外交・防衛委員会 第11号
- 発言数
- 137 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1999/04/27
会議録
○委員長(河本英典君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十五日、江田五月君が委員を辞任され、その補欠として簗瀬進君が選任されました。 また、去る二十日、簗瀬進君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。 また、去る二十三日、山崎力君が委員を辞任され、その補欠として高橋紀世子君が選任されました。 ─────────────
○委員長(河本英典君) 所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件及び所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を便宜一括して議題といたします。 三件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○依田智治君 自由民主党の依田智治でございます。 二重課税防止のための租税条約、今国会に四本出されておるわけですが、韓国関係は衆議院、その他三本は参議院という、全く同じ種類の法律が別々になっているというのはこれはおかしいことだなと、これは国会のことなんですが、ちょっと考えなきゃいかぬという感じがします。 私は、初めてこの租税条約なんというのを読んでみたわけでございますが、韓国も含めて同じ哲学の中でできている改正案等でございますので、私の頭としては四本を一括したような形でいろいろ質問させていただこうと思いますので、よろしくお願いしたい。 第一点は、今回読ませていただいて、韓国とマレーシアは大分古いから全面改正だと、カナダ、スウェーデンは部分改正と、こういうような形になっております。四十四カ国締結しておるようですが、一覧表を見させていただくと、六七年ころできたのがまだそのままになっているところというのもありますし、ばらばらだなと。それぞれの国とバイの関係で租税制度等をにらみながら合意して、条約をつくっていくというのは大変なことだなという感じがまず第一としてあるわけでございます。 日本国憲法でも三十条に国民の納税の義務というのはあり、税を徴収するということは国家の大変な主権であるというようなことを考えると、なかなか税という問題について一括した何か租税条約というようなもの、基本法というようなものもつくって、そして経済のグローバル化等が進展している中ですから、公平なルールのもとでやっていくというようなことが大変重要じゃないかというような感じもします。一方、いろいろ専門家から話を聞いてみると、それぞれの国の税制度というのは物すごくふくそうしているのでそういうわけにいかないと、こんなことでございました。 現在、日本も加盟しているOECD、これがモデル条約をつくっており、さらに国連は国連モデルということで開発途上国の援助的な思想を含めたモデルをつくっているということでございます。こういう今後の新しい時代、これからのグローバル化の時代に対応して、これは外務省が窓口になってやっておられるわけでございますが、地域のそれぞれの担当のところが大使館を通じていろいろやったりして、その全体を外務省も掌握しながらやっているようでございます。 こういう二重課税防止のための租税条約というようなものの改正も、何十年以上ほったらかしになっているようなところもあるわけでございますので、こういう問題に対する今後の取り組みというか、そういうものに対する基本的な考え、専門の大蔵省の方も来ておられますが、外務大臣、最初に私は読んでみてこれは大変なものだなと、非常にばらばらになっているなという印象なんですね。 この点について、政府としてはどんな感じで今後取り組んでいくのか、その点をまず概括的に外務大臣にお伺いして、あと若干専門的にもし補足があれば大蔵省の方からお伺いしたい。
○国務大臣(高村正彦君) それじゃ専門的でない部分をお答え申し上げます。 租税条約の目的は、国際的な二重課税を回避することにより、両締約国間の資本及び人的資源等の円滑な交流のための下地をつくることにあります。したがって、我が国は、委員御指摘のように、我が国企業の国際的な活動を側面的に支援するとの観点からも、我が国との経済関係が深い国を中心になるべく多くの諸国との間で租税条約を締結することを方針としてきております。政府としては今後もこの方針のもとに努力していく考えでございます。
○依田智治君 大蔵省はいかがですか。
○政府委員(福田進君) 今、先生御指摘のように、経済のグローバル化に伴いまして租税条約の内容をある程度共通化することのメリットはあろうかと思います。現にOECDモデル条約が今御指摘のようにそのような役割を果たしてきていると考えております。 しかしながら、租税条約は、基本的には二つの国の間でそれぞれの税制が適用されることによって発生いたしますいわゆる二重課税を排除いたしますとともに、両国間の課税の真空を防止する目的で締結されるものでございます。 このように、租税条約の締結に当たりましては、各国の税制の違いや両国の経済的な関係を十分に踏まえる必要がございますことから、基本的にマルチよりもいわゆるバイの交渉になじむものと考えられるところでございます。例えばEUのように、かなり経済統合の進んだ国々同士でも租税条約はバイで結ばれているところでございます。
○依田智治君 この各国締結状況一覧表というのを見せていただくと、六七年に締結したままというのがありますし、経済関係等で非常に密接なアメリカあたりは一九七一年に、ほぼ三十年前にやった古いのが適用になっている。いろいろそれぞれの国の利害とかその他もあってこういうことになっているんだと思うわけでございますが、こういう古いところはやはりそれぞれ理由があってそのままになっているんだろうと思うんですが、そのあたりはいかがでございますか。
○政府委員(小松一郎君) 効果的な二重課税の回避のためには、租税条約が両国の税体系や双方の国の企業の活動の実態などを十分に踏まえたものであることが重要であると認識してございます。 委員御指摘のとおり、既に締結済みの条約につきましてもこういう観点から随時見直しをいたしまして、必要に応じ所要の改正を行い、それらの条約が両国の税体系や企業の活動の実態等に沿ったものであり続けるようにすることが重要であると考えております。 政府としても、かかるこのような見通しを踏まえまして、改正を通じて効果的な二重課税の回避のための枠組みを維持するように努めているところでございます。今回、国会に提出しております四本の条約はいずれもそのような観点から見直しを通じまして改正が必要であるとの判断に至ったものでございます。 政府といたしましては、今、委員から御指摘のありましたなるべく古いものについてはよく見直すべきではないかという点も十分考慮いたしまして、今後とも両締約国間の資本及び人的資源等の円滑な交流のためのよりよい素地を構築するために、経済関係を中心とする我が国と相手国との二国間関係などを総合的に勘案の上、締結済みの条約についても随時改正を検討する方針でございます。
○依田智治君 一覧表を素人なりに見てみて、なかなか統一というのは難しいんだなという感じもしております。やはりもう三十年、四十年たっているようなものは、できるだけ現在の方式にマッチするような方向に持っていく。将来的にはグローバル化の進展の中で、こういうものの基本的な条約をつくり、例外はそれぞれでまたやるというような、そういうシステムの確立が必要じゃないかと、こんな感じがしておりますが、これは指摘だけにとどめておきます。 せっかくこの条約について質問をする機会を得ましたので、細かい点ですが一点だけ。みなし外国税額控除制度ということで、外国、開発途上国なんかが自分の経済発展を促進するためにいろいろ経済特区を設けたり、投資してくれたのは減税する。そうすると、日本の税制では相手の国で払った税額を申告するので、せっかく他の国で減税してもらっても、日本でごぼっとかけられるということでは余り意味がないということで、実際上は減税してもらった分はその国で払ったことにみなすということで、我が方はそこの部分について税をかけないという、そういう制度。ある意味においては、間接的に途上国を税という立場から支援しているという制度だと思うんです。 今度の韓国、マレーシア、カナダ、スウェーデンを見ますと、カナダ、スウェーデンは既にそういう制度はない。ところが現在、韓国、マレーシアについてはそういう制度があるけれども、それぞれ韓国、マレーシアも相当経済も進んできておるので、韓国については二〇〇三年までに制限し、マレーシアについては発効後七年目まで制限ということで、今回の全面改正で何年か後にはこういう制度をなくそう、こういうシステムになっているようでございます。 そこで、この国についてはいつごろまでやりましょう、この国についてはまだ続けましょうという、例えばGNPパーキャピタがこのぐらいに達した国はもうやめるとか、何かそういう基準があるのかという点が第一点。それぞれ途上国の援助というのはこういう問題以外に総合的にいろいろ資金協力その他やる問題だと思いますが、こういうみなし控除制度というものについての今後の我が国としての考え方、このあたりはどんなふうに考えているのか。
○政府委員(小松一郎君) みなし外国税額控除制度につきましては、税制上の妥当性という観点から大蔵省の方から補足の御答弁があると思いますけれども、まず条約締結についての基本方針という御質問でございましたので、まず外務省の観点から御答弁を申し上げたいと思います。 先生が御指摘のとおり、みなし外国税額控除という制度は、相手国、開発途上国が行っております投資等を促進するためにとっております税制上の優遇措置というもののインセンティブと申しますか、そういうものを一方的に減殺をしないという観点から認めている制度でございまして、他方、先生の御指摘のとおりに、控除を認める分だけ我が国の税収が減るわけでございますので、その意味で間接的な意味での経済協力と申しますか、援助という側面があるわけでございます。 そのような性格を踏まえまして、私どもといたしましては、みなし外国税額控除を認める場合にその対象範囲を合理的な範囲にとどめることは当然であると。我が国といたしましては、新規に租税条約を締結する場合はもとより、既存の租税条約につきましても、相手国側の途上国の経済発展の段階、経済の状況に応じましてみなし外国税額控除の供与の適否について慎重に検討をしている次第でございます。 また、今回のような条約の改正交渉におきましても、みなし外国税額控除の継続供与の是非について見直しを行うということにしている次第でございます。今後も必要に応じて見直しを行っていく考えでございます。 基準は何かという御質問でございますが、特に相手国の経済が相当の発展段階に達している場合には、開発途上国に対する経済協力という政策的配慮、そういうものから認められておりますこの制度の合理性が失われるということを勘案する必要があると考える次第でございます。したがいまして、国によって経済の発展段階や事情が異なる点も考慮する必要があるとは存じますけれども、一般的に申し上げますと開発途上国とは認められなくなった国に供与しているみなし外国税額控除については見直していくという方針で対処してまいりたいと存じます。
○政府委員(福田進君) 先生お話しのように、現在締結しております四十四の租税条約のうち、いわゆるみなし外国税額控除制度は十九の条約で認められております。この中で期限を設けているのは五つの条約でございます。今御指摘のマレーシアについては、今回新たに期限を付すこととしたものでございます。 我が国は、租税条約の締結交渉に当たりまして、このみなし外国税額控除につきましては基本的に慎重に対応することとしております。すなわち、みなし外国税額控除は原則として付与しないこととしつつ、仮に相手国たる開発途上国から強い要請があり、真に経済協力に資するとの観点からこのみなし外国税額控除の付与がやむを得ないと考えられる場合においてのみ付与することとしているところでございます。 このような場合でも、できる限り対象範囲を限定したり、あるいは期限を設けることを基本方針としているところでございまして、このような方針はOECDの考え方とも一致しているところでございまして、我が国としては今後ともこのような考え方を維持していきたいと考えております。
○依田智治君 あと一問、この税に関連して。やはり税源をしっかり把握して、それに対して取り決めた租税条約の中身をぴしっとやっていく必要があるという感じを持っておるんですが、今情報通信の発達でインターネットなんかを通じてのビジネスというのは盛んになってきているというような点から、こういうのに対応してしっかりと取引を把握し、こういう条約の的確な運用というような問題が極めて重要だと。恐らくOECD初め、そういう点でもしっかり研究していると思います。この点、将来の新しい時代の変化への対応を怠りなくしっかりやっていただくように、これは要望しておきます。 最後に、アジア局長。マレーシアの租税条約の問題もございますが、やはり一昨年の夏のアジアの通貨危機以来、インドネシア等はまだ相当な状態にありますし、これはアジアではありませんが、ロシアあたりの経済というのも非常に深刻な状況にあるというようなことでございます。韓国、タイあたりはIMF等の指導もあり、大分回復しつつあるということなんですが、アジア経済の現状というか、この状況に対して我が国としてはどのように認識して、今後どういう対応策を講ずるか、この一問をお伺いして私の質問を終わりたいと思います。
○政府委員(阿南惟茂君) 一昨年のタイのバーツ下落に端を発しましたアジアの通貨危機、いろいろ各国によって事情は違いますけれども、総じて申し上げますと、一応金融面で落ちつきを取り戻しているということが言えると思いますが、まだ経済の実態面では非常に厳しいものがございます。 先生御指摘のインドネシア等につきましては、例えば昨年、経済成長率がマイナス一三・七%、インフレ率が七七・六%という非常に悪い状況でございまして、これに対応するに当たって、ともかく九九年度はマイナス成長率だけは防ごう、ゼロにしようというようなことで、インドネシアも努力をしていると思いますし、マレーシアなんかもやはりマイナス成長ということでございましたので、各国、実体経済面では非常にまだ難しいものがございます。 我が国の対応は、先生御案内のように世界最大規模の総計八百億ドルに達するアジア諸国への支援をやっておりまして、既に六百四十億ドルが具体化して着実に実施されておりまして、これはアジア諸国からいろんな機会に高い評価を受けております。今後とも、我が国の経済も難しい状況ではございますが、さらにできる限り支援の面で努力していきたい、こう考えております。
○依田智治君 本当にアジア全体の経済が安定し、もっともそのもとには日本経済の安定ということが大変重要だと思いますが、今後とも引き続き努力していくようにお願いしたいと思います。 時間が早いですが、終わります。
○木俣佳丈君 民主党・新緑風会の木俣でございます。 きょうは四月二十七日でございます。去年の四月二十八日にガイドライン法案が上程されたというふうに先ほど伺いました。衆議院通過おめでとうございます。ただ、衆議院通過でございまして、参議院の方では、我々民主党の方としても本当に節度ある改定ということをしていきたいというふうに思っておりますので、また御配慮を賜りたいと思います。 私は、選挙で地元を回りました。この件についてそのときに聞かれたのが、委員の方々にも恐らく耳に入っておると思いますけれども、米国の言いなりじゃないか。つまり、アメリカに行くから、そこを基準にして何か法案が修正されて決められていく。そういう態度に、本当にこれでいいんだろうかというような意見が多数ありましたものですから、外務大臣に質問する予定ではございませんでしたが、そのあたりというのは、ちょっとこれから離れますけれども、どのようなイメージをお持ちなのか、冒頭に伺いたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) お祝いを言っていただきましてありがとうございました。参議院では御党の対応に極めて期待をしておりますのでよろしくお願い申し上げます。 衆議院の特別委員会で九十三時間審議をいたしまして、私はある野党の方から、これだけ時間をもらったんだけれどももう質問することはないんだとか、そういうお話も聞いたことがあります。それがすべてだとは言いませんが、かなり審議もしたと思っております。そういう中で、委員も触れられたように、ちょうど提案一周年の時期にくしくも衆議院を通過することになったということで、何が何でもアメリカに行くからという、そういうふうにとらえられなくともいいのではないか、こういうような感じを持っております。
○木俣佳丈君 ありがとうございました。 租税条約ということでございますけれども、今のお話もさようでございますが、まず第一番目に、外交または防衛というのは我が国の利益というのを大前提にしながらその延長上で世界の平和に寄与するということが大変肝要ではないかなというふうに思うわけでございますけれども、もう一問だけ。 外交・防衛委員会に所属させていただいておりますが、外交が決裂したときに防衛の方に発展するというふうな考え方でよろしいんでしょうか。外交と防衛の関連について、外務大臣から一言いただけますでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 私たちは日本の平和と安全を守るために平和外交努力とそれから日米安全保障条約、節度ある防衛力、これは平素から一体としていくわけで、もちろんすべて日米安保条約あるいは自衛隊によって自衛権の発動というようなことがなくて済むのが一番望ましい、こういう感じを持っておりますが、逆に、ふだんからそういうことをきっちり整備しておくことがまた平素からの外交努力にも資している面もあるわけで、そういった全体的にとらえる必要があるかと思います。 委員御指摘のように、平素の外交努力が大変重要であるということは十分認識しているつもりでございます。
○木俣佳丈君 特別な質問に対しありがとうございました。 それでは、租税条約に移ります。先ほども同僚議員から御質問がありましたものですから、幾つか抜きまして、マレーシアに焦点を絞りまして質問させていただきたいと思っておるわけでございます。マレーシアは昨年かなりのマイナス成長だというふうに記憶しておりますが、どのぐらいであったかちょっと教えていただけますか。
○政府委員(阿南惟茂君) マレーシアは昨年は六・七%マイナスということであります。
○木俣佳丈君 ありがとうございました。 今回の租税条約というのは、先ほどの外交の中に入りまして、特に民間企業の進出にとっては非常に大事なものだと考えるわけでございます。民間企業がどんどん外へ出ていく、特にアジアが最も多いわけでございますけれども、そういうときに非常に二重課税の防止ということは大きく役に立っていると思うのでございます。例えば企業にとっては関税であるとか、その他大きな柱としては幾つかあると思うんです。例えば、今挙げた関税とか租税条約、それから投資保護協定その他、重要であるというような御示唆はいただけますか。これは重要である、大きな柱としてこういったものがありますよというのを御提示いただけますか。
○政府委員(小松一郎君) 先生から今御指摘ございましたように、経済活動が相互に両方向で交流が進むということがやはり日本のためだけではなくて相手国ひいては世界経済全体のためにも非常に重要なことではないかということを認識しております。 今、先生の御指摘にございましたように、二重課税防止条約、このようなもので、これはもちろん二重課税を完全に排除することはできないわけでございますけれども、そういったなるべく国際的な二重課税を排除する法的枠組みをつくるということで、法的な安定性、そういったものが企業進出に当たりましても安心感を与える、こういうことが重要であろうかと思います。 また、先生の御指摘にございました投資保護協定でございます。今国会におきまして、ロシアそれからバングラデシュでございますけれども、提出させていただいておりまして、また御審議をお願いしたいと思っている次第でございます。これも条約を結びましたら直ちに、投資は民間企業がみずからの収支判断に基づいて行うものでございますので、直ちに促進されるということにはならないかと存じますけれども、やはり投資が行われやすい環境を確保する、そういったものを法的な枠組みをつくることによりまして法的な安定性が与えられるということが非常に重要であろうというふうに考える次第でございます。 また、投資の問題につきましては、御案内のとおりWTOのこの前のウルグアイ・ラウンドの交渉の中でも、貿易関連投資措置の協定等我が国も締結してございますけれども、そういった意味で、WTO等の場においても、今後国際的な努力が行われていくものと考えておりまして、そういうものに日本国としても積極的に参加していくことは重要であろうかと考える次第でございます。 あともう一つ、これは条約とは直接関係がございませんけれども、例えば日本に外国の企業が進出するといったような場合に日本の投資環境とかいろんな事情につきまして情報をやはり外国企業が欲するのかなという気がいたしまして、例えば私どもが世界各国に張りめぐらしております在外公館のネットワークを通じまして、そういう対日進出の関心があるような企業があれば積極的に情報を提供する、広報努力を行うということによってそういった経済活動を促進していくということも大変重要なことではないかと認識しております。
○木俣佳丈君 ありがとうございました。 ちょっと横道にそれるかもしれないんですが、今御指摘があった中で、人、物、金で、物、金の流れというのは今あるんですが、もう一つは人だと思うんです。投資をする中で、または対外投資を受ける中でビザの問題というのがあります。例えばイランとかその他何カ国かあったと思うんですが、レシプロで、要はビザなしで入ってこれるような国というのは今どこがありますでしょうか。
○政府委員(小松一郎君) 大変申しわけございません。今、手元にその資料を持っておりませんので、先生の質疑が終わるまでに至急問い合わせをいたしましてお答えしたいと思います。
○木俣佳丈君 みなし外国税額控除について質問をしたいと思います。 先ほど、マレーシアではマイナス成長ということでありましたけれども、一応、あと七年間ということでサンセットする、つまりそういった優遇措置というのが終わるというふうに考えるわけですが、それでよろしゅうございますか。
○政府委員(小松一郎君) そのとおりでございます。
○木俣佳丈君 七年後というのは、二〇〇六年、七年ですかね。
○政府委員(小松一郎君) 若干細かいことになりますが、この改正後の協定に、みなし外国税額控除の適用期間を協定が発効いたしました年の翌年の一月一日から七年後に制限をするということになってございます。今国会で御承認をいただきましたらなるべく早く締結を完了したいと思いますので、そうすると、その翌年ということで、来年の一月一日から七年後ということに相なろうかと存じます。
○木俣佳丈君 先ほども同僚委員の方から御質問があったかと思いますが、租税協定のバイラテラルな関係というのは、相手国をある程度以上のレベルの法整備のされた国と見ているということを聞いたことがありますが、それでよろしゅうございますか。
○政府委員(小松一郎君) 何分にも異なった税体系、税法の体系を持っております国同士で二重課税を防止するために現実の税務を処理するということでございますので、税法の面でかなり整備されておりまして、やはり共通の土俵があるということが条約を締結する大前提になろうかと存じます。
○木俣佳丈君 そうしますと、二〇〇七年にマレーシアを、言ってみれば先進国並みの扱いをしていいんだということではないかと思うんです。そうしますと、マレーシアは、マハティールさんが二〇二〇年に先進国入りをするんだということをよく言っていますね。それから、先ほども申されたような、昨年のマイナス六・七というマイナス成長ということをかんがみると、ちょっと時期尚早という感じがあるわけでございますが、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。 つまり、マレーシアの場合は、皆さん御案内のとおりで、政策変更が非常に急にされる。例えばリンギットの話もそうでございますね。三・八で固定というのをぱっとされる。それからまた、これは人種の問題というふうに言っていいと思いますけれども、マレーそれからチャイニーズ、中国人、そしてまたインド人、インド系の比率というように、人種問題にも発展する可能性があるというふうに言われている国だと思うんです。ですから、そういったことをいろいろ考えたときに、今ここで七年後にやめるというふうに発表するというのは、先ほど申しましたように、我が国の利益になるのかなというふうに思うのですが、いかがですか。
○政府委員(小松一郎君) 先ほどから御議論になってございますみなし外国税額控除でございますが、開発途上国における経済開発促進のための租税上の優遇措置を一方的に減殺しないという観点から経済協力的な意味を込めて行っているものでございますが、他方で、先ほど大蔵省の方から御答弁がございましたように、税の公平といった課税の基本原則といった観点も踏まえる必要があるというふうに考える次第でございます。 したがいまして、この対象となる国や優遇措置を合理的な範囲に限定いたしまして、また租税条約におけるみなし外国税額控除の規定自体を基本的には時限的なものとする、無制限なものとはしないということなど、今後とも一層の見直し、縮減の努力を継続する必要があるというふうに基本的には認識しております。 このことは、実は平成八年十一月の政府税制調査会法人課税小委員会の報告にもこの趣旨が含まれていると承知しております。 マレーシアにつきましては、現時点では、先生も御指摘ございましたように、経済開発に対する支援が必要であると考えるわけでございますけれども、近い将来こういったレベルを脱する可能性もあるということで、無制限にみなし外国税額控除を認めることは適切でないと考えられたため、交渉をいたしました結果、先ほど御答弁いたしましたように、七年間に制限をしたというわけでございます。 いずれにいたしましても、経済協力に関する基本的な考え方というのは、やはり相手国の自助努力を側面から支援をするという側面がございますので、ある程度十分な期間を与えまして、その間に自助努力を促していくということが経済協力的な意味からも妥当な政策ではないかと考える次第でございます。
○木俣佳丈君 今、まさに援助の大前提の自助努力という日本の理念が示されたわけですけれども、雁行型の経済発展で進んできたアジアの国にあって、今、平成八年のときと状況が大分違うということは間違いないと思うんです。実際、平成八年のときには一ドルが三・八リンギットに固定されていたかというと、それはそうではなかった。ですから、そういう意味で、もうちょっとアジア全体として成長していくという姿勢を日本が示すということが大事ではないか。 もちろん七年猶予するということもそのことなんでしょうけれども、今、期限を切ってしまうというのはどうなのかなと思うのですが、再度質問します。 ─────────────
○委員長(河本英典君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、高橋紀世子君が委員を辞任され、その補欠として山崎力君が選任されました。 ─────────────
○政府委員(小松一郎君) みなし外国税額控除を基本的には時限のものとして考える必要があるであろう、そのことが相手国、開発途上国の開発のための自助努力を促すという観点からも意味があることではないかということを申し上げた次第でございます。 先生の御指摘のように、アジア経済の低迷とマレーシアの経済が非常に厳しい状況にあるということで、いろんな意味での支援を続ける必要がある、そういう観点から七年でみなし外国税額控除をやめるということでいいか、こういう御質問であったかと思うわけでございますけれども、アジア経済に対する支援、日本が積極的にいろんな面で行っていくということは御指摘のとおり非常に重要だと思うわけでございまして、そういうことを多角的に考えていく必要があるであろうと。 他方、租税条約におきますみなし外国税額控除につきましては、先ほどから累次御答弁をしておりますように、相手国の発展段階、それとともに加えましてやはり税の公平性といった税制上の妥当性という問題も別途ございますので、そういうことを総合的に判断しました結果、この交渉の結果、七年でフェーズアウトするということになったことは妥当ではなかったかと考える次第でございます。
○木俣佳丈君 ただ、ちょっと申し上げたいのは、四十四の国とバイラテラルな二カ国の関係を結ばれているというふうに認識しておりますけれども、例えばそれはどういうレベルで決断されてバイラテラルな関係の条約を結ばれているのか。例えば中南米の中ではブラジル、強いて言えばメキシコだけ。あと中東の地域では、トルコは中東に入るかというと入りませんので、サウジとかそういう大きな商い取引をやっているところも入っていないんです。そういうことで本当にいいのかなというふうに思うんです。 先ほどから再三申しますように、国益または企業の利益というものを考えた場合に、むしろ危険度が高いところほど、危険度というか、言葉があれでございますが、つまり民主主義の浸透度が、アメリカ的な民主主義かもしれませんが、浸透度が少ないところほど、または我が国の意見がすとっと聞き入れられにくい可能性が高いようなそういう国ほど、日本国として条約を結んで、そして、向こうでがちっと税をかけられている例えば駐在員事務所とかあると思うんです。そういうところを守っていくというのが本条約の、またはOECDガイドラインの求めるところのように思うのでございますけれども、外れているんです、いわゆる危険地域が。それはどういうふうにお考えですか。
○政府委員(福田進君) 先ほども御説明いたしましたように、租税条約は二つの国で発生いたします二重課税を排除して国際的な租税回避の防止を目的として締結されるものでございまして、現在、我が国が締結している四十四の条約は五十四カ国に適用されております。これらの国々との間では実は我が国の対外直接投資類型の八割以上をカバーしております。 したがいまして、今後の条約交渉に当たりましては、既存条約の改定と新規条約交渉とのバランスをとりながら、両国間の経済関係のみならず相手国の税制の違い等を総合的に判断して租税条約交渉を行っていきたいというふうに考えております。 ちなみに、今申し上げましたように、租税条約は二重課税を防止したり、あるいは税制上の内外無差別を通じまして課税上の安定性は増すところでございますが、投資リスクあるいは政治リスクといったものはまた別問題だと私どもは認識しております。
○政府委員(小松一郎君) 先ほど、相互査免につきましてどのぐらいの国とやっているかという御質問がございまして、直ちにお答えできませんで大変失礼いたしました。 現在、相手国との間でいわゆる相互査免を行っている国の数は五十七カ国でございます。
○木俣佳丈君 大蔵省の方、それはまさに縦割り的な御意見だと思うんです。だから、危険度がどの程度かということと、我が国の企業がどの程度不利益になるかということと、相手国がどの程度税をかけてくるかとか、そういうことと分けて考えるという考え方ではどうにもならないんじゃないかなと思うんです。 特に、自分なりにちょっと整理して考えてみますと、まず例えば日本に本社があって現地法人になっているというパターンが一つ。これは明確に相手方の企業でございますから、子会社というか、課税自主権というのは向こうにあるでしょう。 二番目は、いわゆるパーマネントエスタブリッシュメントというんですか、契約の権利を持った、だけれども現地法人化していない自立的な一つの存在、これに対しても割とわかりやすく向こうが税をかけてくる。そしてまた、この協定があるところでは例えばかけ過ぎた場合に相互調整しながら日本国としても調整をしていくということがあるでしょう。 しかしながら、三番目に、例えばリエゾンオフィス、駐在員事務所みたいなところが今言われたように、先ほど言われたのは五十四カ国に八割を投資がカバーしていると。投資ということは何かといえば、大体が今言った一、二番目までのことなんです。三番目の駐在員事務所みたいなものは基本的には余りカバーされていないと思うんです。だから、そこが全く抜けちゃっていると思うし、実際に私もそんなにどこもかしこも存じ上げているわけではございませんけれども、駐在員事務所として商いをしているような会社というのはかなり多いんです。 そういうところがこの条約にも入っていない国で、入っていてもいいんですが、不利益な税をかけられる。で、大蔵省はそれは本社の利益だからということで本社にかけてくる。これはまさに二重課税になってくると思うんですけれども、そういった事例というのは今まで余りないんですか。
○政府委員(福田進君) 基本的に、先ほども申し上げましたように、二つの国で二重課税にならないようにということは、逆に言うと実態として経済活動なりなんなりが行われているということがまず初めにあろうかと思うんです。 先生御指摘のように、そういった場合に二つのところで今申し上げましたような二重課税を排除する、あるいは逆に言うとループホールがある、そういうのを避けるというのが前提でございますので、どちらが鶏でどちらが卵かの議論になろうかとは思いますが、今までのところは先に実態があって、その実態でできるだけ活動があるということを前提にして、その活動をベースにいたしまして順次租税条約を結んで、今申し上げました条約の目的を達しているというのが原則でございます。
○木俣佳丈君 そういうことではなくて、実態として二重課税の問題が幾つかあって、特に今言った三番目のそういう駐在員事務所とかいうものに例えば税をかけてくる国があって、だから日本国でも税をかけたみたいな、そういった事例はないのかというようなことなんです。
○政府委員(福田進君) 先生御指摘のような、具体的な事例はどのようなことになるのか把握し切れておりませんけれども、基本的に今対象にしておりますが、所得に対する二重課税の回避ということでやっておりますので、少なくともその面において二重の課税にならないように調整しているところでございます。
○木俣佳丈君 もうちょっと簡単に言いましょう。例えば、僕のうちがあるとして、そこに営業上何とか保険とか看板をかけます。そうしたら、税務署の人というのはそこへ飛んでくるわけです、営業をやっているんでしょうということで。そういうようなレベルの、例えば看板をかけているんだから、あなたのところでこうこう営業をやっているんだから、どのぐらいあれなんだと言って、見せた。ところが、そこへ税をかけるような、そういうことはないですかということを言っているんです。 それはそうとして、時間がありませんのでもう一問。二重課税を排除していくんだということなんですが、今まで例えば二重課税をかけられてお返しした例というのはあるんですか。つまり、ここに二重課税をかけてしまいましたから企業に戻しなさいと、または二重課税、日本国がかけてしまったと、じゃ戻しますという事例というのはかなりあるんですか。
○政府委員(福田進君) 二重課税の定義だと思うんですが、実際問題として放置しておけば二つのところが課税されることになるんだけれども、課税されてから二重課税だからというので改めて調整をすることがないように、あらかじめ例えばA国であればA国で、外国で課税をされましたと、それを日本の場合には申告してもらうことによって実際に納税されるときに税額を控除するということで調整しているわけです。 したがって、先生おっしゃったように、課税の例があるかどうかといったときには、理論的には生じ得ると思うんですけれども、つまり申告がなされていないといったときにはあろうかと思うんですけれども、したがって全くないとは言えないと思うんですが、なぜこういう租税条約を結んでいるかというと、そういったことで調整をあらかじめできるようにということで結んでいる、それは一つの目的であろうかと認識しております。
○木俣佳丈君 ですから、今回それをなくそうということでやられるのはよくわかるんですが、結んでいないところで、もちろん黙っていれば課税はされない、また見つかればそれは追徴されるんでしょうけれども、ここの範囲、五十四カ国以外でそういうことが発生するんじゃないかとさっきから言っているんですよ。強権を発動して税を集めようという国があって、日本国もそんなもの、向こうで払う方が悪いとかいう感じでこちらが取ってしまうという、そういった事例というのはないのかなと、そういうことです。
○政府委員(福田進君) 細かいところまで把握しておりませんので断定的なことは申し上げられませんが、日本国で課税対象となっているもの、これは法律の規定に基づいて課税されるわけですが、外国のある国においてその国の法規に基づいて課税されるというものがもしあれば当然のことながら両方で課税されることになります。そういったことにならないように調整しているのがこの租税条約でございます。
○木俣佳丈君 そうじゃなくて、条約があるところはそれでいいんだけれども、そこから外れた国がさっきから言うようにかなりある。しかも、その外れた国に特に駐在員事務所みたいなところが多いわけですよ。そこは両方かけられてしまうことがあるんじゃないかということ。 細かいという話がありましたけれども、それは僕はおかしいと思う。細かいことなんだけれども、細かい企業が多いんですよ、日本はやっぱり。今言われた細かい企業が日本の屋台骨を支えていることは間違いない。もう少し、五十四で全部いいんだというのではなくて、ぜひもっと広げて守るんだと、特にでかい企業はパワーがあるから交渉力があるんですが、要は小さいところがどう守られていくかということがもっと大事だと思うので、それをお願い申し上げまして質問を終わります。 ありがとうございました。
○高野博師君 最初に、総理の訪米について、二、三質問をいたします。 小渕総理が訪米されるんですが、日米首脳会談のメーンのテーマは何になるんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 昨年十一月にクリントン大統領が訪日された際に小渕総理に対して米国を公式訪問するよう御招待があったことを受けて、小渕総理は今月二十九日より来月四日まで米国を公式訪問するわけでございます。 それで、今回の訪米において小渕総理は、二十一世紀に向けた中長期的な日米協力のあり方を大所高所から議論し、今後の国際社会の諸課題に日米両国が主要な役割を果たしていく旨を確認することとしております。また、クリントン大統領との首脳会談においては、アジア等の地域情勢や世界経済の回復等国際社会が抱える重要問題について幅広く意見交換を行う予定でございます。
○高野博師君 新聞報道等によると、両国が二十一世紀に向けて共通の価値観で結ばれた日米の同盟関係を確認する、あるいは今おっしゃったような地域の安全保障とか世界経済の安定に向けての両国の協力関係、これを築いていくというようなことが書かれているんですが、これはそのとおりでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 基本的に今おっしゃったようなことだと思っております。
○高野博師君 そこで、共通の価値観というようなことについては、ここはそのとおりでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 共通の価値観を日米両国は持っていると思います。共通の価値観といっても、何から何までみんな同じという話ではありませんが、自由とか民主主義とか基本的人権を守れとかあるいは市場経済とか、そういう大きな意味で基本的価値観を両国は持っておりますし、そういうことをきっちり確認し、そして両国が国際社会でそういったことをさらに広げていく、そういうことをしていくということだと思っております。
○高野博師君 特に共通の価値観で結ばれた日米同盟ということを強調しているんでしょうか。特にそれは強調していないんでしょうか。新聞を見ると、共通の価値観ということを何かえらい強調しているように見えるんですが、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) これから行われる首脳会談でどこにアクセントを置くかというのは、私余り申し上げる立場にないと思いますが、日米両国は、例えば私たちが外相会談をやるときでも時に応じて共通の価値観ということは確認し合っているわけでありますから、そういう言葉は首脳会談でも出てくるのかな、こういうふうに思っております。
○高野博師君 別にこれにこだわっているわけじゃないんですが、日本周辺には価値観が違う国があるわけですが、そういうことを意識して殊さら共通の価値観ということを表に出しているのかなとも思えるんですが、そこは結構です。 それで、当然、北朝鮮の問題とかあるいはコソボ情勢等についての意見交換もされるんだと思うんです。アメリカ政府が、このコソボ問題について、紛争の終結した後にこの地域の長期復興計画に関連して日本にも一定の財政的な援助を求める、そういう意向があるという報道もあるんですが、これはそういう要望があったときは応ずるんでしょうか。前回の委員会でも戦費の負担はしないということを大臣はおっしゃられたし、難民の援助、これはやるということですが、こういう復興計画については応ずるんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 応ずるとか応じないとかということではなくて、日本国政府として積極的に、和平が達成した後、コソボの復興、そういったことについてはお手伝いしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○高野博師君 それでは、総理の訪米については帰国後の報告を待って質問したいと思います。 NATOのユーゴ空爆について若干お伺いいたします。 このNATOのユーゴへの空爆という行動は、国際法上どういうふうに位置づけられるんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 今回のNATOの行動につきましては、これまでも累次申し上げておりますように、ユーゴ政府は和平合意案をかたくなに拒否し、他方で国連安保理決議に反し、コソボにおいてユーゴ軍及びセルビア治安部隊による過度な武力行使が続く中、ぎりぎりの外交交渉がとんざし、このまま放置すれば多数のさらなる犠牲者が出ることが必至という人道上の惨劇を防止するためにやむを得ずとられている行動であると理解しているわけでございます。 我が国は、今回のNATOの行動の当事者でないことに加え、作戦面を含むNATOの軍事行動に関する詳細な情報を有していないので、安保理決議上の根拠を含め、今回のNATOの行動につき我が国として法的評価を下すことはできないということは御理解いただきたい、こういうふうに思っております。
○高野博師君 日本としては法的な判断は下さない、下す立場ではないということでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) そういうことでございます。 それで、法的立場といいますか安保理決議がいろいろ出ているわけでありますが、空爆を認めるような明確な安保理決議が出ているわけではない。そういう中にあって、これが国連憲章にのっとったものであるか、のっとっていないのかというようなことについては、やはり第一義的に国連安保理がそういうことを決定することだ、こういうふうに思っております。 例えば、申し上げれば、ロシアから、これは国連憲章に反するものである、空爆は即時停止すべきだ、こういうような決議案が出た、それは安保理で十二対三の大差で否決された、こういう事実があることを知っております。逆に、積極的にこれは国連憲章にのっとったものであるということは認定されたわけではありませんし、第一義的に決定権のある安保理がそういう評価をきっちりした形でしていないということもあるわけで、日本政府としても、今安保理の理事国でもありませんし、先ほど申し上げたように、事実自体を十分知ることができないという面もありますので法的評価は差し控えている、こういうことでございます。
○高野博師君 人道的な立場からコソボに介入したということですが、ユーゴ政府は、NATOの空爆を非人道的行為だとしてオランダのハーグの国際戦争犯罪法廷に提訴するなんという動きもあると伝えられています。 これはこれとしまして、国際法上、この安保理の決議がなくて今回の空爆をしたということについては法的判断を下す立場ではないということでありますが、これは国際法違反になるのではないのか。立場にないということとは別にしまして、客観的に見てその辺はどうでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) ですから、申し上げたとおり、今回のNATOの行動はさらなる犠牲者の増加という人道上の惨劇を防止するため、やむを得ずとられている行動であると理解しているわけでございます。今回のNATOの行動は、欧州の多くの国を加盟国とするNATO構成国全員が一致して支持した決定に基づくものと承知しており、今も申し上げたように、ロシアより提案された今回のNATOの武力行使を国連憲章違反とした上でNATOの武力行使の即時停止等を求める安保理決議案は大差で否決されたわけであります。 いずれにしても、今回の行動に関しては我が国は当事者ではなく、また詳細な情報を有さないので確定的な法的評価を下すことはできないということを申し上げているわけでございます。
○高野博師君 それでは、NATOサミットが採択したNATOの新戦略概念について、これはどういう認識をされていますか。
○国務大臣(高村正彦君) NATOの新戦略概念につきましては、いまだNATO側より正式の説明は受けておりませんが、とりあえず新戦略概念を一読したところでは、こういうことだと思います。 NATOは、今回の新戦略概念において、NATOが共同して加盟国の安全を守るだけではなく、欧州大西洋地域の平和と安定に寄与するため、NATOが紛争予防、危機管理及び危機対応策をとることを新たに規定しているわけでございます。 したがって、一概にNATOは域外に展開することになったといっても、それは危機管理等に限定されるものであって、NATOが域外地域の安全保障一般に活動範囲を広げたということではないと理解しております。 いずれにしましても、新戦略概念は、冷戦終結に伴い直接的に大規模侵略の可能性が低くなる一方、地域紛争等の新たなリスクが増大したという認識のもと、NATOが欧州大西洋地域の平和と安定に貢献する必要があるとの見方を示したものと考えております。
○高野博師君 今、域外の軍事行動、これを初めて正式に承認したという点が注目されると思うんですが、NATOのこの軍事同盟、この二十一世紀の方向性、これを定めたのが今回の新戦略概念ではないかと思うんです。域外について、これも欧州大西洋地域とするということですが、いろんな議論があった。中東から中部アフリカまで広げるべきじゃないか、そういう議論もあった。その問題と、もう一つは安保理決議をどうするかという議論が相当なされた。 当然、安保理決議についてはロシアとか中国の反対が予想されるということから、この安保理決議を必要とするかしないかについてはあいまいな形にして残した。安保理の役割は国際的な平和と安定の維持に重要な責任を負う、そういう言及にとどまっているということが言われています。シラク大統領なんかは、NATOは国連軍の安保理決議なくして域外の行動はできないし、すべきじゃない、こういう発言をしている。一方、ソラナ事務総長はそんな必要はない、こういうことも言っている。 いずれにしても、今回のコソボへの介入そのものについては、ドイツのシュレーダー首相は限定的な例外措置だ、こういうとらえ方をしているのに対して、クリントンがこの新戦略概念はコソボのNATOの行動を容認するものだ、こういうふうにも言っている。いろいろ解釈が違うんですが、コソボへの介入、これが成功するかどうかが、これからのこの新戦略概念の域外軍事行動、これを左右するというか、死文化するかどうかということにかかっていると思うんですが、この新戦略概念と日米安保共同宣言あるいはガイドラインの共通点が幾つかあると思うんですが、これについて二、三お伺いします。 冷戦後の同盟関係の新しい意義づけをした、あるいは再定義をした、方向づけをしたという点では共通ではないのかなと。もう一つは、域外軍事行動と周辺事態云々ということで、非常に軍事面が強調されているという点と安保理決議の必要性についても相当の議論があった。NATO同盟と日米同盟というのは同じ方向性を持っているのではないか、私はそういう認識をしているんですが、大臣はいかがでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 今回採択されたNATOの新戦略概念は、国際情勢の変化を踏まえ、共同防衛を主たる任務としつつも、欧州大西洋地域の平和と安定に寄与するため、NATOが危機管理等の限定された任務にも役割を果たそうとしていることを示したものと認識をしております。 他方、一九九六年四月の日米安保共同宣言は、冷戦後も依然として不安定、不確実性が存在しているという認識のもとで、日米安保条約に基づく日米安保体制の重要な意義を改めて確認し、二十一世紀に向けた日米同盟のあり方について内外に対する意思を明らかにしたものであり、我が国及び極東の平和と安全の維持を目的とする日米安保条約の枠組みを変えるものではありません。 いずれにしましても、NATOの新戦略概念と日米安保共同宣言は種々異なる点があり、一概に比較できるものではありませんが、双方とも国際情勢の変化に対応した安全保障上の取り組みを示すものであるという点では共通する面があります。 共通した面があるかどうかというのは、共通した面もあれば違った面もあるということだと思いますが、何よりも日本は集団的自衛権を持っていないわけで、NATOの諸国というのはみんな集団的自衛権を持ってやるわけでありますから、似ているところがあると余り強調し過ぎるのはちょっと違うんじゃないかなという感じはいたします。 それから、いわゆる国連における国際的な集団的安全保障措置について、国連決議なくしてもやることができるんではないかなどということを日米間で協議したことは全くありませんし、そういったことで余り同じだ同じだと言うのは当たらないのではないかと思います。
○高野博師君 僕は同じだと言っているわけではなくて、かなり共通点があるのではないかと。いずれにしてもアメリカ主導になっているんです、NATOも日本も。それから、国連軽視の傾向というのがかなり出てきている、軍事力による紛争解決というものが前面に出てきている、こういう点からいえば、それはかなり重大な共通点ではないか、僕はそこを言いたかったわけです。集団的自衛権があるなしの話だけではなくて、それは異なるところを挙げれば幾らでもありますが、重要なポイントについては共通点があるのではないか、そういうことを聞きたかったわけです。
○国務大臣(高村正彦君) 今おっしゃった点でいえば、NATOがアメリカ主導になっているかどうかは私が言及する立場にありませんけれども、日米関係ではこの問題でアメリカ主導になっているわけではなくて、条約上の義務がなくとも日本が主体的にこのことはやりますという法案を審議しているということはまさに日本の主体的な話でありますから、アメリカ主導などということは少なくとも日米安全保障条約においてはそうではない、こういうことは申し上げられると思っております。
○高野博師君 僕は、そういうレトリックだけ言ってはだめだと思うんです。実態的にそうじゃない。これはまた特別委員会でもゆっくりやろうと思いますが、きょうは時間がないのでこの辺にしておきます。 対ユーゴの石油禁輸のための船舶臨検について、NATOがこの船舶臨検をやるということに対してシラク大統領は、公海上の臨検は国際法上の戦争行為に当たる、それは慎重に対処すべきだと。特に、ユーゴに石油を供給しているロシアの船舶に対して臨検、船舶検査をすれば軍事衝突になりかねないということを懸念しての発言だと言われていますが、船舶検査というのは非常に危険を伴うということがここでも明らかになっていると思うんです。 安保理決議を必要とするというのはシラク大統領の考え方ですが、ガイドライン関連法案の周辺事態法案の中でも、船舶検査の部分については今回外した、別の法案でということなんですが、安保理決議を必要としないと非常に危険を伴うという認識を大臣はお持ちでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 周辺事態安全確保法案についての船舶検査については、何らかの国際法上の根拠がなきゃできないわけですから、その旗国主義ということをクリアするための。ですから、仮に国内法で国連決議ということが書かれていなくとも、すべての国に対してやる場合には国連決議というのは必要でありますし、私たち政府とすれば、そうであっても念のために国連決議という言葉を書いておいた方がわかりやすくていいだろうと思って書いて出したんですが、それが、入れなきゃだめだとか落とさなきゃだめだとかという強硬な二つの党があって全体を落とさざるを得なくなったのは、私の個人的見解からいえばちょっと不可解と、こういう感じでございますが、これは何分にも国会が決めることでありますから、提案している以上、国会が決めることでありますから、決めていただいたことを我々政府としては誠意を持って実施していく、こういうことでございます。
○高野博師君 僕はそんなことを聞きたいんじゃなくて、船舶検査そのものは非常に危険を伴うのではないか、そういう認識があるかということ。これは、ユーゴの場合でさえロシアとか、こういう国の反対が当然予想される。そういう反対を押し切って船舶検査あるいは臨検をやることは非常に危険を伴うのではないか。その認識について聞いたので、ほかの党がどうだこうだということはどうでも結構ですが、もう一度お伺いいたします。
○国務大臣(高村正彦君) 危険があるというのはどういう意味でおっしゃっているのか、私にはよくわからないんですが、実際にそういうことをやるときに危険があるかどうかということであれば、それは国連決議があろうがなかろうが同じ程度の危険だろうと私は思います。それはどういう意味でおっしゃっているのかよくわからないのですが、NATOのことについていえば、二十三日の首脳会議において、各加盟国国防相に対し、海上行動を含む戦争関連物資の供給停止のための方策につき決定するよう指示したと承知しております。しかし、この決定はいまだなされておらず、具体的措置の内容、実施の方法等については今後検討されるものと承知しております。 船舶検査が危険かどうかといっても、いわゆる臨検といわれるものと、例えば周辺事態安全確保法案、政府が出しているものでやろうとしたものとでは内容が違いますし、今ユーゴについてNATOが計画しているものについてはまだ内容がわかっておりませんので、どの程度危険だとか危険でないかとかいうことは私が申し上げることではない、こういうことでございます。
○高野博師君 それでは、時間がありませんので、最後にインド・パキスタン情勢について一つお伺いします。 四月十一日にインドがミサイル実験をやった、これは核保有の認知を迫ったものだとも言われていますが、それに対して十四日にはパキスタンがガウリ2の試射を行ったと。これは、両国は事前に日本に通告してきたんでしょうか。
○政府委員(阿南惟茂君) 両国とも実験に先立って通告がございました。それに対して、我が方はやめるようにということも言ったわけでございます。
○高野博師君 何ですか。
○政府委員(阿南惟茂君) それに対して、我が方は取りやめるようにということを申し入れたという経緯もございます。
○高野博師君 やめなかったんですが、この両国に対しては、これまで核実験の際にも経済制裁等をとってきた経緯があるんですが、何らかの具体的な措置はとるんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 先般のインド及びパキスタンによる弾道ミサイル発射実験は、地域の平和と安定を阻害するおそれがあるものとして極めて遺憾であると考えております。 また、我が国は、これらのミサイル発射実験が、インド・パキスタン間の緊張を高め、地域の核兵器及びミサイル開発競争を激化させないよう強く望んでおります。我が国は、かかる立場を外務報道官談話として発出するとともに、在京の両国大使館を通じ、両国政府へ伝達するよう強く申し入れをいたしました。 我が国は、昨年五月の核実験を受け、両国に対し新規の円借款の停止及び新規の無償資金協力の原則停止等の措置を講じており、これらの措置は引き続き維持されているわけでございます。また、我が国としては、今後一層強力に両国が核及びミサイル開発を自制するよう働きかけていく考えでございます。
○高野博師君 これで終わりますが、円借款あるいは無償援助の停止という経済措置をとっても全く効果がないというところに問題があるのかなと。申し入れ等だけではほとんど言うことを聞かない今の現状、もう少し強い何らかの対応ができないのかなという感じがありますが、最後に一言だけお伺いして終わります。
○国務大臣(高村正彦君) この両国のミサイル実験を危惧しているのは日本だけではなくて国際社会全体で、国際社会全体がいろんなことをしてもなかなか難しいわけでありますが、粘り強くやっていく必要があるので、日本国一国がこれをやってできなかったからどうだとか、日本国一国がこれをやってできるとかいう話ではなくて、国際社会全体が協力して粘り強くやっていくことが必要だ、こういうことを思っております。
○高野博師君 終わります。
○立木洋君 まず、マレーシアとの条約についてお尋ねします。 マレーシアと日本との経済関係を見てみますと、マレーシアから日本に進出している企業は九八年にわずか八社です。一方、日本からマレーシアに進出している日本企業は一千三百六十八社になっております。さらに投資の状況を見てみますと、マレーシアからの対日投資は九七年にはゼロ、九三年から五年間でもわずか十億円足らずという状況です。一方、日本からマレーシアへの九七年の投資総額は九百七十一億というふうになっております。九三年以来、マレーシアに対する主要投資五カ国の中でも日本は最高の投資額になっているというふうにいただいた資料ではなっております。 ここで、さらに配当に対する税率の上限を一〇%から五%に引き下げたという問題、これはマレーシアに対する進出が圧倒的に多い日本の法人の利益をさらに大きくするものになるということは言うまでもないことですし、またみなし税額控除を条約発効後、翌年の一月一日から七カ年間にわたって存続させるという内容も同様の意味を持つものだろうというふうに思います。 こうしたことは、マレーシア側の課税権が一方的に制約を受けるというふうな実態にはならないのかどうか。また、この条約の見直しを日本側から求めたというわけですが、どういう理由で日本側からこの条約の見直しを求めたのか、その点について。
○政府委員(小松一郎君) まず、マレーシアとの条約の改定交渉がどういう背景であったのかということでございます。 現行の租税協定は昭和四十五年に締結されておりまして、そのもとで日マレーシア間の二重課税の回避が図られてきているわけでございますが、昭和四十五年ということで、締結以来相当の期間を経ているということで、我が国より現行協定を見直すための交渉の開始につきマレーシア側に申し入れを行いまして、平成八年八月以来、両政府間で、OECDモデル条約及び我が国の最近の条約例を踏まえて新たな租税協定を締結するための交渉を行ったわけでございます。その結果、案文について最終合意を見るに至って、平成十一年二月十九日にマレーシアにおいて本件の署名が行われたというのが背景でございます。 次に、進出企業の数が圧倒的に我が国からマレーシアに進出している企業が多い。その中で、さらに親子関係にある企業間の配当に対する限度税率を下げるということ及びみなし税額控除につき七年間は残存するということがマレーシアの課税権を制約するのではないかという御質問であったかと理解をいたしましたけれども、まず前者、親子関係にあります法人間の配当に対する限度税率の引き下げでございますけれども、開発途上国は直接投資というものを経済発展のために基本的には歓迎をしておりますといいますか、望んでいるところがあるわけでございますので……
○立木洋君 それは後で聞きます。
○政府委員(小松一郎君) それから、みなし税額控除につきましては、マレーシア側は減免措置をとっている。減免したものを納入されたようにみなして、我が国において支払うべき租税から控除を認めるということでございますので、これは先生よく御存じのとおりでございますけれども、それがマレーシア側の課税権を制約するということにはならないのではないかと思います。
○立木洋君 私、こういうことを聞いたのは、OECDのモデル条約に基づいて、及び我が国の最近の条約例に沿った規定を採用するものとして見直しを求めたということですね。だけれども、一九七九年に国連において先進国と発展途上国との間の国連モデル条約というのが採択されているのは御承知のとおりです。国連モデルの内容については発展途上国の税収の確保を重視した内容のものとなっている。これは例を挙げる必要はないと思うんです、今まで何回も議論していますから。 そういうふうな観点から考えるならば、マレーシアの今の状態、先ほど言ったように成長率がマイナス六・何%というふうな状況や、日本との投資の関係の非常に大きな格差等々の問題から考慮するならば、当然、国連モデル条約という問題を考慮に入れて考える必要もあったのではないか。 もちろん、その問題については今回のマレーシアとの租税条約の中に全然含まれていないというふうに申すつもりはありません。国連モデル条約についても何項か生かされているということは私も承知した上で述べているわけですが、国連モデル条約について今後どういうふうに対応していくおつもりなのか、これは大臣にお聞きします。
○政府委員(小松一郎君) まず、マレーシアはOECD加盟国ではございませんが、我が国と同様に、基本的にはOECDモデル条約に沿った形で租税条約を締結することを方針としていると私ども理解しておりまして、そういうことから、OECDモデル条約を基本として、双方の条約例、それからマレーシア側の事情等を踏まえまして、双方にとって受け入れ可能な条約締結を目指して交渉を行った結果、今、立木先生の方からも御指摘ございましたように、一部の条項について国連モデルの条約により近い部分もございます。 そういうことで、交渉の結果、マレーシア側の方針にも基本的には沿った形で交渉がまとまったというふうに理解しております。
○立木洋君 それは私が聞いたことを言葉をかえてあなたは答弁しただけの話じゃないですか。私は、国連モデル条約というのはどういうふうに考えますかということを聞いたんです。 それで、外国税額控除の制度を最も早く採用したのはアメリカだというふうに承知しております。この場合、いわゆるアメリカの対外進出企業が外国税額控除を認められていないことが海外進出にとって不利になっているというふうなことがアメリカの企業から提出され、国際競争力を維持するという大企業や多国籍企業からの要求があってこういうものが含まれてきたというふうな経緯があったと承知しております。 だから、ここで問題になっている今回の租税条約でも、配当に対する税率の上限をマレーシアの場合一二%から五%に下げた、一般の場合は一二%ですから。それからスウェーデンやカナダの場合も一〇%を五%に引き下げる、これは親子関係にある法人に対してですが、配当の問題で。これはやっぱりそういう配当に関してはこういう親子関係にある法人に対しての優遇措置ということになるんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
○政府委員(小松一郎君) この実態的な問題につきましては、実はむしろ大蔵省の方から御答弁をいただく方が正確かとは存じますけれども、親子関係にあります子会社から親会社が受け取る配当に対する制限税率を一般の場合よりも低くするということでございますが、これは子会社を設立いたしまして活動を行うということは、投資といいましても一般的なポートフォリオインベストメントというようなものとは違って、相手の国において雇用を創出するとか、いろいろな意味で意味のある直接投資になるということで、基本的には直接投資が促進されることが経済交流を促進する上で意味があり、特に開発途上国においては外国からの直接投資を歓迎する、もっとふやしてほしいと思っている、こういうことで、そういう考え方に基づいたものと理解しております。
○立木洋君 それは、もう一遍後でお尋ねします。 大蔵省からいただいた資料で、法人に係る資本金階級別の外国税額控除についての資料をいただきました。それによりますと、全企業の中で資本金十億円以上の企業、これが占めている比重というのは〇・二二%ですね。それであるにもかかわらず、外国税額控除を受けた全法人の中で十億円以上の法人は、九七年には九七%、九八年には九五・七%となっているわけです。 ですから、外国税額控除というメリットを一番享受しているのは大企業、多国籍企業だというふうなことはいただいた資料からも明らかだと思うんですけれども、その点、間違いないですか。
○政府委員(福田進君) 数字はそのとおりでございます。
○立木洋君 数字はそのとおりというのは、いわゆる多国籍企業や大企業が主にメリットを一番受けているということは、そのとおりですでいいですか。
○政府委員(福田進君) お出し申し上げた数字で、額それから率はそのとおりでございます。
○立木洋君 そこで、その二重課税の防止という問題を考える場合に、いわゆる二重課税の回避という問題と別枠の問題というのが条約の中に入ってきているんですね。これは、一つは親子関係の法人ですよ、さっき小松さんが言われた。 いわゆる本店、支店というのは同一法人なんですけれども、親子関係という法人は別法人なんですね。それなのに、親会社が払っていないのに、外国の子会社が払ったという外国法人税の一定部分を親会社が払ったとみなして控除を受けると。これは間接税額控除ですね、親子の間では配当に限られていますけれども。しかし、これは二重課税の防止には当たらないんじゃないですか。何で二重課税を阻止する、回避することになるんですか、これが。 親子関係という別法人でありながら、親会社が払ったとみなしてそれを税額から差っ引くというのは、これは二重課税の回避には当たらない問題じゃないですか。 この九五年の資本金三百億円以上の法人の外国税額控除は三千七百八十億円、このうちで間接税額控除は九百十億円、二四・一%が二重課税の回避とは言えない額なんですね。このことは、結果的に海外投資をふやしている大企業、多国籍企業にとって結果として優遇を受けていると。 これはいわゆる二重課税の回避という条約でありながら、二重課税の回避という問題に当たらないいわゆるみなし課税というのが間接税額控除の中にも入っているというのは、これはどういうふうに理解するんですか。
○政府委員(福田進君) 先生、定義の問題だと思うんですが、一般に今お話のございましたように本邦企業が海外に支店形態で進出する場合には支店の納付した外国税額は原則として直接我が国の税額から控除する……
○立木洋君 前に聞いているから、簡単で結構なんです。何回も聞いているんだから、これは。
○政府委員(福田進君) 間接税額控除というのは、現地法人形態で海外進出する場合において、同じように海外子会社が納付した外国税額のうちで、子会社からの受取配当に対応する部分を親会社たる内国法人が納付したものとみなして控除するということで、いずれも国際的に確立した二重課税排除措置の一環をなすものでございまして、基本的に海外進出形態におけるバランスの観点から認められており、私どもはこの制度は維持していきたいと基本的には考えております。
○立木洋君 だけれども、これは二重課税の回避に当たらないという問題点だけは私は明確だと思うんです。そのことだけははっきり述べておきたい。 それからもう一つの点で、発展途上国における、例えば今問題になっているマレーシアなんかのように、先ほど答弁がありましたが、外国資本を誘致するために特別の措置を講じるというみなし課税の問題ですね。これ自身も外国では税額を免除しているものの、払ったとみなして控除をするいわゆるみなし税額控除ですが、これも二重課税の回避には当たらないんじゃないですか。何で二重課税の回避になるんですか、これは。どこで二重になっているんですか。何でこんなのをこの二重課税の回避の条約に入れるんですか、どうしてそれが入るんですか。 私は何回もこの問題を追及してきて、そしてあなた方の方では期限を切ったという方向に問題を変えてきておりますけれども、しかし依然としてこれを残すという。十九残っているでしょう。今まで四十四ある中で十九残っているんですよ。それでいわゆる期限を切ったのが五つですよ、今まで。あなたがおっしゃったとおりだ、先ほど。それは間違いない。だけれども、これはみなし控除にならないじゃないですか。回避にならないじゃないですか、二重課税の回避に。どうして、どこが二重課税になるんですか。
○政府委員(小松一郎君) この租税条約の目的でございますけれども、国際的に生ずる二重課税を回避することを通じまして、それ自体が目的というよりは、やはりそれを通じまして経済交流を促進する、人的交流を促進する、文化交流を促進するというところに条約の眼目があろうかと考える次第でございます。 先ほど来御答弁申し上げておりますように、みなし外国税額控除の制度は、開発途上国が開発促進のために設けております投資、誘致等のインセンティブ、これを一方的に減殺しないようにみなしという形で我が国の租税からの控除を認めるという制度でございまして、先ほど来御答弁を申し上げておりますように、基本的には経済協力的な意味を、政策的な意味を持つものだというふうに認識しております。
○立木洋君 それはほかの方法で講じることが可能なんですよ。二重課税の回避の租税条約の中に入れるというのは大体筋違いじゃないか。これは法人課税小委員会の報告の中でも何回か指摘されている問題点です。この問題については、 近年の経済の国際化に伴う課税ベースの可動性の高まりは、租税回避の機会を急速に増大させつつあり、中長期的に各国の課税基盤を脅かし税収構造自体に歪みをもたらす可能性があるほか、税制に対する国民の信頼を損なうおそれがある。可動性の高い金融取引や企業活動に対する課税が困難になる結果、可動性の低い労働等に対しては「相対的」に重課となり、税の公平、中立が損なわれるおそれがある。 という指摘がされているわけです。 このようなみなし課税というのは、結局アメリカ自身が、いわゆる途上国の問題として要求が出されてきた場合でもこの問題は検討に値するということがアメリカから提起されている。日本側でも最近になってこれについては期限をつけるという方向になってきて、将来はこれをなくしていく方向で検討するということになってきているんじゃないですか。だから、そういう問題をこういう二重課税の回避という概念と全く違うものとして入れるというのは考える必要がある。いわゆる途上国に対して援助するなら援助する方法を別途の法律で考えるなり方法を考えるべきだと。 こういうやり方をすると、いわゆる大企業や多国籍企業というのは外国で税金を払っているとみなされて国内においては税金を払わないと。そんなのだったら我々だって税金を払わなくたっていいじゃないか。大企業だけに何でそんな便宜を払うんだということすら、法人課税小委員会の報告書の中にも、そういうふうな税の不公平、公平や平等を欠くというおそれがあるということまで指摘されているんですから、こういう二重課税の回避なら二重課税の回避ということを厳密に守るということが十分にやられなければ条約としての意味合いがないんじゃないかということを指摘したいんですけれども、これは最後に大臣、ちょっと一言。
○国務大臣(高村正彦君) 今の御指摘は、それは一つの考え方だと思いますが、やはり経済協力という意味でこういう方法をとるということが私たちは少なくとも現時点では妥当と、こう思っているわけでございます。
○立木洋君 私、九七年にこの委員会でこの問題を質問したんですよ。「外国税額控除を認めるのが適切とは言い難いものも含まれているのではないかと考えられる。」と政府税制調査会の法人課税小委員会で述べているんです。そこで、私は大蔵省の大臣官房のその当時の尾原審議官に聞いたんですよ。そうしたら尾原審議官は、「法人課税小委員会の指摘も踏まえまして、二重課税の排除という外国税額控除の目的あるいは制度の利用実態等を踏まえ、さらに検討を深めまして適切に対処してまいりたい、」と答えているんです、九七年に。 だから、そのころ、そういうものを変えていく方向でいわゆる期限を切るというふうな問題が出てきていると思うんですけれども、こういう問題を踏まえた検討というのが必要だと。そうしないと税制の公平性だとかいう問題等々に影響してくるということまで小委員会で述べているわけですから、もっと深刻な検討が必要ではないかということを提起しておきたいんですが、外務省と大蔵省の両方から答弁をいただきたい。
○政府委員(福田進君) まさにこの件について先ほども御答弁申し上げたんですけれども、私どもは、このみなし外国税額控除制度について、租税条約の締結交渉に当たりまして慎重に対応することを基本としております。 すなわち、このみなし外国税額控除制度は原則として付与しないこととしつつも、仮に相手国たる開発途上国から強い要請があり、真に経済協力に資するとの観点からみなし外国税額控除の付与がやむを得ないと考えられるものについてのみ付与することとしている。ただし、このような場合でも、できる限り対象範囲を限定したり、これは今回もそうでございますが、また期限を設けることを基本方針としているところでございまして、このような方針は実はOECDの考え方とも一致しておるところでございまして、これからもこの考え方は維持していきたいと考えております。
○国務大臣(高村正彦君) 基本的には慎重に検討していきたい、こう思っておりますが、このケースでは慎重に検討した結果こういうふうにするということですので、御理解をいただきたいと思います。
○立木洋君 では、今後の努力を見守っています。 終わります。
○山崎力君 きょう議題になっておるものと違って一般的な問題で質問させていただきたいと思います。 船舶検査がいろいろな方面で話題になっておりますが、そのことの基本的なところを確認したいという視点で質問させていただきます。 まず、船がいわゆる主権の及ぶところでない公海上で国際法あるいは条約的にどう取り扱われているかということなんですけれども、まず、その中で国籍不明船、どこのどんな船だかわからぬという船をどのように扱っているのか、もう全く手つかずなのかどうなのか、国際法上どういうふうに考えられておりますでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 国際法上、公海上の船舶は原則としてその旗国の排他的管轄権に服することとなっております。 他方、国連海洋法条約上、軍艦または政府船舶が公海上にて国籍が不明確な船舶に遭遇した場合には、当該外国船舶が国籍を有していないと疑うに足りる十分な根拠があるのであれば船籍の確認等のため臨検する権利が認められているわけでございます。
○山崎力君 それは、こう言ってはなんですけれども、いわゆる平時ということも含めてと考えてよろしいんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) もちろん平時も含めてそういうことでございます。
○山崎力君 そうしてきますと、その辺のところにどういう違いがあるかということなんですが、しかるべき船が、軍艦というような形ができると、一般の普通の船ができるわけではないということになるわけですけれども、そうなってくると、いわゆる軍艦がそういうふうな質問ができる、国籍不明だというようなときに質問ができる、あるいは臨検ができる。そういったときに資格がどのようなものなのか、先ほど申されましたけれども、その定義はどうなっているのかということなんですけれども、その辺はどうなっておりますか。
○国務大臣(高村正彦君) これは国際法上できるということでありますから、国際法上は軍艦もしくは政府船舶ですから、日本の政府船舶は国際法上はできると。では国内法上どういう権限が与えられているかという話になってくるんだろうと、こういうふうに思います。
○山崎力君 そうしますと、政府船舶というと一つは自衛艦が当然考えられるわけですけれども、警察権を付与されている保安庁も当然政府の船になるだろう、あるいは取り締まり権限を与えられている水産庁の監視船とかなんとかはできる、だけれども、いわゆる地方自治体所属の漁業取り締まり船はできない、こういうふうに考えてよろしいわけでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) 国際法上臨検の権利を行う船についてどのように考えるべきかということにつきましては、「政府の公務に使用されていることが明らかに表示されておりかつ識別されることのできるその他の船舶又は航空機で正当な権限を有するもの」というふうに一応考えられます。この規定を満たす国内法上の制度はどうなっているのかということは、これは各国にゆだねられているということになるわけでございます。 我が国の場合は、この規定に照らして申し上げれば、自衛艦あるいは海上保安庁の船というのは当然これに該当することになると思いますが、それ以上の詳細は国内法上の体制いかんによるということになるかと思います。
○山崎力君 これ以上のことはきょうのあれではないんですが、それを踏まえて、これから問題になるガイドライン関連法の審議のとき、あるいは今回外された、新しい法律がどこの所管になるかわかりませんけれども、出てきたときに恐らくそれを踏まえてやると。国際法上はこうなっておるということは、きょうの御答弁で明らかになったと思います。 そういった意味で、一言で言えば、公海上での船舶について国際法上では無国籍な船あるいはそういったものに対しては原則としてそれは許されないんだ、明らかにどこかの国と明示する、旗国といいますか所属する船でなければいけないということは、国際法といいますか国際社会において確立された考え方であるというふうに考えてよろしいかということなんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(東郷和彦君) 今の委員からの御質問及び大臣からの答弁で申し上げておりますように、公海におきましては原則として旗国が船に対しては管轄権を行使する、しかし、その制度を秩序あらしめるために一定の警察権というようなものが国際法上で認められてきたと。その警察権を行使し得る場合はどういうことかということは、大臣からも申し上げましたように、例えば海洋法条約の百十条あるいはそれ以前にできました公海条約の二十二条等に規定があって、そのいずれの条約におきましても、国籍がはっきりしない船、これに対しては警察権を行使して臨検ができるということになっているわけでございます。 したがいまして、国籍がはっきりしない船が何らかの権利を持って行動できるかというようなことはそれ以前の問題でございまして、船は国籍をはっきりした形で行動せねばならないというのが国際法上の基本的な考え方であるということだろうと思います。
○山崎力君 終わります。
○佐藤道夫君 私も条約を離れて一般的な問題を取り上げたいと思います。 条約につきましては格別異論はございませんので、それなりの扱いをお願いしたい、こういうわけであります。 私が取り上げるのは、法律作成上の基本的な問題、あるいは基本的な心構え、こう言ってもいい極めて一般的な問題であります。実は防衛庁長官にも来ていただきたかったんですけれども、何か連日の国会審議で疲労こんぱい、もう口もきけない状態だ、こういうので、これは人道問題ですから断念いたします。幸い法律上の技術的な問題でもありますので、法律家である外務大臣にはちょうど手ごろな問題ではないか、手ごろというのは大変失礼でございますが、こう思いましてお尋ねいたすわけであります。 サンプルといたしまして、今衆議院で審議中の新ガイドライン法案を取り上げたいと思います。あくまでもサンプルであります。幸いにして、幸いかどうかわかりませんけれども、衆議院では話が決まったようで、本日あるいはあすにでも参議院に回ってくる、こういうことになろうと思いますので、中身についての本格的な議論はまたその機会に譲ることにいたしまして、この法案をつくる上での基本的な心構えについてちょっとお尋ねしておきたいんです。法律技術的な問題、こう考えてもよろしいかと思います。 第一条「目的」のところで、「我が国周辺の地域における」という言葉が使ってございます。我が国周辺の地域、これにつきまして政府は、かねがねこれは地理的概念ではないんだ、事態が発生した場合に考える問題なんだ、こういうことでありまして、どうやらそもそもの枠はないんだ、発生してみてからこれが我が国の安全に及ぼすような問題なのかどうかを考えて決めていくということなんですけれども、こういう考え方はおかしくないか。 というのは、周辺という言葉は、日本人古来連綿として地理的概念として用いてきているわけです。国会の周辺とか東京都の周辺とか日本の周辺とか、そういう場合に地理的概念として用いている言葉を、今にわかに政府が一方的な都合でこれは地理的概念ではないと、そんな使い方が許されるんだろうか。日本語にも日本語としての伝統があり美学があるわけです。それを踏みにじって、我々はこれから新しい使い方をするんだと、そんな言い方は許されないわけです。 日本の周辺はと、こういうふうに学校で問題を出せば、生徒たちはよく考えて、日本の海岸から五キロあるいは生徒によっては十キロとか二十キロとか、中には五十キロぐらいまでと、こういう生徒も出てきましょうけれども、いずれにしろ、日本があって、その周辺の一つの輪のような感じで周辺という地理的概念があるわけです。これはすべて同じことだろうと思います。この場合に、周辺というのは日本語の全然別な概念なんだと、そういう使い方を法律上できるのかどうなのか。 できないというわけではありませんけれども、そういう場合には法律をつくる上で定義を置くわけです。例えば、法律が男性という言葉を使っておる、聞いてみますると、政府はこの中に女性も含むんですよと平気で言う、それはおかしいよと。女性を含むなら男性括弧女性を含むというふうな念のための定義規定を置くとか、それが法律作成上の基本的な問題なんです。周辺という言葉を使っておいて、それは地理的概念ではない、こう言われたら、我々の御先祖様は皆戸惑うんではないでしょうか。何で我々の子孫はこんな勝手な言葉を使い始めたのか、おかしいと思わぬかということになろうかと思うんです。政府が考えておる周辺というのはどうも地理的概念ではない。あれは一体どこから来た考えなのか。 もっと結論的に言いますと、そういうことをおっしゃりたければやっぱり定義をきちっと書くべきだと。周辺括弧地理的概念ではない、発生した事態とあわせて考える言葉であるとか。それを見れば、国民もなるほどな政府は従来の周辺とは違った意味でこれを用いているんだなということがわかるわけです。そういう断りもなしにいきなり地理的概念ではないと。失礼ですけれども、政府の法案作成にかかわった人たちは皆小学校の試験だって落第かもしれませんよ、極端な言い方でありまするけれども。 その点、法律家としての外務大臣、どうお考えでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 十八年前に法律家を離れて政治家としてやっているわけでありますが、確かにおっしゃるように法案の中で地理的概念でないという定義規定を置くというのも一つのやり方であったかと思いますが、私たちが繰り返し国会において地理的概念でないと御説明することによって御理解をいただければ大変ありがたい、こういうふうに思っております。
○佐藤道夫君 これはまじめな話ですけれども、内閣法制局の審査は通っておるんですよね。大変疑問で仕方がないんですけれども、法律家であると言われておる人たちが、こういう法案について何ら定義規定も置かずしてそういう解釈でいこうと。政府もそれに乗っかってそれでいこう、口で説明すればわかってくれるはずだと。わからない人は世の中にいっぱいいるんです。理屈屋が結構いるんです、私みたいな理屈屋も。どうなんでしょうか。
○国務大臣(高村正彦君) 私自身はこの法案作成過程に具体的に携わらなかったわけでございますが、これは閣法でございますから内閣法制局の審議も得ていると承知しております。
○佐藤道夫君 これは前にも実は小渕外務大臣に本席でもってお尋ねしたことがあるんですけれども、周辺という言葉は法律用語になっておることは御存じでございましょうね。
○国務大臣(高村正彦君) 知っております。ほかのところで使われているということは知っております。
○佐藤道夫君 その代表的なサンプルが国会周辺の静ひつの保持に関する法律、これはもちろん略称でありまするけれども、使っておるわけでありまして、そのとき小渕外務大臣は遺憾ながら御存じなかったようであります。同席しておられた久間防衛庁長官に至っては、国会周辺というものは日比谷公園は入る、いや有楽町も入る、東京駅も入る、どこまでいくのかわからぬというようなことも言っておられました。この法律はきちっと定義規定を置いておるわけです。国会周辺とは永田町の一丁目、二丁目及び霞が関の二丁目、三丁目、その枠内でいろいろなことをやる場合には権利の制限あるいは義務を課せられたりする、だから注意してほしいというふうに国民に対してきちっとその枠を示しておるわけです。それを読んだ国民、あるいは右翼の人たちが多いと思いますけれども、なるほどそういう制限があるならやめておこうと。こういうことは当たり前のことなんです、日本は法治国家でありまするから。 そういうことを抜きにいたしまして、日本周辺という言葉を使って、さあ起きてみてから考えるからと言われても、国民は本当に迷惑すると思うんです。自分たちが一体どういう権利を制限されるのか、どういう義務を課されることになるのか、どこまでいったらそういう義務を逃れることができるのか。ですから、マラッカ海峡なんかどうだということになると、さあ多分入らないと思います。インドネシアはどうだ、小渕総理ははっきりと入らないということも言っておられましたが、それは小渕さんがそういうことを勝手に言ってもらっちゃ困るわけですよ、入るんだ入らないんだなんということを。総理大臣がかわれば次の総理大臣はおれは入ると思うよと言われたらそれっきりの話でもあるわけなんでして、どうもその辺があいまいもことしてこの議論が行われるというのは私は大変不思議でしようがない。国会というのは法律をつくるところですから、こういう基本的なことをあいまいにしておいて許されるんだろうか。 それから、国会周辺の法律は、これはくだらぬ法律だ、どうでもいいんだ、しかし今度の法律は極めて重要な法律だ、ですからその辺の定義規定は置かなくてもいいんだというような考えも一部に何かあるような話も私は聞きましたけれども、国会周辺の法律だって我々にとっては大変重要な法律でありまして、むしろこっちの方が大事なんだ、こう考えておる人もあろうかと思います。 法のもとの平等という言葉が使われておりますけれども、国民は皆平等だ、同じように法律もどんな法律もすべて平等なのでありまして、国会周辺法律がきちっと定義規定を置いているのにかかわらず、この法律は何でそういうことを置けないのか、不思議でしようがない。そういう定義規定は置けないということになれば、やっぱりもう周辺という言葉は使うべきではない。別の言葉を考えてください、わかりやすい定義規定を。地理的概念ではないけれども、何となくこの辺で危険なことをすればこの法律の規制を受けると、国民があるいは関係諸国がわかるような規定を置くべきではないのか。 日本の法律というのは世界でも一番すぐれていると私は自負心を持っておるくらいでありまするけれども、こんな法律が何か大手を振って歩き出すとそうも言えなくなってきたんじゃないか、内閣法制局を含む政府全体は一体何をしているんだろうか。後世に残るわけですから、法律というのは。ああこんなことが立法で許されるんだ、じゃ定義なんか置く必要はないと、ほかの法律でもそんなことが次々にまた、悪賢い連中は結構いるものですから、採用しないとも限らないわけであります。 大体私の言うべきことは言い尽くした感じがいたしますけれども、法律家として、また政治家としての御所見を承れればと思います。今後のことも含めましてお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(高村正彦君) その前に、総理がインドネシアは入らないとおっしゃったと言いますが、総理はそれは訂正されていまして、それはきっちり申し上げておかなければいけないことだと思います。 純論理的に考えますと、まさに周辺地域とは周辺事態が発生する地域であると、周辺事態の方の説明に周辺地域が入っていて、周辺地域の概念を説明するのに周辺事態が発生する地域である、これはもう典型的なトートロジーでおかしいではないかというのは、純論理的には私はそういうことは言い得るのかなと、こう思っております。それにもかかわらず、日本の平和と安全に重要な影響を与える事態、そういうことが地球の裏側、例えばインド洋、そういったところで想定できないということは、きっちり、そういうことをふだん考えておられる方には想定しにくい、想定できないということがよくわかっていただけるわけでありますが、一般の国民の方たちにその周辺というような言葉を入れていないとどこまでも広がるのではないか、そういう印象を与えかねないので、そういう一般の方たちにある程度、どこまでも広がるものではないよと、私たちはそういうことがわかっていただけるように入れたと。 だから、純論理的にこの言葉があった方がよかったのかよくなかったのか、ほかの言葉に置きかえた方がよかったのではないかということは、それは言い得るのかもしれませんが、こういう法律はやはり国民の受けとめ方ということも必要ですし、一般の方たちにある程度私たちが考えていることをわかっていただけるような言葉を入れた方がいいのかな、こういう感じがしたのではないかと。私は、制定過程に携わっておりませんが、そうではないかと私は今思っておりまして、私なりにいろいろ考えても、それじゃもっといい言葉があるかというとなかなか見つからない、こういうことでございます。
○佐藤道夫君 インドネシアは入らないと、私そう記憶しておりましたら、入るんだと、こういうふうに答弁が訂正されたんですか。
○国務大臣(高村正彦君) 地理的概念ではありませんから、入るとか入らないとかということは言えないわけでありますが、その想定できないといった言葉にインドネシアと言ったのは、あれはインド洋と言おうとして間違えたのだと、こういうふうに総理は訂正をしておられます。
○佐藤道夫君 極めてまじめな話なんですけれども、日本周辺の地域といって、その中にインドネシアが入るとか入らないとか、マラッカ海峡がどうなんだとか、そういう議論が起こること自体が私は極めてナンセンスだと思うんですね。だれに聞きましても、日本周辺の地域にインドネシア、そんなものは入らない、だれだってそう言うと。フィリピンはどうだ、これだって入らないと言うに違いないと思いますよ。台湾は、こういうことになると、想定する人によっては入るんだろう、しかし大体の人は入らない、それは周辺とは言わないと。さっき言ったように、日本周辺といえば十キロ、二十キロ、幅のある人で百キロぐらいしか想定できないんだろうと思うんです、日本周辺と言いまして。法律でそういう議論が起きていること自体、私は大変むなしいことだと思う。 それから、旧ガイドラインは極東及びその周辺という言葉を使っておりました。極東周辺と日本周辺とを比べてみれば、どちらが広いかと。子供にでもわかるとおり、これは極東の方が広いですよ、当たり前のことでしょうと皆言うでしょう。ところが、旧ガイドラインはどうも狭過ぎるというところから新ガイドラインの制定が始まったようにも言われておるわけでありまして、だからシーレーンが入るんだということを言った防衛庁の事務次官もいたぐらいであります。大変おかしいんですよ。広げようと思いつつ実は狭まっているとしか言いようがないわけで、それを今広いんですよ、極東周辺よりも日本周辺が広いんですよと。こんな理屈が通ると思いますか、まじめな話ですから。
○国務大臣(高村正彦君) まじめな話ですからまじめにお答えいたします。 さっきからまじめに答えておりますが、極東周辺よりも日本周辺ということでさらに広げようなどということはゆめ考えたことはありません、それはまじめにありませんから。ただ、極東周辺ももともと地理的概念でないということを御説明してまいりました。 それから、我が国周辺も地理的概念でありませんから、両方とも地理的概念でありませんからどっちが広いとかどっちが狭いとかということは言わないことにしておりますが、我が国周辺という言葉を使って極東周辺より広げようなどという魂胆は一片もありませんので、それは御安心をいただきたいと思います。
○佐藤道夫君 わかりました。 最後になりますけれども、あなたはなかったらしいんですけれども、だってそれははっきりと防衛事務次官がそういうことを言っていたわけですからね、シーレーンは入るんだということを。一概にはどっちこっち言えない。まあ、どっちでもいいんですけれども、そういうことは。いずれにしろ、言葉自体を私は問題にしているわけでありまして、我が国周辺、それをやっぱりはっきりさせるべきではないのか、まずもって。事態が起きてから考えようということは、法律をつくるべき人の態度ではないと思います。 このことをはっきり申し上げまして、私の質問を終わりにしたいと思います。
○委員長(河本英典君) 他に御発言もないようですから、三件の質疑は終局したものと認め、これより討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかしてお述べ願います。
○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、マレーシアとの租税条約、カナダ及びスウェーデンとの租税条約改正議定書に対して反対の討論を行います。 我が国は、これまで租税に関する四十四の条約を締結してきましたが、これらの条約の大半は、基本的に、大企業が海外に進出し、より安価な労働力を確保して利潤を追求するため、税制面での優遇措置を定めたものであります。今回の条約等はこれらと同様のもので、こうした海外進出企業に対し、親子会社間の間接税額控除やみなし税額控除を含む控除の一括限度額方式などによる優遇措置をとる必要はありません。 また、国際課税のあり方について、税制調査会でさえ、税収構造自体にゆがみをもたらす可能性や税の公平、中立が損なわれるおそれがあることを指摘しているように、国の課税権が脅かされ、国内で産業空洞化が生じるほど日本企業が海外進出して租税収入が伸びない中で、企業の海外進出に対する必要な規制が強く求められています。 具体的な点では、配当に対する税率の上限の引き下げは、税額控除の範囲を広げるもので問題であります。また、マレーシアとの条約に規定されているみなし税額控除は、二重課税の排除とは無関係のものであり、期限を限定しているとはいえ、存続させていることは諸外国に比べても寛大な制度で、条約において租税の回避を認めるものです。 以上、反対の主な理由を述べ、討論を終わります。
○委員長(河本英典君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 これより採決に入ります。 まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とマレイシア政府との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河本英典君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とカナダ政府との間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河本英典君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とスウェーデンとの間の条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件の採決を行います。 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(河本英典君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定いたしました。 なお、三件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(河本英典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午前十一時四十分散会