運輸委員会 第4号
- 発言数
- 165 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1999/03/30
会議録
○石破委員長 これより会議を開きます。 まず、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い、現在理事が一名欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○石破委員長 御異議なしと認めます。 それでは、理事に武部勤君を指名いたします。 ――――◇―――――
○石破委員長 陸運、海運及び航空に関する件等について調査を進めます。 この際、日本海における不審船問題について、政府より報告を求めます。川崎運輸大臣。
○川崎国務大臣 海上保安庁は、三月二十三日、海上自衛隊からの連絡を受けて、二隻の不審船の追尾等を行いましたが、その概要について御説明申し上げます。 三月二十三日十一時ごろ及び十三時ごろ、海上自衛隊から能登半島沖の漁船に関する情報を入手し、このうちの第二大和丸については兵庫県浜坂沖で操業中であることが、また、第一大西丸については漁船原簿から抹消されていることが確認されたため、両船は不審船であると判断いたしました。 これらの確認作業と並行して、巡視船艇及び航空機の発動を指示し、現場海域に巡視船艇十五隻及び航空機十二機を動員いたしました。現場に到着した航空機は、両船に対し、漁業法第七十四条第三項に基づく検査等を行うため停船命令を実施しましたが、両船はこれを無視し、北に向け十ノットの速度で逃走いたしました。 そこで、巡視船艇、航空機により追尾を開始するとともに、停船命令を繰り返し行いましたが、両船はなおもこれを無視して速力を上げて逃走を続けたため、海上保安庁法第二十条に基づく威嚇射撃を実施いたしました。 しかしながら、両船はこの威嚇射撃をも無視して高速で逃走を続けたため、燃料不足から巡視艇「はまゆき」と「なおづき」は追尾を断念し、また、巡視船については、速力が遅いため次第に不審船から離され、第一大西丸は二十時十四分、第二大和丸は二十一時十二分、それぞれ巡視船のレーダーから消えました。 海上保安庁では、このような状況を内閣、防衛庁等の関係省庁に逐次連絡し、私から防衛庁長官に対し、二十時五十五分、不審船追尾の省庁間協力を要請し、また、二十四日零時三十分、海上保安庁の能力を超える事態に至った旨を連絡し、これを受けて政府としての対策が検討された結果、零時五十分、自衛隊法第八十二条に基づく海上警備行動が発動されるに至ったものであります。 海上保安庁としては、残念ながら不審船を停船させることができませんでしたが、関係省庁と密接に連携しつつ、でき得る限りの措置を講じたものと考えております。 今後は、今回の事案を踏まえ、問題点を分析するとともに、同種事案が発生した場合に、より適切に対処できるよう対策を検討していくこととしています。 また、全国の管区本部に対しては、領海警備をより一層強化するよう既に海上保安庁長官に対して指示しており、不審船の警戒に万全を期していく所存であります。
○石破委員長 次に、柳澤防衛庁運用局長。
○柳澤政府委員 能登半島沖で発見された二隻の不審船舶に対する自衛隊の対応について御報告申し上げます。 三月二十三日、警戒監視活動を実施中の海上自衛隊の航空機P3Cが、二隻の不審船舶を発見いたしました。このため、訓練に向かっておりました護衛艦を現場に向かわせ不審船舶を確認し、海上保安庁に通報いたしました。当該不審船舶に対しては、海上保安庁の航空機及び巡視船艇が停船命令を発するとともに、巡視船艇が威嚇射撃を実施する等の必要な措置が講じられましたが、不審船が速度を上げたために海上保安庁の巡視船艇等による追尾が困難となり、二十四日未明に持ち回りの安全保障会議及び閣議を経て、防衛庁長官が自衛隊法第八十二条の規定に基づく海上における警備行動を発令いたしました。 海上警備行動下令後の経過の概要について申し上げますと、二隻の不審船舶に対し、海上自衛隊の護衛艦及び航空機P3Cにより追跡、停船命令、警告射撃等を行いました。しかしながら、不審船舶は、これらの停船命令等を無視し、我が国の防空識別圏を越えて北朝鮮方向に逃走いたしましたので、それ以上の追跡は相手国を刺激し、事態の拡大を招くおそれがあると判断し、追尾を中止したところであります。その後、不審船舶は我が国の防空識別圏において活動中の航空機から探知できなくなるほど遠くへ移動し、我が国周辺海域においても特異事象が見られないことから、二十四日十五時三十分をもちまして今回の海上警備行動を終結することとしたものであります。 なお、防衛庁におきまして、入手した種々の情報を総合的に分析した結果、本件不審船舶は、二十五日早朝までに北朝鮮北部の港湾に到達したものと判断されます。 今回の自衛隊の行動については、残念ながら不審船の逃走を許すという結果となりました。防衛庁としては、海上保安庁との密接な連携のあり方等について、今後、今回の経験を踏まえ、遺漏のなきよう万全を期してまいりたいと考えております。 以上です。
○石破委員長 次に、外務省阿南アジア局長。
○阿南政府委員 能登半島沖で発見された不審船に対する外務省の対応について御報告を申し上げます。 二十三日能登半島沖の我が国領海内で発見された二隻の不審船に対する追跡の経緯等については、ただいま運輸大臣及び防衛庁より御説明のあったとおりであります。 外務省としても、本件事案の重大性にかんがみ、その発生以来、内閣及び関係省庁との緊密な連絡体制を維持すると同時に、米国及び韓国、ロシア、中国といった周辺国に対し、我が国在外公館あるいは各国の在京大使館を通じて、自衛隊に対する海上における警備行動の発令を含めた事実関係、経緯等につき、概要を説明してまいりました。 特に、日米間では、種々のレベルにおける密接な情報交換等、さまざまな協力が行われました。また、ロシアからも協力の申し出があり、我が国よりの情報提供を受けて、本件不審船への追尾等の措置がとられたものと承知しています。今後とも、これらの関係国に対し、必要に応じて説明を行うとともに、協力を求めていくこととしております。 北朝鮮に対しては、日本時間の二十四日夜より二十五日未明にかけて、我が国の在中国大使館及び国連代表部を通じ、我が国領海内において国内法違反の行為を行った船舶が北朝鮮の水域に入る場合には、当該船舶を捕獲して、乗組員とともに我が方に引き渡すよう申し入れを行いました。その後、種々の情報を総合的に分析した結果、本件不審船が二十五日早朝までに北朝鮮北部の港湾に到達したものと考えるに至り、これを踏まえ、日本時間の二十六日、改めて同様のルートで申し入れを行いました。 これに対し、二十七日、北朝鮮外務省のスポークスマンは、北朝鮮は本件不審船について全く関知せず、本件事案は、日米防衛協力のための指針関連法案を国会通過させるために日本が行った謀略策動であるとする談話を発表いたしました。このような北朝鮮側の反応は、予想された常套的なものであると言えます。我が国政府としては、北朝鮮が誠意ある説明を行うべきであると考えます。 いずれにせよ、外務省としても、引き続き内閣及び関係省庁並びに関係各国との緊密な連絡を維持しつつ、本件に適切に対処していく考えであります。
○石破委員長 以上で政府の報告は終了いたしました。 ―――――――――――――
○石破委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤晟一君。
○衛藤(晟)委員 まず質問させていただきたいと思いますが、答弁の方は簡略にお願いいたします。 まず、防衛庁柳澤運用局長にお尋ねいたします。 この不審船を発見したのはいつなのか、それから海上保安庁にいつ通告をしたのか、私どもの知るところでは、通告するまでに相当時間がかかったようでありますけれども、どうしてなのか、端的にお答えいただきたいと思います。
○柳澤政府委員 まず、発見をいたしましたのは我が方の警戒監視中のP3Cでございますが、早朝から活動しておりまして、三月二十三日の六時四十二分及び九時二十五分にそれぞれ別のところで、別の船でありますが、これを発見しております。 そして、海上保安庁に通報いたしましたのは、それぞれ十一時あるいは十三時といった時間帯でございますが、これは当時、P3Cによって視認といいましょうか、目で見て確認されました段階では、不審船と思われる船舶という段階でございまして、これを近傍におりました護衛艦「はるな」が逐次近所まで回っていきまして、船名等を確認した上、海上保安庁に通報したというものでございます。
○衛藤(晟)委員 その間の動向についてはチェックできていますか。
○柳澤政府委員 当然、P3Cが所在を見ておりますので、これは速度からいきましても、一たん視認したものについては目を離さずに見ておったということでございます。
○衛藤(晟)委員 それでは、どの辺でどういう行動をしていたかということについては全部わかるわけですね。
○柳澤政府委員 基本的には把握できております。
○衛藤(晟)委員 アジア局長にお尋ねします。 今回と同様のようなことがアメリカ、中国、ロシア、韓国であったということを想定した場合に、各国がどういう措置をとると想定できますか。
○阿南政府委員 各国の予想される対応ということでございますので、難しい面もございます。また、中国等はなかなかわかりにくい面もございますが、関連の制度等で私どもでわかっている範囲でお答えをさせていただきたいと思います。 米国におきましては、合衆国法典、第十四編、沿岸警備隊、第八十九条、法の執行という規定がございますが、ここで、沿岸警備隊は違法行為の防止等のため臨検、拿捕等ができる、応諾を強制するために必要なあらゆる強制力を使用することができると規定されております。また、第六百三十七条、船舶への射撃に関する免責という事項におきましては、威嚇射撃の後、停船に応じない船舶に射撃を行うことができると規定されております。もちろん、この射撃については割と細かい規定、注意深い規定がございます。 ロシアにおきましては、国境警備庁の過去の対応ぶり等から考えますと、まず警告信号を発信する、停船命令を発した後、問題となる船舶が停止しない場合には、警告射撃を行い、右にもかかわらず停止しない場合には、さらに実力行使としての銃撃を行う場合もあるというふうに承知をしております。 韓国につきましては、いろいろ細かいあれがございますが、要点だけ申し上げますと、一般的に武器の使用というものは、犯人の逮捕、逃走の防止、自己または犯人の生命身体に対する防護、公務執行に対する抗拒、抵抗の抑制のために必要な場合に、合理的に判断し、武器を使用することができるが、警察官職務執行法の規定に基づき、武器を使用する場合は、正当防衛、緊急避難及び対スパイ作戦において武装スパイが警察官の投降命令を受けてもこれに応じない場合を除き、人に危害を与えてはならないとされているというふうに承知をしております。 冒頭申し上げましたように、中国については、こういう場合どういう対応をするか必ずしもつまびらかでございませんので、その点、御理解いただきたいと思います。
○衛藤(晟)委員 さて、外国においてはルールがはっきりしているということになりますね。それを内外にある意味で明らかにしているわけですね、我が国においてもそれがわかるわけでございますから。そのときの気分によってとか、そのときの状況によってやるわけではないわけであります。 では、防衛庁、海上保安庁おのおの、そういうルールはどういうぐあいになっていますか。
○柳澤政府委員 自衛隊におきましては、自衛隊法八十二条の海上における警備行動の発令をされました場合には、自衛隊法九十三条によりまして、警察官職務執行法七条あるいは海上保安庁法十六条、十七条、十八条等の規定が準用されております。 先生言われた、特に武器の使用について申し上げますと、警職法七条の準用におきまして、「自己若しくは他人に対する防護又は公務執行に対する抵抗の抑止のため必要であると認める相当な理由のある場合においては、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度において、武器を使用することができる。」となっておりまして、ただし危害許容要件というのがございまして、刑法のいわゆる正当防衛または緊急避難に該当する場合、あるいは三年以上の懲役等に該当する犯人に対するもの以外は、人に危害を与えてはならないということになっております。
○楠木政府委員 基本的には、まず法制的な面においては、今防衛庁さんがおっしゃった、これはむしろ私たちと同じ法制のもとにこの場合取り組むということでございますので、一緒でございます。 それから、もし事実上そういう点があるといたしますと、これはやはりそのときの海域の状況とか気象の状況によって随分違いますので、私どもの方ではかなり慎重にそこは扱うようにしております。
○衛藤(晟)委員 今お聞きしますと、停船命令に従わなかったときの規定については、お互いにないようですね。このままずっと逃げている。そこで体当たりしてくるとか何か武器で撃ったとか、正当防衛だとか、そういう場合はありますけれども。 だれかわからないわけですから、凶悪犯であるかどうかもわからない。そのときにこの国ではどうするかという規定を持っていますか。ルールをつくっていますか。
○楠木政府委員 私ども海上保安庁は、犯人の逮捕、逃走の防止という観点、あるいは法令の励行という観点がございますので、今度のようなケースにいたしますと、これは漁業法という法規の違反であるということでございますので、そういう犯人の逮捕もしくは逃走の防止という観点から、その法令の、これは凶悪犯かどうかとか、そういうような限度に沿って一定の限界があるという立場でやってまいります。 そして、まず警告をし、停船命令をかけていく、こういった手順は一緒でございまして、あとは先ほど申し上げた限界に沿ってやっておるというものでございます。
○衛藤(晟)委員 では、どうしてもっと早く強行接舷をして停船させなかったんでしょう。これはどうしても残る問題でありまして、あそこまで奥深く入って、能登半島沖二十五キロというところまで入っているわけですから、その時点でわかったわけですから、もっと早い時期にちゃんとこれはできたはずですけれども、なぜさせなかったんですか。
○楠木政府委員 先生おっしゃいました強行接舷というのも停船の一つの方法であると思われます。ただ、どういった停船方法をとって相手に向かっているかという点につきましては、そのほかにも、海水を放水するとかあるいは警告弾を発射するとか、挟撃して、挟み打ちして捕捉するとか、いろいろな方法があるわけでございます。そこは海の上でなかなか難しいものですから、どれを選択するかにつきましては、相手船の速さとかその武器の装備状況がどれぐらいわかるかとか、気象、特にこの場合波の高さがかなりございました、そういうものとか、また、こちら側の勢力、巡視船艇の数、こういったものを考慮する必要があるわけでございます。 今度の事案について具体的に申し上げますと、当初は巡視船艇が接近可能な速力、八ノットぐらいで航走していたわけでございまして、そこで、繰り返し無線や国際信号旗によりまして停船命令を発していたところでございますが、当時のその気象、海象条件も大変厳しくて、私どもの追尾しておりました高速巡視艇も本来の速力を十分に発揮できない状況にありました。近いときには一千メーターぐらいのところに行ったんですけれども、結局近くまで行けないということで、今先生おっしゃったような方法はなかなかとりにくい状況にあった、そのうちに相手がにわかに速力を増速した、こういうことから離されてしまったということになるわけです。そこで、我々の方は、そういう強行接舷にかわる方法ということで威嚇射撃による停船手法をとったというところでございます。
○衛藤(晟)委員 ちょっと問題なんですね。 情報を入手して、威嚇射撃をして、それから威嚇射撃をするころスピードが上がるんですね。そのころまでというのは八ノットから十ノットちょっとなんです。海上保安庁の船艇は二十二ノットから三十ノットですから、その間まではもっとくっついて、強行接舷ぐらいして、いろいろなことが、措置がとれたはずでありますけれども、どうしてですか、それをしなかった理由について、はっきりしてください。
○楠木政府委員 やはり警察官職務執行法七条の規定に基づきまして、犯人の逃走の防止等のために必要と認める相当な理由があると認めるときに武器を使用するということに至ったわけでございますけれども、今先生おっしゃったように、相手が少しゆっくり走っているときにそういうことができなかったのかという点につきましては、一千メーターぐらいのところまでしか迫れなかったということと、ある程度勢力がそろってそういう対応がとれるのを、時期を見ていた、そして停船命令をかけていた、こういう状況でございます。
○衛藤(晟)委員 漁業法違反だ、それから、逃走防止だとするならば、前に出て船をとめるというようなこともできるはずですね。尖閣諸島のとき等においては、海上保安庁はそれを全部やりました。今回はどうしてそれができなかったんでしょう。はっきり言っていただいて結構ですよ、どうぞ。
○楠木政府委員 尖閣列島の場合は、外見上も純粋な中国ないしは台湾の漁船であるということが私どももよくわかりましたが、今回の場合は、工作船ではないかという疑いももちろんありましたし、そこら辺の状況をよく見ないと、やはりそこまでいかなかったということでございます。(発言する者あり)
○衛藤(晟)委員 今ありましたけれども、ということだと思いますね。相手は結局、日本においては漁船を装っていれば、しかし多分工作船というぐあいに推測がついたとしても、何を積んでいるかわからない、どんな武器を積んでいるかわからない、そのときに、海上保安庁の職員さんに対して、そこにくっついて強制接舷をしてということは大変難しい命令ですね。これは簡単にそういうオーダーは多分出せないと私は思います。要するに、こういうような強制接舷、いわゆる停船を命じてもとまらないときのマニュアルが我が国にはないんですね。結局、その原理は、正当防衛、緊急避難、凶悪犯というぐあいにわかっている場合となりますと、なかなか難しいですね。 さて、海上保安庁が、それでは、他国と同じようにちゃんとした領海警備の任務を与えられているわけでございますけれども、それを全うしようと思ったときに何が足りませんか。
○楠木政府委員 今の先生の話から、私どもももちろん、いろいろ大臣から御指示を受けまして、あらゆる点について今問題点を摘出しておるところでございますので、まだちょっと全部というところまで分析したわけではございませんけれども、情報とか速力とか航続距離とか、あるいは捕捉手段とか、そういった点はすべて、そういう点が反省材料あるいはこれからの改良材料としてあるわけでございます。実態は先ほど大臣が御報告を申し上げたことに尽きるわけでございますけれども、実際問題として、私たちの方にも、速力や航続距離にすぐれた巡視船もその他の船艇機種にはあったわけでございますが、現場から距離が離れていた、そういうことの配備等の問題、あるいはどういうところが虞犯海域かということで情報をとっていく、そういう情報の問題、さらには停船させる手法としての先ほど来御議論が出ているようなことについて、現在の、現行法の枠内ではございますけれども、理論上もう少しできる範囲があるんではないか、もしあるんだったらそういう点についての運用上の検討もする必要がある、こういうふうに思っているところでございます。
○衛藤(晟)委員 話を戻します。 私は、もっと早く強行接舷をしてでもやれればよかったなと思うんですね、停船命令をもっと早く出して、あるいは進路にふさがってでも。我が国はもうそのときには自衛艦も周りにいるわけですから、そういう意味では圧倒的な兵力の差というか力の差はあるんですからね。確かに簡単にはできない。通常のままであれば、三、四十メートルの漁船だと思っても、何を積んでいるかわからない。その状況の中で、いわゆる隊員の、海上保安庁の職員さんのどうなるかわからないという状況の中で命令を出すことは極めて難しかったと私は思いますが、周りに既に海上自衛隊の船から何から取り囲んでいる状況の中ですから、これは可能だったのではないのかということを一つ思っています。それからもう一つは、もっと早く威嚇射撃をちゃんとやるべきではなかったのかと思っています。 それは一応それでおいて、今お話がございましたように、そうすると、ほかの停船手段としての検討の余地もある、それから装備の問題、速力、航続距離等の問題もあるということでございますが、もっと詳しく話していただきたいと思います。ほかに停船手段としてどういうものがあったのか、それから装備としてどういうところが不足していたのか。
○楠木政府委員 まず、停船手段の問題というのは、一般に我々が違法操業しております漁船に使っておるものというのがいろいろあるわけでございます。基本的にはそれがちょっと使えるだけの距離に行かなかったという点に問題があるわけでございますけれども、通常の場合は、そういうものにつきましては、相手の力を減殺するようなもの、例えばブリッジのガラスをカラーで染めてしまうようなものとか、それによって相手が前が見えなくなるというようなものもございますし、それからゴム弾と申しまして、相手の船体を多少傷つけるようなもの、そういうものもございます。その他、ちょっと余り私たちの手のうちを言うのもどうかと思いますので、代表的なものだけを申し上げますけれども、そういうようなものがあるわけでございますので、そういったものを磨きをかけていくということが一つございます。 それから、速さとか航続距離、こういったものにつきましては、現場に出ておりました巡視艇は、実はかなり速いけれども航続距離がなかった、その後ろにおりました巡視船の方は、航続距離はあるけれども、逆に今度は速力が余りなかった、こういうことでございますが、その中間タイプの小型の外洋の高速巡視船というのを私ども今全国に十隻ほど持っております。そういうものであれば速力も航続距離も相当いけたんではないかというふうに思っておりまして、こういうものの配備、そういったものの運用等についてもよく考えていかなければいけないと思っております。
○衛藤(晟)委員 さて、ではそういうものが全部調ったというぐあいにいたします。そのときに、今回と全く同じ事例の場合に、海上保安庁はこの船を停船することはできますか。
○楠木政府委員 一つ先ほど申し上げましたように、もう一つ、現実に警職法の範囲内で相手の方に射撃をする要素というのもあるわけでございますし、さまざまなところを私ども駆使しまして努力をしたい、こう考えております。
○衛藤(晟)委員 大変苦衷の答弁、よくわかります。たとえそのような装備を海上保安庁がしても、要するに今回と同じ結果しか得ることができないということですね。それはやはり、皆さん方役人というかそういう人の責任というよりも我々政治の責任であるかもしれません。先ほどから明らかになりましたように、我々はこういう場合におけるマニュアルをちゃんとつくっていません。停船しなかったときのマニュアルがありません。しかも、停船させるための原理原則がはっきりいたしておりません。 しかし、海上保安庁の職務の中には、先ほどお話がございましたように、はっきりあるんですよ。しかしながら、この場合は、正当防衛、そして緊急避難、凶悪犯であるとわかった以外は、そのときだけですということになっていますと、強制的に停船させる、実力的に停船させる方法を持っていないということになりますが、そうですか。答えてください。 はっきり言っていいんですよ。はっきり本当のことを言っていいんだ。
○楠木政府委員 捕捉手段を強化することによって、それはできるように努力してまいりたいと思っております。
○衛藤(晟)委員 いや、リンゴの気持ちはよくわかりますけれども、今お話があったとおりでございまして、現実に今回、私どもがこの事犯を見たときに、職務権限は一応抽象的ではある。しかしながら、具体的に実行しようとする場合に、この原則としては正当防衛、緊急避難、凶悪犯であるということになりますと、完全な不審船となったときには、漁船を装った不審船となったときには、あるいは何を積んでいるかがわからない、どういう武器を持っているかわからないというようなときには、実質的に停船させることは極めて難しい。 今回、四十数年ぶりの威嚇射撃だそうでございます。勇気を持ってこれをやったんだと思いますが、そのことについては私は十二分に評価をしたいというふうに思っております、十分。しかしながら、停船命令をやっても威嚇射撃をやってもとまらない場合、その後についての規定を我々はつくっていないんですね。これは実は防衛庁も同じだというぐあいに思います。 この中で明らかに抜けていることは、ちゃんとしたいわゆるルールをつくる、エンゲージメントのルールをちゃんとつくっておく必要があるということ。それからもう一つは、原理的に正当防衛、緊急避難、凶悪犯であるということの認定ができなくても領海内の警備についてはちゃんとできるように原理をつくっておかなきゃいけないというぐあいに思いますが、どうですか。このままだったらできないでしょう、実際。努力をしますまでしか言えませんよね。
○楠木政府委員 今回、海上警備行動というところに至りましたことも、初めてのケースもありますし、大臣も申し上げましたように、そういった欠点についてのマニュアルと申しますか、お互いの連携の中でそういったものも生み出していきたいと考えております。
○衛藤(晟)委員 はっきりしますことは、少なくとも停船命令を出して、スクリューをとめるような網を流すとかいろいろなことをやったりとか、威嚇射撃もやって、それから、アメリカの場合だと、前にぽんと落とせぐらいはありますよね、三、四十メートル前にでも近くに落とせ、それでも聞かないときは銃撃せよということなんですね。 それから、今回ロシアに応援を求めました。そのときのロシアの太平洋管区司令官は、もしロシア領海内に侵入した場合、服従しなければ撃沈の方針であったということを会見しているところであります、詳しいのはここにありますけれども。要するに、本当にとめようと思ったならば、そこまでの断固たる意思がなかったらとまらないということですね。 ですから、我々やはりこれについては、どういう場合にはどうしたらいいのか、現場の指揮官の判断じゃなくて、こういう場合にはこうしたらいいというマニュアルをちゃんとつくらなければいけないということははっきりわかったと思うんですね、一点は。そして、その場合に正当防衛、緊急避難、凶悪犯というだけじゃなくて、どうしてもわからない、命令を聞かない場合にはこうだということの措置がとれるような状況にしておかなきゃいけない、この二点ははっきりと今回のことでわかったと思う。三点目が装備の問題ですね。実は三点目が装備の問題です、重要性においては。 ですから、原理として正当防衛、緊急避難、凶悪犯ということだけではできない、やはりちゃんと我が国の領海内を守るということについて規定をしなければいけない。これは防衛庁の方もそうですね。空に関してはスクランブルの規定がありますけれども、海に関してはそういう規定を全くつくっていません。これを明確にしない限り、問題だというぐあいに思っています。 ですから、この原則を明らかにすること、それから海上保安庁も防衛庁もマニュアルをちゃんとつくっておくということが、まず二点必要です。その次に、それに必要な装備とは何なのかということでもう一回再検討する必要があるというぐあいに思います。大臣、どうでしょうか。
○川崎国務大臣 衛藤委員は法整備という観点から、切り口を今御質問いただいたわけでありますけれども、我々としては、まず今回の事例をとって、何が不足した、まずそこから入るべきだろうという形で、今、足らざる点、また、こういうことは評価すると言っていただいた点、これを全部チェックさせていただいて自衛隊との話し合いに入っていく、こういうふうに思っております。 基本的にちょっと誤解がありますのは、彼らが我々の船が近づくまでずっと待っておった、逃げる能力がありながら我々の接近するのを待っておった。ですから、正直言って前へ回り込むほどの力を我々は持っていなかったということになろうと思いますので、法整備の議論の中で、果たして後ろから撃てるかという議論が一番問題になるんだと思います。 そこで、私どもとしては、まず前へ回り込むだけの力を擁しなきゃならない。したがって、高速艇というのをまず持たなきゃならぬ。場合によってはそれ以上のスピードの、飛行機、ヘリコプターというものの活用、今までは救難とか監視に航空は使われておりますけれども、海と空と一体になって逃げていく船舶の邪魔をするということはかなり可能なんだろうと思っております。そういった面で今いろいろ議論を始めているところでございます。 そういう意味では、私どもはまず現行法で何をし得るかという観点で、今懸命に努力をいたしているところでございます。
○衛藤(晟)委員 私は、法律体系の問題を言っているんじゃないんですね。今我が政府がとっている原理が、正当防衛と緊急避難と凶悪犯だということにしています。しかし、停船命令を出す、威嚇射撃もする、たとえ前に回り込んでも、それをよけて、海ですから、道路だったら道路しか、陸上だったら通れないかもしれませんけれども、よけて完全に逃げようとした場合には、何度それを出しても、そのときにはどうするのか。最後の強制的な措置を持たない限り、恐らくとまることはないでしょうと言っているんです。 そのために、ぜひ国会で、ここは委員会でございますけれども、大臣か総理大臣が明らかにしてもらいたいと思っているんですね。明確にすることをしなければ、今までの答弁でずっとおわかりのように、今のままでしたら、恐らく全く同じことが起きたらできません。だから、装備で何かスクリューをとめるようなことができればまた別ですよ。しかし、そうでない限りは、これを強制的にとめるという方法はないんではないですか、こういうことを言っている。 そのためには、ちゃんとこうしたときにはこうするというマニュアルをつくってください。そして、その命令に従わなかったらこういう措置をとりますということを内外に明らかにしない限り、これは意味がありません。どこの不審船かわからないんですから、周りの人々に明らかにしていくということになると思います。 そして、防衛庁にもう一つですが、防衛庁の規定の中に領海の警備についてやはり明確に書き込まなきゃいけないというぐあいに思っておりますが、どうですか。
○柳澤政府委員 先生御承知のとおり、我が国の現在の法体系の中では、いわゆる領域、領海の警備を含めまして治安維持の任務というのは第一義的に警察機関の仕事ということになっておりまして、それだけで対応が困難なときに自衛隊が別途命令をいただいて出るようになっております。 基本的にそういった枠の中で、先ほど運輸大臣も言われましたように、さらに連携を改善してどこまで対応できるかということを私どもとしてはまず検討すべきだと思っております。
○衛藤(晟)委員 最後に要望をさせていただきたいと思います。 今申し上げましたように、自衛隊は領海に関する明確な規定を持っていません。ですから、任務の中に改めて領海警備を入れられることを要望します。 それから第二点目は、お話がございましたように、治安出動と防衛出動の間に当たるような、こういうのについてはやはりちゃんと整備しなきゃいけません。明らかにこの中間に当たるようなところですね、今回の措置は。 恐らく今回の措置でも防衛出動か治安出動かということについて、まあ今回は迷っていないようですけれども、これがもし武装した小さな集団で来たりしても、相当迷ったと思いますね。今は小さな集団であっても、武器いかんでは明らかに非常に大きな威力を持つわけですね。ですから、今の全体の中での問題としては、昔は小さな船で小さなグループであれば大したことなかった、自動小銃だとかなんとかその程度で。しかし、今はサリンを持っていたってわからないですからね。原爆だってかばんで提げられるわけですから。だから、グループが小さいからといって対応できるかどうかというのはわからない。そういう意味では、治安出動と防衛出動の間をどう埋めるのかということについて、まず検討していただきたいというのが一点です。 それから海上保安庁の方には、やはり正当防衛と緊急避難と凶悪犯ということだけでは無理だと思うんですね。命令に従わないとき、そういうことを何度やっても従わないときの強制的な手段について、やはり原理をちゃんとつくって、そしてマニュアルをつくるということをしない限りは、繰り返されるというぐあいに思います。 ただ、最後に申し上げますが、四十数年ぶりに実行したということでございまして、しかし、その間我々の中に起こったことは、麻薬がどこからか入ってきたり、あるいは拉致問題が起こったりしてきたわけでありまして、今までのことが今回の事件を通してよく見えるわけですからね。ですから、そのことを考えながら、ちゃんとここのところを網の目を詰めていただきたいというぐあいに心から切望する次第でございます。 ぜひよろしくお願いいたしまして、質問を終わります。以上です。
○石破委員長 次に、玉置一弥君。
○玉置委員 いろいろ聞いてみますと、過去の反省が全くないという感じがいたしまして、今回のことは、日本の今までの政府の方針がいかにあいまいなままに来ているか、特にそういう感触といいますか、今まで余りにも、防衛問題も同じでございますが、あるいは憲法問題、それと同じような意味で、重要なことが非常にぼかされたまま来ている、こんな感じを受けたわけでございます。 もともと我が国領土、領海、こういうものに対してもっと主権の主張を本来すべきでございますが、例えば尖閣列島問題とか過去のいろいろな領海侵犯あるいは領空侵犯等々を見ておりましても、それで後、事件になったというのは全くない。逆に、捕獲もできない。そういうことが相次いで起こっているわけでございます。それを考えていきますと、日本は周りの国々にいかに自由な国かということを示しておりまして、そのことが今回の事件につながってきているんだろう、こういうふうに思うわけでございます。 そこで、まず今回の事件の問題点になった領海侵犯でございますけれども、聞くところによると、漁船の姿をして漁具を積んでいなかったということでございますが、それが発端だったということです。実は二十一日から無線の傍受があったとか、いろいろな事前の状況も、後でわかったんだと思いますけれども、ありましたと。そういうこともあります。それから、漁船の位置を確認して行動監視しているうちに向こうも動き出したということで、その間に体制がとれなかったのかとか、いろいろな不審な点がたくさんあるわけであります。 一番問題なのは、過去に何回か同じようなことがありまして、ともに取り逃がしている。これが十八回あるというふうに聞いているのですけれども、この過去に取り逃がした事例、これが全然生かされていないということでございます。 そういう点を踏まえて、なぜ今逆に海上警備の発令をされたのか、また逆に、運輸大臣の方から今回に限りそういう要請をされたということでございますが、過去にそういう海上警備の要請といいますか、要するに、自分たちで手に負えないというような話が内閣としてあったのかどうか、それから今の時期になぜということをちょっとお答え願いたいと思います。
○川崎国務大臣 追尾をした昭和六十年、これが四十時間余りして逃げられたケースでございます。 実は橋本内閣のときに、海上事案に対する緊急体制といいますか本部体制というものをしっかりしなきゃならぬと。これは、閣議決定まで至っておりませんけれども、基本的な考え方は整理されております。 このケースを想定いたしておりますのは、例えば漁船を装った不審船が入ってくる、我々がそこへ出ていく、それに対して武器を持って応戦をしてきた、その武器が我々の持っておるものを上回る能力を持っておる。こういった場合に、内閣と連携をとって、最終的には総理の承認をもらって、自衛隊の海上警備活動に入る。こういうことは、その当時、一つの、反省がないのかといえば、昭和六十年当時、また平成二年にちょっと入ってきて逃げたケースがございますけれども、逆に言えば、そういったものを見ながら、現実問題として組ませていただいております。 それからもう一つは、漁船の数が逆に圧倒的に多かった場合。我々の船に比べて数が多い、それから抵抗力が強い、この二つの場合には、海上警備活動、自衛隊との連携というのは既に想定されておりました。 そして今回につきましても、物事が起きましたときに、官邸に私ども関係閣僚が集まりました。そのときの一つの整理として、まず海上保安庁が全力を尽くすように、与えられた権限の中ですべての方法を使ってできるだけの努力をしろ、こういう一つの判断をいただきました。同時に、すべての閣僚に連絡をして、どういうことになるかもしれないから、その場合は海上保安庁からしっかり連絡をとりながらやっていこう、こういうことで今回進んだわけでございます。 そういう意味では、十分生かされているかといえば、まだまだ足りないと御指摘をいただくかと思いますけれども、過去の事例等にもかんがみながら、私ども今回の一つの決断をさせていただいた、こういうふうに思っております。
○玉置委員 過去十八隻を取り逃がして、今回同じようなことが起きた。それから相手もだんだん巧妙になりまして、外から見てもわからないけれども走れば速い。これは前もあったんですね、同じようなことが。そういうようなこととか、あるいは日本海側の警備という面で見たら、新潟と何か中国地方の、要するに二カ所ですね、日本海側としては。あとは北海道にありますけれども。拠点も全然ふえてないということで、我々から見ると、こんな懐みたいなところに入り込まれてこれを取り逃がすというのは、本当にこんなので日本の警備ができるのかというふうに思うのですね。 密漁船とかいろいろな用途がありますけれども、工作船だという推定のもとに今回も追っかけられたということですが、そういう面から見て、とても十八回の反省が生きて体制が組まれているとは思えない。 それから、先ほど衛藤先生の方の質問にもありましたけれども、例えばアメリカですと、沿岸警備隊と海軍とのマニュアルとか、海兵隊とのマニュアルとか、いろいろぴちっと決まっていまして、今どれだということになると、すぐ発動されるというふうな手続が全部あるんですけれども、お話の方は自衛隊と海保とが連携をとらなきゃいけないという話はすぐ出てくるんですが、具体的に、実際にマニュアル化を検討されたとか、あるいはシミュレーションでどこの地域に行くとどういう体制をとるとか、そういうことがやられているのかどうか、その辺についてお伺いしたいと思います。
○楠木政府委員 先生のお話の中にも出てまいりましたように、まず沿岸の領海の中で無害通航ということがございますので、その中から、不審船、本当の意味の不審船というのを見分けていくというのはなかなか難しいわけでございます。不法操業を領海内でしようというようなことでやってくる漁船は後を絶ちませんで、年間三百隻から八百隻ぐらい、年によって違いますが、ございます。そういうものの中から情報を見てやっていくということから、なかなか私どもも、昭和三十八年以来、平成二年に至るまで十八隻といいましても、それとの比較といいますか、いろいろ難しい面もあったわけでございまして、またそれに対応して船の整備とか、そういうようなことをやってきたわけでございます。 そうした中で、これからどうしていくかという点につきましては、先ほど大臣が六十年の事例を申し上げたように、そのときの海域の状況、太平洋あるいは東シナ海といったようなことがございましたので、かなり懐深いところで、私たちだけである程度は対応できた、しかし、今度の場合はちょっと違っていたということでございます。 しからば、コーストガードのように、衛藤先生のところでもお話が出ましたけれども、やるのかという点について、コーストガードの場合は、外務省の方からもお話がございましたように、五軍のうちの一つの軍ということで、かなりしっかりした対応というのがあるわけでございますが、私たちの方も、先ほど来申し上げておりますような、警察機関としての限界の中で、それでは正確にかじならかじを撃てるか。今度の場合は威嚇射撃をしたわけでございますけれども、実際にかじを撃つというようなことをもし想定したならば、それは船が相当揺れているようなことからいって、あの気象、海象条件ではなかなか難しかっただろうと思いますけれども、しかし、理論的に人を傷つけないでそれができるというならば、それはそれで運用上の範囲内として考えておく必要もある、いろいろなことを御指摘も踏まえて考えていきたいと考えております。
○玉置委員 日本周辺で、こういう工作船だけじゃなくて、いろいろな船があると思うのですね。その中から見分けるのは確かに大変だと思います。それだけに、日常からいろいろな連携を模索して、それをマニュアル化して、やはり日常の監視体制というのをやらなければいけない、かように思うのですね。 先ほどもありましたように、例えば自衛隊のOBの方あるいは海保のOBの方も、両方でございますが、日本には領海法がない、これがやはり一番の問題じゃないかというような話をされています。 それから、もう一つは武器使用でございます。武器使用についても、現在も、警察関係の法律ですね、職務執行法みたいな、そういうものの規定を当てはめて、いわゆる司法警察に対する権限を与えられたということから、自衛隊の方も、海上警備といいながらそれを根拠法にしているということでございます。 それ自身が日常の、本来の、例えば自衛隊の職務という面で見て、やはり領海警備というのは自衛隊も大いに関係すると思うのですね。単なる侵入者が来るまで待っているということじゃなくて、やはり不審な人が、船が、飛行機がいないかということも大事なことですし、逆に言えば、海上保安庁で十分そういうことが捕捉できるかどうか。今回の場合、情報が逆なのですね。自衛隊でそういう情報をつかんで、海保に来て、それでまた自衛隊に戻ったということですから。それがやりとりされている間にもうどんどんと進んでいくということになるわけです。 この辺を見ても、領海法そのものについて、法的にやはりちゃんと根拠法というものをつくって、日常から両方がお互いを補完するという意味でやるべきだ。片方の要請があって初めて動くということではなくて、海上保安庁の要請がなかったら逆に自衛隊が動けないですね。そういうことですよね。違うのですか。 そういう連携、先ほどもマニュアル化の話をしましたけれども、本来の指示関係ですね、どちらがどういうふうにしているかも含めて。それから法制化について、先ほどのお話で、領海法というのはやはり規定としては必要だと思うのですね。これについてまずお答えをいただきたい。
○楠木政府委員 平成八年だったでしょうか、いわゆる海洋法、国内法化するときに、どこまでそういう議論があったのか、私、現時点でちょっとつまびらかではございませんけれども、海洋法条約の中に、いわゆる追跡権というものが領海に入った後あるわけでございまして、そういったことをどう法制化するかという御趣旨かとも思います。 もともと私どもの方は、そういった意味での、外国の船舶が無害通航でやってきて、そこで有害と認められればそういう対応になります。これは退去しろということになるわけですし、それから今回のように、日本漁船をいわば標榜して、そういうふりをして来ているものについては、とりあえず日本漁船としての漁業法という対応でございますので、これは領海だなんだということと余り関係なくそういう対応ができるということで、かなり実務的にやっていけるのではないかと思っておる次第でございます。 それから、私どもか防衛庁かという点については、大臣からも申し上げておりますように、今回初めての事案でございましたので、やっていきますけれども、私どもの方でその特定の事案において能力が足りなかったということを申し上げ、それが結果として海上警備行動につながったというのが私どもの整理でございます。
○玉置委員 国を守るとか、それから犯罪防止とかいう面での確固たる姿勢がちょっと欠けていると思うのですね。だから、これはテキサスヒットでもないんですよ。例えば、もともとライトがいないところへ来たとか、そんな感じなんですよ。 私どもが見ると、例えば、今の海上自衛隊並びに海上保安庁が周辺の警備をされておりますけれども、十八隻に上る不審船を取り逃がされているというような状況から見て、実際はもっとあるんじゃないかというような推定もするわけですね。取り逃がしたのでこれですから、逃がしていないで、しょっちゅう出入りして、大変な数字になるだろうと。そういうことを考えると、やはり警備そのものから日常連携の中でやられるように法整備を必要とするのじゃないか。 ただ、心配なのは、多分問題になるだろうと思いますけれども、無害通航の中で、領海内へ入ってきました、しかし、それは無害通航でなかったということに気がついて、そこで今度は拿捕のために追っかけますね。継続していると領海外へ出ても追っかけられるという法律になっているわけですね。そうなってくると、自衛艦が領海外を走り回るということになってきて、結構そういうのでまたもめるのかという心配をしているのです。そういうことがありますけれども、それも規定をちゃんとしておけばいいのじゃないか。あくまでも継続してやっているということですね。 だから、そういう面で、怖がって怖がって何もしない結果に終わってしまっているということなので、新ガイドラインと同じですけれども、その辺が非常にあいまいな形で終わっている。ですから、そういう意味で、ぜひ領海法を検討してもらいたい。同じような話でございますが、自民党と同じ話をするのはおかしいですけれども、ぜひよろしくお願いします。 それからもう一つ、例えば、今回は船をとめられなかったのですが、とめて銃撃戦になっていたらどうだろうという心配を片方でするわけですね。それで、今の法律でいきますと、相手が撃たないと撃てないのですね、まず一つは。 それから、先ほどのお話にありましたように、船をとめるのにも相手を傷つけてはいけない。これは警職法にちゃんとうたわれておりまして、人体に傷をつけないということなんですが、果たしてそれで船がとまるかどうかということをもう一回確認したい。 もう一つは、ガイドラインで臨検というのがあります。この臨検と今回の海上警備で停船をさせるということとどう違うのか、または同じなのか、その辺は防衛庁だと思いますが、お答え願いたいと思います。
○柳澤政府委員 ガイドラインの関係を申し上げますが、周辺事態安全確保法案に言いますところの、臨検とは称しておりませんで、船舶検査活動というふうに申し上げておりますが、これはもう御承知のとおり、国連安保理事会の決議に基づいて、軍艦等を除く船舶の、一般商船の積み荷目的地をチェックいたします、そういう活動でございます。したがいまして、相手が通常の商船であるということ、それから、当然我が国だけで単独に行うというよりは、一定のエリアを仕切りまして、他の国と協力して行うという形で、大分今回のような対応とは異なったものになるだろうというふうに考えております。
○楠木政府委員 停止手段で結局どこまでやれるかということでございますけれども、私どもの方は、先ほど申し上げましたように、非常に今、違法漁船なんかに使っておりますような捕捉手段を使ってやらせていただきたいと思っております。それから、航空機なんかをうまく活用して、上から、今余りやっておりませんけれども、そういう捕捉手段を講じるような形というのはできないか、ちょっとこれは研究させていただきたい。 それと、法制的な面につきましては、私どもの場合は、犯人の逮捕あるいは犯人の逃走の防止という観点からやりますので、それとの限度で、船にある程度近くまで寄ったときに、どの程度のことが運用上できるのか。これは、今度の場合はかなり離れておりましたので、そこのところはちょっと違いがあるかな、それで、その運用上の問題として、どこまでそれができるかというのは、検討したいと考えております。
○玉置委員 では、防衛庁にお聞きしますけれども、船舶検査、このときに、同じように相手が逃げ回ったらどうするのですか。今回みたいな高速船が逃げ回るとかいうようなことで、何か積んでいるとか工作員が乗っているとか、こういうようなときに、果たして実際に武器使用とかそういうことができるのかどうか、その辺も含めてお願いしたいと思います。
○柳澤政府委員 現在政府が提出しております周辺事態法案の中では、具体的に行うこととして、その説得、接近、追尾、伴走、あるいは進路前方における待機ということで、いわゆる警告射撃は手段としてとらないということにしております。これはもう何度か関係の委員会で申し上げておりますが、今までのそういった、イラン・イラク戦争でありますとか、湾岸のとき等の国連の決議に基づいて行いました船舶検査の実績から考えまして、実はもうほとんどのケースがそういう説得に応じてとまっておるわけでございます。今まで、ちょっと数字はつまびらかに、私は今持っておりませんが、いわゆる警告射撃まで行った例というのは極めてまれだということで、そういう手段をとらなくても十分他国との協力体制の中で実効性が上がるということで、今の法案をお願いしているところであります。
○玉置委員 そんないい人ばかりだったらいいのですけれども、今回、実際にとまらなかったのです。そういうことを考えると、では、北朝鮮はもう自由自在にどこでも行けるということになるわけですね、その辺はいかがですか。
○柳澤政府委員 今回のようなケースで申しますと、これが、ガイドラインで言っております船舶検査の対象というのはあくまでも一般商船でございまして、この手の船がどういうことになるかというのは、またちょっと判断の問題がございますけれども、こういうようなケース、こういうようなケースと申しますのは、要するに、抵抗を盛んにしてきたり、さらには高速で逃走したりというようなケースというのは、いわゆる私どもが今ガイドライン法の中で考えております船舶検査の対応には恐らくならないのではないかという感じがしております。
○玉置委員 ということは、そういう周辺有事のときでもこういう船は自由に行き来できる、こういうことですね。いや、もういいです、時間がないから、そういう解釈ですね――では、もう一回確認を。
○柳澤政府委員 ちょっと舌足らずでございましたが、我が国の治安維持のための必要ということで今回も行動しておりますので、いわゆる周辺事態が生じて我が国の安全上いろいろな関連する事案が起きてくれば、船舶検査ということではなくて、自衛隊本来の、自衛隊法に基づく行動としていろいろな対応をとるというのは当然考えられるところだろうと思っております。
○玉置委員 ちょっと話が変わりますが、三月の二十九日、昨日の新聞で、「二隻の不審船は陽動作戦」ということで、北の工作員数十人が潜入、こういう記事が大きく出ているのです。これについてほかの委員会でもいろいろ質問があったようでございますが、警察庁並びに公安調査庁、まず事実関係ですね、どういうふうに把握されておりますか。それから、野中官房長官が調査をするというような話をされていましたけれども、この辺について、今どういうような状況になっているかというのをお聞きしたいと思います。
○内山田説明員 御指摘の報道につきましては承知しております。警察といたしましては、集団密航事案の多発等の現下の情勢を踏まえまして、全国の関係府県で累次沿岸警備の強化を実施してきたところであります。警察庁におきましても、本件不審船事案発生直後から、関係警察あるいは全国警察に対して、関連情報の把握、沿岸警備の強化、また関連重要防護対象の警戒強化といった措置を指示して取り組んできたところであります。 現在のところ、こうした中で、警察におきましては御指摘の報道のような情報には接していないという状況であります。
○松田説明員 公安調査庁は、日ごろから北朝鮮の不審船について重大な関心を持って調査に取り組んでいるところでありまして、今回の記事についても、全国に調査指示を出すなどして、事実の解明に努めているところであります。
○玉置委員 なかなかそのルートがわからない場合もありますので、実際に把握できるかどうかというのはちょっと心配しているのですが、少なくとも、最近の北朝鮮の様子から見てあり得る話だというふうに私は思っております。そういう面で、できるだけ早く確信できるような情報をつかんでいただいて、対応をぜひお願いしたい。 ちょっと心配しますのは、例えば、日本海側に原子力発電所があります。敦賀、大飯それから高浜ですか、特に福井、京都なんですが、あの辺にこういう人たちが上がってきて何かやるという可能性も非常に高いわけですね。そういうふうに考えていきますと、ああいう原子力発電所とか火力発電所とか、特にねらうところといえばそういうところだろうと思うのですが、こういうふうな警備体制というのは日常からどういうふうにされているか、その辺もちょっと、余り公表はできないと思いますが、公表できる範囲でお願いしたいと思います。
○池田説明員 原子力発電所に関する防護につきましては、原子炉等規制法に基づきまして、堅固な構造の障壁によって区画されている、それに加えまして、監視カメラ、侵入センサー等が設置されておりますし、また、巡視パトロール、これなども厳しい管理措置が講じられているというふうに承知しております。警察におきましては、関連情報あるいは意見の交換を行うなどいたしまして、原子力発電所と緊密な連携を図りまして、必要な措置につきましてはいろいろとお願いしているところでございます。 また、施設周辺のパトロール等、所要の警戒は実施しておりまして、さらに、情勢に応じまして警戒の強化をアップするというような柔軟な対応をとることとしております。御指摘のあったような緊急事態というふうになりますと、警察が察知する場合もございますし、あるいは原発側から連絡をいただく場合もあろうと思うんですけれども、そういう場合につきましては直ちに対応できる、そういうような体制をしいているところでございます。
○玉置委員 心配しますのは、大体原子力発電所とか火力発電所というのは人けのない、人家の少ないところにありまして、警官の配置とかは大体人口分布ですね。そういうふうに見ますと、警備が本当にされてなかったようで、大変心配なわけです。 それから、例えばさくがしてあって、監視カメラでと言いますが、それを破って入ってきたときに、相手が例えば自動小銃を持っているとか武装している場合には対応できるかどうかというのがありますね。その辺はいかがですか。
○池田説明員 まず、警戒措置の関係でございますけれども、私どもも状況を常に見ておりまして、その状況の中でどういうような警戒をしていけばいいかということで、逐次ランクアップを図るなどして警戒の強化を図っているところでございます。 また、原子力発電所等との間に非常通報装置がございまして、一たん感知があった場合には直ちに我々も動ける、そういうような体制をとって、そういうときに備えたいというふうに考えております。
○玉置委員 そういう場合の武器使用はできるんですか。できないんですか。
○池田説明員 警察官職務執行法に基づいて私どもも動くわけでございますけれども、正当防衛、緊急避難以外に、例えば、長期三年以上の刑に当たる、そういう犯罪であり、かつ凶悪な犯罪であるというような場合にありましては、抵抗または逃亡を抑止する等のために銃器を使用することは可能でございます。
○玉置委員 新聞にこれだけ大きく載るというのは根拠がないわけじゃないと思うんですね。一応そこそこ一流の新聞でございますから、そこそこと言うと怒られます、一流の新聞でございますから。 そういう意味で、海上保安庁で追い込んで、陸に上がってどこかへ行ってしまったとかいうことじゃなくて、お互いに連携をとりながらやっておられると思いますが、念のために、やはりちゃんとぴしっとした形での確認をもう一回お願いしたいということを要望いたしまして、終わります。ありがとうございました。
○石破委員長 次に、赤羽一嘉君。
○赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。 公明党・改革クラブを代表して、三十分という限られた時間でありますが、質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。 先ほど大臣の御報告を聞かせていただきました。最後の方の五番で「海上保安庁としては、」というくだりの中で、残念ながら不審船を停船させることができませんでしたが、この後のくだりで、今回、一連のあれは関係省庁と密接に連携しつつ、でき得る限りの措置を講じたものと考えております、私は聞いていて、積極的な評価をされているのかなというふうに聞こえておりましたし、読ませてもいただきました。 ここはちょっと、私は実はすとんと落ちないところでありまして、今回、この件のそもそもの海上保安庁の目的というのは、漁業法に基づいた、船を停船させて立入検査を行う、こういうことであったはずだと思うんですが、その点、まず御確認したいんですが、どうでしょうか。
○川崎国務大臣 まさに立入検査に至らず、そして逃走された、まことに遺憾であり、残念だと思っております。 基本認識でありますけれども、まず官邸に集まりましたときに、十ノットぐらいの速度である、したがって、多分一時間以内にPC船、同じぐらいの大きさですね、百トンぐらいの船が、まず巡視艇が追いつくであろう。その上に、他の巡視船が追いついた段階で、挟み打ちで何とか接舷して捕捉することができないだろうか、こういう思いでおりました。 一方で、一つの情報としては、この不審船はひょっとしたら四十ノットぐらいの能力を持っておるかもしれぬ。これは正直言って、事実か事実じゃないか、その時点では全くわからない話であります。結果として、あの荒海を最終的には三十ノット以上のスピードで、それも大変長い時間走り抜いたわけでありますので、四十ノットぐらいの能力を持った船だったな、こう思っております。 そういった意味では、海上保安庁の持っておる能力というものとその不審船側、向こうも六十年以来、だんだん能力を上げてきている。そういうもので、私どもの対応、これは積み重ねた対応でございますけれども、少なくとも今回の事案に対応するだけの海上保安庁としての能力を持っていなかった。それは、もう一番第一に反省をしなければならぬところだろう。したがって、そういった船艇を、やはり高速船を含んで努力をしなければならぬ。 それから、先ほど申し上げましたように、速い船ならば、私どもの飛行機の対応というものも考えていかなければならぬだろう、こういう反省をいたしているところでございます。
○赤羽委員 今るる御答弁をいただいたわけですが、私のまず確認したいのは、この三十分間の間でちょっと細かい御質問をさせていただきますが、前提として、今回一連のことが終わった、その中で、別に海上保安庁長官の責任論が出るわけじゃない。この目的も何か追尾等を行いましたがという、普通こういうものは、追跡し、停船をさせ、立入検査を行うということで行った経緯があって、しかし残念ながら現状の能力不足、ほかにも問題が幾つかあると思いますよ、ということで、逃がしてしまったということで終わるぐらいの、そういう問題だったのじゃないかなというふうに、私はそう思っているんです。 ですから、ここの委員会でも、せっかく統一地方選挙を前に委員会を持って議論しているわけですから、私は、なぜ停船をできなかったのかということを、同僚議員からも、るる説明もありますけれども、ひとつその幾つかの点について質問をしたいと思います。 僕の最初の質問は、停船できなかったということに対する強烈な思いということをお互い共有しているんだという前提でなければ、これは話にならないわけでして、その前提はあるのだろうかということを、さっきの御報告だと十分私は読み取れないので、御確認をしたいので、くどいようですけれども、ぜひもう一度お願いします。
○川崎国務大臣 私どもの警察活動として、不審船が入ってくれば、当然捕捉をできるように最大限の努力をしなければならない。それが果たし得なかったことはまことに遺憾でございます。
○赤羽委員 それでは、まず情報の入手について、ちょっと防衛庁、海上保安庁、ともに聞きたいんです。 三月二十一日とか二十二日に情報があったというような話もるる、かなり精度の高いような形で報道をされておりますが、それを言っても、なかなかこの場でもお答えしにくいこともあるんでしょうし、あれですが、要するに二十三日の朝六時四十二分、不審船らしきものを視認した。そして、護衛艦「はるな」が十一時ごろ船名を確認して海上保安庁に通報した。この海上保安庁に通報した段階でのその船に対する認識はどういうものなのかという、その危機感的側面での認識の度合いはどういうものだったのか。ここをまず防衛庁の御認識を聞かせていただきたい。
○柳澤政府委員 私どももかねてからの監視活動その他で、同種のといいましょうか似たような船を確認したこともございますので、あるいはそういうたぐいの不審船舶かもしれないという認識は当然持っておったわけでございます。 それから、先生今御指摘になりました、二日ほど前からの情報という話がございますが、これは、本当に断片的なものが全くなかったわけではないのでありますけれども、結果的に、それが今回の不審船舶云々に関連する情報であったということは、実は後からわかったわけでございます。そういう意味では、やはりP3Cがまず目で確認するということが一番最初の契機ということになったと思っております。
○赤羽委員 海上保安庁としては、十一時に第一報を受けたときの船に対する認識はどういったものだったのですか。
○楠木政府委員 大臣の報告にもございますように、最初の段階では二隻の不審船らしきものがあるということでございましたし、また十三時ごろにもう一回、一隻あったわけですが、これもらしきものという形で参ったわけでございます。 現実に、そういうものについて、私どもがオーナーなりあるいは船籍簿とかそういったものをチェックをするまでは、その三隻のうちの何隻が本当の不審船かという点についてはわかっていなかったわけでございます。結果的には、そのうち一隻は現実にそこで本当に漁をしておったということもあったわけでございますので、私たちの方は、一生懸命それに取り組んで、まず情報の確認というものに努めたということでございます。
○赤羽委員 ゼロの状態で情報の確認に努めたということですか。その中で、予見を持って、例えば、今回言われているような、これは事実かどうかわからないけれども、北朝鮮の工作船の可能性もあるという予見はあったのですか。
○楠木政府委員 実際問題として、そういった可能性もあるなということで、別途航空機の方に確認を指示いたしましたので、そういう写真も撮り、その可能性もあるなというところがそのことによって出てきた。 それが、十一時に通報を受けて大体三十分後ぐらいには私どもの航空機は出ておるという状況でありますので、それと並行して確認作業は行われていた。そういう二つの可能性についてやりながら、作業を進めておったわけでございます。
○赤羽委員 十二時半に第二大和丸は兵庫県の浜坂沖に所在することを確認した、また、十四時に第一大西丸が漁船原簿から抹消されているということを確認されたということですね。ここでおかしい船だということが確認されたということですね。 それで、ちょっと話がかわるのですが、現場の海域に巡視船艇を出動させたのは何時なんですか。
○楠木政府委員 実は、私ども巡視船艇というのは哨戒で回っておりますので、実際に海域に出ておるという関係で、何時ということではないわけでございますけれども、一定の時間に出動指示というのを本庁からした、その段階では、既にもう海域におって、そういう活動に入っていたものもいた。 ただ、私どもの船は、整備といいまして、船を碇係しまして、係留しまして整備に入っておるものもございますので、それは指示の時間からやおら動き出した、こういうことでございます。
○赤羽委員 長官、出動指示は何時に出されたのですか。
○楠木政府委員 失礼しました。十二時三十五分に本庁から関係の管区本部に船艇、航空機の出動を指示しております。
○赤羽委員 ですから、十一時に第一報を受けた、それは予見を余り持たずに受けた。その中で、出動指示を一時間三十五分後に出したということですね。 しかし、十一時の段階で、防衛庁は、かなりそれらしい不審船ではないかということを、四時間もかけたのですから、そういった思いで通報している。私は、ここに、両庁の初動を起こす上での情報に対する認識のギャップというのはやはりあったと思いますね。 そういった防衛庁の危機感を第一報のときに受けていれば、それは確認することは大事だと思いますよ。しかし、それが、十一時の段階で受けていれば、すぐ出動をすれば、どうもこれは、ずっと聞いていると、結局こちらの、海上保安庁の船の能力がなくて追いつけなかった、追いつけなかったという話が出ています。確かにそういう側面はあったでしょうけれども、その出動要請自体がまず遅かったという指摘もあるのではないですか。船の能力だけなんですか。 ここは、両省の連携をとっていくという新聞報道もありますので、大きな検討課題とするべき点なのじゃないかというふうに私は思いますけれども、大臣はどうですか。
○川崎国務大臣 この辺については防衛庁長官も既に御答弁されているようでございますけれども、朝六時の時点でお互いが連絡をとって体制に入っていくべきでなかったのかという反省材料はございます。 したがって、こうした不審船というものに対して、少しでも疑いがあれば、両省が連絡をとり合いながら動く、こういうことは反省の上でマニュアル化していかなきゃならぬだろう、こういう話し合いを今いたしておるところでございます。
○赤羽委員 それで、次に威嚇射撃についてちょっと幾つか聞きたいのですが、その前に、これはちょっと時間のあれがあるかもしれませんが、第一大西丸が二十分間停止していた、こういったような報道も受けておりますけれども、それはまず事実なのかどうか。そして、そのときになぜ何もできなかったのか。まず海上保安庁長官からお聞かせいただきたいと思います。これは、「はるな」のことですから、海自の方なんですか。
○柳澤政府委員 今言われました第一大西丸の停船を確認しましたのは二十三時五十分ごろから約二十分間でございまして、これは、大西丸についておりました「はるな」が確認をしております。 この時点では、まだ私どもは海上保安庁に対する協力ということで動いてございまして、まだ警備行動の発令以前でございますので、その状態で監視を続けたということであります。
○赤羽委員 ここも、どうすればそこの段階で拿捕できたかということを考えると、海上警備行動を決めたのがもう少し早ければ拿捕できたのかもしれないし、この点についても大いに議論をしていただきたいのですが、ちょっとその前に、海上保安庁の航空機による停船命令を十三時二十分にした。そして、巡視艇の威嚇射撃を行ったのは六時間後だ。ある新聞では、川崎運輸大臣が二十三日の夕刻の段階で威嚇射撃を許可していたにもかかわらず、現場の巡視艇は射撃をためらった、一時間も前に撃ってよいと指示してあるのに、撃ってよいですかと聞いてくるなと叱咤して、ようやく八時過ぎに威嚇射撃に踏み切った。 これは、そういうやりとりがあったかどうか、報道によるものですけれども、結局、八時に始めても、一時間後の九時に燃料不足となり追尾自体を断念したというような話もあるわけですし、余りにもお粗末なのではないか。行き当たりばったりで、なかなか撃たない、威嚇射撃を行った、効果がない、燃料切れで追いつけなかった。これは僕は余りにもお粗末な話だというふうに思いますけれども、この辺の段階、一時二十分に停船命令を出して六時間後、それも燃料切れ寸前のときに、ようやく威嚇射撃を行ったというのはどういった状況があったんでしょうか。
○楠木政府委員 海上の行動についてはなかなか難しい要素がたくさんございまして、そのときの海上気象の状況なんかが、うねりが四ないし六メーターぐらいあったとかそういうようなこともあるわけでございます。 それで、私どもの方は、最初は相手の船舶が非常に低速であったということから、それに対する対応をとったわけでございますし、後から見ますと確かに、三十五ノットぐらいどうも出たという話を防衛庁の方はおっしゃっているわけでございますけれども、もし本当の工作船で対岸までまた帰っていくというようなことになりますと、これは往復の燃料などを考えるとどれぐらい、いきなりスピードを出していいものか、向こうもやはり相当制約があるんだろうというようなことは考えられたわけでございます。そういった点について我々もいろいろ考え、そして巡視船艇の勢力を満たそうというようなことから入っていったわけでございます。 そういったことをやっているうちに、実は航空機は大変速いものですから、十三時何分に、先生おっしゃるように停船命令をしたわけでございますけれども、やはりそれだけよりも、巡視船艇からの停船命令もやらないといけない。それで十八時ちょっと前に近場に巡視船艇が着きまして、それから今のような対応を始めたわけでございます。十九時過ぎだったと思いますが、いきなり不審船の方が速力を上げて高速で逃走したために威嚇射撃を実施した。 ああいう気象、海象条件、それから全体的な周囲の状況の中で、私たちの方はなかなかやりにくい中で何とかそれなりに対応をとらせていただいたというふうに思っているわけでございます。
○赤羽委員 冒頭、大臣の御答弁の中に、四十ノットぐらいの高速を出せるかもしれないという情報も入っていたというふうに言われましたよね。目の前では十ノットだ、ある程度拿捕に自信があるという現実もあるかもしれませんが、一方ではそういう情報も入っていたわけですから、威嚇射撃のタイミングは、結果論かもしれないけれども、もっと早くやれば展開は変わっていたんじゃないですか。それはどうですか。
○楠木政府委員 四十ノットという話は、昭和六十年の宮崎沖で最高速度で四十ノット出たというところもございますので、それぐらい出る能力の船かなというのは一般論としては想像されるということで申したわけでございますけれども、先ほども申しましたように、船は最高速を出しますと非常に燃料を食うということもありまして、そういう意味での航行の態様といいますか、スピードの出方というのはある程度私たちも見ながらやっております。今回の場合、結果でもう一回時間をさかのぼっておっしゃられますと、そういうことも確かにあったかなという気はいたしますけれども、なかなかそこは難しい、御理解をいただきたいと思います。
○赤羽委員 いや、理解をする前に確認として、それでは今回の場合は、この船は十ノット程度の漁船だという認識だったんですか。
○楠木政府委員 当時の気象、海象条件が、非常にうねりだとか風だとかあったということもあり、このぐらいで行くのかもしれない。しかし、それは急に出る可能性ももちろん、船舶職員である私たちも頭の中には、ないと言えばうそになりますけれども、しかし状況をまず見ると、そんなに出ないのかもしれない、そういうところを迷いながらやっていたということでございます。
○赤羽委員 私は、それは危機管理という意味ではやはり欠けていたんではないかというふうに申し上げておきたいと思います。 それで、海上保安庁の巡視艇の機銃で対象船の船首とかスクリュー部分とかを撃つということは、技術的に、先ほどの答弁を聞いているとそうなのかなと思うのですが、技術的にできない、そういう状況なんですか。
○楠木政府委員 法律的な面と技術的な面と両方ございまして、法律的な面としては、相手に危害を与えるということになりますと、漁業法というものが保護すべき法益と、今回射撃によって与える損害との均衡と申しますか、警察比例的な面で問題があるのではないか。 例えば、先生おっしゃった船首部分にもし人の居住する居室があったとしたら問題でしょうし、それからあの船は、実は後から見ますと、どうも船尾部分に居住区画があったようなんですが、そうすると、船首部分には燃料タンクがあるんじゃないか、そこを撃って果たしてどうかという議論もあるわけでございます。 それから、多少技術論とも関係いたしますけれども、かじを撃つ、それによって相手の航行能力を大幅に減殺するということができなかったのかということになると、それだったら、人を傷つけなければ問題はないじゃないかという法制的な面と、それから技術的な面としては、それは正確に射撃ができた状況だっただろうかと。非常に大変なうねりというような状況で、こちらの船も動揺する、向こうも動揺する、そういう中で撃たなければいけないわけでありますし、もう一回法律論に戻りますけれども、過剰な射撃となるおそれもあったわけでありますので、実施をしなかった。しかし、別の委員の方からもお話がございましたように、今後はそういう面で運用上の限界を探りながらそういった面での威嚇射撃の検討も行ってまいりたいと考えております。
○赤羽委員 先ほどの議員の方の質問の中で、高速巡視艇というのは海上保安庁にはある、しかし、この地域には、管区には配備をしていなかったということでありましたけれども、日本の中で高速巡視艇をこの地域に置かずしてどこに置くのか、私は本当に何を考えているのかなというふうに思いますが、そういったまさしく危機管理欠如のあらわれだと思いますが、ここについてはどうお考えですか。
○楠木政府委員 私どもの船がどれぐらい速力が出て、どういうところに具体的に配備しているかというのをどの程度手のうちを世の中に申し上げていいかという問題ももちろんあるわけでございますけれども、せっかくのお尋ねでございますので、高速で三十五ノット出る百八十トンタイプの巡視船というのは今全国に十隻ございます。そのほかにも、さらにそれの捕捉機能を強化した巡視船、同タイプでございますけれども、捕捉機能はさらに強化されているそういったものを三次補正で一隻今建造中でございます。 そういうふうに着々と進めておるわけでございますが、これの契機になりましたのが、先ほど申し上げました昭和六十年の宮崎沖のものでございますので、そこに近いところに実は配備をし、そして日本海側においては舞鶴と浜田にいた。そうすると、舞鶴から当該海域に参りますのにやはり五、六時間かかる、それから浜田、島根県から参りますと、十ないし十一時間ぐらいかかるということで、先ほど私、別の委員の方にも、やはりいろいろ防衛庁さんとの連携とかそういうようなこともあって、あるいは私どもの情報収集能力を強化すると言いましたけれども、そういうことでまずカバーしながら、そういったものが間に合うようにもしなきゃいけませんし、また、配備の充実ということも進めていかなければいけないというふうに思っております。
○赤羽委員 昭和六十年からもう十五年近くたっているわけですし、そういった配置の状況も踏まえ、そして高速四十ノット出してあれだけスタミナもスピードもある船を北朝鮮は、北朝鮮かどうかわかりませんが、今回の船は持っていたということもシビアに見て、役に立つような領海警備体制をつくるべきだというふうに私は強く要望したいと思います。 それで、もう時間もありませんのであれですが、ある意味では今回の不審船は向こうから一発も発砲してきたわけではないですね。そういったものに対してわざわざ海上自衛隊が出ていく必要があったのかどうかといった意見もありますね。しかし、先ほど質問も出ていましたが、もし、停船をした、立入検査に応じる、乗り込んでいったら武器を保有していて交戦になる可能性もあったと感じたかどうか、何か記事によると、あの船の後ろの縁にはどうも発砲できるような状況もあったんじゃないかなんという記事が出ていましたけれども、そういった危険性というのを考えると、どうなんですか。 一方で、もっと早く海上自衛隊に任せればよかったんだというような意見もあるし、領海の、密入国とか領海侵犯とかというような警備を、海上保安庁として、率直に言って、任せておけというふうに思っているのか、今回のことを教訓にして、ちょっともう手に負えないというふうに思っているのか。これは、どちらがどうだという答えじゃないと思いますけれども、一回の経験というのは大事な教訓ですから、それを生かして、本当に日本を守れるような体制をつくるべきだというふうに私は思いますが、大臣、どうでしょうか。
○川崎国務大臣 私自身、こんな認識を持っております。 第一に、商船、漁船等が悪いことをする事案、これは正規の船でありますけれども、悪いことをする、これはまさに警察活動であろう。それから、例えば軍、軍艦、その中でも潜水艦、これが潜って入ってきたときは、私どもは、捕捉する、要するに、入ってくるということを予知する能力もないわけでありますから、まさに自衛隊の領域に入ってまいります。それから、軍艦等が、無害通航で旗を掲げて通る場合は別として、例えばどこか領海内に停泊してしまったということになれば、第一義的には我々が出ていきますけれども、向こうが軍隊でありますから、当然これは自衛隊との共同作業、というより自衛隊が主の話になってまいるだろう。ちょうど不審船というのは、今申し上げた間の話なんだろうと思っております。 そこで、基本的には私どもは、警察活動でできるだけの努力をしたいし、それだけの能力も上げていかなければならぬ、こういう認識をいたしております。しかしながら、我々のまさに手に余る状況のときには、やはり自衛隊としっかりした連携をとっていかなきゃならぬな、こう思っているところでございます。
○赤羽委員 まさにその手に余る状況を、いつ、どう判断、決断するのかということが一番難しい問題でしょうし、その辺が命取りになる可能性もあるわけですから、今回の教訓をよく分析して前向きに体制をつくられることを強く希望しまして、終了いたします。 ありがとうございます。
○石破委員長 次に、松浪健四郎君。
○松浪委員 自由党の松浪健四郎でございます。こうして質問をさせていただく機会を賜りましたことを大変うれしく思います。 この委員会は、日本海における不審船問題ということで、我が国の危機管理の問題をも含めて開催されたんであろうと思いますが、残念なことに委員の先生方の出席が悪いということは、委員の先生方も、もしかしたならば危機管理に対してそれほど興味を持っていないのか、このことは我々を含めて反省をしなければならない、このように思います。 まず最初、大臣にお尋ねしたいのは、この不審船の問題、メディアを通じて私たちはかなりな知識を持つに至っておるわけですが、新聞、雑誌、テレビ等、呼び方がまちまちなんですね。例えばこの委員会は、日本海における不審船問題、こう呼んでおるわけであります。そして新聞に至りましては、北朝鮮工作船事件あるいは不審船取り逃がし事件、このようにまちまちに呼んでいるわけですね。 いろいろな呼び方をしておりますと、この問題はいずれ風化してしまう。したがって、運輸省は、運輸大臣は、まずこの事件の呼び方、呼称を統一しておく必要があると思うんですね。例えば阪神・淡路大震災というふうに、だれもが共通した認識でその事件をとらえることができる。私はテポドンのときもそう思ったわけですけれども、あのテポドンの発射の問題、事件ですら風化しつつあるわけですね。私たち日本人は意外に忘れやすい国民性を持ちますので、これを歴史にとどめるためにも、また国民が共通認識を持つ上においても、この事件の命名が大切である、こう思うわけですが、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 御指摘のように、阪神・淡路大震災のときもいろいろな呼称が新聞社またテレビ局等でつきまして、整理した経過がございます。 そういった意味では、私どもは、三月二十四日、関係閣僚会議を催しましたとき、翌日でございます、能登半島沖不審船事案関係閣僚会議という名前をつけさせていただきました。以後この名前を徹底するように努力をいたします。
○松浪委員 ということは、能登半島沖不審船事案、えらいわかりにくいですね。今聞いても僕はわからないわけですね。これは大臣、もうちょっと、国民が一発で覚えることができるような、そういうあれはないですか、工夫をするとか。これは余計風化させるような名前じゃないですか。今聞いて、僕ですらどんな字を書くんだろうかというぐらいわかりにくいわけですけれども、いかがですか。
○川崎国務大臣 実は、阪神・淡路大震災のときもかなりそういう御議論があったと思います、地域がわかりにくいとか。結果として統一したときには、かなりの御理解を今はいただいておるように思っております。 そういう意味では、事案という表現はわかりにくいですから、能登半島沖不審船問題とつけた方がいいかもしれません。
○松浪委員 これからそういうふうに呼び方を統一して、そして国民の皆さんがこの問題を忘れない、ずっととどめておくことができるように、こういうふうに思うわけです。 そこで、きょうの大臣の報告をお聞きいたしまして、一番後ろの五のところに、「海上保安庁としては、残念ながら不審船を停船させることができませんでした」云々とあります。つまり、「残念ながら」ということは、拿捕するつもりでおったけれども、再三大臣から御答弁がございましたが、能力がなかったから逃がしてしまったということなんでしょうけれども、これらの一連の海上保安庁並びに自衛隊の今回の行動について、意外に国民は、何だ、日本の力というのはこの程度か、そして、大臣も残念ながらというふうに言われております。 大臣は、国民感情というのは今どういうような状況にあるのか、それは北朝鮮と日本との外交関係をも含めていろいろあろうかと思うんですが、どのように国民感情を認識されているのか、お尋ねしたいと思います。
○川崎国務大臣 日本漁船を偽った不審船が我が国領海に侵入をした、私どもの課せられた仕事として、それを立入検査を行い、逃げるなら捕捉をする、これが私どもの仕事でございます。それが完遂できなかったわけですから、まことに遺憾でございます。 ただ、閣僚会議の模様を皆さん方にもお話し申し上げましたけれども、この事案につきましては、まず海上保安庁が全力を尽くして当たるように、しかしながら、同時に、関係閣僚としっかり連絡をとりながら、場合によっては他の方法も考えられるかもしれない、こういうことで整理をしておりました。そういった意味では、十二時半に私の方から、我々の力ではなかなかこの問題を解決し得ないということを防衛庁長官にお伝えをし、内閣の判断にゆだねたところでございます。 海上保安庁としては、やはり結果としてできなかったわけですから、いろいろな反省をしながら能力の向上に努めなきゃならぬ、こう思っております。
○松浪委員 逃がしてしまった、能力が違ったということであることはよくわかっているわけですが、国民感情としては、これはだれかが責任をとらないと済まないと私は思うのですけれども、政府としてはどういうふうに考えているんですか。いや、処分者はなしだ、だれの責任も問わない、よくやったんだということなんですか。
○川崎国務大臣 現実問題、自衛隊の手におきましてもさまざまな努力がされたことは事実でございます。結果として捕捉に至らなかった、まことに遺憾でございますけれども、今回の教訓を前向きに生かしていかなきゃならない、こういう思いをいたしております。
○松浪委員 能力が違い過ぎたということで逃がしてしまったわけですけれども、多くの反省点が見られます。 そこで、海上保安庁としては、このような事件が再び起こる可能性はあるわけですね。としたならば、反省を踏まえて対応していかなきゃいけない。今のところ海上保安庁としてはどのような対応を考えているのか。今度来たときは間違いなくきちんと拿捕することができますよ、こうするふうに考えていますというようなことをお聞かせいただきたいと思います。
○楠木政府委員 私どもの大臣から、早急にこういう検討をするようにという指示もいただいておりまして、今もう並行して今回のこの事案にかかわる課題を抽出する作業というものを行っておるところであります。 具体的には、やはりまず情報収集の迅速化の問題を図らなければいけません。また、そういうことのためにも、海上保安庁の沿岸等々の監視体制の強化の問題もございます。それから、先ほど来出ております巡視船艇の捕捉機能を強化するなどの問題がある。具体的には、航続距離をどうするか、さらに武器の使用も含めた捕捉手段をどうするか、こういった問題等についてもあるわけでございまして、今後これらの問題につきまして真剣に検討しまして、万全を期してまいりたい。そして、海上自衛隊との連携の強化というのも大変重要な事案でございますし、今回の不審船の事案に対して適切な対応がとれるような改善をこの面からも得ていくように努力をしてまいりたいと思います。
○松浪委員 努力するというのはわかるのですけれども、では、きょう来れば、あした不審船が来れば、長官、これはどうしようもできないわけでしょう。大臣の報告では、ガソリン切れでだめでした、スピードが追いつかなくてだめでしたと。これは、はっきりわかっておるわけです、報告で。そのために緊急にこれらを用意する、そんなことは考えていないんですか。努力するだけですか。
○楠木政府委員 先ほどもございましたように、まず情報をどうとっていくかということで、防衛庁さんなりが持っているものと私どもの相互の情報の通りをよくする、これは早急にやらせていただきたいと思っております。 それから、船艇の配備で、高速でかつ航続能力のあるもの、こういうものをできるだけ早く配備をとっていく。ただ、これはなかなか、そこの地域のほかの海上保安業務の問題もございますけれども、できる限りそういう点について検討しておきたい、やっていくべきだと考えております。
○松浪委員 ということは、今海上保安庁が持っている船だけでやっていけるということなんですか。
○楠木政府委員 私ども、巡視船艇あるいは航空機というものの整備について、これの代替整備あるいは海洋法条約なんかにのっとった増強、こういうものを、特に代替整備なんかにつきましては計画的に今まで進めてきておりますけれども、そういったものについて、今の観点を早急に加味した検討をしなければいけないと思っております。
○松浪委員 大臣にお聞きしますけれども、大臣の報告では謙虚に書かれてあります。しかし、国民としては情けない話なんですね。ガソリンが切れた、燃料不足、スピードが追いつかなかった。これは、一日も早くこれに対応できるような船を持たなきゃいけない。そのために予算的措置を講じなきゃいけない。そのことについて真剣でなければ、情報を集めてとかなんとか、お金がかかる問題だから海上保安庁は遠慮をしているのかどうか。 事は危機管理、国家の平和と安全の問題なんですね。長官の話を聞いていますと、まだゆっくり目なんですね。一日も早く予算的措置を講じて、いつ北朝鮮の不審船がやってきても拿捕することができます、こうしますということを国民に明確に示さないと、国民は、おれたちが幾ら税金払ったって、北朝鮮の不審船が来たらやられてしまうんだよ、こんな情けない状況なんですね。 大臣、これは予算的措置を講じて早く用意するというような考え方はいかがですか。
○川崎国務大臣 先ほどいろいろ御答弁の中にありましたように、まず十隻の三十五ノット出る船をどこに配置するか。ただ、これはある意味では向こうとの知能戦でもありますので、我々がどこかへ動かしたといえば、そこがあく。そういう意味では、我々はできるだけ知恵を働かせながら動かなければならぬな、こう思っております。 実は、先ほど入って、場合によっては私どもここを退出させていただかなきゃならぬなとも思ったわけですけれども、二時四十分ごろに警察の方から不審船があると漁船から連絡があったぞということで、私ども、航空基地、また巡視艇「こまゆき」、三時過ぎにはもう現地に着いております。そして、同時刻に自衛隊にも連絡をして体制に入った。現実問題としては多分違う情報でなかったかと思いますけれども、一つの経験として、やはりすぐお互いが連携をとるという体制に入らせていただいているところでございます。
○松浪委員 いずれにいたしましても、お金がかかろうとも、国民の暮らしを守る、安全な生活ができるために予算を講じなければ、再び毎日のようにこのような問題が起こるということを指摘しておきたいと思います。 そこで、この時間どうしていたんだ、どうだというような御質問がありましたけれども、海上保安庁あるいは防衛庁の調査能力、情報収集能力、これは大したものであるというふうに私自身思っておりますので、全くお聞きしませんけれども、一昨年の一月の二日、ロシア船籍タンカー・ナホトカ号が能登半島沖で沈没をし、大変な油の流出事故につながったわけであります。その結果、その油が漂着するということになりました。海上保安庁は、潮流や海流の長さを計算しておって、どの辺で油が漏れればどこに着くかということも全部わかっておるわけであります。 そのナホトカ号の事故から、オイルフェンス等、日本海にそういうようなものが流れ着くそれ以前にちゃんと対応できるようになっているのかどうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
○楠木政府委員 今先生おっしゃったのは、漂流予測と私どもが呼んでおるものについてではないかと思います。 それで、この間も漁船新生丸が八丈島の沖で海難を起こしましたときにも、私ども、漂流予測ということで実施をしたわけですが、思わぬ方向に黒潮が動いておるとかそういうようなことがあって、実際はちょっとずれているというようなことがございました。 日本海側の場合、やはり大きな海流と小さい海流、そういったものがございまして、そういったものをまず大まかに予測をし、そして実際に事故が起こったときに、今度はリアルタイムでその現場の潮流を見、そして気象を見というようなことで漂流予測を行っていくという体制を組むつもりでございます。
○松浪委員 それで、オイルフェンス等、そういうものは準備されているんですか。今度起こったって大丈夫なんですか。
○楠木政府委員 ナホトカの場合の教訓といたしまして、私どもは、まず相当しっかりした対策本部をつくらなければいけないということで、これは平成九年六月に防災基本計画の見直しというのをやりまして、そこで、油流出事故に対するいわゆる国家的緊急時計画というものを全面的に改定をいたしまして、関係行政機関の具体的な役割分担や連携の強化、こういうものについて改めて明確にしたところでございます。そして、いろいろな資機材等についてもこういったものに沿って配備をしていくということにしております。 油汚染事故に対する予算措置というような形でこれをやっていくわけでございますけれども、オイルフェンスにつきましては、外洋型の少し丈の高いオイルフェンスの整備というものを進めております。それから、先生の御質問に必ずしもなかったかもしれませんが、外洋においても対応可能な大型の油回収装置、しかもナホトカのようにねばねばした高粘度の油というものにも対応できる油回収装置、こういったものについても、平成九年度の補正予算から始まりまして、十年度の予算、さらに十一年度の予算、まだこれからの執行でございますけれども、そういうもので手当てをしているところでございます。
○松浪委員 油事故に対しては大丈夫だということをお聞きして安心したわけであります。 と申しますのは、玉置委員からも御質問がありましたけれども、あの地域は原発銀座であります。かつて、クラゲがたくさんいるというだけで出力を弱めなければならなかったという問題がありました。私は、この国の防衛上一番危機感を持っておるのは、日本海側におおむね我が国の半分の原子力発電所があるということ、そして昨年の二月からことしの三月まで二十四件、原子力発電所でトラブルが起こっておりますが、そのうちの九件が水にかかわる事故であります。 原子力発電と申しますのは、水深三メーターのところにわずか二センチの管で取水口から海水を引いて、そして蒸気を冷やして水に戻すということをしておるわけであります。一秒間に大体どれぐらい海水を引くかというと、四十万トンから八十万トンぐらい引くのですね。膨大な海水を必要とするのです。その取水口にクラゲが来ただけで出力をとめなければいけなかった。もし何らかの形でその取水口を、二センチの管ですか、それをとめたとしたらどうなるか。 なぜそんなことを申すのかと申しますと、現に北朝鮮は、一九八三年、韓国の慶北月城という原子力発電所の近くに潜水艇で入っておるわけですね。物すごい危険なんですよ。そして、そこにふたをするのか、あるいは何かを入れるのか、このことはエネルギー庁は研究していると思うのですが、その概要について説明をお願いします。
○稲川政府委員 御指摘のございましたように、現在、日本の原子力発電所、商業用原子力で稼働中のものは五十一基ございますが、日本海側に二十九基ございます。それは、いずれも海水で冷却をする仕組みを持ってございます。したがいまして、海水を取水する体制をとっております。 その海水の取水は、比較的海水面から低い、三メートルとおっしゃられましたが、そういう地域で、その場所自身のパイプの口径は一メートルから五メートル、かなり大きいものでございます。二センチというのは、その先に、復水器の中で蒸気から熱を交換する場合のものでございます。 そういったときに、例えば重油が流れ込んでまいりますと、その二センチの細い管に油膜がつきまして、ついてはそれで熱効率を下げる、そういうことから発電効率を落とすというような効果がございます。もちろん、原子炉そのものが油で汚れるわけではございませんが、安全性上の問題はございます。 したがいまして、今行っておりますのは、その取水口の方で、一つは油対策、それからまた、取水口にいろいろな異物が流れ込んでくるものについてどういう対策をとるか、二つの対策をとってございます。 重油に関するものにつきましては、ナホトカ号のときにも、四重、五重のオイルフェンスを敷き、また油対策上の機械を置きということで対応をとりました。幸いにして、このときには、定格運転、出力を落としたものはございません。油は若干の漂着をいたしましたが、オイルフェンスその他によって対応が可能であったというものでございます。
○松浪委員 僕が尋ねたのは、その取水口から何かを、化学物質、薬品等を入れたときにどうなるのか、そういう研究をしているのかということを聞いておるのです。
○稲川政府委員 取水口に向けてある種の破壊活動を行った場合の対応という形では、とっておりません。一般的に、取水口にいろいろな異物が流れ込んでくる、その異物に対する、常設の機械を置いてそれを除去する対応はとってございますが、各種の化学物質をそこに意図的に流入せしめた場合の対応というのは、現在、常設の形ではとっておりません。
○松浪委員 つまり、危機管理ができていないということですね、長官。そういうことでしょう。
○稲川政府委員 原子力発電所の危機管理全体につきましては、炉規制法に基づきます核物質防護規定という中で対応をとってございます。したがいまして、原子力発電所の構内については多重の防護措置をとってございますが、御指摘の取水口につきまして、具体的な破壊活動を前提とした対応措置を現在とっているものではございません。
○松浪委員 工作するスパイというのは、ありとあらゆることを考えるわけですよ。エネルギー庁は、放射能等に関することは一生懸命できているのです。大丈夫なんです。ところが、水に関してだけは、とりわけ海水については無防備なんですよ。 例えば、玄海の原子力発電所は、取水口を六百メーター沖に出しているのです。素人でも、潜って悪さをしようと思えばできるのですよ。あそこは遠浅ですからね。あとのところは比較的発電所に近いからそういうゲリラ活動がしにくいだろう、そう思うかもしれませんけれども、ゲリラというのはいろいろなことを考えるわけですから、そこまで想像を盛んにして策を練っておかないと、あそこから何かを入れられたらどうなるか、そして、入れられないようにするためにはどうしておかなきゃいけないか、このことは徹底的にやってもらわないと、はい、電気が行きません、国はどうなりますか。そして、有事というのは大体そこから来るのですよ。いきなり撃ち合いをするということじゃないのですね。 そういう意味において、エネルギー庁は、危機管理というものは放射能だけに、また外からの侵入者だけに気を使っておられて、そのことが欠落しているということを強く指摘しておきますし、そのことをきちんとやってもらいたい。そして、その細管というのはチタンでできて強いものになっているということも私はもちろん承知しておりますけれども、何を入れるかこれはわからないわけですから、その辺の警備は真剣にやっていただきたい、こうお願いしておきます。
○稲川政府委員 御指摘の点も踏まえて今後の危機管理は意を尽くしたいと思いますが、現在の物の考え方は、例えば六百メートルの沖まで排水口が出ておりますけれども、その排水口に破壊活動をし、あるいは注水口に破壊活動をした場合においても、原子炉そのものに危険が及ぶという直接的な因果関係にはございません。もちろん、電力の発電量を抑制せざるを得ない事態があり得ることはございます。 今現在とっております防護規定上の我々の措置は、必置は、原子炉の安全、また原子力発電所構内の中枢部に対する侵入の防止、そういうことを発電所側で一時的に各種の措置をとりながら防護措置をとってございまして、一たん事あれば、治安当局と連絡の上でその後の措置をとる。ただし、おっしゃっておられましたように、構外に出ております注水口その他に対する今後の意は払ってまいりたいと考えております。
○松浪委員 原子力発電所の安全対策については、やっているということは私も認めているわけですから、これは火力発電も同じなのですね、海水を引いているわけですから。幾つ日本海に発電所がありますか、数えてみてくださいよ。これは皆無防備なのですよ。 そういう意味において、海水から冷やすための水を引く、そしてその水はいつも海水じゃないのだということを考えて研究をしなければ、何も発電所が危険だと言っているのじゃないのですよ。電気をとめざるを得なくなるということなのですよ。ですから、それが怖いのだということを指摘しておいて、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。 いずれにいたしましても、エネルギー庁の危機管理、これに欠落があるということを重ねて指摘しておきます。
○石破委員長 次に、平賀高成君。
○平賀委員 日本共産党の平賀高成です。 初めに、我が国周辺海域の治安状況についての認識について伺いたいと思います。 ことしの二月二十五日の参議院予算委員会での川崎運輸大臣の答弁でも、「海上保安庁では、これまで不審船の出現する可能性が高い海域に巡視船艇、航空機を配備し警戒を行ってきたところでありますが、今後も警戒に万全を期してまいりたいと思っております。」と述べています。運輸大臣に伺いますが、今問題となっている日本海の周辺海域も、不審船の出現する海域であったことは今に始まったことではないというふうに私は思っているのですが、そうではないですか。
○川崎国務大臣 そのとおりだと認識しております。
○平賀委員 それで、そうした事態というのは、これは海上保安庁の八一年の白書でも、「日本海沿岸には、国籍不明の高速小型船が出没することがあり、これに関する情報をしばしば入手している。」「五十五年には海上保安庁が確認したものは延べ七隻であったが、いずれも高速を利して逃走している。」このようにも書かれているわけです。このように、二十年も前から、日本海周辺には不審船が出没したことを政府自身が承知をしていたわけです。マスコミの報道でも、日本海領海で北朝鮮のものと見られる不審船が発見されたことは初めてではなく、政府は驚くべきことではないとしていると報じています。このようなことが日常的に行われること自体について、これはゆゆしいことだと私は思います。 そこで、聞きますが、このような不審船対策として、海上保安庁は具体的にはどういうことをやってきたのでしょうか。
○楠木政府委員 端的に申し上げますと、昭和六十年の宮崎県日向灘沖で発生した不審船事案というのが、私たちにとってもかなり体制を見直す大きな機会になったわけでございます。巡視船艇の性能の向上を図るなど、ハード面の充実強化を進めているところでございますし、特に不審船事案への対応という意味での高速性能を有する百八十トン型の巡視船などを順次整備してきております。 また、不審船もどきと申しますか、不審な行動をするようなものも随分ございます。その中から不審船をえり出していくということもございますので、いろいろな海上保安業務全体のこととも関係してくるわけでございますが、そういう意味での多様化する海上保安業務に対するニーズに的確に対応するように、老朽化した巡視船艇の代替ということで、近代的装備等を有する高性能な巡視船艇等を整備をしておりまして、具体的には、速力を向上するほかには、夜間監視能力の強化といったこと等によりまして、監視取り締まり能力の強化を図っているところでございます。
○平賀委員 具体的に、高速の巡視艇などについて、これらはどのぐらい配備がされていて、そういう高速対応の艦船は一体どれぐらいの割合になっているのか、この点についてはどうでしょうか。
○楠木政府委員 巡視船と巡視艇、合わせて三百五十隻ちょっとの隻数が海上保安庁にはございます。その中で、巡視艇、今回若干油切れを起こしたようなものがその巡視艇ということで、これは主として沿岸水域をやるものでございますので、外洋まで出ていってというものではないわけでございます。外洋まで出ていくというものになりますと、巡視船ということになるわけでございますが、その巡視船の中の百八十トン型巡視船というものが高速で、その割には航続能力がある、これは十隻ございます。
○平賀委員 私たちの調べたところによりますと、八八年と九七年の比較でいいますと、これは大型の巡視船でいいましても、四十六隻が四十八隻、巡視船も百十七隻が百二十隻、巡視艇も三百五十隻が二百三十五隻というように、数の点でいいましてもほとんど十年前と変化がない。スピードアップの問題についていいましても、大型の巡視船でいいましても、三十二隻のうちの四隻だとか、これはまだまだ非常に十分ではないというのが今の実態だと思います。しかも、船を新しくかえるときにそういうふうな対応をされていますから、不審船対策として本当に特別の目的を持って準備をしてきたとは言えないと私は思うわけです。 しかし、今回の事件では、海上保安庁の四十七年ぶりの威嚇射撃や、海上自衛隊発足して初めて海上警備行動を行うことになりまして、まさに、今まで行われなかったことが今回行われたわけです。 そこで伺いますが、防衛庁が不審船舶の存在を把握したのは二十一日の深夜と言われていますが、このような不審船舶の取り締まりに第一義的な責任を持っている海上保安庁に連絡があったのは二十三日の午前十一時ごろ。しかも、海上自衛隊の護衛艦「はるな」が能登半島東方にて、不審船第二大和丸を確認してからの連絡だということになっているわけです。なぜ、第一義的な任務を持つ海上保安庁に、不審船舶を把握した時点から一日半も過ぎてから連絡したのか、この点について説明を求めます。
○柳澤政府委員 先ほどもちょっと御答弁申し上げましたけれども、私どもが不審船らしい船ということで初めて確認いたしましたのが二十三日の早朝以来のことでこざいます。そして、それ以前からも断片的な情報は確かにあったわけでありますが、それは先生言われるような不審船の存在でありますとか、それに関連しているというようなことを示唆できるようなというか判断できるようなものではないという意味で、断片的なものはあったというふうに申し上げておりますので、実際に不審船のようだということを確認したのは、申し上げておりますように、二十三日の早朝でございます。 その後、通常私どもも、P3Cが空から見て非常に明らかであれば、また即座に御連絡することもやっただろうと思いますが、当時の状況からいきますと、どうも不審船らしいという以上にさらに確信が持てなかったために、付近にいた護衛艦を直接当該船のところまで派遣をいたしまして、その船名を確認した上で海上保安庁に通報した。これは、どの段階で通報するかというのは、さらに反省点も我々は考えていかなきゃいかぬとは思いますけれども、非常に不確かな段階で実際に巡視船をあちらこちらに動かしていただくということも、これは対応としては非常にまずうございますので、今回は今申し上げたような対応をとったわけでございます。
○平賀委員 断片的な情報だとかいろいろ言われましたけれども、しかし、結果的に一日半おくれて連絡が来たということになったということは、それは新聞報道でもいろいろ言われているところであります。 今言われましたけれども、九八年の防衛白書ではこのように書いてあります。「自衛隊では、日ごろから航空機などにより、我が国周辺海域における不審船舶などに対し、監視活動を行っているが、このような監視活動や訓練の際に密航船などの不審船舶を発見した場合には、直ちに海上保安庁に通報することとしている。」というふうにちゃんと防衛白書でも書いてありますけれども、これと違うじゃありませんか。
○柳澤政府委員 「発見した場合には、」と申しますときに、それが本当に不審なものであって海上保安庁に対応していただかなければいけないものかどうかというのは、私どもなりにできるだけ確認をしておるわけであります。
○平賀委員 不審船の認定を責任を持って第一義的に行うのは、海上保安庁です。漁船の名簿の身元確認等についての業務も、海上保安庁が責任を持ってやらなければならない業務です。自衛隊がその不審船を認定したとしても、これは第一義的に認定をするのは海上保安庁の仕事ではないですか。幾ら自衛隊の艦船が不審船がいるということを察知したとしても、それが不審船だということを認定するのは海上保安庁がやるものではないですか。
○柳澤政府委員 組織の責任なり権限としてはおっしゃるとおりであると思います。 ただ、重ねて申し上げますが、やはり海上保安庁におきまして、海上自衛隊もそうでありますが、そのときに動かせる船なりという意味での運用できる資源というのは限られておりますので、できるだけ不確かな形にならないようにということは、当然私たちは努めていかなきゃいけないというふうに思っております。
○平賀委員 これは後で言いたいと思いますが、少なくとも不審船の確認業務を責任を持って行うことになっている海上保安庁に、実際には、自衛隊が不審船に疑いを持った時点よりも相当おくれて連絡が入っているわけです。 新聞報道でも、前日、二十二日に米軍から、日本海周辺に国籍不明の船舶が航行しているとの情報が日本政府に知らされていた、米軍からのこうした情報は自動的に外務省、防衛庁、内閣情報調査室、警察庁に通報されるシステムになっている、これは二十五日付の朝日に報じられております。 この報道によれば、不審船の認定を実際に行わなければならない海上保安庁だけ知らされていなかった。これは本当におかしいことだと思いませんか。海上保安庁。
○楠木政府委員 私どもは、三月二十三日の十一時にこの話を初めてお聞きしたということでございまして、これは一般論ですけれども、もしもそういう情報があれば、それはそれで早く対応できたと思っております。
○平賀委員 私は本当に、早く察知をして早く連絡が来ればまともな対応ができたというふうに思います。 しかも、今回の場合、先に護衛艦が不審船を監視している中で、海上保安庁が漁業法第七十四条三項に基づく検査を行うために停船命令を行うことになりました。しかし、不審船は命令を振り切って逃走し、海上保安庁の巡視船艇、航空機が追跡を開始することになったわけです。このときも不審船の周辺海域で、海上自衛隊は護衛艦「はるな」などを周辺に置き、いつでも即応体制がとれるような手法をとったと新聞でも報道されています。 海上保安庁に聞きますが、このように不審船の追跡を海上自衛隊の護衛艦と半ば並走した形で行うということは、日常的にやっているわけですか。
○楠木政府委員 海上自衛隊の航空機からどうも不審船らしきものがあるというようなものについて、例えばこの二、三年さかのぼって考えますと、年間一、二件ぐらいはあるわけでございますが、そういうときには私どもも出ていって確認するということをやっておりますし、いろいろ情報はいただいておるわけでございます。 ただ、今回のようにかなりその海域で並走したという例は余りないと思っております。
○平賀委員 やはりそういうことはまれなことだ、異常なことだと今答弁がありましたが、私は、やはり今の、発見したそういう状況から海上保安庁に情報が一日半もおくれていくとかそういうふうな事例を見ましても、ある種の思惑を持ってこういうふうな対応がやられたのではないかというふうに思うのは私だけではないというふうに思います。 防衛庁の報告によりますと、自衛隊法第八十二条の海上警備行動の発令は、二十四日の零時三十分に運輸大臣から防衛庁長官に対して要請があったというふうにされています。一方、二十六日の当委員会理事懇談会での海上保安庁長官の報告では、二十一時十二分それぞれ巡視船のレーダーから消えた、海上保安庁ではこのような状況を内閣、防衛庁等の関係省庁に逐次連絡し、これを受けて政府としての対策が検討された結果、二十四日の零時五十分、自衛隊法第八十二条に基づく海上警備行動が発動されたとされています。 そこで、大臣に聞きますが、二十四日の零時三十分に運輸大臣から防衛庁長官に対して海上警備行動の発令の要請があったとする防衛庁の報告は、事実ですか。
○川崎国務大臣 二十三日の日に防衛庁長官と私が電話をもって話したのは二回でございます。 一回は、八時五十五分、省庁間協力を求めた。それから零時三十分、今のことでございますけれども、私の方から、残念ながら海上保安庁の力ではこれ以上追いつくことは難しい状況になった、後は総理、内閣の御判断を求めたい、こう申し上げました。
○平賀委員 そういう現状を報告することによって、これは海上警備行動の発動につながっていく、そういう認識はなかったのですか。
○川崎国務大臣 内閣の判断を求めたいと言ったことは、もちろん海上警備活動も含めてどう対応していいか、総理初め内閣として、全体として決断をしていく、こういうふうに判断いたしました。
○平賀委員 その海上警備行動を発動するということに、自分がそういう現状を報告してこれ以上追跡はできないというふうに言ったことによって海上警備行動につながっていくというふうなことは全然考えていなかったのですか。認識はあったのですか。
○川崎国務大臣 これは再三再四お答えしておりますとおり、まず、関係閣僚がそろいました。そして、第一義的に警察活動として海上保安庁が全力をもって対処するように、しかしながら同時に、閣僚全員に今日の状況を連絡しておくように、こういう形でスタートをいたしたわけで、また、海上保安庁はその状況状況において内閣と連絡をとり、自衛隊とも連絡をとりながらやっていけ、こういうことでございますから、私どもの現状を御報告申し上げた。その後、内閣として判断をした。私も内閣の一員でありますから、そのときにそういうこともあり得るということは考えておったことは事実であります。
○平賀委員 そのようなことは考えていたというふうな答弁がありました。結果的には、やはりそういうふうなことを要請して対応することになった、実質的には要請したことになるのではないかというふうに私は考えるわけです。 こうした不審船の事件というのは、類似事件はこれまで何回も発生しています。事件後の報道でも、日本領海に北朝鮮のものと見られる不審船が発見されたことは初めてではなくて、政府が驚くべきことではないということも、二十五日付の朝日新聞で言われています。七七年の七月二十三日の大浦丸や、さらには八五年四月二十五日のなぞの高速船、第三十一幸栄丸など、我が国の船舶名を名乗る悪質なものであります。いずれも、執拗な海上保安庁の巡視船艇や航空機をかいくぐって逃亡をしています。 そこで聞きますが、八五年四月二十五日のなぞの高速船、第三十一幸栄丸事件では、この不審船の追尾状況等について情報を、運輸大臣は逐次、関係省庁会議に報告していたのでしょうか。
○楠木政府委員 今の運輸大臣ではございませんので、私の方からお答えをさせていただきます。 私どもの方、大分古い話でございますので、必ずしも詳細な記録があるわけではございませんが、運輸大臣には、八五年の事案が起こり次第、速やかに報告をしたということは承知しておりますが、それ以上のことはちょっとわかりません。
○平賀委員 情報交換をしたというだけですか。
○楠木政府委員 実際に、各省の事務的な情報交換というのが、その当時どういうことがあったかというのは、国会議事録でしょうか、何かあったかのような気がしますけれども、運輸大臣と私ども事務方の間においては、運輸大臣に対して私どもが速やかに事案が起こって報告をしたということしか、今のところ記録が残っておりません。
○平賀委員 先ほど来の質問でも明らかになりましたように、海上保安庁と海上自衛隊による異例の追尾劇となったのは今回が初めてです。この追尾劇が自衛隊の海上警備行動の発動につながったことも明確であります。 それで、この追尾劇の中に、自衛隊の海上警備行動発動が既成事実化するべく、ある種の政治的なねらいがあったと思われても、私は仕方がないと思うわけです。 これは、三月二十五日付の日経新聞にも、二十三日の夕方の五時半から、外務、防衛など関係閣僚が官邸で、(1)当面は海保に任せる、(2)万一の場合は自衛隊に海上警備行動を発動する、(3)対応し切れなかった場合は外交措置をとる、三段構えの対応を初めて協議したと。この時点から既に協議が行われているわけですね。ですから、結果として海上警備行動がやられていくのだ、こういうふうなシナリオが書かれていたというふうに私は思わざるを得ないわけです。この点についてはどうですか。
○川崎国務大臣 これは当然のことでありまして、橋本内閣のときに一つの考え方が整理されたと申し上げました。 あのケースのときに、逆に不審船の方から、重火器を持って、私どもの巡視艇に飛んでくるかもしれない、こういうときにどう対応するか、これは橋本内閣の時代に考えられております。それから、不審船の数が多くて私どもの力に余るときにどうするか、これは内閣として一つの決断をしなければならない。 これは一つの考え方として整理されておりましたので、当然、私ども関係閣僚が寄りましたときに、そういった最悪の状況も頭の中に入れながら、さまざまな状態を考えておった。第一義的に、海上保安庁がしっかりやれ、こういうことでございます。
○平賀委員 この点について言いますと、事件の翌日の新聞の社説は、政治的なねらいについていろいろ述べています。小渕内閣の危機管理能力を内外に誇示する政治的ねらいがうかがえる。それ以上に首相には、自衛隊が乗り出すことが、日米防衛協力のための指針のための体制の整備につながるという考え方があったかもしれない。これは、二十五日の朝日の社説で報じられております。 ところで、今までの国会答弁からして、単純に海上保安庁の巡視船の能力不足が海上警備行動の発令となっているかのようになっていますが、そのような能力不足であれば、当然、これはその対策が行われるはずであります。ところが、そういうまともな対策がとられた気配もありませんでした。 そもそも、海上保安庁の能力不足で自衛隊の海上警備行動が発動されることはないと、防衛庁自身が証明をしております。 七七年の十一月二十四日の衆議院の内閣委員会で、我が国の領海内を潜水艦が侵犯した場合に、自衛隊はどのような対応をとるのかとの質問に対して、当時の防衛局長は、潜水艦が潜って領海の中を通っているようなことがわかりますれば、それは海上保安庁の方に連絡をして措置をお願いするということになると思いますと答えています。当時の海上保安庁の能力では探知できない、軍事活動の疑いさえある潜水艦の領海侵犯に対しても、探知能力がない海上保安庁に連絡をして、実際には海上保安庁が業務として領海侵犯の防除を行う、こういう対応できたわけです。 大臣に伺いますが、こういう答弁の意味するところからしても、海上保安庁の能力不足だけで、第八十二条の発動要請やそれにつながる行為を行う根拠にはならないと思いますが、この点についてはどうなのでしょうか。
○川崎国務大臣 今、潜水艦が潜ってきたときの例で、一九七七年のことを平賀委員取り上げられましたけれども、現実問題、私ども海上保安庁として、まず、潜ってきた潜水艦を探知できる能力がない、今度は、その船に対して領海内から出ていけと伝える能力も持たないわけであります。そういった意味では、自衛隊の力というもの、協力を求めていく、当然のことになろうと思います。
○平賀委員 今の七七年の委員会の答弁では、仮にそういう能力がなかったとしても、海上保安庁が第一義的に対応するべきだということを答弁しているわけですよ。 もう時間がなくなってしまいましたが、今回、海上保安庁として四十七年ぶりの威嚇攻撃や、さらには海上自衛隊としてのさまざまな行為を行いました。しかし、そういう行為というのは、客観的に見ますと、これは武力行使をやっている、威嚇射撃ではあったにしても。私は、こういう対応というのは、あくまで海上保安庁の警察活動で対応するべきだと。 そういうふうなことを踏み越えて、今回、自衛隊法の八十二条の発動になったわけですけれども、しかし、そういう活動が一体どういうことを引き起こしているのか。実際、二十五日付の毎日新聞で、航空自衛隊のE2C早期警戒機が二十四日の午前七時五十五分ごろ、レーダーで不審船が逃走し続ける水域の上空に向けてミグ21が飛行していることが確認されたというふうなことで、一触即発の事態になりかねない。 こういうふうなことが現に起きているわけでありますから、私は、不審船の問題について言えば、あくまでもこれは海上保安庁の警察活動の範囲で対応するべきであって、やはり今回の八十二条の発動をやるべきではなかったということを改めて表明いたしまして、私の質問を終わります。
○石破委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十九分散会