予算委員会公聴会 第1号
- 発言数
- 160 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1999/02/09
会議録
○中山委員長 これより会議を開きます。 平成十一年度一般会計予算、平成十一年度特別会計予算、平成十一年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。 この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわりませず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成十一年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いを申し上げます。 御意見を承る順序といたしましては、まず吉田公述人、次に宮脇公述人、続いて中里公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えを願いたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。 それでは、吉田公述人にお願いいたします。
○吉田公述人 吉田でございます。よろしくお願いします。 平成十一年度予算に関して、私の意見を申させていただきたいと思います。 平成十一年度予算は経済再生予算ということになるかと思うわけですが、三十兆円を超える国債発行ということで、非常に緊急的な予算と私は理解しているわけであります。 現在の景気状況というのは、非常に深刻であるというのは私も理解しているところですが、この状況を回復するには、企業の改革というものが一番の基本にあるわけでして、企業自身がみずから改革していく、企業といっても、日本型経営ですから、もちろん労使の協調のもとで改革していくことになると思うわけですが、ともかく、民間の経済活力は民間がつくっていくことにならざるを得ないと思うわけです。 結局、バブルの時代につくりましたいろいろな問題を順次解決していかなきゃいけない。そしてまた、日本型経営システムというものも、新しい時代、世界の経済が構造変化を起こしているわけでありまして、それにいかに早くキャッチアップするかということが求められているわけでありますから、企業の改革というものが基本的に重要であるわけです。 したがって、私は、財政で景気を回復させ、経済を再生させるというのは必ずしも賛成しないわけでありますが、しかし、現在の状況で企業がいわゆるリストラとかあるいは組織の仕組みを変えるといったような作業をいたしますと、これは逆に、短期的には経済に強いショックを与えるわけです。ですから、構造改革というのはみんなそうですけれども、改革する瞬間はアゲンストになってしまうわけですね。 ですから、それのショックアブソーブということで理解する範囲において、今回の予算が、特に、減税をして、その減税をファイナンスするために消費税を上げるかという話になったときに、ことし臨時に国債発行でショックアブソーブをするということは、やむを得ないかなというふうに理解するわけです。すなわち、民間が落ち込んで、そして、リストラをして次の立て直しをするということのサポートをするという意味において、今回の予算というものが意味があるかなというふうに理解したらいいかと思うわけです。 したがって、過去何回も対策が行われてきて、余り大きな効果というふうなものが見られなかったわけですが、今回のものは、逆に積極的にショックアブソーブするというふうに理解すればいいのではないかなと思うわけです。 そして、税制改正ですが、税制改正によって短期的に消費を喚起してそれを景気浮揚のきっかけにするというのは一つの考えでありますが、それよりも、私は、二十一世紀の税制改革というのは、これは絶対に必要なことでありまして、今後、経済活力が基本的に落ちていく、基本的にディクラインの方向、衰退の方向にならざるを得ないわけです。 簡単に言いますと、人口が減少いたしますし、高齢化が進んで生産年齢の人たちが相対的に減っていくわけですから、ディクラインにならざるを得ない。そして、貯蓄も減退していくわけですし、技術革新が基本的に重要なわけですが、これも、過去のような、アメリカで開発された技術をキャッチアップするという形で進むようなおいしい話、そういうものはこれから期待できないということになりますと、いかに経済の活性化を図る、すなわち経済を元気づける仕組みが必要かということになるわけです。 ですから、高度成長期に日本の税制というのは非常に大きな役割を果たしたわけです。この税制は、累進度を非常に強くして、課税最低限を引き上げて、そして法人税の税率も結構高い税率をとって、その中で租税特別措置で成長的なところを優遇するという仕組みを高度成長期にはとってきたわけですが、こういったやり方は今後持続可能ではないということです。 すなわち、今までは、できるだけ平均化して、平均的な層を厚くして、そして会社というもの、日本型経営システムというものが、社員が団結して労使協調で仕事をするという仕組みが有効性を持っていたわけですが、今後経済成長率が基本的に低下していく、これは、人口が減っていくわけですから、大きく期待する方が間違いだと思うわけです。問題は、成長することよりも、その経済が活力を持っている、元気があるという仕組みにしなきゃいけない。 元気を出そうという人々をどうやって元気づけるかといったときに、過去の高度成長期に形成されてきた税制というのは、原型はもちろんシャウプからスタートしているわけですが、そういった税制というのは高度成長期には適合していたわけですが、今後の二十一世紀を考えて、経済が活力を持つ仕組みにしようとする場合に、高度成長期には貯蓄優遇を随分して、投資優遇をしてきたわけですね。そしてそれを不公平税制ということで是正してきたわけです。特に租税特別措置という形で成長要因のような仕組みをつくってきたわけですが、それは不公平ということで解消してきたわけですね。 それはいいのですが、今度、全体の税率自身を下げるということは、もう喫緊の課題になってくるわけですね。つまり、貯蓄をしようとする人、投資をしようとする人、新しい産業に挑戦しようとする人、また仕事をしようとする人が優遇されるような税制、すなわち、税率の引き下げの形の減税というのが今後必要になってくるわけです。 かつ、そのバランスですね。すなわち、過去は、誘導的な税制、税率を高くしておいて、ある特別の産業だけ安くするとか、そういう仕組みをつくって誘導していたわけですが、今後は、できるだけ中立的な税制、すなわち、何をやっても同じようにかかる、しかし税率は低いという仕組みが必要になってくるわけです。 そういう意味で、今回の予算の基本になっています税制改正というのは、二十一世紀に向かって必要な税制改正というふうに理解すべきだと思うわけです。今回の税制改正はまだ完全なものじゃないと思いますが、今後さらにその税制改正を進めて、例えばベンチャー企業なんかをして元気よく仕事をしようという、このことをディスカレッジする、元気をなくすような税制というのは早く解消していかなきゃいけないということになるかと思うわけです。 ただ、今回の予算で見られますような、三十兆円というふうな大規模な国債発行をしていく、地方を合わせますと六百兆円の政府債務になるという事態は、これはできるだけ早く解消しなきゃいけないということになるわけです。 したがって、この予算成立後、経済の状況を見ながら財政再建計画をつくるということですが、私は、できるだけ早い時期に財政再建の道筋をもう一度考えていただきたいというふうに思うわけです。 財政が持続不可能なような仕組みというのは、結局タコが自分の足を食っているようなものですから、経済自身をディスカレッジしていく、すなわち民間で資本蓄積した分を政府が吸い上げることになってしまうわけです。これが経済を非常に不安定にするということになりますし、また、これが潜在成長力、基本的な成長力を低下させていくという要因になってくるわけです。財政が経済に与える影響というのは短期の効果と長期の効果と両方あるわけであって、先ほど申しましたように、短期にはショックアブソーブの効果があっても、これが累積していきますと、これは長期にはマイナスの効果になるわけですから、できるだけ早期にこの財政再建の道筋をぜひ御議論いただきたいというふうに思うわけです。 いずれにしましても、現在の経済を立て直すのは、まず民間のリストラ、リストラというのは最近余りいい意味で使われないようですが、アメリカなんかではリエンジニアリングとかニューワードがいっぱい出ているようですが、いずれにしろ、企業の改革というものを進めることがまず今、ことし特に求められているところではないかと思うわけです。 考えてみますと、アメリカなんかは一九七〇年ごろから延々と低成長を続けて、しかも大失業を続けてきたわけですね。その長い苦しみの中から企業改革を行って、そしてそれをサポートするように税制改正、規制緩和が行われて、八〇年代後半から九〇年代になってやっと経済が元気が出てくるということを経験しているわけです。 日本も、バブルという非常に大きな重みのある負債を抱えて、バブルの後遺症という負債を抱えて、ここ十年近くも不況をやっているわけです。平成七年度は大分成長率が高かったわけですが、しかし、あのときもそうでしたが、結局はバブルの後遺症である特に不良債権問題というのを解決しなかったわけですね。平成七年の金融制度調査会の答申が出てやっと動き出したということで、二〇〇一年がターゲットだということなわけですが、その清算というものが始まったのがやっと平成九年度、それが一部にハードランディングという形で行われたことが経済に非常に大きなショックを与えたわけです。 したがいまして、現在どうしてもやらなきゃいけないことというのは金融システムの安定化であるわけでして、この金融システムの安定化に政府が全力を尽くすというのは当然のことかと思うわけです。私としては、もっと早い時期にやっておくべきだった、もう少し早い時期にやっておけばそれほど大きなショックはなかったんじゃないかというふうに思うわけです。 いずれにしましても、この金融システムの安定化、それから、安定化だけじゃなくて今後二十一世紀の経済を支える金融システムというのは、過去の、今までの金融システムと相当スタイルの違ったものにならざるを得ない、これを変革していくのは並大抵のことではないと思うわけです。 今、貸し渋りの問題が非常に議論されているわけですが、貸し渋りも、結局行政の変化。すなわち、政府が金融システムのバックアップをするということで信頼を得ていたという仕組みを、金融機関みずからこの信頼を獲得する、それからマーケットの中で仕事ができるような金融の仕組みにする。すなわち、担保をとってお金を貸すという仕組みではなくて、会社に貸す場合は、その会社の将来のキャッシュフロー、簡単に言えばもうけですが、もうけを担保に貸すような仕組みに変えていかなきゃいけないわけですね。 そのような仕組みというのは、今までの日本型経営システムと整合しない面がたくさんあるわけです。ですから、今その仕組みを変えようといろいろ努力する、そうすると結果として貸し渋りになってしまうという側面も避けられないわけですね。 しかし、そういった民間の改革というのはぜひ進めなければならないわけですし、また、それを政府がサポートする、国がサポートするということは極めて大事なことですので、昨年、金融再生法と健全化法というのができて、それに対して六十兆円の枠をつくり、またことしの予算でも一部、七兆円の枠に対して二兆五千億でしたか、それを歳出に充てているわけでありますが、こういった仕組みが現在のいろいろな経済の大きな問題を解決していく基本になるかと思うわけです。 ですから、ともかくこの金融問題を解決し、そして二十一世紀の経済を支えるような金融システム、経済システム全体を改革していくという作業が民間で必要になってくるというふうに思うわけです。 それとあわせて、財政、行政そして社会保障、地方財政あるいは教育、こういった改革を同時にやっていかなきゃいけない。二〇〇一年までというのが非常に多くなってきて、金融の問題も二〇〇一年までに解決する、何か知らないですけれども、みんな二〇〇一年まで。二十一世紀までに解決するというふうなスローガンというのは、私は悪くないと思うんですね。やらなきゃいかぬときにはまとめてやった方がいい。ショックが大きいことは間違いないですから。 先ほども申しましたけれども、改革というのは、長期にはプラスですけれどもやるときはマイナス。これをやはり断固やっていただきたい。薬を飲んで病気が治ればいいですけれども、薬で治らないときは手術をしなきゃいけない。手術をする、切るときは痛いわけですし、またしばらく入院をしなきゃいけないほど体がぼろぼろになるわけです。しかし、手術をしないと治らない問題というのは、先送りしていては結局悪くなるだけで、後の大手術になってよれよれになってしまうということになる、あるいはもう長期的に立ち上がれないという状況になることはぜひ避けていただきたい。若干、最近の雰囲気としては、景気回復がまず第一だということで、構造改革問題というのはちょっとお休みというふうな雰囲気が私は感じられますので、その辺をぜひお願いしたいと思うわけです。 二十一世紀に向かって、こういった構造改革を通じ、また民間の改革と合わさって二十一世紀の経済を立てていくということが必要になるかと思うわけです。それに合わせたいろいろな政策をできるだけ早く行っていくということが求められるわけです。 財政の問題でいいますと、先ほど申しましたようにできるだけ早い時期に財政再建の仕組みを立てていただきたい。財政構造改革法も凍結のようでありますが、新財政構造改革法を早くつくって道筋をつける。そういうことをしなければ、逆に短期の政策、短期にプラスと思われている政策の担保にもならないということかと思うわけです。 ただ、これをどういうふうにやっていくか。行政改革でどれだけ歳出をカットできるかといったときに、やはり高齢化それから今後の日本の国際的な役割、そういうものを考えたとき、なかなかそれだけでは解決できないわけでありまして、いずれ消費税を引き上げていくということも念頭に、念頭では困るんですね、やはり政治家なら決断していただかなきゃいけない時期というのは、私はできるだけ早く考えていただきたいというふうに思うわけです。そういうふうに改革をすることによって、二十一世紀の元気ある日本経済というものをつくっていくべきではないかと思っております。 どうもありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 それでは次に、宮脇公述人にお願いいたします。
○宮脇公述人 宮脇でございます。よろしくお願い申し上げます。 平成十一年度予算につきまして、私の考えを述べさせていただきます。 平成十一年度予算について考える場合に、幾つかのポイントがあろうかと思いますけれども、私の方からは、景気対策、経済構造改革の点、それから金融と財政の関係についてまとめさせていただきたいというふうに思っております。 まず、第一点の経済構造改革、景気対策の点でございますけれども、バブル経済が崩壊いたしました後に非常に厳しい経済情勢が続いてきたということは、今さら申し上げるまでもないわけでございます。特に、一昨年以降、いわゆる需給ギャップというものが非常に拡大をしてまいりまして、政府の方におかれましても、昨年四月の総合経済対策及び十一月の緊急経済対策ということで、大きな景気対策を実施していただくということになってまいりました。今回の平成十一年度予算も、平成十年度の第三次補正予算と一体としての十五カ月予算ということで、特に、従来にも増しまして大きな国債等を発行する中で、経済対策、景気対策というものを実施していただいたということだろうと思います。 こうした効果というものは、恐らく平成十一年度経済、特に前半部分を中心といたしまして、日本経済全体におきましても、底入れを探る、ないし底入れに近い状況に移っていくということは考えられることではないかと思っております。 また、地域経済におきましても、雇用環境等が徐々に、まだまだ厳しい状況ではありますけれども、明るい兆しというものが見え始めてきているという部分もまたあることも確かだと思います。 特に、私がおります北海道におきましては、ここ数年非常に厳しい状況が続いてまいりましたけれども、今回の景気対策等によりまして、昨年末以降、若干雇用情勢等において明るい兆しというものが見えてきているということもまた事実であるということだろうと思います。 こうした経済対策が、それでは日本経済あるいは地域経済全体の中長期的な経済成長力を生むものになるのであろうか、あるいは期待成長率というものを上げるものになるかどうかというところが、今後の大きな課題になってくるのではないかというふうに思っております。 今も吉田公述人の方からお話がございましたように、いわゆる三十兆円を超える大きな赤字というものを抱えた中でこうした政策をしていただいた。今後この赤字にこたえられるようなきちっとした担保というものが経済の中で生まれてくるのかどうなのか、そのことが非常に重要なことではないかというふうに思っております。 現状、こうした点を見てみますと、どうしても従来型、いわゆる右肩上がりの中でのいろいろな経済対策の内容というものが色濃く残っているということも、また一方では事実ではないかというふうに思っております。特に、公共事業等におきましては、平成十一年度予算でも、十兆円という規模で増額をしていただいているわけでございます。 こういうことによりまして、地域経済におきましても、一時的な流動性というものを確保するということはできております。しかし、それが地域経済の潜在成長力を引き上げるような力になっているのか、あるいはなっていくのかといいますと、まだまだ見直すべき点がたくさんあるのではないかというふうに思うわけでございます。 したがいまして、平成十一年度、こういった大きな経済対策をしていただいて、ある意味で底入れを探る状況の中で、やはり抜本的な行財政改革あるいは経済構造改革というものを推進していただいて、その中で民間企業というものが十分創意工夫というものをしていける、そういった環境づくりというものを行っていくことがやはり必要なのではないかというふうに思っております。 その点につきまして、やはり現在の政策の中ではまだ十分見えてきていない部分があるのではないかというふうに思うわけでございます。 特に、公共事業等につきましては、工事を行う、つまり建物を建てるあるいは道路を引くといったような、いわゆるイニシアルコストの部分についての財政配分というものに圧倒的に重点が置かれているということでございます。したがいまして、昨今の地方財政で生じておりますように、いわゆる完成した後におけるランニングコストも含めましたライフサイクルコストという概念を考えてみますと、非常に重たい財政負担というものを一方では抱え込んでくるという結果をもたらしてきているわけでございます。 もちろん、こういった問題につきましては、地方における国依存という大きな問題点もあるわけでございますけれども、今後、効率的な社会インフラ整備ということを考えていくということであれば、やはりライフサイクルコストという概念を取り入れる中で、いかにそうした社会インフラ整備の中から国民に対してすぐれた行政サービスを提供していくのかといったような観点というものがどうしても必要になるのではないかというふうに思っております。 したがいまして、従来の補助金制度のあり方あるいは予算制度における公共事業という概念、こういったものについてもやはりこの機に抜本的に見直していくということが必要だというふうに考えております。 もちろん、こうした課題につきまして、政府におかれましても、例えばPFI、プライベート・ファイナンス・イニシアチブといったような形で、できるだけ民間の資金、創意工夫というものを導入していこうということで、法案提出等も議員立法でなされておりますし、政府部門内におきましても、こういったものの実施に向けたいろいろな検討というものが行われていると思います。 ただ、こういったPFIという方向性そのものは非常に注目すべき点があろうと私も思っておりますけれども、やはりこれを本当に生きたものにするに当たりましては、行財政の環境あるいは規制緩和というものを抜本的に行いませんと、従来の構造の中にはまり込んでいってしまって、いわゆる資金調達面だけを行って、でき上がる社会資本というのは従来同様という形になってしまう、そうした危険性というものもやはり考えていく必要があるのではないかと思います。 したがいまして、今回の予算ということを中長期的に考えた場合に、やはり平成十一年度においてこういった構造改革というものを進めていただくということが不可欠な問題点であろうというふうに思います。 あと、この点について一点だけつけ加えさせていただきますと、よく財政構造改革におきまして、資産を活用しなさいという御議論が行われるわけでございます。確かに、国や地方自治体が持っている資産というものは、ある意味でいいますと、過去の税金等の蓄積であるというふうに考えることもまた可能でございまして、苦しいときにこうした資産を活用するということは、やはり不可欠な選択肢になってくるだろうというふうには思います。 ただ、その資産活用におきまして、単に売却をするということだけではなくて、持っている資産をもっと有効に公的セクターで活用していただくという制度設計というものがやはり必要だろうと思います。しかし、残念ながら、今の法制度というものは、いろいろな財産を管理するということについては非常に精密にできておりますけれども、これを活用するということに対して見ますと、十分にこれが機能できるという内容にはなっていないということでございます。 こうした資産活用におきましては、売却以外にも、例えば私の権利等を設定するでありますとか、そういった方法もございますし、また、例えば補助金によりまして設置をしました資産等につきましても、十年等の期間を設けて、その期間経過後にほかに転用できるといったようなことではなくて、もっと早期にこれを転用できるような仕組みというのもやはり模索をしていく必要があるんだろうと思います。 いずれにしましても、縦割り構造の中で非常に硬直的になっている面がある資産というものに対する活用方法ということについても、やはり考えていかなければいけないだろうというふうに思っております。 そういったことによりまして、今回の平成十一年度予算といったようなものによって行われましたいろいろな政策というものが中長期的に政策の信頼性というものを生み出す、そういった仕組みというものをぜひ御議論いただければというふうに思っております。 そして、二番目といたしまして、やはり財政と金融のかかわりということについて十分考えていく時期を迎えているのではないかと思います。 金融システム改革ということになりますと、金融機関の不良債権問題等がどうしても中心になってくるということはやむを得ない問題点であろうと思いますけれども、金融システム改革というのは、私が申し上げるまでもなく、日本経済に流れる資金の質、量というものを変えていくということでございまして、今までのような財政主導型の金融政策というものがそろそろ大きな転換期を迎えているというふうに申し上げざるを得ないと思います。 したがいまして、今までのように、国内に十分な貯蓄があるということを前提としていろいろな財政政策というものを展開できた時代というものはそろそろ終わりに差しかかってきていて、金融面から財政というものも、ある意味でいいますと厳しい評価を受け始めているということが言えるのではないかと思います。 こうした評価に対してどのように対応していくのか。もちろん、市場というものが絶対的に正しいということはないわけでございまして、市場というものが過剰反応をいたしましたり、あるいは間違えるということも当然あろうかと思います。しかし、そうした市場の判断に対しまして、財政あるいは政策というものがきちっと説明をしていくということがやはり必要なのではないかと思います。 国、地方自治体を通じまして、今なぜこれだけの政策というものをこうした手法で行うのかというようなことをきちっと説明していって、そして市場との間で情報を共有していく、あるいは、市場だけではなくて国民との間で共有していくということが、やはり政策への信頼性というものを確保していくことになるのではないかと思います。 将来的には、やはり税負担というものもきちっと見直していかなければいけない。そのときに、やはり過去の政策に対してそうした説明というものが十分されていませんと、今まで同様に、税負担だけ、ある意味でいいますと拒むといったような形で、負担と受益というものが大きく乖離していってしまうというようなことが起こりかねないというふうに思います。 したがいまして、そういったものが許される時代というものはそろそろ終わっているわけでございまして、やはり受益と負担を接近させる中で財政政策というものを考えていく必要があるだろうと思います。 今回の地方分権等の議論におきましても、最終的には、財政的な議論というものが十分に深められるという段階にはならなかったわけでございますけれども、今の金融改革等の流れというものを考えてまいりますと、今後、行財政というシステムそのものが、金融改革という大きな流れの中でシステミックリスク的なものを抱えてくる危険性というものは、やはりあろうかと思います。こういったものに対しまして、毎年度予算の議論あるいは財政制度の議論の中で、方向性というものを提示していっていただければというふうに思っております。 御説明させていただく中でやはりつけ加えなければいけないのは、財政投融資等の改革の問題であろうというふうに思っております。 財政投融資に関します改革につきましては、今政府部内等におきましてもいろいろと御議論をされているわけでございます。しかし、これまでの財政投融資というものは、閉鎖的な金融市場の中で貯蓄が積み上がっていく、いわゆる長期プライムレート等も右肩下がりの構造の中で定着をしているという、ある意味でいいますと、非常に恵まれた環境の中で実現してきていたということが言えるのだろうと思います。したがいまして、長期固定でいろいろな政策ができる範囲というものも、これからは極めて限定的にならざるを得ないというふうに思っております。 したがいまして、今後、二十一世紀に向けましたこういった財政投融資という制度を考えるに当たりましても、これまで同様に長期固定ということだけで広範な事業というものを展開していきますと、やはり一般財政に対する負担というものが非常に大きくなる可能性があろうかと思います。 したがいまして、政策展開におきましても、長期固定でやるべき領域と、あるいはもう少し短期のスパンの中で機動的に行われる部分、あるいは民間に任せる部分といったようなものについて、もう一度領域の見直しというものをやはりやっていくべきではないかというふうに思っております。 税金というものが非常に限られた範囲内になってくるということでありますと、いわゆる財政によってセーフティーネットを張るべき領域と、あるいは今までのセーフティーネットの張り方を変えることによって同様の機能を果たせる部分というものをきちっと見きわめていくということが必要になろうかと思います。 今回の予算あるいは財政投融資というところは、その辺のセーフティーネットの張りかえというところが十分に含まれていないということの中で、ある意味でいいますと、広範にわたった従来型のセーフティーネットの中で財政出動をしていただいている、その結果、地域的にもある程度回復といいますか明るさが見える部分というものが出てきているということだと思います。 したがいまして、今後、中期的な議論をする場合に当たりましては、やはりこういったセーフティーネットというものをきちっと特定化していく、そして、国が張るべきセーフティーネットと地方自治体が張るべきセーフティーネットというものは一体何なのかという議論を、地方分権等の議論の中で進めていただければというふうに思っております。 そして、最後になりますけれども、今後新しい財政再建等に取り組まれるであろうというふうに思うわけでございますけれども、その点につきまして一点だけつけ加えさせていただきますと、やはり計画というものを今後どういうふうに位置づけていくのかということが非常に重要な問題になってくるのだろうというふうに思います。 今まで、右肩上がり経済の中で人口がふえていくということを前提といたしまして、計画というものは立てることが非常に多かったわけでございまして、それは毎年毎年ボリュームというものを拡大させていくということが可能であったろうと思います。それがために、いろいろな意味で計画の内容というものが硬直化いたしまして、こういったものの見直しが進まないという結果、いろいろな問題点というものを今起こしてきているということが言えるのではないかと思います。 この計画というものにつきましては、行政部内においては非常に強い事実上の拘束力というものがございます。これは国、地方自治体を問わず、こういった体質というものを持っているわけでございます。しかし、現実、大きく経済というものが変化をしていくということになりますと、この変化を計画というものにいかに取り込んでいくかということがどうしても重要なことになってくるだろうというふうに思っております。 そういった取り組みを行う中で、やはり財政構造改革のあり方というものを御議論いただかないと、いわゆる財政だけが切り詰められてしまって、行政の体質そのものが大きく変化をしないというようなことも起こってくるのではないかと思います。 なお、最後になりますけれども、これは若干予算委員会の場としては細かい議論になってしまうかと思いますが、あえて申し上げさせていただきますと、予算制度、公会計制度というものをやはり見直していく、そういった姿勢というものが必要になってきているのではないかというふうに思います。 どうしても、今までの予算会計制度のように、現金主義におきますいわゆる大福帳的な処理ということになりますと、そこではやはり、時間の概念でございますとか、あるいは実際上の赤字というものが見えづらいという状況になってきてしまいます。財政がきちっと負担している部分によりまして、どういう将来的な国民の背負うべき負担というものが出てきているのか、あるいは、今の事業というものが現状どういう段階に差しかかっているのかということを考えていくに当たりましては、やはり公会計制度というものを変えていって、国民と財政状況というものを情報的に共有できる努力をしていく必要があるのではないかと思います。 そういった努力というものを積み重ねていくことによりまして、先ほど来申し上げておりますような、受益と負担といったようなものができるだけ接近してくる中で、官と民との依存関係、あるいは国と地方との依存関係というものも、やはり見直していくことができるのではないかというふうに思っております。 以上、簡単ではございますけれども、私の考えを述べさせていただきました。ありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 次に、中里公述人にお願い申し上げます。
○中里公述人 中里でございます。 本日は、意見を申し述べさせていただきます機会を与えていただきまして、本当にありがとうございます。短い間ではございますが、本年度予算案について、私の考えているところを御紹介させていただきます。 私は、金融取引の国際課税というものを専門にしておりまして、もっと単純な言い方をしますと、課税逃れ商品についてどういうものがあるか、それをどうやってつぶすかとか、どうやって開発するかという、極めて何とも言いようのないことを専門としているわけでございますけれども、そういう見地から見ますと、今の世の中は、実物経済と金融経済とを比較して、金融経済の実際的重要性が非常に増している、そういう状況が一つ指摘できるのではないかと思います。 そのことと関連するのですけれども、財政と金融という二つの応用経済学の重要な分野を比較しますと、金融の持つ実際的な重要性がやはりここにおいても増しているのではないかというふうに思います。いわば、市場の国家に対する優位といったような現象が起こりつつあるのではないかという感じがします。 このように、現実に発生している経済現象というものを背景として租税制度を議論しなければ、なかなか望ましい租税制度を構築するということはできませんので、そういう視点からお話をさせていただきます。 初めに、平成十一年度の予算案についてでございますが、今回の予算案において、政府が、極めて厳しい財政状況であるにもかかわらず、景気回復のために思い切った措置をとろうとなさっている点、これは非常に積極的に評価できるのではないかと思っております。 しかし、永遠に財政赤字を拡大し続けるわけにはいかないのでございまして、今後の財政運営につきましては、中長期的に見まして、極めて気を引き締めていかなければならない点が多いというのも事実でございます。苦しい時期の国家のかじ取りというものは、好況期のかじ取りと比べて格段に難しい点が多うございますけれども、さまざまな意見をこのような場でぶつけ合って、長期的視点を持って真摯な態度で臨むならば、必ず道は開けるのではないかと信じているわけです。 恒久減税の位置づけでございますけれども、私は、今回の恒久減税というものを、長期的な租税制度の構造改革の動きの中の一つの過程というふうに理解しております。 今回の大減税は、もちろん、短期的に見ますと、景気回復のための思い切った措置である、大胆な措置であるというふうに言うことができますけれども、シャウプ勧告以来の日本の租税制度の歴史という視点から長期的に見ても、大いに意味があるわけでございます。すなわち、今回の大減税は、租税制度の抜本的な改革のための長い道のりの中の一つの重要なステップとして、所得課税の比重を引き下げて税制の構造改革を行ったものとしてとらえることができるのではないかと考えております。 最近の動きを、最近といっても十数年に及ぶということになりますが、簡単に要約しますと、まず第一期に消費税が導入されたわけでございます。それに引き続きまして、所得税の先行減税、それから消費税率の引き上げといったものが行われたわけで、今回、所得税、法人税の先行減税、その後何かを当然行わなければならないというふうに考えております。したがって、今回の所得税、法人税の減税で話がすべて終わるのではなくて、今後どのようにするかの方がむしろ重要な意味を持つというふうに考えております。 特に、シャウプ勧告以来ことしで五十年でございますけれども、このシャウプ勧告五十周年のことし、長期的な視点から、日本の将来の租税制度のあるべき姿について、我々のような一般人も含めて、先生方のような国家の中枢でお仕事をなさっている方々が思いをいたすということは、極めて重要なことなのではないかというふうに思っております。 私自身も公務員でございまして、国民の公僕として研究、教育活動に文字どおり邁進しているわけでございます。しかも、私の属している講座は、シャウプ勧告における提言に基づいて設けられた講座でございます。気持ちを新たにしていかなければならないというふうに考えております。 今回の恒久減税は、短期的に見ますと大胆な景気刺激策ということになります。最善の景気刺激策、不況対策というのは、不況の原因を根本から除去すること以外にあり得ないわけでございます。ところが、現在の不況の根本的原因は、私は経済学者ではございませんけれども、例えば以下のように多種多様であり、複雑怪奇なものであるというふうに思っております。 一つは、バブル時に使い過ぎた。使い過ぎればその後しばらくは余り使えない状況が続くというのは、だれにとっても同じでございます。それから二つ目は、経済構造そのものが、国内的に見ても、国際的に見ても、根本的に変化しつつあるということでございます。それから三つ目は、先ほど吉田先生御指摘のとおり、押し寄せる高齢化の波に国民が不安感を抱いている。このような三つの要因が挙げられます。そして、これらは、多かれ少なかれ、程度の差はありますけれども、国家の政策的措置によって対応することが困難なものなのではないかというふうに理解しております。 バブル時の使い過ぎの調整が今行われているから不景気だということでございますが、これは基本的に過去のことです。国家の力をもってしても過去を変えることはできません。したがって、これについて現在時点で国家が政策的に何かをしようとしても、できることは限られている。 それから二番目の、経済構造の根本的変化という問題ですが、これは基本的には民間の努力にかかる問題でありまして、そこにおける国家の役割は、せいぜいのところ補助的なものであろうというふうに考えます。 三つ目の、高齢化の波でございますけれども、これが今回の不景気の最大の原因ではなかろうかと私は思っております。私どもは、人口構成の急激な変化というものが一国の経済活動に対して及ぼす影響の大きさは実にはかり知れないものがあるという点を冷静に認識する必要があるのではないかと考えております。 人口の問題につきまして国家が政策的に対応するということは非常に困難でございます。根本的には、時間がたつのを待って、人口構成が変化するのを待つしかないわけでございます。もっとひどい言い方をしますと、団塊の世代の方がいなくなるのを待つ、これしか方法はないのでございます。こういう問題に対して政策的に対応することは、基本的には不可能でございます。したがって、国家が高齢化を防ぐということはできない、それだけの話です。 しかしながら、高齢化は永遠に続くとは思われない。団塊の世代の方が幾らパワーがあっても、永遠に日本に存在し続けることはできないのでございますから、また過度に悲観的になるには及ばないということも事実でございます。 いずれにせよ、現在の不景気はある程度必然的なものでございまして、これについて国家が政策的に対応できるということには限界があるということを、我々皆、明確に認識する必要がございます。 旧社会主義国の悲惨な現状と言うとちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういうものを見ればわかるように、何から何まで国の活動により問題を解決できるという国家万能主義的な幻想は捨てる必要があります。そもそも国家のできないことを国家がしても効果が上がらないのは当然のことだからでございます。できることをしてこそ意味があるということです。 特に、減税で政策的に対応することのできる問題は極めて限られているわけでございます。また、租税制度には税収の確保という本来の重要な機能がありまして、これは憲法によって定められたものでございますから、打ち消すことはできないわけでございます。減税には心理的な効果がもちろん大きくつきまといまして、これは大きいのでございましょうけれども、減税はあくまでも対症療法にしかすぎないという点を認識しなければなりません。もちろん、現在の不景気というものが大きな経済循環の一環の中での一過性のものであるというのであれば、減税も効果があるだろうというふうに思いますけれども、それがより構造的なものであるとすれば、余り大きな効果は期待できないのかもしれません。 経済政策の分野に希望や祈りを持ち込むわけにはいかないのでございます。減税すれば景気が上向くといいなと幾ら希望いたしましても、客観的に見た場合に、減税が必ずしも問題解決のための適切な手段ではないということが仮にあるとすれば、不景気の原因を根本的に除去できない限り、減税のみで景気を上向かせることはできないということも、これは当然のことに思われるわけです。 実際に、現在の不景気の原因が何であるかは、人によって考え方が違いますから、これは何とも言えないわけでございますけれども、むしろ、そのような議論よりも、今回の減税を長期的な租税制度改革の動きの中の一つの過程として位置づけることの方が重要なのではないかと思っているわけです。 現在、世の中にはケインズ政策の妥当性を説く方々が間々見受けられるわけでございますが、極めて素人的な理解で恐縮ですけれども、私が習ったケインズ政策というのは、不況の時期に、失業者を集めて穴を掘らせて、それを埋めさせる、そして賃金を支払う、そうすると、賃金を受け取った者がその賃金を消費に用いまして、遊休資産であるところの生産設備が稼働状態に入り、景気が回復するというようなものではないかと思います。有効需要刺激策というものです。 しかし、学生時代に、このようなケインズの政策に私は大変に疑問を持ったものでございます。例えば、江戸時代にこのようなケインズ政策を採用したらどうなったか。恐らく、景気はよくならずに、ただ悪性のインフレが蔓延するだけだったのではなかろうかと思われます。なぜなら、江戸時代には、有効需要を幾らつくり出しましても生産設備がこれに追いつかない、生産技術がこれに追いつかないわけですから、生産はふえず、賃金を払えば払うほど貨幣の供給量が増加するだけだからでございます。 もちろん、現在は、江戸時代と比べると供給能力が余っているということで、多少事情は異なるわけでございますけれども、ケインズ政策を採用いたしましても、必ずしも消費が拡大するとは思われないわけでございます。それは、先ほど述べましたとおり、国民の消費に対する気持ちが冷え込んでいるから、その原因が、将来に対するあるいは老後に対する国民の漠然とした不安にあるからだというふうに考えております。現在においてケインズ的なばらまきを長期的に続けますと、余計将来に対する不安が拡大することとなるのではないかと危惧しております。 なお、消費する以上に生産し続ける国が不景気で消費を縮小させており、他方で、生産する以上に消費し続ける国が好景気で消費を拡大しているという現在のような現象が永続するとは思われないのでありますから、日本はもう少し自信を持ってよいのではないかというふうに考えております。 それで、現在の世界において、アメリカは、世界の国民はドル建ての金融資産をありがたがっている、そして欲しがっている、だからドル建ての国債やドル紙幣を発行し続けてあげるんだというお気持ちでいらっしゃるのではないか、つまり、借金の証文を世界に輸出して、さまざまなものを輸入して国内の消費を拡大するという構造になっているんだ、こういう考え方をあるところで耳にしたことがございました。 もちろん、金融の役割の増大した現代社会におきまして、投資の、つまりお金の集まる場所が好景気になるのは当然のことでございまして、生産技術の進歩した場所が好景気になるとは限らない、この点はよく認識しております。しかし、借金の証文を主要な輸出品として国家を運営するような極端な経済運営が長続きするものとは考えにくいわけでございまして、そのような国にいつまでも投資が集中するとも思われないわけでございます。ちなみに、これはアメリカ批判ではございません。そういう話を私が聞いて、そうなのかなと思っただけでございます。 しかも、アメリカ国債を買い支えるために日本が国債を増発するとしますと、これは借金の肩がわり以外の何物でもないということでございまして、他人の借金のために自分が借金をして金を貸してあげるということになります。もちろん、日本経済はアメリカ経済と密接な関係にございまして、アメリカを支えることなしに日本の経済も成り立たないというジレンマが存在するのは確実でございますから、一方的に非難して済む話ではございません。 要するに、不良債権を抱え、派手に振る舞っている貸付先を倒産させるわけにはいかないという銀行のジレンマと似ているような状態に日本もあるのではないかというふうに考えているわけでございます。難しい問題で、この問題を解決するのは相当の英知が必要ではないかと思っております。 今回の大減税は、以上申しましたとおり、短期的には景気刺激策となっているわけですが、大減税を永遠に続けることはできないので、いずれ税収不足を補うための租税制度の見直しが必要となってくるであろうと思われます。日本を含めたいかなる国も、国債と紙幣を増発することのみによって好景気を持続させ続けるわけにはいかないわけでございまして、そのような租税制度見直しの時期がいつになるか、これは目下のところ明確にはわかりませんけれども、景気回復が軌道に乗ってきた段階においては、見直しは当然に必要なのではないかというふうに考えております。 なお、消費税につきましては、これを感情的に攻撃する向きもいまだ多少はありますけれども、社会福祉の先進国である北欧で、二五%もの付加価値税が課されているのに、国民が不幸にあえいでいるという状況はないという点は認識しなければいけません。この現象を冷静に評価しなければ租税政策は成り立たないのでございます。 ヨーロッパ諸国において、福祉の充実のために付加価値税の果たしてきたあるいは現に果たしている役割は、はかり知れないものがございます。付加価値税、消費税は、むしろ中道左派的な福祉充実論者に最も受け入れられやすい租税なのではないかと考えております。また、ごく単純に考えましても、消費税や付加価値税が悪税であるとすれば、そのような悪税が、旧社会主義国も含めて、これほど世界的に普及するはずはなかったのであります。もっとも、現在の政治家の先生方で、消費税率の引き下げを主張なさっている方はいらっしゃいますけれども、その廃止を唱えていらっしゃる方は余り多くはないという点を見ますと、消費税のよさが浸透してきたのではないかというふうに考えております。 私は消費税論者でございまして、所得に対して課税するよりも消費に対して課税した方が理論的には望ましいと考えておりますけれども、このような考え方は、恐らく、いろいろな党派の方すべて、将来においてそのような考え方になっていくのではないか、そうならなければ日本の老人がかわいそう過ぎるというふうに考えております。 なお、地方財政も危機的な状況にありますので、一層の行政改革を推し進めることは必須のことであるという点、これは当然でございますけれども、同時に、何らかの措置を税制において講じなければならないというようなこともあるかもしれません。 続いて、多少蛇足になりますけれども、執行の問題について、つけ加えさせていただきます。 制度がいかに立派でございましても、効率的に執行されていなければ何の意味もないということです。立派な制度や法律を最新の理論を用いてつくる、そのこと自体は必ずしも難しいことではないわけです。一番簡単なのは、アメリカの法律の条文をそのまま翻訳して日本の法律にしてしまうとか、アフリカのある国の法律にしてしまう、これはもう、すぐできます。本当に難しいのは、存在する制度をいかにして効率的にかつ公平に運用、執行するかでございます。 日本の課税庁は、この点において極めてすぐれた組織であると考えておりますけれども、最近の金融取引の発展によって困難な事態が起こってきているわけでございます。 まず、金融取引への法律的な対応が必ずしも十分にできていないという点を指摘することができます。 例えば、現在の民法等はデリバティブ取引等に対応したものとはなっていないわけでございます。民法の契約法のどこを見てもデリバティブに関する定めはないわけでございまして、売買とか賃貸借とか、そういう定めはございますが、そういうことです。 また、デリバティブの世界におきましては、取引の合成、分割が容易にできます。そうすると、民法上、契約の単位をどの範囲で認定するかという問題が出てきます。例えば、原取引とヘッジ取引が行われた場合に、これを別々に見るか一緒くたに見るかという問題があるのでございます。原取引とヘッジ取引を一緒くたに見てしまえば、何も行われていないということになってしまうわけで、それでいいのかどうかという問題でございます。どうせ議員立法をおやりになるのであれば、このような分野こそニーズが高いのではないかというふうに考えております。 同様に、現行の所得税法や法人税法は、必ずしもデリバティブ取引等に対応したものとはなっていないわけでございまして、早急に法律を整備して、課税関係の明確化を図る必要がございます。そのときには、少なくとも次のような視点が必要でございます。 第一に、時価主義を導入して課税の繰り延べへの対応を行う必要があるという点でございます。それから、所得分類を適正にして源泉徴収逃れに対応するという点でございます。それから三番目に、所得源泉地の規定を適正化して国際課税制度の整備を図るということでございます。そして四つ目に、課税逃れ商品への対応ということです。 課税関係が明確でありませんと、納税者の予測可能性が害されて、日本において取引を行う者が減少するわけです。また、金融取引は、特に経済的に余裕のある個人や企業の課税逃れに利用されやすいというところがあるものですから、課税の公平性の確保という観点からも、以上のような法律整備は不可欠でございます。 なお、現在の租税法における、法人税法における法人の利益は、基本的に企業会計に基づいて計算されることになっております。確定決算主義と呼ばれております。しかし、さまざまな監査法人が、粉飾決算を見抜くことができなかった、あるいは見過ごしていたという昨今の事例からうかがわれるように、過度に企業会計を信頼することが困難な事態が出現しているわけです。 そもそも、証券取引法に基づく強制監査は矛盾しているという考え方が学説上存在いたします。つまり、調べられる人、会社が、調べる人、監査法人に金を払って身の潔白を証明してもらうような制度はうまくいかないのではないかという考え方です。 例えて言うならば、浮気をしている人が興信所に金を払って、自分が浮気をしていないことの証明書をくれというような場合に、ほかの人間はこのような調査結果を信じることができるでしょうか。あるいは、警察官の給料を犯罪人が支払って、自分は犯罪を行っていないことの証明をくれといって、本当にその証明書を信じることができるのでしょうかということでございます。したがって、現在は、例えばハーバード大学のラムザイヤー教授のように、強制監査制度の存在理由を否定する考え方さえ強く主張されているわけです。 いずれにせよ、粉飾決算の場合には、赤字企業が損失を系列企業に飛ばすということで、ありもしないのに黒字をつくって税金をわざわざ納めてくださるわけですから、税金の観点からは余り問題はないんですけれども、これと逆のメカニズムを使いますと税金逃れが可能でございます。つまり、黒字企業が、赤字の飛ばしと逆のことをやって、黒字をつけかえることによって、例えばタックスへーブンにつけかえることによって、日本の課税を免れることができます。 連結納税制度の導入が昨今議論されているわけですが、例えば、粉飾決算によって損失の飛ばしを行っていた企業が、当該飛ばした損失を利用して連結納税上の利益を享受するという主張を行うとすれば、一種の笑い話でしかないわけです。初めから飛ばしを行わなければ税金を払う必要はなかったのに、わざわざ税金を払っておいて、後で、飛ばした損失を使って税金を安くしてくれというのは、これはもう笑い話でしかないということでございます。 ファイナンスの技術を応用して複雑な法的仕組みを用いた課税逃れ商品が問題となっているわけですけれども、様々な業者によってそれが取引されているわけで、現実に納税者はそれを買っているわけで、執行上大きな問題が起こっています。 そこに用いられているテクニックは幾つかありますけれども、一つは、実際にはありもしない外形をつくりだして課税の減免を受けるということです。また、高い課税ポジションから低い課税ポジションに利益を飛ばすというようなことも現実に行われているわけでございまして、このような金融取引の発展に伴う課税上の困難について、納税者の権利保護を図りつつ、納税義務の適正な履行と公平な課税の実現を図る努力が不可欠となっております。そのためには、利益のつけかえの防止の措置、あるいは租税回避の否認規定の整備、調査権の拡大、立証責任の転換等のさまざまなテクニカルな対応が必要なのではないかというふうに思っております。 極めて専門的な領域ですが、以上のような点につきまして、先生方の御理解を賜れば幸いでございます。 最後に、御清聴どうもありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 —————————————
○中山委員長 これより公述人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野寺五典君。
○小野寺委員 自由民主党の小野寺五典です。 きょうは、先生方、本当に御苦労さまです。先ほどまでお伺いさせていただきましたが、平成十一年度予算につきまして、本当に御示唆に富むお話をいただきまして、大変感謝しております。 初めに、私なりに少し整理をさせていただきたいと思うんですが、まず、平成十一年度予算案につきましての御意見ですが、現在の本当に厳しい経済環境を踏まえまして、お三方の先生方からは、それぞれ、例えば吉田先生からは、現在の状況、このように民間が厳しい中で、民間サポートとして、ショックアブソーバーになるというような今回の積極予算は評価できるんではないかというような意見をいただいたと思います。 また、宮脇先生には、セーフティーネットの張り方ということで、いろいろな方法が必要だとは思いますが、今回の予算につきましては、大きな国債を負いましたけれども、効果につきましては、ある程度底入れが今見られているんではないかというような評価をいただいたと思います。 また、中里先生につきましては、冒頭で、景気対策、評価できるというお話で、さらに消費税につきましては、本当に力強いお話をいただきまして、大変感謝しております。 そういう中、平成十一年度予算につきましては、今の景気状況を考えた場合には、ある程度、今回のこういう積極財政はやむなしではないか、そういうふうな御意見でほぼ一致しているんではないかというふうに思うんです。 お三方の御意見のその次に出てきた言葉、これも私は非常に今一番危惧していることですが、現在の約六百兆円に上ります財政赤字、国債の発行残高の問題というのが将来的に景気の足を引っ張ることにならないか、あるいは将来的にいろいろな問題につながらないかということの御指摘があったと思います。特に、最近の長期金利の上昇を見ましても、現在の国債発行残高の多さがそれに起因しているんではないかという意見があちらこちらで聞かれます。 初めに、現在の財政状況についてどのようにお考えかということを先生からお伺いしたいんですが、まず吉田先生、財政学が御専門なものですから、今の日本の六百兆円に上る財政赤字、あるいはGDP比が一二〇%を超えるという、イタリアではこうなった場合に通貨の大変な大暴落がありましたが、そのような状況で、一体日本の状況をどうお考えになるのか、御意見をいただければと思うんです。
○吉田公述人 六百兆円という金額はちょっと異常な水準でありまして、やはり先ほど話のありましたイタリアが、一二〇%になったときにリラ暴落を起こすという事態があったわけです。ただ、日本は、イタリアもやや近いんですけれども、貯蓄率が高いわけですね。ですから、どこまでもつかというのが非常に微妙な段階に来ているんではないかなというふうに思うわけです。 すなわち、貯蓄率が高いということは、バッファーがあるということですね。そのバッファーでどこまで今吸収しているか。平成七年度末で一千二百兆円というのがよく言われるわけですが、そのうち四百兆円ぐらいが家計部門が持っている負債ですので、ネットで八百兆円ぐらいとすると、その中でもう既に六百兆円使っている。もちろん、それ以外に実物資産なりあるいはその他の資産があるから日本経済が回っているわけですけれども、果たして民間の持っている金融資産の中でどれだけ政府が債務を持っていって大丈夫なのかというのは、非常に微妙な段階に来ていると思います。 ですから、短期的な問題として、先ほど整理していただいたように、やむを得ないという側面は非常に強いわけですが、しかし、これが果たして次の段階に日本経済にどう影響を与えるか。これは、過去いろいろ起こったこと、あるいは外国で起こったことを見ていますと、余り楽観できる状況じゃないということで、ニュージーランドだとかカナダだとかも大行政改革をしたわけですが、どうしてそこまで追い込まれたかというと、やはり財政赤字の累積なわけです。 ですから、今のところは、ここまで大丈夫ここまで大丈夫で来たわけですが、そろそろ真剣にということで、例の財政構造改革法も審議されたわけですが、またこのショックをどう吸収するかということで三十兆円だということですが、このままずっと続けていくことは不可能ということを前提にして、どういうふうに立て直すかということは、できるだけ早い時期にやってほしいなというふうに思っているわけです。
○小野寺委員 ありがとうございます。 今、吉田先生の方からお話がありましたように、本当にこのまま続けるのは不可能ということがあると思うんですけれども、その中で、日本では、ちょっと今凍結、あるいはちょっとわきに置いておりますが、財革法等がありました。あるいは、御存じのとおり、アメリカの場合には包括財政調整法、イギリスの場合にはコントロールトータル、あるいはドイツではモラトリアムの原則という形で、日本よりもGDP比が低い国においても、かなりしっかりとした、ある面では財政支出の抜本的な構造改革ということを行ってきたと思うんですが、日本の現在の状況、本当に私も危惧しているんですが、どのような改革方法が考えられるか、その点を宮脇先生にちょっと御示唆いただければと思うんです。
○宮脇公述人 今お話がございましたように、日本の財政状況というのは、私は、極めて厳しい状況になってきておりまして、限界点に近い状況であろうというふうに思っております。 こうした状況を乗り越えていくためには、今まで行われたように歳出を単に削減するといったようなことではなくて、今までの政策展開あるいは財政配分といったようなシステムそのものをやはりきちっと見直していって、ありふれた言い方ではございますけれども、今までの体質というものを変えていきませんと、なかなかこういった問題というのを克服することはできないのではないかと思います。 ですから、官と民との役割分担の見直し、あるいは地方分権ということを見ていって、そして受益と負担というものが明確になるような構造というものをつくり上げていくことが第一なのではないかというふうには思っております。
○小野寺委員 今の宮脇先生のお話を伺っても、本当にかなり厳しい状況、限界点に来ているというような厳しいお話だったものですから大変危惧するわけなんですが、そういう中で、じゃ財政改革ということで、例えばキャップ制にしても、いろいろな制度改革にしましても、どうしても限界というのが日本の場合あると思います。 特に、例えばよく試算で言われる話なんですけれども、現在の財政構造改革の中で、いかに人件費を一般省庁が削減しても、約四兆円程度の削減にしかならないというふうに言われています。また、公共事業、いろいろな形で批判はありますが、これも約十兆円程度の費用になっています。ですから、これを本当に見直して、身を削ったという形で仮に行ったとしても、現在の財政状況から比べたら、微々たるものとは言いませんが、決して抜本的な改革になるとは思えない、そういう状況にあると思うんです。 そうなりますと、次は税制の問題。収入をどうやって政府として上げていくか、あるいは現在の行政財産をどうやって活用していくかということになると思うんですが、その点につきまして、先ほど御示唆に富むお話を中里先生の方からちょっといただきましたので、今の財政状況を含めて、構造改革も含めて、どういうふうな税制で日本の財政を健全化していくかということについて、もう少しお話をいただきたいと思うんです。
○中里公述人 魔法のようないい案があればだれも苦労しないわけでございますけれども、消費税の増税は、少なくともこれは当然しなきゃいけない、ほかにないわけですからしなきゃいけないというふうに考えております。 ほかは、冷え切った気持ちをどうやっていい方向に向けるかということでございますけれども、安心して年をとれないということが一番大きいのではないか。あるいは介護で疲れ果てたり、御老人は御老人で安心して病院にいられない、すぐ出ていけと言われるとか、そういうことが大きいのではないかというふうに思っておりますので、どうせお金を使うのであれば、そちらの方向で使って、安心して老後を迎えられるような国をつくっていく、そのために例えば消費税を使うというのであれば、これは国民の納得も得られるのではないかというふうに考えております。
○小野寺委員 済みません、中里先生、もう一度ちょっとお伺いしたいんです。 今の消費税の、例えば福祉に関しての使途というお話がありましたが、最近、消費税の福祉目的化というようなお話がいろいろなところで出ていますが、その辺についてちょっと御意見をいただければと思うのです。
○中里公述人 財政の硬直化につながりますから、直接、目的税化するというのはよくないのではないかというふうに理論上は考えております。 しかし、集まった税収はいやでもそちらに使わざるを得ないという点では、わざわざそういうことは法律上書かなくてもそうなるのでございますから、それはもう専ら気持ちの問題でございまして、使途を拘束してしまうこと自体は、法的にはない方がいいのではないかというふうに考えております。
○小野寺委員 吉田先生にお伺いします。 吉田先生の場合、どういう形でこの財政構造改革、今言った、身を切るだけではなくて、積極的な収入を得る方法があるかということをぜひ教えていただければと思うのです。
○吉田公述人 まず、抜本的に考えていく場合には、私は、やはり地方財政ということになるかと思うんです。 といいますのは、今までは、国が税金を集めて、それを地方に補助金なり交付税で配付して、そして全国一律といいますか、一定水準の行政を行うような仕組みになっていたわけです。しかし、これは、やはりもう無理ですね、これからどんどん税金を上げたらいいという時代ではありませんので。したがって、これをやるには、地方自治体自身が自分のところで税金を集めて、そして自分のところで行政を行うという仕組みに変えていくことが必要だと思うんです。 結局、全国一律でやるのは非常に効率的なわけです、ルールも明快ですし。しかし、それを実行していくための財源というのを確保することは、私はもう不可能だと思うわけです、税率を幾ら上げてもいいというわけにはいきませんから。したがって、抜本的には、まず地方財政を改革して、その地域で必要な税金を集めて、そしてその地域に必要な行政を行うという判断をする仕組みをもっと明快にしていくということが私は大事であると思います。 その上でもまだ足りないというところを国家としてどういうふうに財源を調達していくかということになりますと、先ほど申しましたように、これからの経済を支える、元気づける、元気づけるというのは、元気な人に課税するのではなくて、できるだけフラットな税制。勢い余っていっぱい稼いだらみんな税務署に持っていかれるという仕組みは、みんなというのはちょっとオーバーですけれども、そういう仕組みは廃止して、できるだけフラットにして、そうすると財源が必要になるわけですから、これは、消費をするときに税金を払うという消費税の仕組みをもっと活用すべきということになるかと思います。
○小野寺委員 済みません、吉田先生、もうちょっとお伺いしたいんです。 今のお話ですと、例えば今の地方財源を考えますと、所得税あるいは法人税という形で考えていきますと、地方には余り税収が落ちない。そうしますと、地方で財政を考えるということになると、どうしても税制にもう少し踏み込んでいかなければいけない。そうなった場合に、いわゆる間接税というんでしょうか、そちらの方を主体にした方がいいということでしょうか。
○吉田公述人 今、分権して、地方は地方で課税して行政を行うということに対する反論としては、経済力格差があるじゃないかということが言われるわけです。しかし、財政の格差というのは、経済力格差では考えられないぐらいとても大きいわけです。これは、やはり税制に問題があるわけです。 一つは、法人税の地方分とかあるいは事業税のような、事業所に課税する、そうすると、事業所の多いところは大きくなって、少ないところは小さくなってしまうという問題が一つあるわけですね。それから、地方の税制に累進課税がかかっている。そして課税最低限があるわけです。そうしますと、少しの経済力格差が非常に大きな財政力格差になってくるわけです。 本来、地方のサービスというのは、普通の商品と似たようなところがあるわけです。ですから、応益課税、利益に対して税金を課すという考え方をもっと徹底する必要がある。したがいまして、そういったのは所得税、しかも地方税、住民税の所得税として、そして課税最低限をなくしてしまう、つまり、控除をなくして比例税にしてしまうというのが一つの考え方だと思います。 それから、消費税を、いわゆる付加価値税を地方で導入することになりますと、税率を一律にしなければならないという問題があるわけです。そうすると、これは基本的には、今の譲与税と同じような形にならざるを得ないわけですね。必要な税率を住民が選択するという仕組みにはなり得ないものですから、したがって、私は、地方が消費税を課税するというやり方は余り賛成しておりません。 さらに言いますと、地方で課税する外国のやり方は、財産課税なわけです。特に日本でも、固定資産税ですが、そこらは重点的にやる必要があるかと思うわけです。 なぜかといいますと、例えば法人税を課税する、しかも地方自治体が自由に課税するとすれば、工場が、高いところから逃げていきまして、安いところにみんな行ってしまいまして、競争して、最終的に多分税率はゼロになると思います。だから、余り意味がないわけですね。ですから、ゼロにするというのもいい方法ではあるんですけれども、税を確保するためには、できるだけ課税によって逃げないものに課税していくというのが大事なわけで、したがって、土地は持って逃げるわけにいきませんので、そういったものに対する課税というのは地方税に向いている。それから、所得税の場合も、所得税の高いところから逃げていくことになりますが、それでも、相対的には事業所よりは逃げにくい。 それから、もっと大事なことは、料金を取るということですね。料金収入というのをもっと重視すべきと思うわけです。ごみを集めたらごみの料金を取る、いろいろな福祉サービスをしたら福祉の費用を取る。もちろん、最低限のところを保障するというふうな制度というものも構いませんが、しかし、料金というものももっと重視すべきと私は考えています。
○小野寺委員 私も、例えば欧米でいろいろな地方自治体に行きますと、料金設定あるいは税制の中で、これは下水道費とか、あるいはこれは公共事業費とか、かなり明確な形で請求が出てきたということがすごく印象深かったものですから、そういうふうに地方でまず税制体制をしっかりするということが大事だということで、私もそれは同じような意見を持たせていただいております。 宮脇先生にちょっとお伺いしたいんですが、同じく、現在の財政構造改革をする上で、まず歳出歳入の面のいろいろな問題があると思うんですが、特に先生のお話の中でありました行政財産というんでしょうか、資産の活用ということ。日本の場合には、管理という形はきっちりしているけれども、それがうまく活用されていないんではないかということがあったと思うんですが、ぜひその辺、もう少し詳しく教えていただければと思うんです。
○宮脇公述人 お答えいたします。 国有財産ですとか地方自治体が所有している公有財産、こういったものをきちっと管理していただくということは、もちろん国民や住民の信託に基づくものでございますので、これは非常に重要なことであろうかと思います。 ただ、そのことが、要するに行政的な発想によりましてきちっとそのまま財産としてあればいいという形ではなくて、やはり、今まで税金によってつくられてきた資産というものをもっと多機能的に利用できないのか、あるいは、新しい税金をつぎ込まなくても、今あるものをもっと有効に活用できないのかという視点というものは、そろそろ持つべきなのではないかというふうに思っております。 ですから、先ほど来高齢化のお話がいろいろ出てまいっておりますけれども、少子化とともに、高齢者の方々に対する施設というものが必要になってくれば、当然のことですけれども、新しく施設設置をする場合でも、こういったものを早くスムーズに機能転換させられる、そういう制度設計というのはどうしても必要になってくると思います。 したがいまして、国有財産法の行政財産、普通財産の区分、あるいはいろいろな施設に対します管理者規定ですとか、細かいことですけれども、こういったものも見直していくことによって、かなり財産活用というものはできていくのではないかというふうに思っております。
○小野寺委員 時間が来てしまいましたので、これで終わらせていただきますが、本当に貴重な御意見をありがとうございます。 特に、今の日本にとりましては、短期的な経済対策も大事ですが、今言った長期的な財政構造改革というのが、本当に将来に対する不安というのを払拭することが私も最大の景気対策だと思いますので、ぜひ国会の場で、御意見を尊重しまして、頑張っていきたいと思います。きょうは、どうもありがとうございました。
○中山委員長 次に、加藤六月君。
○加藤(六)委員 自由党の加藤でございます。公述人の皆さん、貴重な御意見をまことにありがとうございます。 冒頭、三人の先生にお伺いいたしたいと思いますが、今、マスコミをにぎわせておるわけでありますが、買いオペあるいは国債の日銀直接買い、こういう問題について何か特別な御意見があったら、それぞれ承っておきたいと思います。
○吉田公述人 今、買いオペの問題が話題になっているわけですが、今まで経済政策をいろいろやってきて、それほどびっくりする効果がなかった、何が残っているかというと、それだけなんだと思うのですね。ほかにもやらなきゃいかぬことは、もちろん構造改革はありますが、短期の政策としてやっていないのはそれで、やるべきかどうかという議論になってくるわけですね。 確かに、例えば、買いオペをしてあるいは日銀引き受けをして、そして財政を通じて貨幣を供給するというやり方は非常に効率的であって、すなわち、銀行が今ちょうどパイプが詰まっているような状況ですから、待っていて金を出すというんじゃなくて積極的に出せるわけですから、非常に短期的な効果はあり得るということになるわけです。しかし、問題は、通貨を増発した後、インフレーションをどうやって制御するかという問題になるわけです。 一つの考え方として、やってみてインフレーションになりそうだったら、今度は引き揚げるというやり方を考えることになるわけです。高橋是清の政策なんというのは、まさにそれをやろうとしたかと思うわけですね。経済学の論争の中で、ある人たちのグループは、過去、財政政策で効果があったように見えたのは同時に通貨を発行していたからだという議論があるわけです。それはかなり当たっていると思うわけですね。ですから、短期的にその効果をねらって、高橋是清の場合は、それでぐっと持ち上げて、すぐ今度はそういうことをやめて、歳出削減をやって、ずどんだったわけですね。 実際、そういった非常に厳しい、だれか非常に賢い人、独裁者みたいな人が貨幣を入れたり出したりできるという前提が本当にあるのなら一つのやり方になるわけですが、しかし、経済政策というのは、基本的にそういう怖い方法というのは避けた方がいいというのが私の考えです。本当にコントロールできるかというと、私はできないと思うわけです。 例えば、ことし国債を大発行して歳出をふやし、それを買いオペで通貨をふやす、来年歳出を激減させて、そして通貨の発行を抑える、あるいは回収をするということは、恐らくできないし、それをやることのマイナス面というのも非常に大きいと思うわけです。ですから、日銀がマネージャルにやることはもちろん必要です。現実にやっているわけですね。要するに、経済の状況を見ながらオペレーションをやって、過去の常識からいくと、やり過ぎかなというぐらい今やっているわけです、現実に。それを超えて積極的に買いオペを利用するという発想は、私は余り賛成でなく、むしろ反対したいと思います。
○宮脇公述人 私も、基本的には、出された貨幣というものをきちっと回収することができるのか、そういったコントロールが今の行財政システムの中だと甚だ難しいのではないかというふうに思っておりまして、非常に消極的な考えを持たせていただいております。
○中里公述人 円が真に国際化して、日本の円通貨のキャッシュを、例えば途上国のお金持ちがたんす預金してくださるというような状況で貨幣供給量をふやすのであれば、まことにいいことだと思いますけれども、現在の段階でそういう状況にありません。しかも、市中に出回っております貨幣供給量、もう既に非常に多いということですから、今の時点で余り云々と言うのはよくないことだろうと思っております。
○加藤(六)委員 ありがとうございました。 私たちは、我が日本経済、二年続けてマイナス成長である、これが三年目になるということになると国民心理にも非常に大きな影響がある、したがって、ことしを経済再生の年とし、何としてもプラス成長に転ずるように、あらゆる努力を適宜適切に機動力を発揮してやらなくちゃならぬ、こう考えておるわけでございます。 その中で、これは平成九年度の数字によるのでありますが、我が国のGDPの構成を見ますと、民間消費が六〇%、それから民間設備投資が一六%である、そして政府投資はわずか八%にすぎない。こういうことを考えてみるときに、政府が予算の面、あるいは財政の面、あるいは金融システムの安定の面でいろいろ頑張ってもなかなかはっきりしてこない。そこら辺で、民需を回復させたり、あるいは消費マインドを回復させる方法ということになりますと、多くの識者、皆さんがおっしゃるのは、これは将来に対する不安だ、先ほどおっしゃっていただきました問題等があるのでございます。 そこで、こういうときに、市場経済に徹していく、あるいは、自己責任をはっきりさせていくか、それとも、今EUではやっておるような協調主義、ある面では社民主義的な考え方でいくか、二本の大きな流れがあると思います。どちらがいいと思われるかということを一言ずつ三人の先生方にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
○吉田公述人 マーケットかそれとも協調か。現実のパフォーマンスを見てみますと、アメリカは非常に厳しいことをやったわけですね。規制緩和をやって、そしてマーケットを徹底させて、その結果、何が起こったかといいますと、賃金が下がって、失業率が下がったのですね。これに対して、ヨーロッパでは、最低賃金をむしろ上げて、そしてこれによって失業率が上昇したわけですね。 どちらを日本がとることができるか。日本のやり方は、過去、失業を出さない、解雇しないということと、それから成果は配分するというやり方、ボーナスとかそういうもので配分するというやり方をとってきて、そういうやり方が成功してきたわけですが、その調整範囲をもう既に超えてしまっているわけです。それを吸収するために財政出動というのをずっと使ってきたわけです。 しかし、その調整力が思ったほど強くなかったということに非常に大きな問題があるわけで、では、マーケットを徹底させて、そしてたくさんの失業を出して、その失業が生じることによって賃金を下げて、そして景気回復をしてその失業者を吸収するというアメリカ流のやり方、それは日本ではなかなか難しいと思います。 今度は翻って、ヨーロッパ型の、賃金を引き上げて失業を出す、失業した人には失業手当を出すというやり方、これも日本では不適当と思います。 ですから、協調型をどういうふうにコントロールしながらマーケット型に近づけていくかということでしか、私は、それほど自由に選択できるものではないと思います。ですから、今行われている改革、恐らく日本型経営システムというものもかなり徹底して変えられると思いますが、しかし、原型は日本型経営システム、これをいかにマーケットになじませたものにするかということで対応していくことになると私は思っております。
○宮脇公述人 官と民、それから国民との間の情報の共有を前提とした協調主義であろうと思っております。それによって、今お話がありましたように、市場原理の中にどう対応していくかという問題だと思っております。
○中里公述人 私は自由主義者でございますので、中長期的には自由競争、自己責任の世の中にすべきだと思っております。 ただ、急にルールが変わって弱い方が戸惑うというのも、これも幾ら何でもなんですから、短期的には弱者保護という視点を忘れてはいけない。時間をかけることの中でだんだんに、期限を区切ってでありますけれども、自己責任の世の中にしていくのが一番いい、そういうふうに考えております。
○加藤(六)委員 ありがとうございました。
○中山委員長 次に、横路孝弘君。
○横路委員 先生方には、大変お忙しいところ、貴重な意見、どうもありがとうございました。 幾つかの点につきましてお尋ねしたいと思いますが、まず、今審議しております来年度予算について、これはどうも戦略が見えない、戦略を欠いた予算だという指摘がございます。その戦略を欠いたということの意味は、今経済がこういう状況ですから景気対策に重点を置くということは当然であるにしても、もっと将来の日本の社会を見据えて経済の構造改革や財政改革、行政改革を進めなければいけないときに、どうもこの予算はそういう視点がないんではないだろうかという意見だろうと思います。 まず吉田先生に、この来年度予算は、そういう視点から見てどういう御評価をされますか。これが経済構造改革につながるというような視点を持っておられるのか。先ほど中里先生は、税制についてややそういう大きい流れの中の一環であるというお話があったかと思いますが、財政面で見ていかがでしょうか。
○吉田公述人 まず、御指摘のように、戦略というものがあって、その上に予算がつくられるというのが私はあるべき姿であると思うわけです。したがって、その意味で、財政の始末をどうするかということが見えてこないのは、私も非常に不満なところであるわけです。 しかし、先ほど申しましたように、今税制改正をして、直ちに消費税を引き上げて財政をバランスさせるというのは、これは事実上不可能かと思うわけです。また、民間が今リストラを含めて大きな構造改革をしなければならない時期ですので、そちらのショックをどういうふうにアブソーブするか、ショックを吸収していくかという点が必要です。 そういう意味でも、直ちに税制改正の減税分を増税せよとまでは私は申せないんですが、しかし、これを将来どういうふうにしていくのか、いつ増税するのかということになるとまた問題があるかもしれないですが、これを、基本的な合意をまずつくることは必要で、そして、恐らくことし一年またかけてその新たな計画についての合意をつくる努力が必要かと私は思っています。
○横路委員 宮脇先生にお尋ねいたしますけれども、この予算を見るときの視点として、中長期的な経済の成長に一体つながるのか、あるいは潜在的な成長力を引き上げることができるのかというお話をされましたが、そういう観点から見て、この予算についての評価はいかがでございますか。
○宮脇公述人 平成十一年度予算につきましては、今先生が言われましたように、中長期的に日本の潜在成長力を引き上げる、そういったシナリオがきちっと組み込まれているかということになりますと、残念ながら、私はその点については非常に不十分であるのではないかというふうに思っております。 やはりポイントになりますのは、先ほど申し述べましたように、いわゆるセーフティーネットというものをどういうふうに張りかえるのか、特に、国が張るべきセーフティーネットというのは一体何なのか、高齢化、少子化の中で特化をしていくということが、財源が限られてくる中ではどうしても必要になるんではないかというふうに思っております。 そして、若干つけ加えさせていただければ、いわゆる財政支出というのは公益性、政策性ということによって根拠づけられるわけでございますけれども、ここの点につきまして、公益性、政策性ということで議論されてきたものについても、ある意味でいいますと、民間で担える領域がないのか、あるいは制度設計ができないのかといったような積極的な議論をしていくことによって、民間のフィールドあるいは体力というものが上がってくるのではないかというふうに考えております。
○横路委員 中里先生にお伺いしたいと思いますが、税制については、そういう構造改革の中の一環だというお話でございました。 同時に、先ほどのお話の中で、将来への不安というものはやはり日本の中で大きな課題になっているというお話がございましたが、来年度予算の財政配分から見て、この将来の不安解消という点では、先生はどのようにこの予算を御評価されますか。
○中里公述人 政策の分野に希望や祈りを持ち込むことは無意味ではないかというふうに思っております。魔法のつえとか打ち出の小づちは世の中には存在しないわけでございまして、できないことを要求して、できないからおまえは悪いというようなことはフェアではないというふうに心得ております。 平成十一年度の予算案も、できることはしているという点で評価しているわけでございます。
○横路委員 宮脇先生にちょっとお尋ねしたいと思うんですが、今、高齢者時代がやってきて、高齢者福祉をどうするかということで公的介護保険制度なども導入されるわけですが、高齢者福祉というのは、やはり地方、地域でやっていかなければいけない、市町村の最大の仕事だというように思うんですね。 私たちも、公的なセクター、これは中央政府、地方政府、これの果たす役割はやはりちゃんとある。それから同時に、民間セクターも、入浴だとか食事だとかいろいろなサービスが既になされていますが、これからもっと市場が活性化していくだろう。それから同時に、市民セクター、最近は市民事業が各地域の中で非常に活発化してきています。このそれぞれが、どういう役割を持ってどういう役割分担をするのか、どういうネットワークを組むのかということがこれから非常に大事になっていくと思うんですね。 そういう点で、公的セクターの果たす役割ということになりますと、例えば施設福祉。在宅福祉といいましても、在宅でというのはよほどバックアップ体制がなければなかなか大変ですから、在宅福祉と施設福祉というのは車の両輪のようなものだというように思っておりますが、こういう施設整備ですね。特に最近は、グループホームのような形が痴呆性老人などの場合非常に求められているわけでございますが、ホームヘルパーの養成というのも、介護保険が始まるわけですが、要介護者の四〇%という目標で十七万人なんですね。 先ほど、セーフティーネットをどうするかというお話でございましたが、市民セクターでいうと、もっと市民や住民がやりやすいような環境をどうつくるかとか、やはり政府がやるべきことはたくさんあると思うんですけれども、宮脇先生、その点いかがでしょうか。来年度予算、セーフティーネットはどうなっているのかという点が明確でないという御指摘がありまして、私どももそのように考えているわけですけれども、いかがでございましょうか。
○宮脇公述人 ただいま先生が御指摘くださいました介護制度等の福祉関係につきましては、基本的に、その行政サービスを提供する、そういうことを考えていくところの主体というのは、基礎的自治体である市町村というところが中核となって今後果たしていかなければならない問題点であろうというふうには思っております。 ただ、この中核的な存在となります市町村がいろいろな工夫ができるような環境整備というのは、やはり必要になってくるのではないか。ですから、ソフト面にしましてもハード面にしましても、多彩な需要というものは地域ごとに違うと思いますので、これに対応できるような環境づくりというものをやはりしていく必要があるんではないかと思います。そういったものがやはり政府あるいは都道府県というところに課された役割なんではないかと思っております。
○横路委員 次に、公共事業予算なわけでございますが、ばらまきと言われているゆえんは、シェアがほとんど変わっていない、この十年、二十年、世の中の状況がすっかり変わってしまったにもかかわらずシェア配分が変わっていないということが、そういう指摘をされるゆえんなわけですが、この点につきまして、先ほど宮脇先生が、地方分権あるいは補助金という関係で、ここも基本的にやはり改革しなければいけないというお話がございました。 第五次勧告が出されまして、余りにも大きくなった省庁再編の中の国土交通省を少しスリムにしようということで、直轄事業を減らすこと、それから個別の補助金をできるだけなくしていこうという方向性での議論があったわけですが、結果としては極めて不十分な内容になったと私は考えています。 地方から見ますと、補助金の申請業務というのが大体日常業務の三割ぐらいを占めていまして、これがなくなりますと、それを受ける中央の方の仕事もなくなりますし、地方の方の仕事もなくなるということで、個別補助金をやめて一般的な財源でもって措置するというような方向に変えるだけで、相当これは地方、中央の行政改革になると思うんですけれども、吉田先生、宮脇先生、御意見いかがでしょうか。
○吉田公述人 まず、公共事業全体ですが、先ほど加藤さんが八%とおっしゃいましたが、やはり大き過ぎるように思います。ヨーロッパは一%から三%ぐらいの間です。かつては五から六ぐらいでした。やはり整備が進めばフェードアウトするのが公共事業。一%から二%ぐらいは、これは底としてあるべきかもしれないです。そこで、それを地方で現実にやっているわけでして、それを中央が集めて地方に回すというやり方、これが社会資本の非効率の私は最大の原因だと思います。 なぜならば、本当に必要かどうかというのは実際にお金を払う人が判断すべきなわけですが、その間に中央政府と地方政府という分断があるために、本当に必要なものが出てこないわけでして、特に、多くの地方で、雇用のために事業を行うということになってしまいますと、もう供給者の比率に合わせて公共事業が決まってくるという、ちょうどしっぽが犬を振っているような状況に、まあしっぽと言うと失礼な言い方かもしれないですけれども、やはり主客が逆転していることになっているかと思うわけです。 ですから、国が行う公共事業はやはり国全体にとっての利益のところに集中して、地方で行うところはやはり地方で負担してやるという仕組みが基本的に重要かと思うわけです。したがって、全国ネットのような感じのものは国が中心、地方でのそれぞれの生活に係るようなところは地方で、しかも地方の財源でやるという仕組みが必要かと思います。そういうふうにしていけば、まさに御指摘のように、国土交通省ですか、それが、あれほどの規模のものを必要とするはずはありませんので、うんと縮小できます。 また、地方公共団体というのは、私も行ってびっくりしたんですけれども、ほとんど霞が関と同じ構造なわけですね。結局、どこの部署が責任を持って補助金を取るかという仕組みであって、どうも市民の方をほとんど向いていない仕組みになっているわけですね。なぜなら、やはりお金が、住民から来るのではなくて中央から来るため、そういうふうになっているわけですから、やはり市民に顔を向けさせるためにも、市民が税金を払ってつくるという仕組みが私は根本的に大事かと思います。
○宮脇公述人 私も、基本的に今の吉田先生のお考えと同じでございまして、イギリスの行財政改革でも行われましたように、中央省庁の縦割りによる補助金というものは極力なくして、そして一般財源化していくというような努力はやはり必要だろうと思います。 また、現状の基礎的自治体であります市町村においては、補助金をどうやって取ってくるか、あるいはそれに対します地方債や交付税措置をどうするかというようなところにその貴重な人的資源を配分しているということから、やはり創造的な部分というものがどうしても不足をしてきてしまうということはあるんだろうと思います。 それから、先生が御指摘くださいました、その配分比率の問題でございますが、これにつきましては、つくることに対する予算の配分比率ということと同時に、そのランニングコストを含めた配分比率というもの、こういったものを現状どういうふうに考えていくことが必要なのか、そのことが社会インフラを非常に硬直的にしてしまっているという問題点もやはりあろうかというふうに考えております。
○横路委員 この財政改革、結局、その財政資金の配分をどうするかということなんですが、それは、とりもなおさず、行政改革ともいわば表裏一体となって進めなければいけない課題だろうというように考えております。 一つ、金融と財政の問題についてちょっとお尋ねしたいと思うんですが、従来大蔵省は、金融行政の監督権を持って、民間の金融機関も監督し、日銀への監督権も持ち、財政投融資も、予算編成を中心として、いわば財政と一体化して、国債の発行、消化、財投を通じてのいわば財政のトライアングルを拡大してきたと言っていいというように思うんです。 この財政と金融というもの。これはちょっと宮脇先生にお尋ねしたいと思うんですが、先ほど、金融面から財政も厳しい評価を受けているというお話がありまして、金融システム改革というのは、今各銀行が抱えている課題ばかりじゃなくてというお話がございましたが、財政との分離という観点についていかがお考えでしょうか。
○宮脇公述人 これまでの財政運営というのは非常に恵まれた環境にあったと思っております。ですから、金融的な資産というものを財政的な意思決定に基づいて活用することができた。要するに、財政体質に引っ張られるということがあった。その中で起こってきた問題点というのは、民間の方も、金融機関を含めまして、やはり官の事業であるからこれは担保がとれるんだといったような、いわゆる不透明な形での依存関係というものをつくり上げてきてしまったというところが今大きな問題点の一つだろうと思っております。 したがいまして、今後におきましては、そういった恵まれた環境というのがなくなる中で、やはり財政と金融というものはある程度きちっと分けていくという考え方を根っこに持って考えていくということが、私は必要だろうと思っています。
○横路委員 吉田先生、その点いかがですか。
○吉田公述人 まず、金融と財政は、事実上分離しなかったわけです。六十兆円というのは、これは財政資金、しかも、これは金融のシステムを守るためということで、事実上分離していないわけです。 ですから、仮に、省庁を分けたとしても、これをだれかが統括して見なきゃいけないということになるわけです。そのときに、どういう人が統括できるか。すなわち、知らない人が統括するのがいいのか、それとも、知っている人が統括するのがいいのか、そこは非常に重要なところになってくるかと思うわけです。 やはり、金融というのは非常に専門的な領域であるわけですので、私は、プロが相当しっかり見る必要があるというふうに思っております。したがって、組織を分けて、それを、失礼な言い方ですけれども、最終的にはもちろん国民の代表である政治家がコントロールしなきゃいけないわけですが、やはりプロのコントロールが必要、両面要求される問題かと思います。ですから、これを無理やり分けても、結局はくっつかざるを得ないというふうに思うわけです。 問題は業界行政部分ですね。つまり、金融は、そのシステムを守るということと、その金融業という業界行政部分と両方あったわけです。この業界行政部分でいろいろ議論があったと思うわけです。ですから、業界行政部分というのは、これはどんどん自由化してなくすべきなわけで、それはマーケットにコントロールさせる、ただし、システムの担保として検査を行うとか、そういったことは必要かと思います。
○横路委員 宮脇先生に、財投についてちょっと最後にお尋ねしたいと思いますが、スリム化を目指していた財投が再び肥大化しておりまして、来年度の予算の中でも三年ぶりに増加するという状況でございますが、この点についていかがお考えでしょうか。
○宮脇公述人 財政と金融とのかかわりの中で、今までの仕組みということを考えますと、やはり財政投融資という部分が非常に不透明な構造であったということは、私は考えさせていただいております。 ただ、この不透明な財政投融資という構造が今まで維持できた、そういった背景には、やはり金融システムというものが非常に閉鎖的であり、国民の貯蓄が国内的にとどまることができたというところが基本的にあったのではないかというふうに思っております。 まさに、こういったこれまでの財政投融資を支えてきました環境というものが、今大きく転換をしようとしているわけでございます。こういう転換をしていこうとしているときに、従来型の形で、仮に財政投融資の資金を供給し続けていったとすれば、これは大きな、要するに財政赤字、見えづらい財政赤字を財政システムの中に抱え込んでいってしまう、そういう危険性というのが私はあるんではないかというふうに思っております。 ですから、緊急経済対策等を受けまして提供された資金も、できるだけその短期間の中で回収していただいて、新しい制度設計の中に組み込んでいくというような努力というのはやはり必要ではないかと思います。
○横路委員 来年度予算は景気対策が最優先で、ともかく果敢にあらゆることをやるんだということで、この三十一兆円の国債の発行ということになったわけですが、国、地方を含めて六百兆円にも達するというこの財政赤字をどうするのかということは、やはり大きな課題だろうと思うんです。遅きに失していますけれども、今からやはり財政健全化の道、どういう道があるのか、努力をしていかなければいけないというように思いますし、短期的にはともかく、やはり中長期的にはこの財政赤字が経済の発展の足を引っ張るというのははっきりしているだろうと思うんですね。 そこで、私どもは、財政構造改革法を、政府の方であれをやめるといったときに、財政構造改革の内容を、やはりちゃんと計画を持たなければいけないんじゃないかということを主張したわけでございますけれども、長期的に財政赤字というのはやはり経済の足を引っ張るというような点、それから、これから財政健全化への道というのは一体あるのかないのか。六百兆円返すといっても、これはなかなか大変でございます。この点について、吉田先生と宮脇先生のお二人の御意見を聞きまして、終わりにいたします。
○吉田公述人 おっしゃいますように、国債というのは国民が金融資産として持っているものであるわけですが、同時に、これは国民がいずれ税金で払うべき負債なわけです。 ところが、重要なことは、それを負債とは直ちには感じないというところにあって、そのために何が起こるかというと、それによって貯蓄率を上げることをしないという側面があるわけです。ということは、どこかでその貯蓄を減らされる、それの利用を減らされるという側面があるわけです。まず、企業の設備投資が減らされる、あるいは海外に対する投資が減らされるというふうな側面があるわけですが、ずっと継続的に国債残高がふえていきますと、貯蓄の中を食っていって、結局、企業の貯蓄、企業の行うべき投資を食っていくことになるわけだと思います。 ソビエトの経済なんかもつぶれたのは、結局、更新投資をしないということなわけですね。貯蓄を減らしてしまって、あるいは国民生活のためということもあったのでしょうけれども、軍事なんかにいっぱいお金を使ってしまうと更新投資ができない、あるいは新鋭の技術を入れた投資ができないという事態になってくる。 ただ、今の瞬間は、確かに、国債発行をしたからといって、もともと減っているわけですから、それを減らすということはないかもしれないのですが、これは持続してやることに大きな問題があるわけでして、したがって、そういう構造を持っていること自身がやはり大きな問題で、将来の潜在成長率を引き下げる、そしてタコのように自分の足を食っていって、ついになくなったときはぶっ倒れるということになるかと思います。
○宮脇公述人 やはり現在の国、地方を通じました公的セクターの借金というものは、限界的なところにそろそろ達してきているんだろうと思います。六百兆円、これをすぐに回収するということは非常に難しい問題点であって、将来にわたった期待成長率というものをできるだけ維持していくという考え方に立てば、やはり行財政の構造をいかに変えていけるのかというところに、この問題というのはかかわってくるのではないかと思います。
○横路委員 終わります。
○中山委員長 次に、大野由利子君。
○大野(由)委員 きょうは、大変示唆に富む貴重な御意見をありがとうございます。初めに、三人の先生に伺いたいと思います。 今も質問にございましたけれども、ことしの予算、三十一兆円が国債に依存している。国債依存率が三七・九%というこの予算、大変な事態だなということは漠然とわかるわけですけれども、なかなか国となると、この事実はどういう事態を意味しているのか、具体的にどういうことなのか。確かに、国と地方で六百兆円という債務残高になっている、GDPの一二〇%になっている、大変だなということは漠然とわかるわけですが、具体的なお話をしていただければありがたい。 それで、ことしだけじゃなくて、来年も場合によっては同じような予算が組まれる可能性もないわけじゃないわけですけれども、こういうことがどこまで許されるのか。もうここまでがせいぜい限界だよというようなことがあれば、その辺も教えていただきたいと思います。 また、あわせまして、今、日本人の個人金融資産千二百兆円という、大変膨大な貯蓄を持っているわけでして、これだけの個人金融資産があるから大丈夫なんだというような意見も一部にはあるわけですけれども、この千二百兆円という個人金融資産も、これはもうあくまで請求権でしかない。千二百兆円がかなりのところに今融資をされておりまして、例えば郵貯のお金が財政投融資として全く採算の合わない公共事業に融資をされているとか、そういうふうなことがあるわけですから、この千二百兆円のお金も、実際には大きく傷ついていて、そのお金を引き出す請求権はあるけれども、場合によっては戻ってこないということもあるんだ、こういう御意見もあるわけです。 こういうことをあわせて、御意見を伺いたいと思います。
○吉田公述人 まさに一千二百兆円という資産があるわけですが、同時に六百兆円の負債があるわけですね。この六百兆円の負債は直ちには感じないものですから、実際千二百兆持っていると思ってしまうわけです。そこが問題の大きなところだと思います。 ですから、千二百兆円を今度使おうかといったときには、増税をして返済しなければいけないということになるわけですね。ですから、国民としては、引き出したのはいいけれども、それを自分で倍返しするという実にばかげたことをしなければならないことになってしまうわけです。 先ほども申しましたが、これが今現実にGDPの一二〇%という水準で、しかも千二百兆のうちの半分を占めるということになっていくわけですから、我々が将来、貯蓄をして大きな消費をしたい、あるいは老後のために備える、そういったものが実はできなくなるということになるわけですね。実際、引き出そうとすると、それは増税で回収されるわけです。 それから、最も重要なのは、民間の企業が工場をつくって生産力を高めて、その生産力によって老後が支えられているわけですが、今の財政支出のために国債で調達した資金を使ってしまうわけですから、老後のための保障になるべきである生産力の方には回らないということになってくるわけです。 しかも、問題は、それに至るまでに非常に経済が不安定になるわけでして、先ほどお話ししましたが、イタリアが一二〇%を超えたときにリラ暴落を起こす。これはどういうことかというと、お金を今はどんどん海外に投資をしている、したがってお金を貸しているわけで、将来返ってくるということですので円が強くなるわけですね。ところが、貸すお金がない、むしろ返してもらわなければいかぬ、それ以上に借金しなければいけないということになれば、これは為替レートが落ちてくるわけですね。 例えばニュージーランドなんかが具体的に行革をあそこまでやらざるを得なかったのは、一番最初に出てきた影響としては、為替レートの下落なわけですね。為替が下落しますと、外国の人は取引してくれなくなるわけですね。それは非常に厳しい状況であって、そこで増税をして、行革をして、財政を立て直す。カナダなんかも似たようなことをやるということになるわけで、今の瞬間風速としてそれほど厳しいことはないなと思っていても、借金というのは後できいてくるわけです。ボディーブローだと思います。
○大野(由)委員 何年ぐらい大丈夫ですか。
○吉田公述人 私が計算しましたのでは、若干ベンチが古いものですから、平成八年度予算をベンチにして計算しましたときに、大体、経済成長率が、潜在成長率でマイナスになるのが、二〇〇五年ぐらいからほとんどゼロになってきて、そのまま続けますと、五年から十年ぐらいの間、もうすれすれのところをずっと来て、それから急に、二〇二五年にはマイナス七%になる、現在のレベルよりGDPが低くなってしまうということになるわけです。国債残高のGDP比が二〇〇〇%ですか、二十倍ぐらいになる。これはシミュレーションで計算したわけですが、平成八年をベンチにして、そのまま財政構造を単純に延ばしていったときに経済に与える影響ということで、そういう計算をしたわけです。 これは長期の影響ですから、直ちにそういうふうになるというわけではないわけですが、計算上の話ですが、財政再建を行わないということは、もう先にそういうことが起こるということがわかるわけですね。 先ほども言いましたけれども、大事なことは、経済成長率が落ちて貧しくなるということだけじゃなくて、将来そういうふうになるということを皆が予測したときに、為替レートが落ちるということですね。そして、金利が上昇して為替レートが落ちるということになると、経済混乱ということになるわけです。ですから、短期には、例えば、今円高で困っているから、ちょっと円が安くなった方がええやんかという人もいるかもしれないけれども、そうではなくて、そういう構造を持っているときには、ある臨界点を超えるとがっと落ちるんですね。そう簡単にコントロールできないというところが厳しいところだということです。
○宮脇公述人 財政赤字の額の問題でございますけれども、やはり六百兆円というもの、さらには、見えない、見えづらい、そういった財政赤字というもの、実質上抱えなければいけないものがどの程度あるのかといったようなことについては、意見を申し述べさせていただいたときにも御指摘させていただきましたが、いわゆる公会計制度というものを通じてもっと明らかにしていきませんと、先生からいただいた御質問にも的確にお答えすることができないということであろうと思います。 今後の問題といたしましては、今、吉田先生御指摘されましたけれども、それにつけ加えまして、やはり財政投融資制度というものは、金融改革の中で、どうしても二〇〇一年以降、制度設計を変えていかなければいけないということになってまいります。そうしますと、郵便貯金も、実は二〇〇一年から二〇一〇年にかけての十年間で、その資金運用を徐々に変えていかざるを得ないという構造になってまいります。 したがいまして、私は、二〇〇一年から二〇一〇年の間の中で、行財政の制度そのものをどのように変えられるのか、資金の流れに合わせて変えられるのかというところが大きな山になるのではないかと思っております。
○中里公述人 すべては長期的な見込みの問題でございまして、例えば、日本が永遠に高齢化を続けるということになれば、これは大変な問題でございますけれども、国の高齢者の比率等はいろいろ上がったり下がったりいたします。それが急速に上がりつつある時期に、ある程度の赤字というのは、これはある程度しようがない。また、あと三十年もすると高齢者の比率は当然下がってまいりますから、明るい展望も将来あるわけで、長期的な見込みの中で考えますと、一時期、ある程度の赤字は仕方がないということは言えるのだろうと思います。 しかし、問題はその程度でございまして、その程度が余りに行き過ぎますと、これはちょっと余りいいことではないなということですから、その御判断は国会の方できっと慎重になさっているのだろうと思います。
○大野(由)委員 吉田先生と中里先生にお伺いしたいのですが、ことしの税制改正の問題でございますが、公平でそして簡素な税制にしていくことが必要でしょうし、また、吉田先生のお話にもありましたように、働く意欲がわいてくるといいますか、経済を元気づける、そういう税制にしていく必要がある、全く同感でございます。 今回、最高税率が引き下げられるというのは、働きがいのある社会にするという意味ではいいことだと思うのですが、私は、あわせて、総合課税制度とか国民総背番号制のような、そういう制度をやはり導入しないと、国民の皆さんの側には非常に不公平感が残るんじゃないかな、こういう感じをしておりますが、この点についての御意見が一つ。 もう一つ。例えば扶養控除、子育てに関する控除。控除制ですと、税金を払っていない人は何の恩恵も受けないし、また、三千万ぐらいの年収のある人は年間二十二万円ぐらい控除が受けられる、こういうのも非常に不公平ではないか。そういう意味で、子供一人につき幾らと定額の児童手当制度、一子と二子一人ずつ月額一万ずつ、三子以上は二万円ずつというような、そういうふうにした方が扶養控除制度よりも公平でいいんじゃないか、私どもはこういうふうに思っているわけですが、この点について伺いたいと思います。
○吉田公述人 まず、所得税に関することですが、所得税は、応能課税、すなわち能力に応じて課税すべきであるという考え方が基本的にあるわけです。しかし、これもバランスの問題かと思うわけです。 戦後、シャウプ税制、実はシャウプ税制で最高税率は下がったわけですが、また上がっているわけですね。戦時中に非常に高かったのを一遍下げて、それでまた上がって、その高い税率がかなり長い期間続いて、しかも中間層の所得の人たちがだんだん上がってきたために、高い税率にひっかかる人が非常に多くなってきて、そういったことがこの税制改正の動因になったかと思うわけです。しかし、いろいろな意味で不都合を生じてきたわけです。 一つは、経済の会社化が起こったわけですね。要するに、会社のお金で飲んだり食ったりする、そうすると税金がかからないというふうな話とか、ともかく会社を一種の福祉機関みたいにして、そこに負担させる。結局、給与としてもらっちゃうと税金がかかるから、例えば社宅を設けるとか、社宅を設けた理由はほかにもあるわけですが、税上もそういうふうなことだったわけですね。 これは、やはり経済に大きなひずみをつくってしまって、例えば今までの企業がしっかりやっていく、日本型経営でみんなで団結してやるというのにはかえってよかったわけですが、しかし、これから、例えばベンチャービジネスをやるとか、あるいは自分で仕事をするという人にとってはこれは不利なわけですね。すなわち、その資金を稼ぐために、稼ぐごとに税金をたくさん取られるということになれば、資金がつくれないわけですね。 過去にはそういうふうな制度が、これはねらってつくったわけじゃないですけれども、結果としてそういうふうな効果を生んだが、今後、ベンチャービジネスを起こしたり、そういった個人がもっと積極的に経済に関与するような仕組みというものを考えたとき、この限界税率が高いというのは非常に問題が大きいわけですね。 経済学者の中には、そういうふうな所得が大きい人というのは、結局、頑張って稼いだんだから、その人たちには限界税率を下げた方がいい、逆累進の方がいいというふうな議論をする人もいるわけですね。先ほど言いましたように、応能課税との関係からいってそこまでできないとは思いますが、今までの前提が大きく変わっているということは重要かと思います。 それから、児童手当でやるのと控除でやるというのと、まさに控除でやる方がセーフティーネットとしては効果が小さいことになるわけで、児童手当の効果というのは大きいわけです。しかし、これは逆に、また大きな政府ということになって、だれがどれだけもらうべきかというのを役人が判断する社会になるわけですね。これもまたマイナスなんですね。 そのバランスというのが私は重要かと思うわけですが、そういう意味で、所得税も、控除というのはできるだけ整理して、簡素にして、課税範囲を広げて税率を低くして、不足するところを消費税でカバーして補完するという仕組みをもっと進めるべきというふうに考えております。
○大野(由)委員 ありがとうございました。 ちょっと中里先生、お時間がなくなってしまって済みません。失礼します。
○中山委員長 次に、平賀高成君。
○平賀委員 日本共産党の平賀高成でございます。 きょうは、公述人の皆さんには、大変お忙しいところを御苦労さまでございます。 まず最初に私が伺いたいのは、景気対策の問題です。 日本の経済は、今、戦後最悪の消費不況そして財政が大変な危機的な状況に陥るという、この二つの問題が同時進行するという状況に置かれております。一体この同時進行している問題をどのように打開するのかということが今緊急に求められていると思うわけです。 ところが、今度の九九年度の予算案を見ますと、小渕内閣は、四・三兆円の減税をやります、こういうことなんですが、昨年までやってきました特別減税を廃止して、最高税率を引き下げて、さらには定率減税を組み合わせる、こういうやり方でいきますと、私どもの計算によりましても、年収が七百九十四万円以下のほとんどのサラリーマンの皆さん、勤労者の皆さんが去年と比べて増税になってしまうわけです。 私は、今の不況を打開するためには国民の購買力を高めなければならないと思うんですが、しかし、やっていることは全く逆のことをやっていると思います。これで本当に不況の打開ができるのかどうなのか、この点について、三人の公述人の皆さんにそれぞれ伺いたいと思います。
○吉田公述人 まず、減税の政策効果ですが、私は、減税の政策効果というのは余りないというふうに判断した方がいいと思います。現実に、平成六年のときに所得税減税をして、余り大きな効果はなかったわけです。それを考えますと、所得税減税が短期の政策として効果を直ちに引き起こすというふうには私は考えません。 むしろ、先ほど来申していますように、経済の活力を上げる長期的な効果というものを私は評価する次第なわけです。ですから、先ほども申しましたように、二十一世紀の日本経済をつくるための減税というところで評価すべき。これは、アメリカのレーガン税制というのも、結局アメリカ経済が立ち直る一つの要因であったかというふうに評価すべきだと思います。実際に効果が出てきたのは大分後になってからですね。でも、少しでも早く新しい体制にすべきというふうに考えています。
○宮脇公述人 今回の減税につきましては、単年度で効果あるいは短期的に大きな効果が出てくるということは、期待する部分というのは少ないと考えております。 しかし、今回の減税政策が、今もお話がございましたように、構造的な税制改革あるいは経済構造改革というものに結びついていく、そういうシナリオがきちっと描けるのであればこれは別だと思いますけれども、現状においてまだそのようなシナリオというのが十分提示されていないというところについては、私は問題点として挙げられるのではないかと思っております。
○中里公述人 去年と比べて増税か減税かということ自体を、そのことのみを取り上げることは、意味がないのではないかというふうに考えております。 全体の流れの中で考えますと、日本は課税最低限が異常に高い国でございまして、アメリカならば相当の税金を支払っているような方が日本では所得税ゼロという状況ですから、むしろお支払いいただいた方がよろしいのではないかというふうに思っております。 それから、減税による消費の刺激というのは、これは余り過度に、先ほど吉田先生がおっしゃったように、これですべてオーケーだというふうには考えない方がいいわけで、もしそういう刺激が少しでもできたらいいなという、そのレベルのことなのかもしれません。 以上でございます。
○平賀委員 いろいろ立場があって意見の食い違うところもあるわけですが、もう少し聞きたいと思います。 九九年度予算案の評価について、昨年の十二月二十六日の日経新聞の朝刊で宮脇先生は、「公共事業予算は都市型重視とうたいながら、相変わらず従来型の事業への重点配分が目立つ。事業規模を大きくすることばかりに関心が向かい、効率性を軽視しているのが明らかだ。このままでは日本経済の体力向上につながらないだけでなく、公的債務拡大を通じて将来に禍根を残しかねない」、採点として四十点というふうに言われているんですが、これは、今の公共事業のあり方の問題について、浪費型の公共事業の問題とか、それからさまざまな浪費が続いている、こういう趣旨のことを御指摘されているのかどうなのか、それからその評価全体についてお答え願いたいと思います。
○宮脇公述人 お答えいたします。 これまでの予算配分というものにつきまして、公共事業関係を見てみますと、やはりつくることというところが重点的になされていて、完成した後のいろいろな意味での維持費ですとか、あるいはそれをどのように有効に活用していくかというところについて十分な配慮というものがやはりされてこなかったのではないか、あるいはしないでも済んできたというのが現状だったと思います。 しかし、経済成長が非常に緩やかになってくる、あるいは金融改革が起こってくる中で、限られた財源を有効に使うということになりますと、完成した後のライフサイクルコスト、こういったものも含めてやはり予算の中できちっと考えていくということが、将来にわたった大きな負担というものを拡大させないで済むんではないかというふうに思っております。 したがいまして、社会的なインフラ整備、このこと自身は重要なことではございますけれども、そのやり方あるいは意思決定の中に組み込まれるべき情報、こういったものについて、やはり再度十分に考えていく必要があるのではないかというふうに考えております。
○平賀委員 次に、財政の再建の問題について伺いたいと思いますが、特に財政再建の問題では、九九年度の予算案を執行していきますと、年度末には大体国と地方で六百兆円に長期債務が膨らむということが指摘をされております。 それで、特に、私は、この財政危機の大きな問題として公共事業の問題があると思うんですが、公共事業すべてが悪いということではなくて、もちろん下水道の整備だとか、それからさらに社会保障を充実させる上での公共事業、こういうものは積極的にやるべきだという立場は明確なんですが、問題なのはゼネコン奉仕型の公共事業、これが大きな問題だと思います。 特に、日本の公共事業の問題でいきますと、額でいいましても諸外国の二倍から三倍も大きい、こういう内容ですし、内容面でも住民型ではなくてゼネコン奉仕型だ。しかも、計画自身がバブル時代のままで行われていたり、さらには需要が過大な見積もりのために、経済成長の面から見ましても、それから税収の増額の面から見ましても、全然役に立ってこなかった、こういう大きな問題があると思います。 特に、九〇年代に入りまして、国と地方で八年間の中で約三百兆円長期債務がふえました。この八年間の中で公共事業は約四百兆円行われまして、その六割が借金で行われる、こういう状況にあったわけです。ですから、私は、公共事業のあり方というのが財政再建の上からも非常に大きな問題をなすということだと思うんです。 ところが、九九年度の予算案を見ますと、公共事業の分野では相変わらず、昨年と比べまして一〇・五%増額ということになっているんですが、やはり財政再建の点からもこの分野を本当に見直すことが必要だと思うんですが、この点についてもう一度宮脇先生の御見解を伺いたいと思います。
○宮脇公述人 やはり成熟化が進んでいく中で、よりよい社会インフラ整備をしていこうということは必要なことだと思います。 ただ、今までの右肩上がりの成長の中で実現してきた、いい意味でいいますとそういったよい環境というものはもう限界に来ている。ですから、今まで社会インフラ整備が果たしてきた役割というのはそれなりに大きいものがあったと思います。ただ、その取り囲む環境が大きく変化する中では、従来以上に機能のいいものをつくっていこうとすれば、それなりの工夫が必要になる。 したがいまして、社会インフラ整備の中でも、例えば民間でできるものは民間に任せる、そういった制度設計というものをしていけば、限られた財源の中で、特定的なところに特化をしてインフラ整備ということをすることも可能だと思います。そうした役割分担ということをやはりきちっと考えていく時代に入っているんだと思います。
○平賀委員 時間が来ましたので、以上で終わります。ありがとうございました。
○中山委員長 次に、北沢清功君。
○北沢委員 きょうは参考人の皆さんから貴重な御意見、感謝を申し上げたいと思います。社会民主党の北沢でございます。 今、私ども予算審議をして感じることは、景気回復を図るために、あらゆる事業を取り上げて、しかも赤字国債を発行して取り組んで、五月雨的な予算支出であろうというふうに私は思いますが、そういう中で、今年の〇・五%が最大の成長率の目標でございます。これは、後のない今回の予算であって、国の財政赤字、地方の赤字、合わせて六百兆でありますし、大蔵省の中期計画によると、今後、経済成長率から見て毎年三十兆の赤字を出さなきゃならぬということになると、七百兆になるわけです。 このことの後に来る日本の産業の構造改革を一体どう進めるかということが、具体的に、言葉では情報産業であるとか二十一世紀に向けての福祉だとかまたは環境だということで、公共事業については補正予算で相当、ばらまきといいますか、進められておると私は思います。そういう意味で、果たして新しい産業が日本に生まれるかどうかということ、そこら辺が非常に私は心配であります。 今、税の問題が出てきていますが、高額所得者を減免するということの一つの目標は、当面は、私は、むしろ消費税等を含めて、議会の中では、デフレである、そのために消費が伸びないんだという批判もございます。そういう意味で、高額所得者の減免が直接景気回復には結びつかないと私は思いますから、そういう皆さんの蓄積された資産というものをどういうふうに仕向けていくかということですが、それは、日本では勇気を持ってベンチャー企業だとかそういうものになかなかいかない面が、非常に臆病な面がありますから、そういうことを含めて、いわゆる産業の構造改革。 それから、今後、債券だとか金融とか、そういう方向にそういう蓄積が向けられていくということになると、これはある面では不労所得でありまして、繁栄はあるけれども国民全体の富に結びつくものではないんじゃないか、そういうふうに私は考えておりますが、新規産業のあり方というものについて、これは直ちに起きてくる問題でございますので、その面をひとつお教えをいただきたいと思います。お三人の方にお願いしたい。
○吉田公述人 まず、今後の二十一世紀の日本経済を支える産業を興していかなきゃいけないというのが基本的に重要なわけでして、政府がそれを支えるための仕事をすべきというのは、もう当然のことだと思うわけです。 ところが、今の公共事業というのは、基本的に、次の産業と余り関係のないところに行われている、それからもう一つ重要なのは、雇用対策として行われているというところに問題があると思います。 私、ドイツに行っておもしろいなと思いましたのは、先ほど言いましたように、ヨーロッパは大して量はやってないんですが、どこに重点をやったかというと、ミュンヘンに行きましたとき、空港をつくった、それから見本市会場をつくった、それから次に大学をつくった、結局、そういうふうなのが次に産業を興すような種をつくる公共事業だということなわけです。そういったところを軸にしていかなきゃいけないというふうには私は思います。 したがって、雇用対策というのは一遍やり始めると後になかなか引けないという問題があるわけでして、過去やってしまったものをまた引き戻すのは非常に難しいので、徐々にこれを削減していく以外には多分方法はないと思いますが、長期的な観点から、公共投資は従来型を減らして、新規の経済を支えるようなものをつくっていってほしいなというふうに思っております。
○宮脇公述人 従来の公共事業という点で考えますと、やはり雇用対策的な比重というのが大きかったんだろうと思います。こういう雇用対策も重要でございますけれども、それと同時に、やはり新しい雇用を生み出す、そうした産業や企業をつくり上げていくという政策というものを積極的に展開する、そういった局面だろうと思います。 そういう中で、例えば新社会資本という概念の中で情報化といったような御議論もいただいているかと思います。ただ、情報化をするというのは、新しい産業を生み出すためのインフラ、条件整備だけでございまして、例えば光ファイバーをつないでも、そこから新しい、創造的ないわゆる価値というものが生み出されないと、新しい産業というものには恒常的に結びついていかないということであろうと思います。 したがいまして、民間ベースにおきましても、そうした情報ネットワークというものをいかに活用できるのか、あるいは情報というものをいかに組み合わせていけるのか、そういった努力、発想というものがやはり必要になるのではないかというふうに思っています。
○中里公述人 国がイニシアチブをとりまして、今後もうかる新しい産業をつくり出せるものならば、恐らく苦労はないんだろうと思います。政策によってできることは限られておりまして、これは基本的に民間の方々の努力でやっていただくしかないし、またそういう人材も育ちつつあるのではないかというふうに考えております。 ですから、政府のできることは、例えば法人税等につきまして今回の税制改正のようなことをしたり、あるいは特別措置を整理縮小させたりしながら、何をやっても、どんな産業に従事しても、同じような税負担で、それが余り過大でないというような状況をつくり出すことにあるのではないかというふうに思っております。 それと同時に、やはり教育の問題が大きゅうございまして、リスクをとるような人間をある程度育てると言ってはなんですが、そういう人間が途中でつぶされないようにするということが大切なのではないかというふうに思っております。
○北沢委員 非常に貴重な御意見でありがとうございました。 私は税制の問題に触れたいんですが、時間がございませんので触れませんが、今、日本の中では、いわゆるこれだけの大きな財政赤字が見込まれる中で、減税の大合唱でございました。このことは、次の少子社会や、次の時代の皆さんが、税金をたんとしょっていかなければいけないという、口では出るけれども、そういう真剣な論議が余り行われておりません。 そういう面で、私は、やはりその方法として、いわゆるレーガン的な市場万能主義といいますか、市場経済主義といいますものと、それから、今ヨーロッパで行われているような、表現は間違いかもしれませんが、社会市場主義というか、そういう選択がこれからの日本に求められてくると私は思います。 そういう意味で、やはり消費税というのは、先生方がこれからの姿として提起をされたということは、私は貴重な問題だと思いますが、その前段にあるものは、やはり消費税を負担することによって、今一番日本に問われている、安心して将来の生活設計なり生活ができるかどうかという問題が一つ。もう一つは、やはり平和であるということですね。ですから、軍事費をふやすということになれば、これは成り立たないわけですね。それと、ヨーロッパと違って日本は税金を取る力が非常に多いというか、強い組織を持っているんですね、ヨーロッパはほとんど持ってませんけれども。だから、消費税で取るということになります。 そういう三つをどういうふうに組んで、やはり不公平の税制にならないような深い配慮が必要だと思いますが、そのことについては、中里先生から最後に御答弁をいただきたいと思います。
○中里公述人 先生のおっしゃるとおりでございまして、平和で、将来に対する不安がなく老後を過ごせるような、そのような前提が満たされてこそ、初めてそういう社会への参加料としての消費税の増税等もあり得るんだろうというふうに考えております。推して、恐らく日本は、そういう方向にソフトランディングが十分できる、それだけの英知を集めた国なのではないかというふうに私は信じております。
○北沢委員 終わります。ありがとうございました。
○中山委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。 公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきましたことに対し、心から感謝を申し上げます。厚く御礼を申し上げます。 午後二時から公聴会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時三十一分休憩 ————◇————— 午後二時開議
○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 平成十一年度総予算についての公聴会を続行いたします。 この際、公述人各位に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわりませず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成十一年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いを申し上げます。 御意見を承る順序といたしましては、まず長谷田公述人、次に原田公述人、続いて鷲尾公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えを願いたいと存じます。よろしくお願い申し上げます。 それでは、長谷田公述人にお願いを申し上げたいと存じます。
○長谷田公述人 長谷田でございます。 本年度予算について賛成か反対かと初めに旗幟鮮明にしておきますと、大体、私、ケインジアンで、財政出動にはもう、六年前にここに参りまして公述いたしたのです。 そのときは、たしか当初予算で九兆円の国債発行だった。平成五年ですね、落ち込みが始まったところですが、こんなんじゃ到底景気回復はしないから少なくとも倍は出してほしい、こう申しましたら、決算では十四兆まで国債は出たのですが、景気の方は余りぱっとしなかった。 九五年、平成七年に宮崎勇さんが経企庁の長官になられまして、八十円を切った円高、これはもうちょっとみんなびっくりしたのですが、そこで、九月に真水八兆、全体で十四兆の景気対策。これは大成功でありまして、そして九六年の成長率三・六%ですか、非常に大成功だったのですが、それの反動として、その十四兆の措置をとったわけですから、当然国債がそれだけふえた。そうすると、国民こぞって、これはもう財政破綻だということで、全会一致というのはああいうことかと思うのですが、ほとんど反対なしに財政改革法というのが通っちゃって、それでその財政改革法がまた非常によくききまして、九七年、九八年の惨状を呈した。 それを受けまして、ここで財政措置の成功と失敗の経過を経まして、そして来年度予算、三十一兆の国債発行。これはまさに前古未曾有の国債発行、財政出動、こういうことになりましたので、ケインジアンの私としては、これは非常にいいことだ、うれしいと喜んだ。長いこと一生懸命言ってきたことがやっと世の中に通るようになったということで、非常に喜んでいるのであります。 ところが、実際にこの予算をお組みになった小渕さんが、私はこれだけの国債を子孫に残して大罪を犯したんじゃないだろうかと、非常に暗い気持ちでいらっしゃる。大体ここにいらっしゃる皆さん方も、あの三十一兆についてはすべて暗い気持ちでいらっしゃるんじゃないか、とんでもないことをしてしまったんじゃないかと。 そういうことで、それで私も、そういう皆さん方のムードというものを見まして、これはちょっと、ただケインジアンだから、国債をどんどん出せ出せ、行け行けどんどんでもっていっちゃいけないんじゃないかな、こう私自身が思うようになったのです。 そこで、それについて、この三十一兆の予算、大筋はこれは正しい方向の予算でありますが、しかし何か欠けるところがある。それを一生懸命考えておりましたときに、このきょうの公聴会、公述に出ろということになりましたので、早速、私としては新しい考え方できょうお話をいたします。 それで、三十一兆、未曾有の財政出動で、何か沸かない、これはなぜだろうか。九〇年不況で既に六十兆を出した。宮崎さんの例も、大成功もあるのですけれども、しかしすぐその反動があってポシャってしまって、よりひどいことになる。常に失望感が伴うのですね。 消費不況、初めからこれは消費不況と言われてまいりました。対策としては、ケインジアンの常識的な対策で、物が売れないんだ、物が売れないのが不況なんだ、だから消費をふやして需要を拡大しましょう。そこで、消費のもとは何といっても所得なんで、金がなくちゃ使えないので、公共事業、それから減税、これを続けたわけであります。 ところが、コストの割に効果が少ない。これは国民がみんなそういうふうに見ちゃうわけですね。それで、足を引っ張られて、そしてさっき申しましたように財政改革法、これでもって今日の惨状に至った、こういうことです。確かにコストは以前より大きくなって、だから沸かないわけですね。財政を出したってだめじゃないか、こういうムードがあることは確かなんです。 さてそこで、なぜ経済措置、財政措置が、公共事業がきかない、減税もきかない、こういうふうになったのかということを、これをもう一つしっかり考えてみる。 きょうの午前中に、ここで先生方三人、口をそろえて、構造改革が大事なんだ、構造改革しなければ景気は回復しない、こういうお話が三人の方から出たのをきょうのお昼のニュースで私は見ました。構造改革をやらなければ景気は回復しない、こんなことを言ったら国民はもう暗い気持ちになるだけです。構造改革なんてすぐできることじゃない。構造改革をやって景気が直るなんということは、おしゃべりしていれば景気が直るのか、そんなことございません。ますますみんな暗くなっちゃう。 ですから、本当は一体どこなのか。これは、まあ私の新しい意見だと申しましたけれども、実に単純な話なんで、決して構造改革とかそういう深刻な問題じゃないんだということを申し上げたい。 そこで、きょうお配りいたしましたこの数表をごらんになっていただきたいわけであります。平均消費性向累年数値であります。これは、もとは総理府統計局、今は総務庁の数字であります。勤労者ですからサラリーマン、ぺいぺいの入りたてから部長の高給取りに至るまでの消費の性向ですね。これは税引きの所得、可処分所得に対する消費支出の割合でございます。 ずうっとごらんになると、これがすうっと下がってきているということはすぐおわかりになると思います。特に、八九年、九六年、そこに米印が振ってありますが、これは消費税の導入、そして三%から二%の引き上げ、ここのところで平均消費性向ががたがたと下がってきている、これは事実としてお認めになることができると思います。 さてそこで、これはどういうことか。こういうふうに消費性向が下がってくる、もとは八〇%あったのに、今七〇%。ということは、反対の方から見ますと、消費じゃなくて反対の方から見ますと、所得のうち二〇%、二〇%の貯蓄でも多いのですけれども、二〇%を貯蓄していたのが今は三〇%も貯蓄しちゃっている、こういうことであります。数年前からの比較としても、ここで五%余計に貯蓄している、こういう数字が出ているわけであります。 こういうことをいたしますと、一体どういうことになるか。一生懸命、公共事業、政府が日銀からお金を借りてばらまく、あるいは減税をする、所得を十分に残しておいてやる、税金で取らない、こういうことをしても、せっかくばらまいた金、あるいは所得として残しておいた金が、全部貯蓄されてしまうんだ。すぐに貯蓄されてしまうんですから、効果がないのは当然のことですね。それが、数字がずっと下がっているということから、昔は効果があったのに今は効果が薄れているということは、この数表から簡単に説明できることなんです。 何も構造改革の必要とかなんとか難しいことを言う必要はないんです。簡単な話なんです。貯蓄率を下げさえすればいいんだ、もっとどんどん金を使え、これで済むことなんだということをまず認知していただきたいわけであります。 さてそこで、この数字ですが、こんなに貯蓄するのはどういうわけなんだと。構造改革が必要なんだという人は、日本の経済は腐っていて、長年の政府を初め企業、銀行、それから教育界とかなんとか、そういうところすべて、いろいろな悪いうみがたまって、そしてひどい状態になっている、だから、思い切った構造改革をすべての面でしなければ景気だって回復しないんだぞ、こういうふうに皆さんおっしゃっているんですが、それでは、この数表からそういうことが言えるのかどうか。 サラリーマンが、三〇%貯蓄をして、それで飢え死にもしないでそれなりに楽しく暮らしているというのがこの数表の示すところでございます。つまり、日本の経済、勤労者の働き、効率性とか生産性、あるいはモラル、それから生活の節度、こういうものをすべてこの数表は示しているわけです。極めて健全、健全この上ない、余裕しゃくしゃくである、そういう日本の経済の状況はこれでわかるんです。 だから、きょう午前、ここで一生懸命先生方が構造改革をしなきゃだめなんだとおっしゃったが、そんなことは全然ないんですね。間違いだ。うそだ。こんな立派な経済で何がそんなことが必要か。構造改革を皆さんしたいんで、御不満もあるかと思いますけれども、しかし、必要がないということをこの数字は示していると私は思う。要するに、貯蓄率を下げればいい。 そこで、どうやって貯蓄率を下げるかというと、はたと困ってしまうわけであります。消費には消費税で税金をかける。これは私の全くのゲスでありますけれども、七五から七一まで下がったのは消費税の影響だろう、こう思うわけですね。それでは、貯蓄の方に税金をかける手はないだろうか、どんどん金を使えと。 地域振興券、これは、ばらまくわけですから一応所得なんですね。そして、あれは六カ月以内に使わないとただになっちゃうんですね。ということは、貯蓄に対して一〇〇%の税金をかけた、こういうことなんですね。それだけ税収が減るわけですから、あれをもし所得とみなせば。ああいうことが所得全体にできれば、これはおもしろいことができると思うんですが、ちょっと私、手がありません。 さあそこで、どういうふうにしようかということなんですが、公金をそういうふうに消費奨励に、貯蓄奨励というのは日本は政府が好きでずっと前からやっておりましたけれども、消費奨励をやったのは、公明党が今度やったのが初めてじゃないか。さあ、そうすると、これをひとつてこにして何かやることがあるんじゃないだろうか。 ともかく、この数表から見て、そして非常に単純な話で、正しい政策をやっても、つまり、財政出動しなきゃならぬという政策をやっても効果がない、コストほどの効果が出なくて、そして空気が全体に沈滞して、うまくいかなくて、景気がいつまでたっても直らない。こういう状況をしっかりと把握すれば、消極的ですけれども、何とか消費の邪魔をするようなことだけは避けて、少し考えてやっていく必要があるんじゃないか。 そうすると、反対な方が多いんでありますけれども、地域振興券をお取り上げになった、非常に画期的なパイオニアの仕事をなさった公明党さんも、消費税はとっておきたいと。私は、ここで、やはり消費税を思い切ってストップしたい。根拠は、私のゲスワークですが、八九年、それから九六年、ここでもって平均消費性向ががたんがたんと下がった、この事実を証拠として、これを根拠に、ひとつ消費税のストップ。五%ですが、総額とすると大きいんです、消費は大きいですからね。 それで、消費税のストップということを私は今年度予算に入れてほしかった。消費税のストップ。景気の回復までというようなところで、無期限。二%上げたのを三%に下げる、これじゃ効果は全然ないと思います。やはり、これは思い切って全部ストップ。 そして、廃止じゃないんです。ということは、私は、消費税という税は、豊かな社会にとっては非常に効率の高い税金だと思います。予定よりもずっとびっくりするぐらいたくさん入るんですね。消費税というのは、非常に豊かな社会にはいい税金だと私は思うんです。景気の回復がちょっと行き過ぎて、そしてインフレの傾向が出てきたというようなことになれば、ヨーロッパじゃ二〇%なんですから、これをいきなり一〇%あるいは二〇%、こういうふうに上げれば、これのインフレに対する効果は絶大だと思うんです。だから、景気対策にこれを上げたり下げたりということで使ってみたらどうなのか、これが新しい財政のやり方になるんじゃないかと私は思うんです。 本当に単純な話で、信用できないとおっしゃるかもしれませんけれども、この数表をずっと見ていくと、それくらいのことはやってみる価値があるんではないかというのが、きょう私の申し上げたいことでございます。 ありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 次に、原田公述人にお願い申し上げます。
○原田公述人 三和総研の原田と申します。よろしくお願いいたします。 私からは、初めに、本日の私の公述の内容、第一には、積極的財政運営の可否についての考え方、第二には、歳出内容並びに関連諸対策、減税法案等についてのコメント、それから三番目には、主要国中、財政事情が突出して悪化したこの現状から、将来いかにしてこれを再建するべきであるかという点、そして最後に、第四点といたしまして、九九年度の日本経済がプラス成長を実現し、安定成長軌道に乗るためには、いかなる追加的な諸対策が必要であるかというふうな視点から、私の意見を述べさせていただきます。 まず第一点でありますけれども、積極的な財政運営と突出した財政の悪化の問題でございますが、私は、現状、国際的な視点から問題をとらえてみますと、世界の中には、世界同時不況の引き金になる三つの地域が、あるいは事象があるというふうに考えております。 その第一は、言うまでもございませんが、中南米問題の危機、これがアメリカに波及する。現状のアメリカは、実体経済はしっかりしております。しかしながら、株価の面では、我々の試算では現水準で二十数%理論値を上回る状態にある。したがいまして、株の下落という問題が、いわゆる感染経路をたどってこのような事態が発生した場合には、その結果として世界全体の景気を大幅に悪化するという懸念がある。 それから二つ目は、中国の元の大幅切り下げという問題でありますが、結果として、アジアの国の競争力がそがれることによりまして、アジアの景気悪化、世界への波及という姿が考えられる。 この二つに加えまして、三つ目の問題としましては、私は、遺憾ながら、我が日本の経済動向が世界同時不況の引き金になる可能性があり得ると考えております。 もっと具体的な形で申し上げますと、我が国の金融システムの安定化が進展せず、信頼が回復しない、そして九九年度の日本の成長率が三年続きのマイナス成長になる、こういった事態がはっきりしてきた場合には、株価のさらなる下落というものとあわせまして、日本発の世界同時不況の引き金を引く可能性は決して小さなものではないと考えております。 したがいまして、今回の予算案について、大変積極的な景気優先の政策が出たということは、やむを得ないということとともに、現時点においては当然の方向であると思いますので、この点では、今回の予算案につきましては私は賛成でございます。 そこで、第二に、この予算案並びに関連諸対策についての評価に触れてみますと、教育訓練の拡大であるとか雇用者への助成金等々、雇用対策についてはかなり内容のある政策が打ち出されていると思います。 それから、情報化推進のパソコンの単年度償却の導入というふうなことも効果が期待できるものであろうと思います。 そして、中小企業対策につきましても、これは予算とは離れますが、保証協会の枠を二十兆円という大幅な積み増しをなさったというふうなことを含めまして、かなりの効果が期待できるというふうな評価をしてよろしいかと思っております。 しかしながら、反面におきましては、基本的な課題として、私は絞り込んで二つの点を申し上げてみたいと思います。 一つは、しばしば言われているところでございますけれども、従来型の公共投資が依然として主導であるという点でありまして、当局は事業別のシェアでは従来型分野へのシェアを二・七%減少したというふうに主張しておられるわけでありますけれども、実態的に申せばこれはほとんど動いていない。地域戦略プラン推進費の二千億円というものの扱い方等々を考えますと、実態的には従来型のシェアがほとんど変わっていないという情勢でございます。 こういった点から、公共投資というものは、中長期的な社会情報基盤の強化の視点に立ちまして、コストとベネフィット、それから優先順位を十分に検討して、効率的な投資が行われることが必要ではなかろうかと考えております。 第二の課題といたしましては、私は、現状の財政政策について、ポンプの呼び水的な効果というふうな視点が欠落していると考えております。 それは、言うなれば供給サイドの視点ということになるわけでありまして、現状におきます我が国における需要と供給のギャップというのは、私どもの試算では四十兆円を大幅に上回る状態になっております。つまり、GDPに対して八%を上回る巨額の需給ギャップが生じているわけでありまして、これを財政政策、特に公共投資等によって補てんするということは事実上不可能でございます。 したがいまして、これを是正するためには、我が国の老朽設備の廃棄であるとか、新しい更新投資あるいは独立投資を促すような政策が中心になるべきではなかろうかと思います。具体的に申せば、無税償却を一段と広げるとか加速度償却を導入する、さらには設備投資優遇の税制を打ち出す、そういったようなことが重要になってくるのではないかと考えております。 なお、現在まだ審議中でございますけれども、減税に関する政府案について一言コメントをすれば、私は、果断な減税が行われた、この結果として欧米並みの水準に税制が参りまして、国際的な税体系に近づいた、この点は評価できると考えます。 所得税について、頭割りの減税のあった九八年度に比べて、七百九十三万円以下の所得層では増税になるという点が問題になっているようでございますけれども、しかしながら、九八年度についてはこの頭割りの減税というものが行われた結果でございますので、これとの対比は必ずしも適当ではないのではないか、やはり九七年度との対比において考えるべきものではなかろうかと思います。 さらに、税制につきましては、累進税率の緩和は評価できますけれども、今後のむしろ基本的な課題といたしまして、課税最低限のあり方であるとか納税者番号制の問題であるとか、あるいは源泉徴収と申告税制のあり方であるとか、そういった基本的な問題についても十分な御審議をいただくことが必要かな、かように考えております。 三番目は、突出した財政悪化、将来これをいかに再建するかという問題でございます。 当局のスタンスといたしましては、景気回復後に、景気回復が軌道に乗った後に抜本的な検討を必要とするというふうに言われておりますけれども、このスタンスではツーレート、遅過ぎるのではないかと感じます。 むしろできるだけ早く、財政再建を含む総合的な二十一世紀へ向かってのビジョンというものを打ち出しまして、国民に事態の厳しさに理解を求めるとともに、今後数年の正念場をブレークスルーすれば活力ある国家再建が実現できるんだということを、内閣、特に総理が国民に対して強く訴えるべきではなかろうかと考えます。 財政に関して申せば、今回の大幅減税は景気対策を最優先するものではあるけれども、先行き、福祉目的の消費税の引き上げは例外といたしまして、大増税はしないというスタンスを明示するべきではないかと思います。財政再建は、基本的には小さな政府に徹しまして、出るを制するスタンスを貫き、国有財産の売却、公共投資の効率化等々によって、例えば二〇一〇年までに財政再建を完了するといったようなビジョンを明示いたしまして、総理の明確な決意表明が望まれると考えるわけであります。 もちろん、このような明確な決意表明の道は極めて長く厳しいものでありますけれども、財政の実態から判断する限り、私は、小さな政府と効率化の徹底を基本とする以外、財政再建の道は見当たらないのではないだろうかと考えます。 このような総理の決意が国民に浸透すれば、いたずらな将来不安感が減少し、消費性向が上昇して、減税の効果が消費の方にもあらわれるといったような効果も期待できるのではないか、それによって景気回復の大きな推進力になるのではないかと考えております。 次に、今後の処方せんについてでありますけれども、基本は、私は、国際的に日本が極めて厳しい事態に直面しているという認識に立ちまして、中長期的な構造改革と整合性のある政策の推進というものが必要であろうと考えております。 日本が今非常に厳しい情勢にあるということは、冒頭で触れましたとおり、日本発の世界同時不況の引き金を引く可能性というのは、我が国の金融システムの信頼が回復せず、そして来年度もマイナス成長というふうなことになれば、その場合には日本発のトリガーになる可能性は決して小さくないという点でございます。そして一方において、中長期的な二十一世紀を展望した構造改革路線、ビジョンというものと整合性のある政策が短期的にもとられるべきではなかろうかと思うわけであります。 そういう中で、私が特に強調したい点を一つに絞りますと、これは強力な資産デフレ対策の実行ということであろうと考えております。これがなくては、銀行の不良債権の処理も進展せず、回復軌道への復帰も困難ではないかと考えるからでございます。 大手の金融機関、厳しい批判の中でも不良債権の償却には全力を尽くしているように思うわけでありますけれども、しかしながら、現在のように地価が依然として下落している状態の中においては、幾ら不良債権の償却をいたしましても、いわばざるの中に水を入れるような状態でございまして、不良債権の残高はなかなか減ってこないという現状にあるわけであります。そういう意味から、私は、資産デフレ対策としまして、一つは地価対策、それからいま一つは株価対策というものが必要になってまいりまして、この辺のところの対策なしには、率直に言いまして、なかなか日本の経済を回復軌道に乗せることは難しいのではないかと思うわけであります。 地価対策に関しましては、流動化を促進いたしまして、地価の底打ちから強含み程度を目標にした動きが必要になってくるんではないかと思うわけであります。 具体的な形で申せば、不動産にかかわる税の大幅引き下げとか、あるいは時限立法で二、三年は税金をゼロにするというふうな極端な政策をとるということも検討に値すると思いますし、公共用地の先行取得、あるいは、一例ではございますけれども、最近では外人投資家による日本の土地の購入もかなり目立つわけでありますが、そういった人々に対して特別の優遇措置を講じるというふうなことも検討に値するのではなかろうかと思うわけであります。 もう一つ具体的な形で申せば、金融システム安定化のためにいわゆる九つの関連法案が提出されたんですが、その中でただ一つだけ廃案になりましたのが、いわゆる調整委員会方式でございます。ゼネコン等への徳政令的な色合いがあるというところが大きな問題になっているわけでありますが、私は、この点を知恵を絞って是正いたしますれば、このいわゆる調整委員会方式というのは、個々の金融機関にとりましては極めて厳しい事態に直面するかもしれませんけれども、金融システム全体の不良債権の償却にはかなりの効果が期待できるのではないかと思うわけでございます。その意味で、今申し上げました地価対策に加えまして、現在議員立法ということで与党がお考えのようでありますけれども、その調整委員会方式の対応策をぜひ実現していただきたいという希望を持っております。 いま一つは株価対策でございますけれども、企業と銀行の株の持ち合い関係の是正というものは大変重要でございまして、今、一万四千円を出てはすぐにまた下がってしまうような現状の株価、これは非常に需給関係の悪化というものが背景にあるからでございます。その意味で、三十兆円ほどの基金の受け皿機関を設けまして銀行保有の取引先の株式の肩がわりを行うというふうな、基本路線での持ち合い関係の解消を図ることが重要ではないかと考えます。 さまざまな案が既に発表されているわけでありますけれども、率直に申しまして、それはすべて一長一短でございます。最近の長期金利の上昇で受け皿機関の資金調達がやや困難な状態に入ってきているということは事実でありますが、しかしながら、国債につきましては五年物の発行を行うなどの知恵を働かせれば、さらなる長期金利の上昇の可能性は私は小さいのではないかと考えております。 株式買い上げというのは、特定の株価の操作、従来非常に大きな批判を浴びましたいわゆるPKOとは全く異なるものでありまして、システム再生のための市場安定化策として許される範囲の政府の介入であるというふうにみなすことができると思うわけでございます。したがいまして、これを軌道に乗せることによって、我が国の株価を、例えば一万六千円とか一万七千円とか、そういった水準まで上げてまいりますと、全体の経済が好循環の局面に入りまして、単に九九年度の経済がプラス成長になるのみならず、二十一世紀へ向かっての我が国の安定成長への軌道に乗る期待感が出てくるのではなかろうか、かように考えるわけでございます。 換言すれば、こういった持ち合い解消の政策というのは構造改革の一環でありまして、また金融システムの信頼回復にも役立つものであると私は思うわけであります。 これに対しては、いろいろな異論が出てくるのはもう重々承知しておるわけでございます。例えば公的資金の使用はけしからぬとか、あるいは富裕層の優遇になるぞというふうな多くの御異論があろうと思います。 しかしながら、私が冒頭に申し上げましたごとく、今、日本は世界同時不況の引き金になる可能性の最も大きな国というふうに、海外においてはもう明らかにそういう目で見られているわけであります。そういう状態に我々が置かれているんだということを考えました場合、緊急事態に直面しているわけでありますから、この点を十分に認識いたしまして、かような資産デフレ対策を何らかの形で打ち出すことが、これからの我が国経済を安定成長路線に乗せるために、私は不可欠の対策になるのではなかろうかと考える次第でございます。 なお、近々、二月中旬には、首相の諮問機関である経済戦略会議の最終答申が発表される予定でございまして、中間答申を見る限り、私はこの内容には九割方賛成でございます。その意味で、これから出てまいります経済戦略会議の最終報告とあわせまして、今私が申し上げたような点が政策の中に加わってまいりますれば、九九年度の日本の経済を明るい方向に引っ張っていくことが可能になるのではないかと考えておりまして、何としても我が国の成長率を、一般の民間のエコノミストが三年連続のマイナス成長というふうな発言をするケースが多いわけでありますけれども、そういう予測ではなくて、いかにして九九年度の経済をプラス成長にしていくか、それなしには日本の将来が世界的な混乱の種になるんだという認識に立って新たな政策路線を打ち出していただきたい、このように考える次第でございます。 ありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 次に、鷲尾公述人にお願い申し上げます。
○鷲尾公述人 連合の鷲尾でございます。 本日は、この予算委員会で私の意見を述べさせていただく機会をいただいたことを、お礼をまず申し上げたいと思います。 今回の予算編成につきましては、まだまだ重視すべき課題が多々あるんではないか、このように、現在の日本の経済状況を考えて感ずるところでございます。もちろん、これまで政府がさまざまな景気対策を打たれてきたことも重々承知しておりますし、それについては一定の評価をしているところでありますけれども、来年度の予算を拝見する限りでは、今労働組合員が抱えている失業問題や将来の不安に対する解決、解消にはいま一歩不足しているのではないかという感想を持っているわけであります。 毎日毎日、私、労働組合の仕事をしておりますと、どこどこの倒産が起こって、その労働組合から緊急雇用対策を望む、あるいは、合理化、リストラ案が出されておるので、これに対してどうしたらいいだろうか、あるいは、会社がつぶれてしまったので労働債権が確保できないのでどうしたらいいんだろうかという相談が、日々寄せられているわけであります。 これは、必ずしも長期不況の今日だけではなく、私の経験でもこれまでずっと一貫して起こっている現象ではありますけれども、本来であれば、あれだけの大規模な補正予算を組んで景気対策を打っているわけでありますから、そうした件数が私どもの期待としては少なくなってほしい、こういう期待を持っていたわけであります。しかしながら、この年末から年始にかけても、相変わらずそうした相談件数は多くなってきている。 私どもの立場からいうと、組合のないところが多いわけでありまして、つぶれると一生懸命、組合をつくりたいと相談があるんですが、それではちょっと遅いんでありまして、事前に御相談をいただければ大変ありがたいというふうに思っておりますし、私どもとしてそうした活動を、特に未組織の組合員の方々に対するさまざまな活動を重視しなくちゃいけないという反省も、そういうときにはすることが非常に多いわけであります。 そうした中で、私は今回の予算について、三つの点について重点的な修正あるいは補強をしていただきたい、こういうふうに考えるわけであります。 まず第一番目には、今、倒産と失業の問題をお話し申し上げましたけれども、やはり国民にとって最も大切なことは、働く場所があるということであります。 高齢化社会を迎えて、高齢者が多くなり、悠々自適の生活を過ごしたいと希望する人も多いわけでありますけれども、高齢者といえども、皆さん方御案内のように、仕事を持って生き生きとして生活する、そして一定の社会的な分担を社会的責任として持っていただく、後ほど社会保障の問題について述べるときにも申し上げたいと思うんですけれども、これが基本ではないか、このように考えております。 その意味では、現在の四・三%という失業率、ようやく四・四%から四・三%になったということで少し改善はされたんですが、有効求人倍率は相変わらず悪化し、そして雇用者数も減少の一途をたどっているということは、少なくとも百万人近くの新しい失業者が毎日毎日、ハローワークや、あるいはさまざまな就職あっせん雑誌を見ては頭を悩ましているという実態が存在する。これを何とか早く解決いたしませんと、逆に言いますと、減税やあるいは将来の社会保障というのも実は非常に重要なことではあろうとは思いますが、しかしながら、まず仕事の場を確保する、自立できるような条件を確保するということが今回の予算案では最も重視されてしかるべきではないか、このように考えているわけであります。 お手元に、割合、いかにも不況のときじゃないようなパンフレットが、「連合の重点政策要求」ということで書いてあります。この中身を全部実施していただけば恐らくこういう明るい展望が見えるというつもりで、このパンフレットをつくったわけであります。 まず、雇用の問題について申し上げますと、後ろの方の一枚目をめくっていただきたいと思います。十五ページでございます。ここに雇用創出という項目がございます。ここに私どもの考え方が出ているのですが、実は、十一月の緊急経済対策においても、政府は百万人の雇用創出計画の策定というようなことで、プランニングはつくっていただいております。そのために、政労使の雇用対策会議を総理の御指導で発足いたしました。通産大臣と労働大臣が主管でありまして、日経連と私ども連合が参画している会議でありますが、その中で、日経連と連合は共同で、百万人の当面の雇用創出策を提起しているわけであります。 もちろん、これはアイデアでありますので、まだほかにもたくさんの雇用をつくれるような場所というのはあるんじゃないかと思いますけれども、私どもは、そういう意味で、百万人というものを具体的に、九九年の八月までに五十万人、そして九九年度末に百万人の新しい雇用を当面の緊急対策として創出することが大事だと思います。 もちろん、通産省を初め、さまざまな行政がいろいろな計画をつくっておりまして、中長期では、例えば四百万人の雇用創出であるとか、こうしたプランはあるんですけれども、私は、今日の状況からいいますと、とりあえずことし、どんな雇用でもいいからと言うとちょっと言い方は極論になるかと思いますけれども、まず何よりも失業者を出さないということが第一優先されるべきではないか、こういうふうに今考えているところであります。 そこに、介護、福祉で四十二万人、防災、環境保全で三十七万人、住宅で十一万人、教育で十万人ということが記載されております。 資料では詳細は出ていないわけでありますけれども、今回、政府の予算案の中で、総理も、一兆円の雇用対策費をつける、こういうふうに年末はおっしゃっていたわけなんでありますけれども、実質的には、予算の中に組み込まれたのは、雇用特別会計を含めて三千億円程度ということであります。そして、積み上げの計算はまだしておりませんけれども、私どものおおよその試算では、今四十二万人、三十七万人とずっと挙げた中の三分の一程度しか今回の予算では確保できない、こういうふうに試算しているところであります。 現在、二月の中旬に政労使の雇用対策会議を改めて開いていただいて、各省庁の予算を分析し、その予算の中で組み込まれている新規雇用というものは、どういうものが何人ぐらいあるかということをまず出していただいて、そして、不足する分についてはどのような手を打ったらいいのか、増強すべき予算は何なのかということを明確にさせていただきたいと強く主張しているところでありまして、これは、ぜひとも、予算審議の中でも先生方の御努力でそうした議論が展開されることを期待しているわけであります。 まず、介護、福祉の状況でありますけれども、中に小さい字で書いてございますので読みにくいかとも思いますけれども、今までつくっております政府のゴールドプランを前倒し実施する。そして、政府のゴールドプランを前倒し実施しつつ、介護や医療に関する人手不足の事態は深刻でありますから、そうした意味合いからいいますと、さらに新ゴールドプランの上を行く、私どもはスーパーゴールドプランと言っておるのでありますが、そうしたプランニングをつくった上で、そこに緊急に雇用をつけるということが大事であります。 ただ、緊急ということになりますと、ついつい、これは資格が必要だとかなんとか、こういう話になるわけであります。しかしながら、この点については、規制緩和を大胆に実施し、民間の参加、あるいは未資格の方々についても、補助作業のような形で、そのうちそうしたOJTを通じて資格を取っていただいて、将来の新ゴールドプランなどの介護要員なり医療の従事者に充てていただくというような、中長期の対策につなげていくということが大切なんじゃないかと思います。 ところが、今回の予算案では、恐らく一年当たり七万人から十万人程度の増加しか私どもの試算では見込まれません。したがって、四十二万人を九九年で確保するのは到底いかないわけでありまして、この点についての予算対策が実は必要なんではないか、このように考えているところであります。 また、防災、環境保全で三十七万人の雇用を私どもは考えているわけであります。 これは、やや予算委員会で不謹慎という話になるかわかりませんが、国会の中でもハクション議連というのが出て、花粉症でお悩みの先生方が多いと思うのですが、これの原因はどうやら、森や林の保全が十分でない、伐採をしない、枝打ちをしないから花粉がたくさん出てくしゃみが出る、こういうことを言われているわけであります。しかし、どんなきっかけでも結構ですから、現在日本の森林が非常に荒廃しているということは事実でございまして、その意味での雇用対策上の雇用をそこへつけていって、臨時緊急的に日本の森を守るということが実は大変重要なことではないか、こんなふうに考えております。 現在の予算では、森林整備、治山事業について、十一年度予算でそれなりに措置をされているわけでありますし、また昨年の補正でも、随分こうした部分については、環境や都市防災や森林保全の問題について予算をつけていただいているのですが、私どもの関連の組合に言わせますと、まだまだ必要だ、この程度の予算では到底三十七万人の雇用は創出できない、こういうふうに言っているわけでありますので、これまた具体的な積み上げを行っていただきたい、こういうふうに考えております。 三番目は住宅でございまして、今回の減税の措置でも住宅関連の政策減税を実施していただいておりますけれども、これもまたさらに追加をしなければいけないと思います。この点については、十一万人まではなかなかいきにくいとは思いますけれども、こうした対策を予算の中でも組み込まれているということについては一定の評価ができると思いますが、さらに、ここの分野については、日本の住宅事情が非常に貧困であるということは皆様方も御承知のとおりでございまして、こうした強力な政策減税を初めとする諸対策を実施することによって、この分野は今後も伸びる産業ではないか、このように考えているところでございます。 最後は、教育で十万人であります。 私どもは、日教組を初めとする教員の組合といろいろ議論しておりまして、教育政策として早期に三十人学級を実施すべきだという考え方を持っているわけでありますが、この十万人は三十人学級のきっかけになると同時に、現在、これまた国会でも御議論をいただいているところでありますけれども、教育現場は大変荒廃をしております。学級離脱だけではなく、クラスの中で暴れ回る、あるいは外へ出ていってしまっていろいろな暴力ざたを起こすというような子供さんがたくさんいる。 このプランの中にそういうことが具体的に入っているわけではありませんが、私自身は、仮に教員免許を持っていなくても、ホワイトカラー、サラリーマンで失業した方々については、学校の校内を歩いていただくだけでもいいではないか、こういうふうに考えております。最近では、保健室に逃げ込む生徒さんが多いということでありますから、クラスの中に入らないでも、廊下や校庭を、徘回と言うとぐあいが悪いですけれども、歩いていただいて、そうした外へ出てきた子供さんたちに話しかける。対話が非常に少ない。あるいは、今お話がありましたけれども、スポーツの相手になってやる、キャッチボールの相手になってやるということが非常に重要だ。 そういう意味では、この十万人の人間も、恐らく、校庭や学校の中を歩き回るサラリーマンの方々も、昔、私も子供時代よくあったのですけれども、いじめに遭いまして、泣いているわけにはいきませんので、裏山に逃げて木登りしたりなんかした経験があります。だれもがそういう経験があるわけですから、子供の相手になれるというふうに私は思うわけでありまして、そうした意味合いでは、教員免許があるなしにかかわらず、こうした現場に、当面、この一年間、至急に投入をするということは、現在問題になっている教育現場の荒廃というものに対する対応にもなるのではないかということでございます。 これは思いつきだけのようでありますけれども、ほかにもまだまだ予算を洗い直しますと、そういう中でこういうお金さえつければこういう雇用が生まれるのだということを積み上げ計算ができるわけでありまして、これは与野党一致した対策でもって、この予算案について議論をしていただきたいと思います。 私は、実は雇用対策だけで四次補正をやったらいいんじゃないかというふうに年末ぐらいに言っていたのですけれども、時間的にどうやら間に合わないみたいな感じもいたします。しかしながら、四次補正までいかないにしろ、早急に、通常予算が通った後でも結構でありますから、四月、五月の段階で、雇用対策上の予算増をぜひ議論していただくことが大切なんじゃないか、こういうふうに考えているところでございます。 次に、第二番目は、税制の問題でございます。 減税や税制改革についてもいろいろな議論がなされているところでございます。この点については、このカラーのパンフレットで、所得減税について、二ページ、三ページに記載をしているところでございます。 私どもは、九九年税制改正に向けた連合案と政府案の対比をここに記載しているところでございまして、私ども連合の考え方からいいますと、百万円のところまでの範囲を一〇%というものを五%に、全体を引き下げる恒久減税案を私どもの案としては持っているところでございまして、現段階ではいわば七百万円程度以下の所得層に減税の範囲が行き渡らない。確かに、二年前、昨年の平成十年の予算に比べないで九年の予算と比べたら云々というお話があるのでしょうけれども、しかしながら、今回の十一年度における減税は、国民の生活からいうと、やはり十年の対比でどうかという議論になるわけでありますから、その意味からいいますと、やはり中堅層の減税を実施するということが景気対策には大きいのではないか、このように考えているところでございます。 政府の所得税、住民税減税案というのは、所得税の最高税率の引き下げであり、所得税の一律二〇%の恒久的減税とされているわけでありますが、これは所得七百九十三万円以下の層では現状より負担増になるということでありまして、消費拡大にはなかなか寄与しにくいのではないか、こういうふうに考えております。 したがいまして、私どもの案は、そこに記載してございますような十兆円程度の減税、給付をあわせて実施すべきではないかということでありまして、累進税率では下から引き下げていくということで、課税所得百万円までは五%、百万円から五百万円までは一〇%、五百万円から一千万円までは二〇%という形で、最高税率は引き下げない改革とするべきではないか、こういうふうに考えています。 二番目に、給付の問題でありますが、これはこのパンフレットの四ページに四兆円の給付、二兆円の政策減税、こう書いてございますが、四ページ目の四兆円給付については、中低所得者の可処分所得増のための児童手当、高齢者手当の四兆円の給付をということで要求しているところでございます。二兆円の政策減税は、住宅減税、教育減税を初め、ここに記載してございますので、御参照願いたいと思います。 二番目に、不公平税制の是正ということについて強く求めているところでございます。 これはパンフレットの六ページに記載しているところでございまして、私どもは、最高税率の引き下げというのには強く反対しているわけでありますけれども、ぜひ総合課税化を進めていただきたい、そのことによってこうした議論ができるのではないかというふうに思います。したがいまして、利子、配当、株式譲渡益課税の分離課税制度の廃止、総合課税化の九九年度の実施を強く求めたいと思います。 また、法人税の減税では、課税ベースの適正化を必ず行うということが重要ではないかというふうに思います。 また、消費税については、そこにも記載しているところでございますが、免税点や簡易課税制度の特例措置の縮小やインボイス制度の導入についてもぜひ検討いただきたいと思います。この消費税改革については、八ページに記載をしているところでございます。 次に、第三点目でございますが、安心、信頼の社会保障制度を確立する予算措置を行っていただきたいということであります。 政府案では、二〇〇〇年の介護保険実施に向けた供給体制の整備を進めるというふうに言っているわけでありますけれども、この整備事業は不十分であります。先ほど申し上げました雇用対策上の新ゴールドプランの中身を見ましても、雇用という側面でも不十分であると同時に、私は、その供給体制というものが不十分であるということは、結局雇用保険の内容を十分生かすことができなくなる、こういうふうに思うわけであります。 また、公的年金制度は、空洞化する基礎年金の抜本改革が必要であると同時に、国庫負担の引き上げをすべきである、こういうふうに考えているところであります。 基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に九九年度に引き上げるということは自民党を初めとする与党の皆さん方がお決めになったわけでありますが、このことをどのように法案に記載していくかということについても、今予算委員会での議論があるようであります。私どもは、この三分の一から二分の一に基礎年金の国庫負担分を引き上げるのであれば、本年度の予算からぜひお願いしたい、このように考えているところでございます。 また、可処分所得スライドを維持し、現行年金給付の実質水準を確保することが大事だ。公的年金の信頼が薄らいでいるということでありまして、私どもも若い組合員と議論しますと、どうせ僕らのときには年金はないんでしょうと極論が出ます。場合によると、制度の改革ということを考えて非常に抑制的になる可能性はないわけではないけれども、今の議論ではそうだけれども、ゼロになるということはないだろうと思うよと言うと、本当ですかという議論がある。こうした信頼感が全く失われた年金制度を回復させるためには、やはり強い施策が絶対に必要でありまして、その意味では、可処分所得スライドというものを維持しながら、実質水準を確保することが大事なのではないかというふうに思います。 また、介護保険制度実施のためには、国の地方への財政支援策を強化することが大事であるということは言うまでもありません。 また、医療の問題については、御説明する時間が余りありませんけれども、この十一ページを御参照いただきたいと思いますが、私は、医療供給体制や診療報酬制度、薬価基準制度、高齢者医療制度の四分野における総合的な制度改革を行うことによって、総合化によって、現在の問題点を少しでも解消していくということが大切なのではないかというふうに思っているところであります。 そうしたさまざまな議論といいますか、意見を持っているわけでありますけれども、最後に、財政構造改革、財源論の問題について少々お話しを申し上げたいと思います。 確かに、今までのお二人の公述人の先生方の中でも、財政構造改革については意見が分かれるところであります。私どもは、確かに、国債発行高が三十一兆円超と、国債依存度がさらに強まって三七・九%だというふうに聞いておりますし、また、国の債務残高が九九年度末で四百四十六兆円に達するということは、いわば国家としてはゆゆしき事態であるというふうには思うわけであります。 しかしながら、何よりも、国家財政における需給ギャップを解消するために、供給体制を削るだけではだめでありまして、やはりある程度需要政策をつくることによって初めて緩やかな改革をしていくということが大事であります。その意味からいいますと、早く景気回復を図り、国民生活の安定や経済社会の活性化を進めることによって財政を好転させる環境づくりをしなければいけない、これがまず一番の基本でございます。 また、歳出についても、生活の安定や雇用の創出など生活関連分野を重視して政策、事業を進めていくということが必要であります。また、産業関連については、景気回復時には官から民への移行を大胆に進めるということが大事ではないか、このように考えているところであります。 したがって、確かに財政構造改革は非常に重要な課題でありますけれども、景気対策がまず重視されなければいけない。その景気対策の一番のポイントは、何よりも国民生活の安定、そして安心できる社会をつくるということが大事ではないかというふうに考えております。 したがいまして、今回の予算は、質の面では、勤労国民に生活に安定感を回復するにはいささか足りない。また、量の面では、三次補正を含む前年度予算に比べて、一般歳出が六兆円強の減、伸び率はマイナス七%でありますので、これは、補正をやったんだから、さらに前年度と比較すべきではないかという議論はありますけれども、少なくとも景気回復には量的にも力不足である、このように考えているところでありまして、こうした点をぜひ重視され、予算委員会での御議論をぜひともお願いしたいと思います。 以上、終わります。ありがとうございました。(拍手)
○中山委員長 どうもありがとうございました。 —————————————
○中山委員長 これより公述人に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横内正明君。
○横内委員 自由民主党の横内正明でございます。 公述人の三人の先生方には、ただいまそれぞれの立場から貴重な御意見を伺いまして、ありがとうございました。 幾つか質問をさせていただきたいのですが、第一点は、今のお話の中身とはちょっと別なのですけれども、最近の景気の状況について、お三方それぞれ、どう思っておられるか、ちょっと一言ずつ伺いたいと思うのです。 といいますのは、どうも最近の景気の認識について、政府の中も、それから評論家の間にも、かなり差が出てきているんじゃないかという気がするのですね。 例えば、経済企画庁長官の堺屋太一さんなんかは変化の胎動というようなことを言って、確かに、いろいろな新しい動きというのは出てきております。きのうも聞いたのですけれども、住宅については非常に活況を呈するようになってきておりまして、例えば住宅展示場とかマンションのモデルルームに来るお客さんが前年度同期に比べて倍にふえてきているというようなこともありまして、非常に住宅需給は活況を呈してきている。そういう明るい指標は幾つかありまして、したがって、それがために例えば堺屋経済企画庁長官などは、昨年の秋の時点で日本経済は底入れをしたんじゃないか、底を打ったんじゃないかというような言い方をしておられますね。しかし一方で、きょうの新聞にも出ておりましたけれども、通産次官あたりは、いやいや、とてもそんな状況ではないということをおっしゃっているわけで、景気の現状の認識にかなり差が出てきていると思うんです。 その辺のところをちょっと三先生に承りたいと思います。
○長谷田公述人 私は、景気は底を打ったと見ております。昨年の六月に決定されました十六兆円、あの措置が予算化されて、そして非常にききは鈍いのですけれどもきいてきている、こういうふうに見ております。
○原田公述人 私は、心理的にはいろいろと明るい面は出ておりますけれども、実際上の経済指標その他から見ますと、例えば明るい方の面では、ゴルフの会員権が若干底を打ったとか、軽自動車が売れているとか、在庫調整が若干進展しているとか、幾つかの視点はございます。しかしながら、総合的にもろもろの経済指標から見る限りにおいては、この十—十二月の成長率が若干のプラスになる可能性はございますけれども、実態的に言えばなお極めて厳しい状態にあり、一—三月もどちらかといえば下降傾向をたどるのではなかろうか、そのような厳しい判断をいたしております。
○鷲尾公述人 私は、先ほどの公述でも申し上げましたように、現場実感で雇用の状況を考えますと、まだまだ倒産あるいは失業の憂き目に遭った人たちの数は減っていない、こういうことから考えますと、まだまだ景気回復は道遠し、こういうふうに考えているところであります。 また、先の見通しについても、さらに年度末や年初にかけて合理化計画を考えている企業が続出しているわけでありまして、現在春闘の真っ盛りでありますけれども、春闘の団体交渉に入る前にリストラ計画が提示されるというような実態があるということであります。 また、一部確かに景気のいいところがありますが、これは従来のリストラ計画でマイナスした面を埋める程度であります。別の分野では悪くなっている分野がありますので、総体で考えますと、やはり景気はまだまだ悪い、こういうふうに考えております。
○横内委員 今、長谷田先生と、それから原田、鷲尾先生、ちょっと認識の違いが出たわけでございますけれども、例えば秋口になると公共事業が息切れをするとか財政支出が低下をするというようなことがあって、先行きの心配、懸念というのもかなりあるわけなんです。これから、もし補正予算あるいはそういうものをやるとすれば、かなり早い時点で前広にやっていかなきゃいかぬわけですけれども、この先々の対策について、当面の景気対策について、三先生方、それぞれ一言ずつお願いいたします。
○長谷田公述人 三十一兆が予算化すれば、十分とまではいかなくてもかなりの効果が続くと思います。そして、もしもそれで足りないということであれば、それは消費税のストップ、もう来年度中にやってほしい。
○原田公述人 先ほど私、公述人としての御意見を申し上げたわけでありますけれども、従来のような形のいわゆる公共投資中心の需要追加ということでは、これは本当の意味での回復にはつながらないと思います。 先ほど申し上げましたとおり、供給サイド重視という意味合いは、現状の四十兆円を超える需給ギャップを是正するためには、やはり設備投資を促さなければ景気の回復につながらないというふうに思うわけでありまして、その意味で、先ほど申し上げましたように設備投資を何とか盛り上げる、つまり、老朽化したものについての償却、さらには新しい独立投資とか更新投資とか、そういった分野の設備投資が前向きに行われるような政策面からの誘導政策をとるということも重要でございます。 それからまた、先ほど消費性向が落ち込んでいるというお話がございましたけれども、それに対しては、やはり国民の中に将来についての、バラ色までいかないにしても安心感が出てくるというふうなこと、それから雇用動向についてもめどがつくというふうなことがあって初めて、消費性向が上がり、減税の効果が出てくるということだと思います。 その意味から申しますと、従来型の公共投資主導によって景気を持ち上げていくということは、たとえこれから再び景気後退のときにあっても、これは悪循環になるだけであって、私は賛成できない。やはり新しい視点からの政策路線を打ち出すことが必要になるんではなかろうかと考えます。
○鷲尾公述人 先ほども申し上げましたように、私は愚直に、まず雇用を守るということでありまして、まず当面は臨時緊急的に失業を防ぐということが大事であります。 また、中長期的に言いますと、基本的には、日本の経済を産業構造転換に向かわせ、さらに再活性化するためには、技術革新と生産性向上というのが絶対に必要なことでございます。技術革新を進める、そして陳腐化した設備を廃棄する、その上で個々の労働者の能力開発が非常に重要だ、こういうふうに思いますので、その意味では、トレーニングというものが中長期的には非常に大事なことになるんじゃないか、こんなふうに思っています。
○横内委員 以下、原田公述人に幾つか伺いたいんです。 今もおっしゃっておりましたが、公共事業を従来型公共事業だということでおっしゃっておられます。先ほどのお話の中でも、十一年度の予算については全体として高い評価をしていただいているわけですが、公共事業だけが非常に従来型だということをおっしゃっているわけでございます。 ただ、私などは、実際公共事業が行われている地域といいますか地元で見ておりまして、公共事業の内容というのも近年非常に大きく変わってきているんですね。例えば農林関係公共事業なんというのも、かつては、圃場整備だとか耕地整備とか、そういうのが多かったんですが、最近は、農村の生活環境基盤整備というようなものが非常にふえてきておりますし、省庁別のシェアはそんなに変わらぬとしても、中身は非常に大きく変わっているということを私は現場で実感しているわけでございます。 とりわけ、今度の予算、平成十年度の第三次補正を含めて十五カ月予算、公共事業に二兆七千億円の景気対策臨時特別枠というのを設けて、これは九兆円の公共事業全体の三〇%に相当するわけですね。この二兆七千億円の公共事業については、特別枠ということで、情報通信とか科学技術とか都市だとか防災だとか、そういうものに重点配分をするということにしておりますから、そういった配分シェアが、大きく中身が国民のニーズに合った形に変わってきているのではないかというふうに思っているわけでございます。 ただ、公共事業というのも、全体として国費で九兆円ありましても、中のかなりの部分というのは継続事業なんですね。そういうものは、やはりとめるわけにはいかぬわけですし、簡単に変えるわけにはいきません。それから、ある特定の分野について何倍とつけたって、執行能力がありませんから使い残してしまうというようなことがあったりして、なかなか一挙にどんとは変わらないんですけれども、長い目で見ると、着実にシェアは変わってきているというふうに思っているわけです。それは非効率な例も一、二ありますけれども、全体としては今そんなに非効率なむだが行われているとは私は思っていないんです。 公述人は非常に在来型の公共投資ということを批判されるわけですが、具体にどんなところを指してそういうふうに御認識になるのか、御感想があればちょっと承りたいと思います。
○原田公述人 私は、公共投資がすべて悪い、減らすべきだというふうに言っているわけではございませんけれども、まず一番最初の点については、先ほども申し上げましたが、私の聞きました大蔵当局の説明の限りでは、事業規模におきまして前年度より二・七%減、これは従来になく大幅に従来型から新分野への投資にシフトしているんだという説明があったわけであります。 しかしながら、その内容をチェックしてみますと、地域戦略プラン推進費として二千億円というものも計上されておりますけれども、こういったものは、どうも将来においては、橋、港湾その他に振り分けられる可能性の非常に強いものではないかと認識しておりまして、そういうことを含めて実態ベースで考えますと、従来型の公共投資のウエートは依然としてかなり大きいのではないかと思います。 そして、我が国の場合には、公共投資のさらにストックの増加という必要性はございますけれども、金額ベースあるいは比率ということで見ますと、欧米に比べまして我が国の公共投資というのは倍近く高いウエートを占めているわけでありまして、ストックとフローのいずれを重視するかという問題もございますけれども、私は、さらに大幅な新しい分野へのシフトにこれからも努力していただきたいし、その場合には、やはりコストとベネフィットの関係を十分に見、そして優先順位をきちんと決めた上でやるべきであろうと思います。 整備新幹線の問題等につきましても、効率あるいは将来の採算ベースというふうなものをじっくり考えて、すべてを私は否定するつもりはございませんけれども、やはり優先順位等々についての効率化という点ではもう一つ踏み込んだ御判断をいただければ、かように考えております。
○横内委員 次に、原田先生は、資産デフレ対策の重要性、日本発の世界同時恐慌を招かないために思い切った資産デフレ対策をとるべきだというふうにおっしゃいまして、私も全くそのとおりだなと聞いていたわけでございますけれども、その一つとして、確かに株が一万七千円とか八千円ぐらいになれば、随分経済、景気もよくなったという回復感が出るだろうな、今のような一万四千円台という水準ではなかなか景気回復という感じになってこないというのは、そのとおりだろうというふうに思います。 おっしゃっていましたが、確かに、従来日本経済の一つの固有のものであった事業会社と金融機関の株の持ち合い、大体全株式の二〇%あったと言われておりますけれども、それが解消する動きが急激に進んでおりますね。それで、ある専門家が言っておりましたが、株価の水準が一万五千円台に近づくと、途端に持ち合い解消売りがわっと出てまた下がっちゃう、また上がるとわっと出るというようなことで、なかなか一万五千円ぐらいの水準を突破できない。持ち合い解消売りというのは、これから時価会計が二〇〇一年に導入される、それまでずっと続いていくのじゃないかということが言われておりまして、そこで先生がおっしゃるような、株式買い取り機関というような構想が出てくるんだろうというふうに思います。 これは、我々自民党の中でも大変大きな問題意識がありまして、金融再生トータルプラン調査会とか、いろいろな場で今盛んに検討が内々行われているところなんです。ただ、やはり一つ大きな問題というのは、今公述人のお話ですと、国債を発行して三十兆円ぐらいの規模の基金をつくるということなんですが、結局は公的資金ということになるわけですね。株を買うわけですから、もうかるとは限らぬで当然損することもある、そのときは国民の税金で補てんをする、言ってみれば国の方がリスクをとってそういう基金をつくるということになるんですが、それについては党内でも非常な議論がありまして、大変に抵抗が強い。 もちろん、党から外へ出れば、もっと抵抗が、反対の議論があるだろうと思うのですね。公的資金を使ってそういう基金をつくる、株を買い取るということについては、国民のコンセンサスが得にくい面が非常にあるんではないかというふうに思います。国民のコンセンサスを得るために相当な時間とエネルギーが必要だし、そんなことをしている間に政策を打ち出すタイミングを失してしまうことにもなるんではないかというふうに思うわけです。 そこで、一つの議論として言われておりますのは、昭和三十八年当時に、日本共同証券株式会社というのがあって、あれは要するにオール民間で金を出して、そして日銀融資で政府は支援をしたわけですね。それで、大成功だったと言われているのですけれども、やはりこの際ですから、オール民間で何か資金をきちっと拠出をしたらどうか、政府としては日銀融資で応援するというようなことをするとして、やはり民間のリスクでそういうものをやるべきではないかという声が、我々の先輩の国会議員にも大変強いのです。 その辺について、先生はどういうふうにお考えになりますか。
○原田公述人 今先生から御指摘がございましたように私は提言したのですが、これについては、極めて厳しい異論のあることは否定できないと思うわけであります。 しかしながら、最近急に、日銀のいわゆる国債を直に引き受けるというふうな問題がクローズアップされてきておりますけれども、こういう手段、私は一種のこれは麻薬だと考えておるのでありますけれども、こういった対策に比べますと、少なくともこの企業と銀行の株の持ち合い関係を是正するということは、非常に日本のシステムを強化するという点も含めまして、正しい手段であろうと思うわけであります。 したがいまして、まず公的資金を使うという問題についても、今の日本が置かれている事態というのはまさに世界同時不況の引き金になるんだという厳しい認識に立ちました場合には、非常事態でございますから、その非常事態に対して、かような対策、多少の問題点があっても実行に移すべきだという主張をぜひお願いしたいと思うわけでございます。 しかしながら、公的資金について強い反発があるとすれば、それは、今お話がございましたように、従来の中で最も可能性の高い日銀の支援というふうなものを使ってやる方式もあろうと思います。 しかしながら、現状においては、よく言われておりますように、我が国には千二百兆円からの個人金融資産がございます。実態はその三分の一くらいかもしれませんけれども、かなりの額があるわけであります。そうした資金を使いまして、例えば国債発行というようなことをした場合には、一時は御承知のとおり長期国債は〇・六%くらいまで下がって、このところ急騰して二・四になり、今は二・一とかいう水準でございますけれども、私は、この問題は四月を越えてくればかなり安定してくる、そういう中においては、例えば一・五%くらいの金利水準であれば国債は十分に消化できる情勢に現在もあり得るのではなかろうかと考えておるわけでありまして、その意味で、公的資金という問題を除けば、これを行い得る基盤は十分に残っておるだろうと考えております。 したがいまして、いろいろな案が出ておりまして、また経団連からの案もつい一両日くらいの間に出たようでございますけれども、そういった中のマイナス点をできるだけミニマムにするような形で、与党中心になるのかもしれませんけれども、この問題をぜひ推進していただくことが必要ではなかろうかと考えております。
○横内委員 もう一つデフレ対策として、土地対策、地価が下がっているような状況ではなかなか景気の回復が期しがたいというお話で、全くそのとおりなんです。それで、そのために流通税を引き下げる、あるいはゼロにするというような思い切った対策が必要だというふうにおっしゃっているわけです。 しかし、地価が今下がっている状況というのは、これは収益還元価格に収れんしていく動きなものですから、むしろ土地が流動化すれば、場合によっては一時期まだ下がるかもしれぬということもあると思うのですね。地価を安定させて、さらに多少上がるような状況に持っていくというのは、景気が回復しない限りはなかなか難しいだろうと思うのです。 ただ、やはり今おっしゃるように、土地の有効利用、流動化して有効利用を促進するということは大変に大事だというふうに私も思います。 今、非常に遊休地というか未利用地がふえておりまして、それは二つでふえている。一つは不良債権の担保不動産、完全に塩漬けになっているもの、これが恐らく東京区部に一千ヘクタールぐらいあるだろうと言われております。それからもう一つは、企業がリストラをしますね。その中で——時間が来ましたか。ということで、土地対策、有効利用の促進が大事だというふうに思っております。 時間が来ましたので、もう御答弁は結構です。おっしゃることに私は賛成です。 これで質問を終わります。
○中山委員長 次に、中井洽君。
○中井委員 自由党の中井でございます。 公述人の皆さん、ありがとうございます。十分しか時間がありませんので、簡単にお尋ねをいたします。 長谷田公述人が、景気回復は簡単だ、消費税のストップだとおっしゃっていただきまして、公明・改革さんの公述人じゃなしに自由党の公述人かと思うぐらいでございます。満腔の敬意を表しておきますが、ただ、値上げのときに一遍に一〇%だというのだけは反対でございますので、このことだけを申し上げます。 この大変な非常時で、やれることはすべてやった方がいい、思い切ってやる、私どもはそういう思いで自自連立に汗を流したわけでございますが、原田公述人の思いも、同じような危機意識をお持ちだ。そういう中で、消費税の凍結という政策、もしことしマイナス成長だというようなことになるなら、こういったものを考えざるを得ないのじゃないかと私どもは考えておりまして、自自連立の政策協議の中で、依然としてペンディングにしておいてございます。 この点につきまして、原田公述人のお考えを承ります。
○原田公述人 大変私もこの辺は結論が出しにくくて困っておるわけでありますけれども、少なくとも、日銀の買い取りという形での直接引き受けという方式が現状浮上している、そのこととの対比においていえば、これはむしろ、自由党の言うような消費税の一時凍結、そして段階的な引き上げということの方がベターであるというふうに考えます。 ただ、問題は、やはり政治的な視点から考えまして、果たして二年後から二%ずつの引き上げということが可能かどうかという点については、多くの国民も疑心暗鬼の状態でございまして、その意味での確実な実行が担保されるということが最大の必要条件になるのではないかと思います。
○中井委員 鷲尾公述人にお尋ねをいたします。 私も、選挙区に帰りますと、労働組合、懇談会やら政策の討論会をやらせていただきます。そこで大半の方が、手を挙げてもらいますと、給料から差し引かれる税金よりも、年金の掛金と健康保険の掛金で引かれる分の方が多いのですね。そうすると、減税よりも、年金の掛金を上げない、健康保険の掛金を上げない、ここの方がはるかに関心が高い。特にお若い方は税金を払っていませんから、ほとんどそうだ。 私どもは、今の消費税五%を凍結して、二年目に二%に上げる、この二%に上げるときに、健康保険の老健へ持っていっている部分の上がり分と、それから年金の掛金の上がっていく部分と、そして介護保険、この掛金の分を消費税二%でやれるじゃないか、これからそういう形で上げていけばいいじゃないか、こういうことを言っております。 連合さんも、景気対策、いろいろおっしゃっていただきましたが、公明さんの地域振興券、反対だ、私どもの消費税引き下げも反対だ、こうおっしゃっている割には何か目玉的なあれがない。そういった意味では、ここの負担をするという部分は連合さんもほとんど一緒であろう。 そういう意味で、党派とかいろいろ抜きに、こういう時期ですから、思い切って消費税引き下げというのを御賛成いただけたらと思うのでありますが、いかがでしょうか。
○鷲尾公述人 私どもも、税体系からいうと、長期的にいいますと、直間比率の見直しということが必要だというのは基本的な方針として持っておるわけです。 今、中井先生がおっしゃった、目的税的にしろという考え方は、実は私どもは消費税導入のとき議論させていただいたというつもりでおります。したがって、三%であろうと五%であろうと、本来であれば福祉目的に使われる、あるいは年金や医療の財源に使われるということが正しい方向性ではないか、こういうふうに考えております。 したがいまして、今、中井先生がおっしゃった、社会保障、安心できる社会づくりという意味合いからいいますと、消費税の部分についてそうした目的税化をするということは非常に重要でありますし、国庫負担金を三分の一から二分の一とふやすということが大事だというふうに思っています。 消費税の問題は、実は上げるときが一番問題でありまして、前回の九月に決めて四月に引き上げたときの話も、私どもはこんなに景気に響くだろうというふうに思っておりませんでした。しかし、景気が非常に問題になってきたというところで消費税の問題を議論したわけでありますから、今後、検討課題であることは間違いない、このように考えております。
○中井委員 最後に、原田公述人に、先ほどからお話のございました、資産デフレ対策としての銀行の持ち合い株の買い上げということについてお尋ねをいたします。 確かにそのとおりであろうかと思いますが、私ども、あれを国の機構を使って、国の金を出して、公的資金を出して買い上げるというのはどうだろう、やはり今、横内自民党議員の言われたように、民間で資金をお出しいただいて買い上げていく、こういうことが必要なことではないかな、こんなふうに考えております。この点をもう一度お話をいただきたい。 特に、日本はアメリカの銀行のように株を持ってはいけないというふうになっていないわけでありますから、そこら辺が、国の公的資金でいけるのか。また同時に、NTTの株公開、売りましたときにいろいろなことがありまして、国民の中にマイナスイメージがある。そういったことを考えますと、非常時とはいえ、なかなかそれをやり切れるかな、やはり民間でおやりいただくべきじゃないかな、こんなことを思わざるを得ません。 同時に、そういう中ですから、お話がありましたように、日銀が株を引き受けるというのはもうむちゃなことだろう、しかし、買いオペぐらいはいけるんじゃないか、あるいはツイストオペなんという形もあるんだろう、そういったことを含めて、公述人のお考えをお聞かせいただきます。
○原田公述人 先生の御指摘のとおり、公的資金による受け皿づくりというのが極めて難しいということであれば、第二の策、第三の策ということで、やはり民間の資金を活用するという方向に行かざるを得ないと思いますけれども、そうであったとしても、何とかそれを、仮に三十兆円ではなくて十兆円であったとしても、相当需給の緩和には役立つものでありますから、実行していただきたいということ。 それから、金融機関につきまして、株が余りにも強く影響を及ぼすという現状から見まして、やはり金融機関の相互の持ち合い関係というものを禁止するような立法をしていただくのが、これからの我が国金融システムの安定化のために必要ではなかろうかと考えております。
○中井委員 鷲尾さんにもう一問お尋ねをいたします。 先ほどから百万人の雇用創出のお話を承りました。私ども、微力ですが、政策協議を通じてまた一生懸命やらせていただきますが、福祉だけで四十二万、災害で三十数万、こう言うと、なかなか一遍にはという感じが先に入るのですね。しかし、現実に百万の雇用をつくっていかなければならない、こういったときに、アイデアを出し合えば幾つもあると思うのですね。 この間も選挙区へ帰りまして、特定郵便局へ行きましたら、先代の郵便局長さんが腕章を巻いて立っておられる。何だといったら、強盗対策なんですね。だけれども、二万数千の特定郵便局全部ができているわけじゃないですね、三割ぐらい。だから、それをしたために物すごい赤字になっている。 こういったことを含めて、やらなければならないんだけれども人数を埋められないというのがいっぱいある。これらをひとつ細かく拾っていって実行していくということの方が大事だ。そういったことで、お互いアイデアを出し合ってやっていきたい、こんなことを申し上げて、御意見があれば一言。
○鷲尾公述人 各省庁の予算を十分分析すれば、十分人数は出てくると思います。
○中井委員 終わります。
○中山委員長 次に、吉田治君。
○吉田(治)委員 民主党の吉田治でございます。 鷲尾公述人に質問をさせていただきたいところですが、こういう立派なパンフレットをいただきますと、これを全部読めば答えがおのずから出てくるというので、どういうふうに質問するかというのが悩ましいところですが、まず最初に、鷲尾公述人が雇用創出ということに随分御意見を言われておりました。 私、これは鷲尾公述人だけにお願いしようかと思ったのですが、特に長谷田また原田両公述人、雇用というふうなことについて、片一方はケインジアン、また片一方は金融マンとしてどういうふうにお考えになられているのか、それをちょっと一言ずつ、せっかくの機会ですからお言葉を賜ればと思います。
○長谷田公述人 雇用は非常にここに来てきつい数字になっております。これは、経済政策の失敗からこういうことになった。当然こんなことは防げるはずのことだったわけです。もっともっと財政支出を早くからふやしておけばよかったことなんで、全くむだに労働者諸君を苦しめるようなことをしたのは、政府の政策の失敗でございます。 以上でございます。
○原田公述人 雇用問題の基本は、やはり景気を回復いたしまして、そして雇用機会をふやすということであろうと思っております。したがいまして、鷲尾さんが言われたような対応策とともに、私は、海外からの資本を日本にもっと誘致するような体制をとって、新しい企業を創設していき、雇用創出にもそれをつなげるというふうなことも考えるべきだろうと思うわけであります。 しかし、やや中長期的に見れば、日本の雇用問題というのは、二〇〇五年とか六年とかいう時点になりますと、いわゆる労働人口なども減ってきまして、雇用問題がそれほど深刻にならないという認識を持っております。
○吉田(治)委員 原田公述人のお話は、公述人の方にこういうことを言うのは失礼かもしれませんけれども、雇用さえ守られるんだったら雇い主はだれでもいい、もうけは海外に持っていかれてもいい、一部そういうふうな意見にも聞こえてしまう可能性があるということは私としても感じさせていただく中で、鷲尾公述人、雇用対策会議という形で、九八年九月、労働省、通産省、連合、日経連という形でされた。そして、九八年十二月に、連合、日経連の方で要望を出した。今具体的な数字がるる出されております。しかしながら、本年八月、また本年度末までに百万人というお話をされておりましたけれども、この予算委員会においての議論に際して、百万人といっても、余り具体的な数字が役所の方から出てこない。 今公述人の方からは、御意見として、いや、予算をそれぞれ見ていけばというお話がありましたけれども、具体的にこの辺のそごというんですか、せっかくの対策会議を開かれておきながらそういうものが出ないということについて、どういうふうにお考えで、またどう対応されるのかということをお聞かせいただきたいと思います。
○鷲尾公述人 昨年の雇用対策会議等でも議論がされましたのは、この雇用対策会議で一兆円の雇用対策関連予算をつけるというのが、小渕総理、冒頭に出席されたお約束でございます。そういう意味からいうと、三千億円の予算措置ができておりますけれども、残りの七千億円についてはまだ一般会計での予算措置がされていないということでありますから、これをそれぞれのこれまでの予算要求に照らし合わせて、どの程度人数を創出することができるかどうかということだろうと思います。 例えば、先ほど教育関連の問題が出ました。これが今私どもの手元にある一番具体的な文部省の予算でございまして、平成十一年の予算案における雇用関連施策として、例えば心の教室相談員を七千五百人ふやすとかということは、これはお金がついてこの人数が出ているわけです。文部省の予算の中でずっと積み上げますと一万三千人になるんですね。ところが、当初の我々の主張からいうと、もう少しその点について人員の予算措置をすれば十万人ぐらいの雇用が創出できる、こういうことではないかと思います。 ただし、これらの問題は、平成十一年の予算案でありますから、どうしても臨時緊急的な措置にしかならない、長期的に雇用を本当の意味で創出するには何が必要かということであります。 先ほど原田公述人の方から、いわば少子高齢化社会になって労働力人口は減っていくだろうという予測もあるわけでありますけれども、産業構造転換が進みますと、多少人数が減っても技能と設備のミスマッチが起こるんです。今一番大きな需給のギャップというのは何かというと、量じゃないんですね、質がミスマッチをしている。したがって、質のミスマッチの際には、どうしても、陳腐化した設備を廃止して新しい設備投資を起こす、新しい設備投資が起きれば、そこに技能訓練をして、もちろん、コスト的にいうと従来の工場よりも人員は少なくて済むでしょうけれども、その人たちを技能訓練してミスマッチをなくすということが長期的な施策として大事なんですね。 したがって、平成十一年の予算においても、まず基本的には将来の技術革新、そして設備や人間の能力のミスマッチを解消するということが非常に大きな課題になるというふうに思います。これは、私は、産業や経済やさまざまな問題の解決のためには、何よりも国レベルの生産性が向上して技術革新が進むということでありますから、雇用の問題もそういう観点で考えていくべきじゃないか、こんなふうに思っております。
○吉田(治)委員 今公述人のお話の中で設備投資という言葉が出てまいりましたけれども、その側面からこの予算案を考えた場合には、今るる御説明していただいたこと、それでいいというふうに理解させていただいてよろしいでしょうか。 それからもう一点は、一兆円の雇用対策費、総理が約束されたと今公述人はおっしゃられましたけれども、これは具体的に各予算にしみ込ますということなのか、それとも別建てでということでそのときは理解をしたのか、具体的な項目がそのときに何か出ていたのかどうか、その辺の御意見をいただきたいと思います。
○鷲尾公述人 まず、当時の政労使の雇用対策会議の場では、政府の側から、一兆円程度の予算をつけて雇用対策を進めるということのお話がございました。その上で、これまで、雇用特別会計まで含めて、三千億円しかしみ込んでいない。しみ込むという言葉をお使いになりましたので、しみ込んでいない。具体的な平成十一年の一般会計予算案の中には、あとの七千億は未達ではないか、こういうのが私どもの判断でございます。 したがって、四次補正を雇用対策だけでつけたらどうかという提案もさせていただこうかなというふうに申し上げたのはそういう意味でありまして、逆に言いますと、雇用対策が本当に重要であれば、現在の失業率を一%下げる、百万人の新たな雇用を創出するということからいいますと、緊急に補強的な予算措置が必要になる、そのことによって、これまでしみ込んだ分と合わせて百万人の雇用対策というのは可能ではないかというのが私の意見でございました。
○吉田(治)委員 八月までに五十万人、年度末までに百万人、その場合に、その七千億というふうなものがあれば必要十分条件なのか、それとも単に最低限必要だと、その辺はいかがなんでしょうか。
○鷲尾公述人 この点は、これからの雇用対策会議でも政府に対して主張したいと思いますけれども、何よりも、お金と人数を結びつける提案がないといけないのですね。 私どもは、全部子細に積み上げて、可能な限り私どもの立場ではやります。この予算でいけばこのくらいの人間が雇用として出てくるだろうという判断はある程度出ますけれども、まず、各省庁の予算を雇用という側面で分析していただくことが大事だ。こういう予算があるでしょう、ここには新しい雇用がこれだけつくでしょうということを出していただく、これは何よりも国民の安心感につながるわけですね。こうした予算をつければ、ああ、なるほど、新規雇用がこれだけ出るんだというのは、新聞にも載っていませんし、どこにも分析されていない。やはりそれを分析して出すことによって、こういう新しい雇用があるんだよということになれば、場合によると、失業者の方々もそうした方面に向けての自己啓発もするでしょうし、あるいはそうした就職活動もする。 情報という意味でも多様化して、ああ、なるほど、ここに教育関係の十万人の予算がついていて、これは人が必要なんだということになれば、自分は昔取った教員免許証を有効に活用しようかとかいう形で、積極的な労働力移動にもつながる可能性がある。そうなれば、基本的には、リストラをしようという企業にとってみても、そうした自動的な、自主的な労働力移動が、本人たちが喜んでやれるということになりますと、トータルの雇用環境を非常に明るくするというふうな効用があるということでございまして、これは、仮に、補正予算もできない、あるいは追加、増強もできないとしても、現在の予算の中でこれだけのものがふえるということは、今縦割りになっていますから、ぜひ省庁を追及していただいて、この予算なら何人雇用がふえる予算なんだということをぜひ国会で審議していただきたいというのが私どもの願いであります。
○吉田(治)委員 ありがとうございます。まさに、海外のテレビなんかを見ていますと、これをやることによって何人ふえるというのは必ず誇らしげにいつも発表しているというのを、今思い出させていただいているところでございます。 先ほど鷲尾公述人のお話の中で、まさに若手の組合員、多分年齢的には私ぐらいか私より未満だろうと思うのですけれども、年金のことについて、まあないからという、はっきり言いまして、そういうふうな心配というのも随分しております。税制の問題、また年金、医療保険、これが一つに重なって、現在の景気に大きな心理的な影響を及ぼさせているというふうに強く思っております。特に、中堅所得層と言われている五百万から七百万程度の年間所得の皆さん、大体私の世代ぐらい、三十代後半になると思うんです、一番お金がこれからかかっていくところでありますけれども、将来にわたっての年金改革、医療保険等々を含めて御質問させていただきたいと思うのです。 まず、この中堅所得層の税制、減税については先ほど御意見がございましたけれども、それに付加して何かあるのかどうか。 そしてまた、年金改革につきましては、先ほど原田公述人は非常に評価をされたのですけれども、経済戦略会議で書かれている内容が、予算の中に、また今後の予算案並びに法案の中にいろいろ出てくると思うのです。例えば、現在の確定給付型を確定拠出型、また、連合の皆さんは、基礎年金については税方式が将来いいのではないかというふうなお話が出ておりますが、まさに経済戦略会議の書いてあるとおりに、老後まで自己責任、最後まであんたたちは自分で面倒見るんだよ、果たしてこういうことがいいのかどうか。 また、巷間言われておりますのは、単に年金制度を変えるというよりも、金融システムを安定化するために年金基金を使っているんじゃないかという声もありますけれども、この辺について、ナショナルミニマムという視点からも連合としてどうお考えなのか。 そして、三点目、くくって申しわけございませんが、医療保険。ここ数日の新聞報道では、健康保険組合の解散を認めるというふうな形で出ておりますが、特に医療保険の中においては、今回一千二百七十億という、ある意味で医師会の横暴という言い方もあるかもしれませんが、強い要請によって、高齢者の薬価についてはゼロになる。来年の抜本的な改正を待たずにそういうことが出てくるということに対する連合としての評価というか、判断というふうなもの。 そして、とりわけ少子化についてどういうふうに考えているのか。 介護保険については、だらだら長い話になりましたけれども、これは雇用をふやすという視点と同時に、今度は、地方自治体から、いや、もうたまらぬから、ちょっと何か考えてくれという意見が、法律で決まっているとはいいながら、出ております。地方自治体に勤められている方も連合のメンバーでもございます。介護保険についてどういうふうに考えているのかということ。 たくさんの話ですけれども、まとめてお答えをいただきたいと思います。
○鷲尾公述人 まず、減税の話から始めたいと思いますが、連合のまず今回の税制の考え方でありますが、納税者の八割を占めている年収七百万以下に焦点を当てながら、下からの税率の引き下げの税率構造見直しを中心にしなきゃいけないというふうに考えております。 また、中低所得者層も将来にわたって減税になるように求めているというのが、恒久的か恒久減税の私どもの主張の内容でございます。 そこで、そうした中堅層の減税ということで所得対策を考えることによって、恐らく少子高齢化社会にもそうした税制を通じての対応は可能だというふうに思います。 それ以外にも、先ほど申し上げましたが、児童手当の抜本拡充などの少子化対策は、最後の御質問を先に申し上げることになりましたけれども、ぜひ必要なのではないか、このように考えているところでございます。 次に、年金改革の問題ですが、今御質問の御趣旨にありましたように、四〇一Kのような方式をとろうというのが経済戦略会議に出されているのですけれども、今何よりも年金改革で重要なのは、セーフティーネットとしての役割をどのように確保するかという問題であります。いわば基礎的な、国民だれしもが受ける権利のある年金制度をどのように充実していくか。その上にプラスアルファする部分について自己責任であるかどうかというのは、議論の対象には十分なるというふうには思いますけれども、まず何よりも今一番大事なのは、国民の若い人の不安というのは、基本的にだれもが国民として受けるべき年金制度が空洞化して崩壊してしまうのはいかがなものかという議論でございます。 したがって、税方式というものについてもさまざまな議論は確かに連合の中でもございます。しかしながら、私どもは、安心感、安定感ということからいいますと、別に大きな政府をやみくもにねらうわけではありませんけれども、ある安定した制度をまず設定した上で、その上で、プラスアルファについては自己責任なり、あるいはさまざまな方式、外国にあるような方式を考えなければいけないというふうに思います。 それから、その問題でいいますと、いわば四〇一Kのような制度を導入する場合には、何よりも社会的な参加システムがなければいけません。現在の厚生年金の運用についても、実は半々で労使双方が出しているわけでありますけれども、年金の運用について、拠出をしている労働者の意見がさまざまな政策に必ずしも反映していないという嫌いがございます。 したがって、こうしたものの社会保障全般に言えることでありますけれども、やはり負担をしている人たちが政策決定に直接的に参画できる、もちろん政策制度で決める部分が多いわけでありますが、それ以外に、もし自己責任ということであれば、その自己責任といっても一人一人で単身にやるのは能率が悪いわけでありますから、何らかの制度をつくらなければいかぬ。その制度の運用については、そうした拠出する人たちが本当の意味で参加し、その制度決定には大きな影響力を持つということでなければいけないということであります。 いわば公的な制度から共助の制度に移る際には、どうしても民主的な討論というものが必要でありまして、ステークホルダーアプローチというのは、単なる株主の問題だけではなくて、さまざまな社会のシステムの決定上からいって大切なことである、このようなことが基本にならなければいけない、こういうふうに思っているところでございます。 また、医療改革の問題でございますが、先ほどは少し話を省略してしまいましたが、特に高齢者医療の問題が議論になろうかと思います。 私どもは、老人医療の問題については連合案というものを持っております。これは十一ページに絵がかいてございますので、ぜひごらんいただければ大変ありがたいと思うのですが、現行は、ここの左側に記載してございますように、国保と被用者保険。被用者保険は、御存じのように共済と組合健保と政管健保と三つございまして、老人医療は、国保の上にかぶさるような形で、六十歳、七十歳の段階で公費負担になっておるわけです。これが、それぞれの被用者健保にも負担がかぶさっているというところに大きな問題があるわけであります。 私どもの連合案は、これを縦で貫いて、右側にあります黄色い部分が退職者健康保険ということで、仮称でございますが、六十歳以上の者を被用者保険の延長線上に乗せて費用分担をしていくというような方法を考えるべきじゃないか。現行の老人保健制度を廃止し、退職者が被用者健康保険に継続加入する保険制度を創設するということが大事なんじゃないか、このように考えているところでございます。 次に、介護保険の問題でございます。 これは現在準備中で、地方、市町村、この介護を担当するグループというのは非常に頭が痛い問題だというふうに私どもも把握しているところでございます。 まず、介護保険制度をスタートさせるためには、何よりも新ゴールドプランというものがあるわけでありますから、これを完全達成することによって供給体制を整備するということが大事であります。 また、国の積極的な財政支援策でありますが、これは、延べにやりますとこれまた国がやるのと同じでありますから、離島や過疎地域などの民間事業者の参入が困難かつ財政的基盤が弱い地域に対する積極的な支援政策が必要だと思います。今までは、過疎地に対する支援政策は、公共事業では非常に手厚くやるのでありますけれども、こうしたものに対する手厚さというのが欠けている、こういうふうに考えるところでありまして、この点については国民的合意ができるだろう、こんなふうに考えております。 また、介護サービスの質的向上の中には、介護サービスに従事する労働者の労働条件も非常に大きな問題になります。 今、非常に過酷な労働で、労働条件が低い中で、介護、医療の労働者は働いているわけでありまして、こうした方々の処遇改善なしには介護サービスの質的向上を図るわけにはいかない。 したがって、よく言われることでありますけれども、労働力の需給ということから考えますと、これは需給ギャップが一番大きいところでありますから、マーケット的にいいますと、需給ギャップが大きいから本当は値段が上がらなくちゃいけない。しかしながら、なかなかこの値段が上がらないというのは非常に大きな問題でありまして、こうした部分については、やはり国の政策、地方自治体等の戦略的な政策が介護保険については大変重要なのではないか、このように考えているところであります。 漏らしたものもあるかもわかりませんけれども、おおむねお答えができたんじゃないかと思います。以上です。
○吉田(治)委員 一点聞き漏らしたのですけれども、例の七十歳以上の薬剤費無料化についての連合のお立場。 それから、先ほどの公述の中で、最後に財政改革のことを、直間比率の見直し等を含めて申されました。財政改革というのは単に財政改革ではなくて、行財政改革とよく言われておりまして、法案がいろいろできて、これからも議論になっていくと思いますけれども、連合として、この行革というものを今後どういうふうに進めていくというか、出す方のお金、歳出というものを考えると、先ほどのお話の中では、ちょっと具体性という部分が足らなかったかなという感じもいたしておりますので、その辺を含めて御意見をいただければと思います。
○鷲尾公述人 まず、高齢者の薬代の負担の問題でありますけれども、審議会の審議を無視してごり押ししたものだというふうな認識をしているところでございまして、これは私ども反対でございます。したがいまして、もうちょっと合理的な討論をした上で議論を進めるべきじゃないか、こんなふうに考えているところであります。 次に、財政構造改革の面で、行革についてどう考えるかということであります。 私は、行政改革の基本がまず小さな政府にあるという大きな方向性について反対するものではありません。そして、何よりもまず大事なのは、行政サービスが多様化をしているという部分もございますので、地方分権というのは地方主権という形でまずあって、それが進んだ後で残ったものを、国がどうしてもナショナルレベルでのセーフティーネットを張るためにこういうものが必要だという議論の順番があるんじゃないかと思います。したがって、まず地方分権、地方主権というものを議論して、地方に移せるものは移して、残りを中央で行う、こういうことの基本的な議論がやや欠けているような気がいたします。 しかしながら、第一歩だと思いますけれども、行政改革関連の法案が今回提出されますし、地方分権についても、具体的な審議が今国会で行われるというふうに考えております。その際に、私は、例えば地方分権をする場合に、地方における住民の行政サービスのニーズは変わっているし、新しいニーズがあると思うんですね。 したがいまして、この問題については、よく、連合の中で、官の組合員と民の組合員と離反していて意見がまとまらないというお話がありますが、私どもはそうでないんですね。民間の経験を生かして、トータルとしての雇用をやはり守っていくというのを労働組合の立場として大事にしながら、しかし、かつて民間の企業が合理化をするためには、企業内においては労働力のミスマッチを解消して、配置転換や転勤をすることによって新しい消費のニーズに対応したわけですね。行政サービスも同じでありまして、行政サービスの新しいニーズがあるわけでありますから、その中で雇用を確保しながら、できるだけ本人たちの能力のミスマッチを解消することによって、雇用対策を一方でやりながら、行革という小さな政府、コストパフォーマンスをよくする、こういうことが一番大事なんじゃないかというふうに思っております。 以上です。
○吉田(治)委員 もう時間もないので、聞き漏らした点だけをお聞きしますと、経済戦略会議の評価というふうなものを、ちょっと私、公述人からお聞きしたい。 中間報告が出ましてこれから取りまとめ、通例でしたら、こういうのに労働界代表というのがよく入っておられるんですけれども、今回は入っておられないという中で、そういうことは関係ないと思うんですけれども、評価というのをどういうふうにされるのかということ。 それから、これはこの公述と関係あるかどうかわからないのですけれども、雇用ということを随分言われましたので、よく、春闘の中で、雇用か賃上げかというのが議論になっておりますが、これについて、どういうふうに今こういう雇用状況の中でお考えになられているのか。 この二点、最後にお聞かせをいただきたいと思います。
○鷲尾公述人 経済戦略会議の委員の先生方の基本的な議論は、経済学で言うと、新古典派グループの経済学理念によって立っているような気がいたします。 私ども組合も、欧米も含めて、労働運動の中で市場経済というのは選択しています。今もって社会主義経済と言っているところは余り先進国ではないわけであります。しかしながら、私たち、国際労働運動の中での合い言葉は、市場経済は選択しているけれども、社会の運営原則までマーケットではない、市場社会は選択していない、こういうことでございまして、経済戦略会議の議論は、どうやら社会の運営も市場経済でやるというふうに私どもは思えてならないわけでありまして、そうした意味での議論をしていただくことが大事なんじゃないか、こんなふうに思っています。 それから、第二番目は、雇用と賃金がマクロレベルでトレードオフの関係にあることは間違いありません。しかしながら、それでは、賃下げを一割ぐらいしたら倒産を免れるかというと、そんなことはないんですね。私どものこれまでの経験でも、賃金を下げたからといって雇用が守れるということはない、また、賃金を上げたからといってそれだけで倒産するということも少ないわけですね。 ですから、大きなマクロレベルではトレードオフにありますけれども、賃金も雇用もある程度企業が活性化すれば守ることはできるし、そう言っちゃなんですが、だめなときはどう踏ん張ってもだめになるということでありまして、その場合には、やや後ろ向きですけれども、失業対策や企業対策を行うということが大事なんじゃないかと思います。
○吉田(治)委員 どうもありがとうございました。 各公述人の皆さん、大変ありがとうございます。終わります。
○中山委員長 次に、太田昭宏君。
○太田(昭)委員 公明党の太田昭宏です。きょうは大変ありがとうございます。 長谷田先生にお伺いをいたしますが、先ほどお示しをいただきました資料、私は、大変興味深く、意義のあるものだというふうに御指摘を受けました。 私も、実は、こういう場での論議では、一昨年の四月からの消費税の上げ、七月の特別減税の打ち切り、九月の医療費の値上げ、そしてとどめを刺すような財政改革法というのが今日の不況をもたらしたということについては、この場でも随分言ってきたわけなんです。 しかし、同時にまた、ちょうど二年三カ月前ぐらいに、BIS規制というものを意識して、ちょうど衆議院選挙のころでありましたけれども、早期是正措置の委員会というのができまして、九月三十日だったんですが、そこで貸出額が急落します。中小企業の生産が急落します。ちょうど山一、三洋のときにまた同じように急落します。昨年の七月から九月期がまた急落します。三連発で、そういう一方では貸し渋りとか資金回収、一方ではそうした緊縮財政、そして具体的な消費税等の上げということで締めつけながら、まず中小企業が崩落していくという過程が現在の状況だというふうに認識をしているわけです。後からちょっとこのことについては御質問させていただきます。 しかし、よく考えてみると、長谷田先生の御指摘のように、一九八二年、この年がピークになって、消費性向というものが、それまでずっと上がったのが下がっていきまして、そしてついに七一・三%というところまで来た。ちょうどその一九八〇年代前半というときは、振り返ってみれば、衣食足りて礼節を知るという言葉がありますけれども、衣もまあ十分になった、食も十分でしょう、いよいよこれは住という方向に向かって、豊かな国民生活、豊かな空間と。 今ごろになって生活空間倍増計画なんということを政府は言っておりますけれども、実はそのときに大きくシフトをすべきだったのに、一九八五年ぐらいのプラザ合意、そして円高不況、そしてバブル、そしてバブル後のあたふたした財政的な手当てのあり方、金融の余りのおくれ、こういうことで今日まで来ているということを考えますと、一九八二年とこの数値では出ておりますけれども、ちょうどこのときから、豊かさということや、あるいは人の価値というものは一体何であるかというようなことに日本はもっと戦略的にシフトをすべきであったというふうに思っておりまして、全く先ほどの御指摘は同感でございます。 そういう意味では、消費税とかそういうことだけの問題というのは、それはちょうど回復しかかった日本経済に冷水をぶっかけたというようなことで、せっかく三・九%あった経済成長率がここまで来ちゃっているわけなんですが、根本的には、個人消費というものが一体何ゆえに八〇%から七〇%に落ちてきているか、ここのところをどう温めるかという、もっと息の長い私は戦略が大事だというふうに思います。 そういう意味では認識は同じなんですが、そこで、私は、まさにそこは住宅であり、そして町づくりであり、そして都市をどう変えるか、そういうような点が一番大事なポイントだというふうに認識をしておりますが、先生、いかがでしょうか。
○長谷田公述人 おっしゃるとおりでございます。 せっかくのこれから住宅を拡充していこう、衣食足ってこれから住宅というところでもって住宅の方に回らなかったのはなぜかというと、それはバブルの発生でございます。バブルの発生のために地価が物すごく上がって、到底、住宅がサラリーマンの手の届かないところに行ってしまった。 なぜか。これは、外圧、もう当時から、日本の経済運営については、諸外国、特にアメリカから非難が常に来ておりました。要するに、もっと内需拡大をしろ、それには財政を使ってくれと。八〇年に入りまして、円高不況、そして、やがてそれに対するアメリカの要求から、結局この外圧を金融だけに任せたということが、これが日本の現在の禍根の原因でございます。あそこで財政を使えば何のことはなかった。 財政を使わない、これは、私ども大体、大蔵省が悪いんだ、こういうふうに単純に考えていたんですけれども、ここまで参りまして、国民全体が、要するに国債は悪である、こういう信念を持っておるものだからこういうことになってしまったんで、それで私は、これは大変な問題だなと思って、そして、やっとここでもって、消費税だけでもやめてしまえばちょっと国民の気分を変えることができるんじゃないかな、暴論と思われる方もあるかもしれませんけれども、そういうふうに申しました。 今御指摘のとおり、住宅の方に移れば、ということはバブルを発生させなければ、ということは超低金利。今の低金利は〇・二五です。東京マネーマーケット、オーバーナイト〇・二五。こんなのはもうとんでもない水準、ゼロと同じですね。当時の低金利は二・五%、公定歩合二・五%です。これを三年か何か続けたんです。二・五%は、公定歩合としては当時として法外な低い値、緊急的な値であって、半年、せいぜい一年でもってもとに戻すべきだ、こういう高さの利子率でございます。ところが、それをたしか三年以上続けたわけです。それでバブルが始まったわけです。 ですから、バブルというのはそこから始まったわけです。そこで、おっしゃったとおり、国民のせっかくこれから住宅と、それをつぶしてしまったということが今日の禍根の始まり。まさにこうなんですね。低金利政策、二・五というのを続けたことからこういうことになっちゃった。 アメリカの圧力を財政出動でもってかわしていけばよかったんです。それをやらなかった。しかも、それは決して大蔵省だけの政策ではない、大蔵省も、国民が皆国債は嫌いだということでしようがなくやったんだ、私はこういうふうに考えております。 ですから、国民の気持ちを何とか教育していかなきゃいけない、できることかできないことかわかりませんけれども、エコノミストとしてあるいは教師として、私はそれを一生懸命やりたい、こう思っております。
○太田(昭)委員 まさに住宅ということにシフトすべきときに、一番大事な土地が投機の対象になっていったという、一番やってはならないということの中に今日の状況があるんだというふうに私は思います。 そこで、先ほど原田先生もおっしゃいましたが、それでは一体どこにターゲットを示して我々はやっていくか。一つは、住宅というのは即効性、もう少し大がかりなシフトをとらなくてはいけないと私は思っておりますものですから、町づくりとか、都市を変えていくという、そちらに大きな戦略性を持っていかなくちゃいけないということを考えているわけなんです。 同時に、先ほど先生は、情報通信へのシフトということについて、これは、私は非常に欠けているというふうに思うんです。ここも非常に中途半端で、長谷田先生おっしゃったように、おっかなびっくりやっているようなところがあるのか、あるいは従来型を積み上げているというところがあるのかもしれませんけれども、よく調べてみますと、この情報通信ということについてどれだけの予算が組まれているかといいますと、特別枠で一千億なら一千億積んだところ、数えてみると百八十七億しか使われていなかったとか、あるいはネーミングをこの情報通信というところに入れ込んで従来型を積み上げたとか、そういうことがあるわけです。 再度聞きますが、長谷田先生と原田先生、今度の予算というものは、そういう意味では、政府としての戦略性ということについて、情報通信あるいは生活空間倍増、これは甚だ私は中途半端であるということを申し上げたいんですが、お二人の御意見をちょうだいしたいと思います。
○長谷田公述人 おっしゃるとおりでございます。 これは知恵の問題じゃないと思います。やはり従来の枠というものを破ることができないということで、さっきおっしゃった、たった百八十七億、こういう数字が出てしまったということだと思います。 ですから、これはどんどん先生方が努力してこれを拡大して、そして、いわゆる新社会資本という何年か前にいい言葉が出たんですが、あっという間に消えてしまいましたが、新社会資本こそ今のやるべき公共事業でございます。
○原田公述人 今御指摘の点につきましては、私もほとんど同感でございます。 今までの橋、道路というものは、地方を見ましても、かなりの程度まで充足してきていることは事実でございまして、今後においては、やはりその優先順位というものを考えまして、生活環境そして情報通信等を中心にした投資にできる限りシフトしていくという姿勢が、今後の予算編成においては必要であると考えております。 特に、その中でも設備投資を何とか盛り上げる、老朽化した設備を除去するとともに新しい設備投資を盛り上げていくということが非常に重要であります。私は、このことが、アメリカにおいて、一九九二年くらいから以降におきまして、アメリカ経済が非常にダイナミックな腰の強い経済になった基本的な要因であるというふうに考えておるわけでございまして、最近では、アメリカの設備年齢の方が日本よりか若返る、つまりアメリカと対比すると日本の設備が老朽化してしまっているという状況になってきているわけであります。 したがいまして、この意味では、住宅環境の整備とともに、何としても民間の設備投資を盛り上げるようなところに重点を置いた、それこそ戦略的な財政政策がとられるべきであろうと考えております。
○太田(昭)委員 せっかく先ほど長谷田先生に地域振興券のお話をいただきましたから、私は、ここでも総理を初めとして答弁をいただいたんですが、小さく産んで大きく育てる、そういう話をこの場でいただいたわけです。 現実に、現場の知恵を生かすといいますか、そういうことが消費を拡大するということは非常に大事だ、今回は結果はまだ出ておりませんけれども、そういうニュアンスが非常にするわけです。国民の知恵とか現場の知恵というものをもっと生かす、そういうことで、景気刺激の春一番というようなことを私たちは言っているわけなんですが、いかにも七千億円は少な過ぎた、こう思っていますが、この点について、いかがでしょうか。
○長谷田公述人 おっしゃるとおり、七千億円では、本当に気は心。まあ、景気は気だから、そこから始まるということはいいでしょうけれども、しかし、そこのところはやはり大魔神まで出していただきたい。その大魔神は、地域振興券十兆円出せるんならいいですが、私は、やはり消費税のストップでやっていただきたいということでございます。
○太田(昭)委員 もう時間がありませんから、鷲尾さん、雇用というのは非常に大事なんですが、全くこのパンフレットどおりで私も同感なんですが、通産等が出しております十五分野、まあ、言っているけれども、現実にどれぐらい進んだのかさっぱりわからないというようなこともありまして、これについての御意見。 それから自助、共助、公助というそこの部分で、何でも国がやるわけじゃない、共助という部分については、政治家も、あるいは組合も、これからどういう社会を想定するかということが非常に大事だと思いますが、NPOとか共助の部分とか、そういうことについて。十五分野のこととそのことについて、ちょっとお聞きします。
○鷲尾公述人 まず、十五分野の問題については、計画はすばらしいと思います。しかし、先ほどの公共投資について、情報通信関連の公共投資を重視しなきゃいけない、光ファイバーの敷設をしなきゃいけないというような具体的な予算化がなかなか進んでいないというところに問題があると思います。したがって、これは中長期的な課題として基礎的な投資をすることでないと、十五分野がそれだけ成長することはないだろう、こういうふうに思います。 それから、公助、共助、自助の問題については全く同感でありまして、私たちは、一〇〇%自己責任ということは難しい、しかしながら、公助というのは能率が悪いということについても十分認識をして、これは基本的には、ともに助け合うという共助という言葉のとおりに運営をしていくことが大事じゃないか、社会保障なんかもその一番大きな要素だというふうに思っております。
○太田(昭)委員 終わります。
○中山委員長 次に、大森猛君。
○大森委員 きょうは、各公述人の皆さん、大変御多忙の中、貴重な御意見を賜り、本当にありがとうございます。日本共産党の大森猛でございます。 極めて短時間でありますので、簡潔に、単刀直入にお伺いをしたいんですが、まず原田公述人に、予算編成後の新たに議論されておる問題として、国債の日銀引き受けの問題、先ほど二、三回言及されたわけなのですが、その中で、日銀の直の引き受けは麻薬のようなものだ、こういう御発言がありました。麻薬のようなものであれば、これは厳禁をしなくてはならないということになるわけですが、おっしゃった御発言の趣旨について、まずお聞かせいただきたいと思います。
○原田公述人 今回の問題が急に出てまいりました背景は、これは長期金利の急騰ということが背景にあったわけでありますけれども、この日銀の直接引き受けという問題と非常に類似しながら本質的に私は異なると思いますのは、市場を通して国債が消化されるという場合と、それから市場を通さないで日銀自身が直接引き受ける場合では、これは全く意味が違うわけであります。 例えば、公共投資を五兆円ふやす、それが直ちに日銀の国債引き受けによってその資金が充当されるということになれば、これはやはり、いわゆるモラルハザードという問題にもかかわってくるわけでございまして、御承知のように、財政法第五条において禁止されているわけでございます。 したがいまして、これを一回やれば、確かに当面のところはかなり景気がよくなってまいりますけれども、しかし、その後の歯どめというものがきかなくなってまいりまして、それこそドイツにおけるナチスの時代であるとか、あるいは昭和十年ぐらいから始まりました日本のインフレ政策などを考えた場合には、やはりコントロールのきかないような方向になる日銀直接引き受けには全く私は反対でございます。 その結果として大変なインフレ経済になってまいりました場合には、結局一番大きなダメージを受けますのは、これはお年寄りを中心にしまして年金等で生活をしている方々に影響力が出てくるというふうなことも含めまして、このやり方は賛成できない。私は、まさに麻薬と同じで、そのときには一時的には大変快調になるのだけれども、先行きこれをやめることは極めて難しいという状態が比喩として言えるのではなかろうかと考えます。
○大森委員 同じく原田公述人にお伺いしますが、公共投資について、従来型の公共投資についての批判的な見解を先ほど述べられたわけでありますけれども、この点で、一つは、宮澤内閣以来の数十兆円にわたる公共投資が国及び地方自治体の今日の財政危機の大きな要因になったという見解をとられるかどうか。 それからもう一点が、これは私どもも国会でもたびたび取り上げてきたわけなのですが、政府、研究機関も含めて、特に福祉的公共投資と従来の建設的公共投資、生産誘発効果あるいは雇用の拡大効果の面で、福祉的、社会保障的な投資の方が効果は大きいのじゃないか、これはもうかなり一つの結論として確立されてきているのじゃないかと思いますけれども、その点の御見解をお聞かせいただけたらと思います。
○原田公述人 おっしゃった点は、私もそのとおりであろうと思います。 公共投資自体がどういう内容のものであるかということによりまして、これがどれだけの生産誘発効果をもたらすかということは学会等でもいろいろ議論の分かれるところでございますけれども、しかしながら、地方におきまして、建設関連業者を初めとする企業にとって公共投資が非常に大きな効果をもたらすということは、これは否定できない状態であろうと思います。 しかし、問題は、私先ほど来申し上げておりますように、このような形で一時的に雇用をふやす、需要がふえたといたしましても、それでは一時的なものでありまして、結局は、民間の設備投資なりあるいは個人消費に火がつかなければ、私はいわゆるポンプの呼び水効果と言っておるわけでありますけれども、公共投資で入れた水が地下水と結びついて初めて豊かな地下水がとうとうと流れ出すということでありまして、そういう視点からの政策対応というものがなければ、恐らくこのままいった場合には、再びことしの秋口くらいから需要がなくなって、さらに国債発行を増発して公共投資をふやさなければいけないというふうな、ある意味の悪循環に陥る可能性があると思います。その意味では、従来とは視点を変えた財政政策というものを行うべきだと考えます。
○大森委員 財政危機との関連の問題もお聞きしたかったのですが、時間もありませんので、次に、鷲尾公述人にお聞きをしたいと思います。 先ほど、雇用問題を第一に据えるということ、私も大変共感をするものであります。特に、今日の消費の落ち込みの大きな要因の一つに、やはり社会保障の将来不安と雇用不安がある、これは広く指摘をされているわけでありますけれども、そういう中で、例えば百万人雇用創出、これもこういう形でいろいろ提起していく、非常に重要なことであると思います。特に、その点で重要なことは、どこがその費用の問題も含めて果たすかという点ではないかと思います。 先般の当予算委員会でも私取り上げたのですが、例えば、最近フランスでは、公共部門で三十五万人を雇用する、そういう法律をわざわざつくって、その賃金の約八割を国が助成していくという具体的な施策を進めているわけでありますけれども、そういう公共部門での雇用の創出ということも含めて、これらの点についての御意見をお聞かせいただきたい。
○鷲尾公述人 ただいま先生御指摘のフランスの例でありますけれども、私どももフランスの実例を調査いたしました。その中では、公共部門、特に治安の悪化したパリを中心にして警察官の増員を図るというような雇用対策を打ってでも、雇用安定を図るということが出されたわけです。日本の場合、そういうことが必要かどうかということは、そのまま引き写せませんけれども、そのくらい雇用を守ることを大切にするということが実は重要なポイントではないか、こんなふうに思います。 ただし、もちろん、ただいたずらに公共部門で財政的な負担を抱えるということ自体は慎重にならざるを得ない。大変矛盾した言い方ではありますけれども、そのバランスを考えた上で、国民の行政サービスのニーズに合わせた雇用をつくっていくということが大事なのじゃないか、こんなふうに思っております。
○大森委員 鷲尾公述人に、時間の関係で、続けて二問お聞きしたいのです。 一つは、雇用不安との関係で、特に今日私が懸念していますのは、日本において雇用流動化政策がとられているわけなのですが、先般は、アメリカのAFL・CIOのスウィーニー会長が日本に来られて、アメリカにおける労働者のいわば陰の部分について、かなりリアルに報告されたものを私も拝見したわけなのです。この雇用流動化政策、これについて、日本の連合の文書でも、これは労働の多様化ではなくて二極化だというような指摘をされたのを拝見したことがございます。 そういう点で、こういう雇用流動化政策についての公述人の基本的な御見解と、その雇用流動化政策の今最も具体的な表現として、派遣法の新たな法案が先々国会から出されているわけでありますけれども、同じく連合の関係の文書では、派遣従事している労働者の保護の問題で不十分だ、あるいは、先ほどいただいたパンフレットでも非常に共通する指摘もたくさんあるように見受けました。連合の関係では、それらの面で、場合によっては廃案も辞さないで対処するというような文書も拝見したのですが、その点での基本的な御見解を。 もう時間が終了したそうでありますので、大変悩ましいところでありますけれども、私の質問は終わりたいと思います。
○鷲尾公述人 舌足らずになるかわかりませんけれども、一言で申し上げたいと思います。 まず、大きな産業構造転換が起こって、雇用が多様化したり、あるいは違った雇用に移らざるを得ないという状況は逆流させることはできないと思います。いかにそのミスマッチを防いで新しい技術革新のもとでの雇用をつくり上げるかということが、まず大事であります。そのためには、先ほどもちらっと申し上げましたように、失業なき労働移動が本当にできるような労働者保護ができるかどうかが第一点の問題です。 第二点の問題は、派遣法の問題でありますが、これも労働者保護が欠けていくような派遣法の改悪については断固反対していかなければいけない、このように思っております。
○大森委員 ありがとうございました。
○中山委員長 次に、濱田健一君。
○濱田(健)委員 三名の公述人の皆さんには、本当に長時間御苦労さまでございます。 時間が少のうございますので、二問ほど質問させていただきたいと思います。 長谷田先生が資料を提示しながら、やはり消費税の凍結が景気の回復に一番の大きなインパクトを与えるんだと、消費性向を示しておられます。 各年度のプラスマイナスを見てみますと、消費税が導入される以前も、八〇%の時代から七〇%、ずっと低くなってきているわけですけれども、各年度を見ると、プラスになってみたりマイナス一になってみたり、それぞれあると思うのですね。ここ四、五年見てみても、去年からことしが〇・七マイナスという形で記録をされているようですけれども、消費性向の低迷というのは、ばらつきがあっても、消費税のあるなしにかかわらず下がってきているというふうに、私はこれで読み取ることもできるんじゃないかと思うわけでございます。 それで、私たちも、旧社会党の時代に、消費税の問題、物すごく取り組んだわけでございますが、今の景気の状況を見ていたときに、今までもいろいろな論議がありましたとおりに、年金や介護や医療、子育て、教育、そして環境へのお金の使い方、これらに対する不安感というのが、幾ら減税してみても、消費税のことを言っても、ぬぐい去れないものだから、じっと我慢しているというのが、大きな動きの少なさにつながってきているというふうに思うわけでございます。 今回、自民党さんと自由党さんが連立を組まれる中で、消費税を目的化する。目的税とすると、やがてどんどん経費が上がりますので、先生がおっしゃるように一〇%にも二〇%にもしていかなくちゃならないという問題点を含んでおりますので、目的化とされました。これは私も賛成です。七・四兆円ぐらい所要額がかかる。足りない部分は当然一般の、消費税も目的税じゃないですから、一般会計の中にぶち込まれておりますので、ほかのお金を使うということでございました。 私が言いたいことは、お三方にお尋ねしたいのですが、消費税を今下げるというよりも、やはりこの税は、十一年前に導入されるときに、少子高齢化時代に資するための税として使おうじゃないか、だからいただきたいという趣旨だったと思うのです。それがようやくそのようになってきた。 だから、そのように使って、プラス、長谷田先生が一〇%にやがて上げるんだということを言うと、下げたとしても、いや、また上がるからだめだよというふうになってしまいますので、やはりこれはこのまま使うということにして、公共投資を含めた部分から、教育とか医療とか環境とか年金、介護、これらの部分にもっともっと金をつぎ込むという、予算の組み替えといいますか、そういう方向性というのを出したときには、国民の皆さん方の安心、安全のマインドが膨らんできて金も動く、金も使ってみようかというふうになるんじゃないか。私はそう思っておるのですが、先生方お三人、順番に、いかがでしょうか。
○長谷田公述人 数字をどう解釈するか悩ましいところですが、ここへ来て、ともかく、九〇年不況と言われるようになってから一貫して下がっているということは、やはり一つの事実として重視したいと私は思うわけです。 そして、今おっしゃった、ほかの財政支出、施策でもってこの低下をとめることができるんじゃないか、こういうお考えだと思うのですけれども、それはもう十分にやってこられていることです。やっていないとは言えないんです。ここへ来て、そういう施策が不十分なために、国民がますますいじけて、そして将来不安からやみくもに貯蓄をするようになったということはないと思います。 衣食足って礼節を知るというところで、さっき太田さんが言われたのですが、これから住宅に入ろうというところでもってバブルが起こっちゃって、住宅に回らなくなっちゃったということは非常に大きなことで、あれは太田さんの正しい指摘だと思うのです。低金利が悪かったということですね。ですから、バランスのとれた消費というものが構成されていれば、この低下はなかったかもしれません。しかし、そういう消費のかなり大きな部分を占める、そしてこれから伸びるべき消費の部門に対して、バブル経済というものでもって大打撃を与えてしまった。 そのバブルを起こしちゃったというのは、これは、皆さん方が国債を出すのを嫌がって金融に頼ったからこういうことになったので、あそこで財政政策をしっかりやっておけば、皆さん、いい住宅を持って、そしてさらにいい車、大きな車を使って、アメリカ並みの経済へ、こういうふうに行けたかもしれないのです。 ですから、私は、ひとつ皆さん方の消費をここでどんと力をつけたいと。ともかく、私が申しましたように、今、サラリーマンでもって三〇%貯蓄しちゃって、それでそれなりに楽しく暮らしているんですから、経済自体に何の問題もないんです。改革の必要も何もないのです、私の考えでは。やり方だけの問題です。 ですから、そのやり方の何が悪いかというと、太田さんがさっき指摘されたように、消費を、これから住宅というところで、住宅の方に行く、その金を使うのをとめてしまった。ですから、私は、ここでひとつ、学者の言うことですから理論的な仮説にすぎません、しかし試みる価値はある、また試みる必要があると思って、消費税のストップを申し上げている次第です。
○原田公述人 現状における消費性向が非常に落ち込んでいる原因は、私は、一つは先行きの雇用不安の問題でありまして、鷲尾さんがいろいろな形から説明されたとおりの問題がある。それからもう一つの点は、やはり財政面から、これだけ大盤振る舞いをする九九年度の予算が出た、この結果として、近い将来においては再び大増税路線になるんではないかという危機感がございまして、そのときの雨降りに備えて貯蓄をしようではないか、こういう消費者行動が基本にあるからだと思うわけであります。 その意味で、私は、冒頭の公述においても若干申し上げたわけでありますけれども、やはり今やるべきことは、福祉問題と結びつきました消費税率は私はこれは妥当だと思いますけれども、それ以外の分野につきましての大増税路線はとらない。そして、どうやってこれからの財政再建を果たしていくかといえば、それは徹底した小さな政府を目指し、そして財政構造改革を進めていく。いわゆる出る方をいかにしてコントロールしていくかということを徹底して、大増税路線はとらない、この基本路線をとる以外にどうやら道がないように思います。 少しくらい景気がよくなりましても、いわゆる循環的な意味からの改善はありましても、今の構造的な、ここまで大きな赤字ができてしまった、突出した我が国の財政の悪化という状態に対しては、これからよほど長期にわたって、先生方も、政府も、それから財界も、国民も、本当に苦しい痛みと血を流すようなものに耐えながら、これを是正するというコンセンサスを持つことが必要であります。 その意味では、私は、総理が国民に対して、これからの厳しさというものを徹底して訴えていただいて、ただし大増税路線はとらない、これからは小さな政府志向という構造改革を中心にして、我が国の財政改善、そしてその他の我が国におけるもろもろの問題を解決するような長期的なビジョンを打ち出していく、そしてそれを着実に実行していく。これ以外、今、二十一世紀の日本の経済をダイナミックな方向に持っていくすべは、私自身は発見できません。
○鷲尾公述人 私は先生の御提言に全く賛成であります。 ついては、消費税導入のとき、それから三%から五%のときに、私自身が個人的にも気持ちが千々に乱れていたことを思い出します。そこで自分自身を納得させたのは、やはりこれは将来の高齢化社会を迎えて、どうしても社会保障の費用、さまざまな社会的費用がかさむのだから、これは国民がお互いに分担し合わなくちゃいけないということで決断したわけでありまして、これがようやく実現したということでありますので、私が公述いたしましたように、ぜひ今年度の予算から目的税的な方式に切りかえていただきたいと思います。
○濱田(健)委員 ありがとうございました。
○中山委員長 これにて公述人に対する質疑は終了いたしました。 公述人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきましたことに対しまして、心から厚く委員会を代表してお礼を申し上げたいと思います。 明十日の公聴会は、午前十時から開会することとし、本日の公聴会は、これにて散会いたします。 午後四時三十一分散会