国民福祉委員会 第4号
- 発言数
- 216 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 8
- 開催日
- 1998/09/24
会議録
○委員長(尾辻秀久君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。 去る十七日、谷林正昭君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。 —————————————
○委員長(尾辻秀久君) 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。 まず、両案について政府から趣旨説明を聴取いたします。宮下厚生大臣。
○国務大臣(宮下創平君) ただいま議題となりました二法案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 まず、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案について申し上げます。 明治三十年の伝染病予防法の制定以来百年が経過し、この間の医学医療の進歩、衛生水準の向上及び国民の健康・衛生意識の向上に伴い、コレラによる死者が年間十万人を超えるといった事態を見ることはなくなりました。その一方で、国内においては、一昨年にいわゆるO157感染症の流行が社会問題となり、また、世界に目を向ければ、エボラ出血熱等これまで知られなかったいわゆる新興感染症が出現し、国際交流の活発化に伴い国内に持ち込まれる危険性が高まっております。さらには、近い将来克服されると考えられてきたマラリア等が再興感染症として再び問題化するなど感染症が新しい形で人類に脅威を与えてきております。 また、伝染病予防法は、強制的な予防措置が既に不要となっている感染症を法定伝染病として法律に位置づけている一方で、エボラ出血熱等の世界的に問題視されている危険な感染症が法の対象とされていないこと、感染症の予防措置に関し、感染症が発生した事後の対応に偏っていること、患者に対する行動制限に際し、人権尊重の観点からの体系的な手続保障規定が設けられていないこと等の点で、時代の要請にこたえることができないものとなっております。 こうした状況を踏まえ、総合的な感染症予防対策の推進と、これに伴う医療の充実を図るために、今般、この法律案を提出した次第であります。 この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。 第一に、感染症の予防のための施策は、感染症の患者等の人権に配慮しつつ、総合的かつ計画的に推進されることを基本理念とするとともに、感染症の患者が良質かつ適切な医療を受けられるよう必要な措置を講ずるよう努めなければならないこと等を国及び地方公共団体の責務とし、また、感染症の患者等の人権が損なわれることがないようにしなければならないこと等を国民の責務とすることとしております。 第二に、国は感染症の予防の総合的な推進を図るための基本指針及び特に施策を推進する必要がある感染症についての特定感染症予防指針を定め、都道府県は感染症の予防のための施策の実施に関する予防計画を定めることとするとともに、所要の感染症に関する情報の収集及び公表に関する規定を整備することとしております。 第三に、この法律案による措置の対象となる感染症について、その感染力、感染した場合の重篤性等による危険性に応じて類型化することとしております。 第四に、感染症の類型に応じて、健康診断、就業制限及び入院の制度を設け、患者の人権の保護を図るための手続規定を整備するとともに、この法律案に基づく入院医療の提供体制を整備し、その入院費用について、医療保険各法による医療給付と公費の組み合わせにより負担するための規定を定めることとしております。 第五に、感染症の類型に応じて、その発生及び蔓延の防止のために感染症の病原体に汚染された場所や物件の消毒、猿その他の動物に係る輸入検疫等の必要な措置について定めることとしております。 第六に、未知の感染症であって、その感染力、感染した場合の重篤性等に基づき危険性が極めて高いと判断されるものを新感染症と位置づけ、これに迅速かつ的確に対応できるよう、国と都道府県の密接な連携のもとに、蔓延の防止のための入院等の措置を定めることとしております。 なお、性病及び後天性免疫不全症候群については、おのおのこれまで個別の法律に基づき対応してまいりましたが、これらの法律の制定以降の医学医療の進歩、これらの感染症に関する正しい知識の普及等の状況の変化を踏まえ、今後はこの法律案の中で必要な対応を図ることとし、性病予防法及び後天性免疫不全症候群の予防に関する法律についても、伝染病予防法とあわせて廃止することとしております。 次に、検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案について申し上げます。 近年、海外においてはエボラ出血熱等のこれまで知られなかった感染症が出現し、国内においては生活様式の多様化に伴い感染機会が増大しており、感染症を取り巻く環境は大きく変化しております。 さらに、国際間の人や物の移動の活発化や航空機による輸送の迅速化に伴い、外国から新たな感染症が持ち込まれる危険性が著しく増大しており、国内への感染症の侵入防止のための施策の充実及び国内における感染症対策と連携した対応が求められております。 こうした状況を踏まえ、総合的な感染症の予防対策の推進の一環として、国内に常在しない感染症の侵入を防止するため、検疫の対象となる感染症や狂犬病対策における対象動物の追加等所要の見直しを行うこととし、今般、この法律案を提出した次第であります。 この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。 まず、検疫法の一部改正につきましては、検疫業務について、国内の新たな感染症対策との整合性を図り、検疫の対象となる感染症として特に危険な感染症を追加し、また、検疫所長が厚生大臣の指示に従って新感染症に対する検疫を行うことができるようにするとともに、隔離及び停留について所要の見直しを行うこととしております。 さらに、検疫所において出入国者の求めに応じて診察や予防接種を実施するとともに、外国における感染症情報を出入国者に対し提供することとし、さらに検疫所と都道府県との連携を図ることとしております。 狂犬病予防法の一部改正につきましては、狂犬病の予防のため、輸出入検疫、狂犬病の発生時における獣医師の届け出措置の対象動物として、現行の犬に加え、猫等を追加することとしております。 これら二法案の施行旧につきましては、一部の事項を除き平成十一年四月一日としております。 以上が前国会に提出いたしました二法案の提案理由及びその内容の概要でありますが、前国会においては感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案につきまして、参議院において病原体等の検査能力の向上及び検査実施体制の整備に関する事項の追加、四類感染症及び指定感染症の定義の修正、感染症の患者等の人権の配慮に関する事項の追加、法律の施行の状況等を踏まえた検討規定の追加等の修正が行われたところであります。 さらに、同法案につきましては、去る九月十七日に衆議院において修正が行われたところであります。 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○委員長(尾辻秀久君) 次に、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員長勢甚遠君から説明を聴取いたします。長勢甚遠君
○衆議院議員(長勢甚遠君) ただいま議題となりました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案に対する衆議院における修正につきまして、その内容を御説明申し上げます。 第一に、制定の理念を宣明するため、前文を加えることであります。 以下、前文を朗読させていただきます。 人類は、これまで、疾病、とりわけ感染症に より、多大の苦難を経験してきた。ペスト、痘 そう、コレラ等の感染症の流行は、時には文明 を存亡の危機に追いやり、感染症を根絶するこ とは、正に人類の悲願と言えるものである。 医学医療の進歩や衛生水準の著しい向上によ り、多くの感染症が克服されてきたが、新たな 感染症の出現や既知の感染症の再興により、ま た、国際交流の進展等に伴い、感染症は、新た な形で、今なお人類に脅威を与えている。 一方、我が国においては、過去にハンセン 病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等 に対するいわれのない差別や偏見が存在したと いう事実を重く受け止め、これを教訓として今 後に生かすことが必要である。 このような感染症をめぐる状況の変化や感染 症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、感染 症の患者等の人権を尊重しつつ、これらの者に 対する良質かつ適切な医療の提供を確保し、感 染症に迅速かつ適確に対応することが求められ ている。 ここに、このような視点に立って、これまで の感染症の予防に関する施策を抜本的に見直 し、感染症の予防及び感染症の患者に対する医 療に関する総合的な施策の推進を図るため、こ の法律を制定する。 第二に、基本理念のうち感染症の患者等の人権の配慮に係る部分について、「感染症の患者等の人権に配慮しつつ」を「感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、これらの者の人権に配慮しつつ」に改めること。 第三に、医師その他の医療関係者の責務として、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならないことを加えること。 第四に、国の責務として、感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進を図るための体制を整備することを加えること。 第五に、基本指針に定める事項として、感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進に関する事項を位置づけること。 第六に、基本指針に定める事項のうち感染症の病原体等の検査に関する事項を、感染症の病原体等の検査の実施体制及び検査能力の向上に関する事項とすること。 第七に、その他所要の規定の整理を行うこと。 以上であります。 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(尾辻秀久君) 以上で趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明の聴取は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○水島裕君 自民党の水島でございます。 ただいま大臣から詳しくお話がありましたように、この法律案は参議院先議で行われまして、初めての方もかなりいらっしゃいますので申し上げますと、参議院で大変よい議論ができまして、修正及び附帯決議がついたわけでございます。それでそのときにも、衆議院で修正がありました人権の部分、それから倫理的なことも話題になったんでございますが、そのときのいきさつといたしましては、参議院では医学とか制度とか体制とか、そういうことを十分審議して、その辺のことは衆議院にも、ひとつ人権のことなどは衆議院の方でもよくやっていただこうということで、衆議院の方でこのような修正がつきました。それで、そのほか医薬品の開発、それから良質の医療、医師の責務なども参議院で十分検討したことでございまして、今示されました前文及び修正点につきましては、私賛成でございますし、自民党の同僚も賛成ということでございます。 ただ、せっかくの機会ですので一言だけ申し上げておきますのは、感染症が余りにも怖い怖いというのは医学の常識と少しずれております。例えば、この修正のうち、「感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、」というのも、もちろんこれ幾つかの感染症ということで衆議院でおつくりになったと思いますので賛成でございますが、私どものように悪性腫瘍とか血管病とかあるいは難病などをしょっちゅう研究したり診療している者にとっては、原因が感染でしたということがわかるとみんなそれでほっとするというのが実情でございます。感染症というのは医学的に見ると、なってよかったということはないでしょうけれども、ほかの病気になるよりかは通常はよかったということなんであります。 でも、もちろん幾つかの感染症の方は大変お気の毒ですし、それから人権の侵害という可能性も多いので、そういうことを考えてこういう修正ということでよろしいんじゃないかと思いますし、賛成でございます。 それで本日は、むしろこの修正がいいかどうかというのはこれで終わりにさせていただきまして、せっかく衆議院で医薬品の研究開発、それから良質の医療をするというような修正がつきましたので、そのことにつきまして少し前向きな質疑をさせていただけたらと思います。 まず、医薬品の開発でございますが、三点申し上げたいことがあります。適用拡大のこととO157対策、それからインフルエンザを中心としたワクチンの対策ということでございます。 まず、既にある医薬品の必須の適用拡大というのは、これ感染症領域でも大変重要なことなんであります。このごろ私、医学者と議員と二つの顔を持っておりますが、厚生省との間でいろいろディスカッションしまして、非常によくこのところ意見が一致しているので、大部分のことはこれからはもう実行のみだというふうに思っているわけでございますが、どういうわけだか既存医薬品の適用拡大ということに関しましてはなかなか意見が合わない、極端に言うとこれだけ合わない、ほかはもう大部分合ってきたというところでございまして、きょう質問しても何となく答えはまた余りよくないんじゃないかと思って、嫌な感じがしているんでございますが、それでもこれは私の責務でございますので、しないといけません。 それで、実は私こういうことを学問的にやっております臨床薬理学会というのをお世話させていただいて、そこで専門家がたくさんいますので、今の必須の適用拡大ということで調査をしたわけでございます。 それで、感染症あるいは抗菌剤についてどういうことが結論として出たかと申しますと、ほとんど一〇〇%の人がこれは絶対に使えるようにしてほしい。というのは、例えばリファンピシンのMRSA、これが今使っちゃいけない、それからクラリスロマイシンのレジオネラ菌、それから同クラリスロマイシンの非定型抗酸菌症、それからエリスロマイシンのびまん性気管支肺炎、その他幾つかあるんですけれども、こういうものは本当に適用がとれていないので、現場で非常に混乱が起きているわけでございます。そのほかにも非常に大きなのが、これはある程度最初はやむを得ないんですけれども、小児にはほとんどの抗生物質が、ほとんどと言ってはちょっと大げさですけれども、最近の抗生物質はほとんど使えない状態になっているというのであります。 これを使えるようにするのは大した苦労じゃないんですけれども、それがなかなかうまくいかないんですね。ほかにもちょっと例があるんで、お答え次第によってもう一回言おうと思って、とっておきますけれども、この辺で私の一つの考えは、医薬品の適用拡大あるいは認可というのは製薬会社が申請してということはもちろんよく存じておりますし、なるたけそれに合うようにいたしますと、こういう案がどうかなと思っているので申し上げますと、既存の医薬品の必須の適用拡大については厚生大臣が必要と認めたとき、つまり厚生省が必要と認めたときは審議会に諮り、必要に応じて最小限の書類あるいはデータをメーカーから提出させて至急審議をするというぐらいに中間案でできたらなと思うんですけれども、この辺局長いかがでございましょうか。
○政府委員(中西明典君) もう先ほど来お話しございましたが、医薬品につきましては、有効性、安全性につきまして中央薬事審議会の議を経て厚生大臣が承認する、そういう仕組みになっているわけでございます。 ただ、先生御指摘の希少疾病用医薬品につきましては、メーカーの採算性等の問題もございまして、できるだけ申請をしやすい環境を整えていくということが必要かと考えております。そのために、一つは希少疾病用医薬品の開発促進制度、これはオーファンの医薬品を指定し税制上の優遇措置あるいは研究開発のための資金の援助等をやっているわけでございますが、そういった面から積極的な開発促進を図るというのが一つ。それからもう一つは、先生の方の御指摘もございましたように、承認審査を必要な部分は何かということを判断して、できるだけ速やかにまた必要最小限のデータでもって判断していくという仕組みが必要かと考えております。 本年八月からICH、日本、アメリカ、EUの医薬品規制調和国際会議の合意に基づきまして、外国臨床試験データの承認申請資料としての受け入れに関する取り扱いを新たに定めまして、外国臨床試験データがある場合はこれを活用して、必要最小限の国内臨床試験データにより承認申請を行うことを可能とするという措置に切りかえたところでございます。これによって相当程度承認申請資料の簡易化あるいは軽減というものが図られるというふうに考えております。 さらには、先生御指摘のまれな感染症に対する既存医薬品の適用拡大で、また医療上の必要性も高いというようなものにつきましては、外国において広くその適応症が認められ内外における評価が確立しているといったような場合には、薬事審議会と相談しながら、例えば新たに臨床試験を求めないで必要最小限のデータに基づいて承認審査を行うといった形で、今後真に必要な適用拡大が円滑に進むような形で措置を講じていきたい、かように考えております。
○水島裕君 大分近寄ってきたんですけれども、薬事審議会と相談してというときは、メーカーの方から申請がなくても最初の相談はなさるというふうに解釈してよろしゅうございますか。
○政府委員(中西明典君) 物によってはそういうことも視野に入れて対処をしたいと考えております。その上で、メーカーに対して承認申請を勧奨するといいますか、要請するというか、そういう形をとっていくことも考えたいと考えております。
○水島裕君 もう一息ですので、また次の会議にでもと思いますけれども、大臣もひとつこれはわかっていただきたいんです。 一つの例を申し上げますと、G−CSFと申しまして、白血球をすごくふやす薬があるんですね。例えば、薬の副作用で白血球がなくなってもうすごい致死率があるものに薬のアレルギーや副作用による無顆粒球症、それはひどくなると今までは本当に七、八割ぐらい亡くなっていたんですね。ところが、このG−CSFができまして、それをやりますと、余り正確じゃないかもしれませんけれども、一、二割ぐらいの死亡率、もうほとんどこれは死なないで済むようになってきた。 私個人も経験があるんですけれども、といってこの副作用が大きな病院でも年間に一つあるか二つあるかぐらいなんですね。ですから、とてもこれを申請するなんていうことじゃないんですけれども、でも病院によってはやはりこれは認可されていないから使えないとか使わない方がいいといって、本当に死亡率が五〇%ぐらい変わることすらできていないのです。 これは今度アメリカでも薬事法が改正されまして、今みたいな本当に必要なものの情報はメーカーが積極的に、無顆粒球症のときはこういうものを使うとこうなりますという情報は医師のところに持っていってもいいということに、ただ余り使え、使えということはしないようにということに変わりましたので、もう日本の厚生省も、非常によくわかることはわかるわけでございますので、ぜひその辺十分検討していただいて、大臣もちょっと頭の中に入れておいていただきたいと思います。 言いただければと思いますのは、今の段階では患者もぜひその薬が欲しい、あるいはその適用を認めてほしい、医師もそうだ、それからもう本当に全体としてそうだと思っても、製薬会社が、いや、余り得にならないからつくらないというと、いつになってもその薬は患者さんが使えないということになってしまいますので、大臣、何かコメントがございましたらひとつお願いいたしたいし、そういう方向でぜひ進んでいただきたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) ただいまの委員の御質問に対して、医薬安全局長の方から詳細な御答弁がありましたので、私の方からは今先生の申された趣旨、これは理解できます。既存医薬品の適用拡大というのは適切な医療の確保のために必要だという御指摘もよくわかります。 しかし一方、先ほど薬事審議会のお話がございましたが、非常に命にかかわる問題でございまして、効果があると同時にまた副作用もあるんじゃないかと思われるものもあると思われます。しかし、非常に重要なものはさらに研究開発をするなり、また承認申請資料を簡素化するというようなことで適用拡大を図ってまいりたいし、局長の申されたように、薬業協会からの申請がなければやらないということじゃなしに、場合によると積極的に対応していくということでございますから、そういう趣旨を踏まえて委員の御指摘のような有効なものであれば積極的に対応していきたい、こう思います。
○水島裕君 ありがとうございました。今までもずっと少しずつ進んできたんですけれども、きょうが一番進んだような気がいたします。 それでは次に、二年前の日本のニュース、ナンバーワンが、もちろん各新聞によって違いましたけれども、O157でございました。O157でどうして人が死んじゃうかと申しますと、ベロ毒素というのがO157から出まして、これがHUS症候群というのを起こして死ぬのであります。 実は二年前の、当時厚生委員会でちょうど私も関係しておりましたので、このベロ毒素に対する無毒化する抗体がマウスにはあるので、これをヒトに変換すれば恐らく将来うまくいくんじゃないかということを申し上げましたら、当時の厚生大臣がこれはぜひ一緒に協力してやりましょうということで、大臣及び厚生省の方にも大変協力していただきまして、つい数カ月前でございますけれども、ヒトのものが完成したんですね。マウスで実験してみますと、ベロ毒素を注射するとマウスは死んじゃうんですけれども、その抗体を前もって、あるいは後でもいいんですけれども、注射しますと死なないというので、多分これはヒトにも有効じゃないかというところまで来ているわけです。できましたのはヒトの抗体でございますので体じゅうでるぐる回っている抗体ですし、またそれはバイオでつくっているのですけれども、ほかの目的のためにはいろいろ利用して使っているわけです、実際に。どこが一番違うかと申しますと、やや専門的になりますけれども、抗体の中のベロ毒素とくっつくところだけがほかの抗体と違うわけですので、それがどういうものとくっつくかという交差試験、そういうものが何でもなければこれで臨床に使えるわけでございます。 申し上げたいことは、今はそういう状態なんですけれども、例えば去年とことしは幸いにしてO157が大流行しなかったわけでございますけれども、仮に来年大流行してHUSがぼんぼん出てきたときには何とかそういう研究を実際の臨床に、臨床研究その他でもって生かす。というのは、毒性はもう九九%大丈夫だと思いますし、効果も相当ありそうだということでございますので、やはり国民のためあるいはそういう病気になられぬために、そういうことを何どか利用できないかというふうに考えておるわけでございますけれども、まずそれについて局長の御意見をお伺いいたします。
○政府委員(小林秀資君) 先生がおただしの抗ベロ毒素ヒト型化抗体の作製に関する研究というのを平成八年度からスタートさせました。そして、今先生がお話しのように、これまでに抗ベロ毒素抗体のヒト型化に成功をいたしました。現在は、ヒト型化抗体を大量かつ安定的に生産する細胞株の樹立及びヒト型化抗体の薬効評価、性状解析を行っているところでございます。 この抗体をヒトに使う前には動物での安全性試験等が必要であるわけでございますが、これらの必要な試験の早期実施を含め、どのような方策が早期の使用につながるのか、御指摘を踏まえて検討を進めてまいりたい、このように思っております。
○水島裕君 今おっしゃった中で、実際効果があるかどうかというのは、一番大切なのは感染モデルでやるものだと思います。それと先ほどの交差反応というのはもうすぐ上がってきますので、通常の認可体制でやりますとこの認可というのはぐっとおくれてしまいますし、またそれはある程度やむを得ないと思います。 といって、一方ではせっかく効く薬があって、来年もしベロ毒素で多数の死亡者が出るといえば、それを防げるものがもう日本にあって、これは外国にはないんです、日本がこれを初めてつくりましたので。アメリカなんかも欲しがっているというお話でございますけれども、せっかくそういうものがあるので、これは通常我々の考えでは医学研究として使う、その場合も厚生省が十分わかってそれをサポートしていただくということでうまくいくのじゃないかと思いますので、小林局長、いろいろなことをよくおわかりでございますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。 それでは、第三番目のワクチンのことについてお伺いいたします。 これは、外国との違いなどもぜひお教えいただきたいのでございますが、ワクチンといっても物すごくたくさんありますので、わかりやすくするためにインフルエンザワクチンということでお話ししますが、インフルエンザのようにかなり使えそうなものであっても、危機管理としてワクチンをそろえておくというとどうしても赤字になっちゃったり何かしてうまくいかない。これまでのように接種が義務化されておりますと何とかその辺もいくのですけれども、その義務化もなくなったということで、もう一つ危機管理として奨励するという手もございますけれども、そういうこととしてやる以上は、国がやはりいろいろ考えていかないといけないわけでございます。インフルエンザの場合、HとNとで型がいろいろありますので、それをうまく組み合わせて、はやりそうなものをやってアメリカなんかうまくいっているわけでございますが、まずそういう普通のインフルエンザワクチン製作をどうするかということ、それが外国と比べて今どうなっているかということが一つ。 それから二番目は、昔のスペイン風邪のようにわけのわからないインフルエンザが来ることがあるので、そういうことに対する研究体制がどうなっているかということを、おわかりでしたらお答え願いたいと思います。
○政府委員(伊藤雅治君) インフルエンザのワクチンにつきましては、インフルエンザの予防接種制度を変更したこともございまして、現在、我が国のインフルエンザの予防接種の率が非常に下がっていることに伴いまして、ワクチンの生産量も非常に低下をしております。 先生も御存じのように、我が国におきましては、従来、学童を中心に集団的に接種をいたしましてその蔓延を防止するという考え方でやってきたわけでございますが、その考え方を廃止いたしまして、平成六年に予防接種法を改正したわけでございますが、アメリカなどにおきましては高齢者を中心に接種をしておりまして、このワクチンの生産量なども我が国に比較して非常に大量のワクチンを生産しているというふうに聞いております。 そこで、通常のワクチンでございますと、流行状況の監視といいますか、サーベイランスをやっておりまして、これは日本国内の拠点はもとより、中国、香港、いわゆるグローバルの監視をしております。そしてその流行状況に合わせまして次のシーズンの流行株というのを予測いたしまして、国立感染症研究所でこのワクチン株を決めるわけでございます。大体六月ごろに決めまして、通常はA香港型、それからソ連型、それにB型、この三種類の混合ワクチンをつくりまして市場に出すというのが通常の対応でございます。 そこで、通常のインフルエンザワクチンを今後どうしていくかということにつきましては、新たに高齢者などにも適用を拡大していったらどうかという御意見もございまして、現在、公衆衛生審議会の中に小委員会をつくりまして検討しておりまして、それらのことにつきまして、この結論を踏まえて対応したいと考えております。 一方、この新型インフルエンザの問題でございますが、これは御存じのように、昨年からことしの春にかけまして香港を中心に大きな問題になったわけでございます。これは従来のワクチンが全く効かない全く新しい感染症であるというふうに考えた方がよろしいかと思います。そういうことから、昨年、香港で鳥から人に感染したわけでございますが、現時点では人から人へ感染しないということが確認されております。 一方、人から人へ感染するという事態を想定いたしまして、私どもといたしましては、このワクチンをどうするかということをそれ以来真剣に対応を考えておりまして、具体的に申し上げますと、国立感染症研究所におきまして、香港から入手をいたしましたウイルス株を中心にいたしましてワクチン株への転換ができないかという研究をやっております。 一方、ワクチン株をつくるに当たりましては大きく分けまして二通りのやり方があるわけでございますが、一つは直接香港で流行している流行株からワクチンをつくっていくというやり方と、もう一つは過去に流行したインフルエンザのウイルス、たくさんとってございますので、一番その抗原構造の似たものを探し出していくという作業、これも並行してやっているわけでございます。 また、最近では遺伝子組みかえ技術によりまして、新しいインフルエンザの流行に対するワクチン効果があるそういう株を遺伝子工学によってつくり出せないかという、それらの方法もあわせまして現在検討しておりまして、当面、今シーズンの流行、ワクチンの準備は必要ないというのがWHOの見解でございますが、私どもといたしましては引き続き危機管理の観点から準備を進めていきたいと考えているところでございます。
○水島裕君 後半分はそれでよろしいんじゃないかと思いますけれども、前段の方ですが、ある程度ワクチンを決めても、たくさんつくっておくわけじゃないのでして、はやりそうだと思うとたくさんわっとつくらなくちゃいけない。そのときの生産ライン、何人分ぐらいできる受精卵があるかとか、その辺が何か心配のような感じで、私正直言って調べればわかるんですけれども、知っておりませんので、あるいは後ででもどのくらい今日本で本当につくれるのかどうかというのを、あるいは今すぐおっしゃっていただければと思います。
○政府委員(伊藤雅治君) 有精卵を確保するということがどれくらいの量が生産できるかにつながってくるわけでございますが、私どもは現時点におきまして四百万人分のワクチンの確保が可能であるというふうに考えております。
○水島裕君 その辺ももう一つ心配なところでございますのでまたゆっくり教えていただきたいと思います。やはりこれは国民も我々もそうですけれども、よくわかりませんので平気な顔をしておりますけれども、例えば来年、再来年あたり、超新型のものがはやって日本で五千人の死者が出るとか一万人の死者が出るということは十分可能性があることですから、やはりそのときになってみると、大概あのとき答弁したけれども実はうまくいかなかったとかということに何となく今のままではなりそうな気がいたしますので、これは私たちも責任がございますので一緒にやらせていただきたいと思います。 それでは最後に、良質かつ適切な医療ということですが、もちろん五%とか一〇%ぐらいの医師の方に、そのぐらいのパーセントで医師の方に問題がないわけじゃないんですけれども、一般的に感染症、もうここではわかりやすいためにエイズがはやり出したときの状況のことを考えていただくといいわけですけれども、良質な医療ができるかどうかというのは整備と準備に大部分はかかっているわけです。 実は、二週間前も東大の医科研に行って、ついでにちょっと病院もどうなっているかと見てさましたら、やはりHIV患者の人を診るところはブラインドでスペースもゆっくりとってありますし、あそこでしたら仮にHIVじゃなくて、またHIVと同じような、HIVがはやり出してあちこちの病院で、いやいやここはみんなと一緒になるからとかよそへ行ってほしいとかというふうなこともないわけなんです。 ですから、やはり良質かつ適切な医療を医師にやれというときには、今の整備、準備、こうなったらこういうふうにしておくということを前もって決めておかないと、あの場合は、騒いでいるときに何も整備がないところに来られても、困っちゃうと言うとそれが医師のいけないところだと言われるかもしれませんけれども、本当に困ってしまうわけですね。実例、私どもの病院でも、仮に個室があってその費用を払わなくていいということだったら幾らでも対応できたと。プライバシーのことも含めてありますので、その辺について、結局国公立を使うか、ほかの病院に援助するか、それからいろいろ相談して緊急の場合の対策をとっておくか、大きく分けて三つぐらいだと思いますけれども、そういうことについてまとめをひとつお願いいたします。
○委員長(尾辻秀久君) 残りの時間少ないですから、簡潔な答弁をお願いします。
○政府委員(伊藤雅治君) 良質かつ適切な医療の提供には、まず一つは医療施設の整備の問題があると思います。今回の法律におきましては、一定以上の水準を有する医療機関を感染症指定医療機関といたしまして国及び都道府県知事が指定するという制度になります。また、その設置及び運営に対しまして国から補助金を出すという制度になっておりますので、私どもといたしましては、この制度を通じまして感染症指定医療機関の整備運営を図り、質を確保していきたいと考えているところでございます。
○水島裕君 どうもありがとうございました。これで終わります。
○朝日俊弘君 民主党・新緑風会の朝日でございます。 いよいよこの法案についても大詰めの段階を迎えているわけですが、きょうはまず冒頭に、衆議院の方で先ほど何点かにわたって修正を行った旨の御報告がございました。まず、この衆議院段階で随分御努力をされたことについて私からも心から御礼と敬意を表したいと思いますが、内容については先ほどざっとお伺いしました。ぜひその衆議院における修正の趣旨といいますか、その思いといいますか、その辺について改めて衆議院の修正案提出者の方からのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○衆議院議員(長勢甚遠君) 今回の法律案は、感染症をめぐる状況の変化に対応して新しい体系をつくるという趣旨のものでございますが、そういう意味で抜本的な見直しを行うものでございます。 その中で一つの大きな議論は、従来、集団の感染症予防を中心としてきた政策、いわば社会防衛といったような観点を中心とした政策から、そういう観点と患者等の人権に配慮する、尊重するという観点、この両立を基盤としたものにした新しい感染症対策に政策を転換するということが大変重要な部分ではないかと考えております。 そして、特に人権の問題につきましては従来いろんな経過がございました。そういう反省に立って、この新しい感染症法がそういう観点を踏まえた解釈運用が十分なものになるようにということが大変重要なものであろう、そういう趣旨から、与野党間でこの人権尊重の部分を含めた両立できるような解釈運用が行われるようにこの法律上の措置をどのように講ずるかということについて真剣な議論をしてまいりました。その結果として前文を含めた修正を行うのが適当であると我々考えた次第でございます。 繰り返して申し上げるようでございますが、今回の法律案の趣旨が解釈運用に当たってさらに明確になり、運用に誤りのないように担保をする、そういう観点から必要な修正を行ったものでございます。 修正の内容は先ほど御説明をいたしたとおりでございます。 制定の理念を宣明するための前文を置くこと、また、基本理念あるいは医師その他の医療関係者の責務の中に、感染症の患者等が置かれている状況への深い認識といったようなものを位置づけること、また、国の責務、基本指針に、感染症にかかわる医療のための医薬品の研究開発の推進に関する事項を加えるとか、あるいは基本指針に、感染症の病原体等の検査実施体制及び検査能力の向上に関する事項を定めるといったようなものでございますが、主たる我々の修正の趣旨は今申し上げたとおりであります。御理解をいただきたいと思います。
○朝日俊弘君 どうも御苦労さまでございました。 問題は、衆議院の方でさまざまな議論の結果を踏まえて、とりわけ前文をつけるというある意味では異例な形でその思いを法律の改正の中に込められたと思います。そこで、その思いを具体的に法律を施行運用していくに当たって、厚生省としてどういうふうにこの修正を受けとめ、今後この法律の施行なり運用に向けて努力をされていくのか。ここはひとつ厚生大臣としての決意も含めてお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) ただいま修正の提案者の方から御説明がございましたように、前文とそれから感染症対策の幾つかの点についての御説明がございました。 私どもは、修正の前文にあらわれている考え方は、感染症対策の歴史的な経緯を踏まえまして、新しい時代にふさわしい感染症対策が築かれるべきであるというような、あるいは人権に配慮するというような非常に基本的な理念を掲げたものと理解しておりまして、全く同感でございます。 そして、感染症対策のそれぞれの条項についての今御説明にありましたような、良質かつ適切な医療の提供でありますとか、患者の置かれている状況を認識するとか、あるいは感染症に医療のための医薬品の研究開発を推進する等々、これもやっぱり非常に適切なものであるというように感じております。 今回の修正は、衆議院における精力的な議論をされた結果でございまして、今申しましたような感染症対策の歴史的認識の再確認を初め、法の円滑な施行に向けての重要な修正がなされておりますから、本法が成立した場合には、解釈、運用その他万般にわたり誠実に法律の施行に向けて努力をさせていただくつもりでございます。
○朝日俊弘君 ぜひ今のお答えを十分に今後の法律の施行なり運用に向けて生かしていただきたいと思います。 さて、きょうはある意味では最後の質疑の時間かなとも思いますので、私の方からあと二、三点に絞って、この法律の枠組みのあり方がこれでいいのかどうか、そして今後どうしたらいいのかという点についてお尋ねをしておきたいと思います。 時間がちょっと足りなくなってきましたので、質問を要約します。 まず、改めてお尋ねしたいのは、伝染病予防法というもうかれこれ百年以上前にできた法律を今回廃止する、それに当たって、いわば感染症の基本法のような形で新しい法律をつくるというのが今回の提案の趣旨だというふうに私は理解をしていますが、さて、その際にちょっと気になりますのは、その新しい感染症予防・医療法案に、従来からあった性病予防法、あるいはエイズ予防法を廃止して統合する、その一方で、結核予防法という法律は、これは従来どおり結核予防法として残す。同じ感染症でありながら、一方で感染症予防法、新しい新法に統合をしていこうということと、もう一方で、あえて単独法として残そうという、この辺の法律の枠組みというか組み立て方について、なぜそうなったのかということについてぜひお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(伊藤雅治君) まず、伝染病予防法、それから性病予防法、エイズ予防法を廃止いたしまして新たに感染症予防・医療の新法をつくるということにつきましては、提案理由説明の中でも御説明させていただきましたように、感染症を取り巻く状況の変化に対応しまして、人権等に配慮した総合的な感染症の法律をつくりたいということが基本的な考え方でございます。 その際、なぜ結核予防法を単独立法として残したかということでございますが、特に結核につきましては、結核対策特有の規定が結核予防法にあるわけでございまして、健康診断でございますとか、外来医療に関する適正医療の規定でございますとか、そういういろいろ結核特有の規定があるということ、それからさらに、また最近いろいろ結核につきましては新たな問題が非常に深刻化しておりまして、それらを踏まえまして単独で残すという形にしたわけでございます。 同様の趣旨の意見具申が昨年十二月に公衆衛生審議会からいただいておるわけでございまして、私どもといたしましては、以上申し上げたように、結核予防法は単独立法として残したということでございます。
○朝日俊弘君 ちょっと質問を一括してまとめたものですから、今の御答弁も少し詳細にわたっての御説明にはならなかったと思うんです。きょうはあえてここではその問題についてはほじくりませんが、ただ私は、こういうふうに伝染病予防法を廃止し、それに性病予防法、エイズ予防法を廃止して統合し、一方、結核予防法は単独立法で残すということについては、それはそれなりに理由はわかりますけれども、今後問題なしとしないというふうに思っています。 そういう意味では、そのように組み立てたことのいわば是非といいますか、メリット、デメリットといいますか、そこは十分踏まえた対応が必要だということを指摘するにとどめたいと思います。 そこで、最後に大臣にお尋ねしたいんですが、結局こういうことだと思うんです。個別の対応が必要だというふうに着目すれば、結核予防法は結核予防法で残した方がよろしい。つまり、より個別の対応を充実させようと思えば、その根拠法として個別法をつくった方がよろしい、こういうふうな考え方もあり得ると思います。一方で、いやいや、そういう個別法で残せば残すほど特別の疾患として差別、区別を生む危険がある、だからむしろ一般法の中に統合した方がよろしいという考え方もあり得ると思うんです。 そこで、一つ心配しますのは、今回感染症予防・医療法の方に性病予防法とエイズ予防法を統合したわけですが、そのことによって個別対策がおろそかになっちゃいかぬというふうに思います。その辺、ぜひ今後具体的に、法律は一本に取りまとめられたけれども、個別のさまざまな疾患対策についてはこういうふうにきちんとやっていくんだという点をぜひ大臣の方からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 私どもも基本的には今委員のおっしゃられたように、個別法でやった方がいいのか、あるいは今回のような包括的な法の中でやった方がいいかという問題はあろうかと存じますが、今回は、伝染病予防法が百年も経過しておりますし、医療の進歩、医学の進歩、あるいは国民意識の点、その他変化しておりますので、それらを一括して感染症の予防法としてまとめようということでございます。 今御指摘のように、エイズとか性感染症等についてどう位置づけていくかという点がございましたが、類型別に御承知のように四類分類ということにいたしまして、従来と違いまして、医学の進歩等がございますから人権の配慮等に十分考慮を払いながら、その対応を間違いないようにしていこうという点では、個別法よりももっと進んだものではないかなと私素人ながら感ずるわけでございます。 今後の執行に当たっては、やはりそういう個別法で行われたもの以上の対応をこの感染症の予防及び患者に対する法律の中できちっとやっていくべきものだし、そういう体系的なものになっているのではないかなという感じを持っております。
○朝日俊弘君 法律の組み立て方は、それはそれとして、個別の疾病、疾患対策について、少なくともこれまでよりも後退するようなことがないように、むしろより前進をさせていただきたいと強く要望しておきたいと思います。 最後に、一言だけ私の意見を述べて終わりたいと思いますが、今回の感染症予防・医療法は、幾つかの感染症を幾つかに分類をして、それを一まとめにして一つの法律で対応しょうというふうにしているわけですが、これは下手をすると、つまり極めて感染力の強い重篤な疾患が一方であるわけですから、そのことを念頭に置く余りに、一方で感染力が極めて弱くて、むしろあえて特別にそれを取り上げて云々しなくてもいいような感染症もあるわけで、その辺がごちゃまぜになってというか、幾つか新たな問題点が生じることがないように、恐らくこれから後政令、省令を含めてさまざまな規定がつくられていくと思いますが、そこのところを十分に配慮した中身をつくっていただきたいということを強くお願いして、私の質問を終わります。
○櫻井充君 民主党の櫻井充です。 ことしの五月まで医療の現場におりました。医療の現場の最前線を知っている者として、この法案では感染症のコントロールはうまくいかないのではないか、そういう視点から質問させていただきます。 まず最初に、前文には「人権を尊重しつつ、」というふうにあります。しかし、第二条には「患者等の人権に配慮しつつ、」とあります。基本的に法案というものは全文首尾一貫されるべきだというふうに思いますが、前文と本文とが変更されているからにはよほどの理由がおありかと考えます。この理由を簡潔にお答えいただきたいと存じます。
○政府委員(伊藤雅治君) 人権に関する規定でございまして、私どもは感染症対策を進める上で人権の問題は非常に重要であると認識しております。 そこで、この第二条の規定ぶりでございますが、感染症を予防するため国等が必要な施策を実施するに当たりまして、患者等の権利に一定の制限を加えることになるため、人権の尊重の要請との間で最大限の調和を図るため、感染症の患者等の人権に配慮すべきことをそういう文言で基本理念に規定したものでございます。
○櫻井充君 基本的なことをちょっとお伺いしたいんですけれども、この法案は政府及び厚生省が作成されたものですね。
○政府委員(伊藤雅治君) 厚生省が各省と相談をした上、閣議の御了解を得まして国会に提出させていただいたものでございます。
○櫻井充君 審議会の意見書の「基本的方向・視点」のところには、「患者・感染者の人権の尊重」ということになっております。法案では「人権に配慮」となっているということは、政府側の考えは、人権は配慮すればいいというふうにお考えだと考えてよろしいんでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 基本的には、人権は尊重すべきだというのは一般的にはそのとおりだと思っています。 しかしながら、感染症対策を国、地方自治体等が実際に施策を講ずるに当たりましては、感染症の蔓延防となり医療の提供のために一定の人権に対する制約というものを加えるときもあり得るということから、配慮という表現にさせていただいたものでございます。
○櫻井充君 私が調べたところでは、配慮というのは相手のためにあれこれと心配すること、心遣い、心配りであります。尊重とは侵すべからざるものとして相応の扱いをすることということになっております。 人権に配慮するというふうなことは当たり前であり、この法案に書き込むほどのことではないというふうに私は考えます。人権を尊重するということが大事であり、尊重であるからこそ法案に盛り込む必要があるというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 人権についての基本的な考え方は、尊重というのはそのとおりでございますが、感染症対策の実施の場面におきましては感染症のいろいろな性格に応じて一定の人権への制約もあり得るわけでございまして、施策と人権との調和を最大限に図っていくという観点から配慮という言葉を使わせていただいたわけでございます。
○櫻井充君 それでは、制限というふうな言葉が何回も出てまいりましたけれども、例えば患者さんに入院に関して十分な説明を行って、残念ながら患者さんが同意しなくて入院していただいた場合、これは人権を尊重しないと、そういう行為に当たるんでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 例えばコレラの患者さんで入院が必要だという場合に、この法律におきましては初めに勧告ということがございます。勧告に応じなかった場合に入院措置ということになるわけでございます。 それが人権の侵害になるかどうかということでございますが、侵害というのは、違法性があるかどうかということでいいますと、きちんと法律に定められた手順に沿って入院が措置された場合に、人権への制約にはなると思いますが、違法性はないという考え方でございまして、そのような考え方を前提にいたしまして、繰り返しになりますが、配慮という形で考えているわけでございます。
○櫻井充君 今、制約というふうなお言葉があったと思いますけれども、入院の際にこれこれこういう場合においては入院させますというふうな基準など、要するに実体要件が守られて、なおかつきちんとした手続を踏んだ入院というふうなものは、患者さんの意に沿わない場合でも、これは居住移転の自由に対する侵害までには至らず、人権に対する負担にとどまるというふうに考えます。 負担の性質、重大さ、期間が入院などの措置の有効性とバランスがとれれば、人権は尊重されると私は考えます。ですから、配慮を尊重というふうに変更すべきと考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 繰り返しになりますが、今申し上げました考え方で、現実の対策を行う場面におきまして人権に対する一定の制約を加える必要があるということから、配慮というふうにさせていただいているところでございます。
○櫻井充君 そうしますと、この法律上は人権は尊重しなくていいというふうに考えていいことになりますか。
○政府委員(伊藤雅治君) 最大限の調和を図っていくというのが基本的な考え方だと思います。
○櫻井充君 例えばこれを英訳される場合には、リスペクトとなるんですか、それともコンシダレーションみたいな形になるんですか。世界に対して日本は、人権というふうなものはコンシダレーションだ、そういうふうに発信されることになると思いますが。
○政府委員(伊藤雅治君) 英語で何と申し上げるか、そこはちょっとお答えを保留させていただきたいと思います。 基本的には、前文が衆議院の審議の中でも修正されましたように、法律全体の精神につきましては尊重ということが基本になっているわけでございまして、それぞれ各条文におきまして具体的な施策を講じていく場合には、最も基本理念である人権の尊重と最大限の調和を図りながら施策を講じていくと、そういう体系になっているということを何とぞ御理解賜りたいと思います。
○櫻井充君 それでは、医師の責務についてちょっとお伺いしたいんですけれども、医療の現場において患者さんの人権が尊重される、これは絶対的な必要があるかというふうに思います。 法案の第五条の中に人権を損なわないようにというふうに明記すべきかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 患者の人権に配慮することは、本法案におきましても重要な視点として位置づけられているところでございます。 患者の人権を損なわないことにつきましては、医師を含む国民の責務を定めた規定の中で明記しておりまして、改めて医師の責務において法定するまでもなく、医師は人権を損なわないような責務を有すると考えているところでございます。
○櫻井充君 第三条第一項には、国及び地方公共団体というふうなものは人権の保護に留意しなければいけないと。国や地方公共団体というのは、これは国民の集合体だというふうに考えます。この第三条にあえて明記されていて第五条に明記してこないということはどういう理由でしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 医師が人権を損なわないようにすべきだということは、先ほども申し上げましたが、改めてそのことを法律において規定するまでもなく、医師は人権を損なわないようにする責務を有することになるというふうに考えているわけでございます。
○櫻井充君 じゃ、先ほど言ったように、国民は責務があって、ここに書かれている第五条の医師というのは、確かに医師というのも一市民であって、市民として患者さんと接する場合もあります。しかし、ここに書かれている第五条の医師というのは、あくまで医療を行う人であり、特別な立場にあるかと思います。そういうふうなことに関して言えば、絶対的に人権を損なわないようにとここに書き加えても何ら問題はないし、書き加えるべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 今御指摘の点でございますが、実態といたしまして、過去の医療現場等におきましていろいろ差別でございますとか偏見が存在をいたしまして、お医者さんが適切な診療をしなかったというようなこと、こういう事例が存在したことは事実でございます。こういう事実を重く受けとめまして、これを教訓として今後に生かしていくということが求められておりまして、そのことが衆議院の修正において追加されました前文において明確に規定されているというふうに理解をしているところでございます。 また、医師の責務規定におきまして、感染症の患者等が置かれている状況を深く認識することというふうになっているわけでございまして、これは感染症に関する医療を行うに当たって感染症の患者等がいわれのない差別や偏見を受けていないかどうかということに常に気をつけていかなければならないということや、万一いわれのない差別や偏見が存在しているとすれば、その状況を早急に改めていかなければならないことについての認識も含まれているものと考えられまして、御指摘の点を勘案いたしましても、医師の責務規定への人権規定の追加は特に必要ないものと考えております。
○櫻井充君 今の答弁の中に差別や偏見があったのも事実だというふうなコメントがございました。そういうふうなことを踏まえた上でも人権を損なわないようにと、そういう一文は必要ないというふうなのが厚生省のお考えですね。
○政府委員(伊藤雅治君) 過去におきましてそういう適切な診療をしてもらえなかった事例というのは私どもも聞いておりまして、そういう事例があったということは事実でございます。今回、そういう教訓を生かしまして、今後医療現場におきましてそういうことが起きないようにということで、衆議院での前文の修正でございますとか、また医師の責務規定におきます先ほど申し上げたような規定を勘案すれば、この法案におきまして医師の責務規定への人権の規定の追加は必要ないのではないかというふうに考えているところでございます。
○櫻井充君 それではもう一つですが、要するに現在の医療行為の中で患者さんの不満点という中では医者側の医療行為に対しての十分な説明がないというふうな点が挙げられます。患者さんの人権を尊重するという立場に立って考えてみたときに、十分な説明と患者さんの理解を求めるというふうなことが非常に大切になってくるかと思われます。そしてまた、本人の自発的な協力なしには感染症の拡大防止という政策目的の達成も不可能だからです。 そこで、第五条一項の中に、患者さんに対して医療に対する十分な説明を行い、かつ患者さんの理解と同意を求めなければならない、そういう趣旨の内容を加えた方がいいと思いますが、その点についていかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) インフォームド・コンセントにつきましては、医師等の責務といたしまして、医療におきます一般法であります医療法におきまして、平成九年の改正におきまして既に位置づけられているところでございます。本法に特に規定するまでもなく、医師等は医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならないものと理解をしているわけでございます。
○櫻井充君 医療法にある現行の規定はあくまで努力規定であります。そして、この法制度の中で、先ほども申しましたように、患者さん方が多くの不満を抱えているというのも事実であります。ですから、十分な説明がないために患者さんたちの人権が侵害されたというふうなこともとにかく幾度となく報告されている。ですから、やはりこの際、この条文にインフォームド・コンセント、すなわち患者に対して医療に対する十分な説明を行い、患者さんの理解と同意を求めなければいけないという内容を義務規定として明記した方がよいのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) インフォームド・コンセントにつきまして法律上義務規定として記載するかどうかということにつきましては、平成九年の医療法改正の際におきましてもいろいろと議論をされてきたところでございます。 義務規定として規定するということにつきましては、特に医療関係者等、関係者の理解がまだ十分得られていないということから、これはお医者さんたちが義務として法律に規定されて実施するという性格のものではなくて、医師等の職業倫理に照らして自発的にそういう努力をすべきだという考え方から努力義務規定となったというふうに経緯を承知しているわけでございます。 したがいまして、義務規定として何らかの形で法律に規定をするということについては、まだそういう状況に至っていないというふうに理解をしているわけでございます。
○櫻井充君 今の答弁の中で、今までの総括した中で、患者さんに対してのその人権は尊重しなければならないんだというふうな立場、そして制限するというふうなこと、要するに患者さんに対しての人権に対する負担もかけなければいけないんだというふうな答弁があったかと思います。そういうふうないろんなことをかんがみても、私が今訴えている、例えば第五条の中に、人権を損なわないようにとか、それから患者さんたちに対して十分な説明を行う、そういうふうなものは入れなくていいというふうにお考えなわけですね。
○政府委員(伊藤雅治君) 入れなくていいというふうに申し上げていることではなくて、医療法におきまして平成九年の改正におきましてそのことが既に位置づけられているところから、したがって、感染症予防・医療法におきまして特にそのことを規定する必要はないのではないかというふうに申し上げているわけでございます。
○櫻井充君 今後、この法律が施行された後に、患者さん方からそのような不満が上がってきた場合にはこの条文を変更される、そういうふうなことを考えていただけるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
○政府委員(伊藤雅治君) 私どもといたしましても、この法律の施行に当たりましては、衆参両院での審議、また附帯決議等を十分体しまして、良質かつ適切な医療、そしてインフォームド・コンセントが十分実施されるよう指導してまいりたいと考えておりますが、もしそういう状況を見ましてさらに何らかの対応策が必要であるということであれば、五年後の見直し規定もございますので、そういう時期に今御指摘の点は十分検討させていただきたいと考えているところでございます。
○櫻井充君 そういう声が多かった、仮にかなりいっぱいあったとしても五年後にしか見直せないということですか。
○政府委員(伊藤雅治君) 仮に、五年後でなくても、状況の判断によりまして五年を待たずに検討すべきであるというふうになれば、五年を待たずとも検討すべきであるというふうに考えております。
○櫻井充君 今のお言葉を忘れないようにしていただければというふうに思います。 次に、医者の診断能力についてお伺いしたいと思います。 この法案では、感染症が一類から四類まで具体的な病名で分類されております。私が知り得る限りにおいては、もちろん診断できる方もおります、しかし診断できないそういうふうな方も医療の現場におられることは事実かというふうに私は認識しております。厚生省は、現在の医師の能力でどの程度適切に診断できるというふうにお考えでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 今回、この法案の対象といたしました感染症は、一類感染症から四類感染症という形に分類されているわけでございますが、例えば四類感染症のウイルス性肝炎でございますとか梅毒でございますとかインフルエンザのように、比較的現場の臨床医が患者さんにぶつかるケースといいますか、経験する頻度が比較的多い病気から、一類感染症のエボラ出血熱やラッサ熱などの患者さんというのは、恐らく国内で実際患者さんを診たことのある感染症の医者というのは数えるほどしかいないと思います。 したがいまして、一律に今のことはお答えできないわけでございますが、感染症を専門としない医師の場合、いろいろ四類型に区分された感染症のすべてについて迅速かつ適切に診断するということは必ずしも容易でないということは御指摘のとおりだと思います。 しかしながら、これらの感染症につきましては、これまでの医学的知見の集積によりまして、診断基準ですとか診断方法などは確立されていると考えておりまして、そうした一般情報などを医師等に十分提供いたしまして鑑別診断をすることを踏まえまして情報提供をしていきたいと考えております。 具体的には、今後医師会を初めいろいろ関係の学会等を通じまして、団体の御協力を得ながら感染症に対する診断能力の向上に努力をしていきたいと考えているところでございます。
○櫻井充君 一類、二類に関してですけれども、どの程度の医師が的確な診断ができるというふうにお考えでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) いろいろ今日本に専門の学会がございますが、感染症学会は会員が約六百三十人というふうに聞いております。この六百三十人の先生方がすべてできるかどうかという断定的なことは申し上げられませんが、この六百三十人の感染症学会の専門医が中、心になっていろいろ感染症学会以外の医師の診断能力の向上にも御協力をいただけるよう、厚生省としても努力をしていきたいと考えております。
○櫻井充君 要するに、感染症の診断がなかなかつかなくて感染が蔓延したという事実もあるわけです。そうして切ってみますと、今回感染症を病名で類型化するということ自体が果たしていいのかどうかという検討が残るかというふうに思います。 ですから、感染症を病名によって類型化するメリットそしてデメリット、そしてもしくは症候群として類型化するときのメリット、デメリットについてお教えください。
○政府委員(伊藤雅治君) 今回の法案におきましては、一類感染症から四類感染症に分類をいたしまして病名を列挙しているわけでございます。このように、感染症を病名で分類するメリットといたしましては、まず法律が対象といたします感染症が明確にわかることでございます。さらに、感染症の発生動向調査を通じまして、どのような危険性を有する感染症が流行していて、どのような予防を行うべきかについて一般国民や医療関係者が容易に判断できるということがございます。さらに、三点目といたしまして、就業制限や入院勧告を行う際に不必要な人に行動制限を強いる危険性がないこと、また、四番目といたしまして、入院勧告に基づく入院患者に対しても最も効果的な医療が提供される等のメリットがございます。 一方、デメリットといたしましては、病名が診断されるまでに時間がかかる場合がある、そういうケースがあり得るということ、また、個別の感染症について危険な疾患であるとの認識が生まれやすいことなどが挙げられると思います。 また、症候群別で分類する場合につきまして、病名で分類する場合のメリット、デメリット、逆の関係があるわけでございますが、申し上げますと、症候群で分類する場合、メリットといたしまして、症状で判断できることから判断までの時間が短いということがございます。さらに、個別の感染症について危険な疾患であるとの認識が生まれにくいことなどがございます。 一方、デメリットといたしまして、法律が対象とする感染症が不明確になること、また、感染症の発生動向調査を実施したとしても、どのような危険性を有する感染症が流行していてどのような予防を行うべきかについて一般国民や医療関係者が判断できにくいこと、それから、三番目といたしまして、就業制限や入院勧告を行う際に不必要な人に行動制限を強いる危険性があることなどが挙げられます。 いずれにいたしましても、この法案におきましてどういう考え方をとるかということにつきまして、公衆衛生審議会の伝染病予防部会基本問題小委員会の十八回に及ぶ審議の中で、全面公開の場におきましてどちらをとるかということについて繰り返し議論が行われまして、病名を列挙する方式での対応が望ましいと結論づけられた、そういう経緯があるわけでございます。
○櫻井充君 そうしますと、現時点において心配なことというのは、先ほども言いましたが、医療者の診断能力の問題があって、発生、判断までの時間がかなりかかるような場合も出てくることになります。今後こういうことが起こった場合には、先ほどと同じようにこの法案を見直していただけるというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) そのとおりでございます。さらにつけ加えますと、新感染症につきましてどういう形で報告していただくかということにつきましては、当然病名というのはつかないわけでございますから、症候、症状で御報告いただき、そして厚生省の研究所を総動員して対応していくという考え方をとらせていただいております。
○櫻井充君 もう一点、らい予防法やエイズ予防法のように、病名を特定した場合に法律によって差別を生んだというふうな過去においての苦い経験があるのも事実です。今回のように一類、二類というふうな形で病名を特定していることによって新たな差別が生まれる可能性は否定できないかと思いますが、このような差別が生まれた場合にもこの法律は見直していただけるのでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) まず、らい予防法なり現在の伝染病予防法におきましては、非常に立法当時の時代を反映いたしまして、先生も医師でございますが、伝染病対策の三つの原則、いわゆる感染源対策、感染経路対策、感受性対策とあるわけでございますが、非常に菌の分離などが確立していなかった時代に感染源対策が患者対策と誤って同一視をされて、その病原菌に対する対応と患者さんに対する対応が混同されてきたという、そういう日本の感染症対策の歴史がまだ引きずっているんではないかというふうに思います。 したがいまして、私どもといたしましては、今後新法の施行に当たりましては、十分病名を含めた制度につきまして国民の理解を求める努力はもちろんしていきますが、御指摘のような問題があればその時点におきまして見直していくというのは当然のことかと思います。
○櫻井充君 新感染症の患者さんの取り扱いについてお伺いいたします。 新感染症の患者さんというのは、厚生大臣が指定する特定感染症指定医療機関に都道府県知事が入院させるというふうなことになっております。入院後の治療は厚生大臣が指定した医療機関で行われますが、そしてその後の措置に関しても厚生大臣と密接な連携を図って治療なりが行われていくということになっております。だとすると、その後の入院期間の延長等について、この法案では都道府県知事が指示を出すことになっておりますが、入院後は一貫して厚生大臣が指示を出す、その方がいいのではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 新感染症につきましては、入院措置等の感染症拡大防止措置につきまして現地の実情に即してきめ細かく行う必要があるという観点から、都道府県知事を第一次的な判断権者としているところでございます。 そこで、都道府県知事が新感染症の所見がある者に対しまして入院の措置を具体的に講じる際には、あらかじめ厚生大臣に報告を行いまして、厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聞いた上で都道府県知事に対しまして技術的指導、助言を与えることとなっておりまして、さらに都道府県知事が新感染症に係る措置を実施した場合にもその内容及びその後の経過を逐次厚生大臣に報告することにしております。 御指摘の新感染症患者の入院から退院まで一貫して国と都道府県知事が密接な連携のもとで対応することになっているわけでございまして、一貫して知事と国が協力しながらやっていく、どちらかというといろいろ新しい病気でございますから、技術的な面につきましては国が前面に出るような形でやっていくという実態を想定しているわけでございます。
○櫻井充君 そうしますと、密接に連携を図っていくということですけれども、この法案の中では新感染症への対応についての厚生大臣と都道府県知事の責任の所在が非常にあいまいかというふうに思います。知事の対応に問題があったときに、厚生大臣そして都道府県知事のどちらに第一次的な責任があるのか、明確にお答えいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤雅治君) これは具体的な事例に即して判断すべきものと考えておりますが、入院させるかどうか、入院するとしたら期間はどれくらいか、予防対策はどうかという非常に技術的、専門的事項につきましては厚生大臣が指導するわけでございますから、そちらの指導の内容が間違っていたのか、またその指導を受けながら都道府県知事の実際の現場での措置が間違っていたのか、そういう事例に即して判断すべきものというふうに考えております。
○櫻井充君 そうすると、現在のところははっきりしたことは言えない、そしてこの法律の中からもはっきりした判断はなかなか難しいというふうに考えてよろしいんですか。
○政府委員(伊藤雅治君) 法律上は具体的に措置を行うのは都道府県知事でございますが、それを行うに当たっていろいろ連携をとりながらやっていくということになっておりますので、その点はこの法律上明確になっているというふうに考えておるところでございます。
○櫻井充君 例えばの例ですけれども、厚生大臣が知事に与えた指導、助言が適切でなかった場合、この場合はどちらの責任になりますか。
○政府委員(伊藤雅治君) 仮の話でございますが、もし御指摘のようなケースが現実に起こった場合には厚生大臣に責任があると考えております。
○櫻井充君 もう一つ、例えば費用の面でいいますと、第六十一条の二項で治療費に対しては国はその四分の三を負担するというふうなことになっておりますけれども、医療行為でトラブルが起きた場合には同様にこの程度の割合、つまり国が四分の三、損害賠償の費用を負担するというふうに考えてよろしいんでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 御指摘のようなケースが起きた場合には、国家賠償法に基づきましてその具体的な判断がなされるものというふうに理解をしております。
○櫻井充君 もう一つ、本来はこういう新感染症というのは新しい疾患であって、しかも新しい病原体です。こういうふうなものの管理というのは人類にとって本当に非常に大切なことになるわけであって、そしてもう一つはWHOを初めとする世界的な医療機関と連携を図りながらこれはやっていかなければいけないものであり、この菌の管理、疾患の管理というのは第一義的に国がすべきものではないかと思いますが、その点に関してはいかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 新感染症は当然一類感染症に準ずる扱いをするわけでございまして、患者さんから分離した病原体などにつきましては当然そういうものを取り扱うことができる施設、具体的には国立感染症研究所などにおきまして厳重な管理のもとに置くべきものというふうに考えております。
○櫻井充君 そういう点から考えたときに、新感染症に関しても都道府県知事にある程度の責任があるというか、むしろ世界といろいろ連携して考えていかなければいけないんであれば、この疾患に関しての責任というのはすべて国が負うべき、厚生大臣が負うべきではないかというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 技術的な面につきましては、確かに新しい未知の病気でございますから、都道府県知事に全面的に判断を任せるというのはそこは問題があるということでこの提案のような中身になっているわけでございます。 ただ、厚生大臣のそういう技術的な助言を得ながら具体的にどこの医療機関に入院させるかとか、そしてこの現場の消毒箇所の消毒をどうするかという、そういう必要な予防措置につきまして都道府県知事にお願いをするという考え方でございます。例えば、消毒などの措置を行う場合にも技術的に厚生大臣の指導を得ながらやるということでございまして、体系としましては知事と厚生大臣が緊密な連携をとりながら一体となってやっていくと、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
○櫻井充君 助言や指導をする、そういうふうなことはもちろん明言されているわけですけれども、とにかく何回も言うようですが、責任の所在というのはこの法文の書き方では非常にあいまいのように考えますけれども、その点に関してはいかがでしょう、これで十分と考えられますか。
○政府委員(伊藤雅治君) 私どもは現在御提案させていただいている形で対応可能であるという判断をしておりますが、仮にこういう新感染症に該当するような事例が起きまして、そして実際に運用をしてみまして、さらに制度的な改善点があるとすればその時点で再検討するということをさせていただきたいと思います。
○櫻井充君 それでは最後ですが、百年前の法律と比べれば現代の医療の実態に即した法改正となっている、その点だけは評価できるかと思います。しかし、人権の尊重や感染症の類型化等の問題点など、若干の問題はまだ残っているかというふうに思います。 医療は目覚ましい勢いで進歩している反面、新感染症も幾つか報告されているのも事実であります。今後の世界の動向に合わせて、迅速かつ的確にこの法案を見直していく必要があるかというふうに考えます。 最後に、厚生大臣にお伺いいたします。 来年にはWHOが感染症に関する新たなガイドラインを示すことになっております。そして、アメリカでもゴスティンらが指針案を公表しております。今後の世界の立法の動向に合わせて、この法案を修正後のWHOのガイドラインや欧米のガイドラインに沿って見直すことを約束していただけますでしょうか。
○国務大臣(宮下創平君) WHOが現在進めております国際保健規則、IHRの改正につきましては、我が国としては改正のための作業委員会にも参加をするなど、WHOと緊密な連携を図っております。現在提示されております改正案と今回の法案の間での整合性は一応保たれているものと私どもは考えております。 そして、今おっしゃるように、平成十一年五月ごろWHO総会で採択されるようでございますが、世界保健機関がこの最終版を確定した場合におきまして新たな考え方や基準が示された場合におきましては、御指摘のように速やかに検討を行った上で必要に応じて適切な措置をやってまいりたいと考えております。
○櫻井充君 どうもありがとうございました。これで質問を終わります。
○渡辺孝男君 公明の渡辺孝男でございます。 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案に対する修正案に対しまして質問いたします。 さきの通常国会におきまして、参議院としましては、過去の歴史を踏まえ、感染症患者、家族の人権の尊重あるいは感染症患者に対する良質かつ適切な医療の提供などの観点から政府原案に対しまして修正を行ったわけでありますけれども、今国会におきまして衆議院で新たな修正が加えられました。 私は、この衆議院での修正案は、本年七月に行われた参議院議員選挙の結果、参議院の構成が変わったことや橋本内閣から小渕内閣へ内閣がかわったことなど、さまざまな状況の変化を背景として、さきの通常国会での参議院での修正よりさらに感染症患者、家族の人権の尊重や感染症患者に対する良質かつ適切な医療の提供などの本法改正理念が明確化されたものと評価しております。 なお、確認の意味で修正案提出者に対しまして一問だけ質問させていただきたいと思います。 修正案の第二条と第五条の「感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、」という条文は、前文に示されました「感染症の患者等が置かれてきた状況を踏まえ、」という文言と密接に関係しているものと考えます。前文の文章全体を勘案しますと、この「感染症の患者等が置かれてきた状況」とは、我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在した状況というふうに読みとれると思います。そうしますと、この第二条と第五条の「感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、」という意味には、個々の感染症患者や家族などが置かれている個別的な特殊な状況を深く認識して適切に対処すべきであるという一般的な意味での認識のあり方が求められているばかりではなくて、次に示すような三つの特別な認識が求められているものと私は推測いたします。 その三つの特別な認識とは、第一に、我が国では過去に感染症患者等に対していわれのない差別や偏見が存在した歴史的事実を深く認識すること、すなわち、過去における歴史的状況認識であります。 第二には、現在の感染症の患者等がいわれのない差別や偏見を受けていないかどうかを深く認識すること、すなわち、現在における客観的状況認識であります。 第三には、万一いわれのない差別や偏見が現在もなお存在しているとすれば、本法の理念にのっとりその状況は改められなければならないと深く認識すること、すなわち、本法遵守者としての主体的状況認識であります。 以上、私は本法第二条、第五条の「感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、」という条文にはこのような三つの特別な認識が求められているものと推測いたしますが、これに対する本修正案提出者の見解をお伺いいたします。
○衆議院議員(長勢甚遠君) 衆議院における修正につきまして御理解を賜りまして、感謝を申し上げます。 この修正は、参議院選挙前の前国会において与野党間で十分協議をし煮詰めてきた成果を今国会で成文化したものであることをまず御報告を申し上げたいと思います。 今お尋ねの点でございますが、基本的に先生の御判断というか、お考えとほとんど違うところはございません。 今回の前文で書いてありますことは、過去の経緯等にかんがみて、感染症患者の方々にはいわれのない差別や偏見というものが生じがちな状況にあるということを十分認識して施策や医療の提供に当たるべきであるという趣旨を二条、五条で明確にしたものであります。 先生のおっしゃるように、一般的な認識と特別な認識という区分がちょっと言葉としてはわかりにくい面もございますが、過去におけるそういう歴史的な状況ということがあるからこそそういう配慮がより重要である、そういう認識を持って事に当たってもらいたいということでありますし、そういうことでありますから、普通以上にいわれのない差別や偏見がないかどうか十分気をつけて対処してもらいたい、またそういうことがあれば当然早急に対処できるような解決策を講じてもらいたい、このことを法律上の考え方として明確にしたものであります。御理解を賜りたいと思います。
○渡辺孝男君 今三つの特別な認識というふうに述べましたけれども、やはり医療を提供する側においては、患者さんに対して国籍の問題とか医療保険のあるなしの問題とかさまざまな状況を普通に判断しなければならないこと、これは当たり前のことでありますが、それ以外に、今までの歴史的な状況、そういうものをやはり深く認識しまして、しかも今後もこういうことがあってはならないという意味でみずから注意をしながらやっていく、そういうのが必要であるということであえて確認のために申し上げさせていただきました。 修正案に対する質問としましては以上で終わりになりますので、提案者の方、長勢先生、どうもありがとうございました。後は結構でございます。金田先生もありがとうございました。 続きまして、法案に関連しまして、感染症に関する質問をさせていただきたいと思います。 最初に、バンコマイシン耐性腸球菌、VREと増体促進剤として飼料添加物に用いられている抗生物質、アボパルシンについて質問したいと思います。 最近、日本でもVREの院内感染の疑いの事例やこれに感染した患者さんの死亡事例が確認されるようになってまいりました。一方で、VREが輸入鶏肉より検出されたことが本年七月一日に厚生省の調査でわかりました。このVREの発生は、バンコマイシンと化学構造が似ている飼料添加物の抗生物質でありますアボパルシンの使用が原因と推測されております。この件に関連しまして農水省と厚生省に質問したいと思います。 まず、農水省にお伺いしますけれども、日本への鶏肉輸出国でのアボパルシンの使用状況とVREの発生との因果関係をどのように考えておられるか、お願いしたいと思います。
○政府委員(本田浩次君) アボパルシンにつきましては、現在、日本を含め米国、EUなどの先進各国では使用されていない状況にございます。一部には抗生物質の使用実態が把握されていない国もあるわけでございますけれども、そうした国ではアボパルシンの使用の有無を確認することが困難な実情にございます。 VREの発現の原因についてでございますけれども、医療分野におきますバンコマイシンの使用と畜産分野におきますアボパルシンの使用とが考えられるわけでございますけれども、いずれが主たる原因であるかということにつきましては確定されていないという状況にあると承知しております。
○渡辺孝男君 次に農水省の方にお伺いしますけれども、我が国でのアボパルシンの使用状況、これに関してお伺いしたいんですが、いつごろから指定を受け使用されるようになって、いつごろから使用されなくなったのか、また農水省が平成九年三月に指定を取り消すに至った理由についてもお伺いしたいと思います。
○政府委員(本田浩次君) 我が国におきますアボパルシンの使用状況でございますけれども、アボパルシンにつきましては昭和六十年十月に鶏用の飼料添加物として指定されまして、平成元年から輸入されております。その輸入数量でございますけれども、例えば平成七年の飼料検査時におきます検定数量でこれを見てみますと、原料ベースでございますが、約一・八トンになっております。 アボパルシンの耐性菌の出現問題につきましては、平成七年十月にデンマークが使用を禁止したことを受けまして、農林水産省におきましてもこの情報収集に努めてきたところでございますが、その後、平成八年十二月から平成九年一月にかけましてアボパルシン使用農家におきます耐性菌の実態調査を私どもとしても行ったところでございます。その結果、一部の農家にアポパルシン耐性腸球菌の発現が確認されたわけでございます。この調査結果に基づきまして、平成九年二月に農業資材審議会の審議を経まして、平成九年三月に飼料添加物の指定を取り消したところでございます。 なお、国内の輸入業者におきましても、平成八年十一月からアボパルシンの販売を自主的に取りやめていたというふうに承知しております。
○渡辺孝男君 今のお話ですと、農水省の方としても平成七年のデンマークでの禁止処置が行われたころにはその危険性について認識していたということでありますが、実際にアボパルシンを使用していた日本の農場でそういうふんの耐性菌の検査等を行ったのは平成八年ごろであります。大分時間がたっていると思いますので、やはりちょっと対応がおくれたのかなというふうに考えるわけであります。 次の質問でありますけれども、農水省は同様の飼料添加物として抗生物質を何種類ぐらい現在許可しているものなのか、そしてまたそれを許可した後に抗生剤の使用についてどのような耐性菌が発生し、またそれが人に対してどのような影響を及ぼすものか、そういうチェックをどのように農水省としてされているのか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
○政府委員(本田浩次君) 飼料添加物につきましては、飼料安全法の規定に基づきまして、農業資材審議会の意見を聞きました上で、有効性及び安全性について問題のないものにつきまして農林水産大臣が指定することとしております。現在、抗生物質につきましては二十二種類を飼料添加物に指定している状況にございます。 ただ、抗生剤の使用によりまして、人体に影響を与える耐性菌が発現する場合も想定されるわけでございます。このために、私どもといたしましては、指定に当たりまして使用する対象動物でありますとか、添加量の限定、使用時期の制限を行うなどによりまして、耐性菌の発現を抑制する措置を講じているところでございます。 また、既に指定されている抗生物質につきましても耐性菌出現に関する調査などを行いまして、その結果に基づき審議会で人への影響を含め科学的判断を加えていただきまして、指定の取り消しを行うような必要な措置を講じているところでございます。
○渡辺孝男君 次に、厚生省の方にお伺いしたいんですが、厚生省としましてはこのような飼料添加物としての抗生剤の使用状況とそれに対する耐性菌の発生をどのように把握して、それが人へ及ぼす影響をどのようにチェックしているのか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
○政府委員(小野昭雄君) ただいま問題になっておりますバンコマイシン耐性腸球菌につきましては、平成八年度から食肉中の汚染実態について調査を実施いたしているところでございます。 VREは、先生御承知のとおり、通常の健康人では病気の原因にはなかなかなりにくいわけでございますが、体の弱った方に関しましては感染症を起こす可能性もあるわけでございまして、汚染防止対策が何よりも重要というふうに認識をいたしております。 現在は食肉中に、少数ではありますが検出されておりますので、この汚染実態調査につきましてはさらに強化をいたしまして、人への感染が起きないような対策を講じてまいりたいと考えております。
○渡辺孝男君 先ほど農水省の方のお答えでは、諸外国でアボパルシンの使用状況を把握しにくいところもあるというお話でありましたが、今後輸入鶏肉あるいは豚にも使われる場合があるということでありますけれども、もしそういうところでVREが検出された場合に、日本としましては、アボパルシンをもし使用している国がまだ残っているとすれば、それに対してやはり中止を要請すべきであると考えますけれども、農水省、厚生省の考えをお伺いしたいと思います。
○政府委員(小野昭雄君) 私どもといたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、平成八年度から食肉中のVREにつきましてサーベイランスを行ってきたところでございます。平成九年度のサーベイランスにおきまして輸入鶏肉あるいは国内の鶏肉及び輸入の豚肉について調査を行いました結果、タイ産の鶏肉及びフランス産の鶏肉から高度バンコマイシン耐性腸球菌が分離をされたところでございます。 このためにタイ国に対しましては、使用禁止の徹底を含めまして対策の推進について要請をしたわけでございますが、アボパルシンの使用が禁止されたというふうに承知をいたしております。またフランスにつきましては、一九九七年四月よりアボパルシンの使用を禁止しておりますが、この高度VREがなぜ検出されたのかという理由等につきましては調査を依頼しているところでございます。 今後とも、こういったサーベイランスあるいは検出された場合の措置を相手国に対して強化することを要請するといったようなことで、本問題について対処してまいりたいと考えているところでございます。
○政府委員(本田浩次君) 諸外国に対する対応につきましてはただいま小野局長からお答えをしていただいたとおりでございますけれども、私ども農林水産省といたしましても、先ほどお答えいたしましたとおり、平成九年三月にアボパルシンの飼料添加物としての指定を取り消したところでございまして、その使用は望ましくないと考えているところでございます。したがいまして、今後とも厚生省と十分に連携しながら、日本への鶏肉・豚肉輸出国におきますアボパルシンの使用が中止されるよう適切に対応していきたいと考えております。
○渡辺孝男君 この件に関しまして最後に厚生大臣の方にお伺いしたいんですけれども、人に対する感染症の危険性を増す耐性菌の出現を抑制するためには、今後そういう畜産・水産用に使用される抗生物質に関してもある程度厳重にチェックする必要があると思いますが、その点に関しまして厚生省の方針をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 畜産とか水産の生産分野で使用されております抗生物質等の飼料添加物につきましては、今お話しのような飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律というのがございまして、農林水産大臣が指定等を行っております。この場合、厚生大臣としては、公衆衛生の見地から必要があるときには農林水産大臣に対し所要の措置の要請等ができるものという仕組みになっております。 それから、VREにつきまして、平成八年から厚生省において食肉を対象としたサーベイランス調査をやったことはただいま小野局長の答弁されたとおりでございます。これらの問題につきましては、厚生省内に専門家会議を設けまして、農林水産省の参加も得まして、公衆衛生上の見地から必要な対策について検討いたしておるところでございますが、今後とも農林水産省とよく連携をとりながら、以上のような総合的な対策の取り組みを進めまして、万全を期してまいりたい、このように存じております。
○渡辺孝男君 インフルエンザについてもちょっと質問しようと思いましたが、時間がなくなりましたので、次回に回させていただきたいと思います。 ありがとうございました。
○沢たまき君 公明の沢たまきでございます。 持ち時間が十分ですので、私は一類感染症に対する防疫対策と感染症の患者の人権の二点についてお伺いしたいと思います。 御承知のとおり、我が国の出入国者数は九六年で二千万人を超しております。今後ますます国際交流の活発化、航空機による大量輸送が進展する中で、いつ我が国に一類感染症が侵入してくるかわかりません。 事実、昭和六十二年には我が国にラッサ熱の輸入例があったと聞いておりますが、そのときはどう対応なされたのでしょうか。特に、一類感染症の五つのうち四つについては感染症のウイルスの分離さえできない状態と伺っております。これでは、感染しているかどうかという判断もできませんし、熱帯感染症に対しては余りにも無防御だと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 昭和六十二年にラッサ熱の疑いの患者が発生した際には、東京大学の医科学研究所の病院に入院をして対応したわけでございます。しかしながら、病原体診断につきましてはP4という一番レベルの高い実験室が必要なわけでございますが、これは感染症研究所がその施設を持っておるんですが、地域住民の反対で使えないということから、この昭和六十二年のときには検体をアメリカの疾病管理センター、CDCと言っておりますが、そこに送りまして検査を依頼したという経緯がございます。これは当時の状況でございます。 そのようなラッサ熱等の一類感染症の患者が発生した場合には、その対応でございますが、都道府県に一カ所程度の指定が予定されております第一種指定医療機関、また全国に数カ所の指定が予定されております特定感染症指定医療機関におきまして医療を提供するなど適切な対応が必要だというふうに考えております。 このラッサ熱などの診断につきましては、現在と昭和六十二年当時とかなり変わってきておりまして、現在では、一類感染症の中でクリミア・コンゴ出血熱を除きまして、血液中の抗体や抗原を測定する方法によりまして臨床診断が可能になっておりますけれども、今後、いつこういう事態が発生するかということがありますので、地域住民の反対などにより稼働していない施設につきましても、引き続き協力をお願いしていくと同時に、当面アメリカのCDCなどの協力体制も視野に入れながら対応を考えていきたいと考えておるところでございます。
○沢たまき君 住民の立場から見れば、一〇〇%安全であるということが証明されなければ反対するのは当然です。住民の安全か一類感染症対策かという大変困難な壁が存在しておりますが、それは政府として今後どうするか。住民の安全第一を考えて再検討していくべきだと私は思います。しかし、国としての事前対応は、できることは最大限取り組んでいただきたいと思います。 私は、まず専門医の育成を進めていくことが緊急の課題だと思います。せめて四つの熱帯感染症に最低二人ずつぐらい専門医を養成するためにCDCに派遣すべきだと思いますが、いかがでしょうか。 しかし、CDCに派遣するといっても、はいと希望者が出てこないのが現実だろうとは思いますが、そこで、国として派遣専門医に対して帰国後もきちんと地位と生活を保障する受け皿をつくって、安心して研究ができる環境を整えてあげるということが大切だと思いますが、大臣いかがでしょうか。ぜひ大臣のときに、先見の明あり、備えあれば憂いなし、それから新しい世紀をつくるのは新しい青年たちの熱と力である、こういうお考えにお立ちになって、ぜひお力をおかしいただき、人材の育成を進めていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮下創平君) 沢委員のおっしゃるとおりだと存じますが、ただいま議論のありましたように、感染症の専門医の数が極めて少ないということで、現在、六百三十人くらいしかいないということでございます。このために、昨年度から若手の日本人研究者を外国の研究機関に派遣する事業を実施しておりまして、今後とも同事業の評価を行いながら、その結果を踏まえてさらにこれを強力に進めてまいりたいと思います。 一方、海外で研修を受けた研究者が帰国された場合に、今仰せられたように、第一線の感染症対策の場で活躍できることが重要でございます。必要な場所に適切な人材が配置されるように、感染症対策にかかわるさまざまな機関、つまり厚生省を中心にして、国立感染症研究所でありますとか国立病院でありますとか大学医学部あるいは地方自治体、それぞれの機関と協議して、御指摘のような対応ができるようにさらに強力に推進してまいりたいと思っております。
○沢たまき君 ありがとうございました。 では、ちょっと時間がありませんので急いでさせていただきますが、次は人権についてです。 感染症患者の人権を守るということは最優先するべき重要な課題でございます。患者にとってみれば、病気との闘いは心身ともに大変な負担になります。その上に非常な人権の侵害は絶対に許されるべきではありません。衆議院の附帯決議の十一で、「マスコミその他関係諸機関との連携を図る」としてありますが、これは具体的には厚生省はどう対応するんでしょうか。 報道したものを訂正させると言いますが、一たん報道されたものについては後から幾ら訂正されても間に合いません。感染症の患者に対する報道に対して、入院中だけではなくて、退院後も十分守られるように、患者の相談窓口などともいうべきものを設けていただいてきめ細やかな対応を講じていくべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
○国務大臣(宮下創平君) 今回の法律案におきましても、厚生大臣とか都道府県知事が感染症情報を積極的に公表していくわけでございますが、公表に当たりましては、個人情報の保護には十分留意しなければならないことが規定されております。 また、厚生委員会の附帯決議にもございますように、報道機関においても十分理解していただけますように、日ごろから行政と報道機関との継続的な連携の確保が必要かと存じております。 今御指摘のように、今後この法律の施行に向けまして、相談窓口の設置など、必要であればきめ細かな対応がとられるように検討してまいりたいと思います。
○沢たまき君 ありがとうございました。 個人の力は大変少なく小さいものでございますので、今のお答えを大変心強く感じております。本当にありがとうございました。
○委員長(尾辻秀久君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時十分休憩 —————・————— 午後一時十分開会
○委員長(尾辻秀久君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。 私は、まず、この感染症法案の議論の出発点とも言える問題から始めたいと思うんですが、この間の感染症対策のおくれについて言えば、見直しについて言えば、ハンセン病やあるいはHIV感染患者などに対して過去非常にひどい差別、偏見が加えられてきた事実、そしてその差別を法律自体が生み、法律自体が助長してきた、こういう事実に対して深い反省を出発点にしなければならないというふうに思うわけであります。 公衆衛生審議会伝染病予防部会基本問題検討小委員会の報告書でも、「感染症対策の見直しの必要性」についての二番目でどう書いてあるかといいますと、「過去におけるハンセン病患者をはじめとする感染症患者に対する差別や偏見が行われた事実や、らい予防法が存在し続けたことが結果として患者・入所者とその家族の尊厳を傷付け、多くの苦しみを与えてきた事実、同法が平成八年に廃止されるに至った経緯への深い反省が必要である。」としています。その立場は明快であります。 この点で本法案が前文で述べている内容は不十分であり、差別と偏見をだれが押しつけてきたか、その主語が不明確であります。厚生省の重大な責任が明確にされていないことをまず最初に指摘しておきたいと思います。 その上で質問です。現在、東京地裁で安部、松村、ミドリ十字の社長らに対する刑事裁判が行われていますね。その中で、エイズ研究班第一回会合の録音テープ、第三回議事要旨、第四回議事メモなどが存在することが判明しております。録音テープは東京地検が厚生省から押収した中に入っていたものであり、その一部は七月三十一日の法廷で公開されております。厚生省はこの録音テープを検察庁に仮還付請求して直ちに公表すべきではないでしょうか。九月二十一日に安部被告の公判が行われていますね。ここでこの録音テープは証拠採用されております。ということは、公判にもはや影響はなくなっているわけであります。 私は法務省刑事局の局付の検事さんに聞きました。そうしたら、こういう答えでした。もうそういうわけで証拠採用を二つの裁判でされているから、厚生省が仮還付請求をすればいつでも応じますとおっしゃっておりました。直ちに請求して全文を公表すべきと思いますが、いかがですか。
○政府委員(中西明典君) 御指摘の録音テープの件でございますが、今委員の方から御指摘ございましたが、今月二十一日の安部英被告に係る刑事裁判においてこのテープが証拠採用され公判廷での立証が終了したことから、現在、仮還付を受けられる状況になっているというふうに承知をいたしております。 この録音テープにつきましては、一つは当時研究班会議が公開を前提として開催されていないこと、したがって研究班として会議の内容が録音され公表されることについて了解していたというふうには認めがたいこと、さらには研究班員に刑事事件の被告も含まれているということから、このテープの扱いにつきましては各研究班員の意向というものを確かめた上で判断していく必要があると考えております。したがって、このテープの扱いにつきましては、今後そうした作業の上で私どもとしてよく検討してまいりたい、かように考えております。
○小池晃君 こういう答えが返ってくるとは思いませんでしたが、仮還付請求はするんですね。イエスかノーかでいいです。そうですね。
○政府委員(中西明典君) 先ほど申し上げましたとおり、厚生省としては、各研究班員の意向を確かめる上でも録音テープを入手するというのは必要なことだと考えておりまして、仮還付請求は行いたいと考えております。
○小池晃君 衆議院の予算委員会では、公判に影響があるから公表できないというふうにお答えされていますね。もう影響はなくなったら、今度は仮還付請求はするけれども、それを公表するかどうかはまたそれぞれの人に確認しなければいけない。これはとんでもない話だと思うんですよ。 わかっていますか。厚生省みずからが行政の責任でこの原因を解明することというのは、HIV訴訟の和解での確認じゃないですか。 確認書にはこう書いてあるんです。「厚生大臣は、サリドマイド、キノホルムの医薬品副作用被害に関する訴訟の和解による解決に当たり、」「薬害の再発を防止するため最善の努力をすることを確約したにもかかわらず、再び本件のような医薬品による悲惨な被害を発生させるに至ったことを深く反省し、その原因についての真相の究明に一層努める」というふうに確認しているわけです。 ですから、この資料が手に入ったならば、これは本来ならば前回の資料公開のときに公開されるべき資料だったわけですから、無条件で公開すべきだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(中西明典君) ただいま委員御指摘の要請というものも当然踏まえた上で、各研究班員の意向や考えというものもあわせ確かめ、その上で総合的に扱いを判断したい、かように考えております。
○小池晃君 大臣にお伺いします。 今、そういう回答がございました。これは、薬害エイズの真相究明に努めるというふうに当時の厚生大臣も確約された、一般的な情報公開という問題じゃないですよ。厚生省の責任においてこれだけの事態が起こったことについて深く反省をして、その真相の究明を厚生省自身の責任で行うというふうに確約されたわけですから、これは本来公開されるべき資料だったわけですから、直ちに公開すべきであるというふうに私は思いますが、大臣の御意見をお伺いします。
○国務大臣(宮下創平君) エイズ研究班の録音テープにつきましては、いろいろエイズに関する調査を実施して、厚生省としてはできる限り真相究明に努めたいということで今日までやってまいっておりますが、御指摘のように、録音テープが裁判上の問題等もありまして仮還付が受けられない状況であったということではあったわけですが、二十一日の安部被告にかかわる刑事裁判において証拠採用された後は仮還付できるということでございますから、今局長のおっしゃったように仮還付を直ちにいたしたいと思っています。 その上で、今、中西局長の言われたように、録音テープにつきましては一応のいろいろ検討した結果を参酌しながら総合的に判断して、私としては前向きに対応していきたいなという感じを持っています。
○小池晃君 私、この問題はやはりこの感染症法案を考える上で出発点だと思うんです。 一般的に人権を尊重するということは幾らでも言えるわけです。ただ、それは個別の事態に即して最も人権が侵害されたときに国がどういう態度をとるか、それが鋭く問われてくると思うんです。一般的な人権尊重を言いながら、今最も求められているその事態についてきちっと真相究明する、これは人権尊重の最低限の責務ですよ。これすらできないということでは、やはりこの法律のよって立つ議論そのものに反省がないというふうに言わざるを得ないのではないかというふうに思います。そのことを厳しく指摘しておきたいと思います。 そういうことであれば、押収品目録、これは厚生省自身持っているわけですね。この公開についてはいかがですか。
○政府委員(中西明典君) 押収品目録の公表につきましては、東京地検は現段階では今後の刑事裁判に影響するおそれがあることから公表しないという考え方でございまして、厚生省といたしましても、刑事裁判への影響がないようにという観点から公表すべきものではないというふうに判断いたしております。
○小池晃君 これも私検察に聞いたんです。そうしたらば、どういうふうにおっしゃっていたかというと、厚生省から検察庁の意見は聞かれたと。ただ、厚生省自身が持っている押収品目録を公開するかどうかは、これはあくまで厚生省の決める問題だというふうにおっしゃっていましたよ。 今のは、おっしゃったように、刑事裁判に影響があるからと、これは衆議院でもそういうふうに答えられていましたけれども、それは理由にならないんですよ。厚生省自身、真相究明のために責任があるのであれば、やはり厚生省自身の責任できちっと公開すべきと考えますが、いかがですか。
○政府委員(中西明典君) 繰り返しになりますが、やはり刑事裁判に影響するおそれがあるという判断があるわけでございますので、その視点に立って、刑事裁判に影響を与えないように私どもとしてそういう判断をいたしておるところでございます。
○小池晃君 私はさらに、第三回の議事要旨、第四回の議事メモについてもその存在が明らかになったわけですから、これも公開すべき、仮還付請求、ただし証拠採用された場合には直ちに公開すべきだというふうに考えております。 そして、一連のこういう薬害エイズの真相究明にきちっと責任を果たすという点で、この今のような答弁では被害者の方たちも納得しないし、国民もこういう議論に対してやはり疑問を抱かざるを得なくなるのではないかということを指摘しておきたいと思います。 その上で、仮還付請求をするということは確認されましたし、その内容についても公開することを強く求めておきたいというふうに思います。 その上で、感染症法案の内容に入りますが、幾つか聞きたいと思います。 一つは、本法案における入院の強制的な措置についてであります。 七十二時間の入院、十日間の入院、さらに必要があると認められるときはさらに十日間という規定ですね。七十二時間、十日間、十日間。これが、刑事訴訟法では第二百五条、二百八条で、勾留七十二時間、そして十日以内の公訴、やむを得ない事由あるとき十日の延長というふうになっていて、大変似ていると思うんです。 本法案は感染症法案ですね。これは何を根拠に七十二、十日、十日というふうに設定したんでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 七十二時間の応急入院の考え方でございますが、一般的に、一類及び二類感染症の病原体の検査に要する時間でございますとか、感染症の診査に関する協議会における診査までに必要な時間、他の法律、具体的には精神保健及び精神障害者福祉に関する法律における同様の規定においても七十二時間を限度としていることなどを総合的に勘案して規定したものでございます。 一方、入院する場合の十日間の考え方は、法定伝染病患者の平均的な入院期間が約十四日間であるということから、応急入院の七十二時間、すなわち三日間と合わせて、ほぼ平均的な感染症患者の入院期間となるように十日間というふうに規定したものでございます。
○小池晃君 さらに、第二十二条の退院の要求あるいは第二十五条の審査請求の特例に関する患者、感染者の告知の問題であります。 基本問題小委員会の報告書では、これまでの予防法が人権尊重の観点からの体系的な手続保障がされていないと指摘して、例えば入院の勧告及び命令の場合の事前手続として、文書によるその理由の告知及び事後に不服を申し立てることができる旨の告知をするなど、患者の人権を保障するための規定を設ける必要があるというふうにしています。 これは大事な問題だと思うんです。強制的な入院をされた患者さんにとって不安が強いわけですから、パニック状態にあることも多いと思うんです。きちっと再審査請求を保障する、これは大切な問題だと思います。 不服申し立てができる旨の告知義務は法的に担保されるべきだと思いますが、いかがですか。
○政府委員(伊藤雅治君) 審査請求を初めといたしまして、入院させられた患者さんが、不服申し立て手続につきまして十分に趣旨が伝えられ理解するということは極めて重要だと認識しております。 このため、実際の対応を行う都道府県等の職員が、審査請求ができることなど必要な説明を患者等に対して行うことを基本指針に明記するとともに、入院勧告の際に通知する書面の記載事項といたしまして、審査請求ができることを厚生省令で明確に規定をいたしまして法令上担保したいと考えております。
○小池晃君 法令上この感染症法案には担保されていないんですよ。厚生省令に定めた事項というのはありますよ。ただ、退院に関する請求ができるということは明記されていないわけですね。 例えば、精神保健法を見ると、退院の請求に関して、任意入院の場合でも措置入院の場合でもこう書いてあるんです。患者に対して「退院等の請求に関することその他厚生省令で定める事項を書面で知らせなければならない。」と明確に書いてあるわけですね、こっちは。なのに感染症法案はこのことを書いていないわけですよ。これはなぜですか。今言ったように厚生省令で担保するというんじゃなくて、なぜ法案の本体の中で明確にしなかったのですか。
○政府委員(伊藤雅治君) 精神保健福祉法の場合は、非常に入院が長期間にわたるというようなことが一つあろうかと思います。それらのことを勘案いたしまして、特に感染症の場合は、精神障害の場合に比較いたしまして比較的短期間であるというようなことがございますが、今般いろいろ手続面の規定を整備いたしまして、さらに入院勧告の際の通知も書面で行うということを法律上明記しているわけでございます。 したがいまして、入院勧告の際に通知する書面の記載事項として審査請求できる旨を厚生省令で明確に規定することによりまして、この法令上担保していきたいと考えているところでございます。
○小池晃君 長いから書くんだと、精神保健法は明記してあるんだというのは説明になっていませんよ。長い短いの問題じゃないですよ。これはその置かれた状況を見れば、新しい未知の感染症だというふうに言われて強制的な入院をされる患者さんの不安というのは、それは精神保健法の措置入院なんかと比べてもかなり強いんじゃないですか。そういう場合にきちっと法的に担保しない、これは重大な問題だというふうに思います。 さらに、先ほど書面による通知、書面による通知とおっしゃいますけれども、法律を見ると、差し迫った必要がある場合は書面による通知は必要でないというふうに書いてあって、相当の期間内に書面交付すればよいと、抜け穴だらけなんですよ。 衆議院の議論で、さらにこの審査請求についても、患者とその保護者しかできないと。法案上はそういうふうにしか書いていない。運用で検討するとかいろいろおっしゃいましたけれども、代理人の問題も記載されていないわけです。 措置や勧告による入院というのは、患者の人権にかかわる最も重要な条項じゃないですか。それについて不服審査の告知も代理人制度も法案自体に担保されていない、記載がない。そして、省令とか実際の運用で努力しますとか、他の法律を敷衍するとか、行政不服審査法ですね、こういったことで患者の人権が本当に尊重できるのか。尊重どころか配慮すらしていないではないかというふうに言わざるを得ないと思うんです。このことを厳しく指摘しておきたいと思います。 さらに、今言われた審査請求の特例措置についてですけれども、いわゆる新感染症については、都道府県が当該感染症の固有の病状及び蔓延の防止のために講ずべき措置を示すことができるようになったとき、政令で指定されるまでの間は審査請求の特例すら認められていないのではないでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 法令上、その審査請求の特例の規定はございません。それは、このような考え方に基づくものでございます。 法案第二十五条の審査請求の特例は、都道府県知事の入院勧告等に基づいて入院した一類感染症または二類感染症の患者の中で三十日を超えるものが当該入院に対する不服審査を求めた場合に、処分権者である都道府県知事と異なる厚生大臣が、公衆衛生審議会という感染症に関する専門家が含まれる第三者機関の意見を聞いた上で五日以内に裁決を行うという特例の規定でございます。 新感染症の場合には、三十日以内であるか否かを問わず、都道府県知事が当該患者に入院勧告等の措置をとる際にはあらかじめ厚生大臣に報告し、公衆衛生審議会の意見を聞いた厚生大臣の技術的指導及び助言を得て初めて実施できるものであり、入院が続く場合には、十日ごとに厚生大臣が公衆衛生審議会の意見を聞いた上で都道府県知事を指導することになっているわけでございます。 したがいまして、この新感染症として講じられる措置の必要性につきましては、すべての場合において厚生大臣や公衆衛生審議会の意見が反映されているものであり、この二十五条の規定を適用させる意味はないものというふうに考えているわけでございます。 なお、法案第五十三条に基づきまして新感染症の政令による指定がなされた場合にありましては、患者に対する対応等につきましては都道府県知事が政令に基づいて対策を実施することになり、公衆衛生審議会の意見を聞いた厚生大臣の技術的指導及び助言を逐一得るといった規定は適用されなくなります。その場合、一類感染症とみなして必要な規定が適用されることから、当然のこととして第二十五条に基づいた不服審査の特例が適用されることになります。
○小池晃君 わかっている説明を長々しないでください。 新感染症の患者さんがどういう状況に置かれるか想像しますと、例えば緊急の状態で入院する、あるいは出血熱のような状態かもしれない、呼吸器の症状が強いのかもしれない。入院する、そしていろいろ検査をする、既存の疾患の診断基準は当てはまらない。これは何か新しい病気じゃないだろうかと非常に不安な状態に置かれるわけです。そして新感染症だということになって指定医療機関に移される。どれほどの不安感があるかわからないじゃないですか。 そして、一類感染症の場合はちゃんと口頭で申請できる特例措置をつくったというふうにおっしゃいましたね、衆議院の議論でも。新感染症の患者さんにはそれすらないわけですよ。これは重大な問題だと思いますよ。それはもちろん一般的な行政不服審査法に基づく審査請求はできると思います。ただ、特例措置が認められないわけですね。これは重大な問題だと。もちろん第一種感染症というふうに認定された後は第一種感染症と同じ扱いになると言われるかもしれませんけれども、最も過酷な状態に置かれる新感染症の患者さんに人権に対する最大限の配慮をすべきであるというふうに私は考えます。そういった点で、やはりこの法案は大きな問題があるだろうというふうに思わざるを得ないんです。 権利制限の項目に関してはかなりコンクリートにできています。しかし、重大な場面での患者の人権を守る部分に関しては全く不備が多い。穴だらけであり、あるいは法案自体では担保されていなくて、省令であるとかこれからの運用上の配慮の中でしか解決されないという、まさに欠陥のある、大きな問題のある、法案として極めて不十分であるというふうに言わざるを得ないと思います。 その上で、さらに衆議院で行われた修正に関してですが、前文の中に「感染症を根絶することは、正に人類の悲願と言えるものである。」という表現を加えられております。個別の感染症の根絶というのはあり得ると思います、天然痘が撲滅されたとかそういう問題は多々あるわけですから。ただ、感染症一般が根絶されるということはあり得るんでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 特定の感染症につきましては根絶の事例というのがあるわけでございますが、すべての感染症が地球上から根絶されるということは、現時点のいろいろ科学的な知見に照らしてなかなかそういう事態は想定しがたいのではないかと考えております。
○小池晃君 私は、この前文の表現も、こういった科学的根拠のない感染症脅威論、これがやはりこれまで社会防衛的な感染症政策を生んで、感染者の人権を侵害してきたものではないかというふうに考えるものであります。 検討小委員会の報告書でもどう書いてあるかというと、今日の感染症を取り巻く状況は、現行伝染病予防法が制定された当時と異なり、ワクチンや抗生物質の開発などに代表される医学医療の進歩、公衆衛生水準の向上などに伴い、多くの感染症の予防、治療が可能になってきている。このため、個々の国民の感染症予防及び良質かつ適切な医療の提供を通じた早期治療の積み重ねによる社会全体の感染症予防の推進に重点を置くことが必要である。こう書かれておるんです。これがやはり今求められている基本認識だと思うんです。そういう点でいえば、やはりアメリカのようにきちっとCDCが確立をして、私も購読していますけれども、MMWRなんというのは毎週送られてくるわけです、感染症のレポートが。月一回ぐらいは個別の疾患に対する治療マニュアルも送られてくる。そういう医療をきちっと整備していく、このことこそがやはり一番重要なことではないかというふうに考えるものであります。 その上で、最後になりますが、先ほども質問がありましたけれども、さらに前文に「感染症の患者等の人権を尊重」という文言がつけ加えられております。しかし、本文の二条、三条では依然として人権に配慮という表現なわけです。おかしいのではないかという質問も先ほどありましたが、説明の中では、人権の尊重と権利制限というのは調和させなければいけないんだ、どちらが優先するかということで、他の価値と比較してより人権を重んじるのが尊重であるとおっしゃいましたね。逆に言えば、より人権を重んじないのが配慮だと、重んじないというか、より人権の重み、バランスが軽いのが、そういう発想では僕はだめだと思うんです。 これは衆議院の厚生委員会でも同僚の児玉議員が質問をしておられますが、WHOのすべての人に健康戦略でもこう書いてあるわけです。何て書いてあるかというと、人権の尊重と公衆衛生の目標達成というのはコンプリメンタリーだ、相補うものであると。相補うというのは、どちらか欠けている部分を片方で補っていく、それで全体として達成していくんだと。どちらが優先かというバランス論ではなくて、やはりどちらも相補いながら進んでいくというのが基本的な認識であるべきだというふうに思うんです。 その点からして、やはり尊重というような言葉を本文も通して使うべきではないかというふうに考えますが、このことに関する大臣の御意見も伺って質問を終わりにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(宮下創平君) 感染症の予防とか医療に関する施策を推進する上で、感染症の患者等の人権に配慮することはもとより基本的かつ重要なことでございます。そして、衆議院の修正前文におきましても人権尊重という言葉が使われております。 しかるところ、一方、午前中の論議もございましたように、文中におきましては配慮ということになっておりまして、これはしばしば局長の方から、なぜそういう違いになっているかということを説明させていただいたわけでありますが、前文は基本的、理念的なものを包括して書かれたものであり、五条以下の問題は、やはり医療行為とそれから人権の尊重との調整の問題として書かれておるというような趣旨の答弁があったと存じますが、私もそうだと思うんです。 基本的には、衆議院の厚生委員会で児玉議員にお答え申し上げましたように、人権の尊重ということと公衆衛生目標の達成というのは、これはWHOの世界保健総会で採択された文書にございますように、まさにコンプリメンタリー、補完的なものであるという認識は私どもはそのとおりだと思っております。 したがって、本法案におきましても、いろいろの点で人権への配慮等考慮されるべきことが書かれておりますが、私どもとしてはこれから定める基本指針等でも、人権に対する配慮の事項を適切に位置づけて組み立てていくということでその趣旨は矛盾しないように、きちっと国民の理解を得て、有効な感染症対策を進められるような指針をつくってまいりたい、こう思っております。
○小池晃君 私は、この法律の運用に当たっても、本来のやはり尊重という趣旨が貫かれる、実行に当たってそういう人権を本当に尊重しないような事態が発生するおそれが非常に強い。特に一番拘束的な、強制的な入院の場面においてそういう人権尊重の項目が欠落していることを最後に指摘して、質問を終わります。
○清水澄子君 社会民主党の清水でございます。 私は、本委員会で四月に政府案、最初は政府案ですが、政府案が審議されましたとき、今回のこの感染症予防法の改正に当たっては、法案制定の趣旨のところに、過去のハンセン病やエイズ感染者に対していわれなき差別と偏見によって大きな人権侵害をもたらしてきたことについて、深い反省と、それを教訓とした人権保障と、感染者、患者に対する質のよい医療を適切に提供していくというシステムを明記していくべきではないかと何回も主張してまいりましたが、残念ながら参議院の段階ではそれは受け入れられませんでした。その基本姿勢が、今回の衆議院からの修文によって前文にその趣旨が入りましたことを、私は非常に高く評価したいと思います。 厚生省は、この法律の運営に当たりましては、修正された前文の趣旨を的確に生かしていく、そういう決意をしていただきたいと私は思いますが、大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(宮下創平君) 委員の御指摘のようにハンセン病患者等の人権侵害、これは質疑でもございましたように事実として存在しておったという認識でございまして、それに基づきまして、今回の予防法等につきまして感染症対策におきましては人権の問題等に十分配慮するということでありますし、衆議院の前文の改正でもそのことがうたわれております。 私どもとしては、やはりそういった歴史的な認識をきちっとわきまえた上でこれからも対応していくべきものでございまして、ハンセン病につきましては、今、委員の御指摘のように廃止法律におきまして十分な処遇をやっておこうと。そして、そういう過去のいろいろの反省と償いがありますから、それにこたえるべく、給付等の万全の措置をしていきたいということで解決を見ているわけでございまして、この趣旨は十分踏まえて今後この法律の運営に当たってまいりたい、こう思っております。
○清水澄子君 ぜひその点は厳重にお守りいただきたいと思います。 この法案の基本理念にも「感染症の患者等が置かれている状況を深く認識し、」と。ここでは、先ほどから言われているように、私も「これらの者の人権に配慮しつつ、」じゃなくて、尊重して決して矛盾がないし、むしろその方が的確な表現だと思うんですが、やはりそれは「配慮しつつ、」になっておりますが、それでも非常に前よりも改められたわけです。 この法案では、そういう強制的な入院勧告とか就業制限とか立入禁止など、非常にさまざまな患者に対する強制措置がとられることになっているわけですけれども、その場合、今回のこういう前文のもとでの行動制限については、厚生省は人権への配慮という場合にはどのような対応をやろうとしていらっしゃるのでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 今回の法案におきましては、人権への配慮を行う観点から、各般の措置を設けているところでございます。 具体的には、入院する場合に、まず勧告を行う制度を設け、そしてその勧告に応じていただけないときに措置をするということでございますとか、入院に関しましての感染者の審査に関する協議会への諮問でございますとか、入院患者からの退院請求、行政不服審査法の特例措置など、各般の人権への配慮を行う観点からの措置を設けているところでございます。
○清水澄子君 それは前のときもそういうふうにお答えでしたけれども、私はやはり変わらなきゃいけないと思うんです。 この法案ですと、今いきなり勧告なんですが、いきなり勧告して、協議会にかけるとはいうものの、やはりそれは強制入院につながるわけです。人権尊重ということを重視しなきゃならないということになった以上は、ここではっきり本人に対して十分な説明を行って、最初は任意の入院を勧めながら医療を提供していく。そして、本人との合意のもとにきちんと入院勧告、入院命令という方法があるわけですから、そういう形で本人との対話といいますか、意思を尊重していくということが私は変えていくことの一つだと思いますが、それは実行なさいますでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 感染症、特に本法案におきます一類感染症、二類感染症を含めまして、医療の大原則は、十分な説明に基づいて自発的に入院するというのが大原則でございますが、特に一類感染症、新感染症などにおきまして非常に重篤なケースで直ちに入院を要するというようなこともございますので、法文上は勧告、そしてうまくいかない場合に入院の措置という、各般のいろいろ手続規定を設けたものでございます。
○清水澄子君 先ほど前文の意義についても大臣は、感染症の対策のあり方、運用についての人権に対する基本的な理念であるという御認識を述べられました。 そこで、感染症予防法に基づいて今後もいろんな施策が実行されたとき、その強制措置が誤っていた場合、被害者の救済措置について厚生省の考え方は、先ほどもお答えになっていましたけれども、一般的な国家賠償法による請求で処理するのだというふうな答弁があるわけですが、国家賠償法では原告が公務員の故意または過失を立証しなければならないために、実際には非常に被害者の側に負担が重いわけですし、そしてなかなか立証するということは難しいわけなんです。 予防接種訴訟で最高裁が判決を下したように、この場合は予防接種体制の組織的過失であるということで、あの判決は個々の医師の過失立証は問わなかったわけです。そして司法上の救済が図られたわけですけれども、私は、被害者の速やかな救済を図るためには、故意、過失を要件とする国家賠償制度だけではなくて、無過失責任に基づく補償法とか行政救済のための立法を検討すべきだと考えます。特にこれは施行後五年を目途とする検討規定というものを参議院で修正を入れたわけですけれども、五年待たなくてもいいわけなんですが、ぜひ今後そういう法改正を検討していただきたい。被害者の救済措置ですね。いかがですか。
○政府委員(伊藤雅治君) 御指摘の点でございますが、御指摘のように故意または過失によって損害が生じた場合には国家賠償法で救済をしていただくという制度になっております。 そこで、予防接種法の救済規定についてのお話がございましたが、予防接種法によります健康被害の救済につきましては、国民一般に接種を受ける努力義務を課している一方で、いかなる注意を払おうと、一定の割合で予防接種の場合は健康被害が生ずるという、そういう可能性があるといった予防接種の独自性により設けられているものでございまして、感染症新法上の入院等による損害補償とは性質が異なるものであるというふうに考えているわけでございます。 同様に、強制的な入院規定を有する結核予防法や精神保健福祉法には入院に係る個別の救済規定はないわけでございますが、御提言のこの見直しの機会などをとらえまして、私どもといたしましては、この御指摘の点も含め、幅広い観点から検討を行っていきたいと考えておるところでございます。
○清水澄子君 これまで政府が感染症を予防するための対策として行ってきたことが、当時の医学的な水準に照らして妥当な措置であったとしても、後にこれは間違っていたという場合とか、医学的に新しい知見が発表されていても行政の方の対応が非常におくれたために、そこに大きなやはり被害が生じたというふうなことはこれまでも起きていたと思います。 らい予防法は二年前に廃止されたわけですが、これは国が行ってきたハンセン病患者に対する強制的な隔離によって、これらの患者の一生にわたって、生涯にわたってこの人たちの人間としての人格を否定したような、そういう人権を侵害してきたと思います。そしてそれは、家族もまたその偏見と差別の中で社会から完全に阻害されて、苦しみながら今日も生きていると思うわけです。 そこで、このハンセン病患者が、今、国と国会に対して損害賠償の訴訟を起こしておられるわけですが、私は国はみずからの行ってきた人権侵害に対しては、やはりきちんと補償する必要があると考えます。大臣はそれをどのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮下創平君) らい予防法は廃止されまして、ハンセン病患者が受ける隔離等の人権侵害に対して国は補償すべきであるという御意見だと存じますけれども、感染症対策におきましては、今御指摘のように時代の医学的な知見とか社会的状況によって変化するわけでございまして、それぞれその時代の水準に合わせて適切に対応していかなければならないのは当然でございます。 ハンセン病対策は、平成八年、らい予防法が廃止されるまでの間におきましても、いろいろ時代に即した運用上の措置とかあるいは人権に配慮した施策を弾力的にやってまいっておるということでございます。例えば、軽快退所の促進を図るとか、あるいは軽快退所者に対する就労助成金を図るとか、患者給与金の改善を図るとか、これは廃止法律の前におきましてもそういう措置をしてきたところでございます。 しかし、法律の見直しがおくれたことにつきましては、厚生大臣が謝罪をし、法律を廃止すると同時に、入所者団体との協議をやりまして、その協議の結果を踏まえましてらい予防法の廃止に関する法律を制定したわけでございますが、同法に基づきまして、入所者の処遇の保障とか社会復帰支援を誠実に履行してまいっておるところでございまして、今までかなり私としては手厚いものであったように感じます。 厚生省としては、これらの経過を踏まえまして、法廃止後の施策を誠実に実行していくということが、これまで受けられた入所者の方々の御労苦にこたえるものと認識しておりまして、そういった意味でも直ちに補償を行うという考えは現在のところ持っておりません。
○清水澄子君 だけれども、水俣の問題もそうだったんですね、最初。厚生省は因果関係とかいろんなことをおっしゃって、結局最後はやはりそれは政府自身が謝罪をし、そして今まだ最後の決着をしておりませんけれども、もうこの人たちは非常に年齢も高いわけですから、早くこの問題についてもっと本当に誠実な対応、補償を私は考えるべきだと思います。 そこで、この前文の理念には、過去の歴史的な感染症対策の過ちを反省するということはとても重要であって、その中から教訓を酌み取るということになっているわけです。ですから、その教訓というのは一体何なのか。感染症対策による被害についての補償規定というものを具体的につくっていくということは、それはやはりこの前文を誠実に履行することにつながると思います。 また同時に、過去の人権侵害の被害についても十分な補償を行うための施策の検討を始めるという、そういう誠実な姿勢がやはり本当に人権を尊重するということを、これだけ真剣に何時間も討論しているわけですから、これはみんな本当に国会も含めてやはり私たちの過去の人間が犯した過ちに対して、誠実なそういう補償制度を私はこれからつくっていくという決意が必要だと思うんです。 今現実に大臣は補償は考えていないとおっしゃったんですが、そういう制度の検討に入るということについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。
○国務大臣(宮下創平君) 先ほど申しましたことの補足を申し上げますと、このらい予防法の廃止に関する法律に当たりましては、入所者団体と十分に協議したという事実もございます。見直しの検討会に入所者代表が参加しておりまして、入所者の希望は、金品の要求ではなく、特に処遇の確保が重要であるということを申されたのも事実でございます。そういうことを踏まえまして、らい予防法の廃止に関する法律によりまして、処遇の保障、これは生活、医療の全額について国費で保障を継続いたしております。総額四百十二億円くらいを支出して、一人約八百万円くらいの保障もいたしておるわけです。 それから、障害年金の一級相当の給与金、これも最大月額八万三千円のようでございますが、これの支給もしておりますし、また社会復帰支援をするということの必要のある方々には、社会復帰に必要な知識等の付与をするために一人当たり最大百五十万円、これは来年度の要求では二百五十万円を要求しておりますが、そういったことで、かなり入所者の代表が当時の検討会で申されたことは十分対応しているという事実が一方ございますので、私の方としては、法廃止後のこういった施策を誠実に実施していくことが、これまで受けられた入所者の方々の御労苦にこたえるものであるという認識を強く持っておるところでございます。
○清水澄子君 これは続けてまた質問していきたいと思っております。 次に、WHOは五月の総会で二十一世紀の健康に関する新戦略を採択しているわけです。この新戦略に、先ほどもあったんですが、公衆衛生と人権の目標達成は相補い合うものであるということを宣言しております。そして、医療機関への患者の受け入れを拒否するとか、それから個人に対する公衆衛生上の強制措置とか、個人情報が漏れないようにプライバシーを守るとか、そういう問題について、感染症対策における人権擁護の原則というものを非常に強く強調をしているわけです。ですから、私はこの感染症予防法が施行されるに当たっては、この視点というのをもっと真剣に取り入れていくべきだと思います。 そしてまた、WHOや国際保健規則では、今日の感染症はグローバルな危機の代表の一つである、国際化の今日、病原微生物は国際貿易や海外旅行を通して速いスピードで国内あるいは国境を越えて伝わってくる、だから各国は感染症サーベイランスでは地球規模で国際的な協力や行動計画に参加して、そしてその問題のグローバルな性質を反映するような各国の国内法の見直しが必要だということを主張しております。その場合も、はっきり第一の基本は人権擁護ということが示されていて、そして各国とも感染症に対する戦略の見直しを求めて決定しております。 私は、厚生省は今度の法律の中ではその辺のところがやはり少々欠けていると思います。ですから、こういう国際的な流れといいますか世界的な潮流と、それからそこでWHOのガイドラインも決まりますし、そういう基準を今後取り入れていくような法改正もやはり必要になってくると思いますが、その点については今後とも厚生省はそれらの視点に立ってお考えになるでしょうか。大臣のお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 今、委員のおっしゃったように、第一点の「二十一世紀のすべての人々に健康を」というWHOの五十一回の世界保健総会で採択された文言に言及されましたが、特に感染症の予防医療に関する施策を推進する上で人権に配慮することは当然でございまして、この人権の尊重と公衆衛生目標の達成はコンプリメンタリー、補完的であるという記述がございますが、全く私もそのとおりだと存じております。 そして、本法案におきましては、患者の人権への対処の仕方として基本理念に、あるいは国、地方団体、国民の責務の中に、あらゆるいろいろの条文に人権への配慮等が記述されているところでございます、したがいまして、今後、国として基本指針等を策定する際におきましても人権に対する配慮の事項を適切に位置づけてまいりまして、こうした取り組みを通じまして国民の理解を得て感染症対策を進めなけりゃならぬと思います。 そして同時に、委員の指摘されましたように、感染症の予防等については国際的な視点が必要であるというのは、これは法律にも国際的な視点のことについて記述されておりますように大変重要な視点だと存じます。特に、具体的には世界保健機関が、現在、国際保健規則、IHRでその改正について議論がされておりますが、我が国は改正のための作業委員会に参加するなどWHOと密接な連携をとっておるところでございます。 そんなことで、これから、来年の五月ころWHO総会でそういった国際保健規則につきまして採択がされるようでございますが、これらの調整を、十分今の法律はとれておると存じますけれども、なお最終版が決定したときにおいて新しい考え方とか基準が示された場合におきましては、御指摘のように速やかに検討を行った上で必要に応じまして適切な措置を講じていく等、国際的な視点を重視していかなければならない、こう思っておるところでございます。
○清水澄子君 ぜひそのことを具体化していただきたいと思います。 次に、ちょっと本題と離れるわけですが、年金審議会がどんどん何か先に結論を出していくような状況でございますので、年金についてお伺いをしたいと思います。 前回の委員会におきましても、大臣も、国民の医療費負担とか年金とか、そういう将来の生活不安を取り除いていくということが非常に重要な景気対策でもあるというふうにおっしゃっていたわけです。 ところで、この平成六年の国民年金法の一部改正のとき、衆議院では法律の附則にわざわざ「基礎年金の国庫負担の割合を引き上げることについて総合的に検討を加え、」「必要な措置を講ずる」ことというのを加えたわけでございます。そしてさらに、衆参両院の厚生委員会では、基礎年金の国庫負担の割合を、所要財源の確保を図りつつ、現在の三分の一を二分の一を目途に引き上げることを検討することという附帯決議をしておるわけです。年金審議会においてもやはり多数の委員かち国庫負担の引き上げが強く主張されているということを伺っておりますし、多くの識者からも基礎年金の財源として税方式への転換が強く主張されているところだと思うわけです。 宮下厚生大臣も、前回のこの委員会では財革法はその全部が凍結されるとの見解を示されたわけですが、私は国庫負担の引き上げについての政策決定は審議会がやるものではないと思います。それは、政府と国会において決めることでございますので、年金審議会がどんどん何か先に結論を国民に誘導しているような状況がありますけれども、大臣は国庫負担の引き上げについて審議会が言っているように見送るべきだと考えていらっしゃるのかどうか、その点の御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 年金制度の改革につきましては、年金審議会で今審議中でございまして、九月いっぱいくらいで恐らく答申がなされるものというように私どもは解しております。 今、委員の御指摘のような基礎年金の国庫負担につきましては、いろいろ報道等で審議会における模様の一端等が報道されておりますが、まだまだ私ども確たる審議会の結論を承知しておるわけではございません。しかしながら、国民年金の一部を改正する法律の附則で財政再計算の時期を目標として財源を確保しつつ必要な措置を講じろとか、あるいは附帯決議では二分の一を目途に引き上げることを検討するというようなことがございまして、これ自体、私は重く受けとめなければならないとは存じます。 しかしながら一方、財革法を凍結いたしましても、政府部内の閣議決定によりまして、概算要求についての基本的な方向等の中では財政構造改革の一環として既に措置されている制度改正、計画の延長や今後のスケジュールが決まっている制度改正等については、既定の方針に従ってやっていただきたいということのほかに、財政構造改革の推進についても、これは六月三日の閣議決定でございますが、基礎年金の国庫負担の引き上げにつきましては「六年改正の附帯決議等において所要財源を確保しつつ検討することとされているが、現下の厳しい財政事情に鑑み、財政再建目標達成後、改めて検討を行うこととする。」という条件が付されているわけです。したがって、財政改革法が凍結したからといって個々のそういう施策についての継続性を、あらゆるものを全部否定するということではないと存じます。 そういう意味で、この基礎年金の国庫負担率の引き上げにつきましては、六月三日の閣議決定の趣旨もございまして、莫大な財源を必要とするということも一方事実です。それから、現在の厳しい財政事情にかんがみますとなかなか困難なことではないのかなという感じがいたしておりまして、政府としては財政健全化後に改めて検討してはどうかと私自身も考えておるところでございます。
○清水澄子君 もう時間がなくなりましたのでもう一つだけ、いろいろ意見があるんですが、女性の年金権についてです。 この問題も、これは専業主婦だけの問題じゃないんですが、専業主婦やパートタイマーの年金または遺族年金など、非常に女性の年金についてはたくさんのゆがみがあります。これは財政の面からも、あるいは女性、男性を問わず負担と給付は公平であるべきである、そういう観点からも女性の年金の問題というのはさまざまな矛盾がしわ寄せされているわけですね。ですから、この問題は、やはり早急に検討して、どこから何を解決していくのかという、そういう将来的なビジョンといいますか政策を出すべきだと思います。 今回厚生省は、この女性の年金の問題については、制度が改革した後研究会を発足させると。なぜそれを先送りするのか、女性たちはそれは納得いたしません。特に、女性の年金についての研究の立ち上がりというのは、何も九九年の年金制度の改革後でなくても引き続きそれをやるべきでありますし、来年に間に合わなくても研究は続けるべきであると思います。そして、改革できるところから改革していく。これは社会的にも矛盾のない問題にしていくということが今求められていると思いますので、その点については改革後にはしない、引き続きやるということを大臣はひとつお約束いただきたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 専業主婦の第三号被保険者の扱いをどうするかという問題は、該当者は千二百万人ぐらいいらっしゃいますし、大変大きな問題でございます。一方、年金制度の個人単位化を実現した方がいいという有力な意見もあることも承知して、委員もそういうお立場からの御質問かと存じますが、この問題は両論それぞれの問題点がございまして、なかなか単純に、一義的に解決ができない状況があると存じます。そしてまた、女性の専業主婦の位置づけをどうするか、あるいはこれから男女参画型社会になりまして女性の単独で勤務なさる職場が多くなってくるという事情を考えますときに、やはり何らかの対応が必要であるということも事実でございます。 これは年金だけでございませんで、税法上の扱いとしても専業主婦は扶養控除を受けられますが、ある一定限度以上になるとそれは切り離されていくという問題がありまして、専業主婦の家庭内における位置づけという問題は、年金の問題それから税制上の問題一その他万般に広く関係するところがございますので、これは委員のおっしゃるように来年はあるいは無理なのかもしれないなという感じは私も持っておりますが、引き続き総合的に、この男女参画型社会のあり方の一つとしても検討すべきものだというように考えておりますから、引き続き検討させていただくつもりでございます。
○入澤肇君 法案の質疑ということで衆参両院の議事録を全部詳細に読まさせていただきました。非常に熱心に専門的な問題について議論されたことに対しまして敬意を表したいと思います。同時に、幾つかの疑問点といいますか、感想がありますので、それを中心にまずお話をさせていただきたいと思います。 一つは、非常に専門的な知識を有する人でなければわからないような用語がたくさんあるんですけれども、ひとつわかりやすく、例えば私が住んでいる川崎市でペストが発生した、その場合にどのような手続で入院をして退院させるかというところを、一般の人にわかるような言葉でダイジェストしていただけませんか。
○政府委員(伊藤雅治君) 仮に川崎市でペストが発生したということを想定いたしますと、まず患者さんは体のどこかおかしいということを気づきますので、医師のところで受診すると思います。そこで、医師がこれはペストであるという診断をいたしますと、保健所を経由いたしまして都道府県知事にペストを診断したと、いつでございますとかそういう所定の事項を都道府県知事に報告いたしまして、そして応急的に七十二時間の入院をするわけでございますが、その場合は通常は都道府県知事による、ペストですから、ペストの疑いがありますからしかるべき一類感染症が入院する医療機関に入院してくださいという勧告をするわけでございます。その勧告が受け入れられないときには都道府県知事による行政的な措置による入院という場合もございますが、通常は勧告という形で受け入れてもらえるのではないかというのが私どもの想定でございます。 そして、いずれにしましても、七十二時間以内という応急入院の期間が定められておりまして、七十二時間を過ぎますと、おおよそのケースといたしまして、病原体の検査でございますとか確定的な診断ができるようになりますので、その時点で都道府県知事は保健所ごとに設置されております協議会にお諮りをいたしまして、十日以内の入院をする旨の勧告ないし措置による入院ということをするわけでございます。それがさらに必要な場合は十日間延長するというようなことになりまして、仮に三十日を超える入院があった場合には、厚生大臣に対して知事のとった措置が適切かどうか、不服審査の特例の規定は設けてあるということでございます。
○入澤肇君 今御説明がありましたようなことで、これからこの法律に基づく予防体制といいますか、システムができ上がっていくんだと思いますけれども、そのことについてこれから御質問したいと思います。 その前に、百年に一度の改正だということで質問、議事録を読んでみましたら、ちょっと常識では考えられないようなやりとりがありましたので確認したいんですけれども、見直しの規定がなかったから今までほうっておいたんだというふうな趣旨の話がございました。しかし、百年の間に、医療技術も物すごく発達していますし、国際的な規模で交流も進んでいます。これを見直し規定がなかったからここまで来てしまったんだというのは、まさに私は同じ行政官をやった者として行政の怠慢ではないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。 その結果、附則に感染症の範囲とその類型については五年ごとに見直しをするという規定がございますけれども、その他の対応措置については基本方針について五年ごとに見直す、こういうふうになっているんですね。私は、感染症の範囲とか類型につきましても物すごい勢いで新しい病気が世界じゅうに起きているというふうなことを考えますと、むしろ見直し規定がなくて随時見直すというふうなことの方が緊張感のある行政ができるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 御指摘の百年間なぜ改正されなかったかということでございます。 従来、私ども行政に携わる者といたしまして、見直しの規定があるないということは、この際の本質的な問題ではないんではないかというふうに考えております。伝染病予防法を初めといたしまして、行政のすべての分野にわたりまして一度つくった制度というものを不断に状況の変化に合わせて対応していくという姿勢が欠落していたということが基本的にはあると思いますが、この伝染病予防法につきましては、法律の中に当初から法定されております法定伝染病という条項のほかに指定伝染病制度というのがございまして、そしてそこに新しい問題を伝染病予防法に指定することによって過去何回か対応してきているという経緯がございます。 具体的には、昭和三十四年にポリオが大流行したときのポリオの指定でございますとか、ラッサ熱などが問題になったときにラッサ熱を指定したとか、それからつい最近はO157につきましても指定をするという、そういう状況の変化に応じてある程度対応してきたということがあるわけでございます。 いずれにしましても、今後は状況の変化に合わせて、感染症の分類だけではなくて、今回修正で制度全体を見直すというようなことも修正していただきましたので、医学医療の進歩、それから感染症の国際的な状況に合わせて不断に見直しを行いながら運用をしていくということが重要かと認識しております。
○入澤肇君 ぜひ不断に緊張感を持って行政に当たっていただきたいと思います。 もう一つ、これも奇異に感じたんですけれども、しかしこれが日本の社会風土の現状かなと思いますのは、P4の施設の運用の問題でございます。これがいろんなことで十分に稼働できないので重要な病原菌の検定などもアメリカに送ってやってもらうとかいうふうな話が議事録の中にございましたけれども、こういうようなことに対して厚生省はどのように問題を打開していく方針であるか、お聞きしたいと思います。
○政府委員(伊藤雅治君) 新感染症なり一類感染症の病原体の分離、固定などの検査につきまして、これは感染症対策上非常に重要だということが専門家の間では十分理解されておりましても、やはり国民的な理解を得ながらこれを進めていくということが重要でございます。 したがいまして、武蔵村山にございます国立感染症研究所のP4の施設につきましては、設置以降、そういう地元住民、地元市議会の御理解がなかなか得られない状況にございますけれども、今後、感染症新法の制定を機に改めて話し合いをさせていただきたいと思っております。 その際、非常に重要なことは、厚生省なり研究所の側からやはりいろいろ情報をきちっと公開して、そして住民の方になぜ必要なのか、そしてどういう検査をして、事故はほとんどないわけでございますが諸外国の事例なども十分参考にさせていただきながら、基本的には情報公開によりまして、情報の開示によりまして御理解を得るように努力していきたいというふうに考えておるところでございます。
○入澤肇君 フランスなどではパスツールの研究所が町の中のマンションの隣にあるとかいう話もございましたけれども、ぜひこの感染症の法案の成立をきっかけにいたしまして、国民一般に、先ほど水島先生からお話ございましたけれども、心配ないんだよ、そんなに不安がる必要はないんだよというふうな科学的な知識と考え方を普及するように努力していただきたいと思います。 今度の法律は、理念として事後対応型から事前対応型に厚生行政、医療行政を転換するんだというふうなことをこの議事録の中で読ませていただきました。そうしますと、かなり対応の仕方が変わってくるんじゃないかと思うんです。 一つは、水際での対応について相当の努力をしなくちゃいけない。現に、一国のみで対応することは不可能であって、地球的な規模で感染症対策を進めなくちゃいけないことはもう自明の理でございますから、今まではこのぐらいだけれどもこれからはこのように充実していくんだという水際での対応策はどうなのか。 それから、二つ目には病原体の検査ですね、これも迅速にやらなくちゃいけない。今の検査の施設の数、あるいはこの法律をきっかけとしてどのように充実していくのか。 さらに、先ほども質問がございましたけれども、議事録では感染症の学会に参加しているのは四百人未満、三百何十人という数字がございまして、先ほどは六百三十人というふうにこの一、二年の間にふえたという話がございましたけれども、そういう専門家の養成はどのようにやっていくのか。 さらに、国際的な発生情報を収集、整備しなくちゃいけませんけれども、そのやり方でございますが、厚生省から在外公館にアタッシェが行っていると思うんですね。そのアタッシェはどのくらいの数なのか。さらに、在外公館でこういうふうなことを目的として研究に行っている方はどのくらいいるのか。それから、諸外国の研究機関との連携はどのようになされているのか。ここら辺についてお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(伊藤雅治君) まず最初の水際での対応でございます。 この点につきましては、現在検疫という制度があるわけでございますが、この検疫につきましても、現在は黄熱とコレラとペスト、この三つの病気を対象にしておりますが、今回の検疫法の改正によりまして、一類感染症に分類されるものをこの検疫の対象といたしまして水際及び事前の海外からの情報により対応していくという、そういう制度の改正をあわせてお願いをしているところでございます。 それから検査でございますが、従来の対策といいますのは、お医者さんから届け出があって初めて伝染病対策が動き出すという制度になっていたわけでございますが、今後は平素から発生状況を監視、これは発生動向調査と言っておりますが、監視をいたしまして、そしてその発生状況に応じていろいろ情報を国民及び医療機関それから検査機関などに提供いたしまして的確に対応していくというのが基本的な考え方でございます。 したがいまして、感染症の発生動向調査におきましては、それぞれの医療機関なり検査機関できちっと病原体の検査ができるという体制をつくることが重要になってくるわけでございまして、今後、国立感染症研究所を中心にいたしまして地方衛生研究所それから保健所におきます感染症の検査体制を、機器整備も含めまして十分能力を向上させるよう対応していきたいと考えているところでございます。 それから三番目でございますが、専門家の養成について御指摘があったわけでございます。 現在、専門家につきましては、我が国は特に感染症の専門医というのは他の分野の専門医に比べて非常に少ないわけでございまして、この数をどのように養成していくかということが非常に大きなテーマでございます。 平成九年度から、この感染症の問題が再び大きな厚生行政の課題になったということから、新興・再興感染症を厚生省の研究事業の柱に据えまして、そしてその中で、約四億円でございますが、人材の養成、それから外国から専門家を呼んできて一緒に研究をすることでございますとか、若手研究者の育成事業でございますとか、そういう感染症対策を推進するための事業を九年度から進めております。現在それぞれの分野におきまして、例えば外国へ、平成九年度では、非常に短期間のものも含まれておりますが、日本人の研究者の派遣というのが二十二名になっております。そのほか、外国から日本に専門家が来ていただいたのが十八人というような実績になっております。いずれにしましても、これらの制度を活用いたしまして感染症の専門家の養成に取り組んでいきたいと考えております。 また、海外におきます厚生省からの在外公館におきますアタッシェなどについてもお尋ねがあったわけでございますが、現在十九名が在外公館にアタッシェとして派遣されているところでございます、このほか、在外研究員を三名派遣しておりますが、この在外研究員につきましては研究目的で大学院等に派遣しているものでございまして、特定の行政目的の任務を受け持たせるというのは若干制度の趣旨にそぐわない点もございますが、私どもといたしましては、在外公館勤務のアタッシェなども通じまして必要な情報収集に努めてまいりたいと考えているところでございます。 そのほか、在外公館以外にも、WHOでございますとかCDCでございますとか、いろいろ主要なところに日本人職員を現在派遣しておりまして、それらのところからも必要な情報を得ているわけでございます。 最後の五点目でございますが、現在いろいろ諸外国に対しまして感染症分野の協力をしております。 二国間協力といたしましては、日米医学協力計画によりまして、これは十分野があるわけでございますが、十分野のうち八つの分野が感染症でございまして、これは日米が協力いたしまして、特に東南アジアに、アジア地域に蔓延している疾病について研究を進めていくということでございまして、具体的にはエイズでございますとか結核、ハンセン、肝炎、優性疾患、寄生虫、コレラなどが行われております。 そのほか、二国間関係といたしましては、現在厚生省が直接関与するものといたしまして感染症のプロジェクトが十一件ございまして、例えば中国におきますポリオ対策でございますとか、インドにおきます下痢対策、ネパールにおきます結核対策、グアテマラの熱帯病対策、それからアフリカではケニア、ザンビア、ジンバブエなどで感染症対策のプロジェクトを実施し、相手国に協力すると同時に、我が国にとっても情報収集という面でも稗益しているというふうに理解をしております。
○入澤肇君 今いろいろと説明があったわけでありますけれども、人数的にも施設の量的にも私は必ずしも十分じゃないと思うんです。せっかく介護の方で新ゴールドプランなど大きな計画を打ち出して今やっているわけでございますから、国民を感染症から守るためのヘルシープランでもつくって、ワクチンの量はさっき四百万人分あると言いましたけれども、ワクチンの製造計画はこうします、あるいは検査体制はこうします、それから専門家の養成はこうしますよというふうなことを大きく打ち出すことを検討されてはいかがかと思うんです。 もう一つは、そういうことと同時に、緊急な事態に対応するためのレスキュー部隊、例えば香港で新しいウイルスが発生した、直ちにそこにチームを派遣して状態を検査して、そしてそれの対応措置を講ずる、そういう機動隊的なものを私は常時厚生省の中に持っておくことも必要だと思うんですけれども、この二点についていかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 前半のお尋ねにつきましては、本法律によりまして国が基本指針を定めることとなっております。その基本指針の中で、今御提言の項目について国としてきちんと指針をつくり、そして具体的な計画を策定し、国自身が実施していくもの、また地方自治体において実施をお願いしていくものを分けまして、必要な予算措置等万般の措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。 後段のレスキュー部隊でございますが、このような制度につきましては既に、十分とは申せませんが現在持っております。これは、この新興・再興感染症が新たに問題になりましたときにWHOでそれを担当する部局をつくりまして、その部局と日本と、厚生省との取り決めによりまして、地球上いかなる場所でも問題となる感染症が発生した場合には、WHOはその報告を受けてから二十四時間以内にその場所に専門の調査チームを送ってその対策を開始するというのが基本的な考え方でございまして、そのWHOの計画に日本政府としても積極的に協力するという取り決めをしております。 具体的には、国立国際医療センターの国際医療協力局におります医師でございますとか感染症研究所の医師を、ふだんからだれがどういう分野が得意であるかということをリストアップしておりまして、WHOから要請がある場合には直ちに派遣するという体制になっております。
○入澤肇君 わかりました。 しかし、基本方針は従来の例からいいますと量的な計画で、中身は恐らく書かれないと思うんです。こういうふうな方針に基づいて大蔵省に要求しても査定は極めて厳しい。したがいまして、全体の具体的な計画をきちんとつくって持ち出すことが必要じゃないかなと私は思いますので、その意見だけ述べさせていただきます。 次に、このシステムを構築するに当たって、感染症の指定医療機関だとか特定指定医療機関だとかいろいろな名前の医療機関が指定されることになっていますけれども、まず指定の基準と準備状況はいかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) 感染症指定医療機関につきましては、法文上三種類を規定しているわけでございます。 一つは特定感染症指定医療機関でございます。これは厚生大臣の指定によるわけでございますが、全国に数カ所というふうに考えております。それから、第一種及び第二種感染症指定医療機関は都道府県知事が指定することになるわけでございますが、第一種指定医療機関につきましては、これは都道府県に一カ所程度という考え方でございます。それから、第二種指定医療機関につきましては原則として二次医療圏に一カ所程度確保したいということでございまして、二次医療圏ということからいいますとおおむね全国で三百五十カ所程度。一つの医療圏は通常は人口二十五万から三十万くらいの範囲をカバーする、そういう地域でございます。 これらの指定医療機関の施設の具体的な基準につきましては、今後公衆衛生審議会において御検討いただきながら定めるということになっておりますが、例えば第一種指定医療機関につきましては、病原体が外部に流出することを防止することでございますとか、医療関係者自身のための消毒のための前室でございますとか、病室内が外部より陰圧にすることができるよう、いろいろの物理的な条件のほかに、また患者さんの外部との通信なり面会などについての配慮の点からどういう基準が必要かということなども含めまして、一種、二種それから特定感染症指定医療機関の指定の要件について今後詰めていきたいと考えておるところでございます。
○入澤肇君 次に、先ほどからあるいは衆参両院の議論を聞いていまして、人権と社会防衛との調整、調和をどのようにこの法律制度の中で仕組んでいくかというので非常に議論がなされて、それなりの工夫がなされていると思っているんです。 しかし、先ほど清水委員からお話ございましたように、私も法律を読んでいて奇異に感じましたのは、例えば新感染症の所見がある者に対する十日以内の期間を定めた感染症指定医療機関への入院の勧告制度。勧告制度をとってすぐ今度はその間に何もないまま強制的な入院措置ですか、入院させることができるというふうにつながってしまうんです。普通は、勧告をして、従わない場合には命令をして、異議申し立てみたいにいろいろな手続があって、そして最後に強制措置というふうなことが順序だと思うんですけれども、緊急避難的にとにかく社会防衛的にやらなくちゃいけないという事情はよくわかりますので、こういうふうな条文で対応したことはやむを得ないかなと思うんです。 それでは、勧告から入院措置に至るまでどういう手続があってどのぐらいの時間を想定しているのか。あるいは患者さんに対する説明を十分やらなくちゃいけませんけれども、これはお医者さんによっては、さっきお医者さんの人権侵害について責務規定がないじゃないかというふうな御質問もございましたけれども、そごがないようにどのような指導方針を持っているのか、マニュアル化するのかどうか、そこら辺についてはいかがでしょうか。
○政府委員(伊藤雅治君) まず、この法律は新感染症の入院の場合に勧告からいきなり入院措置に移行するという、御指摘のとおりでございます。その点につきましては、いろいろ検討したわけでございますが、入院勧告に引き続き入院命令を経て入院措置に進むという仕組みをとった場合、手続保障が入念的に過ぎ、感染拡大の防止の観点から迅速かつ的確な措置であるべきもの、そういう要請にこたえられない手続となってしまう、そういうことから勧告措置という形にさせていただいているわけでございます。 そこで、具体的にそれでは勧告から措置に移行する場合どれくらいの時間を要するのかということでございますが、これはなかなか一律に申し上げることは難しいと思います。七十二時間という制限はあるわけでございますが、一つは病原体の検査にどれぐらいの時間がかかるかということが一つ大きな理由でございますが、それらを勘案いたしましても、病原体が確定した段階でできるだけ速やかにやっていただくというのが制度の趣旨でございまして、その辺の具体的な手続につきましては、今後具体的に政省令の中でお示しをしていきたいというふうに考えておるところでございます。
○入澤肇君 時間が来ましたので、最後に大臣にお聞きしたいんですが、新興感染症とか再興感染症とか、私どもとしてはふだん耳になれない言葉がこの制度の中にはたくさん盛り込まれております。それぐらい難しい問題でございますけれども、しかし国民に密着した課題でございます。感染症対策というのは、年金制度だとか薬事行政だとか、いろいろな重要な課題を厚生行政は持っていますけれども、特に百年に一度という今回の法律改正をその契機にいたしまして、今後具体的な感染症対策を充実させなくちゃいけないと思っているんですけれども、大臣の御決意をお伺いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(宮下創平君) 今回御審議をいただいております法案は、医学とか医療の進歩あるいは衛生水準の向上、また新興・再興感染症の出現というような感染症を取り巻く環境変化に的確に対応するという意味で総合的な法律としております。新しい時代の感染症対策を適切に推進するための基盤をなすものだと考えております。したがいまして、本法案の実施に当たりましても、人権に配慮しつつ、感染症の発生時には迅速的確に対応できるようにいろいろの体制を整備し、そして必要な仕組みの構築を図ってまいりたいと思います。 また、国会における御審議等を通じまして、今後の感染症対策に対する重要な課題についてさまざまな御議論をいただいておりますが、本法が成立した場合におきましては、いろいろ修正等の御趣旨も踏まえながら、誠実に法律の執行に努力していきたい、このように思っております。 —————————————
○委員長(尾辻秀久君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、塩崎恭久君が委員を辞任され、その補欠として森下博之君が選任されました。 —————————————
○西川きよし君 よろしくお願い申し上げます。 私の方からは、本案に対する衆議院での修正案に対して、そしてまた衆議院でのお考えとその施行に当たりましての厚生省の対応について、重複する部分はお許しいただきまして、私なりに理解、納得をしたいものですから、どうぞよろしくお願い申し上げます。 まず、今回の衆議院での修正案では、感染症の患者さんなどに対する過去への反省、そして人権に対する考え方、さらには良質かつ適切な医療の提供といったことなどを前文という形で盛り込んでおられますが、この前文という形を取り入れた趣旨と経緯について、まず衆議院の提出者の方にお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(長勢甚遠君) 今回の修正は、提案の際にも申し上げましたとおり、従来、社会防衛的色彩が強かった感染症対策につきまして、社会防衛という観点、あわせて人権尊重という観点、これを並立的に尊重したものでなければならないという政策転換を図った立法であると我々は理解をしております。 かつ、この人権の尊重ということに関しましては、従来いろんな御案内のとおりの経過の中で、今後この法が運用される段階で十分に尊重されていかなければならないということで、先国会来、与野党間で議論してまいりました。そして、できる限りこの法文の趣旨が施策の中で徹底できるような対応をしなければならないという議論もいたしました。しかし同時に、今後考えなければならない、また運用の方向づけをするという意味では個別具体的な規定の中では盛り込めない部分がありますので、その部分は全体の基本理念として前文という形式がいいのではないかという御提案があって、その文言についていろいろな議論をいたしました。その結果がきょうお示しをいたしております前文の案文でございます。 そういう意味で、今申し上げました本法の性格づけをより明確にして、今後の法の運営、施行の指針にする法形式として、比較的異例の形式ではございましたが、事柄の経緯、重要性にかんがみてこの形式をとるのがよろしいというふうに与野党間で一致を見たものであります。
○西川きよし君 そこで、午前中からもたびたび出ておりますけれども、「人権に配慮しつつ」あるいは「人権を尊重しつつ」、それぞれの表現についてお伺いしたいわけですけれども、この点については、これまでの厚生省のお答えは「人権に配慮しつつ」という表現が適切であるとされてきたわけですけれども、改めてここでお考えについて厚生省にお伺いしたいと思います。
○政府委員(伊藤雅治君) 感染症対策を進める上で、人権の問題はもとより重要であると認識しているところでございます。この法案に基づきまして、感染症を予防するため国等が必要な施策を実施するに当たりまして、患者等の権利に一定の制限を加えることになるため、人権の尊重の要請との間で最大限の調和を図った結果として感染症の患者等の人権に配慮すべきことを基本理念に規定したものでございます。これはたびたびそういう御答弁をさせていただいたところでございます。 なお、衆議院修正の前文におきまして、感染症対策の歴史的な経緯を踏まえて新しい時代の感染症対策が築かれるべきとの認識が再確認され、そうした考え方の一環として人権の尊重が理念的に位置づけられたものと認識しておりまして、このことは私どもとしても今後尊重して運用してまいりたいと考えているところでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。 私自身は、「配慮」という表現では人権よりも社会防衛が先立つ印象があるのではないか、過去の反省を深くまた重く受けとめるという意味におきまして「配慮」ではなく「尊重」という表現にすべきではないか、またしてもらいたいというお話をさせていただきました。そして、本当に弱い立場の人たち、声なき声という立場、そして全国の人たちのかわりにここに来ているんだという初心を忘れず、先日は私は反対をさせていただきましたわけです。 そこで、今回の修正案では、前文におきましては「人権を尊重しつつ」とあり、条文では「人権に配慮しつつ」とありますが、このそれぞれの表現の趣旨について、またなぜ条文についても「人権の尊重」という表現が用いられなかったのかということを衆議院の提出者の方にお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(長勢甚遠君) 前文において人権を尊重しなきゃならないという趣旨を特に明文で書いた趣旨は先ほど御説明申し上げたとおりであります。そして、この考え方は全条文に共通する理念であると我々も思っております。 ただ、これを各条項で表現するときに、人権の尊重という表現の方がよいのではないかという先生の御意見でございますが、条文の先例またいろんな各条文、各別の法律の表現の仕方が同じように解釈をされることになりますが、人権の尊重という言葉をそのまま使いますと、先生とは逆の意味で、社会防衛の部分がどうしてもなければならない場合もありますので、それに阻害をするというおそれもあります。そういうことも含めまして、本文におきましては「配慮」という表現になっておりますが、当然前文を含めてこれは人権を尊重するということを具体的な政策あるいはそれぞれの実務の中でこういう表現でそれが表現をされておるというふうに私どもは理解をいたしました。 逆に「尊重」ということだけで権利なり行動の義務なりというものを書くということは、かえって全体としての感染症対策、つまり社会防衛という観点と人権の尊重という観点を両方重要視して考えていかなければならないという趣旨に背馳をするということも起こるんではないかという観点から、本文では「配慮」という言葉を使いましたが、考え方は前文にあるとおり尊重という考え方でこれが運用されるということを明確にしたわけであります。
○西川きよし君 今回の修正によって前文に「人権の尊重」という表現が法律に明記されることになっているわけですが、そのことで厚生省としては、今度はこの法律の施行に当たってはどういった点にこの趣旨を反映していただけるのか。これも何度となく質問が出ておりますけれども、改めてお伺いをしておきたいと思います。
○政府委員(伊藤雅治君) 衆議院の修正の前文におきまして、感染症対策の歴史的な経緯を踏まえまして人権の尊重が理念的に位置づけられたものと認識をしているわけでございます。 具体的には、この法律の施行に当たりましては、例えば感染症の発生動向調査でございますとか健康診断、就業制限、入院措置、消毒等の対物措置等の規定に人権への配慮の観点が盛り込まれるほか、当該規定の実施に当たりましては、今回の修正の趣旨が十分生かされるよう基本指針等において反映させてまいりたいと考えているところでございます。
○西川きよし君 次に、医師の責務規定についてお伺いをいたします。 これまでの政府の答弁では、これは医療法に位置づけされているので改めて今回の法律に特別な規定を置く必要はないということであったと思うわけですけれども、ここで改めてこの点について厚生省よりお伺いします。
○政府委員(伊藤雅治君) 私どもは、医師等の責務規定に関しまして、医療に関する一般法である医療法に既に規定されているところであり、特に本法案に盛り込む必要はないと従来申し上げてきたところでございます。 しかしながら、この間の国会におきます議論を踏まえ、感染症の患者等が置かれている状況の認識の必要性や感染症対策における医療の重要性、特殊性を考慮すると、このような視点を法文上の医師の責務において確認することの意義はあるものと考えているところでございます。
○西川きよし君 そこで、衆議院では改めてこの責務規定の位置づけが必要と判断された趣旨について、衆議院の先生にお伺いしたいと思います。
○衆議院議員(長勢甚遠君) 良質かつ適切な医療を提供する義務が医師等にあるということについては、一般法である医療法に明記をされております。したがって、その意味では殊さらにこの条文を再掲する必要は法制度上はないという意見も当然あると思っております。 ただ、最前来議論になっておりますように、感染症の方々につきましては、過去の経緯等もこれあり、また現状においてはいわゆる差別や偏見等を受けやすいお立場にあられるということを考えますと、一般の患者の方々に対する以上にそういうことに配慮した上での良質かつ適切な医療を行うということを法文上も明らかにしておくことがこれからの感染症対策として万全ではないか、こういうふうに与野党間で一致を見ました。 そういう意味で、一般法にある良質かつ適切な医療を行うというだけではなくて、プラスといいますか、その根底として患者さんの置かれておる今申し上げましたような状況を踏まえた上で、良質かつ適切な医療を行うということを再掲するという形で法文修正をさせていただいた次第であります。
○西川きよし君 ありがとうございました。 この法案が成立した場合に、政府といたしましては、この施行に当たって修正案の趣旨をどのような形で具体的に反映させていかれるか。諸先生方からも出ましたけれども、再度大臣にお伺いをしておきたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) ただいま御説明のありましたように、衆議院における今回の修正というのは、感染症対策の歴史的な意義や反省、経緯を踏まえまして、人権尊重という理念のもとに新しい時代の感染症対策が築かれるべきであるという考え方のもとに、具体的には良質かつ適切な医療の提供でありますとか、患者の置かれている状況をさらに認識すべきであるとか、あるいは感染症に係る医療のための医薬品の研究開発の推進の一層の促進、あるいは感染症の病原体の検査の実施体制とか検査能力を向上する等々、感染症対策における今後の重要な課題として各般にわたって修正が行われております。 今回の修正で示されたこれらの諸課題につきましては、基本指針等の策定に具体的に反映いたしてまいりたいというように考えておりますと同時に、国及び都道府県における検査能力の向上を図る等対策を講じまして、基本指針等の着実な実施を図って法律の誠実な施行に努めてまいりたいと考えております。
○西川きよし君 先生方、ありがとうございました。 次に、感染症対策に関連いたしまして、結核対策について御質問させていただきます。 結核につきましては、ことしに入りまして新潟県での特別養護老人ホームでの集団感染、山形県での刑務所における集団感染、従来起こりそうではないというような場所で集団感染という報告がされたわけです。また、一昨日の厚生省の発表では、三十八年ぶりに新たに結核にかかった患者さんが前年を上回ったという発表がされております。 まず、結核の発生の現状からお伺いしたいと思います。
○政府委員(伊藤雅治君) 結核の発生状況の把握につきましては、結核予防法第二十二条に基づきまして、医師からの届け出によりまして発生動向調査を実施しているところでございます。 一昨日取りまとめまして公表しましたこの調査結果の概要を申し上げますと、平成九年の患者発生状況では、新たに結核を発病し、患者として登録された者の数が四万二千七百十五人でございまして、これは前年比二百四十三人の増となっております。この新発生患者の人口十万単位の率を罹患率と呼んでおりますが、この罹患率が三三・九人となりまして、前年比〇・二増となっております。 このように、結核につきましては、最近減り方の速度が鈍ってきたということが指摘されていたわけでございますが、平成九年のように新登録の患者数が前年を上回るというのは昭和三十四年以来三十八年ぶりのことでございまして、私どもといたしましては、この罹患率の上昇とともに結核がやはり新たに公衆衛生上の大きな問題になっているということを認識しております。そして、この中でも特に非常に感染力の強い菌塗抹陽性肺結核患者の割合が高くなっているということは、特に問題として重点的な対策の対象になるのではないかというふうに考えております。
○西川きよし君 そこで、今回の山形の刑務所における結核集団感染の事案についてでございますけれども、経緯と今後の対策等々につきまして法務省にお伺いしたいと思います。
○政府委員(坂井一郎君) お答え申し上げます。 山形刑務所におきましては、本年三月に結核の集団感染が発生し、初発の患者のほかに六月末までに職員三名及び受刑者三十二名が結核と診断されました。患者の内訳は、要治療者が十二名、予防内服者が二十三名ということになっております。 この事件につきましては、初発患者は平成八年七月に山形刑務所に入所した二十八歳の男性受刑者でありまして、入所時の健康診断及び入所後二回実施した胸部レントゲン検査等では異常所見はありませんでしたが、平成十年一月下旬にのどに異物感を訴えたことから診察を行い、病室に収容し、検査を行った結果、二月下旬に結核と診断されたものであります。 山形刑務所からの結核予防法による届け出に基づきまして、山形保健所が初発患者と同一工場で就業していた受刑者及び同患者の処遇等に関与した職員につきまして接触者検診を実施した結果、受刑者五名が結核と診断され、今回の集団感染が判明したところでございます。 その後、接触者検診の対象範囲を広げまして受刑者全員について検診が実施されましたが、患者はすべて初発患者と同一の刑務所内の工場で就業している受刑者でありまして、これ以上の感染の拡大はないというふうにされております。また、同刑務所及び山形保健所により調査が行われましたけれども、初発患者の感染経路については残念ながら不明のままでございます。 なお、患者のうち、排菌している、菌が出ている受刑者については医療刑務所等に移送いたしまして結核病室に収容しており、職員を含むその余の患者につきましては投薬の上で二カ月ごとに山形保健所による検診を継続しております。 以上が経過でございます。
○西川きよし君 そこで、国内での刑務所における結核の集団感染、これまでは余り報告例がないということでございますけれども、今後の矯正施設での結核対策ということについても続いてお伺いしておきたいと思います。
○政府委員(坂井一郎君) 先ほど申し上げました山形刑務所の事案につきましては、各方面にいろいろ御迷惑をおかけしたことをこの席をかりておわび申し上げたいと思います。 矯正施設におきましては、集団生活が基本的な生活形態になっておりますから、飛沫感染が主たる結核につきましては何よりもこれを水際、つまり入所時に食いとめることが重要であるというふうに考えております。したがいまして、矯正施設では、被収容者が入所した時点で健康診断をこれまで以上に慎重に行い、結核の既往症のある者はもとよりでございますが、呼吸器系の疾患の症状を有する者については直ちに医師による診察を行い、必要な検査を実施するなどして、結核の疑いのある者を集団生活に編入する前の段階で発見するよう初期の診療体制の充実を図る必要があると考えております。 また、定期的に実施しております健康診断をより詳細に行い、患者の発見に努めることや、収容中に結核の疑いのある患者が発生した場合の適切な対応も重要であることは申すまでもございません。この場合には、当該患者を速やかに施設内の病室に隔離した上で必要な医療措置を行うとともに、これと並行して、地元保健所の協力のもとに、当該患者と接触のあった職員及び被収容者の検診を実施するなど一連の対応措置を可能な限り迅速に行い、感染の拡大を防止する必要があると考えております。 したがいまして、当局といたしましては、今回の山形刑務所の事案を踏んまえまして、既に各施設あてに文書をもって注意を喚起しているだけではなくて、さらに来月本省で開催される医療実務者の協議会におきまして、これまで申し上げた考え方を基本といたしまして矯正施設における結核対策について具体的な検討を行っていく考えでおります。 以上でございます。
○西川きよし君 どうもありがとうございました。 世界的には、感染症対策は新興感染症のみならず結核などの再興感染症も問題に上がっておるわけです。先日、読売新聞あるいは産経新聞の社説でも結核対策についての論評がされておりましたけれども、最大の原因は国民も医師も結核に対する認識が甘くなっている、きちんとした予防健診、治療を怠ってきたことにあるという御指摘がございました。 厚生省の概算要求の資料を拝見いたしますと、多剤耐性結核対策とその対策の強化を打ち出しております。さらに最近の事例を踏んまえて、老人福祉施設や矯正施設など施設ごとの集団感染対策の検討も求められるのではないか、こういうふうに思うわけですけれども、最後に厚生大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮下創平君) 結核対策の現状につきましては、先ほど来保健医療局長の方から説明があったとおりでございまして、私どもも予想以上にこうした再興感染症が重要なものだなということを感じさせていただいております。 委員の御指摘のように、概算要求におきましては、したがいまして専門医療機関の整備などの多剤耐性結核のための医療体制を構築するための経費でありますとか、結核を発病しやすい基礎疾患を有する特に高齢者への予防投薬事業等を結核対策の強化に関するものとして予算要求をさせていただいております。 また、老人福祉施設や矯正施設、これについては今法務省の方から詳細な説明がございましたけれども、結核予防法に基づく定期健康診断等の実施をびしつとやっていくことも必要であろうかと存じます。また、厚生省の公衆衛生審議会の結核予防部会におきましては、七月に「緊急に取り組むべき結核対策について」という提言をいたしまして、医療施設内における院内感染対策の指針を作成するよう提言されておりますが、この指針には今の老人福祉施設や矯正施設等における対策を含むべきこと等の専門家の意見もございまして、これに沿って現在作業中でございます。 こうした重要性にかんがみまして、今後とも公衆衛生審議会や関係者の意見を聞きつつ的確な対策を推進していく所存でございます。
○西川きよし君 恐れ入ります。最後に、これで終わりにさせていただきたいと思います。まだ時間がございます、失礼しました。 一昨日ですけれども、二十二日の読売新聞に、高齢者の結核発病を防ぐために無料で予防薬を配付するという報道がございましたけれども、これをもし御答弁いただけましたらお願いいたします。
○政府委員(伊藤雅治君) 最近、特に高齢者の中に従来のと違う形で結核の感染といいますか、昔は若いときに感染した結核が再燃するという考え方でございましたが、最近どうもそうでなくて、再び感染するというような事例が実は出てきております。 そういうことも踏まえまして、厚生省の結核対策特別予算の中で高齢者に対しまして、特に非常に発病のリスクが高いと思われる人たちに対して、予防的に投薬をするという事業を来年度から試験的に実施してみたいということを今考えているところでございます。
○西川きよし君 ありがとうございました。
○委員長(尾辻秀久君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。 これより両案について討論に入ります。 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○井上美代君 私は、日本共産党を代表して、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案について反対の討論を行います。 感染症の蔓延から国民の命と健康を守ることは急務でございます。この間の我が国の感染症の対策は、感染症患者やその家族の人権を尊重するという視点を欠いたものでありました。らい予防法によってハンセン病患者は強制隔離され、エイズ予防法によってHIV患者とその家族は社会的な差別、偏見にさらされ、筆舌に尽くしがたい苦しみを受け続けてまいりました。そのことを思えば、新しい感染症対策を確立する上で、こういった事実を直視し、深い反省をすることが絶対に不可欠でございます。しかし、この間の審議を見ると、政府と厚生省は、エイズ予防法制定について当時としてはやむを得なかった、適切であったと強弁するなど、真摯な反省が全く認められません。衆議院で一部修正された本法案においても、国の進めてきた施策への反省という点では全く不十分であります。 また、感染症の診査に関する協議会の構成について言えば、委員の過半数は医者のうちから任命しなければならないとすることは、人権尊重に立つ適正手続を保障する上で不適切であります。指定感染症、新感染症の適用も運用のいかんによっては憂慮すべき事態が生まれかねません。さらに、自治体への財政負担は不十分で、患者に負担を求めることなどは対策に新たな混乱を招くものであります。 今日、世界保健機構は、二十一世紀の新しい感染症戦略を各国に示しているところです。そこで明示されていることは、地球規模で感染症候群別に感染ルートの解明を急ぐことの重要性、そして人権の尊重と良質かつ適切な医療を保障することが感染症対策の基本であることなどが述べられています。しかし、本法案はこうしたグローバルな動向にこたえるものになっておりません。 被害者や参考人からも、人権尊重が不十分だなど、法案への不安や、そして懸念の声が強く出されております。国民的検討が不十分なまま法の制定を急ぐやり方では、感染症の予防のための理解と協力、そして人権尊重を前提とすべき法案の審議のあり方として問題があると思います。 以上、本法案に反対する理由を述べまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
○委員長(尾辻秀久君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。 それでは、これより順次両案の採決に入ります。 まず、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 次に、検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案の採決を行います。 本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(尾辻秀久君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 この際、清水澄子君から発言を求められておりますので、これを許します。清水澄子君。
○清水澄子君 私は、ただいま可決されました感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会、公明、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。 案文を朗読いたします。 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律案及び検疫法及び狂犬病予防法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 本法の施行に当たり、政府は、我が国の感染症政策の基本思想において、本法律をもって過去における社会防衛中心の政策から感染症予防と患者等の人権尊重との両立を基盤とする新しい感染症政策へと転換しょうとするものであることを深く認識し、また、国民に対しても教育・啓発を通じて理解を求め、次の施策を実施べきである。 一、ハンセン病患者やHIV感染症患者を始めとする感染症患者等に対する差別や偏見が行われた事実等を重く受け止め、また、個別の感染症に対する特別な立法を置くことが患者等に対する差別や偏見につながったとの意見を真摯に受け止め、施策の実施に当たっては、感染症の患者等の人権を十分尊重すること。 二、感染症の新たな分類について、国民や医療関係者の理解が深まるよう、その定義の明確化に努めるとともに、その内容を本委員会に報告すること。また、これらが新たな差別や偏見につながらないよう、特段の配慮を行うこと。 三、健康診断、入院、移送等が、患者等の人権に配慮し、客観的に運用されるよう手続の明確化を図るとともに、これらの手続、退院の請求、審査請求等について、患者等に対して十分な説明が行われるように配慮すること。 また、感染症指定医療機関等における通信等の自由を保障するため、必要な措置を講ずること。 四、感染症発生動向調査の体制強化を図り、感染症の発生・拡大の防止のために必要な情報を適時・的確に国民に提供・公開すること。 また、感染症情報の収集及び公表に当たっては、個人情報の保護に万全を期すとともに、国民の感染症への過度な不安を引き起こすことがないように十分留意すること。 五、国の各行政機関、地方公共団体を始めとする関係各機関の役割分担を明確にし、緊密な連携を図るとともに、保健所が地域における感染症対策の中核的機関として十分に機能できるよう、その体制強化を図ること。 六、感染症の患者及び感染者に対し、その人権に配慮した良質かつ適切な医療が提供されるよう、医師、看護婦等の医療従事者の教育・研修、感染症専門医の育成等に努めるとともに、感染症指定医療機関について、国立国際医療センターや大学病院の充実・活用を含め、人材・設備の両面から計画的な整備を進めること。 七、安全面に配慮した病原体等安全管理基準のレベル4に対応する施設の在り方についての検討、国立感染症研究所等の機能強化を始めとする感染症の病原体や抗体の検査体制の整備に努めること。また、感染症の治療・予防のための医療品の開発等の研究を推進するとともに、必要に応じ拡大治験の活用を図ること。 八、性感染症及びHIV感染症の予防について、特定感染症予防指針において総合的な対応を図るとともに、これらの患者・感染者に対する医療・施策が更に充実するよう努めること。 九、新感染症の発生や特定の感染症の集団発生に対して、直ちに専門家からなるプロジェクトチームが結成できるよう、感染症に対する危機管理体制の確立を図ること。また、新感染症については、国の責任において、積極的な対策を講ずること。 十、医療機関、老人福祉施設等における院内感染防止対策を強力に進めること。 十一、必要なワクチンや予防接種に関する適切な情報を国民に提供・公開し、予防接種に対する国民の理解を深めることにより、接種率の向上に引き続き努力すること。 十二、地球規模化する感染症問題に対応し、日本における感染症対策の水準の向上を図るため、海外の感染症研究機関との知見の交換や海外研修の充実を含め、感染症に関する国際協力を一層推進すること。 十三、検疫については、国内の感染症予防対策と連携のとれた一元的な運用に努めるとともに、感染症発生の状況・段階に応じて的確に対応できるよう、検疫所の機能強化を図ること。 十四、世界保健機関その他国際機関等により新たな基準等が定められた場合は、必要に応じ、それとの整合を図るため速やかに適切な対応を行うこと。 右決議する。 以上でございます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(尾辻秀久君) ただいま清水澄子君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(尾辻秀久君) 多数と認めます。よって、清水澄子君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、宮下厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮下厚生大臣。
○国務大臣(宮下創平君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたします。
○委員長(尾辻秀久君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(尾辻秀久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
○委員長(尾辻秀久君) この際、御報告いたします。 去る十七日の本委員会で、清水澄子委員から御要望のありました介護保険法案外二案に対する附帯決議に基づく政省令の本委員会への報告につきましては、これをまず委員長に報告いただき、それを各委員にお配りすることに決定いたしました。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十二分散会 —————・—————