法務委員会 第4号
- 発言数
- 109 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1998/10/08
会議録
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨七日、角田義一君及び竹山裕君が委員を辞任され、その補欠として本田良一君及び常田享詳君がそれぞれ選任されました。
○委員長(荒木清寛君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中村法務大臣。
○国務大臣(中村正三郎君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を便宜一括して御説明いたします。 政府においては、人事院勧告の趣旨等にかんがみ、一般の政府職員の給与を改善する必要を認め、今国会に一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を提出いたしました。そこで、裁判官及び検察官につきましても、一般の政府職員の例に準じて、その給与を改善する措置を講ずるため、この両法律案を提出した次第でありまして、改正の内容は次のとおりであります。 第一に、最高裁判所長官、最高裁判所判事及び高等裁判所長官の報酬並びに検事総長、次長検事及び検事長の俸給は、従来、特別職の職員の給与に関する法律の適用を受ける内閣総理大臣その他の特別職の職員の俸給に準じて定められておりますところ、今回、内閣総理大臣その他の特別職の職員について、その俸給を増額することとしておりますので、おおむねこれに準じて、これらの報酬または俸給を増額することといたしております。 第二に、判事、判事補及び簡易裁判所判事の報酬並びに検事及び副検事の俸給につきましては、おおむねその額においてこれに対応する一般職の職員の給与に関する法律の適用を受ける職員の俸給の増額に準じて、いずれもこれを増額することといたしております。 これらの給与の改定は、一般の政府職員の場合と同様に、平成十年四月一日にさかのぼってこれを行うことといたしております。 以上が、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。 以上でございます。
○委員長(荒木清寛君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。 これより両案に対する質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○円より子君 おはようございます。民主党の円より子でございます。 本日の二法案の質疑に先立ちまして、まず、在日外国人の指紋押捺制度について法務大臣にお伺いしたいと思います。 六日の衆議院の法務委員会で、押捺制度の全廃を通常国会に提出する準備をしているとの大臣の御発言があったということを新聞記事で知ったわけですけれども、衆参の法務委員会では九二年の改正時に、外国人の人権を尊重して制度のあり方を検討し、施行から五年を経過した後、速やかに適切な措置を講じるとの附帯決議がつきまして、それによって次期通常国会がその期限ということで提出準備が進んでいるということだとしたら、今までこの指紋押捺制度の全廃に向けてさまざまに運動していらした方々や、また外国人の方々が前進の一歩だということで大変お喜びになるかと思うんです。このことについて、今後もまだ障害があるのかどうか、その辺をどのようにクリアなさって通常国会にお出しになるのかどうか、意思の確認をさせていただきたいと思いまして、お願いいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) ありがたい御質問だと受けとめさせていただきます。 この間の六日の衆議院法務委員会において答弁したことでありますが、実は質問くださったのは八代英太先生でございまして、御存じかと思いますが、この指紋押捺廃止について長いこと一生懸命運動していらっしゃる先生でございます。そこで、私は考え方の方向としては八代先生と同じ認識であります。そして、実は新聞に出ておりませんでしたかもしれませんが、衆参両院における、委員が今御指摘になりました附帯決議、その精神にのっとって改正すべく、これを次期通常国会に提出する方向で今検討させておるという趣旨の答弁をいたしました。 とかく裁判が遅いとか法務省は法律をつくるのが遅いとか、いろいろい言われておりましたようでございますので、今事務局にいろいろな法律案の検討をお願いして相当忙しいわけですが、これはやはりもう通常国会で決着をしていかなきゃいけないという意気込みで今検討しているわけであります。 ただ、これから法律案をまとめますには、やはり各政党側との御調整とかいろいろあると思いますが、附帯決議の趣旨を体して、それに沿った法律案にして御提出するべく努力をしていくつもりでございます。
○円より子君 いまだ外国人登録証明書の常時携帯義務や、不携帯に対する重い罰則規定の存在など、さまざまな課題も残っているかと思いますけれども、この国に親しみを持って、相互理解を深めてくださる外国の友人をふやすためにも、ぜひとも人権上のさまざまな問題の解決に今後も取り組んでいただきたいと思います。 それでは、本日の二法案について質疑をさせていただきます。 まず、今の経済状況では、民間の企業ではいつ倒産で失業になるかもしれないというような不安を抱えていらっしゃる方が多い中、また減俸で住宅ローンも払えないという人たちも本当にふえておりますので、失業もないわけですから、公務員に対する怨嗟の声が上がっているというのも事実でございます。 そこで、給与のアップ、報酬のアップということがいいのかどうかということも感じないわけではないんですけれども、裁判官や検察官の方々は国民のために大変大事なお仕事をしていらっしゃる状況ですからそれはさておきまして、一つ、以前から問題になっております裁判官が忙し過ぎるという問題についてちょっと質問をさせていただきたいと思います。 収入が確保され、地位が安泰だということであれば当然国民のために質の高いお仕事をしていただかなければいけないんですけれども、もし忙し過ぎて質が下がっているとしたら大変なことでございます。これは九六年の五月に開かれた日弁連のシンポジウムの資料でございます。裁判官をやったことがあって弁護士に転向なさった方々のアンケート調査、聞き取り調査でございますけれども、かなり忙しくて、裁判所の仕事をやることが精いっぱいで、本来、司法制度について勉強をするとか、疑問を持って変えていくとか、また別のお勉強をするとか、そういった時間がなかなかなかったというような声もあるんです。 今現在、忙し過ぎると言われてきた裁判官の、特に家事事件ですけれども、一人の裁判官の手持ち事件数というのは少しずつ改善されたのかどうか、その改善状況がありましたらちょっと教えていただきたいんです。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) まず、一般的な御説明をさせていただきますと、特に都市部の地方裁判所として東京地裁というのがございますが、これを例にとりまして手持ち件数を申し上げますと、本年三月の法務委員会におきましては、東京地裁の民事部の裁判官一人当たりの単独事件の手持ち件数は二百四十件程度というふうに申し上げたところでございます。本年四月期に増員措置を講じましたことにより、東京地裁民事部の状況はさらに改善されているものというふうに思われます。 また、地方の小規模庁の場合につきましては、庁によって各裁判官による事件の分担というのが区々でございます。民事事件、刑事事件を担当しましたり、さらに委員の御指摘の家裁の事件というのもあわせて一人の裁判官が担当するという例も多うございますので、裁判官一人当たりの件数というのを統計的にお示しすることが実は困難な状況にございます。 小規模庁につきましては、あえて申し上げますならば、民事事件を中心に担当している裁判官は、一人当たりの民事の単独の持ち事件というのはおおむね六十件から百二十件程度。このほかに合議事件が部に二十から四十件程度ございます。さらに、そのほかには民事執行事件、破産事件、家事審判事件、調停事件等を適宜分担しているということでございます。 そういうことでございまして、家事審判事件あるいは家裁の事件については、現在手元に全国の一人当たりの手持ち事件というのは数字がございませんが、今申し上げましたような状況でございますので、庁によって分担が区々でございますので、家事審判事件についての一人当たりの手持ち件数というのはちょっと今お示しすることはできない状況でございます。
○円より子君 こういった裁判官の仕事というものは、良心的に本当に一生懸命やればやるほど忙しくなるたぐい、性質のものですし、件数だけでははかれないものだと思います。 今のアンケートによりますと、忙し過ぎることの弊害として、訴訟の進め方に何らかの影響があったという方がやはり一番多いですし、また影響ありの具体的なものとしては、証拠調べが不十分になってしまうというようなことが入っているわけです。それから、判決にも影響があるという人が影響なしの四倍近くになっているというような状況がございます。もちろん私生活にはかなり影響がある。精神面にまで影響があるというのが影響なしの七倍近くになっているわけです。 やはり判決を正しくする方にとって、精神面まで影響するような疲労というのはかなり問題ではないかと思いまして、きょうは報酬の話なんですけれども、こういった裁判官について、ほとんど家に持ち帰ってお仕事をしていらっしゃる方が多いということなんですが、裁判所内では残業というのは少ないのか。そしてまた、持ち帰った残業というのはサービス残業になるんですが、今回いただいた資料の中で諸手当とかいろいろ見せていただきますと残業手当というのがないんですけれども、裁判官には残業手当というのはないんですか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 裁判官の報酬につきましては、一般の行政官に比べまして一定の優位を保つように定められております。 裁判官の報酬の水準の決定に当たりましては、その職責の重要性などに加えまして勤務の特殊性から超過勤務手当が支給されないという点がございまして、この点も考慮されておりますので、実質的に申しまして、超過勤務手当分は一般職員よりも高く定められた報酬の中でカバーされているというふうに考えられているところでございます。
○円より子君 残業手当がついてうまくいくものではないんですけれども、とにかく忙し過ぎて仕事を家に持ち帰ってまでやらなければいけないという状況の中で、このアンケートの方、裁判官をやっていた方ですけれども、高裁の裁判官時代に自分の知り合いの裁判官で四人も自殺した人がいるというのがあるんです。うち三人は高裁時代に自殺したそうで、二人は庁舎からの飛び降り、一人は高裁勤務当時にフェリーで飛び込み、もう一人は高裁勤務当時に踏切に飛び込んだということで、これは原因はわかりませんけれども、この方の推測にしかすぎませんけれども、原因は勤務の量と質のハードさ、それをこなせない自分に気づいたときにショックを受けてうつ病になるというパターンではないかというんです。 当然自殺までの間のうつ的な状況での裁判の判決等というのはかなりいろいろな影響が出てくるかと思うんですが、こういった国民生活に大変重要な影響を与えるお仕事をしていらっしゃる方たちの例えばカウンセリングですとかスーパービジョンですとか、そういったものがあったり、またはこういう仕事が忙し過ぎることのアンケート調査など、きめ細かくやっていらっしゃるのが。 なぜこういうことをお聞きするかといいますと、別に裁判所に限らず、日本ではなかなかそういう精神面のフォローということがどこでもとても手薄だと思うんです。私、アメリカの大きな大学の附属病院で小児精神科のメディカルカウンセラーをしている友人がいるんですが、彼女のところを訪問して病院のシステムを見せてもらったときに、言語治療士や医者や看護婦やそしてソーシャルワーカーの彼女や、いろんな人たちがチームで一人の子に当たり、その虐待された子とその親の問題を解決しているだけじゃなくて、メディカルソーシャルワーカー自身も家族の問題をいろいろ、もちろんだれでもが抱える。そういう人のためにもまたスーパービジョンが毎週一回あるということを聞きまして、本当に手厚いケアをやっているんだなと感心したことがあるんですけれども、そのあたり裁判所ではどうなのか、ちょっとお聞かせいただけますでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 御指摘のとおり、裁判官の仕事は非常に責任も重い仕事でございます。複雑な仕事でございますので、ストレスもたまりやすいということは確かにあると思います。役所を出ても仕事のことがなかなか頭から離れないということはもうそのとおりだと思います。したがいまして、裁判官に対する精神面の管理といいますか、そういうことは非常に重要だというふうに認識しております。 特に、裁判官向けのプログラム、カウンセリングというふうなものが裁判所に特別の種別としてあるわけではございません。人数的に申しまして裁判官が一般職員なんかよりずっとそういう精神面の問題を抱えているケースが比率的に多いかどうかというふうなことになりますと、そういうことも特にないんじゃないかというふうに思いますが、いずれにいたしましても精神面のケアが非常に重要でございますので、そういう点で問題を抱えている裁判官についてま可能な限りできるだけの配慮をしているつもりでございます。 まず、裁判官がそういう精神面での問題を抱えているかどうかということをできるだけ早期に発見するということが何よりも大事だろうと思います。この点では、周囲の者、例えば一緒に仕事をしている先輩の裁判官なりそういう人たちが常に気をつけて見てくれる必要があるわけでございますが、そういう点につきましては、裁判官の研修などの機会にそういう点が非常に重要であるということをいろいろみんなで話し合いまして、徹底するように努めております。 それで、そういう精神面で問題があるということがわかりました場合には、医師等のカウンセリングを受けるようにアドバイスをいたしましたり、必要であれば病院等を紹介いたしましたり、それから御承知のように家庭裁判所に精神科医が配置されておりますけれども、その方にカウンセリングに当たっていただいたり、そういうことを心がけてやっております。 それから、こういう問題ができるだけ起こらないようにするためには職場の雰囲気を明るく、気持ちよく仕事ができるということが大変大事だと思いますけれども、そういう雰囲気を醸成するという観点からも、レクリエーションなどもできるだけやるように努めております。 以上でございます。
○円より子君 次に、国選弁護人についてお伺いしたいんですが、まず我が国の刑事裁判において私選弁護士と国選弁護士のつく割合というのはどうなっているか教えていただけますか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 国選と私選の割合につきましては、最近ではおおむね七割方の事件が国選弁護人で処理されているところでございます。
○円より子君 だんだんふえてきているのかなという気がするんですけれども、七割というのはかなり多いなと思うんです。ということは、特に国選弁護制度は随分我が国の刑事裁判において重要な役割を果たしているということになりますけれども、七割ということは、特に簡易な事件だけじゃなくて、重大事件とされている法定合議事件や否認事件も国選弁護人によるということなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 国選弁護人によるかあるいは私選弁護人によるかということは、事件によるわけではございませんで、被告人が貧困であるかどうかということによりますので、仰せのような重大事件につきましても国選弁護人がつくということはよくあることでございます。
○円より子君 今私が聞きましたのは、それはわかっているんですが、七割とおっしゃったので、その七割というのはそういった法定合議事件や否認事件でも七割なのか、そういう意味だったんです。私が知っているときは六割で、そのときはこういった重大事件の半数が国選弁護人ということだったものですから、七割になった時点でこういった重要な事件にどのくらい国選弁護人がついているかということをお聞きしたがったわけです。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 委員仰せのとおり、徐々に国選の比率が上がってきていることは事実でございます。ただ、重大事件かそうでないかということで、その中の割合というものは特にとっておりませんのでわかりかねます。
○円より子君 国選弁護人のケースがふえているということなんですが、実はこの国選弁護人の報酬というものが今回の裁判官の報酬と比べますと随分低いのではないかということがずっと日弁連等から要望が出ております。 まず、裁判官の場合はフルタイムで働く人ですし、国選弁護人はその都度の事件によっての報酬ですから、報酬同士で比較することはできないと思いますので、国選弁護人制度ができたのが昭和二十四年ですね、その当時からの倍率で見たグラフがございまして、皆さんのところにお渡しすればすごくわかりやすかったんですが、ちょっとお話をいたします。(資料を示す) このようなグラフがございまして、これは国選弁護人制度ができた昭和二十四年から平成八年までの四十七年間に、国選弁護人報酬支給基準額を基準として、国家予算、裁判所予算、それから判事三号の報酬月額、国選弁護人報酬支給基準額のそれぞれの伸び率を比較したグラフなんです。 例えば、この一番伸びておりますのが国家予算でございまして、これは百倍余になっているんです。それから、裁判所予算は昭和二十四年から考えますと七十倍になっております。判事の報酬月額は五十倍でございます。それで比較いたしますと、国選弁護人の報酬支給基準額はわずか三十倍にしかなっていないということが出ておりまして、国選弁護人の報酬が低い、もう少しこれを高くしてもらえないかという要望がずっと日弁連等から出ているわけでございます。 今、一件というのは、つまり法廷が三回開かれるのが大体一件当たりというふうに計算するそうですが、どのくらいの報酬額なんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 委員仰せのとおり、最高裁判所といたしましては、予算の適正な執行という観点から、地裁の三開廷、標準的な事件と申しますか、その事件につきまして標準的な支給の基準を参考として各庁にお示ししているところでございます。それによりますと、平成十年度は八万三千百円となっております。
○円より子君 その八万三千百円を十五万とか、それから日弁連の方は二十万円以上というふうな要望が出てきているのは御存じだと思うんですけれども、その金額が適当なのかどうかということはおきまして、国選弁護制度によって裁判の七割が占められているということになりますと、ほとんどそこに頼って司法活動が成立していると言っても過言ではないと思うんです。 刑事裁判における弁護人の地位とか任務というのはもちろん私選、国選を問わず同一なんですが、七割も占めているにもかかわらず、このごろは国選弁護事件というのは経費はかかるし報酬は少ないし、それから大変時間と手間暇もかかるので、もちろん弁護士の方々はそういったことも採算を度外視して真摯に取り組んでという方が多いと思いますが、やはりそれだけでやっていては食べていけないという個人的な事情が当然あって当たり前で、その不採算性から受任回避の傾向が顕著になっているということがあるんですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 国選弁護人の報酬につきましては、委員仰せのとおり、裁判における国選弁護制度の重要性を考慮いたしまして、財政事情が極めて厳しいところではございますが、毎年公務員の給与の改善率を上回る基準額の引き上げを行っているところでございます。 例えば、現行の裁判官の報酬額は直近の五年間で約四・七%のアップでございますが、国選弁護人の支給基準の方は同じ五年間で約一二・七%のアップとなっておりまして、裁判官の報酬額のアップ率の約三倍近い増額をいたしております。 国選弁護人の報酬につきましては、今後ともなお一層の増額に向けた配慮をしてまいりたいと考えておりますが、報酬が低過ぎるために国選弁護人の引受手がいないという事情は私どもないのではないかというふうに考えております。 ただ、弁護士が身の危険を感じるような事件であるとか、あるいは死刑の求刑が予想されるような気の重い重大な否認事件などでは、引受手がいないという事態が生じることがもちろんございます。そういった事件の場合には、日弁連との話し合いによりまして特別案件という制度を設けまして、弁護士会がそういった事件については責任を持って国選弁護人を推薦する、裁判所の方はそれに対して相当な額の報酬を支給する、そういう扱いをいたしているところでございます。
○円より子君 責任を持って弁護士会が推薦をするというときに、なかなか受任してくれる人がいないというような問題があると思うんです。 それから、直近の五年間で裁判官の報酬は四・七%、国選弁護人の報酬は一二・七%の増額ということで三倍近いとおっしゃいました。先ほどのグラフをごらんいただければわかるとおり、もともとがやはり大変低いということで、これは昭和四十年度予算で最高裁でも三カ年計画で毎年段階的に予算要求を増額しようとなさったと聞いておりますけれども、そのときに大蔵省の予算決定で要求額が大幅に削減されて、以後わずかずつしか増額できなかったということで、最近は随分頑張って増額していただいているようですが、この報酬が少ないからなり手がいないというわけではないとおっしゃいましたが、私は多分報酬だけの問題ではなくて経費の面もあるのではないかと思うんです。 やはり困難な事件ではいろんな経費がかかりますが、国選弁護人というのは、刑事訴訟法第三十八条第二項では、「旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求することができる。」となっていますね。報酬以外の旅費、日当、宿泊料が経費かと思うんですが、ただこれだけで弁護活動ができるわけではなくて、かなり多量のコピーですとか被疑者、被告人と会うときの交通費ですとか通信費、それからまた最近は外国人の被告がふえていますけれども、そういったときに、今法廷内の通訳というのはもちろん弁護人の掛かりではありませんけれども、それ以外のところでさまざまな打ち合わせをしないといけません。そのときの通訳料はどうなるのか。このあたりの経費を考えれば報酬は全部飛んでしまってとてもやっていけない、もう良心、責任感だけではという面もあるかもしれません。この辺の経費についてはいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 国選弁護人が訴訟の準備のために要します経費といたしましては、交通費、通信費、記録の謄写料等が考えられるわけでございます。それから、委員御指摘のとおり、外国人事件でありますと、接見の際に同行する通訳人の通訳料も必要となるわけでございます。 これら訴訟準備費用のうち、一般的に弁護活動に伴う当然の出費につきましてはもともと国選弁護人報酬の支給基準の中に含めて考えておりますので、特にこれを参酌して償還するというものではないわけでございますが、ただ御指摘の接見の際に要する通訳料というのは当然の出費とは考えられませんので、これにつきましては必ず支払っております。 〔委員長退席、理事石渡清元君着席〕 それから、記録の謄写費用につきましても、例えば否認事件でありますとか死刑事件などにつきましては謄写が特に必要と認められるわけでございまして、そういったものも支給する取り扱いとなっております。
○円より子君 今、経費の点でお話しいただきましたけれども、例えば外国人事件の場合というのは経費以外のところで、その家族や知人、関係者に話を聞いたりとかそういったことでも外国人が多かったりするわけですから、国選弁護人の方々のお話では日本人の事件よりもやはり時間と労力がかかるということで、この場合は報酬が少し多くなっておりますけれども、今一五%程度だったか高い額が支給されているそうですけれども、一・五倍程度の高い額の報酬を支払ってもらわないととても刑訴をやっていけないという声があるんですが、その点についてはいかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 先ほども申し上げましたが、地裁三開廷の平均的な支給基準と申しますのは、これはあくまで予算の適正な執行という観点から、参考までに最高裁判所の方で各庁にお流ししているものにすぎませんで、実際に幾らの報酬を支給するかというのは個々の裁判体が裁判の形でやっているわけでございます。 〔理事石渡清元君退席、委員長着席〕 今仰せのような外国人事件の場合にはやはりそれなりの負担も大きいということで、各裁判体はそれを加味して支給をなさっておられると私は思いますけれども、裁判でございますので、最高裁判所の方でこういう事件についてはこうしなさいというようなことで命令すべき筋合いのものではないものと考えております。
○円より子君 国選弁護人によって七割ということであれば、本当に国選弁護人の方たちが進んで弁護を引き受けてくれるという状況でないと刑事事件は大変だなという思いが私などはするんですけれども、国選弁護事件がふえてきていることの理由と、それからもし国選弁護人になり手がいないとしたら、先ほどおっしゃったのは、報酬のせいではない、身の危険を感じるようなことが多いからではないかとおっしゃいましたが、どういうような形でこれから対処していこうと思っていらっしゃるのかを教えていただけますか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 国選弁護事件の比率がだんだん高まってきている理由は何かというお尋ねでございます。 これは実のところよくわからない点もございますが、身近にいる弁護士さんなどと話したりいたしますと、やはり一つは世の中の不況という問題もあるとか、あるいは、昔なら例えば暴力団員の事件であれば組員の面倒は必ず親分が見るということであったのが、最近はなかなかその親分も組員の面倒を見ないで、組員がお金がないので国選で頼むというふうになってきているというような話も聞いたことがございます。 いずれにせよ、御指摘のように、今後とも国選弁護人の報酬の増額に向けては常に努力を続けてまいりたいと考えております。
○円より子君 時間がありますのでもう一つだけお聞きしたいと思います。 国選弁護人の件ではないんですが、入国管理局でイラン人の二十八歳の青年が不幸にして事故で亡くなったということで、刑事事件ではそのときの警備の方たちは不起訴処分になっておりますが、家族から民事事件として訴訟を起こされたということを聞いております。 ちょっと時間がありませんのでこの件についてどうだったかということは聞きませんけれども、私も入国管理局の視察は何度か行かせていただきまして、大変古い建物で、雑居房などもああいうところにいるのは幾ら不法入国者であっても不法滞在者であっても大変だな、子供さんのいる方もいらしたりとかという思いをしました。そういう中で精神的に大変暴力的になってしまうとかというようなこともあるかもしれませんし、また、そこで働いている方たちにとっても余りいい労働環境とは言えないような気がいたしまして、人権を考えている法務省であれば、こういう外国の方や働く人の場も、またそこに収容される人の場もよくする方向でぜひとも考えていただきたいといつも視察に行くと思うんです。 予算の関係ももちろんありますけれども、こういった入国管理局や、それからまた少年院等も、この間愛光女子学園に行かせていただいて、少年たちの生活環境としては大変いいところで、そういうところは少ないんですね。私たちも応援しますけれども、そういうものを法務省としては改善していく努力をぜひともやっていただきたいと思うんですが、このあたりは大臣にお答えいただくとよろしいんでしょうか、お願いいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) 確かに不法入国とか、一義的には犯罪を犯した方が悪いわけだけれども、そういう方を人道的に扱うということもまた大切なことであるわけでありますけれども、実は法務省の公共事業の予算というのは極めて小さくて、対応が十分でなかったのは認めざるを得ないところでございます。 そして、今度景気対策の中で特別枠ができまして予算がふやせるという面がございましたので、実は内情を言いますと、大きく入国管理の方に使おうかと思ったんですが、後年度の負担が非常に大きくなってしまうものですから、今手をつけているできるだけ早くやらなきゃいけない施設の改善をして、また次のチャンスに全体の入国管理に係るところの改善を図ろうということで大蔵省の御理解を得まして一生懸命努力をしております。 今、司法制度改革の中でいろいろな社会情勢の変化に対して、先ほど御質問されました裁判官のボリュームも足りない、弁護士さんのボリュームも足りない、法務省の職員の数も足りない、施設も足りないといり時代になって、ただそれが皆さんに御理解いただける時代になってきたと思うんです。そういうことで、適正な行政を行えばこれは法務省にとって追い風の時代である、だから国民に理解が得られる行政に努力をして、施設等の改善にも一生懸命やっていこうということでやっておりますので、どうか応援をしていただきたいとお願いを申し上げます、
○円より子君 終わります。
○大森礼子君 公明の大森礼子です。早速質問いたします。 私は、報酬の部分それから諸手当のことについてお尋ねしたいと思います。 まず、この俸給法によりますと、大体裁判官と検事については、判事補の場合ですと十二号から一号まで、その後、判事一号−八号となります。これが検事の場合ですと、検事の区別はありませんから、一号から二十号で大体判事、判事補とそれぞれ対応した金額となっております。ですから非常に給与がパラレルになっているということで、きょうは検事の給与とそれから諸手当について質問する、この問題はきっと裁判官についても同じであろうと考えることにいたします。 まず、お尋ねするのですが、検事の八号です。ここから指定職となるわけですが、八号は任官後何年ぐらいでそこに届くのでしょうか。
○政府委員(但木敬一君) おおむね十年以上でございます。
○大森礼子君 十年以上ですが、判事補から判事になるのが、大体十年判事補の経験が要りますので、大体十年ちょっと過ぎたころだろうと思うんです。この条文、検察官の俸給等に関する法律によりますと、検事総長、次長検事及び検事長については特別職の職員の給与に関する法律で、それから一号から八号までの俸給につきましては一般職の職員の給与に関する法律による指定職俸給表の適用を受ける職員の例による、それからその他の検察官については一般官吏の例による、非常に古い言葉ですが、こういうふうな規定がされております。 それで、ほかの公務員の例によるわけですけれども、これが果たして正しく機能しているのかどうか、ちょっと疑問に思いますのでお尋ねいたします。 まず、諸手当の中で扶養手当なんですが、これは指定職になりますと一切支給されなくなるということでございますね。確認いたします。
○政府委員(但木敬一君) そのとおりでございます。
○大森礼子君 それから、扶養手当の額も、後でわかりましたらお教えいただきたい。 それから、加算額というのがありまして、これは十六歳から二十二歳の場合ですが、特にやっぱりお金がかかるということで、扶養手当の中でも加算されるとなっております。 そこで、一般官吏の方の場合はよろしいのでございますけれども、検事に当てはめた場合、具体的にどうなるのかと考えてみたんです。そうすると、任官して大体十年ちょっとで指定職でありますので扶養手当がなくなる、そのときその検事は大体どのくらいの年齢だろうかと考えたわけでございます。 大体、今若い人の合格者がふえるとだんだん検事任官時の平均年齢というのも減るんだと思いますが、それにしましても、検事になって、それから結婚して、子供を産んで、それでもうあっという間に十年で切られますからなくなる。それから実際問題、その加算額、十六歳から二十二歳ですか、あそこの部分の加算額を受け取れる検察官が大体どのくらいいらっしゃるのかなという気がするんです。 検事の場合には十年で指定職になりますから、検事の場合には扶養手当等を考えますと、ほかの官吏さんの例とパラレルに考えることはできないのではないか、検事に当てはめた場合、実態に合わない手当のシステムになっているのではないかと思うのですが、この点、法務省はいかがお考えでしょうか。
○政府委員(但木敬一君) 御指摘のような問題はあろうかと思います。 ただ、一方では検察官の給与が十年余りで指定職俸給表の適用を受けるということで、それなりに厚遇されているということも否定できないところでございまして、一般的には指定職の俸給表の適用を受ける人は、例えば勤勉手当というようなものは職責からしてそれを支給するのは性格上どうかとか、あるいはその地位からして諸手当を受け取るのはどうかとかいろいろな問題がございまして、これは人事院勧告に基づいていろいろな手当の増額等も行われておるわけです。 検察官の俸給につきましては、先ほど委員御指摘のように、一号から八号までは指定職俸給表に対応して金額が決められておりまして、指定職俸給表を受け取る一般の職員と特に検察官を区別して、検察官だけは扶養手当を支給しなければならないというようなところまでなかなか理論的にも難しいかなというふうに思っております。
○大森礼子君 先ほど最初に裁判官の場合と検事の場合と額が同じで進んでいくと、上の方がちょっと違うわけですけれども、そこはやはり司法試験を受けて同じ資格からスタートするということも影響しているのだろうと思います。これはもし差をつけましたら、いい方の給料へ同じ資格を持っているんだから行くと思うんです。 それから、よく公務員の中で裁判官以外の検事だけ突出するのはよくないという言い方をされますけれども、裁判官と普通の公務員の方と違うのは当たり前ではないかと言いまして、じゃ、裁判官と検事とは一緒に考えるべきだから違いはできるんだというふうに説明することもできると思います。 私は、前は検事をしておったという関係で何も検察庁と下でつるんでこういうふうにしているわけじゃなくて、やはりこの給与体系、手当にしてもそれぞれ根拠があるわけですから、その生活の実態に見合った体系があっていいのだろうと思うわけです。 検事の場合はまずスタートする年齢というものがさまざまでございます。これは普通の公務員の方と一番違うことでございまして、普通の方は二十三、二十四歳ぐらいから始めるんでしょうが、検事の場合は司法試験を受かって二年間司法研修所へ行きます。そうすると、三十歳になるんでしょうか。 それで一方で、若い検事が欲しいという傾向にもなるわけですけれども、しかし三十歳になっても、あるいは小さい子供がいて生活が大変だけれども検事をやろうという方もいらっしゃいますし、それからよく法曹関係者に対して言われることですが、ちゃんと経験を持った人、ただ学校で試験が優秀でこんなものをしても世間のことはわからないから、できれば一般の経験を持った方の方がいいんじゃないかという声も聞こえるわけです。 そういった場合、裁判官もそうだと思いますが、検事もさまざまな形があります。任官のスタートの年齢が違いますので、こういう違いも考慮して生活の実態に合った支給というものを考えるべきではないかなと思います。大変それは面倒くさいことになるんですが、実態と合っていなければ、現実に子供を育てながら給与が大変な部分に入りましたらやめていくわけですから、そこら辺を十分考えていただければなというふうに思います。 大臣、答弁は要らないんですけれども、そういう違いがございますので、御認識いただきたいと思います。 それから、指定職になると、住居手当というのもつかないんです。扶養手当がまずつきません。その他調整手当等もつかないわけです。少し前までは通勤手当も実はついていなかったわけです。任官して十年たつと指定職だから、交通費ですか、通勤費がつかなくなる。なぜ指定職にはつかないかというと、これは昔は多分車で送り迎えがあったことを前提で交通費は要らないだろう、こういう古い時代のことをそのまま持ち込んでいるからではないかという批判もございました。ただ、通勤手当はつくようになっております。確かに九号から八号のところで指定職で多額にふえるわけですけれども、減っていく額を見ますと、何かここら辺あたりが一番きついのではないかなという気もするわけなんです。 それで、例えば住居手当がつかなくなりますが、これはどういう考えによるものでしょうか。
○政府委員(但木敬一君) 住居手当につきましては、職員の住居費負担を補助して基本給たる俸給をそのような観点から補完する手当というふうに言われておりまして、扶養手当と全く同じような性格を有するものとされております。 このようなことから、扶養手当と同じように、住居手当につきましても指定職にある者については支給するのにふさわしくないというふうに現在の段階では考えられている、こういうことでございます。
○大森礼子君 この通勤手当がつかなくなる理由、昔は車がついていたからではないかと言われて、私はそのように先輩から聞いたことがございます。これは住居手当ですから、多分このころになったらちゃんとしたすばらしい官舎が用意されておるからではないかと思うわけですが、それでも一般の検事は官舎をいただくことができます。もし入らない場合は住居手当という形で出るわけです。 住居を必要とする理由は、子供、家族と別れて暮らすとかあるいは官舎の状況が悪いとかいろんなことがあるんだろうとは思いますが、これは普通の検事と、それから一般、指定職ですが、余り変わらないのではないかなと思いまして、住居手当がつかない理由が、昔の明治時代でもよろしいですが、そのころは指定職になるとちゃんとした家に住むことになっていたから要らないんだ、もしこういうふうな理由でありましたら、こういうことも検討する必要があるのではないかと思います。 それから赴任手当、これは赴任手当じゃなくて赴任旅費と言うのでしょうか、大体検事も裁判官も公務員も全部一緒だと思いますが、転勤する場合に、赴任旅費についてどういう仕組み、どういう根拠で算定しておるか、簡単に教えていただけますか。
○政府委員(但木敬一君) 赴任旅費につきましては、国家公務員等の旅費に関する法律というのがございまして、この法律で定められております。中身につきましては、鉄道賃であるとか日当であるとか移転料であるとか着後手当あるいは扶養親族移転料というようなもので構成されております。
○大森礼子君 その旅費の方で、今構成されている要因ということを伺いましたら、非常にああそこまで考えているのかと思うのですが、問題は幾ら支給されるかということだと思うんです。 話をわかりやすくするために、検事になりまして一年、大きいところでありますと二年目から新任明けという形で地方に出ます。その場面を想定しまして、例えば東京から岡山地検へ赴任になったといたします。独身で行く場合と、それからもしかしたら奥さんと子供一人、これはまだ学校へ行く前の子供でいいですが、この二つを想定いたしまして、それぞれの場合、東京から岡山へ赴任すると幾ら赴任旅費が出るのか教えていただけますでしょうか。
○政府委員(但木敬一君) 具体的な事例はそれぞれちょっと異なりますので、おおむねの試算ということで御勘弁いただきたいんですが、ただいま委員から御指摘のありましたような場合、独身であれば大体十六万ちょっとというところかと思います。また、例えば妻と幼児一人というようなことになりますと三十三万円ちょっとということになろうかと思います。
○大森礼子君 昭和六十二年ですか、一番わかりやすいものですからちょっと自分の例を引いて申しわけないんですけれども、私は、検事をやっておりましてまず最初に不合理さを感じて怒り狂ったのがこの赴任旅費でございました。東京から岡山へ行く、そのときたしか私の記憶では旅費が十二万七千円ぐらいだったと記憶しております。それで、引っ越し代で引っ越し屋さんにお願いしたら、二トンのロング車ですけれども、東京から岡山、これ法務省の業者に依頼しまして十八万ぐらいかかるわけですね。それで、自分が移動する新幹線のお金というものもあります。 それから、ざっと実態を知っていただくために言いますと、蛍光灯が関東から西へ行きますとヘルツが違うというのでかえなくてはいけない。全部の部屋を取りかえた覚えがございます。それから、転勤するたびに、ガスの規格が違いますので全部ガス台を買わなきゃいけないとか、ざっと見てもこういうのがあるわけです。それから、子供さんとかいらっしゃいましたら、荷物を搬出してから搬入までの期間がありますので、その間、荷物を出したところとそれから引っ越し屋の入るところでそれぞれホテルに泊まらなくてはいけない、こういう実態があります。私は独身でしたので、そういう家族がいらっしゃる方を知らなかったんです。 私は、多分裁判官の方も一緒だと思います。検事、裁判官を優遇しろと言うのではありません。これはほかの公務員の方も同じような問題があると思います。ただ、検事と裁判官というのが短い期間で転勤する回数が一番多いのかなという気もするわけです。それで、仕事の都合で場合によったら自分が好まないところへ転勤していくのに、赤字が出てそれを個人が負担するというのは一体何なのだというふうに非常に不合理さを感じたんです。あれから十年ぐらいでしょうか、まだそんなに全部改善されているとはとても思えないわけです。こういう点はよく事情を聞きませんと、特に奥さん方から不満が出まして、検事、裁判官を長くやっていただければいいのに、奥さんにもうこんなばかな話はないからやめなさいよと言われると、男性は弱いものですから。 検事と裁判官の任官者をいかがふやすか、特に男性はそればかり考えるわけですが、いかに長く続けてもらうか、これを考えなきゃいけない。特に検察庁も裁判所も男性ばかりだからそうなのかもわかりませんが、私は女性だからこういうことに気がついて腹が立ったのかもしれません。 やっぱりもう少し実態に合った支給体系といいますか、こういうことをきちっと調べていただきたいなというふうに思うんです。優遇しろとは申しません。ただ、国の仕事をするのに何で個人のお金を赤字にまでなって出さなきゃいけないのか、素朴な疑問がございます。 この点も含めまして、きょうは検察庁に聞くしかないのですが、そういう待遇改善とか不合理なところは直していく、これに取り組まなければいけないと思うんです。私が法務省に聞くのは変な話ですけれども、男性社会ですのでお気づきにならない点が多いのではないかと思いましてあえて申し上げますが、そういう点を法務省はいかがお考えでしょうかとお尋ねして、質問を終わります。
○政府委員(但木敬一君) 御指摘のとおり、必ずしも現行の制度が一〇〇%正しいというふうにはなっていない、あるいは実態と乖離しているところがあるのではないかという点もあろうかと思います。 ただ、先ほど申しましたように、例えば指定職の俸給を受ける者がなぜ住居手当を受けられないのかとか、そういう問題はある意味で一般職全体に通じる問題でございます。また、旅費法の問題にいたしましても、これは全公務員に対する赴任旅費の問題でございます。 こうした非常に大きな問題ではありますが、私たちとしては、検察官あるいは裁判官の手当という視点からその問題について今後とも研究してまいりたいというふうに思っております。
○大森礼子君 終わります。
○橋本敦君 まず最初に、給与の問題ですが、私どもは人勧の完全実施に賛成でございます。 私たちも前から上厚下薄、上に厚くて下に薄いというのはやっぱり改善した方がいいということを言ってまいりました。今度の結果を見ますと、裁判官にしても、特別職に相当する最高裁等、それから検察庁こすれば指定職相当の検事長並びにそういった皆さんと比べまして、それ以下の皆さんについては引き上げ率が〇・九ないし一%ということで、指定職の〇・六ないし〇・八よりも高率となっておりますから、上厚下薄を是正するという適当な努力をなさっていただいているということがわかるわけでございます。 そういった点については、今後とも適正な範囲で上厚下薄を是正するという方向は、一国会理的な範囲で進めていただきたいということをまずお願いしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(房村精一君) ただいま委員御指摘のように、今回の裁判官、検察官の報酬の改定額は、上に薄く下に厚くという形になってございます。これは、人事院勧告の基本そのものに合わせて行うことによってそういう結果になっておりますので、人事院自体そういう配慮をされているものと承知しております。 私どもとしても、そういう方向で今後も人事院がお考えになるものと思っておりますし、それに合わせて適切に改定を行っていきたいと考えております。
○橋本敦君 最近は、大蔵省の汚職があり、さらには防衛庁の背任事件という重大な事件があり、そして今また不良債権をめぐって金融業界のいろんなモラルハザードの問題が取りざたされるなど、検察官の職務の適正な執行についてはいよいよ社会的にも要請が高まり重大になっております。 そういう意味では適正な報酬の確保はもちろんでございますけれども、かねてから当委員会でも議論になっております裁判官の増員に加えて、検察官の適正な増員もますます必要になっているのではないかと思いますが、この点についての御見解、法務省いかがでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 先ほどもお答えしましたように、司法関係の人員が現在の社会情勢の変化に追いついていないということは多くの国民も認めてくださっておられますし、それから国会の論議でもしばしば出てきております。それを踏まえて今度の小渕内閣では、司法制度の改革を進めようということを公約したわけでございます。 その中に、なかんずく人員的なボリュームの増強がございまして、通年七百名程度であった司法試験の合格者を来年は一千名にふやすということから手がけまして、これから司法制度改革の審議会のようなものをつくりますが、そこで御審議いただいて、社会、国民の要請に合ったボリュームにしていかなきゃいけない、その努力を続けていこうと思っております。
○橋本敦君 その点はぜひお願いをしておきたいと思います。 それで、具体的な問題ですが、法務大臣は七日に開かれた検察長官会同におきまして、現在の状況に照らして、検察としても金融機関の不良債権問題の処理の過程において、破綻した金融機関の経営者らに対する刑事責任の追及や、悪質な債権回収妨害事犯の捜査、こういったことを厳正、的確、迅速に行う必要があるという御意見をお述べになりました。私も同感でございます。 こういったことは、現在大きな社会問題になっております北海道拓殖銀行の破綻のケース、あるいは日本長銀の問題、関連ノンバンクの問題、こういったことに対応して検察の厳正な職務の遂行ということの決意をお述べになったものと理解できるんですが、そのとおりでございましょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 私は、私的なことで恐縮ですが、実は大企業に勤め実業をやっておりましたので、その前のバブルの時期におけるこの金融機関のやり方というものには大変な問題意識を持っております。よく予算委員会でも御質問がありましたとおり、当然これは危ないではないかというようなところに融資を続けているんじゃないかというような御疑問が随分呈されております。そういうところで法に触れるようなことがあるのかないのかというようなことを厳正にやっていかなきゃいけないわけでありまして、昨日の会合におきまして、従来にない強い調子でそういう訓示をいたしました。そして実は夜の会議でさらに強く訓示をいたしました。 それは、私ども捜査をするわけですけれども、先ほどもお話がございましたように、限られた人数の中で捜査をいたします。そういたしますと、政府としては、今直接に監督している金融監督庁、それから住専の処理の機構、また預金保険機構、整理回収銀行等、調査するところがあるわけでございますね。そういうところは情報を持っているわけであります。 ですから、そういうところの情報を得ながら相協力して、不正があれば追及していくというのが筋であるということでありますが、この告発の件数、また情報提供というのが非常に重要なことになってくると思います。この前の予算委員会だったかもしれませんが、御答弁したときは、中坊さんのところからの告発が四十四件とお答えしたんですが、今五十件にふえております。他の機関からの告発は、そのときは六件、今も六件で変わりません。ですから、野党の方から検察が前に出て全部やったらどうだというような御意見がこの前も出ておりましたけれども、私どもは、同じ政府の中で今現に管理し調査している役所があるわけですから、そこと協力して、そこの情報を待って厳正な調査をしていくという態度で臨んでおります。
○橋本敦君 よくわかりました。 それで金融監督庁にわざわざお越しをいただいたわけですが、現在金融監督庁でいろいろお調べでございます。私も調べて驚いたんですが、例えば長銀は五千二百億円の不良債権を日本リース、日本ランディック、エヌイーディー等に対して抱えておりまして、これの債権放棄がいろいろ問題になりました。調べてみますと、例えば日本リースの江東区にあります土地千五百四十七平米、六階建てのビル、これは無担保で融資しているんです。あるいは同じ日本リースで、港区の浜松町一丁目、一等地ですが、これでも六百四十三平米、十階建てのビル、これも無担保である。こういう融資をしているわけです。それからまた、日本リースだけではなくて、同じく日本ランディックでは、港区新橋三丁目の百五十五平米、九階建てのビル、これも無担保で融資している。担保過少ということもそうですが、無担保で融資して総額五千二百億円の不良債権をつくったということ自体は、私は経営責任として極めて重大だと思うんです。 こういったことを今金融監督庁は総合的に熱心にお調べだと思いますが、こういうことの中で出てきた経営者責任、商法の特別背任あるいは刑法上の背任等、そういったことがあれば、大臣も今おっしゃいましたけれども、積極的に告発手続をおとりになり資料を提供されて、検察庁と密接な連携のもとで徹底的、厳正な責任追及をしていただくということで監督庁も全力を挙げていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○政府委員(乾文男君) ただいま先生御指摘になりましたように、刑事訴訟法によりまして、公務員がその職務を行う過程で犯罪があるということを思ったときには告発をしなければならないとされておるところでございまして、金融監督庁といたしましても、我々の職務の遂行の過程でそうした事実を把握いたしました場合には当然告発を行うということになると考えております。 ただ、告発と申しますと、捜査当局がその後捜査に入るようなしっかりとした非常に十分なことを我々金融監督庁でできるかと申しますと、これはなかなか難しい面もございまして、言葉の使い方にもよりますけれども、先ほど法務大臣も情報の提供ということもおっしゃいましたけれども、そうした情報の提供あるいは端緒の提供ということも含めまして御協力をしてまいりたい、御協力というよりも当然の職務を果たしてまいりたいというふうに考えております。 そうした金融監督庁の仕事ぶりとあわせまして、先生が今御指摘になりましたような破綻金融機関の民事、刑事のことにつきまして我々も強い問題意識を持っておりまして、具体的にはそうした我々が知り得た情報を提供することのみならず、破綻金融機関の場合にはそこに新たに乗り込んできた人たち、新経営陣と申しますよりも、最近の場合には拓銀の例をとりますと、私どもの権限でございます銀行法の二十六条によりまして責任追及委員会というものを設置しなさいということを命じたわけでございます。そうした銀行法二十六条に基づく命令によりまして、拓銀の場合でございますと弁護士の方十数名から成るものをつくりまして、その結果、先ほど先生御指摘になりましたように、時効になったものを除きまして、刑事一件それから民事十三件の責任追及を行うこととしたところでございます。 さらに、ことし二月の預金保険法の改正によりまして、預金保険機構におきまして整理回収業務を行う際に罰則つきの調査権が与えられまして、その中で必要な事実を把握いたしました場合には、やはり告発になりましょうか、あるいは情報提供になりましょうか、そうしたことが行われることになっているわけでございまして、ただいま申し上げましたようないろいろな方策を通じまして全体として国民の期待にこたえてまいりたいというふうに考えております。
○橋本敦君 刑事局長、大臣と金融監督庁から今お話がありました。既に拓銀では告発が出されておりますが、そういったことを受けて積極的な捜査をするという方針で臨んでいただきたいということを要望しておきます。
○国務大臣(中村正三郎君) 委員御存じのとおり、日本は起訴独占の制度をとっております。起訴に値するかどうかは私どもが判断いたしますので、どうぞ情報をどんどんお与えいただき、告発もどんどんしていただいて結構でございますということを申し上げておきます。
○橋本敦君 終わります。
○福島瑞穂君 裁判官の表現の自由について最高裁の見解をお聞きしたいと思います。 裁判官には憲法二十一条による表現の自由は保障されているのか、その制限はどのような目的でどのような場合に可能かお聞きしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 裁判官のいわゆる市民的自由と申しますか、そういうお尋ねでございますけれども、もちろん裁判官にも一般市民に認められているような表現の自由でありますとか、集会、結社の自由でありますとか、そういうものは一般市民としての立場ではあるわけでございます。 ただ、裁判官につきましては、御承知のように、裁判所法五十二条で、例えば積極的な政治運動をすることは禁止されるとか、そういうふうな一定の制約があるわけでございます。裁判所法で定められているそういう制約はございますけれども、基本的にはそういう自由というものはあるというふうに考えております。
○福島瑞穂君 裁判所法五十二条一号の積極的な政治活動の意義についてですが、最高裁判所が編集した裁判所法逐条解説では、単に特定の政党に加入して政党員となったり、一般国民の立場において政府や政党の政策を批判することもこれに含まれないというふうにしておりますが、最高裁はこの見解を支持されますか、それとも変更されますか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) ただいまの御質問は、結局のところそういう行為が裁判所法五十二条に当たるかどうかという解釈をお尋ねになっているということになりますが、この点に関しましては、裁判官の在任中の積極的な政治運動を禁じた裁判所法五十二条一号をめぐる寺西判事補の分限裁判が御承知のように現に最高裁判所大法廷に係属しているわけでございます。 そういうことでございますので、事務当局として、現在その解釈を述べることは差し控えさせていただくことが妥当だと思っております。
○福島瑞穂君 五十二条一号は、「国会若しくは地方公共団体の議会の議員となり、又は積極的に政治運動をすること。」としておりますので、「積極的に政治運動をすること。」は前段との関係でかなり限定されるというふうに私は考えております。 次に、国際基準との関係でお聞きいたします。 裁判官の表現の自由につきましては、一九八五年に国連が制定した国連司法部の独立のための原則では、裁判官は他の市民と同様に表現、信念、結社及び集会の自由について権利を有する。ただし、裁判官はそれらの権利を行使するに当たって職務の尊厳並びに司法部の公正及び独立を保持する仕方で行動することを条件とするとされています。 最高裁判所はこの原則を支持されますか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 委員御指摘の一九八五年に開催されました犯罪防止国連会議で決議されました司法の独立に関する基本原則というものがございます。それから、一九九五年、アジア太平洋地域最高裁判所長官会議で採択された司法の独立原則に関する北京声明というものがございまして、そこにただいま委員の方で述べられました裁判官の市民的自由についての規定があるわけでございます。 そこに、ただいまお話の中にありましたように、裁判官の職務の特性からくる一定の留保といいますか、制約というふうなものも述べられているわけでございまして、そのとおりの内容のものとして我々も認識をしております。
○福島瑞穂君 私は寺西裁判官が出席をした四月十八日の集会に出席をしておりますけれども、寺西さん自身は最初から法案について触れる気がなく、その集会の現場でフロアの中から裁判官であると紹介を受けて、処分の警告を受けたのでパネリストの発言を辞退すると言っただけです。なぜこれが政治活動に当たるのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) たびたび同じことを申し上げてまことに恐縮でございますが、委員が今御質問になった件は、まさにこの分限裁判で寺西裁判官の行為が裁判所法五十二条の積極的な政治運動に当たるかどうか、あるいは四十九条の懲戒事由に当たるかどうかという形で、事実認定、法令解釈の両面含めて争いになっている点だろうと思います。 そういう観点から申しますと、やはり事務当局としてコメントするということは適当でないというふうに思います。
○福島瑞穂君 五十二条一号は「積極的に政治運動をすること。」としてありますので、条文の解釈としてここを非常に拡大しますと、先ほどからも円さんの方から裁判官が自殺をしたりする人が出ているというのもありますが、非常に窮屈な司法になっているのではないか、裁判官にも市民的自由があるということは大変重要ではないかと思います。 それで、今回の懲戒裁判の資料には、最高裁判所の職員と裁判官が作成した疎明資料が含まれております。このような資料は仙台地方裁判所長に寺西裁判官が集会に出席する以前に届けられております。この資料はどのような趣旨で届けられているんでしょうか。その経過を説明していただきたい。 つまり、彼が集会に出席する前、ですからもちろん仙台地方裁判所が申し立てをする前に最高裁の事務総局の方からこの疎明資料が送られている。つまり、これは仙台地裁がみずから主導して提起した分限裁判ではなく、ある種の明確なサジェスチョンが最高裁からあって分限裁判に至っているのではないか、最高裁事務総局の指示で開始された重大な疑いがあると考えられますが、最高裁の弁明をお聞きしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 確かに最高裁でつくられた資料というものが決定の中にも掲げられておりますし、そういう点があるということはそのとおりでございますが、この中し立てそのものは、仙台地方裁判所におきまして、そこの事務処理規程に従った正規の形で仙台地方裁判所において意思決定されたことでございまして、そのことについて最高裁の指示等があったという事実はございません。
○福島瑞穂君 懲戒裁判に対しては行政訴訟は不可能であり、最終的な判断となります。非公開となれば裁判官の懲戒は全くの密室裁判となるのですが、公開が保障されるべきではないでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 委員に申し上げるまでもないことだと存じますけれども、裁判は判断の中身だけではございませんで、判断に至る審理の過程についてのいろいろやり方、訴訟指揮といいますかそういうふうなことも裁判官の専権に属することでございます。やはり、先ほどと同じようにこれは事務当局でコメントすべき限りのものではないというふうに考えます。
○福島瑞穂君 今回の報酬の規定を見ますと、かなり裁判官にも検察官にも幅があるというふうに思います。それで、裁判官の人事というのはどこで決定をしているんでしょうか。人事考課はどこで行っていらっしゃるんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 裁判官の人事ということになりますと、例えば裁判官の配置、異動といいますかそういうことが中心になろうかと思いますが、例えばそういう裁判官をどの庁に配置するかというふうなことは、裁判所法の規定によりまして最高裁判所の裁判官会議の議決によって決められております。 そういう裁判を適正、迅速にするために裁判官の適正な配置を図るということが非常に重要でございますので、その観点で、裁判官の経験でありますとか能力でありますとかあるいは健康状態、そういったものを平素から十分把握、承知するということが必要、重要なわけでございます。 そういう情報といいますか各裁判官の経験、能力、健康状態についてどういう方法で最高裁判所が知るかということになりますと、これは高裁の長官でありますとか地裁、家裁の所長でありますとか、そういった方々が各裁判官に日ごろいろいろ接しておるわけでございます。それから、控訴審の判決を通じて判決の中身なども知っているわけでございます。 そういういろいろ事情を集約いたしまして大事に役立てている、こういうことでございまして、委員が言われました人事の査定という言葉で今申しましたことを表現することは適当かどうかということはございますけれども、人事のやり方、そのための資料の収集という点では実情は今申し上げたとおりでございます。
○福島瑞穂君 先ほど大森さんの方から検察庁が男社会だというのがありましたが、検事総長、検事長、検事正に女性が何人いらっしゃるかについてお願いします。ぜひ女性の登用を図っていただきたいという要望にかえたいと思います。
○政府委員(但木敬一君) 残念ながら、現段階で検事正以上の職に女性はおりません。現在在職している女性検事の一番上が二十五期でございますので、検事正になる年代にまだ達していないという状態にございます。 なお、従前、女性検事の数は少のうございまして、かつ途中退職の方がほとんどでございまして、そういう意味ではこれまでも検事正以上の職に女性がついたことはございません。 —————————————
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として林紀子君が選任されました。 —————————————
○平野貞夫君 自由党の平野でございます。 私は、この司法制度、法務行政、最も不得意な分野でございまして、素人の意見しか持っておりませんが、どういうわけか無所属で当選して以来ずっとこの法務委員会に属しておりまして、ほかの人が嫌がるから押しつけられているんだと思いまずが、この裁判官と検察官の給与法も考えてみれば七年続けて審議に参加させていただいております。 そこで、ごく素人っぽく申し上げますと、大臣が提案理由を言うときに必ず出てくる言葉が「一般の政府職員の例に準じ」という人事院勧告に根拠を置いた法律なんですが、私は素朴に裁判官の報酬とか検察官の俸給が人事院勧告というものに本質的になじむかどうかという問題、疑問を持っております。私たち国会議員は年が若かろうと何年おろうと歳費というのは同じ額でございまして、本質的には裁判官とか検事というのは、年齢もありますから国会議員のようにはいきませんけれども、基礎給与というのはこれだと置いてあと特殊に積み上げていくべき、そういう性格だと思うんです。 裁判官の場合にはある意味で判例法をつくる立法者ですから、我々がつくった法律に基づいて働く一般の政府職員の人とは質が違うと思います。それから、検事職というのは、これはもう大変なやっぱり人権とかその問題の深刻さにおいては識見と良識というものに支えられておらなければならぬ職責だと思うんです。そういう大事な人たちは、またここ数年大変難しい問題、多忙な中で本当に法の支配を我が国の中で貫徹すべく努力してくれている人たちなものですから、何か抜本的に人事院勧告なんかと離れてそういう国会議員の歳費的な発想を若干入れた給与体系をつくるべきじゃないかという意見を持っております。ちょっと問題になると思いますので答弁は要りません。 そこで、参考のために教えていただきたいんですが、仮に行政職を一〇〇とした場合に、ごく概略でよろしいんですが、初任給で検事職、判事職は何%ぐらい上積みしているか、十年たってその上積みがどう変化するか、できれば二十年ぐらい、三段階ぐらいにちょっと説明していただけないでしょうか。
○政府委員(但木敬一君) 初年度について申しますと、委員御案内のとおり、検察官あるいは裁判官につきましては初任給調整手当がございますので、初年度におきましては四〇%近くの優位性を持っております。しかし、十年後になりますと二〇%程度になろうかと思います。二十年後となりますと、これは公務員の方もたくさんの方がやめられたりあるいは非常に給与の格差が出てまいりまして、いろいろなことから算定が非常に難しゅうございます。そんな関係でこれまでの考えでは大体二〇%ぐらいの優位性を保っているというふうな理解でおります。
○平野貞夫君 今の数字をお聞きしましても、私はやっぱり立派に職責を全うしてもらうためには何か制度の根っこから変える必要があるんじゃないかという意見を申し上げて、次の質問に移りたいと思います。 昨日、検察長官会同という名前の会議ですか、これが開かれておるという報道があったんですが、ここで中村法務大臣が訓示をされた一部が新聞報道されておるんですが、ポイントでよろしゅうございますが、どういう内容の御訓示だったか。
○国務大臣(中村正三郎君) 御指摘の検察長官会同、会同と特に委員は今言われましたけれども、会同という言葉も少しなじみのない言葉なんで、私はこれ変えたらどうかと提案しようと思っておるところでありますが、その会同におきまして、先ほどもお答えいたしましたように、確かに現下の情勢が憂うべきところも多いんじゃないかと思って、少し異例な強い調子で訓示をいたしました。 法務大臣として、中央省庁職員や金融機関役員らによる汚職事件や背任事件など、行政経済システムに対する不信感や国民の不公平感を助長する犯罪が相次いで発覚する一方、毒物混入による無差別殺傷事件を初め平穏な市民生活を脅かす凶悪重大犯罪も後を絶たず、その上各種犯罪はますます複雑巧妙化、組織化の傾向を強めており、検察の果たすべき役割は一段と重要なものとなっているということを述べました。 それで、特に金融機関の不良債権問題の処理の過程において、破綻した金融機関の責任者に対する刑事責任の追及や、悪質な債権回収妨害事犯の捜査処理は迅速かつ厳正に行う必要があることを指摘しました。そして、これは別の件でありますが、被害者の心情にも十分な配慮を行うなど適正妥当な検察権の行使に努め、国民の検察に対する信頼にこたえなければならないという趣旨の訓示をいたしました。
○平野貞夫君 野党ですから、余り政府・自民党の言うことを評価するのはちょっとどうかと思うんですが、私は、最近の法務省の姿勢として、防衛庁の調達本部の問題を背任罪でとらえようとしたことは、本当に日本の検察の歴史上画期的なことだと思っております。裁判も大変だと思いますが、やっぱり日本人の経済行為に対する罪の意識のなさ、これが日本の市場経済あるいは資本主義の不健全性のもとになっておると思いますから、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 それから、ただいま中村法務大臣から訓示の要点を言っていただきましたが、本当に今の時代を何とかせにゃいかぬという大変見識のある訓示だったと私は思います。 残念なのは、先ほど金融監督庁の方がお見えになっていたんですが、私らもそうでございますが国民の多くは、はっきり言って監督庁自身の信頼性が失われているんですよ。あるいは政府機関の佐々波委員会ですか、ここ自身の信頼性に疑いを持っておる、非常に国家の統治論からいきますと情けない状況にあることが世界のマーケットや日本の国の信頼性を失っているもとだと思っております。 そういう意味で、ぜひ法務大臣の訓示をいろいろな具体的な場面で生かしていただくよう要望いたしまして、時間が参りましたので終わります。
○海野徹君 それでは、最初の質問をさせていただきます。 大変経済的環境が厳しい状況であります。そういう中で報酬あるいは俸給等を上げるということは、賛成はいたしますが、大変私ども苦しんでいる状況であります。そういう中で、初任給調整手当の支給額が平成元年以降据え置かれております。その辺の理由をちょっとお聞かせいただきたいと思いますし、また法曹の世界で弁護士の方々との要するに所得格差は実際かなりあるのではないか、その実態調査をされているかどうか、その二点についてお伺いします。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 判事補の初任給調整手当の問題でございますが、初任給調整手当は、司法修習生から判事補への任官者の減少を契機といたしまして、判事補の初任給と新たに弁護士となる者の収入の格差を埋めることによって優秀な任官者の確保を図るという目的で、昭和四十六年四月から支給されているものでごいます。 その後、弁護士の活動分野の飛躍的な拡大に伴いまして弁護士の収入が上昇するなどの現象がございまして、これを背景として判事補への任官志望者が減少いたしまして優秀な人材の確保に困難を来す状態となりましたことから、日本弁護士連合会に対しまして、いわゆる初任の、俗称いそ弁と申しますが、その収入調査をお願いいたしました。その調査結果を踏まえて、昭和六十一年度及び平成元年度に額の引き上げをしたわけでございます。 平成元年度以降におきましては、増額された初任給調整手当が任官者確保に与える効果をずっと見定めていたわけでございますが、ここ数年におきます修習生からの判事補任官者は百名前後となっております。そういうことで、初任給調整手当が任官者確保に与える効果というのは機能しているのだろう、こういうふうに考えられますので、平成元年以降は据え置かれているということだろうと思います。 そういうことでございますので、現時点においては初任給調整手当に関する調査は行っておらないのでございます。
○海野徹君 初任給調整手当のことではなくて、弁護士の方々との所得格差の実態調査をされているかどうかという質問をしたんです。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 結局、判事補の方は報酬でございますのでわかるわけでございます。 問題は、弁護士さん、特に司法研修所を出て最初に弁護士さんになるときの報酬といいますか収入というのがどのぐらいかということでまず格差が出てくるわけですが、その調査というのはなかなか難しい。裁判所ではすぐわかることではございません。 前のときには日弁連にお願いしたわけでございますが、現在、先ほど申しましたように初任給調整手当を上げるような状況にちょっとないように思いますのでやっておらない、したがって格差はわからない、こういうことでございます。
○海野徹君 では、次の質問に移ります。先ほどから法務大臣も司法改革の必要性を十分認識していらっしゃって、それも公約であるということで、ボリュームが足りないから皆様方にも応援してほしいというようなお話があったわけなんです。 私どもやはりいろいろな数字から見ていまして、二百件、三百件というような手持ち件数が仮にあったとすれば、これは直接主義で判決をしておりますから、本来そうあるべきなんですが、それができないという現実があるんじゃないか。結局、要するに書面審理が日常化しているのではないか。それが事後チェック型社会の中で余りにも社会情勢の変化に合っていないというふうなことを感じております。 にもかかわらず、なかなか増員がされていない。今回の給与改正を含めて、あるいは多忙であるという日常生活を緩和するようなことも含めて、裁判官の待遇を極めて魅力的なものにしていこうという趣旨でこれがあると思うんですが、大幅な増員が行われてこなかったのはいかなる理由なんでしょうか、お聞かせください。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 平成三年以降、御承知のとおりの社会経済情勢の変化等の影響を受けてか大都市の裁判所を中心に民事事件が急増しておりまして、先ほども申しましたように、東京地裁の民事部も一時期裁判官一人当たりの単独事件の手持ち数が二百七十から二百八十だった時期がございます。平成五年から平成十年までの過去六年間に合計八十四人の裁判官の増員を図ることができまして、そういった今申し上げましたような繁忙部門に裁判官を振り向けたわけでございます。 その結果、本年三月の法務委員会の御説明のときには、単独の事件でございますが、先ほどの二百七十から二百八十というのも平成三年以降の急増したときの民事事件の一人当たりの単独事件の件数ですが、本年三月の法務委員会のときには、東京地裁の民事の単独が二百四十件ぐらいに減って改善されてきたということでございます。また、さらに本年四月の増員措置によりまして、これもまた幾分か改善されているだろうというふうに思っております。さらに平成十一年度の予算要求におきましても裁判官三十人の増員を今お願いしているところでございまして、今後とも事件動向に対応した増員に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○海野徹君 わかりました。 平成三年から八年間で判事補が九十六名増員しております。にもかかわらず、判事の増員というのは、千三百六十名で定員がずっと変わっておりませんね。確かに件数は改善されておるということなんですが、平成十一年度でも三十人要望ということで、これは判事補の増員計画なんですね。 判事については定員をふやすというような計画はございませんか。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 委員御指摘のとおり、裁判官の増員につきまして昭和六十二年までは判事の増員を実は行っておりましたんですが、その後は簡裁判事と判事補の増員を行っているところでございまして、確かに事件処理の観点からは、権限に制約のある判事補を増員いたしますよりも判事を増員した方がより効果的であるということはもうそのとおりでございます。 しかし、判事の場合、判事の任官者、これは法曹として十年の経験を有することが必要でありまして、それに、さらに実際には判事補十年の経験を経た者が任官者の大部分を占めているというのが実情でございます。そういういわゆる給源の問題がございます。このために判事の定員をふやしても直ちに充員ができないという場合があるものでございます。 そういたしますと、まず判事を増員するためにはまずもって判事の給源でございます判事補をふやしていかなければいけない、こういうことでございまして、このようにして判事の給源であります判事補を増員した上でさらに今後は判事の増員も検討していく、こういう考えでございます。
○海野徹君 完全に事件を理解して、それをそしゃくして判決を書くとなると、やっぱり常時持っている件数は五十件から頑張っても八十件ぐらいじゃないかなというようなことを直接いろんな方々から聞く、あるいは間接的に聞くわけですけれども、そういった意味で、今順次判事補からということではありますが、私はできるだけ早期に判事の定員増というのを要望したいと思います。 また、若干国会内というかいろいろ党の中でこの司法改革の議論がされているという状況の中で、最高裁側の姿勢が定員をふやすことに対して余り積極的ではないじゃないかというニュアンスが伝わってくるんですが、その辺はどうなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 私どもは増員につきましては二つの要件がどうしても必要だろうということで、従前から、事件数の動向、これが仕事の量を決めるものでございます、それからもう一つは、判事も判事補もそうですが、なり手の確保といいますか給源の問題がございます。 この二つを踏まえた上で、事件数の動向に対応した増員をこれまでも図ってまいったわけでございますが、今後もそういう方向で努力してまいりたいというふうに申しているわけでございます。
○海野徹君 一言だけ。 給源の確保は研修のあり方等にも問題が、要するにやり方があると思うんです。 いずれにしましても、裁判所では、検察、弁護士なんかは我々普通の人間と同じ世界で、要するにそういう共通認識でいろんな判決に加わっていただくあるいは弁護に加わっていただくというのが大切だと思いますから、その辺は御努力をお願いしたいと思います。 以上です。 —————————————
○委員長(荒木清寛君) この際、委員の異動について御報告いたします。 本日、井上裕君が委員を辞任され、その補欠として中川義雄君が選任されました。 —————————————
○中村敦夫君 最初に国鉄清算事業団と裁判所の関係についてお尋ねします。 現在、東京高裁の判事に佐藤久夫さんという人がおられますけれども、この人は一九八七年に東京地裁を退官してから国鉄清算事業団に入ったわけです。それで、一九九〇年まで事業団の法務課長を務めていたわけです。この間に、現在も東京地裁で係争中の二百二億損害賠償請求事件というものがありまして、これは事業団が組合を訴えているという事件なんですが、このときの事業団側の直接の担当責任者をやっていたわけです。ところが、一九九〇年の六月にこの方は再び東京地裁へ戻るわけなんです。 問題は、この事件の一方の当事者が事件を扱っている裁判所へ再び採用されているということ、これは中立さ、公正さという点で重大な問題があると私は思うわけです。このタイミングを考慮しても国鉄清算事業団を有利にするためのブレーンとして呼び戻されたという疑いすらあるわけです。 こういうことは、裁判所と事業団、つまり本来お互いに独立しているべき司法と行政が癒着しているという関係に客観的にはなるわけですけれども、裁判所はこの件に関してどういうふうにお考えなんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 国鉄清算事業団への出向、裁判官が行っておりますが、これは出向といいましても、裁判官を一たん退官いたしまして向こうで仕事をして、また戻るときには改めて裁判官として任命される、こういう形のものでございますが、形の上でそういうことでございます。 お尋ねの裁判官がどういう理由で裁判官に再び採用されたかというお尋ねでございましたが、それはやはりその裁判官が判事に任命される資格を持っている、御希望もある、裁判官として任命するにふさわしい方である、そういうことで任命された、こういうことになるわけでございます。
○中村敦夫君 ほとんど内容のない答えですから、ちょっと通用しないと思っています。 次に、判事の行政機関への出向についてお尋ねいたします。 現在、大蔵省やあるいは防衛庁に見られるような汚職、不祥事、それから地方自治体における空出張とか偽造領収書とかもうあふれているわけです。まるで中央官庁から地方自治体に至るまで行政機関が腐敗、不正で覆い尽くされているようなイメージが現状なんです。このことに対し非常に国民は怒り心頭に達しているわけです。今後は情報公開要求というのは社会の主流になっていく、当然行政を対象とする訴訟がふえていくわけなんですが、こういう状況の中で、多くの裁判官が行政の中に潜り込んでいくという事態、とんでもない状況だと思っているんです。 そうでなくても裁判官の数は圧倒的に少ないわけです。それが審理の大幅なおくれ、あるいは資料を読まないで裁判に出なきゃならないというようなケースもあるということを内部の人たちから私はよく聞いているわけです。そんな状況なのに、なぜ司法と行政の癒着の温床となる疑いのあるような行政機関への出向というものがたくさんあるのか。そこで裁判官たちは一体何をしているんですか。社会勉強とか何かそういうことでしたら行政機関へ行かなくたって別のやり方があるんじゃないか。 そこで、中央省庁、特殊法人、あるいは地方公共団体、東京都、これらに現在出向している判事の人数はどのぐらいいるのか、職務内容は何なのかということで、ここで読み上げるのもなんですから、きっちりしたものを統計で、紙面で回答していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) ここではそのお尋ねの大体のことを申し上げることにいたしますと、最も多いのが法務省でございます。これは例年三十人程度の者が出向してほぼ同数の者が裁判所に復帰するという関係になっております。そのほか、大蔵、外務、厚生、農林水産、通産等の中央省庁とか、それから先ほどの御質問にありました国鉄清算事業団等の特殊法人に一名ないし数名勤務しております。ただ、御質問にございます東京都を初めとする地方公共団体への出向はございません。 それから、出向先での職務ということでございますが、出向する理由、これは相手方から特に民事の事件について知識がある方が仕事上どうしても必要であると。これは、民事裁判事件というものを経験するというのが、もちろん弁護士さんはいらっしゃるわけですが、それ以外ではなかなか裁判官以外にいないという事情がございまして、向こうで求められるということがございます。 それから、裁判官の側でも、委員の方から今ちょっとお話に触れられましたけれども、やはり裁判官がいろいろな経験を積む、壇の上で判断をしているだけじゃなくて、壇の下へおりたというか、それ以外のところでいろいろな経験を積むということは、やはり裁判官の見識を広める、視野を広めるという点でも有益である、こういう両方がございまして行っております。 ですから、向こうで行います仕事も裁判官の特性を生かしたもの、経験を生かしたものが中心になりますし、それから裁判官の視野を広めるような仕事につけてもらいたい、そういう要望をしております。具体的には出向先で決めておりますけれども、そういう観点でいろいろな担当事務が決められているものと考えております。 それからもう一つ、そういうことが癒着になるんじゃないかとか判断をゆがめるんじゃないかという御心配でございますけれども、裁判官は、法廷へ出てきた主張、証拠に基づいて、自分の良心と憲法、法律に従って独立して判断する、これが最上の使命でございますので、その点はどうぞ御心配のないようにお願いしたいと存じます。
○中村敦夫君 裁判官の社会勉強でしたら、視野を広くするためだったら、行政機関なんというのはまさに視野をもっと狭くするような場所ですから、もうちょっと違うやり方を考えていただきたい。やはり原則的に司法と行政というのは独立していなきゃいけませんから、そこの交流というのはこれから本気でやめるように、ほかの方法は幾らでもあるわけですから、基本的なことですから考え直していただきたい。この要求で終わります。
○松岡滿壽男君 今、政治家の犯罪、そしてまた経営者の犯罪、さらに官僚の犯罪、また和歌山のような特殊な事件、そのようなさまざまな犯罪が我が国の中で渦巻いている。それに対して法曹が的確に対応できているかということに対して、国民は非常な危機感を持っておると思います。先ほど大臣の方から、いわゆる政治改革、行政改革に始まって司法改革という言葉が出ました。私も初めて法務委員会に出てまいったわけでありますけれども、どうも国民の一般的な感覚から遠いところにいるという感じがするわけです。 今回の裁判官の報酬と検察官の俸給に関する問題、私も今までの議事録をひもといてみましたら、一、二年前に、昔の仲間でありました志村哲良さんが、報酬と俸給がどうしてこう表現が違うんだという質問をしているんです。それに対して、裁判官の報酬というのは憲法に書いてある、それから検察官の俸給等は法律に書いてあるというような答弁なんです。また同じような答弁をすると、やっぱりこれはどういうことなんだ、同じものじゃないのかという素朴な疑問がある。そういうものにやはりきちっとこたえていくことが必要ではないかと思うんです。 それで、こういう裁判官の報酬、検察官の俸給は財政民主主義の要諦から法定されておって、国民の意思に基づきその代表者で構成されている国会で決定されることになっている。したがって、この給与体系の号俸別の在職状況等の情報は国民に公開されることが原則ですね。情報の公開と謙虚であるということがやっぱり司法を国民に近づける大切な条件だというふうに思うんです。 ところが、参議院の法務委員会調査室のこの資料を見てみますると、裁判官の号俸別の在職状況については記載されていないんです。検察官の号俸別の在職状況は記載されている。最高裁判所はなぜ裁判官の号俸別の在職状況について国会に報告しないのかということが非常に疑問に思うわけでありまして、これはある面では国民の知る権利を無視するものじゃないかと思うんです。公表しない理由をひとつ明らかにしていただきたい。 それからまた、先ほど冒頭に申し上げた報酬等と俸給等という言葉、どうしてこれがいつまでも統一されないのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) それでは、私の方から裁判官の報酬の号俸別現在員の関係について申し上げますと、この号俸別現在員というものにつきましては、人事管理上の問題が実はございまして公表しておらないわけでございます。 裁判官につきましては、各裁判官の職務の困難、責任度合いに応じまして、同期の裁判官でも報酬の号に違いが生ずることがあるわけでございますけれども、号俸別の現在員を開示いたしますと、例えば裁判官がその現在員数を見ますと、裁判官の報酬については号の刻みの数が非常に少ないものでございますから、およそ同期の裁判官に対して自分がどういうふうに、どこにいるのかということがわかってしまうわけです。 そういう観点から、裁判官は職務上一人一人独立して判断、職権行使をする、こういう立場にあるものですから、その辺のところに無用な影響を与えてはいけないという懸念から従来公表していないわけでございます。
○松岡滿壽男君 しかし、それはわかってしまつてもやむを得ないことだと私は思います。そういう感覚から正していただきたいと思います。これ以上もう申し上げません。 それと、一般的に裁判に時間がかかり過ぎる。きょうもずっとそういう議論がありました。薬害エイズは和解したわけですけれども七年かかったわけですね。水俣病についてはもう四十年かかった。田中裁判も二十年ぐらいかかってとうとう本人が死んでしまったという状況ですね。 なぜ日本の裁判というのはこんなに時間がかかるのか。素朴な質問でありますけれども、お答えをいただきたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(石垣君雄君) 全国の地方裁判所で終了した平成九年の第一審訴訟事件の平均審理期間は十カ月となっておりまして、実は以前より大分短くなってきております。これをひとつ御理解いただきたいと思います。 それから、今御指摘の水俣について四十年とおっしゃられたと思いますが、訴訟係属の期間という御趣旨ではないかと思いますが、いずれにしてもかなりの一定期間を要していることは事実でございます。 そこで、その原因ということでございますが、ここに弁護士の委員さんも多数おられますので大変恐縮でございますが、いろいろな原因があろうかと思います。特に訴訟手続の面で申しますと、一般にこの種の事件というのは大変複雑困難でございまして、争点につきましていえば、過失の有無あるいは損害の発生の有無、その程度、あるいはその因果関係の有無など、大変広範に及ぶ傾向があります上に、どうしても自然科学上の知識というものが不可欠になりまして、その主張を当事者が書面にまとめ、争点を整理していくということにどうしても時間がかからざるを得ない面がございます。 また、専門家による鑑定の実施についても時間がかかりますし、そのような場合にはさらに当事者あるいは代理人も多数ございますので、期日を入れることが困難な場合も多いというさまざまな原因がございまして、私どもとしてはできるだけの迅速化を図りたいということで努力をしているところではございます。
○松岡滿壽男君 確かに一人で二百四十件も抱えたり、大変だろうと思うんですけれども、ぜひその方向で努力をしていただきたいと思います。 ところで、自民党が昨年六月に党内に司法制度特別調査会を設けて改革に着手をされたわけでありますが、昭和四十四年にも当時の田中角栄幹事長が中心になって司法制度改革を進めようとしたわけですけれども、当時の最高裁判所が裁判所の独立を守るということから強く反発して、改革は挫折した経緯があるわけであります。 今回の司法改革に対して最高裁判所はどのように対処されるのか、御見解を賜りたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 昨年六月以来、自民党において司法制度特別調査会を設けまして司法制度改革について検討されてきていることは承知しております。また、政府内部に司法改革について検討する機関を設ける必要があるという議論があることも承知しているところでございます。 近時、社会情勢の複雑困難化等に伴いまして、司法に対する国民のニーズにも変化が生じてきておりますが、裁判所といたしましては、適正迅速な裁判の実現に向けて、常に裁判のあり方あるいは司法のあり方について見直しを進め、国民の負託にこたえるよう前向きに努力してまいりたいと考えております。 政府部内に司法改革について検討する機関を設置することの必要性につきましては、裁判所としては意見を申し上げる立場にはございませんが、今後、仮に政府部内に広く司法改革について検討する何らかの検討機関が設置されました場合には、裁判所の立場に立ちまして協力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○松岡滿壽男君 中坊さんがこういうことを言っているようですね、司法がのみやかんなのように日常生活の中の道具になったときに真の司法改革がなし遂げられる。そういう方向で情報公開、さらにより一層の謙虚さ、そういう立場に立って司法改革を進めていただきたいと国民の立場から強く要望いたしたいと思います。 きのうの朝日新聞に「電子株取引開始へ」と、大和証券十二月から証券取引所を通さずに売買というような新しい形の展開があったようであります。今後、こうした電子取引がますます発展して取引の主流になるものと思われます。 このような電子取引は非常に最先端のものでありますから、こうした取引を恐らく今までの現行法制度では予想していなかった部分もあるだろうというふうに思うんです。電子取引によって新たに生じる問題点がいろいろ出てくるだろうと思うんですが、法務省では電子取引の急速な普及に対処する法制度を整えるための検討がなされているのか。なされているとすれば、その内容、またスケジュール等ございましたら、お答えをいただきたいと思います。
○政府委員(細川清君) 電子取引に関する制度の整備につきましては、私どもではこの問題に関する専門家から成る電子取引法制に関する研究会を開催いたしまして、本年四月にその研究の成果を公表したところでございます。今後は、引き続きこの研究会の検討結果を踏まえまして、これに必要な電子認証及び電子公証制度について、いわゆる公開かぎ暗号方式による電子署名システムの研究開発について着手するとともに、引き続き民法、商法等の実体法上の問題について検討を始めているところでございます。 以上でございます。
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
○委員長(荒木清寛君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより両案について討論に入ります。——別に御意見もないようですから、これより直ちに両案の採決に入ります。 まず、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(荒木清寛君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時七分散会 —————・—————