権の推進は、地域の行政は地域の住民が自分で決定し、その責任も自分で負う自己決定、自己責任の行政システムを構築するものでございます。このことによりまして、成熟社会を迎え、国民の価値観が多様化する中で、地域の実情や住民ニーズに合った個性的、多様な行政を地方公共団体が展開できるようになり、住民にとっても自分たちの意向が行政により反映されやすくなるというメリットがあると考えております。 本法案の施行は原則平成十二年四月一日からとなっており、今国会においてぜひとも本法案を成立させていただき、今や実行の段階を迎えている地方分権を具体的な形で進めたいと考えておりまして、地方分権の精神は、この法律の施行を契機として、各般の行政を展開する上で国及び地方公共団体双方にとって一層生かされていくものと考えております。 日下部先生の御意見を聞いておりますと、地方があって国はないとは言っておりませんけれども、ややそういう感じがするのでありまして、やはり地方と国と相ともに協力していくわけでありますが、従来、明治以来の行政のシステムが、しばしば申し上げておりますように、どうしても中央が集権して地方にその考え方を伝えていくということになれ親しんできた傾向があるわけであります。そういった意味で、再び地方の時代、地方を中心にしていく、そして新しい憲法のもとに地方自治が高らかにうたい上げられておることにかんがみまして、その精神をもって、これから地方と中央と、横の関係ではありますが対立した関係でなくして相協力して、国そしてまた地方も繁栄していくという新しい姿に持っていきたいというのが今回の法律案の趣旨であるということでございますので、ぜひ国民の皆さんにも御理解賜りたいと思っておる次第でございます。
○日下部禧代子君 今の総理のプレゼンテーションで、胸がわくわくなさるような地方自治に対しての気持ちがわいていらしたのかどうか。これはテレビをごらんの方々が御判断なさることで、私はコメントいたしません。 次の質問に移ります。 今まで、中央集権型の行政の一つのシンボルというのが機関委任事務でございました。もう一つが、いわゆる通達でございます。通達行政と言われるほど非常に通知、通達というものを中央から地方自治体におろすと言われておりましたけれども、例えば平成十年度に、これは厚生省の場合、どうも済みません、厚生省の例を挙げさせていただきますが、課長以上が都道府県に対して出した通知の数というのは六百八十八通だそうでございます。ですから、土曜、日曜日は抜きにしてウイークデーに大体三通ぐらいは来ている。厚生省だけがおろしているわけではございませんから、二十二省庁ですか、それにプラスアルファ通知を出せる庁というのは十六ぐらいあります。そういたしますと、自治体に膨大な通知、通達が来ております。 きょう我々のデスクの上に資料が載っておりますけれども、一日に一体どのくらい自治体では中央からの通知、通達を机の上に、積んでおくではいけないんです、やはりきちんと精査しなければならない、それだけの仕事だけでも大変だろうと思うわけでございます。 さて、今回の法案によりまして、法改正によりまして、法定受託事務の処理につきましては処理基準が法的な措置として各大臣に広範に認められたわけでございます。それは技術指導というふうに言われておりますけれども、是正の指示等が処理基準に基づいて可能になるわけでございます。どこが通達行政と言われてきた現行の通達と違うのか、そしてまた、これは自治事務に対してはどうなのかということを自治大臣にお聞きしたいと思います。 そして、この通達あるいは通知というのは今度の法改正によってずっと少なくなるのでしょうか。どのくらい少なくなると見込んでいらっしゃいますか。
○国務大臣(野田毅君) 通達は、御指摘のとおり機関委任事務ということが前提でございました。現在は地方自治法第百五十条に根拠を有するわけです。ここに機関委任事務に係る包括的な指揮監督権の規定があるわけです。そういう意味で、この百五十条は機関委任事務の管理執行全般にわたって広く地方公共団体を拘束するというものでございます。いわゆる包括的な指揮監督権ということでございます。 今回の法案におきまして、この百五十条の規定を削除することにし、機関委任事務を廃止したわけであります。したがって、これによって通達によって地方公共団体を拘束するという法律上の根拠はなくなったということであります。したがって、一般的には地方公共団体を拘束する効果を持たない助言または勧告に移行すべきものになるわけであります。 先ほどいろいろお話がありましたが、従来の通達の内容の中でなおある種の拘束力を維持する必要があるというような判断がなされるような場合には、自治事務については法律またはこれに基づく政令などで定めてもらわなければならない、あるいは法定受託事務については、これに加えて新しい地方自治法に基づく処理基準として定めるということは、これはあるということであります。
○日下部禧代子君 実際にどれぐらいあるかどうか、数。
○国務大臣(野田毅君) ちょっと数の点は政府委員から答弁をさせていただきます。
○政府委員(鈴木正明君) お答えいたします。 通達につきましては各大臣の責任において発出されているものでございますが、今後は必要最小限ということで少なくなると思いますが、数字についてはここで申し上げることはできません。
○日下部禧代子君 できないということは、秘密ということですか、それとも数えていないということですか。
○国務大臣(野田毅君) 現行の通達が何本出ているかという数をカウントするのは容易なことではない、これはおわかりいただけることだと思います。各省それぞれ出しているわけです。今回は、今申し上げましたとおり、そういった機関委任事務の廃止に伴って通達は法的根拠を失うということになるわけです。 したがって、この後、自治事務に関する処理の仕方、法定受託事務に関する処理の仕方、それぞれに基づいて各主務大臣の方で整理をしていただくという作業に入る。したがって、通達が一部処理基準として残っていくようなものはあるかもしれません。しかし、そういった場合、処理基準ですから、あくまでも一般的、ルール的な形になっていくであろうということは当然のことでございます。 それから、自治事務に関しても、個別具体的な処理の内容について通達するというようなことはもうない、一般的な形、ルール化された形における姿に移っていくということは申し上げておきたいと思います。
○日下部禧代子君 私は、実際の数を数えろと言ったのは、厚生省に数えていただいたわけでございますけれども、とにかくいかに膨大であるかということをお知らせしたかったわけでございますし、それが膨大であるということは、私どもの、普通の人々の想像を絶しているものであります。したがいまして、それが一体どのようになっていくのかということは、今、大臣おっしゃいましたし、これからきちんとフォローさせていただきたいと思います。 ところで、今回の法案、関係省庁別に改正法律の数を見ますと、四百七十五本のうち厚生省が九十一本とトップでございます。厚生行政というのは、一九八六年のいわゆる機関委任事務の団体事務化法以来、一九九〇年のいわゆる福祉八法改正などを得まして権限の市町村への移管というものはかなり進められたというふうに思っておりました。しかし、実際には、市町村の提供するサービスについては事細かな基準が設けられております。そして、市町村はそれに縛られているのが現状なんです。 この事務執行のあり方というのは、この一括法の成立によってどのように変わるんでしょうか。例えば、今縛られているということを申し上げた。もう少し具体的に言えば、いわゆる必置規制、ある一つの施設を建てるとそこの施設に特別の資格のある職員を何名配置しなきゃならないかという、そういう事細かな基準が設けられているわけでございますが、そのことも含めまして御説明をお願いいたします。
○国務大臣(宮下創平君) 社会福祉の理念は、申し上げるまでもなく国民全体を対象といたしまして、個人が生活上の諸問題につきまして自立した生活を維持できなくなった場合に、人としての尊厳を保つというために、身近な地域でその人が人間らしい生活を送れるように社会連帯の考え方に沿って支援を行うことであります。そして、こうした理念を実現するために、住民に身近な行政をできる限り身近な地方公共団体で処理することを基本として地方分権を推進するという建前で、今回いろいろ所要の改正案をお願いしているところでございます。 そこで、今後は利用者の選択の尊重でありますとか個人の自立支援を進めることが重要であると認識いたしておりますが、厚生省の事例で申しますと、機関委任事務の団体委任事務化や、今御指摘の福祉八法、福祉の八つの法律でございますが、この改正によりまして市町村への権限移譲等を逐次行って地方分権の推進に取り組んでまいりました。また最近におきましては、児童福祉法の改正、これは平成九年の改正でございますが、これによって措置制度から契約制度に、個人の自由な選択に任せるというようにいたしましたし、また介護保険の導入によりまして、利用者による選択の尊重あるいは個人の自立支援を行うというようなことを推進しているところでございます。 それから、地方分権一括法によりまして、福祉行政分野におきましても自治事務化を進めるとか必置規制の見直し、今定数の問題がございましたが、弾力化を図るというような点も見直しを行っておりますし、地方自治体の自主的な判断で身近なサービスの実施を可能とするようにいろいろ社会福祉の理念に沿って改革をやっていると私どもは承知しております。 今後、さらに分権の一層の推進に努めるということも必要でございますから、なお努力をさせていただきますが、委員のおっしゃるように、なお不十分だという認識をあるいはお持ちかもしれません。児童福祉法の改正につきましても、また介護保険の問題意識につきましてもそのようにお聞き取りできますけれども、市町村あるいは地域住民を主体にした行政でございますから、その自立性それから自主的な判断というものを極力尊重して、本当に地域住民が温かくその地域で暮らせるような、そういう地域社会を目指すような方向で私どもとしても考えておるということを申し上げておきます。
○日下部禧代子君 ただいま措置制度から契約制度への移行ということをおっしゃいました。確かにこれは非常に意味のあることだと思います。また同時に問題もございます。きょう、その問題については、時間がございません、また別の機会に討論をさせていただきたいと存じます。 それから、利用者による選択の一つの例として、来年四月から実施される予定の介護保険制度について今、大臣はお触れになりましたが、この介護保険制度を分権化という観点からどのように位置づけていらっしゃるのか、あるいはまた、今回の法改正によりまして介護保険制度に何らかの変更がもたらされるのでございましょうか。 介護保険というのは、保険ではございますが、給付内容とかいわゆる判定基準、給付水準というのは全国一律に定められているわけでございます。そして、例えば市民が参加するということで介護計画が今つくられております、作成ということが市町村に義務づけられておりますけれども、例えばこれは新ゴールドプランのときに各市町村に老人保健福祉計画の作成が義務づけられました。その際にも、すごく詳細なマニュアルが厚生省から各自治体に参考ということで出されております。 こうなりますと、分権、自由裁量と言いながらも、どこかで違った形で、隠れ借金とかありますが、隠れ統制みたいなものがふえていく、姿を変えた統制というものがふえていくようなおそれも感じるわけでございますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮下創平君) 介護保険制度は、これは国の実施する強制保険でございまして、一定のルールに従って保険システムが構築されて、法律によってこれが決まっておるというのは委員申し上げるまでもございません。 今、委員のおっしゃる点は、そうしたことによって地方がある程度自由な裁量によって給付サービスができる可能性について言及されていると思いますが、基本的には制度でございますから、標準的なパターンで私どもは考えておりますけれども、しかし例えば、配食サービスというようなものが保険給付の中に一応今のところは位置づけておりませんけれども、こうした事業も在宅高齢者の保健福祉推進支援事業というようなことでこれは実施可能でございますし、また条例によって、これは保険料の負担を伴いますけれども、一号保険料の負担が増加しますけれども、そういうことまでを否定するものではないわけでございます。 またサービス提供事業者の問題も、一定の指定基準がなければサービスの供給に非常に問題なしとしませんから、一定の指定基準を定めることは当然であると思いますけれども、同時に、全国一律の指定基準だけで本当にうまくいくかどうかという点がございますから、これは保険者である市町村等で例えば基準該当サービス、これは法人格は有しないけれども一定の人員とか設備、要件を満たす等の基準を達成しておれば市町村の認定によって介護サービス事業者に参入できるようにするとか、そこはかなり弾力的な点も残されていますが、委員のおっしゃるように、保険制度でございますし、国営保険でございますから何でも自由というわけにはまいりません。基幹は維持しつつも、その地方の実情に応じた点は配慮できるようなことを今考えております。 なお、この機会でございますが、介護保険はいろいろ問題があると指摘されておりますが、私ども十分実態を踏まえまして、そして来年の四月には円滑に実施できるようにあらゆる努力を通じて施行に備えていきたい、こう考えております。
○日下部禧代子君 例えば、ホームヘルパーを充実したいということでその単価を上げようという場合には、この費用はどこが持つことになりますか。
○国務大臣(宮下創平君) ホームヘルパー等のサービスの単価でございますが、現在のところ、いささか標準的な見通しを与え得るような状況にはなっておりますが、決定しておりません。 これは、実は来年の四月から実施いたしますので、予算決定事項でもありますので、最終的には介護報酬を予算折衝の過程でファイナルに決めていくということになろうかと存じますけれども、この介護報酬もただ価格一本でなくて、距離の問題とかあるいはサービスの内容、質の問題等々いろいろ問題が絡んでおりますから、かなり態様は複雑だと存じますけれども、これも早急にめどを立てていかないと各市町村が介護費用全体の目安が立ちませんから、なるべく早く決定をしていきたいなと。 あらあらの見通しは予算決定前にでもこれをお示しして、そして介護費用の総体が大体わかるように、それでないとまた正確な保険料も算定できません。そんなことで今、諸準備万端怠りなくやろうとしておるところでございます。
○日下部禧代子君 私が恐れますのは、分権という名目ではありますけれども、どうもそれが分権あるいは措置制度の廃止ということが、選択の自由ということが確保されると同時に、例えば介護保険で基準以上のものを自分が必要とした場合、利用者が必要とする場合、例えば週二回のホームヘルプサービスと定められているのをさらにというときにはやはり自己負担になり、あるいはまたそういうサービスをやろうとする市町村は市町村の負担になるというふうな形にだんだんとなっていく。そのことがいわゆる地域の実情に応じた利用者にとっての利便性ということになると、それは負担をだんだん加算していくという、個人にとって、自治体にとって加算されるということを意味するのであっては、非常にこれは分権の思想とは相反するものではないかということを恐れるわけでございます。 さまざまな多様なサービスというものがこれから地域におきまして、それこそ縦割りじゃなくて有機的に連携したそういうネットワークがなければ、これからの高齢社会はなかなか住みにくいということになってしまいます。そのためにも、どうしても自治体の自由な裁量権というものが認められなければならないというふうに思うわけでございます。 しかしながら、機関委任事務が廃止されたといっても、いわゆる福祉立法に政令で定める基準に従った行政の執行が規定されるという、こういう規定形式というものが存続する限りにおいて、どうも自治体の行政現場における自主的な裁量の拡大ということにはなかなかつながらないという私は心配を持っております。政令に定める基準ということは、いわゆる権限行使の基準、あるいは手続におけるいわゆる集権性、あるいは負担金、補助金を通じた財政コントロールというふうなことを意味すると思うわけでございます。 そういうことを考えますと、どうも機関委任事務が全面廃止される、あるいは補助金の整理統合ということもされる、あるいはまた政省令とか通知による自治体の統制が廃止されたとしてもやはり根源的に残るというのは、皆様も御指摘になっておる自治体の財源問題でございます。やはり自治体の政策上の裁量というものが十分に可能になるというためには、国税と地方税の税源配分の改革ということが非常に必要だと思います。そして、自治体の歳入の自治の確立、そういうことがどうしてもやはりこれは不可欠ではないかなというふうに思うわけでございます。それは同時に、中央政府のリストラということにも、歳出構造のリストラということにつながるだろうと思うんですね。 昨日、大蔵大臣は、国の成長軌道が二%程度に乗ったころからいろいろと国と自治体との財源の配分についてプログラムを始めようというふうなお答えを私の質問に対していただいたわけでございますが、この二%程度というのはどの辺からお持ちくださいました数字でございましょうか。 それからもう一つ、私は景気の傾向とは無関係にやはりこのシステムを変えるということをやらなければならないと思うんですね。これは景気の回復とは違った次元のお話、システムの改革でございますから、やはり同次元で景気が回復したからこっちをやるというような性格のものではないと思いますが、この点もう一度大蔵大臣、昨日に続きましてお願いいたします。
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨日、本会議でそのようにお答えをいたしました。 二%というのはある意味で達観で申し上げておりますが、国税収入が五十兆を割っておりますので、二%といいましても一兆ぐらいでございます。そういたしますと、地方も仮に同じような伸展があるといたしますと、弾性値は一とか一・一とかいうことでございますから、一兆内外。それではなかなかこれを再配分するということにすぐには行きかねる。そこで、しかし、それが確実にサイクルで行けそうならば、毎年少しずつ少しずつ歳入がふえてまいりますから、その辺で決心をするのかなというような意味で申し上げました。 後半におっしゃったことはどういう意味でございますか、失礼ですが。
○委員長(吉川芳男君) いや、もう時間がなくなりましたので。
○日下部禧代子君 時間がなくなってしまいましたけれども、やはりこれはシステムの問題ですから同次元で論じることではない、景気回復の後とか先の問題ではないということを申し上げたんです。
○国務大臣(宮澤喜一君) わかりました。 それは現に、国から地方への権限移譲がございました場合には毎年の地方財政計画で財源を是正するということが決められておりまして、その限りではやってまいりますけれども、それでは根本的な行財政の再配分はなかなかできないということを申し上げようとしたわけであります。
○日下部禧代子君 ありがとうございました。 終わります。(拍手)
○戸田邦司君 自由党の戸田邦司でございます。 時間もそうたくさんあるわけではありませんので、私は細かな問題はさておきまして、大きな点について幾つかお尋ねしたいと思っております。 今回の行政改革関連法案ですが、やはり戦後を見ましてもこれだけ大きな機構改革を行ったことはない。戦後、戦前の組織を大きく変えたということはありますが、今回のこの改革は、やはり五十年たっていろんな面で不都合が出てきている、そういうことがあって、二十一世紀に我が国がどうあるべきか、行政システムがどうあるべきか、そういったことを頭に置いてこれだけの大きな改革を進めることになったと理解しております。 そこで、この行政改革関連法案に関連しまして一つ申し上げておきたいことがございますが、自民党、自由党の政策協議の結果、政府委員制度を廃止する、副大臣制度を置く、そういった一連の政策が打ち出されまして、これを何とか今国会で他の会派とも協議しながら成立させたいというのが我々の強い願望でありました。この法案の意味するところというのは、今回ここで審議されております中央省庁改革関連法案、それに地方分権関連法案、そういったものの効果と相まって国会の審議とそれから行政府における政治主導の政策、企画立案、そういった面で非常に大きなインパクトを与えるものになると信じております。 そこで、まず第一に、この政府委員制度廃止、副大臣制の導入、この点につきまして小渕総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 今般の中央省庁改革のポイントの一つでございます内閣機能の強化並びに副大臣、政務官の導入という新しいシステムを導入しようとしておるわけでございまして、そういう意味で、このことによりまして政治優位といいますか、こういう形で行政をしっかりと把握し国の運営に誤りなきを期していくということの効果を期待して今回このような決定をし、法案として出させていただきました。 自自の党首間の合意によりましてこの決定をいたしまして、これが導入されました暁におきましては、当然行政府に多くの副大臣、政務官が入るわけでございますので、そうした力量を十分発揮することによりましてぜひその効果が十分生ずることのできるように最善を尽くしていきたいと考えております。
○戸田邦司君 国会の審議が大きく変わっていく、そういうようなことを大いに期待しているわけですが、若干ここで下世話な話といいますか違った面から見ますと、ただいまこういうような法案が国会で審議されているときに霞が関の体制はどうなっているか。 大体夕方五時ぐらいになると、国会待機ということで関係ありそうな部署は全部居残りになります。それで、質問が大体わかって、その質問があった部署はそれから次の日の対応を考える、これが行政の非常に非効率化している一つの原因ではないかと思っておりますが、私はこういう点も大きく改善されるんじゃないか、それで行政の効率化が期待できるんじゃないか、そう確信しております。 本論に入らせていただきますが、今回の中央省庁改革法案について、自由党はもともともろ手を挙げて賛成していなかった、そういう経緯があります。 それはなぜかといいますと、今回の改革によれば、各省庁の形はそれぞれ相当検討された末に、若干問題があるところはあるとはいいながら固まってきた、これはこれで進めなければならないという評価になるかと思いますが、その前にその中身として、例えば国がやること、国がしなければならない行政の範囲というものをはっきりと決めるべきじゃないか。つまり、民がやるべきこと、できること、あるいは地方がやるべきこと、できること、ここについては国はもう手出しはしない、そこの仕切りをきちっとしてこれからの行政を進めていくべきではないかというようなことを我々は主張してまいりました。 そういったことで、これからの国の行政は、例えば外交、防衛とか、あるいは自然災害への対応とか、教育、社会秩序、それから環境保全とかそういった基本的なことに限定すべきではないかと考えて、そういうことを申し上げてまいりました。非常に熱心に仕事をする霞が関サイドの習性としまして、どうしても世のため人のためになると考えればいろんなことを思いつく、いろんな行政を展開したいと考える。そうなりますと、これからの二十一世紀に国がなすべきことをきちっとやっていけるのかなという疑問が出てくるわけです。 そこで、私たちは、そういうような基本的な考え方をはっきりとさせた上で行政の権限を制限するような法律をつくっておかないと、どこまでが国がやるべきなのか、どこからは民間なりあるいは地方がやるべきなのか、そこがはっきりしないままにこれからの行政が進んでいくという危惧があります。 この点について、小渕総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 国の役割の見直し、国と地方あるいはまた政と官、いろいろの調整、調和があろうかと思いますが、自由党が御提言されております国の役割の見直しについては承知をいたしております。御提言にあります国の仕事を外交や安全保障など国が本来果たすべきものに重点化し、行政評価を重視していくなどの趣旨そのものは、今回の改革の方向にも合致をしておるのではないかと思っております。 中央省庁改革及び地方分権関連法案は、官から民へ、国から地方へという基本的な考え方に立って立案されたものでございまして、今後ともそうした観点に立ち、引き続き国の役割等の見直しを進めていかなければならない問題と理解いたしております。
○戸田邦司君 この問題に関しましては、立法府も相当の責任があるということだと思います。国会サイドでも常にそういうことを検討していかなければならないと思いますが、私は行政府自身もそこのところをきちっとわきまえて行政を進めていただきたい、そういうことを申し上げておきたいと思います。 今申し上げました点につきましては、行政評価の問題とも絡んでくるわけでありますが、先日の本会議の答弁で太田長官は、この行政評価についていつから実施するのかという問いに対しまして、今度の省庁再編が実施された段階から進めるというような答弁だったと思いますが、私は、今のように国がどこまでやるべきかというようなことをきちっと見ていくというようなことも考えますと、今から、この法案が通ったら直ちにそういう準備を進めて、それで省庁再編がスタートしたときにはそういうことにきちっとこたえられるような体制になっていなければならない、こう考えております。 この行政評価は非常に難しい問題でありまして、計量化してやるとかいろんな手法が考えられるわけですが、そういう手法の開発だけでも相当の時間を要するかと思っております。そういった点も含めて、太田長官から御答弁をお願いしたいと思います。
○国務大臣(太田誠一君) 政策評価につきましては、国家行政組織法改正案などの法律やあるいは中央省庁等改革の推進に関する方針に基づきまして、新たな省庁体制の発足に合わせて、全政府的に厳正で客観的な政策評価を行うためのシステムの構築を進めることといたしております。 この評価システムは、全政府的に実施するに当たりましては諸般の準備が必要でありまして、法案の国会審議と並行いたしまして、五月には総務庁に政策評価等推進準備室を設置するとともに、各省庁政策評価準備連絡会議を発足させ、評価の指標、手法などの検討及び政策評価の実施方法などに関する標準的ガイドライン案の策定の作業に着手したところであります。 総務庁といたしましては、今後、政策評価の円滑な実施に向けて万全を期してまいりたいと考えております。 今、戸田委員がおっしゃいました自由党御提案の、どこまで中央政府がやり地方政府がどこから先をやるべきだと、あるいはどこまで官がやってどこから先を民がやるかということがまさに最も大切な、政策評価をする場合の、つまり、その仕事はやる必要があるのかどうか、効率的だとか効率的でないとか、ほかに方法があるかないかというよりも、そもそもやる仕事があるのかどうかというのが第一の政策評価の判断の基準になろうかと思います。 ぜひ御意見のように、立法府ともどもに協力をしていかなければいけないテーマであろうかと思います。
○戸田邦司君 大変重要な問題でありますし、今まで実施されていなかった新しい行政の一環といいますか、そういうようなことでもありますので、ひとつ相当力を入れて進めていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 次に、地方分権関連になりますが、私は、今の地方分権関連法でこれをどう評価するかといえば、地方分権の第一歩に立つことができるのかなと。かなりはっきりとしたといいますか、そういう方向づけをしてスタートできる、そういうところまで準備された、こう思っております。ただ、それでは一〇〇%これでいいかといえば、これからいろいろな問題を解決していかなければならない、そういう状況にあるんじゃないかと思っております。 例えば、これまでの国土総合開発計画、これ一つ見ましても、かなり細かに地方のことが書かれている。ですから、地方はそれに寄りかかって、国がいろいろ対応してくれるだろうから国を頼ってやっていればいいのかな、こういう思いもするかもしれません。別な言い方をすると、地方の自主性をそいでいる面があるようにも思いますし、また国がそこまで細かに立ち入らなくてもいい問題じゃないかと思っております。 それから、公共事業関連の五カ年計画、これは現在十五本あります。この中には、法律によって決めている五カ年計画、そうでない五カ年計画とありますが、いずれにしましても法律に基づいて決めている五カ年計画ということになりますと、国会の審議を経て、それでこれを一つのお墨つきとして予算の要求をしていく、そういうようなことになっていると思います。しかし、この中身を見ますと、地方が自分たちで十分検討し、計画を立て、実施していけるような細かなところまで相当書き込まれている。そこまで必要ない時代になってきていないか、例えば都市公園の整備などだって、これは地方自治体が自分たちの判断でやるべきではないか。 そういった点から考えますと、公共事業関連の補助金を地方に与えておりますが、これを我々は前から、一括して地方に与えてその中の選択は地方自治体の判断にゆだねるべきだということを申し上げてまいりました。この点について、自治大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(野田毅君) 御指摘のとおり、特に全国総合開発計画あるいは公共事業等に関してそれぞれ五カ年計画を事業ごとに国が定めるというようなことが行われておるわけでございます。それはその整備の必要性等において行われているわけですが、現在、そういう五カ年計画に従って国自身が直接やる直轄事業であったりあるいは国庫負担の事業、補助金が伴うような事業であったり、あるいは地方単独事業、そういう形で実施されておるわけです。 そこで今回、やっぱりそういうものはできるだけ地方がみずから計画をして、みずから自主的に執行できるような体制に持っていくべきだ、また財源措置もそういう形に持っていくべきだ、こういった事柄が基本として見直しが行われたわけです。 今回の法案の中で、一つは、「公共事業に関し、国が直接行うものは、全国的な政策及び計画の企画立案並びに全国的な見地から必要とされる基礎的又は広域的事業の実施に限定し、その他の事業については、地方公共団体にゆだねていくことを基本とする」ということが、中央省庁等改革基本法においても盛り込まれております。 これを受けて地方分権推進委員会の第五次勧告が昨年出されたわけでございまして、これを受けて第二次地方分権推進計画を三月に政府として決定いたしました。その中で、今お触れになりました、特に全国総合開発計画の内容について言及をいたしております。 それは、国が本来果たすべき役割に係る事項に重点化するということ、それから直轄事業の基準の一層の明確化、その範囲の見直し、国庫補助負担金の廃止等、あと統合補助金の創設等々が言及されているわけです。 私は、今お触れになりましたが、基本は、この五カ年計画、特に公共事業の五カ年計画について、やはり国と地方の役割分担ということをきちんと踏まえた上で五カ年計画というのがあっていいのではないか。全部統括して、地方が行うべき事業まで国のつくる五カ年計画の中に規定すべきであるのか否かということを含めて、これから国土審議会においても十分御検討をいただくことになるだろう、またそういうふうに書いてございますので、その点も方向性としては出ておることだ、そう考えてもおります。 そういったことを含めて、今お触れになりました個別の補助金をできるだけなくして一括交付に切りかえていくべきであるということは、具体的な手法としてはどういうやり方をするかいろいろ研究をしていかなきゃなりませんが、まずその第一歩として、平成十二年度に統合補助金という制度をスタートするということでございます。あと個別の補助金等もできるだけ廃止して一般財源化していくということもあわせて今回行われておるわけでございまして、今御指摘のとおりの方向で努力をしてまいりたいと思います。
○戸田邦司君 あと幾つかお尋ねしたいこともありますが、時間が参りましたので、これで終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。(拍手)
○菅川健二君 参議院の会の菅川健二です。どうぞよろしくお願いいたします。 私は、地域こそ活力の源であるという気持ちで長年にわたりまして地方行政に携わってまいりました。このたびの地方分権一括法案につきましては、国の機関委任事務を廃止するなど、一定の前進を見たことにつきましては評価いたしたいと思うわけでございますが、先ほど来御議論がございますように、なお国の法定受託事務が五割近くあること、あるいは財源についての手当てが全くなされていないこと、そして自治事務に対する是正の要求、国の省庁の地方に対する不信というものがなお残っていることなどなど、あるべき地方分権の姿から見ますとなお道遠いなということが実感として挙げられるわけでございます。 そこで、小渕総理に率直にお聞きいたしたいわけでございますが、今回の地方分権一括法案というものは、例えば山に例えますと何合目ぐらいまで到達されるつもりなのか、その辺の御感想をお聞きいたしたいと思います。
○国務大臣(小渕恵三君) 最重要課題であります行政改革を推進し、簡素で効率的な行政システムを確立するためにも地方分権を強力に推進していくことが必要であると考えております。 地方分権の推進の必要性は長い間言われてきたところでありますが、現在御審議をいただいておる地方分権一括法案は、平成五年の国会決議を契機として、平成七年の地方分権推進法の制定、地方分権推進委員会の発足及び同委員会の勧告を最大限尊重した地方分権推進計画の作成という過程を経て立案したものでございます。 そこで、菅川委員から今、何合目を目指すかということでございますが、目指すのは頂上ということだろうと思いますが、山に例えて何合目かという評価は現在この法案について難しいと思いますけれども、私は決して今回の改革を過小評価すべきものではない、こういうふうに考えております。 しばしば申し上げておりますように、やはり明治以来形成されてきたこの国、都道府県、市町村という縦の関係であります中央集権の行政システムを変革して対等、協力の横の関係を構築するものでありまして、平成五年の国会決議以来の一つのこれは到達点ではないか、こういう認識でございます。 ただ、これをもって地方分権が完成したということを言い切れるかと言われれば、いろいろ議論のあるところだろうと思います。今後、一層の地方分権の推進に向けまして、地方分権推進計画等を踏まえた国から地方への事務権限の移譲や地方税財源の充実確保、これもしばしばここでも御議論をいただいておるところでございますが、こうしたことについて完成度の高いものにいたしていかなきゃならないと心しておるところでございます。
○菅川健二君 ただいま申されたように、得点を挙げられるのはなかなか難しいかと思うわけでございますが、私が若干採点してみますと、まず山に登ろうという意欲はあらわれておるんじゃないかと思うわけでございまして、ただ若干の妨害電波はありますけれども、そういう意欲の中で、まず権限と財源というものが大きな二つの柱としますと、権限についてはある程度前進した、しかし財源につきましてはまだゼロだという観点からいたしますと、まあ一合目から二合目、よく言って三合目ぐらいになるのかなという感じが率直にいたしたわけでございます。 そこで、これから地方分権についてまさに三合目から十合目まで目指さないといけないわけでございますが、そういった観点からしますと、このたびの中央省庁の再編というのは、例えば今まで地方自治体の利害の総和につきまして代弁的な役割を果たしておりました自治省が総務省の一部局にすぎなくなるとか、あるいは巨大な国土交通省ができてそれについて地方自治体に対する圧迫要因になっておるとか、そういったことから考えますと、これから地方分権を推進するという視点が欠けておるんではないかと思うわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
○国務大臣(太田誠一君) 統合の結果、新しい総務省は、自治省、総務庁、そして郵政省という三省が一緒になるわけでございますが、それぞれの設立の、従来の自治省の持っております地方自治の精神というものは柱になっておるわけでございますので、一緒になったからその精神が失われるということは、まさか夢にもないというふうに確信をいたしております。
○菅川健二君 確かに、総務省の中の大きな柱の一つにはなっておるわけでございますが、しかしながら総務省の任務というものを見ますと、この任務の規定を見ますと八行にわたって長々と書いておるわけでございます。この総務省の理念、任務というものはどういう共通項でくくられるのかと思いますと、ヤツメウナギのようなものでございまして、例えば地方自治の観点に立つのか、あるいは中央各省の立場に立つのか、その辺が非常に微妙なものもあろうかと思いますし、また郵政事業という今までの管理的な事務とは全く違う、いわゆる現業的な実務的な官庁も入ってくるわけでございます。 そういった面につきまして、私は昨日の本会議でも申しましたように、できましたら地方自治担当の特命大臣を置いていただくということが重要だと思うわけでございますが、仮にそれが難しいといたしますと、このままでいきますと来年の七月には地方分権推進委員会という組織もなくなるわけでございます。ひとつ、地方分権推進委員会のような形、これそのものでなくて結構でございますが、それをより充実強化したようなシステムというものをぜひ構築していただきたいと思うわけでございますが、総理いかがでしょうか。
○国務大臣(小渕恵三君) せっかくの御提案でございますので検討はさせていただきたいと思いますが、何はともあれこの地方分権推進委員会から今日まで勧告をいただきましたことに対しまして、政府としてはこれを誠実に受けとめながら今回こうした形で提案をさせていただいた次第でございまして、地方分権推進委員会そのものも今後どのようになりますか、勧告と並んで重要な委員会の任務であります地方分権推進計画に基づく施策の実施状況を監視する活動、こういうこともあるわけでございますので、これを中心に活動いたしてまいるものと承知をいたしております。
○菅川健二君 ぜひこれからも地方分権を推進するシステムについてきちっとしたものを構築していただきたいと思うわけでございます。 そこで、省庁再編の中の総務省のことにつきましてちょっと触れてみますと、今まで自治省と郵政省というのはほとんど縁がないといいますか、そういった役所ではなかったかと思うわけでございます。ただ、縁がなかったのでお互いにけんかすることもなかったよというのが自治省の幹部の意見でございます。 ただ、地域に帰ってみますと、最も身近にあるのは郵便局でございます。数が二万四千幾らあるということでございまして、地域住民には最も関係深く、そして毎日毎日郵便配達が各戸を訪れるわけでございます。そういった面で考えてみますと、地方行政とそれを密着することによって、いろいろな仕事が住民サービスの向上に非常に役に立つのではないかというようなこともあろうかと思います。せっかく一緒になるのでございますから、お互いのメリットを生かすということが非常に重要ではないかと思うわけでございます。 そこで、郵政大臣に少しお聞きいたしたいと思いますが、一つは、郵便局のワンストップ行政サービスの推進。地方団体の窓口的な事務も郵便局で行う。それから、これから介護等の在宅の福祉ということが非常に問題になろうかと思います。そうした場合のやはり役割というものも一つあるのではないかと思います。 それから、郵便貯金につきまして、地域の小口の貯金をずっと集めて、今までは中央に持ってきて、そして財投でもって一括して使っておったというのが主なシステムであったわけでございますが、二〇〇一年の四月から、これが郵政のいわゆる自主運用に切りかわるということでございますので、この際思い切って、やはり地域で集めた郵便貯金は原則として地域にお返しする、地域の振興事業に役立たせるのだというシステムを新たにつくるということも重要ではないかと思うわけでございます。 郵政大臣、ひとつ総務大臣になったつもりで御答弁をお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(野田聖子君) 三点御質問いただきました。 まず初めに、郵政省が今積極的に取り組んでおりますワンストップ行政サービスでございますが、先生御指摘のとおり、もし郵便局におけるワンストップサービスというのが実現すれば、全国二万四千七百、全国津々浦々にある郵便局のネットワークを御利用いただき、また郵便局というのは御承知のとおり国の機関で最も身近なものであるということでございますので、自治体が提供する行政サービスを地元の人たちは非常に簡単に利用していただけることになると思っているところでございまして、あわせて行政機関の効率化、すべてまとめて一カ所でいろいろなサービス、手続をしていただけるということで、その意義は極めて大きいものだと思っています。 そういうことで、以前から、既に郵便局の窓口では郵送とかファクシミリによる住民票の写し等の交付請求の取り扱いができるように推進しているところでありまして、平成九年度からは、郵便局に設置された情報端末により、例えばホームヘルパーさんの派遣とか、地方自治体が提供するさまざまな公的サービスの申し込み等を行う実験をさせていただいております。 実は本年度予算では、今おっしゃったように総務省のもとで自治省と御一緒させていただくであろうという前提で、従来、市町村の庁舎等の公共施設などに限定されていた住民票の写しや印鑑登録証明書の自動交付機、これが郵便局へ設置できるようになったところでございます。 今後とも、まさに総務省のもとで、今までそう仲よくなかったと言われますけれども、地方の皆様方の利便のために自治省と連携をとりながら積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 二点目の介護とか福祉についてですけれども、既にこの二万四千七百のネットワークを生かしておりまして、地域に密着したサービス、ひまわりサービスと呼ばれるものですけれども、例えば高齢者の在宅福祉サービスの支援ということで、過疎地域に住んでいらっしゃるお年寄りの方々に郵便配達の外務職員による励ましの声かけとか、生活用品の注文を承り、そしてその配達を行う、そんなようなことをさせていただいているところでございます。引き続き、地域住民の皆様方が安心して暮らしていただけるような、このような国営事業ならではとそういう評価をしていただけるように貢献していきたいと思います。 さらに、郵便貯金につきまして、昨年の六月に公布、施行されている省庁再編の基本法にも規定されておりますけれども、先生御指摘のとおり郵便貯金も全額自主運用をすることとなっています。 現在、具体的にどう運用制度を進めていこうか、枠組みについて検討中であるわけです。ちなみに、地方公共団体の貸し付けにつきましては、御存じのとおりもう既に簡保資金においては財投計画の一環として行われてきておりまして、郵便貯金資金についても同じように地方公共団体貸し付けが行われるように今検討をしているところです。 具体的な地方公共団体貸し付けのあり方につきましては、一番大切なことは、この運用というのはやはり預金者利益の確保であるということ、または郵貯事業の健全経営の確保という大前提がありますので、それに配慮しつつ検討していくことになるわけですけれども、私としましては、郵貯資金が先ほど先生がおっしゃったとおり地方公共団体貸し付けを通じて預金者の身近なところで社会資本整備に貢献できるということは大変大切なことだと考えているので、積極的に検討してまいりたいと思っています。 以上です。
○菅川健二君 ひとつ頑張っていただきたいと思います。 そして、もう一つ省庁再編につきまして、地方団体の絡みで問題となるのは国土交通省でございまして、七万人の職員と公共事業予算の八割の七兆二千億という大変膨大な職員と膨大な金を使うわけでございます。こういった巨大な利権官庁といいますか、巨大な権限を持っておる官庁が地方団体ににらみをきかせますと、恐らく自治体の首長さん方はみんな震え上がるんではないかと心配になるわけでございます。 そこで、国土交通省というのは、枠は決まったとしても、特に公共事業の直轄工事の問題、そして補助事業の問題、これを抜本的に見直しすることによって、地方団体と国土交通省がお互いに協力し合って国土づくりあるいは地域づくりに励むんだというような形にぜひ持っていっていただきたいと思うわけでございますが、建設大臣いかがでしょうか。
○国務大臣(関谷勝嗣君) お答えから申しますれば、先生御指示のようにきちっとやっていきたいと思っておるわけです。 考えてみますれば、四つの省庁が一緒になるわけですから大きなものになるというのは当然のことであるはずでございます。そういうふうなことでございますから、この公共事業の補助事業に関しましては、いずれにいたしましても地方整備局に、今までの本省が持っておりました例えば箇所づけ等々などは完全にそちらに移行をしていくというようなこともやっていきたいと思っております。 それから、先ほど御指摘もございましたように、公共事業の統合補助金というようなことも、これは二つの面から行っていきたいと思っております。いわゆる二級河川事業であるとか公営住宅事業であるとか、公共下水道事業というような、そういうような事業を対象として、具体的な事業の箇所とか内容については地方公共団体が主体的に定めることができる補助金の制度。それともう一つは、政策目的でもってくくりといたします、そういう補助金のタイプ、その二つに分けて渡していきたいと思っております。 そういう内容を実現するためには早急に、具体的な仕組みの決定はこれからしていくわけですから、御指摘のようなことが起こらないように権限を地方へ渡していきたいと思っております。
○菅川健二君 権限を地方に渡していただくというのは結構でございますが、地方整備局に渡していただくというのは、これはやはり二重行政になって、さらに陳情が二重になって複雑になるのではないか、これは慎重に対応していただきたいと思います。 それから、統合補助金につきましても、項目別に道路なら道路、河川なら河川ということよりもさらに広げて、河川改修と道路整備というのは同時並行的に行う場合もあるわけでございますので、少なくとも国土交通省では一括して交付するような弾力性を持っていただきたいと思います。 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○石井一二君 自由連合の石井一二でございます。 会派二院クラブ・自由連合を代表して質問をいたします。 本日は十分間お時間をいただいておりますが、答弁が長くなると言いたいことが言えなくなりますので、しばし所見を申し上げ、最後に総理と自治大臣より一問ずつ御所見を賜りたい、そのように思います。とは申せ、五時が迫っておりまして数分後にはカットになってしまいます。小会派の悲哀を感じつつ今ここに立っておるということも御理解を賜りたいと存じます。 さて、総理の今国会における一連の御答弁等を聞いておりますと、今回の分権一括法は、我が国の中央集権型の行政システムの中核部分を占めてきた機関委任事務制度の廃止とか国の関与のあり方の見直し等抜本的な改革を行うもので、国、都道府県、市町村というこれまでの縦の関係を変革して対等、協力の横の関係を構築しようということでございまして、事実かなりの権限の移譲が国から県あるいは政令指定都市、中核市、特例市、市というぐあいに行われておることは事実でございます。また、総理も一連の答弁の中で、これでもって地方分権が完成したとは思わない、これからもどんどん地方分権を進めていくんだという前向きなお考えを示しておられることを評価するものでございます。千里の道も一歩からという言葉がございますが、さしずめ私は一歩どころか二十歩三十歩というように進んでいただけたと思っておるわけでございます。 ところが、地方分権というとすぐに財源、権限をよこせとか、あるいはまた国庫補助金の統合的な補助化、すなわち箇所づけとか、そういった事業の選択等も一括して地方によこせ、こういうような意見が出たり、また国の仕事は外交ほか災害とか国防とか教育とか基本的なことにのみ限ってあとは地方に任せというような意見がありますが、私は、これについては時期尚早ではないか、受け皿としての地方自治体に果たしてそれだけの体制が整っておるのかどうかということを論じてみなければならない、そのように思うわけでございます。 私は、さしずめ次の四点を今後どうしても検討する必要があるというように感じております。 一つは、首長の多選禁止の実現であります。二番目が地方自治体の合併の推進、これは今回一応の成果を上げつつありますが、例えば住民投票制度を採用するとか、強制的な面での力が弱いように感じております。また、地方議会の少数精鋭化、これも一定の規定というものが今回行われつつございますけれども、例えばボス議員のエゴに対する議会としての自浄能力の培養といった面でいろいろ反省していただかなきゃならない面もあろうかと思うわけであります。また最後に、地方公務員の資質の向上、すなわち権限とか財源をもらっても果たして適正に国民の真の幸福を求めて仕事がこなせるのかということも私は論議をする必要があると思います。 こういった中で、特に私はこの場で首長の多選禁止の実現について若干論陣を張ってみたいと思うわけであります。四年前に私は同僚議員約二十名の賛同を得まして議員立法で首長の多選禁止法案を上程いたしました。委員会での趣旨説明まで行ったわけでありますが、残念ながら日の目を見なかったわけでございます。 よく言われますように、首長は大統領並みの権限を持っておる。すなわち予算の編成、またその執行権、人事権、許認可権、補助金の配分等々に深く関与し、絶大なる権限があるわけでございまして、そのこと自体は即、悪いということではございませんが、私は、ある程度の期間在任の後、フレッシュな感覚でどんどんバトンを次の人に渡していくという考え方があってしかるべきではないかと思うわけであります。 昨今の地方議会を見ておりますと、多選化、各政党が権力にすり寄っていくような形での総与党化というものが目立っております。そして、議会の審議が、したがって審議機関ではなしに追認機関になっておるのではないかというような気もいたすわけでございます。片や、首長による汚職の摘発等も二、三年前にはいろいろマスコミ紙上をにぎわしまして、我々政治に関与する者も恥ずかしい思いをしたわけでございます。 私は、ここに贈収賄事件の関係資料として過去二十五年間の累計を持っておりますが、二百八十八件が立件されております。そして、これはもちろん知事から市長とかと細分があるわけでありますが、時間の関係で省略をいたしますが、こういった原因案件は、公共土木、道路工事をめぐるもの、あるいは各種許可、認可等をめぐるもの、職員採用をめぐるもの、用地の買収、払い下げをめぐるもの等々で、それぞれの案件も出ておるわけでございます。 こういった中で、知事の政治献金ということになりますと、選挙をやらない普通の年でも優に億を上回る金額が集まる。選挙の年になるとなおさらでございます。私は、ここに各知事のいわゆる政治資金一覧表をつくって持っておりますけれども、この場でそれを公表することは差し控えたいと思いますけれども、私が申し上げんとすることは、やはり多選の弊害というものはないことはない。よく、立候補の自由を制限することは憲法違反であるとかいろんなことを言われますけれども、例えばアメリカ、ドイツ、メキシコ、フィリピン、韓国等々、大統領、知事の多選を禁止しておる国というのは日本と同じように民主主義を施行しておる。こういった中で、そういった国々がなぜそういうことをやっておるかということも私は考えてみる必要があろうと思うわけであります。 ここに一冊の本がございますが、題名が「知事成金」という本であります。これは大宮知信さんというジャーナリストが明日香出版社から出した本でありますけれども、いろいろ知事の錬金術について書いてある。私は、地方分権は今後ますます進めていかなければならないけれども、私が申した四つの点についても、総理がおっしゃる、これからもどんどん進めていくんだという中においてぜひ御検討をいただきたい、そのように感ずるわけであります。 あと三分でございますので、ぼつぼつ質問に入ります。 まず総理に、私が今申したことをひっくるめて、二合目か三合目か知りませんけれども、今後地方分権を徐々にどんどん進めていく中においてひとつ御所見を御披瀝願いたいと思います。 それから野田大臣でございますけれども、この自治法、市町村合併特例法を見ておりますと、施行が、地方議会の議員の定数関係のみ平成十五年一月一日と、気の遠くなるほど先の日時が指定されておる。もちろん、地方統一選挙があるんだよということでありましょうが、地方統一選挙はぽつぽつといろんなところで行われておる。せっかく法律をつくるんだから、私はここは一考に値すると思うわけでございまして、衆議院でもこういった質問が多少出たやにも聞いておりますが、ぜひ前向きな御答弁を期待したいと思います。 では、御両方よろしくお願いを申し上げます。
○国務大臣(小渕恵三君) ただいま石井委員から御指摘をされました四点、市町村合併、それから地方議会の活性化、それから地方公務員の資質向上、いずれも地方分権の実を上げていくために地方公共団体の側で取り組んでいかなければならない重要課題であります。また、最後に申されました首長の多選禁止につきましては、現在、自治省において学識経験者による研究会を設け調査研究を進めているところでありまして、各党各会派において十分御論議をいただきたいと考えておるというのが私の答弁でありますが、私も長い間国会に在籍させていただきまして、何回かこういうことでお取り上げいただいた先輩の諸先生方がおることも承知をいたしております。こうした問題につきましても、政治の立場からの勉強も必要ではないか、こう考えております。
○国務大臣(野田毅君) 地方議会の議員定数の決め方について、御指摘のとおり、今回、法定主義ではなくて条例で定めてもらうという形に切りかえたところであります。地方議会の議員定数関係でございます。
○石井一二君 施行日を聞いているんです。
○国務大臣(野田毅君) これは、今までは条例で決めなくてもよかったわけです。しかし、今回は全部上限の中で、法律で定める上限の範囲内で自治体が自主的に条例で定数を定めていただくということになるわけです。したがって、これを仮に一括法の施行日と同じように十二年四月一日施行ということになりますと遅くとも本年の十二月議会までに条例を制定しなければならなくなると、こういうようなこともあってなかなか十分な時間をとることも難しいのではないか。 それと、現在、三分の二を超える市町村が統一地方選挙の年に任期満了に伴う一般選挙を行っているということでございます。 くどいようですが、条例で決めてもらうということですから、やはり住民の意思をどういうふうに酌み取って決めていくかという手続が必要となるということでございます。
○石井一二君 終わります。 ありがとうございました。(拍手)
○委員長(吉川芳男君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。 次回は明十六日午前九時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時七分散会