P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
145回国会衆議院1999/03/10

国会等の移転に関する特別委員会 第3号

発言数
32
登壇者
14
会派数
6
開催日
1999/03/10

会議録

井上一成自由党

○井上委員長 これより会議を開きます。  国会等の移転に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として三井物産株式会社業務部総合情報室長寺島実郎君に御出席をいただいております。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。何とぞ忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。  なお、議事の順序ですが、まず寺島参考人から二十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、寺島参考人にお願いいたします。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 どうも、寺島でございます。  私、こちらの委員会には実は二度目の参上でございまして、前回、九四年の六月一日だったというふうに記憶しておりますけれども、五年前に保岡先生が委員長のときに、私は当時ワシントンに住んでおりまして、ワシントンから見たいわゆる政治首都の分離ということについてレポートしたというふうに記憶しております。  私の立場といいますか、一言申し上げておきますと、実は一昨年まで私は十年アメリカの東海岸で仕事をしてまいりました。ニューヨークに四年いた後、ワシントンに六年おって仕事をして帰ってまいりました。したがいまして、ちょうど経済の中心のニューヨークと政治の中心のワシントンというところで十年間生活してきたということで、この国会等移転の問題にも関心を持っておりまして、幾つか発言をさせていただいております。そういうことから、きょう、私がどういう視点でこの問題を考えているかということで、若干でも御参考になればと思って参上した次第でございます。  私の基本的な意見といいますか主張は、いわゆる公共投資の景気づけのための大型プロジェクトということではなくて、二十一世紀の日本を創造するための社会変革のてことして、今、中核プロジェクトといいますか、マクロエンジニアリング学会というのが世界にはございますけれども、マクロエンジニアリング的な構想というのがこの国にとって非常に重要だ、そういうふうに考えておるものでございます。  日本が今、我々のおります経済のセクター、非常に低迷、混迷しておりますけれども、その再活性化にはマクロエンジニアリング的な構想力というのが問われている。後で一つずつ申し上げますけれども、単に総需要を押し上げていくだけの構想力だけではなくて、供給過剰と言われている状況でございますけれども、総供給の質と量を本質的に変えていく。つまり、この国の産業の研究開発とか投資の方向というものを変えていくための基盤になる中核プロジェクトということをしっかり議論しなければいけない。  その中心にあるテーマが、私は、いろいろなプロジェクトを比較検討する研究会を民間のセクターでいろいろ続けてきておりますけれども、とりわけ新しい首都を建設するというプロジェクトが日本にとって重要だというふうに認識しております。つまり、単に首都機能を移すということだけではなくて、どうやってその中核になるプロジェクトを軸にしてこの国の付加価値を創出していくかという構想力が大切だというふうに考えておるわけでございます。  では、具体的に五点、どういうイメージで付加価値を創出するということを言っているのだということなわけですけれども、既に国土庁等で準備しておられるシナリオにもその種の思想というのは出てきておるわけですけれども、例えば私は、まず環境保全型の実験都市として新首都をもし構想するならば、これは日本にとって大変大きなチャレンジになるというふうに考えております。  具体的にどういうことかというと、もし新しい首都機能を持った、それを新首都と呼ばせていただきますけれども、エネルギーの利用効率を東京の二倍にするというような政策目標、さらにはCO2の一人当たりの排出量を東京の二分の一にするというような目標、それからさらには、リサイクル型の先端都市ということで、例えばごみの処理からリサイクルまで組み入れた環境保全型の実験都市という構想をこのプロジェクトにつけ加えるならば、例えば日本の企業が蓄積してきた、多分日本だけではないと思いますけれども、世界の環境保全技術を招き込んで、それによって研究開発の方向づけだとか、どういう方向で設備投資を進めていったらいいかというようなことについて、一つの基軸になるテーマが設定できるといいますか、そういうことで、まず新しい首都というものの構想に環境保全型の実験都市という筋道を一つ通すだけでも、そこから生じる付加価値というのは大変大きいというのがまず第一点でございます。  それから第二点に、キーワード的に申し上げますけれども、僕は、国際中核都市という構想をこの新首都構想につけ加えたならば、どういうことになるかということを主張しております。  世界のいろいろな都市というのがございますけれども、私が非常に注目していますのは、ジュネーブ・モデルという表現をとっておきたいと思いますけれども、スイスのジュネーブには、御承知のように、国連欧州本部というのがございます。ここには十五の国連機関が集中しております。このために世界じゅうから年間約四十万人の国連関係者がジュネーブを訪れておって、ジュネーブは、御承知のように、一泊五百ドルぐらいするホテルがいつも満杯というような状態になっております。もしジュネーブに国連欧州本部がなければ、ジュネーブなどという町はスイスの山岳観光の出入りの町ということで、あれほど国際情報密度の高い、訪れる人の質、量が違う高度な国際中核都市にはなっていないというふうに思われます。  御承知のように、国連というのはある面では欧米に偏重しておりまして、アジア地域にある国連機関の中心というのは、日本にも国連大学等幾つかございますけれども、タイにあるESCAPとか、中南米に一、二カ所あるぐらいで、これは一つの仮説的議論ですけれども、もし国連アジア太平洋本部的な構想を日本に引っ張ってくることができるならば、例えば日本が得意とするようなODAの分野だとか、そういうAPECに関連したアジア太平洋エネルギー研究機関みたいなものを、あるいは食料の研究機関みたいなものをこの新しい首都にリンクさせて引っ張ってくることができれば、新首都は国際中核都市としての表情を整えていくだろうというふうに思われます。  それによって、首都に集中する国際的な情報力とか、あるいは集まってくる人たちの質、量が変わる。もっと言いますと、これは踏み込んだ表現かもしれませんけれども、安全保障に対する構想にもつながるといいますか、具体的に言えば、年間何十万もの国連関係者が集まっているような地域には核攻撃ができない。そういう国際中核都市としての新首都の位置づけというものを目指すということが非常に意味があるのではないかというのが、私の第二番目のポイントでございます。  それから三番目のポイントは、住環境と情報インフラの整備都市として、新首都を創造的に建設するプロジェクトに挑戦すべきではないかというふうに考えております。  それは具体的にどういうことかというと、二十一世紀の日本人が一体どういう住環境に住むべきなのかということで考えてみたときに、例えば平均的な日本人が暮らす住環境のイメージを国家公務員住宅というふうに位置づけるならば、新首都における国家公務員住宅を、例えば現在のスペースの、一つの仮説的な表現ですけれども倍、それから地域冷暖房、給湯、エレベーター、駐車場完備というようなスペックで構想してみる。もちろん、残された東京の国家公務員住宅の跡地を再開発して、同じく充実した公営住宅として一般市民に提供して、日本人の二十一世紀に住んでいく住環境を改善していく一種の起爆剤にしていくべきではないか。  今日、消費が伸びないというふうに盛んに言われておりますけれども、その本質的な理由の一つが、これは明らかに言えることだと思いますけれども、スペース制約、大都市部の住環境にある。現在の一戸当たりの住環境スペースは、東京の場合にはニューヨークの半分というふうに統計が出ておりますけれども、家が狭くてこれ以上物が買えないというのが都市部における消費の実態だと思われるわけです。  したがいまして、新しい首都を建設していくというプロジェクトを中核にして、二十一世紀の日本人の住環境というものを再構想してみる。ニュータウン型の集中開発型の構想から、今出ております、周辺クラスター都市構想というようなことを国土庁なんかは表現しておりますけれども、そういうものを進めることによって、とにかく日本人の二十一世紀に住む環境、私は外から日本を観察する機会が非常に多いわけですけれども、衣食住と言われますけれども、衣食については日本人は世界でもトップクラスの生活環境というものを享受していると思いますけれども、やはり住環境については、まだまだ我々が挑戦しなければいけないテーマだというふうに思われます。  それから、情報インフラにつきましても、これはややこしい表現になりますけれども、国の競争が目に見えない財の創出をめぐる競争というふうに言われてきています。つまり、物をつくる力、工業生産力が国のパワーだと言っていた時代から、これはカリフォルニア大学のローズクランスという先生が、バーチャルステート論、つまり仮想国家論なんという議論をし始めていますけれども、それは何かというと、二十一世紀の世界というのは、目に見えない財、つまり情報とかシステムとかソフトウエアとか技術とか、そういうものをめぐる創出力をもって国家の格が決まる時代だというような議論も出てきております。  そういう大きな流れの中で、やはり情報化の推進、情報インフラの装備というのは国の将来にとって大変重要な意味を持つ。今、米国の設備投資に占める情報化投資の比重というのは三二%と言われます。日本の場合は、その半分の約一六%だというふうに数字が出ていますけれども、情報化投資が日本産業活性化のかぎだろうというのは多分異論のないところだろうと思います。  そういう中で、我々も情報関連のいろいろなプロジェクトをやっておりますけれども、東京の過密を前提にして新しい情報化関連の事業を立ち上げるということは、大変なコスト高、腰高になります。したがいまして、この国の国土軸をもう一回見渡して、情報のインフラ、情報のネットワークの基点になるようなインフラの装備ということをやっていく必要がある。そういう際に、新首都を建設するということを一つの基軸にして情報インフラを再構想することが、この国のいわゆる情報化のシナリオにとって大変重要だというふうに私は考えております。  それから、四番目のポイントでございますけれども、これは文化性重視の実験都市というキーワードを私は言っております。よく言われる議論ですけれども、首都を移したって、人工的な町をつくってみても人間の顔をしていないという批判をする人がよくいます。しかし、ここはまさに新しい世代を投入しての知恵比べだと僕は思うのです。  例えば、私がおりましたワシントンには、御承知かと思いますけれどもスミソニアン博物館群というのがございまして、九つの博物館と三つの美術館、ここに年間二千六百万人が訪れております。要するに、スミソニアン博物館群というのがアメリカを理解する装置になっています。  これから分権化だとか、アメリカというのは合衆国ですから極端ないわゆる地方分権が進んでいる国ですけれども、その首都であるワシントンを訪れることによって、アメリカじゅう及び世界じゅうからワシントンを訪れた人が大体は、そのスミソニアン博物館群で、アメリカの歴史の博物館であるとかさまざまな博物館を訪れることによって、アメリカというのは一体何なのかということを理解して、アイデンティティーを高める装置になっています。  しかも、このスミソニアン型のシステムを支えているのはボランティアです。つまり参画型のシステムになっています、このワシントンの文化性を支える上で。もしワシントンに、例えばスミソニアン博物館群だとかケネディ・センター的な文化的な基盤がなければ、無味乾燥な政治首都ということになりかねないわけですけれども、そういった工夫がなされている。  したがいまして、この分野については若い人たちの柔軟な発想を駆り立てて、音楽とか美術とか芸能、スポーツ、歴史などを味わうような施設の建設というものを並行させていくようなことをやっていけば、文化性の高い実験都市としての新首都地域というものが構想できるのではないかというのが私の四番目のポイントです。  それから、五番目のポイントとしましては、政治と経済の分離のメリットということを申し上げたいと思います。  日本人の感覚からすれば、永田町も霞が関も丸の内も至近距離にあるということが便利だという感覚でいたわけですけれども、これが政治と経済の過剰な依存構造というものを生み出して、極端な公的規制社会をもたらす大きな誘因になってきている。したがいまして、政治と経済の適切な知的緊張感といいますか、これが非常に重要ではないか。  しかも、例えばワシントンとニューヨークが離れていることによって、例えば新しい情報のネットワークの実験だとか交通体系の実験というのは、必ずここをどうやって効率的にコミュニケートするか、つまりつなぐかというところから新しい実験が始まるというような部分もございます。  したがいまして、物理的な距離というのは、過度なもたれ合いを避けて、経済人の自立心を高めて、しかも新しいコミュニケーションのためのプロジェクトのきっかけにもなるというふうに私は考えております。  さらに、政治と経済の分離ということをそろそろ実行していくべきモチベーションとしては、やはり神戸大震災等の経験を踏まえて日本列島の安全性ということを考えてみたときには、分散というのが非常に重要なわけで、いわゆる二重投資にはならないというのが私の議論でございます。  それから、最後のポイントとして申し上げたいのは、最初にマクロエンジニアリング的構想力が大変重要だということを申し上げましたけれども、今申し上げてきたような五つのポイントをいわゆる付加価値創出の視点として、中核プロジェクトは、国会及び行政府を移すコストとして国土庁が計画していますのは御承知のように十四兆円なわけですけれども、しかも十四兆円を何も一年で出すわけではないですから、そのこと自体が今の経済の、例えば金融セクターの安定に何十兆というような議論をしている中で、十何年かけて十四兆というボリューム自体がそれほどインパクトのある数字には見えないように見えるのですけれども、今申し上げてきたような付加価値の知恵の出し合いによって新首都を創造的に建設していくという挑戦をしたならば、私のグループの試算では約三百兆円の付加価値が創出されるだろう、それはこの国のGDPを二%、十年押し上げるマグニチュードのあるプロジェクトになっていくだろうというふうに思います。  そういう中で、マクロエンジニアリングという言葉の一つの意味でもあるわけですけれども、ここからが知恵比べだと。つまり、これだけ財政の問題がある中で、どこにそんなお金があるんだという議論が一方であるわけですけれども、国家財政にできるだけ負担をかけない形で新首都の建設をするという構想、これがまたマクロエンジニアリングの一つのポイントだろうと思います。  御承知のように、PFIというような言葉が出回り始めていますけれども、プロジェクト・ファイナンス・イニシアチブ、つまり、プロジェクトファイナンスの新しい先端的な方法論、技術を駆使することによって、例えばインフラ型のプロジェクトを民間がやる方式、もちろん選別性が要りますけれども、すべてを民間がやるという意味じゃございませんけれども、PFI型の構想力が、このプロジェクトエンジニアリングの世界では新しいチャレンジとして大変に話題になってきております。  これは、全くある意味では無責任な一つの視点ではございますけれども、例えば、郵便貯金が二百四十一兆円あると言われております。その財政投融資の新しい運用の実験として、国家の財政の方に負担をかけないで、要するに、新しいプロジェクトファイナンスの仕組みを構想することによって日本の二十一世紀に向けての中核プロジェクトが構想できないかとか、我々が知恵を出すべきテーマというのは多分いっぱいあるだろうと。それがまさにマクロエンジニアリングという意味でございます。  それから、後で時間があれば補足いたしますが、当然この種の構想は社会工学的な知恵というものが支えていかなければいけないわけで、例えば、昨年十二月にNPO法が施行されておりますけれども、NPOのこの種の新しい中核プロジェクトへの参画型の方式というようなことを構想することも、これから非常に重要になってくるだろうと思います。  今、御承知かと思いますけれども、アメリカに百二十万団体のNPOがある。そのNPOによって一千万人が食べていると言われています。NPOは非営利団体ですから、そんなに給料は高くないです。だけれども、年間二、三百万円の収入で少しは社会的に意味のある仕事をしたいという、例えば一たん仕事からリタイアした世代の人たちがNPOで公的な目的のために汗を流すということは、社会システムの安定にとってこれから大変重要になってくるだろうと思います。  人口が半分の日本ですから、アメリカの半分と見て五百万と言いたいですけれども、それを仮に二百万人でも、NPO的な世界で公的な目的のために汗を流す、仕事をするというような仕組みがもしこの国に立ち上がってくれば、多分、失業率は数パーセント変わるだろうというふうに言われております。  なぜこの話をしているかというと、新首都の建設というのは、器物をつくればいいだけじゃなくて、パブリックという目的のために参画してくる人たちを招き入れていく仕組みというのが、さっきの文化都市としての実験じゃないですけれども、大変必要になってくる。そういうものとの兼ね合いといいますか、したがいまして、整理してみますと、マクロエンジニアリング的な構想力と社会工学的な構想力を持って新しい中核プロジェクトを構想していくべきところに今差しかかっているのではないかというのが、集約して言えば私の意見でございます。  昨今、私のところをワシントン時代の友達とか政治家、弁護士、いろいろな方が訪ねてきてくれますけれども、こういうことを言います。日本というのは、パーツはみんないいものを持っている、日本に来ていろいろな人の意見を聞くと、部品はいいものを持っている。というのは、金もある、人材もいる、技術もある。だけれども、総合的な設計力がない。そういう面で、新首都建設という構想は、僕は、生け花の一つ一つの花はきれいなものを持っていても剣山がないとだめだと。つまり、知恵とか技術を注入して剣山を構想することが、多分、今我々の目の前にあるテーマなのではないかというふうに考えております。  時間が参りましたので、私の最初のプレゼンテーションは終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

井上一成自由党

○井上委員長 ありがとうございました。  以上で参考人からの意見の開陳は終わりました。     —————————————

井上一成自由党

○井上委員長 これより参考人に対する質疑を行います。  この際、委員各位に一言申し上げます。  質疑につきましては、理事会の協議に基づき、一回の発言時間は三分程度となっておりますので、委員各位の御協力をお願いいたします。また、御発言は、挙手の上、委員長の許可を得た後にお願いいたします。発言は、着席のままで結構です。

蓮実進自由民主党

○蓮実委員 自由民主党の蓮実進でございます。  きょうは、寺島先生、大変お忙しいところを委員会においでいただきまして、大変ありがとうございました。  私は、多分、昨年の十二月三十日だったと思いますが、NHKラジオを自動車の中で聞いておりました。寺島先生の高付加価値型新首都建設プロジェクト構想の放送を聞きまして、大変心強く思った次第であります。  その後、二月の中央公論に、金融システムの安定をすれば日本はよくなるとか、減税がなされれば消費も設備投資も創出できるというのは額縁の議論であって、大切なのは未来につながるプロジェクト、すなわち絵の中身の議論であって、経済人は具体的なプロジェクトの議論に真剣になるべきで、その中から初めて未来構想が見えてくるんだと。そのたたき台として高付加価値型新首都建設プロジェクト構想を提起されましたが、私も全く同感であります。長い間ニューヨーク、ワシントンに住んでおられた経験からお話を承りまして、大変ありがとうございました。  先生が御執筆された中央公論を拝見いたしました。先生がおっしゃる、日本経済再生のためのIT技術による新しい首都づくりに大変感銘をいたしました。ついては、先生の持論を具体的に実現するために、私は、まず何よりも役所の体制を整えなければならないと思っております。  特に、通信技術を担う郵政省が中心となって、通産省、建設省、国土庁、運輸省、農林省が力を合わせていかなければならないと思うが、なかなか役所の壁は厚く、とりわけ、新しい中央官庁の改編で、郵政省が総務庁の中に入ってしまうのは問題があるように私は思っております。事業実施官庁として、IT革命を実現するための体制をしっかり確立しなければならないと思いますが、この点について先生のお考えを承りたいと思います。  また、これは私ごとですが、候補地の一つであります私の住んでいる那須地域は、IT革命を行うのにふさわしい、高度技術の先端産業が集まり始めております。また、新しい大学もできつつあります。先生の持論を実現するべく努力をしたいと思いますが、ぜひ幾つかの候補地を先生に見ていただきたいと思っております。  先生のお考えをお聞きしたいと思います。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 今御提起された中で、特に情報通信に対する体制ということについては、まさにおっしゃるとおり、物すごく重要だと思います。今度のこういう種類の、国会等移転にも深くかかわってくることだろうと思います。  そういう中で、御参考になるかあれですけれども、米国においては、御承知のように、ゴア副大統領を中心にして、クリントン政権になってから、情報化の国家戦略というのを物すごく重視しております。それで、多分これから日本においても非常に重要になるヒントだと思うのは、CIO協議会というのを各省庁に、つまり、情報化というのは、例えば郵政省なら郵政省、通産省なら通産省だけがやればいいということではなくて、すべての産業、すべての省庁に情報化要素のかかわらないところなんかないわけです。  したがいまして、各省庁に一人、CIO、チーフ・インフォメーション・オフィサーというのを強制的に置かせているのですね。それを束ねているのは大統領府、つまり行政予算局が束ねているところが非常におもしろいのですけれども。ただ、情報化担当の責任者なんというと、普通、企業の中でも必ずしもキーパーソン、影響力のある人がならないケースが多いのですけれども、むしろ、各省庁に任せてCIOを選ばせるのじゃなくて、トップダウンでCIOを選定して、つまり米国全体の省庁をまたがる情報化戦略というものを束ねる体制をつくっていっています。  そういう中で情報化推進というものが展開されているがゆえに、アメリカのIT、つまり情報のハード、ソフトにおける世界に対する優位性というのは際立っておるわけで、例えば、インターネット型のインフラを世界の未来情報インフラとして定着させていっている手法なんというのは大変見事なわけですけれども、日本の将来にとっても情報化戦略というのが物すごく重要になるわけで、私は、企業人として申し上げれば、情報化は大切だから、企業の中でいえば総務部が今後担当していきますというような視点で、果たして本当に情報化ができるのかなと実は思っております。各企業においては、CIO、チーフ・インフォメーション・オフィサーというのを企画担当の役員の上に置くぐらいの勢いで情報のシステム設計というものに取り組んでおります。  そういう中で、国も遅かれ早かれ、それこそ内閣を中心にした国家の情報戦略といいますか、ちょうど明治期に逓信省をスタートさせるときのような問題意識でこの国全体の情報化戦略の組織的あり方を議論しなければいけないときが必ず来るというふうに私は思っております。

永井英慈民主党

○永井委員 民主党の永井でございます。きょうは御苦労さまでございます。  大変興味深い話、とりわけ五つのポイントからお話をいただきました。寺島参考人につきましては、先ほどのお話のように、十年アメリカの東海岸にお住まいになって、企業の仕事ですから、多分、ビジネスに関係するいろいろなお仕事をやってこられて、アメリカの東海岸から祖国日本をウオッチングされておったと思うのです。  私は、今の日本の最大の問題というか最悪のポイントは、ちょっとオーバーかもしれませんが、江戸開幕以来今日まで四百年、東京が首都機能を一手に担ってきた、そして明治の新しい憲法下で中央集権体制が強固に構築されてきた、そして戦後新しい憲法のもとでも経済の高度成長につれてまた集権化が進んできた。先ほど言いましたように、今日一番の問題は、巨大な、過度な中央集権体制にあると感じております。そのために、経済も財政も金融も社会システムも、ある意味では行き詰まってしまっているのではないか。  まず、この閉塞状況を解きほぐす、あるいは脱出するためには、思い切った分権型の社会、先ほどお話がありましたように、アメリカはもう国の由来からしても、沿革からしても、分権型の構造で歴史ができているわけです。思い切って分権型の社会をつくる必要がある、かねてから私はこういう持論を持っているのですが、アメリカの東海岸で見ておって、そういった行政あるいは政治の構造についての御感想をちょっといただければと思います。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 おっしゃるように、僕は、日本のいわゆる近代化、産業化のスピードが求められた明治の環境下で、ある程度中央集権的なシステムというものを効率的だと考えた背景というのは必ずしもわからなくもないのですけれども、これからの時代ということを考えたときに、おっしゃるように、いわゆる分権型という方向に向かっていくことは間違いないと思うし、そうあるべきだとも思います。  ただ、非常に重要なのは、分権がばらばらになってはいけないというか、したがって分権型ネットワークだと思うのですね。したがって、アメリカの場合にも、先ほども申し上げたように権限を任せて、合衆国ですから、分権化している部分と、やはりいい意味での知的緊張関係で、中央政府の役割を際立たせるためにさまざまな知恵というのが、権力ではなくて知恵によって、効率的に国が進むべき方向を束ねていく力とうまくバランスがとれていなければいけない、分権であると同時にばらばらになってはいけないキーワードがネットワークだと僕は思うのですね。  そのために、例えば世界の大企業なんかで、バージニアの山の中にモービルの本社がありますけれども、こんな山の中に本社があってワールドワイドなオペレーションができるのかなと思いますけれども、こういうネットワークの時代ですから、情報の高度先端技術によって効率的にそれをつなぐ技術的な基盤というのは、時代においてできてきているわけです。  そういう中で、これから日本が、集権化していなければ技術的に維持できない時代から、技術的に情報化技術が支えることによって、例えば政治と経済のセンターが分離していても、あるいは、うまく効率的にそれがネットワークされていれば立地が集中している必要はないという時代に入ってきていると思うのです。  例えば我々のビジネスの世界ではこういうことが言われていますけれども、フロンティア論というのが変わってきていまして、例えば、昔は新しいビジネスのフロンティアを求めてといったら、植民地主義の時代だと新しい植民地フロンティアを求めるのがビジネスの展開みたいな時代もあったわけです。新産業とかそういう分野に攻め込むのがフロンティアだった時代もあるわけです。  ところが、今、二十一世紀はサイバーフロンティアの時代だと言われてきているのです。それはどういうことかというと、地域とか産業がフロンティアなんという単純な時代ではなくて、情報技術をてこにして新しくビジネスの仕組みを設計できるところが企業としても成功していくというか、単純にこれから有望産業というのがある時代ではないのです。  例えば、数年前でしたら、就職したいという学生によく聞かれる、これからの有望産業はどこですかなんという議論があって、自動車産業とかエレクトロニクス産業とかこれから有望でしょうねなんという議論がついこの間まで成り立ったわけです。  ところが、今物すごい二極分化が起こっていて、一般論として自動車産業が有望だなんという時代ではなくなってしまったわけです。Aという会社は、グローバルテンというキーワードで世界の一〇%のシェアを目指すというぐらい激しく攻めて好業績を上げている会社もあるけれども、片方には、同じ自動車産業にありながらのたうち回っている会社も出てくる。これから日本じゅうのすべての産業がそういう二極分化、競争という要素が入ってきます。  では、どういう企業が成功しどういう企業が衰亡していくのかといったら、総論としてある産業全体が有望な産業だなんという時代ではなくて、情報技術を駆使して、いわゆる管理コストをぎりぎりに下げていくようなシステム設計だとか、取引先とのネットワークを情報化によって設計して、ネットワークによって新しい収益を構想するような仕組みを知的に構想できる企業が成功していく。  国家も同じなんですね。国家間の競争も、工業生産力で、GDP幾らだと言っていた時代から、面積は小さいけれども付加価値の物すごい創造力を持っているような国が国際社会で力を持ってくる。現実に、今アメリカが、衰亡するアメリカと言われていたのが、なぜ九〇年代に入って急速に盛り返してきているかというと、IT革命、いわゆる情報技術革新で、ソフト、ハードを取り込んでいるからです。  したがって、僕は、日本の最もこれから重要になるのは、アメリカは情報技術を金融というセクターに取り込んで、デリバティブ型の新しい金融商品を開発することによって肥大化している部分があるのです。金融セクターが肥大化し過ぎてしまっている部分があるのです。日本というのは、やはりIT技術を物づくりの分野に取り込んで、新しい国の設計をしていかなければいけない時代に入ってきていると思います。  そういう中で、IT、つまり情報技術が中核であるという認識を一段と深めなければいけないわけですけれども、それにふさわしいような国土再開発構想というものを持っていなければいけない。  そういう意味で、まさに先生おっしゃったように、集権型の、すべてが東京に集中していることが効率的だと思っていた時代の発想を全く変えなければいけないところに来ているというのが、私今何を申し上げているかというと、ネットワーク時代への問題意識ということの説明のためにるるお話しさせていただいているのですけれども、そういう意味で認識しなければいけないところに来ているのではないかなと私は思っております。

永井英慈民主党

○永井委員 ありがとうございました。

中島武敏日本共産党

○中島委員 日本共産党の中島武敏でございます。  寺島参考人、大変御苦労さまでございます。私は、寺島さんに質問するのは二回目なんですけれども、先ほどの高付加価値型新首都建設プロジェクト構想、興味深く伺いました。  ただ、私、これはうまくいった場合には三百兆の付加価値を創出するということになるんだと思うのですけれども、さて、うまくいくのかな、どうなのかなということについての危惧を持ちます。例えば、国際都市にするという問題についても、先ほどジュネーブをモデルとしてのお話がありましたけれども、国際会議場をつくった、豪華なホテルも用意した、だけれども、そういうものが使えるという状況にならなければ大変なことになる、そういう危険性を持っているのじゃないか、その辺のことについて、先生はどんなふうにお考えになっているのかなというのが一点です。  三点伺いたいと思っています、手短に。  それから二つ目は、先生のお話を伺っていると、首都移転が実は行政機関も含めて全部移転するようなお考えで、その上に立っていろいろ考えていらっしゃるようですけれども、実は、どれだけが移転するかということは、特に行政機関についてはまだ決まっておりません。前総理の橋本さんによれば、軸足は東京に残す、相当部分は東京に残すということを明言しているわけでして、先生は御存じだと思うのですけれども。そうすると、この構想がちょっと壊れやしないかなというふうに、心配と申しますか、そういうふうに思います。  それから三つ目、これはPFIなんですけれども、PFI方式でやるというのですけれども、問題はリスク負担の問題だと思います。ここを先生はどんなふうに考えていらっしゃるのか。これは全部失敗していった場合に一体だれが、全部というのは言い過ぎですけれども、その膨大な負担はだれが持つのかということになって、リスク負担の分担の仕方によりましては、今大ピンチに落ち込んでいる財政がますます破綻をしてしまうということになりはしないかという危惧を持ちます。  以上三点、お伺いしたいと思うのです。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 最初に先生がおっしゃったポイントというのは、本当に器だけでいいのかということにおいては全く同じ問題意識でございます。したがいまして、なぜ国連アジア太平洋本部方式なんという絵にかいたもちみたいなことを言っているかというと、やはり国際中核機関をしっかり持ってくるような努力を積み上げなければいけないということです。これは相当な努力が要ることは、国としてよほど腹をくくってチャレンジしないと全く絵にかいたもちの議論だというのは目に見えているわけです。  ただ、私が考えていますのは、これは例えば、国連の安全保障理事会の常任理事国に手を挙げるよりも、社会経済理事会関係の地道な国連の活動に日本としてきちっとした形の将来ビジョンを持って、こういうことについては国連アジア太平洋本部というものを、土地も提供するしサポートもするからアジアに持ってきましょうよというような提案を積み上げていくことが、日本の国連中心外交にとっても非常に重要だろうと思うし、そういうことこそアジアの国からの支援を得やすい。  私は、通産省がやっている中で非常に評価していますのは、通産省の、通常エネ研と言われているエネルギー経済研究所の中にAPECの下部機関としてアジア太平洋エネルギー研究所というのをつくっていまして、僕の聞いている限りでは、十二カ国から若いエネルギー関係の専門家が東京に集まって、アジア太平洋の将来のエネルギー需給の問題について共同研究しているというのがスタートしています。  ああいうたぐいのものをより大きな構想にして、アジア太平洋の安定につながるような、エネルギーだとか食料だとか安全保障に関する情報の基点といいますか、シンクタンクみたいなものを含めて、そういうものを広い意味での国際機関として一つずつ粘り強く育てていかないと、いわゆる国際的な顔をした都市にならないというか、そういう機関があることによって、背骨が通って、骨太になってきて、集まってくる人たちの質も量も変わってくる、情報の密度も変わる。  一つだけまた例を出して恐縮ですけれども、私が非常にこだわっているのは、例えばフランスが、一九七三年の石油危機の翌年、アラブ世界研究所構想というのを発表しまして、二十年かけてパリにアラブ世界研究所というのをつくってしまったのですね。中東とかアラブとか石油だとか、そういう情報について我々が調べようというときには、そのパリの本部に行って、つまりアラブ世界研究所に行って、集約されている情報なり人材なり研究者なりと会わざるを得ないという地合いをつくってしまっているわけです。  つまり、日本が、これからアジア太平洋外交が重要というときに、その種のシンクタンクみたいなものをしっかり構想していかなければいけない。フランスの場合には、しかも周りの国に根回しして、六割はフランスが金を出すけれども、四割はアラブ二十二カ国に金を出させて、二十年かけて、今申し上げたような話、つくってしまったわけですね。では、日本が過去二十年にそういう種類のアジアの情報の基点になるようなものを育ててきているかということになると、はてなですね。  そういうことを考えたときに、国際都市というからには、何も国際会議場をつくったりするような話じゃなくて、まさに先生おっしゃるようにコアになるような、中核になるような、そういう仕組みを構想していく力がなかったなら、国際中核都市なんかとてもならないだろうというふうに思います。  それから二点目に、これは分散型の構想なんだということはよく存じていまして、私の意見としては、軸足は東京に残すという考え方も多分あるのかとは思いますけれども、マクロエンジニアリング学会といって、ベクテルなんかが中心になって世界のマクロエンジニアリングの研究をしているようなグループというのがあって、五月にスペインのマドリッドで会議があるので、私もまたそれに参加してこようと思っているのですが、やはり日本が発信する目玉になるようなマクロエンジニアリング的なプロジェクトというのを一つぐらい持たなければいけないと思うのです。  そういったときに、中途半端なことはよくないというのが私の意見です。やるならやはり、政治の機能というものを凝縮したところを新首都として構想するということで、すっきりして、世界に対して明快なイメージを発信する方が大切ではないかというのが私の意見です。  それから、PFI方式については、まさに先生おっしゃるように、ある種の危険性をはらんでいるわけですから、僕が申し上げたいのは、これからのシステム設計にすべてかかっているというか、何か固まった方式としてPFIがあるわけじゃなくて、これからいろいろな意味で先端的なプロジェクトファイナンスの方式についての議論がテーブルに着くときだと思うのです。  したがって、例えば、国のリスクになるような方式というものがどこまで線引きされるべきかということはこれからの議論で、まさに先生の問題意識のような形で、ただいたずらにリスクとかあるいはプロジェクトの展開が拡散していかないように、きちっとした束ね方が必要だというふうには私も思っております。

小林守民主党

○小林(守)委員 民主党の小林守です。  私も、ちょうど五年前に先生の御意見をいただきまして、質問もさせていただいたわけで、ちょうど五年ぶりにまたこの委員会に戻ってまいりまして、奇遇だなという感じがいたしておるのですが、きょうは二つほどお聞きしたいと思います。  一つは、政治と経済の分離という観点で、メリットが多くなっているのではないかというような御指摘がございました。私自身もそのとおりだろうというふうに思いますし、今日、財政と金融の分離の問題も含めまして、やはりいろいろな面で、政治や経済の過剰依存体質というのでしょうか、癒着構造というか、そういう弊害が極めて大きくなっているだろうというふうに思いますし、永田町、霞が関、丸の内という至近距離にある地域性が、便利というようなものがむしろデメリットとして公的規制社会をもたらしたり、自己責任を失うような政治経済状況をつくり上げてきているのではないか、このような指摘がございました。  さらに、防災上のメリットとかコミュニケーションの必要性というようなものもあったんですけれども、ただ、例えばIT革命とか交通アクセスとか、そういうものがさらに便利になれば、距離的な問題は即座に解消されると思うんですね。ですから、何らかの権限とか仕組みがきちっとした分離独立するような、自己責任を問うような仕組みでないと、距離が離れただけでは何の解決にもならないだろう、このように思うわけでありまして、その点について、メリットが生じるようにするにはどうしたらいいのかという視点からお聞きしたいと思います。  それから、もう一点は、新しい実験都市として文化性重視というような視点が出されました。そういう点で、アメリカの実験というか一つのIT革命の中で、金融の方に適用された中では、デリバティブというような取引まで肥大化してきているということ。そのことがむしろカジノ資本主義的な暴走にまで至っているのではないか。極めて実体経済からかけ離れた部分で、頭脳戦争みたいな取引みたいな形で肥大化していて、一たん事があるとたちまちのうちに崩壊していくような仕組みではないのかなと思えてならないのです。  そういう点で、文化的な問題にも絡むと思うのですけれども、日本の文化性重視といった場合に、どのような首都、都市国家というものが構想されるか。京都みたいなかつての首都があるわけですけれども、それではない新たな文化性というものはどういうことが日本の場合にあるのか。当然グローバルスタンダード化という形で、わけのわからない国際性だけの都市ではないはずでありますから、アイデンティティーとして日本というものがどういう形で生かされるべきなのか。その辺、どのようにお考えになっているかをお聞きしたいなと思います。  それからもう一つ、三点になりますけれども、今日までの移転の論議について、私も五年間、外から見聞きするような状態だったんですが、非常に総需要創出的な、経済対策的な、誘致運動も含めて、極めてそういう方向に流れているのではないかなというふうに思えてならないんですね。先生も御指摘されたように、総需要創出のための移転であってはならないというようなことなんですが、先生の方からは、今日までの移転論議についてどのように受けとめられているか、問題点等があれば挙げていただければありがたいなと思います。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 まず、先生御指摘の政治と経済の分離についてです。果たしてメリットがあるかということになると、難しい部分もあるんですけれども、私は、まず、距離が離れることによってマイナスになるのじゃないかという議論に対して、マイナスにはならない。しかも、例えばニューヨークにいた時代に、ワシントンに対して何か官公庁を訪れて議論をしてこようというときに、あの一時間のシャトルの時間というのは大変貴重というか、もたれ合いにならずに、やはり筋道の通ったことを要望したり議論をしたりしなかったらだめだというか、こそこそこそっと根回しすればいいというような世界から、一定の距離というのが大事だな、つまり物理的な距離も大事だなというのが私の体験的な本音でございます。  おっしゃるように、IT革命がどんどん進行してくれば、コミュニケーションの手段というのは、情報化によって、オンラインネットワークによってうまく展開できるということが構想できるわけですけれども、やはりフェース・ツー・フェースの要素というのも重要になって、実際に物理的に移動して議論するということの密度が逆に濃くなるというか、集中して効率のいい議論をしなければいけなくなるというようなことが僕は大変大きなメリットじゃないかなというふうに思っています。  それから、文化性重視ということなんですけれども、おっしゃるように九〇年代のアメリカというのはクリントン政権と併走するような形で、僕はずっとワシントンにおったわけですけれども、基本的に言えば、いわゆる軍民転換という軍事技術をベースに開発された情報テクノロジーを金融のセクターが吸収することによって、つまりアメリカの優秀な工学部系、理学部系、物理、数学を専攻したような若い人たちが、軍事産業が軍事予算三分の一カットというような流れの中でどんどんリストラになって、新規の採用を停止してしまったような中で、若い理工科系の優秀な人たちが金融というセクターに吸収されていったことによって金融工学というジャンルがいたずらに肥大化して、そして金融工学から生まれ出てきたものがデリバティブみたいなものです。  それで、その直接金融の新型の金融商品というのは大部分、先端的な情報ネットワーク技術を前提にしなければ成り立たないような金融派生型の商品というのが今世界を席巻しているわけですけれども、おっしゃるように、逆にそれがアメリカの弱点にもなってきていまして、肥大化し過ぎたことによって制御できないというか、昨年のLTCMの破綻に象徴されるような、おととしデリバティブの設計でノーベル賞を取った学者がコミットしているようなLTCMという会社が破綻するというようなブラックジョークのようなことが起こったわけですね。  これは何を意味しているかというと、アメリカのIT技術を金融分野に注入した九〇年代のアメリカの、いわゆる金融主導型の資本主義国家になりつつあるアメリカのある弱点を象徴しているような出来事だと思うんですね。そういう中で、私がさっき申し上げた意味は、日本はアメリカの金融主導型の経済システムというものに必ずしもフォローしていくべきではない、一線を画していくべきだと。  そのためには、やはりこの国の基幹産業というのは、我々が今日一定の経済生活を享受していられる理由というのは、やはり物づくりの分野の人たちが、これは農業から製造業、建設業まで、物をつくる分野の人たちの額に汗した努力の集積みたいな部分があるわけです。その分野をITによって補強していくということが国家戦略上物すごく重要になってくると思うんですね。そういう意味合いにおいて、先生おっしゃるカジノ資本主義に流れない国づくりをしていくためにも、ITに対する新しい問題意識というのは物すごく重要だというふうに思っています。  したがいまして、文化性重視というテーマなんですけれども、僕はこのITとかサイバーフロンティアの議論というのはやはり若い人たちが参画してくることを構想すべきテーマであって、文化性のキーワードは僕は若者と女性だと実は思っているのです。若い人と女性が参画してこないような首都移転なんという議論をしていても始まらないというか。  ですから、例えば一つの例で申し上げますと、スペインのバルセロナにサグラダ・ファミリアという教会を百年建て続けているプロジェクトがあるんですね。この先、まだ百年以上かかるというわけです。行ってみると、日本の建設だとか芸術関係の若者がボランティアで働いているんですね、何人も何人も。それらの人たちと議論していると、痛感することがあります。というのは、何を君たちはここでやっているんだという話をすると、自分たちは命をかけられるようなプロジェクトが欲しかったというわけですね、チャレンジできるような。日本にはそういうプロジェクトがありませんと。  僕が非常に重要だと思っているのは、企業も雇用体系をぎりぎり守って、中高年を簡単に首切るわけにいかないですから、ぎりぎりに雇用体系を守ろうとすれば、若い人たちの就職のチャンスというのをどんどん削っているわけです。二十歳代の人の失業率は七%を超えているというわけですね、四・何%の平均失業率の中で。私が言いたいのは、若い人にチャレンジするようなテーマとかプロジェクトとか事業とかというものを提示できない国は大変なことになるよということなんですね。  したがいまして、僕は文化的なもののない都市なんか設計してみても、せいぜい幕張パートツーみたいな話になっちゃうよというような批判もあるわけですけれども、夜になると人も歩いていないような恐ろしい町になるというような。  ですから、若い人たちの新しい発想を入れて、例えば新首都に烏森は要るのかとか新宿はどうするのだというような話まで含めて、思い切ったやわらかい構想を展開してみるべきではないかというのが申し上げたいわけで、そういうことから、僕は若い人を参画させていくことによって、うつろな経済社会にしないというか、金融サービスだけが主力産業だというようなうつろな経済社会にしないためにも、そういうプロジェクトの構想力が要るんだということを強調しておるわけです。  それから、おっしゃった経済対策を脱皮した議論というのはもう全くそのとおりでございまして、もちろん総需要を拡大していく構想というのはそれなりに必要で、短期のカンフル剤として五代の内閣で八十何兆円の景気対策をやったとかというのもそれなりに大切なんですけれども、私はOECDの関係の委員をやって、欧州方面の委員会に出る機会が最近多いのですけれども、日本はどうなっているのだという話を説明しなきゃいけないときに、三十分かけて過去五代の経済対策というのはどういうことを打ってきたかなんということを一生懸命しゃべってみたところで、だれも感心しないですな。げんなりしたような顔になりますね。そういう中で、日本は国を変えようとしているんだと三十秒で説明できるような、説得力のある、社会変革していくのだということが一言で説明できるような中核プロジェクトが要るというのが私の議論なんです。  変な言い方ですけれども、だれにでもわかる、わかりやすい中核プロジェクト、それは、新首都を創造するために、日本の戦後五十年蓄積してきた技術、資金を注入しながら、参画型の新しい構想を一生懸命模索していますよという話が一番迫力があるし、いろいろなプロジェクトがある中で、とりたててこの新首都の話だけ大げさに言っているのじゃなくて、マクロエンジニアリング的にこの国に残されているプロジェクトを検証したら、先ほど申し上げたようなGDP二%、十年押し上げていくようなプロジェクトは、多分この新首都の創造的建設以外にないだろうというふうに私は思っています。

久保哲司公明党・改革クラブ

○久保委員 公明党の久保哲司でございます。  先生、きょうはありがとうございます。私も、五年前に、保岡委員長のときに御意見拝聴しました。  二つちょっとお尋ねしたいことがあるのですが、先ほどの社会工学的な知恵を出すべきだというお話の中で、NPOのお話がございました。  確かに、日本でも、NPO法というのは、ボランティアそのものが阪神大震災で社会的にも大いに見直されるというか、注目を浴びた中で、その後一定の議論を経てNPO法ができたわけですけれども、NPO法そのものの中身というのは、これはアメリカあたりのとは大分違います。  そんな中で、先生おっしゃった、アメリカで百二十万団体、一千万人これで飯を食っているというわけですけれども、これが日本で仮に新首都建設が動き出したときに、具体的にどういう形でどういう参画があり得るのかなというのがちょっとイメージとしてわかないものですから、そこらあたり、ちょっとお教えをいただければというのが一点目です。  二つ目は、同じく最後の方でおっしゃいました、日本という国は、個々のパーツはいいけれども総合力はいかがなものかということで、生け花に例えたお話があったわけですけれども、日本は、中央集権で追いつけ追い越せで明治以来ずっとやってきた、戦後もそういう形でやってきた。だから、ほとんどの人たちが、そこに一定の成果があったではないかということと、あわせて、そこに、なおそのままいけるのではないのかという幻想を持っているのかなという思いがします。しかし、世の中の流れというのは基本的には分権、しかし日本人というのはどうしても極端に走る場合が多いですから、分権と言ってしまうとばらばらになってしまう、こんな部分もあるのかなと。  だから、政治的には、日本はいわゆる議院内閣制なものですから、先ほどパーツはいいけれども総合力はいかがかというのは、ある意味で、置きかえて考えればリーダーシップのあるなしというようなことにもつながってくるのかなと思うのです。そのリーダーシップという点で、政治的にいえば議院内閣制ということとアメリカ的ないわゆる大統領制、日本の政治の中でも一部、首相公選制をやるべきだといったようなお話もございますけれども、ここらあたりについて、先生の御見解をお聞かせいただければなというふうに思います。  よろしくお願いします。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 先ほど十分に時間がなくて説明できなかったのですけれども、社会工学的な知恵というのが大切だという点についてなんですけれども、例えば、一つのNPOということで、こういうふうに説明したらわかりやすいかと思うのです。  今日本でも盛んになされている議論なんですけれども、例えば高齢化社会が来る、六十五歳以上の人間の比重がふえる。十五歳から六十四歳までの人間は生産人口で、それに対する老齢化の人の比重がどんどんふえるというようなことで、重苦しいテーマとして高齢化社会を議論している傾向があるわけですね。  ところが、これから高齢化に対して、盛んに言われ始めているように、元気で、問題意識があって、社会的に参画したいと思っている高齢者もどんどんふえてくるわけです。そういう人たちを参加せしむるシステムというものをしっかりつくっていかなきゃいけない。  それで、NPOなんですけれども、例えば、会社を定年退職して社会的経験の豊かな人間を、僕は今世界じゅうそのことのための知恵比べに入っていると思いますけれども、例えば教育の現場にリクルートしていく。若い先生たちが小中学生、高校生を指導するだけじゃなくて、経験豊かな人間が自分たちの経験を伝承していく。核家族化していますから、世代間の伝承というのがどんどん衰えている中で、どうやって先輩の知恵なり体験というものを伝承していくことによって歴史性をつくり上げていくかということが、それぞれの国にとって大変なテーマになっているわけですね。  そういう人たちを参画させる仕組みとして、例えば高齢者のキャリアを踏んだ人を教育の現場にリクルートするシステムだとか、例えば、アメリカなんか現実にやっているのは、三年間ボランティア活動をやった若者が大学に進学するときに、そのローン保証を政府がやるシステムなんというのをクリントン政権がやり始めていますけれども、そういう社会工学的な知恵によって、簡単に言えば、パブリック、公的意識というものをどうやって若者に、国民に、強制ではなくて問題意識として盛り上げるかという知恵が物すごく重要になってきているわけです。  そういう中で、例えば、新首都というときに、先ほどスミソニアンの例を申し上げましたけれども、スミソニアンの博物館群なんというのは、あれはボランティアで支えていますけれども、新首都を機能させ、しかもコストをかけないためには、ボランティアならいいんだけれども、例えばこういうことだってあるわけですね。定年退職して夫婦二人になって子供も育っているから、社会的に役に立つ仕事をしたい、だけれども、ボランティアでは全く無収入だから生活も成り立たない、そんな大枚のお金なんか要らないけれども、生活が成り立つぐらいの仕組みがあればそういう中で汗を流してみたいななんという人は、これからどんどんふえてくると思うのですね。  そういう受け皿を構想することが、僕は、社会工学的な知恵といいますか、そこにNPOというようなものが非常に重要になってきて、これから企業NPOなんという仕組みがどんどん出てくると思います。文化活動だとか福祉活動だとか国際交流活動だとかいろいろなものがあっていいと思いますけれども、そういうものに対して、ただでみんな汗を流せというのじゃなくて、ある程度の見返りで、例えば、僕のワシントン時代の仲間でも現実にいますけれども、三年間だけ一生懸命パブリックのためにやりたい、だけれども、子供が少し大きくなって教育にお金がかかるようになったら、また少し収入の多いビジネスの世界に戻ってやりたい。そういう流動性が実現できるようなためにも、その受け皿として、先生がおっしゃっているようなNPO法のさらなる活用というか展開というのは、この国にとっても大変重要になってくると思うのですね。  つまり、何が言いたいかというと、そういうプロジェクト型の議論に対して絶対必要なのがソフトの部分で、実際にそれを支えてくれる人をイメージして構想していかないと、ただ金を用意すれば維持できるというものじゃないということなんですね、僕の言いたいのは。福祉もそうなると思います。  要は、実際に汗を流してくれる人はだれなんだという構想がきちっとリンクしていないと、例えば博物館をつくったって金がかかるばかりで、美術館をつくったってそうです。そういう仕組みを設計する世界を社会工学といっているわけで、その社会工学的な知恵が物すごく問われている。それなしには、マクロエンジニアリングだけぶち上げればいいものではないということが言いたかったわけです。  それからもう一つは、パーツの設計力に絡んで先生がおっしゃった中で、ぜひ触れておきたいと思ったのは、やはり情報化の政治に与えるインパクトというのは、アメリカではじわじわ出てきていると僕は思います。  それは何かというと、例えば、クリントンのセックススキャンダルから中間選挙及び今日に至るこのアメリカの情勢の中で何が起こってきているかというと、情報化がどんどん、つまりオンラインネットワーク技術がどんどん生活の中に入ってくることによって、政治の情報をダイレクトにオンラインでとるような流れが起こってきています。  つまり、インターネットでクリントンのセックススキャンダルレポートをとった人間が、一日で三百万件というアクセスがあったというふうに言われていますけれども、そういう中で何が起こっているかというと、一つは、メディアのオピニオンリーダーの空洞化というのが起こっています。具体的に言うと、例えば、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストが社説でクリントンの退職勧告をしたのに世論形成力が一切ないというふうな、つまりオピニオンリーダーがない時代というのに近づきつつある。  それから二番目には、日本にとってもこれは非常に真剣に議論しなきゃいけないテーマだと思いますけれども、代議制の空洞化というのが起こってきている。つまり、議会が弾劾するの何するのといっても、クリントンは、自分は世論の支持があるんだということで開き直っておられる状況というか。  それで、世論というのは一体どういうシステムなんだということなんですね。どういう権威づけで、どういう法制度にのっとって正当化できるのかという議論があるわけですけれども、つまり、今何が起こっているかというと、代議制及びオピニオンリーダーの空洞化ということで、IT革命がどんどん進んでいけば、一つの予感として、いわゆる直接民主制の技術的可能性という議論だと思うのですけれども、具体的に言うと、要するに、国民の意思をダイレクトに確認する技術的方法論がないから、代議制というシステムは正当なんだということで動いてきたわけですね。  ところが、技術的に、これからどういう技術が革新されてくるかわかりませんけれども、インターネット経由で、例えば声紋鑑定だとか指紋鑑定とリンクして、実際にその人が意思表示したのかどうかを確認する仕組みをリンクさせながら、直接国民の意思をあるテーマについて確認する技術的なベースというものがどんどんできつつあるわけですね。  それで、その予感がどんどん高まっているものだから、アメリカにおいては、代議制というものに対する非常にシニカルな気持ちというか、冷笑的な気持ちというのが高まっているものだから、代議員の数の制限だとか、あるいは代議員の任期の制限なんという議論が御承知のようにどんどん起こってきている。  したがいまして、IT革命がインパクトを与えるのは、何も産業とか経済だとか市民生活だけじゃなくて、政治に対して極端なインパクトが出てくるだろうというふうに思います。  そういう中で、これはもう新首都建設の議論とは直接関係ございませんけれども、そういったようなことも含めて、ITが国のあり方、社会のあり方、経済、産業、政治のあり方をどういうふうに変えていくのかということをしっかり構想して、やはり新しい時代の設計図が問われている。  つまり、アメリカが今非常にすごみが高まってきている理由というのは、私の意思を伝えるためにそういう例で申し上げますけれども、例えば情報システム、情報ソフトウエアの総合設計力によって我々を金縛りにしているというか、取り巻いてきているという部分があるのですね。つまり、IT優位性によって取り巻いてきている部分というのがあるわけです。  例えば、具体的に言えばインターネットも、これは世界を回ってみて痛感することですけれども、日本ぐらいインターネットを丸裸になって礼賛している国も珍しい。例えばフランスなんかは、インターネットに流れている情報の八割以上が英語の情報だということもあって、フランス語文化というものを守るために、インターネットに対する警戒心というのは物すごく強いです。  そういう文化性ということだけじゃなくて、技術につきましても、インターネットというのはよく開放系、分散系の情報技術だと言われて、もともとこれは、核攻撃されたときに情報体系が分散化していないと危ないというので、ペンタゴンのARPAが基幹技術を開発したのがインターネットであることはもう御承知のとおりだと思いますけれども、もともと軍事技術だったものを開放して、商業ネットワークとリンクする形でインターネットというのが肥大化してきているわけです。インターネットが水や空気のように世界の情報インフラとして定着してきたときに、圧倒的に優位に立っているのは一体どこなんだといったら、言うまでもなくアメリカなんですね。  これは、東大の工学部の月尾先生なんかが、アメリカの技術覇権の研究なんということで、そういったことを盛んに議論され始めていますけれども、我々は本当に、少なくともその事実認識を正しく持って情報通信戦略というのを打っていかなきゃいけないと思うのは、わかりやすく言うと、一つだけ例を出しますと、仮に日本からインターネット経由で中国にEメールを打ったとして、それがどう流れているのかということについてのなぞなんですね。検証できない部分もあるのですけれども、少なくとも言えることは、アメリカのNSAのスーパーコンピューター八百台を稼働させているDRAMに一回スルーしてから中国に出ていっているということは間違いないのですね。  したがいまして、アメリカが間に入って情報をゆがめているとか制御しているという意味ではなくて、少なくともスルーしている。しかし、このシステムは何を意味しているかといったら、本来的に、もし意図を持って、インテンションを持ってこのシステムを制御できる潜在力を持っている国は一体どこなんだといったら、言うまでもなくアメリカなのですね。  今、軍事の世界でもサイバー戦争なんという議論が盛んになされ始めていて、相手の依存しているオンライン情報ネットワークをいかに有利に制御するかが、例えばコンピューターウイルスだとか電磁波だとか暗号技術によっていかに制御するかが、戦略的情報戦争と言われている世界で最も重要だということが盛んに言われていて、ペンタゴンの研究開発の基軸テーマの一つが、この戦略情報戦争という世界に入ってきているわけです。そういうステージにおいて相対的にアメリカの優位性というのが際立っているから、核の傘から情報の傘へという、例の東アジア報告を書いたジョセフ・ナイの有名な論文に象徴されているように、アメリカの優位性というのは際立っているというところに、今のアメリカの持っているいわゆるソフトの面での情報優位性というのがあると思うのですね。  僕は、日本人の問題意識の中に、変な意味でナショナリズムに走る気はないですけれども、やはりシステムの本質を理解して国のあり方を考えていかなかったら、例えば、今日本ぐらいカーナビゲーションが普及している国は世界でないですね。これはやはり日本人の一つの性向をあらわしているわけで、ちょっとした高級車は全部カーナビを積んで走っていますけれども、アメリカでもヨーロッパでも、あんなにカーナビを積んで走っている国はないです。だけれども、あれって、本当に不思議な話ですけれども、要するに、アメリカが衛星をただで使わせてくれているのですね。GPSなんですね。要するに、今自分がどこを走っているかということを衛星とリンクさせて確認して走っているわけです。本当に裏道の裏道までモニターで出てきますね。だけれども、このシステムというのは実は怖いのですね、いろいろな意味で。つまり、ただより高いものはないという言葉が世の中にありますけれども、アメリカは今、日本にもたっぷり普及したからそろそろお金を取ろうかという議論が始まっていたり、それからいろいろな動きが出てきています。  そういう中で、つまり、情報の基幹の技術というかシステム技術を、自分たちの開発した技術を世界の基準にしていく流れをつくっているところにアメリカの強みがあるわけで、何もかも日本がナショナルに、つまり日本の国益ですべてアメリカのシステムと線引きすべきだなんということは私は思いませんけれども、問題の本質というのをやはりしっかり理解した上で、どこできちっとした主体的な青写真を持つべきかということだけは戦略的に考えていかなければいけない段階に近づいてきていると思うのですね。  そういう意味合いを、総合設計力とかという意味で、私がイメージしていることはそういうことだということをお伝えして、お話にさせていただきたいと思います。

下村博文自由民主党

○下村委員 自由民主党の下村博文です。貴重なお話をありがとうございます。  今、総合的設計力という切り口の問題の中で、集約として新首都構想ということになってくるかというふうに先生のお話の中で思うわけでありますけれども、必ずしも新首都構想につなげる必要があるのかということについて疑問を感じました。  一番最初に五つの項目でお話をされていらっしゃいましたが、例えば、環境保全型の都市にしても、国際中核都市にしても、あるいは住環境、情報インフラ整備のための都市にしても、それぞれの全国の都市の中で意欲的な都市を実験的に既にやっているところもありますけれども、既存の都市の中で意欲的なところでそういう取り組みをするということは十分可能ではないかと思います。  それは、日本の国家戦略からいっても、首都だからできるとか既存の都市だからできないということにも決してならないし、また、付加価値の点からも、また地方分権という観点からももっと、いわゆる剣山という表現をお使いになりましたが、その剣山というのをある一地域の新首都で実験するというよりは、日本全体の中でトータル的にそれをどうアレンジするかという意味での剣山という視点も、これからは必要ではないかというふうに思います。また、文化性重視の都市ということも、新しい何もないところからつくっていってやるという、いわゆるワシントン型ではなくて、日本は日本において、もっと長い伝統、歴史の中での国家でもありますから、そういう既存の都市の中で新しい文化性も同時に組み入れた方法というものもできるのではないか。  それから、政治と経済の分離のメリットという話もされましたが、確かに、地理的な物理的距離におけるそういうプラス面というのもあるというふうに思いますが、ただ本質論ではない気がするんですね。それ以上に、ある意味では、我が国のそういうシステムを、中央集権的な、あるいは規制という中での護送船団的なシステムをどうこれから変革していくかという、そっちの問題の方がはるかに政治と経済の分離の問題では影響することでもありますから、切り口の問題における解決の仕方というのはあるのではないかというふうに思うんですね。  つまり、そういう意味で、今最後の方で先生お話しされましたが、新首都機能という発想で間に合うのかどうか。もっと時代がドラスチックに大きく変化している中で、それだけを集約するということではなくて、ある意味では、日本全体の中でドラスチックに中央集権から地方分権化、あるいは政治と経済の分離というトータル的な国家戦略が問われている中で、これを全部加味した中で、あるいはそれぞれの地域、地方を生かした中でのことをやる。  それを集約的に一カ所に首都機能という構想の中でコンセプトをつくって、そこに全部押し込んでいくというよりは、そうでない、つまり首都機能という発想でない中での先生のお考えの方が、はるかにもっと有効的で、我が国にとってはもっと加速度がつくような、そういう流れになってくるのではないかというふうに話をお聞きして感じたわけでありますけれども、いかがでしょうか。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 例えば、この間出た経済戦略会議のレポートなんかにも、いわゆる新首都問題なんというのは見事にかわされて、例えば都市型社会資本なんという表現のもとに、広く、おっしゃっているような、全国でそういうことを展開していくような構想が大事なんじゃないかという視点をとろうとしているように見受けられるわけですけれども、私が申し上げたいのはこういうことです。  例えば、企業経営なんかで戦略という言葉をもし使うとすれば、絶対必要な要件というのは僕は二つあると思うんですね。長期構造性というのとそれから経営資源の集中投入性というもののないような戦略なんというのはないというか、各部門それぞれにみんな頑張れよとか、この問題は大事だからみんな定着させてくださいというようなことは戦略とは言わない。  したがって、私は、先生がおっしゃったポイントは非常によくわかるんですけれども、あえて申し上げているのは、日本人全体に日本の転換期を明快に認識できるようなテーマ設定というのは、アジェンダセッティングというのは、やはり政治とかリーダーには大事だと思うんですね。  それで、キーワードとして言いたいのは、さっき申し上げたような国際的な説明力とか、あるいは起爆力だとか、そういうものを持つ中核プロジェクトということになぜこだわるかといったら、ではこのプロジェクトをやらなければ変革できないんですかといったら、決してそうではないですね。先生おっしゃるとおりだと思います。だからといって、変革しなくていいというような話じゃないです。  だけれども、変革を凝縮したイメージを、果たして新首都構想がそのすべてなのかどうかといったら、私自身もはてなだと思います。いい意味での緊張感のある議論が巻き起こってくることが大事だ、そんなことじゃないだろう、むしろこういうことで日本の資源を集中投入して長期構造的な変革をしていくべきだろうというシナリオが新たにいい意味での緊張感を持って登場してくれば、それは大変歓迎すべきことで、私は、ここで言う実験的な一つの構想として、新首都をどうするかという構想にいろいろな知恵を凝縮してみるのが、転換期の日本を外に向けても説明し、国民にも説明し、起爆力のあるプロジェクト、しかも二十一世紀の日本人が一体何で飯を食っていくのかということも含めたイメージが明快に浮かび上がってくる方法論が、ではほかにあるだろうかということを考えた上で、このプロジェクトは非常に目鼻立ちがいいというのが私の本音といいますか、そういうことだろうと思います。  したがって、僕は、先生がおっしゃっているように、では新首都だけつくればほかの全国の都市は今のままでいいんですかといったら、決してそんなものじゃなくて、新首都が構想して目指そうとしているようなものを例えば東京だってチャレンジしなきゃいけないでしょうし、そういう意味合いにおいては、僕は先生のおっしゃる問題意識は非常によくわかりますけれども、中核プロジェクト論の基本的問題意識というのは何なのかというと、やはり戦略性ということなんですね。つまり、長期構造性であり経営資源の集中投入性ということを考えてみたときに、ではほかに戦略と言えるようなものがあるだろうかということなんですね。単なる公共投資の大型のプロジェクトというのは何かこの国に残されていませんかねなんというような話ではなくて。  だから、問題意識は非常によくわかりますけれども、私の視点はそういうことだということでお答えにさせていただきたいと思います。

冨沢篤紘公明党・改革クラブ

○冨沢委員 公明党・改革クラブの冨沢篤紘でございます。  選手交代で初めての委員会ですが、大変勉強させていただきまして、ありがとうございます。  六つの視点から、新しい首都を建設すべし、こういうお立場でありますが、昔の平安遷都にしろ鎌倉に都を移すにしろ、遷都というのは、それ自体一つ世直しになる、気分直しになる、そういう意味で大変傾聴すべき御意見であろうかと存じます。  質問が各論で申しわけないんですが、六つの視点の中で、文化性重視の実験都市をつくったらどうか、こういう一項目があるわけでございます。大変重要な視点であります。  ただ、私、国内にどっぷりつかった六十年の人生なもので、たまに外国へ行く程度。このごろ、戦後五十年がすっかりアメリカナイズされておって、日本て何かなと。中につかっちゃっているもので、日本の文化というものに、何が日本の文化かなとこのごろ疑問を感じております。  文化性をベースにした新しい首都をつくれということなんですが、外国での長い経験から、外国から見て日本の文化を三つ四つ挙げるとすれば、どういうものが挙げられるのか、御教授をいただきたいと思います。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 僕は、先生が今おっしゃったアメリカとこの国の基軸がどこが違うかなということを考えながら、今の御質問にお答えさせていただきたいと思うんですけれども、それを文化と言えるかどうかは別にして、やはり日本人は、何もかも若干自虐的になっている傾向はありますけれども、やはり誇り得る蓄積してきたものというのは多々あるわけですね。  経済とか産業のところを後で申し上げて、おいておいて、例えばこれも文化だという気がするのは、いわゆるアメリカ型の競争主義、市場主義というものを何よりも大事とする資本主義というか、そういう仕組みに対して、やはり戦後の日本にだけ限って見ても、あるいはもっと超長期的に見てもそうなんですけれども、日本というのは、やはり綱引きのひもを長く持ってみんなで引っ張るというか、つまり、いい意味での中間層の厚い文化というのをつくってきていると思うんですね。  つまり、例えば分配構造を見ても、アメリカと日本とは大いに違います。アメリカというのは、僕は延べでは十数年いましたから、よくどんな国だったと聞かれるとそういう表現をとるんですけれども、天才とホームレスの国だという表現を僕はよく使うんです。  それはどういう意味かというと、才能のある人間にとってみれば、アメリカぐらいおもしろい国はないです。チャレンジングだし、若かろうが女性だろうが、可能性の高い仕事に挑戦できる機会というのは日本の比じゃないです。だけれども、普通程度の能力しかない人間にとっては、アメリカというのは異常にしんどい国です。どうしてかというと、一生履歴書を持って走り回っていなきゃいけないというか、あしたから来なくていいよという厳しい雇用環境の中で闘っていかなきゃいけない。二千万人を超す人が健康保険にさえ入れないほどの激しい競争社会のイメージというのは、なかなか日本人には描きにくい。  そういう中で、日本は所得分配の構造というのが、アメリカのフォーチュン五百社という、トップ企業のトップ経営者と従業員の年収格差というのは二百十二倍という数字が出ています、おととしの数字ですけれども。日本は、トップ企業のトップ経営者と従業員の年収格差というのは最大二十倍だと言われています。平均的に言うと七、八倍だというぐらい平準化している。つまり、それは何を意味しているかというと、中間層の人がまじめに働いていれば雇用が一応確保されて、分配のある程度平準化した社会というのはみんなでつくってきたわけですね。  そういう面で、アメリカ型モデル礼賛の、競争主義礼賛のという傾向はここのところ非常にありますけれども、気をつけなければいけないのは、やはり日本の、乏しきを憂えず等しからざるを憂うというような文化といいますか、その文化の持つプラスの面も正しく理解していかないと、社会的な安定とか安全とかというものを失ってくるだろうと僕は思っています。したがいまして、日本の文化ということを広く考えてみたときに、中庸の美徳といいますか、中間層を層を厚く持って社会システムを安定化していくということの設計というのは大変重要だろうという、その一つのポイントとしてですね、私自身の考え方は。  それからもう一つは、日本の歴史、文化の中で、やはり欧州の文化にも大変な大きなインパクトを与えた、いわゆる文化、芸術、美の世界において、例えば、私が言うまでもないですけれども、印象派と言われている一群のアーティストたちに対して与えた日本文化の影響なんというものは明快に検証できるわけです。  そういった日本人が蓄積してきた物を創造するということに対するまじめさとか根気だとか、それは、私がいたときにワシントンで大名展というのをやったことがあるんですね。それは、例えば武具だとか甲冑みたいなものを日本じゅうから集めてきて展示したわけですけれども、改めてアメリカ人が驚嘆していましたですね。  それはどうしてかというと、西洋の甲冑なんかに比べて、そんな室町だ鎌倉だというような時代に日本人がつくった甲冑を支えた、よろいかぶとを支えた技術というのは、例えば指が一つずつ柔軟に動くような、鎖を組み合わせたような技術なんというものをあんな時代に、つまり日本が近代工業というものを持つはるか以前に、ああいうものをつくり上げた日本人の文化の基盤みたいなものに大変驚嘆を与えていましたけれども、要するに、僕は、日本人の持つその文化性の一つの根幹にある特色というのは、物をつくるということに対する器用さ、まじめさというものをしっかり評価しなきゃいけない。  余談ですけれども、私の言いたいことを説明するために触れさせていただくのは、例えば建設業なんという業界で蓄積されている技術というのは、日本人が外に出てみて初めて気づくような部分があるんですね。かつて「超高層のあけぼの」だとかあるいは「黒部の太陽」なんというようなことで盛んにその技術基盤を礼賛していた時代もあるわけですけれども、イギリスとフランスの間のユーロトンネルだって日本の技術でつくったようなものなんですね。日本のプロジェクトファイナンスと日本の技術でつくったようなものなんです。  日本人の物をつくるということに対して蓄積してきた技術というのは大変なもので、私、十数年アメリカにいて戻ってきて、一番この国がこの十数年で変わったことというのは何かなと思っているポイントなんですけれども、要するに、一つの具体的な例ですけれども、十数年前は、例えば地方から上京してきて就職して、旋盤なら旋盤の技術で物すごくまじめな技術を蓄積した人間が技能オリンピックで金メダルをとったなどというような記事が、非常に誇り高く若者が紹介されているような記事が一年に何回かは出ていたものですよね。  ところが、今帰ってきて感ずるのは、そもそも金メダルがとれなくなったということもあるんですけれども、その種の物をつくる分野でまじめに挑戦している人間が褒められたりたたえられたりしていくという環境が著しく失われているというか、それは別な言い方をするとこういうことなんですね。その国の若者がどう頑張れば褒めてもらえるのかということに対する明快なイメージを出すことが、次の世代をつくっていく上ですごく重要なはずなんですね。物をつくるということに対する価値を、IT革命だなんて言われている時代にどうやって残していくのかということが、やはり知恵が出されなければいけない。  そういう面で、先生が文化ということをおっしゃったので私そういうことに触れるわけですけれども、今申し上げたような、アメリカ的な土壌とは違った日本人の基軸というのは一体何なんだろうかなということをやはり真剣に考えていくべきだし、考えたいなというふうに私も思っております。

古屋圭司自由民主党

○古屋委員 自民党の古屋でございます。  寺島参考人には、行革のときにもいろいろな御示唆をいただいて、ありがとうございます。常日ごろから寺島参考人の書物は拝見をさせていただいております。  そういう中で、きょうお話を聞きまして、今まで寺島参考人が主張されていたことがほとんど網羅されていると思いますけれども、私は、今本当に日本が目標を失って、自信を失っている。ですから、二十一世紀の日本の国の形はどうあるべきなのか、このグランドデザインを提案できない、これにみんなジレンマに陥っているんですね。政治も経済も全く同じだと思います。  そういう中で、やはり私は、この日本というのは歴史とか文化とか伝統というものを非常に大切にしていますから、そういうものに培われた日本型のオリジナルな形、これをいかに提案していけるか、そしてそれを実践に移していけるか、これに尽きると思います。そういった意味では、きょう寺島参考人が御主張されました五つの基本コンセプトというのは、私は、そういう中に非常に説得力を持っていると思います。  ただ、事首都機能移転というところに焦点を合わせますと、残念ながらまだまだ国民の中にそういう大きな、国のあるべき姿を我々自身が創造していくんだという概念というか、気概というか、全くないというのが実態だと思います。  そして、例えば私は今岐阜の東濃地域というところにいるんですが、一生懸命誘致運動をしています。これ自身は私は決して悪いことだとは思いませんが、それぞれの地域で誘致運動をしている一方、東京では反対運動をしているという、非常に次元の低い形で流れているということに対して私は危惧を持っております。したがって、これからは、そういった大きな、二十一世紀の形というものをみんなでつくっていこうというコンセプトをいかに国民に多く認識していただくか、この仕掛けをあらゆる角度からしていく必要があると思っています。  私はいつもこの委員会に出たとき、あるいはほかの場でも何度も提案をしているんですが、例えば私は、将来的には国民が最終的に決めることだと思いますので、やはり国民投票のようなものでしっかりと国民の意思を確認する必要があると思います。  したがって、その国民投票なるものをして参考意見を聞く、有力な参考意見にするということになるならば、半年なり、全国的に相当大きな啓蒙活動なりPR活動なりが必要になってきますし、また、メディアもそういったことを非常に広い角度からPRするようになると思いますし、それぞれの人が国民ひとしくみずからの考えによって判断する材料を提供することができると思います。  東京に首都があった方がいい、便利であるという人間は、私は、全国民の中に数%にしかすぎないと思いますし、また、どこに行ったら不利になる、有利になるということよりも、日本国家全体のあり方の中でどこに行くのが一番合理的なんだ、いや、東京にあるのが合理的なんだという、そういう二十一世紀の日本の判断をしてくれると思いますので、私は、そういった仕掛けをぜひいろいろな場所でやっていただきたいし、また、寺島参考人のようにいろいろ影響力のある有力な方々がしっかり連携をしていただいて、そういう運動をしていただきたいと思います。これが一点、要望でございます。  それから第二点目は、先ほどから、日本は物づくりを中心にすべきだ、これはまさしく私もそのとおりだと思いますが、ただ残念ながら、今、物経済とマネー経済というのを比べると、二十倍から三十倍のお金が動いている、場合によっては百倍だと言われている中で、やはり今は、GDP型経済から目に見えない経済に移る中で、新しい尺度というものをつくっていく必要があると思うんですね。そして、それは物づくりの中でもIT技術というものを加味した尺度、こういうものをつくり上げて、そして、それを我が国の実力というかそういうものをはかる尺度にしていく。そのためには、やはり新首都のような新しいコンセプトの中でこういう考え方というものをしっかりと広げていく。  私は、そういった側面からも、この首都機能の移転ということは非常に効果があるんじゃないかなと思っておりますけれども、この二点についてお伺いしたいと思います。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 先生がおっしゃった二十一世紀の国の形ということが、僕は本当に最も重要な問題意識だろうと思っています。  我々、結局二十世紀の日本モデルとは一体何だったのかということを総括してみますと、私は、先ほど御紹介された中央公論の論文にも、日本の二十世紀というのは二つ特色があったということを書いて、一つは、びっくりするぐらいの数字ですけれども、百年間のうち七十五年間をアングロサクソンとの同盟で生きたアジアの国という特色を持っている。つまり、前半の二十年日英同盟、二十五年間だけダッチロールしたわけですけれども、一九四五年から五十五年間、米国というアングロサクソンとの同盟によってこの国は一応生きてきた。一種の成功体験だとそれを総括している部分があるというんですね。アングロサクソン二国間同盟というのがこの国の二十世紀の一つの特色だった。  二つ目が、通商国家モデルというやつで、これは、ちょうど百年前に四千万人だった人口の国を一億二千万人の今日まで持ってくるのに一体ほかに方法があったのかと思われるぐらい絶妙のモデルといいますか。つまり、資源も、天然資源という意味ではそれほどない、あるといえば優秀な中間層的な人たち、まじめな労働力、これをてこにしながら、海外から資源と技術を導入して、付加価値をつけて、国際社会に売れ筋の商品というものをつくって送り出していくということによって、四千万人だった人口を一億二千万人まで百年間でふやしてきたというのが日本の今までの百年で、通商国家モデルというやつで、我々が国際社会に出て日本の近代を説明しろといってやれば、陶酔したかのように、今までいかに日本人がこのモデルを成功させてきたかということを日本型経営の特色とともにしゃべったものなんですね。  ところが、今、それやめてくれと言われ始めているわけですね、通商国家モデルというのに陶酔する感覚というのは。つまり、内外需バランスのとれた、人の懐に依存して、都合が悪くなったら輸出ドライブをかけてくるタイプの国づくりはやめてくれ、しっかり長期的な内需の拡大構想というものを目に見せてくれ、景気対策ではなくて、構造的にこの国を内需に依存していく構造に転換するようなシナリオを見せてくれということを僕は言われ始めていると思うんですね。  したがって、二十一世紀の国のグランドデザインは、いろいろ混迷しているようですけれども、比較的見えている部分があるんですね。  それは何かというと、きょうのテーマじゃないから余り触れませんけれども、外交軸の多元化。つまり、アメリカから見たアジア太平洋のゲームは、中国の台頭という要素によって明らかに変わってきていますから、外交軸を多元化して、シナリオ設計し直さなきゃいけなくなっているという部分と、内外需バランス型の、つまり内需拡大を本当に本気で構想した国家の形というものを描いてみてくれということを言われているわけです。  そういう中で、先生おっしゃるように、明快なシナリオを提示してみることによって議論を誘発して、二十一世紀にこの国がどうやって生き延びていくのかということについて、やはり真剣な議論をしてみるべきだ。それが国民投票というような形でやるのがいいのかどうかについては、私ちょっと今現在そういうことは考えておりませんけれども、議論を深める必要があるとおっしゃった先生の問題意識は、非常にそのとおりだというふうに思います。  それから、物つくりとITとを結ぶ新しい尺度を構想すべきだ、これはまさに僕はそうだろうと思います。  だから、国家の目標管理が見えてこない理由というのは何かというと、目指すべきことを尺度にしてあらわしていないというか、さっき言いかけた話なんですけれども、国家モデルに対するいろいろな歴史的生々発展の議論というのがあって、昔は土地にまつわる財の創出力で国の格が決まった。だから、植民地主義なんというものが濶歩して、植民地を拡大して、それにまつわる財を創出できる国がパワーのある国だと言われていた。戦後の社会改革をやってきた我々もその影響を受けているわけですが、一種のGDP主義というか、工業生産力をもって国の格をはかるという発想が一時期主力になってきた。  今言われ始めているのが、先生がおっしゃったような、バーチャルステート論というのはさっき僕が使った言葉ですけれども、仮想国家論。つまり、目に見えない財を創出する力によって国家の格が決まっていってしまう時代。そういう時代にあって、物をつくるということを大事にしながらITでそれをどうやって付加価値を高めていくのかというのが、物つくり分野のこれからの本当にチャレンジすべきテーマで、もう現場は本当にそうなっていますね、これからそうなるでしょうなんという話じゃなくて。  だから、そういう中で新しく、アメリカさえやっていない、つまり、ITをアメリカは今軍事技術の分野と金融という分野に取り込んで、アメリカが今最も有利にある二つの部分ですね。それに対して、やはり日本はしっかりとITを物つくりの分野に取り込んでいく努力を積み上げていく必要がある。  妙な例え話で恐縮ですけれども、わかりやすい例として、具体的な会社の名前で恐縮ですが、セブンイレブンの話というのがあるんですね。これが一番日本とアメリカの位置関係を説明するのに説明しやすいテーマだから僕は申し上げるんですけれども。  コンセプトエンジニアリングというシステム設計のことにおいて、コンビニエンスストアというものをつくったのは言うまでもなくアメリカなんですね。テキサスのサウスランドという会社がセブンイレブンという会社をつくってコンビニをスタートさせたわけです。ところが、二十五年前に日本のイトーヨーカ堂グループが日本にセブンイレブンというのを上陸させた。アメリカのセブンイレブンと日本のセブンイレブンはその後どうなったかというと、日本のセブンイレブンの方が圧倒的にシステムを高度化しちゃったんですね、皮肉な話。  なぜなら、日本というのは現場が強いから、現場が改善改善を積み上げていくうちに、三次にわたる情報化投資を行った。アメリカのセブンイレブンと日本のセブンイレブンは何が違うかというと、アメリカのセブンイレブンは乾き物しか置けないです。つまり、袋菓子だとかホットコーヒーみたいなものしか置けない。だけれども、日本のセブンイレブンというのは、御承知のように日本のほかのコンビニエンスがそれを全部まねしていますけれども、生ものを置いていますね。つまり、おでんだとか弁当まで置いています。今、O157がどうしたのこうしたのなんて言っているときに生ものを流通に置くということは大変なことなんですね。あれは、四時間で生ものを回転させられる技術が背後になかったら、とてもできる話じゃないです。  それは何かというと、情報化技術なんですね。ポイントオブセールスというやつです。POSというやつですね。それを第三次まで情報化投資することによって、日本のセブンイレブンの方が圧倒的に有利になっちゃったわけです。  それで何が起こったかというと、アメリカの親会社のサウスランドを日本セブンイレブンのヨーカ堂グループが買収しちゃったわけですな。今、世界じゅうのセブンイレブンというのはイトーヨーカ堂の傘下にあるわけです。この話はアメリカ人と議論するときに一番嫌な顔をされる話題なんですね。なぜならば、昔、鉄鋼だとか自動車でも似たような話題があったという、母屋をとられてしまうというような。  整理して言うと、日本というのは最初のコンセプトをエンジニアリングしたり総合設計したりすることにおいては後ろに控えているというか、押し負けるけれども、一たんそのシステムが動き始めると、今度は現場の力でもって、ニッチをねらって差し返すというやつですな。それによって今までは生き長らえてきた。  だけれども、それを礼賛していられないというのが私の申し上げたいことですね。昔、亡くなった高坂正堯さんが通商国家は尊敬されないという表現をしていましたけれども、でき上がったシステムの流れに乗っかって、ニッチねらって差し返していくという生き方はこれから果たして通用するだろうかということを考えたら、やはりシステム設計そのものをしっかりやり遂げていくということが問われている時代になっていることは間違いないわけです。  そういう意味で、僕は、おっしゃるようにアメリカさえも提示していない、物つくりとITをリンクさせた新しい進むべき指標というものを模索してみるべきだという先生のお考えには大賛成です。

滝実自由民主党

○滝委員 自由民主党の滝実でございます。  大変きょうは寺島参考人には、目からうろこの落ちるようなお話と申しますか、そういうような観点からの御意見を承らせていただきました。そして、前回の五年前のお話も議事録で読ませていただきまして、そういう、本日と五年前の議事録とを対照しながら、その中で扱われていなかった点について一つ二つ御意見を伺いたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。  一つは、寺島参考人の補足的な御意見の中にもございましたけれども、情報化時代の中でいわば代議制民主主義というのが変貌しつつある、そういう中で、例えば国会移転だけが先行するというようなことについての世論の支持というものがなかなか難しいのではなかろうかな。そういうことの中で参考人は五つのポイントをお述べになったと思うのでございますけれども、どうもそれだけでうまく機能するのかどうかということについて、少しお聞かせをいただきたいと思うのでございます。  というのは、世の中、分権化とかあるいは経済と政治の分離と申しましても、例えば私の選挙区に近い大阪周辺を見ましても、大阪の経済界というのは景気による沈滞とともに、みんなやはり相変わらず東京への本社移転というものがずっと続いている。いわば、経済の分野では、分権化というよりもむしろ集権化と申しますか、東京一極集中が相変わらず極端に最近また出てきている。こういうような状況を見るときに、果たして政治と経済の分離といってもうまくいくのかな、国民の支持はどの程度得られるのかな、こういう感じがいたします。  したがって、そういうようなことを、特に実業界、経済界の立場から見て、それを国民にアピールする方法というのは、何か具体的なものが、もう少しアピールするものがあるのだろうか、こういうのが一つでございます。  それからもう一つは、二点目は、これは古屋委員からもお述べになりましたけれども、やはり首都の問題は全国的な関心を持ってもらわなければいかぬ。そのためには、はっきり言ったら、もう少し、全国各地がこの首都移転に伴ってどれだけのメリットがあるかというようなものがある程度前面に出てこないと、なかなか乗りにくいんじゃなかろうかな。例えば沖縄も北海道も、例えば関東周辺あるいは近畿周辺に、あるいは名古屋周辺に新首都が設定されたときに、具体的に自分のところがどういうメリットがあるのかというものをあらかじめ示すものがなければ、なかなか話に乗りにくいのではなかろうかな。抽象論だけではぐあいが悪いという感じがするんですね。  その際にやはり一番決め手になるのは、例えば自分の地域と新首都との間の交通の便だとか、あるいは情報インフラの問題で、新首都を創設することによって全国の地域がこれだけのメリットを受ける、そういうようなものが示せないかどうかとか、しかも、そこまでいかないと新首都をつくる意味がないんじゃなかろうかな。新首都周辺だけで例えば情報インフラを整備するといっても、それはなかなか国民の支持が得られないし、余り大した効果はないという感じがしますので、そういった問題についてこれからどういう格好で国民的な合意をつくるための取り組みをしていったらいいのか、そういった点について、時間が余りありませんけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 今おっしゃった問題は本当に本質的な問題なんです。  私が申し上げたいのは、変な表現ですけれども、どうやって国民的合意をつくるかという真剣な議論というのは必要だと思いますけれども、まずその前にこのプロジェクトに対する信念といいますか、おもしろいチャレンジをしてこの国を変えようとしているんだということに対する信念をやはり持って説明をしていかないと、どうしたらいいでしょうかというような話をして歩いていてはまずい。つまり、変な言い方ですけれども、幕府が倒れたのはなぜかといえば、黒船が来たときに、どうしたらいいでしょうかと聞いて歩いていたうちに、さしたる定見もないんだということを露呈したというか。  要は、基本的に、何も僕は、いわゆる首都移転だけが金科玉条のプロジェクトだなんて思っていませんけれども、真剣にどういう具体的プロジェクトを構想することでこの国を変えようとしているのかという議論は必要だ。その誘発剤としてやはりこれはしっかり議論してみなければいけない。  実はこの間も、東京海上の河野会長が経団連の首都移転関連の委員会の委員長なんですね。そこの委員長がやっている会合が先週ですか、行われまして、そこでも私、今ここで申し上げているのと同じようなことを議論して、経済界の中にも、この問題が単に公共投資のばらまきプロジェクトの延長線にあるような話じゃなくて、社会変革のてこになるような話にしていかなければいけないんだということを議論しているのですけれども、そういう問題意識の方が次第にふえてきているというふうに私は思います。

保坂展人社会民主党・市民連合

○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。どうもきょうはありがとうございます。  時間がありませんので、おっしゃった中であるポイントに絞って、といいますのは、ジュネーブを例にとられて、国連のアジア太平洋本部であるとかあるいはその他の機関をという御提案は非常に興味深いのですけれども、具体的に考えてみると、日本は果たして尊敬されているだろうか、特にアジアの国々から、ということを考えるのですね。  僕は、ビルマの軍政を逃れて日本にやってきた若者たち多数と日常的に会っておるのですけれども、これは難民申請をして、申請した途端に十カ月、九人部屋ぐらいの雑居房に拘束されて入れ込まれてしまうとか、さまざまに鎖国的な、UNHCRから見ても信じられないというような扱いを受けて、むしろ日本に対していい印象を持って帰る人なんというのは本当にまれで、外交の表で言っていることと裏でやっていることと何でこんなに違うんだという怒りを持っているわけです。  あるいは外国人学校問題、これは私立であるとか公立の学校は、例えば朝鮮学校だとか中華学校、インターナショナルスクール、アメリカンスクール、そういう学校を卒業しても入学試験を受けることができるわけです。国立大学だけが、これは教育の根幹を揺るがすというその一言で、なかなか認めようとしない、まあ一角、今崩れてきていますけれども。  こういう役所の人たちとの激論の中で、どうも日本社会、日本人の精神を根底から縛りつけているものが非常に強く各所で残っていて、その残っていたままに移転ということが行われるとどうなるかということをちょっと危惧をするわけです。  例えば、例として余りふさわしいかどうかわかりませんけれども、最高裁判所が移転しましたね、少し。距離は短いです。そのことによって最高裁の小法廷というのは開示されることがなくなったのですよ。実際に僕は裁判の原告をやったのでわかるのですが、民事裁判、まあ最近変わりましたけれども、裁判も公開されなくなってしまった。密室化したというか。  あるいは、東京の都庁が大変立派に新宿にこうやって建ち上がっているわけですけれども、果たして都民はそこに親近感、新しい東京の核としての参加意識を持ち得るか。むしろ、出入りは何か敷居が高くなったんじゃないかというようなあたりの、もちろん首都移転ということですべてが解決するとおっしゃってないんですけれども、その資格条件を整えるということをもっとダイナミックにやるべきではないかと思うんです。  特に国連の件に関して伺いたいと思います。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 手短にお答えさせていただきますと、僕は今まさに保坂先生が言われているような問題意識を展開する一つのきっかけとして、この国に欠けているのは多様性の温存という、つまり、アメリカの仕組みの中から我々が学ぶべきプラスの部分というのは何かといったら、やはり、さまざまな文化、民族というものが、アメリカ自身が小国際社会だみたいな形で、多様性を温存しながらシステムを設計していくということを一生懸命、苦労しながらやっているわけですね。  そういう中で、やはりこの国を国際化する意味でも、国際関連のさまざまな機関あるいは人々がもっとこの国を訪れていく。つまり、この国の大問題は、極端な出超国家なんですね。物は八百億ドル輸出超過、人は、千七百万人毎年出ているけれども入ってくる人は四百万人。投資は、入ってくる投資の十倍出ていっているということで、出ずっぱりで、外に出ていくことをまだ国際化だと思っている部分があるんですね。  これからのキーワードはアトラクティブネスだと僕は思っている。引きつける力、むしろ人が入ってきてくれるような、入ってくることによって目が覚める部分もあるんですね、自分たちがどういう存在なのかということについて。そういう意味で、多様性を温存していくきっかけのためにも、質、量ともに高いレベルの外国人が日本をしっかり訪れるような仕組みをいろいろな形で構想していかなきゃいけない。それをやはり、新首都というものを建設するならばリンクさせていかなきゃいけないというのが私の申し上げたいポイントでございます。

宮地正介公明党・改革クラブ

○宮地委員 公明党・改革クラブの宮地正介でございます。  時間も迫りましたので、簡単に申し上げたいと思います。  二〇〇〇年には御存じのようにドイツがいわゆる首都移転をするわけで、今ベルリンの再開発が行われ、また今回、通貨統合によってフランクフルトが恐らくEUの国際金融都市の中心になる。当面、ここは一つのモデルとして、私は大変参考になる、こういうふうに見ているわけです。この点、まず先生、ベルリンの、ドイツの首都移転についてどういう御意見をお持ちか、これをまずお伺いしたいと思います。  もう一つは、先ほどから出ておりますように、二十一世紀は、我が国は、やはり江戸時代からずっと続いてきた日本の中央集権国家を地方分権国家に根本的につくりかえていく大変大事な世紀であろう、こういうふうに私自身考えているわけです。そうすると、おのずから小さな政府になっていくであろう。その辺を見据えた中で、先生の五つの構想、実験、これは大変私は勉強になりました。そういうものもさらに加味して研究できないのかなということを注文つけたい、こう思いますが、これについての御意見。二点、よろしくお願いしたいと思います。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 ドイツは、九月と十二月に選挙を挟んで僕は行ってきて、おっしゃっていることのポイントをよく理解しているつもりでおりますが、やはり東西統合というものを内外ともにきちっと定着させるためにベルリンにという視点というのは、やはりあの民族の一つの悲願みたいなもので、先生御承知のように、今フランクフルトの話おっしゃいましたけれども、今世紀三回目のドイツ民族の高揚期みたいな雰囲気に入って、過去二回世界を相手に戦争をしてしまった国ですから、この三回目がどういう意味をもたらすのか非常に興味深いと思います。  僕は、やはりドイツというのは、そういう方向性の模索、これはドイツだけじゃないんですけれども、やはりEU全体にも共通していますけれども、欧州は冷戦後の新しいシステムの再設計ということに対して非常に真剣で、その中で、この間僕は、コールとシュレーダーが選挙戦の真っただ中のディベートをやっているのを聞いたんですけれども、二十一世紀の世界史におけるドイツの役割なんというテーマでディベートをやっているんですね。  変な言い方ですけれども、今、日本で二十一世紀の世界史における日本の役割なんというようなことでディベートするような視点というのが残されているのかという、逆にそれが問題で、なぜ創造的首都建設みたいなことの議論にこだわりたいと思うのかというのも、やはり目線を上げなきゃいけないというか、景気対策だとか金融セクター安定とかということで空回りしている場合じゃない。やはりドイツの実験なんというのも、そういう意味で大変興味深いと僕自身も思っております。  それから、おっしゃるように、分権国家へというのがやはり二十一世紀の一つの構想の原点じゃないかということなんですけれども、その視点はさらに深めて、私の議論なんかにもつけ加えていかなきゃいけない視点だろうというふうに私自身も思っておりますし、これはやはりある程度走りながら考えていかざるを得ない、すべてが見えているものではないので、そういう面でさらに議論を深めてみたいというふうに思っております。

吉田幸弘自由党

○吉田(幸)委員 自由党の吉田でございます。  本日は、大変勉強になりました。ありがとうございます。  先ほど下村先生が御質問されたことと非常によく似ているかとは思うんですが、この五つの項目というものは、失礼な言い方になるかもしれませんが、さほど目新しいというようなイメージも私自身は受けなかったです。というのは、今回、首都機能を移転するということでかなり先の完成ということと、あとは、一般の都市にも応用できるのではないか、この考えというものは合致するのではないかという考えに基づいて、いささかそのことに対して自分自身が理解できなかった。ただ、五年先のことであれば、この五つの項目というのは非常に興味ある項目ではなかっただろうかというふうに考えます。  私、今回一つだけ質問ということで、果たしてこの新首都の人口構造というものがどんな割合になるのか、このことを簡単に、予想になるかと思いますけれども。また、住宅のお話が出ましたが、実際この近隣というかその場所そのものに住むんだろうかという問題を踏まえて、新首都の人口構造についてのお考えを教えていただきたいと思います。

寺島実郎三井物産株式会社業務部総合情報室長

○寺島参考人 今おっしゃった話の中で、国土庁計画六十万人的な議論というのがあるわけですけれども、私が言ったような五つの付加価値をつけていくような構想というものを展開していく中で、これは新しい都市の魅力との相関になると思いますけれども、私は決して六十万という枠にはおさまらないだろう、広い意味でいえば、少なくとも百万都市を構想できるのではないかというふうに思っております。  それから、先ほど先生が最初におっしゃった、一般の都市にもそういう視点というものを展開していくべきなのであってということは私自身も賛成でして、私の言いたいキーワードは、繰り返しになりますけれども、一種の起爆性といいますか、問題を展開していく最初のきっかけという議論がやはり必要だろうということですね。将来的にこの種の発想で日本列島全体が変わっていかなきゃいけないという意味をイメージして議論しておりますので、その視点は多分共有しているだろうと僕は思っております。

井上一成自由党

○井上委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人に一言お礼を申し上げます。  寺島参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございます。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  参考人には御退席いただいて結構でございます。ありがとうございました。     —————————————

井上一成自由党

○井上委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、来る二十四日水曜日午前十時から、参考人として株式会社三菱総合研究所取締役、社会環境研究センター長平本一雄君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上一成自由党

○井上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時九分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗