労働委員会 第8号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1999/04/16
会議録
○岩田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松本惟子君。
○松本(惟)委員 おはようございます。 一昨日、当委員会で質疑の折、時間の関係で答弁を求めなかった事項がございますので、冒頭、その点について再度お伺いをさせていただきたいと思います。 まず、深夜業に関してでございますけれども、本年四月から深夜業が女性労働者へも適用されることとなりましたけれども、それに伴いまして、安全衛生法なり安全衛生規則についても見直していく必要があるのではないか。例えば安全衛生規則第六百十六条を見ましても、寝具、蚊帳、若い方には余り御存じない方があるかもしれませんけれども、蚊帳とか、そのような必要な用品を備えというふうに法文の中に書いてございますが、二十一世紀に対応するものと言えないと思うと私は申し上げさせていただきました。 これに対しまして、政府委員からは、安全衛生規則六百十六条は、どの職場でも必要不可欠として罰則をもって遵守させているので、いわば強行法規なので改正は難しい、自主的なガイドラインの中で整備をしていくというふうなお答えがございました。これに関連して質問をいたします。 まず、平成四年に、快適な職場環境の形成のための措置に関する指針、快適職場環境指針とでも申しましょうか、これが告示をされています。当時の会議録を見てみましたところ、この指針で言っている職場環境は、作業環境のみならず、労働者が利用する施設設備の状況等を含む概念であり、快適な職場環境とは、作業環境を快適に維持管理することだけでなく、労働者の疲労を回復するための施設設備の設置や整備等を言っている、このように書かれておりますけれども、そのような理解でよろしいでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 今御指摘ございました快適な職場づくりをするための労働大臣が公表しております指針、これはすべての労働者が疲労やストレスを感じることの少ない、働きやすい職場環境を形成していく、そういうことのために、事業主が講ずべき措置をリードしていくための指針、こういう性格を持っております。したがいまして、その中には、作業環境だけでなくて、労働者の疲労の回復を図るための施設設備の設置、準備等の事項も含んでおるわけでございまして、そういう意味で、先生御指摘のとおりの指針でございます。
○松本(惟)委員 今お答えございましたように、快適な職場環境の形成を図るために事業者が講ずべき措置の内容に関する事項としまして、もう少し言わせていただきますと、空気環境、温熱条件、視環境それから音環境等、それぞれこの指針の中には詳細に規定されておりますし、そしてまた改善措置として、高温多湿や騒音等の場所での防熱や遮音等の措置を図ることなどがございます。そして、疲労回復を図るための施設設備の設置、整備等として、今おっしゃられましたように、疲労やストレスを効果的にいやすことができる休憩室やシャワー室等の設備があります。 私は、この中に、一昨日申し上げましたように、いわゆる仮眠施設とか休憩施設についての設備を盛り込むことはできるのではないか。つまり指針の中に盛り込むことができるのではないかと思っておりますが、いかがでしょうか。 政府委員が一昨日御答弁されましたように、安衛規則を直ちに改正することは困難ということであるならば、せめて仮眠施設とか休憩施設についての改善策をこの指針に加えるということは、そんなに大変なことではないというふうに思えてなりません。その点いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、快適職場を形成するための指針の中では、労働者の方の疲労の回復を図るための施設整備ということで、疲労やストレスを効果的にいやすことができるように、臥床できる設備を備えた休憩室の確保等についても触れておるわけでございます。 今後、深夜業に従事する方々の就業環境の整備を目的として、一方で労使の方の自主的なガイドラインづくりを私ども支援をしてまいるわけでございますので、その中で、こうした休憩あるいは仮眠施設等について望ましい水準というようなものが労使の中で話し合われ、姿が見えてくれば、私どももそういったものをガイドラインに織り込みますと同時に、そうした労使の方の話し合いの成果を見守りながら、快適職場を形成するための指針に盛り込む必要性が出てくるかどうか、そういったことについても十分検討してまいりたいと思っております。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。労使の自主的なガイドラインづくりに際しまして、労働省としては適切な情報の提供というのは義務だと私は思っておりますので、ぜひとも、国内のみならず、国際的な基準でも参考になるところがございましたらば情報を提供されまして、よりよいものができるように期待をいたしておきます。 それから次に、深夜業についてでございます。 深夜業につきましては、一部の例を除いて何ら規制や基準が設けられていなかった我が国で、事実上初めてガイドラインが策定されることになったということは大変意味のあることで、私も一日も早く策定されることを期待しております。 しかしながら、自主的なガイドラインの策定は、前回の政府委員の答弁によりますと、事業として二カ年程度で実施することになっているということでございました。つまり、来年かもしれないし再来年かもしれないということだというふうに理解をいたします。 他方、既に四月の一日から女性も深夜業の適用となり、導入企業では条件整備に取り組んでいるということも一昨日御報告いただいたところでございます。そうであるならば、女性労働者の就業環境の整備に関する指針で新たに加えられました通勤等の安全確保の措置ということだけではなくて、仮眠設備、休憩設備についての改善策についても、女性が深夜業にかかわることに配慮をした措置を講ずる必要があるのではないでしょうか。 その意味から、私は、安全衛生規則の改正が困難であるとするならば、せめて快適職場指針に基準を示していくべきだというふうに思います。 これにつきまして、一昨日も申し上げましたけれども、一般的には男性労働者を中心にした、念頭に置いた基準でございましたし、特に女性労働者について申し上げますと、かつて労働基準法とか安全衛生法が制定をされましたときには女性は未婚者が多かったわけですね。深夜に携わっていない職場を見ましても、未婚者が多かった。既にもう既婚者が非常に多くなってきているというところから見ましても、申し上げましたようなことはとても大切だと思います。私は、そういった快適職場指針の基準の中でやはり必要だということを重ねて申し上げたいと思います。 とりあえず自主的なガイドラインが先行されていく、つまり、深夜業については、一部を除いて何ら規則とか基準とかが今までなかったところで初めてガイドラインがこれから検討されていくわけでして、しかも、その第一は自主的なガイドラインという形で検討されていくわけですから、これができるだけ早く実現を見るようにということを願っております。そういう点から、労働大臣のリーダーシップを発揮していただきますように、要請をいたしておきたいと思います。 手元に、連合と労働科学研究所が共同して行った交代・変則勤務に関する調査の概要がございます。近々正式にこの報告書は公にされるものと思いますけれども、この調査は、ニューワークルールづくりとしての位置づけに加えまして、社会全体の夜勤者数の減少を目指すもの、男女共同参画社会とのかかわりで夜勤、交代制を位置づけるという視点に立っております。全体の数を減らすと同時に、男性と女性がともに働けるという視点に立っての報告書でございます。その意味では、深夜業や交代・変則勤務に関する調査として注目されるものだというふうに考えております。 この調査によりますと、就労条件の整備についての企業に対する質問に対して、取り組み中あるいはチャンスがあれば取り組む対策として、交代勤務者の通勤交通対策、夜勤時の安全対策、夜勤交代勤務者の健康対策、夜勤時の疲労眠気対策、仮眠交代対策、女性採用に向けての条件整備、それから中高年の健康活性化対策など、製造業、非製造業ともに多面的な対策課題が出されております。 私は、こうした具体的な対策について、今後検討されることになっておりますガイドラインにも盛り込まれていくことを期待したいと思っておりますし、さきに申し上げましたように、快適職場指針に加えていくことについて御検討を要望しておきたいというふうに思います。 これはあくまでも要望でございますので、何かお答え、お話しくださることがございましたら、よろしくお願いします。一方的な意見ということでよろしければ、要望事項として取り扱っていただいて結構でございます。
○伊藤(庄)政府委員 労使の方に取り組んでいただきます自主的ガイドラインをつくる作業でございますが、二カ年ということで予算措置は私ども想定いたしておりますが、もちろん、これは予算の期間でございまして、話が進む業種にありましてはできるだけ早い段階でできるように努力いたしたいと思います。 そうした労使の話し合いの過程では、新たに女性の方が深夜業に進出する、そういうことに伴いまして健康上の問題のほかに何か実態上いろいろな問題があれば、労使の間で十分取り上げていただくように配慮していくべきものと考えております。したがいまして、先生御指摘ありましたような資料についても、そうした話し合いの場で紹介申し上げたり、そういった点については、事務局として十分配慮しながらそういう話し合いを進めていくようにしてまいりたいと存じております。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。よろしくお願いをしておきたいと思います。 では、続きまして、ILO条約の問題に移らせていただきます。 一九九〇年のILO総会で採択されました条約が二つございます。その一つは、夜業に関する条約、すなわち百七十一号条約であります。もう一つは、職場における化学物質の使用の安全に関する条約、百七十号条約ですが、この二つの条約は、偶然ですけれども、いずれも今回の安全衛生法の一部改正法案に深くかかわっています。 そこで、まず夜業に関する条約、百七十一号につきましてお伺いをいたします。 この条約は、私自身もILOの労働側委員といたしまして第一次討議に参加をした経過もございますし、このときに労働側のスポークスマンとして精力的に活躍をされましたスイスのドレイフス女史が今スイスの大統領になっているということ、そういったこともございますし、大変印象深い条約でございます。 さて、この条約は、我が国はまだ批准していないのです。その理由をお聞かせ願いたいと思います。国内法との関係ではどの部分が抵触をしているのか、具体的にお答えをいただければと思います。
○伊藤(庄)政府委員 ILO百七十一号の内容と国内法制との関連での問題でございますが、一つは、深夜業の定義の問題がございます。 私どもの法制と深夜業の時間帯が異なっておりますが、この辺の整合性をどう保つべきなのかという点が一つございます。それから、内容の点で、健康状態の評価という点につきまして、いわば健康診断の問題でございますが、ILO条約は自己の請求により健康状態についての評価を無料で受けられる権利を持つ、こういう労働者側からの権利として構成しておりますが、労働安全衛生法上、今回の改正法案で自主的健康診断という道も導入いたしましたが、基本的には、定期的に事業主が健康診断を実施することを義務づけている、そういう形で組み立てられておりまして、その辺の制度的な違いにつきましては、その差異についてなお検討を要する点がございます。 また、健康上の問題があった場合に、ILO条約では配置転換という事後措置をもって対応することで考え方が構成されておりますが、労働安全衛生法上は、健康に問題がある場合の事後措置といたしまして、労働時間の短縮、作業の転換あるいは深夜業の回数の減少等選択肢をかなり用意して事後措置を事業主に義務づけておるわけでございます。この辺も制度的な差異があるわけでございまして、そういったものにつきましてなお検討を要する状況にあるわけでございます。
○松本(惟)委員 百七十一号条約が採択されました当時は、条約第七条の女性労働者の夜業に関する事項等につきまして国内法とは明確に抵触をしていたわけでありましたけれども、その後の法改正によって、批准の条件はこの点についてはかなり整ったというふうに理解をしております。 残されましたのは御説明ございましたように定義、それからもう一つ、二つ、これは整合性の問題で、解釈をどのようにするかということで詰めていただければ、そんなに難しいことではないのではないかなというふうに思います。 残されていますのは、第四条の健康診断の評価を無料で受ける権利及び自己の職務関係、健康上の問題を少なくさせていく、これを回避をすることについて助言を受ける権利というところでは、今回の法改正でこれもかなりいっているのではないかなというふうに思います。それから六条の、今御説明がございました夜業に不適応と認められた労働者が配置転換されるというこの項目が問題なんですね。つまり四条がまだ問題を残しているということですか。それから六条がまだクリアできていないということでございます。四条については今回の改正でかなりクリアできているのではないのかなと私は思いますけれども。一番大きいのは六条かなと。 この六条につきましては、安全衛生法第六十六条とのかかわりになると思いますけれども、第六十六条の改正がされない限り批准は難しいということでございましょうか。
○伊藤(庄)政府委員 このILO百七十一号条約の健康確保のためのいわば考え方と、労働安全衛生法が内容を組み立てている基盤となっている考え方の相違があるわけでございます。例えば健康診断については、労働者の方から健康診断を請求する形で構成している、私どもは、基本としては事業主に定期的に行うことを義務づける、こういう形でございますし、それから健康上問題があった場合の対応につきましても、ILO条約の方では配置転換ということだけを挙げておるわけでございますが、労働安全衛生法上は労働時間の短縮、それから作業の転換、あるいは配置転換までいかなくとも深夜業そのものの回数を減らす、こういうことを挙げておるわけでございますので、選択肢が非常に多い形になっております。その辺がILO条約と国内法制の関連で整合性がとれているかどうかということにつきましては、さらにもう少し突っ込んだ検討をしないといけないのではなかろうかということで、そうした検討を行っているところでございます。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。さらに、国内法との関係で整合性が図れるかどうかということを、ILO条約の文章とのかかわりで詰めていただきたいと思います。 最後に、批准の見通しについて、労働省としてはどのように考え、検討されているのか、今のお答えの中に出ていたかと思いますけれども、大臣の方からお答えをいただければと思います。
○甘利国務大臣 ILO条約が批准されない理由には幾つかあるんですが、国内法が整備されていないとか、あるいは国内法はあるけれども認識が違うとか、あるいはむしろ国内法の方が前に進んでいるとかいろいろな意味、悪い意味だけではなくて、そうでない意味での乖離もあります。 ILO条約を私も子細に調べたわけではないんですが、相矛盾する二つの条約が一緒にあっちゃったりとか、必ずしもその批准率が高いことがいいこととも言えないような状況もあります。今回の場合も、今基準局長が答弁させていただきましたように、幾つかの点で、見解の違いとか幅のとり方とか幾つか相違点がございます。そういうことを踏まえてどうしていくか、少し検討していきたいというふうに思っております。
○松本(惟)委員 ありがとうございました。前向きによろしく御検討をお願いしたいと思います。 ちょっと時間が迫ってきましたので、幾つかまとめて伺っておきたいと思いますが、化学物質に関して、特にアスベストの問題について伺いたいと思います。 新聞報道でILOの調査が紹介をされておりました。ここに切り抜きを持ってきているんですけれども、それによりますと、世界で年間百十万人が労働災害が原因で死亡している。その死者の四分の一が有害物質によるもので、中でもアスベスト被害というのが年間十万人、これは死亡です。表に出てきて死亡として統計されているのが十万人。このままでは有害物質による死者が二〇二〇年までに倍増するおそれがある。改善策がとられれば、労災死の半分以上、六十万以上の命が助かるだろうとILOが判断しているという情報が提供されています。 重ねてまた、ヨーロッパにおけるアスベストの流通と使用を中止する欧州委員会指令の草案が公表されております。これでも一定の危険な物質とその調製品の流通と使用を禁止しているものというふうに伝えておりますが、こうしたアスベストの禁止の動きについて、労働省はどのように認識をされているか。 それからまた、欧州指令の中を見ますと、クリソタイル・アスベストの流通及び使用については二〇〇五年までに禁止をするというふうなことも書かれております。事は人の命にかかわることで、我が国の対策につきましてはどうなっているのだろうか。 さきに申しましたような大変な事例というのは特に途上国において多いわけですけれども、日本がODAなどを使われまして技術指導とか支援をすることは大変大切だと思いますが、あわせて、私はやはり国際基準を満たすという意味でILOの批准に向けての御検討が必要ではなかろうかというふうに思うわけでございます。 そういった点から、かつてじん肺法とか粉じん障害防止規則等に基づいて予防対策とか労働者への健康管理などが行われてきたわけですけれども、アスベスト禁止をめぐる世界的な動きもあることから、我が国においてのあり方につきましてお伺いをしたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 アスベストを中心にILO条約との関連、また国際的な動向との関連についてお尋ねがございました。 このアスベストの問題につきましては、発がん性が大きいということから、かねてより特定化学物質等障害予防規則というのを労働安全衛生法に基づいて定めておりまして、そこで発散防止設備の設置、あるいは作業主任者の選任、そして環境の測定等、一連の管理措置を義務づけてきておるわけでございます。 さらに、平成七年には、先生から御指摘がありましたように、国内外のアスベストに対する対応の動向等も踏まえまして、特に発がん性が高いとされるアスベストのうちのアモサイト等につきましては使用禁止というような強化も打ち出してきておるわけでございます。 今般、ILOの方からその調査報告それから今後の安全確保のための戦略等が公表されたわけでございますが、主として発展途上国等におけるアスベストによる健康障害等の問題がその中でも指摘されておるわけでございます。 国内の対策としては、そうした国内外の動向を踏まえて必要な強化等も行ってきておりますが、今後そうした発展途上国等に、私どもそうした経験としていろいろ協力できる方法があるかどうか、そういった点につきましては、これは積極的に、協力ができる分野についてはそういう経験を生かして協力していくようなことにつきましても、私ども対応してまいりたいと考えております。
○松本(惟)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
○岩田委員長 次に、中桐伸五君。
○中桐委員 民主党の中桐です。 まず、新しい労働安全衛生マネジメントの検討が今行われているということで、この間の質疑を聞いておりますと、今年度内にはこのシステムを立ち上げるというふうなことですが、まず、安全衛生マネジメントの新しいシステムを導入するその背景、目的について伺います。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、現在、労働安全衛生マネジメントシステム、これの導入を広めていこうということで、指針等の策定作業を行っておるところでございます。 そうした背景には、まず、労働災害の発生状況、着実に減少してきているとはいえ、もともと労働災害はあってはならないものでございますし、なおかなりの水準で発生している状況、これに対して的確な対応の道をつくっていきたいということが一つでございます。 また、労働災害が減少はしてきているわけですが、そうした背景には、それぞれの労働現場で働いておられる方々の労働災害防止に関するノウハウが蓄積されてきていることがあるわけでございますが、これからの高齢化等の中で、蓄積されました労働災害防止に関するノウハウが次の世代に十分継承されない、そうしたことが今後の労働災害の発生につながる、あるいは労働安全衛生水準の低下を来すのではないかというようなことも私ども危惧しておるわけでございます。 いずれにいたしましても、かなりの職場で潜在的な危険性というものは抱えておるわけでございますので、そうした潜在的危険性を下げて、今申し上げたような問題点の中で労働災害の減少というものを引き続き図っていかなければならない。 また、健康の面でも、作業保健の分野でも従来型の職業性疾病から作業関連疾患というような形で健康が問題になる面も出てきております。 そうしたことを踏まえまして、安全それから衛生両方にわたりまして、労働災害防止、健康確保の計画を立て、それを実施しながら常に評価を行い改善していくということを連続的に行えるシステム、これを私ども開発し、その基準を今回告示で示していきたいというふうに考えているところでございます。
○中桐委員 要約すると、労働災害の減少、抑制、防止といいますか、その効果が最近鈍化している、徐々には減っているけれども鈍化している、それに対するより新しいシステムで災害の防止を行う。それからもう一つは、現場にあるノウハウの継承が少子・高齢化で途絶える可能性がある。ノウハウというのは安全衛生のノウハウですよね。それが途絶える可能性があるという御指摘ですか。そこのところをもう少し詳しくお聞きしたいんですけれども。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のとおり、各労働現場で蓄積されてきている労働災害あるいは健康確保等に関するいわゆるノウハウが、高齢化していく中で、そうしたものを担っていた方がリタイアする、次の世代にうまく承継されない、こういう懸念もあるわけでございますので、こうした総合的な管理手法のシステム化によりまして、高齢化が進む中でもこうしたノウハウが承継されていくような道筋をつくりたいということも今回のこのマネジメントシステム開発の一つの背景でございます。
○中桐委員 それと、先ほどの作業関連疾患、他要因の心臓病だとか関節炎だとか、従来職場との関連性が相対的には弱い、医学会でも専門家の間でも、遺伝だとか年齢要因だとか、職場要因から見ると余り意識をされてこなかったものについても対応しようということですね。 そういうことについては私は高く評価をするんですが、しかし、「基本的考え方」というところに示されている中で、まず事業者が安全衛生対策を自主的に行う指針だというふうに一項書かれておりますね。それからもう一つは、すべての規模の事業場、すべての業種の事業場を対象とすると書いてありますね。そしてもう一つは、労使の協議と協力による全員参加の理念を基本とすると書いてありますね。私はこの内容は極めて重要な意味を持っていると思います。しかし、一方で、労働安全衛生法の体系及び内容を変更しないと書いているわけであります。ここが問題のところでありまして、問題点の整理がやや不十分なところがあるんではないかと私は思いますので、そこを少し議論したいと思うんです。 それは、これまでの安全衛生活動の歴史的な経過の問題なんですが、これは日本だけの経験ではなくて国際的な経験も含めての話なんですが、実は国際的な安全衛生活動という点から見ますと、一つの大きな転換点が、イギリスのローベンス・レポートというものが労働安全衛生に関して一九七二年に出されたんです。 これは、国際的な労働災害発生率の、イギリスと日本がどっちが多いのか少ないのかというのは別問題にしまして、イギリスにおける安全衛生活動の歴史というのは日本よりも古いと見ていいわけですね、産業革命以来の歴史的伝統がありますから。そういう中で、非常に長い期間をかけて労働災害の減少に努力をしてきた。しかし、イギリスにおいて、一定程度の災害の防止レベルから災害発生減少件数が鈍化して十分な成果を上げにくくなってきた。これはイギリスの中の話ですよ、国際比較の中で日本とイギリスがどうのこうのという話じゃない、イギリスの歴史的な経過の中で、実はそういう時点でローベンス・レポートが出されました。 そのローベンス・レポートの「まとめ」の中の「総括」というところ、一番重要なところでありますけれども、ここには、「労働における安全保健を確保するための自主規制をもっと取り入れたシステムが私たちに必要である。」とまず書いてあります。そして、「いつまでも増大するばかりの、詳細にわたる法的規制をもとにした伝統的なアプローチは、時代遅れで、複雑にすぎ、不適切である。改革の目標は、使用者と労働者の合同による、より効果的な自主規制のための条件を作り出すことにおかれなければならない。」というふうにこのローベンス・レポート、ローベンス卿が中心になってつくった検討委員会で出された。「総括」のまず一番重要なところなんです。 今、日本の労働安全衛生法体系というのは一体どのくらい、安全衛生規則等も含めて、条文、条項がございますか。ざっとで結構です。おおよそでいいですよ、正確でなくてもいいですよ。
○伊藤(庄)政府委員 法律それから安全衛生規則、それに基づく告示等々入れますと、条文の数にして約三千条ぐらいになるんではないかと言われております。
○中桐委員 三千とは、私は聞いて、もうすごい数だと思います。多分それ以上にあるんじゃないかと私は思いますが、正確に私も計算したことがありませんから、わかりません。 しかし、問題は、これだけの規制項目を今の監督官が果たして——監督官は安全衛生だけで監督するわけじゃないんですから、この規制をそのままの体系を残して変更しないということが一体どういうことになるのか。つまり、今までの条項を、この非常に細部にわたってたくさんある規制というものを、ある程度統合化する分野それから残さなければいけない分野とあると思うんです。それを検討することが同時に行われる必要があるんではないかというのが私の言いたいことの一つなんです。 つまり、前回の質疑でも取り上げましたが、化学物質の規制を労働行政の中で徹底的に規制項目をふやして取り締まり的にやるということを考えても、技術革新の急速な時代において、これは社会の現状に合わないと私は思っているわけです。ですから、化学物質を例にとっても、そういう労働行政でこれから規制をするということ自体がドン・キホーテ的な話になってくるということであります。 では、法的に国がきちんとやらなきゃいけない監督業務はどういったところにあるのかということを新しい時代に合わせて考える必要がある、そう私は思うんですね。それがローベンス・レポートにまさに言われておりまして、つまり、労働行政の規制というものをいいかげんにする話ではない、しかし、基本的な規制のレベルをどういうふうに再編成して、再統合して、そして自主的なアプローチによりウエートをかけていくか、ここが最も大きなポイントでありまして、これは日本の歴史的な経験の中で総括をし、やらなきゃいけないことであります。 しかし、少なくとも国際的な安全衛生行政のレベルというのは、このローベンス・レポートをきっかけにして大胆な転換が始まっているということなんであります。それは、ILOの百五十五号条約並びに百六十一号条約の中に結実をしていくわけです。これは国によって多かれ少なかれ違いはもちろんあります。もちろんありますが、基本的には、これは先進国だけではなく、開発途上国といいますか、これから工業化が進んでくる国においても同じ精神でローベンス・レポートが生かされていきつつあるわけです。具体的には、もう既にインドでも、そしてマレーシアはもっと体系的なローベンス・レポートの体系が導入をされているわけであります。 つまり、極めて細部にわたる、先ほども局長は三千と言われましたが、こんなにたくさんのものを細かく規制するところからスタートをするという歴史的な段階があったんだけれども、それは非常に効果を上げた。そしてどんどん下げてきた。しかし、これから先の問題は、リスク評価も含めて、現場の中にもっときめ細かく、リスク要因、つまり労働者の健康に障害を与える要因というものを労使に任せた方がいいのではないかという流れになってきているということなんですが、その点はこの考え方の中に取り入れられているわけですよね。そうでしょう。どうですか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように、安全あるいは衛生、そういったことにつきまして、多種多様な産業界の実情の中で働く方々のそういった問題を守っていくために、どういう現場にも合うような形で基準というものを策定してきた経過がございます。そういったことで非常に多くの条文、多くの規制内容ができ上がってきておるわけでございますが、こういったものからあり方を変えて、もう少し別の手法へという御指摘、貴重な御意見かと存じます。 私ども、別のそういった形というものをにらんでいくためにも、そのために不可欠なのは、各労働の現場で労使が自主的に体系的な安全それから衛生の管理というものを確立しておかなければならない、そういう基盤があれば、今までの伝統的な積み上げてきた安全衛生の確保対策というものが次のステージというものを考えられ得るのかもしれないという気持ちは持っております。 そういったことから、今回のこの労働安全衛生管理のためのマネジメントシステムを開発し、普及させていこうというのは、そういう個々の現場で自主的に一つの基準、体系に沿って総合的な安全衛生管理の手法というものを確立させていく、そういうことを導いていくためのまず一つの入り口になるだろうと思っております。 また同時に、こうしたことが、国際的に安全衛生管理の形がいろいろと変わっていく中で、我が国自体が、我が国の実情に合った形で一つの基準というものも作成し、それが国際的にも通用するものであれば、国際的にもそういった一つの基準というものを日本としてアピールしていく、こういうことも将来目指していかなければならないだろうというようなことも念頭にあるわけでございます。
○中桐委員 そこで、もう少し前に進みたいんですが、ここには「事業者が安全衛生対策を自主的に行うための指針であって、強制的な基準ではない」と書いてあります。ここが問題です。強制するのは何なのか、そして任せるのは何なのか、ここが問題なので、この発想ではちょっと先がよく見えない。 すべての事業所、すべての労働者を対象にするというのが最近の国際的な安全衛生活動の方向性になっていますから、安全衛生委員会があるとかないとかという問題だけではない。そうしますと、自主的な安全衛生計画というものを事業者に義務づけることは、これは強制的な基準ではないということでは私は困ると思う。つまり、小さな事業所であっても、事業主は安全衛生計画をつくらなきゃいけないんだ。会社に行くと、おたくの会社の安全衛生というのは今どういう方針になっていますか、ことし一年何をやりますか、来年は何をやりますか、つまりこれは、計画、実施、評価、改善ですから、それを出してくださいと言ったときに、すぐ文書で出てくるかどうかという問題なんです。 それを全部チェックするかどうかは別ですよ。化学物質と同じで、やっていなければペナルティーですよ、それは。ペナルティーが起こるときは、災害が発生したときに起こるわけですよ。それはしようがないじゃないですか。マネジメントシステムを導入したから一斉に何月何日に全部の計画をチェックができるか、これは不可能でしょう、現在の労働監督行政の幅広い範囲からいえば。それはしようがない。それを一々細かに法律の条文、規制項目でやろうといったって、その会社に一体どういうリスクがあるのか監督官にわかりますか。わからないんですよね。多様な企業があり、日々技術革新で変わっていくわけですから。そうすると、ドン・キホーテはやめなきゃいけません。 そうすると、事業主は何をやらなきゃいけないんですか。ここが問題なんだ。事業主は、自分の会社のことは自分が一番よくわかっている。安全衛生というものはこういう問題を考えながら計画をつくるんですよという何かガイドライン、いわゆる基準ですか、というものをつくって、それをつくりなさいと。工場に監督官が行ったときに、平均すれば十年に一回行くのか、行ったときに、文書を見せてくださいと言ったら文書がちゃんと出てくる。しかも、それは十年前につくったのを全く変えていないのでは困るわけです、だって、計画、実施、評価、改善なのだから。 そうすると、それはちゃんとしかるべく定期的に労使が話をして、事業主がつくっていく。労働者がそれに意見を述べてでもいいですけれども、少なくとも労働者の合意でやらなければうまくいかないのだから、法律で規制するというアプローチは日本でももう限界に来つつあるわけだから、やはり現場が一番わかる働いている人も参加をして、ここの職場はどうも働きにくいとか、そういう意見も入れて、よりいい作業場にするということをやらなければいけないという話になってきているわけですよ、ローベンス・レポートの基本コンセプトは。 ですから、そう考えると、行政が漏らさずやらなければいけないことはきちんと掲げなければいけない。それは、五十人未満であろうが何であろうが、全部やらなければいけないわけですよ。たった五行か六行の安全衛生計画でもいいのですよ。やることが重要なのです。私の職場は、まずいすをちょっとよくしますという計画を立てるだけでもいいのです。それを、全部の体系を突っ込んで、これだけの安全衛生法を守りなさいといって五十人未満の事業所に押しつけて、事業主は全部読むのは頭がパンク状態になるのだから、そこをどうするかという問題。これは私も詰めて検討していないから、行政の前線の人に十分検討してもらいたい。 しかし問題は、自主的な、強制的な基準ではないものをつくってどうするのですか。私は、基本は内容ではないと思うのです。もちろん内容は重要ですよ。内容は物すごく重要なのだけれども、基本的にはこういう枠でつくりなさいということをすべてのところに義務づけなければ、新しい時代の安全衛生活動にならないではないかと思うのですね。 ですから、そういう点で、ぜひ私お願いがあるのは、自主的な活用と同時に、監督業務の再編成、再検討、それを考えていただきたい。国際的な安全衛生基準からいうと、もう労使が参加をするということが前提条件になってきておりますから、労使が参加しなければこのシステムはうまくいかないと私は思うのです。法律で規制するのならまだいいですよ、これこれをしなさいと書いてあるわけだから。それは規制の可能性があるけれども、自主的にやる話になってきたときに、やはり現場の労使が参加をしなければ話になりません。 そうすると、労使が参加できる仕組みをつくってあげないといけない。その労使が参加する仕組みというのは、今意見を聞くという話になっている。五十人未満の場合は、労働者の意見を聞くという話になっていて、どうもシステムがうまく機能するレベルに達していない。そこで私は、委員会を五十人未満は全部つくれということをやるのがいいのか、それとも安全代表みたいな人を選んで会社の方と話をするのがいいのか。それは日本的に考える必要がある。 例を挙げれば、スウェーデンの場合には、五十人以上のところには委員会をつくりなさいというのが義務づけられている。そこから下のところは、労働者から何か委員会をつくれという要求があった場合にはつくりなさい。それ以外の要求がないところではどうするかというと、安全代表をお一人かあるいはそれ以上の人数を選びなさい。労働者が選ぶ。一人でもいいわけです。五人以上のところはそうなっている。 ですから、それは一人のところではやらなくてもいいかもしれないけれども、スウェーデンの場合は、五人以上に安全代表、五十人以上に委員会。五十人未満のところに労働者が委員会をつくれと言ったらつくらなければペナルティーがありますよ。こういう形も一つの参考としてはあるわけです。だから、それをやらないと、この安全衛生マネジメントシステムは、すべての事業所、すべての労働者に機能しませんよ。こういうことを私は言いたいのです。いかがですか。
○伊藤(庄)政府委員 現在の安全衛生法が求めている安全衛生についての管理の体系、先生御指摘のように、例えばその一つとして、五十人以上は安全委員会をつくり、それ以下については労働者の意見を聞く、こういう形になっているわけでございますが、私ども、かねて問題点の一つとして、本当にこの安全委員会というようなものが活性化しているのだろうかという問題意識を正直持っております。もし活性化させていくためには、この安全委員会等が本当に事業場の安全衛生管理の手法、またはそれをシステム化していく、そういう中にしっかりと組み込まれていくことが望ましい。むしろ、そういう形で安全委員会というものが魅力を持てる場になっていければ、この安全委員会というものも今後非常に活性化していくのではなかろうかというような考えを持っておるわけでございます。 そういう意味では、今回開発し普及を広めようとしております労働安全衛生のマネジメントシステム、この中でも、これは計画を立て、それを自後、実践しながら評価していくということを連続的に行うシステムでございますので、当然、そうした手法の一つとして、労働者、働いている方々の意見を聞くための手順をあらかじめ定め、具体的に意見を聞いて、目標、計画を立てていくというようなこともこのシステム化の中には重要な項目として織り込まれていくわけでございますので、そうしたことが普及していけば、私ども、安全衛生法で求めている安全委員会なり労働者の方の意見を聞くという仕組みについても、こういうものの普及と相まって活性化してくるのではなかろうか、こういうふうに思っておるわけです。 そういう活性化が本当に根づいたならば、先生御指摘のような、いろいろな新しい安全衛生の規制なり管理のあり方というものをまた考えたり、目指していける状況が生まれてくるのかなという期待も同時に持っておるわけでございます。
○中桐委員 安全衛生委員会が根づいているのかどうかという問題は、働いている人たちの側の問題だけではなくて、事業主の問題もあるわけですが、基本的には、自分たちが作業場の安全衛生の向上をすれば労働生産性も向上する、欠陥品の生産も少なくなってくる、使用者はそういう労働の生産性の向上につながるし、労働者はより快適な職場になっていくというコンセンサスの中で具体的な施策が進んでいくということになっていないと、私は余り機能しないと思いますね。 その点からいうと、まさにローベンス・レポートが言うように、労使が納得のいく安全衛生計画であり、改善でなければいけないということだと私は思うのです。それが法律で決められて、企業の外から来るわけです。守りなさい、こうやるわけですよ。それは効果を上げたのですよ。私は効果がないと言っているわけではないんだ。ずっと労働災害を低下させる効果があったわけです。あったけれども、これ以上の効果がどうでしょうかということを申し上げておるわけです。ですから、それを考えた場合には、やはり枠組みを変え、労使が安全衛生というものはお互いにメリットがあるんだということが理解できる、その理解の促進をもっと図る必要がある、私はそう思うのですね。 特に、労使の自主的な活動というものが重要な分野というのは、相対的に見ると中小企業なんですよ。中小零細の災害発生率と大企業の格差は縮まっていない。縮まっていないどころか、長い歴史を見ると拡大をしてきている。全体は減っているのです。絶対数の労働災害は減っているのです。しかし、相対比較をすると格差は拡大しているわけですよ。それはどうしてかということを考えたときに、やはり事業所の中における労使の話し合いの場が、夜勤の調査を見てもわかるように、相対的には大企業になるほど、労使の委員会の開催だとか話し合いだとか、あるいは健康診断を行った後の事後措置だって明らかに格差があるわけで、そういう問題になっているわけですよ。 ですから、中小零細企業の問題は特に重点的に、大企業ももちろんやらなければいけませんよ、この新しいマネジメントシステム。しかし、大企業にはもうそれをやれる条件は整備、熟成してきているわけですよ。それは積極的に、体系的にやればもっと大企業はやれるわけです。中小企業はそれが整備されていないのですよ。それを整備する必要がある。大企業に比べては不十分なんですよ。 それを考えなければ、やはり今の労働災害の発生防止の鈍化を改善するということにもつながっていかないのではないか、大きな効果が上げられないのではないかというふうに思うのです。そのためには、一つの条件としては、労使が直接参加をして話し合う、お互いにメリットがある、安全衛生というのは非常にいいことだ、事業主も生産性の向上が図れる、そして製品の品質向上にもつながってくる、それから労働者も働きやすくなる、こういう行動変様というか、動機が育っていかないと、私はうまくいかないと思います。 そういうことをするためには、やはり基本が重要なのではないでしょうか。押しつけるものではないとかいうのではなくて、そういう基本的な考え方に基づいて労使に対する働きかけが労働行政として重要なのではないでしょうか。そこはどうでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 中小規模の事業場における安全管理体制の問題について御意見をちょうだいしたわけでございますが、確かに中小規模事業場におきます労働災害の発生比率というのは非常に高いわけでございます。また、中小企業は多種多様な作業を行う事業場が四百万を超えて存在するわけでございますので、私ども、そうした事業場で働く方を守っていくためには、やはり一つは法律なりそういったものに基づく規制というものも目下非常に大事だろうというふうに思っております。 ただ、こういうものがより効果を上げていくためには、先生御指摘のように、その事業場において労使が自主的に安全衛生というものをちゃんと守っていくのだという意識なり、あるいはそういう話し合いの土壌というものが同時に芽生えていけば一層の効果が上がることも事実でございます。 したがいまして、今回、労働安全衛生マネジメントシステムというものを導入して普及させていこうという場合には、中小規模の事業場においてもこうした労使による自主的な取り組みというものが広がっていくことを当然私ども念頭に置いて対策を講じなくてはいけないというふうに考えております。 そのために、例えば労働安全コンサルタント、労働衛生コンサルタントといった試験を合格し登録されている方等がこういう中小企業に対してある程度傾斜的にそうした相談に乗っていく体制、あるいはまたきめ細かく中小規模事業場にそうした労使による話し合いの機運等をつくっていくために労災防止指導員の一層の活用といったようなこともこれから考えていかなくてはいけないのではなかろうか、そういうふうに思っております。
○中桐委員 そういう方向でぜひやっていただきたいと思うのですが、これは私の意見として聞いておいてもらえばいいのですが、国際的な動向の方向性は先ほど言ったような新しい安全衛生管理システムというかマネジメントシステムという方向へシフトしているわけですから、この成果を踏まえて、この検討も踏まえられた上で、私は、次の労働安全衛生法の改正のときに、ぜひ労使が話し合える仕組みというものをしっかりと安全衛生法の仕組みの中に入れてもらいたい。 例えば中災防にしたって、これは歴史的には労働組合の側が拒否をしたという沿革もあるようですから、行政だけが責任をとらなければいけないという問題ではないと思いますが、しかし、中災防という仕組みにしても、政労使の三者で構成するなり、あるいは労使で構成するなり、そういった方向のシフトをしないといけないと思います。やはり、中央労働災害防止団体というのが教育だとかソフトウエアとかそういったところではかなりの具体的な役割を果たしてきたわけですから、そういったものをより時代に合ったものにするためにも、あのシステムをより労使が参加をしてやれる仕組みに変えるとかいうふうなことも別の意味で必要なのではないかと思うのです。そういうことをぜひ検討していただきたいということを要望しておきたいと思うのです。 さて、中小企業が新しい安全衛生管理マネジメントシステムの中に積極的に参加していけるためには、大企業においてもわかっていない企業もあるかもしれませんのでそれはその対象になるのですが、特に中小零細企業は、企業主が安全衛生というのはコストばっかりかかるものだと思っているところもあるのですよ。 特に、私、最後のところで述べたいのですが、健康診断をたくさんやり過ぎるものですから、健康診断やあるいは作業環境測定というのを年に二回なら二回で機械的にどんどんやってしまうものですから、それだけでも物すごいコストがかかるわけです。 問題なのは、私はそれをやるなと言っているのではなくて、やった後の、事業主がやっただけの投資効果があるというふうに思えるような仕組みをつくっていない、不十分なんです。だから、大企業はまだそういう余力があるから安全衛生費用として覚悟するけれども、中小企業主は、やたらと健診をやられてその健診の後始末はどうもどこに効果があるかわからないと思っているのですよ、実際に。どうも乗り気がしないという形になっている。 それと同時に、たくさんの法律規制でああしろこうしろというのが先に来る。そうすると、一体安全衛生というのは何だ、本当におれらの企業経営を圧迫するものでしかないではないかと思ってしまう。そういう形でプレッシャーがかかっているものだから思ってしまうのですよ。そうではないのにそういうふうに思ってしまうわけですよ。 そこはやはり考え方に転換が必要なのではないか。労働行政が考え方を変えなければいけない。つまり、外から監督して厳しく規制をするのが労働者保護だという形の要素というものだけではなくて、もっと前向きに、ポジティブに、安全衛生というのは一定の範囲内においてこれを効果的にやっていけば、それは財源には限りがあるわけだから、ステップ・バイ・ステップで職場をよくしていくということを前提にしながら、しかし、これをやれば効果があるのだよというふうな要素が余りにも少ない安全衛生行政であったと、これはまた一番最初のローベンス・レポートに返るわけ。そういうことをやる必要がある。 そのためには、まず第一に、労働行政のスタッフの発想を歴史的時代に合った安全衛生行政に変えるんだよという発想転換を労働行政マン自体がやらなければいけないことが一つ。その次に、今度は、地域の中で特に中小企業をサポートする仕組みをつくる必要がある。そのために地域産業保健センターというものがつくられてきたのはそれなりに意味があると私は思っています。 しかし、私は、ここで問題なのは、健康問題はプロフェッショナルな医者にやってもらおうではないかという発想がどこかにあるのではないか。そこで現在の医学界の現状とミスマッチが起こっていて、本来医学界の中に産業医学というものが十分育ってきて権威を持っていればいいのだけれども、残念ながらマイナーなのですね、産業医学というのが医学界の中で。 そういう中において地域の中小企業をサポートするときに、医者を中心にしたシステムでサポートをするということになると、今言ったような、事業主が本当に安全衛生というのは自分たちの経営にとっても一定の有効性があるという意識を持つよりも、コレステロールがどうだ、心電図の異常がどうだという物すごい各論に入っちゃって、さっぱり安全衛生の体系が、本当の意味がわからない、こういうことになると私は思いますね、私の経験からいって。だから、これは大変問題なんだ。 本当に中小企業をサポートするために、医者は要りますよ、スタッフとして医者は要ります。要りますが、もっと前のダイナミックに展開する動機要因が要るんですよ。事業主が安全衛生をやってみよう、こういう動機づけ要因が要るんですよ。その動機づけ要因というのは職場改善、生産性の向上なんですよ。それをサポートするシステムはあるんですか、どうですか。地域産業保健センターで、それはありますか。
○伊藤(庄)政府委員 先生御指摘のように、例えば健康管理の義務づけという規制面だけではなくて、そういう健康診断等の結果が実際にその職場における安全あるいは健康の確保のための措置、いわばソフト面の改善につながっていくような形になっていくことが重要だという御指摘、私ども大変貴重な御示唆として承らせていただきたいと存じます。 実際に、職場におけるそうした就業上の措置の改善というソフト面の改善に中小企業においても結びつくようなことを支援していくための体制づくりというものを、大変大きい課題かと存じております。 一つは、私ども、健康診断につきまして、その健康診断の結果が本当にそういう職場改善に結びついていくのかどうか、その辺の健康診断の有効性をどう評価したらいいのかというようなことも含めまして、健康診断の有効性評価について今年度あるいは来年度にかけまして専門家の方にひとつ検討をお願いしよう。そういう成果も先生御指摘のような実際の職場でのそういう就業上の措置の改善に結びつくようなことにぜひ結びつけていきたいと思っております。 同時に、そうしたことを実際に中小規模の事業者にサービスをしていくのは地域産業保健センターがそういう役割を担うわけでございますので、そうしたところでのいわばスタッフ、そうした者の確保なりその質を高めていくことの重要性も御指摘のとおりでございます。 この地域産業保健センターについては、かなり効果を上げているところがある一方、まだ新しいために必ずしも成果が上がっていないというようなところもあるわけでございますが、今後、そうした点につきまして、問題点等も十分把握いたしまして、どのようなふうにしてそういう問題点を乗り越えていくか、私ども検討の場を設ける予定にいたしておりますので、そうしたところで十分議論をし、また医師会等、こうした地域産業保健センターの事業を担っているところにもそういう結果を見ていろいろとお願いをしていくこと等も考えていきたいと思っております。 〔委員長退席、石橋委員長代理着席〕
○中桐委員 参考までに申し上げておきます。 地域産業保健センターというものを活用するということでもいいし、また地域的な新しい仕組みの中で、その地域産業保健センターも含めてサポートシステムを考えることでも結構ですが、それはプロフェッショナルな労働行政の現場の人たちの知恵を集めて、日本の歴史的な沿革の中でやってもらえばいいのです。 ただ、一つどうしても言っておきたいのは、一番最初のイギリスのローベンス・レポートの重要なポイントの一つでもあるんですが、従来型のたくさんの規制項目を設ける労働行政のあり方、国の安全衛生施策のあり方の中には健康診断というものも入っているんですね。健康診断を義務づけてやるというアプローチの仕方、そういったものに依存するというのは、実はこれは結核の時代の延長上にありまして、そういう要素があるわけですよ。 だからといって、私は健康診断がだめだと言っているんじゃないんですよ。健康診断というものが物すごく劇的なウエートを占める時代があった。そういう時代の発想でずっと健康診断が位置づけられている嫌いがあるんです、実際の社会の現場で。ですから、そこはちょっと違いますよ。健康診断をやってもすぐに職場改善にストレートにぽんと医者が言えるわけじゃないし、それはやはり健康チェックの結果と職場の知恵で最終的には着地点が見えてくるわけで、それを余り法律の規則、あるいは健康診断そのものをやりさえすればいいというふうに考えないようにしようじゃないかというのがこれからの新しい流れなんです。そこはぜひ考えてもらいたい。 それからもう一つは、サポートシステムの中でマンパワーを、私はもう少し幅広い専門スタッフのマンパワーに広げる必要があるのではないか。 例えば労働衛生コンサルタントという話がありました。労災防止指導員という話もありました。しかし、私は、いすの高さや机の高さ、あるいは照明でも、天井にある位置を下げるだけで物すごい劇的な効果があるわけですよ。天井の一番上に照明がぶら下がっているという工場はまだ結構あるんですよ、中小企業では。その照明の位置をずっと下に下げるだけで物すごい効果があるわけですよ。ほとんどお金がかからないじゃないですか。そういう発想というのは健康チェックを幾らやったって出てきませんよ。 つまり、それは人間工学だとか化学物質の問題でいろいろ化学のことがわかっている人だとか、しかもそれが大学の教授みたいに難しいことを言ってもだめなんだ。そこで何をやれば化学物質が体の中に入ってこないようにできるかとか、照明をちょっと改善するにはどうしたらいいかという実践的なプログラムがわかっている、経験をたくさん持っている人が要るんですよ。そういう人たちを育てて、センターの中に専門スタッフとして置いてください。私に言わせれば、医者が中心になったら一番難しいところから安全衛生のプログラムを変えようという話ですから、私は医者なんだから一番よくわかっているつもりなんです、だから、そういう難しいところからやらないで、もっと労使が動機づけができて、安全衛生というのはやったらおもしろい、いいことがいっぱいあるというふうになるようにしてください。難しいコレステロールの話にだけ持っていかないようにしてくださいというのが私の言いたいことなんですけれども、どうでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 御指摘のように健康診断等の中身、あるいはそれが実施されているかという規制面だけじゃなくて、それが実際の職場における作業環境の改善等に結びついていくべきことが大切だという御指摘、まさにそのとおりかと存じます。 そうしたことについていろいろ相談窓口等の役割を果たす、例えば地域産業保健センターにつきましても、そうなると医師の方だけでなくて、もっと広範囲なそういう面についてのノウハウなり知識を持った人材、スタッフの必要性、こういうことも今後課題となり得るものではないかというふうに受けとめさせていただきます。 いずれにしましても、そうした点につきまして、私ども、各地域産業保健センターのあり方も含めまして、今後小規模事業場の総合的な健康確保対策の方策を検討するための委員会を設けていきたい、先ほど検討の場と申し上げましたが、そういう形でつくっていきたいと思っておりますので、先生から御示唆いただいた御意見につきましてもそうした場にお伝えし、いろいろと議論をお願いして、成果を上げるように努力をしてまいりたいと存じます。
○中桐委員 それでは、そのサポートセンターの中に医者と看護婦あるいは保健婦がいればいいんだという発想ではなくて、工学だとか化学だとか人間工学、そういったこと、それからいわゆるインダストリアルリレーションというか労使関係論で生産性向上と作業環境の改善というようなものがわかるような、そしてコストエフェクティブというか、これだけ安全衛生活動に費用を使ったらちゃんとこれだけの効果がありましたよ、そういうエバリュエーションができるスタッフ、そういった者をいれて、中小零細企業を中心にして、もちろん大企業もサポートをすればいいんですが、そういうものをつくってもらいたいと思います。 次に、そういうサポートのシステムが、スタッフを充実していただいて活動をし始めれば私は成果が上がってくると思うんですね。こうやったらうまくいった、そういう成果を中小企業を中心にしてどんどん上げていくことが私は重要なんだと思うんです。 というのは、先ほどからもう何遍も言っていますが、安全衛生というのは中小企業経営にとって圧迫要因だという認識が非常にありますから、そういうことを克服していくためにも、いやいや、いろいろ効果あるよというふうな実際の成功例、サクセスストーリーですね、これをできるだけたくさん、しかも産業別から見ても規模別から見ても、あるいは地域の特性から見ても、いろいろなジャンルのいろいろなサクセスストーリーが積み重ねられて、それが意欲を増進させる、事業主の、そして職場の。そういうふうな仕組みが要ると思うんです。 そのために、もう既にいろいろあると思いますが、今までやってきた安全衛生面における中小企業支援策、そういったものを含めて、私は、新しいマネジメントシステムとの関連でのモデル事業等を、先ほど言いましたように、産業別それから地域別、規模別に見て、意識的に成功例をつくっていただく、現場の知恵で。そういうための助成というのも含めたモデル事業というのが必要なんじゃないか。そういうヒントが出てくれば必ず波及していくと思います。それが、法律という非常にハードなもの、あるいは健康診断という非常にミクロなもの、そういったものに入り込み過ぎますと、私は現場の積極性というのをトーンダウンさせてしまうという危惧があるのですが、その点いかがでしょう、モデル事業等のことについては。
○伊藤(庄)政府委員 作業環境あるいは職場の施設設備等を改善していく、そういったことを含めたモデル事業の実施についての御指摘でございます。 私ども、健康管理対策として、それが義務づけされている措置が実施されるだけじゃなくて、そういった職場の改善に結びついていくことまでいろいろ相談を含めて実効を上げていかなければならないこと、御指摘のとおりでございます。そうした点につきまして十分検討をしてまいりたいと思っております。 私ども、好事例等も十分収集し、そうした例を情報として集めながら、そういったものを提供していくことについても当然考えなくてはいけないと思いますが、こうした健康確保対策を総合的にどうあるべきかということを考えるための検討の場を、先ほど申し上げましたように設けていきたい、こういうふうに考えておりますので、先生御指摘のモデル事業というようなものをどう考えていくべきなのか、そういう場でも先生御指摘のような御意見もお伝えして、御議論を願ってまいりたいと考えております。
○中桐委員 それでは、ぜひ検討を進めていただいて、これはもう始まっているわけですから、新しいマネジメントシステム、それをより時代に合ったものにしていっていただきたいと思います。 ちょっと中小企業等の問題について、あるいは地域産業保健センターや労災防止指導員などの活用について確認をさせていただきますが、先ほどからもう部分的にはお答えいただいておりますが、中小企業の安全衛生問題を改善するということはやはり非常に重要なので、特に優先順位というかそういうものが高いと思います。そのためには、今ある地域産業保健センター、せっかくつくったんですからそれを活用していただく。また、労災防止指導員という、労使から選ばれている、大臣によって任命をされている人たちが全国におられます、都道府県に。こういった労災防止指導員などの制度を活用して、労使が自主的にやれる新しいソフトウエア、仕組み、安全衛生の新しい活動システム、こういったものを地域の対策として進めていっていただきたいと思うんですが、それについてまとめ的な答弁をいただければと思います。
○伊藤(庄)政府委員 ただいま、地域産業保健センターあるいは労災防止指導員の活用等を含めて御指摘ございました。 一つは、現在、各地域産業保健センターの問題点の把握等の調査を進めているところでございます。私ども、その調査結果を踏まえまして、本年一月の中央労働基準審議会の建議において指摘されたとおり、法律を成立させていただきましたならば、その後、労使を含めた関係者をメンバーとする委員会を設置いたしまして、その提言を踏まえ、活性化及び中小企業への支援体制の充実に向けた対応を進めていきたいと考えております。 また、中小企業の安全衛生対策を推進する上で労災防止指導員の一層の活動の推進も重要でございますので、時代の変化に対応して本制度の積極的な活用が図られるよう改めて都道府県の労働基準局を指導いたしますとともに、労災防止指導員の活動がより一層実効のあるものとなるようその運用方法の整備を図ることとしてまいりたいと考えます。 〔石橋委員長代理退席、委員長着席〕
○中桐委員 それでは、次に、余り時間がなくなりましたが、疾病構造がかなり変わってきたということ、それから、先ほどの質疑の中でもいろいろ議論させていただきましたが、労働災害の発生状況が、防止効果が鈍化してきたといったことと関連が非常に密接にあるんでありますけれども、国際的な流れも含めまして、健康対策の対象が、従来は、心臓病とか心筋梗塞だとか、ノイローゼだとかうつ病に伴う自殺の問題だとか、あるいは関節炎、そういったものが職場との関係で余り重点的に検討されてこなかった、もちろんされてきた部面もあるんですが、健康対策の対象にされてこなかった。これからの安全衛生活動というのはそういうものを対象にしなきゃいけないんじゃないか。 それから、もう一つの重要なポイントは、地域でいろいろな健康増進というプログラムがいっぱいありますが、職場で行う健康増進というのは、生活習慣病に対するアプローチだとかそういったものの取り組みから見ても、職場での取り組みというのは非常に効果が大きい、それが家庭に波及したりいろいろする、そういうふうなことが言われておりまして、そういう意味から、職場における健康増進プログラムというのが、対象がじん肺だとかいったいわゆる古典的な職業病といいますか、そういったものから幅をぐっと広げていくということが注目をされてきております。これは一九八七年のWHOの健康増進に関する国際会議の中で報告書として体系的に取り上げられたような状況にもなってきております。 そういう中で、今回問題になっている深夜業、今度は業務から見た話ですが、粉じんというのはじん肺を起こすという非常に因果関係が明確なものがございますが、深夜業というのは、時間がありませんので簡単に言いますが、要するにいろいろな疾病を起こす準備状態をつくる、しかも個人差が大きい、こういうふうに言われてきております。循環器の病気だとかそういったものもそういう個人差が非常に大きい特徴を持った疾病です。そういう意味では、深夜業というのは、業務から見ての話でありますけれども、健康に対してはかなり個人差を持って、いろいろなところに、しかもすべての人に同じような現象が、粉じんを吸えばじん肺が起こるというふうな特異性が高くない、そういうふうな要素を持ったものだと思います。そういう意味で、私は、この深夜業の健康管理という中には、先ほどの作業関連疾患というふうなものとの関係で重要なポイントがあると思うんです。 そういう中で、私は、先ほどから言っておりますように、健康診断だけに重点を置いてはよくないと思いますので、これは最後に大臣にお伺いしたいんですが、労働者の健康確保を図るためには、健康診断ももちろん有効に位置づけていただく、しかし、その結果を適切な健康管理や職場環境の改善につなげていく、これも大変重要である。また、労働者の健康については労働者本人の取り組みももちろん重要であります、自助努力という意味で。しかし、先ほど言いました心臓病だとか脳卒中だとか関節炎だとか、深夜業に関連する疾病の問題だとか、そういう作業関連疾患ということについて言いますと、労使で十分話し合った上で、健康管理や職場環境の改善について事業者が適切な措置を講ずる、その予防や悪化の防止を図るというのが重要だと思います。 このために、健康診断の結果等を踏まえた作業関連疾患の予防や悪化の防止につながるような具体的な支援策を、健康診断だけにとどまらないで、もっと幅広い見地から検討していく必要があると思うけれども、どうでしょうか。大臣の答弁をいただきまして、終わりたいと思います。
○甘利国務大臣 今回の改正は、健康診断に関しまして、さらに御自分の意思で体調不良が認められるようなときに受診して、それをもとにどう対処するかという仕組みであります。 先ほど来、先生のお話を大変興味深く聞かせていただきました。医学的な領分のミクロからスタートすると全体がかえって見えなくなるおそれもある、職場環境というのはライティングの位置を変えるだけで逆によくなり、むしろそれが原因で健康を害されたということだってあるから、マンパワーの点でも、単なる医療という一つのミクロ分野だけではなくて、幅広く見るという視点を忘れてはいけないと。先生御自身がお医者さんであるだけに非常に説得力のあるお話でありました。 健康診断も含めて、あるいはそれ以外のものも含めて、得た知識、情報が健康改善、作業環境改善に資するようにいろいろとこれからも努力をしていきたいと思いますし、それが反映できるようなシステムづくりをしていきたいというふうに思っております。
○中桐委員 どうもありがとうございました。 質問を終わります。
○岩田委員長 次に、寺前巖君。
○寺前委員 今回の法改正の一つの重要な部分としての化学物質の管理について聞きたいというふうに思います。 人の命や健康に関する問題というのは、安全衛生の上では当然のことながら極めて重要な課題だ。それにもかかわらず、何で罰則をもって経営者にちゃんとしなければあかんぞと、情報提供せよというだけではあかんのと違うかというような感じを私は率直に受けるんですけれども、大臣に、何でそういう厳しい態度でもって臨もうというふうにされないのか、所見を聞きたいと思います。
○甘利国務大臣 MSDSの交付及び周知につきましては、監督行政を通じて指導を行い、あるいは時に援助を行いながらこの履行の確保を図っていくわけでありまして、どうして厳しくやらないのかというお話でありますが、監督機関が相当強力に指導していくということになっております。 加えて、再三の行政指導にも応じないようないわゆる悪質な譲渡、提供者につきましては、当該物の商品名であるとか製造者名等の情報を付して、関係事業者に対して注意喚起を行うこともあり得る。つまり、平たく言いますと公表するということでありまして、指導監督とあわせて、こういうことも辞さないということでありますから、相当厳しく徹底をしていくのではないかというふうに思っております。
○寺前委員 そこで、私気になるのは、有機溶剤に限って労働災害の状況を見ていると、労働省からもらった「労働衛生のしおり」、これをずっと拾ってみると、五十人未満の事業所で労災事故を起こしているというのが、計算してみると七六%になるわけです。 だから、そういう点から考えると、産業医の体制のないところで広範な人たちが事故を起こしているという実態を見たときに、化学物質を取り扱っている分野というのが五十人未満のところでどれだけの割合おるんだろうか。何か統計がありますか。御説明いただきたいと思います。
○伊藤(庄)政府委員 化学物質、現在、有機溶剤を初め、その管理等について一定の規則を出して規制をいたしておりますが、これら有機溶剤中毒予防規則あるいは特定化学物質等障害予防規則それから鉛中毒予防規則、いずれも健康診断の結果につきまして労働基準監督署の方へ報告を提出することになっております。 そうした件数から推計いたしますと、有機溶剤に係ります健康診断結果報告が出てきている状況から、五十人未満の事業場は約二万事業場……(寺前委員「何%」と呼ぶ)パーセントは、今全体の資料をつかんでおりません。同じく有機溶剤以外の特定化学物質として規制を受けているところからの提出が約八千事業場。鉛につきまして三千事業場。 したがいまして、この三つの規則でいわば規制対象になっている五十人未満の事業場からの報告が約三万を超える事業場から出てきている、こういう状況でございます。
○寺前委員 それはそれぞれの分野で五十人未満というのが何%を占めるのか、労働者として。
○伊藤(庄)政府委員 有機溶剤について申し上げると、全体から約六割ぐらいになるというふうに推計されます。(寺前委員「だから何%になるの」と呼ぶ)有機溶剤を使っているということで健康診断報告を出してきている中小企業の五十人未満事業場が先ほど約二万事業場と申し上げましたが、全体に出てきている件数からその割合を推計いたしますと、約六割ぐらいになるのではないかというふうに推計しております。
○寺前委員 だから、非常に大きな分野が五十人未満。したがって、そこでの労働災害というのは、産業医もいないという実態であるだけに余計、生まれた結果というのは被害はひどい状況になっていく。だから、そこに向かって特別な施策を打ってこそ政府の値打ちがあったなということになるので、そこに特別な施策を打たなければ、いつまでもこんな事態を続けておったらどうにもならぬなというのが率直な私の意見です。 そこで、聞きますけれども、五十人未満についても有害業務については特殊健康診断が行われて、その結果について監督署に報告を出す、こうなっているでしょう。その報告書を見ておったら、産業医がサインすることになっている。ところが、五十人未満には産業医がおらぬわけです。おらなければ、産業医の見解を見て処理していない。報告書は出す義務があるけれども、責任ある産業医というのが存在しないところでは、そんな報告書出させておいて、後々対応策をどうしましょうかといったって出てきやへんことにならへんか。だから、そこは僕は改善せんならぬ問題点があるんじゃないだろうか。 どういうふうに見解を持ちますか。
○伊藤(庄)政府委員 五十人未満の事業場におきます産業医等の関与の問題でございますが、確かに、制度上、五十人未満につきましてはそうした産業医を義務として選任するということは定めておりませんけれども、私ども、そうした事業場については、共同で産業医を選任することを奨励していく事業、あるいは地域産業保健センターを各監督署単位に整備して、いわば産業医としての役割をそういうセンターが担ってサービスをしていく、こういう事業を展開しておりますので、とりわけ、特別の規則をもって、こうした有機溶剤を初め化学物質の規制の対象になっている事業場については、そうした事項を重点的に進めることによって、先生御指摘のような懸念を極力なくしてまいりたいと考えております。
○寺前委員 それじゃ、その五十人未満の中でそういうふうな面倒を見ている事業所というのは、何%できていますのか。
○伊藤(庄)政府委員 一つ一つ健康診断の結果報告の中で共同で選任した産業医がサインしているか、あるいは地域産業保健センターのサービスを受けているか、そこまで集計したものはございません。
○寺前委員 そうでしょう。ほとんど放置されているんだって。部分的にあるか知らぬけれどもほとんど放置されたまま。産業医がサインして報告書を出すというのは大手の方だけです。五十人未満はそうじゃないんだから。そうすると、そこの会社の事務員がちゃっちゃっちゃっとチェックするところをチェックして、ばあっと監督署に上げているというだけになっている。これはあなた、現場行ったらわかるわな。 だから、僕はそういう体制問題について真剣に考えないと、五十人未満で発生している労働災害が多いという事実から考えても、出てきた労働災害についてはそういう措置をしたか知らぬけれども、出ないものを含めるならば健康被害というのはもうひどいことになっているだろうと。だから、今度せっかくMSDSでいろいろな情報を提供するということを義務づける、これは非常にいいことや。いいことやけれども、五十人未満のところに徹底することという問題をどう考えていくのか、また後の健康上の問題についてどういうふうに対応していくのか、この両面については真剣に考えてもらわなんだらあかんなというようなことを私はつくづく感ずるものです。 そこで、大阪の府立公衆衛生研究所が去年、一九九八年の三月に小規模事業所における総合的健康管理等の方策に関する調査研究報告書というのを出している。それを見ると、非常にいろいろな有効なことが書いてあるんですね。 例えば、八尾市の一部地域での事業所調査で、七百六十五事業所についての解説をしています。九七年度には小規模事業所に働く労働者を調査したところ、産業医がいる事業所はその中の二十四で三・一%にすぎない、安全衛生委員会の設置は二十四事業所で三・一%にすぎない、衛生管理者がいる事業所は四・七%と少なく、安全衛生推進者または衛生推進者は六・〇%の事業所が選任しているが、法的に義務づけられている十人以上四十九人までの事業所の選任比率は一四・二%にすぎない。ともかく放置されているのに等しい事態というのがこの報告書を読んでおったら出てくるわけや。 そこで、提言を公衆衛生研究所の人がやっています。その提言を読んでいると、製造・販売会社にユーザーの教育専門部門を置いて、ユーザーを回って説明やユーザーを集めての説明会などやらなければ、口で言うておったって進むものじゃないという提言をやっている。これは従来から、法的にはなっていなかったけれども、MSDSというのはやられているんだから、その段階での調査をやってみたらこういうことになっているんだと言うて、一八尾市という部分であったにしても、そういう問題を提起しているんだよ。 そうすると、こういう問題をばっと酌み取って、そうだ、そういうことはやらないかぬなというような反応を示さないと、罰則は入れないわ、これを法的にこう言うたからと言うたって、そんなもの進むものじゃない。やはりやる以上はそれにふさわしい、現場で問題意識を持っている人たちの率直な意見を聞き入れなければいけないというふうに思うんだけれども、こういう提言についてどう思いますか。
○伊藤(庄)政府委員 まず、MSDSに関連して罰則等の問題の御指摘と、また、大阪の公衆衛生研究所の提言等の問題、御指摘ございました。 私ども、先生御懸念のように、法的な制度としてMSDSの制度等も導入してこないと普及しないだろうということでこれを法律上の義務化として導入をいたしたわけでございますし、私ども労働基準監督機関は、特に問題の多いところを計画的に取り上げ、重点的に監督や指導をしてまいりますので、先生御指摘のような問題の解消に、この制度導入と相まってひとつ実効を上げるように努力してまいりたいと思っております。 それから、公衆衛生研究所の提言でございますが、とりわけ、その中で提起されていますユーザー等への説明の徹底ということがございましたので、そういう点についても私ども十分譲渡、提供者側に対する指導というものも講じてまいりたいと思っております。
○寺前委員 それじゃ、監督署へ行ってみて、その徹底方についてどういうことをやっておるのかなということを見ると、そうすると、まず自分の監督範囲の事業所の化学工場というのはどういうところがあるのかという一覧表を見せてくれや、こう言うたら、さっと出てこないんや。そういうのは、統計をとってずっと整理しなければならない責務がないというのか、どういうことになっておるのか知らぬけれども。 だから、MSDSというのは取引の段階で入ってくるんだろうけれども、問題は、一番末端の労働者が出されている内容について知らないかぬさかいにこの大阪の公衆衛生研究所のような提言が出てくるんであって、同時に、事が起こったところの事業所の内容、経験を全事業所が情報等を知るということが僕は非常に大事だろうと思う。 そういう意味では、監督署が事業所をきちっとつかんでもらって、事業所におけるところの担当者はだれなんだ、そういうのはきちっと登録させて、そして労働災害発生の事業所の内容が全国的にもばあっとそこを通じて労働省が情報を提供してやるというようなことぐらいは、僕はサービス業務としてやってもええのと違うやろかというふうに思うんだけれども、そんなこと考えられませんか。
○甘利国務大臣 有害な化学物質は今までも中小事業者を含めて取り扱われてきたんでありまして、それの安全な取り扱いについては行政指導も行ってきました。 ただし、それでもまだ不十分じゃないかという御意見をいただいていろいろ検討して、末端まで、取り扱いの注意であるとかあるいは何かわからないときに問い合わせができるようにというのでMSDSが交付をされるわけでありまして、これは、取り扱う者は一番最後の末端まで行くようになっているのでありまして、それによって、一通り作業従事者が見ればすぐわかるようなことになっておりますし、それでもわからない場合には、お問い合わせはここに下さいときちんと書いてあるわけであります。 これは、今までやってなかったことを、行政指導上はやっていましたけれども、安全シートということで、具体的にそれが化学物質について回るわけでありますから、あわせて、労働省といたしましても、標準的な情報といいますかデータをインターネットを通じていつでもアクセスできるようにするということで、今まで行ってきたものに比べれば相当程度安全管理について前進が図られるというふうに理解をしております。
○寺前委員 余り気楽に考えられないわ、現場に入ってみると。 それで、もう一つ、例えばMSDSがついてきたにしたって、個々の労働者にすれば、今度は何を書いてあるのかわからぬということも起こってくるというわけだ。だから、そういうこともよく考えて、わからぬような問題についてばあっと問い合わせをするところをつくって、そこで親切に答えられるように、僕は、そういうような体制を、相談を受け付ける窓口のようなものをつくったらどうだろうか。 同時に、化学物質を取り扱っている工場の労働者の皆さんよ、MSDS体制はできましたけれども、わからぬことがあったら、身の安全のためですから、だからどうぞ御相談くださいというようなステッカーぐらい張って、わかりやすくばあっと、どこどこにお問い合わせください、何かそういうようなことを積極的に打って出るということによって、本当に労働災害を全体として防げるようにやってもらいたいものだと僕は思うんですが、局長さん、どう思いますか。
○伊藤(庄)政府委員 化学工場等にそうした相談窓口の表示をしていくという問題でございますが、こうしたMSDSの制度を新しく法律に基づく制度として導入して、これを普及させ守らせていくわけでございますから、当然私ども、重要な仕事として、もしいろいろ相談を受けたければ労働基準監督署というところがきちっとそうした相談に乗り、さらに専門的なアドバイス等が必要であれば産業保健推進センター等も紹介し、そうしたところから専門家からアドバイスが得られる、そういう形を用意していますので、そういうものをきちっとやっていきたいというふうに思っています。 そういう意味では、労働基準監督署というもの、これは働いている方々よく御承知の役所でもございますので、こうした化学物質の問題に限らず、職場の危険性、安全性等の確保のためのことはもとより、労働条件についても種々相談に乗っている役所でございますので、これはステッカー等を張るまでもなく、もし問題があればいつでもお越し願えるように呼びかけはしてまいりたいと存じております。
○寺前委員 僕があえて言うのは、労働災害が発生した職場で、改善がされる、監督署から何かいろいろ意見がつけられて、さあ再開しなさい、こうなっても、現場の労働者は本当にこれでいいのかという不安を持ったまま。そういうときに最寄りのどこかへ相談に行けるような、何かそういう専門者もおるようなところへ気安く行けるような体制というのをつくったらどうなんだと。監督署ではちょっと仕事は違いますわな。 だから、そういうような実態が現場にあるんだから、そういう現場にこたえられるような、何とかセンターというのが今ありますわな、ああいうところにいついつ専門家が来ますからどうぞそこへおいでくださいとか、何かそういうように親切にこういう化学の問題についてはやった方が僕はいいんじゃないかなというふうに思うんだから、これは検討してもらいたいと思うんですが、いかがですか。それが一つ。 それからもう一つは、化学物質はどんどんいろいろ出てくる。そうなってくると、健康診断は五年の保存管理になっています、ところが、発がん性物質になってくると、三十年ですか、保存義務があるというふうに発展するんだから、だから僕は、動物実験で発がん性のおそれがある場合には直ちにだっと保存期間を延ばしていくというようなことも手を打っておかないと、後々本人の健康やそういうものを維持していく上ではやはり大事な問題だろうと思うので、そういう分野についても検討してもらう必要があるんじゃないだろうか。いかがでしょうか。
○伊藤(庄)政府委員 まず、化学工場等で仮に事故があった後の改善等について働いている方が不安を感じるケース、こういったものであれば、やはりそこは、指導した、また改善を命じた労働基準監督署にぜひおいで願って、監督署の方でもしさらにその当該事業場を監督指導する必要があれば、私ども担当の労働基準監督官が参りますし、さらに、働く方が専門的なアドバイス等を受けたいということであれば、産業保健推進センター等も紹介し、さらには、もしこのMSDSの制度にかかわることであれば、譲渡、提供者が、その連絡先等も、先ほど大臣から申し上げたように書かせるようにしていくつもりでございますので、そういったところとの連絡も仲介していく。いろいろな手法がございますので、そういうものを総合的に講ずる体制はきちっとしてまいりたいと思っております。 それからもう一つ、動物実験等で発がん性が出てきた物質等についての健康診断結果の保存の問題でございますが、現在強い規制を各規則等によって講じている物質、百十七ございます。特に、特定化学物質等障害予防規則で、がん原性物質であるというものについては健康診断結果を三十年の保存をさせておるわけでございますが、こうした物質につきましては、一昨日も答弁申し上げましたとおり、専門家の意見を聞きつつ、こうした物質の取り扱い方等行政措置のあり方を含めまして、規制対象物質として追加していくこと等については積極的に対応してまいる考えでございます。
○寺前委員 小規模の作業所における問題というのは多々いっぱいありますので、十分にさらに研究を急いでやっていただきたいということを要望しておきます。 せっかくの機会ですので、ちょっと三菱自動車工業京都製作所内で、たまたま私この間その近くへ行っておったら、三月三十日ですが、構内の溶鉱炉の定期整備を行っていたところ、労働災害死亡事故というのが発生しているんです。二年前の五月でしたか、私、その工場へ行って、死亡事故が発生しているという問題もありましたので、同じ職場の問題であるので、大経営の工場の中においてこういう問題が発生するということは一体どういうことなんだろうか。死亡事故が一回あるだけでも問題なのに、二回も起こってくるということになってくると、私は、これは、いろいろな作業をやっているんだからしようがないのでという態度でいいのか、それとも、あってはならないことだというて、徹底した原因の調査と対応策というのはやはりとるようにしなければいかぬのじゃないだろうか。 ここの発生した問題を見ていると、高さが十メートルぐらい、それから直径一メートル余りの溶鉱炉の炉内に付着した地金を溶断によって除去する作業中に、アーク溶接機を使って、それが高温を発して背中からやけどをしてそして死亡していくという痛ましい事件です。そういう問題が発生してきたときに、思わずそこの現場におった人が、どこのやつやというような話が出て、そうすると、これは下請のやつやと。そうか、そうかと。本工の方の人たちは、うちの会社と違うのやなというようなこと。そういう雰囲気があるというのは、私、ちょっと嘆かわしいなというような感じがしたんです。 それで、溶鉱炉というのは自動車を生産する基本的な部分であって、そこの溶鉱炉がどういう扱いをされているのか、どういう問題が今までにあったか、だから、そこの新しい仕事をつくるに当たっては、発注するときに発注者が、ここはこういう危険が高い、こういうふうに対応してもらわなあかん、これは使ってもらったらだめだとか、相談に乗って対応するという系統的責任というのは、僕は、こういう大きな工場に直接ついているところの施設であるだけに、やはりそういう事業者としての責任を持つような体制にならないと、あれは下請と約束したんだから、下請が責任を持って処理するのは当たり前だというような空気になってしまうとまずい。 ところが、現在の労災の手続からいうと、そういうことになってしまっている。私は、そこの改善方を検討する必要があると思うんですが、いかがですか、局長さん。
○伊藤(庄)政府委員 今御指摘ありました災害、大変残念なこととして受けとめておるところでございます。現在、所轄の労働基準監督署の方で、原因、さらには請負関係等々を含めて調査中でございます。私ども、そういう調査結果に基づいて、必要な改善策等をとる必要があれば、これはきっちりととってまいりたいと思っております。 御指摘がございましたこうした構内の下請、そうしたところの安全対策等、元請といいますか、あるいは発注者等の問題でございますが、安全衛生法上、発注者に対しましては、安全あるいは衛生という観点から、関係法規を守れないような条件を付すことについては、これはいかぬというふうな規定もいたしておりますし、元方の事業者につきましても、関係下請人に対して法令の遵守等についての必要な指導を行うように定めておるところでございます。 私ども、そうしたことを踏まえまして、今回の事故の調査等が出てまいりましたら、そういう結果に基づいて、そういう規定があることも踏まえて、必要な改善なり指導というものをやってまいりたいと考えております。
○寺前委員 では、僕は最後に大臣にお聞きしたいと思うんです。 先ほどから申し上げておりましたように、化学物質の問題について、情報を、MSDSをちゃんとやるというのを法制化したということは非常に大事で、天下に示したということ自身は、私は姿勢を示したことになると思うけれども、そのことを徹底させるために、なかんずく中小の、五十人未満のところの災害が非常に多いということを考えたときに、末端に責任ある体制をつくっていくということは、現在の法律では罰則はないけれども、それに匹敵する役割をきちんと担わすということに対する大臣としての見解はどういうふうにお考えになっているんだろうか。実務的な話じゃない。 それから第二の、私、今、大きな会社の施設の一カ所を下請にやらせたからといって下請の責任で労災問題の処理をやったらいいというわけにはいかぬでと。僕は、やはりそこの工場の製品をつくり上げていく一過程上の内容として発生しているんだから、そういう場合には、そこの施設の修理をやりながら新しいものをつくり出していくんだから、したがって、その施設を持っている人自身が責任ある対応をもって、そこへ入り込んでくる労働者の安全衛生管理をやるように、その責任を感じないようなそういう会社運営では困るじゃないかと。そこの改善方についてきちんとした指導性を発揮するということを、どういう形で今後発揮されるのか知りませんけれども、私はきっちりとやってほしい。それこそ大臣にとってやるべき大事な姿勢じゃないだろうかというふうに私は思いますが、この二点について大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
○甘利国務大臣 前段の化学物質の取り扱いにつきましては、先ほども申し上げましたが、一番末端の零細事業者にまでその趣旨が徹底をするように、そういう一助として化学物質安全データシートという制度ができ上がったわけであります。 あわせて、監督署、監督行政を通じまして、パンフレット等もつくって準備をいたしますし、もちろん指導もさせていただきます。そして、標準的な情報につきましては、これをインターネットを通じていつでもアクセスできるようにさせていただくということで周知徹底するように努めてまいります。 さらに、下請事業者の労災事故につきましては、元請に、下請に対する安全な取り組みがきちんと届くように、これも監督行政を通じて厳しく指導していく所存でございます。 またいろいろと先生の御指摘をいただきながら、種々努力をしていきたいというふうに思っております。
○寺前委員 お約束の時間が来たので、終わります。
○岩田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○岩田委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○岩田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○岩田委員長 この際、本案に対し、柳本卓治君外五名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、日本共産党及び社会民主党・市民連合の六派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。前田正君。
○前田(正)委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法律の施行に当たり、次の事項について適切な措置を講ずべきである。 一 深夜業に従事する労働者の健康確保及び就業上の措置の適切かつ有効な実施を図るため、労働者が自発的に受診する健康診断の項目等の内容については、医師等の専門家による検討委員会を設け、深夜業に従事する労働者の健康診断の在り方を含めて検討し、その意見を踏まえて策定すること。また、深夜業に従事する労働者が自発的に受診する健康診断の費用について助成を行い得るよう必要な措置を講ずること。 二 労働者の健康障害を生ずるおそれのある化学物質で、表示、作業環境管理、健康管理等の規制の対象となるものについては、今後、必要に応じて追加することを含め、検討を行うこと。 三 化学物質に係る有害性等の情報提供及びそれに基づく事業者の措置を実効あらしめるため、事業者や化学物質の譲渡・提供者が行う人材の育成、有害性等の情報の評価等について支援を行うよう努めること。 四 小規模事業場における健康確保方策については、平成八年改正労働安全衛生法施行後五年経過の平成十三年の見直しに当たって、衛生委員会、産業医等の対象事業場の範囲等を含め、中央労働基準審議会において総合的な見地から検討を加え、所要の措置を講ずるよう努めること。 五 地域における労使の参加と協力を進め、地域産業保健センターの機能と活動の強化を図るとともに、労災防止指導員の活用を推進し、労働災害の多発する中小企業の労働安全衛生の改善に向けての施策の充実を図ること。 六 労働者の健康確保を図るため、作業関連疾患の予防または悪化の防止という観点から、健康診断の結果等を踏まえた措置の在り方について、労使等の関係者の意見を聴きながら検討を進めること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○岩田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○岩田委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。甘利労働大臣。
○甘利国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分に尊重し、努力してまいる所存であります。 —————————————
○岩田委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岩田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 ————◇—————
○岩田委員長 次に、第百四十三回国会、内閣提出、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案及び内閣提出、職業安定法等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次趣旨の説明を聴取いたします。甘利労働大臣。 ————————————— 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案 職業安定法等の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○甘利国務大臣 ただいま議題となりました労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年における社会経済情勢の変化を背景として、労働者の就業形態や就業意識の多様化が進んでおり、労働力の多様なニーズに対応した需給の迅速かつ的確な結合を促進し、適正な就業の機会の拡大を図ることが必要であります。 また、一昨年六月のILO総会において、労働者派遣事業を含む民間の労働力需給調整事業の運営を認めること及びこれを利用する労働者を保護することを目的とする第百八十一号条約が採択されたところであります。 このような状況のもとで、ILO第百八十一号条約の採択により労働者派遣事業についての新たな国際基準が示されたことを踏まえるとともに、社会経済情勢の変化への対応、労働者の多様な選択肢の確保等の観点から、中央職業安定審議会において労働者派遣事業制度の見直しについて検討が重ねられ、昨年五月、臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策としての労働者派遣事業制度の実施及び派遣労働者の適切な就業条件の確保を図るための措置を講ずるべき旨の建議をいただいたところであります。 政府といたしましては、この建議を踏まえ、本法律案を作成し、中央職業安定審議会等の関係審議会の審議を経て成案を取りまとめ、ここに提出した次第であります。 次に、この法律案の内容につきまして、概要を御説明申し上げます。 第一に、労働者派遣事業の対象業務の範囲について、港湾運送業務、建設業務、警備業務その他中央職業安定審議会の意見を聞いて定める業務を除いた業務をその対象業務とすることとしております。 第二に、許可等の手続等について、許可の申請書等の記載事項及びその変更の際の手続を簡素化するとともに、許可等の欠格事由として、社会保険、労働保険等に係る法律の規定により罰金の刑に処せられ一定の期間を経過しない者を追加することとしております。 第三に、労働者派遣の期間について、臨時的、一時的な労働力の需給調整に関する対策として労働者派遣事業制度を位置づける観点から、専門的な知識、技術または経験を必要とする業務等のうち、中央職業安定審議会の意見を聞いて定める業務等を除き、派遣先は、同一の業務について一年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならないこととしております。また、労働大臣は、この労働者派遣の期間の制限に違反をしている者に対し、指導助言をした場合において、なおそれに違反し、または違反するおそれがあるときは、勧告、公表をすることができることとしております。 第四に、派遣先は、一年を超える期間継続して労働者派遣を受けてはならないこととしている業務に継続して一年間労働者派遣を受けた場合において、引き続きその業務に従事させるため労働者を雇い入れようとするときには、当該派遣労働者を雇い入れるよう努めなければならないこととしております。 第五に、派遣先は、派遣就業が適正かつ円滑に行われるようにするため、適切な就業環境の維持、診療所、給食施設等の利用に関する便宜の供与等必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。 第六に、派遣労働者の適正な就業条件の確保を図るため、派遣元事業主等のその業務上知り得た秘密の漏えいの禁止、労働大臣に対する申告を理由とした不利益取り扱いの禁止、労働者派遣事業適正運営協力員の委嘱等の措置を講ずることとしております。 なお、この法律は、平成十一年七月一日から施行することとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 続きまして、職業安定法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 近年における急速な産業構造の変化や国際化、労働者の就業意識の変化等の社会経済の構造変化に伴い、労働力需給に係るニーズは大きく変化してきております。また、一昨年六月のILO総会において、職業紹介事業を含む民間の労働力需給調整事業に関する新たな国際基準として、これらの事業の運営を認めること及びこれを利用する労働者を保護することを目的とする第百八十一号条約が採択されたところであります。このような状況及び現下の厳しい雇用失業情勢のもとで、労働者の雇用の安定を図っていくためには、労働力需給のミスマッチを解消し、失業期間の短縮が図られるよう、労働市場のルールの整備充実とその履行確保を図っていくことが重要であります。 このような観点に立って、中央職業安定審議会において職業紹介事業等に関する法制度のあり方について検討が行われ、本年三月に、公共及び民間の各機関がその特性、活力等を生かし、労働力の需給調整を円滑、的確に行えるようにするとともに、労働者の保護が十分に確保されるよう、職業安定法等の改正を行う必要がある旨の建議をいただいたところであります。 政府といたしましては、この建議を踏まえ、本法律案を作成し、中央職業安定審議会の全会一致の答申をいただき、ここに提出した次第であります。 次に、この法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。 第一は、職業安定法の改正であります。 その一として、法律の目的の規定に、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割にかんがみその適正な運営を確保すること等を追加することとしております。 その二として、公共職業安定所及び職業紹介事業者等は、事業目的の達成に必要な範囲内で求職者等の個人情報を収集、保管、使用し、これを適正に管理するために必要な措置を講じなければならないこととするとともに、賃金、労働時間といった基本的労働条件等の明示は文書により行わなければならないこととしております。 その三として、有料職業紹介事業について、港湾運送業務につく職業、建設業務につく職業その他命令で定める職業を除き、労働大臣の許可を受けてこれを行うことができることとするとともに、許可の有効期間を、現行の一年を新規三年、更新五年に延長することとしております。また、無料職業紹介事業の許可の有効期間を、現行の三年を五年に延長することとしております。 その四として、通勤圏外からの直接募集に係る届け出を廃止するとともに、委託募集従事者に対する報償金に係る許可制を見直し、認可制とすることとしております。 その五として、公共職業安定所の業務として、求職者への情報提供、地方公共団体、労使団体等の協力による求人または求職の開拓、公共職業能力開発施設等との連携及び職業体験機会の付与等の措置の実施について新たに規定を設けることとしております。 そのほか、職業安定機関と職業紹介事業者等の協力、有料職業紹介事業に係る手数料制度の改正、職業紹介責任者の選任義務、有料職業紹介事業者等の秘密を守る義務、求職者等からの労働大臣に対する申告制度、罰則の整備等所要の整備を行うこととしております。 第二は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律の改正であり、派遣元事業主による労働者の個人情報の取り扱いについて、職業安定法の改正内容に準じた規定を設けることとしております。 第三は、建設労働者の雇用の改善等に関する法律の改正であり、労働省令で定める区域に係る直接募集について通勤圏の内外を問わず届け出を要することとする等所要の整備を行うこととしております。 なお、この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。 何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○岩田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二十三分散会