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143回国会参議院1998/09/03

本会議 第6号

発言数
37
登壇者
11
会派数
7
開催日
1998/09/03

会議録

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。  日程第一 国務大臣の報告に関する件(北朝鮮によるミサイル発射を受けての当面の対応に関する報告について)  高村外務大臣から発言を求められております。発言を許します。高村外務大臣。    〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕

高村正彦自由民主党外務大臣

○国務大臣(高村正彦君) 北朝鮮のミサイル発射につきましては、御承知のとおり、日本海及び三陸沖に着弾した可能性が高く、これは我が国の安全保障に直接かかわる極めて憂慮すべき事態であります。本件は極めて遺憾な行為であり、今回の事態につき、我が国としては、毅然とした厳しい対応をとっていく考えであります。  我が国は、既に、ミサイル発射の行われた当日、野中官房長官より我が国の遺憾の意と厳重抗議の意を明らかにするとともに、北朝鮮に対し、直接我が方の立場を申し入れてきたところであります。  さらに、一日、我が国は、対北朝鮮政策を再検討した結果、北朝鮮に対し、あらゆるレベルで遺憾の意を伝えて厳重抗議し説明を求める、国交正常化交渉の開催に応ずることを見合わせる、食糧等の支援を当面見合わせる、今後の動向次第では政府全体でさらなる措置につき検討する等の決定をいたしました。  また、二日、今般のミサイル発射により航空機の安全に対する重大な危機が発生したとの理由により、既に高麗航空に対し与えられていたピョンヤン—名古屋間の貨物チャーター九便の運航許可を取り消しました。加えて、現在行われている両国間の貨物及び旅客のチャーター便に対する運航許可申請についても不許可とすることといたしました。  一方、北朝鮮は、昨日夕刻、日本が「北朝鮮が長距離ミサイル発射実験を行ったとして騒いでいる」として、「これは自主権に属する問題」として北朝鮮側がわきまえて処理すべき問題である等の極めて誠意のない見解を表明しましたが、これはまことに遺憾であり、我が国としては、かかる北朝鮮側の対応ぶりに対し、重ねて厳重抗議をいたします。我が国としては、北朝鮮に対し、今後このような行為を行わないよう再発防止を約し、ミサイルの開発・輸出を中止することを強く求めます。  我が国としては、我が国の平和と安全にかかわる重要な問題である本件ミサイル発射に関し、引き続き、毅然とした厳しい対応を行っていく考えであります。(拍手)     ─────────────

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) ただいまの報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。吉村剛太郎君。    〔吉村剛太郎君登壇、拍手〕

吉村剛太郎自由民主党

○吉村剛太郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま外務大臣から報告がありました北朝鮮ミサイル発射問題について、総理を初め関係閣僚に若干の質問をいたします。  まず冒頭、今回の北朝鮮による弾道ミサイルの発射については、我が国の安全を大きく脅かすものであり、単なる発射実験とみなすわけにはまいらず、日本の主権にかかわる極めて重要な事態として認識して、怒りを込め北朝鮮に対して厳重に抗議をいたします。  三十一日の正午過ぎに北朝鮮東部沿岸から弾道ミサイルが発射され、夜になって政府は三陸沖の公海に着弾した可能性があると発表し、ミサイル弾が我が国の上空を横断したと知り、ほとんどの国民が愕然としたものと思われます。  北朝鮮が我が国への武力攻撃を意図して弾道ミサイルの発射を行ったのではないにしても、我が国の上空を飛んだミサイルが不正確な射程により、日本の領土、領海に着弾する危険性がゼロとはとてもみなしがたいものであります。さらに、三陸沖公海も我が国の船舶、航空機が多く活動しており、何ら事前通告もなく重大な脅威にさらされました。これは少なくとも海洋法に抵触するものではないか。着弾して被害が出てからでは遅いのであり、そのような危険性を事前に防ぐことに万全を期すのが安全保障であります。  我が国の民族の生命線にかかわる一番重大なことであります。我が国の主権、安全保障上の観点から、総理の基本的な認識をまず明確にお伺いいたします。  今回の北朝鮮の弾道ミサイルが、我が国の領空侵犯となるかどうかについては、政府はいまだ判断を留保されているようであります。どこまでの高度を領空と言えるのか、国際的には議論が続いていると伺っておりますが、今回のように明らかに大量破壊兵器が他の国の領土を横断したケースにおいては、高度いかんを問わず、その国の安全を大きく脅かし、世界の平和に挑戦する無謀な行動として、領空侵犯の危険な事態になることを国際世論、国際機関に強く訴える努力をすべきと考えるが、外務大臣の御見解をお伺いいたします。  我が国としては、北朝鮮との間にゆゆしき拉致疑惑問題がある中で、食糧難に対して人道的立場から米の緊急支援を行い、日本人妻の一時帰国を初め、KEDOの資金提供にも応分の分担等について努力する等、北東アジアの平和、安定と日朝関係の前進のために前向きに取り組んでまいりました。そのさなかの今回のミサイル発射問題については、国民感情として全く理解できない危険きわまりない非友好的な行為であり、漁業関係者を初め国民の間に大きな不安を巻き起こしております。  北朝鮮がこのような暴挙に出たことについては、国内事情、外交上の駆け引き手段等、いろいろな解釈があるようですが、政府としては、北朝鮮の背景、意図についてどのように見ておられるのか、今後の動向にも関連する重要な事柄でありますので、外務大臣からの御説明をいただきたいと思います。  政府としては、三十一日夜、官房長官が、極めて遺憾であり、厳重抗議の意を表明され、これは当然のことでありますが、それに対して北朝鮮から、自主権に属する問題等と反応があり、全く容認できません。北朝鮮の明確な謝罪と、このような行為を二度と繰り返さないことを約束しなければ、国民世論は到底納得いたしません。  さらに、日米韓の緊密な連携を初め、国際的な外交の場での対応を含め、我が国として、国民にわかりやすい手段で対抗することも必要となると考えられます。例えば、KEDOの資金提供について、今回の事態を踏まえて日本としてどのように対処していくのか、北朝鮮に対する全般的な外交の見直しとあわせ、御方針を総理大臣と外務大臣にお聞かせいただきます。  今回の北朝鮮のミサイル発射については、いろいろな情報があり、八月中旬から警戒を強めていたとのことであるが、少なくとも国民から見れば青天のへきれきそのものであります。しかも、防衛庁の発表も、第一報の着弾、ウラジオ海域から夜になって三陸沖の公海への着弾と変更になり、さらに三陸沖の遠方に弾頭が落ちた可能性が出ておるようであります。ミサイルもいまだ捜索中で発見されず、ミサイルの種類も特定されておりません。  このような状況で、我が国のミサイル防衛の情報収集は、米国頼みで不備があることが国民の目の前に明らかになりました。このようなことでは、我が国の早期警戒、危機管理体制が全く不十分であるとの批判が出てまいりますが、防衛庁長官としてどのように対応されたのか説明をお願いいたします。  九三年発射実験されたノドン一号は、日本の大半を射程に入れ、現在は実戦配備されていると米国は見ているようであります。このような実戦ミサイルの射程範囲にあって、ミサイルの防御システムはおろか、早期警戒体制も十分とれていない我が国はまさに平和ぼけと言われてもいたし方がありません。  今回の発射ミサイルは、北朝鮮が開発中の日本全体がすっぽりと射程に入る新型ミサイル、テポドンとの有力な情報があり、日本全体にとって甚大な脅威であります。我が国は、言うまでもなく専守防衛を国是としていますが、それだけに攻撃や脅威に万全を期し、すきを与えない防御体制をとることが肝心であります。このために弾道ミサイルへの対処については、弾道ミサイル防衛、BMDや情報収集衛星を初めとする我が国防空態勢を強化すべきであります。  来年度予算の概算要求には防衛庁が研究具体化のために計上を予定していたBMDの技術研究が盛り込まれておりませんが、どうなっているのか、情報収集衛星関係も含め追加要求されるべきでありますが、防衛庁長官の方針をお伺いいたします。  我が国を初めアジアの経済不況に加え、ロシアのルーブル大幅切り下げ、取引停止が引き金になりニューヨーク株が暴落し、世界同時不況が懸念されております。その中で混乱の輪を拡大させるかのごとく北朝鮮のミサイルが発射されました。  このようなときに当たってこそ、東西の主要国が経済、政治、安全保障の安定のために団結して対応すべきであり、我が国も早急な景気、金融対策を講ずるとともに、日本の安全確保については断固とした姿勢で対応措置を講ずるべきであります。  今回のミサイル発射問題について、国連総会や安保理事会へ問題提起を行うとともに、主要国に早急に呼びかけ、世界の不況、ミサイル、テロ問題等、緊要な課題を協議する首脳会議を開催すべきと考えますが、この点について総理の御見解を伺い、ミサイル問題については我が国の毅然とした態度を世界に示されることを願って、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 吉村剛太郎議員にお答え申し上げます。  今般のミサイル発射に関する基本認識についてのお尋ねがございましたが、我が国の安全保障に直接かかわる極めて憂慮すべき事態であり、毅然とした厳しい対応を行ってまいりたいと考えております。  次に、海洋法に抵触するか否かについてのお尋ねでございましたが、国際法上、公海の自由を行使する他国の利益等に妥当な考慮を払ったとは言いがたく、抵触する疑義があると考えております。  KEDOへの対処及び対北朝鮮外交についてのお尋ねでありますが、今般の北朝鮮によるミサイル発射を受けまして、米国、韓国等の理事会メンバーとの協議の上、当面KEDOの進行を見合わせたいと考えております。我が国としては、KEDOの活動も含め、北朝鮮に対し、毅然としたこれまた厳しい対応をとる考えでございます。  北朝鮮によるミサイル発射問題を、安保理等多数国間の場で取り上げるべきであるとの御意見でありますが、これまでも国連の場におきまして大量破壊兵器の不拡散、軍縮に向かって努力しておるところであり、また、北東アジアの平和と安定にかかわる本件の重要性にかんがみ、国連や種々の首脳レベルでの会合等で問題提起する可能性を探求いたしてまいりたいと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕

高村正彦自由民主党外務大臣

○国務大臣(高村正彦君) 国際世論等への訴えかけについてのお尋ねでありますが、北朝鮮による今回のミサイル発射は、我が国の安全保障や北東アジアの平和と安定という観点、さらには大量破壊兵器の不拡散という観点から極めて遺憾であり、このような事態が二度と起こらないように、国際世論、国際機関への働きかけも含め、米国、韓国等の関係国とも緊密に連携し、毅然として対処してまいります。  北朝鮮のミサイル発射の背景、意図についてのお尋ねでありますが、国威の発揚、開発能力の誇示、対外交渉への影響をねらった等々、種々の見方があることは承知しておりますが、いずれもまだ推測の域にとどまり、実態は不明確、不透明であります。  今般の北朝鮮によるミサイル発射を受け、KEDOについては、米国、韓国等と協議の上、当面進行を見合わせることとしております。今般のミサイル発射は、我が国の安全保障に直接かかわる極めて憂慮すべき事態であり、我が国としては、この観点から、北朝鮮との関係において毅然とした厳しい対応をとっていく考えであります。(拍手)    〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕

額賀福志郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(額賀福志郎君) 吉村議員の御質問にお答えをいたします。  まず最初に、今回の北朝鮮のミサイル発射に関しての私の対応ぶりについてのお尋ねでございました。  私は、今般の北朝鮮の弾道ミサイル発射の動きに関連いたしまして、八月中旬ごろから、イージス艦を含む艦艇、航空機により広く情報収集体制を強化するとともに、政府部内での適時適切な情報の報告、連絡をとってきたところであります。しかしながら、今般の防衛庁に対しまして御批判のあることも承知をしております。これから反省すべき点があれば謙虚に点検をいたしまして、危機管理の重要性にかんがみ、情報収集体制、連絡体制等の一層の充実を図ってまいりたいと思っております。  また、BMDについて追加要求をすべきであるとの御質問でございますけれども、防衛庁といたしましては、BMDにつきましては、その意義等を総合的に考えまして、早期に日米共同技術研究に着手することが望ましいというふうに考えております。引き続き検討をしておるところであります。なお、米国との関係で詰めるべき事項が残されておりますので、八月末には必要な経費を要求するまでには至らなかったわけでありますけれども、米側との調整がつき次第、しかるべく対応を図ってまいりたいというのが率直な気持ちであります。  また、もう一つ、情報収集衛星につきましては、現在のところ、我が国独自の情報収集のための衛星を保有する構想ないし計画はありませんけれども、私どもといたしましては、有力な情報収集手段の一つとして大きな関心を持っておりまして、技術的見地から各種の調査研究を行ってまいりたいというふうに思っております。  以上であります。(拍手)     ─────────────

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) 広中和歌子君。    〔広中和歌子君登壇、拍手〕

広中和歌子民主党・新緑風会

○広中和歌子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、北朝鮮による弾道ミサイル発射の暴挙について、激しい憤りを感じつつ、総理、外務大臣及び防衛庁長官にお尋ねいたします。  まず総理、今回の北朝鮮のミサイル発射は単なる実験であったと断定してよいのでしょうか。そうではなくて、我が国に対する直接攻撃を意図したもの、あるいは攻撃のための演習ではなかったのか、総理はどのように判断されているのか、明確に御答弁を願いたいと存じます。  八月三十一日の官房長官コメントでは、そのタイトルは「北朝鮮によるミサイル発射実験」となっております。また、その本文では、「北朝鮮に対し、外務省を通じ、今回の実験実施に対する遺憾の意を直接伝達するべく申し入れを行ったところである。」と述べておりますが、どうして実験であると判断できたのでしょうか。重要なことでありますから、あわせてはっきりお答えください。  防衛庁の分析として伝えられるところによれば、発射されたミサイルは二段ロケット式の弾道ミサイル・テポドン一号で、北朝鮮東部沿岸から発射されたミサイルは東に向かって高高度を飛び、二段式ミサイルの一段目が日本海に落下、二段目が青森県八戸市の東方で北緯三十九度から四十一度の間の三陸沖太平洋に落下、さらに二段目についていた弾頭部分は同じ八戸市沖でもさらに東方の、沿岸から五百キロまでの公海に、それぞれ三つに分離して落下したということであります。防衛庁はこれをどのようにして確認したのでしょうか。ミサイルの残骸などを発見されたのでしょうか。防衛庁長官にお聞きいたします。  今回の事態で重要なことは、北朝鮮が我が国に何の通告もなく、まかり間違えば我が国領域に落下するかもしれない危険を冒して、無謀にも日本列島上空を越えて太平洋にミサイルを撃ち込んだ事実であります。国民のだれもがこの事実を知ったとき、背筋がぞっとする恐怖を感じたことと思います。総理はこれを知らされたとき、どのように感じられたのでしょうか、率直にお答え願いたいと思います。  ここで私が改めて申し上げるまでもなく、北朝鮮はこれまでにビルマのアウン・サン廟爆破、大韓航空機爆破、潜水艦あるいは潜水艇で韓国侵入を試みるなど、国際社会からローグステートと言われている国であります。何をしでかすか知れない国が、現に我が国の隣国として存在するのであります。国民の不安、恐怖は想像に余りありますが、一体政府は、このような国から我が国の安全と国民の命をどのように守っていこうとされるのか、総理の毅然たる対応をお聞きしたいと思います。  また、我が国はこれまで北朝鮮に対して、洪水被害があると聞けば人道的な支援を行い、エネルギーが不足していると知ればKEDO、朝鮮半島エネルギー開発機構を通じて北朝鮮のために約十億ドルの資金提供に応じる姿勢を示すなど、北朝鮮の立場に配慮して最大限の努力をしてきたわけです。それにもかかわらず、今回の北朝鮮による日本列島越えミサイル発射は、恩をあだで返すようなものであり、私は北朝鮮の態度を断じて容認することができません。  今、政府がとるべき行動は、単に厳重に抗議するとか、遺憾の意を伝達するといったことで済むものではなく、北朝鮮に明確な釈明を求めることであります。二度とこのような暴挙を繰り返さないこと、そしてまた、ミサイル開発をしないことを約束させることであります。  その意味で、私は、政府が日朝国交正常化交渉、食糧支援、KEDOへの資金提供を当面見合わせることにしたことは極めて適切なことであり、これを支持するものであります。同時に私は、北朝鮮から何らかの明確な釈明があるまでこれらの措置を撤回すべきではないと思います。政府は北朝鮮に釈明を求め、我が国として十分な納得が得られるまで、北朝鮮に厳しく対処すべきであると思いますが、総理の御決意を伺います。  さて、今回の北朝鮮によるミサイル発射は、我が国の防衛態勢や危機管理体制のあり方に大きな問題を提起しました。結論的に申し上げれば、今回の事態に対して、情報収集体制の不備は言うに及ばず、貴重な税金を投じて漸進的に整備を図ってきたはずの自衛隊は、何ら十分な機能を発揮できなかったと断ぜざるを得ません。  政府は八月ごろから情報を得て、警戒監視体制を強化してきたということでありますが、八月三十一日の発射の事実も着弾の事実も、どれもが米国からの情報に依拠しているようであります。それに加えて、政府からの発表のおくれ、そしてまた発表内容の訂正など、政府内部の混乱ぶりも指摘しておかなければなりません。こんなことで緊急時に本当に大丈夫なのでしょうか。十分に対応できるのでしょうか。これでは国民は座して死を待つしかないのであります。  今回のミサイル発射に当たって、総理は自衛隊にどのような指示をなさったのか、自衛隊は具体的にどう動いたのか、情報連絡体制はどのように機能したのか、国民に対する情報伝達に混乱が生じたのはなぜか、多くの国民はこれらの点を知りたがっております。明快な御答弁を求めます。  また、海上自衛隊は強力なレーダーを装備した、一隻が約千二百億円もするイージス艦を四隻保有しているはずであります。そのレーダーによる捕捉能力は水平方向で三百二十四キロ、垂直方向で八十三キロであると承っておりますが、仮にこれらの艦艇が適切に配置されていれば、十分に北朝鮮のミサイルを捕捉できたのではないかと思います。当時、これらのイージス艦は日本海あるいは太平洋のどこに配置され、どのような実績を上げたのでしょうか。また、航空自衛隊は早期警戒機E2Cを十三機保有し、それよりさらに性能がすぐれ、一機が五百億円を超える早期警戒管制機AWACSを二機購入しているはずであります。これらの航空機は今回の危機に際し、どのように運用されたのでしょうか、防衛庁長官にお伺いいたします。  もし、こうしたイージス艦やAWACSが、北朝鮮のミサイル発射も着弾もとらえることができなかったというのであれば、一体何のためのイージス艦でありAWACSであるのか、情報収集能力、危機管理能力のみならず、自衛隊の存在そのものが問われることになります。総理の御見解を伺います。  御承知のように、我が国は専守防衛を旨としております。そのためには、言うまでもないことでありますが、危機を事前に察知し、これを予防する措置を講ずることは何よりも重要であります。それゆえ、危機を回避する情報が殊のほか重要なのでありますが、その根幹のところを何の痛痒も感じることなく、いつまでも安易に米国に頼っていてよいのでしょうか。私は、今回の事態を思うにつけ、我が国防空体制の強化、場合によっては独自の偵察衛星の導入を含め、真剣に検討するべきときに来ているのではないかと思います。弾道ミサイル防衛構想、いわゆるBMDへの我が国の対応方針を含め、総理並びに防衛庁長官の明快な御所見を伺いたいと思います。  今回、北朝鮮がミサイルを発射した意図についてはさまざまに取りざたされておりますが、特に指摘しておきたいのは、北朝鮮がミサイルを各国に輸出することによって、困窮のきわみにある国内経済に活路を見出そうとしているのではないかということであります。一説には、北朝鮮は既に十億ドルに上るミサイル輸出を行っているとも伝えられますが、このようにして大量破壊兵器であるミサイルが、紛争が絶えない中東諸国などに拡散していくことを私は最も恐れるものであります。  政府は、ミサイル輸出管理体制の構築を各国に呼びかけるなどして、ミサイルの拡散防止に主導的役割を果たすべきであります。また、既存のミサイル関連技術管理レジーム、MTCRもさらに実効あるものにするよう強化していく必要があると思います。これらの点について、外務大臣の御見解を伺います。  最後に、私は、今後の我が国の北朝鮮外交についてお尋ねいたします。  一口に言って、現在の北朝鮮は、我々の隣国にありながら、我々にとって最も不可解な国であり、誤解を恐れずに申し上げれば、不気味な国であります。明後日、九月五日には、我が国の国会に当たる最高人民会議が開かれ、そこで新しい金正日体制が発足すると言われていますが、金正日氏の顔は我々には一向に見えてまいりません。そのリーダーシップも不明であります。そういう中で、我が国が今後北朝鮮とどのような関係正常化を図っていくのか、これは難題であります。今回のようないわば恫喝外交に屈することなく、米国、韓国などと協力し、また、国連などの場をかりて北朝鮮に毅然たる対応をしていくことが望まれます。  今後の北朝鮮外交についての総理の御見解、あわせて金正日氏に対する総理の率直な御感想を伺って、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 広中和歌子議員にお答え申し上げます。  北朝鮮によるミサイル発射の意図に関するお尋ねでございますが、御指摘のような種々の見方もございますが、残念ながら確たることにつきましては不明でございます。いずれにいたしましても、今回のミサイル発射が極めて遺憾な事実であることは言うまでもないことであります。  なお、当時、実験との表現を用いましたのは、その時点で把握していた情報に基づくものであったと理解をいたしております。  今般のミサイル発射に関する感想についてのお尋ねでございますが、本件は、我が国の安全保障や北東アジアの平和と安定という観点、さらには大量破壊兵器の拡散防止という観点から極めて遺憾だと考えております。  なお、日ごろ我が国の北朝鮮に対する対応につきましては、恩をあだで返すこととの受けとめ方を広中議員されてのお尋ねがございました。  私自身も、外務大臣に就任いたしました折、外交の大きな柱として、日ロの平和条約締結と同時に、北朝鮮との関係の正常化を強く訴えてまいりまして、その後の政策につきましても、外務大臣なりに対応をいたしてきたつもりでございます。しかし、にもかかわりませず、今回このようなミサイル発射ということによって、その答えがそのようであるとすれば、まことに私自身も、従来とってまいりました方針に、その意を十分御理解を願えなかったのではないかとさえ考え、まことにある意味では怒りを禁じ得ないというふうな気持ちがいたしておるところでございます。  安全保障への決意についてのお尋ねでございますが、今般のミサイル発射は、我が国の安全保障に直接かかわる極めて憂慮すべき遺憾な事態であり、毅然とした厳しい対応を行っていくことは言うまでもありません。また、日米安全保障体制を堅持し、適切な防衛力の整備に努めるとともに、我が国を取り巻く国際環境の安定の確保のための外交努力を、米国、韓国等との関係国と緊密に連携してまいりたいと考えております。  北朝鮮に対する事実関係の解明と再発防止についてのお尋ねでありますが、我が国はあらゆるレベルで北朝鮮側に遺憾の意を伝え、厳重に抗議し、説明を求めると同時に、ミサイルの開発・輸出の中止を求めることを含めた一連の対北朝鮮政策を表明いたしたところでございます。我が国は、北朝鮮側におきまして、我が国として納得し得る説明と行動が示される等の状況にならない限りこの方針は貫いてまいりたいと思っております。  自衛隊の行動と情報連絡体制についてでございますが、自衛隊は八月中旬ころより情報収集体制を強化し、早期警戒情報の受領後も必要な情報収集体制を維持するとともに、着弾した可能性のある海域に艦艇、航空機を派遣し、捜索活動を実施したところでございます。さらに、情報収集の推移に応じて政府部内での報告、連絡及び公表に努めたところであります。今後とも、危機管理の重要性にかんがみ、連絡体制の一層の充実を図る所存でございます。  自衛隊の情報収集能力等のお尋ねでございましたが、北朝鮮からの弾道ミサイルの発射に備えイージス艦を派遣した結果、情報収集はより効果のあるものとなりました。自衛隊の収集した情報が弾道ミサイルの飛行の分析に寄与することができたと考えております。  なお、AWACS、すなわち早期警戒管制機E767につきましては、大変残念ながら、現在まだ運用を開始しておらない状況でございます。  弾道ミサイル防衛についてのお尋ねでありましたが、弾道ミサイル防衛の問題は、我が国の防衛政策上の大きな課題であり、現在、米側の協力を得つつ行っている検討の成果を踏まえ、今後適切に対処してまいります。  また、偵察衛星につきましては、現在のところ、我が国独自の情報収集のための衛星を保有する構想ないし計画はありませんが、有力な情報収集手段の一つとして重大な関心を有しており、技術的な見地からも各種の調査研究を行ってまいりたいと考えております。  最後に、今後の対北朝鮮外交と金正日氏への評価についてのお尋ねでございましたが、我が国は、本件ミサイル発射につき、あらゆるレベルで北朝鮮側に遺憾の意を伝え厳重抗議し、説明を求めると同時に、ミサイルの開発・輸出の中止を強く求めていく考えでございます。  なお、金正日氏の評価につきましては差し控えさせていただきますが、今回の問題より生じる北東アジアの平和と安全への影響には責任をきちっと負ってまいらなきゃならない、このように考えておる次第であります。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)    〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕

高村正彦自由民主党外務大臣

○国務大臣(高村正彦君) ミサイル輸出管理体制の構築についてのお尋ねでありますが、不拡散を目的とする国際的な体制としてミサイル輸出管理レジームが存在しており、このレジームに参加する我が国を含む三十二カ国は、第三国によるミサイル開発や関連物資及び技術の入手に寄与することがないように、これらの物資や技術の輸出規制を協調して行っているところでございます。北朝鮮がミサイルを輸出しようとしていることにつきましては、あらゆるレベルで北朝鮮側にミサイルの開発・輸出の中止を求めていく考えであります。  ミサイル輸出管理レジームの実効の強化についてのお尋ねでありますが、北朝鮮を含めたアジアや中東といった地域の一部においてミサイルの開発、入手、配備の努力が継続している現状を踏まえれば、このレジームの活動をより実効的なものとしていくことが必要であると考えております。  こうした観点から、我が国を含む参加国は、それぞれの輸出管理の実効性の強化に努めるとともに、非参加国をミサイル拡散防止の努力に引き入れるために一層働きかけていくべきだと考えております。(拍手)    〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕

額賀福志郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(額賀福志郎君) 広中先生の御質問にお答えをいたします。  まず第一に、弾道ミサイルの落下の確認に関するお尋ねでございました。  防衛庁といたしましては、米軍からの情報、それから先ほど総理からもお話がありましたように、イージス艦、早期警戒機E2Cの派遣等を通じまして得られた情報を総合的に独自に分析をいたしました結果、日本海及び三陸沖の三カ所にそれぞれ弾着をしたという推定をいたしたところでございます。  また、弾着した可能性のある海域に対しまして、自衛隊の艦艇、航空機を派遣いたしまして捜索活動を続けておりますけれども、今のところ落下物は発見されておりません。  それから第二番目に、イージス艦の配備とその実績に関するお尋ねでございました。  防衛庁といたしましては、各種の情報等から総合的に判断をいたしまして、八月中旬ごろより、北朝鮮からの弾道ミサイルの発射に備えまして、日本海の所要の海域にイージス艦一隻を派遣し、十分な情報収集体制をとってきたところであります。イージス艦の派遣によりまして、弾道ミサイルに関する情報収集はより効果的なものになったと考えております。  また、三番目の御質問でありますが、早期警戒機及び早期警戒管制機の運用に関するお尋ねでございました。  防衛庁といたしましては、八月中旬ごろから、自衛隊の艦艇や早期警戒機E2C等の航空機を所要の海域に派遣をいたしまして、十分な情報収集体制をとってきたわけであります。  総理からお話がありましたように、まだ、早期警戒管制機E767につきましては、現在、実用試験中でありまして、実際の運用は行っておりません。  以上であります。(拍手)     ─────────────

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) 高野博師君。    〔高野博師君登壇、拍手〕

高野博師公明

○高野博師君 私は、公明を代表して、先日の北朝鮮による弾道ミサイル発射事件に関連して、総理に質問いたします。  そもそも国の安全保障とは、政府が国民の生命と財産を守るという基本的な統治能力の一つであり、危機管理の最たるものであります。しかし、一般的には、安全保障ということを当然視して日常意識することはないが、ちょうど空気中の酸素が足りなくなったときにその重要性を自覚するように、危機が起きたときに突如として意識し、対応することを迫られることが多々あります。確固たる安全保障が我々の経済社会活動を支えており、安全保障での失敗は許されないという冷厳な現実を直視し、対応しておかねばならないと思います。  今回の事件で、私は直ちに、つい先月ハーバード大学で行われたアジア・太平洋フォーラムでのジョセフ・ナイ元国防次官補の発言を想起いたしました。すなわち、今後十年間の東アジアの安全保障のフレームワークを展望するとき、二つの課題がある。一つは北朝鮮の動向であり、二つ目は中国が力をつけていくとどうなるかである。朝鮮半島については明白な危険が存在する。北朝鮮は十年以上もマイナス成長を続けており、最も弱くなったときに対外的に攻撃をかけてくる危険性があり、この点を楽観的に見過ぎてはいないだろうかというものでありました。  そこで、まず最初に、政府は東アジア全般の平和と安全保障を長期的な観点から見て、北朝鮮をどのように認識しておられるのか。さらに、我が国の対北朝鮮の基本方針について、小渕総理に伺います。  さて、今回の弾道ミサイル発射事件については、その目的、ねらいは、対米アピール、国威発揚、ミサイル輸出等々、さまざまな議論がなされておりますが、私は三点ほど指摘し、質問したいと思います。  まず、今回の事件はある意味で予想された範囲内の事件であり、我が国は冷静な対応をすべきであり、過剰な反応は好ましい結果をもたらさないということであります。その上で、ミサイル発射・着弾等に関する情報把握と公表のタイミングと内容に関して、政府の対応は危機管理の観点から問題があったのではないか、この点につき、早期警戒情報伝達システムとの関連から、総理の見解を伺います。  二つ目は、政府は弾道ミサイル発射は八月の段階から関連情報を入手し、北朝鮮側に中止の申し入れをしていたとのことでありますが、北朝鮮側がこれを無視して、民間航空機や船舶の活動する地域に発射したという事実は、明らかに対日圧力であります。そもそもこれまでの我が方の対北朝鮮政策が適切であったのかどうかということであります。食糧援助、日本人拉致事件、日本人妻里帰り、さらには当時の与党訪朝団等々との関連で、無原則な対応や交渉が先方の対日軽視の見方を強めたのではないかと思われますが、これまでの政策の総括につき、総理の見解を伺います。  三つ目は、今回の事件を契機に、昨今の経済不況や先行き不透明感など、国民全般に広がっている複合的な不安、不満と漠然としたナショナリズムの感情が結びついて、我が国が急速に右傾化し、再軍備の動きが加速することを私は懸念しております。また、反北朝鮮感情の高まりの中で、いやしくも在日朝鮮人の人権が侵されるようなことがあってはならないと思います。この点についての総理の認識を伺います。  今回の事件が、言うまでもなく北東アジアの安全保障上重大な影響を及ぼし、さらには大量破壊兵器の拡散や軍拡がエスカレートすることが心配されます。しかしながら、安全保障の現実を見れば、我が国の防衛システムの見直しについても、当然十分な議論をした上での早急な対応が必要と思われます。  そこで、戦略ミサイル防衛、TMDに関して伺います。  今回の事件を直ちにTMD配備に結びつけるのは、若干短絡的ではないかと私は思います。米国との共同研究の早期着手が議論されておりますが、そもそもTMD配備は、我が国の専守防衛という観点から必要最小限度の自衛力として使用できるのか、憲法上の問題はクリアできるのかということであります。また、米国はこのTMDの実験では失敗の連続と言われますが、費用対効果の観点から問題はないのか、さらには、米国側にはこのプロジェクトの背景には巨大な軍需産業の存在があるとも言われますが、この点も含めて総理の御見解を伺います。  北朝鮮のミサイル発射事件に対応して、今後日米韓の三国は緊密な防衛上の協力を実施していくとのことでありますが、北朝鮮に大きな影響力を持ち、かつ四者会談の当事者の一つでもある中国とも十分な意見交換や協議が必要であり、さらにはロシアとも同様の対応が必要であると思いますが、総理のお考えを伺います。  また、政府はKEDOの事業実施については、当面進行を見合わせる措置をとるということでありますが、これは、そもそもKEDOのもとになった米朝枠組み合意に反するとして、かえって北朝鮮に核開発の口実を与えることになりはしないのか、この点についても総理の御見解を伺います。  次に、防衛上の対応として日米新ガイドライン関連法案について伺います。  そもそもこのガイドラインは、通常兵器による戦争や周辺事態を想定したものであり、大量破壊兵器は考慮していないと理解しておりますが、今回の事件との関連での新ガイドライン関連法案についての御認識と審議の見通しについて、総理の御見解を伺います。  最後に、総理は今回の事件を今後行われる予定の日米、日韓、日中首脳会談の中で取り上げ、十分な情報交換や対応策を検討すべきであり、さらには、国連安保理や総会の場で、インド、パキスタンの核の問題やこの北朝鮮の弾道ミサイル発射事件を提起し、強く我が国の考えを主張すべきであると思います。  我が国は、しかるべき自国の安全保障上の措置はとりつつも、あくまでも戦争のない社会を構築すべく最大限の平和外交を推進すべきであると思いますが、総理の御決意を伺って、私の質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 高野博師議員にお答え申し上げます。  北朝鮮についての認識及び対北朝鮮外交の基本方針についてお尋ねがございました。  北朝鮮の動向は、従来より不透明な点がありまして、今回のミサイル発射もその背景につき確たることは不明だと思っております。いずれにいたしましても、本件は我が国の安全保障に直接かかわる極めて憂慮すべき事態であり、我が国として北朝鮮との関係において毅然として厳しい対応を行ってまいる考え方であります。  政府の情報把握・公表についてのお尋ねがございました。  政府といたしましては、今般の北朝鮮の弾道ミサイルの発射の動きに関し、八月中旬より情報収集体制を強化するとともに、御指摘の早期警戒情報も含め、情報収集の推移に応じて政府部内での報告、連絡及び公表に努めてきたところであります。今後とも、危機管理の重要性にかんがみ、連絡体制の一層の充実を図る所存でございます。  対北朝鮮外交についてのお尋ねでありましたが、我が国は、従来より一貫して諸懸案の解決に努めつつ、朝鮮半島の平和と安定に資する形で日朝間の不正常な関係を正すよう、韓国等と緊密に連携して対応してまいりました。  今般の発射につきまして、北朝鮮に対して強い遺憾の意を直接伝達し、厳重抗議の意を示しておりますが、引き続き毅然として対応を行っていく考えでございます。  今回のミサイル発射による影響のお尋ねでありましたが、我が国は日本国憲法のもと、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とならないとの基本理念に従い、日米安全保障体制を堅持し、文民統制を確保し、非核三原則を守りつつ、節度ある防衛力を自主的に整備することを防衛の基本方針といたしております。かかる考え方については、今回のミサイル発射によっても何ら変更はございません。  在日朝鮮人の人権についてのお尋ねがございました。  政府は、在日朝鮮人を初めとする外国人の人権が侵害されることのないように、従来から人権擁護機関におきまして各種啓発活動を行うなど、その人権擁護に努めてきたところであり、今後とも適切に対処してまいりたいと考えております。  TMDについてのお尋ねでありましたが、憲法の許容する必要最小限の防衛力を超えるか否かにつきましては、その時々の国際情勢や科学技術等に照らして判断されるべきものであると考えております。我が国が検討を行っておりますいわゆるBMD、すなわち弾道ミサイル防衛は純粋な防御手段であり、他国に脅威を与えるような攻撃能力を保有するものでなく、政府としては、このような弾道ミサイル防衛は必要最小限の防衛力を超えることとならないものと考えております。  米国によるTMDについてのお尋ねですが、我が国としてはBMD、すなわち弾道ミサイル防衛の必要性や効果の判断を的確に行うとの観点から、米国の開発状況等には注視いたしておりますが、その個々の試験結果や米国企業の動向等についてコメントする立場にはありません。いずれにせよ、BMDについては現在、米国の協力を得つつ所要の検討を行っており、その検討の結果を踏まえて的確に判断したいと考えております。  中国のミサイル照準についてのお尋ねでありましたが、米中間の合意は実質的な軍事的意義というよりも象徴的な意義を有するものでありまして、軍事的に我が国が照準されているかを現時点で提起する必要があるとは考えておりません。近年、日中間で防衛・安全保障分野での交流対話が進展いたしておりまして、今後とも相互の透明性や信頼感の向上に努めてまいりたいと考えております。  KEDOへの対処についてのお尋ねでありましたが、今般の北朝鮮によるミサイル発射を受けまして、KEDOにつきましては、米国、韓国等の協議の上で、当面進行を見合わせたいと考えておりますが、米朝間の合意された枠組み自体は維持されるべきものと考えております。  周辺事態安全確保法案等についてお尋ねがございました。  これらは周辺事態に際し、我が国以外の当事者において使用される武器システムを特に想定したものではなく、この意味で今回の事案により影響を受けるものではありません。政府といたしましては、我が国の平和及び安全にとって重要なこれらの法案等が早期に国会で御審議され、成立または承認されることを強く期待いたしております。  今回の事件を国際社会で取り上げよというお尋ねでございますが、我が国は既に日韓米三者間での協議開催提案や、国連安保理及び総会におけるしかるべき形での問題提起の可能性の探求といった措置を表明いたしておるところでございます。  我が国といたしましては、今後ともこれらの機会等を通じまして強く我が国の考え方を主張し、また、我が国の安全、さらには国際平和と安全の維持のために努力してまいりたいと考えております。(拍手)     ─────────────

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) 小泉親司君。    〔小泉親司君登壇、拍手〕

小泉親司日本共産党

○小泉親司君 私は、日本共産党を代表して、北朝鮮のミサイル発射問題について質問をいたします。  今回の北朝鮮によるミサイル発射は、民間の航空機や漁船など多数が往来する太平洋の公海上に、何らの通告もなく撃ち込まれた危険で乱暴きわまりないものであります。また、ミサイルの着弾点から見て、日本領土上空を通過した可能性が伝えられていますが、そうだとすれば、我が国の主権と安全を脅かす行為であります。  日本共産党は、北朝鮮に対し、厳しく抗議をするものであります。同時に、北朝鮮に対し、事実関係の全容を明らかにすること、二度とこうした行為を繰り返さないことを強く求めるものであります。  そこで、今回の問題の事実関係及び政府の対応について質問をしたいと思います。  まず第一に、日本政府の事前の対応についてであります。  日本政府は、北朝鮮のミサイル発射の可能性について、八月中旬から情報を入手し、再三にわたって北朝鮮に対し、中止を要求していたことを明らかにしています。まず、その時点で外交的手段による未然の防止の努力が十分にやられていたかという点が問題になります。  政府によると、中止を申し入れた会談は、課長級の会談だということであります。今回の問題について、政府は、我が国の安全保障や北東アジアの平和と安定にとって重要であるということを強調しておりますが、そのように重要な問題であるなら、なぜ課長級という実務レベルの対応に済ませていたのでしょうか。総理は、今回の事態を招いた外交面での措置は万全であったと考えているのか、見解を明確にしていただきたいのであります。  次に、なぜ政府は事前に情報を入手しながら、国会や国民に明らかにしなかったのかという点であります。  北朝鮮のミサイル発射のような乱暴な行為を阻止するためには、何より国民世論、国際世論に訴えることが重要であります。ところが、日本政府は事前に情報を入手しながら、その情報は国会や国民には明らかにしないというものでした。高村外務大臣は、公表すれば北朝鮮の意図を満足させることになるという趣旨の答弁をしていますが、事実を明らかにしてこそ乱暴な行為を食いとめることができるのではありませんか。明確な答弁を求めます。  第二に、ミサイル発射の事実関係についてです。  今回のミサイル発射が太平洋上に着弾したことが事実であれば、それは日本領土の上空を通過したもの、つまり、我が国の領土を横切ってのミサイル発射であり、我が国の主権と安全を脅かすものとして重大であります。ところが、政府は、米軍の情報に日本の独自の情報を加味して総合的に判断したと繰り返すのみで、具体的な事実を明らかにしていません。この点を明らかにし、上空通過についての事実関係を明確にすべきであります。  あわせて、公海上にミサイル発射を行ったことについての認識をただしたいと思います。  国連海洋法条約は公海の自由のため妥当な考慮を払うとしています。これは当然、民間の船舶や航空機が往来する公海上のミサイル発射は、安全のために事前の通告を行うことを義務づけるものだと考えますが、見解を伺いたい。  北朝鮮の行為は、このような国際法から見ても許されない行為であると思いますが、総理はどのような見解をお持ちなのか、明確な答弁を求めます。  第三の問題は、北朝鮮に二度とこのような行為をさせないためにどうするかという点であります。  今、今回のミサイル発射を理由に、専ら軍事的対応の強化を主張する議論が行われています。しかし、今重要なことは、事実関係を解明し、北朝鮮に二度と乱暴な行為をさせないよう、慎重で冷静な外交を進めることであります。そのためには、あらゆる外交ルートを通じて、北朝鮮に事実関係の全容解明を求めること、こうした乱暴な行為を繰り返させないことを強く要求すべきではありませんか。  政府は、偵察衛星や弾道ミサイル防衛構想の検討など、軍事的対応の強化を強調していますが、これは軍事的対応の悪循環を引き起こし、北東アジアの軍事的緊張を高めるものとなります。弾道ミサイル防衛構想には、これまで多くの問題点が指摘されており、今回のミサイル発射を利用して、一気呵成にこの構想などを推進していこうという姿勢は許されません。このような計画は中止すべきであります。答弁を求めます。  日本政府が今やるべきことは、北朝鮮に二度とこうした乱暴な行為を繰り返さないよう、道理ある外交努力を尽くすことであります。このことを重ねて強調して、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 小泉親司議員にお答え申し上げます。  北朝鮮によるミサイル発射についてお尋ねがございましたが、今回の動きは、事前に、我が国より北朝鮮側に対し、地域の安定と平和を損なうような行動をとることのないようにとの立場を伝達いたしてまいったところであります。にもかかわらず、今般の発射が強行されましたことは、極めて遺憾であり、北朝鮮側に対し、直接我が国の遺憾の意を伝達し、また、厳重抗議の意を明らかにいたしております。  北朝鮮のミサイル発射にかかわる事前の情報の取り扱いについてお尋ねがございましたが、政府といたしましては、今般の北朝鮮の弾道ミサイル発射につきましては、国民の不安をいたずらにあおることのないよう、事実関係を慎重に見きわめて対処してきたところでございます。  今般のミサイルの上空通過についてお尋ねがございました。  御指摘のミサイルは、諸情報を総合的に分析いたしました結果、北朝鮮東部沿岸の大浦洞付近から発射をされ、日本海に二段式ミサイルの第一段目が落下し、三陸沖に第二段目が落下し、同じく三陸沖のより遠方に弾頭が弾着した可能性が高いと考えておる次第でございます。  北朝鮮の行為と国連海洋法条約についてお尋ねがありましたが、国際法上の国連海洋法条約に規定されているように、公海の自由は、公海の自由を行使する他国の利益等に妥当な考慮を払って行使されるとされております。具体的な事前通報なく行われた今回の北朝鮮によるミサイル発射は、他国の利益等に妥当な考慮を払ったものとは言いがたく、国連海洋法条約に抵触する疑義があると考えております。  北朝鮮に対する事実関係の解明と再発防止の要求についてお尋ねがありましたが、我が国は、ニューヨークにおきまして北朝鮮側に強い抗議を行うとともに、官房長官発表において、あらゆるレベルで北朝鮮に遺憾の意を伝え、厳重抗議し、説明を求めると同時に、ミサイルの開発・輸出の中止を求めていく方針を決定いたしたところであります。我が国といたしましては、今後ともこの方針を踏まえまして、北朝鮮側の誠意ある行動を強く求めていく考えであります。  弾道ミサイル防衛についてお尋ねがございましたが、弾道ミサイル防衛の問題は、我が国防衛政策上の大きな課題であり、現在米側の協力を得つつ行っている検討の成果を踏まえ、今後適切に対処してまいります。  また、偵察衛星につきましては、現在のところ、我が国独自の情報収集のための衛星を保有する構想ないし計画はありませんが、有力な情報収集手段の一つとして、強い関心を有しており、技術的な見地から各種の調査研究を行っております。  以上、御答弁申し上げました。(拍手)     ─────────────

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) 田英夫君。    〔田英夫君登壇、拍手〕

田英夫社会民主党・護憲連合

○田英夫君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題になりました北朝鮮のミサイル発射問題について質問いたします。  今回の朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる北朝鮮が行った弾道ミサイル発射実験は、我が国を初め周辺諸国に何ら事前通告もなく行われたものであり、いたずらに北東アジア地域の軍事的緊張を高め、また、我が国の国民生活に重大な危険をもたらす可能性を持ったもので、まさに暴挙と言わざるを得ないものであります。極めて遺憾な行動であります。  社会民主党は、社会党時代から長い間朝鮮民主主義人民共和国、その労働党と交流を続け、日朝漁業協定、第十八富士山丸問題等で、ともすれば対立状態になりがちな日朝関係を平穏に導くよう努力を続けてまいりました。それだけに今回の北朝鮮の行動はまことに遺憾であります。  そこで、まず政府にお尋ねしたいのは、今回の北朝鮮の行動は国際法違反ではないかという点であります。国連海洋法条約では、公海または排他的経済水域で実験を行う場合、沿岸国に対し妥当な考慮をすることが規定されています。今回の実験が我が国の漁船などに重大な危険を及ぼす可能性があったことを考えた場合、この国際法との関係をお答えいただきたい。  次は、今回の事態を契機に、政府・与党では北朝鮮に対し、極めて厳しい反応を示しています。アメリカや韓国、中国の冷静な反応とは極めて対照的と言えます。  もともとアメリカは、最近、KEDOを初め北朝鮮に対し、宥和政策とも言える態度をとってきました。また、韓国の金大中大統領は、二月に就任して以来、一貫して北朝鮮に対し、北風ではなく太陽の姿勢をとり続けています。このような周囲の状況を無視してミサイル実験を強行した北朝鮮の態度は不可解であり、愚かとさえ思えます。  しかし、だからといって我が国が過剰に反応していいとは思えません。政府は偵察衛星を本当に実現するつもりですか。その場合、国会の宇宙平和利用決議との関係はいかがですか。また、戦域ミサイル防衛構想、TMDの実験に向けて予算措置などを進めるつもりですか。TMDはなお技術的に困難が多く、また費用も莫大で、日本の負担は兆の単位と言われ、実現は早くても十年先の二十一世紀の技術と言われています。それでもやるつもりですか。また、日米ガイドライン関連法案をこの際積極的に進めるつもりがおありか、お答えいただきたい。  また、朝鮮半島エネルギー開発機構、KEDOの進行を停止させるおつもりですか。この構想はアメリカが積極的に進めており、北朝鮮の核開発を阻止する目的を持っていますが、その進行をとめることは北朝鮮の核開発に道を開くことになりませんか、お答えいただきたい。  また、政府は、日朝国交正常化交渉を凍結し、北朝鮮に対する食糧援助も見合わせるという態度を表明していますが、これは逆ではありませんか。今こそ朝鮮民主主義人民共和国、北朝鮮に国際社会での孤立政策をやめさせ、周辺諸国との協力によって経済、特に食糧確保の道を開き、新しい国際協調の道を歩めるように誘導することこそ大切ではないですか。既にアメリカ、韓国、中国の各国政府はその方向で進んでいます。  私ども社会民主党は、今こそ北東アジアの平和を確立するため、日本国憲法の平和主義を前面に打ち出し、この朝鮮民主主義人民共和国の暴挙に反省を求めつつ、冷静に対応すべきだということを主張して、質問を終わります。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 田英夫議員にお答え申し上げます。  改めまして、北朝鮮のミサイル発射に対する我が国の態度は、今般のミサイル発射が我が国の安全保障に直接かかわる極めて憂慮すべき事態であり、遺憾であると考えております。本件に対しましては、我が国として毅然とした厳しい対応をとってまいる考えであります。  国際法との関係につきましてのお尋ねがございました。  先ほども御答弁申し上げましたが、具体的な事前通報なく、今回の北朝鮮によるミサイル発射は他国の利益等に妥当な考慮を払ったものと言いがたいと考えておりまして、国連海洋法条約に抵触する疑義があると考えております。  北朝鮮に対する政策に対してのお尋ねでございましたが、北朝鮮による我が国近海に向けたミサイル発射は、我が国の安全保障に直接かかわる極めて憂慮すべき事態であり、強い遺憾の意と厳重な抗議の意を明らかにいたしておるところでございます。今般の発射が行われたことによりまして、日朝関係はより厳しいものとならざるを得ないと考えております。外務大臣のときから日朝国交正常化に向けての努力をしてまいりました私といたしまして、今回の事態は極めて遺憾であるとともに残念であると考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)    〔国務大臣高村正彦君登壇、拍手〕

高村正彦自由民主党外務大臣

○国務大臣(高村正彦君) 北朝鮮のミサイル発射に対する各国の対応に関するお尋ねでありますが、韓国は本件に対し、深刻な憂慮の念を表明しており、また米国は、本件は重大な懸念の対象であり、現在進行中の米朝協議において懸念を表明していると承知しております。また、中国も今回のミサイル発射を遺憾としていると承知しております。  我が国としては、みずからの安全保障、北東アジアの平和と安定及び大量破壊兵器の拡散防止の観点から、本件は極めて憂慮すべき事態であると考えており、特にミサイルが我が国上空を通過したという点において厳しい反応を行っていることは当然であると考えております。  KEDOへの対処及び北朝鮮外交についてのお尋ねでありますが、我が国としては、米朝間の合意された枠組みに基づいて、北朝鮮による核開発の可能性を封じることが我が国の安全保障にとり極めて重要であるとの考えから、KEDOの軽水炉建設に対する支援問題に取り組んでまいりました。  今般の北朝鮮によるミサイル発射を受け、KEDOについては米国、韓国等と協議の上で当面進行を見合わせることとしておりますが、米朝間の合意された枠組み自体は維持されるべきだと考えております。(拍手)    〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕

額賀福志郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(額賀福志郎君) 田議員の質問にお答えをいたします。  まず、専守防衛を旨とする我が国の防衛にとって各種情報機能の充実は極めて重要でありますことから、防衛庁といたしましては、有力な情報収集手段の一つとして偵察衛星に大きな関心を持っているところであります。現在のところ、我が国独自の偵察衛星につきまして、構想ないし計画を持っているわけではありませんけれども、各国の利用の動向等を踏まえながら、今後とも注意深く見守っていきたいと考えております。  また、御指摘の国会決議につきましては、その解釈をどうするか、有権解釈は国会でなされるものと思っておりますけれども、その利用が一般化している衛星及びそれと同様の機能を有する衛星につきましては、自衛隊による利用も認められるものと思っております。  それから、二番目の質問でありますけれども、BMDの予算につきましてでありますが、防衛庁といたしましては、BMDの意義、それから我が国の防衛構想、米国の研究開発の進捗状況及び日米技術協力の意義等にかんがみまして、その準備が整うということであれば、早期に日米共同技術研究に着手することが望ましいと考えております。引き続いて検討中であることも、あわせて述べさせていただきます。  いずれにいたしましても、米国との関係で詰めるべき事項が残されていることから、八月末の概算要求には要求をしておりませんけれども、米側との調整がつき次第、しかるべく対応をしてまいりたいと考えております。  また、日米ガイドラインについてでございますけれども、周辺事態安全確保法案、自衛隊法改正法案及び日米物品役務相互提供協定改正協定につきましては、本年四月に閣議決定をし、今、国会に上程をさせていただいているところであります。  防衛庁といたしましては、我が国の平和と安全にとって重要なこれらの法案あるいは協定が早期に国会で審議をされまして、成立、承認されることを期待しております。  よろしくお願いを申し上げます。(拍手)     ─────────────

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) 田村秀昭君。    〔田村秀昭君登壇、拍手〕

田村秀昭自由党

○田村秀昭君 私は、自由党を代表して、ただいま説明されました北朝鮮の弾道ミサイル発射事案と我が国の対応について質問いたします。  我が国の経済は混迷の度を深め、八月二十四日には、東証平均株価はバブル崩壊後の最安値一万三千九百十五円を記録するという危機的な状況に陥っております。  私は、昨年の本会議の代表質問でも申し上げましたが、政治が弱体で、国家存立の基盤である安全保障をないがしろにし、危機管理の体制が確立していない国家で経済だけが発展するなどということはあり得ないと確信しております。総理大臣の御見解をお伺いさせていただきます。  さて、今回の北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する防衛庁の情報収集体制について質問をいたします。  北朝鮮の弾道ミサイルが発射準備態勢に入ったとの情報を米軍から入手したのは八月十三日前後と報道されておりますが、以降、防衛庁、自衛隊としてはどのような体制で情報収集に臨んだのか伺います。  発射準備態勢下では、着弾点付近に北朝鮮の情報収集艦も出没していたのではないかと想像されますが、これらに対する洋上哨戒は十分に行われていたのかどうか、事実について伺います。  また、弾道ミサイル発射の情報は、偵察衛星及び赤外線探知システムを装備した偵察機によってしか得られないものでありまして、これらを保有していない自衛隊としては、全くなすところなく米軍情報に頼らざるを得ないのが現実であります。  いずれにいたしましても、発射後十一時間有余を経て初めて太平洋上の着弾点が確認されるというのは、危機意識の欠如を物語るものであります。また、国民に対する事態の適切かつ正確な説明が著しくおくれたことは、政府に何らかの意図があったのではないかと疑わざるを得ません。防衛庁を初めとして、政府は本件を危機として認識していなかったのではないかと思わざるを得ないのであります。防衛庁長官は、本事案を危機として認識して、弾道ミサイル発射後、中央指揮所において指揮をとられておられたのかどうか、お伺いさせていただきます。  次に、自衛隊のミサイル防空体制について質問をいたします。  世間一般では、自衛隊は湾岸戦争でイラクのスカッドCミサイルを撃墜した米軍のペトリオットと同型のものを装備しているのだから、ミサイルに対する防御も可能であると誤解している向きもあるようでありますが、弾道ミサイルについては自衛隊は何らの対処もできないのが現実であります。しかも、偵察衛星を含む早期警戒体制と組み合わせて、弾道ミサイルに対処し得るミサイルを装備して初めて対処が可能になるのでありまして、これこそが戦域ミサイル防衛構想、いわゆるTMDであります。  防衛庁は、いつまでも本構想の調査研究にとどまっているのではなくて、早期にこのTMD構想に参画すべきであると私は従来から主張し続けてきたところでありますが、それは自衛隊の重大な欠落機能を一日も早く是正する必要があると考えているからであります。偵察衛星の保有とTMD構想への早期参画について、何年にもわたって常に、慎重に検討するという答弁は、やらないということと同じでありまして、やらなくて防衛の任が全うできるのかどうか、あわせて防衛庁長官に伺いたいと思います。  最後に、我が国の安全保障、なかんずく防衛について自衛隊の位置づけをどのように考えておられるのか、そして偵察衛星を中心とする早期警戒情報収集システムを構築し、TMD構想に直ちに参画すべく今や決断するときと考えておりますが、総理大臣の御見解をお伺いし、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)    〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(小渕恵三君) 田村秀昭議員にお答え申し上げます。  我が国の安全保障、危機管理及び経済発展についての御質問でございましたが、国の安全と繁栄を維持し、国民の生命、財産を守ることは政府の最も重要な責務であると認識をいたしておりまして、経済の発展の基盤ともなる危機管理体制、安全保障体制につきましては、一層堅固なものとなるための努力を今後とも引き続き責任を持っていたしてまいりたいと考えております。  弾道ミサイル防衛についてお尋ねがございましたが、弾道ミサイル防衛の問題は、我が国の防衛政策上の大きな課題であり、現在、米側の協力を得つつ行っておる検討の成果も踏まえまして、今後適切に対処いたしてまいります。また、偵察衛星につきましては、現在のところ、我が国独自の情報収集のための衛星を保有する構想ないし計画はありませんが、重要な情報収集手段の一つとして強い関心を有しておりまして、技術的な見地からも各種の調査研究を行っております。  自衛隊の位置づけについてのお尋ねがございましたが、実力組織である自衛隊の有する防衛力は、侵略を排除する意思と能力をあらわすものとして侵略を未然に防止し、また、万一侵略を受けた場合はこれを排除するという機能を有します。防衛力は、国の安全保障を最終的に担保するものであって、他のいかなる手段によっても代替できないものと考えております。  残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)    〔国務大臣額賀福志郎君登壇、拍手〕

額賀福志郎自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(額賀福志郎君) 田村議員にお答えをいたします。  まず第一問でありますけれども、弾道ミサイルの発射に関する情報収集体制につきましてのお尋ねでありました。  これにつきましては、先ほどもお話を申し上げておりますけれども、八月中旬ごろからイージス艦、EP3等を含む艦艇、航空機の動員によりまして情報収集体制を強化し、一生懸命頑張ってきたところであります。  それから、弾道ミサイルの発射準備態勢下における洋上哨戒に関するお尋ねでございますけれども、防衛庁といたしましては、各種の情報等から総合的に判断をいたしまして、八月中旬ごろから、北朝鮮からの弾道ミサイルの発射に備えまして、所要の海域におきましてイージス艦を含む自衛隊の艦艇、航空機を派遣し、十分な情報収集体制をとってきたところは同じであります。  それから、防衛庁長官は本事案を危機として認識をしておったのかどうかということでございますけれども、今回の北朝鮮の弾道ミサイルの発射につきましては、我が国の安全保障や北東アジアの平和と安定という観点、さらには大量破壊兵器の拡散防止という観点から、我が国の安全と平和に極めて大きな問題があり、遺憾に思っているところであります。  防衛庁といたしましては、八月中旬より弾道ミサイルの発射に関する情報収集体制の強化を図ってきたところでありますけれども、今回の発射に際しまして、私自身は中央指揮所に入ってはおりませんでしたが、防衛庁内で重大な危機感を持って万全の体制をとるべく指示をしてきたところであります。  なお、今般の北朝鮮の弾道ミサイルの発射につきましては、事柄の性格上、事実関係を含め慎重に判断するということから、三十一日の夜の発表の時間となったものでありまして、意図的におくらせたということではありません。正確を期して発表させていただいたということであります。  また、弾道ミサイルの防衛等のお尋ねでございますが、これはただいま総理からもお話があったとおりであります。特に、弾道ミサイル防衛につきましては、アメリカ側との今最終的な調整を行っているところであり、この調整がつき次第しかるべく対応をしてまいりたいというふうに考えております。  終わります。(拍手)

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。      ─────・─────

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) この際、お諮りいたします。  岡野裕君外八名発議に係る北朝鮮の弾道ミサイル発射に抗議する決議案は、発議者要求のとおり委員会審査を省略し、日程に追加してこれを議題とすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。  よって、本決議案を議題といたします。  まず、発議者の趣旨説明を求めます。岡野裕君。     ─────────────    〔議案は本号末尾に掲載〕     ─────────────    〔岡野裕君登壇、拍手〕

岡野裕自由民主党

○岡野裕君 ただいま議題となりました自由民主党、民主党・新緑風会、公明、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び自由党の各派共同提案に係る決議案につきまして、発議者を代表し、提案いたします。  まず、案文を朗読いたします。     北朝鮮の弾道ミサイル発射に抗議する決議案   八月三十一日、北朝鮮は、我が国に対し何らの事前通告もなしに弾道ミサイルの発射を強行した。当該ミサイルは我が国の上空を通過し、多数の船舶、航空機等が活動する三陸沖の海上に着弾した。   かかる北朝鮮の行為は、我が国領土に落下する可能性を一顧だにせぬ、国際常識無視の無謀かつ極めて危険な行為であり、我が国の安全保障上極めて由々しき事態である。また、北東アジアの平和と安定に対する重大な脅威となり、ひいては国際社会全体に緊張をもたらし、大量破壊兵器の拡散防止に向けた国際的努力を無視する行為である。   本院は、今回の行為は極めて許し難いものであると認識し、ここに北朝鮮に対して断固抗議をする。政府は、速やかに国際社会と連携して、北朝鮮が断じてかかる行為を繰り返すことがないよう強力な外交を展開し、加えて、北東アジアの安定と信頼醸成の構築に努めることを強く求めるものである。   右決議する。  以上であります。  趣旨御了解の上、広く御賛同を賜りますよう、よろしくお願いいたします。(拍手)     ─────────────

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。  本決議案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。    〔投票開始〕

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。    〔投票終了〕

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。   投票総数         二百二十五   賛成           二百二十五   反対               〇  よって、本決議案は全会一致をもって可決されました。(拍手)     ─────────────    〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕     ─────────────

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) ただいまの決議に対し、内閣総理大臣から発言を求められました。小渕内閣総理大臣。    〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕

小渕恵三自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(小渕恵三君) ただいまの御決議に対しまして、所信を申し述べます。  今回、北朝鮮が我が国を射程に含むようなミサイルの発射を強行したことは、我が国の安全保障に直接かかわることであり、極めて憂慮すべき事態であるとともに、北東アジアの平和と安定並びに大量破壊兵器及びミサイルの拡散防止という観点からも極めて遺憾であります。  これらの観点より、政府といたしましては、対北朝鮮政策を再検討するとともに、毅然とした厳しい対応をとる必要があると考えており、既に、北朝鮮に対して、直接厳重に抗議をいたしました。  政府といたしましては、ただいま採択されました御決議の趣旨を体し、米韓両国を初め関係国とも連携をとりつつ、北朝鮮に対してミサイル開発・輸出を直ちに中止するよう強く求める等の適切な措置を講ずるとともに、アジア太平洋地域の安定と信頼醸成に一層の努力を払う所存でございます。(拍手)

斎藤十朗各派に属しない議員議長

○議長(斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十二分散会      ─────・─────

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