行政改革に関する特別委員会 第14号
- 発言数
- 179 件
- 登壇者
- 24 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1999/06/10
会議録
○高鳥委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口俊一君。
○山口(俊)委員 本委員会、二度目の出番でありますが、既にきょうまで約八十四時間、昼夜を問わず実は活発な議論をしてきたわけでありますが、恐らくきょうが最終の本委員会ではなかろうかと思うわけでありまして、大臣も委員各位もそれぞれお疲れでありましょうけれども、どうか最後の力を振り絞っておつき合いをいただきたいと思います。 今回、この委員会の恐らく採決というふうなことになろうと思いますが、大変な時間を費やしてきたわけでありますが、本当にまさに歴史的な第一歩というふうになろうかと実は考えております。今回の地方分権改革というのは、言うまでもないことでありますが、二十一世紀を目前に控えて、これからは新しい地方分権型の行政システムに変えていこうというふうなものであります。 これまでの行政システムというものも、第二次大戦後の復興とか、その後のキャッチアップといいますか、その過程において大きな効果を発揮をしてきたというふうなことも確かであります。しかしながら、この中央集中管理システムとでもいうのですか、これにおいてはやはり全国的な統一性とか公平性といったものを余りに重視をし過ぎたのではないか。結果として、地域の活力とかあるいは個性とか文化というものが失われてきたのではないかというふうな弊害も指摘をされております。 実は、私も県会議員を四期やらせていただきましたけれども、考えてみますと、その間、ひたすら国から予算をちょうだいをするということに終始をしてきたような感も実はあるわけでありまして、ともかく地方に元気がない。確かに諸外国と比べても遜色のない地方自治制度というものを我々は持っておったわけでありますが、実は中央集中というふうなことでなかなかその中身がなかったのではないか、そんな思いが実はいたしております。 しかし、これからは、まさに激動する諸情勢の中、あるいはまた成熟化をしつつある住民意識等々からも、やはり今後は大きな変革というふうなものが求められておるというふうに感じております。やはり、まずは国と地方公共団体の役割分担というものを明確にして、国は、外交、防衛あるいは全国的な視点に立って行わなければいけない施策、事業、この実施、いわゆる本来国が果たすべき役割を重点的に担っていくというふうなことであろうと思っております。 同時に地方は、憲法で保障された地方自治の本旨に基づいて、住民の声を生かしながら、地域の行政を総合的に担うということが期待をされております。まさに住民の自己決定権とでもいうのですか、そうしたものが期待をされておりまして、今回の地方分権一括法案というのは、まさにそのような地方分権への確実な第一歩を進めようとするものであるというふうに理解をいたしておるわけであります。 先ほど申し上げましたように、これまでさまざまな議論が実はございました。そうしたいろいろな審議を踏まえて、若干何点か浮き彫りになってきた問題点というのがあるわけでありますが、そうしたことに絞って質問をさせていただきたいと思います。 最初に、法定受託事務の定義についてであります。 この法定受託事務の定義というのは、地方分権推進委員会の勧告における定義、あるいは地方分権推進計画における定義、そして今回の法案の定義とが異なっておるわけでありますが、これに関して、当委員会において種々の議論が実はなされました。 主な論点というのは二つであります。一つは、勧告にあった「国民の利便性又は事務処理の効率性の観点」という文言が法案の定義からなくなっておるということについて、地方公共団体が国の本来果たすべき役割にかかわる事務を行う理由を示すという意味において必要なのではないかというふうな指摘がございました。 もう一つは、法案の定義では「国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして」という文言が加えられましたけれども、これによって法定受託事務に対する国の関与を強めようとする意図があるのではないかというふうな指摘も実はございました。 そして、こうした指摘に対して、答弁としては、勧告の定義と法案の定義とでは内容において同じだと。ただし、勧告の定義というのは、地方分権推進委員会において現行の機関委任事務を整理をする際の定義であったのに対して、法案の定義というのは、地方自治法という地方公共団体が処理する事務の性質を規定をする場合の定義である、文言の違いはそれによるものだというふうな説明がありました。また、関与についても、別途、必要最小限にするというふうなことが定められておりまして、今回の定義の変更によって国の関与が強まるものではないとの答弁が実はございました。私としては十分了解をでき得るものでありますが、そうでないというふうな御指摘も実はございました。 そこで、改めて自治大臣の方から、今回の法案の法定受託事務の定義において「国民の利便性又は事務処理の効率性の観点から、」というふうな文言がなくなっておる理由及び「国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして」という文言が加えられた理由と、それによって関与が強まるのではないかという点について、若干複雑な話でありますので、わかりやすく御説明をいただきたいと思います。
○野田(毅)国務大臣 「国民の利便性又は事務処理の効率性の観点」というこの文言は、地方分権推進委員会が、既存の機関委任事務が廃止されて整理をされる過程におきまして、それを国の事務とするか地方公共団体の事務にするか、その振り分け作業を行う際には大変必要な基準であったわけであります。 その上で、地方公共団体が処理するということが決まった。そういう地方団体の事務であるということになりまして、その上で、一定の性質を有する事務を法定受託事務として、その他の自治事務とどう区分するかということに移ったわけであります。そういう際に、今御指摘のありました「国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして」という文言が加えられたという経緯があります。 そういう点で、国、地方の事務の振り分け基準としての「国民の利便性又は事務処理の効率性」という文言は、あえて必要はなくなったのではないかということで、今回の定義からは外れた、規定しなかったということでございます。 一方で、「国においてその適正な処理を特に確保する必要があるもの」という形をとりましたのは、法定受託事務がその適正な処理を確保することについて、国としては、自治事務と比べてより高い責任と関心を有するという性格を文言上より明確に表現しようということであったわけでございます。したがって、この定義によりまして法定受託事務に対する国の関与の仕方が変わるというようなことではありません。 さらに、今回の地方自治法の改正において、関与については法律または政令の根拠がなければならないという法定主義や、関与は必要最小限でなければならないという基本原則を別途法文上規定をいたしたところでもあります。 したがって、今後、個別の関与を法律に規定する場合においては、これらがその立法規範として機能することが期待をされるわけでありますから、法定受託事務の定義の文言の変更をもって国の関与が強くなるという批判は当たらないのではないかというふうに考えております。
○山口(俊)委員 以前の御答弁よりわかりやすく拝聴させていただきました。了解できるところでありますが、ただ、当初の地方分権に関するいろいろな勧告の中で、予測記事がどんどん出た。そうした中で、法定受託事務というのは本当に数少ないんじゃないかというふうな一つの観測も流れておったわけであります。結果として、これも大変な前進であろうと思いますが、法定受託事務の数が相当残ったというふうなことも、若干そうした感想もあるわけでありますので、やはり今後とも、いろいろな社会情勢の変化に応じて見直しもお考えをいただきたいと思うわけであります。 次に、国の関与に関連をして質問をさせていただきます。 今回の改正の大きな柱というのは、国と地方公共団体との新しい関係、関与のルールを確立することだというふうに理解をいたしております。 すなわち、関与につきましては、法律またはこれに基づく政令の根拠を要すべきというふうな法定主義の原則を設けた。また、関与は必要最小限であるべきこと、地方公共団体の自主性、自立性に配慮すべきこと等の関与の基本原則を定めた。また、関与を行う場合、書面によるべき、あるいは許認可等の標準処理期間を定めて公表すべき等の手続のルールを整えた。また、国の関与に地方公共団体が不服がある場合には、地方公共団体が、新たに設けられる国地方係争処理委員会への審査の申し出、さらには訴訟の提起ができるというふうな係争処理制度を設けたわけでありまして、まさに今まで御批判のあった裁量行政から法定主義へというふうなことも言えるわけであります。 その上で、百三十八本の個々の法律について関与の縮減、廃止というのを行っておるわけであります。これらの改正というのは、地方公共団体の自主性、自立性を高めて、国と地方公共団体との関係を対等、協力的な透明性の高い関係にしていく上で、極めて重要な改正であると考えております。 このように、今回の改正というのは、まさに新たなルールをつくるというふうなことと同時に、国の関与を大幅に縮減をするものであると考えるわけでありますが、これまでの審議を通じて、今回の改正によって逆に自治事務に対する関与を強めておるのではないか、特に自治事務に対する是正の要求について、是正改善義務を課すのは適切でないというふうな指摘も委員会であったわけであります。 私は、地方自治というのは憲法で保障をされた原則であるというふうに考えております。ただ同時に、国会は国権の最高機関であって、政府と地方公共団体はともに行政を担う主体であると考えております。自治事務については、地方公共団体の自主性を特に尊重すべきであるというふうには考えますが、地方公共団体の事務処理が国権の最高機関である国会の定めた法律に違反をしておるような場合あるいはこれに準ずるような場合においては、やはり政府において地方公共団体に是正を求めるというふうなことも、相互いということで必要なのではないかというふうに考えております。 また、今回の法案では、その適正を確保するために、新たに国地方係争処理委員会を設ける等々で、最終的には、法律に反しておるかどうか司法の判断にゆだねるというふうなことになっております。まさに地方自治の本旨にのっとった、あるいは配慮した内容になっておるというふうに考えております。 自治事務に対する是正の要求の規定を設ける趣旨につきまして、改めて、自治大臣、御所見をお伺いいたします。
○野田(毅)国務大臣 自治事務は、御指摘のとおり、地方公共団体が地域の特性に応じて自主性を持って事務を処理することができるように特に配慮すべき事務であると考えます。そういう意味で、地方公共団体の自己決定、自己責任が強く求められるものであると思います。 しかし、自治事務といえども、その処理が法令の規定に違反し、または著しく適正な執行を欠き、かつ明らかに公益を害していると認められるような事態において、こういう場合は、本来、その地方公共団体みずからの機関あるいは住民の手によって自主的に改善されるべきものであるというふうに考えますが、残念ながらそのような形での是正がなされないで、結果的に、そういうような状態を放置することによって、自治体の行財政の運営が混乱をして、あるいは停滞をして、著しい支障が発生したりというような場合には、国としてはやはり放置をするわけにいかない。そこで、国が何らかの形で関与して、適正な行財政運営を維持するための実効性のある措置を講ずる必要があるわけでございます。これは、改正前においても同趣旨の規定があったことは御案内のとおりでございます。 是正の要求というのはこういうような意味で設けられた規定であるわけですが、やはり自治事務に対する関与であるということを考慮して、第一に、是正改善の具体的措置内容については、地方公共団体の裁量にゆだねるなど必要最小限のものとするということと、いま一つは、是正の要求に不服がある地方公共団体は係争処理手続で争うことができるということにして、その適否について第三者の客観的な判断を仰ぐことができるということにいたしたところであります。
○山口(俊)委員 本来、国と地方というのは、対立すべきあるいは対立しておるものではないというふうに実は私は考えておりまして、特に地方議会の経験からしてそう思うわけでありますが、どうも往々にして、戦後の一部のイデオロギーの影響というのですか、国と地方というのは対立をしたものである、あるいは権力と民衆というのは相反するものだというふうなことが若干あってこういうふうな考え方というものも出てくるのではないかと思うわけでありますが、いずれにしても、本来対立するものではないというふうな中で、最小限のセーフティーネットというふうなことで十分理解をできるものでありますので、了解をするものであります。 あと、実はこれはいろいろと公聴会でも出てまいった話でありますが、地方財政の話であります。 今回の地方分権一括法案というのは、地方公共団体の自主性、自立性を高める意味では確かに画期的な内容でありますが、一方においては、国と地方の税財源の問題をどうするか、地方公共団体の財政基盤をどのようにしていくかというふうな点については、残念ながら、今後の課題というふうに残されてしまったのではないかと思います。 地方公聴会でも盛んにこのお話が出ておったわけでありますが、地方分権の実を上げて、今後の本格的な高齢社会に対応していくためには、地方が安定的な財源を確保するということがぜひとも必要であろうと思っております。そのためには、地方税制度の充実を図ることも必要であろうと思います。しかしながら、税源にはどうしても地域的な偏在というものがあるのも事実であります。 一方、地方はこれまで、教育とか人材育成等を通じて多くの人材を養成して、東京を初め都市部に送り出していったというふうなことがありました。ところが、せっかく育てた人材が税金を払うのは都市部ですよというふうなこともあるわけでありまして、また、高齢者を初めとする福祉を担いつつあるというのも事実であります。今後、地方分権を進めるに当たって地方の自立が求められるというふうなことでありますが、そうした地方の努力が報われるような財政面でのセーフティーネットというのがぜひとも必要であろうと考えております。 今後の地方財政調整制度のあり方について、これはぜひとも総理の方からお話をいただきたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 委員御指摘のように、地方財源を安定的に確保することはまことに重要な点でございます。そういう意味で地方交付税というものがございまして、地方税とともに地方税財源配分の一環をなす制度であります。地域間の税源が偏在している状況を踏まえ、地方団体間の財政格差を調整するとともに、各地方団体がその役割分担に応じた責務を果たすことのできるよう、財源を保障するための制度でございます。 今後とも、地方分権推進計画に沿いまして、国と地方の役割分担を踏まえ、国庫補助負担金の積極的な整理合理化や事務、権限の移譲などを推進し、地方税財源の充実確保の推進を図るべきものと考えておりますが、各地域の自立を進め、分権型社会を支えていくためには、地方交付税の財政調整機能は極めて重要であると考えております。引き続き、その所要額の安定的な確保に努めてまいらなければならない、このように考えております。
○山口(俊)委員 ありがとうございました。十分御配慮のほどをお願いいたしたいと思います。 それと、地方行革についてでありますが、御承知のとおり、国、地方とも大変厳しい財政状況にあるわけでありまして、また、民間においても、これまた厳しいリストラが行われております。国のみならず地方公共団体においても行政改革を進めるというふうなことが、国民の皆さん方の御理解を得るのには必要不可欠であろうと思っております。 ただ、地方行革を進めていくに当たって、住民にしわ寄せが行くようなことがあってはならないというふうに思っております。つまり、これまでの傾向としては、どちらかというと、若干手間がかかる、面倒だという部分を地方に押しつけがちだというふうな声も、これまた地方の方からあるわけでありまして、地方行革を進めていく上で、さらなる押し売り的になってはならないというふうに実は考えております。 住民の意向とか意見というのを十分に踏まえて地方行革を行っていくべきであろうと思っておりますが、自治大臣、いかがでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、国、地方を通じて行政の簡素化、効率化を図っていくということは極めて大事なことでございまして、そういう点で、地方公共団体がこういう新しい時代の要請にこたえながら住民のニーズに的確に対応していただく、そのためには、地方公共団体が自覚を持って徹底した行政改革にみずから取り組んでいただくということが不可欠でございます。 自治省としては、既に平成九年の十一月に地方行革の指針というものを策定いたしまして、定員管理の数値目標の設定などの取り組み内容の充実を図りますとともに、これらの内容を広く住民にわかりやすい形で公表しながら、積極的な行革に取り組んでいただくよう要請をしてきておるところでございます。 今御指摘ありましたように、地方がみずからの行革を進めていく上で、住民の理解と協力を得ることは極めて重要な視点であるということでありまして、そういう観点から、住民の意見を十分把握して、これを適切に反映させるように促しておるところでございます。
○山口(俊)委員 ありがとうございました。やはり基本は地方が自覚を持って進めていくというふうなことであろうと思いますので、善処方をお願いいたしておきたいと思います。 同時に、実はさきの質問でも、大臣の方に住民投票のあり方の質問もさせていただきました。これは要望としてお願いでありますが、やはり早急に検討をしていただく必要があるのではないか。先般の大臣の御答弁でも、相当各方面に反響を呼んでおるようでもありますので、お願いをいたしておきたいと思います。 いよいよ時間もありませんので、最後に総理にお伺いをいたしたいわけであります。 地方にとって地方分権の推進というテーマは、例えば行革の一環であるとかそうしたものではなくて、やはりそれ自体達成すべきものというふうなことで、実は長らく、これを確立しようというふうなことで考えられてきたものでありました。国民の皆さんが真の豊かさを実感できるような社会にしていくためには、住民に身近な行政というのはできる限り地方公共団体に任せていく、住民の声を生かした多様な行政を可能にしていくことが求められておると思っております。 そして、先月来、さまざまな議論が連日この委員会において繰り広げられてまいりました。総理にもその都度御答弁をいただいてまいったわけでありますが、いよいよ採決を目の前になさって、今後の地方分権の推進について、総理の決意を改めてお伺いいたしておきたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 地方分権は、明治以来形成されてまいりました、国、都道府県、市町村という縦の関係である中央集権型行政システムを変革し、対等、協力の横の関係を構築するものであります。このことは地方公共団体が長年要望してきたものであり、本法案の提出に当たりましては、地方六団体からも評価をいただいているところであります。 地方分権は今や実行の段階を迎えていると認識いたしており、地方公共団体の期待の大きい本法案を今国会においてぜひとも成立させていただき、地方分権を具体的な形で進めてまいりたいと思います。 今後とも、地方分権の一層の推進に向けて、地方分権推進計画等を踏まえた、国から地方への事務、権限の移譲や地方税財源の充実確保に積極的に取り組んでまいりたいと思いますが、これが成立をした暁におきましては、ぜひ地方も、地方みずから立つという精神を持ちまして、その存在を明らかにし、住民のための行政が行われることを強く期待し、国と地方との関係も、冒頭申し上げましたように横の関係、協力の関係を持って、ともどもに国の発展に寄与していただきたい、このように念願しておる次第でございます。
○山口(俊)委員 ありがとうございました。その御決意でぜひともお願いをいたしたいと思います。 最後に申し上げたいのですが、実は、物事というのはオール・オア・ナッシングというのでは一歩も前進をしないのじゃないか。公聴会でもお話がございました。小さな一歩でもまず進めること。今回いろいろ御指摘が出た問題点には、実は私自身もうなずける部分がございます。地方財源の話だとかあるいは地方議会の定数の問題等々いろいろあるわけでありますが、今後の課題であろう。 不磨の大典というのは実は蜃気楼ではないか、憲法と同じくおかしいところがあればどんどん直していくということが必要ではないか。同時に、いつか聞いた言葉でありますが、過ちを改むるにはばかることなかれというのがいつかございましたけれども、そうした気持ちで我々取り組んでいかなければいけないのではないか。そして、国会があくまで責任を負っていくのだというふうなことであろうと思います。 今後の御精進を期待させていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、岩國哲人君の質疑に入ります。
○岩國委員 おはようございます。 まず最初に、総理に。 今度サミット会議でブレア英国首相ともお会いになるだろうと思いますが、最近英国が進めております地方分権、世界先進国の中で、今、各国会、政府が一生懸命地方分権に取り組んでいる、それは数多くありますけれども、とりわけ新聞等で報道されておりますのは英国の地方分権。サッチャー時代にあの大きなロンドン市の解体を行って、二万人いた職員がわずか二百五十人に減る、もちろんこれは消防とか警察を除いての話でありますけれども、しかし、これも思い切った改革の一つだったと思います。 サッチャー政権から政権交代をした労働党のブレア首相のもとで、今度は、御承知のように、スコットランド、ウェールズに大幅な自治権を与える。これは我が国の地方分権という範囲をはるかに超えた、まさに独立をさせるような勢いの地方分権であると私は理解しておりますけれども、こうした英国の地方分権を総理としてどのように評価しておられるか、まずその御所見をお伺いしたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 すべて、学ぶべきことがあれば学んでいかなければならないという姿勢で私自身対処いたしているつもりでございますが、今御指摘の、イギリスにおける地方分権のあり方ということにつきましてお話がございました。 まだ十分な検討、勉強、理解をしているとは思いませんが、イギリスはイギリスなりに、それぞれ地域の状況に対する関係というものは非常に難しいものがありまして、今はアイルランドになっておりますが、北アイルランドも含めまして、スコットランド、ウェールズ、イングランド、これらの地域の関係というものは歴史的にも非常に難しい関係がありまして、そういった意味で、大ブリテンの考え方の中で、幾つかの戦争も経験してきたわけでございますが、それぞれに自治権を与えていこうというのも一つの方向ではないかというふうに考えております。またロンドンの、大ロンドン市の構想も、サッチャー時代と変わりまして、ブレアさんは新しい考え方も示されておるように理解しております。 いずれにいたしましても、学ぶべき点があるとすれば学ばなければならないかと思いますので、機会がありましたらブレアさんともこうした問題についても話し合えれば幸いだと願っております。
○岩國委員 ぜひそういったサミット会議では各国首脳と意見交換を進められまして、こうした先進国の地方分権のいい点はぜひとも我が国に取り入れ、今後の地方分権の実現に大いに活用していただきたい、そのことを念願しておきたいと思います。 ただ、こうしたイギリスの地方分権というのが大きく華々しく報道されておりますけれども、地方分権あるいは分権改革というのは、単なる制度改革やあるいは行政システムの再編だけを意味するものではなく、実際にそれぞれの住民が税金の使い方やあるいは行政サービスのあり方について考え、実行しあるいは責任をとる、いわば脳死状態から解放し、自己責任の社会、先ほど山口委員への答弁でお答えになりました自立の精神、これが私は一番必要ではないかと思うわけであります。 そうした点から、先ほどの中央公聴会あるいは地方公聴会においてそれぞれの権威、専門の方から我々も意見を拝聴いたしました。その中で、三重県の北川知事は津の地方公聴会において、国もいろいろと失敗を重ねてきたことだと思いますけれども、地方にも失敗する権利そして最善を尽くす責任を与えることが地方分権ではないか、こういう表現をしておられます。私は、各地方それぞれの視点と目線で、これから地方住民の考えで改革していく権利、これが地方分権であろうと思います。 先ほど明治維新以来という表現をお使いになりましたけれども、また別のところでは、第一の改革、第二の改革、そして今度は第三の改革に相当するという御説明を承ったこともあります。この百年分の、百年の大計の地方分権を、省庁再編の審議もここでは行われましたから、地方分権の審議だけに限定いたしますと、実質審議正味約五日間ぐらい。この百年分の大計を分権だけで五日間の審議で衆議院の審議がきょうで終わるということになりますと、一日で約二十年分。二十年といえば一週間単位に直しますと千週であります。我々が一日千秋の思いで待った地方分権が一日千週のスピードで審議が終わる。こういうことで本当に審議が尽くされたと言えるのかどうか。 この一日千秋の思いの一日千週のスピードについて、総理の所見として、十分な審議がこの衆議院で行われたかどうか、御意見を簡潔にお聞かせいただきたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 今般は、提出いたした法案を御審議いただくということで集中的に濃密な御審議がされたと思っておりますが、地方制度のあり方そのものは、国会におきましても、地方行政委員会という委員会も設置されまして、長年にわたりまして専門家の先生方を中心にいたしまして地方のあり方というものについて検討されてきた結果の、ある意味では集約的なものがここにあらわれてきておるのだろうと思っておりますので、今般の提出された法案の審議の時間だけの問題でなくして、やはり明治以来の長年のシステムを変えなければならないという、中央、地方、国民の皆さんの考え方を集約した形で実はこの法案を提出させていただいておるわけでございますので、提出された法案につきましては、私すべての審議に参画をいたしておりませんけれども、私は、濃密な、しかも過去から現在に至り、また将来を見据えた意味での法律の御審議に十分御討議をいただいてきたというふうに考えておるわけでございます。 その成果については、ぜひ法律制定後におきましては、それぞれの地域の皆さんもやや中央集権的行政のあり方について、そこになじんでおったということもなきにしもあらずでございますから、今回の法律を機に、先ほど申し上げましたが、地方におきましてもみずから立ってみずからの力でその地域の発展を願うということの大きな転機になっていただければありがたい、こう念願しておるところでございます。
○岩國委員 当然のことながら、担当の官僚あるいは役所、それから国会の中でもいろいろな準備や議論が得られている、今国会だけが初めて地方分権を取り上げたわけではないということは私もよく承知しております。 さはさりながら、公述人として意見を述べられた専門家の中にも、法律に全部目を通すことはできなかった、こうはっきりとおっしゃっているわけです。また、この委員会として公述人として出席をお願いしたそれぞれの方に、全部の法律に目を通していただいたでしょうか、こんなことは聞く必要もないことであります、今まではそれは当然のことでした。しかし、今回だけは、私ははっきり申し上げて、この法律全部に目を通された方が全部公述人として登場されたとは思えないわけであります。 これが、法案審議がいかに集中的に、短い期間にしか行われておらないかということを物語っておるのではないでしょうか。ほかの法案審議において、法案に目を通さない公述人が登場されたことは今まであったでしょうか。これがその一例を物語っていると思います。 次に、地方分権と小選挙区選挙制度の関連について総理にお伺いしたいと思います。 地方分権は、自治体の体質強化そして合理化、それは当然市町村合併をこれから多く伴うと思います。本委員会においても、市町村合併が三百とか五百とか、あるいは当面一千であるとか、ということは、今までよりも平均して自治体の規模が三倍、四倍、五倍、十倍になっていくということであります。現在の自治体の規模においてさえも、基礎自治体と言われる規模よりも小さな衆議院選挙のための小選挙区が存在しておる。これがさらに市町村合併が進めば、当然のことながら、その基礎自治体の一つの自治体のトータルな民意さえも代表できない衆議院議員がどんどんこれからふえていくということになるわけです。 こうした衆議院の選挙制度のあり方、そして、地方分権の大きな流れが大きな自治体をつくっていく。大きな自治体、小さな選挙区。この矛盾が、ますます格差が広がっていくことになると思いますが、この点について総理の御所見をお伺いしたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 そもそもを申し上げれば、国会議員とは何ぞやということになるんだろうと思います。国政全般にわたりますから、広く言えば、日本全国から選ばれる者が国会議員だということでいえば、全国一律、比例で選ばれることも一つの考え方だろうと思いますし、しかし同時にまた、日本の国、それぞれの地域地域を代表するという意味合いも含めますれば、それぞれの地域を代表する意味で、今、小選挙区で申し上げれば、三百に地域を割って大体日本国民四十万程度、こういうことになるわけであります。 しかし、この制度の問題、前回、小選挙区制度を取り入れる過程でもいろいろ御論議がありましたけれども、東京の世田谷区、こういうふうなことで、一自治体、地区が、その人口をかなりオーバーすることによりまして、その地域を一人の方で選び得ないという形の中で分区が行われるというようなケースもございまして、なかなかこの問題についての結論を得ることは難しゅうございます。 双方の意味、すなわち国全体をカバーして考える国会議員としての任務と、地域を代表する意味ということを考えれば、やはりある一地区を限定して選ばれるという形のことが望ましいとは思いまするけれども、これは選挙制度の問題でございますので、なかなか難しい判断になるとは思います。委員御指摘のように、一つの自治体、地区を代表し得るような選挙民の平均的な数というものについて、一律にこれを判断することは難しゅうございますけれども、できる限りそうした方向に持っていくべきものではないかと私は考えておるところでございます。
○岩國委員 確かに、選挙制度というのはいろいろな議論があって大変難しい問題でありますけれども、ただいまの総理の答弁、大変難しくて、非常に理解しにくい点が多々ございました。 ただ、私は、素朴な一般有権者の目から見て、小さな選挙区で、自分たちの市の市会議員や区会議員よりも小さな選挙区で国政を論ずる国会議員が選ばれるということについて何かおかしいと思っている素朴な有権者の常識というものを尊重しなければならないのではないかと思います。 そういうおかしさがどんどんこれからまたさらに広がっていくわけですから、市会議員選挙、区会議員選挙よりも小さな選挙区で選ばれた人が日本の将来を論じ、あるいは外交問題を議論し、それでいいだろうかという素朴な一般有権者の見方というものを私たちはどうとらえていくのか。 そういった点からも、今の選挙制度の小選挙区をもっと大きな選挙区にするのか、あるいは、市町村合併をストップして、これ以上市町村の規模が大きくならないようにするのか、あるいは第三の道があるのか、そういったことを真剣に、この地方分権に絡んでもこの小選挙区制度のあり方というものが問われてくる、私はそのように認識しております。 次の質問に移らせていただきます。 今、選挙制度についてお伺いしましたけれども、こうした地方の民主化、行政の改革あるいは住民本位の政治、すべてこれは選挙のあり方について絡んでくるわけでありますから、地方分権も行政改革も選挙のあり方とは無関係で議論が進むとは思いません。 そこで、今の選挙の中の定数格差の問題について、私は再三取り上げさせていただきました。私もかつてニューヨークから、日本を、ふるさとの島根県を見ながら、東京と地方の格差の激しさというものを見たときに、その格差を埋めるためには、単純な人口比例だけではなくて、ある程度面積比例も必要ではないか。例えば、島根県は七十五万人で東京の三倍の広さ。これは、三倍の広さを持っているから豊かじゃないかという見方も一つあるかもしれませんけれども、逆に言えば、三倍の大きさの国土を七十何万人の人間がお世話するというこの負担の大きさということを考えた場合に、しかも、同じような所得水準の人が七十五万ではなく、七掛けの所得しか持っていない人が三倍の大きさの面積の国土をお世話する。もちろん、自分たちのお金だけでお世話しておるわけではありませんけれども、そうした格差を埋めるためには、面積を五割、人口を五割、極端な話ですけれども、人口と面積をそれぞれに勘案した定数というものが一つのやり方ではないかという意見を私は二十年前には持っておりました。 しかし、時代は変わりました。この地方分権を本当にこれから進めていこうということになれば、これは県が大きかろうと小さかろうと、そうした県のインフラ整備をするという仕事は限りなく知事や市町村長や地方議会の議員の手にゆだねなければならない、それが我々がここで議論していることであります。ということは、国会議員は要らないとまでは言いません、しかし、そういう国会議員の数でもって東京と島根県の格差を埋めようという時代は終わりつつあるし、また終わらせなければならないというのがこの地方分権ではないかと私は思うわけです。 そこで、お伺いいたしますけれども、天は人の上に人をつくらず、人の下に人をつくらず、政治の根底というのは、民主主義、人間平等主義、人権差別のない国を目指すことだと私は思います。そうした大胆な一歩を今こそ我々の手で実現する、第三の改革を唱えている今こそその大胆な一歩を踏み出すべきではないかと思います。 この地方分権法案の中を見ますと、残念ながら、財源を渡すという項目はほとんど影を見せておらないわけです。これはそれぞれの各委員が指摘されたとおりであります。財源を渡さない、しかし地方には票だけを渡す。金が欲しければ票を出せと皆さんがおっしゃっているわけではありませんけれども、先ほど山口委員の御発言の中にもありました、地方の議員やあるいは知事、市長の役割というのは、どれだけたくさん補助金を国からいただいてくるか。私もその中の一人でありました。 そのような政治のゆがみの構図というものを改革することなく、それがそっくり温存されて二十一世紀へ引き継がれていく。私は、今のこの地方分権の本当のあり方というのは、私も賛成してまいりましたし、何とか前進してもらいたいと思いますけれども、これは中身のない、二十一世紀を目指す地方分権ではなくて、十七世紀を目指しておるんではないかと思うわけです。 仕事だけをさせて金を渡さない、依然として中央が金で地方をコントロールしていく、こういう構図がそのまま残されている。それを断ち切るためにも、私は、国会議員の定数のあり方、これも並行して進めていかなければならないと思います。 地方には金がない、金のかわりに地方には票がある、金が欲しければ票を持ってこい、これは皆さんがおっしゃったわけではありませんけれども、一部の政治家はそれをはっきりと口に出しておっしゃいました。これはまさに地方分権の精神と逆行するものであります。こうした点について総理の御所感をお願いいたします。
○小渕内閣総理大臣 お尋ねの中心は、税財源の移譲の問題も大きなお尋ねの点だろうと思いますが、地方分権の進展に応じて地方公共団体がより自立的な行財政運営を行えるようにするためには、地方公共団体の財政基盤を充実強化していくことが極めて重要でございます。 地方分権推進計画におきまして、「国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保を図る。」こととされておるところでございます。 今後、地方分権推進計画を踏まえ、地方分権の推進と地方税の充実確保という検討課題について、政府及び与党の税制調査会において幅広い見地から御検討いただき、地方税源の充実確保に向けて政府としての対応を検討してまいる所存でございます。 そういった意味で、地方の財源につきまして、交付税の形あるいは地方税の形、いろいろな形で、地方が財源としてもしっかりとした基盤にのっとって行政が行えるようなシステムをつくっていかなきゃならぬということだろうと思います。 ただ、それぞれの地域地域で、自主財源ということで、自分の財源だけでこれを運営するということになりますと、日本全国、非常に格差があるわけでございまして、そういった点で交付税の制度もそれなりに大きな役割を果たしておるということだろうと思っております。 委員は、その交付税の制度、また国費が地方に回ります過程におきましてのいろいろな問題点についての御指摘がございましたが、原則として、そうした形で日本全体が平均的に、それぞれ格差のない地域として発展のできるようなシステムとしてこれが長年にわたって実行されてきたわけでありまして、そのよき点は十分残していかなければならないのではないかという感じがいたしております。 それから、お尋ねはありませんでしたが、国会議員の定数の問題についてもお触れになられました。 私も、かつて先輩から、国家とは何ぞや、国家は国民と国土で成り立つわけでありますので、そういった意味で、人口完全比率の国会議員の数というものについてはいかがという話を昔随分いただきました。 今御指摘のように、国土面積をどう考えるかというような問題もあろうかと思いますが、委員も十分御承知のところですが、アメリカにおいて、下院が完全な人口比例で四百三十五の議席を持ち、同時にまた、連邦制度でございますからですが、五十の州においては、その面積、人口にかかわらず、二名の上院議員を持つということでありまして、二院制度のそうした意味でのよさといいますか、そうしたことをいたしておるわけでございまして、単に日本におきましても、衆議院の議席、参議院の議席、こういうものも現下最高裁判所でいろいろ争われておりますけれども、全体のこうした問題についてどう考えるかということも大きな問題でなかろうかという認識は、かねて来私自身はいたしていたところでございます。
○岩國委員 大変御丁寧な御答弁をいただきました。 ただ、アメリカの例を引用されましたけれども、アメリカは、上院は確かに定数格差は非常に大きいものがあります。日本にも参議院においても定数格差はありますけれども、しかし、下院はほとんど完全に定数格差はゼロ、それから行政の長を選ぶ大統領選挙は完全に定数格差はゼロ、つまり、行政のトップは平等な一票によって選ばれているわけです。 その点、日本は、行政の長を選ぶ仕組みも、参議院も、その上衆議院も、どこ一つ見ても平等な一票で行われている選挙がないということを申し上げたかったわけでありますので、ぜひともこういったことはこれからの選挙制度の議論の中に一日も早く反映されるように要望して、次の質問に移らせていただきます。 官房長官、そろそろ御退席の前というふうに伺っておりますので、三つ質問させていただきます。 一つは、三〇%のコスト削減、これについては、どういう分野で、具体的にもう少しイメージがわくように。行政コストを十年間に三〇%、これは大変大切な目標であり、そしてある意味では政府として、我々国会として、この法案に賛成する以上、国民に対して公約するのと同じぐらいの重みがあると思います。 この行政コスト三〇%削減というのは、どういう分野で、一例か二例を挙げていただいて、そして、十年後に三〇%という場合には、五年後にはどの辺までいっておるのか。つまり、毎年毎年三%なのか、これからの五年間に大きく大胆に切り込んでいくのか、その点について官房長官の御意見をお願いいたします。
○野中国務大臣 行政コストの削減についてのお尋ねでございますが、総理が行政の生産性の向上に全省庁挙げて取り組むことの政策イニシアチブとして掲げられたものでございまして、去る四月の二十七日、行政コスト削減に関する取組方針を閣議決定をいたしたところでございます。 この取組方針におきましては、行政の減量化と行政の効率化という両輪によりまして、行政コスト削減のための不断の努力を行っていく必要があるといたしまして、当面、行政の減量化につきましては中央省庁等の改革の推進により、行政の効率化については今回の方針で挙げられました取り組みを中心といたしまして、全力を挙げて取り組むこととしたところでございます。 また、この方針におきましては、一つには中央省庁が所掌する行政は、おのおの行政目的や手法を異にいたしておりまして、その効率化のための手法もさまざまでありますことや、また、行政コストについては、単に人件費や事務費といった行政経費としてとらえることよりも、むしろ、広く行政全体の生産性向上に資するような概念をもちましてこれを考えていくことが適切であると考えておるところでございまして、各省庁が所掌する行政分野ごとに、時間、人員、経費等のさまざまな指標によりまして計測される行政コストを、平成十一年度から十年間に三〇%削減することを目標としておるわけでございます。 各省庁におきましては、今後この方針に従いまして、行政コスト削減に積極かつ計画的に取り組むことによりまして、その進捗状況をそれぞれ見きわめつつ、二〇〇一年の中央省庁再編による新たな体制の中で、改めてどのように削減できるかを再点検するなど、行政コスト全体についての見直しを常時図りながら、この目標達成をできるように最大限努力をしてまいりたいと考えておるわけでございます。 委員から若干の具体的なものを示すようにというお話でございましたが、例えば、行政コスト削減につきまして、既に公共事業におきましては、このプロセス全体を総点検いたしまして改善をすることによりまして生産性向上等を図り、過去二年間で五・七%のコスト縮減の成果を既に上げておるところでございます。この取り組みは、同様の指標によりまして、初めて、公共工事だけでなく、中央省庁が所掌いたします行政分野全体を対象としてコスト削減を行うものでございます。 また、例えますと、年金等の支払いに係ります通知書類の発行回数の削減を行うことにいたしまして、定型的な業務の合理化、効率化を図っていく、また、単発契約から年間契約に変えるなどの契約方式の改善等による広報単価の削減、あるいは、官庁会計事務データ通信システムの各会計官署への導入を進めまして、中央集中処理を行うこと等によります会計事務の合理化、また、内部事務の過半についてペーパーレス化を実現する等情報化の一層の推進によりまして各種行政事務の合理化、効率化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。既にその準備をやっておるところもあるわけでございます。 一応、ごく概要の例をお示しいたしました。
○岩國委員 いろいろな努力はこれからなされる、検討がなされるということであって、言いかえれば、そうした三〇%削減という目標を可能ならしめるシミュレーションとか試算というのは余り行われていないような印象を受けますが、例えば、その三〇%削減の中に、行政公務員の人件費、つまり人員削減に伴う人件費の削減がどの程度見込まれておるのか、もう一つは、市町村合併のプラス効果がどの程度見込まれておるのか。そういったような作業が既に行われたか、全く行われていないのか、その点だけをひとつお伺いしたいと思います。 同時に、何度もお出かけいただいては恐縮ですから、あわせて公務員倫理法の問題。 五月三十一日に記者会見でもこの必要を強調しておられますけれども、これからの行政改革、地方分権というときに一番必要なのは、どれだけきれいな、さわやかな行政を地方の公務員がきちっとやってくれるかどうか、そういう一つの大きな踊り場に立っているだけに、私は、地方公務員を含めた公務員倫理法の早急な実現が必要だと思います。この点についてもお答えいただきたいと思います。
○野中国務大臣 それぞれ具体的な経費の削減につきましては、ただいまいろいろ申し上げました上におきまして、なお、先ほど公共事業等に触れましたけれども、例えばことしの、十一年度の予算におきまして九兆四千億の公共事業になっておるわけでございますけれども、三年間で少なくとも一〇%以上のコスト縮減を行うように取り組んでおるところでございます。 あるいは、厚生年金や基礎年金の支払い通知について先ほど申し上げましたけれども、平成元年から十年までの十年間に、受給権者増によりまして、四十八億円から百億円と受給権者に対する通知が倍増しておるわけでございます。仮にこれを、先ほど申し上げましたように、発行回数を年六回から一回にしますと、通知にかかる行政コストは八十億円縮減をされるわけでございます。これとあわせてそれぞれ人件費も縮減をされるわけでございます。このように具体的に今私どもとしては既に取り組んでおるところでございますし、広報に対する経費のあり方等につきましてもそれぞれ具体的な取り組みをいたす、あるいは広報印刷業務等につきましても具体的な取り組みをして、削減に努める目標を出しておるところでございます。 こういうものを通じまして、公務員の数についても、当初申し上げましたように、二五%の目標が達成できますように、組織の改善を含めて取り組んでまいらなくてはならないと考えておるところでございます。 さて、公務員倫理の確立についてお話がございましたが、公務員の倫理につきましては、さきに公務員倫理法を議員立法として提出いたしまして、ただいま衆議院に提出をいたしておるところでございます。ぜひ、衆議院におかれましてこれが御審議を賜りまして早期に成立をいたしますようにお願いを申し上げますとともに、あわせて政治家の倫理確立に対しても同様、衆議院が熱意を持ってお取り組みをいただき、衆参また同様の成立を私は期待したいと思う次第でございます。
○岩國委員 平成十一年度から既に削減努力、計画はもう始まっておるということでありますから、平成十一年度が終わったところで、最初の一年間にどれだけの効果を上げたかということを、当然、この国会では検証しなければならないと思います。 官房長官にもう一問だけ御答弁いただきたいと思います。女性公務員の登用の問題であります。これは、私は前回も質問いたしました。 採用するときには、今回、特に地方の役所、これから地方分権あるいは行政改革、これはすべて地方社会がどれだけ早く民主化できるかということにかかっていると思います。決して、男性は封建的、女性は民主的ということを言っているわけではありませんけれども、そういう男性中心の封建的な社会が今地方には色濃く残っておる。 前回、私は石川県の鳥屋町の例を挙げました。瓦国会議員にもお話ししましたけれども、決して、石川県だけがその特徴のある、全国で例外的にそういう現象が残っているところではありません。鳥取県でも島根県でもどこでも、こういった地方の役所になれば、男性の管理職は圧倒的に多くて女性の管理職はほとんど見ることがない。例えば採用ベースで見ますと、女性の職員は二〇%は採用されている、しかし、課長職以上は五%にも満たない。私が入手したデータではそのようになっております。 そうした女性公務員の採用と、それから登用と在職平均年数、この三つの点において男女格差はいかなるものなのか。そして、総理がたびたび強調されるように、人権を尊重する社会をつくりたい、人間平等の社会、これが、この地方分権、地方自治の中で、地方行政の中でしっかりと生かされるかどうか。今なおその男女差別が色濃く残っているんであれば、それは年内に必ず完全に解消してみせるという強い意思を持っていらっしゃるかどうか。これは、男女共同参画会議、これについての協力を民間企業にお願いしておるときに、自分の地元の役所の中でそういう男女差別がまだ残っておるということでは、民間企業に対する示しもつかないではありませんか。 この点について、官房長官の強い決意をお願いしたいと思います。
○野中国務大臣 委員御指摘のように、国家公務員、地方公務員を通じまして、女性公務員の採用の数及びその登用に御指摘のような問題点が現存しておることは事実でございます。政府といたしましても、今日までこの女性公務員の採用の問題あるいは登用の問題について意を用いてきたところでございますけれども、まだまだ十分ではないわけでございます。 今、国会におきまして男女共同参画社会の基本法の御審議をいただいておるところでございますが、その中でもたびたび委員各位から強い御指摘をいただいておるところでございまして、まずは、内閣府に設置をいたされます男女共同参画会議の委員の数には具体的にこれを例示いたしました。この趣旨を踏まえながら、それぞれ国家公務員、地方公務員の採用の女性の割合、さらには積極的な管理職登用へのあり方について、今せっかくの御審議をいただいておるところでございます。政府といたしましても、この男女共同参画社会基本法の成立を機に、新たに女性の採用の問題あるいは女性管理職の登用の問題について一層の意を用いて、その実が上がるようにしてまいりたいと存じておるところでございます。
○岩國委員 私は毛沢東という政治家のすべてを尊敬しているわけではありませんけれども、毛沢東の言った言葉の中に、天の半分は女性が支えている、まさにそのとおりだと思います。 今、人口比率においても五〇%を超えている多数派は女性であります。そして、物づくり社会から情報化社会へと社会が大きく変化して、そして情報がビジネスの決め手、情報が社会を変えていく、その情報化社会の中で、女性が男性に比べて持っているおしゃべりというすばらしい能力、これが初めて世の中、人のために役に立つ時代がやってきているわけです。 これは封建的な社会においても、選挙をやっておりますと、一番よくわかります。昔は投票所へ行くときに、だんなさんから竹という字を書けとか桜という字を書けとかいろいろ言われて、カンニングしながら投票所へ奥さんたちは行ったものです。今は、御主人の方が奥さんに、おまえ、だれに入れるということを聞いて、それを参考にして投票所へ行っておるわけですから。情報の入手量にしても発信量においても、女性がこれからの地域社会の民主化を担う主役であることは間違いありません。 そういう意味で、私は、男女共同参画社会の実現に大きな成果を期待しているわけでありますけれども、五月二十一日、参議院で全会一致でこの法案は可決されております。その全会一致で可決された法案に、さらに附帯決議としてこういうことが書いてあります。「国及び地方公共団体において、積極的改善措置の積極的活用も図る」、こうした地方公共団体に対して積極的な活用を図らせる、それは政府の役目でもあると私は思います。 そういった点から、年内に差別の解消を必ず実現してみせるという力強い言葉が私は必要ではないかと思います。男女共同参画の推進に向けて環境整備に取り組むとともに女性の登用の促進を図る、こういった趣旨の文言もはっきりございます。行政という大切な雇用の場で、女性が本当に法のもとに平等であるのか、雇用条件のもとに平等であるのか、行政という大切な仕事の中で平等であるのか。政府みずからがはっきりと天下に向かって、差別は解消されたという宣言をすべきではないかと思います。総理、そういう御決意はありませんか。お尋ねします。
○小渕内閣総理大臣 せっかくに今国会でもそうした基本法が成立することになります。その趣旨を十分踏まえまして、政府としてなし得ることは全力を挙げて努力をいたしていきたいというふうに考えております。
○岩國委員 要するに、年内にそういう差別は解消したという宣言はできないというふうに解釈せざるを得ません。 次に、大蔵大臣に御質問させていただきたいと思います。 今回の地方分権法案の中には財源の問題が明確に見えないということが各委員から指摘されております。私も、その点は、自治体の行政を経験した人間として、権限は来てもそれを実行するだけの財源がやってこない、金ももらわないで、仕事をしろ、こう言われているような受け取り方もあります。 現に、この統一地方選挙のときに話題になりました財政危機宣言、これは、今までは富裕な、大きな自治体として言われておった東京、神奈川、大阪、まさにTKOであります。TKOかノックアウトか、こういう状態に今地方財政は置かれているわけでありますけれども、地方分権の中でほとんど盛られていないこの財源的な手当て、見直しの期間さえこれは書いていないわけです。 一方では、産業界に対して、過剰債務だ、過剰設備だ、過剰雇用だ、こうした三つの過剰の解消のためにまたまた公的資金を投入しようかという報道がなされておる。私は、産業界を軽視するわけではありませんけれども、産業界の苦境よりも自治体の苦境の方が大変じゃないかと思うんです。実質的にそういう破綻の状況に来ておる自治体に対して、これから仕事をどんどんやりなさいと、生き生きとさせるためには、私は、自治体に対する公的資金の投入の方が先ではないかと思います。こういう点について大蔵大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 憲法下において一つ実現していない、十分実現していないと思われることは地方自治ということでございますから、中央と地方の行財政の再配分ということは大変長いこと言われておって、いまだに実現をしていない一つの問題だというふうに認識しております。また、閣議においても、地方分権推進計画の中で国と地方の税源配分のあり方について検討せよということは言っておりますから、これは間違いなく政府の方針であります。その必要がないと考えているわけではございません。 他方で、いつぞやも申し上げましたが、ただいま国の国税収入は四十兆円台に落ちておりまして、平成二年には六十兆ございましたから、経済の状況を反映して異常な事態であります。これが正常だとは思えない。 また、このたびの予算編成で自治大臣とも随分お話をいたしましたが、地方の財政も、これもまことに異常なほど難しい状況になっておりまして、ただいまおっしゃいました、かつての富裕団体であった、そのテクニカルノックアウトでございます。法人の業績不況によることが多うございますが、そういうことすら起こっておって、今年度は何とか自治大臣と私とお話をしてやりくりをいたしましたけれども、これは一種のやりくりであって、基本に触れることができませんでした。 申したいことは、いずれにしても、このような経済の状態では、国の収入も自治体の収入もどれぐらい正常な税収があるかということが何ともはかることができない、これが正常であるということはいわば到底許しがたいことでございますから、したがって、少なくとも我が国の経済が正常の軌道に入ったというときには、どうしてもこの問題に触れませんと国も地方もやっていけませんし、それは財政ばかりでなくて行政も伴いませんと本当のことはできない。私どもは、ですから、そのことは非常に強く感じておりますが、今それをやろうとしても、正常でないベースで長続きするものはできないように思いますから、日本経済が正常な軌道に入りましたら、直ちにこの問題には取り組まなければならないというふうに考えております。
○岩國委員 この問題は先週野田自治大臣にもお伺いし、ほぼ同じような御答弁をいただいたことを記憶しております。そのとき私も同じように申し上げましたけれども、小渕総理のそうした国際公約が、成長〇・五%、そしてその次一・五%、ほぼ正常化する、それが二年あるいは三年先に見えておるのであれば、また、それが公約であるならば、この法案の中に、ことしじゅうではなくて、三年後に見直しをする、その公約に自信があるならば、私は、この中に三年後の見直しということを書いてもいいんではないかと思うんです。 宮澤大蔵大臣がそうした地方自治体の窮状に御理解を持っていただいているということはありがたく思います。しかし、与謝野通産大臣からは、不規則発言として、そんなことはないよという御発言がありましたけれども、私はそんなことはあると思っております。だからこそ、今それぞれに、統一地方選挙においてあれだけの候補者が、財政危機の克服、財政の健全化ということを訴えたではありませんか。そうした日本じゅうの叫び、うめき、悲しみ、それに対して、この地方分権法案の中に、三年後には少なくとも何らかの措置をするよという見直し条項ぐらいは私は必要だったと思うわけです。 金額で幾ら幾らというところまでは書けないにしましても、財源的措置についてははっきりと見直しをするということが必要であったし、また、地方自治体の任に当たる人たちに対する一つのそれが励ましであり、自信を与えることにつながったと思い、大変私は残念に思っております。 次に、行政評価法という議論がなされており、既に国会の中でも議論もされております。この行政評価法の検討を直ちに進めると昨晩の記者会見でもおっしゃっておりましたけれども、総務庁長官として、この行政評価法、これに何を期待し、そしていつまでにこの検討を終えるという、検討を始める時期ではなくていつまでに検討を終えるという目標を持っていらっしゃるか、簡潔にお願いいたします。
○太田国務大臣 行政評価法につきましては、昨日お答えをいたしましたのは、中央省庁再編後、各府省における実施状況を踏まえ、速やかに法制定の実現に向けて検討してまいる、こういうふうに申し上げたわけでございます。 ですから、まず国家行政組織法などの法律や中央省庁等改革の推進に関する方針に基づきまして、全政府的に厳正で客観的な政策の評価を行うためのシステムの構築をまず進め、これを着実に実施していくことが重要であるというふうに考えております。 諸般の準備を総務庁を中心に進めることと並行して、諸外国における先行例や、国、地方公共団体における行政評価の各種仕組みや実績に関するもろもろの資料分析等を行ってまいる所存であります。 中央省庁再編後、各府省の政策評価の実施状況を分析、検討しまして、問題点等を見きわめつつ、速やかに法制定の実現に向けた検討をしてまいる所存であります。(岩國委員「いつまでに」と呼ぶ)再編後です。中央省庁再編後、各府省の政策評価の実施状況を踏まえて、速やかに法制定の実現に向けた検討をしてまいるということであります。
○岩國委員 もう一問、二五%の人員削減について。 十年後二五%ということは非常に喧伝されておりますけれども、これは、中間目標として五年後にはどれぐらいの目標を持っておられるのか。目標があるのかないのか。あるいは、毎年直線的に二・五%ずつで二五%というふうなやり方なのか、最初の五年間に集中的に二〇%削減して、残りの五年間に五%の仕上げをというお考えなのか。最初の五年間はほとんど手つかずで、その後の五年間に集中してやりますということなんでしょうか。
○太田国務大臣 各府省の定員につきましては、府省再編にあわせ、平成十三年の一月から平成二十二年度までの間に、少なくとも十年一〇%の計画的削減を進めるわけでございます。十年一〇%の定員の削減でございます。 そしてあわせて、独立行政法人化、これは完全に全部予定のつく話ではございません。今のところは、八十三の事務事業は平成十三年の四月に予定されております。こうした行政組織の改革による一層の定員削減を進めつつ、そして増員の徹底した抑制を図ること等により、自自連立の合意を尊重しつつ、この方針に沿った定員削減を実施してまいる所存であります。 すなわち、毎年二・五%ずつ直線的にやるとか、あるいは最初に一気にやるということではありません。
○岩國委員 私の持ち時間は終了しましたので、ここで質問を終わらせていただきたいと思いますけれども、この地方分権法案、短い時間であったという点は非常に不満は残りますし、また、中身が必ずしも充実しておらないという点にうらみも残ります。しかし、一歩後退二歩前進であることを期待して、一歩前進二歩後退ではなくて一歩後退二歩前進になる結果を期待して、我々もこうした法案の実現に期待したい、そのように思っております。 どうもありがとうございました。
○高鳥委員長 次に、中桐伸五君の質疑に入ります。
○中桐委員 民主党の中桐です。岩國委員に続きまして、さらに幾つかの確認なども含めまして質疑を行いたいと思います。 また、余りにも膨大な量の法案処理でございますので、十分な質疑ができていないところがございまして、幾つか重要な点でこれまでに質疑を行うことができていない点がございます。その中で、総括質疑になっているんですが、この機会にやや細かいやりとりをどうしてもやりたい、やらなきゃいけないという問題が残っておりますので、きょう皆さん方のお手元に図をお示ししておりますが、国と地方の係争処理に関する第三者機関の問題についても質疑を行いたいというふうに思います。 さて、この地方分権という課題は、今日まで、我が国の戦後の社会システム、政治、行政のシステムの中では非常に大きな懸案事項であったというふうに思います。また、この地方分権の一括法案提出の意義という点でいいますと、これはもう多くの方から言われているように、明治維新、そして戦後改革に並ぶ、第三の改革というふうに言われているところであります。 そしてまた、この地方分権の意義の重要な点といたしまして、これまでの国と地方の関係を、上下関係、主従の関係から対等、協力の関係に変える、これが第一点であり、そしてまた第二点といたしまして、自治体自身による自己決定、自己責任の状況をつくっていく、そういうことが特に地方分権の意義として大きいと考えるところであります。また、小渕総理大臣におきましても、五月二十六日の小林守委員の質問に対しまして、この二点を明確にお答えをいただいたところであります。 このことを踏まえまして質問に移らせていただきたいと思いますが、今回の改革はプログラム上いろいろ問題があると思います。特に、先ほども岩國委員から指摘しましたように、財源の問題がセットで地方分権が問題にされていない、そういった問題がございます。今回の政府提案の法律案のポイントは、機関委任事務制度を廃止するということに絞られてきたわけであります。 そういう点におきまして、やや地方分権の基本的な枠組みという点では大きな問題を残しているわけでありますが、しかし、この機関委任事務制度という制度自体がまさに中央集権的な政治、行政の仕組みの根幹にあったわけですから、これを廃止して自治事務と法定受託事務という形に振り分ける、特に自治事務というものに重点を置いてこの機関委任事務制度を廃止していくということについては評価をすることができるというふうに考えているところであります。 さてそこで、新たにつくられる、機関委任事務制度の廃止に伴う制度が、国と地方の対等、協力、そして自己決定、自己責任、これらの地方分権の二つの意義から見て本当にふさわしいものであるのかどうかということについての総括的な、今日これまでのこの委員会での質疑のポイントを幾つか取り上げながら、特に総理に幾つかの重要な点についての質問をさせていただきたい、そのように思います。 まず、法定受託事務。つまり、機関委任事務を、自治事務を中心にして地方の自己決定の枠を拡大するということになったわけでありますが、しかし法定受託事務という形で国との関係における事務が相当数残ったという批判もございます。 かつて、当初制定された機関委任事務が、徐々に、日を追うごとに拡大をしていったという過去の機関委任事務制度の経験があるわけであります。そういう経験の中から、今自治事務と法定受託事務に振り分けられた、その法定受託事務というものが、今この法律の中に規定されている法定受託事務というものが、この法案が制定をされたと仮にいたしまして、その後またこの法定受託事務がどんどんふえていく、そういったことになってはいけない、そのように思うわけであります。 そういう意味において、五月二十七日に民主党の平野委員が自治大臣に、法定受託事務というものをしっかり限定化していかなきゃいけない、そういう趣旨の質問をいたしました。それに対しまして野田自治大臣から、「地方自治の精神からいきまして、御指摘のとおり、法定受託事務というものは極力抑えられ、やはり住民に身近な行政については、住民自治の中で、地方自治の中で、みずからの自律性、自主性の中で運命を決定してもらうという、これが一番の原点的発想だというふうに考えております。」という答弁をいただいております。 この答弁を踏まえまして、総理の見解、確認をぜひお願いしたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 ただいま野田大臣の答弁につきまして委員から御紹介ありましたが、まさにそれに尽きることであると思っておりますが、改めて、今回の法案は、地方公共団体の自主性及び自立性が十分発揮できるようにすることが大きな目的であります。 したがいまして、地方分権推進の理念や今日に至る一連の経緯にかんがみるとき、法定受託事務の創設は将来にわたり厳に抑制されるべきものと考えておりまして、機関委任事務を廃止し、こうした法定受託事務に変わりまして、それが単に機関委任事務の果たしてきた役割を踏襲することは是といたしましても、これが従来拡大してきたというような経過にかんがみれば、今回、こうした法定受託事務につきましては、まさに将来にわたって厳に抑制をし、慎んでまいるべきものと考えております。
○中桐委員 その方向でぜひ今後の対処をお願いしたいというふうに思います。 さて、続きまして、この法定受託事務につきましては、六月四日の桑原委員の野田自治大臣に対する質問でございますが、法定受託事務については通知でも処理基準を出せるということになっているわけでありますが、従来、機関委任事務制度のもとで、政省令を含めて通達までの範囲で非常に細々と、もう小学生に手とり足とり全部指示をする、こういう形で体系ができておりました。そういったものが、今後法定受託事務になっても、通知で事務の処理基準というものを出せることになっておりますから、もしこれが、従来批判が多かった通達行政というものが残るようなことでは困るということであります。その点について、必置最低限といいますか、そういったものに極力限って、新たな事務の義務づけや必置規制というのはむやみやたらに置いてはいけないという措置がとられる必要があると思うわけであります。 そういう点において、既に六月四日の野田自治大臣の答弁によりますれば、法定受託事務に係る処理基準というものは、個々の具体的な事例を対象としてその都度個別に定めるというようなことではなく、あくまで一般的な基準として定めるものである等の答弁をいただいております。 こういう基本姿勢をもって、これまで機関委任事務制度のもとで余りにも中央集権的に行われてきた行政のこれを抜本的に変えるということが私も大変重要だと思いますが、この自治大臣の答弁を踏まえて、総理の御見解を伺いたいと思います。 〔委員長退席、杉山委員長代理着席〕
○小渕内閣総理大臣 法定受託事務に係る処理基準は、個々の具体の事例を対象としてその都度定めるものではなく、あくまでも一般的な基準として定めるものであります。 また、内容も、目的を達成するために必要最小限のものに限られ、新たな事務の義務づけや、国との協議や承認などの関与などを定めることはできないものであります。 したがいまして、御指摘のとおり、自治大臣の答弁と同じ意見であります。
○中桐委員 ありがとうございました。 それでは次に、今回、機関委任事務制度が廃止をされ、そして最も重要な地方分権の核心点は、自治事務というものが新たに導入をされるということにあると思います。この自治事務というものは、自治体による自己決定、自己責任の中心的規定になると理解をいたしますが、しかし、自治事務が設定をされたのに対して、国の関与、一般的な基準と、そしてまた個別法によってそれぞれ国の関与が規定をされていくわけでありますが、その際、余りにも過剰な関与というものがあってはならないと思うわけであります。 この点で、五月二十六日の小林守委員の野田自治大臣に対する質問に対しまして、つまり代執行という一つの国の関与の問題を取り上げた質疑の中で、野田自治大臣は、この自治事務に対する代執行というものについて、これは「毛頭考えておりません。」そして、「自治事務の中で代執行の対象になるような事務はございませんし、今後もないと考えております。」という答弁をいただいておるわけでありますが、この点について、大変重要なところでありますので、総理の見解を伺いたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 改正後の地方自治法に規定いたします代執行とは、地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反している場合などに、一般的にそれを是正するための措置を地方公共団体にかわって行うことでございます。このような意味での代執行に該当する規定は、自治事務に関してはないものと承知をいたしております。 また、地方分権推進委員会の勧告及び地方分権推進計画の趣旨から見ますれば、少なくとも、今後の法令の立案に当たりましては、政府部内の対応としては、自治事務に対する代執行の規定を設けることは考えておりません。 したがいまして、御指摘のとおり、自治大臣が御答弁申し上げたと同じ意見でございます。
○中桐委員 それでは続きまして、国の関与の中で私は、地方分権の中でも、町づくりといいますか、これは個別の分野でありますが地方自治にとって大変重要なものでありましたので、都市計画法という個別法を通じながら、実は地方分権のあり方というものの質疑をさせていただいてきたわけであります。 この中で、実はこの都市計画法の中には、代執行ではありませんが、それに非常によく似た直接執行という制度が個別法で規定をされております。つまり、この都市計画法に基づく計画に対して国が、国の利害に重大な関係のあるものについて、自治体が自主的に決めた都市計画に問題がある場合、建設大臣が、都市計画審議会というものの確認を経て指示を出し、そして、従わない場合に、ちゃんとした措置をとらない場合に直接執行するという制度がございます。 自治体が行った行為の効果を覆す国の行為というふうになると思うんですが、しかし、このことが乱発されては大変重大な問題になってくると思うわけであります。そういう意味で、きちんとした歯どめといいますか、そういうものが重要だと思うわけであります。 そういう点で、これは私の質疑の中で、都市計画中央審議会というものの確認を経て直接執行するという建設大臣の権限が規定をされているわけでありますが、この都市計画中央審議会なるものは、建設大臣が任命をする委員によって構成される審議会であります。国会の承認を得るという措置もとられておりません。建設大臣が、国の利害に重大な関係があるという判断をして、地方が決めた都市計画に対して指示をして、そしてそれに従わない場合に直接執行する、そのフィルターを通す都市計画中央審議会なるものが、建設大臣が任命をする機関であって国会との関係はない、そういうものを通じて直接執行を行うことができるという仕組みは非常に大きな問題を含んでいるんではないのかという問題を質問の中で明らかにさせていただきました。 その中で、特に、私が野田自治大臣に、こういう国と地方の係争という形にこれがなった場合に、現在の国と地方の係争処理委員会あるいは係争処理委員の取り扱う対象となるのかどうかということをお聞きをいたしたわけであります。これが、私の六月二日の野田自治大臣に対する質問であったわけでありますが、その際、野田自治大臣は、その都市計画法に関する指示に対する係争は、紛争処理委員会の対象になり得るというジャンルだと考えておりますという御答弁をいただいております。 これに対しまして、総理の御見解を重ねてお伺いしたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 国によります直接執行の中には、地方公共団体が行った行為の効果を覆すような効果を持つものなどがあり、このようなものにつきましては、係争処理手続の対象となる場合があると考えております。 したがいまして、委員と自治大臣との間で六月二日に質疑応答がございましたが、そのときに自治大臣が御答弁いたしましたと同じ意見であることを申し上げさせていただきます。
○中桐委員 自治大臣の御答弁と同じ御答弁をいただいたというふうに確認をさせていただきます。 機関委任事務制度の廃止の問題については、このあたりで質疑を終わらせていただきます。 続いて、何度も、もう既にお二人の方、総括質疑に立たれました方も取り上げられておりましたが、この問題は大変重要ですので、また私取り上げますが、税財源の問題でございます。 今回の地方分権一括法案の中には財源の問題を取り扱っていないという問題があることは、もう多くの質疑の中で委員の方が指摘をされたことでありまして、これをまた同じように繰り返すつもりはございません。しかしながら、地方分権という課題、行政改革の非常に重要な課題が税財源の地方移譲の課題でもあるということについては、総理も共通の認識に立っていると私は考えるものでありますが、いかがでありましょうか。
○小渕内閣総理大臣 地方分権の進展に応じまして地方公共団体がより自主的、自立的な行財政運営を行えるようにするためには、地方公共団体の財政基盤を充実強化いたしていくことが極めて重要であることは、しばしば申し上げておるところでございます。地方分権推進計画におきまして、「国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保を図る。」こととされておるところであります。 地方税財源の充実確保につきましては、経済の状況や国、地方の財政状況等を踏まえるとともに、将来の税制の抜本的改革の方向も見きわめつつ総合的に検討すべきものであると考えておるところでございます。
○中桐委員 税財源の問題につきましては先ほど総理の御回答をいただきましたが、この税財源の問題については、既に、六月二日の松崎委員の宮澤大蔵大臣に対する質問の中で、宮澤大蔵大臣は、おおむね、経済状況が正常化するまで待つべきものだろうと思いつつ、そのときにはしかし、徹底的にやはり行財政の再配分にかからなければならないと御答弁をされております。この答弁、その前段階は、かなり経済状況が悪いので税財源の移譲についてはまだ当面の措置として悲観的なという御意見も一方でありながら、しかし、これは、将来、経済状況が正常化すれば徹底的に再配分をしなければならないという御答弁で、前向きな御答弁だと理解をしております。 さてそこで、今、日本の税財源、先ほど総理も、税財源の配分、これを問題にしなきゃいけないという御答弁をいただきましたが、これは、集権的分散システムという言葉で言われているように、国と地方の歳入比率が二対一であるのに対して、逆に歳出は一対二である、したがって、地方には税財源が移行していないということではない。しかし、問題は、集権的分散システム。つまり、他の欧米諸国の自治体の財源と比べてみても、日本の地方の財源はそんなにレベルが低いものではない。十分、十分といいますか、多くのものが一対二という形で移行している。しかし、問題は、集権的分散システム、つまり、中央に一たん集中的に集まったものがさらに分散をされるというところに問題がある、これが根本的問題だというふうに私は認識をしているわけであります。 そういう意味において、景気回復の暁に国と地方の税財源の配分を見直す場合には、やはり、この集権的分散システムというものを抜本的に見直していくことが必要だと思いますが、そういう点で、地方自治というものを担当している自治大臣の見解を重ねて伺いたいと思います。 〔杉山委員長代理退席、委員長着席〕
○野田(毅)国務大臣 抜本的に、いわゆる事務事業というものを、国と地方の間で役割分担、権限移譲等含めて、そういった見直しをやっていこうということで、今回その大きな第一歩を踏み出すということになったわけです。それに伴って、当然のことながら、そういった事務事業を処理していく上で必要な行政コスト、それをどうやって裏づけていくか。そういう意味で、自主性、自立性を担保していくというか、それを支えていくための財政システムというものをどう形成するかというのがあわせて必要なことであるということは御指摘のとおりでございます。 ただ、その時期について、そういう財政的な支援システムをどうつくるかということについては、先ほど来大蔵大臣の答弁などをも引用されながら、今直ちにそこに着手するのは、今日の経済状況そのものが正常でない状況の中でそういったことに直ちに突っ込んで作業するわけにいかないということもそのとおりでございます。 ただ、そうはいいながら、では何もしないで放置できるかというと放置はできませんで、特に本年度の地方財政計画作成に当たって、特に法人税の交付税率に、あるいはたばこの税金の国、地方の配分比率、こういったことで、当分の措置ということではありますけれども、手を入れたというか、そのねらいそのものは一般財源をどうやって確保するかということでございまして、一番大事なのはこの部分だと思っております。 望むらくは地方税、つまり、まさに地方独立税、自分で条例で、課税自主権というか、それを主体にしたもので賄えるというのが一番理想的な姿であると思いますけれども、残念ながら税源の存在が必ずしも普遍的なものでない。したがって、今後、そういう課税自主権ということに十分配慮しながら、そういう税源の偏在性の少ないような、そういう課税の仕組みというものを考えていかなければならぬというのが第一の発想法だと思っています。 しかし、それにしても、それを全部乗り越えるのがなかなか容易ではないということから考えれば、少なくとも自治体間の財政調整という意味での交付税という仕組みというものは、これはどうしても必要不可欠な存在である。要は、両々相まって、基本的に一般財源、みずからの自主性、自立性によって財政運営が行えるような、そういう仕組みをどうやって形成するかということにポイントがあろうかと思っています。 そういう点で、何か、集権ですか、いろいろ表現がありましたが、集権的な徴収で分散的な支出ですか、まあそれは主として交付税制度を念頭に置いてのお話であったかと思うんですが、いずれにせよ、自治体間の財政調整の仕組みというのは、これはやはり避けがたい部分であるということが、結果として御指摘のような入りと出の間の比率のアンバランスということにあらわれてきている。できれば、これが余りかけ離れた姿にならないような、歳入面において担保できるような努力をしてまいりたいと考えております。
○中桐委員 今の自治大臣の御答弁を踏まえて、これは具体的に大蔵大臣の御答弁も関連がございますが、そういう中で、重ねて、総理はこの点について、つまり税財源の地方移譲という問題をどのようにお考えになっておられますか。さらに御意見があれば伺いたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 先ほども御答弁申し上げさせていただきましたが、大蔵大臣の御答弁も踏まえまして、国といたしましては適切に対処いたしていかなきゃならないと考えております。
○中桐委員 それでは、税財源の問題については以上で質疑を打ち切らせていただきまして、続きまして、大変この間一つの争点になっておりました地方事務官の国への身分の切りかえというか移管という問題でございます。 この問題に伴いまして、特に国民年金、現在、保険制度として本当にこれが年金制度と言えるのか、セーフティーネットと言えるのか、つまり三分の一ほどの方が脱落をしている、こういう問題が指摘をされ、年金は、この今の制度では、やはりこれは税財源でしなきゃもうセーフティーネットの意味を失いつつあるのではないかと。 そういう問題が出されているのですが、その議論はこれからの年金制度の抜本的見直しという中でやるといたしまして、当面、社会保険というシステムをとるといたしますと、地方事務官が国に移管する、身分を移管するとともに、これまで市町村の機関委任事務であった、国民年金の現年度の保険料の収納に関する事務であるとか、あるいは二十歳になった者について適用促進の事務を市町村が機関委任事務という形で行ってきていたということがございますが、これらが廃止をされることになるというふうに位置づけられております。 さて、これでは実際に年金の事務の停滞が起こってサービスの低下が起こるのではないかという問題が、地方事務官の国への移管の問題、そしてそれに伴う機関委任事務の廃止の問題とも関連して、そういうサービス低下の危惧が指摘をされてきたところであります。これに対して、年金制度の抜本的見直しはさておきまして、現在の現行制度で運営をするということになりますと、やはりこれはきちんとした、サービスの低下が起こらないようにするための対策が必要だと私は思っているわけであります。 そういう意味で、国民年金の適用促進ということは大変重要なことでございますから、国民年金は年金制度としての制度的形をなさなくなりつつあるのではないかという問題と密接不可分な関連がございますから、この問題については市町村の手助けを得なければとてもできないのではないかと私は思うわけであります。そういう意味で、この事務については市町村の法定受託事務とすべきではないかと思うのでありますが、厚生大臣の御見解を伺います。
○宮下国務大臣 これまで市町村におきまして実施してまいりました国民年金の適用促進の事務につきましてでございますが、これは、法令上明文の規定のない事務であることや、また市町村の事務の軽減の観点から、地方分権推進委員会第三次勧告あるいは地方分権推進計画において廃止することとされました。したがって、国民年金の適用促進を市町村の法定受託事務とすることは適当ではなく、また市町村の同意も得にくいものと考えております。 しかしながら、住民の年金権を確保するとともに、国民年金財政を健全に維持していく上で有効な対策を講じていくことは今後とも重要な課題であると考えており、地域の実情に応じて、必要な財源措置を講じながら、市町村の自主性を踏まえ、市町村との十分な連携協力のもとに進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○中桐委員 ぜひ、これはセーフティーネットという大変重要な、年金という重要な事務に関係するものでございますので、この地方分権一括法案が成立をもしした後に、そのサービスの提供が極端に混乱を来して低下が起こらないように、適切な、迅速な措置を先ほどの厚生大臣の御答弁の立場を踏まえて行っていただきたい、そのことを強く要望しておきたいと思います。 さて、それでは、きょうは総括質疑なので余り個別の問題について質疑をするということはなじまない点もあるんですが、先ほど言いましたように、非常に重要な点で、これまでの質疑の中で十分できていない点を自治大臣を中心に若干質問をさせていただきたいと思います。 それは、今回の地方分権というものの改革によりまして、国と地方が対等、協力の関係であるということを位置づけたことで大変重要な意義があるわけですが、それを保障する。つまり、国の利害と地方の利害が係争状態になる、そのときに、国と地方が対等、協力の関係であるということを保障するものとして第三者機関、つまり係争の処理委員会あるいは紛争の処理委員という制度をつくったのは、そういう対等、協力の関係であることを保障するためにつくったと私は理解をしているわけでありますが、自治大臣、これはこのように確認してよろしいでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 御指摘のとおりです。
○中桐委員 そこで、お手元にちょっと、チャートというか図表といいますか、見ていただければよろしいかと思いますが、実は、国地方係争処理委員会というものは極めて厳密な、厳密なといいますか、きちんとしたといいますか、規定で、委員の任命とかあるいは任期とか規定をされております。 設置場所については、実はこれは中央省庁改革の中央公聴会で、国地方係争処理委員会というのは内閣府に置いた方がいいのではないかという公述人の方の御意見もあったところであります。設置場所については、中央省庁再編後は総務省に設置されるということについては私、個人的には疑義があります。しかし、それはさておきまして、国と市町村の直接的な係争を処理する、あるいは国と都道府県の間の係争を処理するという国地方係争処理委員会には、私は、これまでの国と地方の係争という歴史的な経験というものを見ても、余り多くの係争ケースがない、ここは多くの係争ケースが多発するというふうには余り思えない。 問題は、一番トラブルがといいますか、係争事例が起こってくるところは、国が都道府県に国の指示を出して、都道府県がその指示を市町村に実行することを指示する、このケースだと思います。国が都道府県に指示を出し、そして都道府県が国の指示を受けて市町村にアクションを起こす。そのときに、都道府県と市町村、特に市町村は、三千を超える市町村があるわけですから、この間で係争が起こることが一番予想されるのではないか、こう思うのであります。 その際、国の指示を受けて都道府県が市町村との間に指示を出していくというときの係争、この問題が、実は自治紛争処理委員、これは両議院の同意を求めるとかそういうものじゃありません。これは自治大臣の任命ということになっているわけであります。任期はというと、係争を処理しなきゃいけない事案が発生したときに任命をする、こういう形になっているわけであります。 設置場所はどこなのか。これはちょっとわからないのでありますが、設置場所はどこなのか、自治大臣、これは総務省になるんでしょうか。自治紛争処理委員の設置場所はどこなんでしょうか、ちょっとお答えをいただければと思うんです。
○野田(毅)国務大臣 自治省ということになります。
○中桐委員 自治省ということであります。 さて問題は、国の指示を受けて県と市町村との間に係争が起こったということですから、地方でこの委員が集まる会合が行われるのが、やはり便宜上も、そしてまた係争を処理する現場主義ということからいっても、私は妥当ではないかと思うんですが、さて、その自治紛争処理委員の会合というのはどこで開催されるんでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 自治紛争処理委員が都道府県の関与に関する審査を行う会合の場所というのは、具体的な場所の選定というのは自治紛争処理委員の裁量にゆだねられておるということでありまして、事案によっては、当事者である都道府県または市町村の区域内で審査が行われるということもあり得るというふうに考えます。
○中桐委員 わかりました。 さて、それでは、幾つかちょっと前提を確認したいんですが、都道府県が、仮に自治大臣からの指示に基づいて何らかの是正の指示を市町村にする、実質的には国の関与が争いのもとになりますね、もし市町村との間にそごが起こった場合。その争いのもとになる原因は国の関与というふうになると思うんですが、この国の関与が問題になったケースを係争処理するということであるとするならば、自治紛争処理委員の手続、つまり、委員が会合をしてその処理をする、その手続に当該指示を行った国の行政機関が参加する。つまり、自治紛争委員が、その指示を行ったもとの行政機関、国の行政機関をちょっと呼んで、その事実を調査し、意見を聴取するということが起こると思いますが、そのように確認をしてよろしいですか。 つまり、まず一番最初に確認したいのは、国が都道府県を通じて指示を出した、そこでの是正の指示が係争のケースになったという場合には国の関与がそのもとにあるということをまず確認したいと思います。
○野田(毅)国務大臣 大変ややこしい感じなんですけれども、今お示しいただいたこの絵でいきますと、まさに自治紛争処理機関というのは、cの段階、都道府県から市町村に対するこの段階における係争問題である。それから、通例、この場合aですね、国が都道府県に対して指示を行う、その指示を受けてcという行為が行われる、こういうことでしょう。 そこで、大事なポイントは、国から都道府県に対するaという指示について、都道府県がこれは問題だということであれば、この段階でまさに国と地方の係争処理機関にかけてもらうということになると思います。したがって、その上でcという行為を都道府県がおやりになるということは、みずからの主体的な判断として、少なくとも指示を受けた都道府県が、単に国の手足として市町村への関与を考えなしにやったというのではなくて、まさにみずから主体的な意思決定を行った上でcという行為が行われることでありますから、そういう意味で、このc、つまり都道府県から市町村に対する関与ということがもう一つの自治紛争処理委員の方にゆだねられていくという手順になるということでございます。 くどいようですが、もし都道府県がみずから出した指示が、つまり不本意ながら出すというのなら、本当に不本意であるのなら、指示を出す前に、aの段階、国からの指示があった時点で国と地方の紛争処理機関にかけていただくなり申し出をしてもらうということの流れになると思います。
○中桐委員 いや、もっともな自治大臣のお答えのように聞こえますが、私はそれは違うと思いますね。というのは、市町村までその指示がおりてから係争の問題が起こるわけですから、都道府県のところで、国の指示を受けた都道府県がそういう係争が起こるかどうかということを事前に予測することは不可能だと思うんです。つまり、問題は、国の指示が実際上市町村に行ったところで相互の利害の対立というか意見の違いが出てくるわけでありますから、その前に都道府県のところで、市町村のところが利害関係でそごを起こす可能性があることを見越して、国との関係でその指示をめぐって係争するという、これはちょっと、現実の係争のケースとしては、私の言わんとすることに対する考え過ぎの、ひねり過ぎの御答弁じゃないでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 いや、大分考え過ぎた質問のような気がしてしようがないんですけれども、そんなこともあろうかということもあって、この委員の構成につきましても、その過半数が同一の政党その他の政治団体に属することのないようにするとともに、在任中、政党その他の政治団体の役員になり、あるいは積極的な政治運動をすることを禁止する規定など、国地方係争処理委員会の委員に関する規定を準用することとしておるところでもございます。 そういう意味で、委員の職権行使の独立性や公平中立性を確保するということは十分配慮しておるわけで、そういう御心配は当たらないのではないかというふうに考えております。
○中桐委員 いや、それは私ちょっと納得できない。というのは、委員の選任については、そういう委員の選び方をするということについては私は全部疑義があるわけじゃありません、その範囲内においては。しかし、問題は、係争が起こってから委員は任命するんですよ。係争が起こってから事案ごとに任命をするわけですよね。国の関与がもとになって、都道府県を通じて市町村に指示が行ったその間に紛争が起こるということを想定すると、しかもその委員が会合で国の関係機関を呼び出す、いろいろな意見を聞く、その関係機関の中に自治大臣が、つまり委員を任命する大臣が国の関与で都道府県を通じて指示を出したという、委員を任命するその権限を持っている大臣が委員に呼ばれるわけです。いいですか。そういうのはちょっといかがなものかというのが私の疑義であります。 つまり、事案ごとに選ぶということが前提であるならば、これは関与のもとになっている自治大臣が関与をする場合もあるわけでしょうから、それはやはり自己矛盾になってしまって、自治大臣が任命をするんだけれども、その任命された委員に事情聴取を受けに自治大臣が呼ばれる、こういうばかげたことになるわけですよ。これはとんでもないことですよ、このシステムは。そうじゃないですか。この点について、私はどういう公正な委員を選ぶということがあったとしてもちょっと承服できないんですが、いかがでしょう。
○野田(毅)国務大臣 論理をぎりぎりぎりぎり詰めて言えば、自治大臣が都道府県を通じて市町村に指示をするなり関与をしていくというようなこともあり得る話になるのかもしれません。しかし、実際問題、私は、大体、そういうような紛争になるようなことを自治省の仕事の中で余り想定できないんですけれどもね。 だから、まず実践的に考えると、都道府県が市町村に対する関与をして、その関与がいいか悪いかということに関する争いというのは、国が関与する争いということとはやはり違って、地域の実情が色濃く反映されるというケースが圧倒的に多いんじゃないか。それから、都道府県の関与が行われる機会というのは国の関与が行われる機会よりも多くて、その場というのはあらかじめ特定したり、それはできないわけですから、そういう意味で、地域の実情、あるいは事案の内容、あるいはその数、どの程度の都道府県と市町村の間のそういった争いの事案が件数として増加するのかどうなのか、そういったことに機動的に対応できるような制度として、事案ごとに適任者を委員に選任するという形をとったわけでありまして、これはやはり、迅速な係争の解決が地域として要請されているわけであります。そういう点で、委員の任命をその都度、国と地方の係争処理の委員と同じように国会にお諮りをして両院の同意をちょうだいしなければ具体的な各地方の都道府県と市町村の間のそういう委員の任命さえできないということでは極めて仕事が遅滞してしまうのではないか、私はそういうふうに考えております。
○中桐委員 時間がなくなりました。私、これは大変重要な問題だと思っております。国会の承認を得るということを私は今ベストな方法だと思っているわけではありません。そういう方法がいいのかどうかは別としまして、システムが深く熟考されて、つまり、国と地方の対等の関係ということをいろいろな角度からよくよく吟味をした上で導入されたシステムであるのかどうかという点で、この紛争委員の任命から処理の仕方のシステムは非常に問題を含むものであると思っておりますので、これは、多分ここが今までの自治体と国の間の係争の問題で一番起こりやすいところではないかというふうに考えていることも含めて、ぜひ今後の課題にしていただきたいし、ぎりぎり考えて、中桐だからぎりぎり考えているというつもりじゃないので、論理的に考えた結果そういうことに行き着いたということでありますから、この点については、もう一言、対象にするというか、そういうこととして検討してみるというか、そういうことをぜひ大臣の答弁としていただきたいのですが。
○野田(毅)国務大臣 自治省という役所は基本的に、地方自治体が自主性、自立性を持ってみずからの職務をしていただくことを支援していくということを任務といたしておると考えておりまして、そういう点で、法定受託事務に関していろいろな形での国の行政機関からの関与がある中で、できるだけその自主性、自立性を尊重していけるような体制をどうやってつくるかということに腐心をしておるつもりでございます。 そういう点で、もうちょっと論理の世界のこととしていろいろ今の御指摘で考えなければいけないのかなとは思いますが、もう少し内容を、私自身もちょっと本当にそういうことを、必要性があるのかないのかということを研究はいたします。
○中桐委員 時間が参りました。質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○高鳥委員長 午後三時に委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。 午前十一時五十二分休憩 ————◇————— 午後三時開議
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。若松謙維君。
○若松委員 公明党・改革クラブの若松謙維でございます。 代表いたしまして、ただいま議題となりました内閣提出の地方分権一括法案につきまして、賛成の立場から討論を——失礼しました。討論じゃないですね。訂正してください。まだ実際に審議中でして、中身が、かなり質問がもう混乱しております。答弁される大臣方もしっかりとよろしくお願いしたいと思います。 そこで、きょう、いよいよ最後の地方分権に関する審議となりました。私ども、法案に対して幾つかの不備な点がございました、それに対して改善点等をかなり申し上げまして、いまだ不明な点も多々ございますので、この機会にこちらの期待するところをしっかり主張し、それに対しての回答を求めてまいりたいと思います。 まず、これは自治大臣にお伺いいたします。 法定受託事務ですけれども、これは社会経済情勢の変化に即応してその事務区分を見直し、可能な限り自治事務とする方向で検討すべきではないかと考えます。また、新規事務は極力自治事務として、法定受託事務は厳に抑制すべきではないかと考えますが、御見解をいただきたいと思います。
○野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、法定受託事務の創設は、将来にわたり厳に抑制されるべきものと考えております。 今回の改正によりまして、法定受託事務の定義において、その要件を明確化したところであります。また、閣議決定でございます地方分権推進計画に定めておりますメルクマールというのも、政府内における一定の規制基準として機能するということになるわけでもございます。さらに、最終的には、国会において類似制度間のバランス、法律相互間の比較などを考慮しながら当該事務を法定受託事務とすることの妥当性について十分慎重に御審議がなされるものと考えております。 また、今回の法案における事務区分は適切なものと考えておりますが、事務区分の見直しということは不断に行われるべきものでありますので、今後の経済社会情勢の変化に応じて地方分権を推進する観点から見直されることは、十分といいますか、当然あり得ることであると考えております。
○若松委員 今大臣が答弁のあったことについては、これは附則等でしっかりと明記されると理解しております。 それでは続きまして、これは、もし自治大臣御意見がありましたらお伺いをして、大蔵大臣にお伺いいたしますけれども、いわゆる地方分権を実効あらしめるためには、地方税財源の充実確保に積極的に取り組むべきであると、私ども何度も主張してまいりました。 そこで、国庫補助負担金のさらなる整理合理化を早急に推進するとともに、存続する国庫補助負担金については統合メニュー化を一層推進し、運用、関与の改革を図るべきと考えますが、自治大臣の見解はいかがでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 国庫補助負担金の整理合理化につきましては、地方団体の自主性、自立性を高める見地から、積極的に進めていくべきものでありまして、これまでも、地方分権推進計画などを踏まえて、地方団体の事務として同化、定着、定型化しているようなもの、あるいは国庫補助負担金が少額であるものなどについては、一般財源化などの整理合理化を進めてきておるところであります。 また、存続する国庫補助負担金につきましても、地方分権推進計画において、国の過度の関与などによって地方公共団体の自主的、自立的な行政運営が損なわれることがないよう、運用や関与の改革を図ることとされておりまして、これまでも統合メニュー化、交付金化などの改善措置を講じてきておるところであります。 今後とも、地方分権を推進し、地方公共団体の自主性、自立性を高める見地から、国と地方との役割分担の見直しに合わせて、補助金等を真に必要なものに限定していくなどの整理合理化を積極的に進め、地方税、地方交付税等の地方一般財源の充実確保を図っていきますとともに、存続する補助金についても、統合補助金の創設を平成十二年度に行うなど、国の過度の関与等が行われないような仕組みにしていくことが必要であると認識をいたしております。
○宮澤国務大臣 ただいま自治大臣のお答えになられたとおりでございますが、過去におきましても、この問題につきましては、地方分権推進計画あるいは中央省庁等改革基本法で、いわゆる一般財源化するあるいは統合メニュー化するということを決定しておりましたが、この三月二十六日に閣議決定を、もっと具体的にいたしまして、ただいま自治大臣の言われましたようなことを細目にわたって推進をいたしつつございます。
○若松委員 ぜひお願いいたしたいと思います。 それでは、これも自治大臣ですね。とりあえず先ほど国庫補助負担金について質問いたしました。これも私どもは附則で載ると理解しておりますけれども、税財源の移譲ですね。当然、国と地方の適切な役割分担に即して、地方への権限移譲に積極的に取り組み、その権限移譲に当たっては、権限の移譲に対応した税財源の移譲を推進すべきと考えますが、自治大臣、あわせて同旨で御見解を大蔵大臣にもお伺いします。
○野田(毅)国務大臣 地方分権を実効あらしめるためには、地方税財源の充実確保に積極的に取り組んでいくべきである、そしてその際、国と地方の適切な役割分担に即して、地方への権限移譲に積極的に取り組み、その権限移譲に当たっては、権限の移譲に対応した税財源の移譲を推進すべきであるという御趣旨のただいまの御指摘は、まことにそのとおりであると考えております。 地方分権推進計画におきましては、「国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、中長期的に、国と地方の税源配分のあり方についても検討しながら、地方税の充実確保を図る。」こととされておりますし、また、この推進計画におきまして、当面、「国から地方公共団体への事務・権限の委譲が行われた場合において、その内容、規模等を考慮しつつ、地方税等の必要な地方一般財源の確保を図る。」とされておるところでもございます。 今後、地方分権推進計画を踏まえ、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系の構築などに努めるとともに、国税から地方税への税源移譲についても検討しながら、地方税財源の充実確保を図ってまいる所存であります。
○宮澤国務大臣 その点は私も全く同様に考えておりまして、従来から申し上げておりますとおり、我が国の経済成長が回復軌道に乗りましたら、徹底的に地方行財政への再配分をいたさなければならない。そのときはかなり基本的な問題をいろいろ議論してまいることになると思いますから、文字どおり、戦後最大の抜本的な再検討になるのではないかと考えております。
○若松委員 それでは、自治大臣にお伺いいたします。 自治事務に対して、是正の要求の発動、これが法的に認められております。しかし、地方自治体の自主性及び自立性に極力配慮すべきと考えます。これは、いわゆる要求の発動が基本的にあってはいけない、そういうことですので、自治大臣の御見解を伺います。
○野田(毅)国務大臣 一言で言えばそのとおりということなんですが、地方公共団体の事務処理を行います場合に、まず、当然のことながら適法、適正な事務処理が行われるということがそもそもの前提であると思います。 しかし、まことに異例のケースとして、違法な事務処理が行われている、本来ならそういう場合にはまずみずからの手によって是正をされるべき筋合いのものであると思います。しかしまた、異例な場合に、そういう事態が放置をされてなかなか是正が行われていないというような場合には、自治事務といえども、国が、明らかに公益を害しているというような場合に、放置をしているということ自体を認めるわけにいかないというような場合に初めて、例外的な形で国がその自治体に対して是正の要求を行うというようなことを形として仕組んでおるわけでございます。 繰り返し申し上げますが、本来なら自律的な作用をもって問題の解決が図られるということが本来の姿である。したがって、是正の要求というのは、本当に臨時異例のケースという場合の国の関与ということであるわけであります。その点、是正の要求を行う場合でも、その関与の仕方について、個々具体的なケースについてというのではなくて、一般的な、できるだけ具体処理は自治体自身にゆだねるという形を考えておるわけです。
○若松委員 ぜひ、異例のケースが多例のケースにならないように、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。 続きまして、これも自治大臣ですけれども、地方分権推進法が平成十二年七月、ここである意味で切れるわけですけれども、その推進法失効後の地方分権を推進する体制をどうするかということについて、自治大臣の見解をお伺いします。
○野田(毅)国務大臣 現在の地方分権推進委員会は、地方分権推進計画の作成のための指針の勧告と同計画の実施状況の監視機能をも有しておりまして、来年七月の存置期限があるわけでございます。したがって、その来年七月の存置期限までは同委員会における活動を見守るべきであろうと考えております。 そこで、地方分権推進法の期限切れ後の体制につきましては、その時点での状況を踏まえて判断をすべきであろうと考えておりますが、いずれにしても、この地方分権推進法に規定をされております地方分権の推進に関する基本理念や、あるいは地方分権の推進に関する基本方針の考え方に沿って、一層地方分権の推進に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 今後は、課題として、住民の直接的な地方自治行政への参加という意味における住民自治の充実方策や、地方分権を裏打ちする地方税財源の充実確保のための方策について取り組んでいくべきものと考えておりまして、そのためにどのような体制が望ましいか、その必要性も含めて検討してまいりたいと考えております。
○若松委員 それでは、これも自治大臣になろうかと思います。これも附則できちんと明記されたと思いますけれども、ちょっと表現は違いますけれども、要は、二十一世紀の高齢社会にふさわしい社会保険制度、これについて抜本的な見直しの必要性、並びに、今進んでいるわけですけれども、今後、社会保険制度の基本的枠組みについていわゆる改革が実施されることとなる場合に、社会保険行政の住民サービスへの影響、国、地方を通じた社会保険行政の簡素合理化等を踏まえて、これにふさわしい事務処理体制について当然検討すべきであるし、その結果に基づいて必要な措置を講ずるべきと考えますが、自治大臣のお考えはいかがでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 御指摘のように、来るべき二十一世紀の高齢化社会に対応するため、今後とも、社会保険制度の基本的な枠組みについて改革が実施されるものと承知をいたしております。 私としましては、みずからの所掌事務の範囲内で、時代に適応した社会保険の事務処理体制づくりにおいて、地方行政の分野で協力できることは協力をしてまいりたいと考えております。
○若松委員 それで、厚生大臣にお伺いいたします。先ほど自治大臣がお話しされました社会保険事務、現在、社会保険庁。今回の地方事務官ということでこれが国家公務員になる。約一万数千人の職員の方が国家公務員という形になって、さまざまな御意見がございました。 これに関して、それでは社会保険関係の現在の地方事務官、これについて、当然彼らもさまざまな福祉、将来の手当て等をしっかり確保しなければいけないということで、独自の共済組合の設立等を認めることが必要ではないかということを考えるわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○宮下国務大臣 まず、最初の自治大臣のお答え申し上げた点について、補足といいますか、申し上げさせていただきますが、今後、医療保険制度、年金制度の改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員のあり方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処理の効率化等の視点に立って検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするということとしたいと思います。 それから、第二点目の社会保険関係の問題でございますが、共済組合は安定的な運営を図るために相当程度の規模が必要と考えます。社会保険関係地方事務官につきましては、これまで地方事務官という特別な環境のもとで業務に従事してきた経緯があり、また職員数も一万六千五百人と規模が大きいことから、独自の共済組合を設立することも考えられると思います。
○若松委員 それでは、これは厚生大臣だと思うのですけれども、ちょっと質問通告しておりませんけれども、難しい質問じゃありません。今回、そういうことで地方事務官が身分切りかえになります。それに伴いまして、やはり御本人たちも大変な大きな地方分権、そして行革の流れのある意味で被害者という立場でもありますし、当然、彼らの処遇については十分な配慮を図るべきだし、図っていただきたいと念願するわけですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○宮下国務大臣 第三次勧告にも触れられておりますが、厚生事務官となりました場合も、その職員の処遇については十分配慮してまいります。
○若松委員 それでは、自治大臣に同じこの地方事務官についてお聞きしますけれども、地方事務官であった者について、これも民主党さん、また社民党さんと連携をしながら、先ほどの一万数千人の社会保険庁の職員の身分等について、さまざまな彼らの意見の代弁をさせていただきました。そして今度は、地方事務官であった者について、当然それぞれのいわゆる職員組合に入っているわけでありまして、今後も都道府県職員で構成する職員組合に加入し役員を担うこととすることができないか。これは大変切実な要望でもありますし、またそのために、たしか社会保険庁の九十数%以上の方が署名をしたという現場の要請もございます。それについて、いかがでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 職員組合の関係につきましては、現在、一万三千人余りが地方公務員法上の職員団体に加入をしておられるわけです。これまで五十年余にわたって続いてきた地方事務官制度の廃止に当たって、円滑な制度移行を図る必要性、それから、平成十二年四月一日までの間に脱退しなければならないことによります現在の組合運営等に及ぼす影響等を考えて、現在、与野党間で何らかの経過措置が必要なのではないかということで鋭意協議をしていただき、御検討いただいておるところと承知をいたしております。
○若松委員 ぜひこれは、まだこの委員会は終わっておりません。法的な措置も含めて、しっかりとした対応をよろしくお願いいたします。自治大臣、よろしいですね。厚生大臣もいろいろな形で配慮をお願いいたします。 それでは、これも議論をする中で上がってきたお話ですけれども、自治大臣と法務大臣にお伺いいたします。 今回の法案、地方分権一括法案において、特に資格、公的資格制度ですね。私も公認会計士、税理士ですので、現在の三カ年規制緩和の中で九十八士業が規制緩和の検討がなされているということで、なぜか行政書士だけが九十八のうちぽっとこの地方分権一括法の中に出てきたということで、だれが見てもちょっとおかしいなという感じがしたわけですね。そこで、我が会派から二人の委員がさまざまな問題点を指摘してまいりました。 それは、今回の法案で、行政書士会の会則の必要的記載事項となっていた報酬規定を削除することとしております。この行政書士制度に関する報酬規定の取り扱いですけれども、先ほど言いました三カ年規制緩和、そして九十八士業等他の公的資格制度の規制緩和とあわせて、そのあり方についてやはり今後引き続き検討すべきではないかということを考えますけれども、自治大臣の見解をお伺いします。
○野田(毅)国務大臣 地方分権一括法案中の行政書士法の改正のところにおきまして、行政書士が受ける報酬の額について、行政書士会及び日本行政書士会連合会の会則事項から除くこととしておるのは御指摘のとおりでございます。これは、行政改革委員会の最終意見を受けて閣議決定がなされました規制緩和推進三カ年計画を実行するものでありまして、委員各位の御理解を賜りたいと考えております。 ただ、行政書士の報酬規定につきましては、公的資格制度全体の報酬規定のあり方などについて、公正、有効な競争の確保や合理性の観点から、行政改革推進本部の規制改革委員会において審議がなされる予定でありまして、その議論の動向を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
○若松委員 ですから、先ほど言いましたように、特に報酬規定等、これの取り扱いについては、ぜひとも今回のこの地方分権一括法の中の法案どおりに施行されないように、ぜひ他の士業との関連の中でしっかり慎重に検討していただきたい、再度要求いたします。 それで、同じ観点から法務大臣にお伺いいたしますけれども、司法書士とかまた行政書士なども、いわゆる法曹資格に隣接する資格の充実についても、司法制度改革審議会において当然今後検討がなされるべきと思うわけでございます。特に行政書士等は、交通事故があった場合にさまざまな法的な必要書類というものを地域でつくられる、貴重な住民サービスを行われている士業の方々です。 ですから、そういった方々もやはり法的な、法曹資格に隣接するお立場でもあると考えますので、ひとつ、そういった幅広い関係者を含めた中での司法制度改革審議会を今後やっていただきたい、そう考えますけれども、法務大臣の見解をお伺いいたします。
○陣内国務大臣 司法制度の改革に関して、法曹資格に隣接する専門職種との間の協力関係やそのあり方等につきまして、各種の提言がなされておることは十分承知いたしております。 司法制度改革審議会のことにお触れになりましたけれども、先般成立いたしました司法制度改革審議会設置法に基づきまして、二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、国民がより利用しやすい司法制度の実現、国民の司法制度への関与、法曹のあり方とその機能の充実強化その他の司法制度の改革と基盤の整備に関し、必要な基本的施策について調査審議することを所掌事務といたしております。 したがいまして、同審議会における具体的な審議事項につきましては、国民各界各層からの各種の提言、国会における審議経過等を踏まえまして、同審議会において適切に選定していただくことになるものと考えております。
○若松委員 これで実は予定した質問が終わってしまいました。 時間がありますので、ちょっと、この点、総理と自治大臣と経企庁長官にお伺いしたいと思います。そんなに難しい質問じゃございません。 まず、当然、中央省庁改革が終わって地方分権がかなり進みます。そうすると、税財源の移譲という形ですけれども、じゃ、果たしてこれから二十一世紀の地方自治のあり方はどういうことなのかと。実は、この本質的な議論というものを確定しない限り、税制も変わらない、国と自治体の役割分担も変わらない、結局そういうことなんですよね。 そういうことであれば、私の質問は、地方自治のあり方ということで一般に言われている議論は、例えば道州制という議論がありまして、じゃ、道州制とはどういう定義かという議論も実際になされないまま、数年前、選挙制度に絡めて十一ブロック、あのときも道州制の議論がありました。じゃ、これからの地方自治体は、結局、現在の例えば都道府県と市町村という二層制でやるべきなのか。 基礎自治体をもっと、いわゆるミニ政令市みたいな形を今後つくる、そうすると、少なくとも三百から五百、多くても千以下、こういう形でのこれからの市町村になる。そうすると、県なり都道府県は、いわゆる調整機能、その調整機能というのも、全国的な調整機能もありますけれども、基本的にその地域、ブロックでの調整機能。一・五層になるかわかりませんけれども、こういう一層に限りなく近い調整機能。私は、こちらの一層方式がこれからの自治体のあるべき姿だと考えます。 それについて、率直に総理、自治大臣そして経企庁長官のお考えを賜りたいと思います。これも、七月二十四日、我が党の臨時党大会へ向けまして、今、基本政策を激論しております。ひとつ御所見のほどを伺いたいと思います。
○堺屋国務大臣 大変未来的な御質問でございまして、これからの自治制度がどうあるべきか、これは、総理大臣から経済戦略会議に出されております二〇一〇年のあるべき姿という中でも、いろいろと議論されております。その中に、もちろん道州制あるいは府県合併ということも視野に入れて検討しておりますが、現在の段階では、やはりまず市町村の合併が先行すべきではないか。そして、かなりの時間を置いて、研究期間を置いて、次の問題をどう取り組むべきか。その場合には、首都機能の問題等、日本の地域構造全体を含めて考えなければいけないと考えております。 これからの国のあり方を考えますと、それぞれの個人が独立した状態が立つ、そして、その基礎の上に個人の自助の延長として自治がある。今までの考え方は、自治体というのは国の権限を分けたような考え方でしたが、自助の精神の延長として自治があるという姿になるべきだろう、こう考えておりますが、その府県、市町村の構造としては、なおよく研究する問題がたくさんあると思っております。
○野田(毅)国務大臣 大体、方向性において、どういうようなやり方で仕事を分担していくのが一番いいのか、率直に言って、まだ今のところ結論が出ているところではないと思っています。 ただ、道州制という場合に、その道州がどの程度の権限を持ってやっていくのかということが、まだ今のところ明らかでないわけであります。つまり、道州が、現在都道府県が持っているような権限を発揮して、その下にさらに市町村、そういう意味での国、道州、市町村という三層構造をイメージするのかどうかということまで突っ込んだ議論というのは、実はなかなかいっていないように思います。 そういう中で、基本的に、全国を大体三百の基礎自治体にやっていこうという考え方ももちろんあるわけで、その場合には、基本的な考え方としては、むしろ、道州というのはそういう権限を行使するようなことではなくて、言うなら調整機関的な、そういう意味では、地方自治体としては一層構造みたいなことが発想の基本にあるのではないかと考えております。 この点については、いずれ都道府県自身の合併ということをも視野に入れて中長期的に検討しなければならないということは、地方分権推進委員会においてもいろいろ御議論をいただいてきたわけであります。 当面、今急いでやるべきことは、国、地方を通ずる行政の簡素効率化ということと同時に、地方自治体自身が自主性、自立性をより高めていくためにも、その受け皿としての行政体制の整備をしていく中で、市町村の合併をさらに推進して、その財政力なりあるいは事務遂行能力なり、組織的、財政的さまざまな基盤を強化するということを当面急ぐべきことではないかという点で、今回一括法の中で合併特例法の改正を盛り込んで、今は都道府県の合併ということよりも当面市町村合併ということに重点を置いて御提案申し上げておるという状況にございます。 将来どうあるべきかというのは、もう少し御議論をしていただく、各方面からの議論が必要な部分があるのではないかというふうに考えております。
○小渕内閣総理大臣 新時代にふさわしい地方のあり方ということで、分権一括法で今日御審議をちょうだいいたしております。道州制の問題とかあるいはまた三百の自治体を一つの基盤にして進めるべきだとかいうことで、世に問われている点は多々ございますが、当面といいますか、今日は、この分権法によりまして新しい地方のあり方というものを目指していくことが必要ではないか、このように考えております。
○若松委員 経企庁長官と自治大臣は、お二人とも市町村合併というところの必要性を強調されました。 それで、おととい仙台の地方公聴会に行きまして、では皆さんどういうことを言ったかというと、やはり市町村合併は地元に任せてくれ、こういう御意見なんですね。ところが、残念ながら、補助金とか地方交付税とかの比率がかなり高くて、財源がなしで、自治意識というのは、やはり頼っているところが、甘えの構造なんですね。 じゃ、市町村合併をみずからが、住民の方が選んでくるかというと、結果的になっていない。そこら辺で、どう考えたって自治体、地元で市町村合併を組み立てていくというのがベターなんですけれども、やはり長年の日本の中央集権の歴史からするとそれもできないというところで、恐らくこれはいずれにしても英断が必要になってくると思うのですね。 ですから、そういった観点から、やはり国の早急の、一層制なり二層制なり、私は一層制、恐らく野田先生も本音は一層制ではないか、かなり一層制だと思うのですけれども、でも当面市町村合併をやらなくてはいけない。 この市町村合併というものをさらに推進するための施策なりこうあるべきだというもの、将来の検討課題でも結構ですから、もし御意見がありましたらお二人に聞きたいと思います。 〔委員長退席、岩永委員長代理着席〕
○野田(毅)国務大臣 今回の地方分権一括法案の中で、今申し上げました合併特例法の改正を盛り込んでおるわけです。 その一つの特色は、若干専門用語で恐縮ですが、いわゆる合併算定がえに関する問題とかいうことだけでなくて、その中でコミュニティーといいますか、そういうようなところが合併されて、自分たちの考えが飲み込まれていってしまって、地域の個性がなくなってしまうのではないかというような不安があるものですから、そういったところについては地域審議会というものを位置づけて、コミュニティーの個性なりというものをどう生かしていくかということ。それから、行政体制としての地方公共団体というものとそこはある程度切り離した発想があっていいのではないか。コミュニティーのよさは残していけるような方策、これは今回非常に大きく、今までにない特色であろうかと思います。 それから、合併特例債というものを新たに創設することによって、かなり財政的にも、単なるマイナス面を消去するということだけでなくて、プラス面をさらに加速するというようなことをも含めて対応したところであります。 それで、都道府県との関係について言及されたわけですが、実際問題、市町村の合併をそれぞれ促進していこう、推進していこうという場合には、やはりその都道府県の協力というか、ある種の指導というものがあわせて実際に並行して行われませんと、なかなか現実には進まないわけであります。そういう意味で、この法案が成立をさせていただきますならば、できるだけ早期に、そういう都道府県に対して市町村合併のためのガイドラインをお示しして、その上で具体的な対応をお願いしていきたいなと考えておるわけです。 そういう意味からいえば、事柄の手順からいうと、まず市町村合併の方を優先する、都道府県の合併等に関してはもうちょっと時間がかかるのではないか。特に都道府県に関しては、もう百年余りの歴史を持ち、それなりに行政機構として定着しているという現実の姿も実はあるわけでありまして、今どれを優先して急ぐべきかということからいうと、くどいようですが、市町村合併をまず優先して処理をしていきたいというふうに考えておるわけです。
○堺屋国務大臣 委員御指摘のように、自治体をどうつくるかというのは、まさにそこの住民の御意見、これが第一であることは間違いないと思います。 日本の市町村の歴史を見ますと、明治にできたときは約三万ございました。それが昭和の戦前に一万二千ぐらいになりました。そして、終戦直後、五年ぐらいの間に三千六百ぐらいまで減りまして、それから今日、三千二百数十という形で、余り変わっておりません。この歴史を見ますと、何らかの機能、仕事ができたときにやはり市町村が合併しているということは事実でございます。 日本の住民は私は大変利口だと思いますので、市町村の機能というものが変わってくると、それに合わせて規模も選んでいく。もちろん、その中で小さい規模でも自分たちで守りたいという独自のところもあっていいわけでございますが、大きな流れとしては、そういう形が出てくる。終戦直後にどっと減りましたのは、やはり新制中学をつくるということと関係があったと心得ておりますが、今度の、いろいろこの分権法などが与えられると、そういう刺激効果が出てくるんじゃないかと思います。 そして、そういう中で、今まで行政がやっていたことの一部がまたNPOとかそういうコミュニティーの世界に戻っていって、そして国のやっていたことが地方にも行くというように、順次この住民の身近な組織に移っていく、その中で市町村合併が刺激をされて進むんじゃないか。県の方は、今自治大臣が答弁なさいましたように百年続いていますから、これはなかなかでございますが、私は、やはりこの合併あるいは道州制も視野に入れて検討すべき時期が近づいているんじゃないかと考えております。
○若松委員 貴重な意見、ありがとうございました。これで質問を終わります。 ありがとうございました。
○岩永委員長代理 次に、春名直章君の質疑に入ります。
○春名委員 日本共産党の春名直章です。 この委員会も、私、三回目の質問をさせていただいております。審議を通じても、それから参考人質疑や中央、地方の公聴会も開かれましたけれども、特徴的なのは、拙速ではなくて慎重な審議をしてほしいという声でありました。それからまた、中身の問題では、本法案が地方自治の拡充に資するのか、逆に国の統制を強化しているものがあるじゃないかということへの危惧が大変広がっているということも、また、公述人の方からの意見などもそういう声が数多く寄せられたというのが特徴だったと思うのですね。拙速な採決は厳に戒めるべきだと、私は冒頭申し上げておきたいと思っております。 まず、総理にお聞かせいただきたいと思うんですが、明治憲法になくて現憲法に新たに誕生したものが三つあると思うのです。一つは、二章九条の戦争放棄の条項です。もう一つは、現憲法が最高法規なんだという第十章の規定です。そして、いま一つが第八章で、地方自治という条項であります。 戦前の深い反省から生まれた日本国憲法の中で、新たに地方自治の原則が示されました。戦後の日本の進む太い原則の一つがここで明らかにされたというふうに思っています。総理は、この戦後憲法に明記をされた地方自治、この地方自治が明記をされた趣旨、それからその積極的な意義についてどのような御認識を持たれているのか、まずお伺いをしたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 明治憲法時代におきましては、我が国の地方自治制度は単に法律上の制度にすぎなかったものもありますが、現憲法下におきましては、憲法の第八章として地方自治の章が設けられたわけであります。これによりまして、地方自治制度が憲法上の制度として認められ、自治権の基本が憲法によって保障されたものと理解いたしております。 このことから、国から独立した人格を有する地方公共団体が、その住民の意思に基づいて、みずからの判断と責任のもとに地域の実情に即した行政を展開していくことを可能にするものであると考えております。
○春名委員 私もその認識は共有するものでございます。ぜひこれからもそのように前進をしていきたいというふうに願っております。 ただ、この間の審議、それから、私自身がこの膨大な法案を勉強させていただく中で、議論もしてまいりましたけれども、なかなかその方向に、拡充の方向に進まないのではないか、逆に、分権の名前で地方自治が切り縮められていくのではないか、こういう問題がこの間審議をされてきたと思います。 それで、総理にもう一度引き続きお伺いしたいんですけれども、この委員会の中でも、一つは、新しくできた自治事務に各大臣が是正の要求を出すことができる、これは野田大臣ともやりとりさせていただきましたけれども、文章上でいいますと、それを措置しなければならないという文章が入っておりまして、義務規定になっているんですね。その是正の要求という問題。 それから、できるだけしないようにしなければならないとなっていますが、個別法での代執行が、地方自治法という一般ルールの中で代執行も、できるだけしないようにと言いますけれども、できるようになる。この言葉が入っているわけですね。 私、そういう点で、今、地方自治の前進と自治権の拡充ということを考えるのであれば、この地方自治体が自由にやれる事務、仕事に対するこういう統制といいますか関与は、私は、ぜひ削除していただきたい、このように思っております。総理大臣はそのようにお思いにならないのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 自治事務に対する是正の要求についてでありますが、地方公共団体が違法に事務処理を行っているような場合には、自律的な是正がなされ、当該地方公共団体の行財政の運営が混乱いたしまして著しい支障が生じているような場合には、これを放置しておくことはできないことは言うまでもありません。そこで、国等が何らかの形で関与し、適正、円滑な行財政運営を維持するための実効性のある措置を講ずることが必要であると考えたところでございます。 次に、自治事務に係る代執行についてでありますが、改正後の地方自治法第二百四十五条の三の規定は、関与の基本類型を示すため、今後の立法の指針となる一般的配慮義務を規定する趣旨でありますので、法案のような表現となったものと理解しております。 なお、この規定の前提となりました地方分権推進委員会の勧告及び地方分権推進計画の趣旨からすれば、今日、自治事務の中で代執行の対象となる事務はなく、また、今後も、法令の立案に当たりましては、政府部内の対応としては、自治事務に対する代執行の規定を設けることは考えておりません。
○春名委員 今、後半におっしゃったことをこれから少し議論をさせていただきたいと思っております。 自治事務への代執行規定について伺っていきたいわけですけれども、今、総理もおっしゃいましたが、自治大臣も、自治事務の中で代執行の対象になるような事務はないし、今後もない、このように明言されておられます。六月二日の我が党の吉井議員への答弁でも、改めてそのことを確認をされておられます。 ところが、個別法の中には、よく見てみますと、国が直接執行、代執行と言っていいと思うんですけれども、そういう規定が幾つか盛り込まれております。ですから、自治事務の中で代執行の対象になるような事務はないし、今後もない、こう明言をされていらっしゃるわけだが、よく見てみると、個別法の中には代執行規定がある。 どちらが本当なんでしょうか。その点をお答えください。
○野田(毅)国務大臣 たびたびこの委員会における答弁でも申し上げたんですが、自治事務の中に代執行に該当するものはない、これはそのとおりでございます。 地方自治法の第二百四十五条第一号トに規定する代執行というのは、「普通地方公共団体の事務の処理が法令の規定に違反しているとき又は当該普通地方公共団体がその事務の処理を怠つているときに、その是正のための措置を当該普通地方公共団体に代わつて行うこと」と規定をしているわけです。つまり、それが代執行である、こういうことです。そういう意味での代執行に該当する規定は、自治事務に関してはないと私は承知をしております。 今どうも、いろいろおっしゃっているのは、むしろ代執行ではなくて、いわゆる直接執行、並行権限の行使というような分野の話をしておられるのではないかというふうに考えております。並行権限の行使、これはこれでまた後ほど多分質問が出ようかと思いますが、一般的に、法令違反の状態が続いて、そしてそれを放置することができないというような場合に行われる権限行使ということであると思っております。
○春名委員 それで、直接執行という言葉と代執行というのが実態的にどう違うのかというのがあるんです。是正の要求、国の方からさまざまな指示をする、そのときに、それに対してなかなか直っていかないというときに、さらにもう一度、今度はもうかわってやる、そういうふうな仕組み。そういう概念でいいますと、直接執行、代執行というのを共通する概念というふうに言ってもいいかと思うんです、今言われた違いというのは僕も理解しておりますけれども。 ただ、新しく自治事務ができて、地方の裁量をできるだけふやしていくということが、今度の分権、対等、協力という地方分権の大きなテーマなわけです。そういう目から見たときに、ぜひ自治大臣、ここまで細かく見ていらっしゃらないかもしれませんけれども、今度の自治事務については代執行をしない、例外的なんだ。それは並行権限の行使という中身でそういうものが散見しているものはあるということだと思うんですけれども、それならば、私は、この地方分権一括法の改正に当たって、個別法の中である、今自治大臣がおっしゃっている並行権限、直接執行という問題についてもしっかりメスを入れて、自治事務として新しくなるのに本当にそれをそのままスライドして残していいのかどうか、できるだけ減らしていこうというような努力がされてしかるべきだと思うんですけれども、その点はどのようになったのでしょうか。その辺をお聞かせいただけたらと思います。
○野田(毅)国務大臣 もう一遍整理しますと、地方分権推進委員会でいろいろ御議論いただいて、その中で出ました結論というのは、「自治事務として地方公共団体が処理する事項に関し、その性質上特に必要があるものについて、国民の利益を保護する緊急の必要がある場合には、国は、法律の定めるところにより、直接事務を処理することができるものとする。」というのが地方分権推進委員会の勧告でございます。これを受けて、昨年、地方分権推進計画が閣議決定されましたが、同趣旨のことが書かれておるわけでございます。 これをもとにしてそれぞれ作業もしていただいたわけでありまして、この地方分権推進委員会で、個々の法律ごとに、その事務の内容、関与の要件などを十分御検討いただいた上で勧告もなされたわけだし、それに即して今回整理をされたわけです。 具体的に言いますと、例えば教職員免許法第十九条の、免許状の授与権者、これは都道府県教育委員会でありますが、この処分に関する文部大臣の権限行使の規定が削除されているということがございますし、また、児童福祉法における指定育成医療機関等の管理者に対する報告徴収等の厚生大臣の権限行使の要件を、児童の利益を保護する緊急の必要があると厚生大臣が認める場合に限定をした、あるいは農地法第八十九条に基づく農業委員会の権限について、法定受託事務に対する代執行規定の削除がなされておるとか、この種のことが現になされておるわけであります。 そういう意味で、現時点において必要な見直しはなされておるものと認識をいたしております。 〔岩永委員長代理退席、委員長着席〕
○春名委員 それ以外にもたくさんそのまま残っているものがあるということを発言しておきたいと思うんです。(発言する者あり)発言の邪魔ですので、静かにさせてください。真摯に議論しているんです。注意してください。
○高鳥委員長 静粛に願います。
○春名委員 私は同じ質問はしておりません。 続いていきます。 重大なことですけれども、分権一括法を契機にして新しく直接執行が導入されているものがあるんですね。 建築基準法の十七条の議論をさせていただきたいと思います。建設大臣にお聞きすることになりますので、関谷建設大臣、よろしくお願いします。 建築基準法の十七条の一項には、都道府県もしくは市町村の建築主事の処分がこの法律もしくはこれに基づく命令の規定に違反し、または都道府県もしくは市町村の建築主事がこれらの規定に基づく処分を怠っている場合において、国の利害に重大な関係がある建築物に関し必要があると認めるときは、都道府県知事や市町村の長に対して、期限を定めて必要な措置を命ずることができるという項目と、続いて十七条の七項で、都道府県知事や市町村長が従わない場合は、審議会の確認を得た上で、みずから必要な措置をとることができる、こういう規定が盛り込まれております。 これは直接執行というふうに、概念でいえばそうなるのかもしれませんけれども、こういう規定がなぜ新しくつくられているのか、まず建設大臣、お答えいただけますか。
○関谷国務大臣 なぜというお話でございますが、これは地方分権推進計画の、先ほど先生も少し触れていらっしゃいましたけれども、「自治事務として地方公共団体が処理する事項に関し、その性質上特に必要があるものについて、国民の利益を保護する緊急の必要がある場合には、国は、法律の定めるところにより、直接事務を行うことができる。」という文章があるわけでございまして、私は、そういうようなことで、この地方分権推進の趣旨の、その範疇内であると私は思います。国としては、そういう国民の利益を守るということは国家として当然の義務でございますから、そのときにはそういうことを執行することはできると私は思います。
○春名委員 「国の利害に重大な関係がある建築物に関し」となっているんです、建設大臣。野田大臣もおっしゃっていましたし、今建設大臣もおっしゃいました。自治事務へのこうした最後の関与といいますか、これについては、国民の生命や安全を守る上で緊急やむを得ない場合には必要という面を私は理解できるわけです。ところが、国の利害に重大な関係がある建築物に関し指示をし、従わなければ措置することができる、こういう規定が新しく入っているんですね。 そして、このことを質問された建設大臣は、その規定に当てはまる例として防衛施設と原発をお挙げになりました。伝染病や大災害などでまさに国民の命が守られなければならない、一刻を争う場合であれば、もちろん話はわかります。ところが、原発や防衛施設の建築などについては、国民の生命や安全を守る上で一刻を争うという範疇のものではありません。そのようなものを直接執行という形で、代執行もどきといいますか、そういうふうなものをあえて十七条の中に導入されている。 あなた方のそういう理屈からいっても、地方分権推進委員会の、代執行、直接執行ができる中身の、国民の安全や生命を本当に守る、一刻の猶予がならぬというときに限ってというふうな規定からいっても、この内容は全く当てはまらないと私は思うんですね。なぜこのようなことになるのでしょうか。建設大臣、もう一度、納得できるお答えをいただきたいと思います。
○関谷国務大臣 いわゆるどういう建物がそういう国の利害に重大な関係がある建物であるかということは、私はそのときそのとき判断すべきことでもあろうと思うわけでございますが、私の考えにおきましては、国の維持存立に関係をいたします防衛施設というのは、もう一〇〇%これは国民の利益に、また安全に関係するものであると思っておりますから、こういうようなことは当然私は指示すべきだと思っております。
○春名委員 結局、原発や防衛施設に限っては、国の利害に重大な影響を及ぼすというこの新しい基準を、推進委員会にはなかった基準をここに導入をして、国の利害に重大な影響があるからという国の判断で建築を実行する道を開こうとしているということなんですね。 私は、だから、真摯に議論しているつもりなんですけれども、地方分権推進委員会の代執行、直接執行、最後のそういうやり方をする場合には、国民の安全と命が本当に緊急に守られなければならないときにこれを議論し、そしてやる場合がある、極めて限定的にしなきゃいけない、野田大臣もおっしゃっています。 ところが、そういう基準ではなしに、この十七条の一また七、八の規定になりますけれども、ここにはそれとは異質の、「国の利害に重大な関係がある建築物」ということをあえてここでお入れになって、そしてこれを国の直接執行で実行できる道を開くというのは、考え方が違うからとおっしゃる方もいらっしゃるけれども、これは国民の安全や健康とは無関係なんですね。 だって、国民の安全だから、だから裁判なんかやっていたら大変ですからね。法定受託事務の代執行というのは裁判ありでしょう。しかし、自治事務の中でこうやって直接執行するのは、審議会にかけてすぐやれるというこの話は、十七条の話は審議会にかけてやれる、裁判抜きなんですね。そういうふうにするのは、国民の命や安全、本当に緊急に守らなければいかぬということがやはり一番の基準なわけですよ。 そのことに立ったときに、全く違う範疇を持ってこられて、国の利害に関係するものと。この国の利害に関係するものと、重大な影響を与えるものという中身は国がお決めになることだと思うので、そんな裁量が入る中身を入れて、その中身は防衛施設や原発が考えられるというふうに言われても、これは住民や地方自治体は、おかしいんじゃないかと。私もおかしいと思いますね。納得できるものではない、随分裁量が広がっているというふうに感じます。建設大臣どうでしょうか。
○関谷国務大臣 これは、先生と私、いろいろな、教育をされたところも違うのかもしれませんが、私は先生のおっしゃることはおかしいなと思うわけでございまして、どうも理解ができない。私は、もちろん、先生御指摘のように急に伝染病がはやった、これも確かに国民の生命に関することですから、それは重要なことでございましょう。それも理解できます。 しかし、片や、そういう建築物の一つのものとして防衛関係のものであるとかあるいは原発であるとか、そういうようなこと。今、日本では原子力発電というのは大きな比重を持っておるわけでございますから、それが突然なくなったなんていうことになりますと、国民の生活が成り立たないわけでございますから、やはりそれは国の利益に直結しておると私は思います。 ですから、これは先生、あすの朝まで二人で話し合ってもちょっと線は合わないんじゃないかな、そんな思いがいたしますが。
○春名委員 国の利害というのを、私はそれは理解しているつもりですけれども、そうしたら住民の利害というのはどうなるんですか。 それは、私が言っているのは、例えば防衛施設とか原発という問題でいいますと、原発という問題では、もう皆さん御存じのとおり、大変住民の中での不安もある。そして、住民投票条例にかかっているところもある。立地が決まりそうになったけれども、やはり勘弁してほしいという住民運動もある。それから、防衛施設の問題なんかでいいますと、今から新しい基地を誘致してほしい、こういうふうに言うような住民の方とか自治体は余りないと思うんですね。ですから、そういう闘い、運動があるわけです。 しかし、私は、正確に見たら、この条文で住民の利害という中身はないんですから。国の利害だということで皆さんが、建設大臣が御判断をされて、そしてそのことについて、原発や防衛施設の問題で、これをできないから、今住民が反対していてなかなか大変で、自治体に言ってもそれを措置しないという事態になったときに、それだったらもう国から、国の利害に重大な影響を及ぼすというふうに判断すれば、それが直接執行できる道が開かれるんですよね。そうでしょう。こういう場合であっても、建設大臣、自治事務であって、地方分権という道をつけようとしているときなんだから、そういう場合であるからこそ、住民の利害を真剣に検討し、考え、よく相談をし、自治体との議論が必要なんであって、それを頭ごなしにできるような規定を今設けるような必要は私はないように思うんですね。 まあ、何年たっても平行線なのかもしれませんけれども、私の考え、どうでしょうか。建設大臣、そうじゃないでしょうか。
○関谷国務大臣 私は二つのことを答弁させていただきたいと思うんですが、一つは、国の利害に関係することは、私は国民の利害に直結をしておると思うんです。表裏一体のことだと私は認識をいたしておるわけでございます。 それと、先生がそういういろいろな角度から御質疑をされております基本の考え方の中には、どうも国の直接執行が多くなり過ぎるんじゃないかというお考えがあるんじゃないかと思いますが、私は全くそんなことはないと思いますよ。そういうような部分はごくごくわずかである。いわゆる地方分権推進の方向にもう大宗は流れておりますし、大部分は私は地方の分権という目的に達した内容の法律と認識をしております。
○春名委員 ごくわずかと言われるんだが、地方分権一括法というこの改正の中にあえてこういう内容が新たに入っているということを私は問うているわけであります、十七条。今までは指示だったんです。しかし、自治事務だけれども、今度はそれが、自治体が言うことをお聞きになってくれない、そうしたらもう直接やりますということまで入っているわけなんです。そして、その中身が、国の利害に重大な影響を及ぼすという規定であり、そこには住民の利害というのは何もありません、法文上は。そして、その影響を及ぼす中身が、例えばの例でお挙げになったのは防衛施設や原発ということですからね。そこを私はそういう問題として今提起をしているのでありまして、私の意見は皆さんには……(発言する者あり)繰り返し言いますけれども、静かにさせていただけませんでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 先ほど来いろいろ御議論のやりとりがあるのですが、大前提が随分違っているのじゃないかと思っています。 自治事務であるということを大義名分にして法令違反の状態を正当化するということは許されないことであると思います。そういう意味で、先ほど来いろいろお話があったのですが、この建築基準法第十七条第七項の問題も、要するに、都道府県もしくは市町村の建築主事の処分がこの法律もしくはこれに基づく命令の規定に違反して処分を怠っているような場合というのがまず大前提として要件があるわけで、何にもないときにいきなりこういったことがなされるものでないということだけはもう一遍強調しておきたいと思います。
○春名委員 当然です。そんなものもそういう規定もなくて乱発されたら大変ですから。 当然だけれども、地方自治体を信頼し、自治事務をふやし、自由な裁量で地方自治体が仕事をしていくという流れを本気でやろうと思えば、新たにこういう規定をあえて入れる必要は全くないということを私は述べているのであります。 なかなかこの点では平行線な話になっていますけれども、同じ建築基準法の十七条の九にはこういう文章があるのです。多数の者の生命または身体に重大な危害が発生するおそれがあると認めるときは、期限を決めて必要な措置を指示できるという規定が十七条の九にはあるのですね。国民の生命に重大な危害が発生するときには建設大臣の指示どまりです。国の建築物の建設については直接執行までいける、こんなふうになっているのですよ。逆じゃないですか、憲法の規定からいっても私は逆だと思いますね。ここに国の姿勢が私はあらわれているように思えてなりません。そのことをはっきり申し上げて、次に進みたいと思います。 今回の改正の柱の一つに必置規制の見直し、緩和という問題がございます。確かに、官僚的な統制になっている必置規制は見直して、自治体の裁量を広げることは必要だと考えます。同時に、その緩和、見直しが現実を見たときにどんな事態をもたらすのか、その緩和、見直しによって地方自治体の一番大事な住民福祉の充実という点で後退につながるようなことになってはまずいわけでありまして、ここの吟味がより重要なことだろうと私は思います。 そこで、厚生大臣、厚生省と少しやりとりをさせていただきたいと思います。 一つの例ですけれども、福祉事務所の現業員の配置の問題でございます。 まず冒頭に、福祉事務所の現業員の配置状況を御報告いただきたいと思います。法定定数の対象になっている生活保護担当の現在の現業員の充足率、また歴史的経緯、十年程度の推移がもしわかれば、そのことも含めて御報告いただきたいと思います。
○炭谷政府委員 現在の福祉事務所の現業員の最低配置基準、これは生活保護の担当職員でございますけれども、社会福祉事業法の規定によりまして、都道府県の設置する事務所、郡部福祉事務所と呼んでおりますけれども、被保護世帯数が三百九十世帯以下までは六人、それに六十五世帯増加するごとに一名増員、それから一方、市の設置する事務所、市部福祉事務所でございますが、被保護世帯数が二百四十世帯以下までは三人、それに八十世帯を増すごとに一名増員という規定になっております。 この規定に照らしまして、現在の現業員、ケースワーカーの配置の実態について見てみますと、各事務所ごとに算定された配置定数に対する生活保護担当現業員の充足率の推移、先生十年ぐらいのものを言われましたけれども、保護率が低下傾向にございまして、そういうことも影響ございまして、昭和六十二年度においては、全国の平均で都道府県の設置する事務所におきましては九九・四%、市の設置する事務所につきましては超えておりまして、一〇九・一%の充足になっております。合わせまして全国平均しますと一〇六・四%となっております。 平成七年度におきましては、先ほどお話ししましたように、生活保護率が減少いたしておりますので、都道府県の設置する事務所につきましては八五・七%、市の設置する事務所につきましては一〇七・四%、全体の平均では一〇一・六%と定員を上回る配置になっております。都道府県の設置する事務所については、生活保護の世帯数が減っておる関係上、下回っております。 一方、これを現業員一人当たりの担当する被保護世帯数で見ますと、昭和六十二年度においては、全国平均で都道府県の設置する事務所では大体ケースワーカーは六十五世帯を持っていただくということになっておりますけれども、実態では四十九世帯、市の設置する事務所ではケースワーカーは八十世帯の基準になっておりますけれども、おおむね七十一世帯でございまして、下回っております。一応、平成七年度におきましても、都道府県の設置する事務所につきましては、基準が六十五に対しまして四十六世帯で、下回った負担になっております。また、市の設置する事務所につきましても、八十世帯の基準に対しまして七十二世帯となっているところでございます。 このように、現業員一人が担当する被保護世帯数の推移を見ると大きな変化はございませんでして、また、平均的に見ますと、配置基準の考え方を踏まえて十分な配置がなされているのではないかというふうに考えております。
○春名委員 今お話が出ましたけれども、十分な配置とおっしゃるけれども、郡部というのがありまして、これは今意図的におっしゃらなかったのかどうか知りませんけれども、「福祉事務所現況調査結果」というのがあります。これは皆さんが出しておられるものですけれども、総数の中で郡部と市部に分かれておりまして、今お話が出た昭和六十二年には郡部の生保担当の充足率は九九・四、平成七年十月には八五・七%になっていて、一四%減になっております。市部は、先ほどお話が出ましたけれども、六十二年はこの数字は一〇九%でしたけれども、平成七年十月になりますとそれが一〇七・四%、充足率は後退をしております。総数は一〇六・四%が一〇一・六%、こういう数字になっているわけであります。 だから、確かに市部の方は一〇〇%を超えているということだろうと思うんですけれども、ただ、郡部は八五%ということになっているということ。それから、この八年、九年ぐらいの間をとりますと、その充足率は後退をしてきているということ。 それから、もう一点、私ちょっと調べてみましたけれども、厚生省の元社会局長の木村忠二郎氏が「社会福祉事業法の解説」という逐条解説のような本を書いておられまして、この「社会福祉事業法」の中では、この社会福祉事業法の先ほどお話が出た十五条に示された現業員の定数についてはもっと実はふやしたいんだと、言外にですけれどもね。財源の都合上、右のように定めたのであると。一九五二年でありますね、そういうふうに言っているのです。つまり、郡部では八五%の充足率。そして、十年近くではだんだん充足率が下がってきている。そして、もともとできた一九五二年のこの基準から見れば、その基準自身が実は財政の都合上もう少しふやした方がいいというニュアンスのことも言われていたわけであります。 そこで、私はそのことを確認して、今度の必置規制の中で厚生大臣にぜひ見解をお伺いしたいと思っておりますけれども、今出た十五条の中の定数を最低限度にしてそれ以上にしましょうというのが現行の規定になっているわけですよね。宮下厚生大臣、そのとおりだと思うんですが、今度の改正案では、必置規制の見直しということの一環としてその数字を標準にする、こういうふうに変えるということになっております。つまり、減もできる。最低限これだけは現業員を確保しなきゃいけないというものの、そういう必置規制が見直されて標準にするという改定になろうとしているわけであります。 今は充足率がだんだん減ってきているということも話をしましたけれども、その中でこういうことが実施をされたら、私は非常に危惧をしておりますのは、現状ではもう仕方がないといって定員の充足の努力が放棄されるものにつながるんじゃないだろうか、これが一点。必置規制があるから、そこに向けてまだ基準があって踏ん張ってきた、そのつかえがなくなるということになるのであります。もう一つは、現状よりも現業職員が減っていくということに拍車をかける危険性が非常に強いというふうに私は危惧をするものでございます。 厚生大臣は、いや、そうはならないということであれば、その根拠や決意も示していただければいいわけですが、そうはならないという保証、この点をぜひ見解をお聞かせいただきたいと思っております。
○宮下国務大臣 今局長の方から数字を申し上げまして、現行の最低配置基準について御説明をいたしました。これによりますと、確かにその定員と充足率ですから八五%ということを今申し上げたわけです。 しかるところ、これは、よく考えていただきたいと思うんですが、三百九十世帯以下で六人ですから、三百九十いかない、百人の場合でも六人という計算基礎になるわけですね。それを基準として実員がどうかということで充足率という観念が出ますから、これは三百九十世帯全部満杯でいた場合の定数で、それで分子と分母が、一〇〇になるということになると思うんですね。したがって、三百九十世帯までは六人ということが、市町村によっては百人くらいの場合、百五十人くらい、あるいは二百人でも六人ですから、それを弾力的に今回やろうということが一つございます。 それから、今局長の説明した点で後半の重要な点を委員はちょっと触れられませんでしたが、これは、実際、現業一人当たりが担当する被保護世帯数というのが非常に重要なんですね。それは、六十二年度では、今説明がありましたように、基準でいきますと六十五世帯ですが、四十五世帯について一人見ているということだから、手厚く見ているということですね、実態は。それが六十二年のことでございます。市の場合は七十一世帯。それが平成七年度ではおおむね、都道府県の設置する事務所では四十六世帯を一人が担当している。それから、市の設置する事務所では七十二世帯を担当している。これは定数上いきますと、それぞれそれより上回るものになるわけですが、そういう計算になりますから、そこのところをまず御理解いただきたいと思うのです。 それから、これは必置規制の最低の配置基準を緩和いたしますのは、そういったいろいろな側面の弾力性を確保したい、実態に合わせてやりたい。したがって、手厚く福祉事務所で生活保護世帯にアプローチしたいという点は、これは今回いささかも変わっていなくて、必置規制を標準とすることによってかえって弾力的に行われ得る、このように考えておりますから、御承知置き願いたいと思います。
○春名委員 時間が終了しましたので終わりたいと思いますけれども、必置規制の問題では、私、いろいろなところからお話を聞いていまして、これは文部大臣ですけれども、例えば公立図書館館長の図書館司書の指定、この資格を廃止する。なくてもいいと。今でも四分の一しか司書の資格を持っていないのに、それをなくされたら大変困る、こういう御意見もあるわけです。 ですから、全部が全部見直しをしてすべてやったらいいというものではなくて、暮らしや福祉や教育というような問題で本当に必要な基準はしっかり守っていくということが私は大事だろうと思います。その点を一言申し上げまして、短い審議でありますけれども、しかし、今度の法案の中では、やはり、関与の強化の問題、米軍用地特措法の問題あるいは地方議員定数の削減など重大な問題がたくさんありまして、そういう問題が地方分権という形で進められようとしていますけれども、それは逆行する重大な内容を含んでいる、引き続き審議は慎重にやるべきだと私は思います。そのことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○高鳥委員長 次に、畠山健治郎君の質疑に入ります。
○畠山委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して御質問申し上げますが、質問に先立って、一言だけ申し上げておきたいというふうに思っています。 このような膨大な内容を持つ法案が、先月二十五日以来、かくも短時間で終局を迎えようとしておることは、極めて残念であると申し上げなければならないと思います。分権改革が今後の市民生活や自治体行政に確たる根を張り、新たな民主主義の基盤となっていくためには、法案に対する国民の深い理解が不可欠であり、そうした理解こそ、上からの分権を下からの分権改革に発展させる原動力となるものと私は確信をいたします。そうした立場からこれまでの審議を見ますと、分権法成って国民的分権遠のくの感なしとしません。 そうした思いを込めながら、総理並びに関係閣僚にお尋ねをいたしますが、個別の質問に入る前に、自治大臣の大変大事な発言がございますので、冒頭にその真意をただしておきたいというふうに思っています。 それは、二十五日の総括質問において自治大臣は、国の関与にかかわる部分で鳩山委員の質問に、非常事態といいますか緊急事態においては、国が何らかの助言なり勧告の道があった方がいいとの趣旨の御発言がございました。一体、自治大臣は、いかなる事態を想定してこのようなお言葉をお使いになったのか。ガイドラインや有事立法を想定した発言と受け取られても仕方のない発言だというふうに私どもは受けとめるからでございます。大臣の説明をいただきたいと思います。
○野田(毅)国務大臣 地方公共団体が自己決定、自己責任の原則のもとでその事務を処理していくというのは当然のことであるし、仮に事務処理に何らか不都合が生じたり間違いがあったりというような場合には、まずみずからの手で自主的に解決していくべきは当然のことだと思っています。そういう意味で、自律的な作用をもって問題の解決が図られるというのが基本であると思います。 しかし、この事務の処理が法令の規定に違反しているときや、著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害しているときなどで、自治体が自律的にこれを是正できないような、いわば異常な事態が発生したような場合に、これは放置ができないわけで、そういう意味で、国として放置できないというような場合は、これはやはり異常事態であり、しかも緊急に正さなければならないというような事態であればという意味をも込めて緊急事態というようなことを申し上げたので、いわゆるガイドライン法における緊急事態というのとはちょっと違う。もしその辺が同じような脈絡で受けとめられたということであれば、そこの誤解はないように改めて申し上げておきたいと思います。 国として放置できない、ここは正確に言いますと、自治事務といえどもその処理が法令の規定に違反し、または著しく適正な執行を欠き、かつ明らかに公益を害していると認められるような事態において、その地方公共団体みずからの機関あるいは住民の手により自主的に改善されない場合において、国としてこれを放置することは許されないという意味で申し上げたということです。
○畠山委員 これ以上申し上げませんが、ただ、一つだけ申し上げておきたいことは、本法案における関与の方向性とはおよそ似つかわしくないお言葉ではないだろうか、一般的にそう思いますし、しかもまた、地方分権の大原則からしても、十分お言葉を慎んでいかなければならないのではないだろうかというようなことをあえて一言申し上げさせていただきたいというふうに思います。 そこで、本論に入らせていただきます。 一九五一年当時二百五十六あった機関委任事務は、現在は約五百六十と倍増しております。この間、一九八七年の機関委任事務整理合理化法によって、いっときではありますが、十一ほど減少したときがありましたが、その後増大の一途をたどってきておりますことは今申し上げましたとおりでございます。このことは、法定受託事務についても同様な歴史をたどる可能性がなしとはしないと思われてなりません。 そこでお尋ねをいたしますが、すべての事務は基本的に自治事務とし、法定受託事務は極めて例外的なものと区分しなければならないのではないだろうか、これが法律案の基本的な考え方と考えますが、今後、自治省あるいは新設される総務省は、法の制定、改正に当たって法定受託事務の増大をどのように抑制しようとなさるのか。 第二点には、見直しの問題についてでございます。 法定受託事務は、推進委員会の当初の意図を超えて拡大したというふうに思わざるを得ません。また、法定受託事務とすることが妥当としたものであっても、社会経済の発展によって自治事務とすることがより適切なものとなる場合も十分想定されます。したがって、今後、二年ないし三年ごとに定期的に見直しをする必要があるのではないだろうか、そう考えますが、いかがでしょうか。 第三には、今後の法制定のあり方の問題についてでございます。 中央政府の法の先占を極力排除すること。つまり、行政府も立法府もともに、法の制定、改正に対し立法権をやみくもに振りかざすことではなくて、地方自治法に規定される中央、地方の役割分担に基づく自己抑制が強く求められることになります。特に、我が国においては内閣提出法案が多いことを考えれば、行政府内部の策定過程において、この自己抑制は必須条件と考えていいというふうに思うのです。 この観点で、総理のリーダーシップと自治省ないし総務省の内部監視は重要と考えますが、総理並びに自治大臣の見解をお尋ねいたしたいというふうに思います。
○野田(毅)国務大臣 御指摘のとおり、法定受託事務の創設ということは、将来にわたっても厳に抑制されるべきものであると考えております。これが第一点でございます。 それから、今回の改正によりまして、法定受託事務の定義を、要件を明確化したわけであります。いま一つは、地方分権推進計画、閣議決定でございますが、ここでメルクマールを明らかにいたしておるわけであります。したがって、今後、政府提案の中で何らかの法律に基づいて事務を云々というような場合に、当然のことながら、これは政府部内における規制基準として十分機能を果たしていくということになると考えております。 それから次に、最終的には、今先生も御指摘になりましたが、この国会において十分慎重に御審議をいただくわけでありますが、その過程において、類似制度間のバランスあるいは法律相互間の比較考量ということをなされるでありましょうし、その際、その事務を法定受託事務とすべきか否かということについても、その妥当性について十分御検討をなされることだというふうに考えておるわけであります。 今回の改正におきまして、それに資するために、個別の法律に定める法定受託事務については地方自治法の別表に、それから、個別の政令に定める法定受託事務については地方自治法に基づく政令の別表に、それぞれ網羅的に掲げることにしたわけでありまして、その点では比較考量がしやすいというような便宜を考慮したわけでございます。 また、今回の法案における事務区分というのは、地方分権推進委員会の勧告を最大限尊重して行われたわけで、私は適切なものだと考えておりますが、そういう意味で、現時点においてすぐ定期的に一律の見直しを行う必要はまだないのではないかというふうに考えております。 ただ、事務区分の見直しというのは不断に行われるべきものであることは当然でありますし、今回、法定受託事務とされたものにつきましても、今後の社会経済情勢の変化、推移に応じて見直すことがあり得ることは当然のことであるというふうに認識をいたしております。常にこれはチェックをしていくべきことは、私もその必要性は十分あることだと考えております。
○畠山委員 次に、一括法と政省令との関係についてお尋ねをいたしたいというふうに思います。 まず、法律案の施行のための政省令の数は幾つになりますか。また、今後、推進委員会は監視活動として政省令の審議を行う、この前の中央公聴会での公述人の答えでございます。推進委員会から要請があった場合、政省令案を地方分権推進委員会に提出することは間違いありませんね。確認しておきたいというふうに思います。
○鈴木(正)政府委員 お答えいたします。 今回の地方分権一括法案の施行に伴いまして改正が必要となる政省令の数は、各省庁が国会提出時点で見込みましたところでは、五百件を超えるものになると見ております。また、地方分権推進委員会は、今後監視活動を続けるわけでございますので、政省令の内容についても御説明をしていくつもりでございます。
○畠山委員 そこで、政省令は法律の規定に沿って適切に策定されているか、国会も検証する必要があると考えるんです。すべての政省令を一括して国会に資料として提出すべきことと考えますが、総理の見解をお尋ねいたしたいというふうに思います。
○鈴木(正)政府委員 お答えいたします。 これから地方団体の条例制定等の作業がございますので、それに間に合うべく各省庁において政省令の作業が始まるわけでございますが、内容的なものもありますし、それぞれ省庁の業務との関連がございますので、一括してある時期にまとまって作業をするというものでございませんので、一括して国会の方にお出しするというのは困難であると思います。
○畠山委員 そうすると、もちろん法律に基づいて定める政省令ですけれども、それに沿っているかどうか国会が確認できないということになるんじゃありませんか。ちゃんとお示しいただいて、国会の目が届くようにしなきゃいけないというふうに思うのです。いかがでしょうか。
○野田(毅)国務大臣 これは、来年四月から一括法案を施行するためには、地方自治体においてもその政省令の改正を踏まえた上で条例の改正をまた行ってもらう必要があるわけです。 ただ、それを全部耳そろえてセットにしてというとかえっておくれるのかもしれません。私は、できる限り早く関係政省令を制定してもらうということがまず大事なことであって、全部耳がそろって初めてということではかえって問題があるんではないかというふうに考えておりますので、できるだけ適宜適切な情報提供をして、円滑なこの法律の施行に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○畠山委員 次に、この法律によって地方分権はその一歩をしるすことになりますが、今後、地方分権の状況を定期的に国民に明らかにする必要があるのではないかと思うのです。 これまで、地方財政白書は毎年公表されておりますが、自治体行政に関する中央政府の施策やそれに関する自治体の状況については明らかにされておりません。しかし、この法律によって改めて中央、地方の政府関係に改革が加えられ、自治体の役割が今まで以上に重みを増すことになる以上、今後は、地方分権白書ともいうべき報告書を毎年策定、公表することが重要な課題ではないかと考えますが、総理の見解をお尋ねいたします。
○小渕内閣総理大臣 今回の法案におきましては、地方自治法の体系の中で、法定受託事務を一覧できる別表を設けることといたしたところでございます。 国における権限移譲や関与の見直しなどの制度の改正状況や地方公共団体におけるさまざまな取り組みの状況につきましては、地方公共団体に対し適切に情報を提供することは地方分権を推進する上で意義のあるものでありまして、結論を申し上げれば、今後検討すべき課題であると考えております。
○畠山委員 検討ではなくて、踏み込んだお言葉をいただきたいというふうに思うのです。 今総理がお答えになりましたように、別表で出すのでとおっしゃいますが、それではとてもじゃないけれども国民の目には届かないわけであります。とりわけ、中央公聴会の公述人のお話によれば、全自治体にこの地方分権が定着するまでは十年かかるんじゃないのかというようなお話もあったんですね。あるいはそれが本意かもしれません。やはりそれを全自治体に早く定着させるという意味からも、進みぐあいは一体どうなのか、あるいは法定受託事務の増減は一体どうなっているのか、あるいは係争処理委員会の中身は一体どうなっていくのか等々のことをあわせ考えれば、やはり何らかの積極的な、分権白書みたいな国民に周知をするというような方向がどうしても必要なことではないだろうかというふうに思うのです。 あえてもう一度お答えをいただきたいと思います。
○野田(毅)国務大臣 今総理から御答弁申し上げたとおりでございますが、地方分権を推進する上で今御指摘の考え方は意義のあることだというふうに考えておりまして、十分検討させていただきたいと思っております。
○畠山委員 少し前でございましたが、公安委員会も、公安委員会の白書を持っていなかったんです。ある種の場面で議論をしながら、何らかの手だてをしますということで、警察白書の一部を割いていただいて白書を出していただいたというような経緯もあるんです。ぜひひとつこの経緯を大事にしていただきながら積極的なお答えをいただきますように、重ねて一言申し上げておきたいというふうに思います。 次に、今回の分権法に決定的に欠けるものとして、多くの委員の皆さん方が、地方税財源問題について質問をいたしております。今後の分権を展望した場合、地方税財源の強化のための改革プログラムを示さなければ地方分権の基本的な基盤は整ったとは言えないというふうに思うのです。 地方税財源の充実のプログラムはいつお示しなさるんですか。また、そのための地方分権推進法の扱いについて、当然、基本的な方針を示す必要があろうかと考えますが、大蔵大臣、いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 これは以前からも申し上げておりますが、どうしてもしなければならない課題であります。しかし、これも申し上げましたので繰り返しませんが、ただいま中央、地方の税収入とも極めて異常な低い水準にございますので、トータルの税収入が、やはり日本の経済が正常なサイクルに入りまして、それを知りました上で財源、しかし、それは恐らく行政も同時に見直さなければならない、再配分になると思いますが、それは非常に急ぐ課題であることはもとよりでございますけれども、今のこういう経済の異常な状況でははっきりしたトータルがつかめない、将来がつかめないと思いますので、それがつかめるようになりましたら直ちにいたしたいと思っております。
○畠山委員 最後に、総理にお尋ねをいたしたいというふうに思うのです。 今後の地方自治のあり方に関する基本法制の問題についてでございます。 今回改正される地方自治法は、中央、地方の政府間関係における役割分担を明らかにしておりますが、全体の性格は、自治体の組織及び運営に関する法体系とはなっておりません。 そこでお尋ねをいたすわけでありますが、憲法第八章に定める地方自治の基本原則、今後新たに導入される場合の中央、地方の分野調整、住民の基本的権利、義務などの地方自治体の基本的原理と制度的原則を定め、もって地方自治の本旨を明示する地方自治基本法の制定を検討すべきだと考えますが、総理の見解をお尋ねいたしたいと思います。
○小渕内閣総理大臣 基本法を制定せよ、こういうお尋ねでございますが、現行の地方自治法は、国と地方公共団体との基本的関係の確立を目的にいたしておりまして、まさに地方自治に関する基本的な法律であると考えております。 今回、地方自治法を改正いたしまして、これまで我が国の中央集権型行政システムの中核的部分を形成してきたと言われる機関委任事務制度を廃止するとともに、国の関与等にかかわる一般ルールの創設や係争処理手続等を新たに盛り込むことといたしております。 御指摘の地方自治を保障するという観点につきましては、このような地方自治法の内容を充実することが、まさに地方公共団体における民主的にして能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発展を真に保障していくことにつながるものと考えておる次第でございます。
○畠山委員 今総理もおっしゃるように、地方自治法、国と自治体との関係はなるほどそのとおりでございます。ところが、国民主権だということで法の中でわざわざうたっていますよね、今までなかったというようなことから。やはり、国民主権という立場からの国、地方のあり方、まさに国民的立場での自治法のあり方というようなことが改めて問われて当然だというふうに思うんですが、自治大臣、いかがですか。
○野田(毅)国務大臣 国民主権というと多少主権在民的な世界に入っていくのかと思います。むしろ、地域のことについて住民が主役になって対応していくべきであるという意味で、住民自治というか、本当に地域の自主性、自立性ということを最大限に保障していくような、そういうやり方を、今、国民主権の地方自治という言葉で表現をされたのかと思います。 その発想そのものは全く御指摘のとおりでございまして、やはりその地域のことは地域の住民が主体になって決めていく、これが基本であるということは、重ねて同じ認識をしておるということを申し上げておきたいと思います。
○畠山委員 ぜひひとつ、そういう視点で今後検討をしていただきますように強く求めまして、通告しておる質問が終わりましたので、終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○高鳥委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○高鳥委員長 この際、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案に対し、虎島和夫君外七名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による修正案並びに松本善明君外一名から、日本共産党提案による修正案がそれぞれ提出されております。 提出者から順次趣旨の説明を求めます。虎島和夫君。 ————————————— 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○虎島委員 私は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案につきまして、提案の趣旨及びその内容を御説明申し上げます。 政府原案におきましては、都道府県知事や市町村長を国の機関として国の事務を処理させる仕組みである機関委任事務制度を廃止することとし、地方公共団体が処理する事務を自治事務と法定受託事務に区分することといたしております。 しかし、この新たな区分による機関委任事務の振り分けによって、国の関与の余地が大きい法定受託事務が半数近くを占めることとなっており、地方公共団体の自主性、自立性を高めるべく国と地方公共団体の間を上下の関係から対等の関係へと転換を図るという地方分権の趣旨にかんがみますと、法定受託事務は極力限定すべきであると思料されます。 さらに、政府原案においては、機関委任事務制度を前提として成り立ってきた地方事務官制度を廃止することとし、社会保険関係の地方事務官が従事することとされている事務については厚生事務官が行うこととしておりますが、地域の医療、保健、福祉等の施策と密接にかかわる社会保険関係の業務については、住民の利便性の確保、事務処理の効率化等の観点から、地域における総合的な行政主体である地方公共団体の果たすべき役割は極めて大きいものがあると言えます。このため、社会保険関係の地方事務官が従事する業務については、その事務区分及び職員の身分等について見直しを行うことが必要であると考えられます。 また、地方公共団体の自己決定、自己責任による行財政運営は地方分権の推進に不可欠であることから、地方公共団体の税財源の充実確保については、その実現が切に望まれるものであります。このため、今後、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について検討を行うことは極めて重要であります。 こうしたことを踏まえ、本修正案では、以下の修正を行うことといたしております。 第一に、第一号法定受託事務については、できる限り新たに設けることのないようにするとともに、地方分権を推進する観点から検討を加え、適宜適切な見直しを行うものとすること。 第二に、地方社会保険事務局または社会保険事務所の職員について、新たに厚生省社会保険関係共済組合を組織することができることとし、また、本法の施行日から七年間に限り、当該者の勤務地の所在する都道府県の職員団体に加入し、当該職員団体の役員としてもっぱら従事することができるものとするとともに、政府は、社会保険の事務処理の体制及びこれに従事する職員のあり方等について、被保険者等の利便性の確保、事務処理の効率化等の視点に立って検討し、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとすること。 第三に、政府は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保の方途について、経済情勢の推移等を勘案しつつ検討し、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすることとしております。 以上が本修正案の趣旨及び内容であります。何とぞ御賛同賜りますようにお願い申し上げます。 以上であります。
○高鳥委員長 次に、春名直章君。 ————————————— 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○春名委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案の提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 今回提出されました政府案は、国による自治体への新たな統制の強化、周辺事態法絡みのアメリカの戦争に国民と自治体を動員する仕組みの導入、そして、住民犠牲の地方行革を推進する仕組みの温存など、地方分権とは名ばかりの、地方自治体を国の強い統制下に置く地方統制法ともいうべきものであります。 国民の要望にこたえた地方分権とは、憲法と地方自治法の精神に立って真に地方自治権を拡充すること、住民自治に基づいて地方自治体が住民の利益を守る仕事に全力で取り組めるようにすることであり、そのために、国による官僚統制をなくし、権限と財源の地方への移譲を進めるものでなくてはならないと考えます。この立場から、政府案は、最低限次の諸点にわたって修正されるべきであると考えます。 以下、概要を御説明いたします。 第一は、新たに自治事務に権力的関与を持ち込むなど、国の自治体への関与、統制の強化をやめることであります。そのために、自治事務に対する是正の要求の規定を削除し、原則として自治事務には国の代執行は及ばないことを明記するとともに、個別法による自治事務に対する国の指示あるいは直接執行(代執行)については、国民の生命と安全を保護する緊急の必要がある場合に限定することとしております。 また、自治大臣の技術的な助言または勧告の規定は廃止して、国が行う技術的な助言、勧告は地方自治体からの要請があって初めてできることとしております。 第二は、機関委任事務の廃止に伴う自治事務と法定受託事務への振り分けに当たっては、住民生活に密着し地方の自主的な判断と責任で処理できる事務は自治事務にすることを原則とすることとしております。法定受託事務については、その定義を見直すとともに最小限に抑制し、事務そのものについても三年ごとの見直しを行うこととしております。また、法定受託事務はもちろん、自治事務についても、福祉、教育、環境などナショナルミニマムの設定と財源の保障についての国の責任を明確にするようにしております。 第三は、米軍用地特別措置法の問題です。 米軍の違法な土地取り上げを合法化するための米軍用地特別措置法そのものが違憲の立法であり、本来廃棄されるべきものであります。この立場から、知事や市町村長の土地調書への署名押印の代行、裁決申請書の公告縦覧などの事務を法定受託事務とするとともに、緊急裁決、代行裁決制度の導入は中止することとしております。 第四は、自治体が国によるさまざまな関与を排して住民の意思に基づいて主体的な行財政運営を行うためには、国から地方への権限移譲を行うとともに、それを財源的に保障する国から地方への大幅な税源移譲、とりわけ自主財源である地方税の拡充が不可欠であります。 こうした立場から、国に対して、一定期間内に国民負担の増加を伴わない国から地方への税源移譲の抜本的改革を義務づけることとしております。 第五は、福祉事務所の現業職員の配置基準や公立図書館の館長の司書資格規制などの必置規制の緩和は行わないこととし、その他のものについても一定期間内に見直すこととしております。 第六は、市町村合併特例法と地方議会の議員の定数の改正は行わないこととし、地方議員定数については定数の標準を法定化することとし、それを基準に、自治体が条例により増減することができることとしております。 以上が修正案の概要でありますが、何とぞ慎重審議の上、御賛同あらんことをお願い申し上げまして、説明といたします。
○高鳥委員長 これにて両修正案についての趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○高鳥委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に付します。 討論の申し出がありますので、順次これを許します。三沢淳君。
○三沢委員 私は、自由民主党、自由党を代表して、ただいま議題となっております地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、自由民主党、自由党、民主党、公明党・改革クラブ、社会民主党・市民連合の五会派共同提出の修正案及び修正部分を除く原案に賛成し、共産党提出の修正案に対しては反対の立場から討論をいたします。 我が国における中央集権的な行政システムは、明治維新以降の近代化、第二次世界大戦後の復興や高度経済成長を支えた根幹であり、日本の発展に寄与してまいりました。しかし、今日においては制度疲労を起こし、さまざまな障害が生じて、逆に我が国の活力を低下させる要因となっております。 今後、我が国において、健全な民主主義を発展させ、豊かな国民生活の実現を図るためには、国と地方公共団体の役割を明確にし、国と地方公共団体が対等となる関係になるような新たな行政システムを構築する必要があります。 この観点からも、今回の一括法律案は、中央集権型行政システムを地方分権型システムに変革しようとするものであり、内容的にも二十一世紀を見据えた改革であると評価できます。 本法案の内容の第一は、機関委任事務制度の廃止であります。 機関委任事務制度は、地方公共団体の自主性、自立性を阻害するのみならず、国と地方との役割分担や責任の所在を不明確なものとしているため、長い間その廃止が課題とされてきましたが、今回の一括法案により、地方自治法を初めとする四百数十本の法律改正を行い、機関委任事務制度が廃止されることになりました。これは極めて画期的なことであります。 第二に、地方公共団体に対する国の関与のあり方を抜本的に見直し、法定主義の原則、一般法主義の原則、公正、透明の原則に基づき、新しい国と地方公共団体とのルールを確立することにしております。これは、地方公共団体の自主性、自立性を高め、国と地方公共団体との関係を対等な関係にしていく第一歩であると考えます。 第三に、国から地方公共団体へ対する権限移譲であります。 今回の法律案では、都市計画法、森林法等、三十五本の法律の改正を行うこととしているほか、新たに特例市制度を創設するなど、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体が行うように改善しており、地方分権の基本理念に即した内容であると考えます。 第四に、必置規制の廃止、緩和を行うこととされておりますが、これは、地方公共団体の自主組織権を尊重し、行政の総合化、効率化を進めるために当然なものであります。 最後に、市町村合併の推進等の地方公共団体の体制整備を推進することについては、地方分権を進めていくためには必要不可欠の内容と考えます。 以上のように、今回の地方分権一括法案の内容は、平成五年の国会決議以来の、地方分権推進法の制定、地方分権推進委員会の勧告、計画を踏まえており、地方分権推進のために第一歩を踏み出したと評価されるものであります。徹底審議を通し、一部政党を除く幅広い賛同を得られたものであります。 なお、今後は、本法律案を速やかに成立させ、地方分権を実行の段階に移すとともに、政府においては、国と地方公共団体を通じた税財源の再配分や、一層の市町村合併等を進めるなど、さらなる地方分権推進の取り組みを続けられることを願って、私の賛成討論を終わります。(拍手)
○高鳥委員長 次に、藤田幸久君。
○藤田(幸)委員 私は、民主党を代表して、本日与野党五会派共同で提出された地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案に対する修正案及び修正部分を除く同法案に賛成する立場で討論を行います。 民主党は、政府提出の地方分権一括法案について、その基本的な枠組みは十分な評価に値するものと考えております。それは、一、これまで長い間我が国の中央集権型行政システムの象徴となってきた機関委任事務を廃止し、これらの事務のほとんどを自治体の事務と位置づけたこと。二、国と地方自治体の関係を対等、協力関係と位置づけ、自治体の事務についての国の包括的な指揮監督権限を廃止し、事務区分に応じた国の関与のあり方を地方自治法に一般ルールとして規定したこと。三、国の関与について不服がある場合の国地方係争処理委員会による係争処理の仕組みを整備したこと等であります。 その一方で、本委員会での審議を通じて多くの委員が異口同音に指摘したとおり、この法案には手放しで賛成できない問題点も少なくありません。 事務区分については、当初地方分権推進委員会で考えられていたよりも多くの事務が法定受託事務と区分されました。特に、従来地方自治体が処理してきた社会保険関係等の事務が地方分権に全く逆行して国の直接執行事務とされ、これに従事してきた地方事務官も国の厚生事務官等に身分移管されることとなりました。関与についても、自治事務の処理に関し、国の指示や直接執行を可能とする規定が幾つもの個別法に設けられております。権限移譲はごくわずかにとどまり、国から地方への税財源移譲についてはすべて先送りとなっております。 先日開催された中央公聴会、宮城、三重での地方公聴会においても、ほとんどすべての意見陳述人の方々がこれらの点を指摘し、政府案については慎重に審議すべきだとの意見を表明されたところであります。 これらの点につきまして、私たち民主党としては、政府案について修正を行うべきと主張し、具体的な修正項目等について、理事会等を通じて各党に御提示申し上げてまいりましたが、その結果、本日までに、自民、自由、民主、明改、社民の五会派共同により、この法律の附則の中にこれらの問題点を踏まえて必要な見直し規定等を追加するという修正案を提出することで合意を見るに至りました。 また、本日の締めくくり総括審議を通じて、今後の法定受託事務新設を厳に抑制すること、自治事務の処理に関する国の代執行は今後も設けないこと、代執行もどきの直接執行制度についても最低限の歯どめとして国地方係争処理委員会の審査対象たり得ること等を、総理の答弁を通じて明確にしていただきました。国から地方への税財源の移譲に関しては、先般の宮澤大蔵大臣の、経済状況が正常化した暁には徹底的に再分配に取りかからなければならないとの趣旨の決意表明について、総理も同じ決意であるとの力強い決意表明をいただくことができました。 民主党としては、これらの修正、確認答弁によって、現時点で直ちにすべての問題が解決したとは考えておりませんが、法律施行後の施行状況、とりわけ、地方自治体がこの法律を足がかりにして一層自治体行政の充実向上を図り、着実に力をつけていく中で、改めて法定受託事務から自治事務への事務区分見直しが進み、また、自治事務への国の権力的関与として設けられたものが余計なお世話にすぎなかったと判明する機会が必ず到来するものと強く期待しております。 この意味で、本日合意を見た五会派共同修正による附則の追加の意義はまことに大であると申し上げたいと思います。我が党の提案を真摯に御検討いただき、共同修正に合意された与野党各会派の皆様には、心から敬意を表するものであります。 以上申し上げた観点から、民主党としては、五会派共同提案による修正案及び修正部分を除く政府案に賛成することにいたしましたことを改めて表明いたします。 なお、共産党提出の修正案につきましては、その問題意識については共感できる部分もあるとはいえ、提案趣旨において、法案を地方分権とは名ばかりの新たな地方統制法と評価している点については基本的に立場を異にするため、反対することといたしました。 最後に、この場をおかりして、この法案審議のために、お忙しい中を御協力いただき、貴重な御意見を寄せていただきました参考人、公聴会意見陳述人の皆様に民主党からも心からお礼申し上げ、私の討論を終わります。(拍手)
○高鳥委員長 次に、佐藤茂樹君。
○佐藤(茂)委員 私は、公明党・改革クラブを代表して、ただいま議題となりました自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、社会民主党・市民連合五会派共同提出の修正案並びに修正部分を除く内閣提出の地方分権推進一括法案について賛成、共産党提出の修正案に対しては反対の立場から討論を行います。 私たち公明党・改革クラブは、我が国における長年にわたる中央集権政治を打破し、真の民主主義を確立するために一貫して地方分権の推進を訴えてまいりました。それは、地方自治体が中央政府に従属する関係ではなく、地方自治体がある種の地方政府として、国と対等、協力の関係で結ばれなければならないという考え方であります。 その実現のためには、地方のことは地方に任せ、地方で決めていくという自己決定と自己責任の原則を尊重し、地方行政への国の関与をできるだけ排除することに加えて、権限の移譲とともに税財源の移譲も伴わなければならないものであります。 この観点から今回の四百七十五本に上る地方分権推進一括法案を見たときに、残念ながら、地方分権の推進が十分なされたと胸を張って言えるものではないのであります。しかし、不十分であっても、それをすべて否定し去ることは私たちのとる道ではありません。 私たちは、今回の地方分権推進一括法案を、第一次分権推進改革と位置づけて、地方分権への道筋の大きな第一歩が開かれたと評価するものであります。 さらに、本委員会の審議において、私たち公明党・改革クラブの地方分権推進に関する基本的考えを示しつつ、我が会派の委員がそれぞれ政府側にただしてまいりました。その論議の結果として、幾つかの重要な改善点が見られました。 以下、法案の評価すべき点と改善点について、具体的に申し述べます。 第一に、地方分権の推進を図るため、機関委任事務を廃止し、新たに自治事務と法定受託事務制度を創設し、国と地方の関係が上下主従関係から対等協力の関係へ一歩踏み出しました。 この機関委任事務の廃止によって、地方自治体の自己決定権の拡大と事務処理の迅速化が図られ、ひいては、住民ニーズが的確かつ迅速に反映されることになった点であります。 さらに、法案、修正案で、新たにできる法定受託事務も厳に抑制し、極力自治事務とする方向が示された点であります。 第二に、これに関連して、国の関与について、法定主義などの基本原則を定めるとともに、地方自治体が不服とする場合に、国地方紛争処理委員会への申し立てができ、さらに不服の場合には裁判で争える紛争処理制度が導入された点であります。 第三に、自治事務に対する是正の要求の発動に当たっては、国の関与について、地方自治体の自主性及び自立性に極力配慮することが確認された点であります。 第四に、地方分権を実効あらしめるための地方税財源の充実という観点から、地方自治体の課税自主権の拡大、法定外普通税の新設時の許可制の事前協議制への変更、法定外目的税の創設、地方債発行時の自治省の許可の二〇〇六年度からの廃止等の点であります。 また、国庫補助負担金の整理合理化についても、地方自治体の自主性、自立性を高める見地から積極的に進めていくことが明確になった点であります。 さらに、修正案で、地方税財源の充実確保について、必要な措置を行うことが確保された点は評価されるべき点であります。 第五に、地方分権推進法の失効後の地方分権推進体制について、同法に規定されている地方分権の推進に関する基本理念や地方分権の推進に関する基本方針の考え方に沿って、地方分権の一層の推進に取り組むとの決意が確認された点であります。 第六に、特にこの点については、我が会派がリードして、他党と協力しながら全力で調整した点ですが、社会保険の事務処理体制及び職員のあり方等についての政府の努力が約束され、修正案において、社会保険の事務体制、これに従事する職員のあり方等について、被保険者の利便性の確保、事務処理の効率化の視点に立っての安定確保が図られたことであります。 第七に、今回の法案で、行政書士会等の会則の必要記載事項となっていた報酬規定を削除することになっておりますが、行政書士制度に関する報酬規定の取り扱いは、今後、他の公的資格制度の規制緩和とあわせて、公正、有効な競争の確保や合理性の観点から、行政改革推進本部規制改革委員会において審議がなされることになった点であります。 以上、我が会派が評価する主要な点及び改善点について申し述べました。 なお、共産党の提出の修正案については、見解を異にするため反対いたします。 最後に、今回の改革は、冒頭に申し上げましたように、長い地方分権改革の道のりの第一歩であります。今後とも、地方分権の推進へ向けて、政府を初め関係各位のさらなる努力に期待を込めまして、五会派提出の修正案及び修正部分を除く内閣提出、地方分権推進一括法案についての公明党・改革クラブを代表しての賛成討論といたします。(拍手)
○高鳥委員長 次に、平賀高成君。
○平賀委員 私は、日本共産党を代表して、政府提出の地方分権一括法案に反対、我が党提出の修正案に賛成討論を行います。 まず、四百七十五本にも及ぶ法律改正を一括して提出し、わずかな審議で打ち切り、採決しようとしていることに対して、断固として抗議をするものです。拙速を避け、十分な審議を行うことこそ、国会に課せられた使命であります。そのことをまず指摘して、以下、反対の理由を申し述べます。 第一に、政府案は、地方分権とは名ばかりの、新たな地方統制法ともいうべきものだからであります。 政府案は、これまで原則国の権力的関与はないとされた自治事務に対して、是正の要求という権力的関与を法定化し、しかも、それが内閣総理大臣一人に限られていたものを、すべての大臣に広げていることであります。その上、個別法で代執行できる旨の規定を初めて地方自治法に盛り込んだことも重大であります。 機関委任事務については、廃止といっても、四割が法定受託事務とされ、その法定受託事務には代執行という国の強い関与が残され、事実上機関委任事務と変わりのない、国による強い統制が温存されています。これでは、国の関与の縮小、廃止どころか、逆に関与、統制を強めるものと言わなければなりません。 第二に、ガイドライン法、戦争法の成立に合わせて、アメリカの戦争に国民と自治体を動員する仕組みがつくられようとしていることであります。 今回の米軍用地特別措置法改悪案は、これまで市町村長や県知事の事務であった土地調書への署名捺印、裁決申請書の公告縦覧などを国の直接執行事務として取り上げ、その上、緊急裁決、代行裁決制度を導入することによって、県収用委員会の機能を根こそぎ奪おうというものであります。これは、ガイドラインで約束した米軍への新たな施設・区域の提供を保証するためのものであり、断じて認めることはできません。 第三に、国による自治体締めつけ、統制の大きな手段となってきた通達行政が温存され、地方交付税、国庫補助金などによる財政面での統制の仕組みに何ら手がつけられておりません。 現行自治法の自治大臣の技術的助言・勧告規定、二百四十五条一項を削除せず、そのまま改正法の雑則に盛り込んだことは、まさに通達行政の温存を図るものと言わなければなりません。さらに、住民の暮らしや人権にかかわる行政水準の後退につながる必置規制の緩和、上からの強制的な合併推進、議員定数削減の押しつけなどは、住民が主人公という地方自治の大原則に相反し、地方自治の形骸化をもたらすだけです。 以上、政府案は、地方分権どころか地方統制法ともいうべきものであり、日本国憲法が保障した地方自治の本旨を根底から脅かすものであり、断じて認められるものではありません。 日本共産党は、以上の問題点をただし、真に地方自治拡充に資するとの立場から修正案を提案していることを申し添えておくものです。 なお、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党、社会民主党の五党提案の修正案については、政府案の重大な問題点を是正するものではなく、賛成できないことを申し上げて、討論を終わります。(拍手)
○高鳥委員長 次に、畠山健治郎君。
○畠山委員 私は、社会民主党・市民連合を代表して、ただいま議題となりました内閣提出、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案につきまして、賛成の討論を行います。 本法案は、住民から選挙で選ばれた自治体の長を国の下部機関として仕事を行わせるという中央集権体制の象徴であった機関委任事務制度の廃止と新たな事務概念による事務区分を行うとともに、中央、地方の新たな関与ルールの確立や、国地方係争処理委員会の設置などを盛り込んでおります。これによって、これまでの上下、主従の関係にあった中央、地方の政府間関係は、対等、協力の関係に転換することとなり、この点で評価できると考えます。 しかし、残念なことに、自治事務に対する国の関与、自治体議会の定数上限制、住民投票制に対する消極的態度、地方税財源の充実強化の不十分性、中央政府の主導的色彩の濃い市町村合併特例法の改正、第一号法定受託事務に関する業務の実施状況の調査などの問題点が含まれており、今後に大きな課題を残したことも事実でございます。 とりわけ、駐留軍用地特措法改正、産業廃棄物行政のあり方、地方事務官の国一元化については地方分権に逆行するものであり、社会民主党としては、当該部分はあくまでも反対の立場であります。 とはいえ、本法案そのものは、問題点や課題を残しながらも、地方分権推進の一里塚であることも間違いのない事実であります。したがって、これをもって地方分権の始まりの始まりとし、いろいろの問題点の解決を初め、税財政面での分権やさらなる権限移譲、住民自治の充実といった地方分権推進法が定める諸課題をさらに進めていかなければなりません。 そうした立場から、社会民主党は、地方分権白書の作成や第二次地方分権推進委員会の設置などを提案してまいりましたが、今後とも、地域の自己決定権の確立、住民自治の発展という地方分権に対する市民の期待にこたえる不断の取り組みが必要であると考えます。 最後に、市民や自治体の側から新たな地方分権推進、地方自治確立の運動を広げていくことの重要性を強調するとともに、今回の一括法案が、憲法の地方自治の本旨の具体化に資することを期待いたしたいと思います。 なお、日本共産党提出の修正案については、見解を異にする内容が含まれておりますので反対するとともに、五会派共同提出の修正案につきましては賛成することを申し添え、討論を終わります。(拍手)
○高鳥委員長 これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○高鳥委員長 これより採決に入ります。 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。 まず、松本善明君外一名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、虎島和夫君外七名提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○高鳥委員長 この際、ただいま修正議決いたしました地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案に関し、山口俊一君外四名から、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 提出者より趣旨の説明を求めます。畠山健治郎君。
○畠山委員 私は、自由民主党、民主党、公明党・改革クラブ、自由党及び社会民主党・市民連合を代表して、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その適用に遺憾なきを期すべきである。 一 普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与について、今後、地方自治法に定める関与の基本原則に照らして検討を加え、必要な措置を講ずるものとすること。 また、自治事務に対する是正の要求の発動に当たっては、地方公共団体の自主性及び自立性に極力配慮すること。 一 各地域の実情に応じた事業を進めるため、国庫補助負担金のさらなる整理・合理化を早急に推進するとともに、存続する国庫補助負担金については、統合・メニュー化を一層推進し、運用・関与の改革を図ること。 一 自治体議会の議員定数の上限制については、改正後の制度の運用状況を踏まえ、必要に応じ見直しを行うこと。 一 住民の意見を積極的に行政に反映させるため、住民投票制度など住民参加の方策について検討すること。 一 地方公共団体が地域における行政を一貫して自主的・自立的に企画、立案、調整ができるようにするため、市町村の自主性を尊重しつつ、市町村合併の一層の促進に努めること。 一 市町村都市計画審議会の組織及び運営に関する政令による基準を定めるに当たっては、地方公共団体による地域の特性に応じた自主的、自立的なまちづくり、住民参加の促進等を妨げることのないよう特に配慮すること。 一 行政書士制度に関する報酬規定の取扱いは、今後、他の公的資格制度の規制緩和と併せて、そのあり方について検討すること。 一 地方分権推進法失効後の地方分権を推進する体制を検討すること。 以上の附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程を通じて各委員御承知のことと思いますので、説明は省略させていただきます。 何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願いを申し上げます。
○高鳥委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 山口俊一君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○高鳥委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議につきまして、野田自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。 野田自治大臣。
○野田(毅)国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重し、善処してまいりたいと存じます。 —————————————
○高鳥委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高鳥委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○高鳥委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十分散会