労働・社会政策委員会 第15号
- 発言数
- 222 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1998/04/07
会議録
○委員長(鹿熊安正君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。 委員の異動について御報告いたします。 昨日までに、馳浩君、常田享詳君、平田健二君及び吉田之久君が委員を辞任され、その補欠として上杉光弘君、佐藤静雄君、勝木健司君及び長谷川清君が選任されました。 —————————————
○委員長(鹿熊安正君) 去る三日、予算委員会から、本日から明八日正午までの間、平成十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管について審査の委嘱がありました。 この際、本件を議題といたします。 予算の説明につきましては既に聴取いたしておりますので、これより直ちに質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言願います。
○石渡清元君 予算委員会委嘱審査の質問をさせていただきます。 過半の日銀短観の経済情勢発表にも非常に厳しい状況が示されました。さらにまた、平成十年二月の雇用失業情勢、これも非常に厳しい発表を労働省はされたところでございます。三月がどういう傾向にあるか、おまとめになっているかどうかちょっとわかりませんけれども、雇用失業情勢、有効求人倍率あるいは完全失業率、就業者数等々がどうなっているか、現状をまず御説明願います。
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま御指摘の現在の雇用失業情勢でございますが、三月の数字につきましてはまだ現状においては把握いたしておりませんが、二月の有効求人倍率、これが〇・六一倍ということでございまして、六カ月連続して低下いたしております。 完全失業率につきましては、主要先進国に比べますとこれはなお低いわけでございますけれども、現行の調査方法となりました昭和二十八年以降我が国としては最悪の三・六%という高い水準となっておりまして、雇用情勢が厳しい状況にあるというふうに認識いたしております。 この解決策はなかなか難しいわけでございますが、やはり当面の雇用、これは景気が回復することによって確保されるわけでございまして、したがって現在御審議いただいている予算案の早期成立等によりまして景気が回復することを私ども期待いたしているわけでございます。 労働省といたしましては、このような雇用動向を十分注視しながら、各般の対策を一生懸命進めることによって何とか一人でも多くの方々を再就職に結びつけていくよう努力をいたしているところであります。
○石渡清元君 この雇用失業情勢の厳しさというのは今始まったことじゃないんです。かなり厳しい状態がずっと続いておるわけでございまして、毎回同じような答弁があるわけでございます。 こういったような現状に対して、労働省は失業を予防しようとしているのか、あるいは失業した人の再就職の手当てに重点を置いているのか、あるいは雇用の創出にウエートを置いているのか、こういう厳しい時代にどういうふうに雇用対策を進めていこうとしているか、基本的な考え方を伺いたい。
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま三点についての基本的な考え方という御指摘でございますが、私どもそのいずれにも重点を置いていかなければならないというふうに考えております。 大変厳しい雇用情勢にありまして、雇用はもう申し上げるまでもなく産業経済の中に創出されるものでございますから、そういう意味では産業経済が安定的、持続的に発展していく、そういう形にならないとなかなか新たな雇用が創出されない、こういう観点で経済構造改革等を進めているわけでございます。そういう中で、一方では雇用情勢が厳しくなる。そういう意味で、短期的にはやはり景気の回復を図られなければならない、こういうことでございます。 その中で、労働省としての雇用対策といたしましては、雇用調整助成金等を最大限活用していただいて、できるだけ失業の予防を図っていただく、それで雇用をつなげていただく、こういう対策、これは従来どおり実施しなければならないと思います。現実に失業者がふえているわけでございまして、そういう方々については、これは雇用保険による失業給付によって生活の安定を図ることとあわせて再就職に努めていく。 あわせて、新たな雇用創出、これは労働省という立場からの対応についてはなかなか限界もあるわけでございますけれども、例えば中小企業労働力確保法等に基づくベンチャー企業あるいは中小企業が新たな雇用をつくり出す場合の支援等、こういうものも積極的に進めていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
○石渡清元君 よく見てみますと経済環境も大分変わってきておりますので、その中で就業構造自体も変わってきておるわけでございます。そういう就業構造の変化、あるいは雇用の流動化というのか、その辺の認識についてはどういうふうにとらえていらっしゃいますか。
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のような面もあろうかと思います。何をそのメルクマールとして就業構造が変化しているかというのはなかなか難しいんですが、例えば終身雇用制がどうなっているかという点につきましては、これは確かに割合は少なくなっております。大まかに言いまして、従来八〇%ぐらいであったものが現在では七六%ぐらいの数字かと思います。これはさらにもう少し減少していくのではなかろうか、こういうふうに言われているわけでございます。 それから、情勢が非常に厳しい中でございますが、サービス業等については雇用がふえてきている、サービス経済化を反映している。一方で、製造業あるいは建設業、こういうところで最近非常に厳しい状況がございます。 今後の見通しとしては、これはもう労働大臣が繰り返し申し上げておりますように、今後伸びていく産業等について、情報産業あるいは福祉、生活文化、そういうところで雇用がふえていくだろう、こういう見通しをいたしているところであります。
○石渡清元君 それでは、労働省がよく使われている言葉、労働力需給調整機能の強化、では具体的にどういうふうに需給調整機能の政策を進めておられるのか。
○政府委員(征矢紀臣君) 労働力需給調整機能、これは官民両方ありまして、官民が連携しながら対処していくことが今後の方向であろうというふうに基本的に考えております。 官の需給調整機能としては、これは御承知のように公共職業安定所におきまして厳しい雇用失業情勢に対処して求人を確保し、これは特に中高年、ホワイトカラーが厳しいということで、労働大臣の御指示でホワイトカラー等雇用支援ネットワークというような形での求人改革を始めておりますが、求人を確保した上で職業相談をし、あっせんをして再就職につなげていく、これが官の今後の非常に重要な役割であろうというふうに思います。その間に、情報化の中でネットワークについてもコンピューター処理をする等の情報化対策もあわせて行わなければならないというふうに考えております。 それからもう一つの柱として重要になってきておりますのは、やっぱり民間の役割分担ということで有料職業紹介事業、これにつきましてはコマーシャルベースで民間で職業紹介をする、この対策。あるいは労働者派遣事業という形での民間の需給調整機能、こういうものもあわせて今後重要になっていくであろうというふうに考えております。
○石渡清元君 官の労働力需給調整、公共職業安定所中心のお話がございましたけれども、公共職安が十分機能しているかどうかということは、先ほど失業情勢の数字が示されましたが、求職者はかなりいる、一方では求人もかなりあるんです。その中でなかなかうまく就業ができない。この辺の原因というのはどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(伊吹文明君) 先ほど来先生が御質問になっていることは、我が国の経済の現状あるいは国民一人一人の生き方に深くかかわっていることだと思って、私、実は伺っておりました。 御指摘がございましたように、やはり中長期的には雇用を創出していくためのいろいろな手だてを規制緩和あるいは技術開発等でやっていかねばなりませんし、労働省も労働省の所管分野でそれをお手伝いすることをやっていく。同時に、短期的には経済の運営よろしきを得て、できるだけ雇用機会が失われないようにやっていく。万一失業された方については、今御質問があったように、求人と求職のミスマッチができるだけないようにやっていく。そこで、求人がたくさん出てきた場合は求職者の方の希望にかなう先が多いわけです。ですから、やはり長期的には求人をたくさんつくり出すような構造改革をやり、短期的には景気をよくしていかなければならないと思うんです。 二つほど私、例を申し上げたいと思いますが、一つは山一の場合、求職は約九千人ぐらい、八千数百人の方が求職をされたわけですが、求人は実は二万ぐらい来ておるわけです。ところが、やはりいろいろな条件が合わないということが結構ございます。突き合わせをいたしましても条件が合わないということはございます。それから、若い方々は今失業率が七%ぐらい、二十五歳以下は。ところが、有効求人倍率は一を上回っているわけです。求人はあるけれども、おもしろくない、あるいはそこへ行きたくないと。ある意味では日本はそのような余裕のある国に実はなったという、社会的な大きな流れも一つあると私は思います。 本当にこういう仕事でいいんだけれども、そして、そういう仕事が実はあるんだけれども、職安の機能が不十分だから突き合わせができないという部分、それがないとは私は申しませんが、そういう部分と、あるんだけれども求職者の方のお気に召さない、またはお気に召さなくても、しばらくは職につかなくても十分社会生活が送っていけるという国の状態である、そういうことと私は両方あると思います。 私たちとしては、私たちの与えられた範囲内で、どんな仕事でもいい、こういう仕事なら働きたいとおっしゃっている方に、求人があるのにミスマッチが起こらないように、そのことだけは最善の努力をさせていただきたいと思っております。また、とはいいながら不十分な点がございますれば、民間の職業紹介という機能も積極的に活用をして働く人たちのニーズにこたえたいと思って、今実は審議会で紹介関係の法案の改正について御審議を願って、いずれ本院にも御審議を願ってそういうニーズにこたえていきたい、私は両面あろうかと思います。
○石渡清元君 それはよくわかるわけでございますけれども、ミスマッチをどういうふうに調整するかというお手伝いをぜひ公共機関で力を入れていただきたいと思うのと同時に、二十一世紀の日本の最大の問題というのは人口減少ではないか、常々私は人口政策のことについて申し上げておるわけでございます。 そこで、今大臣が御答弁になりました若年者の七%の失業率、これで地域の経済は本当にやっていけるのだろうか。私どもは東京で活動したり、あるいは神奈川、大臣は京都、大都市はまだ人口の減りぐあいというのはそれほど感じない。ところが、よそへ行きますと、どんどんもう若い人が地域社会にいなくなっちゃっているような状態であります。 その辺の労働力需給あるいは確保、あるいは産業政策にまたなきゃと、そう言ってしまえば終わりですけれども、やはり労働省自体、雇用をいかにつくっていくかということを関係省庁と一緒になって、だって政府の緊急経済対策には必ず雇用対策が出ておるわけでありますので、そういう面でもう少し労働省が踏み込んだ政策をお出しになったらいかがか、その辺についてはどういうお考えでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) これは労働省が適当なのか、内閣総理大臣のリーダーシップでやっていただくために私どもがいろいろな意見を総理に具申した方が適当なのかわかりませんが、通産省を中心にベンチャービジネスの振興ということをやっております。そしてまた、そのための税制等は大蔵省でかなりの優遇措置をやっております。 労働省所管の分野では、そのようなところで働かれる、つまりベンチャーがある程度果実を生むまでの間、経営は非常に苦しいわけでございますから、そのような雇用をなさっている中小企業の方への奨励金制度というものを実はつくりながらやっておるわけでございますが、将来的にはやはり規制緩和、自由化を進めることによって一つ仕事が出てくる分野があるだろう。それから、介護のように国民のニーズにこたえて、国会の御審議を経て法律でもって新たなサービスをつくり出していく方向があるだろう。それから三番目は、技術開発を促進することによって、私たちが今まで気づかなかったような産業、技術を開発することによってニーズをつくっていくだろう。この辺が通産省、労働省あるいは科学技術庁、内閣一体として取り組まねばならないということだと思いますので、御提言の趣旨も踏まえて、また関係閣僚にもお願いをさせていただきたいと思っております。 全体的な議論ということになりますと、労働省だけの力というのは、守備範囲というのは限られておりますので、ひとつぜひ先生方にも応援をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。
○石渡清元君 確かに労働省だけでということではなくて、総合的に取り組んでいただいて効果を上げなければいけないんじゃないか。 例えばアメリカのブッシュ前大統領、あの時代に観光政策、観光産業の育成重視、これにかなり力を入れた。それによってアメリカの観光産業の売り上げが国内総生産の一二%までいったというんです。そして、千四百三十万人の雇用を創出して、全米の税収もかなり上げた。 ですから、具体的な形で雇用創出をどんどん他の省庁と連携をとりながらやっていただかないと、今大臣が介護、医療・福祉分野でも認められると、これは通産の「経済構造の変革と創造のための行動計画」にも、これから伸び行く新規分野等々七百六十万人の雇用創出と出ております。見てみますと、医療・福祉分野で今の情勢で十分雇用が膨らんでいっているかどうかというと、必ずしもそうではありません。もう既にニーズは始まっておりますので、そういう面でどこか刺激をするなり活路を開いて雇用拡大のための努力なりあるいは政策展開をしていただけたらと思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) おっしゃるとおりだと思います。もちろん、そのためには規制緩和を進めなければいけない分野もありましょうし、日本の場合は今、先生御承知のとおり、国民皆保険制度のもとで医療というのは運用されておりますから、この医療サービスを拡大していくということは、規制緩和によって保険に乗らない医療分野を開拓していくか、保険の分野を拡大していくかということになります。 保険の分野を拡大していくということになれば、当然保険料か税という国民負担の議論に実は結びついてくるわけでございますので、そのあたりの国民的合意を得るということが私は政治として一番大切なことだと思いますが、御指摘のことはもう十分痛いほどよく理解をいたしております。
○石渡清元君 ちょっと細かいことになりますけれども、例えば、今大臣が繰り返し規制緩和等々これからの日本経済の方向性というのを御答弁されておりますが、規制緩和にはいろんな規制緩和がありますけれども、規制緩和は果たして雇用の創出とか雇用の拡大につながっていきますか。
○国務大臣(伊吹文明君) これは先生、差し引きの話だと思います。もちろん、規制を緩和することによって従来規制のもとで守られていた雇用、私は規制ということがすべて悪いとは実は思っておりません。市場経済が万能だとは思っておりませんので、市場経済の結果、守らねばならない日本の伝統とか文化とか安全保障上のニーズとかコミュニティーの大切さとか、そういうものが損なわれる場合は規制というのは私は緩和してはならないという論者でございます。しかし、経済分野においては規制を緩和すれば、総理がたびたび申しておりますように、その規制のもとで創出されていた雇用というのはやはり減少してくると思います。 同時に、今度は規制を取っ払うことによって、例えば先ほど来医療分野のお話がございますが、老人保健施設と病院とを一緒にやっておられる場合は出口が別々でなければならないとか、医者の定数からコメディカルの定数からずっと厳しくやっているとなかなか新しい老人保健施設、病院併設のものは育ちにくい。では、自由にしたらいいかというと、そこへ入られる方が、今度は金だけ取られて十分なサービスを受けられないという部分が生じてくれば困るわけです。 そこは先生、バランス論じゃないでしょうか。そして、バランス論の結果、必要な規制を残しながら不必要な規制を外していって、長期的には雇用が創出されていくような判断をするというのが我々政治に携わっている者の責任だと思っております。
○石渡清元君 規制緩和の一環として今盛んに言われているビッグバン、外資の日本に対する進出というのは雇用にどういう影響を与えるでしょうか。あるいは、これからどんなことが予想されるのか。
○国務大臣(伊吹文明君) これも非常に難しいことでございますが、英国の例を申し上げますと、ロンドン市場というのはポンドの凋落によって国際市場の立場をニューヨークに実は奪われましてビッグバンをやりました。やりました結果起こったことは、これはもう先生御承知のとおりですが、英国の税収はふえました。そして、英国民の働く場はふえました。しかし、英国の人格を持っている法人というものはなくなりました、なくなったというより非常に少なくなりました。その結果、例えば安全保障上の必要が生じて特定地域への送金を英国が規制したいと思うようなときには非常に難しい問題が起こっているということも確かです。 この例が日本に当てはまるとは私は実は思っておりません。というのは、日本人は英国人よりもはるかに貯蓄を持っているということが一つと、生産力という面では英国経済より日本経済の方が非常にまだ底力があります。やはり金融というのは最終的には物をつくる力に付随して起こってくるものでございますから、私は英国のような状況にはならないと思います。 ビッグバンが進めば、日本の場合は、従来ほとんど企業金融というのは間接金融で銀行からの融資によって賄われていました。しかし、これが株式、社債あるいはコマーシャルペーパー等の発行による直接金融に変わっていくんじゃないかと、私は素人ですが、思っております。 そういう意味では、ふえる仕事と減る仕事とございますが、総体的には私はビッグバンを進めれば雇用はふえてくるんじゃないかと。できるだけそれが日本の企業、日本の金融機関による雇用であってもらいたいなという気持ちを私は強く持っております。
○石渡清元君 規制緩和関係、もう一つ。 有料職業紹介、これを規制緩和するとどんどん盛んになりましょうか、雇用の面では。どんなお考えでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) これは、実はまだ今審議会で内容を御検討いただいておりまして、いずれ本院にも御審議を願わねばならない内容でございますので、私が先走っていろいろ申し上げるのは適当ではないと思いますが、私の感じでは、日本の国が昭和四十年代以前に比べて格段に豊かになっておりまして、当時はそういうことは難しかった女性の社会進出というものを受け入れるだけの経済のロットもできてきております。そういう面で、いろいろな方々がいろいろな形で働きたいという御希望をお持ちになっているわけですから、そういう方向に対する道筋だけは行政としてつけておくという責任があるんじゃないかというのが一つでございます。 それからもう一つは、それをやると同時に、やはり働く人たち一人一人がその中で結果的につらい立場にならないように、例えば社会保険の問題等についてある程度の手だてをしておく必要があるだろう。そういう手だてができた前提で考えれば、大学を出たときの、人生経験が余り十分じゃないときの判断で一生会社に縛られるのは嫌だとか、あるいは自分は終身雇用制のようなフルタイムの働き方じゃなくて、子供さんを保育園に送った後、派遣にお願いをして何時間か働きたいんだとか、そういう方々がふえてくるかどうかは、これは国民の選択の問題だと私は思っております。
○石渡清元君 規制緩和と、もう一つは今進みつつある高度情報化が雇用に対してどのような影響を与えていくかということをお伺いしたいわけであります。 特に単純労働、単純業務に従事している人はどうしても正規労働者からパート的な非正規な労働者にかわっていく、そういう比率がかなり上がっているというふうに思います。情報化対応、また今大臣の答弁なさいました働き方、就業形態が非常に多様化してまいっておりますので、それが果たして雇用の安定につながっていくのか、個々の価値観には違いありませんけれども、労働力、労働人口がどんどん減っていく中で、そういう流動的な形で日本はこのまま進んでいっていいのかどうかという懸念を若干私感ずるわけでありますけれども、情報化と雇用の関係についてどんなお考えをお持ちでしょうか。
○政府委員(征矢紀臣君) 情報化の進展と雇用の関係がどういう形になるか、これはなかなか難しい問題でございますが、間違いなく言えることは、まず情報化の進展は今後どんどん進んでいく、そういう中で雇用がどうなるか、こういう課題であろうというふうに考えます。 では、情報化が進展しますと、おっしゃるように非正規労働者あるいは雇用、働き方の多様化、そういう中で知的労働者がふえていく、そういう可能性もあろうかと思いますが、ただ一方で、それでは長期雇用、安定的な雇用、そういうものがなくなってしまうかということになりますと、それは必ずしもそうでないというふうに考えております。 これは、一方では雇用の安定という面と、企業経営の面からいきましても、安定的なきちんと経験を積んで技能を身につけた労働者グループは必要なわけでございまして、それがどのくらいどうなるかという点について、これはなかなか難しいんですが、例えば先ほど申し上げましたように、現状でいきますと、長期雇用というのは七六%。日経連のここ五年間ぐらいの見通しでも七割ぐらいまでにはなるであろうというような見通しでございます。 そういう長期雇用という問題と、それから産業経済の発展あるいは多様化、労働者の働き方の選択の幅の拡大、そういう中で、ただいま労働大臣もお答え申し上げましたように、働き方についてもいろんな働き方が出てくるであろう、こういうふうに考えております。
○石渡清元君 いろいろお伺いをいたしましてよくわかるわけでありますけれども、私は国民の皆さんは非常に労働省に対して大きな期待を持っていると思う、雇用創出のために。したがって、いろいろ説明をするわけでありますけれども、やはり行政のアカウンタビリティーをきちっと踏まえていただいて、十分説明をして納得いくような政策展開、予算措置をお願いしたいと思う。 私が感じますことは、今回の委嘱審査にしても、労働省各局各課、審議会、協議会、研究会のたぐいが物すごいんですね。それは結構でありますけれども、どうやってそれが生かされているのか、それを必ずしも十分理解できないわけでございます。 したがって、当面この非常に厳しい雇用情勢の中で、次回の審議会に語るのも結構ですよ、審議会に語るのも結構だけれども、その次なる審議会の答申の目標というのはどこに焦点を置いていくのか、あるいはその実現のためにどういう政策手段を講じなきゃいけないかということをはっきり具体的に出していただいて行政を進めていただくことが、やはり地域の皆さんあるいは納税者の皆さんに大いにこたえる道筋ではないかと思っておるわけでございます。ぜひひとつ大臣、その御決意をお示しいただいて、私の質問は終わります。
○国務大臣(伊吹文明君) 私自身の責任で対処すべきことは私の基本的な人生観、哲学に基づいて私の御意見を申し上げ、るる御批判もいただいているわけですが、その方が私は議論が沸き起こっていいだろうと思って実は申し上げているわけです。 ただ、国民的な立場で政策や法律をつくっていく場合には、特に労働省の場合は、働く方とそれからその方々を雇用される方々と、そしてその二つの結びつきの中から受益を得ていらっしゃる国民と、三者の理解のもとで実は動いていくわけでございますので、そういう御意見を伺う場として審議会をお願いしているわけです。 その審議会の結論についてはやはり最大限尊重しながら、どうしても私どもとしては受け入れられないことがあれば意見は申し上げますが、基本的には、審議会の内容について労働大臣や事務方があらかじめこうだとかああだとかと言うのは失礼なことでございますので、出ました内容については、先ほど先生がおっしゃったように、アカウンタビリティーと申しますか、例えば労働基準法あるいは今後出てまいります職業紹介、派遣等の考え方についても答申はいただいて、それは私は尊重していきます。 しかし同時に、私が労働行政をお預かりしている限りは、私はやはり終身雇用制というのは日本の伝統的ないい形じゃないかという気持ちがありますので、それを中心に、御答申を尊重して、そういう御希望のある方に道を開いていくという位置づけでやらせていただけないかなというような御説明はさせていただきたいと私は思いますが、審議会の内容について私があらかじめどうこうという方向を示すということは、これはもう僣越のさたでございますので、説明だけはさせていただきますが、どうぞひとつ御了解いただきたいと思います。
○石渡清元君 どうもありがとうございました。
○海老原義彦君 私は失業率の問題を中心に伺っていきたいと思うわけでございます。 今、石渡先生の質問にもございましたように、三・六という労働力統計始まって以来の失業率が出てきたということ、これは非常に大きな問題だということは大臣の御認識としてもしばしば伺っているところでございます。 そこで、では国際的にはどうなのかなということを私なりにちょっと調べてみたのですが、実に意外なことに、どうも日本の失業率というのは非常に低いんだ。ちょっとそこら辺、総務庁の統計局長お見えでございますので、まず諸外国の、主要諸国の失業率について数字だけお述べいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤彰彦君) 平成十年の二月の時点でございますが、いずれも季節調整値で見た各国の失業率は、日本で三・六%、アメリカ四・六%、イギリス四・九%、カナダ八・六%、それからドイツが一一・五%、フランス一二・一%と、こういうふうになっております。
○海老原義彦君 ただいま伺いました数字でも日本は諸外国に比べて著しく低いということでございますが、これは何か統計調査上の問題があるのかどうか、同じような手法で統計をとっておるのか、そういった統計分析面ではいかがでございましょうか。
○政府委員(伊藤彰彦君) 失業者の定義でございますけれども、これはILO、国際労働機関によって標準のものができているわけでございます。 その定義は、調査週間中に仕事がなく、そして少しも仕事をしなかった者のうち就業可能で求職していた者、つまり仕事を探していた者ということでございます。それから、仕事があればすぐつける状態で、過去に行った求職活動の結果を待っている者、こういうように定められているわけでございます。日本も欧米もこの定義に準拠しているわけでございます。 日本の場合は、全国から毎月四万世帯に住む十万人の標本をとりまして、そして、月末一週間の労働力の状態を調べているわけでございますが、これは労働力調査による方法でございまして、アメリカ、カナダはこれをやっております。しかし、イギリス、フランス、ドイツの場合は職業安定所等の業務統計を用いまして失業率を計算しております。しかし、今申しました三つの国におきましても、年に一度は私どもと同じような、あるいはカナダ、アメリカと同じような労働力調査の方式を用いまして標本調査によりまして失業率を計算しております。その数字を比べてみますと、私ども日本の統計と十分に比較可能な数字だと、このように思っている次第でございまして、統計データのとり方の違いによりまして我が国の失業率が特に低いということではないと思っております。
○海老原義彦君 そうしますと、統計調査の手法としての問題ではない。とすると、本質的な問題ということになるんです。 例えば、今のお話ですと、フランスなどは一二・一%、日本のこんなに高くなった三・六のさらに三倍以上の数字であるというようなことで、一体これで国が成り立つんだろうかという気すらするぐらいであります。労働省ではこういう違いは何に基づくものかどういう状況によるものかということを分析しておられると思うんですが、ひとつお話しいただけませんでしょうか。
○政府委員(征矢紀臣君) 統計的な分析はなかなか難しいわけでございますが、したがって、私の感じで一言で申し上げれば、やはり日本の実体経済が強いということが言えるのではないか。経済、産業がしっかりしておれば、そこに雇用が創出されますから、現実に働いている人が多い、したがって失業率が少ない、こういうことは率直に言って申し上げられるかと思います。 フランスの場合、先生御指摘のように、特にこれは失業状況が深刻でございまして、雇用不安がいわば社会不安、政治課題になっているのは御承知のとおりでございます。なおかつ、その解決策についてなかなかいい知恵がない。先般、新聞記事等に出ましたけれども、失業者が失業保険の給付事務所とか、あるいは職業紹介所を占拠して、失業手当の単価を上げるような、そんな行動が起こったりしております。 この前フランスのリール、これは旧炭坑地域、繊維産業等ももうなくなった地域でございますが、そういうところで雇用サミットがございましたが、そこへ行きますと、やはり非常に肌身に感じて厳しいなという感じが確かにございます。例えば、町を歩いていれば、失業している方だと思いますが、我々のところへ近寄ってきて、そんな会議をやるより我々に仕事をよこせと、こういうようなことをおっしゃっておりました。 だから、そういう状況と比べますと、日本の現在の状況というのは、その深刻さの程度からいきますとそれほどではない。先ほど労働大臣もお答え申し上げましたように、若い方については失業率が高いんですけれども、求人倍率が〇・六一倍で非常に厳しいんですが、四十五歳未満の方は求人倍率が大体一に近い数字でございます。四十五歳を超えますと非常に厳しくなります。 そういう中で、失業率が高いというのは、逆に言えば非常にミスマッチが大きい。ミスマッチが大きいというのは、一方では自分の希望する仕事がないから就職につかれない。これもあるわけですが、裏返して言えば、生活に余裕がなければ、あすのパンのために働くという観点であれば、そんなに選択の幅を広げずに仕事を選ぶということもあるわけですが、必ずしもそういう事態でもない、そういう状況でございます。 ただし、我が国の過去の状況から比べますと、失業率はだんだん高くなってきて現在三・六%、最高の水準になっている、こういう状況であろうと思います。
○海老原義彦君 ヨーロッパ諸国は日本よりもさらに厳しい状況にあるんだというお話もございましたけれども、確かに失業率の面でそういうものがあらわれておる。 ただ、経済の実態から申しますと、それはメリット、デメリットいろいろございますから一概に比較はできないけれども、どちらがどちらとも言えないんじゃないか。日本の経済も非常に厳しい状況に直面しておるわけでございまして、これからさらに失業率がふえていくということも当然予想されるわけでございます。 日本の場合、ただ、これだけ低い失業率に今も抑えておる、これからも流れとしてふえていくにしても、恐らくヨーロッパほどの状況にはならないだろう。その大きな要因として終身雇用制というものがあるのではないかなと思うんです。 終身雇用制というのは戦前から、一部大企業でございましたけれども、主に定着したのは戦後のことでございまして、戦後、戦前からの大企業を見習って方々で終身雇用制が定着していった。この流れを、まあもちろんこの終身雇用制になじまない労働者、そういった終身雇用体系を望まない労働者もいて、そういう方々のためも図らなきゃならぬという、いわば補完的な修正も必要かと思うんですけれども、基本的にはこの終身雇用制が日本の雇用に果たしている役割は極めて大きいと思うんですが、その辺の大臣の御見解を承りたいと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) 先ほど来先生御質問いただいておりますが、国際比較はそのとおりでございます。 ただ、我々はやはり日本国に住んでおって日本の経済のもとでやっておるわけでございますから、日本の従来の数値から見ると現状は非常に厳しいと私は認識しております。しかし、これだけ失業率が違うというのは、全く先生がおっしゃったとおり、私はやはり日本の伝統的な文化であるこの終身雇用制のおかげだと思っております。 終身雇用制というのは、もうるる私が申し上げるまでもありませんが、不況期にも労働者に結果的にしわを寄せずに経営をしていくということになろうかと思うんです。アメリカやヨーロッパ、特にアングロサクソン系のやり方は、派遣職員の方が多い職場ですし、終身雇用制が比較的少のうございますから、不況期にはそこで切るということができます。日本は、終身雇用制のもとではそれはできません。 したがって、この制度を本当に守っていくということが私は働く一人一人の方々のプラスになるんじゃないか、これは間違っているかもわかりませんが私の信念でございます。したがって、それを壊すような賃金の決め方だとか何かは、できるだけ労働大臣としては発言をしなければならないというのが私の基本的な考え方です。 そして、この終身雇用制で不況期にしわを寄せなくても、なおかつしわを寄せながらやってきた経済と戦って国際市場で勝ち抜いて、そして今日の行き届いた社会制度や生活水準を築き上げたのは、やはり日本人の質というか、レベルがよかったからだと私は思います。したがって、それを守っていくような教育とか家族制度とかコミュニティーのあり方というものは、我々は大切にしていかねばならないんじゃないか。 そういう中で、経営者が終身雇用制を壊そうとしているのか、それとも働く人一人一人が自分たちの生き方として希望を表明される中で壊れていくのか、ここは私は非常に議論の分かれるところだと思うんです。仮に、この終身雇用じゃない働き方をとられる方にも、できるだけ終身雇用で保障されているような職業訓練とか社会保障の仕組みを何とかつくってさしあげるのが労働省の仕事じゃなかろうか。 また、そういう人たちのために発言していただく労働組織というものがもう少しできてくれたらありがたいし、我々もそれができるように努力をしていく、これが私は労働省の仕事だと思っておりますので、先生の大きな流れとしての御質問は、失礼でございますが、私の考えでおることと非常に近いお考えではないかと思います。
○海老原義彦君 次に、現時点のこういった失業率三・六という状況につきまして、統計的にもう少し分析した数字をいただきたいと思うわけでございます。 まず、男女別ということで考えてみますと、女性の職業意識の向上が失業率に反映するのかなということを私はまずちょっと思ったんですけれども、数字を見ると、今深刻なのは男性でありまして、女性は過去にも何回か例のある程度の深刻さである、前古未曾有に深刻なのは男性の問題である。男性でどのあたりが問題なのかというと、どうもこれは中高年層、殊に五十五歳以上のようである。さらには、企業規模別に見れば、恐らく既にリストラの進んでおる大企業よりも中小企業の問題かな。 そこら辺を、せっかく統計局長おられますので、統計的な数字でお示しいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤彰彦君) それではデータでお示しいたしますと、平成十年二月の時点でございますが、男女別完全失業率を季節調整値で見ますと、男子は三・七%、前月と同率でございます。女子は三・四%で、前月に比べまして〇・二%の上昇と、こういうことになっております。 そして、男女年齢階級別で高いところを見ますと、男子の十五歳から二十四歳で七・九%、そして女子の同じく十五から二十四歳で六・八%、それから今御指摘の男子の五十五から六十四歳で六・二%と、こういうことで、若年層と男子の定年前後で高くなっております。 特に、前年同月と比べまして変化が大きいのもやはり男子の五十五から六十四歳で、一・二ポイントも上昇しております。それから次に、男子の若年の方で十五から二十四で一・一ポイント去年の同じ月よりも上昇している、こういう状況でございます。 特に、女子の話になりますと、平成六年初めに三%になりまして、これは年平均でございますが、以下、七年で三・二%、八年で三・三%、九年で三・四%と、やはりこれもだんだんと高くなってきております。これを年齢別に見ますと、十五から二十四では先ほど申しましたように六・八%で一番高いわけですが、そして、二十五から三十四歳で五・〇%、こういうようになっております。しかし、三十五から六十四歳までの階級では大体二%台、そして六十五歳以上では一%未満と、こういうようになっております。
○海老原義彦君 若年層と五十五歳以上とに問題が大きいということでございましたが、これを自発的な離職と非自発的な離職に分けますと、若年層は自発的な離職が結構多い。要するに自分で職をかえるためにいろいろと一たん職を離れるという、いわば渡り歩きの時代というのが若いころはあるんだろうということで理解できるわけでございますが、高年層になりますと、一たん職を離れたらばなかなか見つからないということでこういう状況が起こってきておる。高年層の場合は、自発的な離職は極めて少なくて非自発的な離職が多い、そういうような状況かと思います。 そこで、中高年層の雇用対策の充実ということは今一番緊要なことかなと思うわけでございますが、そこら辺につきましては労働省はどういうふうにお考えになりますか、事務当局及び大臣の御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(征矢紀臣君) 状況につきましてはただいま先生の御指摘のとおりでございまして、求人倍率で見ましても、先ほど申し上げましたように、四十五歳未満の方については大体一に近い倍率である。それが四十五を超えますと〇・五になりまして、それがさらに五十五、六十を超えますと〇・一というような、非常に仕事が少ない状況でございます。 そういう状況の中で、一方で、ただいま失業率でお話がございましたように、中高年のところで非自発的な失業がふえている。それが、言いかえれば日本の雇用状況の非常に一番深刻な点であろうというふうに考えております。特にホワイトカラー層、いわば戦後の団塊の世代の方がちょうどそういう年代になってきておりまして、そこが該当している、こういう状況でございます。 それに対する対処として、これはなかなか私どもでいい知恵がないわけですが、基本的な対策として、失業された方について雇用保険の給付を支給することとあわせて、できるだけ求人を確保する、こういうことで労働大臣の指示を受けまして、特に中高年ホワイトカラー、そういうところを頭に置いた求人開拓、これを三月から始めている。その結果を踏まえて、できるだけ再就職の支援をしてまいりたい。 それから、あわせてもう一つの方向は、仕事をかわるときに仕事先に合うような転職のための能力開発、そういうものも今後さらに重要になっていくのではないかというふうに考えているところであります。
○国務大臣(伊吹文明君) ただいま政府委員がお答えを申し上げたとおりでございますが、いずれ少子化と言われている今の層が働く世代に入ってまいりまして、この傾向が続くとすれば、将来的には高齢者にもう金のわらじを履いてでも探して働いていただかねばならない、少なくとも日本経済が今のレベルを維持しようとすればですね。 したがって、私は企業には、今の時点が一番苦しいときなんだけれども、できるだけ何らかの形で六十五歳まで、場合によっては意欲のある方は、二、三時間、四、五時間の新しい働き口をつくり出してでも対応していくべきではないかということを申し上げたり、労働省や各省にも、簡単な例えば観光案内であるとかあるいは駅頭における観光センターの案内だとか、図書館で本を探す役割とか、それから特に介護ですね、さらに御年配の方を高齢者の方が介護されるというやり方、こういうものを少しずつ入れていただくように各省大臣にも私は時々お話をしているところでございます。
○海老原義彦君 大臣の今のお話は、私が平素考えていることと全く同じでございまして、そういった思想を進展させていただいてまことにありがとうございます。 ただ、もう一つつけ加えて申し上げておけば、やはり一番の基本は、終身雇用制のもとにおいて今まで培ってきた企業内での実力をさらに延長して発揮する、つまり定年の延長でございます。そういったことは非常に難しいことだということは理解いたしますけれども、将来に向かっては定年延長を考えていかなければならないんだということを一言つけ加えてお願いいたします。 あわせて、実はもう一つ質問を用意しておりましたけれども、これもお願いといたしましょう。要するに、労働力統計で申しますと三十人から四百九十九人、そこら辺の中小企業において就業者数が著しく減少しているという状況もございます。こういったあたりに目を向けて労働行政の一つの焦点を当てていただきたいということをお願いいたしまして、時間でございますので質問を終わります。
○笹野貞子君 質問をさせていただきます。 ただいまの御議論を聞いておりまして、私は非常に一つの感慨にふけりました。といいますのは、日本はヨーロッパから見ると失業率が著しく低いというこの統計なんですが、局長は今、日本の経済が非常に力強いという御指摘でしたけれども、確かに私はそれは否定はいたしません。しかし、国際比較として日本の失業率が低い一つの理由の中に、女性の働き方というのが非常に大きく作用しているんじゃないか。 その一つは、ヨーロッパに比べて、特にフランスに比べて日本は離婚率が非常に低いんです。フランスというのは、アメリカもそうですけれども、非常に女性が自立し、そして働くということも日本と全く違いますし、大変離婚率が高いわけです。日本の経済が強くなったというのは、もちろん男性も働いていることはわかりますが、この日本の経済の底力を支えたのは私は女性に一端があるというふうに思います。 女性がどうして国際的比較で失業率が低いかといいますと、これは結婚制度と給料体系によるところが多いと思うんです。ヨーロッパのように個人単位の給料ではなくて、日本は家族単位の家族給という給料体系ですから、女性は仕事がなければ結婚という選択をすると居心地がいいある程度の生活ができますし、また男性も結婚をすると非常に安上がりで労働の再生産を図れる。そういう点では、日本の結婚というのは国際的に見ると、私たち女性は余り歓迎はしないんですけれども、そういう機構になっていることも事実なんです。 ですから、国際的に日本は離婚率が低いから何かとてもいいかのような、今の御議論を聞いていますと、そんな印象を受けたんですが、私はそういう状況をつくっている一つの原因に、女性が、嫌だけれども就職がない、といってヨーロッパのように、女性が一人で日本社会の中の競争力に打ちかつという、まだなかなかそこまで体制ができていない。しからば、少々気に入らないけれども適当な男性を一人選ぼうかと、こういう構図がやっぱりあるということも御認識いただかなければ、ただ日本は国際的に失業率が低いからとうはうはしていられるとちょっと困るというふうに私は思うわけです。 私たち女性は、ヨーロッパのように個人的な働いた分の給料、個人給料とでも申し上げるんでしょうか、そういうふうなことを徹底してやらなければ、女性が本当の意味で勤労意欲というものをわかし、そして競争力の中で打ちかつような自己確立型の女性ができていかないんじゃないかという思いでおります。 しかし、これは個人の選択ですから、私がどちらがいいとかどちらが悪いとかと言うつもりはありません。しかし、労働省としてはそういう要素をはらんでいるんだということをどこかで考えていただかないと、これは本腰で雇用問題というのを話していくことにはならないというふうに思います。そういう点では、やっぱり女性の意見を聞いたり男性の意見を聞いたり、若年者、高齢者の意見を聞くという、こういう委員会の議論というのを大切にしていただきたい。 先ほども石渡先生がおっしゃったように、どうも労働省は、法律的に認められているとはいえ、何でも審議会をつくってそれを隠れみのにするという悪い習慣があるのではないかというふうに私は思いまして、国際的失業率の問題については一言ちょっと言わなければならないなと思いながら今おりました。 さて、そういう認識の上で、先ほど同僚議員からも雇用問題のことが随分取りざたされておりますけれども、私もこれは大変な問題だというふうに思います。今、海老原先生のお話のように、一番深刻なのは中高年の失業なんだ、そして男性の失業なんだということなんです。男性というのは家族を抱えて失業しちゃったらこれは大変なんです。男性は、ヨーロッパのように自分一人だけの生活の給料と日本はちょっとわけが違う。だからこの三・六%という失業率は私は大変問題があるというふうに思っております。 また、今の失業はリストラ失業とでも言うんでしょうか倒産失業と言うんでしょうか、本人の意思に関係ないところで失業する、大変問題があるというふうに思います。 先ほどから何遍も御質問がありましたけれども、重大なことは何度も何度もお答えいただくということで、今昭和六十二年の最高の失業率になったというこの現状認識についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま先生からいろいろ国際比較等で御指摘があったわけでございますが、私ども日本の雇用失業情勢の現状が楽観できるとは決して思っておりません。その点については、ただいま御指摘がありましたように、失業された方、これはやはり生活の不安にさらされるわけでございまして、その数が多いか少ないかにはよらないわけであります。そういう意味では、私どもの行政は常に失業者の方に仕事のあっせんをすることに最大限の努力をしなければならないという立場であるというふうに考えております。 それで、雇用失業情勢でございますけれども、二月の有効求人倍率が〇・六一倍ということで、六カ月連続して低下しております。完全失業率も、先ほど来申し上げておりますように先進主要国との比較で見ると低いということは言えますが、現行の調査方法となりました昭和二十八年以降で最悪の水準である、我が国としては高い水準で推移している、こういうことが言えるわけでございます。 その求職理由別に見ましても、このところ非自発的離職者がふえておりまして、二月は前年同月に比べて十六万人増となっております。またもう一つの心配は、二月の雇用者数が前年同月と比べて四万人の減少となっております。これは、従来ですと経済の発展に合わせて雇用者数が前年同月に比べてプラスでふえているわけですが、それがマイナスになっているということで、非常に厳しいという認識をしているところであります。
○笹野貞子君 こういう現状で雇用が非常に不安定になってくる、そういうときには雇用対策というのは非常に重大なんで、だんだん失業率が高くなってくることになりますと国民は大変不安を感じまして、みんな買い控えをしてしまう。こういう雇用の不安という情報が流れれば流れるほど、みんな生活が不安になってしまいます。 特に女性は、自分の夫がそういう状況に追い込まれたら、もうこれは老後のために蓄えなければいけないということで消費をどんどん控えてしまう。そして、銀行に預けようと思うと利子がもうめっぽうやたらに低い、それならばたんす預金にということで、本当にお金が動かなくなってしまう。そうすると、ますます悪循環。こういうことで、今非常に経済の冷え込みというのが起きている原因の一つでもあるというふうに思います。 そういうときに、さて労働省は何をするかという問題になるわけですが、やっぱり労働行政としては、この雇用問題については真剣に考えているんだということを国民にいろんな意味で示してその不安を解消させなければいけない。その不安を解消させる最もわかりやすいのが私は予算じゃないかというふうに思っております。 そこで、この労働省の平成十年度の予算を見ますと、労働保険特別会計の雇用勘定では比較してちょっとふえているわけですが、しかし、一般会計を比較してみますとまさに減少ということなんですね。 予算を十分確保して、労働省はこういう不安を解消するんだということを国民に示すためにもこの数字というのは非常に重大なんですけれども、平成十年度のこの予算の減少ということについてはどのような対応をなさるのか。そして、今雇用がこれだけ不安定で、国民がみんな不安に思っているということについて、こういうことで十分なのかどうかをお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま平成十年度の雇用対策関係予算の御指摘でございます。 確かに伸び率が少ないのは御指摘のとおりでございまして、雇用勘定につきましては対前年伸び率で一・一%の伸び、一般会計は〇・六%、若干の減、こういうことでございます。 ただし、この中身につきましては、行政改革、特殊法人改革ということで、福祉施設とか雇用促進住宅についてはもう新設はすべきでないというのが各方面の御意見でございまして、そういう結果を踏まえて十年度予算におきましてはその新設要求はやめております。そういうところで予算が減っているというふうなこともございます。一方で、失業等給付費につきましては、これは単価アップとその対象者の増、そういうものを想定して一二・九%の伸びになっている、こういうふうな内訳でございます。 一般会計につきましては、職業転換対策事業費、これは、実績が今まで必ずしも予算どおりなかったというようなことも踏まえて一割カットというようなこともいたしておりますが、予算の内容につきましては対策の中身によって対処をいたしておりまして、これは政府の経済見通しとしては本年度一・九%の成長率ということを前提といたしているわけでございますが、そういう状況の中ではこの予算で対処できるというふうに考えております。 なお、雇用対策につきましては経済の状況変化に応じて適時適切に対処することも重要でございまして、そういう点については今後とも適切な対応をしてまいりたいというふうに考えております。
○笹野貞子君 私は、やっぱり今のお話を聞いていまして、この予算を見ると国民はどう思うのかな、この大変な失業不安、日本のこれからは、将来はどうなるんだろうかというときに、一番重大な雇用に対する対策の予算も少なくなったというのは、これは国民の不安を解消するのではなくてかえって増幅させてしまうんではないかというような危惧を私は感じているところです。 雇用対策というのは、ただ失業を予防したりあるいは再就職させたりという、それだけが行政のやることじゃなくて、先ほど何度か御質問の中にありましたけれども、こういうときには新たな仕事を創出していくということを積極的にやっていかなければいけない。その新たな仕事を創出するためにはやっぱりそれなりの資金が必要なんですが、そういうことがこの予算からは考えられるのかなという思いでいっぱいです。 雇用創出について大臣はこの予算でどのような考え方を持っているのかどうか、改めてまたもう一度お聞きしたいと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) 今、政府委員がお答えを申しましたとおりでございますが、先ほど来石渡先生や海老原先生のお話にもございましたが、雇用創出という将来的な役割については、これは通産省、科学技術庁、文部省、それから労働省等が総体的に一致協力してやる中で、予算面、税制面での振興策というのか、刺激策が必要でございます。労働省だけではやれないわけですが、労働省では、職業訓練の充実でございますとか、育児をなさる方がやめなくても引き続き育児ができるように給与の一部を補てんするとか、また、現在の不況に対して不況業種を指定して継続雇用給付金を支給するとか、こういうことは雇用保険の中でやるわけでございます。 これはまあ先生、表向きの数字は御指摘のとおりなんですが、もうよく御存じの上で御質問になっていることなんですけれども、官庁会計の一つの欠点のようなことがありまして、雇用保険特会では御承知のような積立金というか過去の蓄積が随分ございます。これは毎年毎年の予算の歳入歳出には出てまいりません。そこのところも十分利用させていただいて、厳しい状況でございますから、国民の方々に御心配のないように対応していきたいと思っております。
○笹野貞子君 この経済的な不況とかそういうものというのはいろんなファクターが一緒になって起きるわけですが、どうも不景気になると公共事業を起こして一時的に景気を刺激する、しかしその巨大なお金がどういう費用対効果というものが計算されていくのかというのは余り国民には見えてこないんです。一部の人にはその巨大な公共事業が刺激になっても、やっぱり国民全体に勤労意欲というか購買意欲というものを感じさせるためには長い目で、そして生活の基礎的なものをしっかり支える仕組みというのがなければ、これは国民は全く不安に駆られて消費マインドが落ちてしまってまた悪循環が起きるということなんです。 そういう意味で、年金とか保険とかそういう非常に人間の安心を支えるファンドというところにある程度の公共投資というのは私は必要だと思いますし、そういう政策をとらなければ、大臣は終身雇用が非常にいいとおっしゃるわけで、この終身雇用というのが非常に日本の勤労意欲というのを私はわかしているというふうに思うわけです。そういう点では、労働省がいろいろ持っている固有の基金というもの、制度というものは非常に私は重大だというふうに思っているわけです。 どうぞ大臣、景気浮揚というと十六兆がどうとか六十兆がどうとかという非常に選挙向けの華々しいお金の使い方を現政権はなさっているようですけれども、しかし、労働省というのはそういう点では非常に国民の一番不安を解消する部分を担当しているという御自覚でもって、より予算の獲得というんでしょうか、一般会計予算の獲得にお力を発揮していただきたいというふうに思います。 そこで、もう一つ不安の要素は高齢化、先ほどから何度も言っておりますように、非常に高齢化が進んできて、大臣は先ほど高齢者を大切にしないとそのうち金のわらじを履いて探すような時代になるとおっしゃって、私も金のわらじを履いて探してもらえる人を今から見つけておこうという思いで聞いておりましたけれども、やっぱり高齢者に対する福祉政策、そして私が何度も言っています年金とか保険という問題、こういうことをきちっと押さえると同時に、高齢者の経験と知識というのを生かしていけるような雇用創出が大事になるだろうというふうに思います。 そういう面では、高齢者の雇用の確保、これについて二十一世紀に向けてどのような展望、そしてどのような雇用のあり方というのを想定なさっているのか、その点をお聞きいたしたいと思います。
○政府委員(征矢紀臣君) 今後の高齢化につきまして先生の御指摘のとおりでありまして、少子・高齢化が急速に進むということで、二十一世紀初頭には総人口の約三人に一人が六十歳以上の高齢者となることが見込まれております。 また、労働力人口全体に占める六十歳以上の方々の割合につきましても、昔に比べて健康で意欲のある高齢者の方がふえておりまして、一九九七年の一三・四%、これは約九百十万人でございますが、これから二〇一五年には二〇・六%、約千三百五十万人というふうに、約五人に一人が高齢者となるということが見込まれております。 このような中で、高齢者の方々が長年培った知識あるいは経験を生かして社会を支える側に回っていただくことは、これからの社会を活気に満ちたものにしていくためには極めて重要な課題であるというふうに考えております。 今後、少子・高齢化ということで、高齢労働者の方々、これは金のわらじで探すようになると大臣はおっしゃっていますが、それまでには大分時間がかかるものですから、当分の間の対策といたしましては年金の支給開始年齢が六十五歳、これはもうスケジュールがはっきりしているわけですから、六十五歳まで何らかの形で働ける継続雇用、これを推進することが非常に重要である。六十歳定年制はもう義務化されたわけでございますが、六十五歳定年制というのはまだ少なくて六%程度であります。それから定年後、希望すれば全員継続雇用をする、こういう枠組みは六十五歳定年も含めてまだ二割程度でありますから、ここのところを積極的に進めることが重要である。 それから、もう一つの働き方としましては、シルバー人材センター事業、先ほど大臣もお答え申し上げましたように、例えば高齢者の方がお年寄りの介護の補助の仕事をするというようなことは非常に対応がうまくいっているわけでございまして、そういうものをふやしていくとか、さまざまな形での働き方、そういうものをシルバー人材センター事業の中でそれを活用することによって追求していく。そういうことで、少なくとも六十五歳までは現役として働くことができる社会、これを当面実現してまいりたいというふうに考えております。
○笹野貞子君 それでは、労働基準法関係の質問をさせていただきたいというふうに思います。 私のように非常に数字に弱い者でもこの予算書を見ますと飛び抜けておやっと思うところがあります。これは三ページの「活力に溢れ創造的な働き方を促進する労働環境の整備」というところの「労働時間法制及び労働契約等法制の見直し」という項目になりますと、平成九年度に比べますと平成十年度がどかっと多くなっているんです。 労働基準法の改正が国会に出されると思うんですが、今私たちにしますと、その審議をしなければわかりませんが、そうもろ手を挙げて賛成できないような状況、条文がある。例えば裁量労働制とかあるいは変形労働制の問題とか、果たしてこれが労働条件の向上につながるんだろうか、つながらないんだろうかという非常にまだわかりにくい状況があるわけです。 この労働省の予算というのは、労働条件をよくするための予算であって、労働条件を悪くするようなところに予算をつけるというのはこれはもともとおかしな話なんです。ひょっとすると労働条件が悪くなるかもしれないというところに、平成九年度では二億四百万円であったものが平成十年度になると約七億二千二百万円にもはね上がっているというのは、私はちょっと勘ぐって、ひょっとするとこの基準法を改正する前にたくさんお金を使って、基準法改正はいい改正なんだというようなことをやるための宣伝費じゃないかというような感じがしているんですが、この予算というのは一体どういう事業にどのように使われるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) ただいま御指摘ございました労働時間法制及び労働契約等法制の見直しに関する予算額でございますが、ここに盛り込まれておりますのは、一つは労働条件明示のためのモデル就業規則等普及促進事業、これに要する経費を六億九千万余計上いたしております。またもう一つは、御提案申し上げております労働基準法の改正案が成立をさせていただいた場合の後の周知等に要する経費二千七百万でございまして、合計が七億二千二百万、今までの経費に比べまして四億八千万ほどの増加になっておりますが、その中心は労働条件明示のためのモデル就業規則等普及促進事業でございまして、これは具体的には、一つは今までパート労働法等で努力義務でございました労働条件の書面による明示を、全労働者を対象といたしまして労働基準法の中の義務規定として今回御提案を申し上げておるわけでございます。 したがいまして、これが成立させていただければ、小規模零細事業場等においてモデルの様式を作成してこれを普及させ、確実に履行させていくための事業、これが一つでございます。さらに、その裏付けといたしまして、就業規則の作成義務がない小規模事業場につきましても中小企業の集団等を通じましてその作成を支援していく事業を展開する、これらに要する経費を充実させるために六億九千万、したがいまして、前年度に比べまして四億八千万ほどの増加となっておるわけでございます。 したがいまして、今御説明申し上げましたように、今回のこの経費、改正労働基準法が成立させていただければ、そういった特に小規模事業場等における労働条件の明確化等に大いに資していくわけでございますので、よろしく御審議をお願いをいたしたいと思っております。
○笹野貞子君 今、局長のお答えでやや安心はいたしましたけれども、しかしもう一つ、これもまたちょっとというのがあるんですが、これは八ページの「労働条件に関する紛争の解決援助のための体制整備」、これも平成九年度に比べて約五億五千二百万円も増加しているわけですが、この「労働条件に関する紛争の解決援助のための体制整備」というのは具体的にどういう体制で、そしてこの増加したお金というのはどういうときに使われるのか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 近年、労働移動が増大する、あるいは労働者の方の働き方が多様化すること等に伴いまして、いろんな相談あるいは申告事案が労働基準監督署等私ども第一線の窓口に寄せられております。 そのうち二万件ほどは明らかに労働基準法違反にかかわるものでございますが、むしろ最近増加しておりますのは、約七万件ほどございます例えば解雇をめぐる問題あるいは労働条件が変更された問題等、これは労働基準法違反というよりは民事上の問題でございまして、したがいまして、本来法的に争えば民事裁判等の問題に発展していくわけでございます。 こういった事案が増加していることに対処いたしまして、私ども裁判等の長期あるいは費用もかかる解決方法ではなくて、各都道府県の労働基準局におきまして専門官を配置いたしまして、民間の弁護士の方等々学識者の参画も得て、こういった問題について事前に相談があれば事実関係を整理し、今までの判例理論あるいは民事上の理論に照らしてできるだけ早く事業主やそういった方に指導や助言を行うことによって、早く的確な解決を促していく仕組みをつくりたい、そのために要する経費を計上させていただいているものでございます。したがいまして、一つはそういった民間の弁護士の方等々の参画を得るための経費として九千二百万余を増額させております。 また、実際そういった相談事案の専門官とのパイプ役を務める労働条件相談員を各労働基準監督署に配置するための経費、これが五億余の計上をさせていただいておりまして、結果として御指摘ございましたように五億五千万余の増額となっておるわけでございます。 私ども、今回御提案を申し上げております労働基準法の改正法案の中でこういったシステムをつくり、それを労働基準行政の任務とするための改正も提案させていただいておりますので、ぜひ御審議をお願いいたしまして、成立させていただければ、こういったシステムを活用いたしまして労働条件をめぐる紛争が早期に、また労働者の方にとって負担とならない形で解決を見るような形を的確に運用させていただければと思っております。よろしくお願いをいたします。
○笹野貞子君 労働条件の明示といい、今回のこの調停をするということに対しては大変いいことだというふうに思いますので、それに使われる予算ということで、私はこれはだまされる予算ではないんだなと安心はいたしました。 しかし、労働基準法の改正につきましては、これは局長のお言葉ですけれども、私たちは十分に研究いたしまして、本当に私たちが働くためにいい改正なのかどうか、また委員会のときにじっくりと議論をいたしたいというふうには思っております。ひょっとすると非常に危ないところがいっぱいあるのではないかという予感がいたしております。 さて、今の予算づけはわかったのですが、このふえた予算というのは、今回限りでしょうか。労使の間で紛争が起きたときの解決というのはなかなか今までは大変長引いて、いろんな意味で吉川先生におしかりを受けるということが多かったというふうに思うんですが、こういう制度をこれから抜本的にどのようになさるということでこの予算づけなんでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 労働条件をめぐります個別の紛争につきましては、先ほど申し上げましたように、労働基準法違反件数よりもむしろそちらの方が最近の労働市場の動向を反映して非常にふえてきているという状況がございます。 私ども今回の労働基準法の改正案の中で、当面の急ぐべき措置として、こうした民事上の労働条件をめぐる紛争につきまして簡易、迅速な解決を促していくシステムをつくり、それを労働基準行政の任務としていくわけでございます。 ただ、労働条件をめぐる問題につきましては、労働条件のほかにもいろんな労働にかかわる問題が多々絡んでくる場合がございます。そういった角度からは、中央労働基準審議会でも既に建議されているところでございますが、今回の措置に加えて労働にかかわる問題に関する紛争を総合的に調整するシステムをさらに考えていってはどうかという御指摘をいただいておりますので、私ども建議の趣旨に即しましてさらに引き続き検討は進めてまいる考えでございます。 この予算につきましては、そういったことで単年度というよりは、この動向に即して的確な規模の予算を確保し、労働条件をめぐる紛争の簡易、迅速な解決に資してまいりたいと思います。さらに、今後の全体的なシステムの検討を進めて具体的な構想ができれば、また改めて予算のあり方等についてもあわせて詰めてまいりたいと思っておるところでございます。
○笹野貞子君 今の御発言は、私にとっては非常に願ってもないことなんで、当面、またさらに検討ということですが、大臣、これどうでしょうね、こういう仕組みというのは労働行政にとってはとてもいいことですし、基準局というのがこういう紛争を早く解決してあげるお手伝いをするというのは、これは大きな役割の一つだと私は思いますが、大臣はどのように今後をお考えになっているのか、伺います。
○国務大臣(伊吹文明君) 今、政府委員がお答えいたしましたように、労使関係の紛争というのは大きく分けて二つあると思います。 一つは、労働基準法に違反しているかどうかという問題です。もう一つは、労働基準法を超えて民法その他の法律違反があるかどうか。労働基準法に違反しているものについて中労委がある程度の裁定を示しましても、不満の場合には、これは日本の仕組みからいって最終的には裁判に訴えるという道が残っているわけです。民事については御承知のように、当然これは裁判に訴えられます。しかし、落ちついてお互いに一人一人の働く人の立場に立って考えれば早く解決をした方がいいという問題もあるわけです。 しかし、同時に、行政権と司法権というのは、もうこれは先生御承知のように、憲法で厳然として分かれておりますので、今回は当事者がいわゆる仲介を頼んできた場合について労働基準監督署ですか、そこで時の氏神的な役割を果たして、そこで解決できるものはできるだけ早く解決していこうと、とりあえずはその法改正が入っておるわけです。 中長期的にこの問題をどうするかということについては先ほど申し上げたそもそも論がありまして、それについてじゃ司法権上の権利はどうなんだという問題が必ずついてまいります。そこで、少しやはり検討に時間がかかるだろうと。しかし、国税においては国税不服審判所というのがございます。そういうものも参考にしながら、少し時間をいただかなければいけないんで、ここは拙速はまずいんじゃないかと私は思っております。
○笹野貞子君 刑事事件の破廉恥罪というような場合にはもう善か悪かという、そういうことの司法の範疇になるかもしれませんが、往々にしてこの労働条件の問題は、あるときには感情論になったり、あるときには組合があるかないかによって長引いたりするということが、私など相談を受けるときにあります。そういうような組合が全くないときとか、あるいは個人的に非常に悩んでいる人とかを救済するという意味でもこの制度はひとつ充実させていただきたいというふうに思います。 それでは続いて、労働時間の短縮についてお聞きいたしたいというふうに思います。 労働時間の短縮については私も随分長らく委員会で携わってまいりましたけれども、週四十時間制の実施というのはまさにヨーロッパ並みとして歓迎すべきですが、これもなかなか大変だったことを今でも記憶しております。そこで、そのフォローについてお伺いいたしますけれども、特に猶予措置の対象とした業種に対する四十時間の実行について、今どのような状況でしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました週四十時間制につきましては、昨年四月一日に全面的に今までの猶予対象事業場を含めまして実施いたしたわけでございます。 それから、昨年四月一日以降、私ども五月、六月の時点でこの猶予対象事業場を含めましてその普及状況を調査いたしております。その時点で見ますと、実施前よりも約四〇ポイント増加いたしまして、猶予措置対象事業場の達成割合が七六・三%というふうになっております。その後、私どもこれら未実施事業場を中心に集団的な説明あるいは個別の指導等を重ねてきておりまして、さらに現時点の状況につきましては、この五月、六月にまた改めて調査をして状況を把握する予定にいたしております。
○笹野貞子君 実績が大変上がっているということは評価いたしますけれども、当時、局長は、四十時間を守らなかった事業場に対しては直ちに制裁をするのではなくて、力を入れて懇切丁寧というふうにおっしゃいましたけれども、具体的に懇切丁寧の指導をどういうふうにしたのか、その具体的な実績はどうなのか、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 昨年四月一日から全面的に四十時間制を実施いたしまして、成立させていただきました時短促進法に基づきましてきめ細かな指導、援助を行っていく、こういうことが定められたわけでございます。私どもそれを受けまして、事業主団体あるいは個々の事業主に計画的に集まっていただく、そういったことを再三繰り返しながら、この四十時間制の趣旨またはそれを実施すべきこと等の説明に努めてまいりました。 さらに、私どもその過程で、四十時間制の実施に伴っていろいろコストがかかる、あるいは労働時間制度全体を改善しなくてはいけない、そういう場合の費用を助成する改善助成金等を新たに発足させまして、それの活用を勧める。また、事業主の団体に対しましては、みずから事業主団体傘下の個々の事業主に労働時間制度について自主点検して、四十時間ということをにらんで改善していただくための自主点検事業助成金制度、こういうものも同時に発足させました。これら集団的な説明、個別の説明、指導とこういった助成金制度を有機的に関連させて、この四十時間制の定着に努めてきているところでございます。
○笹野貞子君 この予算書から見ますと、五ページの「労働時間短縮対策の推進」というところは随分減ってしまっているわけですが、これは懇切丁寧というのが効果を上げて、予算を減らしても悪質な人はもう出てこないということなんでしょうか。その懇切丁寧の中に、違反してトラブルを起こしたり悪質な人はいなかったんでしょうか、その点ちょっとお答えください。
○政府委員(伊藤庄平君) 四十時間制への労働時間短縮にかかる予算措置が減少しております最大の点は、昨年の四月一日前に早目に四十時間制を導入してもらいたいということで、これも助成制度を設けまして早目の四十時間制の実施を進めてきておりました。これが相当活用されまして、約六万数千事業場がこの助成制度を活用して四十時間制を早目に実施したわけでございます。その助成制度の支払いが平成九年度において行われるということで、その分の経費が相当予算額として計上されておりました。その分が平成十年度においては完全に終わりまして、先ほど申し上げました新たに設けられた二つの助成金制度、これを中心に活用していくという予算の姿になりますので、そういった意味で額の上では減少しておりますが、内容的には全く後退したもの等はございません。
○笹野貞子君 あの時短の委員会のときに非常にもめたものが一つありました。それは時短を促進することによって給料が下がるのではないかこれは労使の話し合いでという前提はもちろんありますけれども、時短の分だけ給料がカットされるんじゃないかということで、随分大議論をしたことを記憶しております。 この点につきまして、時短は進んだのだけれども実質給料が下がったり、あるいは給料が下がるとボーナスとか賞与とかいろんなものが関連するわけですけれども、この点についてはどのように解決が図られましたでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 前国会におきます時短促進法の審議の際に、四十時間制を導入することに伴っての賃金の変更の問題で御論議をいただきました。労使間で十分話し合った上で合理的な解決方法を見出していくべきだ、こういうことで答弁申し上げておったわけでございますが、この点のトラブルにつきましては、実際問題として私どものところに上がってきている件数というものは、正直非常にわずかでございました。それらにつきましても労使間での話し合いをいろいろと仲介することによりましてかなり全体として解決を見ている、こういう状況でございます。 ただ、御指摘ございましたように、まだ二割ぐらいの未実施事業場があるわけでございますので、これからそういった事業場においてこういった問題が出た場合の解決につきましては引き続き私どもも十分注意を払って、労使間で合理的な話し合いが行われるように努めてまいりたいと思っております。
○笹野貞子君 この問題は非常に大きな問題ですので、時短は進んだは、しかし給料は下がったはという現象にならないように、要するに生産向上の方が重大なわけですから、そういう指導もあわせていかなければいけないというふうに思います。今計上されている予算が、労使が紛争して労働者の方をなだめるために圧力として使われるようなお金にならないようにひとつ有効に使っていただきたいというふうに思います。 それでは続きまして、沖縄の問題にちょっと触れさせていただきたいというふうに思います。 私は沖縄というところにひとしお思い入れがあります。これはいろんな意味で、日本の女性の歴史の中でも沖縄というのは本当につらい悲しい歴史があるわけですから、そういう点でも私は沖縄の方々が幸せになっていただきたいというふうに思うんです。 しかし、先ほどからの御質問にありましたように非常に失業率が高い、若者の失業率が高いというこの沖縄で、やはりこれは私はこれからの二十一世紀に向けて余り好ましい現象ではない、そのために沖縄の若年失業者の雇用をどうして創出するかということは大変大きな問題だというふうに思います。 そういう意味で、私は前から何度も持論を展開しているわけですけれども、若年者に高い技術、高い勤労意欲というものがなければ、これはいかに失業率を改善させようと思ってもできないというふうに思うんですが、大臣はその点で、この若年失業者に対する高い技術、高い勤労意欲の手だてを何かお考えでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) まず沖縄の現状については、先生がおっしゃったように失業率が高い中で、特に若年層の失業率が高い。 私も実はメンバーになっております沖縄政策協議会という閣僚レベルの協議会がございます。ここで先般、笹野先生にも御努力をいただいた沖縄振興のための法律を話し合いまして、やっとこれが通りました。基本的には、技術を高め、モラールを高めというのは先生がおっしゃるとおりだと思います。その一番のポイントは、政策的にそういうものをバックアップすることよりも、まず働く場所というか経済がしっかりしているということ、これがやっぱり基本なんです。今回の一種の自由貿易圏的な発想によって、沖縄の方には本土を含めての安全保障上御無理をお願いしてきたために、結果的に基地依存型の経済になっていた構造を変えていける私は大きな法律だと思うんです。 そういう中で、職業訓練関係の施設も大学校化を進めるとかいろいろなことを事務的にも進めておるようでございますので、先生の思い入れと同じ、私は、やはり日本人は、特に本土に住んでいる者はそういう気持ちでやらなければならないと、全く同じような気持ちでおります。
○笹野貞子君 大臣がそのようなお考えを持っていると話が非常にわかりやすくなるわけです。 長らく学校の教師をしておりますと、一つの共通した真理があります。これは、好きな学科は点数がよくなる、点数がよくなるとその学科が好きになるという、こういういい循環というのでしょうか好きじゃないものを押しつけても絶対点数はよくならない、これが人間の一つの生き方の哲学だというふうに思います。若い勤労者が積極的に自分たちでベンチャー企業を起こしたりいろいろするためには、仕事の理解度、技術の自信、そういうものがなければ長く勤まらないということなんです。 そこで、私が何度も言うように、日本は資源がないわけで、人的資源というのが重大なんだ、これはもうどなたもおっしゃることなんですが、しかし日本の人的資源をどのようにして確保していくかという問題が各省ばらばらになっているというふうに私は思います。 かつて文部省に、学部の入学定員はどうやって決めるか、あるいは就職に合った定員になっているかどうかということをただしたことがありますが、工学部とか商船とかお金のかかる学部は少なくして、文学部とかそういうお金のかからないものはたくさん入学定員をとるということを文部省は堂々とおっしゃる。これはまさに間違っているのであって、社会が必要としているものに定員をふやしてそこにたくさんお金をつぎ込む、そして社会のニーズに合わせた学生を送り出していくというのが本来だったら国のやることなんですが、資本がかかるところには少ない学生、資本がかからないところにはたくさん学生をとる、社会はそのニーズを求めていない、全く裏腹なことだと私は思います。 しかし、知識、教養というのは必要なわけですから、私は文部省の行政はそれはそれで意味があると思うんです。そこで、私は労働省の出番だというふうに思います。知識、人格が整った後、自分の勤労に対する自信とその自信を裏づける技術をつけるのが私は労働行政だというふうに思います。 そこで、能開大学校とか技術短期大学校というのは大変必要な行政の一つだというふうに思います。沖縄にはそういう人的資源を養成する学校、今大臣は大学校化というふうにおっしゃいましたけれども、私も知事さんに何度も頼まれました。どうぞ早く四年制の大学校にしていただきたいということなんですが、この大学校化に対して今どのように、そして今回の予算づけはどうなって、大学校化をするときには四年制なのか、そして学部はどういう学部になるのか、場所はどこにつくられるのか、そこら辺の経緯をお答えいただきたいと思います。
○政府委員(山中秀樹君) 確かに、先生おっしゃるとおり、人材の養成ということで、現在職業能力開発短期大学校が沖縄にございます。そこについて十一年度から大学校化を図りたいというふうに考えておりますと同時に、現在の短期大学校で専門課程の二年の訓練科もありますが、そこの科目の増設も行いたいというふうに思っております。 このことは、沖縄県から相当要望が強うございまして、それを踏まえまして私ども大学校化を図るということで考えておりまして、具体的に申しますと、大学校化関係では、特に機械関係の二年の課程ですが、専門課程を終えてそのまた二年ですが、機械関係の要望が特に強うございまして、生産機械システム技術科という科目を設定いたしたいと同時に、二年の専門課程につきましては、非常に沖縄は観光ということでホテルビジネス科と、それから基盤的な電気技術の関係の科目もぜひ設けていただきたいという御要望もございましたので、電気技術科という科目も増設いたしたいというふうに思います。一学年各定員二十名という訓練定員で実施できればなというふうに考えております。
○笹野貞子君 大変私は結構なことだと思うんですが、この二十人というのはどうなんでしょうか。今ちょっとした専門学校でももっと多くの定員なんですけれども、二十人という人数はどのようにして割り出すんですか。
○政府委員(山中秀樹君) 私ども、職業訓練短期大学校にいたしましても、物づくりを担う人材ということでマン・ツー・マンで実技を中心にしてやりますので、一科目通常、定員は二十人ということで実施いたしておりますので、二十人という数字でございます。
○笹野貞子君 いろいろな事情はわかります。しかし、幼稚園でも一学級大体二十人ぐらいでやっているわけですから、四年制大学校となるとやっぱりある程度の、量から質へという問題がありますけれども、二十人というのは私が聞いてもいかにも少ない、一学年五十人ぐらいあってもいいんではないかというふうに思います。 そういう点でも、大臣に最後お尋ねいたしますけれども、人材を育成する重大な任務、そして人的資源を私たち日本人は誇りに思っているわけですから、そういう点では人数のいかんにかかわらず、この大学校化、大学校に対する大臣の意欲をお聞きいたしまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(伊吹文明君) 先生の大変な意欲を超えるような意欲で頑張りたいと思います。
○委員長(鹿熊安正君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後一時十分開会
○委員長(鹿熊安正君) ただいまから労働・社会政策委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、平成十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管を議題といたします。 質疑のある方は順次御発言願います。
○山本保君 私はきょうまず最初に、時間の都合がありますので、先回三月十二日にこの委員会で家族政策ということから現在社会問題化しております児童虐待について御質問いたしました。それについてフォローといいますか、引き続いた質問を最初にさせていただきまして、それから労働省関係の方に移ろうと思います。予算の委嘱審査でこういうことを行うということについてどうかというお話もあったようでございますが、御配慮によりましてこの場でこういう質疑ができるということについては感謝しております。 先回三月十二日の質問で、私は最近の児童虐待の憂うべき状況について厚生省からお聞きいたしまして、それに対して直ちに手を打つべきではないかということを申し上げました。 たしか具体的に四点ほど申し上げまして、相互に関係することもございますが、まず、二十四時間体制で土日も含めてすぐに電話が受けられるような体制をとるべきではないか。これは残念ながら、児童相談所というのが全国各県にございますけれども、どうも仄聞するところ、すべての県で二十四時間体制ではないようであるというようなことを聞いておりましたので、これについてこの体制を進めるべきではないかということを申し上げました。 また二番目には、ただ電話をしても、では相談を受けておきましょう、また来てくださいというようなことではだめでございまして、場合によっては直ちに専門家が飛んでいって、虐待といいますか、場合によっては命にかかわるような子供さんを救ったり、またはそれを抱えておろおろしている親を安定させるというようなことを専門家がすぐにとっていただかなくてはいけないのではないか。県内広いですから、これは一児童相談所という機関だけでは難しいのではないかと思いましたので、それについても法的な対応も必要ではないかということを申し上げたわけであります。 三番目には、場合によってはその家庭に置いておくのは危険である、またはよろしくないということで一時的に急遽保護をするような必要があるのではないか、こういうような内容について申し上げたわけでございます。 その中で、私はこれは法律とか予算という問題を離れて大至急手を打つべきだと思うので今年度中にでも厚生省の方で対応していただきたいと最後に申し上げました。そうしましたら、三月三十一日付で児童家庭局長の通知でございますか、全国にこの趣旨についての通知が出されたというふうにお聞きしましたので、その内容についてまずお聞かせ願えますでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 最近、子供に対する虐待が増加する傾向にございまして、私どもといたしましても大変ゆゆしい事態であると考えております。 この問題につきましては、昨年の児童福祉法の改正におきましても、児童相談所の体制強化なり児童家庭支援センターの創設といった改正が行われたわけでございます。また、同時期におきまして、虐待への対応に関する通知を私どもといたしまして各都道府県にもお出しをいたしております。しかしながら、最近特に親の虐待により児童が死亡するという痛ましい事件が続いて起きてきているというふうなこともありまして、本年の三月三十一日付で、都道府県あるいは児童相談所が緊急に対応すべき事項ということで改めて都道府県あてに通知を出したところでございます。 児童の虐待に対応するためには、各地域ごとに児童相談所等を中心といたしまして関係機関のネットワーク体制がうまくできるということが大事ではないかと思います。それによりまして早期発見、早期対策ということが可能になるわけでありますが、この通知におきましては、早期の通告が行われますように、国民の通報義務につきましても各市町村が広報活動等におきまして周知をしていただく、そのための具体事例等も挙げましてお願いをいたしております。また、夜間、休日等の対応につきまして、相談、一時保護、調査等も含め、具体的な事例なども示しながら緊急の指示をいたしたところでございます。 以上でございます。
○山本保君 先ほど局長通知と言いましたが、課長通知でございますね、訂正させていただきます。 それで、何か各地方紙などにもそのような新聞広告などを出して、ここにいただいたのを見ますと、「聞こえますか?子どもからのSOS」というようなことで、割と具体的なことを書いて各児童相談所その他に連絡するようにという、非常にこの辺丁寧な通知が出たなと思っております。また、各地方紙などにも大きく取り上げられたということで、それも見ております。 局長、これと関連しまして、今審議している十年度予算で児童虐待に対しての国としての対応というものが新たにとられたとすればどんなものがあるのか、簡単に教えていただけますか。
○政府委員(横田吉男君) 昨年六月の児童福祉法改正を踏まえまして、一つは、児童相談所の相談体制の強化と申しますか、バックアップ体制の強化を図っております。 それからもう一つは、児童相談所だけでは百七十五カ所ということで必ずしも全県を一つ一つカバーするわけにいかないということもございまして、より身近なところでの相談体制ということで新しく児童家庭支援センターというものをつくることにいたしたわけでありますけれども、そのための整備費及び運営費につきまして計上いたしております。 それから、児童相談所等における虐待事例への対応を的確に行うために、対応の仕方につきまして具体的に解説いたしました児童虐待対応の手引というようなものをつくる予算を計上いたしているところであります。 このほか、児童相談所の運営資金についても改定を行いまして、万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○山本保君 努力されておられるということについては私も非常に多とするところでございますけれども、ただ少し残念なのは、これもお聞きしますと、そのセンターについて初年度は十件ぐらいのことしかまだお金が出ないということだそうであります。これですと、全国の各県にといいますと何年かかるかわからない。その間にもしこういう事件がまた起こるようなことがあってはなりませんので、私が先回申し上げましたのは、この対応については、今回も通知が出されましたように、十分とは言えないにせよ既に法的にも対応できる体制が整っておりまして、それがただ運用がうまくいっていないという点を指摘したわけであります。ぜひこれは、予算がとれるまでというのではなく、私はあらかじめやっていただきたい。 といいますのは、なぜこの辺が問題になるかといいますと、先生方は御承知かと思いますけれども、こういう問題について親権という親子の問題がございます。親の権利に対していかに児童福祉といえどもむやみやたらに入り込むことはできないわけでありまして、この場合、知事の命を受けた児童福祉司という専門職員が児童相談所におりまして、簡単に言えばこの方だけがそういうことについて権限を持っているというわけでございます。ですから、これは児童相談所の職員ですので数も非常に少ないですし、また二十四時間体制というのもなかなか大変である、こういうことから、実際には警察の方が行って保護しているというふうなことが多いわけであります。 しかし、児童福祉法の改正によりまして、警察官といえども児童福祉の専門家との連携をしなくてはならないということになりますと、当然これまでの体制では手が足りないということがありますので、この児童家庭支援センターにしましても、何らかの意味でここの職員には知事の指導権限というものを委託するようなことが考えられるであろうと思います。これは当然法改正に伴ってもう行い得るわけですから、予算がとれなくても、その県がセンターとして明確な国の認知を受けるか受けないかとは別に法律的には私は全県でできるものではないかと思っております。ですから、これは急いで予算、お金もないのにやれと言うのかというなかなか厳しい反応はあるかもしれませんけれども、ここは子供たちのために、家族のためにやっていただきたいなと思っているわけであります。 それから苦言ばかりで申しわけございませんが、もう一つせっかくでございますので申し上げます。この通知が出たわけでございます。先ほど私四点と言いましたが、三点だったんですけれども、申し上げた中で、電話体制についてはこれで何とかできたんじゃないかと思いますが、やはりすぐに飛んでいって温かく対応するという福祉型のサービスが私は今までおくれていたと思うんです。 ほかの福祉、きょう午前中にもいろんなこれからの福祉の話が出てまいりましたけれども、福祉が雇用としても、まだこれからの新しい日本の中での大きな分野として考えたときに、これまでのように座して待つ、何か悪くなるのを待っているという形ではだめなわけでして、直ちに対応するということ、予防的な対応をすることが実は幸せにつながりますし、お金の面からいっても実際には得になるということでございます。 今回の通知を見させていただきますと、児童委員や主任児童委員さんという方に御協力をお願いしようというふうなことが書いてございますが、児童委員さんといいますのは言うならばボランティアでありまして、ボランティアの方に夜中に電話をかけてお願いするというのも実際上なかなか大変だと思います。ですから、私が先回申し上げましたように、各県の中に専門家のいる施設、そして二十四時間体制で活動をしている施設がたくさんあるわけですから、この施設におられる相当以上の職員の方に児童委員もしくは児童福祉司同等の権限を早く与えて、この方たちにすぐに対応していただくということが一点。 第二点としては、見つかったときにすぐにといいましても施設長がいないなんということでは動きませんので、あらかじめ児童相談所長と施設長さんたちが対応しまして、県の中で一時保護所というのがありますけれども、多くて二カ所くらいしかない、一カ所しかない県がほとんどだと思いますので、そんなときに、その晩のうちにその一時保護所に連れてくるなんということは絶対不可能であります。 ですから、こういう入所型の施設にすぐに一時保護の委託をするという法律の運用ができるわけでありますから、これをすぐとるような体制を、事が起こってからでは実は間に合わないわけでありますので、大至急全県下にこの一時保護委託を直ちにとるようにと、こういう場合にはすぐに入っていただくようにするということをぜひ私は指導でやっていただきたいと思うわけでございますが、局長、これで最後なんですが、何かこれについてお考え、感想をいただければと思います。
○政府委員(横田吉男君) 夜間、休日等におきまして虐待の通報が児童相談所等にありました場合、これにどのように対応するかというのは確かに極めて大きな問題であると私ども考えております。各都道府県の状況を見ますと、夜間、休日等におきましてもかなりきちっとした対応をされているところもございますし、手薄なところもあるというような状況でございまして、私ども今回の通知によりましてもこういった面の充実をお願いしたわけであります。 ただ、この夜間電話を受けて必ず行くということになりますと、一人での立ち入りというのはなかなか現実にできないということもございまして、現在におきましては実際上、立ち入りというような場合におきましては警察等の御協力をいただいているというのが実態であろうかと思います。 先生御提案のありました児童委員に施設の関係者の方々もなっていただく等、一つの案だと思います。私ども、今度つくります児童家庭支援センターの活用というのをどのように図っていくかも、こういった面での一つの課題であるというふうに考えております。また、立ち入りをいたしまして緊急保護が必要だというふうな場合におきまして、児童相談所に附置した一時保護所だけでなく児童関係福祉施設等の活用というのも必要だと考えております。 児童家庭支援センターそのものは養護施設等に附置することにいたしておりますので、こちらで必要な場合にはその本体の施設の方に緊急の一時保護を委託してやっていただくということも今後可能になってこようかと思っておりまして、こういった面につきましても、関係機関の連絡を図りながらうまく対応ができるような仕組みづくりにつまして私ども指導してまいりたいと考えております。
○山本保君 ありがとうございます。 こういうことが問題になって、また通知も出たわけでございますから、今後あのような、先回申し上げたような悲惨な例が出てまいりますと、またそれなりに責任も重くなってくると私は思います。ぜひこれについては早急な対応をしていただきたいと思いますし、また、今回はすぐの即時的な対応だけを申し上げましたが、この後継続的ないろんな指導が必要になってまいります。 私は前にアメリカへ行かせていただいたときなどに、里親さんの制度で、普通里親さんは小さな子供だけを預かるわけですが、言うならばちょっとお年を召した方、御夫婦がお母さんと子供を一緒に里親として預かる、里おばあちゃんなんでしょうかそんな形でまさに親子関係、今回のいろんな事件を見ましても、親の育児に対するノイローゼだとか情報不足、そういうものが原因でございますので、母子寮などの施設のほかにこういう形での里親さんをつくっていくというのもぜひ重要じゃないかなというようなことも考えておりますので、またこれも御提案させていただきたいと思っております。どうもありがとうございました。 厚生省はこれで結構でございます。 それでは次に、労働省関係の予算に関して御質問いたします。けさほどからもう何回もお話が出ているわけでございますが、一応確認の意味もございます。 最近、非常なリストラが進んでおるとかまたはデフレ傾向であるとか、また消費性向が鈍っている、大変なことだというようないろんな分析があるようでございまして、この失業率三・六%、この状況は非常に深刻だということは何回もお聞きしたわけでございますが、どのように考えておられるのか。もっとこれは高くなっていくのではないかというような気もするわけでございますが、無責任な予測という意味ではなくて、そういうおそれはないのかということについてももしできればお聞きしたいと思います。
○政府委員(征矢紀臣君) 現在の雇用失業情勢でございますが、二月の有効求人倍率が〇・六一倍ということで六カ月連続して低下いたしております。有効求人倍率につきましては、過去最悪の数字は昭和五十年代の初めに〇・五一倍という非常に厳しい数字も過去にございます。完全失業率につきましては、先進主要国と比べるとなお低いとはいえ、現行の調査報告がありました昭和二十八年以降最悪の三・六%という数字でございまして、我が国としてはこれは非常に厳しい水準であるというふうに考えております。 今後どうなるかという点につきましては、これはなかなか難しい問題でございますが、政府といたしましては、本年度の経済見通しにつきまして経済成長率実質一・九%という見通し、これで失業率は平均的に三・三%という見通しをいたしておりまして、それに比べ当面は非常に足元が厳しいわけでございますが、今年度そういう見通しのもとにそれを目指した諸般の対策をとっていこう、こういう考え方であります。
○山本保君 経済成長が一・何%というふうにおっしゃいましたけれども、各新聞などを見ますと、初めてのマイナスといいますか、名目でもマイナス成長ではないか、実質では当然ですね、そういうことさえあり、四%にいくのではないかというような記事も見ているわけでございます。 それから、きょう午前中に、これは生活の構造が違う、形態が違うということはあったとしても、ヨーロッパでは一〇%というようなのがまず普通だと。ところが、今経済構造の大変革、また今回のビッグバンも含めて非常に日本の産業構造が変わってくるとなりますと、これは勝手なことを言ってはいけませんけれども、もしそういう同じような社会になるのであれば、一〇%ということだってあり得るのではないか、これはちょっと大げさ過ぎるにしても。 しかし、今おっしゃったような三・三%ぐらいですという予想、予想といいますか、もちろん穏やかな数字を出されていると思いますけれども、当然責任ある役所としてはもっと厳しくなったときの対応は考えられていると思うわけでございますが、その辺について抜かりはないのか、大丈夫なのかということについて、大臣、できましたらお言葉をいただけますか。
○国務大臣(伊吹文明君) 政府としては、今平成十年度の予算審議をお願いしているところでございまして、現在のいわゆる不況というものの原因がどこにあるかというのはいろいろな見方がございます。 山本先生御指摘のように、私は将来に対する不安、これが一番大きいんじゃないかと思います。その不安のよってきたるものは、やはり金融の混乱だと思います。消費性向が落ちているということは、まさにそのことのあらわれなのであって、実質可処分所得がほぼ横ばいであれば、生活水準を維持していくためには本来消費性向は上がるはずです。それにもかかわらず、貯蓄をして、そして将来に備えているというのは、まさに先生がおっしゃったような不安があるわけで、したがって、消費性向が落ちているときに可処分所得を追加するような形がいいのか、それとも消費性向をもとへ戻すような構造対策というか経済政策がいいのか、ここはいろいろ議論の分かれるところだと思います。 私の感じでは、これはやはり十三兆円という金融二法を完全に金融機関が施行する、受け取るということによって、金融面での何というんでしょうか、金融がつかないためにどうなるという不安をまず取り除いて消費性向をもとへ戻していくということが一番大切なのではないかと思っております。 今回の予算には法人税の減税や、金融不安の一つの原因になっている土地の流動化を促進するための税制あるいは有価証券取引税の軽減、いろいろなものが入っておりますので、先生がおっしゃったような事態にならないように努力をするというのが政府の立場だということ以上のことは、ちょっとまことに恐縮なんですが、私の立場としてはお答えがしにくいということは御理解いただきたいと思います。
○山本保君 まさに先憂後楽でございまして、先にきちんと対応していただきたいと思います。 今、政府としてのということでございますので、私も野党・公明としては、一時的かもしれないが、消費にすぐ回るような四兆円程度の戻し金というようなものを提案しているんだということについて、私も一言言わせていただきます。 それで、少し具体的にお聞きしたいんですけれども、雇用保険会計でございます。雇用保険会計というんですか雇用勘定ですか、これがきょうお話もありましたし、労働省予算の九割ぐらいを占めていて、健全であるというふうに先回の法律審査のときにも話があったわけでありますけれども、もし失業率が四%なりまたはもっとふえた場合、この保険は大丈夫なんでしょうか。これについて具体的にひとつお聞きしたいんです。
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま大臣がお答え申し上げましたように、当面私どもは急速に失業率が悪化するとは考えておりませんが、仮に失業率が四%、五%になったら雇用保険会計、雇用勘定はどうか、こういう御質問でございます。 これは、失業率が高くなれば当然失業給付が大幅にふえますので、給付と負担とのバランスが崩れます。積立金が現在四兆円弱ございますが、恐らくそれは使い尽くして保険料率と給付をどうするか、こういう議論になろうかと思います。そういう視点で申し上げますと、我が国の雇用保険の料率、これは先進国で最も少ない百分の一・一五でございますが、アメリカは事業主負担だけの保険料で百分の六であります。それから、ドイツ、フランスも、これは労使折半保険料ですが百分の六程度、もう少し多い国もございます。 そういう状況でありまして、そういう意味での雇用保険の料率問題というのが出てくる、そういうふうに理解いたしております。
○山本保君 大変な事態ということになるわけであります。 一つの考え方によれば、何回も出ていますように、失業率が一〇%というような就業構造を持っている場合に、雇用保険的なものがもっと掛金が高くなってくるということは当然と言えば当然ではあります。しかし、これはやはり順番としまして、言うなら、子供が大きくなり、三十年、四十年、五十年、これぐらいたって初めて全雇用体系というのは決まってくるわけでありまして、ところが、その前にこういう保険体系が破綻するとなって、これを先に行う、改正をするというか、抜本見直しということになってきますとまた大変な問題になってくると思います。 すぐに保険料率と言わずに、ここは税を投入するなり何らかの対応を当然考えて、何か首を横に振られたので非常に心配なんですけれども、その辺はいかがなのでございますか。
○国務大臣(伊吹文明君) 政府委員の立場ではなかなかお答えできないと思いますので、政治家としてお話をすれば、まず、今先生がおっしゃったような事態に立ち至らないような経済の回復を期待し、またそのための努力を重ねるということが政府の最大の仕事だと思います。 率直に言えば、保険料率も税もつまるところ国民の負担なんです。そのどちらに依存するかということは、国民サイドからいえば、自分の源泉所得税として引かれるか源泉の中から雇用保険料として引かれるかということであって、そんなに大きな問題にならないと私は思うんです。ただ、保険会計というのはどちらかというと、自己責任型の公共サービスについて限られた人たちの保険料で賄っていくと、税は負担と給付の関係が非常に希薄になってくるわけです。 いずれにしろ、国民の立場からいえば、負担が少なくて給付が大きいというか行政サービスが大きい方が当然いいわけですから、諸改革を実行して、行き過ぎた改革は私は決して賛成いたしませんが、不必要なものは改革をし、行政改革を実行しながら、国民負担ができるだけ少なくて済むような事態をつくり出していく。その中で、雇用保険もどういう位置づけをしていくか、サービスの多きを求められるのなら負担はある程度ふえていくわけでしょうし、労働省や大蔵省がお金を持っているわけではございませんので、そこのところの仕分けは、山本先生もかつて厚生省の御経験の中で御存じのとおりのことだと思います。
○山本保君 それでは次に、中高年の失業率が高いというのが午前中にもお話が出ました。このことについて、特に若い方と比べまして生活もかかっているわけでありますし、今からいろいろ教育訓練といいましてもなかなか大変だと思います。この方たちがなぜ失業率が高いのか、どういうふうに分析されているのか。 私、素人的にすぐに考えますのは、言うならばその方たちに向いた職業がまずないのかなということと、給料が高過ぎて受けられないのかなというふうな気がするわけですけれども、こんなような分析でよろしいんでしょうか。
○政府委員(征矢紀臣君) 中高年の方の失業は確かにふえておりますし深刻でございまして、そういう方々の再就職問題について問題点がどこかという御指摘でございますが、先生御指摘のように二つあると思います。 一つが、基本的には仕事の数が非常に少ない。有効求人倍率が〇・六一倍ということでございますが、年齢別に見ますと四十五歳までは大体一に近い求人倍率でございます。それが四十五歳を過ぎますと相当少なくなりまして、特に五十五歳を過ぎますとがたんと求人倍率が落ちる、そういうこと。 それからもう一つは、自分の過去の経験に合った仕事が必ずしもない。これは特に問題点としては、いわゆる戦後の団塊の世代の方々が高度成長期に採用されて、特にホワイトカラー層、管理職、そんなところにおられる方、これが企業側から見ますと非常に過剰感が強くて、それが離職されるということでございます。そうしますと、そういう方たちが今まで働いてきた仕事と同じような延長線上で考えられる仕事、これは特に求人が少ない、こんな問題点がありまして非常に厳しいのではないかというふうに考えております。
○山本保君 そこで、一つ御提案でありますが、まず雇用を生み出す。 これはもう大臣も御存じかもしれませんが、今回NPOが法制化されました。しかし、私ども前から申し上げておりますように、これには税制優遇をつけて、特に具体的に言えば、さっき大臣は、どちらにしたって税か社会保険へ持っていってそれを配るんだ、こういう発想じゃなくて、直接社会的なものに対して寄附金を出す、その寄附金に対して税を免除する、こういう形の新しい方法があるわけでございます。こうすれば国民負担率は上がらないわけなんです。 例えば「公益法人」という雑誌、昨年の九月ですが、アメリカでは九六年度に一千五百億ドルという寄附金が出ている、GDPの大体二%ぐらいであろうとか、また労働者としても全雇用の大体六%ぐらいがこのNPOに属している。 ですから、ここは労働省として、単にNPOをボランティアというような位置づけではなくもっと積極的に、特に人のために、社会のために、文化とか福祉という分野がやはりアメリカでも相当強いわけでして、こういうものはお年を召された方にも非常に適する職場であります。今までのような日本型の永年勤続という職場ではありません、また給料もそれほどまでに出ないという気はしますが、しかし生きがい、そして生活の糧の一部になるには十分ではないかという気がしますので、御提案ですが、まずここはひとつぜひ労働省ではNPOについて雇用創出という面から一度御検討いただきたいというふうに私は思います。 それからもう一点は、先ほど出た給与。 これは局長さんにお願いしたいんですが、たしか六十歳以上の方ですか、高年齢の方を雇用した場合に保険の方から手当を出す、こういう制度がございました。これは十年度予算ではどのような、またどんな考え方の制度でございましょうか。
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま先生御指摘の助成金につきましては、就職が困難な方についてこれを雇い入れた事業主にその賃金の一部を助成する制度でございます。就職困難な方というのは年齢で見ますと五十五歳以上の高齢者ということで、こういう方について公共職業安定所の紹介によって継続して雇用する労働者として雇い入れた場合に、雇い入れの一年間の賃金の四分の一、中小企業につきましては三分の一の賃金助成をするという制度であります。 それにつきましての実績でございますが、例えば平成八年度におきましては決算ベースで人員が十一万二千五百八十人、決算規模の金額が四百八十七億七千八百万円というふうな金額でございます。これを十年度の予算で見ますと、高年齢者についての雇用開発助成金の予算として約五百二億円を計上いたしております。
○山本保君 今お聞きしましても、一人当たり四、五十万というような計算になるようでございまして余り大した額ではないな、十一万人というのもどうかなと思います。 先ほどからお話が出ていますように、六十歳というよりももう四十五歳とか五十歳、五十五歳、この辺で失業率が高いといいますか、なかなか今再雇用できないという問題がございます。例えば、こういうところに同じような考え方で対応するということはできないんだろうかなという気がするわけです。なかなか実際には難しいかもしれませんが、しかし私は理論的には簡単じゃないかと思うんです。 つまり、今の高年齢雇用継続、これはただ単に給与差額分を見ましょうという考え方ですけれども、先ほど来議論になっておりますように、今雇用体系、賃金体系が変わってきている。今までのように、若いころは安いお金で年をとってから高く出しましょうという世代と、いや若いうちからその能力に応じた給与をもう既に退職金を含めたような形でもらっていってという世代が混在化している。これがもっとこれから明確になってくるだろう。 そういうとき、今まで給料が安くて今やっと高くなったというお年寄りに対して、お年寄りという言い方は失礼ですが、中高年の方に対して、本来なら当然若いときから得ていたはずの給料分をこの方たちに、言うならばこの十年、二十年の間ぐらいかもしれない、そんなに長くかかる話じゃないと思うんですが、そういうお金を差し上げるんだという考え方で整理をした方が、そうすれば年齢というものではなく四十、五十の方でも同じ考え方が適用できる。 この今の制度では、お年寄りは大変だから、かわいそうだからということぐらいにしかならないんじゃないかというふうに思うわけです。ただ、これについては御提案だけにしておきます。 時間がちょっとなくなってきましたので急いでまとめてお聞きします。私は先回のときにも介護休業について申し上げまして、突然お聞きしたので準備もなかったと思います。そこで、もう一度聞きたいわけでございます。 この育児・介護休業等の法律の十五条には、三カ月間だけである。細かく規定してやってあるわけですが、この九十日、三カ月間だけの介護休業では実際的には何にも役に立たないんじゃないか。私はまず、これを九十日なら九十日、こういう形で、本当はもっと長い必要があるでしょうけれども、その間ぜひ分割して使えるようにすべきではないかというふうに考えておりますが、この考え方は全然だめなんでしょうか。もしあれなら我々が議員立法で改正案を出そうかという気もするわけでございますけれども、労働省はどう考えますか、非常に温かみのない法律じゃないかという気がするわけです。
○政府委員(太田芳枝君) 介護休業制度と申しますのは、家族による介護がやむを得ない場合の緊急的な対応措置ということで、家族が介護に関する長期的方針を決定できるまでの期間として連続する三カ月という形で定めたものでございます。このため、労働者が権利として取得できる介護休業の内容といたしまして継続して休業する形といたしまして、休業の分割取得は認めていないところでございます。 ただ、同じ法律の中で「事業主が講ずべき措置に関する指針」というのがございまして、この中におきましては、事業主に対しまして、労働者が家族の介護の必要性の程度がいろいろと変化することに対応し、制度の弾力的な利用が可能となることが望まれる場合があることに留意すべきであるということを規定しているわけでございまして、こういう点につきましては事業主に対する周知啓発に努めているところでございます。
○山本保君 今お述べになったその指針というのは、これは手当がついていないときの指針ですから、法律にあろうがその辺はということになるでしょうけれども、今度手当を出そうというときに、法律に三カ月とあるのに、それを九十日分割で出してそのときにまさか手当が出るというわけにはいかないんじゃないでしょうか、どうでしょうか。
○政府委員(太田芳枝君) 手当については先生のおっしゃるとおりでございます。
○山本保君 それではお答えをいただいたことにならないと思います。ここは、労働省の方でできないというのであれば、また先生方と御相談して変えるようなことをしなくちゃならぬと思っております。 それからもう一つ、これはこの前お聞きしたときも余り明確な答えがなかったんですが、そのときに二五%給付であるということ、これは私も審議会の意見などを見ましても育児休業に合わせてとこうあるわけですが、育児休業に合わせますと育児休業は二五%で一年間支給するわけですから、私はその総額を合わせて当然出すべきだろうと思います。だったら当然六割ぐらいは出さなければ。もし三カ月間だけ二五%給付にしますと、職業によってはこの休業をとるよりもやめてしまった方が失業手当の方が高いじゃないですか、完全に。そしたらこれは何のための制度だということになりますか。もともと労働者をやめさせないようにしようというためにつくったはずの休業制度が逆に動くんじゃないでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 政府委員の立場からなかなかお答えしにくいと思いますからまず私から申し上げますが、先生にも実は賛成をしていただいてこの雇用保険法は本院を通ったわけでございます。 そこで、一つは、私もお説のように九十日を年間ぱらぱらとれる形がとる人には非常に便利だと思います。しかしながら、今度は企業の雇っている方の立場からいきますと、生産ラインだとか事務の処理の仕方からいって、一カ月に七日ぐらいになりましょうか、一カ月に七日ほど抜けていくという休みのとり方をされると企業としては仕事ができない。帰ってこられたら、その方の職場がなくなっちゃったということは実は一番困るわけでございますので、まず御賛成をいただいたこのやり方でやってみて、だんだん理解を得ながらおっしゃっているような方向へ持っていくというのが一つの手法ではないのか。それからもう一つは、確かに失業保険をもらった方がお金という面ではよろしいかもわかりませんが、再就職ができるかどうかという問題がそこにはございます。 したがって、すべて満点という制度は、資源というか財源というのか保険料財源が無限にあればできるわけでございますけれども、その制約の中でやっておりますので、なるほど山本先生が今おっしゃったり御示唆していただいたことは、そうだな、ごもっともだなと思う点もございますので、制度をまず定着させて理解を得ながら、どういうスピードでどういう手順でやっていくかという手法の問題だというふうに御理解いただければありがたいと思います。
○山本保君 大臣は労働大臣でございますから、ぜひ労働者の側に立った発言をしていただきたいと思っておるわけでございます。いろんな経験者として、そういう今おっしゃったことが実態的にはスムーズにいくんだということについては私もわからないわけではありません。また、労働省も多分大蔵省と頑張ったけれども、結局今の育児休業並みになってしまったのかなということも想像するわけでして、できればいろんなときにもう少しここは、期間を延ばしたりまたはお金を高くしたりということは頑張っていただきたいと思っております。 経済企画庁に来ていただいていると思うんですが、ちょっと時間がありませんので、最初に確認だけさせていただきます。 ぎりぎりにきょう届きまして、ボランティアといいますか、NPOに関係する予算ということで七年、八年、九年と出しているということで、八年が七千八百万、九年で一億二千七百万、一億三千万、今回もそのような予算だというふうに聞いております。 なぜ来ていただいたかといいますと、ちょうどこのNPOの審議のときに取り上げた資料がここにありまして、これは与党の方も使っておられたので私も使ったわけであります。社会調査研究所というところから出ているものでございます。それからこれは社会開発研究所というところ、これは両方とも八年度のものでありますが、七年、八年を見ますとほとんど同じ会社といいますか団体に、しかもメンバーも非常にダブった同じような方が入っているんじゃないかということで、ちょっと私は注意を申し上げようかと思っておったんですが、九年度について見せていただきますとその辺が大分改善されて、いろんな団体の研究者、関連の方が参加しているということなので、これについては申し上げません。 ただ一点だけ言いますと、例えばこちらのアンケート調査、これはこの審議でも使ったんですけれども、何か恣意的にNPOというのはお金を余り使わないんだということを言っているんです。というのは、最初の方にいろんな調査があるんですが、ここである委員が、発議者の方から、例えば全体の団体の中で三四%が十万円未満なんだ、これは三分の一なんだと。ところが、これを見ていきますと、実際はこの表だけなんです。つまり無回答というのを除いて計算しているんです。ほかのページは全部無回答が入って数字が小さいんです。ここだけ大きい数字が使ってある。そして、私がこれを今度引用したんですが、法人格を欲しがっているかどうかというのが後ろの方に小さな表が出てきまして、これを見ますと全然逆なんです、意味していることは。法人格を欲しがっている人たちは百万円以上の団体の方が多いんだと、こう書いてある。ところが、これは小さな字でして、無回答まで入れてありますので数字だけばっと見ますとパーセントが非常に小さいようなふうになっている、こういうところ。 それからもう一つ、こちらの方で言いますと、同じような、今度は数字じゃないんですが、これはいわばNPOのための教科書です、参考書です、ここにはこう書いてある。補助金・業務委託、助成金、寄附金などに「過度に依存することは、市民活動団体の自立性を確立するという側面からは問題があるかもしれません。」と。大体補助金と個人の寄附を同等にとらえて、それを一まとめで、それが多かったら問題だなどというのは、これは先ほどから大臣に申し上げた、NPOというものを単にボランティア的な感覚でとらえているんじゃないか、こういうふうに読めるような記述になっている。 しかも、これをまとめられたのは、名前は言いませんが、大体同じような方が書いておるということを私はちょっとここで御注意を言おうかなと思ったんですが、ただこれは八年度までで、九年度についてはメンバーが相当かわっているということがきのうわかりましたので、これは結構なんですが、もし何か一言あったら。
○政府委員(井出亜夫君) 御指摘につきましてでございますけれども、委託の先につきましては、経験があるところというところをピックアップいたしまして、十分な調査ができる能力を備えたところにやろうという方針でやらせていただいております。 それから、中の記述につきまして恣意性があるのではないかという御指摘でございますけれども、特に助成でございますとかあるいは支援収入というふうなものが余り一カ所に偏り過ぎるのは市民団体の自立性を確立する側面からは問題があるかもしれないという一般論を言っておるわけでございまして、必ずしも個別のケースがすべていかぬということではございませんものですから、私どもはこの記述自身について特に問題があるとは思っておりませんが、御指摘も踏まえまして今後勉強してまいりたいと思っております。
○山本保君 ありがとうございました。 終わります。
○大脇雅子君 先回の衆議院の労働委員会におきまして、コンチネンタル・ミクロネシア航空問題が濱田議員から取り上げられました。これは日本とグアム、ホノルル路線を飛んでいる航空会社ですが、正社員である日本人の客室乗務員三十四名が早期退職または最長五年で雇いどめの一年ごとの再契約書へのサインを強要されて、賃金の大幅ダウンということが来される案を提示されて労働紛争になっているケースであります。 この件につきましては、労働基準監督署へも申告をし、さまざまな働きかけがあり、労働省としても先回調査をお約束いただいたというふうに聞いておりますが、その後、このコンチネンタル・ミクロネシア航空問題というのはどのような調査をしていただいているでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘のございましたコンチネンタル・ミクロネシア航空の件につきましては、衆議院の方で質疑を通じて指摘のありました問題でございます。その後、当事者の方から所轄の監督署の方に正式に申告という形で問題の提起もございました。三月十九日にそういった手続がとられたところでございます。 私ども、その後、事案の内容につきまして、所轄署におきまして関係者からの事実関係の聴取等を始めたところでございます。ただ、この事業所、例えば人事担当者が既にやめている、こういうこともございまして、やや相手方の聞き取り調査等に手間取った面もございますが、現在、委任を受けている弁護士等からの事情聴取にかかっておりまして、できるだけ早急に事実関係をまとめたいというふうに思っております。 労働者の御本人たちが申し立てている申告内容は、一つは労働基準法の第二条で、いわば早期退職に無理やりサインをさせられたということで、労使対等の労働条件決定の原則に反するのではないかという点。また、一年契約で契約を更新してこられた方々は五年という段階で契約終了を言われているわけですが、実質五年の契約を定めていたことになるので労働基準法の十四条に違反するのではないかこういう申告がございます。 私ども、こういった申告のあった点はもちろん事実関係を調べまして、早期退職制度の運用等をめぐっていろいろほかの解雇等にまつわる手続等に基準法上の問題がなかったかどうかの点も含めまして早急に事実関係の調査を終了したいと思っております。
○大脇雅子君 コンチネンタル・ミクロネシア問題は空のリストラと言われまして、規制緩和の一つとも言われ、女性労働の問題として大きな注目を集めておりますので、できるだけ早期に御調査を進めていただきたいと思います。 それでは、予算関係についてお尋ねをいたします。予算の中で、生き生きと働ける環境整備についてということで、活力あふれる創造的な働き方というものを求めて職業能力評価制度のあり方の検討ということが提示されておりますが、その主要な問題点ほどのようなものか、また検討の進め方について、お尋ねをいたします。
○政府委員(山中秀樹君) 職業能力評価制度のあり方の検討でございますが、労働移動の増加あるいは能力重視の人事管理が強まることが予想される中で、やはり個々の労働者が身につけた職業能力を客観的に評価する制度というのがますます重要になるというふうに考えております。 そういうことから、私ども労働省では、現在、技能検定制度とか社内検定制度あるいはホワイトカラーのビジネス・キャリア制度等々の職業能力評価制度を持っておりますが、それらの見直しも含めまして職業能力評価システムの再構築が必要なのではないかということで、平成十年度予算案において有識者の方々から成る研究会の設置をお願いしているところであります。 この研究会では、職業能力評価制度に関するさまざまなニーズを的確に把握するための調査あるいは研究を行いながら、労働移動の際の職業能力の客観的評価あるいは企業内外での処遇等々に資する職業能力評価制度の確立等に向けて検討をいたしたいというふうに考えております。
○大脇雅子君 職業能力評価制度が日本できっちりと確立をしていく中で、失業なき労働移動という労働省の柱の支援政策が効果を発揮するのではないかと思うわけですが、ホワイトカラーや在職求職者が労働移動をするに際してはキャリアアップのために新たな技能、資格の獲得などが必要となると思われます。 今般のホワイトカラーの職業能力開発等の施策の内容として十年度予定額で三億一千万というようにございますが、この内容は具体的にはどのような施策を指しているのでしょうか。
○政府委員(山中秀樹君) ホワイトカラーが充実した職業生活を送るために生涯を通じて段階的、体系的に職業能力開発、向上を行うという必要性が非常に今後高まってくるのではないかというふうに思っております。 労働省といたしましては、ホワイトカラーの職業能力の開発に関する総合的かつ中核的な拠点として、昨年七月に錦糸町に生涯職業能力開発促進センター、いわゆるアビリティガーデンを開設いたしまして、具体的に、産業界の参加あるいは協力を得ながらホワイトカラーの職業能力開発のコース開発、あるいはそれに基づきます教育訓練、あるいは情報の提供等々の事業を行っているところであります。 また、先ほど申し上げましたホワイトカラーのビジネス・キャリア制度についても、十年度については今まで八分野でしたが十分野まで拡大いたしまして、今後ホワイトカラーの能力開発評価制度について充実を期していきたいというふうに考えております。
○大脇雅子君 今般の予算書を見ますと、「現下の雇用失業情勢に対応した雇用調整助成金の適用の拡大」として三十億八千万。確かにこれまで雇用調整助成金制度というのは少しでもリストラを防いで雇用の安定と労働者の能力開発に寄与してきたと言えますけれども、現在のように失業率が三・五の壁を超えて三・六、さらに増加するというような場合、労働者の意識も多様化し、多様な就業形態のもとで労働移動が進んでいる。 そういうときに、失業の予防ということを中核とした雇用調整助成金制度というものはむしろ見直しが必要ではないか。積極的な雇用の確保のために、いわゆる失業なき労働移動へのシフトということが必要でないかと考えられますが、いかがでしょうか。
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のような問題点があろうかと思いますが、雇用調整助成金につきましては、これは御承知のように短期的な経済不況のときに最大限企業に雇用を維持していただく、失業を予防していただく、こういうための助成金でございまして、いわば構造的に長期的に問題があるときの対応ということではございません。 そういう意味で、確かに過去、高度成長期に景気の波がはっきりしていたときに一定の役割を果たしてきている、それが最近ではなかなかそういうところが目に見えてこないではないかということでございますが、ただ一方で、非常に経済状況が厳しくなってきた際に、やはりこの雇用調整助成金の適用をしてほしいという関係団体も最近ふえておりまして、この活用をして失業の予防をしていただくということもなお一定の役割があるのではないかというふうに考えております。 と同時に、さらに構造問題に対処するためには、先生御指摘のように、いろんな面で多様化している、あるいは新しい産業分野が発展していく中で労働移動がふえていく、そういうものを支援することが非常に重要ではないかということでございます。 この点については、業種雇用安定法で特定雇用調整業種というものを労働大臣が指定して、やはり構造的な問題を抱えた業種における企業が新しい分野に展開する、あるいはそこから別の企業に労働者が移る、こういう場合に、その労働移動に対して一定の賃金の助成をする、あるいは仕事をかわるための能力開発訓練の実費を支給する制度がございまして、今後積極的にこういうものを進めていく必要があろうというふうに思います。 それから、この前の雇用保険法の改正でお願いしました教育訓練給付につきましては、先行きに対する不安、まさにそういうものに対処するために労働者がみずから能力開発をする費用の助成をする、そういう仕組みも発足させたところでございます。
○大脇雅子君 確かに一定程度の役割もなおかつあるということはわかるわけですが、雇用調整助成金に比較して、そうした失業なき労働移動を構造的に把握して失業を予防していく予算と余りにも差があり過ぎるんじゃないかというふうに思いますが、この点、大臣いかがお考えでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) 大脇先生御指摘のような数字が出ておると思いますが、雇用調整助成金というのは目の前の雇用を維持していくという意味では非常に役割が大きいし、被保険者からのニーズも非常に高うございます。 将来失業しないように能力開発をしていく、あるいはまたイノベーションをやりながらなかなか利益が上がらないような中小企業を支援していくというところも同時に必要でございますので、これからは社会のニーズに従って予算の構成は少しずつ変わってくるかと思いますが、ともかく今は雇用状況が非常に悪い時期でございます。 それからもう一つは、将来的に雇用の場を確保していくという形になりますと、それがこのような限定された負担と給付の関係の保険という財源ですべてやるのが適当なのかどうなのか、そのあたりの国民的な合意もまた必要であろうと思います。 いずれにしろ、将来的な問題として、御指摘になっている事柄の重要性は十分認識いたしておりますので、我々としても将来の課題として受けとめさせていただきたいと思います。
○大脇雅子君 その点、重要な労働政策として組み込んでいただきたいと思います。 次いで、健康で安心して働ける勤労者生活に関連して、先ほど笹野議員からも御質問がありましたが、労働時間短縮対策の推進について、週四十時間労働制の完全定着のための施策の進捗状況と今後の見通しをどのように考えておられるのか、お尋ねいたしたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 昨年の四月一日から完全実施いたしました週四十時間労働制でございますが、その後の昨年の五月、六月で実施した段階での調査結果によりますと、約七八%の事業場において週四十時間制が達成されている、こういう状況にございます。その後、私どもは残っている事業場を中心にいたしまして、集団的な説明会あるいは個々の指導、さらには団体を通じての自主点検等々を進めて現在に至っているわけでございます。 この五月、六月に改めてその進展状況を調査いたす考えでございますが、いずれにいたしましても、残った二割強の事業場に対しましてもできるだけ早く四十時間制が定着いたしますように、私ども一層きめ細かな指導や援助を展開してまいりたいというふうに思っているところでございます。
○大脇雅子君 時間短縮はまた年次有給休暇の取得とも関連すると思いますが、年次有給休暇の最近の取得状況と年休の取得促進策についてはどのように取り組んでおられるか、お尋ねいたします。
○政府委員(伊藤庄平君) 年次有給休暇の取得状況でございますが、平成八年の賃金労働時間制度等総合調査によりますと、労働者一人平均の付与日数が十七・四日、これに対しまして実際に取得されました日数が九・四日で、取得率が五四・一%となっております。大体取得率は横ばいで余り改善がされていない、こういう状況にございます。 私ども、こういった状況の中で、年次有給休暇の取得促進を図るために、年次有給休暇の計画的な付与制度を活用して、ゴールデンウイークあるいは夏休み等の長期休暇を実現していただくようにいろいろと働きかけ、PRを行っております。 また、こうした年次有給休暇の取得促進のためには、それぞれの職場で労使の方々が、例えば年間を通してあらかじめ取得計画を立てるとか、業務の執行体制を考えて年次有給休暇のとりやすい環境をつくるとか、そういったことが重要でありますので、平成七年の七月にはゆとり休暇推進要綱を作成いたしまして、広く労使の方にお配りし、取得促進を呼びかけているところでございます。 さらに、現在提案申し上げております労働基準法の改正案の中では、今まで勤続期間一年につき一日ずつふえることになっております年次有給休暇の取得日数を、一定期間定着しましたら一年ごとに二日ずつふえる制度に改正いたしまして、むしろ余裕を持って年次有給休暇を取得しやすい環境の形成に役立てていこう、こういったことも現在御提案申し上げているわけでございます。 こういった制度が実現いたしましたならば、今までの年次有給休暇の取得促進策とあわせまして、より一層の年次有給休暇の取得促進に努めてまいりたいと思っておるところでございます。
○大脇雅子君 年休の取得というのは、今も御説明がありましたように横ばい状況ということでなかなか進んでいかないということもあり、一層の施策の推進をお願いしたいと思うんです。 これは私の意見でありますけれども、年休が二年間で時効になってしまうというような点については、何年間かの有給休暇を集めてリフレッシュをしていくということも諸外国では行われておりますときに、取得率が低くて時効にかかってしまう休暇制度についてはぜひ積極的に見直しをしていただきたいというふうに思うわけであります。 次に、時間外休日労働の最近の状況はどのようになっているでしょうか。また、削減の施策についてどのようにされているかお尋ねいたします。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございました時間外・休日労働のまず現状でございますが、平成九年の時間外及び休日労働、この二つから成ります所定外労働時間は百五十時間となっております。また、平成九年十月以降、所定外労働時間は前年に比べますと減少が続いている、こういった状況でございます。 この時間外・休日労働につきましては、景気の変動とも関連ございますが、全体としてかなり短くはなってきております。なお、恒常的な長時間残業が行われる事業場のケース等もございますので、私どもは一つは時間外労働の協定に関する指針、いわゆる目安と呼ばれているものを労働大臣の告示に基づきまして出しまして、三六協定の締結等の際に、この範囲内におさまるように今まで指導を行ってきているところでございます。 さらに、過去から所定外労働時間の削減要綱を業種別に作成いたしておりまして、これに基づいて各業種に対しまして、例えばノー残業デーあるいはノー残業ウイークといったものを設けること等の呼びかけを行ってきているところでございます。 また、御提案申し上げている労働基準法の改正案の内容になりますが、今回の改正案の中におきましては、こういった恒常的な長時間残業の抑制をさらに実効ある形で進めるために、残業に関しますいわゆる三六協定を締結する際の上限に関する基準を新たに労働基準法に基づいて労働大臣が定めることにいたしまして、その上限に関する基準につきましては三六協定を結ぶ際に遵守義務を労使に課す、こういった形でまずその実効を期してまいりたい。 さらに、労働基準法の中で、もしそういったことが守れないケースにつきましては労働基準監督署長が指導をする権限も明記してその徹底を期す、こういう体系を今回の改正法の中に織り込んだわけでございます。 こういった形で、労働基準法に基づいてかなり実効ある時間外労働の抑制策を実施できる体制を御提案申し上げておりますので、よろしく御審議もお願いをいたしたいというふうに考えております。
○大脇雅子君 労基法問題については論議は後に送りますが、先回の春闘で残業拒否闘争を組んだ職場で労働組合の人たちが、こういうことなら毎日春闘で残業拒否闘争をしてほしい、それほどまでに日々の疲労こんぱい感は激しいという訴えがあったということも聞いております。平均して百五十時間といいましても、恒常的な時間外労働が慢性化している職場というものは大変大きい負担を労働者に課しているんだという現状を認識していただきたいと思うわけです。 この点に関して、労働安全衛生法における産業医の意義は大変大きく、労働における労働者の健康管理等について産業医から事業主に勧告をして、事業主は「これを尊重しなければならない。」という労働安全衛生法第十三条の規定の改正というのは、私は現場においては画期的ではなかったかと思うわけですが、この勧告について、大体実績はどのように現場で上がってきているんでしょうか、そういう調査はしておられるでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 御指摘ございましたように、平成八年の労働安全衛生法の改正で、産業医が事業主に対しまして労働者の健康管理等について勧告できることや、その勧告につきまして事業者の尊重義務を法律上明確にいたしたところでございます。この法改正後、産業医の方々は日ごろの診察その他相談等の場面で随時こういった勧告等を行っているものと考えておりますが、日々の勧告等の件数につきまして統計的な調査は行っておりません。 ただ、日本医師会が平成七年に調査いたしましたものによりますと、事業主に対して勧告や助言などを行った産業医の方が約六三%に達しておりまして、こういった改正を受けて、産業医の方々の活動はさらに活発になっているものと私ども理解しております。 今後とも、日本医師会あるいは産業医の方々の研修等の実施に当たっております各都道府県の産業保健推進センター等との連携を深めまして、産業医の方々の活動の活発化に今後とも努めていきたいというふうに考えております。
○大脇雅子君 勧告、助言が六三%というのはかなり高率だと思われますので、どういう実態があって、何件行われて、それに対して事業主が尊重したのかしなかったのかとか、それをぜひ調査していただきたいというふうに思います。とりわけ推進センターなどがあるわけですから、ぜひそれを活用して仕事をしていただく必要があるのではないかというふうに思います。 次に、今回、賃金の支払の確保等に関する法律の立替払制度の対象となる未払い賃金が見直されるということになっておりますが、基準額がどのように設定され、どのように変更されるのでしょうか。
○政府委員(伊藤庄平君) 立替払制度の対象になります未払い賃金の限度額につきましては、先生からこの委員会でも御指摘を受け、私ども予算要求等を行ってきたところでございます。 立てかえ払い対象となる未払い賃金総額の限度額でございますが、平成五年度以降改正がされていなかったということもございまして、その後の賃金上昇率を考慮いたしまして、本年度から三十歳以上四十五歳未満の労働者の方々についてはこの限度額を百二十万円から百三十万円に、それから四十五歳以上の労働者の方については百五十万から百七十万にそれぞれ引き上げてまいりたいというふうに考えているところでございます。予算が成立いたしましたならば、速やかにこういった額で立替払制度を実施していく考えでございます。
○大脇雅子君 労働債権につきましては、この賃金確保の立替払制度のほかに、労働債権それ自身の先取特権的地位といいますか、そういったものが社会保障などの債権の下に置かれているというようなこともあり、倒産法制の中の見直しが進んでいると思いますので、そういう中で労働省も発言を強めていただきまして、労働債権それ自身のあり方についても、倒産が非常に大きい場合に重要な課題だと思いますので、ぜひお取り組みをいただきたいと思います。 最後に、少子・高齢化を支える基盤づくりの中で、改正均等法に関しまして母性健康管理体制の総合的整備ということがなされておりますが、その内容はどのようになっているのでしょうか、お尋ねをいたします。
○政府委員(太田芳枝君) 母性健康管理体制を整備しようということで、均等法の中にあります妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置というものを、これまでは努力義務だったものを義務化させていただいたわけでございます。 それに基づきまして、今年度から新たに妊産婦が医師等の指導を受けた場合、そういうものを事業主に明確に伝えるために母性健康管理指導事項連絡カードというものをつくりまして、これをお医者様に書いていただいて事業主に持っていくというようなシステムを新たにつくったわけでございます。この利用を積極的に推進していきたいと考えております。 また同時に、企業内に産業医とかその他の産業保健スタッフの方がおられますので、これらの方々にも母性の大事さというものをよく理解していただいて、母性保護というものについて積極的に取り組んでいただくよう研修などを行うことにしておりまして、こういうような施策を総合的にやることによりまして母性健康管理の推進ということに努めていきたいというふうに考えております。
○大脇雅子君 母性健康管理体制の総合的な整備ということは少子社会の基盤ということでありますし、働く女性の権利の中核的な保護規定であると思いますので、ぜひそれは十分に施策を推進していただきたいと思います。 そうした基盤づくりの施策に関する大臣の御決意を伺いまして、私の質問を終わります。
○国務大臣(伊吹文明君) 先生の御質問、また我々の申し上げました答えをずっと私も聞いておったり、自分で答えたりしながら、大切な方向を示唆しておられると思います。この委員会での御指導ももちろんでございますが、社民党とは与党を組んでおりますので、新たな施策についての与党内協議でもぜひよろしく御指導をいただきたいと思います。
○吉川春子君 労働省関係の予算についてまずお伺いいたします。 労働省が高齢社会対策として力を入れておりますシルバー人材センターに補助している自治体に対する補助金、高年齢者労働能力活用事業費の去年と比べての削減額と削減する理由を教えていただきたいと思います。
○政府委員(征矢紀臣君) シルバー人材センター事業の予算でございますが、シルバー人材センター事業の予算の一般会計分につきましては、平成十年度予算におきまして財政構造改革法の趣旨を踏まえまして事業の見直しを行った結果、約一〇%弱の削減をいたしております。
○吉川春子君 金額は幾らでしたっけ、削減額、済みません。
○政府委員(征矢紀臣君) その結果、平成十年度の予定額といたしまして一般会計で百四十一億二千五百万円となります。
○吉川春子君 都道府県が設置する職業能力開発校、障害者のための職業能力開発校の補助金である職業転換訓練費交付金の削減額、そして削減する理由はどうですか。
○政府委員(征矢紀臣君) 職業転換給付金につきましては、これはその支給の実績等を踏まえた金額であるというふうに理解いたしております。
○吉川春子君 平成九年と平成十年の金額、それぞれおっしゃってください。
○政府委員(征矢紀臣君) 手元に資料がございませんので明確な金額は申し上げられませんが、私の記憶に間違いがなければ、これについては財政構造改革法上の削減一割というそれには該当しないものであるというふうに考えております。
○吉川春子君 いや、そんなことを聞いてなくて、ちょっと具体的な数字を教えていただきたいと思ったんです。平成九年が五十四億六千百万円、平成十年が四十九億一千五百万円ということで五億四千六百万円の削減、非常に大幅な削減なんです。労働省は高齢社会に向けて例えばシルバー人材センターの充実について取り組んでこられたわけですけれども、このように予算額を削減してどんな弊害が起こるんですか。
○政府委員(征矢紀臣君) シルバー人材センター予算の一般会計分につきましては、ただいま申し上げましたように財政構造改革法の趣旨を踏まえまして一〇%弱の削減ということにいたしているわけでございますが、先生御指摘のように、高齢化社会の中でシルバー人材センター事業は今後の高齢者対策の最重点課題の一つであるというふうに私ども考えておりまして、そういう意味で必要な支援措置を続けるという観点から、平成十年度の新規事業として労働保険特別会計におきまして新しい対処をいたしておるところでございます。 シニアワークプログラムと申しておりますが、最近の短時間雇用を希望する高齢者の増加等に対応いたしまして、事業主団体との連携のもとにシルバー人材センターのメンバーである高齢者の方に対して技能講習を行う、あるいは合同面接会を行うというようなことを内容とする予算で、シニアワークプログラムといたしまして予算計上をいたしております。これが大体三十億円余でございまして、総額として平成九年度の百五十四億円の予算から平成十年度は百七十四億円に増額いたしておるところでございます。 これによりまして、高齢者の多様化する雇用就業希望にきめ細かく対応することが可能となるというふうに考えておりまして、弊害が生じることがないように対処いたしているつもりであります。
○吉川春子君 労働省も認めておりますように、大変重要な施策なわけなんです。それを財政構造改革という大きな波が来まして予算を削ってしまった。そのことによって、例えば人が三人いればそのうちの一人はパートにするとか、人件費にも影響が及ぶ大変困った削減であるということを私も聞いております。 大臣、財政構造改革法の改正問題がいろいろ与党で、あるいは政府で言われておりますけれども、こんな重要な予算まで削るということは何事かと私は思わざるを得ません。財政構造改革法の見直しということ、それはこのような社会保障の費用を削らない、そういう側面での見直しをぜひやっていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○政府委員(征矢紀臣君) シルバー人材センターの問題でございますが、これにつきましてはその運営費について国及び地方公共団体が一〇〇%補助しているというわけではございませんで、シルバー人材センターには会費の収入あるいは寄附、この寄附金につきましては税法上非課税とするような措置も新たに加わっておりますが、仕事の受注に伴う手数料などの収入がございまして、これまでも受注量の拡大あるいは運営の効率化等を図ることによりまして財政基盤の強化に努めてきたところでございます。 平成十年度につきましては先ほども申し上げましたような予算措置でございますが、新たにシニアワークプログラムを導入すること等によりましてシルバー人材センター事業の運営に支障が生ずることはないというふうに考えております。 なお、今後とも最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
○国務大臣(伊吹文明君) 今、吉川先生おっしゃいましたように、財政構造改革法の改正が取りざたされているという新聞報道を私拝見しております。ただ、財政構造改革作業が必要であって、私たちが今稼いでいる以上のものを私たちが使うことによって後世に負担を残してはいけないということは、ここにいらっしゃる皆さんすべてが同意されると私は思います。 問題は、財政構造改革をし、再建していく中で、どこに重点を置きながら財政を再建、改革していくかという価値観の問題が一つあると思いますが、この法律ができましたときは各省一律削減という前提で我々も当然そのお話は承っていたわけです。 したがって、今後どういう形でこの改正の議論が行われるかわかりませんが、万一、まだ仮定の話ですから私がお答えするのは不適当かもわかりませんが、今新聞報道等では、目標達成年を二年ほど延ばすとか、あるいは特別な事情が生じた場合にはいわゆる弾力条項というものを設けて、キャップというんでしょうか、今先生がおっしゃったような上限を一時的に緩和するとか、いろいろなことが取りざたされているわけです。 私は閣僚の一員ですが、まだ何のお話も伺っておりません。その内容がどうなるのかということも含めて具体的な話が出てきたときには、労働省の問題について私が言うべきことがあれば私は発言したいと思っております。
○吉川春子君 労働省の補助金も一律全部キャップがかかっていて大変な状況ですので、本当に国民の暮らしにとって必要な予算ですからぜひ見直していただきたいということを私は申し上げて、次の質問に移ります。 労働基準監督行政も、また労働基準を使用者に守らせるという上で非常に大切なものです。 労働基準局に伺いますが、労働基準監督官が事業場に赴いて監督を実施していますが、九六年、九七年において臨検監督を実施した事業場数、企業規模別に、そして実施率と労基法違反率の数字をお示しいただきたいと思います。
○政府委員(伊藤庄平君) 労働基準監督署におきましては、管内の状況を勘案いたしまして、労働基準法あるいは労働安全衛生法等について履行の確保という観点からチェックを要しそうな分野を重点的に臨検監督を行っております。 その数でございますが、平成七年には十七万五千八百事業場、それから平成八年には十六万四千六百事業場、それぞれ臨検監督を行っているところでございます。そういった臨検監督を通じまして把握されます法違反等の状況でございますが、例えば労働時間に関する規定、労働基準法の三十二条違反ということで見ますと、違反率が一二・九%、あるいは労働基準法の八十九条の就業規則に関する違反件数ですと一一%等が挙がってまいります。 また、労働安全衛生法関係ですと、建設業等が重点の臨検監督対象になるわけでございますが、安全基準に関する規定違反というようなことでは、例えば二〇・五%の何らかの指摘すべき状況が見られる、こういったことでございます。
○吉川春子君 労働問題のしおりの百六十一ページの監督実施状況の推移、これはトータルの数字でしょうか、違反率が全部五〇%を超えています。大変高い違反率ですね、どうですか。
○政府委員(伊藤庄平君) ただいま申し上げたような違反件数、例えば労働基準法関係ですと、累計していきますと二八%を超える違反の割合になります。それから安全衛生法関係で見ますと、やはり三〇%を超える違反を指摘しております。こういうもの、重複がございますので合わせますと、回った事業場の中では約半数の事業場が何らかの指摘を受ける、こういう状況にございます。
○吉川春子君 その中で司法処理件数はどうなっておりますか。
○政府委員(伊藤庄平君) 具体的に司法処理をして送検をした件数については、ただいま調べまして申し上げたいと存じますが、これらの件数の中から私ども是正の勧告をし、改善させていくわけでございますが、最終的に改善等がなされない、あるいはその過程で悪質な状況が見られたというような場合には司法処理に回すことがあるわけでございますが、その件数は平成八年の数字で千四百十一件、そういった状況でございます。
○吉川春子君 違反件数は非常に多いんですけれども、司法処理に回している数は必ずしも多くない。その理由の一部は今局長がおっしゃったとおりですが、労基法は最終的には懲役刑をもって違反を処罰する、こういう法律です。 実態としては、労働基準監督官の数が少ないということで手が回りかねるものもありましょう。私たちは一貫して労働基準監督官の増員を要求しているわけですけれども、そういうことも必要だと思います。 私は、司法処理に回す件数は少ないと思いますが、労基法が刑罰があるので使用者の法違反を抑えている、そういう側面もやはりあるのではないかと思いますが、その点についてはどうですか。
○政府委員(伊藤庄平君) 労働基準行政は先生御指摘のように、もちろん労働基準法等について多くの規定は罰則を伴うものでございます。 私どもの任務はこの罰則を使うことだけにあるわけじゃなくて、職場内で労使が互いに牽制しチェックし合って違反事例等を未然に防止していく、また労働基準監督署におきましても、職場でそういった労使の牽制に関する、チェックに関する話を情報をいただきあるいはみずから情報を収集して、やはりある規定を逸脱したような場合につきましては労働基準監督署が是正ということの形で乗り出し、必要な場合には、悪質なものと認められる場合あるいは改善がされないケースについては司法処理を行っていく。 そういった形で、事件の発生を未然に防止したり、労使の方と連携をとって労働条件の維持向上に努めたり、あるいは最終的に司法処理を行ったり、そういうようなさまざまな類型に応じて総合的な仕事を行い、全体として労働者の方々の保護に役立っていく役所であるというふうに思っております。
○吉川春子君 ただ刑罰で処罰すればいいという考えは私もとるわけではありませんけれども、結局そういう強力な労働基準法の存在がやはり違反を抑えるという役割を果たしているということは否定できないと思います。 そこで大臣、お伺いいたしますが、過日の当委員会で大臣は私の質問に対して、働き方も従来のように終身雇用制一つであって、その基準をすべて労働省が警察権的に守っていくのではなくて、希望しておられる方があれば労働時間の管理はその方に任せてもいい、こういう答弁をされました。 私は、これは実は重大な答弁であると受けとめております。労働行政は労働基準監督官が司法警察員であることからもわかるように、臨検をし、告発をする、そういう強力な権限を行使して労働者の権利を守っているということは、今局長とのやりとりで行われたとおりなんです。 こういうことでいえば、まさに警察権的に守ると。ケンというのはまさか犬ではないと思うんですけれども、権力の権だと思うんですが、そういうことであるとすれば、この警察権の行使を行わないかのような大臣の発言というのは、ちょっと労働行政のトップとしての御発言としてはいかがなものかと思います。そういう意味ではなかったんですか。
○国務大臣(伊吹文明君) ちょっと私の御説明が十分でなかったのか、先生の御理解が私の真意を受け取ってくださらなかったのか、率直にここに書いてあることを申し上げたいと思いますが、例えば働き方も従来のように終身雇用制一つであって、そしてその基準をすべて労働省が警察権的に守っていくのではなくて、希望しておられる方があれば労働時間の管理はその方に任せてもいいというバイパスをつくるということはと、こう私は申し上げた。すべてと、こう申し上げた。 そこで、法律に違反したり間違ったりしたことは、日本国においては、一義的には当然警察に、検察でも構わないんですが、取り締まられます。しかし、安全を守るためにガードマンがいて悪いということは、日本の法律にはどこにも書いてありません。 したがって、私が申し上げているのは、例えば今御提案申し上げている裁量労働制のようなものは、労使の話し合いを一つの前提とした一定の法的枠組みのもとで労働者の希望に応じて自律的にやっていただくという、そういう働き方を認めていってもいいんじゃないのかと。 しかし、その中で労働基準法に違反することがあれば、それは取り締まるのが当たり前で、先ほど来御答弁を先生もお読みいただいたように、その基準をすべて労働省がと、こう私は申し上げているわけです。
○吉川春子君 労基法の議論はゆっくりやりたいと思うんですが、裁量労働の今度導入されるものに違反しても罰則はないわけです。これはいいです、指摘だけにしておきます。 ともかく警察権をもって労働基準法は守られている、守らなくてはならない、そういうことはやっぱりきちっと押さえておいていただかなくてはいけませんし、さっきの臨検の実施率も実は四・四%なんです、非常に少ないんです。だから、これはいろいろな条件を整えてむしろもっと検査もやっていただかなきゃならないし、そういう点で労働基準監督行政とはいかなるものかということを考えたときに、いろいろな方法をとるのだということと、しかし司法警察員で、そして懲罰刑がある、懲役刑があるんだということを全部その中に解消をしてはいけないのであって、全部ではなくて、そういうことをきちっと押さえた労働行政をやっていただく、これが労働省の役割ではないかと思います。 だから、警察権的に守らなくてはならないものがいっぱいあるんです。その点についての大臣の御認識が、こういうものをなくしていくということであるんだとすれば、それは違うというふうに思って、その点については撤回していただきたいと私は思いますが、どうでしょうか。
○国務大臣(伊吹文明君) まことに申しわけありませんが、私の申し上げていることを先生はやや違うように表現しておられます。私は、労働基準法に違反することを警察権的に守らなくていいなどということは一言も申し上げておりません。私の速記録をきっちり読んでいただきたいと思います。 私が申し上げているのは、例えば働き方も従来のように終身雇用制一つであって、その働き方の基準をすべて労働省が警察権的に守っていくのではなく云々、こう言っているわけです。だから、労働基準法に違反することは労働基準法の警察権によって労働省が責任を持ってきちっとやるというのが国家の秩序として当たり前のことです。 しかし、その上で、裁量労働制のように、労使がお互いに話し合って一定のルールをつくりながら、労働組合というか、使用者側の代表の方が自治権の発揮として、これは困るじゃないか、どうじゃないかということは、それはそういう道をつくるということはこれからあってもいいんじゃないかということを申し上げているわけです。
○吉川春子君 要するに、労働基準法できっちりと懲役刑を含めて守っていることを、だんだんここから撤退するような方向に今回の労働基準法の改正も、今大臣がおっしゃったようにバイパスを設けるというような形で、そちらの方に行こうとしている。これが警察権的なことから撤退するということであるのであれば、それは間違いですと。労働基準行政のあり方というのは本来そういうことではありませんよということを私は申し上げているわけでございまして、労働基準法の趣旨に沿ってそれをきちっと守っていくということであれば、それはそれで結構でございます。 それで、引き続き労働・社会政策委員会は開かれますので、この問題を議論していきたいと思います。 もう一つ、私は大臣に重要な問題をお伺いしたいと思います。それは、従軍慰安婦は強制労働だというILOの認定についてでございます。 従軍慰安婦問題が最初にクローズアップされたのは一九九〇年ですけれども、六月六日の参議院予算委員会で、本岡議員の質問に答えて、当時の清水職安局長が、従軍慰安婦なるものについては、民間業者がそうした方々を軍とともに連れて歩いているとして、実態を調査して結果を出すことはできかねると突っぱねました。そして、九一年の四月一日の予算委員会でも、当時の若林職安局長が、「当時厚生省勤労局も国民勤労動員署も朝鮮人従軍慰安婦につきましては全く関与していなかった」ときっぱりと答弁をしております。 その後この問題がどうなったかというのは御案内のとおりですけれども、最初のこの発言、労働省は全く意に反する答弁を繰り返してきた。このことについて今日の時点でどのようにお考えでしょうか、責任を感じておられるでしょうか。
○政府委員(征矢紀臣君) ただいま一九九〇年六月六日の参議院予算委員会での当時の局長の発言等についての御指摘でございますが、いわゆる従軍慰安婦問題につきまして平成四年に内閣官房が中心になって行いました調査の結果によりますと、慰安所の設置、経営、監督等につきまして政府としては関与があったことが認められているものでございますが、御指摘の国会答弁につきましては、平成二年当時、朝鮮人徴用者等の名簿調査を実施する中で、労働省においてはいわゆる従軍慰安婦に関する何らの資料も発見されなかったことを踏まえまして行ったものであるというふうに承知いたしております。
○吉川春子君 実は、この答弁に怒った韓国の元従軍慰安婦の方々が、その後東京地裁に提訴、さまざまな人々が運動支援に立ち上がって今日に至っているわけですけれども、こういうことがなかったら歴史の事実に反するこの答弁が定着していたという点で、私は労働省の責任は重いというふうに思います。 それで、もう一つ伺いますが、一九三〇年締結の強制労働禁止に関するILO二十九号条約、これは日本は批准しているわけですけれども、労働省に伺いますが、この内容はどういうものですか。
○政府委員(渡邊信君) 一九三二年に我が国が批准いたしましたILO二十九号条約は、強制労働ニ関スル条約でございまして、意に反する苦役等の強制労働を禁止している条約でございます。
○吉川春子君 外務省お見えでしょうか。 従軍慰安婦は、日本国憲法で言うと十八条の苦役に当たるのではありませんか。その解釈についてお示しください。
○説明員(赤阪清隆君) ただいまの御質問は、従軍慰安婦問題についての憲法上の解釈かと存じますが、従軍慰安婦問題一般ということでは法的な解釈についての見解を申し上げかねます。
○吉川春子君 一般じゃなければ言えるんですか。こういう行為は苦役に当たりますか。
○説明員(赤阪清隆君) 先生の御質問は、憲法上の問題として苦役に当たるかどうかということでございましょうか。
○吉川春子君 そうです。
○説明員(赤阪清隆君) その見解につきましては、私、外務省として正式な見解を申し上げる立場にはございません。
○吉川春子君 外務省が、これは苦役に当たるときのうおっしゃるので私は質問しているわけですけれども、どこで変わったんでしょうね。 では、先に進みたいと思います。 一九九七年の三月四日、ILOの専門家委員会では、ILO二十九号条約と従軍慰安婦についての認定を行っております。邦語訳でパラグラフ十二という番号が振ってありますけれども、ここでは慰安婦問題とILO二十九号条約の関連性についてどのように認定していますか。
○説明員(赤阪清隆君) ただいま先生が御指摘になられたのは、一九九七年のILOの専門家委員会が出しましたオブザベーションのパラ十二かと思いますが、そのパラ十二によりますと、この専門家委員会は、「本事案は本条約第二条第二項(d)及び同第二条第二項(a)に規定する強制労働から除外されるものには該当せず、従って明らかに日本による条約違反が存在したと結論する。」と記述してございます。
○吉川春子君 この点について、従来日本政府は、戦時ゆえに強制労働の適用はないと、国会でこういう答弁をされています。例えば、九四年六月二十二日、外務委員会、清水澄子議員に対する丹波局長の答弁などがそうですけれども、ILOは今回こういうふうに条約違反であるというふうに結論づけたわけです。したがって、政府のこの見解が否定されたわけですけれども、答弁を修正されますか。
○説明員(赤阪清隆君) 私どもといたしましては、このオブザベーションのパラ十二に言うところの「条約違反が存在したと結論する。」という文言は、具体的な事実認定を行ったものではなくて、むしろこの専門家委員会が、この委員会に提出されました大阪府特別英語教職員組合なる団体の提出しました文書の中にある申し立てを基礎として取りまとめられたものでありまして、具体的な事実認定を行ったものではないと考えております。
○吉川春子君 その前の年の九六年三月四日にもILOの専門家委員会は日本の従軍慰安婦について認定しているわけですけれども、これは二十九号条約と強制労働との関係でどのような認定をしていますか。
○説明員(赤阪清隆君) ただいま先生の御指摘のございました一九九六年のオブザベーションでは、 本条約に基づき及び本委員会の委任事項の下で、本委員会は、補償及び賃金のために求められている救済を命ずる権限を有していない。この救済は政府によってのみ与えられ得る。本委員会は、これらの出来事から経過した時間に鑑み、政府がすみやかに本件に適切な考慮を払うことを希望する。 と述べております。
○吉川春子君 今、部分的に読み上げていただきましたけれども、ILOの専門家委員会は、こういう行為が「本条約に違反する性的奴隷として特徴づけられるものであると認識する。」、賃金補償その他の給付を受け取ることができただろうということを述べて、本委員会は賃金の救済を命ずる権限を有していない、日本政府が速やかに適切な配慮を行うことを希望する、このように言っているわけです。 九六年と九七年の二回にわたってILO二十九号条約違反であるということが認定されているわけなんですけれども、そうすると日本政府としてはこの結論を受け入れることはできないということでしょうか。この条約に反しているかどうかということを判断する権限があるのはILOですね。 今までその権限が出ていなかったときの丹波局長のさっき指摘した答弁なんですけれども、ILOの専門家委員会がこういう認定をした後になっても政府はこの答弁を修正しないということは、このILOの認定を受け入れないということをおっしゃっているのと同じですね。
○説明員(赤阪清隆君) ただいまの御質問につきましては、この専門家委員会は、ILO条約の各批准国における適用状況につきまして、加盟国等がILOに提出した報告に基づいて検討を行う機関でございまして、そもそも加盟国の法的責任の所在について最終的に判断する権限を有しておりません。九六年のオブザベーションの中でも、「本委員会は、補償及び賃金のために求められている救済を命ずる権限を有していない。」と記述してございます。 他方、九七年のオブザベーションに見られるとおり、この委員会も、被害者の期待にこたえるために日本政府が必要な措置をとり続けることを信頼すると述べておりまして、日本政府がこれまでとってきておりますアジア女性基金を中心とした、本問題に対する取り組みを引き続き実施していくことを期待するとしております。 先生御存じのとおり、きょうの新聞にも報じられておりますが、国連人権委員会の方ではクマラスワミ特別報告者による報告が公表されております。この報告でも、女性のためのアジア平和国民基金の活動や日本政府がこれまでとってきた取り組みを歓迎すべき努力であると評価しております。
○吉川春子君 ちょっと、都合のいいことだけ言わないでくださいね。クマラスワミさんは、日本政府は自分の責任を認めていないということも同じところで言っているじゃないですか。部分的に都合のいいことだけを言うというのはだめですよ。 それから、もう一つ申し上げますけれども、要するにあなたは、日本政府にそういうことを命ずる権限がこのILO専門家委員会にないとおっしゃった。それは私もそう思います、そこにも書いてあるわけですから。 しかし、日本の従軍慰安婦が強制労働禁止条約に違反するかどうか、この判断を行う一義的な委員会ではありませんか。私はその判断について聞いているのであって、日本政府の対応についてはこれから聞きます。 判断する権限はILOにあるんじゃありませんか。
○説明員(赤阪清隆君) 先生御指摘のございましたオブザベーションを行ったこの専門家委員会は、事務局を通じてILO総会の方に報告をいたします。この専門家委員会自体は加盟国の法的責任の所在について最終的に判断する権限はありませんし、この委員会もそういう権限がないということを認めております。
○吉川春子君 最終的に判断する権限があるかないかには言及していませんよ。それと、あなたがおっしゃりたいのは、要するにその専門家会議の上部組織、国際会議に取り上げられていないだろうということで開き直っているんだと思いますね。 しかし、専門家委員会で議題になったのはこの年だけで五百五十件もあるんです。その中で上部組織が審議したのは二十四件です。そんな一通に時間的なこともあってできないし、直後の問題については取り上げられないでしょう、いつも。何年かたってから取り上げられるんですよ。 それともあれですか政府はもうILOの専門家委員会のこの判断は上部組織で取り上げられることはない、もうこれが決定だとでもおっしゃるんですか。
○説明員(赤阪清隆君) 私どもとしましては、今後、この問題がILOの専門家委員会で再度取り上げられるかどうかにつきましては、予断を許さないと思っております。 他方、前回、一九九七年にオブザベーションが行われた際には、日本のこれまでとっております本問題に対する取り組みに対して、引き続き日本政府が実施していくことを期待しておるという表現をもって、日本政府がこれまでとってきました措置について一定の評価を与えていると考えております。 今、私、詳しくは申し上げませんでしたが、これまで日本政府としましてはアジア女性基金を中心とした本問題に対する取り組みを行ってきておりまして、引き続きこの面では努力を続けてまいる所存でございます。
○吉川春子君 あなたが一番正直におっしゃったのは、今後予断を許されないということです。九六年で取り上げて、九七年で取り上げて、二年続けて取り上げられているわけです。私はもちろん知る余地もありませんけれども、必死でそれを抑えるように政府は行動されたでしょう、二人も代表委員を送っているんだから。だけれども、しかし国際世論の方向というのはこういうところなんです。 それから、あなたのおっしゃるアジア女性基金について評価してあります。クマラスワミさんの文書にもしてあるし、ここにもしてあります。そういうことを評価した上で、なおかつ日本政府はこの条約に違反するんだから、刑法百七十六条ですか、強姦罪、強制わいせつ罪で処罰せよ、あるいは補償せよ、そういうことを同時に言っているわけですよ。だから、アジア女性基金ですべて解消できるという問題ではないということは、もう外務省としても百も承知の上でおっしゃっているというふうに思います。 だからこそ、強引な方法でこのアジア女性基金のお金を受け取ってほしいということでいろいろやっているけれども、韓国の人たちはどうですか、受け取っていないでしょう。それから、そのほかの国の人たちだって、従軍慰安婦の人たちの何%ですか、受け取っているのは。 こういう努力をされることについて私は全面否定はいたしませんけれども、これでは解決できない、もっと明確に日本政府は責任を認めなさいというのがILOであり、それから国連のあのクマラスワミ報告であり、あるいはその他のボランティアも含めた国際世論なんです。 きょうは外務大臣いらっしゃいませんので、私はそこまで追及しませんけれども、最後に私は労働大臣に質問をいたします。 要するに、この労働・社会政策委員会は強制労働ということで、ILOとの関係でこの従軍慰安婦問題にすごくかかわっている。そして、最初の答弁がミスリードか意識してかわかりませんけれども、そういう答弁で怒りに火をつけた。それが労働省のあの局長の答弁であります。 私はこういう問題をやはり政府としては、きょうは閣僚を代表して労働大臣に伺いますけれども、政府としてはこういう戦争の痛ましい犠牲、日本の侵略戦争の犠牲、こういうものについてやっぱり日本としてはきちっと対応をして責任も認め責任をとっていく、このことが国際社会において本当に日本が認められる道である、そして日本の女性の権利、平和、こういう日本の国内の問題としても必要だというふうに思います。 その点について、労働大臣、いかがお考えですか。
○国務大臣(伊吹文明君) 私も労働大臣に就任しましてから、実は労働省内で国会におけるこの問題のやりとりはレクチャーを受けたわけです。 今、先生が熱心に御質問になっていることに対して、心から敬意を払いたいと思います。戦争というのはまことに悲惨なものでございますから、その中で、率直に言って何も知らずに戦争に行った日本の方も、つらい目に遭われた方もたくさんいらっしゃいますし、日本も非人道的なことをしたということも私は決して否定はいたしません。 その中で、あるいはその上でと申し上げた方がいいと思いますが、国と国との関係というのは条約あるいは国際法によって規制され、そして約束ごとは成り立っているわけでございますから、そのあたりのものとのバランスをどう考えていくのかは日本人一人一人の心の問題として私は受けとめるべきだと思っております。
○吉川春子君 時間がないので終わります。
○都築譲君 私は、きょうは雇用失業問題を中心に少し実態面を幾つかただしていきたい、このように思っております。 つい先般、二月分の労働力調査結果が発表になりまして、失業率が三・六%と未曾有の高さになったわけでございます。前からぜひ雇用失業問題の集中審議をお願いしておりまして、これは引き続きお願いをしていかなければいけないと思いますが、その審議の前段階として、実態として本当に今の日本の雇用市場、労働市場において一体どういうことが起こっているのか、統計の面から御説明をいただければとこういうふうに思っております。 と申しますのも、実は昨年からもう既に消費税の引き上げとか特別減税の廃止、あるいはさらに医療費の引き上げ、こういったことで国民負担を九兆円もふやした結果、消費が一挙に冷え込んでしまって企業の倒産が相次ぐ、金融機関が破綻をする、そんな中で失業者が相当ふえてきておるわけでございます。 私自身は実は十一月の金融機関の相次ぐ破綻といった事態を見て、さらにまた金融機関が貸し渋りということで、中小企業、中堅企業さらにまた優良と思われるところからも資金の回収をやっているということで、今でも倒産件数は大体月に一千五、六百件、年間で一万七千件という状況になっておりますから、かなり雇用情勢が十二月分は悪化するのではないか、このように思っておりましたら、十、十一月分の完全失業率は三・五%でありましたけれども、ところが十二月分が一月に発表されたときは三・四%と下がってしまったわけです。 一体これは何が起こっているんだろうかと思ってよくよく統計資料を読んでみますと、どうも男の方はどんどん失業者がふえておるんですけれども、その分を女性の臨時、日雇い、パート、アルバイト形態の、しかもそれがサービス業とかあるいは飲食、小売店、こういったところでの雇用が相当に伸びて、それで結局男性の失業率の上昇を女性の失業率の低下が補っているという、ちょっと今まででは考えられないような傾向が起こってきたと思って理解しておりました。 ところが、また二月の発表が行われましたら、今度は季節調整指数を組みかえました、こういう注書きがついておりまして、十二月分は三・四ではなくて三・五%でしたと、こういうことに実はなってしまったわけであります。それを思うと、どうも予算編成で緊縮型の予算をまた財政構造改革法案に基づいて組んで、これでも大丈夫なんです、雇用状況はよくなっているんですということを言うために実はそういった数字が出たのかなと。これは何とかの勘ぐりになってしまうのかもしれませんけれども。ところが、実際に一月、二月と景気状況が大変厳しくなっているから本来の数字に戻していこうかというふうな形なのかなということまで実は勘ぐってしまって、これは大変統計局の皆さんには失礼なことだろうと思いますけれども。 ただ、実態としては本当によくわからないのが、女性がひところは就職氷河期と言われるような大変厳しい雇用状況に置かれていたのに、最近の女性の失業動向とでも申しますか就業動向と申しますか、そういったものがどうも一般的な感覚と違うのではないかなという印象を持っております。 まず第一点。女性の十五歳から二十四歳層の例えば去年の十一月からことしの二月までの動きを見ておりますと、十一月は失業率が六・〇%ということで前年より一%も急に上がったわけでございます。十二月は五・三%ということで対前年の〇・二の伸び、一月になりましたら六・一%というふうにまたこれが急上昇しておりますけれども、ただ去年と比べると〇・一ポイントの減少、そして二月になりましたら六・八%と、こういうふうに上がってきておるわけです。この動き方が今までの動き方とも非常に違うのではないかなというふうな気がしておりまして、ここら辺の説明はどういうふうになされるのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
○説明員(飯島信也君) 今御指摘のありましたように、労働力調査の女子の十五から二十四歳層の完全失業率でございますが、水準的には、昨年十一月が六・〇%、それが五・三、六・一、六・八というふうな動きを示しております。若干の季節的な動きもございましてこういうふうな上下も出ておるわけでございますが、全体として見ますと、前年の水準に比較しまして下がっている月もございますが、総体的には若干の上昇傾向が見られるという状況でございます。 失業率がこういうふうに若干上昇傾向にございますのは、失業者の数はほぼ前年と同水準でございますけれども、就業者の数、これがちょうど一年前はかなり伸びていた時期でございまして、それに比較しまして若干減少している、そういったものが影響しているというふうに考えております。
○都築譲君 それからあわせて、女性の二十五歳から三十四歳層の平成九年十一月から今年二月までの動きについても、これが順次五・七、五・五、五・二、五・〇と改善をしていっておるわけです。ところが、その前年は五・五、四・七、四・九、五・〇ということで、十二月は恐らく繁忙期のようなものがありますからそれで失業率が下がるのかなと思いますが、これはやっぱりこの時期に上昇傾向も始まっておるわけでして、今これだけ景気が悪くなっている状況の中でなぜこの二十五から三十四歳層がこんなに改善をしているのか、そこのところはどうお考えでしょう。
○説明員(飯島信也君) 御指摘のありましたように、二十五から三十四歳層の完全失業率は十一月から月を追って水準としては少し下がっております。ただ、一年前の水準と比べますといずれも前年を上回るかあるいは同水準といった動きを示しておりまして、長期的に見ますとこの二十五から三十四歳層といいますのは昨年あたりから若干上昇傾向が見られる年齢層でございます。 人口そのものがふえておりますので就業者は若干伸びておりますが、それよりも高い比率で失業者の数がふえている理由といたしましては、求職理由別に見ますと「その他」のところが多い。仕事をしていた人でない、家庭にいた人あるいは何もしていなかった人が新たに職を探している、そういった理由での失業が若干ふえているというのが要因であろうかと思われます。
○都築譲君 職を探すということで、直ちに就職機会があるのかという問題は実際には就業者数ということで出てくるんでしょうけれども、それにしてもそんなにさっと見つかるのか。確かに実際のところはパートとかアルバイトのような臨時・日雇い形態、こういうふうな形で探しているのかなというふうな感じもします。 もう一つその関連で、今度は女性の四十五から五十四と五十五から六十四歳層、この層も実は失業率が低下しておるわけでして、これは一体本当に何なのかなということをまた思うわけです。その一月分のところは〇・三ポイントと本当に急激に下がって、二月分も〇・一ポイント下がっておるわけです。どうしてこの四十五から五十四とか五十五から六十四という層がこんなに失業率が下がり得る状況にあるのかよくわからないわけです。そこのところ、ちょっともう一度説明していただけますか。
○説明員(飯島信也君) 女性の四十五から五十四歳、それから五十五から六十四歳の層でございますが、ちょうど昨年の同じ時期、かなりこのあたりの年齢層の失業率が高かったということが一つございまして、その反動的なものも出ているのかなと考えております。 それに関連いたしますけれども、失業者の数そのものが前年の水準を下回っている。これは内訳としては、自発的な離職、こういったものを中心に前年の水準を下回っている状況でございます。また一方で、就業者の数は臨時雇いを中心といたしまして最近増加傾向にございます。こういったことが理由であろうかと考えられます。 ただ、全体といたしまして、この年齢層では労働力人口比率は依然上昇傾向が見られるといった状況でございます。
○都築譲君 その自発的離職が減っているというのは、それは今まで勤めていたところにしがみついているということだろうと思うんですね。みずからやめていこう、こういう気にはならない、こういう状況だろうと思うんです。では非自発的失業の部分はどうなのか。 ちょっとまとめて今の女性のところをいきますと、実は、臨時・日雇いの形態かもしれませんが、実際にサービス業とかあるいはまた飲食店とか卸・小売とか、そういったところで数がふえている、こういう話になりますね。ただ、そこのところは本当に景気がよかったのと、景気がよければ人を雇おうと、こういう話になると思いますけれども。 愛知県の方に鳥鈴とか味波という居酒屋チェーン店さんがあるんです。この間もちょっと寄ってそこのおかみさんと話しておったら、そこはまあまあだと言うんです。そこはまあまあだというのは、減っていく人もいるけれどももっと上のお客さん方が今そういう安い大衆酒場の方に流れてくるから何とかもっています、ただ上の方は大変でしょうね、こういう話があるわけです。 業界全体として飲食店のところを見たって、これは減ってきているに違いないだろうな、こんな思いがあります。例えばそういった飲食店の関係でいくと、労働省が許可をしている民営職業紹介の配ぜんの専門の方たちもいらっしゃいますけれども、そういった人たちの働き場所というのも相当狭められてきている。というのは、この間も石川の方で有名なホテルがつぶれましたし、愛知県の方でも蒲郡という大変な観光地の方で超しにせのお店が倒産をしたりとか、そんなことが実は起こっておるわけでして、どうもそこら辺の実態が違うんじゃないか。 本当にそんな形で雇用量がふえる、就業者数がふえるような景気の実態にあるか。それからまた、百貨店の売上高も低い、あるいはまた流通店、こういったところの売り上げも低い状況もあるわけでして、本当にサービス業とか飲食店、小売とかで雇用がふえる状況にあるのかというと、それはもう単に景気・経済指標といったものを見れば、みんな大体前年比相当な減になっているわけですから、そこら辺のところはどういう状況で就職をしているというふうにお考えなのか、ちょっとよろしければ御説明できますか。
○説明員(飯島信也君) 現在の就業者数を産業別に見てみますと、二月の結果によりますと、卸・小売業、飲食店、こちらが前年同月に比べて十九万人増加しております。また、サービス業は六十万人の増加となっておりまして、これに対しまして建設は十四万の減少、製造は六十四万の減少と、こちらは減少が大きくなっております。 卸・小売について申しますと、卸売業あるいは飲食関係のところでの就業が少しふえているようでございます。サービス業の就業が特に増加が大きいわけですが、中身を見ますと事業所向けのサービスというものがふえておるようです。いろいろな企業がいろいろな仕事を外注化する、あるいは情報産業といったものも含まれておりますが、そういった対事業所サービス関係の就業、これが一番目立ってふえているといった状況でございます。
○都築譲君 どうもそこら辺のところがよくわからないところがありまして、外注化、そういった情報関連ということであれば、これからの伸び盛りのあれですし、確かに情報化は着々と進展しておりますけれども、そういった部門のところの景気もそれほどどうなのかなと、こういう印象を持っております。 この四十五から六十四歳という中高年の女性の失業率が低下したということについては、二つ説明があるだろう。 一つは、臨時雇用形態でサービス関係で非常に安い賃金でもとにかく生活をしなきゃいけないという実態に追い込まれている。それはなぜかというと、男の方のいわゆる大黒柱と言われる世帯主の失業率がふえてきてしまっておるわけでして、それを補わなきゃいかぬから奥さんが働きに出る、こういう話かなというのが一つ。それからもう一つは、そもそも幾ら探したっていい働き口もないから、もう働くのをやめた、あるいはまた仕事を探すのをやめたと、こういう形で労働力そのものからドロップアウトしていって、結局失業率がまた低下をしていると、こういうことかなと思っていましたが、今のお話だと恐らく前者の方の説明が当たるのかなというふうに思うわけでございます。 そうすると、今度は男性の特に五十五から六十四歳層の完全失業率が急上昇をしたというふうになっておるわけでございまして、そこら辺の状況について、今どういうものが起こっているのか、またどういうふうにお考えになっているのか、これは統計局の方にお聞きをしたらいいのか、労働省の方にお聞きをしたらいいのか、ちょっと御説明をお願いできますでしょうか。
○政府委員(征矢紀臣君) 男性の五十五歳から六十四歳までの層の失業率の関係でございますが、平成十年二月で六・二%と前年より一・二ポイント高くなっております。これを六十歳の前後で分けてみますと、五十五歳から五十九歳までの層の失業率は三・九%であるのに対しまして、六十歳から六十四歳までの層の失業率は九・一%でございまして、六十歳代前半層の失業率が特に高くなっております。 一般的に景気が停滞する中で、解雇、倒産などを理由とする非自発的離職者がこの辺で増加しているのではないかというふうに考えております。
○都築譲君 今、六十から六十四歳層が九・一%ということで非常に高いということですが、六十歳定年ということを考えると、今まで、六十から六十四歳層も六十歳代前半層ということで、継続雇用という形でぜひ雇ってくださいと、こういう政策の対象でありましたけれども、それなりに一つの勤労人生といいますか、六十歳定年まで勤め上げてきて、それからという部分だから、それほど影響がまだ深刻に出ていない、こういうふうなとらえ方であるのか。 現実に、去年の山一の倒産ショックで労働大臣も大変御苦労されて、七千五百人の就職問題に一生懸命取り組んでおられましたけれども、その関連で中小企業でも幾つか倒産が起こっておるわけでして、そこのところは何も六十歳以上の層ではないわけでございますが、そこら辺の与える影響というのはどういうふうにお考えになっておられるか、ちょっとこれは通告をしておりませんけれども、お答えをいただけますでしょうか。
○政府委員(征矢紀臣君) 御指摘のように、六十歳から六十四歳までの失業率は非常に高いわけでございます。定年退職後就職を希望する方については、私ども一生懸命その再就職のあっせんをいたしているわけでございますが、有効求人倍率で見ますと、この六十歳から六十四歳までの層、これは非常に低水準であります。〇・一倍に至らないというような数字でございまして、現実に極めて再就職が困難な状況でございます。 したがいまして、この点についてはできるだけ継続雇用を推進するという立場から、定年後再雇用等による継続雇用についてのお願いをいたしているところであります。 ただ、もう一点深刻という点から考えますと、御指摘のように、定年後は必ずしも再就職を希望しない方もおられますし、あるいは一方で、現状でいきますと年金の問題もございます。そういう状況であろうと思います。 それに対しまして、六十歳未満の方、四十五歳から五十九歳、このいわゆる中高年層の方につきましてはその再就職問題が非常に厳しい、深刻である、そういうふうに考えております。
○都築譲君 ということになりますと、確かに年金の問題等いろいろあるかもしれませんが、そういう方たちに対する例えば高齢者雇用継続給付とか、そういった問題がこれから本当にことしの予算で大丈夫なのかという論点も私は出てくると思います。 それはまた別の機会にするとして、ちょっと順番が狂いましたけれども、もう一つは、特に男性の十五から二十四歳層の完全失業率が非常に高いわけでありまして、ここら辺のところ、二月分では七・九%という、これは前代未聞の高さであります。 一昨年だったと思いますけれども、一月にたしか十五歳から二十四歳で七・一%の失業率を経験したところ、三月の学卒者が出て、三月には八・二%まではね上がっておったわけでありまして、そうすると、この一月、二月の状況からすると三月はどうなってくるのかなというところが実は心配なわけでございます。 ただ、なぜこんなに若い方たちの失業率が高くなってきたのか。今までも議論がありまして、自発的に離職をする人たちがふえているというふうな話もありますけれども、これからの本当に日本の社会を担っていく若い方たち、しかもまだ自分の人生をこれから築き上げていかなきゃいけない。 また、労働大臣が前から御答弁されているように、終身雇用慣行といった仕組みが日本にはあったから、そういったものができるだけこれからも永続するように期待をしているようなことをたしか言われておったと思いますけれども、私自身も、やはり雇用は安定的に維持されるということが、恒産なくして恒心なしとかいろんな話もあるかもしれませんけれども、とにかく社会全体が安定するためには失業というものは少ないにこしたことはない。 ただ、これからいろんなビジネスチャンスとかあるいは能力発揮の機会もありますから、そのときは自分で思い切って仕事をかわるとか転職をするということができるごとも大事だと思います。それでも、普通の人たちは安定的な生活をどう守っていくのか、家族も抱えてやっていかなきゃいかぬ、こういうことを考えたら、最初から人生のスタートでつまずくようなことで本当にいいんだろうか。 それからまた、実際にこれから十年、二十年、今は十五歳から二十四歳と言っていても、そのうち三十五歳になって四十五歳になって五十五歳になってみんな年をとっていくわけでして、やはり若いうちに覚えた技能とかあるいはまた経験とか知識とか、こういったものはかなりの有用性を持っておるにもかかわらず、幾ら若くて前途洋々であるんだといっても、まともな職業経験を積まなければそういったものも蓄えていくことができなくなってくるわけですから、この層の対策を本当にしっかりやらなきゃいけないんじゃないかなということを考えるわけです。 こういった完全失業率が高水準なことについてちょっとお話を聞かせていただければと思います。
○政府委員(征矢紀臣君) 平成十年二月におきます男性の十五歳から二十四歳までの層の失業率でございますが、御指摘のように七・九%と前年より一・一ポイント高くなっておりまして、二月としましては過去最高の水準というふうになっております。ただ一方で、同じ月の私どもの業務統計の有効求人倍率で見ますとこのグループは一・〇一倍と、前年に比べると低下しているもののなお高水準にございまして、仕事の選択をしないという前提でいけば比較的容易に就職できるという状況であります。 ただ、若年の失業率が高い原因の一つとしまして、やはり適職選択の過程で離転職を行うという面がございまして、この辺は一方では終身雇用制、長期雇用、こういうものが非常に重要であるということでございますが、入り口で適職選択の幅を広げているというのが今の若年層の傾向でございます。したがって、転職志向の高まり、そういうものも影響しております。なお、あわせて最近の景気の停滞も影響しているであろうというふうに考えております。 いずれにしましても、若年層の再就職問題は御指摘のように非常に重要でございます。考え方も多様化していて、長期雇用のところに初めから就職したいという人もいれば、いろんな体験をする中で、例えば幾つかの会社あるいは幾つかの産業、そういうところを渡り歩いた結果で自分の将来設計を立てる人もふえている。そんな両面がありますので、なかなか対策を一律に行うことは難しいかと思います。 長期雇用制という面では、先ほどもお答え申し上げましたけれども、我が国の現状でいきますと、七六%は長期雇用であります。こういうものが非常に大事だということとあわせて、選択の幅を広げている方については、そういう幅を広げる中で、できるだけ自分の能力に合った職場をあっせんしていく、そのためにどうしたらいいかということについて、私どもの行政で最大限のお手伝いをしていくことが大事であろうというふうに考えております。
○都築譲君 確かに、適職の幅が広がって職業選択の自由が実質的に確保されるというのは大変本当にいいことだというふうに思います。 ただ、最近の若い方たちのいろんな犯罪についての報道が新聞やテレビをにぎわしておりまして、いとも簡単に切れてしまうというふうなことが起こっているわけです。これは本当にごくごく一部の特異なケースであろうというふうに思います。 ただ、きのうから毎日新聞でも連載が始まりましたけれども、学校の先生方が本当に悩んでおります。五年ぐらい前だったら静かにしなさいと言ったらみんな静かになったのに、最近は静かにしなさいと言うとやじが飛んだり大騒ぎになっているというふうな状況です。今の子供たちの意識というものが、犯罪まで走るのはごくごく一部かもしれないけれども、一般的な意識としてそういうふうに移りつつあるということでありますと、職業の現場に行ったときに、じっとこらえなければいけないこともあるし我慢しなければならないことだってあると思います。 またそれから、最近の求人倍率は確かに高いかもしれませんけれども、みんなミスマッチが多くて、特に都会に住む女性の場合は、華やかな場所でしかも事務系で簡単なお茶酌み程度の仕事とかそういったことを希望している。実際に求められるのは、かなり技能の高い職業だったらいっぱい仕事はあるんだけれども能力がついていないとか、そういった問題もあるわけでございます。単に景気循環的なものどころか、構造変化が本当に大きくどんどん進展をしていっている状況の中で労働市場がついていっていないのではないかな、こんな思いもするわけでございます。 ぜひそういったことを、もっと私は学校の現場でも職業といったものを実地に体験するような工夫を関係省庁と連携をとりながらやっていただくことが必要ではないか。金を右から左に動かして何億ともうけて、それで大赤字をつくったら国民に税金で負担させるようなばかなビジネス、ぬれ手にアワのビジネスなんというのは成り立たないんだと。今、日本を支えているのは、本当にまじめに額に汗して働いている製造業で働く人たちなんだ、そういったことさえわからなくなりつつあるような世の中ではないかということで大変心配をしておるわけでございます。 そういったこともぜひお考えいただきたいのと同時に、今申し上げたように、構造変化が進展し、景気循環も大変厳しい状況になっているのかなというふうに受けとめますと、例えば、第一次オイルショックのときにはたしか失業率が一・九%ぐらいまではね上がり、第二次ショックの後は二・一%ぐらいまでいったんだろうと思います。一九八〇年代になって、八七年のたしか六月ごろだったと思いますが、円高のときに初めて三・〇%をつけまして、八七年全体では二・八%という非常に高い水準になった。それぞれのときには大変な雇用対策を打ち出して失業問題の解消に労働省は全力を挙げてきたんですが、今回は何となく割とおとなし目な政策しかこの予算書には盛られていないんじゃないか。こういう印象を持っております。 そこら辺の失業の見通しと今後の対応について、ぜひ大臣のお考えを聞かせていただきたいと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) 今、先生がるるお述べになりましたことは、実は雇用問題、経済問題を超えて、歴史としての現在、大きな流れの中での今というものを考えていくという本来の政治家の一番大きなお考えというか、仕事の一部を表現されたんだと私は思います。 イギリスでは、御承知のように、労働省と文部省が実は同じ役所になっているわけです。単に手に技術をつけるとかそういうことを超えて、おっしゃったように、実社会では必ずしも自分の思うとおりにいかないけれども我慢しなければならないことを教えるとか、あるいは額に汗して働くことのとうとさというものはどういうものなのか、みんなの流れをうまくつくっていくためには時には公たるものに対して個人は奉仕をしなければならない部分が出てくるとか、あるいは一人一人にとっては耳ざわりのいい都合のいいことであっても、トータルとしては答えが出ないことは言っちゃいけないとか、そういうことを日本人はずっと教えられてきたと私は思うんです。それが戦後、戦争に負けてもなお残っておったということが、それはいい面、悪い面、両方ありますが、今日の繁栄を私はつくり出したと思います。 したがって、そのあたりの根本的な認識は都築先生の持っておられる認識と私は一緒でございますので、今おっしゃったことは、ひとつ私も大切に受けとめさせていただきたいと思います。 それから、そういう状況の中で、さて教育をどうしていくか、雇用の仕組みをどういうふうに持っていくかということは、これは一種の構造改革だと思いますので、私が長く労働大臣をやっておれるのなら長期的な視野でぜひそのようなことを実現したいと思います。 それから、三十万人の雇用開発プログラムですか、先生なども労働省で御活躍になっていたときにそういうことはいろいろあったと思いますが、労働省におられて実感として感じておられたのではないかと思うのは、大蔵大臣を兼務させてもらえばできることは随分あると思うんです。あるいは経済政策担当大臣にしてもらえばやれることは随分あると思いますが、労働省というものの設置法等所掌事務の範囲内でやれることは非常に限られております。 しかし、閣僚の一員として、先ほども各先生から御質問や御要望がございましたように、新たな雇用機会の創出あるいはまたそれに対応できる人材の育成ということについては、私は労働大臣という範囲を超えて国務大臣として発言をしていく決意ですし、またそういうつもりでやってまいりますので、よろしく御指導いただきたいと思います。
○堂本暁子君 今年度の労働省予算について質問をさせていただきます。 中でも、私の場合は事業所内託児施設助成金の拡大についてです。十三億八千七百万円、その中の新規予算二千八百万円について伺いたいと思います。 これは事業所内託児施設の時間延長、そして深夜託児に対しての助成金を出すというものですけれども、まず労働省に伺いたいのは、この対象となる子供たち、平成八年を見ますと二歳未満児が六百十八人という資料をいただいておりますけれども、何歳児を対象とするのか、それをまず教えてください。
○政府委員(太田芳枝君) これは、学校に入る前までの子供すべてを対象といたします。
○堂本暁子君 次に、その事業所の認定なんですけれども、二十一世紀職業財団の地方事務所長が認定するということなんですが、私がいただいた、これは労働省のしおりのようなものですが、その中で労働省に関しての内容は非常にわかりやすいんです。例えば育児休業をとっていることとか、いろいろ条件が書いてあります。しかし、子供の方の問題になると余りよくわからない。 まず、子供に関する部分ですが、コストの負担、これは企業あるいは病院などの事業所と、それから親の払う託児料でよろしいわけですね、コストは。
○政府委員(太田芳枝君) 私どもの事業所内託児施設助成金と申しますのは、もう先生御承知のことでございますが、従業員のためにそういう施設をつくりました事業主に対しまして施設の設置、整備に要しました費用、また運営費等を助成するものでございますので、その運営が各事業所によってどういうふうに行われているかということについては、あらあらのものはございますけれども、特別にどうこうという縛りというものは持っておりません。
○堂本暁子君 この同じ労働省のしおりによりますと、施設の運営というところですが、乳児または三歳未満児については六人につき保母が一人、それから三歳と四歳については二十人、それから四歳以上は三十人に一人と書いてありますが、これでよろしいでしょうか。
○政府委員(太田芳枝君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、この施設につきましては必要な面積が確保されているということとか、先生今おっしゃいました子供の年齢と人数に応じて決められました一定数以上の保母を配置することなどを基準といたしておりまして、この基準は認可保育園の基準とおおむね同じでございます。
○堂本暁子君 次に、利用者から託児料を徴収する場合は地域の保育施設、これは認可保育所のことだと思いますが、これに比べて安い額であることというふうに書いてあります。これは、私はこういう書き方をしていいものかなということで疑問を持っているわけですが、実際に私自身今回の児童福祉法の改正の保育のところにかかわってまいりましたし、近々にその児童福祉法の改正が国会を通過するだろうと願っております。 その場合、先ほど局長が言われたあらゆる年齢、ゼロ歳から就学時までですが、その場合、ゼロ歳児は十五万四千百三十五円が平均のコストです。少し地方と都会では違いますが、それが厚生省の保育にかかるコストとなっています。例えば年収が六百十四万円の第八階層といいますが、そこでは三歳児未満の保育料というのが四万九千円というふうに今度改正されます。そうすると、その地域の保育所よりも安くということは、非常に私は不思議な気がしているのは、生活保護だとかは別として、保育単価というと八千円から五万七千円までずっと八階層に分かれているわけです。それのどこよりも安くということになると、これは全く見当がつかないということが一つあります。その点はどういう意味でこれを書かれているのか。 それから、事業所によって違うと言われましたけれども、そうしますと例えば具体的に六百十四万の年収を持っている看護婦さんなり交換手さんなりを考えた場合、ゼロ歳児に十五万かかったとすると事業所が十万出すということは常識からいっても考えにくい。そうすると、厚生省の認可保育所よりもはるかにコストのかからない保育を子供たちが受けるようになると思いますが、その点はどうお考えでしょうか。
○政府委員(太田芳枝君) 繰り返しになりますが、事業所内託児施設の助成金は、これは保育の質につきましては私どもは認可保育園の基準とほぼ同じものが確保されている場合に支給するというふうに考えておるものでございますし、今後ともこの保育の質という点については注意していきたいと思っております。 それぞれ企業において女性労働者が不可欠である企業が事業所内のこういう保育園をつくるわけでございますから、それは十万円かかる場合もあると思いますけれども、それでも企業がそういう女性たちに働き続けてほしいという形でつくっておりますので、私どもといたしましては保育の質は確保しているというふうに考えているものでございます。
○堂本暁子君 非常に局長の答弁で明快なんですね、女性の労働を確保する。だけれども、子供の立場がどうなっているかということなんです。 厚生省の局長にもおいでいただきました。今度労働省の新規予算というのは、初めて延長保育三時間から七時間、しかも夜の二十二時から午前五時までに対しても補助をする。 厚生省の局長に伺いますが、夜間保育は何時までなのか。それから、我が日本国において、乳児院は別ですけれども、保育の制度として泊まり保育はありますか。
○政府委員(横田吉男君) 通常の保育所の保育時間につきましては朝の七時から午後六時ということになっておりまして、その前後に最大六時間までの延長保育ができるというふうにしております。 お尋ねの夜間保育所につきましては、夜に主体を置いた保育所でございまして、十年度から開所時間は午前十一時から午後十時までということになっております。 また、泊まりを前提とした保育があるかどうかということでございますけれども、今申し上げましたように通常の保育所というのは昼間というのを原則といたしておりまして、夜は子供さんは家で寝ているという考え方でございまして、乳児保育以外に泊まりを前提としたようなものは制度としてはないわけであります。ただ一部、病院ですとか深夜業がある事業所におきまして院内保育所として夜も保育を行っているところがございます。 そういった状況でございます。
○堂本暁子君 それは認可の保育所ですか。
○政府委員(横田吉男君) 病院内の保育所につきましては、一部認可のところもございますが、ほとんどが無認可でございまして、現在二千百六十五カ所の院内保育所がございます。
○堂本暁子君 その二千百六十五カ所全部が泊まり保育をやっているんでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 私どもが補助をいたしております院内保育所の数が平成八年度におきまして千三百二十一カ所ございます。このうち深夜も保育を行っているところが六百二十一カ所ということで、院内の保育所に限って申し上げますと約半数が深夜も保育を行っているという状況でございます。
○堂本暁子君 厚生省に伺いますが、その泊まり保育について児童審議会に諮問されたことはありますか。
○政府委員(横田吉男君) ここ最近いわゆる泊まり保育の是非につきまして中央児童福祉審議会等において特段答申または検討を行ったことはございません。
○堂本暁子君 労働省が今回こういった泊まり保育をすることについて、厚生省は事前に相談を受けておられたでしょうか。
○政府委員(横田吉男君) 事務的にも特に相談は受けでおりません。
○堂本暁子君 問題は、両省の設置法を見ましたけれども、児童の深夜、泊まりという形の保育というのは、院内保育所に補助は出ているけれども制度としては我が国にはないわけです。幾ら労働省の設置法をひっくり返してみても育児休業とかそういうこと、女性に関しての労働の施策は書いてあります。厚生省の方には「児童の心身の育成発達を指導する」ということが書いてあります。 確かに女性の労働のことは大事かもしれませんけれども、私どもも今度均等法の中で女性の保護規定が廃止されたので女性の深夜業務については大変関心を持っているところですけれども、その問題と子供の発達というのは別の問題です。そして、これは四十年代から五十年代にかけてもう大議論があったわけです。そのころ、本当にもっと延長保育がなされればいいということを思っていました。 ここに、これは昭和四十九年の中央児童福祉審議会の答申ですけれどもこう書いてあるんです。 乳幼児の福祉を最優先する立場からは、保育時間を大幅に延長し、特に夜間にまで及ぶような長時間保育を、公的な制度として広く一般化し、推進することは、これを奨励する意味にもつながり、長時間にわたる母子分離によって、家庭の育児に対する意欲と努力を減退させる結果を招くことも懸念されるので、慎重に対処しなければならない。このことをまず確認する必要がある。 ということです。そして、ちょっとだけその先を読みますと、「今後婦人労働のあり方、育児に対する父親の協力」云々とありますが、その先にさらに事業所内保育についても書いてあるんです。そこにも「一定の保育水準を保持」し、「地方公共団体の指導職員の計画的な巡回指導等による指導体制の強化、施設に勤務する保母等の職員の各種研修会等への参加などの措置」が必要だということも書いてあります。 今回労働省のやったことは新規に二千八百万をつけて、これだけ日本の国でもうさんざん議論されて五十六年にやっと延長保育に厚生省が踏み切って、そして法改正したのは何とことしです。これから法律が国会を通るというとき、国会を通ればこの四月一日から新しい児童福祉法は施行されて、そこで初めて延長保育や夜間保育もずっと充実はするわけです。 もうあえて伺いませんが、労働省は七時間まで延長保育を認める。十五時間の保育です、七時間ということは。これだけの十五時間の保育が、今局長の答弁だとゼロ歳児ももちろん含む、二歳未満の子供も含む。そういったゼロ歳児の子供たちに十五時間にもわたる保育が果たしてどうなのか、あるいは夜間になっての保育はどうなのか。 それから、もし公的に助成をしていくのであればそういった泊まり保育、泊まり保育というよりはあえて泊まり託児と申しますけれども、泊まり託児が子供の心身の発達に対してどういう影響があるのかということのきちっとした研究なり裏づけを持って厚生省がこういった施策に踏み切ったのかどうか、これはもう大疑問だと思います。 おっしゃるように最低基準にも問題があるんです。今、局長は六対一で最低基準を満たしていると思いますとおっしゃったが、今度国会を通る法律は三対一になったんですよ、ゼロ歳児は。それで、厚生省の認可保育所とほぼ同じですとおっしゃったけれども、四月にさかのぼって認可保育所は三対一に変わったんです。それぐらい女性の労働がふえたから、今度はどこでもゼロ歳児を預かるというふうに制度が変わりました。とすれば、認可保育所でも相当なところまで私はゼロ歳児に対応できると思います。 私は、とても問題だと思うのは、子供たちというのは本当に体で寂しさを夜になると訴えているんです。だから、設備があればいい、看護婦さんの泊まり保育があればそれでいい、女性の労働に対応するというものではない。私は十年ほど前、夜間保育ばかりを取材したことがあるんです。今でもはっきり覚えている五歳の女の子がいますが、何度その保育所へ行っても、その子は保母がどんなに寝かせようと思ってもお母さんが迎えに来るまで絶対寝なかった。もう寄りかかって、こうやってこっくんこっくんやりながら母親を待っていたんです。ことことことという母親の足音を聞いた途端に飛び起きて母親のところへ飛んでいった。 だから、お母さんは子供がどんなふうにして待っているか知らなかった。父親はまして知らなかった。でも、私たちはそれをテレビでずっと撮影して放送しましたから、父親は初めて自分の子供がどんな形で夜中に母親を待っているかということを知った。母親もそうなんです。それで、もう親はびっくりして自分の子供を迎えに行くようになったし、夜間の仕事もやめたということがありました。子供というのはそのことを親に訴えることもできない。そういった中でもう体じゅうでその寂しさ、つらさというのを示しています。 今、子供の犯罪とかなぜバタフライナイフを持つのかというようなことが問題になりますけれども、私はやはりゼロ歳児の子供というのは、二歳以下でもいいんですけれども、可能な限り長時間保育と夜間保育は避けるべきだと、そのための労働行政だというふうに思っているんです。それだから、育児休業が充実することがすごく大事。たとえ夜預けるにしても、それであるとすれば本当に厚い保育の内容が必要だというふうに思います。 ですから、児童福祉法の改正の中で、ゼロ歳児についてはこれだけの経費が国の予算からも計上され、そしてほかの予算は随分減りましたけれども、保育予算だけはふえた。それは少子化の中でやはり保育の質が問われているんです、今。 そういう形で、その子供の心の寂しさ、そういったものが将来子供にどういう影を精神的、身体的に落としていくか。やはり子供の発達の視点とそれから女性の労働条件の視点とが両立する形でやるべきなんですが、労働省のなすったことは、女性の深夜労働が今度認められた、だからここで延長保育とそれから深夜保育に補助するというふうなやり方というのは私はすごく無責任だと思うんです。もしやるのであれば、どうして厚生省と相談をしないのか。 私は、もうこの質問は国会議員になってからずっとやっています。そのたびに同じことを繰り返している。どうして労働省は自分だけでやるんですか。今、たまたま文部省と労働省という話が出ましたけれども、これは子供のことはあくまでも、それは設置法を見ればわかるでしょう、それとも労働省のどこかに子供の発達ということが書いてありますか。あったら教えてください。
○政府委員(太田芳枝君) 私どもの今回の助成金の拡充は、現在多くの女性労働者が働くようになっておりまして、やはり労働者の多様な保育ニーズに適応していく必要があるという観点からやらせていただいたものであります。 ただ、だからといって先生のおっしゃるように子供の視点が全くないとか、子供のことを考えていないというわけではございません。私たち、それぞれこういうプランをやりました者もそれなりに子供を育てたりいろいろと苦労もしたりもしておりますので、決してそういう視点がないということではなくて、ただやはり仕事と育児の両立がよくできるようにしていきたいという観点でやっておるということをぜひ御理解いただきたいと思います。
○国務大臣(伊吹文明君) 今、堂本先生のお話を伺っておりまして、私は非常にぜいたくなんだけれども、同じ経験をしたことが実はございます。 昔外国におりましたときに、休暇をとるときに、子供というか生まれたところの子供を預かってくれるところがあるんです。そこに一週間ばかり預けまして後で家内と一緒に引き取りに行ったら、子供は私などは相手にしないんです。そこで大変親切にしてくれたナースさんを多分母親だと思ったんだと思うんですね。それ以来、どんなに大変であっても二人で必ず子供は連れて歩こうということをいたしました。 今、御質問があったことは当然のお話でございますし、またこういう措置をするに当たっては厚生省とやはり十分連絡をとるべきであろうと思いますから、予算の執行等については今御指摘があったことを踏まえまして善処させていただきたいと思います。
○堂本暁子君 ありがとうございます。 これ以上問題にしませんけれども、それは幾ら子供を育てた経験のあるお役所の人でも、それと制度は別問題です。 これは、これから十七の深夜保育をしようとしていらっしゃるそうですが、そこへだれが行って立入調査をするんですか。厚生省の方のだったらきちっともう報告もあれば立入調査も全部あります。ですけれども、そのコストも今どれだけかかっているかわからないとおっしゃった。企業任せです。そうしたら、書類審査だけなのかどうか、だれが託児の内容をチェックするのか。あえて保育と私は言いたくないから保育って言わないんですが、託児の内容チェックをだれがするのか、万一事故が起こった場合はだれが責任をとるのか。もうゼロ歳児の場合はすぐ亡くなりますよ、本当に。もううつ伏せに寝かせられていたために何人の子供が死んだんですか。そういう事故がいっぱい起こっているわけです。そういうことを今まで院内保育所でたまたま経験していないのかもしれないけれども、これから起こったときにだれがその責任をとるのか。答弁はもう今大臣がおっしゃってくださったんで、今後の問題としてこういう乱暴なことはやってほしくない。 私も夜中に働く職場にいましたから、子供はいませんでしたけれども、周りに子供を育てていた同僚はいっぱいいます。ですからどういう状況になっているかはよく知っています。それから、自分でそういうところを一年間歩いてさんざん見ていますから、ですからこういう形で女性労働者がより働きやすいように、しかしあくまでも子供の発達というものは保障されなければいけない。その影響というのは五年後、十年後に出るんです、精神的な影響も身体的な影響も。ですから、やはりそこのところはできるだけ育児休業をとる。例えばノルウェーなんかだったら、やっぱりゼロ歳のときは六時間保育にする努力をしている。そのことの方が大事であって、もう単に企業内に保育所をつくればいいということではありません。 大臣、本当にこのことはお願いいたしますね。私は、労働省の中の女性施策というのは尊敬するところがたくさんあるんです。立派な女性官僚がいっぱいいらっしゃるし、皆さんすごい仕事をしていらっしゃると思うんですけれども、この点だけはどうして厚生省と張り合うような形というか、少なくとも事前に今度の児童福祉法の改正の内容がわかっていれば、六対一のまま書くはずないでしょう、三対一に最低基準が変更になっているにもかかわらず。四月一日からそれが施行されるんですよ。なのに労働省は三月三十一日までの法律の内容どおりで六人に一人とおっしゃっている。これはちょっと事前にやっぱり相談すべきです、日本の子供のことなんだから。だから、女性の労働と子供の発達ということは二つの役所の両方の責任なんだから、そこはやはり十分にこれから連絡をとっていただきたい。 それから、きょうはインターンシップの問題も伺おうと思ったんですが、時間が押していますので、申しわけありませんが次回に譲らせていただきます。 そして、せっかくNPO法案のこともこの委員会でぜひともいろいろ確認させていただきたいと思っていますので、NPO法案の方に移らせていただきます。 それで、経企庁の方に伺わせていただきますが、まず伺いたいのは、今度のボランティア活動の促進について予算は一億三千九百万で、その活動の実態や制度に関する調査、それからこの法律の施行についてのいろいろ事務を整備なさるんだと思います。 まず伺いたいのは、その調査の中身についてですが、実際に寄附をしている人の人数や額、寄附金控除が実現すれば寄附をしてもよいと考える人がどの程度いるかといったような世論調査、あるいは税制の優遇措置の検討に向けたデータ調査をやるといった必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○政府委員(井出亜夫君) 非営利活動につきましての基礎的なデータというのがあらゆる点で欠けておると思います。今度の法律は三年後の全体的な見直し規定が入っておるわけでございます。私ども、基礎的なデータをできるだけたくさん集めてまいりたいと思いますし、先生が今御指摘の寄附の状況を含めまして、さまざまな観点からお役に立つような資料収集に努めてまいりたいと考えております。
○堂本暁子君 次に、この法律の設立申請の際に縦覧とそれから事業報告書等の公開、それを柱としてきましたけれども、現状では所轄庁やそれから法人事務所で閲覧できることになっています。わざわざ出かけなければ見ることができないようになっていますが、だれでもが見られるようにインターネットを使う方法もあると思いますけれども、いかがですか。
○政府委員(井出亜夫君) 一般的に申し上げまして、この法律で縦覧でございますとかあるいは閲覧ということの意味合いは特定の場所で文書を見せるという意味でございますので、本法、非営利活動促進法に基づく情報公開につきまして、インターネットによりまして情報を不特定のコンピューターに送付するということは予想していないと理解をしております。 しかし、今後情報化が進展する中で、インターネット等の電子システムによる各種の情報公開についても検討あるいは議論がなされるべき、そういう課題ではないかと考えております。
○堂本暁子君 私たちこの立法府の趣旨がぜひとも都道府県に正確に伝えられることが大事だと思っております。 議事録を配付するというようなことも伺っておりますが、実際にもうお配りになったかどうか、それからある程度反響があったかどうかを伺って終わりたいと思います。
○政府委員(井出亜夫君) この法律の成立の直後に、法律自体とともに、国会での議事録というふうなものなどの資料を各都道府県に対しましては送付をしたところでございます。 それから、各都道府県からも法律の内容につきましていろいろな問い合わせというふうなことが届いておりますし、また全国知事会の方で各都道府県をお集めになって、私どももそこに参加をして、第一回目の会議といいますか、そういうふうなものも近々開かれる予定になっております。そんなところでございます。
○堂本暁子君 終わります。
○委員長(鹿熊安正君) 以上をもちまして、平成十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、労働省所管についての委嘱審査は終了いたしました。 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鹿熊安正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十三分散会 —————・—————