商工委員会 第15号
- 発言数
- 24 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1999/05/21
会議録
○古賀委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案を議題といたします。 本案につきましては、去る十九日質疑を終局いたしております。 この際、本案に対し、大口善徳君外二名から、公明党・改革クラブ提出による修正案、また、吉井英勝君外一名から、日本共産党提出による修正案がそれぞれ提出されております。 両修正案について、提出者より順次趣旨の説明を求めます。大口善徳君。 ————————————— 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○大口委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、公明党・改革クラブを代表して、その趣旨を御説明いたします。 まず、本修正案の提案理由について申し上げます。 御承知のとおり、PRTR制度の構築及びその運用につきましては、参考人質疑、環境委員会との連合審査会及び当委員会における審議を通じ、都道府県の果たす役割の重要性、対象となる化学物質の考え方、国際的な科学技術の進歩に迅速に対応することの必要性等につきまして、さまざまな論議が交わされたところであります。 このような点につきまして、私どもは、基本的には政府案に対して一定の評価を与えつつ、かつ、よりよいPRTR制度の構築に向けて検討を重ね、本修正案を提出した次第であります。 次に、本修正案の要旨を御説明いたします。 第一に、指定化学物質を定める政令の制定に際し、人の健康に係る被害並びに動植物の生息及び生育への支障を未然防止すること等を配慮事項として加えること。 第二に、事業者からの届け出は、営業秘密に係る請求がある場合を除き、都道府県知事を経由することとし、その際、都道府県知事は意見を付することができることとすること。 また、営業秘密に係る請求がある場合については、主務大臣に直接届け出ることとすることとし、届け出を受けた主務大臣は、届け出事項を都道府県知事に通知するものとすること。 第三に、都道府県知事は、必要があると認めるときは、主務大臣に対し、当該地域に係る営業秘密が認められた届け出事項について説明を求めることができるものとすること。 第四に、法律の検討に係る期間を七年とすること。 等であります。 以上が、本修正案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ、委員各位の御理解の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○古賀委員長 次に、吉井英勝君。 ————————————— 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○吉井委員 私は、日本共産党を代表し、政府提出の特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案に対する修正案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。 化学物質の排出、移動の把握と公表、いわゆるPRTR制度は、国民の健康と環境汚染の未然防止にとって一定の役割を持つ制度であり、その創設には積極的意義があります。 しかし、政府提出の法案には、一つ、営業秘密の判断が所管省庁の権限とされ、所管する事業者への公正な対応ができなくなるおそれがあること、二つ、地方自治体の責任と権限が不明確で、事業所データが十分生かされないおそれがあること、三つ、ファイル記録事項の開示請求には手数料が必要とされ、個別事業所データの公開を実質的に抑制することになるおそれがあることなどの問題点があります。国民にとってより開かれた、より有意義なPRTR制度とするために修正案を提出するものです。 次に、修正案の要旨を御説明いたします。 第一に、目的規定に「十分な情報の公開」等の文言を追加し、OECDの勧告などで示されている知る権利の考え方を盛り込むこととします。 第二に、指定化学物質の定義に、人の健康を損なうおそれの疑いのあるものも含めるなど、暴露性及び有害性について広く蓋然性のある化学物質も含めて選定することができるようにします。指定化学物質を定める政令の制定では、審議会及び国民の意見を聞く公聴会を設け、市民の参加を保障することとします。 第三に、届け出先を都道府県や中核市等とすることで、地方自治体が地域から環境リスクの管理ができるようにします。地方自治体には立入調査や必要な指導の権限を付与し、個別事業所データが十分生かせるようにします。届け出内容に貯蔵量及び取扱量も加え、事業所内の化学物質管理の全容を把握できるようにします。 第四に、営業秘密については、環境庁長官のもとで、特定化学物質情報公開審査会の議を経ることとし、第三者機関が公正に審査できるようにします。 第五に、環境庁長官などのファイル記録事項等の公表は、電子情報処理組織の使用による方法を併用するものとし、市民が無料で、容易に、どこからでもインターネットでアクセスできるようにします。 第六に、地方自治体が、指定化学物質以外の化学物質及び指定化学物質取扱事業者以外の事業者に対しても把握及び届け出を義務づけることができる規定を新設し、地方自治体が地域の状況に応じて、上乗せ、横出しができるようにします。 以上が、修正案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ、慎重審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。 以上です。
○古賀委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○古賀委員長 これより原案及びこれに対する両修正案を一括して討論に入ります。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。奥田建君。
○奥田(建)委員 私は、民主党を代表し、民主党案に賛成、政府案に反対の立場から、PRTR制度を創設する法律案について討論させていただきます。 まず、本PRTR法の審議に際して、各党の熱心な取り組み姿勢に敬意を表します。 しかしながら、まず最初に政府提出法案の策定過程についての問題点を指摘させていただきます。 政府案は、OECD附属書の原則を無視し、利害関係者であるNGO、専門家などとの合意のないまま、強引に法案提出を進めてきました。システム構築の全過程で透明かつ客観的であるべきとされているにもかかわらず、中央環境審議会が昨年十一月に中間答申を取りまとめた後、法案が閣議決定されるまでの過程は、全く公開されておりません。 また、各省庁間で覚書が交わされていたことについて、当然のことのように答弁されておりましたが、我々が要求しなければ公表されなかったものであり、法律にかかわる取り決めを法案成立前に官僚が交わすことは、不透明きわまりないと言わざるを得ません。その結果、内容的にもPRTR後進国としては不十分なものにとどまることになりました。 次に、政府案に残された課題を指摘させていただきます。 PRTR制度の意義は、環境汚染物質についての排出量や移動量等の情報を国民が知り、化学物質に対するリスクを認識することにより、事業者と住民がリスクコミュニケーションを行い、環境汚染物質の削減を図るということにあります。しかし、政府案では、その根幹である情報の正確性とリスクコミュニケーションの点で余りにも貧弱な措置しかとられておりません。 情報は広く国民に行き渡ることが最も重要ですが、具体的情報は請求ベースで開示され、営業秘密の判断は業所管省庁が行うなど、問題があります。情報の正確性を担保する措置に関しては、政府案では、過料が科されているだけで、民主党案にあるような帳簿の備えつけの義務あるいは立入調査権の付与などはなされませんでした。 一方、民主党案では、住民に最も近い市町村を事業者からの情報の届け出先として責任を持たせ、必要であればリスク削減計画を定め、事業者と住民と一体となってリスク削減の努力ができるように措置しております。 目的、理念の点も同様に、民主党案では、化学物質の環境への排出の削減を図ることや国民への情報の提供の保障を明記しておりますが、政府案にはこれらのことは全く明記されておりません。政府案では環境汚染物質の環境中への排出削減ができないと認めているに等しいと言えます。 以上のように、策定過程と内容の両面において、政府案は、国民のための制度からはほど遠いものになったと言わざるを得ません。政府は、法案作成をOECDの原則に沿ってやり直し、すべての利害関係者の参加のもと、合意を得られるように議論を尽くすべきであると考えます。 最後に、OECDのガイダンスマニュアルの中の「私が住み、働いている環境はどのような状態か、そしてもしその質が十分でなければ、汚染を防止、削減し、損なわれた部分を再生するために、市民や政府、非政府組織は何をすべきか?」という言葉の重みを政府は本当に理解しているのかという問いかけをさせていただきまして、私の政府案に対する反対討論を終わります。(拍手)
○古賀委員長 吉井英勝君。
○吉井委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案及びその修正案に対する賛成の討論を行います。 化学物質の排出量等を把握し公表するPRTR制度が創設され、個別事業所の排出量などが公開されるならば、市民による監視のもとで、事業者は管理の改善や排出量の削減を迫られることとなり、国民の健康と環境への悪影響の未然防止にとって役立つものとなります。政府案は、欧米のPRTR制度に比べて不十分な内容でありますが、その一歩となるものであり、賛成であります。 しかし、政府案には、先ほど我が党修正案の提案理由で述べたような問題点があります。我が党は、政府案の持つ問題点を改め、より有意義なPRTR制度をつくるために、修正案を提出しました。その内容は、先ほど述べたとおりであります。 民主党提出の特定化学物質の排出量等の公開等に関する法律案は、今回採決に付されませんが、「十分な情報の提供」という表現で知る権利の理念を盛り込むこと、届け出先を自治体とし、自治体の立入検査権など必要な権限を明確にすること、企業秘密の判定は公正な第三者機関の審査によることなど、我が党修正案とも極めて共通するものであり、賛意を表明します。また、社民党が参議院に提出している化学物質に係る環境リスク対策の促進に関する法律案も、基本的には同様の考え方によるものと理解しています。 公明・改革提出の修正案は、部分的ではありますが、都道府県知事の関与の仕組みなど、政府原案を改善するものであり、賛成であります。 以上、各案に対する賛成理由を述べ、討論を終わります。 以上です。(拍手)
○古賀委員長 中川智子君。
○中川(智)委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、政府が提案している特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案に対する反対討論を行います。 反対の第一の理由は、対象となる化学物質の範囲が限定されており、環境ホルモンなどの人の健康や生態系に悪影響を及ぼすおそれのある化学物質が対象となるか明確になっていないことであります。我が党は、これを明確にすべきだと考えています。 第二の理由は、化学物質の排出量、移動量を国が把握することになっていることであります。自治体は情報の受け取り手としての役割しかありません。化学物質対策では、地域ごとの特性に配慮することが必要であり、制度運用の中心は当然都道府県知事とすべきです。 第三の理由は、政府案では国民の知る権利への対応が不十分だということです。個別事業所の情報は営業の秘密を確保しつつ開示されることになっており、この秘密を判断するのは事業所管官庁です。これでは、中央省庁の権限拡大につながるだけではなく、公正さが確保されるかも疑問です。届け出された事項は公表を原則とし、企業秘密に関する判断は第三者機関にゆだねるか、環境庁長官が行うとすべきです。 第四の理由は、事業者の届け出先が、通産、厚生、農水などの事業所管官庁ごとに分けられており、環境庁の役割が限定されていることであります。二〇〇一年一月に環境庁が環境省として再編されることを考慮すれば、環境に関する分野は環境庁に一元化すべきであります。 第五は、政府案には、国民やNGOなどが参加する環境リスクコミュニケーションが明確に示されておらず、環境リスクを低減していくための事業者への勧告制度も規定されていないという点であります。 以上の理由により、社会民主党・市民連合はこの法案には反対であることを明言します。 また、公明党・改革クラブ提出の修正案も、我が党が参議院に提出している法案と比較すると内容が不十分であり、賛成はできません。 共産党提出の修正案にも反対いたします。 以上です。(拍手)
○古賀委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○古賀委員長 これより採決に入ります。 内閣提出、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案並びにこれに対する両修正案について採決いたします。 まず、吉井英勝君外一名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○古賀委員長 起立少数。よって、吉井英勝君外一名提出の修正案は否決されました。 次に、大口善徳君外二名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○古賀委員長 起立多数。よって、大口善徳君外二名提出の修正案は可決されました。 次に、ただいま可決されました修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○古賀委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○古賀委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、伊藤達也君外二名から、自由民主党、公明党・改革クラブ及び自由党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者から趣旨の説明を求めます。伊藤達也君。
○伊藤(達)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法施行に当たり、化学物質による環境等への支障を未然に防止することの重要性を十分認識し、我が国におけるPRTR制度及びMSDS制度の実効性を最大限に確保するため、特に次の諸点について、適切な措置を講ずべきである。 一 事業者の自主的取組みを促進するため、地方公共団体との連携強化により、事業者等に対する技術的な指導助言並びに人材育成等に努めるとともに、啓発・広報活動を積極的に進めること。 なお、本制度における地方公共団体の果たす役割の重要性にかんがみ、地方公共団体との連携のあり方についても引き続き検討を進めること。 二 対象物質の政令指定に当たっては、科学的知見を踏まえた専門的な検討を行い、幅広く関係者からの意見を聴取する機会を設けるとともに、国際的整合性の確保に十分留意すること。 なお、内分泌攪乱物質、いわゆる環境ホルモンの取扱いについては、人の健康及び生態系への重大な影響を与える可能性にかんがみ、内外の動向等を踏まえて迅速かつ適切に対処すること。 三 化学物質の排出量等に関する集計結果の公表に当たっては、必要な情報が国民に分かり易く、利用しやすく、又、等しく提供されるものとなるよう配慮するとともに、インターネット等を含めた情報提供手段の幅広い活用とその利用促進に努めること。 また、開示請求に係る手数料については、開示の方法に応じ、利便性が高く負担がかからない金額とすること。 四 営業秘密の審査に当たっては、法律の趣旨に照らし、厳格かつ公正に行うこと。 五 本制度の検証については、運用状況を勘案しつつ、対処すべき事項についての整理を行うとともに、実効性を高める観点から積極的な検討を加え、制度の必要な整備・改善に機動的に取り組むこと。 以上であります。 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○古賀委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○古賀委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、与謝野通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。与謝野通商産業大臣。
○与謝野国務大臣 ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。 —————————————
○古賀委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古賀委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○古賀委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前八時五十二分散会