決算行政監視委員会 第5号
- 発言数
- 172 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1998/12/18
会議録
○原田委員長 これより会議を開きます。 歳入歳出の実況に関する件及び行政監視に関する件、特に金融証券市場と監視行政問題について調査を進めます。 本日は、参考人として財団法人国際金融情報センター副理事長増永嶺君及び日本大学教授黒沢義孝君に御出席をいただいております。 この際、両参考人に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。両参考人には、金融証券市場と監視行政問題につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。 次に、議事の順序について申し上げます。 まず、増永参考人それから黒沢参考人の順序で、お一人十五分程度御意見をお述べいただきたいと思います。次に、委員からの質疑に対しましてお答えいただきたいと思います。 それでは、まず増永参考人にお願いいたします。
○増永参考人 委員長、当委員会での発言の機会を与えられ、光栄に存じます。 本日私に与えられましたテーマは、格付会社についてどういう考え方をしたらよろしいかということであると理解しております。私は、この問題を、日ごろ調査研究しております国際経済及び国際金融、そういうマクロ的な角度から取り上げてみたいと存じます。 時間の制約もございますので、私の論点は、お手元にお配りしております資料のページ一の三点、すなわち、一、格付会社問題がクローズアップされている背景、二、アジア通貨危機と格付、そして三、格付をめぐる今後の課題に集中して申し上げます。 まず、格付会社の活動がなぜ注目されているかであります。 お手元の資料のページ二を御参照ください。そこには、ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズ、日本格付研究所及び日本格付投資情報センターについて概要を示してございます。これらは、日本の大蔵省が指定しております格付会社七社のうちの大手四社でございます。このほか、フィッチIBCA、トムソン・バンクウオッチ及びダフ・アンド・フェルプスの三社がございます。 これらの格付会社につきまして、世界全体で見ますと、あくまで推計でありますが、ムーディーズ社とスタンダード・アンド・プアーズ社の二社が世界マーケットの六割から八割を占めておると言われております。実際、両社の格付対象企業は五千五百から七千社という大きな数でございます。日本市場では上記の二社のシェアはそれほど大きくはございませんが、その国際的な評判のゆえに影響力は大きいのであります。 こうした格付会社の活動が近年どうして大きな話題になっているのかということを申し上げたいと思います。 バブル崩壊後今日まで、日本企業について、格付会社による格付の低下が相次いで見られます。銀行から始まりまして、建設会社、商社、メーカー等広い範囲に及んでおります。その結果、いわゆるジャパン・プレミアムの発生など、本邦企業の内外での資金調達に支障が生ずる場合が出ております。さらに、この結果、資金調達企業、特に銀行の収益力に影響が出てくる場合が見られます。こうしたことによって、格付される企業としてはもちろん、また投資家としても、本邦の金融機関、企業は、金融・資本市場における格付会社の影響力、特に米系二社の影響力の増大を認識させられておるのでございます。 また、マスコミの報道もこの傾向に拍車をかけております。 こうした現象の経済的背景を考えてみますと、一つは、一九八〇年代以降、日本の金融の流れが従来の銀行中心の間接金融から直接金融に徐々に移行しつつあります。つまり、資本市場の役割が増大してきているのであります。そして、同時に、金融・証券業界における規制、保護の減少が見られます。 これらの変化によって、投資家は、客観的基準でリスク判断を行うことが必要になってまいりました。その場合、投資家にとっての客観的基準の一つとして、専門家による格付が有用であることは間違いないと思います。また、この点は、金融機関を含む日本の企業サイドにおいて現状では情報の開示がまだ不十分なこととも関連していると思われます。 しかし、格付は、営利企業であります格付会社が作成する一つの意見です。これにいたずらに振り回されるのではなく、これを客観的に評価することが重要であると考えます。 次に、格付産業の直面する課題を申し述べます。 格付は、米国では長年の実績の積み重ねにより、市場に定着しております。ちなみに、ムーディーズ社は九十年、スタンダード・アンド・プアーズ社は七十年の歴史を持っております。また、格付と、格付を受けた企業がその後倒産する確率、その二つの数字の間には、統計的に安定した関係があります。つまり、低い格付の企業は、高い格付の企業よりも倒産する可能性が高いということが統計的に証明されております。 一方、一九八〇年代以降、格付市場は、米国以外、日本でありますとか欧州あるいは新興市場諸国などに拡大していきます。しかし、これらの地域では、格付はまだ十分に根づいていないのであります。 そのあらわれの一つとして、日本あるいはアジアなどの新興市場におきまして、欧米系の格付会社が行っている格付に対して不満が表明されております。米国での手法が日本などでそのまま適合するのであろうか、格付会社が格付を受ける企業に対して行う説明が不十分ではないかといったような批判が聞かれます。また、格付会社の日本などでの活動の歴史がなお浅いために、先ほど申しましたような統計的データが不足しております。このために、米国の手法で倒産確率が予測できるのであろうか、こういう証明がまだできておりません。 海外投資家の立場からは、格付基準が国際的に統一されている方が利用しやすいのであります。これに対して、各国の格付を受ける企業などからは、各国独自の要因をもっと重視してほしい、こういう声がございます。この二つをどのようにバランスよく格付に反映させるかが課題であります。 具体的には、米国流の計数重視の考え方と、アジア的な、当局の役割でありますとか、メーンバンクに代表される長期的取引関係、あるいは安定的な労使関係、こういうことの重視などの考え方の両者のバランスであります。ただ、日本におきましては、現在、規制緩和やビッグバンのもとでこれらの伝統的な与件が大きく変化しようとしていることも注意する必要がございます。 また、格付会社につきましては、日本だけの批判ではございませんが、いわゆる依頼格付と勝手格付の混在の問題がございます。 つまり、依頼格付の場合は、格付を受ける企業が手数料を払って格付を格付会社に頼むのであります。そこでは、格付会社と格付を受ける企業との間に一種の信頼関係が生じ、これに基づいて格付ができ上がるプロセスをたどることが多いのであります。しかし、勝手格付の場合は、格付会社が格付を受ける企業の同意を得ないで勝手に格付をいたします。そこで、格付を受ける企業が不本意な格付を押しつけられたという印象を持つことも多いのであります。多くの格付会社が、投資家と格付を受ける企業という異なる立場の顧客を同時に持ち、双方からの収入に依存した経営を行っている、そこに問題の複雑さがございます。 さらに、昨年来、アジア諸国についてのカントリーリスク格付では、多くの格付会社がやや遅目に、しかもその後は短期間にたびたび格下げを行いました。このことが危機を増幅させたのではないかとの指摘もございます。これを、私どもは格付と市場の共鳴現象と呼んでおります。 アジア危機は、資金が短期間に大量の移動を起こしたこと、タイからインドネシアなど周辺のASEAN諸国へ、そして韓国へとアジア諸国間の危機の伝播が生じたこと、さらに、いずれの国でも金融システムの悪化が危機を深刻にしたことといった特徴があります。このため、二十一世紀型の危機と言われております。そこに、ただいま申し上げた格付と市場の共鳴現象がかかわっているのではないかということでございます。 ページ三をごらんください。このグラフは、ごらんいただきますように、実線の動きが株価の推移でございます。それから、点線と太い線がございますが、階段状の線が格付の推移でございます。ここで、両者が一緒になって動いている、あるいは株価が下がってから格付が下がっているというようなところがごらんいただけるかと思います。右の下に書いてございますように、一段階から十段階までが投資適格等級でございますが、十一から二十という下の方に行きますと、いわゆる投機的等級というふうになっております。こういうような状況でございます。つまり、株価の低落、これは経済の悪化をあらわしたものと考えますと、これが格付の低下をもたらし、それがまた株価の低落をもたらすといった悪循環が、タイ、インドネシア、韓国のいずれについても、特に危機の初期に見られたのであります。 こうした状況から、本年十一月に開催されましたAPEC首脳会議のコミュニケでも、格付会社の活動のレビュー、検討でございますが、このことについて言及されております。 以上、るる御説明してまいりましたが、私ども国際金融情報センターでは、会員企業からの強い要請もございまして、これまで述べてまいりましたような問題意識を持ちまして、調査研究に取り組んでおります。今年十二月末に、格付会社に関するレポートを発表の予定でございます。こうした作業が各方面で行われて、格付手法についての分析、格付結果の追跡研究などの精度が高まっていくことが望まれます。 また、格付を受ける企業サイドでも、一般的なディスクロージャーの充実や投資家への自発的説明の機会をふやす、こういう努力によりまして、格付会社の格付のみに支配されない工夫が必要と存じます。 さらに、格付変更の際の報道のあり方にも工夫が望まれます。例えば、格付変更の記事においては、必ず複数社の格付や異なった意見を併記することが望ましいものと思われます。 私からの意見陳述は以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)
○原田委員長 ありがとうございました。 次に、黒沢参考人にお願いいたします。
○黒沢参考人 日本大学の黒沢でございます。 お手元に資料をお配りさせていただきましたが、私の方からは、格付を具体的にどういうふうにして格付会社が行うのかという問題と、それから、主として日本とアメリカの格付会社が日本の市場で活動しておりますが、日本の企業に対する格付がその間で非常に大きく違っているという問題がございますので、それが具体的にどういうふうに、なぜ違ってくるのかという問題、最後に格付の役割の主な点をお話し申し上げたいと思います。 最初に、格付を具体的にどうやってやるかということでございますが、大ざっぱに申しますと、格付会社は、企業が債券を、社債を発行する前に、あるいは国が国債を発行する前に、その資料等を徴求いたしまして、格付審査をいたします。格付会社によって多少異なりますが、大体過去十年間の実績の資料を徴求して、それから、将来その社債を発行した後の三年ないし五年間の収支予想、償還の予定がどうなるかというのをとることにしております。 それで、格付アナリストがそれに基づいて審査をいたしまして、最終的には何を見るかといいますと、将来三年なり五年なりの債務の償還の金額がどのぐらい発生するかということに対して、それに対応した償還財源がどのぐらい発生してくるかというのを見るわけでございます。 例えば、毎年十億円なら十億円の返済債務があるということであれば、それに対して償還財源、償還財源というのは主として利益と減価償却費でございまして、これはアメリカではキャッシュフローというふうに呼んでおりますが、そのキャッシュフローが例えば十五億円だとしますと、企業は、景気変動などあるいは突発的なことによって変動いたしますので、例えば上下五億円ぐらいの変動が予想されるとすれば、十億円の返済に対して十五億円というのは多少問題がありますので、例えばダブルBならダブルBというふうに格付を決めるということでございます。それで、仮に八十億円ぐらいのキャッシュフローが予想されれば、十億円の返済に対して十分であろうということで、例えばダブルAならダブルAというような格付が提案されるわけでございます。 ソブリンにつきましても基本的には同じでございまして、外貨建ての債務なら外貨建ての債務、どのくらいの返済予定に対して、国の場合には――返済財源というのは、民間企業の場合には輸出でございますので、その輸出の金額に対してどのぐらいの債務を負っているかというようなことが重要になります。それの安全を保証するために、例えば企業ですとその財務状態、自己資本比率、万一の場合にどのぐらいその自己資本を使用できるのか、国の場合ですと、例えば外貨準備というのはどのぐらいあるかというようなことが重要になるということでございます。 そういうようなことに基づきまして格付機関の中で格付を決定するわけでございますが、これは一人のアナリストが決めるということではなくて、委員会を持って決めるようにしております。委員会は、多少決め方が異なりますが、多数決で決める場合もあれば、あるいは全会一致で決める場合もございます。通常五、六人の専門家、格付アナリストが集まる委員会が構成されまして、それで決めるということになります。 それで、起債者にその格が連絡されまして、起債者がそれでいいということになれば、社債の発行の手続に入っていくということになります。 そして、発行後は必ず、投資家のための情報として、その社債が市場から償還されるまで格付会社はそれをウオッチしていって、当初に予想した基本的な情報が変わっていけばその格付を変えていくということでございます。 実は、この格付情報は投資家に対して有料で販売するわけでございます。投資家は定期購読料を支払うわけでございますが、投資家の利益というのは、例えば、格付が変わったときに、格付が変わって市場の社債の価格が下がるとすれば、早くその格付を知った上で先に売ってしまうとか、あるいは格付の上がるものを購入するとかいう形で投資家のメリットがございます。ただ、昨今は非常に通信技術が発達してまいりまして、端末などで市場に発表される格付と投資家に伝わる格付がほほ同時になっておりますので、主としてポートフォリオを構成する、つまりリスクの高い債券を持つ者はそういうものを選べばいいという形で、ポートフォリオの管理として主として使われるようになってきております。 それから、昨今、勝手格付という言葉で言い伝えられて問題になってございますけれども、これは、実はもともとは格付というのは勝手格付でございました。投資家のために格付会社が企業を勝手に評価して情報を提供するということをやってまいりましたが、一九六〇年代ぐらいのアメリカにおいて、だんだんその格付が重要な指標になってまいりまして、七〇年代の初めぐらいから、これは起債者もメリットを受ける、つまり、格付をもって起債がしやすくなる、宣伝コストの節約になるというような形でメリットになりますので、起債者も進んで受けるようになってまいりました。 そうなりますと、起債者と投資家との両方のニーズによって格付が行われるようになってまいりまして、金融制度の、資本市場の一つのインフラストラクチャーとして使われるようになり、政府も、例えばアメリカの場合ですと、格付会社に登録させて、NRSROという制度がございますが、パブリックな格付をやる場合には、そこに必ず届け出をした上でやるということになってきたわけでございます。 それから、第二点でございますが、その格付の差異についてでございます。お手元にお配りいたしました資料のページ一でございますが、これは、ことしの四月ないし五月現在で、ムーディーズというアメリカの格付会社と日本のR&Iという会社の間の格付の格差を見たものでございます。縦軸は日本の格付会社の格付、横軸はムーディーズがつけた格付でございます。これは、日本企業で両社が共通につけている二百十社についての分布でございまして、もし両社が同じ格付をつけているとすれば、この四十五度線上、点線の上にプロットが来るということになります。 ごらんいただけますように、ほとんどのプロットはその四十五度線より上に来ておりますので、日本の格付機関の方が、同じ会社に対して、アメリカの格付機関より高い格付を与えているということがわかるわけでございます。このプロットの分布から、特に格付の低い方になりますと、その格差が大きくなってくるということがおわかりかと思います。 どうしてそのようなことが発生するかということでございますけれども、格付会社は、先ほど申し上げましたように、企業から過去の実績と将来予想を徴求いたします。それに基づいて分析をいたしますが、数量的な分析は、私の知る限りにおいては、どの格付機関もほとんど変わらない、同じような定量分析を行っているというふうに思われますが、その後の判断、その数字が出てきた後、それではどういうふうにそれを格付をするかというところが違ってくるというふうに思われるわけでございます。 それがどうして違ってくるかということについて、次の、資料の二ページの方でごらんになっていただきたいのですが、左側の図はちょっとややこしい図かと思いますけれども、例えば競争的な資本市場で、社債なら社債の利回りがどう決まるべきかというのは、投資家がどの社債に投資をしても同じ利回りが得られるというのが効率的な、競争的な資本市場であるというふうにアメリカの市場では認識されております。 例えばそこでシングルBという格付をある企業がつけられたといたしますと、シングルBというのは、大体四〇%の確率で十年以内にデフォルトになるという意味でございますので、そうしますと、リスクのない利率が六%だとしますと、もしその企業が六%の利回りで発行いたしますと、平均的に四〇%デフォルトになるわけですから、実質的な利回りは三・六%になってしまう。つまり二・四%低くなってしまう。そうすると、投資家はどの社債に投資をしても同じ利回りが得られなければいけないということですから、不公平になってしまいますので、二・四%をそこに上乗せして八・四%で発行させてやれば、デフォルト確率が四〇%でございますから、デフォルトを加味した後での平均的な利回りが六%ということになりますので、どの債券に投資をしても公平な、同じ利回りが得られる、統計的にそういうことになるわけでございます。したがいまして、ダブルAのデフォルト率は大体どのくらいか、シングルAのデフォルト率はどのぐらいかということをあらかじめ予定して格付をするわけでございます。 そのような形でやりますが、実際にそういうふうになっているかどうかということなんですが、日本の格付機関とアメリカの格付機関が行う格付に差が発生する主な理由、レジユメにはいろいろ書いてございますが、一番本質的な問題だけを御説明させていただきます。 アメリカの格付機関は、今シングルBですと、例えば四〇%の確率でデフォルトが発生するというふうに申し上げましたが、これは主としてアメリカ市場の話でございます。アメリカの格付機関がシングルBと格付をした日本の企業が実際にどのぐらいデフォルトが起きておるかというと、日本ではほとんどデフォルトは発生しておりません。これは、社債の優先償還といった考え方がずっとあったために、発生していないわけでございます。 したがいまして、日本のデフォルト率を前提にして考えますと、その少しデフォルトの発生が低いという前提に立って考えた日本の格付機関の格付の方が正しくなってくるわけでございますけれども、アメリカの格付機関はアメリカのスタンダード、彼らはグローバルスタンダードという呼び方をいたしますけれども、そのアメリカンスタンダードに立って日本の企業を格付しているために、例えば財務的な予想の数字が出てきて、その数字がアメリカの企業と同じような数字になればそこに格付がされるという意味で、格付格差が出てまいります。 したがって、日本の格付会社は日本のスタンダード、アメリカの格付会社はアメリカのスタンダードに立って格付をしているということで、どちらも間違いではないということなんですが、使っているスタンダードが違うところから格差が出てきているというのが一番大きな難しい問題ではないかと思います。 そこで、二ページの右の方に、最近問題になっております、ムーディーズ社が格付した格付の、日本の企業に対する分布がどうなっているかということでございますけれども、例えば先ほど申しました、シングルBでしたら平均的に四〇%のデフォルト率ということを前提にしているわけでありますので、では、日本に格付をした十年前、一九八八年にムーディーズ社が日本の企業を格付したのは三十七社ございますが、それはそこに書きましたように、トリプルA十二社から始まりましてトリプルBまで、トリプルBまでが投資適格債ということで、一般に公募をしても十分出切るということでございますが、八八年、十年前には、ムーディーズ社は、大体日本にはデフォルトが発生しないというような形で三十七社を格付しております。 一方、五年前に百九十七社を格付してございますが、この百九十七社につきましては、既にダブルBとかシングルBとか、デフォルト率の少し高いものが格付されているわけでございますけれども、現実にどうであったかというと、トリプルBに格付されましたうちの二社が事実上デフォルトに陥っておりますので、全体としては、大体ムーディーズのデフォルト確率から言うものについては正しくなっておる。ただ、ダブルBに二十六社挙げてございますので、ここからは一つもデフォルトは発生しておりません。 まだこの格付からは五年ですので、今ここで判断するのはちょっと早過ぎるかと思いますけれども、仮に今後の以後五年間、合計十年間ということで判断いたしますと、例えば五年前の九三年に格付された百九十七社のうちに、あと六、七社、実際にデフォルトが発生すれば、それはムーディーズの格付が正しかったということになるわけでございますが、現状ではなかなか判断は難しいということでございます。 同じように一九九八年、ことしの日本企業に対する格付、二百九十五社やっておりまして、かなり厳しい格付になっておりますので、これも今後十年間、本当にどういうふうにデフォルトが発生するか。もしデフォルトが実際にそのように発生しないということであれば、この格付は正しくないということになるわけでございます。そのような観点から、我々は、どの格付会社が正しい格付を出しているのかというのを見ていかなければならないというふうに考えております。 それから、どうしてこんなに格付が急に重要になってきたかということでございますが、これは、マクロ経済、全体の、日本経済なら日本経済にとってなぜ必要かということでございますが、これは、格付によって社会的なコストを低減するという意味合いがございます。 従来のように、銀行を中心としたファイナンスが行われている場合には、銀行が企業とのつながりによって継続的に企業の状態を把握していきますけれども、社債市場になりますと、個々の投資家と発行する社債企業とがつながりますので、そのリスクに関する情報が提供されないと、投資家は恐れて高い金利を要求することになります。そうすると、マーケットで決まるべき金利よりも高い金利が発生してしまうということで、これが社会的コスト、エージェンシーコストと呼ばれておりますけれども、そういうものを取り除くために正しいリスクを投資家に伝えてあげる、それで国全体としての企業が負担しなければいけないコストを低減させるという意味において、証券市場が大きくなってまいりますと格付が必要であるということになるわけでございます。 私の方からの御説明は以上でございます。(拍手)
○原田委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。 ―――――――――――――
○原田委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。 この際、両参考人に申し上げます。 御発言は、すべてその都度委員長の許可を得てお願いをいたします。また、委員に対しましては質疑できないこととなっておりますことを、あらかじめ御了承いただきたいと思います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鴨下一郎君。
○鴨下委員 おはようございます。両参考人におかれましては、本当にお忙しいところを本日はありがとうございます。時間もございませんので、早速質問をさせていただきます。 今、日本で格付というようなことが非常にいろいろな意味で影響力を持つようになってまいりました。先ほど両参考人の御意見の中にも、これは、言ってみればグローバルスタンダード、さらに言えば、アングロサクソンスタンダードというような物差しで日本の企業をはかっていこうじゃないか、こういうようなことなんだろうと思います。ここで、特にムーディーズ、それからスタンダード・アンド・プアーズ、この二つの会社が、言ってみれば市場に対して影響力を持ったり、それからさらに、ある意味で日本に対しての影響力が圧倒的だ、こういうような感じも受けるわけでありますけれども、その辺につきましては、なぜこの二社が特別なのかということについて、両参考人の御意見を承れればと思います。
○増永参考人 今の御質問でございますが、日本のマーケットだけをとりますと、米系の大手二社、ムーディーズ、スタンダード・アンド・プアーズの格付対象の企業の数は、日本の格付会社の対象企業の数を下回っております。これは、お手元に差し上げました表の二ページのところにございます。 しかし、両社の格付は、国際的にあらゆる業種、そして五千とか七千とかいう数に上る企業を世界的にカバーしているのでありまして、国際投資を行っている投資家にとりましては貴重な情報だというふうに言えると思います。例えば、日本の自動車メーカーのA社と米国の食品メーカーB社の投資リスクが簡単に比較できるということでございます。両社の格付を多くの投資家が利用することによって、市場への影響力が強まり、そしてまた両社の格付を利用する投資家や格付を依頼する企業の数もふえていく、そういうメカニズムに現在なっているわけでございます。 しかし、ムーディーズやスタンダード・アンド・プアーズの見方も一つの意見でありまして、例えば、例が適当かどうかわかりませんけれども、証券会社の株を推奨するセールスとか、あるいは新聞、雑誌のそういう会社に関する記事などと同様に、場合によっては間違っている可能性もあるわけであります。 特に、日本企業の格付の場合は、日本特有の制度ですとか業界事情等々、あるいはもっと基本的な直接金融、間接金融というようなことがございますので、私先ほど申し上げましたが、まだまだ日本は間接金融の割合がアメリカに比べると大きい、こういうこともございます。 そういうことで、そういう事情に精通している日本の格付会社の方が正しい判断を行っている場合も当然少なくないと思われます。実際、ムーディーズとかS&P社の東京での事業展開は、やっと十年強ぐらいの歴史であるわけであります。 投資家は、特定の会社の評判にいたずらに振り回されるのではなくて、それを参考にしながらみずからの判断基準を持つことが重要と考えております。
○黒沢参考人 私は、特にムーディーズの格付が日本の金融関係者あるいは投資家に大きな影響を与える、ムーディーズ信奉というふうにまで言われている理由につきましては、今まで二つの大きなケースがございまして、一つは、建設業界の談合事件があったときに、その談合事件の結果幾つかの建設会社は急速に財務内容が悪くなっていくというふうにムーディーズは理解して、格付をいち早く下げたわけでございます。日本の格付会社は、あるいはスタンダード・アンド・プアーズもそうですけれども、少し様子を見てからということだったのですが、たまたまといいますか、ムーディーズの方が的中したということがございます。 それから、次は銀行業でございますけれども、銀行業は、日本の場合には、護送船団と言われますように、二十二行については安全であるということが言われておったわけでございますけれども、ムーディーズは、日本が自由化をするというときにいち早く銀行の格付を下げたわけでございます。現実はかなりムーディーズに近い形で進んでいったというところから、ムーディーズ信奉。だめ押し的に山一証券問題というのが出まして、ムーディーズは、やや格下げがおくれたかと思いますけれども、他社よりも非常に早く下げたということがムーディーズ信奉を生み出したのではないかと思っております。 これは、スタンダード・アンド・プアーズとムーディーズ社というのは格付の方針が違っておりまして、何も日本だけではなくてアメリカでやる場合もそうでございまして、ムーディーズは、特に格付を下げる場合、いち早く行動するというふうな行動パターンをとっておりますし、スタンダード・アンド・プアーズはできるだけ数字に忠実に、数字が出てから動き出すという行動パターンをとっております。日本で行っているやり方もさほど変わってはいないのではないかと思います。
○鴨下委員 今回のアジアの通貨危機におきましても、株価と為替が非常に大幅に下落して、各国が危機的状況に陥っていくのと相前後して、特に格付を引き下げていった、こういうようなことが、増永参考人のおっしゃり方ですと共鳴現象を起こした。私からいうと、ある意味での悪循環に陥っていた。こういうようなことなんだろうと思いますけれども、例えば新興市場諸国においてムーディーズ等の格付というものが一体どのくらい的確に行われているのかという現状について、お聞かせをいただきたいと思います。
○増永参考人 先ほどの冒頭陳述でも若干触れたわけでありますが、アジア通貨危機と今先生がおっしゃった悪循環、共鳴現象というのが結果的にあるわけでありますが、一方、アジア通貨危機を事前に完全な形で予測するということは、格付会社に限らず、多くの民間アナリストでありますとか、あるいはIMF等の国際機関のエコノミストにとってもなかなか困難だったわけであります。そういうことで、若干、IMF等国際機関に対する批判も一部に聞かれるところだと思います。 ただ、例えばタイの場合で申しますと、中央銀行が先物市場で為替介入を行っていたという事実があったわけであります。しかし、その結果として、実際に使われる外貨準備が当然減っていたのですが、その数字が公表されていなかったというようなことがございまして、これはだれも知り得なかったわけであります。 あるいは、韓国の民間の短期債務が非常に巨額なものであったということでございまして、実際、韓国政府が危機の後に公的なそういう統計を訂正しているわけでありますが、それも事前には公表されていなかったという事実がございます。 格付会社といいましても、通常は、他の市場参加者の持っている以上の情報を、特にこういうカントリーリスクに関する情報を持つわけではございません。したがいまして、格付の制度は当該国を担当するアナリストの経験、知識あるいは分析力によるところが大きいわけでございます。また、その国のカルチャーについての勉強も欠かせないわけであります。結局、格付というのはいわゆる総合判断ということでございまして、数字だけでなくて、広い角度からの見方が必要だというふうに考えるわけでございます。 なお、私どもの国際金融情報センターもカントリーリスクのレーティングを行っておりますが、若干ではございますけれども、よそよりも早い判断情報を提供することができたのではないかというふうに自負している次第でございます。
○黒沢参考人 お答えいたします。 私は、今回のアジアの通貨危機に関しましては、格付機関の対応がおくれたというふうに理解しております。どの格付機関の対応もおくれたというふうに理解しております。特に、イギリスの格付機関のIBCAというのがございますが、現在はアメリカのフィッチと合併いたしましてフィッチIBCAというふうになっておりますが、格付のおくれに対して謝罪文を発表したということがあかしになっておりますけれども、どの格付機関もおくれた。 ただ、格付機関にミスがあったかということになりますと、難しい問題だと思います。九二年のヨーロッパの通貨危機、九五年のメキシコの通貨危機と今回のアジアの通貨危機が大きく違う点は、今回の場合には、ヘッジファンド等を初めごく短期の国際資金が非常に大量に動くような状況になっておるということがございます。そうしますと、少しの格付の変動によって大量の資金が移動する、移動しますと為替に大きな影響を与えてファンダメンタルズが悪くなる、ファンダメンタルズが悪くなるとまた格下げをしなければいけないという、先ほど増永参考人がおっしゃいましたようなそういう悪循環的現象というのが、国際資本移動と格付というものが一緒になって発生したというか、影響を与えたというふうに理解しております。
○鴨下委員 今、両参考人からの御意見の中でも、カントリーリスクの問題がございましたけれども、格付が下がっていくと同時に、ヘッジファンド等の巨大な資金が動いて、さらにさまざまな影響が多大に出てくるという意味においては、今までのように、格付機関が格付をちょっと下げたということが物すごく大きな影響力を持つということにもつながってくるんだろうと思います。 今回、日本の国債に関しましてムーディーズが引き下げをしようというようなこともありまして、我々は大変憂慮する部分もあるわけでありますが、このムーディーズ社以外の格付機関で日本の格付についてどういう判断をしているのか、このことにつきまして両参考人の御意見を伺いたいと思います。
○増永参考人 日本経済が現在、いろいろな意味で大変困難な状況に陥っていることは否定できないと思います。しかし、今先生おっしゃいました日本国債の格付の問題というのは、突き詰めますと、国債の将来の償還能力ということでありますので、やはり格付というものはそこに焦点を絞って行われるべきだというふうに考えております。 そういう観点から申しますと、ムーディーズは確かに先般格付の低下をいたしたわけでありますが、もう一つの大手の格付会社でございますスタンダード・アンド・プアーズは、日本の格付を依然として最高ランクのままに、つまりトリプルAという、Aが三つついておりますが、そこのランクに据え置いております。この説明としましては、やはり日本の対外的な大きな純資産の保有、経常収支の黒字、あるいは日本の家計が高い貯蓄率を持っておりますので、日本全体としては、まだしばらくの間、少なくもしばらくの間貯蓄超過状況にある、こういうところを大きく評価しているというふうに聞いております。 そういうことでありますので、格付会社の間でもいろいろな見方があるということは先生の御指摘のとおりでございます。
○黒沢参考人 今、日本の国債の格付を下げたのは、フィッチIBCAが九月に下げまして、ムーディーズが十一月に下げた。下げてないのは、先ほどのS&P、それからダフ・アンド・フェルプスというアメリカの格付会社も、日本の格付はトリプルAのままでございます。それから、日本の格付会社もトリプルAにしております。 大きな差異というのは、やはり国を格付するときの考え方の違いからきているのだろうと思います。新聞報道などによりますと、ムーディーズ自身も中で、先ほど決定は格付委員会でやるというふうに申し上げましたが、格付委員会の中でも随分割れたというふうに報道されておりますけれども、私もそのとおりだと思います。非常に難しい状況の中において判断したのだろうと思いますけれども、基本的にはその格付会社の考え方というものがございます。それに沿った違いが、現状、違いとしてあらわれているのではないかというふうに思っております。
○鴨下委員 今、日本はある意味で金融ビッグバンということでさまざまな変化が起こっています。特に、これから間接金融から直接金融へさらに移行が進んでいくでしょうし、それに伴って社債発行等がふえる。そしてさらに、それは今度は投資家にとってみれば、デフォルトの確率をどのように予測してもらえるのかということにおきましては、格付という意味はこれから非常に重要になってくるのだろうというふうに思います。 ただ、そのときに、いわゆる依頼格付とそれから勝手格付というようなものの間に差異があったら、これはまた投資家にとっては非常に困った話になるんだろうと思いますが、その格付の位置づけといいますか、勝手格付と依頼格付ということに何らかの差異があるのかないのか、このことを最後に伺わせていただきたいと思います。
○増永参考人 私どもも、勝手格付か依頼格付かで格付の結果が異なるかどうか、勉強しております。それで、結果的には、若干の違いがあるということは事実のようでございます。 勝手格付の場合は、依頼を受けない、つまり相手の企業を訪問いたしませんから、情報量が限定されるので、若干結果が異なってくる可能性はないとは言えないと思います。そういうことでありますが、格付会社によっては、いや、違わないんだという議論もございますけれども、この辺は、もうしばらくいろいろ研究する必要があるかと思っております。
○黒沢参考人 私も勝手格付と依頼格付との間には多少差があるというふうに思っております。それは、勝手格付をやる以上はある程度仕方のないことで、インサイダー情報が入りませんので、公開情報だけですから、どうしても保守的にならざるを得ないというところから、きつくなる、多少厳し目になるということであろうと思います。
○鴨下委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
○原田委員長 古川元久君。
○古川委員 民主党の古川元久でございます。 両参考人におかれましては、お忙しいところを貴重なお話をお聞かせいただきまして、どうもありがとうございました。時間が限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。 先ほど両参考人のお話の中で、格付というのは、債券の償還可能性を示すものであって、投資家にとっては客観的価値判断をする場合の一つの材料だというお話がございました。ただ、最近の乱高下をいたしております債券市場あるいは株式市場、そういったところを見ますと、投資家の多くというのはかなり、例えばプログラミング取引と言われるような、ある条件が変わると自動的にもうこれは売りを出すとかあるいは買いを出すというようなことがありまして、それがまた市場のぶれを大きくしているのじゃないか、そういうようなことが言われております。この格付についても、格付がある格付以下に下がると自動的にもうそこの格付の会社の債券は一切買わないというふうにするとか、そういうことが現実に行われているかのような、そういうようなマスコミの報道なども聞くわけであります。 そうなりますと、本来、投資をする際の一つの判断条件であるべき格付が、そういった意味から、その格付の上がる下がるによって、まさにプログラミング取引のように自動的に売りであったり、あるいはもうこれは買わないということになってしまう、これが決定的な条件として作用してしまっている、そのような側面があるのではないかと私は思うわけでございますが、その点につきましては両参考人はどのようにお考えになっておられますか、御意見をお聞かせいただきたいと思います。
○増永参考人 確かに、最近の、最近といいますかここ数年の市場の状況というのは、証券市場につきましてもあるいは為替市場につきましても、非常に資金が大量にかつ短期間に動くという状況がございます。そして、今先生が御指摘になりましたようなプログラム取引というようなものがそれに拍車をかけているということでございまして、格付もある意味ではその一つの手段に使われているというところがございます。 ただ、こういう状況をそれではどうしたらいいかということになりますと、現状はそのとおりなのでありますが、なかなか対策といいますか考え方は難しいように思います。 先ほどから申し上げておりますように、アメリカの手法の一つの格付というものが日本に入ってきたわけでございますが、資本市場の大きさというか割合というか、こういうものは日本ではまだまだ小さいわけでございまして、いわば発展段階にあるわけでございます。世界全体で見ましても、間接金融が直接金融よりも非常に大きな割合を占めているのが大部分の国でございまして、資本市場ないしは直接金融が主流というのは、やや乱暴に言いますと、アメリカだけなのでございます。そこで発達した手法が今入ってきている、そういうことでございますので、いわば今、一種の学習期間といいますか、そういう期間にございまして、そういう期間の中でちょうど今、日本経済、日本金融が非常に問題のあるところにぶつかってしまったものですから、大変いろいろな問題が出ているということであるかと思います。 例えばアメリカの場合でございますと、先ほど申し上げましたように、投機的格付であっても、それなりの利息がついてそれなりの投資家がいる、こういう社会でございますから、投資適格の分野から投機的分野に企業が移っても、余りみんなびっくりしないわけでございます。 ところが、日本の場合は、非常にまだそういうところが、機関投資家あるいは一般の投資家の方々もなれておられないものですから、ある一定線より下に来ると、もう全部だめというようなことになってしまいまして、その影響が大きいということがございますので、この辺もだんだんなれていくというふうに考えていかなければいけないと思います。 いずれにしましても、御指摘ございましたように非常に、一部の格付会社の影響力というか、特に報道をされる状況が余りにも大き過ぎると思われますので、やはりそういう状況がバランスのとれたものになっていくというふうなことが必要であり、かつ、投資家の方も、だんだんリスクを例えば一定の線で切ってしまったりしないで、それなりの、何といいますか、階段状に考えまして、リスクが大きければそのかわり利息を余計もらう、こういうような連続的なマーケットができていくということが必要ではないかというふうに考えております。
○黒沢参考人 私は、日本では格付がプログラミング取引などにどのような影響を与えているかというのはまだわかりませんけれども、アメリカでは、社債に関する限りは、例えば格下げによってすべてそこから排除されてしまうということは常時起こることではございません。先ほど申し上げましたように、リスクとリターンの対応が崩れたときには、そういうことが起こるかと思います。 つまり、例えば非常に安全な投資ファンド、例えばトリプルAばかりに投資するという投資ファンドからは、格が下がれば当然そこから排除されるということになりますけれども、リスクの状況において高い利回りが提供されているという、その格付とリターンの対応ができていれば、低い格付でも投資の仕方によっては高い利回りが得られるわけですので、例えばジャンクボンドを主流にした投資ファンドなどございますけれども、そういうところはむしろ進んでとる。 問題は、格付で例えばリスクが四〇%というふうに出ているにもかかわらず、現実にはそれ以上のリスクが発生しているというようなことになりますと、おっしゃられたようなことが発生することもあるかと思います。
○古川委員 今のお話を聞かせていただきますと、増永参考人からもお話ございましたが、実は格付にかなり大きく左右されているのは、むしろ私は、欧米の投資家というよりも日本の機関投資家なんじゃないか。 ですから、今はちょうど変動時期であると思うんですけれども、まさに日本の投資家の場合には、格付が下がるともう突然その債券を買わなくなったりとか、そういう――今、格付機関に対する批判であるとかあるいはマスコミの報道というのがありましたが、先ほどの増永参考人の最初のお話の中でも、日本の格付機関の方が格付や信用が、日本のことをよくわかっているんだというお話がありましたが、そういうことが一番わかっているはずの日本の機関投資家の人たちがむしろ、そういう格付よりも、ムーディーズだ、Sアンド・プアーズだ、そういったような格付の上下に非常に左右されているんじゃないか。 ですから、そういった意味で、格付に一番左右されて、それが相場の、市場の変動を大きくしているのは実は日本の機関投資家ではないか、そのような感じもしないわけではないんですが、その辺については、参考人の方でもし、何か調べた、そういうものがありましたら、お話を伺わせていただければと思うのですが。
○原田委員長 増永参考人、簡単に願います。
○増永参考人 日本の機関投資家の運用態度といいますか、この辺につきましては、先ほど申し上げましたように、若干、あるレベル以下は全く見向きもしないというようなことで、ちょっと成熟段階にまだ到達していないなという気持ちがございます。 ただ、一方で、先ほど御質問がございました、日本の国債のムーディーズによる格下げ、このときには、ほとんど日本の市場では動揺がなかったのでございます。そのことは、一つは、海外の方の投資家がやや日本に対して悲観的に見過ぎるというか売り過ぎるというか、そういう傾向が現在あるように思われます。 そういうことがございまして、ああいうムーディーズの日本の国債の格下げがございましたときに、海外からもいろいろ照会等があったわけでございますけれども、あのときの日本の投資家の反応を見る限りでは、それなりに日本の投資家もだんだん成熟してまいりまして、必ずしもああいうものだけに振り回されるわけではないという段階にちょっと変わったかなという、これは私の感想でございますが、持っております。
○黒沢参考人 私も、ムーディーズなどの格下げ情報に日本の機関投資家などが過剰に反応したということはあったと思います。 原因は恐らく、信憑性のある情報、分析をした情報が非常に少ないために、それでそこについていかざるを得ないというような状況があったのではないかと思います。アメリカではそんなに格付だけが大きな影響を与えるということはございませんで、例えば、短期金融市場なら短期金融市場の観点からそこについての分析情報が出ていくし、株価については、株式の情報は株式のアナリシスの観点からの情報が出ていくという重層的な情報が構築される状況ができれば、そういう過度な影響を与えるということはなくなっていくのではないかというふうに思っております。
○古川委員 ありがとうございます。 時間がありませんので次の質問に移りたいと思うのですが、先ほども日本国債の格付の引き下げの話がありました。これは両参考人にお伺いするのがいいのかどうかわかりませんが、私は、格付というのは、ある国の企業はその国の国債の格付を上回ることはできない、そういう原則があるというふうに聞いておりますが、今や、国際優良企業のようなところは、国を越えて世界的に活動しているところがあるわけです。幾つもあるわけですね、大きなところは。 そういうところは、その国の信用以上にむしろその企業の信用があるということはあるわけでございます。特に債券の償還可能性という観点から見るのであれば、一方で国の方は大借金で将来危なくても、その企業についていえば、たとえそこに本社があろうとも別に、そこの国がもし何らかの形で破綻するようなことがあれば、本社を移してだって、そこの企業はちゃんと債務を償還できるということは十分想定できるんじゃないかと思うのですね。 そういった意味では、国債の格付の引き下げに伴って何か、日本の極めて世界的に優良な企業の格付まである意味で自動的に引き下げられるような、そういうことについては、これは、本来の格付、格付される債券を発行する主体、そこを見るという観点からするとややおかしいのではないかという気がいたしますが、その点に関しては両参考人の御意見はいかがでしょうか。
○増永参考人 今御指摘の点は、特にそういう傾向で世界の大企業が国際化する方向に動いていることは間違いないと思います。 それでは、どうしてその格付会社がそういうふうな上限を設けているかということでございますけれども、発生的には、もちろんそういう大企業といえども以前は国内の営業が多かったということでございまして、本部が国内にあって大部分の活動は国内であるということだったわけであります。そういうことが背景にあると思います。 それからもう一つは、例えば、そういう企業が外債を発行した場合にそれが償還できるかということになりますと、それは結局外貨建ての場合が多いというふうに考えますと、その外貨を企業が手に入れるためには、もちろん普通の場合は自分が海外へ輸出をしたりして外貨を手に入れるわけでありますが、最後のところは国内で、自分の利益なりで、つまり自国通貨で収入が入ってきてそれを外貨にかえて償還する、そういうメカニズム、これも従来といえば従来でございまして、今どんどん変わりつつあるのですが、そういうことのために、一国の例えば外貨準備高、そういうものが少なければどんなにいい企業であってもやはり外貨で払えないかもしれない、こういう考慮があったわけでございます。 しかし、先生の御指摘のように、だんだんそこのところが変わってまいりまして、例えば、これは一つの例ですが、アルゼンチンなんですが、ここにつきましては、アルゼンチンの場合は固定平価制度で、ドルに一対一で完全にリンクしてしまっています。そういう法律制度になっておりますので、そこのもとでは、今申しました外貨の制約というのはある意味ではないわけであります。したがって、ある格付会社は、そのアルゼンチンの場合は、場合によっては国の格付よりも、非常にいい企業であればそれを上にしてもいい、そういう考え方が出ておりますし、それからユーロ、ヨーロッパは、来年一月からユーロという新しい通貨が導入されて各国通貨がなくなるというか、それに完全にリンクいたしますが、そこでもやはり格付会社は、各国の、いわゆるソブリンと言っておりますが、ソブリンのカントリーリスクよりも上にそういう国際企業を格付することもあり得る、徐々にではございますが、だんだんこういうふうに変わってきておりますし、今後、日本につきましてもそういう考え方が導入される可能性は十分にあると考えております。
○黒沢参考人 私も、シーリングの考え方は変わっていきつつあるし、今後も変わっていくのではないかというふうに思っております。 もちろん、国内通貨につきましては既に国よりも企業の方が格付が高いということは当然あるわけですけれども、今のところ、外貨につきましては国のシーリングを超えられないということになっているわけですけれども、幾つかの例外がございます。 先ほどのアルゼンチンもそうですが、最近特に、格付の低い国の優良企業がそこの国で外貨建てを発行するとシーリングに――シーリングは外貨の監督権を国が持っているというところから発生しているものですから、格付の高い国にプロフィットセンターを置いて資金のやりとりは全部そこでやってしまうということになりますと、外貨のコントロール権のところから逃げてしまうものですから、高い格付が得られるということが現実に発生しております。多国籍企業などもだんだんそういうふうになっていけば、優良企業についてはシーリングという意味が次第に薄れていくのではないかというふうに思っております。
○古川委員 ありがとうございます。 時間がなくなりましたので最後にちょっとお伺いしたいのですが、国際金融情報センターの方では、増永参考人の方からお話がございましたように、今月末に格付会社に関するレポートを発表される。これがマスコミ等でも逆格付だというような話で、ムーディーズ等ともかなりやり合っておられるようでございますけれども、これが実際にどんな形のものとして発表されることになるのか。それをまた、どのように利用してほしいというか、使ってほしいというふうに情報センターとしては考えておられるのか。 これを出しても、要は、何か負け犬の遠ぼえみたいに、感情的に言っているみたいなふうにとられたのでは、せっかくいろいろと御苦労されてもまたこれは意味がありません。やはりそれはある意味で、格付会社に対する、そして格付に対する見方を、もっと冷静に使われるようになるように、そしてまた、このセンターから出されるものが、日本国内だけでなく、つまり国際的にもやはり信用されるものでないと、これは幾ら格付機関についてセンターの方で逆格付をされてああだこうだと言っても、資本市場の中でこれだけムーディーズ、Sアンド・プアーズに対する信頼が高くて、それによって圧倒的大多数の投資家が市場へ参加して投資活動を行っている、そういう状況の中では、この日本の国内でそういうことだけやっても、それが広がらないのであればそれはほとんど、効果がないと言ってはちょっと語弊があるかもしれませんけれども、そういうものに終わってしまうわけです。 そういった意味で、これをやはり信頼に足る、そして、かつ世界のマーケットの参加者に対しても何らかの信頼感のある情報として得られるような、そういう工夫をどのように考えておられるのか、そこについて最後にコメントをいただければというふうに思います。
○増永参考人 先生から大変力づけていただいて、どうもありがとうございます。 私ども、先ほど申し上げましたような問題意識を持って、今月の末に公表するつもりでございます。もともとは、私どもの会員の企業に配付することを考えておりましたが、いろいろ関心を持っていただきましたので、少なくもそのサマリーについては、インターネットの格好で入れたいというふうに考えております。 それから、海外に対する情報の発信という意味では、できれば、同時にこのサマリーの部分を英語にいたしまして、これも配付するとか公開する、そういうふうなことで、私どもの考え方といいますか、日本におけるこういう考え方の、一端ではございますけれども、そういうものを披露していきたいというふうに考えております。
○古川委員 ありがとうございました。
○原田委員長 次に、大口善徳君。
○大口委員 公明党・改革クラブを代表して、質問させていただきます。 まず、両参考人、お忙しいところをありがとうございます。皆さんの御説明は非常に参考になります。 そこで私からは、まず一つは、今古川委員からもお話がございましたように、JCIFで報告書を出す、サマリーを出す、それで国内の会社に、三百社に対してアンケート調査をやられている。そこに、格付産業の問題点について三つ、丸で囲んでください、問題点として囲んでください、こういう項目があります。ここに格付会社の問題点というものが出ているわけですね。 一つは、二大格付会社の影響力が過度に強まっている、格付会社間に健全な競争原理が働いていないのではないか。二番目に、格付マーケットの急速な拡大に、格付会社の体制、アナリストの量とか質が追いついていないのではないか。格付会社自身のディスクロージャーが十分でないのではないか。それから、格付の公表の際の説明が不十分、不適切であるため、投資家の混乱を招いているのではないか。格付会社の利益優先姿勢が格付をゆがめているのではないか。格付会社に対する政治、行政の影響力が格付をゆがめているのではないか。格付会社に対する規制、監督が不十分ではないか。投資家が格付会社の情報に過度に依存し、自身の投資判断を放棄する傾向にあるのではないか。こういう問題点をいろいろ、ほぼ網羅されているんじゃないか、こう思うわけでございます。 やはり、この根本としては、格付会社というのは民間会社である、一つは投資家の側に立つと同時に、依頼格付というものが出てきたために、発行者の側にも立って見る、発行者が依頼人でもある。そうすると、投資家と発行者の利益が相反するわけでありますので、その真ん中に立って格付会社として、格付会社自身もこれはいろいろ悩み多いことじゃないかな、こう思うわけでございます。 そこで、特にそういう格付会社の今挙げたような問題点についてどのように考えておられるか、簡潔にお答えください。
○増永参考人 先生御指摘のとおり、私どもの十二月末に出版いたします調査では、今のようなアンケートをやっております。詳細はその発表のときにごらんいただきたいのでありますが、私どものアンケートの全体の感じで申しますと、それほど規制とかそういうことに方向が行くというよりは、ともかく事実として米系二社の影響力が何か大きいなというような感覚でありますとか、あるいは説明が不十分でありますとか、そういうことが大きな割合の回答になっているように思われます。 この点では、確かに今先生おっしゃった一種の利益相反ということは起こり得るわけでありますが、これは、ある意味で申しましてそういう形のものとしてずっと発達してきたという事実があるわけでございます。それを例えば、何らかの規制で片方だけの仕事しかさせないというふうにいたしますと、今度はそういう形で、世界的に今広がっているいわば格付のマーケットにおいて、日本だけ非常に特殊なマーケットになる、こういうことになる危険もございますので、そういう私どもの評価等を格付会社がそれなりに消化してほしいと思いますし、あるいはその結果としての判断結果が正しいものであるかどうかというのは、私どもを含めまして、あくまでマーケットの批判によるというところが、やはりこういうグローバリゼーションの世界におきましては一番適当な対応ではないかというふうに考えております。
○黒沢参考人 私は、問題点としましては、格付は情報産業でありますので、情報産業というのは、産業の性格上、寡占化、独占化が起こりやすい産業であるというふうに理解しておりますので、特に格付は債券の価格等に影響を与えますので、それが独占化、寡占化しないような、常に競争を促進するという観点から注意をしていかなければならないということを問題意識として持っております。
○大口委員 特に、これからABSとかMBSとか、もうアメリカでは非常に大きな市場になっておるわけだし、日本もいろいろな証券化というような時代に入ってまいりました。ところが、こういうMBSとかABSというものを、仕組みをつくる段階で格付会社が入っているというのが現状です。しかも、それをまた格付をする、自分がつくったものをまた自分で格付する、こういうことが現実に起こるわけでありますけれども、これについてどういうふうにお考えでしょうか。
○増永参考人 確かに、こういう新しいABSというような市場が日本にできますためには、先進市場でありますアメリカ等の事例を参考にするということは当然あり得るわけでありまして、そういうところで今ノウハウを持っている機関といいますか、ノウハウを持っている会社の一つである格付会社がいわば商品を売り込んでくる、こういうこともあるように、先生御指摘のように聞いております。 ただ、その場合に、確かにそういう面がございますけれども、一方で、例えばそういう新しい市場におきましても、ほかのアナリストあるいは証券会社が、自分たちはこういうスキームをつくるけれどもどうだというようなことをもっともっと提案してくれれば、結局、今おっしゃったように、つくって、格付して、それを市場へ出すといういわば全部のプロセスが格付会社の一手に握られるということにはならないわけでありまして、これも黒沢参考人が言われましたように、やはりそういう部分においても寡占が起こらないように、競争が発達していくということが必要なように思います。
○黒沢参考人 アセット・バックト・セキュリティーズは、確かに、むしろどういうふうな仕組みをつくればトリプルAを与えられるかという観点から格付会社が参加しているというふうに理解しておりますけれども、企業金融と違いまして、アセット・バックト・セキュリティーズはまさに、実体のないと言うとちょっと言葉があれかと思いますけれども、あくまでも資産をバックとして資金調達をするものでございますので、その仕組みというのは非常に重要でございまして、デフォルトリスクを的確に測定するということが重要な問題でございますので、格付機関が格付を適切にやるということが大変重要な問題と考えております。 ただ、どこまでそれに格付機関が参加するかというのは、今後いろいろ考えていく必要もあるのではないかというふうに思っております。
○大口委員 次に、格付を下げるとか上げるとかということは、社債の問題だけじゃなくて、株価ですとか、いろいろな形ですごい影響を及ぼすわけでございます。そういうことで、格付の公表のあり方というのは非常に私は大事なことではないかと思います。 格付会社によって、その刊行物を購読する方に対してしか渡さないというところもあるでしょうし、インターネットで出すところもあるかもしれません。あるいは、世間に記者会見で公表するとか、いろいろ公表の仕方があるわけですけれども、例えば二ノッチ下げるとか、そういう情報を会社内で、格付委員会で決めた、そういう情報をちょっと漏らせば、受け取った方が株式市場に対していろいろ有利な取引ができるようになる。これについて、やはり証券取引の観点からいってインサイダー取引になるかどうかという問題も日本においてもあるわけでございますけれども、ここら辺の公表の仕方、それからその情報の管理、その辺非常にこれから大事になってくると思うんですね。それについてお考えをお伺いしたい。
○増永参考人 非常に、今の問題の重要性、先生の御指摘のとおりでございます。それで、こういう情報について、社内の管理というのは、私が聞いておりますところでは、格付会社の内規でそれぞれ非常に厳密にやっているようでございます。 問題は、外に出ていく経路といいますか、当然彼ら、こういう格付会社といたしましても、その一番大事な商品でございますから、勝手にその社内の人間がだれか勝手な人に、外部の人にそういうものを、特に格付発表の事前に渡すというようなことは禁じているはずでございます。 いずれにいたしましても、こういう内規をどういうふうに厳密にしていくかというようなことは、今後非常に大事なことではないかというふうに考えております。
○黒沢参考人 私も、情報の伝え方というのは非常に重要だと思っております。先ほど申し上げましたように、投資家に対する情報の与え方というものが、その効果というものが昔と変わってきております。昔は、定期購読者に知らせて、市場にそれが価格として出る前にその格付の定期購読者は行動することができたわけですけれども、現在は、ほぼ同時に、ワイヤでつながって市場にも伝わるということになってまいりますので、情報の管理のされ方というのは市場と一体化しておりますので、定期購読者であるメリットというのはどこにあるのか、それから、その定期購読者だけが情報を知るということがいいのか、あるいは市場にプレスリリースなどを含めて知られた、公表された情報との関係がどうであればいいのかというのは、非常に重要な問題になってくると思います。
○大口委員 それから、これは格付会社の営業政策の問題でありますが、勝手格付をして、ちょっと辛目に格付をして、そしていろいろな有利な情報は聞いてあげますよという形で依頼格付に持っていくというようなことが、事実かどうかはわかりませんが、そういう可能性はあると。そういうことについて、アメリカで、司法省ですか、公取委員会で、JCIFのレポートにおいても、アメリカでも問題になっているようでありますが、そのあたりのことについてどうお考えなのか。 そしてもう一つ、やはりそういう点で、格付会社に対するモニタリングとか、あるいは批判的な勢力の存在というのは大事なわけですけれども、JCIFの立場、今、ムーディーズと論争されているようですが、JCIFはムーディーズから要求された情報公開もして、言いっ放しじゃなくて、ムーディーズとどんどんやっていただいて、詰めて、そしてお互いに情報公開し、そしてJCIFとしての、批判勢力としての存在、非常に大事だと思いますが、その点についてはどうお考えですか。
○増永参考人 いろいろ報道されておりますように、確かに今の私どものレポート作成に当たりましては、ムーディーズとの間にいろいろやりとりがございました。しかし、その経緯を通じて、今先生がおっしゃっていただきましたように、お互いに言うことは言うということで、例えば今回の最終レポートの作成のところでも、事実の誤認等がないように、向こうに、これはムーディーズだけでございませんで格付会社全部でございますが、そういうところにドラフトを見てもらうとか、いろいろそういう工夫をしておりまして、今後とも、私ども微力でございますが、そういう形で日本の金融界あるいは産業界の声をくみ上げて、大いに格付会社と議論していきたいというふうに思っております。
○黒沢参考人 アメリカでは、勝手格付によって低い評価をされてしまったために資金コストが上昇したというときに、損害賠償請求を格付機関に対してするということは常識になっております。したがって、現実に幾つも発生しておりますから、格付会社の方も、勝手格付においても非常に慎重にやるわけでございますが、日本でも、やはりその格付の結果をほうっておくのではなくて、企業が損害を受けたと思ったら、やはりそれなりの行動をとるべきだろうと私は思います。 ただ、格付の制度を考える場合に、今や格付は投資家だけのものではなくて、金融制度の一つの重要なインフラになってきつつありますので、やはり勝手格付をしていいのかどうかというのは慎重に検討すべきではないかというふうに考えております。
○大口委員 では、以上で終わります。ありがとうございました。
○原田委員長 次に、佐々木洋平君。
○佐々木(洋)委員 両参考人の皆さんには、早朝から大変御苦労さんでございます。 先ほど貴重な御意見を賜りました。早速質問したいと思います。 両参考人にお伺いしますけれども、今、それぞれの委員からいろいろ御質疑があったわけですけれども、いずれこの格付のニュースが流れて、それによって株価が大いに変動する、大変な状況でございます。山一証券の例に見るまでもなく、株価が大幅に下落をする、そうしますと、当然ながらどうしても資金調達が難しくなるという状況にあるわけでございます。そもそもこの格付会社というのは、先ほど来いろいろ話があったとおりでございます、まさに指標にすぎないわけでございますけれども、それが企業の生死を決めるような指標にまでなっているのだと。これは異常な状況かと思います。 これは、今までいろいろ質疑があったわけでございますけれども、私も最初は、何か公的機関かなというふうに感じたこともございます。といいますのは、一株式会社でございますので、普通ですと格付会社という表現になると思いますけれども、マスコミ等では格付機関ということを言っておるわけでございます。マスコミも非常に敏感に反応する、この辺が非常に問題なのかなというふうに思います。 また、この格付の最大のインパクトというのは、やはり金融機関、金融市場にあるんだろうと思うんですね。預金者も、やはり格付が低い銀行から高い銀行へ預金を移すということも当然あるわけでございます。今回、日本の場合は、金融機関の不良債権問題というものが、非常に情報が薄かった、示さなかったということで、余り信用できないというようなことで、これらが、投資家もですけれども、預金者もこの格付を一つの判断の材料にするという状況もあったかと思います。ディスクロージャーの不足、あるいはまた投資家のリスク管理の未熟さというものが、今回のこういうことでクローズアップされているのではないかなという感じがします。 そういう辺も含めて、今、この勝手格付の件についていろいろ話がございまして、依頼格付と差違があるという話がございました。手数料の支払いを求めるといったようなこともあるやに聞いておりますけれども、やはり何といっても、格付会社、顧客が株式会社の収入になっているというところに問題があるのかなと思います。 しかし、考えてみますと、この株式会社も、顧客といいますか、いずれ格付会社も利潤を追求する、これは株式会社でございますから当然でございます。と同時にまた、公平で公正な格付という両面があるわけでございまして、少しでもこのバランスが崩れると、例えば利潤を追求するというところにウエートがかかりますと、これは当然市場から信用を失う、当然倒産ということになるというふうに思います。そういったいろいろな問題も含まっておるわけでございます。 そこで、格付変更をした場合に、どうしてこのようになったのかという説明が不足しているということもよく言われます。この辺を両参考人あわせてお伺いしたいと思います。
○増永参考人 ただいまの先生の現状の御分析は、全く私どもの認識と同一でございます。 最後の、格付会社が格付変更した場合の説明不足ということでございますが、これは先ほど御質問がございました、私どもの今度発表いたしますレポートの中のアンケートでも、そこのところがかなり問題視されております。質問としては、私ども特に外資系と日系というふうに区別して聞いていない場合もございますけれども、その言わんとするところは、外資系の方に特に説明の不足があるというような指摘がございます。 もともと格付というのは、格下げをされた場合には、格下げされた会社は、そうですかというふうにはなかなか言いにくいといいますか、言いたくないということもございますし、その意見の違いというところが最後まで残ってしまうところは、立場の違いで当然あり得るわけでございますが、それにしましても、全体観察といたしましては、やはり日本の格付会社の方が、より努力して、例えば格下げする場合に企業にわかってもらう、そういうふうなことはやはり傾向としてはあるのではないか、こういうふうな印象を私ども持っております。 こういう点につきましては、それが事実でありましたら、やはり外資系の格付会社はそういう意味でもっと勉強をするというか、実際にプラクティスを変えてほしいというふうに考えております。
○黒沢参考人 格付が変更されますときに、特に格下げのときが問題だろうと思うのですけれども、発表のされ方は二種類ございまして、一つはプレスリリース、それから定期購読者に対して報告されるという両方のものがございます。 プレスリリースの場合には、おっしゃられるとおり非常に簡単なものでございます。ただ、定期購読者に対してはかなり詳細なレポートが送られる。これは、格付会社によって多少の違いはございますけれども、詳細なレポートが送られる。これは主として投資家ないし金融機関でございます。 したがいまして、投資家の方はかなり知ることができるのですが、問題は、プレスリリースで格付記号が発表されますので、それによって投資家以外の者がそれを問題視するというところがあるのではないかと思います。これは先ほど言いましたように、もっとほかの観点からの情報が重層的に出てくるということが、それを解決する一つの道ではないかと思っております。
○佐々木(洋)委員 どうもありがとうございます。 それでは、ちょっと視点を変えましてお伺いしたいと思うんですが、金融機関に対して公的資金を注入したというその関連に、銀行が発行する優先株を国が買い取って資本注入をする、こういうことでございますけれども、金融監督庁の考え方といいますか、腹の中には、いずれそれをどういう形にせよ返済をするとかそういうことがあると思うんですね。タイミングを見て、ある金融機関が、銀行がいい状況になった場合に返済をさせる、株券を売るのかどうかそれはわかりませんが、そういうことがあり得るわけですね。そういう腹があると思います。 海外では、こういう優先株の理念というのは多少違うだろうと思います。返済という理念というのは、資本性が本当にあるのかという考え方がアメリカではあると思うんです。 例えば、スタンダーズ・アンド・プアーズ社では、優先株については資本勘定を二五%しか見てないんですね。そうなりますと、この背景は、要するにアメリカでは、優先株というのは資本と負債の中間という位置づけになっておるわけでございます。 そういうふうなベースがあるということをひとつ認識に置いて、せっかく、公的資金を注入するんだ、そして日本の銀行を信用力を向上させよう、こういうことを我々は願っておるわけでございますけれども、実際はその効果は少ない。返済という言葉がもしこの中にありますと、これは逆に、格付会社から格付は下げるべきだという議論になりかねないのではないかなと思いますが、こういった考え方に対して、両参考人の御意見を賜りたいと思います。
○増永参考人 今先生の御指摘のございましたように、格付会社の方でもこの両者については差異を設けて考えているようでございます。 ただ、この点ちょっと、私は専門家でございませんので直接の回答にはならないんでございますが、金融危機というのは世界各国で起こっておりまして、特に、例えばスカンジナビア諸国の場合でございますね、これは、普通の株式の発行といいますか、株式を買い取ってそれを国有化して、それでまたそれを後に売り出したというようなことで、結果的には国の負担が非常に少なく済んだというような事例もございます。 ちょっと先生の御質問には直接の回答にはならないのでありますが、そういう形で優良銀行に新しい資金を注入する方式あるいは株式を買い取る方式、いろいろございますので、そういう選択肢の中で最善の方法をとられることがよろしいのではないかというふうに考えております。
○黒沢参考人 スタンダード・アンド・プアーズが優先株については二五%しか資本として見ないというのは、それはそうだと思います。 優先株、いろいろな形態があるかと思いますけれども、オーソドックスには、例えば株式ではありますけれども配当率を一定の値で約束しているというのが通常の優先株でございます。そうしますと、やはり利益が減少してもその分確定的に配当していかなければいけないという約束が行われておりますわけですから、つまりリスクを負担する株式としては一〇〇%評価できないというふうなところから、二五%というふうになっておるのだろうと思います。 これから日本の優先株がどういう形になるかわかりませんけれども、その優先株の形態によってそれは評価すべきことだろうと思います。一律に何%ということにはならないのではないかというふうに思います。格付機関が優先株を格付するというのは、その確約した部分をどれだけ確実に払えるかということを格付しているわけでございます。
○佐々木(洋)委員 再度黒沢参考人にお聞きしたいんですが、日本の優先株は、法律上も会計上も、普通株式と同様に資本として日本の場合は取り扱われておるわけですね。そういう仕組みになっている。これはドイツ式といいますか、ドイツから入ってきたと思うのです。 ところが、今のようなお話ですと、海外の格付会社がその辺の、日本とアメリカあるいはイギリスとの株式の考え方の差異というか、違いが出てきておるわけですね。そういうものをやはり格付会社に対して日本はきちっと説明をするという責任はあるのかなと思うのですが、この辺はちょっとどうでしょう、お伺いします。
○黒沢参考人 おっしゃられるとおりだと思います。格付会社は、どれだけ資本として評価するか、あるいは評価しないかという場合には、きちっと説明する必要がございます。
○佐々木(洋)委員 以上で終わります。ありがとうございました。
○原田委員長 次に、中林よし子君。
○中林委員 日本共産党の中林よし子でございます。よろしくお願いいたします。 ことしの四月四日の産経新聞によりますと、市場関係者は、国債を買っているのはほとんど日本人で彼らは格付には左右されない、こう語って、実際の影響はないという見方を示しています。ただ、この格付変更がきっかけとなって円、株、債券のトリプル安が起きたのは事実だ、問題は、海外勢を中心とした投機筋が特定の通貨や株を標的にするとき、格付機関の判断は絶好の材料となるということにあるのではないか、こう論じているわけですね。 そこで増永参考人にお伺いするわけですけれども、一九八九年の十月二日付の日本経済新聞の「経済教室」欄、ここに「国際的重み増す東京外為市場」という題で論文を執筆されておられます。 この中で、「市場の国際化、取引の多様化に的確に対応していくことが肝要である。」こう主張されて、この論文の中で、「この間、輸出入やサービス貿易などもかなりの伸びを示した。だが、これらのいわば非金融取引に裏打ちされた外為取引よりは、むしろ通貨の売買そのものを目的とする純粋なファイナンシャル取引が東京市場の主役になりつつある。」「それだけに、時として為替相場がファンダメンタルズからかい離して、実物経済に好ましくない影響を及ぼすこともあり得るという点に、十分留意しておく必要があろう。」こういうふうにおっしゃっているわけですね。 こういう観点から、十分留意して的確に対応するためにはどういうことをしたらよいとお考えなんでしょうか。
○増永参考人 以前書きました小論文にお目通しいただいて、どうもありがとうございます。 そのときに書きました状況は、全く変わっておりません。といいますか、あるいはむしろ、東京の為替市場あるいは世界の為替市場で、実物取引よりも金融的ファイナンシャル取引のウエートが非常に大きくなっているというのは紛れもない事実でございます。 それで、従来は、こういう資本取引というものがもうどんどん、新興、途上国も含めまして自由化していくということが全く世界の経済のためにいいのだといういわば基本哲学でもって、世界の金融、あるいは当局も含めて考えてきたわけでございますが、やはり昨年のアジアの通貨危機、これは私、冒頭の陳述で二十一世紀型の危機と申しましたが、そこでは、いろいろな特徴がございます。やはり非常に大量の資金があっという間に入ってきて、あっという間に出ていく、こういうことが果たしてそれぞれの国の経済、福祉のためにいいのだろうかという疑問も出てきているのは事実でございます。あるいは、為替相場が大きく乱高下するということの問題点。 ただ問題は、問題点としては非常にみんな意識しているわけでございますが、ではどうするかということになりますと、正直申しまして、なかなかいい答えがございません。 ただやはり、例のヘッジファンドで、大きく一部の人がもうけて、その結果として非常に多くの人数の国民が影響を受けたということはあるわけでございますから、例えばヘッジファンドというようなものの行動についてもっと監視をするというようなこと、あるいは今までは資本規制は全く、どちらかといえばやめた方がいいということでありましたが、必要に応じて資本規制をすることもやむを得ないのではないかとか、あるいは特に途上国の場合は、国内の金融システムが十分にきちっとできていないときに対外的な自由化だけ先行するのはまずいのではないかとか、いろいろ反省があるようでございます。 それからもちろん、そういう投機的な資金に対して十分なお金を国際的にあるいは地域的に用意しておくとか、さまざまなことがございます。 それからあるいはもっと根本的に、国際通貨制度というものを現在のフロートという制度からもう少し規律あるものにできないかというような考え方も出ておりますが、この最後の点につきましては、なかなかコンセンサスというものは得られないと思います。つまり、資本の方は、悪いときはその資本の動きが悪者にばかりされますけれども、実際、そういう資本の動きがありまして、それで途上国にお金が入ってきて、その結果途上国の経済が発展したということも事実として相当あるわけでございますから、そういうものを一切規制してしまうということになりますと、そういう資本のいい効果も殺してしまうことになりかねない、こういう問題であります。 ただ、先生御指摘のとおり、ちょうど十年近く前に比べますと、そういうことについて、つまり資本の規制とかあるいは自由化一辺倒でいいかということについて、大きな反省を私もしておりますし、世界的にもそういうことが起こっているというふうに思います。
○中林委員 マスコミ論評で、今回格付が下がったということに対して、こういう指摘があります。「格付け機関の判断が投機家の格好の材料になったわけだが、政府や自民党トップが景気対策に言及しても冷ややかな市場の“過剰反応”は、日本の政策決定機関への信頼が完全に失われていることを図らずも証明した。」「かつては市場が最重視していた大蔵省・日銀の首脳発言も相次ぐ不祥事で国民の信頼をなくしたのと足並みをそろえるように、市場の信頼も失ってしまった。」「ムーディーズが日本の格付けを引き下げる可能性を示したのは①これまでの景気対策が失敗し経済活動が低迷している②財政再建ができるかどうか不透明だ―などのためだ。」こういうふうな指摘をしております。 私はこれは的を得た論評だというふうに思うわけですけれども、お二人はこの点についてどのようにお考えか、あともう残り時間わずかなので、簡単にお答えいただければと思います。 〔委員長退席、鴨下委員長代理着席〕
○増永参考人 日本経済が今大変難しい状況に至っていることは事実でございます。 ただ、私の考えといたしましては、格付というのはあくまで国債の償還能力についての判断というふうに考えております。もちろん日本の経済の現状あるいは将来の高齢化、そういうことが日本の財政状況等に大いに影響するわけでありますけれども、通常、格付というのは大体先行き五年を見通して行うということでございまして、その五年間の間に日本の国債の返済について問題が起こるか、こういうふうに問題を限定して考えてよろしいのだと私は思います。 そうしますと、対外資産の大きな存在、あるいは今の、今後も続くと思われる対外黒字、あるいは貯蓄の状況、これはこの五年間ではそう大きく変わるとは私は、まあ私見でございますが、考えておりませんので、そういう観点から、このムーディーズの格付変更には同意しかねるというのが私の考えでございます。
○黒沢参考人 私は、ムーディーズの格下げの理由も、それからスタンダード・アンド・プアーズ等が格下げをしない理由も、それはそれなりに一つの意見として十分受けとめられる事柄だろうと思います。 むしろ、格付はそれほど日本全体にとって重要なことではありませんで、もっと重要なことがいっぱいあるので、やらなければならない政策は、格付が下がっても、それは政策によって得られる利益の方が大きければそちらをした方がいいわけですから、我々も、プラス、マイナスを考えた上で、そんなに過大に反応する必要はないのではないかと思っております。
○中林委員 終わります。ありがとうございました。
○鴨下委員長代理 次に、保坂展人君。
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。 まず黒沢参考人に伺いたいのですが、今回の国の格付、ソブリンレーティングに関して、ムーディーズの方は、グロス、総債務でこの財政状態を判断しているのではないかというふうに言われていて、ネットで見るともう全然内容が違ってきてしまう。S&Pの方は純債務で判断をしているようで、それによって評価が違ってきたのではないかと言われておりますけれども、いわばそういった判断基準というのは割と単純な内容だと思うのですけれども、なぜムーディーズがそういう基準で国の格付をしているのかということについて、簡単にお考えを教えていただきたいと思います。
○黒沢参考人 ムーディーズは、総債務がいろいろな国の行動に影響を与えるというふうに考えていることは確かでございます。そのように、おっしゃられるように出しております。私は、先ほど申し上げましたように、それはそれで、考え方でいいだろうと思います。恐らくムーディーズは経験から、そういう事例が過去にあったということでそういう考え方をとられているのであろうと思います。 ただ、いずれにしましても、トリプルAとダブルAプラスというのはどちらもデフォルトにはならないということで、非常に微妙な差なわけでございますね。その辺を判定するのは非常に難しいことでございますので、その差を一つ、二つの指標から割り出すというのはなかなか難しいことだろうと思っております。どちらがいいかというのは、ちょっとわかりません。
○保坂委員 それでは増永参考人に伺いますけれども、国際金融情報センターで間もなく格付会社についてのレポートが作成されるということが先ほどありましたけれども、ムーディーズの日本支社、ムーディーズ・ジャパンの方で、これに対する何か声明文というものがつくられたというふうに聞いています。その声明文の内容は、やや感情的な部分もあるかと思いますけれども、金融情報センターの方のスポンサーや役員の実態はどうなのかとか、あるいは政府及び関係機関とどのように関係があって、また資金やあるいは人的な接点がどうなのかと、かなりたくさんの項目にわたって聞いているように思うのですが、これに対してはどういう対応をされてきたのか、お答えいただければ、教えていただければと思います。
○増永参考人 私どものレポート作成の過程におきまして、ムーディーズ初め東京で指定されております七社とそれぞれ連絡をとりまして、公表されているものだけでなくていろいろな情報をできれば聞かせてほしいということを言いまして、それに対して、どうぞどうぞというところから、いろいろな反応があったわけであります。今御指摘のムーディーズにつきましては、向こうから、ではJCIFについてのいろいろな情報を欲しいということを言ってきたことも事実でございます。 それに対しまして若干のいろいろなやりとりがございましたが、最終的には、私どもがつくっておりますこういう、私どもの紹介のパンフレットでございますが、これを先方に渡しまして、それから、先ほども申しましたように、最終レポートの一種のチェックもお願いした、こういうことでございます。それで向こうは、わかりました、それじゃ自分たちもできるだけ資料を出したり協力をいたしましょうということになっております。 そういうことでございますので、私どものここに書いてある内容、これはインターネットでも載せておりますけれども、例えば、私ども財団法人でございますので、出捐金という項目がございますが、その総額が十八億円でありますとか、職員が約百名ちょっとでございますが、そういうものでありますとか、出捐会員、これは普通の会社でいえば株主でございますが、株主がどこでありますとか、そういうようなことは先方に行っておりまして、先方はそれ以上の情報を求めてきておりませんので、一応これでこの件は済んでいるというふうに考えております。
○保坂委員 それでは、もう一問増永参考人にお願いしたいのですけれども、この格付、勝手格付と依頼格付というのは、格付会社の側からは同じなんだ、つまり、もともと勝手にというか、投資家のためにつけていた格付、それが依頼ということになっても、それが変わるようではその信頼性が保てないということだと思うのです。 日本の銀行とか金融機関に、格付会社、外資系の格付会社のいわば営業の方が来て、近く格付を発表する、御社は依頼するかどうか、依頼した方が内部情報としてプラスのものも出てくるかもしれないからというふうな営業があって、慌てて契約に走るというようなこともあるやに聞いているのです。そうなると、本当に勝手格付と依頼格付は違うのか、あるいは格付をもうしちゃってから営業しているのかとか、いろいろ疑問がわいてくるわけですが、そのあたりはいかがでしょうか。
○増永参考人 ただいま先生がおっしゃったようなことは、風評といいますか、お話としては聞かないことはないのでございますけれども、これは逆に、格付会社の方からいいますと、まさに営業政策の中身でございますので、外からはその真偽のほどというのが全くわからないのが事実でございます。 ただ、そういう一種の、全体についてではないと思いますが、格付会社に対する、特に勝手格付に対する不信感というものが気持ちとしてはあることは事実だと思われますので、この辺もまた今後十分いろいろな形で調べていきたいというふうに考えております。
○保坂委員 両参考人、どうもありがとうございました。これで終わります。
○鴨下委員長代理 参考人に対する質疑はこれをもって終了いたします。 両参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。 どうぞ御退席をいただいて結構でございます。どうもありがとうございました。 ―――――――――――――
○鴨下委員長代理 引き続き、政府に対する質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。栗本慎一郎君。
○栗本委員 自由民主党の栗本慎一郎でございます。 時間がわずか二十分でございます。私は現在も大学教授でございますが、講義の時間にも余りにも短いし、質問の時間にも短くございます。そこで、深い含蓄を秘めながら、極めて短く御質問を申し上げますので、お答えの方も、含蓄のないのに長いというようなことのないように、いろいろ思いがあって、思いを述べられたい部分もあると思いますが、ぜひそのようにお願いしてまいりたいと思います。 まず第一に、全体の認識なのでありますけれども、証券市場、株式市場にかかわる相場の操縦ということが、世界のさまざまな犯罪の中でも今最も巨悪な犯罪であるというふうに私は考えています。 かつて、他国の財物を搾取するのは、マルクスの生きておりました時代は、まず第一に、軍隊を派遣し直接これを略取することであり、次に、進歩の美名のもとに不要なもの、例えば鉄道とかを無理やり、それに関連する施設を含めて買わせ、それを支払わせるという形でありまして、イギリスがアルゼンチンやインドに対してやったようなことであります。 それから時代は変わりまして、現在は、まず第一に、短期資本をツールとしてこれを出し入れすることによってその国の財を搾取するということが、これは現在も行われております。韓国を含みます東南アジアの経済危機、通貨危機の直接のきっかけ及びその軸になりますものは、短期資本の無謀な出し入れ、出入りであったと思います。 ところが、それ以上に実は大きな意味を犯罪的にも持っておりますのが、証券市場の操作だと思います。これは、現在の世界の中で、例えば我が国がことし四十七兆円の税の収入が見込まれる。つまり、日本という国、GDP五百兆円の中でも、一年間で実体経済から拠出できる分が四十七兆円であるということを意味し、これは言うまでもない、一年間であります。株式市場の時価総額は約三百兆円、切ったりしますが、平均株価千円当たりにしますと二十兆いかない、大体十八兆だったり十九兆だったり、時価でございます。 ところが、世界の株式市場に対して動いている投機的マネーが、それは正確には言えません、しかし二千兆は最低あるだろうと言われているし、あります。それから、一日二百兆以上動いている。これがある国を、例えばロシアがそれで破綻をしたわけですけれども、そこに動いて攻撃をするというふうな意図を持って行うことがあれば、これはSF以上の恐ろしい効果をもたらすし、現実にそういったことはあるのではないか、強い疑いを持っているわけであります。世界を破綻させるというより、要するに金のためにというだけのものであります。 そこで、大蔵省にお聞きしたいと思うのですけれども、相場の操縦というのは、この問題に関する法律は証券取引法でありますけれども、みずからの利益を意図したところの相場の操縦、あるいはそれにかかわる風説の流布は犯罪になると思います。一般論として、今相場に非常に大きな影響を持つ――それは国民が悪いんだ、そんなお話もありますし、もうちょっとしっかりすればいいじゃないか、ばかが利口になればいいじゃないかという意見もありますけれども、非常に大きな、国債も含んで、有価証券の市場を動かすのが格付機関、格付会社ですね。新聞ももう会社というふうに書いています。公的なものではないわけです。これの発表なり、またそれが例えば事前に一定の意図を持って流される等のことがあった場合、それは犯罪に当たるのではないか、それは取り締まることができるのではないか、あるいは取り締まるべきではないかというふうに考えるわけでございますが、大蔵省の御見解をお伺いしたいと思います。
○伏屋説明員 お答えを申し上げます。 今委員が言われました、いわゆる相場の操縦とか風説の流布についてでございますが、証券市場に対する信頼を確保するためには、市場の公正性、透明性の確保が大事でございまして、相場操縦とか風説の流布のような証券市場の公正な価格形成をゆがめる不公正な取引に対しましては、証券取引等監視委員会等によりまして、法令に基づき厳正な対処が行われるものと考えております。 このような観点から、先般成立いたしました金融システム改革法におきましても、いわゆる空売り規制等について証券取引法の改正を行ったところでございます。
○栗本委員 実は、一般的に不正なそうした行為が取り締まれるとおっしゃいますけれども、証券取引法を見ますと、インサイダー、会社の関係者は、相場の操縦をして、みずから売り買いしたらいけないというふうに規定されていますが、他人を経由した場合にどうなるのかというのはちょっと、もっと法令をきちんとしなければならないというふうに思うわけであります。 またそのことをお聞きしますと少し長くなってしまいますので、現実に証券取引を監視している証券取引等監視委員会、以後監視委と申し上げますが、監視委の現状についての御見解をお聞きしたいと思います。
○舩橋説明員 お答え申し上げます。 当委員会といたしましては、常日ごろから有効な情報を収集いたしまして、またデイリーに相場を見ております。 特に、委員御指摘のインサイダーのようなケースにおきましては、規制の対象となる重要事実の公表前に不自然な売買が行われたかどうか、そういったことについて、デイリーの市場監視の中でチェックをしております。そしてまた、必要に応じて強制調査権限等も行使して厳正な対処をしているところでございまして、今日までのところ、インサイダーにおきましては、九件の告発を検察当局に対していたしているところでございます。
○栗本委員 九件というのは、平成四年からでございますか。
○舩橋説明員 そのとおりでございます。
○栗本委員 実態に比して非常に少ないと思います。これは、サボっていられるのか、何か機構的あるいは予算的欠陥でもあるのか、後ほどお聞きしたいと思います。 今のをちょっと整理しますと、インサイダー取引は九件、多い少ない、私は少ないと思いますけれども、告発されている。だけれども、それは「会社関係者等」というふうになっているのですね。この「等」というところに例えば格付会社のようなものが入るのか入らないのかというと、ちょっと難しいところも出てくるだろうと思います。 けれども、もう一つは中身があります。中身において、決算情報等をいろいろ流してはいけないということがあるけれども、最後にバスケット条項という形で、一般論として、会社の運営、業務または財産に関する重要な事実であって投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの、これを流してはいけないということです。 私ははっきり、もし意図的に格付会社が――傍聴人の方もおられますので誤解されるといけない、もしということですけれども、ここに入ると思いますが、この「会社関係者等」というところが、どうもやはり法的には「等」になるかどうかというのは難しいだろうと思います。 それで、今度は逆に風説の流布というのは、同じく証券取引法の百五十八条にあるわけですけれども、ここにははっきり、「有価証券等の相場の変動を図る目的をもって」、こういうことが記載されているのですが、その後に続くのが、条件規定ができてしまいまして、「風説を流布し、偽計を用い、又は暴行若しくは脅迫をしてはならない。」三番目のことはちょっともう問題外として、風説の流布、偽計を用いというのは、恐らく、告発をする、裁判に持ち込まれる、非常に難しいのではないかと思うわけなんですけれども、その辺、短く、いかがでしょうか。
○舩橋説明員 お答え申し上げます。 ただいままさに委員御指摘のとおり、特にこの風説の流布の条文につきましては、「有価証券等の相場の変動を図る目的をもって」という目的規定がございます。これは、私どもも大変悩んでいるところでございますけれども、実際に、裁判等の立証に当たりましては非常に難しい問題があるというふうに認識しておりまして、私ども、先ほど申し上げましたが、インサイダー九件ということですが、風説の流布については二件告発をさせていただいております。
○栗本委員 非常に不十分だというふうに思うのですね。だけれども、法律の方に問題がありまして、おれは風説を流布していないんだと言われてしまえば起訴に持ち込むことも非常に難しいというところもあるだろう。この辺について、どうすればいいのか。実際にはそれは行われている、私はもうそういうふうに断定をしてもいいと思います。 実際、証券関係の雑誌とか新聞等を読めば、そういうことが行われているということを前提にして記事が書かれているし、個人投資家よりもう少し規模の大きい投資家は、それを計算に入れながらやっている。ということは、社会的には、そういったことはあるということがもう認知されている。それを捕まえると言うとおかしいですけれども、法的にも余りにも甘過ぎる、またハザードが大き過ぎると思います。その辺についてどうすればいいかをちょっとまた後ほどお聞きしたいと思うんですが、本日は格付の問題であります。 格付の問題は、風説の問題の前に相場の操縦だというふうに思うんですね。相場の操縦ということに関して監視委はこの間一体どの程度働いてきたのかというと、風説の流布が九件でしたね。相場の操縦というのは、一体創設以来何件取り締まってこられたのか。
○舩橋説明員 お答え申し上げます。 相場操縦につきましては、日本ユニシスという会社の株の相場操縦一件について告発いたしました。
○栗本委員 一件。冗談じゃないというふうに思うんですね。実態と余りにもかけ離れているじゃないか。しかもそれは、具体的なある会社のある株についてと。 だから相場という言葉も、ある株の、例えば自民党株式会社という株についての相場というような意味と、それと相場全体、平均株価一万四千だ、三千だ、二万だという、これも広い意味の相場だ。こっちの方がもう言うまでもなく大きく、今国家経済の財を搾取する最大の手段になっているという中で、それは何もやってないということですね。そういう疑いがあっていろいろやったけれども、法律上の問題があってできないのか、あるいは無能なのか、それとも人が足りな過ぎるのか、その辺のところはいかがでしょうか。 まず、大体監視委員会というのは、もちろんおよその歴史は勉強させていただいた上で質問しているんですが、一体何人の、どういう構成でやっていらっしゃるのか、お聞きしたい。
○舩橋説明員 お答え申し上げます。 私ども、ただいまおしかりを賜りましたけれども、御指摘のございました、最近における国際化、それから証券取引の高度化、これは金融システム改革法の施行等によりまして大変高度化をしておりますが、そういったことを踏まえまして、人員の、あるいは予算の確保に努めてまいってきております。 人員につきましては、これは地方の財務局に私どもの仕事をしていただいている職員がおりますけれども、地方の財務局を合わせまして現在二百二十六人だったと記憶しております。 予算については、人件費を除きまして、十年度でございますけれども、三億八千万程度の予算をちょうだいしているところでございます。 これらの人数、定員、予算の確保につきましては、関係当局の御理解を求めつつ、今後とも一層の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
○栗本委員 全部で二百二十六、うち大蔵省の所属ということとなる人を含んでいるんですね。お聞きしておいて言うのもなんですけれども、委員会自身の職員は、百人いない。財務局から時に応じて借りる。常に借りられるわけじゃない人が百二十何人、百三十人を切っている。何もできないんじゃないですか、はっきり言って。できないものならやらない方がいいんじゃないか。あるという格好になっているだけだったらば、一応ありますよというふうに言えるから、逆にいけないと思う。なきゃもっと反省します。そう思うんです。 この監視委ができたときにいろいろな議論がありました。私も覚えておりますけれども、やはり何よりも日本の証券会社が損失補てんをやっていたということが外国発で大きな問題になりまして、当然そういうことであれば、アメリカにこれに当たるSECというものがあって、そういうものが日本にないじゃないかということでだった。ところが、悪い癖で、形だけ、看板だけ掲げればいいんだと。監視委がどこにあるかは、私は経済企画庁におりましたので近かったからよく覚えているが、多くの方はほとんど知らないんじゃないかと思いますね。 SECというのは、お聞きするのもなんですけれども、証券市場の規模が日本よりもちろん大きいわけですし、取引額も大きいわけですが、十倍、二十倍というわけではない。それは三倍とか二倍とか四倍とかで、すべてのものが入っているんですが、十数倍の職員がいるんじゃありませんか、SECには。 それと、人数だけじゃなく、権限。先ほど法律のことをお聞きしたのですけれども、権限も違うんじゃないですか。今、告発されたとおっしゃいましたけれども、監視委の場合、告発というのは具体的にどのように、もし、捕まえた、これはいかぬと、どういうふうに行われているんですか。そこのことをちょっと、違いも含めてお聞きしたいと思います。
○舩橋説明員 お答え申し上げます。 ちょっとその前に、申しわけございませんが、正確には百二十四名でございます。申しわけございませんでした、二名間違っておりました。失礼いたしました。 SECがそれではどれだけの人数がいるかといいますと、九八年度の定員で三千三十九名でございます。本部が千九百十二名、地方が千百二十七名というふうになっております。 ただ、SECは、私どもの行っております監視あるいは証券会社の検査以外に、証券会社に対する処分でございますとかディスクロージャーの業務ですとか、そういった別個の機能も有しておりますので、完全に同じ機能を持ったボディーではないというふうに理解をしております。 それから、二点目のお尋ねでございますけれども、SECの場合には、私どものような違法行為に対して告発をするという権限というよりは、むしろ証券会社に対する行政処分あるいは排除命令、あるいはインサイダー等を行った者に対する不正利得の没収でありますとか、民事訴訟を通じてそういうことを行うような権限が付与されていると理解しております。
○栗本委員 そこは大変重要なことだと思うんですね。刑事告発が一見大変重要なことであり、また行政の手段としてもすごく重要だと思われますけれども、現実には、お金にかかわってくることでは、民事手続の権限を持っているかどうかです。つまり、例えば栗本は五十億円損害をこうむったから七十億円出せというふうなことをできる。これは手続的に、一般的に言って日本でもアメリカでもこちらの方が早いわけです。また実質、効果がある。それができないというのは非常に問題があるということですね。 したがって、SECでも、現実には行政手続と民事手続が多い。行政手続というのは、日本の場合、監視委が直接はできないわけですね。今、金融監督庁長官に持ち上げるんですか。それとも、金融再生委員会ができてから金融再生委員会に持ち上げて、その担当大臣から、おまえのところは相場操縦をやったと。対象は、一般の民間会社である格付会社には及ばないでしょうけれども、及ぶのは、証券会社に対して二カ月業務を停止せよ云々というときに、例えばどうされるんですか。あなた方は、直接持っていないわけですね。
○舩橋説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生の御指摘のケース、例えば証券会社の検査をした結果、何がしかの法令違反行為が見つかったようなケースでございますけれども、私ども委員会といたしましては、金融監督庁長官に対して、何がしかの行政処分もしくはその他の措置をとっていただきたいという形での勧告をすることになっております。
○栗本委員 時間が終わりましたのでこれで終わりますが、大蔵省の伏屋局長もいろいろ思いがおありになると思いますが、来ていただいてありがとうございました。 結局、法令が非常に不備な部分が多い。それから、今の話は、証券会社に対してさえ、処分をするのに物すごく手間がかかる。ましてや証券会社以外が相場の操縦を意図的に行った場合、私は重大な犯罪だと思いますが、それを実際につかんでも、それをどういうふうにやっていくのかというようなことについては、不備というか、ほとんど無防備になっている。これは、我々国会も含めて、立法を含めて考えなきゃならないというふうに思っておりますが、時間が終わりましたので終わります。 どうもありがとうございました。
○鴨下委員長代理 次に、田中慶秋君。
○田中(慶)委員 私は、民主党の立場から質問をさせていただきます。 今問題になっております格付機関の問題でありますけれども、この格付機関は、大蔵省が指定をし、そして具体的には大蔵省がお墨つきを与えているようなものでありますから、それによって、例えばアジアの経済危機の引き金になってみたり、あるいはまたその認定によって日本の国債の引き下げの原因になってみたり、こういうことを考えたときに、この格付機関というものについては、大変重要な役割をしているわけでありますが、しかし、その基準やあるいは認定についての具体的な理由というか根拠が明確ではない。まず、その根拠を示していただきたいと思います。
○伏屋説明員 お答えいたします。 今委員が言われましたいわゆる格付機関の指定につきまして、その基準を定めている背景、これは主に二つございます。 一つは、有価証券の募集または売り出しの際に証券取引法第五条によりまして提出が義務づけられております有価証券届け出書につきましては、いわゆる参照方式とか発行登録制度というような一定の簡便な方式が認められているわけでございます。こういう簡便な方式を利用できる要件の一つといたしまして、複数の指定格付機関から一定の格付を得ていること等が含まれているものですから、指定格付機関というものが設けられておりまして、これは米国の例を参考にしたものでございます。 いま一つの背景は、証券取引法第五十二条におきまして、証券会社は、保有する有価証券の価格の変動その他の理由により発生し得る危険に対応する額を算出しなければならない。その額を算出するに当たりまして、証券会社等の保有する社債券につきまして、指定格付機関から一定の格付が付されているものはそのリスクウエートを軽減しているわけでございます。これはやはり米国等においても同様の取り扱いがなされておりまして、このような背景のもとに、企業内容等の開示に関する省令第一条十三号の二に基づきまして、今先生が言われました意味での、格付機関の中でいろいろな格付実績等を勘案いたしまして有効期間を定めて指定しているところでございます。
○田中(慶)委員 まず、政府が格付機関としてお墨つきを与えているわけでありますが、しかし、その格付機関そのものが、先ほどの参考人からのお話でもおわかりのとおり、依頼格付の問題やらあるいはまた勝手格付の問題等々を含めて、この情報そのものを、あらゆる問題を格付によって左右するわけであります。このことは、大蔵省そのものが、自分が認定しお墨つきを与えているわけでありますが、これらについて大蔵省として、この依頼格付の問題等々を含めながら、現実には格付その他の問題を含めて事後チェック等々の問題がしっかり行われていないのではないか、こんなふうに思います。 日本の格付、現在はアメリカ五社、日本で二社、こういう形の中で行われているわけでありますけれども、これらについて事後のチェックをされているのかどうか、明確にしてください。
○伏屋説明員 お答えいたします。 今委員が言われました、格付機関の指定がいわゆる格付機関に何らかの権威を与える結果となっているのではないかという御懸念につきましては、一般的に格付機関は市場におきましてある意味では絶えず厳しい評価にさらされていることから、一つは、この指定制度にかかわらず、みずからの努力により信用を維持せざるを得ない立場にあるものと考えております。 その上に立ちまして、先ほど言いました省令に基づきまして、格付機関のうち、大蔵大臣がその格付実績、人的構成、組織、格付の方法及び資本構成その他発行者からの中立性に関する事項等を勘案いたしまして有効期間を定めて指定をしていまして、その有効期間ごとに勘案、指定をしているということでございます。
○田中(慶)委員 私が申し上げているのは、その格付機関が行っているそれぞれの問題を含めながら、事後チェックをちゃんとしているかということを申し上げているわけで、そのことを答弁してください。
○伏屋説明員 お答えします。 期間ごとの指定に関しまして、先ほど言いましたようなことで勘案して指定しているわけでございますが、今言われました格付の具体的な内容がその意味で妥当かどうかということまで審査するということは、これはなかなか困難でございまして、必ずしも適当ではないと考えられます。 したがって、それは最初申し上げました、格付機関が市場の評価を受けておりまして、仮に不適切な格付を行っていれば、いずれその格付機関は市場の信用を失うものと考えているわけでございます。
○田中(慶)委員 私がなぜこういうことを申し上げるかというと、この前、APECの首脳会議でも、アジアの経済危機の発端の原因の一つでもある、日本の国債の低下を招いた原因の一つでもある、こういうことが明確に論議になって、この格付会社についてもっと監視をすべきじゃないか、こういうことが指摘をされているわけでしょう。しかし、あなたの答弁では、現実には、その監視そのものを含めて、自分ではお墨つきを与えて、その責任を完全に果たしていない、こういうふうにとられても仕方ないのじゃないですか。その辺をどう思いますか。
○伏屋説明員 今委員が言われました意味では、有効期間ごとの指定に当たりまして、先ほど言いましたような事項を勘案して指定をしているわけでございますが、実際の個々の格付の具体的内容が適切であったかどうかということまで私どもの行政機関がチェックするということはなかなか難しいので、そこは、繰り返しになって申しわけございませんが、格付機関が市場の評価を受けるということによって、不適切な格付が行われていればやはり市場の信用を失っていくという、その市場の評価というものに頼っている部分があるということは否定できないと思います。
○田中(慶)委員 それでは、関連する中で、今のような質問について、金融監督庁としてこの格付情報の市場に与える影響というものをどのように考えられているか、お聞きしたいと思います。
○日野説明員 お答えいたします。 私どもといたしましては、格付会社というのは一民間会社である、その会社が、公表されている資料とかあるいはインタビューなどをもとにしまして企業の信用力についての意見を表明しているのにすぎないというふうに理解しております。 確かに、最近、格付会社の意見というものが市場において必要以上に重要視されて、格付それ自体が何か対象企業の経営状況を一変させてしまうといったような事態も見受けられることも事実であります。 しかし、私ども金融監督当局といたしましては、個別の金融機関に対する格付に対して反論をしたり、ましてや私どもがみずからその格付に類するようなことを行うということをいたしますと、それは監督当局としては、自分で知り得た秘密をもとにしまして個別金融機関の財務内容とかあるいは経営内容を評価してこれを公表するということにほかなりませんので、これは守秘義務の点からいっても許されませんし、また市場規律あるいは自己責任に基づく市場参加者の活動を妨げることにもなりかねないというふうに考えております。 したがいまして、各金融機関というのは、みずからを市場から守るためには、市場規律のもとで経営内容の改善に努め、ディスクロージャーの充実を図ることなどによりまして、格付機関に対して対決するしかないのではないかと。仮に格付会社が不当な格付を行ったといたしましても、金融機関がそうした努力を続けていけば、市場のほかの参加者の理解を得られるものと考えますし、また、不当な格付を続ければ、当該格付会社自身が市場から排除されることになるのではないかというふうに考えております。
○田中(慶)委員 いずれにしても、今のような、証券市場に対して公的機関として監視を強化したり、あるいはまた、監視委員会あるいは金融監督庁として検査をする、こういうものについてのチェック項目を初めその辺を明確にして、例えば格付によってインサイダーの問題等々がそれぞれ市場ではあったということも今言われているわけでありますから、その抜本的な検査のあり方について見直す必要があろうと思いますが、その見解をお伺いしたいと思います。
○舩橋説明員 私の方から、証券取引等監視委員会での調査についてだけお答え申し上げたいと思います。 格付機関が契約に基づいて格付を行う過程の中で、この契約の履行に関しまして、上場企業の増資とか合併とかそういった重要事実を知り、それが公表される前に当該関係者が株式等の売買を行った場合には、会社関係者としてインサイダーの違反に当たり得るというふうに考えております。 当委員会は、先ほど申し上げましたように、日常的な市場の監視の中で、こういったものがないかどうか、厳正に対応してまいりたいと考えております。
○田中(慶)委員 それではお伺いしますが、今日まで監視委員会として、情報を事前に漏らしたり、あるいは株の売り買い、あるいは巨額の利益を得たという例について調査をされていると思いますが、その点について調査したということであるならば、それについて発表していただきたいと思います。
○舩橋説明員 先ほど御答弁申し上げましたが、監視委員会といたしましては、これまでの間に九件のインサイダー取引について告発をいたしているところでございます。 現在どういう調査をしているのか、今御質問のことが調査中であるのかどうか、そういった個別の内容につきましては答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○田中(慶)委員 今の実態で、先ほども質問の中で九件というお答えがありましたけれども、しかし、本当に九件だろうか。日本の今の経済の問題や、アジアの経済がこれだけ不安定な要因をつくっているのは、格付の問題から端を発していると言われているわけでありまして、こういう一連のことを含めて、インサイダー要素というものはもっとたくさんあるのだろう、こんなふうに言われておりますけれども、もう一度、その辺についての見解をお伺いしたいと思います。
○舩橋説明員 私どもは、証券取引法上において違法な行為を、関係者等の供述あるいは証拠等を収集いたしまして、告発しております。 私どもの告発した九件以外にもあるのじゃないかという御質問に対しては、答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
○田中(慶)委員 時間が余りありませんので、それでは、せっかく柳沢金融担当大臣が来ていただいているので、質問をさせていただきたいと思います。 大臣がこのたび日債銀の問題等々で断を下して、日債銀が事実上の破綻という形になったわけでありますけれども、今までの流れの中で幾つかの問題点がある、こんなふうに思います。 まず一つは、大蔵省が、先般の拓銀あるいはまた長銀のとき、これ以外の大手の金融機関はつぶさない、こんなことも公表されておりました。そして、日債銀そのものが、救済に当たっては、御承知のように、公的資金六百億、あるいはまた日銀が資本注入を具体的に行ってきました。さらに、各銀行等々について二千百億の資本注入といいますか、こういうことを、大蔵省主導のもとに大手金融機関から資本注入をさせたわけであります。こういう一連のことについての責任というものをどう感じておられるのか。 確かに今立場は違っていても、そのことを含めて、特に長官の一言で日債銀は現実には、国家管理といいますか、このようになっているわけでありまして、そのことによっていろいろな問題が現在付随して起きていると思います。これらについて、長官の考え方をお伺いしたいと思います。
○柳沢国務大臣 今般、日長銀に続いて日債銀も、新しく制定されました金融再生法のもとで特別公的管理という制度のもとに置かれることになりました。この点につきまして、今、田中委員の方から、最近の金融情勢あるいは金融行政の推移を見るときに、いろいろなことがそこで言われてきたし、措置もされてきたのではないか、そういう一連の流れの中で今回のことをどう位置づけるべきであるか、また、それぞれの場における措置なりあるいは発言なりの責任というものについてどのように考えるべきかというお尋ねがあったわけでございます。 もう委員もちょっとその点に触れられたわけでございますけれども、とにかく、金融の大きな転換というか潮流の大きな変化の中で、今、各国が、どのような金融行政がこのような流れに対して一番的確な対応がとれるかということを実は模索しておるという段階です。 我々の国におきましては、二〇〇一年の四月の一日からは、ペイオフということで、仮に資産が傷んだ場合には、それに見合う負債であるところの預金までをも、一千万円の保険という機構を片方で持ちながら、しかし、今までのようにこれを絶対に保護するという体制を離脱する、こういうことを宣言しておるわけであります。しからば、それまでの間、負債側の預金であるとかあるいは金融債であるとか、あるいはその他のもろもろのものについて、株式以外の点については保護するというようにした場合に、これを一体どのようにすべきであるか、こういう問題が提起されておりまして、それに対する答えとして、先般の国会で二つの法律が用意されたというふうに私は考えているわけであります。 そして、今回の日債銀につきましては、この新たに用意された再生法のもとで、その要件に合致する限りにおいて、債務超過のような銀行を、いつまでというわけではないのですが、とにかく市場にこれをそのまま存命させておくということは金融システム全体に対する信頼を失わせてしまう、もし何らかのきっかけでそのことが露見したという場合に、何だ、債務超過の銀行をほっておくのか、存命させておくのか、存在させておくのかということで、じゃほかも同じようなものじゃないかというようなところにすぐつながってしまって、日本の金融システム全体に対する信頼を失わしめる、こういうことを考えて恐らく金融再生法も制定していただいているであろう、私はこのように考えまして、その法律の趣旨を実行させていただいたということでございます。 しからば、これまでいろいろな節々でやられた発言だとかあるいは行為だとか措置であるとかということについての責任はどうかといえば、私はやはり、先生もちょっと先回りしておっしゃられましたけれども、その時々に、今試行錯誤で置かれているいろいろな制度のもとで最善の選択をしておる、そういうことが証明できれば、責任を免れるというか、責任を何か明確な形でとらなければならないというものではないのではないか。そのシステムシステム、置かれたシステムの中での選択が的確であるかということについて、その措置をとった人、発言した人がいかに適切なことをやったかということが、責任を論ずる場合の問題点であろう、このように考えております。
○田中(慶)委員 もう時間が参りましたので、要望だけ申し上げておきます。 いずれにしても、この日債銀の問題は、一つには計画倒産ではないかと言われるような指摘も受けているわけでありますし、あるいは今日までのこの公的資金導入に当たっても、大丈夫だ大丈夫だと言っておきながら、今回のような多額の負債が出ている問題もあります。そして、今後この金融機関が、二千百億円も投入させて二年間凍結をしているわけでありますけれども、しかし、今日の貸し渋りの原因、自己資本比率を中心としてやるものですから、そういうところの原因もつくっているのではないか、全部それぞれの流れの中でいろいろな問題が出てきております。委員長はそういうところを含めてしっかりと耳を傾けて、第一号なんですから、今回のやり方次第によってこれは評価もされるでしょうし、あるいはまた、この金融再生委員会としての取り組みそのものが今後大きく左右されるわけでありますから、いろいろなところに耳を傾け目を見張ってしっかりやっていただくように要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。 〔鴨下委員長代理退席、委員長着席〕
○原田委員長 次に、大口善徳君。
○大口委員 公明党・改革クラブを代表して質問をさせていただきます。 まず、証券取引等監視委員会にお伺いします。 設問します。設定をしますが、一つは、例えば格付会社のアナリストがある会社について格付をする、これは勝手格付の場合で、しかも公開情報で発行者と接触がない、こういう場合に、格付を下げるあるいは格付を上げる、こういうことを二週間後には決定する、こういう情報をその格付会社のアナリストがほかに漏らす、こういう場合に、証券取引法上規制されますか。
○舩橋説明員 お答え申し上げます。 執行当局といたしましては、一般的な法制度、法解釈についてお答えする立場ではございませんけれども、ただいまの先生の御指摘については、一般論といたしますと、取引者が会社関係者または第一次情報受領者に当たるのかどうか、あるいはこの今の格付の変更が証取法に言う重要事実に当たるのかどうかといった点が問題になり得るものと考えておりますけれども、証券取引法違反と判断されるようなケースがございましたら、私どもは厳正に対応していきたいというふうに考えております。
○大口委員 では、今の設問は、かなり限定しているわけですけれども、当たるか当たらないか、どっちですか。はっきり言ってください、時間がもったいないから。
○舩橋説明員 私ども、法律と証拠に基づいて私どもの仕事をしております。したがって、一般的なことについて、当たるか当たらないかというふうにはお答え申し上げられません。
○大口委員 全然接触がないわけですよ、それでもって第一次情報受領者になるのですか。
○舩橋説明員 証取法上第一次受領者とは、会社関係者等から重要事実について何らかの形で情報の伝達を受けた者というように解されていると私どもは理解しております。
○大口委員 ということは、今のは要するに公開情報だけでやっていますから、当たらないということですね。
○舩橋説明員 一般論として申し上げれば、いわゆる一次受領者には当たらないというふうに考えられると思いますけれども、私どもの……
○大口委員 はい、いいです、時間がもったいない。それは最初に言ってくださいよ、時間がないのですから。 それと、格付を下げるとか上げるということ、認定事実ではなくて格付を上げるとか下げるとか、そういうことは、この百六十六条の二項の四号の重要事実に当たるのですか、当たらないのですか。
○舩橋説明員 これも同じスタンスでございますけれども、先ほど申し上げましたように、重要事実となり得るケースもあり得るだろうと考えております。
○大口委員 規制の対象者からいいますと、そこを明確にしてもらわないと大変なことになるのです、これ。そこの基準を明確にしてください。
○舩橋説明員 インサイダーについて、個々の問題については、判例がございます、判例等で示されたような考え方を参考にしつつ、私どもといたしましては、個別の事例に当たって、法と証拠に基づいて対応していきたいというふうに考えております。
○大口委員 これ以上やると時間のむだですからやりませんが、これは規制の対象者にとっては非常に大事なことなんですから、明確にしていただきたいと思います。 次に、日債銀では、柳沢大臣、決断をされたことに対し、私も敬意を表したいと思います。 そういう状況の中で、金融監督庁が一斉に検査をいたしました。一斉に検査をして、その中で、分類債権の分類の誤りとか、あるいは償却、引き当て率の、これについての合理性から問題があることとか、そういうことでいろいろ金融監督庁は一生懸命やられて、指摘もされたわけです。そして、検査の通知もしたわけです。 そこで、長銀と日債銀というのは、その金融監督庁の検査と明らかにことしの三月の基準日の決算報告が違っていたということが、乖離しているということが明らかですから、それ以外の十七行と金融監督庁の検査、乖離があるかどうか、お伺いしたいと思います。
○日野説明員 大手十九行に対します検査の内容、個別についてはこれは申し上げることはできませんが、ことしじゅう、もう間もなくことしも終わりますが、ことしじゅうにはトータルを集計したものを公表したいと考えております。 今委員が御指摘になりましたように、分類とそれから引き当て、償却、それとその自己査定、あるいは当局の査定との乖離の部分、その乖離につきましても、個別についてはちょっと申し上げることはできませんけれども、全体としてはどういう乖離があったかということはお示ししたいと考えております。
○大口委員 ということは、乖離があったということですね。
○日野説明員 御指摘のとおりでございまして、どの銀行についてもと言ってはなんですが、多かれ少なかれ乖離はございました。
○大口委員 次に、大臣、長銀、日債銀以外で債務超過銀行はあるのかないのかということで、記者会見では、ない、こういうふうにおっしゃっております。そういうことで、債務超過銀行があるかないか、この衆議院の場でお答え願いたいということと、それと、早期是正措置の対象となる銀行があるかないか、これは検査結果に基づいてどうなのか、御答弁願いたいと思います。これは大臣、お願いします。
○柳沢国務大臣 もう大口委員もっとに御承知だと思いますが、我々の例えば再生法に基づく措置であるとかあるいは早期是正措置などというのも、節目節目で決算を組んで、そして資産の側の評価をして、その評価に見合う、もっと言えば腐食の程度に見合う引当金を積むという、そういう一連の操作を行う、節目で物を考えるわけでございます。 よく債務超過に陥っている銀行があるじゃないかとかあるいは早期是正措置の対象の銀行があるじゃないかというようなことを、観念的には、神様のような人がおれば、節目で数字を整理しなくても、毎次毎次、刻々にそういうことを想定することもあるいはできるかもしれませんが、人間わざの世界では、やはり一つ一つの節目を置いて、そこで評価を改めてし直して、しかるべき引き当てを積んで、さあ結論がどうかというようなことになって、それでその措置の発動の要件を満たしているかどうかということを考えざるを得ないんではないか。もちろん、世評にいろいろなことが言われている特別な検査をするというようなことがあれば、それはそのときにそういうことになるわけでございますが、一般論としてはそうなのでございます。 そういう意味で、この三月末の決算を今度検査をした、そういうものの中で、これ以外に私が聞いているところでは債務超過に陥っているところはない、そういう情報を受けておりますということを申し上げたという次第です。
○大口委員 早期是正措置の対象については、聞いている限りはどうでしょう。
○柳沢国務大臣 早期是正措置も、これは今や私の、何というか、所管の中に入ったわけでございますけれども、銀行法の体系でして、十五日からは金融監督庁も私の役所の外局みたいな立場に立ちましたので、私、お答え申し上げなければならないかとも思いますけれども、これについても、そのような状況について何か具体的な報告を受けているかというお尋ねであれば、現在、受けておりません。
○大口委員 そこら辺は一番市場も関心のあるところですから、早く発表していただきたいと思います。 次に、日債銀は十二月十四日、国有化ということになったわけですけれども、中間決算が十一月二十四日にありました。そして、その中で、百億の黒字の決算で、自己資本比率が八・一九で、九九年三月の税効果をも含めた見込みが七%強、こういうようなことだったのです。その前にもう監督庁は十一月十六日に検査結果の通知をしておって、そして債務超過ということであったわけでありますが、十一月二十四日、こういう形で中間決算報告がなされた。それによって株主は、一般投資家は大変な迷惑をこうむっているわけです、百五十八円であるわけですから。その十一月二十四日の中間決算報告を信頼して、それで株式を購入した方々もいらっしゃるわけです。 そういう点で、その金融会社に対して、監督庁の検査によって指摘したことについて、やはりきちっと中間決算報告にその一斉検査の結果を反映させるように指導すべきでないか、それによっては多大な損害を一般投資家にこうむらせた、これは非常に重要な問題ではないか、こう思うわけでございます。どうぞ、大臣。
○柳沢国務大臣 これは実は非常に大きな問題でございます。したがって、私もこういう決定を下すに当たっては、あのときはまだ私は総理の補佐役でございましたけれども、いずれにせよ、気持ちの上では大変な葛藤があったことも申し上げておきたい、このように思うわけでございます。 しかしながら、これは、今の再生法というものの枠組みではこれ以外の方法は実はとれないわけであります。ひょっとして大口先生は、それじゃ検査の決定の通知をした段階で即座に同じような特別公的管理のもとに置いたらどうだ、こういうようなお立場かもしれませんけれども、やはり行政手続としても不利益処分をするには弁明の機会を与えなければいけませんし、やはり我々は、銀行行政としても何か方法を講じて、資本の充実策を講じたらどうかというようなことについて、一定の期間、当事者に対するいろいろな働きかけというのが許されるであろう、こういうように思うわけでございます。そうだとすると、いずれこういうことは起こってしまうということでございます。 この間の措置を一体どうすべきかということについて、ちなみに、ちょっと外国の例などを調べますと、国の側に免責規定が置かれているような立法例もあるようでございます。 いずれにせよ、今後の問題でございますけれども、あるいは場合によっては立法府の皆さんの御協力をいただかなければならぬこともあるかもしれないというのが、今日ただいまの私の感想です。
○大口委員 最後に一点だけ。 大臣、格付会社の格付と行政の規制ということが非常に今関心になっております。それについて一般的なお答えをしていただきたい。ただ、日本においてはやはり会計制度、監督制度をしっかりやらなきゃだめだということを私も思います。どうぞ。
○柳沢国務大臣 私は、ちょうど二十五年ばかり前、自分自身が格付会社に出頭をさせられて、日本の格付をできるだけ上げるために交渉したという経験を実は持っております。 そういうことからしますと、格付会社が一般的に公開された資料だけでやっているとちょっと、今まで議論がありましたけれども、実は、我々が出向いていっていい格付をいただくために交渉をするときには、極めて厳しい質問が飛んでまいりますので、必ずしも私どもは公開された資料だけでそれを答え得たかというと、そういうものでもありません。格付会社というのは、かなりうがった情報を持って格付をしているということをやはり覚悟してかからないといけないということを私は感じております。 この格付会社が非常に大きな影響を与えているということでございますが、このこと自体は、やはり格付会社も実は物すごい競争をしておるわけでございます。そして、いかに自分が的確な格付情報を出すかということでしのぎを削っております。私が当時直接タッチしたころでも、あの格付会社よりもこの格付会社の方がやはり格の上の情報を出しているねというようなことを話をしておったぐらいでありまして、非常に厳しい競争場裏に立たされておりますので、いいかげんなことをやったらすぐ脱落しますから、そういう意味で、私は基本的には、市場の力でもってチェックが働いている、このように考えております。
○大口委員 ありがとうございました。
○原田委員長 次に、佐々木洋平君。
○佐々木(洋)委員 質問いたします。 先月十六日に、ムーディーズが日本の債券について格下げをしたわけでございますけれども、確かに一企業かもしれませんが、国民も非常に心配をしている面がございます。 確かに、その理由として、日本は財政赤字が拡大しておるということはそれは認めるわけですけれども、実際に経常収支等大幅な黒字になっているわけでございます。そしてまた、世界最大の債権国日本であるわけでございます。片やアメリカは債務国という中で、日本が格下げになってアメリカはそうでない、非常に国民にわかりにくいという状況もあろうかと思うんです。この辺はどのように大蔵省は考えておられるか、政府は考えておられるか。 そしてまた、こういう各方面からの批判といいますか、不満といいますか、そういう声に対して、政府は、たしか宮澤大蔵大臣が記者会見で不快感を示したという程度で、非常に消極的な反論であったように受けとめます。その点についてお伺いいたします。
○武藤説明員 お尋ねの、民間の格付機関の、格付会社の評価の問題ということでございますが、宮澤大蔵大臣、さらにその前にも松永大蔵大臣時代にも同じようなお話がございまして、大蔵省としては、民間会社のことでございますので、コメントするのは差し控えたいということでございます。 ただ、今御指摘がありましたとおり、我が国は、確かに現在の経済情勢はまことに厳しいものがございますけれども、外貨準備高でありますとか対外純資産といったものは世界最高の水準にあるのは御指摘のとおりでございまして、我が国経済に対する信認の基盤には確固としたものがあることは明らかだというふうに私どもは思っておる次第でございます。
○佐々木(洋)委員 今御答弁があったわけですけれども、しかししっかりと、やはり我が国の金融も含めて本当に国がみずからきっちりした格付をみずからすべきものだというふうにも思います。 ちょっと質問を変えますけれども、先ほども参考人から御意見を賜ったわけですけれども、今回、金融機関への公的資金の注入というのに関連しまして、銀行が発行する優先株を国が買い取って資本注入をする、こういう形になるわけですが、金融監督庁では、公的資金を注入するということですから、いろいろなタイミングといいますか、そういう状況を見ながらいずれ回収をするという考えであろうと私は理解をしておりますが、その辺についてまずお伺いしておきたいと思います。
○日野説明員 お答えいたします。 確かに、公的資金を注入した後、報道などではよく回収とかあるいは返済とかといった表現が使われているということは承知しております。これは公的資金がいずれ返ってくるということに着目した表現だろうというふうに考えておりますが、しかし、この優先株の引き受けに係る公的資金の回収につきましては、優先株あるいは転換後の普通株の転売、あるいは利益をもってする償却ということが想定されているわけでございまして、一般的には、優先株につきましては、負債と違いましてローンのような返済といったような考え方はないというふうに考えております。
○佐々木(洋)委員 まだちょっと理解をしにくいんですが、結果として、回収といいますか返済という形になるような今の御答弁のようにも受けとめるんですが、これはいずれ法的に株式の形で資本投入をして、これを後日返済をさせていくというやり方、これは商法の枠組みの中では考えにくい問題かもしれません。 あるいはまた、そもそも銀行が資本が不足しておるという実態の中での資本投入ですから、それを返済させようとする考え方がこれまた非常に難しい判断になるだろうと思いますが、この辺の考え方はいかがでしょうか。
○日野説明員 委員御案内のとおり、優先株にもさまざまなものがあるわけでございまして、負債性優先株と申しますか、非常に負債に近いものから、あるいは一方では純粋に資本そのものといったものに至るまで、非常にバラエティーに富んでいるわけでございまして、特に負債性の優先株といいますか、負債に限りなく近いものといいますと、あらかじめ金利を一定にしておきまして、その金融機関の経営状態がどんな状態になろうともその金利を払っていくといったようなものは負債に非常に近いのではないかと思います。 今御指摘がありましたように、返済ということに考え方が傾きがちなのは、優先株の中でも負債に近い方の優先株を取り上げた場合には、確かに何か返済ということの方が重視されているように考えますけれども、やはりその資本を増強するという観点からいきますと、そうではなしに、普通株に近いといいますか、そちらの方の株式についての資本投入が行われることが私としては望ましいのではないかというふうにも考えているわけでございますし、金融監督庁といたしましても、公的資金の注入に当たりまして、これまでいろいろなヒアリングを続けてきておりますけれども、いずれ金融再生委員会に対して申請が行われる際には、できるだけ負債性のものでない、普通株に近いといいますか、そういった、外から見て評価の高い資本が注入されるように手を挙げてきてくれることを望んでいるわけでございます。
○佐々木(洋)委員 ありがとうございました。 そこで、海外の格付会社はこの優先株の資本性について疑問を持っておるわけでございます。今の返済という概念は抜きにしても、例えば某会社では優先株については資本勘定二五%だ、こういうことをはっきり言っておる、それ以上しないということを表明しておるわけでございますけれども、今もお話あったとおり、この背景には、優先株は資本と負債のちょうど中間的なものだという米国流の扱い方がベースにあるのだろう、このように思うわけです。 そうしますと、せっかく公的資金を資本注入して、少しでも日本の銀行の信用力を回復しよう、向上しようという意味合いも片やあるわけでございますけれども、逆にその効果がちょっと薄れる可能性もある。それは返済という負担というものがもしその中にあるとするならば、なおさら海外の格付会社が逆にこの問題を取り上げて議論にして格付を下げるということも、十分私は考えられるだろうと思うんです。その辺はいかがでしょうか。
○日野説明員 確かに、御指摘のとおり、金融システムの健全化あるいはマーケットからの信認の確立といった点では、資本性の高い商品を用いる方が有効であると存じます。 かねて金融再生委員会の委員長である柳沢大臣も、これまで、マーケットからの信認を確保するためにはできる限り資本性の高い商品が望ましいというふうに言明されておりまして、金融監督庁におきましても、金融機関からの申請の裏打ちとなる経営健全化計画の内容について現在ヒアリングを進めさせていただいておりますが、その際、引受対象商品の性格についても現在聞き取っているところでございます。 御指摘の点につきましては、こうした場を含めましてあらゆる局面で誤解が生じないように、今後とも十分周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○佐々木(洋)委員 今御答弁があったわけですけれども、日本の場合は、優先株については、もちろん法律上、会計上普通株と同等の取り扱い、資本なわけで、資本として十分そういうことなんです。ただ、アメリカとかイギリスについては制度上そういう考え方ではないというところに問題があるわけですから、ひとつその辺は、これから十分にそういう格付会社に対しても日本の仕組みというものを説明する必要があるだろうというふうに御要望申し上げておきます。 もう時間も大分経過をしております。 ちょっと最後に、格付会社についての各国のいろいろな論調があるわけでございます。特に、昨年ですか、ファイナンシャル・タイムズの格付に対する論調を見ますと、こういうふうに書いてあるのですね。米国市場経済の悪癖とも言えるこの格付機関に対するばかばかしいほどの依存体質がアジア経済問題を深刻化しているということを書いてあります。あるいはまた、この格付そのものも問題があるという、そして、その格付会社の収入が格付を与える当の顧客に依存していること、情報が古く、経験浅いアナリストが多いなどという論調があるわけですけれども、この辺について、最後にお伺いしたいと思います。
○武藤説明員 格付会社のこういう評価に対する私どもの考え方は、先ほど申し述べたとおりでございますけれども、やはりこれからは、こういう市場の評価というものがきちっと行われるということが基本にはあるということを前提といたしまして、現在のこの大変厳しい状況という認識は私ども持っておるわけでございますので、このたびの緊急経済対策、さらには来年度の予算編成、税制改革等を通じまして、今後の我が国経済がはっきりと回復軌道に入っていくような、そういう運営をしていくということが基本であろうと思っております。
○佐々木(洋)委員 以上で終わります。
○原田委員長 次に、中林よし子君。
○中林委員 まず、格付問題での大蔵省の見解をお聞きするわけですけれども、格付が下がったということが投機家の格好の材料になるということはわかるわけですけれども、先ほどの参考人の御意見も聞きながら、これはやはり、実体経済そのものが、市場経済はそこがやはり基本だということではないかというふうに思います。 先ほど、参考人質疑のときにも紹介したマスコミ論調でも、大体、日本政府の内外に対する政策の信頼が失われたと。例えば、大蔵だとか日銀の不祥事の問題、それから景気対策もやはり有効に働いていないということがポイントだというふうに思うわけですね。だから、格付が下がったからけしからぬという論評よりも、やはり今政府として反省すべきは、これらの政策に対する内外の信用失墜、これを改善する、そこにこそあるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○武藤説明員 いわゆるバブル崩壊後の財政金融政策に関しまして、いろいろ御批判があることは私どもも十分承知しております。政府としては、もちろん、その時々の経済状況に応じまして、可能な限り、最善と思われる措置を講じてきたつもりではあるわけでございますけれども、結果として、振り返ってみますと、反省すべき点があるということは、これは宮澤大蔵大臣もいろいろの場で言っておられるわけでございます。 ただ、私どもといたしましては、そういうことは重々承知の上であえて申し上げるわけでございますけれども、やはり、最近におきますアジアの通貨・金融市場の混乱でありますとか、金融機関の御承知のような破綻の問題というようなことは、少なくとも従来からの予想を上回る内外の悪条件ということもあるわけでございまして、そういうことがあったというのもまた事実であるのではないかというふうに思う次第でございます。 ただ、そのような状況を踏まえまして、今まで進めてきております、例えば財政構造改革といったようなことに関しましても、これを凍結するという法律をさきの臨時国会で成立させていただいたわけでございますけれども、そういうこともとりつつ、景気回復に全力を尽くし、この現在の不況の環ともいうべき状態を何とか断ち切って、十一年度には我が国経済をプラス成長に持っていく、そういうことに全力を尽くしたいというふうに考えておるところでございます。
○中林委員 実体経済をよくするということで、一つは金融破綻に対する政府の施策、これも実は、信頼をどう高めるかということでは非常に大きな問題だというふうに思います。 そこで、日債銀の一時国有化について聞くわけですけれども、これまで投入された千四百億円の公的資金、この問題です。 ことし三月末時点で、日債銀は債務超過に陥っていないとされて、金融安定化法に基づいて六百億円の資本注入がされました。それから、昨年四月にも、日銀が新金融安定化基金を通じて、日債銀に八百億円の優先株引き受けを行っています。日債銀の政府買い取り株価は、今後金融再生委員会で算定されるわけですけれども、ゼロになる可能性が高い、こう言われております。 日銀の小畑理事は、十三日の記者会見で、日銀資金が毀損する可能性が大きくなった、こういうふうに認めているわけですけれども、これら公的資金は結局返ってこないのではないかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○日野説明員 まず、日債銀に対して行われました六百億円の本年三月の公的資金について申し上げたいと思いますが、これは、もう既に今はなくなりましたが、当時金融危機管理審査委員会というのがございまして、ここで審査が行われ、日債銀の財務状況や金融システム安定化のための必要性などを勘案した上で、法律やあるいは審査基準にのっとりまして厳正に審査され、決定されたものであるというふうに考えております。 返ってくるかどうかという御質問でございますが、これは、もう御案内のとおり、金融再生委員会に株価算定委員会というのがつくられまして、公告時点、十七日に金融再生法上の公告が行われましたが、その公告時点における資産の状況を勘案して、算定委員会において株価が算定されるものというふうに考えております。
○中林委員 日銀の理事が毀損する可能性が大きいと。いわば、新聞論調を見ると、公的資金はもう返らないというのが大方の予測になっているわけですね。 長官は、その点、どのように予測をされていますか。もちろん、再生委員会でやられるということは私も百も承知ですけれども、見通しとしてお伺いしたいと思います。
○日野説明員 私どもは、検査の結果、債務超過であるというふうに認定したところでございます。
○中林委員 私は、これまで二度にわたる延命策を日債銀に対しては政府はとってきたというふうに思います。 それで、これからの問題だとか、それから、記者会見で政府筋の発言を聞くと、例えば、日野長官は十三日の記者会見で、当時としてはやむを得なかったんだ、こういうふうにおっしゃっていますね。それから大臣、いらっしゃらなくなったわけですけれども、柳沢大臣も、再生委員会は過去の行政責任を問う立場を必ずしも期待されていないというふうにおっしゃっているわけですけれども、私は、これはとんでもないことだというふうに思います。 私ども日本共産党は、こういう破綻の問題は、金融業界の自己責任をちゃんと追及し、そして自己負担で解決すべきだという立場をとって、公的資金導入には反対をしてまいりました。とりわけ、ことし三月に、先ほどちょっと長官がいきさつを説明しようとされましたけれども、この金融危機管理審査委員会というのは、大蔵大臣、日銀総裁、これも加わっているわけですよ。そこで審査をした結果、債務超過ではない、こういう結論の中で実は六百億円の資本注入がされたということなんですよ。これで本当に行政側の責任はないのかというと、決してそうではないと思います。 先ほど大臣の発言を聞いておりますと、債務超過の銀行を残すことが金融業界の信頼を失うことになるから今回一時国有化へ踏み切ったんだ、こういうふうにおっしゃったわけですね。しかし、信頼を失うということは、これまで二度にわたって延命策をして、乱脈経営の後始末を何で国民の税金で、千四百億円も投入したものがゼロになって、回収不能になっていくのか。むしろ、経営側の責任は当然追及しなきゃなりませんけれども、行政の責任、ここを明らかにしないで、何で金融の信頼を取り戻せると言えるのでしょうか。これで金融再生などと言うのはとんでもないと言わなければなりません。 今後どう責任を、これまでの問わないということを今も長官はお考えなのか、そうじゃなくて、やはり行政側にも責任があったんだ、そこはちゃんと反省していくんだという方向をとられるのかどうか、その点、御答弁いただきたいと思います。
○日野説明員 お答えいたします。 直接のお答えにはなるかどうかわかりませんが、先ほど柳沢大臣も御答弁申し上げましたように、現在、金融は本当に大変な激動期にあると思います。それは、もちろん業界もそうですが、行政側につきましても、あるいは立法府におかれましても、ことし成立した法律がもう半年もたたないうちに廃止されるとか、あるいはことし六月に施行されました金融監督庁設置法が廃止されるとか、大変な激動期にあると思います。恐らく、過去のことにつきましては、行政としてはその時点でできるだけのベストを尽くしたものと私は理解しているところでございます。 確かに、現在から判断いたしますと、私どもの検査した結果では、本年三月の末時点では債務超過でございました。ただ、金融危機管理審査委員会の審査はその前に行われております。また、昨年の日銀の八百億円の投入にいたしましても、それは、先ほど委員が御指摘になりましたように決して国民の税金だけが使われているわけではございませんで、民間金融機関に対しましても二千百億円の出資をお願いしていたところでございまして、いろいろな手だてを使って、その当時としてはベストを尽くしたものというふうに私どもとしては考えているところでございます。
○中林委員 もう時間が来ましたので終わりますけれども、長銀にしろ今回の日債銀にしろ、いわば政府が介在して、審査をして、債務超過ではないと言い切って公金を投入していた、しかも、今度国有化するということになれば、幾ら私たちの税金使われるかわからない。こういうことではとても納得できません。今後も政府の責任を私どもは追及していくことを表明いたしまして、質問を終わります。
○原田委員長 次に、保坂展人君。
○保坂委員 社民党の保坂展人です。 今回の格付の問題については、やはり日本の行政並びに政府自体がどうも信頼を回復できないでいるということが根底にあると思いますので、まず日野長官に伺いたいんですが、長官は、長い検事としての御経験の中から、例えば取り調べ中の被疑者であるとかあるいは法廷でのそれぞれの証言、つまり一人一人の人間がいわばうその、虚偽の陳述をする、うそを言うかどうかということについてやはり厳格な問題意識を持たれていると思います。 そこで伺いますが、国会において虚偽の陳述、事実と著しく違ったり事実をねじ曲げたような陳述があってはならないという、どのくらい厳格な基準をお持ちでおられるのか、お答えいただきたいと思います。
○日野説明員 御指摘のとおりでございまして、虚偽の陳述や、あるいは事実をねじ曲げた話が決してあってはならないと考えております。
○保坂委員 それでは、先ほど日債銀のやりとりがありましたけれども、この夏、多くの時間を費やして金融国会があったわけですけれども、長銀は、現在調査をしているところではあるけれども、債務超過ではないという趣旨の答弁を、長官もその他の政府委員も宮澤大蔵大臣もされてきたと思いますが、この点は、振り返って省みるところはありませんか。
○日野説明員 前回の国会でもうたびたび長銀の財務内容についてお尋ねがありまして、その都度御答弁申し上げましたのは、本年三月時点の財務内容について、日銀の考査あるいは自己査定などに徴しますと長銀は債務超過ではないということをずっと申し上げてきたところでございます。また、その当時、まだ検査の途上でございましたので、検査結果について申し上げる段階にはございませんでしたけれども、前回、特別公的管理の枠組みのもとに置かれましたので、これは検査を公表するということになりまして公表させていただきました。 三月時点では、バランスシート上はもちろんでございましたが、オフバランスにあります有価証券の含み損益等を考慮しても、債務超過ではなく資産超過でございました。
○保坂委員 この点は大変異論があるところですが、もう一点、時間がありませんので最後に長官に伺いますけれども、これだけの公的資金がいわばつぎ込まれて、大変な経営上の問題もあった、そして今表に出ている例えば長銀の数字にしても、報道されているように、子会社、ペーパーカンパニーを使った飛ばし等、大変違法で、追及すべき点があるというふうに私たちは考えているわけですが、民事上、刑事上の責任を、日債銀の件もそうですけれども、強く追及するという御決意がございますでしょうか。
○日野説明員 金融再生法の適用を受けました特別公的管理下の銀行につきましては、この金融再生法の中に、民事上、刑事上の責任を追及すべきであるという規定が明文で置かれておりまして、これは特別公的管理銀行である長銀も、あるいは日債銀も、その規定に従って当然その民事上、刑事上の責任を厳格に追及することになるというふうに承知しておりますし、また、長銀は、内部に、弁護士を委員とする調査委員会を設置いたしまして、既にその調査を開始したというふうに聞いております。 私どもといたしましては、こういった調査にも全面的に協力していきたいというふうに考えております。
○保坂委員 次に、大蔵省の溝口官房長に伺いたいと思います。 ちょうど七カ月前でしたけれども、当委員会で五月、何回かにわたって、例の、大蔵省が不祥事で大変多く問題点が明らかになっていたときに、紀律保持委員会の記録を、これはやはりぜひ作成すべきではないかという趣旨の問いに対して、最終的に、これは作成しよう、概要をきちっと記録で作成をして、これを将来の執務にも役立てていきたいとお答えになっているのですが、これを作成されてきたかどうか。何回か紀律保持委員会が開かれたと思うのですが、お答えいただきたいと思います。
○溝口説明員 御指摘のように、五月の二十七日の本委員会で保坂議員から質問がございまして、今御説明されましたように、私そうお答えいたしまして、それに基づきまして要旨の作成というのを毎回やっておるわけでございます。今お手元に、委員長の御了解を得ましてお配りさせていただいておりますけれども、その日以降三回行っております。 一回目は六月二十三日でございまして、ちょうど異動期でございますので、異動に関連いたしましていろいろな注意をいたしました。ここに書いてあるとおりでございます。 それから、二回目は七月十六日でございますが、御指摘のような不祥事の問題がいろいろございまして、私どもとしては、これをどう根絶するかということで、有識者による懇談会を四月以降設けまして、その結論が出ましたものですから、それを説明するかたがた、さらにその趣旨に沿った規律の保持を行うように指導をいたしました。 三回目は十一月の末でございますが、年末にかけましていろいろな問題が起きてはいかぬわけでございまして、そこら辺の注意をしたということでございまして、大体そういうことでございます。 今後も、先生の御指摘を踏まえ、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○保坂委員 ことし大蔵省は、戦後最大の、未曾有の危機、そして批判を浴びたわけですけれども、こういった記録、概要ですからすべてではありませんけれども、しかし、概要と半年前に出された一行だけというのとは大分違いますので、こういう記録をつくられたということについては率直に評価をしたいと思います。 そして、時間がないので一点だけ伺いますけれども、この半年間、大蔵省でこの間の不祥事を踏まえて、例えばこういういろいろな注意、公用車の使い方とか、高級料亭らしきところには行くなとか、二次会はだめよとか、いろいろありますけれども、そういった民間業者とのかかわりのぐあいなどについて、大蔵省全体の意識はかなり変わったんでしょうか。どうでしょう。
○溝口説明員 全体を私が見まして、そこは非常に徹底をしてきておるように思います。 やや、そういうおつき合いをしないということで、むしろ接触が減ってどうかというような意見も聞くぐらいではありますけれども、そういうことは昼間会議室を使うなり、あるいは金融連絡会というのも設けましたけれども、そういうことで対応してやっていけるというふうに私は考えておりまして、今のこの状況を変えないように今後とも努力をしていきたいというふうに考えております。
○保坂委員 今後も紀律保持委員会を定期的に開かれるということなので、その議事録の概要を、なるべく内容がわかるように、時折定期的に私どもにも見せていただきたい。そしてまた、質疑に率直に応答をしていただきたいということを要望して、私の質問を終わります。
○原田委員長 本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十五分散会