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145回国会参議院1999/02/03

共生社会に関する調査会 第1号

発言数
121
登壇者
11
会派数
6
開催日
1999/02/03

会議録

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る一月十八日、山下栄一君、広中和歌子君及び前川忠夫君が委員を辞任され、その補欠として松あきら君、直嶋正行君及び輿石東君が選任されました。     ─────────────

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に直嶋正行君を指名いたします。     ─────────────

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  共生社会に関する調査のため、本日の調査会に弁護士渡辺智子君、東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授小西聖子君及びアディクション問題を考える会代表米山奈奈子君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 共生社会に関する調査を議題といたします。  「男女等共生社会の構築に向けて」のうち、女性に対する暴力についての現状と課題に関する件について、参考人から意見を聴取いたします。  本日は、弁護士渡辺智子君、東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授小西聖子君及びアディクション問題を考える会代表米山奈奈子君に参考人として御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。  参考人の方々から、「男女等共生社会の構築に向けて」のうち、女性に対する暴力についての現状と課題に関して忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  議事の進め方でございますが、まず、参考人からそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。  なお、御説明及び質疑、答弁については座ったままで結構でございます。  それでは、渡辺参考人からお願いいたします。渡辺参考人。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) では発言させていただきます。よろしくお願い申し上げます。  私がちょうだいしておりますテーマは、日ごろの弁護士活動を通じての女性に対する暴力の問題点、解決すべき課題とのことですので、これについてお話しさせていただきます。  このテーマのとおり、私にお話しすることができるのは私が担当した事件を通じて感じたことです。一般的、全般的なことをお話しすることができるわけではありません。ただ、私が担当しました事件には女性に対する暴力について検討すべき課題が幾つか含まれていると思いますので、そのことをお話しさせていただこうと思います。  まず、性暴力についてお話しします。ここでの性暴力には身体的接触を伴う形態のセクシュアルハラスメントも含めてお話しいたします。  初めにお話ししたいのは、性暴力の被害者に対して不当な非難が向けられているという状況についてです。加害者が非難されずに被害者が非難されるという状況についてです。ちょっとレジュメの順番が逆になりますが、二番の方についてです。  性暴力の被害者はなぜ逃げなかったのか、逃げないあなたにすきがあったのではないかとか、なぜそんなところに行ったのかとか、なぜそんな男と一緒にいたのかというような非難の言葉を向けられることがしばしばあります。これは悪意があって発せられる言葉ということではなくて、むしろその言葉を発する者というのは悪気はないという場合が多いと思います。しかし、このように言われた被害者は、性暴力のダメージを受けているところにさらなる苦しみを味わわされることになります。セカンドレイプあるいはセカンドインジュアリーという問題です。このような非難がなされる根底には、実は性暴力に関して女性に対してだけ課せられる規範が存在しているのではないかと思います。性のダブルスタンダードです。  その規範は、例えば女性たるもの性暴力という貞操の危機に直面した場合には必死でその危機を逃れなくてはならないというような規範です。あるいは貞淑な女性は性暴力の危険にさらされるような場所、場面に遭遇しないように注意しなければならないということです。そして、これは単に被害者がみずからの被害を避け、みずからの権利としての性暴力を守るために自己防衛を講ずることを勧めるというような性質のものとは異なります。貞操はその女性本人のものではなくてその夫のもの、貞操を守れないのは夫に対する義務違反、そういう発想がこの性のダブルスタンダードの中にはあるように思います。被害者は、被害者を守るべき立場にある者からもこのような対応をされてさらなる傷を負っています。その加害者は警察官であったり検察官であったり裁判官であったり、あるいは弁護士であったりします。  この性のダブルスタンダードと関連して、しかし規範の問題ではなくて事実認識の問題として取り上げなければならないのが強姦神話です。性暴力の被害は見知らぬ男性によるのが通常とか、性暴力の被害に遭った女性は必死で逃げるのが通常というような、実は事実に反しているんですけれども、ある程度社会に流布している誤った認識、偏見、思い込みのことです。  私がセクシュアルハラスメントの裁判をしてきまして驚いたのは、この強姦神話についてはっきりとした問題意識を持って裁判に臨まないと、裁判所は全く無批判にこの神話を受け入れて、これを事実認定の判断基準、経験則として取り入れてしまうということです。そうすると、この経験則に合わない被害者の行動というのは、被害者の供述が事実に反するという結論を導くことになってしまうわけです。  横浜地裁の一九九五年三月の判決がそれです。原告敗訴の判決が出てしまいました。それで、これは大変だということになりまして、裁判で性暴力の被害が救済されていくためには何としてもこの誤った認識というのを改めなければいけないと思いました。フェミニストカウンセラーの方などの協力を得て鑑定意見書を裁判所に出したりして、九七年十一月に東京高裁で横浜地裁の誤った判断を覆すことができました。秋田地裁でも九七年一月に横浜地裁で出されたものとよく似た不当な判決が出されましたが、これについても昨年の十二月に仙台高裁秋田支部の判決で覆すことができました。  このことでわかったのは、強姦神話が社会につくづく広く行き渡っており、事実として扱われているということでした。この誤った認識というのを突き崩していかなければならないと思っています。被害者の心の傷については小西先生がお話しくださることですが、そのような被害者の痛みがまだまだ社会に理解されていないということが問題だと思います。  次に、ドメスティック・バイオレンスについてお話しいたします。  ドメスティック・バイオレンスというのは、親密な関係における暴力です。言うまでもなく、それは個人的な問題ではなくて社会構造上の問題です。強い性別役割分業観を持った男性が、女はこうあるべきものというふうな思い込みのもとに女性に従属を押しつけてコントロールしようとする、そのことの表現が身体的な暴力であり、また非身体的な暴力です。本来認められるはずがないのですが、実際には夫に従わない妻に対する制裁として、あるいは妻をコントロールする手段として夫の暴力が許容されているという側面があることは否定できないと思います。このことは資料としてお出ししました判例からもうかがうことができます。  今必要なことは、建前だけではなく本音のところでも夫の暴力は許容されないのだということを明確にすることです。また、ドメスティック・バイオレンスの被害者についても、その個々の状況を考慮することなしに、なぜ逃げないのか、嫌なら別れればいいではないかというような問いが投げかけられることがありますが、それが不当であることについても理解を得ることが必要です。  最後に要望を申し上げたいと思います。レジュメに書いたようなことについてぜひ御検討いただきたいと思っております。  項目だけ申し上げますが、性暴力については、裁判官、検察官、弁護士、警察官の研修を実施することです。それから司法修習生の研修を実施することを御検討いただきたいと思っております。それから被害者が心理的ケアを容易に受けられるようなシステムをつくること、刑事訴訟法で六カ月となっている告訴期間制限をなくすこと、性暴力に関する刑法百七十六条、百七十七条等について再検討すること、被害事実と無関係な被害者のセクシュアルヒストリー等の法廷での尋問を制限する方策について検討すること、法律扶助を充実すること、訴訟以外の救済システムをつくること、それから刑事事件における被害者が容易に代理人をつけることができるシステムをつくることです。  このうち、すぐにでもできてすぐにやっていただきたいのが、司法修習生に対しての女性の暴力をテーマとする研修をしていただくことです。先ほど申し上げましたように司法関係者がセカンドレイプの加害者となっています。司法修習生には加害者となることがないようにジェンダーに対する敏感な感性を持ってほしいというふうに思っております。  裁判官、検察官、弁護士、警察官に関しましては、今警察では女性に対する暴力についての対策が積極的にとられるようになってきて、以前とは状況が違ってきているところがあると思いますが、それ以外のところでは、残念ながら弁護士も含めまして余り変わっていないのではないかと思います。  特に、警察が変わってきている割には検察に変化がないという感じがいたします。検察は被害者と接する機会が多い立場にあり、また訴追裁量を持っていますので、つまり検察官が誤った被害者像を持っているとその被害者像に合致しない被害者は救済されないということになってしまいますので、研修の必要性は裁判官に劣らず高いと思います。  それから、法律扶助の充実というのも重要だと思います。女性は経済的に余裕のない場合が多いですから、裁判費用の負担というのは重いものとなりがちです。他のケースにも増して法律扶助の充実が必要です。  また、男女平等オンブズパーソンの設置も基本法の関係で検討課題になっているようですけれども、これもぜひ実施してほしいと思います。裁判以外の解決手段が必要というふうに考えています。  それから、ドメスティック・バイオレンスについての要望ですが、公的シェルターを拡充すること、民間シェルターへの補助を増額すること、それから警察がドメスティック・バイオレンスについて他の一般の事件の場合と同様に適切な対応をすること、心理的ケアを受けられるシステムをつくること、司法関係者の研修、調停委員の選考基準を明確にし、ジェンダーに敏感な者を選考すること、調停中の危険回避対策をもっと積極的に講じること、面会禁止等の裁判所の命令違反行為に効果的な制裁を設ける措置をとることです。  すぐにできることですぐにしてほしいことは、シェルターの充実です。  次に、ドメスティック・バイオレンスの場合は、法律実務家や検察官だけでなく家庭裁判所で直接接する機会の多い調停委員の適切な対応が非常に重要だと思います。その点で、これまで必ずしも明確でなかった調停委員の選考基準をもっと明確にしていく必要があると思います。  それから、ドメスティック・バイオレンスあるいはストーカー行為についてとり得る方法としては現在仮処分が使われるようになってきていますが、これはいわばとりあえず使える方法を借用して不十分ではあるがやりくりしていると言うべき状況で、制裁については間接強制という不十分な方法しかないというものですから、これらの対策に焦点を当てた立法的措置を検討していただく必要があると思います。  以上です。

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) ありがとうございました。  次に、小西参考人にお願いいたします。小西参考人。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) よろしくお願いします。  お招きいただきましてありがとうございました。私は、ふだんは犯罪被害者相談という枠組みで被害を受けた方の精神的な援助にかかわっております。多分この場で私に求められていることというのは、実際の援助の状況、どういうふうにするかというようなことと、その問題と課題というふうに思っております。  私のレジュメを見ていただきますとわかりますが、後ろに三つ参考資料をつけました。一つは、性暴力被害の実態についてぜひ日本の実態を知りたいというのが私がずっと思っていることでありまして、それについての調査の中間報告のような形のもの、それからもう一つは、これは後で説明いたしますけれども、外傷後ストレス障害、PTSDと言われる医学的な精神障害の概念ですけれども、これについての診断基準と、その後に、一番やっていることについてわかっていただけるのではないかと思って、神戸で災害とトラウマについてのシンポジウムの中で講演したものを持ってまいりました。  まず、どういう活動をしているかということから少しお話ししたいと思います。  今、私が所属しております東京医科歯科大学難治疾患研究所の山上皓教授のもとで私が実質的に犯罪被害者相談というのを始めましたのが一九九三年の四月です。ですから六年になるところです。対象は対人暴力の被害者及び遺族という規定で最初始めました。  実際に相談をやってみますと、後ろの資料を見ていただくとよろしいのですが、なかなかわかりにくいですけれども、六十七ページのところにございますが、最初こういう形で始めましても、日本に類例がありませんで年間一けたの相談件数というような状態でしたが、昨年では延べ相談件数は千件を超えております。電話のライン一本でやっておりますので、もうほとんどパンクの状態でだんだんつながりにくくなっている、それからカウンセリングも受ける方のキャパシティーがいっぱいになっているような状態です。  どういう方が来られているかというのを、その次の六十八ページを見ていただくとわかりますが、まず性暴力被害という形でくくられる範疇に入る被害者の方がかなり多いです。これが一番多いと言えると思います。それから殺人事件の遺族の方、それから児童虐待、それから家庭内暴力となっています。ドメスティック・バイオレンスですね、ドメスティック・バイオレンスの被害者。ドメスティック・バイオレンスの被害者はこの時期よりもかなり最近ふえている印象を持っております。性暴力被害、それから性的虐待を含む虐待の被害者で大人になられた方、それからドメスティック・バイオレンスの被害者というのは私たちの相談のかなりの部分を占めているというふうに考えていただけます。女性の相談が八割以上を占めております。  実際にやっていることは今申したように電話相談と面接なんですけれども、例えばその中では、一般的にはカウンセリングと言われていますけれども、いろんな情報を提供する。例えば、強姦の被害に遭った人で今もう混乱している人に、どういう症状が起こってくるか説明するとか、どういう相談機関があるか教えてあげるというような心理教育、それから情報提供、紹介、それから必要な方には面接でのカウンセリングや時には特殊な心理セラピーなども使います。  この中に入らない人も多くて、かなり重い方が多いので、そういう場合には医療の場に持ってきて、私が投薬するというような形で、治療という形でも行っております。  本当にゼロから始めた相談なんですけれども、今思い返してみるとかなりいろんな仕事を自分でやっておりまして、レジュメのところに書きましたけれども、そのほか例えば被害者にかかわる専門家の方、警察官、検察官なんかもそうですが、それからソーシャルワーカーの方なんかもそうですね、それからボランティアの方の教育、それからほかの専門家の方が持たれたそういうケースについてのスーパービジョン、それから性暴力被害とそのトラウマについての研究、このほかにセルフヘルプグループなんかも持っておりまして、いろいろ多岐にわたる活動を現在ではやっております。  まず、一つの典型として強姦の被害のことをちょっとお話ししたいと思うんですが、こういう強姦の被害を受けた女性の精神的後遺症がどんなものであるか、これはもう一言で言って、私も始めるまで知りませんでしたけれども、まず皆様が思っておられるよりずっと重いということが一番最初に言うべきことだと思います。しかも、これは犯罪白書に出ている件数とはもう全然かけ離れた被害がありまして、かなり重い被害の方でも、それからこれは届ければもしかしたら事件になるんじゃないかというようなケースでも、だれにも言っていないというケースもたくさんあります。  実際、じゃどれくらいあるのかということがどうしても疑問になるんですが、それについては後ろにその調査を出しておきましたので後でごらんになっていただければと思います。犯罪白書の件数というのは本当に氷山の一角であると思います。  こういう被害を精神医学的に見ますと、さっき言いましたPTSD、ポスト・トラウマティック・ストレス・ディスオーダーと英語で言いますが、トラウマ、心の傷になるようなことがあった後に起こってくる心身の障害というふうに思っていただくといいですけれども、こういうものを発生させる出来事としては犯罪被害の中では強姦被害は最も高いものです。これは、一つの研究ではなく共通して長年にわたって積み重ねられてきた研究の中で言われていることです。  その下に、例えばということでアメリカの研究を挙げておきましたけれども、例一のところを見ていただきますと、強姦の被害を受けた女性の四五・九%、これが比較的新しい研究なんですが、男性の六五・〇%がPTSDを発症ということになっております。ちなみに、比較としては戦闘を体験した男性の三八・八%、自然災害の経験をした女性の五・四%、男性の三・七%が発症。男にも強姦の被害があるのかと思われる方があるかもしれませんけれども、これは強姦の定義にもよりますが、男性に対する重度のセクシュアルアソールトはむしろ女性よりも非常に大きな心の傷を男性に残すということもわかってきております。男性の性暴力被害も数はかなりありますが、女性以上に表面に出てきておりません。  では、日本とアメリカじゃもともとの犯罪数が違うんじゃないかということをよく聞かれるんですけれども、これまでの臨床経験や調査研究の結果からは、確かに全体の発生率としては非常に差があると思いますけれども、事件後の症状あるいはその人の苦しみというものはほとんど文化を超えて共通である、同じことが問題であるということが言えると思います。  今までこういう被害者が司法の現場や精神医療の現場にあらわれることが確かに少なかったわけですけれども、少ないのは、まず一つは、行っても適当なサービスが受けられない。受けられないだけではなくて、被害者の心理について理解がないために、例えば医者に行くとそんなことは忘れた方がいいとか、それはあなたの方にも非があったんでしょうというような形で決してフォローにならないような発言によって二次被害を受ける、これはもう医者だけではなくてどんな専門家もそうですけれども、そういうことがあるために、ますますこれまでにあったそういうサービスの機関にはあらわれなくなっているのだというふうに思います。  こういうトラウマの後起こってくる症状というのがどういうものかというのをお話ししますと、これは非常に長い時間がかかりますが非常に簡単に申し上げますと、一つは事件のことが非常に生々しくよみがえってきて、普通思い出すことはだれでもありますけれども、そうじゃなくて、よみがえってもう一回事件を体験するような感覚がある。そういうためにほとんど日常の生活ができない人もいます。  それから、強姦の被害者には恐怖のために外出ができなくなる人が非常に多いです。男性がそばにいるとパニックが起きてしまう人もいますので、そういう人は電車に乗れなくなってしまう。電車というのは異性がすごくそばに来る場面なんですね。そのために電車に乗れないという人も非常にたくさん経験します。  それから不眠。それから感情が消えてしまう。これはちょっとなかなかわかりにくいんですけれども、被害を受けた人がみんな腹を立てて悲しんでいるかというと決してそうではないんですね。一番ひどい被害を受けますと、感情そのものがなくなってしまって非常に淡々とした冷静な状態になってしまう。そのために、非常にショックが多いにもかかわらず、例えば警察官にこの人はやる気がないとか本当に悲しんでいないんじゃないかと思われて扱ってもらえなかったというようなケースも経験しております。こういう感情が消えてしまうような体験というのは、私が相談で受け持っている方の中には決してまれではありません。  それから、事件の大事なところの記憶がなくなってしまう。これもショックのせいでなくなってしまうこともございます。そうするとまた、覚えていないというのはどういうことだ、一番自分が大変だったはずなのにというようなことも言われたりすることもあるようです。  いろんなこういう症状の一つだけでも、例えば電車に乗れないというだけでも、仕事をしていた人は仕事ができなくなってしまうわけですね。非常に生活全体が大きく脅かされるということがあります。性暴力の被害に遭った後仕事を失ってしまう人というのも少なくありません。  今は大体大人の方を中心にお話ししましたけれども、もう一つお話ししておきたいのは、児童期の女の子における性的虐待も非常に高い比率で、それからより慢性的で深刻な精神的後遺症をもたらすことが知られています。  後ろにつけました性暴力の被害調査の中で、成人の被害率というのは非常に高かったんですけれども、私どもが比較的予想していた数で出ているんですが、大体数%ぐらいですね。一つ驚きましたのが、子供の被害率が非常に高いことです。例えば、性器を見せられたとかその程度までの被害を含めますと、被害率はほぼ半数に達します。そのことをだれにも言えていない子供が少なくなく、調査をとりますとその時点でも非常にまだ傷ついているというような記述がたくさん見られました。  それから、そういう一回限りの被害ではなくて、子供の時期に繰り返し性的な被害を受ける場合にはより症状は難しくなります。例えば、慢性的な抑うつ感情や自殺企図や、ここでは説明できませんけれども解離症状、身体症状、摂食障害、対人関係の障害などが見られまして、なかなか簡単には回復ということが難しく、専門的な治療やセルフヘルプグループの中での回復というのが非常に必要になってきます。  このような症状は、ドメスティック・バイオレンスの被害を受けた女性にも同じように見られることがあります。多くの精神的な不適応が見られる、その原因はやはり暴力による被害であるというふうに思われます。  時間がありませんのでもう簡単にしますけれども、こういう方にカウンセリングをするときの一番大事なことというのは、やっぱりそのエンパワメント、ただ症状を治療するのではなく、その人、生活全体が元気になるように、それから新しい生活に踏み出せるように、そのパワーを持ってもらうことというのが一番大事なことなんですね。それに加えて、例えば感情を自由に表現して事件の認知を普通の認知に再構成していくとか、自責感を軽減するとか、自己評価の引き上げというようなことを目標として面接を行っています。  ただ、このような私たちのやっております活動が今日本でどの程度行われているかというと、これはまだまだ非常に少ないというふうに言えます。こういうカウンセリングだけでなく、事件直後の被害者に対しては精神面のケアとともに物質的な援助、例えば衣服や寝具の提供とか、手続に同行するとか、あるいは情報提供、それから必要な機関への紹介なども大きな仕事になります。このような仕事は、諸外国では公的な資金の援助を受けた比較的安定したボランティア組織によって担われていることが多いんです。それから二十四時間のホットラインなんかもたくさんあります。それからアウトリーチ活動もたくさんあります。ただし、日本ではみんなそこまでボランティア活動が力を持っていなくて、電話相談を細々とやっているにすぎないという状況にあると思います。アウトリーチによる活動を目指している組織もありますが、まだ安定した活動には至っていません。  それから、私は精神科医ですので専門家によるケアということにもかかわりがあるわけですけれども、専門家レベルでの受け皿もまだ育っていないと思います。精神科医や心理カウンセラーでこの性暴力被害やドメスティック・バイオレンスに興味を持つ人はふえてきているとは思うんですけれども、全体からすれば非常に少数です。そういうことを教えられる人も非常に不足しているというふうに考えております。  以上です。ありがとうございました。

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) ありがとうございました。  次に、米山参考人にお願いいたします。米山参考人。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) アディクション問題を考える会の代表の米山です。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、私に与えられましたテーマは、民間シェルターの現状と課題ということで述べさせていただきたいと思います。  私どもはアディクション問題を考える会ということですが、これは一九八六年設立の非営利団体市民グループであります。当時はアルコール問題を考える会という名称で発足いたしました。  活動としましては、年一回の市民講座、一般市民向けの講座ですとか講演会、それから自助グループというものを中心に行っております。その自助グループの中に参加してきた方々の中からシェルターというものが欲しい、暴力の被害を受けたときに逃れる場所としてシェルターが欲しいとアルコール依存症の家族を持つ方の主に妻に当たる方たちからそういった声が出てきまして、一九九三年の四月にAKKシェルターというものを設立いたしました。  そして、現在はアディクション問題を考える会とAKKシェルターというものは別組織で運営しております。予算も別配分で行っております。私は、一九九七年からAKKの代表を務めさせていただいておりますが、シェルターの方は代表が別におります。  そこで、シェルター運営の現状と問題点ということですが、まずシェルターの概況について御説明いたします。後からお配りした資料がお手元にございますかと思いますが、AKKシェルターの現在ということで、これは「更生保護」という雑誌に掲載されたものです。  AKKシェルターでは、事務所をこのシェルターとは別に持っております。事務所はマンションの一室で三DKの場所です。月曜日から金曜日まで十時から四時まで、水曜日のみ七時から九時まで電話相談を行っております。常勤のスタッフは一名おります。そのほかはすべてボランティアスタッフで運営しております。  経済的な問題ですけれども、シェルターの年間予算は年間一千三百万で行っております。このうち、今年度につきましては東京都の財団から五百万円の公的な補助をいただきました。あとはすべて寄附で賄っております。こうした助成金というものは備品等に対しては出ますけれども、人件費に対する補助というものは出ません。そうしたことが私どもは大変困難に感じている大きな点であります。  それから、マンパワーの問題ですけれども、シェルターの運営にはさまざまな能力を持った方が必要です。ところが、常勤のスタッフの方は一名しかおりませんので、すぐれたスタッフを確保するということが大変困難であります。私どもは、幸いにもさまざまな専門職で働いている方がボランティアで大勢おりますのでその点は恵まれているかと思いますが、例えば電話相談の相談員にしても、一定の知識を持っているあるいはいずれかで研修等を受けたことがあるというような方はまれです。そして、そういう方々が家族の都合等でやめざるを得なくなったときに新たなスタッフを確保するということが大変困難になっております。  それから、私どものボランティアスタッフはシェルターの利用者の方のケアということも行っております。先ほど小西先生からもお話がありましたが、シェルターに入居をした直後の方に対するケアというものを行っております。物質的な例えば衣服を貸し与えるということですとか、具体的な制度を利用するためにあちこち相談機関へ同行するというようなことも行っております。  それから、このシェルターの運営の問題として、四番として安全の問題ですが、これはシェルターの事務所及びシェルターの安全ということなんです。  シェルターの所在地は性質上公開はしておりません。事務所のみ電話を公開しております。しかし、電話相談の電話にバタラーと言われる暴力加害者から電話がかかってくることがございます。現在は暴力に関する相談ということでシェルターの事務所を専門に分けておりますが、以前はアディクション問題の事務所ですべて相談を行っておりました。そして、その事務所は公開されておりましたので、AKKの事務所に直接暴力者である夫が乗り込んできたことがございました。マンションの一室を事務所にしておりますので、相談員の方が大変恐怖におびえたというようなことがございました。シェルターのスタッフの安全が脅かされるということがあるということです。  そして、現在、こういったボランティアスタッフの安全を守る法律それから施策等がございません。常に私ども身近にそういう危険を感じながらボランティア活動をしているということを強調させていただきたいと思います。  次に、利用者、暴力被害女性の現状と問題点ということについて述べさせていただきたいと思います。これはシェルター利用、シェルターに関連してということで述べさせていただきます。  私どものシェルターは、利用期間を一応定めております。三カ月とさせていただいております。これは、現在公的なシェルター、婦人相談所ですとかそういった機関の入居期間が大変短い、原則として二週間程度となっているということから、二週間ではなかなか見通しが持ち切れないという問題がございます。そこで、三カ月ということに設定いたしました。  入居されてくる方は、身体的、精神的それから性的にもひどい暴力を受けていらっしゃる方がほとんどです。そして、最近多いのは小さなお子さんを連れて入居される方です。そして、小西先生のお話にもありましたが、入居される方々は多くの方がPTSDの症状を持っていらっしゃいます。中には、PTSDの症状の一つですが解離といいまして、心ここにあらずといった状態に陥っている方がいらっしゃいます。ですから、そういった方々への対応ということでは二週間という期間は大変不十分であると考えます。物事を整理して考えることができない状態にいらっしゃいますので、まず落ちつける時間、それから場所、そして精神的なサポートを受けられるスタッフというのがきちんと整備した場所というのが重要であると私どもは考えております。  私どものAKKシェルターが目指していますのは、アルコール問題ですとか暴力の問題、ほかにも女性依存の問題ですとかを持っていた夫から被害を受けていたかつての体験者である女性たちが、そういった精神的ケアを行える、精神的サポートを行えるシェルターをつくろうということでつくりましたので、ほかのシェルターに比べるとそうした点には力を入れているということが言えるかと思います。  それから、二番目の相談支援等専門機関の問題ということですけれども、私どものシェルターを利用された方が専門の相談が必要な場合には相談機関を御紹介したりしております。しかし、小西先生のところですとか都内の幾つかの相談機関に限られております。つまり、そういったことに関して知識を持っている専門機関が少ないということが言えるかと思います。専門知識がないところへ行きますと、二次的な被害というものを利用者の方が受けることになります。  私がかかわった方も地元で相談機関に、保健所に相談に行ったけれども理解されなかった、逆にどうしてあんな立派な御主人がそんなことをするんですかというふうに言われたということをおっしゃっていました。このお話を聞きまして、私は大変心を痛めました。  私自身、保健婦として保健所に勤務経験がありますので、精神保健の第一線で働く専門職がそういった知識を持って援助する力を高めていかなければいけないのではないかという思いを切に感じております。しかしながら、専門職であっても、小西先生のお話にもありましたが、こういったことに関する教育というのは欠けているというのが現状かと思います。  それから、三番の経済的保障の問題、利用者の方の経済的問題ということに触れたいと思いますが、特にお子さんを連れてシェルターにいらした方の場合、児童扶養手当が別居してから一年以上でないと、つまり扶養親権のある方から一年以上遺棄されないと出ないというような問題がございます。暴力被害女性が夫のもとへは戻らないということを決心して新たな生活を望んでいても、こういった手当が利用できないということがあります。また、公的な住居、母子寮とか母子アパートですか、そういったところへの入居条件も離婚が前提になっているというようなことがあります。ですから、暴力被害女性がサービスを使えないというような現状が多々ございます。また、生活保護の受給を申請しようとしても、住民票がないのでだめというふうに断られるケースがたくさんございました。  それから、お子さんを連れていらっしゃる場合、特に学校の問題がございます。住民票を移せないとだめとか、また前住地の学校に移った先の住所を知らせないでほしいというふうに言いましても、なかなかそれが理解していただけないというようなことがございます。なぜかといいますと、住所がわかるとその暴力者である夫が突きとめて追っかけてくるということがございます。大変母子ともに危険な目に遭うということがあるわけです。つまり、利用者の方々も、バタラーである暴力者が追跡してくる、身の安全を守ることができないという問題があるということです。  次に、大きな三番のネットワークづくりというところへお話を進めたいと思いますが、私どものシェルターは一民間シェルターです。ですから、安全も公には保障はされておりません。ですから、私どものシェルターを利用したいというふうに相談されてきた方の中で利用できない方もございました。そういった方は、ほかの全国のシェルターと連携をとりまして、より安全な方法を考えさせていただいた経緯もございます。  それから、今現在、かなりこういった民間シェルターというのが、数がふえてはきておりますけれども、まだまだ経済的な基盤ですとかスタッフのマンパワーという点では、規模それから実力等に差がございます。ですから、シェルターの規模、実情に合わせたネットワーキング、連携というものを私どもは進めております。情報交換の場ができたことでこういったサポートし合うことが可能になってきております。  そして、最後に課題として大きく三点挙げさせていただきました。  法システムの整備は渡辺先生から詳しくお話が出ておりましたので省略いたします。公的資金の助成というのが私ども大変強く願っている点であります。また、三番の人材育成と教育という点ですが、一点目、女性に対する暴力は犯罪であるということを広く一般に知らしめるようなことをしていくことがまず先決であると思います。そして二番には、専門家の研修、特に保健・医療専門職、福祉職員、学校職員等に関する研修が重要であるかと思います。また、こういったボランティア相談員に対する研修・養成が大変急がれることであるかと思います。  時間が超過して申しわけありませんでした。  ありがとうございます。

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) ありがとうございました。  以上で参考人からの意見聴取を終わります。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 自由民主党の末広まきこです。どうぞよろしくお願いいたします。  昨年十一月二十六日の調査会におきまして、原ひろ子参考人及び戒能参考人に御出席いただきまして、女性に対する暴力の現状と課題についてお話を伺いました。参考人から現行制度の問題点、諸外国の動向等をお聞きしまして、この問題がいかに深刻であり、そしてまたいかに知られていないか、早急に対策をとるべき課題であるかという思いを新たにいたしました。  本日は、女性に対する暴力の被害者支援に直接当たっていらっしゃいます弁護士さん、それから精神科医、そして民間シェルター関係者の方に参考人として御出席いただきまして、今後女性に対する暴力を防止するための対策を講ずる際にぜひともこれが必要だというような、参考となるような現場の声をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず、渡辺参考人にお伺いしてまいりたいと思いますが、論文の中で、「性暴力の被害実態に対する誤解、無理解も」「性暴力の被害者に対する不当な非難も、いずれも性暴力の対処について「女はこうあるもの」「女はこうあるべきもの」という固定観念から発せられるものである。」というふうにお述べになっていらっしゃいますね。しかしながら、このような認識は残念ながら男性だけではなく一部の女性も持っているようでして、これが被害者を二次的に苦しめている要因になっているのではないかなと思います。このような固定観念を持つようになってしまった原因について渡辺参考人にお伺いいたします。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 私は、原因について何か科学的に研究したとかそういうふうなことでは決してないので、これが原因ですというふうにお話しできるのかなというふうにも思うのですが、私が感じているところでお話しさせていただきたいと思います。  それは、先ほどちょっと申し上げましたが、つまりは貞操という発想から来ているのではないかというふうに私は感じております。貞操と性的自由というものとの違いです。性的自由というものは女性の人権として性被害のときに守られなければならないものですけれども、貞操というのはそれとは異なって、女性にとってはもちろんそれは守るべきものでもあるのでしょうけれども、守らなければいけない義務というものが伴っているものではないかというふうに思っています。  では、どうして貞操という発想が出てくるのかですが、そこはやはりかつては女性を産む性としてとらえて、それで男性の所有の中で、はっきり言いますと家父長制の問題がやはり根っこにはあるのではないかというふうに感じております。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 前回もお二人の参考人が、そういうふうな男性が女性を所有しているという観念から脱し切れていないんじゃないかというような御指摘がございました。  性暴力の被害者が被害を訴える際に、二次的被害にまた遭ってしまうということを聞きます。例えば、司法関係者が性暴力に関して固定観念を持っている。なぜ守らなかったんだとか、そういうような固定観念を持っているとしたら、それは被害者支援の障害になってしまうわけですね。司法関係者に対するジェンダー教育や訓練を行って、ジェンダーへの偏見を取り除く必要があると思われますが、これはどのような点に注意して教育や訓練を行うべきか。渡辺参考人、いかがでしょうか。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 例えば、講義で聞き手になって、そのようなジェンダーについて問題点があるんだということで話を聞いてもらうというふうな方法が一番簡単な方法でしょうけれども、そのような方法ではなかなか本質的なところの理解を得るのは難しいと思うんです。  ですので、研修にはやはり実践的なプログラムというものが必要だと思うんです。考えられるのは、女性の立場になってロールプレーイングのような形で研修を進めるとか、そういうふうな被害について実感できるようなプログラムというものをつくっていくということがまず必要になるのではないかというふうに思います。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 それを先ほど司法修習生を筆頭にぜひやってほしいというような意見がございましたが、順序としてはそこからでよろしいのでございますね。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 司法修習生というのは基本的には法律実務家になるために勉強する立場にある人たちですので、まずそこでということであれば、そのプログラムを研修の中に取り入れるということが一番やりやすいのではないかというふうに思います。ですので、そこから始めていただくということがいいというふうに思っています。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 強姦罪が立証されるについて、過去の判例によりますと、暴行または脅迫によって抵抗することが著しく困難であると認められなければならないということですが、これによると、結局、裁判においては被害者がどれだけ抵抗したかどうか、さらに合意かどうかということが問われるので、どちらの証言が信用できるのかという争いになってしまいますね。この点が強姦罪の立証において非常に難しい部分であると聞いております。  これに対して、アメリカでは女性の意思に反して性交すれば強姦罪に問われるということですけれども、その場合は女性の意思に反したかどうかをどのように立証していくのでしょうか。  また、日本においても女性が同意したか否かを基準として強姦罪を新たに定義づけていくべきだという意見もありますが、これはいかがでしょうか。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 現在の刑法でも強姦罪の構成要件としては「暴行又は脅迫」と書いているだけで、その暴行または脅迫の程度が反抗を著しく困難にする程度であるということは条文上は書いていないわけです。判例理論上そういうふうなものがつけ加えられているという状況で、現実的には暴行、脅迫というのをそこに狭めた形で読み込んで適用しているというふうな状況があると思います。  今、法改正について御質問ございましたけれども、条文そのものをストレートに読めば「暴行又は脅迫」と書いてあるだけで、その程度について限定していないわけですので、立法的に別の法律に変えるということは必ずしも必要なものではないのです。  ただ、暴行、脅迫について、反抗を著しく困難にする程度であるという、その程度でなければだめなんだという判例理論はかなり強固なものとしてこれまでずっと使われてきましたので、それを判例変更という形でやるのが望ましいのか、あるいは新たな立法的措置でやるのが望ましいのかといえば、やはりきちんと立法的措置でやった方が望ましいのではないかとは思っております。そのようなかなり限定的な暴行、脅迫、かなりひどい程度の暴行、脅迫を受けなければ強姦罪は成立しないという現行法は、現行法の運用ですが、それはやはり改められるべきであるというふうに思っています。  立証に関しては、一般的な立証と同様で、被害者の言い分それから加害者の言い分、前後の状況等を総合的に判断することによって立証というのはなされていくのだろうというふうに思います。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 女性の意思に反したかどうかという点はどうですか。アメリカではそれがもとになっているそうですけれども。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 基本的には、性暴力、強姦として女性の意思に反して性的な行為が強要されたということであれば、それは犯罪としてとらえられるべきであると思っております。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 先ほども述べましたように、性暴力の被害者に対してステレオタイプな考え方を持つ人が少なからずいらっしゃるということで、特に女性が強姦等の被害に遭ったときに、通常、大声を出すとか逃げるとか、何らかであるはずだというふうに考える人が多い。確かに強姦等の被害に遭って逃げたり声を上げたりできる女性もいると思うんですが、先ほどどなたかがおっしゃっていましたように、麻痺状態になってしまって、身動きもできない、声さえも上げられないという方が結構数字的には多いのではないかと推察できるんです。  実際には性暴力の被害に遭った女性がその場でどのような行動をとるのかについて、これは小西参考人にお伺いします。  もう一つ、性暴力の被害者のとる行動について研究していらっしゃって御存じなことがあれば、あわせてお伺いします。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 実際に被害を受けた方のお話を聞いてみますと、死に物狂いで抵抗したというのはどれだけ非現実的かというのはすごくよく感じます。  例えば、最初にナイフでおどされたとか一発殴られたということがあるとほとんどの人は何を感じるかというと、強姦よりも何よりも前に殺されるかもしれないと思うんです。その恐怖で後は全部言いなりになるということはすごくたくさんありますけれども、じゃこれが抵抗しなかったから強姦じゃないのかと言われたら、そうじゃないですね。言葉で言われてもやっぱりすごく怖い。入ってきて男が部屋にいるというだけですごくショックなんです。だから、今言ったような具体的な行為が何にもなくても命が危ないと思われる方がほとんどです。  そのときの反応としても、じゃ言うことを聞こうというのはむしろ合理的な反応ですけれども、そこでさっきちょっと米山さんも言われた解離という現象が起こってしまいまして、感情が麻痺したり、それから運動が麻痺する人もいるんですね、動けなくなってしまう。それから、自分が実際にその場にいるように思えなくなってしまうということも起こります。これはもう強姦被害だけの特徴ということではなくて、突然ショックなことが起こった人間には普遍的に起こる現象だと思っていただくといいんですけれども、現実感がなくなるんです。  そういう意味では、私たちが普通に思っているように、嫌なことがあれば嫌なことという反応をするだろうという前提自体は非常にこういう状況では間違っているというふうに思っていただくといいと思います。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 非常によくわかります。その解離という現象とかそれから現実感がなくなるというのは、つまり余りに怖いために、これはうそだろう、うそに思っちゃおうみたいな、そういう作用が働いてしまって抵抗できなくなるというのは十分想像ができると思うんですが、犯罪被害者に対する支援においてカウンセリング等の精神的なサポートの充実が非常に大事だろうと思います。  そこで、犯罪被害者を支援するに当たって望ましいカウンセリングの体制づくりについて、いろいろ御努力をいただいていると思うんですけれども、小西参考人のお考えをお聞きいたします。  男女共同参画審議会の女性に対する暴力部会での御発言で、ボランティアと非常勤を含めてたった十人で新ケースを四百近く受けとめるのは非常識である、カウンセリングを始めると一、二年かかるケースが多くある、相談室としてはパンク状態である、こういうふうにおっしゃっていらっしゃいます。  犯罪被害者相談室のように適切な支援を行うことのできる機関が少ないためにこのように多くの人を受け入れなくてはならないんだと思いますが、例えばその四百件近くの相談に対応するには何人程度のカウンセラーが理想として必要なんでしょうか。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) この四百件の中身というのはやっぱりいろいろあるんです。中には、電話相談でいろいろな、さっき申しましたような情報を聞かれて後は自分で何とかなりますという方もいらっしゃいます。それから、実際には法的な支援を求めていらっしゃる方や、さっきお話ししましたように、私、外に一歩も出られないという方は、今のところ私たちは電話しか介入の方法がないんですけれども、本当はもっと近くのところで、実際に出ていく形で介入ができればもっといいわけです。そういう点では、今のところいろいろな要素を含む相談を受けているので、ある意味では本当はもうちょっと分けられるといいと思っています。  例えば、直後の危機介入と長期に一年、二年とやっていくカウンセリングとは大分援助の質が違うんですね。それから、ボランティアでできることと、例えば心理カウンセラーあるいは精神科医ができる治療というのはまた違います。そういう点では、むしろ今の組織さえももう少し分ける必要も本当はある。  電話の相談については、ラインは一本ではとても足りないと思います。電話の相談が複数のラインがあって、相談員が本当は二十四時間ホットラインで受けるということをたくさん被害者の方からも要望で言われるんですけれども、今は受けられませんが、二十四時間で受けるとするとこれは膨大な数が要ります。そこから必要な場合にリファーされて受けるカウンセラーが一人で持てるケースというのは年間そんなにたくさんではありませんので、こちらも複数要るということになります。  全部総合しますと、今の例えば二倍、三倍あっても不思議じゃないというふうに、非常にあいまいな言い方になってしまいますけれども、そういうふうに思います。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 とてもとても足りない現状であるということです。きめ細かくやろうとすればするほどカウンセラーなりラインの数なりが必要だということですね。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 例えば、具体的なことを申し上げておきたいんですが、二十四時間のホットラインというのは非常に必要とされているんですね。  事件が起こるのが夜のことが多いとか、あるいはぐあいが悪くなることは夜間が非常に多いんです、皆さん。そうすると、夜間に欲しいということを言われるんですけれども、夜間も置いた二十四時間電話相談をつくっている「いのちの電話」なんかを見ますと、ボランティアの方が月二回ケースにかかわるためには膨大な人、要するにそのボランティアを研修する人とそれから何十とか何百という単位のボランティアが必要です。それぐらいそれぞれ実際には大変なことだというふうに思っていただけるといいと思います。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 性暴力被害者は、被害を受けた直後に専門家にかかってカウンセリングを受けることによって精神的なダメージが、取れることはないでしょうけれども、いやされていって少しずつ立ち直りが行われていくんだと思います。  性暴力被害者を支援するカウンセラーは、カウンセラーとしての通常の知識を持つだけでなくて、性暴力被害者に関する専門的な知識とか経験を持っていなければならないのかなと思いますが、どうなのでしょうか。また、そのようなカウンセラーは被害者対策のおくれている日本ではまだまだ少ないでしょうから養成が必要な感じがいたします、お話を聞いていて。そのようなカウンセラーの養成を実施できる機関があるのでしょうか。  この二点。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) まず、普通の、普通のというか現在行われているような心理カウンセラーや精神科医の養成の中にこういうものに対応するような知識は一切含まれていないと言っていいと思います。  こういうことを扱うには、まず本人の偏見がなくなるということも非常に重要ですし、それから性暴力被害を取り巻くいろいろな社会状況とか資源を知るとか、どこにそのケースを渡していけばいいかということではその周りの資源を知るなんということも非常に大事なんですね。それから、犯罪と関係がありますので法律にもある程度知識が必要ということで、これはやはり専門に養成しなくてはとても無理だと思います。  例えば、アメリカなんかには看護婦さんで、セクシュアル・アソールト・ナースという形で性暴力被害の専門の認定を受けるようなシステムもありますけれども、日本にはまだそういうものは何にもないと思います。  こういう養成をできる機関が日本にあるかということですが、正直申しまして、今、私は厚生省の委託研究の方でPTSDの研究班というのに入っておりますが、そこでは女は私だけで、しかも性暴力について扱っているのは私だけです。専門でこれを扱っている精神科医というのは私は顔を多分全国で全部知っているんじゃないかと思うぐらい少ないですので、今、例えば全国の全部のそういう専門家の人たちを養成するソースがあるかというと、ないですね、これは。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 そういう機関が全くないという現状ですね。  とても深刻な事態だと思いますが、犯罪被害者が求める支援というものは生活上のものを含めて極めて多種多様であると思われます。したがって、総合的な被害者支援を行うためには、今おっしゃいました司法、行政、医療等の被害者対策に関係する機関や団体が相互に連携していくことが必要であり、性暴力被害者に関してはさらに民間シェルターとかソーシャルワーカーを含めたネットワークをつくって有機的な連携を図る必要があると思われますが、そこで、医療機関、民間シェルター等と公的機関との連携がどのように行われているのかという点を小西参考人にお伺いします。  特に、民間シェルターの場合、先ほど住所が出せない、電話しか出せないのだ、秘密にする必要があるとおっしゃっていました。そうなると、公的機関とのネットワークが難しくなるんじゃないのかなと思うんですが、これはいかがでしょうか。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 民間の援助というものと公的な援助というのが組み合わせられない限りうまくいかないというのもこの分野においては間違いないことだと思うんですが、やっぱり日本というのはもうそれが全然今までできてこなかったところで、非常に下手くそなんですね。私どもも実はこれは民間ですから、米山さんのところも知っていますし、ほかの幾つかの民間機関も知っていて御紹介することもできますが、例えば公的な医療機関がAKKシェルターのことを知っているかというと、多分そんなに知らないと思います。多分知っていたらまたすぐパンクすると思いますし、そういう点ではまだまだ小さい世界の中でちょっとだけネットワークがある。  それからもう一つ言うと、ネットワークを組むためには人が要るんです。事務局をやってくれるコーディネーターがいないとできないんですけれども、ほとんどの民間組織はもう活動だけで手いっぱいで、そういう人を置けないんですね。ネットワークを組むことが必要だとか公的機関に知らせていくことが必要だと思っても、そういう余力がないというのが正直なところです。そういう点では組むべき必要というのはどちらも知りながらまだせいぜい名前を知っている、例えば東京都でいいますと、女性センターの方なんかはどういう組織があるかかなり御存じです。ですから、そういう官庁の中でもある特別な場所にいる方だけが知っているというレベルだと思っていただければいいと思うんです。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 そこで御提案があるんですけれども、個々の機関の相談窓口だけではなくて、何か命の一一〇番、女性に対する暴力一一〇番というような〇〇七、オンナということで、〇〇七というものを開設して、とりあえずそこに電話すれば、あなたのケースはここへ相談しなさいとか、あなたのケースはここへ行った方がいいですよとか、そういうとりあえずの御相談、御指示がいただけるというそういうホットラインが要るんじゃないのかなと思うんですが、いかがでしょうか。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) それはあるといいと思うんです。すべてに適切なところを振り分けてくれる相談機関というのは非常に必要だと思います。ただ、今それをやると、どこももうみんないっぱいなんです、私たちのやっているところは。やるんだったらもっと受け皿を大きくしてからじゃないとただただ困る。本当にきょうもきのうもケースは来るんですけれども、もう受け皿がないという状況が一つあるので、それは一つ先に必要だと思います。  例えば、警察庁なんかも今全国に被害者の一一〇番を割と多く持っているわけです。そういう官庁じゃなきゃできない援助というのもありますから、そういうのと民間のと一緒に組んでいっていただくのはすごくいいこと。ただその前に、もうちょっとサービスをふやさないとみんなつぶれるだけで終わってしまうんじゃないかというふうに思います。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 最後に、時間がなくなりましたので米山参考人にお伺いしたいと思うんですが、実際に民間シェルターの設立及び運営に携わってこられまして大変な御苦労があったかと思うんですけれども、その御経験上、公的施設と民間施設それぞれにおいて足りないところを補うことが必要だと小西参考人もおっしゃっていますけれども、補える部分というのはどういうところか。両者において改善すべきはどの点かということを最後にお伺いして、私の質問を終わります。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 大変難しい質問かと存じます。ただ、職員の研修ですとかそういった部分は公的なシェルター、民間シェルターと共同で行える部分ではないかと思います。  あと、先ほどの質問の趣旨とはちょっとずれるかもしれませんが、オンナというようなホットラインの御提案、大変すばらしいと思うんですが、やはりそのホットラインがどういった機関であるか。例えば、ホットラインが公的なものであれば公的な機関から民間機関というのはなかなか紹介しにくいのではないかということが考えられます。  安全の問題があります。安全が守られるかどうかというところが最大のキー、ネックになるのかなと思います。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 どうもありがとうございました。

林芳正自由民主党

○林芳正君 自民党の林でございます。  三人の先生方、お忙しいところ貴重なお話を聞かせていただきましてありがとうございました。  まず、ちょっとざっくりとした話になるかもしれませんが、前回も今回もいろいろお話を聞いておりまして、自分の身の回りの話としてなかなか理解しがたいような状況だというのが率直な印象でございまして、例外的に幸せな家庭にいたのかなと思いながらいろんなお話を聞かせていただいております。  世代間みたいなものもあるかもしれませんけれども、我が国の社会でも男女の感覚といいますか、結婚観や恋愛観というものがだんだん変遷してまいりまして、先ほど渡辺先生の方から昔の家父長みたいなお話がありましたけれども、それが変わりつつあるというふうに思っておりまして、特に私の家庭は女性に囲まれておりますのでそういう感じがするのかもしれませんけれども、マクロとして今までずっとそういうのが外れてきて、中にあったものが出てきた。  だから、実態は氷山の一角で、氷山の大きさというのはかなりあるんだというのは何となくわかるような気がするんですが、今後の中期的なトレンドとして、先ほど受け皿は全く足りないというお話、そのとおりだと思うんですが、じゃだんだんとそういう我々が取り組んでおります男女共同参画というのが徐々に徹底してきて、そもそもドメスティック・バイオレンスというのは夫婦の間ということですから、最初はやっぱり合意に基づいて結婚しているわけですね。ですから、選択ということをしているわけですから、将来的にこの氷山というのはますます大きくなるのか、それともだんだん少なくなっていくのか。ちょっとマクロな話で恐縮なんですが、三人からそれぞれ印象で結構なんですが、お話をいただければと思います。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 今、変わりつつあるというふうなお話をいただきましたけれども、それは変わっていると思います。  セクシュアルハラスメントに関しても、均等法でなかなか立法化は難しいだろうというふうに言われていましたけれども、企業の防止のための配慮義務というものが入りまして企業も取り組むようになってきていますし、それから先ほどお話しさせていただきましたように否定的な判決が出ていますけれども、それも変わってきています。かなり精神医学的な観点とか心理的な観点を取り入れた非常にいい判決も出てきていますから、変わりつつあるものというふうに思います。ですので、希望的観測になるとは思いますけれども、将来的にはそのような性暴力というのは減っていってほしいですし、減っていくという希望を持ってやっていくべきだというふうに思っています。  ただ、今の段階でどうかといえば、今までは潜在化していたものがどんどん表に出てきている段階ですので、当面はやはり見えるところはふえていくというふうな状況になるんだろうと思います。ただ、それがふえていくということは決して悪いことではなくて、見えてきているんだというふうにとらえていいのではないかというふうに思います。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 私は余り楽観的な感じは持っていません。あらわれる数としてはこれから当然ふえると思います。それは渡辺参考人が言われたのと同じ理由もあります。  それから昨年の秋、私は総理府の方の暴力部会の方でスウェーデンとドイツに調査に行かせていただいたんですけれども、この分野で、例えばドメスティック・バイオレンスなんかで一番進んでいるのはやっぱりスウェーデンとカナダなんですね。そのスウェーデンにおいても全く日本と同じような心理状態、逃げればいいのにとみんな言いながら逃げられない。一回シェルターに行っても戻ってくる。相手の男の人の言うことはみんな信じるんだけれどもこの人の言うことは信じないみたいな、同じことがやっぱりあるんですね。  ようようスウェーデンは九八年、DVを刑法の中に刑罰として取り入れて七月に施行になったところなんですけれども、どこの国を見てもこれは余り変わっていない。やっぱりこれは虐待と同じなんですけれども、閉じた環境の中で人間のパワーが差があるときというのは非常に虐待が起こりやすいわけですね。子供と親でもそうです。それから、夫と妻でもそうだと思うんですけれども、どうして暴力という形で自分の対人関係を持ってしまうかというと、コミュニケーションのスキルがすごく下手だ、そういう形で相手を支配することでしか関係が持てない。子供に対してもそういうことを言われていますね。妻に対しても同じ、あるいは夫に対しても同じかもしれません。そういうことが原因だとすると、これからそういうことが、若い人たちがスキルが上手になってきているかというと、決してそうは言えないと思うんです。  現に、アメリカでもあれだけ対策をとりながら、例えばDVや虐待は減ってはいないんですね。そういう点では、多分現在の社会状況から考えて、余り減るとは思わない方がいいんじゃないかというふうに考えています。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 私も余り楽観的には考えておりません。なぜ逃げないんだという女性に対するいろんなお話も出ておりますけれども、こういった女性の話を聞いてみますと、過去にやはり自分が育った家庭の中で暴力を受けてきたという実例を随分聞く機会が多いんですね。ですから、世代を超えてそういった家族の中での暴力が引き継がれていってしまうということがかなり問題かと思います。  ただ、そういった暴力に対して、今まではそれがしつけですとか社会的なルールというような地域社会のルールといったもので片づけられていたものが、虐待とか夫婦間暴力とかドメスティック・バイオレンスといったような名前をつけることで、それが次の世代に伝えてはいけないことなんだという社会的な認識を高めていくことで、それは少しずつ変えていけるのではないかというふうに私は考えております。

林芳正自由民主党

○林芳正君 ありがとうございました。  氷山の一角が見えていて、その氷山が全部見えてくるという意味で実際の統計に上がってくる数字がふえるというのはもう当たり前のことなんですが、じゃ、その氷山自体が大きくなりつつあるのか小さくなりつつあるのかというのはお三方のいろいろな御意見を聞かせていただきました。権威主義的な性格という分析が、今、小西先生がおっしゃったところに当たるのかなと思って聞かせていただきました。  我々としても、中長期の課題としては、氷山そのものをやっぱり小さくしていくということを考えながら、一方で対症療法的な、出てきた現象をどうやるかというのと両方やらないと、どんどんどんどん氷山の方が対象の受け皿よりもはるかに上回るスピードで大きくなっていくようですと、なかなか幾らやっても追いつかないのかなという気がいたしましたので、あえてちょっと聞かせていただきました。  それで、ちょっと個別のお話をいろいろお聞きしたいんですが、渡辺先生に、最初に強姦とか社会に誤ったイメージが流布されておられるというお話がございましたけれども、各国比較といいますか、これは万国共通にそういうことがあるのか、我が国もしくは、私は前にもこの調査会で申し上げたことがあるんですが、儒教の国といいますか、日本と特に韓国とかそういう国は非常に男女のいわゆる差別化みたいなのが今まで歴史的に強かったと言われているんですが、そういうような違いがあるのかということと、それから先ほどおっしゃった告訴期間の制限の廃止、これは親告罪ということだと思うんですが、その六カ月がなぜ短過ぎるのかというのをもう少し詳しく教えていただきたいということと、それからこれも一問目と大体一緒になると思うんですが、ドメスティック・バイオレンスに甘い社会というふうなこともどうしてなのかということをもう少し敷衍していただければというふうに思います。  その三点、渡辺先生にお願いします。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 強姦神話について、日本あるいは儒教社会に属する国にかなり特殊なものなのか、それとももっと普遍的なものなのかというふうな御質問について私が適切に答えるだけのものは持ち合わせていないんですけれども、これは決して日本だとかあるいは儒教社会に特殊というよりは、世界のどこでもあり得ることであろうというふうに思います。  それから、告訴期間がなぜ短過ぎるのかということについても、むしろ小西先生にお話しいただいた方がもしかしたらいいのではないかと思いますけれども、被害に遭った方がその被害を自分の中で克服するために加害者を告発していこうというそういうふうな心理状態になるまでというのは非常に時間がかかるものであるためです。  先ほどお話ありましたように、むしろ被害を受けた直後というのは余りそのことについて考えなかったり、それは意図的に考えないようにすることもあるでしょうし、そうじゃなくて、もう無意識のうちに考えないようにしたりとかして何もしない時期というのもありますし、もう何も考えられないというようなこともあると思うんです。そして、悶々と過ごして、その上で、やっとある時期になって告発していこうというふうなことになるわけですから、被害を受けました、それは刑事事件として当然問題にできます、やっていきましょうと、そうぱぱぱっと決められるというふうなものでは全くありませんので、その意味でいかにも六カ月というのは短過ぎる。この期間がもう差し迫ってしまってどうしようかというふうに、その六カ月という時点でも悩んでいらっしゃるという方もたくさんいます。  それから、ドメスティック・バイオレンスについて、夫の暴力に甘い社会というのはなぜかというような御質問ですけれども、これはやはり性別役割分業観というものが広く行き渡っていて、そして女性は従属する、男性が主導権をとる、男は外で頑張って女はおうちで内助の功で支えなさいというふうな発想自体は、やはりこれを変えていこうというふうなことにはなっていますけれども、いまだ社会に根強くあるものです。そのことが男性の暴力を支えるものになっているんだろうというふうに考えています。

林芳正自由民主党

○林芳正君 ありがとうございました。  告訴期間の制限については、そういう解離みたいな状況になっている期間はそこから除いて計算するとか、いろんなことがあると思いますので、またいろいろ検討させていただきたいと思います。  それで、小西先生にちょっとお聞きしたいのは、今、実は全党派で児童買春・ポルノの禁止というのを、大森先生ちょっと行っちゃったんですが、一緒に勉強会をやっておりまして、いわゆる今ドメスティック・バイオレンスやそういうトラウマの原因になるような方を扱う研修をしなきゃいけないということをよく聞くんです。その場合に、例えば捜査官とか司法の人とかが被害者と同性でなくてはいけないかという議論をしておりまして、研修を受けていれば、例えば女性が被害者の場合は男性でもいいのか、やっぱり女性の方がいいのかということ、それをまず一点お聞かせ願いたい。  それから、先ほどポスト・トラウマティック・ストレス・ディスオーダー、強姦の後が非常に発生率が高い、男性の方が高いということですが、これはなかなか難しいと思うんですが、ほかの例えば地震でやられたとかいうのに比べてどうしてこれだけ数字的に高い数字が出るのかということですね。戦闘、例えばベトナム戦争なんかへ行った方と比べていらっしゃると思うんですが、戦闘に比べても、ああいう極限状況と比べてもかなり高い数字が出ておりますので、その辺もし理由みたいなのがあればお聞かせ願いたいというのが第二点。  その二点、お願いいたします。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) まず、最初の捜査官とか司法関係者のことについてお答えします。  実際に私、今、警察庁の中で講義を持っておりまして、先ほどロールプレーとおっしゃいましたけれども、何年かやってみて、やっぱりそういうことをしないと変わってもらえないということを実感しまして、ことしは実技をたくさん取り入れた形で女性の捜査官に講義を持っております。  ただ、私が一回持って、しかもそういうものを入れますと、すごく人数が少ないですから、できることなんというのはすごい限りがあるんですけれども、試みとしてそういうこともやっていて、その中でちょっと思ったこととして申し上げたいのですけれども、被害者の方に実際に聞きますと、同性というのがもう圧倒的な要望としてあります。たまに男性の方がいいとおっしゃる方もあるんですが、これはよく聞いてみますと、今警察の中のこういう性犯罪捜査の捜査官の構成がベテランの男性と最近雇用した若い婦警さんという形になっているために、要するに捜査のスキルとしてこちらの方が安心であるという気持ちもあるみたいなんです。ですから、やっぱりこれは、同じスキルを持った同じタイプでどっちがいいかというときに、多分まず同性の方がいいという人が多いだろうというのは思います。  ただ、諸外国の例を見ますと、やはりすべて女性で対応するということも不可能ですし、女性警察官、女性検察官、女性裁判官と全部がなるというのもこれは非現実的な話で、実際に男性がやっているところもたくさんあります。その場合にはやはりもう徹底的な研修ということで、そういうところに入っている男性の司法関係者の方と会ってお話ししますと、今ここでお話ししているような強姦の神話なんかについてはもう十分理解していらして、被害者の気持ちもよく勉強していらっしゃるという感想を持っています。ですから、現実的には男性にやってもらうことも必要だろうけれども、その場合は三つの研修というのが私のこれについての答えです。  PTSDの発生率ですが、もちろんこれは調査方法によって変わるんです。例えば、地震の被害といっても、阪神の大震災でどういう経験をした人を対象にするのかによって全然変わりますよね。家が全壊した人なのか、家族を失った人なのか、あるいは神戸に住んでいる人なのかというのでこのパーセントは変わってしまうわけですから、そういう意味では、これはもう参考の数字として見ていただきたいと思うのですけれども、ただ、強姦の被害はどんな調査でも比べると高い。確かに、戦闘の体験というのは非常に極限状態なんです。そういう意味でいえば、強姦の被害も極限状態なのであるというふうに思っていただいた方がいいと思うんです。  さっき言いましたように、聞いてみますと、生命の危険も感じる、それからやっぱり性的な統合性といいますか、そういうものが根幹から侵される感じがある。もう一つは、やっぱりその後自分自身も偏見があったりして非常に罪悪感を持ちやすい、それから二次被害も非常に受けやすい。そのほかのトラウマに比べて、人に相談することのできる率が非常に低いです、性暴力被害は。これもやっぱり後々までぐあいが悪い原因の一つとなるんじゃないかと思っています。  ですから、なぜ高いかということについては、これはアメリカでも実証的な研究がきちんと出ているわけではありませんけれども、多分今のところ、予想するとそういうことかなというふうに思います。

林芳正自由民主党

○林芳正君 ありがとうございました。  今と同じ質問になるかと思いますが、米山代表にお聞きしたいのは、保健、医療や学校の場の教育というようなお話が最後にございましたけれども、そういう場でもジェンダーの問題ですね、やっぱり同性の方がいいというのは、現場におられて、今の小西先生のようなお考えと一緒でしょうか。それだけお聞かせ願いたいと思います。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 私は女性の方がよろしいかと考えております。安心感が一番重要かなと感じております。

林芳正自由民主党

○林芳正君 ありがとうございました。  以上で終わらせていただきます。

高嶋良充民主党・新緑風会

○高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋でございます。  きょうは、三人の参考人の皆さん方から貴重な御意見をお聞かせいただきました。さらに、事前にいただきました三人の方の論文も、ちょっと斜め読みでございましたけれども、さっと読ませていただいて、勉強もさせていただいたなというふうに思っているんです。  そこで、私は焦点を絞って質問をさせていただきたいというふうに思っているわけですが、先ほど渡辺参考人の方から、性暴力というのは見知らぬ男性が加害者であるというのはもう神話だから払拭しようという話がありました。ということは、今の性暴力を含めて女性に対する暴力というのは顔見知りの間でも起こってきているんだという指摘だろうというふうに思っていますし、そのことで女性に対する暴力問題がより深刻な課題になっているんではないかなというふうに痛感をさせられたところであります。  とりわけ、小西参考人からも、ドメスティック・バイオレンスの相談が増加傾向にあるというふうにも指摘をされましたし、米山参考人の事前の論文を読ませていただきますと、日本におけるドメスティック・バイオレンス対策がまだ甚だ不十分だ、こういうふうに指摘もされているわけであります。  そこで私は、四点ほどでございますけれども、ドメスティック・バイオレンスに焦点を絞って質問をさせていただきたいというふうに思っています。ただ、具体的な事例とか、またそういう経験もないと言ったらなんですけれども、そういう経験もございませんので、具体的な質問というよりもかなり総論的な質問になるかというふうに思いますが、指名をして御答弁をいただくということでなしに、できれば全員、三人の参考人の方々に順次質問にお答えをいただきたい、こういうふうに思っています。  まず一つは、先ほど林委員からも出されておりましたけれども、潜在化の問題ですね。私は、この問題が非常に深刻化していると同時に社会的な対応が非常におくれているというのは、問題自体が潜在化をしているからだというふうに思ったわけでありますけれども、しかし最近では、東京都の調査報告が出されて、かなり関心が深まってきているという部分、さらに先々週でしたかの土曜日に、テレビで特集番組が組まれておりました。さらに先週、ちょっとドラマを見ていますと、ドラマでもこの問題が取り上げられるというふうな状況になっていますし、最近、そういう意味ではマスコミも取り上げるようになってきたのではないかなというふうに思っているわけです。しかし、言われているように、まだまだ潜在化しているというふうに思っています。  テレビの特集でも、キャスターが言ったわけですけれども、五年間夫の暴力に耐えてきた被害女性に対して、なぜそこまで耐え続けるのかという、そういう質問をしていましたし、先ほども言いましたドラマでは、夫の暴力に長年耐え続けた妻が夫の友人に夫の殺害を依頼するというようなストーリーだったんですけれども、これは二つともすべて、社会的に援助を求める方向で解決をするというのではなしに、まさに個人的に家庭内で解決をしていくという方向に目が向いているという、そういう意味では、被害者を沈黙させていると同時に、家庭外に援助を求めることを断念させるさまざまな理由があると思うんです。  それは、先ほども言われましたけれども、家父長的な制度の問題とか、あるいはそういうものを社会的に求めることが、自分たちの家庭を失敗家族とか失敗家庭というふうに言われるおそれとか、生意気な女だというふうに烙印を押されるという部分もあるというふうに聞いているわけですけれども、しかし、いずれにしても社会的に潜在化する、今申し上げましたような事象以外に潜在化している理由がありましたらお聞かせをいただきたいということと同時に、潜在化防止策ですね。とりわけ女性が暴力を訴えやすい環境をどうつくり上げるかというのが非常に大事だというふうに思うんですけれども、その辺について何かお考えがありましたらお聞かせをいただきたいと思います。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 妻がどうして耐えてしまうのかというふうなことだと思いますけれども、その理由は一つではなくてたくさんあると思います。個々の女性の置かれた状況によってみんな違うと思いますが、心理的な観点とそれから経済的な観点と両方あると思います。  経済的な観点というのは、要は、もし離婚した場合に、離婚した後の生活のめどが立たないということが一番大きなことです。それは、ある一定の年齢になって離婚を決意しようと思ったときには特に重大な問題で、離婚をするとなれば、それまで例えば専業主婦だった方は新しい仕事を探さなくてはいけないわけです。仕事を探して自活していく道を考えなくてはいけないわけですけれども、それは今の社会の状況では容易に見つからないというふうなこともございますし、経済的な観点で言えば、ある一定の年齢になった場合に年金の問題というのもございまして、離婚した場合には基礎年金だけになってしまって、離婚すると経済的なレベルとしては女性の方は落ちるという可能性が非常に高いわけです。  あと、お子さんを養育している場合には子供のことも考えなくてはなりませんし、それから、やはり子供には父親が必要だということで踏みとどまってしまう方、それから、暴力に対抗するというふうな気持ちがあるうちはいいんですけれども、だんだんそれが繰り返し行われていくうちに、自分で抵抗していく力を失ってしまうというふうなこともあると思います。  そのようなことから、なかなか離婚に踏み切れない女性というのがたくさんいます。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) ただいまのに補足してということで、心理的な面から見ますと、これは、外に行ったときに生意気という感じよりは恐怖です、本当に。こういう人たちの電話相談をしていますと、すごく電話相談が難しいんですね。なぜかというと、夫のいるときにちょっとでもかけていることがわかったら、その後ひどい暴力を振るわれるということがあるので、すごく目を盗んでかけてくるし、こちらもやっぱりそういうところに相談されているということを絶対出ないようにやっていかなくちゃいけないんです。外に出ていくのにまずあれなのは、失敗したら本当に死ぬような目に遭わされる。実際に肋骨を折ったり、髪の毛を全部抜かれたりとかいうようなことがたくさんあるわけですから、その恐怖感というのが非常に大きいと思います。  それからもう一つは、渡辺さんもおっしゃいましたけれども、絶望ですよね。もうどうしようもないんだ、人に言っても人はこういうことをわかってくれないんだとか、そういうことでやっぱり非常に無力感が強くて新しい行動が踏み出せない、そういうこともあります。  その潜在化を防止するのにどうしたらいいかということですけれども、これは、むしろ力がある人はまだ自分から援助を求めてくれるんです。それから、ちょっと東京都から出た本も読んでみようかなとかいう気になってくださるし、電話もかけようかなと思ってくださるんだけど、すごく重くなればなるほどそういうことが入りにくくなってしまうんです。そういう場合にはやっぱり積極的な外からの介入というのが必要になる場合もあると思っています。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 私もお二方の御意見と重なる部分があるんですが、なぜそこまで耐えているかというお話に対しては、これはすべてではございませんけれども、中にはいつも暴力を振るうとは限らない男性もいらっしゃるわけですね。いいときもあるわけです。ですから、なかなか逃げられないということもあるかと思います。期待してしまうわけですね。ところが、暴力はひどくなるということが実際的には起こっております。  それから、女性は、暴力を振るわれることに対して自分に責任があるというふうに考え、自分が何とかできるのではないかというふうに考えて、なかなか逃げられないという場合もかなりあるかと思います。

高嶋良充民主党・新緑風会

○高嶋良充君 ありがとうございました。  それで、相談をされる被害女性の関係を含めて、先ほど公と民、シェルターを含めて協力・協同関係ということが言われていましたけれども、東京都のどこかの資料を読ませていただいたときに、被害女性は、公的機関に相談をしたり、捜査機関も入るんですけれども、そういうところに申告することに対して非常に大きな抵抗感を持っているというのをちょっと読ませていただいたんです。そういう意味からいくと、公的機関を拡充するよりも民間シェルター等を含めて活用するという方が、被害女性から見れば相談しやすいのかなという感も受けるんです。しかし、やっぱり社会的に対応をきちっとしていこうと思えば、公的機関を拡充していくということの方が私は必要なのかなというふうに思っているんです。  そういう意味で、公的機関の充実方策、とりわけ相談に来やすい体制というんですか、そういう部分について御意見がございましたら、三人の参考人の方にひとつよろしくお願いします。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 公的な機関の充実、拡充というのは、まず第一に行っていただきたいというふうに考えております。  とにかく、現在では数が足りません。人も不足しております。そして、民間シェルターの公的助成というのもふやしていただきたいと思うんです。とにかく数がまず足りないということを申し上げたいと思います。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) そのとおりだと思います。  公的機関が今相談をしにくいのは、公的機関にいる相談員がこういう問題についてよくわかっていないから不適切な対応をしてしまうことが多いためだと思います。シェルターに入れる期間とかそういうことを考えますと、柔軟な民間の施設も必要で、両方やはり必要であろうと。  それから、敷居が高い人のためには、やっぱりセルフヘルプグループというのをもっと持っていく。同じ立場にある人たちがつくっているグループというのが、どうせだれも助けてくれないわと思っている人の最初の足がかりとしてはとても役に立つことがあるので、そういうのも援助してたくさん持っていくということも大事だと思います。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 公的機関に対しての相談がたくさん来るようにするためには、窓口をどういうふうにつくっていくかということだと思います。公的機関だから相談しにくいというふうなことではないと思います。  例えば、横浜ですと女性センターというところがありまして、そこにはやはり暴力を受けた女性の相談というのがたくさん寄せられています。それから、あと神奈川ですと、婦人相談員の方がかなり積極的にこの相談を受けていまして、そこの相談で暴力の相談があって、先ほど公的機関から民間への紹介というのがなかなかできないという話がございましたけれども、ですので、個人的に紹介を受けるという形ではないんですけれども、実質上私のところに御相談に見える方もいますので、相談をしやすい窓口をつくっていくということでいいと思います。  それから、あと公的機関が重要なのは、シェルターでどうしても福祉ですね、生活保護と結びついていますので、その観点からやはり公的機関の役割というのは大きなものがあるというふうに思います。

高嶋良充民主党・新緑風会

○高嶋良充君 ありがとうございました。  それで、ちょっと視点を変えて御質問したいと思うんですが、私は、この問題の社会的対応の目的というのは二つあって、一つは今までずっと話が出ています被害を受けた女性の保護救済と、それから自立を支援していくということだろうというふうに思うんです。これは今までかなり指摘があったわけです。もう一つの目的は、夫の暴力をどう根絶していくかという、そういう社会的対応も必要なんではないかなというふうに、これは私は男性の立場からですけれども思うわけです。  これも先日のテレビの特集で、立命館大学の中村正教授が、加害者である男性のグループカウンセリング、男の非暴力ワークショップというふうに言っておられましたけれども、そういうものを実施しているんだと。その中で指摘をされているのは、加害者の性格特性の共通項として、第一に暴力に対する認識がない、これは東京都の調査でもそういう結果が出ているんです。それと二つ目には、感情を言葉で表現するのが非常に不得手な人が多い、怒りがすぐに行動に出るということを言っております。そして三つ目には、暴力を学習しているというふうに言っておられました。  そういう性格特性から見ていくと、これも中村教授の指摘なんですけれども、暴力をまず認識させて、そして怒りや暴力を自制、コントロールする、そういうカウンセリングが必要なんだということを提言されたわけですが、その報道の中でも、アメリカではかなり男性のカウンセリング機関が充実しているというふうに言われているわけです。  参考人にお尋ねしたいんですが、日本では今、中村教授がやられているような非暴力ワークショップぐらいで、ほかにあるのかないのかということと、夫の暴力根絶の方策についてはこういうカウンセリングが中心になるのかどうか、ほかにそういう方策があるのかどうか、お教えいただきたいと思います。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 加害者としての男性への対応というのは、これはDVに昔から取り組んできた国では今主要な課題なんです。やっぱりそれがないと本当に防止にならないということで。  日本でどうかというお尋ねなんですけれども、東京でも個人的にやっていらっしゃる人をお一人知っております。多分そこだけですね。これは民間でやりますと、そういうところに自発的に参加する人というのは非常に限られるんです。本当にシビアな加害をする加害者たちはほとんど治療動機を持っていないことの方が多いんです。  アメリカの場合もそうですけれども、これは一つの義務として、私、専門的な用語は知りませんが、例えば刑務所に行くかわりにこのカウンセリングを継続的に受けなさいというような命令でもってやらないと、実際に一番重度の加害をしている人たちはなかなか入ってこないということがあります。やるとするとそこのところをどうやって強制力を持たせるかという問題だと思います。

高嶋良充民主党・新緑風会

○高嶋良充君 最後の質問になるんですが、社会的対応については四つの局面があるのではないかなというふうによく言われているんです。一つは危機介入。二つ目は、先ほども出ていますけれども意識改革。そして、やっぱり制度改革が三つ目にあって、そして調査研究。この四つの局面が必要だというふうに言われています。  ただ、それを前提としながら、これも先日のテレビの特集でキャスターも言っていたのですけれども、やっぱり法律による対応、規制というのが今後必要なのではないかということを言っていました。  私ども立法府の人間なんですけれども、私も先ほど言いました四つの局面の一環として法的対応は不可欠ではないかなというふうにも思っているわけですが、ただ一方で、ドメスティック・バイオレンスの場合の法的対応についての限界もあるのではないか、あるいは反対論もまだまだ強い、こういうことも言われています。  これは、一つには人権論とプライバシー論だと、こういうふうに言われておるわけですけれども、いわば私的な関係には人権は入り込まないという考え方からきているんだ、こういうふうに言われています。とりわけ警察権の私的領域への介入というのは避けるべきだという風潮が非常に日本では強い、こういうふうにも言われているわけですけれども、いずれにしてもこの種の法的対応で、家庭あるいは家族という私的自治に対する法的対応の問題点等々含めて御意見があればお聞かせいただきたいなというふうに思っています。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 今の御質問は、法は家庭に入らずですとか、警察の場合ですと民事不介入というふうなことが壁になってなかなかドメスティック・バイオレンスについて警察が対応しにくい、そういうふうなことかと思います。  ただ、現実にそこで暴力が振るわれて、刑法でいえば暴行ですとかあるいは傷害という犯罪が起こっているというふうな場合であれば、それはもう刑事事件として何らそのドメスティック・バイオレンスとそれ以外を区別する理由というのはないはずですから、そのような意味で、原則に立ち返って、別に特別なことをしてくださいということではなくて、ほかの事件と同様に扱っていただきたいというのがまず第一歩だと思います。  警察はそのような対応をするというふうな態度に公式見解としてはなってきているようですけれども、現場で果たしてそこが徹底されているかというと、まだまだそこは見ていかなければいけないところがあるのではないかというふうに思っていますので、現場でそれを実現していってほしいと思っています。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 私は法律の専門家ではございませんけれども、ドメスティック・バイオレンスが人の命や健康に深くかかわっているということでは、民事不介入というような壁は撤廃して、かかわれるシステムをつくっていただきたいというふうに切に願っています。  また、現行では、例えば加害者の男性からシェルターへ逃げた女性の人身保護請求というんですか、そういったものが出された場合に、シェルターのスタッフは何も女性を守るすべを持たないわけです。むざむざと女性がまた戻らざるを得ない状況に、帰さざるを得ないというようなことがございます。ですから、そういったことが起こらないようなシステムをつくっていただきたいと思います。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) お二人と共通するところが多いんですが、家族とか家庭というものに対するイメージをやっぱり少し変えないといけないと思うんです。家族はお互いに慈しみ合うものであるとか、子供はかわいがられるものであるという前提が事実上もう既に崩れて、そうじゃないことがたくさん起こっている。今までの法律も、それから出てくるいろんな行政の対処も家族というのを昔のイメージのままで持っているんだと思うんです。現実にそうじゃないということを知っていただくということが非常に必要なのではないかと思います。  ドメスティック・バイオレンスや性暴力は、単にこれだけの問題ではなくて、そういうことは子供の虐待にもつながっているし、例えばいじめられている子供の中には家庭でこういう問題を抱えている子供がたくさんあるんです。親がドメスティック・バイオレンスの被害を受けている家庭の子供というのはやっぱり精神的な問題をたくさん抱えます。そういう点では、いじめや今の子供の問題や社会全体の精神保健の問題にもこれは非常に大きく根幹でかかわっている問題なので、そういう目で見ていただきたいというふうに思います。

高嶋良充民主党・新緑風会

○高嶋良充君 ありがとうございました。

大森礼子公明党

○大森礼子君 公明党の大森礼子です。早速質問させていただきます。  最初の末広委員の強姦の質問のところで、被害者の方がどれだけ抵抗したかが要件になっている、確かにそうなんですね。  私は検事をしていた経験からいいますと、よほど激しく抵抗しないと強姦が成立しないように思われている節があるんじゃないかなと思ってちょっと一言申し上げるんですが、例えば暴行、脅迫といいましても、置かれた状況といいますか、例えばナイフを見せられたとか一発殴られたとか、もうこれだけで恐怖心が増しまして、これぐらいの要件でも強姦は成立すると我々はやってきましたし、それから侵入して強姦するような場合は、もう侵入自体が恐ろしいことですから、少々の言動があればするというふうになっていましたので、ひどい暴行、脅迫を受けない限り成立しないというのではないのかなという気がいたしましたので、ちょっと一言申し上げます。ただ、司法関係者の教育というのは私は必要だろうと思うんです。  実は、私、検事をやっておりまして、調べでも、それから公判の方でも特に強調しましたことは、例えばひとり暮らしの女性が侵入されて強姦被害に遭う、これが未遂であろうが既遂であろうが、自分の領域にその男が入ってきたこと自体がこれはもう怖いわけでありまして、そのときの被害の状況のみならず、こういう事件に遭いましたならば、その後例えば日常生活の中で物音一つしてももうおびえてそれがよみがえってしまうという、こういう後遺症が残るということを常に強調していたわけです。  それで、これは小西参考人の論文の中で、外傷後のストレス障害ということで非常に詳しく、ここにはいただいた資料の中で、「犯罪被害者のトラウマへの対応」という一九九七年十月十日の御講演の内容の抜粋があるんですが、要するに言いたかったのはこのことだったんだなと非常に納得しました。  それで、ここの部分はやはり男の裁判官の方とかにもわかっていただきたいなというふうに思うわけです。ただ、裁判官でも、男性の裁判官でも非常に女性以上にこういう女性の被害に対して敏感な方とそうでない方と何か極端に分かれるような気がいたしまして、そこが問題だなと思うんです。  それで、小西参考人のお話によりますと、お仕事の内容として、警察官とか司法関係者への教育とかこういうこともしておられるということなんですが、具体的にどういうふうなことをされておられるのか。それから、その要請の度合いとか、そういうことをちょっと簡単に教えていただけませんでしょうか。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 警察の方は、もう四年ぐらい前からになると思うんです。要するに、警察が被害者対策を始めたくらいから幾つかの、例えば警察官の教養の講座の中にこういう被害者についての被害者心理というものを組み込んでいただいて私が話しに行くという形式のもありますし、さっきちょっとお話ししましたように、かなり長い期間、三日ぐらい私の方で完全に請け負いまして、集中的にロールプレーなんかで教えていくというのもおととしからもう既にやっています。それは、性暴力被害対策の婦人捜査官や、それから犯罪被害者対策の警察の中の心理関係の職員、そういう方にやっていることが多いです。それ以外にも、例えば県警レベルで、とりあえず被害者対策についてお話しに行くということもたくさんあります。きのうも沖縄県警に行って話してきたところです。  その後、そういったほかの司法関係のところは、法務省はことしになって随分呼んでいただけるようになりまして、どこへ行ったか自分で忘れてしまいましたが、副検事さんとかそれから矯正の心理の方、それから保護観察官の研修とか、そういう法務省でなさっているいろんな現場の方の研修の中に、こういう被害者心理について話す時間というのをかなりとっていただいてはきています。ただ、これは組織的にというんじゃなく、みんな単発のが重なってという形です、まだ。

大森礼子公明党

○大森礼子君 裁判所関係はございますでしょうか。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 裁判所は、一度行きましたけれども、私の個人的な感想で言わせていただきますと、警察が一番進んでいて、裁判所が一番おくれているという感じがいたします。

大森礼子公明党

○大森礼子君 ありがとうございました。  昔、女性の精神科医の方とお話をしたときに、大森さん、強姦の犯人は死刑にすべきですと言うから本当にびっくりしたんですけれども。要するに、被害者の方がなかなか立ち直れない、よくなったかというともとに戻ってしまう、こういうお話も聞きましたので、ただ何年何月何日何時にそこで被害に遭ったというだけではなくて、障害状態というのがずっと続くということをやはり広く知らしめるべきではないかなというふうに私も思います。  時間がないので次の質問ですが、米山参考人にお尋ねいたします。  先ほど公的資金の助成ということについて触れられました。それで、私も法務委員会の方で、婦人補導院というのがございますね、八王子に。売春防止法の補導処分に規定してあります。そこで、実際あれは客引きとかやった女性で執行猶予がついた場合で、限定されておりまして、その条文というのはもう死文化しておるんではないかと。その施設については、聞きましたら、平成元年から十年の十年間で収容者が十名で、その間、十年間のかけた予算が六億九千二百五十五万円だという、一人当たり七千万円の規模になると。そこで、時代に適応しないものが残っていて時代が必要とするものが用意されていないのではないかと。こういう施設の転用、私はシェルターということを頭に入れまして、例えば女性人権センターみたいな、こういう施設の転用を検討すべきではないか、こういう質問をしたことがございます。  それで、こういうシェルターについてもやはり公的な施設というものが必要だと思うのですが、それについての御意見と、公的な施設にする場合に注意すべき点、こういうことがございましたらお教えいただきたいと思います。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 現在ある施設の転用ということで、受け皿がふえるということでは大変願ってもないことかと考えております。ただ、その際には必ず職員の研修というものをきちんとしていただきたいと思います。特に、婦人補導院の仕事の性質とシェルターを利用されるような方の性質というのが違うと思うんです。保護、救済という、助けてあげねばならぬというような上から見下すような態度というのは、非常に改めていただきたいというふうに思います。

大森礼子公明党

○大森礼子君 私が考えているのは、法律を改正して補導処分というのをなくして、施設がありますから、これを新たな女性人権センター、あるいはまたシェルターの使い方、こういうことをしたらどうかなという、ここまでちょっと考えているわけです。シェルターの場合は、いるところが知られるとまずいという点はあるかもしれませんが、ああいう施設でしたら公的な施設ですし、職員が公務員であれば、何か変なことをしたら公務執行妨害とかですぐ逮捕されるとかがありますので、その点はいいのかななんてことも考えるわけであります。  それから、これは米山参考人がおっしゃったことですが、女性に対する暴力は犯罪であるとの認識が必要であるということで、実は前回のこの調査会でも戒能民江参考人とのやりとりがあったわけなんですけれども、特に今度は強姦とかそういうことから離れますし、家庭内暴力になるわけですね、夫婦間とか。そういうときに、私なんかは、ともかく夫婦であっても暴行罪の構成要件に該当したら、例えば不法な有形力の行使があったら、全部被害届を出すようなことが定着すれば、これは渡辺参考人にお聞きしようと思います、定着すればそういう風潮もなくなるのかなと。それで、みんなが被害届を出すようにすれば、あそこの家庭だけが恥ずかしいということもなくならないかなと。そういう風潮をつくれば、少年たちに対する親からの教育にもなるんじゃないかなというふうな気がするわけなんです。  だから、一気にそこまで運動として持っていければいいんですけれども、現状ですと暴力に対して刑事罰で対応するということはいろんな問題が起きると思うんです。  それで、渡辺参考人に、弁護士さんの立場からして、こういう家庭内暴力、夫婦間の暴力なんかでも刑罰、処罰による威嚇といいますか、抑制というこの方法について有効なのかどうか、あるいは、ここをクリアすればこういう方向性へ持っていけるんじゃないかとか、こういう御意見ございましたら、ぜひお伺いしたいと思います。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 例えば、夫が妻に暴力を振るって、それで暴行事件できちんと妻が被害届を出したとしましても、例えば罰金幾らというようなことで終わることになってしまうと思うんです。そして、夫婦としてまだ完全に破綻しているわけではなくてやり直そうと思っているときに、それをやってどんなふうな結果が得られるのかというとなかなか難しいところが現実問題あると思います。ですので、そのような場合には刑罰という対応が効果的というふうには言い切れないものだと思います。そういう場合にはやはり、カウンセリングですとか、夫婦でやり直せるような方策がないと、刑罰だけでばんばんやっていけばいいというふうなことではないと思います。  ですが、妻の側が本当にきちんと告発していこうというふうな意思があるにもかかわらず、それを受けとめてくれないという状況が今あるわけで、告発する意思がある場合にはそれはきちんと刑事事件として取り上げていくということが必要なんだろうというふうに思います。

大森礼子公明党

○大森礼子君 そうなんですね。そういう問題点について前回、戒能参考人にも伺ってきたんですが、ただ現状としては非常に刑罰でするというのは難しいなと思うんです。  ただ逆に、やりにくいからこそ、男性の方がどうせしたってこんなのは許されるんだみたいな風潮にもなりまして、だからどこかで、女性、たとえ妻であっても暴行ということは犯罪になるんだという啓蒙とかそういう意味もありまして、そういうことを男性側に知らしめる必要があるのかなと、こういう気もいたします。  終わります。

八田ひろ子日本共産党

○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。  きょうは三人の先生、お忙しい中をお出かけいただきましてありがとうございます。  私の方からも、時間がございませんので、特にドメスティック・バイオレンスに関して幾つか教えていただきたいと思うんですが、御指名をしませんので、お三人の先生、それぞれ補足をしてお答えいただければと思います。  まず最初にシェルターのことを伺いますが、小西先生や渡辺先生の方からもお願いしたいと思うんです。  どちらの皆さんからも、公的なシェルターも民間のシェルターも非常に不足をしている、そしてシェルターというものだけでなく、カウンセリングのための専門職の皆さんやあるいは実質的にシェルターでなさっている物質的援助というのですか、受け入れ、これも非常に不足をしているというお話を伺いまして、私ども日本共産党の国会議員団も民間のシェルターや自治体の取り組みというので調査もさせていただきました。  北海道では、先ほどちょっと話題になっていました、民間とそれから公的な施設とがこういうパンフレットで駆け込みの電話相談ができますよというので民間のシェルターも載せられたら早速電話がパンクをしてしまうような状態で、私どもの伺っている間ひっきりなしに電話がかかってきまして、複数の電話があるようなんですけれども、留守番電話にしても足りないような状況があるんです。  実際にこういったシェルターが民間であるところはまだいいんですけれども、ないところの皆さんというのはどういうふうにされているのか。首都圏では地方と比べると連携もとられていて非常にいいと思うんですけれども、また北海道でもシェルターだけで五地域、六カ所、そのほかに道や市の相談窓口や施設があるんですけれども、そういう実情はどうか、ちょっと教えていただきたいと思うんです。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 地方のシェルターがないところの実情というのをなかなか私も存じ上げないんですけれども、地方のシェルターがないところから私どものシェルターに電話で相談がありましたり、あるいは地元ではないところのシェルターをはるばる出てきて利用されている方もいらっしゃいます。あと、逆に地元では危ないから地元のシェルターを使わないで、離れたところのシェルターを使われるという方もいらっしゃいます。  物質的援助の不足というところなんですけれども、ほとんど私どものシェルターではそういったものを寄附で賄っております。物質面でも寄附、物品を募ったりしてやっているんですけれども、そういった物品をストックしておくスペースがなかなかございません。事務所のスペースを活用しておりますけれども、それなりのスペースを都内で借りるとなりますとかなりの家賃がかかります。そういった家賃補助ですとか、あと人件費の問題ですね。特に人件費にはさまざまな助成金というのは使えません。こういった人件費を補助するような公的助成制度というものを確立していただけると、すべてのシェルターが力を得ていくのではないかなというふうに考えております。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) さっきからカウンセリングがないないと言っているんですが、ありそうな東京や大阪や幾つかのところでもない状況なんです。  例えば、これが地方に行きますと、実際には性暴力被害やDVの専門家はおろか、心理カウンセラーさえ満足にいないという状況なんです。こういう人たちが地方で個人的にだれかにかかりたい、お金を払ってもいいとおっしゃっても、なかなか供給がないというのが地方の状況だと思います。そういうところでは、お手紙をもらったりすることが私なんかもあるんですけれども、もうどうやって手を出していいかわからなくてそのままになってしまったりするケースもございます。  ですから、ケースとして発見することもまだなされていない地域もたくさんあるし、何にもそういうのができていないところもあると思います。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 米山先生のお話と重なってしまうと思うんですが、民間シェルターがないところでも婦人相談所の一時保護所という公的シェルターはあるわけです。ですけれども、余り使われていないところもかなりあるようです。それで、結局はあるところに来てしまうというふうなことだと思います。  例えば生活保護についても、現在地主義で柔軟に対応して、住民票がどうこうではなくて現実にそこにいるというふうなことで対応するところとそうでないところがございまして、要はそういうふうな柔軟に対応するところにやってきているのではないかなというふうに推測されます。

八田ひろ子日本共産党

○八田ひろ子君 そうしますと、民間のシェルターに対する援助も組織的というのですか、今そういうシステムがないということ。もう一つは、公的なシェルターというのが今お話しのように婦人保護施設ですと売春防止法の施設ということで、施設によっては柔軟にこういったDVの方も受け入れるけれども、そうでないところは受け入れないから利用者が少ない。そういうので私ども聞いているところでは、利用者が少ないから閉鎖するというふうなことも自治体によってはあるやに聞いているわけなんです。  先ほども法律のお話があって、新しい法律のもとでこういうものが必要だということもあると思うんですけれども、そういう公的な今あるものがDV初め緊急避難所になるように、実際になさっていてどんなふうにしたら、国や自治体にお求めになりたいかなというのを、現場から見るとどうなんでしょうか。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) それはもう職員の方々の研修をとにかく進めていただきたいということが一番にございます。  福祉事務所もそうですし、婦人相談員の方は比較的そういった研修の機会には恵まれているかと思うんですけれども、窓口での対応、それから保育の担当者の方ですとか、すべて対人サービスにかかわる職員の研修には必ずこういったことを一こま以上つけ加えていただきたいというふうに感じております。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 今のにつけ加えて、例えば専門で直接対人援助に当たる方だけじゃなくて、所長さんになる方に知っていただくことが非常に必要なんですね。ですから、そういう事務職の、割と二、三年のサイクルで変わる男性、男性と限るわけでは、済みません。でも割とそういう方が来ることが多いわけです。その人がわかっていないと下の者がほとんど働けないという状況になりますので、やっぱりそういうところにいらした方は全員その研修を受けていただくという形じゃないと現実に難しいと思います。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) とりあえずは要保護女子の範囲を広げてできるだけ活用していただくというふうなことでいいと思いますし、それもやむを得ないものだと思うんですけれども、やはり発想としては全然違うわけですね。ですから、そこの基本理念をきちんと据えていくということが重要だろうというふうに思います。

八田ひろ子日本共産党

○八田ひろ子君 本当に現場でもまたいろんなところで御苦労、実際に首都圏とか特別に進んだところに住んでいらっしゃる方は駆け込むことができるということを知っていらっしゃる方も多いんですけれども、地方へ行くと駆け込めるということが知られていない。テレビとか今新聞なんかでも時々出るものですから、ああ自分もそうなのかなと思っても、どこへ駆け込んだらいいのかわからないというのを地方でも聞くわけなんです。  私ども、きょうは調査のペーパーもいただいたんですけれども、公でやる実態調査、東京都がやったような調査もあるんですが、そういうような、何というか広い意味での実態調査なんかに御期待があるのかどうかをちょっと聞かせていただけたらと思うんです。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 私は、これはぜひやっていただきたいと思っています。被害の実態がわからないと、ドメスティック・バイオレンスについても性暴力被害についてもですが、言っているだけで本当にそれだけあるのかという疑問にやっぱりきちんと答えていくことができないわけです。現場をやっている実感としてはこれは当然あると思っているわけですけれども、やっぱりその全体の実情を知っていることが説得するために非常に必要なことです。ところが、これを自分でやろうと思うと、実際やってみてわかりましたけれども、とてもとてもお金がかかってできることではないので、ぜひ国で全国の実態調査をしていただきたいと私は強く思っております。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 同じですが、東京都の調査が非常に注目されましたね。あれは、今までそういうものがなかったから注目されたわけで、あるべきものがなかったということで注目されたわけですので、ぜひやっていただきたいというふうに思います。

八田ひろ子日本共産党

○八田ひろ子君 公の実態調査もない中でなかなか大変だというふうにおっしゃっているんですけれども、さっき被害者の方もそれからスタッフの方も非常に安全が保てないということをおっしゃったんですが、札幌なんかですと、婦人保護施設は公なものですからすぐ警察とも連絡をとったりして守ることができると言ってみえたんです。札幌市はそう言ってみえたんですが、実際には法整備かなんかが必要なわけなんですか、そのスタッフや被害者を守るということで、民間で。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) そういったこともあるかと思います。

八田ひろ子日本共産党

○八田ひろ子君 実際に、現実にはどういうふうに困っていらっしゃるのでしょうか。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 具体例を申し上げますと、バタラーの方がシェルターへ押しかけてきたときに、御夫婦だということがわかるとなかなか保護していただけないとか、あと、バタラーの方が警察関係の方だったというようなことですとかそういったときには、これは結構相談等は多いんですけれども、とにかく守り切れないということがございます。  それから、シェルターのスタッフが、何かそれこそ某宗教団体ではありませんけれども、自分の家族を何とかしようとしているのではないかというふうに暴力者の方から訴えられたり、非難されたりということも十分考えられるわけですね。

八田ひろ子日本共産党

○八田ひろ子君 先ほどそういった研修の面で、いろいろな部署での研修で警察は組織でいうと割と進んでいるんですが、裁判所関係が一番おくれているんじゃないかというようなこともおっしゃっていたんです。行政のいろんなところで研修をするということになりますと単発的に、先ほども例えば婦人保護施設の所長がかわるとそこの施設の内容が変わっちゃって保護を受けられなくなるということもあるんですが、そういういろんなかかわる人たちにきちんと認識を持っていただく研修というのはどんなふうにすると、ここが進んでいてここが進んでいないというのではなくて全体にそういうことができるのか、またそういう御希望、こういうふうにするとこうできるという御希望があるのかどうかをちょっと教えていただきたい。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 一つは、皆さん、皆さんというかそういう立場の人は新任研修というのをお役所で持っていらっしゃいますね。そこの中に必ず組み入れていただくというのが一つ必要だと思います。それはもう本当に多分理念だけのもので、携わっていない人たちにはその問題もよくわからないということもあると思いますので、あとはその現場に行かれる前に集中的に研修するとか、例えば警察の方なんかはもう常態としてそういう方と接触しますから、そういう意味では結構外国の警察ではあるんですけれども、一年に何日か必ずその研修に充てる、そういう部署にいる人はそういう研修に充てるというようなことも行われていて、そういう形も有効だと思います。  今、警察は進んでいるなんて言いましたけれども、全部の警察官の数からすれば今そういうものを受けていただける数というのは本当にちょっとの方なので、もっとそれは全警察官にきちんと、その警察の中で警察の被害者対策だけではなくて、こういう性暴力被害やDVについてその専門である人から話を聞いてもらうということをしてもらいたいと思います。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 小西先生の御意見につけ加えたいんですけれども、アメリカでは警察の方が民間シェルターのスタッフと連携して被害者対策を進めているという例がございまして、二十四時間体制でそれができているところがあるんですね。そして、それが被害者の方の迅速なサポート、ケアを進めるために大変有効であるという報告が出ています。民間シェルターのスタッフが被害者のアドボケート、代弁者という形でシステムとして動いているところがございます。

八田ひろ子日本共産党

○八田ひろ子君 私の時間が終わりましたので、本当はもっと伺いたいんですけれども、ぜひ頑張ってください。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。きょうは本当にありがとうございます。  まず、渡辺智子さんにお願いします。  レジュメの最後の「求められるもの」というところで、先ほど面会禁止等の仮処分に反する行為に対する制裁が間接強制しかないので不十分ではないか、何か立法の措置が必要ではないかとおっしゃったんですが、この点についてもうちょっと教えてください。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 先ほどのシェルターでの安全確保の問題とも少し関連するかとも思うんですけれども、今仮処分という方法で、例えば面会をしてはならないとか、架電、電話をしてはならないとか、あるいは職場ですとか学校の周囲に近づいてはならないとか徘回してはならないとか、そのような形での決定を得ることができます。これは制裁の点で不十分だという問題があるんですけれども、やれば一定の効果は出ています。ですが、その決定が出ても守らない人もいるわけです。  先日の新聞で見ました例でいえば、猿之助さんにストーカー的なファンがつきまとった場合、あの場合は仮処分は出ていたけれども守らなかったがために本裁判にもなったというふうなケースだと思います。そういうふうな場合に、例えば仮処分に違反した行為を刑事罰のある違反、違法行為というふうな形で設定して、その違反行為があったことについて警察が動けるような形を検討していくべきではないかというふうに考えています。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 ここは立法機関なので、暴力について立法的に何かできないかということを検討中なんですが、きょう暴力についてあるいはドメスティック・バイオレンスについてそれぞれいろいろ教えていただいたんですが、女性に対する暴力禁止法みたいなのをつくった方がいいのか、ドメスティック・バイオレンス禁止法をつくった方がいいのか、その点についていかがでしょうか。渡辺さんお願いします。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 今の御質問は、幅広く女性に対する暴力禁止法をつくった方がいいのか、それともドメスティック・バイオレンス法というふうにある程度焦点を絞った方がいいのかという、そのような趣旨ですか。  具体的な立法の形をどういうふうにすべきかというところについて私が御意見を言えるほどのものは持っていないんですけれども、まず一つは、今の刑法での性暴力に関しては性的自由の侵害というところをきちんと見据えた上での新しい法律というのが必要ですから、そこは新しい立法が必要だと思います。  それから、ドメスティック・バイオレンスについても新しい法律が必要だと思いますが、それはそれぞれやはり違うところがあると思いますので、それぞれ対策として目的を明確にした上でつくっていったらいいのではないかと思いますが、じゃそれが一緒だとだめなのかということになりますと決してそうではないと思いますので、それはこれから御検討いただけたらというふうに思います。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 先ほど小西さんが海外の調査をされてカナダとスウェーデンがすぐれているとおっしゃったんですが、こういう点は非常に学べるのではないかという点があったら具体的にもっと教えてください。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 私が自分で参りましたのはスウェーデンですのでちょっとスウェーデンのお話をしますと、正直言って余りにも進み過ぎていて、日本の状況と違い過ぎていて、例えば性暴力に対する刑法上の扱いですとかそういう被害を受けた女の人の処遇とか、そういうことについてはもう二十年あるいは三十年前からやっているんですね、スウェーデンは。そういうことの積み重ねの上に去年DVについて刑事罰を科すという刑法の改正があったわけで、余りにもちょっと進み過ぎていて役に立つというところには、むしろスウェーデンの昔の歴史をちょっと知るべきじゃないかなと思うところがありました。  スウェーデンでは、例えば国会議員も四〇%とか五〇%女性がいて、今回刑法改正を含むDVに対するいろんな総合的な対策を立てた大臣たちのグループは労働省と厚生省と法務省だったと思うんですけれども、その三大臣とも女性なんですね。そういう中で行われている審議というのは、多分私たちが思うのと全然違うのかもしれないとは思います。でも、そういう点で、やっぱり立法の場所でもそれから現場でも、例えば警察官の中にも女性の数がふえるということは一つすごく基礎的なこととして大きいことだとは思いました。  それから、カナダはDVに関しては非常にちゃんとした全国的な調査を行っているんです。性暴力被害については、これも言っておかないといけないと思いますが、たくさんの国が全国的な調査をもう既に行っております。被害調査をやっています。でも、DVについては今までなかったのが、カナダがやったのはかなり大きな調査で、これはほかの国も関心を持って見ているようなんですね。そういう点では、いつもアメリカの陰にあるようだけれども、非常に独自の対策を打ち出しているという点で学ぶべきことが多いというふうに思いました。  済みません、ちょっと具体的にならないんですけれども、いろいろ資料を持って帰りましたので、また何か出せれば出したいと思います。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 ドメスティック・バイオレンス法をつくったときに、これだけは盛り込んだらいいんじゃないかというようなことをそれぞれの御経験の中からちょっと教えていただけますか。一言ずつお三方にお願いいたします。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) 私は先ほどちょっとお話ししました、今仮処分という形ですが、それとはまた別ということでも構わないんですけれども、面会禁止等の裁判所が出した決定、命令に対しての違反行為に対する刑罰等の制裁を設けるという、そういう規定が必要だというふうに思います。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 私は専門ではないのでよく自分ではわからないのですけれども、例えば虐待の場合に周りの人間の通報義務というのがあったりしますね。先ほどから言っているような重いケースの場合はかなり積極的な介入が必要なので、例えばそういう場合にはむしろ警察官が違法でなく介入できる限度を定めるとか、そういうことも必要なのじゃないかなと思います、それが法律で必要なことかどうかは私はちょっとわかりませんが。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 私も、小西先生のお話とちょっと重なる部分なんですが、専門家がドメスティック・バイオレンスに関係する相談を受けた場合に、それを通報しなかったら違反の対象になるというようなそういった項目までが盛り込まれると、もう少し専門家の力量というものが有無を言わせず高められるのではないかなというふうに考えます、かなり難しいかとは思いますが。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 ただ、弁護士の場合は、離婚の相談を受けて必ず通報義務があるとなるとちょっと難しくなるかなというふうにも思うんですが、その点いかがでしょうか。渡辺さん、いかがでしょうか。

渡辺智子弁護士

○参考人(渡辺智子君) そう思います。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 今のはただ希望があって述べただけで、むしろDV法をつくること自体がすごく大変だと思うんですね。  どちらでもいいんですけれども、やっぱりちょっと法的な根拠がないとなかなか施策も動かないわけですので、何らかのこういう女性に対する暴力に関して法的な枠組みができればいいと、それが私の希望です。

福島瑞穂社会民主党・護憲連合

○福島瑞穂君 終わります。どうもありがとうございました。

入澤肇自由党

○入澤肇君 先ほどいろんな説明をいただきまして、ありがとうございました。  そこで、まとめて質問しますけれども、一つは性暴力について。ケースが例えば極悪な例、これについて、通り魔殺人による被害者救済法がありますね、救済制度。こういうものが強姦とか何かの事件に対して類似の法律制度をつくるようなことは考えられるかどうか、考える場合にはどんな要件が必要かということがまず第一点。  二つ目は、今までのいろんな御経験からして、どうしたらこの性暴力を防ぐことができるのだろうか。防ぐためのマニュアルみたいなものが考えられたらそれを教えてもらいたい。  三つ目はドメスティック・バイオレンスについて。民事不介入との関係で、今までの経験の中からエッセンスを抽出してミニマムスタンダード、こういう場合には民事不介入じゃなくて直接警察が行動を起こしていいというふうな基準がつくれるかどうか。  この三つについて、それぞれから教えていただきたいと思います。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 一番目は、多分私が一番近いところにいると思いますので、私からお答えいたします。  犯罪被害者給付法のことだと思いますけれども、これについては当然さまざまな暴力犯罪についてもすべてやはり対象にすべきではないかということが被害者救済というか被害者対策の面では言われているわけで、私もやはりもう少し範囲を広げるべきだと思っています。ただ、現実の議論としては、今、殺人事件の中でさえいろいろリミテーションがきつくて、本当にもらうべき人がもらえていないということがあります。  強姦被害については、もしそこまで広げるとすると、これは給付の財源を変えなくてはいけない。税金ではやはり無理な金額というのがあって、アメリカのカリフォルニア州の例なんかでは罰金なんかを財源としてこういうお金を出しているわけですね。そういう形にしないとなかなか広げることが難しいというのは言えると思います。  性暴力被害の場合に一つ問題は、事件化する人はすごくまだ一部なんだということがこの場合には問題にはなると思いますけれども、方向としてはそういう方向は進めていただきたいなというふうに思います。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) 三番のミニマルスタンダードというところですけれども、ちょっと私よくわかりません、正直申し上げると。ただ、警察が介入しようとしている場面に、暴力を受けている妻が夫をかばって明らかに暴力があると見えている場面でも訴えない場合もあるわけですね。ですから、ある程度の基準というものは必要だと思います。妻が何と言っていても介入していいという、そういう条件は必要であると考えています。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 二番目の性暴力被害のマニュアル、これは防止のためのということですか。  被害者のためのマニュアルは先進諸国にはたくさんありまして、私どももそういうのをまねしていろんなものをつくったりはしています。分厚いマニュアルではありませんけれども、それはいろいろな女性のための民間の団体がつくっています。警察は警察でつくっていらっしゃいますし、幾つかぽつぽつできてきてはおります。

入澤肇自由党

○入澤肇君 例えば、非常に野方図なポスターとかあるいはテレビの番組だとかそれから雑誌の写真だとか、こういうのが性暴力を助長しているところがあるんじゃないかという感じがするんです。今、JALでもANAでも飛行機はそういうふうな写真を掲載している雑誌は乗せていませんね。  要するに、どうしたら防止できるかあるいは件数を少なくするかということについて、被害者がみずから自覚してやるべきことと、それから社会全体でそういうところについて抑制的な行動をとることによって助長を防ぐと。その後者については何かお考えがございますか。

小西聖子東京医科歯科大学難治疾患研究所助教授

○参考人(小西聖子君) 基本的にきょうお話ししたようなことが社会全体の共有の知識になれば随分違うというのはあるわけで、そうだとすれば、今までは比較的対人援助をやる人たちに限った話をしてきましたけれども、もう少し社会に広く今言ったようなことを啓蒙していくということも十分意味があると思います。例えば、職場というのは性暴力にしてもセクシュアルハラスメントにしても起きる現場でもありますから、会社単位でそういう教育をしていただくというのも非常に意味があると思います。  ただ、どちらかといいますと、ここにいる者はもう実際に当たっていてそれで精いっぱいになっているもので、そういう広いところまで目に見えていないというか、そういうところもあるかなと今お話を聞いて思いました。

入澤肇自由党

○入澤肇君 最後の質問ですが、シェルターの制度を強化するために保護システムの整備が必要であるということをさっき言われましたけれども、どんな内容の法律整備あるいは制度の整備ということをお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

米山奈奈子アディクション問題を考える会代表

○参考人(米山奈奈子君) まず、シェルターへ逃げた女性が夫のもとへ戻る意思がないときにはそれが尊重されるということ、そして暴力者から人身保護請求みたいなものが出た場合にもそれにそのまま沿わなくていいというような制度、そういったものがぜひ欲しいというふうに考えています。ですから、シェルターのスタッフも暴力者から身を守られるし、シェルターを利用された方はもちろん暴力から逃れる権利があるということを盛り込んでいただければというふうに考えております。

入澤肇自由党

○入澤肇君 終わります。

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  ありがとうございました。(拍手)  参考人の方々は御退席されて結構でございます。     ─────────────

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についてお諮りいたします。  男女等共生社会に関する実情調査のため、委員派遣を行いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員、派遣地、派遣期間等の決定は、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  共生社会に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人の出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十六分散会

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