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143回国会参議院1998/11/26

共生社会に関する調査会 閉会後第1号

発言数
93
登壇者
11
会派数
6
開催日
1998/11/26

会議録

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。  委員の異動について御報告いたします。  去る十月十六日、岩瀬良三君が委員を辞任され、その補欠として山崎力君が選任されました。  また、去る二十日、朝日俊弘君が委員を辞任され、その補欠として川橋幸子君が選任されました。  また、昨日、岡崎トミ子君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。     ―――――――――――――

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  共生社会に関する調査のため、本日の調査会にお茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授、男女共同参画審議会女性に対する暴力部会委員原ひろ子君及び東邦学園短期大学教授戒能民江君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 共生社会に関する調査を議題といたします。  「男女等共生社会の構築に向けて」のうち、女性に対する暴力についての現状と課題に関する件について、参考人から意見を聴取いたします。  本日は、お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授、男女共同参画審議会女性に対する暴力部会委員原ひろ子君、東邦学園短期大学教授戒能民江君に参考人として御出席をいただいております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中のところ本調査会に御出席いただきましてまことにありがとうございます。  参考人の方々から、「男女等共生社会の構築に向けて」のうち、女性に対する暴力についての現状と課題に関して忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いをいたします。  議事の進め方でございますが、まず、参考人からそれぞれ二十分程度御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。  なお、御説明及び質疑、答弁については座ったままで結構でございます。  それでは、原参考人からお願いいたします。原参考人。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 原ひろ子でございます。本日はお招きいただきましてありがとうございます。  私は、先ほど御紹介がございましたように男女共同参画審議会女性に対する暴力部会の委員の一人でございますが、本日申し上げるのはその部会を代表してお話しするのではなくて、原ひろ子個人としてのお話としてお聞きいただければと存じます。  大変膨大な資料を事務局の方でコピーしていただきましたんですが、私は専門は文化人類学というので、法律については本当に今勉強中というところでございます。それなので、韓国への調査に暴力部会のプロジェクトとして行ってまいりまして資料をいただいてまいりましたので、その種のことも、この委員の中には本当に法律に明るい方もおいでになりますので、とりあえずまたいろいろ御指導もいただきたいと思いましてお配りしてございます。中にはハングルだけのものもございますが、そのうち日本訳が出るということもありましてお手元にお届けしておきたいと思っております。  前半に、暴力部会と略称させていただきますが、男女共同参画審議会の暴力部会、資料一ですけれども、それの中間取りまとめのところまで十月三十日までに至っておりますので、そのことを御紹介申し上げます。  資料一をちょっとお手元におとりくださいませ。  目次をめくっていただきますとおわかりになりますように、男女共同参画審議会の中間取りまとめでは、暴力の概念というのを一応国連の暴力の撤廃に対する宣言にのっとって使ってございます。その上で、暴力を生み出す社会的背景などについて考えた上で、被害の潜在化する理由、それから暴力に関係する問題がどんなことが我が国であるか、それから暴力に対しての対応の現状と問題点、それから当面どういう取り組み課題があるかということを書いてございます。  その次に、この資料の三ページ目をお開きください。  暴力に対する概念というのは、国連で言っておりますような身体的、性的、また心理的な危害または苦痛となる行為、それから、その行為が起こったことそのものだけではなくて、そういったことに至るおそれがある行為というようなものも含めて非常に幅広い意味で使ってございます。  それと同時に、公の場ないしはしばしば職場でのセクハラというようなことや、大学などの教育の現場では雇用、被雇用の関係にない学生さんや研究生の方々、それから雇用関係にある教職員の問題もございますが、こういうものも、それから同時に家庭内ないしは親族同士、恋人同士といったような私的な生活で起こるというところも含めるという意味で大変幅広い意味になっております。  それと同時に、加害者とされる側が危害を加えたという自覚がなくても、被害者とされる側が自分はそういうことで困ったとか戸惑ったとかいう認識を持った場合にはこれをやはり暴力と認めて、その後の処置や対応についてはまたそれぞれ考えるというふうなことではございますが、非常に幅広く考えていくという前提に立ってございます。  日本における女性に対する暴力にはいろいろな形態がございます。売買春、性犯罪、ドメスティック・バイオレンス、夫やパートナーからの暴力とか、セクシュアルハラスメントなど非常に広いものを指、ておりますが、大変大きな日本の課題は、このような現象の根底に、女性の人権を軽視して侵害する行為だということがあるけれども、往々にして加害者の側にはその認識がない、ここをどうするかということは非常に大きな問題でございます。  三ページ目の一番下にございますように、女性に対する暴力に関する国際的な動向としましては、一九八五年のナイロビ世界会議とか、九三年のウィーン世界人権会議、九三年の女性に対する暴力の撤廃に関する宣言、九五年の第四回世界女性会議など、いろいろな国連の会議でこのテーマが重要な柱として論議されるようになってまいりました。  資料二では、後でごらんいただきたいのですが、第四回の北京の世界女性会議の行動綱領から日本語のものを三ページ抜粋しまして、原文の英語のものを、少し長うございますけれども暴力に関するところを抜粋してつけてございますので、後ほどまた参考になさってくださいませ。  それから、資料三は、平成八年十二月に男女共同参画推進本部の方で策定なさいました男女共同参画二〇〇〇年プランというものでございます。  この目次にございますように、第一部、第二部、それの先の、この目次でいうとⅢ、上から四枚目でございますが、「女性の人権が推進・擁護される社会の形成」というところに「七」という項がございまして、「女性に対するあらゆる暴力の根絶」というので五十二ページから六十三ページまでございます。それなので、そこのところだけを後ろの方の基本的考え方、このA3判になっている大きな方の紙でございますが、そこに示してございます。  このA3判の紙の左側は施策の基本的な方向を示していて、そして右側が具体的施策としてどういうことが可能であり、その事柄に関してはどの省庁が担当することになるかというような一覧の形でこのプランというのはできてございますので、これもまた後ほどごらんいただければと思います。  日本におきます大問題は、再び中間とりまとめに戻りますと、その後の五ページから六ページにかけてですが、日本では現状がほとんどわかっていないということです。  女性に対する暴力の問題というのは、どこの国でもそうなんですけれども、とかく潜在化しがちです。被害を受けた女性が何か自分に落ち度があったんじゃないかというふうにまず自分を責める。それと同時に、こういうことを言ってしまうと、親や兄弟の縁談その他にも迷惑がかかるのではないかとか、それから仮に夫からの暴力である場合には、夫の悪口を言うことになるのでとても言えない。自分一人でこもって、だんだんその苦しみが体にも出てくるし、それから無表情になるとか、いろいろな状況がございます。そのために調査をしても、なかなか答えていただけないのではないかというようなこともございます。一緒に暮らしている人でも気がつかないということがあるような状況も存在しています。  しかし、去年あたりから少しずつジャーナリズム、新聞などでも報道されたり、最近も新聞の連載などがございまして、こういうことを話していいんだという気持ちになっている方たちがふえてきているという状況なんです。NGOの新潟、沖縄、広島、大阪、北海道、仙台、東京、神奈川など、幾つかの民間の方たちがやむにやまれなくて自分たちでお金を出し合ってシェルターなどを日本の中でもつくっていらっしゃいますが、この方たちのところに駆け込んでくる相談者に関する記録はございます。しかし、プライバシーの保護という意味で、言えることと言えないこと、公表できることと公表できないことがあって、仮に何か公表した場合に、名前を伏せていてもそれがどこのだれのことかわかっちゃうみたいなこともあるので、現実をどういうふうにみんなに公表していくかという問題もたくさんございます。  そういう状況の中で、昨年度に東京都の生活文化局で、資料の四でございますが、女性に対する暴力調査報告というのをなさいました。これは四千五百人ぐらいの男女の都民に対して質問をして、回収率は大体六割、女性が七割で男性が五割強の回収率だったので、これは意外に高かったということですが、質問書を郵送しまして、調査員が封をした回答の封筒をいただきに上がって手渡しで回答をもらう。つまり、どこかに置いておいて開封されてへその加害者が親戚だったり夫だったりした場合に、あけられたらまたひどい目に遭うということがありますので、必ず手渡しでいただくというふうな形の調査をなさったそうでございます。この資料も本当に一部でございますが、抜粋してここにお届けしてございます。  この中で見ますと、全くこのような被害を自分の人生で受けたことがないと認識している女性は三分の一。三分の二の人々は何らかの形で暴力を受けているというふうに答えているということです。この報告書はこういう形でできているのでございますけれども、全部の一冊はこちらの図書室にあるそうで、先生方に一冊ずつお渡しいただけないかと思いましたら、何かちょっと部数もないということでお渡しできませんで申しわけないんですけれども、図書室にあるそうですからそれをまたごらんになっていただきたいと存じます。  それで、その次が中間取りまとめの六ページをごらんいただきたいんですけれども、「当面の取組課題」として男女共同参画審議会の暴力部会で考えましたことが、一つは女性に対する暴力の実態把握のために調査を実施するということ。どういう種類の調査を実施するかというときに、やはりそういうふうなとめ置き回収といったような形で調査員に関する人件費のかかる種類の調査をしなければならないということと、外国における現状を調べるということ。これについては、韓国について最後にほんの五分ぐらい御報告申し上げます。  それからそのほかに、今度は官庁、いろんなお役所の間の連携、警察、厚生省、それから総理府もそうですが、あと労働省とか、それから裁判所などの連携が大変必要になってまいります。  それからもう一つは、お役所だけが連携がうまくいってもこれはだめでして、医療関係の病院にカウンセラーがいらっしゃるかどうか。それから、そこですぐに対応していただく外科の先生とか産婦人科の先生とか泌尿器科の先生とか、いろいろな専門の先生方にやはり女性に対する暴力についての御理解をいただくこと。それから、弁護士さんの中にも御理解のある方と御理解のない方があるようです。それから、近隣の隣組とか町内会とか、そういうところでの御理解も必要になるかと思います。  それと同時に、一般に私どもがこのようなことで被害に遭った人のことをどういう種類のうわさ話にしていくかいかないか。うわさ話にうっかりされることで二次災害、三次災害が起こるということもあるので、この種のことの啓発も必要になります。  それから、シェルターをやっていらっしゃる方たちというのは大変くたびれ果てていらっしゃるんですけれども、この方たちのメンタルヘルスやサポートをすると同時に適切なカウンセリングができるような指導の体制も必要だと。  それからもう一つが、売春防止法に基づく婦人相談所の役割というのが今曲がり角と申しますかいろいろな話題になっているところですけれども、そのことについても一方ある意味でいい方向に行くように先生方の御尽力の上で何かできていくようになるということが大切かと思っております。  それで、何よりもかによりも社会の意識啓発ということが大切だということと同時に被害が起こらないような予防の方法と、それからもう一つは女性が自分たちで力をつけてこういうことに対して対処できるような、言葉にして発声していくとか、みんなで連携してやっていくと同時に男性と一緒に連携する。それと同時に、男性の中にも被害者になる方があるわけです。女が加害者になることもあるわけですから、この種のこともあわせて考えていくということが大切かと思います。  残りの三分ぐらいで先週韓国に行ってまいりましたときの資料についての御紹介をしておきたいと思います。  資料の五ですが、大韓民国では女性特別委員会というのがございまして、この種の女性政策に関して監視をしております。それがお渡ししましたレジュメの四枚目の大統領府のすぐ下に女性特別委員会があって、国務総理の下に関連行政機関の女性政策担当官がいて、特にこの暴力の問題というのは④の保健福祉部、日本の厚生省に当たるところでございますが、そこがやっていらっしゃいます。  それで、韓国の対応というのは非常に早うございまして、まず、私のレジュメの一枚目の項目Ⅴの「大韓民国における対応の状況」というところの三番目をごらんください。まず一九九三年、既に五年前に性暴力犯罪の処罰及び被害者保護に関する法律というのをつくっております。それで、それが資料の六の一でございます。これは九四年一月五日にできていますが、資料の六の二の一枚紙をごらんいただきますと、まず法律ができた後、たびたび九五年、九七年などに改正を加えておりまして、先週伺ってきました話では、大きな改正はこの一、二年にはないであろうけれども、施行令に関する手直しというのをする予定のように思われるとおっしゃっておりました。この日本語の翻訳は、だから新しく改正されたものの翻訳はまだありません。これはなるべく早く私どもの暴力部会の方で翻訳をしていただくようにお願いしようと思っております。そして、資料の六の三はこの施行令ですが、これに関する改正も最新版はまだ日本語になっていないということです。  このような法律ができるに当たっては、資料の六の四ですが、韓国の女性の民間団体がやはりボランティアでシェルター、避難所をつくりましてそこに来た相談の件数などをとっていて、それをもとにしてこの法律がつくっていかれるような動きになっていったということでございました。  今度その次が資料の六の五の一、これは去年の暮れに家庭暴力防止及び被害者保護などに関する法律というのができておりまして、一枚めくっていただきますと、私の汚い字で書いてございますが、法律を一番左の欄、真ん中に施行令、それから右側に施行規則を対応するようにして一覧になってございまして、これは今ハングルの段階ではありますが、「法学研究」という慶応義塾大学の研究論文の学術雑誌がございますけれども、それの十二月号、来る十二月に太田達也先生が翻訳をお出しになることになっておりますので、レジュメに書いてはございますが、それをごらんいただけば日本語がわかるようになります。ただし、施行令や施行規則までの翻訳にはまだ時間がなくて至らないようです。  資料の六の五の二というのが韓国政府によって翻訳された今の法律の訳文でございますが、これもやはり最新版の翻訳ではない。最新版の方がずっと長くなっているわけです、法律が。  それからその次に、今度は家庭暴力犯罪の処罰に関する特例法というのがございまして、これもその太田先生が慶応大学の雑誌にお出しになりますが、これがやはり最近出ております。この特例法、それから両方の法律では、刑法の特に尊属が卑属に対して加害を行った場合に卑属から訴えることができないような仕組みになりているそうでございまして、そこを子どもや孫がお父ちゃん、おじいちゃん、お兄ちゃんの加害者に対して訴えることができるような工夫をしているということです。特に加害者が法律上の保護者である場合に別の人を法律上の代理人として卑属の側から尊属を訴えることができるというふうにしたというのが韓国の状況だそうです。  それで、韓国ではこのようにアジアの国の中でも日本に比べては本当に進んでいる、この種の対応が。それ以外にアジアではフィリピンなども進んでいるようでございますが、レジュメの三ページ目の日本の課題のところに、もう最後のところに行きますと、やはり女性に対する暴力の実態把握の必要性、それから被害者に対する救援及び支援の当面の対応、今でももう、今日ただいまでもどこかで被害に遭っている方がいらっしゃるわけで、その対応をどうするか。それからもう一つは、女性に対する暴力に関する法的な整備が必要である。それから、各省庁間の連携を非常にうまくやっていただきたい。つまり、縦割り行政の中ではなかなか対応しにくいこともございますので、省庁間の連携をやっていただく。そのほか、先ほど申しましたようなNGO、それから弁護士さんその他の方々の連携も必要になるということでございます。  以上でございます。

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) どうもありがとうございました。  次に、戒能参考人にお願いいたします。戒能参考人。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 本日は、意見を述べる機会を与えていただきまして感謝しております。  私は専門が法律学と女性学でありますが、きょうは時間が余りございませんので、ドメスティック・バイオレンスと呼ばれております夫やパートナー、恋人などからの暴力を中心にお話をさせていただきたいというふうに思っております。  その前に、若干一般的なお話をさせていただきます。この女性に対する暴力という言葉はまだ一般的ではございません。大変新しい概念です。その新しい概念であるというところに意味があるということをまず申し上げたいということが第一点です。ということは、従来事実としてはあったわけです。事実としてはありながら見えなかった問題がようやく問題化されるようになってきたということであるというふうに思っております。  日本では一九七〇年代後半からNGOの女性たちを中心に性暴力として活動を行ってまいりました。ですから、どちらかというと性暴力という呼び方の方が日本の社会ではなじむのかというふうに思いますが、しかし、さらに広い概念として女性に対する暴力という概念が今使われているというふうに理解しております。  国際社会でも、原ひろ子先生から今お話がありましたように、一九七九年、国連で女子差別撤廃条約が採択された、そして各国からその社会の女性の実情が報告されるようになったと。そのあたりから今まで隠されてきた暴力の実態がそれぞれ、それまでのその社会、その国の女性NGOの運動、活動の成果を踏まえながら表面化してきた。したがって、国連は非常に早く対応をしていったというふうに考えることができます。  その中でもやはり画期的なのは、きょう資料も何も用意していなくて申しわけないんですが、九三年六月にウィーンで開かれました世界人権会議並びに世界人権会議で採択されました行動計画であります。そこでは、一言で言えば女性に対する暴力が女性の人権問題と位置づけられたということ、そしてさらに、公私を問わず、これは先ほど原先生から御説明がありましたが、すべての女性に対する暴力撤廃がうたわれたというその二点であります。  そのウィーン世界人権会議行動計画を受けまして同年十二月、国連総会は女性に対する暴力撤廃宣言を採択し、そしてさらに九五年の北京世界女性会議へというふうにつながっていくわけです。そして世界女性会議でも、十二の重要項目の一つとして女性に対する暴力は大変重視されておりました。そこで言われている女性に対する暴力は、先ほど御説明が既にあったのですが、以下の三点で重要だというふうに考えております。  一つは、公私を問わずあらゆる場での暴力を問題にしているということ。言いかえれば、私的な領域での暴力も暴力として問題にするのだということ。二番目は、女性に対する暴力というのは女性の人権侵害だとしていること。そして三番目なのでありますが、女性の人権侵害であるとする以上は、これは国あるいは国際社会がきちんと責任を持って対応すべきだということが明示されていること、その三点が重要だというふうに思っております。それを受けまして、日本においても二〇〇〇年プランで人権の問題として位置づけられた、根絶を訴えているということは、私は画期的なことではないかというふうに思っております。  しかしながら、日本の現状はこれはないない尽くしというふうに言っていいかもしれませんが、問題が非常に多いと。これも一言で申し上げますならば、女性に対する暴力の問題が潜在化しており、社会的、法的対応が不備である、その結果として被害が放置され、さらに潜在化するという構造になっていることだというふうに思います。  レジュメ、本日二枚用意いたしましたが、そこで、その三の「日本における問題点」、「問題の潜在化」ということで若干書いておきました。それは今申し上げたとおりですし、あるいは原先生の御報告のとおりであります。  レジュメの四は、これはドメスティック・バイオレンスに限りまして出されました国際文書の代表的なものを出しておきましたので、後でお目通しいただければというふうに思っております。  しかしながら、そこで言われていることは共通点がございます。これは女性に対する暴力に対しては包括的な法的な枠組みが必要だということであります。しかも、ジェンダーに配慮した包括的な法的枠組みを開発する必要があるということが国際社会ではそれぞれの国に要請されているということであります。  ジェンダーに配慮したということは、これは少し簡単に申し上げますと、現実的には圧倒的に女性が被害を受けているということ、その女性が社会的な地位あるいは経済力が弱い、暴力を受けることによって社会的な地位もこれは世界全体として見るならばさらに低下する、そういう構造なのだということだというふうに思います。  そこで、レジュメの五の方に入りますが、取り組み先進国であるアメリカについて若干お話をしたいというふうに思います。  アメリカは、先にちょっと二枚目をめくっていただきますと、九四年に女性に対する暴力防止法というものができております。しかし、この暴力防止法というのは九〇年代に入っていきなりできたわけではなくて、二十年間の蓄積があるということをまず申し上げたいというふうに思います。  恐れ入りますが、またレジュメの一枚目の方に戻っていただきたいというふうに思います。  ここではドメスティック・バイオレンス、夫やパートナーの暴力に限定してお話をさせていただきますが、アメリカではドメスティック・バイオレンスについては、一九七〇年代以降二十年以上の歴史を持ちます。その前史として、六〇年代にやはり強姦の被害を受けた被害者、女性たちの支援活動が展開されていて、電話相談などが行われたわけです。そうすると、その電話相談に、実は夫からあるいは恋人からレイプをされた、暴力を受けたという相談が舞い込んでまいります。  そこで展開されたのが、これは日本語に訳しにくいんですが、バタード・ウィメンズ・ムーブメントということで、直訳すると、殴られた女性たちの運動というふうに、暴力を受けた女性たちの運動と。そこで特徴的なことは何かというと、被害者自身が動いているということなんです。被害者が中心となって立ち上がって、リーダーシップをとって、そのサポートする人たちとこれは運動を進めたということが大きな特徴だというふうに思います。  そして、どういうことをやったかというと、やはりこういう実態があるのだと、そして被害もこれは大したことないんじゃないかということを考えがちであります。しかし、どれだげひどい被害があるか。これは外側に、体にあらわれる被害だけではなくて精神的な被害も相当ひどい被害がございます。そういうものを知らせていく、啓発していく。それから、やっぱり逃げ込む場所が必要だということで駆け込み寺、シェルターと申しますが、シェルターを全土につくっていく。一九七四年にアメリカで第一号のシェルターができまして、数年後にはすぐにもう二百というふうに全土に広がりまして、現在は千五百以上あるという話でございます。ちょっとそこの正確な数字はわかりません。  それで、シェルターやホットラインをやっている女性たちが、これは州レベルの組織になっていき、全国レベルの組織になっていくという展開を見せます。そこで重視されたのが、一つは専門家による調査と研究です。それから、それと同時に法改正、立法が重視されてきます。  そこで、三点なんですが、やはり警察の対応、それから裁判所の対応が問題になります。それから、民事保全命令といいましょうか、保護命令というふうに普通訳されておりますが、一定の自宅の何キロ以内には立ち入ってはだめだとか、暴力を振るってはだめだとか、そういう差しとめ命令がございますが、それをもう少し実効性のあるものにしていくとか、それから三番目が、これは大抵の国がそうですけれども、シェルターは民間の女性たちがやむにやまれぬという言葉がありましたが、実際始めます。しかしお金がないわけです。人もいないわけです。それに対して助成金を強化していく、それをまず州法レベルで実施していきます。  そこで、警察は日本の現在と同様に大変介入に消極的でありましたが、七〇年代、警察に対してこれは被害を受けた女性たちが集団訴訟、日本にはない制度ですが、クラスアクション、集団訴訟をやっていきます。女性を警察はきちんと保護しないじゃないか、もし必要ならきちんと夫を逮捕してほしいということで裁判をやっていきます。その裁判の影響を受けまして、幾つかの市が方針を変えていく、例えばニューヨークシティーなんかは方針を変えていく。それが州法を改正し、連邦へと今度は移っていくというふうなことで、一九七九年カーター政権のもとで、これは厚生省の中にオフィス・オブ・ドメスティック・バイオレンスというのがつくられていきます。そこで二点、シェルターへの助成の強化ということ、それから警察の役割ですね、強化するプログラムが立てられていきます。八四年に家庭内暴力防止援助法というのができまして、これは連邦法でありますから、プログラムに対して予算を配分するための法律ということで出てきます。そこで、シェルターへの助成と警察官の研修訓練が強化されていくということになります。  しかし、例えばシンプソン事件など御存じだというふうに思いますが、一向になくならない、人々の意識もなかなか変わらないということで、これは本格的に連邦として取り組む必要があるということで出てきたのが一九九四年、女性に対する暴力防止法であります。  レジュメの二枚目の方を見ていただきますが、そこにこれは実は五部構成になっておりまして、女性にとって安全な町、日本でいいますと、これは強姦とか強制わいせつとかそういうことを指します。それから、二番目がドメスティック・バイオレンス、そしてそれ以下が女性に対する暴力をすべて通じて問題になる女性の市民的権利、あるいは裁判の平等等が書かれております。  この特徴は、そこに「意義と特徴」と書きましたが、これは連邦の特に司法省が、日本でいうと法務省が中心になってやっているようですが、トッププライオリティーを置いているんだと、それくらい力を入れて相当のお金を使っているようであります。そこでも同じく三点、警察、検察、裁判所の対応の改善、それからシェルターへの財政補助の強化ということと被害者の権利、これはアメリカやイギリスで被害者の権利章典のようなものがつくられておりまして、被害者の権利を強化する、その三点が特徴になっております。  それをどういうふうにしてやるかというと、効果的に進めるべき重点政策は何かというのをまずこれは出すわけです。そこに具体的なプログラムをつくらなければいけない、そこにお金を出す、そういうやり方をしております。そういう総合的な取り組みが行われております。これは連邦法レベルです。  それからもう一方、州法レベルでは同じく一九九四年に、これはレジュメにちょっと書かなかったんですが、模範法典、モデルコードというのができておりまして、こういう項目を州で法律をつくるんだったらあるいは改正するんだったら盛り込みなさいよというモデルが出されております。ドメスティック・バイオレンスについては、(四)に書いたような具体的なことをプログラムとしてこれは実施しているということでございます。  さて、一番最後、七番目ですが、肝心の日本の課題ということであります。  日本の課題ですが、先ほど申し上げましたように、特に法的な対応がさまざまな問題を持っております。結論からいえば、これは私の個人的な考えでありますが、やはり包括的な女性に対する暴力防止法のようなものが一つは必要であろうというふうに思っております。しかし同時に、ドメスティック・バイオレンスについて特別立法、特別法がこれは現在潜在化していたものの声が上がってきて逃げてもいいんだと、ところが逃げていっても逃げる先がない、それから逃げてもそこから先がないということがあります。そういうことで、DVについて、ドメスティック・バイオレンスについて特別法がこれは必要だと。現場の方は四苦八苦していらっしゃいます。これは本当に自分のところでやっていいんだろうか、権限はどうなんだろうかということがはっきりしないまま直面するわけですから、自分たちのところに来ている人を帰すわけにはいかないわけですね、逃げてきている人を。ですから、何かやらなきゃいけないということで、工夫しながらどうもやっていらっしゃるようです。  それで、現状の問題点等七点だけ申し上げて私の意見陳述を終わらせていただき、また申し上げられなかったことは御質問いただきたいというふうに思うんです。  現状七点ですね。やはり一番最初は、ドメスティック・バイオレンスが犯罪として位置づけられていないということが一番大きいです。禁止ももちろんされておりませんし、どういうものかという認識がされておりません。  それから二番目が、逃げ込むというシェルターが、これは実質的には婦人相談所がございます。各県に一つございますが、売春防止法上の施設でございます。ですから、大変御苦労なさりながらやっていらっしゃいます。シェルターとしての限界が婦人相談所にはございます。それが二点目。  それから三番目に、暴力をずっと長年受け続けて体も心も弱っている人が、福祉事務所に行きなさい、裁判所に行きなさい、労働の窓口に行きなさいというふうに縦割り行政の中で、逃げたはいいがその後どうしたらいいかわからないという状況があります。専門機関がないということです。ですから、総合的な窓口になる専門的機関が必要なんじゃないかなというふうに思います。  それから四番目に、セカンドステップ、次へ行くとき、これは生きていかなければいけないわけですから、逃げたらそれで終わりということではないわけです。生活していかなければならない。そのセカンドステップのサポートがほとんどないということです。  それから五番目に、その被害者の精神的なメンタルケアというのがほとんどない。それから医療についても同じでございます。  それから六番目に、加害者が放置されているということです。  それから七番目に、専門家の養成ということが必要になってくるし、それから現在いらっしゃる機関の専門家の教育とか研修、DVというのは何なのか、特質は何なのか、特徴は何なのか、女性に対する影響は何なのかということが理解されないまま仕事をせざるを得ない、そういう問題点を感じております。  ぜひこの調査会で今後御議論をいただいて積極的な前向きの施策をしていただければ、本当に緊急に毎日困っている女性の方がいっぱいいるということを御認識いただければというふうに思います。  以上でございます。

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) ありがとうございました。  以上で参考人の方々の意見聴取を終わります。  これより参考人に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 自由民主党の末広まきこでございます。  本日は、お忙しい中を貴重な御意見を賜りましてありがとうございます。  女性に対する暴力というのは、これまでは被害が潜在化しておりまして表に出てきにくかった問題ではございますが、近年国際的に取り上げられる課題となりまして、先生方の御報告にもございましたように、女性に対する暴力の撤廃に関する宣言が平成五年国連総会で採択されております。平成七年には、北京女性会議の行動綱領において、女性に対する暴力は人権侵害であるということが明記されております。日本政府も、平成八年に男女共同参画二〇〇〇年プランを策定しております。私たちも認識を新たにして対応を考えていかなければならないと思っております。  そこで、まず女性軽視となっている社会的背景から両参考人にお伺いしてまいりたいと思いますが、女性に対する暴力を生み出す社会的背景としては女性の人権を軽視する差別意識が根底にあるのではないでしょうか。嫁をとるとか嫁をもらうなどという言葉にあるように、女性は男性の所有物であるという考え方が残っていると思います。  原参考人は文化人類学に学識が深くていらっしゃる、また戒能参考人はドメスティック・バイオレンスをめぐる歴史についても研究されていらっしゃいますので、この女性の人権軽視という社会的背景についてはどのようにお考えか、まずその点からお聞かせいただきたいと思います。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 日本国憲法は男性と女性を対等にとうたっておりますし、教育基本法でもそういうふうに男性と女性はとうたっているわけですけれども、今、末広先生がおっしゃいましたように、一般的な風潮として、だれに食わせてもらっているんだ、おまえは、というふうな表現とか、それから女は余り私みたいにしゃべるのはよくなくて、ちょっとおとなしく一歩下がっておれというふうなことで、大学の委員会などでも委員長などを命じられたときにはいはいと言うと、二十年前には、女の教師がどうしてそんなに委員長をすぐはいはいと引き受けるのか、いいえ、もう私などとてもとか言った上でまあまあと言って引き受けるならいいとか、その種のことを含めまして、一挙手一投足、そのときそのときのありようについて、職場でもそうです、国会は違うと思いますが。  町内会などもこれは大変でございます。農業協同組合、それから特に地方のさまざまな集落の会合などでは本当に実力を持っている女の方も黙っていて、お父ちゃんにやっぱり裏で発言してもらう、だからタイミングを失して本当に地域の社会にとって大切なことがあってもそれがその場で発言されないので議事録に載っていかないというようなこともございます。  特に暴力の被害に遭っている方々の場合には本当に言葉を失ってしまい、表情を失ってしまって、そこを加害者である夫やパートナーや恋人、それから見知らぬ通りがかりの加害者の場合も、ペットよりも粗末に扱う。自分のうちで飼っているペットはおおよしょしとか言うくせに妻に対しては何だとか、それから何か意見を言っても知らんぷりしていてとか、本当にこれは学歴とか職業とかそれから地位に関係なく、時には裁判官の夫が妻をいじめていらっしゃることもよくございます。そうなるとますます言えないということがございます。  この風潮が変わっていくためには家庭教育や学校教育のほかに、やはりマスコミその他などでもここのところをしっかり、女の人も人間なんだ、子供も人間なんだ、それから特に暴力の被害では老人も大変多いようでございます。子供、老人、女がやはり対等の人格を持っている人間だというふうな認識が一般的に広がることが大切かなと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 私は一九九二年に八人の女性たちでグループをつくりまして、日本にはドメスティック・バイオレンスがないと、アメリカはひどいけれども日本は平和な国だからアメリカほど暴力的じゃないからないなんというふうに言われているけれども本当だろうかということで、アンケート調査を日本で一番最初にやったグループなんですね。その結果というのがつい最近やっとこういう本にして出すことができたんです。  そこで、回答を見ていますと、例えば女性に、なぜ夫やパートナーが暴力を振るりんだと思うかと。暴力を振るっている人に残念ながら聞くことはできないんです、聞きに行ったら逆に暴力を振るわれたなんということになりますから、これは聞けないんです。それで、自分がどうして暴力を振るわれたのかということを聞いているんです。そうしますと、その中で女性たち自身の言葉として出てくるのが奴隷とかしもべとかそれから男性の便利道具とか、そういうもので自分を表現なさっている。  それで、これはある夫でしょうか、妻を半殺しにしてもいいんだというふうにしょっちゅう言っていると。このことは別に珍しくないです。ほかで電話相談をしましても、子供と女は殺さなければどんな暴力を振るってもいいという人が結構います。それから、自分で手を下せば女は何でも言うことを聞くと思っている、文句を言っておどかせば聞くと、そういうようなことを言っている人がおります。  こういう状況の中で孤立した女性たちがやっぱり人権をさらに痛めつけられている状況だというふうに思います。  私は、人権というのは二つ要素があって、自己主張ができるということと、それから自己決定ができるということが大事なことではないかというふうに思うんです。そういうものを許さない、あるいはそういうものをよしとしない日本の社会というのがあるのではないかというふうに考えております。  以上です。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 次に、暴力を生む構造として婚姻制度についてお伺いしたいんですが、暴力というのは力関係の不均衡から生まれるわけですね。力の強い側から力の弱い側に対して行われる。弱い側の尊厳がそれによって踏みにじられる。男女の力の不均衡は、男性の側が優位な集団であるといういわば構造的な関係になっていると思われるんですね。  ここからが大変私自身悩むところなんですけれども、日本では、税制や社会保障制度面で男性が収入のない女性を扶養する世帯が標準というふうになっておりますね。このような性別による役割を強制する結婚とか家制度というのがドメスティック・バイオレンスを生み出す土壌になっているのじゃないのか。そうなってくると、婚姻をめぐる制度の構造と女性に対する暴力の関係についてはどのようにお考えなのか。税制も含めて大変頭の痛い問題なのでお考えをお聞かせいただきたいと思います。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 一つは、例えば民法の夫婦別姓選択制というのが改正されない理由というのは何なんだろうというふうに考えますと、やはり女が別の姓を名乗っちゃったら一体感がなくなるじゃないかとお考えになる御理由というのがこれに御反対の方々の中にはあるようですけれども、名前が違ったって本当に対等なパートナーとしてやっていけるような工夫というのは可能だと思います。そのような発想になっていけば、女は男の所有物というふうな発想が減っていく一つの土壌になると思います。ただし、全員が別姓しなきゃいけないというのじゃなくて、別姓しなくていい人は別姓しなきゃいいんです、同姓になればいいということなんです。  私も何人かの被害者の方々からのお話を直接伺っておりますが、やはり暴力で苦しいから離婚したくても、もう逃げ出してしまったら、今までは夫の年金の権利があったからずっと夫婦をやっていればもらえたのに、年金ももらえなくなる、それから健康保険もなくなるということで、その方々の御希望というのは、やはり世帯単位ないしは夫婦単位の年金制度や税制ではなく個人単位にして、だけれども内助の功をやっている専業主婦の場合には、夫が私個人の年金を払っていてくれる、離婚になった場合にもその年金は私個人のものとして後で使える。その上で新しい自分の生活をするし、それから夫だって別の女の人と一緒になればこんな暴力を振るわずに仲よくやれるのかもしれないというようなこともあるというようなことを聞いております。  以上です。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) これはやはり一つは、おっしゃったように、経済的な自立が難しいということがあります。それは今の世帯単位ということがあるというふうに思うんですが、もう一つは、やはり社会通念というのが随分大きくあるというふうに思います。結婚して当たり前、あるいは夫婦、カップルで当たり前、そのほかのさまざまな生き方というのを余り認めない、そういう社会のあり方というのがあるというふうに思います。  それで、言ってみれば経済的に自立できない、そうするとこれは夫の暴力を受けていても我慢せざるを得ないと。別な言葉で表現すれば世間の荒波を避けるために夫の暴力を我慢して受け続ける、そういう仕組みになっているのかな、物が言えない仕組みになっているのかなということがあると思います。  それで、法律的に言えば一つそこで問題になるのが民法の夫婦別姓の問題ですし、刑法で言えば強姦ですね。夫の強姦は強姦としないとは一言も刑法百七十七条の規定にはないわけですが、運用上そのように解釈されていて、これはまるでもう結婚したら一生ノーと言っちゃだめなんだよという契約書を取り交わしているような、そういう構造になっているというようなことが言えるんじゃないかというふうに思います。  おっしゃるように、結婚制度というのはかなりこれは経済的な面でも、それから社会的な面でも暴力の根底にあるというふうに、私も末広先生と同様に考えております。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 大変に重い問題だな、単に暴力だけで解決する問題ではないな、女性の完全自立ということはどういうことなのかなというところまで考えさせられる問題であると思うんですが、きょうは女性に対する暴力ということにテーマを絞っていますから、そちらにまずは戻したいと思うんですけれども、女性に対する暴力についてはその全体像というのが明らかじゃないんですね、強姦などの性犯罪については認知件数などの統計があるものの、届けられていないものはもっとあるということでございますから。  平成四年に日本で初めてされた民間による全国的なアンケート調査、これは戒能参考人も参加された研究会によるものだそうですが、回答者の五八・七%が身体的暴力を受け、六五・八%が心理的暴力を受け、五九・四%が性的暴力を体験していたという物すごい数字なんですね。二人に一人は何かを受けていたということなんですけれども、しかし、実際はこれほどの実態だというふうな認識はないように思います。被害者も公にすることを望んでいないことが多いようですし。  そこでへ両参考人にお伺いしたいんですけれども、女性に対する暴力が潜在化する一番大きな要因は何であるとお考えでしょうか。それは先ほどからちらちら出ているように思うんですが、どういう要因を除去していけば、国民の意識の中にこの問題の重要性というのを浸透させていくことができるのか、これをお伺いしたいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 私は、ドメスティック・バイオレンスの問題とともに、特に昨年一年間は大学におけるセクシュアルハラスメントの問題にも取り組んでまいりました。セクシュアルハラスメントを受けて、これは大学の中で言えない、あるいは裁判ももちろんできない、そして自分が大学をやめていかざるを得ない、しかし、その加害者とされている大学の教員は、転勤をするとか、あるいは一年間授業停止で、また一年後に復帰するとか、それで全然痛くもかゆくもないというケースを幾つも見てまいりました。  そのとき、なぜ言えないんだろうかと。普通は、勇気を持って言いましょうというふうに言います。勇気を持って言えばいいじゃないかと。それから、女性がもっと毅然としたらどうかということがよく言われます。しかし、本当に勇気を持って言えるような状況を私たちがつくっているだろうか、場をつくっているだろうか、女性の側の問題なんだろうかということを常に考えさせられてまいりました。  それで、潜在化の構造、これは私たちが生きている社会そのものの問題ですからいろんな問題があるんですが、これは三点申し上げたいというふうに思います。  やはり性暴力、女性に対する暴力の場合は、これは例えば洋服がどうだったかとか、それから夜、行動がどうだったかとか、それから挑発したんじゃないかとか、誘いに乗ったんじゃないかとか、必ずといっていいほど加害者ではなくて被害を受けた側が責められる構造があるということです。これはあなたが注意していなかったからだ、あなたが行ったからだ、だから強姦に遭ったんだと。これは責められる、責任を負うべきは加害者の方なんですが、それが逆転をしているということがあります。  その背景にあるのがやっぱりジェンダーの問題、男らしさ、女らしさ。これは、多少の暴力は男らしいんだという考え方がどこかにないかということですね。多少暴力があってもそれは許されるというふうな、それで女はやはりおとなしくそれに従うとか、性のダブルスタンダードというような言葉が使われますが、そういうことが一つ大変大きな要素としてあるというふうに思います。  それから二番目が、これはもう既に出ましたが、社会からの非難や制裁ですね、これはさまざまな形をとってあらわれます。さまざまな形をとって、直接的ではなく、間接的な形をとることもあるし、大変これは敏感であります。ですから、やっぱり周りがどう言うか、周りがどういう目で見るか、これで大変傷ついていく。そういう傷つき方をするんだったら言わない方がいい、警察に行っても結果はわかっていると。そうしたら、自分の心の中にずっとしまい込んでいって、そのまま終わりにしようという選択をしている女性が本当に多いんじゃないでしょうか。  それから三番目、これはドメスティック・バイオレンスの特質の一つでもあるんですが、一回で終わらないし、逃げようとすると追っかけてくるということなんです。これは強姦などでもそうなんですが、今警察などの取り調べなどでもそういうことが言われております。仕返しが怖いということなんですね。どこにいるかわかったら、その被害者がだれかというのがわかったら仕返しをされるという恐怖、そういう恐怖感が、これは一回おどかされただけで非常に恐怖を感じますし、強姦に遭ったらもうなおさらのことだというふうに思うんですね。  そういう三つのことが、これは女性に対する暴力ということでは挙げられるのではないかというふうに考えております。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 そういう女性に対する暴力の被害者が危険から逃れて安全に休息することができるような施設、シェルターが必要だと思うんですけれども、こういった施設というのは公的機関によって運営される方がよいのか、それとも民間団体に運営を任せて資金等の助成を行うのがよいのか、これはどちらがベターだとお思いでしょうか、御意見を。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 私は両方必要だと思います。お役所不信の場合には民間シェルターに駆け込んだ方がいいんですけれども、民間シェルターの持続性ということを考えると、両方あって、その被害者の方が選べる幾つかの種類の駆け込み寺がある方がいいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 私も同意見なんですが、公的機関として既に婦人相談所の一時保護というのがございます。事実上、これは大都市では満杯状態であります。ただし、各県に一つずつ設置されておりますが、県によって本当に状況が違うわけです。そこの中でのサービスの内容も違っています。  ですから、一つの方法としては、これは今ある、婦人相談員という方がいらっしゃるわけです。婦人相談所に婦人相談員がいらっしゃるし、それから政令指定都市の場合は市、区役所に婦人相談員がいらっしゃいます。ですから、そういう資源を活用していくというか、もう少しきちんと、これは法律の改正が必要になるかもしれませんが、実際と法の建前、法制度が合わないわけですから、実際に合わせていくような形で婦人相談所をもっと活用していいのではないかというふうに考えております。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 今、戒能参考人がおっしゃいましたように、現存の婦人相談所ないしは女性相談所が法律のバックアップの上で仕事がやりやすいようにしていくということが当面すぐやればできることで、そのための法的整備がとりあえず必要かと思います。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 時間ですので最後の質問にさせていただきますが、警察の民事不介入の原則というのがございますね。これは戒能参考人にお伺いした方がいいかと思いますが、家庭内暴力のうち、身体的暴力に対しては刑法に規定された暴行罪とか傷害罪等の適用が考えられるんですけれども、しかし警察は通常民事不介入の原則に大変忠実でして、夫婦げんかでしょう、夫婦げんかは犬も食わない、そっちでやってちょうだいということで、介入に消極的であるという指摘が多々ございますね。  ドメスティック・バイオレンスの実態を考えると、警察による適時適切な介入が必要であることが多々あると思うんです。そこで、民事不介入の原則というのはどのような根拠に基づき認められているのか、またドメスティック・バイオレンスの被害についても民事不介入の原則がそのまま認められている現行でよろしいのかどうか、これについて御意見を。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 民事不介入の原則というのは、今までは本当に警察が忠実にやってきたことだというふうに思います。  ただし、九六年に犯罪被害者対策室を設置して以降、若干の変化は県警レベルで、これは県警によって大きな違いがあるようですが、例えば神奈川県警の話を先ほど伺ったばかりですが、多少ドメスティック・バイオレンスであっても必要な場合は介入をするというような方針を出しているところも既にあるようであります。しかしながら、全体としては民事不介入の原則というのは貫かれているわけです。  これは、一つは、家庭がプライバシーである、あるいは個人的な関係はプライバシーである、そうするとプライバシーに国家権力が介入するためにはより高度な理由がなければいけない、階段がもっと高くなるんだということであります。人権というのが、これは国家というか国家権力といいましょうか、その侵害を防ぐということから出発しているわけで、そうしますと、これはよっぽどの理由がない限りむやみに介入してはならないという考え方が貫かれているのだというふうに思います。  しかしながら、その考え方の一方で、これは最悪の場合、人が死ぬわけです。アメリカの場合ですと、男性に殺される女性のうち三割は妻だというデータがあり、それから日本の場合は、残念ながら九六年から警察庁のデータがそういう関係別にとられなくなってしまったので九五年までしかわからないんですが、九五年までを見ると大体同様の傾向を示しているということがあります。  だから、我慢に我慢を重ねていると殺すか殺されるかというところまで行く、あるいは大けがするというところまで行く。そういうことを放置していていいのかということがあります。警察は、これは警察法に書いてあると思うんですが、個人の自由と安全を守るということが警察の目的として書いてあるというふうに思うんです。  それで、何もこれは全面的に逮捕しろとかそういうことではないわけで、例えば警察官が一一〇番したら必ず行く。しかもこれは、最近の警察署は、パトカーで来てほしくなかったら先に言ってくれというふうに言っていらっしゃいます。普通の乗用車で行く、それから女性の警察官が行く、リクエストしたらそういうこともやるというふうに警察は、これは神奈川県警でお話を伺ったということですが、言っていらっしゃいます。  必ず行くと。そして、そこで例えば両者を引き離す、それだけでも効果があるわけですね。そして、例えば近くの交番に夫だけを連れていって、こういうことをやってはいけないんだということを話す。あるいは、それでもあれでしたら一晩ぐらいは泊まってもらうとか、その間女性の方もどうするか考えるとか、特に公的な警察が中に入ってくることによって暴力を抑止するという効果も、報告といいましょうか、正式なデータとしてではないんですが、材料として出てきております。  ですから、ここのところが実は一番のネックになっております。一一〇番しているんです、みんな。でも、帰っちゃう。来なかったり帰っちゃったりですね。  それから、大体家庭裁判所なんかでもそうなんですが、上手に話せるのは夫の方なんですね。理路整然と上手に話して、そしてとてもよい人に見えるんですね。それで、夫婦のことですからお引き取りくださいと言われたら、帰らざるを得ないというようなことになって帰ってしまう。  これは一つアンケートに出てきたんですが、家の中ではなくて、夫がお酒を飲みにいつも行く、そこに妻が行ったら、店の前に出て路上で暴力を振るった、それで一一〇番をした、パトカーが来た、でも帰ってしまっているんです。夫婦のことだから帰っている。  ですから、そこをぜひ突破するということを私はやっていただきたいなというふうに思っております。

末広まきこ自由民主党

○末広まきこ君 ありがとうございました。

釜本邦茂自由民主党

○釜本邦茂君 私は、自由民主党の釜本でございます。  本日は、両参考人の先生方、大変お忙しい中、ありがとうございます。  女性に対する暴力というのが本日の調査テーマでありますが、私自身、女性から殴られたという経験もございませんし、また女性に対して暴力を振るったというそういった記憶もありません。そのため、女性への暴力という問題に対する認識は、素直に申し上げて余りぴんとこないというのが否定はできないわけであります。  しかし、今日本全体を見渡しましても、今日までこの問題は十分認識されずに来ており、その犯罪性や女性の権利侵害という部分が見落とされてきたということは大変憂慮すべきことであるというぐあいに思います。  また、先日、朝日新聞の朝刊においても連日夫婦間暴力というテーマが特集で組まれており、私もこの問題の重大さ、深刻さを痛感しました。人々の関心がこの問題にもっと向けられるべきであると感じているところであります。  そこで、原参考人にお伺いしたいと思います。  女性に対する暴力に関して社会共通の認識を形成することが女性の人権を守るという観点から重要であると思われます。その場合、単に暴力はいけない、人権侵害なのだと啓蒙するだけではこの問題は解決には至らないんじゃないかというように思います。また、社会の意識そのものを本質から変えていくような対応が今後求められると思います。その社会共通の認識形成の具体策についてどのようにお考えをお持ちでしょうか。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 国会で法的整備を始めるぞというふうなことを示していただいて新聞等でこれが報道されるということは非常に大きなことだと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 本当にそのとおりで、ドメスティック・バイオレンス、女性に対する暴力はしてはならない悪いことだというのが一番よくわかるのは、例えば犯罪として明示されていることだというふうに思うんです。それが一番重要なことだと思います。  それから、やはりなぜ男性が暴力を振るうのかという男性自身の問題としてぜひとらえていただきたいという側面もございます。コミュニケーションの仕方というのを、言葉で言えば済むわけですね、それをなぜ暴力を振るうのか、そこまでおりて考えていかないと変わっていかないのかなというふうに思っております。

釜本邦茂自由民主党

○釜本邦茂君 教育について、男女平等がなされ、若い世代の認識もだんだんと変わってきているというぐあいに思います。家庭内、実社会ではまだまだ男性優位の考え方がなされているのも残念ながら事実であります。したがって、男性優位の社会が変わらないことには女性に対する暴力もなくならないんじゃないかというように考えられますが、原参考人は一九九三年に「変容する男性社会」という本を執筆されております。私は残念ながらまだ読んではおりませんが、今後どのように男性社会が変わっていくかと考えられるでしょうか、あるいはまた変えていかなければならないと考えておられるのか、御所見を原参考人にお聞かせ願いたいと思います。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 女性でも仕事を始めている人は夜中まで働いたりしちゃっているんですけれども、やはり仕事の時間以外の時間でゆとりがある生活、これが仮に経済が大変になっても、それでも家族で一緒に何かをするとか、自分の心の滋養になるような仕事に関係ない楽しみを持つ時間というのを私たち日本人がみんなで持つような、子供たちも学校が終わった後塾通いというだけではない、何か違ったことで人生全体の意味というのが豊かに深くなっていくのだという生活の仕方、貧乏になったら貧乏になったなりにそういう生活の仕方をする、GNPが下がってもそうする、そういうことは本当に大事だというふうに私は思っています。

釜本邦茂自由民主党

○釜本邦茂君 先般、十一月四日だったと思います、男女共同参画社会基本法について男女共同参画審議会の調査審議結果がまとまり、次の通常国会に法律案が提出されるというように聞いております。  そこで、現時点では基本法に盛り込むべき事項といいましょうか、といった方が正解かもわかりませんが、この基本法における暴力問題の位置づけについて、原参考人は審議会を代表してということではなく、審議会の委員の一人としてこの立場からお伺いしたいと思います。  女性に対する暴力は九五年の北京女性会議の行動綱領において人権の侵害であると位置づけられており、その観点で内容を見ますと、基本法の基本理念の中の「人権の尊重」という項目に、「男女共同参画社会の形成の促進は、日本国憲法の理念にのっとり、各人の個性に基いて能力が十分に発揮される機会が保障され、男女の人権が尊重される社会の構築を旨として行われなければならない。」というふうにあるわけですが、女性への暴力をこの基本法の中で位置づけるとすれば、この「人権の尊重」という項目のところで読むということで理解してよろしいんでしょうか、あるいは女性に対する暴力について必ずしもこの基本法の理念の中には言っていないということなのか、この点について御意見をお伺いしたいと思います。  また、去る十月三十日に男女共同参画審議会に対する暴力部会の中間取りまとめが出されておりますが、暴力部会としての最終報告のまとめの時期はどのあたりに置かれているのか、あわせてお伺いしたいと思います。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 第一の御質問でございますが、男女共同参画社会基本法に盛り込まれるべきこととしての基本的な考え方でございます、女性の人権の尊重という中に女性に対する暴力に関する事柄で女性の人権の尊重というのはおのずから合意されているというふうに私個人は考えております。  それから二番目の御質問ですが、中間取りまとめが出まして、その後十一月三十日まで国民の方々から男女共同参画室の方にファクスで御意見が寄せられてきております。それを見まして、十二月の会合で今後の論議の進め方などについての討議が行われるというふうに私は理解しておりますので、来年の一月ぐらいになれば男女共同参画審議会の中の暴力部会の今後の目標が明確になると考えます。

釜本邦茂自由民主党

○釜本邦茂君 暴力部会中間取りまとめによりますと、当面の取り組み課題として「外国における女性に対する暴力に関する法律や取組を調査し、我が国と比較検討する。」とされておりますが、立法化の検討までの踏み込んだ記述はなされていないわけですね。この中間取りまとめの考え方として、外国との比較検討の結果次第で新たな立法化の必要もあるということがこの記述の裏にあると理解していいのでしょうか。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) そのとおりでございます。

釜本邦茂自由民主党

○釜本邦茂君 戒能参考人にお伺いしたいと思いますが、女性に対する暴力は全世界共通の問題でありますが、先進諸国と開発途上国では抱える問題というのが異なるように思われます。また、暴力の現状もさまざまであろうと思いますので一概に比較することは難しいと思いますが、世界各国の暴力の現状と比べて我が国の女性に対する暴力で特徴的なものがあれば教えていただきたい、かように思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) これは北京会議で女性に対する暴力のワークショップというのが一番多くあったぐらいで、さまざまな女性に対する暴力についての議論が行われたわけです。例えば、宗教あるいは民族、そのようなところからダウリー殺人、持参金殺人とか、それから性器切除の問題、FGMと言うんですか、ああいう問題が出てきたりとか、もちろんそういう民族的あるいは宗教的、文化的な背景を持ってさまざまな形態で暴力が現出しているということは確かであります。  しかしながら、日本の女性に対する暴力がほかの国と何か際立って異なっているかというふうに言われると、まず第一に、これは実態が明らかになっていないということがありますからどこがどうだということはないということもあるんですが、例えばドメスティック・バイオレンスということをとってみますとほぼどの国も問題がある、ただ違うのはそれにその社会がどう対応しているかという違いだということだと思うんです。法律をつくるか、国がどういうふうな施策をしていくか、そこの違いであると。ただ、経済的な地位、経済力などでよりこれは表面的、外にあらわれて影響がはっきりするという場合と、日本の場合、これは経済的に専業主婦、あるいは夫が働いていてこれは扶養されているという場合外にあらわれにくい、暴力が暴力として出にくい、そういう特質はあるかというふうに思います。  以上です。

釜本邦茂自由民主党

○釜本邦茂君 戒能参考人にお伺いしたいのですが、アメリカでこの件に関する法律が制定されて以降その効果というものはどの程度あったのか、もしわかれば教えていただきたいのです。また、それ以外の諸国でもDVに関しての特別法や女性に対する暴力に関して刑法上の規定を設けている国もあると聞いておりますが、それらの国々ではどのような事項を定めているのか、あるいは日本の刑法とどのような違いがあるのか、お聞かせ願いたいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) アメリカやカナダでは比較的早く刑事法的な対応が行われたわけです。これがデータになって全体的に出ているということはないんですが、例えばミネアポリス実験というのがございまして、これは警察が積極的に介入した場合とそうではない場合とその後、アフターでありまして、その男性が再び暴力を振るうかどうかという調査のようなのがありまして、アメリカの場合はそのミネアポリス実験の結果、積極的な介入が効果的であるというようなことが言われております。  それから、国連の人権委員会で女性に対する暴力とその原因及び結果に関する特別報告者、これはうディカ・クマラスワミさんという方が任命されて幾つかの報告書を出していらっしゃいますが、その一つにドメスティック・バイオレンス特別報告書というのがございます。その中でもクマラスワミさんが書かれていらっしゃるのは特別立法、特に刑事的制裁の有効性ということを、データを伴ってということではないんですが、書かれていらっしゃいます。  それで、各国の法制というのはまさにこれかり総理府の調査とか他の調査で詳しく調べていく。それから、法体系自体が英米と独仏とで大きく違っていますが、例えばこの二十年間でイギリスの場合をお話ししますと、イギリスはまず民事法から入っていって保護命令をつくったわけです、差しとめ命令。しかし、そこでやはり必要なのは、保護命令に違反したときに入ってはいけませんよ、暴力を振るってはいけませんよと言うのにまた振るってしまった、それをやはりチェックするものがないとだめだ、制裁手段が必要なんだ、繰り返しになってしまうんだということで、次の段階としてイギリスは、警察権限が保護命令に違反した場合は入れるような法改正をしていく、それと同時にやはり警察の改革が行われているということです。  イギリスとアメリカというのは被害者対策が最も進んだところであります。イギリスの場合はビクティム・サポートというような組織がございまして全面的に被害者をサポートしていくわけですけれども、そういう民間の団体と呼応しながら、やはり被害者の権利というのを尊重していく方向で法改正をしていく。それから、警察官の研修や教育というものを行っていく、警察署の中にドメスティック・バイオレンス・ユニット、DVユニットというふうに呼んでおりますが、専門の機関を置いて一一〇番が来たらすぐそこから行く、そして警察官が例えばサポートしてシェルターに一緒に行くとか、そういう取り組みをやっているということなんです。  そういう意味で、刑事法が従来日本などで考えられていたものよりも実態に迫られて役割を広げているというところもあるし、中核になっているという感じを受けます。  以上です。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 私の陳述要旨の一ページ目の下の方から二ページ目にかけてごらんいただきますと、性暴力犯罪の処罰及び被害者保護に関する法律が一九九四年にできましてから後の傾向としますと、全国に四十カ所の相談所が今日までにできているんですが、そこにおける相談件数が続々と増加しております。だから、言い出せなかった人たちが言い出すようになるということがありまして、一九九七年の相談件数は九六年に比べて五八%増加している。それから、一九九五年、つまり法律ができた翌年に比べては四倍になっているということで、やはり法律が整備されるということは本当にみんなの心のありようが変わってくると思います。

釜本邦茂自由民主党

○釜本邦茂君 今、相談件数が何%というぐあいに、かなりふえたというぐあいにおっしゃいますけれども、その件数というのは大体どれぐらいあるんですか。その件数というのはわかりますか。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) それは、私のレジュメの二ページ目の二番目のパラグラフの二行目にございますが、一九九七年の性暴力の相談件数が一方二千五百四十件です。これはドメスティック・バイオレンスは入っておりません。それ以外のものです。

釜本邦茂自由民主党

○釜本邦茂君 ありがとうございます。  先ほど参考人からお話があったと思うんですが、暴力を振るう男性の中には本当に外では非常に人当たりのよい人だとか社会的に地位の高い人も多いというぐあいに言われております。また、そういう加害者であるはずの夫や恋人も幼少時自分も家庭内での暴力の被害者であったという人もいて、何らかの精神的なケアが必要である場合もあるように思われるわけなんです。  被害者である女性を救済しても暴力を振るう男性がそのままでは根本的な解決にはつながらないというぐあいに思うんですけれども、アメリカには加害者再生教育プログラムもあると聞きましたが、加害者の再教育やカウンセリングの必要性について有効的なケアなど、戒能参考人にお考えをお聞かせ願いたいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) アメリカもそうですし、それから最近のところではニュージーランドなどもドメスティック・バイオレンスの法律をつくっておりますが、そこで不可欠の要素として、加害者に対する治療が必要な場合もあるし、教育あるいはカウンセリングだけで済む場合もあるんですが、そういうプログラムが入っている立法例が非常に多くなっているということは確かです。  アメリカの場合あるいはカナダの場合でも、刑務所に行って二年たって戻ってきて、そしてとことん居どころを突きとめてまた暴力を振るうということになっては何にもならないわけですから、そこでカウンセリングなり治療というのがどうしても必要になるというふうに思います。ただ、そこも、アメリカでじゃそれで全部いいのかというと、必ずしも十分にまだ効果があらわれるまではいっていない、だからまだまだ検討する必要があるだろうと。  それで、これは最近見たNHKの衛星テレビで、刑務所の中で性暴力の被害者と加害者が男女一緒に場を同じにしながら徹底的に議論するという場があって初めて、被害者の声を聞いて初めて自分が何をやったのかということを加害者がわかったというふうなことが放映されておりました。  日本でも実は加害者、男性の暴力性の問題ということで最近小さな動きは東京などで始まっておりまして、自助グループなどができてきているというふうに思います。ただ、それも大事なことはよくわかるんですが、同時的にあるいは先にというふうに私は考えているんです。まだまだ声を出せない女性たちの問題は、それは加害者の問題が大きいことはわかるんですけれども、やっぱり女性の問題、声を出せない被害者の問題というのをまず手がけることではないかなというふうに個人的には思っております。

釜本邦茂自由民主党

○釜本邦茂君 最後に、両参考人にお伺いしますが、離婚などでの夫婦間の調停の中で、調停委員にドメスティック・バイオレンスについての十分な認識がなされていない、その認識があるかによって対応も違ってくるというぐあいに思います。女性側の我慢が足りないと妻側の言い分を聞いてもらえない例もあるとお聞きするわけですが、本来公平に判断されるべき司法の場で調停委員や裁判官の個人的ジェンダー観の違いによって隔たった司法判断がなされるということは避けなければならないというように思うわけでございます。  この司法のジェンダー観の問題についてどうお考えでしょうか。また、司法が公正公平な判断を下すことができるためには特に何が必要なのか。参考人の御所見を賜って、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) これも女性たちのグループの声から御紹介したいというふうに思うんです。  離婚した女性たちのグループあるいは離婚を考えて悩んでいる女性たちのグループの声なんですが、やはり調停委員の方から女らしさとか男らしさを押しつけたり、それから先ほどから出ているように、いいだんなさんじゃありませんかとか、一回ぐらいの暴力でこの結婚をだめにするのはもったいないとか、そういうことを言われていらっしゃいます。  それで、調停委員の選任方法といいましょうか、どういう方がなっていらっしゃるのかという問題が一つ。それから、選任されてお仕事をする上での研修や教育がどうなのかということが一つです。そういうことで、これは調停委員だけではなくて裁判官それから警察官、検察官、すべてだというふうに思います。司法にかかわる専門家の研修、教育というのは急務ではないかというふうに思います。  そういう意味では、アメリカにおいて司法におけるジェンダーというプログラムが開発されていて、そして一つ一つの問題について、これはジェンダーの視点から見ればどうなのかということがチェックされる、そういう取り組みがもう既に行われております。ですから、これは弁護士も含めてなんですけれども、早急にやれることの一つではないかというふうに思っております。法学部の教育カリキュラムから変えていかなければいけないというふうに私は個人的には思っております。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 一つ加えますと、司法試験の問題にもこういうのが出てほしいなと思います。  それからあとは、戒能参考人はとりあえず被害者の救済だとおっしゃいましたが、予防という観点と、それから加害者の方がやはり自分が苦しみ始めて、わかっちゃいるけど、もうきょうはしまいと思ってうちに帰ったらまたやっちゃうとか、道路に出ると何かおさわりしちゃうとか、これをどうしましょうという相談も随分来ていると聞いております。  韓国でも、私のレジュメの二ページ目の真ん中あたりをごらんいただきますと、性暴力来談者は本人による直接来訪者、被害者が最も多く六六%だけれども、加害者による相談が百八十二名あって、それは一%にすぎないけれども、そういうのがあると。その方たちにとりあえずまずそういうアル中で自分が苦しんでいる方の自助組織、コカウンセリング、それからもう一つは、被害者との面談や話し合いで、こういうこともあるんだというようなことからどうやって自分の生活を立ち直らせていこうかと加害者御自身がお考えになると。そういう動きがあれば、そういうことがまた新聞に載ったり、それから法律の上でも対応があれば、加害者になる方を減らす、ないしは加害者として苦しんでいる方の生活をよりよい方向に充実させていくことができるかと思います。  今の私の陳述要旨の二枚目の真ん中あたりにミスプリがございまして、真ん中のあたりですが、「性暴力科学者」と書いてあるのは「加害者」なので、恐れ入りますが書き直してください。「性暴力科学者」ではなく、「性暴力加害者の類型は」ということで。それから、先ほど発言しましたところの相談件数一万二千五百四十件の中にはドメスティック・バイオレンスも入っております。先ほどの発言を訂正させていただきます。  以上です。

小宮山洋子民主党・新緑風会

○小宮山洋子君 民主党の小宮山洋子でございます。  原参考人と戒能参考人、きょうは貴重なお話をいろいろ伺わせていただいてありがとうございます。  私は、この調査会は時間をかけてじっくり話ができる参議院独特のものですので、これまで余り国会では取り上げられてこなかった女性に対する暴力の問題をぜひここで審議をしてほしいと望んでいた者として、きょうはお二人のお話を聞く機会を持てて大変うれしく思っております。  お話にありましたように、やはりまだ実態も把握されていない、これが犯罪だという認識もない、そういう点からしまして、やはり処罰という意味からも予防という意味からも何らかの法律が必要だというハード面のことと、それから意識の問題、ソフト面と両方必要だと思いますので、その両面について幾つか伺わせていただきたいと思います。  先ほど戒能参考人はジェンダーに配慮した包括的法的枠組みというお話をされました。お話にありましたように、女性に対する暴力、範囲が非常に広く、性犯罪、売買春、家庭内暴力、セクシュアルハラスメントなどございますけれども、包括的というのはそれをみんな含んだという意味なのか、あるいは今までのお話を伺っても、その中でも特に今日本で法律の枠組みがないのがDV、家庭内などの夫、恋人からの暴力の問題だと思うんですけれども、その辺に絞って法律をつくるということも一つの方法だと思うんですが、そのあたりのことをお二人の参考人に伺いたいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 今の日本の現状を考えますと、一つはすべて含み込んだ女性に対する暴力防止法というのはいわば基本法のようなものでしょうか、原則を明らかにするというようなことですね、それがやはり必要ではないかなという感じがいたします。ちょっと順序はどうかということは別なんですが。  やっぱりこれは犯罪であること、許されないことというようなことを明記する必要があるし、それから被害者の権利というのを、例えば裁判で強姦被害者には弁護士がつかないということがありますね、そういうことや、それから裁判についての知る権利一それからセカンドレイプの防止、二次被害の防止の問題。それから、先ほどから出ております司法、警察、検察、裁判官の教育、訓練の問題、シェルターやホットライン、電話相談ですが、そういう助成とか、共通してある問題、それを原則でやはり国連の女性に対する暴力撤廃宣言、あるいは北京会議の行動綱領の線に沿って、そしてそれに日本が何かアレンジする必要があるんだったらそれは入るとは思いますが、基本的にはその線で包括的な女性に対する暴力防止法というのがあってほしいなというふうに一つは思っております。  しかし、すべてアメリカ方式でやるのかというふうなことはありますけれども、日本の場合、法律が本当にばらばらです。例えば、シェルターについてはこれは売春防止法だと。シェルターに駆け込んで、これは原則二週間ということになっておりますが、二週間では済まないのでもっといますけれども、一時なんですよね、一時的に避難しているだけだと。その次のことを考える。そうすると、子供がいれば母子寮だということになります。しかし、母子寮は児童福祉法であると。それから今度は、警察はまた警察、刑法であるというぐあい。それから、所得保障の問題でいくと生活保護法である、あるいは児童扶養手当法である。もういっぱいいろんな法律が出てきて、一人の生身の人間なんですからこれは大変なわけです。  それからもう一つは、一つの機関だけでは解決がつかない、ネットワークがどうしても必要だということがあります。ですから、これはDVに社会的対応が今はほとんどないというところで、緊急の課題としては具体的な法律としてDV特別法というのがつくられるといいな、望ましいなというふうには思っております。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 私は女性に対する暴力部会の委員をしているために、この細かい分け方、これについては当面発言を留保させていただいて、もう少し部会の審議が進んでからにさせていただきたいと思います。

小宮山洋子民主党・新緑風会

○小宮山洋子君 その法律をつくりますのにも、先ほどからお話のあったように、現状がどうかということ、特に男の方の中には余りそういう認識がない問題とかがあるので、やはり実態がこれこれこうだからこの法律はぜひ必要だという説得力が欲しいと思うんですね。そういう意味では、先ほど御紹介にもありましたし、このお配りいただいた東京都の調査報告書というのは画期的なものだと思います。そのほかにも神奈川など幾つかのところで今取り組みがあると言われていますが、例えばこのいただいたものの中の四十九ページに、「夫や。パートナーからの暴力の経験の有無」というところで、「何を言っても無視する」というのはもう半数ぐらいの人が経験をしているし、中には「けったり、かんだり、げんこつでなぐる」などというのも一五%ぐらいの人が経験をしている。それから、「首を絞めようとする」、「包丁などの刃物を突きつけて、あなたをおどす」というような数字も出てきている。こういったことがやはり明らかになるためには、先ほどからもこれからの調査のお話が出ていますけれども、これからどのようにして実態を把握していけばいいとお考えなのか、お二人に伺いたいと思います。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 一つは、先ほど申しましたように全国からの投書、ファクスを今総理府で受け付けているというのがございますが、もう一つはやはり公的な、例えば東京都とかそれから総理府による全国調査以外の民間のシェルターで積み重ねてきていらっしゃるさまざまな調査を、これは民間のものだからだめだというふうにお役所が考えずに、それも十分に集めて大事にしていくという姿勢が大切かと思います。ただし、やはり各都道府県ないしは全国で調査に関する予算が計上されまして、具体的な事例がもっと集まってくるということは大変大切だと思っています。  それからもう一つが、先ほど戒能参考人もおっしゃっていましたが、警察官の中に女性警察官の比率が非常に少ない都道府県がございます。そういうところにやはり女性警察官がふえることです。沖縄県警ではこの四、五年随分女性がふえるようになっているということではございますが、そういう女性警官がふえた県では、女性裁判官がふえないと幾ら警察官がふえても結局はだめだと。それで、今度裁判官のお話をちょっと聞きますと、いや、今度は検察官がふえないとだめだということで、先生方がお持ちの男女共生社会関係資料集のⅡの方の二十五ページに表がございますが、これでは近年裁判官の女性割合が一〇%、それから弁護士が八%で検察官は六%以下、五%強というところですので、これはすぐにはどうなることではございませんが、長い目で見るとやはり日本の大学の法学部の教育が一口に言うと女性無視のところがございますので、東大も今教授は女性は一人しかおいでにならないと聞いていまして、こういうところもやっぱり変わっていく必要があるなと思っています。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 実態調査のことでございますけれども、やはり私は国に全国的な調査をぜひやっていただきたいというふうに思います。  これはDVというものに限らずに、実は強姦でも一年間に千五百件しか届け出がないというような状況です。そうすると、民間の女性たちの調査の話も出てきたんですが、毎年きちんと調査をしてそれを御報告していただくということが必要なんじゃないかというふうに思います。それから、ドメスティック・バイオレンスに関しては実は婦人相談所がもう長い歴史を持っておりまして、一時保護で個人別ファイルがあるんですね。そこで婦人相談員の方あるいは心理判定員の方がサポートしていくわけですが、記録が残っています。その記録がそれぞれの婦人相談所でどういうふうになっているのか、もったいない話だというふうに思います。  一番問題が集中する婦人相談所にもう既にデータはあるんです。それを生かすということを一切やっていないということがあります。ですから、国で全体的な実態調査をぜひ、これはDVに限らず女性に対する暴力ということで定期的にやっていただきたいことと、それから一時保護のデータをきちんと生かしていく方法があるのではないかというふうに思っております。

小宮山洋子民主党・新緑風会

○小宮山洋子君 今も民間のシェルターなどの資料というお話もありましたが、このことについては、国が立ちおくれている分、NGOのシェルターなどを含めた働きというのが非常に大きいと思うんですけれども、その働きについて御存じのことを教えていただきたいことと、先ほどもちょっとありましたように、非常に財政的に苦しいということもありますので、そういうところをサポートするために国として何ができるか、その点を伺いたいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 私の報告の冒頭でも申し上げましたように、女性に対する暴力を問題化していったのは民間の女性たちであったわけです。しかも、これはさまざまな不幸な事件、女性たちが被害者になる事件を支援するという形で展開してきました。  それで、もう既に八〇年代の初めには東京に強姦救援センターというのが設けられておりますし、八〇年代の終わりにはセクシュアルハラスメント一万人アンケートというのが行われて、それが今の例えば均等法あるいは人事院のガイドラインというものにつながっていったんだというふうに思います。各地で民間のホットライン、電話相談が行われたり、裁判の支援が行われたり、そういう地道な積み重ねの結果だというふうに思います。  それで、シェルターのことについては、現在約二十ぐらいの民間シェルターが運営されているんですが、財政的な問題それから人の問題、ほとんどが仕事をしながらボランティアでやっている、専任を置いているのは本当に少ないわけです。その中でバーンアウトというか燃え尽き症候群にもなるし、それからじっくりと一人一人サポートするには時間がかかるし、サポートする側にエネルギーがないとできないということです。そういう体制にはなっていない。  それで、ほとんどがマンションの一室あるいは二部屋ぐらい借りてやっていて、そうしますと逃げ込んできてもこういうところにはいたくないと思う人がいるんです。今まで一軒家に生活していた、そうするといろんな知らない人がいる、時間も拘束されるというようなことで、もっとヨーロッパ、アメリカのシェルターのように子供のためのプレーイングルームがちゃんとあったり個人に一部屋ちゃんと保証されていたりとか、そういうシェルターになっていけばいいなというふうに思います。  そのときに、やっぱりお金の問題です。それからあと二点あるんですが、もう一つは、教育とか訓練とかそういうもののサポートも必要ですし、それから逆に民間のシェルターが出ていって公的な機関の研修を行うとか、そういうことも経験に基づいて、いっぱい材料はあるわけです。そういうことも必要だし、それから今札幌が一番典型でありますが、民間のシェルターがリーダーシップをとって地域のネットワークづくりをやっている。そうしますと、行政というのは民間が申し上げたのではなかなか動かないということなんですが、女性企画室とかそういうところが一緒になって警察やほかのところに呼びかけていってネットワークをつくるとか、そういうときのサポートなどをやっていただくとまた活動が飛躍的に発展できるのじゃないかなというふうに思います。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 私の陳述要旨の三ページ目をごらんいただきますと、大韓民国でも「女性の電話」というのが一九八三年にソウルに設立されまして、この活動がもとで性暴力に関する防止法ができたわけですが、その後、この「女性の電話」は全国五十カ所に広がりまして、そこで相談に応じているうちに出てきている個人ファイル、それからカウンセリングに当たっている方たちの自己研修、その経験をもとにいろいろなテキストがつくられて、全国の五十カ所の電話相談の方たちへの指導もできると同時に、今度はお役人さんとか裁判官とか警察官に対してこういうことが大事なんですよというふうなマニュアルをつくったり、そういうところの研修へ出前講座に行ったりしていらっしゃることがございます。  それから、性暴力相談所というのも一九九一年にできまして、今やその次の紙にあるように全国四十カ所にこれが広がっておりますが、そこの相談員の方たちの研修及び小学校、中学校の先生に対する研修、それから警察官に対する研修といったようなこともやっております。ただし、この両者ともそれぞれ日本の厚生省に当たるお役所から補助金が出ておりまして、国からの補助金が三分の一、それから地方自治体が三分の一、それから民間でファンドレージングをなさったりしてやっていらっしゃるというふうなことで、まだまだ補助金は不足だそうですが、それでもそこまでの対応が韓国では既に始まっているということです。

小宮山洋子民主党・新緑風会

○小宮山洋子君 今のお話にも先ほどからも出ていますけれども、調査をする人、あるいは相談に乗る人、そういうところでカウンセリングをする人、いろいろな人の養成の問題というのは一つ大きな問題だと思います。ビジョンにももちろん載っていますし、今日本が行動計画としているプランの中にも専門捜査官の養成ですとか、女性に対する暴力事案にかかわる職員等の研修、訓練とか、相談等にかかわる職員の研修とか挙がってはいるんですけれども、実際にどう行われているかという話は余り聞かないように思うんですが、その辺の実態と、これは言うはやすしでなかなかだれがどうするのか難しいと思うんですが、その辺のアイデアがありましたら伺わせていただきたいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 実態は本当にそのとおりで、こういうプログラムでこういう研修をやりましたというのは、聞こえてくるのはせいぜい警察の女性警察官に対して研修をする、あるいは教養というふうに言うそうですね、警察官に対して講演をするとか、そのくらいのことしか私は存じ上げてないんです。  これは今の韓国の例のように、それからほかの国でも、アメリカでもイギリスでもそうなんですが、NGOがそれなりの蓄積をしたところで問題点もはっきりしているというようなときに、イギリスの場合なんですが、これは警察の訓練、研修に、イギリスの場合は民間でシェルターを運営しております、それに対して自治体及び政府が補助金を出すという形にしております。そこで、逆に今度は民間のシェルターの連合が訓練のマニュアルをつくるんです。立派なこんな厚いのができておりまして、何日間かのプログラムがちゃんとありまして、それで全警察でやるんです。  だから、そういうことをしないと、問題あるいは実態というのを把握しているところで、欠けているところは何かと、どういう能力が必要だとか、どういう環境が必要だというようなことを踏まえてやらないと、実効性のあるもの、そしてかなり急ぐということもありますので、そういう方法が一つ考えられるのかなというふうに思います。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 私も、警察はもう随分一生懸命になり始めていらして、警察の上層部ではその種のことが必要だということが頭のこの辺ではおわかりだけれども、心の底まで行っていらっしゃるかどうか、おなかのところまで来ていらっしゃるかどうか、随分個人差がおありのように感じております。ですから、警察も考えが変わったのよといっても、今度は、被害に遭った方が交番のお巡りさんのところに駆け込んだときには、ちっともそんなことはないといって絶望するということも最近はございまして、やはり派出所のお巡りさん、交番と書いてあるあそこが御理解いただくのはとても大切だと思います。  それから、産婦人科のお医者様のところに駆け込む場合もあるわけで、外科医、それから整形外科医。そうすると、どうしたんですかと聞かれて、実は夫に殴られましたと言うと、そんなことを聞いているんじゃない、どこの骨が痛いのかを言えばいいんだとおっしゃる。わかっていただきたいのは、どういう状況で、これが三回目に起こっていることだというようなことまでおわかりいただきたいけれども、それを聞いている暇は整形外科の先生にはおありにならないということで、産婦人科だけじゃだめなんです。やはり日本医師会にも御理解をいただくということが大切かと思います。

小宮山洋子民主党・新緑風会

○小宮山洋子君 先ほどからも幾つかの国の法律のお話がありましたけれども、例えば韓国などは非常に民間からの働きかけが法律をつくり改正するのに強く影響力があったというふうに聞いています。議会のあり方とかが違うということもあると思うんですが、これから先ほどおっしゃったような包括的な基本法、あるいはDVの特別法、何か必要な法律をつくる際に、そのつくる過程、つくり方の問題と、それから、各国の法律の中身をお二人ともよく御存じだと思いますので、日本が参考にできるような点がありましたら例えればというふうに思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 先ほどちょっと報告させていただきましたように、民間のNGOと司法とそれから立法と行政とが、私のレジュメでは「ダイナミックな関係」というような言葉を使っていたんですが、まさにそういうことではないかなというふうに思うんです。  それで、イギリスの場合も一九七〇年代にすぐにドメスティック・バイオレンスの法律を幾つかつくっております。そして二十年たって九六年にさらにまた改正をしました。これは日本で言う国会での議論を何度も何度も積み重ねていく。もう一つは報告書を出すんです。これは専門家の報告書なども含めて出すんですが、そのときに必ず民間のNGOの報告書が出るんです。それを突き合わせながらいつも議論をしているということがあるというふうに思います。  アメリカの場合も、例えば、今度の九四年の暴力防止法でお金を出すわけなんです。自治体の警察に出しますが、そのときに条件がついているんです。これはNPO、NGOの被害者サービスプログラムやシェルターや地域のグループとの共同でなければ援助金の申請はできないというような、そういう規定があったりするんです。ですから基本的には共同してやっていく、もちろんそこに専門家の役割というのは非常に大きいというふうに思うんですが、そういう動きがあるように感じられます。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 韓国ではNGOをしている方々が、夫が割に政治家だったり、それから官僚の中の地位の高かったりすることがありまして、NGOの発言が相手にされるというんでしょうか、日本のシェルターで頑張っている方たちというのは、本当に新聞に名前が出たことがないとか、それから、時にはパートタイマーとして御自分が働いていらして、やむにやまれず助ける側に回っていらっしゃるという方もありまして、そこで働いていて本当に身をすり減らし、心をすり減らしながら、やっていることの社会的認知が少ないということを本当につくづく感じるというふうに、外国を一緒に旅行したりしますとおっしゃる場合がございます。  やはりそういうところで働いている方々は、逆に名前を出さないことによって、今度は助けてあげている被害者の匿名性を保持できるということもあるわけなんですが、この種のお仕事をして、今度、自治体にかけ合いに行ったりすると、何かNGOは虫けらみたいに扱われるというようなところ、これがやっぱり変わっていく必要がある。  ですから、いわゆる役人言葉がちゃんと使えない、心の支えにはなっているけれども役人言葉がちゃんと使えない、ちゃんとというのもいけないんですけれども、使えない方に対してお役人がやはり耳を傾けるといったような、そういうことも必要かなと思います。

小宮山洋子民主党・新緑風会

○小宮山洋子君 この調査会ではしばらくの間この問題を扱うことになっていまして、その先はまだこれからということなんですけれども、お二人がぜひここでやってほしいと思われることがあれば伺いたいと思います。  ここでというのは、この調査会を生かして結局法律をつくるということかもしれませんし、いろいろ補助金のこともあるだろうし、教育のこともあるだろうし、いろいろあると思うんですけれども、当面期待される部分を最後に例えればというふうに思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 期待する部分は、すべてやっていただきたい、できる限りのことをやっていただきたいということなんですけれども、やはり当事者の声を尊重した、当事者の立場を尊重した御審議をぜひやっていただきたい、実態を踏まえた御審議をしていただきたいというふうに思うんです。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 一つは、どういう種類の問題の整理をなさっていただくのが一番国会議員としての働きの効き目が早いかというふうなことが私としてまだわからないんですけれども、御検討いただきたいと思います。  それはどういうことかというと、セクシュアルハラスメント、売買春、性暴力一般、それからドメスティック・バイオレンスといったようなものを日本の法体系全体の中、それから現実のお役所の縦割り、それからNGOとGOの関係を含めてですけれども、そういうところでどういうふうなことを一番初めにするのが手っ取り早いかということについてこれから私もちょっと勉強させていただこうとは思いますが、御審議いただいて、なるべく実践が、何かとりあえずできることがあるといいと思います。  先ほど申しましたように、婦人相談所ないしは女性相談所、そこで働いている方たちの働き方がやりやすくなるような実効ある法改正、及び先ほど戒能参考人がおっしゃいましたような、そこに蓄積されている情報の十分な整理と検討と情報公開、被害者のプライバシーを守る形での公開というようなことを当面はやっていただけるとうれしいと思います。

小宮山洋子民主党・新緑風会

○小宮山洋子君 もうほんの少しだけ時間があります。先ほどメディアの役割のこともおっしゃいましたが、私もついこの間までメディアにいましたけれども、あそこの中も男女の構成比が非常に男に偏っているということでこういうものがアピールされていかない。学校教育あるいはメディアの中でこういうものが扱われるようにお二人の方もいろいろな働きかけをしていただきたいというふうに思うんですけれども、その辺の啓発という意味で一言ずつあればお願いしたいと思います。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) おっしゃるとおりで、折に触れて啓発していきたい、啓発というのも失礼なんですけれども、やっていきたいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) メディアというのはやっぱり物すごく重要ですね。再生産されていくわけです。例えば、テレビドラマのシーンとか何げなく見ている。それがインプットされていって普通のことだというふうに思ってしまう。だから、そういうこともきちんと見ていきたいなというふうに思うし、それからメディアを今度は逆に積極的に使っていく。  例えば、これはいろんな国でやっていますが、一定の時間を貸してくれるんですね。そこでシェルターの宣伝をするとか情報を流すとか、それからゼロトレランスというふうに言いまして、もう我慢しなくていいんだと、声を上げようというような国全体の取り組みなんかがありますけれども、そういうところでメディアを、これさまざまなメディアがあります。そういうものは非常に有効なんですね。そういう使い方もあるんじゃないかなというふうに思っています。

小宮山洋子民主党・新緑風会

○小宮山洋子君 どうもありがとうございました。

大森礼子公明党

○大森礼子君 公明の大森礼子です。時間が十分しかございませんので、早速質問させていただきます。  まず、戒能参考人の「ドメスティック・バイオレンスと性支配」という論文を読ませていただきました。この中で参考人は「総合的な対応の法的枠組みとしてのドメスティック・バイオレンス特別法の制定が、法律学の緊急の課題であろう。」と、こういうふうに述べておられます。  それで、私はこのドメスティック・バイオレンス、特に犯罪としてのドメスティック・バイオレンス、こういう観点からお聞きしたいんですけれども、この中で言うドメスティック・バイオレンス特別法の制定、これについては刑法についても特別法のようなものが必要と考えておられるのでしょうか。今の刑法を、暴行罪、傷害罪とか逮捕監禁とか、これを一般法といたしますと、ドメスティック・バイオレンスについてはまた別の扱いをする特別法、これを必要とお考えなのでしょうか。もしそれが必要であるというのであれば、どの辺を変えたような特別法にすべきだとお考えでしょうか、お教えいただきたいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 確かに現行刑法で暴行罪、傷害罪、監禁罪、それから脅迫罪、これはあるわけです。九五年の北京会議のナショナルレポートでもこういう法規定があるのだということが書かれております。しかし、問題はその刑法規定が、先ほどの民事不介入、あるいは法は家庭に入らずということで、適用をほとんどされていない場合が多いということなんです。法律があってもそれが使われない状況、その壁を破るために、こういう私的な家庭内の問題であるけれども人権侵害なんだということを明確に位置づけた特別法がないと救済されないという現状があるということが一つです。  それから、DV特別法というのは刑事法的な側面がもちろん中核にはなるというふうに思うんですが、まず緊急対応、緊急介入という問題ですね。それからその後の生きて暮らしていく、セカンドステップといいましょうか、そこに対する支援の法的な根拠も要るわけです。ですから、必ずしも刑事法的な対応だけでは終わらないところにこの問題の特質があるわけですから、それを総合的にその法的なよりどころとする立法があった方がいいのではないかというふうに思っております。

大森礼子公明党

○大森礼子君 確かに刑事法、犯罪としてどう対処するかということは最後に来る問題かなという気もするんですね。  それで、警察が余り介入したがらないということも実はよくわかります。ただ、一一〇番してすぐ警察が来てくれれば、そこでちょっと警察に呼んで帰すとしても、あそこの御主人は警察に呼ばれたのよと、これだけでも非常に抑制力になるのかなという気がするんですけれども。  実は私もちょっと検事の経験があるわけですが、かつて夫が妻を殴ったという、これを傷害罪で起訴したことがございます。そのときにその夫は、最後まで夫である自分が起訴されるなんということは考えていなかったようですけれども、夫に妻を殴る権利はないということで起訴したこともあるんです。ただ、一般論として言いますと非常にこれは難しい。  それで、特に犯罪としてドメスティック・バイオレンスが位置づけられていないとおっしゃるわけですが、夫が妻に対して暴力を振るうと、これは不法な有形力の行使であれば暴行罪の構成要件に該当するし、傷害を起こせば傷害罪の構成要件に該当する。犯罪を構成することは間違いないわけです。それから、夫の妻に対する強姦もあり得るんでしょう。構成要件に該当する。間違いない。ただ、これを処罰すべきかどうか、刑罰権を行使することが果たしていいのかどうかという問題だと思うんですね。私なんかが扱ったのは大抵殺人事件でありまして、その前の段階は余り来ておりません。  それで、これは刑罰権を行使するのがいいのかどうかということで、同居している場合はまず捜査しにくいですね。本当に別居しているとか、あるいは破綻がはっきりしていないと、実際刑罰権の行使というのは難しい。我々実務でおりますとこの捜査をすることにさえ、二次的な、それがきっかけとなってより重大な殺人事件とかに行かないかどうかということも非常に考えますので、やっぱり身柄が、別居していてもうほとんど破綻状態でないとちょっと手を出せないのかなという気がします。  それから、妻の処罰意思が明確であって、その意思が維持されるということも必要となりまして、最初は処罰してほしかったけれども後でやめてと言われても、民事と違って公権力の行使については個人に処分権というのはございませんので、こういう問題もあります。それから、情状を考える場合にも、非常にこれは複雑なものであるということで、やりにくい部分があるわけですね。  私は、夫、妻という関係があったとしてもやはり暴力というのは許すべきでないと思うんですが、ただその夫婦が継続的な夫婦関係を求める場合に、果たしてこれは犯罪としてドメスティック・バイオレンスと位置づけることがいいのか悪いのかというふうに思うわけです。この点について刑罰権の行使はどうあればいいか、御意見をお聞かせいただければと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 非常に難しい御質問なんですが、これはアメリカでも実は刑罰権の行使というのは中心になっていますが、もちろん議論があるわけですね、刑罰権を行使しただけで有効かどうかと。その人が変わらなければまた繰り返してしまうというようなことで、カウンセリングとか治療とか、プログラムが立てられるようになるとか、あるいはコミュニティーベースで地域社会で総合的に対応しないとだめだとか、そういう問題が当然出てくる。ですから刑罰権万能とは私も必ずしも思っておりません。そして、確かに警察が来ることで、逆に二次被害を受けるとか関係が悪くなるとか、そういうこともあるのかもしれません。  それから、これは警察の方も裁判所の方も大抵おっしゃることですけれども、何が一番問題かというと、妻の意思が維持されないというか変わる、それをおっしゃるわけですね。来てくれと言ったのに、もう結構ですとか、変わるということをおっしゃるんですが、そこにDVの特質というものが抜けているから、認識が抜けているからではないのかなということがあります。今までそういう目で見てこなかったわけですね。通常の犯罪と同様の心理的な状況、あるいは精神的な状況としか把握してこなかったのではないか。  DVの特質というものを理解していきますと、これは揺れるわけですね。精神的にも揺れるし、それからDVの特質ということだけではなくて、別れるか別れないかというところで揺れない女性なんというのはほとんどいない。だから、そこのところにやっぱり何らかの専門家のサポートも必要ですし、警察の方の、あるいは司法の側の認識も必要だなというふうに思っております。そういうふうに揺れることの方が当たり前だと発想を転換して、そういうふうに考えて対処していく。  それで、もちろん警察権万能ではないんだけれども、処罰をするという社会的なメッセージというのは、個々の事例ではいろんな問題を含むかもしれませんけれども、やっぱり何と言ったって、これをやったって何にもおとがめもないんだよ、平気なんだよというのが余りにもばっこしているということが言えると思うんですね。

大森礼子公明党

○大森礼子君 確かに妻の意思がずっと明確であるとするならば、これは破綻を原因とすることで、現状の破綻する前のドメスティック・バイオレンスの問題についてどれだけ犯罪として構成することが有効かどうか、非常に難しい問題だと思います。ただ、女性の人権を守ると思ったらもう原則全部処罰として、それで検察官には起訴便宜主義で起訴猶予にする権限もございますから、これでもいいのかなと思うんですが、原則処罰にしますと前科がつきますので、これがまた破綻の原因になったりと、非常に難しい問題があると思います。  それから先ほど、もう時間がありませんので意見を述べるだけになりますが、夫の妻に対する強姦事件とか、こういうことについては確かに女性の立場が弱いからこういうのが立件されないという原因もあるのかもしれませんが、一つ立証という問題がございまして、これはドメスティック・バイオレンス、女性に対する暴力だけに限らず、お年寄りの方、子供、それから知的障害者、こういう方に対する犯罪で共通して言えることは、特に加害者、被疑者の方が否認した場合に非常に犯罪の立証が難しいという問題がございます。だから、夫の妻に対する強姦も犯罪としては客観的に成立するんだろうけれども、結局立証、それから夫に故意があったかどうかとか、こういう問題もあるのではないかなというふうに思います。  先ほどシェルターの点で売春防止法に補導処分の規定がありまして、「婦人補導院に収容」とかあります。こんなのは実際行われていないと思います。私もこういう補導処分なんという経験はございません。それから、婦人保護施設等の規定がありますけれども、これは売春防止法の規定としてはもう死文化しているのではないかなと思います、簡単に結論を言いますと。時代に適応しないものが残っていて、時代に適応すべき法制度がないということで、こういう制度の転用みたいなものもできても、施設の転用、こういうことも考えていきたいというふうに思っております。これについてはちょっとお答えを聞く時間がありませんので、また機会があればお教えいただきたいと思います。  以上です。

林紀子日本共産党

○林紀子君 きょうはお二人の参考人に来ていただきまして、どうもありがとうございます。私も時間がお答えを含めまして十分ということですので、大変申しわけありませんが、最初に質問をさせていただきまして、順次お二人にそれぞれお答えいただくという形をとらせていただきたいと思います。  まず、原ひろ子参考人にお伺いしたいんですが、ドメスティック・バイオレンスの被害者救援をしていくというところで、被害者の方たちが本当にここで逃げ出すということに踏み切るのに、やはり経済的な問題というのが非常に大きいんじゃないかと思うんです。先ほども、年金ももらえなくなる、それから健康保険証すらもなくなる、こういう話がありましたけれども、経済的な自立、離婚をするということになったら先々自立をするということも考えるわけですけれども、当面どういう形で経済的な援助というものを図っていったらこの方たちへの救援ということにつながっていくのか、その辺をひとつお聞かせいただきたいというふうに思うわけです。  次に、戒能参考人に二つほどお聞きしたいんですけれども、今非常に専門的な立場で大森議員から御質問がございましたけれども、現行の法制度で刑事法、民事法、これを救っていくためにどうしても改正をしていかなくちゃいけない面というのもあるんじゃないかと思うんです。  刑事法、民事法全部となると大変なあれになると思うんですけれども、特に参考人が例えば強姦罪の問題などで女性の意思に反したかどうかということを基準とするべきではないかと。ジェンダーの視点というんですか、それをきちんと確立するべきだということを述べていらして、本当にそうだなと私も思ったんです。ただ、今の法律学界というんですか、女性の意思を基準とすると法的安定を害するという考え方があるという、このことがよくわからないんですけれども、この女性のジェンダーの視点というのを本当に生かしていく重要性という視点から、今一番思っていらっしゃる現行法制の改正ということに触れていただけたらと思うんです。  それからもう一点は、きょうはドメスティック・バイオレンスについて中心的にお話しくださいましたけれども、セクシュアルハラスメントですけれども、参考人は大学のセクハラ撤廃の運動にもいろいろかかわっていらしたということを聞いております。最近文部省は大学のセクハラの問題で調査結果を発表いたしましたけれども、ほとんど大学側は何も対応していないということがこれで明らかになったというふうに思うわけなんですが、このセクハラを防止していく、それを大学で取り組んでいく、促進していくためには今どういうところが一番重要かというのをお聞かせいただけたらと思います。  以上の三点をお願いしたいと思います。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 今、林議員がおっしゃいましたように、経済的問題というのは大変深刻なことでございます。長期展望に立てば、先ほどの末広議員の御質問のときに触れましたように、年金制度とか税制とかその種のことを整備することが一つです。  当面の課題としましては、緊急避難のシェルターに預かっている期間が長くできるかどうかです。一カ所に預かれる場合にはおふろとかお台所とかいろいろ考えます。それからやはりすごい深刻なショックを受けて逃げ込んでいる方たちが三十人も四十人も一緒のところにいると、その方たち同士の心の何か響き合いで精神的にもいい状態にはならないというので、やっぱり小さなグループで、そこにサポートする方が一緒に寝泊まりするというようなことも必要なので、その種のスペースの確保。しかも、これは隠れていなくちゃいけないわけです、わかっていて追いかけられると大変なので。時折そのシェルター自体がどこか動くというふうなことも必要なので、このことを民間でやるというのは大変でございます。  この種の緊急の問題としては、やはりいる場所と食べる御飯、その間にいろいろなカウンセリングとか、心が落ちついて自分のその後の生活について対応するとか、それから本当に離婚を決意するとか、その種の時間も必要なので。とりあえずはそういうことだと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 一点目は、新たな立法ということではなくて現行法の改正点、これはたくさんあるというふうに思うんです。  それで、刑法の強姦罪を御指摘なさいましたけれども、刑法の強姦罪の構成要件、暴行、脅迫という構成要件、それが解釈によって判例では加重的といいましょうか、相手が抵抗するのを著しく困難にするほどの暴行、脅迫というようなことになっています。  結局は裁判においては被害者がどれだけ抵抗したかということが問われる、そしてさらに合意かどうかということが問われるから、そうするとそこでさっき大森議員がおっしゃったように未必の問題です。どっちの証言が信用できるかという争いになる。そうすると、そこに出てくるのが、非常に古臭い言葉がいまだに判例に出てきますけれども、貞操観念なんというのが出てきて、それで貞操観念のないような女性の証言というのは信用できないというようなことになっていって、結局、強姦罪がオール・オア・ナッシングで無罪になるというような判決なんかも出ている。  例えば、アメリカなどで医師にかからせるのはどう思うかと、直接そのときに聞くということではなくて、どういうふうに法的に構成するかというと、加害者の行為によって犯罪を構成していく。どこまでやったかということです。何段階かにミシガン州なんか分かれているというふうに思うんですが、日本の場合は性交、姦淫というふうに刑法の条文では言っております。セクシュアル・インターコースがあったかないかという、そういうことではなくて、実は性的な自由を侵害されたということが女性にとって人権侵害だと。法益になるわけですから、その辺を変えていくべきだというふうには思っております。  そのほかにも、ドメスティック・バイオレンスで言えば、すぐにこれはできるのかどうかというのはちょっとよくわからないんですが、保護命令に当たることを日本の民事差しとめ命令でもっと使いやすくできないものだろうか。例えば、保証金が五万円要るといったときに、逃げてきたときに五万円なんかないわけです。交通費さえないわけです。交通費は今福祉事務所が法外金を貸してくれるとか、そういうことはあるんです。でも、五万円用立てするのはかなり困難なことだと。  それから夜中にやれない。これは婦人相談所でもそうなんです。夜中に行ったら帰されちゃったなんという人もいるわけです。最近は一晩だけ泊めて、そして原則としてこれは福祉事務所を通さなければいけないということになっておるわけです。これはお金の問題が必ず絡むから、生活保護が出てくるから福祉事務所に行きなさいということなんです。  そういうものを、例えば保証金は必要ないとか、それから時間ももう少し広くするとか、それから欧米で言う緊急差しとめ命令というんでしょうか、緊急の場合はその被害者の言い分だけを聞いてとりあえず差しとめ命令を出すとか、その後、加害者の言い分も聞いていくというような手続とか、そういうものはできないのだろうかというので、若干その差しとめ命令を実践している弁護士さんも最近は出てきているということです。  それから、さっきの経済的な自立と関係してくるんですが、やっぱり社会保障の問題が大きい。生活保護、それからもう一つは児童扶養手当というのがございます。現行では児童扶養手当の支給要件というのは幾つかあるんですが、遺棄は一年以上なんです。そうしますと、離婚は成立しないけれども逃げて別居しているというその一番必要なときに支給されないとか、それから生活保護も、これは困窮していれば、生活保護法上は困窮状態にあればこれは離婚していようがしていまいが出すはずなんです。しかし、これもどこの福祉事務所でもそういうふうにしているかというと、必ずしもそうでもない。  生活保護を受けるということは、かなりこれは、そんな惨めな身分になってしまったのかとか、それからプライバシーが、つい立てもないような福祉事務所で事情を聞かれるわけです。暴力のことも話さなきゃならないとか、そういうところまで配慮したものにしなければいけないというようなこととか、実情に即して言えば経済的自立、働く場がないなら当面はという限定づきでも社会保障できちんとカバーすべきだと。  それで、生活保護の基本というのは、自分で働いてきなさいということが大もとにあって、それができないからということなんですけれども、例えば逃げてきて、別に病気でも障害もない、だけどすぐに働けないというときに、当座に生活のためにそこから生活保護は少し出してもらうとか、そういう臨機応変なことがDVの実情に即したことで例えばできるんではないかなとか、いろんなことを思います。  それから二番目のセクシュアルハラスメントで、大学の対応ということですけれども、これも裁判が京都大学の事件を皮切りに幾つか重ねられてきまして、そして九〇年代、セクシュアルハラスメントの中で一番おくれてきたセクシュアルハラスメントとして大学のセクシュアルハラスメントがございます。これこそ実態が明らかになっておりません。隠されております。学生、院生、それから職員、教員、しかも職員と教員が非常に複雑な身分構造にございます。雇用関係が非常勤とか非常に複雑になっているし、上下関係もはっきりしているという中で最も潜在化されているというふうに思います。  その中で、しかし今、大学側も去年ネットワークをつくりまして、文部省がやはり動いた、アンケートをした効果というのは抜群だったんです。国が、文部省が動くと、これは建前でもやらなきゃいけないというふうに大学は思います。それで、事件のあったところなどを中心にしてガイドラインづくりが今進んでおりまして、相談窓口をまずつくっていく、それからそのための機構をつくっていく。そうしないと、学部自治とか、自分たちは自分たちで守り合うという体質が残念ながら大学には非常に強くあります。ですから、決して加害者は損をしないような問題の処理の仕方を今までしてまいりました。ですから、きちんと公正中立な機構をつくって、そこで解決をしていくという機構づくり。  それから三番目に、やっぱり予防ということです。だから、さっきの意識改革とか学習とか、そういうものを積み重ねていく。どうしてもこれは自分の問題だと考えないんですね。ちょっと変わった異常な教員がいて、その教員がやっていることだ、自分には無関係だという、その他多数というふうに思っちゃう人が多いんですね。その辺で、まだまだ小さいんですけれども動きは始まっている。ですから、ぜひ文部省に大学の、それこそ人事院では公務員のガイドラインをつくったわけですね。それと同様に大学に働きかけていただきたい。ガイドラインをつくる、そこにはこういうのが必要なんだというようなことをぜひ働きかけていただきたいというふうに思っております。

林紀子日本共産党

○林紀子君 ありがとうございました。

福島瑞穂日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会委員

○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。  きょうは夫婦別姓選択制や個人単位のことまで言及していただいてありがとうございます。私も何点かお聞きしたいと思います。  まず第一に、私自身もどっちがいいのかちょっと考えておりますのは、アメリカのような女性に対する暴力防止法という包括的な法律をつくった方がいいのか、それともとりあえず取り組むべき課題はたくさんですからドメスティック・バイオレンス法というものをつくった方がいいのか、ちょっと踏み込んで、どちらの方がいいのかというのはお聞かせ願えますでしょうか。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 両方あればいいんですけれども、そういうふうにお聞きになれば、とりあえず今問題が少しずつ明らかになってきて緊急性を要するということでDV法から手がけていただくというのも一つ考えられるというふうに思っています。

福島瑞穂日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会委員

○福島瑞穂君 それで、ドメスティック・バイオレンス法に何を盛り込むかということで、先ほどから保護命令について特に保証金なしで命令が出せたらどうかというふうなことをおっしゃいましたけれども、保護命令あるいは暴力夫への刑事手続、子供・被害女性の治療援助、住まいの提供、生活再建支援としての生活保護、例えば離婚手続における調停前置主義の例外、つまり調停をやらないと原則として家庭裁判所、地裁、高裁、最高裁ですから、最高裁でやっと離婚が成立するなんというケースも私はやりましたけれども、調停前置主義の例外を認めたらどうか。民間シェルターなどNGOへの活動助成、専門家に対する教育などあると思うのですが、何を盛り込んだらいいのかということをもう少し具体的に言っていただけたら。  あるいは保護命令の中身で、例えば仮の親権について判断できるとか仮の生活費について判断できる、仮の生活費支払いについての履行確保や、例えば逮捕を義務づけるとか、先ほどおっしゃいました保護命令違反を犯罪とし、違反行為に対し逮捕を義務づけることまで盛り込むべきかどうかについての見解を教えてください。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) もうあらかた盛り込む内容を委員の方からおっしゃったんですが、やはり実質的な中身はそうだと思うんですが、その前に三点あるというふうに思います。  それは、高らかにやはり目的を、姿勢を明らかにするということです。何のためにこの法律をつくるか、やっぱりドメスティック・バイオレンスはあってはならないものだということを明示するということです。それともう一つは、被害を受けた人に本当に実効性ある対応をするんだということをきちんと法律に盛り込むことが、これはニュージーランドの例を今申し上げたんですが、必要だと。  二点目は、やはり定義の問題が欠かせないというふうに思います。何をもってドメスティック・バイオレンスとするかということです。これはできるだけ幅広く私は含み込んでいくべきだというふうに思っています。  三番目は対象となる関係です。日本は婚姻関係が九割以上、九十何%でしょうか、結婚する人、夫婦が大変多くて、それが当たり前のように思われていますが、そうではないわけです。事実婚もあればさまざまな関係がある。だから、その対象となる関係、これも世界的な傾向としては事実婚、それから例えばアソシエーティッドパーソンというような、何というか、ともかくつながりを持って一緒の場にいる人というようなことなんでしょうか、そういうところまで広げて幅広くカバーしていくというような傾向がございます。  ですから、まずそういうことをきちっと位置づけていかないと、セクシュアルハラスメントでも何がセクハラとかという、そういう議論がすぐに出てきてしまうということで、そういうところを議論していく。先ほどの小宮山委員の御質問のまたお答えになるのは、そういう議論を十分ここでやっていただいた上で立法化というふうにしていただきたいなと思います。その上で保護命令、差しとめ命令でありまして、やはり違反した場合ということで、これはあったらすぐに一一〇番をして逮捕するということではなくて、違反した場合に直接的な制裁として逮捕権限を持つということをしてもいいのではないかというふうに私は思っています。それと緊急申し立て、緊急差しとめ命令もちゃんと規定していくということ。  それから、調停前置主義の例外というのは、これは実はアメリカの先ほど言いました模範法典に書かれていることなんです。これはドメスティック・バイオレンスの特質からいうと対立構造なわけです。調停というのはいかに円満に仲よくさせるかというような基本的な姿勢がありますね。そこで、これは無理であるということが一点と、それから現実的な問題として大変危険だということです。これは幾つかの家庭裁判所で今配慮をなさっていらっしゃいまして、別々の時間をとって調停をやるとか、出入りのときに時間をずらすとか、ガードがつくとか、待合室を別にするとか、さまざまの配慮を例えば東京家裁とか横浜とかなさっていらっしゃいます。しかしながら、それでいてもなお危険というのは、これは法廷での事件、日本も幾つかございますが、あるということなんです。  それから、先ほどの仮処分のことはそのとおりだというふうに思います。  それから、DV防止法にぜひ盛り込んでほしいことは、シェルターの女性もそうなんですが、総合的な窓口をどこか一つ置くということを考えていただきたい。そうなりますと、やはり一遍そこに本人が行けば、そこからネットワークがあるなり、あるいはそこにそれぞれの機関の専門家がいるなりして、本当にあちこち行くエネルギーはもうないという状況のときにそういうことをしなければならないし、機関ごとのそごもあります。ですから、そういう総合窓口をぜひこれは設けてほしい。  そして、婦人相談所が今ありますけれども、各県でばらばらですから、非常に国民間の不公平という問題が現実には出てきているわけです。関東地方などあるいは北海道だと進んでいるし、シェルターもある。でも、シェルターなんてないところの方が多いわけですよ。婦人相談所も一生懸命努力はしていらっしゃいますけれども、非常にばらつきがあるということですから、ニーズに対応した対応がそこで総合的にできるというような窓口が欲しいということ。  それからもう一点は、DVの特質ですべての領域にわたるということがございますので、機関同士のネットワークあるいは民間とのネットワークでそのプログラムをつくっていくんだとか、そういうものもぜひ組み込んでいけたらなというふうに思っております。

福島瑞穂日本弁護士連合会両性の平等に関する委員会委員

○福島瑞穂君 国際人権規約のB規約の審理が行われ、十一月六日に三十項目にわたる勧告が日本に対してなされたわけですが、その中に女性に対する暴力についての勧告もあります。  委員会は、女性に対する暴力、とりわけ家庭内における暴力と強姦が頻発していること、及びこのような行為を撲滅するための救済措置が存在しないことについて引き続き重大な懸念を有する。委員会は、日本の裁判所が性関係の強要を含む家庭内暴力を結婚生活における通常の出来事だと考えているように思われることについて心配するという勧告が出ております。  大森さんは研修所の同期ですが、確かに立証の問題もあると思いますが、ただ刑事の裁判例で破綻している場合であるから強姦を認めるといったケース、それから民事で、これは東京地裁八王子支部などでは、夫は妻に対して性交要求権があるといった判決、あるいは暴力があっても離婚を認めない判決、離婚は認めるけれども慰謝料請求を認めない判決など、実際、裁判官への研修、もちろん弁護士も必要だと思いますが、その点についてはいかがですか。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 全くそのとおりだというふうに思います。  それで、弁護士の方も多くいらっしゃるんだというふうに思うんですけれども、今年度札幌で行われた日弁連の人権擁護大会ですか、その中に判例なども詳細に紹介されております。そうしますと、例えば今おっしゃったとおりで、慰謝料は認められたとしても非常に低い。それから、これはいろんな裁判例を見ていくと、一つ有名な裁判といいましょうか、青い鳥判決なんというふうに呼んでいるんですけれども、一言で言えば我慢しなさいと、老後行くところもないんだから暴力は我慢していなさいというような判決が出てきたりなんかする。そういう状況はセクシュアルハラスメントも同様、それから強姦裁判についても同様だというふうに思います。  これは司法研修所から始まって法学部の教育もそうなんですが、とりあえずはやはり裁判官、検察官の研修プログラムを立ててほしい。プログラムをきちんと立てて、その上で研修を実施していくということが必要だというふうに思います。

入澤肇自由党

○入澤肇君 入澤でございます。  先ほどからいろんな有益な話を聞かせていただきましてありがとうございます。  実効性のある対応ということを再三言われておりますけれども、暴力の内容につきましては東京都の調査とか何かでまあこういうことかなというふうなことがわかるんですが、その暴力の原因について資料がないので、もしおありでしたら御説明願いたいんです、その原因について。  また、時代の変化、流れで変わってきているのかどうか。精神的な暴力、身体的な暴力、性的な暴力というふうに区別がなされておりますけれども、それぞれにつきましてどのような変化があるかということ。  それから三つ目は、実態として、夫の職業あるいは妻の職業あるいは所得水準、こういうことで暴力の中身が違うのかどうか。そこら辺をまず第一にお聞きしたい。  それから、先ほど大森先生からお話しございましたけれども、一般の暴力事件とこのドメスティック・バイオレンス、これは構成要件が相当違ってくるのじゃないかと思うんですが、アメリカなり韓国の法令ではどのような違いが見られるかということについてまずお聞きしたいと思います。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 最初の方の御質問なんですが、この原因は例えばアメリカなどでいろいろ言われていて、こういうタイプの男性だとかそういうのも出されているんですが、これはさまざまだというふうに思います。  生育歴の問題がある場合もあるだろうし、それからいわゆる男らしさとか、そういうものに非常にとらわれて支配欲が強いとか、そういうこともあると。それからアルコールの問題もあるだろうし、それがその一人の人に複合的にあらわれる場合もあるだろうと。しかし基本的には、ちょっと大ざっぱな言い方だというふうに思われるかもしれませんが、この社会の中の力関係といいましょうか、そこで男性が優位に立っているというようなことが背景にやっぱりあるんだと。それが家庭の中で、個人的な関係なんだけれども、それをバックにして個人の関係があるんだというふうに私は理解しております。ただ、その原因については今後の課題だと思います。  例えば、DVというのが統計上あらわれないので調査しようがないわけですね。ですから、間接的に被害を受けた女性からどういう人でありたのかとか、どういうことがあったのかとか、間接情報しか今はないということですっ自助グループなどが盛んになってきて加害者の声というのが出されるようになってくれば、その辺の検討というのも進んでいくのかなというふうに思います。  それから、暴力がどのように時代に従って変わってきたかということは、この暴力が問題化されたのがつい最近のことでありますので、しかし伝統的にあったということで、食卓ひっくり返しとか身体的な暴力というのは暴力として認識されるわけですね。しかし、問題は心理的な暴力や性的暴力が暴力として認識されないということだと思うんです。そこまで目が行くようになった、あるいは気づいてきたということだというふうに思うんです。  暴力自体はケースによって、例えば最初は身体的暴力が続いたが、年をとるに従って身体的暴力ではなくて言葉の暴力がひどくなったとか、無視とか、そういう心理的な抑圧がひどくなったとか、そういうケースもありますし、複合的に、この東京都の調査のデータにも出ていますが、四割ぐらいがほぼ三つ同時に受けているというデータもたしかあったというふうに思います。そのことも、暴力の形態というのは非常に重要な問題だというふうに思います。  それから、夫の職業、所得水準なんですが、これは今得ている情報に限ってということでありますが、全然有意な差はないということです。高所得であろうとどの職業であろうと、DVを私どもが調査しましたときはさまざまな職業が出て、もちろん日本の国民の人口構成を反映していて、勤労者というんでしょうかサラリーマンというんでしょうか、そういう方が多い。自営業者とか多いんですけれども、この職業だからあるとか、この職業にはないとか、所得が高ければないとか、そういうことはなくて、かえって所得が高い人は、例えば暴力の形態、顔に出るようなところは絶対殴らない、首から下に傷つけるとか、そういう配慮をしながら暴力を行うというようなことは見られるけれども、有意の差はもう全くないと言って私はいいというふうに思っています。  それから二番目がちょっと難しくて、構成要件といった場合に、これは例えばそれぞれの国が、さっきのDVの定義のところで……

入澤肇自由党

○入澤肇君 一般の刑法の規定とドメスティック・バイオレンスの場合、ちょっと同じように扱えない。罰するかどうかというのは裁量行為かもしれないけれども、そうではなくて、新しく法律を制定しろなんという場合、ちょっと構成要件が違うんじゃないかと思いますので。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) それは、刑法の場合、性犯罪というようなくくりをしております。そして非常に限定的です。強姦と強制わいせつということになると思うんですが、それに入らないんです。そうすると、例えば性犯罪被害者対策というのを警察庁が進めておりますが、そこで性犯罪というくくりをしてしまうとDVはこぼれてしまうという実際的な問題があります。  それで、さまざまな国は、DVの定義で、一つは身体的暴力だけではないということです、心理的、精神的な暴力だと。それからもう一つは、具体的な行為にあらわれるだけではなくて、一つの行為だけじゃなくて、複合性を持つというか、一つ一つは小さくてもそれがトータルとして暴力になっているというものも、例えばニュージーランドなんかはそういうことを明記しているんですけれども、そういう形でやらないと暴力の現実に合っていかないという意味で、もちろん特別立法をするときにDVとは何かということから当然変わってくるということだと思います。

入澤肇自由党

○入澤肇君 非常に難しい問題でしょうけれども、この暴力、ドメスティック・バイオレンスを含めて、人権問題にきちんと位置づけなくちゃいけない。  男女の暴力の問題、差別と暴力の違いです。差別という精神的な苦痛を与えて、それがイコール暴力だというふうに言われるのかどうか。差別と暴力の境目あたりの議論はかなり、もし立法などをする場合に難しい問題として、しかし議論しなくちゃいけないと思うんですけれども、どういうふうに今のところお考えですか。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 大事なことは、被害者と自認する方がその差別的行為を暴力だと認識するかどうかというところだと思うんですっそうすると、先ほどからも出ていますように、どういうふうにしてそれを立証するかということが法律の上では難しくなると思うので、そのあたりはやはり社会的な常識というものの変革をして、差別がいかにいけないことかというふうなことでいく。社会全体の文化的な状況を改善するというふうなことと並行してやらないと、いわゆる裁判や司法の技術的なことだけに依存していると究極の解決にならないことが多いと思います。だから、両方あわせていかなきゃいけない。  それから、法制度の整備だけでなくて、先ほどから申しているような年金とか社会保障の問題をあわせていくことが非常に大切だと思います。  それともう一つは、やはり最終的に被害者の安全の保障ということがとても大切です。仮に法律で処罰されて刑務所に入るという残念な事例が出た場合に、その方が出所していらしたときにお礼参りみたいなことがあると、今度は逆にその被害者の女性はついにはその相手を殺してしまうぐらいの情念の状況になるわけですので、仮に刑務所に収監されるようなことがあった場合に、今度その方が釈放されるときの被害者の側の保護などに関する法律、例えば二キロ以内とか三十キロ以内に近づいてはいけないみたいな法律をつくっているところもあるようですけれども、そっちもあわせてやっておかないといけないかなと思います。

堂本暁子参議院の会

○堂本暁子君 きょうは私たちの常識を超えたようなお話もたくさん伺いまして、この調査会の責任はとても大きいと改めて思っております。ありがとうございました。  最初に原参考人に伺いたいんですけれども、韓国の例をいろいろお引きになったんですが、日本と韓国は非常に近くて、しかも同じアジアの国でありながら、このいただいた資料を見ますと、韓国にはもう既に女性に対する暴力への取り組みというのが、九三年に法律が制定されていて性暴力法、正式には性暴力犯罪の処罰及び被害者保護に関する法律ができ、それから九五年には女性発展基本法、九七年には家庭暴力犯罪の処罰等に関する特例法、そして同じ九七年には家庭暴力防止及び被害者保護等に関する法律というふうに、もうここ七、八年の間にどんどん進展しているんです。  文化的にも儒教文化の中で、日本と韓国がこれだけ近くありながら、どうして韓国ではこれだけの法整備がなされていながら日本ではそれがおくれているのか、それはなぜだというふうにお考えでしょうか。

原ひろ子お茶の水女子大学ジェンダー研究センター長・教授/男女共同参画審議会委員(女性に対する暴力部会委員)

○参考人(原ひろ子君) 先週韓国に行きましていろいろ伺ったところの印象、それからその前からの私の韓国の方々とのおつき合いなどで見ますと、韓国では、NGOだけではなくて、官僚の方や国会議員の方なども、国連でのさまざまな人権に関する議論の積み重ね、それからほかの国々でどのように人権に関する問題が動いているかについて割に御存じの方々が、全員ではありませんがいらっしゃるような気がします。そこで話が進み始めれば早い。それから、国際的な常識に照らし合わせていい国だというふうな印象を外で持ってもらえるようにしょうとか、そういう気持ちになりやすい状況があったんではないかというふうに思います。  日本の場合には、GNPが高くなったために、この種の国際的な動きがある際に、国会議員の方や官僚の方ないしはNGOの方がそういう会議にお出になるときに、国連の組織の側からは旅費が出なかったり、日本は金持ちだから自分たちで来なさいというふうな形でいるために、このことだけではなくてあらゆることに関しまして、ASEANの会議、ESCAPの会議というところでも残念ながら日本人がそういうところに出ていないことが多いような気がします。  それから、ヨーロッパやアメリカで会議があるときも、日本人に来てほしかったのに来なかった。でも、途上国の方たちや欧米は国連からお金が出て、役人であろうと何であろうと行っているというふうなところで、非常に私はお国のために憂えるのは、いろんな意味での国際的な常識に関して私たちの層が薄いということがある。  そのようなことの絡みで、この韓国での動きというのは割に、それでもそんなにスムーズじゃないそうですが、これは議員立法だそうですができていったというふうにへそれで男性の議員の方もこのことに随分御熱心にお動きになったというふうに伺っています。

堂本暁子参議院の会

○堂本暁子君 ありがとうございました。  実態は、どちらの方がどうなのかということの比較は難しいとは思うんですけれども、余り違わないんじゃないか。とすれば、やはり日本の方がおくれていると思わざるを得ないと思います。  会長に一つお願いをして、最後に戒能参考人に私はちょっと質問したいんですけれども、質問に参ります前に、もう一番終わりまで参りますと質問はほとんど出切っていて、もうこれ以上質問をすることは余り有意義じゃないと思うので、一つぜひ会長に御配慮いただきたい、また委員の方たちにもお願いしたいと思います。  きょう、今の原参考人の韓国のお話、それから戒能参考人からはアメリカの例もたくさんお出しいただきました。そういった国際比較の中で、日本が決してそういう意味で先進的ではないということだけははっきり言えると思います。  それから、実態について東京都の例、それから原因についてのいろいろなお話、そしてとるべき対策としての法体系、法整備のあり方、どういう立法をしていくべきなのかというようなお話、そして特にドメスティック・バイオレンスについては実効性のある施策を望むという参考人からの強い要望がございました。また、福祉的な裏づけあるいは緊急対策、そしてそれに対しての継続的な救援体制とか福祉サービスのような体制のつくり方ということが出されたわけなんですけれども、ぜひともこれをきちっと整理していただいて、一つ一つ詰めの議論をしていただいたらいかがかと思います。  と申しますのは、恐らく二十年ぐらい前に児童虐待の問題がアメリカで起こったときに、もうじき日本に上陸すると言われたら本当に十年後に上陸してきました。そして、アメリカの場合も拡大再生産というか、児童虐待を受けた子供が親になって虐待をするという実態があったのと同じように、ドメスティック・バイオレンスの問題あるいは女性に対する暴力も拡大再生産されていく性格のものだと思うんですね。ですから、やはりこの調査会はそういった意味で非常に大きな役割を担っているように思います。  恐らく、刑法の、法制審は動かない状態に今ありますし、立法府で立法する以外にこの法律的な対応は刑法の場合には難しいんではないかということを考えますと、この調査会でしかるべき本質に迫るような内容をぜひとも出す、そしてできれば立法作業まで進むということが大事なんではないかというふうに思いますので、そのことを会長並びに委員の皆様にぜひこれから精力的にこれはここでやっていかなければいけないんではないかということをお願いしたいということが一つです。  そしてあともう一つ、きょう一日ずっと伺っていて思いましたのは、やはり日本の法体系、特に刑法だと思いますけれども、が時代の実態と余りにも落差が大き過ぎると。戒能参考人が、いろいろな法律に分断されていながら、実際の被害者なり加害者もそう言われるかもしれませんが、体は一つだと。にもかかわらず、もうありとあらゆるがんじがらめになってうまくそれが機能していないということをいろんな形でおっしゃったと思うんですけれども、この時代の落差みたいなもの、それを乗り越えていかざるを得ない緊急性が今あると私自身は思っております。  その点で、もう少し包括的に整理をしていくために、これから細かいことは法律の専門家、大森先生や福島さんからたくさんお話が出ましたけれども、そういった落差を相当思い切って、これは閣法で出す法律ではなくて、立法府で思い切ってやるとすれば先生ならどうなさるかということを最後の質問にさせてください。

戒能民江東邦学園短期大学教授

○参考人(戒能民江君) 本当におっしゃるとおりで、思い切った立法化をここでも御審議いただいて、御提案いただけるものと期待しております。  児童虐待の話が出ましたが、今、私はいろんな機関などでお話を伺って、調査などして感じることは、やっぱり女性が独立の個人として、女性として権利が保障されるという考え方になっていないということなんですね。いつも子供と一緒あるいは子供のためにということで、女性が選択して自分で決定して生きていく、それをサポートしていく、そういう視点が必要なんじゃないかなというふうに思います。もちろん子供のことは大事で、妻が夫から暴力を受けている、ほぼ六、七割は暴力を受けているという現状もあるし、いろんな影響を与えています。だから、総合的に見ていかなければいけないんですが、決定的にやはり法の中の女性の視点が弱い、女性の人権の視点が欠落しているということだと思うんですね。ですから、そういう視点を明確に、十分御議論なさって、これは今までのおくれを取り戻すような急速に立法化へ向けて御審議、御議論をぜひなさって具体的に御提案いただきたい、そういうときは機会を設けて市民の女性たちの意見を、現場の声をぜひ反映した立法をしていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いいたします。

堂本暁子参議院の会

○堂本暁子君 結構です。ありがとうございました。

石井道子自由民主党

○会長(石井道子君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。ただいまお述べいただきました御意見につきましては、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じます。本調査会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十八分散会

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