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145回国会衆議院1999/01/25

予算委員会 第2号

発言数
274
登壇者
26
会派数
3
開催日
1999/01/25

会議録

中山正暉自由民主党

○中山委員長 これより会議を開きます。  平成十一年度一般会計予算、平成十一年度特別会計予算、平成十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。菅直人君。

菅直人民主党

○菅(直)委員 百四十五回の通常国会、きょうから予算委員会が始まりまして、最初の質問に立たせていただきます。  一月の十八日に民主党の結成後初めての大会を行いました。その大会で代表として再選をされまして初めての国会ということになります。小渕総理も、自自連立政権、野田さんがおられますが、それが誕生しての初めての国会ということで、ある意味では、自自連立政権対民主党という意味では初めてのいわば対決というのかあるいは議論というのか、それを行わせていただきます。  つくづく思いますのは、私もこの間いろいろな経験をしてまいりましたが、やはり野党第一党が持つ責任というのは大変重いということを最近特に痛感をいたしております。民主主義というものが本当の意味で機能するかどうかというのは、もちろん政権をとっておられる与党の責任が第一でありますけれども、逆に言えば野党が、特にその野党第一党がその政権のあり方をどこまで国民の皆さんに、一体何をやっていて、それが国民にとって本当にいいことなのかどうか、それらを明らかにすること、このことが民主主義の健全な発展をいわば保障できるかどうかの、大きな役目だと思っておりまして、一層強く責任を感じているところであります。  そこで、きょうは三時間というかなり長い時間をいただいておりますので、小渕総理との討論を通して、小渕政権の性格というものを明らかにしていくと同時に、私ども民主党という政党が内政、外交、あるいは安全保障などについてどういう考え方を持っているのか、総理との討論の中で国民の皆さんに明らかにしていきたい、このように考えておりますので、どうかよろしくそうした積極的な討論に総理も加わっていただきたいと思うところであります。  まず、今の日本の状況を考えますと、ことしは一九九九年、まさに一千年単位の一つの大きな節目を前にしている、あるいは百年単位の大きな節目を前にいたしております。しかし、残念ながら今日本は非常に閉塞感に包まれていると思います。それはなぜかと言えば、いろいろなことは小渕政権になられてからもやられておりますけれども、目の前のことについていろいろ対応はする、それはそれでわかるんですが、その先にどういう展望があるのか、その先にどういう夢が持てるのか、そういう将来の展望や夢というものが国民の皆さんに実感できない、見えてこない、このことに私は今の日本の閉塞感の最大の要因がある、このように思っております。  そういった意味で、今経済対策をやるにも、あるいは金融の問題を取り上げるにも、基本的には、日本という国の根本的な構造改革というものを避けて通ることはできない。逆に言えば、構造改革をやらない限り、今のような閉塞感は打破できないのではないか、このように感じているところであります。  こういった前置きはこの程度にさせていただきまして、具体的な問題に少し入っていきたいと思います。  まず、自自連立政権というものについてであります。  衆議院も、あるいはこの予算委員会も、衆議院でいえば、与党が自自連立によって三百人を超えた、予算委員会五十名のうち三十名が与党の議員になったそうであります。しかし、一体、この自自連立政権というのは、国民が選んだ政権なんでしょうか。  たしか二年前、衆議院選挙をやったときに、そのときは自社さ政権でありました。橋本総理でありました。そして、現在の与党自民党が獲得をした議席は二百三十九であったはずです。つまり、現在与党に入っている三百名余りの衆議院議員の中で六十人余りの人たちは、二年前の選挙では、少なくとも自民党政権に対して与党の立場ではない、自民党政権を批判して選挙を戦って当選された人じゃないでしょうか。国民は橋本政権に対する批判を含めてそれらの人たちを支持したんじゃないでしょうか。その人たちが、選挙も経ずして自自連立政権、こういうことを形づくったことについて、私は納得しているとは思えない。  これは率直に申し上げて、自社さ政権をつくるときに私も加わった一人でありますから、その反省も含めて申し上げているのです。つまりは、国民が選んだ政権でなければ永田町政権ではないか。  加えて申し上げますと、少なくともこれまでの連立政権は、連立政権をつくる前に政策合意をした上で首班指名をいたしました。ともに首班指名をして、例えば橋本総理なら橋本総理、あるいは、かつての村山総理なら村山総理に自社さの議員が投票したわけであります。  しかし、自自連立政権、小渕政権は、では、野田さんは小渕さんに首班として投票されたんですか。私は、そういう組みかえをするのなら、きちんと一たん総辞職をして国会で手続をとるべきだ。それが少なくとも国会のあり方じゃないですか。政策合意についてもいろいろと言われておりますが、結局のところは玉虫ではっきりしない。  結局は、国民の信任もない、国会の手続もない、そして政策のきちんとした合意もない、三ない内閣がこの自自連立政権じゃないですか。三ない政権じゃないですか。小渕総理の見解を伺います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 まず、御答弁申し上げます前に、冒頭、先ほど菅党首からもお話がありましたが、改めて野党第一党としての党首に御当選をされまして、今後野党第一党を率いていかれるわけでございます。  私ども、お話のように、自由党との連立政権を樹立いたしました。私自身も、昨年総理に選ばれて以降、二度の国会を経験させていただきましたが、今般は新しい政権のもとで十一年度予算という最も国会にとって大切な予算を御審議いただくことでございますので、よろしくお願いいたしたいというふうに思っております。  そこで、お尋ねの今回の政権についてでございますが、この点は、総選挙における国民の意思というものは、これは最大限その結果によって、政権の運営あるいは政治のあり方について対処しなければならないことは当然と思います。  ただ、選ばれましたそれぞれ国会議員がその後におきましてどのような政治行動をとるかにつきましては、そのことについても国民の皆さんの御理解を得て、それに反しないという立場でそれぞれの議員は行動されておるのだろうというふうに思っておりまして、そのよって来る種々の行動につきましては、その次の総選挙において国民の審判を仰ぐというのが民主主義のルールではないかというふうに思っております。  したがいまして、政権が成立いたしますのに、総選挙の結果、第一党が両院におきまして過半数を得られるということでありますれば、最も理想的に政権というものは誕生するのかもしれませんが、必ずしも第一党がすべて過半数を得られないという段階におきましては、総選挙後連立政権ないしその他いろいろの形で政権運営がされることもこれまた常識であろうかと思います。  そこで、今般の例を申し上げれば、その後、確かに、総選挙後におきましては、衆議院におきまして私自身が選ばれ、参議院においては菅党首が選ばれたことは承知をいたしておりますが、その後の政治的な経緯の中で、自由党が我が自民党とともに政権を担当するということで合意をされて今般の連立政権は誕生いたしておるわけでございますので、その後の経緯につきましては、自由党自身が、総選挙における対応とは異なりまして、自由党とともに政権を担当するという考え方に立たれたわけであります。  そのことは、しばしば申し上げておりますように、自由党の小沢党首と私との間におきまして、ただいま菅議員は三ないと言われましたけれども、理念をお互い共通し、かつまた政策につきましても十分な話し合いの上に新しい政権を樹立したということでございますので、私どもとしては、国民の皆さんも、安定した政権のもとに種々の問題をスピーディーに、果断に対処していただきたいという声もあろうかと思いますので、その声にこたえていくことが今次政権の樹立の意味だ、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

菅直人民主党

○菅(直)委員 これはもう、国民の皆さんが十分、この自自連立政権が国民が選んだものでないことをよく理解されていると思いますので、これ以上重ねては申しません。  ただ、最後に言われた問題、自由党自身が総選挙とは異なった行動をとられた、そしてその理由は政策合意だと言われました。  野田さんにお聞きしたいのですが、幾つかの政策合意、後ほど安全保障の問題もいろいろお聞きしたいと思っておりますが、まず一つだけお聞きします。  政府委員、きょうもたくさんあそこに座っておられますが、政府委員制度を廃止する。私たちも、自由党の皆さんと一緒に法案を出しました。さきの臨時国会でも出しました。残念ながら、自民党が賛成しないからそれが実行できておりません。  それで、この政府委員制度を廃止するという自自合意、これは、完全に政府委員制度を廃止して、例えば名前をかえて政府説明員とかなんとかとか、少なくとも、大臣がちょっと困ったからちょっとかわりに出てくれというような、そういうやり方の説明員は残さない、一切そういうものはなくする、そういうお考えですか、野田自治大臣。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 政府委員について申し上げる前に、自自連立についてお話がありました。  正確に言えば、前回の総選挙は新進党という形の中で総選挙が行われました。したがって、民主党にも新進党所属の議員もたくさん、かつていた者はたくさんいると思います。自由党は、昨年結成をいたしました。自由党としては、これは私も、結党の理念というのは、自由党マイナス基本政策イコールゼロであるというぐらい基本政策にこだわりを見せ、小沢党首も、我々のこの日本の国を根本から立て直すための基本政策に賛同していただけるならばどの政党とでも一緒にやりましょうということは、公言してはばからなかったわけであります。  そこで、その上で今いろいろ正統性のお話がありましたが、そういう見方もあろうかと思います。しかし、今の日本の置かれている時間的な制約なり抱える課題なり、そういったことを考えますと、そういうことを優先して考えるよりも、一刻も早く、正しい政策というか基本理念、基本政策を共有する者がスピーディーに物事を処理していくということが今一番大事なことではないか。そういう私ども自身の反省もありまして、先ほど総理からもお話がありましたが、あるいは経済政策の面にせよ、今回、従来の自民党の御主張からいえば、やはり十兆円に迫る大幅な直接税の減税ということはなかったわけですよ。そういう意味で、私は、小渕内閣になって、これまでの事柄についてかなり決定的に見直しを行われた上で今回の運びになり、この連立政権がスタートするに先立って幾つかのテーマについて真摯な協議を行ってきて、その上で、時局認識と基本理念、基本政策において意見の一致を見た上で今日成り立っておるわけであります。  そういう意味で、私たちは政策の方向性とスピードということを大事にしたい、それが今日の姿になってきたわけであるということをまず申し上げておきたいと思います。  いずれ、できるだけ早い機会に審判を仰ぐことがあるのは当然のことだと思います。自由党に対する、今回の連立に対する国民の評価、審判は次の総選挙において示されるものであると、我々はそう自覚をして、この政権がしっかりと国民の期待にこたえられる成果を上げられるように、私も連立内閣の一員としてしっかりと責めを果たしていきたい、そう考えておるわけであります。  それから、今お話のありました政府委員制度の問題について、既に長い間、民主党からも、また自由党においても、あるいは自民党自身においても、副大臣制度の問題を含めて党内議論が行われ、あるいは議員提案がなされてきたことも事実です。その目的とするところはほぼ共通しているように私は思っています。  その中で、今菅代表お話がありましたが、政府委員制度をやめるかわりに説明員みたいな形で実質的に同じようなものがまた出てくるんじゃないかという御指摘がありましたが、そういうことがあってはならないということを自自協議の中で確認をした上で、今日に至っておる。  いずれにせよ、この問題は、特に副大臣の権限といいますか、これについて我々はむしろラインという形の中での責任分担を考えております。自自協議の中でこれを議員提案として一本の法案として御提案しようということになっておりますので、その際に、なお民主党の考え方がどのようにまた反映されているのかどうかもチェックをしていただいた上で御論議を願いたいと思います。

菅直人民主党

○菅(直)委員 この点だけ小渕総理に確認します。それでいいんですね。完全になくなる、説明員もいなくなる、そう言われましたが、それでいいんですね。イエス、ノーで結構ですよ。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 これは政党間で協議をいたしていくことになっております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 野田さん、いいんですか。政党間で協議をしている、合意していないと言っているじゃないですか。一体何が合意なんですか。  もう一回総理答えてください。野田自治大臣は、野田さんは合意していると言われたんですよ。はい、総理。総理です、総理、ちゃんと答えてください、国民に。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 その合意は自由党との間にきちんとできております。しかし、その法案の内容その他についてはこれから詳細に詰めていくということでいたしておるわけであります。

菅直人民主党

○菅(直)委員 人ごとみたいに言わないでくださいよ。だれの名前で合意したんですか、だれの名前で。小渕総理自分の名前で合意したんじゃないですか。総理、自分の責任でそうしますと言えないんですか。総理大臣。総理大臣、答えてください。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 私の申し上げ方が多少誤解を生んだのかもしれません。  それは、いわゆる従来の形での政府説明員的なものは置かないということは合意をいたしております。当然、このことは……(菅(直)委員「説明員などない」と呼ぶ)いや、ありますよ、説明員は。現行あるから言っているわけです。そこで、それと一緒になっちゃいけませんということなんです。  それから、大事なことは、政府委員というものと副大臣というものとは、国会の審議のあり方と極めて密接に関係しておるわけであります。そういう点で、むしろ国会における論議が、与野党政治家の中で堂々とそういう政策論をやってもらおうという趣旨でこの制度になっておるわけでありまして、具体的な執行の状況であったり、あるいは技術的な、歴史的に何が、いつ、どういうことがあったとかいうような事実的な、技術的な説明については、別途それは、質問者側といいますか、国会側からの要請があった場合に限って、そういう技術的、事務的なことは、出席を要求して話をしてもらうということはあってもいい。しかし、政府の方から、求められもしないのに大臣にかわって役所が答弁をするということ、そういうことはしません、こういう意味であります。

菅直人民主党

○菅(直)委員 野田さんが言われていることはよくわかりました。私たちも同じです。きょうも、例えば日銀総裁を、私、参考人でお願いしております。そういう形で、こちらからお願いをする場合においでいただくのはそれは当然結構です。しかし、そうではなくて、まさに言われたような、政府委員やこれまでの説明員のように、頼まれもしないというか、場合によったら、大臣が手を挙げていても、危ないからといって出てきたりするわけですよね、そういう人はだめですよということを今野田さん、はっきり言われました。  総理、それでいいんですね。総理大臣、それでいいんですね。いや、野田さんが言われたとおりでいいんですねというのです。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 そのとおりでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 これはお互いによかったと思っています。ここまで総理が言われて、後で玉虫になることがあったら、自由党の皆さんも多分離脱をされるでしょうから。  そこで、よろしいですか……(発言する者あり)正々堂々とやっているじゃないか。そこで、野田さん、野田さんが言われた中で、実はかなり問題点が幾つかあるんですが、余り細かいことは言いません。政策の方向性とスピーディーな処理をやるべきだと、二度前の国会を思い出しているんですね。金融国会でした。野田さんたちと、当時は平和・改革の皆さんでしたが公明党の皆さんと、三党で金融再生法を出しました。  いろいろな経緯はありましたけれども、私たちは、金融というものは、まさにこれは国内だけではなく世界に大きな影響を及ぼす問題だから、政策として我々の主張が通るならば、それはそれとしていいではないか。ある意味では、その結果、丸のみという形になったわけです。しかし、自由党の皆さんは、いや、そうじゃない、金融問題であろうが何であろうが、とにかく小渕政権をつぶすためにはこれを政局にしなきゃいけない。政策なんというのはどっちでもいいから政局が大事だと言われたのは自由党の皆さんであった。  そして、時間がかかった、かかったというのも、実は私たちが出した法案は金融再生法案で、政府が出した法案はブリッジバンク法案ですよ。今ブリッジバンク法案だけだったらどうなっていますか。日債銀の処理だってできていないですよ。  そういう意味では、スピードがなかったのは、自民党が決断できなかったことと自由党が政局に使おうとしたからじゃないですか。そういうことをついこの間やっていた政党が、今度は政策が合意したから自自連立でやりますと言われても、私たちは、国民は、とてもそんな説明を聞くわけにはいかない。  そしてもう一つ、まさに今野田さんは、政府委員制度の廃止と副大臣制度は与野党議員が議論をすると言われましたね。私たちもそういう法案を出しています、御存じのように。まさに与党になった自由党の党首、そして自民党の党首でもある総理、当然この場に出てきて、野党である我々と議論しようじゃないですか。その小沢党首がなぜ、内閣に入らないで与野党で議論する、与野党で議論するということが言えるんですか。自由党が提案しているんですよ。結局は従来どおり、かつての自民党幹事長やあるいは細川政権、羽田政権における与党の責任者として、いわば内閣を与党の立場からコントロールしよう、つまり、内閣にはだれか出ておいてくれ、おれは後ろでコントロールするから、与野党の議論の場にはおれは出ないよ、そう言っているんじゃないですか。違いますか、野田さん。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 与野党の議論は、この予算委員会の場だけでなくてもできると思っています。  それから、何よりも、まだ今のところ連立政権がスタートして間なしであります。これから我が国が抱える課題というのは、既に今日まで連立政権スタートに先立って行われた政策協議だけがテーマではありません。まだまだ残されている課題はたくさんあります。これから新たに発生する課題もたくさんあるでしょう。そうした中で、少なくとも、党首が閣内にいて連立政権の実を上げていく形がいいか、あるいはむしろ私にかわって内閣の一員として協力してもらいたい、党首が当面閣外にいて、そしてさらに精力的に連立の実を上げていくような努力をしていこうということは、それはその政党におけるその時々の判断である、私はそう思っております。  個人意見としては、私は党首がお入りになった方が今のような指摘がなくていいでしょうということは申し上げたことは事実であります。しかし、それはやはりそのときの環境、現在の政治情勢の中で、なおさら党首として、私が党をお預かりするよりも、党首みずからしっかりと自由党を束ねて政策を実現し、小渕内閣をバックアップするということの方により大きな意味があるということで判断をされたにすぎない、私はそう思っています。

菅直人民主党

○菅(直)委員 野田さんの言われるのは、一見非常に合理的なんですよ。しかし、根本が矛盾していないですか、さっき言われたことと。副大臣制とか政府委員制度というのは、与野党で国会の場で話すということでしょう。だって、政府委員制度が要るのは、与野党で、テレビの場で話すなんというのは関係ないですから。幾ら何でも、テレビまで政府委員はやってこないですからね。  ですから、政府委員制度を廃止するとか副大臣制をなくするというのは、イギリスのように与党の多くの議員が内閣に入って、そして与党の責任者イコール与党の、つまり内閣の責任者のいろいろな立場になって、そしてシャドーキャビネットを構成した野党との間で議論をする。それが与野党の議論であり、同時に政府と野党の議論になる、お役人任せでない議論になるという、そのことを最初に言われていたら、後になって、いや、それは政党の判断です。自由党がつまりはそういう判断をしていながら、最初に言われた政府委員制度とかの提案をしていながら、まさに安全保障の問題とか一番重要な発言を小沢党首はたくさんされているわけですが、その議論をしようとする内閣に入らないというところが本質的に矛盾している。私は、逃げているとしか言えないと思っています。——いや、結構です。あと言いますから、もう少し具体的なことを含めて。  それで、よろしいですか、自自連立の合意の中でこういう項目がありましたよね、国連でいわゆる国連平和活動に関する決議が行われた場合には、それに参加する。表現は若干違うかもしれませんが、趣旨はこのような合意がなされたと聞いています。国連においていわゆる国連の平和活動に関する決議が行われた場合には、これに参加する。これでいいんですね、野田さん。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 冒頭の問題、大変私は不本意ですが、党首が入らなくても私自身が入っておりますので、どうぞお聞きになりたいなら堂々と私にお聞きをいただければ、我が党の考えは申し上げることができますので、このことと政府委員制度、副大臣の問題とは別問題であるということはまず申し上げておきたい。  それから、国連の平和活動について、我が国の協力、参加のあり方の問題です。  この点については、今御指摘がありましたが、正確に言えば、国連の総会なりあるいは安保理事会において決議があって、そして国連からの要請があった場合には、日本はこれに参加、協力をする。もちろんそのときには、中身において武力行使そのものをやるとか、あるいはそれと一体化するようなことはやりません、こういうことが内容であります。

菅直人民主党

○菅(直)委員 もう一度お聞きしますが、ここで言う国連の平和活動という概念ですよ、概念。今言われた、後の武力行使と一体化云々はまた後ほど申し上げますが、概念の中には多国籍軍は入るんですか、入らないんですか。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 多国籍軍という場合にも、いろいろな態様があります。したがって、国連の決議、総会に基づく多国籍軍であるならば、もちろんその戦闘行為に加わるということはこれはありませんが、しかし、その後方支援ということはなし得ることであるということであります。もちろん限定つきでありますけれども。

菅直人民主党

○菅(直)委員 ということは、もう一度確認しますが、国連決議があれば、かつてのいわゆるクウェートを侵略したイラクに対する多国籍軍のようなそういうものに、形態のいろいろな限定は後でいきましょう、概念として、ここで言う国連平和活動、これはいわゆる国連平和維持活動という狭い概念ではなくて多国籍軍も含む、そういう活動ということを自自で合意されたということですね。それに対する参加があるということを合意されたということですね。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 そういうことです。

菅直人民主党

○菅(直)委員 総理、それでいいんですね。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 自自の協議におきましては、そのように考えられております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 どういう意味ですか。総理が合意されたんでしょう。自自の協議においてはなんて他人事みたいなことを言わないでくださいよ。総裁であり総理大臣として署名されたんでしょう。小渕総理としてそうだというんならそうだ、そうでないというんならそうでない、はっきりしてください。でなきゃ、野田さんだって困るんじゃないですか。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 国連の平和活動につきましてどのように参加、協力していくかということでありますが、我が国としては、国連を中心とする国際平和のための努力に対し、資金面だけでなく人的な面でも貢献を行うことが我が国の国際的地位と責任にふさわしいものと考えております。このような観点から、我が国は、これまでも国際平和協力法等に基づき数々の国連平和活動に参加する等、国際的に高い評価を得て、今後ともかかる活動に積極的に参加していくゆえんであります。  そこで、多国籍軍は、その概念が必ずしも明確ではありませんで、我が国憲法の範囲内でこれにいかなる関与をなし得るかについては、個々の具体的ケースにおいて当該多国籍軍の行う活動の実態、態様に応じて判断されるものでありまして、一概に論ずることはできません。  そこで、先ほどお尋ねのように、湾岸戦争のときの危機に形成される多国籍軍について申し上げれば、我が国が多国籍軍の一員として武力の行使を行うことは憲法上認められないが、我が国としては、武力の行使はせず、かつ当該多国籍軍の武力行使と一体化することのない態様で我が国が後方支援を行うことは憲法上許される、こういう考え方であります。

菅直人民主党

○菅(直)委員 いいですか、いろいろなことは後ほどまたやろうと思っていますが、とりあえず今自自合意について言っているのですよ。自自合意には国連平和活動と書いてあるのですよ。国連平和維持活動とは書いてないですよね、たしか、野田さん。今総理は、わざと平和維持活動の話をしたり多国籍軍の話をしたりいろいろしています。多分国民の皆さんわかりにくいと思うのですよ。  平和維持活動というのは、例えばカンボジアに対する平和維持活動であったりモザンビークであったり、あるいはマケドニアは日本は行っていませんが、私は行ってきましたが、あったりしています。戦うための部隊ではありません。しかし、多国籍軍というのは、目的が懲罰であろうが何であろうが、戦うための部隊であります。この戦うための部隊に、部隊というか、戦うための一つの行動に対して自衛隊を、後方であるとか武力一体云々ということは後に議論があるかもしれませんが、何らかの条件つきではあっても海外に出して多国籍軍に協力をする、そういうふうにここに書いてあるわけですが、ここに読めますが、そういう理解でいいんですね、総理。(小渕内閣総理大臣「どこに書いてある」と呼ぶ)ここにというのは、つまり国連で決議があった国連平和活動には参加するというのは、そういう意味になるんじゃないですかと、野田さん、そうだと言っているじゃないですか。うなずいているじゃないですか。(発言する者あり)

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 多国籍軍の後方活動等につきましては、我が国としては、武力の行使をせず、かつ武力行使と一体化することのないというこれまでの考え方を維持しつつ、具体的ケースに即してその関与のあり方については判断していくというのが考え方であります。

菅直人民主党

○菅(直)委員 では、もう一つ具体的にお聞きしましょう。  一昨日ですか、読売新聞が、弾薬の輸送についてもオーケーだという見解を政府は出そうとしている、これは報道ですから、そういう報道が出ておりました。  そうすると、いいですか、多国籍軍に対して弾薬輸送という形での支援ということもあり得るということですか、総理。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 私もその記事を拝見しましたけれども、そのような新しい考え方を政府といたしてはいたしておるわけではございません。

菅直人民主党

○菅(直)委員 ということは、あり得ないということですか。それは憲法に抵触するからあり得ないということですか。総理、はっきりしてください。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 そのとおりです。

菅直人民主党

○菅(直)委員 そのとおりというのは、それはしないということですね。もう一回言ってください。できないということですね。(発言する者あり)だめですよ、総理、総理じゃないですか。

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 委員長から指名がありましたからお答えいたしますが……(発言する者あり)政策判断とすれば、ケース・バイ・ケースでありますが、全くあり得ないという話ではないと思っています。

菅直人民主党

○菅(直)委員 ちょっと今聞こえにくかったですけれども、大分重大なことが今言われたんじゃないですか。総理はやらないと言って、高村外務大臣、私が聞こえたので言えば、ケース・バイ・ケースではあるけれども一概にないとは言えないと言われていましたね、今。全く違うことを言っているじゃないですか。総理と外務大臣ですよ。(発言する者あり)

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 いわゆる多国籍軍は、その概念は必ずしも明確でないことは先ほど申し上げました。我が国憲法の範囲内でこれをいかなる関与をなし得るかについては、個々の具体的ケースにおいて当該多国籍軍の行う活動、実態、態様に応じて判断されるべきものであります。  多国籍軍に対する武器弾薬の輸送等もありますが、具体的なケースに応じて個別に判断されるものと考えますが、例えば現に戦闘が行われているようなところへ武器弾薬を輸送する場合には、武力の行使と一体化し得ないということはこれまで政府として申し述べてきたところでございまして、いずれにいたしましても、武力の行使と一体化しているか否かにつきましては、その必要に応じ具体的な実態に即して判断されるべきものと考えておりまして、そのような具体的ケースに存することなく、あらかじめ現在その判断を申し上げることは困難でございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 これは大変な問題でして、総理、武力行使とか武力の行使の一体化と言われていますが、憲法九条には、威嚇と武力行使の前に戦争という言葉が入っているのですよ、御存じでしょうけれども。つまり、戦争に参加するかどうかという問題なんですよ、これは。  例えば、多国籍軍で、武力行使と一体化しない、一緒になってその最前線で戦わない、ある距離を置いて云々。しかし、戦争に参加するとなったら、少なくとも国権の発動たる戦争でない、一般的には、多国籍軍の場合は日本が攻められたわけじゃないですから、あるいは日本の専守防衛の範囲を超えていますから。そうすると、国権の発動たる戦争というものには、やらないと書いてあるのですね。それが、後方であろうが何であろうが、戦争に参加することになるのじゃないですか。武力の一体化をしなければ参加しないことになるのですか。つまり、戦争へ参加することになると、九条に抵触するのじゃないですか。わかりますか、総理。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 高村外務大臣。(発言する者あり)

菅直人民主党

○菅(直)委員 だめだよ、総理大臣。いつも総理大臣……(発言する者あり)

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 委員長の指名があったからお答えいたしますが……(発言する者あり)

中山正暉自由民主党

○中山委員長 指名しました。

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 委員長の指名がありましたからお答えいたしますが、従前の……(発言する者あり)

中山正暉自由民主党

○中山委員長 答弁してください。

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 従前の政府答弁で繰り返しておりましたのは、参加はできないけれども協力はできるということを言ってきたわけでありますが、参加と協力を区別するのにどれだけの意味があるかよくわかりませんが、少なくとも、現時点で、自自合意は憲法の解釈は変えないということでありますから、現時点で協力はできる、こういうことだというふうに私としては理解しているところでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 歯切れのいいはずの高村さんがよく歯切れの悪い話をしてくださって、憲法九条には、戦争というものを放棄しているわけですが、つまり武力行使と一体化しなくたって戦争への参加というのはあるわけでしょう。ですから、それに該当するような場合になるんじゃないですかと言っているのですよ。総理大臣、答えてくださいよ、憲法の問題ですから。  委員長、答えられないなら速記をとめてもらわなければ。総理ですよ、総理。(発言する者あり)

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 お尋ねの点で、戦争に参加するということの意味がちょっとわかりませんが、要は、九条において、我が国は戦争をいたすことは放棄しておるということでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 いいですか、もう一度。おわかりになっていないのは総理だけじゃないかと思いますが、自自連立政権の合意の中に、先ほどの話のように、多国籍軍に関しても、条件つきではあるかもしれないけれども参加もあり得るというところまでは総理も認められた。野田さんもそういうふうに言われた。そして、そのときに、武力との一体化について言われました。そして、武器弾薬についても、武力の一体化がなければあるいはあり得るかもしれないというようなことを高村さんも言われました。  では、そのとき、多国籍軍に武力と一体化でない形で弾薬を運ぶときに、戦争への参加ということになりませんかと言っているんです。(発言する者あり)ちょっと、総理に聞いているんですよ、戦争への参加にならないですかと聞いているんです。従来の政府見解はそうですからね。従来の政府見解はそうなんですよ。ですから、戦争への参加になりませんかと聞いているんです、総理大臣。(発言する者あり)

中山正暉自由民主党

○中山委員長 御静粛に願います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 武力の行使が一体化にならないという範囲でございまして、それであればこそ許される、こういうことでございます。  なお、自自との間におきましては、御案内のように、国連の決議という大前提がそこに存在しておるということも御理解いただきたいと思います。

菅直人民主党

○菅(直)委員 これじゃ答えていません。全く答えていません。  いいですか、極端に言えば、宣戦布告したって戦わなきゃ武力の行使にならないんですよ。武力の行使というのは形態ですよ。憲法九条読んでくださいよ、ちゃんと。「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、」ですよ。ですから戦争も否定しているんですよ。だから、戦争参加はするけれども威嚇や武力行使には直接参加しないことだって論理的にはあり得るんですよ。しかし、戦争への参加そのものを否定しているんですよ。(発言する者あり)だから、まさに何をもって参加しているかという問題ですよ。  ですから、武器弾薬を輸送しても、武力行使と一体にならなければそれは戦争への参加ということにならないという認識なのか、私はなるという認識が国際常識だと思うけれども、なるという認識じゃないですかと。これが答えられないんだったら、速記をとめて、ちゃんと答えさせてください。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 いろいろ戦争の定義や何かで共通の話し合いが今できかねる点もございますので、法制局長官からこの点につきましては明確に答弁していただきます。

大森政輔内閣法制局長官

○大森(政)政府委員 まず、武力行使という概念と戦争との関係でございますが、憲法九条は、先ほども委員御指摘のありましたように、国権たる戦争、そして武力による威嚇または武力の行使は永久にこれを放棄すると、戦争と武力による威嚇と武力の行使を並列的にとらえているわけでございます。  したがいまして、先ほどの委員の御質問に即して申し上げますと、武力の行使に該当しないものは、言葉をかえて、常に戦争概念が成立するかどうか知りませんけれども、戦争にも該当しない。したがいまして、武力行使に参加したことにならないものは、戦争にも参加したことにはならないということになるわけでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 ちょっと法制局長官、今、言葉としてちょっと変じゃないですか。並列と言われませんでしたか、今、並列と。並列ということは、普通だったらアンドですよ。並列だったらアンドですよ。  では、例えばさっき言ったように、宣戦布告しても武力行使をしなきゃこれは戦争じゃないんですか。総理大臣のかわりに答えたいというんだったら答えてみてください、本来は総理大臣に答えてもらいますけれどもね。どうなんですか。そんな解釈でいいんですか。

大森政輔内閣法制局長官

○大森(政)政府委員 並列という言葉をとらえてお尋ねでございますが、それを英語に言いかえてアンドじゃないかということでございますけれども、アンドというつもりで答えたわけでございません。英語で言えばオアかもしれません。  私の申し上げておりますのは、先ほど多国籍軍の話がございましたが、多分、委員の念頭にございますのは、湾岸危機の際のあの軍事行動であっただろうと思います。あれを戦争という言葉を使って説明するならば、湾岸戦争とも当時言われましたけれども、湾岸戦争に参加することになるかどうかということは、湾岸戦争を行うかどうか、こういうことなんですね。あの当時は、武力行使に当たるかどうかということでさんざん国会で議論されたわけでございます。したがって、武力行使に当たらない、当たるということは、言葉をかえて言えば、湾岸戦争に参加するかどうかということと同価値であったということを申し上げたわけでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 余り法律の専門家らしくない答弁でしたね。何か政治家みたいな答弁でしたね。  ですから、私は総理大臣に、じゃ、あえてもう一度だけお聞きしておきます、いいですか。  多国籍軍に対して武器弾薬の輸送をすることが、少なくとも普通の状況であれば、戦争への参加ということで国際社会では見られると思います、戦争をどこかで行っていて、やればですね。だから、それはやらないということなんですね。総理、やらないということでいいんですね。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 しばしば御答弁申し上げているように、武力と一体化しない範囲においては、やることはありません。

菅直人民主党

○菅(直)委員 もっとはっきり言ってください。弾薬の問題はどうなんですか。武力と一体化じゃない、弾薬という具体的なことを言っているんですよ。弾薬の輸送はやらないということですか。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 武力と一体化であることでなければ、もちろんやりません。  自自合意における多国籍軍の後方支援につきましては、直接戦闘行為、戦闘地域への物資輸送、補給についてのお尋ねでありますが、政府としては、我が国の支援が武力の行使と一体化するか否かについては、先ほど来申し上げておりますように、具体的な実態に即してケース・バイ・ケースで判断されるものである。すなわち、これまでも、例えば現に戦闘が行われているようなところへ武器弾薬を補給、輸送する場合などについては、武力の行使と一体化の問題があるとしてきておるところでありますが、その他の活動が武力の行使と一体化するか否かについては、その必要に応じ、具体的な実態に即して政府として主体的に判断していく、こういうことであります。

菅直人民主党

○菅(直)委員 この問題、実は後ほど我が党の安全保障政策を申し上げるときにあわせてと思っていたのですが、いかに自自合意というものが玉虫であって、極めて本質的なところでも、総理自身がみずから合意されたにもかかわらず不明確かということが明らかになったというところで、後ほどまた改めてお願いをしたいと思っております。  そこで、きょうは速水日銀総裁においでいただいて、その後のお仕事があるようですので、少し金融の問題を先に取り上げておきたいと思います。  まず総裁にお聞きをしますが、この間金融国会で、大きく言って、破綻後処理のいわゆる金融再生法と破綻前処理の早期健全化法という二つの枠組みができました。特に、その後、直後に長銀や日債銀の破綻ということがありまして、一時国有化による処理が現在行われております。  この経過を見ますと、金融国会のときには、政府の皆さんは、大きな銀行をつぶすとデリバティブなどがあって国際的に混乱を起こすとか、いろいろと心配といいましょうか、場合によっては野党に対するおどしのような形でいろいろおっしゃいましたけれども、結果においては比較的平穏に、スムーズに処理が進んでいるというふうに見えますが、この金融再生法について、いわゆる特別公的管理という仕組みについて、総裁はどういう御見解をお持ちですか。お願いします。

速水優日本銀行総裁

○速水参考人 お答えします。  金融再生法と金融機能早期健全化法の二法が成立いたしましたことによりまして金融再生委員会ができまして、非常に活発に動き出しております。公的資金による資本の増強、特別公的管理等の新たな枠組みが用意されまして、金融機関の不良債権問題の解決を通じた金融システムの安定化に向けて枠組みが一段と強化されたというふうに認識しております。  御承知のとおり、日本長期信用銀行も日本債券信用銀行も特別公的管理銀行になりまして、いろいろ問題は残しておりますけれども、新しい頭取のもとでやるべきことを活発にやり始めていると評価いたしております。  二週間ほど前に、欧米を初め世界二十カ国ほどの主要国の総裁方が集まられて議論があったのですが、そのときにも、やはり今世界的にどの国も金融システムの不安が問題になっておりまして、その中で日本は、おかげさまで法律あるいはいろいろな組織が、道具立てがそろったということで、各国が皆自分の問題として私の方に、どういうことをやってどういうことが問題だったのかというようなことを、いろいろこっちは先輩のような形で御質問を受けたりしました。  その中で一番私が回答に困りましたのは、どうしてこういうふうに長く時間がかかったのかということでございました。それにはいろいろな事情があったわけでございましょうが、その点だけは多少問題であったかと思いますが、その道具立てができたわけでございますから、ここまで参りましたら、一刻も早く問題の早期克服、解決を図っていただきたい。  先般、金融再生委員会の運営の基本方針というのが発表されましたけれども、これにつきましても、私どもも全く同感でございます。ペイオフまであと二年、なるたけ早くこの実行に移していただきたいというふうに思っております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 まあ、いろいろあったけれども、特別公的管理等については評価をするという趣旨の話でした。  そこで、若干、今両方が一緒になっていますが、あえて分けてお尋ねをしたいと思います。  特別公的管理、つまり、我が党が提案したものを自民党が丸のみされた法案に基づく処理は比較的順調にいっている。その後自民党が出されて我が党の案はのまれなかった早期健全化法ですが、いまだに、いわゆる資本注入をやって、貸し渋りをやるんだと言われていたのに、資本注入が行われていない。そして貸し渋りは全くと言っていいほど解消していない。この原因はどこにあるんですか。——金融監督庁の方がいいですかね。柳沢さんかな。再生委員会の委員長でしょう。

柳沢伯夫自由民主党金融再生委員会委員長

○柳沢国務大臣 ちょっと……(菅(直)委員「簡明に」と呼ぶ)簡明にお答えさせていただきます。  金融再生法がうまくワークしている、これは、もちろん法律の立案過程においていろいろ心配されたことも現実のものになりそうな懸念もあったんですが、正直言ってこのあたりのことは、日本銀行を初めとする金融当局が、行政の当然の義務とは言い条、国際的に大変きめ細やかに制度の趣旨を説明して、危険の現実化を未然に防いだという努力もあったことは、この点、菅党首としても御認識を賜っておきたいと思います。  そこで、もう一方の、金融早期健全化法の方の今の状況でございますけれども、これも確かに法の立案の過程におきましては、今の資本の過少状態を解消するために公的資金による資本注入というものは、これはもう全党必要だということでほぼ認識を共通されたわけでございますけれども、しかし、その入れ方について多くの論議がなされたわけであります。御党あるいは他の党はやや強制性を持たせた方がいいんじゃないかと言うし、また、自由市場経済のもとでのこうした危機であるから、あくまでも自主性、主体性というものを民間に認めていくべきである、こういう二つの考え方が相対峙して論議が交わされたわけですが、私は、結論としては、非常にいい制度をつくっていただいておる、このように考えております。  私ども、今いろいろ法律が定めるやや形式的な手続の進捗に努力をすると同時に、実体的に今一番何が大事かといいますと、これは、そもそもそうしたことが必要になった内外の我が国金融機関に対する信認の動揺を抑えるためには、バランスシートをしっかり信用されるものにするということである。したがって、資産の査定の分類を厳格にする。また、必要な引き当てについてもきちっとする。できれば、私は今これを非常に強く申しておるわけですが、せめて目安としてでもいいから定量化したものを示していこうじゃないか、こういうようなことを今努めておるわけでございます。  その他細々したことを言う時間的ないとまがどうもないようでございますので、この辺でとどめますけれども、いずれにせよ、三月の末の増資発行、それから払い込みの終結まで向けまして今官民ともに懸命の努力をしておるということで、制度は決して何か滞っているという状況にはないということをはっきり申し上げておきます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 今の話をよくお聞きすると、柳沢さんの言葉は言葉としてよくお聞きすると、まさにそのとおりのことをおっしゃったですよね。  ここに金融再生法、これは民主党と書いてちょっと恐縮ですが、実は公明党、出すときは自由党も一緒だったのですが、通るときは外れられましたが、金融再生法、皆さんのお手元にもコピーをお渡ししています。これはまさに日銀総裁も言われたように、あるいは日銀も努力されたことは私もよく知っていますが、いろいろ努力をされて、本来なら長銀とか日債銀のような大きなものはつぶしたら大変だ。あのとき政府が出したのはブリッジバンクですからね。ブリッジバンク法案なんというのはみんな忘れているかもしれないけれども、あれだけじゃ全く機能しないということを大蔵大臣も当時認められていましたが、とにかくそれでうまくいって成功して、金融恐慌は起こらず、そして長銀や日債銀の破綻に対して対処がちゃんとできている。  しかし、柳沢さんがもう一方のことをちょっと口ごもられましたよね。早期健全化法、これについては、強制的なやり方も民主党が言っていたけれども、自主的なやり方の方ができた。しかし、手続を進捗させるために、バランスシートとかをきちんとさせて、引き当て率をきちんとさせよう、そういうことをやりたい。定量化したい。まさにそのことが私たちが提案した早期健全化法だったことは柳沢さん御存じでしょう。  私たちが提案した法律が通らなかったから、苦労しているから、仕方ないから再生委員会として私たちの法律にのっとったような行政指導を一生懸命やっている。あちらこちらから聞いていますよ。ですから、私たちは、そういう中途半端な法律では機能しないから、この国会に早期健全化法改正案を出そうと今準備しているんですよ。まさに今柳沢さんが言われたようなことをちゃんと法律に明記して、どうしても資本注入に対して、あるいはリストラなどに対して現経営者がオーケーしない場合は強制注入もあり得る、こういうことが私たちのそのときの法案ですから、改正案を出そうとしているんですよ。  柳沢さん、どうですか、その考え方は。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 当時、私が主管大臣であの御議論を承りましたので、そのときのことを申し上げます。  まず、基本的に、いろいろございましたけれども、各党におきまして御審議をいただいて、二つの法律が成立いたしました。そしてその結果は、二つともうまくいっておる。政府といたしましては、私が申し上げましたように、イデオロギーに関係ないことでございますから、いい案があれば採用させていただきたいということを申し上げましたが、幸いにしてそういう結果になりました。このことは感謝しております。  そこで、早期健全化法も大変にうまく機能をしている。なぜかといいますと、金融監督庁が厳しい検査を始めました。マネーセンターバンクスについては全部おやりになってその内容もわかりましたし、また、各行がいわゆる分類と引き当てをどういうふうにするかということについても、金融監督庁としてはかなり具体的に知識を得て指導をできるお立場になった、そのことは一つの非常な進歩でございます。そこで、柳沢大臣あるいは再生委員会が今各行とそういう見地から、改善するにはどうしたらいいかという話をいろいろしておられるわけですね。  私があえて立ちましたのは、だから強制してもいいだろうとおっしゃるところは、前国会で申し上げましたように、私はそう思っていない。再生法は、これは管理なのですから、国の意思が働くことはこれはやむを得ません。しかし、早期健全化は、各金融機関が自分のために自分をどうよくするかという、これこそ市場経済の基本になる問題であって、それを監督庁があなたのところはここが悪いだろう、これが悪いだろうと言うのは監督庁としての当然の仕事であって、それを強制するかどうかということになると、それは全く違う問題になります。  ですから、そういう市場経済の銀行の経営者たちが、どうやれば自分がよくなるか、そういう立場で政府に対して公的資金の導入を申請する、それが早期健全化法の基本の精神でありますから、強制をするということには、私どもはあの当時から賛成でないのです。

菅直人民主党

○菅(直)委員 宮澤さんの自由主義的発想というのはよくわかりました。  しかし、もともとが特別公的管理の方を認めているんですよ。これは国有化ですよ。(発言する者あり)ええ、そうですよ。国有化の方はよかったと。しかし、強制的注入の方は、強制はまずいと。  いいですか、何が今起きているかということを国民の皆さんにも説明したいと思うんですよ。それはプロの人は、もう皆さんおわかりでしょう。  資本注入のこの問題に一番抵抗しているのはだれか。現銀行経営者ですよ。つまり、現銀行経営者からすると、例えば、あなたのところの資本の率は、実際にやってみるとこんなに少ない、原価法、低価法とかいろいろありますが、こんなに少ないから、大リストラをして、場合によったら減資をして、そして大きな資本注入を申請すべきじゃないか、そういうふうに我々考えますね。あるいは金融監督庁が考えた。しかし、減資をするなんてことになったら、経営者は当然経営陣から総退陣しなきゃいけない。大きなリストラをするとしたら、それも総退陣の可能性が強い。  そうなるとどうなるか。かつての拓銀の経営者がその後の経営者から、あなたが貸したお金は、もともと返せないところに貸していたんじゃないかといって、百億円以上の損害賠償の刑事訴追や民事訴追を受けている。長銀の経営者、日債銀の経営者もこれからそういう目に遭うだろう、そう思っていますから、現銀行経営者は、何とかそういう目に自分が遭いたくない、そこで必死になって頑張っている。どう頑張るか、貸し渋りをやっているわけですよ。何とか金を回収して、とにかく自分が経営陣にいる間は何とかとどまれるようにしよう。  そういう中にあって、金融監督庁が行政指導で——今宮澤さんが言われたことは物すごく矛盾しているんですよ。つまり、制度として、どうぞ自由にやりなさいと言いながら、行政指導としてがんがんやって、結果的に、例えば最近の幾つかの銀行の合併なんかも、よく聞いていると、あなたのところ、合併しなきゃもう特別公的管理に入っちゃいますよ、あなたのところのデータ、これ、見てください、日債銀だっていろんな、いわゆる会計上の処理の見解で最後のところは違ったようですが、つまりは、計算の仕方によれば、あなたのところはもう債務超過になりますよ、なっていますよ、だからここまでやらなきゃだめですよと言っていろいろおどしているけれども、しかし経営者は、自分の身の安全を考えて、何とかそれを守りたい。その陳情が自民党に行って、あんないいかげんな法案ができたんですよ。  銀行経営者に対して一番弱い自民党がそういういいかげんな、さっき柳沢さんが言われたきっちりした引き当て率、私たち提案したでしょう、第三分類は七〇で、第二分類は一五でということを。そういうことを言ったのに、大変だ、大変だと言って、津島さんのような人が結局はそうでない法案をつくって、今苦労しているのが柳沢さんじゃないですか。柳沢さん、ちょっと答弁してください。宮澤さんは結構ですから。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 私、大変失礼ですけれども、二つのことを混同していらっしゃると思うのは、長銀や日債銀は、御承知のように、菅委員も言われましたが、いわゆる破綻または破綻に近い状態になって、法律の三十六条、三十七条で、預金の払い戻しに応じられない、金融債に応じられないから国家管理をし、経営者は交代をしたわけです。それは国家管理がやむを得ない状態であった、預金者に払えないんですから。  しかし、片っ方で、早期健全化というのはそうでは全くありませんで、健全に動いておるわけですから、それに対して金融監督庁が検査をして、検査の結果を指摘するのは、これは当たり前なことです。これは癒着でも何でもない。行政というのは、それは責任でございますから、そういうことでアドバイスすることは、それは行政としての当然の範囲であって、だから、それを法制化せよ、強制せよということには、失礼ですが、私どもは賛成できない、こう申し上げているのです。

柳沢伯夫自由民主党金融再生委員会委員長

○柳沢国務大臣 どの点をお答えしたらこの今論議をしておる問題に一番ぴたっとするか、必ずしもおぼつかないのでございますけれども、今、菅党首の御質疑にあった、また、私が若干さきの答弁で口走ったことについてやや誤解があるような気がします。  私どもは、今、引き当てについても確かに定量化ということを考えたいろいろな模索をいたしておりますが、これも一義的なもので、さらに、会社に対してこれでなきゃならぬというような強制をするといったような性格なものとしては考えておりません。  私どもは、やはり目安というか、このあたりのことが大体実態に近いんではないだろうか、もしそうでない特殊な事情があったら、説明してくだされば幾らでもそれは聞きますよ。やはりこの引き当てというのは、それぞれの銀行のそれぞれの債権あるいは自分の貸出先の状況に応じてかなり区々になり得る性格のものでございますから、これを一義的に、分類だとかあるいは査定区分だとかというものに沿って数字を決めてしまうということについては、我々は依然としてかなり慎重な気持ちを持っておりますということを申し上げておきます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 かなり苦しい答弁ですよね。  少し具体的なところでいきましょう。この段階で実は宮澤大蔵大臣に御質問するつもりだったんですが、今回、特別公的管理に移った日債銀であります。  日債銀が公的管理に移るまでにはいろいろな段階がありました。一九九七年の四月に経営再建計画が発表されて、そして、四月か五月あたりには大蔵検査があって、その段階では、例えば第三分類が七千億程度だというようなことが報告をされ、そして、その後の六月、七月にいわゆる奉加帳、そういう形で二千九百億円の資金が民間銀行さらには日銀からも集められました。しかし、九月の大蔵省の検査の示達によると、発表はその後ですが、実は一兆一千二百億円の第三分類があったということが判明して、先日、たしか興銀の株主が、そこに出したのはおかしかったんじゃないかと株主訴訟を提示する。あるいは、我が党の本岡参議院議員の質問に対して、大蔵大臣は、行政として結果として間違っていたということの責任を認められている。  まず、ちょっとお聞きしますが、日銀はこのとき八百億円を優先株で、他の民間銀行と一緒に出されています。このときに、大蔵省から一兆一千二百億の第三分類があるということを知らされていたのか。それとも、その前の七千億という数字しか知らされていなかったのか。どちらですか。

速水優日本銀行総裁

○速水参考人 その時点におきまして、私どもは、日債銀は債務超過でないということは知らされておりました。金額については、私は聞いておりません。もともと私はそのときおりませんでしたのであれですが、金額のことは聞いていないというふうに理解しております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 それは日銀として聞いていないということですか、個人じゃなくて。

速水優日本銀行総裁

○速水参考人 日銀として聞いていないということでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 では、大蔵省はこのことを日銀に伝えていないということですね。  あるいは、もう一つ聞きます。日債銀本人には伝えているのですか、一兆一千二百億ということを。

速水優日本銀行総裁

○速水参考人 日債銀の方からは、七千億という数字は聞いております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 大蔵省、答えてください。あるいは金融監督庁。この時点は大蔵省でしょう。大蔵省が示達をしているのでしょう、九七年九月に。どこに伝えているのですか、この数字を。

伏屋和彦大蔵省金融企画局長

○伏屋政府委員 今、急にお聞きになられたものですから、ちょっと調べまして……。  この仕事自体は、現在は監督庁に引き継がれておるものでございますので、また調査いたします。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 日野さん、お答えになりますか。金融監督庁、答えられますか。  金融監督庁日野長官。

日野正晴金融監督庁長官

○日野政府委員 お答えいたします。  当時、大蔵省から日債銀には示達しております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 日銀には伝えていないのですか。ちょっと、ちょっと、日銀には伝えていないのですか。

日野正晴金融監督庁長官

○日野政府委員 検査の結果の示達は、大蔵省から日債銀に示達してございますが、日銀には通知してはおりません。

菅直人民主党

○菅(直)委員 その結果は佐々波委員会には伝わっていますか。

日野正晴金融監督庁長官

○日野政府委員 大蔵省の検査結果は、佐々波委員会には通知されておりません。

菅直人民主党

○菅(直)委員 これはいいんですか、こんなことで。この後の九八年の三月に、そういう民間からのお金に加えて、いわゆる三月段階の資本注入を六百億しているんですよ。  大蔵大臣、今度は出てこないですけれども、いいですか、あなたが参議院で答弁しているのは、つまりは大蔵省が調査をした結果、実は四月段階、五月段階では七千億というけれども、本当はもっとあることを知っていたんじゃないですか。子会社の飛ばしの問題なんかの認定では、あと四千億ぐらいの第三分類があることを知っていた。日債銀にはその二つの数字を伝えたんじゃないですか。しかし、日債銀の社長というのは日銀出身でしょう。会長というのは大蔵省出身でしょう。日銀が知らないはずがない。  そういう中で、しかし国民には黙って、あるいは他の銀行にも黙って、あるいは他の生命保険会社にも黙って普通株を千六百七十億、優先株を千二百三十六億、奉加帳を回して集めたんじゃないですか。それがパアになったから、参議院で、いやこれはまずかったと責任を認められたじゃないですか。その上に、その後のいわゆる佐々波委員会における六百億。佐々波委員会はそういう銀行の実態を調査してわかった上で決めたと言ったじゃないですか、前の国会で。全部うそじゃないですか。大蔵大臣、ちゃんと答えてください。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 一つ一つお答えをいたします。  本会議でそういう御質問がありました。そのときに、御質問はやや全体の問題としておっしゃいましたが、私は、日債銀については、御承知のように実は株価がまだ決定しておりませんので、ちょっと用心をいたしまして大阪のみどり銀行等々を例にしてお答えをしたのでありますが、つまりそれははっきり、行政の関係者がいわゆるこの事態を処理するためによかれかしと思って奉加帳のようなものを回して協力を求めた。結果としてはしかし、結果はそのとおりになりませんで、協力をしてもらった金はいわばむだになったということをどう思うか、そういう御質問に対して、私は、それは行政は過失もなかったろうし悪意もなかったとは思いますけれども、しかし、そういうあっせんをした結果がいわば無になったわけでございますから、そういう行政はやはり結果責任があると私は思う、そういうお答えをいたしたのであります。  ところで、日債銀についてなぜそこまで申し上げなかったかといいますと、日債銀の最終の株価は百六十何円でございましたので、この株価がどうなるかということは、実は株価審査委員会が決定いたしませんと決定できません。普通には債務超過であったというふうに思われておりますけれども、正確には申し上げられないのでわざわざ大阪の例についてお答えをしたのですが、お答えしたこと自身は私は同じ哲学でございます。  そこで、日債銀の問題は、今、日銀総裁、政府委員等が申し上げておりますとおり、大蔵省は、検査の結果そういう債務があることを知っておったと申しております。それは当事者である日債銀には伝えた。これはいわば企業の内部に関することでございますから、外に言うべきことではないでございましょう。日債銀はそのことは日銀に報告してある、こういうふうな日銀総裁のお答えでございますから、関係者の間ではこれははっきりしておった。  それで今度は、菅委員が佐々波委員会のことをおっしゃいますが、佐々波委員会が公的資金を導入しますときには、一般的に債務超過であるかないかということが基準でございますから、債務超過であると考えられたのかなかったのか。ですから、債務超過であると考えておられればそれは導入するはずがなかった、こういうことに私はなっておると思います。

菅直人民主党

○菅(直)委員 いいですか、では、今大蔵大臣が、大蔵省は知っていた。当然ですよね、自分が検査したんだから。では、どの数字をどの時点で知っていたんですか。七千億という数字と一兆一千億。これは第三分類だけにちょっと絞りますが、この一兆一千億というのが正式に示達されたのが九月ということになっています。大蔵省自身はいつ知ったんですか。

日野正晴金融監督庁長官

○日野政府委員 数字が確定いたしましたのは検査を通知した段階でございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 ということは、九月までは知らなかったということですか。実際にはその前の五月の検査でそういう状況をわかっていたんじゃないですか。

日野正晴金融監督庁長官

○日野政府委員 お答えいたします。  これは検査一般についてでございますが、検査のプロシージャーの過程でいろいろな情報は入手いたします。しかし、検査が終了いたしましても、現在もそうでございますが、通知するまでは検査は終了していないというスタンスをとっている理由は、実際、立入検査が終わりましても、後ほどいろいろ書類を精査したりあるいは帳簿を縦横に精算し直したりする手続が必要でございますので、そういった観点から、実際は、最終的には、やはり検査が終了したというのは、検査の通知、当時は示達と申しておりましたが、示達が行われた時点というふうに御理解いただきたいと思います。

菅直人民主党

○菅(直)委員 ですから、これは非常に重要なんですよ、大蔵大臣。  大蔵大臣は、あっせんしたと、まるで何か株屋がこの株は上がりそうですとか下がりそうですよとあっせんしたようなことを言われる。大蔵省自身が検査しているんですよ。検査した上で、大丈夫そうだ、大丈夫だからあなた方どうぞお金を出してくださいと奉加帳を回したんじゃないですか。行政の結果責任。政治の結果責任と言うのならわかりますよ。行政は権限を持っているんですよ。  今の答弁だって、五月に知っていたか知っていないか。示達のときに正式だと。それは正式でしょう。検査をしたら中身はわかるじゃないですか。子会社が急にぽんぽん、二カ月や三カ月でできるわけがない。ですから、子会社のいわゆる飛ばしとかいろいろな問題点があって、それがわずか、五月の段階と九月の段階で中身が第三分類で四千億ふえているわけですよ。そういうことを知っている立場にある大蔵省が、いろいろな、日生だ興銀だ何とかに、大丈夫ですからお金出してください、それで責任ないんですか。それが単に結果責任で済むんですか。  そういう銀行なり生命保険会社が政府に対して損害賠償を請求したときに、大蔵省はあっせんしたことを認められた、大蔵省がそういう状態を知っていることも認めた上で、つまりはうそをついて、あなたのところ、これは大丈夫だからお金出してくださいとうそをついて出させておいて、そして最終的には公的管理で、それは株価が幾らになるかわかりません、常識的に言えばゼロでしょう。これらはすべてゼロですよ。二千九百億が全部ゼロですよ。公的資金のさらなる六百億もゼロですよ。損害賠償請求があったときに、大蔵大臣、それを認められますか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 そういうことがございますから、私は本会議で、注意してあえて日債銀のことを申し上げなかった。大阪のケースがはっきりしておりましたから申し上げましたが、しかし、そのときでも、先ほども申し上げましたが、その行政に故意も過失もなかったというふうに申し上げております。  ただいま日債銀のことを私はつまびらかにいたしませんけれども、少なくとも株価は最終まで百六十何円いたしておったわけでございます。菅委員のお話を伺いますと、あたかも日債銀がもう債務超過であって、そのことを知りながら、大蔵省があっちこっちに助けてやってくれということを言ったのはいわば詐欺ではないかという、それに近いことをおっしゃいましたけれども、私はそういうことは、債務超過の状態ということは佐々波委員会も知り得なかったことでございますから、債務があるということ自身が、その銀行が、つまり最終的に破綻するということにはなりませんので、そういう状況にあって、私はそういう行政を決していいと思って今申し上げているわけではございません。護送船団行政というのはそういうものであって、それは非常な批判を受けてこうやって法律ができたわけでございますから、いいと申しておるわけではございませんけれども、そういう状況において、日債銀という銀行を救えるならばそれは国民的なコストからいっても救うべきであろうと行政が考えたこと自身は故意も過失もないといたしますと、私は、そのこと自身が法的に問題になるかどうかということとは別の問題だろう、こう申し上げようとしているわけです。  つまり、そういう行政の結果、日債銀のことは仮におくとして、損失を受けた人がいた、その場合、やはり行政としては適当でなかったと申し上げなければ国民の信を得ることはできないだろうと私は思っているんです。しかし、それならば、訴訟が出たときに、大蔵大臣は責任がございます、故意か過失がございましたということであればともかく、そうでない場合には、それは私は裁判所の決定すべき問題であるというふうに考えておるわけでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 いいですか、故意か過失がなかった。過失はあったのじゃないですか。さっき認めておられたじゃないですか。結果責任というのは過失も含めてあったわけじゃないですか。民事訴訟法上の故意過失の問題はどうか知りませんが、少なくとも金額がわかって、大蔵省が一番知る立場にあったんですよ。日銀考査は大分やってなかったじゃないですか、この日債銀には。たしか平成七年ですよね、考査は。大蔵省の検査が何回も繰り返されて、その途中で奉加帳が回っているんですよ。  ちょっと話を変えますが、日債銀の株価のことをいろいろ言われました。いろいろ不明朗なうわさもあります、買い支えをしたんじゃないかとか。  それはそれとして、最後の二日間のこの株の出来高、これが日債銀の最後の一カ月です。日債銀本体には、もうこのあたりで、一カ月前に債務超過であることが示達されています。しかし、何となく維持されています。示達されたなら、本来ならずっと下がっても不思議はない。しかし、余り下がっていない。だから、ここで買い支えがあったんじゃないかと言われている。  これが出来高です。大体多くて二百万株、普通だと百万株切っています。最後の二日間、一千万株ですか、これは。どう考えたって、これが正常な取引とは言えない。通常考えれば、だれかが情報を得てそのときにどんどん売って、情報を知らない人が買ったんじゃないか。インサイダー取引のおそれがこの数字から見たら、明らかにこのグラフから見たらわかります。証券取引委員会、どうですか。

舩橋晴雄証券取引等監視委員会事務局長

○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  証券市場における取引の公正にかかわるルールの遵守につきましては、私ども委員会におきまして、日常的に幅広く監視をしているところでございます。  日債銀の、今お尋ねの事例でございますけれども、委員御指摘のとおり、この十二月の十日、十一日におきまして、これは十三日の日に特別公的管理の通知、発表があったわけでございますが、その直前におきまして取引が急増をしているわけでございます。また、これにつきまして、インサイダー取引があったのではないかという報道があることも承知をしているわけでございます。  本事例につきましての委員会の対応でございますけれども、個別の事案についてのお答えは従来より差し控えさせていただいているところでございますけれども、私ども委員会としましては、従来行っております監視活動の中で、仮に、取引の公正を害する悪質な違法行為が認められた場合等には告発をして刑事訴追を求めるなど、厳正に対応してまいりたいと考えております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 この件に関心を持っているということですか、事務局長。

舩橋晴雄証券取引等監視委員会事務局長

○舩橋政府委員 お答え申し上げます。  証券市場で行われる取引の公正を害する悪質な違法行為については、すべて関心を持って対応しております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 国民の皆さんも、ごらんになったらだれが見てもこの二日間が異常だというのはわかるはずです。この後は土日ですから、ですから最後の取引ですからね。やはり、こんなことが行われている。  先ほど来大蔵大臣は、行政の故意過失と言われますが、日債銀の社長、会長は大蔵省の出身や日銀出身で、全部いわば国営銀行ではないけれども、そういうところとはツーカーでやっているわけですから、それを、そういう銀行のために奉加帳を回していて、いや、故意過失はありませんでしたと。国民の皆さんから見たら、もう過失どころか、まさにそれを助けるために、目的はよかったかどうかは別として、助けるためであったとしても、うそを言って助けるためにやったとしたら故意じゃないですか、お金を集めたら。  そこでもう一つ、少し話を進めたいと思います。  これはちょっと総理に簡単な書類をお渡ししたいんですが……。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 はい、どうぞ。

菅直人民主党

○菅(直)委員 今お渡しした書類は、一つは私と総理が御一緒したときの文書であります。もう一つは、三党で合意した、自由民主党津島雄二、民主党中野寛成、平和・改革坂口力という三名の方が署名された合意であります。つまり、これの最初の一項目めには、金融再生委員会の設置に伴う財政と金融の完全分離及び金融行政の一元化は、次期通常国会終了までに必要な法的整備を行う。これは九月の十八日の合意であり、そしてそれに基づく、さらなる詰めた話が十月一日に、この点だけを見ますと、「金融再生委員会の設置に伴う財政・金融の完全分離及び金融行政の一元化は、次期通常国会終了までに」、つまりこの国会ですね、この国会の「終了までに必要な法整備を行い、平成十二年一月一日までに施行する。」こう書いてあります。これは、総理、このとおりですね。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 この三党の合意は、このとおりでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 では、これに基づいて、この国会にそうした法律を出されるわけですね。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 この問題につきましては、中央省庁改革関連法案との関係もございますので、これを今年の四月に提出することを目指して作業を行っておるところでございます。  そこで、財政、金融の分離等に関する問題につきましては、この中央省庁改革の枠組みの中で検討を進められておりまして、今後、検討状況を踏まえまして努力をいたしていきたいと思っております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 いや、その答弁を、我が党の羽田幹事長の本会議質問でされました。しかし、この中央省庁改革の枠組みというのが、もし中央省庁の、いわゆる分権推進法ですか、その法律に基づいているとすれば、財金分離のことは、我々のその後の三党の合意とは違った形で書かれています。ですから、その枠組みを変えるというのが、この三党の合意だったのではないですか。  大体、再生委員会なんというものを置くこと自体が書いてないわけですよ。再生委員会の委員長である柳沢大臣を置いたのは、この中央省庁の改革の枠組みを超えた改革をいわゆる金融再生法でやったわけですし、さらに、今大蔵省に残っている金融企画局を含めてその再生委員会のもとに移して、最終的には金融庁という形になるのかもしれませんが、そういう形で一本化する。野中さん、うんうんとうなずいておられますが、まさにそういうことを見通した中での三党合意だったと思うのです。ですから、中央省庁の改革の枠組みというのでは、それより後にした合意ですからね、これは。  この合意を実行するためには、少なくとも設置法の中で、枠組みを超えた形のやり方が必要だし、場合によったら、推進法ですか、それの改正が必要になる。必要なら、我が党から改正案を出してもいいですが、この合意はきちんと守られるのですね。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 先ほども御答弁申し上げましたけれども、三党実務者間によった覚書につきましては、その経緯等について十分承知をいたしております。  そこで、お尋ねのように、中央省庁改革関連法案につきまして、四月までに提出することを目指しております。したがいまして、こうした経緯も踏まえまして、現在検討をさせていただいておる、こういうことでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 もう一度申し上げますが、中央省庁等改革基本法によりますと、二十条の「財務省の編成方針」とか、その八の中に、残念ながら、財金分離が中途半端な形でしか進まないようになっているのですよ。これは、自社さ政権のときに、さきがけの皆さんが頑張ったけれども、皆さんがかなりいいかげんに、あいまいにしたんじゃないですか。  それを踏まえて、あの金融再生法のときには、丸のみという言葉は余り品のいい言葉ではありませんが、財金分離も含めて、今お届けをした文書、それを合意して、完全分離ですよ、「財政・金融の完全分離及び金融行政の一元化」。二重にかかっているのですよ。財政から金融を完全分離する。つまりは、主計局とか他のところから金融部門を移す。つまり、今で言うと金融企画局を当然移す、そして金融は一本化する。今、再生委員会があって、そのもとに金融監督庁があるわけですが、そこに企画も移す。  あの金融国会では、政府が出したブリッジバンク法案はどこが出したのですかと言ったら、大蔵省の金融企画がやりましたと。実行はどこがするのですか、いや、それは総理のもとにある金融監督庁がやるので役所が違うのですと言って、大蔵大臣は困っておられた。一元化されてないからですね。ここまではっきり書いてあるんですからね。  もう一度確認しますが、これは当然約束は守られますよね、約束を守る総理なんだから。そうですね。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 先ほども御答弁申し上げておりますように、この改革法案との整合性も考慮しなければならないことは当然のことだろうと思います。  したがいまして、今、この合意にありました諸点につきましては、そのことも含めまして今懸命の努力をし、解決を見るべく努力をしておる、こういうことでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 今の答弁なら、これは私はとても納得できませんよ。  改革法案の後に合意したんですよ。改革法案が後にできたのじゃないんですよ。改革法案があることを承知の上で、これと違うということを承知の上で、この改革法案では財金分離が不十分だということを承知の上で、金融再生法案をつくって、金融再生委員会という三条委員会をつくって、そしてこの約束をしたんですよ。  整合性という話はおかしいです。これだと、とてもこの答弁は納得できません。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 申し上げましたように、段々の経緯は、私自身もあのときの経緯を承知いたしておりますので、そのことを真剣に取り組んでいきたいというふうに思っております。  ただ、中央省庁等の改革関連法案の、もう既にその方向性についてその当時におきまして出ておるわけでございますので、それに関しまして、いかに整合性を保つかということを考えながら、この合意をいかに達成すべきかということを検討しておる、こういうことでございます。(発言する者あり)

中山正暉自由民主党

○中山委員長 内閣総理大臣小渕恵三君。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 この三党の合意というものを、誠意を持ってこれを実行できるように努力をいたします。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 菅直人君。(発言する者あり)野中内閣官房長官。(発言する者あり)  ちょっと、御静粛に願います。御着席願います。御静粛に願います。  野中長官。

野中広務自由民主党内閣官房長官・沖縄開発庁長官

○野中国務大臣 法案成立に伴って三党間の合意があったことは、現実に、事実として十分政府としては承知をいたしておるところでございます。  ただ、総理が申し上げておりますように、省庁再編の法案との整合性をとるというのは、これは当然のこと、金融行政全体をどのようにして円滑に移管をしていくかという、政府の責任ある立場にある者としては当然整合性をとってまいらなくてはならないという総理の答弁はまた当然のことだと思うわけでございます。  私どもは、総理が、三党合意を否定したり、あるいはおろそかにしたり、あるいは先送りをしようという意図のもとに答弁しておらないことを御理解賜りたいと存じます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 今のは典型的な二枚舌ですよ。野中さん、私は、野中さんとのこの間のやりとりでそういう言い方をしたことはありませんが、少なくともこの行政改革、中央省庁改革基本法というものはあの三党合意の前にあったんですよ。あったのがわかっていながら、それと違う合意をしたんですよ。前のことに整合性があるということは、私たちとやった合意は、二枚舌で、こちらも尊重する、あちらも尊重するということは矛盾するんですよ、ここに書いてあることは。  守ると言ってください、一言。三党で合意したものはちゃんと守ります、そう言ってください。

野中広務自由民主党内閣官房長官・沖縄開発庁長官

○野中国務大臣 一党を代表される党首が、いやしくも、こういうテレビを通じて国民が聞いておる前で、政治家同士を二枚舌なんという表現を使われるのは避けてもらいたいと思います。私どもは、現実に三党間の合意があったということを、事実、それを認めておるわけではありませんか。それをもって二枚舌なんて、そんな言い方というのは、いやしくも党首が使うべき言葉ではありません。まずそれから取り消してもらいたい。

菅直人民主党

○菅(直)委員 なぜいけないんですか。私もめったにこんなことは言いませんよ。なぜいけないんですか。  中央省庁改革基本法と整合性を持たせると言えば、三党の合意は守れないじゃないですか。野中さん、わかっているんでしょう。これとの整合性を持たせるということは、三党合意と違うことが書いてあるんですよ、この中に。だから、違うことを言って、私たち三党を、当時の三党、受けたのは二党ですが、自民党を含めて三党で金融再生法の最終的に合意をしたのは、その財金分離が含まれているから最終的に我が民主党も賛成したんですよ。それなのに、整合性という言い方は、言葉はきれいかもしれないけれども、この合意の前に決めたこととの整合性ということは、我が党との合意はほごにするということじゃないですか。それが二枚舌じゃなくて何ですか。  そこまで怒られるのだったら、そうでないことをちゃんと言ってください。守ると言ってもらえばいいんです、守ると言ってもらえれば。

野中広務自由民主党内閣官房長官・沖縄開発庁長官

○野中国務大臣 言われた方が私はお取り消しになるべきだと思っております。  我々は、省庁再編の基本法ができておることを事実知りながらあの三党合意が行われて、当時政権政党としてこの三党合意に参加したことは厳然たる事実であります。そのことを公党間の約束として生かして、そしてこれから金融再生委員会がスタートして、我々が予期しない事態等をも経験しながら、この組織とどのように金融完全分離をやっていくかということで今せっかく努力をしておることを、総理は整合性ということの表現で申し上げたわけであります。公党間の合意があることは事実であります。  したがって、今おっしゃるような、こういう公の場で二枚舌、三枚舌なんて言葉が出ること自身が、私は不謹慎だと思うわけでございます。党は公党としてやっていくのは当然のことであります。

菅直人民主党

○菅(直)委員 これは結果を見てから、ちゃんと財金分離が行われたときには今の発言を取り消しましょう。しかし、実行されないときには、それは生きてくるわけです。  つまり先ほどの、羽田孜幹事長の本会議の答弁も今の答弁も後退しているんですよ、大蔵省はやりたくないんだから。大蔵省はやりたくないから、ここの合意はかなり厳しい合意だということは御存じでしょう。この国会でやるんですよ、この国会で。それを今まだ、この改革法との整合性と言えば、改革法には金融企画庁は残すと書いてあるんですから、金融企画庁は大蔵省に残すと書いてあるのとの整合性と今になって言われるんだから、それがどちらかが矛盾するから二枚舌じゃないですかと言ったんです。  ですから私は、今の段階では取り消しません。それをちゃんと法律に出して、きちんと我々の約束どおりの法律を政府案で出されたら、野中さんのところに謝りに行きましょう。総理、どうですか、総理。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 確かに三党合意で、あの時点でこれを合意しておることは十分承知をいたしております。ただ、その前提としてこの改革基本法の問題も、現実にその方向性について存在しておったことも事実でございます。  今後どのようにまとめてまいりますかにつきましては、この合意を十分尊重して対処していかなけりゃならぬとは思っております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 自自合意もいろいろ言われていますが、かなり玉虫でありますが、結局は、自民党という党は、他党と約束をしても、その前の証文を出してきたりいろいろして、その約束を中途半端にする。まあ野田さんもよく気をつけてください、そういう党ですからね。  本当に、三党で合意をして、それによってその法案が成立しても、終わってしまえば全然別なことを言うようじゃ、やはり国民が信用できない政党だということを私は思うと思います。  そこで、日銀総裁、お忙しいようですので、金融を一応これで終わりますが、結構です。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 日銀総裁、お帰りいただいて結構です。

菅直人民主党

○菅(直)委員 次に、若干時間が予定よりも押してきているんですけれども、来年度の予算という問題について考えてみたいと思います。  今回の予算を大きく言えば、八十一兆円の中の三十兆がいわゆる借金である。景気に対して私はカンフル注射としての効果、あるいは痛みどめとしての効果は確かにあると思います。しかし、それが日本の経済構造の本当の意味の改革につながるのか、そう考えますと、残念ながらそういう構造改革につながる予算にはなっていない。  さきの参議院選挙が終わったときに、ここにも都市部選出、東京選出の自民党の議員もたくさんおられますが、皆さんは、もう役にも立たないダムをつくったり、役にも立たない埋立地をつくるのはやめて、人間が住んでいるところの下水道とか、もっとそういうのを整備しましょう。私たちももともと言っていました。しかし、自民党がつくった予算案を見る限り、全く公共事業の比率も変わっていなければ、そうしたむだを承知の公共事業も多々そのままになっております。  例えば、私が何度か出かけた諫早湾のあの埋立地も農地造成がいよいよ始まっています。外の仕切りは防災的効果はあるかないかいろいろ議論がありましたが、いよいよ内の仕切りをやってそこを農地にする。減反減反をやりながら、すべてで二千七百億円もかけて農地をつくる。  前の知事に申し上げたことがあります。それだけのお金が長崎県で自由に使えたら本当に農地造成に使われるんですか。きちっとは答えられませんでしたが、だれが考えたって、そんなお金があれば、長崎の福祉の施設とか、場合によっては下水道とか、場合によったらある程度道路とか、そんなことに使われたでしょう。しかし、農林省予算を福祉施設に回せない、農林省予算を一般の都市下水道に回せないから、農林省予算の唯一残った国営干拓を相変わらず進めているじゃないですか。  この間、五木村というところに行ってまいりました。熊本の球磨川の上の川辺川、この村が沈むそうであります。いろいろと数字がありますが、あと二千億ぐらいお金かかるんでしょう。その水をどう使うのか。一般的に言うと、もう水はそのあたり十分ありますと言っていました。防災施設、これもいろいろな議論はありますが、十分今の堤防でやれますと言っていました。そして、その川の中ではアユがたくさんことしはとれて、それを目指しての観光客がたくさん来ていて、漁協はその着工に反対をしております。本体着工は漁業権の関係で漁協の賛成がなければ着工できないのに、いや本体着工じゃないという名目で、ダムのところの工事をするために水を迂回させる、そういうトンネルをつくったり、ほとんどの工事を始めて、来年度予算にも百数十億のお金がついています。  私、現地に行きました。賛成派の人も反対派の人も話を聞きました。(発言する者あり)そういう中で、大体中にいる皆さんはそれによってどういう構造ができているか。  つまりは、まさに外人部隊であるかどうかは知りませんが、納税者の立場が外人部隊と言われるならそのとおりですよ。つまりは、国民が税金を払う、そしてそれを農林省は例えば諫早湾の埋め立てに使う、建設省は川辺川のダムに使う。そうすると、その関係団体がいろいろ仕事ができますから、例えばその企画をつくるための特殊法人があったり、その仕事をするいろいろな企業があって、そして官庁はそこに天下りのポストが提供される。そして、族議員の皆さんは、一生懸命大蔵省に圧力をかけて、おれは農林省の予算をとってやるから、農林省、おまえ、おれのところの事業に金をよこせよ、農林省、おれはとってやったんだから、その事業をやれよ。そして選挙の応援を受ける。つまりは、この三角形の、トライアングル、これがもう従来から、私が言っているんじゃない、もうみんなが言っている、鉄のトライアングルなんですよ、鉄のトライアングルを形成しているわけですよ。ですから、これによって、多分日本の予算の、私は大ざっぱに言って三〇%ぐらいはむだ遣いがあると思いますよ。  堺屋さん、どう思います。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 現下の経済情勢、不況の中で、公共事業は即効性のある大変重要なものだと思っております。  今、菅委員の御指摘になりました個々の箇所づけにつきましては、私、詳しく存じておりませんが、それぞれの官庁がそれぞれ御検討になって、適切なものを選んでいただいているものと信じております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 堺屋さんともあろう方が、かつてはそういうことに対して歯切れよかったのが、それぞれの官庁がそれぞれのことをやっておられるという、まさにお役人答弁になったのは残念ですが。  ついでに申し上げましょう。予算編成ということです。これは、自由党の副大臣とかいろいろな提案の中の、私は、実は形にはなっていないけれども非常に重要な問題で、気がついておられるかもしれませんが、抜け落ちているのが予算編成のあり方だと思っています。  つまり、私もイギリスの予算編成について聞いてきましたが、イギリスでは、来年度の歳入見通しを立てて、まず来年度の総額の予算枠を閣議で決定し、第二段階でそれを各役所のそれぞれの、例えば厚生省が幾ら、何とか省が幾らという次の段階を決め、そして、その役所の総額の中から何に使うかを決めていく。当たり前のことをやっているわけです。  日本の予算、私も与党の時代に予算編成に若干携わりましたが、ほとんどのことは、各役所の課から上がってきて、局から上がってきて、各役所のシーリングとかいろいろなルールの中で上がってきて、それを大蔵省が調整して、最後に四千億円の政治調整枠、これは与党の皆さんで決めてください。つまりは、八十兆のうちの、幾らになるかわかりませんが、大部分は役所が下から積み上げて、ボトムアップで来ている。そのときにもちろんいろいろな人たちが頑張るんでしょうね、族議員と言われる人が。厚生省によこせ、運輸省によこせ。そして、そういう形でとったお金を、そして積み上げた中で、政治枠と称してわずか数千億のお金の議論を与党はやらされて、そして閣議決定する。これは、私が体験した実感を申し上げているわけです。  ですから、例えば大きな枠組みで、先ほど申し上げたように、農業構造改善という仕事の同じお金でもっと別のものが県においてはできるんじゃないか、あるいはダムではなくてもっと別のものに使ってもいいんじゃないか、そう言っても、今の堺屋長官のように、箇所づけはそれぞれの役所がやっていまして適正にやっているんでしょうと。それぞれの役所がやること自体も問題なんですよ、役所を超えてやらなきゃいけないんですよ。  そして、もっと言えば、箇所づけなんかを中央省庁がやっているなんというところが基本的に間違っているんです。つまりは、そういう事業は全部それぞれの県なり自治体が、つまりトータルの財源そのものを移してもらって、少なくとも包括的補助金か、財源そのものを移してもらって、それは県で決められる、そうすべきじゃないですか。  堺屋さん、もう一回お聞きしましょう。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 従来の方式は、私、余り経験がございませんが、十五カ月予算という考え方をとりました今回の予算では、まず、前年度、平成十年度の第三次補正予算から始まりまして、まず景気対策上どれぐらい必要かという大枠につきまして、経済企画庁としてはこの程度必要だということを出しました。  そして、その内容につきまして、これは経済企画庁の所管ではございませんので、これを大蔵大臣にお話をいたしまして、景気を回復するためにはこういうようなものでこれぐらい必要だ。その中で、二十一世紀先導型プロジェクトというのもあれば、空間倍増プランというのもございますれば、いろいろ新しいものもあり、また古いものもございましょう。そして、御指摘のように、中にはそういうものもあるとは思います、本当のことを言って。全部が全部すばらしいものばかりとは思えませんが、最大限の努力をして、そういう新しいものもつくり、そして我々としてはこれだけで景気が〇・五%伸びるという線を出したわけであります。  だから、その細部について、この事業についておまえどうだと言われても、ちょっと私の知識と権限の範囲を超えるものですからお答えできませんが、今言われたように、すべて役人が積み上げてきたものを丸のみしたというわけではございません。この点は、前回まではどうか知りませんが、私の関係いたしました今回の十五カ月予算という考え方の中ではかなりはっきりさせたつもりでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 経済企画庁長官は割と率直に言われていると思うんですよ。確かに景気が今大変なときですから、とにかく大型の予算をつくりたい。そこは、場合によったら大蔵省とかいろいろなことを超えて政治判断されたんでしょう。  だから、私も最初に申し上げたんです。景気対策のためにそういう大型予算を組むことそのものは、カンフル剤なり痛みどめということになるかもしれないけれども、それはそれとしてわかる。ただ、それが経済の構造改革につながっているかといえばそうなっていない。マーケットは既に国債発行が大きいので金利が上がっていますし、円が上がっていますし、それによる経済の減退、これはもう堺屋さんの専門でしょう、この方が大きいんじゃないかとさえ言われている。  ですから、まさに目の前のことでは、堺屋さん、政治力を発揮されたかもしれないけれども、構造的な問題では、お一人にお任せするのはきついのはわかっていますけれども、残念ながらそこまではいっていないということを今の発言は見事に言われているので、どうもありがとうございました。  その上で、私は申し上げたいんです。  太田総務庁長官、第五次勧告というのがありましたね、つまり地方分権推進委員会で。公共事業について、巨大官庁ができる。国土交通省というんですか、公共事業の何か七割か八割を占めてしまいそうだからといって、橋本総理の段階で、こんな大きな官庁をつくる、ちょっと危ないからこの権限を少し自治体に移したらどうか、道路の問題、河川の問題、いろいろあったそうであります。しかし、その議論をやっているさなかに、建設省がある段階で議論をボイコットした、座長の西尾勝東大教授はそれに抗議をして座長をやめられた、こういうふうに聞いております。私も直接お聞きしました。  太田さんはなかなかめり張りのある大臣だと、私も個人的にも親しいし、期待をしているわけですが、どうもこの面では活躍が目立たない。結局は橋本総理の段階で、官庁の再編成もそれが十分かどうかといろいろ議論が当然あるわけですが、せめてその中で分権を進めようという意欲は私は橋本総理はあったと思うんですが、それを引き継がれた小渕総理に本当にあるのかどうか。それを担当されている太田さんがこの問題、五次勧告について、そういう経緯を含めてどう見られているか、お聞きしたいと思います。

太田誠一自由民主党総務庁長官

○太田国務大臣 第五次勧告につきましては、今さまざまな経緯があったことを承知いたしておりますが、まず、だれがこの地方分権推進委員会の直接の所管であるかということが、これが実は途中まで私は余りはっきりしなかったわけでございます。  というのは、地方分権推進委員会は橋本内閣時代の行政改革本部のもとに置かれた委員会でありまして、そして諮問をしたのは内閣総理大臣でございます。事務局の方は、総務庁の出身の方が事務局長を務めておられますけれども、そこのところがややあいまいなところがございましたが、知らないというわけにはまいりませんので、さまざまな経緯を解きほぐしてまいりまして、第五次勧告につきましては、これは中途でいろいろな議論がある、当たり前のことでございます。審議会のそれぞれの委員がそれぞれの御意見をお持ちであって、それをお互いに闘わせながら、途中経過で論点整理があったりして、最終的に合意をされた勧告が出るわけでございます。  この勧告の内容は、私は、世間では、メディアなどでは何か大変評判が悪いようでございますけれども、その内容は随分従来の考え方からすると進んだ、踏み込んだものになっていると思います。例えば統合補助金のような考え方も明記しておりますし、あるいはさまざまな全国の開発計画にも地方自治体が関与をするということになっております。そのようないろいろな観点から見て、私は随分進歩したものだと思っております。  ともかく、物事を変えていくということは、すぐに一〇〇%やれというのがいいのか、それともできるところから積み上げていけというのがいいのかということはわからないわけでありまして、私は、それはむしろ積み上げていく方がよいのではないかというふうに思っているところでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 最後の言葉は何か太田さんらしくないですね。この分権問題は、積み上げて積み上げて、何十年も積み上げて、結局ぐるぐる回りを繰り返しているわけで、それを思い切ってやれというのがかつての太田さんの主張であったような気がしますが。積み上げているより崩れていく方が早かったりしますからね、現実に。  そこで、こういう構造があることはもうだれもが知っているわけですが、この政財官の癒着構造というか鉄のトライアングルをどうやったら切れるかということです。一つ一つ申し上げてみたいと思います。  一つは、族議員と俗にまさに称されることですが、先ほどあっせんという言葉がありましたね、これは大蔵省のあっせんですが、大体はこういう業界からいろいろなことをあっせんされて予算をとる。これに対して、かつて自社さ政権時代にあっせん利得に関して合意をされたわけですが、その後崩れたようですね。今、我が党を含めて、公明党の皆さん、社民党の皆さん、参議院の会の皆さんで、あっせん利得罪、我が党は地位利用罪と称しておりましたが、一般的に言えばあっせん利得罪をつくるべきだということで提案を参議院の方からしたい、今準備に入っております。  かつては自民党の中でもかなり骨抜きになった案が議論されておりましたが、こういうあっせん利得罪をつくって、つまりは政財官の癒着の構造を切る、こういう考え方は総理としてはございませんか。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 いわゆる今御指摘の鉄のトライアングルという考え方に沿うてお答えするわけではありませんが、政治腐敗防止という観点から、立法措置につきましては、自由民主党におきましても今日まで議論が積み重ねられておると聞いております。また、自由党が衆議院に国会議員の入札干渉等の処罰等に関する法律案を提出いたしまして、現在継続審議になっておることを承知いたしております。  したがいまして、政府といたしましては、各党各派と十分御議論をいただくことが基本であると考えておりまして、その結果を踏まえて適切に対処いたしてまいりたいと思います。

菅直人民主党

○菅(直)委員 もう二点申し上げます。  私も厚生省を担当したときに、薬メーカーに対する天下りの問題で大分いろいろありました。自粛になったのですが、その後、今度は薬の関係の外郭団体への天下りということで、いわば一部穴があいているじゃないかというような指摘も受けました。私は、お役所の皆さん、五十数歳でキャリアの皆さんは退任されることを考えると、単に天下り禁止だけでは不十分だと思っておりました。  そういう中では、最近、公務員について六十五歳まで再雇用を認めよう、こういう考え方がいろいろなところから出ております。私は大変いい考えだと。ただ、いい考えだというのは、あくまで天下りの禁止ということとまさに一体になったときにいい考えであって、そうでなければ、お役人は悠々と倒産もなくやれるけれども民間はいつ倒産するかわからない、逆に怨嗟の的になると思います。そういった意味で天下り禁止ということとの連動を行うべきだ。  あわせて聞いておきますが、公務員倫理法についても、各党いろいろな国会で出しておりますが、どうも与党が積極的でないために通過をいたしておりません。これも通すべきだ、こう考えますが、総理、いかがですか。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 菅委員も大変この問題について積極的にお取り組みいただいておるようでありますが、高齢社会の到来に対応する観点から、定年退職者等について六十五歳までの再任用を可能とする法律を今国会に提出すべく、現在政府といたしましても準備をいたしております。  一方、御指摘のように、天下りの問題につきましては、行政に対する国民の信頼の確保の観点からも極めて重要な点であると認識をいたしております。このため、公務員の退職、再就職のあり方につきましては、公務員制度全般の見直しの一環といたしまして、公務員制度調査会に調査審議を現在お願いいたしておるところでございます。  今年度中に予定されております同調査会の基本答申を踏まえまして必要な改革を実施してまいる所存でございますが、御指摘のように、双方これは関連する問題でもあろうかと思いますので、十分そのことも踏まえまして対応してまいりたいと思っております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 公務員倫理法には触れられませんが、それは、では、そういうことでいいんですけれども、天下りの問題は、私は国民の信頼という表現では足らないと思っています。  まさに、先ほど来いろいろなダムや埋立地の事例を言いましたが、結局は、そういうことを実際に執行しているのは、公共事業に関する役所の技官の人を中心に相当の人がその仕事に直接携わっています。ですから、天下りがなければ、そういう意味では、自分の将来がないと思えば、むだを承知でも、国民にとってはむだな仕事でも、天下りを確保するためには、極めて有効な、そういう予算をつけるんですよ。  ですから、天下りというのは、単なる信頼の問題じゃない。つまりは、財政のむだというものが、内側からその原因をつくっている。見えにくいけれども、その原因の相当部分は天下りという構造にある、思い切って切れないわけですからね。そのことをきちんと申し上げておきたいと思います。  その上で、もう一点。こういう構造を、今申し上げたような、あっせん利得罪でチェックする、天下り禁止法でチェックする、公務員倫理法でチェックするということが必要ですが、もっと根本的なことが必要だと思います。  それは何か。まさにこの日本の明治以来百三十年間続いた、中央に公共事業を含めすべての権限が集まって、しかもその中央が縦割りの役所になっていて、役所が一つの政府、国のようになっていて、自分のところの予算が削られたら自分の国が小さくなるというぐらいに反発をする、そういう国の形を根本から変えなければいけない、こう考えるわけです。  そこで私は、国の役割を限定する法律、国の役割を幾つかの項目に限定してしまう法律をつくるべきではないか。かつて、これは自由党も参考にされたと聞いておりますが、ある研究機関が日本再編計画という中で、幾つかの項目に国の機能を限定した提案をしております。あるいは、かつて私も所属していた制度改革研究会というところで、たしか貝原兵庫県知事が中央集権限定法という要綱を提案されております。  つまり、今の議論のように、この部分を地方に移すというんじゃなくて、国がやるべき役割はこれとこれとこれに限定する。外交、防衛、通貨、あるいは福祉や町づくりの基準づくりだけ。基準づくりは国がやる、実際の実行はすべて自治体がやる。もちろん、そのときの自治体のあり方として、今の三千余りの基礎自治体でいいのか、もう少し大規模な自治体にし、あるいは今の県という二階層でいいのか、もう少し大規模な二段階目を置き、一段階目でできるものはすべて一段階目、どうしてもできないものだけ二段階目。そして、国がやるべき限定されたものだけを国がやる。  太田さんが言われるような積み上げではなくて、まさに国会が中心になって国の形を変えるんだ、百三十年たったこの日本の国の形を根本から変えるんだ。私は、それをやらない限り、財政の将来の再建も役所の抵抗が強くてできない、そう思いますが、総理の見解を伺います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 ただいま、御主張されております中央政府権限限定法の内容といいますか骨子につきまして御説明がありました。  ただ、政府といたしましては、この最重要課題でございます行政改革を推進して、簡素で効率的な行政システムを確立し、そして地方分権を強力に推進していくということが必要であるというふうに考えております。  地方分権の推進は、各般の行政を展開する上で国及び地方公共団体が分担すべき役割を明確にいたしまして、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体において処理をしていただきたい、このことを基本として行われなければならないと考えております。  地方分権推進法は、国は「国が本来果たすべき役割を重点的に担い、」地方公共団体は「地域における行政の自主的かつ総合的な実施の役割を広く担うべき」と規定されておりまして、地方分権推進計画にもその旨を記述し、この考え方に沿って地方分権に取り組んでいるところでございます。  いずれにしても、地方分権は二十一世紀にふさわしい我が国の基本的な行政システムを構築するものでありまして、地方分権推進計画の内容を踏まえた関連法案を国会に提出するなど、同計画を着実かつ速やかに実施し、地方分権を積極的に推進してまいる。このことによりまして、今菅委員も御指摘をされました諸点につきましても、こうした考え方で、政府としては、これを完全に実行するという中で考えていくべきであろうと思っております。  御指摘にありましたように、市町村の合併の問題、受け皿づくりの問題等々いろいろ難しい問題はありますけれども、重ねて申し上げれば、この推進法を完全に施行していくということでこうした問題についても対処いたしたい、このように考えております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 私は、どうも小渕政権になって、まあ行政改革という橋本総理が掲げられた大きな課題、それ自身もいろいろ問題点はあったのですが、どうもそのことが必ずしも総理のリーダーシップが発揮されているとは思えませんし、まして地方分権については、先ほど来太田総務庁長官ともお話をしましたが、そういう姿勢は、私は、今の答弁を聞いても見えません。それ以上に、根本的に自由民主党が本当に分権連邦国家を目指すのか。分権、分権とは皆さん言われますよ。本当に分権連邦国家を目指すのか。やはり代議士の仕事は、国から金を持ってくることが仕事なんだ、だから、国が権限を持っていなきゃおれたち仕事がなくなるじゃないか、そういうことを考えた政党なのか、そういうことが問われていると思うんですよ。  さきの参議院の選挙でも、私はあえて、タックスペイヤー、つまり税金を払っている人に対してタックスイーター、つまり税金を食べている人との戦いではないか。先ほど来申し上げているように、こういう構造の中で税金を食べている人がたくさんいるんですね。ですから、そういう税金を食べている人と税金を払っている人との戦いではないかということを申し上げまして、それもある程度国民の耳に届いた結果が、私は、あの自民党の大敗であったと思っております。  そういう点で、分権問題は、ただ単に党派の問題ではなくて、国のまさに形そのものを根本的に変えるという考え方でありますから、今の総理の答弁では全く不十分だということだけ申し上げておきたいと思います。  そこで、時間も残りが大分少なくなってきましたので、もう一度安全保障の問題について議論をさせていただきたい。  ここにちょっと大き目のパネルを用意いたしました。これが民主党の考えるといいますか、民主党代表としての私の考える現在の安全保障についての提案であります。  ちょっと大きなパネルで恐縮ですが、つまり、先ほどの議論は日本周辺事態の問題でありました。それに対してもう一つ、もっとベースになる問題、つまりこの日本そのものが侵略を受けたような、つまり専守防衛の問題という一つのカテゴリーといいましょうかと、それから日本の周辺事態という今問題になっているガイドラインの問題と、そして、必ずしも周辺よりもさらに外の、例えばイラクとか、あるいはカンボジアとか、PKOやいろいろな多国籍軍などの対象になるような問題、一つだけ邦人救出という特別な例がありますが、この三つのジャンルに分けて議論を少し整理する必要があるのではないか、このように思っております。  それを考えるときの一つの原則として、自衛隊の活動について、大原則は、海外における武力行使は行わない。つまり、海外においての武力行使を目的として、前提として海外に自衛隊を送ることはしない。私は、これが今の憲法の九条の解釈でもあり、また、日本のとるべき基本的な安全保障に関する一つの原則にすべきだ、このように考えております。  その上で、日本への侵略という問題、いろいろ議論がありますけれども、これに対してはきちんとした専守防衛の対応をすべきだし、そして日本の周辺事態については、国会承認などを含めた形で判断をする。そして国連決議に基づく活動としては、平和維持活動の中でPKOはもう既にやっております。私も幾つか見てまいりました。PKFについてまだ議論が残っておりますが、国会承認という形でここまではぎりぎり認めてもいいのじゃないか。しかし、多国籍軍とか国連軍のような武力行使を前提とするところに対して自衛隊が参加することは、これは絶対にやるべきでない。いわゆる大原則としてやるべきでない。このような仕分けで物事を考えるべきではないか、このように考えております。  その上で、少し話を戻したいと思いますが、日本の外交姿勢についてまず少し申し上げてみたいと思います。  私は、日本の外交姿勢を考えるときに、ドイツとの比較というものをよく念頭に置きます。もちろん、日本もドイツも第二次世界大戦で連合国に敗れたわけであります。その後、ドイツはどういう形で今日の国際的な地位を築いているか。隣国のフランスなどを含めてヨーロッパとの融和を、長い時間と努力を重ねて図っていった。ユーロのスタートもその一つの成果であるわけであります。そしてドイツは、同時に安全保障の面でも、アメリカとの関係だけではなくて、いわゆるヨーロッパ諸国を含むNATOという多国間の軍事同盟という形の中に参加をしているわけであります。  それに比べて我が国は、例えば隣国の韓国との関係はかなりよくなりましたけれども、中国や他の国々との関係が、ドイツとドイツの隣国との関係に比べると、今なお、残念ながら何となくしっくりいっていない。せんだっての江沢民主席の来日に関しても、相変わらず戦前の問題がいろいろ議論をされてしまう、そういう客観的な情勢がある。あるいは軍事的な関係も、日米安保条約という日米間の関係は非常に強いけれども、残念ながら、NATOのような形の多国間の関係にはなっていない。  私は、ここに日本の現在の外交、防衛のある意味での政治的な大きな、何と言いましょうか、弱点というか、問題点があると思っております。この結果、どうなっているか。この結果、外交も防衛も、いわばアメリカ一辺倒の外交になり、アメリカ一辺倒のいわば安全保障、防衛問題になっていると思います。  私は、現状において、なかなかアジアとの関係、言葉で言うほどたやすくないことは承知しておりますが、やはり基本的には日米関係と日本とアジアの関係、もちろんアジアとアメリカの関係という、大きく言えばこの三極の構造の中で、もちろんある時期までは日米関係がより近くて、まあアジアとの関係が日米に比べればやや遠いかもしれませんが、基本的には三国の関係で、日本もアジアの一国なわけですから、そういうアジアの一国としての日本とアジア諸国、特に中国や韓国、あるいは近隣諸国の関係を三極で考えていく、こういう中に将来の展望を持つべきではないか、こう考えておりますが、総理の見解を伺いたいと思います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 まず、今般、日本の安全保障あるいは国際社会における日本の役割等につきまして、菅委員と十分な質疑応答、御意見の交換ができることを非常に喜んでおります。  と申し上げますのは、私自身、長い間この国会におりますけれども、どうもそういった点におきまして、安保条約が六〇年に改定され、七〇年に自動延長になりまして以降、国会の御論議の中でなかなかかみ合わざる点が実はあったような気がいたしておりますが、今般、こうした問題をお互い取り上げて、特にガイドラインという問題がございますので、日米間における協力という形の中で、法治国家としていかなる法律をつくり上げていくかという問題は極めて重要だと思っておりますので、まずそういった観点で真剣にひとつお話ししてみたいと思っております。  そこで、今ドイツの例を取り上げられました。非常に似通った点も私あるかと思います。御指摘のように、第二次世界大戦で敗戦国になり、その後、経済を発展させてきて、国際社会での理解が大変深まってきておると思っております。そういった意味で、長い間、ヨーロッパにおいては、ドイツ、フランスというものが長年戦争を繰り返してきた中の反省に立って、新しい対応を整えておるということにつきましてはそれなりに評価をいたしておるところでございます。  そこで、御質問は、要するにアジアにおいてどうかということでございますが、これはやはりヨーロッパとやや状況を異にしておるのじゃないかという認識でございまして、基本的には、日米間の極めてこの協力関係を強固にすることが、今日まで歴史的、戦後の日本の外交を考えましても、これが基軸であり、その効果により、現実の日本がこうして平和と安全を確保できるということでございますので、これはきちんとしていかなきゃならないと思っております。  そこで、できる限り周辺諸国との関係もこれは友好を進めていかなければなりませんが、今御指摘のように、NATOのような形でそれぞれの国々と安全保障条約を結ぶような段階に現在まだ来っておらない。ただ、非常に冷戦後は変化してまいりまして、ロシア、韓国、あるいは中国もそうでありますが、これは防衛担当者との交流というものも非常に緊密にしてきておりますし、合同の、それぞれの人命救助その他の協力関係もできてくる。これをぜひ深めていくことによりましてお互いの信頼関係を深めていくというのが、現下、日本の外交の姿で、また安全を守るゆえんのものだ、このように考えておる次第でございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 その中で、今朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮のいろいろな問題が指摘をされております。  私は二度ほど訪朝いたしました。二度目は自社さ政権時代、自民党から渡辺美智雄団長で、当時、さきがけから鳩山由紀夫さんと私が、三党の三団ということで行きまして、向こうといろいろと政治的な交渉といいましょうか、議論をいたしました。大変つき合い方の難しい国だということを痛感いたしました。  そういう意味で、今のいろいろな言われている問題について、一つの警戒心を持つことは、当然ながら必要だと思います。しかしながら、同時に対話の窓口をきちっとつくっていくということも、私の少ない経験からしてもやはり大変重要だ。話し合っていけばいろいろな関係性が深まるわけでありまして、やはり相互依存関係を深めることがある種の暴発を防ぐことにもなると思っております。  そこで、冷静に北朝鮮の状況を見ておりますと、先ほどこの大きなパネルを出しましたけれども、今北朝鮮が我が国に対して、例えば大規模な兵力で押し寄せてくるといったようなことは、まず全く考える余地はないと思います。あり得るとすれば、最近そういう本が出ているようですが、いわばゲリラ的な何らかの行動が韓国に対すると同じようにある危険性は、これは若干考えておかなきゃいけない。また、テポドンとかノドンというミサイルについては、核兵器が搭載された場合は、これは決定的な脅威になるわけですけれども、そうでない限りはそれほどの脅威ということにはならない。  そこで、核疑惑の問題というのは、当然ながら大変重要であります。しかし、この問題も、決して北朝鮮の問題が大丈夫と言っているわけではなくて、核疑惑の問題については、例えば中国の核というものをかつて日本は非常にある意味で脅威と感じておりました。ソ連はなくなりましたが、かつてはソ連の核も大変日本にとって脅威と感じていたわけであります。しかし、そういうソ連や中国の姿勢が変わり、世界の情勢が変わる中では、それらの国の核は必ずしもそれほど強い脅威とは感じられなくなっているわけであります。そういうことを考えますと、私は、この問題はかなり心理戦的な要素があるのだろう、このように考えております。  そこで、結論的に申し上げますと、これはいろいろな専門家も言われておりますが、北朝鮮の姿勢というのは、大変勇ましいことを言って、私の発言に対しても、かなり批判も放送などでやっているようでありますけれども、最終的には、私は、いわば瀬戸際作戦を考えているのではないか。ぎりぎりまで、特に日本の世論は、ある意味ではテポドンといったものに対して非常に反応をする、そういうものに対して揺さぶりをかけながら、そしてアメリカとの交渉の中でとるべきものを最大限とっていく。戦争ということになれば今の北朝鮮の体制が短期間に壊滅することは、それは北朝鮮当事者も十分承知をしている。ただ、瀬戸際作戦というのは、もちろんそれ自身大変危険なことでありますから、それなりのある種の備えというものはやらなければなりませんが、それが、それを超えた、それ一辺倒、つまり軍事的な対応一辺倒であってはならない。このことを申し上げたいと思います。  総理は訪朝経験がおありかどうかわかりませんが、この問題に対する見解を伺いたいと思います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 残念ながら、私、まだピョンヤン初め北朝鮮を訪問した経験はありませんが、現下この北東アジアの安全と平和のために極めて関心を持つべき地域であることは、言うまでもないことであります。  私も、今御質問の中にありましたように、どのような形で北朝鮮の考えがあるかにつきましては十分掌握しておりませんが、いろいろと、現在窓口が開かれておるとすれば四カ国による会議でございまして、先般も米朝を含めましてその推移が報道されておりますが、現在なお、まだこれからの先行きにつきましての方向性が定まっておらないように考えております。  そこで、日本としては、この北朝鮮の現在の状況についてすべからく掌握しておるわけではありませんけれども、しばしば申し上げておりますように、我が国としては、北朝鮮とのあらゆるパイプを通じまして、日本との関係が改善され、究極には両国による国交が正常化する方向に全力で努力していかにゃならぬというふうに思っておる次第でございます。  北朝鮮における脅威と申しますか、いろいろな考え方につきましては、先般も日本の有力紙の中でいろいろのシミュレーションをもとにしていろいろの想定がされておられまして、こうしたことが国民の目にも触れながら、いかに対応すべきかということをこうした場所で論議するということにつきましては、申し上げたように、大変意義の深いことだと思っております。  基本的には、私自身は、韓国の金大中大統領が行動しておりますように、みずからの国の安全に確固たる対応を行うと同時に、できる限り北と対話が行い得るような各種のメッセージを盛んに送り続けていかなければならないと思っておりますが、私自身も、今般の施政方針演説につきましても、菅委員と同様かもしれませんが、今のところは大変厳しいメッセージが寄せられておりまして大変残念に思っておりますが、これはさらに努力をしていかなきゃならない問題だと思っております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 そこで、一つだけ指摘をしておきたいのです。  先ほど大きなパネルをお見せしましたが、今の我が国というか自自連立の議論は、どうも国連決議に基づく活動とか、それから、この後申し上げますが、いわゆるガイドラインという日本周辺の問題が中心課題になっているようですが、実は昔から戸締まり論というのがあります。日本自身が直接的な、つまり侵略を受けることに対してどのような備えをしているか。  特に北朝鮮の場合には、先ほど申し上げたように、考えられるのは、決して大規模な侵入というよりは、この間も何か日本と韓国の間の領海で小さな潜水艇のようなものが撃沈されたとか、あるいは北朝鮮兵士らしい人の死体が打ち上げられたとか、あるいは拉致疑惑というか拉致事件とか、いろいろなことが言われています。そういう意味では、日本国内のそういう小規模な何らかのことがあったときに対応するというのは、私は、今の自衛隊の活動なりあるいは海上保安庁、警察の活動で十分可能だと思っております。  ただ、可能ではあるけれども、本当に可能な体制になっているのか。最近麻生という方が書かれたこの本、ごらんになったかもしれませんが、そういう想定の中でいろいろとおもしろい小説になっておりますけれども、どうも、地震のときもそうでした、阪神・淡路のときもそうでしたが、こういう危機状態に対して必ずしも十分な対応の、シミュレーションに対して対応の体制ができていないのではないか、このように、いろいろ聞いていて、あるいは調べてみて思うわけですが、総理のその点に対する見解を伺いたいと思います。

野呂田芳成自由民主党防衛庁長官

○野呂田国務大臣 具体的な問題でございますので、まず私の方から答弁をさせていただきます。  自衛隊では、我が国に対する武力攻撃等が生起した際には、自衛隊が対処する場合における基本的事項等については防衛、警備等に関する計画をきちっと作成しておりまして、平素からそれに基づいた訓練をやっておるところでございます。  御質問のような事態に対処する場合に具体的な対処はどうするかということがあるかと思いますが、何段階かになると思いますが、外国の武装集団の上陸とか不法行為といったケースがある場合には、そういう武力攻撃に該当する場合には自衛隊は防衛出動によって対応する。この場合、自衛隊は、実態に即して、武装集団の潜入や武器等の搬入の阻止、それから武装集団の制圧、排除等のための武力の行使を含む必要な行動をとることになります。  また、武装集団の上陸とか不法行為が我が国に対する武力攻撃に至らない場合には、これに対応することは、第一義的にはそれぞれの法律によりまして、警察機関、これは警察庁や海上保安庁の任務でございますが、自衛隊は、その保有する装備や訓練等を通じて得た技能、知識を生かして、法令の定めに従い必要な協力をすることになるわけであります。  さらに、武装集団の上陸、不法行為が我が国に対する武力攻撃には該当しないものの、一般の警察力をもってしては対処できない場合には、内閣総理大臣は自衛隊に治安出動を命ずることができるとされており、この場合、自衛隊は関係機関と連携しながら、武装集団の潜入や武器の搬入の阻止、あるいは武装集団の制圧、排除などの行為をとることになっております。  そこで、私は、法律の建前はこのようにきちっと明確化されておりますし、それに対する訓練も絶えず行われているわけでありますが、改めてそういう重要事態に対処するために、省内にそういう防衛問題の重要事態が発生した場合に対応するための会議をつくりまして、目下いろいろなケースについて検討を重ねているところでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 私は、これは国民の皆さんにもぜひ申し上げたいと思うのですが、つまり、自分のうちの塀を高くするとか、あるいは自分のうちが強盗や泥棒に襲われないようにちょっと強そうな犬を飼うとか、そういう自分のうちを守る努力というのは、国民だれしも、専守防衛として憲法九条も認めていると思っているわけです。  ただ、一つ懸念があるとすれば、戦前の五・一五や二・二六じゃありませんけれども、自衛隊という武力集団が勝手に動いて、例えば政治を、クーデターのようなことがあるといったようなことを、それはもちろん許されざることでありますから、それはシビリアンコントロールとしてきちんとコントロールしなきゃいけない。  しかし、泥棒が来たときに、何か端っこの方にいて来ても知らなかったとか、強盗が入ってきても、いろいろな制約で自分のうちのことでありながら対応できなかった、こういう状況であってはまずいわけでありますし、また、そういうことと、何かそういうことが心配だから、じゃアメリカに頼ろうとか、じゃどこかに頼ろうといった議論が、今度は自警団にこん棒を持って参加する話に、自分のうちのことは議論をしないでちょっと飛んでいるような気が率直なところするわけです。  それが、例えば自自合意における多国籍軍に対する後方支援なんて、これは日本のことではなくて、日本以外のことに対して一緒に戦うかあるいは自警団で何かやろうみたいな話で、そういうところを私はもう少し区分して考えていく必要があるだろう。  そういう意味では、今防衛庁長官言われましたが、私もいろいろ話を聞いていますと、領空侵犯に関しては、例えば自動的にスクランブルが発動されて少なくとも自衛隊機が発進するわけですが、領海侵犯に関しては、必ずしもそういう制度に自衛隊はなっていない。海上保安庁があるからそれでいいんだという見方もありますけれども、そういうことで大丈夫なのかとか、いろいろ議論するところはあるのではないかと思っております。  この点は指摘にとどめまして、先ほど、冒頭の議論に重なっていくわけですが、そういう一つの専守防衛は専守防衛としてしっかりしたことをやることを前提にして再度申し上げましたが、私は、自衛隊を武力行使を前提として海外に出すべきではない、これを日本の基本の外交・防衛政策とすべきだと思っております。  その中で、ガイドラインで周辺事態の問題が議論になっております。野田さんもいろいろなところで、これは地理的概念でないなんというのはもってのほかだ、当然地理的概念である、こういうふうにおっしゃっているわけですが、そのお考えは今も変わりませんか。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 その前にちょっと申し上げたいのですけれども、自自合意がまるで日本自身の安全の問題ではなくて、何かアメリカの都合で、いろいろ米軍が行動するときに日本がどうするかということの協力の話だという趣旨のお話がありましたが、私どもはそうはとらえておりませんで、少なくとも今回の周辺事態における後方支援の話は、当然のことながら周辺地域における事態であって、日本の平和と安全に極めて重要なかかわりがあるということが前提になっているわけで、あくまで日本の平和と安全ということが当然の前提なんですよ。そこのところを切り離して考えられると困るんです。  そういう意味で、この周辺事態というのが、地理を云々というのですが、言うなら、日本周辺地域における事態なんですね。したがって、そういう意味で素直に言えばそういうことなんでしょう。だけれども、問題は、地域を、どこがどうとかいうことをあらかじめ具体的に想定したりということに意味があるのではなくて、そこでどういう事態が発生して、米軍がどういう行動をとるのか、それについて日本がどの程度までの協力ができるのかということに意味があるのであって、やたらと地理的概念がどうとかいうことにこだわることは余り得策ではないのではないのでしょうかということが、我々が考えておったことでもあります。  そういう点で、事柄の説明として、全くそういう地理的概念を含まないわけではないけれども、事柄の性質上、そういうことをあらかじめ想定したり特定したりということはいたさないということを言っておるということであります。

菅直人民主党

○菅(直)委員 まあ、かなり入閣される前に言われていたこととはニュアンスが違いますが。  その中で、もう一つ、ガイドラインというかこの法律、いわゆる周辺事態安全確保法について、総理、これは、日米安保条約の運用といいましょうか、それを円滑にする上で不明確なところを明確にしていこう、そういう考え方での立法と考えてよろしいのですか。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 不明確という言葉がちょっと適切であるかどうかわかりませんが、日米安保条約を本当に有効的、効果的に作用ならしめるために、条約をきちんとした形で書き上げていくということは当然のことだ。  本来から申し上げれば、安保条約が五一年にできて、その後いろいろ改定が行われましたが、そういう過程で、こうした点につきましても毎々議論し、両国の間にきちんとした共通の認識を持ち、それを法律上も明らかにしておくべきものであったと考えておりますが、今日この問題についてはっきりさせておくことが望ましいということで、橋本総理、クリントン大統領との首脳会談でこれを定めたことでありますので、ぜひこれを実行させていっていただきたいと思っております。

菅直人民主党

○菅(直)委員 つまり、この法律は、日米安保条約を有効、効果的に作用させるためと今総理おっしゃいましたが、法文上そういう趣旨のことが、例えば目的のところなどを見ても、日米安保という表現がないのですよね。  あるのは、三条一号の後方地域支援のところで安全保障条約云々とありますが、これはあくまで米軍の行動についての特定でありますので、この法律が果たして日米安保条約という枠の中で考えられているのか。今、改定という言葉を少し使われましたが、実は、日米安保条約の現状の枠ではなくて、実際は改定に当たるんだけれども、それを法律という形で実質的にやってしまおうというのか。  これは全く意味が違うのですね。あくまで現行の日米安保条約の枠の中、こう考えてよろしいのですか。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 このことは言うまでもないことでございますけれども、この法案が、我が国の平和と安全の確保に資することを目的として、日米安保条約に基づく日米安保体制のより円滑かつ効果的な運用を確保するために、真の実効性を確保するために作成されたものでありまして、そのような意味におきまして、日米安保条約の目的の枠内であるということは言うまでもないことでございます。  ちょっと、改定と申し上げましたのは、ずっと安保条約が日米間で結ばれて以降の、例えば六〇年における改定、そんなようなことを申し上げておったのでございまして、今般、既に継続しておる安保条約を改定するというような意思でないこと、誤解があってはいけませんので申し上げさせていただきたいと思います。

菅直人民主党

○菅(直)委員 そうすると、今、読み上げられたというか答弁された中身をもう少しこの法律の中で明記をするのはどうですか、目的の中に。  例えば、一条の「目的」の中に「この法律は、」と書いてありますが、簡単に言えば、日米安保条約の枠の中での円滑的な運用だと。どうもこの「目的」の中にそれが入っていないのですね。そういう考え方はいかがですか。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 この点につきましては、周辺事態安全確保法案第三条第一項第一号におきましても、周辺事態において我が国からの協力の対象となる米軍は、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っている米軍であることを明記しておることからも明らかだと思います。

菅直人民主党

○菅(直)委員 これは、私はあえて問題を残しておきたいと思います。  つまり、周辺事態という問題の中に、いわゆる日米安保条約で言う極東という、これは一つの地理的概念だと思いますが、その中での活動の、さらにいろいろな、まさに平和と安全にかかわる問題、私どもは基本的にそういう理解をいたしております。つまりは、日米安保条約の範囲の中で、しかも日本の平和と安全にかかわる問題、そういうふうにいわば二重に重なっているものと理解しております。しかし、中には、日米安保条約の範囲を超えた形でも、事態があれこれすればあるのではないか。  よく地球の裏側まで行きませんと言いますけれども、それは考えようによれば、イラクの情勢とか、ある時期におけるソ連の情勢なんか、今ソ連はありませんが、情勢なんかを考えれば、日本の平和と安全にそれはかかわるかもしれません。ですから、そういう意味では、このガイドライン法案が日米安保という枠の中にあるという今の総理の見解ですから、それはそれで一つ確認をいただいたと思っていますが、それを超えるものでないということを、私は、場合によっては法律に明記をすべきだ、このように考えております。  時間が余りなくなりましたので、ちょっと一点だけ。  先ほど金融の問題のときに、三党で合意をしたというふうに、再生法案のとき、申し上げたのですが、実は当時は平和・改革という会派で、新党平和と改革クラブの、党でいいますと四党になっておりましたので、これだけちょっと訂正を申し上げておきます。  そういう意味で、私は総理にこのガイドラインの問題につきましてもう一度確認をいたしておきますが、そうした日米安保条約の枠の中で、かつ地理的にも、日米安保条約の言ういわゆる極東の範囲は超えないんだということは当然のこととして考えていいわけですね。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 安保条約につきましては、極東の範囲も定められておるわけでございますが、今般のガイドラインにつきましては、重ねて申し上げますように、事態というものを考えて今回ガイドライン法は提起されておるわけでございますので、事態に着目し、地理的な概念でないということでこれを出させていただいておるわけでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 答弁すればするほどおかしくなるんじゃないですか。  先ほどは日米安保条約というものを円滑にかつ有効に運用するということで言われて、ということは、当然、日米安保条約が対象としている範囲の中でということになるんじゃないですかと言ったら、いや、今度は事態で何とかでかんとかで。じゃ、超えることもあるということですか、日米安保条約の対象範囲を。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 絶対あり得ないことでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 今のお答えは大変重要だと思います。絶対あり得ないというお答えでしたので、これは大変重要なお答えとして伺っておきます。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 高村外務大臣から答弁を。高村外務大臣。

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 日米安保条約の要するに米軍の活動範囲というのは、極東にとどまるものではなくて、極東の周辺ということであるということでありますし、日本周辺が極東を超えないとか超えるとか、そういう話は全く関係のないところであるということは御理解いただきたいと思います。

菅直人民主党

○菅(直)委員 もう時間が余りありませんからあれですが、外務大臣がいろいろ意見を言われるのは結構ですが、総理大臣の言うことと違っているのか違っていないのか。ですから、総理の答弁は、先ほどのように、当然のことですと私のことに言われました。ですから、それがもし違うことを言われるのなら、閣僚をやめていっていただきたいと思いますが。

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 総理がおっしゃっていることと何ら変わりはないと思います。

菅直人民主党

○菅(直)委員 最後に、時間がありませんが、中村法務大臣のいろいろな発言について議論がもちろんあるわけであります。私は、二点で問題があると思っております。  一つは、やはり司法という問題を考えるときに、弁護士という仕事がある意味では国民の権利を守るという立場があるわけですけれども、それをいわば無視したような発言であったということ。あるいは、この憲法に関して、これはいろいろな表現がありますが、現在の憲法をいわば無視するような発言があった。これらについていろいろ答弁もされておりますが、最終的には、この議論は衆議院でも問題があるわけですが、参議院でも議論をしたいと思っておりますが、総理のこの中村法相発言についての見解を伺いたいと思います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 司法に関する改革の必要性ということにつきましては、実は大変行が少なくて申しわけありませんでしたが、施政方針の中にも述べさせていただきました。私は、恐らく国民の中にも、裁判制度のあり方も含め、あるいは弁護士制度のあり方も含めまして、いろいろな意見があるんだろうと思います。  そこで、中村法務大臣も、こうした問題につきまして、その改革の必要性を強調したということだろうと思いますが、しかしその表現その他に適切を欠いた点があるということで、次の日、私からその真意を求めましたところ、そうであると、これはおわびして撤回したい、こうお話がありましたので、私としてはそれを了承し、引き続いてその大臣職を務めていただくようにお願いをしたところでございます。

菅直人民主党

○菅(直)委員 この点については、我が党としては、法務大臣としての適格性を欠いている、こういう立場で臨んでいきたいと思っております。  最後に、三時間にわたる議論をさせていただきました。民主党の考え方をもっと詳しく申し上げたかったのですが、余りにも自自連立やあるいは小渕総理の各問題に対する答弁があいまいであるだけではなく、相変わらずお役人に対して依存をしている。これで果たして政府委員の廃止が可能になるんだろうか、そういう感じもいたしました。  どうかこの国会、私は、この後、中野政調会長が経済、税制問題についてはやらせていただきますが、もちろん経済の問題、安全保障の問題、重要なわけですけれども、果たして、総理が公約をされたように、これで景気が本当に上向くのか。私たちも上向いてほしいとは望んでおりますけれども、残念ながら経済の構造的な改革にも着手ができていないし、まして日本の構造的な改革、行政の構造的な改革は後退すらしている。そういう意味で、民主党としては、まず日本の構造改革を推し進めることから現在の閉塞状態を打ち破って、まさに二十一世紀の日本をつくり出していきたい、このことを申し上げて、きょうの質問を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時開議

中山正暉自由民主党

○中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。  この際、中野寛成君から関連質疑の申し出があります。菅君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中野寛成君。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 午前中は大分激しい議論になったようでございますが、私は、午後約一時間二十分、総理の政治理念や基本的な物の考え方につきましてお聞きをいたしたいと思います。よって、新しい連立政権のことなどについては触れようと思いませんし、あくまでも小渕総理の責任で反対論も押し切っておまとめになられた自民党政権であると思っておりますので、そういう視点で総理にお尋ねをいたしたいと思います。  また、さきの所信表明演説で、総理は具体的な政策の羅列をやめて哲学を語ろうとしたのであろう、そういうふうにマスコミ報道でも書かれておりまして、それならば、まずそこからお尋ねすべきであろうというふうに思う次第であります。  二十一世紀への五つのかけ橋、こう称されました。にじのかけ橋にしては二つほど少ないなとは思いますが、問題は、五つであれ七つであれ、そのかけ橋が具体性を持っているかどうかということが大変重要であるというふうに思います。  私は、昨年の二月十九日の衆議院本会議の質問で、新千年紀へのビジョン、そして百年単位の物の考え方、あわせて鬼手仏心の政治哲学について披瀝をいたしました。私の質問中に新井将敬君の非業の死が報じられまして、私自身の質問は余り目立ちませんでしたけれども。しかしながら、その後、去年八月七日の所信表明演説で、総理は言葉の上では鬼手仏心に触れられました。何かについてはそのときはおっしゃられませんでした、具体的には。さらに、ことし一月十九日の施政方針演説では、新千年紀の到来についてお触れになりました。これまたどういう意味でお使いになったのかよくわかりません。  総理の演説をちょっと読みますと、「本年、一九九九年は、一九〇〇年代最後の年であります。と同時に、次の新しい千年紀、ミレニアムを迎える前夜であります。千年紀をまたごうとしているこの重要な時期に、日本は経済的な苦難に直面しております。」と触れておられます。また、前文の最後の部分で、「間もなく訪れる二十一世紀へのかけ橋を築くために」とおっしゃっておられますが、その千年紀、第一千年紀、第二千年紀がどういう時代であったのか、十八世紀、十九世紀、二十世紀がどういう世紀であったのかの歴史認識については一言もお触れになりませんでした。  よく皆さんがお好きな言葉に温故知新という言葉があります。古きをたずね新しきを知る。そのことからするならば、単に今、一九九九年から二〇〇〇年になろうとしていますということではなくて、そこには一つの世界的な、または宗教観に基づくものもありましょうが、それぞれに過去の分析と歴史観と反省に基づく新しい時代への展望というものが語られてしかるべきだと思います。  ちなみに、私は、このように考えております。これは、昨年二月十九日の私の本会議の演説であります。  千年単位でも新しい時代が訪れようとしています。欧州では、紀元後一〇〇〇年を、すなわち第一千年紀を境に人々は一層現世的に生きるようになりました。多くの都市基盤が確立したのも十一世紀のことであります。ルネサンスを経て、人類が近代化をまっしぐらに歩んだのが十一世紀から今日二十世紀までの千年紀でありました。大胆な割り切りをすると、紀元の始まりから一〇〇〇年までは、人間が自然を神とあがめ、それにおののき支配されてきた千年であり、その後二〇〇〇年までは、人間が自然を征服したかのごとき思い上がった千年だったと表現できます。  これから始まる二〇〇一年からの千年は、人間と自然が共存する、共生、そして友愛の時代にしなければならないと存じます。そして、その中で、新しい経済学においても、環境対策、すなわちエコロジーや、障害者の社会参加、すなわちノーマライゼーションの思想などを当然のコストとして経済学にも織り込んでいく、当然これはあらゆる政策の源になるという考えを申し述べました。  また、世紀でいいますと、十八世紀の産業革命までは、ある意味では人間の力を体力ではかりました。しかし、その後、産業革命以後、第二次産業を中心とする産業の時代になり、また、人間の能力を知恵ではかる時代が生まれました。それが、二十世紀になり、サービス産業などを中心にした第三次産業、そして、人のサービス心、奉仕する心などを人間の力としてはかるようになってまいりました。  これからは人間の力を、むしろ知徳体、総合的な人間力としてはかる時代を迎えるだろうと思います。すなわち、これからの政治の理念、原点は、まさに個人の尊厳をいかに最大限に保障するかというのが国家の役割ということになってくるであろうと思います。  それらの理念について、私は、まず総理がしっかりと踏まえてこれらの言葉を使い、そしてまたあなたの目指す所信表明演説にしてもらいたい、また具体的な政策にそれを反映させてもらいたい、こう思うのでありますが、総理の政治姿勢として、基本理念としてどのようにお考えか、まずお尋ねをいたします。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 今国会、始まりますに当たりまして施政方針を申し上げさせていただきましたが、過去、私になりましてから二回、臨時国会で所信表明をさせていただきました。  新しい予算の審議に当たりまして、私なりにどういう考え方で進んでよろしいかということを取りまとめさせていただきましたが、結論から申し上げれば、二十一世紀につきまして、新しい考え方というものを構築し、そのことを実現するということにつきましては、残念ながらまだそこまで到達しておりません。したがいまして、ぜひ、有識者も集めまして、新しい世紀に向けて、我が国と我が世界のありようについて、その国の形も含めて検討し、それを明らかにいたしてまいりたいというふうに思っております。  中野委員御指摘の点につきましては私もすべて賛同するところでありまして、新しい二十一世紀に向けて、二十世紀を反省し、かつまた歴史の過程の中でどう人類社会は発展してきたかということも振り返りながら、その反省に基づいて新しい世紀を迎えなきゃならぬと思っております。  ただ、二十一世紀はいつから始まるかというのはいろいろ議論があるようでございますが、二〇〇一年という説もありますし、しかし、少なくとも一九九九年から二〇〇〇年に向けての大きな変わり目でございますので、そうしたことを踏まえて過去を振り返ってみますと、ここ一世紀、特に前半におきましては、残念ながら、それぞれの国々同士の抗争、すなわち戦争が絶え間なく行われておりまして、ようやく後半半世紀において、人類もそうした争いに明け暮れたことに対して反省をしながら、新しい平和な社会をつくろうということで努力しておるようであります。  しかし、来世紀につきましても、一体どういう世界が生まれてくるかにつきましては、いろいろ学者も含めて研究、検討し、そして考え方を発表しておりますが、依然として、いわゆるハンチントン博士の言をまてば、従来と違った形での国と国との関係より、むしろ宗教間の問題、民族の抗争、こういうものがさらに引き続いて行われるのではないか、こういう指摘もあるようであります。私といたしましては、そうしたこれから想定、想像されるような世界を、できる限り新しい時代、すなわち平和、安定していかなきゃならない、時代を迎えていかなきゃならないというふうに思っております。  いずれにいたしましても、次の世紀を見ますと、大きな潮流としては、温暖化など地球環境問題、そして人口、食糧問題、さらに貧困の問題等、地球規模の問題にどう対応するか、それから、政治的な面では依然として核兵器などの大量破壊兵器の問題、そして申し上げたように、宗教、民族的な対立から発生する地域間の緊張、紛争、こうした国際的な平和をどう確保していくかということが大きな課題になるのではないかというふうに思っております。  我が国といたしましては、しばしば申し上げておりますように、経済的繁栄を背景にいたしまして国際社会の中で、まさに憲法の前文で書かれておりますように、国際的な信頼を確保するために、富国有徳ということを申し上げさせていただいておりますが、やはり高い志を持ち、世界の国々から日本の品格について本当に評価されるようなそういう国づくりを目指して歩を一歩進めていけたら、こう考えておる次第でございます。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 新しい世紀がどういう時代になり、どういう問題を抱えているか、どういう心配があるかということについての御認識は、今の御答弁で総理も的確にお持ちのように承りました。しかしながら、私たちはどういう世紀を迎えようとしているのかという予言者ではありません。政治家でありますから、ましてや、日本国を担っている言うならば世界の大先進国の国務総理大臣でいらっしゃるわけでありますから、当然、どうなるかではなくて、どうなすかという哲学がむしろ語られなければならないと私は思うのであります。  よって、例えば既に問題意識の中でも触れられましたけれども、百年単位で、世紀単位で申し上げますと、「十九世紀の自由放任、市場崇拝主義を反面教師として、二十世紀は経済より政治が前面に出た時代となりました。」と私は去年申し上げた。この十九世紀の自由放任、市場崇拝主義というのが今、新古典派経済学として復活しつつあるのではないかと私はむしろ危惧をいたしております。むしろそれが、自民党政治やまたは世界のその他の国の資本主義政党の新たな芽生えになりかけているのではないか。  しかし一方、その十九世紀の反省点として、経済より政治が前面に出てコントロールしようとした。そのコントロールの仕方によってイデオロギー対立の激化や左右の全体主義の台頭や二度の世界大戦をもたらした。だから二十世紀というのは、確かに戦争と平和、民主主義と全体主義、恐慌と繁栄、技術進歩と人間疎外が交錯したそういう世紀であった。それじゃ、それに対する反省で二十一世紀はどうかというときに、十九世紀の経済中心にした考え方に戻ってしまってはいけないのであります。この考え方の違いによって、その政党の政策が明らかに変わってくるのであります。  例えば、私は後ほど社会保障制度や税制その他の問題について質問しようと思いますが、そのときに、十九世紀の方向に戻っていくのか。ある意味では新古典派、ある意味ではレーガノミックスと言われたりサッチャーイズムと言われたり、それはそれで、そのよいところをその後のイギリスの労働党政権やアメリカの民主党政権も継承しております。ですから、それは全部悪いとか全部間違っているとかと申そうとは思わないのでありますが、むしろ、我が日本の国、小渕総理としては、その十九世紀、二十世紀の反省を踏まえて二十一世紀をどうしようとされているのですかということを私はお聞きしたいのです。  例えば、あなたの五つのかけ橋というのを見ても、例えば世界へのかけ橋とか、繁栄へのかけ橋とか、安心へのかけ橋とか、安全へのかけ橋とか、未来へのかけ橋とか、未来へのかけ橋に至っては、二十一世紀へのかけ橋ですから当たり前の話でありまして、何か言葉で遊んでいる感じがしてしようがないのであります。むしろ、問題意識とともに、どう対応しようとしているかということをお尋ねしたいと私は思うのであります。  私の質問もまだこの段階では抽象的でありますけれども、例えば戦争から平和へ、自然破壊から自然との共生へ、人間疎外から人間尊厳へと転換を図っていくという、この言葉だけ同じなんでしょう。しかしながら、例えば環境問題一つ論じるとき、開発と環境の問題のときに、先ほど菅代表が質問をいたしておりましたけれども、公共事業のあり方一つ見たって、大転換をしなければならないぐらいの見直しというのが今必要になってきておりませんでしょうか。  また、外交の問題を考えるときも、日本は資源に乏しい国ですし、戦争放棄を宣言している国なんですから、逆に言えばしたたかな外交立国を目指さなければいけないはずでありますけれども、対アメリカ、対アジア、対ヨーロッパ、対中南米、対アフリカ、日本はまさに、ある意味では国連中心の外交というものが将来ともに発展しなければいけないと思います。  そのときに、国連で何を決めるか。我々は安保理の、言うなれば常任理事国ではないわけであります。だとするならば、総会などで多数決で決めるときに、いかに日本が多数の国々から支持を得るかということにつながってくる。ある意味では、国連対策というのは、世界に向けての日本の選挙運動と言っても過言ではない。そうすると、日本の外交や、そしてまたODAなどにつきましても、そこには一つのしたたかな計算された対策というのが当然あっていいはず。もちろん、その基本には世界の繁栄や人々の幸せがあることは言うまでもありません。  その基本的な考え方について、先ほど二十一世紀はこんな心配があるとおっしゃったが、どうしようとされているのかということをお聞きしたいと思います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 なかなか難しいお尋ねでございますけれども、先ほど申し上げましたように、私といたしましては、この日本の国につきまして、しばしば富国有徳あるいは国徳国家という言葉を使わせていただいております。  後段の言葉は、実は先生のお地元の方の松下幸之助翁が使われた言葉でございますけれども、すなわち、この日本が経済的繁栄の中で資本主義のよさを生かしながら我が国の経済を発展させてきた。この利潤追求ということは、これは非常に大切なことだと思っておりますが、しかし同時に、渋沢栄一が言われているように、義と利、すなわち経済と道徳、こういうものがなければ本当に信頼に値される国家たり得ないということであろうかと思いまして、そういう意味で、両方が成り立つような国家の姿というものが望ましい、こう考えて、それを目指してどうしたものをつくり上げていくかということについての具体的な考え方をこれから取りまとめさせていただきたい、こう念願しておるところでございます。  そういう意味で、今世紀を深く反省いたしますとともに、新しい世紀に向けて日本がいよいよもって国際社会の中で貢献し、役立つ国家として生きていかなければならない、こういう考え方でございます。  外交の問題についてお触れになられましたが、まさに御指摘のとおりでございまして、特に日本は、いわゆる二十世紀的と申しますか、旧来の考え方で言えば、何といっても世界を制するということにおいては、武力といいますか、軍事的力というものが大きく作用してきたわけでございますけれども、日本は、そうした形での国際的な役割についてはこれを否定しておるわけでございます。  もちろん、PKOとかPKFのことにおいて対応することは当然でございますが、武力をもって他を制するということはあり得ないという形でございますので、そうした基本的考え方に立ち、多くの友人、知己、国家を形成しなきゃならぬ。  そういう意味で、御指摘のようなODAを通じまして、国際社会に対する我が国の貢献というものについては、諸外国からそれを高く評価されておるわけでございますから、国民の御理解も得ながら、そうした対応は今後ともさらに積極的に取り進めることによりまして、諸外国からの真に尊敬に値するような国家として日本が生きていく、こういう形のものを形成していかなきゃならぬ、このように考えております。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 いずれにいたしましても、総理、御答弁の中にありましたけれども、いわゆる有識者の懇談会をおつくりになって、二十一世紀のあるべき国の姿について取りまとめを御依頼されたというふうにお聞きしております。  しかし、私に言わせると、人任せ総理という感じがしてしようがない。余り問題発言になってはいかぬので、言葉を選びますが、本当は総理を目指されるときにその姿を描いて、そして総裁選挙でこのことを訴えて総理・総裁に御就任になるというのが本来の姿ではないか。どうも総理になる順番といいますかその条件が、そもそも去年から批判されておりますように、違ったのではないかという気がしております。  よって、一見私の質問は抽象的に聞こえるかもしれませんが、本当は総理に一番答弁しやすい御質問を私はしているつもりなんです。あなたの政治理念を語ってくださいというのですから、とうとうと総理からお答えになられるものだというふうに私は期待をしておったのでありますが、そうはいかないところが我が国の悲劇なのかもしれません。  そこで、次に申し上げたいと思いますが、今総理はハーバード大学のハンチントン教授のお言葉を引用されましたので、あえてそれをひもといてみました。  そして、世界は二つの大波に直面している。一つは地域や民族独立の動きでありまして、ソ連を構成していた十五共和国が独立し、ユーゴやチェコスロバキアは分裂をいたしました。そのハンチントン教授が文明の衝突論の中で、文明の衝突は世界平和の最大の脅威であり、文明に依拠した国際秩序こそが世界戦争を防ぐ最も確実な安全装置と結論づけております。冷戦の終結によって核戦争の脅威は遠のいたが、地域紛争、宗教紛争や都市での暴力、犯罪がふえている。また一方、アジアにおいて、残念ながら左右の全体主義国家が今なお存在して、そして、アジアの冷戦構造はまだ終わっていないという私は認識を持っております。これについても総理の御見解を聞きたいと思います。  また一方では、もう一つの波として、逆の動き、通貨ユーロの発行、インターネットの普及など、世界が統合する動きであります。企業の活動も国境を越えて、消費者は製品の国籍にこだわっていない、政治家だけが貿易摩擦で騒いでいる、こういうふうに指摘されるところもあるわけであります。  残念ながら、そういう、欧州と異なりアジアでは、今申し上げましたように、左右の独裁政権の国が存在をし、正確に言えば冷戦は終わっていない。しかし、また一方では、途中混乱も予想されるけれども、二十一世紀の早い時期に、民主化された中国、統一された朝鮮半島が誕生する可能性は高いと思います。東欧の民主化、ソ連の崩壊も予想を上回るスピードで進んでいる。  こういう状況の中で、ひとり日本だけが、何をしようとしているのかという姿が見えない、顔が見えないと言われる。日本という国、自国をしっかり守りながら、新しいアジアの平和構想のシナリオを描いてアジアに提起をする、これはまだない。何かこの前、宮澤さんの方からアジアのために幾らかお金を使うといって予算を組んだという話ぐらいしかないわけであります。国連を通じた世界の運営にも積極的に参加をしていくということが必要なんです。  これについてどう考えているのかということを実は私は聞きたいのであります。それが始まりませんといろいろな質問の基本が、ベースができないと僕は思うものですから、総理にお聞きをしているのです。  再度お聞きいたしますが、日本の国をしっかり守っていく、アジアのために貢献する、国連改革を初めとして国際社会に対してしっかりと奉仕していく、その決意をまずお示しいただきたい。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 まず、御指摘をいただきましたように、本来、国の最高責任者として我が国のあるべき姿というものを明らかにして、そのことを説いてこの仕事につくべきであるということは、御指摘のとおりであります。  ただ、昨年の経過から考えまして、就任いたしまして以来、まず日本の経済の再生ということ、特に金融制度のあり方等につきまして、もちろん国会の御理解を得ながら、その時々の問題の処理に追われておったということもこれまた反省のうちに事実でございまして、新しい世紀を迎えるに当たりまして、御指摘は御指摘として承りながら、あるべき国の形というものについて真剣にこれを考え、ひとり私自身の力によるものでなく、多くの有識者の皆さんのお考えもまとめて、新しい世紀に向かって考え方を明らかにしていきたいと思います。  かつて私、二〇一〇年という本を実は書き始めておりまして、私自身も政治家として、いつまでこれは続けるかわかりませんが、やはり少なくとも二〇一〇年ころまでの日本のあるべき姿というものをいろいろな角度から検討して、そしてその時点を見通しながらいろいろな政策を打ち出してみたいと思っておりまして、そうした考え方も実は緒についておるわけでございますが、ぜひこれは一日も早く取りまとめて対応していきたいと思っております。  そこで、御指摘のありましたように、各国との関係におきまして、理想は理想として考えられますけれども、新しい世紀にまたがりましても、世界の秩序というものはどのような形で行われるかということにつきましては依然としてまだ不透明な点が多々あると思います。なるほど、いわゆる社会主義国家あるいは自由主義国家、あるいは共産主義経済、資本主義経済という形での冷たい戦いというものは解消されておりますけれども、依然として世界を見まするとまだまだ混乱は存在しておりますし、また、それの解決のためには軍事的な力も擁さなければならないという中でございます。  日本としては、従来とってまいりました日本としての姿勢、日本国憲法に基づきまして、そうした力を抜きにして、我が国と他国の間の問題につきましてはこれを処理する手段として講じないという形の中で日本の地位を高まらしめるということで努力をし、このことは私は決して間違ったことではない、これは極めて崇高な考え方である、これを徹底していくためにいかなることを考えていくかということで諸外国との関係も対処してまいらなければならぬと思っております。  具体的に御指摘ありました国連との関係につきましても、国連主義を我が国は標榜しておるわけでございますし、その中で日本としての地位を確固たるものにして、そしてリーダーシップを確保していきたいということで努力をしておりますが、残念にして、まだ安全保障については最も力がある安保理におきましても常任理事国入りにつきましてもこれが認められざる状況だということが現実であります。  こうしたことにつきましても、一つ一つ各国の理解を求めて今検討させていただいておりますが、そういった点で世界各国からの協力、理解というのを求め、そして特に近隣諸国につきましては、いやしくも我が国がかつて御批判をいただいたような行動に対して、そうしたことが再び起こり得ないということの信頼感を醸成するために最善を尽くしていくということが今の務めである、こう考えております。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 一見、総理の御答弁は大変常識に基づいてお答えになっておられると思うのですね。その一つ一つのことについてそれほど、それに対して批判をするとか、無意味だとかということはないと思うのです。ただ、いわゆるどういう社会なのか。言うならば、融通無碍に、大胆に、しかし弾力的に対応してこられた自民党政治のまさに象徴が小渕総理という感じがしないでもない。  よって、そういう視点から考えると、自社さ政権も自自連立政権もこれは当たり前のことで、そのくらいの、よく言えば懐の深さを自民党は持っているということなのかもしれません。批判的用語は別に、あえてここで悪口雑言を言おうと思っているわけじゃないから言わないけれども、後でまた官房長官が怒り出しても不愉快でありますから申し上げませんが。結局、私は、総理に求めているのは、言葉を羅列するというだけではなくて、まさに哲学を示してもらいたい。  そこで、それじゃ、こちらから幾つかのことを申し上げます。経済財政政策の基本について我々の考え方を申し上げます。もっとも、何を申し上げても、私もそう思うと答えられるかもしれないので、少々私もやりづろうございますが、しかし、私たちが主体的に考えたことを申し上げたいと思います。  さて、まず私たちは、七十年前の世界大恐慌のときの歴史を一つの私は歴史的教訓と思っております。  一つは、アメリカは当時、フーバー大統領から民主党のルーズベルト大統領にかわるわけです。ニューディール政策、こう言われます。私はニューディール政策を全部評価するんじゃないのです。ただ、その導入部においては、金融政策をがちっとやって、公共投資をふやして、雇用を創出して、そしていわゆる一言で弱者救済と言われる政策をやった。それによって、言うならば、アメリカの危機を救ったわけです。  一方、同じ時期にヨーロッパではどういうことをしたかというと、北欧三国などを中心にして、まさに社会保障政策、社会政策を充実させたわけであります。それは、言うならば、雇用、そして病気、老後の不安を解消する社会保障制度を充実させる。そしてまた、流通機構の改革をすることなどによって、言うならば、生産と流通を結びつけ、消費を結びつけ、そして安定的に未来に対する安心を国民に保障することによって、消費が活性化されて、世界に先駆けて景気が回復していくわけであります。今も同じことを言っているわけであります。  これを計画的に、総合的に組み立ててやっていくというのが大切なのでありまして、その中の一つに、例えば貸し渋り対策とかいろいろあるかもしれません。しかし、貸し渋り対策を幾らやったって、それだけでは景気は回復しないんです。中小企業の皆さんが借りに行く、保証協会が保証してくれた、金融機関が貸してくれた、そのお金の行き先はどうなっていますか。それは、言うならば、銀行からそれまで借りていたものの借りかえになったり、または利息の高い、場合によってはやみ金融、そういうところへ返すことで精いっぱいで、それ以上の設備投資やその他のことにまでつながっていかない。また、そこまでは貸してくれないというのが実態ではありませんか。  言うならば、あくまでも対症療法、一時しのぎのことを貸し渋り対策と言ってやっているだけのことであって、景気の活性化、中小企業対策の生き返りに対して、そのことでそのまま役に立っているわけじゃない。もっと大きく、もっと基本的な政策をまとめてやらなければ効果は出ないのではないのでしょうか。  後ほど申し上げますけれども、ことしの、今我々が審議を始めたこの予算だって、そういう意味で、もう既に、市場がこれではだめだねといって株価が下がるという状況、このことに私は、ぜひ総理初め皆さんが対応をしていただきたいものだというふうに思うのであります。  そこで、私は、まず第一に……(発言する者あり)後ほど申し上げます。  そこで、私たちはまず、自由放任、弱肉強食に通じる社会を目指す動きとは一線を画したいと思います。規制緩和、規制撤廃、結構です。しかしながら、規制撤廃や規制緩和が進められることによって、その前にきちっとした国民生活や中小企業に対するセーフティーネットが確立されてなければどんな社会になるかわからぬといって、みんなかえってそれは萎縮することにつながっていませんか。逆に、規制緩和される、さあ新しいことができるぞと、みんな喜び勇んで何か考えようかというふうになっているでしょうか。先が見えないから、規制緩和だけが言葉の中で先走りしているからそれが進んでいかないというのが実態になっていませんか。  第二は、エコロジーを重視した経済運営の確立であります。  単に多消費型の経済をもう一回復活させてバブルをねらってみたって始まらない。むしろエコロジー対策を経済運営の柱にするということによって新しい産業を生み出すということにしなければならないのではないでしょうか。  第三に、自己実現、自己鍛錬につながる日本型の経済社会の確立をしないといけないのではないでしょうか。  日本には体系的な思想がないとよく言われるんです。それの代表が自民党政治なのかもしれません。しかしながら、お茶のたて方、能の演じ方、刀の鋳造の仕方、そういうもの一つとっても、その中に見事な思想があると言われているのであります。むだを排し、そして、本当にわびさびを大事にし、人間の心を大事にする。日本の文化というのはまさにそこにあり、そして、そのことが今、いつの間にか忘れて、多消費型、多資源消費型の社会が豊かであるというふうになってしまっているのではないのか。  私たちは、そういうことを含めた新事業、新雇用創出を図っていかなければならないと思うのであります。そこに着目した政策、予算、法律がどこに組まれているのか、お答えいただきたい。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 三つの点に触れられました。  弱肉強食といいますか、自己責任の世界といいますか、そういう世界を一方では築かなければ、国に対してこれをただ依頼するだけでは立ち行かないという認識は、国民の皆さんもこれをお持ちになっていただいておると思いますが、ただ、これを突き詰めていきますと、今先生がおっしゃるように、不幸にしてこの競争に敗れた者がいかに生きていくかという問題についての、いわゆるセーフネットの構築ということがともになされなければならない。一方では、やはり自己責任によってみずからの能力を最大限に活用しながら競争社会に生きていくという気持ちを持たなければならないということは、御指摘だろうと思います。  したがって、双方にこれが達成のできるような社会を築き上げるということがまずなければならない、これは近代国家の姿だろうと思います。  それから二番目に、エコロジーといいますか、環境問題に取り組むべきだという御指摘は、私も全くそのとおりだろうと思っております。  その前に、アメリカの大不況のお話がございました。  その後のアメリカの政策についての歴史的な評価はいろいろございまして、今お話しのように、ルーズベルトのTVA計画その他の政策もありましたが、結果的に見ますと、そうしたものを克服できるのにはかなりの時間帯を要して、これはガルブレイス博士の言ではありますけれども、結局、第二次世界大戦に至る間のかなり軍事的な生産力、これに頼らざるを得なかった点もあったという説があります。なかなかこれは分析難しいと思いますけれども、一つは、アメリカ経済の歴史を考えると、これはかなり言い得ている点もあるんじゃないか。  そこで、我が国においてはそのようなことはもちろん行うことはできません。よって、今後、日本におきましては、世界に向けての、環境問題、こうした問題に対する投資、こういうものについて我が国としての責任を持つという形が望ましいのではないか。  一端を申し上げれば、中国に対する借款その他の最近の動向は、やはり中国における環境問題ということにつきましては、かなりこれは積極的に対応しておるというようなことも、その思想につながるものではないかというふうに考えております。  三番目に、日本型の経済ということをお話をされました。  まさに今日、日本がこうして、少なくとも敗戦以降これだけの経済国家を建設し得たその背景には、それこそ我が国の歴史の中で、日本型といいますか、日本人の持つ取り組み方、方法、ノウハウその他、すべてもろもろが蓄積された形で戦後の発展というものはあり得たんだ、こう思っております。  そういう意味で、日本型のものを大切にしながら、しかもグローバルの社会の中で通用する考え方も相入れながら、その調和の中に我が国経済を発展させていかなきゃならない、こう考えておる次第でございます。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 グローバル化の中で、まさに私はそのことが極めて重要だと思っております。  例えば、先ほど七十年前の例でアメリカとヨーロッパのことを言いました。アメリカの方は、確かにその後ニューディール政策は第二期、第三期、最後は経済の軍事化といいますか、そういう結果を招いたこともありました。ですから、私は全部に賛成するわけではないと念のために申し上げたのでありますけれども、そういう意味では、そのグローバル化の過程の中でやっていくということが極めて重要だというふうに思います。それを具体的な政策、証拠でむしろ今後示してもらいたいと思いますが、私はもう一つの、ヨーロッパのやった方式を一方で考えながら申し上げてみたいと思います。  まず、この景気対策でよく言われますことは、対症療法、びほう策だけではだめで、やはり国民の皆さんの未来に対する安心をどう保障するかがなければ消費は活性化しないと言われるわけであります。それは、国民の将来への不安を解消するためには、まさに年金、医療、介護、育児支援など、社会保障制度をだれもが享受し、安心して生活できるように改革しなければならぬということであります。  今、この国民の将来への不安を解消しなければというのは、これは与野党の議員がみんなこぞって使っていると言っても過言ではありません。マスコミも言っております。ということは、それができていないということです、ひっくり返して言えば。年金、医療、介護、育児支援など社会保障制度の充実、保障、それが確立されていないからみんな言うのです。  では、その確立する方途をはっきりと示さなければならないと思います。これは、個別制度ごとに完結するのではなくて、一つ一つが別々に完結するのではなくて、総合的に、効率的に、すなわちこれを総合化することによって効率化、そして財政的にもむだを省くことができるということになりましょう。社会保障トータルで物事を考える必要があると思います。  この国会では、年金制度改革や医療制度改革が大きなテーマになります。同僚議員も、今後のこの委員会の質問でそれぞれ専門的な立場から指摘をすると思います。また、来年四月からは介護保険制度も始まります。ところが、それぞれの制度について、私どもはいろいろな提言を今日までもしてまいりましたけれども、つなぎの政策といって幾つかの対策が講じられておりまして、まだそれ以外のことは審議会等で協議中です、勉強中です、議論中ですということばかりが続くのであります。  このトータルとしてのビジョンはいつ出てくるのでしょうか。今、国民の将来の不安を解消すると言っております。そして、総理はさきの演説の中で、不安解消、いわゆる安心へのかけ橋とか安全へのかけ橋とかおっしゃっておられます。しかし、中身を後で説明を聞きますと、各論がほとんどありません。そして、これは審議しています、将来やります、後ほどやります、そのためのつなぎとして、結局少々の対策が講じられているということになるわけでありまして、いつになったらまとめが出てくるのですか。総理をやっている間に出されますか。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 少子高齢化が進行する中で、国民が安心できる社会を築くため、国民に信頼され、将来にわたって安定的に運営できる社会保障制度を構築していくことが重要であります。とりわけ、高齢化の進展に伴いまして給付の増大が見込まれる中で、社会保障制度を、高齢者介護や子育て支援といった国民の新たなニーズにも的確に対応しつつ、経済と調和がとれ、将来世代の負担も過重にならないようにしていくことが必要であります。  このような考え方に立ちまして、制度相互の整合性、連携等に十分配慮しながら、制度の効率化、合理化等を図るため、社会保障制度全体の構造改革に取り組んでおるところでございます。  これまで、高齢者の介護に関し、福祉分野と医療分野を再編成した介護保険制度の導入を図ることにいたしたところでありますが、今後、目下緊急の課題である年金制度や、かねてからの懸案である医療及び医療制度の抜本的な見直しに取り組み、取り巻く環境の変化に対応し、信頼のできる安定した社会保障制度の確立を図ってまいりたいと思います。  今委員御指摘のように、いつまで、どのような形、こうおっしゃられます。これは、可及的速やかにこれをまとめなければならないとは思いますが、この問題は非常に重要な問題であると同時に、困難な問題でもございます。政府を挙げて、現在、それぞれの担当の省庁におきましてこれが具体的政策を取りまとめて、そして、将来にわたりまして、委員御指摘のように、安心のできるものは何かということで、国民的理解が得られますように、その負担も含めましてこれから十分検討し、この考え方をできる限り早くお示ししなければならぬ、こう考えております。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 私が申し上げたとおり、検討しています、勉強していますという、最初は、恐らく役所で書いた原稿でしょうか、お読み上げになられました。そして、それから離れて、最後に御自身のお言葉で答弁をされたことは、大変これは困難で難しいことなので、いつとは言えないが可及的速やかにという表現に終わりました。  しかし、現在深刻な景気対策、経済対策は、これを待っているんじゃないんでしょうか。これがあって初めて本当の景気対策なんではないんでしょうか。それまでのつなぎとか、またはびほう策、もしくはあの貸し渋りも、先ほど申し上げましたように、景気が回復するためのつなぎで貸し渋りを何とかしているというだけのことであって、景気対策にならない。景気対策が次につながらなければ、その貸し渋りが幾らか緩和されたかどうか知りません、僕は緩和されていないと思うけれども、しかし、そこで金をもし借りられたとしても、その借りた金は、結局、この景気対策が抜本的にできなければ、その企業は深刻な状態になって、せっかく借りた金は返せないで終わってしまうということになるんではないんでしょうか。言うならば、悲劇は悲劇を生んで、かえって日本の国を混乱させるもとになるということを私は大変心配するんです。  これ以上言いましてもすれ違い問答みたいなことになりますから、次へ進みますが、例えば財源論として、消費税の福祉目的化というのをやる。我々も似たような言葉を使っています。ただしかし、我々は今、これは基礎年金について申し上げております。ところが、政府は、消費税収の使途を、広く国民の老後等を支える基礎年金、老人医療及び介護に限ると予算総則に明記しました、それにより消費税に対する国民の理解が深まるとするが、そうなんでしょうか。  結局、この基礎年金、老人医療、介護など、すべてを消費税で賄うというのでしょうか。その一部に消費税を全額充てるというのでしょうか。そのリンク、すなわち、消費税をこれだけ払ったらこれだけのサービス、年金保険料が安くなり、かつ給付が受けられるという、そのリンクした姿が目に見えなければ、国民は、幾ら福祉目的化と言ったって納得しないのではないでしょうか、目に見えてこないのではないでしょうか。そして、基礎年金、老人医療、介護、全部もし消費税だけで見ると言ったら、これは消費税何%要るんでしょうか。  福祉目的化という用語は結構ですけれども、結局、そこには、その中のどれをいつからするという段階を踏むなり、そういう計画がなければ、単に予算総則に明記したと言ったって、それは言葉の上でのあや、ごまかしにしかならないんではないでしょうか。どうでしょうか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 お話を伺っておりまして、私はごもっともなことを言っていらっしゃると正直言って伺っておるんですが、我が国がこれから少子高齢化ということが一つはっきりしております。これはそれらの政策の将来にとってはマイナスの材料でございますが、他方で経済が既にマイナス成長を二年間続けておるような状況でございますから、こういう状況の中で、今中野委員の言われるようなそういうプログラムを将来に向かって思い切ってかけないというのが、きょうの我が国だと思います。それはしかし、国民に不安を与えて、将来のプログラムがかけないからなお消費が伸びないということも、私は全く本当だろうというふうに思います。  しかしながら、今のような経済状況、成長状況がもし続きますと、将来に向かってそのようなプログラムをかくことは大変に難しいと申し上げざるを得ない、事実そうだと思いますので、それはまことに悲劇的なことではありますけれども、今の中で許せる限りの、いわば大変不十分なことしか申せないというのが正直のところと思います。  今度予算総則に明記したにいたしましても、おっしゃるようにもっとはっきり、例えば基礎年金は二分の一持つつもりであるとかなんとかいうことが言えましたら事柄ははっきりいたしますけれども、その場合に、国の財政負担というものが一体どうなるんだというようなことがやはり明確でございませんし、税制も明確でございませんから、今としては、まことに申しわけないけれども、とにかくそこは言えるだけのことしか言えなくて、あとはともかくこの成長率を確保したい、この不況から脱却したいというのが、正直私どもの立場だと思います。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 一昨年、スウェーデンに行ったときです。これまた先ほど申し上げました七十年ほど前のときの対策です。  あの当時、スウェーデンは少子高齢社会が大変深刻な状況であった。そのときに、例えば現在日本で語られているように二〇二五年はどうで五〇年はどうでという話ではなくて、今また大蔵大臣おっしゃったけれども、結局こういう状況の中ではこれ以上かけないとおっしゃるが、そういう受動的な、受け身ではなくて、こういう施策をこのためにはこうして今打ちたいと。  また、少子高齢社会に対応するために、例えば二〇二五年がピークとか五〇年がピークとかという話ではなくて、どの時点をピークにして、こうしなければならない、そうしなければ、すなわち、そのための少子高齢化対策を組むことによって将来の社会保障制度をこうするんだ、雇用問題をどうするんだというその対策、計画が立てられなければ、この時点がピークです、財政負担はピークに達します、だから今みんな辛抱して萎縮してくださいと言ったって、それは別に政府は要らない話ではないんでしょうか。  むしろ、今、元総理がせっかくお答えになった。私は、今の御答弁のその姿勢をまず切りかえていただきたい。何年までにこうしたいので、そこで、国民の皆さん、協力してくださいならまだ話はわかりますよ。しかし、今はそれがない。遠慮されているのかどうか知らぬ。むしろ、ちょっとそこで不規則発言があったのでついでに便乗して言うが、政権維持にきゅうきゅうとし、そして、自民党の補完勢力取り込みにきゅうきゅうとするという状況の中では、問題は解決しないのではないかというふうに思うのであります。ですから、私は、実は、年金、医療、税制、全部持っているんです。その基本的なことをむしろ私は答えてもらいたい。  これ以上、もう一回答弁してくださいと言ったって同じ答えが返ってくるんでしょうからもう言いませんが。  そこで次に、それでは、年金、そして医療、介護について若干質問をいたします。  さて、今大蔵大臣の御答弁の中で触れていただきましたけれども、あえてそれを繰り返して申し上げます。すなわち、私たちは、基礎年金の抜本的改革がやはり重要だと考えます。高齢化ピークの二〇五〇年までを見通し、こうよく言われるのですけれども、しかし、どこをピークにするかというのは、我々の政策次第ではないのでしょうか。  具体的に、基礎年金の国庫負担率を来年度から二分の一に引き上げる、現役の保険料を引き下げるということをやはり私どもは提案をしたいと思います。それによって、崩壊寸前の国民年金、基礎年金の財政基盤を安定させ、国民生活の安心の基礎を確立できると考えるからであります。  政府は、来年度からの国庫負担引き上げを先送りしておりますけれども、それだけでは真の改革にはなりません。引き上げを先送りしただけでは改革になりません。我々は、空洞化が著しい基礎年金の改革は待ったなしだと思っています。  また、基礎年金は満額で月六万五千円、夫婦で十三万円という水準であります。この水準は、六十五歳以上の単身無職者の衣食住に関する支出を勘案して設定されている、こう言われておりますが、この給付水準は本当にこれでいいのでしょうか。その他、就業の有無、年齢、地域差などを勘案して、年金の実質的価値について検討すべきだというふうに私は思っております。  この年金問題について、まずお尋ねをいたします。

宮下創平自由民主党厚生大臣

○宮下国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど委員の方から、今、制度の見通しが立たないんだとか、あるいは制度ができていないんだというような意味の御指摘がございましたが、今の年金・医療制度は、国民皆年金、皆保険でございまして、私どもは、これは宝として、国民が皆享受できるシステムを今つくっております。  問題は、今少子高齢化がどんどん進んでおりますから、それに対応したシステムに直す必要があるということでございますし、同時に、今経済成長がこのような低成長時代でございますから、それに即応した改正をやろうというのが今回の年金改正でございます。  ところで、今御指摘のように、年金問題につきましては五年に一度の財政再計算ということが義務づけられておりまして、平成六年に改正をいたしまして、今回がその五年目に当たっておりますので、今検討いたしております。  私どもは、少子高齢化がどんどん進んでまいりますから、それに対応するように、なお今の現役世代と後世代が負担の均衡が余り崩れないようにやっていかなくちゃいけないということで、いろいろの設計を考えております。年金制度はやはり長期的な課題でございますから、来年度、再来年度ということではなしに、私どもとしては、最小限二〇二五年くらいをめどにして、収支の均衡を図って、そして安定したものにし、若者にも、あるいは現に年金を受けている人たちにも安心感を与えるための改正を今考慮中でございます。  その水準につきまして、国民年金が十三万円でどうかという点でございますが、これは統計的に見て、平均的な消費支出の中で、交際費等々を除きまして基幹的な支出にたえ得るものというように考えてそのような設計にいたしておりますが、それはできれば高いことにこしたことはございませんけれども、今はそういう設計になっております。  なお、委員の一番重点に御指摘になった点は、基礎年金の三分の一を二分の一にしたらどうかという点でございます。この点は、前回の国民年金法の改正の中にもこのことが法律に明記されておりまして、私どもは重く受けとめさせていただいております。  なお、附帯決議では、三分の一を二分の一にすべきことが平成六年の法改正の際に指摘されている点でございまして、私どもは、今回の改正におきましても、できればそうしたいわけでありますが、何しろ三分の一から二分の一にするだけで二兆二千億かかります。それは単年度で終わりません。これはずっと継続いたしまして、しかもその額が、年々給付額が増大いたしますから、拡大されていくという問題を抱えております。  したがって、今回、総則で書いたことが意味ないじゃないかとおっしゃる意味もわからないではございません。私どもとしては、やはりそういうことを視野に置きながら今回の年金改正をセットしておきたいと思っております。ただし、保険料も、前期の五年間では二・五%のアップを予定させていただきましたが、今回の我々の設計では二%にいたしておりますが、しかし、それとて二兆数千億円の可処分所得を吸い上げることになりますので、これを凍結いたしておるところでございます。  一方消費税の減税をやりながら、一方可処分所得を吸い上げるということは政策の矛盾ではないかという指摘もございまして、私どもとしては、長期設計でありますからこれを予定どおりやっていただくのが筋じゃないかなと思いつつも、当面の経済対策に極めて重点を置いて、そのような対応はやむを得ないものとしておるところでございます。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 例えば、九兆円減税をしますと言って随分大々的にPRされているわけですよ。その中で、例えば所得税の最高税率を引き下げて、そしてまた何かいろいろな、あの手この手をつくって、覚え切れないぐらいの複雑な税率計算、税額計算をしなきゃいけないんじゃないかというような複雑なことをやって、やれ頭打ちだ、やれ定率だと、一つ一つ国民の皆さんに説明するだけでも大変な税制をつくって、いろいろやっている。しかしながら、言うならば税金を納めることができない層、そこも言うならばこの年金保険料は払っているんですね。  そして、例えば今税金で定額とか頭打ちとかいろいろやっていますな。そして、我々計算すると、特別減税、ことし、今までやってきた特別減税と比較をすると、言うならば八百万近く以下の所得の人たちは増税になる。いやいや、これは特別減税されているときと比較するからだと必ず言いわけつくんですけれども、我々、特別減税をやるときから、これは特別減税とかということではなくて恒久減税にすべきだと言ってきたんです。こういう事態を招くことはもうそのときからわかっていたわけですから。  むしろ我々は、今厚生大臣お答えになったが、こういうところにむしろ減税の財源というものを回せば十分対応できますよ。そして、それは中低所得者の皆さんの負担減につながるんですよ。そして、そこが本当は購買力、購買意欲が一番高いところなんじゃないんですか。景気対策をもあわせ考えるならば、そこに焦点を当てるべきではないですかということを私は税制の問題とともにあえてここで申し上げておきたいと思いますが、どうですか、大蔵大臣。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 二つの難しい問題をお尋ねになっているわけですが、このたびの九兆円余りの減税につきまして、私自身は今の国民生活あるいは国民経済から考えまして、しないでもいいことをしたという思いは一切ございませんで、ぎりぎりのことをいたしたという気持ちでございます。  例えば、今、中野委員がおっしゃいました仮に最高税率を下げたということは、これはどうかなと。確かに最高税率を下げるということは、その辺の人たちの税負担が減るということではございますが、平成五年ごろから日本の最高税率を下げるべきだという税制調査会のお話があって、私どももそう思っていた。いかにも最高税率が高いということは、累進をかけますときに非常に高い累進をかけるということになりますので、どうしても将来の税負担が重くなりやすい。それは、ただ金持ちだけの問題ではないという問題がございまして、思い切ってこの際させていただきました。  この分が多分五千億ぐらいコストになっているかなと思いますが、先ほどの二兆二千億というのにはちょっとなかなか遠いということでございます。  それから、定率減税をしたということは、前回定額減税をした。それはよく調べてみますと、非常に決定がおくれましたために源泉徴収票が到底できないということがあって、定額ならば簡単でございますから、定額ということが行われて、その結果、三百六十一万円という課税最低限は四百九十一万円に上がりました。その限りでは七百万人ぐらいの納税者が納税者であることをやめたわけですから、その方々にとってはいっとき善政であるわけですが、ただ、御承知のように、所得税というものが累進でできている、三百六十一万の人と四百九十一万の人は所得が違うわけでございますから、応能負担という意味では、随分高いところまで所得税がゼロになっちゃったという意味で、累進というものの持っておりますフェアなシステムというのはその限りで消されてしまった。  理屈を申し上げるようですけれども、高額所得者という話ではなくて、やはり四百九十一万と三百六十一万の間には所得の差があるわけでございますから、その間の累進が消えたということは、応能負担で払ってほしい人が払わなかったというふうにやはり申し上げることができるんだと思うんですね。したがいまして、定額減税というのはやはり本来は避けて、累進に忠実な定率減税の方が私は本当なんだろうと思います。  そういう見地から、前回の定額の方が、今度定率に変わって、その七百万人のうちのかなりの方が納税者に戻るということは、その方々にとってはまことに御不満であろうと思いますけれども、定率減税というものは私は本来そういうものであるべきなんではないかという思いがするわけでございます。  それから、住宅減税にいたしましても、これは平年度の効果は一兆何千億でございますが、これもやはり大事なことであったと思うし、法人税の減税も、やはりここはしなければならなかったのではないか。世界どこへでも本社が置ける時代でございますから、そういう思いがいたします。  そうしますと、どうも貧乏なことばかり申し上げましたが、減税の分で、これはむしろ年金の方に充てたらよかったんじゃないかと思われるところはちょっと私に考えられませんで、今厚生大臣が二兆二千億円と、これは当面で、先は多くなりますが、いいますと、これはちょうど消費税の一%に当たるような感じでございますが、そういう話を今できる時代でもなさそうに思う。としますと、なかなか二分の一負担ということにも踏み切れない財政の現状がある。どうもけちな話ばかり申して申しわけないんでございますけれども、そこらが本当のところでございます。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 言うなれば、最低税率のところでも、我々は意図的にその分をすそ野を拡大しろとか言いませんよ。ただ、例えばこれは税制だけでは、いろいろな社会保障制度に関連をしてきますと、フォローできないわけですね。  ところが、今度は何か政府の方では、児童扶養手当か、あれを十万円か、幾らかふやすんですね。といたしますと、これは低所得者のところは、その控除を拡大したことの恩恵は少なくなるんですよ。そして、高額所得者のところはそれだけ、幾ら頭打ちがあったといっても、それはより多く享受するんですね。  ところが一方、こういう保険料ということになりますと、一定所得以下の方々も払っているわけですよ。だから、そこへ振り向けていただくと、言うならば税の方、所得税の方ではそれほど課税最低限をより下げない、むしろ多くの人が税金は税金として負担する、そしてまた一方では、この保険料で、しかしそれ以下の方々も負担が低くなる。  一方で私たちは、その控除の部分を、子供に関する控除の部分を廃止して、そして子供手当にしたらどうですかという提案もしている。これについては、子供に差はないんです。貧乏人の家庭に生まれようと金持ちの家庭に生まれようと、子供は子供で大事にせないかぬのです。だとするならば、子供手当、我々としては、今金額が大きくなるように聞こえるかもしれませんが、これはヨーロッパの例を参考にしながら考えているんです。第一子、第二子は月額一万円、第三子からは月額二万円、これを子供手当として給付したらどうですか。いわゆる減税の控除の対象というのはもう限界がありますから、むしろそちらの方から、社会保障的な役割は減税措置でやるのではない、控除でやるのではなくて、給付で必要なものはそれだけ負担をしていく、給付していくというふうにそろそろ発想の転換を図ってはいかがですか。  これは、政治改革、行政改革、税制改革、教育改革、何でも改革、改革と言われている、そういうときに、せめてこのくらいの発想の転換というのができなければ、経済構造も国民生活の改善もできないでしょうということを私は、税制と経済とそして社会保障制度と、時間がありませんからまとめて今申し上げましたけれども、その発想全体について、もう一々担当大臣と言っていられませんから、総理大臣、答えてください。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 児童手当の問題についてお触れになられましたが、これは本会議でもしばしば御答弁させていただいていますが、なかなか、三歳未満の時期に給付を重点化した改正を行ったという経緯や、児童手当のあり方についてさまざまな意見があること、御指摘のとおり、拡充するためには大変多額な、巨額な財源が必要であることを考えると、慎重な検討が必要だ、こう答えざるを得ません。  一方、扶養控除につきましては、個人所得課税において、基礎的な人的控除を差し引くことによりまして、担税力の調整を行いながら課税所得を確定するというのが基本的な考え方でありまして、子供のいる納税者については、子供の数に応じた扶養控除等を設けておるところでございます。  いずれにしても、広く社会の構成員で、それぞれの経済力に応じて公平に負担し合う基幹税たる個人所得課税の課税ベースのあり方につきまして、抜本的改革に向けて腰を据えて検討を行っていく必要があると考えておりまして、今委員御指摘ではございまするけれども、本問題につきまして、直ちに抜本的に改革するということは大変困難なことでございます。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 直ちに抜本改革するのは大変困難なことでございますという答弁で結ばれました。ちょっとお先真っ暗ですよ。いつになったら、直ちにやることは困難だけれども来年はこれだけやりますと、そのスケジュール、プログラムは出てこないのでしょうか。  景気対策が全くないということなんですよ。つなぎの政策をやっているんですよ。貸し渋り対策とか何とかといって、つなぎをやっているんですよ。ところが、借りた金は返さなきゃいけないんですよ。そして、返すためにはもうからないといけないんですよ。景気が回復しなければ、借りた金は返せないんですよ。その景気を回復させる施策がないんじゃないですかということを私は繰り返し申し上げるしかない。  ですから、そのことのあれですから、年金に続いて医療制度についても、私は、医療機関の配置と規模、そして医薬専門家、医療や薬品専門家の適正な数値規模、それから大学と学生数の適正規模、保健と予防医学の充実、こういうことについて基本的にやっていかなければ、今回いろいろな関係業界との話し合いもあって、七十歳以上の高齢者の薬剤一部負担を免除してこれを国費千二百七十億円で賄うという、これもつなぎだな、抜本改革までのつなぎの措置をとられた。  しかし、そこでお茶を濁すのではないか、そして抜本改革はおざなりになるんではないかという心配も一方で持たれています。こういうことについても毅然たる姿勢でやはり抜本対策をやらなければ、医療関係者もそして支払い側も救われません。  また、介護保険制度もスタートいたしますと市町村はもう大変ですよ。そして、しばらく延期してくれぬかという声もあるぐらいです。しかし、これは延期できませんね、ここまで来ると。そしてそういう中で、具体的な問題として家族ヘルパーを認めるか認めないかという各論の意見の違いもまた一方出たりしております。こういうのも具体的に、例えば僻地で、離島で家族ヘルパーなしでいけますかという問題も出てくるでしょう。  これはやはり、実態に即してこういうこともやらなきゃいけない。そういうきめ細かさは一方でない。そして将来に対する展望、計画はない。これでは、結局国民の納得は得られないということなのではないでしょうか。もうきょうは何か愚痴ばかりこぼしているみたいな気がいたしますが。  それで、行政改革でもそうなんですよ。何かお聞きしますと、最初は中央省庁等改革基本法において、国の行政機関の定数を十年間で一割削減するとしておった。小渕総理は、去年の総裁選挙でこの削減率を一割上積みして十年間で二割の削減を公約した。そして、一月二十二日の自自協議では、二〇〇〇年度から十年で国家公務員二五%純減。大変すばらしいことであります。  ただしかし、同時に私は——これは恐らく国家公務員の首を切るのじゃないのでしょうから、そしてまた一方、独立行政法人化で人数を減らすというごまかしをやるのでしょう、ごまかしと言ったら失礼だけれども。そして、これは一方では公務員型をとる。言うならば、こういう、何というのか、中途半端ではなくて、一方では、これは例えば生首を切るのじゃなくて、新規採用を控えるといえば、今度は学生が困るのですよ。  そうすると、あくまでも新しい雇用を創出できれば、例えば百万人新規雇用創出計画、具体的に計画を立てて発表してみたらいかがですか。そういうことと相まって、行革もやりましょう、そして雇用対策もやりましょうということがなければ、国民は先行きの不安解消というのを本当に何一つできません。行政改革を唱えれば心配、規制緩和を唱えれば心配。しなければならないことを唱えているのだけれども、国民の皆さんに余計な不信感と不安感を与えて、景気がますます落ち込むということに、今、言うならば悪循環を繰り返しているのではないでしょうか。  そうかと思うと、一方、企業統治に関する商法改正、倒産法制改正というのを何か考えておられるのですな。それで、何か法務大臣の新しい指示があって、ことしの夏までに新しい倒産処理手続について法案要綱をまとめて、秋の臨時国会に提出する方針に変更をしたとかという話も聞きます。ところが、賃金債権とか国際倒産などの他の課題の検討は先送りされるという話も一方で聞こえてくるのです。それで、アメリカ型の株主重視、株主を大事にするという考え方の方がグローバルスタンダードだというお話がある。  しかしながら、考えてみてください。株主、経営者、労働者、三つがそろって協力して初めて、言うならば企業経営は成り立つのでしょう。しかも、社長はおやじ、労働者は息子とかという日本型の大変手厚い関係などがあって、おやじのためならば少々辛抱してでも働こうかという労働者がいる、また、息子のためならばおれは飯を食わぬでも給料を払ってやるという社長がいるという関係の中で、日本型の労働慣行というのは生まれてきている。そういう中で、参考にしてはならぬこととまでは言いませんけれども、そういうものを無視して、何か慌ただしいことを今一方では考えようとしている。  こういうところに、今僕がずらっと並べたのは、早口でまくし立てたのは、自民党の政治と、我々民主党が考えている、労働者、消費者、納税者の立場に立ってという、その考え方の違いをはっきりさせたいから申し上げている。それに反論があるということであれば、それはもう当然説明してもらいたいということでありまして、時間が、あと私の質問の時間、二分ほどしかありません。総理、今私幾つかのテーマを申し上げたから、まとめて総理から御答弁ください。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 中野委員御指摘の点は、いずれにしても重要な諸点でございます。  物には表と裏があるのだろうと思います。公務員の人員を削減すれば、その方々の生活はどうするかという問題がございまして、そこに政治の難しさがあるのだろうと思います。  ただ、この公務員の問題につきましては、橋本内閣のとき、一〇%計画削減を行うことにいたしました。私、総裁選挙のときに二〇プロ、こういうことを申し上げました。その後、自由党との間におきまして、合意によりまして、さらなる削減の実現に向けて努力をいたしていくということでお約束をいたしております。  したがいまして、独立法人化につきましていろいろ厳しい御意見ありましたが、いずれにしても、いろいろ手法を講じましてその目的を達成して、とかく公務員の、それぞれ部署があるがゆえになかなか予算も削減できないというような実態もこれあることでございますので、総合的に判断して対処していかなければならないと思っております。  それから、倒産法制定につきましては、現在、法務省におきまして改正作業が進められていると聞いております。  いずれにいたしましても、委員御指摘のような点もあろうかと思いますが、やはりこの際はこうした法律によりまして、それぞれ賃金債権のプライオリティーというものを決めていかなければならないのも流れかと思っておりますので、十分検討させていただいてまいりたいと思います。

中野寛成民主党

○中野(寛)委員 時間が来ましたから終わりますが、いずれにいたしましても、なし崩しとか積み重ねとか対症療法とかびほう策ではなくて、ちゃんと理念と目標とタイムスケジュールを示して、積極的な行政運営に携わってもらいたい、それが本当の改革だと思います。  今のこの深刻な経済状態の中で、そのことをこそ国民はまさに切望しているということを再度申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 これにて菅君、中野君の質疑は終了いたしました。  次に、池田行彦君から質疑の通告を受けております。これを許します。池田行彦君。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 自由民主党の池田行彦でございます。  総理、総理はこのほど自由党との連立という大きな決断をなさいまして、小渕内閣も新しいスタートを切られたわけでございます。政権が一段と安定することによりまして、当面の緊急課題に適切に対処していくことはもとよりのこと、二十一世紀あるいは新しい千年紀を見据えたいろいろな取り組みもできることになるのじゃないかと思っております。  総理御自身も施政方針演説の中で、そういった未来を展望しながら、五つのかけ橋をということをおっしゃいました。そういうことで国民の期待も非常に大きいと思うのでございますが、そういった意味で、まず最初に、いわゆる自自連立の意義と、それからそれを踏まえて、政局あるいはこの国会の運営にどのように取り組んでいかれるのか、そういった点をお伺いしてまいりたいと思います。  私どもは、そういった意味で、自自連立の意味というものは非常に大きいものがあると思っているのでございますが、世間は必ずしもそういう評価ばかりではないようでございます。中には、単なる数合わせじゃないかというふうな評価もあるようでございますが、どうなんだろうかと思います。  私は、そもそも数合わせというものも頭から否定されるべきものじゃないと思います。民主主義の中で物事を一つ一つ実行していこうというときにはやはり多数を形成しなくてはならないわけでございまして、そのためにいろいろ苦労していく、これは当然の話でございまして、これまでも日本の政治史の中で、つい最近までもいろいろな形の連立という政権はあったわけでございます。  そういった意味でございますが、ましてや今回の自民、自由両党の連立は、考えてみますと、そもそもが政治理念あるいは政策の路線という点で重なる部分の多い政党の間の連立であるということでございます。  それからさらに、この連立に至ります過程においては、総理御自身が、あれは最初が十一月の十九日であったと記憶しておりますが、自由党の小沢党首との間で、何度も綿密な政策あるいは政治全般の運営のあり方についての打ち合わせ、御相談をなさいました。また、そのような党首間の御協議また合意というものを受けまして、両党の間のいろいろなレベルでの協議もございました。私自身も自民党の政策責任者といたしまして、野田自治大臣とも、その当時いろいろな御協議をさせていただきましたし、また個々の重要課題についても、いろいろなチームをつくりまして協議を重ねてきたところでございます。  そういったふうに考えてまいりますと、私は、今回の連立というものは、政治路線そして政策についての基本的な合意の上に立った極めて安定的な連立になる可能性があるし、現に、もう既にそういった歩みを始めておるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。そういったことは、やはり国民の中でも、そういった積極的な評価をされる向きもかなりあるのじゃないか、こう考えております。  それがいろいろ、区々ではございますが、最近の世論調査の中に、自自連立あるいはその上に立つ小渕内閣への期待度が、あるいは支持率がじわりじわりと上がってきている、こういうところにも反映されていると思うのでございますが、総理御自身は、そのあたりをどういうふうに評価しておられるか、あるいはこれからどういうふうにこの連立政権による政治運営をやっていこうと考えておられるか、そのあたりのお考えをお伺いしたいと思いますし、また、この問題につきましては、野田国務大臣からもお考えをお伺いさせていただきたいと思います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 御指名を受けまして、内閣総理大臣という大変重い任を負わせていただいております。政権をお預かりしております以上は、安定してその政党の考え方を実現をしていかなければならないという立場で、私自身自由民主党でありますが、いたしております。  そこで、政権のあり方としては、一般的には、議会に過半数を維持しておらない段階におきましては、当然のことながら連立政権というものが存在いたします。その場合に、いわゆるパーシャル連合と称して、各法律案ごとに各党と話し合いを進めながら進めるという方法、実は、昨年国会の御協力を得て、各党の御協力を得て金融二法を通したというのも、ある意味ではそういう形かもしれません。がしかし、一方、さらに確実な形で法律を国会に出す前に各党間で話し合いをきちんと済ましていくということにおいて行われるのがいわば連立政権でございます。  連立政権につきましては、また諸外国のことを披瀝するつもりはありませんが、ヨーロッパ等におきまして連立政権をつくりまする段階の中におきまして、話し合いを選挙後進めていくという形のことがある意味では一つのルールになっておるかもしれません。  しかし、私自身も、昨年から今年にかけてつらつら思いますときに、やはりこの際、もし理念あるいは政策の点において可能な限り一致できるものなれば、改めて政権をともにし、閣僚もお互い責任を負うという形が望ましいという形で、お話しのように、小沢党首と三回にわたりまして本当に忌憚なくお話し合いをいたしました。その後、党と党との間におきまして、政策課題につきましても納得の上で、連立が成立したと思っております。  もとより、政党は異なっておりますので、すべての点において全く合致するということであれば一つの政党として進むべきものであって、これは今日なお自由党との間にすべて政策的な点で、すべての点で一致しているとは言いがたいとは思いますけれども、これは将来、両党の間において切磋琢磨し、話し合いを進め、そして納得をしていただくという形で政策を進めれば、安定した政権が維持できるのではないか、こういうことで今回この連立政権に踏み入ったわけでございます。  数合わせというお話がありましたけれども、もとより参議院におきまして、両党合わせましても過半数を維持しておらない状況でございますし、また、これは日本の政治のある意味で特色なのかもしれませんが、衆参両院という二院の中で、二つの院が立派にその機能を果たしておるという形の中で、日本の政局は、政権は維持されるということでございますので、そうした形で、今後ともいろいろ難関はあるかと思いますけれども、要は国家と国民にどういうことをなし得るかという一点に絞って、この連立政権の意義をあらしめていきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 基本的にはただいま総理が申し上げたとおりでありますが、重ねての私に対する御質問でもありますので、簡潔に申し上げたいと思います。  そもそも、私どもは、少なくとも今政治がこの時代認識においてどういうふうに対応していくかということからいえば、少子高齢化ということが実際もう片足を突っ込んでおりますし、あらゆる面でかなり壁にぶつかってきている。そういう中で、限られた時間の中で、根本から仕組みを立て直さなければならない、そういうある種の危機感をも覚えてきたわけであります。そういう中で、この国をどうやって仕組みから立て直していくのか、そういう基本政策をより大事にしてきたという自負心もございます。  そうした中で、小渕内閣になり、これまでの経済のやり方についても、やはり反省に基づいて大胆な経済政策の展開ということに踏み込み、そしてまた、党首間でいろいろ突っ込んだ御意見を交わしていただいて、基本理念なりあるいは時局認識なりあるいは基本政策についてかなり基本的な方向性で一致してきたということは極めて大事なことであって、単に数だけを求めての連立ではないということは総理からも申し上げられたとおりでありまして、そういう意味で、政治の世界、最終的には法律が通るには多数決ということが当然必要であります。そういう意味で数を無視するわけにいきませんが、しかし、それよりも先に政策、理念の一致を優先したということが私は今回のいわゆる自自連立の大事な部分であるというふうに認識をいたしております。  そして、それに伴って、連立政権発足に先立ってより直ちにやるべき政策ということで、政府委員制度の廃止の問題を初め幾つかの基本的課題についてかなり突っ込んだ議論を闘わせてきたことも事実でありまして、池田先生も大変御尽力をちょうだいして、最終的には両党首のリーダーシップのもとで基本合意が成立をしてスタートを切ったということは大変すばらしいことだ。  そのほかにもまだこれから詰めなければならない課題はたくさん残っていると思います。そういう点で、これからお互いの両党間の信頼関係を深めると同時に、健全なる緊張関係ということも持続しながら、そういう中で、総理のお言葉にもありましたように、切磋琢磨をしつつも真摯に誠意を持ってやっていくという、責任ある政治を断行していくんだ、このことが非常に大事だ。  長くなって恐縮でありますが、最後に、私口癖で申し上げておりますが、今の時代、我々のやるべきことは、政策、基本政策を大事にしていきたいということと、それからそのスピード、実施に至るスピード、この二つ、これを大事にしていくということがより今の時代において必要だというふうに思っております。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 ただいま総理並びに自治大臣からもお話ございましたけれども、私どもも、現在の我が国の置かれた状況というものをよく考え、そうして今何をなすべきか、両党協力して当たっていかなくちゃいけない、こう思う次第でございます。  総理御自身も今言及されましたけれども、しかしながら、参議院においては残念ながらこの両党の連立によっても過半数に達しないというのは、これは現実でございます。しかし、そういった中で、やはり今野田さんもおっしゃいましたようなスピーディーにいろいろ手を打っていかなくちゃならない、こういうことになりますと、まだまだいろいろな御苦労が絶えないんだと思います。  そういった意味で、両党の協力関係をさらに緊密にしていくのは当然でございますが、さらに他の会派の御理解なりあるいは御協力、御支持もちょうだいしなくちゃ政治は動いていかないと思うんでございますね。そういった場合にどう考えたらいいんだろうか。この自自連立を中心に据えながら、あとは課題ごとに、先ほどパーシャル連合、部分連合ということをおっしゃいましたけれども、そういうものを上に乗っけてやっていこうという意味なのか、あるいはまた自由党以外の政党にももう少し、連立までいくかどうかはともかくとして、やや幅広い、あるいは強い協力関係も、その可能性も追求していこうと考えておられるのか。そのあたり、お考えございましたら。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 改めて固定的に物を考える必要はないかと私は思います。姿としては二党による連立政権ではありますが、したがって与党という立場になりますが、そうなりますと野党という立場の各政党がございます。しかし、要は、そういう与野党の単なる政権争いということでなくて、政策が国民に必要かどうかという一点に絞って考えれば、これはある意味では与野党とも十分話し合える形になるのではないかというふうに思っておるわけでございまして、そうした点で今後とも政府としても十分法律案につきましては精査して、自由党との話し合いの中で自民党と連立政権として法律案を提示いたしますが、野党におかれましても恐らくいろいろな形で、先ほど来お話しいただいていますように議員立法という形で御提案あるんだろうと思います。  したがって、かつてと言っては語弊があるかもしれませんが、与野党がイデオロギーによって対立して全くにっちもさっちもいかないというような状況では、今日の国会を私見ておりまして、さようなことはないと思いますので、問題は、国会として処理いたします法律案そのものが国民のためにどのようになるか、必要であるかという観点に絞ってこれからは十分野党とも話し合うというのが筋ではないかというふうに考えておりまして、固定的に考えることはあり得ない、こう思っております。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 わかりました。  それから、今回の自自協議の中で幾つかの重要課題がございまして、その基本的な合意もあったわけでございますが、その中で、自由党さんの方が、これが一丁目一番地だとおっしゃったのが、国会あるいは行政のあり方、それとの関連で、いわゆる政府委員制度の廃止であるとか、あるいは副大臣制度の創設といったようなことが両党間で合意された。そして、政府委員制度の見直しにつきましては、既に本院の議院運営委員会においても、各党各会派の間で、これを前向きに進めていこうじゃないか、そういうふうな動きにつながっておるわけでございます。  そういうふうになりますと、これまでの国会の審議のあり方、あるいは行政自体の運営にも大きな変化が出てくるんだと思うんでございます。それは当然政治主導というのが柱になるんでございましょうけれども、だからといって、もう官僚は要らないよ、官僚たたきすればいいよという話ではなくて、政治主導がきちんとする、そのもとでの行政府あるいは行政官の役割というものも明確になることによって、行政の運営そのものも効率的になってくるんじゃないか、こういうことが期待される。  つまり、明確な国家目標であるとか、あるべき社会あるいは経済の像というものは政治がきちんと提示していき、それを実現するために行政府も適切な対応をしていくということが期待されると思うんでございますけれども、これからどういうふうになっていくか、これからでございますけれども、イメージとして、どういうふうに国会審議なり行政運営のあり方が変化していくというふうにお考えになっているのかお伺いさせていただければと思います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 これは、長らく主張されてこられました自由党の野田大臣からもお答えいただいた方がよろしいかと思いますが、私と小沢党首とのまず最初の話し合いの中で、今直ちに行える問題として、今御指摘の副大臣制度あるいは政府委員廃止の問題が取り上げられました。正直に申し上げまして、私も本院に籍を置かせていただいて三十六年に相なりまして、こうしたスタイルが、ある意味ではなれ切っておると言ってはなんですが、そういう姿で国会に臨んでまいりましたが、大変新しいお考えをお示しされました。  この問題につきましては、かねて民主党の菅党首も、御本を書かれました中にもこのことを主張しておりまして、私も関心は持っておりましたが、今のやり方を一挙に相改めるということについては、実はなかなかイメージがわきかねておるところであります。  しかし、今、自由党と話し合って、これを両党の話し合いとしてまとめた以上は、この制度を大いに生かして、そして、要は、小沢党首の言葉をおかりすれば、政治がきちんと物事を定めていく、そのためには、常々国会では政府委員の方々にいろいろな形で答弁を求めておるというような形でなくて、これは政治家同士の話し合いを徹底してやるべきだと、例を若干イギリスの議会にとっておるような感じがいたしておりますが。  そういった意味で、これが本当に生き生きとしたものとして、政府と野党との間に問題の核心についてその差異が明らかになるということであるとすれば、私は、非常な効果が生まれるものであるし、また生ませていかなければ、せっかくの合意が国民のためになり得ないと考えておりますので、今後、院におきましても十分検討されると思います。  ただ、私は、政府の立場で申し上げるのはいかがかと思いますけれども、この制度にあわせまして、当然のことながら、国会のあり方そのものにつきましてのいろいろの議論もなされていかなければならないし、そうなるのではないかと思いますので、まさにこれから二十一世紀に向けて、日本の国会の中で、政府と野党と切磋琢磨しながら、すばらしい方向へ持っていくための制度と心得て現実に対処していきたい、私はそう考えております。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 基本は、今総理がお答えになったとおりでございます。  その中で、最後のところで特に付言されましたが、大きなポイントは、まず議会における方式が変わる。私は質的に変わってくると思いますし、大体、質問対答弁という形式ではなくて、いわゆる質疑というよりも、お互いが論戦を交わすというか、そういう形の国会審議になっていくのではないか。したがって、いわゆる政治家同士が本音で、自分の言葉でぶつけ合うということになれば、より実りある議論ができるのではないか。  今まで、ややもすれば、攻撃対防御という雰囲気がありまして、防御する側はできるだけ揚げ足をとられまいというようなことがまたややこしい表現になるという、そういう点で何か国民から遊離したような実態が、より本音で、政治家が自分の言葉で論議を交わしていく中でより中身の濃い政策が生まれてくるという、そのことを期待している、これが非常に大きなねらいであるということをあわせて付言させていただきます。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 今お話ございましたように、本音での議論がこの国会の場で行われ、またそれが国民の皆様方の前にも提示されていくということを通じて、国民を含めた我が国のあるべき姿を求める努力が大きく展開されることを期待していきたいと思います。  次に、この自自連立の、先ほど政治理念あるいは政治路線において一致する部分が、重なる部分が多いということを申し上げたわけでございますけれども、さて、その政治理念とは一体何だろうか。世間の評価、いろいろなことが言われております。例えば、新保守じゃないのか、民主とかあるいはリベラルだとか、あるいは場合によっては中道左派というやり方に対する、それに対して対比されたものとしての新保守じゃないかというようなとらえ方をする向きもあるようでございます。  確かに、欧米では、例えばサッチャーさんの時代だとかあるいはレーガン大統領の時代とか、いろいろいわゆる新保守という名の政治が展開されたこともございました。また、最近では、逆にヨーロッパでは、いわゆる社会民主勢力というところが政権の座に着くという動きがございまして、いろいろなことがあるわけでございますし、また、我が国の場合には、現在の小選挙区制を中心とする選挙制度への変革の、改正の過程において、小選挙区制中心になったら一体どうなるんだろうか、やはり政治路線の対立になるんじゃないかというとらえ方がされ、そういったときに、やはり新保守とリベラルというような言い方がされたこともあるわけでございますけれども、これを、総理御自身は今回の連立の性格をどのように考えておられるのだろうか。  もとより、これだけ価値観も多様化し、また複雑化した時代でございますから、単に新保守あるいはリベラルというとらえ方もやりにくいでしょう。あるいは、大きな政府、小さな政府という言い方もありますけれども、これもそう単純に言うわけにいかぬと思いますけれども、しかし、やはり欧米で、先ほど、そういうふうなレーガン政治やサッチャー政治の時代があって、かなり活力を失っておった経済社会というものが、民間の活力をまた引き出してきて、いわば勢いを盛り返してきたという歴史的な事実もあるわけでございますね。そういった意味では、日本のこの社会も、やはりそういったプロセスを一たん思い切って経験する、あるいはみずからそういうところへ飛び込んでいく必要があるんじゃないかという気もいたします。  いずれにいたしましても、両党とも、今経済社会の改革という方向で、自己責任あるいは市場原理の徹底であるとか、あるいは官より民へというようなことを中心に考えていることを考えると、小さな政府を基本的に志向しているということは一致しているんだと思いますし、新保守というとらえ方もあながち的を外れるとは言い切れないかとも思うのでございますけれども、どういうふうにお考えになっているか、お伺いできればと存じます。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 新保守という言葉は、私、連立政権に当たりまして記者会見でそのようなことを申し上げましたので一部この言葉が流布されておりますが、私としては、自由党との理念を共有しながら、新たにこれから臨んでいく政治の基本として、保守主義を原点にしながら新しい方向性に臨んでいきたい。  保守主義というと、頑迷固陋というようなことにすぐイコールづけられますけれども、そうでなくて、やはり、新しく改革をするものが真の保守主義であるというエドモンド・バークの言葉をとれば、保守主義というものは、単に現状を維持するということでなくて、新たなる前進を行うものだ、こういうことで、自民党の力だけでなくて、相互に相連携し、相乗的効果も発揮しながら進んでいく姿、具体的に何かと言われれば、今お話しのような、大きい政府か小さい政府かと言われればそのとおりだろうと思いますし、それから、ある程度自己責任の世界にこれから入っていきます。  話は飛びますけれども、金融の世界でもペイオフの問題等もございますし、いたずらに国がすべてを保障していくということでない形の中で、やはり自分の責任は自分で果たしていくという原点に立って対処するというような形におきましても共通のものがあるのではないかな、こう考えております。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 わかりました。  それで、自自の政策が基本的に一致している、あるいは重なる部分が多いと申しましたけれども、総理もおっしゃいましたように、ぴたりと一致しているわけじゃございません。ぴたりと一致していたら同じ党になるわけでございますから。  ところが、世間では、大部分は一致しているんだけれども、一致しないところがある、そうすると、その違うところを殊さら強調するというか、クローズアップしましていろいろ言われる傾向はあるわけでございますけれども、特にそういう傾向は安全保障をめぐる分野について著しいんじゃないか、こんな感じがいたします。  しかし、今回の政策協議におきましても、両党の間では、憲法の理念を大切にして、平和主義、国際協調主義でいこうや、そうして、もとより専守防衛を初めとする原則は大切にしていくということでございますし、その中で日米安保体制を柱にしていく、そうして我が国の平和を確保し、さらに世界の安定、平和のためにも役割を果たしていこうということで、大きな意味での、あるいは基本的な点での一致はきちんと確保されているのだと思います。  確かに、違うところがあるとすれば、自由党さんの場合には、いわゆる集団安全保障という考え方をおつくりになりまして、国連の平和活動に参加なり協力なりする場合には、そういうことで考えていけば、必ずしも憲法九条の伝統的な解釈に基づくいろいろな制約というものには服さないのだ、こういうことをおっしゃっている。我々は、いや、確かに国際協調主義はそれはそのとおりだけれども、国連の平和活動に参加する場合といえども、憲法前文の理念と同時に、憲法九条という物差しでのチェックというものが必要だ、そこのところが違うのだ、これは認めざるを得ないのだと思うのです。  しかし、それではどうにも連立政権として動かないかと言われますと、そうではない。そこが違っても、具体的な安全保障政策の展開あるいは具体的な安全保障上の課題への対応に対してはどちらの考え方に基づいてもきちんと説明できるし、同一の行動ができる、そういうことを確かめ合った上で、そごなく協力していけるということを確認した上での連立であると私は考えております。そういった意味では、基本的な憲法解釈について若干の違いはあってもこれはいいんだ、いわば最大公約数的なもの、両方なりが考え方で一致するところで対応できるのだ、こういうことでいいんだ、こういうふうに考えているわけでございます。それでいいのかどうかということでございます。  それからまた、後ほどガイドラインについては若干質問したいと思いますけれども、一部で、湾岸戦争のときにいろいろ議論があって、我が国ができないとされた行動といいましょうか活動といいましょうか、そういったものが今度のガイドライン関連法案でできることになっているじゃないか、これはどうなっているんだ、これは拡大解釈したんじゃないか、あるいは憲法解釈の変更じゃないかということもありますけれども、私はそういうものではない。湾岸戦争のときには、初めてのことでございますし、いろいろ考えていったけれども、ここから先は今の場合は詰めないで置いておこう、グレーじゃなくていわば白地のままにしておこうということで、置いたものがある。  それがその後いろいろ、特に我が国の周辺事態にどう対応するかという問題でやっていく場合、これは国連の平和活動じゃなくて日米安保体制のもとでの協力、そして周辺事態に対処するという問題でもあるからということで、いろいろ詰めていって、具体的にこれは憲法上も問題ないし、そして政策的判断としてもやるべきだということで整理された、こういうことだと思うんですね。だから、いわば未整理の部分を詰めて検討した結果このようなことにしたんだ、こういうふうに思います。  そういった意味では、あの当時に比べて、基本的な考え方は違っても、共通の認識で、共同して同じ考えで対応できる部分が多くなったということは、これは事実だと思うんですけれども、そういうふうな考えでよろしゅうございましょうか。これは総理にお伺いしましょうか、官房長官でしょうか。では、総理にお願いします。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 改めて、国の平和と安全を維持し、国民の生命財産を守る安全保障は、政府の最も重要な責務であります。  政府はこれまで、日本国憲法のもと専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの基本理念に従い、日米安保体制を堅持し、節度ある防衛力の整備に努めるとともに、我が国を取り巻く国際環境の安定を確保するための外交努力を行うことを安全保障政策の基本としてまいりました。  自民党と自由党との間でまとまりました安全保障の基本的な考え方は、このような従来の我が国の安全保障政策の基本に沿ったものでありまして、委員御指摘のとおり、安全保障政策の基本につき両党の間にそごはないと考えます。  私としては、この合意は我が国の一層の堅固な安全保障体制の構築のための礎になるものと信じておりますが、両党が本安全保障問題をめぐりましてそれぞれ、プロジェクトチームの代表として池田政調会長も臨まれたわけでございますが、そういった意味で、非常に真剣な話し合いのもとにこの合意は成り立っておると考えております。  ただ、自由党といたしましてのそれぞれのお考えを持たれる方々もおりますが、概して言えば、国連憲章といいますか国連中心主義という形の中で、憲法の前文によりまして、日本の自衛権の行使につきましては、その制約については、その観点から見られている点もあるように思われます。  私ども今、自民党の現政府といたしましては、自衛権というものは第九条に発してその限界の中で対応するという形でございまして、こうした点は、国の基本的なあり方につきましては、今後両党の間でもさらに深みのあるものにしていき、最終的には国民の皆さんがどう判断されるかということに帰することではありますけれども、問題は私は大いに提起されて、そして議論を巻き起こすということもあっていいのではないか。  そのことと、この政府としての基本的な方針につきましては、野田自治大臣もそのことを十分御理解いただいた上で、ともにこの内閣を進めていくということについて御了承いただいて、閣僚としての責任を果たしていただいておるものと私は考えております。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 以上、自自連立の意義なり、これからの政治運営についてお伺いしてまいりましたけれども、私は、総理並びに野田自治大臣の御答弁を通じましても、基本的な時代認識、その上に立っての基本政策についての一致を見た上での安定的な政権になり得る、そういった十分な可能性がある、こう考える次第でございます。  そして、この内閣の取り組むべき最大かつ喫緊の課題は何かといいますと、これは当然、一日も早く景気をよくしてくれ、そして日本の経済を再生してくれ、これが国民の切なる願いでございますし、もうそう言われて久しゅうございますから、もう待ったなしでございます。どうしてもこれをやらなくちゃいけないわけでございます。  そのためにこそ総理も今真剣に取り組んでおられるんだと思いますけれども、総理は、先般の施政方針演説において、大いなる悲観主義から建設的な楽観主義にと言われました。楽観主義でいけ、こう言われたわけでございますけれども、その総理のおっしゃる楽観主義というのは、単なる楽観主義ではなくて、将来を悲観するのじゃなくて、きちんと夢を持ち、そして目標を定めながら、それへ向かって強固な意志を持ち、さらに着実な行動をもってこれを実現していくんだ、こういうふうなお気持ちだと私は理解しておりますし、また、小渕内閣発足以来のいろいろな御努力、そしてとりわけ昨年の年末からの、予算あるいは税制を通じての景気回復に向けての思い切った施策を打ち出されたというのは、そういった総理の御決意のあらわれであると思っておりますけれども、景気回復、そして経済再生にかける総理の御決意のほどを、簡単にでもお伺いできればと思います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 あえて景気は気だなどと私は申し上げるつもりはありません。しかし、人間が行う行為によって経済は発展していくわけでありますので、常に悲観的な見方で過ごせばますます気分はめいってしまう。もちろん、悲観的といいますか、客観的に現状を分析し、厳しく冷静に見詰めなければならない諸点はありますけれども、やはりこの際は、建設的な楽観主義といいますか、これからしっかりやろう、そういう気持ちがお互い起こってこなければならない。特に、経済界をみずから預かっておる方々にはそうした気持ちを持っていただきたいということも込めまして、そう申し上げたわけでございます。  そういう意味で、政府としてなすべきことは、今般の来年度予算に包含されておりますように、あらゆる角度から検討いたしまして、今日的課題を解消するための予算措置、特に景気に影響のある公共事業その他につきましても、御批判はいろいろありますけれども、かなり思い切った投資を行う。同時に、単にことし、来年のことでなくて、将来世代を十分見通しながら新しい産業を起こすような、そういう手だてもかなり講じておると思っております。  そうしたもろもろの政策が功を奏してまいりますれば、お約束をいたしておりますように、〇・五%のプラス成長が必ず達成できる、そう確信のもとに、今政府としては最善の努力をいたしておるわけでございますので、一日も早く予算を成立させていただきますように改めてお願いする次第でございます。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 そして、今小渕内閣が懸命に取り組んでおられる景気回復の施策でございますが、その前提としては、非常に大きな動揺を続けてまいりました我が国の金融システムの安定、そしてその上に立って、金融本来の役割でございます信用供給が十分になされる、このことが基本だと思うわけでございます。再生法あるいは早期健全化法に基づく監督庁あるいは金融再生委員会の動きもいよいよ本格的になってきたわけでございます。  先般、柳沢国務大臣、今後の具体的な運用方針も明らかにされましたが、それについてちょっとお伺いしたいと思います。  特に、資本注入、これを一律に行うというのがやはり非常に問題があるのじゃないのかな。これはやはり、真剣に当該金融機関がリストラを考え、そして長期的な金融の世界の再編に結びつくようなもの、こういったものに重点を置き、そういったものには条件についても配慮するということが必要じゃないかというふうに考えるわけでございます。その点も含めてお伺いしたい。  それからもう一点、何か都市銀行についてはこの三月決算期までに基本的な整理を終えさせるんだというふうな構えでやっておられるというふうに報道されておりますが、その点についてもお触れいただきたいと思います。

柳沢伯夫自由民主党金融再生委員会委員長

○柳沢国務大臣 今池田委員御指摘のとおり、今、金融の緊急事態に対応する特別な機関として金融再生委員会というものが置かれたわけでございます。十二月の十五日に発足を見たわけですが、それからほぼ一カ月たちましたところで、だんだん委員の気心も知れてきた、それからまた、若干国民の皆さんにこの委員会がどういう仕事をしているかということについてもこの際明確にしておきたい、特に関係の金融機関の皆さんには、我々の思うところ、考えているところについてより認識を深めていただきたい、こういう趣旨から、一月の二十日に金融再生委員会の運営の基本方針というものを決定、発表させていただきました。  その中に、お尋ねの、我々が所掌している主な法律であるところの早期健全化法の運用方針というものも当然うたっておるわけでございますけれども、私どもは、不良債権の償却を進める、それから信用供与の円滑化を図る、さらに、今後経済状況のいかんによってはいろいろのリスクもかかってこよう、こういうようなものに対応するためには十分な資本というものを、今後継続、存続していく金融機関の場合には必要とするであろう、そういうような考え方をうたっておりまして、このために我々は相当規模の信用増強を図るけれども、その場合にはやはり条件がありますよと。  これはやはり最終的には、いろいろな方法がありますけれども、償却をするなり、ローンという形は今回は考えにくいんですが、それも一応法律では認められております。その場合には償還というようなことで、原資が必要になってまいります。その原資はどこから出てくるわけでもなく、自分たちの業務活動を通じた利益、収益から生み出さなければならない。そうなると、それ相当の収益力の向上というものが当然必要になってくるわけでありまして、そのためには、今までのことをただ横並び、ほかの銀行もやっているからといって漫然とやっているというような経営態度では、とても期待される収益は上がってこまい。  であるならば、それは部門別の、ROEと言うそうですが、株主資本利益率、こういうようなものが各行用意されておるそうですが、そういうものの高いところをむしろ伸ばしていく、そして低いところは思い切って切り捨てていく、そういう業務の再構築が必要であろう。  そういうことを進める中で、自分たちだけのそういう業務再構築で本当に足りるのか、もっと目を外に向けて、再編というようなことも視野に入れて考えたときに、さらにそれが効率的にいくというようなことも当然予想されるわけでありまして、私ども、政府主導でああでもないこうでもない言うということは慎もう、このように思っておりますけれども、そこの収益力の向上ということを真剣に、しかも金融システムの改革、ビッグバンというものが行われる中で考えていくとしたら、当然そういうことも考えてもらわなきゃならないということを申し上げているわけでございます。  なお、先ほどお尋ねがございました、「少なくとも大手行については本年三月期において不良債権問題の処理を基本的に終了することを目指す」ということをうたわせていただきました。  これはいろいろ、なかなか難しい問題も実はございます。内外の我々の金融機関に対する信認の動揺というものは、バランスシートの質そのものにあるわけです。そこで我々は、このバランスシート、資産の査定を厳格にする。引き当ても、少なくとも目安ぐらいの定量的な指標を示すことによって、日本のバランスシートは万全なんだというようなことを前提にして、引き当てをしていただく。  そういうものに必要な資本、過少資本になるでしょうから、その資本の補いとして資本がスムーズに入ればこういうことも十分実現可能である、このように考えて、それを目指して、各行の努力もまた求めていきたいし、我々も努力いたしたい、このように考えているというものであります。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 今、柳沢委員長がおっしゃいましたように、基本的には、私はやはり金融の世界自身の自己責任、そして自助努力が中心だと思うのでございます。しかしながら、やはりあるべき金融の世界の姿というものをにらみながら、金融再生委員会あるいは金融監督庁がうまくチャネライズしていくというのですかね、そちらの方へ誘っていくというのですかね、そういったことが大切じゃないかと思います。  これは官主導なのかあるいは民間なのかというのは午前中も議論があったようでございますからこれ以上申しませんけれども、最近、金融界自身においても、これまでにないような大型な合併であるとか、あるいはグループを超えた、時によっては国境を越えた業務提携の大きな脈動も出てきているようですが、どうかそういった金融の世界自身の望ましい動きというものをうまく誘いながら、金融の世界の安定化にさらに御尽力を賜りたいと思います。  いま一つ、金融の関係で御質問を申し上げたいのは、確かに、今の安定化のために不良債権の処理を進めていく、あるいは資本の充実を図っていく、これは大切なんでございますけれども、こういったことを進めていけば、信用を供給していくという金融の役割、機能との間で矛盾することが出てくる。とりわけ現在のような不況のもとではそういったところが非常に対応が難しくなるんだ、これは否定できないと思うんでございますね。  そうした意味で、いわばこの二律背反といいましょうか、それをどういうふうに考えておられるのかなというのをちょっと委員長から簡単にお伺いしたいし、それから通産大臣に一つお伺いしたいんでございますけれども、これは通産、まあ大蔵も関係ございますけれども、こういった不況下での必要な信用の供給のために随分努力してこられました。いわゆる貸し渋り対策等ですね。例の十月につくりました中小企業を対象とする四十兆円のあの対策というのは、極めてこれは評判がいいといいましょうか、本当に各界から歓迎されているもので、信用保証枠なんかは二十兆円用意しましたのが、たしか年末までで十一兆円実行されたんでしょうか、申し込みの方は十三兆円を超えていると承知しておりますけれども、非常にそういった意味ではよかったと思いますし、また、中小企業だけじゃなくて中堅あるいは大企業についてもそういうことが必要だというので、開発銀行等の活用による動きもこれから本格化するんだと思います。  これはこれで非常に大切なんだと思いますけれども、しかし考えてみますと、やはりそれだけでは済まないんではないのかなと。先ほども議論が若干あったようでございますけれども、やはりそれはつなぎの措置じゃないかという面、これがあることは否定できないと思うんですね。  やはり、本当に中小企業あるいはその他の企業も含めまして、きちんとやっていくためには、そういった事業活動が活発になるような環境の整備、需要の創出であるとかそういうことが必要だし、さらに言いますと、やはりこういったふうに経済の構造全体も変わらざるを得ない事態でございますので、未来を見据えた新しいビジネスチャンス、ベンチャーその他でもいろいろやっておられますけれども、そういったことにも力を注ぐ必要があると思います。  通産大臣もいろいろ、今回の税制なり予算の中で御工夫なさっておられるようでございますけれども、そういったことについての御所見を通産大臣にお伺いしたいと思います。  まず委員長の方から先に……。

柳沢伯夫自由民主党金融再生委員会委員長

○柳沢国務大臣 池田委員、既に、私が答えんとするところを通産大臣への質疑においてみずから答えられたような気もしないでもありませんが、せっかくの御質疑ですので、簡潔にお答え申し上げたいと思います。  要すれば、今の一般民間金融機関の貸し渋りというか信用収縮というのはどこから起こったかと言えば、自分のリスク負担能力が低下したというか減少した、そういうことの反映でございます。結局これは、不良債権の処理がおくれているとは言い条、かなりのものをやってきました。その中には、業務純益をもって充てたものもありますが、しかし、現実の資本を毀損することによって償却した部分もあります。そういったことを背景として日本の金融機関の資本力が弱くなり、それが回り回って信用の収縮に及んだということであります。で、怖いから、じゃ、リスクの低いところに貸してということになると、収益力はどんどん落ちてしまいます。つまり悪循環なんです。  したがいまして、そういう、確かに今池田委員が指摘されたような面もあるにはあるんですけれども、それをやっていたんでは、いつまでたっても実はこの悪循環から抜け出すことはできない。  私ども、今度資本注入に当たっての経営健全化計画の中で、一番健全な銀行に対しても、中小企業への貸し出しというものがどういう状況になるか、でき得べくんば残高を増加させてもらいたいということの計画を出してもらうことにいたしておりました。  このときの論議を思い出すのでありますけれども、これは結局、収益を上げるというのは、大企業に貸しておっても利ざやは稼げないんです。これはむしろ直接金融でもって、ボンドか何か出した方がはるかに彼らにとってもいいわけで、それを、預貸の業務でもって銀行がかすめをとろう、ちょっと言葉が悪いかもしれませんが、ということは並大抵ではありません。そこで、中小企業こそむしろ収益の源泉である。  ところが、中小企業はリスクを伴う。企業貸し付けはリスクを伴う。それだったら、その貸し付けに対して見合いの引き当てを常に積んでいくという考え、経営が必要である。それであると、それはコストが、預金の、自分の調達コストにさらに引き当てのコストが加わりますから、中小企業に対する貸し出しというのはどうしてもコスト高になってまいります。  したがって、中小企業の皆さんにはもうけていただく、もうけていただいて、銀行にその分け前を少し分けていただく。こういうことによって我々は日本の金融機関の健全化も図っていきたいし、それこそが日本経済のこれからの活力の源泉であるはずだ、このように考えて、そうした運用を心がけてまいりたい、このように考えております。

与謝野馨自由民主党通商産業大臣

○与謝野国務大臣 昨年十月一日から始めました信用保証の特別枠というのは、全国で大変な数の方に利用をしていただいて、一応、昨年の暮れの資金繰り等は全国的に見ますれば順調にまいりましたので、信用収縮に対する施策としては一応の成功を見たものと私は考えておりますし、これは、自民党初め自由党あるいは各党とも大変御協力をいただいて、必要な措置をとっていただいたわけでございます。  さて、先生の第二の質問でございますけれども、昨年やりましたことは信用収縮に対する対策であって、これから中小企業を初めとした新しい産業の芽をどう育てていくか、そこに着目をしませんと、やはりこれからの日本経済の新しい芽というものを発見できないんだろうと思います。  平成十一年度の当初予算の中にも幾つも入っておりますけれども、新しい事業を始めるときの、円滑なスタートをするためのいろいろな政策、あるいは税制上の優遇措置、こういうもろもろのこともやっておりますし、また、通産省、中小企業庁の政策としては、やはり技術移転を円滑にやる、あるいは人材育成をやる、異業種間の交流を盛んにする、こういうもろもろの政策をダイナミックに活用して、やはり新しい産業を生み出していく。また、ビジネスチャンスというものがあるんだということを社会に多く広める責任も、我々にまたあるんだろう。そして、こういう地道な活動を通じて、やはり地域の中から新しい雇用の担い手たるいろいろな企業が生まれてくる。そのための施策を今後とも私どもはやってまいりたい、そのように思っております。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 金融の面でのいろいろな努力の上に立って、これから景気を上げていくためには、必要なのは、その需要をいかにつくり出していくか、当然のことでございます。そのためにこそ、今回の第三次補正、そして今十一年度の予算、そして税制での諸施策もあったわけでございます。さらには、今通産大臣から御答弁もございましたように、少し長期を、先もにらんだ施策もいろいろやっているわけでございますけれども、さあそれで、こういったいろいろな施策をやって、これから日本の経済どうなっていくんだか、本当に〇・五%きちんとした成長可能なんだろうか、そしてその先はということ、みんなの関心が注がれております。  政府においても、この見通しをつくられる間にはいろいろなお話があったようでございますね。何か通産大臣は、〇・五と遠慮せずに、これだけのことをやったんならもうちょっと高い成長率を見通してもいいんじゃないかという御議論がされたというふうな報道もございました。それからまた、大蔵大臣は、これまでいろいろな方が若干前向きな感想をされますと、いやいや、おれにはまだそんなものは見えてこないという極めて慎重な見方をしておられたんでございますけれども、何か年が改まりまして、にじのかなたに青空が見えるとジュディ・ガーランドの歌を引用されたというお話もお伺いしておりますけれども、さあどうなるか。  そういった中で、何といっても経済の見通しについては、堺屋企画庁長官の胎動という言葉、おなかの中で子供が動いているよというこの言葉が一番皆さんの注目を浴びたと思うんでございますけれども、どうなんでしょうか。民間経済が何といってもGDPの中で一番大きな比率を占めているわけでございまして、ここがどうなっていくのかをしっかり見なくちゃいけないと思うんでございます。本当に胎動はあるんでしょうか。  最近出てきましたいろいろな経済指標を見ますと、必ずしも長官の見方をバックアップするものばかりではないと思います。しかし、経済指標というものはいろいろな性格のものがございますし、それの読み方もいろいろあるんです。だから、そこのところを専門家の長官の立場から、胎動というのは決して自分の勘だけで言っているんじゃないんだ、カンピューターの計算じゃないんだと、名医である堺屋長官がいろいろな経済の動きをごらんになって、これは確かにこうなるよと考えているんだというところをお示しいただければと存じます。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 全体として見ますれば、現在の日本経済が依然として非常に厳しい状態にあるという判断は変えておりません。  ただ、昨年の十一月ぐらいから、いろいろな面で新しい動きがあらわれてまいりました。例えば、値ごろ感と言われるんですけれども、値ごろ感のある商品の売れ行きがふえている。あるいは、半導体市場が回復してきて出荷も上向いている。それから、電気冷蔵庫など白物家電と言われるものの売れ行きが買いかえ需要から出てきている。さらに大型店の、チェーンストアの行いましたイベントセール等もかなりの効果を上げている。それから家計消費が、前年度に比べると減が続いておりますが、前月比でふえている。そういうようないろいろな動きがあらわれてきております。  また、ことしに入りましてからは、ちょっと消費の方が思うほど上向いていないのですけれども、住宅展示場へ来る人、建築家に相談に来る人、住宅関係の動きが活発になっておりまして、これはまだ着工にまではいっておりませんけれども、減税効果、低金利効果等が見られるんじゃないかと考えております。  この不況を乗り切りましたら次に新しい産業が生まれてまいりまして、単に相似形に復活するんじゃなしに、新しい産業が生まれてくるように、雇用形態あるいは新産業の創造等にも力を入れていくよう十一年度予算は編成したつもりでございます。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 名医が若干、何といいましょうか、診断の根拠をお話しいただきました。ぜひ、そういうふうにいくことを期待したいと思いますし、また、そういった民間の動きを期待どおりの方向に持っていくためにも、今回の税制なり予算で措置されたことを着実に進めていくことが必要だと思います。  きょうはそういった観点から、税制の、特に政策減税でどういうことをにらんでおり、どういうふうにそれを見通しておるとか、あるいは公共事業の進め方がどうであるかとか、いろいろ御質問したいと思いましたけれども、時間も大分経過しておりますので、そのあたりのところは、ぜひ今回打ち出された政策を着実に実行していただく、そして、政府が直接動かすことのできる経済の部分を持ち上げていくことはもとより、民間の、とりわけGDPの六割以上を占める個人消費の動きが上向いてくるように、経済政策運営に遺憾なきを期していただきたいということだけを申し上げておきたいと思います。  さて次に、今は何といっても景気回復最優先でございますから、こういうことをやらなくてはいけないんでございますけれども、しかし、中長期的に見ますと、それでなくても大変な財政、これはどうなるんだろうかなと心配せざるを得ません。国債依存率も四〇%になんなんとしている。それから公債の残高も国、地方合わせれば六百兆円になろう、GDPの一・二倍ということだ。これで本当にいいんだろうかなと——いいとはだれも思わないと思うんですね。  かつては、きちんと経済が上向いてくればまた歳入は入ってくるんですよとおっしゃるのが大体従来の宮澤大蔵大臣だったと思うのでございますけれども、さすがにここまで来ますと、そうばかりも言っていられないなと思われると思うのでございます。いずれどこかで、やはり税制から社会保障から全部含めた国民負担のあり方、それで、一方においていわゆる国民に対する行政サービス全体を見て、抜本的な見直しをしていかなくちゃいけないな、こう思います。  そういったときに、一体どうやるのかなと。税制の面でいきましても、やはり所得税、法人税についてもいずれ基本的な見直しをしなくちゃいけないだろうし、また課税ベースを全体的に見直さなくちゃいけないだろう、こう思います。それから消費税のあり方についても、今回目的税化という方向は明示いたしましたけれども、これも一体どういうふうにやっていくのかなと、いろいろ考えなくちゃいけない。いわゆるこれまでの直間比率という言い方だけではなかなか国民の理解も得られない時代に入っていくのかなと。  といいますのは、法人税についてはもうぐっと国際レベルになっちゃったし、それから個人所得の課税についても課税最低限が非常に高い水準にあるというふうなこと、あるいは国民の負担率も国際比較で見ても非常に低い等々のことを考えると、やはり今回目的税化したということの関連においてどういうふうに理解を求めていくかということも考えなくちゃいかぬと思うのでございますけれども、そういったことも含めて、大蔵大臣、今は景気回復最優先でございますけれども、この局面を何とか抜け出すめどがつきかけたところで、どういう方向で考えなくちゃいかぬのか。今の段階でなかなかお答えしにくいこととは存じますけれども、お考えがあれば広範囲にお示ししていただきたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 それはまさに財政は容易ならぬ状態ではございますけれども、私は基本的には、日本と申しますか、日本経済と申しますか、将来については十分自信を持っておりますものですから、今の状況は大変ではございますけれども、別段特に悲観はいたしておりません。  御承知のように、平成十一年度の税収は四十七兆円でございますけれども、これは昭和六十二年の水準でございますから、十何年押し倒されておるわけで、こういうことはあってはならぬことでございますが、減税もそれはございました。減税もございましたが、何分こうやってマイナス成長を続けておれば、毎年税収は減るのが当たり前でございますから、これをどうかしない分には、財政再建というものはなかなか簡単なことじゃないんだ。と申しますか、一番早道は、プラスの成長率が出て、そして国民が少しでも、個人も法人も収入がふえて、そして少し余計税金を払ってくだすってということでないと、十何年戻っていたのではなかなかやりようがないなという思いでございますから、まず、そこのところを一生懸命やらせていただきたいという思いでございます。  それで、しかし、その話を少し見当をつけて、さあこの辺で将来が考えられるなという時期というのは、やはり成長軌道に乗ったなということでありませんと、一年ぐらいではどうも危なくていけませんで、やはり二%とかなんとかいう成長の軌道にほぼ乗ったなというときには一生懸命考えなければならないことだと思います。  今言われましたことの意味は私は私なりに理解をいたしておりますけれども、そのときにどうするのか、歳出歳入両方で考えなければいけないのだと思いますが、それをまず確率をもって考え得る時期はやはり、せめて二%ぐらいの成長軌道というものがほぼ確保できたというときではないかと考えております。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 日本経済の未来に決して悲観はしていない、そういうお言葉がございました。そして、日本経済の今日も決して悲観しなくてもいいという先ほど堺屋長官の言葉もございました。そういったことを踏まえ、総理御自身おっしゃいました、未来に建設的な楽観主義で取り組んで、一日も早く今お話のございました、せめて二%ぐらいの成長が見込めるような経済社会の状況をつくっていきたいな、こう思いますし、その上において抜本的ないろいろ見直しなりあり方を考えなくちゃいけない、それはおっしゃるとおりだと思います。  ただ、そのためにも、そのときの、近い将来における抜本的な検討作業との整合性というものも今の経済運営なり財政運営でも考えなくちゃいけない。そういった意味で、一部に、例えば、消費税を今の段階では凍結したらどうかとか、あるいは社会保険料についても引き下げたらどうだというような議論もあるようでございますけれども、そういったことは、今当面の状況を考えれば理解できる面がないわけではないけれども、しかし、将来の抜本的な検討との整合性ということを考えますと、我々は、つらくても、今とってはならないことではないかなと思っているということだけ申し上げたいと思います。  時間も大分押してまいりましたので、次に、世界経済との関係で、特にユーロというのがことしの一月一日からいよいよ新しい通貨制度として発足いたしました。これは随分これからの世界経済に影響を与えてくるんだと思うのでございますけれども、そういった中で、我が国は一体どういうふうに対応していくのかな、また、円の役割はという点についてちょっとお伺いしたいと思います。  ユーロ、今十一カ国、いずれまた十五カ国になる、通貨の面でもいずれはなっていくんだと思いますけれども、GDPでとらえましても米国とほぼ並ぶ、いや、それを超えるような大きな経済であるということでもございます。  そしてまた、通貨の面で申しましても、これまではドルが基軸通貨の立場をずっと維持してきた。もとより、依然として米国経済、非常に大きゅうございますし、国際通貨、基軸通貨というのは、単に実体の経済の力はどうかというだけではなくて、これまでそういった基軸通貨の役割を果たしてきた、また現に果たしているという、慣性とか惰性とかいいますが、そういった面もございますから、これからも依然として米ドルが中心的な国際的な決済手段なり、あるいは準備通貨としての役割を果たすというのはそのとおりだと思いますけれども、やはりユーロそのものも、そういった役割をだんだん高めてくるということも中期的に見れば当然だと思うのでございます。  それと同時に、ドルが同じ基軸通貨として役割を果たしているといいましても、やはりそのやり方は少し変わってくるのかなと。つまり、これまでですと、自分のところしか、ドルしか基軸通貨はないわけでございますから、余り基軸通貨たるドルの価値の安定ということに神経を使わなくてもよかった。ビナインネグレクトなんという、優雅なといいましょうか、優しい怠慢という言葉ですけれどもね、そんなこともありましたけれども、要するに、米国自身の経済の都合で、余り国際社会のことは考えずに行動することもあったけれども、これからは、一方でユーロというかわりのものが出てくると、こういう勝手は許されぬぞということも出てくるんだと思いますね、そういうこともあると思います。  そしてまた、そういったときに一体円がどうなるのかなと。やはり経済でいえば、米、欧、そしてアジアの中心である日本というものが三極なんですね。それでは、通貨の面でもやはりそうなるのかというと、なかなかそう簡単にはいかないんだと思います。現在でも、たしか、決済手段としては、我が国自身の貿易でも、輸出で四割弱でしょうか、輸入では二二、三%だと思うんですね。ましてや三国間の貿易の決済手段としてはほとんど使われていない。準備通貨としてはもっと小さいんじゃないでしょうか。全体の中で五%あるかないかだと思うんですね。  そういうことですから、急に円がこういうふうに国際通貨としての役割を強めてくるとは言い切れないとは思いますけれども、しかし、ドル、ユーロというものが出てくると、やはり、円はどうなるんだということがあちらこちら言われるようになる。日本自身としても、これだけ国際的な経済活動をしておるし、世界一の純債権国になっているわけでございますし、やはりそういった他の通貨との関係で円が安定するということは非常に大切なんだと思いますね。  それから、さらに最近は、特に東南アジアの動きを見ておりますと、やはり円にこれまで以上の役割を果たしてほしいというその期待感も高まっているのじゃないかと思います。東南アジアのこれまでの、八〇年、九〇年代の高度成長というのは、ある意味では、ドル高・円安が進んでいく中で、日本の製造業がどんどん移っていく、そういった中での発展ということもありましたので、必ずしも円の安定だとか国際通貨化というのは必要がないということで、通貨の面でもドルペッグであるとかドルに圧倒的にウエートのかかったバスケットであるとかということでやっておったのだと思いますけれども、やはり一昨年七月以来の通貨の動揺、とりわけアジアの経済の混乱という経験を経まして、これはやはり、ここのところはドルに余りにも依存した姿じゃいけないのじゃないのかな、やはりドルにプラスして円あるいは域内通貨、さらにはユーロ等も含めた新たなバスケットをそれぞれ考えなくちゃいけないのじゃないかという動きが出てきたような気がいたします。  そういった意味で、円の国際化に対する要請というのか期待感というものも世界からも出てきておりますし、それから、ユーロとの関係においてもそういったことがある程度の現実性を持ってきたんじゃないかと思うんです。それを実際にきちんとやっていくためには、何といっても東京の資本市場なり金融市場の使い勝手を一段とよくしなくちゃいけない、今回の税制改正でもいろいろ措置はとっておられるようでございますけれども。そういうこともございますけれども、大きな流れとしてはそういうことにいくんじゃないかと思いますけれども、その辺をどうお考えになるか。  それと、その上で三極の通貨の間のより安定した関係、ターゲットゾーンだとかレファレンスゾーンだとかいろいろな言い方もされておりますけれども、いっとき、もうそういうことはあきらめて完全フロートでずっとやってきたけれども、ここへ来て短資の動きがこうナイーブになって、それに世界経済が攪乱されるという中で、やはりそういった国際通貨のより安定した動きを模索する、そういった傾向があると思います。また、総理御自身も先般ヨーロッパにおいでになったのも、そういった問題意識を持っての御訪欧であったと思いますし、大蔵大臣もASEMあるいはG7等々の場でそのような取り組みをしておられるのだと思いますけれども、そういった点について大蔵大臣からお考えを、簡潔にというのは失礼かもしれませんけれども、お伺いさせていただければと存じます。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 簡潔に申し上げますと、池田委員が今お述べになりましたようなことがまさしく我々の問題意識でございますし、しなければならないことであろうと思っております。  ユーロは始まったばかりでございますから別にはっきり見通しがあるわけではございませんけれども、ドルの一極体制というものは崩れて、それはドルの側でも、今までひとりで勝負をしておったわけでございますから、そのことは意識せざるを得ないということであると思います。まああの人たちの言葉をかりますと、ユーロの人は、一極体制から自分たちはパートナーになった、ジュニアパートナー、どのぐらいのジュニアなのかというのはこれからの見どころでございますけれども、それは間違いない。円はなかなかそこまで行きかねる。  しかし、おっしゃいましたように、円をそうしたいのならば、今までとはやはり——今まではどちらかというと円を国際の場に出すことは、伝統的に日本政府はと申しますか財政当局は余り気乗りでなかった部分がございますけれども、ここに来まして、やはり今度はFBを自由に公募しますとかあるいは源泉を取らない、あるいは短期国債の差益を免除するといったような、かなり投資家に対しては有利な政策をとりましたから、ぼつぼつ円を持ってもらってもというようなことは言えるのは言える。持ってくれるかどうかはまだこれからのことでございますし、場合によっては、しかし、ドルにペッグしただけでまずかったなという反省も少しございますから、あるいはバスケットのペッグもあり得るかもしれないといったようなことがここで始まったところでございます。  何よりもしかし、日本経済がもう少しよくなりませんと、余り円のことを言えないようなところもございますので、環境整備をいたしておりまして、やがて経済が少しよくなりますとそういう方に少しずつ進んでいくかもしれない。  国際通貨の問題としましては、やはりヘッジファンドなんかはもう少し行儀をよくしてもらわなきゃなりませんし、それから、一昨年のようなアジアの状況の中で、早く流動性を与えてやったらあそこまで行かなくても済んだんじゃないかといったようなことも考えなければならない。いずれ総理方のサミットに向かいまして、そういうことも考えていかなきゃならないということを私どもG7の者は話し合っております。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 大蔵大臣がおっしゃいますとおり、我々、まず自分たちの体力を回復しませんと、余り胸を張って大きなことも言えないのは事実でございますけれども、しかし、長期的に見ますと、米国そしてヨーロッパ、そして日本を中心とするアジアでございますね、ついこの間まで、世界経済の成長センター、こう言われたわけでございますけれども、やはりこの三つがそれぞれ安定し、協調しながら発展していく、これがなくちゃいけないんだと思います。  いすでも、足は二本じゃ立ちませんので、三本の足があって初めて安定するわけでございますので、やはりそういった意味で、我が国の経済の再生というのは、我が国自体にとってもとよりでございますけれども、世界の今後の安定、発展を考える上で不可欠だという認識を我々はお互いに持ちながら取り組んでいかなくちゃいけないもの、このように考えているような次第でございます。  時間も押してまいりましたからなんでございますが、経済の問題で、通産大臣、一つだけ。  そういった今の国際通貨の話だけじゃなくて、やはりそのほかの物やあるいはサービスの自由な移動、自由貿易の体制を堅持していく、これはやはり今言いました世界の三極の共通の責任だと思いますね、日米欧と。そういった意味で、これからWTOもまたニューラウンドなんか目の前に控えておりますけれども、こういった点でも三極間の協調体制は重要だと思います。  そういった意味で、アメリカとの間で、時々個別の問題でいろいろなイシューが出てくるんですね。ここのところそういった問題は大分うまいぐあいにマネージできるようになりましたけれども、一つ、何か鉄鋼の問題で、この間大統領の一般教書で、日本を名指しであのような強い指摘をされたというのは極めて異例なことだと思います。USTRならば、これはそれが役目の役所だと言ってしまえばそれまででございますから、バシェフスキーさんがおっしゃったんなら驚かないんですけれども、クリントン大統領のしかも一般教書でというのは、私はやはり異例だと思います。  そういった意味で、政府としてもあるいは業界としても、米国の理解を得る、あるいはアジアの関係をスムーズにするために一段の御努力が必要だと思いますけれども、簡潔にお答えいただければと思います。

与謝野馨自由民主党通商産業大臣

○与謝野国務大臣 大統領の一般教書の中で鉄鋼が触れられていたことは事実でございますが、翻訳されていたようなトーンの英語は実は使われておりません。  現在どのようになっているかということを簡潔に申し上げますと、大ざっぱに申し上げまして、一九九七年会計年度に比べまして、一九九八年の会計年度の鉄鋼の日本からアメリカへの輸出というものは比較的ふえてきたわけでございます。そのふえたのは、日本が洪水的な輸出をしようと意図したわけではありませんで、米国内の経済が好調なために鉄鋼の需要が大変強く、日本の各社に対しても数限りない引き合いが参りまして、その結果、輸出をふやしたわけでございます。  この結果、米国の市場での日本の鉄鋼の市場占有率は二%から四%にふえました。これは一〇〇%ふえたというふうに表現してもいいですし、倍になったと言っても間違いではございませんが、その後、そういうことが去年の夏以降、アメリカ政府からも懸念が表明されまして、我々も日本の鉄鋼輸出の動向を非常に注意深く見ておりましたが、アメリカの鉄鋼需要が急速に落ちてきたということもございまして、十二月の日本からアメリカに出た鉄の量を速報値で見てみますと、大体前月までの過去一年間の月平均に比べ三九%減っておりますので、クリントン大統領が懸念されたことは、事実の問題としては起きないだろう、自然に解決していく、そのように考えております。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 実情としてはよくわかりました。しかし、これからもぜひ、日米関係を初めとして、円満な関係をつくるように御努力賜りたいと思います。  外交、安全保障について大分質問すると御連絡申し上げてあったと思いますけれども、時間があと十分しかなくなりましたので、大分はしょりたいと存じます。  外交の関係では、我が国の位置しますアジア太平洋地域の今後というものを考えた場合に、この地域の主要プレーヤーである日本、米国、中国、この三国の関係がいかに動いていくか、あるいは維持されていくかということが非常に大切だ、こういうふうに考えておりますが、そういったことについてはもうお伺いしません、これは総論になりますから。そのことだけを指摘しておきたいと思います。  さて、具体的にこの地域の不安定要因は何かといいますと、やはり何といいましても、我が国の安全保障の観点からも死活的な重要性を持っております朝鮮半島の情勢と申しましょうか、とりわけ、その中での北朝鮮の動向はどうなるんだろうか、また、それに対して、我が国として、あるいは国際社会としてどのように対処なり対応していくかという点じゃないかと思います。そういったことについて、政府の基本的な御認識と姿勢というものを、まず総理からお願いしたいと存じます。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 全くお説のとおりであります。池田委員も外務大臣としてこの問題に本当に精力を込めて対応してきたわけでありますが、後を継ぎました私もその思いをいたしております。  話はちょっと変わりますが、私は、先般、ドイツに参りまして、東西の壁のブランデンブルク門を通過いたしました。その前にハノイに参りまして、ベトナムに参りました。両国とも、戦後、二つの分裂国家でございまして、それが一つの国になっておるわけでございます。ただ一つ、この朝鮮半島における二つの国が現状のままであるということは、極めて不正常だろうと思います。  そのために、南北の双方とも、できる限り早く一体になる努力をしていくべきものと考えておりますが、現時点におきましては、北朝鮮におきましてはなかなか情勢が不透明でございまして、特に、昨年の弾道ミサイルの発射、あるいはまた今般問題になっております秘密施設疑惑の浮上など、国際社会が大変懸念を増大いたしておる次第でございます。  我々としては、米韓両国とも緊密に連絡をとりながら、この懸念を解消し、日朝間の諸懸案の解決を目指していきたいと思いますが、このような問題にぜひ北朝鮮としても建設的に対応していただくように、メッセージを常々出させていただいておりまして、ともどもに、この不安の要因である当地区が一日も早く安定的になられることを期待し、日本として積極的に努力をしていくべきものと考えております。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 ありがとうございました。  ただいまの総理の基本的な方針のもとに、具体的に、当面どういうふうに考えていくか。いずれにしても、この問題については、特に日米韓の間の三国間の連携が大切だと思いますし、そして、さらに中国とかロシアとかの諸国の役割というものも一定のものがあると思うのでございますが、そういった中で、いろいろなことが言われております。米国では、議会の方の動きもあり、ひょっとすると対朝鮮半島政策に変化があるのじゃないのかなと言われておりますけれども、まあまあ、先般行われました四者協議についても、あるいは米朝協議についても、具体的な成果はございませんでしたけれども、次へのつながりというものもできたわけでございます。  私は、やはり基本的に北朝鮮の現在の姿勢は非常に問題が多いことは事実だ、何とかこれは変わる方向へ持っていかなくちゃいけないけれども、やはり現在ございますいろいろな合意された枠組みというものをしっかりと維持していく。そして、特に韓国の金大中大統領がとっておられる太陽政策、これについてもいろいろな評価があるようでございますけれども、やはりそういった中長期的な展望を持ちながら、一方で当面どういうふうに対応していくか、硬軟両様の手段を使い分けながらということが必要だと考えておりますし、それから、我が国としては非常に使い得る手段なり方法というものは限定されているのですけれども、そういった中でも、やはり米韓との間の連携で対応していくといいますいわゆるKEDOの枠組みというものは維持しなくちゃいかぬ、こう思います。  それから、先般来、総理、外務大臣もいろいろ努力されまして、直接の交渉はできないにしても、北朝鮮との間の接触といいましょうか、いろいろな意思なり考え方が伝達できるようなルートは維持するという御努力をされておられるようでございますが、そういう点は私も非常に重要である、こう評価している次第でございますが、外務大臣からそういった点について。

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 池田委員がおっしゃるように、今、北朝鮮の核開発を阻止するということが一番大切なことであると思いますが、そういう中で、KEDOの枠組みがただ一つの現実的な、効果的な枠組みでありますから、これを守っていくことが必要である、こういうふうに思います。  一方で、北朝鮮の核疑惑あるいはミサイル疑惑、こういった懸念がありますとなかなか枠組みを守るのも大変でありますから、ぜひこれについては北朝鮮側の建設的な対応が必要だ、こう思いますが、日米韓が協力して緊密に連絡をとりながら、そうした建設的な対応を北朝鮮がとるようにしてまいりたい。  日本としても、米朝協議における米国の努力を評価しておりますし、それから金大中大統領のいわゆる太陽政策というのは、安保関係はしっかりしながらそういう中で対話、協力もできるところからしよう、こういうことでありますが、そういったことも日本は支持しておりますし、日本とすれば、それなりのチャンネルをつくりながら、そして北朝鮮が建設的な対応をとるのであれば日本としても関係改善を図る用意がある、こういうことで臨もうと思っております。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 外交問題、まだまだお話ししたいのでございますけれども、御質問したいのでございますけれども、時間が押してきました。丹羽委員にちょっと五分ばかりちょうだいするということで、いわゆるガイドライン関連法案について一、二御質問申し上げたいと思います。  ガイドライン関連法案、今回の国会でも非常に重要案件となっておるわけでございますけれども、この問題につきましては、御承知のとおり九六年の四月にクリントン大統領と橋本前総理との間で、日米関係全般について、現在の国際情勢をじゃみんなが一体どういうふうにやっていくかという真剣なお話し合いがございまして、その上に立っていわゆる両国間の安全保障に関する共同宣言というものをまとめられたわけでございますね。そういった中で、我が国の今日の国際情勢、とりわけアジア太平洋の情勢の中で我が国の安全を維持していくと同時に、この地域の平和にどういうふうに役立っていくか、こういう観点からまとめられた。  そういったことで、日米安全保障体制の中でも、従来、いわゆる我が国自身の有事といいましょうか、我が国自身が攻撃にさらされた場合にどういうふうに協力していくかという点については一定のガイドラインがあったわけでございますけれども、我が国の周辺でいろいろな事態、我が国の平和や安全に重要な影響を与えるような事態が起きたときにどう対応するか、どういうふうに協力していくかという点について必ずしもその大枠がなかったということで新しいガイドラインが決められた、それを踏まえているものだということをまず我々お互いに認識する必要があるんだと思います。  そういった意味で、自自協議の中でも話になったわけでございますけれども、これは日米安保条約、安保体制との関連をその基本にして考えるべきだということになったらと思います。まずそういった位置づけを確認しておきたいと思う次第でございます。  そして、これはいずれ特別委員会が設けられて、慎重な審議がされるということになろうと思いますけれども、私は、この特別委員会、一日も早く、まあこの予算委員会の総括質疑の間にもとは申しませんけれども、早く各党各会派の御相談の中で立ち上げていただき、濃密な議論を行うことが必要じゃないかと思います。早いという声もありますけれども、実は、この法案が提案されたのはもう昨年の四月でございまして、もう我々は十分この真剣な論議に入らなくちゃいかぬ段階に入っているというふうに考える次第でございます。  さて、それからあと、今この問題をめぐっていろいろ議論を呼んでいるのが、一つは、いわゆる国会の関与をどうするかという問題でございます。それから、いま一つは、周辺事態とは何だという話があるわけでございますけれども、周辺事態について、地理的な概念かそうじゃないのかといろいろ議論はあります。私もかつて外務大臣としていろいろ答弁しました。さらにその前には防衛庁におりまして大臣をしましたのですが、余りそういった点の議論に深入りするのはどうなのかな、余り建設的なあるいは生産的なことじゃないんじゃないかなと思うんでございます。  まあそれは、周辺事態でございますから、地理的な要素が全くないと頭から否定するのもこれは余り現実的ではない。まず、周辺事態ですから、我が国自体の領域は入らないわけですね。それから、遠いところは、まさか大西洋や地中海で起こる事態がこの周辺事態に当たるということも現実的ではないんだと思います。だから、地理的な概念かどうかはともかくとして、地理的な要素を全く否定するということは必要ないんじゃないのかな。ただ、周辺事態というのは、あくまで事態に主として着目した概念であるということにとどめておけばいいんじゃないのか。  そして、要は、肝心なことは、我が国の平和や安全に重要な影響を及ぼす、ここのことが大切なわけでございまして、その事態にどういうふうに対応するかというのがガイドラインであることを明確にしておけばいい。  そして、そういうふうな事態が起こるのは、まず我が国の領海に連なる公海の部分でございましょうし、そこからどこまで行くかというのは、これは時の国際情勢なりなんなりによっていろいろ変わってくるんだから、あらかじめここと特定はできない。ましてや地理的な限界を画するということは、これは困難であるということでとどめておいてよろしいんじゃないか。そしてまた、現実的にそれで困ることはないんじゃないかと考えているということを申し上げておきたいと思います。  それから、いま一つの、国会の関与のあり方については、シビリアンコントロールの観点からいろいろ考えなくちゃいけないのは、これは当然だと思いますけれども、ただ、大きく言えば、我が国の議院内閣制のもとでシビリアンコントロールというものは担保されている、こういうことも言えますし、現にいろいろなこういった法案についても国会で決定していくということも我々考えなくちゃいけないと思います。  それからまた、一方におきまして、類似のいろいろな活動とのバランスというもの、権衡というものを考えていく必要があるんじゃないのかな。  例えば、国民の権利義務に重大な影響を及ぼす、防衛出動はもちろん国会承認に係らしめておりますが、これも場合によっては事後もあるわけでございますね。それから、治安出動の場合には、要請に基づく治安出動については、これは国会報告になっているんだ、こう承知しておりますし、またPKOの場合についても、いろいろございますけれども、今回のガイドライン関連法案に書いてございます基本計画に当たるのは、PKOでは実施計画でございますね。実施計画そのものは、これは行政の責任でPKOの場合は許されておるんじゃないのかな、ゆだねられておるというふうに理解しております。PKO法では、たしか、非常に遠いところで行う活動でございますし、そこで自衛隊が行う業務、いわばその活動がどういうふうに国会とのかかわりでコントロールを受けるべきかという決め方になっている。そういったところも我々は、これからこの法案を考えていく上において十分取り入れなくちゃいけないと思います。  しかし、いずれにいたしましても、一番大切なことは、先ほども申しましたように、日米安全保障体制の実効性を確保していくこと。とりわけ、今日のような、また予見し得る近い将来における国際情勢の中で起こり得る周辺事態に日米がどう協力して対応していくか。迅速な対応、そして有効な対応というものを確保する、そういった観点から我々は考えていくべきだというふうに思っているということを申し上げたいと存じます。  何かコメントがございましたら承りますけれども、この法案の審議はこれから本格化するわけでございますから、私の考えの一端だけを申し述べさせていただいた次第でございます。何かございますか。では、総理、お願いします。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 全く今お話しのとおりでございますので、数国会を既に経ておりますので、日米信頼のためにも、ぜひ今国会でこれを結論をつけていただくように、よろしくお願い申し上げる次第でございます。

池田行彦自由民主党

○池田(行)委員 まだまだ触れなくちゃいけない重要課題がたくさんあることは存じておりますが、時間をもうオーバーしてしまいました。したがいまして、あとは同僚委員の関連質疑に譲りたいと存じます。ありがとうございました。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 この際、丹羽雄哉君から関連質疑の申し出があります。池田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。丹羽雄哉君。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 自民党の丹羽雄哉でございます。よろしくお願いをいたします。  私は、関連質問として、国民の視点に立って、また国民の目線に立って、小渕経済再生内閣の経済政策についてまずお尋ねをしたいと思います。  総理は、所信表明の中で、国は立派だが国民は不幸せであってはならないと、真の豊かさを追求していく姿勢を示されました。その一方で、国民がすべて国に頼って生きるということも健全でない、こう言及なさっておるわけでございます。まず、経済再生の具体的プログラムにつきまして、総理のこのような哲学といいますか、お考えがどのように反映されたのか、御所見をお伺いしたいと思っております。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 今委員の御指摘の言葉については、私自身もちょっと反すうしていろいろ考えるところがありましたが、それは、最近国というのと国民というのとの間に若干信頼が欠けるようなところがあるのではないか。国はよくしなきゃならぬということですが、一方、国民は不幸せ感というものが非常に高まっておるということでございまして、やはり、国が富み、そしてその富んだ富がそれぞれの国民に還元されてくる、そういう社会を目指していかなきゃならぬということを申し上げたつもりでございます。  いずれにいたしましても、今回、この二年続きの不況の中で、これを乗り越えていくためにはあらゆる手段を講じて経済を再生するというところにすべての精力を注ぎ込んで予算も編成をさせていただいたわけでございますので、その実効性を高まらしめることによってぜひその目標を達成していきたいという願いを込めて申し上げたところでございます。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 小渕内閣ではまず金融再生を手がけまして、とにもかくにも今金融不安ということを言う方が少なくなりました。そして、十七兆円に及ぶ第三次の補正予算、九兆円を超える大型減税、そして十一年度予算は、御案内のように前年度当初比で五・四%増であります。昨年はちょうど前年度比で〇・四%増でございますが、大きくギアチェンジをいたしまして、いわばエンジン全開の状態であるわけでございます。あとは、先ほどから各委員から御質問がございましたけれども、冷え込んでいる個人消費をいかにして喚起するか、これが最大の課題ではないか、私はこう考えているわけであります。  今、率直に申し上げて、個人消費、民間の設備投資とも大幅に落ち込んでいるわけでございますが、今回の一連の緊急経済対策によって着実に拡大の方向に向かうのか。総理は、大いなる悲観主義から脱却すべきだ、こうおっしゃっているわけでございますが、国民の不安を払拭し、消費意欲をかき立てるような景気のシナリオを、具体的にわかりやすく御説明いただければ幸いだと思います。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 御指摘のように、現在非常に消費が冷え込んでおります。これは、バブル崩壊以来かなり大きな負の遺産があった、これによって投資意欲も家計の消費意欲も非常に落ち込んだ、そこへ一昨年のあたりから金融不安が重なって雇用不安を呼んだから一度さらに冷え込んだ、こういう事態でございます。特に、昨今になりましてこの雇用不安が非常に大きくなっています。  これに対しまして、小渕内閣といたしましては、再三先生方からも御指摘がありましたように、まず金融問題を片づけました。そして、予算によって今公共事業を中心とした需要の喚起を行っております。さらに、今度は減税を行います。そして、もう一つは雇用対策に非常に力を入れました。従来は、各企業でできるだけ首を切らないように抱えてくれという政策が主でございましたけれども、今度は、新しい能力、新しい仕事をつくるような措置を二重三重に講じまして、補正予算と十一年度予算と合わせまして約一兆円のスキームを雇用対策につくっております。  こういったことが一般に知られてまいりますと、需要の喚起、下支えとともに明るい未来が予想されてくるのではないかと期待しております。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 関連をいたしまして、減税についてお伺いをいたしたいと思います。  昨年は、四兆円規模の、所得に関係のない一律的な定額減税を実施いたしました。ことしから、所得課税の最高税率を六五%から五〇%に引き下げ、それ以下を二〇%の定率減税を加味した、いわゆる恒久的な減税に踏み切ったわけであります。  そこで、恐縮でございますが、大蔵大臣にお聞きしたいのでございますが、昨年はなぜ定額減税で、ことしから最高税率引き下げと定率減税を加味したのか。所得の低い人の方が限界消費性向が高く、消費の需要効果が拡大するのではないか、こういう見方も一部にはあるわけでございますが、なぜ今、最高税率を引き下げて、こういうような所得税率と加味したのか、大蔵大臣の御所見をお伺いいたしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 丹羽委員にもこれについてはいろいろお力添えをいただきましたので御存じでいらっしゃるとは思いながら、昨年どうして定額減税をしたかということをちょっと私なりに調べてみましたところが、定額減税をするという政治の決定が非常に遅うございまして、御承知のように、源泉徴収票を直しますのには法律が最終的に成立してから二カ月必要であるという事情がございますので、定額減税以外にやりようがなかった、間に合わなかったというのが事実のようでございます。実際はそんなところであった。  今年も、実は源泉徴収票の関係で今年の定率減税が一、二、三月と行われませんで、六月のボーナスからというようなことをよく御存じのとおりでございますけれども、その事情がもっと厳しく働きまして定率減税ということを断念をしたということでございました。  それで、ちょっと理屈になりますが、これによりまして、定額減税の結果、課税最低限は四百九十一万円になりました。従来の三百六十一万円からそれだけ納税者が減ったわけでございますので、その数はほぼ七百万人と承知しております。それだけの大きな納税者が一遍減ったわけでございます。  今度、定率減税にいたそうと考えましたのは、当然ですが、定額減税というのは累進を全部殺してしまうわけでございますので、累進率というものはその中で消えてしまう。それは、やはり将来のことを考えますと、税の応能負担とか公平化ということはやはり累進というものは残しておくのが本当だと思いましたので、したがって、それは定率でないと残らない。  と申しますと、非常に高い納税者のことをたくさんの方がお考えになるのですが、三百六十一万円と四百九十一万円の間に七百万人もございます。その中で累進の問題がやはりあるわけで、払ってもらわなければならないはずの人が七百万人、言ってみれば定額減税でいなくなったのを、申しわけないが戻ってもらいたいというのが今度の定率の、ある意味で結果でございます。  それはしかし、一般的に言いますと、七百万の人が、おれたちは納税者でなくなったはずなのにまた名誉復活するのかね、迷惑な話だとお思いになるのも無理がなくて、理屈はこれでいいのですが、余り負担がふえるようでもいけないということがありまして、いろいろ考えまして控除を十五万円ふやした。あれで多少そこは、階層によっては十万円ぐらいプラスになってしまうという答えが出たものですから、これは何でもちょっときつ過ぎるなというようなことで、多少はあそこで緩和いたしました。しかし、基本的には、累進を残すとすればやはり定率が本当でございますし、将来に向かっても、これはそうしてまいるべきものだと思うのでございます。  それから、最高率を落としましたのは、これが金持ち減税だと言われているゆえんでございますが、政府の税制調査会は平成五年ごろから、これはやはりよくないよ、日本人のためにもよくないし外国から見てもよくない、落としなさいと言われておって、なかなかできずにおりましたが、今回思い切っていたしました。  やはり一番上を落としますと、将来累進を掛けますときに余り急なものは掛けませんので、これで将来のある意味で、少しずつブラケットを減らして累進を緩やかにしてということにも役に立つのだろう、こう思ってあえてさせていただいたわけでございます。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 問題は、高額所得者がなかなか金を使ってくれないんじゃないか、使うものがないんじゃないか、こういうような意見も聞きます。  それから、お年寄りが、いわゆる可処分所得が多い割になかなか使う機会が少ないんだ、こういう見方があるわけでございまして、人生八十年時代において、私は、消費性向が高いのはやはり四十代、五十代、この年代ではないかと思います。四十代、五十代の方は住宅ローンであるとか、それからお子さんの教育であるとか、非常にお金がかかる。年をとってまいりますと、どうしてもお金を使う機会が減ってくるわけであります。  そこで、私は堺屋長官にお聞きしたいと思いますが、いわゆる年功序列型賃金、だんだん年をとってくれば、黙っていても定年のときが要するに賃金が高いんだ、こういうような問題であるとか、こういういわゆる退職金の前倒しを含めて、私は、富の再配分を考えていく時期に差しかかっているのではないか、こう思うわけでございますが、長官はどういうお考えか、ちょっとお聞かせいただければ幸いです。

堺屋太一経済企画庁長官

○堺屋国務大臣 所得と消費性向の関係につきましては、昔は非常に単純に、所得の低いほど消費性向が高いと言われたのですが、最近はかなり諸外国ではいろいろになってまいりまして、アメリカなどは、所得の高い人もどんどんお金を使うというような傾向があらわれております。日本でも多少その辺は乱れてきておりますが、御指摘のとおり、四十代ぐらいの子育て時期が一番消費性向は高いわけでございます。  年功序列賃金も、きちんと一つの会社にずっと勤めておられる方で見ますと五十代中ごろが一番高いのでございますが、労働力の移動等を加えますと、最近は五十代の始まりぐらいから横並びになってきて、後は落ちてくるというような形もあらわれてまいります。やがてこれは年功よりも能力に従って変わってくるものだろう、終戦直後に生まれました生活給から能力給への転換は確実にやはり進んでいくのではないかと考えております。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 今回の制度改正は、初めに四兆円のいわゆる減税ありき、こういうことからスタートしたわけであります。私も党内の先輩なんかにお聞きしますと、まず基本哲学があって、そして積み上げていくのが本来の税制のあり方だ、こういうことをお聞きするわけでございますけれども、こういうひずみかゆがみかわかりませんけれども、要するに、特に子供二人の標準世帯では、年収七百九十三万円以下については、昨年のいわゆる特別減税とは比べようがないわけでございますが、実質的にはこの不況のときに負担になる、こういう不満も聞こえるわけでございます。  まことに、大蔵大臣、たびたび恐縮でございますけれども、これについて国民に対してどのような御理解をいただくのか、お話をいただければ幸いです。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 本来、我が国の課税最低限三百六十一万円というのは、長い間のいわゆる所得倍増計画の結果、非常に高いところに来ておりまして、この水準はイギリスでは多分百万円ぐらいでございます。アメリカの高い、いい州でも二百何十万円でございますから、三百六十一万円までの人が税金を払っていないというのは、実は、我が国の非常な、長い間の賃金がふえてまいりました結果でございます。  しかし、これをもとへ戻すということはなかなか容易なことではございませんので、本来、これをなるべく上へ行かないように将来を展望していくしかないだろうと思っておりまして、したがいまして、定額減税をいたしました結果四百九十一万円に跳び上がったというのは、まことに、思ってもみなかった一つのハプニングと言ってはいけませんが、所得税の国際的な比較から申しますと、何百万という納税者を実はそこで失ったわけでございますので、それは何としてもやはり一遍正常な状態に戻して計算をさせていただいた上で、今度の減税を考えさせていただきたいと思った。  それは私どもの勝手といえば、七百万人の方はせっかく除籍されたのにまたかという思いを持たれるでありましょうが、それが一遍限りの定額減税というもののやはり意味であった、こうお考えくださいませんかと申し上げるしか方法がありませんで、したがって、納税者によっては十万円ぐらいな負担増になるということもわかりましたものですから、控除を少しああやってふやしましたりして、多少の緩和をいたしてございます。  しかしながら、去年払わなかったのにことしまた払うのかとおっしゃっていらっしゃる方に対しましては、もともと日本の課税最低限が非常に高うございますので、その点を御理解いただけないか、こう申し上げることになろうかと思います。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 景気対策としての減税論議の中で、一部から、消費税をこの際凍結した方がいいのじゃないか、こんなような意見が出されたことは事実でございます。  私は、国民の消費税に対する不満の最大の要因というのは、消費税がこれまで使い道が必ずしも明らかでなかった。消費税を導入するときは少子高齢化社会の社会保障に使います、こう言っておきながら、その辺のところが非常にあいまいであった。この辺のところが、私は、国民にとって大変やりきれない思いがあったのではないかと思います。  今回、予算総則の中で、年金、老人医療、介護、こういった少子高齢化社会における不安を解消するために限定したということは、私はそれなりに一歩前進だと思いますが、これは予算総則でございますから、毎年これから予算総則に明記していくのか、中長期的視野に立ってこの問題をどういうふうに扱っていくのか、この点につきまして、大蔵大臣、自治大臣にお話をお聞きしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 この問題につきましては、その対象になります社会福祉の諸施策をどうすべきかということについては、丹羽委員が最も私どもの党を代表して各党と折衝されるお方でいらっしゃいますので、その辺の事情もいろいろに御洞察だと思いますが、ともかく、今回ああいう形で明記をしたということは一つの前進であったと思います。  しかし、もっと正確に書けないのかねという御主張はやはりきょうの予算委員会でもございまして、あんな三つ書いてこれからどうするのかねということでございますから、少なくとも、私どもとしては、あれより後退はできないな、やはり何かの形で福祉というものと、目的税と言われることにはいろいろ問題がございますものですから、福祉というものと今後とも結びつけて考えさせていただく、どうもそれしかないではないか、私自身はそう思っております。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 今回、両党の政策協議、丹羽先生も当事者、責任者の一人として御努力をいただきまして、その結果、今お話しのとおり、消費税の使途について、予算総則においてその税収の使途を限定をする。基礎年金、それから高齢者医療、そして介護、この三つに限定をするということが盛り込まれることになりました。  私は、小渕内閣の閣僚の一員としては今大蔵大臣が申されたとおりだと思うんですが、ただ、この機会に、長々申し上げるつもりはありませんが、そもそも消費税について、丹羽先生御指摘のとおり、導入の時点から、本来、高齢社会に対応するんですということを掲げながら実は国民に向けては説明をしてきた。しかし、実際に導入された時点においては、どちらかというと、所得税減税あるいは間接税体系、物品税の廃止とか、その見返りとしての消費税であった。必ずしも福祉の充実なりという形には使われていなかった。あるいは、先般の消費税率の引き上げにおいても、結局はそれに先行する所得減税のいわば財源的な側面もあった。  そういうところから、国民から見れば、消費税が一体どこに使われたのか、実際には、そういう福祉といいながら、そうなっていないんじゃないか。だから、ともかく消費税と聞いていたのに、まず行革だというか、どうも話がほかの方に行ってしまって、非常に混乱を引き起こしてきているんじゃないか。  したがって、やはりこれから先を展望した場合に、老後の生活不安をどうやって取り除くかということは国政上の二十一世紀における最大課題の一つでもあるんであって、その中の中心テーマが、今申されました三つの分野、これについての財源手当てをはっきりさせる、ここが一番の中心テーマだ。  そういうところから、この際、考え方によっては、所得を中心とする、言うなら課税標準という言い方がいいかどうかわかりませんが、所得を課税標準とする現在の社会保険料という発想よりも、消費の多寡を課税標準とする社会保険料と観念した方がかえっていいのではないか、その方がむしろ逆進的な話とかいういろいろな事柄を乗り越えることにもなるんじゃないか、そういう角度の中からこの目的税化を言ってきたわけであります。  ただ、現実には年金制度においてもいろいろな分野で既にそれぞれ独自にスタートしておりまして、将来方向としての目標は掲げながらも、直ちに、来年からすぐ目的税化で完全にそれですべての所要資金を賄うということは、これはとても現実問題不可能なことであろう。そういうことから、当面その使途を予算総則において明記するということでスタートをしたということで、私たちはこの点は高く評価をいたしておるわけであります。  ただ、問題は、これから先の、先ほどちょっと消費税の税率の話がありましたが、私たちは、自由党について若干誤解があると思いますが、基本政策の中にははっきりと目的税化のことは明言をいたしております。それが高齢社会における老後の不安を除去する最大、唯一の道だという確信を持っておるのでありますが、税率の引き下げ、凍結の話については、これは、それはそれとして、現在の景気の動向が余りにも悪過ぎる。したがって、多少いろいろなことでやるとしても、なかなか容易なことではない。だから、むしろ一時引き下げて段階的に引き上げるということの方が、結局は財政の穴を、赤字を拡大させるということも歯どめがかかるのではないか。引き下げだけではありません。  そういう点で、段階的引き上げということをセットにすることによって、そのことへの歯どめもかかるのではないかということから、我々の意見として申し上げてきたわけでありまして、基本政策そのものではない。したがって、それにかわる景気についての極めて有効なる処方せんがあるならば、それでも結構でございますということは、あわせて私たちは申し上げてきたつもりであります。  そういう点で、今回の税制改正の中でもかなり抜本的な減税策、特に減税規模においてもそうでありますし、内容においてもかなり大幅な、我々も評価をするようなものがたくさん入っております。  一方で、歳出予算においても、単なる予算総則における明記だけでなくて、その規模、方法等においても我々は高く評価をするというところもありました。  そういったことで、百点満点と言うかどうかは別として、かなりそれにかわる代案的なものが入ってきたということで、この際はっきりと我々はこれを評価をしようということで連立に立ち至ったということを、この機会に、長くなって恐縮でありましたが、申し上げさせていただきました。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 私はかねてから、まず、これは御質問があったと思いますけれども、消費税の収入は十三兆八千億円で、このうち地方交付税など地方分を除くと、国の分は七兆三千億円でありますので、これは、ただ福祉に充当させていますということを宣言する以外の何物でもない、こう思っています。  そこで、私はかねてから、もっと国民に対して説得力のある消費税というものを示すためにまず年金に充当すべきだ、こういう考え方に立つものであります。年金はすべての国民がひとしくその恩恵を享受しているものでありますし、いわゆる消費税を年金に充てるということは、今若年世代における年金に対する不信感を解消することにも役立つわけでございます。  現在の年金の国庫負担というのは、私から申し上げるまでもなく、四兆三千億円でございまして、現在の消費税収の中で十分に賄えるものでありまして、その分を予算総則ではなくて年金の特別会計に回す仕組みをつくれば、私は、国民に対してもっと説得力があるんじゃないか、現実的じゃないか、こういう個人的な考えでございますけれども持っておるわけでございますけれども、これについて、恐縮でございますが、大蔵大臣、お願いいたします。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 確かに、七兆三千億円に対して、三つ合わせますと八兆八千億円でございますから、これは何のことはないじゃないか、こうおっしゃることはそのとおりと思います。  実は、そういう意味で、消費税の将来を基礎年金ともう少しきちんと結んで考えた方がいいのではないかということは、私どもも役所の中でいろいろに実は議論をいたしておりますところなんですが、たまたま、その基礎年金の部分を、国の負担をふやすふやさないという問題が当然ございますものですから、その動向もこれあり、また、消費税将来の動向もこれありというところで、ことしはああいう措置をさせていただきました。  しかし、丹羽委員のような御説が有力にあるということは、実は私どもの中でもいろいろな議論をいたしておりますので、次の年度に向かいましては、もう少し話を私どもの中でも詰めさせていただいて、またいろいろ御指導も仰ぎたいと考えております。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 次に、安全保障の基本的な考え方について幾つかお尋ねをしたいと思っております。  自民党と自由党、当面の最大の課題でございます安全保障の政策のあり方について、共通認識を持つに至りました。そして、野田自治大臣もそこにいらっしゃるわけでございますが、まず、国連の平和活動への我が国の参加、協力については、国連の総会あるいは安全保障理事会の決議があって、要請がある場合は、武力行使と一体化するものでない限り、積極的に参加、協力することができる、こういう方針を自自協議で確認をしたわけであります。当然のことながら、国際平和の貢献といった観点から、率直に申し上げて、多国籍軍を後方地域において支援することになるんじゃないか、こう思います。  ところで、一九九〇年当時、国連平和協力法案というのがございました。これはいろいろ議論をいたしましたけれども、武力行使と一体にならない協力は具体的に何か、こういうことなどにつきまして十分な必ずしも説得力のある説明ができずに、各党が寄り集まりまして廃案になった経緯があるわけであります。あれから九年の歳月がたちました。  そこで、私は、高村外務大臣、野田自治大臣にお伺いをしたいと思っております。平和活動の参加について、新しい法律が必要と考えているか、その場合、九年前に廃案になった国連平和協力法とどこがどういうふうに違うのか、まだ、これからもしおつくりになれば考えるのでしょうけれども、同じとすれば、このこと自身が憲法の解釈の変更につながるようなことはよもやないと思いますけれども、その辺のことについてお聞きしたいと思います。

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 国連平和協力法でありますが、この廃案になった法律でありますが、国際の平和及び安全の維持のために国際連合が行う決議を受けて行われる国際連合平和維持活動その他の活動に対し、適切かつ迅速な協力を行うための法律であったわけであります。  自自合意にある国連平和活動への参加につきましては、今後具体的に検討していくことになると思いますが、我が国が国際社会に応分の貢献を行うべきことは当然でありまして、例えば、PKO本体業務の凍結解除を含む国連の平和活動への一層の協力など、あるいは法整備について、国会はもとより、国民各位の御理解をいただきつつ、また、御指摘の法案を含めた過去の経緯を踏まえながら積極的に進めていくことが肝要である、こういうふうに思います。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 ちょっと、では自治大臣の御答弁を聞きましてから。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 今高村外務大臣が述べられたことが基本だと思っています。これは、内閣の一員としてそれに従うのは当然のことであります。  今、廃案になりました国連平和協力法との比較ということだろうと思います。私は、あのときには、率直に言って、まだかなり整理がされていなかったんじゃないかという感じがいたしております、当時、議論そのものが。ですから、そういう点で今回はかなり詰めて議論をした結果、現在の政府の憲法解釈の中で十分対応が可能なんだという整理をしたんだというふうに私は理解をいたしております。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 午前中、菅委員の質問にもあったと思いますが、自自協議では、直接戦闘行動を行うことや戦闘地域に直接物資を輸送、補給することは、これは武力の行使と一体でございますので、当たり前のことでございますが、これはネガリストじゃなくて例示として挙げて、憲法上許されないことだ、こういうことでございまして、それ以外のことについては、いわゆる内閣の責任でもってケース・バイ・ケースで判断をしていく、こういうことでございましたけれども、いわゆる弾薬や武器などを輸送、補給することが、そうしますと裏を返しますと、高村大臣さっきちょっとお話しになっておりましたけれども、必ずしも武力の一体化と結びつかないんだ、こういうようなお話でございましたけれども、これに対して、外務大臣、国民に対してわかりやすく御説明していただきたい。

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 何を運ぶかという話でなくて、武力と一体化するかどうかということが大切な点でありまして、戦闘地域に運ぶのであれば、それは武器弾薬でなくとも、戦闘地域に直接油を補給するために行ったって武力行使と一体ということだってあり得るかもしれないし、逆に、戦闘地域に入らない、その後方地域の間であれば、たとえ運ぶものが武器弾薬であっても武力行使と一体化しないということもあり得るわけで、そういうことを私は先ほど申し上げたわけであります。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 ちょっともう一つわかりにくいところもあるんですが、私がかねてから敬愛申し上げております高村大臣でございますので、十分にその辺のところを御理解いただいた上で今のような答弁があったと思います。  次に、新しい日米防衛協力のための指針、いわゆるガイドライン法案の中で、議論を呼んでおります周辺事態の問題。先ほど池田政調会長からも御質問がございましたけれども、周辺事態の概念につきましては、もう今さら私から申し上げるまでもなく、前内閣当時、一時、極東とその周辺との考え方が打ち出されました。  しかし、率直に申し上げて、これに対しまして、中国側からの強い反発を招いたわけであります。その結果、いろいろな経過があったと思いますけれども、地理的概念ではなくて、事態の性質に着目した概念、こういうことで落ち着いたわけでございますが、私は、本来、我が国外交の基本的あり方として、日中友好関係を損ねるようなことは本意でないはずだ、こう思っております。  問題は、このガイドラインの基本的性格をどうとらえるのか。それから、一部マスコミに、これによって後方支援の範囲がどこまでも広がるんじゃないか、こういうような論調もあるわけでございますけれども、これにつきまして、防衛庁長官の御見解をお伺いしたいと思っております。

野呂田芳成自由民主党防衛庁長官

○野呂田国務大臣 あるいは繰り返しになるかもしれませんが、ある事態がお説のように周辺事態に該当するか否かにつきましては、あくまでもその事態の規模とか態様等を総合的に勘案して判断するということであります。  したがいまして、周辺事態が生起する地域をあらかじめ特定し、あるいは地理的に一概に画することはできず、また、特定の地域における事態が周辺事態に該当するか否かをあらかじめ決めておくこともできない、このような意味において、周辺事態とは、お説のように、地理的概念ではなく、事態の性質に着目した概念であることは、政府が従来から申し述べているとおりであります。  しかし、国会においてもしばしば繰り返し答弁されておりますように、他方、そこにおいて発生する事態が、軍事的な観点を含め、我が国の平和と安全に重要な影響を及ぼすある地域ということで、このような地域が例えばインド洋や中東を含むということは、現実の問題としては基本的には想定されない、こういうふうに考えております。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 それでは次に、基本計画の国会の関与のあり方についてお聞きをいたしたいと思います。  これにつきましても、先ほど来各委員から御指摘があるところでございますけれども、ガイドラインによる後方地域の支援活動は、現に戦闘行為が行われている地域と一線を画した地域において、文字どおり武力行使を伴わない活動である、こういうことでございます。したがいまして、私は、事前及び事後の国会承認を求めている防衛出動や治安出動とは性格的に異なるものじゃないか、こう考えています。  もし、米国が日本に緊急支援を求めてきた際に、速やかに基本計画の策定、決定、実施がなければ、私は、日米関係というものは信頼を損なうおそれがあるのではないか、こう考えています。  私は、官房長官、お戻りになってまことに恐縮でございますが、本来、この国会関与のあり方でございますけれども、承認を必要とするものなのか、あるいは事後の報告だけで事足りるものなのか、官房長官の御見解をお聞きしたいと思います。では、外務大臣、防衛庁長官ですか、済みません、恐縮です。

野呂田芳成自由民主党防衛庁長官

○野呂田国務大臣 周辺事態安全確保法案に基づく自衛隊が実施する三つの行為があるわけですが、後方支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動、これらの活動は、従来から申し上げておりますとおりでありますが、武力を行使しない、国民の権利義務に直接関係するものではない、それから迅速性を要するというものであります。また、くだんの活動は、何ら強制力を伴うものではございません。  したがって、今委員の御質問にもありましたとおり、自衛隊法で定められております海上警備行動、あるいは要請による治安出動、これらはいずれも警察官職務執行法の武器使用規定が準用されるような強制力を伴う活動でありますが、これらについては国会承認が必要とされていない、ましてこの周辺事態における三つの活動は何ら強制力を伴うものではないということを考えますと、活動の性格及び他の法律との均衡といった点を勘案しますと、本法案における基本計画については必ずしも国会の承認を得る必要はない、基本計画を遅滞なく国会に報告して、国会での議論を踏まえつつ対応措置を実施していくことが適切であるというふうに考えております。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 それでは、もし仮に事後承認であった場合で、例えば国会でこの承認が否決された場合に、出かけていった自衛隊というのは撤収してくることになるんですか。要するに、どういうことが予測されるのか、突然で恐縮でございますが、外務大臣、日米関係との絡みで、この辺のところについて御見解があれば教えていただきたいと思います。

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 政府が出している法案は、報告でありますから、少なくとも今出している法案ではそういう問題は生じないんだろうと思っております。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 それではもう一つ、政府は、PKO活動の中のPKF本体業務につきまして凍結解除の方針を打ち出しました。政府は、いつごろをめどにしてこれを解除するつもりでいらっしゃるか。あるいは、現在既にPKO活動が行われているところで、どこの地域を対象にして考えていらっしゃるのか。もし、PKF本体の業務が凍結解除された場合、要するにどのような活動が可能になってくるのか。これにつきまして外務大臣の御所見をお聞きしたいと思います。

高村正彦自由民主党外務大臣

○高村国務大臣 国際平和に対する貢献というのは、日本は応分の貢献をしていかなきゃいけないと思っていますから、国民と国会の理解を得られる範囲でできるだけ積極的にやっていきたい。いつというのはまだ私の立場で言えることではありませんが、できるだけ積極的にやっていきたい、こういうことであります。  それから、何ができるのかというのは、これは法律にそのまま列挙をしているわけでありますが、これ、全部読むのも大変でありますが、例えば、自衛隊の部隊等が行う武力紛争の停止の遵守状況の監視などが挙げられるわけであります。  具体的に日本がどういうことをやりたいのかというのは、それは実際に解除がされて、国連から具体的要請を受けてから検討をすべきことだ、こういうふうに思っております。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 安全保障の問題はこの辺にいたしまして、介護問題について若干お話をお聞きしたいと思います。  現在、寝たきりや痴呆症のお年寄りは二百万人おります。これが三十年後には五百二十万人にまでなる見込みでございます。介護問題は、これまでどちらかといいますと一家庭の私的な問題として取り扱われてまいりました。これからは社会全体で支え合っていこうじゃないか、これがまさに介護保険構想でございます。  私も、実はこの制度の生みの親の一人でございますが、率直に申し上げて、介護認定のあり方、あるいは基盤整備の充実、さらに介護費用の負担のあり方について一抹の不安を抱いている者でございます。  実施が間近に迫ってまいりました。地方自治体の中には、大変一生懸命やっているところと余りそれほど熱心じゃなかったところ、いろいろあるわけでございますけれども、私のところに不安と重圧を訴えてくるところも実は少なくないわけでございます。  厚生省は、この二十世紀最後の社会保険制度を導入するに当たりまして、その実施を市町村に、もう決めたから単に丸投げするのではなくて、新しい制度にふさわしい介護サービスが享受できるようにどのような指導をしていくのか。保険あって介護なし、こんなことが言われないように、厚生大臣は自信と責任を持って、いよいよ二〇〇〇年四月からスタートに踏み切ることができるのか。まず、厚生大臣の御所見をお伺いしたいと思っております。

宮下創平自由民主党厚生大臣

○宮下国務大臣 委員御指摘のように、介護保険は、年金の保険制度、医療の保険制度と並びまして、この大きな三つの分野について社会の相互扶助の精神に基づく社会保険制度を完成するという意味で極めて私は画期的なことであろうと存じます。それだけに、私どもとしては、これを何としても来年の四月から滑り出し、成功をさせたいと思っております。  一方、委員の指摘にありますように、市町村が若干の不安を提示しておられることも承知をいたしておりますが、これは、在宅の介護サービスとか施設介護サービスにおける介護サービスの供給体制の整備がまだ不十分ではないかという点が一つございます。これはゴールドプランによりまして、私どもは、在宅介護のショートステイ、デイサービスあるいはホームヘルパーを計画以上に増強していく。  なお、特別養護老人ホーム等の施設の充実も図っていくということで、平成十一年度予算においてはゴールドプランを上回るレベルのものも確保しようといたしております。  第二に、市町村の財政面からの支援についてでありますが、これについてはもう委員が御承知のとおり、介護費用の半分は国及び市町村、県の公的な負担で行いますし、それから、そのうちの、介護費用の三三%はいわゆる二号被保険者と言われる四十歳以上の方々に御負担を願っておりますから、それで賄う。あと残りは、六十五歳以上の方々の年金受給者等につきましては、年金の給付の中から天引きをさせていただくというようなことを予定しておりますので、市町村が本当に自力で徴収をされるのは非常に少ないウエートだと思います。この点だけを申し上げておきます。  それから、事務費につきましても二分の一相当額を見ることに、国が交付いたしますし、なお、市町村間のアンバラがあれば、先ほどの調整交付金、つまり公費負担の半分のうちの国が二五%を持ちますが、そのうちの五%で調整する。なおかつ、来年度からスタートいたしますから、来年度から財政安定化基金というのを二千億くらい設けまして、これで調整するというようなことどもも考えております。  それから、介護認定につきましては、これは公平公正でなければなりません。したがって、本年要介護者の実験をいたしまして、これを今、要介護の状態区分別にどういう問題があるか検討中でございます。なお、保険料の算定基準とかその他政令についても、昨年の暮れに主要な政令、二政令を出しましたけれども、今後は、告示あるいは省令等に及ぶ全体像が具体的にわかるような法令システムについては、今年度末までにデッサンをお示ししていきたいということを考えております。  なお、もう時間の関係でちょっと簡単に申し上げますが、市町村に丸投げしているわけではございませんで、介護の認定等は広域化をお願いしております。これがかえって公平公正になるだろう。そして、しかも保険者としても広域連合ないしは一部事務組合、これが県と同一であっては困りますけれども、そういうことによって給付の均等化を図ろう、あるいは負担の均衡化を図ろうというようなことで万全の体制をしきつつございますから、これからも各県の担当課長等を随時呼びまして、その徹底を図っていきたいと思います。  介護保険については、残念ながら、世論調査でもまだ半分ぐらいの人たちがその仕組みについて必ずしも理解を得ていない点がございますから、広報その他積極的に対応してまいるつもりでございます。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 その保険料なんですが、厚生省のこれまでの試算によりますと、平均で一カ月二千五百円だった。ところが、実態はもっと高くなる。高知県の最近の試算では、お年寄りの負担が、保険料は三千八百円を超えている。中には六千円を超える町もある。北海道の市町村なんかは四千円を超えるところがほとんどだ、こういう問題があるわけでございますし、今大臣が広域化の問題を進めていくということでございますので、ぜひとも積極的に進めていただきたいと思います。  そこで、私は最後に、新たに農業基本法の制定の問題がございますけれども、これについて私の高校の後輩でございます中川農林大臣にお尋ねをします。  現在は、政府は今国会に新たな農業基本法を提出するために準備を進めているわけであります。私は、この基本法は、これまでのような農業従事者のためだけではなくて、消費者を含めた国民全体の視野に立った基本方針であるべきだ、こう考えておるわけであります。  そこで、新たな農業基本法では、現在カロリーベースで四一%まで下がっております食糧自給率を目標策定をするということから、あるいは、年々減少する一方の農業の担い手が夢と希望を持てるような農政を打ち立てるということが最大の課題であり、これが中川大臣の腕の見せどころではないか、こう思っておるわけでございますが、最後に中川大臣の新たな農業基本法にかけます意気込みをお尋ねしたいと思います。

中川昭一自由民主党農林水産大臣

○中川国務大臣 現在農政の改革の作業を進めておりまして、今国会に新しい基本法を提出する予定でございますが、今丹羽先生御指摘のように、今回の法律に当たりましては、農業、農村だけではなくて、国民ひとしく関係のある食糧という観点からもこの基本法の基本理念を組み立てていきたいと考えております。  大きく分けまして三つの基本理念がございますが、安定的な食糧の供給、これは平時あるいは不足時両方に対応できるもの、二点目は、農業あるいは農村の果たす多面的な役割の発揮、さらには、そのための農業の持続的な発展、こういう三つの基本理念に基づきましてこの法律をつくっていくわけでございますが、その場合に、やはり食糧というのは消費者あっての農業生産である、また、国産の農業、農村あっての国民生活であるという共存共栄の観点からこの法律というものをつくっていきたいと考えております。  そのために、国産の農業生産を基本としながら、消費者ニーズに即してその増大を図るということ、そして、生産者は意欲ある担い手の育成あるいは農業経営の発展をしていかなければなりません。そして、国土の維持発展も必要であります。  自給率につきましても、これは、品目ごとに合理的な自給率を設定するような、その根拠となるものを法律の中につくっていきたいと考えております。  いずれにいたしましても、二十一世紀に向けた農政の発展を、将来展望を確立していくとともに、国民の安全で豊かな暮らしを確保できるような法律をできるだけ早い時期に国会に提出できますように、現在鋭意作業をしている最中でございます。

丹羽雄哉自由民主党

○丹羽委員 では終わります。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 この際、伊藤公介君から関連質疑の申し出があります。池田君の持ち時間の範囲内でこれを許します。伊藤公介君。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 自由民主党の伊藤公介でございます。  ことしは、この国会の総理演説から始まって、千年単位の大きな時代の転換のときだ、こういう皆さんのスピーチが続いてまいりました。私は、その千年単位の大きな歴史の転換期の、しかも予算委員会の初日にこの国の総理大臣に考え方を聞くことができることを大変光栄に思っています。それは、これから何年かたって、あの時代に何をこの国のトップリーダーは考えていたか、総理大臣は将来に対してどのような考え方を持っていたか、そのことを振り返るときがきっと来ると思うからであります。その歴史の一ページに今自分が立たせていただいていることを思いますと、大変胸の高まる思いであります。  海が静かなときはだれでもかじをとることはできますが、今日本はそんなに波静かなときではないと思います。だからこそ、だからこそかじ取りをする人の責任は重いし、またそれだけのやりがいがあるのではないか、そう考えているわけであります。  私たちは、この二十世紀を振り返って、それは革命があった時代だ、あるいは二つの大きな不幸な戦争もありました。しかし、私たちは、このわずか百年の間に人口が大きく膨れて、二十世紀の初頭には十六億人であった人口が、今や五十九億になりました。そしてその間に、日本経済は四十年間に四十五倍の経済成長を遂げ、現在、日本人のGNPは、モザンビークの六百倍、中国の五十倍、ロシアの十一倍、アメリカの一・二倍ということであります。しかし、この二十世紀最後の十年で、私たちは突然、経済の失速をいたしました。  しかし、私たちは、過去さまざまな時代、困難な時代がありましたけれども、その時代時代に国民の英知を結集して、常にその困難な時代を力強く乗り切ってきたと思います。そして、その時代時代に、私たちの先輩たちは常に志を高く持って、国民の皆さんに強く呼びかけ、国民とともに新しい時代を切り開いてきたと思います。  そこで私は、一言、総理大臣に、二十一世紀に向かって、日本の二十一世紀のキーワードは何ですか。一言で言うのはなかなか難しいことでございますが、商品を売るときには、その商品のネーミングをたくさんつけることはありません。すかっとさわやか何々とか。自分がこういうことをこの国の将来にやりたいという一点で、コピーライターというのは、この国の将来をこのようにかじ取りをしていくというときには一つのキーワードがあっていいと私は思います。まず総理大臣から、二十一世紀、日本のキーワードは何か、伺いたいと思います。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 私、就任以来、折に触れまして、我が国の目指す姿として富国有徳ということを申し上げてまいりました。若干言葉が、理解がまだ行き届いておらないと思いますが、私の気持ちとしては、日本の国というものが経済的に非常に繁栄してまいりまして、今いささかダウンしておりますけれども、必ず日本人の持つすばらしいこの力によりまして、来世紀はまた世界を、指導的な地位を持つ国になるだろう。そのためにはどういう国の姿が考えられたかといいますと、私としては今の言葉を使わせていただいておるわけです。  経済の発展ということ、特に資本主義については利潤追求だけでは済まされない。この点、ドイツの社会学者のマックス・ウェーバー、あるいは渋沢栄一氏、これは明治から大正、昭和にかけて日本の経済を発展させてきた、御案内のように経済界の大立て者でございますけれども、この方が、義、すなわち論語と、そろばん、すなわち利、こういったことを言っておられまして、そういう意味で、経済とそれからやはりその国の持つ品格といいますか、そうしたものを持ち合わせたような理想的な国を目指していかなければならない、そう考えております。  一言で、こう申されましたので、一言にならなかったかもしれませんが、富国有徳という言葉を目指して私自身はこれからこの責務に当たらせていただきたい、こう考えております。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 ぜひそのキャッチコピーが売れればいいなというふうに思いますが、私は総理大臣ではないですから私が言っても仕方がないのですが、二十一世紀の日本のキーワードは何かと聞かれたら、私は、科学技術創造立国と環境先進国日本、そう申し上げたいと思います。  一九六四年は日本のオリンピックの年です。ちょうどその年の春、私はベルリンに生活を始めました。まだ日本もこれから経済成長していくという時期でございました。  ベルリンのメーン通り、日本でいうと原宿のような通りがずっとあるわけですが、あのクルフュルステンダム、クーダムと言うのですが、そこの大きなショーウインドーに、あちらにもこちらにも人だかりが随分ありました。何だろうかなと行ってみますと、そのショーウインドーの向こうには、メード・イン・ジャパンのソニーやナショナルやそしてオリンパスペンのトランジスタの製品がずらっと並んでいました。私の二十代、大変胸を打たされました。そして、私たちの日本の国に私は誇りを持ちました。  私は、今その思いを込めて、この戦後の五十年間も私たちは科学技術で今日まで日本の繁栄を築いてきたし、世界にも貢献をしてきたと思います。だから、これからの五十年も私は科学技術創造立国だと。  しかし、これまでの五十年間とこれからの五十年間と違うのは、もう一つ、環境先進国。日本の製品は環境に優しい製品だ、それが二十一世紀の日本の売り物にならなければならないというふうに私は考えています。  そこで、きょうは、それぞれの与野党の皆さんの質問がありましたが、二十一世紀の日本をつくるのには、さまざまな改革が必要ですけれども、そのもろもろの改革の一番大切なベースは、私は教育だと思います。  国づくりは人づくりとよく言われますけれども、一体、二十一世紀の私たちは、科学技術や情報化時代や環境、そうした時代に向かって、今、次の世代の子供たちが学んでいる学校教育の現場は本当に二十一世紀の準備ができているのであろうかということを伺いたいのです。  私は、最近、地元の小学校や中学にしばしば伺いますが、その小学校や中学は、ちょうどあの東京オリンピックのときに大急ぎでできて、都市化でできてきた小学校、中学です。あれから三十数年がたちました。校舎は古くなって、私たちが小学校に行くと、もうアメリカの小学校では八〇%以上がインターネットで結ばれて、アメリカの全土で子供たちはインターネットでそれぞれが交流できる、地球の裏側の子供たちとも教室で一緒に勉強ができる、そういう現場になっています。  今、二十一世紀の若者たちが学んでいる小学校や中学は、本当に、情報通信時代に子供たちはもう身近なところに学べる状況になっているのでしょうか。あるいは、将来、やがて国際舞台で活躍をするような、そうした語学の教育ができているでしょうか。今、駅前留学をすると、半年すれば大抵の人は英会話の日常会話がみんなできるようになります。それなのに、高い授業料を払って、中学、高校三年、そこまでやっても日本の語学教育は私は余り役に立っていないように思うのです。  今度は、省庁再編で、環境庁は環境省になります。私たちの二十一世紀は、この地球を大切にしよう、人間を大切にしようという時代をつくろうということで、省庁再編でも私たちは環境省にすることを合意しています。それならば、今、小学校のその子供たちが学んでいる校舎は本当に環境に優しい校舎になっているでしょうか。太陽熱で、あるいはソーラーシステムで、そこで子供たちがもし学べば、やがてその子供たちは成長して、自分が小さなマイホームをつくるときは、環境に優しい住宅をきっとつくるんじゃないでしょうか。  私は、著名な物理学者であり、日本の東京大学の学長を務められ、そして、私どもの党としては最も期待をされて国政入りをされて、今教育の最高責任者として陣頭指揮をとられる有馬先生に、今の小学校、中学、これでいいのか、二十一世紀の準備は進んでいますかと、まず伺いたいと思います。

有馬朗人自由民主党文部大臣・科学技術庁長官

○有馬国務大臣 まず、教育に御関心をお持ちいただいたことを心から感謝申し上げます。  それから、先ほどおっしゃられましたスローガンでありますが、キャッチフレーズ、私はそれに、愛情と清潔であるということ、倫理的な人間ということをつけ加えたいと思います。愛情を持ち倫理観を強く持った、清潔で、しかも環境に優しい科学技術立国というふうに私としては申し上げたいと思いました。  今御指摘の点、私は非常に心配をいたしております。大変努力をしておりまして、例えばソーラーシステム、これは今まだモデルケースでございますけれども、何といっても、日本の将来を考えますと新エネルギーを使うように向けていかなければならない。特に太陽エネルギーは使っていかなければならない。こういう点で学校は大変モデルケースになりますので、ぜひともこれは進めていきたいと思っております。  それから、インターネットのことでございますが、これもアメリカとお比べくださいまして、御指摘のとおりでございます。日本は大変おくれています。しかし、これも今のところ、平成十三年度までに小中学校全体にインターネットを十分備えるように努力をいたしております。そしてまた、今回の予算の中に、補正予算の中でありましたが、郵政省と協力いたしまして、千五十校に対して光ファイバーの高速のものをつけようという努力をいたしております。  それから、語学のことについて、英語について御指摘がございました。この点、私は非常に心配をいたしております。  したがいまして、今回、中央教育審議会並びにそれに基づいた教育課程審議会の議に、答申に基づきまして、文部省といたしまして、教育改革のプログラムの一つとして現在、総合的学習の時間というものを導入し、その総合的学習の時間で、文法でない、会話ができるような、みんなと話ができるような、そういう英語教育を早い時期からやるように努力をさせていただいております。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 きょうはそのほかの質問もありますから、これ以上きょうの機会には申し上げるつもりはありませんけれども、私は、ぜひ文部大臣に、生きた教育、例えば今の語学教育でも、それは発音がちゃんとできる先生でなければ、必ずしもネーティブスピーカーがいいのかどうなのかわかりませんけれども、私は、やはり外国の人と話ができたというあの喜びを子供たちに最初に教えてもらいたいということをお願いしたいと思います。  情報通信については、今、文部大臣からお答えをいただきました。ようやくことしの予算で三十地域千五十の学校にインターネットが実験的に行われるということでありますが、既にアメリカは八〇%の学校が実用しているんです。  ですから、私は、こういう予算だけはもうこれからは本予算できっちりつくっていくということを、ぜひ合意をしてやらせていただきたいし、私たちも一生懸命これから応援をさせていただきたいと思いますので、ぜひひとつ、文部大臣、私の多摩ニュータウンあたりがいいんですが、小学校、中学、あのオリンピックのころにできた小学校を一度お訪ねをしていただきたい。そして、そこに本当に未来の響きのある学校であるかということを、大臣の目でぜひ一度確かめていただきたいと思います。  それでは、ことしの平成十一年度の予算について、若干私の感じたことを申し上げたいと思います。既に同僚議員が外交や安全保障の問題を質問されましたが、私も、時間があればどうしてもこの大きな、大事なときに私自身の自分の言葉でも聞きたいと思いますので、ちょっと大急ぎで聞いていきたいと思います。  ことしの予算は、十分とは言えないけれども、少し後回しにできる、例えば港湾やあるいはダムは少し中止、休止をいたしました。そして、できるだけ効率的に予算を活用していこうという方向に小渕内閣がかじを切ったことは評価をいたします。  そして、税制を大きく改革したことも特徴があるところでございます。  御案内のとおり、所得税も六五%から最高税率五〇%へ、あるいはそのほかの税率も全部二〇%減額をすることになりました。あるいは法人税も、御商売をやっている方々も四六%から約四〇%まで法人税も下げることになりました。私たちが新年会に行きますと、法人税は結構助かりますよ、そういう声を聞きます。あるいは承継税制、おふろ屋さんをやったり、お父さんから息子へという商売をやっている方々も、今までは六十坪ぐらいでしたけれども、相続をするときに今度は百坪まで広げてくれました。そういう税制改正では、これは政策減税でもあるいは所得税や法人税の減税でも、皆さんがそれなりの理解をしていただいていると思います。しかし、やはり皆さんがいろいろな議論をされているように、一体、私たちのこれから次の時代は大丈夫なんだろうか、そういう心配感があることは事実です。  そこで、この税制改正等々をやりながら、二十一世紀、二〇二五年あたりが日本の長寿化社会のピークだとしますと、我が国の国民の一人一人の負担というものはどのくらいになるかという、将来に対する大枠のビジョンというものがやはり必要だと思います。  これは、今度の税制改正をやった後の国際的な国民の負担率であります。日本の場合は三六・六、アメリカが三六・五、ドイツが五六・四、スウェーデンが七三・二、これが一人一人の国民の皆さんが負担をしている租税負担と年金、医療などの社会保障の負担、これを国際的に比較をするとこういう数字になるわけであります。  しかし、これから私たちは、介護保険もありますし、あるいは医療も、今二十八兆円ですけれども、ピークになったときには百四兆円の国民医療費にもなるなどなど考えたときに、将来、私たち国民の一人当たりの負担というものは、最高、ピークになったときに一体どのくらいと今考えておられるのか。また、そういうことを頭に描きながらさまざまな施策を展開していただいているかをまず総理からお伺いができればと思います。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 今たまたま我が国の負担が三六でございますのは、ここのところ税収が非常に不振でございまして、取れるべき税金が取れていないということに、皮肉なことですが、関係がございます。  それで、それが正常化いたしましたときに、私自身としては、これは人によって考え方が違いますが、日本の国民負担は五〇を超えないことが望ましいとやはり思っております。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 国民の負担率が五〇%を超えないというのは、この比較でいえば、現在のイギリス、ドイツ、そのくらいに抑えていこう、こういう大蔵大臣の御答弁だと思います。  私たちは、将来の国民一人一人の負担を、今大蔵大臣から御答弁がありましたように、大体五〇%ぐらいということを頭に描きながら、将来の自分の人生計画というものを皆さんに立てていただかなければならないわけであります。  そこで、実は先ほどから、今度のこの予算でいろいろな改革をされているということを申し上げましたが、私は、もっと思い切ってかじを切っていく必要がある。どこにそのかじを切っていくかということでありますが、今東京を初めとして首都圏には、御案内のとおり、三千万以上の人たちが住んでいます。日本人の四人に一人はこの首都圏に住んでいるわけですね。大阪を含めたら、約半分近くはこの大都市に住んでおられる。  その大都市、どうも今まで、よく議論になっているところでありますが、例えば東京は、東京都民の皆さんは約十六兆円の税金を国に納めていただいています。いろいろ還元をされているのが約一兆円。  例えば、けさ、私は町田の自宅から電車に乗ってきました。通勤どきに電車に乗って、きょうは雨の日でした。小田急は、もうみんなのオーバーがシャッターにひっかかって、それを押して、何回もドアをあけて、駅員が押し込む。経済の豊かな国にしては、この問題が置き去りにされてきたのではないか。私だけならいいんですよ。圧倒的多くのサラリーマンの人たちが一生この通勤どきに、みんな乗っているわけですから、そして我が国の経済を支えているわけですから。私は、こういうことは政治がしっかり目を向けなければならないと思います。  そして、オリンピックのことを何回も言って恐縮ですが、実は、私の町田や多摩ニュータウンは、あのころ町がずっと大きくなったんです。そのころできた住宅公団、今ほとんど五階です。オリンピックのころに五十代で働き盛りだった人たちは、あれから三十五年、八十になり八十五歳です。当然その中には車いすになる方もいらっしゃいます。  私は、地元を歩きますと、公団の中に行くと、車いすの方に会いますと、伊藤さん、何とかエレベーターつくってくれ、エレベーターをつくってくれれば、私は自分の力でケアセンターにも行くし、買い物だってできるんです、せめてエレベーターをという声が結構多いんですね。しかし、実際に建設省や住宅公団の皆さんに伺いますと、これは昔の構造で、一つのエレベーターをつくったら全部いけるという構造でないからなかなか難しい。結局、三十数年たって、これは建てかえを早くする以外にないんじゃないか、こういう声も非常にあります。  最近、総理はいろいろなところへ実際に御自分で出かけられて、そして自分で直接国民の皆さんに触れられるというのは、非常に皆さん、評価がありますよね。ですから、私は——日本のこの国があのオリンピックのころ、将来の住宅難ということで国が挙げてつくったあのニュータウン、もうニュータウンではありません。そして、そこにはお店も並んでいますが、ぜひ行ってみてください。お店は八割はもう閉めています。もう周りに全部いいスーパーができて、私たちが、あのオリンピックの、できたころに選挙活動で行きますと、日曜日は団地の商店街、いっぱいでした。今、日曜日に行って、ほとんど人がいません。みんなその外のスーパーや新しいお店で食事を家族でしているんですね。  私は、日本の国が挙げて提供した、約七十万、二百万人の人たち、この都会を支えている、国を支えている人たちに私たちはしっかりと目を向けるときが来ているのではないか。  これは、恐縮ですが、総理、そういうことで、一度ニュータウンに見に行っていただけませんか。必ずこれは認識を新たにしますから。どうでしょう。

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○小渕内閣総理大臣 今お名前の出ました多摩ニュータウンといえば、それこそ理想的な新都市と町づくりということでできたというふうに認識をいたしておりますが、あれから時がたって、今伊藤委員のお話を聞きますと、いろいろな問題が生じておる、こういうことのようでございます。ぜひ一度私も参りまして、住民の皆さんともお話しすることは当然だと思いますけれども、その実態に触れて、今後の都市のあり方、住宅のあり方等につきましても勉強させていただきたいと思っております。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 ぜひ秘書官の方、早く日程をつくるように。  ところで、具体的に、住宅公団の総裁に来ていただきましたので、伺います。  今度は、住宅公団が、もう民間ができる住宅はやらない、国でなければできないような町づくり、都市づくりをやろうということで、住宅公団の新しい法律が提案をされることになると思います。どのような住宅公団にこれから生まれ変わっていくのか。  そして、今お話を申し上げた、総理も視察をしてくださるということですから、このもう古くなった住宅公団、五階で車いすの方たちには新しく早く建てかえるということを、それは景気対策にもなるわけだし、一人一人が豊かな住宅に住めるわけだし、これは恐らく容積を見直すことになると思いますよ。容積を見直せば、その周りには公団でも分譲のところがあるのですよ。分譲の方々は何を言っているかというと、容積だけ見直してください、自分たちで建てるからと言っているのです。  これは、バブルのようなときでないですから等価交換にはなりませんが、一人一人が、一軒一軒の方たちがある程度の負担をして、今は三DK、しかも狭い。田舎に父さん母さんを置いてこの東京に来ているのです。父さん母さんがもし一人になったら、もう一部屋あったら母さん呼んで、自分たちが可能な限り自分の両親は見ます。介護保険ができたら保険でというのではなくて、できる限り家族で、温かいきずなで見ていこう、そう皆さんは考えています。  住宅公団の総裁から、これからどのような取り組みをされていくのか、住宅公団はどう哲学が変わるのか、住都公団の総裁からお伺いいたします。

牧野徹住宅・都市整備公団総裁

○牧野参考人 先生のお話にありましたように、私どもの公団は昭和三十年に、日本の住宅数が圧倒的に不足しているときに住宅公団として発足しました。それ以来、良好な住宅宅地を大量供給してまいりまして、現在では賃貸住宅は約七十二万六千戸を管理いたしております。  そういう状況にございますけれども、その後四十年が経過いたしまして、社会経済状態は激変とも言える変化をしておりますので、現時点において国の政策の実施機関としての公団はどういう役割を担うべきかということの検討を、私どももいたしましたが、いろいろ政府あるいは関係各方面で検討が行われました。その結果は、多くの閣議決定や各種審議会の御答申にもございますけれども、一言で言うならば、地方公共団体や民間ではなかなか行いがたい事業に重点を移すべきであるという御指摘をいただいております。  そこで、私どももそういうことを踏まえまして、今後、許されますならば、住宅宅地の大量供給から都市の基盤整備へシフトしよう、地方公共団体や民間の方と協力あるいは役割分担をしながら、先生もおっしゃいましたような質の高い町づくりへシフトしていくべきだと基本的に考えております。  それから、建てかえのお話がございましたが、今申し上げました七十二万六千戸の中で、一番当初の昭和三十年代に建てました住宅が約十六万戸ございます。この十六万戸は、何といっても四十平米弱、平均でございますが、狭いのと、設備水準が現時点から見れば若干劣ります。あるいは当該団地の敷地の適正な利用も必ずしも図られていない。いろいろ問題がございますので、私どもは、昭和三十年代十六万戸を対象に昭和六十一年度から建てかえに着手し、現時点では約六万四千戸に着手しております。  その際に、ただいま先生から、もう一部屋というようなお話がございましたが、申し上げましたように、昭和三十年代の平均は四十平米弱でございますけれども、建てかえ後の実績で申し上げますと、六十二平米ですから、約一・七倍に一戸当たりの面積は広がっている、このような状況にございます。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 新しい都市開発に取り組むことももちろん大切なことです。しかし、既に住宅公団が責任を持って提供してきた賃貸住宅、今申し上げたように、その近くに住宅公団の分譲があるんですね。これはみんな自力でやるのです。自分たちでお金を出して、建設会社にして、今の五階から十五階になるんですよ。だから早く用途を見直して計画を進めれば、分譲の人たちは自分たちでやるのだから、そして自分たちは早く、もう少し広い家に住むことができるし、自分たちでやるのですから建設も進みますよ。そうしたら景気にも物すごく影響します。だから早く私は見直してやってもらいたい。  もう一つ、先ほど申し上げましたように、今住宅公団の、例えば多摩ニュータウンなんかの商店街を見ますと、古いところは今、三十年代のものは全部、ほとんど閉めていますよ。諏訪団地、永山団地なんか八割、もう全部閉まっていますよ。だって、今、民間家賃はみんな下がっているのに公団家賃は下がらないのだから。だから、やっていけませんよ。お客さんは来ないんだし、だから大家さんとして温かい配慮をすべきだ。そうすれば、お年寄りが住んでいる公団でも、近くにお店があれば、薬も買えるし豆腐も買えるんですよ。だから、私はそういう温かい配慮をできるだけ優先順位でやるべきだというふうに思いますが、もう一言どうぞ。

牧野徹住宅・都市整備公団総裁

○牧野参考人 商店街はいろいろな事情がございまして、時間も短くと思いますから、いろいろな事情があって、若干クローズをしているところもございます。  なお、実数を先生が申されましたから、私の方の調査で申し上げますと、多摩ニュータウン全体では八十九の施設がございますが、うち、今現在クローズをしているのは二十五でございます。  いずれにいたしましても、商店街の賃料につきましては、最近五年間では、オール・ジャパンで申し上げますと四百二十施設の値下げを行っております。それから、ただいま具体的におただしのありました多摩ニュータウンで申し上げますと、最近五年間で延べ百十五施設について行っております。それから、ごく最近のことを申し上げますと、昨年の十二月に八十二施設について値下げを行っております。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 ぜひ実態をさらに把握をして対応していただきたいことを強く要望しておきます。  せっかく総理もニュータウンに行かれることですから、総裁も御一緒にどうぞ。  ことしの予算の政策減税の中で住宅減税は大変大きな目玉だと思います。昨年までは百七十万円ぐらいの減税しかありませんでしたが、今度のこの住宅減税で五百八十万円以上、これは最高のときですけれども、減税されます。だから、ことしの一月一日から二年間ですから、できるだけ国民の皆さんはこの二年間に、もし買える方は早く住宅を買っていただきたい、ぜひ私は全国の皆さんにそう申し上げたい。だって、税金安いんですから。私たちはそのために住宅減税を、都市議員が集まって私たちは、都市の者が今、もう一つ、我々はむしろただの減税よりは、だって住宅減税はみんな一人一人が豊かになるんですから、そして皆さんが一つ一つの住宅を買ってくださればそれが景気に影響するんですから、もう一挙両得ですからね。  そこで、総理、せっかくここまで踏み切ったんですから、もっと思い切って国民一人一人が豊かになることをやってもらいたい。それは、住宅減税は、今言うように、五百八十万と言いましたが、全部がなるわけではありません。いろいろな立場の人たちがありまして、必ずしも五百万というわけじゃありませんので。一番きくのは、何といっても消費税です。私も自由民主党の議員ですから、消費税を上げるということがどんなにつらかったかということを身をもって体験しています。しかし、町を歩きますと、伊藤さん、やはり一番景気に影響するのは消費税だよと言うんですよ。つまり、これは現実だ。そしてマインドなんですよ。みんなもうイメージがそうなっている。  例えば、イギリスだって、住宅や、それから医薬品や食料には消費税をかけないんですよ。もちろん税体系が違うにしても、イギリスはそうして、サッチャーは税改革をやってきた。  それならば、思い切って二年間だけ住宅減税に加えて消費税を凍結する、そして不動産取得税や登録免許税も二年間だけ凍結したらいい。二年間だけですよ。その先どうするかはそのときまた考えればいい。景気がよくなっていればそれは少しずつやらなきゃならないし、景気が悪ければそのとき考えればいいけれども、それは物すごい影響力があると私は思います。  この消費税の問題とそれから不動産取得税、登録免許税をぜひ検討してもらいたい。総理、どう思いますか。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 いわゆる消費振興との関係はわからないわけではございませんけれども、ただでさえ今のような財政事情の中で、御承知のように住宅減税もやったりいろいろいたしておりまして、なかなか今おっしゃいますところまで、財政ばかりがすべてではございませんけれども、なかなかそこまで力が及ばない、手が及ばないという現状だと思います。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 宮澤大蔵大臣は頭がよ過ぎるから、頭で考えるんだと思いますよ。しかし、私は庶民派だから、町を歩いていて、本当に大蔵大臣、そういう声がありますよ。  だから、それは確かにわかります。大蔵大臣として将来の財政をどうするかということ、よくわかる。わかるけれども、国民の皆さんが株主なんですよ。株主が喜んで、住宅が広がって、住宅を買って、そして住宅を建てて豊かになった、よかった。そして、住宅を建てれば、その関連の影響力は物すごく大きいじゃないですか。だからことしは減税に踏み切ったんでしょう。小渕総理はことしは大胆にかじを切ったんですよ。だから、切りついでですから、思い切ってやった方がいい。大蔵大臣、もう一度いい頭でよく考えてください。  私は、野田自治大臣に、大変恐縮ですが、管轄外ではありませんが、実は、自由党は消費税を全部一度凍結しろと言ってこられましたよ。私は、全部凍結するのはちょっとどうかなと思うが、今大胆に踏み込むなら住宅の消費税ですよ。野田自治大臣、ひとつ個人的な考え方で結構ですから、お答えください。

野田毅自由党自治大臣・国家公安委員会委員長

○野田(毅)国務大臣 今、伊藤委員御指摘のように、非常に厳しい経済状況の中でどういうやり方が一番効果的であるか、そういうことを考えた中で、私たちが、消費税の凍結そして段階的引き上げ、これをセットにしてやったらどうかと。  これは、その主張をしていたことはもう御承知のとおりで、その意図するところ、それによって何が一番効果があるかといえば、何といっても住宅であり、あるいは自動車を初め耐久消費財、こういったものが非常に大きく動くのではないか。ただ、それを余り極端にやりますと、その次が非常に反動が来て大変だということもあって、毎年段階的にやっていくということの方がいいのではないか。そこまで考えていろいろ提言してきました。しかし、率直に言って、大方の理解を得るところがなくて、残念ながら政治力学の上で我々の主張を完全に認めていただくという形にはなりませんでした。  それは甚だ残念ですが、しかし、それにかえて、今御指摘のありました住宅取得に関して、特にローンに関してかなり大胆、今までにない大胆な切り込みをして大幅減税をやった。平年度ベースで一兆円ぐらいになるんでしょうか、そのほかに設備投資減税であったり、組み合わせといいますか、いろいろなものを組み合わせる形で、そういう消費税の凍結、段階的引き上げにかわるやり方として一つ提示されたということで、私たちもやむを得ぬところかいなと。  したがって、私は、今回の税制改正と予算編成、歳出面、両々相まって、何とか堺屋長官がお示しになりました政府経済見通しが本当にその姿できちっと確保できるということにいければすばらしいし、また何とかそうあってほしい。そういうことがはっきりと見通しが立てば、いつまでも消費税の税率をいじったりするということは決していいことではないので、私たちも、基本的に将来展望するならば、老後の生活不安を除去するためには、むしろ消費税というものはさらに充実していかなければならないということは既に言ってきておることでもあります。そういったことで、我々がこの考え方を何回も何回も主張し、繰り返し繰り返し主張しなければならない状態が続くということにならないように念じております。  しかし、いずれにせよ、景気動向というものは極めてまだまだ予断を許さぬところもあって、そういう過程の中で、経済あるいは税制を両々これからも継続的に両党間で御協議をいただくということになっておりますので、現段階では、小渕内閣の一員として、今大蔵大臣がお話しになりましたような現段階における判断であるということを申し上げたいと思います。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 野田大臣、閣議もあることですから、大蔵大臣ともよく相談をしていただいて、そして私は、もう間違いなくこれは景気に物すごい影響する。せっかく住宅減税に踏み切ったんですから、私は、思い切ってきたところだからぜひ御相談をしていただきたい。  そこで、実は問題なのは、せっかく総理大臣が決断をして住宅減税を思い切ってやろう、こう言っているときに、住宅金融公庫の金利が上がっているのは問題ですよ。だって、今住宅金融公庫の平成九年度の貸付残高七十二兆四千億円、五百九十万の人たちが借りているんですよ。それが二・二%へ上がりました。  住宅金融公庫総裁、これは住宅金融公庫の金利なんか今上げたら絶対だめですよ。今せっかく買おうかなとみんなが少し家族で考え始めるときに、お父さん、また金利が上がっちゃったわよ。それじゃだめじゃないですか。住宅金融公庫の総裁、御答弁ください。

宮澤喜一自由民主党大蔵大臣

○宮澤国務大臣 それは私がお答えをしなければならない問題でございまして、昨年暮れに国債の金利を動かしました。それは実は、大変長い話になりますので省略いたしますが、いわゆる定額貯金というものが来年は大変に戻ってまいりまして、財投の原資というものが非常に減るということが予想されておりまして、そういうことから急変を避けまして、ことし国債を途中から買いますことを財投としてはやめたということからの関連でございますけれども、それで住宅金融公庫の金利は二・二にいたしましたが、ただ、これは三月十二日まででございますか、現在の募集期間変えることはございませんので、その点では今やっていらっしゃる方には御心配いただくことはない。  これは実は国の方の事情でいたしましたので、総裁の責任というよりは私どもの方の責任でございます。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 一つつけ加えて。  せっかく総裁来られました。これからは上げないように。ちょっと時間がないので、一言だけ。せっかくおいでになったから、どうぞ。

望月薫雄住宅金融公庫総裁

○望月説明員 今、大蔵大臣の御答弁につけ加えることはもう何もない立場でございますが、一言だけ言わせていただきますと、私ども、やはり公庫の財務体質の問題というものも考えなければなりません。同時にまた、昨年十月二十三日の経済対策の中におきましても財投金利と連動するということもお決めいただいている中で、公庫の立場では今の段階でどうこうというふうに申し上げることは差し控えさせていただくしかありません。  いずれにしましても、今後も的確な御指導をいただきたいと思います。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 とにかく、しばらく上げないように。よろしくお願いします。  時間がなくなってしまいましてあれですが、厚生大臣、恐縮ですが、前置き抜きにちょっと、質問を通告していますから、全然違う問題ですが二問続けて。  一つは、これはせっかくテレビを皆さん見てくださっているので、年金の全体のことを申し上げることはきょうできません。いずれ時間があるときにやらせてもらいますが、非常に一人一人にとって影響のある、これは私も妻に別れられると困るのですけれども、女性の年金の問題です。  夫と別れたとき、もちろん死別をしたときもあるわけですけれども、妻の年金がなくなる。これは女性の社会進出あるいは離婚の増加といった今日のライフスタイルを考えたときに、今までのモデルには実態が合わなくなってきているのではないか。  例えば、一番長く連れ添ってきてお父さんを支えてきました。いろいろな事情でやむを得ず別れた。そうすると、もうその妻には年金はない。けれども、後で連れ添った方はその日からあるんですね。これはよかれあしかれ、社会的な今いろいろな皆さんの声が高まっているときです。これは今後の年金改正の中でひとつ考えていただきたい。  恐縮ですが、もう一つ。時間がありませんので。  パラリンピックについて、この前の予算委員会で実は私は小泉厚生大臣にお願いをしました。長野のあのオリンピックで大変活躍をしてくれました。あの感動的な、冬季オリンピックで活躍をしてくれた人たちが、その後、私たちのところにも来られました。私たちはぜひJOCのようにナショナルチームにしてもらいたいと。そうすれば資金を調達するときに非常に集めやすい、そうでないと各会社に行ってもみんな総会屋のように断られてしまう、だからぜひ政府がバックアップをしてナショナルチームとしてくださると、強化合宿をするのにもできる。これが一点。  もう一つは、やはり障害を持った人たちのリーダーが訓練できる、そういうナショナルセンターのようなものをどうしてもつくってもらいたいというのが、NHKの大日方さん、スキーで大変活躍をされました、そうしたもろもろの方々たちから私は直接話を聞いたことでございます。  そういう意味で、厚生大臣、ちょっと問題が違って恐縮ですが、ぜひしっかりとバックアップをしてやっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。

宮下創平自由民主党厚生大臣

○宮下国務大臣 身障者の問題につきましては、昨年、伊藤委員が前厚生大臣に懇談会の設置につき提案されて、そしてそれに基づきまして、いろいろ障害者のスポーツを推進していく上での具体的な課題を検討していただきました。今、一つは、IOCと同じような国際パラリンピックの協議会、つまり、IPCはできておるようでございますが、国内のJOCに相当するJPCはできておりませんから、なるべくそういう組織の強化を図って対応していくということがぜひ必要かと思います。  そして、伊藤委員がえらい熱心にやっていただいているのは敬意を表しますが、そういうナショナルチームを強化するような施策をやはりやっていくこともぜひ必要だと存じますから、そういう点は今後努めていきたい。  ただ、ナショナルセンターということになりますと、ナショナルスポーツセンターというのは今文部省で北区につくりつつありますけれども、いろいろそれは科学的な、あるいはスポーツ科学の面、あるいはいろいろの面での研究をやっていますから、あるいはそれに相応する身障者版をという御趣旨かもしれませんが、なお身障者スポーツについては多くの課題がございますから、それらを処理して、そしてやはり将来課題として検討してもよかろうかなというように思っています。  それからもう一つ、妻の年金の問題。順序が逆になりましたが、これは年金審議会におきましてもかなり議論されました。しかし、今回の十月初めの年金審議会の答申におきましては引き続き検討事項とされておりますが、これは非常に問題が多岐にわたっておるということがございます。  一つは、今ちょっと申しますと、サラリーマンの妻は主人の給料の中から年金保険料を払ってもらって、自分自身は払っていないわけですね。しかし、年金権は受給できます、基礎年金が。ところが、今伊藤委員の言ったように、離婚いたしますと個人の基礎年金部分しかもらえないわけですね。もしも主人が亡くなったときは遺族年金はもらえますが、これは基礎年金と四分の三の部分がもらえるわけですね。  したがって、非常にいろいろ問題がある。特に、働く女性からいいますと、自分たちは年金に入っておる、年金保険料も払っておるのに、しかし実際に若い人たちなんかは途中やめたりして年金が非常に少ない。四分の三より少なくなるのはおかしいじゃないか。サラリーマンの妻は保険料も払ってないのに四分の三、かなり高額をもらう。一生懸命働いたけれども、年金をもらってみたらそれより少なかったというような事態も起きますし、離婚すれば当然、さっきあなたが言ったように基礎年金だけになりますから、そういった女性の職場の問題とかいろいろそういう関係がありますから、これは年金だけではございません、税制上も扶養家族として妻の扶養家族を認めていますが、これを廃止して独立すべきであるという意見もありますし、民法上の処理の問題とも絡みますから、私どもとしては年金制度としてのサイドからも検討いたしますが、これは年金審議会でも言われているように、ひとつ検討会をつくって検討していきたいと思っています。  非常にいろいろの問題が介在しているがゆえに、今回結論が出なかった、こういうことでございます。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 済みません、最後に大変大事な問題になって、もう時間がなくなって恐縮ですが、この大事な委員会ですので、どうしても私は、安全保障の問題について、最後に二問だけ申し上げたいと思います。  もう時間が限られていますから二問続けて申し上げますが、きょうの議論を聞いておりまして、やはりどこかはっきりしない。恐らく国民の皆さんも、この国の安全保障について、どうもわかりにくいというところがあると思います。  議論がありました周辺事態、これは、周辺事態と聞いたら、だれだって地理的な概念だ、それもあると考えますよ。しかし、私も、それは日本の国情がいろいろあるということを承知のことで言っているわけですね。  ですから、実際に事態が発生をした場合にどうなるかということを具体的に、これはいずれにしたって、ちゃんとしておかなきゃならないんですよ。ですから、政府がそのときそのとき判断をしていくという、これはもう、そういう紛争状況のときだとかいろいろな局面ですから、危機的状況のときはあると思います。しかし、国民には、周辺事態について、まだどうも私はわかりにくいと思います。もう一度、きょうの締めくくりとして、周辺事態に対して、政府は、周辺事態とは何か、わかりやすく説明をしていただきたい。  それからもう一つ、PKFの解除ですが、いよいよPKFが解除になることになります。そうすると、これは、今までよりはもちろん、武装解除など、やや危険が伴うことは当然です。そうすると、今までのような、PKOのときの武器の携帯でいいのかどうなのか。これはやはり具体的な問題ですから、この二点についてお伺いをさせていただきたいと思います。

野呂田芳成自由民主党防衛庁長官

○野呂田国務大臣 何度聞かれても答えは一つでございまして、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態でございます。  したがって、これは地理的な概念ではなくて、事態の性質に着目した概念であって、ある事態が我が国の平和と安全に重要な影響を与えるか否かは、事態の態様、規模等を総合的に判断して決めるものであります。したがって、かかる事態が生ずる場所をあらかじめ特定するわけにはまいりません。したがって、周辺事態が発生し得る地域を地理的に一概に画することはできないと思います。  先ほども重ねて申しましたが、周辺事態とは、軍事的な観点を初めとする種々の観点から見て我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態であるので、かかる事態が例えば中東やインド洋で発生することは、現実の問題としては基本的に想定されないと思います。  PKFの解除の問題は、外務大臣の所管ですから……。  武器については、従来から、けん銃、小銃等を許しておったわけですが、そういう問題については、政府もさらに検討する必要があるし、国会でも大いに議論してまいりたいと思います。

伊藤公介自由民主党

○伊藤(公)委員 限られた時間でございましたので大変恐縮でございましたが、多岐にわたって御質問をさせていただきました。意のあるところをお酌み取りいただきまして、ニュータウンに総理が来るときは私が御一緒します。どうぞ、みんなが明るくなって一人一人が元気が出る、ぜひ、総理を先頭に頑張っていただきたいし、我々も、自由民主党、党を挙げて精いっぱいのお手伝いをしたいと思います。  この困難なとき、ぜひ頑張っていただきたい。心からの激励を送って、質問を終わります。

中山正暉自由民主党

○中山委員長 これにて池田君、丹羽君、伊藤君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十六日午前九時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十九分散会

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