本会議 第4号
- 発言数
- 32 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1998/08/12
会議録
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。 この際、お諮りいたします。 堂本暁子君から海外旅行のため来る十八日から十一日間の請暇の申し出がございました。 これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。 よって、許可することに決しました。 ─────・─────
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第三日) 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。浜四津敏子君。 〔浜四津敏子君登壇、拍手〕
○浜四津敏子君 私は、公明を代表して、ただいま議題となりました小渕総理の所信演説を中心に、山積する内外の諸問題について質問をさせていただきます。 私ども公明は、さきの参議院選挙では「ひとりを大切にするヒューマニズムの政治」の実現を訴えて戦ってまいりました。その結果、七百七十五万票という真心からの御支援をいただくことができました。多くの皆様の御期待と信頼におこたえするために総力を挙げてまいります。 初めに、この夏、新潟を初め全国各地に多大な被害をもたらした集中豪雨の被災者の皆様にお見舞いを申し上げます。また、隣国、中国揚子江流域の大水害、さらに韓国首都周辺を襲った集中豪雨などによって多くの人命が奪われ、大きな被害が出ておりますことに心を痛め、一日も早い復興を願うものであります。 こうした災害に対して、政府は、国内の迅速かつ的確な復旧対策及び支援に全力を挙げることはもちろん、災害に遭った諸国への支援をも検討すべきことを冒頭に申し上げます。 さて、現在も円安、株安が加速しておりますが、今日の日本経済が危機に瀕していることは、日本のみならず世界の共通認識であり、危惧でもあります。この危機は、まさしく橋本前政権の政策判断の誤りによる政策不況がもたらしたものであります。 経済危機にとどまらず、日本社会全体を覆う閉塞感、不公正、不公平感が増す中で、国民が政治に真剣に求めているのは、真に国民のための政治を行動で示せ、希望を持てる将来像を示せということであると思います。 さきの参議院選挙の結果は、こうした声に背を向けた自民党・橋本内閣への国民の怒りの爆発以外の何物でもありません。民意は、国民無視、官僚依存、政官業癒着の自民党政治に明確にノーの審判を下したのです。 この民意を受け、私たちが最終的に加わり、参議院は野党第一党の党首である菅直人氏を総理として指名いたしました。国民の声に耳を傾けるなら、自民党は野に下るべきでした。しかし、あくまで政権に固執し、派閥の論理がまかり通る相も変わらぬ手法で小渕政権が誕生いたしました。確かに、総理は衆議院では総理に指名されましたが、私たち参議院の意思だけでなく、どの世論調査を見ても、市場の反応を見ても、小渕総理が国民から真に負託された総理でないことは明白な事実であります。 総理は、参議院選挙で示された民意を一体どう受けとめておられるのか、内閣成立に対して示された国内外のかつてない厳しい評価をどう感じておられるのか、総理の認識をまずお伺いいたします。 消費税が引き上げられた昨年春以降、景気は悪化の一途をたどっています。実質経済成長率、消費関連指標、企業倒産件数、負債総額、失業率など、経済関連指標はすべて戦後最悪の数値を示しております。こうした数字の背景には、倒産や失業で自殺に追い込まれた人、一家離散、夜逃げなどを余儀なくされた人、住宅ローンが払えず自宅を手放さざるを得なくなったなどの悲劇が山積しているのであります。一人一人の苦しみ、悲しみは想像に余りあるものがあります。 参議院選挙を通じて、私も全国を回りましたが、その深刻な実態は想像をはるかに超えたものでありました。お会いした中小企業や商店経営者の方々は口々にこう言われました。これ以上仕事がなくなれば従業員も解雇せざるを得ない、自殺に追いやられた経営者が大勢いるが、人ごとではないと。また、こういう声もありました。貸し渋りに遭って、わらをもつかむ思いで高金利の金融に手を出す人たちがたくさんいる。年三〇%にも上る利息を払えるはずもなく、倒産し、夜逃げし、すべてを失ってしまうと。 そして総理、職業安定所に行ってみてください。多くの人たちであふれております。中でも失業した中高年の人たち、ちょうど子供の教育費がかかり、マイホームのローンも残っている年代の人たちが必死に職を求めています。また、子供を抱え、家計を担っている多くの女性たちが解雇され、職を求めています。しかし、なかなか仕事にありつけないのが実情です。 総理、これらの悲劇は橋本前内閣の経済失政がなければ起こらなかったはずであります。それは景気判断の誤りに加え、経済の全体を見ず、財政再建しか頭にない大蔵官僚の判断に前政権が盲目的に従ったためであります。と同時に、行政や政治は、みずからは真剣な改革の努力をせず、国民にだけ犠牲と、昨年だけでも九兆円の負担を押しつけたからであります。そしてこうした政府・自民党の国民無視のやり方に国民は猛反発をしたのであります。 総理は、今回の不況を招いた橋本前内閣の経済失政及び深刻な不況についてどのような認識を持たれているのか、また、橋本内閣の閣僚としてこれらの政策を推進してきた御自身の責任をどうおとりになるのか、また、今後の景気についてどう予測し、判断されているのかもあわせてお伺いいたします。 さらに、私は今現場の声の一端をお伝えいたしましたが、総理はこうした現場の声に何より真摯に耳を傾けるべきです。 しばらく前、ある新聞の投書欄に、国動かす 人々よ、民の声を聞けとの怒りの投書が載りました。国民の苦しみを知るどころか、利権と保身にきゅうきゅうとする与党政治家に対する怒りの投書でした。これが多くの国民の声でありましょう。 政治家がみずから現場に入り、現場の目線で生活者の側に立ってみたときに、初めて多くの国民の方々が抱える問題をどうすれば解決できるのか、その解決策が明らかになってまいります。私ども公明が、一貫して現場第一主義を党是としてきた理由はここにあります。 総理、私たちは直接現場で声を聞いてまいりました。総理、統計の数値ではなく、人づてでもなく、直接民の声を聞いていただきたい。そうすれば、例えば貸し渋り対策と称して銀行に多額の公的資金を投入しても、貸し渋りに苦しむ人たちのところにその資金は届かないということもおわかりになるでしょう。 そして例えば、政府系金融機関の融資条件を緩和し、融資枠をせめて三千万円くらいまで広げれば、多くの中小零細企業を救うことができるということも見えてまいります。あるいは、多くの地方自治体が財政の苦しい中で、今、中小企業向け融資制度を拡充していますが、国が財政的にその制度を後押しするという政策が実効性があることもわかってまいります。そしてまた、失業者の多くの姿を見れば、すぐに雇用の創出に手を打たなければとの思いになるはずであります。 また、労働基準法改正論議においては、働く女性や弱い立場にある労働者に、これ以上の負担や厳しい労働環境を押しつける内容にすべきでないことも、現場を見ればよくわかるはずでございます。そして社会の中で女性が、殊に働く女性がいかに不合理、不公平、不平等を強いられているか、真の男女共同参画社会実現のために、男女共同参画基本法制定を初めあらゆる強力な施策をとるべきことも実感できることでしょう。 官主導でなく、政治のリーダーシップをということは、一つにはこうした現場からの発想による政策立案を意味していると私は考えます。総理の御見解をお伺いいたします。 さらに、私たち公明は、多くの方々の声を聞いて、すべての国民の消費を潤し、かつ即効的な消費拡大効果が期待できる一人三万円の期限つき商品券の支給を提案いたしました。私は、著しい不振に陥っている個人消費を早急に喚起し、デフレスパイラルに突入した景気を回復するには、六兆円規模の恒久減税だけでは不十分であると思います。国難ともいうべき非常事態に直面している我が国経済において求められているのは、非常事態に対処できる大胆で即効性があり、かつ着実に消費喚起につながる景気対策であります。そのため、私は、赤ちゃんからお年寄りまですべての人を対象に、一人当たり三万円の特別戻し金を期限つきの商品券で支給することを重ねて提案いたします。 既に政府は、ことし二回にわたり計四兆円の特別減税を実施しましたが、消費拡大は余り期待できないと思います。同じ四兆円を使うのであれば、商品券支給の方が消費拡大効果ははるかに大きく、我が国の消費不況ムードを一気に払拭できることになると思います。現に複数の自治体で商品券方式は実施され、地元の振興に効果を上げ、喜ばれているではありませんか。税金は、むだの多い従来型の公共事業ではなく、こういうことにこそ使うべきです。政治が決断すれば容易に実現できるものであります。多くの庶民が心待ちにしています。総理の決断を重ねて求めるものであります。 さらに、倒産、失業などにより住宅ローンが払えず、自宅を追われる深刻な事態が全国的に広がっております。そこで、この際、住宅関連対策として次の三点を提案いたします。 一つは、住宅ローンのゆとり返済制度の月額返済額を軽減することです。すなわち、返済期限を延ばし、住宅ローン完済まで最初の低額の月額返済額をそのまま引き上げることなく継続することです。これにより多くの方々がマイホームを手放さずに済みます。 二つには、住宅ローンの利子を税控除の対象にすることです。これは既にアメリカなどで実施されています。自宅購入と増改築の住宅ローンの全返済期間を対象とした住宅ローン利子減税制度の創設を提案いたします。 三つには、失業等によりローン返済が困難になった住宅を必要に応じて国が買い上げ、賃貸を可能にすることであります。そうすれば、ローン支払いのかわりに低額の家賃を払うことで自宅を追われずに済むことになります。 こうした庶民の側に立ったきめ細かい住宅関連施策こそが今求められていると思いますが、総理の御見解をお伺いいたします。 次に、不良債権問題についてお尋ねします。 不良債権問題がこれほどまでに深刻化したのは、政府・自民党がバブル崩壊後八年も不良債権の処理を放置してきたためであります。中でも、宮澤大蔵大臣は、バブルを発生させた当時の大蔵大臣であり、さらにバブルを放置した末にその後始末に失敗した当時の総理であります。なぜ不良債権処理がこれほどまでにおくれたのか、その原因をどう認識し、そしてその責任をどう自覚し、反省しておられるのか、大蔵大臣に伺います。 また、金融当局及び金融機関経営者の責任は極めて重大であります。こうした責任をどのように追及されるのか、大蔵大臣のお考えをお伺いします。 政府のブリッジバンクに基づく不良債権処理案には、極めて多くの問題と疑問があります。 第一に、不良債権の処理は、その前提として情報開示が不可欠でありますが、いまだに正確な不良債権額が明らかになっておりません。正確な情報開示を行うためには、まず債権分類の統一基準を決め、開示を義務づけ、違反した者にはアメリカ並みに罰則を強化し、一方で外部監査の導入が必要だと考えます。 第二に、破綻銀行の認定方法も不明であり、また、保護すべき善意かつ健全な借り手の判定をどのようにするのかも甚だ不明であるという点であります。健全な借り手に対する債権と、それ以外の債権の仕分けを預金保険機構の中に設置される審査判定委員会が行うこととされておりますが、膨大な銀行の融資案件について、健全性を的確に判定できるのかは極めて疑問であります。 第三に、破綻金融機関はブリッジバンクを通じ存続期間が最長五年とされておりますが、これは不良債権処理の先送りであり、善良かつ健全な借り手の基準の不明確さと相まって、際限のない公的資金の投入に道を開く危険性が極めて大きいと思います。破綻から原則として一年で破綻銀行の処理は完了すべきであります。 第四に、銀行や企業の経営責任をどうとらせるのか、全く不明である点であります。公的資金の投入については、正確な情報開示、経営責任の明確化、徹底したリストラを絶対の要件とし、金融機関の救済ではなく預金者保護を原則とすべきであります。 こうした多くの問題及び疑問にどのようにお答えになるのでしょうか、総理にお伺いいたします。 次に、行政改革についてお尋ねします。 さきの通常国会で中央省庁等改革基本法が成立しました。しかし、中央省庁再編には地方分権の視点が欠落しており、権限も人員もほとんど変わらない数合わせの形だけの再編に終わりました。真の小さな政府実現のために、この欠陥の見直しを行い、権限、財源を含む思い切った地方分権に真剣に取り組む決意がおありでしょうか、お答えください。それなくして人員の削減もコストの削減も不可能であります。 総理は所信で、十年間で国家公務員の二〇%削減と三〇%のコスト削減に努力すると言われました。この目標を具体的にどのような年次計画で達成されるのかも明確にお示しください。 また、行政改革の一環として特殊法人についても大なたを振るうべきであります。大蔵省から建設省所管の日本道路公団理事へ天下りした元高級官僚の汚職事件、住宅・都市整備公団の空き家住宅問題、さらには通産省所管の特殊法人である石油公団は、採算を度外視した石油開発会社への巨額の融資により、わかっているだけでも一兆四千億円を超す損失を出しました。このような官僚の汚職や国費のむだ遣いについて、行政の責任者として国民へどのように説明し、どのような責任をとられるのでしょうか。 民間会社と違って、特殊法人は何ら自己責任を問われず、倒産の心配もなく、役人の天下り先となっております。これらの特殊法人に対して補助金や出資金などの形で国民の血税が年間数兆円も出されています。総理、私は、特殊法人については当初の目的を終えたものについては廃止、民間企業と競合するものは民営化する、存続が必要なものは徹底した合理化を図るのが当然と考えますが、総理のお考えを伺います。 さらに、隗より始めよと言います。まず国会議員の定数削減を図るべきと考えますが、総理の御見解を伺います。 さらに、行政改革の大前提である情報公開法について伺います。 国民の知る権利を保障し、健全な民主主義を実現する上で情報公開は不可欠であります。薬害エイズ、「もんじゅ」事故、住専処理などで明らかになった行政の密室性や情報隠しを許さず、官主導を転換するためにも非常に重要な制度であります。野党三党案を基軸に、抜け道のない情報公開法をぜひ今国会で成立させるべきであると考えますが、総理の御見解を伺います。 次に、政治改革についてお伺いします。 政治腐敗防止法案が前国会で見送られました。特に、行政に口ききをした見返りに金銭を受け取ることを禁止したあっせん利得罪の創設が焦点になっていましたが、自民党は政治資金規正法に基づいて届け出た寄附は対象外とすべきだとの主張を曲げないどころか、そもそも倫理を法律で縛ることがおかしいなどと党内から反対論が出て、法案の提出には至りませんでした。あっせんするのは政治家の義務だなどの暴論までありました。 後を絶たない不祥事、腐敗の事件が国民の政治不信をここまで深めました。毎年、予算の時期になると、族議員による予算分捕り合戦が毎年繰り広げられると新聞に報じられてまいりました。予算は国民の血税をどういう政策にどれだけ使うか、それが予算です。それを地元、利益団体などにばらまくために分捕ると報じられました。このような予算分捕り合戦が堂々と繰り広げられる政治は、到底民主政治とは言えないと思います。政治は国民の方々のためにこそあります。政策も予算も、国民のための一点で判断されるべきであります。 この現在の政治の実態を総理はどう受けとめておられるでしょうか。まずは政治腐敗防止法を今国会で速やかに成立させるべきです。そして、公務員倫理法も同時に成立させるべきです。総理のお考えをお伺いします。 次に、二〇〇〇年度からスタートする介護保険制度についてお伺いいたします。 介護保険法は、保険あってサービスなしの危惧、第二の国保の危険性など、余りにも不備や問題点が多く、そのため、介護保険制度に対する国民の期待と信頼感は、残念ながら極めて低いものと言わざるを得ません。運営主体とされる地方自治体からは、大きな財政負担、要介護認定の難しさ、こうした事務の困難さ、煩雑さなど、深刻な問題に直面することになるとの声が数多く寄せられています。 こうした殊に自治体が抱える不安、疑問、要望を政府として十分に聞き、こたえていくべきであります。そうでなければ、介護保険制度の破綻は目に見えております。今後、どのような道筋で自治体などの意見を取り入れていくおつもりか、厚生大臣のお考えを伺います。 次に、ダイオキシンを初め、いわゆる環境ホルモンなどの化学物質による環境汚染問題についてお伺いいたします。 五月末、WHOはダイオキシン類に関する耐容一日摂取量を現行の体重一キロ当たり十ピコグラムを一ないし四ピコグラムに大幅に引き下げる結論を出しました。今回のWHOの見直しに沿って、種々のごみ焼却施設のダイオキシンの排出基準を初めとする現行の対策、環境規制・基準を直ちに見直し、さらにコプラナーPCB及び臭素系ダイオキシンを調査対象に加え、対策を図るべきであると考えます。厚生大臣の御見解をお伺いします。 また、各地でダイオキシンによる土壌汚染が深刻化しております。土地の用途別に環境基準を設定すべきであります。さらに近年、トリクロロエチレンなどの化学物質による環境汚染、土壌汚染が拡散していることを考えると、土壌汚染防止法の制定を急ぐべきであります。総理の御見解を伺います。 冷戦が終結した今日においても、国際社会には核兵器を含む大規模な軍事力が存在しており、また、インド、パキスタンによる核実験を初めとする大量破壊兵器の拡散といった新たな危険が増大するなど、国際情勢は極めて不透明な状況にあります。私は、過去の大国が歩んできたこれまでの核兵器による抑止と均衡の時代を一日も早く終えんさせるため、我が国は、今こそ世界的な核兵器廃絶へのイニシアチブを発揮し、あらゆる具体的行動を強力に推進すべきと考えます。 そこで、総理にお尋ねしますが、CTBTの早期発効に向けてどのような外交努力を行おうとされているのか。また、インド、パキスタンに対して、NPT並びにCTBTへの加盟とともに、カットオフ条約交渉への参加をいかに促進されるお考えなのか。そして、核及びミサイル関連物資・技術の移転阻止を図るために、どのような枠組みを構築されるのかお伺いします。 さらに、さきに核戦力の一方的な削減を含む国防計画を明らかにした英国政府と連携して、他の核兵器保有国に対し、核軍縮を強力に推し進めていくおつもりがあるのかどうか、あるいは今後予定されている米国、中国及びロシアとの首脳会談において、核軍縮及び廃絶に向け核兵器全面禁止条約など、具体的な提案をされる御用意があるのか、御所見をお伺いします。 次に、日米防衛協力のための新たな指針関連法案についてお伺いいたします。 今回、政府から提出されている周辺事態法案は、自衛隊がこれまでの日本防衛から周辺有事対応へと踏み出す重大な内容を多く含んでおり、これまでの日本の安全保障、防衛政策を大きく転換する法案であります。日米安保条約においては、極東有事の際の米軍への基地、施設提供の義務が明記されているだけで、いわゆる後方支援を義務づける条文はありません。 まず、総理に、周辺事態法案に基づく防衛協力と日米安保条約との関係について明確な説明を求めます。 さらに、周辺事態の明確な定義、後方支援が集団的自衛権行使につながるとの懸念、自衛隊の活動と海外における武力行使の関係、自衛隊の武器使用と憲法との関係、さらには活動中の自衛隊が仮に戦闘に巻き込まれた場合の対応など、いまだ国民に納得のいく説明がなされておりません。 その上、今回の周辺事態法案は、周辺事態に対する対応措置の内容を定める基本計画について国会承認すら不要で、国会への報告のみと規定されており、憲法のシビリアンコントロールの原則すら確保されておらず、極めて問題であります。総理の御所見をお伺いいたします。 最後に、教育について伺います。 教育改革が叫ばれてまいりましたが、しかし、学校教育の行き詰まりは一向に解消されることなく、昨年一年間の不登校生徒数はついに十万人を突破しました。教育は人づくりであり、人づくりは国づくりそのものであります。今の学校教育の行き詰まり、子供たちの心の荒廃はそのまま日本の将来の行き詰まりと社会の荒廃につながっていきます。日本は二十一世紀にどういう国を目指すのか、その国家像と教育のあり方は大きくかかわってまいります。 そこで、二十一世紀の目指すべき日本の姿と求められる人間像を描き、それを実現するための教育の改革が急務であります。 戦後の教育はひたすら経済大国を目指し、その戦士あるいはこまを育てるための知識偏重教育を続けてまいりました。その中で、物やお金重視、物質主義、そして自分さえよければいいという利己主義が幅をきかせることとなりました。殊に、本来日本をリードすべきエリート層の人たちの間で、目を覆うばかりの不正、腐敗、汚職の事件が後を絶たず続いてまいりました。このいわば指導者層の人たちの事件は、子供たちに、まるでエリートになれば特権の座に座って甘い汁を吸える、庶民を足げにしても、あるいは不正や違法を働いても自分たちさえ利益が得られればいいと、日本では正直者はばかを見ると身をもって教えているようなものであると私は思います。これで子供たちの心が荒廃していくのは当たり前のことであります。 日本の教育は、人間としての当たり前の基本を教えてこなかったその必然の結果であると思います。人々のため、あるいは人々に尽くすことこそが実は自分を豊かにする、そしてほかの人を顧みない、ほかの国を顧みない利己の生き方は、実は自分自身を、そしてこの国を傷つけていることになるという人間の基本を教えてこなかった結果だと私は思います。 私たち公明は、二十一世紀の日本を平和、福祉、環境、人権、人道大国にすべきであると訴えてまいりました。そして求められる人間像として、我が身一人、我が社一社、我が国一国のみの利益を求める利己の生き方でなく、他の人々、他の国々との共生、共栄、そして自然との共生を目指す人間像を描いてまいりました。豊かな人間性を持った人を育てれば、人間性豊かな社会を、ヒューマニズムあふれる社会を築くことができます。そのための人間教育に真剣に取り組まなければならないと思います。 そこで、受験競争をなくすための中高一貫教育、二十ないし二十五人学級の実現、文部省の指導要綱などの教育の規制の大幅緩和、学校教育に社会のさまざまな分野の職業人、専門家、職人、人生経験豊かな高齢者、ボランティア活動家などの参加を求め、情操教育、体験学習、ボランティア教育などを充実させる、大学及び企業が意欲と能力ある人に学び、働くための門戸を開き、いつでも学び、いつでも働けるシステムをつくるなど、できるところから早急に実現すべきと思います。文部大臣の御見解を伺います。 以上、我が国が早急に取り組むべき内外の諸問題について小渕総理初め関係大臣にただしてきました。私は、本来こうした課題に取り組むのは小渕内閣ではなく、民意の上に立った政権だと思います。したがって、小渕内閣は、一刻の猶予も許されないこの不況克服、景気回復への道筋をこの国会でつけた上で、一日でも早く衆議院を解散して、国民にその信を問うべきであると考えます。 最後に、総理のお考えを伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 浜四津議員にお答え申し上げます。 参議院選挙の結果と本内閣に対する評価についてのお尋ねがございました。 私は、今般の参議院選挙の結果につきましては、厳しくかつ謙虚に受けとめております。特に、この選挙において示されたのは、国民が何よりもまず我が国の経済情勢を極めて深刻に感じ、その一日も早い回復を願っておるということでございました。 私といたしましては、こうした国民の声を真摯に受けとめ、この内閣を経済再生内閣と位置づけさせていただきました。不良債権の抜本的処理を初めとする経済再生のための施策等を、政治主導のもと、責任の所在を明らかにしながら、スピーディーに政策を実行することにより、一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せることのできますよう、内閣の命運をかけて全力を尽くす覚悟をいたしております。 私は、この内閣に対する世論調査の結果等も承知をいたしておりますが、迅速、果断に政策を実行していくことによりまして、国民の皆様の御支持、御支援を得たいと考えております。 前内閣の政策に対して、大変厳しい御批判もちょうだいをいたしました。 特に、現下の経済の状況を考えましたときに、私自身、あのかつてなかったバブルの崩壊、こういう事態に対処して、それ以降の政権のとられた政策等につきましても、私なりに勉強もさせていただきながら、こうした問題の所在につきまして十分検討させていただきながら、この内閣におきまして、すべての問題を処理することのできるように努力をいたしていきたいと考えております。 我が国の経済は、アジアの通貨金融市場の混乱、金融機関の経営破綻などを背景にいたしまして、家計や企業のマインドが非常に慎重になっておられるということでございまして、最終需要が弱まりまして、景気の低迷が長引いております。こうした中、政府といたしましても、その時々の経済情勢に応じまして、財政・金融両面にわたる適切な措置をとってきたところではありますが、改めて私、この内閣におきましても、その反省の上に立って極めて適切な対応をとらせていただきたいと考えております。 今後の景気の動向についてのお尋ねでございますが、今後につきましては、先般成立したばかりの補正予算等、総合経済対策の本格的効果が徐々に出てくるものと考えられますが、他方、雇用の悪化、金融機関の不良債権問題等が懸念されております。したがいまして、総合経済対策の実施に全力を尽くすことに加えまして、金融再生トータルプランの早期実現を目指しておるところでございます。その上で、事業規模で十兆円を超える第二次補正予算を編成いたしまして、六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施いたしてまいります。以上の政策を実行することによりまして、我が国経済を一日も早く回復軌道に乗せるよう、努力をいたしてまいります。 現場からの発想による政策立案を行うべきではないかとの御指摘がございました。 私もお伺いをしておりまして、謙虚にこれを受けとめさせていただきました。内閣を組閣いたしまして、できる限り早い時期に全国をめぐりまして、そうした生の声を十分受けとめながら、それを基礎として政策を実行いたしてまいりたいと考えております。同時に、私に所属をします経済戦略会議というものを設置いたしまして、民間の英知を結集することも必要ではないかと考えておりまして、民間の方々の専門家中心に今検討させていただいております。また、勤労者、中小企業の経営者の皆様方を初めとする国民の生の声に直接耳を傾け、私の考え方もお話を申し上げる機会をできる限り設けさせていただきたいと思っております。 次に、期限つきの商品券を支給してはどうかとのお尋ねでございました。 かねて御党の御主張であることは承知をいたしておりますが、商品券の支給につきましては、特定の業種、商品を優遇することとならないような商品券の使途の設定、二重給付を防止するための本人確認の問題、商品券により支払いを受けた者の換金コスト等、実務上さまざまな問題があるのではないかと考えております。 ゆとり償還制度に関するお尋ねがございました。 平成五年度及び六年度に実施した住宅金融公庫のゆとり償還制度につきましては、初期の返済額が低く抑えられる一方、六年目以降の返済額が急激に増大するため、本年度より、必要な方々に対して返済期間を最長十年間延長いたしまして、毎月の返済額を軽減する措置を講じておるところでございます。 住宅ローン利子減税制度の創設についてでございますが、持ち家の取得促進に配意し、既に税制面においては、住宅取得促進税制等により十分な配慮を行ってきたところではありますが、住宅ローン減税につきましては、こうした現状も十分踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。 住宅を国が買い上げることについての御提案でございますけれども、私も多額のローンを抱えている方々の御苦労は痛切に感じておるところでございまして、一刻も早い景気回復のため全力で取り組む考えではありますが、返済に困った人の住宅を国が買い上げて賃貸することは、残念ながら公平性の観点から問題が多いのではないかと考えております。 情報開示についてお尋ねでございますが、本年三月期から、全国銀行について公認会計士による外部監査を前提に、米国SEC基準と同様の統一的基準に従って不良債権の情報開示が既に行われておるところでございます。また、来年三月期からは、全金融機関についてこれを連結ベースにより罰則つきで義務化することといたしておりまして、これにより不良債権の開示制度は国際的に遜色のない水準のものとなると考えております。 破綻銀行の認定及び善意かつ健全な借り手の判定基準、手続についてのお尋ねでございますが、破綻の認定につきましては、その認定基準を法律で定めているほか、金融機関の申し出を義務づけることとしております。債権の仕分けにつきましても、経済または金融に関してすぐれた識見と経験を有する者等によってあらかじめ定め、公表されるとされており、健全性を適切に判定できるものとなると考えております。 破綻金融機関の存続期間についてのお尋ねでございますが、公的ブリッジバンクはあくまでもつなぎ、時限的な存在でございます。したがいまして、できるだけ早期にこの金融機関を民間金融機関に引き継いでいく必要があると考えておりまして、二年を越えて延長が認められる場合でも、やむを得ない事情がある場合にこれは限定されるべきものと考えております。 銀行や企業の経営責任についてでありますが、金融機関の破綻処理に当たりましては、金融機関の経営者の退任や、民事上及び刑事上の厳格な責任追及、悪質な借り手に対する強力な債権回収といったことを今後とも貫く必要があると考えております。 今回の措置におきまして、破綻した金融機関の業務執行権等を金融管理人に専属する制度を設けまして、破綻に至った経緯等の実態解明に努めることとするとともに、悪質で不健全な借り手に対しては、整理回収銀行が預金保険機構の罰則つき調査権を十分活用いたしまして、強力に債権回収を進めることといたしてまいります。 公的資金の投入についてのお尋ねでございますが、政府といたしましては、金融機関に対しまして情報開示の拡充及び一層の合理化努力を促すとともに、破綻に際しては、厳格な責任追及を貫いてきたところであります。こうした方針のもと、公的資金の枠組みを活用する今回の措置も、金融機関の救済を目的としたものでなく、預金者保護と金融システムの安定確保を図るものであることは申すまでもありません。 地方分権に取り組む決意についてお尋ねがありましたが、国と地方の役割分担を明確にし、住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体が担う方向で、権限の移譲を進めるとともに、地方税財源の充実確保を図ることが極めて重要であります。政府といたしましては、地方分権推進計画を踏まえた関連法案を次の通常国会に提出するなど、地方分権の一層の推進に取り組んでまいります。 定員削減についてのお尋ねでありますが、さきの所信表明演説で申し上げましたとおり、政治主導のもとで進められる中央省庁改革とあわせて推進する独立行政法人化等や業務の徹底した見直し、規制緩和、地方分権などの積極的取り組みを踏まえ、新しい定員削減計画を策定し、十年の間に各省庁の公務員の定員の二〇%削減を実現するように努力してまいる所存でございます。 コスト削減についてもお尋ねがございました。 中央省庁等改革基本法におきまして、規制緩和や地方分権、官民分担を徹底し、国の権限と仕事の減量を進めることを大きな柱として、行政のスリム化を行うことといたしております。今後、以上のようなスリム化を着実に進めることによりまして、財政的な面におきましても、当然のことでありますがコストの削減の効果が出てくるものと考えており、公約の実現に向け最大限努力をいたしてまいります。 特殊法人についてのお尋ねでありましたが、政府としては、中央省庁等改革の議論と並行いたしまして、平成九年において三次にわたる廃止、民営化、統合等を内容とする閣議決定を行いました。さらに、中央省庁等改革基本法におきましても、この整理合理化を進めることとされておるところでございまして、今後とも特殊法人の整理合理化を着実に推進してまいります。 国会議員の定数を削減すべしとの御主張でございますが、この問題につきましては、従来各党において議論が行われておるところと承知をいたしております。本件は、民意の国政への反映のあり方、行財政改革の進め方等と関連するものであり、各党各会派で十分御議論をいただき、その結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。 情報公開法についてお尋ねがございました。 政府は、法制の専門家、学者、実務者等各界の英知を集めてまとめられました行政改革委員会意見を最大限尊重して、情報公開法案を立案したところであります。同法案は国民に開かれた行政の実現を図るために重要な法案であり、十分御論議をいただき、速やかに成立させていただくようお願い申し上げます。 政治腐敗の防止についてのお尋ねでございました。 いわゆる国会議員のあっせん利得行為等を処罰する罪の新設等に関し、自由民主党におきましても議論が行われてきたところであることは承知をいたしております。政府といたしましては、各党各会派の十分な御議論をいただくことが基本であると考えておりまして、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。 公務員倫理法についてのお尋ねでございますが、さきの国会におきまして、議員立法として国家公務員倫理法案を御提案いただいておるところでございます。その早期成立を期待いたしております。法律が成立した暁には、この適正な運用に万全を期し、もって国民の信頼回復に努めてまいる所存でございます。 次に、ダイオキシン類にかかわる土壌環境基準の設定及び土壌汚染防止法の制定についてのお尋ねがございました。 本件は、土壌中のダイオキシンと健康影響との関係の解明など、多くの課題がありますことから、現在、環境庁におきまして実態調査を進めるとともに、望ましい土壌汚染防止のあり方など、必要な対応につきまして検討を進めているところでございます。 次に、核の問題につきまして、インド、パキスタンへの働きかけと核廃絶についての御主張とお尋ねでございましたが、我が国は、インド及びパキスタンに対し、NPT、CTBTの無条件締結及び核兵器・ミサイル関連の物資、技術の不拡散等粘り強く求めてまいります。 また、カットオフ条約につきましても、昨日、ジュネーブ軍縮会議におきまして、交渉を行う特別委員会の設置がようやく決定されたのでございますが、このことを心から歓迎いたしますとともに、ぜひジュネーブにおきましても、この作業が一日も早く進展することを心から願い、かつ、日本といたしましても、積極的に推進してまいりたいと思っております。今後とも、核兵器のない世界を目指し、現実的かつ具体的な努力を行ってまいりたいと思います。 核軍縮の働きかけについてのお尋ねでございますが、引き続き我が国は、核保有国に対し、適切な機会を通じ一層の核軍縮の働きかけを行ってまいりたいと思っております。具体的には、米ロの戦略兵器削減条約プロセスのさらなる促進を求めていくことを初めといたしまして、今後ともすべての核兵器国に対し、核軍縮努力を進めていく考え方であります。そのためには、国際世論をできるだけ結集して核軍縮を推進すべく、そのイニシアチブをとってまいりたいと考えております。 次に、周辺事態安全確保法案に基づく協力と日米安保条約との関係についてお尋ねでございましたが、周辺事態における日米協力は、あくまでも日米安保条約の枠内において行われるものでありまして、同法案にも明記されておりますとおり、周辺事態において我が国からの協力の対象となる米軍は、日米安保条約の目的の達成に寄与する活動を行っておる米軍でございます。 周辺事態安全確保法案に基づく活動についてでございますが、本法案に基づいて実施することを想定している後方地域支援等の活動は、それ自体は武力の行使に該当せず、また、米軍の武力の行使との一体化の問題が生ずることも想定されないものであります。したがいまして、憲法との関係で問題が生ずることはなく、集団的自衛権の行使につながるものではありません。 武器使用と憲法との関係についてのお尋ねでございましたが、後方地域捜索救助活動または船舶検査活動のうち一定の職務を行うに際し、自己または自己とともに当該職務に従事する者の生命または身体を防護することは、いわば自己保存のための自然権的権利と言うべきものであります。そのために必要な最小限度の武器の使用は、憲法第九条第一項で禁止された武力の行使に当たるものではないと考えております。 周辺事態安全確保法案に基づく自衛隊の活動についてでございますが、同法案に基づく自衛隊の活動は、戦闘行為が行われることが通常予測されない地域で実施するものであり、自衛隊が戦闘行為に巻き込まれる事態は基本的に想定されません。 なお、これらの活動の実施に際し、万一不測の事態が発生した場合には、実施区域の変更、活動の中断等の対応をとることといたしております。 周辺事態安全確保法案の基本計画についてのお尋ねでございましたが、周辺事態への対応は、武力の行使を含むものではないこと、国民の権利義務に直接関係するものでないことから、迅速な決定の必要性も含め総合的に勘案の上、基本計画を国会に御報告し、議論の対象としていただくことといたしておりますが、このことがシビリアンコントロールの原則に反するものとは考えておりません。 最後に、大変厳しい御批判をいただきながら、国民の声を聞くべきである、そのためには行為として解散についてのお尋ねもございました。 私は、まず基本的な認識といたしまして、実際上、解散権が総理に与えられた最大の権能であることは理解いたしております。したがいまして、政治的な決断を行わなければならないときには解散を断行して国民の信を問うことは当然のことと考えております。 でありますが、今、我が国の金融、経済は極めて深刻な状況に直面いたしております。日本経済の再生に向けまして、この不良債権問題の抜本的処理を初めといたしまして、あらゆる施策を今実行していかなければならないと考えております。この内閣に求められた最大の課題でこうしたことがあることに思いをいたしましたときに、私といたしましては、現時点におきまして解散は念頭にございません。 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手) 〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) バブルの問題につきましては、昨日もこの議場で申し上げたところでございますが、簡潔に申し上げますならば、プラザ合意後、円が非常に急上昇いたしまして、我が国に非常な不況と失業を生じました。それに対して政府は、何度かの財政措置あるいは為替市場への介入を通じまして、莫大な資金の放出をいたしたわけでございます。 そこで、このような放出は後に過剰流動性を生むわけでございますので、実際には混乱、抵抗を恐れまして、この状況を長く続け過ぎた、もっと早く実は流動性を収縮、量的にも質的にも収縮すべきであった。問題はあったでしょうが、そうしておくならばこのような流動性を生ずることはなかったであろうということを反省し、また、それを教訓と考えておりまして、このような経験から学びまして、現在の金融システムの安定のために、金融監督庁あるいは日本銀行とともに全力を挙げて取り組みたいと考えております。 次に、金融機関の経営者の責任につきましては、先ほど総理が一部お答えになられました。補足をいたしますが、基本的には経営者みずからが判断し、さらには株主等が追及していくべきものでございます。 具体的に申し上げますならば、御承知のように、現在、刑事責任につきましては背任あるいは横領等々の犯罪行為、また民事責任につきましては商法上の取締役の会社に対する弁済、損害賠償あるいは債務不履行の責任または株主代表訴訟等々がございます。 御審議いただいておりますブリッジバンク制度におきましては、金融管理人は破綻に至りました経緯の実態解明に努めなければならない、また、その結果、犯罪行為があったと認められる場合には、告発に向けて必要な措置をとらなければならないことが法案に規定されております。 また、金融管理人は調査の結果を金融監督庁長官に報告する義務がございますが、長官はこの場合、法令違反行為があったと考えますときは、銀行法に基づきまして取締役の解任を命ずることができます。 また、金融管理人は自身で取締役解任の議案を提出することができます等々、現行法並びに新しく御審議を願っております法案のもとで幾つかの規定を設けまして、経営者の責任の追及に遺漏なきを期したいと考えております。(拍手) 〔国務大臣宮下創平君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮下創平君) 私に対する質問は、介護保険制度とそれを実施する主体である地方公共団体との関係が第一問。それから第二は、ダイオキシン等の有害化学物質とごみ焼却施設等の処理の問題についてでございます。 まず第一の介護保険制度についてでございますが、これは御案内のように、平成十二年四月から実施をいたすわけでございますが、現在、その円滑な実施を図るために、市町村を初め自治体関係者の理解を得ながら準備を進めておりまして、そのことは御指摘のとおり極めて重要なことであると認識をいたしております。 そのために、介護保険制度の重要事項を審議する医療保険福祉審議会におきまして、市町村関係者に委員として参加をしていただくということ、それから全国市長会、全国町村会等の自治体関係団体と精力的に意見交換を行ってきておるところでございます。 今後とも、自治体関係者等との意見交換を密接に行うとともに、介護保険制度に対しまして自治体が抱える不安や疑問、要望を踏まえながら、制度の円滑な施行に向けて準備を精力的に進めてまいりたいと考えております。 それから、二番目のダイオキシン等の基準の問題でございますが、廃棄物の焼却施設から排出されるダイオキシン類につきましては、昨年八月に廃棄物処理法に基づく排出基準を定めまして、その削減に努めておるところでございます。 一方、本年五月のWHOの専門家会合におきまして、ダイオキシン類の耐容一日摂取量、TDIにつきまして、従来の十ピコグラムを一ないし四ピコグラムに見直す旨合意がなされまして、現在最終的な報告の取りまとめが行われているところでございます。 このため、我が国におきます耐容一日摂取量の取り扱いにつきましても、専門家による検討を既に開始したところでございまして、その結果を踏まえまして、国民の健康確保の観点から、必要に応じまして、ダイオキシン類の排出基準や廃棄物処理のあり方などについて検討してまいりたいと存じます。また、その際、あわせてコプラナ-PCBにつきましても、対策の必要性について検討してまいりたいと存じております。 なお、いわゆる臭素系ダイオキシンにつきましては、その毒性評価や測定方法につきまして検討すべき課題が残されておりますので、引き続き知見の収集に努めてまいりたい、このように考えております。 以上でございます。(拍手) 〔国務大臣有馬朗人君登壇、拍手〕
○国務大臣(有馬朗人君) 御質問ありがとうございました。 二十一世紀を見据え、豊かな人間性を持った人を育てる教育改革を進めるべきとのお尋ねでございました。 次代を担う子供たちがたくましく心豊かに成長することは、二十一世紀を確固たるものにするための基本であると私も深く信じております。 このことを踏まえ、これまでも、子供たちにゆとりの中で生きる力をはぐくむことを目指し、正義感や倫理観、思いやりの心など、豊かな人間性をはぐくむ心の教育の充実に努めてまいりました。 今後とも、財政状況が厳しい中ではありますが、心の教育の充実を初め、多様な選択ができる学校制度の実現、現場の自主性、自律性を尊重した学校づくり、大胆な大学改革など、教育改革の推進に着実に取り組んでいきたいと考えております。(拍手) ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 立木洋君。 〔立木洋君登壇、拍手〕
○立木洋君 私は、日本共産党を代表して、小渕総理の所信に対して質問をいたします。 まず、さきの参議院選挙で国民が示した自民党の大敗という結果に対する総理の認識と今後の基本姿勢の問題についてであります。 今回の参院選挙は、消費税減税など国民の消費拡大の景気対策か、銀行支援に税金をつぎ込む政策か、これが重大な対立軸として争われました。そして自民党が惨敗したのは、国民に負担増を強いる一方、銀行の応援に狂奔する橋本内閣の大失政に対する国民の厳しい審判にほかなりません。 ところが、総理、あなたは橋本内閣の主要閣僚の一人としてその失政に重大な共同の責任を負っていたにもかかわらず、それに対する反省の弁は一言も聞かれません。自民党の比例選挙での得票率はわずかに二五%にすぎず、ここに示された民意からすれば、衆議院での自民党の過半数を超える議席はもはや虚構の多数と言うほかないではありませんか。 さらに、選挙後の世論調査で、小渕内閣で景気がよくなると思いますかという問いに対して、悪くなると思う、変わらないという回答が合わせて七六%、圧倒的多数を占めています。これは無反省なあなたへの国民の痛烈な批判であります。 小渕総理、あなたが国民の声を真摯に受けとめるというのなら、橋本内閣の重大な失政と、国民を忘れ、大銀行、大企業の利益を守る逆立ち政治の根本に対する反省から始めるべきではありませんか。私は、質問の冒頭、このことへの基本的見解を求めるものであります。 次に、景気対策について、その第一に減税問題で質問をいたします。 景気を悪化させた最大の原因は、昨年の消費税増税、医療費改悪を初めとする九兆円の国民負担増であることは明らかであります。政府自身でさえ、ことしの経済白書で、景気が予想以上に悪化した原因の第一として、消費税率の引き上げや特別減税の打ち切りによる負担増の家計への影響を挙げています。 ところが、総理は、去る七月十九日の民放テレビで、消費税増税は間違いと思うかとの質問に、バツ印を示して、消費税率を五%から三%に抑えることで景気がよくなるという判断はとらないと述べました。しかし、消費税率引き下げを求めているのは多数の国民の意思ではありませんか。この国民の意思をなぜ全く無視するのですか。はっきりと述べていただきたい。 総理は、六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施すると表明していますが、その内容は国民の求めている要求からかけ離れたものと言わなければなりません。 そのうち四兆円規模の所得減税について見ますと、最高税率の引き下げと定率減税を組み合わせるということですが、多くの専門家も指摘しているとおり、これによってことしと比較して減税となる世帯は年収一千二百万円以上の世帯であり、圧倒的多数を占める年収一千万円までの世帯は実質増税となるのであります。 また、法人税減税については、当然のことながら全企業の三分の二を占める赤字企業には効果はありません。しかも、減税額の半分以上が全企業数の一%にも満たない大企業に集中するものであります。総理のやろうとしていることは、高額な所得者と大企業のための減税と言わざるを得ないものではありませんか。これでどうして景気回復策に役立つというのでしょうか。 深刻な消費不況の解決のため今減税を言うなら、何よりも個人消費の拡大を通じて景気回復につながる減税を実施することであります。そのためには、まず一〇〇%消費と結びつく対策として、国民が切実に求めている消費税率の三%への引き下げを直ちに行うべきであります。また、所得減税はあくまで中低所得者層を中心とした人的控除の引き上げによる二兆円減税とすべきであり、さらに法人税については、中小企業に効果の及ぶものでなければなりません。さらに、日本医師会を初め関係団体が強く要求しているように、医療費を昨年九月以前の状態に戻すべきであります。 こうした対策こそ景気回復のかぎとなる緊急課題ではありませんか。総理の明確な答弁を求めます。 景気対策の第二は、中小企業への支援であります。 全国事業所の約九九%を占め、民間企業の全従業員数の八〇%近くを占める我が国経済の主役である中小企業の深刻な事態の改善は急務であります。九八年上半期の全国企業倒産集計によりますと、一千万円以上の負債を抱え、不況を要因として倒産した企業は、前年同期比二九・五%増の一万百七十三件にも上っており、その大半は中小企業であります。中小企業に対する銀行の貸し渋りは一層ひどくなっており、まさに今、中小企業の仕事の確保と必要な資金の供給を図ることは緊急な対策として手を打つべきであります。 〔議長退席、副議長着席〕 ところが、九八年度の国などの官公需の総予算額に占める中小企業への仕事や物品購入の発注率は四一・三%で、五〇%を目指すという政府の言明にもかかわらず抑制され続けています。しかも、金額で見ると、九七年度より六百七十億円マイナスであります。中小企業への官公需の発注率を直ちに五〇%に引き上げるならば、約一兆三千億円もの中小企業の仕事をふやすことができます。直ちに実施すべき当然の対策ではありませんか。 さらに、中小商店も大型店の出店ラッシュで深刻な打撃を受けています。一九九〇年以来、中小零細商店を中心に小売商店が減り続けており、九一年と比べて九七年には従業員五人未満の商店は実に二十一万五千店以上減っています。これは、東京、埼玉、京都の全商店を合わせた数に匹敵するものであります。その最大の原因が、個人消費の落ち込みに加え、大店法の規制緩和によって大型店が出店ラッシュをかけたことにあることは、政府の統計からも明白であります。 欧米諸国を見ても、日本のように大型店の出店を野放しにしている国はありません。フランスやイギリスでは九〇年代に入ってから大型店出店の規制を強化しております。ところが、日本では、先国会、大店法を強引に廃止しました。これは余りにも異常です。今からでも遅くはありません。この過ちを反省し、せめてヨーロッパ並みのルールを確立するように強く求めるものであります。 景気対策の第三は、雇用対策であります。 七月三十一日に発表された今年六月の労働力調査によりますと、失業率は四・三%、一九五三年以来の最悪の状態を更新しました。雇用失業問題は、働いている人々にとってのみでなく経済全体の問題のかなめであり、社会安定の基礎でもあります。こうした認識に立つ雇用失業対策こそ急務となっております。 労働省の調査によっても、力のある企業が行う早期退職制度を持っている企業の割合は、九七年に五千人以上の企業で五五・七%、九四年調査時の四二・五%を何と一三・二%も上昇し、事実上の解雇の野放しとなっているのであります。東洋経済統計月報の三月号では、上場企業一千六百八十三社だけでこの五年間に従業員を八・七%に相当する四十万人も減らしています。 他方、昨年の中小企業白書によれば、中小企業は同じ時期に雇用を守るために努力をしてきました。それにもかかわらず、人減らしを強行している大企業には、その横暴を規制するどころか、減税の恩恵を一番に与えるというのでは余りにも筋が通りません。第一に、これ以上失業者をふやさない措置を強化し、日本共産党が既に法案を提出しているように、正当な理由のない一方的な解雇は許さないとする解雇規制法の制定を急ぐべきではありませんか。 さらに、時間短縮による雇用の増加、雇用保険の給付期限の延長など、失業者の生活保障の充実、今日的失業対策事業の維持など、雇用失業問題の抜本的改善に本格的に着手すべきであります。答弁を求めます。 金融機関の抱えている不良債権問題の道理ある解決を推進することは、日本経済が直面している重要な課題の一つであります。 日本共産党は、この立場から、六月に不良債権問題を解決するための四つの提言を発表し、政府にその実行を求めてまいりました。それは、第一に、処理すべき不良債権の実態とその原因、責任についての情報を開示させる、第二に、不良債権の処理は金融機関の自己責任で行うルールに立ち戻らせる、第三に、まじめな借り手を保護するための対策を行う、そして第四に、実体経済への強力なてこ入れが不良債権問題の解決でも大前提であるという四つであります。 これに対して、政府の金融再生トータルプランに基づく関連法案は、不良債権問題の真の解決に真っ向から逆行するものになっていると言わざるを得ません。 まず第一に、情報の開示の問題であります。不良債権問題が今日のように深刻な状態に立ち至ったのは、政府がこれまでその原因や責任についての追及をあいまいにし、不良債権の実態について国民に隠し続けてきたことにあります。その反省に立ち、不良債権の実態について調査をし、処理を急ぐべき不良債権と善良な借り手を区別する合理的な基準に基づいて、その結果を国会と国民に情報公開すべきであります。これ抜きにして、今問題になっている灰色債権イコール第Ⅱ分類債権を不良債権として扱うなら、貸し渋りを加速することになるではありませんか。また、これまで徹底的に甘やかされてきた金融機関首脳部の経営責任を厳しく問うことも当然のことであります。あわせて答弁を求めます。 第二は、金融機関の破綻処理、不良債権の処理のための費用をだれの負担で行うかということであります。政府のブリッジバンク法案など関連法案のスキームは、金融機関の破綻の原因や責任を問うことなく、さきの国会で用意された三十兆円の公的資金をさまざまなルートで実際につぎ込む仕組みをつくるものとなっています。さらに、宮澤大蔵大臣が足りなければ幾らでも積みますと明言しているように、三十兆円にとどまらず、際限なく国民の税金が投入されるおそれがあるものです。 言うまでもなく、不良債権の処理の原則は、それをつくり出した金融機関の自己責任が基本であります。銀行業界の預金保険料を引き上げるなど、政府が原則的な姿勢を示すことによってこそ、金融機関の側の真剣な対応が行われるのではないでしょうか。本法案のように、まず公的資金ありきの姿勢で臨めば、金融機関の危機意識をあいまいにさせ、自助努力を失わせ、金融システムの健全化どころか、危機はますます深みにはまっていくのではないでしょうか。銀行救済に対する公的資金の投入は断じて容認できません。 アメリカでは、かつてSアンドL破綻で巨額の公的資金を投じることがもたらした反省から、九〇年代の商業銀行の危機に際しては、金融業界の資金で賄う原則を貫き、保険料を大幅に引き上げるなどの対策をとってその危機を克服しております。総理、金融システム健全化の基本として、今学ぶべきはこの教訓ではないでしょうか。 第三に、総理は、善意かつ健全な借り手に対しては十分に配慮すると述べていますが、政府案ではその定義が明確ではありません。そのため、バブル経済のもとで土地投機に走ったゼネコン救済になるおそれがあり、他方、深刻な不況のもとで経営困難に直面している中小企業が善意、健全の定義から外れて切り捨てられるおそれがあるなどと指摘されております。 総理、あなたが本気で善良な借り手を保護するというのであれば、貸し渋りを事実上奨励している大蔵省の姿勢こそ改めるべきであります。大蔵省が昨年三月に出した「資産査定について」と題する通達は、業況の低調な企業を要注意先に分類するよう指導しています。しかも、この大不況のもとで業況が好調な中小企業が一体どれだけあるというのでしょうか。これでは事実上、圧倒的多数の中小企業には資金を貸すなと言うのと同じことではありませんか。このような通達は直ちに撤回することを強く求めるものであります。 以上、総理の明確な答弁を求めます。 総理は、財政構造改革法を当面凍結し、景気回復に向けて力を尽くすと述べていますが、一体何をなさろうとするのでしょうか。 財政構造改革法について見てみますと、昨年秋、多くの国民の反対の声を無視して強硬に成立させられたものであり、医療、社会保障、教育など、国民生活関連予算を軒並み削減し、国民の不安を増大させ、景気を一層悪化させるものでありました。 しかも、公共事業関係費については、九八年度補正予算に続き、十兆円規模の第二次補正を打ち出し、来年度概算要求についても上限を外して公共事業費の増額を認めるなど、むだな公共事業に対する国民の批判や、財政の危機的な状況を無視して従来型の公共事業を上乗せしようとするものではないでしょうか。これでは景気回復策を進めるどころか、財政赤字をますます大きくし、国民に増税のおそれを増大させて、一層景気を冷え込ませるだけであります。 大型公共事業が景気回復に役立たないことは、九二年以来六回にわたって行われた四十八兆円もの大型プロジェクト中心の公共事業で既に証明されております。ところが、政府は、五全総で六つの海峡に橋、トンネルなど道路をつくるという超大型計画を盛り込むなど、何の反省もしておりません。総理、こうした大型プロジェクト依存の姿勢は根本的に改めるべきであります。 政府は、来年度概算要求で主要経費の歳出上限枠を解除していますが、そうであるなら、難病患者に自己負担を強要するような医療、年金など、社会保障の制度改悪も全面的に見直すべきであり、既に破綻した財政構造改革法をきっぱり廃止すべきであります。答弁を求めます。 次に、今日、日本の食糧自給率は四二%、一億二千万国民のうち七千万人分の食糧を外国に依存するというような異常な事態になっている食糧・農業問題についてであります。 世界的な深刻な食糧不足が予測される中で、国内でつくれる条件にありながら、国民の胃袋を外国に任せっきりにする政策をとり続けるのは全く無責任であります。二〇〇〇年にはWTOの再交渉が始まり、既に予備的な話し合いが行われていますが、農産物の総輸入自由化、農業保護の削減を義務づけた同協定のもとでは、日本農業の立て直しはできがたいと言わざるを得ません。このWTOの改定を強く求めるものであります。 ところが、農水省は、米、麦に続き、大豆、加工原料乳、甘味資源作物など、すべての価格保証制度を市場原理の導入などによって全面的に見直そうとしています。生産者の切なる要望とは裏腹に、農産物価格を不安定にし、農業経営を一層困難に追い込もうとしているのではありませんか。再生産を保障する価格政策の充実こそ確立すべきであり、投機的農地取得につながる株式会社の農地参入問題は、家族経営に重大な困難を与えるものであって、絶対容認すべきではありません。 ヨーロッパ諸国では、農業予算の充実を図り、価格の補てんや再生産を保障する価格の維持などの政策を強めていることでも明らかなように、国内生産で基本的に自給率の向上を図るべきであります。政府は減反の強要をきっぱりとやめることを初め、食糧自給率向上のためにどのような抜本的な対策をとるのか、あわせて答弁を求めます。 さて、二十一世紀に向かって日本社会の未来ある発展と存続を考えるとき、殺傷事件やいじめ、不登校、援助交際や覚せい剤など、今、日本の子供たちの置かれている現状は極めて深刻であり、子供の健全な成長の条件を確保することは日本社会の根本問題の一つであります。 日本共産党は、この立場から、今日の子供と教育の危機的な状態を打開するために、第一に、子供の成長と発達を中心に据えた学校教育の抜本的な改革を進めること、第二に、社会の各分野でモラルある社会を目指すこと、第三に、テレビ、雑誌などでの暴力、退廃を野放しにしないこと、この三つの問題を訴えています。 子どもの権利条約の実施状況を監視するために設置された国連子供の権利委員会は、日本政府の報告をもとに議論、審査を行い、去る六月、日本政府に対し、児童が高度に競争的な教育制度のストレスにさらされている、その結果として発達障害にさらされ、さらに登校拒否の事例がかなりの数に上ることを懸念する、また、印刷、電子視聴覚メディアの有害な影響、特に暴力及びポルノグラフィーから児童を保護するために導入された措置が不十分であることを懸念するとして、その是正のための適切な措置をとること等、二十二項目に上る提案、勧告を行いました。 国連子供の権利委員会が、発達した資本主義国に対して、すべての子供にかかわる社会環境や教育制度について、こういう厳しい警告文書を送った例はなく、日本の子供たちの置かれている現状は、世界的にも異常な事態になっているということを認識すべきであります。 今、重要なのは、子供の権利委員会が指摘している高度に競争的な教育制度を根本的に改革することであります。三十人学級の実現を初め、学校教育を子供たちにとって物事がよくわかり、学ぶことの楽しさを体得できるような場とする改革が求められていることではありませんか。 政府は、こうした国際機関からの異例とも言える日本の教育制度やポルノグラフィーなどからの保護の不十分さへの厳しい指摘をどのように受けとめておられるのか、明確な答弁を求めます。 次に、アメリカが日本に対して周辺事態法の速やかな承認を強く求めている問題であります。 憲法に重大な違反をし、国の主権を無視して、米軍の結論に基づいて米軍の戦争行動への自動参戦を求める同法案を容認することはできません。 カート・キャンベル米国防次官補代理が参議院選以降、ガイドラインのプロセスの実質的な変更、つまり周辺事態について国会承認を求めるようにすべきだとの日本の世論に重大な懸念を表明したことは、実質的プロセスを米側の要求どおりに行うべきであるということの強要にほかなりません。 政府は、これまでも繰り返してこれを国会承認でなく国会報告で済ますという理由について、次のように、米軍への協力が武力行使を伴うものではないこと、国民の権利義務に直接かかわるものではないこと、緊急性を要する場合があることなどを挙げています。これはいずれも事実を偽るもので、国会報告で済ますという理由とは全くなり得ません。米軍が日本周辺地域で行う戦争に協力して武器弾薬を米軍のために輸送すれば、政府も認めているように、相手国は日本を敵対行為を行う国とみなし、武力攻撃を行うことが当然あり得るではありませんか。 去る三月十二日、佐藤防衛局長は、それが自衛権発動の三要件に該当することであれば、自衛権の行使が可能な状況になると述べています。これでも武力行使を伴うものではないと断言できるのでしょうか。 さらに、国民の権利や義務に直接かかわるものでないということも重大な暴論です。政府は、周辺事態法に、自治体や民間の協力規定について具体的なすべての協力の内容も明らかにせず、一般的な協力義務を定めると述べています。地方自治法の趣旨から、地方自治体が管理権を持つ当然の港湾、空港の使用についても協力義務を明示していますが、これらの協力義務を求めるということから生じるさまざまな事態が、どうして国民の権利や義務に直接かかわりないと言えるのでしょうか。 さらに、緊急を要する場合があるという理由も、日本が外国から直接攻撃を受けた場合、自衛隊の防衛出動は国会承認を求めると法律に明記しています。それにもかかわらず、周辺事態法では、緊急性を理由に周辺事態の認定や基本計画など国会承認を求めないとしているのは、日本有事以上に緊急性を優先し重視するということですか。これでは自衛隊の最重要任務が米軍の補完のためにあるということを政府みずから告白していることになるではありませんか。 以上、日本の国の重大な進路にかかわる事態であるにもかかわらず、この承認すら国の最高機関である国会に求めることを拒否するということは、アメリカの強い要求によるものではないのですか。責任ある明確な答弁を求めるものです。 次に、日米防衛協力の指針の周辺事態の定義についてであります。 日米間で合意した日米防衛協力の指針で、「周辺事態の概念は、地理的なものではなく、事態の性質に着目したものである。」と規定しています。しかし、日本政府が国会に提出した周辺事態法は、周辺事態について、「我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」として、「我が国周辺の地域」と、明確に地域という地理的概念を明記しています。 もともと政府は、ガイドラインは日米安保条約に基づくものと説明してきており、周辺事態法での日本の協力範囲として、これまで政府自身の安全保障条約の延長線上のものと述べてきたではありませんか。柳井事務次官も去る四月十六日、アジア調査会主催の講演で、周辺地域について日米安全保障条約の極東の範囲と概念は同じと説明していましたし、しかも、「極東と極東の周辺を超えることはない」との、さきの高野北米局長が答弁した五月二十二日衆議院外務委員会には、当時の小渕外務大臣も同席し、その答弁を黙認していたではありませんか。この本質は、周辺事態法の基準、定義にかかわる問題をあいまいにし、日本の主権を無視してアメリカの認定に従うという、重大な矛盾が明らかになることを糊塗しようとするものではありませんか。これは日中両国の友好関係の基本にかかわる問題でもあり、明確にしていただきたい。 目前の二十一世紀に向かって日本のなすべきことは、過去の侵略戦争を厳しく反省し、憲法の平和原則をかたく守ることをアジアと世界に向かって明確にすることであります。かかる国の主権を放置し、アメリカの戦争や軍事介入に協力する憲法違反の周辺事態法は撤回すべきであり、廃棄を強く求めるものであります。 最後に、既に述べたように、失政に対する反省もなく、自覚もない総理の進むべき進路には、国民から見放されたまま間違ったレールの上をこのまま走り続けるという方向しか示されていません。国民は選挙後自民党批判の声を一層強め、解散を求めるマスコミの世論調査がいずれも過半数を超えている数字が示しているのを見ても明らかなように、民意とかけ離れた政権がなすべきことは、国会を解散し、国民の信を問うことが唯一の残された道であるということを強く表明して、質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 立木議員にお答え申し上げます。 橋本内閣の失政を反省し、国民の声を真摯に受けとめるべきとのお尋ねでございました。 二十一世紀の我が国経済の活性化に資するため、構造改革を推進しつつ、内外の経済金融情勢に応じ、財政・金融両面にわたる適切な措置を講じてきたところでございます。現内閣といたしましても、景気の一日も早い回復を願っておる国民の声を真摯に受けとめ、この内閣を経済再生内閣と位置づけ、不良債権の抜本的処理を初めとする経済再生の施策等を、政治主導のもと、責任の所在を明らかにしながら、スピーディーに実行することによりまして、一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せるよう、内閣の命運をかけて全力を尽くす覚悟でございまして、このことをもって、我が内閣の責任と考え、最善の努力をいたしてまいりたいと考えております。 消費税の減税についてお尋ねがございました。 消費税五%への引き上げを含む税制改革は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものでありまして、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。したがいまして、消費税の引き下げは考えておりません。 個人所得課税の減税についてのお尋ねでございましたが、本年の定額方式は、諸外国の中でも高い課税最低限がさらに高くなるなど、所得税制として本来好ましいものではございませんが、できる限り早期に減税を実施するための臨時異例の一年限りの措置としてとったものでありました。 来年から今年の定額減税にかえて恒久的な減税を行うことによりまして、今年より減税額が減少する所得階層が生じますが、これはあるべき税制を展望しつつ恒久的な減税として行うものでありまして、一年限りの特別減税と単純に比較することは適当でないと考えております。今回の見直しは恒久的な減税として行うものでありまして、課税最低限を大幅に引き上げるような減税を行うことは適当でないと考えます。 法人課税についてのお尋ねでございますが、法人課税につきましては、我が国企業が国際社会の中で十分競争力を発揮できるようにするとの趣旨で、その実効税率を四〇%程度に引き下げることといたしております。その効果は、大企業のみならず中小企業にも及び、ひいては我が国経済全体の活性化に寄与することとなると考えております。 医療費についてお尋ねがございましたが、昨年九月の健康保険法等の改正は、医療保険制度全般について改革が求められている状況の中で、大幅な赤字基調にある医療保険制度の当面の危機を回避するために、給付と負担の見直しを行ったものであります。医療保険制度の安定した運営を行うためには、無理のない範囲での公平な負担が必要と考えております。 中小企業向け官公需についてのお尋ねもございました。 中小企業向けの契約目標につきましては、各省庁等が過去の中小企業の受注実績等を勘案して積み上げたものをベースとして、政府内で協議を行いつつ決定されるものであります。したがいまして、今後につきましても、引き続き各省庁との協議の上、発注情報の提供の充実等を行い、中小企業の受注機会の一層の増大に努めてまいります。 大型店の出店に関する欧州における規制体系との関係につきましてのお尋ねがございました。 欧米主要国の多くは、我が国の現行大店法のような経済的規制ではなく、生活環境や都市計画の観点からの規制が主流となっております。さきの通常国会における都市計画法の改正と大店立地法の制定による政策対応への転換は、このような考え方と同様の観点に立つものであると考えております。 解雇規制法の制定についてでございましたが、解雇に当たりましては、合理的な理由を必要とするという判例の考え方を踏まえ、具体的な事情に応じ、労使間で十分話し合っていただくべきものと考えておりまして、一律に解雇を規制するような立法措置は適当でないと考えております。 雇用・失業問題の改善についてのお尋ねでございましたが、総合経済対策の実施によりまして景気の回復を図るとともに、緊急雇用開発プログラムの実施や、産業構造転換・雇用対策本部の決定に基づく政府一体となった取り組みの推進、経済構造改革を通じた雇用の拡大に向けた取り組みなどをきめ細かく講じていくことによりまして、雇用の安定を図ってまいりたいと存じます。 不良債権の情報公開についてお触れになられましたが、本年三月期から、全国銀行については米国SEC基準と同様の基準に従って不良債権の情報開示が既に行われておるところでございます。また、来年三月期からは、全金融機関についてこれを連結ベースにより罰則つきで義務化することとしており、これにより不良債権の開示制度は国際的に遜色のない水準のものとなると考えております。 なお、第Ⅱ分類債権は、各金融機関が適正な償却、引き当てを行うための内部手続である自己査定による債権の分類ではありますが、その大宗は債権管理上注意を怠らなければ損失が発生しない債権であると認識をいたしております。 公的資金と金融機関の経営者の責任についてでございますが、公的資金の枠組みを活用する今回の措置は、金融機関の救済や優遇を目的としたものでなく、預金者保護と金融システムの安定確保を図るものであることは言うまでもありません。 また、今回の措置におきまして、破綻した金融機関の業務執行権等を金融管理人に専属する制度を設けることといたしておりまして、この金融管理人が破綻に至った経緯等の実態解明に努めることによりまして、厳格な責任追及という原則を貫くことといたしております。 米国の商業銀行の危機についてお尋ねがございました。 米国では、一九八〇年代後半に大量のSアンドLが破綻したことを受けまして、多額の公的資金を導入し、金融の危機に対処したことは承知をいたしております。その後、一九九一年の法整備で破綻金融機関の処理方法のコスト基準の厳格化や特別保険料の導入等が措置されたと承知いたしております。この背景として、九〇年代前半に金融機関の利ざやが拡大し、保険料の引き上げを十分負担できたという事情が存在したと聞いております。我が国にありましても、金融システムの安定化が迅速に図れますよう、できる限り努力を続けてまいります。 善意かつ健全な借り手についてのお尋ねでございますが、破綻金融機関から公的ブリッジバンクに継承される善意かつ健全な債務者に対する債権とそれ以外の債権と仕分けを行う基準は、金融危機管理審査委員会において定められ、債務者の債務の履行状況及び債務者の財務内容の健全性に関する基準を含むものとされておりまして、ゼネコンといった特定の業種を救済したり、中小企業を切り捨てるといったものでは決してありません。 昨年三月の大蔵省通達についてのお尋ねでございますが、本通達は、金融機関の健全性を確保する観点から、適切な資産の分類を行うための基準を示したものであり、本通達を撤回することは考えておりません。 なお、要注意先債権とは、個別に適切なリスク管理が必要と判断されるものであり、要注意先と分類されたからといって直ちに新規融資が行われなくなるとは考えておりません。 生活関連予算を削減し、従来型の公共事業を上乗せしようとしているとの指摘がございました。 政府といたしましては、十年度予算におきまして生活関連等公共事業重点化枠を設定したり、先般の総合経済対策におきまして、環境・新エネルギー、情報通信高度化・科学技術振興、福祉・医療・教育などの分野の社会資本整備を重点化するなどの取り組みを行っておるところでございます。 今後とも、公共投資のあり方につきましては、景気回復への効果を踏まえるとともに、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えた分野に重点化するなど、その見直しに真剣に取り組んでまいりたいと思います。 社会保障の改革を見直し、財構法を廃止すべきとの御意見でございますが、社会保障に関しましては、必要な給付を確保しつつ、制度の効率化、合理化を進めるなど、社会保障構造改革を引き続き推進してまいりたいと考えております。 財政構造改革法につきましては、財政構造改革を推進するという基本的な考え方はこれを守りつつ、まずは景気回復に全力を尽くすという観点から、当面これを凍結することといたしております。いずれにいたしましても、将来世代のことを考えますれば、中長期的な財政構造改革の必要性は否定されるものではないと考えております。 WTO次期農業交渉の方針についてお尋ねがございましたが、次期農業交渉は西暦二〇〇〇年に行われることになっておりまして、我が国としては、その時点における我が国農業の状況や農政の展開方向を踏まえながら対応する考えでございます。その際、食糧の安全保障や農業の持つ多面的機能等も含め、農産物純輸入国としての我が国の考え方が反映されますよう、その主張を展開してまいりたいと考えております。 農産物の価格政策及び株式会社の農地取得についてのお尋ねでありますが、価格政策につきましては、市場原理の一層の活用と担い手の経営安定を図る措置の導入を検討すること、また、株式会社の農地取得については、農業の担い手を確保、育成していくためにどのような経営形態が適当かという観点から検討することが課題であると考えております。 食糧自給率の件でありますが、需要の動向に応じまして、国内農業生産を基本として安全な食糧を安定的に供給することは、国の基本的な役割でありまして、可能な限り食糧自給率の維持向上を図るべきことの重要性は認識をいたしております。そのあり方につきましては、価格政策、株式会社の農地取得などの問題も含めまして、食料・農業・農村基本問題調査会の議論も踏まえまして、さらに深く検討いたしてまいりたいと思っております。 学校教育の改革についてのお尋ねでございました。 過度の受験戦争の問題は、改革に取り組むべき教育課題の一つと考えており、このため、入試の改善とともに、ゆとりの中で学ぶ楽しさを実感できるよう、完全学校週五日制の実施、教育内容や方法の改善に努めてまいります。また、個に応じた多様な教育のための教職員配置の改善等、諸施策を着実に推進してまいります。 児童の権利に関する委員会の指摘についてのお尋ねでございましたが、児童の権利に関する条約に基づきまして設置をされております同委員会は、五月に我が国の報告に関して審査を行い、その結果を踏まえ、六月に我が国に対する勧告を含む最終見解を採択いたしました。政府といたしましては、最終見解の内容を現在検討中でありまして、その結果に従って適切に対処してまいりたいと考えております。 次に、周辺事態安全確保法案と武力行使についてのお尋ねでございましたが、本法案に基づきまして実施することを想定いたしております武器弾薬の輸送は、それ自体武力の行使に該当いたしません。また、我が国が行う活動が、国際法の基本原則や国連憲章を含む関連する国際約束に合致するものであることは言うまでもなく、他国による我が国に対する武力の行使を国際法上正当化させることはあり得ません。 周辺事態安全確保法案の国以外の者による協力についてのお尋ねでございましたが、周辺事態に際して、国以外の者に対し、あくまでも協力を求めまたは依頼するということであり、強制するものではないことから、国民の権利義務に直接関係する問題と考えておりません。 また、周辺事態安全確保法案の基本計画の国会承認についてでございますが、周辺事態への対応は、武力の行使を含むものでないこと、国民の権利義務に直接関係するものでないことから、防衛出動とは異なるものであり、迅速な決定を行う必要があること等も含め総合的に勘案すれば、基本計画について国会に遅滞なく報告し、議論の対象としていただくことが妥当と考えたものでありまして、これは米軍の補完であることを示すものでも、米国の強い要求によるものでもございません。 新たな指針に言う周辺事態の定義につきましてでございますが、指針では、周辺事態とは「日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合」とされ、これは、周辺事態安全確保法案における周辺事態と同じく、その生起する地域をあらかじめ特定しあるいは地理的に一概に画することはできないという意味で、地理的な概念でなく事態の性質に着目した概念であることはしばしば申し上げておるところでございます。 周辺事態の認定等についてのお尋ねでございますが、周辺事態とは、我が国周辺の地域における我が国の平和と安全に重要な影響を与える事態をいい、あるいはそのある事態が周辺事態に該当するか否かについては、あくまでもその事態の規模、態様等を総合的に勘案し、日米両国がおのおの主体的に判断するものでありまして、米国の認定に従うこととなるとの御指摘は当たりません。 次に、過去の歴史に関するお尋ねでございますが、政府の考え方は、一九九五年の内閣総理大臣談話を基本とし、我が国が過去の一時期に植民地支配と侵略により、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた事実を謙虚に受けとめ、これらに対する深い反省とおわびの気持ちを持って、世界の平和と繁栄に向かって力を尽くしていくということでございます。 周辺事態安全確保法案に関する点で、さらに、同法案は我が国の平和と安全の確保に資することを目的とするものでございまして、憲法違反との指摘は当たらず、同法案が早期に国会で審議をされ、成立されることを期待いたしております。 最後に、解散についてのお尋ねでございますが、しばしば申し上げておりますように、基本的には、内閣総理大臣に実際上解散権が与えられておると認識をいたしておりますが、しかし現在、我が国のこの金融、経済、極めて深刻な状況に直面をいたしておりまして、日本経済の再生に向け、不良債権問題の抜本的処理を初めとするあらゆる施策を実行していくことこそが、この内閣に求められている最大の課題であると認識をいたしております。反省の弁を百万遍申し上げるよりも、この事態に対し、私自身がきちんとこの問題に対して対処することこそがこの内閣の責任と考え、最大の努力をいたしておりますので、現時点におきまして、解散につきましては念頭にないことを改めて申し上げさせていただく次第でございます。(拍手)
○副議長(菅野久光君) これにて午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十四分休憩 ─────・───── 午後一時一分開議
○副議長(菅野久光君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。 国務大臣の演説に対する質疑を続けます。山本正和君。 〔山本正和君登壇、拍手〕
○山本正和君 私は、社会民主党・護憲連合を代表し、さきに行われた小渕総理の所信表明演説に対して質問いたします。 質問に先立ち、新潟を初めとする水害や天災の被災者の皆様にお見舞い申し上げるとともに、政府に対して的確に対応するよう求めます。 また、本国会中たびたび提起されました小渕内閣の歴史認識と憲法遵守の問題につきましての見解をお伺いしておきます。 質問の第一は、我が国の置かれている経済の状況についての総理の認識を国民に説明していただきたいということであります。 一九四五年の敗戦当時、国土は荒れ果て、生産機能はほとんど停止の状態でありました。しかし、国民の間にはもはや戦争はないんだ、これからは平和と民主主義の国になるんだ、一人一人の自由な活動が保障されるのだと希望を持って、食べるために、生き残るために懸命に働き続けたのであります。朝鮮戦争や米ソ冷戦のはざまの中で、我が国はひたすらに生産力の復興と技術開発に取り組んだのだと思います。国の施策も、政党間の価値観の違いはあっても、国民生活の向上と経済力の強化への道をまっしぐらに進んできたと思います。 この間、国民各層にさまざまなしわ寄せや犠牲が強いられたことは事実であります。エネルギーでは石炭から石油へ、そして原子力へと、また産業も繊維産業を初めそのほとんどが従来の形態の変更を余儀なくされたのでありました。合理化の名のもとに多くの労働者は配置転換、解雇にさらされました。経営者も倒産、さらには自殺者まで出した厳しい現実がありました。 しかし、これを乗り越えて我が国民は懸命に働き、一九七〇年代後半から八〇年代にかけて我が国はジャパン・アズ・ナンバーワンと言われるまでの発展を遂げたのであります。 そして今日、我が国は外貨準備高世界一であり、保有するアメリカ国債は二千六百六十九億ドル、およそ三十九兆円、発行米国債の外国保有分の二一・三%を占めているのであります。また、我々日本国民の個人金融資産千二百兆円とともに、国際経済・社会において大きな存在となっているのが現実であります。また、輸出品の国際競争力をとってみましても、ドイツと並んで機械産業を中心に高い実力を有しているのであります。 今日、日本沈没論のごとき経済評論がかまびすしいことが国民の不安を招いていることは周知の事実であります。マスコミを初め多くの論者は、口を開けば金融破綻と不況、そして政府の無策と追及の言葉を交わします。我が国経済の実態は、本当にどのようになっているのでありましょうか。国民の皆さんにきちんとこのことを説明する責任が政府にあると思うのであります。なぜこうなったのか、何が原因なのか、政府の責任で説明すべきであります。総理並びに大蔵大臣にお答えをいただきたい。 私も、当面する我が国経済の抱える問題点は、総理の所信表明にもあるように、金融問題、特に不良債権の処理問題であると思います。しかし、この解決は何としてもなさなければならない、また、なし得るものと思います。政府提案と野党各党案との調整は決して不可能でないと思うのであります。これを乗り越えて日本経済は必ずや立ち直る道がある、このことを確信したいのであります。経済企画庁長官は、この件に関し、どのように考えておられるのか説明されることを求めます。 さて、私がここで指摘しておきたいのは、単に我が国の当面の諸問題の解決だけではありません。二十一世紀における日本の姿を政治が展望を示さなければならない責任があるということであります。 私は、我が国の経済は国際社会の中で確固とした地位を占め続けられると確信いたします。しかし、経済のみが人間生活ではありません。この国に住む人間が、人としてその人権が尊重され、人間が相互に信頼し合う状況が確保される国でなければならないと思います。そのためには、部落差別を初めとするあらゆる差別、人権侵害を撤廃しなければなりません。また、学問や芸術、宗教や文化が大切にされる国でなければならないと思うのであります。 総理は、この国の明日の姿をどのようにイメージしておられるのか、見解を承りたいのであります。 次に、環境問題についてお伺いいたします。 我が国の環境問題の対策に充てられる予算は、諸外国に比して極めて少ないということが言えます。地球温暖化防止のための従来の我が国のCO2削減政策によっては、国際機関の示す基準に達することは困難だと言われます。また、ダイオキシン対策の法改正においては、スウェーデンから約十年、ドイツから約六年おくれているなど、立法や規制の立ちおくれも問題であります。全国の一般ごみ焼却場の排煙に含まれるダイオキシンによって、現在も国民と、そしてまた生まれくる子供たちの健康が大きな危険にさらされているのであります。 一方、基礎的な調査研究のための予算も不足しており、生殖機能に影響を与えるいわゆる環境ホルモン問題のような緊急性を持つ問題に十分対応できていません。未来の世代に恐ろしい負の遺産を残さないためにも、生物に悪影響を与える物質を特定する研究推進にまず十分な策が講じられなければなりません。また、この問題は、七つの関係省庁がそれぞれ対応しているため、各省庁の連携の強化が必要であります。 我が国は、世界最高水準の技術力を誇っております。排煙脱硫装置開発に見られるような、公害対策技術の開発を促進すべきであります。後手後手に環境政策を行うのではなく、各省庁が連携協力して、我が国が世界の環境政策を主導し、もって国際貢献とすることを目指すべきであります。 このような厳しい環境問題をめぐる状況を踏まえ、二十一世紀に向けてどのような施策を考えておられるのか、また環境問題に対するどのようなビジョンをお持ちであるのか、総理の見解をお伺いいたします。 次に、エネルギー問題について伺います。 IEA、国際エネルギー機関、サミットプロジェクト等に我が国が参加し、またアメリカ、オーストラリアその他の国と提携し、エネルギー環境技術に関する研究と開発に取り組んでいることは極めて重要なことであります。 去る日曜日の新聞で紹介された我が国の企業が行った中国内蒙古における太陽光発電の施設、そしてその施設を喜ぶ住民の談話は、今後の我が国の国際協力のあり方に一つの示唆を与えていると思うのであります。 一九七〇年代の石油ショックも一つの契機となった自然エネルギー開発は、我が国の国策としてまことに先見性のある施策だったと言えます。しかしながら、その後の石油の値下がりや業界の協力が十分でなかったこと等から、研究開発がおくれたことはまことに残念であります。 平成九年度のニューサンシャイン計画は、太陽エネルギー技術を初めとして新エネルギー開発のための諸施策が盛り込まれており、公募制度に至るまで着目すべき多くの計画があります。 しかしながら、これらの予算は総額五百六十億円余りにすぎないのであります。原子力発電のために毎年一兆円に及ぶ予算計上をしたことと比較すれば、まことに些少と言わざるを得ないのであります。政府が本格的にこの問題に取り組む姿勢を予算面からも示すならば、民間の研究、開発、実用化、そしてこれに伴う数兆円規模の新しい産業の発展が期待されるとは多くの関係者の意見であります。また、強い要望でもあります。 試みに、住宅の屋根を含む建材、小中学校、高校、大学、道路、さらには公共建造物に太陽光発電を備えることを奨励し、助成するならば、新しい市場の産業の輝かしい展開となるのではないでありましょうか。そして、太陽光発電を初めとした新エネルギー技術をアフリカや中国の砂漠に展開すれば、緑化と地球環境を守るための国際貢献の道を開くことになるのであります。 宇宙から地球を眺めたとき、日本列島は光の島に見えると言われるのであります。しかし、それは石油や石炭を燃やし、地球を汚して得た電力の消費であることはまことに恥ずかしいきわみであります。二十一世紀の地球に対する我が国の責任の観点からも、エネルギー問題を国策の第一として取り上げるべきであり、そのための大胆な予算措置を講ずるべきであると思います。また、例えばエネルギー国債とでも名づけて国民の協力を求めれば必ずや理解が得られるものと思うのであります。総理並びに通産大臣の所見をお伺いいたします。 次に、雇用対策についてお尋ねいたします。 六月の完全失業率が四・三%と史上最悪の水準となり、各地のハローワークで朝早くから多くの求職者の方が仕事を探してひしめき合う姿が繰り返し報道されております。この厳しい雇用情勢の改善のためにも、景気の一刻も早い回復が何よりも必要であります。今までの経済対策だけでは不十分であります。現在、十兆円規模の追加の経済対策を検討されていると聞きますが、速やかに実効のある対策を実施すべきだと考えます。雇用創出の可能性に満ちていると言える福祉や情報通信ネットワークなど、生活基盤型の新分野に重点を置いた社会資本整備を重点的に行うべきであります。 こうした経済対策を前提に、強力な雇用対策を大胆かつ早急に実施し、厳しい雇用情勢を改善させることが必要であります。その財源は、雇用保険の特別会計の枠にとどまることなく、一般会計からの財政出動にもちゅうちょなく取り組むことが求められているのではないでしょうか。この雇用対策は、新しい仕事を見つけやすくするための能力開発対策、求人と求職のマッチングの強化といった対策を思い切って実施すべきであります。 そこで総理に、現在の厳しい雇用情勢に対する御認識と、このような最悪の状況を改善するため、今後どのような対策を実施されるお考えなのかをお尋ねいたします。 本日、国家公務員給与を平均〇・七六%引き上げることを中心とする人事院勧告が提出されました。勧告内容には一部問題点もありますが、公務員の労働基本権の制限の代償として行われたこの勧告は、尊重する義務が政府にあるのであります。一刻も早い完全実施を強く求めます。 次に、私は我が国の教育の置かれている状況に触れざるを得ません。 マスコミは小中学校の子供たちの問題をセンセーショナルに取り上げ、荒れた学校というレッテルを張っております。本来、子供はその環境の中で自由に元気に力いっぱい生き抜くものであります。親や教師が子供を決められた枠に閉じ込めようとするところから、子供たちの反乱が始まるのであります。もちろん、人間としての礼儀、しつけを否定してはなりません。それは社会に生きるために当然必要だからであります。 しかし、今日の教育は、家庭でも学校でも、また町の中でも、偏差値というわけのわからない怪物に振り回されているのが実態であります。そして、その最大の原因は入学試験であります。高校入試はやや改善の方向が見えてきましたけれども、私学と大学入試にはほとんど改善の状況が見られません。大学は本来、学びたい者の場所でなければなりません。入学試験にパスすれば、勉強の苦労をせずに卒業できるこの仕組みは、一体何物なのでありましょうか。いつから始まったのでありましょうか。どこの国にこのような制度があるのでありましょうか。大学は、学びたい者を受け入れ、しかし学ばない者は退かせるべきであります。 それには、大学にも教員を含めて苦労が必要かもしれません。しかし、大学自身がその社会的責任に目覚めるべきであります。年齢を超えて学びたいときにはいつでも入学できる保証があれば、今日の状況は大きく変えられるのではないでしょうか。大学入試制度と大学のあり方について、総理並びに文部大臣に伺います。 さて、私はいろいろなことを申し上げてまいりました。ここで私は、総理の所属する自由民主党と四年間にわたって連立を、あるいは与党として我が国の政治にかかわってきた事実を含めて、強く要望をいたしたいと思います。 我が党の村山委員長が、自民党の皆様の支持を受けて首相に指名されました。当時、私は社民党執行部の一人として、解散し民意を問うべきではないかと思った。しかしながら、当時の熱病的とも言える政治改革、実は今日の小選挙区制が残っただけでありますけれども、その政治改革法をつぶすのかという声の中で、意見を述べることがかなわず、少数党出身の総理大臣が民意を問うことなく国政を担うことになりました。 しかし、自民党と社さ両党の政策協定も取り交わされ、民主的な政権運営が約束されたのでありました。第二次橋本内閣の発足に当たっては、衆議院十五名という少数政党として閣外協力の道を選びました。この四年間、厳しい対立の場、夜を徹した討論がありました。しかし、政治の世界は連立の時代へと大きく変わったため、評価すべき数多くの事実があったのであります。水俣病患者の皆さんへの手だて、原爆被爆者援護法等、その一例にすぎません。我が党も多くのことを学びました。 与党解消の大きな理由は、政治家や政党がその政治活動の資金を企業に依存するならば、一たん困難に直面した経済の立て直しは、どのような提案をしようとも国民からの信頼は得られないという我が党の主張と、現実政治の実態を肯定せざるを得ない自民党との違いでありました。また、日米安保条約に基づくガイドラインの新たな制定についての意見の相違でありました。そして我が党は野党として参議院選挙を戦いました。参議院選では、厳しい国民の審判が下されたと受けとめています。 今、小渕内閣に課せられている使命は、当面の金融不安の解消と減税の実施、そして国民の不安を解消することだと思います。この臨時国会は、そのために全力を尽くすべきであると思います。しかしながら、参議院選で示された民意は何よりも大切にすべきだと思います。小渕総理、あなたも議会の子であります。懸案処理後は速やかに衆議院を解散し、民意を問われることを強く要望いたします。 議会政治の原点は、常に民意を聞くことだと思います。この決意を披瀝されることを強く要望して、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 山本正和議員にお答えを申し上げさせていただきます。 ただいまエネルギー問題を初めといたしまして、議員の貴重な御意見を拝聴させていただきましたが、そうした問題につきましても、私なりに誠意を持ってお答えをさせていただきたいと思っております。 まず、歴史認識と憲法遵守の決意をお尋ねいただきましたが、歴史認識と憲法遵守に関しましては、歴史認識についての政府の考え方は、一九九五年の内閣総理大臣談話を基本といたしております。また、内閣といたしまして、憲法九十九条に基づきこの憲法を尊重し、擁護することは当然であり、憲法を遵守してまいることは申すまでもありません。 金融システム不安の要因に関する御質問でありましたが、我が国金融の状況につきましては、バブルの発生と崩壊の過程の中で、長期化する景気の停滞とも相まって、金融機関が多額の不良債権を抱える事態が生じております。金融機関に対する信頼を一日も早く回復いたしまして、金融システムを健全に機能させることが日本経済再生にとって極めて重要であり、そのためにも金融再生トータルプランに基づき、金融機関の不良債権の抜本的処理に取り組んでまいりたいと考えております。 経済情勢の認識についてのお尋ねもございました。 我が国経済は、アジアの通貨金融市場の混乱、金融機関の経営破綻などによりまして、家計や企業のマインドが慎重になっておることから、景気は低迷状態が長引いております。この背景には、金融機関や企業の不良債権、日本的な経済システムの制度疲労、産業の空洞化の問題がありまして、これらが景気回復の妨げとなっているものと認識をいたしております。 我が国の明日の姿についてお尋ねでございますが、経済・社会のグローバル化、少子・高齢化の急速な進展などを踏まえ、従来形づくられてきた経済・社会の仕組みを二十一世紀にふさわしい仕組みに変革していく必要があると考えております。 私は、その際、個人や企業の能力が自由、公正な形で最大限発揮でき、また安全や生活のよりどころなど安心が保障される社会を目指すべきものと考えております。さらに、国のあるべき姿として、経済的な繁栄にとどまらず、国際社会の中で真に信頼されるような国、いわば富国有徳を目指すべきだと考えております。 環境問題に関する施策とビジョンについてのお尋ねでございましたが、環境技術の一層の高度化を図りつつ、環境基本計画に基づき、循環と共生を基調とした持続的に発展することができる社会の構築を目指し、人の健康や生態系に対する影響を未然に防止する施策を含め、各般の施策の総合的な推進に努めてまいります。御主張のありましたように、この負の遺産を決して後世に残すことがあってはならない、こう考えております。 七つの省庁にわたるというお話でございましたが、私は、政治優位ということで、この七つの省庁それぞれが十分連絡を密にしながら、よき結果が生まれますように最善の努力をいたしてまいりたいと思っております。 エネルギー対策についてのお尋ねがございましたが、エネルギーは経済・社会を支える最も基本的な要素の一つであり、地球温暖化防止等の環境問題に配慮し、エネルギーの安定供給を確保しつつ、国民経済の健全な発展を図ることがエネルギー政策の基本でございます。このような認識に立ち、御指摘の新エネルギーの開発、導入の促進を含め、エネルギー対策に万全を期してまいります。 お話の中にニューサンシャイン計画等のお話もございました。 私は、このエネルギーの問題につきまして、かつて石油が外国からの輸入が閉ざされたときに、ここにおられます堺屋長官が「油断」という御本を書かれました。そのときのことを考えますと、我々が反省しなければならないことは、のど元を過ぎますとその熱さを忘れるということが起こりがちでございます。したがいまして、新しいエネルギーを目指して新しいエネルギーを考えていかなければならないということは不断の心得として、そうした政策を間断なく推し進めていかなければならないことを改めて認識をいたした次第でございます。 雇用情勢及びその対策についてのお尋ねですが、雇用情勢は六月の完全失業率が四・三%となるなど厳しさを増しております。今後、総合経済対策の実施により景気の回復を図るとともに、緊急雇用開発プログラムの実施、産業構造転換・雇用対策本部の決定に基づく政府一体となった取り組みの推進、経済構造改革を通じた雇用の拡大策等をきめ細かく講じ、雇用の安定を図ってまいります。 人事院勧告についてのお尋ねがございました。 今朝、中島人事院総裁からその勧告書を受け取りましたが、同制度は国家公務員の労働基本権制約の代償措置の根幹をなすものでありまして、政府としては、本年度の給与改定におきましても、同制度を尊重するとの基本姿勢のもと、財政事情を初めとする国政全般との関連を考慮しつつ、誠意を持って検討を進め、適切に対処すべく最大限の努力を尽くしてまいる考えでございます。 大学教育についてでございますが、大学は幅広い層の国民に対し、多様かつ充実した教育機会を提供することが重要であり、教育の質を重視し、安易な進学、卒業の抑制を図るとともに、大学入試につきまして、知識の量だけでなく、大学での学習に対する意欲、熱意や、入学後の能力の伸長を見据えた適切なあり方を検討するなど、大学改革に積極的に取り組んでまいりたいと思います。 最後に、解散の問題にお触れになられました。特に村山政権樹立後のお話につきましてお伺いをいたしましたが、私は、解散権につきましては、実際上総理に与えられた最大の権限であると考え、その政治的決断を行わなければならないときにはこの解散を断行し、国民の信を問うことは民主政治の基本であると考えております。 ただ、現在は我が国の金融、経済は極めて不況な状況に直面をいたしております。日本経済の再生に向け、不良債権問題の抜本的処理を初めとしてあらゆる施策を実行していくことこそが、この内閣に求められた最大の課題であることに思いをいたしましたときに、私といたしましては、現時点においては解散する意思はございません。 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手) 〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 冒頭におきまして山本議員が御指摘になりましたことは、戦後我々はこれだけの国をつくったのであったが、今になって大変に国が沈滞をして日本沈没というようなことすら言われて国民が不安を持っている、御自分としては、二十一世紀には日本が国際社会の中で再び確固たる地位を占め続けると信ずるけれども、それにしては今日の日本の状況はこれは一体どういうことであるのか、政府は国民にそれを説明する義務があるという御指摘であったわけであります。 これにつきましては、総理が既に一部お答えになっておられますし、また難しい問題でございますから、私が多弁を弄することは控えなければならないと思いますが、しかし今、戦後これだけの国をつくりました我々が苦しんでおりますのは、二十一世紀に向かって本当の国際国家にならなければならない、そういう脱皮の過程を苦しんでいるのではないかというふうに私には思えます。 かつて円は三百六十円であったわけでございますが、十数年前に急上昇を始めまして、一九九五年には七十九円まで行ったわけでございますから、このような国の通貨の変化というのは国全体に非常に大きな経済問題だけでなく、影響をもたらさずにはおかない、これは当然でございます。いいことの方が多いはずでございますけれども、しかし不良債権のように非常に好ましからざることに今なお我々は後遺症として苦しんでおります。 そして、この問題がたまたま日本の国際化というグローバリゼーションと同時に起こって、同時に片づけなければならないというところに余計苦しみがあるのであろうと思いますが、他方で、しかし、この間に国内における消費者の意識というものは非常に高まりました。それは国際化とつながるものでございますが、同時に規制解除といったようなことも、これは消費者のいわば強いそういう願望から進行をして、その結果、それがグローバリゼーションということで国際化にもつながっていくということではないかと思っております。 他方で、円が急上昇いたしました結果、アジアの国々が急速に工業化をいたしました。最近陰りはございますけれども、しかし、二十一世紀に向かってこれが世界の希望であるということには変わりがありませんので、この点も我が国がそういういわゆる国際化の中での道を歩まなければならない、歩んでいかなければならない、そういう苦難を通じながら、そういう道を進んでいくのが今の我が国の姿勢ではないかというふうに私は思っています。 決して安易には思っておりませんが、これだけの国民がこれだけの資産を持って、財産を持って沈没するなどということは到底考えられないことであります。現在の苦しみは必ず報われるときが来る。政府は、国民と一緒に一層の努力をして、早く二十一世紀への道を切り開くために最善の努力をいたしたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
○国務大臣(堺屋太一君) 日本経済の再生の道についての御質問であったと思いますが、総理大臣、大蔵大臣からお話がありましたので、私から多弁を弄する必要はないと思いますが、我が国経済は現在大変厳しい状態にあります。これは、第一に最終需要が非常に弱いこと、第二番目に金融機関の不良債権問題、そして第三番目にやはり国民が日本の将来に対して不安を持っているという、こういう三つの問題があろうかと思っております。 このうち、最終需要の弱さにつきましては、まず総合経済対策を実施し、さらに第二次補正予算の編成、また恒久的な減税等によりまして需要を喚起していくというのが目前の問題であります。 また、金融不良債権の問題につきましては、政府といたしまして金融再生トータルプランの早期実施を行いまして、この問題に真っ正面から取り組んでいこうと考えているところでございます。この問題のめどがつけば、景気を回復軌道に乗せる前提条件はできるだろうと思っております。 さらに、日本経済の根本的な再生のためには、景気の回復とともに経済構造の改革を推進いたしまして、二十一世紀の知恵の時代にふさわしいものに変革させていく必要があります。小渕内閣におきましては、総理大臣直属のもとに経済戦略会議を設立いたしまして、構造政策の検討を進めていくことにしております。このようにいたしまして、国民に対して、将来の不安を除き、夢と自信を与えますれば、必ず日本の経済は再生するものだと思っております。 日本経済の持ちますファンダメンタルズ、さらに日本社会の持ちますファンダメンタルズと言うべきものは極めて巨大であり、かつ強力でございます。したがいまして、こういう政策を政治主導のもとにスピーディーに行っていけば、一両年のうちに我が国の経済は回復軌道に乗るであろうと確信しております。(拍手) 〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
○国務大臣(与謝野馨君) エネルギー問題への取り組みについての御質問でありますが、我が国経済の健全な発展を図る観点から、地球温暖化防止等の環境問題に配慮しつつ、エネルギーの安定供給を確保することがエネルギー政策の基本であります。 こうした観点から、石油を初めとする化石燃料の安定供給を図るとともに、原子力立地の促進や太陽光発電などの新エネルギーの導入、省エネルギー対策、ニューサンシャイン計画に代表される技術開発などの施策を強力に推進し、めり張りのきいた予算措置を講じているところであり、今後ともそのさらなる充実に努めてまいる所存であります。 山本議員の御意見には同感するところが大変多く、同じような気持ちでエネルギー問題に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手) 〔国務大臣有馬朗人君登壇、拍手〕
○国務大臣(有馬朗人君) 大学入試制度と大学のあり方についてのお尋ねでございますが、山本議員の御指摘のように、今後の大学のあり方については、より幅の広い層の国民に対し、それぞれの関心や意欲に応じて、その能力を十分に伸ばしていくための多様かつ充実した教育機会の提供が一層重要となっていると考えております。 先般の大学審議会の中間まとめにおきましては、このような観点を踏まえつつ、教育の質の確保を重要視したシステムへの転換を図るため、課題探求能力の育成を主眼とし、また、学部教育における責任ある授業運営と厳格な成績評価の実施等、教育内容、方法の改善を図り、安易な進級、卒業を抑制すべきことが提案されております。 これと関連いたしまして、大学入試におきましては、知識の量だけでなく、大学での学習に対する意欲、熱意や、入学後の能力の伸長ということも見据えたその適切なあり方について、高等学校と大学との接続のあり方についての幅広い検討を視野に入れ、今後引き続き検討していくことにしております。 文部省といたしましては、本年十月ごろを目途に取りまとめられる予定の同審議会、大学審議会答申を踏まえまして、また、大学入試の具体的な改善方策についての今後の検討を待って、学ぶ意欲と能力のある者が高い付加価値を身につけられるような大学改革に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手) ─────────────
○副議長(菅野久光君) 扇千景君。 〔扇千景君登壇、拍手〕
○扇千景君 私は、自由党を代表し、小渕新総理の所信表明演説に対し、質問をいたします。 さきの参議院選挙において、国民は橋本内閣に明確に不信任の審判を下しました。この結果を受け、本院は、民主党の菅直人代表を圧倒的多数により首班に指名いたしました。直近の民意を反映した首班は小渕総理ではありません。小渕総理は、自民党の政権のたらい回しの結果、憲法第六十七条の規定により、辛うじて総理に選ばれただけであります。 しかも、忘れてはならないことは、衆議院においても自民党は国民の過半数の支持を得ていないという事実であります。さきの総選挙で自民党が獲得した議席は二百三十九でしかありません。社民、さきがけ両党の協力を得てやっと与党体制を維持し、選挙ではなく与党の立場を利用した強引な引き抜き工作により過半数を確保したにすぎません。すなわち、小渕内閣は、民主政治の基本である民意を反映した正統な政権でなく、国政を担い、国民をリードする資格など本来ありません。 したがって、小渕内閣は、憲政の常道に従い、総辞職し野党に政権を譲るか、それとも選挙管理内閣に徹し、一日も早く解散・総選挙を断行し、民意を受けた正統な政権に道を譲るべきであります。それこそがまさに政治に対する国民の信頼を確保し、危機から日本を救う道であると考えます。総理の決断を促すものであります。見解を求めます。 小渕新総理は、橋本前内閣においては外務大臣であり、橋本内閣の枢要な閣僚の一員でありました。憲法第六十六条は、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と定めております。また、内閣法第四条は、「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」と定めております。すなわち、内閣はそれを構成する各閣僚の連帯責任から成り立っております。 参議院選挙において、国民から不信任を受けたのは自民党橋本内閣であり、橋本総理大臣個人ではありません。小渕総理も橋本内閣の閣僚の一員として、国民から不信任の審判を受けたのであります。したがって、総理に首班指名に立候補する資格は本来なかったと私は考えます。 しかるに、小渕総理は、橋本内閣の責任をひとり橋本前総理個人にのみ負わせ、みずからは何の責任もなかったのごとく自民党の総裁選に立候補し、首班指名を受けたのであります。 小渕総理は、所信表明演説において、みずからの「内閣を経済再生内閣と位置づけ、」「私は、この難局を切り開き、豊かで安心のできる社会を築き上げるため、政治主導のもと、責任の所在を明確にしながらスピーディーに政策を実行して」まいりますなどと述べておられます。白々しい限りであります。なぜ、そういう考えがあったのなら、橋本内閣の閣僚としてそれを主張し、実行しなかったのでありますか。まことに無責任きわまりない態度と断ぜざるを得ません。総理の説明を求めます。 次は、経済問題についてであります。 小渕総理は橋本内閣の外務大臣でありました。まず最初に小渕総理がされるべきことは、橋本内閣のとった経済失政に対する反省、謝罪のはずであります。自民党政府の経済失政により九七年度は戦後最悪のマイナス成長となり、倒産の多発、それに伴う失業、自殺の増加は目を覆うばかりであります。経済再生内閣を豪語する前に、虚心坦懐に国民に謝罪をしていただきたいのであります。 また、日本経済を立て直すと言われるなら、橋本前内閣の失敗の原因を明らかにすることから始めなければなりません。政策の内容、タイミングの問題も含めて、何がどのように間違っていたとお考えなのか、あるいは全く間違っていなかったとお考えなのか、まずもってお聞かせをいただきたい。 さて、今を去ること三年前、政府・与党は預金を取り扱わない住専に六千八百五十億の血税を投じ、国民から厳しい批判を浴びました。私たちは、住専処理に公的資金は必要ない、公正、透明なルールに従って法的に処理をするべきであると主張し、住専のみならず金融機関やノンバンクの不良債権も抜本的に処理するための不良債権処理公社の設立を主張いたしました。しかし、一顧だにされませんでした。 その後、政府・与党は、昨年秋まで、信用組合の破綻以外は公的資金を使わない、不良債権の処理は順調に進んでいる、大銀行はつぶさないと繰り返し明言してまいりました。しかし、その結果はどうですか。不良債権処理の見通しは全く外れ、金融システムは崩壊寸前ではないですか。 また、さきの総選挙の際、我々は、消費税を三%に据え置き、所得税、住民税を半分に、法人税を国際水準に引き下げて四〇%にし、そして十八兆円の減税を行うことを主張いたしました。政府は、十三兆円もの公的資金を、優先株の引き受けなど、預金者保護とは全く関係のない金融機関の救済のために投入することを強引に決めました。しかし、マーケットの金融機関に対する不信感は依然としてぬぐえず、政府の金融政策の破綻を改めて示しております。我が党の主張のように十八兆円減税を実施していれば、三十兆円もの公的資金を使う必要はなかったはずであります。 さらに、選挙後も我々は消費税の三%据え置き法案、特別減税の継続法案を提出いたしましたが、他の党の反対により廃案となりました。平成九年度の実質成長率が戦後最悪のマイナスとなったのは、個人消費が初めてマイナスに転じたことが最大の原因であり、消費税の引き上げがその元凶であります。また、その結果、税収も法人税を中心に消費税増税分が帳消しとなる減収となっております。我々の主張のとおり消費税を三%に据え置き、特別減税を継続していれば、日本経済はここまで落ち込まず、山一、拓銀は破綻せず、金融システムはここまで悪化しなかったはずであります。小渕総理の御所見を伺います。 総理と宮澤大蔵大臣は、参議院選挙中に橋本前総理が打ち出された恒久減税路線を引き継がれております。宮澤大蔵大臣は、所得課税減税の内容を最高税率の引き下げと定率減税方式との組み合わせにより行うと発言されておりますが、その内容は抜本的な税制改革とはほど遠いものと言わざるを得ません。それどころか、特別減税的な考え方から脱し切れておらず、特に定率減税の部分については、時期を見て再度引き上げようとの思惑が見え隠れするのであります。いつになったら税率構造の緩和を中心とした抜本的恒久減税をされるおつもりなのでしょうか。あわせて、ことし四兆円の特別減税を定額控除方式で行ったことが抜本的税制改革の妨げになっているのではないかということについても答弁を願います。 また、政府・自民党はこれまで我々の恒久減税要求を常に財源論をもって否定してまいりました。小渕総理は恒久減税の財源には何を充てられるおつもりなのか。短期的には赤字国債を財源とするのはやむを得ませんが、中長期的にはどのようにして歳入欠陥を賄うか明示しなければ、場当たり的に繰り返される特別減税と何ら変わることはありません。総理が言及された十兆円追加補正予算もあわせれば、小渕内閣は橋本前内閣よりなお悪い赤字垂れ流し内閣であります。恒久減税の財源を明確にお答えください。 次に、恒久減税と関連して財政構造改革法の問題であります。 政府・与党は、昨年の末、目先の財政帳じり合わせのために、我々の反対を押し切って財政構造改革法を強引に成立させました。その財政構造改革法さえ、半年のうちに改正せざるを得なくなりました。総理は、所信表明において、「財政構造改革法を当面凍結することとし、そのための法案を次の通常国会に提出」しますと、強行に通した法案を勝手にまた凍結などと、国会軽視の無責任きわまりない厚顔な発言であります。 我々は、財革法は、歳出の一律削減を規定しただけのものであり、構造改革、経済再建を不可能とし、かえって財政再建を妨げるものである、財政再建は国、地方をあわせた行財政構造の抜本的な見直しによる歳出削減と経済再建による租税増収により行うべきであり、廃止を主張いたしました。総理、猫の目のように方針が変わる財革法は本来凍結ではなく、今国会で廃止すべきであります。御見解を求めます。 次に、政府の金融再生トータルプランについてであります。 金融再生トータルプランには、現下の金融システムに対する危機感が全くと言っていいほど欠落しております。金融危機管理という発想が全くありません。不動産関連権利等調整委員会は何ら強制力を伴わず、これでは不動産の流動化が進むかどうか甚だ疑問であります。また、この委員会を隠れみのに、債権債務関係を談合により帳消しし、無税償却範囲を拡大するのは、形を変えた公的資金の投入にほかなりません。 ブリッジバンクは、本来アメリカで用いられた制度とはほど遠いものであり、破綻金融機関に生命維持装置を取りつけ、公的資金を際限なく投入するための仕組みであり、結果として破綻金融機関を救済することになりかねません。ブリッジバンクを用いるなら、銀行経営の清算にその役割を限定するべきであります。 加えて、ブリッジバンク制度は破綻金融機関の処理のためのものであり、不良債権処理とは何ら関係ありません。民法上の特例や刑事訴追権などを付与された強力な不良債権回収機関がなければ、損失を莫大な公的資金により穴埋めすることになりかねません。小渕総理の答弁を求めます。 総理は所信表明において、「六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施いたします。」、「所得税と住民税を合わせた税率の最高水準を五〇%に引き下げます。」、「法人課税につきましては、」「実効税率を四〇%程度に引き下げます。」と述べられております。しかし、これらのことは自民党の選挙公約にはありませんでした。選挙で負けた結果、苦し紛れに我々野党の政策を部分的に横取りしたものであります。政権政党としてあるまじき行為であります。我々野党の政策を実行するなら、我々に政権をゆだねるべきであります。総理の見解を伺います。 日本が直面する経済危機の本質的原因は、我が国の抱える構造要因にあります。政治、行政、社会、そして経済にわたる大胆な構造改革を行わなければ、二十一世紀も豊かな生活を享受することは不可能であります。本格的景気回復はあり得ません。 自由党は、今世紀残された三年間を日本経済立て直しのための集中改革期間と位置づけ、世界経済とも調和し、少子・高齢化社会にあっても活力を維持していける経済の実現を目指します。 それは、第一に、個人消費を直接刺激し、内需主導の持続的成長軌道に乗せるために、消費税を三%に戻すことです。 第二に、所得・住民税を半分に、法人税の実効税率を国際水準並みの四〇%にするなど、恒久減税とその財源を国、地方の行革で捻出する行革減税を断行することであります。 第三に、規制の撤廃や地方分権など行政改革に本気で取り組み、国家公務員の定数二五%削減を目標とし、まず衆参の国会議員もみずから二割削減することであります。 第四に、景気の回復、経営者責任の追及、市場原理と法的処理に従って不良債権を抜本的に処理することであります。 総理は、減税を景気対策としてしかとらえておらず、旧来の考えを一歩も出ておりません。本当に経済の立て直しを望むならば、総理は我々の提案を受け入れ、実行すべきであります。御意見を伺います。 最後に、去る八月七日に決定した参議院の構成は、さきの通常選挙で自民党が大幅に過半数を割り込んだという国民の意思を生かすことができず、憲法の国民主権の原理に抵触する構成が行われたことに対し、極めて遺憾であることを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 扇千景議員のお尋ねにお答えを申し上げます。 私自身、日本国憲法第六十七条の規定によりまして総理大臣の重任を担うことになりました。与えられた任務を十分遂行することによりまして、国民の批判にもおこたえし、政治の責任を果たしてまいりたい、このように考えておる次第でございます。 前内閣の経済政策についてのお尋ねがございました。 政府は、昨年来の経済状況に対応し、二十一世紀を切り開く緊急経済対策、二兆円規模の特別減税等に加え、金融システムの安定化対策の迅速かつ的確な執行に努めてきたところでございます。さらに、四月には過去最大の総合経済対策を作成いたしました。これらの対策は既に実施をされているところでございまして、前内閣の経済政策のよきところは十分これを受け継ぎながら、私なりの新しい政策を実行させていただきたいと考えております。 日本経済を立て直すために、前内閣の失敗の原因を明らかにすることから始めるべきとの御指摘がございました。 我が国経済は、アジアの通貨金融市場の混乱、金融機関の経営破綻などを背景に、家計や企業のマインドが慎重になっておることから最終需要が弱まり、景気の低迷状態が長引いております。こうした中、政府として、ただいま申し上げましたような財政・金融両面にわたる適切な措置をとってきたところでございます。 消費税を含む一連の税制改正の経済に与えた影響についてお尋ねがございました。 我が国経済は、アジアの通貨金融市場の混乱、金融機関の経営破綻などを背景に、家計や企業のマインドが慎重になったことから、この低迷状態が長引いております。 御指摘のございました一連の税制改革が九年度経済に与えた影響を否定するものではありませんが、消費税率の引き上げを含む税制改正は、少子・高齢化の進展という構造変化に税制面から対応したものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。 また、平成九年分の特別減税は、当時の経済事情などを踏まえ実施しないことといたしたものであり、妥当な政策判断であったと考えております。 個人所得課税の恒久減税についてのお尋ねでございますが、本年の定額方式は、諸外国の中でも高い課税最低限がさらに高くなるなど所得税制として本来好ましいものではないが、できる限り早期に減税を実施するための臨時異例の一年限りの措置としてとったものであります。 今回の改正は、抜本的な見直しを展望しつつ、国民の意欲を引き出す観点から最高税率を五〇%に引き下げることとしており、これは期限の定めのない、まさに恒久的な減税を実施するものと考えております。 今後さらに、我が国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向けまして、政府及び党の税制調査会におきまして、引き続き腰を据えて検討をしていただきたいと考えております。 恒久的減税の財源についてのお尋ねですが、減税の財源といたしまして、徹底した経費の節減、国有財産の処分などを進めながら、当面は赤字国債を充てることといたします。中長期的には、今後の経済の活性化の状況、行財政改革の推進等と関連づけて検討すべき課題だと考えております。 財革法を廃止すべきとの御意見でございますが、財政構造改革法につきましては、財政構造改革を推進するという基本的な立場はこれを守りつつ、まずは景気回復に全力を尽くすという観点から、当面これを凍結することといたしております。いずれにいたしましても、将来世代のことを考えますれば、中長期的な財政構造改革の必要性は否定されるべきものではないと考えております。 金融再生トータルプランに関するお尋ねでございましたが、金融機関の不良債権問題は我が国経済の喫緊の課題であると認識をし、これに対する包括的かつ詳細な対策として同プランを取りまとめたものであります。 次に、不動産関連権利等調整委員会につきまして御指摘でございますが、本委員会は、関係者間の合意に基づく権利関係の調整により不動産の処分等を図るものであり、不動産の流動化にも資するものと考えております。 また、調停における合意等に基づく債権放棄につきましては、税務上合理的な経済取引として損金算入されることを明確化しているものであり、形を変えた公的資金投入との御指摘は当たらないと考えております。 ブリッジバンクの役割についてのお尋ねがありましたが、ブリッジバンクの制度におきましては、破綻金融機関の業務は、金融管理人の管理下に置かれた後、民間の引受金融機関または公的ブリッジバンクに継承され、破綻金融機関を実質的には存続させないことといたしており、決して破綻金融機関を救済するものではありません。 また、今回の措置におきまして、善意かつ健全な借り手に対する融資のみが維持継続され、悪質で不健全な借り手に対しては融資が行われず、整理回収銀行が預金保険機構の罰則つき立入調査権を十分活用することによって、債権回収を強力に進めることといたしております。 恒久的減税が野党の政策を横取りしたものではないかとの御意見がありましたが、私が所信表明演説で述べました恒久的な減税は、厳しい景気の現状に最大限配慮して、六兆円を相当程度上回る大規模な減税を恒久的に実施するという思い切った決断を私自身で行ったものでございまして、決して野党の政策を横取りしたものでもございません。 日本経済立て直しについて御指摘をいただきました。 私は、不良債権の抜本的処理を初めとする経済再生の施策等を、政治主導のもと、責任の所在を明らかにしながら、スピーディーに政策を実行することにより、一両年のうちに我が国経済を回復軌道に乗せますように、内閣の命運をかけて全力を尽くす覚悟でございます。 消費税減税についてのお尋ねがございました。 先ほど申し上げましたとおり、消費税五%への引き上げを含む税制改革は、少子・高齢化の進展という我が国の構造変化に税制面から対応するものであり、我が国の将来にとって極めて重要な改革であったと考えております。したがって、消費税率の引き下げは考えておりません。 恒久的な減税とその財源についてのお尋ねですが、個人所得課税は、所得再配分機能も有し、我が国の税体系の中で重要な位置を占めております。したがって、これを半分にするということは、極めて慎重な国民的議論を要する問題であると考えます。 法人課税につきましては、我が国企業が国際社会の中で十分競争力を発揮できますよう、実効税率を四〇%程度へ引き下げることといたしております。 私が表明した減税の財源につきましては、申し上げましたように、徹底した経費の節減、国有財産の処分などを進めながら、当面は赤字国債を充てることといたしますが、中長期的には、今後の経済の活性化の状況、行財政改革の推進等とも関連づけて検討すべき課題だと考えております。 定員削減についてのお尋ねがございましたが、さきの所信表明演説におきましても申し上げましたとおり、政治主導のもとで進める中央省庁等改革とあわせて推進する独立行政法人化等や業務の徹底した見直し、規制緩和、地方分権などの積極的な取り組みの結果として、十年間に国家公務員の定員の二〇%削減を実現するように努力してまいる所存でございますが、なかなかこの問題は難しい問題でございます。どうぞひとつ、そうした点から、二五%の削減を目標にされておられる自由党でもございます。私ども、こうした定員削減につきましては、厳しい環境ではありますけれども、お約束をいたしましたことにつきましては、ぜひこれを年次計画も立てながら実行いたしてまいりたいと考えております。 国会議員の定数の削減につきましてでございますが、この問題につきましては、従来各党において議論が行われてきているものと承知をいたしております。本件は民意の国政への反映のあり方、行財政改革の進め方等と関連するものであり、各党各会派で十分御議論をいただき、その結果を踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。 不良債権の処理についてのお尋ねもございましたが、今般取りまとめました金融再生トータルプランの実施は、我が国経済の喫緊の課題である不良債権問題を解決するため不可欠なものであります。その関連法案を早期に成立させることが必要であります。こうした点から、野党に対しましても、その御提案に耳を傾けながら、関連法案の早期成立に向けて、今後とも理解と協力を求めていきたいと考えております。 以上、御答弁申し上げます。(拍手) ─────────────
○副議長(菅野久光君) 峰崎直樹君。 〔峰崎直樹君登壇、拍手〕
○峰崎直樹君 私は、小渕内閣総理大臣の所信表明に対し、民主党・新緑風会を代表し、また、経済金融政策、税制改革に焦点を絞り、質問いたします。 現在、我が国は、経済のみならず政治、行政、社会のあらゆる面が低迷、停滞し、国民の多くが漠とした将来への不安を抱いております。特に、経済は戦後最悪の危機的状況にあり、このような日本経済の惨状を反映し、世界は日本発の世界恐慌が起こりかねないのではと、政府・自民党の展望なき経済政策に疑念を抱いております。 現在の危機的状況にある日本経済を立て直すためと称し、バブル崩壊以降昨年まで計七回、総額六十六兆円の総合経済対策を実施しました。加えて、さきの通常国会では十六兆円を超す景気対策を打ち出しております。 小渕総理に伺います。このようにバブル崩壊以降、日本の国家予算を上回る総合経済対策を講じたにもかかわらず、景気が一向に回復しなかったのはどこに誤りがあったとお考えか、今後とも今までのように従来型の公共事業を景気対策の重要な柱として位置づけていくのか、また、景気回復のめどを一両年とされているのは具体的にはいつまでなのか、明快なる御所見を求めます。 このような経済の危機的状況と、いつまでたっても効果的な景気対策を示せずにいる政府・自民党の無為無策に対する国民のいら立ちを代弁するかのように、一部エコノミストの間では調整インフレ論さえ台頭しております。小渕総理は、このような国民のいら立ちに対し、経済再生内閣としてどう対処し、調整インフレ論をどのように考えておられるのか、その真意をお聞かせ願います。 次に、金融対策について伺います。 隠ぺい、先送り、当事者責任回避による国民への負担押しつけ。不良債権問題に対する政府、とりわけ大蔵省の金融行政は、これらの言葉に集約されていると考えます。 政府は、これまでに何度も何度も不良債権処理は順調に進んでいると発言してきました。しかし、政府がこのような発言を繰り返したにもかかわらず、三塚元大蔵大臣が破綻をさせないと公約していた日債銀と拓銀が、その直後に大きな経営危機に見舞われました。預金者や金融市場、そして株式市場は、だれも政府の発言を信用していなかったということであります。それはなぜか。政府が、これらの銀行の真の経営内容、とりわけ不良債権の実態を完全に隠ぺいしていたからであります。 それは、昨年の十一月に証明されることになります。昨年十一月十三日の本会議において、時の橋本総理は、「現在、金融機関は、不良債権の早期処理に取り組んでおり、個々の経営状況はさまざまでありますが、全体の状況は改善しております。」と発言されました。しかしながら、この四日後、拓銀は都市銀行として初めて経営破綻に至ったのです。 拓銀の不良債権総額は、破綻前の平成九年三月期で九千三百四十九億円でありましたが、破綻後のことし三月期は二兆三千四百三十三億円と発表されております。一年足らずで二・五倍に膨れ上がっています。この間に新たに不良債権が発生したその結果なのでありましょうか。いや、そうではありません。なぜなら、平成六年八月に大蔵省が拓銀の検査を実施した際、総資産分類額が二兆四百九十九億円あったことが明らかになっているからであります。この時点で、大蔵省は拓銀の問題債権が公表された数字の四倍に上ることを知っていたわけです。これを隠ぺいと言わずして何と言うのでありましょうか。 このような不良債権の隠ぺいが行われているのは、果たして拓銀だけだったのでしょうか。その問いに対する市場関係者の答えはノーであります。今や、銀行がみずから公表する不良債権の金額は全く信用されていません。政府が関係する他の分野の数字も同様です。石油公団に巨額の不良債権があることが判明したことでもわかるとおり、いまだに底知れない巨額の隠された不良債権が存在するのです。このような状態を放置したまま、安易に公的資金を投入することは許されません。総理、この点はいかがお考えでしょうか。 さて、ことし三月、政府は金融安定化法に基づいて大手銀行二十一行に対して総額一兆八千億円の公的資金を投入しました。これらの銀行は、金融危機管理審査委員会の審査によって健全な銀行であるというお墨つきを得て、貸し渋り対策として資本注入を受けたわけであります。しかし、本当に貸し渋りは解消したのでしょうか。おまけに、資本注入を受けたにもかかわらず、ほとんどの銀行が株主に配当を実施しています。公的資金を受けながらそれを貸し出しに回さず、株主に対して配当まで実施する、このような理不尽なことが認められるのでしょうか。長銀に至っては経営危機までうわさされ、長銀に対して資本注入した公的資金千七百六十六億円さえ危ぶまれるありさまです。 総理、ことし三月に公的資金による資本注入を行った大手銀行二十一行について、貸し渋りが解消したのかどうか、それぞれ個別にお答えください。また、貸し渋りを続けている銀行に対しては、公的資金の即時返還を求めるべきだと考えますが、御所見をお聞かせください。 拓銀の破綻により、北海道経済は大混乱に陥りました。融資を受けられなくなった企業が次々と倒産し、失業者が急増しました。国が主体となって進めてきた苫小牧東部開発も、完全に失敗であったことが明らかになりました。苫東プロジェクトの失敗によって生み出された巨額の負債は、いずれ国民の負担となってはね返ってくることがはっきりしています。政府はこの処理をどのような形で行うのか、総理のお考えをお聞きしておきます。また、北海道経済の混乱をおさめるためどのような対策を講じているのか、現時点での効果も含めてお答え願います。 なお、我々民主党は、拓銀の破綻により融資を受けることが難しくなった健全な企業を救済するため、北海道東北開発公庫法の改正案を提出しております。これは、従来設備資金に限るとしてきた融資基準を一時的に運転資金にも拡大するものです。北海道経済の混乱を少しでも緩和するため、本法案の速やかな成立に御協力をお願いします。 次に、税制改革についてお尋ねします。 総理は、所得課税、法人課税の六兆円超の恒久的減税を掲げられておりますが、その具体的内容についてはいまだ明確になっているとは言えません。そこで、今後の議論の考え方についてお尋ねいたします。 〔副議長退席、議長着席〕 まず第一に、どのような理念、ビジョンに基づいて今回の税制改革に取り組もうとされているのか。総理は、所信表明の中で、「我が国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向け、抜本的な見直しを展望しつつ、景気に最大配慮して、六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施」すると述べておりますが、将来を見据えた望ましい税制として、どのような全体像を念頭に置いておられるのでしょうか。 例えば、いわゆる国民の租税負担率や国民負担率をどのような水準にすることを想定し、また、税による所得再配分機能は今後どうあるべきと考えるのか。消費税のあり方を含む直間比率是正についてはどのように取り組み、また、その中で何が基幹的な税目になっていくと考えるのか。ぜひとも具体的な将来ビジョンをここでお示しいただきたいと思います。 第二に、個人所得課税見直しの具体案について伺います。 総理の演説では、国、地方を合わせた最高税率を現行の六五%から五〇%に引き下げると表明されましたが、その具体的方策について総理御自身はどのようにお考えでしょうか。 先日来の宮澤大蔵大臣の発言によりますと、所得税、個人住民税の現在の最高税率区分を廃止して、それぞれ最高税率を四〇%、一〇%に引き下げると同時に、景気が回復するまでの間、税額に対する定率の減税を組み合わせて実施するとの具体案が政府・自民党内で検討されているように見受けられますが、仮にそのように実施するとすれば、景気が回復して定率減税を終了する時点では、最高税率区分の廃止という純然たる金持ち優遇の所得減税だけが残ることになるのではありませんか。 将来を見据えた望ましい税制として、年収七百万円から一千万円程度の中間所得層あるいはそれ以下の所得層について、どのように考慮しようとお考えなのかについて、総理の明快な御説明を求めます。また、直接に所得減税の効果が及ばない低所得層について、福祉給付金などの措置を今回どのようにする予定なのかについても、あわせてお聞かせください。 また、最高税率を引き下げる際、これまでしばしば議論になってきた大企業役員などの高額のフリンジベネフィットに対する課税の適正化など、課税ベースの見直しも当然に検討課題になるべきものと思いますが、この点について、総理はいかがお考えなのでしょうか。 また、我が国では、シャウプ税制以来、包括所得税の考え方を基本に据えてきましたが、これを現時点でも放棄していないとすれば、税率引き下げとあわせて納税者番号制度を導入し、クロヨンと言われる不公平税制の解決や金融資産等による所得を合算して総合課税するという方向を明確にすべきではないでしょうか。納税者番号制度について、総理の認識、その導入についての方針と決意を伺います。 なお、個人住民税の減税については、地方分権の趣旨に反し、国の都合で地方財源を奪うようなものであり、私たちはこれまでも強く反対してまいりました。地方六団体も同様の趣旨を総理に申し入れたと承知しております。国、地方の合計最高税率を引き下げるため、仮に個人住民税の見直しを行う場合でも、少なくとも地方税収を損なわない形での個人住民税率の単一税率化などの改革を進めることが必要であると考えます。もちろん、その際には、低所得層に増税とならないよう、所得税との間での部分的な税源移譲なども含めた調整が不可欠です。総理は、地方分権の趣旨、地方六団体の要望なども踏まえて、個人住民税の今後のあり方についてどのようにお考えでしょうか。 所得課税見直しで大きな問題となっている課税最低限の問題ですが、現在の平年度の課税最低限三百六十一万六千円という水準は、主要先進諸国と比べて著しく高いことは事実であり、これを現在以上に引き上げることは避けるべきでありますが、他方、これを引き下げることも、現在の経済情勢下では困難と言われております。 この問題について留意しなければならないのは、例えば日本よりも課税最低限の低いイギリスやフランスでは、扶養控除がないかわりに日本よりもはるかに充実した児童手当があるということです。我が国でも児童手当制度はありますが、支給対象年齢や金額の点で比較になりません。以上の事実を逆の面から見れば、我が国でも扶養控除をイギリスやドイツ、フランスなどの諸国並みの児童手当に振りかえれば、ほぼ同じ財源で課税最低限を約百万円引き下げることが可能であるということです。この点について総理はどのようにお考えでしょうか。 さらに、住宅減税について私どもは、景気対策のために当面二年間程度は現在の住宅取得促進税制を思い切って拡充するとともに、これと選択的にローン利子控除制度を導入し、将来的にはローン利子控除制度に一本化していくことを提案しております。この点についての総理のお考えをお尋ねいたします。 第三に、法人課税の今後のあり方です。 総理は、我が国企業が国際社会の中で十分競争力が発揮できるよう、総合的な検討を行い、実効税率を四〇%程度に引き下げると表明されましたが、まず国の法人税と地方の法人事業税のそれぞれについてどのように見直しをするのか。 法人課税見直しを経済構造改革に資するものとするためには、単に税率を下げるだけではなく、課税ベースについても一層の適正化を図る必要があると考えますが、この点についてどのような見直しを進める予定なのか。 また、特に法人事業税については、現在のように景気に対する感応性の高い仕組みではなく、応益的課税の見地に立ったいわゆる外形標準課税とすることが長年にわたって課題とされてきました。今回、総理としては、外形標準化についてどのように取り組むつもりなのでしょうか。 法人税制について、経済活動のグローバル化に伴って、今後先進諸国間でも税の引き下げ競争が一層進むことが懸念されます。私は、今回の税率引き下げは国際水準への整合という観点から不可欠と考えますが、今後は主要先進諸国間において法人課税の水準についての租税協調を図り、税の堕落を防止するという観点が求められてくるのではないでしょうか。この点についての総理の御所見を伺います。 第四に、私はNPO税制の整備についてお尋ねしたいと思います。 先般、ようやく成立したNPO法の附帯決議では、施行の日から二年以内に政府において関連税制を含めた制度の見直しについて検討し、結論を得ることとされました。NPO税制は、これまでのように国が税金を集め、その使途を決めて配分するという中央集権的な税財源のあり方に一石を投じるものであり、国の形を変える画期的な意義を持つものとも言われております。総理は、このNPO税制の整備についてどのように取り組むつもりか、その方針と決意をお聞かせください。 総理は、一刻も早い景気回復を図るため、事業規模で十兆円を超える第二次補正予算を編成することとし、その際、公共投資のあり方については従来の発想にとらわれずに見直すと表明されました。また、総理は、総裁選以来、補助金の使途を地方にゆだねる新ふるさと創生事業を提唱されています。私たちもまた、従来の公共事業のあり方を見直す具体策として、地方の特性や住民ニーズに応じた未来志向型の社会資本投資を進めるため、四兆円規模の地方自治体が自由に使える包括補助金を交付することを提案しております。 総理としては、これまでの公共事業の問題点、累次の景気対策における地方財政の悪化などについて、どのように認識され、地方主体の社会資本整備推進のために、具体的にどのような制度見直しを図るおつもりか、伺います。 最後に、あえて申し上げたいと思います。 私は、今この本会議の壇上で国会論戦の最前線に立って、なおある種のむなしさを禁じ得ません。国政の議論のあり方として、果たしてこのままでいいのか。ともすれば質問しっ放し、答弁しっ放しで、我が国の進路を決すべき議論のあり方として、国民の負託にこたえる十分な討論がなされているものとは到底思えません。投票率も上がり、政治に対する関心が高まっているこの機に、国会の議論、審議のあり方を改革すべきであります。 総理、御存じのように本院は与野党逆転しております。与野党が真剣に議論を重ね、合意に達しなければ法案の成立を期すことはできません。この状況は国民にとって、民主主義にとって歓迎すべき事態であります。そして与野党を問わず我々政治家も、改革の絶好の機会ととらえるべきであります。今までのように国会審議をおざなりにしたままで与党の数の力に頼る手法と決別し、与野党が率直に意見の応酬を行うイギリスのクエスチョンタイムのごとく、あらゆる審議の場で政府委員、官僚の介在を排し、国民の前で議員同士が、また議員と閣僚がみずからの責任で真摯な討論を行うところに、この場を変えていかなければなりません。その勇気とリーダーシップこそが今国民から求められております。 我々は、我が国の未来に責任を持つ政策本意の政党、会派として、総理の御決意をお待ちします。ともに国民に信頼される政治をつくり上げていこうではありませんか。どうか総理、与党の国会議員の長として、最後にその御決意をお聞かせください。 また、私の質問には、どうか、官僚の手になる答弁書を棒読みすることなく、御自身のお言葉でお答えいただくよう、切にお願いをし、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 峰崎直樹議員にお答え申し上げます。 景気対策についてのお尋ねがございました。 九〇年代に入ってから累次の経済対策は、景気の下支えに貢献はしてまいったものと考えております。 今後の景気対策として、まず総合経済対策の実施や金融再生トータルプランの早期実現に全力を挙げてまいります。その上で、事業規模で十兆円を超える第二次補正予算を編成することといたしております。その際、公共投資のあり方につきましては、景気の回復への効果を踏まえるとともに、従来の発想にとらわれることなく、二十一世紀を見据えた分野に重点化するなど、その見直しを行ってまいります。また、六兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施いたします。 以上の施策等を実行することによりまして、景気の反転の時期を特定することは非常に困難と思われますが、ぜひ一両年のうちに我が国経済を回復基調に乗せるよう、内閣の命運をかけて全力で努力をいたしてまいりたいと考えております。 経済再生への対処についてお尋ねをいただきました。 先ほど申し上げましたように、不良債権の抜本的処理を初めとする経済再生の施策を政治主導のもとで、責任の所在を明らかにしながら、スピーディーに政策を実行することにより、この一両年のうちに経済を回復軌道に乗せるよう、全力を傾けてまいりたいと思っております。 なお、調整インフレ論についてのお尋ねもございました。 これは、一般的には、デフレ防止のため、適度な水準までインフレ率を高め、実質金利を低下させること等を通じて、消費や投資といった需要を喚起するという政策論であると思われます。しかし、その内容は論者によって実は幅がございまして、また、種々の問題等も議論されておりますことから、慎重に考えてまいる必要があると考えております。 巨額の隠された不良債権が放置されたままではないかとのお尋ねですが、金融機関の不良債権につきましては、本年三月期から全国銀行について米国SEC基準同様の基準に従った情報開示が既に行われておるところでございます。また、来年三月期からは、全金融機関についてこれを連結ベースにより罰則つきで義務化することといたしております。 このような情報開示のもと、公的資金の活用による金融安定化策によって、預金者保護と金融システムの安定性確保に今後とも努めてまいりたいと思います。 資本注入を行った大手銀行の貸し渋りに関するお尋ねでございましたが、先般、金融監督庁が資本注入を行った各行から聴取したところでは、安定的な資金供給の継続に寄与しているなど、資本注入は一定の効果があったものと認識をいたしております。 いずれにいたしましても、金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させ、健全な取引先に対する必要な資金供給が円滑に行われない事態が生じないよう、金融機関の融資動向につきましては、引き続き十分注視してまいる必要があると考えております。 苫東プロジェクトの処理の問題でございますが、この東部開発計画につきましては、先般、閣議決定されました全国総合開発計画、北海道総合開発計画を踏まえ、北海道開発庁が中心となりまして具体的な検討を行っておるところでありまして、さらに関係者が連携を強化して的確に対処することが重要であると考えております。 北海道経済の対策と効果につきましては、本年四月、総合経済対策を決定し、公共事業の過去最高の前倒し執行や傾斜配分、また、北海道東北開発公庫における融資制度の拡充等を図ったところでありますが、これらにより地域経済の活性化に向けた効果が早期に上がることを期待いたしております。 北海道東北開発公庫法の改正案の件でございますが、同公庫は設備投資を中心とした長期資金の供給を行うことを役割といたしておりまして、政府といたしましては、この性格にかんがみ、現行法の枠内で最大限の弾力的運用を図ることで北海道における金融環境の悪化に対応することといたしており、この方針で引き続き対処する所存でございます。 税制に関する将来ビジョンについてのお尋ねでございましたが、将来を見据えたより望ましい税制の全体像につきましては、国民の間にさまざまな見解があることから、国民負担や所得再配分のあり方、税体系のあり方を含む幅広い論点につきまして、国民的な議論をしていく必要があると考えております。 なお、今回の減税は、厳しい経済の現状を踏まえ、抜本的な見直しを展望しつつ、景気への配慮を最優先にいたしまして実施を決断したものでございます。 今回の個人所得課税の減税方式についてお尋ねがございましたが、個人所得課税につきましては、抜本的な見直しを展望しつつ、国民の意欲を引き出す観点から最高税率の五〇%への引き下げを行うとともに、景気の現状に照らし、あらゆる所得階層に効果が及ぶとともに、中堅所得者層に配慮された方式をとることが適当と考えております。今後さらに、我が国の将来を見据えたより望ましい税制の構築に向けまして、幅広い論点について腰を据えて検討していく必要があると考えております。 なお、福祉給付金等の措置につきましては、歳出措置として適当かどうか慎重に検討すべき問題であると考えております。 最高税率の引き下げと課税ベースについてのお尋ねでございますが、今回の税制改正におきましては、景気に最大配慮して個人所得課税において四兆円を目途に減税を行うことといたしております。税率と課税ベースは一体的に見直すべきものでございますが、景気回復の妨げになることは現状では困難と考えます。 いずれにいたしましても、今後さらに、我が国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向けて議論するときには、御指摘のフリンジベネフィット課税なども含めまして幅広い論点について検討していく必要があり、政府及び党の税制調査会におきまして引き続き真剣に検討していただきたいと考えております。 納税者番号制度につきましては、同制度の目的について議論を深めるとともに、プライバシーの問題等の諸課題につきまして検討を進めていく必要があると考えております。 次に、個人住民税の今後のあり方についてのお尋ねもございました。 個人住民税は、地域社会の費用について、住民がその能力に応じて広く負担を分任するという性格から、現行の税率構造は三段階となっておりまして、所得税に比べ簡素でフラットなものとなっておると思っております。 今後の地方分権の推進にとって、地方税の充実確保は重要な課題でございますが、個人住民税のあり方につきましても、その性格を踏まえつつ、政府税制調査会での幅広い議論もいただきながら検討してまいりたいと考えております。 課税最低限につきまして、議員の年来の御主張かと存じますけれども、お聞きをいたしました。ただ、現在におきましては、これを直ちに改定するということはなかなか困難と考えておりますと同時に、その引き下げを行う環境に現在なっておらないと認識をいたしております。 扶養控除を児童手当に振りかえてはどうかという先ほどの御指摘でございましたが、扶養控除制度と児童手当制度はそもそも代替する制度でないことから、扶養親族に配慮しないことが税負担のあり方として適当かどうかといった議論が必要でありまして、そうした点を踏まえつつ、所得課税全体の中で慎重に考えていくべきものと考えております。 法人課税についてでございますが、法人課税につきましては、我が国企業が国際社会の中で十分競争力を発揮できるよう、その実効税率を四〇%程度に引き下げることといたしており、その具体的内容につきましては、国税と地方税をそれぞれどのように取り扱うかといった点も含めまして、政府及び党の税制調査会における幅広い検討の結果を踏まえて決定することといたしております。 また、課税ベースにつきましても、平成十年度税制改正におきまして大幅な見直しを行ったところでありますが、引き続き適切に見直しを行っていくべきものと考えております。 法人事業税への外形基準の導入についてお尋ねがございました。 これにつきましてはさまざまな議論があることを承知いたしております。引き続き政府税制調査会において専門的、理論的な検討が加えられるべきものと考えております。 次に、税の堕落についてのお尋ねがありました。 まさに議員御指摘の観点から先進各国の税当局が協調を開始しておりまして、本年四月にはOECDが有害な税の競争報告書を公表し、五月のサミットにおきましても本報告書が強く支持されておるところでございます。我が国といたしましても、今後とも本報告書に沿った国際的な取り組みに積極的に参加してまいる所存でございます。 NPO税制の整備についてでございますが、今後、NPO法人に対する税制上の措置を検討する際には、実際にどのような団体がNPO法人としての資格を取得することになるのか、どのような活動が展開されるのか、その実態を見きわめた上で、各種の法人や団体に対する課税とのバランス等を踏まえ、慎重に検討していく必要があると考えております。 地方財政の悪化についてのお尋ねがありましたが、景気の停滞に伴う税収の伸び悩みや景気対策における地方債の増発などの要因から、地方財政は国の財政とともに厳しい状況にあると認識しております。このため、地方財政につきましてもその健全化を進めていくことが重要な課題であると考えております。 また、公共事業の見直しについてお尋ねがございましたが、地方公共団体に財源を一括して交付し、その使途を任せることは問題があるものの、今後、中央省庁等改革基本法等を踏まえ、できる限り適切な目的を付した統合的な補助金等としていくなど、公共事業の見直しを図ってまいりたいと考えております。 最後に、本院のあり方につきましていろいろと御主張をお伺いし、国会改革につきましての御主張も承らせていただきました。英国の例を挙げるまでもなく、国会の議論、審議のあり方についていろいろと思うこともございます。ただ、これは国会としていかに対処するかという問題でございますので、各党各会派、十分な御議論をいただきたいと思っております。 ただ、私は国の進路、国政のあり方について議員同士が国民の前で率直かつ真剣に討論を行うことは国会審議のあり方として一つの基本たるべきものであろうという考え方には、そのとおりと存じております。 かねて来、参議院の各種の委員会等におきまして、その御質疑等を通じまして委員の御議論を外務大臣としてお聞きをしておりまして、その真剣な議論というものが国会のあるべき姿の一つとして、私どもも十分考えていかなきゃならない課題としておるということだけ申し添えさせていただきたいと思います。 以上をもって御答弁といたします。(拍手) ─────────────
○議長(斎藤十朗君) 石川弘君。 〔石川弘君登壇、拍手〕
○石川弘君 私は、自由民主党を代表して、小渕総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係閣僚に質問をいたします。 世に言う右肩上がりの神話が崩れ、今日までの経済・社会活動や国民生活の基盤が大きく揺らぎ、国民の中に不安が広がっています。このため、消費者、企業家は個々に生活や企業防衛に走り、支出や投資の抑制が起こっています。このことは、個々の消費者や企業家にとっては、ある意味では合理的な対応であっても、これが積み上がると、マクロ経済では総需要の縮小という不況の一大原因となり、それがさらに消費者、企業家に再び降りかかって不安心理を拡大するという悪循環に陥りつつあります。 先行きに対するぼんやりとした不安感が、昨年末の拓銀、山一の破綻を契機に、より具体性を持っておびえにも似た気持ちになったのは当然かもしれません。このような状況のもとで、国民の不安がさらに大きくならないように、少なくとも不安が不満にならないように、また、既にある不満が累積しないように、タイムリーに大胆な手を打っていくのが政治の役割であります。 このために、当面の緊急対策を総合的に講ずるとともに、今日よりはよりよくなる将来展望をできるだけ早く、かつ具体的に明示することが不可欠であります。それによって消費者、企業家は現下の問題だけに目を奪われることなく、中長期的な見通しを持って、より合理的な行動を選択することができると思います。 総理は、政権構想の中で、新しい安心を求めて、国民の創意工夫に基づく自由な行動を保障する体制への転換、不安を解消し、安心して暮らせる将来への展望の必要性を大きく取り上げられました。そして、所信表明において、「我が国の社会システムを、二十一世紀における知恵の時代にふさわしいものに変革していく」とされております。 このような基本理念のもとに、どのようにこの国の形、そのグランドデザインを描かれていかれるのか、総理の基本的方針をわかりやすく御説明願います。 具体論に入り、若干の質問をいたします。 まず、金融構造改革と不良債権の早期処理についてでありますが、当面の課題の中で、最も切実な金融不安感をなくするため、金融機関の情報公開、特に金融監督庁等の検査の徹底と、その結果を踏まえた情報開示の徹底、既に法律手当てをしている預金者の保護に万全を期することが必要であることは言うまでもありません。そして最後に残った手当てとして、金融破綻の場合の優良な借り手を守るために何らかの法的整備が急がれております。 ここまではある程度のコンセンサスが醸成されつつあると見ることができると思います。しかしながら、この具体的な処理の方法として、いわゆるソフト路線に乗っていくのか、あるいはよりハードな処理をするのか、その方法についての考え方の違いがあるように見受けられます。 不良債権処理に伴う金融機関の経営状況に応じ、公的管理へ移行するかどうかは、吸収あるいは合併等の別の道があれば、地域経済等への影響も少なく、不良債権の処理コストが結果的に安くなるのではないかというような考え方、むしろ不良債権の存在自体が景気回復の足かせとなっていることにかんがみ、その処理をタイミングよくやるということを優先するのか。そうかといって、余りに事を焦ることによって、不良債権を処理することによってさらにデフレが進行しないかといったことを比較考量して、ソフト、ハードの手法の双方の利点、欠点を十分検討する必要があります。もちろん、いずれの場合も情報公開の徹底と貸し手、借り手の責任の明確化が前提となっておりますが、大蔵大臣はいわゆるソフト路線について言及されておりますが、その真意が必ずしも正確に伝わっていないとも考えられます。 そこで、大蔵大臣に意のあるところを御説明願いたいと思います。 次に、経済の構造改革と雇用の問題であります。 大企業のリストラの進行や需要の減少による稼働率の低下等が見られる一方、中小企業はさらに下請の減少、貸し渋り等で景況感は日々にその状況が悪化をいたしております。さらに、完全失業率が四・三%と史上最悪となり、雇用状況の悪化は働き盛りの年齢層にも及んでおります。 このように厳しいことばかりが目の前に具体的にあらわれており、緊急対策を総合的に講じつつあるにしても、これにかわるべき新しい分野のリーディング産業なり、世に言うところの新規産業あるいはベンチャー企業、ニュービジネスといった明るい姿がいまだはっきり見えてきておりません。 平成八年十二月の経済構造の変革と創造のためのプログラム、その発展としての昨年十二月の経済構造改革行動計画で、二〇一〇年における情報通信や環境、医療を初め十五の分野において、新規産業の創出によって雇用規模で七百四十万人、市場規模で三百五十兆円の拡大が見込まれております。 しかし、二〇〇一年にはビッグバンが完了するということの急展開があります。それから、労働市場の問題は今申し上げたとおりです。そう考えました場合に、二〇一〇年を一つの目標年次とします経済構造改革行動計画は、もう少し早い時期に中間的な努力目標を掲げ、より具体的なものとすべきではないかと考えております。 例えば、自動車産業一つとらえてみても、御承知の直噴エンジンだとかハイブリッド車といった地球環境保全のために大事なものが開発をされ、一部は実用化をされています。それから移動通信、四兆円以上の規模の発展の中でも、カーナビゲーションのようなもの、あるいはオーディオのDVDといった既に商品化を目の前にし、あるいはそれが既に実行されているような分野もあります。さらに、大変環境に優しいという意味で、でん粉というようなものを原料としたバイオプラスチック、これの実用化も期待されております。 このように、すぐさまとは申しませんが、取り組みやすく、かつやる気の出る目標を設定して、産業界、行政が一体となって具体的に取り組むべきではないかと考えます。そのために、各種の政府の施策も必要であります。 総理は、一両年のうちに経済を回復軌道に乗せるよう内閣の命運をかけるとおっしゃっておられます。そのようなことを踏まえて、今申し上げたような新しい雇用その他を創造できるような産業に、もう少し早い時点に目標を定めてぜひ誘導していただきたいと思いますが、総理及び通産大臣に取り組みの御方針を承りたいと思います。 次に、農業政策について伺います。 我が国の経済・社会の将来に対する不安につきましては、食糧・農業問題についても同様でございます。総理府の世論調査におきましても、国民の七割が将来の我が国の食糧事情に不安があると答えております。 食糧自給率やあるいは自給力といった問題は、単なる行政だけの問題ではございません。生産者にとってみますと、例えばWTO体制下の国境措置がどうなるか。百ヘクタールの新大陸型農業と、二十ヘクタールから五十ヘクタールのECの農業と、どんなに大きくても十ヘクタール前後のアジアモンスーン地帯の米作といったもの、こういうものが将来どうなるかということを含めて、この問題を解決しなければなりません。 また、消費者にとりましても、量が確保されればいいということではございませんで、環境に優しい産業としての農業とか、あるいは健康のことを配慮した食糧資源ということで、国民の食生活のあり方にかかわる問題です。 したがって、このように生産者、消費者双方にかかわる重要かつ幅広い問題ですから、国民全体の合意なくしてはなかなか目的が達成できない。そういう重要な問題につきまして、国民食糧の安定供給という観点から総理はどのようにお考えか、御所見を伺いたいと思います。 次に、行政改革について申し上げます。 行政改革は、時代の流れに沿って経済・社会のシステム変革の先導役を果たすものでありますから、本来明るいものでなければいけないと思っております。しかし、国民の目から見ると、民間におけるリストラに比べて立ちおくれているのではないかという不満や、あるいは福祉やその他の分野で行政サービスの質が低下するのではないかという不安があります。また、行政サイドから見ると、既存の権益が縮小されるのではないかとか、定員規模の縮減、雇用の不安といったことが起こるという不安もあります。 既に、さきの国会で成立した中央省庁の再編においてもいろいろ論議があり、例えばその一つに、公共事業を担当する巨大省庁の問題が出ておりますが、これも積極的に考えますれば、今、縦割りになって幾つかに分かれている公共事業等を総合的に管理し、むだを省き、実施部門は地方行政機関等へ移管を極力推進するとともに、PFIの積極的な導入によって民間主導型の事業を行うことも視野に入れていると考えますと、まさに政治主導によって巨大なものをより効率的なものへと変革するという意味で、前向きに取り組むべきものと考えております。 このように、中央官庁の行政改革は、規制緩和、民営化、地方分権と一体的に進めれば、まさに知恵の時代にふさわしい企画的分野を中心とした仕事に特化していくことになるわけであり、このような企画的行政分野はまさしく少数精鋭主義で十分対応が可能と考えているわけです。 行政全体の問題としましても、行政業務のスリム化、公務員の定員縮小、コスト削減がどうしても必要となります。 総理は、所信表明の中で、明確に数字を挙げて十年間で定員二割、コスト三割削減を言われておりますが、これは単純に年率に直しますと各二%ないし三%の減少となります。もちろん、削減の対象となる国家公務員の総定数は、既に公社化移行が決定している三十万一千人を除きますと五十四万八千人となっております。定年退職率年一%、勧奨退職率年一%、これで二%あるわけですが、もちろん組織でございますから新規採用もやらなきゃいかぬ。 そこで、間接管理部門、お役所にお役人がいるから必要なお役人という意味で、間接管理部門の縮減というものに焦点を当てる、あるいは採用はやはり極力抑制をしていく、それからそれでもどうしても融通がつかない場合には、その仕事の性格を十分考えながら、現在必ずしもその仕事の性格が明確となっていない独立行政法人の取り扱いというようなことも含めて考えれば、私はこの総理の二〇%削減というのは決して実行不可能なものではないと考えております。行政改革即首切り、合理化といった暗いイメージでとらえるのではなくて、それこそいろいろ知恵を絞って円滑にこの目標を達成することがぜひとも必要と考えております。 もちろん、政治の場でも議員定数の削減を含め、参議院選挙制度や参議院の改革に取り組むことが必要だと私は考えております。 総理の行政改革、特に中央省庁再編の実行、行政のスリム化を政治主導によって取り組む御決心を聞かせていただきたいと思いますし、総務庁長官のお話も聞かせていただければと思っております。 結びに当たり、一言申し上げます。 顧みますと、今まで第百二十三回国会のPKO法案審議、この議場で私も体験いたしましたが、大変な困難のあった審議でございました。第百三十六回国会における住専問題の処理、これはこの場ではなくて委員長室の前であったと思います。しかし、そのことの当否を申し上げているのではなくて、我々はその教訓を踏まえて参議院改革に取り組み、委員会再編成とか押しボタン方式の導入等を実現してきました。 今国会は国民の生活に重大な影響を与える重要法案が多数提出されています。長期的かつ幅広い視野に立って審議を行うべき参議院として、政府の適切な対応と相まって、国民の不安を一日も早く解消して、その負託に十分こたえるよう真剣に審議に取り組むことを申し上げて、私の質問を終わります。(拍手) 〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
○国務大臣(小渕恵三君) 石川弘議員にお答え申し上げます。 我が国の二十一世紀への形、グランドデザインについてお尋ねがございました。 経済・社会のグローバル化、少子・高齢化の急速な進展などを踏まえまして、従来の形づくられてきた経済・社会の仕組みを二十一世紀にふさわしい仕組みに変革していく必要があると考えております。 私は、その際、個人や企業の能力が自由、公正な形で最大限発揮ができ、また安全や生活のよりどころとなるなど、安心が保障される社会を目指すべきものと考えております。さらに、国のあるべき姿として、経済的な繁栄にとどまらず、国際社会の中で信頼されるようないわば富国有徳を目指すべきものと考えております。 経済を回復軌道に乗せるための経済構造改革への取り組みについてのお尋ねもございました。 我が国経済の再生を図るために、足元の景気の回復とともに経済構造改革の迅速な遂行が必要でございます。その際、できる限り現下の雇用情勢の改善にも資することが重要であり、このような観点から新産業創出等を進めてまいりたいと思っております。議員も御指摘をされましたように、リーディングインダストリーをこれからどのように強化していくかというようなことも含めまして、経済構造の改革というものが極めて重要だと心得ております。 食糧の安定供給についてのお尋ねがございました。 御専門の分野でございますが、私といたしましても、食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資でありまして、国民に対し、国内農業生産を基本として安全な食糧を安定的に供給していくことは、国の基本的な役割であることは申すまでもございません。今後の食糧供給のあり方につきましては、現在行われております食料・農業・農村基本問題調査会の議論も踏まえまして、国民が安心できる確固たる政策を築いてまいりたいと思っております。 行政改革への取り組みについてのお尋ねでございましたが、さきの国会で成立をいたしました中央省庁等改革基本法に基づきまして、政治主導のもと、二〇〇一年一月の新体制への移行開始を目標として、来年四月にも所要の法案を国会に提出することを目指しております。あわせて、中央省庁のスリム化を徹底し、定員の十年間に二〇%削減を実現するよう努力をいたしてまいりたいと思います。 ただいま石川議員からも、この独立行政法人化問題も含めまして、努力をいたしますればその目標に達することが可能であるという御指摘もございました。大変困難な問題かと思いますけれども、年次計画も立てながら、ぜひこの目標は達成いたしてまいりたいと思っておりますので、御支援をお願いいたしたいと思っております。 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁をさせます。(拍手) 〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
○国務大臣(宮澤喜一君) 不良債権の処理は情報開示の徹底と貸し手責任の追及が前提とならねばならないということは私もそのとおり考えておりまして、何か私がその辺の考え方が少し手ぬるいのではないかという印象を持たれたかと存じますけれども、厳しく考えております。 ただ、私が時々、一昨年十一月以来の銀行の倒産等々を見ておりまして時として感じますことは、大都会におきましてはたくさんの勤労者、それは会社員であれマスコミであれでございますが、銀行というものに対する関心が実は非常に薄いと思います。預金をしておられる方はたくさんありますけれども、預金は一〇〇%保障されておりますから少しも心配がない。銀行から金を借りておられる方は非常に少ない。住宅ローンぐらいなものだろうと思います。したがって、銀行があろうが倒れようが実は個人的な関心としては非常に薄い。のみならず、何となくどこか親しめない存在だというふうに思っていらっしゃる方が多いように思います。 しかし一方、お互い、たくさんの皆様が地方に選挙区をお持ちですが、地方ではそうではございません。たくさんの中小企業の人々にとって、銀行との関係は、もう本当に命綱のようなもので、かわいそうなほど実は頼っておる。その銀行が倒れますと、営業しておる人にとっては、何の自分に罪もない、何十年もやっておった銀行が倒れて、借りた金は持っていかれる、貸し渋りの時代ですからどこの銀行へ行ったって今さら相手にしてはくれないということは、それは自分の倒産ということになるわけでございますから、そういう関心を、お互い選挙区を持っておりますから聞くことができますけれども、比較的それが中央なりマスメディアに反映されていないということは、先般、総理が所信演説の中で心臓と血液だと言われましたけれども、地方の心臓がとまるということは、地方の血液がとまるということである。 その点についての洞察、観察が、極めて私はある意味で一般に言われる報道というものに欠けておるのではないかということをかなり強く思います。 先ほども北海道の実情について御言及がございました。北拓が倒れた結果、北海道がどうなっているかということは、まことに今日現在同情すべき状態であるわけであります。ですから、何でも倒れたらいいというものではない、それがある意味でブリッジバンクというものに、私どもの配慮をお願いを皆様にしたいと思っているところでございます。 決して私は、銀行が倒れるものはもう倒れるよりしようがない、救いようのないものは救いようがない、そのための責任を追及することに決して人後に落ちるものではございませんけれども、それに伴う社会的なコスト、金融システムの安定というようなこともやはり大切に考えなければならない。そういうことを申したいのが、言葉が十分でなくてそのような御印象を与えたかと存じますが、真意はさようなことでございます。(拍手) 〔国務大臣与謝野馨君登壇、拍手〕
○国務大臣(与謝野馨君) 経済構造改革と雇用問題への取り組みについてのお尋ねであります。 経済の活力を中長期的に維持向上する経済構造改革は、我が国経済の再生のため不可欠であります。また、厳しい雇用情勢等への対応は現下の喫緊の課題となっております。 このため、通産省としては、当面、新規産業創出を初め、雇用の創出につながる施策に特に重点を置いて経済構造改革を強力に進めてまいる考えであります。 このような中、経済構造の変革と創造のための行動計画のフォローアップにおいては、このような観点からその内容の強化拡充に努めてまいります。(拍手) 〔国務大臣太田誠一君登壇、拍手〕
○国務大臣(太田誠一君) 行政改革につきましては、まず、先ほどの総理の答弁のとおり、来年の四月一日を目指して法案の提出のための準備を鋭意進めております。中央省庁等改革推進本部の事務局は大変熱を帯びて頑張っている途中でございます。 また、政治主導によってこれに取り組むということでございますけれども、私が理解をしておりますのは、小渕内閣の初閣議におきまして、総理から特に指示がございまして、各閣僚は狭い守備範囲、所管分野にとらわれずに事務当局を強力に指導すべしという指示がございました。内閣の主導によって行政改革は進めていくべきものと思います。 また、立法府が行政の姿を正すという面もあるわけでございますので、どうぞ皆様方の協力をよろしくお願いいたします。(拍手)
○議長(斎藤十朗君) ただいま理事が協議中でございます。しばらくお待ちください。 これにて質疑は終了いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十七分散会 ─────・─────