法務委員会 第3号
- 発言数
- 275 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1998/09/22
会議録
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 昨二十一日、竹山裕君が委員を辞任され、その補欠として加納時男君が選任されました。 —————————————
○委員長(荒木清寛君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(荒木清寛君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に平野貞夫君を指名いたします。 —————————————
○委員長(荒木清寛君) 法務及び司法行政等に関する調査を議題といたします。 これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○石渡清元君 自民党の石渡でございます。 さきの委員会で大臣が述べられました当面する法務行政の重要施策の中で、まず第一に挙げられましたのが司法制度の改革でございました。特に、今後規制緩和等の改革が着実に進められる中で、国家の基礎を支える司法の役割は非常に大事で、国民のニーズにこたえていかなければいけない、こういうお話があったわけでございます。そのとおりでございまして、まず総括的に、二十一世紀を見据えた司法のあるべき姿について大臣はどのように描かれているか、その思いをお伺いいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) 石渡議員御質問の中で、そのとおりでありますというお話をいただきましたが、今ほど司法制度の充実ということに対して国民の関心が集まっている時期は過去なかったと思うわけでありまして、そういうことになってまいりましたのも、今、石渡議員御指摘のありましたとおり、社会が大変な変革を遂げている中であるということだと思います。 非常に簡単に申し上げますと、規制緩和をして、自己責任の社会にして、そして自由な経済活動をする中で小さな政府を目指し、そして国民負担を軽くしていく、そういう中で事前からの規制の社会でなくて事後チェック型の社会に変わっていくということが言われているわけでありまして、そういう中で司法制度の充実というのが必要になってきていると思うわけでございます。 与党の自由民主党でも司法制度の改革に対する大変な御議論をいただいて提言をいただいておりますが、その中に司法制度に関する審議会を政府につくったらどうかというお話もございます。そういう中で、改革を進めていく時期だと思っているわけで、申し上げたわけであります。 社会活動の円滑と公正を確保するために、紛争の発生前の段階からの法律家の関与ということがまず必要でありますと同時に、最終的には司法の場において、国民の権利利益に関する紛争を適正迅速に解決して、さまざまな形態の違法行為に的確に対処するための体制が築かれることへの、そういう方向で検討がなされるべきであると思っております。 いずれにいたしましても、こうしたものが整備されますことが国家の基礎を支えるものでございますから、二十一世紀の司法はこうした国民のニーズにこたえて的確に整備をされていくべきものだと思っているわけでございます。細かく述べていきますと大変多岐にわたりますので、基本的にはそういう考え方であるということを申し述べさせていただきました。
○石渡清元君 透明なルールと自己責任の社会、これを目指して国民による司法へのアクセスを容易にするということだろうかと思いますけれども、それでは具体的に国民の司法制度へのアクセスを容易にする、そういう観点からの施策というのはどういったようなものをお考えになっているか。
○国務大臣(中村正三郎君) これも今申し上げましたように、非常に多岐にわたると思いますが、今一番大きく与党の御論議でも取り上げられておりましたことは、司法の人的な充実ということが挙げられております。各国の例に照らしまして、日本の司法に携わる方々の人数そのものが少ないというようなことがありまして、これは裁判所においても、検察においても、また弁護士の方々においても数が少ないということが言われておりまして、そうした数の充足ということを具体的には考えていかなければならないということで、既にその件につきましてはこの委員会でも過去に御論議をいただき、その方向で今対応がとられているということでございます。 また、個々にわたりましては、非常に多岐にわたるわけでございますが、個々の問題について御質問いただけましたら、その都度お答えさせていただこうと思いますが、それと国民の方の関心事としては、日本の裁判が非常に時間がかかるということがあると思います。また、いろんな司法の手続が難しくて庶民がなかなか近寄りがたいというところもあると思います。また、弁護士の方を私どもが何かの事件でお願いしようといたしましても、例えば弁護士の方の広告というのが余り出ていない、どうやってアクセスすればいいんだとか、いろいろ個々挙げていくと枚挙にいとまがないようないろいろな改革が考えられると思いますが、そういうこと全般を考えていきますのに、私はやはり内閣に、自民党の提言にもありましたように、司法制度の審議会を設置いたしまして、広範な御議論をいただくのがいいんじゃないかと思っております。
○石渡清元君 この改革については、今、大臣の御答弁のとおりに、人的なインフラ整備、これも大事かと思いますけれども、もう一方ではやはり司法の制度的なインフラ整備もやっていかなければいけない、いわゆるグローバルスタンダードに向かっての改革も必要かと考えております。 人的というお話が出ましたのでお伺いをいたしますけれども、人的、物的な充実、これは法曹人口の増加が必要ということはわかりますけれども、例えば弁護士だけでなくて裁判官、検事の増員等々、量的な人的整備はどのくらい考えておられるのか。
○国務大臣(中村正三郎君) 具体的には、来年の司法試験合格者を一千名にふやそうということを決めまして、そういう対応をしているところでございます。私も、この合格者の人数をふやすふやさないということについて、私も実は素人でございますが、そういうことを軽々にやっていいのかねということで若干の質問をしたことがあるんですが、大変優秀な方が大勢司法試験をお受けになるそうでございまして、その中で多くの人員の方に法曹界で働いていただくということについては、人材の確保は十分できるというようなことを伺いました。その数の対比等について細かく必要でございましたら、事務当局に外国との比較等お答えさせたいと思います。 全般的に申しまして、全般というか、今やっておりますことは、来年度の合格者をふやしていこうということに具体的に入っているわけでございます。それをどういうふうにこれから国民のニーズに合ったものに組み立てていこうかということは、まさにそれはこれから審議会においても検討しなきゃいけないし、またこの自民党の提言の中に大変重要なことが指摘されておりますが、専門家としての法曹界の御議論が必要であろうと。しかし、庶民の立場から、国民の立場から、国民のアクセスしやすい、使いやすい司法行政にするためには国会の御論議が必要であろうということが指摘をされておりまして、そうした政府、そして国会の御論議の中でこれからあるべき司法制度の姿というのをつくっていかなければいけない、まさにそういう時期にあると思っているわけでございます。
○石渡清元君 法曹人口の増加という中で、量だけでなくて、それでは質的な面で良質な法曹人口の確保という点については、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるか。
○国務大臣(中村正三郎君) 今、それをえんきょくにお答えしたつもりでございますが、極めて多くの方が今法曹界を目指して勉強されておられるという中で、その人員の層が非常に厚い。そういう中で、これから司法試験を受けて合格される方の数がふえていっても質的なものは確保されるということを私は前に質問して伺ったことがございまして、そういう面では心配がないんであろうと私は思っております。
○石渡清元君 大臣の答弁の中でしばしば審議会の必要性を御指摘されておりますけれども、やはり審議会を設置して議論を深めるというのは非常に重要なことだと思っております。この審議会について、大臣、具体的な御見解がありましたらお願いをいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) これは全体の行政のあり方という中から議論をすると大変難しい問題がいろいろあるわけでございまして、実を言うと、行政改革の審議の中で、新たな審議会の設置は慎もうというようなことが各党の御議論の中にありまして、そして、今ございます、成立いたしました各省のあり方の将来に対する法律の中では、審議会というものを原則廃止しようというようなことをうたっているわけでありますけれども、私があえてここで政府による審議会の必要性を申し上げますのは、なかんずくこの改革には裁判制度の充実、迅速化ということが必要だと思うんです。 そうすると、裁判所というのは、これは憲法によって定められた機関であり、私どもの国会並びに行政機関とはちょっと離れた位置にございます。法律は立法府でつくるわけでございます。そういった中で、全般のことを議論するということになると、やっぱり法務省だけでは議論できないことであろう。そういう意味で、政府全体としての改革に取り組むということのために、この審議会制度というのは私はこの場合には司法制度の改革にとっては必要なんではないか、こういうふうに考えますもので、申し上げているわけでございます。
○石渡清元君 はい、わかりました。 二十一世紀のあるべき司法の全体像を構築するために、司法制度審議会という名前になるかどうか、それはいささかわかりませんけれども、抜本的な検討を行う場としてぜひひとつ審議会を準備していただきまして、司法制度改革に取り組んでいただきたいと思います。 次に、大臣のこの前のお話では、司法制度の次にお話がありましたのは少年法改正の問題でございました。少年法問題、いろいろ新聞、テレビでニュースをにぎわしておるわけでございますけれども、現在この少年法の改正作業はどのような状況になっておりますか、現状を御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) いわゆる少年法の問題につきましては、二つの問題に分かれて今議論が進められているというふうに思っております。 一つは少年審判のあり方の審議でございまして、それについて私の前任の大臣が法制審議会に諮問をいたしまして、これの答申が間もなく出てくるというような経過で審議が進められております。 もう一つの問題は年齢の問題であると思います。その年齢の問題については、これは私がこちらに参りましたときに法制審議会に諮問されておりませんでした。そこで、法制審議会でない形で今審議というか検討がされているわけでございます。 そうなった理由と申しますか経過でございますけれども、やはり少年審判のあり方をどうするかとか、そこに検察の方から人が出ていろいろなことを申し述べるのか、また、弁護士がそこにおられていろいろなことを言うのか、そういった裁判のあり方とか技術的な面を含む検討については法制審議会に諮問するということは一つのあり方だと思いますが、この年齢の問題につきましてはやはり国民の基本的人権だとか生活の基本的な問題、また安全だとか、いろいろなそうした国民に密接にかかわる問題でございますので、こういった問題につきましてはやはり国民の代表である国会を中心に御論議をいただくのが正しい姿ではないかというふうに考えたものですから、もともと自由民主党の中に法務部会がございまして、そこで少年法の問題に関する審議を進めておられました小委員会もございましたので、そちらの方と御相談をいたしまして御審議をいただきたいということを申し上げまして、自由民主党の方も検討を進めようということでございまして、そこで今御審議をいただいているという現状がございます。 ただ、今これ、金融問題の法律についてもそうでございますように、現状は自由民主党だけで法律を決められるという時代ではございません。それは参議院の議院構成を見ればすぐわかることでございまして、当然にこれは与党でおやりになることですから、私どもがとやかく申し上げるのは失礼に当たるかとも思いますが、そういった国会の中で御論議を通じて結論が導かれなければ法律として成り立たないものになるんじゃないかと思うわけでございまして、まず私どもとしては与党で御論議をいただきたいというふうに思っているわけであります。 ですから、法制審議会に諮問いたしました点につきましては、答申が出てまいりましたら、またこれも国会と御相談しながらになりますが、立法作業に入るということになると思います。そして、国民の関心事でございますから、年齢の問題についても同時に審議がなされ、結論が導かれるようになれば、それは国会と御相談するということになる、そういった経過だと思います。
○石渡清元君 少年法改正案をお伺いしたのは、一部新聞等々で、法制審議会に諮問しないで出すとか、そういう報道があって、日弁連等々も、これはやっぱり審議会の諮問を経て改正作業に入るべきじゃないかという談話が出たり、今は審議会の答申を待ってという大臣の御答弁がありましたけれども、その辺の誤解がちょっとちまたにあるんではないか。したがって、少年法改正で審議会に諮問をする部分としない部分があるのかどうか、その辺のところをもう一度はっきりしていただきたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) これは法制審議会の性格にかかわる問題になってくるわけですが、法務省には九つばかり審議会があるんですが、法律を持ってこういうことを審議するということが定められた審議会が三つばかりあります。法制審議会は法律を持たない審議会でありまして、あとの幾つかの審議会と同じ審議会であります。 この審議会は、審議会の会長は私自身でありまして、構成メンバーというのは関係庁の職員と学識経験者で構成するということになっておりまして、実を申しますと今少年法の審議をいただいている審議会も構成は三十名でありますが、その中の十二名はお役人であります。あとは学識経験を有する者ということになっているわけであります。そういう中でこの法制審議会というのは法務省組織令に書かれた行政機関でありますから、行政機関の長が長になって審議をする審議機関でありまして、そこで審議をどういうふうにするかというのは法務省において考える問題、すなわち法務大臣が思料するべき問題だと思います。
○石渡清元君 何となくわかったような、ちょっとその辺が自分自身釈然としませんけれども、それでは別な見方からして、先ほど来省とか私ども自民党の部会とかあるいは少年法に関する小委員会のお話が出ました。それでは省と自民党小委員会の関係というのはどういうふうにお考えになっているんですか。
○国務大臣(中村正三郎君) 省とどこの関係ですか。
○石渡清元君 自民党の小委員会とかそういう御答弁がございましたですね、法務部会とか。その関係についてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(中村正三郎君) これは、今の議院内閣制で私も大臣として与党から出ているという中で、やはり現実的に言いまして、行政機関というのは立法府の企画立案機関的な要素もあると私は思っているわけでございます。そういう中で、なかんずく与党の中で御審議をいただくということは尊重していかなきゃいけない問題だと思います。そして、基本的に、先ほども申し上げましたように、国民の生活に極めて密接した重要な問題であればあるほど、これは国会の御論議をいただくべき問題じゃないか。その御論議の中心となるのは、やはり私どもから見れば与党の御論議がまずあるのではないかというふうに考えているわけでございます。
○石渡清元君 少年の年齢問題につきまして、今申し上げました自民党にも少年法に関する小委員会がございます。法務省独自で検討をしている、そういう御答弁がございました。他方、事実認定手続の一層の適正化を図るための整備に関する諮問が既に法制審議会に発せられているわけでございます。法務大臣はこの両者の改正日程についてはどういうふうにお考えになっているのか、両者を一括して改正するのか、あるいは閣法で出すのか議員立法で出すのか、その辺のところはいかがでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 法制審議会に審議を諮問いたしました点につきましては、先ほど申し上げましたように、今の審議の状態を見ますと、来国会に間に合うような格好で答申が出てくるんであろうというふうに考えております。 ただ、この年齢の問題というのは極めて重要な問題でありますから、私といたしましては、いつまでにとか、いつまでにやらなきゃいけない、こういう問題ではないと思っているわけであります。何と申しますか、石渡先生御案内のとおり、私も行政改革をやってきたものでございまして、昔のように審議会に諮問して、審議会でいつまでに出たから、審議会で出たものは正しいんだからこのまま法律を通してくれというようなやり方はいかぬという方向性の中で論議がされ、行政改革の法律案がこの間通ったわけでございます。恒常的しかも政策的な審議をする審議会は原則廃止していこうという中の御論議でありますから、やはりそういう中で国会の論議を尽くしていただくべき事項というのは、私は、こうした国民の生活に密接に関連したものは国会で御論議いただくという方向でやっていくべきだと思うんです。 その場合に、先ほども申し上げましたように、今の与野党の人員構成、この国会の中における構成からして、金融関連法案でもおわかりのとおり、自民党だけがこれでいいと言ったら通らないわけでございますね。実際に通るような、そして国民生活のためになるような法律を通すにはどうしようかということを考えましたときに、いつまでにということでリミットを切ってやるということは私は適当でないと思うわけでございまして、できれば、この裁判のあり方という問題と年齢の問題は、それは国民の関心事でありますから同時に国会に提出されたらいいと思います。ただ、この場合に、何回も申し上げて恐縮ですが、いつまでにとか、そして議員立法にするだとか閣法にするということを予断を持たずに国会といろいろ御相談をしていきたいと思っているわけでございます。
○石渡清元君 いずれこれは委員会で審議をする場があろうかと思います。 次に、入管行政についてお伺いをいたします。 最近非常にいろいろな往来があり、またそれに伴う犯罪等々非常に悪い面も出てくるわけでございますけれども、最近の外国人の出入国の状況あるいは国籍、特徴等々、概略を簡単に御説明いただきたいと思います。
○政府委員(竹中繁雄君) お答えいたします。 過去五年間ぐらいの外国人の新規入国者の数をばっと羅列しますと、平成五年からですけれども、三百四万、三百九万、二百九十三万、三百四十一万、三百八十一万、一番最後の数字が平成九年でございます。ということで、基本的には漸増の傾向にございます。 一方におきまして、その国籍ないし特徴的なものでございますけれども、まずこの平成九年の数字で申しまして、外国人の新規入国者の国籍別では、韓国が一番多くて約九十二万という数字になっております。これはこの新規入国者全体の約二四%、四分の一を占めるという数字でございます。それに続きましては台湾、これは国ではございませんが、地域で入管の統計ができております。台湾が約八十万、アメリカが五十六万、それからこれは平成九年の数字でございますので香港がございまして、香港が二十三万、それから中国、これは先ほどの台湾、香港を除いたところでございますが、これが十五万ということで、アジアが非常に多くて、それ以外に一部の先進国があるということでございます。 在留資格別に申しますと、短期滞在という資格での入国者が平成九年の数字で三百五十三万人ということでございまして全体の九三%を占めております。それから、この短期滞在のうちで観光を目的とする入国者というのは約二百十万ということで、これは短期滞在全体の約五五%ということで、この辺が中心であるということでございます。
○石渡清元君 人事の往来、国際交流、これは結構なことでありますけれども、問題は不法残留外国人の数もかなりふえつつある。その国籍を含めて実態はどうなっているのか。
○政府委員(竹中繁雄君) 不法残留者の数は平成二、三年ごろから急激にふえましたものですから、その辺から統計をとっておりますけれども、一番数字が多くなりましたのは平成五年の五月でございまして、そのときに三十万をちょっと切る二十九万九千というところまで数字が上がりました。その後、私どもの入国審査を厳正化したりしたこと、それから経済事情の変化というようなこともありまして、若干の歯どめがかかって少しずつ減ってきている。ただし、たくさんは減らないという状況が続いておりまして、ことしの一月一日現在の数字は二十七万七千という数字でございます。ですから、ピークよりか二万ちょっと減ったと申しますか、二万ちょっとしか減らなかったというのが今の現状でございます。 それで、平成十年一月一日現在の不法残留者を国籍別で見ますと、これもやはり韓国が一番多くて五万二千人という数字でございます。これは全体の一九%を占めております。その次に来ますのがフィリピンで四万三千、中国が三万八千、タイが三万七千ということで、近隣アジア諸国がずらずらと並んでいるという状況でございます。 一方、この不法残留者がどういう格好で入ってきたかということで分類してみますと、短期滞在という格好で来た人が約二十万七千人ということで、不法残留者全体の約七五%を占めるということで圧倒的な比重を占めているという状況でございます。
○石渡清元君 その二十七万何がしの不法残留外国人の中で、結局それはみんな不法就労につながっていくわけですね。その数がどのくらいか、あるいはそれに対してどういう対策、対応をされているのか。
○政府委員(竹中繁雄君) 不法残留とか不法入国により私どもが退去強制手続をとって本国に帰すということをやった外国人の数が昨年は約四万九千六百人という数字でございます。そういう調査をするに際して、当然日本で何をしていましたかということを聞くわけでございまして、その調査の結果、日本にいる間に不法就労活動に従事していたということを申し述べた者が四万一千六百人ということで約八四%、委員がおっしゃったように、ほとんど大部分の者が不法就労をやっておったということでございます。 私どもはそれに対してどういうことをやっているかということでございますけれども、当然これはよくないことですので、いろんな面で取り締まりをやっております。まず入り口で入ってくる前に入れないということが一番でございますので、上陸審査の際の審査の厳格化、それから、実は入る前に入国の事前審査という制度がございますものですから、そこでの調査を厳格にやるという、入る前のところが一つございます。それから、入った後でそれぞれ在留資格というのを取りますので、その在留資格を取る際の審査を厳格化するということをやります。 にもかかわらず、中に入ってきてしまいまして不法滞在するという人間はたくさんおるわけでございまして、そういうことに対しましては摘発活動というものを厳しくやるというのが我々のとっている対応でございます。最近では、特に東京、大阪、名古屋の各地方入管局におきまして特別調査チームというのをつくりまして、そういうもののりち特に悪質なもの、ブローカーの介在案件とか、それから偽変造文書行使事案とか、それから売春事案とかという悪質事案を中心に調査それから摘発活動をやっているところでございます。
○石渡清元君 いろいろ一生懸命取り組まれているんでしょうけれども、なかなかその数が減らないということでございますけれども、では、具体的に密入国、この前も大井埠頭でコンテナの中に十六人隠れていたとかそういうのがありましたけれども、密入国の現状、特徴を教えてください。
○政府委員(竹中繁雄君) 密入国というのは、我々は船舶を利用した集団密航と言っておりますけれども、平成八年から九年にかけて、特に九年に入ってから急増しております。 ちょっと昔の数字を申しますと、平成七年のときが集団密航事件で入ってきた人間が三百七十三名、これは我々が捕らえた人間でございますけれども、それから八年が七百十四名、それが九年になりまして千四百六十三名ということで倍増しております。 最近のこういう集団密航事件の特徴といたしましては、その背後に国の内外の密航ブローカーが介在しているということが多いということ、それからその手口もハイテク機器を駆使したり、それから我が国近海で日本漁船に乗りかえたり、あるいはこの間新聞に出ましたように船内を改造して密航者をかくまうというように、ますます悪質、巧妙化しているのが特徴でございます。
○石渡清元君 これは捕らえられただけでという捕捉した件数が出ましたけれども、見つからなければどんどん上陸しちゃえばわからない、こういうような感じでございます。 中国からが結構多いというふうに聞いておりますけれども、中国政府等々について何か具体的な措置を行っているのかどうか、あるいは外交的な交渉等も含めてどのような対応をされているのか、御説明願いたい。
○政府委員(竹中繁雄君) 委員のおっしゃるとおり、この集団密航でやっぱり圧倒的に多いのは中国人でございます。 したがいまして、私ども当然中国側に対してはいろいろな機会に再々にわたり不法出国の防止策を強化するように申し入れをしております。おととしもやりましたし、去年もやりました。ことしは本年五月に北京で開催された日中領事当局者間協議というのがございますが、そこに私どもの人間も出席いたしまして、中国政府に対して偽変造旅券等による不法出国防止及び日本への不法入国及び不法滞在者防止のための取り締まりと啓発活動について強く申し入れております。
○石渡清元君 しっかりやっていただきたいと思います。 最後に大臣に、この入国関係でお伺いをいたしますけれども、結局不法残留外国人というのが日本で稼いで本国に送金をする、こういうことで、非常に今の日本の社会経済情勢が厳しい情勢になっておりますので、どうしても仕事にあぶれてくる、制約されてくる。そうすると、ついつい犯罪等々に結びつく例が非常に多くなってくる、しかもそれが非常に凶悪犯罪が多い、そういう傾向がありますけれども、こういったような不法滞在外国人問題について今後どのように対応されるか、大臣の御所見をお願いいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) 石渡先生御指摘のとおりであると思います。この不法滞在者による悪質な犯罪、これは新聞等の報道でも身にしみて感じることですが、増加傾向にある。まことに憂慮すべき状態にあると思います。 これは法務省だけではできませんで、政府を挙げて各省庁連携を密にして対応していかなきゃいけないと思います。そして、入国審査を厳重にして不法滞在外国人についてその摘発に努力するということは私どもでできるのでございますが、この間密航してきた事例として大きく衝撃を与えました、でかい船舶のバラストタンクを改造して部屋にしてその中に何人も入って来るというような状態が起こります。そういったものに機敏に対応するためには、やっぱり警察でございますとか政府全体として取り組まなきゃいけないわけでございます。 私といたしましては、私ども政府の使命というのは日本国民の安全、生命、財産を守るんだという観点から、これは強力に努力をしていかなきゃいけない問題と思っております。
○石渡清元君 それでは、入管関係は終わります。 最近の話題で、近時新聞報道されましたけれども、埼玉医科大学における性転換手術、これは実際は延期をされたようでございますけれども、これは性同一性障害という治療名というか病名で性転換手術が行われるというんですけれども、これはどういったような刑事上の問題点があるか、お示しをいただきたい。
○政府委員(松尾邦弘君) あくまで一般論ということでお聞きいただきたいと思いますが、いわゆる性転換手術について適用が問題となる罰則としましては二つあるかと思います。一番目は母体保護法の三十四条あるいは二十八条の規定でございまして、ゆえなく生殖を不能にすることを目的として手術等を行う行為を処罰するということになろうと思います。二番目は刑法の傷害罪の規定が考えられます。 このような犯罪が成立するかどうかというのは具体的事実関係に基づいて判断されるべき事項でございます。その場合、その手術が正当な医療行為に当たるかどうかが重要な問題になろうかと思われますが、この点についても具体的事実関係いかんによるということになろうかと思います。
○石渡清元君 これは正当な医療行為に当たるかどうかというのは、治療に関するガイドラインがあって、そのガイドラインに沿っていれば正当だと言うんだけれども、それはどこまで認められているんですか。
○政府委員(松尾邦弘君) 先生御指摘のとおり、性同一性障害に関しまして、日本精神神経学会性同一性障害に関する特別委員会で、性同一性障害の診断基準の明確化と治療に関するガイドラインというものを策定いたしまして、平成九年五月、性同一性障害に関する答申と提言をまとめまして、これを今申し上げた学会の理事長に提出したものと承知しております。 これまた一般論として申し上げますと、性転換手術が正当な医療行為に当たるかどうか、これはいろいろな諸事情といいますか、総合的に判断される、しかも具体的事案に応じまして個別に判断されるべきものというふうに考えます。医学界の一つの見解としましてそのようなガイドラインがあるということは、その判断に当たって考慮される事情の一つになろうと思う次第でございます。
○石渡清元君 私はこれがどこまで正当な医療か非常に疑問を持っている。あるいはまた、それがはやってくるというか、やはり少しく法整備が必要ではないかという観点からお伺いをしているんですけれども、戸籍上の性別というのは簡単に変更できるんですか。
○政府委員(細川清君) 戸籍上の性別は父母が出生の届け出をしたときに記載されるわけでございます。その出生届をする場合には、届け書に子供の男女の別を記載するほか、出産に立ち会った医師等が作成する出生証明書を添付することになっております。戸籍はこういった届け書、出生証明書に記載された男女の別に従って戸籍の筆頭者との続き柄、すなわち長男、長女のように記載されるわけでございます。 現行の戸籍法のもとにおきましては、子供が生まれた後に戸籍の男女の性別の記載を変更するという手続は設けられておりません。したがいまして、御指摘のような変更は法律上予定されていないというふうに考えております。
○石渡清元君 そうすると、認められていないということですけれども、実際上手術をすれば性別の変更になるわけだから、これに対しては何らかの法整備というのが必要だというふうに私は考えるんですが、幾ら性同一性障害といってもそう簡単にできない。何かそういう歯どめを含めた法整備が必要と思いますけれども、それについてはどんなお考えですか。
○政府委員(細川清君) 戸籍制度は国民の親族関係を登録、公証する制度でございまして、親族関係に関する実体法における取り扱いを反映するものにすぎないわけでございます。 したがいまして、性転換手術がされた場合に戸籍における性別の記載を変更する手続を設けるかどうかは、制度上男女の性別をどのように考えるか、さらには性転換手術により男女の性別を変更することができるのかといった根本的な前提の問題を抜きにしては検討することができない問題でございます。 したがいまして、性転換手術をめぐる性の変更は戸籍法のみで解決することができる問題ではなくて、国民の一般の社会通念を踏まえた上で、法制度上の男女の性別の取り扱いの問題として多角的な観点から検討されるべき問題であるというふうに考えておるわけでございます。
○石渡清元君 ですから、私はこのまま放置しない方がいいんじゃないかという観点でお伺いしているんです。 もう一つ、性転換じゃなくて、この前、長野県内の産婦人科で、不妊に悩む夫婦の妻の妹の卵子と夫の精子によって体外受精をして妻が出産した、こういう事例がありました。出産した妻と子供の関係、卵子を提供した第三者と子供の関係というのは法律的に見てどのようになるのか、どちらの子供になるのかという問題ですけれども、どういうふうにお考えですか。
○政府委員(細川清君) 確かに御質問のような事案では、妊娠、出産をしていない卵子提供者とその生まれた子供との間に遺伝学上の親子関係が認められる。他方、現実に妊娠、出産した妻と子の間に遺伝学上の親子関係はないことから、法的な親子関係をどうするかという問題が生ずるわけでございますが、昭和三十七年の最高裁判例は、母とその子との親子関係は、原則として母の認知をまたず分娩の事実により当然発生すると言っております。これに従って現在の戸籍事務が行われているわけですが、御指摘の事例については、分娩した女性を母とする医師による出生証明書があれば戸籍の取り扱いとしてはこれを当然受理するという扱いになろうかと考えておるわけでございます。 しかし、実態的な問題としては、遺伝学上の母子関係を重視して法的な母子関係を定めるべきであるという考え方もあり得るところでございまして、今後、医学界などの関係各界の議論の動向を見守りながら慎重に検討しなければならない問題であるというふうに考えておるわけでございます。
○石渡清元君 だから、精子をかすのはいいけれども卵子はだめだとか、そういういろいろ微妙な複雑な問題があろうかと思いますけれども、やはりこれはある程度法整備を行いませんと、やみでそのようなことが行われたり、やはり不妊に悩む御夫婦、女性というのはかなり多いわけでありますので、この辺の法整備をどうしても必要と考えておりますけれども、大臣、その辺について最後にお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 石渡議員の御指摘、非常に重要な御指摘だと思います。 と申しますのも、今あります法律は過去につくられたものでありますから、時代が変化をしていけばその変化した時代に対応できないという面が出てくるのは、これは必然的にそういうものだと思います。 今、クローン人間ができる、しかしそういうことはやってはいけないという時代であります。そうしたハイテクの時代になり、なおかつ精神的に男の方が女性になりたいということを許そうかというようなことが世界的にある時代でございますので、そういう時代の変化に対応した法の整備というのは必要じゃないかと思います。 ただ、その必要性を私どもお役人におまえはどう思うんだと聞かれてもなかなか難しい問題だと思うんです。これこそ国会で御論議を深めていただいて結論を出していくべき問題ではないかと思っております。
○石渡清元君 終わります。
○大野つや子君 大野つや子でございます。よろしくお願い申し上げます。 基本的人権の尊重は、日本国憲法の最も重要な基本原理の一つであり、民主社会の基本となるものです。今日、国民の間に人権に係る意識はかなり定着してまいりましたが、残念ながら、今なお自分の人権のみを主張し他人の人権を顧みない風潮も見受けられ、またさまざまな人権問題も後を絶たない状況となっております。 本年は、世界人権宣言が採択されてから五十周年を迎え、また人権尊重思想の普及、高揚に努めてきた人権擁護委員制度も五十周年を迎える意義深い年でございます。 そこで、私といたしましても、昨年三月に法務省に設置されました人権擁護推進審議会における審議に大きな期待を寄せているところでございます。人権擁護施策推進法におきましても、この審議会では、人権擁護に関する施策の基本とも言うべき人権尊重の理念に関する教育、啓発に関する事項及び人権が侵害された場合の被害者の救済に関する事項について審議がなされることとなっております。 そこでまず、この人権擁護推進審議会の審議の状況につきましてお伺いいたします。
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。 人権擁護推進審議会につきましては、昨年五月の第一回の会議におきまして、法務大臣、文部大臣、総務庁長官から諮問第一号としまして、ただいま委員も御指摘されましたような、人権尊重の理念に関する国民相互の理解を深めるための教育及び啓発に関する施策の総合的な推進に関する基本的事項について、簡単に言いますと、人権教育、啓発に関します施策の基本的あり方について、そして法務大臣からは諮問第二号といたしまして、人権が侵害された場合における被害者の救済に関する施策の充実に関する基本的事項について、それぞれ諮問されたところであります。 その後の審議状況につきましては、諮問第一号に係ります人権教育、啓発の基本的事項については二年を目途にという衆議院及び参議院の各法務委員会の附帯決議を踏まえまして、人権教育、啓発に関する施策を中心に調査、審議がなされ、これまで十五回の会議が開催されたところであります。 これまでの審議の概要といたしましては、各委員からのプレゼンテーション、法務省等からの行政説明、女性、子供、同和問題等の各種の人権問題について実情を把握することを目的としましたヒアリングなどが実施されてきたところであります。 さらに、諮問第二号に係ります人権が侵害された場合における被害者救済施策につきましても、人権救済制度についての円滑かつ効果的な調査、審議に資するために、審議会に人権救済制度検討準備委員会が設置されまして、人権救済制度に関する資料の収集、整理等を行っているところであります。 今後の予定につきましては、これまでの審議を踏まえ、主要なテーマを設け、各テーマごとに議論を深めていくこととなっております。 事務当局としましても、今後とも審議会の運営が円滑に進みますよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。 以上でございます。
○大野つや子君 審議状況につきましての御答弁、ありがとうございました。 さて、近年、子供たちの間に陰湿かつ執拗ないじめが全国各地で多発しており、いじめが原因と思われます自殺事件が発生しています。まことに残念なことでございます。さらに、教師による体罰も後を絶ちません。不登校児の数は年を追うごとに増加しているほか、親の我が子に対する虐待が社会的に注目を集めるなど、子供の人権問題について、私も一人の母親として無関心ではいられません。 その主な原因として、我が国社会全体における人権意識の立ちおくれ、あるいは物質的な豊かさを追い求める余り心の豊かさをはぐくむことに無関心になりがちな現代社会の風潮などを挙げることができるのではないでしょうか。 このような問題を一日も早く解決するため、広く国民の間に人権のとうとさを定着させ、すべての人々が豊かな人間関係の中で暮らせる明るい社会を築き上げることこそ今第一に必要なことだと思います。 そこで、子供をめぐるいじめなどの問題について、法務省では人権擁護の観点から具体的にどのように取り組む御所存でいらっしゃるのかお伺いをいたします。
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。 法務省の人権擁護機関では、従来から、いじめ、体罰、不登校、児童虐待などの子供の人権問題の解決に向けて積極的に取り組んできたところであります。平成六年度以降は、「子どもの人権を守ろう」を啓発活動の重点目標としました上、人権擁護委員の中から指名されました子どもの人権専門委員を中心としまして全国的な啓発活動を展開しております。 また、具体的ないじめ等の事案につきましては、人権相談を通して、あるいは人権侵犯事件として調査、処理するなどしまして適切に対処しているところであります。 今後とも、子どもの人権専門委員制度の周知や定着を図りますとともに、子どもの人権専門委員と法務局との連携を密にしながら、地域社会や関係機関とも協力しつつ、いじめなど子供の人権問題の解決に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○大野つや子君 人権擁護行政に関しましてもう一点お尋ねいたします。 周知のとおり、本年六月十二日に中央省庁等改革基本法が施行されたわけですが、その中で、法務省については、その編成方針の一つに、「人権擁護行政について、その充実強化を図ること。」との規定がございます。 そこで、この基本法に言う充実強化につきまして、法務省ではどのように考えておられるのかお聞きいたします。
○政府委員(横山匡輝君) 最近の人権状況を見ますと、先ほどもお話ししましたようないじめ等の子供の人権問題を初め、さまざまな人権問題が依然として存在しておりまして、このような人権状況を踏まえますと、今後とも人権擁護行政の一層の充実強化を図る必要があると考えております。 その方策の具体例としましては、まず人権啓発活動につきましては、地方自治体や民間団体等の多様な啓発活動の実施主体との連携協力関係の形成に努めることにより、これは地方自治体や民間団体等と啓発のためのネットワークをつくりまして連携協力関係を形成する、そういうことでございますが、そういう関係の形成に努めることによりまして、これを一層総合的かつ効果的に推進することなどを考えております。 また、人権侵害の場合の被害者の救済のあり方につきましても、人権侵害の相手方等に対しまして、現在、法的効力を持たない勧告等で対応しているのでございますが、こういう現行の救済制度で十分であるのかどうか、法的措置の必要性も含めて今後検討したいと考えているところであります。 なお、これらの点につきましては、先ほど御説明しましたとおり、昨年三月に法務省に設置されました人権擁護推進審議会におきまして調査、審議されることになっておりますので、その答申が出されましたときはそれを踏まえてさらに検討を進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
○大野つや子君 次に、法律扶助制度についてお伺いいたします。 法務大臣のごあいさつにもありましたように、今後、規制緩和等の改革が着実に進められ、社会が事後監視・救済型へと転換していくこととなるわけですが、それに伴い司法の役割はより一層重要なものとなり、国民のニーズにこたえる司法の充実強化は必要不可欠と言えると思います。 その方策の一つに、国民が容易に司法による救済を求められる法律扶助制度の充実強化が極めて重要であると考えます。この法律扶助制度について、現在は財団法人法律扶助協会が実施する民事法律扶助事業に対し国が補助金を交付するという形で制度が運営されているということでありますが、いまだ法律扶助に関する法律が制定されておらず、国や弁護士会の責務なども明確ではなく、この制度が国民の司法による救済の需要に真にこたえているのか疑問が残ります。また、実際に我が国の民事法律扶助事業の予算規模は諸外国に比べ非常に不十分であると考えます。さらに、法律扶助研究会の報告書も現在の制度の問題点を指摘していると伺っております。 そこで、まず法務当局に、我が国の法律扶助制度の現状と問題点について簡潔にお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。 法律扶助制度は、憲法三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障するための制度でありまして、法務省といたしましては、本制度の果たす役割の重要性にかんがみまして、財団法人法律扶助協会が行う民事に関する法律扶助事業に対しまして昭和三十三年度から補助金の交付を開始し、特に近年では毎年補助金を増額するなど、本制度の充実を図ってきたところであります。 また、法務省は法律扶助制度の充実発展を図るため、最高裁、日弁連、法律扶助協会、学識経験者の参加を得まして、我が国の司法制度に適合した法律扶助制度のあり方等について調査研究をすることを目的とします法律扶助制度研究会を発足させ、本年三月二十三日に最終報告が取りまとめられたところであります。 その報告書によりますと、現行の法律扶助制度には法律扶助に関する法律が制定されていないため、国及び弁護士会の責務が明確でないなど制度上の問題点や財政上の問題点等が指摘されているところでございます。
○大野つや子君 そこで、法務大臣、私といたしましては、この制度の法制度化を図ることとともに、大規模な予算措置を講ずる必要性を今後の重要な課題として指摘したいと思っております。 この点に関しまして、大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 今も事務当局から御答弁申し上げましたように、国民の裁判を受ける権利というのは憲法三十二条でうたわれているわけでございます。そして、社会がだんだん複雑になり、先ほどから論じられております司法制度の改革が必要という中で、司法制度なかんずく今のお話にあります弁護士に対するアクセスの問題、これはいろいろ考えられると思うんですが、その中で現実問題として、裁判を受けたくても弁護士の方にお願いできないというような場合どうするべきかという重要な問題だと思います。 これは憲法でその権利が国民に保障されているんですから、それは国において、すなわち税金においてそういう方を援助しなきゃいけないということは、それは憲法の精神からいえばそういうことになりましょう。それをどういう形でやるかということをこれから司法制度改革の中でも論議をして充実していかなきゃいけない問題だと思いますが、現行やられてまいりましたやり方というのは公益法人でやっておりました。公益法人というのは全くの私法人でございます。そこに対して国が補助金を出している、これはいささか行政改革からも問題ありとされた点でございまして、やはりそういった現状において、補助金を出すにいたしましても、議員が今御指摘のような法によるきちっとした裏づけがなければいけないと思っておりまして、これは法制度の整備を図って充実をしていくべき問題だと思います。 しかし、弁護士会、この扶助協会をやっておられる先生方に伺いますと、いや、実は刑事事件についてもやっているんだよということをおっしゃいます。そういうことまで総合的にどうするんだということはこれから検討していくべき課題だと思っております。
○大野つや子君 次は、オウム真理教の問題についてお伺いしたいと思います。 オウム真理教の最近の動向についてはマスコミでも種々報道されておりますが、教団施設付近の住民との間でトラブルや摩擦が見られるなど、国民の間には依然として教団に対する不安や危惧の念を抱いている方々も多いと思います。先般の公安調査庁の発表によりますと、教団は昨年一月に規制請求が棄却されて以降、組織の再興に向けてさまざまな活動を活発化させているようですが、こうした教団の現状と危険性につきまして公安調査庁長官にお伺いしたいと思います。
○政府委員(豊嶋秀直君) お答えいたします。 オウム真理教につきましては、昨年一月三十一日付で規制請求の棄却決定がなされ、現在まで一年半以上がたったわけでございますが、この間、着々と組織の充実強化を図っておりまして、オウム真理教につきましては、最盛期、信徒と呼ばれる人たちが出家信徒が八百人以上、在家信徒が七千五百余いるのではないかと見られておりました。それから、物理的な施設も全国各地に大きな施設も含めて三十五カ所以上の施設を確保していた、これがオウム真理教の最盛期の規模でございますが、その後地下鉄サリン等の本格的な捜査で主要な幹部が検挙され、教団の破産手続も進む、それから公安調査庁からの規制請求の手続が開始されるということになりまして、それが大体三分の一程度の規模に縮小されてきたわけでございます。 ところが、昨年の一月三十一日に棄却決定がなされた後、いち早く組織の再建を図り始めまして、現在では教団の最高意思決定機関と呼ばれております長老部というものを頂点として、中央部署が十四部署設けられ、地方組織においても拠点を着々と確保しておりまして、現在教団の組織活動に供される施設は十六都道府県三十二カ所に達しております。 また、出家信徒の居住用施設も、個人で信徒だけが集まって住んでいる住居のようなものですが、そういう場所も全国で百カ所ほどが確認されております。そして、これら居住用の施設のうち約四分の一に当たります二十三カ所は、現在麻原こと松本が拘留されております東京拘置所周辺に集中して居住を構えるという傾向が強まっておりまして、これはそういうところに住むことによって麻原のパワーを感じ取るということの意味があるようでございますが、そういうことで、東京拘置所周辺に信徒が住居を構えるという傾向が強まっていることが確認されております。 そして、こういう教団側の施設の拡充に対しまして、新しく施設を設ける場合にはどうしても周辺住民とのトラブルといいますか、立ち退きを求める住民との間でいざこざが起きるということが発生しております。現在、裁判で教団の立ち退きを求めて係争中の事件が三件ほどございます。それに、住民から教団側に対して立ち退き要求がなされている案件が十一件ほど確認されております。そして現在、恐らく今後かなり近い時期に住民からの立ち退き要求が出される案件が四件ほど確認されておりまして、全国でこのような立ち退き要求をめぐる紛争が起きているわけでございます。 現在のところ激しい組織的な暴力ざたという事態までには発展しておりませんけれども、このような地域住民との紛争が起きる背景というのは、何といいましても、オウム真理教に対する一般市民の恐怖心というものがまだぬぐい去られておらない。その上、オウム真理教が地下鉄サリン事件等一連の事件に対しまして現在まで何ら謝罪や反省するという態度を示しておりません。その上、施設の確保に当たりましては、それが教団で使うものであるとかその使用目的等を隠す、それから一般会社名を装ったり、信徒の個人名を使って施設を入手する。こういうことで、住民は施設ができてから実はそれがオウム真理教の施設であるということがわかる場合が大変多うございまして、そして現にオウム真理教の信徒等が施設の利用を始めましても、住民との融和を図るという態度が全く見られない。こういうことから、住民がやはりオウム真理教に対する嫌悪感といいますか恐怖心も含めて立ち退き要求をするという事態になっているのであろうというふうに察せられるわけでございます。 一方、教団の活動面につきましては、現在出家信徒と呼ばれる人たちが五百人ぐらいいるのではないか。それと数千名に及ぶ多数の在家信徒がいろいろな活動を見せておりまして、また資金面では、パソコンの販売で大変な利益を上げているというふうに思われるわけですけれども、このような営業活動も積極的に行っております。また、頻繁に信者による布教活動といいますか、そういう活動も行われておりまして、そのたびに参加費用といいますか、そういう費用を多額に集めてそれを組織の資金活動に使っているという点も確認されております。 また、信徒を集めて説法会というものも開くわけでございますが、その際に依然として殺人をも肯定するタントラ・ヴァジラヤーナと呼ばれています教義でございます。これは私も詳しいことはよくわかりませんが、この世で悪行を積んだ者は早く天国に送ってやった方が本人の幸せになるのだから、そういう者を抹殺することは正義なのであると、簡単にいうとそのような教えのようでございますが、この悪行を積んだ現世の人間を抹殺する行為をポアと呼んでいるようでございますが、したがって、ポアは正義である、正しい行為なのだから怖がるなと、こういうような教えのようでありますが、そういうような教えを説法会等で布教している。そして、教祖である麻原への絶対的帰依を強調もしているわけでございます。 そして、脱会信徒、いろんな事件や規制請求等に伴って一時的に脱会した信徒がかなりいるわけですけれども、その復帰工作も積極的に行っておりまして、特に平成七年三月に敢行された地下鉄サリン事件以降、四百人を超える信徒が逮捕、送検されておりまして、現在までに三百五十九人が釈放ないしは服役を終えて社会に出てきております。そのうち百六十五名が現在教団施設に出入りするなどして教団に復帰している事実が確認されております。このように、一時脱会した者もかなりの者が真理教に戻っておるという事実が確認されております。 また、新たな信徒の獲得にも大変な力を入れておりまして、コンピューターのインターネットや大量の宣伝ビラを配布するなどして、最初から教団であるということを明示した勧誘の仕方、それから教団の名前を隠して大学のキャンパス等に入り込んでいろいろ勧誘するという手段などを駆使しまして、巧みに新しい信者の獲得にも力を入れている様子がうかがえるわけでございます。 したがいまして、教団の実情というものは、減退するどころか、ますます組織の充実拡充が図られて、その危険な体質というものにはほとんど変わりがないのではないかというふうに考えられますので、公安調査庁といたしましても、今後とも重要な調査対象団体として厳正な調査と監視体制を継続していく考えでございます。 以上でございます。
○大野つや子君 オウム真理教が依然として危険な体質を温存したまま教団の再興に積極的に取り組んでいる実態をただいま御答弁いただいたわけでございます。 長官は、去る三月十二日の法務委員会において、オウム真理教に対する再度の処分請求について、今後の教団の動向いかんによっては再請求することもあり得ることを念頭に置いて調査しているという旨の御答弁をしておられましたが、現在もこの方針に変わりはないと思いますが、いかがでしょうか。 また同時に、破防法を含む団体規制制度のあり方についてもお考えを伺いたいと思います。
○政府委員(豊嶋秀直君) お答え申し上げます。 オウム真理教につきましては、ただいま説明したような実情にございまして、私どもはその危険な体質というものはさほど変わっていないというふうに考えているわけでございます。 したがいまして、先生から今御指摘がありましたとおり、本年三月の当委員会で私も答弁もいたしましたが、今後、教団が暴力主義的破壊活動を行う明らかな兆候が認められるというような事態になった場合には、再度の規制請求もあり得るということで調査を進めているところでございます。 この破防法に基づく再度の規制請求というものの法的な根拠でございますが、破防法は刑事裁判とは違いまして純然たる行政処分でありまして、平成九年一月三十一日の公安審査委員会の決定の中にも明示されておりますけれども、一度請求した事件を二度と請求してはならないという刑事裁判でいうところの一事不再理の原則は適用されない。したがって、新たな状況が生じて再度規制請求をする必要が生じた場合には同じ請求原因事実で再度の請求が許されるのであるということが明記されておりまして、教団側の代理人もその旨は十分理解しておるところであるということがはっきりとうたわれております。 したがって、私どもといたしましては、教団が今後団体の活動として非常に危険な暴力主義的破壊活動を実行するのではないか、そういうことが確認されて、そのおそれが強まった場合には私どもの職務として再請求の要否を検討せざるを得ないものと思って今調査を進めているところでございます。 また、第二の御質問でございます破防法を含む団体規制のあり方についての問題でございますが、このような一般庶民を殺害するというような非常に凶悪、重大な犯罪を団体の活動として行うという団体について、その活動を制限するなり何らかの措置をとるという団体規制に関する法律が必要であることは当然のことであるというふうに理解しておりますが、これもやはり迅速適切に適用しなければその実効性が確保できないのではないかというふうに考えているところでございます。先般のオウム真理教に対する規制請求手続を実際にやってみて、あのような決定をいただいたということを振り返ってそれを統括してみますと、やはり現行法にはいろいろ改善しなきゃならない点も多いのではないかということで一つ一つ確認しているところでございます。 なお、この破防法の改正の問題ということを直接指摘されているわけではございませんけれども、先般成立しました中央省庁等改革基本法の十八条の四号で、公安調査庁につきまして、破壊活動防止法に基づく破壊的団体の規制の実効性を確保するなど公安調査庁の機能を見直すべきであるということが指摘されております。これは、破防法をより実効性のある内容に変えるかどうかの検討をしなさいという示唆を受けたものというふうにも理解されるわけでございまして、このため当庁におきましては、一層有効適切な団体規制を図るという観点から、法律の改正を念頭に置きながら破防法の適正な内容がどうあるべきかについて所要の検討を進めているところでございます。
○大野つや子君 公安調査庁長官からただいまオウム真理教の危険な実態や団体規制のあり方などについて御答弁をいただいたわけでございますが、法務大臣、この予断を許さない状況を踏まえました上で大臣の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 今、委員の御指摘は二つの点があったと思うんですが、一つはオウム真理教について、もう一つは公安調査庁のあり方についてだと思います。 オウム真理教につきましては、今の答弁の中にありましたように、タントラ・ヴァジラヤーナという教義に基づいてポアを実行した団体でありまして、非常な恐怖心を私ども持っていると思っております。この間報道にもありました第七サティアンの解体作業というのを見ましたけれども、何だこれはという感じでございますね。物すごい重化学工場みたいなものをつくって、これが宗教だと言っている。これは、これからも公安調査庁等においてその活動を厳重に監視して、国民の安全の侵害を未然に防止するようにしていかなきゃいかぬと思います。 私は、先ほどから御論議のあります自己責任、自己管理型の社会にするにいたしましても、やはり国民の生命、安全、財産を守るというような観点についての規制というのは必要なんだと思います。そういう中で、公安調査庁のような組織が国民の要請において必要なんだと私は思っております。 ただ、公安調査庁ができてまいりましたその経緯というのが戦後のある種の思想対立の中から出てきたようなところがございますので、今の法律では現代社会の様相に的確に対応できるとばかりは言えない面があるんじゃないかと思うんですね。そこで、長官からも今答弁申し上げましたように、法律の改正も含めてということが必要になってくると思います。司法制度改革の中で一つの重要な改革の命題であろうというふうに思っております。 また、公安審査委員会のあり方、これはもう全体を見直す中で見直されるわけですけれども、この間の棄却決定については、必ずしも広範な世論といいますか、新聞論調の支持が得られていたようにも思えないわけでありまして、こうしたことが起こってくるのもやはり戦後のああいう時期につくられた法律であり公安調査庁であるということだと思いますので、これも国民のニーズに的確にこたえるように改革を図っていかなきゃいけない。それには法律の改正も伴ってやっていかなければいけない問題であると思っております。
○大野つや子君 先ほど石渡先生からも御質問がありました入管の問題で一つ私もお伺いしたいと思います。 日本の国際化も進み、人間の交流も多くなりました。日本を訪れる人も、観光、ビジネス、留学や就学を目的とする方などさまざまです。平成五年の外国人の正規入国者数は三百七十四万七千百五十七人ですが、年々増加し、平成九年では四百六十六万九千五百十四人と公表されております。法務省の管轄する外国人の方々に対する事務は、まず入国審査、在留資格の認定、再入国の審査、不法滞在者の検挙など数々あります。 さて、私も外国の方々とさまざまな形でお会いいたします。その方々のうち日本に何年か滞在している方々は、一様に日本の在留資格の審査は時間がかかり過ぎるということをおっしゃっています。さらに、これは私自身が外国に行ったときに感じることでもございますが、入国管理の窓口はまさにその国の窓口です。イミグレーションの係官の対応一つでその国に対する第一印象はかなり決まってしまうと思います。 そこで、大臣にお尋ねいたしますが、人手不足により多忙過ぎますと、その職員の方の健康問題も当然のことながら、正規に入国する外国人の方々に丁寧かつ細やかな対応をする余裕も持てないのではないでしょうか。年々増加する外国人入国者に対する十分な職員は確保されているのでしょうか。公務員の人員削減が課題とはなっておりますが、必要なところには必要な要員が必要なのではないか、そのような気持ちからお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) まさに大野議員御指摘のとおりだと思います。 国際社会化ということで国際化が進む中で、人々の往来も非常に大きなものになってきておりますし、また先ほどいろいろお話がございました不法就労者だとか難民の問題とかすべてかかってくる問題だと思いますけれども、まさに日本のこうしたことに対する対応が外国より非常にスムーズに早くいっているということを断言できる状態にはないと思うのでございます。 そういう中で、人員の不足ということがございますが、今おっしゃられましたように全体のお役人の数を減らしていこうという行政改革の命題があります。私どもとして常に総務庁などに申し上げておりますことは、必要なところはきちっと確保して、不必要なところというのはなかなかないのかもしれませんけれども、減らしていいところを減らすということは必要だということを申しまして、これは非常に今の総務庁長官もそういった私どもの話には理解をしてくださるわけでありますけれども、これから現実のものとしてどうやっていくかというのは極めて問題であります。 そこで、私どもは新しい時代を迎えての先ほどから御論議のある司法制度改革の中で、人員の確保と、こういった業務が日本の窓口として世界から批判を受けないような体制をとるように努力をしてまいろうと思っておりますが、現状におきましても限られた人員を有効に活用して人員の配置がえをするとか忙しいところへ向けるとかして必死の努力をしているわけでございまして、こういった面の政府の行政改革の中における必要なところの人員獲得について、また大野委員の御指導、御助言もいただけたら大変ありがたいと思っているところでございます。
○大野つや子君 どうもありがとうございました。 これをもちまして私の質問を終わります。
○千葉景子君 限られた時間ですので、きょうは二点ばかり大きな項目で御質問をさせていただきたいと思います。ちょっと質問を通告させていただいた順序と変わるかと思いますので、その点は御容赦をいただきたいと思います。 まず、先ほどから司法改革の問題の指摘が各委員からもございました。私も司法というのが日本国憲法のもとにおいて、人権を擁護して個人の尊厳を守るということを基本にしながら、紛争を適正迅速に解決してそれぞれの権利の実現を図る、あるいは被疑者や被告人を含めた関係者の人権も図りながら刑罰法規を適正に運用していくという役割をこれまでも果たしてきている、極めて重要なことであろうというふうに考えております。また、三権分立のもとにおいて、それぞれの独立性を保ちながら立法や行政権に対するチェック機能というものを司法が果たしてきたということも重要な役割であろうというふうに考えております。 ただ、これまでは残念ながらなかなか司法というものに対しては光が当たりにくかった、社会の中でも立法、行政というのに対してはいろいろな形で関心が寄せられてまいりましたけれども、司法というのはなかなか地味な、そして一般の市民にとっても何か縁遠い、こういう状況もあったかというふうに思います。 今日、今言われておりますように、日本社会が国際的にもあるいは自己改革としても問われていることは、やはり透明かつ公正なルール社会を確立することではないかというふうに思うんです。これまで、金融問題などもある意味ではその象徴的な問題であると思いますけれども、あいまいな基準、そしてどうも不透明な中で物事が処理をされていく、こういうことが突き詰めて日本のこのような危機的な状況ももたらしてきたのではないか、こんなふうにも思います。 そういう意味で、その中であいまいな基準から、その場に参加できない者、あるいは不透明な解決の中でそこから除外をされてしまうどちらかといえば一般の個人とかそういう市民、そういうものにいろいろなツケが回されていく、こんな状況に今立ち至っているのではないかというふうに思います。 そういう意味では、改めて今言われておりますように司法の役割、特に人権を擁護して一人一人の個人の尊厳を守り、権利を守っていく、こういう役割というのは極めて重要になってきているだろう。何かこういう不祥事とか問題が起こって、それで司法が非常に注目をされるというのはちょっと残念な気はいたしますけれども、ただ、こういう機会をある意味ではとらまえまして、ぜひこれから司法のあり方、そしてその意味での改革、こういうものを推し進めていく必要があるのだろうというふうに思います。 もう一つその背景で考えておかなければいけないことは、これまであいまいな基準あるいは不透明な解決策、こういう中で物事が進められてきたという背景には、司法というのが非常にスピーディーに動く社会あるいは多様な権利関係が存在をする、こういう中でなかなかそれに即応した迅速かつ適正な解決の場あるいはそれに適応できるような体制、こういうものを十分に備え切れてこなかった、だからどうしても違う手段に訴えて解決を図るということもあったのではないかというふうに私も思います。そういう意味では、ぜひやはり司法の充実強化というものを考えていく必要があるだろうと思います。 ちなみに、考えてみますと、司法の予算というのは極めて貧弱なわけでして、これはたびたびこの法務委員会などでも指摘をされてきたことです。遠慮なくもう少し法務省も裁判所も予算を獲得したらどうかという話も出ておりました。こういう非常に財政が厳しい折ですからなかなかそれは大変であろうかと思いますし、むだなことをするわけにはまいりませんけれども、やはり三権の一翼を担うということになれば、その割合としてはもう少し積極的に予算の面でも充実をさせていくということは必要なんじゃないか。よく言われますように、現在では裁判所などは国家予算の〇・何%、一%にも満たない、こういう状況です。法務省の予算もそう十分に、あるいはいやすごい大きいなというような額ではないと思います。 そういう意味では、こういうことを念頭に置いて考えますと、これから本当に法務省、裁判所みずからもこういう問題に積極的に取り組まれる必要がある。審議会の設置というような方向もいろいろ取りざたはされておりますけれども、これまで指摘をされてきた課題などについてもやはり待っているという姿勢ではなく積極的な取り組みというのも求められていくのだろうと思います。 そこで、司法の役割、これからの重要性をそれぞれどう認識をしておられ、そしてどういう課題があるというふうにお考えなのか、例えば具体的にそういう課題についてこれまでのみずからの努力も、こういう形で取り組んできたというようなことをまずお尋ねしておきたいというふうに思うんです。 その中で、これまでも指摘をされてきた、先ほど出ておりましたけれども、例えば利用しやすいという意味では法律扶助の問題、これは先ほど一定の御答弁がありましたけれども、こういう制度の充実という問題もこれまで本当に長年取り組まれてまいりました。あるいは最近指摘をされているのは、やっぱり多様な意見を司法という場にも盛り込んでいくとすれば、市民参加の例として陪審とか参審というような問題もいろいろ議論が今進められております。あるいはこれもいつ何どき犯罪あるいは自分が被疑者、被告人という立場になるかもわからない、そういう中で被疑者段階での公的な弁護制度、こういうものなどもこれまでいろいろな議論はこの委員会でも展開をされてきているだろうと思います。 これは私の例でございますけれども、こういう課題なども含めてそれぞれ法務省それから最高裁の御認識、取り組み方などについてお答えを賜りたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 千葉議員から今御指摘のありましたこと、ほとんど私が申し上げたいようなことをおっしゃってくださいまして大変ありがたく思ったんですが、透明なルール社会を実現して、そしてそうした透明なルールに基づいて自己責任の中で国民が生活できるというような社会を目指す場合に、今御指摘にありました基本的な法律の整備が必要だと私は思っているんです。 ですから、今例えば金融のことを申されましたけれども、例えを挙げますと今の銀行法でございますが、目的に借り主の保護は一つも書いてありません。若干、社会的責任があるということは書いてありますけれども、預金者保護しか書いていない。今のこの複雑な経済社会においては、日銀のやる仕事だとか銀行のやる仕事はもはや極めて公的な性格が強いわけでありますが、そういう性格の仕事であるからこうであるというようなことは一つも記述がございません。そういったところをきちっと整備して、あらゆる面で透明なルールをつくっていかなきゃいけない。 民法にしても、明治二十九年の民法でありますから、今読むと読みにくくてどうも今にそぐわないことがたくさんある。法律扶助協会のことを先ほどちょっと申し上げましたが、あれも民法三十四条でございますけれども、あの三十四条というのは祭祀、宗教、慈善、学術、技芸その他公益でありますから、こういうことができるかという疑問も起こってくる。こういう法律をまず整備することが必要だ、その上で司法の充実というのを図って国民がきちっとした生活ができるようにしていかなきゃいけない。 そこで、国民のアクセスの問題をおっしゃいましたけれども、個人的なことで恐縮ですが、事業を長年やってきた者といたしまして、司法というのは身近なものなんだけれども、身近でない。まず、裁判に行ってもなかなか判決を出してくれない。それで和解をしなさいというふうなことを言われる。こっちは判決を出してくださいと言っているんだけれども出してくれないというようなことで、これは使い物にならぬからというので、さっきちらっと言われましたほかの手を考えるということになって、どんどん遠くのものになったんです。身近でなきゃいけないものが遠くのものになっていってしまったんですね。それをもとに戻して、国民の身近な、国民の利用しやすい、国民のニーズに合った司法制度をつくっていくということが必要なんだと思います。 そして、予算の規模のことをおっしゃいましたけれども、これも個人的なことで恐縮ですが、実はたまたま私の極めて親しい弁護士の先生が法律扶助協会の会長になられまして、私が大蔵政務次官をやっておりましたので、予算をどうにかしてくれと頼みに来られました。幾らだと聞いたら、何か二億八千万とか三億とかそこらでございまして、何ですか、これでできるんですかと言ったら、ちょっとこれでは足りないんだけれどもここまでにするのも大変だったという話でございまして、それを私一生懸命お願いして四億程度に上げたような記憶があるんです。 これは、透明なルール社会、憲法三十二条で保障された国民の権利に国民がお金を出すことは当然なことだと私は思うんです。そこにモラルハザードがあってはいけませんけれども、当然出すべきこと、こういうことをきちっと法務省がやっていかなきゃいけない、そういう中で法制化も考えろと私は申しているわけであります。 先生の御指摘と同じなんですが、法務省に参りましてまず皆に言ったことは、仕事をどんどんやろうじゃないか、やった場合に人が足りない、お金が足りなかったら要求しようじゃないか、それでなかったら国民にこたえる行政にはなっていないよということを常に申しまして、ちょうど司法制度改革ということもあるので、うまくとらえればこれは我々にとって追い風である。追い風を的確にとらえて、目的は最後は国民生活のために資するということですから、それに向かって努力をしようということを申しております。 具体的な改善項目を申し上げましても、多分委員の方がお詳しいと思いますので、そういう気持ちで取り組んでまいるということを申し上げさせていただいた次第でございます。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 近年の社会状況の変化を受けまして、委員の御指摘のとおり各種の法律関係がますます複雑多様化、高度化しておりまして、これに伴いまして国民の司法に対する期待がますます高まり、法的紛争を公正な法定手続で解決するという司法の役割は一層重要性を増すものと認識しております。 裁判所といたしましては、このような司法に対する国民の期待に的確にこたえられるような体制を整備していく必要があるというふうに考えておりまして、これまでも国民の利用しやすい裁判を実現するため裁判の運営の改善に取り組むとともに、事件処理のために必要な人的、物的な体制の整備の面でも必要な施策を講じてきたわけでございます。裁判所といたしましては、法的な紛争の適正迅速な解決を図るという司法の使命を果たしていくためにもさらに努力をしてまいりたいと考えている次第でございます。 このような司法の使命を果たすために、裁判所の人的機構及び物的設備の整備充実、それからその他司法の適切な運営に必要な先生御指摘の予算の確保ということが必要であるというふうに考えております。そこで、裁判所の予算のあるべき姿を考える場合には、国家予算に対する比率という観点からではなくて、裁判所の需要が現実に裁判所予算に十分計上されているかどうかという実質的な観点から吟味、検討されるべきものというふうに考えております。 ただ、経済情勢や社会情勢の変動、国民生活の多様化、複雑化等、委員御指摘のいろいろな状況を反映いたしまして、近年裁判所に係属する事件の数が増加いたしまして、内容も複雑困難化しております。このような負担が増大する中で、事件の適正迅速な処理に支障を来さないようにする必要があるというふうに考えているところでございまして、裁判所はこの点に立ちましてこれまでも司法の運営に必要な予算の確保に努力してきたところでございますが、さらにこの努力を今後も継続していく必要があるというふうに考えている次第でございます。
○千葉景子君 基本的なお考え方は今伺いましたが、その御認識のもとにやるべきことがこれから山積をいたしているだろうと思いますので、またその点については個々いろいろな機会にお伺いをしたいというふうに思います。 もう一点は、きょうは司法資料の保存の問題についてお尋ねをしたいと思います。 実は私、この法務委員会と同時に行政監視委員会に所属をさせていただいておりますが、先般、行政あるいは国のいろいろな運営について地方の皆さんの御意見を聞こうということで地方公聴会を開催し、私も参加をいたしてまいりました。 その際に、司法に対する要望というが御指摘として、司法資料の保存が十分に行われているかどうかという問題がございました。私もしばらく以前にこの問題の話は伺ったことがあったんですけれども、改めて確認をさせていただきたいというふうに思います。 そこで、時間の関係もありますので、個々解説をしていただいていると余り時間がないかと思いますが、一つはまず民事の司法資料の保存でございます。これについては、民事の方は法律がございませんで、最高裁の事件記録等保存規程というものに基づいて行われると私も承知をしているわけです。そして、それによって一定の年数、記録、裁判書、判決の原本等、それぞれ分けて保存期間が定められているところでございますが、簡潔でよろしいですけれども、その実情についてちょっと御説明いただけませんでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 現在、裁判所においては、民事訴訟記録それから判決原本等の司法資料につきましては、委員御指摘のとおり事件記録等保存規程というのがございまして、それに基づいて保存をしているところでございます。 この保存規程の四条におきまして、訴訟記録の保存期間は十年、それから判決原本の保存期間は五十年というふうに定めております。この訴訟記録等の保存事務は、第一審の裁判所の担当部署、記録係でございますが、ここにおいて保存事務を行っておりまして、これらの庁に設けられました記録保存庫に保存されているという実情でございます。
○千葉景子君 この保存期間がそれぞれ十年、五十年と定められておりますが、この保存期間を過ぎた記録あるいは判決原本、これについてはやはりこの規程において特別保存ができるという規定が設けられております。これは今どのように運用をされているでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(浜野惺君) 今、委員御指摘のとおりでございますが、事件記録等保存規程によりますと、保存期間を過ぎました訴訟記録等は原則として廃棄するということになっております。 ただ、この保存規程の第九条におきまして、先ほど委員御指摘がありましたとおりでございますが、事件処理の関係で特に必要のある場合、これが第一項に規定しております。それからもう一つは、歴史的価値が高く保存の必要性が特に認められる場合、これが第二項に規定をしておりますが、この二つの場合には保存期間満了後もなお特別に保存することといたしているわけでございます。 この規定を受けまして、歴史的価値に基づく特別保存でございます、先ほどの二項保存と申しておりますが、この特別保存につきましては、弁護士会とか学術研究者等から要望がありました場合には、事件簿または裁判原本等、保存簿の当該事件の備考の箇所にそういう要望があったという旨を記載いたしまして、特別保存決定の際に十分に参酌する運用をしているところでございます。このような運用に基づきまして、各庁において適切な特別保存がなされているところでございます。
○千葉景子君 刑事の方もお聞きしておきたいと思うんですけれども、これは法律がございまして、刑事確定訴訟記録法というのに基づきまして保存がされているというふうに承知をいたしております。これも民事と同様、これは検察庁の方で記録を保存されるということになっておりますけれども、これも刑の重軽などによって保存期間が定められている。それは法的に担保されているわけですが、これも保存期間を経過したものについては今どのようになっているでしょうか、ちょっと実情をお聞かせください。
○政府委員(松尾邦弘君) 刑事の確定しました訴訟記録の保管については、先生の今御説明にあるとおりでございます。この保管期間が満了いたしますと、原則として廃棄されるということになります。 ただ、法務大臣は、保管記録等につきまして、刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料であるときは、その保管期間満了後これを刑事参考記録として保存する、こういう規定になっておりまして、それに該当するものは検察庁に刑事参考記録として保存しております。その保存した記録については、請求がありますと、学術研究等の必要性が認められる場合には閲覧に供している、こういうことでございます。
○千葉景子君 そこで、細かいことはちょっと申し上げられませんけれども、保存期間を考えますと、五十年とかそれぞれ確かにそれなりの長さがあるといえば長さがあるわけですけれども、やっぱり今の長寿を考えますと、そこでもう基本的に要らなきゃ廃棄をされるという状況になっているわけですね、手続上は。ただ、今お話を伺ったように、特別な保存とか参考記録というような形で必要なものはそれ以降も保存できる仕組みもある。 ただ、法的に例えば民事の方は必ずしも法律に基づいているわけでもございませんし、それからさらに保存期間を過ぎてもどういう記録を保存するかということになりますと、だれがどうやって決めるのか。それは、それぞれの担当者があるいは大臣のもとへそういう申請があり、これは非常に重要なものだという御判断をされているんだと思うんですけれども、やはりこの保存期間を過ぎたものをどうするかということについて、私も、ではどうするかという確たる結論を今持っているわけではありませんけれども、せっかくそういう重要な歴史的なものを保存しようというような考え方もある。だとすれば、それをもう少し法的な裏づけあるいはその判断基準とか判断をするシステム、いろいろ多様な識者も含めてどういうものを社会全体の財産として保存をしていくかというようなことを検討するシステム、そういうことが必要なんではないかというふうに思います。 それから、中にはそういう資料を保存しておく、保管する資料館のようなものをこの際検討したらどうかという意見も私も聞いております。 その点について、大臣、率直にこういう実態をお聞きいただきまして、少し検討してみるというようなことはいかがなものでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 委員が今おっしゃられましたように、刑事については刑事確定訴訟記録法においてどういうものは何年というふうに決められております。それはそれで一つの法律で決まっているのでこの面は一応整備されていると思うんですが、今御指摘のありました、ここは事務当局が書いてきた答弁にも書いてあるんですが、刑事法制及びその運用並びに犯罪の調査研究の重要な参考資料となる刑事参考記録については法務大臣が保存するものとしており、というんですが、私はこれを保存していいか悪いかと聞かれたことはまだないのでございます。これが大臣決裁になっているかどうか、ちょっとよく調べてみまして、これは例えば大臣が必ず決裁するとかいろいろなやり方があると思いますが、また研究資料ということになると、それは弁護士の方だとか学者の方だとかの要請もあると思いますので、どういうことができるか、ちょっと検討してみたいと思います。
○千葉景子君 私もどういう知恵があるのか、ぜひまた大臣とも機会がありましたらお話をさせていただきたいというふうに思います。何か従前からの資料が国立大学の方で保管をいただいていると、民事記録の方ですね、そういう経緯もあるようで、国立大学もそれを保管されていて、だんだんそれがふえていくということになりますので、これも限界があるだろうというふうに思います。 そういう意味では、何らか知恵を働かせていく必要もあるんではないかと思いますので、きょうはこの程度にとどめまして、ぜひ大臣にまた御検討方をお願いしておきたいというふうに思います。 ありがとうございました。終わります。
○委員長(荒木清寛君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。 正午休憩 —————・————— 午後一時十二分開会
○委員長(荒木清寛君) ただいまから法務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、法務及び司法行政等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○円より子君 円より子でございます。 まず、きょうは少年法の問題について大臣にお伺いしたいんですけれども、大臣は先日の法務委員会でも、少年法の改正問題について少年法の適用年齢のことについてお話しなさっていらっしゃいましたが、この適用年齢については幾つかの改正方法が可能かと思うんです。まず大臣は、例えば少年法の五十一条では、十八歳未満は刑の緩和ということで、死刑は無期刑、無期刑は十年以上十五年以下の懲役または禁錮という形になっておりますけれども、これを改正して十六歳、十七歳の少年も死刑、無期刑にするということもお考えなんでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 私は、今決まった考えを持っておりません。国会議員としては、それぞれ年齢を下げた方がいいとか下げない方がいいとか陳情をいただいたり、御意見もいただいておりますけれども、私がこの間も申し上げましたことは、少年法改正の議論というものが一般国民の間でいろいろ論議をされ、そうした要請が各国会議員のところにも多く寄せられるようになっていることでもございますし、また昨今の大変な少年犯罪の増加の傾向、特に年少少年の犯罪の増加ということがございますので、これはやはり検討をするべき事項であろうということで考えたわけでありまして、今御質問のように、何歳にしようとかそういうことを前もって考えているわけではございません。
○円より子君 それでは、この年齢といいましても、今私が申し上げたのは少年法第五十一条についてのことですが、もう一つ、少年法の二十条で検察官への送致、これは十六歳以上は送致できますけれども、十六歳未満はしてはいけないということがあるんです。この場合、このことを改正して十四歳、十五歳の少年の逆送の道を開くということも年齢についてのこれからの議論になってくるかと思います。また、もう一つは刑法四十一条、これで十四歳未満は罰しないという責任年齢のここを改正し、そしてあわせて例えば少年法二十条の逆送年齢も引き下げますと、場合によっては十二歳、十三歳の少年に対する刑事処分も可能というようなことになるんです。 今、大臣は、個人的には年齢引き下げをどうするかと考えていらっしゃらないとおっしゃいましたが、十二歳、十三歳あたりのことも、一応年齢をというときには考えていらっしゃるのかどうか、その辺だけちょっとお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) 私は、こういう極めて国民の生活に密着する、国民の人権に関係のあるような事柄については、特にやっぱり立法府、国会が御論議をして決めていくというのが一番いいという思想を国会議員として持っております。やはり国民の代表の立法府が法律をつくり、それを法務省、検察が行政担当者として執行していくわけですから、国会でお決めになることがいいわけです。 ところが、今、日本では議院内閣制という制度をとっておりますから、完全な三権分立とはちょっと違った形態になっております。その中で、憲法六十五条、六十六条の、行政は、内閣は連帯して国会に対して責任を負うわけですから、そして国会から選ばれて大臣になって、その役所を総理すると書いてありますけれども、総理するわけですから、それは役所において立案する場合もあると思いますが、立法府とよく相談して、こういうものを立案して、そして国会の御審議を願う、こういうものだと思っております。
○円より子君 前任の下稲葉前法務大臣も、少年法に対する基本的な考えを随分きちんといろんなところでお述べになっていらっしゃいます。では、今、国会に任せたいというふうにおっしゃっていますけれども、大臣自身の少年法に対する基本的な考え方、それから少年事件についてどう思っていらっしゃるか、その基本的な考えをお述べいただけませんでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 基本的には、こういう国民の生活に密接に関係する問題であり、国民の人権にもかかわることですから、国民の代表たる国会がお決めになった方がいいと個人的には思っております。ただ、こう言いますと、すぐ議員立法にするんだとか政府でやるとかいう御質問が来るものですから、今の議院内閣制のあり方についてちょっとお話をさせていただいたわけであります。 その中で検討すべきことは、今の少年法は少年の保護更生という観点から書かれているわけでございますが、やはりこれはいろいろな犯罪だとか安全を侵すというような観点から見れば、犯罪抑止というような面からの検討も必要なんじゃないかということも意見として実は与党には申し上げました。 また、今いろいろ年齢をおっしゃられましたけれども、年齢を引き下げるということ自体は二条の一項でやれば一つ下がる。下げようと思ったら下げることができる。二十条でも一つ、十四、十五のところが変えられる。そして、刑法の方の四十一条で変えられるということですから、それだけの法律を書きかえればそれは適用年齢は変わってしまうわけですが、そういうようなことでいいんだろうか。やはり極めて重要な問題だから、心身の発達の状態だとか教育だとか精神医学だとか心理学の角度からの検討も必要じゃないか。 そして、今申し上げた二条の一項、二十条、四十一条は互いに非常に密接な関係がありますから、それのどこをどうするということじゃなくて、全体としてどうするという御議論をいただいた方がいいんじゃないかというようなこと。また、他の法制に与える影響はないかというようなことを審議していただけたらいいんじゃないかなと私は思っているわけでありまして、私自身が今確定的にこの年齢をこうしたらいいというようなことを申し上げる自信は私にはございません。
○円より子君 残念ながら、今の大臣の御答弁からは、少年法やまた少年の保護育成、そうしたものに対する基本的なお考えは余りなくて、ただ議論をしていただきたいというふうにしか私には聞こえなかったんです。 それから、先ほど石渡議員の御質問の答弁の中でも、今もそうなんですが、国民の基本的人権や生活に大きなかかわりがこれはあることだとおっしゃっていますけれども、ここから読み取れるのも、どうも少年の立ち直りというものよりも、一般の人々のもちろん人権や生活も大事なんですが、そちらの社会防衛の方を重視されているように私には聞こえました。 アメリカでも、非行少年の保護とかそういうことよりももっと厳罰に処すべきだという状況になってきまして、どんどん厳罰主義に移行したことによって、もちろんそれは社会防衛の方を重視したからなんですが、逆に犯罪少年の固定化が進んだのではないかということも言われておりますけれども、少年法やまた少年審判の機能といいますのには、司法機能と保護教育機能とがあって、その相互のバランスが大切ですし、少年院やまた家裁の関係者にも随分お話も聞き視察にも行かせていただきましたけれども、上手にバランスをとりながら日本では機能してきたというふうに思うんです。 それで、一つ大臣が御心配なさっているのは、少年犯罪がふえ、そして凶悪化して、人々の生活が脅かされているのではないかというふうに今おっしゃっていますが、私は、厳罰主義で科しても少年犯罪が減るとは思えません。ましてや、年齢を下げてそれで少年犯罪が減ると考えるなら、逆効果ではないかというぐらいに思っているんですけれども、本当に少年犯罪がふえ凶悪化したのか、数字をちょっと挙げていただきたいんです。凶悪犯に関してで結構です。
○政府委員(松尾邦弘君) 今、手元にその具体的な数字を細かく分析した資料はございません。 全体的な傾向を申し上げますと、戦後、少年犯罪については山が三つあった、こう言われます。戦後間もなくと、あとは三十年代、四十年代、それから平成七年からまた少年犯罪が、少年の特定年齢の中に犯罪を犯した少年の比率、この人口比で見ますと上昇に転じたということがございます。 その三つの山のそれぞれ特徴がございますが、最初の二山の方は、主として年長少年、十八歳、十九歳というところの犯罪が急増した時期でございました。最近は、どちらかといいますと、先ほど大臣の説明の中にもありましたが、中間少年といいます十六、十七歳、あるいは年少少年と我々言っております十四歳、十五歳、ここらあたりの少年犯罪が人口比にすると増加に転じているということがございます。 それから、その犯罪の内容を見ますと、特に年少少年、中間少年でございますが、強盗といったたぐいの非常に重大な犯罪といいますかそういったものの比率、あるいはそういった犯罪をとってみた場合の伸び率といいますか、こういったものは比較的顕著であるというようなことが言えるかと思います。 具体的数字を申し上げられなくて恐縮でございますが、以上でございます。
○円より子君 少年犯罪はずっと減っておりまして、最近ちょっとまたふえてきているというところで御心配なんだと思いますが、例えば今強盗がふえているとおっしゃいましたが、ちょっと警察にお聞きしたいんですけれども、強盗の中で路上強盗がふえているということ、おわかりになりますか。おわかりにならない。では結構です。 平成五年は強盗が七百十三件、平成九年は千六百七十五件、確かに倍以上ふえているんです。このほとんどが路上強盗というもので、かつては恐喝罪で逮捕されているものなんですけれども、今なぜそれが恐喝じゃなくて強盗の項目に入っているかといいますと、私たち強盗というのを聞きますと、家の中に押し入って、そして家族の人たちを縛り上げて何か物をとっていくというようなイメージがあって、強盗がふえているというと、大変だ、大変に凶悪になってきていると思うんですが、実は、そのほとんどは路上でカツアゲみたいな形で、おまえいい時計しているな、ナイキの運動靴おれによこせみたいな、そんな形のもあって、じゃなぜそれが恐喝ではなくて強盗なのかということをちょっと警察にお聞きしましたら、ナイフを使ったり刃物を持っているので強盗という形になると。 その中で、じゃ実際に強盗の中で物をとっただけじゃなくて相手にけがをさせたのかという形で聞きますと、これは、平成五年から六年では一七・八%ふえておりますけれども、逆に六年から七年ではマイナスで減っているんですね。そして、残念ながら、その後、平成八年には七年度よりも三〇%もふえ、そしてまた八年度よりも九年度は六〇%もふえている。 確かに、ここで人を害するということが出てきているんですが、これは実は去年は神戸での事件もありました。その後、学校の女教師を子供がバタフライナイフで殺してしまうという残念なとても痛ましい事件もありました。その中で、バタフライナイフということがマスコミで大変取り上げられまして、ちょっと格好いいな、持ってみたいという子供たちもいたのではないかと私は思うんです。 そういうふうな状況下で昨年急激にふえましたけれども、これはことしどうなのか、来年どうなのかというのをちょっと見て、本当に強盗の中の強盗傷人という形の事件がふえるのかどうか、その辺も見ないと、本当に凶悪犯がふえているというふうには思えない。それだけで年齢を下げたり少年法を変えるということは早計に過ぎるのではないかという気がするんです。強盗だけじゃありません。殺人についても、八年から九年は逆に一割減っております。 そういう状況を見ますと、どうもマスコミ等で凶悪な少年事件がふえ始めているということが言われ過ぎる、そういう傾向があるのかなと考え、それにすぐに乗って少年法を変えて厳罰に処するということはいかがなものか、ぜひとも慎重にやっていただきたい、私は、その数字のマジックということも気にかけながらやっていただきたいと考えております。 それからもう一つ、少年審判制度のあり方が問われている背景には、事実認定の困難さというものがあると思うんです。 これは、日弁連等の法曹三者による少年審判に関する意見交換会の中でも出てきていることですけれども、非行事実を認定するのに多くの困難を伴うと見られる重大事件の審判結果がマスコミに大きく取り上げられ、そして少年審判における事実認定が大問題になってきた、社会的な耳目を集めてきた、こういう背景が今回の少年法改正の後ろにあると思います。 これについて、もちろん最高裁やいろいろ立場によって御意見は違うんですけれども、非行事実の認定の困難さについては、日弁連は、その根本原因は捜査にあると言っているんですけれども、私も、いろんな少年事件で、例えば今言ったような路上強盗とかそういったもので捕まった子供たち、そして警察で二日間取り調べを受ける、そういったときに立ち会って、その後の家裁の審判にも立ち会っている弁護士さんたちから御意見をいろいろ聞かせていただいたんですが、防御力の弱い少年の特性もありますし、それから捜査機関の少年の人権無視、軽視、自白偏重、令状発付や証拠の洗い直しに関する裁判所のチェックの甘さ、付添人がほとんど選任されていない、こういったことがあつく、子供の最善の利益とか子供の参加、適正手続において問題が出てきているのではないか。また、捜査に自白偏重とかそういうものがあって、子供の意見表明権が十分に保障されていないんじゃないか。 よく、被害者の人権が全く守られていないのに加害者の人権ばかりがなぜ守られている、少年であってももっと厳罰に処すべきだという、被害者の人権というところからもこの少年法の改正問題が出てきているかと思うんですけれども、後で被害者の人権救済については質問させていただきますが、まず加害者と言われる、被疑者になった少年たちの人権も、どうもこの日本では余り尊重されていないんじゃないかなという気がするんです。 警察にちょっとお伺いいたします。 まず、どうも強盗を働いたのではないかという被疑者が逮捕されるというか、警察で取り調べを受けるというときに、この二日間で黙秘権とか弁護士がつけられるんですよといったことはきちんと少年に告知なさるんでしょうか。
○説明員(村上徳光君) お答えを申し上げます。 少年事件捜査に当たりましては、少年の健全育成の精神を持ちまして少年の特性に十分に配意しながら行うこととしております。 御指摘の点につきましても、供述拒否権等の告知の際には少年にもその内容がよく理解できるように取り調べ官の言動には十分な配意をしているところでございます。
○円より子君 子供たちのわかりやすい言葉でおっしゃっていますか。どういう言葉で大体おっしゃっているんでしょうか。
○説明員(村上徳光君) 一線におきましては、ただいま申し上げましたように当該被疑少年が理解できるようなわかりやすい言葉で供述拒否権また弁護人の選任権等について説明をしております。
○円より子君 大人でもそうなんですけれども、日本人というのはなかなか自分の権利を守るのが下手でございまして、子供たちが捕まってしまった、警察に呼ばれた、周りじゅうおまえは何か悪いことをしたんじゃないかというような人たちがいる中で、きちんと弁護士をつけるまで話さなくたっていいんだよとか言ってあげたときに、じゃ弁護士ってどうやってつけるんですかとか、そのお金はどうするんですかと聞き返せる子はそんなに多くないと思うんですね。そういうときはどういうふうに言っていらっしゃるんですか。
○説明員(村上徳光君) 先ほど申し上げましたように、少年から質問があれば質問に対して答えますし、被疑者となった少年にはこういうような権利があるんだということを、私そのままの言葉では申し上げませんけれども、少年にわかりやすく説明するように現場には指示しているところでございます。
○円より子君 家裁へ行くまでは成人の刑事手続と同じということですから、身柄を拘束された人はいつでも弁護人の援助を受ける権利がありますね。そういうときに、当番弁護士を呼んでくださいと言ったり、それを知っている少年は少ないわけで、それを丁寧に教えられても、付添人というのが家裁でも本当ついていないんですけれども、その取り調べのときに弁護士がついている件数、パーセンテージ、どのくらいあるんでしょうか。
○説明員(村上徳光君) 取り調べのときには弁護士がそこに付き添っていることはほとんどありません。 警察といたしましては、例えば現に少年を伴って警察に来られた保護者の方があるような場合、こういう場合には少年に無用の緊張を与えることを避け、あるいは事後の健全育成についての協力をお願いするという趣旨から、やむを得ない場合を除いては当該保護者等に立ち会っていただくなど個別の事案に応じ保護者の方などの立ち会いに対する配慮をしているところでございます。
○円より子君 じゃ、ほとんど保護者が立ち会っているんでしょうか。
○説明員(村上徳光君) ケース・バイ・ケースでございまして、保護者の方で立ち会いをしたいといった場合等について、また保護者の方にも警察の取り調べ官の方で立ち会いをなさいますかということをしているところでございます。
○円より子君 綾瀬事件のような場合には親が会いたいと言っても会わせてもらえなかった、そういったケースもあると聞いておりますし、そもそもこれは親の問題でもありますけれども、そういった非行に走っている子供に対して、もう親の方が手をやいているというケースも残念ながらあると思うんですね。 そうすると、親が付添人、弁護士を頼むということをきちんとしてくれなかったり、先ほど大臣が司法へのアクセスが日本ではなかなかしにくいということもおっしゃっていましたけれども、実際に成人でも弁護士の知り合いがいる人は少ないですし、弁護士をつけるということが物事を大ごとにしてしまうのではないかとすら考える方が多くて、できれば警察や裁判所の厄介に一生なりたくないという人の方が日本では残念ながら多い。もちろんその方がいいのかもしれませんけれども、それもその方がいいなんという考え方があるから余計弁護士さんをすぐつけるということができないのかもしれませんが、二日間の勾留でどうなるんだよとか、そういった話も全部していらっしゃるのかどうか。 それから、子どもの権利条約で、留置する場合には成人と分けなければいけないと規定されていますが、これは成人房と少年房にきちんと分かれているのかどうか。また、よく言われている留置場、つまり代用監獄ですけれども、そういったものにもう一日検察庁には行かずに勾留される、その後どうなるのか。そういったあたりの説明はきちんと子供たちになさっているんでしょうか。
○説明員(村上徳光君) 被疑少年に対しましては、その扱いにつきまして、十分と言えるかどうかわかりませんが、なるべく本人にわかるように説明をしているところでございますし、また少年と成人の房につきましては分けております。
○円より子君 大臣は、家裁での少年事件の審判のときに付添人というのがきちんと子供たちについていることを御存じでしょうか、それとも付添人をつけられるシステムがあることは御存じでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 細かい手続については存じません。
○円より子君 残念ながら、私も調べさせていただいてからわかったんですけれども、少年事件では一・五三%しか専門家の付添人がついていないんですね、専門家じゃなくてもなんですが。それで、凶悪犯と言われている殺人でさえ、もちろんこれが一番たくさんついているんですが、五八・五四%、強盗で二五・二五%、強姦で三五・七六、放火で一五・二二というような状況でございます。 裁判のような形態で検察官がいてという形ではもちろん少年審判はないんですけれども、そういう中に少年たちが弁護士もなしできちんと自分の主張が言えるのかどうか、意見表明できるのかどうか、大変私は疑問に思います。できれば警察のまず警察活動要綱の中で少年の保護者の立ち会いを保障し、自白偏重や代用監獄の使用をやめるということ、また検察官による警察の捜査のチェック、裁判官による捜査のチェック等が厳格になされるべきであること、そして今言いましたような、捜査、審判を通じて少年が弁護人や付添人の援助を受ける権利を実質的に保障するような国選弁護人制度を、成人の場合は刑事事件にはあるわけです、早急に検討し確立する必要があるのではないかと思うんですが、少年法の年齢引き下げ等の以前にここが大事なのではないかと思うのですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) それは今、以前とか以後とかいうことでなくて、少年審判手続の事実認定のあり方について審議をしているわけです。その中で当然議論をされてくる問題だと思います。 委員の御意見は御意見として承りますけれども、現実問題としてはいろいろ問題があるようでございまして、年間二十万件の少年が家庭裁判所に送られてくるというような数の中で、窃盗等の軽微な事件であってもそのすべてに弁護人、弁護士たる付添人をつけるということが現実的かどうかという議論もあると思います。 いずれにいたしましても、今審議をしておりますので、その審議の結果を待って、具体的な法律にするときはそれがどうなるかということになってくるわけでございますが、弁護士をつけるからといってそれがすぐ国選弁護人ということになるのかどうかということもちょっと疑問に思います。
○円より子君 確かに少年事件が多くてとても手が回らない、そういうふうに大臣はおっしゃっていますけれども、例えば訓戒指導などの教育的な措置で終わらせる審判不開始決定とか、それから審判を開いても少年院などには送らない不処分決定が七割強を占めておりますから、それほど弁護士が必要な事件というのは数はないわけですね。そういう中の特に凶悪犯と言われている事件に関してすら二七・四〇%の付添人しかついていないという事実を重く見ていただきたいんです。ですから、これから検討するからということではなくて、ぜひとも大臣に、少年というのは、被疑者であっても被害者の方であっても同じようにまだまだ親や社会や司法やさまざまなかかわる人たちの配慮によって立ち直っていく可能性というのがもう十分あると私は思いますので、ぜひともそういったこれからの未来を背負う子供たちのために配慮をお願いしたいと思っております。
○国務大臣(中村正三郎君) まさにその事実認定手続のところの審議をしているわけでございまして、今、委員の御意見は御意見として伺って、この中にも法制審議会にメンバーで出ている人がおりますので、それでこれは前大臣が法制審議会に諮問しておりますので、そういう中で、当然議員のような御意見があったということは皆頭に入れて審議にかかると思います。
○円より子君 それでは次に、今、私は被疑者とか加害者の側の少年の人権についてお伺いし、またその子たちを何とか更生させるための少年法であってほしい、そして少年法が厳罰主義に陥らないで、なおかつ子供たちの非行を減らしていく方法を皆さんで英知を集めて、法曹三者だけじゃなくて教育関係者、児童福祉関係者、さまざまな方たちと審議していただきたいということがあってお話をいたしましたけれども、今度は被害者の側の救済ということについてお伺いしたいと思います。 まず、昨年、神戸の中学生による小学生連続殺傷事件がございまして、医療少年院送致になったその加害者の少年の検事調書とされる供述内容が月刊誌に掲載されたことで、少年のプライバシーの保護ももちろん問題ですが、被害者への配慮もあれは大変欠けていたと思われます。被害者の御家族がもう大変つらい思いをなさったと。 こういった事件で、そのときの法務大臣、また法務省が月刊誌を出している会社に警告をなさいましたけれども、そのときに、法的措置も検討するとおっしゃっているんですが、その後この法的措置というのは何か検討が進みましたか。
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。 マスコミの少年事件に関する行き過ぎた報道によりまして関係者の人権が侵害されたと認められる場合には、法務省は、人権擁護機関として当該報道機関等に対し反省と再発防止を求める勧告を行うなどの処置を講じてきたところであります。しかしながら、勧告等には法的効力がなく、果たしてこのような現行の救済制度で十分であるのかどうかという問題のあるところであります。 人権擁護推進審議会におきましては、現在、衆議院、参議院の各法務委員会の附帯決議を踏まえまして、人権教育啓発施策についての調査、審議を中心に行っているところでありますが、マスコミの少年事件に関する報道等が問題になっております現下の情勢などにかんがみ、被害者救済施策につきましても、その円滑かつ効果的な調査、審議に資するため、審議会に人権救済制度検討準備委員会が設置され、人権救済制度に関する資料の収集、整理を進めるなど、その検討準備がなされているところであります。 こうした検討準備をもとに、今後審議会におきましては被害者救済施策についての審議が進められるものと承知しておりますが、その答申等も踏まえまして、勧告等の現行の救済制度で十分であるのかどうか、法的措置の必要性も含めて今後具体的に検討してまいりたい、そのように考えておるところでございます。
○円より子君 被害者または被害者の家族にとっては、真相もその背景もわからなくて、ただ怒りと悔しさと悲しみの中に突き落とされる、そういう人たちに本当にどう配慮していくかというのはとても大きな問題だと思います。 そういう中で、少年事件等に関しては特に審判に被害者の家族なりが傍聴とか立ち会うとかということができないかとか、また審判内容を公開してもらえないかとか、そういった御意見も随分出てきておりますけれども、これを少年事件に関してだけではなくて、被害者の立場の方たちや、今裁判がどうなっているのか、また警察の取り調べがどうなっているのか、そういうことに関して皆さん知りたいという要望は大変最近強くなっていると思うんです。 この被害者等通知制度というのが今広がっていると聞いておりますけれども、この辺についてどの程度これから、指針が必要と法務省も言っていらっしゃいますし、またイギリス等ではこんな通知だけではなくて被害者憲章というものがもう制定されておりまして、被害者の保護というのは国家の責務だと考えているんですが、このあたりについて、今の被害者通知制度の実態をお話しいただけませんでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 最近の交通事故の被害に遭った少年の関係、隼君事件と言っておりますが、それを契機にしまして、委員お尋ねのような被害者あるいは被害者の家族に対するケアはどうなっているのか、その中で特に事件がどうなっているのかについての通知はどうなっているんだろうかという御疑問が非常に強くなってきておりまして、それに対しましては、検察におきましても、そういった社会における関心あるいは批判を率直に受けとめまして、被害者通知制度を今整備しているところでございます。 従来何もやっていなかったということではございませんで、検察当局におきましても、従来から、交通事故に関する業務上過失致死傷事件につきましては、検察官が相当と認める場合には被害者等に対しましていろいろな方法で刑事事件の処分結果等を知らせてきたところであります。 また、これは全国に五十ある地方検察庁で若干その対応が異なるわけですが、犯罪被害者に対する配慮からも処分結果等を通知する被害者通知制度をかなりの庁で導入してきております。現在のところ、五十庁のうち三十七庁でこの制度が実施されているということでございます。 隼君事件を契機にしまして、この被害者通知制度につきましてももう少し制度的に整備をする必要があるだろう。それから、全国的にも多少その地域の特色なりなんなりでその差があるということはあるかもわかりませんが、それにしましても基本的なところはそれほど差がある制度もまたおかしいわけでございまして、そうしたことに留意しながら、今最高検察庁を中心にしましてこの制度の全国的にある程度の統一がとれたものを導入すべく鋭意検討中ということでございます。
○円より子君 ありがとうございます。 同じような被害者の中に、特に性的な被害者である女性たちは、警察でその強姦されたことの話をし、そしてまた裁判所で話すというようなことで、二次的にまたセカンドレイプですとかサードレイプだとか、そういうふうにされていくのがとてもつらいというようなことをおっしゃって、告訴もしない、警察にも訴えない、そういうケースが今まで大変多かったように思うんです。裁判所では、例えば実名が出てしまうので嫌だとかで告訴をしないとかというようなケースもあったりしますので、そういった犯罪の被害者に対する運用面でどういつだ配慮をしていらっしゃるか、また、これからその辺の検討をどうなさるか、ちょっとお聞きしたいと思います。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) お答え申し上げます。 犯罪の被害者の立場は、被害に遭っただけでも大変つらく悲しいものがございますのに、さらに裁判の場で被害の模様を微に入り細にわたり尋問を受けることがございますために、ますます苦痛を受けることになると言われております。そういった被害者の立場を考えますとき、できる限り苦痛を和らげるような配慮が裁判所にも望まれますことは裁判官たる者ひとしく承知をいたしているところでございます。 ただ他方、裁判を受ける立場の被告人につきましても、例えば公開の裁判を受ける権利あるいは証人尋問の権利というものが憲法上保障されておりますので、なかなか難しい問題となるわけでございます。 両者を両立させるべく実務におきましてはいろんな工夫がなされているところでございます。例えば性的犯罪の被害者の場合には、一定の要件のもとに憲法の規定に基づきまして非公開とすることができるわけでございます。そういった形で保護をするということがもう既に憲法上予定されているわけでございますが、ただこの場合、先ほど申し上げましたように一方では公開裁判という要請がございますので、その証人尋問の初めからすべてを公開禁止にするというわけにはまいりませんで、まさにその犯罪行為そのもの、あるいはそれに近い尋問のところから公開を禁止するというような扱いになります。その意味では若干不十分ということになるかもしれません。 そこで、もっと完全な形でと申しますか、被害者の保護を図るために、一定の要件がある場合には公判期日外に裁判所外で証人尋問を行うことができるという刑事訴訟法の規定を活用いたしまして、公判期日外に証人の住所に近い最寄りの簡易裁判所などで非公開のもとに例えば性犯罪の被害者であるとか年少の証人の尋問をするということが考えられまして、これは現実によく行われているところでございます。ただ、こういった配慮ができるためには弁護人の理解と協力が欠かせないところでございます。 それから、いろいろございますが、細かいところでは、例えば証人が被告人であるとかあるいは特定の傍聴人の前では供述しにくいという事情があります場合には、証人尋問の間その者を一時退廷させるということができますので、そういった規定を活用することも行われておりますし、それから尋問の場合に被害者の住所が加害者側に知れないように、例えば証人尋問のときには被害者の住所をあえて言わせないとかというような配慮も日常的に行われております。ただ、この場合も弁護人としては被害者の捜査段階における供述調書を閲覧しておりますので、弁護人についてまで被害者の住所を秘匿するということは現実問題として困難でございまして、この点は弁護人の良識にまつほかないということが現実でございます。 従来から、性犯罪の被害者であるとか、あるいは年少者が証人であるような場合には、裁判所としてもいろいろ運用上の配慮をしてきたところでございますが、委員仰せのとおり、今後とも被告人の防御権にも配慮しつつ被害者の保護を徹底していかなければならないと考えております。 以上でございます。
○円より子君 さまざまに今後も配慮をしていただきたいと思っております。 それと、性的な犯罪の被害者だけではなくて、例えば突然交通事故で子供を失った方の悲しみとか苦しみとか、そういったもののやはり被害者の側の、被害者の家族の側のサポートシステムというのが日本は本当に欠けているのではないかなという気がするんです。例えばアメリカでは犯罪被害者のサポートセンターが千以上もあると聞いております。大変手厚い体制ですが、日本でやっていらっしゃる私の知り合いは、日本で本当に専門家がやっているところは二、三カ所でとても人的にも資金的にも間に合わないという状況があると言っていらっしゃいます。 そこで、例えば警察の方で神奈川や大阪等で随分性的な被害者に対する相談のホットラインとかそういうのが手厚くなり、また被害者の側に資金を提供するような形も始められておりますけれども、とてもそれだけでは足りないのではないかということがあるんですが、今警察側のサポートシステムはどのようになっておりますか。
○説明員(五十嵐忠行君) お答え申し上げます。 性犯罪捜査における被害者からの事情聴取等そういった捜査のことでございますが、被害者の尊厳を傷つけずに精神的な被害とかあるいは負担をかけないということが必要であることは申すまでもないわけでございまして、女性警察官というのはそういった面で被害者の精神的な負担を和らげるためにはその活用が非常に不可欠だというふうに考えております。このため、現在、全国で約千九百人に上る女性警察官を性犯罪捜査、事情聴取等に活用している状況にございます。 また、具体的な運用面では、例えば大阪府警察とか神奈川県警察などにおきましては、性犯罪捜査指導係に登用した女性警察官をチームとして運用して成果を上げているとか、あるいは警察本部、警察署に配置されております女性警察官を効果的に運用して、被害者に配慮した実効性のある性犯罪捜査を推進しているという状況でございます。
○円より子君 今後、警察の事情聴取等にかかわる方々、それから裁判所、弁護士さん、すべて法曹界等もそうなんですが、そういう方たちも含めて相談にきちんと乗れる、そしていやしができるような人たちをふやしていく教育と、それから本当に被害者の支援、サポート、そういうことにもう少し公的機関がかかわり援助していく支援システムを早急に打ち立て、また予算もそこに投入していただきたいなと思うんですが、被害者の人権を守る側、家族の苦しみを和らげる、そういったことに対して、法務大臣、少し御意見があればお願いいたします。
○国務大臣(中村正三郎君) すべて先ほどから御議論があっていることで、いろいろ裁判所、警察がお答えになっておりましたけれども、こうした国民の人権にかかわることは、やはり役所におまえたちどうするんだと言われてもなかなか答えられない部分があろうかと思うんです。 それで、今の被害者をどう救済するかということですが、そうなりますと被害者の方、これは阪神大震災のときの災害でも論じられたことですが、そういう例えばつじ切り強盗に遭ったとかいろんな被害を受けた方の損害をどこまで国民がお互いに助けていくんだ、税金が投入できるんだという基本的な問題にぶつかると思うんです。そういうところをこうするべきだという御指示をいただけるのは私は国会しかないと思っているんですよ。それを役所に言われてもなかなか難しい。予算を投入しろと言われても、予算は国会の御承認がなければできないわけですね。そして、先ほどの法律扶助制度みたいに裁判を受ける権利というのが憲法で明示されておりますと、それはそれなりの予算を投入するバックがある。そして、それじゃ皆さん犯罪を受けて被害に遭った方を救済するということが、それは国民の基本的人権だから全部税金でやれるのかといういろいろな深い御議論があるところじゃないかと思うんです。 そういう中で、今御指摘ありましたようなことを踏まえまして、私どもとしては行政の範囲でやり得ることを一生懸命やるといったことだと思いまして、そういうことが先ほどから警察なり裁判所でお答えになっている内容になると。法務省としても、できる範囲で一生懸命人権救済等に当たる、こういうことだと思います。
○円より子君 法務大臣として、被害者の側の人権が今まで日本では本当に法務省も裁判所もすべて含めてどちらかというとそこへの法整備が私は希薄だったと思いますので、ぜひそれをやっていきたいというふうにおっしゃっていただきたかったんですが、ちょっとそれはもう終わりにいたしまして、一言最後に大臣にお聞きしたいことがあるんです。 大臣の何代前でしょうね、随分法務大臣がかわられるんですが、長尾立子法務大臣のときなんですけれども、その間に松浦先生がいて下稲葉先生がいて、もう三代以上前になってしまいますが、そのときに法制審から民法改正の答申がございまして、それを長尾さんがお受けになったんですね。そのとき私の質問で、こういう女性たちが働くのが当たり前になり、そしてそういう中で社会の要請、時代の流れ、さまざまな変化の中で、女性たちが働きやすい状況、また女性の人権の一つとして民法改正の中の別姓の問題とか、それから子供たちの人権として嫡出子と非嫡出子の差別が解消されるとか、そういった民法改正の答申を受けたことは大変名誉に思いますというような御答弁をなさったんです。すぐさま、これは法務省の責任ではなく国会の方の側なんですけれども、この法案が通るように尽力したいというようなお言葉があったんですけれども、この民法改正について法務大臣にもぜひ今後積極的に努力していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 大変御議論の分かれるところの話でございまして、やはりこれもたしか野党から議員立法で法律が提出されているんですね。それはまさに国会の御議論をいただかなければ、我々聞かれても、一人一人意見を聞けば個人的に賛成である、反対であるというのはあると思うんですよ。そういう中で役所にこれを進めろといっても、なかなか難しい問題ではないかと思います。
○円より子君 時間ですので終わりますけれども、議員立法は議員立法で私たちやりますけれども、法務省が出されているんですよ、法制審で、法務大臣の諮問機関で出されたものなんですよ。それをどうなさるのかということを聞いているんです。
○国務大臣(中村正三郎君) 法制審の会長は私でありますので、その答申は私の前の大臣のときだと思いますので私まだ見ていませんけれども、後でよく見てみます。 それと、やはり夫婦別姓とかこうした国民の基本的人権にかかわる問題は、私は役所の人にいろいろ聞いてもなかなか難しいと思いますよ。法制審議会もこれは行政機関ですから、その点けさも申し上げましたけれども、これは法務省の組織令に書かれた行政機関であって、私が長で、中でやっているのは半分近くがお役人がやっているわけですから、そういうところにこうした基本的人権の問題をどっちに決めるということを言われてもなかなか難しい。やはりこういうことは国会で御論議をいただいてお決めいただくのが私は一番いいんじゃないかと思います。
○円より子君 委員長、よろしいですか、一言だけ。 法務大臣の諮問機関で民法改正をやってほしいとおっしゃったのは法務大臣なんですよ。そして、そこから出てきた答申を何とか国会に上程してそして議論をしてほしいとおっしゃるのはあなたなんですよ。ちょっとそこを間違えないでいただきたいと思います。 終わります。
○国務大臣(中村正三郎君) 私のときの答申じゃないものですから私はかかわっていませんけれども、それはよく調べてみます。そして、どういうふうに対応するか考えてみようと思います。
○大森礼子君 公明の大森礼子です。 きょうの論議を聞いておりましても、少年法をめぐることにしても、何かわかったようでわからない。国会を非常に大事にしてくださっているというのはありがたいのですが、国会議員はオールマイティーな人間ではないということも事実でございます。 先ほど、円委員の終わりに、役所に聞くよりも国会で論議した方がいいというふうにおっしゃるんですけれども、じゃ議員立法が一番いいのかというとそうでもありませんで、特に刑罰を伴うような議員立法、ひどいものは非常にたくさんございます。余りほかの法案を批判したくないんですけれども、今児童ポルノ法案というのが出ております。私も見ましたけれども、刑罰に関する規定が多くあります。構成要件とか非常に不明確でありますし、国外犯処罰なんかもどうやってこれを実践するのかなというのもあります。 やはり大事なことというのはもちろん国会で最終的に決めるわけですけれども、知らないこともあるわけですから、大事なことは現場の意見、専門家の意見というものを十分反映できるシステムが大事なのではないかなというふうにまず思います。国会を大事にしていただいてありがとうございます。それはお礼申し上げます。 この少年法の改正案をめぐって石渡先生もお聞きになって、大臣も予算委員会の方でも公明の高野委員の質問に答えたりされているんですが、余りよくわからない。 端的にお尋ねいたします。少年法改正案は次期通常国会に提出予定と考えてよろしいわけですね。それで、その中には年齢の部分が含まれるのか含まれないのか、いかがでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) 今、法制審議会に諮問いたしました部分については次期通常国会に間に合うペースで案がつくれるんではないかと思っております。 そして、年齢の問題につきましては、これは今与党と御相談を始めたところでございまして、これをいつまでに完成させるとか、いつまでに出すということは、時限を区切ったようなやり方で考えてはおりません。ただ、少年法に関する国民の関心は非常に高いわけでございますので、それは法改正のときに一緒に提案できればいいと思いますが、それをやるんだという日にちを区切って検討を始めているということではございません。
○大森礼子君 そうしますと、その年齢の部分、間に合えば出すということかもわかりませんけれども、年齢の部分について法務省の方から出すとか、そういう準備作業は進めていないということでございますか。
○国務大臣(中村正三郎君) 法務省としては昔から部内では検討はずっと続いてきたことだと思います。思いますが、今、大臣になりましてから法務省に示しました私の方針は、例えば家庭裁判所のあり方、事実認定手続のあり方、こうした非常に技術的な部分、また何と申しましょうか、もう既に前大臣が諮問をしている部分、こういったものについては、先ほどからいろいろ御議論がありますように、検察官がどういうふうにかかわるか、また弁護人がどういうふうにかかわるか、また裁判のやり方がどうかということで、これは審議会にいろいろ御検討いただくにふさわしい問題じゃないかというふうに考えるわけでございますけれども、適用年齢をどうするかということは、これはなかなか法理論ではないと思うんです。 そこで、やっぱり教育の面だとか心理の面だとか、いろんなことがあると思いますけれども、こういう国民の重大関心事でありなおかつ基本的な人権にもかかわる重要な問題は私はやはり国会でお決めいただくのがいいと思いまして、なかんずく与党で御審議をいただきたいということで与党と連絡をとったわけでございます。
○大森礼子君 今、年齢の問題については法理論ではないというふうにおっしゃったんですかね、大臣。うなずいておられる。そうですね。
○国務大臣(中村正三郎君) 法理論というのは法技術論ではないということでございます。だから、法律をどういうふうに組み立てるかという議論ではなくて、どうしてこの年齢がこういう年齢であるか、そしてその年齢がどういう年齢であるべきかというようなことは、法の技術論ではないと思うわけでございます。
○大森礼子君 まさに法技術論ではないと。審判のあり方等についてはいわば手続法の問題であります。この少年の刑事責任能力といいますか、十四歳、これはいわば実体法の問題であります。それで、これについては非常に重要な問題といえばそのとおりなんです。重要なんだから逆に専門家、学識経験者の意見とか現場の方の意見を十分聞くべきではないかなというふうに私は思うんです。 昨年神戸の小学生殺害事件というのが起こりました。それをきっかけとして少年法改正論議が強くなる。ああいう残虐な犯罪というのを犯しても刑事処罰を受けないのはおかしいではないか、少年院送りでとどまるのはおかしいのではないか、こういう論議であったと思います。それから改正の動きがあったわけなんですけれども、前の大臣であります下稲葉法務大臣は、審判等の手続の部分の改正にとどめて、その部分を法制審議会の方の諮問にかけられたわけです。法務省の方も、その当時の新聞報道によりますと、年齢をいじくるべきではない、こういう判断であったと思います。 そうしますと、大臣先ほどおっしゃいましたけれども、少年審判のあり方については法制審議会にかけているから間もなく答申があるでしょう、年齢については法制審議会に諮問されなかったので今回与党の方にというふうにおっしゃったわけですけれども、なぜそのときに法制審議会の方に諮問されなかったのか、論議があったにもかかわらず。これは下稲葉法務大臣のときのことなんですけれども、なぜ諮問をしなかったのか、こういうことはどのようにお考えになりますか。
○国務大臣(中村正三郎君) 法制審議会は法務省の行政機関でありますから、そこに諮問をするかしないかというのはやはり大臣の私が考えることだと思います。
○大森礼子君 そうしますと、前の大臣も考えられてそういう対応をされた。それで予算委員会の方でも私が決めることなんだとおっしゃる。そうしたら、諮問するかどうかというこの基準は一体何なんですか。
○国務大臣(中村正三郎君) これは政府の中にあるそれぞれの審議会と同じことでありまして、法律ではございませんが、政令で定められている審議会で、民事法、刑事法その他法務に関する基本的な問題、事項について法務大臣の諮問に応じて審議をするという機関でありますから、それは法務大臣が必要と認めたとき諮問をするものです。
○大森礼子君 そうすると、何でも大臣がと、そのようにとらせていただきます、審議会の答申にしましても、その方がやりやすいと思いますし。 それから、先ほど議院内閣制の方から国民の論議、国会の論議というふうにおっしゃるわけですが、重要な部分は、国会の論議はいいんですけれども、そこで与党の中での議論を尊重されたとおっしゃるわけですね。何で野党の方には言ってくださらなかったんでしょうか。 と申しますのは、この法務関係といいますのけまさに人権擁護、人権に関係するところでございまして、これは少数者の保護ということをやっぱり考えていかなきゃいけないわけですね。だから、多数だから与党というんじゃなくて、人権問題というのは党派を超えてひとしくみんなが考えなくてはいけないことなわけでありまして、国会の論議というのであれば野党にも言ってくださいませんか。何で与党だけなんですか。
○国務大臣(中村正三郎君) それはけさもお答えさせていただきましたように、今、議院内閣制の中で責任を持つ与党があるわけですから与党と御相談するわけですが、国会の論議でありますからこれから野党の方々に加わっていただきたいというのが僕らの希望であります。 ただ、そこをどういうふうに運ぶかということは与党のこれからおやりになることでありますから、どうしようこうしようということは私ども申し上げがたいわけでありますけれども、今ここでもってこうして御議論いただくことも、野党の方の御議論をいただいて、そしてそういったものはしかと私どもの頭の中に入っていくわけですから、そういう御議論もいただいていいと思います。 そして、与党がこれからどういう議論を進めていくかということは、先ほどから申し上げますように、与党だけではこういうような今の国会の構成から見て法律ができる時代でもないし、しかも金融問題しかり、こういう問題もすべてしかりですが、やっぱり国民のコンセンサスというのが重要な時代でありますから、当然野党の方といろんな御意見を伺う機会をつくっていかれるのではないかと思っております。
○大森礼子君 それから最初に、内閣に司法制度審議会のようなものを置くとか、こういうこともおっしゃったわけなんですけれども、一方で国会の論議の中であるべき司法制度をつくっていかなければならないとおっしゃるわけですね。こういうことをしようと思ったら、司法制度というのが非常に大きな問題ですから、一つの調査会をつくって、与野党交えて十分論議する、むしろこういう方法の方がいいのではないかと思いますが、答弁は要りません。 それから、大臣の御答弁で非常に評価している部分もあるわけでありまして、裁判を受ける権利は憲法上の権利であると。それで、法律扶助との関係につきまして、裁判を受ける権利というのは憲法の要請であるから税金でそういう方を援助しなくてはいけないとおっしゃった。もう全くそのとおりであります。 ところで、この裁判を受ける権利というのは憲法第三十二条に規定してありまして、その前三十一条がいわゆる法定手続の保障、デュープロセスです。そして、三十三条以降から刑事手続の中における人権の保障規定が置かれているわけであります。 この規定の位置からも、やっぱり刑事事件というものにおいては裁判を受ける権利が保障されなくてはいけない、そしてその裁判というのは公平かつ公正なものでなくてはいけないということになると思うんです。 ところで、当番弁護士制度というのが今ありますけれども、これは身柄拘束を受けた場合に、弁護士会の方が弁護士をとりあえず派遣してその身柄拘束された人に接見する、こういう制度でございます。 私は、検事時代から実はこの制度を非常に評価しております。と申しますのは、犯罪、やったことはやったこととしてこれは捜査すればいいわけですが、身柄を拘束された場合に、その人の気持ちになってみますと、刑事訴訟法なんかに詳しい人は少ないと思いますから、これから自分がどういう手続に乗っていくのか、そしてどういう権利を主張できるのか、これは捜査段階から十分その被疑者に防御たらしめるために必要なわけでありまして、こういう場面に弁護士を派遣するということは、これは裁判になった場合でも、当事者主義構造の裁判のもとでも被告人の防御を十分たらしめるというので非常に大事な制度であると思うんです。 この当番弁護士制度そのものは身柄拘束を受けた者の人権保障に非常に役立つものであると私は思うわけです。この点につきまして、大臣はこの当番弁護士制度をいかに評価しておられるか。そしてまた評価するのであれば、この当番弁護士制度もまさに税金で援助すべきシステムではないかと思うんですが、大臣の御見解をお尋ねします。
○国務大臣(中村正三郎君) 当番弁護士制度そのものについて、委員は専門家でいらっしゃってよくおわかりの上で御質問ですが、私は通告もいただかなかったものですから、ちょっとよく内容を把握しておりません。 ただ、一般論でいえば、おっしゃるとおり、その被疑者なり裁判に係る人の裁判を受ける権利の中で論じられるべき重要なことだと今お受けとめしましたが、よく勉強しておきます。
○大森礼子君 当番弁護士制度については、これは大きな国民の関心事でもありますので、また大臣レクチャーを受けてください。 それから、少年法のこの年齢の問題をもう終わりにしなくてはいけないのですが、最後に申し上げたいことは、やはりこの十四歳という年齢なんです。刑法では刑事責任を生ずるためには、まず構成要件に該当して、それが違法であって、そして責任があるということ、この責任の中で、まず刑事責任能力があって、それから故意、過失がある、こういう仕組みになっているわけであります。心神喪失とか心神耗弱とか、この場合には鑑定等によって具体的に判断されるわけですけれども、一律にどの年齢で線を引くかということで、十四歳で一律に定型的に引いたことになるわけです。 この刑事責任能力というのは、判例によりますと、事物の理非善悪を弁別する能力、いいか悪いか判断する能力、及びその弁別に従って行動する能力、つまりいいか悪いかを判断して、それが悪いことであればそれをしてはいけないというふうに自分を制御する能力、これが刑事責任能力なわけでありまして、このいずれかが欠けると完全な責任能力がないとされるわけであります。 これは、刑法の例でも責任主義というのを貫いているわけですから、これだけの能力を持っている年齢というのを一律に決める場合に一体どこが適当かということでございまして、国会の論議を大事にしてくださるのはありがたいですけれども、やはり現場で仕事をされる方とかいろんな専門家の方とか、こういう意見を広く聞かなければ、どこに線を引くかということはなかなか難しい問題ではないかと思います。犯罪が多いから法定刑を重くしたらみんながやらなくなるんじゃないか、こういう問題とはまた違いまして、まさに刑法の理論そのものでございますので、安易な法改正というのは慎むべきだと私は思います。 次の質問に移りますが、昨年十二月四日の法務委員会で質問通告をしておりながらできなかった問題がございますので、きょうはこれを質問させていただきます。 外国人事件に絡みまして、私は司法通訳の資格認定制度というものをつくるべきではないか、あるいは法整備を図るべきではないかということをこれまで何回か質問してまいりました。きょうは、捜査段階での通訳の正確性というものが法廷で争われた場合についてお尋ねしたいと思います。 外国人被疑者を捜査しますと、参考人の場合もそうですけれども、供述調書というものをつくりまして、これを証拠として法廷に出します。これが証拠として認められるかどうかにつきましては、まず任意性のチェックがございます。余りに通訳がひどかった場合には、デュープロセス違反ということで証拠能力が否定される、つまり証拠調べ請求が却下される場合もあるやに聞いております。それから、任意性をクリアした後でも信用性という形で争うことができます。 要するに、供述調書の内容が合っているかどうかということなんですけれども、問題は、今の供述調書の体裁といいますか、検事が日本語で作成いたします。そして、それを被疑者に読み聞けする、参考人の場合もそうですが、読み聞けをいたします。これは刑事訴訟法百九十八条三、四項に閲覧または読み聞けの規定がありますけれども、これはいわゆる調書の正確性を担保する規定だと言われております。 ところが、外国人の供述調書の場合にはどうなるかといいますと、通訳がつきます。この場合、供述をとったその後にこういうことを決まり文句で書くわけです。右のとおり録取して、通訳人だれそれを介して読み聞かせたところ、誤りのないことを申し立て、署名、指印が多いでしょうか、指印したと書いて、もちろん被疑者あるいは参考人の署名、それから場合によったら押印、指印、それから通訳人の署名、押印、こういうものを求めるわけでありまして、要は調書の中に外国語というものが全然出てこないという形になっております。 このことからどういうことが起こるかといいますと、その調書の内容、つまり正確に通訳したかどうかということは、通訳と被疑者の間でしかわからないことでございまして、その信用性を争おうとするならばその通訳人を証人尋問するということになるわけです。 この外国語部分が調書に出ないということでいろんな問題が生じます。場合によっては、もう常に否認事件では争う手段としても用いることができる。例えば、供述者が「刺した」と言ったのに調書には「殺した」となっていた、そんなことは言っていないという争い方、それから言ってもいないことが書いてあるという争い方とかもあるわけです。こういうことが法廷で通訳人の証人尋問をして、果たしてそのときの状況が再現できるのかという問題があると思います。 この問題点につきまして、法務省の方はどのように認識しておられるでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 今、委員お尋ねの外国人が被疑者になったケース、大変いろんな問題を含んでおりまして、現に検察庁における捜査でもいろいろ配慮すべき事項が多いケースもございます。 取り調べの時間そのものも数倍かかる、こう言われておりますが、中でも問題なのは、先生御指摘の通訳の正確性をどう担保するか。それと同時に、その被疑者は日本の法制度にまだなれていないといいますか、法制度そのものをよく理解していない。例えば、窃盗の場合にはどの程度の法定刑かということも含めて理解が行き届いていないケースもよくあるわけでございます。そうした基本的なところの問題があるということは、捜査官はいろんなケースで、捜査の過程でそういった問題点について触れる都度認識を深めているところでございまして、組織的にもいろんな形でそれを担保せざるを得ないだろうということが言われております。 それで、先生が今御指摘のように、調書をどうとるかという問題でございますけれども、確かに多くのケースではその被疑者の話す外国語をそのまま録取する、あるいはそれに日本語をつけて、それで外国語を読み聞かせて、あるいは日本語の方に署名させるとか、いろんなやり方があるわけでございますけれども、通常の場合は確かに日本語の調書が多いわけでございます。通訳人を介して、それを捜査官が日本語にまとめて調書にするという形があります。その際には、努めて通訳しやすい言葉で問答するということも基本的に大事でございますし、その相手の言った言葉を確認しながら、あるいは二、三種類のニュアンスで聞きながら正確性も担保するとか、非常に現場の捜査官は苦労しております。 確かに、調書そのものは日本語が多いわけでございまして、公判廷で日本語がまさに証拠になるわけでございますから、それの正確性が争われるケースもそれはかなりあるわけでございます。その場合には、通訳人を証人に呼ぶケース、あるいはそのほかの方法で立証する間接証拠あるいは直接証拠、そちらの方の立証に移すということもございます。 こういう通訳つきの取り調べの正確性の担保、一律的にこれはこうやるべきだというような形があるわけではございませんので、大変悩みの多いところでございます。そこのところはぜひ御理解をいただきたいと思います。
○大森礼子君 供述調書の体裁といいますか、それ自体についていいますと、通訳の正確性を担保するものはないと私は言い切っていいんじゃないかと思うんです。 例えば、相手の立場に身を置くと非常によくわかるわけで、自分が外国で何かちょっと悪さをして逮捕された、そして通訳がつく。それで、調書ができたからこれに署名しなさいと言われる。ところが、原文が何が書いてあるかがわからなくて通訳を信ずるしかないわけですね。その通訳というものがその国でちゃんと資格がある公的な存在かどうかによって違うと思うんです。そうでないとしたら、どこのおじさん、おばさんを連れてきたかわからない、それは捜査側の人間である。どんなふうにもとの調書に書かれているかわからないのに、その通訳を信用して署名しろというのは、これは非常にやっぱり不安なことではないかなと思うんですね。不安があるところには当然争いも生ずるわけであります。 この調書の体裁の問題から入りましたのは、こういう問題をクリアする一つの方法が、司法通訳については資格認定制度とかちゃんとした教育とか法制度として確立すべきではないかと、これを申し上げたいわけです。 例えば、通訳に今外部の方をお願いするわけなんですけれども、警察官の通訳でありましたならば意識してその取り調べ状況とかを記憶しますし、また手控えメモとかも残して将来の証人尋問に備えることができますけれども、否認事件では普通は警察官でない通訳を使います。民間の方ですと証人出廷というのは予期せぬ出来事の場合もあるわけなんですね。 ちょっと話がそれるんですが、法務省刑事局の方で「捜査と通訳」という小冊子を出しておられます。「捜査段階において通訳の嘱託を受けた通訳人の方々のために」、改訂版なんですけれども、これはいろんな諸注意事項が書かれてあります。ただ、この中にも、将来の証人尋問に備えて手控えメモとか、こういうものを用意しておいてください、こういう記載もないわけです。これはある意味では非常に不親切ではないか。 それから、証人尋問自体、どこまでその状況が再現できるのか、裁判官が心証がとれるのかどうかという点でも問題がございます。検察官の立場としましても、自分の捜査能力とは無関係にもし通訳がひどかったということで事件が崩れましたら、自分の捜査能力とは関係ないところで事件が崩れていく、これはもうやるせないことでございます。そんなときにちゃんとした資格通訳制度があって、資格がある人であるとすれば、ある程度その能力レベルを信頼することができるわけであります。 それから、私は弁護士になって参考人が外国人という事件を担当しまして、これは強制送還された後、調書を見ました。日本語で書いてあって、最後にもう全然知らない通訳人の名前が書いてある。争っている事件でしたから、これで同意と言われても困るわけで、こんな場合、すべて証人尋問を実施しなくてはならなくなるわけです。 例えば、資格認定を受けている人であれば、まあまあちゃんどした人がやったんだから信用していいんだろうと思うわけですけれども、どういう人がなっているかわからないからすべてについての不安を生ずる、そうすると勢い裁判が長くなるということにもなると思います。 この調書につきましては、浦和地裁、平成二年十月十二日の判決がございます。要するに、調書の正確性とか通訳の問題が争われた場合に、それを後で証人尋問しても十分それを検証することができない、こういう観点からだと思うんですが、この浦和地裁判決、下級審でありますが、この中で、「最小限度、供述調書の読み聞けと署名指印に関する応答及び取り調べの冒頭における権利告知の各調教については、これを確実に録音テープに収め、後日の紛争に備えることが不可欠であることを付言する。」、こういう判決文があるわけです。 ただ、私は、訳本をつける、これは実際大変だから無理だろうと思います。また、すべての取り調べについてテープをとるというのもそんなに必要ないというふうに思います。後の保管等も大変です。ただ、最小限度、今、この判決の指摘した程度のことをテープで録取するということは導入可能ではないかと思うのですが、法務省はいかがお考えでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) 御指摘の判決の中で録音の問題というのが判示されているわけなんですが、先生の御指摘のとおり、そうした通訳の正確性をどうやって担保していくのかという紛争を回避するための手段として録音というのは一つの方法であろうと我々も思っております。ただ、録音の場合は再生、反訳等に膨大な時間がかかるわけでございまして、実施上の問題点としてはさらに検討すべき事項もまたあろうかと思っております。 そうしたことでございますので、現在のところ録音を主たる正確性の担保の方法として使ってはいないわけでございまして、先ほど申し上げたように、個々の被疑者の実情、事情に応じまして正確性を担保するためのさまざまな工夫をしながら捜査を進めているという実情をぜひ御理解いただきたいと思っています。
○大森礼子君 再生、反訳に時間がかかるといいましても、そういう通訳の正確性が争われた場合、ちゃんとこうした読み聞けしているではないか、あなたは応答しているではないかと、それだけのことでいいわけなんですね。 時間がかかるといいますけれども、じゃ、実際に通訳人が証人として出廷する、そしていろんな調書があったら、その通訳に疑いがあったら、通訳したすべての調書についても質問、尋問していかなければいけない。私はむしろこの方が立証等に時間がかかるというふうに思います。むしろ、録音テープの方が裁判官も心証をとりやすいですし、裁判の時間というものも短縮されるというふうに考えるわけです。 法務省もさまざまな工夫と言っておられますけれども、さまざまな工夫と言っても、私が今申し上げた問題点をクリアするようなきれいな方法はないと思うんですね。唯一あるとすれば、読み聞け時、弁護人選任権、黙秘権の権利告知、ここの部分だけのテープ録取といいますか、これしかないと思うんです。もう一度、これについて採用するようなお考えはあるかどうか、お尋ねいたします。
○政府委員(松尾邦弘君) 先ほども申し上げましたが、外国人の取り調べに当たっての供述の正確性の担保という点では、御指摘の方法は一つの有力な方法であろうということについては我々もそう思っております。 ただ、録音をどういうふうに捜査過程で使っていくかという全体の中でのまた問題もございますし、その録音したものを将来どのようにして保管あるいは再生するのか、あるいは記録の開示の問題等も含めまして検討事項はまだ多々あると我々は思っておりますので、にわかにこれを採用するというところには行っておりませんが、先生御指摘のとおり、方向としてはやはり検討すべき重要な事項であろうと考えている次第でございます。
○大森礼子君 これまで司法通訳そのものについて質問してきたわけなんですけれども、要するに司法通訳の資格認定とかあるいは公的なトレーニングとか、そういうものがございませんので、いたずらに通訳についての争いをふやす。これはやっぱり迅速な裁判の要請にも反するものでありますし、また真実発見にもやはり障害となるのではないかというふうに思います。録音テープ、この浦和地裁の点については十分検討していただきたい。 それから、大阪高裁の平成三年十一月十九日の判決、これは香港在住の外国人被告人の事件ですが、原審弁論で通訳人が重要な部分を通訳していないとして、被告人側が、事実誤認、法令違反で控訴したという事案でございます。この中でも、その判決は、「通訳の正確性や公平性につき、疑問が呈されても、その通訳が録音されていないので事後にその検証ができないことは問題である」、こういう指摘をしております。このときには、原審判決宣告時の通訳のみ録音されていたので、それを手がかりとして、通訳が不備であるという判断をしたように認識しております。 平成二年そして平成三年、高裁それから地裁の違いはありますけれども、同じような指摘がされておりますので、これは余り先延ばしにしないで早急に検討して、ぜひ実現していただきたいというふうに思います。 次に、裁判所にお尋ねいたします。 資格認定制度というのはありませんし、トレーニングもそんなに十分ではないということで、通訳の過誤の問題というのがございます。こういう問題につきまして、裁判で通訳をつけるかどうか、だれを選任するかどうかは裁判官の訴訟指揮の範囲内というふうにされているわけなんです。 あるとき、通訳されている方からこういうふうな訴えを受けたわけです。日本では法廷通訳人の言語能力判定はもとより、通訳人に対して守秘義務や中立性を義務づける職業倫理規程の規定もありません。最近、通訳人の能力不足によって被告人の人権問題が報道関係に批判されるようなケースがふえてきておりますが、この批判を浴びるのは通訳人のみです。果たして通訳人を任命した裁判所の責任はどこにあるのでしょうか、こういう訴えでございました。言語査定もせずに、事前トレーニングもなしに任命している場合がある、このような現状では有能な通訳人というものは法廷通訳人になることを敬遠してしまうのではないのでしょうか、こういう訴えがありました。 通訳人の方は、選任されれば自分としてはベストを尽くしてやっていると思う。それで足りないとされたらどうしようもないわけです。その場合、せめて裁判所が責任をとってくれればよいのになと私も思うわけです。 もしこの通訳過誤を原因とした場合、それで民事責任等を生じた場合、その責任というのは裁判所が負うと考えてよろしいのでしょうか。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) お答え申し上げます。 能力の劣った通訳人を選任した場合の法的責任がどうなるかというお尋ねでございますが、これは具体的なケースによって異なるでありましょうから、一概には申し上げられないように思います。例えば、想定しにくいことではございますが、裁判官が故意に無能な通訳人を選任したとか、あるいは通訳人が故意に間違った通訳をしたというようなことがありますとすると、これは何らかの責任を免れないと思われますけれども、そうではなく、善意なのに結果として能力の劣った通訳人を選任したり、あるいは誤った通訳をしてしまったというような場合でございますと、果たしてすぐに法的責任を免れないかどうか、難しい問題であろうと思われます。 実務におきましては、通訳に関して後々問題を残さないようこという配慮から、尋問と供述を短い質問と答えにしてもらうとか、あるいは大事な問題につきましては繰り返しいろんな角度から質問してもらうというような形で、事前にそういう問題を後に残さないというようなことを工夫いたしているところでございます。 それから、法廷で即座に解決ができなかったような場合に備えまして通訳を命じた事件で録音をとった場合には、この録音を記録に添付いたしまして控訴審等に送付いたしまして、後の検証にたえ得るようにいたしておりますし、また、事件が確定した場合には録音を記録とともに検察庁に送付して保存する扱い等もいたしております。 先ほど委員御指摘の事件は、そういった通達を出す前の事件でございますので録音がなされていなかったようでございます。
○大森礼子君 端的に聞きますが、国家賠償法第一条では、「故意又は過失によって」とございます。通訳能力のチェックとか、これに十分でなかった場合、過失によって責任を負う場合があると考えてよろしいのでしょうか。イエス、ノー、簡単で結構です。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) やはり具体的なケースに基づきませんとお答えはいたしかねるところでございます。しかし、少なくとも通訳人は公権力を行使する公務員ではございませんので、恐らく国家賠償等の問題は生じないんだろうと思います。
○大森礼子君 だから、裁判官ですよ。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 裁判官につきましては、具体的ケースで、どういうケースかによってこれは異なってまいろうかと存じます。
○大森礼子君 通訳人は、今、公務員扱いじゃないからそれはならないんですけれども、裁判官について、選任したことについてどうかという問題です。私は、そういう通訳過誤についても、将来通訳人が民事賠償請求とか受ける場合もあるのかと、それを心配しているわけです。 もう時間がなくなったのですが、実は昭和六十二年九月十六日、衆議院法務委員会で自民党の保岡興治委員がこの通訳の問題について非常に詳細な質問をしておられます。法廷通訳の資格認定、それに伴う研修がぜひ必要であるということを言っておりまして、当時の法務大臣は、早期に検討してまいりたいとおっしゃっている。それから、平成九年十二月四日に私が法務委員会でこの法制度化について質問しましたら、法務大臣が、まだ近年緒についたというふうな段階ではなかろうか、取り組んでまいりたいと。十年たっても研究、検討で繰り返されております。もうそろそろ本腰を入れていただきたい。 そして、いろんな問題を検討するに当たって、今、法務省、それから裁判所、弁護士会もそうですが、個別に検討している。そうではなくて、通訳の方は弁護士さんに頼まれることもあれば捜査通訳をする場合もある、法廷通訳をする場合もあるわけですから、この三者、少なくとも裁判所と法務省が一体になってこの問題に取り組んでいかれてはどうか。 その場合の一つの方法として、法制度をつくるかどうかの検討としてでもいいですから、通訳人、それから法律学者、裁判官、弁護士、検察官を含めた実務家による研究会、諮問委員会のようなものをつくってこの問題を研究できないかというふうに考えます。 アメリカでは、一九八八年には連邦の法廷通訳諮問委員会等を設けてこういう検討をし、そして通訳人の質の向上が見られ、外国人被告の人権擁護につながっているという報告がございます。 この点について、裁判所に対しては法務省と協力してこういう制度をつくる意思はないのか、法務大臣に対しましては最高裁と協力してこういうことをつくる意思はないのかとお尋ねいたします。
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 通訳制度に関する研究会につきましては、現在、裁判所では全国の地方裁判所におきまして、毎年、法廷通訳研究会というものを開催しております。この研究会には、裁判官、裁判所書記官、それから経験豊富な法廷通訳人はもちろん、地方によっては大学の先生など専門家にも御出席いただきまして、法廷通訳をめぐる実務上の諸問題について意見交換をして、相互の理解を深めて、運用の改善を図っているところでございます。 それから、検察官、弁護人との関係につきましても、地方検察庁あるいは地元の弁護士会と裁判所の協議会におきまして、適宜、法廷通訳に関する意見交換をいたしまして執務の改善に現に役立てているところでございますので、委員御指摘のとおり、こういった外国人の裁判を受ける権利を実質的に保障するという見地から、なおこの研究会等の充実に努めてまいりたいと考えております。
○国務大臣(中村正三郎君) 今、裁判所は直接にお答えにならなかったようでありますけれども、今お聞きしておりまして、委員は大変専門家でいらっしゃる、私は素人で、ここに大臣にならせていただいて感じますことは、やはり実務的に通訳のできる方の数の確保ということに現実問題は努力しなきゃいけないんじゃないかと思います。 そういう対応において、今うちの方の刑事局長から御答弁申し上げましたように、いろいろな努力はしているところでございますが、これはやっぱり裁判所、それから検察、弁護士、全部かかわることでございますので、委員の御提案になりました共同で研究しないかということは、これは大いに参考になるお話だと思いますので、勉強してみます。
○大森礼子君 きょう警察庁の方に通告しておりましたが、ちょっと時間がなくて申しわけございません、次回質問させていただきたいと思いますので、御了承ください。 終わります。
○橋本敦君 私は、今国政上の重大問題となっております防衛庁の背任事件に関連をして質問させていただきたいと思います。 この事件は、言うまでもありませんけれども、長年にわたる軍需産業と防衛庁との構造的な癒着とも言われかねない、そういった状況の中で、国民の税金を使う予算の執行過程そのものが背任罪という重大な容疑に発展をするという事件になりました。加えて、証拠隠滅という重大な問題も起こっておりますし、この事件に対する国民の怒りと批判は極めて大きいものがあります。 額賀防衛庁長官は、この問題については一切の弁明は許されない、国民におわびするほかない、こう言っているわけでありますが、それ自体は当然であります。 しかし、検察庁は、国民の期待を担って、この重大な事件については厳正な徹底的な捜査を行い、しかるべき厳重な処置をとるということがまさにその責務であろうと思うのでありますが、法務大臣としてはこの事件についてどういった御所見なり決意をお持ちなのか、まず冒頭に御見解を伺いたいと思います。
○国務大臣(中村正三郎君) お尋ねの事件でございますが、東京地方検察庁において平成十年九日三日から同月十日までの間、元防衛庁調達実施本部長諸冨増夫及び元同本部副本部長上野憲一外七名をいずれも背任の事実により逮捕するなど、所要の捜査を進めているところでございます。 今後も、検察当局において事実の真相解明へ向けて鋭意所要の捜査を尽くし、適正に事件を処理することといたしております。
○橋本敦君 刑事局長にお伺いをいたしますが、本件関係者の被疑事実の要旨ということも書面で私も拝見をいたしました。 背任罪ですから、自己または他人の利益を図るという目的もその構成要件の内容の重大な要件でございますけれども、本件については、いわゆる諸冨あるいは上野、こういった調達本部関係の責任者、あるいはNEC、東通関係の逮捕された責任者についてどういった利益を図る目的だというような方向で今捜査を進めておられますか。
○政府委員(松尾邦弘君) お尋ねは現在捜査をしております背任罪の中の任務違背行為の具体的内容ということになろうかと思いますので、公表されております被疑事実の中からその部分について申し上げたいと思います。 被疑事実の概要をその点だけ申し上げますと、被疑者諸冨及び同上野の任務違背行為に関する被疑事実の要旨は、会計法、国の債権の管理等に関する法律、予算決算及び会計令、調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令等に従い、東洋通信機の一般管理及び販売費、支払い利子等の金額を計算して契約金額を修正し、国に返還すべき余額を適正に確定させた上、これにつき、同社との間で、債権の減免を行うことなく、その全額を現年度歳入への一括組み入れの方法により国に返還させる契約を締結すべき任務に背き、ここまでは任務の具体的内容です、一般管理及び販売費から控除すべき広告宣伝費等の非原価項目の金額を控除せず、金融機関等に対する東洋通信機の支払い利息から受取利息を控除して零とすべき支払い利子を費用に算入することにより、契約金額を過大に修正し、国に返還すべき金額を過少に確定させ、その返還方法についても、現年度歳入への一括組み入れの方法によることなく、翌七年度までに履行される契約の契約金額から均等割で減額する方法により順次返還させる旨の契約を東洋通信機との間で締結したというものがこの任務違背行為でございます。
○橋本敦君 その任務違背行為は、本件の国に返還すべき金額の減縮というそのこと自体が今御指摘のように会計法なりあるいは国の債権管理法なり、そしてまた今御指摘のあった調達物品等の予定価格の算定基準に関する訓令、これに明白に違反しているというように検察庁としては認定しているわけですね。
○政府委員(松尾邦弘君) 現在は被疑事実としてそう記載されているということでございます。
○橋本敦君 ですから、記載されているということはそういう判断で捜査を進めている、こういうことでしょう。
○政府委員(松尾邦弘君) おっしゃるとおりでございます。
○橋本敦君 まさに違法なことをやって任務に背いているわけですよ。そして、なぜ任務に背いてそういう違法なことをやったかといえば、この被疑事実の要旨からうかがわれるところは、不正に過払いを受けていた事実が発覚した、そういうところから、諸冨等はこのことが明らかになるならばそれは自己の責任問題に発展しかねないからこれを防ぎたい、隠したい、こういうことが一つ。 もう一つは、NECや東通関係者については、この問題が発展をすれば株主総会で責任を問われかねない、自分の責任にかかわるからこれも隠ぺいしたい、そういうような自己保身の利益もあってこういうことをやったというように被疑事実として考えていることは間違いありませんね。
○政府委員(松尾邦弘君) 図利加害の目的ということにつきましては委員が今お尋ねのとおりでございます。
○橋本敦君 まことにけしからぬことです。そういった不正が発覚すれば直ちに真相を究明して適正に処理すべきなのに、法に違反して自己の利益まで図るということですね。 しかも、もう一つこの被疑事実の要旨に記載されていて私が重大だと思うのは、東通から調達本部の退職者に顧問料名下に全員の提供を受けさせる、こういった目的もあって諸冨等はこの減額処置をやったということが記載されている。検察庁はこういった考え方、判断に基づいて捜査を今続けていることも明らかですね。
○政府委員(松尾邦弘君) 被疑事実の中の図利加害のところの図利の中に、委員が今御指摘のとおり、「東通から調本の退職者に顧問料等名下に全員の提供を受けさせるなどの目的」があった、こういう記載がございます。
○橋本敦君 そしてまた事実、東通に調達本部関係のこういった意向を受けて防衛庁から天下りをし、三人と言われますが、顧問料名下で月一回しか勤務しないのに年間七百万円もの利益を受けていたと。これはまさに仕事に対する報酬じゃなくて不当な資金提供と言ってもいい。こういったことを、過大支払いが発覚したというその弱みにつけ込んで、そして防衛庁の職員の天下りを要求するということですから、このこと自体私は強要罪に値する、公務員としてあるまじき非行だ、こう思います。こういったこともこの背任事件の第三者の利益を図る、そういった構成要件の一つとして記載されて捜査の対象になっていることはまさに重大な問題であります。許しがたいと言うほかはないと思うのであります。 この点について、現にそういった防衛庁からの天下りが実際に行われていたという事実は捜査の中でも明らかになっていると思いますが、間違いありませんね。
○政府委員(松尾邦弘君) これまでは東京地検が捜索等強制捜査に着手した際に公表しました被疑事実の内容を御説明申し上げました。それ以上の説明になりますと、現に捜査中の事件の内容に立ち入ることになりますので答弁いたしかねるところでございます。
○橋本敦君 それ以上の事実は捜査の内容と言うけれども、証拠と捜査の方向づけの具体的な資料もなしにそういった被疑事実の要旨として検察庁が推測で書くなんということはあり得ない。これは捜査の信頼性からいって当たり前じゃないですか、どうですか。推測で書いたんじゃないでしょう。そのことを言ってください。
○政府委員(松尾邦弘君) 一般論で申し上げますが、強制捜査等着手する際に、その着手するのにそうした嫌疑の濃厚さといいますか、そういうものは諸般の証拠関係から認定されるということでございます。
○橋本敦君 だから、まさに諸般の状況からそういった状況を認定されるということですよ。 自己保身を図る、防衛庁職員の天下りを相手の弱みにつけ込んで要求する、そしてそれだけじゃなくて莫大な国民の税金の過払いについて完全な返還をさせない。まさに私は公務員としてあるまじき重大な犯罪だと思うんです。 それで、結論として、金額を幾ら不当に減額したんですか。
○政府委員(松尾邦弘君) その部分の被疑事実を読み上げますと、「東通をして本来国に返還すべき金額二十五億六千四百十一万二千円と前記過少に確定させた金額との差額十六億八千九百七十七万六千円の返還を免れさせて国に同額の損害を加えた」という被疑事実でございます。
○橋本敦君 約十七億という莫大な金額の支払いを免れさせているということです。 一つ刑事局長に伺いますが、この被疑事実の要旨を拝見いたしますと、この事件が平成六年三月ごろ発覚をした、調本と東通との間で締結した味方識別装置等の製造請負契約、これについて過大申告等によって東通が不正に過払いを受けていた事実ですね、そのときに「国に返還すべき金額が数十億円もの巨額に上る見込みとなった」という記載がありますが、この数十億円ということとの関係と今御指摘になった二十五億、そして返還すべき金額が約十七億ですね、このこととの関係はどう理解すればよろしいですか。
○政府委員(松尾邦弘君) 被疑事実には確かに委員御指摘のとおりの記載がございます。ただ、それが具体的にどういった内容であるかということにつきましては、先ほども申し上げましたが、さらに捜査内容あるいはその具体的内容に立ち入ることになりますので、答弁は御容赦いただきたいと思います。
○橋本敦君 ちょっとよくわかりませんが、捜査の進展次第によっては、返還すべき金額は数十億という巨大な金額の全貌にもわたって状況を明らかにするということが捜査の対象としては可能であり、その方向で捜査しているということですか。
○政府委員(松尾邦弘君) ただいまのお尋ねも具体的な捜査の内容そのものと申し上げてもよろしいかと思いますので、お答えいたしかねるところでございます。
○橋本敦君 被疑事実の要旨にそう書いてあるんですから、私は徹底的な解明をしてもらいたいと思います。 さて、この件に関して重要なのは、防衛庁が組織的な証拠隠滅工作をやった、そういう状況が多くの新聞でも明らかになっているように、今捜査もその点に向けて大きく進展をしているということであります。 この点について言うならば、過去この事件が発覚をした昨年の九月、あるいは本年の五月、それから本年の捜査が行われた九月の直前、こういった時期に上部の指示によってそれぞれ重要な関係資料である伝票とかあるいは経営関係の重要な資料とかそういったことが場所を移され、そしてまたきょうの新聞によれば、この総務担当副本部長の石附氏あたりは家宅捜索を受ける前に部下の親族宅にまで持っていって保管させたという事実も報道されるなど、この証拠隠滅工作というのは実に膨大でしかも回数が多くて大変な状況だったということがうかがわれる。しかも庁内の焼却炉で多くの資料を燃やしたというのですから、単なる証拠隠滅どころか公文書毀損という重大な犯罪にも該当する。 検察庁は、こういった証拠隠滅あるいは公文書毀損、こういった面についても厳重な捜査を遂げて徹底的に解明すべきだと思いますが、刑事局長の御所見はいかがですか。
○政府委員(松尾邦弘君) 現在東京地方検察庁が、先生お尋ねの背任事件を被疑事実としまして、防衛庁初め数次にわたりまして捜索を実施したことは間違いございません。 ただ、さらにそれ以上どういう方向で何を捜査しているのかということにつきましては、現在捜査中の事件そのものあるいはそれに密接に関連する事項でございますので、私からお答えはいたしかねるところでございます。
○橋本敦君 刑事局長、はっきり言ってほしいですよ。こういった事件について、防衛庁内で証拠隠滅と疑われる行為、公文書毀損・毀棄と疑われる行為、そういった行為が全然なかったとあなた今ここで言えますか。そういった状況があったということで捜査をやっているんじゃないですか、どうですか。それぐらいはっきり言わなきゃ国会に対する責任ある答弁と言えませんよ。
○政府委員(松尾邦弘君) 先生の厳しいお尋ねでございますが、やはり捜査の具体的内容に密接にかかわる事項でございますので、お答えいたしかねるところでございます。
○橋本敦君 そうすると、証拠隠滅あるいは公文書毀棄ということを立件するという意図は全くなくて捜査をやっているんですか、そんなことないでしょう。そういった不法行為があれば徹底的に捜査をする、そういう厳正な立場を貫いて捜査をやるのは当たり前じゃないですか、どうですか。
○政府委員(松尾邦弘君) 具体論として申し上げられないということにつきましては先ほど来申し上げているとおりでございますが、一般論ということであえて申し上げますと、検察庁は違法な行為があれば適時適切に対処するものと思います。
○橋本敦君 そこですよ。違法な行為があれば適切に厳重に対処する。だから、証拠隠滅と見られる明らかな行為あるいは公文書毀損ということが犯罪として成立するという行為、捜査の結果そのことが明らかになればその問題については厳重に立件し処置をするということは今の答弁から間違いないですね。
○政府委員(松尾邦弘君) 前に御答弁申し上げたとおりでございます。
○橋本敦君 当然それは全貌としてやってもらわにゃならぬ。背任という重大な行為の状況的事実じゃなくて、まさに背任罪と並行的に行われた組織的な証拠隠滅あるいは公文書毀棄、そういった問題として捜査の結果証拠が明らかになればきっちり立件して責任を追及する、今のお言葉からそのことは当然だと思いますが、明白であります。 時間がありませんから会計検査院に伺うのですが、会計検査院は、衆議院の委員会における答弁では、この問題について防衛庁の処置については当時の状況として不当な状況がなかったという意見を言っておられる、そういう状況がありました。それは事実ですか。
○説明員(諸田敏朗君) 昨年十一月の衆議院の決算委員会における答弁といいますか、その時点ではそういう認識を持っておりました。
○橋本敦君 現在その認識が全く間違っていた、改めてきちっと検査をし直す必要もあるし、厳正に対処する必要もあるということではないかということが一つ。その結果、不当に返還を免れた行為は許さないということで、きっちり国に返還させるということで、そういう立場で会計検査院としてはしかるべき意見なり処置をおとりになる必要があると思います。結論だけで結構ですが、今の見解を伺いたい。
○説明員(諸田敏朗君) 現時点におきましては、司法当局が捜査中でありますが、会計検査院といたしましてはできる限り事実の把握に努めているところであります。 また、関係資料が入手できない状況ではありますが、事実関係が明確になった段階におきまして会計検査院としては適切に対応する所存でございます。
○橋本敦君 今の適切にの具体的な方向づけを言ってください。適切とはどういうふうに対処するんですか。過大な減額を含めてどうさせるんですか。
○説明員(諸田敏朗君) もし過大な請求といいますか、過大分を返還させるということになれば、その処理は適切にやるということでございます。
○橋本敦君 適切に処理させる方向でやるということですか。
○説明員(諸田敏朗君) はい。
○橋本敦君 はっきり答えてください。 もう時間がありませんから防衛庁に聞きます。 防衛庁はこの問題について、「東通事案に対する現時点での評価について」という文書を但木官房長にも藤島官房長が渡し、あるいは特捜部にも石附副本部長が渡すなどして、本件は刑事事件にならない、背任罪にならない、そういう工作をしていた事実がある。防衛庁、間違いありませんか。
○政府委員(及川耕造君) 地検の方に対しまして、その時点での当庁の調査内容を前提に、当庁としての考え方、評価等を取りまとめまして提出したことは事実でございます。
○橋本敦君 適正な原価計算ができないとか、執行官の裁量範囲でやったことだとか、そういったことで弁解をしている。この弁解は今通用すると思いますか。この文書どうしますか。
○政府委員(及川耕造君) 現在捜査が進められておりますので、私どもといたしましてはその進展等を踏まえながらそれらの考え方をどういうふうに整理すべきか考慮している段階でございます。いましばらくお時間を賜ればと思います。
○委員長(荒木清寛君) 時間が来ております。
○橋本敦君 反省していないんですか。いまだにこれはいいと思っているんですか、反省しているんですか、どっちですか。
○政府委員(及川耕造君) 現在考え方を整理している段階でございますので、それ以上につきましては御容赦いただきたいど存じます。
○橋本敦君 もう時間がないから、これで終わりますが、整理というのはどういうことですか、反省するんですか、はっきり言ってください。そんなあいまいな答弁で責任果たせますか。
○政府委員(及川耕造君) 捜査の進展等を踏まえながら私どもの考え方がいかにあるべきかということを整理している、こういうことでございます。
○橋本敦君 いかに間違っているかを考えないんですかと言うんですよ。答えてください。
○委員長(荒木清寛君) もう時間が来ております。
○政府委員(及川耕造君) 恐らく私どもの考え方の中にも修正すべき点等あろうかというふうに思っております。
○橋本敦君 時間が来ましたから終わります。 ありがとうございました。
○福島瑞穂君 先ほど大野つや子先生からもありましたが、ことしは国連人権宣言五十周年で、十月二十七日、二十八日には国連のジュネーブで規約人権委員会の第四回日本政府報告書の審査があります。前回、一九九三年十一月、その規約人権委員会から勧告が日本政府に出ておりますので、その勧告に従って日本の人権状況が果たしてどれだけ改善されているのかということをお聞きしたいというふうに考えております。 まず初めに、拷問等禁止条約についてお聞きいたします。 この一九九三年の規約人権委員会の勧告でも、拷問等禁止条約について批准することを勧告されております。一九九八年一月、メアリー・ロビンソン国連人権高等弁務官も条約の批准を日本政府に強く求めております。日本政府の第四回報告書は、「政府として残虐かつ非人道的な拷問を世界的に禁圧するとの本条約の趣旨は十分理解している。」というふうに記載をされていらっしゃいます。十月二十七日、二十八日にはぜひ拷問禁止条約を批准すると宣言していただきたいんですが、見通しはいかがでしょうか。
○政府委員(上田秀明君) 御指摘のとおり、いわゆる拷問等禁止条約に関しまして、国際人権規約の委員会の勧告もございますし、またロビンソン国連人権高等弁務官からの意見も表明されております。 今、先生御指摘のとおり、私ども政府といたしましては、拷問が我が国の法制上厳に禁止されておりまして、残虐、非人道的な拷問を世界的に禁圧するという拷問等禁止条約の趣旨は十分理解しております。 この条約につきましては、現在政府の関係省庁間、政府部内で鋭意検討をいたしておるところでございます。
○福島瑞穂君 現在、百五カ国が批准しておりまして、日本はおくれておりますので、拷問等禁止条約を一切の留保なくかつ個人通報の制度も含めて批准すべきだと考えておりますが、この点はいかがでしょうか。
○政府委員(上田秀明君) いわゆる人権規約のB規約の選択議定書、これは個人通報制度を含むものでございますけれども、この点につきましては、我が国の司法権の独立ということを含めました司法制度との関連で問題点がなきにしもあらずという指摘もございますので、今後とも、この議定書の方につきましては、制度の運用状況等を見ながら慎重に検討する必要があると考えております。 さきの御質問に戻りまして、拷問等禁止条約に関しましては、その批准のための検討を政府部内で鋭意行っているというところでございます。
○福島瑞穂君 司法権の独立を害するというのが意味がわからないんですが、御説明ください。
○政府委員(上田秀明君) これは、個人がいろいろな人権侵害にさらされたと本人が考える場合に、直接この国際的な機構に訴えることができるというようなたぐいの規定でございまして、我が国の場合におきまして、国内制度上さまざまな人権の担保と申しますか保証と申しますか、いろいろな手だてが法制上定められておるわけでございますので、そういうこととの整合性でいろいろと問題があるのではないかというようなことでございます。
○福島瑞穂君 現在、選択議定書は九十三カ国が批准しておりまして、どの国も司法権の独立は規定をしております。司法権の独立を規定している国がこれを批准しておりますので、また選択議定書の条項はきちっと乱用の防止ができるようになっておりますので、早急に批准をしてくださるように強く要望いたします。 先ほどの一九九三年十一月に出された国連からのコメントですが、この中に、婚外子に対する差別を撤廃するようにということが主要な懸念事項として、そして勧告としても出されております。これは、子どもの権利に関する委員会におきましても、一九九八年六月、懸念事項として表明をされております。この点について大至急改正の必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(細川清君) ただいま御指摘のとおり、市民的及び政治的権利に関する国際規約、いわゆる国際人権B規約でございますが、これに基づく我が国の第四回報告書において、平成八年二月、法制審議会から法務大臣に対して、嫡出でない子の相続分などに関する法改正を内容とする法律案の要綱の答申がなされた事実について報告しているところであります。これは、国内における法改正の動きについて事実を報告したものでありまして、このような法改正を国際的に約束したものではございません。 この問題につきましては、さまざまな議論がされておりまして、総理府が平成八年六月に実施した世論調査の結果を見ましても、国民の意見は大きく分かれていることがうかがえるわけでございます。 民法は基本法の一つでございまして、特に、嫡出子と非嫡出子の法律上の取り扱いの改正のような国民生活に大きな影響を及ぼす事柄につきましては、国民の理解を得ることができるような状況で行うのが相当であると考えております。したがいまして、国民各層や関係各界において多角的な観点から御議論を続けていただき、国民のコンセンサスが得られるような状況で改正が行われるように努めてまいりたいと考えているところでございます。
○福島瑞穂君 日本の第四回の政府報告書におきましては、民法改正については次のような記載があります。「この答申は、婚姻及び離婚に関する現在の民法の規定が一九四七年に全面的に改正されてから既に約半世紀が経過し、その間に、婚姻及び離婚に関する国民意識や社会情勢に変化が生じたことを踏まえたものであり、その中で提案されている婚姻及び離婚法制に関する主な改正項目は、次のとおりである。」としてあります。これを国連で委員が読みますと、あたかも日本は改正のもう直前であるかのような印象を持つと思います。国際的にはこのような報告をしながら国内的には国会上程をしないという点については、非常に私は問題だと考えます。 先ほどから法務大臣は、重要な問題は国会で議論すべきだというふうに再々おっしゃっていただいておりますので、このような重大な問題はぜひ早く国会で議論していただきたいと要望します。
○国務大臣(中村正三郎君) まさに国会で御議論するべきことだと思いますので、機会をとらえていろいろ御指摘をいただき御注意いただきたいと思います。 夫婦別姓の問題等も国会で御論議いただきたいという気持ちは一緒でございますが、ただ問題は、先ほどから御議論の中によく出てくる、条約ではこう、例えば審議会ではこうといったようなことと世論とが食い違っている場合がございます。この婚外子の差別撤廃という問題については、世論調査いたしますと、かなりまだ反対の方の方が数が多いような状況がございます。夫婦別姓もそうでございますが、政府で調査しますと、反対の方の方がまだ多いというような状況でございます。 こういうことについては、本当に国民の代表たる国会で御議論を重ねて、その上で対処するべき問題だと思っております。
○福島瑞穂君 第三回の日本政府の報告の中では、委員の中から、世論を変えることこそ政府の役割ではないかということが強く言われていることを私は申し上げ、ぜひ法務省が政府提案立法として大至急出されることを強く要望したいと思います。 次に、先ほど円先生、大森先生からも発言がありましたが、少年の問題についてお聞きいたします。 少年の年齢問題を自民党が議論するに当たり、法務省が論点を整理した年齢区分に関する考え方と題するペーパーをまとめられています。ここにそのペーパーがあるんですけれども、この内容を読む限り、前提となっているのは年齢の引き下げだけというふうになっております。少年の年齢問題には、引き上げるべきか、現状を維持すべきか、引き下げるべきかという三通りあるにもかかわらず、法務省のこの論点整理は引き下げた場合だけの問題点をまとめて、これを自民党に出しておられます。 重要な問題を法制審にかけないという問題点もさることながら、議論なく方向性を一方的に打ち出してこういうのを出しているというのは、法務省の中立性を大変欠くことになっているのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中村正三郎君) これは私が深くかかわって書いたものですから、そういう趣旨で書かれたものではないということをはっきり申し上げます。 と申しますのは、少年法の改正を考える上でどういうことを議論したらいいんだろうかというようなお話もございまして、また、自由民主党でも、もう過去にずっと議論を重ねてきておられて、問題点をいろいろ出しておられたようでございますので、もし下げるようなことがあるとすればこういうことが関係しますよということでございまして、考慮するべき点といって出したわけでありますし、見直しに当たって検討すべきと考えられる点について列挙して御参考に供しますということを党の御要望に対してつくったものでございまして、こちらの法務省で方針を決めたとか、そういう方向を示したというものではございません。 それで、そういうような、法務省が方針を決めたような報道がございましたので、この報道に対しまして、今、刑事局長の名前でもって訂正要求を出しておりまして、訂正をしない限り、それを報道した社は法務省に入っては困るということまでやっているわけでございまして、予断を持って提出したものではございません。
○福島瑞穂君 ただ、法務大臣が、少年犯罪に対する年齢上の区分の改正に関する考え方、これは今、法務大臣の書面だというふうにお聞きいたしましたが、先ほども申し上げましたが、これはすべて、例えば、少年法適用年齢の引き下げを検討するとした場合に考慮すべきと考えられる点に以下のようなものがある。刑事処分対象年齢の引き下げを検討するとした場合に考慮すべき点、刑事責任年齢の引き下げを検討するとした場合に考慮すべき点、すべて年齢を引き下げることを前提に、その場合にどういうことが生ずるかということが問題になっております。 こういうふうな重要な問題こそ、先ほど円さん、大森さんなどから意見がありましたように、専門家や教育者やいろんな人の意見を聞きながら、果たして現状を維持すべきなのか、現状は問題ないんではないか、あるいは引き上げるべきではないか、引き下げるべきではないか、議論すべきです。結論先にありきという形のこのような書面を法務大臣が出されることは非常に問題だと考えます。
○国務大臣(中村正三郎君) これは、作成に私がかかわったと申し上げたのであって、私が出したということではなく法務省が出したということでございます。 ただ、法務省にもいろいろな専門家がおります。十分な専門家がいると思います。そこで問題をずっと列挙してきましたのを私が整理してお出ししたということでございます。 それで、これが政党で、もし引き下げる場合は、もしくは引き上げる場合は、このまま置く場合は、どれを論じてはいけないということを言ったらこれは困ることでありまして、どういうことを御論じになるかということは、それは十分自由民主党が考えて御論じになることであり、その中では、先ほどから申し上げていますように、党がやることですから余り私どもが口を出してはいけないことでありますので差し控えておりますが、当然、専門家の意見を聞いたりいろいろな手だてをして検討されると思います。
○福島瑞穂君 今、法務省が出した書面だということをお聞きしましたけれども、中立的であるべき法務省が一方の方向だけでこういうのを出されることは問題だと思います。 次に、死刑のことについてお聞きしたいと思います。 先ほど申し上げた一九九三年十一月の勧告によりましても、「日本が死刑廃止への措置を講ずること、」というものがあります。この勧告以降、現在まで死刑が執行された人数は二十八名というふうに聞いております。きょうお聞きしたいことは、このコメントの中の「主要な懸念事項」の中で次のようなものがあります。十二項の部分ですが、「当委員会は、特に、面会や通信に対する不当な制限や、家族に対して処刑を通知しないことは、規約と相い入れない、と考えるものである。」ということをコメントしております。家族は事前に本人が処刑されるということを一切知らされません。 以前は、家族は本人と亡くなる前に会うことができたというふうに聞いておりますけれども、この点についての改善はされているんでしょうか。
○政府委(坂井一郎君) 家族との面会につきましては、事前には現在も連絡はいたしておりません。 ただし、言うまでもないことでございますけれども、執行いたしますと、その後の遺体の引き取り等の関係がありますので、事後的にはもちろん連絡はいたしておりますけれども、事前にはやっておりません。
○福島瑞穂君 以前には家族に事前に会わせていたということを聞いておりますけれども、それは途中で待遇が悪化したんでしょうか。
○政府委員(坂井一郎君) 待遇が悪化したということではなくて、以前というのがいつをお指しになっているのか、戦前のことを言っておられるのかどうかわかりませんけれども、そうではなくて、やはり我々矯正職員として死刑確定者を処遇するに当たって一番気にするのは確定者の心情の安定ということでございますので、あらかじめ連絡しますと、やはり家族の方から面会の申し出があって本人が死刑執行の日を知るとか、あるいはいろんな抗議行動等があるとかいろんな問題が生じてまいります。そうすると、それが本人の心情の安定を非常に害するという観点から事前には連絡をしないというのが現在の取り扱いでございます。
○福島瑞穂君 家族、本人は殺される、亡くなる前に会いたいと思うのが自然な気持ちだというふうに私は思いますので、ぜひこの点改善してくださるように要望したいと思います。 それから、今、死刑確定囚になりますと弁護士、家族以外の面会ができません。ですから、養子縁組をした養親などと文通したり、友達が激励の手紙を送っても、それは死刑囚のところに現在届きません。こういうことは改善していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(坂井一郎君) 先生御指摘のとおり、死刑確定者というのは、ほかの受刑者あるいは未決拘禁者と性格が異なっておりまして、厳格に身柄の拘禁を確保して死刑の執行に備えるという立場にあるものでございますので、基本的には家族、それから権利の擁護のために弁護士あるいはそういう人たちとの接見以外は認めない取り扱いになっております。 ただし、それに厳格に限定するというわけではございませんで、本人の心情の安定に資するとかあるいは権利の擁護のために資するという人間については個々具体的に判断してやっておりまして、これにつきましてはもちろん我々もこの勧告も十分承知して念頭に置きながらやっておりますし、またいろんな訴訟も出ておりますので、その訴訟の動向等も見ながら、ここは家族と弁護士以外は絶対会わせないという趣旨ではなくて、家族と弁護人以外でももちろん接見させることはあるのですけれども、それは非常に厳格に考えなきゃいかぬだろうというふうに考えております。
○福島瑞穂君 もし私が死刑確定囚になったら、友達と文通したい、あるいは会いたいというふうにやっぱり思うと思うんですね。ですから、その改善をぜひよろしくお願いします。 それで、きょうは国際人権の立場から聞かせていただきました。先ほど法務大臣が民法改正について若干前向きの発言をしていただいたというふうに私は思っておりますので、ぜひ国会できちっと議論していただくようによろしくお願いします。 私自身は夫婦別姓の観点から結婚届を出しておりませんので、子供は法律上婚外子になっております。さまざまな裁判を代理人としてやってきまして、今、娘は十二歳ですが、いまだに差別が撤廃されないということに関して私自身も公私ともども責任を感じておりますので、ぜひ早急に法務省が責任持って国会に上程して成立させてくださるように強くお願いしたいと思います。 以上です。
○平野貞夫君 人権擁護推進審議会ができましてからちょうど一年半ぐらいになりますが、精力的にいろいろ議論をなさっているようでございますが、中間報告といいますか、そういったものが出されるやに聞いておりますが、いつごろを予定されているんでしょうか。
○政府委員(横山匡輝君) お答えいたします。 本審議会におきましては、現在、人権教育、啓発に関する施策の基本的事項につきまして調査、審議がなされているところでありまして、衆議院及び参議院の各法務委員会の附帯決議を踏まえて、二年を目途に人権教育、啓発に関する施策の基本的な考え方を取りまとめていただけるものと承知しております。 以上でございます。
○平野貞夫君 そうすると、中間答申とか中間報告的なものは予定されていませんか。二年を目途に答申を出す、そう理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(横山匡輝君) そういうことでございます。
○平野貞夫君 あと半年ぐらいで二年になりますが、この審議会の設立された経過はいろいろございますので、法律の目的あるいは関係者の意向、期待をよくお聞きになって、ひとつ立派な答申が出されることを要請しておきます。 次に、道路公団のプリペイドカードの問題で日本ハイカ事件というものが国民に非常に強い関心を持たれておりますが、事務当局からで結構でございますから、このハイカ事件の捜査状況について御説明いただきたいんです。
○政府委員(松尾邦弘君) お尋ねの事件につきましては、東京地方検察庁におきまして、平成十年九月一日、ハイウエーカードの作製、販売等を業とする日本ハイカ株式会社の元取締役船場支店長松村武及び旅行業等を営む株式会社ジャパンスピリッツの元代表取締役中道弘ほか一名を、いずれも商法違反、特別背任でございますが、その事実で逮捕しまして、所要の捜査を遂げ、昨日、九月二十一日でございますが、松村及び中道の二名を同事実により東京地方裁判所に公判請求しております。 公訴事実の要旨を申し上げますと、被告人松村は日本ハイカ株式会社の船場支店長、被告人中道は、スポーツ用品等の製作及び販売を業とする釜本スポーツ企画株式会社から委任を受けハイウエーカードの仕入れ、販売等の業務に従事していた者であるが、被告人両名は共謀の上、平成七年八月三日ごろから同年九月六日ごろまでの間、被告人らの利益を図る目的を持って、被告人松村において、日本ハイカが釜本スポーツ企画に対しハイウエーカードの代金後払いの約定で販売するに当たり、代金回収が既に危ぶまれていたため、日本ハイカ本社の指示により、同年八月一日以降は前月中の販売代金のうちその月末までに入金された金額を超えて販売することなどが禁止されていたのであるから、その指示を遵守することはもとより、銀行による支払い保証を得させるなど、代金の回収を確保するため万全の処置を講じ、日本ハイカのため忠実にその業務を遂行すべき任務があるのにこれに背き、本社の指示に反し、同年七月分の販売の代金の支払いとして同月までに入金された金額が二億八千万円にとどまっていたにもかかわらず、この入金額を超えてかつ代金回収を確保するための万全の処置を講ずることなく、釜本スポーツ企画に対しハイウエーカード十八万六千七百枚、券面額合計で四十九億八千万円になりますが、これを代金後払いの約定で合計約四十八億四千万円で販売し、もって日本ハイカに同額相当の損害を加えたというものでございます。
○平野貞夫君 この中道被告の責任といいますか、焦げつかせた金額あるいは捜査の中で使途不明と思われる金額というのは、損害額というのはどの程度でしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) ただいまのお尋ねは具体的捜査の内容にかかわることでございますので、お答えいたしかねるところでございます。
○平野貞夫君 報道では二十七億とも言われていますし、この間のテレビでは、そのりち十六億ぐらいは説明のつかない金だというように聞いておりますが、刑事局長の立場からすれば具体的に言えないと言いますから、それ以上は聞きません。 この事件に政治家がかかわっていた、積極的にかかわったのかかかわらされたのかわかりませんが、そういう報道、情報が大変たくさんあるんですが、そういう報告を受けていますか。
○政府委員(松尾邦弘君) 検察がどのような事項について捜査しているか、あるいは捜査したかというようなことは、捜査活動の内容でございますので、申し上げるべき性格のものではございません。御答弁はいたしかねるので、御容赦いただきたいと思います。
○平野貞夫君 捜査活動の内容にかかわることなので答弁申しかねる、こういうことのようなんですが、こういう時世でございまして、政治不信あるいは政治家のありようというものは常に我々は相互に監視し合わなきゃいかぬ、こう思うんですが、今のお話ですと、かかわっていないということを否定する答弁じゃないと思いますが、そう理解してよろしいですか。
○政府委員(松尾邦弘君) かかわったかかかわらないかということも含めまして、具体的内容そのものでございますので、御答弁をいたしかねるところでございます。
○平野貞夫君 かかわったかかかわらなかったかということも含めて答弁いたしかねる。そうすると、私たちの理解としては、かかわったかもしれないがかかわらなかったかもしれないと、こういう理解をいたします。 私の知るところでは、この逮捕された中道被告が念書を書いていて、その念書は東京地検特捜部が押収していて、その念書の中身に政治家の名前が記載されていると。私の知るところではこういう情報があるんですが、このことについて報告を受けていますか。
○政府委員(松尾邦弘君) 大変具体的な内容に触れたお尋ねですが、捜査内容についてのことでございますので、お答えいたしたしかねるということでございます。
○平野貞夫君 こういう内容は、公判になればそういう事実があれば当然名前が出てくると、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○政府委員(松尾邦弘君) 一般的に申し上げて、起訴した後の公判でいかなる証拠が顕出されるかということにつきましては、公判の推移等いろんな状況にかかわることでございまして、なかなか申し上げることはいたしかねると思います。
○平野貞夫君 公判請求したわけですから一応の捜査は終わっていると思いますが、この念書なんかを国会で資料要求したら、これは国会の多数決での議決が要るんですが、これは出していただけますか。
○政府委員(松尾邦弘君) 私自身、先生が今お尋ねのそういった念書があるのかないのかということは存じませんし、また、私からお答えいたしたしかねる事項ではございますが、一般論として申し上げますと、捜査当局が押収してある証拠につきましては、刑事訴訟法四十七条の規定がございまして、公判廷で開示する前には開示ができないことになっております。 ただ、先生のお尋ねの中に、国会の例えば委員会等からの要求ということでありましたので、その点についても申し上げますと、四十七条のただし書きに、公益上その開示できる場合の規定がございます。したがいまして、一般論として申し上げれば、このただし書きの規定は、その公判の前に証拠物は出すべきではない、出してはいけないという本文によって守られる法益と、それから、国政調査権の発動であるそういう資料要求という形でなされる議員あるいは国会からの御要求、その公益のぶつかり合う場合であろうかと思います。 ケース・バイ・ケース、その時々の状況によって慎重に判断されるべき事項であると思っております。
○平野貞夫君 ロッキード事件のときにも刑訴法の四十七条のただし書きが問題になりましたが、国会側の解釈としては、公益上の正当な理由があれば公判の前でも捜査中でも出せる、いわゆる要求できる、応じなきゃだめだと、こういうふうに私は理解をしております。 この念書の存在を刑事局長は知らないと、あるかどうかもわからないと今お話してございましたが、これも私の知るところでございますが、この中道被告が書いた念書というのは、債権者に対するお金を返済することを猶予してくれという趣旨のことを書いた念書だそうですが、その念書の中に、衆議院議員の森喜朗氏、現在の自民党の幹事長、この方に政治献金をしているので、したがってもろもろの関係があるのでひとつ金の返済を待ってほしい、こういう趣旨のもののようです。 これは非常に大事なことでございまして、特に金融再生問題なんかで大きな与野党折衝が行われているときに、やはり与党の責任者がこういう疑惑といいますか、問題を抱えているということは、これは非常に重要な問題で、野党も国民もやっぱり政治不信という意味で非常に大きな問題だと思います。 それから、御本人の名誉のためにもできるだけ早くこういう話は事実を明らかにして、あるものならある、ないものはない、書かれているなら書かれている、書かれていないなら書かれていない、かかわったかかかわらないか、こういったことはできるだけ早く真相を明らかにしていただきたいと思います。法務当局として、こういうことについてもうちょっと、一定の公判請求したというなら、私はそういう疑惑を持っているわけなんですが、そういうものに対して真実を明らかにする方策を考えていただきたいんですが、いかがでございましょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) お尋ねはやはり具体的な事件の具体的な内容にかかわることでございますので、お答えする性格のものではないと考えております。
○平野貞夫君 それでは、私たちは今後、参議院では野党が一致すれば野党が多数でございますので、刑訴法の四十七条ただし書きというようなことをひとつ野党間で協議した上で、この問題をまた改めて取り上げてみたいと思います。 残りの時間で長銀問題についてちょっと私の意見を申し上げて、法務当局の御見解を伺いたいのでございます。 私は、長銀問題の本質というのは、政府それから自民党そして財界の一部が、日本発世界恐慌を避けたいというもっともらしい理屈をつけて事実上債務超過の長銀を法を曲げてでも救済しようということだと思います。すなわち、過去我が国のいびつで不健全な資本主義のもとで行われた金融機関をめぐる犯罪行為や反道徳的行為を国民の目からそらして隠ぺいしようということだというふうに私は認識しております。今一番大事なのは、一日も早く我が国に健全で公正な市場経済、金融市場をつくることだと思います。 そのためには、やはり世界で通用するルールで長銀を整理、清算すること、これだと思います。政府、日銀が内外に信用の確保と取引の保証について責任を持つということをきちんと声明して、同時に画期的な景気対策それから構造改革計画を打ち出せば大混乱なんか発生しません。今よりよくなると思います。 長銀がことしの三月に粉飾決算で公的資金を注入させるに至った実態を、私たちもそれを推測し得る材料、資料を集めて分析しております。実はこれについて地検特捜部の一部の方々が関心を持って、その資料を欲しい、こういうことで私のところにそういう話があって、私が渡したわけじゃございませんが、私たちのグループの人はそういう地検の特捜部の方たちの気持ちに応じております。 ようやく一般の新聞でもこれを取り上げるようになりまして、二十日の日曜日には読売新聞が長銀のペーパーカンパニー、日比谷総合開発とか有楽町総合開発、新橋総合開発、こういったペーパーカンパニーが長銀の粉飾決算にかかわったことを報道していますし、またけさの朝日新聞も長銀系ノンバンク、エヌイーディーの融資実態の問題点について報道しております。 私は、この長銀問題は商法や刑法上の責任を問うべき時期に来ている、こう思うわけでございます。地検の現場の方々が強い関心を持って、この金融不祥事を一日も早く法と正義で処理して日本に健全な資本主義社会をつくろうというふうに情熱に燃えているように思う。どうかひとつ、こういう人たちの気持ちを十分酌んで、生かして、この種の問題はともすれば政治的圧力だとかいろんな問題にかかわりやすいものですので、法務省としても、司法制度の新しい世界的な発展もございますので、それのスタートは、やはり私はこの日本の金融資本といいますか、金融機関の戦後の実におかしな動き、特に政治との絡みでの動きに日本の社会の腐敗、崩壊のもとがあるわけですので、ぜひその突破口を法務省としてつくってほしい、こう思いますが、大臣の御見解をいただければ大変ありがたいんです。
○国務大臣(中村正三郎君) 今、政治的圧力というようなお話もありましたが、そういう圧力は一切感じておりません。それと、自民党の中の有志の議員からも、この長銀問題に関して背任行為等で厳正に捜査を進めていけというような御意見書も来ております。 そして、先ほどから刑事局長も答弁しておりますように、法と証拠に基づいてこれは国民のいろいろな疑問にもこたえるべく誠心誠意厳正に捜査をしてまいるということでございます。
○平野貞夫君 そうすると、法務省としても、私が申し上げました商法や刑法上の責任追及というようなことに今関心を持っている、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(中村正三郎君) それにつきましては、この前の予算委員会だったと思いますが、御答弁申し上げたんですが、政府には今一義的な監督機関として金融監督庁、また住専処理機構でございますとか整理回収銀行だとか、告発を行うことができる、資料を調査できるであろう部署がございます。やはり私どもとしては、そうした直接的な監督官庁の調査に基づいて告発を受けて動くのがまず一つの筋だと思いますが、これからのいろいろな状況に応じてまたいろいろな場面では考えていかなきゃいけないことがあるかと思いますが、現在においては直接的な監督機関からの告発を受けていろいろ動いているということでございます。
○平野貞夫君 犯罪の存在、あるいは犯罪が立証できるような状況のものが整えば別に監督庁の告発は要らないと思いますし、また告発は別に監督庁だけじゃなくて国民もできるわけでございますし、その点は私たちはやっぱり監督庁自身を信用していませんから、今回の問題については、場合によっては監督庁もぐるの構造的な問題が、国家犯罪が、そういった国家機関による、防衛庁の調達本部と同じような構造があるんじゃないかと見ていますので、十分その辺はよく事態の推移を見て対応していただきたいと思います。 以上で終わります。
○中村敦夫君 まず最初に、統一協会の教祖文鮮明の入国と、それから国会議員に対する統一協会からの秘書の派遣の問題についてお尋ねします。 統一協会は宗教の名をかりてさまざまな反社会的な行動をとっている団体でございますけれども、特に青年たちあるいは主婦層をターゲットに、大変システマチックな心の操縦法というものをうまく使いまして、いわゆるマインドコントロールをしていく。 最初は正体を隠してさまざまな形で勧誘をやるわけですね。例えば、この前の新潟の花火大会なんかにも出かけてきて、あめを配りながらビラをまいて、遊びに来いというような形でそこから連れ込んで、ビデオを見せたりいろいろなサービスを与えて引き込んでいくわけですが、次第に今までの考え方を否定していく、常識というものを全部壊していく。だんだん自信がなくなって心が真っ白になっていく。その段階で教義のようなものをがんがんと注入していくわけです。そしてある段階まで来ると、これを集団的に隔離して、完全にもう自分の判断で物を考えることができないような、そういう頭の構造につくり変えてしまう。そして外界の情報を完全に遮断して、それから珍味売りだとか、知られている霊感商法だとか、こうしたことに無賃労働者として使っていく、こういうことをやっております。 この結果、子供たちがそういう団体にとられて本当に苦しんでいる家族というのがもう何千とあるわけで、長い長い間これが続いてきたわけです。こんな団体がぬけぬけと放置されているという事態そのものが私は大変おかしいと思っております。 そして、この教祖である文鮮明という男も、経歴を見ると、もうスキャンダラスチックな行動で埋められているような人物です。最初はピョンヤンの方から布教を始めていくわけですけれども、その教会でセックスを媒体とした非常にいかがわしい布教を始めて、二度も逮捕されているわけです。一九四六年、四八年、風紀紊乱罪とか二重結婚とかいかがわしい容疑で逮捕されていると。これは教義そのものも非常にセックスに絡んだ、そうしたおかしな教義なんです。 この件に関しては後にアメリカでもいろいろな問題を起こして、アメリカの議会ではフレーザー委員会というのが開かれまして、一九七六年に、これはもうキリスト教のセックス風解釈をした珍妙なものだというふうに断定されたというのがこの本質でございます。 さて、ピョンヤンで捕まっていましたが、朝鮮動乱のときに、どさくさに紛れてこの文鮮明という男は脱獄して韓国に移りまして、そこから反共活動を始めて勢力を拡大する。そして日本にやってきて大変な力を持つわけです。統一協会の利益というのは、八割はもう日本の霊感商法から上がってくるというようなことなんです。しかし、その後アメリカへ移るわけですけれども、一九八四年にも脱税容疑で捕まって、一年六カ月刑務所に入れられるという経過があります。 ところが、この男が平成四年三月二十五日から四月一日まで日本に滞在していたわけですね。これは入管法五条というものを見ますと、本来的にこうした人物は入国できないはずになっておるわけです。これは、平成十年四月二十八日の衆議院の法務委員会でも入国管理局長がそのとおりだということを言っているわけですけれども、なぜ入れたかといいますと、入管法の十二条の方で、特別の事情があって法務大臣が認めた場合は入れるということになっておるわけですけれども、その理由が、刑確定後七年が超過しているということが一つありますが、何年超過していようとこんなものは特別な事情にならないと私は思っているんです。 それで、もう一つの理由は、北東アジアの平和を考える国会議員の会という妙なものが突如でき上がっていまして、この招待でもって入るという形になりました。この会はほとんど幽霊団体という感じでして、大体その当時の前参議院議員が一人、そして当時の現役の衆議院議員が五人ですか、六人ででっち上げたような会でして、大体、統一協会から秘書を派遣してもらったり、献金をいっぱいもらったりしている連中の名前が並んでおります。こんなふうにして入ってきたということです。 法務省にちょっとお尋ねしたいが、これはなぜ十二条が適用されるほど特別な事情なのかということをお答えいただきたいんです。
○政府委員(竹中繁雄君) 先生のおっしゃるとおり、この文鮮明氏は、過去に米国において所得税法違反で一年を超える刑に処せられていたということで、上陸拒否事由に該当していたわけですが、この平成四年のとき、その入国目的が、朝鮮半島及び北東アジアの平和のあり方について我が国の北東アジアの平和を考える国会議員の会のメンバーとの意見交換にあるという事情を考慮しまして、その上陸を十二条に基づいて特別に許可したものでございます。
○中村敦夫君 このような人物が、そんな大事な問題を考える会に適当だとはとても思えないわけです。 当時、やはり利権関係のある金丸信代議士が法務省に圧力をかけたんではないかという報道が非常に多かったわけですよ。これは事実なのかどうか。それと、だれがこの十二条の適用を決定したのか、その人物はだれだったのか、教えていただきたい。
○政府委員(竹中繁雄君) 当時いろいろなところからこの文鮮明氏に関しては陳情のような話があったということはどうも事実のようでございまして、その中に金丸先生の名前も入っていたと承知しております。 どうしてこれを認めたか、だれが認めたかということでございますけれども、これはまさに先生御指摘の十二条、法務大臣の裁決の特例という条文でございますが、ここに書いてありますのは、ちょっと関係のところだけ読みますと、「法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるときは、その者の上陸を特別に許可することができる。」ということで、あくまでも法務大臣でございます。
○中村敦夫君 私は、特別な事情があるとはとても思えない、というか、とんでもない事情だと思っていますが、こうした文鮮明のケースは、今後、入管法の十二条の前例になってしまうんですか。
○政府委員(竹中繁雄君) あくまでも十二条はそのときそのときで特別な事情があるかどうかということをその際に決めるということでございますので、それでもって、当然、それから後は必ず認めるとか認めないということを、先例とおっしゃるんであれば、そういうことではないということだと思います。
○中村敦夫君 来年二月三日あるいは三月三日、統一協会がまた日本で合同結婚式をやる準備をしております。後楽園ドームを使うというような計画になっておりますけれども、これは霊感商法が大分だめになってきて、またバブルの崩壊もありまして、大分赤字になってきた。無理やり知らない人間をくっつけて合同結婚式をやって、そこから参加者に大変高い会費を払わせてつないでいくというのが現状なんですけれども、それに文鮮明が来たがっている、その入国の準備をしているという動きがあるわけですけれども、そのことを法務省はつかんでいるのか。そして、入国要請が来たらまた十二条を適用するのか、特別な事情は何なのかということをお聞かせいただきたいんです。
○政府委員(竹中繁雄君) 文鮮明氏が日本への入国申請を行うという具体的な話を私ども承知しておりません。 なお、具体的に申請があった場合には、私ども出入国管理及び難民認定法第十二条に規定する法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情の有無について、向こうから出してまいります入国目的、あるいは過去の在留状況、その他諸般の事情を総合的に考慮した上、慎重に検討することになります。
○中村敦夫君 国会議員に対して統一協会やその政治組織などから秘書が派遣されているというのは広く知られているわけですね。多い人は統一協会から一人の議員に九人もの秘書がついているというようなこともあります。私たちもそういう議員や秘書というものの数を調べておりますけれども、公安調査庁では、統一協会系の秘書の提供を受けている議員が何人いるのか、そしてそういう秘書たちは国会全体で何人いるのか、数でお答えいただきたいんです。私らの数とどう合うか、ちょっと知りたいものですから、お願いします。
○政府委員(豊嶋秀直君) お答えいたします。 公安調査庁といたしましては、統一協会が種々社会的な問題を引き起こしている団体であるということは十分承知しておりまして、統一協会側によると公称の会員は四十七万を超えているというふうに発表されておりますが、実質的には五万人ぐらいではないかという見方もあるようです。そういうことで、大いなる関心を持って統一協会という団体の動向については広く情報を集めております。 中村委員御指摘の、国会議員に秘書が派遣されているというようなことが一部のマスコミで報道されたこともよく承知しておりますけれども、その内容の真偽についてまでは把握いたしておりません。
○中村敦夫君 数はわからないということですか。それは大変困ったことなんですね。これは我々だってわかっているのに、公安調査庁がこれをつかんでいないということは大変危険なことではないかと思います。 といいますのは、冷戦後、文鮮明は反共というのを取りやめて急速北朝鮮に近づいていくわけです。金日成主席に大金を提供したり、あるいは事業の共同経営を持ちかけたり、そういうことを積極的に開始したわけです。ポトンガンホテルを買い取るとか、それから観光開発を積極的にやるとか、日本人妻の帰国連動なんかも統一協会が一番しんになってやっているわけであって、非常に政治的な動きをするという団体であります。これは、今の日本と北朝鮮の非常に複雑な危険性を伴った緊張のある関係の中で大変危険な、公安の問題ではないかと思うんですけれども、そういう意識は公安調査庁はお持ちではないんでしょうか。
○政府委員(豊嶋秀直君) 先ほどもちょっとお答えいたしましたが、統一協会の動向については非常に関心を持って見守っております。ただ、団体の動向自体については非常に関心があるわけでございますが、破防法上個々の構成員の具体的な、いわば私的な活動まで一々調査をすることの是非、適正の問題ということもございまして、今後そういう必要が生ずるというふうに判断した場合には私どもはさらなる調査を続けていく必要があろうかと思いますが、現在は破防法上の調査でそこまでできるかどうかという問題もあるのではないかという観点から、団体の動向の調査にとどめている段階でございます。
○中村敦夫君 そういう個人的な問題とか、そういうことを超えた問題ではないかと思うんです。やはり国会議員のそばにたくさんの北朝鮮と協力している団体の秘書がいるということ自体が、国家機密が筒抜けになるというような状況なわけですから、そういう消極的な考えで公安がいられるということは私は大変疑問に思っているんです。そんなことでいいのだろうか。 それに関連しまして、実は高村外務大臣、この方はかつて統一協会の代理人だったわけですね。裁判の記録などにも載っているわけです。それから、一九八九年の資産公開では、統一協会の霊感商法の元締めであるハッピーワールドという会社、ここから時価三百八十万円のセドリックを提供されているというような、これは相当に深い関係だと思うんです。こういう方が今、日本と北朝鮮の問題のさなかで外務大臣をやっているということを私は大変危惧するわけです。 ですから、高村さんは現在とこれまでの統一協会との関係、具体的なものを全部公開すべきではないのかなというふうに思うんです。もし公開できないとしたら、これは外務大臣としては大変不適任でありますから、これは罷免すべきではないかと思います。 本来、総理大臣に聞くべき問題なんですが、聞いてもどうせわからないでしょうから、国務大臣としての法務大臣にかわりにお答え願えませんか。
○国務大臣(中村正三郎君) 今、中村議員の問題意識はいろいろお伺いしたわけでございますけれども、やはり内閣総理大臣にわからないものは私にもわからないのでありまして、実際にどのようなことがあるか、またどのようなことが法律に反するんだという観点から私ども行政をやるわけでありまして、ちょっと私としてもお答えできないということだと思います。
○中村敦夫君 大分この問題に関して皆さん逃げ腰なものですからここで打ち切って、もう一つの問題を質問します。 これは食糧費をめぐる地方公務員の不逮捕、未起訴問題ということなんですが、平成六年五月十八、十九日、東京都監査事務局というところが第九十三回関東甲信越監査委員協議会というのを新宿の京王プラザで開催したわけです。まあ宴会でもやったわけでしょう。そのときこの件で違法な公金支出がありました。そして、事務局が裏金をつくったということがありまして、これで住民が都監査委員会へ監査請求をし、そして東京地方裁判所へ返還請求裁判を起こしました。その結果なんですが、都監査委の監査結果通知では、やはり請求書など関係書類が実際の内容と異なり捏造されていた事実を認めたわけです。また、平成九年四月二十五日、東京地裁判決では、都監査事務局長へ八十万五千六百円の返還命令がなされたという事実があります。 この間、平成八年三月五日付で住民が東京地検特捜部へ公文書偽造などの容疑によって告発をしたわけですが、それが受理されたと報道されたんですが、これは確かでしょうか。
○政府委員(松尾邦弘君) お尋ねの件につきましては、東京地方検察庁におきまして、平成八年三月十二日、元東京都監査事務局長ら五名に対する業務上横領の事実により告発を受け、これを受理しております。平成九年九月一日に被告発人のうちの一名が死亡しておりまして不起訴処分になっておりますが、その余については現在捜査中でございます。検察当局においては、所要の捜査を遂げた上、法と証拠に基づき適正に事件を処理するものと思います。
○中村敦夫君 自治省にちょっと聞きたいんですけれども、地方自治体の監査委員というのは、普通地方公共団体の財務や経営を公正か不公正かチェックする役割なわけです。特に都監査事務局というのは、全都道府県監査委員協議会連合会という全部の事務局も兼ねている。責任はさらに重大なわけです。そのチェック係がみずから不正を犯していた。これではもう正義などどこにもないということになってしまうわけです。結局はその都監査事務局自身、都の行財政の適正な執行を監視する立場の監査当局が不正経理を行っていたということを公式に認めたんです。こういうことになりますと、地方自治法を根底から揺るがしているような事件だと思うんですが、自治省はこの事件をどのぐらいの重要さを持って認識しているのか、ちょっと一言だけでいいですから、お答えいただきたいんです。
○政府委旦(鈴木正明君) 地方団体の経費の支出のあり方が問題となっておりまして、今お話のございましたように、適正な経費の執行が行われているかどうかをチェックすべき立場にあります監査委員事務局において不正経理の問題が指摘されているということは、国民の間に地方団体への不信感を惹起させ、ひいては行政に対する信頼を損ねかねないということで、まことに遺憾に考えております。 これに対する対策といたしまして、地方制度調査会の答申を踏まえまして、外部監査制度の導入と現行の監査委員制度の充実を図るべく、昨年、地方自治法の一部改正が行われたところでございます。
○中村敦夫君 大変重大な問題と受け取られていることがわかるんですけれども、本件に関しまして、検察の告発受理後二年以上が経過しているんです。それから、東京地裁判決からも一年以上が経過しているんですね。書類の捏造、つまり公文書の偽造、これは当の監査委員みずからが公に認めていた事実なんです。判定でも認定されているわけですから、これは立件は容易なわけなんです。しかし、これほど立件が容易で大事件なのに、いまだ起訴に至らないというのは大変不思議です。
○委員長(荒木清寛君) 中村君、時間が来ております。
○中村敦夫君 最高検察庁の明確な説明を求めます。
○委員長(荒木清寛君) 簡潔に答弁をお願いします。
○政府委員(松尾邦弘君) 確かに御指摘のように告発からかなり日がたっていることはそのとおりでございますが、この捜査内容、あるいはその処理に至っていない事情等については、具体的事件の内容にかかわることでございますので、私から今申し上げるのは控えたいと思います。
○委員長(荒木清寛君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後四時十二分散会 —————・—————